衆議院

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第9号 平成26年3月18日(火曜日)

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平成二十六年三月十八日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第五号

  平成二十六年三月十八日

    午後二時開議

 第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 雇用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 雇用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 安倍内閣総理大臣の「国家安全保障戦略」、「平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成二十六年度〜平成三十年度)」に関する報告及び質疑


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    午後二時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) まず、日程第一、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鈴木俊一君登壇〕

鈴木俊一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案の主な内容は、在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額及び研修員手当の支給額の改定を行うことであります。

 本案は、去る三月六日外務委員会に付託され、翌七日岸田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、十四日、質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第二、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長梶山弘志君。

    ―――――――――――――

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔梶山弘志君登壇〕

梶山弘志君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、奄美群島及び小笠原諸島の特殊事情に鑑み、その振興開発を図るために必要な措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の有効期限をそれぞれ五年間延長するとともに、目的規定に「定住の促進を図ること」を追加すること、

 第二に、奄美群島における産業振興及び住民生活の利便性向上に資する事業に対する交付金制度を創設すること、

 第三に、産業振興促進計画の認定を受けた市町村に、通訳案内士法等の特例措置を認め、奄美群島及び小笠原諸島における産業振興の取り組みを支援すること

などであります。

 本案は、去る三月七日本委員会に付託され、十二日太田国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、十四日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第三に移ります。裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長江崎鐵磨君。

    ―――――――――――――

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔江崎鐵磨君登壇〕

江崎鐵磨君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を三十二名増加するとともに、裁判所の事務を合理化し、あわせて効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十六名減少しようとするものであります。

 本案は、去る三月六日本委員会に付託され、翌七日谷垣禎一法務大臣から提案理由の説明を聴取し、十四日、質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告といたします。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 全会一致。異議なしと認めます。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 雇用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第四、雇用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長後藤茂之君。

    ―――――――――――――

 雇用保険法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔後藤茂之君登壇〕

後藤茂之君 ただいま議題となりました雇用保険法の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、現下の雇用情勢を踏まえ、雇用保険制度において、基本手当、就業促進手当、教育訓練給付及び育児休業給付金の給付の拡充並びに暫定措置の新設及び延長等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は、

 第一に、専門的・実践的な教育訓練に係る教育訓練給付金の給付割合の上限を百分の六十に引き上げるとともに、平成三十年度末までの暫定措置として、四十五歳未満の離職者が初めて専門的・実践的な教育訓練を受講する場合に一定額を支給する教育訓練支援給付金を創設すること、

 第二に、有期労働契約が更新されなかったことによる離職者等について基本手当の給付日数を延長する等の暫定措置を平成二十八年度末まで延長すること、

 第三に、育児休業給付金の額について、休業を開始した日から通算して百八十日に達するまでの間に限り、賃金日額に支給日数を乗じて得た額の百分の六十七に相当する額に引き上げる暫定措置を創設すること

等であります。

 本案は、去る三月六日本委員会に付託され、翌七日田村厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、十二日から質疑に入り、十四日に質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

あべ俊子君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(伊吹文明君) あべ俊子君の動議に御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、日程を追加いたしました。

    ―――――――――――――

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長高木陽介君。

    ―――――――――――――

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔高木陽介君登壇〕

高木陽介君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、成田国際空港周辺地域における道路、生活環境施設等の整備を促進するため、成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限を平成三十一年三月三十一日まで五年間延長しようとするものであります。

 本案は、去る三月十二日本委員会に付託され、翌十三日新藤総務大臣から提案理由の説明を聴取した後、本日、質疑を行い、採決をいたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 内閣総理大臣の発言(「国家安全保障戦略」、「平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成二十六年度〜平成三十年度)」に関する報告)

議長(伊吹文明君) この際、内閣総理大臣から、「国家安全保障戦略」、「平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成二十六年度〜平成三十年度)」に関する報告について発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣安倍晋三君。

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 政府は、昨年十二月十七日、国家安全保障会議及び閣議において、国家安全保障戦略、平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱及び平成二十六年度から平成三十年度までの中期防衛力整備計画を決定いたしました。

 以下、これらについて御報告申し上げます。

 国家安全保障戦略は、我が国で初めて策定した国家安全保障に関する基本方針であります。我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、脅威は容易に国境を越えてきます。どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできず、国際社会と協力して平和を確保していくことが不可欠です。

 このような認識のもと、本戦略においては、国際協調主義に基づく積極的平和主義を基本理念として掲げております。我が国の安全と地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定そして繁栄の確保に、これまで以上に積極的に寄与していくとの考えであります。

 この基本理念のもと、我が国の国益を明確にした上で、国家安全保障の目標として、次の三点を示しています。

 第一に、必要な抑止力を強化し、万が一我が国に直接脅威が及ぶ場合には、これを排除し、被害を最小化すること、第二に、日米同盟や域内外のパートナーとの信頼・協力関係の強化等により、地域の安全保障環境を改善すること、第三に、普遍的価値やルールに基づく国際秩序の強化、紛争の解決に主導的な役割を果たし、グローバルな安全保障環境を改善することであります。

 その上で、国家安全保障上の課題を特定しつつ、それらを克服し、目標を達成するため、我が国自身の外交力、防衛力等の強化を初めとする戦略的アプローチを示しております。本戦略は、エネルギー等国家安全保障に関連する分野の政策に指針を与えるものでもあります。

 政府としては、国家安全保障会議の司令塔機能のもと、本戦略に従って、国家安全保障に関する政策を一層戦略的かつ体系的に実施し、国家安全保障に万全を期す考えです。

 次に、いわゆる新防衛大綱について御報告申し上げます。

 新防衛大綱は、国家安全保障戦略を踏まえ、今後の我が国の防衛のあり方について新たな指針を示すものであります。

 我が国の防衛力については、多様な活動を統合運用によりシームレスかつ状況に臨機に対応して機動的に行い得る実効的なものとしていくため、幅広い後方支援基盤の確立に配意しつつ、高度な技術力と情報・指揮通信能力に支えられ、ハード及びソフト両面における即応性、持続性、強靱性及び連接性も重視した統合機動防衛力を構築することとしております。

 この考え方のもとでの体制の整備に当たっては、統合運用の観点からの能力評価を踏まえ、各種事態における実効的な抑止及び対処を実現するため、その前提となる海上優勢及び航空優勢の確実な維持に向けた防衛力整備を優先し、機動展開能力の整備も重視することとしております。

 最後に、いわゆる新中期防について御報告申し上げます。

 新中期防は、新防衛大綱に定める我が国が保有すべき防衛力の水準を見据え、当初五年間に達成すべき計画であります。統合機動防衛力を構築するための主要事業を掲げており、その実施に必要な金額は、平成二十五年度価格でおおむね二十四兆六千七百億円程度を目途としております。その上で、調達改革等を通じて、一層の効率化、合理化を徹底した防衛力整備に努め、各年度の予算編成に伴う防衛関係費は、おおむね二十三兆九千七百億円程度の枠内とすることとしております。

 以上の国家安全保障戦略、新防衛大綱及び新中期防のもと、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国民の生命と財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとともに、地域と国際社会の平和、安定、繁栄の確保に、これまで以上に積極的に寄与してまいります。

 皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 内閣総理大臣の発言(「国家安全保障戦略」、「平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成二十六年度〜平成三十年度)」に関する報告)に対する質疑

議長(伊吹文明君) ただいまの内閣総理大臣の発言に対し質疑の通告がありますので、順次これを行います。まず、左藤章君。

    〔左藤章君登壇〕

左藤章君 自由民主党の左藤章でございます。

 自由民主党を代表して、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に関する報告に対する質問をさせていただきます。(拍手)

 約一年三カ月前に発足した安倍政権は、強い日本を取り戻すという合い言葉に、東日本大震災の復興を初めとするさまざまな施策に取り組んできたところでございます。

 強い日本とは、デフレを脱却し、成長戦略で経済の復活を目指すだけではありません。安倍政権は、安全保障分野においても、強い日本を取り戻そうとしています。

 現在、我が国を取り巻く安全保障環境は、中国の海洋進出の活発化や国防費の増大、北朝鮮の核やミサイルの開発の進展など、一層厳しさを増しています。

 このような中、自由民主党としては、政権公約として、民主党政権下の二二大綱を見直すこととし、昨年六月に、新防衛計画の大綱策定に係る提言を取りまとめたところでございます。

 安倍政権は、我が党の提言を踏まえつつ、昨年十二月、我が国として初めての国家安全保障戦略を策定し、これを踏まえて防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画を策定し、防衛力の質と量を増強することを打ち出しました。

 まさに、国民の生命財産、そして我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くための重要な方針がこのような形で打ち出されたのは、安倍政権だからこそにほかなりません。

 それでは、まず、国家安全保障戦略について質問させていただきます。

 今回、初めて、我が国の国益を長期的視点から見定めた上で、国家安全保障の基本政策を示す国家安全保障戦略が策定されました。今まで、このような、我が国の国益とは何か、それを達成するためにどのようなアプローチをとるべきかについて、明示された戦略文書はありませんでした。

 今回、国家安全保障戦略という形で、政府全体として今後どのように我が国の安全保障を確保していくのか、その基本方針やアプローチを示されたことは大変意義があることと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。

 国家安全保障戦略では、その基本方針として、国際協調主義に基づく積極的平和主義を掲げ、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に寄与する姿勢を示されました。

 実際、安倍総理は、昨年のフィリピンの台風被害に対し、自衛隊を迅速に派遣し、緊急支援を行っております。また、今回の消息不明のマレーシア航空機の捜索救助活動のため、自衛隊及び海上保安庁の航空機の派遣を速やかに行っています。

 これらはまさに積極的平和主義のあらわれであると考えていますが、改めて、積極的平和主義の意義について、総理のお考えを伺います。

 国家安全保障戦略では、長期的な国益や課題を踏まえ、我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチが詳細かつ幅広く記載されています。具体的には、外交・防衛政策のみならず、経済やエネルギー・環境問題、防衛産業や情報発信のあり方、愛国心の高揚など、多岐にわたっています。

 個々の施策はどれをとっても大変重要なことでございますが、今後、各省の垣根を取り払い、これら施策を政府全体としてどのように積極的に進めていくのか、昨年設置された国家安全保障会議との関係を踏まえつつ、総理の決意をお聞かせください。

 次に、新たな防衛大綱と中期防衛力整備計画について質問をいたします。

 前回の防衛大綱が作成されて以降、三年が経過しましたが、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています。北朝鮮のミサイルの発射や中国の尖閣諸島等への領海侵入、領空侵犯など、我が国の防衛力の強化は一刻を争います。

 そこで、改めて伺いますが、今まさにその大綱を見直さなければならなかった理由を、防衛大臣のお考えを伺います。

 厳しい安全保障環境を踏まえ、新たな防衛大綱では、防衛力の質と量を必要かつ十分に確保することとしています。また、自衛隊が対応すべき多様な活動を統合運用によりシームレスかつ機動的に行い得る統合機動防衛力を構築することとしていますが、この新たな防衛力は具体的にどのようなものなのでしょうか。防衛大臣のお考えをお聞かせください。

 安倍政権は、平成二十五年度、二十六年度と二年連続で防衛関係費を増額してまいりました。また、新たな中期防においても、今後五年間の防衛関係費の総額を二十四兆六千七百億円とし、平成十二年に閣議決定した中期防以来初めて増額としました。

 このような防衛関係費の増額は、国民の生命財産、そして我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くんだという安倍総理の強い意思を内外に示したものでありますが、周辺諸国の防衛費の伸びを勘案すれば、果たして十分なものなのかという意見も聞こえてまいります。

 今後、防衛体制を着実に整備していくためにも、防衛関係費を年度予算でも確実に確保する必要がありますが、総理の御決意をお伺いします。

 最後になりますが、政治の要諦は、国民の生命と安全、国家の独立と平和を守ることにあります。我が国を取り巻く厳しい状況を踏まえれば、まさに今、安全保障政策を果敢に推し進めていくことが必要であります。

 また、先般、北朝鮮による日本人拉致問題につき、横田滋、早紀江夫妻が、横田めぐみさんの娘と言われるキム・ウンギョンさんとモンゴルにて面会されたとの報道に接しました。これは、安倍総理が尽力されてきた日本人拉致問題の解決への取り組みの一環だと思いますが、我々自由民主党も、この問題の進展に向け、最大限、安倍総理を支援するつもりでございます。

 安倍総理の、ウクライナの対策を初め、諸問題解決に向けたさらなる御奮闘を期待して、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 国家安全保障戦略の策定の意義についてお尋ねがありました。

 今般、史上初めて、我が国の国益とは何かを長期的視点から見定め、それを達成するために、我が国がとるべきアプローチを示す国家安全保障戦略を策定しました。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、外交・防衛政策を中心とする国家安全保障政策を一層戦略的かつ体系的なものとして実施することを可能とするものであり、大変有意義なものと考えております。

