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法律第四十八号(昭四九・五・一七)

  ◎漁業近代化資金助成法及び中小漁業融資保証法の一部を改正する法律

 (漁業近代化資金助成法の一部改正)

第一条 漁業近代化資金助成法(昭和四十四年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「行なう」を「行う」に、「施設資金」を「施設資金等」に、「利子補給の措置」を「利子補給等の措置」に改める。

  第二条第一項第三号中「千トン(水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十八条第四項の規定により組合員たる資格を有する者を特定の種類の漁業を営む者に限る漁業協同組合の組合員たる法人にあつては、二千トン)以下」を「三千トン以下」に改め、同項第五号中「四十人以下」を「百人以下」に改め、同条第二項第一号中「水産業協同組合法」の下に「(昭和二十三年法律第二百四十二号)」を加え、「行なう」を「行う」に改め、同条第三項中「及び漁具」を「、漁具」に改め、「造成又は取得に要するもの」の下に「及び成育期間が通常一年以上である水産動植物の種苗の購入又は育成に要するもの」を加え、同項第一号中「一億円」を「三億円」に、「四千万円」を「一億二千万円」に、「一千万円」を「三千万円」に改める。

第五条の次に次の二条を加える。

(漁業信用基金協会への出資に係る政府の助成)

第六条 政府は、都道府県に対し、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、都道府県が漁業近代化資金に係る債務の保証の業務を行う漁業信用基金協会に対する出資を、当該保証に係る債務の弁済に充てるための基金とすることを条件として行うのに要する経費の一部を補助することができる。

 (納付金)

第七条 都道府県は、前条の規定による政府の補助を受けて当該都道府県が出資した漁業信用基金協会が次の各号の一に該当するときは、政令で定めるところにより、当該各号に定める金額の一部を当該補助を受けた割合に応じて政府に納付しなければならない。

 一 解散した場合 中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)第六十二条第一項の規定により当該都道府県に分配された残余財産の額

 二 漁業近代化資金に係る債務の保証の業務を廃止した場合 当該保証に係る債務の弁済に充てるための基金として管理されている金額及び当該業務に係る弁済(当該基金をもつて行つたものに限る。)によつて得た求償権の行使によりその後において取得した金額(その金額のうちに中小漁業融資保証法第七十四条の規定により政府へ納付すべき納付金の額が含まれている場合には、その納付金の額を控除した残額)の合計額

 (中小漁業融資保証法の一部改正)

第二条 中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第四十四条」を「第四十四条の三」に、「第四章 罰則(第七十九条―第八十一条)」を

第四章 中央漁業信用基金

第一節 通則(第七十九条―第八十七条)

第二節 設立(第八十八条―第九十三条)

第三節 管理(第九十四条―第百五条)

第四節 業務(第百六条―第百十四条)

第五節 財務及び会計(第百十五条―第百二十三条)

第六節 監督(第百二十四条・第百二十五条)

第七節 補則(第百二十六条・第百二十七条)

第五章 雑則(第百二十八条)

第六章 罰則(第百二十九条―第百三十一条)

に改める。

 第一条中「中小漁業者の漁業経営」を「中小漁業者等の漁業経営等」に、「貸付」を「貸付け等」に、「且つ」を「かつ」に、「確立し」を「確立するとともに、その健全かつ円滑な運営に資するための措置を講じ」に改める。

 第二条第一項中「中小漁業者」を「中小漁業者等」に、「左に」を「次に」に改め、同項各号を次のように改める。

 一 漁業を営む個人及び漁業に従事する個人

 二 漁業を営む法人(水産業協同組合を除く。)であつてその常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船(漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)第二条第一項に規定する漁船をいう。)の合計総トン数が三千トン以下であるもの

 三 水産加工業を営む個人

 四 水産加工業を営む法人(水産業協同組合を除く。)であつてその常時使用する従業者の数が百人以下であるもの

 五 水産業協同組合(水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第八十七条第一項第一号及び第二号の事業を行う漁業協同組合連合会(以下「信用漁業協同組合連合会」という。)並びに同法第九十七条第一項第一号及び第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会(以下「信用水産加工業協同組合連合会」という。)を除く。)

