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法律第八十六号(昭五五・一一・二一)

  ◎農住組合法

目次

 第一章 総則(第一条―第六条)

 第二章 事業

  第一節 通則(第七条)

  第二節 土地区画整理事業(第八条)

  第三節 交換分合(第九条―第十一条)

  第四節 土地改良事業(第十二条)

  第五節 農地利用規約等(第十三条・第十四条)

 第三章 組合員(第十五条―第二十八条)

 第四章 管理(第二十九条―第五十九条)

 第五章 設立(第六十条―第七十条)

 第六章 解散及び清算(第七十一条―第八十条)

 第七章 監督(第八十一条―第八十五条)

 第八章 雑則(第八十六条―第九十四条)

 第九章 罰則(第九十五条―第九十八条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、大都市地域の市街化区域内農地の所有者等が協同して、必要に応じ当面の営農の継続を図りつつ当該市街化区域内農地を円滑かつ速やかに住宅地等へ転換するための事業を行うために必要な組織を設けることができるようにし、その組織の事業活動を通じてこれらの者の経済的社会的地位の向上並びに住宅地及び住宅の供給の拡大を図り、もつて大都市地域における住民の生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「大都市地域」とは、都の区域(特別区の存する区域に限る。)及び市町村でその区域の全部又は一部がこの法律の施行の日に首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)第二条第三項に規定する既成市街地若しくは同条第四項に規定する近郊整備地帯、近畿圏整備法(昭和三十八年法律第百二十九号)第二条第三項に規定する既成都市区域若しくは同条第四項に規定する近郊整備区域又は中部圏開発整備法(昭和四十一年法律第百二号)第二条第三項に規定する都市整備区域内にあるものの区域をいう。

2 この法律において「住宅地等」とは、住宅の用に供される土地及び店舗、事務所その他の利便施設、道路、公園その他の公共施設その他住宅市街地に設置することが通常適当であると認められる建築物又は施設の用に供される土地をいう。

3 この法律において「一団の住宅地等」とは、住宅地等として現に利用されている、及び利用されることとなる一団の土地(一団の営農地等を除く。)をいう。

4 この法律において「農地等」とは、現に農業の用に供されている農地及び採草放牧地並びにこれらに隣接し、かつ、これらと一体となつて農業の用に供されている農業用道路その他の土地をいう。

5 この法律において「市街化区域内農地」とは、この法律の施行の日における都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の規定による市街化区域(以下「市街化区域」という。)の区域内にある農地(採草放牧地を含む。以下同じ。)をいう。

6 この法律において「市街化区域内農地等」とは、この法律の施行の日における市街化区域の区域内にある農地等をいう。

7 この法律において「一団の営農地等」とは、当面農業上の利用が継続される一団の市街化区域内農地等をいう。

 (人格及び住所)

第三条 農住組合(以下「組合」という。)は、法人とする。

2 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

 (名称)

第四条 組合は、その名称中に農住組合という文字を用いなければならない。

2 組合でないものは、その名称中に農住組合という文字を用いてはならない。

 (事業の目的)

第五条 組合は、その行う事業によつてその組合員のために直接の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行つてはならない。

 (登記)

第六条 組合は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。

2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、第三者に対抗することができない。

3 第一項の規定により登記した事項は、登記所において遅滞なく公告しなければならない。

   第二章 事業

    第一節 通則

 (事業)

第七条 組合は、第一条の目的を達成するため、その地区内において、次に掲げる事業を行う。

 一 良好な住宅地等の造成を目的とする土地の区画形質の変更及びこれに併せて整備することが必要な公共施設の整備

 二 住宅の建設、賃貸その他の管理又は譲渡(当該住宅の用に供されている土地の賃貸その他の管理又は譲渡を含む。)

 三 前二号の事業に附帯する事業

2 組合は、前項に規定する事業のほか、第一条の目的を達成するため、その地区内において、次に掲げる事業の全部又は一部を行うことができる。

 一 組合員及び一般公衆の利便に供される店舗、事務所その他の利便施設の建設、賃貸その他の管理又は譲渡(当該利便施設の用に供されている土地の賃貸その他の管理又は譲渡を含む。)

 二 住宅又は店舗、事務所その他の利便施設を建設するため土地を必要とすると認められる者で政令で定めるものに対して行う土地の賃貸その他の管理又は譲渡

 三 前項第一号の事業の円滑な実施を図るために必要な土地に関する権利の交換分合

 四 農産物処理加工施設その他組合員の営農上必要な共同利用施設の設置又は管理(次号に掲げるものを除く。)

 五 客土、暗きよ排水その他の農地の利用又は保全のため必要な事業で政令で定めるもの

 六 組合員及び一般公衆の利用に供されるレクリエーション施設の設置及び管理

 七 組合の事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育及び組合員に対する一般的情報の提供

 八 第十三条第一項に規定する農地利用規約の設定及び第十四条第一項に規定する農地利用契約の締結

 九 前各号の事業に附帯する事業

3 第一項第一号に掲げる事業(これに附帯する事業を含む。次条第一項において同じ。)は、組合の地区内の市街化区域内農地等の全部又は相当部分を含む一団の土地について行うものとする。

4 第二項第四号又は第五号に掲げる事業(これに附帯する事業を含む。)は、組合員が当面営農を継続するのに必要な限度を超えるものであつてはならない。

    第二節 土地区画整理事業

 (土地区画整理事業)

第八条 組合が前条第一項第一号に掲げる事業を土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)第二条第一項に規定する土地区画整理事業(同条第二項に規定する事業を含む。以下「土地区画整理事業」という。)として行う場合には、組合を同法第三条第一項の規定により数人共同して施行する土地区画整理事業の施行者とみなして、同法の規定(第九条第二項、第十一条及び第十二条を除く。)を適用する。この場合において、同法第六条第三項中「わたらないように」とあるのは、「わたらず、農住組合の地区と一致し、かつ、組合員(准組合員を除く。)の有する所有権又は借地権の目的となつている宅地以外の宅地及び市街化区域外の土地を含まないように」と読み替えるものとする。