 積極的平和主義についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威は深刻度を増しています。また、サイバー攻撃のような、国境を越える新しい脅威も増大しています。

 このような状況のもとでは、脅威は容易に国境を越えてきます。もはや、どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできません。自国の平和と安全を守るためには、国際社会と協力して、地域や世界の平和を確保していくことが不可欠です。

 このような認識のもとに、我が国は、これまで以上に積極的に国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に寄与していきます。これが積極的平和主義であり、我が国の国家安全保障政策の基本理念です。

 昨年のフィリピンの台風被害に対し千二百人規模の自衛隊員等が、また、今般、マレーシアへ自衛隊、海上保安庁の航空機等が国際緊急援助隊として派遣されましたが、これらは積極的平和主義のあらわれであり、今後も、さまざまな取り組みを着実に進めてまいります。

 国家安全保障戦略の取り進め方についてお尋ねがありました。

 国家安全保障戦略では、我が国がとるべき戦略的アプローチとして、自由貿易体制の維持強化、エネルギー・環境問題への対応、防衛生産、技術基盤の維持強化、我が国と郷土を愛する心の涵養、情報発信の強化といった多岐にわたる諸点を列挙しています。

 このため、国家安全保障会議を司令塔機能として活用し、国家安全保障政策の一層戦略的かつ体系的な実施に向けて、政府一体となって尽力してまいります。

 防衛関係費についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、国家安全保障を充実強化するための方策に政府全体として取り組んでいく必要があります。

 これを踏まえ、防衛関係費については、防衛体制を強化するため、二年連続の増額としているところですが、今後とも、国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、厳しい財政事情も踏まえつつ、必要な予算をしっかりと確保してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣小野寺五典君登壇〕

国務大臣(小野寺五典君) 左藤章議員にお答えいたします。

 まず、防衛大綱を見直した理由についてのお尋ねがありました。

 一昨年の北朝鮮による人工衛星と称するミサイル発射や、中国による我が国周辺海空域における活動の急速な拡大等、我が国を取り巻く安全保障環境は、前防衛大綱の策定以降、一層厳しさを増しております。

 また、米国は、アジア太平洋地域を重視し、同地域におけるプレゼンスを強化する方針を明確にしており、我が国を含む同盟国等との協力の強化を図っております。

 さらに、平成二十三年三月の東日本大震災における自衛隊の活動においても、対応が求められるさまざまな教訓が得られております。

 このような変化を踏まえ、日米同盟をさらに強化するとともに、現下の状況に即応して我が国の防衛体制を強化していく必要があるとの判断から、防衛大綱を見直すことにしたところであります。

 次に、統合機動防衛力についてのお尋ねがありました。

 統合機動防衛力は、即応性、持続性、強靱性及び連接性などを特に重視しつつ、多様な活動を状況に臨機に即応して機動的に用い得る、より実効的な防衛力の構築を目指すものであります。

 具体的には、統合運用をより徹底させつつ、南西地域の防衛態勢の強化を初め、海上優勢、航空優勢の確保や機動展開能力の整備等を進めるとともに、幅広い後方支援基盤の確立に配意してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次の質疑者、長島昭久君。

    〔長島昭久君登壇〕

長島昭久君 民主党の長島昭久です。

 ただいま議題となりました国家安全保障戦略、防衛計画の大綱並びに中期防衛力整備計画につきまして、安倍総理大臣初め担当大臣に質問いたします。(拍手)

 我が国を取り巻く戦略環境は、昨今、急速に悪化しております。

 北朝鮮では、横田さん御夫妻がモンゴルでお孫様のウンギョンさんに面会をされるなど変化の兆しもあるものの、最高指導者の親族が処刑されるなど、権力内部の不安定な状況がますます深刻化しているようであります。

 その北朝鮮は、累次にわたる核実験やミサイル発射実験などを通じて、既に弾道ミサイルに搭載可能な核の小型化に成功している可能性も指摘されており、予断を許しません。

 また、中国は、さきの全人代において国防予算の伸び率を一二・二%と公表。軍事費は、過去二十五年で三十四倍にまで増大、公表ベースでも我が国防衛費の三倍近くの規模に膨れ上がっております。

 海洋活動も拡大の一途を続け、今や、沖縄の尖閣諸島や南西諸島が連なる第一列島線をはるかに越えて、グアムを含む第二列島線に至る広大な海域を、ほぼ恒常的に中国海軍の艦隊が縦横に動き回る状況となっています。

 米軍の接近を拒否する、いわゆるA2AD能力の近代化も目覚ましく、弾道ミサイルや巡航ミサイルの射程距離や命中精度の向上は加速化し、第四世代の戦闘機や潜水艦、洋上艦艇の増強にも著しいものがあり、アジア太平洋地域における抑止力のかなめである米軍のパワープロジェクションに支障を来しかねない情勢であります。

 また、ソ連邦崩壊直後には四分の一にまで経済規模が縮小したロシアも、昨今急速に国力を回復し、軍の近代化や軍事活動の拡大が顕著となり、二〇〇八年のグルジア紛争に続き、今度は、ウクライナをめぐり、軍事力による一方的な現状変更を試みる姿勢を鮮明にしております。

 このように、我が国を取り巻く戦略情勢がかつてないほどに不安定で不透明な状況に陥る中、我が国の安全保障政策の抜本改革は喫緊の課題であります。

 その意味で、昨年末、総理官邸にNSCが創設され、我が国初の国家安全保障戦略が公表され、防衛計画の大綱の見直しとともに、新たな中期防衛力整備計画が策定されたことは、時宜にかなったものと評価しております。

 ただし、この安保戦略にも、新しい防衛大綱や中期防にも、看過できない深刻な問題が内在しております。

 まず、新たな防衛大綱について伺います。

 新大綱で採用された基本コンセプトである統合機動防衛力ですが、これは、民主党政権で策定された前大綱において、基盤的防衛力構想から転換を図る際に掲げた動的防衛力のコンセプトを継承し、さらに発展させたものであると評価いたします。

 すなわち、冷戦期以来続いていた北方重視、基盤的防衛力整備の考え方から、南西方面へ戦略重心をシフトさせ、想定される事態に適時適切に対処し得る所要防衛力の整備という考え方に転換したものであります。

 民主党政権時、この戦略コンセプトの実現を担保する予算や兵力構成上の裏づけは、必ずしも十分ではありませんでした。厳しい財政状況とはいえ、当時、政務三役の一人としてじくじたる思いをした私としては、このたび、平成二十六年度防衛予算で前年度比二・八%の増額が実現されると知ったときには、安堵したものでございます。

 しかし、その内実を知って、落胆を禁じ得ませんでした。公務員給与復活分を除けば、実質的には、たった〇・八%の増額にとどまるからであります。これでは、羊頭狗肉と言わなければなりません。しかも、財務省が要求するような調達合理化計画七千億円が達成できなければ、中期防は、文字どおり絵に描いた餅にすぎません。

 ますます厳しくなる安全保障環境の中で、今そこにある危機に対処するための所要防衛力の整備には、遅滞や未達は絶対に許されません。

 そこで、総理に二点お伺いいたします。

 第一に、総理は、このような予算構造で、大綱や中期防が目指す所要防衛力の整備を期限内に完成させることができると本気でお考えなのでしょうか。この点は、計画実現の責任者である小野寺防衛大臣にも、明確に御答弁いただきたいと思います。

 先ほども申し上げたとおり、所要防衛力というものは、冷戦期において我が国防衛のための最低限の基盤を整えることを目指した基盤的防衛力とは異なり、定められた期間内に所要の防衛力が構築されなければ国を守れないということを意味するものであります。

 したがって、この中期防には、その実効性を担保するために、三年後の見直しが明記されております。

 そこで、総理にお伺いいたしたいと思います。

 三年が経過した段階で、計画達成のため必要であれば、予算規模の上方修正を行うこともあり得るというお考えでございましょうか。

 次に、安保戦略にも防衛大綱にも決定的に欠けている重大な課題を二つ指摘させていただきたいと思います。

 第一に、武力攻撃に至らない侵害行為が生じる、いわゆるグレーゾーン事態への対処の問題であります。

 今日の安全保障環境は、冷戦期のような、有事と平時との間に明確な境界を画することはできません。毎日のように、中国政府の公船による領海侵犯にさらされている尖閣諸島周辺における緊張状態は、まさにその典型であります。

 武力攻撃が生じていないため、国連憲章五十一条に規定する自衛権は行使できません。だからといって、我が国の主権と領土を守るための実力の行使が認められないと解することは、余りにも不合理であります。

 警察権と呼ぶか、マイナー自衛権と呼ぶかが問題ではありません。グレーゾーン事態に対処して我が国の主権と領土を守るためには、国際法上行使することが認められる正当な権限が、国内法上、海上保安庁や自衛隊に認められていることが最低限必要であります。

 これは、主権と領土にかかわる火急の課題であります。したがいまして、シームレスな対応などというスローガンを繰り返していても、全く意味はありません。

 そこで、総理に伺います。

 グレーゾーン事態に対処する上で、海上保安庁や自衛隊に国際法が認める正当な権限は付与されるのでしょうか。権限のすき間は放置されないのでしょうか。あす危機が起こるかもしれないとの認識に基づき、グレーゾーン事態に対処する法整備に関する総理の御覚悟とともに、明確な御答弁を求めたいと思います。

 第二に、冒頭に触れた中国のA2AD能力への対応策についてであります。

 安保戦略のどこを読んでも、防衛大綱のどこを読んでも、日米でどのような役割分担をして、第一列島線を守り、第二列島線との間の広大な海域における安全保障を確立し、ひいては米国の持続可能な前方プレゼンスを確保しようとしているのか、明らかではありません。

 今日の日米同盟協力の核心ともいうべきこの論点は、年末までに作業を完了するとされる日米防衛協力のガイドラインの改定と密接にかかわるものであり、不明確なまま放置することは許されません。与党内の協議が停滞している集団的自衛権の行使をめぐる問題にも、早急に決着をつけるべきであります。もちろん、閣議決定の前に国会できちんと議論すべきことは言うまでもありません。

 日本が、できることとできないことをはっきりさせてほしいというのが、米国の本音であります。集団的自衛権をめぐる我が国のスタンスが曖昧なまま時を浪費すれば、ガイドラインをめぐる実質協議の時間がどんどん減ることになります。共同作戦計画が立てられないままでは、日米防衛協力が有事の際に機能することはありません。そうなれば、日米共同の抑止力も張り子の虎となってしまいます。

 そこで、総理に伺います。

 集団的自衛権の行使をめぐる今後の議論の見通し、そして、抑止力構築のかなめである日米ガイドラインとの関係においてどれほど切迫感を持っておられるのか、総理の御認識を明確にお答えいただきたいというふうに思います。

 最後に、国家安全保障戦略といわゆる歴史問題との関係について取り上げたいというふうに思います。

 私は、安倍総理が先週参議院予算委員会で表明された、日韓関係の改善に向けた戦略的な決断を率直に評価いたします。

 日本の名誉のために河野談話の見直しを求めてきた人々は、検証すると決めたはずの談話について、検証もしないうちに、見直しはしないなどと明言するのは到底理解できないとして、安倍政権の姿勢を軟弱だと非難するでありましょう。期待を持たせてしまった分だけ、反動は大きいと思います。

 また、この間の米国からの働きかけをやり玉に上げて、またしても対米追従ではないかと失望する声が広がっております。

 しかし、これらはいずれも、木を見て森を見ない議論だと私は考えます。

 国家は、主権と独立の維持、領土、領空、領海の保全、国民の生命、身体、財産の安全といった基本的な利益を確保するために、絶えず変化する安全保障環境の中で、あらゆる手段を尽くしていく必要があります。これが、国家安全保障戦略の根本であります。

 歴史問題と称される個々の論点について、我が国が声を大にして主張すべき事柄が少なくないことは、私も十分承知しております。しかし、国家の安全保障にかかわる大局的、戦略的判断のもと、場合によっては過度のこだわりを拭い去ることが求められることがあるのだというふうに考えます。

 時あたかも、来年は、第二次世界大戦終結から七十年、日韓基本条約締結から五十年、そして、大正四年の対華二十一カ条要求から百年という、少なくとも三つの意味で歴史的な節目を迎えます。

 そこに、中国が、一方では米軍に対する接近拒否能力を拡大強化し、尖閣諸島の我が国領海に対する公船侵入などを繰り返しつつ、心理戦、法律戦、世論戦から成る三戦を、世界規模で執拗にしかけてきているのであります。ゆめゆめ、中国の術中にはまってはなりません。

