衆議院

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第3号 平成30年11月14日(水曜日)

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平成三十年十一月十四日(水曜日)

    午前九時十六分開議

 出席委員

   委員長 牧原 秀樹君

   理事 平  将明君 理事 谷川 弥一君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君

   理事 大島  敦君 理事 佐藤 茂樹君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    小倉 將信君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      神谷  昇君    木村 次郎君

      熊田 裕通君    小寺 裕雄君

      小林 史明君    杉田 水脈君

      高木  啓君    中山 展宏君

      長尾  敬君    西田 昭二君

      百武 公親君    藤井比早之君

      松野 博一君    松本 洋平君

      三谷 英弘君    盛山 正仁君

      今井 雅人君    大河原雅子君

      岡本あき子君    川内 博史君

      近藤 昭一君    篠原  豪君

      山尾志桜里君    後藤 祐一君

      斉木 武志君    森田 俊和君

      山岡 達丸君    太田 昌孝君

      高木美智代君    古屋 範子君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      日吉 雄太君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)

   (少子化対策担当)    宮腰 光寛君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)            平井 卓也君

   国務大臣         茂木 敏充君

   国務大臣

   (規制改革担当)     片山さつき君

   国務大臣         櫻田 義孝君

   内閣官房副長官      西村 康稔君

   厚生労働副大臣      高階恵美子君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       植田  浩君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 英司君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            森永 耕造君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 真一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局次長)       川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    重藤 哲郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           玉上  晃君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       北條 憲一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       林  俊行君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 辰己 昌良君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  岡本 三成君     太田 昌孝君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     木村 次郎君

  池田 佳隆君     藤井比早之君

  大西 宏幸君     盛山 正仁君

  村井 英樹君     百武 公親君

  岡本あき子君     川内 博史君

  森田 俊和君     後藤 祐一君

  山岡 達丸君     斉木 武志君

  高木美智代君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     安藤  裕君

  百武 公親君     小倉 將信君

  藤井比早之君     熊田 裕通君

  盛山 正仁君     大西 宏幸君

  川内 博史君     岡本あき子君

  後藤 祐一君     森田 俊和君

  斉木 武志君     山岡 達丸君

  古屋 範子君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     小林 史明君

  熊田 裕通君     池田 佳隆君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     村井 英樹君

同日

 理事岡本三成君同月十二日委員辞任につき、その補欠として佐藤茂樹君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十一月十四日

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――

牧原委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に佐藤茂樹君を指名いたします。

     ――――◇―――――

牧原委員長 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府大臣官房審議官荒木真一君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、内閣府知的財産戦略推進事務局次長川嶋貴樹君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、国税庁課税部長重藤哲郎君、文部科学省大臣官房審議官玉上晃君、文部科学省高等教育局私学部長白間竜一郎君、農林水産省大臣官房審議官小川良介君、経済産業省大臣官房長糟谷敏秀君、国土交通省水管理・国土保全局次長林俊行君、防衛省大臣官房審議官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井委員 おはようございます。今井雅人でございます。

 きのうの夜、一枚の紙を見ましてちょっとびっくりしたんですけれども、資料がありますが、片山さつき事務所から出ている「コメント(収支報告書訂正について)」と。

 まず、大臣にちょっとお伺いしますが、これは報道機関各位ということできのう紙を出していますけれども、国会でもこの収支報告についていろいろと質問されていますよね。まず国会にこれを最初に説明して、どこが間違っていたか、それを説明するのが筋じゃないですか。国会をばかにしているんですか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 このたび、訂正をさせていただきまして、御指摘をいただきました収支報告書等への記載の漏れがあることがわかりましたので、事務所スタッフで確認作業を行ってまいりました。この作業が終わりましたのがきのうの夜、夕方でございましたので、午後、夕方、総務省におきまして訂正済みの作業をいたしまして、その夜、わかり次第報告をということをして、公表をしたわけでございます。

 以上でございます。

 また、国会におかれましては、この件につきまして今までお聞きいただいたことに謙虚に丁寧にお答えし、これからも謙虚に丁寧にお答えしていく所存でございます。

 以上でございます。

今井委員 いやいや、なぜマスコミに先にこの公表をしたんですか。国会で質問されているでしょう。そんなに国会を軽視していらっしゃるんですか。まずは国会で説明して、それから一般に公表するべきじゃないんですか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、できるだけ早く収支報告全体を、正確を期して、一件一件相手様とも確認をとって終わらせたいということで頑張ってまいりましたが、きのうその作業が終わりましたのが夕刻ということで、それから全ての訂正を終わって、その時間というのはもう夕方、夜になっておりますので、それから公表をさせていただいたということでございます。そして、きょうの委員会を迎えております。

 以上でございます。

牧原委員長 片山大臣、多分、御質問は、なぜマスコミに先に言って、なぜ国会じゃなかったのかということだと思いますので、その点についてお答えください。

片山国務大臣 お答えいたします。

 まず、その収支の報告の訂正の作業が行われて、ようやく終わりましたのがきのうの夜という時点でございますので、国会はその時点であるわけではないので、まず広報をさせていただいて、きょうの委員会に臨んでいるということでございます。

 以上でございます。

今井委員 きのう国会があいていないと言いましたけれども、そうしたら、緊急に会見でも開いて説明されたらよかったんじゃないですか、少なくとも。こんな紙一枚ぱっと出されて、しかも報道機関各位。

 私たちが質問しなければ、これは国会で説明しなかったわけでしょう。まず、みずから説明するということを何でなさらないんですか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 この件につきましては、今までも御質問を受けた件につきましては、そのときそのときでできる限りのことを全てきちっとお答えをさせていただいておりますが、繰り返しになりますけれども、作業が終了したのが、きのうの事務時間終了、事業時間終了間際でございまして、それで直して、終わった時点で、ようやくコメントが完成したのが、配布して広報したお時間だったということに尽きるわけでございます。

 いずれにしても、国会でのお尋ねがございましたら一つ一つ丁寧にお答えをさせていただく所存でございます。

 以上でございます。

今井委員 記載漏れ三十四件ということは、驚くべき数字です。しかも、今回、三回目ですよ。大臣になられてから三回目の訂正。三十四件、ありましたと説明しているだけですけれども、詳しい内容と、どの部分が修正になったのか、これを国会に提出してもらえますか。

片山国務大臣 収支報告につきましては、そういう形で閲覧というか、総務省からできるものでございまして、その資料につきましては、委員会の方の御指示があればということになるのかと思います。

 いずれにいたしましても、内容につきましては、御説明いたしますと、今までの三回は同じ事象に基づいておりまして、収入の記載漏れのうち大宗の二十九件が、平成二十八年の参議院選挙の際にいただいた陣中見舞い、寄附でございまして、この二十八年の参議院選挙の際にいただいた陣中見舞い、寄附につきましては、私の政党支部でございます二十五支部からの寄附ということで領収書を相手にちゃんとお切りしていたんですが、その耳に、領収書を出した相手、日付等の控えをこちらに書かなかったということがございました。そして、それを政党支部から選挙事務所に寄附をしたものと誤解して、選挙運動収支報告書にその旨の訂正を一旦いたしましたが、その後、選挙事務所への寄附は政党支部の政党助成金口からの寄附であることが判明いたしましたので、当初の選挙運動費用収支報告書につきましては、変える必要がなかったということで、もとに戻したということでございます。

 以上でございます。

今井委員 詳細は総務省のホームページで見てくださいというのは、それは幾ら何でも丁寧さに欠けると思いますよ。どこを訂正したか、きちっと出していただきたい。

 委員長、この委員会に、経緯と、どの部分を訂正したのかという、その部分の資料、それを提出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

牧原委員長 資料の要求につきましては、今御指摘いただいた点について、後刻、理事会で協議をいたします。

今井委員 それで、そもそも訂正をこれで三回、しかも今回は三十何件ですけれども、私も九年ぐらい議員をやっていますが、もちろん訂正はあります、しかし、こんなに訂正があるのは私は見たことありませんよ。どうしてこんなに訂正だらけになるんですか。どうしてこんなにミスが、三回も訂正して、しかも今回は三十四件、どうしてこんな訂正だらけになっているんですか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 このたびの政治資金収支報告の訂正は、先ほども申し上げましたように、その大宗が、平成二十八年の参議院選挙の際に、選挙収支の事務を担当していた秘書が、そのときの、いわゆるいただいた寄附の領収書の控えをとらなかった、そのままその秋に退任してしまい、二十八年の収支報告を担当して、その年の秋に着任した秘書が誤認をしてしまったということが大宗の原因でございます。

 また、御指摘を受けた選挙運動収支報告書にもかかわり、それから政治資金収支報告書の事務担当ということで名前が載っておりました当時のもう一人の秘書がことしの三月に残念なことにお亡くなりになったことで、ここまで確認作業がおくれてしまったというのがその大きな原因でございます。

 このために、今回、訂正に当たりましては、慎重の上にも慎重を期して、相手方の企業や機関一つ一つに確認を行って、また、企業の中で、応援をしていただいているけれども寄附をいただいているかどうかわからないところにも全部お尋ねを出しまして、過去にわたってそういうものがないかを聞き取りした上にやってまいりましたので、ちょっと時間がかかってしまったということがございました。

 大宗の原因は、委員が御質問いただいた中の、三十四件中二十九件が参議院選挙のときのもので、残りの五件につきましては、自民党のある支部への私どもの寄附なんですが、そのことについて、領収書をある秘書に出したはずだというふうに川崎支部のような方がおっしゃっているんですが、受け取った秘書の方が先ほど申し上げた亡くなった方でございまして、私どもの方には控えがございません。控えがない理由もわからなかったんですが、そういうことによって生まれてしまったという、その二種類でございます。

 以上でございます。

今井委員 お亡くなりになったから確認できない、それは理由にならないですよ。

 そもそも、秘書を務めている間にきっちり引継ぎをしていなかったことが問題なんでしょう。片山事務所はそんな引継ぎもできない事務所なんですか。引継ぎをちゃんとできないような、そんな事務所なんですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 今の三十四件中二十九件についての、参議院選挙のときにいただいた、いわゆる陣中見舞いですね、陣中見舞いについて、領収書をきちっと二十五支部宛てで差し上げたけれどもその控えをとらなかったという方は、その後、退職されて民間に行かれていまして、今回について聞き取りを行いましたところ、それも自分のミスで引き継がなかったということを言っておるわけで、それは、そういうミスのある方を雇ってしまったということは反省をしなければいけないんですが、要するに全く引き継いでいなかったということでございまして、その後に来た方は、要するに、領収書自体が存在しないものですから、帳簿に載せることもできなかったわけですね。ということで、きちっと帳簿の作成はしているんですけれども、漏れたということでございます。

 以上でございます。

今井委員 ずさんとしか言いようがありませんね。事務所の責任者は片山大臣御本人でしょう。最終責任はあなたにあるわけですよね。引継ぎもできないような事務体制をつくっている、そんな方が国を担えますか。大臣なんかできるわけないと思いますよ。

 そういう事務所の管理すらできない、マネジメント能力のない方が、大臣をやる資質は私はとてもないと思いますけれども。みずからやはりそこの部分は襟を正して、今回は身を引かれたらいかがですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 二年前の参議院選挙、全国区の参議院選挙というのは非常に大きな選挙で、膨大な作業も伴うものでございますが、いずれにしても、その後、やめた人間と新たに来た人間、二年数カ月前ですが、そこの引継ぎができなかったことは深く反省し、また、一人の人間がチェックを行うと、そういう漏れも起きにくいということで、今回、二年数カ月前のことを反省し、複数チェック体制にするとともに、ますますきっちりと強化して、マネジメントに努めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

今井委員 ちょっと参考のためにお伺いしますが、大臣は引継ぎがうまくいかなかったといろいろなところで何度もおっしゃっているんですけれども、そんなに大臣のところは秘書がたくさんかわるんですか。今まで私設も含めてどれぐらいの方がかわられたのか、教えていただけますか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 これも申し上げたことがございますが、参議員になって私は八年四カ月になります。その前の衆議員は選挙区でございましたので、そこは一旦切れると思いますので、参議員になりましてからは、公設、私設含めて、秘書は累積約二十名でございます。

 もちろん、一番長い方は八年四カ月いらっしゃいまして、ただ、それは地方の方でずっと私の旧選挙区のところに常駐しておりますので、議員会館の事務は一切しておりません。

 議員会館の事務で長かった人間で一番長かったのが、四年以上おった者がおりますが、その方は、去年の十月に退職されて、ことしの春に亡くなられています。その後、三年ぐらいの方、二年の方。確かに、平均的に四人か四・五人ぐらいが八年四カ月いらっしゃるということになって、割り算をしますと平均在職が二年前後になりますから、その二年が長いとおっしゃるか短いとおっしゃるかわかりませんが、その部分で、引継ぎで問題が生じたところというのはここだけなんですよ。それが選挙のときだったということでございまして、いずれにしても、深く反省しておりますが、今後二度とこういうことがないように、ダブルチェック体制等をしくことにしたところでございます。

 以上でございます。

今井委員 二十名というのはいかにも多いと思うんですよね。私の東京の事務所は、私と、当選して以来ずっと勤めていただいていますけれども、やはり人の管理とかこういう収支報告書というのは非常に重要なものですよね。こういう管理がしっかりできていない。まずそこからやられたらいかがですか、大臣をやる前に。自分の事務所のところをしっかり固めてくださいよ。

 もうこれ以上、収支報告の間違い、もうないですね。

片山国務大臣 お答えさせていただきます。

 今回御指摘をいただいた、主に政治連盟を持つ団体からの寄附が多いのですが、それにつきましては、私が正式に二年半前の選挙で御推薦をいただいた団体及びその支部等を含めて全てチェックをしておりましたので、それ以上ないというふうに我々は考えておりますし、今後もこういうことがないようにしっかりとマネジメントをやってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

今井委員 これ以上また出てこられたら、今度は四回目ですから、さすがにちょっと看過できないと思いますが、その場合はもう大臣をおやめになりますか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 いずれにしても、こういったことを踏まえて、二度とこういうことが起きないようにきっちりと、体制も変えましたので、マネジメントに努力してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

今井委員 私はとても大臣を務められるとは思いませんが、ちょっと時間がありませんので、もう一問。

 先日、カレンダーの話を僕は取り上げたと思いますが、あれからいろいろ、私の事務所に電話とかが入っておりまして、ある方からきのう電話がありました。

 ある会合の場で、ドジョウよりウナギカレンダー、有償で売っておられたやつです、あれをその場でただでもらった、片山大臣が言っていることは間違っているというお電話がありました。私は、それの真偽はわかりませんよ、自分で確認できませんから。ただ、そういうお電話がありました。

 そういうことは絶対にないですか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 カレンダーにつきましては、お答えをさせていただいておりますように、二〇一一年の暮れに作成したドジョウよりウナギカレンダーにつきましては、実費でという形で、ホームページ上に、そういう御希望があればお分けしますということは言いましたけれども、販売実績はございませんでした。

 その後、私どもの方としては、全て、何らかの講演会ですとか、そういう自民党の関係の支部の団体ですとか、そういうところにしかお配りをしていないというふうに認識をしておりますが、六年近く前なので、今現在、何がどこに行ったかということは御確認はできません。

 以上でございます。

今井委員 いやいや、大臣、大臣は対価のあるところでしか私は配っていませんとおっしゃっていますけれども、それは正しいんですか。そういう対価がないところで配っていないですね、本当に。

片山国務大臣 御指摘のものにつきましては、私どもは、講演会やパーティーやいろいろな催しなど、対価を取った会合などで配付をするためにつくって計上しておりますので、そのような形で事務所は管理しておりますが、六年前でございますから、一枚一枚の行方までは、それは無理でございますということで、何度もお答えをしております。

 以上でございます。

今井委員 いやいや、その場で大量に配ったというふうにその方はおっしゃっているんですよ。

 一人がたまたま受け取ったんじゃなくて、その会合でみんなに配っていた、そういう事実はありませんね、そうしたら。

片山国務大臣 六年前のことですので、どの会合がどうだったという記録もございませんが、私どもとしては、そういう認識はございません。

 以上でございます。

今井委員 国会の場で対価のないところでは配っていないと発言されたことは、非常に私は重いと思いますので……(片山国務大臣「認識しておりません」と呼ぶ)認識なんですか。(片山国務大臣「はい」と呼ぶ)じゃ、ないとは言い切れないということですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 二〇一一年の暮れにつくったものでございますから、今から七年前でございますので、しかも、現状、記録も全く残っておりませんので、あくまでも認識ということでしかお答えはできないことは御理解をいただきたいと思います。

 以上でございます。

今井委員 やはり緩いですね。うちはそんな対価のないところで絶対に物を配らないというのは徹底していますから、私は、ありませんと断言できますよ。断言できないんでしょう。それぐらい緩い管理をなさっているということじゃないですか。やっているかもしれないと思っていらっしゃるんでしょう。そんな管理をしている人にやはり大臣なんか務まらないと思いますよ。そこはよく御自分で考えた方がいいと思います。

 済みません。あと五分しかない。櫻田大臣、いらっしゃっていただいたので、ちょっと一つ質問をさせていただきたいと思います。

 大臣、御就任おめでとうございます。

 サイバーセキュリティーというのは本当に非常に重要で、今、政府内も、多分国会のところも、何度もアタックを受けているんじゃないかと思いますけれども、大臣は、このサイバーセキュリティーについて知見や御経験、そういうものはもともとおありなんですか。

櫻田国務大臣 サイバーセキュリティ戦略本部を担当する大臣として適任かという御質問だと思うんですが、国民目線に立ったサイバーセキュリティー対策をしっかりと実施することが私の大きな役割の一つと認識をしております。また、私の担当である東京オリンピック・パラリンピック大会に万全を期すためにも、サイバーセキュリティー対策は重要だと考えております。

 国民の期待に応えられるよう、しっかりと対応させていただきます。

今井委員 国民目線のサイバーセキュリティー対策というのは、よく、ちょっと意味がわからないんですけれども。

 今、政府内も国会内もいろいろアタックを受けていると思いますが、サイバーセキュリティ戦略本部が政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準というのをつくっておられますけれども、これは全部お読みになりましたか。

櫻田国務大臣 全部は目を通しておりませんが、何ページかあることについては説明は受けております、内容については。

今井委員 非常にいいことがたくさん書いてありますから、私も全部読みましたけれども、ぜひ内容を全部チェックしていただきたいと思います。

 もう一個、それに準拠して、今度は衆議院の事務局もセキュリティ対策基準というのをつくっています。我々は議員会館等で活動しているので、当然、サイバーセキュリティーの対策というのは、自分たちもいろいろな情報を持っていますから非常に重要なんですけれども、大臣の事務所ではどういうサイバーセキュリティーの対策をしておられますか。

櫻田国務大臣 私の個人的な国会事務所の中のことですか。(今井委員「そうです」と呼ぶ)特に私は秘書からはそういう話は聞いておりませんが、そういうことについては常に万全な対応をしておくようにということで秘書には指示しておりますし、私の秘書はそういうことに堪能であります。

今井委員 じゃ、御自分はよくわからないということですね。

 自分でパソコンはお使いになっていらっしゃいますか。

櫻田国務大臣 私は、二十五のときから自分で独立をしてやっておりますので、そういうことについては常に従業員あるいは秘書に指示をすることでやっておりますので、自分でパソコンを打つということはありません。

今井委員 自分でパソコンを打つことはないということで。

 サイバーセキュリティーのサイバーというのは、インターネット上のという、そういう言葉なんですよ。ですから、パソコンもいじったことのない方がサイバーの空間のセキュリティー対策をするなんて、とても私には信じられません。(発言する者あり)いやいや、それは、適材適所と総理はいつもおっしゃっているじゃないですか。だから、そこの知見がない方が大臣をやるというのは、それは私は適材適所だと思いませんよ。

 それぞれの事務所は、衆議院はLANが走っていて、そこのところの対策は企業がやっていますけれども、それぞれの人たちは、自分でウイルス対策のファイアウオールをしっかりかけて、私も自分でちゃんとそれはチェックしてやっています。これは、今、普通、ネット社会やっている人の常識ですから、それぐらいの知識がない方がサイバーセキュリティーをこれからちゃんと担っていくというのは、とても私は不安に感じます。いかがですか。

櫻田国務大臣 あくまでもサイバーセキュリティーに関することは、私一人で決めるべきものではないものでありまして、私の事務所、あるいは国、総力を挙げて総合的に見ることであって、落ち度はないと自信を持っております。

今井委員 私はよくわからないけれども大丈夫なはずだ、そういう御答弁だと思いますが、それではとても私は不安で仕方がありません。

 その辺のところも大臣としての資質があるかどうかというのを疑問に感じておりますが、時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。委員長や与野党の理事の先生方のお許しをいただいて、本委員会で発言をさせていただきますこと、感謝申し上げたいというふうに思います。

 片山大臣、ことしの流行語大賞にノミネートされた言葉の中に、首相案件という言葉がありまして、流行語大賞を受賞すると安倍総理大臣が表彰式に出るのかなと思ったりするんです。きょう、首相案件と言われているものについて資料も用意しておったんですけれども、こういう形で。これはおまえの主張であって委員会にパネル等を持ち込むことは許さないと拒否をされまして、主張することのどこがよくないんだろう、悪いんだろう、これは私の主張ですということでパネルを掲げればよいだけの話ではないかというふうに思うんですけれども。

 ちょっと、委員長、委員会の運営について余りにも強圧的、強権的な運営が過ぎるんじゃないかというふうに思いますよ、私は。委員会というのは、それぞれの委員が自由に主張をし、意見を闘わせていく場、議論をする場、その補強をする資料としてパネルや資料が必要であればそれは使うということであって、それを理事会で拒否する、与党の方から拒否をされるわけですけれども、というのは、ちょっと私は民主主義の前進にとってマイナスではないかというふうに思います。

 衆議院議長が通常会の終了後に、通常国会を振り返っての所感ということで、衆議院議長談話という形で談話を残されていらっしゃいますけれども、この中には、衆議院議長ですよ、三権の長ですよ、国権の最高機関の長が、民主主義の根幹を揺るがす問題が発生している、議院内閣制における立法府と行政府の間の基本的な信任関係にかかわる問題や、国政に対する国民の信頼にかかわる問題が数多く明らかになったと。三権の長が物すごい心配しているんですよ。

 与党の先生方こそ、霞が関の暴走をしっかりとチェックする矜持を持たなければ、我々野党は少数ですからね。この衆議院議長の談話というのは非常に重いものであるというふうに私は思いますよ。

 片山大臣、衆議院議長談話、お読みになられましたか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 再三委員から御指摘を受けている件でもございますし、拝読をしております。

 以上でございます。

川内委員 拝読をされて、この衆議院議長談話に対して、今回、安倍先生の内閣で閣僚に就任されていらっしゃるわけですけれども、どのようにこの談話をお読みになってお思いになられますか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 衆議院の院としてのお話でございますので、政府の側としてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

川内委員 いや、衆議院議長の談話に対して、閣僚として、国権の最高機関の長が発言をしていることに対して、行政としてどのように捉えるかということを聞いているんですよ。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 私の所管である分野で、例えば公文書の管理等、これから御質問があると思いますが、それにつきましては、私が所信で申し述べさせていただいたような、きちっとガイドライン、閣僚会合決定等がございますので、それに従ってきちっとやってまいりたいということに尽きるかと存じます。

 以上でございます。

川内委員 私の所管における分野についてはきちっとやってまいりたいとおっしゃられましたね。

 この衆議院議長談話には、「政府においては、」これは、政府というのは片山大臣においてはというふうに読みかえてもいいと思いますが、「このような問題を引き起こした経緯・原因を早急に究明するとともに、」というふうに書いてありますね。

 今、さまざまに片山大臣をめぐって問題が起きているわけですね。少なくとも片山大臣は、いや、問題ありません、これから気をつけますとさっきもおっしゃっていらっしゃいましたが、カレンダーの問題などについては、認識としては配っていないというふうに御発言をこの場でされました、認識としてはと。

 それじゃ、六年前とはいえ、スケジュールは、片山大臣ぐらいの方の事務所ですから、全てシステムで管理している。そうすると、自分がどのような会合を六年前に開いていたかということはそのスケジュールを見れば一目瞭然なわけで、対価を取っている会合、あるいは対価を取っていない会合、全て分類できるはずですよ。会費制でやりました、あるいはパーティー形式でやりました、あるいは支持者を集めて無償でやった会合、それは全部わかるはずです。

 その中で、カレンダーを配ったか配っていないのかということについても、ある程度、一定お調べはつくというふうに思いますよ、私は。そのくらいのことをやってからきちんとお答えになられる、それが、片山大臣が今いみじくもおっしゃった、大島議長の談話に対して、自分自身の所掌に係ることであればきちんとやりますという御発言と整合するわけですが、このカレンダーの問題についても、私はそのくらいのことをやって当然じゃないかと。自分のことですからね、御自分のことですから。それを調べて答弁します、答えますというのが大臣としてのお仕事であって、認識としてはちゃんと対価を取って配っていたと思いますというのが答弁じゃないんですよ。ちゃんと調べて、ちゃんと調べて答えますというのが答弁だ。

 委員長、どうですか。私の言っていることは間違っていますかね。

片山国務大臣 いずれにいたしましても、公文書管理担当大臣としては、一般論としてしか御答弁させていただくことができないんですけれども、先ほどの談話に関するものの中で公文書管理の徹底ということであれば、行政機関の意思決定過程や事務や事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるような文書はきちっと作成し、管理、保存するということでございまして、そのために、このたび、閣僚会合での決定やガイドラインをつくっており、そのための一府十二省庁へのいわゆる調査のようなことも始まったわけでございます。

 私の問題につきましては、先ほどお答えしたとおりでございまして、きちっと適正に処理をしているということでございまして、その会合につきましても、後援会、パーティー、自民党系の会合など、対価を取った会合などで配付するためにつくったものでございますから、そのようになっていると認識をしております。

 以上でございます。

川内委員 だから、大臣、今大臣は、片山大臣としての認識をお示しになられたわけで、事実を御答弁されているわけではないわけですね。事実がどうであったのかということについての御答弁ではないわけです。多分こうしていたと思うよということをおっしゃられていらっしゃる。

 そこで、片山大臣が御自身のことに関してもしっかりと身の潔白を証明されるのであれば、過去の記録をきちんと精査した上で、対価を取っている会合でしか配っていませんでしたという事実を答弁されるのが大臣としてのお仕事ではないか。そもそも、大臣として就任されて、これから公文書管理等についてしっかりやっていくよということを他方で御発言されていらっしゃるわけですから、その発言にしっかりと真実味を持たせていく。ちゃんとやるよ、ああ、そうだねと国民から信頼を受けるためには、まず御自身のこのことについて、事実を調べます、そしてきちんと確定させますということを御答弁されるべきではないかということを私は申し上げているんですけれども、いかがですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 二〇一一年の暮れに作成しておりますので、その配付が行われるとすると二〇一一年の暮れから二〇一二年ということになるかと存じますが、その間に、パーティー等、政治資金収支報告に載っているものについては判明をしております。また、それ以外に、もちろん実費徴収の会合もあった可能性はございます。

 そういったところで全て配っているというふうに我々は認識しておりまして、それ以外の場がないということは、我々はないと思っておりますので、それ以外の場は私たちは認識しようがないですから、そういうことでははっきりしていると思います。

 以上でございます。

川内委員 ないと思っている、認識ははっきりしていると。要するに、事実はどうかということについては答弁がないわけですね。

 私は、だから、今この場で事実を述べてくださいと申し上げているわけではないわけですね。調べて事実を述べてください、後日で結構ですよということを申し上げているわけで、そういう意味で、今大臣が御発言になられた、対価を頂戴する会合でしか配っていないと思いますよと、恐らくそうなんだと思いますよ、私も。だとすれば、他の、要するに、支持者の方とかさまざまな方々が集まる対価を受けない会合で配った事実はないということをある程度調べた上で答えていただく必要があるのではないかということを申し上げているわけで、お調べになられますかということをお聞きしております。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 他委員会でもこのお話が出ておりましたので、二〇一一年末作成の私が唯一実費でお分けしますと言ったもの、それにつきましては、私どもが確認できる限りのことは確認をいたしましたが、既に全く残部も残っていないし関係書類も残っていないので、確認できるところはここまででございますが、その限りにおいては、私どもの方が、第三者じゃなくてですよ、私どもの方がそういう対価を取らない会合で配付したというようなことはありません。

 以上でございます。

川内委員 配付したようなことはありませんと。要するに、今御答弁をお変えになられたんですね。配った事実はないということを今断言された、事実を特定されたということでよろしいですか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 先ほどから一貫して同じことを申し上げているつもりでございますが、七年前でございまして、その当時、資金収支報告に出てくるような、いわゆる、かぎ括弧、政治資金パーティーがいつあった、そこで配っている、恐らく配ったであろうということを想定できるような状況だなというのはわかります。それから、実費ということで書いておりましたが、結局売れなかったので、そこで売れたものはないということもわかっております。

 それ以外に、配付した先で、その配付したところから先にどこに行ったか等は我々は全くフォローができませんので、それはできないということを、もう本当に真摯に、委員のお尋ねでありますから、一生懸命お答えしているんですが、そこから先がないということでございまして、そこまではなかったということを申し上げているので、同じことを申し上げております。

 以上でございます。

川内委員 わかりました。

 対価をいただいている会合でしか配っていないということは、それは間違いないんだということでよろしいんですね。対価をいただいている会合でしか配っていない、その先のことはわからない、しかし、あくまでも片山さつき本人としては対価をいただいている会合でしか配っていない、これはもう事実として断言をされるということでよろしいですね。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 七年前のことでございますから、認識を超える事実確認というのが、例えば、政治家に要求されているさまざまな記帳であったり、あるいは収支報告の記録であったりを超えるものがどうなのかというのは、それをどこで御議論をされているのか、私はちょっと今の御質問ではわかりかねた次第でございます。

 まず、一部で、三万部という発言を私がしたということがインターネットの番組で、あるのかないのか、今現在で私は確認しておりませんが、どう考えても、この二〇一一年分につきましては、刷った枚数が万どころか千の単位でございますので、それをそれ以上配ることはつくっていないので無理でございますので、仮に私が本当にそのように申したとしたら、その発言を今から、ちょっと見えを張ってふやしてしまったと申し上げてもいいですし、実際そうでございまして、刷っておりませんので、刷っていないものは……(発言する者あり)そう、事実は事実ですから、配れないということでございます。

 いずれにしても、それにつきまして、関係書類が残っていて、事実としてチェックできる部分であれば、そのようだということははっきりしております。

 以上でございます。

川内委員 ですから、何回も私が聞いているのは、きちんと調査をした上で、事実として、対価をもらっている会合でしかカレンダーを配っていないという事実を特定されるのですかということを聞いております。