2 土地区画整理法の規定の適用についての必要な技術的読替えは、政令で定める。

3 組合は、第一項の規定により適用される土地区画整理法第四条第一項の規約若しくは事業計画を定め、若しくは変更し、又は同法第八十六条第一項の換地計画を定め、若しくは変更しようとするときは、組合員(第十五条第二号の規定による組合員(以下「准組合員」という。)を除く。)全員の合意によらなければならない。

4 第一項の規定により適用される土地区画整理法第四条第一項の事業計画においては、建設省令で定めるところにより、一団の住宅地等及び一団の営農地等の区域を定めることができる。

5 第一項の規定による土地区画整理法第百二十三条及び第百二十四条の規定の適用については、前二項の規定は、同法の規定とみなす。

    第三節 交換分合

 (交換分合計画の決定手続)

第九条 組合は、第七条第二項第三号に掲げる事業を行おうとする場合には、総会の議決を経て交換分合計画を定め、その交換分合計画により同号の交換分合(以下「交換分合」という。)をすべき土地について所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者のすべての同意を得て、都府県知事の認可を受けなければならない。

2 前項の交換分合計画は、主務省令で定めるところにより一団の住宅地等及び一団の営農地等が適切に配置され、それぞれの用途に応じた土地の有効利用が図られるようにこれを定めなければならない。

3 都府県知事は、交換分合計画において定める農地に係る権利の設定又は移転(市街化区域内農地を住宅地等へ転換するためのものを除く。)の内容が農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第三条第二項の規定により同条第一項の許可をすることができない場合に該当すると認めるときは、第一項の規定による認可をしてはならない。

4 交換分合計画につき第一項の規定による認可があつたときは、当該交換分合計画において定める農地に係る権利の設定又は移転については、市街化区域内農地を住宅地等へ移転するためのものにあつては農地法第五条第一項第三号に規定する場合に該当するものとして同項の許可を要しない場合に該当するものとみなし、それ以外のものにあつては同法第三条第一項の許可があつたものとみなす。

第十条 組合が交換分合計画を定めようとする場合において、その交換分合計画に係る土地の所有者の申出又は同意があつたときは、当該交換分合計画においてその申出又は同意に係る土地の所有者が取得すべき土地を定めないでその所有者が失うべき土地を定めることができる。この場合において、その所有者が失うべき土地について地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利(以下「使用収益権」という。)を有する者があるときは、組合は、その所有者が取得すべき土地を定めないことについてこれらの者のすべての同意を得なければならない。

2 前項前段の場合には、金銭による清算をするものとし、当該交換分合計画においてその額並びに支払及び徴収の方法及び時期を定めなければならない。

3 第一項の規定により所有者が取得すべき土地を定めないでその所有者が失うべき土地を定める場合において、その所有者が失うべき土地の全部又は一部について先取特権、質権又は抵当権があるときは、前項の規定により交換分合計画において清算金を定めるに当たつて、当該権利の及ぶべき清算金の額を併せて定めなければならない。

 (土地改良法の準用)

第十一条 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第九十九条(第一項及び第二項を除く。)、第百一条第二項、第百二条から第百七条まで、第百八条第一項及び第二項、第百九条、第百十条、第百十二条、第百十三条、第百十四条第一項、第百十五条、第百十八条(第一項第二号から第五号まで及び第二項を除く。)、第百二十一条から第百二十三条まで、第百三十七条、第百三十八条(第二号から第四号までを除く。)、第百三十九条並びに第百四十二条の規定は、交換分合について準用する。この場合において、これらの規定の準用について必要な技術的読替えは、政令で定める。

    第四節 土地改良事業

 (土地改良事業の施行)

第十二条 組合が第七条第二項第五号に掲げる事業を土地改良法第二条第二項に規定する土地改良事業として行う場合には、組合を同法第九十五条第一項の規定により土地改良事業を行う農業協同組合とみなして、同法第二章第三節及び第五章(第百十三条の二第三項、第百十九条、第百二十条及び第百二十六条を除く。)の規定並びに第百三十八条(第二号から第四号までを除く。)、第百三十九条及び第百四十二条の規定を適用する。

    第五節 農地利用規約等

 (農地利用規約)

第十三条 組合は、一団の営農地等に属する農地について所有権又は使用収益権を有する組合員で当面の営農の継続を希望するものの合意による申出に基づき、これらの者の当面の営農の円滑な継続に資するように、当該農地の利用に関する規約(以下「農地利用規約」という。)を定めることができる。ただし、当該農地の区域が次に掲げる条件に適合する一団の土地の区域でないときは、この限りでない。

 一 おおむね一ヘクタール以上の規模の区域であること。

 二 周辺の土地利用の状況、用排水その他の状況を勘案して当面の営農の継続が可能な条件を備えていると認められるものであること。

2 農地利用規約には、次に掲げる事項を定めなければならない。

 一 農地利用規約の対象となる農地の区域(以下「営農地区」という。)

 二 農地としての管理に関する事項

 三 住宅地等への転換に関する事項

 四 農地利用規約に違反した場合の措置

 五 農地利用規約の有効期間

3 組合は、農地利用規約を定めたときは、主務省令で定めるところにより、これを市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)に提出して、当該農地利用規約が営農地区における当面の営農の円滑な継続に資するものである旨の認定を受けることができる。

4 市町村長は、前項の規定による認定の申請があつた場合において、申請に係る農地利用規約の設定手続又は申請手続が法令に違反していると認めるときは、同項の認定をしてはならない。

5 市町村長は、第三項の認定をしたときは、遅滞なくその旨を公告しなければならない。

6 前各項に規定するもののほか、農地利用規約の設定、変更及び廃止並びに認定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。

7 市町村長は、農地利用規約の認定及びその取消しに関し、当該組合から必要な報告を徴することができる。

 (農地利用契約)