 国家の名誉をかけて、民族の誇りをかけて、言いたいこともある、正さねばならないこともある。しかし、戦後、国際社会に復帰して以来、先人たちが営々と積み重ねてきた苦心の外交努力の結果を後戻りさせ、国家の戦略的利益を失ってはならないと考えます。

 歴史修正主義とのそしりを受けたり、我が国が戦後秩序への挑戦者であるなどという、あらぬ誤解を拡大させることが、最優先課題である安全保障分野の構造改革を進める上で大きな障害になることは、昨今の国際世論の動向を見ても明らかです。

 今大事なのは、孤立化と破滅の道を突き進んだ昭和の過激なナショナリズムに戻るのではなく、屈辱の不平等条約改正に五十三年の月日を費やしながら粘り強くこれを実現した明治のリアリズムを思い起こすことだというふうに考えます。

 すなわち、特定の問題については戦略的な忍耐を維持する一方、喫緊の課題である安全保障政策の改革を最優先に推し進め、国際協調主義に基づく積極的平和主義の旗を高く掲げ、プロアクティブな外交を展開していくことこそが肝要であると考えます。

 最後に、この国家安全保障戦略と歴史問題の微妙なバランスにつきまして、安倍総理並びに岸田外務大臣の御所見を承って、私の質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 長島昭久議員にお答えをいたします。

 大綱、中期防が目指す防衛力整備と所要経費についてのお尋ねがありました。

 新たな中期防衛力整備計画においては、防衛大綱に示された統合機動防衛力を構築するため、必要な防衛力整備に係る金額として、まず、二十四兆六千七百億円を目途としています。

 その上で、装備品の仕様の見直しやまとめ買いを含む調達改革等を通じ、一層の効率化、合理化を徹底した防衛力整備に努め、各年度の予算編成を通じ、五年間でおおむね七千億円程度の実質的な財源を確保することにより、中期防に示された事業を実現することは十分可能と考えております。

 中期防の増額修正の可能性についてお尋ねがありました。

 新たな中期防衛力整備計画については、三年後に、その時点における内外の諸情勢を総合的に勘案した上で、必要に応じ見直しを行うこととされております。現時点では、見直しの有無や見直し内容を申し上げることは困難でありますが、いずれにせよ、我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえ、計画の実現に必要な経費の確保に努めてまいります。

 いわゆるグレーゾーン事態に対処する法整備についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐり、いわゆるグレーゾーンの事態が増加する傾向にあります。このため、武力攻撃に至らない事態を含め、さまざまな事態にシームレスに対応することが必要であります。

 このような状況のもと、海上保安庁や自衛隊により、国民の生命財産を守り、我が国の領土、領海、領空を守るために必要な課題については、新たに発足した国家安全保障会議も活用して、政治の強力なリーダーシップのもと、しっかりと検討を行い、実効的な措置を講じてまいります。

 また、個別的自衛権などにかかわる課題については、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告を踏まえ、対応を検討してまいります。

 集団的自衛権と日米防衛協力のための指針の見直しについてお尋ねがありました。

 集団的自衛権については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われていますが、政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討した後、閣議決定を行い、国会でも御議論していただくことを考えています。

 日米防衛協力のための指針は、昨年十月の2プラス2において、日米同盟の抑止力を一層向上させるとの観点から、その見直しを開始し、本年末までにこの作業を完了させることが合意されています。安全保障の法的基盤の再構築に関する議論の進捗に配慮しつつ、日米間で真剣に検討を進めてまいります。

 歴史の問題と積極的平和主義についてお尋ねがありました。

 戦後、我が国は、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をたっとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり、平和国家として歩んできました。この歩みは今後も変わることはありません。

 その上において、我が国は、これまで以上に積極的に国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に寄与していきます。今後とも、こうした国際協調主義に基づく積極的平和主義を推進し、地球儀を俯瞰した戦略的なトップ外交をプロアクティブに展開してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 歴史の問題と積極的平和主義についてお尋ねがありました。

 戦後、我が国は、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をとうとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり、平和国家として歩んでまいりました。この平和国家としての歩みは今後も変わりません。

 我が国は、この平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、国際政治経済の主要プレーヤーとして、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、地域及び世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に寄与してまいります。外務大臣として、こうした我が国の立場、考え方を積極的に説明しながら、外交を展開してまいります。(拍手)

    〔国務大臣小野寺五典君登壇〕

国務大臣(小野寺五典君) 長島昭久議員にお答えします。

 国家安全保障戦略をもとに防衛大綱、中期防を作成したことを評価していただき、ありがとうございます。

 新中期防の所要経費と実質的財源についてのお尋ねがありました。

 新中期防の実施に必要な防衛力整備の水準に係る金額とされている二十四兆六千七百億円は、大綱に示された防衛力の役割を着実に果たしていくための装備品の整備等に必要と考えられる経費の総額であります。

 他方、財政事情が厳しさを増す近年、防衛省においては、例えば、ヘリコプターなどの陸海空自衛隊で共通する装備品についてまとめて発注したりするなど、さまざまな効率化、合理化施策に取り組んでおり、平成二十六年度予算案においても約六百六十億円の節減を図っております。

 こうした施策をさらに厳しく推進することにより、新中期防期間中おおむね七千億円程度の実質的な財源の確保という高い目標も、実現可能性のあるものと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、中丸啓君。

    〔中丸啓君登壇〕

中丸啓君 日本を賢く強くする、日本維新の会の中丸啓です。

 会派を代表して、ただいま議題となりました平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画、国家安全保障戦略等につきまして質問させていただきます。(拍手)

 我が党の基本理念でもある自立する国家を実現する上で、日米同盟を基軸としつつも、自分の国は自分で守るという強い信念を原点とし、国民の生命、身体、財産、領土、領空、領海を守り抜くことは、国家としての最重要責務であると考えます。そのためにも、安全保障戦略、防衛大綱、中期防は、その方向性を指し示し、実効性を伴う現実的なものでなければなりません。

 外交、防衛を抑止力と同義に考えれば、その最高責任者である総理や大臣の言葉は、抑止力としても大変重要です。それには、リーダーが、強く明確な意思を内外に示すことが重要です。

 安倍総理は、本年一月三十一日の予算委員会の答弁で、積極的平和主義というのは、日本一国において日本の平和と安全と繁栄を守ることができないという、この認識を持って国際社会に貢献をしていくと発言されています。現実的な側面があるとはいえ、一国を代表する者の発言として、我が国の外交、防衛への姿勢が対外的に弱気とも受け取られかねない御発言には、違和感を覚えざるを得ません。

 総理と外務大臣に、その発言の趣旨、意図、その影響についてどのようにお考えか、また、今後もそのような発言を続けられるのか、お尋ねします。

 北朝鮮は、朝鮮半島における軍事的な挑発や、我が国を含む関係国に対する挑発的言動を強めています。北朝鮮の核・ミサイル開発は、長射程化、高精度化に資する技術向上が図られており、地域、国際社会の安全保障にとっても、重大かつ差し迫った脅威であります。

 これに加えて、中国は、軍の艦艇、航空機による太平洋進出を常態化させるだけでなく、東シナ海防空識別区の一方的な設定等、南西諸島での挑発行為は常軌を逸していると言っても過言ではありません。

 北朝鮮、中国のような核兵器保有国に対して、核兵器による直接的抑止力を持たない我が国がその安全を保持する選択肢は二つです。一つは、みずからが核兵器を持つこと。もう一つは、核抑止力、実行力を持った同盟国、すなわち米国と連携しつつ、通常戦力優位に徹底的にこだわることです。

 唯一の被爆国である日本の選択肢に、核兵器保有という議論すら選択肢がない現状においては、効果的な抑止力を維持する上で、同盟国である米国と連携しつつ、通常戦力優位、実効性の担保を徹底的に具体化し、同盟の包括的な抑止力を強化すること、すなわち、集団的自衛権の行使という同盟上必要な憲法解釈是正は当然かつ論理的ステップであり、絶対に避けては通れません。

 また、日米防衛協力のための指針、ガイドラインの見直しも急務です。

 こうしたことを踏まえ、日米で連携した防衛を考える上で、冷戦期の安全保障環境で打ち出された一九八一年の政府見解は、集団的自衛権の行使は必要がないとの認識、これは、現在の安全保障環境のもとでは、国家や国民の安全を守る指針として十分なものとは言えず、本来のあるべき姿である、国際法に準拠した行使解釈に是正、正常化させることが急務であると考えますが、総理は、今国会なのか、次の臨時国会なのか、いつまでに、どのように是正、正常化するお考えですか。具体的にお答えください。

 また、行使に当たっての具体的発動要件、行使範囲、国会の承認、部隊行動基準ネガティブリストの作成、自衛隊活動行使後の検証、調査、関連法整備への対応等、諸課題への取り組みも同時に具体化しなければならないと考えますが、総理と防衛大臣のその具体的な内容と今後の取り組みスケジュールについてお答えください。

 次に、予算についてお伺いします。

 平成二十六年度防衛予算は一応増額していますが、そのほとんどは、実質減額していた人件費を戻すための人件費増であり、実際の装備調達や環境整備に大幅に増額したとはとても言えないものです。今後も、目の前の危機から国民の生命財産を守り抜くため、来年度以降に向けては大幅な予算増が必要であると我が党は考えています。総理及び防衛大臣の御所見をお伺いいたします。

 これまでも、防衛白書や大綱等で、ロシアの軍事力への懸念、北朝鮮の不安定さへの懸念、中国の軍備増強への懸念などが記述されていましたが、我が国の防衛政策には、戦略、ドクトリンと呼べるものは、ほとんどその存在がありませんでした。我が国周辺の不安定要素として懸念を示したにすぎず、戦略として、これらの国との衝突に備えることにしていたとはとても言いがたいものでありました。いわば、全方位防衛とでも呼ぶべき考え方で書かれており、とても戦略と呼べるものではなかったわけです。

 しかし、今回は、国家安全保障会議(NSC)も設置され、大きく評価できる重要な点として、どの国との衝突に備えるかを明確化したこと、戦域、前線をどこに設けるかという戦術的な規定をしたことです。これは、従来の考え方から大きく変革した画期的なものです。

 国家安全保障戦略として初めて、戦略、ドクトリンと呼べるものが策定されたとも言えると思いますが、なぜ、今、画期的に明確化したのか、その内容と根拠を総理と防衛大臣にお尋ねします。

 今回の国家安全保障戦略では、北朝鮮と中国に対して備えるべきことは明記されています。ただ、残念なことに、ロシアは、備えるべき相手としては明確に記述されていません。対中包囲網を構築する上でロシアとの連携は重要であり、信頼関係構築は当然大切ですが、これまでの歴史からも、その備えるべき相手としての懸念はゼロではありません。

 ロシアでは、軍改革を進展させ、即応体制の強化とともに、新型装備の導入等を中心とした軍事力の近代化に向けた取り組みが見られ、ロシア軍の活動は引き続き活発化の傾向にあるにもかかわらず、こうした記述になった経緯、ロシアに対する考え方を、総理及び防衛大臣、外務大臣にお伺いいたします。

 次に、陸、海、空、宇宙に次ぐ第五の戦場と言われるサイバー空間についてお伺いいたします。

 イスラエルにおいては、政府関連機関全体で一日に百万回ものサイバー攻撃にさらされているといいます。サイバー攻撃は、決して人ごとではありません。

 我が国でも、尖閣諸島をめぐる中国との対立が深まる中、中国発の対日サイバー攻撃が活発化。アメリカの情報会社、クラウドストライクによると、同社がサムライパンダと名づけた中国のハッカー集団が、二〇〇九年以降、日本だけでなく、アジア諸国の重工企業や航空電子システムに四十回以上も攻撃し、情報の盗み出しを図ったと言われています。

 政府は、米ロやASEANなどとサイバー安全保障をめぐる協議の枠組みを創設し、安全保障体制を強化させる姿勢を明確に打ち出していますが、さきに挙げたイスラエルの技術力への国際的評価は、日本で想像するよりはるかに高いものがあります。

 残念ながら、本年一月にテルアビブで開かれたサイバー安全保障に関する国際会議、見本市への日本からの出席は、大手通信情報会社一社のみであったそうです。逆に、現地では、複数の中国語を話す背広姿の集団がイスラエル企業の代表らと熱心に接触していたと報道されています。

 イスラエルのネタニヤフ首相は、秀でた国々と主要企業による有志連合を結成すべきと訴えていますし、同国のサイバー政策を統括する国家サイバー局のラミ・エフラティ部長は、日本との協力強化を進めたいと秋波を送っています。しかし、まだ具体的に日本とイスラエルは政府間で協力関係を結べていないと思います。

