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法律第二十五号(令二・四・三〇)

  ◎新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律

 (趣旨)

第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置が納税者に及ぼす影響の緩和を図るため、国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)その他の国税関係法律の特例を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「新型コロナウイルス感染症」とは、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)附則第一条の二第一項に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。

 (納税の猶予の特例)

第三条 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により令和二年二月一日以後に納税者の事業につき相当な収入の減少があったことその他これに類する事実がある場合には、当該事実がある場合は、国税通則法第四十六条第一項に規定する震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により納税者がその財産につき相当な損失を受けた場合に該当するものとみなして、同項の規定その他納税の猶予に関する法令の規定を適用することができる。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。

国税通則法第四十六条第一項

震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により納税者がその財産につき相当な損失を受けた場合において、その者がその損失を受けた日以後一年以内に納付すべき国税で次に掲げるものがある

新型コロナウイルス感染症(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(令和二年法律第二十五号)第二条(定義)に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。)及びそのまん延防止のための措置の影響により令和二年二月一日以後に納税者の事業につき相当な収入の減少があつたことその他これに類する事実(次条第一項において「新型コロナウイルス感染症等の影響による事業収入の減少等の事実」という。)がある場合において、その者が特定日(納税の猶予の対象となる国税の期日として政令で定める日をいう。以下この項において同じ。)までに納付すべき国税で次に掲げるものの全部又は一部を一時に納付することが困難であると認められる

その災害のやんだ日から二月以内にされたその者の申請に基づき、その納期限(納税の告知がされていない源泉徴収等による国税については、その法定納期限)

その国税の納期限(納税の告知がされていない源泉徴収等による国税については、その法定納期限。以下この項(各号を除く。)において同じ。)内にされたその者の申請(税務署長等においてやむを得ない理由があると認める場合には、その国税の納期限後にされた申請を含む。)に基づき、その納期限

国税通則法第四十六条第一項第一号

その損失を受けた日

令和二年二月一日

国税通則法第四十六条第一項第一号イ及びロ

その災害のやんだ日

特定日

国税通則法第四十六条第一項第二号

その災害のやんだ日

特定日

その損失を受けた日

令和二年二月一日

国税通則法第四十六条第一項第三号

その損失を受けた日

令和二年二月一日

国税通則法第四十六条の二第一項

同項の災害によりその者がその財産につき相当な損失を受けたことの事実

新型コロナウイルス感染症等の影響による事業収入の減少等の事実があること及びその国税の全部又は一部を一時に納付することが困難である事情

事実を証するに足りる書類

新型コロナウイルス感染症等の影響による事業収入の減少等の事実を証するに足りる書類、財産目録その他の政令で定める書類

2 前項の規定の適用がある場合における納税の猶予に関する法令の規定の技術的読替えその他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (給付金の非課税等)

第四条 市町村又は特別区から給付される給付金で次に掲げるものについては、所得税を課さない。

 一 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響に鑑み、家計への支援の観点から給付される財務省令で定める給付金

 二 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置による児童の属する世帯への経済的な影響の緩和の観点から給付される児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)による児童手当の支給を受ける者その他の財務省令で定める者に対して給付される財務省令で定める給付金

2 前項の給付金の給付を受ける権利は、国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第二条第一号に規定する国税の同条第十二号に規定する滞納処分により差し押さえることができない。

 (指定行事の中止等により生じた権利を放棄した場合の寄附金控除又は所得税額の特別控除の特例)

第五条 個人が、指定行事の中止若しくは延期又はその規模の縮小(第三項及び第四項において「中止等」という。)により生じた当該指定行事の入場料金、参加料金その他の対価の払戻しを請求する権利(次項、第三項及び第五項において「入場料金等払戻請求権」という。)の全部又は一部の放棄を令和二年二月一日から令和三年十二月三十一日までの期間(次項、第三項及び第五項において「指定期間」という。)内にした場合(当該放棄をした年分の所得税につき第三項の規定の適用を受ける場合を除く。)において、放棄払戻請求権相当額については、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第七十八条(同法第百六十五条第一項の規定により準じて計算する場合を含む。)の規定を適用することができる。この場合において、同法第七十八条第一項中「支出した場合」とあるのは「支出した場合又は新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(令和二年法律第二十五号)第五条第一項(指定行事の中止等により生じた権利を放棄した場合の寄附金控除又は所得税額の特別控除の特例)に規定する入場料金等払戻請求権の全部若しくは一部の放棄をした場合」と、同項第一号中「の額」とあるのは「の額及び新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律第五条第二項に規定する放棄払戻請求権相当額」と、同条第四項中「控除は」とあるのは「控除(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律第五条第一項の規定による控除を含む。)は」とする。

