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法律第三十二号(平八・五・九)

  ◎大気汚染防止法の一部を改正する法律

 大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第二章の二 粉じんに関する規制(第十八条―第十八条の十三)」を

第二章の二 粉じんに関する規制(第十八条―第十八条の十九)

 
 

第二章の三 有害大気汚染物質対策の推進(第十八条の二十―第十八条の二十四)

に改める。

 第一条中「に伴つて発生するばい煙」を「並びに建築物の解体等に伴うばい煙並びに粉じん」に改め、「規制し」の下に「、有害大気汚染物質対策の実施を推進し」を加える。

 第二条第八項中「総理府令で」の下に「定めるもの及び同条第三項に規定する原動機付自転車のうち総理府令で」を加え、同項を同条第十項とし、同条第七項の次に次の二項を加える。

8 この法律において「特定粉じん排出等作業」とは、吹付け石綿その他の特定粉じんを発生し、又は飛散させる原因となる建築材料で政令で定めるもの(以下「特定建築材料」という。)が使用されている建築物を解体し、改造し、又は補修する作業のうち、その作業の場所から排出され、又は飛散する特定粉じんが大気の汚染の原因となるもので政令で定めるものをいう。

9 この法律において「有害大気汚染物質」とは、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質で大気の汚染の原因となるもの(ばい煙(第一項第一号及び第三号に掲げるものに限る。)及び特定粉じんを除く。)をいう。

 第十七条の見出し中「特定物質に関する」を削り、同条第一項中「物の」を「ばい煙発生施設を設置している者又は物の」に、「、人の健康又は」を「人の健康若しくは」に、「物質で」を「ものとして」に、「工場又は」を「工場若しくは」に改め、「(以下「特定施設設置者」という。)」を削り、「、特定施設」を「、ばい煙発生施設又は特定施設」に、「、特定物質」を「、ばい煙又は特定物質」に、「ただちに」を「直ちに」に、「すみやかに」を「速やかに」に改め、同条第二項中「前項」を「第一項」に、「そこなわれ、又はそこなわれる」を「損なわれ、又は損なわれる」に、「当該特定施設設置者」を「その事故に係る同項に規定する者」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 前項の場合においては、同項に規定する者は、直ちに、その事故の状況を都道府県知事に通報しなければならない。ただし、石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第二十三条第一項の規定による通報をした場合は、この限りでない。

 第十八条の五の見出しを「(敷地境界基準)」に改め、同条中「特定粉じんに係る」を「特定粉じん発生施設に係る隣地との敷地境界における」に、「この章において単に「規制基準」を「「敷地境界基準」に改める。

 第十八条の八、第十八条の十(見出しを含む。)及び第十八条の十一中「規制基準」を「敷地境界基準」に改める。

 第二章の二中第十八条の十三の次に次の六条を加える。

 (作業基準)

第十八条の十四 特定粉じん排出等作業に係る規制基準(以下「作業基準」という。)は、特定粉じんの種類及び特定粉じん排出等作業の種類ごとに、特定粉じん排出等作業の方法に関する基準として、総理府令で定める。

 (特定粉じん排出等作業の実施の届出)

第十八条の十五 特定粉じん排出等作業を伴う建設工事(以下「特定工事」という。)を施工しようとする者は、特定粉じん排出等作業の開始の日の十四日前までに、総理府令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、災害その他非常の事態の発生により特定粉じん排出等作業を緊急に行う必要がある場合は、この限りでない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

 二 特定工事の場所

 三 特定粉じん排出等作業の種類

 四 特定粉じん排出等作業の実施の期間

 五 特定粉じん排出等作業の対象となる建築物の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積

 六 特定粉じん排出等作業の方法

2 前項ただし書の場合において、当該特定粉じん排出等作業を伴う特定工事を施工する者は、速やかに、同項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。

3 前二項の規定による届出には、当該特定粉じん排出等作業の対象となる建築物の配置図その他の総理府令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。

 (計画変更命令)

第十八条の十六 都道府県知事は、前条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る特定粉じん排出等作業の方法が作業基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から十四日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る特定粉じん排出等作業の方法に関する計画の変更を命ずることができる。

 (作業基準の遵守義務)

第十八条の十七 特定工事を施工する者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業について、作業基準を遵守しなければならない。

 (作業基準適合命令等)

第十八条の十八 都道府県知事は、特定工事を施工する者が当該特定工事における特定粉じん排出等作業について作業基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて当該特定粉じん排出等作業について作業基準に従うべきことを命じ、又は当該特定粉じん排出等作業の一時停止を命ずることができる。

 (注文者の配慮)

第十八条の十九 特定工事の注文者は、当該特定工事を施工する者に対し、施工方法、工期等について、作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない。

 第二章の二の次に次の一章を加える。

   第二章の三 有害大気汚染物質対策の推進

 (施策等の実施の指針)

第十八条の二十 有害大気汚染物質による大気の汚染の防止に関する施策その他の措置は、科学的知見の充実の下に、将来にわたつて人の健康に係る被害が未然に防止されるようにすることを旨として、実施されなければならない。

 (事業者の責務)

第十八条の二十一 事業者は、その事業活動に伴う有害大気汚染物質の大気中への排出又は飛散の状況を把握するとともに、当該排出又は飛散を抑制するために必要な措置を講ずるようにしなければならない。

 (国の施策)

第十八条の二十二 国は、地方公共団体との連携の下に有害大気汚染物質による大気の汚染の状況を把握するための調査の実施に努めるとともに、有害大気汚染物質の人の健康に及ぼす影響に関する科学的知見の充実に努めなければならない。