 今後、我が国のサイバー安全保障はもちろん、国際秩序を先導するためにも、どのようにイスラエルとのかかわりを深めていくのか、総理と外務大臣にお尋ねします。

 次に、武器輸出三原則等の見直しについてお伺いします。

 我が国は、現在、アメリカ向けの武器技術の供与や戦闘機の共同開発などの例外を除き、防衛装備品を輸出できなくなっています。三原則が存在することで、国内の防衛産業の育成や武器の国際共同開発を行いにくくなっており、周辺の軍拡の脅威に備えることはもちろん、技術立国日本の未来のための防衛技術、生産基盤の維持強化の観点からも大きな障害になっています。

 また、防衛産業は、世界的に大きなマーケットを持ち、我が国の経済発展に対しても大きな可能性を秘めています。

 昨年私はロンドンの国際兵器見本市を視察しましたが、国家、企業の枠組みを超えた共同開発、民間企業の再編統合が進む中で、世界の兵器開発はグローバル化して、我が国は大幅に出おくれています。国内のみの開発には限界があり、情報、技術面だけでなく、コスト面からも、このままではガラパゴス化する懸念があります。政府、官民一体となって取り組まなければ、安全保障はもちろん、産業としても、生き残ることは困難になることが予想されます。

 そこで、国内兵器産業の枠組みの見直し、開発、分析等情報収集能力向上への対応を含めて、武器輸出三原則等の見直しを、いつまでに、どのように見直すのか、総理と防衛大臣のお考えをお聞かせください。

 最後に、島嶼防衛、日本海沿岸の防衛力強化への人員配置の見直し、コストと効果と技術力向上のバランスを鑑みた兵器調達への取り組みなど、課題は山積しています。

 今後も、日本維新の会は、二度と戦争を起こさないために徹底した抑止力の向上に資するために、国会の議論の場を通じて、その内面まで責任野党として積極的に、是々非々で提言をしてまいります。

 その決意を申し上げ、日本維新の会、中丸啓の質問を終わります。

 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 中丸啓議員にお答えをいたします。

 積極的平和主義についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威は深刻度を増しています。また、サイバー攻撃のような、国境を越える新しい脅威も増大しています。

 このような状況のもとでは、脅威は容易に国境を越えてきます。もはや、どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできません。自国の平和と安全を守るためには、国際社会と協力して、地域や世界の平和を確保していくことが不可欠です。

 このような認識のもとに、我が国は、これまで以上に積極的に国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に寄与していきます。こうした理念を積極的平和主義として掲げたものであり、今後とも、その実現に努めていきます。

 集団的自衛権及びそれに関連する諸課題への取り組みについてお尋ねがありました。

 集団的自衛権については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにどのように考えるべきかについて、具体的なケースを念頭にさまざまな議論が行われており、いつまでにといった期限ありきではなく、まずは、その議論の結果を待ちたいと思います。

 その上で申し上げれば、政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討した後、閣議決定を行い、国会でも御議論をしていただき、そして必要に応じて、自衛隊法を初め関連するさまざまな法律の改正についても国会で御議論いただくことを考えています。

 防衛関係費についてお尋ねがありました。

 平成二十六年度防衛関係費については、給与削減措置の終了による人件費の増加などを考慮しても、実質的に必要な増額を確保し、二年連続の増額としているところです。

 防衛関係費については、今後とも、国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、厳しい財政事情も踏まえつつ、必要な予算をしっかりと確保してまいります。

 なぜ、初めて、戦略、ドクトリンと呼べるものを策定したのかとのお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するため、機動的、戦略的に安全保障政策を展開するとの観点から、政府は、国家安全保障会議及び国家安全保障戦略を車の両輪として設置、策定しました。

 他方で、本戦略は、どの国との衝突に備えるか、戦域、前線をどこに設けるかといった内容を明示しているわけではありません。

 ロシアに対する考え方についてお尋ねがありました。

 政府としては、東アジア地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、あらゆる分野でロシアとの協力を進め、日ロ関係を全体として高めていくことは、我が国の安全保障を確保する上で極めて重要であると考えており、国家安全保障戦略においても、その旨を記しています。

 同時に、ロシア軍の活動は引き続き活発化の傾向にあり、その活動の意図に関する理解を深め、信頼関係の増進を図る必要があると考えており、新たな防衛大綱にも、その旨を明記したところであります。

 イスラエルとの協力強化についてお尋ねがありました。

 サイバー攻撃への対応は、国家の安全保障、危機管理上の重要な課題であり、迅速かつ的確な対処のために、諸外国との効果的協力を推進していく考えです。

 イスラエルのようなサイバーセキュリティーにすぐれている国から学ぶところは多いと考えており、この分野を初め、今後のイスラエルとの協力強化については、鋭意検討してまいります。

 武器輸出三原則等についてお尋ねがありました。

 武器輸出三原則等については、安全保障環境の変化に対応し、平和貢献、国際協力や国際共同開発等、その時々の重要性に応じ、これまで二十一件に及ぶ例外化措置が講じられてきており、今後も増加していくことが予想されます。

 このような状況に鑑み、政府としては、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めることとしており、現在、与党とも御相談しながら検討中であります。

 このため、策定時期を申し上げることはできませんが、新原則においても、平和国家としての基本理念は堅持し、また、武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割にも十分配意してまいります。

 その上で、これまで積み重ねてきた例外化の実例を踏まえ、これを包括的に整理しながら、防衛装備の移転に係る具体的な基準や手続、歯どめを今まで以上に明確化して、内外に透明性を持った形で明らかにしようと考えています。

 なお、我が国の防衛生産、技術基盤に関しては、その維持強化を図るため、新防衛大綱において将来ビジョンを示す戦略を策定することとしており、現在、検討を進めているところであります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) まず、積極的平和主義につきまして御質問いただきました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威は深刻度を増しております。また、サイバー攻撃のような、国境を越える新しい脅威も増大しております。

 かかる状況のもとでは、脅威は容易に国境を越えてきます。もはや、どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできません。自国の平和と安全を守るためには、国際社会と協力して、地域や世界の平和を確保していくことが不可欠であります。

 このような認識のもとに、積極的平和主義は、我が国が、国際協調主義に基づき、地域及び世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に寄与していこうというものであります。

 我が国は、積極的平和主義の立場から、グローバル化が進む世界において、国際政治経済の主要プレーヤーとして、これまで以上に積極的な役割を果たしてまいります。

 こうした考え方を国際社会に丁寧に説明し、理解を得ながら、外交を進めてまいります。

 次に、ロシアに対する考え方についてお尋ねがありました。

 ロシアとの間では、昨年十一月二日に初の日ロ外務・防衛閣僚協議、2プラス2を行い、両国の安全保障、防衛政策や安全保障協力、また、アジア太平洋地域の多国間枠組みでの協力等について率直な意見交換を行いました。

 外務大臣としても、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、そのような対話を進めていくことは、両国の信頼関係を増進させ、日ロ関係全体の底上げを図るとともに、地域の平和と安定に資することにより、我が国の安全保障の確保につながるものと考えております。

 国家安全保障戦略の中では、東アジア地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、あらゆる分野でロシアとの協力を進め、日ロ関係を全体として高めていくことは、我が国の安全保障を確保する上で極めて重要であると記述されております。

 一方、ウクライナ情勢を含め、個別の事態については、その時々の状況にも鑑み、適切に対応していく考えであります。

 次に、サイバー安全保障に関するイスラエルとの関係についてお尋ねがありました。

 政府としては、サイバー空間の安定的利用に対するリスクは新たな課題となっていると認識をしております。外務省としましては、サイバー分野に関し、特に、安全保障面を重視しつつ、二国間及び多国間の場における協力を進めています。

 イスラエルとの関係については、昨年七月、私がイスラエルを訪問した際、ネタニヤフ首相とも会談をいたしました。ネタニヤフ首相からは、サイバーを含む安全保障分野に関する日・イスラエル間の対話及び協力を強化したいとの話がありました。

 こうした背景も踏まえて、サイバー安全保障に関し、イスラエルとの間で具体的にどのような関係を構築できるかについて検討を行っているところであります。(拍手)

    〔国務大臣小野寺五典君登壇〕

国務大臣(小野寺五典君) 中丸啓議員にお答えいたします。

 まず、集団的自衛権の行使に関する諸課題への取り組み内容やスケジュールについてのお尋ねがありました。

 集団的自衛権と憲法との関係等については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われていると承知をしております。

 防衛省としましては、総理が御答弁されたとおり、まずは、この懇談会における議論を待ちたいと思います。

 次に、防衛予算の増額についてのお尋ねがありました。

 昨年末に策定された新防衛大綱では、南西地域の防衛態勢の強化を初め、各種事態における実効的な抑止及び対処を実現するための前提となる海上優勢及び航空優勢を確実に維持するとともに、幅広い後方支援基盤の確立に配意した統合機動防衛力を構築するということにしております。

 防衛省としては、統合機動防衛力の構築に向け、厳しい財政事情も踏まえつつ、必要な予算をしっかり確保することで、国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空の防衛に万全を期していきたいと考えております。

 次に、国家安全保障戦略について、他国との衝突への備えや戦術的な規定を明確化したことなど、画期的なものになったが、なぜ今明確化したか、その内容と根拠についてのお尋ねがございました。

 国家安全保障戦略は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、国家安全保障の確保に取り組んでいく必要があるとの認識のもと、我が国として初めて策定をしたものであります。

 他方、我が国の防衛体制は、従来から、特定の国を仮想敵国や脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想には立っておらず、この点は変更しておりません。

 いずれにせよ、防衛省・自衛隊としては、国家安全保障戦略を踏まえ策定した新大綱等に基づき、国民の生命財産と我が国の領土、領海、領空を確実に守り抜くため、着実に防衛力を整備してまいります。

 次に、ロシアに対する考えについてのお尋ねがありました。

 防衛省としては、ロシアは、軍改革を進展させる中で、軍事力の近代化に取り組むとともに、その軍の活動には、我が国周辺のものも含め、活発化の傾向が見られると認識をしております。

 一方、我が国として、ロシアとの安全保障分野における協力を進めることも重要であり、また、ロシア軍の活動の意図に関する理解を深め、信頼関係の増進を図る必要があるとも認識をしております。

 最後に、国内防衛産業の体制、装備品に関する情報収集及び武器輸出三原則等についてのお尋ねがありました。

 国内の防衛産業の体制については、防衛省としても、国際的に主流となっている国際共同開発、生産へのさらなる参画により、防衛産業の技術力向上、生産性改善及び国際競争力強化を通じ、我が国の防衛生産、技術基盤の維持強化を推進してまいります。

 また、防衛装備品の国際的な最新技術動向について常に情報収集を行うことは非常に重要であると認識をしており、技術研究本部の技術調査体制、能力の向上、先進国との技術協力の強化及び国際的な防衛装備見本市等への職員派遣を通じて、その能力の強化を検討してまいります。

 武器等の海外移転に関する新たな原則については、その方向性、時期については、先ほど総理の御答弁のとおりであります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次に、遠山清彦君。

    〔遠山清彦君登壇〕

遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました、政府が昨年十二月十七日に閣議決定した国家安全保障戦略、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に関連し、安倍総理、岸田外務大臣、小野寺防衛大臣に質問いたします。(拍手)

 地方分権が進められている今日においても、外交及び安全保障に関する諸政策は、一義的には国の責任のもとに決定し、遂行されるべきものであります。その点から、昨年、国家安全保障会議(NSC)が設置され、政府・与党内の議論を経て、戦後初となる国家安全保障戦略という文書を従来の国防の基本方針にかえて策定したことは、大きな歴史的成果だと考えます。

 しかし、まず、大切なことは、我が国が掲げる基本理念であります。

 国家安全保障戦略の中で、それは、「平和国家としての歩みを引き続き堅持し、」「国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していく」とされています。ここで最も大切な点は、日本は平和国家としての地位を今後も堅持することであります。

 戦前の一時期、日本が他の国々への侵略と植民地支配によって多大な犠牲と苦痛を他国民に強いたことは事実であり、そのことへの猛省が戦後日本の平和国家の起点になっております。

 この点で、安倍総理が先般、現安倍政権下で河野談話を見直さない、村山談話を継承することを明言されたことは、率直に評価させていただきたいと思います。

 その上で、戦後日本が築いてきた平和国家の内実とは何でしょうか。結論を先に申し上げれば、日本は単に国連憲章を遵守するだけの平和国家ではないと考えます。

 日本に限らず、国連加盟国が国連憲章を遵守するのは当然です。しかし、日本の場合は、それに加えて、憲法九条の平和主義のもとに、海外で武力行使をしないという姿勢を一貫して貫いてきたこと、唯一の被爆国として、非核三原則を堅持し、軍縮をリードしてきたこと、武器輸出三原則等で武器貿易を厳格に抑制してきたことなどが含まれる平和国家としての地位を今日まで築いてきたのではないでしょうか。この点について、安倍総理の認識を伺います。

