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法律第八十五号(平二六・六・二五)

  ◎地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、入域料をその経費に充てて実施する事業又は自然環境トラスト活動を促進する事業を通じて自然環境を保全し、及びその持続可能な利用を推進することの重要性に鑑み、地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関し、基本方針の策定、地域計画の作成等について定めることにより、地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図り、もって地域社会の健全な発展に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「地域自然環境保全等事業」とは、都道府県又は市町村が、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第二条第二号に規定する国立公園(以下「国立公園」という。)、同条第三号に規定する国定公園(以下「国定公園」という。)等の自然の風景地、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第二条第一項第四号に規定する記念物に係る名勝地その他の自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図る上で重要な地域において、当該地域の自然環境を地域住民の資産として保全し、及びその持続可能な利用を推進するために実施する事業であって、当該事業を実施する区域内への立入りについて、当該区域内に立ち入る者から収受する料金(次条第二項第一号及び第四条第二項第一号ハにおいて「入域料」という。)をその経費に充てるものをいう。

2 この法律において「自然環境トラスト活動」とは、自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図ることを目的とする一般社団法人若しくは一般財団法人若しくは特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人若しくはこれらに準ずる者として環境省令・文部科学省令で定めるもの(以下「一般社団法人等」という。)又は都道府県若しくは市町村が行う次に掲げる活動をいう。

 一 自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を目的として前項に規定する地域内の土地(その土地の定着物を含む。次号において同じ。)を取得すること。

 二 前号に掲げるもののほか、前項に規定する地域内の土地に係る活動であって自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を目的とするものとして環境省令・文部科学省令で定めるもの

3 この法律において「自然環境トラスト活動促進事業」とは、都道府県又は市町村が、当該都道府県又は市町村の区域における自然環境を地域住民の資産として保全し、及びその持続可能な利用を推進するため、自然環境トラスト活動を促進する事業をいう。

4 この法律において「地域自然資産区域」とは、地域自然環境保全等事業が実施される区域及び自然環境トラスト活動促進事業に係る自然環境トラスト活動が行われる区域をいう。

 (基本方針)

第三条 環境大臣及び文部科学大臣は、地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する基本方針(以下この条及び次条第一項において「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 入域料に関する事項その他の地域自然環境保全等事業に関する基本的事項

 二 自然環境トラスト活動に関する事項その他の自然環境トラスト活動促進事業に関する基本的事項

 三 前二号に掲げるもののほか、地域自然環境保全等事業及び自然環境トラスト活動促進事業の実施に関する重要事項

3 環境大臣及び文部科学大臣は、基本方針を定めようとするときは、農林水産大臣、国土交通大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。

4 環境大臣及び文部科学大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

 (地域計画の作成等)

第四条 都道府県又は市町村は、単独で又は共同して、基本方針に基づき、当該都道府県又は市町村の区域に係る地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する計画(以下「地域計画」という。)を作成することができる。

2 地域計画には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める事項を記載するものとする。

 一 地域自然環境保全等事業を実施する場合 次に掲げる事項

  イ 地域自然環境保全等事業を実施する区域

  ロ 地域自然環境保全等事業の内容

  ハ 入域料に関する事項

  ニ 計画期間

  ホ その他地域自然環境保全等事業の実施に関し必要な事項

 二 自然環境トラスト活動促進事業を実施する場合 次に掲げる事項

  イ 自然環境トラスト活動促進事業に係る自然環境トラスト活動を行う区域

  ロ イの自然環境トラスト活動の内容

  ハ 自然環境トラスト活動促進事業の内容

  ニ 計画期間

  ホ その他自然環境トラスト活動促進事業の実施に関し必要な事項

3 都道府県又は市町村は、地域計画を作成しようとする場合において、前項第二号ロに掲げる事項に当該都道府県又は市町村以外の者が行う自然環境トラスト活動に係る事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、その者の同意を得なければならない。

