衆議院

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第2号 平成18年2月24日(金曜日)

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平成十八年二月二十四日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 石原 伸晃君

   理事 倉田 雅年君 理事 棚橋 泰文君

   理事 西川 公也君 理事 早川 忠孝君

   理事 松島みどり君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 漆原 良夫君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      近江屋信広君    太田 誠一君

      笹川  堯君    柴山 昌彦君

      下村 博文君    平沢 勝栄君

      三ッ林隆志君    水野 賢一君

      森山 眞弓君    矢野 隆司君

      保岡 興治君    柳澤 伯夫君

      柳本 卓治君    石関 貴史君

      枝野 幸男君    河村たかし君

      高井 美穂君    津村 啓介君

      伊藤  渉君    保坂 展人君

      滝   実君    今村 雅弘君

      山口 俊一君

    …………………………………

   法務大臣         杉浦 正健君

   法務副大臣        河野 太郎君

   法務大臣政務官      三ッ林隆志君

   外務大臣政務官      伊藤信太郎君

   最高裁判所事務総局総務局長            園尾 隆司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊佐敷眞一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田 康敬君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (警察庁情報通信局長)  武市 一幸君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            須田 和博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   小津 博司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          倉吉  敬君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    小貫 芳信君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    麻生 光洋君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  小西 秀宣君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (公安調査庁長官)    大泉 隆史君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  北神 圭朗君     津村 啓介君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  細川 律夫君     高井 美穂君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     細川 律夫君

    ―――――――――――――

二月二十一日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(細野豪志君紹介)(第三五九号)

 同(西村智奈美君紹介)(第四二二号)

 同(中井洽君紹介)(第四三四号)

 成人の重国籍容認に関する請願(細野豪志君紹介)(第三六〇号)

 同(西村智奈美君紹介)(第四二三号)

 同(中井洽君紹介)(第四三五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

石原委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官伊佐敷眞一君、警察庁長官官房審議官和田康敬君、警察庁生活安全局長竹花豊君、警察庁情報通信局長武市一幸君、防衛庁防衛局長大古和雄君、総務省総合通信基盤局長須田和博君、法務省大臣官房長小津博司君、法務省大臣官房司法法制部長倉吉敬君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長小貫芳信君、法務省保護局長麻生光洋君、法務省人権擁護局長小西秀宣君、法務省入国管理局長三浦正晴君、公安調査庁長官大泉隆史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石原委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局園尾総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんでしょうか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川公也君。

西川(公)委員 自民党の西川公也でございます。

 こうして法務委員会のトップバッターで質問の機会を与えていただきました。石原委員長初め関係各位に敬意を表する次第でございます。

 さて、このたび、杉浦正健先生には、法務大臣に御就任をされて、そしてこの委員会で私が質問して御答弁をいただけるということで、私としては御同慶にたえない、こういうところでございます。

 というのは、昨年の小泉改革の目玉でありました郵政民営化の法案の成立を期して、杉浦大臣が当時の官房副長官として官邸を代表して仕事をされた。私も法案担当の副大臣として、杉浦当時の副長官の御指導をいただきながら、この成立に奔走させていただいたということで、私から見れば、杉浦先生は戦友であり私の上司でもあった、こんなふうに受けとめているところでございます。

 そして、この法案を詰めていくときに、四百七十九名の衆議院の中で、自民党が二百五十名、そして公明党が三十四名いて、当たり前であれば過半数を確保できる、こういう状況でありましたが、なかなかそうはいかない状況でありまして、当時の杉浦副長官がみずから行動して、そして静かに作戦を練って一歩一歩詰めていく、こういう姿に接しまして、多くのことを私は教えていただいた、こう思っているところでございます。

 今回、杉浦大臣とこの法務委員会の仕事をさせていただくということになりましたので、私も過去の法務委員会の経過を調べさせていただきました。特に昨年の百六十二回通常国会、そして百六十三回の特別国会でありましたけれども、多くの法案が提出をされました。

 そういう中で、どの程度法案がこの委員会を無事に通ったのかなということを調べてみますと、通常国会では、残念ながらたくさんの法案が審査未了、こういうことになっています。解散もあったことでありますから、これはやむを得なかったかなと思いますけれども、また特別国会も、四本提出して三本が通って、一本は継続審査になった、こういうことでございます。そして、この委員会に今回出てくる法案は、恐らく十本を上回る多くの法案が提出されてくる、こう受けとめております。

 そういう意味で、私も、与党側の、自民党の筆頭理事を受けさせていただきましたので、委員各位にお願いをして、法案ができる限り可決されるように最大限の努力をしていきたいと考えております。

 そこで、大臣にお伺いしますが、国政における法務行政の使命、役割、これらをどう考えておられるか、お聞かせをいただきたいと存じます。

杉浦国務大臣 皆さん、おはようございます。

 お答えに入る前に、けさ、金メダルのを私は見ておりました、出勤前で。まことに御同慶にたえないわけですが、暗雲垂れ込めると申しますか、課題山積の法務行政も、いつの日かああいう心境でこの場に立てるようになればいいなと思いながら、うれしそうな荒川さんの顔を見ていた次第であります。

 西川先生におかれましては、本当に課題山積、やらなければならないことが山積している法務行政、その法務委員会の筆頭理事をお受けいただきまして御指導いただけるようになったことを、本当に私もうれしく思っている次第であります。

 私としても、先生がおっしゃっていただいたのですが、尊敬おくあたわざる西川先生、戦友でありますが、一年半、郵政国会、官房副長官当時、先生と本当に心血を注いで努力した間柄でありますけれども、私は、西川先生が、最初の半年は政務官として、後の一年間は副大臣として、竹中大臣の信任極めて厚く、法案の修正等の作業においても党や与党の根回しにおいても獅子奮迅の努力をされた、その行動力、情熱、緻密な計算、先生の御努力がなければどうなったかと思うようなわけでありまして……(発言する者あり)残したいから申し上げております。心から敬意を表しますとともに、法務行政の前進にもぜひともそのお力を賜りたいと思っている次第でございます。

 当委員会につきましては、私はかつて法務委員長もやらせていただきましたし、筆頭もやらせていただきました。非常に長く携わってまいりました。司法改革につきましては、自民党の司法制度調査会の事務総長として当初からかかわった人間でございまして、その司法改革のさまざまなスキームが、法律等はすべて措置され、これから本格実施という段階になって法務大臣を拝命したというのも、これも一つのめぐり合わせかな、こう感じておる次第でございます。

 御質問でございますが、一言で申しますと、法務行政とは法の番人だと言ってよろしいかと思います。日本は、自由主義、民主主義を基礎とする国、社会でありますが、法の支配がいかに貫徹するかというのがその生命であります。法の支配を支える組織といたしまして国政の基盤を支える、いわば屋台骨でございまして、その役割を担っている大変重要な役所であると思っております。

 微力でありますが、一生懸命努力してまいりたいと思っている次第でございます。

西川(公)委員 大臣の基本的な考え方をお伺いいたしました。

 そこで、これから何点か伺ってまいりますけれども、大臣は、年頭に当たりまして、法務省の職員を前に、ことしは治安回復元年だ、こういうことを位置づけて、全国五万一千人余の職員に、諸課題の解決に当たって、全省挙げて一丸となって事に当たってくれ、こういう訓示をされたと聞いております。ぜひ、法務省の職員の皆さんが、国民の目線に立って法務行政の遂行に当たってほしいと願っております。

 そして、大臣の部下ということになりますか、法務省の職員の皆さんが、大臣と同じ思いだ、こういうことで仕事をしていただくように、常に配慮し、目を光らせておいてほしいと願います。

 郵政民営化のときも同じでありましたが、大臣は常に、みずから行動して、みずから確認をする、こういう手法をとっておられました。所信を表明されたときも、副大臣、政務官とともに、もう既に、法務省の施設あるいは法務省の枠を超えた関係施設にも、百六十カ所を上回る現場を視察してきた、こういうことを申しておられました。

 私の住む栃木県さくら市にもわざわざ足を運んでいただいて、法務省の喜連川の少年院をつぶさに視察していただいた。さらには、黒羽刑務所の分所的な位置づけで今建設中でありますけれども、この施設もごらんになっていただいた。そして、保護司の皆さんあるいは商工会の皆さんと懇談もしていただきまして、私の地元の皆さんは、大変気さくな大臣で、よく話を聞いてくれる、こういうことで、杉浦ファンが誕生したことも事実であります。

 このように、大臣は現場を大変積極的に視察している、こういうふうに受けとめておりますけれども、どのような理念、信念に基づいてそういうような視察をやっておられるか、その辺についてお話を聞かせていただければと思います。

杉浦国務大臣 法務大臣に就任して改めて認識したわけですが、法務省は現業官庁だということでございます。法務省職員は約五万一千人おりますけれども、そのうち五万人以上が現場施設で働いております。

 ちょっと申し上げますと、一番多いのが矯正官署、刑務所、少年院、拘置所等でありますが、二万一千五百人余。次が法務局であります。全国にありますが、一万一千六百人余。次が検察庁で、一万一千四百人。続いて入管でありまして、二千八百人余。あと更生保護官署とか公安調査庁等ございますが、法務本省は八百人ちょっとでございます。この現場こそが、国民とまさしく向き合って法務行政の任務を果たしておるわけであります。

 そこがどのような問題を抱えておるのか、働いている人はどういう気持ちでおるのか、そういうことを知らなければ、これを引っ張っていくということは到底不可能なことでございます。

 また、政治家である私どもが現場を訪れまして姿勢を示すことで、現場の士気も高まるということもあろうかと思いまして、副大臣、政務官と相談して、たまたま国会がなかった十一月、十二月の時間を利用して、精力的に、私は全管区回りました。河野副大臣は沖縄まで行っていただいたんですが、百六十カ所を超える場所を訪問いたしまして、現場を視察し、現場の方々と夜食事をともにしながら詳しく意見をお伺いした、さまざまな形で意見をお伺いしたわけでございます。

西川(公)委員 大臣が現地を百六十カ所以上視察をされた。現場の人の気持ちもわかるでしょうし、働いている状況等もつぶさに見てこられて、感ずるものもあったと思いますが、五万一千人のうち八百人程度が本省で、あとは現場だ、こういうことでありますから、現場の皆さんが働きやすいような環境をぜひつくってやってほしい、こう願っております。

 そこで、そういうふうに大臣、副大臣、政務官が現場を訪れる、こういうことでありますれば、職員の皆さんの士気高揚、こういうことにはつながってくると思います。しかしながら、どんなに目を光らせておっても、どこかでこの大世帯の中では事故が起きたり、そういうことにめぐり合わせるわけであります。

 今回も、残念でありますが、二月十四日報道されました、刑務所の情報が漏えいした、こういう不祥事であります。現代社会において、個人情報の重要性は非常に高まっておりまして、その管理は厳正にやらなければならないと思います。きのうはまた防衛庁でも、海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」から大量の機密情報が漏れてしまった、こういうことが続いておるわけであります。

 他省の問題は別といたしまして、法務省の関係でありますけれども、法務行政、極めてセンシティブに国民の皆さんが受けとめているわけでありますし、個人情報でありますし、人に知られたくない個人情報であるわけでありますが、残念ながら漏れてしまった。

 最近の事故、これは、聞くところによりますと、一万件を超える受刑者の個人情報を含むファイルが漏えいする、こういう事故であったと聞いておりますが、現在判明しておる事実関係につきまして、大臣から伺いたいと思います。

杉浦国務大臣 法の番人であるべき法務省からあのような不祥事が起こったということは、まことに遺憾に存じますし、申しわけなく思っておる次第でございます。

 一昨日、報告がまとまりまして、公表させていただきましたが、今般の流出につきましては、京都刑務所の職員を含む複数の職員が、平成十三年十月ごろから平成十六年十二月ごろにかけまして、福岡刑務所ほか四庁で作成された処遇上の実例や指示文書等の電子データを研修あるいは執務の参考資料に使用したいといたしまして、コンパクトディスク等外部記録媒体に複写したものを職員間でやりとりしていたわけでございますが、そのうち、京都刑務所職員の自宅で使用するパーソナルコンピューターがウィニー関連のコンピューターウイルスに感染したことによりまして、同職員が保有するコンパクトディスクに保存されておりました約一万ファイルが流出し、その流出した情報の中に被収容者三千三百八十人分及び職員二千二百八十三人分の氏名等個人情報の電子データが含まれていたものでございます。

 事件発覚以前に今回流出した情報を入手した人がいるか否かについては判明しておりませんが、当該情報が現在もウィニー上の共有情報として存在しているかどうかについては継続的に確認作業を行っており、これまでのところ、当省が現在承知している限りにおきましては、当該情報の存在は確認されていないところでございます。

西川(公)委員 今、大臣から、調査中で、ある程度の漏えいの今の状況はわかってきた、こういうことでありますが、これは一日も早い対応をしてもらわなきゃいけないと思います。そして、漏れてしまったことを今から戻すわけにいきませんけれども、そこを最小限に食いとめる、こういうことでなければならないと思いますし、これらにつきましてどういう対応を今とっておられるか、私どもに話せる範囲で聞かせていただければと思います。

杉浦国務大臣 先生のおっしゃるとおりであります。個人情報の管理につきましては規定がございまして、また職員に対し、これまでも機会あるごとに適切な取り扱いをするように周知徹底してきたところでございますが、今般このような極めて遺憾な事態が生じたことを、私どもは重く受けとめております。

 当面の措置といたしまして、職務上の情報を上司の許可なく庁外に持ち出さないこと、これは規定がございます。自宅に持ち帰ることは規定違反であります。これを改めて全職員に対して周知徹底させるように私から指示するとともに、本月十七日には、省内に事務次官をトップとする法務省情報流出防止緊急対策連絡会議を設置いたしました。全局部長にメンバーとなってもらっておりますが、設置しまして、全省的な情報管理のあり方について緊急点検を行い、情報流出を未然に防止するための必要な対策を速やかに講じるよう指示したところでございます。

西川(公)委員 ぜひ法務省全体に今の大臣の考え方を徹底していただいて、これ以上漏れることがない、こういうことにしていただきたいとお願いをしておきます。

 基本的な考え方、そして今の個人情報漏えいの件につきましてですが、次に進んでまいります。

 法務省においては、国民生活の安全を確保するためということで、広範な仕事をしていると思います。各種犯罪対策、これらをいかに充実させていくか、さらには出入国管理対策の強化、先ほど触れられた司法制度改革など広い仕事をやっておりますが、どの分野も大臣としてはおろそかにできないと思います。しかし、限りがありますから、どこを重点にやるんだ、こういうことを、杉浦大臣の方針があると思いますが、特に重点的に対応する、これらについて、ぜひ大臣の考え方を聞かせてもらえればと思います。

杉浦国務大臣 先生おっしゃいますとおり、法務行政の諸分野の重要性について順序をつけるということはできませんけれども、現下の情勢にかんがみますと、特に治安の分野には力を注ぐべきものだと考えております。

 さまざまな世論調査、ここ数年、どの調査をやっても、国民の皆さんは治安に不安を感じておられます。先生のお地元でも、いたいけなお子さんが行方不明になって、まだ犯人が発見されていない、大変に御尽力をいただいておりますが、まだ犯人が見つかっていないということであります。社会不安を皆が感じておる、それを解消することが法務行政の務めであると強く思っておるところでございます。

 昔といっても、そんなに昔ではありません。かつて日本は、世界一安心、安全な国だと言われておりました。国際的評価も高かったわけであります。しかし、このところ治安が悪化いたしまして、申し上げたような先生のところの事件もあって、体感治安は悪化する一方であります。赤信号が点滅しているという状況に変わりはないと思います。

 ことしを治安回復元年と位置づけて頑張ろうと年頭で訓示いたしました。検察官会同でも先日申しましたのは、そういう趣旨でございます。総理からも、世界一安全、安心な国を取り戻そう、そのために頑張ってほしいというふうに言われて就任したわけでございます。そのような基盤がなければ活力ある社会は築けないわけでございますので、その点に重点を置いて頑張っていきたいと思っておる次第でございます。

西川(公)委員 今、治安を最大限前向きに取り組む、こういうお話をお伺いしました。ぜひ、この日本が本当に世界一安全で安心して暮らせる国だ、こういうことをもう一回復活させていただきたい、こう願っておるところであります。

 ところで、大臣は、法務省内に政治家を首席として幾つかのプロジェクトチームをつくっている、こういうことを伺っております。余り他省庁で聞かれない話ですけれども、どういうねらいを持ってこれらをつくってきたのか、その概要と趣旨、その辺をお聞かせいただければと思います。

杉浦国務大臣 三つプロジェクトを立ち上げました。国民の関心が高く、緊急に対応を要する課題につきまして、政治家の目で施策を見直しまして、スピーディーな解決を図ろうということで立ち上げたわけであります。

 私は、刑事施設収容人員適正化プロジェクト。過剰収容も国家の根幹にかかわる大問題ですが、拘置所もそうであります。個人的には、保釈の問題、権利保釈が形骸化しているんじゃないかという批判もあるわけでございまして、そういった問題を取り上げて、刑事施設の人的、物的体制の増強のみならず、刑事施設外の有効な監視処遇等に関する検討を行いたい、こう思っております。

 河野副大臣には、御本人の強い意欲もございまして、今後の外国人の受け入れ等に関するプロジェクトを主宰していただくことといたしました。治安など国民生活に大きな影響を及ぼす外国人問題、不法滞在の問題もあります。受け入れのあり方も骨太の方針では検討することになっておりますので、検討していただきたいと思います。

 三ッ林大臣政務官には、再犯防止対策プロジェクトをやっていただきます。現下の法務省の最重要課題と言っていい再犯防止対策について、特に収容施設を出所した後の者に対する対処、社会におけるこれらを含む者の受け皿について検討を行っていただきたいと思っております。

 それぞれに若手の俊秀を集めまして、精力的に議論を始めておるところでございます。

西川(公)委員 河野副大臣、ぜひ外国人の問題、しっかり頑張っていただきたいと思います。三ッ林大臣政務官におきましても、再犯防止に尽力をいただきたいと思います。

 今お話を聞いておりますと、このプロジェクト、いずれも、治安をどうするか、こういうことになるかと思います。政治主導で、官僚の皆さんと力を合わせて、先ほどの目標をぜひ達成していただければと思います。

 経済財政諮問会議でも、骨太なんかをつくる場合にでも、法務省の問題をどうするか、こういうことになりますと、十五年の十二月に犯罪に強い社会の実現のための行動計画をつくった、これが基本となって進んでいるんだと思いますが、それにしましても、努力をして、犯罪もきっと減っているんだとは思いますけれども、肌で国民が感じるところは、決して犯罪が減っているとは思っていない。こんなに努力してくれても、そうは受けとめていないと思います。

 私の選挙区でありますけれども、栃木県今市市で昨年、小学校の児童、女児が誘拐されて命を落とした、こういう大変不幸な事件がございました。私も、自民党としましても、犯罪から子どもを守る緊急対策本部を立ち上げていただいて、現地にも行ってきましたが、まだ犯人は残念ながら見つからない、こういうことでございます。こういう状況を一日も早く解決していただきますように、さらなる努力をお願いするところでございます。

 それで、この治安でありますけれども、国民は本当に、先ほどから何度も触れているように、治安のいい国日本、こういうことを願っておるわけでありますが、そういう中で、再犯防止のためには特に、刑務所を出てからも職につけるかどうか、こういうところまで法務省では手を差し伸べていきたい、こういうことで取り組んでおられるようでありますが、その辺につきまして、大臣の認識をお伺いさせていただきます。

杉浦国務大臣 先生の御指摘のとおりであります。再犯防止対策、これは三ッ林政務官のチームで精力的に検討を始めておるところでございますが、特に、刑期満了で出所した人、少年院を出た人、そういう方々の再犯率が、刑務所の場合非常に高い。五割前後であります。少年院の場合は、可塑性のある青年のせいか、二割。八割も更生しておるわけですが、依然として二割の人が再犯を犯すという状況で、出られた後は国としては今まで何も手を出さないわけでありますが、再犯を犯す方のかなりの部分の方、ほとんどは無職者であります。裏を返して、出た後、職を得た方の再犯率は極めて低いという事情がございます。

 ですから、そういう人たちに職をあっせんすると申しますか、得させるということは再犯を防止する最も近道の一つであろうということで、これには特に力を入れようと思っております。幾つか地方自治体とか民間企業にお願いをしてやっておりますが、力を入れてまいりたいと思っております。

 さまざま、ほかにもございますが、三ッ林政務官のチームで十分検討していただきたい、こう思っております。

西川(公)委員 あと質疑をしたかったのは、司法制度改革の問題、これはしっかりやっていただきたいと思います。さらには人権擁護法案、これはいろいろ紆余曲折があったこともよくわかっておりますが、党としてもよりよいものをつくり上げていってやっていきますが、政府の方もしっかりお願いしたいと思います。

 最後になりましたが、ところで、日本の戦前、戦中、戦後、思想家でありながら行動で示してこられた人物、今余り思想家というのははやりませんが、安岡正篤先生でありますが、自民党としましても、歴代総理の指南番だ、こういうことで、吉田茂、岸信介、池田勇人、佐藤栄作、大平正芳、今おいでになります中曽根康弘先生など、最高の指導者がいろいろ意見を伺ったと言われております。

 この人は、指導者の心得、務めて英雄の心をとり、有功を賞禄し、志を衆に通ず、こうしております。つまり、適材を適所に登用して、あわせて論功行賞も取り入れろ、そして所信と方向性は常に明示しろ、こういうことであろうかと思います。杉浦大臣、これを実践されていると私は受けとめました。しっかり法務行政の整備、推進に当たっていただくことをお願いをして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石原委員長 次に、松島みどり君。

松島委員 まず第一点といたしまして、昨年十二月に犯罪被害者等基本計画が作成されました。大臣はかねてより、犯罪被害者に対する救済問題、御自身でも熱心に取り組んでこられたと記憶しております。そしてまた、この基本計画は、一昨年の十二月に、私もかかわらせていただきましたが、議員立法として犯罪被害者基本法を制定することができた、それに基づく計画の作成でございました。

 これについて、法務省は検討すべき事項は幾つか挙げられておりますが、被害者が事件及び裁判の最大の当事者であることを考えますと、一般常識で言えば、なぜこれまで日本の司法制度ではきちっとなされていなかったのか、おかしいと感じられることがたくさんございます。

 まず、一年以内に検討する事項としまして、冒頭陳述の内容を記載した書面の交付が挙げられています。最大の当事者である被害者に冒頭陳述の内容をコピーして配る、そしてわかりやすい日本語で説明するということは当然だし、やろうと思えば今すぐできることだと私は考えます。一年以内に検討などと言わずに、すぐに実施していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

 もう一つ、さらに、公判記録の閲覧、謄写の範囲を拡大する方向で検討を行うというふうに出ております。これまでは、被害者または遺族が意見陳述を行うとか、損害賠償請求を行うとか、具体的な行動が伴う場合だけをこの対象としていたようですが、被害者及びその遺族というか関係者の方々に対してはきちっとコピーをしてそれをお配りする、ただで、もちろん無料でそういうふうに情報提供をするぐらいのことはしても当然だと私は考えています。だれにでも見せなさいというわけではございませんので、どうかこれも早急に行っていただきたいと思っております。まず、この点、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 松島先生におかれましては、法務委員会には常にかかわっていただき、法務行政について大変な御指導を賜っております。とりわけ犯罪被害者問題については、議員立法を推進される、お力を賜っておりまして、心から感謝申し上げるところでございます。

 冒頭陳述についてですが、委員の御指摘はもっともでございまして、冒頭陳述については犯罪被害者の方々に交付するように速やかに実施したいと考えております。基本計画では「冒頭陳述等」となっておりまして、それ以外の書類もあるわけですが、それについては犯罪被害者の関係の方の御意見も伺いながら検討して、これも速やかに実施したい、こう思っております。

 それから刑事記録の謄写でございますが、拡大を考えております。ただ、これにつきましては、現行法では、裁判所が、被害者の方々などから損害賠償請求権の行使等を理由として申し出があった場合であって、相当と認めるときにこれを許可することができるとされております。被害者の方々はまさに事件の当事者でございますから、御自身が被害を受けた事件の内容を知りたいと感じられることも相当の理由はあるものと考えておりますが、むしろこれは立法論でここのところを変えた方がいいのではないかと思いますが、しかし、前向きに実施いたしてまいります。拡大に向けた検討を速やかに行って、できるだけ早期にこれを実現してまいりたい、こう思っております。

松島委員 引き続きこの問題について伺います。

 二年以内に検討すべき事項としては、このほかにも幾つかございます。この中で大きなものが、損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度の新たな導入でございます。

 この検討ですが、被害者が損害賠償を求める民事裁判を起こす際に、もちろん杉浦大臣は法律のプロでいらっしゃいますが、これまでは、刑事裁判で明らかになったことをそのまま活用すればずっと楽になるにもかかわらず、しかしながらこれはできませんでした。素人で、しかも被害者でつらい思いを抱えていらっしゃる方々が自分の力で相手の責任を立証するなどということは、本当に難しいことです。現在でもこれを求めているというのは、本当に酷なことをしてきた、私はそのように考えますが、どの法律をどのように改正する必要があるのか、そして二年以内に検討ということですが、これも速やかにやっていただきたいと思いますが、大臣の御決意、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 この件は、いわゆる附帯私訴と言われているものでございます。司法制度改革本部内でも議論して、速やかにやるべきだということで推進してきたところでございます。

 加害者に対して被害者が請求するに際しましては、民事訴訟を起こす、最終的にはそうなりますが、多大な労力と時間を要します。独力では証拠が十分に得られないことなどから、なかなか、必ずしも容易ではないという実情がございます。そこで、刑事訴訟の手続の中で附帯して民事訴訟を提起して、同じ裁判官に民事裁判の分もやっていただこう、記録も共通して使えますから。そういう趣旨で、附帯私訴を導入すべきだというふうになっておるわけでございます。

 犯罪被害者等基本計画にもそうなっておりますが、被害者の方々の御意見を伺いながら、損害賠償の請求に関して、被害者の方々の労力を軽減し、簡易迅速な手続とすることのできる制度について、我が国にふさわしいものを新たに導入する方向ということが基本計画にうたわれております。法務省としても検討を行いまして、できる限り早期にこれを実現してまいりたいと考えております。

 ただ、これを実施するのは裁判所でございまして、法務省がやるわけではございませんので、裁判所ともよく相談をいたしまして、刑事裁判官が民事を担当するわけですからという面もあるようでございますが、よく御相談をして、早期に実現してまいりたいと思っております。