2 前項に規定する放棄払戻請求権相当額とは、個人がその年の指定期間内において同項の放棄をした部分の入場料金等払戻請求権の価額に相当する金額(所得税法第七十八条第二項に規定する特定寄附金の額及び租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第四十一条の十八の二第二項に規定する特定非営利活動に関する寄附金の額並びにその放棄をした者に特別の利益が及ぶと認められるものの金額を除く。)の合計額(当該合計額が二十万円を超える場合には、二十万円)をいう。

3 個人が、指定行事の中止等により生じた当該指定行事の入場料金等払戻請求権の全部又は一部の放棄を指定期間内にした場合において、特定放棄払戻請求権相当額については、租税特別措置法第四十一条の十八の三の規定を適用することができる。この場合において、同条第一項中「、次に掲げるもの」とあるのは「次に掲げるもの」と、「という。)」とあるのは「という。)又は個人がその全部若しくは一部の放棄をした新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(令和二年法律第二十五号)第五条第三項に規定する入場料金等払戻請求権」と、「の合計額(」とあるのは「及び同条第五項に規定する特定放棄払戻請求権相当額(以下この項において「特定放棄払戻請求権相当額」という。)の合計額(」と、「同条第二項」とあるのは「所得税法第七十八条第二項」と、「定める金額」とあるのは「定める金額並びに特定放棄払戻請求権相当額」と、「の額の合計額を」とあるのは「の額及び特定放棄払戻請求権相当額の合計額を」とする。

4 第一項及び前項に規定する指定行事とは、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により中止等となった文化芸術又はスポーツに関する行事のうち、不特定かつ多数の者から入場料金、参加料金その他の対価の支払を受けて、当該対価の支払をした者に見せ、聴かせ、又は参加させる行事であって、政令で定めるものをいう。

5 第三項に規定する特定放棄払戻請求権相当額とは、個人がその年の指定期間内において同項の放棄をした部分の入場料金等払戻請求権の価額に相当する金額(所得税法第七十八条第一項の規定の適用を受ける金額並びに租税特別措置法第四十一条の十八の二第二項に規定する特定非営利活動に関する寄附金の額及び同法第四十一条の十八の三第一項に規定する税額控除対象寄附金の額並びにその放棄をした者に特別の利益が及ぶと認められるものの金額を除く。)の合計額(当該合計額が二十万円を超える場合には、二十万円)をいう。

6 第二項又は前二項に定めるもののほか、第一項の規定の適用がある場合における同項の規定と租税特別措置法第四十一条の十八から第四十一条の十八の三までの規定との調整、第三項の規定の適用がある場合における同項の規定と同法第四十一条の十八又は第四十一条の十八の二の規定との調整その他第一項又は第三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例)

第六条 所得税法第二条第一項第一号に規定する国内において租税特別措置法第四十一条第一項に規定する既存住宅(以下この項及び次項において「既存住宅」という。)の取得(同条第一項に規定する取得をいう。以下第三項までにおいて同じ。)をし、かつ、当該既存住宅をその居住の用に供する前に当該既存住宅の特例増改築等をした個人が、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により当該既存住宅をその取得の日から六月以内にその者の居住の用に供することができなかった場合において、当該既存住宅を令和三年十二月三十一日までにその者の居住の用に供したとき(当該既存住宅を当該特例増改築等の日から六月以内にその者の居住の用に供した場合に限る。)は、同条第一項に規定する住宅借入金等特別税額控除額については、同項中「これらの家屋をその新築の日若しくはその取得の日又はその増改築等の日」とあるのは、「その既存住宅をその取得に係る新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律第六条第二項に規定する特例増改築等の日」として、同条から同法第四十一条の二の二までの規定並びに東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(平成二十三年法律第二十九号)第十三条及び第十三条の二の規定を適用する。