4 次に掲げる者は、都道府県又は市町村に対して、当該都道府県又は市町村の区域に係る地域計画の案の作成についての提案をすることができる。

 一 当該都道府県又は市町村の区域内の土地の所有者等(土地若しくは木竹の所有者又は土地若しくは木竹の使用及び収益を目的とする権利、漁業権若しくは入漁権(臨時設備の設置その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者をいう。以下同じ。)

 二 当該都道府県又は市町村の区域内の土地について自然環境トラスト活動を行おうとする一般社団法人等

5 前項の提案を受けた都道府県又は市町村は、当該提案を踏まえた地域計画の案を作成する必要がないと判断したときは、その旨及びその理由を、当該提案をした者に通知するよう努めなければならない。

6 都道府県又は市町村は、地域計画を作成しようとする場合において、第二項第一号ロ又は第二号ロ若しくはハに掲げる事項に係る行為(以下この項及び次項において「地域自然環境保全等事業等に係る行為」という。)が次に掲げる行為のいずれかに該当するときは、当該事項について、環境省令で定めるところにより、あらかじめ、環境大臣に協議し、地域自然環境保全等事業等に係る行為が第一号、第二号、第四号又は第六号に掲げる行為のいずれかに該当する場合にあっては、その同意を得なければならない。

 一 国立公園の区域内において行う行為であって、自然公園法第二十条第三項、第二十一条第三項若しくは第二十二条第三項の許可又は同法第三十三条第一項の届出を要するもの

 二 自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第二十五条第四項若しくは第二十七条第三項の許可又は同法第二十八条第一項の届出を要する行為

 三 自然環境保全法第三十条において読み替えて準用する同法第二十一条第一項後段(同法第二十五条第四項又は第二十七条第三項に係る部分に限る。)の規定による協議を要する行為

 四 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第三十七条第四項の許可又は同法第三十九条第一項の届出を要する行為

 五 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律第五十四条第二項(同法第三十七条第四項に係る部分に限る。)の規定による協議を要する行為

 六 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)第二十九条第七項に規定する国指定特別保護地区の区域内において行う行為であって、同項の許可を要するもの

7 市町村は、地域計画を作成しようとする場合において、地域自然環境保全等事業等に係る行為が次の各号に掲げる行為のいずれかに該当するときは、当該事項について、環境省令で定めるところにより、あらかじめ、それぞれ当該各号に定める都道府県知事に協議し、その同意を得なければならない。ただし、当該都道府県と共同して地域計画を作成しようとする場合は、この限りでない。

 一 国定公園の区域内において行う行為であって、自然公園法第二十条第三項、第二十一条第三項若しくは第二十二条第三項の許可又は同法第三十三条第一項の届出を要するもの 当該国定公園に係る都道府県知事

 二 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第二十九条第七項に規定する都道府県指定特別保護地区の区域内において行う行為であって、同項の許可を要するもの 当該都道府県指定特別保護地区に係る都道府県知事

8 都道府県又は市町村は、地域計画を作成しようとする場合において、第二項第二号イに掲げる区域に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第三条各号に掲げるもの又は林道、木材集積場その他森林施業に必要な設備であって、環境省令・文部科学省令で定めるもの(以下この項において「公共施設等」という。)の用に供され、又は供されることが予定されている土地が含まれるときは、あらかじめ、当該公共施設等を管理する者その他の環境省令・文部科学省令で定める者に協議しなければならない。

9 都道府県又は市町村は、地域計画を作成しようとするときは、当該地域計画に記載しようとする事項について、次条第一項の協議会が組織されている場合には協議会における協議を、同項の協議会が組織されていない場合には土地の所有者等その他の環境省令・文部科学省令で定める者(前項の環境省令・文部科学省令で定める者を除く。)に協議をしなければならない。

10 都道府県又は市町村は、地域計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。

11 第三項から前項までの規定は、地域計画の変更について準用する。

 (協議会)

第五条 地域計画を作成しようとする都道府県又は市町村は、地域計画の作成に関する協議及び地域計画の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。

