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法律第七十二号(平二二・一二・一〇)

  ◎地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、生物の多様性が地域の自然的社会的条件に応じて保全されることの重要性にかんがみ、地域における多様な主体が有機的に連携して行う生物の多様性の保全のための活動を促進するための措置等を講じ、もって豊かな生物の多様性を保全し、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「生物の多様性」とは、生物多様性基本法(平成二十年法律第五十八号)第二条第一項に規定する生物の多様性をいう。

2 この法律において「地域連携保全活動」とは、生物の多様性をはぐくむ生態系に被害を及ぼす動植物の防除、生物の多様性を保全するために欠くことのできない野生動植物の保護増殖、生態系の状況を把握するための調査その他の地域における生物の多様性を保全するための活動であって、地域の自然的社会的条件に応じ、地域における多様な主体が有機的に連携して行うものをいう。

 (地域連携保全活動基本方針)

第三条 主務大臣は、地域連携保全活動の促進に関する基本方針(以下「地域連携保全活動基本方針」という。)を定めなければならない。

2 地域連携保全活動基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 地域連携保全活動の促進の意義に関する事項

 二 地域連携保全活動の促進のための施策に関する基本的事項

 三 次条第一項の地域連携保全活動計画の作成に関する基本的事項

 四 農林漁業に係る生産活動との調和その他の地域連携保全活動の促進に際し配慮すべき事項

 五 前各号に掲げるもののほか、地域連携保全活動の促進に関する重要事項

3 地域連携保全活動基本方針は、生物多様性基本法第十一条第一項の生物多様性国家戦略との調和が保たれたものでなければならない。

4 主務大臣は、地域連携保全活動基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前二項の規定は、地域連携保全活動基本方針の変更について準用する。

 (地域連携保全活動計画の作成等)

第四条 市町村は、単独で又は共同して、地域連携保全活動基本方針に基づき、当該市町村の区域における地域連携保全活動の促進に関する計画(以下「地域連携保全活動計画」という。)を作成することができる。

2 地域連携保全活動計画には、次に掲げる事項を記載するものとする。

 一 地域連携保全活動計画の区域

 二 地域連携保全活動計画の目標

 三 第一号の区域において市町村又は生物の多様性を保全するための活動を行うことを目的とする特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人若しくはこれに準ずる者として主務省令で定めるもの(以下「特定非営利活動法人等」という。)が行う地域連携保全活動の実施場所、実施時期及び実施方法その他地域連携保全活動に関する事項

 四 前号の地域連携保全活動に係る国又は都道府県との連携に関する事項

 五 計画期間

3 地域連携保全活動計画に特定非営利活動法人等が行う地域連携保全活動に係る事項を記載しようとする市町村は、当該事項について、あらかじめ、当該特定非営利活動法人等の同意を得なければならない。

4 地域連携保全活動を行おうとする特定非営利活動法人等は、当該地域連携保全活動を行おうとする地域をその区域に含む市町村に対し、当該地域連携保全活動に係る事項をその内容に含む地域連携保全活動計画の案の作成についての提案をすることができる。

5 前項の提案を受けた市町村は、当該提案を踏まえた地域連携保全活動計画の案を作成する必要がないと判断したときは、その旨及びその理由を、当該提案をした特定非営利活動法人等に通知するよう努めなければならない。

6 市町村は、地域連携保全活動計画を作成しようとする場合において、第二項第三号に掲げる事項に係る行為が次に掲げる行為のいずれかに該当するときは、当該事項について、環境省令で定めるところにより、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

 一 自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第二条第二号に規定する国立公園(第六条において「国立公園」という。)の区域内において行う行為であって、同法第二十条第三項、第二十一条第三項若しくは第二十二条第三項の許可又は同法第三十三条第一項の届出を要するもの

 二 自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第二十五条第四項若しくは第二十七条第三項の許可、同法第二十八条第一項の届出又は同法第三十条において読み替えて準用する同法第二十一条第一項後段(同法第二十五条第四項又は第二十七条第三項に係る部分に限る。)の同意を要する行為

 三 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第三十七条第四項の許可、同法第三十九条第一項の届出又は同法第五十四条第二項(同法第三十七条第四項に係る部分に限る。)の同意を要する行為

 四 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)第二十九条第七項の国指定特別保護地区の区域内において行う行為であって、同項の許可を要するもの