 第二条第二項中「行なう漁業協同組合、同法第八十七条第一項第一号及び第二号の事業を行なう漁業協同組合連合会(以下「信用漁業協同組合連合会」という。)、銀行(日本銀行を除く。)」を「行う漁業協同組合、同法第九十三条第一項第一号及び第二号の事業を行う水産加工業協同組合、信用漁業協同組合連合会、信用水産加工業協同組合連合会、銀行、信用金庫」に改め、同条に次の一項を加える。

3 この法律で「漁業近代化資金」とは、漁業近代化資金助成法(昭和四十四年法律第五十二号)第二条第三項の漁業近代化資金をいい、「漁業近代化資金等」とは、漁業近代化資金及び漁業近代化資金以外の資金であつて中小漁業者等の事業又は生活に必要なもののうち漁業又は水産加工業の経営の改善に資するものとして主務大臣が指定するものをいう。

 第四条を次のように改める。

 (業務)

第四条 協会は、次の業務を行う。

 一 会員たる中小漁業者等(その者が漁業協同組合又は水産加工業協同組合である場合には、その組合員を含む。以下この号において同じ。)が次に掲げる資金の借入れ(ロに掲げる資金に充てるために手形の割引を受けることを含む。)をすることにより金融機関に対して負担する債務の保証

  イ 漁業近代化資金

  ロ イに掲げるもののほか、中小漁業者等の事業又は生活に必要な資金

 二 前号に掲げる業務に附帯する業務

 第十条第一項中「左に掲げる者であつて協会の区域内に住所又は事業場を有するもの」を「協会の区域内に住所又は事業場を有する中小漁業者等(漁業を営む個人又は漁業に従事する個人にあつては、その漁業を営み又は漁業に従事する日数が一年を通じて九十日以上であるものに限る。)」に改め、同項各号を削り、同条第二項第三号中「漁業協同組合連合会」の下に「(信用漁業協同組合連合会を除く。)」を加え、同項第四号中「前項第四号及び第五号」を「一年を通じて九十日以上特定漁業を営む個人及び第二条第一項第二号」に改め、同条第三項を次のように改める。

3 協会は、前二項に規定する者のほか、協会が保証契約を結んでいる金融機関であつて定款で定めるものを会員たる資格を有する者とすることができる。

 第十七条第一項第一号中「、当該会員」の下に「(当該会員が漁業協同組合又は水産加工業協同組合である場合には、その組合員を含む。以下この号において同じ。)」を加え、同項第二号を次のように改める。

 二 削除

 第十八条第二項中「当該会員」の下に「(当該会員が漁業協同組合又は水産加工業協同組合である場合には、その組合員を含む。)」を加え、「又は第二号」を削り、「当該各号」を「同号」に、「代つて」を「代わつて」に、「払戻」を「払戻し」に改める。

 第二十条第十号中「選挙」の下に「又は選任」を加える。

 第二十一条第一号中「借入資金」を「借入資金等」に、「用途」を「種類」に改め、同条第五号中「借入」を「借入れ等」に改め、同条に次の一号を加える。

 十四 保証債務の弁済に充てるための基金及び第四十三条の二第一項の資金の管理方法

 第二十四条の見出し中「選挙及び委嘱」を「選挙等」に改め、同条第一項中「左に」を「次に」に、「選挙する」を「選挙し、又は選任する」に改め、同条第四項中「選挙される」を「選挙され又は選任される」に、「の外」を「のほか」に、「但し」を「ただし」に、「こえては」を「超えては」に改める。

 第四十二条を削り、第四十三条を第四十二条とし、同条の次に次の二条を加える。

 (基金)

第四十三条 協会は、第十一条の規定による出資金、第四十四条第二項の規定による繰入金及び協会の負担する保証債務の弁済に充てることを条件として都道府県その他の団体から交付された金銭(借入金を除く。)を、その負担する保証債務の弁済に充てるための基金として、次の方法により管理しなければならない。協会が保証債務の弁済(次条第一項の資金その他の借入れに係る資金をもつて行つたものを除く。)につき政府から支払を受けた保険金及び当該弁済によつて得た求償権(当該弁済をした日以後の利息及び避けることができなかつた費用その他の損害の賠償に係る部分を除く。)の行使により取得した金銭(第七十四条の規定による政府への納付金に対応する部分を除く。)についても、同様とする。

 一 農林中央金庫、信用漁業協同組合連合会、信用水産加工業協同組合連合会、銀行又は信用金庫への預金又は金銭信託

 二 国債証券、地方債証券又は主務大臣の定める有価証券の保有

 (中央漁業信用基金からの借入金)