 このような制度を導入するについては、現行の刑事訴訟法にも影響を及ぼすことになると考えられますが、刑事訴訟法を改正することになるのか、新たな法律にするのかを含めまして、二年と言わず、できるだけ早期に実現するように検討してまいる考えでございます。

松島委員 裁判の主役というのは、法律論がいかにあろうとも、裁判官でもなければ検事でもなければ、特に刑事事件の場合は被害者であると私は考えております。どうか、議員立法でありました犯罪被害者基本法の趣旨にのっとって、この立法の場できちっと処理をしていただきたい。これを決めるのは裁判所ではなくて立法の場であると思いますので、法律改正に取り組むための準備もよろしくお願いしたいと思っております。

 ちょっと質問の順番を入れかえさせていただきますが、先ほど西川理事の質問の中でも、体感治安という言葉、これは大臣のお話にもございました。そして、河野副大臣が外国人問題について入国管理担当者としてチームを組んでいただいていると伺いました。

 そこで、副大臣及び外務省に質問がございます。

 韓国人に対する短期査証、いわゆるビザの免除を恒久化することが決まりました。これは、愛知万博の期間及びその後ことし二月までの追加的期間に問題がなかったから、三月以降恒久化するというふうに外務省では発表されています。

 しかしながら、最近も韓国人のすり三人組が逮捕されるという事件が発生しました。この二月に、上旬には銀座で三人組、中旬には渋谷で事件を起こしていた三人組が逮捕されました。いずれも短期ビザで出入国を繰り返していたのが犯人たちの実情でございます。

 韓国人のすりというのは、全国的にはそれほどの数ではないかもしれません。しかし、東京など都会に集中して、駅やデパート、電車内など、人込みの中で発生します。そしてまた、逮捕されそうになると柳刃包丁を振りかざすなど暴力的で、本国でもすりを経験しているような、いわばプロ集団が来ていると言われております。だれが被害に遭うかわからない、怖い、これはまさに体感治安の問題であると思います。また、それ以外にも、韓国のアシアナ航空の元社員が入管で不法入国の手引きをして逮捕されました。

 こういったことを考えますと、そしてまた、日本の刑務所の外国人受刑者は、中国人が断トツで一位ですが、二位はイラン、三位がブラジル。このブラジルというのは、ほとんどが若い日系人であるという特殊事情があります。そして、四位が韓国でございます。韓国に対する短期査証免除の恒久化は、私は時期尚早だと考えております。

 外務省に伺いたいと思いますが、簡単で結構なんですけれども、外務省は、今回の措置として、今後問題が生じた際には停止できることになっています。短期ビザの免除を停止できることになっていますけれども、どういうケースが該当するのか。今回のような、銀座で、そしてまた立て続けに渋谷ですり集団が逮捕された、これは問題が生じたということにならないんでしょうかということをまず外務政務官に伺いたいと思っております。

伊藤大臣政務官 松島委員にお答えいたします。

 今回の短期滞在査証の免除については、いろいろ慎重に検討したことでございますけれども、まず、一般にこの査免ということを考えた場合に、もちろん今日本はビジット・ジャパン・キャンペーンをやっているわけですけれども、そういう観光を含む二国間の人的交流の促進の観点に加え、今松島委員御指摘の犯罪対策、出入国管理等の観点を総合的に踏まえて判断を行っているというところでございます。

 そして、韓国人については、昨年三月以降の期間限定の短期滞在査証免除措置の結果につき、一昨年のデータと比較したところ、我が国における韓国人による犯罪等の悪化というものは特に認められなかった。そのこともあり、また本年三月以降、短期滞在査証免除措置を期間限定なしに実施することに決定したわけでございます。

 恒久化は少し早過ぎるんじゃないかということでございますけれども、恒久化と申し上げても、未来永劫、状況が変わってもこれを続けるということではございませんで、この措置の実施状況につき随時検証した上で、問題があると認められる場合には本件の措置を一時停止または終了する、そういう必要な措置をとるということでございます。

 そして、もう一つの御質問は、今回の銀座のすり団とか、そういう問題は本件措置を停止するという件に該当しないかということでございますけれども、こういう個別のケースについては捜査当局による厳格な取り締まりということが最も重要であると考えておりまして、日韓の治安当局間でも密接に連絡をとり、十分な対策がとられていると承知しております。

 また、この査証免除措置の実施状況の検証に当たっては、韓国人不法残留者数の推移、犯罪の動向を初め諸般の事情を総合的に踏まえ、随時適切に判断してまいりたいと考えております。

松島委員 河野副大臣にこの点で伺いたいと思っております。

 今、外務政務官から一応説明はあったわけですけれども、外交判断としてこういう決定がなされたであろうことは推測にかたくございません。しかしながら、治安や入国管理を預かる法務省として異論は出さなかったのでしょうかということと、実はちょっと矛盾するような言い方でございますけれども、銀座や渋谷のすりの場合は、短期ビザを出す制度のもとでさえ、不法残留あるいは数次ビザで繰り返して入国して犯行に及んでいました。ということは、ビザありでもなしでも犯罪を防げなかったというか、これはまさに入国管理の、悪いやつを入れちゃいけないのに何回も入れていたということになるわけですが、副大臣としての取り組みはいかがでしょうか。

河野副大臣 万博の期間中半年にわたりまして、とりあえずテスト的に査証免除を行いました。そのときに韓国から査証免除で日本に入国されて不法残留になった方の割合は〇・二七%だったわけでありまして、前年同期〇・二五%とほぼ同等でございます。その後の十月のデータでは、査証免除で入国された韓国人の中で不法滞在になった割合は〇・二%、前年同期〇・三%と比べますとむしろ低くなっておりますので、法務省といたしましては、査証免除に全く異論はございません。

 短期ビザでも取り締まりができなかったのかという御指摘でございますが、日本と韓国の刑事関係の司法人脈は長年にわたりまして非常に厚いものがございますので、情報の交換などは適宜行っております。また、上陸に当たりましても、可能な限りそうした人間の上陸をさせないという努力は常日ごろからしているわけで、いや、それは入っているではないかという御指摘は確かにございますが、半期で九十万人からの人間が韓国から日本に来られている現状の中で、すべて、一〇〇%抑え切れるかというと、そこはなかなか難しいものがございます。

 日韓では、この一月二十日に犯罪に関する捜査共助条約を締結いたしました。また、入管法を改正して、一度日本から強制退去あるいは日本で犯罪を行った人間に関しては、再び日本にそうした者が入国することがないような措置をとれるように努力をする、改正をお願いしようというところでございますので、今後は、そうしたことを踏まえて、少し犯罪率の低下に努めてまいりたいというふうに思っております。

松島委員 たとえ不法残留の割合が減っても、絶対数が、入ってくる人がふえるとそれだけふえてくるわけでございますから。そしてまた、韓国のすり団が逮捕された、逮捕されるというのはいいことではございますけれども、こういう事件が発生したということが報道されますと、やはり多くの国民が恐怖を感じます。

 どうか、入国管理法の改正を通じて、そしてまた、入国管理の職員の方、非常に人数が足りない状況で、厳しい仕事だと思います。私ども議員一同もバックアップする形で、この体制が整えられるような法律改正及び人員の増加というものを、そしてきちっと対応していっていただきたいと思っております。

 次に、最高裁に伺いたいと思います。

 基本的に、優秀な裁判官というのはどういう人なんでしょうか、そういう質問でございます。

 と申しますのは、横浜裁判所で判決文が短くて関係者にメッセージが伝わらないと問題になった裁判官がいるという指摘を新聞で見ました。しかし、私は、この問題というのは、判決文が長い短いではなくて、量刑が適切かどうかだと思っております。

 実は、これは執行猶予つきの判決の問題なんですが、執行猶予つきの判決が非常に多くてけしからぬと私は思っているんですけれども、昨年、この委員会での私の質問に対する答弁で、強姦で二三%執行猶予がつく、強制わいせつで七二%執行猶予がつくことが明らかになりました。性犯罪に対する、法律も甘いんですけれども、判決の甘さは目に余ります。

 この中で性犯罪の再犯率の高さも指摘されているところです。

 青森で自分のことを王子様とか御主人様と呼ばせていた男、この男は複数の女性を監禁した罪で捕まり、執行猶予中に再逮捕されました。このときの問題ですが、執行猶予中に黙って移動していたということで保護観察所の責任が問われるなどいたしましたが、そもそも悪いのは、保護観察所以前の問題で、執行猶予つきの判決を出した裁判官の判決こそ問題ではないかと私は考えております。

 そこで、提案とともに、最高裁から御返事をいただきたいんですが、深く反省しているとか、再犯のおそれは少ないと言って執行猶予つきの判決を出した被告が再犯を犯した場合、どの裁判官のこういう判決に対して再犯率が幾らかということがわかるような形で国民に情報開示をしていただきたいと思っております。そういう資料はあるんでしょうか。

 また、無罪にした、無罪判決を出したけれども控訴審で有罪になり確定した、この場合も一審の裁判官の判決は間違っていたということになるわけですから、こういったことを明らかに国民に示すとともに、裁判所の世界ではこれが人事考課に反映されるんでしょうかという疑問と提案でございます。

 最高裁の判事については国民審査の制度があります。しかし、ある意味では、一般国民にとっては、身近な恐ろしい事件に対する判決というもの、地裁の裁判官の判決というものはより一層関心の深いものです。国民が点検できるようなデータの情報公開がされているか、今後されていくおつもりがあるか、教えてください。

園尾最高裁判所長官代理者 ただいま裁判官の量刑の問題、それから人事評価の問題についてお尋ねがありました。

 刑事裁判における裁判官の量刑判断につきまして、ただいま御指摘のような観点も含めましてさまざまな御意見がありますことは、私どもも十分に承知をしておるところでございます。

 裁判官が判決において刑罰の決定をするという場合に、実刑判決に対する再犯率や、あるいはただいま御指摘がございましたような、執行猶予にした場合の再犯の実情がどうなっているかというようなことにつきましても、これを深く洞察いたしまして適正な判決を下すということは、裁判官にとって必要なことでありますし、裁判官がしっかりと研究をすべき課題の一つであるというように認識しておるところでございます。

 ただ、これを裁判官の人事評価に反映させることができるかどうかということになりますと、裁判所当局の人事評価は、個別の裁判の内容の当否に立ち入ってはならないという裁判の独立の観点からの原則に基づきまして、それはやるべきではないということになるわけでございます。これは、裁判官の職務の独立性を最大限尊重するということが裁判の独立を保障するという観点からは最も重要なことであるというところから出る結論でございますので、この点については御理解をいただきたいというように考えております。

松島委員 私は、立法者として、司法の判断に対して介入したいとかどうこう思ったりはしておりません。しかし、司法の範囲の中で、どの裁判官が正しい判決をしたかの検証をして、その人の、裁判官に対する価値判断を行うということをやってもらわないと、国民にとって裁判への信頼性が失われることになると思います。

 今度、司法制度改革ということで裁判員制度を設けて、そして国民の目線で裁判を行うということになっておりますけれども、裁判官に対して、この判決はちょっとおかしいんじゃないのということを国民が感じたりする場合もある。それを裁判所というものがしっかりと受けとめて、きちっと指導していただかないと困ると私は思っております。

 今答弁にございましたように、裁判所では裁判官のチェックをしてくれません。量刑が甘い、あるいは執行猶予がついておかしいことが多々あると思います。

 そこで、大臣に質問させていただきたいと思っております。

 そういう状況ですからこそ、私は、法定刑のありようというのは非常に重要な問題だと思っています。

 その中で、私はこの委員会でこれについて質問するのは多分三度目になると思いますが、刑法の中で、強姦致死傷、これは無期または懲役五年以上になっております。普通の人の感覚でいいますと、必ず刑務所に入れてもらわないと困ります。情状で執行猶予つきの判決にならないためには法定刑が懲役七年超でなければだめだと伺っております。この刑法改正を速やかにやっていただきたいと考えております。

 そしてまた、強盗致傷は懲役六年以上でございます。この強姦致死傷と強盗致傷の逆転、私は許せない。

 そしてまた、犯罪被害者基本法に携わりましたが、犯罪被害者の方は、いろいろな立場で被害者や遺族の方は声を上げられます。しかしながら、性犯罪については被害者の方が声を上げにくい。私は、ふだん国会議員として仕事をするときに、女だから男だからといって何か考えることはございません。しかし、このテーマだけはきちんと追いかけていきたいと思っております。

 大臣、この刑法の規定についてどうお考えになるか、改正の必要があると考えられないか、お願いします。

杉浦国務大臣 先生がこの点について前々から関心をお持ちになり、御主張なさっていることは承知しております。

 平成十六年の刑法改正におきまして、強姦罪など性犯罪の保護法益の重大性に着目して法定刑を引き上げました。強姦については、前は二年以上十五年以下、それを三年以上二十年以下、こういたしました。それから、集団強姦罪、いわゆる輪姦ですが、集団強姦等致死傷、これを新設いたしました。殺人はそれまで死刑、無期、三年以上だったんですが、殺人は死刑、無期、五年以上に修正いたしました。

 この問題について、軽視しているというわけではありません。性犯罪を軽んずるという気持ちは、私どもは全くございません。

 先生と議論すると平行線になる可能性もありますから、また別に改めてさせていただきますが、強姦致死傷についても、情状によって執行猶予を付し得ないとすることがいいのかどうかという問題もあるわけでございますので、この問題は、先ほど申し上げましたように、刑罰体系全体の中で検討を要する問題でございますから、十六年に改正したばかりですので、次の改正の時期にまた改めて検討させていただきたいと考えております。

松島委員 法律改正というのは、いつやったからあとしばらくやらないとか、そういう問題ではないと私は考えております。

 最後に、これも大臣に伺いたいと思っております。

 裁判員制度について熱心なPRを進められております。次に申し上げるのは、この中で、これは法律を改正しなくてもできることですので、お願いがございます。これもこの委員会でずっと私は申しております。

 今法務省が考えている制度では、裁判員になると、被告に裁判員の名前が知られることになっています。裁判員はたまたま無作為に選ばれて裁判への参加を義務づけられた一般国民であり、覚悟してなった職業裁判官とは別です。やはりお礼参りは怖いですから、名前を知られないようにすべきだと思っております。

 どうしても名前を知られないといけないということならば、被告が関係している人からひどい判決を下されたらいけないのでチェックしなきゃいけないという理屈を何度も言われましたけれども、それだとしたら、裁判員候補者に対して、裁判員になるということは、あなたの名前が弁護人を通じて被告に恐らく知られるということを提示していただきたい。それでもいいという人だけ裁判員になってもらうので、そんなのは嫌だ、怖いという人には、それを拒否理由として裁判員を拒否できるようにしていただきたい。これは法改正が必要ない、通達なり政令だと思いますので、大臣、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 忌避理由といいますか、拒否事由は法定されておりまして、それ以外のものは政令で定めることができるようになっております。先生のおっしゃるような趣旨を入れるとすれば、政令で定めることになると思いますが、私が心配していますのは、この法定事由だけでも裁判員になるのを拒否される方が多くなるんじゃないかと心配しています。

 例えば、従事する事業における重要な用務であってみずからがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるもの。中堅サラリーマン、経営者はみんなこれで逃げるんじゃないか。介護または養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族、両親、祖父母等の介護または養育、子供を含めて、行う必要があること。奥様方はこれで拒否されるんじゃないかという心配をしておるわけでありますが、その上に、先生おっしゃるような理由を仮に加えますと、皆さん手を挙げていただけないんじゃないか、無作為で指名しても。(発言する者あり)心配をしておるわけです。

 ですから、国民の御理解をいただいてこれはやらなきゃなりません。この制度を発足させるためにはそういう面も考えなきゃいけませんし、それから、もっと根本的なことは、裁判員というのは裁判官と同等の権限で裁判に参加いたしますし、裁判員の威迫とか、そういうものは罪でありますし、合議内容は外に漏らしてはならないことになっておりますから、名前のわからない方に裁判をしていただくという被告人の立場も考えますと、そういうふうにすることはいかがなものかというふうにも考えるわけでございます。

松島委員 こういうことを理由に挙げたら裁判員になり手がいなくなる、そんな裁判員制度だったら実施しない方がいいと私自身は考えております。そして、裁判官と同等の立場といっても、裁判員は、いわば赤紙召集のような形で、言われてなる国民がつくものでございます。この違いはしっかりと御理解をいただきたいと思っております。

 そしてまた、人権とか権利というものは、まず被告や加害者のためにあるのではなくて、次の犯罪を生まないということは何よりも大事だ、被害者や証人、そして裁判員、これを守ってやることは必ず必要なことだと思っております。また法務省でお考えいただきたいと思います。

 以上です。

石原委員長 次に、赤池誠章君。

赤池委員 私は、自由民主党の赤池誠章でございます。

 昨年の夏に初当選をさせていただきました。本日、法務委員会では初めての質問ということでございます。何分、諸先生や皆さん、法律の専門家の方々が大勢いる中で、私は国民の視線で発言をさせていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 先日、小泉総理が、既に西川先生の質問にもございましたが、世界一安全な日本の復活というのを掲げられております。そして、それを受けて、先日の法務大臣所信表明でも、治安回復元年ということを位置づけてこれからやっていくということに対しまして、本当に今、国民の気持ちを代弁して、大変重要なことだということで、私も法務委員会に入れていただいて本当によかったなというふうに考えております。

 既に百六十カ所という、大臣、副大臣、政務官、ちょうど私も河野副大臣のメールマガジンの愛読者でございまして、その中にもそのような話題が入っておりまして、なかなかふだん知ることができないそういったものを読ませていただいて、改めて勉強もさせていただいたところです。非常に、五万人以上の方々、第一線で士気が高いということを聞いて、本当に心強く思っております。

 私も、一年生議員ではございますが、微力ではございますが、本当に一生懸命法務委員として頑張ってまいりたいと存じます。

 そこで、まず一番目の質問なんですが、私は、地元の山梨なんですけれども、北朝鮮に拉致をされた日本人を救出する会、いわゆる救う会の山梨の事務局長をしておりました。山梨においても、新潟と比べると山梨というのは余り拉致問題に関しては有名ではないのですが、いわゆる特定失踪者の問題、今から二十二年前に、私の生まれ育った、現在住んでいる甲府市において、山本美保さんという方が、拉致をされたのではないかという疑いのある方がいらっしゃいます。

 先日、二月の十日にも、山梨において、山本美保さんの御家族と、それから、名前は公表できないのですが、拉致をされた疑いのある家族の方が、初めて一緒に話し合いを持たれたというようなこともございました。

 そんな中で、昨年、決算行政監視委員会でそのことは質問をさせていただきました。きょうは法務委員会ですので、公安調査庁に、拉致の事件、そして北朝鮮、特に朝鮮総連の動向についてお聞かせいただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 朝鮮総連につきましては、北朝鮮に対して密接かつ従属的な関係にあり、現在の北朝鮮指導部の事業のための献身というものをそもそも組織の目的にしているという機関でございますけれども、過去におきましても、朝鮮総連とその傘下団体の関係者等によるさまざまな非公然活動等が指摘されているところでございます。

 お尋ねの拉致問題との関係につきましては、私どもとしましては、具体的な幾つかの事件で朝鮮総連関係者の関与が指摘されておりますことや、今申し上げた組織の性格、それから種々の情報などから見ましても、朝鮮総連の関係者が北朝鮮工作員による拉致事件に関与している可能性があるものと考えておるところでございます。

赤池委員 ありがとうございます。

 私が地元で拉致問題にかかわらせていただく中で、非常にショッキングといいますか残念なことは、今御指摘のような朝鮮総連の存在と同時に、そういったことに私たち日本人が協力者としてかかわっているということも巷間言われているということでございますが、公安調査庁としても、その辺の情報というのは調査の段階でもある程度つかまれているんでしょうか。

大泉政府参考人 朝鮮総連のさまざまな活動に日本人の関係者がさまざまな形で協力しているという事実は、私どもの調査の過程で、具体的には申し上げられませんが、それなりに把握しているところでございます。

赤池委員 そういった、つまり、いわゆる工作活動ということは、言ってみれば、外から来るというだけではなくて、本当に我々の生活の身近なところに存在をしているということが、図らずも拉致問題、特定失踪者問題が明らかにしている。それに対して、国として、国民の、先ほど、小泉総理が掲げられた世界一安全な国日本、そして大臣が掲げられている治安回復元年においても、その視点というのは、特別なことではなくて、きちっと国民の中に、そういったこともあるんだということをやはり認識していただかなければ、本当の意味で、当然犯罪も重要なんですが、大事なことではないか。そのためにぜひ、公安調査庁の日ごろの本当に地道な調査活動が、大変そういう面では、何か事件とか事案が起こったというよりも、本当に毎日毎日地道な調査活動というものが大事だと思っております。

 先日も、私もいただきましたが、「内外情勢の回顧と展望」という毎年出されている冊子、そういう面では、もっとこれが国民の皆様に読んでいただいたり、ホームページも公安調査庁は出してはおりますが、そういう面では若干PRという面で、個別案件は先ほど長官がおっしゃったようになかなか言えないのはもちろんなんですが、やはりきちっとその危険性というものを、ぜひ積極的なPR、ホームページなどを充実させていただきたいと思います。その一端だけお聞かせ願えればと思います。

大泉政府参考人 先生の御指摘を踏まえて、努力してまいりたいと思います。

赤池委員 ありがとうございました。

 以上の拉致の問題を取り組んでおります。そんな経験から、きょうはさらにテロ対策ということでお伺いをしたいと思っております。

 ちょうど先日、NHKのニュースで、来る三月七日に千葉県の安房郡富浦町で全国瞬時警報システム、Jアラートという新しい、衛星ネットワークと市町村の防災無線を、今までは国、県、市、そして住民という、一つのこういった段階を経ないと住民に行かなかった警報を、瞬時に国から衛星と市町村の行政無線を通じて住民に伝えるというシステムが開発をされ、初めて避難訓練も含めて実験が行われるというのがNHKのニュースで流されました。

 簡単な資料も取り寄せて確認をさせていただいたんですが、それが想定が、今までは津波であったり地震であったりということだけではなくて、いわゆる国民保護の観点から、ミサイルの攻撃、そして今回の場合はテロリストが大房岬に上陸をしたということをその全国瞬時警報システムを使って住民に伝えて、それに伴って住民や小学生が避難をする、そういう訓練が行われるという形になっているそうです。

 そういう面では、テロの訓練は全国各地、市町村、行われていたということですが、今回こういったシステムを使ったのは初めてということで、そういう面では非常に住民の意識の向上、先ほど言った部分からいえば、相当大きな訓練、意義があるのかなというふうにも感じております。

 そういう面で、アメリカの九・一一同時テロ以来、昨年もイギリスでも起きましたけれども、いつどこで起きるのかということに関して、体感治安という言葉が使われておりますけれども、本当に漠とした不安というものを国民は感じているなというふうに考えております。当然、それにきちっとした対応をしていく、そのための今回の避難訓練でもあろうと思いますが、改めて日本国内の、拉致を含めて、一体テロの危険度というのはどの程度のものなのかということを、ぜひ調査庁の方から見解をお聞かせください。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 国際テロという問題についてお話しいたしますと、昨今の国際テロ組織の動向に照らしますと、我が国が米国の主要な同盟国であり、国際社会と協調して国連決議等に基づいてテロとの闘いに取り組んでおりますことや、アルカイダやその関連組織が我が国を再三テロの対象に名指ししておりますこと、また、九・一一テロ以降、スペインやイギリスなどテロの対象として名指しされている主要国が実際にテロの攻撃を受けておりますこと、それからまた、我が国には、まだ比較的小規模ではありますけれども、イスラム教国御出身の方々のコミュニティーなども存在しておりますし、また、現にアルカイダとの関係が疑われる者が我が国への不法入国を繰り返して、相当期間潜伏していたという事実が確認されておりますこと、それから、我が国がテロの標的となり得る公共施設、多数の市民が集う諸施設など、いわゆるソフトターゲットが多数存在していることなどから、我が国が国際テロ組織の攻撃対象とされる可能性はあるものと考えております。

赤池委員 これは、比較して上がっているか下がっているかなんというのはなかなか難しい問題だとは思いますが、確実にこの国内においても国際テロがある、その危険性は根拠のあるものだという認識で、長官、よろしいんでしょうか。

大泉政府参考人 先生御指摘のような認識のもとに警戒をしていくべきものと考えております。

赤池委員 ありがとうございます。

 そんな認識をベースとして、具体的な対策ということで既に御案内のような形でテロの未然防止の計画というものがつくられて、それに沿って年度をきちっと切って順次体制整備が進んでいるということなんですが、その中で、何をおいても国内外の情報収集というのが一番大事だというふうに考えております。

 その中で、公安調査庁の配置状況という形で考えてみると、現在、公安調査局が主要都市八カ所、それから公安調査事務所が全国に十四カ所というふうに聞いておりますが、残念ながら、以前は私の地元山梨にも公安事務所があったんですが、現在は静岡と統合されて、静岡からわざわざそのたびに担当の方がいらっしゃって調査をしているという現実がございます。いわゆる空白県という形で、それほど、何か事案、事件が起こって行くというのではなくて、本当に日ごろから定点観測、朝鮮総連の動向であったり、いわゆる過激派、右翼、日本共産党を含めて、さまざまなものを定点観測するということが、地道でありますが、非常に大事な調査ということを聞いております。

 そういう面で、テロの脅威というのが全国各地に、この場所が危ない、大都市だけ危ないということではないと思うんですね。そういう面では、今回小泉内閣としての公務員の削減であったり行財政改革の流れがあるとはいいながらも、治安回復元年、世界一安全な国のためには、空き交番解消に増員も図られているわけですから、ぜひ、本当に定点観測として、何が起こって行くという調査ではないだけに、配置の強化というのは必要ではないかと思うんですが、長官、いかがでしょうか。

大泉政府参考人 私どもの業務に大変御理解をいただきまして、ありがとうございます。

 先生御指摘のように、全国あらゆるところ、私どもとしては目を光らせてさまざまな情報を集めたいと考えており、そのためには、集約による効果でありますとか、あるいは職員の能力の向上でありますとか、さらに定員の増加といった問題などに今後とも努めてまいりたいと考えております。

赤池委員 こういう時代ですから、また山梨に公安調査事務所をつくれということは言わないんですが、やはり、やりくりはいろいろ考えられると思うんですね。駐在員という形で、これが労務管理上どうなのか、ちょっと私はわからないんですが、住まいと事務所を一体にするとか、現行ある法務省の施設を活用するとか、いろいろな形でぜひ、これは要望、提案ということになるんですが、大臣含めて法務省全体として、本当に日ごろ、私も拉致問題に取り組んで担当の方と接する機会が多かったものですから、そういった、本当になかなか日の目をという言い方をすると怒られてしまいますが、なかなかスポットライトを浴びない、でも本当に重要なお仕事をなさっているというふうに感じておりますので、ぜひ、法務省全体、そして内閣一体としてその辺の配慮を、格段の配慮をお願いしたいと思います。

