衆議院

メインへスキップ



第2号 平成25年10月16日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十月十六日(水曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二号

  平成二十五年十月十六日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑


このページのトップに戻る

    午後一時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑

議長(伊吹文明君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。まず、海江田万里君。

    〔海江田万里君登壇〕

海江田万里君 民主党代表の海江田万里です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、安倍総理の所信表明演説に対し質問を行います。(拍手)

 まず、質問に先立ち、台風二十六号が猛威を振るっております。特に伊豆大島に甚大な被害を与えています。報道によれば、五十名以上の方が連絡がとれていないという状況であります。今、警視庁、消防庁は懸命に救出作業、捜索作業に当たっていますが、知事から自衛隊にも出動の要請があったようでありますので、時間との勝負でございます。ぜひ、国も全力を挙げて、被害を少しでも少なくするよう御努力をいただきたいと思います。

 そして、この台風二十六号を初めとした相次ぐ自然災害によって亡くなられた方に、心から哀悼の念をささげます。同時に、被災された多くの方々に、心よりのお見舞いを申し上げます。

 私ども民主党では、こうした自然災害に対し、速やかに被災現場に赴き、現地の方々の生の声を丁寧に伺い、政府にも要請をしてまいりました。

 私が訪れた青森県のリンゴ農家は、新たな植樹への融資は行えると聞いたけれども、それよりも何よりも、集荷間際になって被害に遭ったわけでございますから、集荷ができない、出荷ができない、そのことによって収入が途絶えて、途方に暮れているという生の声をお聞きいたしました。

 また、竜巻災害では、自治体単位の被害状況の違いで被災者個人への国からの支援に差がつかないようにできないかという声もございます。

 被災者の実態を踏まえて、救済のための施策を講ずるべきであります。安倍総理には、ぜひとも、被災者にきめ細かな、温かい対応をお願いいたします。

 さて、ここで指摘をしなければいけないのは、今国会の召集がおくれにおくれたことであります。

 我が国、世界では、この間、大きな問題が次々に起こっています。その一つ一つをここで申し上げるわけにはいきませんが、まさに、国会が閉じていた三カ月半の間、世界は動いており、日本は動いており、国会はとまっていたのであります。

 私たちは、憲法五十三条の規定により、参議院で四分の一以上の署名を集めて、政府に国会の召集を迫りました。ところが、政府は、これを全く無視し続け、ようやく十月十五日、昨日からの国会開会になったわけであります。

 国会の開会をおくらせ、その一方で、総理は頻繁に会見を開き、国会を閉じたまま議論を避けるということは、国民の声を聞かないということにほかなりません。国会の開会がかくもおくれたことに、安倍政権の猛省を促したいと思います。

 さて、二〇二〇年、オリンピック、パラリンピックが東京にやってくることになりました。招致に尽力をされた全ての皆様の努力に敬意を表します。

 民主党は、政権与党の時代から招致に取り組んでまいりましたが、東京オリンピック・パラリンピックが、平和友好の祭典として世界じゅうの人々に夢、希望、そして感動を与える大会となるように、全力で協力していくことを表明いたします。

 一方、日本がこのスポーツの祭典で世界に発信すべきことは何でしょうか。

 一つは、世界の多くの国々、地域、人々から励まされ、御支援をいただいた大震災からの復興、そして原発事故の克服に向けた全国民の努力の成果を、世界じゅうの人々に見ていただくことであります。

 そしてもう一つは、オリンピック、パラリンピックは、平和友好の祭典である以上、近隣諸国を含めて世界じゅうの国と国民が、平和と友好の促進を心から誓い合えることではないでしょうか。

 そのためには、七年後ではなく、今からその努力が問われます。

 安倍総理、道を過たず、真摯にこの二つの課題に取り組んでいただくことを切に願います。

 原発事故との戦い、廃炉に向けた作業は、これからも続く長く険しい道のりであります。昨年の政権交代により、安倍内閣に任務は引き継がれたわけですが、民主党としても最大限の協力を続ける決意であります。

 しかし、汚染水漏れや汚染水処理のトラブルが頻発しています。

 安倍総理は、九月七日の国際オリンピック委員会総会で、状況はコントロールされていると発言されました。直後に、東京電力の技術責任者は、私たちの現地調査に対して、状況はコントロールされているとは言えないと明言しました。総理、今でも、状況はコントロールされているとお考えでしょうか。率直な所見を求めます。

 また、総会で、周辺地域の放射線被曝による人間の健康問題は、これまでも、現在も、そして将来もないことを保証すると発言されましたが、一体何を根拠に、これまでも、現在も、そして将来もないことを保証しているのでしょうか。根拠をはっきりとお示しください。

 福島の再生なくして日本の再生なしという決意と姿勢に揺るぎがあってはなりません。安倍総理に、原発事故との戦い、汚染水問題への対処について、改めて決意と対策を伺います。

 先日、水銀に関する水俣条約が、約百四十の国と地域が参加した熊本会議で採択されました。条約に水俣の名前がつけられたことは、水俣病の悲惨さを忘れない意味でも大きな意義があると思います。

 しかし、水銀による被害は克服されたとの総理のビデオメッセージに違和感を覚えた人は少なくなかったと思います。特に、水俣病で長年苦しんできた方々は、水俣病自身の被害の全容解明や被害者救済、汚染地点の浄化もまだ十分ではない、克服されたと言い切ることはできないと指摘をしています。

 汚染水のアンダーコントロール発言、被曝による健康被害問題発言を含めて、言葉が極めて軽いと言わざるを得ません。どうか、一番傷ついている人々、犠牲になってきた人々の心に届く言葉を発していくようにしていただきたいと存じますが、反省のお言葉があれば承ります。

 私は、先日、気仙沼をお訪ねしました。そして、市役所で市長からいただいた要望書の最初の項目に、オリンピック関連事業が被災地復興の妨げにならないようお願いしたいとありました。

 ブエノスアイレスのオリンピック・パラリンピック東京招致活動で、すばらしいスピーチをした佐藤真海さんは気仙沼の出身であります。ですから、市長も、オリンピック、パラリンピックの東京開催を喜んではいますが、同時に、復旧復興がさらにおくれないかと心配をしているのであります。

 被災地の復旧復興に最優先、最速で取り組み、五年間の集中復興期間を終えても必要な措置は延長すると、ここでお約束ください。

 次に、社会保障と税の一体改革についてお尋ねします。

 社会保障と税の一体改革の大きな柱は二つありました。一つは、消費税は全額社会保障に使うこと。もう一つは、二〇一五年十月の五%の増税分のうち、税率にして四%分は現在借金で賄っている社会保障制度を安定化させるために充て、国債発行を減らして将来世代の負担を減らすこと、そして、税率の一%分は社会保障制度の充実に充て、全世代型の社会保障を実現することであります。

 しかし、安倍内閣の改革は、社会保障を置き去りにして、消費税増税と法人税減税との一体改革に変質しつつあるのではないかと、大変強い危機感を持っています。

 安倍総理は、消費税引き上げに際して、五兆円の経済対策を打ち出しました。この中身も、また来年度予算も、不要不急の公共事業がメジロ押しになるのではないかと危惧をしております。

 そこで、改めての確認でございますが、消費税は全額社会保障に使う、この点は間違いないのですね。そして、社会保障の安定化に見合う分は国債発行を必ず減額し、国の借金を減らすのでしょうか。国債発行を減額せず、社会保障以外に使うのであれば、事実上、消費税を社会保障目的外に流用することになります。安倍総理はいかに考えるのか、明快な答弁を求めます。

 あわせて、財政法の原則どおり、剰余金は二分の一以上、きちんと国債償還に充てるのか、この点についても明快にお答えいただきたいと思います。

 安倍総理は、経済対策の中で、復興特別法人税の前倒し廃止を打ち出しました。

 そもそも、復興特別法人税は、大震災復興を全国民でなし遂げるために、国民の皆さんが納める所得税の増税などとともに導入したものであります。にもかかわらず、黒字法人の税負担だけを軽減することは、きずな、連帯の精神にも反するのではないでしょうか。総理のお考えをお尋ねいたします。

 一方で、消費税引き上げで痛むのは国民の懐であるにもかかわらず、なぜ所得増税、住民税増税は継続するのか、これも理由をお聞かせください。

 また、総理は、復興特別法人税の一年前倒しでの廃止について、賃上げにつなげることを前提に行うと記者会見で表明されましたが、一体、どのくらいの賃上げがどの程度の広がりを持てばよしとされるのでしょうか。また、賃上げの実効性をどう担保されるのでしょうか。この場で国民に御説明をお願いいたします。

 低所得者や年金生活者などに対する逆進性対策という位置づけで政府が実施しようとしている簡素な給付措置は、かわりの対策が確立するまでは継続的に行うものであり、まさか一回限りではないと考えますが、安倍総理のお考えをお聞かせください。

 あわせて、このたび示されました一年半分として一万円を支給するという給付案の算出根拠、住民税非課税世帯に限った理由も、この場で国民に御説明ください。

 前に述べたように、私たちは、五%の消費増税のうち一%、つまり、税収がふえた分の二割は社会保障の充実に充てることを国民の皆さんと約束しました。しかし、現政権は、来年の消費税増収見込み五兆一千億円のうち、社会保障の充実には五千億円しか配分しない意向と聞いています。これでは国民は到底納得しないのではないでしょうか。

 社会保障の充実と安定化の比率から考えて、充実には一兆円程度は充てるべきではないでしょうか。

 このような配分案の算出根拠はどのようなものか、五千億円の予算で社会保障をどのように充実させるのか、総理に伺います。

 さらに納得できないのは、社会保障の充実よりも、給付カット、負担増の議論が先行していることであります。

 政府は、介護保険から要支援対象のサービスを外し、ボランティア等を利用した市町村事業に移行すること、年収二百八十万円程度以上の方の介護サービス料を二割に引き上げることを検討しています。しかし、要支援の一と二に認定されている方の半数くらいは認知症とされ、中には徘回される方もおられ、決して症状は軽くはありません。