2 前項に規定する特例増改築等とは、個人が取得をした既存住宅につき行う増築、改築、修繕又は模様替のうち、当該増築、改築、修繕又は模様替に係る契約が政令で定める日までに締結されているものをいう。

3 租税特別措置法第四十一条第三十項に規定する要耐震改修住宅の取得をし、その取得の日までに同日以後当該要耐震改修住宅の同項に規定する耐震改修を行うことにつき同項に規定する申請その他財務省令で定める手続をし、かつ、当該耐震改修に係る契約を政令で定める日までに締結している個人が、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により当該耐震改修をして当該要耐震改修住宅をその取得の日から六月以内にその者の居住の用に供することができなかった場合において、当該耐震改修をして当該要耐震改修住宅を令和三年十二月三十一日までにその者の居住の用に供したとき(当該要耐震改修住宅を当該耐震改修の日から六月以内にその者の居住の用に供した場合に限る。)は、同条第一項に規定する住宅借入金等特別税額控除額については、同項中「これらの家屋をその新築の日若しくはその取得の日又はその増改築等の日」とあるのは「その既存住宅をその取得に係る新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律第六条第三項に規定する耐震改修の日」と、同条第三十項中「当該取得の日」とあるのは「当該要耐震改修住宅の当該耐震改修の日」として、同条から同法第四十一条の二の二までの規定並びに東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第十三条及び第十三条の二の規定を適用する。

4 租税特別措置法第四十一条第一項に規定する住宅の取得等で特例取得に該当するもの若しくは同条第十項に規定する認定住宅の新築等で特例取得に該当するものをした個人又は東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第十三条第一項に規定する住宅の新築取得等で特例取得に該当するものをした同法第十三条の二第一項に規定する住宅被災者が、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響によりこれらの特例取得をした家屋を令和二年十二月三十一日までにその者の居住の用に供することができなかった場合において、これらの特例取得をした家屋を令和三年一月一日から同年十二月三十一日までの間に租税特別措置法第四十一条第一項(第一項又は前項の規定により適用する場合を含む。)の定めるところによりその者の居住の用に供したときは、同条第一項に規定する住宅借入金等特別税額控除額については、同条第十三項及び第十六項並びに東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第十三条の二第三項中「令和二年十二月三十一日」とあるのは、「令和三年十二月三十一日」として、租税特別措置法第四十一条から第四十一条の二の二までの規定及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第十三条の二の規定を適用する。

5 前項に規定する特例取得とは、租税特別措置法第四十一条第十四項に規定する特別特定取得のうち、当該特別特定取得に係る契約が政令で定める日までに締結されているものをいう。

6 第四項の規定により租税特別措置法第四十一条の規定の適用を受ける場合における同法第四十一条の二の規定の適用については、同条第三項第三号中「各年又は令和三年」とあるのは「各年」と、同項第四号中「又は令和二年」とあるのは「から令和三年までの各年」とする。

7 第二項又は前二項に定めるもののほか、第一項、第三項又は第四項の規定により租税特別措置法第四十一条の規定の適用を受ける場合における同条第三十一項の規定の特例その他第一項、第三項又は第四項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (大規模法人等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付)

第七条 法人の令和二年二月一日から令和四年一月三十一日までの間に終了する各事業年度(法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第十三条及び第十四条に規定する事業年度をいう。以下同じ。)において生じた欠損金額(同法第二条第十九号に規定する欠損金額をいう。)については、租税特別措置法第六十六条の十二の規定(当該事業年度が令和二年三月三十一日以前に終了した事業年度である場合には、所得税法等の一部を改正する法律(令和二年法律第八号)附則第九十一条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同法第十五条の規定による改正前の租税特別措置法第六十六条の十三の規定)は、適用しない。ただし、当該法人が当該各事業年度終了の時において次に掲げる法人に該当する場合は、この限りでない。

 一 大規模法人(次に掲げる法人をいう。次号及び第三号において同じ。)

  イ 資本金の額又は出資金の額が十億円を超える法人

  ロ 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第五項に規定する相互会社(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)

 二 大規模法人との間に当該大規模法人による完全支配関係(法人税法第二条第十二号の七の六に規定する完全支配関係をいう。次号において同じ。)がある普通法人(同条第九号に規定する普通法人をいう。次号において同じ。)

 三 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大規模法人が有する株式及び出資の全部を当該全ての大規模法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合において当該いずれか一の法人と当該普通法人との間に当該いずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときの当該普通法人