 次に、今回、本国会において、厳格な入国審査をしていこうということで、不法滞在者半減、そしてテロの未然防止ということで、いわゆるバイオメトリックス、個人情報識別を活用した入国審査制度を導入することに法案が改正されるということになっております。既にアメリカで導入されているシステムですけれども、具体的にどのような効果があるのかということをぜひこの機会に教えていただきたいと思います。

河野副大臣 今回、入管法の改正をお願いするのは、入国時に当たりまして指紋の採取をお願いするものでございます。

 現在、日本に来られて不法滞在をされて退去強制をされた方が、昨年で五万数千人いらっしゃいます。その八人に一人は、実は初犯ではございませんで、一度退去強制をされて他人のパスポートあるいは偽造パスポートで入ってきておりました。

 現在は、そういう方を退去強制する際に指紋をとってリピーターだということがわかるわけでございますが、事前に入国時に指紋をとることができれば、これまでの退去強制者の指紋のデータベースと比較対照をしまして、この人間はかつて退去強制をされたことがある、つまり、この場合、上陸させるべきでないということがその時点でわかりますので、そうした者の入国を未然に防止することができます。

 それからもう一つは、入管が入手しておりますテロリストの指紋に入国時に採取した指紋を対照させまして、テロリストの入国の未然防止も行うことができるわけでございます。

赤池委員 具体的な数字というのは当然なかなかわかりにくいこととは思いますけれども、そういう面では、相当程度というか、不法滞在者氏名、そしてテロリスト、当然、国際的にわかっている方に対しては相当の効果があるということでよろしいでしょうか。――はい。

 その中で、指紋ということをとらえて、国際人道上とか人権という言葉を使って非常に問題ではないかという指摘が必ずされるんですけれども、それは本当に国際法上問題なのかどうか、その辺の御見解をお聞かせください。

河野副大臣 九・一一以降、国際的なテロリストをいかに防ぐかということは、各国の喫緊の課題というふうに各国政府も認識をしております。

 指紋を入国時に採取することに当たりまして、国際法上の問題はないというふうに我々は認識しておりますし、現在、委員御指摘のとおり、アメリカが二年前から指紋の採取を始めておりますが、国際法上、特に問題になったということはございません。当初、若干の国が感情的な反発がございましたが、その後落ち着いておりますので、そうしたことについて問題はないと思っておりますし、幾つかの国、地域が具体的に入国時の指紋採取を検討しているということでもございますので、こうしたことが趨勢になっていくというふうに思っております。

赤池委員 そういった議論が必ず毎回蒸し返されるような状況がありますので、そういう面では、きちっと、今副大臣が御指摘になったような形で我々国会議員がそういった認識をしっかり持つ、そして国民にも問題はないんだということをぜひはっきりとした形で認識を持っていただけるよう、引き続きアピールをしていただきたいと思います。

 これから先は、ちょっと質問ではなくて意見表明みたいな形になるんですが、テロの未然防止対策に係る基本方針に関する法制の検討というのが法務省、公安調査庁も含めて関係省庁でなされているということを聞いております。既に計画ができて一年以上たっていると聞いております。できるだけ早く、何といっても基本法制をきちっとしていくということが対外的に、また国民に対してもテロの未然防止につながっていくというふうに思っておりますので、ぜひ、法務省、公安調査庁含めて、また大臣、内閣の方で、前官房副長官でもございますので、その辺をやはり早急に進めていただきたいというお願いをさせていただきたいと思います。

 それから、その中にぜひ検討していただきたいということも考えておりまして、これもアメリカで行われている、国土安全保障省で導入されている国家安全保障勧告システム、いわゆるテロ攻撃の脅威のレベルを、国民に対して五段階でわかりやすく色で表示するという仕組みがございます。これをすぐに導入するというのはなかなか難しいのかもしれませんが、ぜひ、そんな基本法制の中で検討もしていただきたいと思うんです。

 このメリットは何かというと、やはり政府としても、それだけの表示をするということで、今まで以上にきちっとした形で関係省庁が連携をして国民に対して、個別ではないんですが、責任を持って出すということに対しては、相当の、より、さらに厳格な審査と決意が込められると思っております。そして、それを受けた国民も、先ほど御質問させていただきましたとおり、それはどこの話かということではなくて、本当に身近な問題なんだなということを感じるきっかけにもなると思っておりますので、ぜひ御検討をお願いいたします。

 それからもう一点、指定制度、テロリスト及びテロ団体の指定制度というのも検討なされているというふうに聞いております。そういう面では、既に公安調査庁の長年の積み重なった、また海外との、カウンターパートナーとの情報交換もあると思っておりますので、そういった蓄積を生かした形で速やかにテロリスト及びテロ団体を指定していただくということが未然防止につながると思っておりますので、引き続き、ぜひ格段の御努力をお願いしたいと思います。

 そんな中で、時間もそろそろ参りまして、昨年の郵政解散によりまして見送りといいますか、当然、解散があったということで、人権擁護法案について最後に御質問させていただきたいと思います。

 大臣の所信表明では、早期提出に努めるというふうにおっしゃっているんですが、昨年のマスコミ報道、例えば、具体的に言うと共同通信十一月二十七日の報道によりますと、大幅見直しの可能性を示唆というような報道もなされております。この辺の大臣の真意、御見解をお聞かせ願いたいと思います。

杉浦国務大臣 先生には、ただいまさまざまな御意見、御提言を賜りました。また、公安庁についてはお励ましをいただきまして、本当にありがとうございます。今後とも、初心をお忘れになることなく、フレッシュな感覚で法務行政についてさまざまな御叱正を賜るようにお願いを申し上げたいと思います。

 人権擁護法案ですけれども、簡易、迅速、柔軟な救済を行う新たな人権救済制度を確立、人権侵害被害者の実効的な救済を図るという目的で、閣法として提出したわけでありますが、ぜひとも必要な法案と考えております。

 しかし、前国会に至るまでには、与党といっても自民党の中の議論の結果提出するに至らなかったという事情があることは先生御案内のとおりでございまして、まずは自由民主党、それから与党の御理解をいただいて、できるだけ早期に提出できるように努めてまいりたいと思っております。

 私の真意は、もちろん、国会へ提出いたしまして修正されるというのは、いろいろな法案についてあることでございます。与党、あるいは国会において十分な議論がなされまして、政治の場で一日も早く意見の集約がなされる、国会を通していただくということが大事なわけでございますので、国会において大幅な見直しが必要だとお考えになるならば、前向きに検討させていただきますし、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。

 今後とも、担当大臣として取り組んでまいる所存でございます。

赤池委員 ということは、議論の中で大幅な見直しなり、そして本国会においてその議論の推移を見ながら、必ずしも今国会で提出もしなくてもいいというような解釈、認識でよろしいのでしょうか。

杉浦国務大臣 現状は、自由民主党の中で御検討いただくということになっておりまして、一言で申しますと、まだ提出できる状況ではございません。

赤池委員 本当に率直な質問に関しましてお答えいただきまして、ありがとうございます。

 最後に、ぜひ大臣に、既に西川先生の御質問の中にもありましたが、治安回復元年に向けての決意の一端、時間内に、最後、お聞かせ願えればと思います。よろしくお願いします。

杉浦国務大臣 西川委員にも申し上げましたけれども、総理からも、治安回復、世界一安心、安全な国日本を取り戻してほしいという御指示がございましたし、御案内のとおり、国民の皆さん方は、ここ数年のどの世論調査でも治安に不安を感じている、それが関心事項の上の方であります。景気と並んで関心が強い。それだけ体感治安が悪くなっている。

 治安の状況は危機的状況を脱しておりません。赤信号が点滅しているということをいつもいつも申し上げさせていただいておるんですが、そういう状況であります。治安が悪くなった原因はさまざまでございまして、一様ではありません。これを回復するのは容易なことではないことは重々承知いたしておりますが、法務省員五万一千人一丸となってともかく取り組もうじゃないかということを年頭の訓辞でも申し、この間の検察官会同でも申し上げた次第であります。微力ではありますが、一生懸命努力してまいります。

赤池委員 法務委員会での初めての質問ということで、本当にいろいろ失礼、ぶしつけな質問があったかもしれませんので、ぜひ、一年生議員ということで御容赦をいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 本当にありがとうございました。

石原委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原でございます。

 まず、杉浦法務大臣の法務大臣御就任、心よりお喜び申し上げます。おめでとうございます。

 私は平成八年に初当選でございますけれども、それ以来、法曹出身の法務大臣というのは、保岡先生、高村先生に続いて杉浦大臣が三人目であるというふうに私承知しておりますけれども、難しい時期に法務大臣に御就任されて、指導力を発揮して、御活躍あらんことを心よりまずお祈り申し上げます。

 本年は、これまで当委員会で審議されてきました司法制度改革が実を結ぶ大事な、第一歩となる大事な年でございます。五月には、今春卒業の法科大学院第一期生が新司法試験に臨む、こういうことになります。十月には、日本司法支援センターが法テラスの愛称でもって業務をスタートする。さらには、二〇〇九年には新しく導入される裁判員制度の実施。準備のためにもあと三年、万全を期していかなくてはならない時期だと思っております。また、今国会で提出が予定されております少年法の改正とか、あるいは刑事施設及び受刑者の処遇に関する法律の一部改正とか、出入国管理法の改正とか、さらには継続審議になっております条約刑法の審議とか、大変重要法案がメジロ押しでございます。

 このような大事な時期に弁護士出身の杉浦先生が法務大臣に御就任されたということは、まことに時宜を得た大臣の御就任であると私は考えております。大臣の御決意を改めてお聞かせ願いたい、こう思います。

杉浦国務大臣 漆原先生とは同じ弁護士仲間でございます。先生初当選以来、常に西川先生同様の戦友としてさまざまな課題に取り組ませていただきました。大変、政治家としても弁護士としても力量をお持ちでございまして、風格もおありになる。私が法務委員長のときに漆原法務大臣と指名してしまったこともあるぐらいでございまして、今後ともひとつ、格段の御指導、御鞭撻を賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。

 課題山積なのは、もう委員が申されたとおりでございます。本当に先生がおっしゃられたようにさまざまな意味合いにおきまして、法務行政、重要な時期を迎えていると思うわけでございます。このような時期に重責を与えられたということはめぐり合わせでございますが、ある意味では政治家として、男冥利に尽きると申しますか、そういう点もございます。法の番人として、微力ではございますが、力一杯努力してまいりたいと思っておりますので、今後とも御指導、御鞭撻をいただきますように、よろしくお願い申し上げる次第でございます。

漆原委員 端的な問題を端的にお聞きしたいと思います。取り調べの可視化、いわゆる録画、録音についてお尋ね申し上げます。

 公明党はマニフェストで、「二〇〇九年の裁判員制度実施までに、ビデオ録画等による取り調べ過程の可視化を検討・策定します。」というふうに掲載をさせていただいております。

 私どもが取り調べの可視化に取り組む理由は、次の二点でございます。

 第一点は、いわゆる取り調べ室における密室での取り調べでは、自白の強要の温床となりかねない。第二番目、裁判員制度が実施された場合に、供述調書の任意性が延々と長期間にわたって争われるようでは裁判員となった市民の皆様に大変な苦痛を与えかねない。この二点でございますが、この取り調べの可視化に対する法務大臣の御所見を承りたいと思います。

杉浦国務大臣 漆原先生は、当面する現実の問題だけではなくて、中長期的な視野に立ってさまざまな提言もされ、活躍をされているということはよく承知いたしております。今の点につきましても、先生は前々から御主張され、先生の御主張が党のマニフェストになったのではないかと拝察をいたしておるわけでございます。先生がおっしゃった点は、そのとおりでございます。

 デュープロセスというのは、特に被疑者の場合、先生がおっしゃったような意味で大切であり、また、裁判上も一番争われるというところでございますから、先生の御主張はよく理解できるわけであります。また、被疑者の取り調べが事案の真相を解明するためには不可欠でございます。自白を強要するとかそういうおそれもあるわけですが、非常に重要な捜査手段でございますので、先生のおっしゃることはまことに大事だと思うわけでございます。

 この点、先生御案内のとおり、司法制度改革審議会の意見書が、膨大なものが出ておりますが、そこでも取り調べ状況の録音、録画や弁護人の取り調べへの立ち会い、アメリカでやっておりますが、それについては、刑事手続全体における被疑者の取り調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であること等の理由から、将来的な検討課題だ、こうなっておることは先生御案内のとおりでございます。

 法務省としても、この問題は刑事司法制度のあり方全体の中で、多角的な見地から慎重に検討することが必要であるというふうに考えております。

漆原委員 十六年の刑訴法改正の際の衆参法務委員会の附帯決議がございます。これは、政府に対して可視化等について法曹三者間の協議を踏まえて検討することを求めておるわけでございますが、法曹三者間の協議の経過をお尋ねしたいと思います。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、取り調べの録音、録画等の問題につきましては、最高裁判所、日本弁護士連合会及び法務省、最高検察庁が設置した刑事手続の在り方等に関する協議会において協議することとされておりまして、現にこれまで同協議会において三回、この問題についての意見交換などが行われておりますし、本年一月には同協議会の下に研究会が設置され、そこでも諸外国の状況を取り上げるなどして、この問題についての検討を行っているところでございます。

漆原委員 三回、委員会が行われたというふうにおっしゃいましたが、そこでこの可視化問題についていろいろな意見が出たと思いますけれども、どんな意見が出たのか、若干御紹介いただければありがたいと思います。

大林政府参考人 日本弁護士連合会の代表の方から、今先生御指摘のような御意見、やはり可視化が必要であるという御意見が出たのに対して、法務省側では、今大臣が申し上げたとおり、やはり司法制度の中、捜査手続の中での検討が必要ではないかということでそういう意見が出された、このように承知しております。

漆原委員 海外の動向を見ますと、イギリス、アメリカ、オーストラリア、イタリア、フランス、香港、台湾で既に可視化が法制化されております。また、韓国でも、二〇〇四年から試験的に検察庁における取り調べの録画が実施されていると聞いております。さらに、この国々では、弁護人の取り調べにおける立ち会いも認めているところが多いわけですね。

 そういう意味では、取り調べの可視化というのは世界の大きな潮流になっているというふうに私は思っておりますが、漏れ聞くところによりますと、どうも捜査機関の方がこの可視化についてはやや消極的な意見を述べられていることが多いというふうな話も聞いておりますが、まさに弁護士出身の法務大臣として、この取り調べの可視化、そして、世界の動向にかんがみて日本は今後どうあるべきか、大臣の御所見をお尋ね申し上げたいと思います。

杉浦国務大臣 私は不勉強で、先生ほど各国の状況に通じているわけではございませんが、事務当局からいろいろと事情をお伺いいたしまして、なるほど、いろいろな国で、それぞれ各国の事情に合わせていろいろな制度が立ち上がっているなというふうに感じております。

 捜査当局が消極的だという先生の御意見がございましたが、抵抗するのは当たり前かもしれませんね、捜査当局は。弁護士は可視化しろと言うし、そこは法益を考えて、もしやるとすれば、日本の司法制度に適した制度を考えていくということだと思います。今は三者で協議が行われているということでございますし、我が国全体の刑事司法のあり方を踏まえて、その三者協議を見守りながら検討してまいりたいというふうに思っている次第でございます。

漆原委員 よろしくお願い申し上げます。

 続いて、ゲートキーパー問題についてお尋ねしますが、ゲートキーパー、何が何だかわからないんですが、ここは倉吉司法法制部長に、ゲートキーパーとはどんなことなのかという点の概略を、まず委員の皆様に御説明いただきたいと思います。

倉吉政府参考人 ゲートキーパーと申しますのは、文字どおり門番でございます。

 この問題が出てまいりましたのは、政府間組織、国際的な組織でありますFATFというのがございまして、金融活動作業部会、こういうふうに訳されておりますが、そこで、資金洗浄、いわゆるマネーロンダリングの対策を強化しなければいけない、これをもっと促進しなければいけないということで、このFATFというのが平成元年に、G7のアルシュ・サミットの経済宣言を受けて設置されました。現在、この加盟国が、OECD加盟国を中心に三十一カ国に上っているということでございます。

 このFATFはさまざまな勧告をしておりまして、その中で、すべての指定非金融業者及び職業専門家に以下の条件に従って適用されるというふうに書いておりまして、済みません、直訳で言っておりますので順序が逆転していますが、弁護士その他いろいろな職種がございますが、そういった職業専門家は、顧客の代理としてまたは顧客のためにいろいろな形で金融取引に従事する場合には疑わしい取引の届け出を行うよう義務づけられている、こういう勧告がございます。

 これを政府の方で、このFATFの勧告を完全実施するために法案の提出に臨むのであるということを、平成十六年の十二月十日のテロの未然防止に関する行動計画というところで決めたということであります。国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部の決定であります。この決定に基づきまして、具体的にどういう作業を詰めていくかというところを、今政府で検討中でございます。

漆原委員 ありがとうございました。

 政府は、弁護士に対してマネーロンダリング、テロ資金の疑いのある取引について警察庁に届け出義務を課す法案の準備をしているというふうに聞いております。

 この問題については、市民の弁護士に対する信頼を傷つける、市民が弁護士に真実を述べることをちゅうちょするようになるため、弁護士から適切な助言が得られなくなってしまう等々といった問題点が指摘をされております。九・一一のテロに遭ったアメリカでさえも、米国法曹協会の反対もあって、立法化の動きはない。また、ベルギーやポーランドでは、制度が導入されたものの、弁護士会から違憲訴訟を提起されて、今憲法裁判所で訴訟が係属中と聞いております。

 この制度の導入には慎重であるべきと考えますが、法務大臣の御所見を承りたいと思います。

杉浦国務大臣 私も慎重であるべきだと思います。

 弁護士に課される義務の制度化については、顧客との信頼関係が弁護士には求められております。弁護士法には守秘義務と同時に権利も明記されておるわけでございまして、この関係をどう調整するのか。一方において、FATFの要請はわかりますけれども、どう調整するかは大きな問題でございまして、諸外国の実施状況を参考にしながら、慎重に検討してまいりたいと思っております。

漆原委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

石原委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 私も、先ほどの赤池委員と同じく一年生議員として、さきの特別会から法務委員として活動させていただいております。

 杉浦大臣におかれては、私と同じく愛知県の御出身ということもございますし、先輩の胸をかりるつもりで、本日、御質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、ここ数年来、本当に今までの常識では考えられないような事件、こんなものがたくさん起こっております。つい先日も、滋賀県で、自分の子供がいる目の前で、母親がその子供の友達を二人も刺してしまう、本当に考えられないような事件がたくさん起こっております。

 ある本では、その根底には、他者の痛みを思ってもみないまでに完璧なまでの自己中心的な精神性、こういったものがその病根にあるのではないかと。他者の痛みを思ってもみない、そんなことは想像だにできないわけですけれども、現実にそういうふうに想定をすれば考えられるような事件かなと私は思います。またあるいは、個人主義に名をかりた利己主義、要するに、自分さえよければ、そういったものが世の中に蔓延してきている、そのようにも私は感じます。

 こういった世の中の、ある意味嫌な流れをどう改善していくか、これは当然法務行政だけで対応できる問題ではございませんけれども、その大きな一端を担うのがこの法務行政であると私は考えております。

 まず初めに、このような観点から、法務省の再犯防止施策について、基本的な考え方について御教示いただきたいと思います。

杉浦国務大臣 伊藤先生におかれましては、同郷の一人として、今後の御活躍、とりわけ法務行政に対する御指導のほど、よろしくお願い申し上げる次第でございます。

 再犯防止対策ですが、犯罪白書によりますと、刑務所出所後五年以内の再入所率は、おおむね五割という高い割合で推移いたしております。

 少年院の場合は、正確な統計はございませんが、私は、全国を回りまして各少年院で聞いたところ、大体再犯率は二割ぐらい、八割が更生しているというのは大変なことですが、二割ぐらいというふうに聞いております。

 これは、裏を返しますと、再犯が完全に防止できれば犯罪発生件数が激減するということを意味しております。また、それによりまして過剰収容の解消につながっていくということは、申すまでもないことでございます。そういうような意味で、再犯防止対策は、治安情勢を回復し、社会不安を解消するための極めて重要な課題でございます。

 このために、いろいろな手段、方法がございますけれども、矯正処遇及び保護観察、保護観察は仮出所、仮退院の場合になるわけですが、そういうものを通じまして、犯罪者を立ち直らせることによりましてこれを実現すること、これが法務行政固有の役割であると考えております。

 もとより、法務省だけでできることは限られております。内閣官房におきましては、再犯防止に関する関係省庁会合を既に立ち上げているところでございまして、今後とも、政府一体となってあらゆる知恵を絞って、また社会の協力をも得て、効果的な再犯防止対策を推し進めなければならないというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 大臣は、所信表明の中でも、再犯防止プロジェクト、これを三ッ林大臣政務官を首席として立ち上げられております。責任の所在を明確にしてこうしたプロジェクトを進める、こういったものの持っていき方に私も大変賛同をいたします。

 さて、この再犯防止の中でも、きょうは特に更生保護のことについて御質問を何点かさせていただきたいと思います。

 この更生保護、保護観察制度、これは有識者会議の中間報告の中にも書かれておりましたけれども、人格の可塑性に期待をして、自助努力を支援する制度として設計をされていると。ゆえに、指導監督面の義務づけや制裁措置、これが不十分ではないかという意見がございました。私は、一時的にはこういった制裁措置等の強化は今の流れからいってやむを得ないと思いますけれども、根底には、やはり人格の可塑性、人間の可能性、これを引き出すといった大きな方向性、哲学は絶対に失ってはならない、そう考えております。

 そんな意味で、この保護観察制度の再構築に当たっての大臣の基本的なスタンスもお聞かせいただきたいと思います。

杉浦国務大臣 先生のおっしゃるとおりだと思います。とりわけ少年院ですね、少年院卒業生の再犯率が二割と申し上げました。八割が更生をしているのが現実でございます。若者の可塑性というのは非常に大きいということの証左だと思います。そういうような意味で、改善更生を容易にして再犯を防止することを目指して、保護観察制度を強化し、実効性を確保するように努力していかなきゃならないと思います。

 我が国の保護観察は、御案内のとおり、保護観察官というのがおります。そして、民間のボランティアでございます保護司が全国に五万人いらっしゃいます。それらの特性を生かして、協力しながら処遇に当たっていることが最大の特徴でございます。世界的にも珍しいといいますか、注目されている方式でございます。

 観察官と保護司の協働体制によりまして、保護司は地域に本当に根差した方でございますから、地域社会で犯罪者の改善更生を支えるという方向で努力しているわけですが、それを大事にしながら、再構築を進めてまいりたいというふうに思っております。

伊藤(渉)委員 さらにこの点、具体的に、まさしく今大臣がおっしゃったとおり、私もその方向でぜひとも進めていただきたいと思うわけですが、刑事事件を見たときに、捜査、逮捕、裁判、矯正、更生保護、こういう一環の流れを追うわけですけれども、その人数を見ますと、いわゆる捜査、逮捕にかかわる警察、検察、これは約三十万人、裁判所、これが約二・五万人、刑務所や矯正施設、これが約二万人、要するに万単位なわけです。これに対して、いわゆる地方更生保護委員会の事務官、そういったさまざまな方、保護観察官の方なども含めても、更生保護に携わる方は約千人と聞いております。あとは、今おっしゃった事実上ボランティアである保護司の方、約五万人の方に支えられているということをお聞きいたしました。

 この保護司制度は、明治以来、篤志家の善意と熱意にゆだねられてきた。私は、大変すばらしい制度だ、この日本の誇るべき、この日本の国民性であるがゆえにできた非常にすばらしい制度だと思います。ただ、それも、この現代においても事実上ボランティアによって支えられている、あるいは、ここの方々こそ更生保護の充実へのたくさんの現場の知恵をお持ちだろう、このように思います。

 そんな中で、この保護司の方々への実費弁償金の充実、こういったことも検討されていると伺っておりますけれども、それ以外に、この保護観察官、こういう方も非常に人数が少ないという話も聞いております。それをサポートするような形で、保護観察官補というようなことも中間報告の中で明記しているんですが、この保護観察官補という立場に、今一番現場で現状をよく知り、また知恵もたくさんお持ちである保護司、こういった方を登用する、そういったシステムを構築してはどうかと、私率直に思ったんですが、この辺について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

杉浦国務大臣 先生御指摘のとおり、保護観察制度のあり方については、現在、更生保護のあり方を考える有識者会議を開催いたしまして、さまざまな方の御意見をお伺いしているところでございます。

 近日中に最終答申が出されるということで期待しておりますが、中間報告におきましても、保護観察制度についてさまざまな提言がございます。保護観察官には、現場感覚と専門的な知識に裏打ちされた対人関係の中での総合的な専門的能力が求められる、高めていくべきだということも指摘されておりますし、保護司の実費弁償を初め、保護司と保護観察官のあり方についてもさまざまな御提言をちょうだいしております。

 先生おっしゃったとおり、先ほど私申しましたが、我が国の保護観察制度は、国家公務員である保護観察官と民間のボランティアである保護司の方、五万人おられますが、このような方々は、皆さん御承知のとおり、それぞれの地域で名士であり、それぞれの地域に根をおろした方々でありますから、その協働のもとで相協力して進めるということが、今までもそうですし、これからも非常に大事だ。

 今審議していただいている予算の中で、保護司の実費弁償を三割アップして十二億円計上させてもらいましたが、それはほんの一部ではございますが、もちろんこれは実費弁償で無報酬でありますが、その方々が大いに意欲を持って働いていただけるように、また選び方とか、保護司の方の選任の仕方、空白地域などあるようですから、お願いの方法についてもいろいろ工夫を凝らしていきたいと思います。

 保護観察官の増員につきましては、これは一定の理解が得られておりまして、毎年少しずつ純増というふうになっております。こういう時代でございますので、国家公務員を減らしていくという時代でございますからなかなか難しいわけですが、今年度も四十五人の増員、純増は二十数名だったと思いますが、ふやしていただけることになっておりまして、人的面でも充実してまいりたい、また、保護観察官の研修その他による専門的能力の向上にも力を入れていきたい、こう思っている次第でございます。

伊藤(渉)委員 大臣の方から、保護観察官の増員についても御答弁いただきました。ありがとうございます。まさに、専門的な知識をお持ちのこの保護観察官もまだまだ人数が不足をしている。さりとて、この厳しい財政事情の中で人をふやしていくという、非常に難しい話であろうと思います。

