衆議院

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第4号 令和元年11月6日(水曜日)

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令和元年十一月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松本 文明君

   理事 井上 信治君 理事 関  芳弘君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 宮内 秀樹君 理事 今井 雅人君

   理事 大島  敦君 理事 太田 昌孝君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    金子 俊平君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    田畑 裕明君

      高木  啓君    長尾  敬君

      丹羽 秀樹君    西田 昭二君

      平井 卓也君    藤原  崇君

      本田 太郎君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    青山 大人君

      泉  健太君    大河原雅子君

      篠原  豪君    関 健一郎君

      中島 克仁君    中谷 一馬君

      森田 俊和君    柚木 道義君

      吉田 統彦君    早稲田夕季君

      江田 康幸君    佐藤 茂樹君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  武田 良太君

   内閣官房副長官      西村 明宏君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  齊藤  馨君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菅家 秀人君

   政府参考人

   (内閣官房全世代型社会保障検討室次長)      榎本健太郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       山下 哲夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       堀江 宏之君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           西  浩明君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 英司君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            松尾恵美子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 茨木 秀行君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        嶋田 裕光君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            佐藤  淳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           田邊 靖夫君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     田畑 裕明君

  青山 大人君     関 健一郎君

  吉田 統彦君     篠原  豪君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     丹羽 秀樹君

  篠原  豪君     吉田 統彦君

  関 健一郎君     青山 大人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣参事官齊藤馨君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。

泉田委員 おはようございます。

 新潟五区選出、自由民主党、衆議院議員泉田裕彦でございます。きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 公務員給与について、さまざまな視点を交えてきょうは質問させていただきたいと思います。

 まず、公務員給与、どういうものか。考えてみますと、やはり、これは公務の能率を上げ、かつ公平な制度でなければならないということだと思います。国家公務員法にも、「国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的」ということがその目的に記述をされております。まさに国民全体から信頼され、愛され、そしてまた能率を上げる公務員制度、これの基本、骨格をなすものがやはり給与法ということになるんだろうというふうに受けとめております。

 また、その性格上、能率を上げ、公平性を担保するということから、民間においても公務員給与に準拠をするという企業も多く見られます。これは外郭団体等にとどまらず、公益的使命を帯びている銀行等の金融機関等、こういったところにおいても公務員給与を参考にしながら給与が決まっていくという実態があるわけでございます。

 一方、公務員給与、これはいろいろな感情を持って国民の皆さんから見られているということも事実だと思います。

 例えば、地方に行きますと、やはり公務員の給与は高いのではないかというようなことが言われる場面というのが時々散見されるということでございますし、一方、都市部の大企業に勤めるサラリーマンと比べると少しどうなんだろうかと、むしろ反対に受けとめられるというようなケースもある。同期と比べて、公務員給与、民間企業に行っていればもっともらえたんじゃないかというような感情を持つというようなケースというのも見られるということだと思います。

 これは、さまざまな考慮すべき要素がある中で、この給与制度を公正なものにするために人事院の勧告があり、そしてまた給与体系が定まってきている。さらには、国会において審議されることによって国民全体の皆さんから御理解をいただける仕組みになっているというのが給与法ということだと思います。この給与制度を公正でかつ能率の高いものにしていくために努力をしていただいている皆様方に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 それで、現在の社会情勢を少し振り返ってみたいと思いますけれども、最低賃金は各県ごとに設定されているわけでありますけれども、この最低賃金については、二十年ぐらいの規模で見ると、残念ながら格差が拡大してしまっているという現実があります。数字でいいますと一・五倍ぐらいに拡大しているのかなということだと思いますけれども、公務員制度を通じて何とか格差を縮小できないものなのかなということを日々感じております。

 実際、平成の初めのころ、私も当時通産省に入省させていただきました。当時は週休二日制というものが定着しておりませんでした。土曜日、課長と補佐が順番に休む、こういう時代があったわけでありまして、日本も、平成版、平成版だと思います、働き方改革をしなければいけないということで、この週休二日制をどう定着させるのか、中小企業と大手企業で差があるじゃないかという中で、むしろ政府主導で、閣議で了解を得るなどをしながら、週休二日制は公務員主導で大きく広げていったという歴史もあるわけでございます。政府方針と人事院勧告、これが相まって日本社会のありようが変わってきたということも平成の時代にございました。

 公務員の給与、それから勤務条件、どのように定めていくのかということは、社会情勢、民間がこうだからこうですと受動的に決まるだけではなくて、やはりどうあるべきかということを先導していく役割もあるのではないかというふうに考えております。

 喫緊の考慮すべき課題、何があるかというと、直近の話題を出して恐縮なんですけれども、小泉進次郎議員が育休をとるかどうか、男性育休の問題ということも社会問題となっております。こういった社会情勢を受けとめるという中で、どう政策的に対応していくかということも重要な課題だと思います。

 特に、男性育休の問題は、振り返って考えてみますと、これは少子化社会への対応をどうするかという根本的な問題の中の一つのパーツというふうに私は受けとめております。少子化社会に対応できなければ、日本の人口が、百五十年、二百年たつと一人になってしまうというようなことになるわけですから、ちゃんとした少子化対策をいかに進めていくのかということは重要な課題でございます。

 私の地元で、保育士不足ということが顕在化いたしております。この原因は、やはり都市部と地方において給与格差が大きいということに一因があるのではないかなと。後ほどもう少し詳しくお話をさせていただきたいと思うんですけれども、例えば、少子化が進んでいる地方において、保育士になりたいと手を挙げてみてもなかなか職がない。なぜならば、少子化が進んでいくので、正規職員の採用が難しい。募集になっているのが、臨時職員、パートの保育士さんというような状況があります。

 実際、就職、求人情報サービスをインターネットで検索して、もし自分が今、保育士になろうと思って手を挙げると、一体どれぐらいの給与がもらえるのかということを調べてみようと思いました。新宿と長岡で検索してみたんですけれども、何と新宿では、正規職員の募集で、特に重要なのは、今、待機児童対策をどうするかということが重要な課題として出ていますので、さらに地方で、東京都が上乗せし、二十三区が財源を上乗せをするということで、かなり条件のいい募集が出ています。

 ところが、地元の長岡で検索をすると、正規職員の募集がないものですから、そうすると、ボーナスがないということが前提になりますので、すぐ百万、百五十万の年収格差が生じるという現実が生じています。若い人に地元に残ってくれと言っても、これはなかなか難しくて、やはり給料の高い都市部に出ていこうかというような状況というのが見受けられる。

 一度、内閣府に、これは何とかならないか、つまり、長岡で保育の仕事をしても新宿で保育の仕事をしても、保育をする価値は一緒じゃないか、給与を一緒にしてほしいというお話をしたところ、いや、公務員給与はそうなっていません、公務員給与に準拠なんですということを言われて、対応してもらえなかったということがあるわけです。この公務員給与をどのように決めていくのかということは、やはり大きな影響を社会全体に与えているのではないかなというふうに実感をいたしております。

 そこで、人事院にお伺いをしたいんですけれども、今回の法改正の概要、拝見をいたしますと、若手を手厚く処遇をするという改正内容になっているかと思います。現在の社会情勢をどのように認識して、今回の改正効果をどのように期待しているのか、伺いたいと思います。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 本年の給与勧告におきましては、民間給与との較差が三百八十七円と昨年よりもかなり小さくなった中で、初任給について民間との間に差があるということを踏まえまして、議員御指摘のように、初任給を中心に若年層の給与を重点的に引き上げることといたしたものでございます。

 人事院といたしましては、民間給与との比較を精確に行い、その結果に基づいて必要な勧告を行うことによりまして、職員に対し、社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保し、その士気の向上や公務における人材の確保を図ることができるものというふうに考えておるところでございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 人事院勧告の性格を考えてみますと、これは、公務員の労働争議権が制約をされるという中で、その代替措置という性格がありますので、当然、民間の状況というのを反映した勧告をするということになるんだろうというふうに思います。

 給与実態調査をもとにこの勧告が出されたというふうに承知をいたしておりますが、給与実態調査は、民間企業と公務員の較差、全体として捉えた調査というふうに承知をいたしております。すなわち、年齢等関係なく、要は、民間の給与それから公務員の給与を調べた上で、じゃ、どこにどう配分するかということが、これは給与実態調査では明らかになりませんので、まさに人事院の裁量の中で、若手職員を確保しようということで、若手の方に重きを置いたということだというふうに受けとめております。かなり裁量もお持ちなんだろうというふうに思っています。

 逆に言いますと、若手を確保しないといけないような社会情勢、これも振り返って考えてみますと、少子化が進んでいる中で、優秀な人材をやはり公務員にも登用していく必要がある。一回公務員になっていただければ、その後、長く勤めていただけるというような期待があるものだから、どうしても若手の方に重きを置くということになるんだろうと思います。

 また、勤務地も、都市部を中心ということになると、先ほどもお話をさせていただきましたが、大企業でかなり給料のいい企業さんもおられるわけですので、そことの競争もしなければいけないというようなこともやはり背景にあるんだろうというふうに察しております。

 そこで、格差、これは今、官民較差の話ということで給与法改正案を出していただいたという御説明であったわけですけれども、でも、格差は、官民較差のほかに、やはり地域格差というのも存在しているということだと思います。実際、公務員給与には地域手当制度というものが盛り込まれております。人事院には、ぜひともこの地域格差を是正するという方向で物事を捉えていただけないかなということを、この場をおかりしてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 というのは、地域格差を放置するとどうなるのか。東京一極集中と言われますけれども、最も合計特殊出生率の低い都道府県が東京都ということになるわけです。地方にいれば、夫婦で希望する子供を産み育てることが可能であるにもかかわらず、東京に出てきたことによって、残念ながら、希望の子供の数を持てないというようなことも生じているわけです。

 地方においては、広いスペースがあって、空き家がふえているというような状況になっています。また、先ほど保育士さんの例でお話をさせていただきましたけれども、給与の格差がかなりあるということで、地元に残れというのは難しい。

 やはり、地方において生活をして、自分のふるさとに誇りを持って、都市部に住んだのと遜色ないような、そういう生活環境を保障できるような国にしていかなければ、やはりどうしても都市部に人が集まってくる。その結果起きるのは、まず地方の疲弊が起きるということではないかなというふうに思います。

 この地方の疲弊が起きるとどうなるのか。東京、大阪、名古屋という大都市は、地方から人を吸収しながら大きくなっていっている町でございます。地方に人材の供給余力がなくなれば、次に枯れていくのが大都市部。それは、日本全体が大きく衰退をするということを意味するということだと思います。

 結果として、子育てが難しい地域に人口集積を進めるような給与制度になっているのではないかということを懸念をいたしております。

 公務員給与、地域によって差が生じていることを当然としてなされていることについて、いま一度考えてみていただけないかなというふうに思います。

 政府内でも、厚生労働省では、同一の仕事に従事する労働者は皆同一の賃金が支払われるべきであるという概念、同一労働同一賃金、これを推奨しているというふうに承知しています。

 厚労省が推奨している同一労働同一賃金の意味合い、十分承知をしているところでございますが、じゃ、地域間格差を放置していいのかというと、やはり、働く場所で給与が大幅に違う、それも広がっていくというような状況というのはぜひ防いでいく方向にしていただけないかな。

 現在、公務員給与においては、働く地域で一級地から七級地まで地域手当が創設をされているという状況になっております。これをそのままに放置するということは、国民を、働く地域によって一級国民から七級国民に分類するということにつながっていくんじゃないかなというようなことも懸念をいたしているわけでございます。格差を固定化させないような公務員給与体系、どうあるべきかということも検討してほしいというふうに思っています。

 そこで、人事院にお伺いをしたいんですけれども、国家公務員の地域手当を設けている理由、及び地域手当はどのように設定されているのか、現行制度について教えていただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の地域手当は、特に民間賃金の低い地域を中心に、公務員給与が高いのではないか等の議論がある中で、全国一律に適用される俸給表を補完して、地域の民間賃金水準を国家公務員給与に適切に反映させることを目的として設けられたものでございます。

 地域手当の支給地域や支給割合につきましては、国民の理解を得られるものとなるよう、政府統計を用いて算出した客観的なデータに基づいて、統一的な基準により定めることが必要であるというふうに考えておるところでございます。

 このため、民間賃金水準を都市ごとに集計できる賃金構造基本統計調査、これを踏まえまして、国家公務員が在職している地域について、民間の賃金水準に応じた支給割合を定めておるところでございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 冒頭申し上げたとおりなんですけれども、やはり公務員給与というのは、公務の能率を上げること、また公平な制度になること、国民の理解を得ることが必要だということで、現在人事院が検討しているやり方というのが現行制度になっているということだと思います。さまざまな課題、不公平感をいかに中和していくのか。

 ただ、私が思うのは、ここから未来に向けてどう誘導していくのかという視点、これも必要ではないかな。現行制度については、確かに地域間格差があるわけです。地域間格差がある中で国民の皆さんに納得していただくということ、これは現行の仕組みとして当然必要なこと、一定の合理性があるものというふうに思います。

 しかし、日本が抱えている大きな課題、最大のものの一つがやはり少子化社会ということだと思います。この少子化社会を放置をしておくと何が起きるのか。結局、今の年金が破綻するしないというような議論が起きるのも、働き手、年金を納める次世代が減っていく前提で計算をするからそういうことになる。

 国民が、年齢構成が釣鐘型といいますか、ちゃんと次の時代に続いていくということができれば、また年金の計算も別な計算というものが可能になるわけです。これは、都市部と地方との関係の問題でもあるわけで、まさに、狭いところに人が多く集まってくるということになると子育てができない。