第四十三条の二 協会は、第百六条第二号に規定する資金に係る中央漁業信用基金からの借入金(当該借入金の管理又は使用に伴い取得した金銭を含む。)を、その負担する保証債務のうち漁業近代化資金等に係るものの弁済に充てるための資金として、金融機関への預金若しくは金銭信託又は前条第二号の方法により管理しなければならない。

2 前項の資金は、同項に規定する保証債務の弁済及び同項の借入金の償還に充てる場合のほか、主務省令で定める場合に限り、使用することができる。

 第四十四条第二項中「前項」を「第一項」に、「損失のてん補に充てる」を「前項の」に、「取りくずして」を「取り崩して」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 前項の準備金は、損失のてん補に充て、又は保証債務の弁済に充てるための基金に繰り入れることができる。

 第二章第三節中第四十四条の次に次の二条を加える。

 (経理の区分)

第四十四条の二 第四条第一号イ及びロに掲げる資金に係る債務の保証の業務を行う協会は、主務省令の定めるところにより、同号イに掲げる資金に係る債務の保証の業務と同号ロに掲げる資金に係る債務の保証の業務とを区分して経理しなければならない。

 (財務及び会計についての主務省令への委任)

第四十四条の三 第四十三条から前条までに規定するもののほか、協会がその財務及び会計を適正に処理するために従わなければならない準則は、主務省令で定める。

 第四十五条中「掲げる者(地方公共団体を含む。)」を「規定する者」に改める。

 第六十五条中「以下」の下に「この条及び次条第二項において」を加え、「但し」を「ただし」に改める。

 第六十九条を次のように改める。

第六十九条 削除

 第七十条第四項中「第一項」の下に「又は第二項」を加え、「こえない」を「超えない」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「百分の七十」の下に「(公害防止施設の設置の費用その他の公害防止に要する費用で主務大臣が指定するものに充てるために必要な資金(以下「公害防止資金」という。)に係る保険関係にあつては、百分の八十)」を、「百分の五十」の下に「(公害防止資金に係る保険関係にあつては、百分の六十)」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に、「借入金」を「借入金等」に、「代つて」を「代わつて」に改め、「弁済」の下に「(手形の割引の場合には、支払。以下この章において同じ。)」を加え、同項を同条第三項とし、同条第一項中「第四条第一項第一号又は第二項第一号に掲げる」を「漁業近代化資金等に係る借入れ(手形の割引を受けることを含み、一の借入れに係る借入金の額又は一の手形の割引に係る手形金額が前項の政令で定める額未満のものに限る。)による」に、「借入金につき」を「借入金等につき」に改め、同項を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

 政府は、会計年度の半期ごとに、協会を相手方として、その協会が漁業近代化資金等に係る借入れ(手形の割引を受けることを含み、一の借入れに係る借入金の額又は一の手形の割引に係る手形金額が政令で定める額未満のものを除く。)による債務の保証をすることにより、その協会が借入金(手形の割引の場合には、手形債務)及び遅延利息以外の利息(借入期間が政令で定める期間以上である借入金に係るものに限る。)で政令で定めるもの(以下「借入金等」という。)につき保証をした金額の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、政府とその協会との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。

 第七十二条第一項中「第七十条第一項」の下に「又は第二項」を加え、「基いて」を「基づいて」に、「代つて」を「代わつて」に、「借入金」を「借入金等」に、「同条第三項」を「同条第四項」に改め、同条第二項中「借入金の外利息」を「借入金等のほか第七十条第一項の政令で定める利息以外の利息」に、「借入金の額」を「借入金等の額」に改める。

 第七十四条中「借入金」を「借入金等」に、「、利息」を「、第七十条第一項の政令で定める利息以外の利息」に改める。

 第七十五条中「第七十条第一項」の下に「又は第二項」を加え、「基き」を「基づき」に、「代つて」を「代わつて」に改める。

 第七十六条中「基く」を「基づく」に改め、「第七十条第一項」の下に「若しくは第二項」を加え、「同項」を「同条第一項若しくは第二項」に改め、「支払わず、」の下に「若しくは」を加え、同条の次に次の一条を加える。

 (災害資金に関する特例)

