衆議院

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第5号 平成26年3月19日(水曜日)

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平成二十六年三月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江崎 鐵磨君

   理事 大塚  拓君 理事 土屋 正忠君

   理事 ふくだ峰之君 理事 盛山 正仁君

   理事 吉野 正芳君 理事 階   猛君

   理事 西田  譲君 理事 遠山 清彦君

      安藤  裕君    池田 道孝君

      大串 正樹君    大見  正君

      鬼木  誠君    門  博文君

      神山 佐市君    菅家 一郎君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      今野 智博君    新谷 正義君

      末吉 光徳君    瀬戸 隆一君

      中谷 真一君    長坂 康正君

      橋本  岳君    鳩山 邦夫君

      平口  洋君    藤原  崇君

      三ッ林裕巳君    宮川 典子君

      宮崎 政久君    宮澤 博行君

      郡  和子君    田嶋  要君

      横路 孝弘君    高橋 みほ君

      大口 善徳君    浜地 雅一君

      椎名  毅君    鈴木 貴子君

    …………………………………

   法務大臣         谷垣 禎一君

   法務副大臣        奥野 信亮君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   法務大臣政務官      平口  洋君

   最高裁判所事務総局家庭局長            岡 健太郎君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        高野 修一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 荻野  徹君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小川 秀樹君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    深山 卓也君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    西田  博君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    齊藤 雄彦君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  萩原 秀紀君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  榊原 一夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           新原 浩朗君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     新谷 正義君

  小田原 潔君     瀬戸 隆一君

  黄川田仁志君     鬼木  誠君

  今野 智博君     中谷 真一君

  橋本  岳君     宮崎 政久君

  大口 善徳君     浜地 雅一君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     大串 正樹君

  新谷 正義君     池田 道孝君

  瀬戸 隆一君     長坂 康正君

  中谷 真一君     今野 智博君

  宮崎 政久君     橋本  岳君

  浜地 雅一君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     黄川田仁志君

  長坂 康正君     藤原  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  藤原  崇君     宮川 典子君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     小田原 潔君

    ―――――――――――――

三月十八日

 少年法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 少年法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

江崎委員長 これより会議に入ります。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府公益認定等委員会事務局長高野修一君、警察庁長官官房審議官荻野徹君、法務省大臣官房司法法制部長小川秀樹君、法務省民事局長深山卓也君、法務省刑事局長林眞琴君、法務省矯正局長西田博君、法務省保護局長齊藤雄彦君、法務省人権擁護局長萩原秀紀君、法務省入国管理局長榊原一夫君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、厚生労働省大臣官房審議官新原浩朗君及び厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎委員長 異議なしと認めます。そのように決しました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局岡家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江崎委員長 異議なしと認めます。そのように決しました。

    ―――――――――――――

江崎委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。宮澤博行君。

宮澤(博)委員 おはようございます。自由民主党の宮澤博行でございます。(発言する者あり)二番煎じはやらないことにしておりますので、申しわけございません。

 きょうは、質疑のお時間をいただきまして、まことにありがとうございました。

 せっかくの機会ですので、一言申し上げたいと思います。

 昨日、ベトナム国の主席が来られ、国会で演説をされました。その演説の中で、一人の日本人の名前が出てきたんです。浅羽佐喜太郎さんという名前が出てきたんですね。フレーズとしては、ファン・ボイ・チャウと浅羽佐喜太郎の友情という言葉を主席は使われたんですが、この浅羽佐喜太郎さんは、実は私の地元の英雄でございます。袋井市の浅羽町の浅羽さんなんです。神主の家系なんですけれども、お医者さんになられたんです。

 ファン・ボイ・チャウというのは、フランスの植民地時代の独立運動の活動家だったんです。そして、日本にベトナムの若者を留学させる東遊運動をやっていて、浅羽佐喜太郎さんは、そのファン・ボイ・チャウを物心両面ともに支えた人物だったんです。当然、フランスとの関係を気にした当時の首脳、犬養毅、大隈重信等々は浅羽佐喜太郎に圧力をかけたわけなんです。最終的には、日仏協約によってベトナム人の若者を国外退去させることになってしまいましたけれども、日本人がきちんとあの独立運動を支えたんだ、それがいまだに友情として語り継がれている。

 きのうの演説の中では、日本はどんな困難に遭っても不撓不屈の精神で繁栄をかち取る民族であり国家であるというふうに評価されているということを感じました。私たちも、これから諸外国に元気と勇気を与えられるような、そういう国家を目指して、浅羽佐喜太郎の精神を持ちながら頑張らぬといかぬなということを感じた次第でございます。今後とも御指導のほどをよろしくお願い申し上げます。(発言する者あり)ありがとうございます。(発言する者あり)そうですね。ベトナム議連、頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

 さて、質疑の方に移ってまいりたいと思います。

 きょうは、まず家族制度についてお聞きします。そして次には、社会的養護と法務行政についてお聞きします。三番目に、出入国管理と観光立国についてお聞きをしたいと思います。

 まず最初に、家族制度についてであります。

 これは去年の後半、わんわん議論になりました。何といっても、平成二十五年の九月四日の最高裁判所の決定に端を発したわけですね。嫡出でない子の相続分を嫡出子の二分の一とするという規定、これが憲法違反であるという決定が出たわけです。

 これはこの後、有権者の中でも相当話が出ました。この規定そのものは妥当だ、何がいけないんだという話もたくさん出ましたが、その一方で、子供に罪はないんだ、そういう話もありました。

 これらを受けて、民法の改正が行われるその前に、自民党の中でも大きく議論があったわけなんですけれども、結局、自民党の中で家族の絆を守る特命委員会、そして法務省の中に相続法制検討ワーキングチーム、これが設けられて、家族の尊重をこれからやっていこう、そういう担保のもとで民法改正に歩を進めたということだと私は存じております。

 ですので、今後の議論の素地とするためにも、二、三、お聞きをしておかなければならないと存じております。

 まず、今後の日本の婚姻制度のあり方は基本的にどういう方向でいくのか、これをお聞きしておかなければなりません。

 法務省の中でも、相続法制検討ワーキングチームの議論の行方を注視しなければなりませんが、具体的にどういうことを伺いたいかというと、法律婚を今後も尊重していくのかどうかということなんです。民法改正によって事実婚が広く認められる端緒となってしまったのではないかという不安、それから、少子高齢化に対応するために事実婚を広く認めていけばいいじゃないかということも俎上に上るのかどうなのか、ここの基本的な方向性をまずお示しいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 家族のあり方というのは、人倫の基本でございますし、私どもの社会生活の一番基本となる組織だと私は思うんですね。今事実婚か法律婚かというようなお問いかけがございましたけれども、法律の方も、こういう国民の、家族はどうあるべきか、家族というものをどう捉えるかという意識とは無関係にいるわけにはいかないだろうと思います。やはり広く国民に支えられた家族の考え方を基礎としていなければ、法律もきちっと効果を発揮できない、こういうことがあろうかと思います。

 そこで、我が国の今までの立て方、これは、民法はやはり法律婚を尊重するという考え方でつくられていると思います。もちろん家族の考え方自体は時代とともに少しずつ変遷してくるところはあるだろうと思います。そういったものを柔軟に受けとめなければなりませんが、法律婚を基本とするということは変わっておりません。

 そういう精神がどこにあらわれているかといえば、例えば民法も、法律婚の場合には配偶者の一方が亡くなったような場合に相続権を認めておりますけれども、事実婚にはそういうものを認めていないというのが典型的な例でありますが、そのほかにもいろいろなところに法律婚を尊重する趣旨があらわれていると思います。それから、先ほど国民意識との関係ということも申しましたが、やはり法律婚を重視しなければならないという考え方は広く国民の間にも浸透しているのではないかと私は思います。

 このことは、私自身、この間の、おっしゃった最高裁決定に関しての議論、民法改正の議論でも繰り返し議論になり、私もそういう趣旨のことを申し上げてまいりました。

 それで、民法の一部改正の過程においてされました各方面からの問題提起を踏まえまして、法務省では、先ほどお触れになりました相続法制検討ワーキングチームを設置しまして、現在、相続法制のあり方について検討を進めているわけですが、法律婚を尊重していくという考え方は全く変えておりません。

宮澤(博)委員 ありがとうございました。

 相続法制検討ワーキングチームももう二回会合を開かれているというふうに私も存じております。この二回、確かにホームページ上アップされておりますけれども、改めてお聞きしますが、今までどのような論点が議論されてきたのかということ、それから、今後どのような議論がなされていくのかということ、ここのところは私たちも注視しなければならないと思います。

 ですので、淡々と議論を進めるのではなく、今大臣がおっしゃったとおり、法律婚を尊重するという基本理念に従った上でさまざまな規定の検討をしていただけるかどうか、そこのところの方向性もあわせて御答弁いただければと思います。

深山政府参考人 今お話に出ました法務省の相続法制検討ワーキングチームは、本年の一月二十八日に第一回を行いまして、そのときには、今後検討すべき課題についてフリートーキングを行いました。

 また、二月二十四日に第二回を行いまして、このときは、生存配偶者の居住権を法律上保護するための措置、そういう論点について検討を行いました。

 次回は四月四日に三回目を行う予定にしておりますが、このときには、配偶者の貢献に応じた遺産の分割を実現するために必要な措置について議論をする予定でございます。

 その後ですが、おおむね一カ月一遍程度開催して、次々回には、遺留分制度の見直しの要否、その他の論点について検討する予定です。

 今具体的に申し上げたように、これらの論点いずれも、法律婚を前提として、法律婚のもとでの配偶者の保護を相続法制でどう図っていくかというところをいわば中心とした議論をこれまでもしておりますし、今後とも、大臣の答弁にあったように、法律婚尊重の考え方に何か違うことを考えようということは全く考えておりません。

宮澤(博)委員 ありがとうございました。

 寄与分というふうに言われるものがありますね。それが次回話をされるということでしょうけれども、今までの嫡出子と非嫡出子の規定があったときの寄与分と今後の寄与分と、どのように規定が変わってくる可能性があるのかどうなのか、その点、感触としてどのようにお感じでいらっしゃるでしょうか。

深山政府参考人 次回に、配偶者の貢献に応じた遺産分割を実現するための措置について議論をする予定と今申し上げました。その中に、今委員の御指摘のあった、寄与分制度を今後どうしていくかということも含まれております。

 こういった問題意識自体は、昨年の秋以来、各方面から、今回の相続分の民法改正に伴って、法律上の配偶者の貢献を遺産相続で反映する措置がいろいろな面で不十分だという御指摘もあり、そのことが大きな背景となって議論がされるものですので、寄与分についてもそういう観点から、実際上どうするかということはこれからの議論ですから、ここで申し上げるわけにいきませんけれども、そういう問題意識を持って、寄与分でさらなる調整をする余地があるかどうかという議論になっていくんだろうと思います。

宮澤(博)委員 ありがとうございました。

 実は家族制度というものは、相続法制だけではないんですね。相続法制も、今言ったとおり、相続分だけでなく遺留分、寄与分もあったりして、家族制度は、この相続法制だけではなく、実は税制ですとか社会保障とか、それもまた家族という概念を前提としながらつくられていると捉えるべきだと私は思えるんですね。法律婚というのは、籍が入っているかどうかというふうに捉えるとすると、家族というのは、法律婚、事実婚もそうかもしれませんが、同居をしているですとか、子供を養うとか、お父さん、お母さんを養うとか、そういう扶養、そういったものを含めて家族が成り立っているわけです。

 ということは、私たち政治に携わる者が、これから法律婚を重視するということと、家族を重視するということ、これを十把一からげにすることなく、相続法制は相続法制、しかし、家族を守るためにこの税制や社会保障も考えていかなくちゃいけないという、そこまで頭に入れなくちゃいけないはずなんです。もっと具体的に言うと、例えば配偶者控除のことはどういうふうに考えていったらいいだろうかとか、児童扶養手当や寡婦年金等の社会保障はどうしたらいいか、ここまで考えていかなくちゃいけない。

 私は、地元で市会議員を九年やっていました。市役所の職員が時々ぼやくんですよ。離婚したら市役所からお金をくれるんですね、時々そういう電話がかかってくるんですねと。結婚を続けることが幸せの全てではないかもしれないけれども、安易に離婚するという社会もまたつくっていってはいけないわけです。

 法務省さんとしては限界はあるかもしれませんが、この税制や社会保障、家族を取り巻くこういった制度に対して、これから政治としてどのようにかかわっていくのか、御見解があったらぜひお話しいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 確かに家族のあり方というのは、もちろん、民法等が大きな関係を持つことは間違いありませんが、あるいは、相続法制がどういうふうになっていくかが大きな関係を持つことは間違いありませんが、それだけで論じ尽くせるものではない、おっしゃるとおりだと思います。社会保障のあり方であるとか、あるいは税制、それから、私は、例えば給与体系のあり方等々も家族のあり方に大きな影響を与えていくのではないかなと思っております。

 もちろん、そういったものが全て法務大臣としての私の所管であるわけではありませんが、家族のあり方を考えるときには、そういったいろいろな制度がうまく連携して組み合っていないとよくないのではないかというふうに思います。私は余り領空侵犯はしない主義でございますけれども、やはり政治の場で、こういう家族に関するあらゆることを連携させて、幅広く論じていくということは必要なことではないか、こう考えております。

宮澤(博)委員 領空侵犯ぎりぎりの御答弁、まことにありがとうございました。政治の立場として、次の未来に向けての家族のあり方をきちんと議論してまいりたいと思います。ありがとうございます。

 では、次の項目に移らせていただきます。次にお聞きしますのは、社会的養護と法務行政についてであります。

 社会的養護といいますと、これは厚生労働省さんの管轄ではあるんですけれども、大臣の所信表明の中に、世界一安全な国日本の実現、これが書かれておりました。テレビドラマのあり方も問題になった分野ですので、ここはちょっと私も慎重にお話はさせていただきたいと思うんですが、私の地元にも児童養護施設がございます。その施設長さんと話をしている中で、法務行政がかかわった方がよりよい状況が得られるという確信を私得たものですから、今回は提案も兼ねて質疑をさせていただきたいんです。

 施設長さんの話によりますと、昔は、児童養護施設というのは孤児院と呼ばれていて、お父さん、お母さん、もしくは御両親が亡くなったとか行方不明になったとか、そういったお子さんが入所していた。ですけれども、今虐待を受けて入ってくる子供の方が多いというんですね。

 実際、調べてみたら、昭和六十二年、死亡や行方不明、親御さんの関係で入ってくるのは三三・七%、虐待の子供は一〇・四%。では今、平成二十年、ちょっと古いですけれども、お父さん、お母さんがいないからといって入ってくる子供が九・五%、虐待が三三・一%。もう正反対になってしまっているような状況です。

 総数はどうかというと、昭和六十二年は二万九千五百五十三人、平成二十年は三万一千五百九十三人ですから、ふえてはいるけれども、大幅にふえているわけじゃない。割合が大きく変わっている。虐待の割合がふえているということは、心に傷を負った子供がふえてきているということなんですね。

