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法律第七十九号(平六・六・二九)

  ◎国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、我が国における国際会議等の開催を増加させ、及び国際会議等に伴う観光その他の交流の機会を充実させることが、外国人観光旅客の来訪の促進及び外国人観光旅客と国民との間の交流の促進に資することにかんがみ、国際会議等の誘致を促進し、及びその開催の円滑化を図り、並びに外国人観光旅客の観光の魅力を増進するための措置を講ずることにより、国際観光の振興を図り、もって国際相互理解の増進に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「国際会議等」とは、会議、討論会、講習会その他これらに類する集会(これらに付随して開催される展覧会を含む。)であって海外からの相当数の外国人の参加が見込まれるもの並びにこれらに併せて行われる観光旅行その他の外国人のための観光及び交流を目的とする催しをいう。

 (基本方針)

第三条 運輸大臣は、国際観光の振興を図るため、国際会議等の誘致を促進し、及びその開催の円滑化を図り、並びに国際会議等に参加する外国人観光旅客の観光の魅力を増進するための措置(以下「国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等の措置」という。)を講ずることによる国際観光の振興に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針においては、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等の措置を講ずることによる国際観光の振興に関する基本的な事項

 二 国際会議等の誘致の促進に関する事項

 三 国際会議等の開催の円滑化に関する事項

 四 国際会議等に参加する外国人観光旅客の観光の魅力の増進に関する事項

 五 国際会議等の誘致及びその開催の円滑化に関する業務に従事する者の養成に関する事項その他国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等の措置を講ずることによる国際観光の振興に関する重要事項

3 運輸大臣は、基本方針を作成するに当たっては、あらかじめ、外務大臣、文部大臣及び通商産業大臣の意見を聴かなければならない。

4 運輸大臣は、基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

5 運輸大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6 運輸大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更するものとする。

7 第三項から第五項までの規定は、前項の規定による基本方針の変更について準用する。

 (認定)

第四条 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、申請により、その区域において国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等の措置を講ずることが国際観光の振興に特に資すると認められる旨の運輸大臣の認定を受けることができる。

2 前項の認定を受けようとする市町村は、次に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。

 一 国際会議場施設その他の国際会議等の用に供する運輸省令で定める施設の概要及び規模

 二 国際会議等に参加する者の利用に供する宿泊施設その他の運輸省令で定める施設の概要及び規模

 三 国際会議等の誘致及びその開催の円滑化に関する業務を実施する体制

 四 当該市町村の区域又はその近傍に存在する観光資源の概要

第五条 運輸大臣は、前条の規定による認定の申請が次に掲げる要件に適合すると認めるときは、その認定をするものとする。

 一 運輸省令で定める基準に適合する前条第二項第一号に規定する施設が整備されていること又は整備されることが確実であること。

 二 国際観光ホテル整備法(昭和二十四年法律第二百七十九号)第三条の登録を受けたホテルその他の前条第二項第二号に規定する施設で運輸省令で定める基準に適合するものが整備されていること又は整備されることが確実であること。

 三 専ら国際会議等の誘致及びその開催の円滑化に関する業務として運輸省令で定めるものを実施する機関その他の国際会議等の誘致及びその開催の円滑化に関する業務を適確に遂行するに足りる体制が整備されていること。

 四 当該市町村の区域又はその近傍に国際会議等に参加する外国人観光旅客の観光の魅力の増進に資する観光資源が存在すること。

2 運輸大臣は、二以上の市町村から共同して前条第一項の申請があった場合において、自然的経済的社会的条件からみて、当該市町村の区域において一体として国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等の措置を講ずることが国際観光の振興に特に資すると認められるときは、当該市町村を一体として同項の認定をすることができる。

 (認定の公示等)

第六条 運輸大臣は、第四条第一項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。

2 第四条第一項の認定を受けた市町村(以下「国際会議観光都市」という。)は、同条第二項各号に掲げる事項に運輸省令で定める変更があったときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

 (認定の取消し等)