第七十六条の二 第七十条第一項又は第二項の保険関係(公害防止資金に係る保険関係を除く。)であつて、次に掲げる者の事業(第二号に掲げる者にあつては、その直接又は間接の構成員たる第一号に掲げる者の事業)の再建に必要な資金で主務大臣が指定するものに係る債務の保証に係るものについての同条第四項の規定の適用については、同項中「百分の七十(公害防止施設の設置の費用その他の公害防止に要する費用で主務大臣が指定するものに充てるために必要な資金(以下「公害防止資金」という。)に係る保険関係にあつては、百分の八十)」とあるのは「百分の八十」と、「百分の五十(公害防止資金に係る保険関係にあつては、百分の六十)」とあるのは「百分の六十」とする。

 一 主務大臣が指定する暴風、豪雨、高潮、津波その他の災害を受け、かつ、主務大臣が指定する地域内に住所又は事業場を有する中小漁業者等であつて、当該災害による損失額が主務大臣が定める基準に該当することについてその住所地又は事業場の所在地を管轄する市町村長又は特別区の区長の認定を受けたもの

 二 前号に掲げるもののほか、その直接又は間接の構成員のうちに同号に掲げる者を含む水産業協同組合

 第七十七条第一項中「第七十条第一項」を「第七十条第二項」に、「基く」を「基づく」に改める。

 第七十八条第二項中「第七十条第一項」の下に「又は第二項」を加える。

 「第四章 罰則」を削る。

 第八十一条中「第七条第二項」の下に「又は第八十五条第二項」を加え、同条を第百三十一条とする。

 第八十条中「左の」を「次の」に、「又は清算人」を「若しくは清算人又は中央基金の役員」に改め、同条第一号中「認可」の下に「又は承認」を加え、同条第二号中「第八条第一項」の下に「又は第八十六条第一項」を加え、「基く」を「基づく」に改め、同条第三号中「基き協会」を「基づき協会又は中央基金」に改め、同条第八号の次に次の一号を加える。

 八の二 第四十三条又は第四十三条の二第一項の規定に違反して資金を管理したとき。

 第八十条第九号中「の規定に違反した」を「第一項若しくは第三項、第四十四条の二、第百十九条又は第百二十一条の規定に違反する経理をした」に改め、同条に次の二号を加え、同条を第百三十条とする。

 十六 第百二十条の規定に違反して責任準備金を計算せず、又はこれを積み立てなかつたとき。

 十七 第百二十四条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。

 第七十九条第一項中「第六十五条」及び「第六十六条」の下に「若しくは第百二十五条第一項」を加え、「三万円以下」を「五万円以下」に改め、同条第二項中「協会又は受託者の」を「協会若しくは中央基金又は受託者(協会又は中央基金から業務の委託を受けた者をいう。以下同じ。)の」に、「協会の」を「協会若しくは中央基金の」に、「罰する外」を「罰するほか」に、「その協会又は」を「その協会若しくは中央基金又は」に改め、同条を第百二十九条とし、同条の前に次の章名を付する。

   第六章 罰則

 第三章の次に次の二章を加える。

   第四章 中央漁業信用基金

   第一節 通則

 (目的)

第七十九条 中央漁業信用基金は、農林中央金庫が行う漁業近代化資金等に係る貸付け等につき保険を行うとともに、協会に対してその行う債務の保証の業務に必要な資金を融通することにより、漁業近代化資金等の円滑な融通を図ることを目的とする。

 (法人格)

第八十条 中央漁業信用基金(以下「中央基金」という。)は、法人とする。

 (数)

第八十一条 中央基金は、一を限り、設立されるものとする。

 (資本金)

第八十二条 中央基金の資金は、その設立に際し、政府及び協会、農林中央金庫その他の政府以外の者が出資する額の合計額とする。

2 中央基金は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。

3 政府は、予算の範囲内において、中央基金に出資することができる。

4 協会及び農林中央金庫は、それぞれ、第四条及び農林中央金庫法第十六条の規定にかかわらず、中央基金に出資することができる。

 (持分の払戻し等の禁止)

第八十三条 中央基金は、出資者に対し、その持分を払い戻すことができない。

2 中央基金は、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。

 (持分の譲渡等)

第八十四条 政府以外の出資者は、その持分を譲渡することができる。

2 政府以外の出資者の持分の移転は、取得者の氏名又は名称及びその住所を出資者原簿に記載した後でなければ、これをもつて中央基金その他の第三者に対抗することができない。

 (名称)

第八十五条 中央基金は、その名称中に中央漁業信用基金という文字を用いなければならない。

2 中央基金でない者は、その名称中に中央漁業信用基金という文字を用いてはならない。

 (登記)