 施設長さんが言うには、あくまでもこれは一般論ではあるんですが、虐待を受けて入ってくる子供は、自分を受け入れてくれるかどうか職員に試すんだそうです。最初のうちはおとなしくしているんですって。なれてくると何するかというと、わざと自分が虐待されるような言動をするんですって。職員に対して悪態をつく。思い余って職員も怒ったり手を上げたりしてしまうというのが現実だそうなんです。

 ということは、やはり大人になっていってコミュニケーションがうまくとれるかどうか、そこのところがやはり心配なんだ、そして、就職をした、仕事が続けられるか、もしやめてしまったらその後どうなるんだろう。あくまでも一般論ということで施設長さんがおっしゃっていましたけれども、男の子は暴力団に行く可能性がある、女の子は水商売に行く可能性がある。そういうふうになると、心も物もどんどん豊かでなくなっていってしまって、仮に子供が生まれたとしても心貧しい子供になってしまうんじゃないか。だから、就職がしっかりしていなくちゃいけない、仕事が続けられるような会社であった方がいい、そういうふうに言われたんです。

 そのとき、ああ、これは更生保護に協力している雇用主さんの力があれば何とかうまくいくかもしれない、そういうふうに私思ったんです。

 まず、ちょっと厚生労働省さんにお聞きしたいんですけれども、この児童養護施設を卒業するとき、就職するとき、どういうふうな、組織的な、制度的な支援があるか、対策があるか、まずはそこのところをお聞きしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 児童養護施設に入所しておられる児童への就職に関連した支援でございますけれども、まず、入所しておられる間に就職に役立つ資格を取得する、そのための経費について支援をいたしております。

 それから、就職して施設を退所する際に必要になります家財道具の購入、こういったものに充てる準備費用につきましての支援も行っているところでございます。

 それから、施設を退所いたしました後の支援といたしまして、自立援助ホームといったものを各地に設置いたしておりまして、就職した児童に対しましてアパートなどの住まいを提供しながら、例えば、指導員が就業を継続していく上での悩み事の相談に応じたり、あるいは、自立して職業生活を送っていく上で必要な生活習慣、こういったものを整えるような指導を行ってございます。

 それから、施設を退所した方々向けには、就業やひとり暮らしの悩み事、こういったことに関しての相談、そういったものについて退所者同士の自助グループで支援を行う事業について、退所児童等アフターケア事業ということで支援を進めているところでございます。

 今後とも、こういったことを鋭意進めることによりまして、児童養護施設から退所した子供たちへの支援に努めてまいりたいと考えております。

宮澤(博)委員 ありがとうございました。

 御答弁いただいて、そうですかというふうにしか言いようがないんですが、退所する前のこと、退所した後のことの手当てはあるけれども、今私が問題にしているのは、就職できるかどうか、ここなんですね。ここのところの支援がないと難しい状況になってしまうということなんです。ここのところを、法務行政として培ったノウハウと連携することによって、この青年たちがちゃんと就職できる状況をつくっていかなくちゃいけないんじゃないのかということなんです。

 現場でどういうふうな就職活動が行われているかというと、職員の方々が必死になって職探しをしているというのが現実だそうなんです。ですから、先ほど申し上げましたとおり、更生保護に協力してくださっている雇用主の皆さんのデータ、それを共有するだけで実は施設とすると物すごくプラスになるんです。

 その点について、政治的に御判断できるかどうか、できればお考えをお聞きしたいなというふうに思います。

奥野副大臣 非常に難しい御質問でありまして、役人的に答弁しますと、児童養護施設関連は児童福祉法を根拠法としているんです。今おっしゃっている更生保護の協力雇用主については、根拠法はない、ボランティアなんですが、ベースとしてはやはり法務省管轄の保護法関連だろうと思います。ですから、関係ありませんよと言っちゃうと、もうこれは役人の答弁になっちゃうんです。

 ですから、私は今伺っていて、児童養護施設に入っておられる方、非常に悩みが多い方が多いと思います。そういう意味で、もし協力雇用主が協力できるものならしてあげたいと私も思いますけれども、もしそういうことを実現するならば、やはり、厚生労働省と法務省と、あとはボランティアで集まっていただいている協力雇用主、そういった方々の合意が必要になってくると思います。

 ですから、そういったことを考えるべきなのか否かということをもう少し研究させていただいて、いや、それだということになれば、今申し上げた三者が合意に達する、そういうところまで行き着かせなければならない。非常に難しい問題ではあると思いますが、政治的には考えてみる価値があるのかな、こんなふうに感じる次第であります。

宮澤(博)委員 非常に踏み込んで、御丁寧に答弁いただきまして、まことにありがとうございました。

 現場とすると、そういうことがあるだけで問題が前に非常に進むかと思います。そして、何といっても、協力雇用主さんにしても保護司さんにしても、奉仕の精神というのは物すごいんですね。ですから、これはきっと前に進むと思いますので、ぜひ善処をお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 さて、最後に、観光立国のための出入国管理についてお聞きをしたいと思います。

 大臣の所信表明の中にも、適正な出入国管理の実現が挙げられておりました。当然、観光立国実現のためとはいっても、国内の安全を保たなければいけません。テロ防止、それから受け入れの促進、手続の円滑化、これが進められるということではありますけれども、入国審査の職員さんというのは、外国人が一番最初に接する日本人なんですね。ですから、この日本人のイメージというものが後々までどうしてもつきまとってしまうものだと思います。

 これも地元の日本語学校の先生に聞いたんですけれども、三年ぐらい前は、ビザの申請に入国管理局へ行くと、落とすために審査をしているようで非常に不愉快だったという感想を聞きました。でも、今は大分変わってきているという言葉も聞いたわけなんです。

 入国管理局と入国審査は違うかもしれませんけれども、観光立国をしていくなら、やはりリピーターをつくらないといけない、ファンをつくらないといけない。我々政治家にしてみると、地元に行くと、スピーカーと言われる人を大事にしなさいと言われます。いろいろうわさを流してくれる人。日本を好きになってもらった外国人の方々が本国へ帰って、日本はよかったというふうにスピーカーになってもらう、これも大事だと思うんです。だから、入国手続の方々、手続が簡素であって使いやすくて、そして態度も優しい、こういうことがやはり私は必要だと思うんです。

 まず一点目にお聞きします。所信表明の中にもありましたが、入国審査手続の円滑化について、再度の質疑になるかもしれませんが、来年度どのような施策をとられるのか、御説明をお願いしたいと思います。

平口大臣政務官 お答えをいたします。

 観光立国の推進という大変大切な、大きなテーマのために出入国審査手続の迅速化や円滑化ということが大変重要であるということは、私どもも十分認識をいたしております。

 入国管理局では、これまでにも、システム機器の整備や職員の増員等により出入国審査手続の迅速化、円滑化に取り組んできたところでございますが、来年度、二十六年度の予算案におきましても、成田空港のターミナルの新設など空港施設の整備などに伴う職員の増員ということや、あるいは、パスポートと指紋の照合により本人確認を自動的に行う自動化ゲートシステムの増設経費などを計上して体制整備を図っているところでございます。

 また、今国会におきまして、クルーズ船の外国人乗客に係る入国審査手続の円滑化のため、船舶観光上陸許可、こういう制度を新設するなどの出入国管理及び難民認定法の改正案を提出いたしているところであります。

 このように、観光立国推進のために手続面での整備を進めているところでございまして、今後とも、出入国審査体制の充実強化を図るとともに、合理的かつ的確な業務遂行のための工夫を重ねまして、出入国審査手続の迅速化、円滑化ということに取り組んでまいる所存でございます。

 以上でございます。

宮澤(博)委員 ありがとうございました。ぜひその方向で進めていただければと思います。

 最後にお聞きしたいんですけれども、この出入国管理の職員さん、外国人さんと直接触れる職員の方々、地元の方に聞くと、三年前に比べて大分態度がよくなったと言うんですが、何か教育されたんでしょうか。いろいろなプログラムがあるんでしょうか。どういう御努力があってこういうことになったのか、これはやはり観光立国を進めていく上で大事なところだと思うんですね。何かそういうことがあったら、ぜひ御説明をしていただきたいというふうに思います。

榊原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、訪日外国人が空海港到着後最初に出会う日本人である入国審査官の上陸審査時の接遇が訪日外国人の我が国に対する第一印象となりますので、観光立国推進の上で非常に重要であると認識しております。

 入国管理局におきましては、職員の採用直後の研修など複数の研修においてカリキュラムに接遇の講義を盛り込み、職員一人一人に接遇の重要性の意識づけと接遇能力の向上を図っております。また、全国の官署の幹部が集まる会議や各種の職員研修におきまして、観光立国の推進政策における入管行政の役割についての認識を高めるよう、積極的に指導や情報提供をしております。

 今後も、より一層、訪日外国人の好感度向上を図るため、職員の接遇能力の向上に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

宮澤(博)委員 御答弁ありがとうございました。

 きょうは、三点についてお伺いをさせていただきました。いずれにしても、社会が安定していないと、経済だって、教育だってうまくいくわけない。いや、教育等々も含めて、法律も含めて、社会を安定させることが幸せの第一歩なんだ、そういうつもりで、私もこれから先の審議、それからさまざまな議論に臨んでまいりたいと思います。

 今後とも御指導賜りますよう、改めてお願い申し上げ、本日の質疑のお時間をいただいたこと、そして御答弁いただいたことに感謝申し上げ、質疑を終わらせていただきます。

 まことにありがとうございました。

江崎委員長 次に、大見正君。

大見委員 おはようございます。自由民主党の大見正でございます。

 きょうは、少年事件とそれから女子犯罪について順次お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 三月は、卒業シーズン、それぞれ子供たちが進学や就職へと新しいステージに旅立っていくというところだというふうに思います。実は私は、地元で出身の母校の中学校の同窓会長をやっておりまして、卒業式の前に同窓会の入会式というのをやるんですね。そこで、同窓会に入会をしていただきましてありがとうございますというお礼と、それからはなむけの言葉を少し言うのが毎年の恒例になっているんです。

 ふだんでありますと、これから新しい道を歩む皆さん方に少し励ましの言葉を言うのが通例なんですけれども、ことしはちょっと様子が違っておりました。というのは、その入会式の前日に、実は、三重県で昨年八月に、花火大会の帰りに当時中学校三年生が殺害をされ、十八歳の少年が高校の卒業式の翌日に逮捕されるという事件があった。その翌日がちょうど同窓会の入会式だったということもあって、その話を少しさせていただきました。

 だんだんと大人になるにつれて、自由の度合いというのは確かにふえてくるわけでありますけれども、それに比例をして責任をとっていくということもしっかりと学んでいかなければいけない、それから、自分の中で越えてはいけない一線というのもいろいろと出てくるように思います。一つは、法律的な一線というのもありましょうし、また道徳的な一線もありましょうし、個人の、自分の中の価値観、例えば友達を裏切らないとか自分自身にうそをつかないとか、そういう価値観の一線というのもあるかなというふうに思うんです。そういう一線を越えないということも含めて、自分の中でそれぞれの価値観をこれからしっかりと築いていっていただきたいというような挨拶をさせていただきました。

 ふだんと比べるとちょっと重い話をしてしまったかなというふうに思いますけれども、これから大人になっていく中で、本当にいろいろな意味で、社会とのかかわりの中で、自分自身をしっかりと持っていってもらいたいという気持ちからそんな話をさせていただきました。

 そういう中、最近の少年犯罪というのは、先ほどの話ばかりではなくて、殺人に関するものが多く、凶悪化しているというように見受けられる一方、その動機につきましては、小遣いが欲しかっただとか、あるいは交際を断られた、悪口を言われたなどというような形で非常に幼稚化をしているというような感じにもとられます。

 そこで、まず、最近の少年犯罪の傾向につきまして、件数あるいは犯罪の中身、動機、そうした現状につきまして、刑事局長の方から御答弁をいただきたいというふうに思います。

林政府参考人 まず、近年の少年による刑法犯の検挙人数について見ますと、昭和五十九年以降、平成七年まで減少傾向にございました。その後、若干の増減を経まして、平成十三年以降増加をしておりましたけれども、平成十六年から毎年減少を続けておりまして、また、一定の少年人口当たりの検挙人員の比率を見ましても、同様に平成十六年から毎年低下しております。

 そのうち、重大犯罪における少年の検挙人員について見ますと、まず、例えば強盗でありますと、平成十六年から平成二十五年までおおむね減少傾向にあると言うことができます。他方、殺人について見ますと、これにつきましては、平成十六年から二十五年までの間、顕著な増減の傾向は見られない状況にあります。

 なお、動機という御質問もございましたけれども、少年が犯罪行為に及ぶ動機につきましては事件ごとにまた多種多様でございまして、その傾向については把握できておりません。

 このように、少年犯罪、検挙人員という全体の数でいきますと、全体としては減少傾向にあると思われます。他方で、少年による凶悪重大事件というものはなお散見される状況にございまして、予断を許さない状況にあると考えております。

大見委員 ありがとうございました。

 少年事件の件数自体は減少傾向、年によって多少増減もあるでしょうけれども減少傾向であるということ、そしてまた、重大事件もそれほど、横ばいか少し減少しているというようなことだろうというふうに承知をいたしたいと思います。

 そういう中、きょうの質疑の後、少年法の一部改正というのが上程をされる予定だというふうに伺っております。その中身につきましては、厳罰化が実は含まれているということを承知しておりますけれども、詳細については法案審議の方で行わなければなりませんので、私が提案前に詳細に触れることはできないのかもしれませんけれども、いずれにしろ、厳罰化をするということ、今の現状あるいは過去の経緯等を比べますと、少年犯罪が減っている中で、にもかかわらずさらに厳罰化をするというのに対しては、どんな理由で行っていくのかというような疑問を少し持つように思います。

 そこで、まず、少年法の過去の改正の経緯、それから、それによる効果というのをどういうふうに評価をされてきたのか。恐らく幾度の改正もあり、その都度効果があったというふうに思うわけでありますけれども、そしてまた、その効果も今のお話ですと上がっているようにも見受けられますけれども、その中でどういうふうな評価をされているかということ。そしてまた、同時に、少年の事件というのが減少をしている中、またさらに厳罰化を含む改正を行っていかなければいけないという、その理由についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

林政府参考人 まず、過去、少年法でございますが、近時、三度にわたり改正が行われております。平成十二年そして平成十九年、平成二十年となっております。

 その前後の犯罪動向という点で申し上げますと、平成十二年の改正につきましては、平成七年まで少年の刑法犯検挙が減少傾向にあった。その後、若干の増減を経て、平成十三年から再び増加傾向になったという状況のもとでの法改正でございました。また、平成十九年、二十年改正につきましては、平成十六年から平成二十四年まで少年法の刑法犯の検挙人員は減少傾向の中にある法改正であったと承知しております。