 私も、先般、施設を訪問し、切実なお話を伺ってきましたが、施設の職員の方も、利用している方々も大きな不安を抱いています。

 安倍総理は、支援を必要とするお年寄りを切り捨てようというのでしょうか。これが安倍総理の言う社会保障の安定と充実なのでしょうか。明快な答弁を求めます。

 消費税引き上げで国民の皆様に負担を求めるに当たって、身を切る改革は必須であります。

 安倍総理は、昨年十一月の党首討論で、議員定数削減をお約束されました。安倍総理、安倍自民党総裁は、議員定数削減を行う覚悟はあるのでしょうか。その覚悟があるなら、いつまでも頬かむりせず、この臨時国会で成案を得るべきではないでしょうか。

 与党だけでは決められないなどと逃げずに、もちろん私たちも協力するところは協力しますが、しかし、まず何よりも、最大与党である自民党はこうすると明快にお示しいただきたいと思います。

 また、行政改革は一体どこに行ったのでしょうか。

 民主党政権で決めた特別会計改革、法人数の四割削減に向けた独立行政法人改革などを、安倍内閣は本年一月に凍結しました。

 行政改革について、いつまでに何をやりますか。また、どの程度の歳出削減、抑制効果を目標としますか。はっきりと国民に御説明いただきたいと思います。

 次に、安倍内閣の経済政策について伺います。

 安倍総理は、企業の収益拡大を賃上げにつなげ、景気の好循環を目指すと説明されています。しかし、安倍内閣の成長戦略は、既に民主党政権時代に打ち出した内容の焼き直しにしかすぎません。加わったことは、労働法制の改悪と賃金上昇なき物価の上昇による、雇用不安及び格差の拡大であります。

 具体的に伺います。

 まずは、国家戦略特区です。

 民主党は、働く人たちを使い捨てにする企業を大量生産することになる解雇特区など、断じて認めることはできません。

 そもそも、勤労の権利、勤労条件の基準を定める憲法二十七条、法のもとの平等を定める憲法十四条に抵触しないのかどうなのか、総理のお考えを伺います。

 安倍内閣の政策は、雇用を不安定化するものばかりであり、これでは、企業収益が伸びても、賃金は上昇どころか下降し、景気の好循環は生まれないのではないでしょうか。そして、若者や女性の雇用と所得の向上も、かけ声倒れに終わるのではないでしょうか。総理の見解を伺います。

 現実を見ても、非正規雇用者の増加により、賃金はほとんど上がっていません。他方で、物価は上昇傾向にあります。民主党は、国民一人一人の所得、収入を上げることが肝心と考えます。

 安倍総理から国民の皆さんに、いつ、どのような水準で国民一人一人の所得、収入が上がるのか、明快にお示しください。

 賃金上昇の核心は、雇用の七割を担う中小企業に働く人々の賃金をどう引き上げるかにあります。しかし、中小企業の現実はどうでしょうか。

 品川区の小規模企業を訪れた際には、円安で原材料が上がって、マイナスの影響の方が多い、あるいは、下請企業の利益は下がっているという切実な声を聞きました。まさに、円安によるコスト増加のしわ寄せが来ています。そして、消費税の増税で、価格転嫁ができるのかの不安があります。

 総理は、こうした中小企業の現状をどう認識し、どのような手当てを講ずる考えでおられるのか、伺いたいと思います。

 民主党は、消費税の転嫁対策に万全を期すことはもとよりとして、買いたたき防止など、原材料高騰対策を初め、中小企業の投資促進減税や雇用促進減税の推進、社会保険制度の改革など、我が国を支える中小企業の実態に合った支援を進めます。総理の中小企業対策を具体的にお示しください。

 次に、TPP交渉についてお伺いいたします。

 安倍総理は、本年三月にTPP交渉参加表明を行いましたが、その際、交渉力を駆使し、我が国として守るべきものは守り、攻めるものは攻め、国益にかなう最善の道を追求していくと宣言しました。

 また、自民党は、昨年末の衆議院選挙で、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対との公約を掲げ、政権に復帰しました。ことしの夏の参議院選挙政策でも、自民党は、重要五項目等の聖域を最優先し、確保できない場合は脱退も辞さないとしています。

 ところが、今になって急に、自民党幹部から農産物の重要五項目について大きく妥協するかの発言が堂々と行われ、国民の間には公約違反だとの声が上がっています。

 安倍総理・自民党総裁として、五百八十六品目とされる重要五項目について、妥協するのか、断固として守るのか、そして、食の安全、安心などの分野でも自民党が選挙で提示した条件は守られるのかどうなのか、この場で国民にはっきりと説明責任を果たしていただきたいと思います。

 民主党は、農林漁業を、成長戦略、地域活性化の大きな柱の一つと位置づけています。

 私たちは、農業者と対話を進め、戸別所得補償制度をつくり上げてまいりました。今や、この制度は定着しています。

 ここは、日本農業のため、メンツや意地を捨てて、安倍内閣も、農業者戸別所得補償制度の安定化、そして法制化を進めるべきではありませんか。あわせて、畜産・酪農所得補償制度の導入、六次産業化などの具体策をまとめていくべきです。安倍総理の答弁を求めます。

 また、漁業、林業に対する支援もしっかり講ずるべきです。国産材の利用促進策、漁業者所得補償制度などを強力に推進するべきでありますが、総理の見解を求めます。

 さて、日本は、戦後、平和憲法のもと、平和主義に基づいて歩んできました。これは、例えば外務省の対日世論調査において、日本のイメージを聞くと、インドでは、先進技術を有する国のその次に、平和を愛する国が挙げられております。昨年末のスペインでの調査では、日本は平和主義であるという答えが七〇%以上であったことからも、よくわかります。

 平和国家日本は、戦後私たちが培った貴重な我が国のブランドイメージであります。

 さて、総理は、さきの国連総会における一般討論演説や昨日の所信表明演説で、積極的平和主義という言葉を使っています。しかし、総理自身から国民に対して積極的平和主義の詳しい説明はなく、総理のふだんの言動に照らして、総理は平和を名目に軍事力をもっと前面に出したいのだという受けとめもできるわけであります。

 そして、アメリカで、自分を右翼の軍国主義者と呼びたければ呼べなどと発言したことは、私は非常に驚きました。なぜこのような発言をアメリカでしたのか、その真意を伺いたいと思います。

 そして、平和主義という日本のブランドを壊す可能性のある積極的平和主義とは一体何なのか。これまでの日本の外交、ハイチや南スーダンでのPKO、そしてソマリア沖・アデン湾の海賊対処などは、言葉だけの消極的平和主義であったとでもおっしゃるのでしょうか。

 これまでの国際貢献の何がいけなかったのか、積極的平和主義によってこれをどう変えようというのか、総理のお考えをはっきりとお示しいただきたいと思います。

 先日、韓国政府が、北朝鮮による原子炉再稼働を確認したという報道がありました。拉致、核実験、ミサイルなど、北朝鮮が地域の平和と安定を脅かす行動を続けていることは、まことに遺憾です。総理に改めて政府の対応を伺います。

 また、政府が法案を検討している特定秘密の保護についても伺います。

 政府は、先般、国民に概要だけを示し、意見募集を行いましたが、期間はわずか二週間でありましたが、その二週間でも九万件に及ぶ意見が寄せられ、その八割が反対であったと聞きます。

 特定秘密の範囲が不明確である、正当性、妥当性のチェックができるのかという疑問、恣意的指定へのおそれ、特定秘密解除後の取り扱いがない、情報を扱う者への適性評価制度への懸念、報道や民間人を含め、処罰対象となる行為や範囲などが曖昧であることなど、国民各界から多くの懸念の声が上がっています。

 総理は、こうした国民の大きな懸念の声をどう受けとめておられるのでしょうか。また、特定秘密の保護と国民の知る権利、報道の自由との関係についてどうお考えなのか、お考えをお聞かせください。

 民主党は、国民の知る権利を充実させ、開かれた政府を進めるために、情報公開法の改正案を国会に提出し、公文書管理に対しても積極的に取り組んできました。情報公開法の改正の必要性、公文書管理の拡充についての総理のお考えを伺います。

 次に、憲法改正についても伺います。

 去る八月十二日、総理は、憲法改正に向けて頑張っていく、これが私の歴史的な使命だと発言しています。また、総選挙後、総理は、最初に行うことは九十六条の改正だと述べ、本年四月の時点では、私は第九十六代の首相で、九十六条を変えたいと豪語していました。

 九十六条から憲法改正を始める考え方は今も変わりませんか。あるいは、当座は九十六条を先送りして別の条文から始めることもあり得るのですか。その場合、一体何から始めるのでしょうか。

 民主党は、九十六条先行改正には反対です。そして、立憲主義こそ憲法の根幹と考えていますが、総理の所見を求めます。

 また、総理は、内閣法制局長官を集団的自衛権行使に積極的な元外務官僚にすげかえ、集団的自衛権を行使できないという現在の政府見解を変更することに積極姿勢を示しています。歴代の自民党内閣の方針を考えれば、私ども民主党には、安倍総理の思いは到底理解できません。

 集団的自衛権行使に関する政府解釈をなぜ今変えなければならないのか、なぜ解釈変更なのか、いつ、どのような内容にすることを意図しているのか、国政の重大事項である以上、この場で明確に存念を述べていただきたいと思います。

 最後に、総理に一言申し上げます。

 総理は、昨日の所信表明演説で、意志の力という言葉を何度も強調しました。確かに、物事を前に進めるに当たって断固たる決意を持つことは不可欠です。

 しかし、安倍総理の演説を聞いていて私が思い出したのは、意志の言葉を好んで使った独裁者のことであります。彼は、演説で、民族の意志の力を強調し、その実は、みずからの意志、すなわち権力者の意志に基づいて世界を破滅のふちに追いやったというのが歴史的事実であります。

 安倍総理の所信表明は、政策の中身を含め、この国をどの方向に導きたいのかという方向性は明示されないまま、みずからの意志の力のみが強調されているように聞こえてなりません。

 与党が圧倒的多数を獲得した今こそ、実るほどこうべを垂れる稲穂かなという言葉をかみしめ、国民の声、世界の人々の声に耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。

 民主党は、この国の方針を過たないよう、安倍内閣、巨大与党に対峙していくことを表明し、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 答弁に先立ちまして、まず、台風二十六号による大雨により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被害に遭われている方々に対してお見舞いを申し上げます。