7 市町村は、地域連携保全活動計画を作成しようとする場合において、第二項第三号に掲げる事項に係る行為が次に掲げる行為のいずれかに該当するときは、当該事項について、環境省令・国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県知事に協議し、当該行為が第一号から第三号までに掲げる行為のいずれかに該当する場合にあっては、その同意を得なければならない。

 一 自然公園法第二条第三号に規定する国定公園(第六条において「国定公園」という。)の区域内において行う行為であって、同法第二十条第三項、第二十一条第三項若しくは第二十二条第三項の許可又は同法第三十三条第一項の届出を要するもの

 二 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律第二十九条第七項の都道府県指定特別保護地区の区域内において行う行為であって、同項の許可を要するもの

 三 都市緑地法(昭和四十八年法律第七十二号)第八条第一項の届出又は同法第十四条第一項の許可を要する行為

 四 都市緑地法第八条第七項後段若しくは第十四条第四項の規定による通知又は同条第八項後段の規定による協議を要する行為

8 前項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)の規定は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市又は同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市が地域連携保全活動計画を作成する場合には、適用しない。

9 市町村は、地域連携保全活動計画を作成しようとする場合において、次条第一項の地域連携保全活動協議会が組織されているときは、当該地域連携保全活動計画に記載する事項について当該地域連携保全活動協議会における協議をしなければならない。

10 生物多様性基本法第十三条第一項の生物多様性地域戦略を定めている市町村は、地域連携保全活動計画を作成するに当たっては、当該生物多様性地域戦略との調和を保つよう努めなければならない。

11 地域連携保全活動計画は、第二項第三号に掲げる事項に森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第五条第一項の規定によりたてられた地域森林計画の対象となっている同項に規定する民有林における森林の施業が含まれるときは、当該森林の施業に係る部分について、同法第十条の五第一項の規定によりたてられた市町村森林整備計画に適合するものでなければならない。

12 市町村は、地域連携保全活動計画を作成したときは、遅滞なく、当該地域連携保全活動計画を公表するよう努めなければならない。

13 第三項から前項までの規定は、地域連携保全活動計画の変更について準用する。

 (地域連携保全活動協議会)

第五条 地域連携保全活動計画を作成しようとする市町村は、地域連携保全活動計画の作成に関する協議及び地域連携保全活動計画の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下この条において「地域連携保全活動協議会」という。)を組織することができる。

2 地域連携保全活動協議会は、次に掲げる者をもって構成する。

 一 地域連携保全活動計画を作成しようとする市町村

 二 地域連携保全活動計画に記載しようとする地域連携保全活動を行うと見込まれる特定非営利活動法人等

 三 前二号に掲げる者のほか、第十三条の地域連携保全活動支援センターとしての機能を担う者、関係住民、学識経験者、関係行政機関その他の市町村が必要と認める者

3 地域連携保全活動協議会は、必要があると認めるときは、その構成員以外の第十三条の地域連携保全活動支援センターとしての機能を担う者及び関係行政機関に対して、資料の提供、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。

4 第一項の協議を行うための会議において協議が調った事項については、地域連携保全活動協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。

5 前各項に定めるもののほか、地域連携保全活動協議会の運営に関し必要な事項は、地域連携保全活動協議会が定める。

 (自然公園法の特例)

第六条 地域連携保全活動計画において地域連携保全活動の実施主体として定められた者(以下「地域連携保全活動実施者」という。)が国立公園又は国定公園の区域内において当該地域連携保全活動計画に従って自然公園法第二十条第三項、第二十一条第三項又は第二十二条第三項の許可を要する行為に該当する行為を行う場合には、これらの許可があったものとみなす。

2 地域連携保全活動実施者が国立公園又は国定公園の区域内において地域連携保全活動計画に従って行う行為については、自然公園法第三十三条第一項及び第二項の規定は、適用しない。

 (自然環境保全法の特例)

第七条 地域連携保全活動実施者が自然環境保全法第二十二条第一項の規定による自然環境保全地域(次項において「自然環境保全地域」という。)の区域内において地域連携保全活動計画に従って同法第二十五条第四項又は第二十七条第三項の許可を要する行為に該当する行為を行う場合には、これらの許可があったものとみなす。

2 地域連携保全活動実施者が自然環境保全地域の区域内において地域連携保全活動計画に従って行う行為については、自然環境保全法第二十八条第一項及び同法第三十条において読み替えて準用する同法第二十一条第一項後段(同法第二十五条第四項又は第二十七条第三項に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。

 (絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の特例)