 その中で、若干、その中身でございますけれども、平成十二年の改正というのは、これは、平成十一年に閣法として提出したものの、衆議院の解散に伴って廃案になった少年法改正案に修正を加えて議員立法として提出されたものでございます。この中身としては、種々大きな改正がございましたけれども、検察官関与制度の導入でありますとか、国選付添人制度の導入、あるいは十六歳以上の者による一定の重大事件について原則逆送の導入、また、逆送して刑事処分をすることができる年齢の引き下げなど、刑事処分のあり方について大きな改正がなされておりました。

 他方で、平成十九年の改正と平成二十年の改正につきましては、これは刑事処分の規制のあり方自体に直接対応するものではございませんでした。

 その中で申し上げますと、平成十二年の改正というものが、刑事処分に関する法改正を行った主な、大きなものだと思います。この点についての、議員提案でございますけれども、提案者の提案理由を若干引用させていただきますと、このように当時、提案理由が言われております。

 近時、社会を震撼させる少年による凶悪重大事犯が相次いで発生いたしておりますのは、御存じのとおりです。昨今の少年犯罪の動向は極めて憂慮すべき状況にあることは、多くの方々の共通した認識であります。加えて、少年審判における事実認定のあり方が問われていると同時に、犯罪の被害者に対する配慮を求める声も高まりを見せております。

 こういったことで、所要の法整備を行うものである、このように説明がなされた上で、平成十二年において、少年をめぐる規制、刑事罰も含めた規制のあり方についての大きな改正がなされたということでございます。

大見委員 もう一点、そういう背景の中で、今回、厳罰化をさらにまた進めていくというところについての御答弁が少し漏れているような気がしますので、あわせてお願いいたしたいと思います。

林政府参考人 このたびの少年法改正、少年に関する刑事罰に関する改正も含まれておりますけれども、必ずしも一律に刑の引き上げを求めているものではございませんで、事件について適正な量刑が図られるように刑の幅を広げるという形での改正ということでございまして、犯罪傾向が非常に進んでいる中で、それに対して厳罰化というような形で対応する趣旨のものではないと承知しております。

大見委員 その中身についてはまた法案審議の中でさまざま質疑がされるというふうに思いますけれども、また、成人の処罰と比べての差だとかいうことも踏まえると、なかなか今の御答弁のような受けとめ方がされにくいのかなということも思いながら聞いておりました。

 次に、矯正教育と社会復帰についても少しお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほど、凶悪犯罪、重大事件等を起こす事例も散見をされるということでありました。そういった事例に対しては、矯正まで、また社会復帰、更生までには当然長い期間を必要とされる。刑期がその分長くなるということもあるのかなというふうに思いますし、また、適切なプログラム、それから社会に戻ってからの手厚い支援、こうしたことも非常に必要だというふうに思っております。少年犯罪では、凶悪犯罪の対応だけではなくて、悪質な犯罪へ発展をする前にしっかりと矯正をしておく、また更生をしてもらうということが大事な視点ではないかというふうに思います。

 そういう中、今のお話にもございましたけれども、少年による検挙人員の就学・就労状況というのは、平成二十四年の犯罪白書では、中学生が三一・九%、高校生が三八・四%、ほとんど中高生で占めているということ。そしてまた、実際の罪名別というところでは、窃盗だとか遺失物等の横領、この二つの罪名で七六・一%を占めている。

 軽微なという言い方はちょっと不謹慎かもしれませんけれども、重大事件ではないものがほとんどを占めているということを考えますと、例えば小中学生が万引きをして捕まるような、そういう事犯が主な要因ではないかなというふうに思います。そういった点では、しっかりと更生をしてもらう機会をつくっていくというのが次への犯罪の抑止につながってくるのではないかなというふうに思います。

 また、少年犯罪の特徴の一つに、自分の行為の意味だとか、それから相手の立場に立った視点、あるいは、その犯罪を犯した結果について、十分な思料することなく行ってしまうということもあろうかというふうに思いますので、その分しっかりと反省をして、立ち直るための機会を与えるという更生保護の視点、これというのは非常に大事だろうというふうに思っております。また、あわせて、社会復帰を果たす際にも、保護司や更生保護の皆さん方による相談支援というのが非常に重要になってくるというふうに思われます。

 また、今国会では、少年院法また少年鑑別所法の改正案も提出をされるというふうに聞いておりますけれども、そこで、矯正教育という視点から、現在少年院で行われております再犯防止のための教育活動の現状、特に被害者の視点を取り入れた教育について、その目的ですとかあるいは効果について教えていただきたいというふうに思います。

 また、社会復帰後の保護司の役割というのは、先ほど申しましたとおり非常に大きいということも感じておりますので、保護司のなり手が少ないという多くの課題がある中で、社会復帰を支援するかなめであります保護司の活動の支援策、これもどういうふうに取り組んでおられるのか、お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 まず、少年院におきます矯正教育について御説明いたします。

 少年院におきましては、教育学とかあるいは心理学等の科学的な知見に基づきまして、在院者一人一人の特性と必要性に応じて、生活指導、職業補導、教科教育、保健体育、特別活動、この五つの指導領域につきまして、あるいはこれを複数組み合わせまして、在院者の問題性を改善するための矯正教育を計画的に実施しているところでございます。

 少し具体的に申し上げますと、規律ある生活のもとで規範意識を醸成しまして、健全な物の見方ですとか、あるいは社会生活に適応し得る行動のあり方を習得させるとともに、集団の中で他人と協調し生活する態度を学ばせるというようなことを行っております。

 また、先ほどお話ございましたように、在院者は、みずからの非行と向き合って、その重大性や被害者の心情等を認識して、反省と心からの謝罪とともに、被害者に誠意を持って対応する気持ちを持つことができるように、被害者の視点を入れた教育についても指導しているところでございます。

 この被害者の視点を取り入れた教育でございますけれども、具体的には、教官との面接を繰り返しながら内省を深めまして、被害者による講話への参加等を通じて、みずからの非行の重大性を認識させるとともに、被害者の感情を理解し、少年院出院後にその償いの気持ちをどのように行動につなげていくべきかなどを指導しているところでございます。

 この効果につきまして、お尋ねがございましたけれども、その内容とか方法も多様でございまして、また、在院者個々の事情に応じた処遇を行っていることから、一概に言えるものではございませんけれども、例えば、教育プログラム終了時に書かせた作文ですとかアンケート、あるいは被害者団体の御講演を聞いた際の感想文を見ますと、被害者の方に心から申しわけなかったという思いに至った内容とか、みずからの非行を悔い、立ち直りを誓う内容が見られるなど、一定の効果があるものと考えております。

 いずれにしましても、この被害者の視点を入れた教育につきましては、少年院における矯正教育の重要な内容の一つでございますので、今後とも充実させていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、少年につきましても、保護観察における保護司の役割というのは極めて重要であります。そしてまた、御指摘のあったように、最近保護司さんの数が減っているといったような問題もありますし、なかなかその業務に困難性が高まってきているという問題もございまして、法務省では、保護司さんに対する積極的な支援を行っているところでございます。

 例えば、後継者の確保の関係で申し上げますと、本年度から全国の八百八十六の保護区で保護司候補者検討協議会というものを設置できるようにしております。ここの委員には自治体の方とか自治会の方などにも入っていただいて、多様な後継者の情報を提供していただくというようなことをしております。

 また、保護司活動をよりしやすくするために、現在全国に二百四十五カ所あります更生保護サポートセンター、これは保護司さんの活動の拠点でありますが、これをさらにふやしていこうというふうに考えておりまして、来年度の予算案の中にも百カ所増設するための経費を盛り込ませていただいているところでございます。

 また、新任の保護司さん、なかなか経験のない方が不安だという方につきましては、ベテランの保護司さんと一緒に初めはできるということで、そういう複数担当制も導入しております。そのための必要な経費につきましても予算案に盛り込ませていただいているところでございます。

大見委員 それぞれありがとうございました。

 矯正教育、それぞれ子供たち一人一人のメニューということでありますので、効果がはかりにくいような気もします。客観的に見てどうかというところもなかなか難しいところがあるかというふうに思いますけれども、しっかりと矯正ができるような教育内容、またその後の社会復帰も手厚い保護がしていただけるようなケアというのは、引き続き御努力をいただきたいということをお願いさせていただきたいというふうに思います。

 次に、被害者保護についてもお伺いをしていきたいというふうに思います。

 実は私、同窓会長もやっておりますけれども、もう一つ、ボーイスカウトとガールスカウトの活動を支えております、地元でいいますと、安城市というところですけれども、スカウト連絡協議会の会長職というのを務めさせていただいております。

 先週の土曜日でありますけれども、そのスカウト活動の指導者の研修会というのがありまして、そこで、ガールスカウトが取り組んでおりますストップ・ザ・バイオレンスという運動の研修を行いました。

 この運動というのはガールスカウトの世界連盟が提唱しているもので、二〇一一年から十年間、少女に対する暴力をなくすというのをテーマに、少女自身が自分やほかの人の権利を理解して、知識や技術を身につけ、解決策を見つけ、地域で変化を起こす主体になるということを目的にしているキャンペーンだそうであります。DVあるいはデートDV、痴漢、レイプ、ストーカー、虐待、いじめ、児童ポルノあるいは脱法ハーブ、少女だけではないんですけれども、少年も含めまして広く子供、未成年が被害者となる犯罪も多く発生しているというふうに承知をしております。

 子供の場合、大人と違って、経済的な支援というよりは、PTSDなどの精神的な被害、そしてまた薬物等によります身体的な被害へのケア、そしてまた犯罪に遭った御本人だけではなくてその友達ですとか周り、こうしたものに対するケアというのも非常に重要になってくるものではないかというふうに思います。

 周辺のものについてはなかなか難しいということもありますので、ここではお伺いをしませんけれども、被害者保護についてどんな認識を持ってお取り組みになっておられるのか、このことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

平口大臣政務官 お答えをいたします。

 少年事件に限らず、犯罪の被害に遭われた方々あるいはその御家族、これらの方々のお気持ちを理解し、それぞれの立場に十分配慮しながら、被害回復やあるいは保護、支援、こういったようなことに努めることが重要である、このように考えております。

 法務省においては、これまで、被害者等通知制度を初めとしてさまざまな制度の整備に努めてきたところでございまして、少年事件との関係で例を挙げて申し上げれば、一つは、少年審判の傍聴制度、これは一定の重大事件について犯罪被害者等が少年審判を傍聴することができるというものでございます。もう一つは、意見等聴取制度、これは少年院からの仮退院等の審理において犯罪被害者の方々から意見等を聴取する、こういう制度でございます。さらに、保護観察所の被害者担当官やあるいは被害者担当保護司、こういったような方々による相談支援の制度、こういったようなものを行っているところでございます。

 今後でございますが、関係省庁とも連携しながら、引き続き、被害者の保護、支援に係る諸制度を着実に推進するということとともに、運用に当たりまして、個々の事案ごとに被害者の心情や立場に十分配慮した、きめ細やかな対応に努めてまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

大見委員 ありがとうございます。

 特に子供が被害に遭った場合、その影響というのが、ずっと大人になっても引き続き悩まされるという事例も散見されるというふうに思っておりますので、専門家の皆さん方、本当にいろいろな面で、チームを組んでいただいて、しっかりとした保護、また長い間のそうしたケアというのも必要だろうというふうに思うわけでありますので、そうしたことも含めて、ぜひともしっかりとお取り組みをいただきたいというふうに思っております。

 少し時間の方もなくなってまいりましたけれども、少し視点を変えまして、これまでは、子供というか、少年の犯罪という中で考えてまいりました。この少年と成年を分けている年齢というのが、二十という一つの成年年齢だというふうに思っておりますけれども、この二十なり成年年齢という概念というのがこれから少し変わるのかなというふうに思ってきております。

 それは、例えば、今までですと、二十になりますと選挙権が与えられる、二十になると飲酒や喫煙が認められる、二十になると刑法だとか民法だとか、そうしたところで大人として扱われる、まあ婚姻のときはちょっと別ですけれども。それが、例えば国民投票法、これは、自民と公明、民主、それからみんなも加わって共同提案を目指されておるということでありますけれども、その中では、二十から十八歳へ投票年齢を引き下げるというような検討もされるというふうに伺っておりますし、また民法の中では、法制審議会の中で、十八歳に成年年齢を引き下げるというような議論もあるというふうに伺っております。

 先ほど、宮澤先生のお話の中で、世界の潮流と日本の伝統的な価値観の中で非常に悩ましい問題が起こっているという話もあったというふうに思っておりますけれども、世界の潮流としては、十八歳というのが成年年齢あるいは法定年齢の一つ大きなスタンダードのようになりつつあるのかなというふうに思っております。

 その中で、日本はまだ二十というのを一つの基準に置いておるということの中で、その年齢を変えるというような議論も出てきておるということであります。それは一概に、法律を変えるから今回から十八ですよというようなことになかなかなりにくいだろう、広く国民の意識の問題であるとか、あるいは、子供たち自身が、先ほどから述べておりますように、しっかりとした大人としての自覚を持っていただくような社会環境あるいは教育環境、そうしたものも整えていくということも大切だろうというふうに思っております。

 法制審議会の中で、民法については、若年者の自立を促すような施策等の効果の国民への浸透の程度を踏まえた国会の判断に委ねるのが相当であるというような答申も出しておるということでもあります。

 いずれにしろ、まず、それぞれの法律において、法定年齢、成年年齢あるいは成人の年齢が変わるということについて、現在のところでは少しまだ違和感があるのかな、国民の中でしっかりと浸透している問題ではないのかなというふうに私自身は思っておりますけれども、その点について、大臣、どんなふうな御所見をお持ちかということと、もう一つは、その法制審議会の中で、施策の効果の国民への浸透の程度の判断、大臣としてどういうふうにこれから判断をされていって、この答申に応えていくのかというところ、この二つについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

谷垣国務大臣 成人年齢、一応二十ということが日本人の頭の中にあると思いますが、その規制といいますか、飲酒はどうかとか、いろいろな法律がございまして、それぞれの、何歳から成人としているかというのは若干意味合いが違うんだろうと思うんですね。だから、そういった問題を議論するときは、大きな二十という一応の前提と、それぞれの立法をなぜそういう定め方をしているのかというその趣旨をよく踏まえなきゃいけないんだろうと思います。

 それで、結局、今おっしゃったように、今大きく、国民投票法等々の関係からいろいろな議論が起こってきていることは事実でございます。実は私どもの方も、今、大見委員がおっしゃった、法制審議会の方から、成年年齢は、今二十であるものを十八歳に引き下げる方向でいくことが望まれるという答申をいただいているわけでありますけれども、その具体的時期をどうするのかということになりますと、まさに御指摘になったように、いろいろな社会の意識あるいは青少年の実態、それから引き下げるについてはいろいろ対応策というものがなきゃなりませんので、それを十分見きわめていく必要があろうかと思われます。