 政府としては、関係機関一体となって、被災者の救出救助活動に全力を尽くすとともに、ライフラインの早急な復旧などの応急対策に総力を挙げて当たってまいります。

 海江田万里議員の御質問にお答えをいたします。

 汚染水問題についてのお尋ねがありました。

 福島第一原発では、貯水タンクからの汚染水漏えいなどの個々の事象は発生していますが、福島近海での放射性物質の影響は、発電所の港湾内の〇・三平方キロメートルにブロックされています。このため、全体として状況はコントロールされていると考えています。

 食品の放射性物質については、国際的な考え方に準拠して定めた基準値に基づき、厳格な安全管理体制をしいています。

 先般決定した汚染水問題に関する基本方針に基づき、さまざまな対策を講じるとともに、世界の英知を活用しつつ、予防的かつ重層的な対策を講じていくことにより、汚染水問題の解決に向けた取り組みをしっかりと進めてまいります。

 被災地の復旧復興を最優先、最速で取り組み、集中復興期間後も必要な措置を延長することについてお尋ねがありました。

 復興は内閣の最重要課題の一つであり、私自身、幾度となく被災地を訪問し、絶えず現場の声に耳を傾けながら取り組んでおります。この方針に、いささかの変わりもございません。

 政府の復興基本方針においては、復興期間は十年間とし、復興需要が高まる最初の五年間を集中復興期間と位置づけるとともに、事業の進捗を踏まえて、集中復興期間の後の施策のあり方を定めることとしています。

 復興をなし遂げた東北の姿を東京オリンピック・パラリンピックで世界に発信できるよう、引き続き復興の加速化に全力で取り組んでまいります。

 消費税収の使途と決算剰余金の取り扱いについてのお尋ねがありました。

 消費税収については、今回決定した三%の引き上げ分を含め、現行の地方消費税一%分を除き、全額社会保障財源化することとしています。

 このうち、お尋ねの社会保障の安定化に見合う部分については、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げの恒久化などに活用するほか、後世代への負担のツケ回しの軽減につなげ、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指してまいります。

 なお、決算剰余金の扱いにつきましては、財政法上、別途の法律によらなければその二分の一を下回らない金額は公債の償還財源に充てることとなっており、こうした規定に基づき、適切に判断していきたいと考えています。

 復興特別法人税の前倒し廃止の検討についてのお尋ねがありました。

 強い経済を取り戻すことは、被災地にも大きな希望の光をもたらします。日本経済の持続的な成長のため、企業の収益が改善し、それが個人の所得の拡大、そして消費の拡大につながっていく好循環を実現していく必要があります。

 復興特別法人税の廃止は、こうした考え方に立って、足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に検討するものです。

 また、個人に対しては、簡素な給付措置、住宅ローン減税の充実なども講じることとしています。

 今般の経済政策パッケージでは、これらにより、社会保障の充実や安定などのためにお願いする個人の負担を緩和しながら、同時に、将来にわたって賃金上昇、雇用拡大を実現するための未来への投資を行うこととしたものであります。

 なお、復興特別法人税の廃止を行う場合であっても、現在二十五兆円程度の集中復興期間における復興財源を確実に確保してまいります。

 復興特別法人税の前倒しでの廃止と賃上げについてのお尋ねがありました。

 復興特別法人税の前倒しでの廃止については、足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に検討するものであり、企業収益の拡大により賃金を引き上げる企業等が増加し、これを契機に賃金水準全体の上昇が促され、さらに消費の拡大や収益の向上が生じることで、日本全体で賃金上昇を含む経済の好循環が実現できるような広がりとなることを目指してまいります。

 また、個別の賃金水準自体は労使交渉で決められるものと考えておりますが、復興特別法人税の廃止を賃金上昇につなげられるよう、廃止を検討する趣旨を経済界などに明確に説明し、賃金の引き上げ等に積極的に取り組むことを要請するとともに、各団体や企業の取り組みについて積極的に情報発信するよう協力を求め、あわせて、賃金の動向を調査し、効果を検証し、その結果を適切な形で公表します。

 簡素な給付措置についてのお尋ねがありました。

 簡素な給付措置は、消費税率の引き上げに際し、低所得者に与える負担の影響に鑑み、税制抜本改革法に基づき、暫定的、臨時的措置として実施するものです。

 具体的には、平成二十七年九月末までを対象に、消費税率の引き上げによる一年半分の食料品の支出額の増加分を参考に、一人当たり一万円の給付を行うこと、給付対象者について、実務上の対応可能性や社会保障各制度における低所得者の範囲との整合性を踏まえ、市町村民税の均等割が課税されていない者を基本とすること等を、与党における御議論も踏まえ、先般、決定いたしました。

 簡素な給付措置の平成二十七年十月以降の取り扱いについては、税制抜本改革法に基づき、給付つき税額控除や複数税率の検討状況等を踏まえ、検討してまいります。

 来年度の社会保障の充実についてお尋ねがありました。

 平成二十六年度の消費税率引き上げによる増収分については、民主党政権における考え方と同様に、三兆円弱を基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げの恒久化に充て、残余についても、それ以外の社会保障の安定化と充実に向けてまいります。

 これにより、社会保障の充実については〇・五兆円程度を向けることとし、待機児童解消加速化プランの推進を初めとする子育て支援や、国民健康保険制度等の低所得者保険料軽減措置の拡充などに、確実に取り組んでまいります。

 また、この社会保障の充実に向ける金額は、消費税率引き上げによる消費税収の増加に応じて段階的に拡大させてまいります。

 介護保険制度改革についてのお尋ねがありました。

 介護が必要な状態となっても住みなれた地域での暮らしを継続できるようにするためには、在宅サービスなどを充実しつつ、受益と負担の均衡のとれた制度としていくことが必要です。

 このため、現在、政府においては、要支援者への多様なサービスをより柔軟かつ効率的に行うための予防給付の見直しや利用者負担のあり方などについて、高齢者の所得の状況などに配慮しつつ、検討を進めてまいります。

 これらの改革を通じて、持続可能で安心できる介護保険制度としてまいります。

 議員定数削減についてお尋ねがありました。

 議会の定数に関する問題は、議会政治の根幹にかかわる重要な課題であり、国民からの負託を受けた与党がリーダーシップを発揮し、各党各会派と真摯に議論を行い、早期に結論を得ることが大切と考えております。

 衆議院の選挙制度改革については、自由民主党から、国会のもとに、客観的な議論を行う、民間有識者による第三者機関を設けることを提案したところです。各党各会派にも御協力いただき、建設的な議論を進め、現在の膠着状況を打破し、決める政治によって、国民の負託にしっかりと応えてまいる所存です。

 行政改革についてのお尋ねがありました。

 まず、特別会計改革については、平成二十六年度から改革を実施できるよう、今国会への法案提出に向けて準備を進めております。

 また、独立行政法人改革については、年末に向けて、個別法人の組織見直しなど、さらに検討を進めるとともに、平成二十七年四月からの改革実施を目指して、必要な法制上の措置を早期に講ずるよう進めてまいります。

 さらに、無駄の撲滅については、行政事業レビューの取り組みを徹底し、行政改革推進会議において各府省の点検結果をチェックしていくこととしており、毎年度の予算編成において、可能な限りの歳出削減、抑制に努めてまいります。

 国家戦略特区についてのお尋ねがありました。

 安倍内閣の基本方針は、成熟産業から成長産業に円滑に人材が移動する、失業なき労働移動の実現です。

 現在、国家戦略特区において検討中の雇用改革は、ルールの明確化等により雇用拡大を目指すものです。解雇特区などというレッテル張りは、事実誤認であり、不適切であります。

 また、地域特性に応じてさまざまな規制の特例措置を設ける特区制度は、憲法の趣旨にもかなったものです。

 今後とも、若者、女性を含め、頑張る人たちの雇用の拡大を目指してまいります。

 安倍政権の雇用政策に関するお尋ねがありました。

 安倍内閣としては、女性も若者も、全ての人々が生きがいを感じ、何度でもチャンスを与えられる社会を目指しております。こうした考え方も踏まえ、先般、経済の好循環実現に向けた政労使会議を立ち上げたところです。

 企業収益の拡大が賃金の上昇や雇用の拡大につながり、消費の拡大や投資の増加に結びついていくという好循環を実現するため、政労使で、課題解決に向けた共通認識を醸成してまいります。

 賃金の状況については、夏季のボーナスは三年ぶりの増加となり、また、ことしの春闘について、連合の集計結果によると、ベースアップを行う企業の割合が、五年ぶりに二桁になりました。

 引き続き、三本の矢を着実に推進し、政労使の連携も深めながら、経済成長を早期に雇用拡大や賃金上昇につなげ、全国津々浦々まで景気回復の実感を届けられるよう取り組んでまいります。

 中小企業対策についてのお尋ねがありました。

 中小企業、小規模事業者の業況については、私が総理に就任して以降、改善傾向にあります。今後、さらに多くの事業者の方々が景気回復を実感できるよう、消費税転嫁対策や下請取引の適正化に万全を期すとともに、投資促進税制の拡充や投資補助金などの設備投資支援策を講じ、中小企業の競争力強化を図ります。

 TPPについてのお尋ねがありました。

 我々は、選挙でお示しした公約は、たがえてはならないと考えています。食の安全、安心についても、交渉を通じて守っていかなければならないと考えています。

 交渉はこれから本格化します。守るべきものを守り、攻めるべきものを攻め、国益を追求するという政府の方針に、何ら変更はありません。

 戸別所得補償など農林漁業政策についてお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現していく決意です。

 このため、農林水産業・地域の活力創造本部において検討を進め、農地集積バンクの具体化や、戦略的な農林水産物の輸出促進とあわせて、農林漁業成長産業化ファンドの出資による六次産業化の推進などにしっかりと取り組んでまいります。

 旧戸別所得補償制度については、今後、将来に向けて安定的な新たな仕組みとなるよう、適切に見直しを行ってまいります。

 また、畜産業については、経営安定対策の着実な実施を進めてまいります。

 さらに、木材需要の創出に向け、新たな木材製品の開発や、住宅での国産材利用の促進を図るとともに、持続可能な漁業の実現に向け、漁業者に対する経営安定対策を図るなど、林業、水産業についても、必要な施策をしっかりと進めてまいります。

 米国における私のスピーチについてのお尋ねがありました。

 御指摘のスピーチでは、安倍内閣になって、十一年ぶりに防衛予算を増額したこと、初めて日本版のNSCをつくろうとしていること、また、初めて国家安全保障戦略を策定しようとしていることなどを説明しました。