 以前、某県知事さんと意見交換をしました、都市部の。我が県における最大の少子化対策はと。私は耳を聞き立てました。そうしたら、出てきた言葉が、古い公営住宅、二DKですね、これを二戸を一戸にすることですと言われました。

 どういうことかといいますと、二DKの中で、二・何人子供が欲しいといっても、そんなスペースはないわけです。大都市部で子育てをしようと思えば、やはり四DKとか広い部屋がないとできないということです。だから、希望する子供を持てるような環境を公営住宅で提供していくということが少子化対策につながるんですということを言われて、うん、そういうことだよねということで納得をしたことがございました。

 やはり、地方で豊かな生活を送れるためには、給与格差というのは是正していく必要があるだろうし、その方向に行かなければ、地方が枯れ、その後、大都市に供給する人がいなくなって、そして、結果として日本が衰退をするということになるんだろうというふうに思います。

 日本の働き方改革、これは働いている人のためにもなるんですけれども、日本が国として存立していくためにはどうしていったらいいのかという観点も含めて、ぜひとも検討を進めていっていただきたいなというふうに思っております。

 それには、国民の皆さんが納得をいただく給与、田舎と大都市で、どういうふうに不公平感をなくしていくのかという観点が大切ですけれども、未来に向かってどう直していくのか、大きな政策判断を行っていく必要があるのではないかというふうに思います。

 週休二日制の導入のときは、人事院勧告だけでは動きませんでした。やはり、政府全体で方針を決めた上で、こっちに行こうよということで、週休二日制。学校現場は、土曜日、本当に生徒児童がうちにいていいのかというような議論も全部社会の中で包含するいろいろな話を、政治の場でも議論しながら結果を出してきたということだったんだと思います。

 この大きな政策判断、やはり、政治の責任として考えていっていただきたいなと私は思っているわけですが、そこで武田大臣にお伺いしたいと思います。

 公務員給与に準拠して給与を決める準公務員や企業、これも多いわけでありますけれども、人事院勧告が経済、それから民間給与や社会に与える影響をどのように考えておられるのか、御見解をよろしくお願いいたします。

武田国務大臣 国家公務員の給与につきましては、国家公務員法に定める情勢適応の原則のもと、人事院が民間準拠を基本として勧告を行っておりまして、これは、国家公務員の処遇につきまして、国民の理解を得る上でも重要と我々は考えております。

 政府としては、人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢のもと、国政全般の観点から検討を行った結果、人事院勧告どおり、国家公務員の給与改定を行うことが適当であると判断したところであります。

 国家公務員の給与改定は、一般職及び特別職の国家公務員約五十八万五千人に影響するとともに、地方公務員約二百七十四万人や、独立行政法人の職員約十七万人の給与改定に当たっても考慮されておるところであります。

 また、本年の人事院勧告につきましては、景気の緩やかな回復とともに、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが六年連続で実現をいたしました民間給与の上昇をこれは反映したものでありまして、経済の好循環のさらなる拡大に寄与するもの、このように考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 大臣言われるとおりだと思います。現在の制度において、今回の人事院勧告、そしてまた給与法の改正案が出されたというふうに承知をしております。ぜひ、大臣、未来に向かって日本国家をどう設計するか、公務員制度のあり方を引っ張っていっていただけますようお願いを申し上げたいと思います。

 そこで、今ほど大臣からもお答えがありましたけれども、でも、格差が拡大すると、やはり余りいいことはないだろうというふうに思っております。

 看護師、介護士さん、こういった職種においても、残念ながら、都市部からヘッドハンティングというような形で、人が出ていっているという現実があるわけでございます。大都市圏と地方での給与格差、これは民間の問題だ、労使協定の問題だといえば、そういうことだとは思うんですけれども、都市部への人口集中を招いている一因になっているのではないか。都市の子育て環境を、人が集まってくることによって、ますます取扱いを難しくしている、これを促進しているんではないかというふうに思うわけであります。

 そこで、内閣官房にお伺いしたいんですが、民間企業と地方公務員の給与の格差を是正していくために、地方の民間企業の給与水準を上げるための政策、これを、各自治体が頑張れというような地方任せにすることなく、政府主導で立案していく必要があるんじゃないかと思いますけれども、内閣の見解をお伺いしたいと思います。

菅家政府参考人 お答え申し上げます。

 地方の民間企業の所得の向上についての御指摘でございますが、地域の強みを最大限に活用して、地域外市場から稼ぐ力を高め、域内において効率的な経済循環をつくり出して、地域経済を活性化することが非常に重要であると考えております。

 このため、地域経済の担い手である地域の企業の生産性向上や、働き手が安心して働くことのできる雇用機会の創出を図る観点から、地域未来牽引企業への集中的な支援、プロフェッショナル人材戦略拠点の強化等を進めているところでございます。

 これらの取組につきましては、年内に策定する第二期のまち・ひと・しごと創生総合戦略に反映することとしております。

 関係省庁と連携しながら、あらゆる施策を総動員し、地域における魅力的で多様な雇用機会の創出と所得の向上、これを図ってまいりたいと考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 内閣官房として、総合調整機能を発揮して、ぜひ、結果が出るような施策を打っていただけますようお願いをいたします。

 都市部と地方部の所得格差、給与格差を是正できなければ、やはり一極集中というのは継続して、とまらないんだろう。

 残念ながら、今、人口増、社会増になっている部分は大都市圏に限られているという現実です。今の政策だけでは、残念ながら力不足というのが現実ではないかなというふうに思いますので、この流れを変えて、日本全国どこでも笑顔で親子三代が安心して住めるような国づくりにつながるような取組、所得、大事だと思いますので、この辺の対策もぜひ打っていただきたいなというふうに思います。

 建設業も大変です。特に私の地元では、雪が降ります。だんだん冬が近づいてまいりました。建設業に携わられる方が除雪をしていくおかげで、地域で生活ができるという現実があるわけでございます。この建設事業に携わる方が高齢化をしているというのが今、本当に深刻な問題として地域で受けとめられております。このままいくと、除雪することができなくなっちゃうんじゃないか。つまり、人が住めなくなる国土がふえるんじゃないかという危惧も抱いているところであります。

 国土交通省においては、建設業を所管されておりますので、東京一極集中是正に向けた国土交通省のこれまでの取組とそれから結果ですね、自己評価についてどういうふうにお考えなのか、お話しいただければと思いますので、よろしくお願いします。

田邊政府参考人 お答え申し上げます。

 東京一極集中は、特に地方における若者の減少につながっておりまして、地域社会がますます衰退するおそれがあります。さらに、首都直下地震等の巨大災害が切迫する中では、災害リスクが高まる懸念もあります。

 このため、第二次国土形成計画においても、東京一極集中の是正は重要な課題であると位置づけているところです。

 また、国土の基本構想として、生活に必要な各種サービス機能をコンパクトに集約して、それらをネットワークでつなぐ重層的かつ強靱なコンパクト・プラス・ネットワークの国土づくりを推進し、それにより、人、物、金、情報などの動きを活発にすることを掲げ、取組を進めているところです。

 しかしながら、こうした取組は道半ばでございまして、現状でも東京一極集中が継続していることから、国土形成計画の推進による今後の効果発現に向けまして、一層取り組んでまいります。

泉田委員 ありがとうございました。

 皆様方の取組、成果を上げるように期待を申し上げたいと思います。

 高度経済成長期、日本は一億総中流というふうに言われました。これが力強い消費を招き、また設備投資を呼び込み、日本を世界第二の経済大国に押し上げたという経緯があるわけです。この成功体験を含めて、ぜひ実効性のある対策を打っていただけますようお願いを申し上げて、質問、通告してできなかった方々におわびを申し上げて、時間になりましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

松本委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立国社の中島克仁です。

 内閣委員会は初めての所属でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 国家公務員の一般職、特別職の給与に関する法律の改正案、いわゆる給与法の改正案の質疑でございまして、早速質問に入りますが、政府は八月の人事院勧告を受け入れて、国家公務員の一般職の月給を平均三百八十七円、ボーナスを〇・〇五カ月分ふやすことといたしました。これに応じて特別職給与も改定することとなりますが、公務員給与の増額は六年連続となります。

 対象は、国家公務員、それに準じて改定される地方公務員も含めると三百三十万人を上回るということ、影響をしてくる。引上げによって、二〇一九年度は、国家公務員で約三百三十億円、地方公務員で約六百八十億円、合わせて一千億円を超える費用がふえるということとなります。

 大臣にまずお尋ねをいたしますが、先月、十月から消費税率が一〇%に引き上げられました。社会保障制度の維持、借金の返済、幼児教育、保育の無償化等々、国民の多くは納得をせざるを得ない状況なわけですが、国民に負担を求めている一方でこの金額。さらに、障害者雇用率の水増し問題を始め、たび重なる中央省庁の失態。このような状況での給与法の改正、端的に、大臣、どうお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。

武田国務大臣 国家公務員の給与につきましては、国家公務員法に定める先生御指摘のさまざまな社会情勢適応の原則のもと、人事院が民間準拠を基本として勧告を行っておりまして、これは国家公務員の処遇について国民の理解を得る上でも重要と考えております。

 政府としては、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度の趣旨を尊重することが重要と考えております。

中島委員 国民の理解、また人事院制度尊重ということですが、私は決して、優秀な公務員の方、今回も災害等々あって御苦労している公務員の方、給与を増額することはけしからぬとまでは言っているわけではありません。

 先ほども申し上げましたように、たび重なる中央省庁の失態、私は医療や介護、福祉が専門でありますが、昨年の中央省庁を中心とした障害者雇用の水増し問題、財務省のセクハラ発言、公文書の改ざん、毎勤統計の不正調査、さまざまな信頼を失墜する出来事がたび重なっておる。改めて公務員のコンプライアンスが強く求められている中、本当に国民の理解が得られているのかどうか、甚だ疑問です。

 菅官房長官は十月十一日の談話で、今の大臣が答弁された内容と合致しますが、政府は、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度を尊重し、国の財政状況、経済社会情勢など国政全般との関連を考慮しつつ、国民の理解を得られる適正な結論を出すべく検討を行った、その結果、今回受け入れたというふうに談話を残されました。

 先ほども大臣はおっしゃいましたが、具体的に国のどういった財政事情、経済社会情勢、数字として根拠として考慮した結果なんでしょうか。

武田国務大臣 あくまでも情勢適応の原則というのは、これは守り上げていかなくてはならないわけではありますが、非常に、先生御指摘のように、財政状況は厳しい中であるということも我々も承知しております。

 しかし、人事院勧告制度の趣旨というのを踏まえつつ、給与改定が経済の好循環の拡大に寄与すると考えられることなど、国政全般の観点から検討をした結果、勧告どおり実施するとの結論に至り、今国会に法案を提出をさせていただくことに至ったわけであります。

中島委員 全く私は納得できないですね。

 実質賃金も七カ月連続減少、そして先ほども言ったように、先月、十月から消費税が増税しているわけです。今、経済の好循環を生み出すというお話がございました。そういった、一般の国民に理解されるとは、私は到底思えないです。

 もう一つ、国民の理解を得られる適正な結論、国民の理解を得ているというその根拠は何でしょうか。

武田国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、国家公務員法に定める情勢適応の原則のもと、人事院が民間準拠を基本として勧告を行っておりまして、これは国家公務員の処遇について国民の理解を得る上でも重要と考えておるということです。

中島委員 ここでずっと繰り返したくないので、今の御説明では、十月からの消費税増税、国民に負担を求めておいて、すんなりと人事院の勧告を受け入れて、今回の増額改定、とても私は国民の理解が得られているとは思えない。

 この一千億円という額ですけれども、十月から介護従事者の処遇改善、さらなる処遇改善ですが、これに約一千億円の予算がかけられています。さまざまな課題がうっせきして取り囲んでいる中で、今の御説明では、私は国民が理解したという根拠にはならないと。たび重なった法令遵守違反やコンプライアンスの強化を確実に、公務員としての、進めていくことが改めて必要だということを指摘させていただきます。

 中身についてちょっと確認なんですが、今回の給与の引上げ、先ほどの質疑の中でもちょっとお答えいただきましたが、改めて、今回の引上げが初任給、若年層に限定している理由について御説明ください。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 本年の給与勧告におきましては、民間給与との較差が三百八十七円と昨年よりも小さくなった中で、初任給について民間との間に差があるといったことを踏まえまして、初任給を中心に若年層の給与を重点的に引き上げることといたしております。

 行政職俸給表(一)について具体的に申し上げれば、大卒者の初任給を千五百円、高卒者の初任給を二千円、それぞれ引き上げることといたしまして、初任給以外の号俸につきましては、三十歳代半ばまでの職員が在職している号俸について改定を行っておるところでございます。

中島委員 民間とのバランスということで、人事院さんからの勧告の中に、若年層、初任給の増額が入っているということであります。

 一方で、今回の改正案、一般職給与の改定に準じて、特別職の給与も引き上げられます。月例給は二百円、特別給いわゆるボーナスは〇・〇五カ月の引上げとなっておりますが、この中で、内閣総理大臣等の給与について、等ですから大臣も含まれると思いますが、俸給月額が改定がないのに、特別給は一般職に準じて〇・〇五カ月分引き上げる理由、これについて御説明ください。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 特別職の国家公務員につきましては、閣僚等のほか、内閣法制局長官、宮内庁長官、公取委員長、審議会の委員等、さまざまな職が含まれております。

 これら特別職の給与全体につきましては、特別職の官職相互間、それから一般職の職員の特に幹部職員との給与のバランスをとり、公務員全体の給与体系を維持するという観点から改定を行っておりまして、具体的には、従来より、一般職の指定職職員、審議官級以上でございますが、指定職職員に準じて改定しているところでございます。