第八十六条 中央基金は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。

2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (民法の準用)

第八十七条 民法第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、中央基金について準用する。

    第二節 設立

 (発起人)

第八十八条 中央基金を設立するには、水産業及び金融について学識経験を有する者十五人以上が発起人とならなければならない。

2 発起人は、定款及び事業計画書を作成し、政府以外の者に対し中央基金に対する出資を募集しなければならない。

3 前項の事業計画書に記載すべき事項は、主務省令で定める。

 (設立の認可)

第八十九条 発起人は、前条第二項の募集が終わつたときは、定款及び事業計画書を主務大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。

第九十条 主務大臣は、設立の認可をしようとするときは、前条の規定による認可の申請が次の各号に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。

 一 設立の手続並びに定款及び事業計画書の内容が法令の規定に適合するものであること。

 二 定款又は事業計画書に虚偽の記載がないこと。

 三 事業の運営が健全に行われ、中小漁業の振興に寄与することが確実であると認められること。

第九十一条 主務大臣は、前条の規定により認可をしたときは、遅滞なく、発起人が推薦した者のうちから、中央基金の理事長又は監事となるべき者を指名する。

2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、中央基金の成立の時において、第九十七条第一項の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。

  (事務の引継ぎ)

第九十二条 前条第一項の規定により理事長となるべき者が指名されたときは、発起人は、遅滞なく、その事務を理事長となるべき者に引き継がなければならない。

2 理事長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政府及び出資の募集に応じた政府以外の者に対し、出資金の払込みを求めなければならない。

 (設立の登記)

第九十三条 中央基金の理事長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあつたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。

2 中央基金は、設立の登記をすることによつて成立する。

    第三節 管理

 (定款に記載すべき事項)

第九十四条 中央基金の定款には、次の事項を記載しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 事務所の所在地

 四 資本金、出資及び資産に関する規定

 五 役員に関する規定

 六 評議員会に関する規定

 七 業務及びその執行に関する規定

 八 財務及び会計に関する規定

 九 定款の変更に関する規定

 十 公告の方法

2 中央基金の定款の変更は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (役員)

第九十五条 中央基金に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内を置く。

2 中央基金に、役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事三人以内を置くことができる。

 (役員の職務及び権限)

第九十六条 理事長は、中央基金を代表し、その業務を総理する。

2 理事は、定款で定めるところにより、理事長を補佐して中央基金の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。

3 監事は、中央基金の業務を監査する。

 (役員の任命)

第九十七条 理事長及び監事は、主務大臣が任命する。

2 理事は、主務大臣の認可を受けて、理事長が任命する。

 (役員の任期)

第九十八条 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 役員は、再任されることができる。

 (役員の欠格条項)

第九十九条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。

 (役員の解任)

第百条 主務大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。

2 主務大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

 二 職務上の義務違反があるとき。

3 理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。

 (役員の兼職禁止)

第百一条 役員(非常勤の理事を除く。)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

 (代表権の制限)

第百二条 中央基金と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が中央基金を代表する。

 (評議員会)

第百三条 中央基金に、その運営に関する重要事項を審議する機関として、評議員会を置く。

2 評議員会は、評議員二十以内で組織する。

3 評議員は、水産業及び金融について学識経験を有する者のうちから、主務大臣の認可を受けて、理事長が任命する。

 (職員の任命)

第百四条 中央基金の職員は、理事長が任命する。

 (役員及び職員の公務員たる性質)

第百五条 中央基金の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

    第四節 業務

 (業務)

第百六条 中央基金は、第七十九条の目的を達成するため、次の業務を行う。

 一 融資保険(第百九条から第百十四条までの規定による保険をいう。以下同じ。)

 二 協会の漁業近代化資金等に係る保証債務の額を増大するために必要な原資となるべき資金及びその履行を円滑にするために必要な資金の貸付け

 三 前二号に掲げる業務に附帯する業務

 (業務の委託)

第百七条 中央基金は、主務大臣の認可を受けて、その業務(前条第一号の業務を除く。)の一部を農林中央金庫に委託することができる。

2 農林中央金庫は、農林中央金庫法第十六条の規定にかかわらず、前項の規定による業務の委託を受け、当該業務を行うことができる。

 (業務方法書)

