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法律第八十三号(平二一・七・一七)

  ◎臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律

 臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号)の一部を次のように改正する。

 第六条第一項を次のように改める。

  医師は、次の各号のいずれかに該当する場合には、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。

 一 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないとき。

 二 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であって、遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾しているとき。

 第六条第二項中「その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって」を削り、「もの」を「者」に改め、同条第三項を次のように改める。

3 臓器の摘出に係る前項の判定は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、行うことができる。

 一 当該者が第一項第一号に規定する意思を書面により表示している場合であり、かつ、当該者が前項の判定に従う意思がないことを表示している場合以外の場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないとき。

 二 当該者が第一項第一号に規定する意思を書面により表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であり、かつ、当該者が前項の判定に従う意思がないことを表示している場合以外の場合であって、その者の家族が当該判定を行うことを書面により承諾しているとき。

 第六条の次に次の一条を加える。

 (親族への優先提供の意思表示)

第六条の二 移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思を書面により表示している者又は表示しようとする者は、その意思の表示に併せて、親族に対し当該臓器を優先的に提供する意思を書面により表示することができる。

 第七条中「前条」を「第六条」に改める。

 第十七条の次に次の一条を加える。

 (移植医療に関する啓発等)

第十七条の二 国及び地方公共団体は、国民があらゆる機会を通じて移植医療に対する理解を深めることができるよう、移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。

 附則第四条の前の見出しを削り、同条を次のように改める。

第四条 削除

 附則第五条の前に見出しとして「(経過措置)」を付する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。ただし、第六条の次に一条を加える改正規定及び第七条の改正規定並びに次項の規定は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。

 (経過措置)

2 前項ただし書に規定する日からこの法律の施行の日の前日までの間における臓器の移植に関する法律附則第四条第二項の規定の適用については、同項中「前条」とあるのは、「第六条」とする。

3 この法律の施行前にこの法律による改正前の臓器の移植に関する法律附則第四条第一項に規定する場合に該当していた場合の眼球又は腎臓の摘出、移植術に使用されなかった部分の眼球又は腎臓の処理並びに眼球又は腎臓の摘出及び摘出された眼球又は腎臓を使用した移植術に関する記録の作成、保存及び閲覧については、なお従前の例による。

4 この法律の施行前にした行為及び前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (検討)

5 政府は、虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器(臓器の移植に関する法律第五条に規定する臓器をいう。)が提供されることのないよう、移植医療に係る業務に従事する者がその業務に係る児童について虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認し、及びその疑いがある場合に適切に対応するための方策に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(厚生労働・内閣総理大臣署名) 

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