第十四条 組合は、前条第三項の認定を受けた農地利用規約の目的を達成するため必要があると認めるときは、組合員以外の者で当該一団の営農地等に属する農地(営農地区に隣接していないものを除く。)について所有権又は使用収益権を有するものと、当該農地利用規約により組合員が遵守すべきこととされる事項と同一の事項をこれらの者が遵守すべきことをその内容とする契約(以下「農地利用契約」という。)を締結することができる。

2 農地利用契約を締結した組合が当該営農地区に係る農地利用規約を変更し、又は廃止しようとするときは、前条第一項の申出をした者のほか、当該農地利用契約を締結した者の同意を得なければならない。

   第三章 組合員

 (組合員たる資格)

第十五条 組合員たる資格を有する者は、次に掲げる者であつて定款で定めるものとする。

 一 組合の地区内の土地(国又は地方公共団体の所有する土地区画整理法第二条第五項に規定する公共施設の用に供する土地を除く。)について所有権又は借地権(借地法(大正十年法律第四十九号)にいう借地権をいう。以下同じ。)を有する者

 二 組合の地区内の農地について使用収益権を有する者(前号に掲げる者を除く。)

 (出資)

第十六条 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。

2 出資一口の金額は、均一でなければならない。

3 組合員の責任は、第十九条の規定による経費の負担を除くほか、その出資額を限度とする。

4 組合員は、出資の払込みについて、相殺をもつて組合に対抗することができない。

 (持分の譲渡)

第十七条 組合員は、組合の承認を得なければ、その持分を譲り渡すことができない。

2 組合員でない者が持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。

3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。

4 組合員は、持分を共有することができない。

 (議決権及び選挙権)

第十八条 組合員(准組合員を除く。)は、各一個の議決権及び役員の選挙権を有する。

2 組合員は、定款で定めるところにより、第三十九条の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて議決権又は選挙権を行うことができる。

3 前項の規定により議決権又は選挙権を行う者は、これを出席者とみなす。

4 代理人は、五人以上の組合員を代理することができない。

5 代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。

 (経費)

第十九条 組合は、定款で定めるところにより、組合員に経費を賦課することができる。

2 組合員は、前項の経費の支払について、相殺をもつて組合に対抗することができない。

 (過怠金)

第二十条 組合は、定款で定めるところにより、組合員に対して過怠金を課することができる。

 (加入の自由)

第二十一条 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない。

 (脱退の自由)

第二十二条 組合員は、六十日前までに予告し、事業年度末において脱退することができる。

2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。ただし、その期間は一年を超えてはならない。

 (法定脱退)

第二十三条 組合員は、次に掲げる事由によつて脱退する。

 一 組合員たる資格の喪失

 二 死亡又は解散

 三 除名

2 除名は、次の各号の一に該当する組合員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合において、組合は、その総会の日の十日前までにその組合員に対しその旨を通知し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。

 一 長期間にわたつて組合の事業を利用しない組合員

 二 出資の払込み、経費の支払その他組合に対する義務を怠つた組合員

 三 その他定款で定める事由に該当する組合員

3 前項の除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。

 (脱退者の持分の払戻し)

第二十四条 組合員は、脱退したときは、定款で定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻しを請求することができる。

2 前項の持分は、脱退した事業年度末における当該組合の財産によつてこれを定める。

 (損失額の払込み)

第二十五条 持分を計算するに当たり、組合の財産をもつて債務を完済するに足りないときは、当該組合は、定款で定めるところにより、脱退した組合員に対して、その負担に帰すべき損失額の払込みを請求することができる。

 (時効)

第二十六条 前二条の規定による請求権は、脱退の時から二年間これを行わないときは、時効によつて消滅する。

 (持分の払戻しの停止)

第二十七条 組合は、脱退した組合員がその組合に対する債務を完済するまでは、その持分の払戻しを停止することができる。

 (出資口数の減少)

第二十八条 組合員は、定款で定めるところにより、その出資口数を減少することができる。

2 前項の場合には、第二十四条及び第二十六条の規定を準用する。

   第四章 管理

 (定款)

第二十九条 組合の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 事業

 二 名称

 三 地区

 四 事務所の所在地

 五 組合員たる資格並びに組合員の加入及び脱退に関する規定

 六 出資一口の金額及びその払込みの方法並びに一組合員の有することができる出資口数の最高限度

 七 経費の分担に関する規定

 八 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定

 九 準備金の額及びその積立ての方法

 十 役員の定数、職務の分担及び選挙又は選任に関する規定

 十一 事業年度

 十二 公告の方法

2 組合の定款には、前項に掲げる事項のほか、組合の存立時期を定めたときはその時期を、現物出資する者を定めたときはその者の氏名又は名称、出資の目的たる財産及びその価額並びにこれに対して与える出資口数を記載しなければならない。

3 主務大臣は、模範定款例を定めることができる。

 (規約で定め得る事項)

第三十条 次に掲げる事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。

 一 総会に関する規定

 二 業務の執行及び会計に関する規定

 三 役員に関する規定

 四 組合員に関する規定

 五 その他必要な事項

 (役員の定数及び選挙又は選任)

第三十一条 組合に役員として理事及び監事を置く。

2 理事の定数は三人以上とし、監事の定数は一人以上とする。

3 役員は、定款で定めるところにより、組合員が総会(設立当時の役員にあつては、創立総会)において選挙する。ただし、定款で定めるところにより、総会外において選挙することができる。

4 役員の選挙は、無記名投票によつて行う。ただし、定款で定めるところにより、役員候補者が選挙すべき役員の定数以内であるときは、投票を省略することができる。

5 投票は、組合員一人につき一票とする。

6 定款によつて定めた投票方法による選挙の結果投票の多数を得た者(第四項ただし書の規定により投票を省略した場合にあつては、当該候補者)を当選人とする。

7 総会外において役員の選挙を行うときは、投票所は、組合員の選挙権の適正な行使を妨げない場所に設けなければならない。

8 役員は、第三項の規定にかかわらず、定款で定めるところにより、組合員が総会(設立当時の役員にあつては、創立総会)において選任することができる。

9 理事の定数の少なくとも三分の二は、組合員(准組合員を除く。以下この項において同じ。)たる個人又は組合員たる法人の業務を執行する役員でなければならない。ただし、設立当時の理事は、設立の同意を申し出た個人又は設立の同意を申し出た法人の業務を執行する役員でなければならない。