 先ほどから、認識としてはそうだ、認識としてはそうだということを繰り返し答弁をされていらっしゃるわけですけれども、調査をした上で事実を特定してくださいということを申し上げているわけでございまして、そこをちょっと誤解をされていらっしゃるのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 二〇一一年暮れということになりますと七年前でございまして、しかも、先ほど申し上げましたように、その当時計上しておりますものから逆算すると、枚数は万どころかもっとずっと低い単位でございまして、その枚数について、残部を全部在庫処理してしまったにしても、私が向こう一年間でやった政治資金パーティーとして開示されているところでお配りしということ、あるいは対価性のある会合ということでお配りしというところで配り切れる枚数ではあると思いますが、先ほどから事実ということをおっしゃっていますと、これは一枚一枚ひもづけろということが最終的に事実になりますので、それは、はっきり言って、七年前では私は非常に困難だと思うわけでございます。

 以上でございます。

川内委員 だから、今、片山大臣は、調べませんということをおっしゃっているわけですね。そのカレンダーの部数が何千部なのか何万部なのか、私も不勉強にして存じ上げないですが、今、それさえも御答弁できないわけですよね、何千部だったのか何万部だったのかということさえおっしゃらないわけですね。

 七年前に対価を取った会合に出席した人数というのは、対価を取っているわけですから、当然、人数は把握できるはずです。発行した部数、そして、対価を取って配った部数が合致しているのか否か、さらには、合致しないとすれば何部余るのか、そして、その余ったものをどうしたのか、もしかしたら無償の会合で配ったかもしれない、そういう事実を一つ一つ丹念に調査をされたらいかがかということを言っているだけなんですよ。

 それをしない、多分こうだと思うもん、それでいいじゃんと言われても、我々としては、はあ、わかりましたという立場じゃないわけです。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 本当に、委員からの御指摘でもございますし、他委員会でも出ておりますので、私どもで残っている資料、それから、先ほど二十人は多いと言われましたが、平均在職二年ぐらいのうちの秘書たち、連絡がとれる者についてはきちっと聞きました。

 ただ、主に管理していた人間が、つい先ほど申し上げましたように、昨年の十月に病気で退職され、ことしの三月にお亡くなりになった方でございますから、それ以上の確認ができないということと、きちっと、当時発注をいたしました先にも、残っているかということを聞いているんですけれども、全体の合計額の請求書、領収書しかないので、今の時点ではできないんですけれども、ただ、実費を計算して、インターネット上に、八十円切手二枚分、それにあとは郵送料ということで計算して、そこのところは記憶がございますので、それで割り算をすると、とても非常に低い枚数だったということです。

 私たちは本当に、先生の御指摘でございますので、できるところは本当に全部見ているんですけれども、何しろ七年前でございますので、限界があるということを御理解いただければと存じます。

 以上でございます。

川内委員 今、丁寧な答弁だよと後ろから、与党の先生方から声が出たんですけれども、丁寧な答弁だと私も思いますよ。だけれども、誠実な答弁だとは思わないです。

 なぜなら、七年前であっても政治資金の収支報告書等については保存されているでしょうし、さらには、さまざまな今御答弁になられた業者さんたちの中にも台帳は残っているでしょう。そうすると、何部印刷をしたのか、そして、対価を取った会合で何人出席しているという人数も把握できる。その対価を取った会合ではカレンダーを配っていらっしゃるわけでしょうから、配った枚数を差し引いていくとどのくらい余るのか、あるいは、確かに対価を取った会合で全て配り切っているねという結果になるのか、それは調べればすぐわかることだと思うんですね。それはわかりますよ、先生。主計官だったんだから、そのくらいの計算はすぐできるじゃないですか。

 政治資金収支報告書に、対価を取った会合で一人頭幾らお金をいただいたのか、その人数も出るし、発行した部数もわかれば、そこから差し引いていけば全部部数は出ますよ、配った部数は。そのぐらいの作業をされたらいかがかということをただ申し上げているだけなんですけれども、それをしないとおっしゃるから問題がややこしくなるわけで、すればいいんですよ。して、きちんと報告しますと言って報告していただければ、何にも問題なくなると思うんですけれどもね。どうですか。

片山国務大臣 お答えをさせていただきます。

 二〇一一年の暮れに作成した部分につきましては、御指摘が他委員会でもありましたので、今おっしゃったようなことについて、私どもとしては誠心誠意お調べをしたつもりでございますが、再度、もう一回調べて当たれというんだったら、もう一回調べることはできないことではございません。

 以上でございます。

川内委員 だから、もう一回調べるとおっしゃっていただいたので、私からの大臣へのお願いとすれば、政治資金収支報告書を精査すれば、対価を取った会合で何人出席していたのかということはわかるし、さらには、印刷屋さんにきちんと確認すれば、何部発行したのかということもわかります。それを差し引いていって、残部数がどのくらい出るのか、それとも配り切ったのか。

 大臣、ちょっとまだ焦らずに聞いていただきたいんですけれども、例えば、何千部か余りました。余ったとしても、その数字が出た時点で初めて、でも、自分たちの認識としては、対価を取った会合でしか配っていないと思いますというふうに認識をお述べになることはできるわけですね。まず、事実を確定させることが大事ですから。その上で認識というものがあるわけで、事実も何もないのに、ただ認識だけを述べるというのは、私は、議論のやり方として違っているというふうに思うんですね。

 だから、お調べになられるということですから、しっかり、何年何月のこの対価を取った会合、出席人数何人という形で表をつくっていただいて、他方で、カレンダーは何部印刷しているということもあわせて資料として出していただくことを、委員長に、本委員会の意思として片山大臣にお伝えいただけるように要求いたします。

牧原委員長 後刻、理事会でこの点については協議をさせていただきます。

川内委員 そこで、ちょっともう時間が全然なくなってきたんですけれども、私、きょう、首相案件の加計学園のことをやるつもりでいたんです。

 この加計学園さんというのはめちゃめちゃ豪華な大学を、獣医学部をおつくりになられたようですね。まあ、そこで勉強していらっしゃる学生さんには一生懸命勉強していただいて立派な獣医師になっていただくことを私としても祈念をしておりますけれども、他方で、加計学園のこの過大な投資、私から言わせれば過大な投資が学園の経営に影響を与えるのではないかということも心配する。そうすると学生さんに迷惑がかかりますからね。

 加計学園さんの今治の獣医学部の施設費、設備費について、まず、文部科学省にきょう来ていただいているので、施設費、設備費について、それぞれ、設置認可申請書上の、これだけお金をかけますよという数字をお答えいただけますでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 大学設置・学校法人審議会における審査に提出されました加計学園の設置計画における数字を申し上げますけれども、これは、施設については百四十八億二千万円、設備が四十三億八千万円ということでございまして、審査基準に基づく最低必要な額を満たしているということでございます。

川内委員 施設費が百四十八億、設備費が四十三億八千万円、合計で百九十二億かかっているわけですね。

 今、答弁のとき最後にちらっと言いましたけれども、標準設置経費という、委員長、学校をつくるのに、設置認可を審査するのに、大体幾らぐらい施設費、設備費がかかりますかという標準の経費というものが他方で見積もられるわけですね。これは、国立大学の設計労務単価に準拠して数字を算出するわけですけれども、この標準設置経費、こういうのは主計官であった片山大臣はもうめちゃめちゃ専門だと思うんですけれども、加計学園獣医学部、今治における獣医学部の標準設置経費、国立大学に準じた標準設置経費の施設費、設備費はそれぞれ幾らですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 岡山理科大学の獣医学部についてですけれども、獣医学科及び獣医保健看護学科を置く、収容定員が千八十人の自然科学関係の学部でございますので、この審査基準によりますと、施設及び設備の整備として最低限必要な額、これは、施設について十七億八千万円、設備について十九億六千三百万円、合計で三十七億四千三百万円になるところでございます。

川内委員 まあ、こういうふうになるわけですね。

 最低限とおっしゃったけれども、最低限という言葉はどこにもないですからね、この設置認可申請時の審査基準の言葉の中に。あるのは標準設置経費という言葉ですから。しかも、これは、同規模の国立大学の同学部にどのくらい経費がかかりますかという基準の金額が標準設置経費であって、加計学園は、施設費が百四十八億、設備費が四十三億、合計約百九十二億。標準設置経費は、施設費が十七億八千万、設備費が十九億六千三百万、合計三十七億。これは、めちゃめちゃ、超豪華な獣医学部ですよ。

 これだけ過大な投資をすると経営に影響があるのではないかということが心配をされるわけですけれども、文部科学省は、設置認可申請を審査されるときに、学校法人審議会学校法人分科会で、この施設費、設備費のそれぞれの見積工事単価について、何でこんなにかかるのという精査をされていますか。

白間政府参考人 お答えいたします。

 私どもとしまして、大学設置・学校法人審議会における審査に当たりましては、教育研究を行うにふさわしい施設等が備えられているかどうかということを確認しておりまして、校舎などの建物について、その審査基準においてこの基準額を定めているということでございます。

 その際に、私ども、この標準単価を上回っているかどうかということを確認しているということでございます。

川内委員 だから、超豪華な、学校法人分科会というのは、加計学園が学園としての経営として持続可能性がきちんとあるかということを審査していくわけですから、これだけの過大な投資、私に言わせれば、これはめちゃめちゃ過大な投資だと思いますよ、普通の人が見れば。その、なぜこのような投資になるのかということについて、一つ一つの、何で工事にこんなにお金がかかるのかということについて、その見積りの単価などを精査されたかという質問をしているんです。その質問に対して誠実に答えてくださいよ。

牧原委員長 文部科学省白間私学部長、明確にお答えください。

白間政府参考人 お答えを申し上げます。

 審議会における審議におきまして、建築単価について、審査する事項となっておりません。したがいまして、私どもとしまして、先ほど申し上げたような、施設、設備について、基準額を上回っているかどうかということについて審査をしているということでございます。

川内委員 それでは、加計学園の獣医学部が開学して全体の姿が明らかになるまで六年間かかるわけですよね。六年生まで、こうずっと、今一年生が六年生に上がっていって、一年生が入ってきて獣医学部が完成するねと。一年ごとに、履行状況調査ということで、加計学園が申請時に申請したことがきちんと実現されているか否かということについて文部科学省は調査をされるわけですけれども、その履行状況調査の中でも、何でこんなにお金をかけているのということについて、関係者に見積書の提示を求めて、工事単価などの精査はしておらないということでよろしいですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のございました寄附行為(変更)認可後の財政状況及び施設等整備状況調査、これは委員御指摘のアフターケアというふうに呼んでいますけれども、これにおきましては、寄附行為(変更)認可時の留意事項が確実に履行されているか、例えば今回の獣医学部の件ですと、既設校の充員、定員の充足がきちんとされているかというようなことですとか、あるいは、これにあわせて、学校法人の経営の実態、施設等の整備が予定どおり進捗しているか、こういったことを把握していくということを通して、学校法人の健全な経営の確保に必要な指導助言を行う、このために行っているところでございます。

 ちなみに、先ほども御答弁させていただきましたが、審議会において、建築単価については審査する事項になっていないということを申し上げたところでございます。

川内委員 審査する事項にはなっていない、建築単価は審査する事項にはなっていないというふうにおっしゃっていらっしゃるわけですが、数字として、これはめちゃめちゃな投資だと。標準設置経費が十七億八千万で、実際にかけた費用は百四十八億ですよ。すごいと思わないですか、めちゃめちゃな投資だなと。

 片山大臣は主計官でいらっしゃいましたから、こういう数字について、何でこんな数字になるのとその内訳をきちんと多分精査されていたと思うんですよ、主計官の時代に。積算の根拠は何なんだ、何でこんな数字になるんだと。普通だったら、十七億、少々、学生さんを集めなきゃいけないから倍の値段をかけたとしても、それでも物すごい金額のかけ方ですよね。何でこんなにかかるのというのは、普通、おかしいねと。

 片山大臣、主計官の経験からして、こんな数字の乖離というのは、これは政府の認識を聞くわけじゃないです。政府見解を聞くわけじゃないです。片山大臣の個人の見解として、まあ、感想、個人の感想として、おかしいねと思うか思わないかというのを、個人の感想を答えてもらっていいですか。

片山国務大臣 まさに文科省及び予算査定当局のお話で、現内閣の閣僚としては私は所管外でございますので、お控えをさせていただきます。

川内委員 地方創生の大臣もしていらっしゃって、この加計学園の獣医学部の案件というのは国家戦略特区の中の案件の一つ。我々から言わせれば、首相案件。柳瀬さんも首相案件と言ったのではないかというふうに言われているわけですね、まだ事実は何一つ明らかになっておりませんが。

 そういう意味で、今、お答えいただけなかったのは残念ですけれども、文部科学省として、この標準設置経費が十七億八千万で、施設費が百四十八億、設備の標準設置経費が十九億六千三百万で、設備費が四十三億八千万かかっている。これだけの過大な投資が経営に影響を与えるのではないか。

 平成二十九年度の決算は下の方に書いてありますけれども、加計学園は九・一億円の赤字ですね、経常収支差額。平成三十年度決算の予想は三十五億の赤字ですよ。三年間赤字が続くと、学校として危ないのではないかと言われている。ちなみに、平成二十八年度の決算の数字はようやく七千万の黒字です、かつかつ。加計学園としては非常に経営が苦しいのではないかということも想定をされ得るのではないか。

 そういう中にこういう過大な投資をすることが果たして学校経営の安定につながっていくのかどうかということについて、これは文部科学省としてきちんと調査されるべきじゃないですか。おかしいと思いませんか、まず、こんな過大な投資。おかしいと思うかどうかだけ、ちょっと答えてくださいよ。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしまして、教育研究環境がよりよく整備されているかどうかということでございますので、この委員の御指摘の数字のみをもって今お答えすることは差し控えさせていただきます。

川内委員 よりよく整備されているか否かだけを学校法人分科会は審査するんですか。加計学園の学校法人としての持続可能性を審査するんじゃないんですか。その中の一つの項目として、設備にどのくらいお金をかけますかという数字を出してもらうんじゃないんですか。学校法人分科会は学校経営の健全性を審査するんでしょう。違いますか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 大学設置・学校法人審議会におきましては、設置に当たって、獣医学部を設置する学校法人が完成年度前の間、どういった収支計画を立てているかというようなことについては、委員御指摘のように、審査をして、それが合理的だということで審査をしたということでございます。

 ちなみに、先ほど御紹介のありましたアフターケアと言われているものにつきましては、先ほども申し上げましたように、毎年度、その進捗状況がきちんとなされているかということを見ていくわけでございますけれども、それにあわせて学校法人の経営の実態等についても把握をし、学校法人の健全な経営の確保に必要な指導助言を行っていくというために行っているということでございます。

川内委員 済みません、僕、頭が悪いので、こちらがお聞きしたことに答えていただきたいんですけれども、学校法人分科会というのは、その学校の、学園の経営について持続可能性があるかどうか、経営の健全性について審査をするんですよねということを確認しているんですけれども、私の認識は間違っていますか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 審議会としましても、申請者である学校法人の負債率ですとか完成年度における収支の見通し等について確認を行い、財政の健全性について課題があるようであれば審議会としても問題を指摘しているということでございますので、その点についても審議しているということでございます。

川内委員 学校の経営の健全性について審査をしているということですね。

 そうすると、これだけの、標準設置経費の、施設費は八倍ですよ。設備費が二倍、二・二倍。全部の設備投資で比べると五倍ですね。

 文部科学省が把握している中で、このような標準設置経費の、まあ、施設費だけをとりましょう、施設費が一番わかりやすいですからね、八倍。施設費でこのような過大な投資を設置認可申請時にしてきた学園というのは、過去十年の間にどのくらいありますか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の岡山理科大学獣医学部については、施設に関する設置経費が、御指摘のように、六・二倍ということでございますが、そのほかにも、この十年間で二つの大学において、一つの大学は三・五七倍、もう一つの大学は四・八五倍というようなケースがあるところでございます。

川内委員 岡山理科大学が一番過大な投資をしているわけですよね。過大な投資をしているということを今お述べになられたわけですね。

 今お述べになられた六・二倍という数字は、細かく数字を分解すると、基準内の施設費と基準外の施設費というのがありまして、この施設費というのは基準外のやつも含むんですけれども、基準内のものでも六・二倍なんですよ。今おっしゃった六・二倍。私がここで政府委員のように説明することもないと思うんですけれども。

 とにかく、物すごい過大な投資をしている。過去最高の倍率の投資額である。これが学校の経営の健全性に影響を与えるのか否かというのは、文部科学省として関心事じゃないんですか。豪華な設備ですね、ああ、それいいですね、いいんじゃないですかと言うだけなんですか、文部科学省は。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたような完成年度までの収支計画なども踏まえながら、学校法人の負債率等についても審査をした上で、大学設置・学校法人審議会において専門的、学問的な審査を行い、そこにおいて、答申として可というふうに答申をいただきましたので、私どもとして、それを認可したということでございます。

川内委員 加計学園に対しては、毎年、私学助成が入るわけですよね、国民の皆さんの税金が。今、現段階において、まだ獣医学部が設置されて、開学して一年たっていませんから、獣医学部の数字を除いた平成二十九年度の実績値で、加計学園に対する私学助成は毎年幾らですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度の数字ということでございます。学校法人加計学園が設置する大学が三つございます。岡山理科大学、倉敷芸術科学大学、千葉科学大学でございます。及びその一つの高校、これに対する私学助成、そして、平成二十九年度に国から学校法人加計学園に交付された総額は、約十七億円でございます。

川内委員 加計学園に平成二十九年度の実績値で十七億円私学助成が入る。獣医学部が完成すると大体どのぐらいになりますかと聞くと、文科省は答えないわけですね、六年後の数字は不確定ですからと。

 私がここで勝手に言います。大体、基準を用いて計算すると、五億から六億上増しされるわけですね。したがって、加計学園には、六年後のでき上がりの数字としては、最低でも二十二億から二十三億ぐらいの私学助成が入るということになるわけです。

 その学校の経営の健全性がしっかり担保されるのかどうか。これだけみんなの注目を集めているわけですね。そこで学ぶ学生さんが、ちゃんと勉強をずっとできる環境になるのかどうか。こんな過大な投資をしていたら、大丈夫ですかと心配になりませんか、文部科学省は。

 私、実は、加計学園、今治の獣医学部を見に行きましたよ。うわあ、大理石でできているわとか、そんな校舎じゃないですよ。多少は、立派な新しい校舎ですから、すてきな校舎だなとか、フロアというか渡り廊下もウッドデッキになっていたりして、これは学生さんたちも教職員の皆さんも気持ちいいだろうなとかね、そういう感想は持ちました。

 だけれども、標準設置経費が十七億八千万で、百四十八億もかけている建物にはとても見えないわけで、一つ一つの工事の単価、見積りの、設計単価というのも私は精査する必要はあると思いますよ、文部科学省として。

 なぜなら、税金が入るからです。税金が入るんですよ。あなたのお金じゃないですからね、白間さん。文部科学省のお金じゃないですよ。みんなのお金が子供たちの学問に注がれるわけですけれども、それに当たって、じゃ、学園の経営者がきちんと工事単価を見積もっているのか。なぜなら、加計学園の理事長の奥様が設計監理を請け負っている会社の役員だったりするわけでね。要するに、私立学校法上は利害関係はないということになるけれども、我々からすれば、めちゃめちゃ利害関係があるわけです。そういうところが設計監理を請け負っているわけですよね。

 では、ちゃんと適正な工事単価なのということについては、私は、文部科学省として調べる、調査しますというふうに言っていただく必要があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 設置認可後の寄附行為の変更後の財政状況、また施設等の整備状況、これをアフターケアとして毎年度調査をしていくということにこれからなるわけでございます。

 その中においては、先ほどと重なりますが、寄附行為(変更)認可時の留意事項が確実に履行されているかということはもちろんでございますけれども、それにあわせて、学校法人の経営の実態、施設等の整備の進捗状況、こういったことも把握しながら、学校法人の健全な経営の確保に必要な指導助言を行っていくということに毎年度していくということでございます。

川内委員 今、白間部長が、経営の実態を把握しながらという言葉をお述べになられました。経営の実態という言葉の中に、この施設費が適正な施設費であったのかということは、当然私は入るというふうに思いますよ。そして、必要な指導助言を行っていくということですよね。

 この施設費の、あるいは設備費のお金のかけ方が、適切、適正なものであったのかというのは、まさしく経営の実態じゃないですか。今の部長の御発言は、調査します、調査した上で適正であるか否かを国会に御回答申し上げますという御答弁であるというふうに理解してよろしいですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の建築単価等については、そもそも、審議、審査する事項になっておりません。

 そういったことから、先ほど申し上げましたけれども、一方で、先ほど申し上げましたような学校法人全体の経営の実態等についても把握をしていくということでございますので、その中で必要な指導助言を行っていくということでございます。

川内委員 丁寧な言葉で言っているけれども、結局、おまえの言うことなんか聞かねえよと言っているわけですね、今、委員長。

 私が言っていることは理不尽なことでしょうか。これだけの過大な投資をすることに関して、果たして工事単価が適正なものであったのかということについて、私学助成が入る私立学校についてその精査をすべきであるというふうに、国会が、国会がというか一議員が申し上げているわけですけれども、それに対して、まあ、言うことだけ聞いておいてやるよ、でも、僕たち、ちゃんとやっているからと。本当にやっているんですか、ちゃんと。

 経営の実態と、まさしく経営の実態じゃないですか、この工事単価が適正であったか否かということについては。それを調査する、見積りを精査しますということをここで私が要請をして、それを受けますかということを聞いているわけです。

 文部科学省、もう一度答弁してください。ここで私は、見積りを精査してくださいということを文部科学省に要請します。それを受けますか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとして、設置認可後の財政状況、施設等整備状況調査におきましては、基準に適合したかどうかを審査したわけでございますので、基準に適合して進捗しているかどうかということについて審査をしていくということでございます。

川内委員 基準の中に経営の実態という言葉があるわけですよね。これこれこれこれの項目以外は調査できないということは、どこにも書いていないですから。これこれこれこれこういうことなど経営の実態を調査し、必要な指導助言を行っていくというのが履行状況調査ですからね。などについては定義されていませんから。

 だから、この過大な投資について調査をすべきである、精査をすべきであるということを私は申し上げているわけで、委員長、これは国民の税金が入るんですからね、私学助成という。学校の経営の健全性という意味において、非常に心配ですよ。一体、何をすればこんな過大な投資になるんですかと。一体、どんな材料を使っているのか。一体、どんな施工方法をしているのか。

 これは、私、委員長に、文部科学省に対して見積書の提出を加計学園から受けるという資料要求を求めたいというふうに思います。

牧原委員長 他委員会に属することではございますが……(川内委員「国家戦略特区のことだから。ちょっとおかしいよ」と呼ぶ)一応、理事会で協議はさせていただきます。

川内委員 最後に一言。

 これは国家戦略特区のことですからね。国家戦略特区のことだからこの委員会でやっているわけですよ。

牧原委員長 いずれにしても理事会で協議をさせていただきますので。

川内委員 終わります。

牧原委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 国民民主党の後藤祐一でございます。

 冒頭、片山大臣に申し上げたいと思いますが、昨日、収支報告書の大量の訂正という話が突然出てまいりました。

 配付資料にありますが、「コメント(収支報告書訂正について)」というものが、きのうの夜八時半ぐらいですか、マスコミ各社にファクスで送られて、それを受けて、きのうの夜十時五分ぐらいに共同通信の速報というので初めて流れて、私はその時点で初めて知り得たわけですけれども、それから、この収支報告書、どこをどう直したのかということについて資料を提出するようにということをきのうの晩のうちにお願い申し上げましたが、晩のうちには出てきませんでした。

 これは質問のしようがないですよね。これだけ問題になっている大臣の収支報告書の訂正三回目、しかも今回は、四百五十万、大変大きな額ですし、四十七カ所という、大変数も多いわけですね。この中身を我々は知り得ない中で、この一般質疑、大変貴重な一般質疑、質問ができない状況になっておるわけでございますが、先ほど片山大臣は、これは総務省のページにアップされるでしょうから、それを見てくださいというふうにおっしゃいましたけれども、それを見るまで我々は見れないんですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 まず、先ほどの他委員の御質問に対して私が申し上げましたのは、総務省のホームページで閲覧可能だと申し上げたので、それをごらんくださいというふうには申しておりません。訂正をさせていただきます。

 また、このたびの訂正につきまして文書を出させていただきましたが、これは、この三回の訂正、総合的なものでございまして、前回、収入の記載漏れにつきましては一度訂正をしております。それを今回総括して、全部で三十四件。そのうち二十九件が、前回訂正を既にしておりますように、平成二十八年の参議院選挙の際にいただいた寄附でございました。

 この平成二十八年の参議院選挙の際にいただいた寄附につきましては、政党支部からの寄附ということで、これを選挙事務所の方に寄附しておりましたことから、団体等からいただいた寄附を政党支部で受領した後、政党支部から選挙事務所に寄附したものと誤解をいたしまして、一旦、前回、選挙運動の収支報告書にその旨の訂正をいたしましたが、その後、その年の収支報告の事務代行をした者が今民間におるんですけれども、その者に今週になってからしっかり確認をいたしまして、また、さまざまな資料を照らし合わせたところ、選挙事務所への寄附は政党支部の政党助成金口からの寄附金であることに間違いないということが複数の関係者によって判明いたしましたので、当初の選挙運動費用収支報告書の記載が正しいことから、そちらの方は前に戻しました。

 ですから、今言った件数というのは、その全部を総合したものでございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 そうすると、今もう総務省のホームページは見れるということですか。

片山国務大臣 申し上げます。

 総務省に閲覧に行っていただくと閲覧可能であるというふうに私は聞いております。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 ホームページで見れるわけじゃないんですね。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 ホームページではないです。そのように申し上げたとしたら、それは訂正いたします。そちらに伺って閲覧可能というふうに認知しております。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 通常、総務省では、先ほど、きょうの朝九時過ぎに、総務省の収支公開室というところがあって、そこに確認しました。こういった収支報告書の訂正があった場合は、すぐ外に向けて公開するのではなくて、二月、五月、八月、十一月と、まとめて訂正したものを公開するというのが通常のやり方になっている、そして十一月は九日にやったばかりで、通常の手続でやると次の二月になるという説明を受けました。

 これは間違っているんですか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 今委員から伺った日付について、私は今ここで伺いましたが、私が、けさ、そういう御質問が来るということで、どういうことなのと伺ったところは、今私がお答えしたとおりでございます。閲覧はできるというふうに伺いました。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 総務省の先ほど私がした説明は間違っているということですか。十一月の分はもう九日にまとめて公開するものを公開しちゃったので、次、通常の手続でやれば来年二月にまとめてやることになりますがと言っていますが、これは間違っているんですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 総務省の方に御確認をいただければと思います。私どもはそのように伺いましたが、委員がそのように総務省に直接聞かれたということでしたら、やはり総務省の方に御確認をいただくということなのかなと存じます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 何か、ホームページを見れば見れると言ったり、閲覧に行けば見れると言ったり、総務省に私が確認したことを聞いたらわかりませんと言ったり、どうなっているんですか。

 もし仮に、今回の片山大臣の場合だけ総務省で特別に見れる状況になっているんだとしたら、特別扱いじゃないですか。これは特別扱いなんですか、片山大臣の場合だけ。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 そのようなことではなくて、通常、総務省の方でも訂正をしたので、その閲覧のところに行ったら、もうその閲覧が可能だというような報告をけさ事務方から受けましたけれども、再度確認もしたいと思いますし、委員の方からも総務省に御確認をいただければと思います。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 その閲覧が可能になったのは何時からですか。この委員会で質問のしようがないじゃないですか、いずれにせよ。何時からですか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 今その修正手続を行った者から聞いたところによると、きょうの午前中ぐらいというふうにその者は説明を受けたようでございますが、再度御確認をしていただければと存じます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 我々が確認しなきゃいけないんですか。

 いずれにせよ、きょうの午前中ぐらいに総務省に行けば閲覧ができるという説明で、今、私、質問なんですが、無理ですよね。少なくとも、片山大臣の収支報告書の訂正の内容が何であったか、私は調べた上でそれについて質問をしたかった。でも、それはできないですよね、大臣。きのうのうちに出してくださいと、私、夜でもお願いしたんですよ。その後、できませんというお答えをいただいているんですよ。

 内閣委員会でしか片山大臣のお話を聞くことはできないじゃないですか。内閣委員会の一般質疑というのは大変貴重なんですよ。質問できないじゃないですか。今、何か与党の筆頭から一般を受けてくれればとありましたが、じゃ、一般質疑をプラスアルファでやっていただけるよう、委員長、理事会で御議論いただけますか。

牧原委員長 いずれにしても、先ほど今井雅人君の方から、片山大臣の訂正についての説明、資料の要求がありまして、理事会協議事項にはさせていただきました。今の点も含めて理事会の協議事項としたいと思います。

後藤(祐)委員 でも、いずれにせよ、我々は総務省に行って、多分、原本しかないということですよね、それを見に行けということなんですか。大臣がみずから出せばいいじゃないですか、その資料を。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 政治資金収支報告の作成、公表、訂正につきましては、皆様と同様、関連の法制に従って適時適切に行うよう努めております。

 今般、マスコミ等からの御指摘で、収支報告書への記載漏れがあることが判明いたしまして、事務所スタッフ等で全力を挙げて確認作業を行ってまいりまして、先ほど申し上げましたように、その作業が終わったのはきのうの夕刻でございます。一日も早く、一瞬も早くと思って夕刻までかかったわけでございますから、夕刻までかかって、終わったところで、できるだけ早く国民の皆様に対してコメントをお出ししたということでございます。

 その内容につきましても、きちっと、いかに確認をいたしましたかということと、訂正の概要について、収入の記載漏れが幾らであり、そのうち幾らがどういう理由であり、支出の記載漏れが幾らであり、日付が異なったのが幾らであった、その理由がどうであった、選挙運動収支報告書の訂正が、よく調べたところ、もとの方で、要するに前回に復したということですね、そういうことにつきましても、きちっと全てチェックを受けた上で公表をしております。

 繰り返しになりますが、早くということを皆様からも言われましたので、できるだけ早くしたら、きのうの夕方、夜になったということでございます。

 以上でございます。(後藤(祐)委員「そんなこと聞いていない。そのものを出せと言っているんですよ」と呼ぶ)

牧原委員長 後藤祐一君、質疑をお願いします。(後藤(祐)委員「それを出せと言っているのに、出てこないじゃないですか」と呼ぶ)

 後藤祐一君、質疑を続けてください。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

牧原委員長 では、速記を起こしてください。

 片山大臣の方で、訂正された資料は、それがコピーの形になるのか、確認をされるということでございますので、それを至急確認をされて、当委員会に提出をお願いをしたいと思います。

 それでは、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 その資料を出していただかないと、私、質問が、だって、それについてできないわけですけれども、それを出していただいてからこの委員会を再開すべきじゃないでしょうか、委員長。