 委員が引用していただきましたように、最終的には国会の判断に委ねるという答申でございますが、いろいろな施策の結果の国民への浸透の度合いを判断するに当たっては、これはなかなか簡単なことではございません。政府全体での検討をしっかりやっていくということが必要ではないかと私は思っておりますが、法務省としても当然そういう中でしっかり議論していきたい、こういうふうに考えております。

大見委員 伝統的な、今まで長い間培われたそうした二十という考え方、基準、それによってまた、それぞれ子供たちの自覚も大きく大人へと変化するということ、その節目としての二十という意味合いというのは非常に大きなものがあるというふうに思っています。

 そういう中、一方で、国際的な考え方だとか、あるいは、新しい法律をつくっていく上での投票というところで若い人たちの参画も求めていかなければいけないということもある。そういう意味では非常に難しい判断だというふうに思っておりますけれども、ぜひ、国民的な議論をしっかりと巻き起こしていただく中で、それぞれの皆さんが納得できるような世論形成、こうしたものもしっかりと図っていく上で取り組んでいっていただきたいということを強く望んでおきたいというふうに思います。

 もう一問、実は女子犯罪について質問をしようというふうに準備をしておりましたけれども、時間が参りましたので、準備をしていただいた皆さんには大変申しわけなく思いますけれども、これにて私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

江崎委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 昨年の法務委員会での一般質疑も時間を頂戴いたしまして、ことしも三十分間時間を頂戴しまして、委員長、また理事の皆様、委員の皆様に感謝を申し上げます。

 きょうは、私、夫婦の離婚後の子供との面会交流、または養育費の問題、ひいていいますと、やはり家族全体のあり方というものを題材に質問させていただきたいと思っております。

 御存じのとおり、現在、一年間に結婚する、婚姻をするカップルというのが大体年間六十六万三千組と言われておりますけれども、片や離婚するカップル、こちらの方が一年間で二十三万一千組という統計が出ておりまして、これを見て、六十六万対二十三万ということで、マスコミ等々では三組に一組が離婚をしているというような報道がございますけれども、実はこれは間違いでございまして、その前に結婚しているカップルはたくさんいらっしゃいますので、その年の六十六万組結婚した人が二十三万組離婚するわけではございませんので、正確に言うと、人口千人当たり大体一・八ぐらいの割合で離婚をしているということでございます。

 しかし、そうはいいましても、年間約二十三万の夫婦の方が離婚をしまして、その中で、二十歳未満の、いわゆる養育義務のある、監護義務のある子供を残しての離婚というのが昨年は五八・三%あったということでございます。

 最近は、少子化が進んでおったり、または高齢者の離婚というのが進んでいるということで、いわゆる養育義務のある子供を残しての離婚率というのは下がっているんじゃないかというふうに調べましたけれども、一九八五年の段階でも六〇%ということでございますので、やはり、本来であればお父さん、お母さんにしっかり育てられるべき子供が、親の都合によって別れざるを得ないという状況でございます。

 そうしますと、やはり、離婚後の親子の交流、または、生活を支えるため、または子供の養育をするための養育費の問題というのが非常に大事だろう、そのように思っておるんです。

 実際、幼少のころ夫婦が別れますと、親権はほとんど母親に行きます。そうなりますと、父親とその小さな子供との面会ということになるんですけれども、最近は、連れ去りがあったりとか、または少し暴力を振るわれているということで、非常にお母さん方も、以前の夫、子供にとってはお父さんに会わせるのが怖いということで、中には弁護士が仲介をしたりということなんですが、当然、これは費用がかかる問題がございます。ですので、最近では、第三者の機関、民間の機関だったり、中には、これから質問します公益社団法人が親子の面会交流の仲介を行っているというのが今の現状のようでございます。

 ですので、仲介をする第三者機関というのが非常に大事になってくるわけでございますけれども、私も調べましたら、いろいろと民間の団体もございますが、一つ、公益社団法人の資格を取っている団体、家庭問題情報センターというものがございます。これはFPICと通称で呼ばれているものなんですけれども、公益社団法人を取っておりますので、現在、内閣府の所管になろうと思うんですけれども、こちらの方が公益社団法人を取った経緯、またその目的、定款に書かれている目的等について教えていただきたいと思っております。お願いします。

高野政府参考人 お答えを申し上げます。内閣府公益法人行政担当室長でございます。

 お尋ねの公益社団法人家庭問題情報センターでございますけれども、平成二十三年六月一日に、内閣総理大臣名の移行認定の処分を受けまして新制度の公益法人に移行し、現在は内閣府が行政庁となっております。

 その際の申請書類によりますと、法人の目的でございますが、本法人は、人間関係諸科学を活用して、家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進並びにこれらの普及啓発に関する事業等を行い、よりよい社会の形成の推進に寄与することを目的とするということを定款上の目的として申請がなされております。

 以上でございます。

浜地委員 済みません、親子の面会交流の援助事業というのは目的に入っておりますか。

高野政府参考人 内閣府に対します移行認定の申請書類に基づきますと、先ほど御説明を申し上げました定款上の目的のもとで公益目的事業というのを四本立てておりまして、公益目的事業(一)の中に相談という事業がございます。

 この相談という事業の詳細についてもう少し申し上げますと、家庭問題に関する心理・教育相談事業、調停手続事業、ADR及び親子の面会交流援助事業というのが内容となっておりまして、委員お尋ねの面会交流事業につきましては、この公益目的事業(一)の中の内容となっている、このように承知をいたしております。

浜地委員 ありがとうございます。

 この団体、公益社団法人を取るときには、親子の面会交流事業というのを目的として公益社団法人の認可を受けたということでございますが、それ以前は一般社団法人でございまして、法務省の管轄であったと思います。

 当然、公益社団法人に移行するときには、内閣府から法務省に対して、いわゆる問い合わせ、こちらの方が公益性があるかどうかということの問い合わせがあるかと思うんですが、内閣府から問い合わせ等が法務省にあったかどうか、その内容についてお聞かせください。

深山政府参考人 今お話に出ました、内閣府から、公益法人改革の関連整備法で準用されている公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の規定に基づきまして、平成二十三年の二月十八日に意見聴取書というもので意見を法務省に正式に聞かれております。

 この聞かれた内容は、公益認定の欠格事由の非該当性について旧主務官庁として何か意見があるか、簡単に言うと、該当しないと思うんだけれども何か意見があるか、こういうこと。もう一つは、その照会日現在までに法務省において講じた監督上の措置があったかどうかというようなことが照会を受けております。

 これに対して、法務省では、二十三年の三月三日付の意見書を返しておりまして、前者の欠格事由の問題については意見なしと返しています。それから後者については、二度にわたって内部留保水準が高いことについて行政指導を行ったことはあるけれども、いわゆる監督命令を発した事実はこれまでにない、こういう返事をしております。

浜地委員 ありがとうございました。

 何でこんな問題を扱っているのかというふうに思われるかもしれませんが、実は、私のところに、このFPICを通じて面会交流をしている元夫の方からメールが来まして、こちらのFPICの面会交流というのが非常に公平性を欠くんじゃないかというような意見がありましたので、監督官庁や公益性の認定の経緯というものを私は聞いたわけでございます。

 ですので、当然、公益法人ということですから、公益性があり、また公平にしっかりと面会交流というのは行っていかなければいけないというふうには思うんですけれども、私のもとに寄せられたものによりますと、元妻の希望によって、面会交流の仲介としてこのFPICという団体を使っております、費用は元妻が支払い、今一年ほど利用しているんですが、父親と子供が会うのに日程調整をしてもらいます、そのときに、日程の調整役のはずなんですが、候補日は大体毎回一回のみで、ほかの任意の候補日がないというようなことでございます。

 そして、実際、面会交流の直前に、この方は福岡に住んでおるんですけれども、飛行機代をかけて、また、久しぶりに子供に会えるということで、シティーホテルを予約して東京に来るわけでございます。妻と子供は東京に住んでいるということで。しかし、直前になって、この団体から、子供がインフルエンザにかかったのでキャンセルしてくださいということが大体二回ほどあったということでございます。

 その中で、そうですか、私も費用をかけて来ているので、診断書を出してくれませんか、そうしますと私も納得できますということなんですが、実は、この団体というのは家庭裁判所の調査官が主にメンバーにいるところでございまして、そういった必要はないと。その方の言葉をそのまま引用すれば、うちをでくの坊扱いするのかといって理事に却下をされたということでございまして、面会交流の中立性や公平性について非常に問題があるんじゃないかというふうにこの方はおっしゃるわけでございます。

 この話を聞いた後に、あなただけじゃないのというふうに私が言いましたら、実は、非常にやはり、父親中心に、この面会交流の公平性について疑義を持つ団体も今あるようでございまして、きょう私が法務委員会で質問をするというふうにツイッターでつぶやきましたら、たくさんのフォロワーがあらわれまして、子供に会いたいというような嘆願のメールも私のところにいただいております。

 そうなりますと、やはりしっかりと公益社団法人の業務執行について監督、監視というものも必要かと思いますが、現在の監督、監視権限というのは内閣府にあるということでよろしゅうございますでしょうか。

高野政府参考人 新制度における公益法人の監督、監視についてお尋ねがございました。

 まず、監視の方でございますけれども、新制度における公益法人の日常の業務執行につきましては、一般法人法の規定に基づくということになります。一般法人法の規定に基づきますと、まずは、各法人の理事会あるいは監事がそれぞれ、理事の職務執行の監督または監査を行うということになります。

 その上で、行政庁である内閣府が行います公益法人に対する監督といたしましては、公益認定法に規定がございます。具体的に申しますと、全ての公益法人から、各事業年度の終了後に事業報告などの提出を受けまして、その内容をチェックする。また、公益法人の事業の適正な運営を確保するため、報告聴取や立入検査を行い、仮に、法律に定める公益認定基準に適合しないと認められるといったような場合には、法人に対し勧告等の措置を講ずるということもあり得る、このように定められております。

 いずれにしましても、公益法人は、税制優遇措置を受けて公益目的事業を実施する、そういう法人でございますので、国民からの信頼を得つつ、自主的、自立的に法人運営を行っていただくことが極めて重要だ、このように内閣府としては考えております。

 公益法人の事業について問題が指摘された場合には、先ほど申し上げましたような法律の規定に基づきまして、必要に応じて、まずは事実関係の把握に努めた上で、法人による自主的、自立的な適正な事業の実施、法人運営の確保というものに努めていくよう行政庁としてもやっていきたい、このように思っております。

浜地委員 ありがとうございます。

 今の私のメールは、一方当事者の本人の主観も入ったメールでございますので、この事実を調査してほしいとか、そういったことは申し上げません。こういった声がまた広がってくれば、きちっと監視、監督をしていただきたいということでございます。

 きょうお配りしておりますけれども、こちらのFPICという団体は当然入会金があるんですが、一回の付き添いの援助、または受け渡し、子供を待ち合わせ場所まで連れていって受け渡すことや、また三番目の連絡調整、日程の調整等について、実は費用がかかっております。入会金以外で、付き添いに行きますと、一回のケースで一万五千円から二万五千円。当然、遠方までの交通費はプラスアルファ。受け渡しについても、一回一万円から一万五千円。連絡調整は、一ケースで三千円ということで、これは実は有料のシステムでございます。

 入会金のほかにこの有料のシステムをとるということなんですが、そうなりますと、これもこの元父親諸氏から寄せられる情報によりますと、これは有料でやっていいんですか、いわゆる弁護士法七十二条の問題にかかわってくるんじゃないかというふうな問い合わせが多うございます。私としては、これは法律行為というよりも事実行為なのかなというふうに感じてはおりますけれども、そういった疑義がございますので、そもそもこの弁護士法七十二条は何を禁止しているかというのを改めてお聞きしたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございました弁護士法第七十二条は、弁護士または弁護士法人以外の者が、報酬を得る目的で、他人の法律事件に関する法律事務の取り扱いを業とすることを禁止するものでございます。

浜地委員 そうですね。法律事務ですから、面会というのは法律行為でなくて事実行為だというふうに捉えれば、そういった七十二条の問題にはならないのではないかと私も個人的に思っております。これは、この公益法人の名誉のためにもしっかりと今質問をさせていただきましたけれども、いずれにせよ、公益法人である、かつ、家庭裁判所の調査官の出身者が多いということでございますので、やはり公平性というのは民間の団体以上に厳しく見られる団体ではないかなというふうに思っております。

 しかし、元夫の方からは、家庭裁判所がこの団体を積極的にあっせんしているんじゃないかという声も聞こえます。これは三者契約で、元夫そして元妻が署名をして申し込みをしないと当然この援助事業というのは始まらないんですが、その中で、やはり家庭裁判所の方が、ここは元家庭裁判所の調査官がたくさんいらっしゃって詳しいので、ここがいいですよということを言っているんじゃないかというような声もちょっと聞こえてくるものですから、家庭裁判所として、そういった運用をなされているのか、中立性の担保というものをどう図っているのかをお聞きしたいと思います。

岡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 円滑な面会交流の実施を支援するための中立的な第三者機関として、委員御指摘のFPICなどがございますところ、一般的な話でございますが、家庭裁判所における調停や審判の手続において、当事者の方から、こういった面会交流の実施を支援してもらう機関がないか、そういう情報を求められた際に、そのような第三者機関の一つとしてFPICについて情報提供することはございます。

 ただ、委員が御心配されているとおり、裁判所が民間団体である第三者機関について情報提供する際には、中立性、公平性を害さないように十分注意する必要があるところでございまして、実際の運用に当たっても、その点は意識して運用しているものと承知しておりますけれども、今後ともなお、当事者にそういう疑義が生じないように適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。

浜地委員 おっしゃるとおりだと思います。

 私も、一番冒頭で、面会交流を仲介する機関というのは非常に大事だという認識でございます。そういった機関がよくないということじゃなくて、こういった機関は大事だからこそ、こういった公益性のあるところはより中立に、また裁判所の方としてのあっせん等もやはり中立性を持ってやっていただくことが、ひいては親と子の面会交流の促進につながると思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。

 次に、こういったこともよくあるんですね。養育費は払っているんだけれども面会はさせてくれない、面会させないんだったら養育費は払わなくていいんじゃないかというような方もいらっしゃいます。これは、気持ちはわからないでもないんですが、そもそも、養育費と面会交流はトレードオフというか、面会させなきゃ養育費を払わなくていい問題なのか、その点についても質問したいと思います。

深山政府参考人 今お話の出ました子の養育費の分担と子の面会交流は、いずれも未成年の子がいる父母が離婚する場合に取り決められるべき事項でございますけれども、相互に直接の関連はございません。それぞれ子の利益を最も優先してその内容が定められるべきものと考えております。

 したがいまして、養育費の支払いと面会交流との関係につきましては、例えば、養育費を払わなければ子との面会交流が認められないとか、あるいは子との面会交流が実現しない場合には養育費の支払い義務は免れる、こういった関係に立つものではございません。