 この保護観察官について、中間報告の中で非常に厳しい評価もなされていまして、「保護司からの報告等を通じて知り得るはずの保護観察からの離脱や再犯の兆候を鋭敏に察知しようとする姿勢や感受性等が不十分である」、こんな手厳しい批判もありました。しかし、私が想像するに、やはり絶対的な人数不足、いわゆる、それによって事務的な業務に忙殺されているというのが多分実情じゃないかなと。

 ちなみに、実際に、保護観察の人に対して保護観察官の方の人数は、一人で大体百人ぐらい見られている。小学校でも一学級四十人でも大変だと言われている中で、百人の人を一人一人を見るなんということは、多分現実的には不可能だろうと思います。

 そこで、今大臣の方から人数の増強のことについては御答弁いただきましたけれども、加えて、やはり非常に専門的な知識が要りますので、キャリアの方がある期間そこにいらっしゃる、これももちろん必要だとは思いますけれども、非常に専門的にそこに特化した方を育成していく、これも必要ではないかと思いますが、その点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

杉浦国務大臣 先生がおっしゃるとおりでございます。さまざまな角度から、保護観察官の人数、資質の改善に努めてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 いろいろな意味で、一時的な流れとして、抑止効果を期待しての罰則の強化等はやむを得ないと思いますけれども、先ほども申したとおり、最終的に目指すのは犯罪そのものの減少でありまして、この抑止効果にはおのずと限界があると私は思います。最終的には人間の心、こういったところを耕していくしかない。

 そんな意味で、私も、法律については素人でありながら、法務委員として引き続き活動させていただきます。こういったことを深く銘記して、今後とも研さんを高めていきたい、その努力をいたすことをお誓いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石原委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史でございます。

 大臣におかれましては、もともと法曹界に身を置かれ、そして、本委員会におかれましても大変な御経験をお持ちであり、御活躍をされてきたということにまず敬意を表しまして、そして、その経験に基づいて、本当に強力なリーダーシップで法務行政をリードしていただけるものだろうと期待しているところでございます。

 私、まず第一点目に、大臣の死刑署名に関する御発言についてお尋ねをしたいと思います。まず、ざっと発言の経緯、確認をさせていただければというふうに思います。

 大臣、昨年十月三十一日、法務大臣就任の記者会見において発言をされております。

 問い、死刑命令書にサインをするか。サインはしませんと明確にまずお答えになっております。

 どうしてか。大臣は、心の問題というか、宗教の問題というか、宗教観というか、哲学の問題ですと。

 制度についてどう思うかという問いに対しては、続いて、文明論的に言えば、長いスパンをとればこの制度は廃止の方向に向かうという感じがする、こういう所見を述べられております。

 このように、当初、就任に当たって、明確に死刑署名の拒否の発言をされたということでありますが、そのわずか一時間後には、このようなコメントをされております。これは十一月の一日未明になってでございます。

 記者会見の死刑執行に関する発言は、私個人の心情を吐露したものであり、法の番人としての法務大臣の職務の執行について述べたものではなく、誤解を与えたとすれば遺憾ですので訂正をしますという御発言。

 さらに、その翌日、閣議におかれまして、小泉総理から注意をお受けになったということで、舌足らずというか、もう少し説明をすべきだったとお答えになったというふうに認識をしております。もう少し説明をすべきだったと閣議でもおっしゃっているということでありますので、この場では存分に御説明をいただきたいというふうに思っているところであります。

 そして、その閣議後の記者会見。

 問い、昨日の発言の趣旨は。表現が適切でなかった。自分の哲学には、他人の命を奪うということは理由を問わず許すべからざることだ、そういう気持ちが根底にあるんだと。

 そしてさらに、問い、今後の対応は。法の執行に当たっては、あらゆる要素を加味して、厳正に対処しなければいけない。個人の心情で動かされるべき問題ではない。しかし、職務の遂行に当たっては、個々の事案は千差万別なので、大臣としての職責から、そういうものを十分検討した上で判断をすると。

 どうして発言を撤回したのかという問い。会見後、あの部分が気になり、発言がひとり歩きしてはまずいと思った。

 さらに、問い、サインをしないとしたきのうの発言の趣旨は何か。殺人を犯した人でも一人の人間であることに変わりはない、自分の宗教観としてそういう思いがあるということを申し上げたかった。

 問い、現在の死刑制度のあり方についてどう思うか。問題がないわけではない、国民世論は分かれている。

 これが一連の、大臣の死刑制度に関する発言の経緯ということだと私は認識をしているんですが、この経緯に間違いはございませんでしょうか。

杉浦国務大臣 先生のおっしゃったとおりなんですが、一点間違っているところがございます。閣議では、何ら総理から注意もされませんでしたし、発言もなかったということでございます。総理に御迷惑をかけたので、閣議とは別の機会にお目にかかった際に、御迷惑をかけましたと申しましたところ、おれもワンフレーズではいろいろ言われているから、言葉には、表現には気をつけた方がいいなと言われたことは間違いございません。これは閣議の席ではございません。

 あとは先生のおっしゃったとおりでございまして、つけ加えることは何もございません。

石関委員 ありがとうございます。

 大臣就任の抱負を語るという一番最初の記者会見の席において、死刑執行という法務行政の本当に中心に一つあるべき重大な問題について発言をされたということでありますが、これをわずか一時間で撤回と言っていいんでしょうか、当初サインはしないというふうに明言をされたわけですから、また御説明をされる中で事実上撤回をされたんだろうというふうに私は理解をしているんですが、この法務行政、本当に国の根幹です。これを担う大臣として、このようにすぐ発言を撤回されるとか、その後御説明をされているわけです。二転三転とまでは言いませんが、ころころ変わるというようなことというのは、大臣の資質として、まず大臣就任当初からこういうことがあったということについては批判にさらされるべきものがあったんではないかなというふうに私は思うんですが、大臣の真意というのはどこにあるのか、もう一度お尋ねを申し上げます。

杉浦国務大臣 もう先生が御紹介いただいたとおりでございますが、最初の記者会見のその部分も前後があるわけなんです。記者会見の記録を全部お読みいただければ、そのことだけ、あれは個人の信条を言っているんであって、よく相談しながらやるということもつけ加えておるわけなんですが、その部分が若干ひとり歩きした面がございます。ただし、あれはあくまでも個人の問題であって、法の執行者、責任者としての立場はわきまえてちゃんとやるつもりでおりましたし、今もそのつもりでおります。

石関委員 報道もされておりますし、御発言もされております。大臣、浄土真宗の東本願寺派の御門徒であるということでございます。かつて、海部内閣において、左藤恵法務大臣、こちらの方も浄土真宗の僧侶、僧籍をお持ちであったということでありますが、この方は、大臣を退任されたときに、自分は在任中、みずからの宗教的信条から死刑執行命令書にサインはしなかった、死刑執行停止を続けるべきである、また、法務大臣がサインする現在の制度はおかしい、法務大臣を退任されたときにこのような発言をされております。

 私の知るところでは、真宗の大谷派では、罪人もかけがえのない命として尊重するんだ、こういう考えをお持ちである。大臣も、この左藤大臣と同じ宗教観に立たれておる。御自身でも宗教ということを発言されておりますので、このことが就任時の御発言につながってきたんだというふうに思いますが、この過去の左藤大臣の対応についてはどのようにお考えになっていられるでしょうか。

杉浦国務大臣 私は左藤大臣の対応を存じ上げませんが、同じ門徒宗であられたようでございますから、心境としては同じような心境でいらっしゃったんじゃないかなと拝察しております。

石関委員 もう一度確認しますが、左藤大臣の発言については御存じないということでよろしいんでしょうか。

杉浦国務大臣 私の発言当時は存じておりませんでした。

石関委員 冒頭申し上げたとおり、大臣、弁護士の資格をお持ちで法曹界におられるということでもありますし、こちらの委員会の経験も豊富だということで、私は当然、法務大臣に就任される方であれば、過去の大臣の足跡というものは相当部分承知をされて就任をされたんだというつもりでおりました。今の御発言、少し私も驚いておりますが。

 それでは、左藤大臣の発言、これは別にして、宗教観に基づいて個人の信条だというふうにおっしゃっているんですが、個人の思想信条や宗教観、哲学というものと法務大臣という大きな職責、これについての関係はどのようにお考えになっておられますか。

杉浦国務大臣 人間それぞれ生い立ちがあり、宗教もさまざま、私、門徒と申しましたが、最近は仏壇にもお参りしませんし、門徒宗として忠実な門徒とは言えないと思うんですが、小さいころは、敬けんなおばあちゃんのひざ上で、毎朝仏壇に参り、正信偈を申し上げておったわけですけれども。

 しかし、それぞれの方が置かれている立場、私自身、こういう立場に立ちまして、この職責を負った以上、考え方とは別にその職責に忠実に当たるということは当然だと思っております。

石関委員 また今の御発言、御答弁で、ちょっと私もがっかりしたという感じで驚いた部分がございます。

 自分の宗教観ですとか哲学に基づいての発言だということをはっきりおっしゃっているわけですから、私は、それはそれとして、今に至っても強固な宗教観、宗教的な理解というものをされて、それに基づいての発言だということでありましたが、今お聞きしたところでは、子供時代は宗教的行為も自分でも行っていたけれども、今はそれほどでもないということだろうと思います。このことは、ちょっと私は少し残念な気持ちで聞いておりました。宗教観をお持ちの上で大臣としての職務、職責をどのように全うしていくか、私はそういったことを期待したわけでありますが、そこの部分はちょっと私の思いとは違っていたということだろうと思います。

 それでは、そもそも、現にあるこの死刑制度の目的というものについては、大臣はどのようにお考えでしょうか。いわゆる一般予防説ですとか特別予防説、あるいは、日本の伝統的価値観に基づけば、あだ討ちですかとかかたき討ちとか、こういった観念も底流にはあるのかもしれませんし、こういった部分について、そもそも、現に死刑制度が日本にあるというこの目的については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

杉浦国務大臣 死刑制度についてはさまざまな考えがございますが、一番大きい目的としては抑止力としての効果を目指しているんだとは思っております。

石関委員 この目的についてもいろいろ効果、議論があるところでありますが、大臣のお考えはしっかり承りました。

 それでは、刑事局長さんにお尋ねをいたしますが、法務大臣が死刑の執行命令書に署名捺印をする、あるいはしないということにおいては、大臣の裁量というものが許されているんでしょうか。

大林政府参考人 それは非常に難しいお答えだと思います。

 刑事訴訟法は、「法務大臣が死刑の執行を命じたときは、五日以内にその執行をしなければならない。」「裁判の執行は、その裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを指揮する。」というふうに書いてございます。私どもは、その死刑の執行命令に対して、これに従うという法律になっておりますので、裁量云々ということではないといいますか、非常にちょっとお答えしにくい、私どもは執行を粛々と行うという立場でございます。

石関委員 粛々と行うというのは、決まった手続、法令があるわけですから、これに従って、裁量権はなく、決まったものについては判こを押して実行していくということではないんでしょうか。

大林政府参考人 手続関係に触れて恐縮でございますが、死刑判決確定後、私どもの手続といたしましては、関係検察庁の長から死刑執行に関する上申を待って確定記録を取り寄せ、省内の関係部局をして判決及び確定記録の内容を十分に精査せしめ、刑の執行停止、再審、非常上告の事由あるいは恩赦を相当とする情状の有無等について慎重に検討し、これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を大臣に求めるというシステムになっております。

 最終的な命令は大臣にございます。ですから、当然その中において大臣に御報告し、大臣が最終的なその決定をしていただくという、このような手続になっております。ですから、その過程において、その事案が選択されるか、あるいは時期がいつになるかという問題はこれは生じると思います。ですが、委員のように、今の法律のシステムで裁量でできるかできないかという規定はございませんし、今のような手続を経た上、大臣の御判断を待つということであろうかと思います。

石関委員 それでは大臣、今の刑事局長の答弁を踏まえて、裁量という言葉が適切かどうか、今、刑事局長からも御答弁があったのを考えると、ただしかし、サインをするかどうかということについては大臣の判断であるという御答弁だったと思いますので、判断をするということは、しないということがあってもよろしいんだというふうに、これを裁量というかどうかはまた議論があると思いますが、しないということも法務大臣の職責の中で許されるんだ、このように大臣はお考えでしょうか。

杉浦国務大臣 今、刑事局長が申したような手順と申しますか、それに従って、ケースに沿って適切に対処いたします。

石関委員 その適切にという、ケース・バイ・ケースというか、それを大臣が判断をされることが果たして可能かどうか、私はこれは疑問を持ってお尋ねをしているところであります。裁判の制度によって三審を経て確定した判決に対して、大臣がその刑の執行を事実上行わないという判断を、裁判の三審を経た上での判決に対してさらに検討する、そういう権利というか、できる、可能かどうか、改めて、大臣はそういう考えをお持ちだということでよろしいですね。

杉浦国務大臣 ただいまも刑事局長が申しましたように、刑の執行停止、再審、非常上告の事由あるいは恩赦を相当とする情状の有無等について慎重に検討しと刑事局長は申しました。現実に再審を申し立てしている方もおられますし、検討の過程において再審請求、恩赦の出願等がなされている場合にはこれを十分に参酌することに相なっております。そういった事情全体を含めて慎重に検討した上で対処することになると思います。

石関委員 大臣にもう一度お尋ねします。

 今度、裁判員の制度が導入をされるということで、先ほどもこれに触れられた方がいらっしゃいましたが、これは一般市民の方が死刑判決の責任まで負う、また大変重い制度が導入されるということでありますが、一般の市民にそれだけの重責を担わせておきながら、判決が確定して、法務大臣が死刑執行のサインをするのかしないのか、今の御答弁ですと、なおわからないということであります。これだけの責任を市民に負わせながら、判決確定した後でも執行されるかどうかわからないというのは、私は法務行政として大変に無責任なことではないかなというふうに今感じておりますが、大臣はどうお考えですか。

杉浦国務大臣 死刑というのは人の生命を絶つ刑でございますから、その執行に当たっては慎重に、慎重の上にも慎重に対処する必要があると思っております。

 一方、そういう判断を司法当局がされたということは、もちろん死刑制度が存在している法治国家として、それは重く受けとめなきゃなりません。それやこれやを個々のケースに当たって適切に判断してまいる所存でございます。

石関委員 大臣のおっしゃる適切というのがどういうものか、ちょっと私理解できないんですが、また改めてお尋ねをするとして、先ほど申し上げた左藤大臣、この退任時の発言については承知していないということでありましたが、この前後に四人の法務大臣の方々、長谷川信さん、梶山静六さん、この左藤さん、そして田原隆さん、この方々がいずれもサインをしなかったために、三年四カ月の間死刑執行がなかった、こういう時期がございました。

 その後、死刑執行を再開したのが後藤田正晴大臣。後藤田大臣は、裁判官に死刑判決という重い役割を担わせているのに、行政側の法務大臣が死刑を執行しないということでは国の秩序が保てるのか。法秩序、国家の基本が揺らぐ。個人的な思想信条、宗教観で判を押さないのなら、大臣に就任したのがそもそも間違いであり、就任時にわからなかったのであれば、わかった段階で職を辞するのが当然だ。これは後藤田大臣の発言でありますが、このようにおっしゃっております。また、三ケ月法務大臣も同趣旨の発言をされているというふうに承知をしております。

 大臣は、この後藤田元法務大臣でいらっしゃいますが、意見についてはどのようにお考えでしょうか。先ほど、宗教観についてはそれほど深いものではないというふうに私は受け取りましたが、こういったものや御自身の信条において賛成はできないというのであれば、そもそも、後藤田さんのおっしゃるとおり、法務大臣を受けるべきでなかったのかもしれない、私はこのようにも考えておりますが、どういう御覚悟で大臣は法務大臣の職を拝命したのか、そして、後藤田さんの発言についてどのようにお考えになっているのか、お尋ねをいたします。

杉浦国務大臣 後藤田先生の御意見も、事後と申しますか、知ったわけですけれども、後藤田先生らしい厳しい御意見だというふうに思います。

 私も、就任するに際しましては、後藤田先生ほど深く考えたわけではございませんが、法の執行者として、とにかく死刑は、非常に凶悪な犯罪に対して裁判官らが慎重に審議の上出されるものでありますから、それをないがしろにするとか、そういう考えは毛頭ございませんが、先ほど刑事局長が申し上げましたような、事件にはそれぞれさまざまな事情がございますから、それらを踏まえて適切に対処する覚悟で、つもりで就任したわけでございます。

石関委員 大臣、私は大臣の揚げ足をとりたいという気持ちは全くありません。しかし、今、御答弁を聞いていまして、それほど、後藤田さんほど深く考えていなかったということをおっしゃって、これは私は大変な問題だと思います。

 法務大臣に就任されるに当たって、この死刑制度、これに署名をするか否かというのは、私は、就任する前に考えるべき一番大きな問題の一つであろうというふうにとらえています。それを、余り深く考えないで御就任をされた。ただ、就任された段階で直面をして、そして就任時にああいう発言をされたということなんでしょうか。もう一度お尋ねいたします。

杉浦国務大臣 先生のおっしゃるとおり、就任時に、質問がある前に深く考えていたわけではないと思います。ですから、個人の信条が出た、ああいう表現になったわけであります。

石関委員 法務に明るい大臣のお言葉とは思えないような、私、またちょっとがっかりいたしました。もしそういった部分を想定されずに受けたのであれば、これは大変問題だと思いますし、大臣でありますから、自分が明るくて、信念を持ってそれをやり抜こう、そういう職責を受けられるべきであって、法務大臣として死刑の問題があって、ちょっとこれは自分もまずいなというのであれば、法務大臣は御遠慮して、ほかの大臣にしてくれとか、そういう御判断なり、総理大臣にそんなお言葉もあってもよかったんじゃないかなというふうにも思います。

杉浦国務大臣 私、いわゆる死刑廃止論者ではございません。発言が当を得ていなかった、すぐに気がつきまして、撤回させていただいたわけでございます。

石関委員 刑事局長にお尋ねをいたします。

 死刑の確定から、刑事訴訟法の四百七十五条第二項、これによりますと、原則として判決確定の六カ月以内に執行されなければいけない。法務大臣が死刑執行命令書に署名捺印すれば五日以内に執行される、しかし、実際には死刑確定から数年を経過して執行するのが慣例化をしている、このように私は承知をしておりますが、死刑確定から六カ月を経過して、そして、執行を待つ確定の死刑囚は何人いらっしゃるのか。判決の確定から執行まで平均してどれぐらい待っているのか。この中には、再審請求をされていたり恩赦の出願中である方々が含まれてどれぐらいなのか、そうでない方々がどれくらいなのか。こういった詳しく数字を教えていただきたいと思います。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員御指摘のとおり、刑事訴訟法四百七十五条第二項は、死刑執行の命令は裁判確定の日から六カ月以内にしなければならない旨規定しております。ただ、裁判の執行とはいえ、事は人命を奪う刑罰の執行に関することですから、すべて機械的に六カ月以内に執行することが妥当を欠く場合も考えられます。

 そこで、死刑の執行につき慎重を期すべきとの趣旨から、同項ただし書きにおいて、上訴権回復や再審の請求、非常上告、恩赦の出願等がなされたような場合には、その手続が終了するまでの間はこの六カ月の期間に算入しないことが規定されております。判決確定の日から執行までの平均期間が若干長期化しているのも、再審請求や恩赦の出願が複数回行われている事案があるとの事情により、その執行に慎重を期していることによるものと承知しております。

 今お尋ねの平均期間のことでございますが、平成七年一月から平成十六年十二月までの十年間において死刑を執行された者について、判決確定後執行までの平均期間は約七年六カ月であると承知しております。また、平成十八年一月末現在で、死刑確定者数は、未執行者という意味では、七十八名と承知しております。ただ、その中でどのような形で再審等がなされているかどうかについては、個別事情にわたるものでもございますし、また、現在そういう申請がなされていない方でも申請される場合が少なくないものでございますが、その内訳等についてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

石関委員 今御答弁がありました刑事訴訟法四百七十五条二項、これは平均して今七年六カ月という御答弁でしたね、数年以上たっている。六カ月以内にしなければいけないことが、これだけの期間がたっている。私、先ほど慣例と申し上げました、これが適切かどうかわかりませんが、この点、法務省としては、大臣にお尋ねしますけれども、どういうふうに解釈をされているんでしょうか。これは、法を守らなきゃいけない、まさに法務省が、こういうふうにみずからいわば法律違反をしているという状態にあるのではないかと私は思いますが、それであるのであれば、この条文を改正するか、あるいは六カ月以内にしっかりと執行するか、いずれかが私はとるべき道だと思うんですが、法務大臣はいかがお考えですか。

杉浦国務大臣 今、刑事局長が申しましたように、再審請求や恩赦の出願等を再々行っている方もいらっしゃるわけでございますし、そういう事情がないかどうかの検討も含めて、執行に慎重を期していることによるものではないかと拝察しております。

石関委員 それでは、死刑制度について、世界の動向としてはどうなっているか。廃止をする国がふえているというのは私も承知をしておりますが、一度廃止をして、そして復活をさせた国があるのか、またあるいは、復活をさせようという動きが廃止をさせた国で起こったことがあるかどうか、これについて刑事局長にお尋ねします。

大林政府参考人 詳細な情報は、私の方でわからない部分があります。最近の状況としまして、国連の資料によりますと、平成十二年から平成十五年十二月までの間に、すべての犯罪について死刑を廃止した国また地域といたしまして、コートジボワール、マルタ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、キプロス、セルビア・モンテネグロ、アルメニアなどがあるというふうに聞いております。

 ただ、死刑を廃止した事情等については各国それぞれでございましょうし、また、今御質問のように、復活の問題につきましては、私どもも報道でしか承知していない部分もございまして、さらに調査し、今後どうしていくのかという問題について、いろいろ検討の材料にしていきたい、このように考えております。

石関委員 大臣、もう一つだけお尋ねをしたいと思います。

 世論の動向を見ますと、例えば、内閣府の基本的法制度に関する世論調査。死刑存続、これを望む方々の割合が大変増しているということでありますが、死刑を執行しなかったり、また、廃止についてこういった世論がありながら、大臣としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをいたします。

杉浦国務大臣 世論が先生おっしゃったような傾向にあることはよく承知しております。死刑制度を廃止するかどうかは、もちろん世論を踏まえるわけでありますが、法律で決められることでありますから国会の議決を要します。国会において十分に審議され、お決めいただくことだというふうに思っております。

石関委員 ありがとうございました。

石原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

石原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 杉浦大臣には、本当にこれからたくさん、十本以上の法案がある中で、私たちといたしましても、協力するところは協力してスムーズに審議を進めなきゃいけないなと思ってもおりますし、杉浦先生のいろいろ見識の高い御意見も御拝聴しながらやっていかなければいけないなというふうに思っております。本当に大変なときに大臣に就任されたな、先ほどの御発言もありましたけれども、御自身でコントロールできること以外のことで、行刑施設の情報漏れ、そして法務省を舞台にした官製談合ではないか、こういった疑惑まで今次々と出てくる中、本当に大臣の御見識が問われるなというふうに思っております。

 きょうは、そういった情報漏れの問題、あるいは、最近、いろいろと私も使っておりますけれども、こういうパソコンがどんどんどんどん進化してきて、インターネットの常時接続がもう当たり前という時代になってきておりますけれども、では、果たしてそれに法律の方が追いついているのかなといったことに関しましても議論をさせていただければと思っております。

 本題に入ります前に、先ほどの死刑の発言で、私もいろいろちょっと気づかされた点がございまして、質問させていただきたいと思います。

 大臣もいろいろなお考えがあっての御発言ということは重々わかっておりますけれども、就任以来、副大臣、政務官、皆さん含めて、行刑施設等現場をいろいろ見られたということですけれども、死刑執行に携わる方に、大臣就任以来お会いになりましたか。

杉浦国務大臣 高検所在地では高検も見ております。何カ所か拝見しましたが、そこの拘置所で、死刑執行している、その現場も幾つか拝見し、お話も伺っております。

高山委員 大臣に伺いたいんですけれども、そういった中で、就任会見でのいろいろな御発言もありました。実際、携わられている方もいろいろな考えがあって、死刑の執行に、実際の業務に携わられていることと思うんですけれども、その点について何かお話は出ましたか。

杉浦国務大臣 現場の方にもお伺いしております。立ち入ったお話はできませんでしたけれども、厳粛な雰囲気で執行されるんだなというふうには感じております。

高山委員 私は、一つ大臣にこれをはっきり聞いておかなきゃなと思うんですけれども、死刑執行、これは本当にいろいろなお考えがあって、厳粛な気持ちで行わなければいけないと思います。それで、先ほどの国会での議論、宗教的にはどうだとか個人的な考えではと、いろいろなことがありましたけれども、死刑執行というのは、何か悪いことなんですか。

杉浦国務大臣 当然のことながら、法に従った執行でございます。

高山委員 本当に現場の方も、いろいろな苦しい気持ちもあるかもしれないし、いろいろな思いでやられていると思いますので、大臣は、任期の間、死刑をしなければいけないということが起こった場合には、サインはされますね。

杉浦国務大臣 先ほど申しましたように、死刑のケースはさまざまでございます。ケースに即しまして、法の執行の最高責任者として適正、適切に対処いたします。

高山委員 今のは、適切にということは、職務に従って、自分は大臣としてのサインはされるということでいいんでしょうか。もう一回だけ確認させてください。

杉浦国務大臣 適正、適切に対処いたします。

高山委員 今の大臣のお言葉で、実際の行刑施設での現場にかかわる方、本当にいろいろなお考えを持っていると思いますけれども、自信を持ってといいますか、職務にきちんと忠実に、しかも誇りを持って行っていただけるように私も願っております。

 そういった中で、今回、この行刑施設、同じ行刑施設ですけれども、情報漏れということがありました。死刑のみならず、刑の執行というのは、言ってしまえばすごい人権侵害であり、人をずっと閉じ込めておく、もちろんその原因があるわけなんですけれども。そして、その中の規律を維持するためには、懲罰を与えたり、いろいろな必要があることも私はわかります。

 今回のこの行刑施設での情報漏れですけれども、一万ファイルという膨大な量の情報が流出して、しかも、ネット上では閲覧可能な状態になってしまった。だから、だれだれ死刑囚が、あるいはだれだれ刑務者がこういうことをやったのでこういう懲罰を与えた、それでこういうふうに処理した、あるいは食堂でこういうけんかがあった、これに対してはだれがどういうふうに見ていた、割合、随分詳細な情報も流れているようでございます。