 武器輸出三原則等の見直しについては、現在、私も参加しております与党PTで、防衛装備品の移転の新原則として策定内容が協議されておりますが、一部報道等で誤解を与えるものがございます。すなわち、今回の見直しで武器輸出が全面解禁されるというものです。

 私たちが現在議論している方向性は、全面解禁ではなく、今後も禁止される輸出と、昭和五十八年以来二十一回にわたり例外化されてきた許可し得る輸出についての基準を整理、明確化し、適正審査と厳格管理の体制を強化するものであります。

 ただし、平和国家として、基準に適合したと判断された輸出が恣意的に運用されていないか、国民がチェックできることは極めて重要です。

 そこで、安倍総理に提案いたします。

 新原則のもとでの防衛装備品の移転、輸出については、類型ごとに全体の許可件数、輸出額及び輸出先を記し、かつ、NSCの個別判断を検証できる情報も記した年次報告書を国会に提出し、当初案よりも一層の透明化を図るべきであると考えます。総理の見解を伺います。

 次に、日本の国益上、エネルギー資源等の輸送路である海上交通路の安全確保は重要であります。その観点から、協力国への救難、輸送、警戒監視及び掃海に関する装備品の輸出も現在検討されているわけですが、この分野は、そもそも警察権に基づく海上保安的要素もあり、装備もさることながら、人材育成が喫緊の課題と言えます。

 しかるに、協力国として想定されるASEAN諸国の海保分野の人材育成はおくれており、日本からのさらなる能力向上支援のニーズが高まっております。

 そこで、この際、政府として、防衛交流に準ずる海保交流支援を実施するために十分な予算を確保すべきと考えますが、総理の方針を伺います。

 国家安全保障の車の両輪は防衛力と外交力であることは、論をまちません。安倍総理の総理就任後の精力的外交活動には、心から敬意を表します。しかし、我が国が目指すアジア太平洋地域の平和と安定の実現のためには、近隣諸国との関係改善は不可欠であります。

 単刀直入に総理に申し上げますが、まず、日韓首脳会談を、今月オランダで開催される核セキュリティーサミットの際にぜひとも開いていただきたい。そして、日中についても、不測の事態を避ける信頼醸成メカニズム構築のための外交努力を粘り強く展開していただきたい。

 同盟国であるアメリカのリバランスポリシーの本質は、中国の急速な台頭という安全保障環境の変化を平和的に管理することであり、そのことを踏まえた戦略的外交を安倍総理のリーダーシップのもとに展開されることを切に望むものであります。総理の御決意を伺います。

 日朝関係については、横田めぐみさんの御両親が、めぐみさんの娘であるウンギョンさんらとモンゴルで初めて面会したという展開に接し、安倍政権の拉致問題解決への強い決意を感じたところであります。

 今後、現在の日朝間の課長級非公式協議を局長級の公式協議へ格上げするとの報道がありますが、この協議で政府として何を目指すのか、岸田外務大臣の答弁を求めます。

 政府は、サイバー攻撃への対応能力の一層の強化も目標に掲げております。

 内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)の最新資料によれば、サイバー空間における政府機関への脅威、攻撃件数は、既に一分間に二回の頻度に達しており、金融、航空、鉄道、電力などの重要インフラへの攻撃も増加の一途をたどっております。

 政府においては、これまでもサイバーセキュリティー政策の推進体制を強化してきておりますが、まだ不十分な面があります。特に、内閣に置かれている情報セキュリティ政策会議とその事務局であるNISCが法的基盤を欠いていることは、致命的と言っても過言ではありません。

 早急にサイバーセキュリティーに関する基本法を整備し、より実効性の高い対応ができる体制を整えるべきだと考えますが、総理の見解を求めます。

 今回の新しい防衛大綱では、純然たる有事でも平時でもないグレーゾーンの事態が増加、長期化していることを指摘し、そういった事態を深刻化させない方針を政府は示しております。

 しかし、従来の自衛隊の出動類型でいえば、こういった事態に対しては、海上警備行動や治安出動など、自衛権ではなく警察権に基づく出動で対応する整理がなされてきたはずであります。

 今回の防衛大綱であえてグレーゾーンの事態への対応強化を打ち出した背景にはどのような問題意識があるのか、小野寺防衛大臣の答弁を求めます。

 最後に、集団的自衛権の問題について、総理に二点伺います。

 安倍総理は、最近の一連の国会答弁において、集団的自衛権を日本は主権国家として国際法上保有するが、憲法上その行使は許されないという政府の公式見解を変える方針を示しておられます。この立場を支持する根拠の一つとして、権利として保有しているのに、それを行使できなければ権利とは呼べないという主張がしばしばなされます。

 しかし、安全保障分野に限らず、国際法上の権利と国内法上の制約が相克、矛盾した場合、政府は国内法上の制約を優先して行政権を執行することが先進諸国の通例であり、その意味で、現在の政府見解は妥当であると考えますが、総理の率直な御意見を伺いたい。

 また、もう一つ、集団的自衛権の行使容認により日米同盟の片務性を解消すべきという主張も散見されるところであります。すなわち、日本が攻撃されたとき米軍は日本を守るが、逆のケースでは日本が何もしないのは同盟国としておかしいという主張であります。

 しかし、日米同盟は、米国が日本防衛をコミットするかわりに日本は米軍への施設を提供するということで双務性を担保した形になっており、また、日本有事の際には自衛隊も当然に個別的自衛権に基づき出動することから特段の片務性はないというのが従来の政府見解ではなかったでしょうか。

 この点についての安倍総理の御見解を伺い、私の代表質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 遠山清彦議員にお答えをいたします。

 戦後日本の平和国家としての内実についてお尋ねがありました。

 戦後、我が国は、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をたっとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり、平和国家としての道を歩んでまいりました。その歩みは今後も変わりません。

 我が国は、ODAによる支援を通じて、アジア諸国の発展や、PKOを含む国際平和協力を通じ、地域と世界の平和と安定に貢献してまいりました。

 また、我が国は、国連憲章を遵守する平和国家として、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を堅持してまいりました。軍縮・不拡散分野における取り組みをリードし、防衛装備品の移転を厳格に管理してまいりました。

 このような歩みは、国際社会において高い評価を受けてまいりました。

 防衛装備品等の移転の透明化についてお尋ねがありました。

 防衛装備品の海外移転に関する新たな原則の策定に当たっては、平和国家としての基本理念は堅持し、また、武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割にも十分配意してまいります。

 その上で、これまで積み重ねてきた例外化の実例を踏まえ、これを包括的に整理しながら、防衛装備の移転に係る具体的な基準や手続、歯どめを今まで以上に明確化し、同時に、政府全体として厳格な審査体制と適正な管理体制を構築して、内外に透明性を持った形で新たなルールを明らかにしようと考えています。

 新原則の運用状況に関する情報公開も極めて重要と考えており、従来のように個別に例外化措置を講じてきた場合に比べて透明性に欠けることがあってはならないと考えています。

 議員の御提案も踏まえ、政府として十分な説明責任を果たすとの観点から、一層の透明化を図るべく、引き続き、与党とも御相談しながら、具体的方策を検討してまいります。

 海上保安分野でのアジア諸国との交流支援についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、海上交通路の安全の確保は、我が国にとっても、また世界全体にとっても、平和と繁栄の基盤となる重要なものであります。

 こうした観点から、アジア諸国の海上保安機関の職員に対する研修実施等による人材育成への協力、各国海上保安機関との共同訓練の実施など、長年取り組んできた海上保安分野での人的交流をさらに促進し、引き続き、アジア諸国との協力関係を強化してまいります。

 日韓、日中関係についてお尋ねがありました。

 韓国は、基本的価値と戦略的利益を共有する、最も重要な隣国であります。国会の状況を含め、諸般の事情が許せば、核セキュリティーサミットに出席し、未来志向の関係構築に向けて引き続き尽力します。

 日中関係は、最も重要な二国間関係の一つです。日中間で不測の事態の発生を回避するため、第一次安倍政権の際、私から防衛当局間の連絡体制を整備することを提案し、大筋合意しましたが、中国は運用開始に合意しておらず、引き続き、積極的に働きかけを続けてまいります。

 米国のリバランス政策は、地域の安定と繁栄に大きく貢献するものであります。引き続き、地域の平和と繁栄のため、米国と協力していく考えです。

 サイバーセキュリティー政策の推進体制についてお尋ねがありました。

 サイバー攻撃への対応は、国家の安全保障、危機管理上の重要な課題と認識しております。このため、サイバーセキュリティー政策の推進体制の強化については、御指摘も踏まえつつ、法制度のあり方も含めて検討を深め、早急に機能強化を図るべく、積極的に取り組んでまいります。

 集団的自衛権についてお尋ねがありました。

 一般に、国家が国際法上の権利を行使するか否かは各国の判断に委ねられており、国内法によって国際法上の権利の行使を制限したとしても、法的には特段問題を生じるものではないと考えています。

 その上で申し上げれば、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにいかにすべきかという観点から、集団的自衛権等と憲法との関係について検討が行われており、まずは、この懇談会における議論を待ちたいと思います。

 日米同盟についてお尋ねがありました。

 日米安保条約は、第五条において、我が国への武力攻撃に対し日米が共同で対処することを定め、第六条において、米国に対し、我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与するために我が国の施設・区域を使用することを認めています。

 このように、日米両国の義務は同一ではありませんが、全体として見れば、日米双方の義務のバランスはとられていると考えています。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 日朝関係につきまして御質問をいただきました。

 拉致問題は、安倍政権は、みずからの手で解決するという断固たる決意のもとで、ありとあらゆる可能性を模索しながら、我が国の総力を挙げて取り組んでいくというのが政府の方針であります。

 日朝政府間協議の再開につきましては、現時点で何ら決まったことはありませんが、政府としては、対話と圧力の基本方針のもと、日朝平壌宣言に基づき、関係国とも緊密に連携しつつ、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて、北朝鮮の前向きな対応を引き出すべく、引き続きしっかり対応していく考えであります。(拍手)

    〔国務大臣小野寺五典君登壇〕

国務大臣(小野寺五典君) 遠山清彦議員にお答えいたします。

 グレーゾーン事態への対応強化にかかわる問題意識についてのお尋ねがありました。

 前大綱策定以降、我が国周辺を含むアジア太平洋地域においては、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐり、純然たる有事でも平時でもない、いわゆるグレーゾーン事態が増加し、長期化する傾向にあります。

 このようなグレーゾーン事態は、法的な概念ではなく、幅広い状況を端的に表現したものですが、このような事態については、国家安全保障会議の司令塔機能のもと、事態の推移に応じ、政府一体となってシームレスに対応することが重要だと思っております。

 このため、新大綱におきましては、グレーゾーン事態への対応を含め、各種事態における実効的な抑止及び対処の体制を強化していくこととしております。(拍手)

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副議長(赤松広隆君) 次に、三谷英弘君。

    〔三谷英弘君登壇〕

三谷英弘君 みんなの党の三谷英弘です。

 みんなの党を代表して、ただいま議題となりました国家安全保障戦略、新防衛大綱等について質問いたします。(拍手)

 さて、先日、藤巻幸夫参議院議員の急逝の報に接しました。質問に先立ちまして、藤巻議員の御逝去に心からの哀悼の意を表したいと思います。

 近時、アジア太平洋地域における我が国の安全保障環境は一層厳しさを増しています。また、東日本大震災などの大災害を経験し、日本国内で自衛隊の存在が脚光を浴びています。

 ここで思い出されるのは、吉田茂元首相の防衛大学校第一回卒業式での言葉です。

 君たちは自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。しかし、自衛隊が国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡のときとか、災害派遣のときとか、国民が困窮し国家が混乱に直面しているときだけなのだ。君たちが日陰者であるときの方が、国民や日本は幸せなのだ。どうか耐えてもらいたい。

 自衛隊が脚光を浴びている昨今、まさに吉田元首相が懸念していたような事態が迫っているとの危機感を持って、安全保障を考えていかねばなりません。

 東アジアの情勢は、今までに増して不安定になっています。島嶼部への攻撃等に対処するため、陸海空の自衛隊が一体となって運用されることは重要であって、新防衛大綱で統合機動防衛力が中核に置かれたことは、望ましいものと考えます。

 しかしながら、島嶼部の防衛の実態を考えると、これで十分ではありません。島嶼部に対する侵攻は、公船、漁船と、偽った船で行われることも想定され、最前線にいるのは海上保安庁の巡視船です。

 平時から海上保安庁と連携を密にし、防衛力の統合的運用を進める観点からいえば、有事の際には指揮命令系統を一本化することなども考えるべきではないかと思いますが、この点、防衛大臣の見解を伺います。

 また、陸海空の自衛隊の統合運用の根幹は情報共有であり、各自衛隊間のデータリンクは喫緊の課題です。そこで、このデータリンクはどの程度時間や予算をかけて実行しようとしているのか、また、米軍とのデータリンクも行われるのか、防衛大臣に伺います。