 その中で、防衛費については、我が国の隣国の軍事費は倍であり、過去二十年以上にわたって毎年一〇%以上増額してきていること、これに対して、我が国が増額した防衛予算はわずか〇・八%にすぎないことを説明しました。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、我が国の平和と安全を確保するために行ったものであり、決して軍国主義的なものとは言えないことを強調するために、皮肉を込めて、あえて御指摘の表現を用いたところであります。会場におられた方々には、もちろん私の意図は十分に伝わった、このように確信をしているところでございます。

 積極的平和主義についてのお尋ねがありました。

 我が国は、これまでも、PKOや海賊対処等、可能な限り国際社会の安定化に寄与してきました。しかしながら、近年、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威は深刻度を増すとともに、サイバー攻撃のような、国境を越える新しい脅威も増大しています。

 このような状況のもとでは、もはや我が国のみでは我が国の平和を守ることができません。我が国の平和を守るためには、地域や世界の平和と安定を確保していくことが必要です。

 このような認識のもとに、私は、我が国が、国際協調主義に基づき、世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献する国になるべきとの考えを、積極的平和主義として掲げました。我が国の平和国家としての根幹が不変であることは言うまでもありません。

 積極的平和主義の具体的な施策については、安全保障と防衛力に関する懇談会における議論も踏まえ、国家安全保障戦略等を策定する中において検討していきたいと考えています。

 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。

 北朝鮮による核・ミサイル開発の継続は、我が国を含む地域、国際社会全体の平和と安全に対する重大な脅威です。また、拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であり、国の責任において解決すべき喫緊の最重要課題です。

 我が国は、今後とも、対話と圧力の基本方針のもと、日朝平壌宣言に基づき、関係国とも緊密に連携しつつ、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、北朝鮮が具体的な行動をとり、対話に応じるよう、圧力をかけ続けます。

 特に拉致問題については、私の内閣で完全に解決する決意であり、この問題の解決を抜きに日朝の国交正常化はあり得ません。

 特定秘密保護法案についてお尋ねがありました。

 情報漏えいに関する脅威が高まっている状況や、各国との情報共有は情報が各国において保全されることを前提に行われていることに鑑みると、秘密保全に関する法制を整備することは喫緊の課題であります。

 一方、国民の知る権利や報道の自由についての配慮も重要なことであると認識しております。

 政府としては、意見募集において寄せられた御意見なども参考にしつつ、適切に対応してまいります。

 情報公開と公文書管理についてのお尋ねがありました。

 情報公開や公文書管理は、行政が国民に対し説明する責任を果たすために重要なものであり、今後とも、両者がともに適正かつ円滑に実施されるよう取り組んでまいります。

 憲法改正の進め方についてのお尋ねがありました。

 憲法改正については、自由民主党の憲法改正草案の発表を一つの契機として国民的な議論が始まりましたが、今後、国民の中で議論がさらに深まっていくことが何より大切だと考えています。

 お尋ねの九十六条の改正は、国会による憲法改正の提案を容易にし、国民投票で国民が判断する機会を得やすくするものと考えていますが、実際にどの条項から改正していくかについては、国民的な議論の深まりの中において判断されるべきものと考えております。

 集団的自衛権についてお尋ねがありました。

 現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、前回の報告書が出されて以降、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、我が国の平和と安全を維持するため、どのように考えるべきかについて検討が行われています。

 政府としては、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えております。

 以上であります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次の質疑者、高村正彦君。

    〔高村正彦君登壇〕

高村正彦君 私は、自由民主党を代表して、安倍内閣総理大臣の所信表明演説に対して質問をいたします。(拍手)

 昨日来の台風も含め、ことしは、夏から秋にかけ、全国各地において、豪雨や竜巻などの大きな自然災害が相次いで発生しました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。

 私の地元の山口県も、豪雨により、大きな被害を受けました。

 安倍総理は、八月四日に被災地を訪問され、早期復旧に全力を挙げると約束されました。災害復旧事業で国の補助率を引き上げる激甚災害の指定、被災者生活再建支援法の適用、普通地方交付税交付金の繰り上げ交付など、全国の被災地の要望に対し政府が迅速に対応したことに感謝をいたします。

 世界規模で異常気象が頻発する中で、経験したことのない大雨が恒常化し、今後は、経験したことのない大雨でなくなる可能性も否定できません。政府としても万全の体制を構築した上で十分な対策を講じていくことを求めます。

 先月、ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会において、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催都市に東京が選ばれました。

 招致レースを競い合い、開催計画の質を高め合ったマドリード市、イスタンブール市の皆様に心から敬意を表するとともに、東京招致に尽力された関係者の皆様の努力に対し、深い感謝の意を表する次第であります。

 一九六四年以来、五十六年ぶりの東京開催をかち取った要因は、最終プレゼンテーションに見られるように、前回の招致活動の反省を生かし、チーム・ジャパンの皆様が一丸となって、周到な準備をした上で招致活動に取り組んだこと、前回の東京オリンピックから日本人が積み上げた、日本なら安心して確実に大会を運営できるという信頼があったのではないでしょうか。

 安倍総理も、東京オリンピック・パラリンピック開催をアベノミクス第四の矢と位置づけ、諸外国の訪問の際、みずから率先して招致を呼びかけるなど、積極的に活動されました。間違いなく、日本を明るくし、多くの国民の皆様に希望を与えました。

 これからは、大会の成功に向け、オール・ジャパン一丸となって取り組まなければなりません。

 老朽化したインフラの整備、パラリンピックの選手にも安心していただける環境整備、バリアフリー化も重要な課題であります。我が党も、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致推進本部を実行本部に改組し、東京だけでなく、東日本大震災の被災地、日本全体の活性化につなげられるよう、大会成功に向けて積極的に支援をしてまいります。

 政府としてもどのように取り組まれるのか、総理の決意表明とあわせてお伺いをいたします。

 東京オリンピック・パラリンピック開催決定の一方、決して忘れてはいけない課題があります。総理がIOC総会のプレゼンテーションでも言及された汚染水の問題です。

 総理は、汚染水問題については、東電任せにせず、政府が前面に立ち解決に当たることを明言されました。

 初動の段階で対応を東電任せにした結果、東京電力の対応が常に後手に回り、貯蔵タンクから汚染水漏れが相次ぎ、場当たり的であったことは明白であり、総理の発言は極めて妥当であると考えます。この問題については、国が責任を持って取り組むべきものであり、万全の対策を講じなければなりません。

 なお、汚染水の問題は、日本だけの問題ではなく、世界各国からの関心も高く、厳しい視線も注がれています。我が国の信頼を確保するためにも、汚染水の現状と今後の対応、見通しについて答弁を求めます。

 東日本大震災から二年半が経過しました。

 アンケート調査によれば、多くの自治体から、政権交代してよくなったとの評価をいただいております。他方で、復旧復興の進捗状況については、六割超の自治体の方々から、おくれているとの厳しい指摘もなされております。

 間もなく、寒い冬がやってまいります。多くの方々におかれては、寒い仮設住宅から安全、安心に過ごせる復興住宅に住んでいただくことができるよう、政府・与党はこれまで以上に尽力しなければなりません。復興に向けた総理の確固たる決意を改めてお聞かせください。

 少子高齢化社会の中で、社会保障を安定、充実させるための財源を確保するとともに、財政の健全化を図るべく、昨年、自民党、公明党、民主党の三党は、消費税率を二段階に分けて一〇%まで引き上げることに合意し、社会保障と税の一体改革法案は成立に至りました。

 与野党が、その垣根を越え、ともに将来世代に対して責任を分かち合う、歴史的な合意であったと考えます。

 安倍総理におかれても、十月一日の記者会見で、消費税率を、法律で定められたとおり、現行の五%から八%に、三%引き上げることを表明されました。

 総理は、かねてから、消費税引き上げについては、ことし四月から六月の経済指標などを踏まえ、経済情勢をしっかりと見きわめながら判断するという趣旨の発言をされてこられました。

 アベノミクスが順調に進んでいることもあり、各種の経済指標も改善の兆しを示しています。法律が成立した際に想定されたよりは、はるかによい経済状況にあり、消費税率を引き上げるのは、極めて妥当な判断だと考えます。

 今でも、消費税収は、基礎年金、老人医療、介護に充てることとされています。しかしながら、毎年一兆円以上もふえ続けている社会保障費を賄うことはできないままにあり、将来世代への負担のツケ回しが続いています。社会保障制度を安定させていくために、消費税率の引き上げは不可欠であります。

 また、社会保障制度そのものの改革も不可欠であり、消費税増収分と社会保障給付の重点化、効率化により必要な財源を確保しつつ、さまざまな改革を行うとする法制上の措置の骨子が閣議決定され、これに基づく法案が提出されたところであります。

 総理の、消費税率引き上げの決断の意図とあわせて、持続可能な制度の確立に向けて、社会保障制度改革へ取り組む覚悟をお聞かせください。

 消費税率を引き上げることによる経済への影響は十分に考慮しなければなりません。そのマイナスの影響を最小限に抑え、長引くデフレからの脱却と経済再生の流れをとめない施策をしっかりと講じることは、当然必要なものと考えます。

 そういった観点から、五兆円規模にわたる経済政策パッケージが示されたことは、妥当なことと考えます。

 アベノミクス第三の矢でもある成長戦略は極めて重要であり、総理も、この国会を成長戦略実行国会と位置づけておられます。

 これまで、さまざまな成長戦略が策定されましたが、常に課題となってきたのは、いかに実行を伴うものとするかということであります。

 企業が果敢に挑戦し、経済が活性化していくための環境整備が求められ、規制改革やエネルギーの安定確保等、多くの課題が見込まれます。これまでとは次元の異なる成長戦略を策定し、実行するため、どのような手段を講じていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

 さらには、成長戦略が成果を上げて企業の収益が向上しても、それが賃金上昇や雇用拡大に結びつかなければ、消費の拡大を通じたデフレ脱却につながっていきません。経済の好循環をどう引き出していくかが重要であります。

 私は、経団連の皆様との会談の中で、デフレ脱却のため賃上げを要請したところですが、あわせて、我が党は、所得をふやそうという機運を盛り上げるための国民運動を展開してまいります。経団連の米倉会長も、茂木経済産業大臣との会談で、賃上げに積極的に取り組む姿勢を示されたところであります。