 大臣は、まず、このような情報が流れたことの根本の原因、何があると思いますか。

杉浦国務大臣 私はコンピューターには弱うございまして、この事件が起こってからいろいろと勉強しておるんですけれども、あのウィニーなるソフトというのは大変便利なものらしいですね。便利なもののようです。そこへ、自宅へ公の資料を持ち帰ってつなぐということがなぜ起こったのか。いろいろと聞きただしておるんですけれども、正直言って納得できない部分もございます。

 職務熱心の余り、職務の参考にするために、職員同士でいろいろな資料のやりとりをした、それを蓄積して自分の職務に役立てようとしたんだということなんですが、それならば、この中に弁護士さんもいらっしゃいますが、研修所時代にマニュアルというのがありましたね、執務要領。名前は仮名、甲野太郎とかいう名前で、甲野の甲は甲乙丙の甲でございますが、そういうマニュアルをつくったらいいじゃないか、いろいろなケースに応じて。仮名を用い、事実はあれするとしても。そういうソフトを一枚のディスクで、どんな場合でもそれを引っ張り出して下敷きにして書ける、書類なんか。そういうものはないようですね。

 なぜそういうことができないのか。指示しました、すぐつくるように。執務要領といいますか。私どものころは、ちゃんと本になって、この訴訟を書くにはこういうふうなパターンがあるよというようなものはありました。コンピューター時代なんだから、コンピューターに入れ込めばいいんだから、そういうのをつくれば、どこへ持ち出しても漏れようが何しようがいいわけなので、そういうものもできていなかったということで、これは指示しました。

 それから、家庭へ持ち帰るということは、規定がございまして、上司の許可が要ることになっております、対外持ち出しは。その規律に違反しておったようですが、どうもかなり広範囲に行われているようです。職務規律が緩んでいると申せば緩んでいるわけですが、コンピューターはどんどん進歩して、ウイルスも進歩している、いろいろなウイルスがどんどんできていると聞きました。今なくても、あした違うのが出るかもしれない。こういう防護措置を講じても、これを破ってさらに侵入できるのも、敵はといいますか、盗もうとする者は考えておるようですね。そういう日進月歩のコンピューター技術に対応して、それから、そういう個人情報等を守っていくにはやはり日進月歩対応しなきゃだめなわけで、どうもそういう対応にも怠っている部分があったんじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。

 早速、事務次官を長とする、各部局の長がメンバーで、全省的に点検するようにと。どうなっているんだ、自宅への持ち帰りがないのかどうか、あったとしたら全部消去しなさいということから始めまして、では、どういう対応が可能なのか、あるべきかということを、今点検作業に入ったところでございます。

 コンピューターのことになると、私、専門家じゃないのでよくわからないのです。しかし、やってはいけないことはやってはいけないわけで、私は到底考えられないんですね、そういう公のを。例えば収容している人の名前の記録なんか、何の職務に必要があるんですか、職務の参考に、そんな思いもあるわけで、その間の事実関係はわかりましたので、そういう動機、目的等々も精査いたしまして、処分は、その上司も含めて、上司には私も入りますが、厳正にこれは処分するということで、その面の検討も今しておるところでございます。

高山委員 先ほど大臣、コンピューターにはちょっとというようなお話がありましたけれども、仮に、コンピューター上で情報が漏れたのではなくて、こういった個人情報が書いてある紙を、これを例えば一万枚、コピーしたものとかあるいは紙のまま、ふろしきで刑務官の方が家に持って帰る、これはいいんですか。

杉浦国務大臣 もちろん、それも規定があって、だめでございます。

高山委員 そうしますと、コンピューター云々の前に、そもそも、受刑者の具体的な名前が書いてある、あるいは具体的な処遇、懲罰、こういったことが書いてある情報が塀の外に持ち出されてしまう、このことそのものがまず問題なんじゃないですか。私、そういうふうに思うんですけれども。

 まず、法務省内で、その情報に関して、きちんと、個人情報はこういうふうに取り扱わなきゃいけない。最近、もうどんどん民間企業ですら随分厳しく内規をつくってやっていますし、あるいは法律に基づいて個人情報の保護というのは取り扱っておりますが、法務省内での責任者はだれですか。

杉浦国務大臣 最高責任者は私でございます。事務次官以下、つかさつかさでそれぞれ責任を持っているわけであります。

 規定がございまして、資料の対外持ち出しについては上司の許可を要するという規定がございます。その場合には、許可を要するのは直属の上司だと思います。

 御質問でございますが、私が言うと不正確になるかもしれませんが、法務省でもいろいろな仕組みを設けまして持ち出さないようにしておりまして、私も聞いても紙を見ないと言えないわけですが、担当から、どういう措置をとっているか、説明させましょうか。(高山委員「いえ、それはまだ今は結構です」と呼ぶ)いいですか。そういうことでございます。

高山委員 いや、私は大臣にちょっと問題にしたいのは、当然、こういう情報を持ち出すことそのものが問題であったということですよね。一枚か二枚出たならわかりますよ、まだ、ちょっと上司の目を盗んで出してしまったんだなと。一万ファイルですよね。これはすごく膨大な量じゃないんですか。これは、上司の目を盗んでどころか、黙認か何かがあったんじゃないんですか。しかも、京都と福岡と鹿児島と、随分広範囲にわたっていますね。組織的だという気もいたします。

 大臣、この点、これは組織的に行われたものじゃないのかということは調査されましたか。

杉浦国務大臣 どうもそのあたりは組織的ではないようでして、同じ職場仲間で連絡をとりながら、この資料、あの資料ということで交換をして、蓄積していったものだと聞いております。ファイルの場合は、私が聞いたのが間違いなければ、一部の資料を取り出すよりもファイル全部を取り込んだ方が早いというようなことで、不必要な記録が取り込まれたケースもあるやに聞いておるところでございます。

 いずれにしても、そのあたりも調べておりまして、処分に当たっては、関連した者がどういう関係で資料を交換したのかというところまで踏み込んで調査した上で、処分の対応を決めようと思っております。

高山委員 大臣、今おっしゃったように、仲間同士で連絡を取り合いながら情報を集めてと。これはまさに組織的に行われていると思うんですけれども、もし組織的に情報漏えいが行われたんだとすれば、大臣はどのように責任をとりますか。

杉浦国務大臣 組織的にという先生の御指摘ですが、漏えいする意図を持って組織的にやったかどうかということが問題になると思うんです。そのあたりも、事実、結果は明らかになりましたが、その間の連携の関係、どういう事情で交換になったのかということを精査しまして、適切に処分したいと思っております。

高山委員 大臣は、それはもう個人的な犯罪であるんだという認識なんでしょうか。私は、これは何か、随分大勢の方が組織的に連絡をとりながら受刑者の個人情報を集めてやっている、ちょっと悪質な事案じゃないかなというふうに思うんですけれども。

 大臣、もう一度ちょっと伺いますけれども、これが組織的事案であったら、その組織の長である大臣、どのような責任をお考えか、もう一度教えてください。

杉浦国務大臣 漏えいする意図があったとか、そんなふうには私は理解しておりません。

 いずれにしても、漏えいしたのは事実ですし、持ち帰ったのは規則違反であります。そのあたりの事情を、事実関係は明らかになりましたので、なぜそういう交換などを進めていったのかという事情を明らかにいたしまして、上司の責任も含めて、もうちょっと時間が要ると思いますが、きちっと処分したいと思っております。

高山委員 大臣、申しわけありませんが、今、漏えいの意図はなかったというような認識なんでしょうか、その刑務官が。ちょっと、もう一度確認させてください。

杉浦国務大臣 意図的に漏えいする意思はなかったと私は判断しております。

高山委員 先ほど大臣は答弁の中で、別にウィニーで情報が流出しなくても、ふろしきでもって例えばこういうものを持ってきたとしても、それは漏えいに当たるという判断を示されたと思うんですが、それは考え方を変えられますか。

杉浦国務大臣 内部の資料を、記録等を庁外に持ち出すことについては上司の許可を要する、こういう規定になっておるわけです。だから、漏えいする意思を持って積極的に資料を持ち出すとすれば、もっと別の、場合によっては犯罪になるようなケースもあるかもしれません。

 ですけれども、私が聞いた範囲では、記録を蓄積して、自分の職務のため、そのほかに参考に供する目的で資料の交換をしたり蓄積したというふうに聞いておりまして、たまたま自宅のコンピューターでウィニーに接続したところ、ウイルスが入り込んで漏えいしたと。過失があったとは認められますが、意図的にそうしたものではないというふうに私は理解しております。

高山委員 大臣、これはちょっと議論させていただきたいんですけれども、インターネット上で閲覧できることが漏えいなんでしょうか。私は、塀の外に情報が勝手に持ち出されていくことが漏えいだというふうに考えますが、大臣は、インターネット上で閲覧されることが漏えいだと考えて、塀の外に情報が持ち出されることは漏えいではない、そういうお考えですか。

杉浦国務大臣 庁外に持ち出すことは規則で禁止しておるわけです。それは、なぜ禁止するかといえば、それが万が一、関係者以外の人の目に触れたり漏れるということをおもんぱかって、そういう規定を設けておるわけでございます。

 意図的に資料を持ち出すというふうになれば、これはまた全然次元の違う話でございまして、そういう意味での漏えいではない。持ち出したのは、過失によって、過失と申しますか落ち度によって、ウィニーにつなげたのを、ウイルスにそれが汚染されて漏れ出してしまったということだというふうに私は理解しております。

高山委員 いや、驚きました。

 私は、インターネット上で閲覧を仮にされなくても、個人的に京都の刑務官あるいは鹿児島の刑務官が、CD―ROMに焼いて、自宅の、別にインターネットに接続していないパソコンで、ああ、こういう情報があるんだと見ていることそのものも問題だと思いますし、あるいはこういう紙に、これをコピーしたものを、実名が書いてあるようなものを持ち出して、塀の外で、自分の自宅で、へえ、こういう事案があるんだと実名のものを見ることも問題だと思いますけれども。

 大臣はそういう認識ではなく、ウィニーで流出させる目的がなければこれは問題ではないんだ、こういう認識でよろしいですか。

杉浦国務大臣 例えば、今はどうなっているかわかりませんが、裁判官の場合、自宅起案というのがありまして、記録を自宅へ持ち帰って判決文を書かれるということは、私が修習生のころは一般的でございました。今はどうなっているか、私は存じませんが。

 記録なり資料なりを自宅へ持ち帰る、これは規則上、上司の許可を要するとなっておりますから規則違反ではありますが、持ち帰ること自体が意図的な漏えいとか、厳しい、何と申しましょうか、物を盗むとすれば犯罪ですね、それに近いような漏えい、意図的に漏えいすることに当たるとは私は思っておりません。

 本件の場合は、今まで私が聞いた範囲では、勉強目的といいますか、将来自分がつくかもしれない職務に役立てようというわけで、いろいろな実例を集めようということで蓄積した、ある実例をとろうとしたら一緒にファイルごと入ってしまって、そういうふうなものもまじり込んでしまったというようなことで膨大なファイルになったわけだけれども、その蓄積したこと自体に悪意というか意図があったとは私は認識しておりません。

高山委員 これは私と大臣と明らかに認識が違うので、ちょっと議論を続けさせていただきたいと思いますけれども、受験勉強目的であれ何であれ、そういう個人情報に触れる立場の人が庁外にそういう情報を持ち出すのは単なる規則違反であって、そんなに問題ではない、こういうふうに考えているんですか、大臣は。

杉浦国務大臣 いや、規則違反であって、問題であります。

高山委員 先ほどから、漏えいの目的がないからいいんだみたいな、そういう御答弁をされていますけれども、私、今回の事案は、個人がたまたま、きょう書き切れなかったペーパーを持ち帰って家に帰ったなんという程度じゃないと思いますよ。福岡、鹿児島、京都、連絡を取り合って、一万ファイルにも及ぶファイル、いろいろ集めて一個の情報にして、しかもそれを情報共有していたという事案ですよね。これはかなり悪質なんじゃないんですか、そういうことをすることそのものが。ウィニーで感染して外に出たとか、そういうのは関係なく、そういう情報をただ持っているだけでも私は十分、庁外に情報を持ち出した悪質な事案だと思うんですけれども、こういうのは情報漏えいだという意識はないんですか、大臣は。もう一度確認しますけれども。

杉浦国務大臣 庁外へ持ち出すことは規則違反でありますが、漏えいという事実が起こらないといいますか、その持ち出した本人の手元にとどまって、自宅で仕事をする際に持ち帰ったというような形のものだけであれば、規則違反は規則違反でありますが、漏えいする意図を持った行為というふうにはとるべきではないと思っておりまして、私が今まで聞いた範囲では、そういうたぐいの規則違反の持ち帰りというふうに理解しております。

高山委員 いやあ、身内に甘いですね、大臣は。本当に身内に甘いなと思いました。

 それで、しかも、今度は行革国会だと言われている中、刑務官の仕事は非常に特殊なので五%の削減には反対であるというようなお話も杉浦法務大臣の方から出ています。これはちょっと話題をかえて伺いますけれども、一般的に今公務員を減らしなさいということで、小泉内閣で、そういう選挙公約で選挙も戦われて勝利されたということですけれども、大臣、法務省におきましてはどのように人員の削減計画は進めていかれるおつもりですか。

杉浦国務大臣 内閣の方針に従いまして、五%削減という方針に従って全力を挙げて努力する所存でございます。

高山委員 報道によりますとといいますか、法務省の回答によればですけれども、行刑施設などの職員は一般の職員とはちょっと別で、純減目標には入れないというようなお話がありますが、これは事実なんでしょうか。ちょっと確認させてください。

杉浦国務大臣 それは事実でございます。

 ただ、私は、行刑改革会議の案に基づいて事務局の方から三つの分野が名指しされまして、それについてまず資料を出せと言ってこられたわけであります。三つの分野というのは、行刑関連施設とハローワーク、厚生労働省、それから社会保険庁の事務でございます。

 それに対して、きょう記者会見で発表いたしましたが、法務省としても検討をいたしまして、行刑施設、刑務所、少年院、拘置所等でありますが、今年度までに民間へのアウトソーシング、突然の御指名なのでちょっと今手元に資料がございませんが、回答いたしました。総人件費改革として、行刑関連施設の業務を民間にゆだねるための方策につきまして検討の要請があった。後ほど申しますが、私が不満なのは、なぜこの要請、とりあえず行刑施設とハローワークと社保庁なのか、極めて不満でありますが、要請がありましたので検討いたしました。

 法務省におきましては、行刑関連施設のうち、総務系の事務、受付とかそういうものですが、それから自動車運転、庁舎の警備、外回りの警備ですね、などの非権力的業務を中心に、どの程度まで民間委託の拡大が可能であるかを個別具体的に検討しました。その結果、平成二十二年度までの五年間で、現在六百十七ポストの民間委託数、六百十七、民間に委託しておりますが、それを七百十九ふやしまして、千三百三十六ポストにまで拡大することが可能であると試算されましたので、その結果を、きのうですが、行政改革推進事務局に提出したところでございます。この検討のとおり民間委託が拡大された場合の民間委託率は、行刑施設だけで七・六%になります。それを提出いたしました。

 これ以外に、向こう五年間に、新設が決まっております美祢、山口県ですが、この社会復帰促進センターと、それから島根であさひ社会復帰促進センターは、ここは構造改革特区法に基づく委託範囲を拡大するということと、PFI手法によって民間のノウハウを活用する、施設の建設、運営をやりまして、二つの施設、二年後に完成いたしますが、これを合わせた職員必要数六百二十七人のうち二百九十人分の業務を民間にゆだねることが可能だ、こういうふうになっております。その旨を事務局に申し上げたところでございます。

 公権力の行使を伴う業務でPFI事業に委託するものは、施設の警備ですとか、職業訓練ですとか、領置物の保管とか収容監視、信書の検査の補助とか健康診断、こういったところで、権力性の弱い部分をこの二つの施設については特区法等で移譲いたします。権力性が強く委託になじまない業務、実力行使、戒具の使用ほか、権利制限、懲罰の賦課ほか、受刑者の処遇、仮出獄の申請とか刑務作業を行わせるとか、この部分はこの二つの刑務所も移譲しておりません。民間委託しておりません。

 ほかの刑務所においては、今申し上げたPFI事業の特区で委託可能となる業務、これも委託できません。この二つの刑務所は、施設の設計の段階からこれが実行可能となるようにきちっと設計をいたしておりますし、それから、中に入れる受刑者も改善の可能性の高い初犯その他の人たちを収容することになっておりまして、これだけの、約半分を民間委託しても、公権力の行使はきちっとできるようになっておるから、できるということでございます。

 行刑施設の民間委託については、事務局の要望どおりきちっとやってまいりますというふうに報告させていただいております。ですから、行刑施設について努力が足りないんじゃないかという御指摘は当たらないと思います。

 私が不満なのは、なぜハローワークや社会保険庁、ハローワークについては、人によってはあれは全部委託してもいいじゃないかと言う方もいらっしゃいます。現に民間に人材派遣……(発言する者あり)いやいや、そういう意見もあります。それから、社保庁については解体しろという意見もあるぐらいで、今度全くやり直して特別な組織を立ち上げますけれども、そういう国民の批判の高い、しかも相当合理化できるだろうと思われるものと並べて、なぜ刑事施設が取り上げられて、これだけがですよ、法務省の中でも、法務局でもない、取り上げられたのは非常に不満であります。

 中馬大臣とも、公権力の行使を伴う業務については委託できないよということは合意に達しています。それ以外の総務系のこと、非権力的業務についてはどんどん民営化する。むしろ法務省は模範的に民間委託をやってきたんです、この部分については、刑務所等。だから、先生のように言われると、非常にそういうことは残念で、申し上げたくなるわけです。

 過剰収容の事情を実際に見ていただきたい。私はもう十カ所以上刑務所を見ました。大変な状況です。働いている人も四週七休、八休のところが七日しか休めないという状況で、過重な業務に従事しているわけで、私は、こんなことをされると職員の士気にかかわると。なぜこんなねらい打ちで、その二つと並べてこれについて指摘されたのか、理解に苦しむところでございます。

高山委員 大臣、そういうのは閣議でやっていただければいいと思うんですけれども。

 私が質問しましたのは、法務省所管の中で、先ほどから、情報漏れに関しても大臣が随分身内に甘いなという印象を持ちましたので、法務省所管の中で、そういう、今何か権力的公務ですとかいろいろ御説明はされました。聖域を授けないで五%削減という目標をやられるつもりですか。それとも、やはりこれは聖域があるんだというお考えなんでしょうか。これをちょっと端的にお答えください。

杉浦国務大臣 先ほど御説明しました権力的業務については無理でございます。周辺の非権力的業務について外部委託を進める。先ほど申しましたように、この部分だけで七・九%ですか、民間委託できる方向で努力してまいります。

高山委員 今さっき、杉浦大臣の熱っぽい御答弁の中にもありましたように、過剰収容だと。これから行刑施設もどんどんつくらなきゃいけないという話もあるようでございます。

 けれども、私、これは保坂先生がこの後質問されます資料ですけれども、これを見ておりましたらちょっと驚いたんですけれども、行刑施設だと特殊な施設なんだというようなことがありまして、契約体系も随分特殊だなと。見ると、ほとんどの契約がまず随意契約です。ほとんどの契約が随意契約。それも、しかも一番初めだけ形ばかりの一般競争入札が行われておりますが、その後、ずっと同じJVが随意契約でだあっととっていくわけですね。どうしてこういう形の不可解な契約をされているのか。

 例えば、一つの行刑施設を建てるのであれば、一括してこれは五年で建てますから全部で幾らですということを一回入札すれば十分なはずなのに、どうしてこんなに毎年毎年随意契約でやっていらっしゃるんでしょうか。何か割高な買い物をしているんじゃないか、そういう印象を持ちましたが、まず、これは私、ああ、こういう怪しいのがあると大抵は談合だな、しかも官製談合じゃないかと。

 私も今、予算委員会で防衛施設庁の官製談合問題を随分追及させていただきましたけれども、役所の中に技官というのがいて、それがまた天下ってみたいな形があるんですよ、防衛施設庁の場合には。法務省の場合は、これは官製談合ですか。端的に伺いますが、大臣。

杉浦国務大臣 官製談合はないと承知しております。

 具体的に担当者から説明を必要ならさせますけれども、矯正収容施設の工事は、新築のところは別にして、例えば美祢とか島根の旭とか、あるいは西川筆頭のところはものすごい刑務所を立ち上げています、二千人収容の。

 ただ、全般に言えることですけれども、例えば私が見に行った網走とか、何カ所かそうでしたが、工事期間中も、要するに収容を継続する必要がある、過剰収容ですから。外壁の中で工事しますので、その施設の運営を妨げないようにしながら、順次新営の建物を建設していく。省内ではいわゆる転がし計画と言っておりますが、一遍にはつくれない。つくるためには収容人員をうんと減らさなければいけないとか、影響するから、順次やっていく必要がある、やらざるを得ないことから、工事が複雑困難なものとなっております。東京拘置所もそうです。あれも、拘置所を使いながら一部を取り壊して建てる。ですから、何年もかかる。十年近くかかっておりますが、そういうことをせざるを得ないという特殊性があるわけでございます。

高山委員 今の大臣の御答弁だと、ああなるほどと一瞬思いかけましたけれども、人が住んでいながら、あるいは使いながら建てかえていくというのは、例えば小学校の建てかえであるとか我々が使っている議員会館なんかは、これは国会移転でもするんですかね、使っているまま建てかえたりということは多々あると思うんですね。そういう工事が通常の工事より一年か二年長くなるとかということは十分理解できますけれども、どうしてこれはこんな単年度で随意契約を連続して行うという不自然な形で契約を行わなければいけないんでしょうか。これをちょっと御説明、お願いできますか。事務方で結構です。

小津政府参考人 御説明申し上げます。

 まず、随意契約が多いという点でございます。

 実は、お手元にございます資料につきましては、御要望がございましたので、例えば東京拘置所の新営工事の建設工事に係る契約内容を漏らさず記載して提出いたしました。その中には、設計の見直し、仕様や工期の変更に伴う、いわゆる変更契約が多く含まれておりまして、ごらんいただきますと、そのようなものが随意契約として多くなっているというのがまず一点ございます。

 第二点目は、一括して全部を一般競争入札でやっていないという点でございますが、それは基本的には今大臣が御説明申し上げたとおりでございますけれども、さらに具体的に申しますと、東京拘置所で申しますと、大きく中央管理棟、南収容棟、北収容棟と三つの建物からございまして、いわゆる転がし計画でやらなければいけないという状況がございます。つまり、中央管理棟と南収容棟が完成しなければ、次の既にいろいろな人が入っている北収容棟を建設できないという状況があったわけでございます。

 さらに、現地建てかえでございますので、いろいろな仮設の収容棟でございますとか、仮設の塀でございますとか、中で職員や被収容者が行き来する仮設の通路等をつくる必要があるということでございます。これらのいろいろな事情がございまして、中央管理棟と南棟が完成するまでに六年を要しまして、その後、四年後の平成十八年に全体が完成するという計画で行ったわけでございまして、東京拘置所につきましては、このような工期になったことはやむを得ないと私どもとしては考えているところでございます。

高山委員 変更工事以外でも、第一期の中の一回工事、二回工事、三回工事と、毎年毎年、同じ建物の、これは正確にはわかりませんけれども、きのうの御説明によれば、例えば二階までつくって、次の年は三階、四階とつくって、これは例ですよ、次の年に五階、六階とつくるというような感じで、毎年毎年随意契約でやっていますね。普通、こういうものというのは、例えば十階建ての建物なら十階建ての建物をつくるということで、一括して発注されるんじゃないんですか。何で毎年毎年こんな随意契約をやらなければいけないんですか。

 先ほどの説明は、学校だとかほかの議員会館だとか、それぞれ居住しながら、あるいは使用しながら建てかえなければいけない建物共通の問題だと思いますけれども、これは単年度で随意契約をされている説明になっておりませんので、もう一度、なぜこういう単年度で随意契約をされているのか、御説明願えますか。もちろん、細かい話なので事務方の方で結構です。

小津政府参考人 御指摘の点の一つのポイントはやはり、どうして単年度でこの東京拘置所の全体の工事ができないのかということになろうかと思います。

 その点につきましては、先ほど申し上げましたような理由で、一年ではできず、現在のような状況で工事を発注せざるを得なかったということでございます。それがございますので、その後の追加の工事につきましては随意契約をしたと。

 逆に申しますと、随意契約をして、当初落札した業者にやらせることによりまして、それまでその業者が使っていたいろいろな機材等をそのまま使えるということでもございまして、随意契約にして、その業者に引き続きやらせた方が発注側としても有利になるという判断があるわけでございます。

高山委員 やっと今、官房長の方から核心部分が語られ始めましたけれども、当初、一般競争入札でやった業者に、何で毎年毎年随意契約で出さなきゃいけないんですか。だったら、初めからその建物全部、五年なら五年、三年なら三年で建ちますよ、総額が幾らですということで一般競争入札にかければいいんじゃないんですか。当初だけちょろっと入札して、結果、僕もこの結果を見て驚きましたよ。だって、一般競争入札で落としたところがずっと随意契約で、次の年から次の年、ずっととっていくんですもの。だからおかしいじゃないか、不自然じゃないかという話をしているんですよ。大臣にも伺いますよ、この後で。

 もう一回、官房長の方から説明していただきたいと思いますけれども、私は、別に一年間で建てろと言っているんじゃないですよ。当然、住みながら、あるいは使用しながらの建てかえであれば、更地に建てるときに三年で建つものが五年かかる、これは納得できますよ。だけれども、それだったら、五年の一括契約で出せばいいじゃないですか。何でこんな毎年毎年、一番初めだけ形ばかりの一般競争入札をやって、その後随意契約で、しかも一番初めの一般入札で落とした業者が毎年毎年これを落としていくというか契約していくんですか。しかも、今クレーンだとか何とかはそのままにしておいた方がいいと。当たり前。それが最大メリットじゃないですか、これを落としたジョイントベンチャーの。何でそんなことを我々がおもんぱかる必要があるんですか。もう一回説明してください。

石原委員長 小津官房長。質問に端的にお答えください。

小津政府参考人 本省発注工事、東京拘置所もそうですけれども、単年度あるいは二年から三年度にわたる国庫債務負担行為による契約をしておるわけでございます。私どもの理解といたしましては、これが法務省にだけ非常に特別なものかと申しますと、建設工事につきましては、決して法務省だけのことではないというふうに私どもは理解をいたしております。

高山委員 これは大臣、大臣も法務省に来られて、まだ法務省の常識に染まっておられないから、ちょっとまだ一般の政治家としての感覚で伺いますけれども、今の官房長の説明で、ああ、これはもう当然だ、納得できるものだなという感じを受けられましたか。それとも、ちょっとこの契約、今までの自分の経験からいっても不自然なものだなという印象を持たれましたか。いかがですか。