 (役員の任期)

第三十二条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。

2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会(合併による設立にあつては、設立委員)において定める期間とする。ただし、その期間は一年を超えてはならない。

 (理事の職務)

第三十三条 理事は、法令、法令に基づいてする行政庁の処分、定款、事業基本方針及び規約(以下「法令等」という。)並びに総会の決議を遵守し、組合のため忠実にその職務を遂行しなければならない。

2 理事がその任務を怠つたときは、その理事は、組合に対して連帯して損害賠償の責めに任ずる。

3 理事がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があつたときは、その理事は、第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。重要な事項につき第四十二条第一項の書類に虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも、同様とする。

 (役員の兼職禁止)

第三十四条 理事は、監事又は組合の使用人と、監事は、理事又は組合の使用人と、それぞれ兼ねてはならない。

 (理事の自己契約等の禁止)

第三十五条 組合が理事と契約するときは、監事が組合を代表する。組合と理事との訴訟についても、同様とする。

 (総会の招集)

第三十六条 理事は、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。

第三十七条 組合員(准組合員を除く。)が総組合員(准組合員を除く。)の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に総会を招集しなければならない。

第三十八条 理事の職務を行う者がないとき、又は前条の請求があつた場合において理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。

 (総会招集の手続)

第三十九条 総会招集の通知は、その総会の日の十日前までに、その会議の目的たる事項を示してしなければならない。

 (組合員に対する通知又は催告)

第四十条 組合が組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所に、その者が別に通知又は催告を受ける場所を組合に通知したときは、その場所にあてればよい。

2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。

 (定款その他の書類の備付け及び閲覧)

第四十一条 理事は、定款、事業基本方針、規約及び総会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。

2 組合員名簿には、各組合員について次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所

 二 加入の年月日

 三 出資口数及び出資各口の取得の年月日

 四 払込済出資額及びその払込みの年月日

 五 准組合員である者については、その旨

3 組合員及び組合の債権者は、第一項の書類の閲覧を求めることができる。

 (決算関係書類の提出、備付け及び閲覧)

第四十二条 理事は、通常総会の日から一週間前までに、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、かつ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。

2 組合員及び組合の債権者は、前項の書類の閲覧を求めることができる。

3 第一項に掲げる書類を通常総会に提出するときは、監事の意見書を添付しなければならない。

 (役員の改選の請求)

第四十三条 組合員(准組合員を除く。)は、総組合員(准組合員を除く。)の五分の一以上の連署をもつて、その代表者から役員の改選を請求することができる。

2 前項の規定による請求は、理事の全員又は監事の全員について同時にしなければならない。ただし、法令等の違反を理由として改選を請求する場合は、この限りでない。

3 第一項の規定による請求は、改選の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。

4 第一項の規定による請求があつたときは、理事は、これを総会の議に付さなければならない。この場合には、第三十七条及び第三十八条の規定を準用する。

5 第三項の書面の提出があつたときは、理事は、総会の日の一週間前までにその請求に係る役員にその書面又はその写しを送付し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。

6 第一項の規定による請求につき第四項の総会において出席者の過半数の同意があつたときは、その請求に係る役員は、その時にその職を失う。

 (役員についての商法等の準用)

第四十四条 商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百五十四条第三項、第二百五十六条第三項及び第二百五十八条第一項の規定は理事及び監事について、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条第一項、第五十二条第二項、第五十三条から第五十六条まで及び第六十一条第一項の規定は理事について、第三十三条、民法第五十九条及び商法第二百七十八条の規定は監事について、それぞれ準用する。この場合において、民法第五十六条中「裁判所ハ利害関係人又は検察官」とあるのは、「都府県知事ハ利害関係人」と読み替えるものとする。

 (参事及び会計主任)

第四十五条 組合は、参事及び会計主任を選任し、その主たる事務所又は従たる事務所において、その業務を行わせることができる。

2 参事及び会計主任の選任又は解任は、理事の過半数で決する。

3 商法第三十八条第一項及び第三項、第三十九条、第四十一条並びに第四十二条の規定は、参事について準用する。

第四十六条 組合員(准組合員を除く。)は、総組合員(准組合員を除く。)の十分の一以上の同意を得て、理事に対し、参事又は会計主任の解任を請求することができる。

2 前項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。

3 第一項の規定による請求があつたときは、理事は、当該参事又は会計主任の解任の可否を決しなければならない。

4 理事は、前項の可否を決する日から七日前までに、当該参事又は会計主任に対し、第二項の書面又はその写しを送付し、かつ、弁明する機会を与えなければならない。

 (競業関係にある者の役員等への就任禁止)

第四十七条 組合の行う事業と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事する者は、その組合の理事、監事、参事又は会計主任となることができない。

 (総会の議決事項)

第四十八条 次に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。

 一 定款の変更

 二 事業基本方針の変更

 三 規約の設定、変更又は廃止

 四 毎事業年度の事業計画の設定又は変更

 五 経費の賦課及び徴収の方法

 六 事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案及び損失処理案

2 定款及び事業基本方針の変更は、都府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 第六十七条第二項及び第六十八条の規定は、前項の認可について準用する。

4 組合の地区に係る定款の変更については、前項に規定するもののほか、第六十条の規定を準用する。この場合において、組合の地区内の土地となつた際市街化区域内農地等であつた土地で組合の事業により定款の変更の認可前に市街化区域内農地等でなくなつたものは、同条に規定する市街化区域内農地等とみなす。

 (総会の議事)

第四十九条 総会の議事は、この法律、定款又は規約に特別の定めがある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

2 議長は、総会において選任する。

3 議長は、組合員として総会の議決に加わることができない。

 (特別議決事項)

第五十条 次に掲げる事項は、総組合員(准組合員を除く。)の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

 一 定款の変更

 二 事業基本方針の変更

 三 組合の解散及び合併

 四 組合員の除名

 (総会についての民法及び商法の準用)