第百八条 中央基金は、業務の開始前に、業務方法書を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の業務方法書には、次の事項を記載しなければならない。

 一 保険関係が成立する貸付け等の範囲、保険事故、保険金額の保険価額に対する割合、保険料、保険金、回収金の納付その他融資保険に関する事項

 二 貸付金の使途、利率、償還期限、金額の限度、償還方法その他第百六条第二号の貸付けに関する事項

 三 業務の委託に関する事項

 (保険契約)

第百九条 中央基金は、事業年度の半期ごとに、農林中央金庫を相手方として、農林中央金庫が漁業近代化資金等に係る貸付け又は手形の割引(以下「貸付け等」という。)をしたことを中央基金に通知することにより、その貸付金の額及びその手形の割引に係る手形金額の総額が一定の金額に達するまで、その貸付け等につき、中央基金と農林中央金庫との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。

2 前項の規定は、漁業近代化資金等に係る貸付け等につき協会による債務の保証が行われる場合における当該貸付け等については、適用しない。

3 第一項の保険関係においては、貸付金(手形の割引の場合には、手形の割引により融通した資金。以下同じ。)の額を保険価額とし、弁済期(手形の割引の場合には、手形の満期)後政令で定める期間を経過した時における債務の不履行による貸付金の全部又は一部の回収未済を保険事故とし、保険価額に百分の七十を乗じて得た金額を保険金額とする。

 (保険料)

第百十条 保険料の額は、保険金額に年百分の三以内で政令で定める率を乗じて得た額とする。

 (保険金)

第百十一条 中央基金が第百九条第一項の保険関係に基づいて支払うべき保険金の額は、同条第三項の回収未済の貸付金の額から農林中央金庫がその支払の請求をする時までに回収をした貸付金の額を控除した残額に、百分の七十を乗じて得た額とする。

 (回収)

第百十二条 農林中央金庫は、第百九条第一項の保険関係が成立した貸付け等について、貸付金の回収に努めなければならない。

 (回収金の納付)

第百十三条 農林中央金庫は、保険金の支払を受けた場合には、その支払の請求をした後回収をした貸付金の額とその支払を受けた日の翌日以後の利息の受領した額との合計額に、当該支払を受けた保険金の額の当該保険金に係る第百十一条に規定する残額に対する割合を乗じて得た額を中央基金に納付しなければならない。

 (準用)

第百十四条 第七十三条及び第七十六条の規定は、第百九条第一項の保険関係について準用する。この場合において、第七十六条中「第七十条第一項若しくは第二項」とあるのは「第百九条第一項」と、「同条第一項若しくは第二項」とあるのは「同項」と読み替えるものとする。

    第五節 財務及び会計

 (事業年度)

第百十五条 中央基金の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

 (予算等の認可)

第百十六条 中央基金は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (財務諸表)

第百十七条 中央基金は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に主務大臣に提出して、その承認を受けなければならない。

2 中央基金は、前項の規定により財務諸表を主務大臣に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。

 (書類の送付)

第百十八条 中央基金は、第百十六条の認可又は前条第一項の承認を受けたときは、当該認可又は承認に係る予算、事業計画及び資金計画に関する書類又は財務諸表を政府以外の出資者に送付しなければならない。

 (資金等)

第百十九条 中央基金は、融資保険の事業に関して、保険資金を設け、政府及び政府以外の者が保険資金に充てるべきものとして示して出資した額に相当する金額をもつてこれに充てなければならない。

2 中央基金は、第百六条第二号の貸付けの事業に関して、融資資金を設け、政府及び政府以外の者が融資資金に充てるべきものとして示して出資した額に相当する金額をもつてこれに充てなければならない。

3 中央基金は、主務省令の定めるところにより、融資保険の事業と第百六条第二号の貸付けの事業とを区分して経理しなければならない。

 (責任準備金)

第百二十条 中央基金は、主務省令の定めるところにより、毎事業年度末において、責任準備金を計算し、これを積み立てなければならない。

 (利益及び損失の処理)

第百二十一条 中央基金は、毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をてん補し、なお残余があるときは、その残余の額は、準備金として積み立てなければならない。

2 中央基金は、毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の準備金を取り崩して整理し、なお不足があるときは、その不足の額を損失の繰越しとして整理しなければならない。

3 第一項の準備金は、前項の規定により損失のてん補に充てる場合を除いては、これを取り崩してはならない。

 (給与及び退職手当の支給の基準)