杉浦国務大臣 官房長の御説明がもう少しぴしっと正確に、語尾もはっきりとされれば御理解いただけるんじゃないかと思うんですけれども、私が聞いておりますのは、国債契約といいますか、国債というのは、五年以内に完成でしたら一括して契約して、国債を当てにして支払い計画してやるということができるように会計法上はなっているようなんですが、一般的に、私が伺った話では、二年ぐらいでしたら一括して契約してやるけれども、長くなると、受ける方も発注する方も事情が変動いたしますからリスクが大きいということで、大体二年程度で契約されているやに聞いております。

 東京拘置所の場合は、長年かかる、十年かかったわけであります。しかも、大きなクレーンを使って、十何階ですが、大きい建物を縦につくっていく。ですから、最初は入札できちっとやるけれども、その次のところは、暖房なんかをつながなきゃいけない、いろいろ接続等あって、例えば瑕疵担保責任も、もし入札にして違った業者だった場合にはどこをどこまで瑕疵担保を負うのかというような問題も起こって、会計法上、随意契約はそういう場合に許されているようでありますが、どれだけの材料を使ってどういう工事をする、仮設、例えばクレーンとかそういうものは使えますから、この分は安くなりますね、支払いはこれだけですよと。

 単価は大体市価があって決まっておりますから、そういうことをもとにしてネゴシエーションをして、特命と申しますか、入札によらないで決めるという方法をとってきたふうに聞いておりまして、これは財務省ともよく相談しながら進めておるようでございますが、中身についても適正に、最初の入札をきちっとやることによって、それに準じて長年月にわたる契約を適正なものにしていくという努力をしておるようでございます。

高山委員 別に、三年、二年で一期工事、二期工事とやるんだったら、その都度入札すればいいじゃないですか。普通、そうしていますよ。何でこんな随意契約でずっと同じ業者が落とすようにしているんですか。大臣、これは感覚の問題ですよ。

 これは、会計法上でいろいろ説明されたら合法なのかもしれません。だけれども、こういうことをやったら、割高なものを買うことに結局なりませんか。一括して、例えば、十階建ての建物なら十階建ての建物を建ててくださいと発注した方がいいじゃないですか。長くかかるといったって、これはもし民間であれば、一括して発注すれば、その中で工夫して、本当は十年かかるんだけれども頑張って八年でつくるようにするかもしれない。そうすれば、人足費用だって全部安くなりますよね。こんな、毎年毎年、ちょこちょこちょこちょこ随意契約で出したら、一番初めの入札だけすごく安く落としておいて、いや、もうクレーンつくっちゃったので、あるいは空調をつながなきゃいけないのでということで、随意契約でどんどんどんどん後々割高なものを買うことになりませんか。後で質問しますけれども、登記特別会計がまさにその仕組みで、割高なものをずっと国民が税金を無駄遣いされているわけですから、ここはちょっと厳しく質問したいと思うんですけれども。

 もう一回この質問、どうして毎年毎年こんな随意契約をするのか。今の大臣の説明だったら、二年ごとに一般入札すればよかったじゃないですか。全然それは理由になっていませんよ、大臣。これを普通だと言う大臣の感覚がおかしいですね。もう一回、きちんと説明してください。

石原委員長 小津官房長、大臣の御指示のとおり、語尾を明確に御説明を願えませんでしょうか。

 小津官房長。

小津政府参考人 東京拘置所の工事におきましても、最初に一回一般競争入札を行ったというだけではございませんで、さらに別の機会にも一般競争入札を行っているという事実はございます。(高山委員「二十件に一件じゃないか、こんなのおかしいよ」と呼ぶ)

 その件数につきましては、先ほど申し上げましたように、小さい変更につきましてもすべてこの表に掲げさせていただきましたので、件数としては多くなっているということでございます。

高山委員 いや、大臣、これは大臣御自身が見ても不自然だと思いますよ。住みながらだから長くかかるというのは、もう全く争いませんよ。そうだろうなと思います。だったら、別に一括で、初めから十年計画で、どこかに一般競争入札させればいいんじゃないんですか。これは何かイニシャルコストを一番初めだけすごく安くつくっておいて、その後、次は単年度ごとに、もうこれは二階までつくっちゃったのでしようがないから三階分、四階分お願いします、次は五階分、六階分お願いします、そういう割高な随意契約を結んでいるんじゃないですか。だって、実際にそうじゃないですか。よく大臣、これを見てそうじゃないということが言えますね。もう一度、ちょっと大臣の所見を説明してください、もう一度。

杉浦国務大臣 一般論としておっしゃるんじゃなくて、例えばこの工事が怪しいという具体的なところがあれば、具体工事を挙げて御指摘があれば徹底調査をいたします。

 随意契約により締結した各工事、つまり最初入札でやって、いろいろな理由があって、次は会計法に従って随契によってやる場合の予定価格の積算でございますが、これは、例えば、前の工事で設置したタワークレーン等の仮設物を後の工事においても引き続き使用することを前提として積算するなど、すべての工事を一括して発注した場合と同じ積算方法をとっておりますから、国の方に損害は、一般論としては生じていないものと聞いております。

高山委員 大臣が一番初めに、これらは、法務省で官製談合はない、ましてもう談合ではないんだということを断言されていますから、私は、この工事が怪しいんだなんだという話をしているんじゃないんですよ。法務省のこの発注方式が明らかにほかの省庁と違いますね、どうしてこういう特殊な発注方式をされているのかなと。

 例えば、議員会館を建てかえるときに、あれは五カ年計画だから、一年ごとに、初めだけ一般競争入札で、次、随契、随契で建てていくんでしょうか。あれなんかPFIで全部一括ですよね。何でこんな方式を使うんでしょう。これだけすごく不自然だと思いますよ。ずっと随意契約で、後、重ねていくようなやり方をとっている。

 私は、どうしてもこの方式がほかの大型発注に比べて特殊だというふうに思いますけれども、大臣はそうは思わないということでしょうか。どうぞ、もう一度。

杉浦国務大臣 別に法務省だけが特殊だとは私は思いません。会計法に従い、財務省ともよく協議をして、何年でやります、ことしはこれだけの予算でここまでやりますということは、よく協議の上実施していると聞いております。

 ただ、特殊な刑事施設について、特殊な事情と言いましたのは、先ほど申し上げましたとおり、転がし工事が多い。かなりの部分がそうです。新設というのはまれでございます。現在の刑務所を使いながら、拘置所を使いながら、あいているところへ建て、そこへ古い人を収容しというように転がしてやってまいりますから……(高山委員「議員会館も一緒」と呼ぶ)議員会館のことは私は存じません。

 ただ、刑務所等刑事施設の場合には、その工事が多いものですから、必然的に工事期間が全体として長くなる。通常の工事でしたら三年ぐらいになる、確かにそうかもしれません。どんな大きい工事でも二、三年かもしれませんが、刑務所等に限っては、それではできない。五年とか六年とか、東京拘置所については十年、現実にかかったわけでございます。そういう特殊事情がある。したがって、転がし工事もやむを得ない。会計法に従い、財務当局ともよく協議をしてやっておることで、ほかの省庁でもこのような例はあるんじゃないでしょうか、私は存じませんが。

高山委員 大臣の今の答弁、転がしですとか財務省と協議というようなキーワードがたくさん出てきましたけれども、どうも、国民の税金を無駄に使わないように、なるべく安いものを買おうという意識がないように私には見受けられますね。

 といいますのも、財務省と、全部国の予算というのは単年度でやっていますから、まず、とにかく通りやすいように、一番初めは低い値段で出しておいて、あとは継続、継続で、ことしも二階までつくったからお願いします、三階まで、四階まで、どうもこういう方式をとるのが何か法務省の常なんじゃないですか。これは、結果的には一括で発注するより割高のものを買っていると私は思います。

 その例として、例えば、去年来質問させていただいております登記特別会計、これだって、登記の電算化ということで、サーバーのレンタル費が毎年三百億円かかっている、レンタル費が、買っているんじゃなくて。何でこんなに高いんですかと聞きましたら、これは大臣、当然答えられると思いますけれども、当初の一般競争入札でやったオペレーションシステム、OSがどこぞの会社の特定のものを使っていた、だからその後、昭和六十一年からずっとそれを使わなきゃならないから、だからランニングコストが高いんですという御説明ですけれども、私は、そういうのは国民の税金を随分無駄遣いしているなというふうに思います。

 これからもそういうのをされちゃ困るので、ちょっと伺っておきたいんですけれども、今回、先ほど議員の方からも質問がありましたけれども、入国管理施設、入国管理のときに、外国人の方の顔写真と指紋をとるというのを今度始められるということがありましたね。けれども、ことしの、十八年度の予算に、何かそういう入管業務の電子化みたいなことで予算が少しついているんですけれども、ことしついているこの予算と、指紋と顔写真を照合するというシステム、この関連性についてちょっと御説明していただけますでしょうか。

 これは細かいことですから、どうぞ担当の方で結構ですが。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年度予算で、コンピューター関連、IC関連、若干要求させていただいておりますけれども、これは実は、本年度、三月から外務省で、日本人旅券につきましてICチップを組み込んで、そこに本人の顔情報を電子化した形で記憶させるというIC旅券が発給になります。これを出入国審査の際に読み取る機械が当然必要になってまいりますので、この開発の経費として要求を出している……(高山委員「十三億円でしたっけ」と呼ぶ)要求額は十三億でございます。(高山委員「それと、肝心なところ」と呼ぶ)

 済みません、指紋の関係でございますが、これはまだこれから、法案を提出する準備を今している段階でございますので、法案が成立をいたしまして、制度を行うことが確実となりました段階で要求の作業に入りたいというふうに思っております。

河野副大臣 高山先生が先ほどから御指摘いただいておりますレガシーシステムというコンピューターの問題でございますが、税関が使っておりましたSea―NACCSというのがまさにそれでございまして、そのレガシーシステムの問題を追及して、私、委員会を首になったこともございますので、よもや入管のシステムにそのようなシステムの発注がないように、そこは私自身が最大限注視してまいりたいと思っております。

 今御指摘をいただきました、入国時に指紋をとるシステムは、法律の改正をいただきまして予算の申請をさせていただきたいと思いますので、何とぞ入管法の改正に御協力を賜りたいと思います。よろしくお願いします。

高山委員 税金の無駄遣いをなくすという意味では河野副大臣と気持ちは一緒だと思うんですけれども、この指紋の方、私はてっきりこの指紋のやつが、ああ、十三億円でできるんじゃ結構安くできるじゃないかというふうに勘違いしたんですけれども、その後聞くと、どうもそうではないらしいということで、事務方の方に、ことしの一月の時点で、では顔写真と指紋、全部そういうシステムをつくると、日本全国で導入したら大体幾らぐらいになるんですかと。やはりそれが幾らぐらいになるかを聞かないと、確かにテロ対策でそういう制度は必要だろう、だけれども幾らになるのか聞かない限り、これは導入の可否を決めることは、国会議員として国民の税金を無駄遣いできませんから、できないなと思って聞いたんですけれども、いまだにちょっとお答えがないんですよ。

 河野副大臣に伺いたいんですけれども、これは本当はもう積算は何か出ているんですか。だけれども、法律だけ先に通してしまって、いやこれは法律が通ったのでつくらなきゃいけませんということで、物すごい額が後から出てくるというような代物なのでしょうか。その辺ははっきりさせていただかないと、河野副大臣と私も問題意識は全く同じですけれども、ちょっとこれは、賛否に関しては考える必要があるなというふうに思いますので、もう一度御答弁をお願いします。

河野副大臣 入国の指紋採取に当たりましては、どのようなスペックでやるかということは、法律並びにその後の政省令を見きわめた上でスペックを決めなければなりません。

 それから、入国に当たりまして、指紋を採取するシステムを安全保障上どういう考えでやるのか、あるいは米国の機器を使うのか、あるいは日本の国産の機器に限定をするのか、そうした議論もしなければなりませんので、そうした議論を終えて、スペックを決めて、それから入札に入る、そういうことだと思います。

高山委員 これはアメリカの方の週刊誌の情報だけですけれども、これはもうアメリカで導入して、五百億とか六百億とか全米でかかったと。これはかなり大きいですよね。それで、しかも、瞬時に指紋と顔写真でスパイ映画みたいにばあっと合成して判別する。これだけのシステムを運営するのにまたお金がかかる。登記特別会計のシステムで私は痛い目に遭っていますから、ちょっと、ランニングコストはどれぐらいなのかな、イニシャルコストはどれぐらいなのかな。アメリカでは五百億、六百億のイニシャルコストがかかったという報道もありました、それはアメリカの週刊誌ですけれどもね。こういうのを踏まえてみると、確かにこれは必要性はありますよ。

 けれども、これは副大臣に伺いたいんですけれども、本当に無駄な投資じゃなかったというふうに言い切れるかどうか。これはまず、指紋あるいは顔写真照合の法案を通すときに、大体積算で幾らになりますよと。スペックが決まってからじゃないとそれがわからないというのはちょっとどうなのかなと、私、今の答弁でちょっと思いましたね。

 まず、大体幾らぐらいかかるのか、これを出していただかないと議論に入れないなという気がいたしますが、副大臣、もし答弁があれば伺います。

河野副大臣 今回提出を予定している法案は、指紋を採取することを認めていただく法案でございます。

 例えば、日本に来日をされる外国の方、二百四十一の港で来日をされた実績がございます。それじゃ最初から二百四十一の港すべてにそうしたシステムをつくることができるかといえば、残念ながら予算の制約があるわけでございますから、ここは優先順位の高いものから予算の範囲内で順次整備をする、そういう以外に方法はないと思います。

高山委員 いや、大臣、あと河野副大臣も、三ッ林政務官は前国会からいらっしゃいますから、私の登記特別会計の議論をわかっていると思いますけれども、必要性の高いところからやる、登記特別会計のときもそうでした。まずできるところから手をつけていこう、だから初年度はこのぐらいですと。その古いシステムで構築してしまって、結局同じスペックでずっと全国にやって、今に至るまでもう二十年もやっているけれども、まだ終わらない。毎年毎年九百億も特別会計で予算を使いながら、サーバーのレンタル費だけで三百億近く使いながら、まだ終わらない。こういうシステムをつくってしまったわけですね。ですから、私は非常に危惧します。

 大臣にもちょっと伺いたいんですけれども、まず、やはり、この行刑施設も全部同じなんですよ。過剰収容だから新しい行刑施設が必要だ、私もそのとおりだと思います。だけれども、こういう割高な発注方式を維持したまま、またどんどん必要だからとつくっていったら、それこそ税金の無駄遣いじゃないですか。

 まず、私は、この割高な発注方式を改める、あるいは、もし、高くても必要なんだ、これは法務の問題ですから、司法あるいは法務、治安を維持する、こういう問題は、単純に市場価格がどうだこうだということで決まらない問題も僕はたくさんあると思っています。けれども、大体これは幾らかかるんだ、安全のためにこれだけかかるんだ、そういうことを御提示いただかないと議論はできないんじゃないのかな、あるいは、そういうことを隠しての議論というのは、ちょっと国会での審議にふさわしくないんじゃないか。法律と予算を決めていくのがこの国会ですから。

 私は、順番としては、大体幾らぐらいかかるんだ、しかも、これだけ今必要ですという順番で議論されるのがふさわしいと思うんですが、ちょっとまず大臣の見解を伺います。この指紋に関して、今スペックが決まってからじゃないと出せないというようなお話でしたけれども。

杉浦国務大臣 私はコンピューターのことはよくわかりませんが、必要なものを、財政力の許す限り、しかも最も効率的に使うという見地から、できる限り安く、しかし能力は落とさないということで発注していくのは当然だと思っております。

高山委員 大臣、今の財政力の許す限りというのは、無駄遣い容認発言ですか。

 今の日本の政府の財政というのは、全然もう財政力がない状態ですよね。ずっと今、この小泉内閣が続いてきただけで二百兆円以上の新しい借金もつくってしまったというこの中でですよ。

 確かに、それは安全のための投資も必要ですけれども、大体幾らかかるのか。しかも、きょう指摘させていただいたように、東京拘置所だって、東京拘置所が要らないなんてことは私も一言も言っておりません。ただ、発注の方式が余りにも随契、随契、随契でずっと続いて、どうも割高なものを買っているんじゃないですか。だから、施設の発注方式も改める必要があるんじゃないですか。例として、今指紋の制度も、もちろん必要性はありますよ。けれども、値段を言わないうちに要りますか要りますかと聞かれても、値段を聞かなかったらそれは頼めませんよという話を私はさせていただいているだけでございます。

杉浦国務大臣 財政力ということを間違って御理解いただいたようですが、こちらは百億円規模のものをやりたいけれども、ことしは五十億しか予算を出せませんというケースが多いわけです。そういう意味で申し上げたわけでございます。

 それから、東京拘置所の転がし工事について疑惑をお持ちのようですが、これは改めましてよく事務方に御説明に上がらせます。ここでも詳しく資料を示して、図面まで示して説明させても結構でございます。(高山委員「指紋も」と呼ぶ)

 指紋の件は、ちょっと私、わかりませんので。

河野副大臣 コンピューターは日進月歩ですから、三十年待ったら相当いいコンピューターが出てまいります。記憶装置だって、十年待てば、恐らく価格が何分の一になると思います。だったら、五十年待って指紋の導入の装置を入れても、その間何もやらないというわけにはいきません。現在できる最高のものを予算の範囲内で順次やっていく以外に方法はないじゃないですか。

 今度お願いをする法律は、入国時に指紋の採取を法律的にまず認めていただく、そういう権限を政府に与えていただく法律であって、その後、予算の範囲内で重要性の高いところから優先順位をつけてしっかり導入をしていく、そういう考えでおります。

高山委員 時間が参りましたけれども、副大臣も今予算の範囲内でということを二回おっしゃいましたけれども、私は、だからそこを聞いているんです。これが必要だということ、要りますかと言われたら要りますと私も答えます。けれども、幾らかかるのかわかんなきゃ賛成も反対もできませんよ、こういう話をさせていただいているわけです。

 また法案が出てきたときにも議論させていただきますけれども、ぜひこれは自民党の理事の皆さんにも、こういう無駄遣い、法務だからということで放置しておくということは看過されないと私は思いますので、また次回の質問をさせていただきたいと思います。

 終わります。

石原委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょう、大臣所信に対する質問ということで、私もいろいろな分野にわたって質問を用意してまいりました。よろしくお願い申し上げたいと思います。

 そこで、まず最初に、実は、特別国会のときに、昨年の十月でありましたけれども、私が、某県において行われた総選挙の際の県会議員による公職選挙法の戸別訪問禁止違反の捜査についてちょっと聞きました。直接答えていただいたのは、そのときは警察庁でございましたけれども、質問通告だけは警察庁のほかにも法務省にもしておりましたので、その当時答弁も用意しておいていただいたんだろうというふうに思いますけれども、あれから大分たちました。改めて、その捜査の結果を、今度は検察庁の方からお聞きしたいというふうに思いますので、法務大臣、御答弁願います。

大林政府参考人 お尋ねの新聞に報道された案件につきまして、検察庁において、警察から事件送致を受けたり、また、起訴等の処分がなされたということは承知しておりません。

平岡委員 今の中身は、何も警察との間では接触がなくて、何も情報を持っていないという意味ですか。

大林政府参考人 現時点の結果といいますか、今の状況について今御説明したわけでございますが、さらにお尋ねの件につきましては、仮にどのような捜査がなされたか否かということにも関連することでございまして、個別具体的な事件に関する捜査の有無にわたる事項に当たるというふうに思いますので、法務当局としての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 これは事件ですから、事件となるかどうかは別として、犯罪の可能性のある事柄でありますから、警察がやるか、あるいは警察がやらなければ、検察庁もやるという権限はあるわけですよね。検察庁はこの分については捜査しましたか。

大林政府参考人 繰り返しになりますけれども、個別具体的な事件に関する捜査の有無にわたる事項でございまして、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、あくまで一般論として申し上げれば、捜査機関において、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、適宜適切に対処するものと承知しております。

平岡委員 なぜ答弁できないのか、それを答えてください、理由を。個別具体的なものであればなぜ答えられないのかということをここで答弁していただけますか。

大林政府参考人 これはもう委員御承知のとおり、捜査というものは努めて証拠収集に係るものでございまして、一般論として申し上げれば、捜査を発展させるという意味において、それは捜査の秘密というのが認められております。

 ですから、個別具体的なものについて、私どもが法務当局として答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 この問題は、予算委員会でも同じような問いがあって、大林局長とそれから杉浦国務大臣が同じようなことを言っているんですけれども、こういうふうに言っていますね。捜査機関の具体的活動内容を明らかにすることは、通常、他人の名誉やプライバシーの保護の観点から問題があるのみならず、罪証隠滅活動を招いたり、裁判所に予断を与えたり、また関係者の協力を得ることが困難になるなど、捜査、公判に支障が生じることから、一般的には差し控えるべきだというふうに考えております。

 この答弁のままでいいんでしょうか。

大林政府参考人 そのとおりでございます。

平岡委員 これは今までの説明のとおりでありますから、私はそれなりに納得をして、次の質問に入ります。

 この前からいろいろ問題となっている話にライブドアのメール事件の問題があります。この問題については、東京地方検察庁が異例のコメントを発表したというふうに承知しておりますけれども、この東京地検のコメントは、いつ、どのような方法で出したのか、答弁してください。

大林政府参考人 御指摘のものにつきましては、十六日夕刻、午後四時ごろと私ども聞いておりますけれども、東京地検の次席検事において記者発表した、このように承知しております。

平岡委員 記者発表をした際の方法はどういう方法ですか。口頭ですか、文書ですか。どういう方法ですか。

大林政府参考人 私どもが承知している限りにおきましては、東京地検におきましては、大体夕方ごろに定例の記者会見、これは次席が報道担当でございますので、定例の記者会見をしている。

 本件につきましては、報道関係者の方からお尋ねがあって、これに対してお答えした。口頭でお答えし、また文書も、非常に簡単なものでございますが、コメントを出したというふうに承知しております。

平岡委員 質問があって、その場で口頭で答えるとともに、文書で一緒に渡したんですか。何かおかしいじゃないですか、そんなの。

大林政府参考人 私の方で承知しておりますことは、当日、永田議員が予算委員会でこの問題について触れられました。その後、報道機関の方から東京地検に対して、その事実はあるのかどうかという問い合わせが多くあったと伺っております。それに対して東京地検の方で、定例の記者会見でそのような回答をした、このように承知しております。

 ちょっと確認させてください。(平岡委員「時間をとめてください」と呼ぶ)

石原委員長 ちょっと時間をとめてください。

    〔速記中止〕

石原委員長 速記を起こしてください。

 大林刑事局長。

大林政府参考人 私はそういうふうに聞いたように承知しておりますが、今の点、もう一回確認させてください。

 ただ、間違いないのは、今のように、定例の記者会見において、次席が報道機関に対して、そのようなコメントといいますか、そういう発表を行ったということでございます。

平岡委員 ちょっと今手元にないんですけれども、私が見た報道では、文書でというふうに書いてありました。だから、私は、先ほどのお話、口頭とそれから文書と両方言われましたから、文書で発表したという前提で話をさせていただきたいと思います。

 今、何か、いろいろ問い合わせがあったからということでありましたけれども、問い合わせがあったら答えるというなら、私たちもさっき問い合わせたんですね。国会の委員会の場で捜査状況はどうですかと聞いたんですよ。そうしたら、答えられないと言ったんですよ、さっきの理由で。

 さっきの理由で答えられないということは、例えば今回のこのライブドアの話について言えば、コメントした内容について言えば、発表することによって罪証隠滅活動を招いたり、また関係者の協力を得ることが困難になる、捜査に支障が生じる、そういうことのおそれは十分にあるんじゃないですか、コメントすれば。それはないんですか。

大林政府参考人 私ども、証拠等の詳細を承知していることではございません。あくまで一般論として申し上げれば、検察庁において一定の証拠を保有している、そのものにおいて、ある事実について捜査に影響するか否かということは、捜査機関において判断されるものだというふうに考えております。

 その趣旨は、先ほど委員もおっしゃっていることでございますけれども、公表するかしないかという問題、仮にこの点について公表を一切差し控えた場合には、検察当局が何らかの事実関係を把握しているかのような誤解を招くおそれがある、ひいては今後の捜査、公判に支障が生ずるおそれがあると懸念されたこと、他方、御指摘の事項を把握していないとの事実を明らかにすることにより、捜査、公判への支障がもたらされるおそれも特段ないと認められる、これは捜査機関の判断でございます、そういうことから公表を行った、こういうふうに承知しております。

平岡委員 では、改めて聞きますけれども、このコメントを出すことを指示した人、判断した人はだれですか。

大林政府参考人 先ほども申し上げたとおり、この報道を行ったのは東京地検の次席検事であるというふうに承知しております。

平岡委員 私は、公表した人の名前を聞いているんじゃないんですよ。このコメントをすることについて指示をした人、コメントを出すことについて判断した人はだれかと聞いているんです。

大林政府参考人 これも一般的な言い方を申し上げますと、東京地検において、次席が代表して発表したというふうなことだろうと思います。

 ただ、その過程においてだれがこれに加わったかということは、これは全体的な捜査にもかかわることでございまして、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 おかしいじゃないですか。捜査に関係ないと言っているじゃないですか。関係ないから公表したと言っているじゃないですか。

 関係ないことを言っているんだから、だれが判断したかというのは捜査に関係ないんだから、ちゃんとここで答えなさいよ。

大林政府参考人 このような案件は、以前にも法務委員会でも問題になったことでございます。ある事件の処分等について、どこまで報告したのか、だれの決裁を受けたのかということは議論になります。

 今のおっしゃられる意味、捜査に関係ないということと、それから今おっしゃられているライブドア全体の捜査がどのように行われるのかという問題、それと関係のある、裏腹をなすことでございます。

 ですから、これについて証拠はないと、それは地検の方で判断して発表されたこと。ただ、ライブドア事件全体について、どのような決裁関係にあるか、どのような内容であるかということについては、これはまさに捜査にかかわることでございまして、それはちょっと申し上げられないということを申し上げているところでございます。

平岡委員 聞いていることに全く別のことを答えているので、何か話がちょっとかみ合わないんですよね。

 そもそも、だれがこういうコメントを出すことを指示したのかということについて私が聞いたら、これは捜査にかかわることですからコメントできません、こう言ったんですよ。だけれども、このコメントを出すこと自体が、中身が、これは捜査にかかわらないから、捜査にも支障を来さないから出しましたと言っているんですよ。それだったら、コメントを出すことについて判断したのは別に捜査にかかわる話じゃないから、ちゃんと答えられるはずじゃないですか。だれがやったのか、答えてくださいよ。