2 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。

 一 地域計画を作成しようとする都道府県又は市町村

 二 地域計画に記載しようとする自然環境トラスト活動を行うと見込まれる一般社団法人等

 三 前二号に掲げる者のほか、土地の所有者等、関係住民、関係事業者、学識経験者、関係行政機関その他の都道府県又は市町村が必要と認める者

3 協議会は、必要があると認めるときは、その構成員以外の関係行政機関に対して、資料の提供、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。

4 第一項の協議を行うための会議において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。

5 前三項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

 (自然公園法の特例)

第六条 都道府県若しくは市町村又は第四条第二項第二号イの自然環境トラスト活動を行う一般社団法人等(以下「都道府県等」という。)が国立公園又は国定公園の区域内において地域計画に従って自然公園法第二十条第三項、第二十一条第三項又は第二十二条第三項の許可を要する行為に該当する行為を行う場合には、これらの許可があったものとみなす。

2 都道府県等が国立公園又は国定公園の区域内において地域計画に従って行う行為については、自然公園法第三十三条第一項及び第二項の規定は、適用しない。

 (自然環境保全法の特例)

第七条 都道府県等が自然環境保全法第二十二条第一項の規定により自然環境保全地域として指定された区域(次項において「自然環境保全地域」という。)内において地域計画に従って同法第二十五条第四項又は第二十七条第三項の許可を要する行為に該当する行為を行う場合には、これらの許可があったものとみなす。

2 都道府県等が自然環境保全地域の区域内において地域計画に従って行う行為については、自然環境保全法第二十八条第一項及び同法第三十条において読み替えて準用する同法第二十一条第一項後段(同法第二十五条第四項又は第二十七条第三項に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。

 (絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の特例)

第八条 都道府県等が絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律第三十六条第一項の規定により生息地等保護区として指定された区域(次項において「生息地等保護区」という。)内において地域計画に従って同法第三十七条第四項の許可を要する行為に該当する行為を行う場合には、当該許可があったものとみなす。

2 都道府県等が生息地等保護区の区域内において地域計画に従って行う行為については、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律第三十九条第一項及び第五十四条第二項(同法第三十七条第四項に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。

 (鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の特例)

第九条 都道府県等が鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第二十九条第一項の規定により特別保護地区として指定された区域内において地域計画に従って同条第七項の許可を要する行為に該当する行為を行う場合には、当該許可があったものとみなす。

 (自然環境トラスト活動基金)

第十条 都道府県及び市町村は、自然環境トラスト活動促進事業等に充てる経費の全部又は一部を支弁するため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十一条の基金として、自然環境トラスト活動基金を設けることができる。

 (国の援助)

第十一条 国は、地域計画を作成しようとする都道府県及び市町村に対し、当該地域計画の作成について、必要な助言、財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

2 前項に定めるもののほか、国は、この法律の目的を達成するため、必要な助言、税制上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

 (土地の取得)

第十二条 国及び都道府県は、地域自然資産区域内の土地が、国立公園の区域内に含まれるものである等の理由により、自然環境の保全及び持続可能な利用の推進を図る上で特に重要であると認めるときは、当該土地を取得するよう努めるものとする。

 (広報活動等)

第十三条 国、都道府県及び市町村は、広報活動等を通じて、自然環境トラスト活動に関し、国民の理解を深めるよう努めるものとする。

 (権限の委任)

第十四条 この法律に規定する環境大臣の権限は、環境省令で定めるところにより、地方環境事務所長に委任することができる。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条の規定は、公布の日から施行する。

 (調整規定)

第二条 この法律の施行の日が鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律(平成二十六年法律第四十六号)の施行の日前である場合には、同法の施行の日の前日までの間における第四条第六項第六号及び第七項第二号並びに第九条(見出しを含む。)の規定の適用については、これらの規定中「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」とあるのは、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」とする。

 (経過措置)

第三条 環境大臣及び文部科学大臣は、この法律の施行前においても、第三条第一項から第三項までの規定の例により、地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する基本方針を定めることができる。

2 環境大臣及び文部科学大臣は、前項の基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

3 第一項の規定により定められた地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する基本方針は、この法律の施行の日において第三条第一項及び第二項の規定により定められた基本方針とみなす。

(文部科学・環境・内閣総理大臣署名) 

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