第百二十二条 中央基金は、役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (財務及び会計についての主務省令への委任)

第百二十三条 この節に規定するもののほか、中央基金の財務及び会計に関し必要な事項は、主務省令で定める。

    第六節 監督

 (監督)

第百二十四条 中央基金は、主務大臣が監督する。

2 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、中央基金に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

 (報告及び検査)

第百二十五条 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、中央基金若しくは中央基金から業務の委託を受けた者(以下この項において「受託者」という。)に対しその業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に中央基金若しくは受託者の事務所に立ち入り、業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。ただし、受託者に対しては、その委託された業務の範囲内に限る。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

    第七節 補則

 (出資者原簿)

第百二十六条 中央基金は、出資者原簿を備えて置かなければならない。

2 出資者原簿には、各出資者について次の事項を記載しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所

 二 出資の引受け及び出資金の払込みの年月日又は出資者の持分の譲受けの年月日

 三 出資額又は出資者の持分の譲受け額(以下「出資額」という。)

3 政府以外の出資者は、出資者原簿の閲覧を求めることができる。

 (解散)

第百二十七条 中央基金は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額に応じて分配しなければならない。

2 前項の規定により各出資者に分配することができる金額は、その出資額を限度とする。

3 前二項に規定するもののほか、中央基金の解散については、別に法律で定める。

    第五章 雑則

 (主務大臣等)

 第百二十八条 この法律における主務大臣は、農林大臣及び大蔵大臣とする。ただし、第六十五条、第六十六条及び第百二十五条第一項に規定する主務大臣の権限は、農林大臣又は大蔵大臣がそれぞれ単独に行使することを妨げない。

2 第二章に規定する主務大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に行わせることができる。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条中漁業近代化資金助成法第一条及び第二条の改正規定は、公布の日から施行する。

 (中小漁業融資保証法の一部改正に伴う経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に改正前の中小漁業融資保証法(以下「旧法」という。)第四条の規定により漁業信用基金協会(以下「協会」という。)が行つている債務の保証の業務は、改正後の中小漁業融資保証法(以下「新法」という。)第四十四条の二の規定の適用については、新法第四条第一号ロに掲げる資金に係る債務の保証の業務とみなす。

第三条 この法律の施行前に成立している旧法第七十条第一項の保険関係については、なお従前の例による。

第四条 この法律の施行の際現に旧法第七十条第一項の規定により政府と協会との間に締結されている保険契約については、なお従前の例による。

第五条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

第六条 この法律の施行の際現にその名称中に中央漁業信用基金という文字を用いている者については、新法第八十五条第二項の規定は、この法律の施行の日から起算して六月間は、適用しない。

第七条 中央漁業信用基金(以下「中央基金」という。)の最初の事業年度は、新法第百十五条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、その日の属する年の翌年三月三十一日に終わるものとする。

2 中央基金の最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、新法第百十六条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「中央基金の成立後遅滞なく」とする。

3 中央基金の最初の事業年度に係る新法第百九条第一項の保険契約については、同項中「事業年度の半期ごとに」とあるのは、「最初の事業年度について」とする。

 (農林中央金庫法の一部改正)

第八条 農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項中「開拓融資保証協会」の下に「、中央漁業信用基金」を加える。

 (農林漁業団体職員共済組合法の一部改正)

 第九条 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。

  第一条第一項第九号を次のように改める。

 九 中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)第二章

 (地方税法の一部改正)

第十条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の五第一項第四号中「漁業信用基金協会」の下に「、中央漁業信用基金」を加える。

 (所得税法の一部改正)

第十一条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第一号の表中中央技能検定協会の項の次に次のように加える。

中央漁業信用基金

中小漁業融資保証法

 (法人税法の一部改正)

第十二条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  別表第二第一号の表中中央技能検定協会の項の次に次のように加える。

中央漁業信用基金

中小漁業融資保証法

 (印紙税法の一部改正)

第十三条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第二中地方道路公社の項の次に次のように加える。

中央漁業信用基金

中小漁業融資保証法

 (大蔵省設置法の一部改正)

第十四条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第十二条第一項第九号中「漁業信用基金協会」の下に「、中央漁業信用基金」を加える。

 (農林省設置法の一部改正)

第十五条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第七十七条第三号中「漁業信用基金協会」の下に「及び中央漁業信用基金」を加える。

(大蔵・農林・内閣総理大臣署名) 

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