 賃上げや雇用拡大を実現するためにどのような施策を講じていくのか、具体的にお示しいただきたいと思います。

 今回の政策パッケージにおいて、復興特別法人税の一年前倒しでの廃止について検討することが盛り込まれました。これを取り上げる理由が企業による賃上げの実現のためである以上、確実に賃上げにつなげるべく、その道筋を示さなければなりません。

 また、被災地がいまだ復興の道半ばにある中では、復興特別法人税の廃止に見合う復興財源を確保することにとどまらず、今後の復興に関する支出増を踏まえた財源の手当てを示す必要があります。そういったことを通じて、国民の理解、特に被災者の皆様の十分な理解が得られるものと考えます。

 これらについて、総理のお考え並びに決意をお聞かせください。

 一体改革のもう一つの趣旨である財政健全化についてもお伺いいたします。

 我が党は、参議院選挙で、経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与する姿を目指し、財政健全化に取り組むことを約束しております。

 総理も、我が党の公約どおり、基礎的財政収支の赤字を二〇一五年度に半減し、二〇二〇年度に黒字化するという目標に向けて、大きな一歩を踏み出すことを十月一日の会見で表明されました。

 日本の財政状況に鑑みれば、国債発行が多額に上り、将来の負担がこれ以上増大することは許されません。

 既に安倍内閣として、消費税収の使い道である社会保障予算について、概算要求段階から合理化、効率化に最大限に取り組む方針を明らかにしていますが、財政健全化に向けた総理の御決意と、どのように社会保障分野など歳出の見直しに取り組み、二十六年度予算から着実に財政収支を改善していくのか、揺るぎない意思とともに、その具体策をお示しください。

 我が国の平和と独立を確保し、国民の生命財産を守ることは、政府の最も重要な責務であります。そのためには、正確かつ総合的な情勢判断に基づき、時代の変化に迅速かつ的確に対応した外交・安全保障政策を展開することが不可決であります。

 最近の我が国をめぐる国際環境は厳しさを増しております。

 アジア太平洋地域の戦略環境が変化し、米国のリバランス戦略によるアジア太平洋地域への関与の強化、中国の台頭、透明性を欠いたままの継続的な国防力の強化や海洋活動の活発化、北朝鮮の核やミサイル、拉致等の問題があります。世界的にも、テロの頻発や大量破壊兵器の拡散、地域紛争や民族紛争の激化といった新しい脅威が出現しております。

 我が国としても、このような脅威に適切に対応するためには、より幅広い国家安全保障の課題について、政治のリーダーシップのもとで、より実質的かつ機動的に議論を行うための新たな仕組みを検討することが必要となっております。

 現在の我が国の国家安全保障に関する政策は、各省を中心におのおの立案、決定されているものの、より幅広い外交、安全保障上の課題について、総合的、戦略的に政策を企画立案する体制が構築されておりません。

 安倍内閣では、こうした現実を直視し、外交と安全保障の国家戦略を政治の強力なリーダーシップにより迅速に決定できるよう、官邸における司令塔機能を再編強化することとしていることは、大いに評価できるものであります。

 その第一が、既に国会に法案を提出している、国家安全保障会議の創設であります。これにより、官邸における外交・安全保障政策の司令塔機能の強化が図られます。

 これとあわせ、我が国の国益を長期的視点から見定めた上で、我が国の安全を確保していくための国家安全保障戦略を策定されるものと伺っております。さらには、年末までに防衛大綱も見直されるとのことでありますが、南西地域の防衛態勢の強化を含め、自衛隊の対応能力の向上が図られるよう期待をいたします。

 こういったことから、外交・安全保障政策においても安倍内閣として着実な取り組みが見受けられますが、総理にお尋ねをいたします。

 総理は、国連やハドソン研究所のスピーチで、国際協調主義のもとでの積極的平和主義という理念を打ち出されました。なぜ、今、積極的平和主義を掲げることが重要なのか、その前提となる、日本が置かれた安全保障環境について、総理の現状認識を伺います。

 さらには、これを掲げる上で、我が国が世界の平和と安全に積極的に貢献するという姿勢が対外的にも見えることが重要であります。総理は、今後、具体的にどのような行動によって積極的平和主義を示していくのか、お答えください。

 特定秘密保護法案について伺います。

 安全保障上、外国等との情報共有の促進のためには、秘密保全に関する制度を法的基盤に基づく確固たるものとすることが重要であります。

 しかし、我が国の現行法令には、秘密の漏えいを防止するための管理に関する規定がない上、罰則の抑止力が不十分といった問題点があります。国の利益や国民の安全を確保するとともに、政府の秘密保全体制に対する信頼を確保する観点から、早急に法整備を行うべきと考えます。

 一方で、国民の知る権利、報道の自由が侵されるという懸念を示す方もおられます。

 特定秘密保護法案の必要性と、そういった懸念への対応について、総理の所見をお聞かせください。

 先日、インドネシアのバリで行われたTPP交渉は、進展が見られた一方で、妥結に向け、いまださまざまな課題があることが明らかとなりました。

 十月十日のブルネイでの記者会見で、総理は、自民党の選挙公約をたがえてはならない、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻め、国益を追求する政府の方針に何ら変更はないと明言されました。我が党としても、これと姿勢を同じくし、政府、与党が連携して国益の最大化を図っていく所存であります。

 バリでの首脳会談の成果に加え、交渉を成功裏に導くべく、総理のかたい決意をお聞かせください。

 総理は、第一次安倍内閣において、総理就任直後、中国を訪問され、胡錦濤国家主席とともに、両国の戦略的互恵関係を打ち立てられました。それが、前政権のときに戦術的互損関係ともいうべき状態に陥り、いまだそれを脱却できておりません。

 総理の、対話のドアは常に開いているとの発言は、極めて妥当であり、首脳会談実現のために前提条件をつけるのはおかしいとの発言も理解できます。一方で、首脳会談に向けて、何らかの事前折衝であうんの呼吸を整えることが必要なことも事実です。

 経済、文化等の分野で最悪期を脱しつつある動きが見られる中、戦略的互恵関係を取り戻すための総理のお考えをお聞かせください。

 総理は、九月七日に私を総理特使としてイランに派遣し、ロウハニ大統領と会談させました。これに続き、国連総会においては、二国間の首脳会談、外相会談が行われました。さらには、ロウハニ大統領とオバマ大統領との電話会談も実現いたしました。

 イランが核開発についての透明性を一〇〇%確保し、国際社会の信頼をかち取るとともに、国際社会がイランの核平和利用の権利を認めるという解決に向かって一歩進んだことは、喜ばしいことであります。このことは、中東全体の平和と安全に寄与すると同時に、我が国の国益にもつながるものと考えますが、総理の見解を伺います。

 総理が、その就任前から異次元金融緩和を主張されていた際、経済界を含めて、懐疑的、冷ややかな反応が見受けられました。にもかかわらず、総理は、千万人といえども我行かんの気概、気合いで自分の主張を貫かれました。それを受けて市場は反応し、円は安くなり、株は高くなりました。まさに、論より証拠ということになり、多くの人がこの異次元金融緩和を支持するに至っております。

 総理が、スタートにおいて、千万人といえども我行かんの気概、気合いを示し、ゴールにおいては、国民の多くがそれを支持して、千万人とともに我行かんという状態になったことは、まさに民主主義におけるリーダーシップの理想であります。

 今般の経済政策パッケージ、成長戦略も、総理の、何としてもデフレを脱却するのだ、そのために経済を好循環させるのだという気概、気合いに満ちております。その好循環の道筋を国民に理解していただく、そろばん勘定が合っていることをしっかり理解していただいて初めて、国民感情の納得が得られるものと考えます。

 国民の理解、納得を得られるよう、我々も全力を尽くします。

 内外にわたる重要課題を解決すべく、政府、与党で十分な調整を行って、意思統一を図りつつ、一丸となって総理の気合いを支えてまいりますことを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 高村正彦議員にお答えいたします。

 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会についてお尋ねがありました。

 二〇二〇年の東京大会においては、世界じゅうの一流アスリートがベストの競技をできるようにするとともに、海外から来られた方に最高のおもてなしを提供し、オリンピックの歴史に残るような大成功をおさめたいと考えています。

 今後、競技施設等の整備や、パラリンピック選手にも配慮した環境整備などを進めてまいります。

 東日本大震災の被災地を含め、日本全体が活力を取り戻す大会となるよう、昨日の本院における御決議の趣旨も踏まえ、政府一丸となって全力で取り組んでまいります。

 汚染水問題についてのお尋ねがありました。

 汚染水問題については、東京電力任せではなく、国が前面に出て取り組んでまいります。

 福島近海の汚染状況については、しっかりとモニタリングを行っており、その結果、放射性物質の影響は、発電所の港湾内の〇・三平方キロメートルにブロックされています。

 今後の対応については、先般決定した汚染水問題に関する基本方針に基づき、地下水を汚染源に近づけない、汚染源を取り除く、汚染水を漏らさないという三つの基本方針のもと、陸側遮水壁の設置や、高性能な多核種除去設備の整備、タンクの取りかえなどの対策を実施しています。

 また、国際社会に対し、さまざまな機会を通じて情報発信を丁寧に行っていきます。

 これらの汚染水対策を確実に実施していくとともに、世界の英知を活用しつつ、予防的かつ重層的な対策を講じていくことにより、汚染水問題の解決に向けた取り組みをしっかりと進めてまいります。

 復興に向けた決意についてお尋ねがありました。

 復興は、内閣の最重要課題の一つです。三年目となる次の冬は、被災者の皆様に希望を持って迎えていただけるよう、住まいの復興工程表を策定、公表するとともに、住宅再建など、復興の加速化に取り組んできました。

 高台移転や災害公営住宅の整備は、現在、用地取得や造成工事の段階に移ってきており、今後とも、現場主義を徹底し、用地確保や資材高騰などの残された課題に、きめ細かく、迅速に対応してまいります。

 被災地の復興なくして日本の再生なし。引き続き、復興の加速化に全力で取り組んでまいります。

 消費税率引き上げと社会保障制度改革についてのお尋ねがありました。

 急速な少子高齢化が進む中、財源を確保し、世界に誇る我が国の社会保障制度について、次世代に安定的に引き渡していくため、今般、消費税率の三%引き上げを予定どおりに実行することを決断しました。