牧原委員長 訂正内容について御質問をしてください。資料要求はさせていただきますので、質疑を続行してください。今、片山大臣には、訂正の資料について提出をお願いしました、こちらの方で。なので、質疑を続行してください。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

牧原委員長 速記を起こしてください。

後藤(祐)委員 この答えをいただかないと質問がなかなか難しいということはあえて申し上げさせていただいた上で、先ほど大臣が、一瞬でも早く世の中に提供したいということをおっしゃったわけですけれども、私は、きのうの夜の段階で、内閣府の大臣官房総務課に片山事務所の収支報告書を出すようにと伝えたところ、その内閣府大臣官房総務課は、片山事務所の収支報告書についてわかる人に連絡がつかないので、今晩中に資料を提供するのは難しいと思われると、きのうの二十三時四十分ごろ、うちの事務所に連絡があって、その後、二十三時五十分ごろ、内閣府の大臣官房総務課から、片山事務所の収支報告書についてわかる人に連絡がつかないので、今晩中に要望の資料を提供するのは困難という、要は拒否されたんですよ。

 だって、総務省に持っていった資料を渡してくれればいいだけなんですよ。簡単なことなんですよ。一瞬でも早くなんて、本当にその姿勢があるんですか。一瞬でも早くという姿勢があるんだったら、きのうの夜、私に渡してくれればいいじゃないですか、総務省に出す資料。簡単じゃないですか。何で、大臣、それをしなかったんですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 昨夜、夜中十一時から十二時ぐらいに、後藤祐一委員の事務所から衆議院の委員部経由で内閣府の方に、要するに役所に対してお話があったという報告はお受けをいたしております。その前の事前の後藤委員からの質問通告につきましては、このことに関するものでは直接ない質問通告が二問でございました。そのことは重要なことだと思っております。

 それに加えまして、二十三時という時点では、私どもの職員はもうそこまでで全部帰宅しておりますから、当然、連絡がつかないのは、普通の常識から見て当たり前ではないかと思います。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 だって、二十二時〇五分に共同通信が速報するまで、私、知り得ないじゃないですか。その前に通告なんて、難しいというか、できないですよ。

 ただ、立憲民主の今井委員は、収支報告書の話はもともと通告をされておられましたから。そうですよ。実際、二十二時〇五分に速報が回ってから、私は、その段階から通告して何がいけないんですか。収支報告書について質問したいと。当然、その速報があってからしか通告できないじゃないですか。

 でも、いずれにせよ、一瞬でも早く出すという姿勢は、少なくともきのうの段階では、では、聞きます。きのうの夜十一時から十二時ぐらいで、片山事務所は連絡が本当にとれない段階だったんですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 報道が流れたのが何時かというのは正確には私は今わかりませんけれども、夕方から、ぎりぎり総務省の方の御修正をチェックしていただく方が残っているまでで終えて、その後、可及的速やかに国民の皆様にその内容を公表したということで、その時間の後は、もうそこで仕事が終わっておりますから、当然帰宅をしているというのは、これは、まさに働き方改革ですから、普通ではないかと思っております。

後藤(祐)委員 内閣府の大臣官房総務課は、片山事務所に全く連絡がとれなかったわけじゃなくて、この収支報告についてわかる人の連絡がとれなかったと言っていたと思いますよ。全く連絡がとれなかったわけじゃなかったと思いますけれどもね。でも、それは連絡のとりようがあったと思いますけれどもね。

 では、これは、少なくとも総務省の見解では、大臣が公開するのは自由であるというふうに聞いています。だから、大臣の、一瞬でも早くというんですから、一瞬でも早くこの委員会に出していただくことを約束いただけますか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 今、牧原委員長からもお話がありましたので、その場で訂正して、その場の訂正が残っていて、うちが控えをとっていないものがあるかどうかも、それも今、現在持っておりませんから、そういったことも含めまして、きっちりと委員会からの御対応につきましては、真摯に御対応させていただくことでございます。

 以上でございます。

牧原委員長 この点については、私の方からも、今、片山大臣がおっしゃっていただいたように、できるだけ速やかに事実を確認し、コピーを出していただきたいと思います。

後藤(祐)委員 きょうじゅうに出していただけますか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 もちろん、真摯に努力をいたします。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 だって、総務省に持っていった資料なんだから、すぐ出せるじゃないですか。何でそこできょう出しますと言えないんですか。

 時間が大幅に超過していますので、次、聞きたいと思いますが、先日問題となったさいたま市の屋外広告ですが、これはさいたま市の屋外広告物条例に違反しているんじゃないんですか、大臣。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 私の著作、二〇一五年の暮れに出ました「未病革命二〇三〇」につきましての屋外の書籍宣伝広告につきましては、書籍の広告として、民間の設置により立っているものでございますが、その地主の方、もちろん、広告の立っている土地も、その広告の鉄塔の枠組みも民間の方の所有でございまして、私どもはそこにコンテンツを提供して借りさせていただく、そういうような関係でございますが、そちらの方が、何かさいたま市の方から、お届出がありますか、ないですかみたいなお尋ねがあったということをきのう初めて聞きました。

 そのことにつきましては、我々はコンテンツを御提供してその対価を払わせていただいている立場でございますので、通常の商慣行として、許可申請は設置施工業者が行うというふうに認識してございまして、私どもの方には一切お話がないところでございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 片山大臣側が法律違反したかという、どっちがしたかということを聞いているのではなくて、片山大臣の著作物を掲示しているこの広告物全体がさいたま市の条例違反ではありませんか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 さいたま市の方から私どもの方に、条例の開示ですとか、具体的にどこがどうかというお話が一切ありませんので、その条例がどういうもので、どういうものが抵触するかについて、今現在、私は全く資料を持ち合わせておりません。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 きのうこれはちゃんと通告しているんですが、配付資料にさいたま市の屋外広告物条例のしおりというものの抜粋を示しておりますが、自家広告物以外の広告物は、表示面積は、総表示面積十平米以下。これは比較的厳しいルールなんですけれども、このさいたま市の広告物は、大体、縦が二・六メーター、横が七・四メーター、恐らく二十平米近くあるものなんですね、十平米は明らかにオーバーしている。

 これはきのう通告しているんですから、よくわからないというわけにはいかないんじゃないですか。しかも、お尋ねがあったんですよね。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 私がきのう所有者である方からお話を伺ったところ、具体的にどこが抵触するのか抵触しないかについて、具体的な提示がさいたま市側からあったわけではないので、また、全体の枠組みの中での、今メートルの話をされていると思うんですが、一部が所有者の方の自己広告に当たるという御判断もあるんだそうで、そういったことも含めて、これから市の方とお話合いをするんだということのみを聞いております。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 のみでございますという、この言い方が大変かちんとくるわけでございますが、至急確認して、この委員会に報告いただけませんか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 看板が、もう設置して何年かたつものが大変話題になったことで、私も非常にびっくりをしております。

 通常、広告板をいわゆる看板台のようなところに出す場合には、広告業者さんの方にお願いしてということで、そちらが必要、適切な手続は全部とっているということが本当に商慣行上は全く通常でございますので、そうではない場合もあり得るのかもしれませんが、その場合につきましては、今お話合いが行われていて、それがどうであったのかがわかれば、もちろん御報告もいたしますし、仮に不適切な部分があるのでしたら、私自身は不適切とされているもののコンテンツを提供し続けることにこだわりが全然ありませんので、修正したり、それはそういうこともしますが、きょう、今、この瞬間に至るまで、要するに、きのうの何時だったか私はよく存じませんけれども、その所有者、設置者、オーナーさんの方にも施工業者の方にも一度もお話がなかったというのが実態でございますので、それは誠心誠意、仮に何かあればそれに沿って対応するということではないかと思います。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 それは自然体に任せるのではなくて、ここまで問題になっているんですから、急いで市とその業者の方と相談して、早く答えを出していただいて、この委員会に報告する努力をしないんですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 繰り返しになりますが、広告板全体が、私の出版した書籍の広告ではないものと一体のものが折半になって一体運営されておりますので、私どもの方だけでどうこうということではないものでございまして、それは設置者及び所有者の方の一義的な判断と、それから、こういう広告物についてのルールを適用しておられる市の方とのお話合いを待たないと、私どもの方だけで、もう一つ広告板があるわけですから、勝手に決められることでもないのかなと思っております。

 いずれにしても、趣旨としては、私どもは、仮に条例で、例えば大き過ぎるとかそういうことがありましたら、それが決まったら直ちに是正をするというつもりには全く変わりはございません。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 待たないといけない。急いでいただく努力を何でしないんですか、これだけ問題になっているのに。日本じゅうの人が知っている看板なのに。しかも、それが違法だという少なくとも疑いが今発生しているのに、何でその確認を急がないのか、全く理解できないですよね。

 あと一つ確認させていただきたいと思いますが、さいたま市の看板は二〇一六年一月十三日に設置されて、二〇一六年七月の参議院選挙中も掲げられていたということでありましたけれども、その後明らかになった浜松市の二枚、名古屋市の一枚、これはいつからあって、そして、片山大臣が立候補した二〇一六年七月、場合によっては二〇一〇年の七月の参議院選挙の期間中も、これは掲げられたままだったんですか。

片山国務大臣 お答えを申し上げます。

 最初に申し上げますが、「未病革命二〇三〇」の看板というのは、今委員がおっしゃった、さいたま市浦和区にしかございません。それはお答えしたとおりで、その前の「日本経済を衰退から救う真実の議論」及び「エコにだまされない」、こちらの方は共著でございますが、こちらについては二〇一二年四月から私の書籍販売の宣伝広告として提示をしておりまして、その間ずっと提示をされていると認識をしております。

 それから、名古屋の方のつり下げ板につきましては、ビルオーナーさんが大変この本の趣旨を熱心に推奨していただいたものでございますが、二〇一三年三月から、これも二〇一二年暮れに出た本でございますから、ちょうどそういう会と、会というかキャンペーンというか、軌を一にしたころでございましたが、書籍販売の宣伝広告として掲示をしておりまして、今までずっとあるんだというふうには理解しております。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 そうしますと、浜松の二枚も名古屋の一枚も、少なくとも二〇一六年七月の参議院選挙の期間中は掲げられていたということでよろしいですね。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 いずれにしても、これらにつきましては、「エコにだまされない」「日本経済を衰退から救う真実の議論」及び「福祉依存のインモラル」、おのおのの著書の書籍販売として、そのまま設置、放置されていたということに尽きると思います。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 放置していたんですか。放置ではなくて管理ぐらいしてほしいと思いますけれども。

 次に行きたいと思いますが、十一月九日の内閣委員会での今井委員への答弁の中で、南村税理士の方と海外に行ったのは二回だと思っておりましてという答弁がございました。二〇一一年に中国に行った、二〇一五年一月にベトナムに行ったという答弁がありましたが、二回だと思っておりましてと、二回だけですか。この南村さんと海外に行ったのは二回だけですか。

片山国務大臣 記憶にある限りは二回でございますし、もう一回あったというような話もあるんですけれども、そのもう一回について確認できておりません。

 いずれにしても、私は、参議員になりましてから、視察、海外だけでも二十数回行っておりまして、そのうち、例えば、たまたまこういった回数のときに出張したということが、委員が再々御指摘をしていらっしゃる私設秘書なのかどうなのかということとはほとんど関係ないと考えておりますし、そのうち、要するに、うちの事務所の方で何らかの形で旅行全体の体裁が見つかったものにつきましては、二つとも肩書が秘書ではなく、一つは一般社団法人の事務局長、一つは取締役でございました。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 以上でございます、大変かちんとくる語尾なんですね。

 でも、二回だと思っていたというのは虚偽答弁の可能性があるということですね、そうすると。記憶にある限りでは二回と。

 では、具体的に聞きましょう。

 片山ブログ、二〇一一年九月二十四日というものによりますと、香港の日本人クラブでアジアビジネスセンター設立記念講演を行うため、香港を訪問しておりますが、このとき南村さんと一緒じゃありませんでしたか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 この設立のときの記念講演というのは、香港での日本の経済人等が、呼んでいただく形で講演をしておりまして、そこに南村氏が御参加されていたかどうかは、私はちょっと記憶にございませんが、いずれにしても、呼んでいただいた主体が在香港のビジネスの関係の方でございまして、私は一応単独でというか、家の人がたしか一緒に行っていると思いますが、夫が一緒に行っていると思いますが、単独で行っておりますので、それ以上でもそれ以下でもございません。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 二〇一一年九月二十四日に片山ブログで書いてあって、その翌日、九月二十五日の南村氏のブログというのがあって、片山さつき議員の香港経済講演が大成功したと書いてあるんですね。

 少なくとも一緒に、どの程度を片山大臣は一緒という定義をされているのかという問題はともかく、香港に少なくとも南村さんは来ていたんじゃないんですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 今までお聞きになった委員及びほかの方は、海外視察という形で組まれたものに対する同行ということだと、私どもが把握しているものはその二件しかございませんが、私は、海外で講演も行っておりますので、そこに御参加された方の中に入っているかどうかまでは、全部きちっとできているわけではない。もしかしたら行っていたかもしれないし、行っていないかもしれない。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 それは、確認して、この委員会に報告していただけますか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 それは、御本人に確認するのは比較的簡単なことで、そのお答えはできるかと思います。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 委員長、今の報告をきちっと理事会で報告してもらうようお願いいたします。

牧原委員長 片山大臣は、今の香港出張について、南村さんが同行という形で……(片山国務大臣「同行じゃなくて参加している」と呼ぶ)参加ですか。(後藤(祐)委員「少なくとも、南村さんが香港に行っていたか、同じ時期に行っていたか」と呼ぶ)いたかどうか。(片山国務大臣「それは本人に聞きます」と呼ぶ)わかりました。

 では、本人に御確認するということでございますので、理事会に報告をお願いします。

後藤(祐)委員 さっき、記憶にある限りはと言っていたのは、今の香港の話ですか、それ以外にはもうないということでよろしいですか。

片山国務大臣 何度も後藤委員ほかの委員から、二〇一五年五月まで、いわゆる参議院議員会館への入館証、括弧、私設秘書ですか、というものが出ていたということが、それだから私設秘書なのかどうかということをお聞きになっているわけですが、例えば、二〇一五年五月までの三年ちょっとの間、確かに渡しておりまして、その間、思ったほど御本人は議員会館に来られることもなく、私の反省点としては、そういう方にお渡ししたのはやや軽率だというふうに思いますが……(後藤(祐)委員「質問に答えてください。ほかにありますかと聞いています」と呼ぶ)

 では、海外出張や海外視察のときに一緒にいたかどうかと私設秘書だったかどうかは、私は余り関係ないと思いますし、そういう意味で、私が海外で講演したところの全てについて、南村氏が出席していたかということは調べておりませんが、想像の限りでは、アジアでの講演はそこだけなので、それ以外にはない可能性はあると思いますが、御要望ということであれば、私が海外で講演したものについての存否も全部聞いて調べることはもちろん可能でございますので、誠実に対応させていただきます。

後藤(祐)委員 香港以外には、アジアでは少なくともないでいいですか、では。三回ということでいいですか。その三つ目が一緒かどうかはともかく、それ以外にはもうないということですか、今のは。それ以外にはない可能性があるという、よくわからない答弁なんですけれども。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 過去数年は、私、党の代表でさまざまなところで講演をしております。そちらについて、たまたま南村氏がそこに参加していたかどうかは今から聞かねばわかりませんが、博鰲のフォーラムであったり、ウラジオの東方フォーラムであったり、そういうところまで全部確認をとれということでしたら、とらせていただきます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 二〇一一年一月の南村ブログによると、北京にて政府高官と面談、正月に国会議員と北京に同行と書いてあるんですね、同行と書いてあるんです。ほかの国会議員かもしれませんが。二〇一一年一月、北京で政府高官と面談しているようなときに、南村さんと一緒に行っていませんか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 今現在手元にある資料でも、私の記憶でも、それはちょっと確認ができませんので、それもあわせて確認しろということでしたら、御確認をさせていただきます。

 いずれにしても、二〇一一年の一月というふうにおっしゃっているのであれば、その時点では、南村氏には、いわゆる、かぎ括弧、私設秘書としてと書いてあるパスについてはお渡しいたしておりませんし、二〇一一年八月のときもお渡しをしておりません。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 今の調査結果も御報告いただけますようお願いします。それを理事会できちっと取り扱っていただくようお願いします。

牧原委員長 調査できますか。(片山国務大臣「はい」と呼ぶ)

 理事会で協議するまでもなく、ここで、委員長として、片山大臣には南村さんとの海外出張について調査をしていただいてこの理事会に報告いただきますようお願いします。

後藤(祐)委員 櫻田大臣、済みません、長い間お待たせしちゃいましたが、この国会にかかっている内閣提出の法案の中で、櫻田大臣の担務に属する法案は何でしょう。

櫻田国務大臣 サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案についてでございます。

後藤(祐)委員 この答弁は櫻田大臣が担当するということでよろしいですか。

櫻田国務大臣 結構です。

後藤(祐)委員 これは内閣委員会にかかると思うんですよね。

 法案はたくさんあるわけでございますけれども、サイバーセキュリティ戦略本部がその中で議論になると思うんですが、櫻田大臣は、このサイバーセキュリティ戦略本部でどんな役職を務めておられるんでしょうか。

櫻田国務大臣 もう一度言っていただけますか。

後藤(祐)委員 サイバーセキュリティ戦略本部で櫻田大臣はどんな役職を務めていらっしゃるんでしょうか。

櫻田国務大臣 副本部長であります。

後藤(祐)委員 今、後ろを向いて官僚の方に御助言いただきましたが、御助言いただくまでは知らなかったということですか。

櫻田国務大臣 そんなことはありません。本部長が官房長官で、副本部長が私であります。自分で知っております。

後藤(祐)委員 では、サイバーセキュリティ基本法案というのはどんな法案ですか、大臣。今度は後ろの御助言をいただかないでお答えください。

櫻田国務大臣 サイバーセキュリティーに関する施策を総合的に効果的に推進するために、内閣官房長官を本部長として、私が副本部長としてやっているわけであります。サイバーセキュリティ戦略の案の作成と、戦略の実施、推進などについて、サイバーセキュリティ基本法で規定されております。

後藤(祐)委員 それは法案の説明じゃないんじゃないんですか。

櫻田国務大臣 条文について全てを目を通すことはできませんが、説明は受けております。

 基本法には、サイバーセキュリティ戦略の策定、サイバーセキュリティ戦略本部の設置などが規定されております。

 現在、基本法の改正案を提出しているので、早期の審議、成立に向けて努力してまいります。

後藤(祐)委員 それは法案の説明なんですかね。そもそも答弁が法案の説明じゃないし、これは協議会というのを設置する法案だと思いましたが、時間が来ましたのでこれで終わりとしたいと思います。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志です。よろしくお願いいたします。

 まず、片山大臣にお聞きいたします。

 片山大臣、お久しぶりです。まず、過去の選挙も戦っておりますので、衆議院議員時代、お久しぶりでございます。

 そして、過去の秘書への発言についてお聞きしたいんですけれども、私、片山先生の事務所の関係者にヒアリングをいたしました。ある方が、参議院議員会館の四二〇号室、片山先生の事務所ですけれども、今すぐ飛びおりなさいと秘書に命じたというふうに発言しておりますが、秘書に飛びおりを命じたことはありますか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 そのようなことはございません。

 以上です。

斉木委員 その方は、大臣が秘書に飛びおりを命じた理由も語っておりまして、埼玉県の先生の支持者名簿、これを当該秘書が紛失をした、だから、あなたの命より名簿の方が大事なんだから飛びおりて責任とりなさいということを言ったと。かなり具体的にその背景、なぜ先生がお命じになったのかまで御発言されておるんですが、これも違う、事実ではないということですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 私の事務所の埼玉県の支持者名簿、そのとおりのお名前のものがそもそもありませんので、それを紛失するということもないですし、そういった発言もございません。

 以上でございます。

斉木委員 先生は支持者名簿がないということですか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 埼玉県の支持者名簿という形のものは、私は見たことがありません。

 以上でございます。

斉木委員 ということは、支持者名簿は、全国比例区ですので北海道から沖縄まであって、もちろん先生の御出身地である埼玉県内の支持者名簿、埼玉県の支持者も存在する、名簿はあるということですね。

片山国務大臣 お答えをいたしますが、まず、委員のおっしゃっている秘書の方が本当に、私どもの事務所にどのぐらい在籍し、インターンでも、試用期間でもあり、どうであったのかが全くわからないので。

 私は、八年四カ月全国区の参議院議員をやっておりまして、選挙も二回戦っておりますが、その時期に応じて、いかなる形で名簿をきちっとまとめるか、くくるかというのは違いまして、埼玉は私が所属している県連ですから、ほとんどさいたま市であったり、あるいはほかの市であったり、あるいは団体であったりと、そういうふうに分かれているとしか思えないんですけれども。

 以上でございます。

斉木委員 名簿があって、当然、埼玉県の企業、団体、個人、そういった名簿はあるということだと思いますので。

 私がこの事務所関係者の方からヒアリングをしてちょっと不思議に思ったのが、多分、データで支持者名簿というのは管理されているのがほとんどの国会議員の事務所だと思うんですけれども、データをたとえ誤ってデリート、消去してしまったとしても、業者に頼んで復旧すればいいだけだと思うんですけれども、そういうことはしなかったんですか、できなかったんですか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 データで何を管理していたのか、それがなくなったのかについても、私は全く今委員がおっしゃったことがわかりませんので、お答えのしようがないし、復旧も何も、なくなったかどうかも、私どもはそういうことは今の時点では認識していないので、お答えのしようがございません。

斉木委員 これは私も耳を疑ったような、自殺教唆ですので、こういった発言はないんだろうなというふうには思っているんですけれども、念のため、事務所関係者からお聞きをいたしましたので、確認をさせていただきました。

 先生は以上で結構です。残余は櫻田大臣にお聞きをしたいと思います。片山大臣、ありがとうございました。御退席いただいて結構です。

牧原委員長 片山大臣は御退室をお願い申し上げます。

斉木委員 では、櫻田大臣にお聞きいたします。

 御就任おめでとうございます。

 先生はダブルですね、担当が。東京オリンピック担当大臣そしてサイバーセキュリティーの担当大臣ということでございますので、二〇二〇東京オリンピックに向けて、サイバーセキュリティー、どんな課題があるのか、まずそれを洗い出すこと、どういった対策を打っていくのか、これはまず櫻田大臣の最も重要な任務だと私は承知しております。

 そのためには、過去、オリンピックは四年ごとに開かれておりますけれども、どんなサイバーテロ、サイバーアタックがあったのかという知見をしっかりと学んでおくこと、そしてその対策を打っておくこと、これは非常に重要なことだというふうに思います。

 二〇一二年、ロンドンでオリンピックがございました。この二〇一二年のロンドン・オリンピックの開会式で電力システムへのアタックが行われました。これはどんなサイバーアタックがあって、どのような対策でロンドンの組織委員会は乗り切ったのか、御承知でしたら説明をお願いいたします。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 大会期間中に大会公式ウエブサイトに対して約二億件のサイバー攻撃、開会式直前にオリンピックスタジアムへの電源系への攻撃情報を入手し、必要な対処を実施等の事案はありましたが、ロンドン大会の運営に支障を来すような事案は発生しなかったと認識しております。

斉木委員 オリンピックというのは、スポーツ選手にとっても四年に一度の祭典ですが、ハッカーにとっても四年に一度の祭典です。各国政府が本当に威信をかけて、ホームページの改ざん、電力システムのダウンを起こさせないように総力を挙げている、これを破ったということをどうしても誇示したいハッカーが地球上にはいる。

 ですので、ロンドン・オリンピックでは、二億件というのは、オリンピックの開会式当時の時間帯には一秒に一万件不正アクセスがありました。そして、開会式の電力を落としてやれ、電力を落とせばとまりますから、開会式は。これはもう物すごい世界へのデモンストレーションである。これを事前にロンドンの情報機関が察知をして、結局、制御システムではなくて、手動システムに電力を切りかえをして乗り切ったというのが実態なんですね。

 ですので、こういったもの、まさに映画のような世界ですけれども、実際に過去のロンドン・オリンピックでも起きておりますので、当然、東京オリンピックに関しても対策が必要だというふうに思いますが、東京オリンピックに対しては、このようなことを発生させないためにどのような対策を今とっておりますか。

櫻田国務大臣 サイバーセキュリティーにつきましては、サイバー攻撃の被害の拡大を防ぐために、いち早く災害情報を共有するための措置を講じるものであります。そのために、サイバーセキュリティーの基本法の一部を改正するというものが概要としてなっております。

 サイバーセキュリティ基本法の一部を改正するということについて、前通常国会で提出をしたわけでありますが、継続審議になっておりますので、安心、安全のオリンピックを達成するためには、この継続審議になっているものは速やかに可決すべきだというふうに思っております。

斉木委員 これはお願いしている法案の中身でございますので、そのとおりお読みになられたなというふうに思います。

 ちょっと私は、今回、電力のインフラに関して聞きたいんですね。

 こうやってロンドン・オリンピックでも、電力システム、開会式を落としてやれということが、一秒間に一万件アタックがあったという事例があります。先日、北海道で、地震によって大規模なブラックアウト、停電が発生をいたしました。これがサイバーテロによって、今、世界では狙われて、実際に起きてきております。二〇一五年と二〇一六年、二回なんですけれども、同じウクライナで、電力システムが乗っ取られて大規模停電が発生をいたしました。

 これは、マルウエア、要するにウイルスプログラムですね、これが遠隔操作によって電力システムの制御システムに埋め込まれた。これはユーチューブの動画にも載っているんですけれども、電力所の所員とか配電所の所員が見ている前で、結局、マウスをクリックしても受け付けないし、全てアクセスできない。なのに、勝手にブレーカーがどんどんどんどん落とされていって、結局、何十万世帯もの電力が瞬時に落とされていってしまう。まさに映画のような事態が進行しているんです。

 こういった弱点は、そのウクライナのシステムがインターネットに接続されていたということが結局大きな弱点でした。インターネットにつながっているがゆえにマルウエアがそこから送り込まれて、所員の操作を受け付けなくなってしまった。

 日本の電力システムは、インターネットに接続されていますか。

櫻田国務大臣 おりません。

斉木委員 接続されているものもあります、正確に言いますと。日本の制御システムはネットから切り離されていて、そして、例えば、原子力発電所で今発電していますか、モニタリングポストの数値はどうですか、そういったものは数値を外部に、市町村に伝える必要がございますので、そういったパソコンは接続をされています。

 ということなんですけれども、御承知ではないですか、そのセキュリティーということ。

櫻田国務大臣 制御システムはつながっておりません。

斉木委員 安全運転な答弁だと思いますけれども。

 まずそういった、結局、つながっているパソコンとつながっていない制御システム、ここのところをしっかりと分離をして、ファイアウオールを何重にもしておくとか、こういった対策が一番重要なので、そこのところはぜひ、つながっていないから安全だというふうに過信なされない方がいいというふうに思います。

 そしてもう一つ、電力システムに絡んでは、原子力発電所の安全性、これは大きな国民の関心事でもあります。

 私は福井二区が地元なんですけれども、今、大飯発電所と高浜発電所、四基の原子力発電所が運転をしております。日本の半分が私の小選挙区で稼働しております。そして、ほかにも十三の商業用の原子力発電所、そして「もんじゅ」と「ふげん」、高速増殖炉、小選挙区で十五の原子力施設がございます。ですので、この原子力発電所のシステムが、じゃ、乗っ取られない、危険はないのかどうか、これは本当に喫緊の課題、きょうも運転しておりますので、喫緊の課題なんですね。

 この点についてちょっと質問したいんですが、先ほど先生は、制御システムがネットにつながっていない、だから安全だのような感じでしたけれども、制御システムが全くネットにつながっていない原子力施設が、過去、乗っ取られて暴走した例があるんです。

 二〇一〇年のイランなんですけれども、ナタンズの、核燃料、これは質問通告してあります、ウランの燃料濃縮工場です。ウランを燃料濃縮工場で、遠心分離機で濃縮をしていく。ここをスタックスネットというマルウエアが乗っ取ってしまって、遠心分離機を過度に回転させて、一千体以上の遠心分離機が破壊されました。

 これは明らかに軍事行為です。アメリカとイスラエルがやったんじゃないか、アメリカとイスラエルは否定しておりますけれども、イランの核開発を頓挫させる目的で当時のオバマ政権時代に仕組まれたのではないかというのが、まあ、内閣府も同じような見方をしております。

 全く軍事施設です、ナタンズは。軍事施設は、こうやってネットから完全に分離された空間、システムで、なぜこういうふうに遠心分離機が破壊されるような乗っ取りが起きてしまったのか。弱点はどこにあったとお考えですか。

櫻田国務大臣 USBメモリーを介してコンピューターウイルスに感染し停止した、世界初の事案でございます。

斉木委員 USBメモリー、まさにそうなんですけれども、日本の原子力発電所はUSBメモリーはありますか。USBポート、USBジャックですね。

櫻田国務大臣 基本的には使わない。

斉木委員 あるかないかをお聞きしているんです。使うとかいうものではないんですが。

櫻田国務大臣 使わせないということであります。

斉木委員 USBジャックとはどういうものか御存じですか。使わせないというものではないと思いますが。

櫻田国務大臣 仮にあったとしても、それは万全の対応をすると。

斉木委員 先ほどせっかくナタンズでいい答弁をされたんですが、ナタンズは、USBメモリーを介してマルウエア、スタックスネットが埋め込まれて勝手に暴走した。その後、遠隔操作も一切行われておりません。ソフトウエア上で遠心分離機を全部操作して、警報装置をカットし、しかもログも消去し、自動消滅するようなソフトウエアまで、かなり高度なプログラムが組まれておりました。

 これをやったのは、要するに、内部協力者がいたからなんですね。内部協力者、まあ、情報員かも、現地の者か知りませんけれども、そういった者が、USBメモリーはもう議員バッジぐらいちっちゃいものですから、それを差し込む、それによって感染したんですよ。

 こういったものを、原発というのは、今、日本の原子力発電所も法令で十一カ月ごとに定期検査が義務づけられております。定検中は、電力会社の職員以外の不特定多数の人間が原子力発電所に出入りをいたします。その人間が差し込むということは、これは可能なんですよ、物理的にあれば。

 ですので、使わせないじゃなくて、犯罪者は使おうと、どんな手をしてでも差し込もうとしてきますから、使わせないはセキュリティーではないと思うんですけれども。

櫻田国務大臣 使う場合は穴に入れるらしいんですけれども、細かいことは私はよくわかりませんので、もしあれだったら私よりも詳しい専門家に答えさせますけれども、いかがでしょうか。