第八条 地域連携保全活動実施者が絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律第三十六条第一項の規定による生息地等保護区(以下「生息地等保護区」という。)の区域内において地域連携保全活動計画に従って同法第三十七条第四項の許可を要する行為に該当する行為を行う場合には、当該許可があったものとみなす。

2 地域連携保全活動実施者が生息地等保護区の区域内において地域連携保全活動計画に従って行う行為については、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律第三十九条第一項及び第五十四条第二項(同法第三十七条第四項に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。

 (鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の特例)

第九条 地域連携保全活動実施者が鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律第二十九条第一項の規定による特別保護地区の区域内において地域連携保全活動計画に従って同条第七項の許可を要する行為に該当する行為を行う場合には、当該許可があったものとみなす。

 (森林法の特例)

第十条 地域連携保全活動実施者が地域連携保全活動計画に従って行う立木の伐採については、森林法第十条の八第一項の規定は、適用しない。

 (都市緑地法の特例)

第十一条 地域連携保全活動実施者が都市緑地法第五条の規定による緑地保全地域又は同法第十二条第一項の規定による特別緑地保全地区(次項において「特別緑地保全地区」という。)の区域内において地域連携保全活動計画に従って行う行為については、同法第八条第一項、第二項及び第七項後段並びに第十四条第四項及び第八項後段の規定は、適用しない。

2 地域連携保全活動実施者が特別緑地保全地区の区域内において地域連携保全活動計画に従って都市緑地法第十四条第一項の許可を要する行為に該当する行為を行う場合には、当該許可があったものとみなす。

 (生物の多様性の保全上重要な土地の取得の促進等)

第十二条 国は、生物の多様性の保全を目的として国民又は民間の団体が行う生物の多様性の保全上重要な土地の取得が促進されるよう、これらの者に対し、情報の提供、助言その他の必要な援助を行うものとする。

2 環境大臣は、次に掲げる区域内の土地を国民、民間の団体又は事業者から寄附により取得したときは、当該土地における生物の多様性の保全について、当該寄附をした者の意見を聴くものとする。

 一 自然公園法第二十条第一項の規定による特別地域のうち、同法第二十一条第一項の規定による特別保護地区及びこれに準ずる区域として環境大臣が指定する区域

 二 生息地等保護区のうち、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律第三十七条第一項の規定による管理地区及びこれに準ずる区域として環境大臣が指定する区域

 三 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律第二十八条の二第一項の国指定鳥獣保護区のうち、同法第二十九条第七項の国指定特別保護地区及びこれに準ずる区域として環境大臣が指定する区域

 (地域連携保全活動支援センター)

第十三条 地方公共団体は、地域連携保全活動を行おうとする者、その所有する土地において地域連携保全活動が行われることを希望する者、地域連携保全活動に対して協力をしようとする者その他の関係者間における連携及び協力のあっせん並びに生物の多様性の保全に関する知識を有する者の紹介その他の必要な情報の提供及び助言を行う拠点(次条第二項において「地域連携保全活動支援センター」という。)としての機能を担う体制を、単独で又は共同して、確保するよう努めるものとする。

 (国等の援助等)

第十四条 国及び地方公共団体は、地域連携保全活動に関し、情報の提供、助言その他の必要な援助を行うよう努めるものとする。

2 国、地方公共団体及び地域連携保全活動支援センターとしての機能を担う者は、地域連携保全活動の円滑な実施が促進されるよう、必要な情報交換を行うなどして相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。

 (主務大臣等)

第十五条 この法律における主務大臣は、環境大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣とする。

2 この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。

3 この法律に規定する環境大臣の権限は、環境省令で定めるところにより、地方環境事務所長に委任することができる。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 主務大臣は、この法律の施行前においても、第三条第一項から第三項までの規定の例により、地域連携保全活動の促進に関する基本方針を定めることができる。

2 主務大臣は、前項の基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

3 第一項の規定により定められた地域連携保全活動の促進に関する基本方針は、この法律の施行の日において第三条第一項及び第二項の規定により定められた地域連携保全活動基本方針とみなす。

 (検討)

第三条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

2 政府は、土地の所有者が判明しないことその他の事情により地域における生物の多様性の保全のための活動について土地の所有者の協力が得られないことが当該活動に支障を及ぼす場合があることにかんがみ、土地の所有者の協力が得られない場合における地域における生物の多様性を保全するための制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(農林水産・国土交通・環境臨時代理・内閣総理大臣署名) 

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