 あわせて、経済政策パッケージを果断に実行に移すとともに、成長戦略を前に進めることにより、保険料収入や税収の基盤である、強い経済を取り戻してまいります。

 社会保障制度改革については、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を確立するため、改革の全体像、進め方を明らかにする法律案を今国会に提出したところであり、着実に改革を実施してまいります。

 成長戦略についてお尋ねがありました。

 安倍政権の成長戦略のポイントはスピードと実行であり、十月一日には、特に重要な施策について、当面の実行方針を明らかにしたところです。

 この方針に基づき、大胆な投資減税を断行するとともに、国家戦略特区や企業実証特例制度の創設などにより、地域単位、企業単位、全国単位の三層構造での規制・制度改革を推進します。岩盤とも言われる電力、医療、農業といった個別分野についても改革を断行します。

 こうした成長戦略の確実な実行を担保していくため、産業競争力強化法案に基づいて、それぞれの政策ごとに実施期限や担当大臣を明らかにするとともに、その進捗状況を検証する法的な枠組みを導入します。

 経済の好循環についてのお尋ねがありました。

 三本の矢で景気は順調に上向いてきており、経済再生への第一歩を踏み出しました。今後、成長を確かなものにし、その果実を全国津々浦々にお届けするために、経済政策パッケージを策定し、所得拡大促進税制の拡充などを盛り込んだところです。

 また、先般、政労使会議を立ち上げたところであり、賃金上昇や雇用拡大を伴う経済の好循環実現に向けた共通認識の醸成を政労使間で図ってまいります。

 こうした取り組みの中で、先日、経団連の米倉会長が、経団連としては、経済の好循環を実現するため、業績の改善を賃上げにつなげていくよう会員企業に伝えていきたいと発言されたと承知しています。

 今後とも、経済の好循環に向け、こうした動きが加速するよう、全力で取り組んでまいります。

 復興特別法人税に関するお尋ねがありました。

 復興特別法人税の前倒し廃止については、足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に検討するものであり、企業収益の拡大により、日本全体で賃金上昇を含む経済の好循環を実現することを目的としています。

 このため、廃止を検討する趣旨を経済界などに明確に説明し、賃金の引き上げ等に積極的に取り組むことを要請するとともに、各団体や企業の取り組みについて積極的に情報発信するよう協力を求め、あわせて、賃金の動向を調査し、効果を検証し、その結果を適切な形で公表してまいります。

 また、復興は、内閣の最重要課題の一つです。復興特別法人税の廃止を行う場合であっても、現在二十五兆円程度の集中復興期間における復興財源を確実に確保するとともに、今後も全力で復旧復興の加速に取り組むこととしております。

 こうしたことについて、被災地の方々を初め国民の皆様に、丁寧に説明してまいります。

 財政健全化に向けた決意と具体策についてのお尋ねがありました。

 政府としては、財政健全化目標の達成に向けて着実に取り組むこととしております。今後、中期財政計画に沿って、経済再生と財政健全化の双方の実現を目指します。

 そのため、平成二十六年度予算編成過程においては、社会保障予算についても、自然増を含め、合理化、効率化に最大限取り組むなど、真に必要なニーズに応えるために精査を行ってまいります。

 こうした取り組みにより、二十六年度において、国の一般会計の基礎的財政収支を、二十五年度に比べて少なくとも四兆円程度改善することを目指します。

 積極的平和主義についてお尋ねがありました。

 近年、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威は深刻度を増しています。また、サイバー攻撃のような、国境を越える新しい脅威も増大しています。

 このような状況のもとでは、もはや我が国のみでは我が国の平和を守ることはできません。我が国の平和を守るためには、地域や世界の平和と安定を確保していくことが必要です。

 このような認識のもとに、私は、我が国が、国際協調主義に基づき、世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献する国になるべきとの考えを、積極的平和主義として掲げました。

 具体的な行動については、既に、シリア及び周辺国への人道支援や、イランの核問題の平和的解決に向けた働きかけ、人間の安全保障の実現に向けた人道的な取り組みなどを行っていますが、さらなる具体的な施策については、今後、国家安全保障戦略等を策定する中において検討していきたいと考えています。

 特定秘密保護法案についてお尋ねがありました。

 情報漏えいに関する脅威が高まっている状況や、外国との情報共有は情報が各国において保全されることを前提に行われていることに鑑みると、御指摘のとおり、秘密保全に関する法制を整備することは喫緊の課題であります。

 新たに設置される予定の国家安全保障会議の審議をより効果的に行うためにも、秘密保全に関する法制が整備されていることが重要であると認識しております。

 一方で、国民の知る権利や報道の自由についての配慮も重要なことであると認識しており、さまざまな御意見を伺いながら、適切に対応してまいります。

 TPPについてお尋ねがありました。

 先日、バリで行われたTPP首脳会合では、私から、第一に、TPPが、物だけでなく、サービス、投資、電子商取引、知的財産、環境などの分野を含む二十一世紀型の経済統合協定であり、アジア太平洋地域の成長の起爆剤となるものであること、第二に、交渉妥結のために、包括的でバランスのとれた成果を出すことが不可欠であること、第三に、交渉の年内妥結に向け、日本としても建設的な役割を果たす用意があることの三点を強調しました。

 首脳会合では、首脳間の率直な意見交換を通じて、年内妥結に向けた大きな流れができました。難しい交渉分野が残されていることは事実ですが、今後、政治決断をしなければならない課題について、首脳間で認識を共有し、年内妥結に向けて政治的指示を示すことに合意したことは、大きな成果です。

 日本は、今や交渉の中核的な役割を担っており、交渉の年内妥結に向けて、引き続き積極的な役割を果たしていきたいと考えています。

 中国との関係についてお尋ねがありました。

 日中関係は、我が国にとって最も重要な二国間関係の一つです。中国の経済発展は、日本を含む国際社会の経済発展にとって重要であり、日中両国は、さまざまな分野において切っても切れない関係にあるのみならず、アジアと国際社会の安定と発展に、ともに責任を負っています。

 現在、日中関係は厳しい状況にありますが、個別の問題があっても関係全体に影響を及ぼさないようコントロールしていくとの戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、経済、文化等の分野を含め、幅広い分野で日中関係を発展させていきたいと考えています。

 日中は、隣国であることから、折に触れ問題が生じることもありますが、課題があるからこそ、両国の間で、首脳レベルを含めて率直に話し合うべきです。私の対話のドアは常にオープンであり、中国側に対して対話を呼びかけています。中国側が我々の呼びかけに応じることを期待しています。

 イランの核問題についてのお尋ねがありました。

 高村議員には、ロウハニ大統領の就任早々、私の特使としてイランを訪問していただき、核問題の解決につき働きかけていただきました。

 私も、国連総会の際にロウハニ大統領と会談し、核問題について、現在の機会の窓を捉えてイランが柔軟性を示すことが問題解決の鍵である旨働きかけました。

 今後、イランが具体的な行動をもって国際社会の懸念を払拭し、信頼を回復していくことを強く期待しています。

 我が国としては、中東地域の平和と安全に資する核問題の平和的解決に向け、イランとの伝統的な友好関係を生かして、可能な限りの貢献を行っていく考えであります。

 以上であります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 石原慎太郎君。

    〔石原慎太郎君登壇〕

石原慎太郎君 まずもって、台風二十六号が多大な被害をもたらしましたけれども、なかんずく、私のもとの選挙区でありました伊豆の大島では、土砂災害で数十人の死者、行方不明者を出しました。心からお悔やみを申し上げ、お見舞いを申し上げます。

 今から四十三年前、私が敬愛しておりました、天才とも言われていた作家の三島由紀夫氏は、この日本の国家と民族の将来を憂い案じて、あげくに、有志を募り、市ケ谷台の自衛隊の本部に乱入し、隊員たちに決起を促しましたが、かなわずに自決をいたしました。三島氏が案じていたこの国は、それから彼の懸念のとおりに、心身ともに衰弱の道をたどり、今日の姿にあります。

 彼が自決する一年ほど前に、私と彼との共通のすぐれた友人であったフランス文学者の村松剛氏が、カナダのトロントの大学に交換教授として赴いて、日本文化について講義した後に、帰国の途中、ニューヨークに立ち寄って、アメリカの代表的な新聞であるニューヨーク・タイムズの本社に寄りまして、日本が降伏した八月十五日、その日のニューヨーク・タイムズの論説と、同じ年の春にドイツが降伏したときの論説のコピーをつくって持ち帰り、私たちに提供してくれたのでありました。

 この二つをあわせ読みますと、極めて対照的であります。

 ちなみに、若い議員の諸君は御存じないでしょうが、日本とドイツの降伏の仕方は、かなり対照的に違っております。

 日本は、瞬時にして数十万の人命を奪った原爆に腰を抜かして、無条件降伏をいたしましたが、ドイツは、三つの条件をつけて降伏をしました。第一は、戦後のドイツの基本法である憲法は自分たちがつくる、第二は、戦後の子弟の教育はドイツ人自身が決める、第三は、規模が何であれ、性能が何であれ、ドイツの国軍はこれを保有するということであります。

 これを踏まえて、ドイツの降伏に関してのタイムズの論説は、彼らの論調は、このすぐれた民族は、ナチスによって道を誤って戦争を起こしたが、敗れはしたが、この反省の上に立ち直って、新しい立派な国をつくるに違いない、それに我々は全面的に力をかして、立派なドイツの再興を助けようということでした。

 これと非常に対照的に、日本の降伏についての彼らの論調は、論説の紙面の横に大きな漫画が描かれておりまして、その漫画は、巨大なナマズの化け物のような怪物が倒れて横たわっていて、そのあんぐりあいた大きな口の中に、アメリカ兵が鉄かぶとをかぶって入って、やっとこでその怪物の牙を抜いている漫画でありました。

 そして、その解説に、この醜く危険な怪物は、倒れはしたが、まだ生きている、我々は、アメリカの安全のために、世界の安全のために、あらゆる手を尽くして、いかなる時をかけてもこの怪物を完全に解体しなくてはならないとありました。