第五十一条 民法第六十四条及び第六十六条並びに商法第二百四十三条、第二百四十四条、第二百四十七条から第二百四十九条まで、第二百五十二条及び第二百五十三条の規定(これらの規定中監査役に関する部分を除く。)は、総会について準用する。この場合において、民法第六十四条中「第六十二条」とあるのは「農住組合法第三十九条」と、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「農住組合法第三十九条」と、同法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「農住組合法第五十条」と読み替えるものとする。

 (出資一口の金額の減少)

第五十二条 組合は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作成しなければならない。

2 組合は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。

3 前項の一定の期間は、一月を下つてはならない。

第五十三条 債権者が前条第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。

2 債権者が異議を述べたときは、組合は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。

3 商法第三百八十条(監査役に関する部分を除く。)の規定は、組合の出資一口の金額の減少について準用する。

 (準備金及び繰越金)

第五十四条 組合は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の十分の一以上を準備金として積み立てなければならない。

2 前項の定款で定める準備金の額は、出資総額の二分の一を下つてはならない。

3 第一項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いては、取り崩してはならない。

4 第七条第二項第七号に掲げる事業を行う組合は、当該事業の費用に充てるため、毎事業年度の剰余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。

 (剰余金の配当)

第五十五条 組合は、損失をてん補し、前条第一項の準備金及び同条第四項の規定による繰越金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。

2 前項の剰余金の配当は、定款で定めるところにより、組合員の組合事業の利用分量又は払込済出資額に応じてしなければならない。この場合において、払込済出資額に応じてする配当の率は、年八パーセント以内において政令で定める割合を超えてはならない。

 (区分経理)

第五十六条 土地区画整理事業を行う組合(委託を受けて行う場合を除く。次条において同じ。)は、土地区画整理事業に係る経理を他の事業に係る経理と区分して整理しなければならない。

 (資金)

第五十七条 土地区画整理事業を行う組合は、第八条第一項の規定により適用される土地区画整理法第百四条第九項の規定により取得する保留地の処分により得た金銭を当該土地区画整理事業の施行の費用に充てるための資金として、次に掲げる方法により管理しなければならない。

 一 銀行その他主務大臣が指定する金融機関への預金

 二 国債、地方債その他主務大臣が指定する有価証券の取得

 (財務基準)

第五十八条 前四条に定めるもののほか、組合が、その組合員との間の財務関係を明らかにし、組合員の利益を保全することができるように、その財務を適正に処理するための基準として従わなければならない事項は、政令で定める。

 (組合の持分取得の禁止)

第五十九条 組合は、組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。

   第五章 設立

 (組合の地区)

第六十条 組合を設立するには、その設立の時において次の条件に適合する一団の土地の区域(当該一団の土地に近接する一団の市街化区域内農地等で政令で定めるもの(第六十八条第二項において「飛び農地」という。)の区域を含む。)をその地区としなければならない。

 一 政令で定める規模以上の一団の市街化区域内農地等を含むものであること。

 二 市街化区域内農地等の面積の合計が、当該一団の土地の区域の面積の大部分を占めるものであること。

 三 当該一団の土地の区域内にある市街化区域内農地等の全部又は一部が、土地区画整理事業が現に行われている、又は行われた土地の区域、大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法(昭和五十年法律第六十七号)による住宅街区整備事業又は生産緑地法(昭和四十九年法律第六十八号)第四条第一項に規定する開発行為が行われる、又は行われた土地の区域、都市計画法第八条第一項第十三号に掲げる第一種生産緑地地区の区域その他政令で定める区域に含まれるものでないこと。

 (発起人)

第六十一条 組合を設立するには、大都市地域の市街化区域内農地について所有権を有する者四人以上が発起人となることを必要とする。

 (設立準備会)

第六十二条 発起人は、あらかじめ組合の事業及び地区並びに組合員たる資格に関する目論見書を作成し、これを設立準備会の日時及び場所とともに公告して、設立準備会を開かなければならない。

2 前項の規定による公告は、設立準備会の日の二週間前までにしなければならない。

第六十三条 設立準備会においては、出席した組合員(准組合員を除く。)となろうとする者の中から、定款及び事業基本方針の作成に当たるべき者(以下「定款等作成委員」という。)を選任し、かつ、地区、組合員たる資格その他定款作成の基本となるべき事項及び事業基本方針の概要を定めなければならない。

2 定款等作成委員は、四人以上でなければならない。

3 設立準備会の議事は、出席した組合員(准組合員を除く。)となろうとする者の過半数の同意をもつて決する。

 (事業基本方針)

第六十四条 事業基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 組合の地区内において、組合員の当面の営農の継続を図りつつ市街化区域内農地を住宅地等へ転換するために組合が行う事業の種類及びその実施の方針

 二 その他主務省令で定める事項

2 事業基本方針に定められる事業の種類その他の事項は、組合の地区内の土地について定められている都市計画に適合するように定めなければならない。

 (農業団体等に対する事業基本方針の送付等)

第六十五条 定款等作成委員が事業基本方針を作成したときは、発起人は、次条第一項の規定による公告前に、主務省令で定めるところにより、当該事業基本方針を主務省令で定める農業団体等に送付するものとする。

2 前項の規定により発起人から事業基本方針の送付を受けた農業団体等は、発起人に対し、当該事業基本方針について意見を述べることができる。

3 前項の規定により農業団体等が意見を述べたときは、発起人は、その概要を創立総会に提出するものとする。

 (創立総会)

第六十六条 定款等作成委員が定款及び事業基本方針を作成したときは、発起人は、これを創立総会の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。

2 前項の規定による公告は、創立総会の日の二週間前までにしなければならない。

3 定款等作成委員が作成した定款及び事業基本方針の承認その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。

4 創立総会においては、前項の定款及び事業基本方針を修正することができる。ただし、地区及び組合員たる資格に関する規定については、この限りでない。

5 創立総会の議事は、組合員(准組合員を除く。)たる資格を有する者でその創立総会の日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上でこれを決する。