 本年の給与改定では、一般職の指定職職員につきましては、俸給の月額改定がなく、一方で特別給が〇・〇五月分引き上げるということになっておりますことから、これに準じて内閣総理大臣等の特別給についても〇・〇五月分の引上げを行うということにしたものでございます。

中島委員 今、審議官等々、特別職、さまざま多岐にわたる職種があるということですが、確認ですが、先ほどの初任給、若年者の昇給に関しては人事院の勧告、一方で、今の特別職の給与の改定については、これは人事院の勧告とは別ということでよろしいですか。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 人事院の勧告そのものではございません。従来から、人事院勧告に準じて改定しているというものでございます。

中島委員 勧告内容ではなくて、準じて引上げを決められた。これは政府が決めたということでよろしいですね。うなずいてくれればいいです。

 先ほど申し上げたように、中央省庁のたび重なる失態はそうなんですが、今国会でも、経産大臣、法務大臣、また元の厚生労働政務官始め、公職選挙法違反、また口きき疑惑、明確に説明責任を果たしたとは思えない、こういう状況の中で、例えば、多岐にわたる職種がありますが、これは政治判断で、こういう政治状況、政治も行政も信頼を失墜し、今まさに襟を正して国民の信頼を取り戻さなきゃいけない、私はこの姿勢が問われるんだというふうに思います。

 これは、例外として、政治判断で、例えば政務三役、今回は増額改定しないという判断は理屈的に可能なんでしょうか。

堀江政府参考人 法律上、先ほど申し上げましたとおり、特別職の給与につきましては、さまざまな特別職のポストがございます。その全体のバランス、それから一般職とのバランス、そういったことを考えて設計しておりますので、これを特定のところだけを特別扱いすると全体のバランスを失することになるのではないかと考えております。

 なお、閣僚等におかれましては、内閣として行財政改革を引き続き着実に推進するという観点から、給与の自主返納、内閣総理大臣は三割、国務大臣、副大臣は二割、大臣政務官は一割を国庫に返納していただいていると承知しております。

中島委員 これはバランスだけの問題でしょう。政治判断できるんじゃないですか。私が承知しているのは、過去にそういう例もあったと承知しています。

 大臣、これは先ほど来私が指摘しているように、恐らく〇・〇五カ月分、総理も大臣もということですが、ウン十万単位だと思います。そういうお考えはないですか。

武田国務大臣 常に我々政治家は国民から信頼を得るために襟を正していかなくちゃならないというのは、これはもう当然のことであります。

 委員が御指摘のように、いろいろな不祥事等が起こっている最中に、大臣、閣僚の給料を上げないという政治判断があってもいいんじゃないかという御指摘であります。

 特別職の国家公務員につきましては、我々を含めて、内閣法制局長官でありますとか公正取引委員会委員長、宮内庁長官、審議会等の委員などもこれは全て含まれております。これら特別職の給与につきましては、特別職の官職相互間及び一般職の給与とのバランスを図り、公務員全体の給与の体系を維持するなどの観点から、従来より一般職の指定職職員に準じて改定しておりまして、今回も同様に措置することと考えられております。

 なお、閣僚等我々は、内閣として行財政改革を引き続き着実に推進する観点から、給与を、これは月例給及びボーナスなんですけれども、自主返納を行っておりまして、内閣総理大臣は三割、国務大臣、副大臣は二割、大臣政務官は一割をそれぞれ国庫へ返納しているところであります。

中島委員 自主返納されていることも承知しております。今回は給与法の改正、改定に当たって、菅官房長官の発言の中、国民の理解を得たという、その根拠も私は明確でないと思います。そういう中で、その姿勢が私は問われるんだというふうに思います。

 前例踏襲ではなくて、やはり、政治判断できる部分について、過去にもそういう例があったと私は承知しておりますので、そういう判断も必要だということも指摘をさせていただき、次の質問に入りたい、そのように思います。

 次に、国家公務員の定年延長と給与法改正、また自民党行政改革推進本部の意見書の関係性について質問いたします。

 人事院は、昨年の八月、段階的な定年延長と、給与を六十歳より前の約七割とすることを求めた意見書を政府に提出いたしました。国家公務員の定年延長については、平成二十年の国家公務員制度改革基本法第十条で、定年を段階的に六十五歳に引き上げることについて政府において検討する旨規定されています。その後も、平成二十三年、国会及び内閣に対し、定年を段階的に六十五歳に引き上げることが適当とする人事院からの意見の申出もありました。また、行政機関での検討会や政府の論点整理の中に、検討するという言葉が盛り込まれ、公務員の定年延長問題は長い間、検討、検討、検討を続けてきた歴史があります。昨年の六月には、いわゆる骨太の方針で、再度、公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げる方向で検討する旨閣議決定をされました。

 端的にお尋ねいたしますが、私は、この閣議決定を受けて、公務員の定年延長に対する法案、それなりの結論が出て提出されるのかというふうに思っていたわけですが、さきの通常国会も今国会もそのような内容の法案は提出されていない。大臣、いつまでにこれは結論を出されるんですか。

武田国務大臣 御指摘の定年引上げでありますが、先生も先ほどおっしゃいましたけれども、人事院の意見の申出も出ておりまして、これをもとに検討中であります。

 しかしながら、検討すべき事項というものは余りにも多岐にわたっておりまして、結論を得るためには一定の時間を要しているというのが現状であります。それゆえに、現時点では法案の提出に至っておりません。

 検討すべき事項というのはさまざまありますが、例えば、一定の年齢に達した管理職を非管理職に異動させる役職定年制、また六十歳を超える職員の給与制度など、これまでの国家公務員制度にはない新しい制度について検討する必要があるわけであります。

 また、定年の引上げ、そしてまたこうした新たな制度の導入につきましては、将来的な人事管理や職員の働き方にも大きく影響することから、各府省の人事当局などの関係者から意見を幅広く求める必要はあります。このため、検討に相応の時間を要しておるということであります。

中島委員 十年ですよ、もう十年。

 それで、私はここで、定年延長がいい悪い、是非を問う、そんな議論をするつもりはないんですが、人事院から申出もあるわけです。先ほどの給与法であれば、人事院の勧告を尊重し、バランスをとって、あくまでも尊重しということの中で、これはさまざまな別の案件、論点が多岐にわたるということで結論が出ないと。

 安倍内閣の政策の根幹は、これはもちろん年金制度にも関係してくる問題でありますし、一億総活躍社会の方向で、介護離職ゼロ、女性活躍、外国人労働者の受入れ、成人年齢の引下げ、そして公務員の定年引上げ、それを受けて民間にその流れを促す、そういうことだと、たびたび総理もおっしゃっておられるというふうに思います。

 そんな中、自民党の行政改革推進本部が「「公務員制度改革」の徹底について」という意見書をことしの三月に出しています。意見書の主なものは、幹部職員に求められる役割を明確に示すこと、民間からの幹部ポストへの登用の拡大、特例降任の実施、そして、能力・実績主義の人事評価の徹底が明記されて、その上で能力・実績主義を一層貫徹するために、給与制度の見直しこそ最重要課題であると自民党の公務員制度改革本部ですか、結論づけています。

 大臣、お尋ねいたしますが、この提言に対して、大臣御自身はどのように考えているのか。また、国家公務員の定年延長に対する人事院の意見、提言と今回の給与法の改正、自民党行政改革本部の意見書との整合性をどのように考えておられるのか、お尋ねします。

武田国務大臣 今、安倍内閣は、政府におけるありとあらゆる分野への影響というものを考えて、まず隗より始めよ、まずは政府から率先垂範、実践に移すという方向性で全ての問題に取り組んでおります。

 先生御指摘のように、いつまで検討しているんだというところを一番御指摘だと思うんですけれども、これは私もそのとおりだと思います。しかしながら、何でもすぐに決めればいいというものでもありません。やはり各界各層、幅広い意見によって、これをしっかりと熟したものにしていく、間違いのないものにしていかなくてはならない、このように考えております。

 また、行政改革全般に関して言えば、やはり民間の方は、公務員というのはいいな、甘いなという声というのは確かにあるわけですね。そして、先ほどから言われているように、我々は国民の血税をいただいておるわけですから、改めてしっかりとその血税に応える責任ある仕事をこなしていくということが大事である、このように考えております。

中島委員 自民党の行政改革推進本部のこの提言、能力・実績主義の人事評価の徹底、給与制度の見直しこそ最重要課題であるということと、公務員の定年延長、そして給与法の今回の改正ですけれども、大臣、国家公務員制度担当大臣、行政改革担当大臣として、大臣自身がやはりしっかりとしたビジョンを持つ、それが結論を出す大前提だと。大臣自身は、この行革、意見、含めて、どういったビジョンを持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。

武田国務大臣 行革推進本部から、定年引上げにとどまらず、能力・実績主義の徹底等も含めた公務員制度改革の徹底について提言を受けたということは承知をいたしております。

 人事院の意見の申出におきましては、複雑高度化する行政課題に的確に対応し、質の高い行政サービスを維持していくためには、六十歳を超える職員の能力及び経験を六十歳前と同様に本格的に活用することが不可欠となっており、本院としては定年を段階的に六十五歳に引き上げることは必要と考えておるということも、我々は承っておるところであります。

 定年を引き上げる中におきましても、組織活力を維持し、行政サービスの質を高く保つために、職員の在職期間を通じて、能力、実績に基づく人事管理を徹底する必要について述べておるんだろう。

 このように、自民党行革推進本部からの提言も、人事院の意見の申出につきましても、いずれも、先生御指摘の、能力、実績に基づく管理の徹底というものは重要であるというふうに私も考えているところであります。

中島委員 正直、余りよくわからないですけれども、大臣御自身がリーダーシップを発揮して、十年も続いたこの議論をちゃんと結論づける、大臣任期中に結論づける、それでよろしいですか。

武田国務大臣 先ほど申しましたように、これは検討で終わらせるんではなくて、いずれ、しっかりとした結論を出さなければならない、この信念に基づいて、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

中島委員 人生百年時代と言われていて、社会全体で、こういった問題、民間にまさに波及していくために必要、一方で、年功序列の給与体制、今回の給与法も前例踏襲と言えなくもない、こういった問題を、大臣がリーダーシップをとってぜひ結論を、また、国会の中で議論していくことが必要だと指摘をさせていただきます。

 次に、国家公務員の働き方に関連して、国家公務員の介護離職について質問したいと思います。

 まず、これは事実確認ですが、直近の数字で、介護を理由に離職された国家公務員の方はどのくらいおられるのか、また、その数は、この五年間で、ふえているのか減っているのか、まずお尋ねしたいと思います。

合田政府参考人 お答えいたします。

 人事院におきまして、全ての離職者の離職事由を把握しているというわけではございませんが、他方、平成三十年の介護休暇制度の利用状況を調査いたしました際に、職員が介護休暇を終えた後の勤務の状況についても調査をしているところでございます。

 この結果によりますと、平成三十年の一年間に介護休暇を終えた職員が百六十六人おりまして、このうち、その年のうちに介護のため退職をした者は五人となっております。これを、五年前の調査、平成二十五年度の調査結果と比較いたしますと、平成二十五年度の一年間に介護休暇を終えた職員は百六名おりますが、このうち、当該年度内に介護のために退職をした者は六人となっておりまして、平成三十年と平成二十五年度、これを比べますと、ほぼ同数ということになっているところでございます。

中島委員 介護を理由に離職された国家公務員、正式に調査はしていないということですが、介護休暇と言うんでしたっけ、国家公務員は。その後、やめられた方は五人ということでありました。

 加えて、さっき少し触れられたかもしれませんが、介護休暇、介護休業取得率、これは五年前と比較して、ふえていますか、減っていますか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 介護休暇の取得者数でございますが、平成三十年の介護休暇の使用者数は百九十九人、平成三十年に介護休暇を使った者は百九十九人となっておりまして、他方、五年前、平成二十五年度の介護休暇の使用者数は百三十四人でございますので、平成三十年の取得者数は五年前に比べてふえているという状況にございます。

中島委員 私が知っている限りは、介護休暇、休業、国家公務員の方は以前から弾力性ある休業の取得ができる、これが数年前の法改正で民間にもということで法改正がされましたが、介護休業は百三十四人から百九十九人と、全体からするともう本当にスズメの涙ぐらいなんじゃないかというふうにも思いますが、一方で、短期休暇、これは相当ふえておるというふうにお聞きしているんですが、資料の一枚目にも示したように、一億総活躍社会の実現、これは安倍政権の大看板、新三本の矢の一つということで掲げられたわけですが、これは私、厚労委員会で何度も質問していますが、民間の介護休業率、平成二十四年、直近が二十九年になっちゃうんですが、これはむしろ下がっているんですね。下がっているんです。そして、御承知のとおり、介護離職、介護を理由に離職する方の数は約十万人で、一向に減っていかない。

 介護離職を大看板に挙げながら、さらに、その模範となる、規範となる国家公務員、介護を理由に、これは恐らく総務省の就業構造基本調査、結果的には公務員として調べることはなかなか困難で、離職された後、総務省の基幹統計によって把握されるということになると思うんです。

 ここも内閣府にちょっと確認いたしますけれども、安倍総理が最大のチャレンジだと公言する全世代型社会保障改革、その検討会議、第一回目が九月の二十日に開かれました。担当は西村大臣でありますけれども、全世代型社会保障改革の項目に引き続き介護離職ゼロが入っているということでよろしいですか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 全世代型社会保障検討会議におきましては、人生百年時代の到来を見据えながら、お年寄りだけでなく、子供たち、子育て世代、さらには現役世代まで広く安心を支えていくために、年金、医療、介護、労働など、社会保障全般にわたる改革を進めることとしてございます。この大きな方針のもと、検討会議の議員の御意見などを聞きながら具体的な検討項目を固めていくということにしております。