 あの日本の敗戦に対するニューヨーク・タイムズの論説の背景には、歴然としたレイシズムによる人種偏見があると思います。

 それは、近世、近代にかけて、産業革命の余力を駆って、有色人種の国土をほとんど植民地化してきた白人のレイシズムによるおごりの露骨なあらわれでしかありません。そして、根底には、そうした偏見にのっとった、敗戦国日本への、統治の名前をかりた徹底的な解体が行われてきたわけであります。

 その有効な手段として、歴史的に正当性のない憲法が見事に活用され、その絶大な効果を生みました。新しい憲法を起点に、アメリカの、戦後の日本に対する統治が始まったわけであります。そして、その日本の解体統治のための一つの手段として、彼らが一方的に速成した、極めて醜い日本語の前文でつづられた憲法が押しつけられ、私たちは、それを拝受し、今日までアメリカの囲まれ者としての時を費やしてきました。

 この憲法についての論議が国会でようやく正式に始まろうとしておりますが、私たちは、この際、哲学者ヘーゲルが言った、国家、社会にとっての重要な問題の成否を論じる際の判断の原理は全て歴史の中にあるという言葉を想起し、事に臨むべきだと思います。

 人間の歴史は多くの戦争を繰り返してきましたが、戦争の後に、戦勝国が敗戦国を統治するための手段としてつくって押しつけた法律が、半世紀を越しても有効に敗者を拘束してきた事例は、歴史には全くありません。ということを鑑みれば、歴史を踏まえて、私たちが拝受した現行の憲法には、歴史を踏まえての、歴史的な正当性が全くないということが言えるはずであります。

 ということについて、総理はいかがお考えでしょうか。私たちが拝受し続けてきた現行の憲法に果たして歴史的な正当性があるのかないのかということを、まずお伺いしたい。

 私は、比較的若く世の中に出たために、当時まだありました文壇の行事を通じて、吉田茂総理の側近中の側近と言われた白洲次郎氏との知己を得ました。そして、何度か氏から直接諭されました。

 吉田茂というすぐれた政治家にも、犯した大きな問題がある、その最たるものは、自分も同行して吉田内閣が調印したサンフランシスコ条約によって日本がようやく独立を獲得した後に、これを踏まえて、吉田総理は、アメリカがつくって与えた憲法を無効とすべきであった、それをしなかったことが、吉田さんの、政治家の最大の誤りだということでありました。

 総理は憲法の改正に並々ならぬ意欲をお持ちのようですが、そうした論評を踏まえて、この際、はっきりと、現行の憲法に歴史的な正当性があるのかないのか、それについてお考えを披瀝していただきたい。イエスでありますか、ノーでしょうか。

 もし、以上の言葉を鑑みて、この憲法に歴史的なレジティマシー、正当性がないならば、あなたは、日本という国家の最高の指導者としての責任で、この憲法の無効を明言されたらよろしいと思います。そして、その憲法について、論議はまさにそこから始まるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

 日本という国家は今さまざまな受難に直面しておりますが、その最たるものの一つは、かつてアメリカが日本を占領していた領土の一部である沖縄を正式に返還し、その沖縄の一部である尖閣諸島へ中国が理不尽な主張を繰り返し、尖閣に対する露骨な侵犯を繰り返していることであります。

 私は、かつて、国会議員の時代に形成した青嵐会の仲間と一緒に、この尖閣についての強い危機感を抱き、募金して、せめてその一部の小さな島でも購入して所有を維持しようと発議して、当時の地主であった沖縄在住の古賀花子さんと面談しましたが、残念ながら、その寸前に、古賀さんは、大宮の栗原一族に島を売却したということでありました。

 ということで、私は、早速、大宮に赴き、栗原家の先代の当主であったおばあちゃんに面談して、尖閣諸島をぜひ一部でも譲渡していただきたいという申し出をしましたが、一族は、日本の政治は全く信頼していないということで、拒否されました。

 ただ、そのときの会話の印象で、彼女は私にある信頼感を抱いたようで、それが家族に伝わり、彼女の没後、当主の栗原氏が、財産の運用にそごを来して、母上の残した言葉を想起し、私にならば尖閣諸島の譲渡について相談したいということを彼の知己でもある山東昭子議員に漏らし、彼女がそれを取り次いでくれまして、私は、栗原氏と面談を重ね、島の譲渡の交渉を続けてきました。

 しかし、その途中、栗原氏は、東京都が提示した額に上乗せをした金額を提示した野田政権に、私に無断で売却を決定してしまいました。

 国家がこれを購入したということで、尖閣諸島の領有を執拗に主張してきた中国政府は、これを国家対国家の問題として把握し、日本の尖閣に対する施政権に対する執拗な侵犯、妨害を続けております。

 私がアメリカのヘリテージ財団での講演で、東京都は、地主の意思を受けて、東京都の責任でこの島々を購入するつもりがあると発言した途端に、尖閣について憂慮している多くの国民たちから、ほとんど瞬間的に、十五億円という、尖閣購入の協力の寄金を得られました。

 その多くの人々が献金に添えてきた手紙の数々は極めて印象的なものでありました。

 ある方々は、私たちは一家三人のごく貧しい家族であるが、尖閣を購入して国土として守り抜くために、わずかではあるけれども一人一万円の献金をいたしますと、貧しいながらの家庭から、合わせて三万円もの献金をいただきました。

 また、青森県の寒村に住む老婆は、尖閣購入のために東京が発表した指定の銀行、みずほ銀行が彼女の村に存在しないので、その銀行がある隣の町へ一時間以上バスに乗って出向いて、一万円の寄附をしてくださいました。そして、その添えられた手紙には、私の周囲には、貧しい村ながら、この試みに協力したいという意思を持つ人たちが数多くいるので、どうか、村にもある郵便局に献金の口座を開いていただきたいということで、東京都は、早速、日本じゅうの郵便局に口座を開く措置をいたしました。

 こうした国民の国を思う意思というものを、総理は、どう感じ、どう受けとめられますか、そして、それに対してこれからどう実際に応えていくつもりであるか、具体的な返事をいただきたいものであります。

 当節、アメリカは、あちこちの戦争に首を突っ込んで国力を疲弊させ、厭戦気分が蔓延して、シリアの化学兵器の使用の問題に対しても国民のほとんどが背中を向け、結局、外交での論戦の中でアメリカはロシアの言い分に屈した形になって、その威信を低下させました。

 いずれにしろ、私たちは、同盟国であるアメリカと結んでいる日米安保条約というものを踏まえて、この尖閣の堅持という、施政権の行使について考えるべきだと思います。

 アメリカは、最近まで、特に前のオバマ政権でのクリントン国務長官は、はっきりと、尖閣諸島は日米安保の対象たり得ると明言しておりましたが、最近のアメリカ政府の高官は、なぜか言葉をいささかかえて、日本の政府の施政権の及ぶ地域についてのみ安保は発動され得ると、いささかニュアンスの違う表現でこの問題に言及しております。施政権の行使というのは、具体的にどういうことなんでしょうか。

 現在、保安庁の船は、あそこで操業している日本の零細な漁民を駆逐しようとしてかかる中国の公船を日本の漁船のために阻むべく、その間に立って非常に際どい運航を繰り返しておりますが、私は、もっと明確に万民が納得できる形での施政権の行使というものを政府は考慮すべきだと思います。

 それは、端的に言って、この非常に岩礁の多い危険な水域を通過する全国家の船舶の航行の安全のために、あくまでも人道的な見地で、あの魚釣島の一番高い山の頂上に灯台をつくるべきではないでしょうか。これは、あくまでも航行の安全、そして海を行く人々の生命の安全を担保するための極めて人道的な措置であって、これに異議を唱える理由はどこにもあり得ないと思いますが。

 かつて青嵐会が、仲間内で拠金して、関西の大学の冒険部の学生に依頼し、あの島にちゃちな、灯台というには及ばない、バッテリーに、柱につるした電球にコードをつなげる簡単な灯台を建てた後、政治結社の日本青年社が、過重な労働の末に、一人死者まで出して立派な灯台をつくってくれましたが、私はそれを非常に多として、運輸省の水路部に依頼し、これを正式な灯台として認可するために足りない部分を指摘してほしいということで、その専門家の指摘を受けて、日本青年社はさらに費用を費やし、専門家が見て認可し得る灯台に仕立て直してくれました。

 しかるに、これを海図に正式に記載すべく行動を起こしたときに、腰抜けの外務省は、これをなぜか時期尚早ということで阻止して、ついに、それから二十年近くも、日本人が日本の領土につくった正式な灯台を、外務省は海図に正式に記載することを拒んできました。これはむしろ、近くを航行する船舶にとって非常に危険な措置であって、定期的に光を発する発光物がチャートの上で何であるかが不明であることは、航海の危険を招く間違った措置にほかなりません。

 いずれにしろ、私は、あの魚釣島に、日本の政府が、日本の国土としての魚釣島に、世界各国の船舶の安全を担保するために、周囲から見やすい確かな灯台を設立すべきだと思います。それこそが魚釣島に関する日本の施政権を明示する最も容易な行為だと思いますが、いかがでしょうか。

 もし、そして、それを中国が拒否し、妨害しようとするならば、その灯台の人道的な意味合いを踏まえて、尖閣問題の決着を図るべく、政府はハーグの国際裁判所に事の是非を問うて提訴すべきだと思います。

 そして、裁判所の規約では、この提訴に応じない相手国は応じない理由を明示する必要があるとありますが、恐らく、その際、中国は、得手勝手な歴史観を踏まえて、筋の通らない主張を繰り返すに違いありませんが、しかし、それはそれで、一つの尖閣問題に対する世界全体の正確な認識を得るための第一歩であると私は思います。

 恐ろしいことに、現在、この尖閣諸島の領有権に関する悶着に似た問題が、日本の領海を越えたフィリピン、あるいはベトナム、インドネシアの領海でも起こりつつあります。

 特に、南シナ海のスプラトリーにおける微細な岩礁に関しての中国の露骨な侵犯は、弱小なこれらの国家にとっての大きな脅威となっておりまして、この際、そうした脅威、危機を共有する日本が提唱して、フィリピン、ベトナムあるいはインドネシアと協力して、私たちがその施政権下にある領土を堅持し、確保するための強力なアライアンスを外交的、防衛的に展開する必要があるのではないでしょうか。