 四 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十二項に規定する投資法人

 五 資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項に規定する特定目的会社

 (大規模法人等以外の連結親法人の連結欠損金の繰戻しによる還付)

第八条 法人税法第二条第十二号の六の七に規定する連結親法人の令和二年二月一日から令和四年一月三十一日までの間に終了する各連結事業年度(同法第十五条の二に規定する連結事業年度をいう。以下この条において同じ。)において生じた連結欠損金額(同法第二条第十九号の二に規定する連結欠損金額をいう。)については、租税特別措置法第六十八条の九十七の規定(当該連結事業年度が令和二年三月三十一日以前に終了した連結事業年度である場合には、所得税法等の一部を改正する法律(令和二年法律第八号)附則第百五条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同法第十五条の規定による改正前の租税特別措置法第六十八条の九十八の規定)は、適用しない。ただし、当該連結親法人が当該各連結事業年度終了の時において前条第一号から第三号までに掲げる法人に該当する場合は、この限りでない。

 (法人課税信託の受託者に関する前二条の規定の適用)

第九条 法人税法第二条第二十九号の二に規定する法人課税信託(以下この項において「法人課税信託」という。)の受託者は、各法人課税信託の同法第四条の六第一項に規定する信託資産等及び固有資産等ごとに、それぞれ別の者とみなして、前二条の規定を適用する。

2 法人税法第四条の六第二項、第四条の七(受益者に係る部分を除く。)及び第四条の八の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

3 前項に定めるもののほか、第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (消費税の納税義務の免除の規定の適用を受けない旨の届出等に関する特例)

第十条 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響(以下この条において「新型コロナウイルス感染症等の影響」という。)により令和二年二月一日から政令で定める日までの間のうち一定の期間に事業としての収入の著しい減少があった消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第二条第一項第四号に規定する事業者(以下この条において「特例対象事業者」という。)が、新型コロナウイルス感染症等の影響により、その収入の著しい減少があった期間内の日を含む課税期間(同法第十九条第一項に規定する課税期間(同条第二項又は第四項の規定により一の課税期間とみなされる期間を含む。)をいう。以下この条において同じ。)(以下この条において「特定課税期間」という。)以後の課税期間につき同法第九条第四項の規定の適用を受けることが必要となった場合において、同項の規定の適用を受けることについてその納税地を所轄する税務署長の承認を受けたときは、当該特例対象事業者は同項の規定による届出書をその適用を受けようとする課税期間の初日の前日(当該課税期間が同項に規定する事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間であって、かつ、第七項の申請書が当該課税期間の末日の翌日以後に提出された場合には、当該課税期間の末日)に当該税務署長に提出したものとみなして、同条第四項の規定を適用する。

2 特例対象事業者が前項の規定により消費税法第九条第四項の規定による届出書を提出したものとみなされた場合における当該特例対象事業者の同項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間以後の課税期間(当該届出書の提出により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間に限る。)に係る同条第五項の規定による届出書の提出については、同条第六項及び第七項の規定は、適用しない。

3 消費税法第九条第四項の規定による届出書を提出していた特例対象事業者が、新型コロナウイルス感染症等の影響により、特定課税期間以後の課税期間(当該届出書の提出により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間に限る。)につき同項の規定の適用を受けることをやめることが必要となった場合において、同項の規定の適用を受けることをやめることについてその納税地を所轄する税務署長の承認を受けたときは、当該特例対象事業者は同条第五項の規定による届出書をその適用を受けることをやめようとする課税期間の初日の前日に当該税務署長に提出したものとみなして、同条第八項の規定を適用する。この場合においては、同条第六項及び第七項の規定は、適用しない。

4 消費税法第十二条の二第一項に規定する新設法人又は同法第十二条の三第一項に規定する特定新規設立法人に該当する特例対象事業者が、新型コロナウイルス感染症等の影響により、特定課税期間以後の課税期間につき同法第十二条の二第二項(同法第十二条の三第三項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用を受けないことが必要となった場合において、同法第十二条の二第二項の規定の適用を受けないことについてその納税地を所轄する税務署長の承認を受けたときは、当該特定課税期間以後の課税期間については、同項の規定は、適用しない。