 いずれにしましても、委員御指摘の介護離職ゼロに向けた取組につきましては、これまでも受皿整備などを進めているところでございますので、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

中島委員 確認ですが、全世代型社会保障検討会議の項目に介護離職ゼロが入っているんですか、入っていないんですか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 全世代型社会保障検討会議の検討項目につきましては、現在、検討会議の委員の御意見などを伺いながら具体的に検討項目を固めていく途中にあるところでございますので、現段階におきまして、この中に介護離職ゼロが含まれるかどうかということについては、まだお答えすることができない段階ということでございます。

 恐縮でございます。

中島委員 では、入らない可能性があるということですか。

榎本政府参考人 繰り返しになって大変恐縮でございますが、まさに今、具体的な検討項目について固めるべく検討を進めているところでございますので、そのように御承知おきいただけるとありがたく思います。

 よろしくお願いいたします。

中島委員 私も繰り返しですが、私が聞いているのは、入らないという可能性もあると私は受けとめました。であるなら、介護離職ゼロ、実質、安倍政権の大看板だったわけですが、諦めたと。

 全世代型社会保障、これは厚労委員会でも私は質問させていただき、まだしていないか、これからしますけれども、当初からびっくりしました、介護離職ゼロと。私も地元で医師をやりながら、例えば、介護を理由に離職し、そして年収がどんどんどんどん下がり、真面目な息子さんほどそういった悪循環に入ってしまう。それが、介護離職ゼロにするんだという、三本の矢の一つに入ったときに皆さんは大いに期待した。しかし、実際には、先ほどお示ししたように、民間の介護休業取得率も全く上がらない、そして全体の介護離職の数も減らない。

 そして、今回の全世代型社会保障、社保・税一体改革の次のメニューを恐らく決めていくことになると思うんですが、その中に介護離職ゼロが入らない、まだわからないということであれば、実質これは、もし入らなかったら、あの大看板を取り下げた、その可能性があるというふうに今の答弁を聞いて受けとめましたが、それでよろしいですか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 全世代型社会保障検討会議における検討事項につきましては、今、先ほど御答弁申し上げましたように、具体的な検討項目自体は現時点ではまだ決まっておる状況ではございませんけれども、いずれにしましても、介護離職ゼロの取組につきましては、これまでもしっかりと取組を進めてまいったところでございますし、また引き続きこれがしっかりと取り組まれることになるというふうに考えているところでございます。

中島委員 従来どおりの取組を進めるんだったら、この四年間で全く進んでいないんだから、進むわけないじゃないですか。まだ入るかどうかわからないけれども、引き続き今までやってきたことを進めていくと。でも、今指摘したように、今までやってきて進まないものが進むわけがないということを指摘をさせていただきます。

 具体的に、これは、社会保障審議会の介護保険部会では、来年の介護保険法の改正に向けて、いわゆる要介護一、二の方の生活援助サービスを総合事業に移そう、そういう議論がされているんです。

 これも、実際、私は地元の皆さんにもアンケートをいっぱいとりましたが、実質、要介護一、二の方が総合事業へ移行したら、間違いなく介護離職がふえますよ。

 一方ではそういう議論をし、そして一方では、全然進まないのに、介護離職ゼロは今までどおり進める。そして、今回、大目玉である全世代型社会保障改革に、その中に入っていくかもわからない。全く本気度が感じられないということを指摘をさせていただきます。

 時間がないのでちょっと飛ばさせていただいて、障害者雇用に関連して、障害者優先調達法に基づく実績状況について質問したいと思います。

 これは資料の二枚目にございますが、障害者優先調達法の概要は、障害者の経済面での自立を推進するため、国や地方公共団体などの公的機関が物品、役務を調達する際、障害者就労施設から優先的、積極的に購入することを推進する。

 私、この法律は、先ほど来話をしておりますが、障害者雇用の水増し問題、これを受けて、さきの国会で障害者雇用促進推進法が改正をされました。障害者の自立と、そして活躍を支援する障害者雇用促進推進法と並んで大事な、二本柱となる法律だということを認識しています。仕事に行けない方が御自宅や施設で仕事をする、それを官公庁が率先して仕事をつくり上げていくということです。

 資料の三枚目が、直近の平成三十年度の国の機関による障害者就労施設からの調達実績ですが、内閣府において、前年より物品、役務とも、契約件数はそれぞれ、十一から五件、役務は三十五から二十九件、全体で四十六から三十四件と契約件数は減っています。

 これを質問にしようと思ったんですが、この欄の、小さくて見えづらいですけれども、内閣府の調達方針があります。端的に言うと、前年度を上回ること。これは内閣府だけではなくて、全省庁が、いわゆる、前年を上回ればもういいよという目標設定になっています。これは私は各委員会でいつも質問させていただくんですが、法の趣旨に沿っているとは到底思えないです。

 資料の四枚目、これは二十四年度から二十九年度でありますが、内閣府でいけば、件数、契約額、一旦、二十七年度と二十八年度で下がっているんですね。要するに、目標を一回下げる、そして、その前年度をまた上回れば目標は達成する。これは内閣府だけではなくて、法務省、農水省も、二十四年度の契約額と二十九年度の契約額、農林水産省は約半分に下がっている。にも増して、これは前年度を上回ればいいので、一回落としてしまえば、また少しずつ上げていけば目標を達成してしまう。

 先ほど言ったように、各省庁が率先して積極的に障害施設への物品、役務を調達して、障害者の就労を拡大していく、その趣旨に私はこの調達方針は沿っていないと。地方自治体では、具体的に数字目標を出しているところもあります。

 大臣、前年度を上回るというような調達方針が本当にこの法の趣旨に沿っておるというふうに、大臣自身はどう考えられますか。

大塚政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の障害者優先調達推進法に基づきまして、政府は二十五年の四月に閣議決定におきましてこの物品等の調達の推進に関する基本方針を定め、その中で、調達方針の目標設定に当たっては、物品、役務の種別ごとに、調達実績額が前年度を上回ることを目標とするなど、調達が着実に推進されるよう設定するものとするとなっているわけでございます。これに基づきまして、私ども内閣府におきましても、同じような形での物品、役務ごとの目標が前年度実績を上回るということで、これまで取り組んでまいりました。

 御指摘のとおり、多少、年度で見ますと、若干でこぼこがございますが、それぞれ目標達成に向けまして取り組んできたところでございまして、これからもこの方針に基づきまして障害者就労施設からの物品等の調達を推進してまいりたい、かように考えております。

中島委員 時間ですので終わりますが、最大にやっている、三億調達している厚生労働省でも、物品、役務のうちの障害者就労施設への調達割合は〇・八%ですよ。内閣府さんにも調べてもらっていますが、一%にも満たなくて、この法律の趣旨に沿っているとは到底思えません。まず、明確な方針を出されることを期待します。

 終わります。

松本委員長 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの中谷一馬でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。

 私からも、公務員給与について、るる伺わせていただきたいと思います。

 二〇一九年度国家公務員一般職の月給とボーナスを増額する給与法改正案が閣議決定されました。八月の人事院勧告を受け入れ、月給を平均〇・一%、ボーナスを〇・〇五カ月分をそれぞれふやすとのことであり、公務員給与は六年連続で増額改定となります。この改正は、約二十七万七千人いる一般職の国家公務員のほか、人事院勧告に沿って改定される特別職の国家公務員、地方公務員も含めると、約三百三十万人に影響を及ぼします。

 財務省などの試算によると、引上げによって、二〇一九年度には、国家公務員に約三百五十億円、地方公務員に約六百八十億円の人件費がふえ、国と地方の合計で約一千三十億円ふえる見通しであるとのことでありますが、政府として、消費増税で国民に負担を強いる中、国家財政への影響についてはどのように考えられているのか、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。

武田国務大臣 国家公務員の給与につきましては、国家公務員法に定める情勢適応の原則のもと、人事院が民間準拠を基本として勧告を行っており、これは国家公務員の処遇について国民の理解を得る上でも重要と考えております。

 政府としては、給与関係閣僚会議におきまして、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度の趣旨を踏まえつつ、国の財政状況、経済政策の方向性など、国政全般の観点から検討を行った結果、勧告どおり実施するとの結論を得るに至り、今国会に法案を提出させていただきました。

中谷(一)委員 国家財政への影響を伺ったんですが、余り答えていただけなかったんですが、その中でも、人事院勧告で、人事院は次のような総裁談話を出されているので、ここに関連しても伺っていきたいと思うんです。

 本年四月の月例給について、民間給与が国家公務員給与を平均三百八十七円、〇・〇九%上回る結果となりました。そのため、初任給及び若年層について俸給月額を引き上げることとしました。また、特別給、ボーナスについても、民間事業所における昨年八月から本年七月までの直近一年間の支給割合が公務を上回ったことから、年間四・五カ月分に引き上げることとしましたとあります。

 しかし、人事院が比較対象とした民間の給与は、昨年の勧告資料によると四十一万一千五百九十五円であったのが、本年、二〇一九年は四十一万一千五百十円となり、むしろ給与は減少しています。民間給与が下がっているのに、国家公務員給与は民間給与を下回る結果となったため較差分を引き上げるとはどういう意味合いであるのか、人事院総裁の御見解を伺います。

一宮政府特別補佐人 人事院は、本年の勧告に当たり、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の全国の民間事業所、約一万二千五百事業所を調査し、個々の従業員に実際に支払われた四月分の給与額等を詳細に把握し、国家公務員給与との比較を行いました。その結果、本年の月例給について三百八十七円、〇・〇九%の差があったことから、国家公務員給与の引上げを勧告したものです。

 なお、国家公務員給与と民間企業従業員の給与の比較においては、単純平均ではなく、職種のほか、役職段階、勤務地域、学歴、年齢を同じくする者同士を対比させ、国家公務員の人員数のウエートを用いて精密に比較する、いわゆるラスパイレス方式により行っております。

 毎年の勧告においてお示ししている民間給与は各年四月時点のラスパイレス比較の結果でありまして、民間の全体の状況を示すものではございません。

 いずれにしましても、人事院としては、今後とも、民間給与との精密な比較を行い、その結果に基づき必要な勧告を行うことにより、国家公務員に適正な給与を確保してまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 今、ラスパイレスの比較の話もしていただきまして、民間企業が公務員同様の職層体系を常に維持しているわけではないという趣旨の御答弁を総裁からもいただいたということを思っているんですけれども、おっしゃるとおり、公務員の給与を比較するに当たって、やはり民間企業が今本当にどういう状態にあるのかということを考えていかなければならないということを思っています。

 私は労働者の賃金は基本的に上げていくべきだという立場の人間ですけれども、現状、給与がふえているのは大企業だけで、中小企業の働き手には賃上げの実感が乏しく、景気の先行きに不透明感が漂っていることもあり、大企業でも二〇一九年夏のボーナスは前の年に比べて減額されているケースも少なくありません。

 人事院は二〇一九年四月の月給をベースに比較をしておりますが、それ以降、民間給与は更に減っていることが統計でも明らかになっております。

 十月八日に発表された毎月勤労統計調査の速報によると、八月の実質賃金は前年比〇・六%減少と、前年同月を八カ月連続で下回っております。また、名目賃金に当たる現金給与総額も二十七万六千二百九十六円と、前年同月を〇・二%下回り、二カ月連続でマイナスとなっております。

 国家公務員の給与が民間を下回ったので六年連続で国家公務員の給与が引き上げられているという説明では、あたかも民間の給与が上昇を続けていて、そのため公務員の給与も引き上げるのだと誤解を与えかねません。実際には、国家公務員の給与そのものも、二〇一八年の勧告後は四十一万千五百九十五円だったのが、二〇一九年には四十一万一千百二十三円に減少をしています。

 そこで伺いますが、人事院勧告を行う理由の中では、民間給与が減少傾向にある中でも公務員の給与引上げを行うということについての説明が乏しく、あたかも民間給与が上がっているから引き上げるかのような印象を与えてしまっているんじゃないかという指摘もありますので、この官民較差とはどういうものであるのか、もっと丁寧な説明が必要なんじゃないかということを思うんですけれども、総裁の御見解を伺いたいと思います。

一宮政府特別補佐人 先ほど申し上げましたとおり、人事院は調査対象となる民間企業従業員について、四月分の給与として個々に実際に支払われた額を調査しており、その調査結果を用いて、国家公務員の給与と民間企業従業員の給与についてラスパイレス方式による比較を行っております。

 このような調査及びラスパイレス比較に基づく人事院勧告の仕組みについては、これまでも丁寧な説明に努めてきたところでございますが、今後とも、よりわかりやすい説明ができるよう努めてまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 今までも丁寧な説明をしてきたということであれば、それでやはり納得をしていない方、それで理解ができていない方、多くいらっしゃるからこそ、世論的にそういう風潮が出てくるんだと思います。更に人事院として、より説明をしっかりと果たしていただくことを要望させていただきたいと思います。