浜地委員 確認をさせていただきました。

 そうなると、面会交流させてくれなければ養育費を払わないという関係にない以上は、当然養育費等は強制執行の対象になって、払わなければ執行されるということなんですが、そうなりますと、逆に、面会交流、子供に強制的に会わせろということは法律上できるんでしょうか。

深山政府参考人 家庭裁判所の家事調停におきまして面会交流の合意をする、あるいは家事審判において面会交流を命ずる旨の審判が確定した、こういうことがあったにもかかわらず、一方当事者が任意にその履行をしない場合に強制執行を行い得るかにつきましては、下級審の裁判例が分かれていて争いがあったところでございますが、議員も御案内のとおりですけれども、昨年三月二十八日の三件の最高裁判所の決定によりまして、一定の要件のもとで間接強制の決定をすることができるという判断が示されまして、その要件が明確になったところでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 間接強制ということですが、子供を無理やり連れてきて会わせるというのは、当然子の福祉のためにも人身的にも問題がございますので、間接強制ということは、会わせなければその分お金を取るという制度で面会を促すということであります。その要件が明確になったということでございます。

 もう一方、養育費を今度は減額する手当てもあるんですね。私が申し上げたいのは、例えば、幼少のころ別れても、元妻の方が新しい男性ができる。その方との関係も大事であって、また、自分の小さい子供を新しい旦那さんの養子としてしっかり、本当に実の親子のように育てていきたい。その中にあって、逆に、父親の方がいつまでも会わせろ会わせろというのも、また一つ、子の福祉にとっては問題があるのかなと。

 また、養育費についても、実際、新しい家庭ができて十分資力があるんですけれども、妻の制裁的な考えでいつまでたっても養育費の強制執行をしていくということになりますと、やはり感情的なもつれにも通じますし、本当の意味での子の福祉というものには結びつかないのではないかと思っております。

 結果的に、やはりこれだけ離婚が多くなってしまっている現状において、民法ではさまざま、子供に会わせる権利があったりとか、それを間接強制できたりとか、また養育費については、算定基準があって、しっかりと計算をしてやるというふうにシステマチックになってはおるんですが、私はやはり、今後の日本の社会として、婚姻を続けていくことは大事なんですが、どうしても離婚がある、その中で子供がそうやって残されるという中で、今後、こういった問題についてもじっくりと法務省としても考えていくべきであろうと思っております。

 今の現状をもって、大臣含めまして政府の方で、親子の関係、特に離婚後の親子の関係についてどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。

谷垣国務大臣 離婚後の親子の関係は、その当事者の具体的な関係でもさまざまな問題があるんだろうと思うんですね。一般論として申し上げるのはなかなか難しいですが、今御議論の面会交流あるいは養育費等々のことを考えれば、一般論として言えば、子の最善の利益がどこにあるかということで判断をしていくということだろうと思います。

 それで、平成二十三年でしたか、民法改正のときにそのような規定も取り入れられまして、法務省としては、離婚の際のチェック欄に養育費や面会交流の協議はしたかというのを挙げておりますが、今後とも、親子関係もさまざまであろうと思いますし、委員がおっしゃったように、残念ながらと言っていいかどうかわかりませんが、離婚される方もそれはあるわけでございますから、子の最善の利益は何なのかという議論は法務省としても深めていかなければいけないと思っております。

浜地委員 ありがとうございました。

 それでは、最後にもう一問お聞きをしたいと思います。可視化の問題、要は、取り調べの録音、録画の問題でございます。

 少し話題性が最近は薄れているように思うんですが、実は私、昨年もこの質問をしようと思いました。しかし、法制審議会の方で審議が始まったばかりということで、その審議の結果を見守ってからと思っておりました。

 聞くところによりますと、法制審議会の分科会での審議が終わって、今特別部会の方に移されまして、可視化について二つの案がたたき台として出たというふうに聞いておりますけれども、この二つの案がどういった内容になっているのかを聞かせてください。

林政府参考人 法制審議会の新時代の刑事司法特別部会におきまして、その部会のもとに作業分科会がございまして、そこがたたき台を出しまして、今現在議論されております。

 録音、録画の二つの制度のうちのまず一つ目の制度でございますけれども、これにつきましては、一定の例外事由を定めつつ、原則として、被疑者取り調べの全過程について録音、録画を義務づける案でございます。

 その場合の一定の例外事由といいますと、一つには、録音、録画の機器の故障などの事情により録音、録画が困難な場合、もう一つには、被疑者やその親族に対する加害等のおそれがあることにより、録音、録画のもとでは被疑者が十分な供述ができないと認める場合、もう一つは、被疑者が録音、録画を拒んだことその他の事情により、録音、録画のもとでは被疑者が十分な供述ができないと認める場合、こういったものが掲げられております。

 二つ目の制度案でございますけれども、これにつきましては、被疑者の取り調べの一定の場面について録音、録画を義務づける案でございます。

 その場合の録音、録画を義務づける一定の場面といたしましては、いわゆる弁解録取の手続、それから、取り調べのうち被疑者に供述調書を読み聞かせ、または閲覧させて署名押印を求める場面、こういった場面について義務づける案、こういったことが二つ目の制度案として掲げられております。

浜地委員 ありがとうございます。

 もう余り時間がないんですが、第一案は、基本的に全面可視化を表に出して、一定の例外事由のときに録音、録画はしなくてもよろしい、二番目というのは逆に、録音、録画を義務づける場合を表に出して、そのほかの場合は任意だというふうに今受け取りました。

 私は、全面可視化という部分で、まあ我が党はどちらかというと全面可視化を前面に出しておりますけれども、私も法曹出身者として、これは、全面可視化になれば正義、そうでなければ後退というようなことは、一般の国民の皆様のイメージではそう捉えられるかもしれませんが、やはり刑事司法の中では捜査の必要性というのがございます。

 例えば、この一番目の、全面可視化を表に出した上で、一定の理由、いわゆる組織犯罪等の場合に供述しにくいときに録画をしなくていいということでございますが、これが実際、では十回、例えば組織犯罪でその子分の方が取り調べに遭っていると。十回というのは、取り調べ状況報告書というのが出てきて、何回取り調べに遭ったかというのがわかるわけでございます。そうなると、そのうちの二回、録音されていないとなると、この二回の中でしゃべったなというようなことがわかってしまって、逆にこれは本来の目的である身体等に被害を及ぼす可能性があるときというのが阻害される可能性もあるという指摘もぜひしておきたいと思います。

 また、二番目の、弁解録取のとき、一番最初に君はやったのかやらなかったのかと聞いたときに、そのときは、はい、やっておりませんと。しかし、次の調べのときに、署名捺印のとき、いわゆる警察官の調書をとられたときに署名捺印のところだけ録音しますと、自白に至った経緯というのがわからないわけでございます。いつの間にか否認が自白になっているという、そこの経緯がやはりわからないわけでございますので、これも問題があろうかと思います。

 ですので、何が言いたいかというと、全面可視化が正、一部可視化が悪ではなくて、やはり、国民の皆様になぜそういった制度にしたのかというものをしっかり説明して、これが真実発見のためには必要なのである、また被疑者の人権保護のためには必要であるということをわかりやすく説明するように今後の審議を進めなければいけないと思っております。

 その点について、最後に大臣に御所見をお伺いして、終わりたいと思います。

谷垣国務大臣 検察は、身柄の、特に裁判員裁判の事件、それに関する事件を中心に、積極的に今まで試行、試みをしてまいりました。その結果、委員が今おっしゃったように、確かに今まで、非常にこれはメリットがあるということ、それは検察にとってだけじゃなく国民にとってもメリットがある側面もたくさんございましたけれども、他方、今おっしゃったような、例えば組織犯罪の場合どうかということもないわけではございません。要は、取り調べというものがその機能をしっかり発揮できる、また国民の期待というものはどこにあるのか、バランスのある判断をしていかなきゃいけないんだろうと思っております。

 これから試案をつくって、議論はまとめの方に法制審議会でも入っていただけるものと思っておりますが、諮問をしている立場としては、その中で十分議論が尽くされることを期待しております。

浜地委員 終わります。ありがとうございました。

江崎委員長 次に、郡和子さん。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 きょうは一時間の質問時間をいただきました。二つの大きなテーマを設定させていただきました。まずは死因究明制度について、そして外国人材の活用について、この二つについて取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 我が国は、死体に対する解剖率というのが先進国の中でも最低であって、死因究明及び身元確認の体制整備がおくれているという指摘が繰り返されてまいりました。犯罪や事故の見逃しが多発しているということは、関係者の共通認識であったわけです。

 きょうお配りしております資料一ですけれども、「警察における死体取扱いの流れ」ということで、死体が発見されて、犯罪だというふうなことがわかった場合、司法解剖に参ります。また、変死体で見つかった場合、検視が行われて、その一部が司法解剖に、そして、犯罪とはかかわりのない死体であるというふうなことになった場合も、警察による死体見分が行われて行政解剖というふうな、こういう流れになっていたわけなんです。

 この見分制度、検案制度、これを強化する必要があるということで、私たちは、当時、民主党が与党でございましたけれども、おととしになりますけれども、自民党と公明党の三者協議を経て、死因究明に関する二つの法律が可決、成立をしたわけでございます。また、東日本大震災の発災後は、身元確認の重要性、意義というのも再評価されまして、それも盛り込んだ新しい制度設計でございました。

 その二法というのは、一つは、通称、死因・身元調査法と呼ばれる法律でございまして、ある程度体系的に死亡の調査、検査、解剖を規定するとともに、新しい解剖制度を創設するものでして、準備を経て、昨年の四月から施行されております。もう一つの方は、死因究明等推進法でございまして、死因究明推進会議を設けて、二年の時限で推進計画をつくって、それに基づいて体制整備を行おうというものでございました。

 そこで、この二法の実施状況と司法解剖等死因究明制度に関して、まずはお尋ねしていきたいというふうに思います。

 今回の質疑に際しまして、司法解剖の数というのを調査しようといたしました。例えば、きょう資料につけました二枚目、これは毎日新聞の三月四日の記事なんですけれども、例えば解剖率という数字が左の方にありますけれども、これは警察庁刑事局の統計に基づくものでございまして、これ以外に、警察の交通部局、また検察庁、海上保安庁、さらには自衛隊が独自に嘱託した解剖というのがあって、それぞれ、数字には重複もあったり、それから、一年で区切っているのが暦年だったり会計年度であったりと、結局は合計数すらつかめなかったんです。

 刑事訴訟法二百二十三条では、検察官、検察事務官それから司法警察職員が鑑定の嘱託ができる旨の規定があって、それに基づいて、検察官以外に、司法警察職員である警察官、それから海上保安官、自衛隊警務官がそれぞれ、裁判所の許可を得て、司法解剖の鑑定を大学の法医学者らにさせているわけなんですけれども、その総数が幾つなのか、かつ、犯罪の立証にどうかかわっているのかという調査、これは国として当然実施すべきものではないかというふうに思うわけです。

 今回お尋ねをいたしまして、大臣にしっかり見ていただきたいんですけれども、資料の三でございます「検察における司法解剖数」、これがぴらっと一枚出てまいりました。平成二十四年度、五百三十八。これは全体の中の内数であろうなということが想像できるわけですけれども、たったこれだけだったわけです。非常に私はがっかりいたしました。

 大臣は、このような縦割りの典型とも思えるような実態について、どのような御感想をお持ちでしょうか。私は、刑訴法を所管している法務省が司法解剖の全体像をしっかり把握すべきと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 きょう、この司法解剖等々に関する御質問は、私、法務大臣になって初めていただく質問でございます。

 それで、私自身も以前、この議論が始まりましたとき、自民党の中で議連を開いてやるときに参加をした記憶がございまして、郡委員がおっしゃいましたように、民主党政権時代、三党で協議をしていただいて法案が通ったことは大変よかったなと思っているわけでございます。

 それで、私も改めて勉強したわけですが、今の、司法解剖、五百幾つという数字が一枚出てきた、こういうことでございますが、これはやはり、もちろん刑事訴訟法に、捜査上必要がある場合は、学識経験のある専門家に死因等の鑑定を嘱託して、必要な処分を行うために、裁判官から鑑定処分許可状の発付を受けて死体解剖を行うわけですが、これは各捜査機関の権限、責任において行っている捜査活動でございます。

 私、法務大臣の立場も微妙な立場がございまして、なかなか個別にどういう判断を、捜査活動をするということは一般論としてはいろいろ申し上げることもできますが、個別のことになかなか口を挟みにくいという立場でもございます。

 司法解剖を含む具体的な捜査のあり方については、捜査に当たる機関もさまざまでございますので、法務省といいますか、私どものところで一括してそれを全部取りまとめるというのはなかなか難しいのかなというのが今の時点での私の感じでございます。

郡委員 死因・身元調査法、この制定の背景というのは、警察が一旦犯罪性がなしとした死体について、しっかりとした死因調査が行われていないために犯罪の見落とし、見逃しというのがあって、これがかなりの数に上っていた、そういうこともあって制定をされたわけですね。そのために、司法解剖以外で、死因がわからない死体について死因究明を行っていくことが大切である、そういう思いで立法されたはずでございます。

 また資料を見ていただきたいんですけれども、資料の四ですけれども、昨年、いろいろと数字を持ってまいりましてつくったものですけれども、この統計を見ていただければおわかりのように、新法解剖を創設した分、司法解剖や行政解剖が減少して、合計数は減ってしまいました。これでは新法の趣旨が生かされているとは言えないんじゃないかというふうに思ったわけですけれども、この結果についてはどうでしょうか。

荻野政府参考人 お答えを申し上げます。

 新法の施行についてのお尋ねでございますので、それにつきまして申し上げます。

 警察におきましては、犯罪死の見逃し防止のため、新しい死因・身元調査法に基づきまして、まず調査、検査等を実施しているところでございます。解剖につきましては、これらの実施結果や専門家の意見を踏まえて実施しているということでございます。

 警察にとっての解剖といいますのは、犯罪の立証、犯罪死の見逃し防止のための一つの重要な手段でございます。死因・身元調査法に基づく解剖につきましても、犯罪捜査等の警察の責務に照らして、必要な場合に確実に実施するべきものと考えております。

 この全体の数につきましてのお尋ねでございます。一件一件の判断の積み重ねということでございますので、去年とことしの差といったものにつきまして正確な分析というのはなかなか困難でございますが、あえて申し上げますと、まず、警察が昨年取り扱った死体数、警察が認知した死体数につきましては、前年に比べて約四千八百体減少しております。全体として減少しております。その他、もろもろの犯罪の認知件数も年々減少しているということでございます。解剖が必要とされた死体数に大きな変化は生じなかったこともあり、結果として解剖数がわずかに減少することになった、こんなふうに考えております。