5 特定課税期間の初日以後二年を経過する日の属する課税期間までの課税期間において高額特定資産の仕入れ等を行った場合(消費税法第十二条の四第一項に規定する高額特定資産の仕入れ等を行った場合をいう。以下この項において同じ。)に該当することとなった特例対象事業者が、新型コロナウイルス感染症等の影響により、特定課税期間以後の課税期間につき同条第一項の規定の適用を受けないことが必要となった場合において、同項の規定の適用を受けないことについてその納税地を所轄する税務署長の承認を受けたときは、当該特定課税期間以後の課税期間(当該高額特定資産の仕入れ等を行った場合に該当することにより消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間に限る。)については、同項の規定は、適用しない。

6 特定課税期間の初日以後二年を経過する日の属する課税期間までの課税期間において消費税法第十二条の四第一項に規定する高額特定資産である同法第二条第一項第十五号に規定する棚卸資産若しくは同項第十一号に規定する課税貨物又は同法第十二条の四第二項に規定する調整対象自己建設高額資産について同法第三十六条第一項又は第三項の規定の適用を受けることとなった場合(以下この項及び次項第五号において「高額特定資産等に係る棚卸資産の調整を受けることとなった場合」という。)に該当することとなった特例対象事業者が、新型コロナウイルス感染症等の影響により、特定課税期間以後の課税期間につき同法第十二条の四第二項の規定の適用を受けないことが必要となった場合において、同項の規定の適用を受けないことについてその納税地を所轄する税務署長の承認を受けたときは、当該特定課税期間以後の課税期間(当該高額特定資産等に係る棚卸資産の調整を受けることとなった場合に該当することにより消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間に限る。)については、同項の規定は、適用しない。

7 第一項又は第三項から前項までの承認を受けようとする特例対象事業者は、これらの承認を受けることが必要となった事情その他財務省令で定める事項を記載した申請書に財務省令で定める書類を添付して、次の各号に掲げる承認の区分に応じ当該各号に定める日又は期限までに、その納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。

 一 第一項の承認 特定課税期間の末日の翌日から二月(当該特定課税期間が消費税法第二条第一項第三号に規定する個人事業者のその年の十二月三十一日の属する課税期間である場合には、三月)を経過する日

 二 第三項の承認 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める期限又は日

  イ 特定課税期間から消費税法第九条第四項の規定の適用を受けることをやめようとする場合及び特定課税期間の末日が同項の届出書の提出により同項の規定の適用を受けることとなった最初の課税期間の初日以後二年を経過する日(ロにおいて「二年経過日」という。)以後に到来し、当該特定課税期間の翌課税期間以後の課税期間から同項の規定の適用を受けることをやめようとする場合 当該特定課税期間に係る同法第四十五条第一項の規定による申告書の提出期限

  ロ イに掲げる場合以外の場合 二年経過日の属する課税期間の末日と消費税法第九条第四項の規定の適用を受けることをやめようとする課税期間の末日とのいずれか早い日

 三 第四項の承認 特定課税期間に係る消費税法第四十五条第一項の規定による申告書の提出期限と当該特例対象事業者の同法第十二条の二第二項又は第十二条の三第三項に規定する基準期間がない事業年度のうち最後の事業年度終了の日とのいずれか遅い日

 四 第五項の承認 特定課税期間に係る消費税法第四十五条第一項の規定による申告書の提出期限と高額特定資産の仕入れ等の日(同法第十二条の四第一項各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める日をいう。)の属する課税期間の末日とのいずれか遅い日

 五 前項の承認 特定課税期間に係る消費税法第四十五条第一項の規定による申告書の提出期限と高額特定資産等に係る棚卸資産の調整を受けることとなった場合に該当することとなった日の属する課税期間の末日とのいずれか遅い日

8 税務署長は、前項の申請書の提出があった場合において、その申請に係る同項の事情が相当でないと認めるときは、その申請を却下する。

9 税務署長は、第七項の申請書の提出があった場合において、その申請につき承認又は却下の処分をするときは、その申請をした特例対象事業者に対し、書面によりその旨を通知する。

10 第七項の申請書の提出があった場合において、その申請に係る特定課税期間の末日の翌日から二月を経過する日までに承認又は却下の処分がなかったときは、その日においてその承認があったものとみなす。ただし、当該申請書の提出の日がその申請に係る特定課税期間の末日の翌日以後となった場合は、この限りでない。