 また、島嶼部防衛は過去の経験から学ばなければなりません。

 本日、この場で、ベトナムのチュオン・タン・サン国家主席が演説をされましたが、同国は、島嶼部防衛に関してつらい記憶を有しています。二十六年前、スプラトリー諸島において中国軍と武力衝突が発生し、ベトナム兵六十余名が亡くなりました。この悲劇を繰り返さないためにも、アジアにおけるパワーバランスを維持し、有事の発生を抑止することが重要です。

 この点、近時中国が軍事費を毎年一〇%程度伸ばし、東アジアのパワーバランスに脅威を与えています。しかし、中国の経済規模との兼ね合いで見れば、何のことはありません、対GDP比一・三%程度という規模は全く変わっておりません。

 これに対し、日本は、ここ二十年防衛費をふやせず、それが極東でのパワーバランスが揺らぎかねない要因の一つとなってきましたが、それはまさに、ここ二十年、日本が経済成長してこなかったからにほかなりません。

 経済成長しない中で無理に防衛費をふやせば、国民生活へのしわ寄せが大きくなります。経済規模を拡大することで初めて無理なく防衛費を捻出し、脅威に備えることができるようになるのです。

 その意味で、経済成長こそが最大の安全保障だと考えていますが、この点についての総理の見解、そして経済成長の実現にかける意気込みをお聞かせください。

 今後の安全保障において、サイバー防衛も不可欠です。国家安全保障戦略には、サイバーセキュリティーの強化がうたわれていますが、その取り組みは不十分です。

 二〇一二年十月、アメリカ下院の情報特別委員会において、ファーウェイテクノロジーズその他一社が提供する製品には安全保障上のリスクがあるとして、使用を避けるべきとの調査結果が発表されました。この動きは、イギリス、カナダ、オーストラリア、そして韓国でも徐々に広まっています。

 そこで、現在、政府調達されている電子機器のうち、約何%にファーウェイの製品が組み込まれているか、官房長官に伺います。

 また、今後、安全保障上脅威を与え得る機器の使用を避けるために、政府調達での禁止や我が国の通信事業者における状況把握など、政府としていかなる対策を講じる予定かについても、官房長官、お答えください。

 また、クリミア半島をめぐり、ウクライナ情勢は予断を許さない状況が続いています。安倍内閣における国際協調主義に基づく積極的平和主義という観点から、この問題について日本はどのような役割を果たすべきとお考えか、外務大臣に伺います。

 最後に、新防衛大綱に欠けているピースが一つあります。集団的自衛権です。

 衆院選時の自民党の公約では、集団的自衛権を認める旨明記されています。また、二二大綱についての質疑に際し、自民党今津議員が、自民党は集団的自衛権を認めると、この本会議の場で明言されています。

 最近、自民党内部において、集団的自衛権の判断を先送りしようとの動きが起きていますが、選挙公約にも掲げ、また本会議場でも明言したこの論点を今さら党内で議論するのも、おかしな話です。

 集団的自衛権行使容認の判断の時期について、総理の見解を伺います。

 みんなの党は、安全保障の観点からも、当たり前の自由社会と一人前の国家の構築を目指して、引き続き活動を続けてまいります。

 以上で質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 三谷英弘議員にお答えをいたします。

 経済成長と安全保障との関係及び経済成長への決意についてお尋ねがありました。

 安倍内閣としては、長年にわたるデフレを脱却し、活力あふれる日本経済を取り戻すため、経済再生を最重要課題として、三本の矢に全力で取り組んできました。今や、景気回復の裾野が着実に広がってきています。

 これまでの各年度の予算における防衛費については、経済、財政の状況なども踏まえつつ、その時々の安全保障上の課題に対処する観点から、必要な予算を確保してきたところでありますが、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、今後とも、国家安全保障を充実強化するための方策に政府全体として取り組んでいかねばなりません。

 強い経済を取り戻すことが、強い外交力を展開することにもつながり、また、安全保障の強化にもつながると考えており、引き続き、我が国経済の再生に全力で取り組んでまいります。

 集団的自衛権についてお尋ねがありました。

 集団的自衛権については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにどのように考えるべきかについて、具体的なケースを念頭にさまざまな議論が行われており、いつまでにといった期限ありきではなく、まずは、その議論の結果を待ちたいと思います。

 その上で申し上げれば、政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討した後、閣議決定を行い、国会でも御議論していただくことを考えています。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣小野寺五典君登壇〕

国務大臣(小野寺五典君) 三谷議員にお答えします。

 自衛隊と海上保安庁との連携についてのお尋ねがありました。

 島嶼防衛等に関しては、防衛省・自衛隊は、平素より、海上保安庁等との間で迅速な情報共有や共同訓練等を通じた連携強化を図るなど、事態に十分対応できるよう努めているところであります。

 また、自衛隊法第八十条において、内閣総理大臣は、防衛出動等を命じた場合において、特別の必要があると認めたときには、海上保安庁の全部または一部を防衛大臣の統制下に入れることができるとされております。

 統制下に入った海上保安庁は、海上保安庁法上の任務及び能力の範囲内で、非軍事的性格を保ちつつ、自衛隊の出動目的を効果的に達成するために、防衛大臣の統一的、一元的な指揮のもと、適切な役割分担を確保しつつ、海上における人命及び財産の保護、犯罪の取り締まり等を実施することになります。

 今後とも、防衛省・自衛隊は、関係省庁との連携を図りつつ、我が国の防衛、警備の体制に間隙を生じさせることのないよう、万全を期してまいりたいと思っております。

 次に、自衛隊間及び米国との間のデータリンク機能についてのお尋ねがありました。

 現下の安全保障環境や情報通信ネットワーク技術の高度化を踏まえ、防衛省・自衛隊では、統合運用の基盤となる情報通信能力の強化を図っているところであります。引き続き、国内外のすぐれた情報通信技術を利用した、より広範囲、機動的な情報通信体制の構築を進めてまいります。

 具体的には、島嶼部における通信基盤の整備や、各自衛隊間のデータリンク機能の強化を重視することとし、新中期防期間中において着実に整備を行ってまいります。その際、インターオペラビリティーの確保の観点から、米軍とのデータリンク機能の強化も、あわせて進めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 私には、ウクライナ情勢の平和的解決のための日本政府の役割についてお尋ねがありました。

 我が国は、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、これまで以上に積極的に国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に寄与してまいります。

 この観点から、ウクライナ情勢の平和的解決のために、G7諸国を初め各国と連携しつつ、貢献していく考えです。

 具体的に、我が国としては、ウクライナの経済状況の改善、そして、緊張緩和のための対話と透明性の促進が重要だと認識をしております。このため、我が国は、欧州安全保障協力機構(OSCE)のミッションへの拠出を決定し、さらなる貢献策について検討を行っているところであります。

 また、三月十一日、私はラブロフ外相と電話会談を行わせていただきましたが、私の方からは、ウクライナの主権と領土の一体性を損なうことなく、ロシアがウクライナ暫定政府との直接対話を行うこと、クリミアやウクライナ東部への国際監視団を受け入れることを直接働きかけました。また、クリミアのロシア編入に関する住民投票実施等に対する懸念を表明し、力を背景とした現状変更は受け入れられないことを明確に述べました。

 三月十六日、クリミア住民投票が実施され、ロシアがクリミア自治共和国の独立を承認したことは、ウクライナの統一性、主権及び領土の一体性を侵害するものであり、遺憾であります。

 このような動きを受け、我が国として、ロシアとの間で査証緩和に関する協議を停止し、新投資協定、宇宙協定及び危険な軍事行動の防止に関する協定、この三件の新たな国際約束の締結交渉開始を凍結することといたしました。

 今後とも、ウクライナ情勢の平和的解決に向け、積極的な役割を果たしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 安全保障上脅威を与え得る電子機器の政府調達での禁止等についてお尋ねがありました。

 政府の機器等の調達については、安全性の確保が極めて重要であるということを認識いたしております。

 その上に立って、政府としては、政府調達されている機器等に御指摘の製品が組み込まれている状況について、現時点においては網羅的には把握しておりませんが、可能な限り、部品等の製造業者に至るまで把握すべく、調査を行ってまいります。

 いずれにせよ、御指摘の点については、政府としても、同様の問題意識を持っており、現在改正中であります政府機関統一基準等においても、機器等への不正機能の混入等を防止するために、調達の際に、従事者の専門性、国籍等の情報提供を求めることや、製品製造時の管理体制を確認すること等について、追加対策を盛り込むことにいたしております。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次に、畠中光成君。

    〔畠中光成君登壇〕

畠中光成君 結いの党の畠中光成です。(拍手)

 私ども結いの党は、一強多弱と言われる政治状況を変えていく大きな志を持って、昨年十二月に結党いたしました。

 この結いという言葉には、古来より、田植えや稲刈りなど、一人で行うには多大な労力がかかる作業を集落の住民総出で助け合ってきた日本の伝統精神が宿っています。合掌づくりを守る白川郷や沖縄のユイマールにも、この結いの伝統が息づいています。

 日本の文化と経済の融合、クール・ジャパンに御尽力され、私どもと行動をともにしてきた藤巻幸夫参議院議員の御冥福をお祈りしますとともに、志の実現をお誓いしたいと思います。

 さて、この国家安全保障戦略と防衛大綱、外交と防衛を一体的に捉えた戦略を明確化したことや、冷戦思想からようやく脱却できたことは、率直に評価したいと思います。

 これまでは、中国、北朝鮮、ロシアと、全方位的に懸念を示していましたが、国家安全保障戦略では、中国と北朝鮮に対して備える一方、ロシアに対しては、むしろ協力すべき相手と規定しています。エネルギーや北方領土問題の解決に向けて、ロシアとの信頼関係の増進は望むべくところです。

 しかし、緊迫化するウクライナ情勢では、欧米との間で立場を曖昧にすることは大きなリスクを伴っているとも思えます。地政学的に大陸の向こう側の欧州の問題が中東や中国に影響を与えるならば、対岸の火事ではなくなります。

 ウクライナ情勢がさらに悪化した場合は、この戦略や大綱は見直されるということでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。

 二二大綱でも、動的防衛力としてグレーゾーン対応が示されていましたが、新たな防衛大綱では、統合機動防衛力によって、より具体化された内容になっています。大綱の中には、グレーゾーンという言葉が七回、シームレスという言葉が五回登場し、北朝鮮や中国に対しても、非対称的な軍事能力という表現がなされています。とても重要なことで、評価したいと思います。

 統合運用によって、陸海空自衛隊の指揮統制や通信は一層機能的にしていくべきです。

 しかし、統合された近代的なシステムは、小さな漁船が大量に押し寄せたり、大量の動員でピケを張られたりなど、原始的な手法に対して必ずしも有効ではありません。

 領海や離島における海保と自衛隊、原発など重要施設における警察と自衛隊のシームレスな連携は、戦略や大綱からは余り見えてきませんが、大丈夫でしょうか。省庁縦割りの弊害がそもそもグレーゾーンになっていないでしょうか。あらゆる事態を想定し、省庁の枠組みを超えたグレーゾーン対応へのお考えをお聞かせください。

 大綱で示された運用上のグレーゾーン対応のほかに、我々政治家が取り組まねばならないことは、法制上のすき間を埋めることではないでしょうか。

 海上警備行動、治安出動と防衛出動、警察権と自衛権行使のはざまにある、武力攻撃に至らない武力行使や法益侵害への対処において、自衛隊の武器使用権限の拡大を検討すべきだと考えますが、武力攻撃の解釈変更を前提にあくまで自衛権で捉えるのか、逆に、警察権を拡大するのか、あるいは、領域警備法など個別法を制定するのか、いずれにせよ何らかの取り組みが必要で、そういうグレーゾーンの事態にいかなる法律を適用するのかが喫緊の課題だと考えますが、総理の御見解をお聞かせください。

 解釈改憲の是非は横に置いたとしても、安倍総理は、内閣法制局長官の役割をどのようにお考えでしょうか。

 本来、法制局長官というのは、議論が過熱したときに、むしろクールダウンさせて、法的論点を整理して説明するのが役割です。

 小松内閣法制局長官の参議院での対応は、理事と論争する、委員長の制止にも従わない、たびたび委員会を中断させる。相当問題があると言わざるを得ません。

 さらに、衆議院では、予算委員会でも、病気療養中ということで、ほとんど答弁に立たれませんでした。

 病を押して仕事をされる姿には敬意を表しますが、そのことと公職の責務が果たせているかは別問題です。集団的自衛権をめぐり国会審議を充実させるときに、その任にたえ得るのでしょうか。各党からも疑問の声が上がっています。