郡委員 この細かい表で恐縮なんですけれども、行って来いだったわけなんですね。新法で解剖した数と全体で減った数というのがほぼ同じだった。

 この二法が制定されました平成二十四年五月、衆議院の内閣委員会で、当時警察庁刑事局長だった舟本参考人が自民党の竹本委員の質問に対して、死体解剖の件数、どの程度になればいいのかといった質問をされたんですけれども、それに対する答弁は、現状は一一%ということでございますけれども、諸外国の例を見ますと、まず五〇%というものはやはり目標としては目指すべきだと思いますけれども、いろいろな、解剖医の数ですとか諸外国との制度の違い等ございますので、当面は、一一%から、やはり二〇%というものをこの数年で何とか向上させたいということを目標としてございます、このように答えられました。

 さらに、動議の提出者でございました民主党の細川律夫議員は、公明党の高木美智代委員の質問に対して、当面の目標というのは、先ほど警察庁の方から話がありましたように、解剖率二〇%を目標とすることで、それぐらいまでいけば、ある程度達成していけたというふうに言えるのではないかというように答えております。

 つまり、当面の目標の二〇%という数は、政府と国会とが国民の皆様方にお約束をした数字であるというふうに認識をするわけです。

 一方、警察庁刑事局の資料によりますと、警察取扱死体に対する、司法、行政、新法合わせた昨年、平成二十五年の解剖率、これはごらんのように一一・三%。一昨年、二十四年になりますけれども、一一・一%。平成二十三年は一一%、平成二十二年は一一・二%となっていて、この四年間、ほとんど変わっていないんですね。

 法医やそれからまた解剖施設の不足との指摘、これは理解をしておりますけれども、大学の皆様方にお話を聞いてみますと、それぞれ間口を広める努力をしているというふうなことでありまして、むしろ警察の解剖依頼がふえていないというような反論がございました。

 現在の警察庁の姿勢を見ますと、解剖件数をふやそうという努力が不足しているのではないかと思います。警察庁は、現在でも国民の皆様方にお約束した二〇%という公約、これを維持しているのでしょうか。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 警察といたしましては、先ほど申し上げましたように、犯罪捜査、それから犯罪死の見逃し防止のために解剖を充実させていかなければならないと考えております。

 警察庁におきましては、司法解剖経費を年々増額するとともに、平成二十五年度からは死因・身元調査法に基づく解剖経費につきましても新規に補助金の制度を創設したところでございます。司法解剖経費につきましては、平成十八年に八億九千万程度であったものを、今年度、今お願いをしている平成二十六年度の政府予算案では十七億七千万ということで、年々増額を図っているところでございます。そういった形で、警察としても、警察の行う犯罪死の見逃し防止のための解剖につきましては努力を重ねているところでございます。

 二〇%という数値についてのお尋ね、御指摘がございました。これにつきましては、監察医務院が設置されて全国で最も死因究明に関する体制が整っている東京都二十三区内の解剖率に準拠した数値であるというふうに承知をしております。すなわち、警察が主体的に実施する解剖だけでなく、公衆衛生目的で行われる監察医解剖でありますとか、その他もろもろの承諾解剖等を含み、さらには、制定していただきました死因究明等推進法により全国の死因究明体制が整備されることへの期待も織り込んでいる、そういった数値ではないかと思います。

 警察といたしましては、警察の責務であります犯罪死の見逃し防止という観点から、検視官の臨場率の向上でありますとか、現場の調査、死者の生前の人間関係の調査、薬毒物検査、それから死亡時画像診断の拡充といったような手段を活用いたしまして、総合的に犯罪死の見逃し防止に取り組む、これが警察の責務であると考えております。

 そういった形で、警察が警察として必要な解剖を確実に実施するといったことによって、全体としての解剖率の向上にも貢献してまいるという立場でございます。

郡委員 今、予算も増額した、対応も整えているというようなことがございましたけれども、私は、この死因・身元調査法の一番大きな意義というのは、死因調査を警察に義務づけたということ、責務と規定したということだというふうに思っているんです。

 従来は、警察が死体調査にかかわるというのは犯罪捜査の目的でありますけれども、犯罪にかかわりがないというふうにされた死体についても、これまでは責任の所在が曖昧だったわけなんですけれども、犯罪の可能性がゼロに近い死体も含めて死因を調査する責任が一義的に警察にあるのだということで、この意味というのは大変大きいというふうに私自身思っています。

 この立法の意義を、今御答弁ありましたけれども、十分に理解をして対応しなくちゃいけない、そういうことを言わなくちゃいけない状況が現状としてあるということです。

 次に、身元確認についても、新法で初めて法的な根拠ができたわけでございます。我が国は、これも本当に残念なことなんですけれども、身元不明のまま処理されてしまう死体というのが多いというふうに聞いております。

 まず、年間どれぐらいあるのでしょうか。累積ではどれぐらいになっているんでしょうか。また、行方不明の皆さんたちがいらっしゃいますけれども、その方々の状況をデータベース化することで身元不明の死体と突合させる、この可能性の議論も進んでいるというふうに聞いていますけれども、その点について伺わせていただきます。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 身元不明の御遺体につきましては、行旅病人及行旅死亡人取扱法でありますとか、墓地、埋葬等に関する法律に基づきまして、市町村において埋葬または火葬が行われるということになります。

 警察におきましては、相応の捜査等を尽くしましても身元が判明しない御遺体につきましては、事務処理上、身元不明死体票というものを作成しております。そこで、この身元不明死体票の作成件数という形でお答えをすることになりますが、平成二十五年中は千十四件でございます。同年末現在の累積件数は二万六百二十九件でございます。

 また、どうやって捜していくかということでございますけれども、警察では現在、身元確認照会システムといったものを運用しております。このシステムには、全国の都道府県警察から、身元不明の死体の身体特徴等の情報でありますとか行方不明者の身体特徴等の情報等が登録をされております。都道府県警察では、これらを検索項目としてオンラインで相互に対照することができまして、これを活用してそれぞれの候補を抽出し、身元不明死体の身元確認でありますとか行方不明者の発見に活用しているということでございます。

郡委員 年間千体を超える身元不明の死体が処理されているということであります。遺体が一体誰であるのか、亡くなった本人、遺族のためにも、早期にこの突合ということが実現されることを望みたいというふうに思っています。

 身元確認に関して言えば、指紋ですとか歯形、歯科所見、DNAといった科学的手法で行うことになっていますけれども、一方では、顔つき、顔貌、それから身体的な特徴あるいは所持品等々で、主観的手法で行っている場合も多いというふうに聞いております。

 東日本大震災の折にも数件の取り違いが発覚をいたしました。大震災の犠牲者の身元確認には、今回、歯科の先生方に随分と御苦労いただきまして、その歯科所見で身元の確認ということが進んで本当にありがたかったわけですけれども、やはり平時からこういうふうな事態に備えることがとても重要であるというふうに思っています。

 これから先起こるであろうというふうに言われている東南海地震や首都直下型地震が起きれば、さらに多くの命が失われることもあるだろうというふうに言われているわけです。

 それでは、大規模災害時の身元確認についてどのような計画が立てられているでしょうか、お尋ねします。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 警察庁では、先般の東日本大震災における対応の教訓を踏まえまして、一つには、大規模災害の発生時に遺体の検視、身元確認作業等を行います広域緊急援助隊、刑事部隊というものがございますが、これの増員をし、さらに、現地に派遣する期間を延長する、長い期間滞在できるようにあらかじめ準備をするということを一つやっています。

 もう一つは、被災地において行方不明になられた方の御家族等から、身元確認に関する資料や情報、今先生がおっしゃったようないろいろな資料がございますけれども、それを集中的に収集するといったことを行うことが重要だということがわかりましたので、そういった身元確認支援部隊を全国警察に新たに編成いたしまして、いざというときに備えるということをしております。

 そうしまして、これらの部隊が災害時に実効ある活動ができるように、平素から被災地における活動を想定した訓練を実施するようにしております。そんな準備をしております。

郡委員 応援する立場で申し上げておりますので、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。

 一方で、死因究明等推進法では、「身元確認に係るデータベースの整備」ということも文言で入りました。確かに、万が一のときに、歯科所見のデータ、これらがすぐに照合できればスムーズにいくんだろうというふうに思います。東日本大震災の折には、その歯科所見のデータのとり方が地域によってまちまちであったりしたので、随分と苦労されたというふうなこともございました。その経験も教訓も踏まえて、今、同じような形でデータベース化していこうという取り組みが行われているのだろうというふうに思います。

 それぞれの歯科医院が保持しているカルテを集積していくのには、時間も手間も、それこそお金もかかるんだろうというふうに思いますし、また、個人情報保護の観点も大切なことだというふうに思いますけれども、厚労省はどういう取り組みをされているのか、ちょっと御紹介をいただきたいと思います。

高島政府参考人 今委員からも御指摘のありましたように、東日本大震災のときにおきまして、歯科医療機関が保有する電子カルテ等について、身元確認に資する歯科診療情報の標準化が図られていないということが明らかになりました。これを踏まえまして、厚生労働省としては平成二十五年度から、歯科診療情報の標準化に関する実証事業というものを起こしております。

 具体的には、二十五年度にモデル事業というものをやっておりまして、このモデル事業におきまして、身元確認に当たって必要な項目はどのようなものがあるかということについて今検討しております。二十六年度におきましては、この二十五年度のモデル事業を踏まえまして、遺体の身元確認を行う際に用いることとなる電子カルテ等から抽出するデータにつきまして、データ形式の標準化のあり方とか、こういったものを検証していきたいと思います。

 内閣府におきます死因究明検討会、こちらにおきましても、これまで標準化ということが非常に重要な施策であるというぐあいに言われております。厚生労働省としてもしっかり対応してまいりたいと考えております。よろしくお願いします。

郡委員 モデル事業も拡大する方向で頑張っていただきたいというふうに思います。

 死因・身元調査法では、遺族への配慮ということが規定されまして、さらに参議院の附帯決議がつけられました。「遺族等の不安の緩和又は解消に資するよう、警察及び海上保安庁は、死体を引き渡した遺族等に対し死因その他参考となるべき事項の説明を行うとともに、当該遺族等から調査等に係る記録等資料を提供するよう求めがあった場合には、その要請に応えること。」これについて、政府が実現に向け万全を期すよう求めたものでございます。

 しかし、司法解剖を実施した場合に、刑訴法四十七条の壁があるわけでして、法務省から不起訴記録の開示方針が示されているものの、被害者遺族から見ますと十分ではないというような声を随分と聞きます。このことについて、法務省はどのように考えているでしょうか。

林政府参考人 死因または身元調査に当たりまして、遺族への配慮というのは非常に重要なことだと承知しております。

 御指摘のとおり、刑事訴訟法四十七条本文では、訴訟関係記録、書類の公判開廷前における非公開の原則というのを定めております。他方で、そのただし書きにおきまして、「公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」と規定されているところでございます。

 その趣旨に鑑みまして、例えば、検察当局におきましては、検視調書でありますとか死体の鑑定書等の客観的な証拠につきましては、それらが不起訴記録等の一部である場合であっても、民事訴訟等において損害賠償請求権その他の権利を行使するために必要があるなど、開示の必要性が認められ、その弊害が少ないと判断される場合に、御遺族に対して閲覧や謄写を認める措置をしております。

 また、被害者参加制度の対象となるような事件につきましては、今申し上げたような民事訴訟等の権利を行使する目的がある場合でなくても、御遺族に対して一定の範囲で閲覧を認める運用を行っております。

 いずれにいたしましても、検察当局におきましては、亡くなった方についての情報を知りたい、こういった御遺族のお気持ちに応えることができるように、捜査、公判、各段階を問わず、その死因等についても、可能な範囲で御遺族等に丁寧な説明を行うように努めてまいりたいと思っております。

郡委員 しかし、司法解剖の結果というのは捜査記録として開示されないですね。それから、自死ですとか自損といった加害者が不在と思われる事件については、被害者参加の対象事件の対象外、つまり、この開示の方針ですか、これからは漏れてしまっているんじゃないですか。もっと現場の方々の声を聞いて、しっかりとした対応をしていただきたいなというふうに思います。

 次は、平成二十三年の四月に出されました警察庁に置かれた研究会の最終取りまとめなんですけれども、これでは法医学研究所の設置というのが望まれていて、推進法でも六条の第一項に、専門的な機関の全国的な整備を規定したわけでございます。私は、この六条の中でもこれが喫緊の課題であって、最も重要だというふうに思っているんですね。

 現在、推進会議の下に置かれました推進計画検討会で議論をされていると聞いておりますけれども、どうもこの専門的な機関の形というのが明確ではありません。

 先日行われた検討会で最終案の原案が示されまして、その原案では、どういう機関を設置するかは自治体任せになっているところが随分と多くございました。従来、この問題にほとんど関与していない地方自治体でございます。これが本気で取り組めるのかどうか、取り組むのかどうか、疑問に思っております。

 以前から、法医学会など関係者の方々は、ヨーロッパなどには必ずあるそれこそ法医学研究所のような実務主体の機関をぜひともつくる必要がある、さまざまな医学的検査をした上で死因を推定して、身元確認についても役割を果たすべきだというような提案がなされているわけなんですね。

 最終案の議論では、地方の状況に応じた施策の検討を目的とした、関係機関、団体等が協議する場の設置、活用を求める、死体の検案等を実施する専門的機関の整備に向け努力するよう求めると、かなりトーンダウンしたように私自身は思いました。

 果たして政府及び各省庁がこうした機関を本当に後押しする気があるのかどうか、担当政務官においでいただいておりますので、御答弁願います。

亀岡大臣政務官 今委員が指摘されたとおり、専門的な機関の全国的な整備というもの、これは、死因究明等の推進に関して実施されるべき施策等について、現在、死因究明等推進会議の下に、死因究明推進計画検討会、これは今素案の話が出されましたけれども、その素案の中に今言われた御指摘の内容が入っておりましたけれども、これは今素案の段階です。

 逆に、各自治体によって関心がかなり薄い。先ほど法医学の話もありましたけれども、ある県もあるけれども、ない県の方が多い。これは各県の自治体を含めて関心を持ってもらわなきゃいけないということでこの素案の中に今書かれているものでありまして、実際には、我々国がしっかりと、特に内閣府が中心となって、国が責任を持ってこれらを推進していくべく、この会議の中で、この素案をもとにしながら、きちんと閣議に持っていけるまでの今段階であります。

 これから六月に向けて、しっかりと国が責任を持って、この整備に向けた、実施できる体制づくりを今やっておりますので、地方任せではありませんので、これは、地方自治体に関心を持ってもらわなきゃいけない、さらにもっと深い取り組みの仕方をしてもらうための、素案づくりの中の一つの文章であるということだけは御理解いただいて、これから我々、政府一体となって、この死因究明に関しては、きちんと国が一体となって取り組む中での地方自治体との連携というものをしっかり考えておりますので、そこは誤解のないようによろしくお願いしたいと思います。