大林政府参考人 今申し上げていることは、例えば、例えばというのはおかしい、具体的な事件を言うのもおかしいんですけれども、今ライブドア事件が捜査中でございます。そして、これに対して、今回の件につきまして、それは恐らく地検側の証拠の問題であろうと思います。

 今の、今度のものは、捜査に影響するとかしないとかいう問題が議論されておりますけれども、これは一般的に言えば、捜査機関において収集してある証拠から見て、これについて関係があるのかないのか、それに及ぶ内容なのかどうかという判断が恐らく一般的にはなされるんだろうと思います。

 ですから、その中において、今回のものが証拠的に把握していないという形の発表がなされた。それは恐らく地検の内部でのいろいろな、検討がなされたのか、議論がなされたのか、私どもは詳細に承知しておりませんけれども、その中での判断、一つの判断であろうと思います。

 ですから、これも一般論でございますけれども、将来的なものじゃなくて現に今把握している証拠関係から見て、このことがどうなんだということについて、地検が、それは把握していないというふうな判断に至ったものでありまして、それを、では、今度は内部において、どういう判断、だれがなしたのか、だれの指示でやったかということについては、これはまさに捜査機関内のことでありまして、これはあくまでも東京地方……(平岡委員「捜査と関係ないじゃないですか」と呼ぶ)いえいえ、私が申し上げているのは、それは東京地検の代表スポークスマンとしての次席検事が発表したということでもって、それは東京地検の判断であろうと思います。

 ただ、それは、だれが云々ということまでは、それは捜査の一連の中のことですから、だれがどういう内容だということは申し上げられないと言っているわけでございます。

平岡委員 ちょっと、全然答えになっていないんですよね。

 ついでに聞きます。

 先ほどありましたように、永田質問は十二時前ぐらいにあったんですよね。四時にコメントが文書で発表されたんですよね。これは四時間ぐらいしかないんです。どういう方法で、ここのコメントに示されているような、メールの存在及び指摘された事実関係については当庁では全く把握していないということは、どういうプロセスを通じてこのコメントが出せるような状態になったんですか。何を調べたんですか。どういうふうに調べたんですか。

大林政府参考人 これも一般的に申し上げますけれども、証拠は地検において把握しているわけです。その証拠がどういう形で発展するかというのは、それは捜査機関においていろいろな考え方があるんだと思います。それにおいて、ですから、私どもは詳細も承知しておりませんし、では、だれが、例えば主任の検察官が上司に、その調書、内容なり証拠なりを報告したのか、それはわかりません。ただ、それはまさに捜査の全体のその中の証拠の判断の問題でございますから、それは捜査に関係あることだと。

 ただ、一般論として、その中を見て、ある特定の、今度問題になったことがないんだということが仮に明らかであれば、それを言うかどうかということは、先ほどのいろいろな基準から見て、東京地検において、それを述べた方がいいのかどうかというのは東京地検のまさに判断であり、そのもとになっているものの中で、ある証拠、これはまさに捜査のものだと思います。

 それで、今問題になっているのは、その中に入っていない、または将来の、あの時点において想定できないというものがあるならば、それは把握できないというふうな形の表現になったと思います。

 ですから、委員がお尋ねのもの、では、どうやって調べたのかと言われても、これは恐らく内部でそれなりの確認作業はあったんだろうと推測はしていますけれども、それは例えば、今委員がおっしゃるような時間的間隔が、例えば五分、十分の間にという形ならば、それはおっしゃられることもわかるんですけれども、数時間の間隔はあると私たちは承知しておりますので、それはあくまでも地検内部の、どういうプロセスをとったのかというのは、それは今言ったように持っている証拠にかかわることでございますので、そういう点では捜査のかかわることもあるんじゃないかというふうに思いますけれども。

平岡委員 全然答えになっていないですね。

 例えば、今回のメールの中身に関連するような話として言えば、産経新聞の二月二十二日に出された、これは「関係者の話で分かった。」と書いてあるから、それ以上のことは私も知りませんけれども、産経新聞に載ったんだから、それなりの裏づけがあって報道したんだろうと思いますけれども、堀江前社長は選挙資金五千万円用意をするように会社の人たちに言った、こういうのがあります。これは、可能性としては、公職選挙法とかあるいは政治資金規正法に違反するおそれもある内容ですよね。それと物すごく似たような内容のメールの中身だったと思うんですよね。

 それが、東京地検がやっている捜査と全く関係のない話だ、捜査と関係がないからこれを言ったんだというのはおかしいじゃないですか、幾ら何でも。捜査でこれが犯罪に発展する可能性のある話かもしらぬ。それだって、そんな内容をコメントする必要はないし、コメントすべきじゃないんじゃないですか。

大林政府参考人 もう委員御案内だと思いますけれども、ある証拠からどのような捜査に発展していくかという、あくまでそれは証拠の判断だと思うんですよね。ですから、抽象的には、我々は、講学上、こういうものがあったら何罪に当たるかという講学をすることはあります。ただ、捜査というのは、ある証拠があって、それについて推測し、発展していくものだと思います。

 ですから、私は今の新聞記事は承知しておりませんけれども、それは一般論として言えば、捜査機関は、ある程度、そういう可能性があるかないか、報道機関の報道に対しては極めて関心を持って対応しているんだと思います。その上で、今のような、把握している、把握していないという判断が出たんだろう、内部関係は別として。

 そういう判断でありますから、抽象的な意味において、こういう条件、証拠があったら、こういう何罪に当たるかという議論は、それはそれで可能性があるということを私は否定しませんけれども、今回の具体的な事案に即して、持っている証拠等を前提として、報道されているものが本当かどうか、それを把握しているかどうかというのは、先ほどの基準において、東京地検においてそれを出す方がいいかどうかという判断がなされたということでございまして、あくまでもそれは、今保有している証拠関係において想定できるかどうか、そういう問題ではないかというふうに思います。

平岡委員 全く説明になっていない。

 私は思うんですよ。私が聞いているのは、この捜査の中身とかで、どういうふうにして捜査しているのかとか、そんなことを聞いているんじゃないですよ。このコメントは、なぜ発表したのか、だれがその発表をすることを判断したのか、どういう理由で発表したのか、このことを聞いているんですよね。だから、捜査の中身とは全く関係ない。

 私、東京地検次席検事にここへ参考人で来てもらって、その辺の私が聞いていることについて、参考人として説明してもらおうと思うんですけれども、委員長、どうですか。参考人として、東京地検次席検事をここに呼んでいただけますか。

石原委員長 後日、理事会で御協議をいたします。

 大林刑事局長。

大林政府参考人 何度も申し上げて恐縮でございますが、今回の件に関しては、仮に今回の件について公表を一切差し控えた場合には、検察当局が何らかの事実関係を把握しているかのような誤解を招くおそれがあり、ひいては今後の捜査、公判に支障が生ずるおそれがあると懸念されたこと、他方、御指摘の事項を把握していないとの事実を明らかにすることにより、捜査、公判への支障がもたらされるおそれが特段ないと認められた。

 これは、既に御承知のとおり、もう一部事件について起訴しております。新たに逮捕しております。基本的にはそこを向いているわけですね。

 ですから、委員がおっしゃるように、そういう発展の可能性があれば、それはそれなりの、東京地検も対応があるんだと思います。それはその時点での、このような判断で東京地検がそれを考慮して公表したということでございまして、それは理由だと私は考えておりますけれども。

平岡委員 東京地検は今まで、そういう政治的な圧力みたいなことに対して一切関係なしに、適正な、公正な捜査をやってきたわけですよ。周りがいろいろうるさく言ったって、そんなこと関係ないんですよ。それなのにもかかわらず、あえて、あえてこういうコメントを出さなければいけなかった理由は何なんですか。今言っている理由では何にも理由にならないですよ。(発言する者あり)

 いや、それなら、そういうことを言うんなら、これから我々は、ガセネタかもしれませんけれども、いろいろなネタがあったときに、これを発表して、こういうネタがありますと発表したら、東京地検にあのネタは本当ですか、本当ですかとみんなが問い合わせたら、それはちゃんと答えてくれるということですかね。そんなことはないでしょう。

大林政府参考人 これはケース・バイ・ケースでございまして、一律に答えることはできないと思います。

 ただ、東京地検のお話ですけれども、例えば、捜索とか逮捕とか起訴、まあ、起訴というのは当然公判になることですけれども、例えば捜索をしたということでも、これは一律に発表しているものではないと私は承知しております。ただ、それは、お尋ねがあって、私どもで答えられる範囲について、例えば非常に関心が持たれている、世上問題となっていることについては、それはこれまでも公表してきておりますし、それはケース・バイ・ケースで適切に対応したい、このように思います。

平岡委員 いや、それなら、この前、十月に質問したときに、これだけでかく報道されていてマスコミも大いに関心を持っている、こういうことについてどうなっているんですかと聞いたときに、何で答えられないんですか。これはもう多分終わっているんでしょう、こんな事件は。捜査にも影響ないでしょう。何で答えられないんですか。

大林政府参考人 お尋ねの事案は公職選挙法の事案だと思います。先ほど申し上げましたとおり、今のところ刑事処分がなされたということには承知しておりません。ただ、その過程で、では、実際にだれを調べたんだとか、どういう判断がなされて今のところ事件になっていないんだということは、とても私どもではこれはコメントできない、こういうことでございます。

平岡委員 だから、私は別に、それはどういうふうに調べたかということじゃなくて、どうなったのかということを聞いているだけで、私はこの問題をやりたくてやっているわけじゃないので、そこはおいておきますけれども。

 だけれども、さっきも言っているように、このメールの話について言えば、その後、選挙資金の話がマスコミでも大々的に報道されるように、もしかしたら犯罪につながっている情報かもしれない。そういう情報について、結果的にコメントを出してしまったことについては、これは私は結果的には反省すべきことだ、やるべきではなかったことだというふうに思いますけれども、どうでしょう。

大林政府参考人 それは、先ほども申し上げましたように、捜査、公判に支障があるかどうか、それを一番わかるのは捜査機関でございます。ですから、捜査機関において、それはない、現に証拠においてないというふうに判断して、あるいはその一方で、今言った捜査機関の捜査に、逆に言って隠していると思われるようなことの、それは比較考量の問題だと思うんです。

 ですから、捜査機関において、それはないというふうに判断したんだということであれば、それ以上私どもが答弁はできないということを御理解いただきたいなというふうに思います。

平岡委員 捜査一課の判断だと言われたら、では、捜査一課は何でも判断していい、勝手に判断していいということじゃないと思うんですよね。

 では、捜査機関が判断するその判断の基準というのは一体どういうふうになっているんですか。その基準を示してください。

大林政府参考人 繰り返しになって恐縮でございます。

 捜査機関の具体的活動内容を明らかにすることは、他人の名誉やプライバシーの保護の観点から問題があるのみならず、罪証隠滅活動を招いたり、裁判所に予断を与えたり、関係者の協力を得ることが困難になるなど、捜査、公判に支障が生ずることから、通常差し控えているところでございます。

 しかしながら、捜査に関する情報であっても、公益上の必要があり、かつ関係者の名誉及びプライバシーへの影響、捜査、公判への影響の有無、程度等を総合的に勘案して相当と認められる場合には、その範囲内で一定の事項を明らかにすることもあると承知しています。

 法務・検察当局においては、従来からこのような方針をとってきたものであり、今般の公表も、従来の方針に照らし、公表することが相当と認められる範囲を慎重に判断した上で、事実関係を明らかにしたもので、従来の方針を変えたり、恣意的に公表したものではないと承知しております。

平岡委員 この件は、予算委員会でも、先ほど質問した同僚の高山委員が質問しているわけでありますけれども、ライブドア事件について言えば、報道機関でも物すごく情報がはんらんするぐらい、いろいろな事実関係が報道されているんですよね。これはどこから出ているというふうに思われますか、大臣。

杉浦国務大臣 わかりません。

平岡委員 大臣、わかりませんというのは、では、この情報は、こういう情報はだれが持っているんですか。

杉浦国務大臣 マスコミの方々は独自に猛烈な取材活動をなさっておられます。私のところへも朝晩お見えになりますが、そういう方々がどこでどういう取材をされているか、それに基づいてお書きになっているんだと推測しますけれども、少なくとも私は、検察当局からは、定例記者会見をやっておりますが、それ以外のところからリークすることはないと信じております。

大林政府参考人 一つ例を出させていただきます。

 私ども若い検事のころは、捜索に行くときに、その玄関といいますか入り口でカメラに写真を撮られるということは、非常に不名誉なことだとされていました。それは、捜索の場合にはどういう隠滅行為があるかどうかわからないからです。ところが、最近は、皆さん御承知のとおり、もうばっちりカメラが待っているところへ捜査に行く。これはなぜかということなんです。これは、やはり報道機関の方々のその体制というか、もう要所要所に張っているんですよね。

 ですから、それは通信機関も発達していますし、私どもとして、あるいは東京地検の担当者にとって、あのところで顔を撮られるということは名誉なことではないんですよね、はっきり言って。それがそうなっているというのは、やはりそれだけ報道機関の体制も鋭いし、それから関係人も、これも一般論で申し上げますと、今度の事件もそうですし、関係人が非常に多数に上っていて、それを随時呼んで任意捜査で調べています。当然、それを今度は待ち構えている人もいます。あるいは、その被疑者の弁護人の方々もいて、そういう問題もあります。

 ですから、今の現状として、おっしゃられるその疑いを招いていることもわかりますけれども、私どもとしては、捜査機関からそんな不利なことをすることはしていない、やはりそういういろいろな諸事情によっていろいろな情報が出ている、こういうふうに考えております。

平岡委員 情報の中身からすれば、これは捜査当局から漏れているとしか言いようがないんですよね。ほかにどこから漏れているというふうに言えますか。

 だから、私は漏らしちゃいけないというふうに言っているんじゃないんですよ。私は漏らしちゃいけないと言っているんじゃなくて、これは国家公務員法上の守秘義務もある問題である、それから先ほど言った公益的な問題もある、報道の自由と取材の自由という問題もある、その兼ね合わせをどこでどうするかということは非常に大事な問題だというふうに思っているわけですよ。

 そういう意味において、基準というものをしっかりとつくって、その基準にのっとってやらない限りは、捜査機関の勝手な判断になってしまう、こういうふうに私は思っているんですよね。その基本的な基準というものについては、捜査機関だけが勝手につくるんじゃなくて、やはりそこはある程度法的な根拠というものが与えられなければいけないんじゃないかというふうに思っているんですね。

 大臣、どうですか、その点についてはどう思われますか。

杉浦国務大臣 法的根拠でございますが、刑事訴訟法第四十七条は、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」とあります。「但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」と規定しております。捜査情報の公表についても、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められるときは、これを明らかにすることが許されているものと承知しております。

 国家公務員法百条一項に定める、守秘義務ですね、「職員は、」「秘密を漏らしてはならない。」これにつきましては、捜査によって得た未公表の情報はこの規制の対象になることが多いと思いますけれども、刑事訴訟法四十七条ただし書きに定める、公益上の必要性その他の事由があって、相当と認められる場合には、これを公表することが正当なものとして許され、守秘義務違反にならないものと承知しております。

平岡委員 今の大臣のは、刑事訴訟法と国家公務員法を合わせわざみたいな形で勝手に解釈している話であって、私が言っている話は、そういう法的な根拠を明確にするとともに、その基準というものも明確にしていかなければいけないということを言っているわけですよ。

 先ほど刑事局長が答弁されたのは、それはそれなりに、今までの歴史を踏まえて、答弁の中で言われてきた基準みたいなものだろうと思いますけれども、果たしてそのとおり動いているのかと言われたら、私は動いていないと思うんです。

 先ほど言っているように、いろいろなところからいろいろな情報が漏れている、公表されていない情報がいろいろなところで漏れている、そういう状況になっているんじゃないですか、実態として。そういう実態というのは、ある意味ではおかしな実態であるから、そこはちゃんと、捜査機関だけの判断で動いているんじゃなくて、きっちりとした我々の基準というものをやはりつくっていかなきゃいけない、そういうふうに思うんですけれども、大臣、どうですか。

杉浦国務大臣 基準については、先ほど来刑事局長が何度も申し上げておるとおりでございます。

 私は、予算委員会で、こういう発表をするのは異例だという趣旨のことを私自身の記憶で申し上げましたが、前にもこのような理由で公表した事例があるようでございます。だから、刑事局長が申し上げた、私も予算委員会で申し上げましたような基準で、恣意的なことのないように、今後とも対応してまいると承知しております。

平岡委員 大臣、ちょっと勘違いしているんですよね。公表というのは、コメントみたいなものと話、もうそれは当然基準というのはあるんですけれども、私が言っているのは、今捜査当局からいろいろ情報が漏れているんじゃないですか、そういう疑いがたくさんありますね、そういう問題についてもしっかりと、どういう基準でどういうふうにやるのかということについてやらなければ、捜査当局が勝手に自分に都合のいい情報だけをリークしていくような形で物事が進んでいくんじゃないですか、その点についてもしっかりと基準というものを、根拠というものをつくっていかなきゃいけないんじゃないか、それを言っているんですよ。

杉浦国務大臣 捜査中の情報については原則として公表しない、機密、秘密を守る、これが原則でございます。

平岡委員 公表という話じゃないですよ、リークの話。リークということは、実際にあれだけの新聞報道がたくさんあれば、どこかの形で何かやはり説明、情報がなければあれだけのことは書けないんじゃないか、あれだけのことは発表できない、発表というか世の中にあらわれてこないんじゃないか。そういう状況の中で、このままほうっておいたのでは、捜査当局の一部の人たちの意図で、勝手に都合のいい情報だけが漏らされていくんじゃないか、そういうおそれがあるんじゃないかということを言っているんです。だから、その部分についてもしっかりと基準をつくっていくべきじゃないかということを言っているんです。どうですか。

杉浦国務大臣 恐らく、検察庁は、記者会見で公表する以外の事実は一切明らかにするなということでやっていると私は承知しております。

 先生も御経験おありになると思うんです。私、いろいろな場所であれするんですが、これはありましたかとマスコミに言われる、黙っている。私の顔色を見て、イエスと言ったと書く人もいるんですね。これはもうマスコミの対応であって、これはとめようがないです。

 ですから、少なくとも捜査機関に関する限り、厳重にその点は、国家公務員法の守秘義務があるわけでございますから、厳重に指図して指導しているものと承知しております。

平岡委員 この問題で押し問答をしていても時間をとるばかりなので、通告した質問でちょっと質問し忘れたのがありますので、ついでにやっておきます。

 というのは、コメントの中身を見ますと、これは新聞報道で聞いた話ですけれども、間違っていたら後で訂正してください。メールの存在及び指摘された事実関係について当庁では全く把握していないというふうに次席検事の方から公表があった、コメントがあったというふうに聞いておりますけれども、どうもこれは、文章的に見ると、何かそのまま受け取れないような気がするんです。

 具体的に聞くと、メールと同様の内容の情報があること、これは中身が事実かどうかは別ですよ、そういう情報があるということについては把握していたのか。さらには、そういうメールが出回っていることについては把握していたのか。この点について、事前に把握していたのかについて、政府の関係するようなところに聞いていきたいというふうに思います。

 まず、内閣情報調査室、お願いします。

伊佐敷政府参考人 内閣情報調査室の調査の個別事項につきましては、今後の業務の遂行上支障が生じかねませんので、答弁を差し控えさせていただきます。

平岡委員 では、次に警察庁。

和田政府参考人 個別具体的な事案に関しまして警察がいかなる事実関係を把握しているのかどうかということにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 では、検察庁、法務省。

大林政府参考人 永田議員の質問以前には、質問にかかわるような情報を把握していなかったものと承知しております。

平岡委員 まあ、今の答弁をちょっと聞いてもらったらわかるんですけれども、三者三様ですよね。業務の遂行上支障があるため。警察は、個別具体的な問題にかかわることについては一切答えられない。検察だけが、今、そういう内容のものについて、私が言ったような内容のものについては把握していない、こういうふうに言われた。

 ちょっとこの辺が、どうして同じ捜査当局であっても違ってくるのかなというような疑問はありますけれども、いずれにしても、検察庁については、事前に把握していたわけじゃないということは、今言われたから、多分間違いはないんでしょう。それを前提に、これからもこの問題についてはいろいろと考えていきたいというふうに思います。

 それでは、ちょっと時間をこの問題で余りにも使い過ぎちゃったので、次の質問に移りたいと思います。

 人権擁護法案です。きょうの午前中の質問でもいろいろ出ておりましたけれども、大臣は所信の中で、「できるだけ早期に提出できるよう努めてまいります。」というふうに言っておられましたけれども、これはいつ提出するおつもりなんでしょうか。

杉浦国務大臣 先生御案内のとおり、この法案を提出するに先立ちまして与党に相談いたしましたところ、議論が百出いたしまして、提出までに至らなかった経緯がございます。私からは、自民党において、まず、議論が分かれたところでございますので、検討していただくように既にお願いしておるところでございます。

 その一方で、当省といたしましては、現在、担当部局におきまして、これまでの議論を踏まえまして、与党での検討状況に備えて準備をいたしておるところでございます。

平岡委員 大臣は、就任に当たってのインタビューで、この人権擁護法案については、役所がやると規制とか取り締まりとかという見地になりやすい、与党がチームをつくり、練り上げる方がよいのではないかと思っているというふうに言われて、あたかも議員立法を期待しているかのような発言になっているというような気がするんですけれども、これは議員立法でやるということでなくて、ちゃんと政府提出でやる、そういうおつもりで所信は述べられたというふうに理解していいんでしょうか。どうでしょう。どっちでしょうか。

杉浦国務大臣 この人権擁護法案は、審議会で御審議願って、それに基づいて内閣で検討の上、提出したものでございます。

 法案の中身は、簡易迅速、柔軟な救済を行う新たな人権救済制度を確立する、人権侵害被害者の実効的な救済を図るということを目的とするものでございまして、ぜひとも必要な法案であると考えております。

 いろいろ申し上げましたのは、ともかく幅広い御理解をいただいて、できるだけ早期に提出できることが大事だということの趣旨で申し上げたわけでございます。

 私の場合、念頭にございましたのが、自分自身の経験なんですが、前の少年法の大改正案、漆原先生はよく御存じなんですが、あれは議員立法でいたしました。本来閣法で提出すべきものです。それを、政府部内の意見が調わないから、難しいからということで、投げられてまいりました。漆原先生と苦労しましたね。

 これは、議員が調整を行った方がいい場合があるんです。利害対立する人、全員の意見を、呼んで、よく聞いて……(平岡委員「私が聞いていることに答えてくださいよ」と呼ぶ)いや、ですから、この法案は、閣法で、審議会を設けて議論されたわけですが、どうもそこでの、審議会として御意見をお伺いしたんですが、自民党ですら納得されていなかった。自民党に諮ったところ、反対論がさまざま出まして、御理解が得られなかったという事情がございます。ですから、議員立法でやるというのも一つの選択肢であろうと。

 しかし、私は、今は法務大臣でありますから、閣法として作成した法案を提出させていただく、御理解をいただく、議論をいただく、そして国会の方で、与党の方で、修正すべき点がある、いいかと言われれば御相談に乗る。一刻も早く幅広い御理解をいただいて、早期に提出して、成立させていただきたい、こう願っておるところでございます。

平岡委員 ちょっとわかりにくい答弁でありましたけれども、政府として提案したいという気持ちは持っているということですよね。いろいろな課題があるんだろうというふうに思いますけれども、大臣の見解を、そうした課題の点についてちょっと伺っておきたいと思うんです。

 民主党の方からも人権擁護に関する法案というものを出させていただいておりまして、そちらの方では、例えば、人権委員会の法務省の外局化とか、地方人権委員会というものを設けるべきだというようなことは言っておりましたけれども、これはあくまでも法案が提出されてからまたお互いに議論する話なのかもしれません。

 一番問題になっているのは、多分、自民党の方で提起されているという人権の侵害の定義というのがあいまいじゃないかとか、あるいは人権擁護委員の国籍条項を設けるべきではないか、こういったようなことだと思うんですけれども、この二点について、杉浦大臣はどのようにお考えになりますか。

杉浦国務大臣 内閣として提出しておりますから、余り申し上げない方がいいと思います。いろいろと御議論を賜って、御意見を集約していただくことを願っておる次第でございます。

平岡委員 ちょっと私、聞き間違えたのかもしれませんけれども、内閣として提出しているんですか、今。(杉浦国務大臣「いやいや、しようとしているんです」と呼ぶ)内閣として提出しようとしているものは、どういう内容のものになっているわけですか。

杉浦国務大臣 提出すべく、今自民党と御相談を始めようとしているところでございますので、しかも、自民党の中にはさまざまな御意見がおありになりますから、私から私の意見を申し上げるのは差し控えた方がいいと思います。

平岡委員 閣法として出したいという気持ちを持っておられるのに、自民党の方で調わなければ中身は決められないというのでは、大臣、余りにも情けない大臣じゃないですか、それは。やはりみずからの考え方はあるんじゃないですか。自分としてはこういうものを出したいんだ、だけれども、まだ意見がそろっていないから、それはいろいろ議論があるということじゃないんですか。

 大臣として、先ほどの二点についてはどのようにお考えになっているか、それぐらいの御見識は示していただかないと、朝、何か与党の筆頭理事の方とお互いに褒め合っておられましたけれども、それでは全く大臣としてのリーダーシップは欠けているというふうに、ちょっと訂正し直してもらいたい。先ほどのは議事録に残っていますから、議事録を訂正してもらわなければいけない。大臣、いかがですか。

杉浦国務大臣 大事な法案でございますから、十分御審議願いたいと思いますが、閣法を提出したところにおきましては、人権擁護法案におきましては、人権を侵害する行為とは、不当な差別や虐待と同等に評価される人権侵害を指すものでございまして、民法や刑法等に照らして違法とされる行為である、こういう前提で出しておるわけでございます。定義があいまいだとは思っておりません。

平岡委員 もう一つ、人権擁護委員の国籍条項。

杉浦国務大臣 審議会の追加答申では、この点につきまして、それを踏まえて作成しておりますが、我が国に定住する外国人が増加していることなどを踏まえまして、市町村の実情に応じ、外国人の中からも適任者を人権擁護委員に選任することを可能とする方策を検討すべきであるという提言を踏まえて御提案を申し上げているところでございます。

平岡委員 大臣、閣法で提出したいということでありますから、今大臣が示された方向で、できるだけ早く、リーダーシップをとって提出していただきたい、そしてこの委員会でしっかりと議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、執行猶予者保護観察法について質問したいと思います。