斉木委員 USBジャックというのは、非常にそこが穴になるというのは、このナタンズの二〇一〇年の事件で世界的に知見ができました。ですので、例えば銀行間ネットシステム、そして国の防衛省のシステム、そして原子力発電のシステム、これは全て、既存のUSBの穴は鉛で塞ぐとか、物理的に破壊したんですよ。そして、例えば日立さんとか東芝さんとか、いろいろなシステムのベンダーさんがありますけれども、そういったところは、そもそも制御系にはUSBメモリーは設置しないというふうに、これで変えたんですね。

 ですので、これは非常に基礎中の基礎なんです、USBが脆弱だということは。それも把握されていない担当大臣がセキュリティーを語るというのは、私は非常に不安なんですね、立地地域としても。いかがですか。

櫻田国務大臣 所管は原子力規制委員会となっております。

斉木委員 いや、確かに、大臣に事前通告がないというのが大臣よく言いますので、私は二日前から、警察庁、内閣府、そして原子力規制庁、経産省、資源エネルギー庁、全部お呼びをして、レクをしてあります。打ち込んであります。

 それで申し上げたのは、では、世耕さん、経済産業大臣、エネルギー担当ですから、と担当大臣である櫻田さんがしっかり話をして、セキュリティーに関しては櫻田大臣がサイバーセキュリティー担当ですから。法案でも掲げております十四の重点分野、これに電力というのはまさに書かれているわけですよ。

 ですから、それを把握されていないとか、専門家に、私はパソコンを使ったことがないからUSBジャックはわかりませんと言われても、それは脆弱性を知らないということで、セキュリティー上、非常にまずいのではないですか。

櫻田国務大臣 原子力発電所のサイバー攻撃対策については、国際原子力機関の最新の基準を踏まえ、原子炉等規制法に基づく規制を行っているところであります。具体的には、情報システムに対する外部からのアクセスの遮断等を求めております。

 なお、先ほど言いましたように、所管は原子力規制委員会となっております。

斉木委員 侵入検査はやっていますか。ペネトレーションテストといいますが、侵入検査。

櫻田国務大臣 電力ISACのところでやっております。

斉木委員 それはちょっと違うと思うんですけれども。

 ISACでやっている。これは、日本の法令は、アメリカの、米版のものをまねて昨年たしかできたというふうに把握しておるんですけれども、侵入検査、これは日本は義務づけていませんよね。

櫻田国務大臣 もう少し詳しく答弁させていただきます。

 電力ISACは、平成二十九年三月に電力分野におけるサイバーセキュリティーに関する情報の交換、分析等を行うために設置されたものと承知しております。

 ペネトレーションテスト、いわゆる侵入試験や演習は、必要に応じて電力事業者で実施していると聞いております。

斉木委員 やっているかどうかわからぬということですか。

 これは要するに、やはり一番重要なのは、ハッカーが、若しくはホワイトハッカーでもいいんですけれども、やってみて、本当に破れるかどうかというのを実際に試して、そこに何か穴があったら、そこを塞ぐというのがセキュリティーだと思うんですけれども。

櫻田国務大臣 いわゆる内閣サイバーセキュリティセンターが実施する演習に電力関係会社が参加しております。

斉木委員 演習と侵入検査は違うんですけれども。

櫻田国務大臣 侵入試験や演習は、必要に応じて電力事業者で実施していると聞いております。

斉木委員 それは、侵入検査をどこの、十電力会社ありますけれども、全部やっているのか、若しくは原子力を所有している九電力会社だけやっているのか、それはしっかりとチェックをしていかないといけないと思いますので、ぜひそういったことはやっていただきたいと思います。

 そして、これは別に立地地域だけの問題ではございません。これは経済への影響も非常に甚大でして、今回、例えば海外では、こういったブラックアウトが起きたら、イギリスのオリンピックのときに、アメリカのロッキード・マーチン、軍需企業、それとケンブリッジ大学が共同でサイバー攻撃の社会的被害予測というのを報告しております。サイバー攻撃によって数週間にわたって停電した場合には、この発生から五年間にわたって経済的な影響が継続して、損失額はGDPの二・三%相当と試算が出ております。

 日本の経済成長率は二・三%もありません。ですので、もし、今回、開催地は東京ですので、東京の電力システムが狙われたら、これがもしブラックアウトしたら、この比ではない。日本の数年分の経済成長が吹き飛んでしまうような経済損失が発生するということになります。こういった経済的な損失というものは、まず内閣府など、先生の周りで見積もられて、試算は出されておりますか。

櫻田国務大臣 停電による経済損失の予測については実施しておりません。

斉木委員 やはり、こうした電力システムというのは、金融、情報、空港システム、そして鉄道システム、全ての基になっている、一番ハッカーが狙いやすいところですので、ぜひここのところは、経済的な影響も含めて、何重にも防護体制をとる必要があると思いますので、チェックをお願いしたいなと思います。

 そして、もう一つ、最後に、先生の過去の御発言をちょっと取り上げてみたいんですけれども、二〇一六年の一月に、自民党本部の国際情報検討委員会で先生が、韓国の従軍慰安婦について、職業としての娼婦である、ビジネスなんだ、これを犠牲者のような宣伝工作に惑わされ過ぎているというふうに発言されたというふうに報道されておりますが、事実でしょうか。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 御指摘の発言については、既に撤回をしております。私は、内閣の一員として、平成二十七年八月の内閣総理大臣談話を尊重してまいります。

 私は、内閣の一員として答弁しており、ただいま申し上げたとおり、平成二十七年八月の内閣総理大臣を尊重しておりますし、尊重していきます。

斉木委員 ちょっと答弁も言葉があやふやでしたけれども、尊重していきますでは、これはオリンピックのホストは務まらないと思います。オリンピックに参加されるアジア諸国は、こうして、従軍慰安婦はみんなプロの娼婦だったんだから、ビジネスなんだから謝る必要はないじゃないかと言う担当大臣が、オリンピックのホストが務まると思いますか。

 オリンピックというのは、全ての言語を……(発言する者あり)オリンピック担当大臣としてきょうお聞きしております。その人がホストを務めるということは、平和と友好の祭典、民族がスポーツというものを一緒にやって平和を向上しようというオリンピックの祭典の担当大臣としてふさわしい、アジア諸国に先生が受け入れられると思いますか。

牧原委員長 既に申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

櫻田国務大臣 先ほどお答えしたとおり、私は、内閣の一員として発言しており、平成二十七年八月の内閣総理大臣談話を尊重してまいります。

斉木委員 尊重するというよりも、どういう考えを持った人間がホストを務めているかが一番重要ですので、今後も継続させて質問させていただくことを申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いいたします。

 通告順番をちょっと変えさせていただきまして、冒頭に平井大臣に質問をしたいと思います。

 本来なら、先ほどの質問などは平井大臣が答弁すれば、なかなかの答弁ができたんじゃないかと思ったりもしますけれども、今回、クールジャパンに関する質疑しか内閣委員会ではできないということで、クールジャパンについて質問をしたいと思います。

 日本発祥のゲームというのはたくさんありまして、世界じゅうで世界大会が行われたりとかしています。個別具体の名前を出したら、また後でややこしくなるかもしれないので言いませんけれども、世界チャンピオンなんかは、日本人、何人か、何人というか結構な数、今でもいます。

 eスポーツは、最近やっと認知され始めて、テレビ等でもよく取り上げられるようになりました。私は、クールジャパンの戦略の一環として、このeスポーツ、日本の皆さんが世界で戦っておられるeスポーツについても、クールジャパン戦略の中に位置づけて世界に発信をしていくべきだと思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

平井国務大臣 委員の質問にお答えします。

 私も全く同じような考えでございます。

 eスポーツは、近年、本当に世界で盛んに行われておりまして、経済産業省の調査では、現在、世界全体で十億ドルの市場規模と言われています。主要ゲームタイトルのプレーヤー人口は数千万人と推計されておりまして、今後更に拡大していくと思います。

 また、ことし一月、プロライセンスの発行、選手の育成、支援等を目的とした日本eスポーツ連合、社団法人、これは三つの団体が一緒になって設立されました。eスポーツの活性化に向けた民間の動きが更に活発になっています。

 こうした新たな動きを迅速に捉えて、数多くのすぐれたゲームを世界に輩出している我が国としても、クールジャパン戦略の一環として、eスポーツの健全な発展のための適切な環境整備が必要だと考えています。

 そのため、ことし三月、総理を本部長とする知的財産戦略本部のもと、検証・評価・企画委員会において、業界団体からeスポーツの今後の展望等についてヒアリングを行いました。その結果も踏まえて、知的財産推進計画二〇一八や未来投資戦略二〇一八などに、クールジャパン戦略の一環として、eスポーツの健全な発展のための適切な環境整備に取り組むことを位置づけたところでございます。

 eスポーツはもうまさにクールジャパンだと思いますので、今後とも積極的に取り組んでいきたいと思います。

浦野委員 前回、同様の質問をさせていただいたときは、まだプロ化の、これから三団体が話をしてやるということだったので、それがもう今、前に進んでいる。世界では賞金総額が百億円近い大会もありますので、そういったところで活躍をする日本人が出てくるでしょう。私も、子供いてますけれども、子供に余りゲームをするなと言っていますけれども、これ、逆に、ゲームをして、その世界で活躍できても別にいいんじゃないか。何か、子育てが変わってまうんじゃないかというようなことも、ぼやっと思ったりもするような時代がやってきたかなというふうに思っています。

 ぜひ、このeスポーツも、クールジャパン戦略でしっかりとバックアップをしていただきたいと思います。

 大臣はこれで、ありがとうございました。

牧原委員長 平井大臣は御退席ください。

浦野委員 それでは、ここからは、企業型保育、保育関係について宮腰大臣と質問を続けていきたいと思います。

 新聞等で、企業型保育所の定員が大幅に割れているとか、いろいろな報道が最近散見されるようになりました。例えば、九月二十三日の神戸新聞であったり、さらには十月十五日も、企業型保育所撤退の動きという報道がありました。

 それに関連して、まず、現状について、政府としてどういうことを把握されているのか、企業型保育所が今現状どうなっているのかということをお聞かせいただけたらと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源といたしまして、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童対策に貢献することを目的といたしまして、平成二十八年度に創設されたところでございます。

 平成二十九年度末時点で、二千五百九十七施設、五万九千七百三人分の受皿を確保してございまして、平成三十年度につきましては、新たに三万人分程度の受皿確保を目指しているところでございます。

 利用児童数等につきましては、今後、大臣の御指導のもと、調査手法や調査内容を早急に整理し、調査を行ってまいりたいと考えてございます。

浦野委員 この新聞記事でも書かれているのが、保育士が不足をしていたり、定員が割れている、あと保育内容についてもいろいろと書かれております。

 要は、こういったことをチェックするというのは非常に大事なことなんですけれども、企業型というのは無認可保育園の部類に分類されるものですから、従来の無認可保育園は、指導には入るけれども、それを、じゃ、例えば、強制的にこういうふうにしなさい、ああいうふうにしなさい、そうじゃないともう認めませんよということはできなかった、無認可はできなかった。それはなぜかというと、補助金も何も、もちろん税金が入っていないので、そこまで強制的にできない、ただ、注意はできるというレベルでした。

 企業型保育所は公金も入っていますから、もう少ししっかりと監査指導ができると思うんですけれども、この監査指導について、今現状どういうふうになっているのかというのをまずお聞かせいただけたらと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 子供の健やかな育ちを図るためには、保育の質の確保、これが非常に重要と認識してございます。

 企業主導型保育施設につきましては、児童福祉法に基づく認可外保育施設としまして、都道府県が原則年一回以上、立入調査などを行っております。それに加えまして、企業主導型保育事業の実務を担う公益財団法人児童育成協会におきまして、全ての施設を対象に、原則年一回立入調査をしてございます。さらには、通報等を受け、必要に応じ抜き打ち調査を行ったり、午睡、いわゆるお昼寝のときでございますけれども、昼寝時の抜き打ち調査を実施してございます。

 これらによりまして、保育の実施状況などを確認し、改善が必要な施設に対しましては、改善報告を求めるとともに、しっかりと指導を行っているところでございます。

 今後とも、自治体などと連携しながら情報共有体制を構築するなど、保育の質の確保が図られるよう取り組んでまいります。

浦野委員 今、児童育成協会の話もありましたけれども、十月十五日、これも神戸新聞ですけれども、企業型保育所の撤退の動きという新聞記事の中で、育成協会から支払われる資金が遅くなって資金繰りに窮して、それで保育所が運営できなくなって撤退をするということも起きているというふうな指摘があります。

 こういったことというのはどれぐらい実際に起こっているのかというのは、ちょっとわかりますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育施設への運営費の支払いにつきましては、本事業の実務を担う公益財団法人児童育成協会が、個別の事業者との間で必要な審査、確認を行った上で支払いを行っているところでございます。協会の支払い事務に一部おくれが生じていることを真摯に受けとめまして、児童への保育の提供に支障を来すことのないよう、引き続き、協会に対しまして、適切な事務処理を早期に行うよう指導してまいりたいと考えてございます。

浦野委員 どれぐらい起こっているかというのは把握していますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 個別の数というのではなくて、どのようなおくれが生じているかについて、ちょっとお答えさせていただきます。

 企業主導型保育事業の運営費につきましては、いわゆる利用児童の数に応じて支払われる基本分と賃借料加算などの加算分に分かれているところでございます。

 今年度の運営費の支払いについて申し上げますと、既に開園している事業者に対しては、基本分について、本年度の助成決定をする前に暫定的に支払いをしているところでございますけれども、加算分につきましては、本年度の助成決定を待って支払う仕組みとしてございます。このため、運営費のうち、加算分につきましては、基本分に比べ支払いがおくれているという状況になってございます。

 内閣府といたしましては、児童への保育の提供に支障を来すことのないよう、協会に対しまして、体制強化を含め適切な事務処理を早期に行うよう指導してまいりたいと考えてございます。

浦野委員 これは認可の保育園もそうですけれども、積算のシステムが非常に複雑で、計算するのが結構大変だというのは共通の問題かなとも今聞いていて思ったりしたんですけれども、支払いがおくれるとなるとやはり給与を払えなくなったりとかしますので、これはぜひ頑張って改善をしていただきたいと思います。

 それともう一つ、児童育成協会で監査指導を年に一回行うということですけれども、児童育成協会の組織図をいただいて、監査に当たっている人たちの人数はどれぐらいなのかというのをちょっと後で資料でいただきましたけれども、指導監査部には十八人しか所属をしていない。審査部と二つあるんですけれども、指導監査部というのが多分監査をしていると思うので、十八人しかいてないんですけれども、この十八人で全国の二千何百件を毎年、年に一回監査をしているということでよろしいですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 指導監査に当たりましては、協会みずからが行うとともに、一部、指導監査の業務を委託しまして、委託先でもしっかりと監査をしていただいているところでございます。

浦野委員 委託先というのは例えばどんなところか、今御答弁いただけますか、ちょっと質問通告とかはしていないですけれども。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 委託先といたしましては、パソナさんに委託しているというふうに承知してございます。

浦野委員 パソナさんは一民間企業ですよね。監査指導というのは基本的に行政がやっているものだという認識だったので、パソナさんの名前が出たのはちょっとびっくりしたんですけれども。

 それでほんまに監査がちゃんとできているのかなという、結果的には、いろいろ問題が起きていることに関して、監査指導がちゃんとできているかと言われると、僕はちょっと、この二千何百カ所、七百カ所でしたか六百カ所ぐらいある企業型保育所、今また、これは多分まだまだふえていっているはずなんですけれども、年に一回の監査指導で、しっかりとその企業型保育所が子供たちのためになっている施設として運営をきっちりできているかというのを監査指導できているのかというのは、ちょっと僕は疑問に思います。

 というのは、認可保育園でも、法律上は年に一回監査指導するというふうに決まっています。決まっていますけれども、事実上、年に一回なんかできていません。しかも、今、地方分権で市町村に監査権限をおろしているところですら、年に一回きっちりと回れているかと言われると、恐らく、年に一回回れている市町村はほとんどないというふうに聞いています。

 年に一回やると決まっているのに年に一回できていない体制で、監査指導が十分に行われているかと言われたら、それは行われていないとしか言わざるを得ないなというふうに思います。

 私は、この企業型保育所はしっかりと頑張っていただきたいと思っているんです。私は全く否定をするわけでもないですし、やはり、働きたい保護者の皆さん、そして、企業で、自分たちの従業員の福利厚生で、自分たちでしっかりと子育てもサポートしていくという理念で企業型保育所をやっていただいている、たくさんありますので、頑張っていただきたいんですけれども。

 でも、頑張っていただく中で、やはり当然、安心して安全に子供を預ける、そういう環境の中で預けるというのが当たり前ですので、監査指導をもうちょっとしっかりやらないとだめなんじゃないかなというふうに思っています。

 ここはぜひ一度、監査指導の実態、詳しくやはりもう一度確認をしていただいて、事故がないようにこれからやっていっていただけたらと思っていますので、これはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 大臣、もう一つ、ことし、台風、そして大阪は北部地震がありました。認定こども園も、そんなにたくさんではなかったんですけれども、被害を受けたところもありました。

 これから、恐らく毎年、こういった災害、日本各地で起こる可能性はもちろん十分あるわけで、そうなったときに、今回、地元の、まあ地元というか、認定こども園さんから何とかしてほしいという話があったんですけれども、認定こども園は、文科省の担当する予算と厚労省の担当する予算とで運営を案分されて、建築するときも案分して建てています。

 災害が起きて、認定こども園が被災しました。厚生労働省部分に関しては、補助金の制度がきちっと、災害に対する補助金の制度がしっかりとつくられています。文科省の部分、幼稚園の部分に関するそういった制度は実はないということで困っていらっしゃいます。

 さらに、激甚指定とか災害の指定を受ければそういう補助の対象になる、そういうルールはあるんですけれども、保育園のような災害に対する補助金のそういう申請のルールというものが実はちゃんとないんですということだったんですね。

 さらに、認定こども園が例えば壊れた園舎を直すために申請を出しますと、その申請も案分して、両方に出してくださいということになるんですね。それを聞いて僕はちょっと唖然としたんですけれども、被災されて非常に大変な中でそういった修繕のための補助金の申請をされる中で、窓口が一つかと思いきや、二つに分かれてしまう。文科省と厚労省と分かれてしまうんですね。これは何とかなりませんかと。物すごく膨大な事務量になると思うんですね。

 暇なときやったらそれでもええかもしれませんけれども、やはり、震災でばたばたしているときにそういう負担を法人にかけるというのは私はあってはならぬことだと思うし、これは、実は事務方の皆さんには来ていただいてお話をしたことが以前にありました。皆さん口をそろえて、これは何とかしないといけないという認識は持っておられましたけれども、文科省、厚労省、内閣府、全員が苦笑いという話なんですね。

 これは、大臣、本来は日にちを、時間を区切って、いついつまでにこれをちゃんと統一しますというような答弁をいただきたいんですけれども、どうでしょうか。

宮腰国務大臣 浦野委員御指摘の件につきましてでありますが、認定こども園につきましては、運営費は内閣府に一元化されております。それから、施設整備費や災害復旧費につきましては、幼稚園機能部分は文部科学省、保育所機能部分は厚生労働省で措置をするということになっておりまして、今御指摘の点については、そのことがあって窓口も一本化されていない、こういう状況になっているのではないかと考えております。

 認定こども園の災害復旧に当たりましては、例えば現地調査について、文部科学省と厚生労働省で別々に実施するのではなくて、できる限り合同で行うなど、申請者の負担軽減に努めているところであります。

 御指摘の窓口一本化につきましては、今後、申請者の負担軽減のために一層の工夫ができないか、文部科学省、厚生労働省と連携し、検討してまいりたいと考えております。

 事は災害でありますので、現場の安心が極めて重要だというふうに思っております。例えば、農業分野などでいえば、それぞれの地域で大きな災害が起きたときに、決して激甚だとかそういう災害でなくてでも、例えば用水路が壊れた、収穫前に水を田んぼに張る必要がある、そういったときには査定前着工というような仕組みがありまして、査定の前にどんどん復旧するということ、それができるということを、まず現場に近いところの、例えば用水路であれば農政局の方で現場にアナウンスをするということで、安心して直ちに復旧に取りかかっていただくというような柔軟な仕組みもあります。

 今回の、先生御指摘のような問題につきましても、できる限り柔軟に対応して、直ちに復旧ができるというようなことが可能となるように、一層の工夫ができないか検討してまいりたいというふうに考えております。

浦野委員 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 宮腰大臣は、もうこれで質問は終わるんですけれども、退室されますか。あとは事務方の方への質問になっちゃうので。

牧原委員長 宮腰大臣、御退室ください。

浦野委員 大臣所信への質疑で大臣が誰も座っていないというのはなかなかあれですけれども。

 最後に、今、働き方改革とか、規制緩和はちょっと違いますね、シェアリングエコノミーという働き方が、最近、選択肢としてできてきました。その中で、もちろん、政府も、いろいろな働き方があっていいじゃないかということで推進をしていますけれども、私、心配しているのは、これが拡大していくと、それで稼ぐ人もたくさん出てきて、その稼いだお金に課税をどうやってしていくのかな、ちゃんと課税できるのかなというふうに、心配というか、余計なお世話かもしれないですけれども、稼ぐ人にしたら、それをどういうふうにやっていくのかというのがちょっと気になっているので、一度聞きたいなと思っておりましたので、財務省の政府参考人の方から答弁をいただきたいと思います。

重藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、最近、働き方の多様化に伴いまして、シェアリングエコノミーと言われますような、例えば、個人がインターネットを介してみずからの資産とか技能を提供する、あるいはまた、みずから開設したホームページに企業広告を掲載して広告収入を得るといったような、いわゆる副業が広がりつつあるのではないかと思っております。

 そのような取引から得られました所得につきましては、確定申告が必要になる場合がございます。例えば、給与所得者で年末調整が済んでいる場合でありましても、その給与所得以外で、今申し上げましたような取引によって二十万円を超えるような所得を得ているような場合、これは確定申告が必要になります。

 そうした取引につきましては、支払い調書の制度等々の所得を捕捉する仕組みが必ずしも十分ではないという実態もございますので、その捕捉は必ずしも容易ではございませんが、国税当局におきましては、あらゆる機会を通じまして資料情報の収集に努め、また、マイナンバーを活用して、資料、収集した情報の名寄せや突合を行う、また、必要があれば調査を行うなどしまして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

 また、もとより、こうした所得につきましては、納税者の方が自発的に適正に申告していただくということが基本でございますので、そのために、申告の必要性や申告上の留意点について、シェアリングエコノミーに関係する団体などから協力も得ながら、実際に取引を行っている方に対して注意喚起を行う、あるいはまた、国税庁のホームページにおきましてもさまざまな周知を図っているところでございます。

浦野委員 しっかりと、経済活動を行われた中で納めていただくものは納めていただくということをしていかないとだめだとは思うんですけれども。

 私は、最終的にはマイナンバーを活用して全員が、源泉徴収という他国から見れば非常に優秀な徴税のシステムを持っているこの日本ですけれども、こういう働き方がふえてくると、それじゃカバーできない、最終的には、マイナンバーを活用した、全員が確定申告を行わなければならないという世界が将来やってくるんじゃないかと思っていますので、ぜひ、そういったところも検討というか、どういうふうにしていくのかというのをやはり今から考えていただけたらと思っております。

 きょう質問通告したのは以上です。

 ちなみに、片山大臣の収支報告書はホームページで昼過ぎから見れるそうですので、そういう報告をいただきましたので、総務省のホームページで見れる、公開されるそうなので、さっき事務方に確認したら、ということでした。

 以上です。質問を終わります。

牧原委員長 午後零時五十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十五分開議

牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初に茂木大臣にお尋ねをいたします。

 茂木大臣は、一般社団法人日本リラクゼーション業協会の特別顧問を務めたことがありますね。

茂木国務大臣 個別の政治活動についてお答えすることは差し控えますが、特別顧問等の就任については、国務大臣規範にのっとり活動しております。現在、顧問は務めてございません。

塩川委員 現在務めていない、国務大臣規範との関係ですけれども、大臣就任以外の時期に特別顧問を務めていたということを否定されませんでした。二〇一四年十二月八日時点で特別顧問という役職も記載がされているところです。

 そこで、この数年間の日本リラクゼーション業協会のフェイスブックを拝見しますと、茂木議員の名前と写真がたくさん出てまいります。

 例えば、二〇一四年六月、リラクゼーション業協会総会の後の懇談会で茂木大臣が挨拶をしておられますし、その際に、リラクゼーション業に対する国としての期待を述べたということです。また、その十一月には、日本リラクゼーション業協会主催のリラクゼーションの日記念イベントで茂木大臣が挨拶をしておられます。二〇一五年十月に、リラクゼーション業協会主催のコンテストで茂木議員が特別顧問として挨拶をしておられます。翌二〇一六年十二月、協会理事メンバーとの懇親会で、ゴルフ場の写真でしょうか、紹介もされておりました。昨年の二〇一七年七月一日、リラクゼーション業協会総会で挨拶をしておられます。その他、茂木議員の勉強会に協会理事が出席などしている。

 不思議なことに、昨日拝見をすると、そういうフェイスブックの記載が、かなりのところが落ちているということなんかもありまして、そういう経緯の中にあるところです。

 そこで、お尋ねしますけれども、二〇一二年九月のリラクゼーション業協会の協会報を見ると、茂木議員は、関係省庁への打診、産業分類確立への道しるべをも一緒に考えていただける心強い賛同者と紹介をし、自民党政調会長という要職の激務のさなか、リラクゼーション業の産業分類の確立、業界発展のために尽力をいただいているとありますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 さまざまな団体の皆さんとお会いする機会であったりとか、業界団体等の会合、これは毎年呼んでいただいている会合もございますし、さまざまな会合にも出席させていただいております。

 各団体の広報物についてコメントする立場に私はありませんが、さまざまな団体の会報等に多くの議員が載っていることはあるなと思っております。そして、他の団体と同様に、リラクゼーション業協会の皆さんからも、現状についてお話を伺ったことはございます。

 同業界に限らず、私の政治活動に御理解、御賛同いただいた多くの方から御支援もいただいております。

塩川委員 リラクゼーション業協会、お話を伺ったことがあるということで、茂木議員は、この二〇一二年九月のリラクゼーション業協会での、リラクゼーション業の産業分類の確立、そのために尽力いただいているというのを受けて、政権交代がありましたので、二〇一二年の十二月に経産大臣に就任をされました、その翌二〇一三年二月の十二日に、このリラクゼーション業協会理事らが大臣室を訪問しております。

 先ほど申し上げましたように、同協会の要望はリラクゼーション業という産業分類の確立であります。総務省によれば、産業分類というのは、助成事業等の認定に当たりこの分類が活用される事例もあるという点でいうと、非常に重要な区分ということになっているわけであります。

 そういった中で、二〇一三年、茂木大臣が大臣在任期間中に、経産省の取組もあって、十月、リラクゼーション業が日本標準産業分類に新設をされました。ですから、その後のリラクゼーション業協会のフェイスブックには、「歴史が動きました。」「「リラクゼーション業」が、新産業として認定されました!」とあったわけであります。

 このリラクゼーション業というのは、所管は経産省であります。まさに茂木大臣が経産大臣在籍中に、業として所管をするリラクゼーション業というのが産業分類として確立をするということで、この二〇一二年以降の経緯を見ても、親密な関係にあったリラクゼーション業協会に新産業としてのお墨つきを与える、こういう立場で尽力をしたのが茂木経産大臣だったのではありませんか。

茂木国務大臣 まず、二〇一二年の九月というお話でありましたが、我々は野党でありました。もちろん、我々として、政権復帰を目指す、こういう立場でありましたが、いつ政権復帰できるか、解散もなかったわけですから、わからない状況でありましたし、ましてや、安倍政権が成立する、そして、そこの中で私が経済産業大臣に就任するということは、少なくともその時点では想定をされていなかったと思っております。

 そして、日本産業分類についてお話がありましたが、これを所管しておりますのは総務省でありますから、その件につきましては総務省にお尋ねください。

塩川委員 野党時代に知己を得て、その要望もあって、二〇一二年の十二月に経産大臣に就任したからこそ、経産大臣の職責において、産業分類の確立に経産省が働きかけるという点での役割を果たしたんじゃないのかということであります。

 産業分類を所管する総務省と協会とのやりとりの際にも、総務省統計局からいろいろ疑問点なんかが出される。そういった際に、経産省のヘルスケア産業課というのが、この協会へのいろいろなアドバイスをしたり、総務省統計局とのやりとりもしているわけですよね。つまり、役所として産業分類を確立するということでのアドバイスを行ってきた。それは、まさに茂木経産大臣のもとで行われてきたことであります。

 この間、経済産業省はこの団体であるリラクゼーション業協会主催のコンテストを後援し、経産省のヘルスケア産業課長が「政府の取組とリラクゼーション業への期待」と題する講演をこの協会主催の行事の中で行うということで、特定の業界団体を経産省が積極的に支援をしてきているという経緯があるわけです。

 そこで、茂木大臣に伺いますが、このリラクゼーション業協会は、二〇一六年の四月、それから九月、十二月、茂木議員のパーティー券を購入していると思いますけれども、それはそのとおりでよろしいですね。

茂木国務大臣 個別のどの時期に幾らということは今確認できませんが、いずれにしても、政治資金パーティー等につきましては、その資金は政治資金規正法にのっとり適正に報告をいたしております。

塩川委員 これは質問で投げているんですよ、このリラクゼーション業協会からパーティー券を購入してもらったということについて確認しますねと。聞いていないんですか。

茂木国務大臣 いずれにしても、そのような御指摘であれば、その時期にパーティー券の購入があったと思いますが、そのことについてはきちんと政治資金収支報告書に記載をいたしております。

塩川委員 まあ、そういうことであろうということで、ちょっと答弁の話で、いろいろ、事前に通告がないから何とかという話になるんだけれども、これは失礼な話ですよ。(茂木国務大臣「ちゃんと答えているじゃないですか」と呼ぶ)いやいや、だって、思うという話じゃないですか。事実関係を確認しているのに、これは思うという話じゃ済まない話ですよ。丁寧にやっているんだから。それに対してそういう答えというのは、これは余りにも審議に対して失礼じゃありませんか。

 では、もう一回。

茂木国務大臣 御意見は真摯に受けとめさせていただきます。

 その上で、先ほど申し上げましたように、政治資金につきましては政治資金規正法にのっとり適正に報告をいたしております。

塩川委員 百五十万円を受け取っているわけなんです、五十万、五十万、五十万で。収支報告書に記載したから問題ないという話じゃないんです。

 所管する業界団体から献金やパーティー券購入を一切受けないというのは、本来これはやはり所管大臣としては行うべき筋じゃありませんか。業界団体からの献金というのは業界との癒着が問われるわけですよ。パーティー券は形を変えた企業・団体献金と言われているわけで、業界団体が口ききなどの見返りとして政治家に金を出すという構図になるというのは当然のことであります。