6 前項に規定する者は、書面及び代理人をもつて議決権及び選挙権を行使することができる。

7 第十八条(第二項を除く。)、第四十九条第二項及び第三項、民法第六十六条並びに商法第二百四十三条、第二百四十四条、第二百四十七条から第二百四十九条まで、第二百五十二条及び第二百五十三条の規定(これらの規定中監査役に関する部分を除く。)は、創立総会について準用する。この場合において、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「農住組合法第六十六条第一項」と、同法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「農住組合法第六十六条第五項」と読み替えるものとする。

 (設立の認可の申請)

第六十七条 発起人は、創立総会の終了後遅滞なく、主務省令で定めるところにより、定款及び事業基本方針並びに事業計画を都府県知事に提出して設立の認可を申請しなければならない。

2 発起人は、都府県知事の要求があるときは、組合の設立に関する報告書を提出しなければならない。

3 第一項の規定による認可の申請を行うことができるのは、この法律の施行の日から十年を経過する日までとする。

 (設立の認可)

第六十八条 都府県知事は、前条第一項の規定による認可の申請があつた場合において、次の各号の一に該当すると認めるときは、その認可をしてはならない。

 一 設立の手続又は定款若しくは事業基本方針の内容が、法令又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反するとき。

 二 組合の行う事業のために必要な経済的基礎を欠く等事業基本方針に記載される事項を達成することが著しく困難であると認められるとき。

 三 組合の事業の実施により組合の地区内の市街化区域内農地等の相当部分が住宅地等へ転換される見込みが確実でないとき。

 四 地区の全部又は一部が他の組合の地区と重複することとなるとき。

2 都府県知事は、組合の地区に飛び農地が含まれる場合においては、当該飛び農地を住宅地等として利用する見込みが確実であり、かつ、当該飛び農地について所有権又は使用収益権を有する者で設立の同意を申し出たものが組合の地区内にある市街化区域内農地(飛び農地であるものを除く。)において当面営農を継続する見込みが確実であると認められるときでなければ、前条第一項の認可をしてはならない。

3 都府県知事は、組合の地区に市街化区域外の土地が含まれる場合においては、当該土地が農地等であり、かつ、政令で定めるところにより当該土地を農地等として利用することが組合の地区内の市街化区域内農地等の住宅地等への円滑な転換に資することとなると認められるときでなければ、前条第一項の認可をしてはならない。

4 都府県知事は、前条第一項の認可をしようとするときは、あらかじめ関係市町村(特別区を含む。)の意見を聴かなければならない。

 (理事への事務引渡し)

第六十九条 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なくその事務を理事に引き渡さなければならない。

2 理事は、前項の規定による引渡しを受けたときは、遅滞なく出資の第一回の払込みをさせなければならない。

3 現物出資者は、第一回の払込みの期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。ただし、登記、登録その他権利の設定又は移転につき第三者に対抗するため必要な行為は、組合の成立後にすることを妨げない。

 (成立の時期)

第七十条 組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。

   第六章 解散及び清算

 (解散の事由)

第七十一条 組合は、次に掲げる事由によつて解散する。

 一 総会の決議

 二 組合の合併

 三 組合の破産

 四 定款で定める存立時期の満了

 五 第八十四条第一項の規定による解散の命令

2 解散の決議は、都府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 第六十七条第二項及び第六十八条第一項(第二号から第四号までを除く。)の規定は、前項の認可の申請があつた場合について準用する。

4 組合は、第一項に掲げる事由のほか、組合員(准組合員を除く。)が四人未満になつたことにより解散する。

5 組合は、前項の規定により解散したときは、遅滞なくその旨を都府県知事に届け出なければならない。

 (合併の手続)

第七十二条 組合が合併しようとするときは、各組合の総会において合併を決議しなければならない。

2 合併をするには、定款及び事業基本方針を都府県知事に提出して合併の認可を申請しなければならない。

3 第六十七条第二項及び第六十八条の規定は、前項の規定による申請があつた場合について準用する。

4 第五十二条及び第五十三条の規定は、組合の合併について準用する。

第七十三条 合併によつて組合を設立するには、組合の総会において各組合員(准組合員を除く。)の中から選任した設立委員が共同して、定款及び事業基本方針を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。

2 第五十条の規定は、前項の規定による設立委員の選任について準用する。

3 第三十一条第九項本文の規定は、第一項の規定による役員のうち理事の選任について準用する。

 (合併の時期)

第七十四条 組合の合併は、合併後存統する組合又は合併によつて成立する組合がその主たる事務所の所在地において登記をすることによつて、その効力を生ずる。

 (合併による権利義務の承継)

第七十五条 合併後存続する組合又は合併によつて成立した組合は、合併によつて消滅した組合の権利義務(当該組合がその行う事業に関し、行政庁の許可、認可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

 (清算人)

第七十六条 組合が解散したときは、合併及び破産による解散の場合を除いては、理事がその清算人となる。ただし、総会において他人を選任したときは、この限りでない。

 (清算事務)

第七十七条 清算人は、就職の後遅滞なく、組合の財産の状況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成し、財産処分の方法を定め、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。

第七十八条 清算人は、組合の債務を弁済した後でなければ、組合の財産を分配することができない。

第七十九条 清算事務が終わつたときは、清算人は、遅滞なく、決算報告書を作成し、これを総会に提出してその承認を求めなければならない。

 (民法及び非訟事件手続法の準用)

第八十条 民法第七十三条、第七十五条、第七十六条及び第七十八条から第八十三条まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項及び第三項、第百三十六条、第百三十七条並びに第百三十八条の規定は、組合の解散及び清算について準用する。この場合において、民法第七十五条中「前条」とあるのは、「農住組合法第七十六条」と読み替えるものとする。

   第七章 監督

 (業務又は財産状況の報告の徴収)

第八十一条 都府県知事は、組合から、その組合が法令等を守つているかどうかを知るために必要な報告を徴し、又は組合に対し、その組合員、役員、使用人、事業の分量その他組合の一般的状況に関する資料であつて組合に関する行政を適正に処理するために特に必要なものの提出を命ずることができる。