 次に、非常勤職員の待遇について伺わせていただきます。

 非常勤職員の待遇については、同一労働同一賃金の原則を一層推進するとともに、国に採用される当該職員の給与水準等の統一性、公平性の確保を図る必要があると考えます。

 そうした中、内閣人事局が発表した国家公務員の非常勤職員の処遇の状況に関する調査、これによれば、平成三十年度において、期末手当に相当する給与が支給される非常勤職員は、期間業務職員以外の非常勤職員二万五千二十七人中、二万三千二百七十二人、九三%、また、勤勉手当に相当する給与が支給される非常勤職員は、特別給の支給が想定されない非常勤職員を除いた、フルタイムの期間業務職員一万二千八百七十六人中、一万一千七百九十六人、九一・六%、期間業務職員以外の非常勤職員二万五千二十七人中、二万二千三百一人、八九・一%などの例が報告をされておりますが、同一労働同一賃金の原則を一層推進し、給与水準の統一性、公正性を確保する観点からも、可能な限り、非常勤職員全員に対して期末手当、勤勉手当を支給すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。御所見を伺います。

武田国務大臣 国の非常勤職員の給与につきましては、一般職給与法の規定によりまして、各府省において常勤職員の給与との権衡を考慮して予算の範囲内で支給することとされており、具体的には、この規定を踏まえて、人事院が定めた指針に基づき、各府省において運用しているところであります。

 常勤職員と類似の職務を行う非常勤職員について、期末手当や勤勉手当の支給状況は、平成二十八年の調査では、全体で二、三割弱の職員に対する支給にとどまっておりました。このため、平成三十年度から非常勤職員の処遇改善を図っていくことについて各府省で申合せを行い、この申合せに沿って各府省で取組を行った結果、平成三十年度には九割超の非常勤職員に対し支給されており、着実に取組が進展されております。

 引き続き、各府省申合せ等に沿って、各府省が処遇改善にしっかりと取り組んでいくことが重要と考えており、そのために必要な働きかけを進めてまいりたいと思います。

中谷(一)委員 非常勤職員に期末手当やさまざま勤勉手当、支払われていたものが二、三割だったものが今九割になって着実に改善されているということであったんですが、確認をさせていただきますが、これは、全て、十割の方に支給されることを目指すという見解でよろしいか、大臣の御所見を伺います。

武田国務大臣 しっかりと働きかけてまいりたいと思います。

中谷(一)委員 明確な御答弁がいただけなかったんですけれども、十割ということでよろしいということで大丈夫ですか。

武田国務大臣 十割を目指して、しっかりと取り組んでいきたい、このように思っています。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 しっかり目指して取組を前に進めていただきたいということを思っておりますが、同じ内閣人事局の調査では、現在審議されている給与法改正が成立した場合、非常勤職員の処遇に関する対応予定についても調査をしており、基本となる給与については、遡及して改定は二千五百七十六人、四・五%にとどまり、施行の当月又は翌月の基本となる給与からの改定、五万二千三十九人、九〇・一%、次年度四月の基本となる給与から改定、二千百九十三人、三・八%、改定しない、九百七十二人、一・七%と報告されております。

 また、期末手当、勤勉手当に相当する給与に関しては、今年度から改定、二万六千三十六人、四五・三%、次年度から改定、千二百五十二人、二・二%、その他、個別に計画を定め段階的に改定、二万六千五百五十八人、四六・二%、改定しない、三千六百四十二人、六・三%と報告をされておりますが、この状況は、一般職の基本給が本年四月一日までさかのぼって改定され、特別給は本年十二月から改定されることと比較をすれば、明らかに公平性に欠けると言わざるを得ない状況であると思います。

 非常勤職員の給与に関しては各省各部局に運用を任せられている面があり、それぞれの予算状況が大きく影響していると先ほど大臣からの答弁でもあったんですけれども、ここは政府がしっかりと統一的な方針を示していただいて、非常勤職員の給与状況を、先ほど一〇〇%を目指していただくという話でしたから、しっかりと改善を図っていっていただきたいということを思うんですが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

武田国務大臣 国の非常勤職員の給与につきましては、繰り返しになりますけれども、一般職給与法の規定により、各府省において常勤職員の給与との権衡を考慮して、予算の範囲内で支給することとされております。

 そうした中で、非常勤職員の基本給の改定時期については、平成二十九年に、常勤職員の給与改定に準じて改定することを基本としつつ、当面は、遅くとも改正法の施行月の翌月の給与から改定することを各府省で申し合わせるなど、各府省、統一的な運用ルールの整備を進めてきたところであります。こうした取組によりまして、非常勤職員の処遇改善は着実に進展してきていると思います。

 国家公務員制度担当大臣として、引き続き、各府省が非常勤職員の処遇改善をしっかりと進めるよう、必要な取組を行ってまいりたい、このように思っております。

中谷(一)委員 御答弁をいただきました。

 私が言っているのは、九割の部署が翌月から給与を、多くは改定していくということなんですけれども、一般職はさかのぼって、遡及してやるわけですよ。にもかかわらず、やはりこの差というのは、さすがにちょっと説明がつかないんじゃないかなと思いますので、ここは政府として、どっちかをえこひいきするような話じゃなくて、統一的な方針を示していただいて、しっかり非常勤職員の給与も改善をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

武田国務大臣 基本給改定につきましては、常勤職員との権衡の観点からは常勤職員の給与改定に準じて改定することが基本でありますけれども、申合せにおいて、当面は、遅くとも改正法の施行月の翌月から給与から改定することとしているところであります。御指摘のとおりであります。

 この点につきまして、現状については、改正法施行月の翌々月以降に改定された職員が四・六%、そもそも改定されなかった職員が四・五%存在しております。

 まずは申合せに沿って、全ての非常勤職員が遅くとも改正法の施行月の翌月から基本給が改定されることが徹底されるように注力してまいりたいと思います。

中谷(一)委員 私としては不十分な答弁だったんですけれども、やはり一般職の方だけ過去にさかのぼって遡及されて支給されるというのはちょっと疑問が残りますので、非常勤の方もしっかりバランスをとった給与の配分をしていただくことを要望させていただきたいと思います。

 次に、長時間労働について伺わせていただきます。

 近年、働き方改革の必要性、これが叫ばれる中で、働き方改革関連法が施行されて、民間における時間外労働の上限規制が設けられました。

 この動きを踏まえ、国家公務員においても、超過勤務の上限等に関する措置について人事院規則が改正され、超過勤務命令の上限が原則として一カ月四十五時間かつ一年三百六十時間の範囲内、また国会対応など他律的な業務の比重の高い部署においては一カ月百時間未満、一年七百二十時間の範囲内などとされました。

 しかしながら、中央省庁職員の七四・七%が月百時間未満、年七百二十時間の範囲内の超過勤務を容認する他律的業務の比重の高い部署に勤務をしているとのことであり、長時間労働が是正されるのか疑問が残ります。

 そこで伺いますが、規則が改正され半年以上経過しましたが、四月から現在までで、一カ月単位で上限を超えた事例はどれぐらいあったのかなど、中間的な検証はなされておりますでしょうか。

 また、規則の改正により、長時間労働是正の効果はあらわれているとお考えでしょうか。人事院総裁の御見解を伺います。

一宮政府特別補佐人 これまで本院が主な府省における制度の運用状況を聴取したところ、各府省においては制度の趣旨に沿った運用が行われていると認められ、人事院規則で定めた上限を超えて超過勤務を命じた事例がいまだにない府省がある一方、事例が存在した府省においても他律的業務の比重が高い一部の部署、職員に限られておりました。

 上限の特例となる業務や上限を超えて超過勤務を命じた際の要因の整理、分析及び検証については、人事院規則上、上限を超えて超過勤務を命じた日が属する一年間の末日の翌日から起算して六カ月以内に行わなければならないこととしておりまして、多くの府省では、令和二年三月までの一年間の状況について、同年九月までの間に整理、分析及び検証を行うこととなると考えております。

 本院としても、今後、検証等の結果も含め、各府省の制度の運用状況についてフォローアップを行い、必要に応じて各府省を指導していくなど、引き続き、適切に役割を果たしてまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 私は、令和二年まで待って報告を待つみたいな悠長なことを言っているんじゃなくて、早急にちゃんと調査をした方がいいんじゃないかなと思っているんですけれども。

 新聞等でも報じられている例で、国家公務員の中には、そもそも妊婦の方であったり、子育てをされていたり、御家族の介護をされていたり、さまざまな事情を抱えながら働かれている方がいらっしゃるわけなんですけれども、例えば厚生労働省では残業時間が長くて、時には強制労働省と皮肉られることがあるという報道すらされていて、ある課では妊娠中の女性職員が午前三時を過ぎても働いていた事例があったということが報じられています。女性も妊娠しているため勤務を配慮してほしいと訴え、上司も人事課に増員を求めていましたが、不祥事の対応などに人を割いているため増員できないとして、改善は見られなかったと記載されており、女性を知る四十代の職員は、少子化対策をしている厚生労働省で妊婦を守れないのはしゃれにならない、もし体に影響があったらどうやって責任をとるんだと憤りをあらわにしていたとも報じられています。

 これに対して、本人が希望をすれば残業を行わずに休みがとれる制度があるとのことでございますが、制度があったとしても現実問題として活用されておらず、周囲から見てこれが問題だという懸念があるからこそ、こうした報道が出ているんだと思います。

 こうした状況を踏まえ、妊娠中など、配慮が必要な方々が長時間労働を強いられないような環境整備が必要不可欠であると考えますので、具体的に改善すべきであると考えますが、いかがでしょうか。人事院総裁の御見解を伺いたいと思います。

合田政府参考人 制度についてお答えいたします。

 人事院規則一〇―七という、女子職員及び年少職員の健康、安全、福祉、第四条において、各省各庁の長は、妊産婦である女子職員が請求した場合には、深夜勤務又は正規の勤務時間等以外の時間における勤務をさせてはならない旨、規定しているところでございます。

 人事院といたしましても、この規則に則しまして各府省に対して指導を行っているというところでございます。

中谷(一)委員 私は制度の話を聞いているんじゃなくて、こうした状況を踏まえて、妊娠中など配慮が必要な方々が長時間労働を強いられないような環境整備が必要なんじゃないですか、今、制度があっても使われていないから、そうした方がいいんじゃないですかということを総裁に伺っているんですが、いかがでしょうか。

一宮政府特別補佐人 先ほど局長からもお答えしたとおり、人事院規則による深夜勤務等の制限は職員からの請求に基づくものですが、妊娠中の女子職員がその請求を希望しながらそれを言い出せないような職場環境であってはならない、女子職員が請求しやすい職場環境を整備することが必要です。また、当該請求がなされていない場合であっても、各省各庁の長は、超過勤務を命ずる場合には職員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならないと規則でされているところから、各省各庁の長は妊産婦であるということを十分に考慮した配慮が必要になるというふうに考えております。

 人事院としても、各府省に対して制度の趣旨や環境整備の重要性を徹底してまいります。

中谷(一)委員 しっかり徹底をしていただきたいということはもちろん思っているんですけれども、そもそも、働き方改革関連法の中では、企業は上限規制に違反をした場合の罰則規定が設けられておりますが、人事院規則にはこうした罰則規定がないことから、その実効性を疑問視する声というのが上がっております。

 公務において民間と同様に罰則規定を設けることや、罰則規定を設けない状態では実効性のある長時間労働是正にはつながらないのではないかという、この意見については、人事院総裁はどのようにお考えでしょうか、御見解を伺います。

一宮政府特別補佐人 国家公務員の超過勤務については、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合に各省各庁の長が命じることができるということとされており、いわゆる三六協定に基づいて行う民間の時間外労働とは枠組みが異なっております。

 公務においては、必要な行政サービスの提供を中止することはできないということから、公務の運営上、真にやむを得ない場合には、上限を超えて超過勤務を命じることも認める必要がございます。

 こうした事情も踏まえ、国家公務員においては、上限に対する違反に対して罰則は科さないこととしています。

 一方で、人事院規則において、各省各庁の長が上限時間を超えて超過勤務を命ずる場合には、その超過勤務を必要最小限にとどめるとともに、健康確保に最大限配慮しなければならないこととしております。さらに、上限を超えて超過勤務を命じた各省各庁の長に対しては、その要因の整理、分析及び検証を行う義務を課しております。その結果については、各府省が対外的に説明を求められることも想定されるところです。これらにより、上限規制の実効性は確保されていると考えております。

 本院としても、制度の運用状況を把握し、必要に応じて各府省を指導していくなど、引き続き、適切に役割を果たしてまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 上限を超えて業務を行わなければならない、そうしたものが発生することは当然理解をします。

 しかしながら、妊婦の方であったりとか、非常に体調的に困難な状態である方というのは一方で存在をします。こうしたところにしっかり人員が配置をされ、その業務が分散化されることというのをしっかり指導するということは非常に重要なことだと思いますので、そうした観点で、人事院としてもしっかりとした対応をしていただくことを要望させていただきたいと思います。

 次に、育児休業の取得について伺わせていただきます。

 人事院が発表した仕事と家庭の両立支援関係の制度の利用状況調査、平成三十年度の結果によると、二〇一八年度に育児休業をとった男性一般常勤の国家公務員は、取得可能職員の二一・六%に当たる千三百五十人であったとのことです。

 また、内閣人事局が発表した国家公務員の育児休業等の取得状況のフォローアップの資料によれば、人事院発表の一般職国家公務員から行政執行法人職員を除き、自衛隊員を含む防衛省の特別職国家公務員を含めた国家公務員の二〇一八年度の育休取得率が一二・四%だったことを鑑みると、ことしも男性の取得率は低水準であると想定がされます。

 さらに、育児休業をとった男性一般職常勤国家公務員の育児休暇取得期間は、一カ月以下が七二%、一カ月を超えて取得したのは二八%にとどまっています。

 そうした中、男性の国家公務員の育児休業に関し、原則として一カ月以上の取得を促すという方針が報じられ、令和元年十一月一日に武田大臣が発表をされた談話の中には、子供が生まれた全ての男性職員が一カ月以上を目途に育児に伴う休暇、休業を取得できることを目指すということが述べられています。