 茂木議員が経産大臣在任中に、親密な関係にある業界団体の要求に応えて、新産業としてのお墨つきを与えるために働き、実現をさせた、協会側はパーティー券購入という形で報いた、こういうことになるんじゃありませんか。

茂木国務大臣 私は、二〇一二年の十二月の二十六日に経済産業大臣に就任をいたしまして、二〇一四年の夏に退任をいたしております。御指摘いただきました二〇一六年、私は経済産業大臣の職にはございませんでした。

塩川委員 大臣で果たした仕事が、その後、協会としてパーティー券購入という形で報いたという構図というのは、はっきりしているんじゃないでしょうか。新産業育成を国策として進め、それを利用する形で所管していた業界団体に国のお墨つきを与えて、その結果、資金提供を受けるというのは癒着そのものであって、こういった癒着を進める、お友達のための政治の私物化ということを言わざるを得ません。

 こういった問題について今の安倍政権の対応が極めて問題だということを指摘もし、引き続き追及することを申し上げて、茂木大臣については御退席いただいて結構であります。

牧原委員長 茂木大臣、御退席ください。

塩川委員 続いて、きょうは、今、原発をめぐって大きな批判の声が上がっています、茨城県にあります日本原電の東海第二原発の運転延長問題について質問をいたします。

 茨城県東海村にある日本原電の東海第二原発は、十一月二十七日に運転開始から四十年の期限となります。日本原電は、原子力規制委員会に対して二十年の運転延長の申請を行い、十一月七日、原子力規制委員会は、新規制基準に適合するとして運転期間延長を認可しました。茨城県民を始め、多くの国民が怒りの声を上げております。断固抗議をするものであります。

 東海第二原発は沸騰水型の初の大型原発で、全国一トラブルの多い、危険な老朽原発であります。東日本大震災ではあわやという事態になった被災原発でもあり、その安全性に重大な懸念があります。また、人口四千万人の首都圏に所在をし、原発から三十キロ圏内に九十六万人が居住する、全国で最も人口密集地域にある原発で、事故時の被害は極めて甚大であります。

 ことし三月、東海第二原発周辺の六市村が、再稼働に対して実質的な事前了解権を得る仕組みとする新安全協定を日本原電と結びました。その自治体の一つである水戸市の市議会が再稼働反対の意見書を可決し、海野那珂市長も再稼働に反対と表明をしているわけです。NHKの報道では、茨城県内四十四市町村のうち八割近い三十四の市町村議会が、廃炉を求める、住民同意のない再稼働を認めない、運転延長反対の意見書を可決しております。世論調査でも、多数の県民が反対の声を上げております。東海第二原発の再稼働、二十年運転延長などはとんでもないと言わざるを得ません。

 官房長官、お尋ねしますけれども、このような東海第二原発の再稼働、運転延長反対の市民の声をどう受けとめておられるのか、お答えください。

菅国務大臣 ただいまの御質問の内容については、所管庁でありまする経済産業省からお答えすべき問題だろうというふうに思っております。

 そうした上に立って、私からせっかくでありますので申し上げさせていただきますけれども、原子力発電所については、高い独立性を有する原子力規制委員会によって、科学的、技術的に審査をし、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進める、これが政府の基本的な考え方であります。

 事業者である日本原子力発電所においては、地元の関係者に丁寧な説明を尽くし、理解の確保に努めていく必要があるというふうに思っています。

 国としても、地元の理解が得られるよう丁寧に取り組んでいきたい、このように思います。

塩川委員 地元の理解が得られるようにと言いますけれども、地元は、理解できない、廃炉にしてくれというのが圧倒的な声であるわけで、その声にこそ耳を傾けて、東海第二原発の運転延長などは認めない、廃炉、こういう決断こそ必要なときだということであります。

 そこで、きょうは、広域避難計画についてお尋ねをいたします。

 茨城県は、原子力災害に備えた広域避難計画を策定しておりますが、積み残しの課題解決に向けて引き続き検討を行っております。その一つで、避難手段の問題があります。

 政府の方にお尋ねしますけれども、そもそも避難手段はどういうことを考えているのか。自家用車が中心ということを聞きますけれども、それがどうなっていて、あと、それで避難できないような場合にバスの利用などがあるんですが、その点について、まず確認で、お答えいただけますか。

荒木政府参考人 避難の手段についてお答えをさせていただきます。

 避難の手段は、今議員から御指摘ありましたように、その人の容体等に応じて、例えばバスである場合もあれば福祉車両の場合もございます。もちろん自家用車で避難あるいは一時移転をされる方もありますので、それぞれの状況によってそれぞれ選択をしていただく、こういうふうに考えてございます。

塩川委員 自家用車を基本とした上で、自家用車を持っていない方、使う条件のない方、そういう方などについてバスでの避難という話でありますけれども、バスの必要台数、実際何人の避難に対処するのか、その数字の根拠がどうなっているのか、この点について説明していただけますか。

荒木政府参考人 必要台数についての御質問にお答えをさせていただきます。

 茨城県が推計をしておりますバスの必要台数でございますけれども、病院や社会福祉施設で約三百八十台、幼稚園や学校で約二百台、自家用車を持たない住民等で約二千六百九十台、合計で約三千二百七十台と承知しており、その推計方法についても把握をしているところでございます。

 なお、UPZは必ずしも一斉に避難又は一時移転をするわけではないことから、推計した、今申し上げたようなバスの必要台数が必ずしも全て同時に必要となるものではございません。

 いずれにしましても、避難等に必要なバスの台数の確保も含めまして、円滑な避難の実施に向けて、引き続き、東海第二地域原子力防災協議会の枠組みのもと、関係自治体等と連携をしながら、しっかりと検討を深めてまいります。

塩川委員 三千二百七十台という話がありました。これは実際何人の人をこれで避難をさせる台数なのか、全体の避難者の数と、その積算の仕方について教えてもらえますか。

荒木政府参考人 積算の方法についてお答えを申し上げます。

 茨城県の方からお聞きをしているものでございます。例えば、今申し上げました自家用車を持たないあるいは使用しない住民の方でございますけれども、これは、東海村で、約二年前でございますけれども、調査をした結果をもとに推計をしているところでございます。

 その結果、自家用車で避難ができない人数としては、平日昼間、平日夜間でともに約一四%ぐらいあるというような試算が出ておりまして、それに基づきまして、現在のPAZの人口約八万、それからUPZの人口約八十八万、それに今の一四%を掛けた上でバスが必要な人数を出します。その上で、一台当たり五十人という計算でもって、今申し上げた例えば二千六百九十台のバスの試算をしているところでございます。

 それ以外のところにつきましても、同じように、人口を出していただいた上で、また一台当たり五十人ということでバスの推計をした、このように承知してございます。

塩川委員 九十六万人に対して、東海村のアンケートで、自家用車を使わない、使えない人の割合が一四%、それを計算すると十五万人、それに対してバス一台五十人、計算すると今言った三千台余りという数字ということになるわけです。

 ただ、これは、だから避難計画というのはいろいろな可能性があるわけで、極めて甚大な被害ということを想定して行うということであれば、やはりそういった最大の深刻な事態を前提とした避難計画を考えた際に、こういう積算根拠でいいのかということは率直に疑問に思わざるを得ません。

 バスの台数について、三千台余りとありましたけれども、一台五十人で計算していると言いますが、先日、我が党の県議団が茨城県のバス協会に伺って話をお聞きしました。協会全体では三千台のバスがあるそうですけれども、乗り合いが千三百台、貸切りが千五百から千六百台。

 ですから、実際に路線バスに入っているような、そういったバスも含めて三千台ですから、数としてあったとしても、実際、その場合に対応できるのかといったことというのは、まだ何ら具体的な話に至っていないわけであります。そもそも、車は三千台あっても、運転手が確保できるのかという問題が当然出てくるわけです。

 こういったように、一つ一つ詰めていって、本当にその計画というのが妥当性があるのか、合理的にできるのか、極めて疑問に思わざるを得ないんですが、こういうのはきちっと詰めているんでしょうか。

荒木政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力災害に係る地域防災計画、避難計画は、内容の具体性や実効性が重要であり、その具体化等を進めるに当たって、さまざまな、御指摘のとおり、課題がございます。

 具体的には、住民の避難先や避難手段の確保、福祉車両の確保や放射線防護施設の整備などの要支援者への対応、避難経路の複数化や交通渋滞対策などの課題を一つ一つ解決をするため、地域の原子力防災協議会の枠組みのもと、地域の実情を熟知しております関係自治体と一体となって、現在、地域防災計画、避難計画の具体化、充実化に向けて検討を重ねているところでございます。

塩川委員 さまざまじゃなくて、私はバスの話を聞いているので。バスについて、どういう具体的に合理的な避難のプランになっているのか、どんな検討をしているんだというのを聞いているんです。

荒木政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる避難手段としてのバスの確保でございます。これにつきましても、先行して今全国の地域で進められているようなものを事例として進めているところでございます。

 具体的には、今お話がございましたように、県内のバス協会との協定をしっかりと結んでいく、また、それで足りなければ周辺の自治体ともそういった協定を結んでいく、こういう作業を今進めているところでございます。

 もちろん、まだ現実には結ばれてございませんけれども、そういうものを進めていって、しっかりと必要台数の確保に努めていきたいというふうに考えてございます。

塩川委員 だから、まだ進めている段階で、協定には至っていない。協定というのも、ほかの事例なんかもいろいろあって、バスを出しますといった協定もあるんですけれども、しかし、ここの場合には九十六万人が前提ですから、全国で一番三十キロ圏内に人口が多い、まさに首都圏の一角にある原発という、極めて甚大な影響を与えかねない、こういった原発における避難計画の問題だから、きちんとした方向を示さなければ納得を得られないのは当然のことであるわけです。

 そういったときに、こういったバスの問題についても、まともに今示せるような状況にないということです。

 バス協会は、放射能が放出された時点ではバスは出せないと県にははっきり伝えていると述べているわけなんです。

 それは、あの福島第一の、東電の原発事故のときにも、津波被害もあった東日本大震災対応で、実際に茨城のバス協会の皆さんが現地に行かれたんですよ。現地に行かれて、こういった避難も支援をしておられるんですね。

 そういうときに、原発事故で放射能が降ってくるような状況の中でもこういう作業をさせられるのかと、苦渋の選択で、あの困難な仕事に、大変な仕事に当たられたということが実態であるわけですから、こういった問題についてはっきり示されないままに、バスを出してくれという話にならないんですよね。

 これは、どう考えても納得のいくような話にならないと思うんですが、バスの問題について、もう一回、いかがですか。

荒木政府参考人 お答え申し上げます。

 これは繰り返しになりますけれども、今申し上げましたように、今、茨城県の東海第二につきましては、県内あるいは県外の関係するバスの協会とも調整をさせていただいております。

 また、そういった不安等がございますので、既に私どもの方から、例えば、管理の目標として一ミリシーベルトを超えないように運用していこう。そのためにはどうしたらいいのか。例えば、線量計をつけていただく、あるいはそのための必要な資機材をお持ちいただく。こういった場合には被曝するかもしれない、このタイミングではまだ放出がないので大丈夫だ、そういったことをしっかりと研修を通じて御理解いただけるように、それを進めているところでございます。

塩川委員 一ミリシーベルトだって深刻なやはり被害をもたらす懸念があるわけで、それを超えたような場合はどうするのか、そういったことを含めて、これはきちんとした避難計画になるのかというのは、率直に疑問に思わざるを得ません。

 同じようなことはスクリーニングの話にもあるわけですよね。避難退域時の検査ということで、避難する際にはスクリーニングポイントというのを設けて、そこで放射線量のチェックをするわけなんです。その場合に、車でどんどん流していくんだという話なんですけれども、ゲート、通称関所と言うわけですけれども、こういった避難時にスクリーニングポイントをチェックするといった場合に、これはどうなるのか。このスクリーニングポイントの設置というのは何カ所ぐらいを想定しておられるんですか。

荒木政府参考人 御質問にお答えをさせていただきます。

 現在、茨城県の方と調整をさせていただいております。その結果として、まだ、明確にこれだけの数が必要だ、あるいはこの数で確定するところまでいっておりませんけれども、必要な台数について今算定を進めながら調整をさせていただいております。

 ただ、ちなみに、このスクリーニング、いわゆる避難退域時検査でございますけれども、これは、全面緊急事態になった場合に、UPZの方々はまず屋内退避をしていただきます。更に事態が悪化をし、放射性物質が放出されて、かつ放射線量が高くなった地区があれば、その地区を特定し、特定をされた地区の住民が一時移転等を行う際に行うものでございます。そういったものでございますので、必ずしもUPZ内の全住民が一斉に避難するわけではないということでございます。

 そういったことを踏まえつつ、規制庁がつくったマニュアル、この避難退域時検査に係るマニュアルを踏まえつつ、現在、避難退域時検査の場所の選定、資機材の整備、検査体制の確保、動線等につきまして、検討を進めているところでございます。

塩川委員 実際、だから、屋内退避なんて言われても、そうなるのかという話なんですよ。率直に、一人一人に、実情を考えたらやはりここで避難しようという判断だってあるわけですから。そういったのを机上の空論というんじゃないですか。こういったことを前提に計画を立てているということ自身がおかしいと言わざるを得ません。

 実際、渋滞になるかもしれない、渋滞がどれだけになるのか、こういったことを含めて、何ら具体的な検証なり対策なりが今の段階でもできないということをやはり重く受けとめるべきであります。

 関連して、避難計画でお尋ねしたいのが、病院や社会福祉施設の入所者の避難計画の問題についてです。

 三十キロ圏内には避難に援助が必要な入院患者や入所者を抱える病院、福祉施設は幾つあるのか、その入所者の数はどのぐらいになるのか、このことについてまず確認をしたいと思います。

荒木政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力災害対策重点区域内における病院は、本年四月一日現在、百二十三施設、定員の合計は約一万二千名と承知しております。また、社会福祉施設につきましても、本年四月一日現在、百九十一施設、定員の合計は約一万二千名と承知しております。

塩川委員 ですから、二万四千名の方が入院、入所しておられます。そういった方々の中には、寝たきりの方もいらっしゃいますし、車椅子で移動されるような方もいらっしゃる。そういった方々が避難をする際の福祉車両というのは、これは確保は可能なんですか。

荒木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、要支援者、いわゆる避難に時間がかかり、特別の移動手段や避難先が必要となるなど、避難に際して配慮を要する方につきましては、きめ細やかな対策を行うこととしているところでございます。

 例えば、PAZ内の要配慮者につきましては、一般の住民よりも早い段階で避難を開始するということとしております。ただし、福島事故の教訓を踏まえまして、避難により健康リスクが高まる方につきましては、安全な搬送の準備が整うまで、放射線防護施設等で屋内退避を実施することとしております。

 一方で、UPZ内の要配慮者につきましては、まずは屋内退避を行い、その後、一時移転等の指示があった場合には、その容体に応じまして、バスであったり、御指摘の福祉車両により、あらかじめ定められた病院や介護施設など体制の整った施設に移転するということでございます。

 もちろん、この場合も、PAZ内での対応と同様に、一時移転等により健康リスクが高まる方につきましては、安全な搬送準備が整うまで、引き続き屋内退避をしていただくということでございます。

 そういったことを踏まえまして、現在、どれだけの福祉車両が要るかどうかについて、鋭意検討を進めているところでございます。

塩川委員 ですから、福祉車両の台数の話なんか、何ら説明がありませんでした。

 そもそも、危ないときには、そういう福祉車両とかを手当てできないと安全に避難できないような場合については、そこにとどまってくれと。放射線が出ているようなそういう環境下でも、その場に退避してくださいというのを迫るという仕組み自身がおかしいんじゃないですか、こんな二万四千人もの方々の避難のための手だてを尽くすということができないんですから。こういったことを一つとっても、この広域避難計画はそもそも成り立つのかという根本的な疑問が出てくるわけですよ。

 福祉車両の確保ができない、避難手段が確保できないときは屋内退避を求める、そんなことがそもそも可能なのか、安全に避難できる見込みがないわけですから。これではどうやっても避難計画そのものが立てられないんじゃないかと思うんですが、そう思いませんか。

荒木政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しの部分もございますが、全面緊急事態になった場合でも、必ずしもUPZ内の方々が一斉に一時移転や避難をするわけではないところでございます。

 また、原子力規制委員会が示している原子力災害時の防護措置の考え方として、PAZ内の住民は放射性物質が放出する前から予防的に避難をすることが基本であるが、避難行動に伴う健康影響を勘案し、特に高齢者や傷病者等については、近傍の遮蔽効果や気密性の高いコンクリート建屋の中で屋内退避を行うことも有効である、このようにされているところでございます。

 内閣府としては、東海第二地域につきましても、こうした考え方のもと、屋内退避ができる放射線防護施設の整備なども含めまして、要支援者への適切な防護措置が実施できるよう、関係自治体等と一体となってしっかりと検討を進めてまいります。

塩川委員 目の前で原発事故が起こっているのに、その場にいてくださいという話なんですよ。こんなことを何で容認できるのかということを言わざるを得ません。

 内閣府の原子力防災は、国が前面に立って避難計画の策定の支援をしていく、国と自治体が一体となって計画を策定すると強調していますけれども、この策定される広域避難計画の妥当性というのは、一体誰がチェック、評価するんですか。

荒木政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力災害に係る地域防災計画、避難計画は、内容の具体性や実効性が重要であり、内閣府としては、地域原子力防災協議会を設置し、政府を挙げて、関係自治体と一体となって、地域防災計画、避難計画の具体化、充実化に取り組んでいます。

 その上で、地域全体の避難計画を含む緊急時対応につきましては、原子力規制委員会が策定をする原子力災害対策指針に基づき、具体的、合理的であることを地域原子力防災協議会において確認するとともに、総理を議長とする原子力防災会議で了承することとしているところでございます。

 もちろん、原子力防災に終わりや完璧はございません。一旦策定をしたこれら避難計画につきましても、支援を継続して行い、訓練等の結果も踏まえまして、継続して充実強化し、その実効性のさらなる向上に努めてまいる、そういう所存でございます。

塩川委員 結局、つくった主体の自治体が検証するとか、あるいは、地域原子力防災協議会と言いましたけれども、これは内閣府の機関ですよ。総理トップの原子力防災会議が了承すると言うけれども、要は、みずから立てた計画をみずから確認するだけなんですよ。これでどうして妥当な計画をつくることができるのかと言わざるを得ません。

 日本には深層防護についての基準がないという重大な欠陥があるわけですから、そういった点でも、このような九十六万人の避難計画そのものが虚構でしかないということを言わざるを得ません。東海第二の運転延長、再稼働を認めるべきではない、廃炉にということを強く求めるものであります。

 何で、こんなふうに原発を動かすことに終始をするのか。私は、率直に官民癒着があると言わざるを得ません。

 経産省にお尋ねしますが、東海第二原発を運営する日本原電の役員に経産省出身者がいるんじゃありませんか。

糟谷政府参考人 日本原電の役員でございますが、電気新聞社発行の電力役員録にも掲載されておりますが、ことし八月末現在、元経済産業省職員一名が同社の副社長に選任をされていると承知をしております。

塩川委員 副社長が経産省出身であるわけです。

 今、東海第二原発の再稼働に向けて、安全対策の経費が千七百四十億円かかる。この経費を自分で出せないものだから、東電に支援してもらう、こういう約束もしているわけですよ。その東電は、実質、今は国策企業、国有企業で、経産省の役員も入っているんですよね。

 そうすると、経産省の役員が入っている東電と日本原電の間でお金の融通をするような、延命策を図るようなことを行っているわけなんです。こういうことが官民癒着ということで問われているんじゃないのか。

 もともと、原発事故が起こった当時、当時の枝野官房長官は、私の質問に対して、原発、原子力の安全という問題については、指導監督する側と受ける側にいささかの癒着もあってはならないと述べておりました。その後、経産省は、「電力会社への再就職の自粛について」という通達、天下り自粛の通達を出したという経緯があります。

 この通達は今も生きているんですか。

糟谷政府参考人 委員御指摘のとおり、東京電力福島第一原発の事故を受けまして、平成二十三年四月、国民の疑念を招かぬよう、経済産業省幹部職員が電力会社の役員等に再就職することについて、自粛を促す措置を講じたところでございます。

 現在においても、この措置の有効性は損なわれていないというふうに理解をしております。

塩川委員 官房長官、お尋ねします。

 東電の原発事故当時、枝野官房長官は、先ほど紹介したように、私の質問に対して、原発、原子力の安全という問題については、指導監督する側と受ける側にいささかの癒着もあってはならないと述べていたわけです。

 こういった官民癒着が疑われるような天下りの実態があるわけですから、これをしっかりと是正する必要があるんじゃありませんか。

菅国務大臣 国家公務員の再就職については、国民からの疑念を抱かれないよう、国家公務員法に基づいて規制されており、御指摘の者の日本原電への再就職についても、この再就職規制に沿って適切に行われている、こういうふうに報告を受けています。

牧原委員長 塩川鉄也君、持ち時間が来ております。

塩川委員 天下り、この原発事故の前から行っていたらそれは適用除外だという話で、しかし、それが癒着になっているわけですから、ここをやはりきっぱりと断ち切ることが必要だ。

 原発にしがみつく原子力事業者と、原発推進政策に固執する国、経産省による官民癒着が危険な原発再稼働の大もとにあります。原発利益共同体による原発推進政策を断ち切って、原発ゼロ、省エネと再生可能エネルギーの急速な普及によるエネルギー政策の抜本的な転換を図る、そして野党提出の原発ゼロ基本法案をしっかりと審議しろ、このことを強く求めて、質問を終わります。

牧原委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 自由党の日吉雄太でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、御承知のとおり、ことしの十月まで立憲民主党に所属をしておりましたが、自由党の玉城デニーさんが議員を辞して沖縄知事選挙に立候補され、見事当選を果たされました。しかし、少数政党である自由党は、衆議院議員におきまして二名の政党であり、玉城議員の辞職により、自由党の衆議院会派が消滅に至りました。このような状況におきまして、野党再編、野党の結集により政権交代を実現していくためにも、衆議院議員において自由党の旗をおろすわけにはいかないと考え、熟考した結果、立憲民主党を離党し、自由党に入党いたしました。

 本日は、自由党の議員として初めての質問となります。翁長知事の遺志を受け継いで、玉城デニーさんが沖縄の思いを選挙にぶつけました。その思いを引き継ぎながら、質問をさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。

 まず、さきの沖縄県知事選挙における選挙結果につきまして、沖縄基地負担軽減を担当されている菅官房長官にお尋ねいたします。

 さきの二度の沖縄県知事選挙で、沖縄県の民意は辺野古移設反対が示されましたが、菅官房長官は、米軍基地の辺野古への移設反対が沖縄県の皆様の民意であると認識されている、そのように理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。

菅国務大臣 選挙の結果については真摯に受けとめさせていただきたい、このように思います。

 その上で、地方公共団体の首長選挙の結果について、政府の立場で見解を述べることは差し控えさせていただきたい、このように思います。

日吉委員 先日、菅官房長官は、玉城沖縄県知事と会談をされました。菅官房長官は辺野古移設推進の立場を、玉城知事は移設反対の立場を主張され、話合いは平行線に終わりました。菅官房長官は、工事をとめずに進める、玉城知事は、このままでは第三者機関の国地方係争処理委員会に審査を申し立てることになるということでございます。今後、杉田官房副長官と謝花沖縄県副知事との間で今月末を期限に協議が行われ、解決の糸口を探るということになるそうです。

 また、玉城知事は、先日渡米され、ニューヨーク市内の大学で講演を行い、日米両政府と沖縄県の三者対話を呼びかけました。

 沖縄県の民意を受けとめ、この問題を責任を持って解決するには三者対話を実現すべきと思いますが、菅官房長官はこの点につきましてどのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 先般、玉城新知事との会談の結果、政府と沖縄県とで普天間飛行場の辺野古移設に対する考え方が異なっていること、このことを改めて確認をいたしました。

 その上で、知事の要請を踏まえて、国は辺野古への移設、沖縄県は国地方係争処理委員会への審査の申出の手続を進めながら話し合う、このことで合意しました。

 現在、きょうも行われていますけれども、杉田官房副長官と謝花副知事との間で話合いを行っているところであり、引き続き、静かな環境の中で、忌憚のない意見交換をしっかりと行われているというふうに考えております。

 その上で申し上げれば、普天間飛行場の辺野古移設をめぐる問題の原点というのは、市街地に位置し、住宅や学校に囲まれて、世界で一番危険と言われておる普天間飛行場の危険除去、そして、その固定化を避ける返還であるというふうに思っています。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険除去を考えたときに、辺野古移設というのが唯一の解決策であるというふうに考えておりまして、こうした点についても、米国との間で累次にわたり確認をいたしたところであります。

日吉委員 今、私の質問は三者対話を実現されるかどうかというところでございますが、この点は、この三者対話は行わない、こういう御見解でしょうか。

菅国務大臣 私が今申し上げましたのは、まさにこの日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険除去というものを考えたときに、辺野古移設が唯一の解決策であり、こうした点については、米国政府との間で累次にわたり確認をしており、政府としては、早期に辺野古への移設と普天間飛行場の返還を実現したい、この考えに変わりはありません。

日吉委員 沖縄の民意を踏まえた上で、また、玉城知事が訴えた三者対話を実現し、誠意を持って対話をしていただきたいということをお願いをさせていただきます。

 続きまして、去る十月三十日に、行政不服審査法の規定を根拠に、防衛省沖縄防衛局からの申立てを受けて、石井国土交通大臣は、沖縄県による辺野古公有水面埋立承認撤回処分の効力の執行停止を決定しました。

 行政不服審査法において、審査請求をなし得る者は、行政庁の処分に不服がある者となっていますが、この処分という言葉が沖縄防衛局のような国の機関にも当てはまるのかどうかが問題となっています。

 行政不服審査法第七条第二項では、国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は適用しないと定められています。

 すなわち、この処分が、一般私人と同様の立場ではなく固有の資格に基づいてなされたものであれば、沖縄防衛局は不服の申立てをすることができないということになります。

 まず、確認ですが、国の機関のような場合、このような行政庁の処分は、一般私人と同様の立場で行われるケースと固有の資格に基づいて行われる二つのケースがあるという、この理解でよろしいでしょうか。

辰己政府参考人 お答えいたします。

 沖縄防衛局が今回審査請求をいたしましたことにつきましては、我々が行っております埋立工事について法的地位を失うもの、これにつきましては、一般私人と同様に権利利益を害されたというふうに考えておりまして、行政不服審査法に基づき、審査庁である国土交通大臣に審査請求及び執行停止を申し立てる資格があるということでございまして、七条の二項の適用しないというところには当たらないというふうに考えております。

日吉委員 もう少し、簡単な質問だったんですけれども。

 処分は、一般私人と同様の立場で行われるケースと固有の資格に基づいて行われるケースがあるのかどうか、この七条二項の解釈を踏まえて教えていただきたいんですけれども。

辰己政府参考人 防衛省がこの行政不服審査法七条二項に関する有権解釈権を有しているわけではございませんので、その整理について申し上げることは困難だと思っておりますが、防衛局として行ったのは、まさに一般私人たる事業者が、埋立ての免許について、一般私人と同様にこの埋立てを行うことができるという法的地位を失ったものであり、一般私人が権利利益を害された場合と同様であることから、行政不服審査法に基づいて申し立てる資格があったというふうに考えております。

日吉委員 この行政不服審査法の第一条第二項におきまして、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」、これを「「処分」という。」という記載がございますけれども、ここで言う処分と、第七条二項の「国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、」「固有の資格において当該処分の相手方となるもの」と言っている、この七条二項における処分とは同じことを言っているという理解をしているんですが、それでよろしいですか。

辰己政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、この行政不服審査法を所管する官庁では防衛省はございません。

 しかしながら、今回、我々としては、まず、沖縄防衛局が行政庁たる沖縄県の処分を受けたというふうに考えておりまして、この処分に不服があるということで、第二条には、行政庁の処分に不服がある者は審査請求することができるというふうに考えております。そしてまた、七条二項の固有の資格には当たらないということで、審査請求及び執行停止ができる資格があるというふうに考えております。

日吉委員 済みません。国土交通大臣が十月三十日に「執行停止申立てに対する決定について」という通知を出されましたが、この通知の中の2の(2)のところで、「この点、処分庁は、申立人が「固有の資格」において本件撤回の相手方となったものであり、行審法の規定は適用されないと主張する。 しかしながら、」「平成二十八年最高裁判決及び行審法の目的などに照らせば、本件撤回は、行審法第二条の「処分」、すなわち、「直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する」ものに当たるのであるから、申立人は一般私人と同様の立場で処分を受けたといえる」というふうに文書に書かれておりますが、この「権利義務を形成しまたはその範囲を確定する」、これは、固有の資格で処分されたその相手方には適用されないんですか。

林政府参考人 お答えをさせていただきます。

 委員が今御指摘をいただきました決定書の中で引いております行政処分、行政不服審査法二条に規定する処分の内容につきましては、昭和三十九年の最高裁判決というのがありまして、その中で処分の内容について定義をされているものを引かせていただいておるものでございます。そのことをこの決定書の中では指摘をさせていただいているということでございます。

日吉委員 そうしますと、一般私人と同様の立場でということなんですけれども、実際問題として、一般私人である事業者が主体となって辺野古の海を埋め立てることができるということになってしまいますけれども、その際の法律的根拠といいますか法的手続がどのようになっているか、教えていただけますか。

林政府参考人 お答えいたします。

 一般私人の方が公有水面を埋め立てるという場合には、一般論でございますけれども、公有水面埋立法上は、その第二条におきまして「都道府県知事ノ免許ヲ受クヘシ」ということにされておりますので、知事の免許を得ることが必要になります。

日吉委員 現実問題として、一般の私人としての事業者が主体となって、アメリカと交渉を、調整をしながら、この辺野古の海を埋め立てることができるということですか。

林政府参考人 私が今申し上げさせていただいたのは、一般私人の方が公有水面を埋め立てる際の手続を御説明させていただきました。それを超えて、辺野古という具体的なところについて埋立てをすることができるかできないかというのは、もう、ちょっと公有水面埋立法の問題ではないので、ちょっとそこの点についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

日吉委員 そうしますと、防衛省の方、お答えいただけますか。実際に、現実問題として、埋め立てることが、何か法的な制限とか、アメリカとの関係で、条約等の制限、こういったものはないんでしょうか。

辰己政府参考人 お答えします。

 米国との間では、当然ながら、この普天間移設事業に関しましては、協議を行い、日米合同委員会などの手続を経て、この事業を進めている部分がございます。

 一方で、今回、沖縄防衛局が審査請求をしたものは、この埋立てをできることの法的地位があったわけでございますが、それが今回の沖縄県の撤回によってその地位を失った、こういう観点からいえば、一般私人がまさに埋立て用の免許を撤回を受けたのと同様である、こういうことで、一般私人が権利利益を害される場合と同様である、このように判断して、行政不服審査法に基づいて、審査請求、執行停止を申し立てたというところでございます。