 これは、今何か議員立法でというような話もちょっと承っているところでありますけれども、少し政府としての見解をお伺いいたしたいというふうに思います。

 更生保護のあり方ということで有識者会議が昨年の十二月二十六日に中間報告を出していますけれども、この中で、執行猶予者保護観察法の改正、早急に改正すべきであるというふうに提案されている事項については、どのように認識しているか。どのような提言になっており、それに対してどのように認識しているのか。この点についてお伺いいたしたいと思います。

杉浦国務大臣 昨年十二月二十六日に提出されました更生保護のあり方を考える有識者会議の中間報告では、保護観察つき執行猶予者に対する保護観察制度は、他の種類の保護観察に比べて緩やかなものになっており、更生意欲の乏しい者に対しては無力の場合も認められるため、他の種類の保護観察と同様の仕組みに改めるべきであり、特別遵守事項の設定を可能にすること、転居、長期の旅行を届け出制から許可制に変更することは最低限必要であるとする意見が述べられていると承知しておるところでございます。

 この改正案について、なぜ閣法で出さないのかという御意見かと思いますが、この中間報告が出る前に、昨年の五月ごろから、与党の方で同じ内容の問題を議員立法でやるべきだという御意見が出されており、そのための準備、検討は開始しておりました。当省としては、その検討状況を踏まえながら適切に対応することとしたものでございますが、このたび議員立法で提出される方向だというふうに承っているところでございます。

 もとより、執行猶予者についての保護観察制度に関する必要な見直しは、これに尽きるものではございません。引き続き、有識者会議で近々に最終報告が出ますが、その御議論を踏まえまして、必要な場合には、所要の法整備等に努めてまいりたいというふうに思っております。

平岡委員 今何か、与党が考えているから、与党が手をつけているから差し控えたんだというふうに言われましたけれども、何で与党だったら控えるんですか。民主党も野党としていろいろたくさんの法案を提案していますよね。そして、葬り去られてはいるけれども、中身は政府案に取り込まれて出されてきたものも多々あるんですよ。そういうふうに、政府としては、いいものは取り入れる、だめなものは取り入れないという形で自主的に進めたって何の問題もないんですよね。なぜ自民党が進めているということならば政府は遠慮して出さないんですか。

杉浦国務大臣 別に与党、野党、関係ございませんが、法律は国会で議決されるものでございますので、御検討いただいて提出される与党提案、野党提案、それはそれで結構だと思います。

 ただ、この件については、政府としても、有識者会議の中間報告に基づいて出すべきだというふうに考えておるところなんですが、その有識者会議より早く、昨年の五月ごろからもう既にPT、プロジェクトチームを立ち上げられて検討しておられたことでございまして、内容は全く同じでございますから、議員立法に御協力申し上げるということでいいのではないかというふうに思っている次第でございます。

平岡委員 この内容については、再犯防止対策推進委員会、これは事務次官が委員長になっておられるものですけれども、そこでも五月の時点で既にいろいろ書いているんですね、具体的なことを。政府内部でもいろいろ進めていたわけですよ。それはどういう状態なのかわかりませんけれども、与党も並行して進めていたのかどうか知りませんけれども、与党がそういうことを言い出したら、もう政府としては遠慮します、これはやはりおかしいと思うんですね。

 私がもっとおかしいと思うのは、今回、この執行猶予者保護観察法の改正案が出されていますけれども、これについて、実はいろいろと、事務がふえることになるわけですよね。事務はだれがするのかといえば、先ほども保護観察官の話が出ていまして、不足しているとかという話がありましたけれども、こういう人たちがやるわけですよね。

 与党提案の中では、この人員とか予算とかという手当てはついているんですか。大臣、どうですか。

杉浦国務大臣 今回の改正の主眼は、保護観察の実効性を高めることにあると伺っております。その範囲内、お伺いした範囲内におきましては、私どもが進めております保護観察の充実強化、対象者の改善更生等に資するものであり、その伺った範囲では、与えられた人員と予算の中で努力すれば実現できることではないかというふうに思っておる次第でございます。

平岡委員 政府が今回出そうとしている少年法改正の中に、保護観察中の遵守事項違反を理由とする少年院送致というようなことが検討されているようなんですけれども、実は保護観察官の方は非常に忙しいので、犯罪者予防更生法の四十一条による引致とか、あるいは四十二条に言う家裁への通告とか、こういうところはほとんどできていない状況。つまり、保護観察官の仕事がいっぱいで本来やるべきことができていないから、こういう少年法の改正につながっていこうとしているような事項もあるわけですよ。それにもかかわらず、こんな法案が出てきて、さらに保護観察官のやる仕事がふえちゃう。

 それに対して、政府が提案していれば、当然それに伴う予算とかあるいは定員の手当てをして出てくるわけですよ。それが与党提案で出てきたら、そんなことはだれも用意していない状態で出てくるわけですよね。これは政府提案ですべきじゃないですか。どうですか、大臣。

杉浦国務大臣 先ほど申し上げたとおり、議員立法で出されている内容と私どもで考えている内容は全く同じでございますので、議員提案で御審議いただけばよろしいかと思っております。

 また、予算的な面につきましても、現在の予算と人員の範囲内で行えるというふうに私どもは判断しておるところでございます。

平岡委員 だから、十分にできるといったって、さっき言ったように、今の状況で、本来やるべきことができていなくて、それでまた、それを前提にして別の法律を改正しようというようなことまで行われようとしているわけですよ。そういう状況を踏まえて、ちゃんとやっていきますといったって、そんなこと信用できないですよね。大臣、どうですか。

 この保護観察、保護観察官の問題について言えば、これは本当に大きな問題だからもっと真剣に我々もこれから議論しなきゃいけないと思いますけれども、こういうつまみ食い的なことをやっていたのでは、本当の保護観察の問題については解決しないだろうと私は思うんですね。やはり、予算、人員、そういうものと一体となって制度を考えていく、この姿勢が必要だと思うんです。その姿勢は大臣もお持ちだと思うんですけれども、どうですか。

杉浦国務大臣 おっしゃられる保護観察制度のあり方にさまざま問題がある、御議論もある、有識者会議でやっております。それは間違いないところでありますし、我々も、有識者会議の議論を踏まえまして、これからも努力していこう、こう思っておる次第でござます。ここでも御議論を賜りたいし、いろいろと御指導も賜りたいと思っております。

 ただ、議員立法で出すとおっしゃっていることを閣法で出す、まあ、国会で御審議いただいて法律を通していただくわけですから、中身は同じで議員立法でやっていただけるのを、いや、わざわざこれは閣法でやりますということまで申し上げることはないんじゃないかと私は思うんですが。

平岡委員 それは、私は大臣としての見識を疑いますね。

 つくったからには、それがちゃんと機能するようにしなきゃいけないし、既存のいろいろな仕事とも、どういうふうにやっていくかというバランスもとらなきゃいけない。そうなったら、やはり定員とか組織とか予算とかということをしっかりと考えてやらなきゃいけない。そういう意味においては、私は、法務省は、全体として見ている立場としていえば、しっかりとやっていかなきゃいけないというふうに思います。

 いいです。もうこれ以上大臣とやってもどうしようもないので、次の質問に移らせていただきたい。(杉浦国務大臣「ちょっと言わせてください」と呼ぶ)はい。

杉浦国務大臣 議員立法であろうと閣法であろうと、おつくりいただいた法律は、我々は誠実にやってまいります。我々、少年法の大改正をやって、ちゃんとやって、政府としてやっております。それは誤解しないでいただきたいと思います。

平岡委員 お言葉ですけれども、先ほど私が、犯罪者予防更生法の規定に基づく活動もほとんど行われていない、そういう有名無実化してしまったような規定まであるという状況の中での話を言っているわけですよ。だから、そうやって、既にある法律をちゃんと守れなくて、新しくつくったものを守ると言われても、なかなかそのまま額面どおり受け取れないということなんです。それを申し上げたんです。

 次の問題に移ります。ちょっと時間がないので、犯罪から子供を守るための対策の問題について質問したいと思います。

 平成十七年六月から、子供を対象とする暴力的性犯罪の受刑者については、法務省の出所情報を警察へ提供するというようなことになっているのでありますけれども、どのような情報を提供することになっているんですか。もう既に提供しているんでしょうか。

杉浦国務大臣 委員御指摘のとおり、平成十七年、昨年六月一日から、十三歳未満の子供を対象とする強姦や強制わいせつ等の暴力的性犯罪を犯した受刑者について、これらの者による再犯を防止することを目的として、法務省が保有するこれらの受刑者に係る出所情報を警察庁に対し提供しております。これは、閣議において総理の強い指示もございました。

 提供される情報の具体的な内容は、対象となる受刑者の出所予定日、帰住予定地、出所刑務所、服役罪名、出所事由等でございます。

平岡委員 これは極めて、ある意味では、個人の秘密にかかわるような事項の情報であるというふうに思うんですけれども、こういう情報を法務省から警察に提供することについては、法的な根拠というのはどのようになっているのかという点について、大臣、御答弁願えますか。

杉浦国務大臣 御指摘のとおり、受刑者の出所情報は個人情報でございまして、みだりに開示されてはならないことは申すまでもございません。

 しかし、平成十七年四月一日から施行されております行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律においても、他の行政機関が法令の定める事務の遂行に必要な限度で提供された個人情報を利用し、かつ、これを利用することについて相当な理由があると認められる場合には、他の行政機関に対し個人情報を提供することは許されているところでございます。

 警察に対しまして受刑者の出所情報を提供することは、警察は、犯罪の予防をその責務としており、警察法二条ですが、この目的で提供された情報を利用するものであること、また、警察も守秘義務を負っており、情報の適正な管理がなされることからすれば、行政機関の情報共有として、特別な法律の根拠がなくても運用で実施することが可能だと考えております。

平岡委員 今大臣が言われたとおりの法律的な根拠になっているということのようなんですけれども、ただ、やはり、警察法の第二条というのを見ると、大臣が言われた、警察が行う仕事としては、犯罪の予防だけじゃなくていろいろなことが書いてあるんですよね。最後、「その他公共の安全と秩序の維持に当たることをもつてその責務とする。」と書いてある。

 そうだとすると、今大臣が言われた根拠でいくと、公共の安全と秩序の維持のためであるならば、法務省が持っている、先ほど来からの情報についても出してもいいというようなことになってしまうわけですね。大臣、それはちょっと余りにも広過ぎるというか、ひど過ぎるんじゃないでしょうか。

杉浦国務大臣 これは先生も御存じと思いますが、子供たちに対する性犯罪、強姦や強制わいせつ等の暴力的性犯罪が頻発しております。社会問題になっております。これをどうしたらいいかというのが大きな問題でございまして、実は、大臣政務官の犯罪予防PTの大きなテーマでもございます。

 諸外国においてはいろいろなことを講じております。中には、ICタグをつけて回らせるとか、あるいは、この人を釈放するぞということを公表しちゃう、そういう国もあるわけでございます、よしあしは別にして。

 日本でも、性犯罪者というのは、専門家の意見によりますと、特別な、何といいますか、累犯の可能性が高いようでございますから、どう対応するかということが大きな問題でございまして、こういうことで、少なくとも行政機関の間で協議をして、情報を共有して、きちっと再犯が起こらないように努力しよう、これが第一歩だというふうに思っております。もっとほかのことは、大臣政務官に検討していただいております。

平岡委員 大臣が、法的な根拠という質問で言われたので、それに対してちょっと注文をつけたわけですけれども。法的な根拠があったからといって、何をやってもいいということではない。

 やはり、大臣が言われたように、こちらにはいろいろな公益性の問題がある、必要性がある、そういうものとのバランスの中で、こういうことがどこまでできるのかということはちゃんとチェックしていかなければいけないというふうに私は思っておりますから、そこのところは、警察法第二条でできるようになったんだから、公共の安全と秩序の維持のためならばこんなことは幾らでもできるんだというような考え方に立ってほしくない、そういう意味であります。それはわかっていただいていると思いますので、特に答弁は要りません。

 ちょっと時間がないので、ただ、このような情報がいろいろ漏れてしまったら、先ほど情報の漏えいの話がありましたけれども、やはり大変な混乱が起こってくるだけじゃなくて、その人個人についても大きな問題が発生してしまうというふうに私は思うわけであります。

 そういう意味では、この情報を受け取る側の警察、特に警察は、それぞれの警察官が地域を回りながらいろいろな活動をしている、そういう中でこれらの情報が漏れてしまうという可能性もある。このことに対して、やはり心配せざるを得ないという状況であると私は思います。

 そういう意味においては、警察の方でこういう情報についての内部管理、情報管理について適切な措置がとれるのか、とるということについてどのように考えているのか、その点について伺いたいと思います。

竹花政府参考人 お答え申し上げます。

 警察庁におきましては、いただきました出所者情報を速やかに関係都道府県警察本部の担当部署に送付するわけでございますけれども、その情報は、警察本部から関係の警察署の再犯防止担当官、これは警部以上の階級にある幹部を指定しておりますけれども、これに伝達がなされます。彼は、みずから出所者の所在を確認し、その動向を見守るという作業を行う責めを負っておるところでございます。

 警察におきましては、御指摘のように、この情報が非常にプライバシーの問題として大きな問題であることも重々承知をいたしまして、必要な範囲の中でこの情報がもたらされるということで運用をいたしているところでございます。

平岡委員 大変微妙な情報でもありますので、情報管理はしっかりとしていただいて、万が一にも情報漏えいのないようにしていただきたいということで、私の質問を終わりたいと思います。

石原委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 杉浦大臣、お疲れさまでございます。

 先ほどからの就任直後の死刑問題での御発言をめぐるやりとりを聞いていて、私は、大変深く大臣が、命の重さ、この制度についてのさまざまな議論ということに思いをはせながら、苦悩していらっしゃるなという思いを持って見ておりました。

 御存じと思いますが、私は、死刑廃止推進議員連盟事務局長をやっておりまして、五年ほど前から、衆参百人を超える超党派、すべての政党の議員が、党によっても両論あるわけですけれども、この死刑の問題をとにかく国会でしっかり議論していこう、それから各国とも議論を交わしていこう、こういう呼びかけをしておりまして、三年前は法案の中身をまとめる段階までは行きましたけれども、まだまだ議論は足らないと思っています。

 そこで、私から一問。ヨーロッパ評議会であるとかさまざま、アムネスティ・インターナショナルであるとか人権団体等から、ぜひこの問題で積極的に議論したいという要望があります。ぜひ積極的に議論をする姿勢で臨んでいただきたいということをお願いしたいんですが。

杉浦国務大臣 議論は大いに結構だと思っております。

保坂(展)委員 もちろん、一般論ではなくて、NGOの方たちや、あるいは宗教者の方たちとも、胸襟を開いて、いろいろ大臣自身も、あるいは法務省の方も議論をしていただきたい。もう一度お願いします。

杉浦国務大臣 議論させていただいております。

 一月ですが、EUと日本のその問題についてのシンポジウムがございました。それには三ッ林大臣政務官に御出席いただいて議論していただきましたが、その後、EUの大使、現大使、次の大使、法務省にお見えになりまして、そのシンポジウムの中身について御報告があり、いろいろ詳しくお話を伺いました。そういう議論は今後とも続けてまいる所存でございます。

保坂(展)委員 私も、ストラスブルクにあるEU評議会の事務局次長とお会いをして、日本における状況、あるいはヨーロッパ、EU各国がどう見ているかなどを話してまいりましたので、そこはひとつこの先じっくり議論を、国内的にも国際的にもお願いをしたいと思います。

 きょうは、予算委員会で杉浦大臣にもお問いかけした談合の社会的損失ということについて、もうこれは問うまでもないんでしょうけれども、官製談合というようなことがあると、本来の税金が水増しされて消えていってしまう。その一部が公務員のOBのいわば余得というようなことになってはならないということで、現在、防衛施設庁でもこういった問題が出てきて、捜査が行われている。

 杉浦大臣に予算委員会でもお尋ねしたことを、繰り返しを避けるために私の方でまとめましたが、お配りしてある資料で、大きな法務省での工事として、東京入管の庁舎、宿舎、それから先ほど出ていた東京拘置所の工事。これは、東京入管の方は、一回目の一般競争入札の落札率が九九・五%、指名競争入札が九八・七%、東京拘置所の方の一回目は九六・四%、二回目は九九・七%、三回目は入札成立せず、こういうことで、平均すると、大きな工事の落札率が九八・五%と高いんですね。

 杉浦大臣、この数字、九八・五%という数字、高くないですか。

杉浦国務大臣 数字だけを見て高いか高くないかと言われますと、それは九〇%よりは高いわけでございますが、そのことをもって、それでは、公正ではない、談合が行われたと推認できるかというと、私はそうではないと思っております。

保坂(展)委員 資料の二枚目を見ていただきたいんですが、これはこちらにある「談合業務課」という本屋で売っている本ですね。こちらの方に記載をされている、あるゼネコンの担当者が、入管の工事のチャンピオンからは外れるわけですけれども、これで入れてくれやという際、聞き取ったメモだそうです。入管のJVの組が書いてあります。それぞれが応札する企業ですね。そして、一回目は七十三億でどうだ、こういう話です。実際には七十一億台で落ちているので、これは二回目は使われなかったのかと思います。よろしいでしょうか。

 実は、談合というのは証拠はないんですね。証拠があるような談合というのはまずないわけですけれども、たまさか本屋さんでこういう本を見て、ああ、入管というところでそういうことがあったのかなということで、いろいろ検索をしてみますと、大臣にお尋ねしましたが、新聞報道もされていましたよね。二〇〇〇年末に、これは建築土木の工事じゃなくて、機械の工事で談合情報が寄せられて、寄せられた情報どおりの企業群がその仕事を落札してしまった。そういうことが実際にあるわけです。

 それで、さらに五ページ目をちょっとごらんになっていただきたいんですけれども、その後にも新聞報道で、談合という、疑いということですけれども、ございます。

 この五ページ目にあるものは、東京地検の公安部の改装工事ですかね、七百三十五万円の予定と。これは談合情報があったということで延期されたそうです。しかし、これは一〇〇%で、これは随契ですね。入札されなかった。そして、名古屋刑務所です。名古屋刑務所でいろいろな事件がありましたけれども、十六年度の、これは随分近い数字、計算すると九九・六%、これも談合情報があると指摘された工事なんですね。

 大臣、この二つの数字を見て、どう感じますか。

杉浦国務大臣 ちょっとこの件については用意しておりませんでしたので。

保坂(展)委員 では、官房長でもいいです。

小津政府参考人 先ほど大臣も御答弁申し上げましたけれども、落札率が高いということだけで談合があったかどうかというふうに判断できるものではないと考えているわけでございます。

 他方、具体的な談合情報が私どもに寄せられました場合には、私どもといたしましては、部内で関係者から話を聞くなどの調査をすると同時に、すべて公正取引委員会に通報をして対応しているところでございます。

保坂(展)委員 では、その数字のことについて刑事局長にもちょっと聞きたいんですけれども、平成十二年、岡山少年院、落札率九五・五九%、平成十三年、栃木刑務所九八・二八%、平成十四年、大阪少年鑑別所九九・五八%、平成十五年、松江刑務所九九・六八%、平成十五年、徳島刑務所九九・六八%等々、やはり一般競争入札ですから結構金額の多い工事です。こういった数字が出てくるわけですね。

 予定価格と請負価格の間の数字というのは、例えばこういう談合ではないかという情報が寄せられたときに、当然着目する数字ではないでしょうか。その点、いかがですか。

大林政府参考人 一般論で申し上げますと、談合罪、刑法九十六条の三第二項は、「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、」談合することにより成立する、こういうふうになっております。

 今お尋ねの件は、やはり具体的な事案あるいは証拠によって判断されるべきことではないかということで、確かに、委員おっしゃるように、パーセンテージが非常に差がない、差がないといいますか高率であるということはそういう疑いを招くことではありますけれども、犯罪が成立するためには、やはり証拠収集の問題が大きく関与する、かかわるものと思っております。

保坂(展)委員 大臣も刑事局長も高いという印象をお持ちだということなんですが、法務大臣、よろしいでしょうか。

 先ほど、私、二件、これについて資料が、答弁の用意がないということで官房長にかわってやっていただきましたけれども、私の受けた説明では、談合情報が寄せられて、そのとおりの企業がとったけれども、公取に報告して、誓約書を書かせて、談合していませんということでやっていると。いわば、誓約書で済んでいるという話なんですね。

 大臣がおっしゃるように、たとえ九九・九九%だって、まれには、どうでしょう、偶然そうなったということもありますね、確率論的には。ここから重要なんですが、しかし、そういう数字が並ぶということは余りあり得ない。一〇〇%というのはあり得ますか。どうでしょう、一〇〇%ぴったり合っちゃったという場合。いやいや、大臣、その場合どう思うか。それも偶然あるんですか。

石原委員長 では、まず小津官房長にお答えいただいて。

保坂(展)委員 いえ、とりあえず大臣に聞いて、それから官房長。

杉浦国務大臣 さあ、そういうケースも、絶対ないかといったら、あり得るんじゃないでしょうか。

保坂(展)委員 官房長に答えていただきたいんですが、最後のページを見ていただきたいんです。これはきのう、大臣官房の方から、平成十三年度の指名競争入札リストでいただいたものですが、やはり一〇〇%が、一、二、三、四、五、六と並んでいるんですね、たまには並ぶかもしれないけれども。しかも、これは大阪高等・地方検察庁公判の庁舎ですね。

小津政府参考人 まず、御説明の前におわびでございますけれども、委員御指摘の資料は、私どもが委員に提出をさせていただいた、その際に作成させていただいた資料でございます。

 本日配付されるということで改めて点検いたしましたところ、この資料の四番と五番と六番につきましては、予定価格について誤記がございました。四番の正しい予定価格は一億一千七百六十万円……(保坂(展)委員「具体的にはいいです、時間がないので。そのほかはどうですか」と呼ぶ)済みません。四、五、六につきましては誤記がございまして、正しい落札率は七十数%から六十数%でございます。

 そのほかに一〇〇%のものがございます。(保坂(展)委員「あるじゃないですか」と呼ぶ)はい、一〇〇%のものがございます。これにつきましては、それぞれにつきまして入札をいたしまして、入札が成立せず、いわゆる不落の随意契約で契約が成立したというふうに承知しております。

保坂(展)委員 これは、法務大臣、ちょっと注意してくださいよ。予算委員会でやって、これは、わけても法務省で談合なんということはないでしょうねということで出してもらっているんですよ、あってはならないということで。御存じですよね。いろいろ数字を間違えた、ケアレスミスというのはあります。しかし、この資料の中には、指名競争入札と一般競争入札と随契はまた別についているんですよ。今の話は全然説明になっていないですよ。

 これは指名競争入札で入札資格のある会社が入れた。検察関係三つは誤記だったというのはわかりました。その誤記も本当はよろしくないですよ。だけれども、あと三件は一〇〇%じゃないですか。これが指名競争入札であり得るんですねと聞いているんです。

小津政府参考人 その関係で今御説明申し上げましたのは、これは指名競争入札を行いましたけれども、その入札が成立しなかったので随意契約を行ったものでございます。それをこの表に入れさせていただいたということでございます。

保坂(展)委員 法務大臣、どうでしょうか。先ほど高山委員からの指摘もありましたけれども、一円たりとも無駄にしないという時代に、指名入札というのがやはり一〇〇%、入札が成立しないということですね、東京拘置所もそうでしたけれども。本当にこれはきちっとやっているのかどうか。先ほどの九八%、九九%という数字も高いです。

 それから、もう一つ私は指摘したい。天下りの問題もあるんですね、非常に数は少ないかもしれないけれども。法務省の施設担当の責任者が、東京拘置所の工事を発注する責任者がその後にゼネコンに天下って幹部になって、その方が今度は東京入管の工事を受注する。同一人物なんですよ。そういうこともあるんです。

 ですから、人事課に聞くと、いや、私ども、二年過ぎたOBについては全然行方はわかりません、一切把握しておりません、これだけなんですよ。しかし、これだけ防衛施設庁のことで襟を正せと言っている法務省みずからが、きちっと調べて報告してくださいよ。しっかりやってください。

杉浦国務大臣 可能な限りいたしますが、退職後二年までは人事院がウオッチしますけれども、二年後に就職される方については何らできませんので。可能な限り調査はいたしますが。

保坂(展)委員 防衛施設庁のOBについて、今回、二年間協会にいたわけですね。そこからそれぞれの関連企業に下った。それで、その二年がブロックになって、我々には資料は一切出せませんと言っていましたけれども、やはりこういう事態になったら出してきましたよ。

 それで、少なくともほかの役所より厳しくなきゃいけないですね、法務省は。そうでしょう。だけれども、むしろほかの役所より緩いんじゃないか。これだけの数字があって、いや、それは何もないんだったら、二年を経た、退職された方が、一人かもしれない、二人かもしれないけれども、どんな役割をされていたのか。そこで例えば談合情報があって、誓約書を書かせたという処理の仕方が、それでよかったのか。そこはやはりしっかり報告をしていただきたいと思うんですね。

杉浦国務大臣 できる限り調査いたします。

保坂(展)委員 一問だけ、入管関係で。局長さんはお見えですか。

 入管で、このたび、クルド人の方がいわば難民認定の異議申し立て手続の却下後に、それからまた裁判で争う道もあったんですが、却下後にすぐ送還されてしまったというケースがございました。

 これは人権団体等から私ども要請を受けて、局長にもじきじきに申し上げましたが、こういうケースのないように、やはり難民であるということを申請し、却下された後の、公判を請求する、裁判に訴える、そういう道を閉ざさないでほしいという視点で再度姿勢を確認したいと思うんですが、いかがでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 退去強制令書が発付されております者の送還につきましては、裁判を受ける権利を含めまして、人権、人道に対する配慮を行うのは当然でございます。諸般の事情を総合的に考慮して、その送還の実施に当たっているわけでございまして、今後とも、委員の御指摘を踏まえまして、適正な運用に努めたいと考えております。

保坂(展)委員 大臣、大変長時間お疲れでございました。

 ちょっとさっき大声を上げましたけれども、私は、談合というのはいい談合と悪い談合がある、関係者からも聞いたことがあるんですね、不運にして捕まってしまう人がいるけれども、日本的なシステムだと。言ってみれば、説得力もあるんですね。ただ、やはり李下に冠を正さずではありませんけれども、一体、法務省自身がどういう基準でどうやってきたのかということを、指摘を受けた以上はしっかりと解明をしていただきたい。

杉浦国務大臣 しっかりと解明いたします。

 ただ、私はほかの省庁も知っていますけれども、法務省は、中間的に二年天下りする組織、余りないんですね。ですから、ちゃんと調べます、ちゃんと調べますが。

保坂(展)委員 それでは、これで終わります。

石原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十一分散会


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