第七条 運輸大臣は、国際会議観光都市が第五条第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。

2 前条第一項の規定は、前項の規定による認定の取消しについて準用する。

 (国際会議等の誘致を促進するための措置)

第八条 国際観光振興会(以下「振興会」という。)は、国際会議観光都市について、国際会議等の誘致を促進するため、次に掲げる措置を講じなければならない。

 一 国際会議観光都市に対し、国際会議等の誘致に関する情報を定期的に、又は時宜に応じて提供すること。

 二 海外において国際会議観光都市の宣伝を行うこと。

2 前項に定めるもののほか、振興会は、市町村が行う国際会議等の誘致に関する活動を支援するため、必要に応じて、海外における関係機関との連絡調整、助言その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

 (国際会議等の開催の円滑化を図るための措置)

第九条 振興会は、国際会議観光都市において開催される運輸省令で定める国際会議等の開催の円滑化を図るため、寄附金を募集し、及び当該国際会議等を主催する者であってその開催に要する資金の援助を必要とするものに対し、交付金を交付するよう努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、振興会は、国際会議等の開催の円滑化を図るため、必要に応じて、通訳案内業を営む者、旅行業を営む者その他の関係者のあっせん、国際会議観光都市以外の市町村において開催される同項の運輸省令で定める国際会議等の開催についての交付金の交付その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

 (外国人観光旅客の観光の魅力を増進するための措置)

第十条 振興会は、国際会議等に参加する外国人観光旅客の観光の魅力を増進するため、国際会議等が開催される市町村の区域又はその近傍に存在する観光資源を活用した外国人観光旅客の観光に適する催しの実施に関する情報の提供、助言その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

 (振興会の業務)

第十一条 振興会は、国際観光振興会法(昭和三十四年法律第三十九号)第二十四条第一項に規定する業務のほか、国際観光の振興を図るため、次の業務を行う。

 一 国際会議等の誘致に関する情報の提供その他の国際会議等の誘致の促進に関する援助を行うこと。

 二 国際会議等の開催についての寄附金の募集及び管理並びに交付金の交付その他の国際会議等の開催の円滑化並びに外国人観光旅客の観光の魅力の増進に関する援助を行うこと。

 三 国際会議等の誘致及びその開催の円滑化に関する業務に従事する者その他の関係者に対する研修を行うこと。

 四 国際会議等の誘致及び開催に関する調査及び研究を行うこと。

 五 前各号の業務に附帯する業務

 (区分経理)

第十二条 振興会は、前条第二号の業務のうち国際会議等の開催についての寄附金の募集及び管理並びに交付金の交付に係る業務(これに附帯する業務を含む。)に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。

 (国際観光振興会法の特例)

第十三条 第十一条の規定により振興会の業務が行われる場合には、国際観光振興会法第三十三条及び第三十四条第二項中「この法律」とあるのは「この法律及び国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律」と、同法第四十一条第三号中「第二十四条第一項」とあるのは「第二十四条第一項及び国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律第十一条」とする。

 (国等の援助等)

第十四条 国は、振興会、国際会議観光都市その他の市町村及び国際会議等を主催する者に対し、国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等の措置に関し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。

2 地方公共団体は、国際会議等を主催する者に対し、国際会議等の開催の円滑化及び外国人観光旅客の観光の魅力の増進に関し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。

3 前二項に定めるもののほか、運輸大臣、振興会、関係地方公共団体、関係団体及び関係事業者は、国際会議等の開催の円滑化及び外国人観光旅客の観光の魅力の増進に関し相互に連携を図りながら協力しなければならない。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (罰則に関する経過措置)

2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (運輸省設置法の一部改正)

3 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条の二第一項第二十一号の二の次に次の一号を加える。

  二十一の三 国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律(平成六年法律第七十九号)の施行に関すること。

  第四条第一項第十四号の六の二の次に次の一号を加える。

  十四の六の三 国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律の規定に基づき、基本方針を定め、又は国際会議観光都市の認定をすること。

(運輸・内閣総理大臣署名) 

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