日吉委員 実際にできるかできないかという点にお答えいただけなかったように感じているんですけれども、菅官房長官にお伺いします。現実問題として、一般私人としての事業者が主体となってこの辺野古の海を埋め立てることが現実にできるかどうか、御見解をお願いいたします。

菅国務大臣 今回のことについては、法治国家として、関係法令にのっとって必要な法的手続を行っている、このように考えております。

日吉委員 菅官房長官、もう一度お願いします。できるかできないか、お答えください。

菅国務大臣 今申し上げたとおりであります。

 関係法令に基づいて必要な法的手続が行われておるというふうに承知しておりますので、今、国土交通省での対応がされているということだというふうに思っています。

日吉委員 関係法令にのっとって、私人であっても事業主が主体となってこの辺野古を埋め立てることができる、こういう理解でよろしいですね。

菅国務大臣 必要な法的手続を今行っているということです。

日吉委員 もう一度お願いします。必要な法的手続がクリアできれば、できるということでよろしいですね。

菅国務大臣 今行われていることは、法治国家として、関係法令にのっとって必要な手続を行われておる、このように思っておりますし、尊重すべきである、このように考えます。

 そして、今、委員からいろいろ問い合わされておりますことについては、仮定の話であり、そのことに答えることは差し控えたいというふうに思います。

日吉委員 わかりました。ということは、できるかできないかはわからないということですかね。

 よろしいですか。

菅国務大臣 まず、今回、防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣である国土交通大臣により、先般、関係法令に基づいて執行停止の決定が行われた、このことを承知しております。このことは、法治国家として、関係法令にのっとって必要な手続が行われている、このように承知しており、このことは尊重すべきであると思います。

 そういう中で、委員から、仮定の話でありましたので、その部分についてお答えすることは差し控えたい、こういうことであります。

日吉委員 お答えいただけないので、これ以上、時間もありませんので、菅官房長官には長時間ありがとうございました。また御質問させていただく機会があろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。沖縄県とも誠意のある協議を続けていただきますようお願いをいたします。

 御退席して結構でございます。ありがとうございました。

牧原委員長 菅長官は御退室ください。

日吉委員 続きまして、片山大臣に、公文書の管理についてお尋ねをさせていただきます。

 公文書の管理につきまして、森友学園に係る財務省による公文書改ざん事件が発生しましたが、公文書は適切に作成し管理されなければなりません。そのためには、今回のような改ざんが行われたり、不適切な公文書が作成されたりすることがないよう、しっかりとしたチェック体制、仕組みを構築していかなければなりません。

 公文書を適切に作成、管理する、最終的に責任を負うのは誰になるのか。すなわち、普通、一般の企業におきましては、経営者がその作成責任を負っているというふうに理解しておりますが、行政においては誰が責任者になるのか、教えていただけますか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘の公文書管理でございますが、公文書管理法におきましては、各行政機関がみずから定める行政文書管理規則に基づきまして文書管理を行うという仕組みでございまして、文書管理のチェックについての一義的なものにつきましては、まず各府省が責任を持って行う必要があるというたてつけでございます。

 その上で、第三者的な立場からのチェックを通じ、政府全体で適正な文書管理を確保するため、本年九月に、内閣府においては独立公文書管理監を局長級に格上げし、そのもとに公文書監察室を設置いたしたところでございます。

 こうした実効性のあるチェック体制の構築によりまして、適正な公文書管理の徹底に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

 以上です。

日吉委員 一義的には各省で責任を持って、その上で、各大臣、最終的には総理が責任を負うというふうに私は理解しているんですけれども、その上で御質問させていただきます。

 麻生大臣が、自主的に一年分の閣僚給与を返納いたしました。重い処分だったというふうに受けとめてよいのかどうか考えているところでございますが、麻生大臣のこの処分、これは、改ざんを防止できなかった責任をとったのか、それとも、改ざんを見逃したということに対しての責任なのか。

 何に対して責任を認め、こういった判断をされたのか、その点について、どのように片山大臣は御理解されておりますでしょうか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 今申し上げましたように、決裁文書の改ざんという大変重い事案につきましては、まず、行政全体への信頼が損なわれたということは内閣全体としても大変遺憾に受けとめて、その後のチェック体制の構築により万全を期しつつあるところでございますが、まず、一義的には、各行政機関がみずからの文書管理のチェックについて一義的に責任を持って行うということのたてつけの中で、麻生財務大臣の御判断による、麻生財務大臣による御決定なのかなと思いまして、ちょっとそれ以上につきましては、私どもは申し上げる立場にないのかなと思っております。

 以上でございます。

日吉委員 この財務省が作成した調査報告書の中で、麻生大臣は知らないまま公文書の改ざんが行われたというようなくだりがございました。

 麻生大臣の判断のもとでこういった自主返納という対応をされたということではございますが、麻生大臣が知らないところで行われた、このこと自体が内部統制上の重大な欠陥ではなかったかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 今般の改ざん事案につきましては、どういう点からということを、私は主任が公文書管理でございますから、あえて申し上げさせていただきますと、幹部の方を含めて、職員お一人お一人において適正な公文書管理を行うことへの理解が非常に不足していた、不十分であったこと、文書管理のチェック体制自体が不十分であったことなどが要因に挙げられるものと認識をしております。

 ですから、公文書を扱う職員のコンプライアンス意識の改革やチェック体制の強化を進めるとともに、決裁文書の改ざんを許さないルール、システムの徹底も必要と考えております。

 現在、財務省におかれて、みずから定めた再発防止策を実行されているところと承知しておりまして、その中には、委員の御指摘の、幹部職員も含められた総合的な研修、電子決裁を原則とするなどの業務フローの見直し、決裁ルールの見直し、全体等があるようでございますが、政府としても、一連の問題を踏まえまして、ことしの七月に閣僚会議を開催して、公文書管理の適正化に向けた総合的な施策を決定したところでございます。

 この中には、研修の充実強化、独立公文書管理監、各省における公文書監理官の設置といったチェック体制の整備、電子的な行政文書管理の充実、今大体九割を超えてきておりますが、決裁文書の改ざんなど悪質な事案に対する免職を含む重い懲戒処分の明示、決裁文書の事後修正を禁止するルールの明確化等を決定しておりまして、今実行に移しているところでございます。

 いずれにいたしましても、昨年の末に行政文書の管理に関するガイドラインも改正して、これを徹底し、引き続き適正な公文書管理の徹底に万全を期してまいりたいと考えております。

日吉委員 時間が参りましたので終わりますが、公文書の改ざんにおきまして、その調査報告書で、国会の質疑が紛糾することをこれ以上避けたいというような記述がございました。そのためにこういった改ざんが行われたというふうに記載されておりますけれども、そういったことは決してあってはならないことですので、今後しっかりと内部統制の構築をお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

牧原委員長 次に、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官植田浩君、人事院事務総局職員福祉局長合田秀樹君、人事院事務総局人材局長鈴木英司君、人事院事務総局給与局長森永耕造君、厚生労働省職業安定局雇用開発部長北條憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは、今挙げられましたテーマについて質問させていただくところでありますが、内閣委員会で初めて質問させていただくところであります。

 まず、公務員の非常勤職員の待遇改善を中心に質問させていただきたいと思います。

 以前、総務委員会で、いわゆる自治体職員の待遇について、状況について何回か質問させていただいたところであるんです。

 大変に財政状況が厳しいという中で、非常勤職員の方をふやしている。でも一方で、大変に仕事の量があり、また仕事の量が大変な状況があるという中で、こうしたことが非常勤職員の人たちに非常にしわ寄せが行っている。そして、本来、やはり地方サービス、自治体が担う地方の公共サービスというものにしわ寄せが来る。あるいは、非常勤職員の人たち、現場で働いている人たち、またあるいは常勤職員の皆さんにも大変にしわ寄せが来ている。

 そういう中で、地方によってはもう六割あるいは七割が非常勤職員の方になっているような現状もある。こういうことの中で、私は、警鐘を鳴らさせていただきながら、しっかりと公共サービスを担っていくためにはそういう状況を改善していくべきだ、こういうことで、総務委員会で質問させていただいたところであるんです。

 そして、きょうはこの内閣委員会で、関連して、いわゆる国家公務員の非常勤職員のことについて質問させていただきたいと思っています。

 それで、まず、人事院において、各府省庁の期間業務職員数及び非常勤職員数の実態について把握しておられるのかどうか、また、把握しておられるとしたら、全府省でそれぞれ何人在職をしているのか、お知らせをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 非常勤職員の数でございますけれども、内閣人事局が行っております一般職国家公務員在職状況統計表によりますれば、平成三十年七月一日時点の各府省の非常勤職員の総数は十四万八千七十六人、うち期間業務職員は三万七百二十六人と承知しているところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうすると、ちょっと計算すればわかるところでありますが、それは全体でいうと何割ぐらいというふうになるんでしょうかね。

鈴木政府参考人 常勤職員に対する割合……(近藤(昭)委員「いわゆる非常勤職員の人の割合です」と呼ぶ)

 一般職国家公務員が約二十八万人でございますので、五割強ということになろうかと思います。(近藤(昭)委員「五割強」と呼ぶ)五割強だと思います。

近藤(昭)委員 全体の職員の中の五割が非常勤職員。(発言する者あり)

牧原委員長 人事院鈴木人材局長、もう一度答弁をお願いします。

鈴木政府参考人 失礼いたしました。

 約三分の一ということでございまして、直させていただきます。申しわけございません。

近藤(昭)委員 少し勘違いをされたのかと思いますが。

 ただ、私が冒頭申し上げましたように、非常勤職員というのは、まさしく非常勤、常勤ではない部署を担うところである。ところが、最近は常態化をしていて、ある種、給与を低くするといいましょうか、本来、常勤で雇用して、しっかりと、先ほど申し上げましたように、地方の話です、公共サービスを担う役割を担っていただく。あくまで非常勤というのは、常勤ではない、時に期間を通じて必要な部署に非常勤で働いてもらう。

 ところが、そうではなくて、ずっと非常勤、非常勤で続けていく。そういう中で、非常にその働いている人に待遇面で課題が来ている。そして、それは国でもあるのではないですか、こういうことで質問しているわけでありまして、そういう意味で、何人在職しておられるかということで、まあ勘違いされたのかもしれませんが、漠然と五割という答えは、ちょっと気をつけてというか、しっかりと認識をしていただきたいと思います。

 そこで、人事院のホームページを見ますと、国家公務員試験採用情報NAVIというコーナーが設けられております。その中に、実は各府省庁の採用情報へのリンクが張ってあるわけであります。これは、どういう理由から張ってあるんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、人事院の国家公務員採用試験情報NAVIの中にございましては、各府省の採用情報へのリンクを張ってございます。これは、国家公務員としての採用を希望する方々にとりましては、一度に複数の府省の採用情報を広く把握することが有用と考えるため行っているものでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そこの情報NAVIのコーナーから、各府省庁の状況を、リンクが張られていて、そこに入っていくことができる。一見といいましょうか、確かに、プラスといいましょうか、あるんだと思います。

 ただ、私がちょっとこれから、懸念といいましょうか、提案をさせていただきたいと思うんですけれども、この状況にずっと入っていくわけです、各府省庁の。今もおっしゃったように、働きたい方が、どうなっているのだろうと、国家公務員。そして、その情報NAVIから行くと、各省庁の状況が出てくる。

 国家公務員、常勤の皆さんは人事院が一元的に採用しておられるわけでありますけれども、非常勤の方は、各府省庁にそれぞれ、採用試験の状況を調べて入っていくということになるわけであります。そして、そういう中でも、人事院としては、一括のホームページに載せて便宜を図っているということ。

 ただ、そのリンク先の各府省庁の期間業務職員及び非常勤職員の募集要項、待遇面等の内容を含めて、それを人事院は承知しておられるのかどうか。また、募集に際し、先ほど申し上げましたように、常勤の方々は一括して一元的に採用しておられるわけですから、非常勤の場合はそれぞれだということでありますが、人事院は承知しているのかどうか。また、募集に際して何らかの助言を行うことはあるのか。

 なぜこういうことをお聞きするかというと、募集要項には統一性のない表記がさまざま見受けられるわけです。

 社会保険の適用一つとっても、健康保険、厚生年金保険等の適用の対象となる場合があります、これは内閣官房であります。社会保障、各種保険法に基づくと書いてある、これは外務省であります。加入保険等、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険と書いてある、これは財務省であります。

 同内容の勤務時間、日数と考えられるような募集においても、それぞれ、今、社会保険の適用についても、さまざまな表記がしてあります。

 また、給与についても、日額で具体の金額を示している府省庁もあります。一般職の給与に関する法律に基づき、学歴、就職後の経験年齢を勘案し、常勤職員との権衡を考慮して、バランスを考慮して支給しますとの記載にとどまるところもあります。

 ある意味、非常に不親切で、わかりにくいとなっていて、それぞれ、このほかにも異なる表記があるんです。

 せっかく、今お答えいただいたように、人事院のホームページにおいて各府省庁のリンクを張るのであれば、やはり応募する方の立場に立って、わかりやすい募集に努めるように、職員の募集要項は政府として統一的な対応を行うべきではないかと考えるということで聞かせていただいたわけであります。お答えをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 各府省の非常勤職員及び期間業務職員の募集要項につきましては、各府省におきまして、それぞれの仕事内容や処遇等に応じまして記載がなされているというふうに承知してございます。

 人事院といたしましても、国家公務員採用試験情報NAVIの内容につきましては、従来から、応募者にとってわかりやすくということで、適宜改善を行っておりますけれども、募集内容につきまして、統一的な対応が可能な部分につきましては、御指摘の趣旨も踏まえて、適切に対処できるよう検討してまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 今申し上げたようなことでありまして、それぞれ入っても、それぞれの、同じ社会保険でも、ちょっと違う表記の仕方がしたりしていると、わかりにくいわけであります。今、可能な部分とおっしゃいましたが、ぜひ、しっかりと、わかりやすい統一的な表記にしていただけるようにお願いをしたいと思います。

 さて、手当等についてお伺いをしたいと思います。

 今回の人事院勧告において、特別給、期末手当、勤勉手当の支給月数を〇・〇五カ月分引き上げ、支給月数の引上げ分については勤勉手当に配分すると勧告されました。その理由についてお伺いをしたいと思います。

森永政府参考人 お答えいたします。

 期末・勤勉手当の年間支給月数につきましては、民間企業のボーナスの年間支給割合と均衡するように改定してきており、本年の調査結果では、民間の支給割合は四・四六月であったことから、期末・勤勉手当について、現行の四・四〇月から〇・〇五月引き上げ、四・四五月分とするよう勧告したものでございます。

 引上げに当たりましては、民間のボーナスに占める考課査定部分の割合が一般職員の期末・勤勉手当に占める勤勉手当の割合を上回っていること、能力、実績に基づく人事管理の推進を図る必要があることなどを踏まえまして、民間の考課査定部分に相当いたします勤勉手当に配分することといたしたものでございます。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 民間との比較の中で、考課査定のところに注目をしながら、そうした勤勉手当、〇・〇五カ月分、勤勉手当に配分していく、こういうことであるわけでありますが、その支給月数の月数の引上げ分については五年連続であります。

 五年連続で勤勉手当に充てることとなるわけでありますが、この間含めて、非常勤職員に対しての影響、非常勤職員の皆さんの給与、手当といいましょうか、手当等について、影響について、人事院としてどのように認識をされておるのか。いわゆる常勤職員の方のことが非常勤職員の方のことについても影響があったのかなかったのか、認識をお伺いしたいと思います。

森永政府参考人 お答えいたします。

 人事院は、非常勤職員の給与について、昨年七月、常勤職員の給与との権衡をより確保し得るよう、勤勉手当に相当する給与の支給に努めることを追加するなど、非常勤職員の給与に関する指針の改正を行ったところでございます。

 今般、内閣人事局が取りまとめました国家公務員の非常勤職員の処遇の状況に関する調査によりますと、平成三十年七月一日に在職するフルタイムで働く期間業務職員のうち、期末手当に相当する給与を支給される非常勤職員は一〇〇%、勤勉手当に相当する給与を支給される非常勤職員も九一・六%となってございまして、これまでに比べまして、勤勉手当に配分した効果が大半の非常勤職員にも及ぶこととなったものと考えてございます。

 人事院といたしましては、引き続き、非常勤職員の給与について、指針の内容に沿った適切な処遇が図られるよう必要な取組を行ってまいりたいと考えてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 五年間連続で勤勉手当に充てるということが非常勤職員の方に関しても影響があった、だから規定が追加された、こういう理解であり、そしてまた、そのことが、今、勤勉手当に相当する給与について勤務実績等を考慮の上、支給するように努めることにされた、それがまさしく支給実態については把握をしている、こういうことでよろしいでしょうか。

森永政府参考人 お答えいたします。

 現在、今お答えしました調査結果につきましては、内閣人事局の方で行った統一的な調査結果でございます。人事院の方も、必要に応じて各省の実態の把握については努めていきたいと考えてございます。

近藤(昭)委員 ぜひそこはしっかりと人事院においても把握をしてもらわなくてはいけませんし、しているということで理解します。

 さて、改定時期についてお伺いさせていただきたいと思います。

 今般提出の一般職の職員の給与に関する法律の改正案が成立した場合、常勤職員の月例給は四月遡及改定、特別給は十二月期改定となるわけでありますが、非常勤職員の改定時期はいつになるのか教えていただきたいと思います。

森永政府参考人 お答えいたします。

 非常勤職員の給与改定に係る取扱いにつきましては、昨年五月に、各府省間で「国家公務員の非常勤職員の給与に係る当面の取扱いについて」という申合せが行われてございまして、その中で、非常勤職員の給与については、常勤職員の給与改定に係る取扱いに準じて改定することを基本としつつ、当面は、遅くとも一般職の職員の給与に関する法律等の改正に係る法律が施行された日の属する月の翌月の給与から改定するとされたものと承知してございます。

 内閣人事局が取りまとめました国家公務員の非常勤職員の処遇の状況に関する調査によりますと、給与法が改正された場合、基本となります給与につきましては、九〇・一%が施行の当月又は翌月の基本となる給与から改定する予定となってございまして、また、特別給につきましては、今年度から改定が四五・三%、個別の計画を定め段階的に改定するとしている省庁が四六・二%でございまして、合わせて九一・五%が改定する予定となっているものと承知してございます。

近藤(昭)委員 今お答えいただいたようなことでありまして、常勤職員の皆さんとは状況が違うわけであります。遡及の問題であったり等々で、そういうことから時期が異なるわけですね。そうすると、公平性の担保の観点から、常勤職員の方との均衡ということを考えれば、同様の改定時期とすべきではないかと考えるわけであります。

 冒頭申し上げました地方自治体でも、さまざま、常勤の職員の方と非常勤の職員の方、先ほど申し上げたように、非常勤は、本来は特別な仕事、限られた時期の仕事であるけれども、そうではない働き方をされているということであります。そういう懸念を持っているわけです。

 さて、国の場合、常勤の方と非常勤の方との中で均衡がとれていない改定時期を同じようにするべきではないかと考えますが、人事院の認識をお聞かせいただきたいと思います。

森永政府参考人 お答えいたします。

 非常勤職員の給与につきましては、給与法第二十二条第二項の規定によりまして、各庁の長は予算の範囲内で給与を支給するとされてございまして、給与改定に当たっても、各府省において、常勤職員の給与との権衡を考慮し、予算の状況等も踏まえつつ適切に対処することが必要と考えてございます。

 人事院といたしましても、非常勤職員の給与改定につきましては、給与法の規定の趣旨にのっとりまして、常勤職員の給与改定に係る取扱いに準じて改定することが基本と考えてございますけれども、まずは、申合せに沿いまして、改定が着実に行われることが必要と考えているところでございます。

近藤(昭)委員 冒頭申し上げたことの課題がやはり同じようにあるんだと思うんです。予算の範囲内でということ、もちろんそれは、予算でさまざまなことが執行されていくわけであります。そのことを否定するわけではありません。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、本来、地方でも国でもきちっとした行政サービスをしていかなくちゃいけない。そうした中で、常勤でずっとやっていただく、そして、先ほど申し上げたように、特別の課題があったときに非常勤でやっていただく。しかし、そうではなくて、予算の中で、この方は、ここまでは常勤でここまでは非常勤、そういうやり方をしている中で、本来、それぞれの働く人たちの権利が阻害されているんだというふうに思います。

 そういう意味で、私は、こうしたことについては、公平性という観点からしっかりと取り組んでいただきたいと思います。後ほど大臣にもちょっとお伺いをしたいと思います。

 もう一点、休暇のことについてもお伺いしたいんです。ここでも差があるということであります。

 今般の人事院勧告において、非常勤職員の適切な処遇の確保について言及をしておられます。常勤職員と非常勤職員との間で待遇が異なる休暇等の制度にどのようなものがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

合田政府参考人 お答えいたします。

 非常勤職員の休暇につきましては、業務の必要に応じて、その都度、任期や勤務時間が設定されて任用されるという非常勤職員の性格を踏まえまして、民間の状況との均衡等を考慮し、必要な措置を行ってきているところでございます。

 個々の休暇制度について見ますと、民間労働法制や民間における普及状況、常勤職員に対する措置の背景を総合的に考慮した結果、公民権を行使する場合の休暇、災害や事故等により出勤することが著しく困難と認められる場合の休暇等、常勤職員と同一のものもある一方で、制度の有無、休暇の日数、有給、無給の取扱い等において、常勤職員の休暇と異なる取扱いをしているものもございまして、例えば夏季休暇、結婚休暇等は措置されておらず、忌引休暇等につきましては、一定期間、継続勤務している等の要件を課しているというものもあるというところでございます。

近藤(昭)委員 冒頭から申し上げておりますように、本来の働き方と違う、つまり、常勤、非常勤であります、という中で、さらにまた、非常勤の皆さんについては、休暇のとり方についても差があるんだと思います。

 今御説明なさった状況のように、本来のだと思いますが、本来の常勤と非常勤の仕事の仕方の中では、そうした休暇のとり方も違うんだ、だから少し違うんだというような説明もあったと思います。

 ただ、私が申し上げたいのは、そうした中で、やはり待遇が異なる点についてはしっかりと点検をして、その差があることに対して合理的な説明のできない事項については是正すべきだと考えます。

 人事院の御認識を聞かせていただきたいと思います。

合田政府参考人 お答えいたします。

 本年六月には、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立いたしまして、その中では、短時間、有期雇用労働者と正規労働者との間の不合理な待遇等の禁止に関しまして厚生労働大臣が指針を定めるということが規定されているというふうに承知しているところでございます。

 国家公務員には民間労働法制が直接適用されるわけではございませんが、国家公務員の勤務条件については、情勢適応の原則に基づきまして所要の措置を講じることとしておりまして、非常勤職員の休暇につきましては、今後、民間の状況との均衡等を考慮しまして、民間の指針の内容等も踏まえて必要な検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

 特に、非常勤の休暇につきましては、本年の勧告時の報告においても言及しておりますように、結婚休暇についてこれを新設する、また、先ほど御説明いたしました、忌引休暇について要件等を削除する等の拡大について措置を行うということを予定しておりまして、現在検討を進めているところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そこはしっかりと今取り組んでいくということでおっしゃっていただいたわけですから、合理的な説明ができない事項についてはしっかりと是正していただきたいと思います。

 それで、今、質問のやりとりを聞いていただいていて、宮腰大臣、御就任おめでとうございます、そういう中で、宮腰大臣の決意と申しましょうか、考えをお聞かせいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 近藤委員にお答えをいたします。

 非常勤職員の処遇改善につきましては、昨年五月に、平成三十年度以降、非常勤職員に対して期末手当や勤勉手当を支給することを目指すなど、処遇改善を図っていくことについて各府省で申合せをいたしました。

 期末手当や勤勉手当につきまして、平成二十八年時点では二から三割の支給率であったところを、今般、内閣人事局が行った調査では、九割を超える非常勤職員に対し支給される予定となるなど、着実に処遇改善が進んできております。

 引き続き、この申合せに沿って各府省が処遇改善にしっかり取り組んでいくことが重要と考えておりまして、そのために必要な取組を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 ぜひ宮腰大臣におかれましては、リーダーシップを発揮し、先ほど予算の話もありましたが、やはり行政サービスを担っている皆さんですから、そこにきちっと予算配分をしていくということは必要だと思います。そういう中でサービスを充実させていくということは当然やっていかなくてはいけないと思っておりますので、リーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 さて、次に行きます。

 障害者雇用の課題について質問させていただきたいと思います。

 水増し問題のことがあったわけでありますけれども、障害のある方の雇用のことで、精神障害のある方の、勤められて一年後の定着率というのは、政府が公表しておられるデータから見てみると、五〇%というデータがあるんです、五〇%。

 今回採用される、この問題が発生した中で、新たにといいましょうか、きちっと採用していくということであると思いますが、ただ、そういう中で、一年後の定着率が五〇%という、高くないわけであります。

 そういう中で、もちろん、障害のある方全般、雇用される方全てでありますけれども、特に、精神障害のある方の、二年以上といいましょうか、長く職場に定着していただくというか、しっかりと仕事をしていただくということに、何か具体的な方策についてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

北條政府参考人 精神障害者の定着率についてお尋ねがございました。

 精神障害者につきましては、他の障害種別の方に比べまして定着率が悪いという状況がございます。その離職理由を見てみますと、職場の雰囲気、人間関係ですとか、疲れやすく、体力、意欲が続かなかったことなどなどが掲げられてございます。

 このことから、職場定着率を高めるためには、これらの理由に対して適切なフォロー、支援というものが必要になってくるというふうに考えております。

 このため、まずは、障害者本人が気軽に相談でき、また、本人の状況を的確に把握した上で職場環境の調整あるいは本人への的確なアドバイスを行える、そういった体制を整えることが重要であるというふうに考えておりまして、今回の国の機関における障害者雇用の問題に関して策定いたしました公務部門における障害者雇用に関する基本方針、この中におきましても、そのための相談員を職員の中から選任し配置するということとされております。

 また、人事院におきましても、早出遅出勤務の特例の設定ですとか、フレックスタイム制の柔軟化、休憩時間の弾力化等の設定について講ずるということとされておりまして、各府省のテレワーク勤務の環境整備を行うという取組も進められると聞いております。

 こういった措置を講ずることによりまして、精神障害者の職場定着に一定の効果が期待できるものと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 障害のある方を、水増しではなくきちっと採用していただく、そのためのきちっとした基準をつくっていただき、そして採用する。まあ、入り口のところだと思います。まず最初の雇用のところだと思います。ただ、その方がきちっと定着をして働き続けることができる環境をつくっていかなくちゃいけないんだと思います。

 そういう意味で、今いろいろとお答えをいただいたわけですが、ちょっと、大きく簡単に説明をしていただきたいと思うんです。

 今回、人事院が多分、厚生労働省とも連携をして、そしてまた各府省庁の人事担当の方とも連携をして今おっしゃられたような課題に取り組んでいくんだと思いますが、少し、もう簡単でいいですので、大まかな仕組みを御説明いただければと思います。

北條政府参考人 このたびの国の府省における障害者の雇用の促進につきましては、府省連絡会議というところで基本方針を策定し、次の日、十月二十三日でございましたけれども、関係閣僚会議というところで基本方針を定めました。その基本方針に沿って各府省が障害者雇用に取り組む、また厚生労働省もそれに対して支援をする、そういった仕組みでこのことを進めてまいっております。

近藤(昭)委員 私は懸念しているというか、ぜひうまく進めるように仕組みをつくって、人事院があって、計画、基本方針をつくって、厚生労働省とも協力する、そして各省庁の人事担当の皆さんにも、先ほどおっしゃられたようなさまざまな、スムーズに受け入れるといいましょうか、それぞれの個性があるわけです、障害の持つ個性、それとそれぞれの方の個性、そうしたことをきちっと理解をしていかなくてはならない、そういう仕組みを今おっしゃったような方でつくっていく。

 ただ、やはり大事なことは、そこで、仕組みはつくったけれども、そこの中でそれぞれの方がきちっと理解をしていただかなければならないんだというふうに思うんですね。

 そういう中で、今も御言及がありました、担当の人を設けて、障害のある方が相談をしやすくする、職場で。あるいは、職場で相談を受けた方が例えば専門家の方に相談をしていく、そういう仕組みをつくっていくんだというふうに、基本方針などを読ませていただき、今お話を聞かせていただき、理解するわけでありますけれども。

 それは、それぞれ府省庁も規模が違いますし、状況も違うんだと思いますが、大まかに、どれぐらいの人を配置していくのか、人事院に、そして厚労省に。そして、各府省庁でいうと、それぞれの部局にお一人ずつぐらいとか、どんな規模のイメージか、お知らせをいただければと思います。

北條政府参考人 各府省における障害者の受入れ体制ということでございます。

 基本的には、各府省の人事課というところが中心になりまして、各府省の各部局からの構成員から成るチームをつくって、あるいは推進本部をつくってこれを推進するというのが基本でございますけれども、その構成員たる各部局の方々が、また、その下に、各課室の人事担当の方と十分連携をとって、各課室に配属されている障害者の方の相談を受けとめて助言をしていく、そういった構造で支援をしていくということになっております。

近藤(昭)委員 構造的なことはわかりましたので、しっかりと人員を配置といいましょうか、決めて、頑張って取り組んでいただきたいと思うんです。

 そしてまた、こうした問題については、労使の協力、今おっしゃられたような使用者側の取組と、また、働く側の協力といいましょうか、相談、ぜひ、そういう労使の協力による全省庁的な取組が必要だと思うんです。

 ということで、既存の労働組合、公務労協や障害のある方が加入しておられる専門の労働組合、例えばソーシャルハートフルユニオンというところがあるようでありますが、そうした組合とよく協議をして、当事者あるいはその関係者の皆さんと協議をして進めるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

 そしてまた、時間がないのでもう一つお聞きしたいと思いますが、障害がある方だけではなく、重い病気の方の職場環境といいましょうか、就職環境あるいは職場のこともあると思うんです。例えば、腎臓病で透析治療を受けている、あるいはがんの手術を受けたなど、合理的な配慮を必要とし、それがあれば働き続けられる、働きやすい方もおられると思うんですが、そのような人たちへの合理的な配慮はどうなっているかということをお聞かせいただきたいと思いますし、最後にまた、大臣の決意もお聞かせいただければと思います。

牧原委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

北條政府参考人 障害者雇用の施策の推進に当たりましては、障害者団体等の当事者からの御意見を賜ること、大変重要なことであるというふうに思っております。このために、障害者雇用施策のいろいろな議論をする労働政策審議会障害者雇用分科会というのがございますけれども、そこでは、障害者の代表ですとか労働者の代表、使用者の代表、公益代表が参画されているところであります。