郡委員 誤解のないようにというふうに言われてしまいました。誤解であればいいんですけれども、本当にしっかり取り組んでいただかないと困りますので、お願いします。

 従来、死因究明の議論といいますと、解剖に偏ったような、そういうふうな嫌いもあったわけですけれども、死因究明というのは総合的に行わなくちゃなりません。そのためには、中毒学、生化学、病理学、歯学、放射線学、人類学など、多面的な学問を使った調査や検査、これが不可欠なんだろうと思います。

 特に、中毒学について、我が国は非常におくれているというような印象を持っております。

 青少年の薬物汚染は拡大しておりますし、従来の薬毒物に加えて脱法ドラッグも問題になっているところですけれども、現状は、各県によって、科捜研がやっているところ、あるいは大学の法医学がやっているところ、ほとんどやっていないところなど、ばらつきが本当に激しいんです。大学の法医学教室でも、薬毒物検査を十分にできないところもあるというふうに聞きました。

 将来的には、推進法で規定されている専門的な機関で必ずやるようにすべきであると思いますし、こういったような一体的な、総合的な検査を、数カ所の機関、どこかセンターみたいなものをつくってもいいと思うんですけれども、拠点化も考えていくべきじゃないだろうかというふうに思っております。

 警察の科捜研での検査、これは犯罪鑑識の延長線で行われるものでありまして、専門性、中立性に鑑みれば、死体の医学的検査は専門機関に任せるべきだというふうに思っているわけでございます。この点については、警察庁、どうでしょうか。

荻野政府参考人 お答えを申し上げます。

 おっしゃるとおり、死因究明は総合的に行われなければなりませんし、いわゆる医学的な知見、その他科学的な知見、それから、その人のどういう経緯で亡くなったかというような社会的な事柄、その他を総合的に調査する。その過程で、警察としても、いろいろな専門家の方の御意見、御見解を賜るということでございます。

 その一環といたしまして、都道府県警察における科学捜査研究所においても、必要な鑑定、検査等を行っているということでございます。その科学捜査研究所の鑑定等につきましても、専門性や中立性が疑われることのないようにしっかりしていかなければならないと考えております。

 具体的には、各都道府県警察の科学捜査研究所において、薬毒物等の検査に従事する職員につきましては、検査に必要な知識、技能を習得させるための高度な研修を行っておりますほか、これらの鑑定、検査に必要な検査機器も整備をしているところでございます。

 鑑定、検査に当たっては、予断、偏見等を生じないように注意することは当然でございますが、このような取り組みによりまして、現状では、犯罪立証に必要な鑑定が適切に行われているのではないかと考えております。

郡委員 だから、犯罪立証のためなんですよね。世界各国の標準というのは、犯罪鑑識のための検査と死因究明のための検査、これは別物なんですよ。別物なんです。

 なぜなら、それぞれの目的も精度管理の方法も違っているからでありまして、例えば薬物検査の場合ですけれども、犯罪鑑識の場合では、その使われている薬物が違法なものなのかどうかということをまず見るわけです。しかし、死因究明、死因調査の場合には、それが致死量であるのか、致死的であったのか、そういうことが問題になってくるわけです。

 また、検査結果の評価というのは、医学的観点からの判断が必要なわけですよね。これは不可欠なわけですけれども、科捜研には医師がおりません。それで専門性というふうに言えるのかどうかというのは疑問でございますし、まず、何より、中立性という観点からも疑問を呈さなくちゃいけないと思っています。警察内の組織の検査では公判が維持できないとして、弁護士が科捜研での鑑定を断ったケースもあるというふうに伺っております。これはどこか別の専門的なところにお願いをして、より証拠としての精度を上げるということでありましょう。

 それこそいろいろな地域があって、できるところ、できないところがあるのも理解をしているわけですけれども、法医学教室などができるというふうに言っているのであれば、原則、そちらの方に委託をするということも考えられます。そういうふうにしたらいいんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

荻野政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、死因究明そのものと犯罪捜査との関係ということでございますが、両者が別物であるということは、おっしゃるとおりでございます。

 死因究明推進法におきましても、この条文を拝見しますが、死因究明が死者の生存していた最後の時点における状況を明らかにするものである、それによってその方の人命の尊重と個人の尊厳の保持につながるといったもので、死因究明等が重要であるということであろうと思います。その死因究明をするということが、結果として、例えば犯罪に起因するかどうかの判断であるとか公衆衛生の向上といった関連する諸制度の目的に資する、役に立つこともある、そういう位置づけであろうと思います。

 そういった意味で、死因究明全体につきましては、警察の犯罪捜査という狭い特定の領域ではなくて、より広い見地から行われるべきものだ、そういう位置づけは当然でございますし、そういった観点から、警察が行う犯罪捜査とはちょっと角度の違うものとしてある。

 死因・身元調査法につきましても、基本的には、警察官や海上保安官といった捜査を行うところが、犯罪捜査そのものじゃないけれども、その外周にある犯罪死見逃し防止のためにいろいろ調べるということの法律だろうと思います。そういったことで警察はやっているんだろうと思います。

 ですから、そういった意味で、総合的な死因究明が行われなければならなくて、それは警察の立場とは違うであろうというのはおっしゃるとおりであります。

 他方、警察としましては、犯罪捜査の過程できちんと立証しなければならないといった意味で、警察がいろいろな証拠を収集し、最終的には公判に提出するわけでありますが、それは警察が出すものだから主観的なものであっていいということではなくて、警察が出すものであっても、それは客観的で正しいものでなければならない。そういった意味で、例えば部外の方が鑑定することもありますし、司法解剖といいますのは医師の方に捜査機関が鑑定をお願いするということでございます。

 その過程で科捜研で鑑定することもございますが、科捜研の鑑定も、要するに、科学の目で見て正しいものかどうかということがポイントでありまして、それは最終的には公判で、例えば証人出廷をして吟味されるということもございます。

 警察が警察としてやるもの自体についても、それは科学的な見地から専門性、中立性が疑われないようなものにしなければならないということはあろうと思いまして、そういった観点での努力は続けてまいりたいと考えております。

郡委員 私の質問には結局のところ答えていただけませんでした。

 十分にやれる能力のある法医学教室などにこれらを、薬毒物検査等々を含めてですけれども、委託するというふうなことはできないかというふうに伺ったのです。

荻野政府参考人 現状におきましても必要な検査の委託等は行っております。法医学教室に対して、例えば、解剖をして死体の御所見をいただくだけではなくて、薬毒物検査をあわせて委託するということはございます。程度とか量とかいうことはいろいろ御議論があるかもしれませんけれども、現在でも必要な委託は行っているところでございます。

郡委員 必要なというふうにおっしゃいましたけれども、中立性の観点から、やはりどうしてもこだわらせていただきたいというふうに思っています。

 原則、やはり警察組織ではないところに委託すべきじゃないでしょうか。それこそ専門の機関ができればまた違ってくるわけですけれども、そういうことだと思いますが、ぜひお願いをしたいと思います。

 薬毒物による殺人というのは、これはもう本当に古い古い歴史があるわけですね。また、警察庁の研究会の報告資料にも、きょう出させていただきました資料五というものですけれども、四十三件の見逃し事案のうち五件が薬毒物に関するものだったというふうにあります。

 ここ二、三日の報道なんですけれども、近畿圏で、一人の女性の周辺で十件以上と見られる不審死というのが発覚して、薬毒物によるものではないかと推測をされているようでございます。これが事実であるとすれば、戦後最大級の毒殺事件になりかねません。

 捜査中の事案でありますから、答弁は難しいと思うので質問はいたしませんけれども、要望しておきたいというふうに思います。

 何かといいますと、まず、現在、毒殺をされたんじゃないかという疑いがあって、その死亡した時点では事件性がない、自然死であるというふうにされていた場合、仮に立件というのが難しい、無理であっても、その検視、それから死体見分の当事者、また死体検案書を作成した検案医から事情を聞いて犯罪性がなかったと判断した経過、これをぜひ明らかにしてもらいたいと思っているんです。明らかになったところで結構ですから、ぜひ報告をしてください。なぜかといえば、これが今後の犯罪の見逃し防止につながるというふうに思っているからです。

 この件は、もし殺人事件であるのだとすれば、ずさんな検視で殺人が繰り返されてしまったということになるし、もしこれが犯罪でなくて病死、自然死であったとすれば、そういうずさんな検視を通してまた犯罪者をでっち上げたということにもなってしまう。いずれにしても、警察の非というんでしょうか、何やっているんだという批判は免れないと思います。

 海外の死因究明の先進国というのは、医師が死因を決定できない場合には、解剖や薬毒物検査など法医学的検査に付すのが当然のことだそうです。ところが、我が国では、明確な首つり死、縊死や脳血管疾患以外は、外から見て、外表検査だけで心疾患というふうに判断されるケースが多いというふうに聞いております。

 現在、死因究明推進計画検討会でも、検案医の能力の向上が図られるように議論が進んでいるということですけれども、外表検査だけで軽々に死因を決めることのないように、できるだけ法医学的検査に付していくような方向を望みます。

 解剖医の不足ということもこれありで、すぐにはできないということであるならば、人材の育成には一生懸命努めていかなくちゃいけないということはもちろんですけれども、同時に、死因が明確でない場合は、血液ですとか尿の検査、これを実施するようなしっかりとした体制を整備すべきだと思いますけれども、これはどうでしょうか。

亀岡大臣政務官 今、郡委員の指摘されたように、きちんと、警察、それから病院と医師、それと研究開発をする文科省等含めて、この死因究明委員会の中でしっかりと連携をとりながら、例えば現場で所見のデータが全て本部に来るような体制がとれないか。今も試験的に警察ではやっていただいていますけれども、現場に行った警察官がすぐにそのデータを本部に送る、県警の方でやってくれているところもあります。そういうデータをもとにしながら全国的展開ができるような研究を今重ねているところでありますので、これはしっかりやっていきたいと思います。

郡委員 そういうふうな御答弁があったわけですけれども、警察庁は、これらの検査経費の値下げについて法医学会に提案しているというふうに聞きました。上限の単純平均で四九%も減額になっているということで、あら、何をやっているんでしょう、これからこれを推進していくというときに何だと、私自身もびっくりしまして、怒りを覚えたぐらいです。

 崩壊寸前の各大学の法医学部門が、これまで若干の経費の上乗せ等々ございまして、一息ついて、さあこれからだというときに、一歩踏み出そうというときに、財源が厳しいとはいえ、大幅な予算の減額というのはあり得ないんじゃないかというふうに思うんです。せっかく国際的な水準に近づいた検査をやれる体制が整えられてきた、ふえてきたというのに、こういうことであるならば、その検査をしている人たちを解雇するしかないというふうな声も聞きました。

 人材の育成も含め、法医学が健全に発展して初めて精度の高い死因究明が行えるわけでして、この点についてお尋ねします。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 警察におきましては、適正な死体取扱業務の推進ということが重要な課題でございまして、司法解剖の充実につきましても、予算面でも重要課題として取り組んでおります。

 先ほど申し上げましたように、平成十八年度予算で八億九千万余であったものを年々増額しておりまして、平成二十六年度予算案では十七億七千万余を計上しているということでございます。これは刑事警察全体の予算の中でも相当なウエートを占めているものでございます。

 このように、司法解剖経費につきましては年々充実をしていく、ふやしているわけでございますが、そういうこともございますので、こういった予算につきましては、他の予算と同様に、必要性、効率性、有効性等の観点から、不断の見直しが同時に要求をされるということであろうと思います。

 こういった観点で現在やっておりますのは、司法解剖の実施に要する経費につきまして、予算の積み上げをするわけでございますけれども、平成十八年に現在の予算単価の積算を行って以来、解剖体数の大幅増加による検査機器の稼働率が向上した、あるいは検査手法や検査機器が高度化、効率化したといったような形で、いろいろな事情が変化をしております。

 そういったこともございますので、個別具体の事件において、鑑定人の方が現に行っている検査の内容等を踏まえまして、適切な予算措置を図るために見直しを検討しているということでございますので、御理解を賜りたいと思います。

郡委員 検査経費の減額というのは、死因究明に与える影響はかなり大きいと思います。

 実は私、コピーを持ってまいりました。自民党さんのJ―ファイル、二〇一二年の選挙の折のものですけれども、この中にも、「死因究明体制の強化等を一層推進します。」というふうにございます。

 自民党の死因究明体制推進に関するプロジェクトチーム、今ちょっと席におられませんけれども、当法務委員会の橋本岳委員が座長を務めておられます。きっと、おられれば、私の質問を同じ思いで聞いておられたことというふうに思います。ぜひ後ろ向きになることのないようにお願いをしたいと思います。

 法務省は、司法解剖、検視という死因究明システムの核となる部分を法律として所管しているわけですよね。また、諸外国の中には、スウェーデンなどがそうなんですけれども、これは法務省が担当しております。大臣は今までの議論についてどのようにお感じになられたのか、また、法務省としてこの問題に取り組む姿勢はどうでしょうか、お尋ねをしたいと思います。

谷垣国務大臣 きょうの御議論、私、大変勉強させていただきました。

 司法解剖や検視が充実して行われる体制をつくっていくということは、実体的真実の発見とか、それから適切な捜査、公判が行われるという意味でも極めて重要でございます。ただ、関係する機関が多岐にわたっておりまして、総合的に物事を詰めていかなきゃならない。

 つくっていただいた死因究明等推進法に基づいて内閣府に推進会議をつくっていただきまして、私もそのメンバーになっているんですが、就任して、この会議自体を私はまだ経験しておりません。今、そのもとで検討会がつくられまして、そこで、私も、いや、俺もメンバーになっているはずだけれども出たことないぞと、実はきのうこのレクのとき言いましたのですが、今、そのもとの検討会で、ここはもちろん法務省も参加しておりますが、詰めているところだということでございますから、いろいろな死因究明の方法などを推進していく議論をきちっとやっていただいて、私どもも、そこで前に進めていきたい、こう思っております。

郡委員 ぜひお願いをいたします。

 余り時間がなくなってしまいましたけれども、次は、外国人材の受け入れ、活用促進について伺いたいと思います。

 問題意識として、政府の産業競争力会議、あるいはまた、いろいろな会議体がつくられて議論がされているようなんですけれども、その産業競争力会議、去る一月の二十日に取りまとめました成長戦略進化のための今後の検討方針の二、「日本社会の内なるグローバル化」で、外国人受け入れ環境の整備、技能実習制度の見直しの方針、これを提示されています。

 その内容は、一つは、外国人材の受け入れのための司令塔を設置して、高度人材受け入れはもとより、労働人口の減少等を踏まえて、持続可能な経済成長を達成していくために必要な外国人材活用のあり方について、必要分野、人数等も見据えながら、国民的議論を進めるというもの。もう一つは、技能実習制度について、制度の適正化とともに、一定の要件のもとで再技能実習を認めることや、介護等の分野を追加することを含めた制度の見直しについて、制度本来の目的を踏まえた検討を行い、平成二十六年年央までに方向性を出すというものでございます。