 また、加えて申し上げますが、私が都知事として在任中に、日本の国土から隔絶された領土の一つでもある沖ノ鳥島を、中国は、あの岩は決して国土とは言えないということで、領海にたびたび侵犯し、漁船を送って、一方的な漁業での収奪を繰り返しておりました。

 私は、東京都の漁業組合長である菊池組合長という非常にしっかりした人物に依頼して、東京都で大きな船をつくって任せ、あそこに小笠原の漁民の漁業のための魚礁を設け、漁獲をふやし、そして、かつて自民党時代につくられた、廃墟に近くなっている、あの環礁の中に建っている建物の柱を利用して灯台をつくりました。

 それによって、最近では日本以外の外国船のあの領海侵犯はなくなりましたが、こうした努力を政府は参考にして、例えば、新しい大型の漁船を仕立て、漁業会社を新規につくり、沖縄の漁民を乗せて、尖閣諸島で乱獲を繰り返している外国の漁船に対抗して、日本の漁民が日本の領海で漁獲を上げる正当な作業というものを助成すべきではないでしょうか。

 私は、現に、菊池組合長に依頼してその調査を進めておりますし、石垣市も、石垣市の漁民のためにこれに協力することを約束しております。

 これが実現の途についたときには、国はこれを積極的に援助していただきたいと思うことを重ねて申し上げます。

 しかし、このところ執拗に繰り返されている、頻度を増した領空、領海への中国の侵犯に、政府は一体どこまで本気で対処するつもりなんでしょうか。

 過去には何度か、中国の潜水艦は全く無断で日本の領海の海峡を潜水したまま通過しました。もし、これと同じことを日本の潜水艦が中国に対して行った場合、彼らは、恐らく爆雷を投下して、これを威嚇し、排除するでしょう。たとえ友好国でもある韓国の領海に対して、もしも日本の潜水艦が無断に潜入しても、同じ目に遭うはずであります。

 そして、最近では、無人とはいえ、遠隔操作されている航空機が日本の領空を侵犯してきましたが、一体、この目的は何なのか。一体、何を搭載し、何のためにこうした無人の飛行機が飛来したのか。

 これに対して航空自衛隊はスクランブルをかけたようですけれども、この際、この無人の、目的がわからず飛来した飛行機というものを、無人なりに、無線を使った警告が不可能な限り、危険を防ぐために相手の無人機を撃墜した場合、交戦規定が全く不備のまま、一体、事がどうなるかということを想定した果断な措置をとるべきだと私は思いますが、いかがお考えでしょうか。

 いずれにせよ、かかる現況の中では、事に臨む自衛隊の隊員の判断任せではなしに、彼らが着実に任務を遂行できるように、速やかに戦時諸法を作成する必要があると思います。交戦規定を含めた戦時諸法を作成する必要があると思いますが、いかがお考えですか。

 もう一つ加えて申し上げたいが、ブエノスアイレスでのIOCの総会で、出席願った安倍総理が、各国が懸念している日本の原発での放射線を含んだ漏水事件について、総理の権威を構えてきっぱりと否定してくださったことは、東京へのオリンピック招致への一番の大きな引き金となり、最大の功績であったと私は思います。

 そして、七年先の東京オリンピックの開催が決まりましたけれども、私が懸念していることは、これは国交省も十分承知していることでありますけれども、首都圏での外国からやってくる飛行機の受容能力は、あと五年で限界に達します。

 その際、東京の真ん中にある、余地を含めれば日本最長の四千メートルの滑走路を持つ横田の基地を、有事の際には軍事専門に使用させるけれども、その条件で、現在、軍民共用化してオリンピックのためにこれを活用するために、かつて、小泉時代にも、私が首相に依頼してアメリカとの首脳会談で提案してもらい、日米間の国家マターとしての登録をいたしましたが、その後、結局はアメリカのエゴがまかり通り、依然として放置されたままであります。

 しかし、現にオリンピックの開催が決まった今、この横田のほとんど未使用の、ただのロジスティックの作業のために放置されている飛行場をオリンピックのために活用すべく、せめて今後、軍民共用するという提案を、ぜひ日米の首脳間で日本側から提案して、実現していただきたいと思います。

 かつて、小泉総理時代に、日本と韓国が共同でワールドカップの選手権を行いました。その際、私は韓国側の高官に、ある筋を通して、韓国は従来の金浦空港を閉鎖して仁川に巨大な国際空港をつくって金浦があいているので、金浦と横田の間に、CIQを抜きにして、観客と選手たちの往来の便宜のために横田の空港を活用しようということで、向こうは喜んで賛意を表してくれましたが、何とアメリカは、小しゃくにも、ワールドカップ開催中に、向こう五十年間使用できるように、日本の資金であの飛行場の滑走路を補強、補修するための作業をし、あの飛行場をその間閉鎖してしまいました。この巧妙でしたたかなやり口に私は抗議しましたが、及ばずに、結局、横田は、そのまま滑走路を補強して、放置されたままであります。

 どうか、国家的な、社会的行事でもある東京でのオリンピックの成功のためにこそ、あの横田を米国と協力して活用すべきこと、この提案を総理からぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 石原慎太郎議員にお答えをいたします。

 現行憲法の正当性についてのお尋ねがありました。

 現行憲法については、私は、我が国が占領されていた時代に、占領軍の影響下でその原案が作成されたものと認識しています。その成立過程については種々の議論がありますが、現行憲法は、最終的には帝国議会において議決され、既に六十有余年が経過したものであり、有効なものと考えております。

 尖閣諸島に関する国民の思いについてお尋ねがありました。

 御指摘されたように、多くの国民の方々が国を思う意思を表されたことについて、私は、尖閣諸島を何とかして守ってほしいとの真摯な気持ちの発露であったのではないかと感じています。

 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しません。

 私は、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの決意で、毅然かつ冷静に対処していきます。それが、国民の皆様から求められている、日本政府として果たすべき責務であると受けとめています。

 施政権についてお尋ねがありました。

 施政権の行使とは、一般に、行政、立法、司法上の国家の権限を行使することを意味すると解されていると承知しています。

 尖閣諸島について言えば、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土です。現に我が国はこれを有効に支配しており、我が国の施政のもとにあります。

 米国政府の立場については、以前から、尖閣諸島は日本の施政権のもとにあり、日米安保条約第五条の適用範囲であるというものであり、この立場は、先般の2プラス2を含め、累次の機会に表明されてきているところであります。

 魚釣島への新たな灯台の建設についてお尋ねがありました。

 尖閣諸島及び海域を安定的に維持管理するための具体的な方策については、さまざまな選択肢がありますが、実際にどのような方策をとるかについては、まさに戦略的観点から考えていくべきものと考えております。

 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、今後とも、自国の領域を守り抜くという断固たる意思を持って戦略的に対処していきます。

 海洋の安全保障についてお尋ねがありました。

 海洋は、開かれ、安定したものでなければならず、その秩序は、力ではなく、法により支配されなければなりません。海洋は重要な国際公共財であり、我が国は海洋安全保障を重視しています。

 南シナ海をめぐる問題は、地域、国際社会共通の関心事項です。全ての関係国は関連国際法を遵守すべきであり、また、紛争は、国際法に基づき、平和的に解決されなければなりません。

 先般のASEAN関連首脳会議においても、私からこのような我が国の基本的立場につき説明し、多くの国からも同様の発言がありました。会議終了後に発出された議長声明にも、このような立場が書き込まれました。

 今後とも、海洋をめぐる情勢について、関係諸国とも連携しつつ、適切に対処していきます。

 尖閣諸島の領海内での漁業操業に対する支援についてのお尋ねがありました。

 尖閣諸島の領海とその周辺水域においては、沖縄や九州などの漁業者が一本釣り等の漁業操業を行っているほか、外国漁船の操業状況などの調査活動も行っている実態にあります。

 安倍内閣においては、これらの漁業者が安心して漁業操業を行うことができるよう支援を行っており、今後とも、関係者の御意見を伺いながら、しっかりと対応してまいります。

 中国による領空侵犯及び領海侵入についてのお尋ねがありました。

 尖閣諸島周辺において、中国公船による領海侵入が執拗に繰り返され、また、中国の固定翼機による領空侵犯が行われるなど、我が国を取り巻く情勢は厳しさを増しています。

 安倍内閣としては、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの決意のもと、引き続き、冷静かつ毅然とした態度で、警戒警備等の対応に万全を期してまいります。

 無人機への対応についてお尋ねがありました。

 一般論として申し上げれば、無人機が我が国領空を侵犯する場合には、有人機に対する場合と同様、自衛隊法第八十四条に基づき、自衛隊による対領空侵犯措置を実施することになります。

 具体的な対応については、政府としてはさまざまな検討を行っておりますが、いずれにせよ、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの観点から、国際法及び自衛隊法に従い、厳正な対応をとってまいります。

 なお、去る九月九日、東シナ海の我が国防空識別圏を飛行する無人機に対し、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させるなど必要な対応を行いましたが、領空侵犯は発生しておりません。

 横田飛行場の軍民共用化についてお尋ねがありました。

 国家的な、社会的な行事である東京オリンピックのために、米国に対して横田飛行場の軍民共用化を提案すべきというのは、一つの傾聴すべき考え方だと思います。

 横田飛行場の軍民共用化については、東京都からの要望も踏まえ、日米間で提案や働きかけを行ってきましたが、本件については、日米双方に受け入れ可能な姿を模索する必要があり、今後とも、東京都の考えも伺いながら、調整に努めてまいります。

 以上であります。(拍手)

     ――――◇―――――

あべ俊子君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十七日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(赤松広隆君) あべ俊子君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(赤松広隆君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       総務大臣     新藤 義孝君

       法務大臣     谷垣 禎一君

       外務大臣     岸田 文雄君

       文部科学大臣   下村 博文君

       厚生労働大臣   田村 憲久君

       農林水産大臣   林  芳正君

       経済産業大臣   茂木 敏充君

       国土交通大臣   太田 昭宏君

       環境大臣     石原 伸晃君

       防衛大臣     小野寺五典君

       国務大臣     甘利  明君

       国務大臣     稲田 朋美君

       国務大臣     菅  義偉君

       国務大臣     根本  匠君

       国務大臣     古屋 圭司君

       国務大臣     森 まさこ君

       国務大臣     山本 一太君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  加藤 勝信君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  小松 一郎君


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.