 私はこれはすばらしいなと率直に思ったんですけれども、確認のため伺わせていただきますが、これは、子供が生まれた全ての国家公務員の男性職員が希望をすれば、一カ月以上を目途に育休や産休など育児に伴う休暇、休業の取得をできる状況を一〇〇%にすることを目指すという大目標、KGIを政府として示されたという認識でよろしいでしょうか。

武田国務大臣 結構だと思います。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 やはり、こうして育児休業一〇〇%を目指していくというのは、非常に大きな方針だと思います。率直に評価をさせていただきたいと思います。

 しっかりそうした取組を前に進めていっていただきたいということを思うんですけれども、男性の育児休業取得率は、平成三十年度、国家公務員で一二・四%、民間企業で六・一六%、平成二十九年度、地方公務員で四・四%と大変低い水準であります。

 そうした中、少子化社会対策白書によると、夫が家事、育児に携わる時間が長い家庭ほど第二子以降の出生の割合が高くなります。男性が家事、育児に充てる時間も、アメリカは一日当たり三時間十分であることに対し、日本は一時間二十三分にとどまっているとのことです。少子化対策を行う観点からも、育休取得を広げる施策が必要です。

 そうした中、育休を取得しても業務に支障が出ないような環境整備や、育休取得率を各省庁幹部の人事評価に結びつけ、育児休暇取得者が不利にならないような制度案を軸に検討されているとのことでございますが、具体的にはどのような環境整備や制度設計を想定されているのか、詳細について教えてください。

堀江政府参考人 男性国家公務員の育児のための休暇、休業の取得を促進するためには、何といっても、職場全体において、これらの休暇、休業を取得しやすい環境整備、仕事の見直しも含めて、やはりそういったことを進めていくことが重要であると認識しております。

 このような環境整備、やはり育児を抱える男性職員の上司が極めて大きな役割を持っていると思いますので、上司のそういった取組について人事評価に適切に反映するということは大事だと考えています。

 いずれにしても、具体的な方策については、現在、早急に検討を進めているところでございます。

中谷(一)委員 御答弁をいただきました。

 制度自体を、部下が育休がとりづらい環境になるような人事評価にならないように、多面的な観察、そうしたことも行われているということでございますが、しっかりと部下の声を聞くような取組を前に進めていただければと思います。

 時間もなくなってまいりましたので、次に、人事配置と定員管理について伺わせていただきます。

 昨年の出入国管理法の改正に伴う特定技能による外国人労働者の受入れが開始されることに鑑み、法務省の出入国在留管理庁の外国人材受入れ関係として、振りかえ増も含めれば、三百十九人もの増員が認められており、特定技能を所管する職員だけでも二百十八人いるという説明をいただきました。

 しかし、本年度の特定技能による外国人労働者の受入れに関して、政府は最大四万七千五百五十人と見込んでいたところ、出入国在留管理庁によれば、半年経過した十一月一日現在で、資格取得者が八百十八人、申請者数も三千百三十六人と非常に低い水準です。

 この事例においては、受入れ見込みが大幅に少ないわけですから、もちろん業務量も見込みより大幅に少ない状況があると推察をしますが、これまで、ここまで定員増を行いながら、なぜ見込みとこれほど異なってしまったのか、その理由を伺いたいのと、業務量に比して過剰な人員が生じているのではないかと推察をしますが、現在の職員の配置状況、業務量はどうなっているのか、お答えをください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりの数字でございますけれども、そのほかに、これまでの各分野における試験合格者は三千二百人を超えてございますので、受入れ数は今後着実に増加していくものと考えているところでございます。

 一方で、特定技能制度の活用に当たりましては、いまだ試験が実施されていない分野や国があること、送り出し国において送り出し手続を整備中であること、それから、制度が複雑で申請手続がわかりづらいなどの声があることは承知しているところでございます。

 入管庁といたしましては、試験実施の拡大、送り出し手続の整備、制度のきめ細やかな周知等を行うことによりまして、特定技能制度が深刻な人手不足の解消策として活用していただけるよう、関係省庁と連携して力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

 他方で、我が国に在留する外国人は近年増加しておりまして、令和元年六月末の在留外国人数は約二百八十三万人となりまして、前年末に比して約十万人増加して過去最高となっております。これは半年で約十万人の新たな外国人を受け入れたということでございまして、これに伴いまして、在留資格審査等の当庁の業務量も増加しているところでございます。

 委員御指摘のとおり、令和元年度に、外国人材の円滑な受入れのための体制整備といたしまして三百十九人の増員等をいただいております。増員をいただいた職員は、主に、特定技能に係る在留審査業務、それから登録支援機関の登録等に係る調査業務に従事することが見込まれておりました。

 これらの業務に従事する職員につきましては、現在、新規採用職員を含めまして、研修を実施するなど能力の向上に努めているところでございますが、制度導入当初ということもございまして、制度や申請書類等についての周知が必ずしも十分でありませんで、特定技能制度説明会の出席、これは全国各地でやっておりますが、それから窓口、電話での特定技能制度に関する相談対応などの相当な業務が発生していることから、これらの業務に従事しているという状況にございます。

中谷(一)委員 時間が来たので終わりますが、今の説明では、当初どおりの受入れ人数、最大数四万七千五百五十人が来たときにはそもそも業務はパンクするような状態になると思いますし、現状も、大幅にこの見込みが下回っているわけですよ、一・七二%、五十八分の一程度しか業務量が発生していない、要するにそれぐらいしか来ていないので、そもそもここにちゃんと人員配置が適切にされているかということを、私は政府としてもっとちゃんと見た方がいいと思いますので、予測も含めてしっかり柔軟に人の配置を行っていただきますことを要望させていただき、私からの質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、早稲田夕季さん。

早稲田委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの早稲田夕季でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 それでは、今皆様もやられておりましたけれども、給与法の改正案について、順次質疑をさせていただきます。時間も限られておりますので端的に伺ってまいりますが、重なる部分もあろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 まず、人事院の勧告についてでありますけれども、人事院の方からは、本年四月の月例給について、国家公務員給与より民間給与が三百八十七円上回る結果となったため、初任給及び若年層について、俸給月額を上げて、ボーナスで〇・〇五カ月分ふやし四・五カ月分とする、そういうようなお話を出されております。

 ここに言われている、人事院が言う民間給与、この人事院が行う民間給与実態調査というのがどういうものであるのか、また、別に政府で行われている民間給与の調査について教えていただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 人事院勧告の職種別民間給与実態調査におきましては、毎年の人事院勧告を行うに当たりまして、国家公務員の給与水準等を検討するため、公務員と同じ職種の常勤職員について、役職段階、年齢等別に月例給与などを調査をいたしております。

 具体的には、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の民間企業の事業所約五万八千八百事業所から抽出した約一万二千五百事業所を調査いたしまして、個々の従業員に実際に支払われた四月分の給与額等を把握しております。

 この調査のほかに政府が実施しております民間の給与に関する調査といたしましては、厚生労働省が、主要産業に雇用される労働者の賃金の実態を明らかにすることを目的に、雇用形態、就業形態、勤務年数等別に月例給与などを調査している賃金構造基本統計調査や、国税庁が、租税収入の見積りなどのために、年間給与のほかに給与に対する税額等を調査している民間給与実態統計調査などがあると承知しておるところでございます。

早稲田委員 今御説明をいただきました、年齢別、また職種、それから役職等にも配慮しながらの人事院の調査であるということでありましたが、今、二つ、国税庁と厚労省の調査を御紹介いただきましたが、これについて調べてみました。

 国税庁の民間給与実態統計調査によりますと、二〇一九年の年収ベースでいうと平均が四百四十一万円、それから厚生労働省の賃金構造基本統計調査、賃金センサスでは、これは少し古いですけれども、二〇一七、一八を加味した年収ベース計算で四百九十七万二千円という平均になっておりました。

 これを踏まえてお尋ねするわけですけれども、人事院の方では五十人以上の企業と比較をしております。また、それでもなお、中小零細企業、これが比較条件から外れておりまして、大企業偏重ではないか、他の調査に比べて民間給与が高いのではないかという指摘も多々あるところでありますが、これにつきまして、それでは、まず、人事院がやられた民間の給与の平均の月収、それから年収、これを教えてください、今回の二〇一九年度の。

松尾政府参考人 勧告後の平均給与月額で申し上げますと四十一万一千五百十円、年間給与で申しますと六百八十万円ということになります。

早稲田委員 今お答えをいただきましたとおり、四十一万一千五百十円、年収では六百八十万円。そうしますと、調べているのは、調査の目的等々は違う、中身も違うということではありますが、さきの二つの調査と比べますと二百万円以上の差がございます。

 これについて、やはり、国民の方にきちんとした説明をしていかなければなりませんので、人事院総裁から、この差が非常に大きくなっていることについて、それからラスパイレス比較、官民比較の手法について、改めて、丁寧な国民への説明ということでお願いをしたいと思います。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の給与と民間企業従業員の給与の比較につきましては、単純平均ではなく、職種のほか、役職段階、勤務地域、学歴、年齢を同じくする者同士を対比させて、国家公務員の人員数のウエートを用いて精密に比較する、いわゆるラスパイレス方式ということにより行っております。

 毎年の勧告においてお示ししている民間給与は、各年四月時点のラスパイレス比較の結果でございまして、民間給与の平均の状況を示すものではございません。

 これに加えまして、調査の目的や調査対象の範囲等が厚生労働省や国税庁の調査と異なっておりますので、単純に比較することは困難であろうかというふうに考えております。

早稲田委員 人事院総裁からも御説明をいただきたいと思います。

一宮政府特別補佐人 ただいま給与局長の方から御紹介いたしましたように、人事院の調査は、いわゆるラスパイレス方式によって行っておりますので、民間の全体の状況を示すものではなく、調査の目的や調査対象の範囲等が異なる厚生労働省の調査や国税庁の調査と比較することはできません。

早稲田委員 比較はできませんとおっしゃいますけれども、やはり、民間では多様な働き方がどこでもあります。

 その中で、このラスパイレス比較が果たして、これだけの今までの方法でいいのかどうか。初めは百人規模をやっていらっしゃったわけですよね、百人以上を。それを五十人に引き下げたというのは、それだけ多様な働き方が多いからだと思いますし、では、五十人以下だったら役職者がいないのかということでもないと思います。なので、そこは、一万何千社、きちんと聞き取りをして、精密な、緻密な調査をされたとおっしゃいますけれども、さらなる精密になるように、ここも改善を重ねていただけるように、その検討もしていただきたいと私からは思います。

 また、先ほど来もございましたが、大変、国家公務員の中で、国会に対して、公文書の改ざん、隠蔽、そうしたもの、それからまた障害者の雇用の水増しとか、そうしたものの不祥事がありますと、どうしても、ここだけが余りにも高くなることに対する国民の理解が得られにくい状況はもうどなたもおわかりだと思いますので、そうした意味も含めまして、しっかりと、これからもさらなる努力を続けていただきまして、わかりやすく国民の方には説明をしていただきたいと思います。

 それでは、次に、非正規の臨時職員、非常勤職員等の実情について伺いたいと思います。

 よく新聞報道されますのが、地方自治体の非正規の働き方についてですが、地方公務員総数が二百七十四万二千人において六十四万人が非正規とも報道されて、四人に一人ということになっています。最も市民に近いところでこうした働き方が当たり前になっているということは、本当に私は、大変な不合理な格差が生じていることを心配をしております。

 それでは、国家公務員におきまして、一般常勤職員で二十六万五千八百三十五人、その中から委員、参与、顧問、保護司などを除いた非常勤職員が七万五千二十三人で二二%というデータもございます。これを見ましても、やはり毎年増加をしております。

 その中で、地方自治体の非正規の方の収入が正規の三分の一以下だという報道もある中で、国家公務員でも、実情として、実態として、賃金面においてやはりまだ待遇には大きな格差が生じているのではないかと懸念をするところでございます。

 これについて、武田大臣から御説明いただきたい。

武田国務大臣 国の非常勤職員の給与につきましては、一般職給与法の規定によりまして、各府省において、常勤職員の給与との権衡を考慮して予算の範囲内で支給することとされております。具体的には、この規定を踏まえて人事院が定めた指針に基づき、各府省において運用をしているところであります。

 常勤職員と類似の職務を行う非常勤職員について、具体的には、事務補助職員、ハローワークの相談員等の合計約五万八千人の非常勤職員に対する期末手当や勤勉手当の支給状況は、平成二十八年の調査では、全体で二、三割弱の職員に対する支給にとどまっておりました。

 このため、平成三十年度から非常勤職員の処遇改善を図っていくことについて各府省で申合せを行い、この申合せに沿って各府省で取組を行った結果、平成三十年度には九割超の非常勤職員に対し支給されており、着実に取組が進展していると思います。

 引き続き、各府省申合せ等に沿って、各府省が処遇改善にしっかりと取り組んでいくことが重要と考えており、そのために必要な働きかけを進めてまいりたいと思います。

早稲田委員 お手元に資料を配付させていただきました。先ほども御指摘の質問がございましたけれども、これを見てみますと、まだ一〇〇%に至らないところはたくさんございます。そして、以前は二、三割だったから、そこから比べればかなり改善をされているという大臣の御答弁もわからないではございませんが、やはり十割を目指して、そしてしっかりやっていただかないと、この公務員に準拠しているものがたくさんございます。

 次に質問する地方公務員もそうなんですけれども、ここがしっかりやっていただくことで、ほかにも波及をするということがございますので、この表にあるとおり、まだ八九%というところも勤勉手当などではありますので、ぜひ一〇〇%を目指してやっていただきたいと思います。