 (業務又は会計状況の検査)

第八十二条 組合員が総組合員の十分の一以上の同意を得て、組合の業務又は会計が法令等に違反する疑いがあることを理由として検査を請求したときは、都府県知事は、その組合の業務又は会計の状況を検査しなければならない。

2 都府県知事は、組合の業務又は会計が法令等に違反する疑いがあると認めるときその他監督上必要があると認めるときは、いつでも、その組合の業務又は会計の状況を検査することができる。

 (法令等の違反に対する措置)

第八十三条 都府県知事は、第八十一条の規定による報告を徴した場合又は前条の規定による検査を行つた場合において、その組合の業務又は会計が法令等に違反すると認めるときは、その組合に対し、期間を定めて、必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。

2 都府県知事は、組合が前項の規定による命令に従わないときは、期間を定めて、業務の全部若しくは一部の停止又は役員の改選を命ずることができる。

 (解散命令)

第八十四条 都府県知事は、次に掲げる場合には、当該組合の解散を命ずることができる。

 一 組合が法律の規定に基づいて行うことができる事業以外の事業を行つたとき。

 二 組合が、正当な理由がないのに、その成立の日から二年を経過してもなお第七条第一項第一号の事業を開始せず、又は一年以上すべての事業を停止したとき。

 三 組合が法令に違反した場合において、都府県知事が前条第一項の規定による命令をしたにもかかわらず、これに従わないとき。

2 都府県知事は、前項の規定による処分をしようとするときは、当該組合に対し、あらかじめ、処分をしようとする理由を通知し、かつ、弁明する機会を与えなければならない。

 (議決、選挙及び当選の取消し)

第八十五条 組合員(准組合員を除く。)が総組合員(准組合員を除く。)の十分の一以上の同意を得て、総会の招集手続、議決の方法又は選挙が法令等に違反することを理由とし、その議決又は選挙若しくは当選決定の日から一月以内にその議決又は選挙若しくは当選の取消しを請求した場合において、都府県知事は、その違反の事実があると認めるときは、その議決又は選挙若しくは当選を取り消すことができる。

2 前項の規定は、創立総会の場合について準用する。

   第八章 雑則

 (土地区画整理事業に係る組合員の脱退等についての特例)

第八十六条 土地区画整理事業の施行の認可を受けた組合の組合員(准組合員を除く。以下この条及び次条において同じ。)は、その認可の日から当該土地区画整理事業の廃止又は終了の認可の日までの間は、第二十三条第一項各号に掲げる事由による場合を除き、組合を脱退することができない。

2 前項の期間内に、組合の地区内の土地について組合員の有する所有権又は借地権の全部又は一部を組合員以外の者が承継した場合においては、その者は、組合員となる。

3 第一項の期間内に、組合員が組合の地区内の土地について有する借地権の全部又は一部が消滅した場合において、その借地権の目的となつていた土地の所有者又はその土地の賃貸人が組合員以外の者であるときは、その消滅した借地権が地上権である場合にあつてはその土地の所有者が、その消滅した借地権が賃借権である場合にあつてはその土地の賃貸人がそれぞれ組合員となる。

4 第一項の期間内に、組合の地区内の土地について組合員の有する所有権又は借地権の全部又は一部を承継した者がある場合においては、その組合員がその所有権又は借地権の全部又は一部について土地区画整理事業に関して有する権利義務は、その承継した者に移転する。

5 第一項の期間内に、組合の地区内の土地について組合員の有する借地権の全部又は一部が消滅した場合においては、その組合員がその借地権の全部又は一部について土地区画整理事業に関して有する権利義務は、その消滅した借地権が地上権である場合にあつてはその借地権の目的となつていた土地の所有者に、その消滅した借地権が賃借権である場合にあつてはその土地の賃貸人にそれぞれ移転する。

 (組合員の責務)

第八十七条 組合の地区内の土地で一団の住宅地等に属するものについて所有権又は借地権を有する組合員は、できる限り速やかに組合の事業を利用して住宅を建設する等により、当該土地の有効かつ適切な利用に努めなければならない。

 (第一種生産緑地地区に関する都市計画についての要請)

第八十八条 第九条第一項の認可を受けた交換分合計画において定められた一団の営農地等の区域に属する農地等の所有者は、組合に対し、組合の定める期間内に、当該農地等について対抗要件を備えた地上権若しくは賃借権又は登記した永小作権、先取特権、質権若しくは抵当権を有する者及びこれらの権利に関する仮登記、これらの権利に関する差押えの登記又は当該農地等に関する買戻しの特約の登記の登記名義人の同意を得た上で、建設省令で定めるところにより、当該農地等の区域について、都市計画に生産緑地法第三条第一項の規定による第一種生産緑地地区を定めるべきことを当該都市計画を定めるべき者に要請すべき旨の申出をすることができる。

2 組合は、前項に規定する一団の営農地等の全部又は一部の区域で、生産緑地法第三条第一項の規定による第一種生産緑地地区に関する都市計画に関する基準に適合し、かつ、当該区域に属する農地等の所有者のすべてから前項の規定による申出があつたものについては、建設省令で定めるところにより、都市計画に同条第一項の規定による第一種生産緑地地区を定めるべきことを当該都市計画を定めるべき者に対し要請するものとする。

 (農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の特例)

第八十九条 組合(政令で定める要件に該当する組合員(准組合員を除く。)が過半を占めるものに限る。)が市街化区域内農地を転用して賃貸住宅を建設する場合において、当該賃貸住宅の規模、構造及び設備が農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法(昭和四十六年法律第三十二号)第二条第二項の建設省令で定める基準に適合し、かつ、当該賃貸住宅が同項第一号に掲げる条件に該当する一団地の住宅の全部又は一部をなすと認められるときは、当該組合を同条第一項第三号に該当する者と、当該賃貸住宅を同条第二項に規定する特定賃貸住宅とみなして、同法の規定を適用する。