 今回の問題におきましても、この審議会において十分議論をいただいたところでありますし、また、府省連絡会議におきましても、当事者の方からヒアリングをするということで、十分障害者の団体の方々のお話を賜って、その施策に生かすという取組をしております。

 それから、難病の関係であります。

 難病の施策については、障害者雇用の施策とちょっと違うところがありますけれども、まだまだその歴史は浅い部分があります。これについては、例えばハローワークにおいて、難病の方をできるだけ早く再就職できるようにするにはどうしたらいいのかということで、特別な相談員を配置する。それからまた、企業において、難病の方がやめずに済むにはどうしたらいいのかということで、そのノウハウを提供するといった地道な取組を進めているところでございます。

宮腰国務大臣 先日、給与関係の件で公務労協の皆さん方とお会いをいたしまして、御要請を受け、人事院勧告を尊重するという御回答もさせていただきました。

 今ほどの障害者雇用の問題につきましても、関係機関と連携をし、また、必要に応じ関係各方面の御意見を伺いながら、障害者の多様な任用形態を確保するための枠組みの導入等を通じて、国の行政機関で障害のある方々が活躍できる場の拡大に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。

牧原委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。篠原豪でございます。

 きょう、今、我が党の近藤委員からもありましたように、障害者雇用の話がありました。ですので、ここからお話を伺っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 中央省庁による障害者雇用の水増し問題、これが問題になっています。

 厚生労働省が設置をした第三者検証委員会が公表した報告の資料によりますと、国の三十三の行政機関のうち二十八の機関で、三十三のうち二十八です、その機関で、うつ状態などと自己申告をした方を身体障害者に計上するとか、視覚障害者を本来の矯正視力ではなく裸眼視力で判断をし、近視の人も含めて、近視ですよ、近視の方も含める、退職者や死亡者を算入し続けるなど、はっきり言ってでたらめな処理が行われて、計三千七百名が不適正に計上されるとされていました。そのうちの九割オーバーが、九〇%以上が明らかなルール違反というふうになっていまして、障害者手帳などの既定の確認資料を所持していなかった事例だったとされます。

 そこでお伺いしますが、民間企業には、法定雇用率が未達成だと不足数に応じた納付金が課せられて、障害の確認資料の保存義務もあるんです。しかし、国の機関にはそうした規制がないので、長年、不適正な運用が見逃されてきたということであります。

 国の行政機関で適切に障害者が雇用されているのかの実態把握の責任はどこにあったのかをお伺いいたします。

高階副大臣 委員にお答え申し上げます。

 このたびの事案というのは、大変深刻な事態だと重く受けとめて、心から反省をしたいと思っております。

 お尋ねの障害者雇用促進法において、各府省が、障害者を雇用する事業主としてその責務を果たすという、そのために必要な実態把握の責任を有してございます。加えまして、厚生労働省は、制度を所管するという立場にございますので、この障害者雇用促進法を所管する立場として、法を適正に施行するために必要な実態把握等の責任をあわせ持っている、こういう関係にございます。

 いずれにいたしましても、厚生労働省も、その他の府省におかれましても、今般の事態について深く反省をしておりまして、今後、政府一体となって、適正なる制度運用の徹底によって再発の防止に努めていくとともに、障害者の活躍の場の拡大に向けた取組を着実に推進してまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 今、厚労省の責任についても副大臣からお話がありました。

 各省庁では、これはもう前任者からの引継ぎや人事調書のもとに不適切な運用を二十年以上続けていたということであります、二十年ですよ。そして、このことで、その前例踏襲主義にも本当にあきれて物が言えない、二十年ですから、繰り返しますけれども。

 そういった状況ですけれども、私はそれ以上に、やはり厚生労働省の責任は極めて重いと私も考えています。なぜかというと、この報告書が指摘しているように、平成十七年のガイドライン発出時に、一つ目には、民間事業主向けのガイドラインを、制度の異なる国の行政機関に必要な手直しをせずにそのまま送付していたこと、二つ目には、身体障害者手帳による確認を曖昧にしていたこと、三つ目には、確認資料の保存義務を指導しなかったこと、そして四つ目には、平成二十六年の独法における虚偽報告事案が発生したチャンスを生かすことができなかったということも原因であると思っています。

 制度の運用に責任を負う厚生労働省の責任というものは明らかです、今お認めになりましたけれども。こうした事態の責任というものは一体どういうふうに考えられて、誰がどう責任をとったのか、どういうふうな対応をしたのかということを御説明いただければと思います。

高階副大臣 委員御指摘のとおり、検証委員会の報告書におきまして、厚生労働省の対応について、根本的な問題として、国の行政機関における障害者雇用の実態に対する関心の低さ、このことが厳しく指摘されてございます。国の行政機関に対する制度あるいは運営方法等に関する周知、指導等について周到さを欠いている、こういったような背景につながっているということでございます。

 また、こうした厚生労働省の問題と各行政機関側の問題とが相まって、大規模な不適切計上が長年にわたり継続するに至ったものと言わざるを得ないと指摘されてございます。

 このため、障害者雇用制度を所管する厚生労働省として、二度とこのような事態が生じることのないよう、また障害者雇用の推進に全力で取り組むよう、厚生労働大臣から、事務次官そして職業安定局長に注意と指導を行ったところでございます。

 さらに、全部局の幹部を集めまして、厚生労働省として再発防止に取り組むことはもとより、みずからも障害者を雇用する役所として、行政機関のモデルとなるよう取り組んでいくことを求める訓示を改めて行いました。

 この問題は、組織全体の問題として重く受けとめているところでございまして、今後、障害者雇用政策への信頼を回復することができますよう、制度を所管する立場として、本年十月二十三日に公表された公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づきまして、再発防止と雇用の推進にしっかりと取り組んでまいります。

篠原(豪)委員 責任の所在については、誰がどういうふうに責任をとったのかというところまではいただけませんでしたが、じゃ、その受入れ体制整備状況というものをどうやってちゃんとつくっていくんだというふうになったときに、少しお話しさせていただきたいと思うんですが、先ほど近藤委員からも、受入れ体制をどうするのか、どのぐらいの人数かという話もありました。法定雇用率は二・五%でございますので、これを達成するためには、二〇一九年末までに約四千人を追加採用する方針だということであります。障害者を対象とした新たな常勤採用の枠組みを導入するために、統一試験を実施するというふうになっています。

 私は、各省庁がこれまで不適切な対応をとり続けてきたのは、そもそも障害者の職員の位置づけがなされないまま、全くと言っていいほど現場任せにされてきたことが原因にあるんだと思います。先ほども残念な答弁があって、各人事課が、省庁の人事課が考えるんじゃないかと。それだからだめなんですよ。それを現場任せにしてきて、その意味で、受入れ体制を整備することがまず必須だと考えます。

 例えば、昇給や昇進にかかわる能力や実績の評価もどうするかといったら、健常者の方々と同じ基準で評価することが果たして本当にフェアと言えるのか。そして、どのような運用をすれば、健常者と障害者のそれぞれのインセンティブを損なうことなく、お互いに、そういう中で組織としての能力を最大限に発揮できるのか。そういったノウハウもあらかじめ周知徹底していかないと、これは今のままやったら混乱を来します、だって、二十年間うまくいかないんですから。

 ですので、そういったことをしっかりとやっていかなければいけないと思いますし、考え方によっては、出退勤時間をずらしたり、勤務時間そのものを短くしたり、場合によっては自宅勤務等を認める運用とかも検討し、その際にも評価をどうするかということを、これは民間ではやられているわけですから、そういったことをしっかり考えていっていただかないと、これは難しいんだろうというふうに思います。制度ばかりで、水増ししちゃったわけですから、実際に我が国は。これは事実ですから。何で近視の人がそういうところにカウントされるのかとか、本当に考えていくべきだと思います。

 その意味で、私は、二〇一九年末までに、先ほどの近藤委員のお話、答弁を聞いていても、四千人を果たして受け入れることができるのか、無謀じゃないか、こういうふうにも感じます。政府としてどこまで受入れの準備を進めているのか、お伺いいたします。

高階副大臣 確かに、受入れ準備をしっかりして、確実に雇用を推進していくこと、そして安定就業していただくこと、そしてその人らしい活躍をしていただくこと、この環境整備を政府を挙げて進めていく必要があると考えております。

 基本方針では、障害者の採用とあわせて、障害のある方の活躍の場の拡大に向けた取組を進めることとしておりますが、例えば厚生労働省の取組について御紹介申し上げますと、障害者が活躍できる業務の選定、あるいは障害者の働きやすい職場環境づくり、障害特性に応じた雇用管理などについて、障害者雇用に精通した専門アドバイザーから助言を受けられる体制を整備してございます。また、理解の促進に向けたセミナーの開催、講習会の開催等を順次行ってまいっておりまして、これらを通じて、各府省の取組を最大限支援してまいる所存でございます。

 加えまして、基本方針においては、人事院において、早出遅出勤務の特例の設定、フレックスタイム制の柔軟化等の措置を講じるほか、内閣人事局において、障害を有する職員の人事評価を行うに際し、当該職員の負担軽減を始め適切な人事評価を確保するため、障害の様態等により留意すべき事項をまとめ、平成三十年中に各府省に通知することとされておりまして、現在検討しているところと承知してございます。

 今後とも、関係府省としっかり連携いたしまして、政府一体となった取組を進め、法定雇用率の達成に向けて、一丸となって努力してまいりたいと思います。丁寧に進めてまいります。

篠原(豪)委員 ノウハウを、あらかじめ周知徹底をしっかりしていただかなければいけないし、三十年中といったらもう今ですから、本当にそれがこのたった短い一カ月の間でできるのかというところをここで審議していますから、しっかりもう一度点検をしていただいて、やっていただきたいというふうに強く要請をいたします。

 そして、今、人事院さんのお話がありましたので、人事院さんにも少しお伺いしますけれども、今回、障害者を国家公務員の常勤職員として採用する統一試験を、来年の二月でしたか、行われるというふうに発表されていると思いますが、その対象者、対象の方々が、一九五九年の四月二日以降に生まれた人というふうにしているということであります。つまり、五十九歳の方まで障害者であれば受験可能ということでありまして、健常者の方々の国家公務員の試験は二十八歳でありますので、考え方に余りにも開きがあるんじゃないかというふうに思います。

 そうした健常者の方々の生涯雇用を前提とした組織の中に、国の機関というのは常勤職員さんは生涯雇用を基本的に考えていますから、そういった組織において、本当に障害者の方々をその中に組み入れていくために、どういうふうにやっていくつもりがあるのかというところが見えません。

 今、副大臣からおっしゃったように、法定雇用率の早期達成についてやっていくんだということだと思うんですが、数合わせになってしまって、はい、やりましたという話では、これは根本的な解決にはなりません。ですので、そこに疑念を今持たざるを得ません、五十九歳まで受けられるということについてですね。

 そのことについて、政府のお考えをお伺いします。

一宮政府特別補佐人 今回、人事院が行うこととしている統一的な障害者選考試験においては、各府省の要望を踏まえて、中高年齢層を含めた障害者の応募の機会を幅広く確保するということとなるように対象者の範囲を決定したところです。

 この障害者選考試験によって採用された方々についても、常勤職員として、これまでの経験や能力に応じた処遇が行われるとともに、人材育成等の機会が付与されるということは当然でございます。

 各府省においては、こうした基本的な考え方に立ちつつ、障害者の方々がそれぞれの障害の内容及び程度に応じて能力を発揮できるよう、障害者採用計画とあわせ、府省内の体制整備、障害者の職場定着等に関する具体的な取組計画を策定して、きめ細かく取り組むこととされていると承知しております。

篠原(豪)委員 わかったようなわからないようなところだと思うんですけれども、中高年も含めてということを今おっしゃいましたので、そうであれば、中途採用の方というのが前提に大きく考えられているんだろうというふうに思います。だって、その年齢で入っていただいて、常勤職員としてそこの場で活躍していただくというふうに今おっしゃいましたので、そういうことだというふうに理解をいたします。

 でありますと、中途採用そのものについて、今回のものが、だって、四千人ですから、その規模で来年試験をやって入れていくということになれば、これは我が国の公務員制度の中における中途採用の拡大にそのままつながっていくんだと、一つ見方を、四千人ですからね、対象が。法定雇用率まで上げるとすると、そこに充足させていくという意味ですけれども。

 そうすると、これまで中途採用を前提としてこなかった公務員の採用方針を今後変えていく突破口というか、そういう一つの試験にはなっていくんだろうというふうに思います。そうじゃなければ、ただ単にやはり充足率を満たすために何とか試験をやって入れたんだみたいな話になっていくので、ここはしっかりとした戦略性を各省庁、府省で持ってやっていくというふうに思いますから、そのためにやっていると思いますので。

 その中で、最近の国会での議論を聞いていてちょっと残念だなと思うのは、どうも権力の側が、規制改革だとか規制緩和だとか言って、岩盤突破だとか言って、極めてこうかつにお友達の利益誘導を図っているんじゃないかみたいなことが言われる昨今であります。そういった中で、障害者となって発注官庁に職員採用される可能性もあるわけです。いわゆる天上がりの問題。

 その天上り、天上がり、どちらでもいいですけれども、天下りと同じように、こういったところはどういうふうにお考え方を今持っていらっしゃるのかというところが一点と、いずれにせよ、とはいえ、民間企業との人材交流は、官民の癒着の温床とならなければ、ならなければですよ、極めて慎重に対処すべきだと思いますけれども、それは労働市場の流動化を促進し、多様な人材が垣根を越えて適材適所に配置される、そういうことでもありますので、日本の経済的には好ましいことでもあるというふうに思っていますので、このはざまにおいて、政府は今、今回の中途採用、そして中途採用の拡大ということについてどういうふうに考えていらっしゃるのか。これは宮腰大臣にお伺いします。

宮腰国務大臣 お答え申し上げます。

 複雑多様化する行政ニーズに迅速かつ的確に対応できるよう、多様で有為な人材を確保することは非常に重要であるというふうに考えております。

 民間の人材を採用する方法といたしましては、まず、各府省において実施する選考採用、また、任期付職員法、法律に基づく任期つき職員の採用、また、官民人事交流法、これも法律に基づく交流採用、そして経験者採用試験など、さまざまな方法がありまして、これらを活用してこれまでも民間からの採用を進めてまいったところであります。

 また、採用後は、一般の職員と同様に国家公務員法に基づく各種服務規律が適用されておりまして、これらに反した場合には国家公務員法に基づく懲戒処分を受けるということにより、公務の公正性等の確保を図っております。

 今後も、このような枠組みのもとで、多様で有為な人材を確保し、活躍するための取組を推進してまいりたいというふうに考えております。

篠原(豪)委員 ちなみに、ちょっとこれは通告していないんですけれども、官民交流とか全部含めて、いわゆる天上りというか、そういった民間の方々というのは今どのぐらい採用されているかというのは御存じですか。

宮腰国務大臣 民間から国への職員の受入れ状況でございますが、総数は、平成二十九年の数字で五千六百二十一名、常勤職員はそのうち四千六百十四名、非常勤の職員の方が一千七名ということになっております。

篠原(豪)委員 これはもう、この十年間で倍増どころか激増しているということでありますので、そういった傾向はあるんだと思いますけれども、そうすると、多様な人材を受入れをどうするかというところも考えなきゃいけないというふうに思います。

 障害者の常勤採用においては、新たな給与法をつくるわけではないわけですね。現行の給与法に位置づけるということになっていますので、まさに同じようにしていくということだと思います。

 例えばサイバーセキュリティーとか、きょうはサイバーセキュリティーに関連する質問もありましたけれども、こういった方々は特殊な専門性、知識を有する人材を採用しなければいけないので、民間の採用条件とは余りにも違い過ぎて、常勤では果たして採用できるのかどうかということにもなりかねません。そうじゃなければ、それこそ丸ごと委託をするとか、いろいろなやり方はあるんだと思うんですけれども。

 また、思い出していただければ、通常国会で、残念ながら、結局、強行採決でカジノ法案というのが通りましたけれども、あのときの議論でも、カジノを監視するカジノ管理委員会というところが、カジノ委員会の事務局職員にも、日本にはその専門性がないがゆえに、カジノ委員会の取締り対象であるはずのカジノ事業者から採用するという、おかしな状況にもなっているわけですね。これはおかしいと思うんですけれどもね。自分たちが、規制される側から、チェックされる側から職員として入ってきて、それをその委員会の事務局としてまた認める認めないという話をしていく。

 そういったことがあって、これもまた繰り返しになりますけれども、昨今、民間から来て、それは政府の皆さんはそんなことは思っていなかったかもしれないけれども、場合によっては、非常に、癒着じゃないかというようなことが疑われるようなことが起きるとすれば、これはもう本当に大変なことになる。

 この事例は、途中の採用者を中核とした組織を実は公務部門に位置づける必要性が、何かここで考えてやっていく必要があるんじゃないかというふうに思っているんです。このあたりについて、何かばらばら個別にやるんじゃなくて、いろいろな多種多様な人材を受け入れるということでありますから、その受入れ体制をどうするかという根本的な、まあ、それはワンストップ窓口にする必要はないと思いますけれども、そういったことについてどう考えていらっしゃるかということがあれば、教えていただきたいと思います。

宮腰国務大臣 ただいま委員から二つの事例を挙げて御指摘をいただいたわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、複雑多様化する行政ニーズに迅速かつ的確に対応できるように、多様で有為な人材を確保することは非常に重要であるというふうに考えております。

 平成二十六年に閣議決定をいたしました採用昇任等基本方針におきましても、多様かつ専門的な能力及び経験を有する人材を登用するため、選考採用を活用するとともに、幅広い分野における多様な人材について、官民の交流の拡充を図るということにいたしております。

 今ほど癒着等の御指摘もありましたけれども、職員につきましては、官民癒着等の疑念を抱かれるようなことがあってはならず、その職務の遂行に関し、公正な職務の遂行の維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、あるいは信用失墜行為の禁止、さらには営利企業の役員等との兼職の禁止など、国家公務員法の服務に関する規律を遵守させ、これらに違反した場合には国家公務員法に基づく懲戒処分を受けるということにより、公務の公正性を確保するということにいたしております。

 今後も、このような枠組みのもとで、多様で有為な人材を確保し、活躍するための取組を推進してまいりたいというふうに考えております。

篠原(豪)委員 今、宮腰大臣、懲戒処分も含むということもおっしゃっていたんですけれども、現実問題できょうはちょっと考えてみたんですけれども、先ほど片山大臣いらっしゃいましたけれども、公文書の問題が出てきました。

 この一連の公文書をめぐる問題で、森友をめぐる財務省の大がかりな公文書の改ざん、これは国会審議の追及をかわすための改ざんですよ。これがあったという意味で、三権分立に基づく我が国の民主主義を脅かすものであり、極めて深刻な問題だったと考えています。

 さらに、こういった深刻な事態だったにもかかわらず、これは、捜査を担当した大阪地検特捜部は刑事事件として立件することなく、したがって、その判断を前提とした財務省の関係者の処分も、人事院の懲戒処分指針に触れるとまでは言えないだろうということで、組織の長として政治責任を負うべき麻生財務大臣が、これがそのまま財務大臣の職にとどまっていることに、多くの国民の皆さんはおかしいと思っているわけですよ。

 だって、なぜかといったら、先ほど、午前中の質疑でもありましたけれども、憲法四十一条には国権の最高機関というふうになっていまして、そこで行われることに対して、議長から前国会で文書が出ている。その文書の中には、権限を適切に行使をし、国民の負託に応えるためには、行政から正しい情報が適時適切に、これは公文書の問題です、提供されることが大前提となっていることは論をまちません、しかし、財務省の森友問題をめぐる決裁文書の問題、厚労省による、厚労省、申しわけないですけれども、裁量労働制に関するデータ、これは議院内閣制の立法、行政の信頼関係の根幹だということになっていて、この立法府の判断を誤らせる、議院内閣制の基本的な前提を揺るがすものであるから、だからこれはおかしいと言っていて、国民の皆さんもおかしいと言っているわけです。

 ですので、私たちは、会計検査院の改正法案というのを前回出しました。検査院の検査を妨害した場合について、会計検査院が当該官庁に懲戒処分要求ができるとして、そして、処分について人事院の意見をやはり聞かないと機能しないんですよ。さっきの、申しわけないですけれども、片山大臣のあんな認識で何ができるかといったら、それはできないですよ。だって、文書の問題じゃないですよ。この国の国権の最高機関にかかわる、民主主義の根底を覆す蓋然性が極めて高いという問題について話しているわけですから。ですので、そういったことについて出したことについて、これを一点、所感を伺いたい。

 最後、時間ももうすぐ来ますので。まだ終わっていませんけれども。

 議会を欺く行政文書の改ざんには、これはまた片山大臣がいるときやらせていただきますけれども、英米議会では、議会侮辱罪を適用して、議会みずからが刑事告発を行うわけです。これは与野党、差がないわけですよ、立法府の中で。

 ですので、きょうの議論を聞いていても、委員長にはしっかりとさばいていただいているというふうに思いますが、これはやはり、法曹をやられていた委員長に、そして、今のこの状態を見ていただいて適切な運営をしていただきたいんですけれども、そういったことも含めて、今、証人喚問が有効に機能しない現状を改めるために、証言を回避するような証人に対しては強くやっていかなければいけないというふうに思っています。

 ですので、我々が今こうやって考えていることに対しての御所見と、そして、英米の慣行についてどういうふうに思われているかということがあれば、お伺いをしたいと思います。

宮腰国務大臣 一連の公文書をめぐる問題を受けまして、本年九月、今ほどお話があったとおり、人事院におきまして懲戒処分の指針を改正し、決裁文書の改ざん等の特に悪質な事案につきましては、免職を含む重い懲戒処分が行われることが明示されたというふうに承知をいたしております。本指針の改正等を踏まえて、適切な公文書の管理を行っていくことが極めて重要であると認識をいたしております。

 今ほど議員立法についてお話があったわけでございますが、委員の御発言は真摯に受けとめつつも、これは議員立法に関するものでありますので、国会において御議論いただくべきものというふうに考えております。

篠原(豪)委員 立法そのものでなくて、制度であってもいいわけですから、こういった制度を提案しますので、しっかりと考えていただきたいと思います。

 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 国民民主党の森田俊和でございます。

 二十分、時間をいただいております。早速質問に入らせていただきます。

 私の方からは、人事院勧告、特に長時間勤務、超過勤務についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 まず、議論の前提といたしまして、超過勤務を減らさなければいけない理由というものをどのように捉えていらっしゃるか、御答弁をお願いいたします。

一宮政府特別補佐人 国家公務員の超過勤務については、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合に、各省各庁の長が命じることができるとされており、いわゆる三六協定に基づいて行う民間の時間外労働とは枠組みが異なってはおりますが、公務においても、職員の健康保持や人材確保の観点等から、長時間労働を是正すべき必要性は異なるものではございません。

 長時間労働の是正は極めて重要な課題であり、本院としても、民事労働法制の改正を踏まえ、本年の報告において、人事院規則において超過勤務命令を行うことができる上限の時間を設定するなどの措置を講ずることを申し上げ、現在、具体的な検討を進めております。

森田委員 ワーク・ライフ・バランスという言葉がございますけれども、私、この言葉を聞くたびに、これは順番が逆なんじゃないかなというふうに思っております。

 要するに、ここに集う私たちの共通の目的というのは、幸せな日本、この国をつくっていくことだというふうに理解をしておりますけれども、ということは、公務員の皆さんも含めて私たち一人一人の幸せを追求していくということ、ということは、まず最初に来るのはその人の生活、あるいはライフという言葉を人生というふうに訳せば人生があり、その中で仕事をどういうふうに捉えていくかというあたりを、私たちはその優先順位をつけて考えていかなければいけないのではないかなというふうに思っております。

 国家公務員の方も、大変有能な、貴重な人材ということもありますし、私たちがそういった皆さんの力をどれだけこの国のために生かすことができるかということを、これは立場を超えて考えていかなければいけないなというふうに考えております。

 私がふだん考えていることは、超過勤務をしなかった場合にどういうメリットがあるかということなんですけれども、大きく、仕事の面と、それから生活あるいは人生の面と、二つあるだろうなと思っています。

 一つは、先ほど健康の保持というお話もございましたけれども、やはり私たちは、ずっとだらだらと仕事をしてしまうと、どうしても集中力が落ちたり、あるいは創造的な仕事ができなかったりということが出てきてしまうと思います。定期的に休みをきちんととることによって、いい仕事をするということが一つ。

 それから、もう一つ、生活あるいは人生の中でのメリットというのがあるなと思っておりまして、これは多分、世代とか年代によって変わってくるんだろうなというふうに思っておりますけれども、例えば、若いときには、時間があれば、遊びに行ったりとか、あるいは配偶者を見つけるような準備段階の時間が持てるとか、家族が持てる、子供が持てる、そういった若いころの時間の使い方があり、だんだん年を重ねていくと、その皆さんの力を地域の中で、例えば子供さんができれば子供会であったりPTAであったり、あるいは、もうちょっと年齢がいけば、今度は自治会の中でのいろいろな役割があったりとかですね。

 私がいつも日ごろ地元を回っていて思うのは、定年退職をした後の、これは別に公務員の方に限らないですけれども、人材の活用がなかなかなされていないなという、大きな私自身の課題というふうに捉えていることがあります。

 というのは、やはり、せっかく有能な人材が、なかなか家庭だとか地域とのつながりを持てずに年数を重ねていくために、断絶してしまう。退職をしたら何か急に家に戻るとか急に地域に戻るとかという形ができるので、なかなか家庭だとか地域の生活のリズムをつかみ切れずに年数がたっていってしまうなんという問題もあるんじゃないかなと思っておりまして、そういった意味では、人生全般を捉えた、仕事だけではない、家庭であったり地域であったり、その方の力の使い方というか時間の使い方というか、こういったものを広く捉えていくことによって、人生百年時代の私たちの人生というものが充実することができるんじゃないかな、そんなことを考えております。

 そういう前提の上で、少し細かいお話をさせていただければと思いますが、現在の超過勤務の実態、これをどういうふうに捉えていらっしゃるか、それから勤務時間を減らすためにどんな取組をされているか、お聞かせいただきたいと思います。

合田政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年国家公務員給与等実態調査の結果で見ますと、国家公務員の年間超過勤務時間数は、平成二十九年、暦年でございますが、平均で二百二十八時間となっております。これを組織区分別に見ますと、本府省職員で三百五十時間、本府省以外の職員で二百一時間となっているところでございます。

 国家公務員の超過勤務の縮減につきましては、従来から重要課題の一つといたしまして政府全体で連携しつつ取組を進めてきたところでございまして、人事院では、超過勤務の縮減に関する指針というものを平成十一年に当初発出いたしまして、他律的な業務の比重の高い部署を除きまして、一年について三百六十時間の上限の目安時間というものを設けました。

 さらに、平成二十一年には、他律的な業務の比重の高い部署につきましても、一年について七百二十時間の上限の目安時間というものを追加いたしまして、これらを超えて超過勤務をさせないよう努めることなどを各府省に求めてきているところでございます。

 また、日ごろよりさまざまな機会を捉えまして、各府省への働きかけ、意見交換等を行っておりますほか、例えば長時間労働の是正に向けた取組の事例集なども作成して各府省に提供するなどの支援も行ってきているというところでございます。

森田委員 私も個人的な仕事の方で介護の事業所を普通の法人の形でやっておりますけれども、よく社会保険労務士から言われておりますのが、労働裁判をやったら負けますよという話をよくされております。やはり、普通だったら、民間企業であれば監督署がそこに入って、チェックをしたり指導したりということがあると思うんですけれども、その役割をされているのが人事院だと思っております。

 聞くところによりますと、勤務管理の方法といいますか、時間の管理のやり方も、判こをある時間までに押して、それで帳簿を下げてしまうということで、終わった時間がではどのくらいなのかということも正確には把握し切れていないというような実態もあるというような話も聞いております。

 今聞いた二百二十八時間というお話もどこまで正確なのかなというあたりも含めて、ぜひこれからより正確な把握をしていただけるようにお願いをさせていただきたいなというふうに思っております。

 超過勤務、これだけの数字が現状でもあるということでございますけれども、超過勤務の上限の規制というものを明確に設けるべきではないかなというふうに考えますが、御所見をお聞かせいただければと思います。

合田政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の超過勤務につきましては、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合に、各省各庁の長が命じることができるということにされておりまして、民間のいわゆる三六協定に基づいて行います時間外労働とは枠組みが異なっているということはございますが、公務におきましても、職員の健康保持、人材確保の観点、また先ほど委員御指摘のワーク・ライフ・バランス等、いろいろな観点から、長時間労働を是正するという必要性は異なるものではございません。

 このため、本年六月に成立いたしました働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律における改正内容も踏まえまして、超過勤務命令を行うことができる上限を勤務時間法に基づき人事院規則で定めることといたしまして、原則としては、一カ月について四十五時間かつ一年について三百六十時間、また、他律的な業務の比重の高い部署に勤務する職員に対しては、一カ月について百時間かつ一年について七百二十時間等と設定する等の措置を講ずることを表明いたしまして、現在、人事院規則の制定等の準備を進めているというところでございます。

森田委員 現在は目安ということを、これから上限を規則で定めるというようなお話を伺いました。ほかの民間企業に対しては国がいろいろな形で指導をしたりという場面があるわけでございますので、このあたりは率先して守れるような形でぜひ取組をお願いできればなというふうに考えております。

 先ほど規則という形で設けていただくというようなお話がございましたけれども、今後、今これだけのまだ超過勤務があるという実態でございますけれども、どの程度超過勤務が抑えられるという見込みを持ってこれから動いていくおつもりでいらっしゃいますでしょうか。ぜひ、どんなことを行っていくということも含めて、これからの方向性をお示しいただければなと思います。

合田政府参考人 お答えいたします。

 超過勤務が発生する要因はさまざまでございますので、現時点においてこれだけ減るということをお答えすることはなかなか困難なところではございますけれども、長時間労働の是正ということは極めて重要な課題でございますので、先ほど御説明しました本年の勧告時の報告において言及したとおり、人事院規則で超過勤務命令を行うことができる上限の時間を設定するなどの措置を講じることとして、現在、具体的な作業を進めておるところでございます。

 また、あわせまして、各府省においては、超過勤務予定の事前確認を徹底するなど各職場においてマネジメントの強化を図るとともに、各府省のトップが先頭に立って、組織全体として業務の削減、合理化に取り組むなど、対策を講じることが必要と考えているというところでございます。

 人事院といたしましても、関係機関と連携しつつ、各府省における超過勤務の縮減に向けた取組を引き続き支援してまいりたいと存じております。

森田委員 先ほどの御答弁の中で、超過勤務をするときには事前に確認をするというお話が出てまいりました。

 これは、内閣の人事局のゆう活についての取組結果概要という資料がございますけれども、その中で、超過勤務予定の事前の確認が行われていたという質問に対しましてお答えいただいた内容が、三一%の方が事前確認がなされていたというふうに答えているというような結果、これは内閣人事局の方で出していただいた資料なので、もちろん御承知のことと思いますけれども、こういうこともございます。