 さらに、例えばですけれども、では、二二%の非常勤率で特に多いところがどこかといいますと、厚生労働省五三%、これはハローワークなどの窓口がございます。それから、農水省も四〇%、内閣府は三八%と、かなり高い率に非常勤の方が働いていらっしゃるということがわかるわけですが、このハローワークのように、これは一つの事例でございますけれども、専門知識や経験の積み重ねであるにもかかわらず、非常に重要な職業であるにもかかわらず、一年単位の契約で、そしてまた、三年に一度には、一般求職者と一緒に試験を受ける公募が行われることになっています。一方では、民間の労働契約法の五年無期転換権も認められていないため、大変不安定雇用を余儀なくされている現状があると思いますが、こうしたところも、手当だけでなく改善をしていただきたいと思うわけですけれども、これについてどのようにお考えでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 ハローワークの窓口職員も含まれます期間業務職員の採用につきましては、国家公務員法が定めます平等取扱い原則及び成績主義の原則のもとで、国民に対しまして広く官職を公開し、募集の機会を付与するということによりまして、公平公正な任用を確保するということが必要でありますことから、公募によることを原則としているところでございます。

 その際ですが、能力実証を面接又は期間業務職員としての従前の勤務成績に基づいて行うことができる場合につきましては、例外的に公募を行わないで再採用することができるという仕組みになってございます。

 しかしながら、このような公募によらない再採用を何度も繰り返すことになりますと、国民に対する官職を公開する機会を狭めるということになりますものですから、公平公正な任用の確保のため、連続二回を限度とする、そういう仕組みになっているところでございます。

早稲田委員 三年に一度の公募については公平公正な原則ということではありますけれども、やはり正規と同じような、正規の職員の方とほぼ変わらない、そういう仕事をしていらっしゃる方が例えばハローワークにもたくさんいらっしゃるし、それから地方公務員の中でも、特に、現場の児童相談所であるとか図書館であるとか、もう正規職員と変わらない仕事をしていらっしゃるわけですよね。

 そういう方たちの処遇についてはもっと、今、公平公正とおっしゃいましたけれども、そういう観点も含めて、やはりきちんと改善をしていく。そして、私、後でも述べますが、同一価値労働同一賃金ということに近づけていただかないと、これは日本の国全体がなかなか賃金格差が埋まらないということになると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは次に、少し問題を進めてまいりますが、少し飛ばしまして、地方自治体の官製ワーキングプアの実情について伺います。

 人事院の勧告を参考に、給与水準が地方公務員も決まってまいります。そのときに、令和二年度から臨時職員制度の乱用を少し減少させて、減らせて、そして、多くが会計年度任用職員となるわけですけれども、このことについては期末手当の支給などが始まるということであります。これは半歩前進ということではありますけれども、その一方で、勤勉手当の支給ということが今回見送られて、今回といいますか、見送られております。これについても早期に導入を検討すべきと考えますけれども、お考えを伺います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年の地方公務員法、自治法の改正によりまして、臨時、非常勤職員の適正な任用、勤務条件の確保を図る観点から、一般職の会計年度任用職員を創設いたしまして、期末手当の支給をカウントするなど、制度運用の改善を図ることとしたところでございます。

 この会計年度任用職員への勤勉手当の支給でございますが、平成二十九年五月の法改正当時におきましては、国家公務員の期間業務職員などへの支給実績が広がっていないということがございましたので、こういったことから、国家公務員との均衡の観点なども踏まえて、支給をしないということにしたところでございます。

 今後、国や民間の支給状況、そして、まずは各地方公共団体における今回の期末手当の定着状況、こういったことなども総合的に踏まえた上で検討してまいりたいと考えております。

早稲田委員 国の期間業務職員で広がっていないというお話がありましたけれども、今お配りした資料のとおり、それから武田大臣御答弁のとおり、これは九割に近づいているわけですから、当然ながら、こうやって国の方だけが勤勉手当も認められる、期末も認められるということになれば、どんどん地方公務員との差が広がってしまいます。ですから、早目に、とにかくこれも検討をしていただいて、入れていただくように規定を整備していただくように、強く要望させていただきたいと思います。

 それから、飛ばしまして、最後に公務員制度、いわゆる、私は今、きょうは時間もない中でございましたので、非正規職員について中心にやらせていただいているわけですけれども、公務員制度に同一価値労働同一賃金、これを目指して職務評価制度を導入すべきと私は考えております。それについて、最後に人事院の方に伺いたいと思いますが、まず総裁に伺います。

 同一価値労働同一賃金と同一労働同一賃金の違い、これはどのようにお考えでしょうか、伺います。

一宮政府特別補佐人 同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬、性別による差別なしに定められる報酬率をいうというふうに定め……(早稲田委員「ちょっと聞こえない」と呼ぶ)

松本委員長 もう一度、早稲田夕季さん。

早稲田委員 確認いたしますが、男女の別なく、同列にということをおっしゃったんでしょうか。よろしいですか、はい。

 それでは大変理解が浅いのではないかと思います。もちろん、ILOの方で、これは一九五一年に採択をされている同一価値の労働者について男女労働者に対する同一報酬に関する条約、日本もその後一九六七年に批准をしておりますが、これは当然、男女労働者です、男女の差が余りにもあるから。でも、それだけではないわけですね。正規、非正規雇用にも適用が可能とされております。

 その中で、私は今、男女ももちろんだし、非正規の方について、今までの基本給のやり方ではなかなかそこが、賃金格差が埋まらないから同一価値労働ということを申し上げているわけで、もう一度伺いますが、人事院総裁として、この同一価値労働についての理解が浅いと思いますけれども、この先進事例が自治体であることは御存じでしょうか。

 それからまた、ちゃんとこれについては勉強していただきたいと思います。そうでないと、厚労省が定めている同一労働同一賃金だけでは正規と非正規の溝は埋まりません。ですから、今この同一価値というものを申し上げているわけで、そのことについてもう一度御答弁いただきたい。

一宮政府特別補佐人 国家公務員の給与につきましては、職務給の原則に基づき、職務の内容や責任に応じて決定することとされております。

 具体的には、公務内に多種多様な官職がある中で、性別にかかわりなくその職務の複雑、困難、責任の度合いに応じて職務の級が決定される仕組みとなっております。

 なお、非常勤職員については、このような方法で決定される常勤職員の給与との権衡を考慮して、性別にかかわりなくその職員の職務内容等を考慮して給与を決定することとしております。

 人事院としても、職員の職務、職責の給与への反映は重要と考えております。

早稲田委員 今で申し上げると、公務員の俸給表に基づいてやっているということでありますけれども、そこで埋まらないものをこの同一価値労働の職務評価でやっていただきたいということでございますので、ぜひ、これは国際基準でもございます。日本がこの先進国となるためにも、しっかりとこのことを研究を人事院総裁にはしていただきたい。

 特に、男女賃金差がある中で、女性の人事院総裁のうちにこのことをもっと研究をしていただいて、非正規と正規の溝が埋まるようにしていただくことが、全国の非正規の職員の方、社員の方の期待をするところだと思いますので、ぜひ人事院総裁にはよろしくお願いしたいと思います。

 また次の機会にこれは質問をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 給与法の質疑にかかわって、最低賃金の問題について、きょうは質問をいたします。

 今回の法案は、人事院勧告どおり、月例給と特別給を引き上げて、住居手当を改定するものであります。若年層の月例給の引上げにつながります。高卒では二千円引上げとするものですが、ただし、高卒初任給が引き上げられたとしても地域別最低賃金に及ばないのではないかと労働組合から指摘があります。

 資料をお配りいたしました。一枚目をごらんいただくと、国公労連、日本国家公務員労働組合連合会が作成をしました、高卒初任給(時給)最賃との関係という表がございます。

 国公労連は、今回の俸給表改定で二千円引き上げられた高卒初任給の時間単価は八百九十七円となり、最低賃金の全国加重平均の九百一円にも届かず、東京、神奈川、大阪、埼玉、愛知、千葉、京都、兵庫で地域別最低賃金を下回ることになると指摘をしております。

 こういった指摘というのをどう受けとめておられるのかを、人事院総裁に伺います。最低賃金以下のような実態は放置することになりはしないのか、この点についてお答えください。

一宮政府特別補佐人 国家公務員には最低賃金法の適用はなく、その給与については、給与法等の法令において、給与の種類や支給基準、給与額等が具体的に定められております。

 その中で、国家公務員の初任給につきましては、近年、民間企業における初任給水準の上昇を踏まえ、俸給表全体の平均改定額を上回る改定を行ってきております。

 本年の勧告においても、行政職俸給表(一)の平均改定額が三百四十四円であるところ、大卒者の初任給を千五百円、高卒者の初任給を二千円引き上げるなど、若年層の給与を重点的に引き上げることとしております。

 いずれにしましても、労働条件の改善を図り労働者の生活の安定等に資するという最低賃金法の趣旨は、国家公務員においても重要であると考えておりますので、最低賃金に関する議論、動向には今後とも注視してまいりたいと考えております。

塩川委員 暮らしを支える最低限の賃金というのは、誰であっても保障されなければならないわけです。適用除外云々ということで糊塗できるような話ではない。

 総裁もおっしゃるように、最賃法の趣旨は必要だと述べておられるわけです。ですから、最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金で、ボーナスや残業代などの多くの手当類は入らないわけですよね。ですから、民間準拠というのであれば、民間の最低賃金を下回るようなことがあってはならない、こういうことがそもそも原則であるべきだと思うんですが、いかがですか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、国家公務員には最低賃金法は適用されませんけれども、その給与につきましては、毎年の人事院の給与勧告に基づきまして、民間企業従業員の給与水準と全体として均衡を図りつつ、全国一律に適用される俸給表とこれを補完する諸手当から成る給与体系が法令により設けられて、それについても随時に見直しを行ってきております。

 こうした枠組みを通じまして、国家公務員については、最低賃金法の趣旨にのっとった適正な給与処遇が確保されることになるものと考えておりますけれども、総裁も申し上げましたように、最低賃金に関する議論、動向は今後とも注視をしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 そう言うのであれば、実際に計算してみたらいいんですよ。主要な諸手当は入らないわけですから、俸給の基本給のところに該当するところで実際に数字を出してみたらいいんじゃないですか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 俸給月額なり地域手当を足して時給ということではなくて、先ほど申し上げましたように、人事院が毎年、民間の賃金と水準を比較して較差を出して、それを原資として俸給表構造をつくり手当制度をつくりということでやっておりますので、そういったもの全体として国家公務員の適正な給与処遇は確保されているというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 最賃法の趣旨にのっとってと言うのであれば、最賃法に当てはまるような格好ではじいてみて、それでも下回りませんというのであれば私も。その辺も曖昧にしたままで、全体として均衡云々という格好で曖昧にできる話ではないということは申し上げておきます。

 常勤の方も問題ですけれども、非常勤の方もこの点では最賃の問題が重要であります。

 人事院は、国家公務員の非常勤職員の給与について、最低賃金を下回らないように促す通知を出しています。どういう通知なのか、きっかけは何か、この辺、御説明いただけますか。

一宮政府特別補佐人 委員、顧問、参与等以外の非常勤職員の給与については、給与法第二十二条第二項の規定により、「各庁の長は、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で、給与を支給する。」こととされております。

 これを受けて、人事院は平成二十年に、非常勤職員の給与に関する指針を発出し、各府省はこの指針に基づいて適正な給与の支給を行うこととされております。

 こうした枠組みのもとで、平成二十四年四月から国家公務員給与の特例減額支給措置が行われたということを契機に、非常勤職員の給与の決定に当たっての留意事項として、各府省宛てに、地域別最低賃金を下回らないよう適切に対処すべき旨の通知を発出しております。

塩川委員 今お話しのように、各都道府県の地域別最低賃金が改定されることに留意し、当該最低賃金を下回らないよう適切に対処してください、こういう通知を出しているわけです。

 これは実際に、じゃ、最賃を下回るような実態があるということも言えるんじゃないですか。

松尾政府参考人 人事院としては、通知を発出いたしまして、各府省に運用上の留意を促しているところでございますけれども、最低賃金を下回る給与を支給される非常勤の実態というものは把握はしておりません。

塩川委員 ですから、そういった通知を今出しているわけだから、実態把握をしていない、是正するということがやるべき仕事じゃないですか。実態を把握すべきじゃないですか。総裁、いかがですか。

松尾政府参考人 国家公務員には、非常勤職員を含めて最低賃金法の適用はございませんけれども、非常勤給与につきましては、先ほど申し上げたように、通知を発出して、各府省において適切な給与がなされるよう指導はしてきているところでございます。

 人事院といたしましては、引き続き、各府省に対して必要な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 ですから、この間、最低賃金の改定が行われているわけですから、実態が本当にどうなっているのかということをきちんと確認するという、そういうタイミングにもあるんじゃないですか。

 各府省における非常勤の最低賃金がどういう実態なのか、これをしっかりと調べるということが、今全体として最低賃金を引き上げようという取組が行われている中では極めて重要だと思うんですが、そういう実態調査を行う、人事院総裁、いかがですか。

一宮政府特別補佐人 非常勤職員につきましては、各府省によって実情が異なっておるということではございますが、人事院としては、引き続き、各府省に対して必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

塩川委員 いや、だから実態をつかまないで、お願いしますということでは説得力がないわけで、これはしっかり実態調査をやってほしいということは重ねて申し上げるものです。