2 組合が市街化区域内農地(特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法(昭和四十八年法律第百二号)第二条に規定する特定市街化区域農地に該当するもの及び大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法第五条第一項の規定による土地区画整理促進区域又は同法第二十四条第一項の規定による住宅街区整備促進区域内のものを除く。)を転用し、その土地に組合員の委託を受けて賃貸住宅を建設する場合においては、当該賃貸住宅が農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法第二条第二項に規定する特定賃貸住宅に該当しないものであつても、その規模、構造及び設備が同項の建設省令で定める基準に適合し、かつ、同項第一号に掲げる条件に該当する一団地の住宅の全部又は一部をなすと認められるときは、これを同項に規定する特定賃貸住宅とみなして、同法の規定を適用する。

 (大都市の特例)

第九十条 この法律中都府県知事の権限に属する事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市においては、政令で定めるところにより、指定都市の長が行うものとする。この場合においては、この法律中都府県知事に関する規定は、指定都市の長に関する規定として指定都市の長に適用があるものとする。

 (援助の請求)

第九十一条 組合は、主務省令で定める農業団体等に対し、組合の事業に関し、必要な助言又は援助を求めることができる。

 (組合に対する助言及び指導)

第九十二条 国及び関係地方公共団体は、組合に対して、その事業の施行の促進を図るため必要な助言及び指導を行うことができる。

 (主務大臣等)

第九十三条 この法律における主務大臣は、内閣総理大臣、農林水産大臣及び建設大臣とする。

2 この法律において主務省令は、主務大臣の発する命令とする。

 (内閣総理大臣の権限の委任)

第九十四条 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、この法律の規定によるその権限の一部を国土庁長官に委任することができる。

   第九章 罰則

第九十五条 組合の役員が、どのような名義をもつてするのであつても、投機取引のために組合の財産を処分したときは、これを三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役刑及び罰金刑を併科することができる。

3 第一項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条がある場合には適用しない。

第九十六条 第八十一条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第八十二条の規定による検査を拒み、妨げ若しくは忌避した者は、十万円以下の罰金に処する。

2 組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者がその組合の業務に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その組合に対して同項の罰金刑を科する。

第九十七条 次の各号の一に該当する場合には、組合の役員又は清算人は、十万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定に基づいて組合が行うことができる事業以外の事業を行つたとき。

 二 第六条第一項の規定に基づく政令で定める登記を怠り、又は虚偽の登記をしたとき。

 三 第二十一条、第二十三条第二項後段、第三十四条又は第三十六条の規定に違反したとき。

 四 第三十七条又は第三十八条(これらの規定を第四十三条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。

 五 第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定に違反して、書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに第四十一条第三項若しくは第四十二条第二項の規定による閲覧を拒んだとき。

 六 第四十三条第五項又は第四十六条第四項の規定に違反したとき。

 七 第五十二条若しくは第五十三条第二項の規定に違反して出資一口の金額を減少し、又は第七十二条第四項において準用する第五十二条若しくは第五十三条第二項の規定に違反して組合の合併をしたとき。

 八 第五十四条から第五十七条までの規定に違反したとき。

 九 第五十九条の規定に違反して組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。

 十 第七十一条第五項の規定に違反したとき。

 十一 第七十七条又は第七十九条の書類に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたとき。

 十二 第七十八条の規定に違反して組合の財産を分配したとき。

 十三 第八十条において準用する民法第七十九条第一項又は同法第八十一条第一項に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。

 十四 第八十条において準用する民法第七十九条第一項の期間内に債権者に弁済したとき。

 十五 第八十条において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求を怠つたとき。

2 第四十七条の規定に違反した者は、これを十万円以下の過料に処する。

第九十八条 第四条第二項の規定に違反した者は、五万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (名称の使用制限に関する経過措置)

第二条 この法律の施行の際現にその名称中に農住組合という文字を用いている者については、第四条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

 (国土庁設置法の一部改正)

第三条 国土庁設置法(昭和四十九年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。

  第四条第二十二号中ミをシとし、メをミとし、ユをメとし、キをユとし、サをキとし、アをサとし、テをアとし、エをテとし、コをエとし、フをコとし、ケをフとし、マをケとし、ヤの次に次のように加える。

   マ 農住組合法(昭和五十五年法律第八十六号)

  第五条第二項中「コからキまで及びミ」を「エからユまで及びシ」に改め、同条第四項中「及びヤ」を「からマまで」に改め、同条第五項中「マからフ」を「ケからコ」に改め、同条第七項中「ユ及びメ」を「メ及びミ」に改める。

 (農林水産省設置法の一部改正)

第四条 農林水産省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第八条第一項第七号の次に次の一号を加える。

  七の二 農住組合法(昭和五十五年法律第八十六号)の施行に関する事務で農林水産省の所掌に属するものを処理すること。(構造改善局の所掌に属することを除く。)

  第九条第一項第十三号の次に次の一号を加える。

  十三の二 農住組合法の施行に関する事務で農林水産省の所掌に属するもののうち農住組合が行う交換分合、土地改良事業、農地利用規約の設定及び農地利用契約の締結に関すること。

 (建設省設置法の一部改正)

第五条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条中第二十二号の七を第二十二号の八とし、第二十二号の六の次に次の一号を加える。

  二十二の七 農住組合法(昭和五十五年法律第八十六号)の施行に関する事務を管理すること。

  第四条第三項中「第二十二号の六までに規定する事務」の下に「、同条第二十二号の七に規定する事務(都市局及び住宅局の所掌に属するものを除く。)」を加え、同条第四項中「並びに同条第六号」を「、同条第六号」に改め、「第七号の四までに規定する事務」の下に「並びに同条第二十二号の七に規定する事務のうち農住組合が行う事業で土地区画整理事業及び交換分合に係るものに関するもの」を加え、同条第七項中「、第二十二号の七」を「に規定する事務、同条第二十二号の七に規定する事務のうち農住組合が行う事業で住宅の建設、賃貸その他の管理又は譲渡に係るものに関するもの、同条第二十二号の八」に改める。

(内閣総理・農林水産・建設大臣署名) 

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