 今後も同様の問題が起こった場合、更迭されるのでしょうか。総理の任命責任にもかかわります。御見解をお聞かせください。

 現在総理が検討しておられる集団的自衛権行使は、防衛出動下令後に自衛権に基づく武力による侵略の排除が認められた状況下での課題です。

 現実的には、そういった事態が起こる可能性はそう高くはなく、先ほど申し上げたグレーゾーン対応が、我が国安全保障上の優先的課題です。それでもなおこの集団的自衛権を行使容認に向けて取り組むのならば、国会で十分な議論を行うのが筋です。

 自民党が選挙公約で示された国家安全保障基本法案、中身の是非はともかく、我が国の安全保障を包括的に捉え、自衛権の神学論争から抜け出す意欲的なものだったと思いますが、基本法の国会提出を見送り、自衛隊法、周辺事態法、PKO法など、既存の法律の改正で対応するとの報道がありました。

 しかし、そういった個別法の改正ではカバーできないものもあるでしょうし、特に集団的自衛権の行使容認においては、憲法が自衛のための最小限度の自衛権行使を認めているという解釈をどの程度に制限的なものとみなすか、それに伴い行使に一定の制約を設けるか否かといった重要なことは包括的な基本法で規定しておくべきで、それこそ国会の審議によって議論すべきではないでしょうか。

 総理は、参議院で、提出するしないは決めていない、野党時代と状況が変わっていると述べられましたが、公約を引っ込めるには、それなりの説明が必要です。どのように状況が変わったのか、改めて基本法を出すのか出さないのか、お聞かせください。

 安倍総理には、安全保障という国の根幹にかかわる問題について、多くの声に耳を傾け、国会での議論を大切にし、明快な答弁をいただけるようお願い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 畠中光成議員にお答えをいたします。

 国家安全保障戦略及び防衛大綱の見直しについてのお尋ねがありました。

 国家安全保障戦略は、我が国の国益を長期的視点から見定めた上で、国家安全保障の確保に取り組んでいく必要があるとの考えのもと、おおむね十年程度の期間を念頭に置いて策定しており、この内容を踏まえて新防衛大綱を決定しました。

 現在のウクライナ情勢の変化を受けてこうした中長期的な指針を見直すことは考えておりませんが、国家安全保障会議において、定期的に体系的な評価を行い、中長期的に発展させていくこととしております。

 いわゆるグレーゾーン事態への対応に関するお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐり、いわゆるグレーゾーンの事態が増加する傾向にあります。このため、武力攻撃に至らない事態を含め、さまざまな事態にシームレスに対応することが必要です。

 具体的には、警察、海上保安庁、自衛隊を中心とした関係省庁間の連携を一層強化し、さまざまな事態を想定して、政府一体となった取り組みを総合的に推進してまいります。

 自衛隊による領域警備のあり方を含め、国民の生命財産を守り、我が国の領土、領海、領空を守るために必要な課題については、新たに発足した国家安全保障会議も活用して、政治の強力なリーダーシップのもと、しっかりと検討を行い、実効的な措置を講じてまいります。

 また、個別的自衛権などにかかわる課題については、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告を踏まえ、対応を検討してまいります。

 内閣法制局長官に関するお尋ねがありました。

 内閣法制局は、内閣法制局設置法に基づき、憲法を初めとする法令の解釈の一貫性や論理的整合性を踏まえて適切な意見を述べること等の役割を担い、内閣法制局長官は、その事務を統括しています。

 小松内閣法制局長官は、通院による治療が必要であるものの、通常の勤務に差し支えないと医師から判断されているところであり、内閣法制局長官としての職務を果たしております。今後とも、その職責を果たすものと考えております。

 国家安全保障基本法案についてお尋ねがありました。

 現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、集団的自衛権等と憲法との関係について検討が行われているところであります。まずは、この懇談会における議論を待ちたいと考えています。

 政府としては、懇談会からの報告書が提出された後、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討した後、閣議決定を行う考えです。その上で、必要があれば、法改正等について取り組むことになると考えています。

 このような状況を踏まえ、国家安全保障基本法案の扱いについても、先日の参議院予算委員会で答弁したとおり、どのようにするか決めておりません。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次に、赤嶺政賢君。

    〔赤嶺政賢君登壇〕

赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表して、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防について質問します。(拍手)

 まず初めに、総理は、先日、憲法解釈の最高責任者は私だと述べました。選挙で審判を受ければ、憲法解釈の変更が許されるというのですか。立憲主義の否定そのものではありませんか。

 今回、日本政府として初めて国家安全保障戦略を策定しました。外交・安保政策の基本方針を示す最高位の文書とされていますが、国の最高法規である日本国憲法への言及がないのはなぜですか。

 いわゆる積極的平和主義を基本理念に掲げていますが、これは、従来の専守防衛の建前さえ投げ捨てて、集団的自衛権の行使を容認して、海外での武力行使に踏み出すためではありませんか。

 戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を定めた憲法九条のもとで、他国の戦争に加担する集団的自衛権の行使が認められる余地はありません。解釈の検討を中止することを求めます。

 総理、今、なぜ集団的自衛権の行使なのですか。

 総理は、テロなどを挙げて、脅威は容易に国境を越えてくると強調しますが、それならば、まず、アメリカ主導のテロとの闘いが問われなければなりません。

 二〇〇一年の九・一一テロに対して、アメリカ政府は、個別的自衛権を発動し、アフガニスタンに対する軍事攻撃を開始し、タリバン政権を崩壊させました。日本政府は、集団的自衛権を行使したNATO諸国と並んで、インド洋に自衛隊を戦時派遣し、軍事攻撃を行う米軍艦船への給油支援を行いました。

 その後、アメリカは、存在しない大量破壊兵器の脅威を言い募り、国際法違反のイラク戦争に踏み切りました。日本政府は、戦地イラクに自衛隊を派遣し、軍事掃討作戦を行う武装米兵を輸送し、無法な戦争と占領に加担したのであります。

 それらがもたらした重大な犠牲と惨害、国連憲章に基づく平和秩序に与えた影響と責任をどう認識しているのですか。

 アメリカのオバマ政権は、二〇一一年にイラクから米軍を撤退させ、ことしの年末までにアフガンからの戦闘部隊の撤退を言明しています。

 自国兵士への犠牲を回避しようと、無人機による攻撃を世界各地で繰り返していますが、これにも批判の声が高まっています。

 紛争の平和的解決を求める国内外の世論を背景として、シリアでも、イランでも、問題の外交的解決にかじを切らざるを得ませんでした。

 積極的平和主義などと偽りの看板を掲げ、集団的自衛権の行使にひた走る安倍内閣の姿勢は、異様な、時代逆行そのものであります。

 日本外交に求められていることは、紛争の平和的解決の流れを推し進めることです。総理の答弁を求めます。

 そもそも、戦争違法化の流れは、一九二〇年の国際連盟規約、一九二八年の不戦条約に始まり、第二次世界大戦を経て、一九四五年の国連憲章に結実しました。

 武力の行使と武力による威嚇を禁止し、仮想敵国をつくらない集団安全保障の枠組みに矛盾してアメリカなどが持ち込んだのが集団的自衛権の規定です。これを根拠として、東西の軍事ブロックが形成され、核軍拡競争が繰り広げられ、米ソによるベトナムやアフガンなどへの軍事介入が繰り返されてきたのであります。

 こうした集団的自衛権行使の現実こそ、問われるべきではありませんか。

 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していると言いますが、九九年に周辺事態法をつくり、アメリカとともにアジア諸国に軍事的に介入する体制をつくってきたこととの関係をどう説明するのですか。

 大綱、中期防は、米海兵隊のような強襲揚陸能力を持つ水陸機動団をつくり、敵基地攻撃能力の保有を検討するとしています。F35戦闘機やオスプレイ、無人機、ミサイル防衛などを増強し、南西諸島の島々に自衛隊を配備しようとしています。まさに軍拡競争ではありませんか。

 領域内を潜没航行する潜水艦などに対して、グレーゾーンと称して軍事力を行使できるようにしようとしていますが、それが国家間の本格的な武力衝突を招く危険をどう認識しているのですか。

 米中間では、矛盾を抱えながらも、新しい大国関係の構築が確認され、中台間では、分断後初の首脳会談に向けた協議が進められています。

 今必要なことは、日中双方が軍事的緊張を高める行動を厳に慎み、問題の平和的解決に徹し、対話のテーブルに着くことです。総理の見解を求めます。

 武器輸出三原則を全面的に撤廃しようとしていますが、これは、一九八一年の国会決議で確認した、日本国憲法の平和理念である平和国家としての立場を投げ捨てるものではありませんか。日本を武器輸出国家に変えることは、断じて認められません。

 最後に、総理の歴史認識です。

 侵略戦争と植民地支配への反省という戦後の出発点を曖昧にして、戦争する国づくりに突き進むことは断じて許されません。

 以上、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 赤嶺政賢議員にお答えをいたします。

 立憲主義についてお尋ねがありました。

 もとより、行政府としての憲法の解釈は、最終的に内閣が責任を持って行うものであり、御指摘の発言は、私が、内閣総理大臣として、内閣を代表して、責任を持って答弁しているということを説明したにすぎません。

 立憲主義に基づき行政を行っていくことは、当然のことと考えております。

 国家安全保障戦略についてお尋ねがありました。

 今般、史上初めて、我が国の国益とは何かを長期的視点から見定め、それを達成するために、我が国がとるべきアプローチを示す国家安全保障戦略を策定しました。

 日本国憲法は最高法規であり、戦略が憲法の精神にのっとって作成されていることは言うまでもありません。

 積極的平和主義についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威は深刻度を増しております。また、サイバー攻撃のような、国境を越える新しい脅威も増大しています。

 このような状況のもとでは、脅威は容易に国境を越えてきます。もはや、どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできません。自国の平和と安全を守るためには、国際社会と協力して、地域や世界の平和を確保していくことが不可欠です。

 このような認識のもとに、我が国は、これまで以上に積極的に国際社会の平和と安全及び繁栄の確保に寄与していきます。こうした理念を積極的平和主義として掲げたものであり、今後とも、その実践に努めてまいります。

 集団的自衛権に関する憲法解釈の検討についてお尋ねがありました。

 現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにいかにすべきかという観点から集団的自衛権等と憲法との関係について検討が行われており、まずは、この懇談会における議論を待ちたいと思います。

 アフガニスタン及びイラクにおける米国等の武力行使についてお尋ねがありました。

 九・一一テロ直後のアフガニスタンに対する米国等の武力の行使については、各国がそれぞれ、安保理議長宛て書簡において、国連憲章第五十一条に基づく自衛権の行使を報告したものと承知しており、政府としては、自衛権の行使により正当化されるものと考えています。

 イラクに対する米国等による武力の行使は、国際の平和と安全を回復するという目的のために武力の行使を認める国連憲章第七章下で採択された安保理決議六七八、六八七及び一四四一を含む関連安保理決議により正当化されるものと考えています。

 当時、査察への協力を通じて大量破壊兵器の廃棄をみずから証明する立場にあったイラクが、査察受け入れを求める安保理決議に違反し続け、大量破壊兵器が存在しないことをみずから証明しなかったことが問題の核心であったと考えます。

 紛争の平和的解決についてのお尋ねがありました。

 国際社会の諸課題を、外交努力を通じて平和的に解決することが重要であることは、言うまでもありません。

 我が国は、イラクやアフガニスタンでは、ODAによる支援等を通じ、国家の再建を支援していきます。シリアでは、人道支援と政治対話の実施に貢献してきているほか、イランの核問題では、イランとの伝統的な友好関係を生かして、独自の働きかけを継続する考えです。

 今後とも、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和、安定及び繁栄に、これまで以上に積極的に貢献していく考えです。

 集団的自衛権の行使に関するお尋ねがありました。

 現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会で議論されている事例は、ベトナム戦争やソ連のアフガン侵攻のような事例ではなく、例えば、ミサイル防衛のため日本近海の公海上で警戒に当たっている米国のイージス艦が攻撃を受けた場合、我が国はこのイージス艦を守ることができないが、それでよいのかといったものです。

 いずれにいたしましても、政府としては、まず、この安保法制懇における議論を待ちたいと考えています。

 防衛大綱、中期防は軍拡競争につながるのではないかとのお尋ねがありました。

 新防衛大綱に基づく防衛体制の強化は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、島嶼部に対する攻撃や弾道ミサイル攻撃等に対応し、国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くために必要不可欠なものであります。

 新中期防には、このために真に必要な事業を精査の上盛り込んでおり、軍拡競争につながるとの御指摘は当たりません。

 いわゆるグレーゾーン事態への対応及び日中対話に関するお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐり、いわゆるグレーゾーンの事態が増加する傾向にあります。さまざまな事態に際し、我が国は、事態をエスカレートさせることなく、毅然かつ冷静に対応してまいります。