 それで、この機会に、地方公務員の非常勤職員がどうなっているのかということについても総務省にお尋ねをいたします。

 資料の二枚目に、埼玉県労働組合連合会がことし集計しました埼玉県内市町村における非正規職員の賃金の一覧表であります。

 埼玉県の最低賃金は、昨年十月以降は時給八百九十八円になっています。各市町村の一番賃金が低い職種を見ると、右側の方に3とありますけれども、時給の一番低い職種で見ると、時給額というのが九百円というのが多いんですよね。六十三市町村のうち二十が九百円なんです。八百九十八円の最賃に張りつくような金額になっているわけです。

 ことし十月からの埼玉の最低賃金は、時給が九百二十六円になりました。ですから、このままでは最賃を割り込む市町村が多数生じるようなことになる。余りにも低い水準であります。

 総務省は、最賃を下回りかねない地方公務員の非正規職員の賃金実態について把握をしていますか。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 地方公務員の給与につきましては、地方公務員法に定める情勢適応の原則、そして均衡の原則等の給与決定原則に従いまして、妥当な水準が確保される仕組みとなっております。こうした、民間労働者と地方公務員では給与決定の仕組みや手続が異なることから、地方公務員については、国家公務員と同様ですが、最低賃金法の適用が制度としては除外されております。したがって、これまで、地方公務員の給与と最低賃金を比較する、そのための調査は行っておりません。

 なお、臨時、非常勤職員の実態について、直近の調査である平成二十八年の調査の範囲で見た場合には、事務補助職員についての報酬額の一時間当たり換算額と平成二十八年四月時点における地域別最低賃金を比較しますと、全ての地方公共団体で最低賃金を上回る報酬額となっていたところでございます。

 以上です。

塩川委員 それは、どの時点でとっているかという話もあると思うんですよね。ですから、ここで今示したように、昨年十月の最賃では九百円を一応クリアしているかもしれないけれども、ことし十月になると下回るわけですよ。

 多くの自治体で改定の努力はしているとは思うんですけれども、いずれにせよ、最賃に張りつくような非正規職員の最低賃金の実態といったときに、全国的にもやはり、こういったことについてしっかりと是正せよということを求めていくというのは当然じゃないかと思います。

 この実態を改めてつかむということと同時に、少なくとも人事院がやっているような、最賃は下回らないでくださいねという技術的助言を自治体に対して発出するというのも大事なことだと思いますが、その二点について、改めていかがですか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員につきましては、平成二十九年の地方公務員法、地方自治法等の改正におきまして、新しく臨時、非常勤について会計年度任用職員制度というものを来年度の四月から導入するというふうにいたしております。

 そういった観点で、新しい制度のもとで臨時、非常勤職員制度がどのように機能しているか、こういったことについては何らかの形で調査をしてまいりたいと考えております。

 また、先ほど申し上げたとおりでございますが、地方公務員については最低賃金法の適用が除外されておりますけれども、地方公務員の給与につきましては、地方公務員法に定める情勢適応の原則、均衡の原則等の給与決定原則に従って、国の職員や民間事業の従事者の給与等を考慮して条例で定めることにより妥当な水準が確保される、そういった仕組みでございます。

 今後とも、最低賃金に関する議論、動向についても注視をいたしながら、各地方公共団体において適切な給与決定が行われるように、引き続きしっかりと対応してまいりたいと思います。

塩川委員 最低賃金法は重要だ、そういう認識にはあるということではいいですか。

大村政府参考人 お答えします。

 最低賃金法の趣旨につきましても、先ほど来国の方でも、私どもの方でも御説明いたしましたとおり、今の給与決定の仕組みの中で、全体として反映されてくるものというふうに考えております。

塩川委員 改めて、最低賃金を下回らないという賃金実態かどうかというのはしっかり調べてほしいということと、最後に大臣に伺います。

 今やりとりしましたように、公務で働く労働者の賃金が最低賃金を下回るようなことはそもそもあってはならないと率直に思っておりますけれども、その点についての大臣の認識と、そういうことを起こさないという点での取組方について質問をいたします。

武田国務大臣 国家公務員に最低賃金法が適用されないからといって、適切な処遇が確保されないなんということがあってはならない、このように思っております。しっかりと確保するべく努力をしてまいりたいと思います。

塩川委員 処遇改善のために取り組むということで、そのことを改めて求めて、質問を終わります。

松本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、まず、保育士給与の民官格差が広がるのではないかということから質問したいと思います。

 今、既に、官民格差、保育士の給与に関しては官民格差がある。もちろん官の方が給与が高いということで、官民格差是正を従来からずっと訴えてきています。今回、この人事院勧告で公務員の給与を上げることによって、国と地方両方の給与は上がります。上がるということは、また官民格差が広がるという事態に最終的にはなると考えています。

 それについて、人事院の皆さんはどういうロジックでそれをよしとしているのかというのを聞かせていただきたいと思うんですね。

 きょう、午前、この私の質問まででも、結構、やはり同一労働同一賃金の話とかが出ていました。先ほどの塩川委員の話でも、最低賃金、これ、例えば保育士なんかは、短大卒の新卒の人たちの初任給とか、もちろん園にもよりますけれども、最低賃金をパートでもらっている人たちの方が給料が高くなったりとかする現象が今もう既に起こりつつあるんですね、民間では。

 では、正規職員で保育士、勤める何か理由はあるのかなと、労働者側、保育士さんの人たちは思うかもしれませんし、正職になるメリットは何なんやというふうになってしまいます。そういう事態が、やはりもう既に保育士業界では起きてきているわけですね。そういう意味では、やはり官民格差を是正するためには、公務員の皆さんの人件費が上げられると困るんです。格差はどんどん広がっちゃうので。

 その点についてどうお考えでしょうか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 人事院の給与勧告は、給与法の適用を受ける一般職の国家公務員、約二十七万七千人でございますが、これを対象といたしまして、情勢適応の原則に基づいて、民間準拠で職員に対して適正な給与を確保する機能を有するものでございます。

 この給与勧告について、地方公務員や独立行政法人の職員などについてもその内容を考慮した給与改定が行われていることは承知をいたしておるところでございます。

 一般職の国家公務員の給与について勧告を行う立場にある人事院といたしましては、民間における保育士の給与について、直接この場でお答えする立場にありませんけれども、民間の保育所等への公費負担額の算定に当たりましては、関係府省において、国家公務員給与の改定内容も考慮されているものと承知をいたしておるところでございます。

 なお、人事院といたしましても、民間従業員の給与実態を把握していくことは重要であるというふうに認識しておりますので、民間従業員の給与等の状況については今後とも注視してまいりたいというふうに考えております。

浦野委員 人事院の調査は、確かにいろいろな数字、結構細かく、報告書でも載っていますし、見ることができます。しかし、この間の内閣委員会で質問させていただいたみたいに、比較しているそもそもの数字の平均年齢、公務員の皆さんの平均年齢はわかるけれども、民間の人たちのはわからないという答弁でしたよね。私はそれはおかしいと指摘をしました。

 やはり、誰が見ても公平公正で、なるほど、公務員の皆さんの給料が低いんだな、では、上げてあげないとだめですよねと国民の皆さんが思うような比較の仕方だったら納得はできるんです。我が党は、これ、一貫して指摘をしていますけれども、お手盛りで、給料の高い人たちだけの比較をして、自分たちの給料が低いんだという比較をするから、おかしいんじゃないですかということを言っている。今までも言っていました。

 さらに、今回、午前中の委員の質問で答弁もされていましたので、若手の給料の部分に関しては、ちょっともう質問はしませんけれども、ちょっとウエートを上げて、若い人たちの給料を少し高目にとっていっている。それはぜひ、これからもしっかりとしていただきたいと思うんです。

 特に、この委員会の法案に関係ないんですけれども、防衛省とか各省、中学卒業、高校卒業で、早くからそういう職務にあられる方はやはり賃金が低い状態が結構あるということですので、そういった皆さんの給与もしっかりと上げていただきたいと思います。

 私たち、別に公務員の皆さんをいじめたいわけでもないですし、優秀な人が多い中で、しっかりと働いてもらいたいと思っています。働き方改革で、人事院の皆さんもいろいろな提言をしています、各省庁もいろいろな取組をしてくれています。しかし、やはり、我々国会の働き方を変えないと、もうどうしても省庁の皆さんの働き方が変わらない部分があります。

 それについて、総裁、提言は、人事院としていろいろ言ってもらっています。でも、やはり、国会に対して、もうこれだけはあんたらやってくれと、言いたいことがあると思うんですよ。あんたらがこれをやってくれへんからできませんねんというのがあると思うんですね。人事院総裁として、ちょっと一言、ひとつ、挙げてください。

一宮政府特別補佐人 人事院といたしましても、長時間労働の是正は極めて重要な課題であると認識しております。

 このため、本年四月から、超過勤務命令を行うことができる上限の時間を人事院規則で定めるなどの措置を講じたところでございます。

 長時間労働の是正のためには、超過勤務予定の事前確認等を徹底するなど、各職場においてマネジメントの強化を図るとともに、府省のトップが先頭に立って組織全体として業務の削減、合理化に取り組むなどの対策を講ずることが必要です。

 国会対応業務の合理化につきましては、各府省において業務効率化の工夫がなされていると承知しています。これについては府省単独では対応が困難なところもあり、関係各方面の理解と協力を求め、政府全体として取組を進められるようにする必要があり、その旨を、本年の人事院勧告時の公務員人事管理に関する報告におきましても言及しております。

 本院といたしましても、関係機関とも連携しつつ、引き続き取り組んでいきたいと考えております。

浦野委員 もっとはっきりと、端的に言ってもらってもよかったんですけれども。

 要は、国会の今の運営のあり方、例えば質問通告の話だとかは恐らく出てくると思うんですね。私たち、もちろん、まあ一部の野党の皆さんは僕たちのことを野党じゃないと主張しますけれども、私たちは野党ですから、政権にかかわっていないので野党ですけれども、質問通告をする前提は、やはり委員会がちゃんとした時間にやりますよというのを決められないと質問通告できないので、やはりその点なんですよね。

 その点、日程闘争じゃなくて、委員会定例日、水曜日、金曜日とちゃんとある中で、いろいろと、それは政権の不祥事もありますよ、ありますけれども、それは、その所管している委員会ぐらいをとめるのは仕方がないですけれども、内閣委員会に関係ないようなところでそういうことをする、各省庁にそれを飛び火させて、わざわざ国会全体をとめる、そういう手法がだめなんだ、それが結局、省庁の皆さんに負担として返っているんだということを言わせていただいて、質問を終わりたいと思います。

松本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員の一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案に反対の討論を行います。

 一般職給与法改正案は、八月に出された人事院勧告どおり、月例給と特別給を引き上げ、住居手当を改定するものです。

 一般職の中高年層への俸給の引上げがなく、また、住居手当の改定は引上げとなる職員がいる一方で引下げとなる職員がいるなど不十分な内容ではありますが、若年層の俸給など、実際に給与を引き上げるものであり、賛成です。

 次に、特別職給与法改正案については、内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、政務官などの特別給引上げとなっており、反対です。

 この間、給与制度の総合的見直しの実施により、高齢層を中心に一般職職員の給与が引き下げられている中で、総理大臣などの特別給を引き上げるべきではありません。

 また、大臣の給与一部返納との整合性もとれません。

 なお、特別職のうち秘書官の月例給、特別給を、一般職職員に準じ引き上げることには賛成であります。

 最後に、勧告どおりに引上げがなされたとしても、公務員給与が依然として低い水準にあることを指摘します。

 例えば、改定後であっても、一般職高卒初任給の俸給月額は、時間給に換算すると、一部地域で最低賃金を下回ります。

 質疑の中で明らかになったように、人事院や内閣人事局は、最賃を下回る場合があるのか実態を把握していません。公務員が最賃法の適用除外であるとしても、最低賃金を下回ってよいわけではないのは当然であり、実態把握は政府の責任で行うべきです。

 公務員給与を低く抑えつけている大もとである総人件費抑制政策をやめて公務員給与を抜本的に改善することを求めて、討論を終わります。

松本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 私は、我が党を代表して、ただいま議題になりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の二法案に対し、反対の立場から討論します。

 本法案は、人事院勧告をベースとして、給与関係閣僚会議によって、この勧告を受け入れるかどうかを決定しています。

 人事院勧告は、民間企業の給与の調査をもとにしていると説明しています。ところが、調査対象となる民間企業は、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の事業所から選ばれており、事業規模が小さい企業は含まれていません。そして、対象者には同じ職場で働く非正規労働者は含まれておらず、正規雇用者に限定されています。人事院勧告については、調査方法そのものに大きな問題があります。

 勧告が民間企業全体を反映された適正な調査結果であるというのであれば、勧告に従うべきかもしれません。年々非正規労働者がふえる中、人事院勧告は、民間企業全体を反映したものからどんどんずれてきているのではないでしょうか。

 また、人事院に勤務している公務員の給与は、人事院が決めています。この決定プロセスも適正を欠くものと言わざるを得ません。自分の給与のベースアップを自分が勧告できているというプロセス自体が適切とは言えません。調査及び勧告については、第三者機関に委ねるなどのプロセスの適正化を図る必要があると考えています。

 さらに、安倍政権はプライマリーバランスの黒字化を先延ばしにしています。その意味でも、公務員給与の総額の削減を含めた歳出の削減を図るべきと考えます。実際に、税収不足を理由として人事院勧告に従わなかった年があったことを忘れるべきではありません。

 この十一月一日には、我が党が凍結を訴えてきた消費税増税を断行されましたが、国会を含めた国の身を切る改革は遅々として進んでいません。

 以上の理由により、日本維新の会はこの二法案に対し反対すると申し上げて、討論を終わります。

松本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 ありがとうございます。御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十分散会


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