11 前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (特別貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税)

第十一条 公的貸付機関等(地方公共団体又は株式会社日本政策金融公庫その他政令で定める者をいう。以下この項において同じ。)が新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けた事業者に対して当該影響を受けたことを条件として行う金銭の貸付け(当該公的貸付機関等が行う他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行う金銭の貸付けとして政令で定めるものに限る。)に係る消費貸借契約書(印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)別表第一第一号の物件名の欄3に掲げる消費貸借に関する契約書をいう。以下この条において同じ。)のうち、特定日(印紙税を課さないこととする消費貸借契約書の作成の期日として政令で定める日をいう。次項において同じ。)までに作成されるものについては、印紙税を課さない。

2 金融機関(銀行その他の資金の貸付けを業として行う金融機関として政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)が新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けた事業者に対して当該影響を受けたことを条件として行う金銭の貸付け(当該金融機関が行う他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行う金銭の貸付けとして政令で定めるものに限る。)に係る消費貸借契約書であって政令で定めるもののうち、特定日までに作成されるものについては、印紙税を課さない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (納税の猶予の特例に関する経過措置)

第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)から二月を経過した日前に納付すべき国税については、第三条第一項の表国税通則法第四十六条第一項の項中「その国税の納期限(納税の告知がされていない源泉徴収等による国税については、その法定納期限。以下この項(各号を除く。)において同じ。)内」とあるのは「同法の施行の日から二月を経過する日まで」と、「その国税の納期限後にされた申請を含む。)に基づき、その納期限」とあるのは「同法の施行の日から二月を経過した日以後にされた申請を含む。)に基づき、その納期限(納税の告知がされていない源泉徴収等による国税については、その法定納期限)」として、同条第一項の規定を適用する。

 (指定行事の中止等により生じた権利を放棄した場合の寄附金控除又は所得税額の特別控除の特例に関する経過措置)

第三条 個人が、第五条第四項に規定する指定行事の同条第一項に規定する中止等により生じた同項に規定する入場料金等払戻請求権の行使を令和二年二月一日から政令で定める日までの間にした場合において、当該入場料金等払戻請求権の行使による払戻しをした者に対して政令で定める期間内に当該払戻しを受けた金額以下の金額の寄附金の支出をしたときは、当該寄附金の支出を同項又は同条第三項に規定する入場料金等払戻請求権の全部又は一部の放棄と、当該支出をした寄附金の額を同条第二項又は第五項に規定する放棄をした部分の入場料金等払戻請求権の価額とみなして、同条の規定を適用することができる。

 (大規模法人等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付に関する経過措置)

第四条 第七条に規定する各事業年度(清算中に終了する事業年度を除く。)分の法人税につき法人税法第二条第三十一号に規定する確定申告書を令和二年七月一日前に提出した法人(租税特別措置法第六十六条の十二第一号から第三号までに掲げる法人を除く。)の当該各事業年度において生じた第七条に規定する欠損金額に係る法人税法第八十条第一項並びに第百四十四条の十三第一項及び第二項の規定の適用については、これらの規定中「当該確定申告書の提出と同時」とあるのは、「令和二年七月三十一日まで」とする。

 (大規模法人等以外の連結親法人の連結欠損金の繰戻しによる還付に関する経過措置)

第五条 第八条に規定する各連結事業年度分の法人税につき法人税法第二条第三十二号に規定する連結確定申告書を令和二年七月一日前に提出した第八条に規定する連結親法人(租税特別措置法第六十八条の九十七各号に掲げるものを除く。)の当該各連結事業年度において生じた第八条に規定する連結欠損金額に係る法人税法第八十一条の三十一第一項の規定の適用については、同項中「当該連結確定申告書の提出と同時」とあるのは、「令和二年七月三十一日まで」とする。

 (印紙税の特例に関する経過措置)

第六条 第十一条の規定により印紙税を課さないこととされる同条第一項又は第二項に規定する消費貸借契約書で施行日の前日までに作成されたものにつき印紙税が納付されている場合には、当該納付された印紙税については、当該納付された印紙税を印紙税法第十四条第一項の過誤納金とみなして、同条の規定を適用する。この場合において、当該過誤納金に係る同条の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(財務・内閣総理大臣署名) 

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