 このような状況のもと、我が国としてとるべき対応等について、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会においてさまざまな検討が行われていますが、いずれも、国民の生命と財産、我が国の平和と安全をより一層確実に守るためにはどうすべきかとの観点から行われているものであり、それ自体が武力衝突を招くといった御指摘は当たりません。

 政府としては、懇談会の報告書を踏まえ、対応を検討してまいります。

 中国との間で意思疎通を図っていくことは、アジア太平洋地域の平和と安定にとって有意義であり、大局的な見地から、あらゆる分野において未来志向の協力関係を発展させていくことが重要です。

 私の対話のドアは常にオープンであり、中国にも同様の態度を期待しています。

 武器輸出三原則等についてお尋ねがありました。

 防衛装備の海外移転に関する新たな原則の策定に当たっては、政府として、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念は、いささかなりとも変更することは考えておらず、引き続き、堅持してまいります。

 また、武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割にも十分配意していく考えです。

 その上で、これまで積み重ねてきた例外化の実例を踏まえ、これを包括的に整理しながら、防衛装備の移転に係る具体的な基準や手続、歯どめを今まで以上に明確化し、同時に、政府全体として厳格な審査体制と適正な管理体制を構築して、内外に透明性を持った形で新たなルールを明らかにしようとするものであります。

 昭和五十六年に、衆参両院において、政府は武器輸出について厳正かつ慎重な態度をもって対処すべきであること等を内容とする決議が行われたことは承知しています。

 政府として、国会の御意思を尊重することは当然のことと考えており、現在検討中の新たな原則においても、防衛装備の海外移転について、厳正かつ慎重な態度をもって対処すべきことは当然のことと考えております。

 このように、平和国家としての立場を投げ捨てるとの御指摘は全く当たりません。

 歴史認識についてお尋ねがありました。

 歴史認識については、戦後五十周年の機会には村山談話、六十周年の機会には小泉談話が出されています。安倍内閣としては、これらの談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいます。

 慰安婦問題については、筆舌に尽くしがたい、つらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛みます。この点についての思いは、私も歴代総理と変わりがありません。

 この問題については、いわゆる河野談話があります。この談話は官房長官の談話ですが、菅官房長官が記者会見で述べているとおり、安倍内閣でそれを見直すことは考えておりません。

 これまでも申し上げているとおり、歴史に対して我々は謙虚でなければならないと考えています。歴史問題は、政治、外交問題化されるべきものではありません。歴史の研究は、有識者や専門家の手に委ねるべきであると考えています。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次に、玉城デニー君。

    〔玉城デニー君登壇〕

玉城デニー君 生活の党の玉城デニーです。

 私は、生活の党を代表して、ただいま提案のありました国家安全保障戦略、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について質問いたします。(拍手)

 昨年十二月に、これまでの国防の基本方針にかえて我が国として初めて策定された国家安全保障戦略は、我が国が築いてきた豊かで平和な社会をこれから後も発展させていくために、国際社会の中で我が国が引き続き地域及び世界の平和と安定そして繁栄に貢献していく役割の認識に基づいて策定され、閣議決定されています。

 この中で、国際協調主義に基づく積極的平和主義という語句表現が数回にわたって記述されています。

 国際協調主義について言うならば、これまでも我が国は、国際社会において、途上国の経済開発や、支援を要する相手国に対して、人道的支援、社会資本等の整備、人間の安全保障に関する支援対策など、国際社会の安定と繁栄については十分な貢献を果たしてきていると確信するものであり、これからも、その方針と活動は、揺るぎのないものであると認識いたします。

 安倍総理が殊さらに強調する積極的平和主義の理念と行動が、何を意味し、具体的に何を行おうとするものか、伺います。

 日米同盟の強化について伺います。

 安全保障戦略では、我が国自身の防衛力の強化を通じた抑止力の向上と、米国による拡大抑止の提供を含めた日米同盟の抑止力によって自国の安全を確保しているとあり、新防衛大綱で、日米同盟を強化し、よりバランスのとれた、より実効的なものにすることが我が国の安全の確保にとってこれまで以上に重要になってくるとなっています。

 現在の日米同盟における協力体制について、どのようなバランスが望ましいと考えるのか、その点について防衛大臣に伺います。

 日米同盟の抑止力の維持、バランスのとれた安全保障体制など、日本側からの積極的な同盟体制の維持を掲げる方針とはやや相反するように、厳しい財政事情にある米国では、外国における米軍全体について、その内容を精査し、大規模な人的削減と装備予算の縮小、変更なども打ち出しています。

 その流れを追ってみると、安倍政権に対する米国側の反応は、一連の発言問題を見ても、政権誕生当初の期待感から失望感へ、変化していると申し上げなければなりません。

 加えて挙げれば、第百八十三国会で承認可決された子の連れ去りに関する条約、いわゆるハーグ条約が本年四月一日より施行されますが、米国議会下院で、昨年の十二月、連れ去られた子供の速やかな返還に応じない国に対する制裁を科す法案を全会一致で可決し、現在、上院外交委員会で審議されています。

 その内容は、子供の連れ去りに関する各国の対応を評価する年次報告書を作成し、非協力的な国に対しては何らかの制裁措置をとるようオバマ大統領に求めるという趣旨の法案です。制裁措置には、米国で開発された技術の輸出禁止、開発援助の中止などのほか、軍事支援の停止なども含まれるということです。

 時事通信ワシントン支局は、二月二十八日、米国国務省のジェイコブス特別顧問が公聴会で証言した、全ての子供が米国に帰ってくるまで我々は満足しないという内容を紹介し、同盟国である日本政府への強い対応を求めています。

 日米同盟強化に関する信頼を深めていくということは、直接的な安全保障問題対処行動のみならず、民主主義と人権保護に基づいて諸外国同様の国内法整備なども含めたあらゆる努力を積み上げていくことでしか、なし得ることはできないのではありませんか。

 外務大臣に、この問題の解決に向ける取り組みについて見解を伺います。

 島嶼防衛に関して、新防衛大綱では、島嶼部への侵攻があった場合に速やかに上陸、奪回、確保するための本格的な水陸両用作戦能力を新たに整備すると記述されています。さらに、南西地域における事態生起時に迅速かつ継続的に対応できるよう、後方支援能力を向上させるとなっています。

 中期防衛力整備計画別表では、陸上自衛隊に、水陸両用車五十二両や垂直離着陸機十七機の導入配備計画が示されています。これらの配備は、尖閣諸島を含む先島地域への固定配備を意味するものであるのか、地域住民の理解なくしてこのように配備できるのか、防衛大臣に伺います。

 航空自衛隊の南西地域への配備について、警戒航空部隊に一個飛行隊を新たに編成すること、また、戦闘機部隊一個飛行隊を那覇基地へ移動して二個飛行部隊とすることなど、防空能力と警戒態勢を強力にすることが記述されています。

 他方、民間と自衛隊が共有使用する那覇空港は、中国の防空識別圏設定に比例するようにスクランブルの回数が激増し、それによって民間機の運航等に相当な影響が出始めています。

 現在の那覇空港は既に過密な運航スケジュールになっており、今以上に防衛体制の強化が沖縄に押しつけられることによって、民間航空機の運用にも多大な影響が発生し、平成二十四年度三千九百五億円余りの収入となっている観光産業や県内経済界にとっても、重大な課題となることは明らかです。

 さらに、離着陸待機による時間おくれなど、実際に起こる影響は、国内、国外から観光に訪れる方々の不満や、戦闘機と共同使用することへの心理的な不安感へつながってしまう懸念が拭えません。

 本年、平成二十六年から計画が進められている那覇空港第二滑走路の造成工事の完成は、早くても五年、台風などの気象条件によっては七年余りかかることも想定されています。

 南西方面の守りについては喫緊の課題であるということは理解できるものですが、では、編成配備される部隊の機材、隊員等の構成、配備に伴う現状への影響を最小限に抑えるためにどのような協議が必要か、運用をするものであるのか、防衛大臣に伺います。

 最後に。

 生まれた地域を誇り、家族や友を思い、自然や生き物を慈しみ、教養や品格を重んじて、その気持ちをお互いに大事にしながら、支え合う社会を築いていく。外国にはない、情緒感に富む言葉の表現が幸う。そういう日本という国柄を国民として大切にすることを我々は教えられてきました。

 策定された国家安全保障戦略には、諸外国やその国民に対して敬意を表するとあり、その自立と共生の豊かさこそ、これからも、世界と協調する上で、平和国家として最も核となる理念だと確信します。

 我々がこの郷土や文化、風土を愛する思いに紛れ込ませるように、地域教育の民主的主体性を毀損するような愛国心教育の押しつけについては、それは厳に慎むべきではないでしょうか。そのことについての所見を総理にお伺いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 玉城デニー議員にお答えをいたします。

 積極的平和主義についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威は深刻度を増しています。また、サイバー攻撃のような、国境を越える新しい脅威も増大をしています。

 このような状況のもとでは、脅威は容易に国境を越えてきます。もはや、どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできません。自国の平和と安全を守るためには、国際社会と協力して、地域や世界の平和を確保していくことが不可欠です。

 このような認識のもとに、我が国は、これまで以上に積極的に国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に寄与していきます。これが積極的平和主義であり、我が国の国家安全保障政策の基本概念であります。

 このような考え方は、国家安全保障戦略にも示されています。

 また、施政方針演説では、フィリピンの台風被害に対する緊急支援、シリアの化学兵器廃棄への協力、イランの核問題の平和的解決への働きかけを積極的平和主義の例として挙げたところであります。

 愛国心教育についてお尋ねがありました。

 教育基本法においては、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことが教育の目標とされています。

 この規定の趣旨を踏まえ、国家安全保障戦略において、国民一人一人が国家安全保障への認識を深める観点から、諸外国やその国民に対する敬意を表し、我が国と郷土を愛する心を養うこととしています。

 今後とも、教育基本法に掲げる目標を達成するよう、国と地方公共団体との間で適切に役割分担し、相互に協力しながら、教育を進めてまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

国務大臣(岸田文雄君) 私には、米国議会で審議中のハーグ条約に関する法案についてお尋ねがありました。

 昨年十二月十一日、米下院において、ハーグ条約遵守と子の早期返還に非協力的な国に対して米政府が措置をとる旨を主な内容とする、国際的な子の奪取の予防及び返還法案が全会一致で可決されたと承知しております。

 他方、本法案について、いつ上院で審議が行われるのか、現時点では未定であると承知をしております。

 四月一日には、我が国においてハーグ条約が発効いたします。政府としましては、まずは、このハーグ条約を誠実に実施していくこと、これが重要であると考えております。

 そして、その上で、困難な状況に置かれた子の福祉を重視することを基本としつつ、米国と緊密に協議しながら、本件問題に取り組んでいきたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣小野寺五典君登壇〕

国務大臣(小野寺五典君) 玉城デニー議員にお答えします。

 日米同盟における協力体制についてのお尋ねがありました。

 日本の防衛を確固たるものにするには、日本独自の防衛力を向上させる一方で、米国との幅広い協力を強化させる必要があると考えております。

 日米間では、昨年十月の日米2プラス2共同発表に基づき、ガイドラインの見直し作業を本年末までに完了させることとし、現在、検討を進めております。

 御指摘の日米同盟における協力体制のバランスについても、この見直し作業を通じて、同盟の抑止力の維持強化をすべく、二国間の適切な役割分担等の議論を行ってまいります。

 次に、水陸両用車及びティルトローター機の配備場所についてのお尋ねがございました。

 新中期防においては、迅速かつ大規模な輸送・展開能力を確保するため、海上から島嶼等に部隊を上陸させるための水陸両用車と、すぐれた空中機動力を有するティルトローター機を導入することとしております。

 これらの装備の配置場所については、現時点で決まっておりませんが、防衛省としては、機動展開を行う部隊との連携という観点も踏まえつつ検討し、関係自治体の御理解も得ながら決定してまいりたいと思っております。

 最後に、那覇基地への新たな航空機部隊の配備についてのお尋ねがございました。

 新中期防においては、南西地域における防空態勢の充実のため、那覇基地において、平成二十六年度に、早期警戒機E2C四機程度から成る一個飛行隊を隊員約百三十名で新編するとともに、平成二十七年度にF15を約十機追加し、F15戦闘機部隊を二個飛行隊とすることとしております。

 これら部隊による那覇空港滑走路の利用については、航空交通や地域への影響に配慮しつつ、関係自治体等の御理解を得られるよう努めてまいります。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       総務大臣     新藤 義孝君

       法務大臣     谷垣 禎一君

       外務大臣     岸田 文雄君

       厚生労働大臣   田村 憲久君

       国土交通大臣   太田 昭宏君

       防衛大臣     小野寺五典君

       国務大臣     菅  義偉君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官  加藤 勝信君

       防衛副大臣    武田 良太君


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