 ぜひ、制度としてはあっても、それがなかなか実効性を持っていないということもあろうかなと思いますので、引き続き取組をお願いできればなと思っております。

 また、先ほど来出ておりましたけれども、目安として設定されている、通常ですと年間三百六十時間、そして他律的な業務ですと七百二十時間という上限の目安があるということでございますけれども、例えば、何が他律的なのかという事例の中で、国会への対応だったり、国際のことであったり、法令のことだったり、予算のことだったり、こういう重要なことについてはということだと思います。

 また、そもそも、上限時間の特例となるような、七百二十時間を超えるようなことも含めてだと思いますが、こういったことについてはやむを得ないことということで、大規模な災害であったり、重要な法令であったり、国際交渉であったりというような、こういうことが挙げられておりますけれども、なかなか、ふんわりとした言葉だけで、では、本当に踏み込んだときにどういう基準でそれをやるのかということは難しい状況だろうなと思います。これは、現在、誰がどういうふうに判断をしているのか。

 これをやはり具体的に規定をして、明確にすべきだというふうに考えるわけでございますけれども、そのあたりについての御所見をお伺いできればなと思っております。

合田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御説明申し上げましたように、現在、超過勤務命令を行うことができる上限の時間を設定することなどの措置について、具体的な人事院規則の改正等の作業を進めているところでございます。

 先ほど御指摘ございました他律的な業務の比重の高い部署につきましては、現在の超過勤務の縮減に関する指針においても同じ概念がございまして、それを基本として今検討を進めているところでございますが、この中には、国会関係ですとか、国際関係、法令協議、予算折衝等によりまして、その業務量ですとか繁忙期が、各府省がみずからコントロールできるその枠を超えて他律的に決まる、そういう比重が高い部署とすることを考えているところでございます。

 また、上限規制の例外となります公務の運営上真にやむを得ない場合につきましては、大規模な災害への対応ですとか、重要な法令の立案、重要な国際交渉その他の重要性、緊急性が高い業務に職員が従事するという場合などを考えているところでございます。

 ただ、そのような職員につきましては、上限を超えて超過勤務を命じることが可能になるところでございますので、その判断というのは厳格に行う必要があるというところでございまして、例えば、法令の立案、国際関係、全て真にやむを得ない場合に含めてしまうというようなことは不適当だというふうに考えておるところでございます。

 具体的な人事院規則におきます規定ぶりについては、今先生からの御指摘も踏まえまして、可能な限り具体的な規定となるよう、引き続き検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 その上で、具体的にどの部署が他律的な業務の比重の高い部署に該当するのか、また、どの職員が重要性、緊急性が高い業務に従事して真にやむを得ない場合に該当するかにつきましては、規則の当てはめとして、各府省において、それぞれの業務の状況等を踏まえ、規定の内容を人事院規則のもとで適切に判断していくという必要があるというふうに考えているところでございます。

森田委員 民間では三六協定がございますけれども、三六協定のところの様式、書式がございますけれども、その中には、例えば、時間外労働をさせる必要のある具体的事由でありますとか業務の種類、こういったものを明確に記述するような書式になっております。

 又は、時間外労働、休日労働に関する協定の中に、臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合、また業務の種類、こういったことを明確に書き入れて、ちゃんと客観的なチェックができるような形を民間には国としては要求しているということがございますので、ぜひ率先してこういうことを、範となるような形で取り組んでいっていただきたいなというふうに思っております。

 最後に、長時間労働の是正ということについては、よく民間ですと政労使という言い方をしますけれども、この三者で、これを例えれば、人事院があり、それから雇主である府省があり、そして働く皆さんの代表がありということで、この三者が、もちろん労働基本権を制約するという中で交渉はできないということはありながらも、情報を共有するだとか、どういう実態があるのかということを、お互い意見を言い、またその解決策を見つけていくというような、いろいろな場面を捉えてこれからの対策、取組をやっていくことが必要かなというふうに思っております。

 ぜひ、そういった実際に働いている皆さんの声を聞きつつ、これから実効性のある取組を進めていっていただきたいなと思っておりますけれども、そのあたりについての御所見を最後にお伺いして、質問を終わります。

一宮政府特別補佐人 長時間労働の是正は極めて重要な課題でございますが、国民のニーズに的確に対応し、適時適切な行政サービスを提供するという役割も同時に果たさなければなりません。

 そのために、勧告時報告において言及したとおり、人事院規則において超過勤務命令を行うことができる上限の時間を設定するなどの措置を講ずることとし、現在、具体的な検討を進めているということは御紹介のとおりでございます。

 また、各府省においても、超過勤務予定の事前確認等を徹底するなど、各職場においてマネジメントの強化を図るとともに、府省のトップが先頭に立って、組織全体として業務の削減、合理化に取り組むなどの対策を講ずることが必要であると考えます。

 本院といたしましても、人事院規則の改正に向けて、職員団体や各府省の御意見も伺いながら、関係機関と連携しつつ、この問題に取り組んでまいります。

森田委員 ありがとうございました。

 私もできる限りのことはやっていきながら、それぞれ私たちがみんな生きがいを持って生き生きと働けるような、そういう環境をつくっていきたいなというふうに考えております。

 ぜひ、引き続きの取組をよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

牧原委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 国民民主党の山岡達丸でございます。

 また質疑の時間をいただきましたことに本当に皆様に感謝を申し上げますとともに、委員長におかれましては、本当にきょうも長い時間の差配、大変敬意を表させていただきながら、質問に入らせていただきたいと思います。

 きょうは、特に人事院勧告に関してのお話だということで、先ほど森田委員からもお話はありましたが、私からは、基本的な人事院のあり方、このあたりについて、ぜひこの機会をいただいてお話を伺えれば、その思いで質疑をさせていただきたいと思います。

 人事院は、一九四八年ですから、昭和二十三年十二月三日に創設されたということで、来月で七十年となるという、ある種、前身の臨時人事委員会というところを見れば、戦後日本を、国家公務員の制度そのものをずっと人事も含めて支えてきたという、そんな組織でもあるわけであります。

 憲法二十八条に保障されている労働者の基本的な権利について、国家公務員も持っているということでありますけれども、それが制約されるという理屈において、この人事院という制度が妥当かどうかは議論があるのかもしれませんが、少なくともその代償措置として、その位置づけを持ってこの制度があるわけでありますから、労使は原則として対等だというのが基本的な戦後の考え方の中で、この基本権の制約の代償機関の性格を持つ人事院も、当然、労使おのおのに対して中立的な立場を堅持していかなければならないというものだと理解するところであります。

 しかしながら、それが、なければならないという精神論で終わるというわけにはいかないわけでありまして、きちんと、その仕組みとして、労使への中立性であるとか公正性であるとか、そうしたことが保たれる、その機能を果たすことができるという形がやはり見えて、これは安心できるものだということを理解するところであります。

 今、人事院は、いかなる措置といかなる仕組みによって、この労使の公正性、公平性というのを担保されているとお考えなのか、そのことをまずお伺いできればと思います。

一宮政府特別補佐人 国家公務員制度は、行政運営の基盤となる重要な制度であり、国家公務員法は、国民に対して、公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを基本理念としております。

 人事院は、この基本理念のもとで、全体の奉仕者である国家公務員の人事行政の公正を確保するため、また労働基本権制約の代償機能としての役割を担うため、中立第三者機関として設置されているものと認識しております。

 人事院の給与勧告制度は、国家公務員が憲法で保障された労働基本権を制約されていることの代償措置として、国家公務員に対し、社会一般の情勢に適応した適正な処遇を確保する機能を有するものです。

 勧告に当たっては、情勢適応の原則に基づき、官民給与を精確に把握した上で、精確な比較を行い、各府省、職員団体を始めとした各方面の御意見も伺いながら、慎重に内容を決定した上で、国会及び内閣に対して勧告を行っております。また、勧告後も、各方面に対し、人事院勧告制度の意義や役割への御理解、その速やかな実施についてお願いをいたしております。

 政府においても、人事院勧告制度の意義や役割に照らして、これを最大限尊重するとの基本姿勢を堅持していただいているものと認識しております。

山岡委員 今、総裁より御答弁いただいたわけでありますけれども、民間との較差を、ここの部分に関しては、公正にきちんと査定して出すんです。そこの実施の部分に関しては、政府と国会にそれを勧告し、そして、お話にありましたけれども、この勧告が非常に重要な役割であるということを説明し、お願いするのです、その意義を理解してもらうんですということをお話をされて、そのことをもって、実施に当たっても中立公正性を担保されているのだという趣旨のお話だったかと思うんです。

 しかしながら、過去の事例として、人事院勧告があったときにも、それが実施されなかったという事例もあったわけであります。

 これは、昭和五十七年でありますけれども、最終的に人事院勧告を不実施ということで、この具体的な中身は、多くを説明するのは差し控えますけれども、人事院勧告をされた後に、いろいろな結果として、この国会に最終的にいわゆる給与に関する法律が提案されない、提案されない中でそれが実施されないということがあった。この問題については、非常に当時から大きな問題になって、さまざまな議論を呼んで、裁判にもなった、そういう話であります。

 この裁判の結果の判例において、政府が凍結をしても、これは、人事院という存在が、国家公務員の労働基本権を制約する、役割を負っているところの、この役割を損なうところを意味するところではない。つまり、不実施があったとしても、この国家公務員といわゆる人事院との関係の中にあって、これは、この関係性が壊れるほどのものではないという判例まで出たという状況でありました。

 このことを鑑みると、労使が公正ということでありながら、政府の判断で凍結をしたときに、それが実施しなくても、最終的に憲法の、裁判にまでもなって、その判例としても、それがそこまでのこととは言えないという話にまでなったという結果を見るに、やはり、これは蓋然的な事実として、使用者側、いわゆる政府側の方が強くて、国家公務員側、労働者側の方が立場的には弱いというようなことをこの事案が示しているのではないかということを懸念するわけであります。

 ですから、これは、きちんとした、実施させることに責任を人事院として持つことのその仕組み、担保が見える形になってくれないと公正だと言えないのではないかということを私は先ほども指摘したわけでありますけれども、この昭和五十七年の案件も含めて、いま一度、総裁の御見解を伺えればと思います。

一宮政府特別補佐人 国家公務員の給与につきましては、従来から人事院勧告を尊重した改定を行ってきていただいておりますが、過去には、今お話のありました昭和五十七年の勧告が不実施となるなどの取扱いがなされたことがございます。その際には、当時の人事院総裁から、大変遺憾である旨が国会において表明されております。

 人事院勧告制度は、憲法第二十八条で保障された労働基本権を国家公務員について制約することの代償措置として、極めて重要な役割を担うものであり、これが本来の機能を果たさない事態が生じた場合には、労働基本権の制約自体が問題となりかねないと認識しております。

 国会及び内閣におかれましては、このような人事院勧告制度の意義や役割に深い御理解をいただき、人事院勧告どおり実施していただきたいと考えております。

山岡委員 今、お立場を踏まえた上での本当に発言だろうと思うんですけれども、その昭和五十七年のお話のてんまつとして、その際に、お話がありましたけれども、総裁から大変遺憾であるということが発せられた。遺憾であるということが発せられたわけでありますけれども、不実施は実行されてしまった。そして、繰り返し今おっしゃられましたけれども、これでは本来の機能を果たさない、このことについて理解をしていただきたいと思っていると。

 まさにおっしゃっていただいたとおり、人事院の存在意義そのものが問われる話になるんだと思っていますけれども、結果として、遺憾を発する、その重さは別にして、そこに、私の受けとめとしては、とどまっているというのがこの事例ではないかと思っております。

 このことを受けて、いわゆる政府として、国家公務員の皆さんを雇っておられる側として、この昭和五十七年のことも踏まえた人事院の存在について、そのことも含めてどのようにお考えか、政府にも見解を伺いたいと思います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の昭和五十七年の例についてでございますけれども、このときは、政府は、人事院勧告を尊重するという基本方針を堅持しつつも、前年度の歳入欠陥あるいは当該年度の歳入不足が極めて多額に上っていたという状況があったということから、同年度に限って、やむを得ない臨時の措置として行ったものでございます。

 基本的に国家公務員の給与につきましては、民間準拠を基本とする人事院勧告に基づき改定を行ってきておりまして、このことは公務員給与に対する国民からの理解を得る上でも重要であると考えているところでございます。

 政府といたしましては、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢のもと、勧告の実施のための取組を行ってきているところでございます。

山岡委員 繰り返し聞くんですけれども、いわゆる基本方針として尊重することは堅持しつつも、この年は異例だったと、その繰り返しをされるだけなんですよ。これは、判例も含めて、裁判沙汰にもなって長期のことに及んだ、さまざまなそうした事案に及んだ昭和五十七年の事態であります。今のお話ですと、尊重するのは基本方針です、でも、この年は異例であって、でも尊重するんです、そういうお話を繰り返されたようにしか聞こえないんです。

 人事院の存在について、昭和五十七年にあった凍結、この重さについてどのように考えて、こうしたことは日常的に政府として取扱いをどう考えるのか、こういうことが繰り返されることがあるのか、そのことを改めてお伺いしたいと思います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、基本的に、人事院という制度、中立的な、専門的な第三者機関として法律上位置づけられているものでございますので、繰り返しになりますけれども、労働基本権の代償措置としての人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢のもとで対応していくことが必要であるということを申し上げざるを得ないというふうに思っております。

山岡委員 今のお話ですと、昭和五十七年にあったことについても、そういうことが起こらない、繰り返されないということの安心の御答弁とはとても思えないわけでありますけれども、しかし、国会でも毎年審議される案件でもありますから、ことしについては、少なくとも、人事院の話を最大限尊重した中で、これはきちんとそうした法案を提出される、そして、そうした方針として、政府としてきちんと尊重して進められる、そのことを強く求めるということをこの場でお伝えして、この話はちょっとここで一回区切りにさせていただきたいと思います。

 次に、残りの時間で、人事院の役割においての社会的影響も含めた、あるいは社会のニーズに対して人事院のあるべき形の中での、その視点から質問をさせていただければと思います。

 人事院の勧告の中で、平たく言えば給料を上下するということについて、直接的に影響するのは三百万人から三百七十万人と言われていますけれども、この決定を見て判断するという民間企業のことを含めれば、非常に、一説には六百万から七百万とか、あるいはそれ以上というような労働者が影響される。六千万から七千万ぐらいいる働き手の中のおよそ一割以上が、この人事院の決定によってさまざま給料のあり方が影響される、そういうような存在にもこの七十年間でなってきているわけであります。

 この中で、少子高齢化であり、あるいはグローバル化であり、家庭環境、働き方の変化、さまざま環境も変化しているこの今の中で、今、人事院はどのような社会的な役割をこの変化の中で新たに担うべきか、そのことも今総裁にちょっとお伺いできればと思います。

一宮政府特別補佐人 人事院の給与勧告は、給与法の適用を受ける一般職の国家公務員約二十七万五千人を対象として、情勢適応の原則に基づいて、民間準拠で職員に対し適正な給与を確保する機能を有するものです。

 委員が御指摘されましたように、地方公務員約二百七十四万九千人や独立行政法人の職員約十七万三千人などについても、人事院の給与勧告を考慮した給与改定が行われていると承知しております。

 この給与勧告の中では、民間準拠による給与水準の改定のみならず、社会経済情勢の変化に対応した俸給制度及び諸手当制度の見直しも行ってきております。

 また、現在、我が国においては、少子高齢化という構造的な問題を背景に、女性や高齢者を含め、誰もが活躍できる社会実現ということが重要課題となっており、公務においても、こうした社会情勢に対応していくことが重要であると考えております。

山岡委員 大変、総裁からさまざま前向きなお話もあったわけであります。女性がさまざま社会の中で活躍する、そういうことにも対応していくのだというお話を、総裁も女性で活躍されているわけでありますけれども、そうしたお話もいただいたわけであります。

 個別の話で、個別事例の、私が、北海道、地元中小企業の皆様の悩みの一つとして聞いている話をお伝えしながら、最後、質問をさせていただければと思うんですけれども、いわゆる、御主人が普通に働いていて、夫が働いていて奥様がパートという事例について、百三万円の壁なんというのが過去によく言われたわけであります。それを超えると、給与調整しないと、さまざま御主人の方の、一般的なモデルケースでいえば、夫の方の控除とかがなくなってしまったりとか、あるいは扶養が影響してしまったりする。

 それが、近年、税制改正の中で、百五十万円という数字を政府は出して、この所得税の三十八万円の控除額をフルにもらえる金額を上げた。これは、いわゆる百三万の壁を更に上げて、一般の御家庭のパート主婦の方が更に壁なく気持ちよく働いてもらおう、そういう社会をつくっていこうという政府の考えの中でやったものと理解しています。

 こうした中で、ただ、これは本当に国家公務員を旦那さんに持つ奥様からの声として、いや、実は、百五十万まで所得税の壁が上がっても、さまざまな制度、全体としても追いついていないんですけれども、国家公務員のいわゆる扶養手当は百三十万円を超えるともらえなくなるのだ。だから、百五十万、百五十万と政府は言うけれども、実は百三十万であり、あるいは、ほかのさまざまなことを言うと、その壁なんか全然、ハードルは下がっていないんだという声を聞く中で、中小企業の皆様ももっと女性に働いていただきたいと思っている。政府はそういう狙いを持って、少なくとも所得税については百五十万という目標を掲げた。

 ならば、その政府の一員として、国家公務員のあり方についても、人事院から、この百三十万円の壁となっている扶養手当、これをやはり百五十万にして、女性が心地よくもっと働いて、地域の中小企業の皆様のところで元気に働ける環境をつくっていく、そういう社会情勢に合わせていく、そういう視点を持って今後の考え方をまた進めていくべきじゃないかと思いますが、総裁の御意見を伺います。

一宮政府特別補佐人 我が国においては、女性や高齢者を含め、誰もが活躍できる社会の実現などが重要課題となっており、公務においてもこうした社会情勢に対応していくことは重要だと考えております。

 これに関連して、働く女性の年収が一定額を超えた場合に、まず、健康保険や厚生年金等の掛金を負担しなければならなくなること、二、税制上の配偶者控除等の対象から外れること、三、配偶者の就業先に配偶者手当があり支給対象となっている場合に対象から外れる可能性があること等から就労調整を行っている方もおられ、この制度のあり方が課題となっているということについては認識しております。

 お尋ねの国家公務員に支給される扶養手当では、扶養親族の所得限度額年額百三十万円は、国家公務員共済組合法、所得税法における被扶養者の取扱い、民間事業所における取扱い等を総合的に勘案しながら設定してきております。

 このうち、所得税法上の配偶者特別控除の収入の上限額は引き上げられておりますが、共済組合法上の所得限度額年額百三十万円は変更されていないと承知しております。

 国家公務員の扶養手当の所得限度額につきましては、これらの関連する制度における取扱い等の社会情勢の変化を踏まえつつ、引き続き必要な検討をしてまいりたいと考えております。

山岡委員 総裁おっしゃっていただいたとおり、百五十万というのが一つ目玉になっても、そのほかさまざまな法律はまだそこに達していないというお話がございました。

 ですから、これは大いに、女性の社会進出というのを促していくあり方というのは議論していく。これは、国会でも私もそういう発信をしていきたいと思っておりますが、少なくとも、人事院の所管されているここの部分における壁があり、そして、政府としての考え方として、壁をなくしていこうということを発信されている、そうした状況でありますから、ぜひ、ほかの状況の様子を見ながらという話もありますけれども、率先したリーダーシップを持って、とりわけ総裁、女性のお立場で頑張っておられて、本当にそうした思いをぜひ進めていただきたい、そのことを最後お伝えをしながら、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

牧原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、定年延長に関連して、宮腰大臣、そして人事院総裁にお尋ねいたします。

 最初に、人事院総裁に定年延長に関する意見の申出についてお尋ねをいたします。

 人事院は、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるという意見の申出を行いました。「六十歳を超える職員の年間給与は、六十歳前の七割の水準に設定することが適当」としていますが、その根拠は何か、御説明ください。

一宮政府特別補佐人 国家公務員の給与は、社会一般の情勢に適応するように変更することとされております。

 民間企業の六十歳を超える従業員の給与の状況を厚生労働省の賃金構造基本統計調査で見ますと、公務の行政職俸給表(一)の適用を受ける常勤職員と類似する管理・事務・技術労働者のフルタイム、正社員の六十歳代前半層の年間給与は、五十歳代後半層と比較して七割程度となっております。

 また、本院が本年実施した職種別民間給与実態調査においても、定年を六十歳から六十一歳以上に引き上げている事業所のうち六十歳時点で従業員の給与の減額を行っている事業所における六十歳を超える従業員の年間給与水準を見ますと、平均で六十歳前の七割台となっております。

 これらの民間企業における高齢層従業員の給与の状況を踏まえ、定年引上げ後の六十歳超職員の年間給与は、当面、六十歳前の七割の水準に設定することが適当であると判断したところでございます。

塩川委員 厚生労働省と人事院の調査を踏まえて七割程度としたということですが、ただ、その中身をきちっと見ておく必要があると思います。

 最初に、厚生労働省の賃金構造基本統計調査ですけれども、これは定年延長の話なんですけれども、この賃金構造基本統計調査というのは再雇用も含んでいる数字ではありませんか。

一宮政府特別補佐人 おっしゃるとおり、先ほど申し上げた賃金構造基本統計調査の数値には、再雇用者も正社員であれば含まれることとなります。

 一方、定年が六十歳を超える事業所等の割合は低く、多くの民間企業においては再雇用制度により対応しているということを踏まえますと、現時点では、定年を引き上げた企業の状況だけでなく、再雇用の従業員も含む正社員全体の給与水準を参考に六十歳超の職員の給与水準を設定することが適当と考えております。

塩川委員 再雇用なわけですから、一度切れているわけですよ。定年延長の話じゃないんですよね。

 こういった賃金構造基本統計調査では、六十五歳までの定年延長が一七%、定年がないのが二%とか、再雇用が八割とかになっているということですけれども、今言ったように、八割が再雇用の例ですから、これを定年延長の話の資料で挙げるというのは妥当なものとは言えない、定年延長の給与について比較するのにふさわしくないんじゃないかと思うんですが、人事院総裁、いかがですか。

一宮政府特別補佐人 先ほども申し上げましたように、定年が六十歳を超える事業所等の割合が低く、多くの民間企業において再雇用制度によって対応しているということを踏まえると、現時点では、定年を引き上げた企業の状況だけでなく、再雇用の従業員も含む正社員全体の給与水準を参考に六十歳超の職員の給与水準を設定することが適当であると考えたところでございます。

塩川委員 定年延長の議論の際の資料としてやっているわけですから、再雇用の話を持ち出せるんだったら、では、今の再任用の話と比較するような話じゃないですか。公務における再任用と比較するのであればまだしも、公務の定年延長の話なんですよ。そういう際に、民間はどうかといったときに、再雇用を含むような、それが八割を占めるようなこういった資料をもとに議論するというのは、これはそもそも定年延長の数字として妥当なものではないということははっきりしていると思います。

 もう一つ挙げている人事院が実施をした職種別の民間給与実態調査ですけれども、これは、「定年を六十歳から六十一歳以上に引き上げている事業所のうち六十歳時点で従業員の給与の減額を行っている事業所における六十歳を超える従業員の年間給与水準について見ると、平均で六十歳前の七割台となっている。」ということなんですが、ここで説明があったように、定年延長をしている事業所のうち六十歳時点で給与を減額している事業所だけをとって比較をしているわけですよね。そういうことですよね。

森永政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員が述べられました意見の申出の根拠につきましては、おっしゃるとおり、減額をしている企業の数字の平均値でございます。

塩川委員 そうすると、定年を六十歳から引き上げた事業所において、給与減額ありの事業所の割合と給与減額なしという事業所の割合はどういうふうになっていますか。

森永政府参考人 お答えいたします。

 定年を六十歳から引き上げた事業所において一定年齢到達を理由に給与減額を行った事業所の割合は、課長級で三七・五%、非管理職で三二・三%となってございまして、給与減額を行っていない事業所の割合は、課長級で六二・五%、非管理職で六七・七%となってございます。

塩川委員 つまり、人事院の調査でも、定年延長をしている民間事業所を調べた場合に、給与減額を行っている事業所というのが三割から四割と少数なんですよね。一方、六割、七割を占める給与減額なしのそういった事業所については、これは比較の対象から外しちゃっているわけですよ。

 減らす方のところだけ取り出して、六割、七割を占める多数の給与減額なしという事業所との比較は脇に置いてしまっている。これはおかしいんじゃないですか。いかがですか。

一宮政府特別補佐人 定年が六十歳を超える事業所等の割合は一三・〇%であり、多くの民間企業はいまだ再雇用制度により対応しているということも踏まえますと、定年が六十歳を超える事業所等の状況のみを参考に六十歳を超える職員の給与水準を設定することは適当ではないと考えております。

 他方、六十歳を超えて引き続き同一の職務を担う場合は、本来、給与水準が維持されることが望ましいこと等から、六十歳を超える職員の給与水準の設定につきましては、当分の間の措置として位置づけております。

 今後、民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況等を踏まえ、六十歳前の職員の給与カーブも含めてそのあり方を引き続き検討することとしたいと考えております。

塩川委員 給与カーブの話で、中高年を引き下げて何となくならすような話というのは、これは受け入れられない話なわけです。

 当分の間の措置と言いますけれども、当分の間というので未来永劫やっているような制度なんて山ほどあるわけですから、当分の間なんという言葉でこれはあたかも時限であるかのように言われるというのは、こんなのは是認することができないわけであります。

 意見の申出の中でも、「六十歳を超えても引き続き同一の職務を担うのであれば、本来は、六十歳前後で給与水準が維持されることが望ましい。」と言っているわけじゃないですか。だから、当分の間という形で、これがずっと続くわけじゃないかのように言うんだけれども、当分の間はずっと続く制度になっているところも多々あるので、これで引き合いに出してほしくはないんですけれども。

 ここに言っているように、「六十歳を超えても引き続き同一の職務を担うのであれば、本来は、六十歳前後で給与水準が維持されることが望ましい。」これはもっともな話だと思うんですけれども、そうですよね。ここの立場でやるということが、本来、基本じゃないですか。

森永政府参考人 国家公務員の給与につきましては、国家公務員法により、社会一般の情勢に適応するようにと、情勢適応の原則を定めておりまして、民間の動向等を踏まえて適切に設定していく必要があるということでございまして、給与に対する国民の御理解でございますとか、納税者の、税金の使い道としての国民の目等もいろいろ考慮しまして、現時点では、意見の申出のように、当分の間の措置として七割の水準を設定した上で、今後の民間の動向をしっかりと把握して、今後必要な見直しを進めてまいりたい、そういうふうに考えてございます。

塩川委員 いやいや、だから、比較の対象としておかしいんじゃないですかということをただしているわけで、厚労省の場合でいえば、定年延長の議論のはずなのに、再雇用が八割というデータをもとに比較する、それで七割ですよと言われても、これは納得いく話ではありませんし、人事院の調査でいえば、定年延長をしている民間事業所のうち給与を減額しているところだけを取り出して七割程度ですと。

 つまり、下げるということありきでの議論になっている。そこがおかしいんじゃないですか。そう思いませんか。

森永政府参考人 先ほど総裁からも御答弁いたしましたけれども、定年が六十歳を超える事業所等の割合は一三%にとどまってございまして、多くの民間企業はいまだ再雇用制度により対応しているということも踏まえますと、定年が六十歳を超える事業所等の状況のみを参考に、六十歳を超える職員の給与水準設定をすることは適当でないと考えているところでございます。

塩川委員 そこは慎重に考えないといけないと思いますよ。だって、官の方がそういうふうに決めたら、民間がそれに学ぶという話になっちゃうじゃないですか。こういった形で、一方的にこういう数字を決めるようなことというのを、減額ありきの議論ということは絶対おかしいんですよ。

 それって、人事院のそもそもこの検討そのものが、政府からの要請を受けてのものですよね。政府の公務員の定年の引上げに関する検討会、この論点整理の中で、「六十歳以上の職員の給与水準については六十歳時に比し一定程度引き下げることが適当」だと。要するに、そもそも、引き下げてくれということを踏まえた検討になっているからじゃないですか。

一宮政府特別補佐人 確かに、政府の方からの要請はございました。しかしながら、人事院といたしましては、平成二十三年に既に意見の申出をしておりまして、そのときも同様の意見の申出になっております。

塩川委員 政府全体として、人件費の抑制方針を持っているということが大前提にあるわけです。

 宮腰大臣にお尋ねをいたしますけれども、率直に言って、給与引下げありきじゃないのかということが問われている。今申し上げましたように、政府の公務員の定年の引上げに関する検討会論点整理で、「六十歳以上の職員の給与水準については六十歳時に比し一定程度引き下げることが適当」としている。こういうことを前提に給与引下げありきで進めるようなことというのは、絶対認めることができない。その大もとにある総人件費抑制方針そのものをもうやめるときじゃないのか。担当大臣として、そのことについてお答えをいただきたい。

牧原委員長 宮腰大臣、申合せの時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

宮腰国務大臣 お答え申し上げます。

 本年二月の論点整理におきましては、これは、公務員の定年の引上げに関する検討会の中で種々検討されてきた、その論点の整理を出したものでございます。

 御指摘のとおり、「給与制度については、人事院勧告事項であるという前提の下、国民の理解を得るためには、民間給与水準との均衡の確保及び総人件費の増加の抑制の必要性を踏まえたものとする必要がある。」ということ、「こうした基本的な考え方の下、」「六十歳以上の職員の給与水準については六十歳時に比し一定程度引き下げることが適当ではないか」という論点をお示しした上で、同日、二月十六日付で人事院に検討を要請したところであります。

 本年八月の人事院の意見の申出におきましては、六十歳を超える職員の給与について、第三者機関である人事院において、専門的な見地から判断されたものというふうに認識をいたしております。

塩川委員 七割、削減前提で話を進めるというのは断固反対であります。総人件費抑制方針の撤回を求めて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

牧原委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。宮腰国務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮腰国務大臣 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本年八月十日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、指定職俸給表を除く全ての俸給表について、俸給月額を若年層に重点を置きながら引き上げることとしております。

 第二に、勤勉手当の支給割合について、年間〇・〇五月分を引き上げること等としております。

 第三に、宿日直手当について、通常の宿日直勤務に係る支給額の限度額を勤務一回につき四千四百円に引き上げる等、所要の改善を図ることとしております。

 このほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な措置等について規定しております。

 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定にあわせて、必要な改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 秘書官の俸給月額及び内閣総理大臣等の特別職の職員の期末手当について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うこととしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

牧原委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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