2 国は、前項の調査の実施状況及び同項の科学的知見の充実の程度に応じ、有害大気汚染物質ごとに大気の汚染による人の健康に係る被害が生ずるおそれの程度を評価し、その成果を定期的に公表しなければならない。

3 国は、事業者が前条の措置を講ずることを促進し、及び次条の地方公共団体の施策が推進されることに資するため、有害大気汚染物質の排出又は飛散の抑制のための技術に関する情報を収集整理し、及びその成果の普及を図るように努めなければならない。

 (地方公共団体の施策)

第十八条の二十三 地方公共団体は、その区域に係る有害大気汚染物質による大気の汚染の状況を把握するための調査の実施に努めなければならない。

2 地方公共団体は、事業者に対し、第十八条の二十一の措置を講ずることを促進するために必要な情報の提供を行うように努めるとともに、住民に対し、有害大気汚染物質による大気の汚染の防止に関する知識の普及を図るように努めなければならない。

 (国民の努力)

第十八条の二十四 何人も、その日常生活に伴う有害大気汚染物質の大気中への排出又は飛散を抑制するように努めなければならない。

 第二十三条の見出し中「等」を削り、同条第二項及び第三項を削り、同条第四項を同条第二項とする。

 第二十六条第一項中「ばい煙排出者、特定施設設置者」を「ばい煙発生施設を設置している者、特定施設を工場若しくは事業場に設置している者」に、「若しくは特定粉じん排出者に」を「、特定粉じん排出者若しくは特定工事を施工する者に」に改め、「特定粉じん発生施設の状況」の下に「、特定粉じん排出等作業の状況」を、「事業場」の下に「若しくは特定工事の場所」を加え、「その他の」を「、特定工事に係る建築物その他の」に改める。

 第二十七条第二項中「第十七条第二項」の下に「及び第三項」を加える。

 第二十八条第二項中「若しくは特定粉じん発生施設」を「、特定粉じん発生施設若しくは特定粉じん排出等作業」に改める。

 第二十九条中「又は事業場」を「若しくは事業場」に、「に伴い発生する」を「又は建築物の解体等に伴う」に、「若しくは」を「又は」に改め、「特定粉じん」の下に「の排出等」を加える。

 第三十二条中「並びに」を削り、「特定粉じんの大気中への排出又は飛散に関し」の下に「、並びに特定粉じん排出等作業について、その作業に伴い発生し、又は飛散する特定粉じん以外の物質の大気中への排出又は飛散に関し、特定粉じん排出等作業以外の建築物を解体し、改造し、又は補修する作業について、その作業に伴い発生し、又は飛散する特定粉じんの大気中への排出又は飛散に関し」を加える。

 第三十三条中「五十万円」を「百万円」に改める。

 第三十三条の二第一項中「一に」を「いずれかに」に、「三十万円」を「五十万円」に改め、同項第二号中「第十七条第二項」を「第十七条第三項」に、「又は第二十三条第四項」を「、第十八条の十六、第十八条の十八又は第二十三条第二項」に改め、同条第二項中「二十万円」を「三十万円」に改める。

 第三十四条中「一に」を「いずれかに」に、「二十万円」を「三十万円」に改め、同条第一号中「又は第十八条の六第一項若しくは第三項」を「、第十八条の六第一項若しくは第三項又は第十八条の十五第一項」に改める。

 第三十五条中「一に」を「いずれかに」に、「十万円」を「二十万円」に改める。

 第三十七条中「第二十三条第二項」を「第十八条の十五第二項」に改める。

 附則第九項から第十一項までを次のように改める。

 (指定物質抑制基準)

9 環境庁長官は、当分の間、有害大気汚染物質による大気の汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止するために必要があると認めるときは、有害大気汚染物質のうち人の健康に係る被害を防止するためその排出又は飛散を早急に抑制しなければならないもので政令で定めるもの(以下「指定物質」という。)を大気中に排出し、又は飛散させる施設(工場又は事業場に設置されるものに限る。)で政令で定めるもの(以下「指定物質排出施設」という。)について、指定物質の種類及び指定物質排出施設の種類ごとに排出又は飛散の抑制に関する基準(以下「指定物質抑制基準」という。)を定め、これを公表するものとする。

 (勧告)

10 都道府県知事は、指定物質抑制基準が定められた場合において、当該都道府県の区域において指定物質による大気の汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止するために必要があると認めるときは、指定物質排出施設を設置している者に対し、指定物質抑制基準を勘案して、指定物質排出施設からの指定物質の排出又は飛散の抑制について必要な勧告をすることができる。

 (報告)

11 都道府県知事は、前項の勧告をするために必要な限度において、同項に規定する者に対し、指定物質排出施設の状況その他必要な事項に関し報告を求めることができる。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (検討)

3 政府は、この法律の施行後三年を目途として、有害大気汚染物質が人の健康に及ぼす影響に関する科学的知見の充実の程度、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定による大気の汚染に係る環境上の条件についての基準の確保の状況その他の大気の汚染の状況、工場又は事業場からの有害大気汚染物質の排出又は飛散の状況、有害大気汚染物質の排出又は飛散の抑制のための技術開発の状況その他の事情を総合的に勘案して、改正後の第二章の三及び附則第九項から第十一項までに規定する有害大気汚染物質対策の推進に関する制度について検討を加え、その結果に基づいて、有害大気汚染物質による大気の汚染により人の健康に係る被害が生ずることを未然に防止するため、所要の措置を講ずるものとする。

 (道路交通法の一部改正)

4 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)の一部を次のように改正する。

  第百十条の二第一項中「第二十三条第四項」を「第二十三条第二項」に改める。

(内閣総理大臣署名) 

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