 また、外国人の技能実習制度については、農林水産業・地域の活力創造本部の農林水産業・地域の活力創造プランの中においても、攻めの農林水産業の実現のための規制改革要望を受けた改革事項の中で、技能実習期間が終了し、一定レベル以上の技能実習生が、より高度な技能もしくは多能工として必要な関連技能を身につけるため、さらに二年程度、技能実習を可能とする制度を創設すべきとの要望を受けまして、技能実習制度の見直しを掲げております。

 そして、技能実習制度の見直しについては、産業競争力会議雇用・人材分科会の中間整理、また農林水産業・地域の活力創造プランでは、法務大臣の私的懇談会である第六次出入国管理政策懇談会において検討するとしているわけです。

 さらに、一月の二十四日には、官邸で、建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置を検討する関係閣僚会議が開催をされました。官房長官の会見によりますと、この会議は、建設産業においては、技能労働者の減少が続いており、復興事業のさらなる加速や、東京オリンピック・パラリンピックの関連施設整備などによって、人材がより逼迫するおそれがあることから、局長級の検討を行った上で、即戦力となり得る外国人材の活用について、年度内をめどに当面の時限的な緊急措置の決定を目指すということでございました。

 幾つか質問としてつくっておりましたけれども、飛ばさせていただきます。

 いろいろな会議体があって、技能実習制度についてもそれぞれ議論をされているわけですけれども、一義的には法務省が制度の見直しを行うというふうに理解していいのだろうというふうに思っているわけです。

 昨年の十月の四日に開催されました法務大臣のもとの第六次出入国管理政策懇談会では、技能実習制度についての賛否両論、これが紹介されていまして、二〇〇九年のこの実習制度に係る法改正のときの衆参それぞれの法務委員会で、抜本見直しを求める附帯決議がつけられたわけでして、政策懇談会の下に置かれました分科会で本格的に検討することになったわけです。そして、その分科会の五回目の会合というのが十二月の二十五日に行われまして、ここでも、技能実習制度の見直しについて、実習期間の延長等の要件緩和について賛否両論の議論が行われたというふうに承知をしております。

 産業競争力会議から出された検討の方針における実習制度の見直しの方針、それから出入国管理政策懇談会及び分科会での議論、これら、方針とどういうような関係になっているのかというのが、いま一つ私自身わからないんですね。

 そこで、幾つか質問をしたいと思っていたんですが、飛ばしまして、法務省が、規制改革ホットラインで提案していた実習期間の延長に対する要望に対してですけれども、対応不可の、労働関係法令違反等の技能実習に係る不正行為が一定数発生していることなどから、まずはこのような現状を改善することが必要であって、このような現状において技能実習生の在留期間を延長するといった要望に対応することは困難だというふうに回答している。

 昨年の十一月五日、私がこの委員会で質問をいたしましたときに、入国管理局長が、技能実習制度の今後のあり方については、法務省において、今後、法務大臣の私的懇談会である出入国管理政策懇談会の分科会において、技能実習制度のあり方を検討していただくことにしており、その制度の見直しに当たっても、当然、不適正な受け入れ防止の強化を図っていかなければならないと考えている、このように答えていただいたわけです。

 このように、第一義的にはこの懇談会でお話をされるんだと思いますけれども、随分いろいろなところで議論がなされていて、我が国の需要が見込まれる特定の職種の労働力不足を補うという観点から、この見直し、拡充が提案されているわけですけれども、法務省としてこれらをどういうふうに思っていらっしゃるんですか。これは、もしよければ大臣にお答えいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 今の技能実習制度の見直しは、委員がおっしゃいましたように、分科会で今議論をしていただいておりまして、年央をめどに、ことしの真ん中ごろですね、一応のめどをつけて今議論をしていただいているんです。

 それで、さっき、官房長官の方から、年度末にというのがあったということをおっしゃいました。それは、技能実習制度の見直しとは別個に、現状、東北の方でも震災復興の労働者がかなり不足しているとか、あるいはオリンピックに向けての需要にどう応えるかという問題がございまして、それとは切り離した形で、緊急の労働力不足にどう対応していくかというのを一応年度内をめどに、ということはもうすぐでございますが、方向性を出そうとしている。この二つは一応別でございます。

郡委員 一部の報道で、建設分野の外国人材を特定活動の在留資格を活用して受け入れるというようなことがございましたし、それからまた、現行の技能実習制度の入国要件を緩和するなどというふうにも言われております。また、公明党さんも、そのような方向の提言をまとめて、官房長官それから国交大臣に申し入れるとの報道をきのう目にしました。

 私は、こういう重要な措置を変えていかなくちゃいけないのだとすれば、やはり法改正をしていく必要があるんだと思います。その議論なしに、また、懇談会でも制度の適正化を含めた議論というのが十分になされていないうちに、こういうような緊急対策というふうな理由で進められることに対しては、大きな懸念を持っているということを申し伝えて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江崎委員長 次に、西田譲君。

西田委員 日本維新の会の西田譲です。どうぞよろしくお願いいたします。

 通告をさせていただきました法務省の人権擁護行政について、きょうは質問をさせていただきたいと思います。

 人権につきましては、以前も当委員会では、たしかジェノサイド条約についての議論をしたとき、あるいは先日の予算の分科会でも、平成二十六年度の法務省人権擁護推進費、本省分の十五億五千八百万について、その具体的内容であったり、その法的根拠であったり、あるいは増額されているわけでございますから活動の評価等について伺わせていただいたわけでございますけれども、以前から人権について私の考えを述べさせていただいているところではあるのでございますけれども、やはり人権とは何かというところの議論というのはとても大事だと思っております。

 法務省の人権擁護のパンフレットを見ましても、あるいはこれまでの人権擁護推進審議会等の答申の中での人権の定義等を見てみましても、人権とはということについては、人々の生存そして自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利、人々の生存、自由を確保し、幸福を追求する権利のことを人権というんだというふうに定義がされているわけでございます。

 しかし、ここで大事なのは、自由というのは、決して、個人が国家に要求をして、そして国家がその公権力の行使によって国民の自由を担保するもの、実現するものではないというふうに思うわけでございます。

 当然、国家がそれぞれの個人の自由は最大限尊重しなければなりませんし、法に従って、あるいは社会と申しますか中間組織、地域社会のコミュニティーだったり、企業やそういった共同体でございますけれども、そういったバリアによって保護されるべきものだというふうに思うわけでございます。

 国家が恣意的に個人の自由を担保しようとすると、逆にそれは個人の自由を阻害することになってしまって、何も、自由というものは我々個人が国家に対して求めていくというものとはちょっと違うような気がしておるわけでございます。法しかり、自由しかり、社会の安定が長く何世代にもわたって自生的に発生した秩序の中にあるものだというふうに思うわけでございます。

 そういった中にあって、法務省は人権擁護行政を行われるわけでございますけれども、まず、そもそも論でございますけれども、谷垣大臣は、人権とは何かということについてはどのようにお考えでございますでしょうか。お聞かせいただければと思います。

谷垣国務大臣 なかなかこれは難しい問題なんですね。

 今の委員の御議論を聞いておりますと、一方、司法というものがあるじゃないか、司法というものがあって、人間あるいは国民の権利なり人権なり自由というものは、そこできちっと守られるべき、また裁かれるべきものだという御議論が一つあるんだろうと思います。それとは別に、私どもは人権擁護機関を持ち、人権擁護行政をやっている。では、そこで扱われているものはどう違うんだという御議論が、今の委員の御議論の背景にあるのかなというふうに思います。

 それで、これは私、必ずしも十分勉強ができているわけではないんですが、諸外国を見ましても、必ずしも人権擁護機関のようなものがないわけじゃないと思うんです。司法が扱っているものとは別に、人権擁護行政といいますか、そういうようなものが存在している場合が多く見受けられる。

 一つは、やはり差別というものをどうするかということが中心課題だったんだろうと思いますね。日本も、いわゆる同和行政とか部落問題等々、そういう差別の問題に対して、法務省の人権啓発活動やそれの救済というものが行われてきた過去の蓄積があることも事実でございます。

 現在では、そういうことだけではなく、例えばいじめの問題であるとか、あるいは児童虐待の問題とか、こういうものが日々発展してきまして、どういうふうに法の上で位置づけたらいいか、まだ必ずしも十分にわかっていない。それから、それに関連する機関がたくさんある場合もございます。例えば、学校におけるいじめであれば、昨今は、それに対して教育委員会が責任ある対応ができたかというような議論がございますけれども、もちろん教育委員会も関与するんだろうと思いますね。

 そういうことを考えて、今現実に起こっている、あるいは、権利と言っていいのかどうかわかりませんが、生成途上のものと申しますか、問題が今生じてきているものにどう対応していくかということを考えますと、法務省がやっている人権擁護行政のポイントというのは、司法、裁判所に訴えるというようなことに比べますと、簡易迅速、それから、言ってみれば柔軟ということ、そういうのがやはり一つ、レーゾンデートルかなという気がいたします。

 それから、確かに今、生成途上と申しますか、日々起こってくる問題、ではどこがその救済機関なのか、どこに相談をすればいいのかというのも実は多様でございまして、なかなかわかりにくい。そういうときに、法務省の人権擁護機関というようなものが役割を発揮するということがあるのかなと。

 今、人権とは何かというお問いかけに対して、定義をきちっとする御答弁にはなっていないんですが、改めて、委員の今までの問題提起から、我々法務省のやっていることのレーゾンデートルは何かと考えると、そんなことなのかなというふうに考える次第です。

西田委員 ありがとうございます。

 最後にする質問の御答弁をいただいたような感じがいたしまして、まさに大臣おっしゃったように、既にある法律によって我々国民の自由が担保される、もしくは権利が保護される環境が整っていることと、まだ生成途中のものがあって、逆に、生成途中のものというのは、社会情勢の変化等さまざまな背景があろうかと思うんですけれども、まさにこの立法府において我々は立法措置をしていかなければならないという点では、非常に問題意識をアンテナを高くして持っていかなきゃいけないことだろうと思います。

 大臣のこれまでの御答弁でも、例えば、分科会ではヘイトスピーチの問題が話題になりましたし、あるいはまたリベンジポルノといったものに対するものであったり、そういったさまざまな立法措置を我々立法府においても考えていかなきゃいけない問題だと思います。

 ただ、やはり懸念をするのは、人権人権と声高に、啓発と言えば聞こえがいいのでございますけれども、主張をしたりすることが果たしてどういうことなのか。これがやはり、人権の定義をもう一度きちんと大事にしなきゃいけないところだと思うんです。

 先ほど言ったように、人権が個人の人々の生存と自由、特に自由ということであるならば、人権人権といって権利を要求すればするほど、その権利を担保するための公権力が増大していくわけですので、人権人権と叫べば叫ぶほど自由がなくなっていくという、何とも欺瞞に満ちたプロパガンダかと時々思うようなこともあるわけでございます。

 そういったことを想定しながら、この人権という問題が法務省で人権擁護行政として行われていることについて、ちょっと具体的に質疑をさせていただければと思います。

 さて、今大臣は、レーゾンデートルは、法律といいますか、生成途中のものについてどう対応するかといったところにあるとおっしゃいました。実際今行われている人権擁護行政でございますけれども、基本的に、人権救済というものと人権啓発、この二本柱で組み立てられていると思うんですけれども、なぜそういう組み立てなのか、教えていただければと思います。

萩原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の御質問にございました人権侵犯事件の調査、救済は法務省設置法の四条の二十六号で、また、人権啓発は法務省設置法の四条の二十七号で、それぞれ法務省の責務として規定されてございます。

 いずれも、人権尊重社会の実現を目指すという二つの車の両輪として、現在、法務省の人権擁護機関が取り組んでいるところでございます。

西田委員 ありがとうございます。

 済みません、局長、もう少し突っ込んでお聞きしたいんですけれども、なぜ法務省設置法にこの人権擁護の観点が入ったのか、把握をしていらっしゃれば教えていただきたいと思います。

萩原政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、第二次世界大戦後、日本国憲法が定められまして、そして、日本国憲法において基本的人権の尊重ということが規定されてございます。これは、国が、そして国民がそれぞれ基本的人権の保持ということを規定されているわけでございまして、法務省において具体的に人権擁護行政を行うということが法務省設置法で定められている、このように理解をしております。

西田委員 済みません、やはり昔のことですから、なぜかというのはなかなかわからないところがあるのかもしれません。

 さて、では実際、どのような問題を人権課題として法務省が取り上げていらっしゃるのかということを見てみますと、この人権擁護のパンフレットに、「主な人権課題」ということで十七項目掲げていらっしゃるわけでございます。まず最初に「女性」、その次に「子ども」、その次に「高齢者」、その次に「障害のある人」、その次に「同和問題」「アイヌの人々」「外国人」「HIV感染者・ハンセン病患者等」「刑を終えて出所した人」「犯罪被害者等」「インターネットによる人権侵害」「北朝鮮当局によって拉致された被害者等」「ホームレス」「性的指向」「性同一性障害者」「人身取引」「東日本大震災に起因する人権問題」、十七項目あるわけでございますけれども、この十七項目を主な人権課題とされた背景というものがわかれば教えていただきたいと思います。

萩原政府参考人 お答えを申し上げます。

 多少長くなる部分がございますが、まず、ただいま委員から御質問のありました人権課題、「女性」から九番目の「刑を終えて出所した人」までの関係でございますが、これは、人権教育のための国連十年に関する行動計画というのが平成九年に取りまとめられました。その中で、個別の人権課題として以上の九つが挙げられたわけでございます。

 その後、さらにより充実した内容のものとする観点から、平成十二年に議員立法により制定された人権教育及び人権啓発の推進に関する法律第七条に基づきまして、平成十四年に人権教育・啓発に関する基本計画が閣議決定により策定されたわけでございますが、このときに、さらに、御質問のありました人権課題のうちの十番目の「犯罪被害者等」、そして十一番目の「インターネットによる人権侵害」、これがその当時の人権課題として基本計画に定められたわけでございます。

 そして、その後の平成二十三年の四月一日に、人権教育・啓発に関する基本計画の一部変更がございまして、そのときに、当時の北朝鮮当局による拉致問題、これが国、地方公共団体の責務として、拉致問題その他の北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るということが規定されていることや、喫緊の課題として基本計画に追加する必要性が認められたことから、「北朝鮮当局によって拉致された被害者等」ということが基本計画に追加されております。

 そして、その後の十三の「ホームレス」から十七の「東日本大震災に起因する人権問題」、これにつきましては、基本計画の個別人権課題の「(13) その他」にございます、以上の類型に該当しない人権課題、例えば、同性愛者への差別といった性的指向に係る問題や新たに生起する人権課題など、その他の課題についても、それぞれの問題状況に応じて、その解決に資する施策の検討を行うとされていることを受け、法務省の人権擁護機関では、その時々の人権関連立法の動向等を踏まえて、人権課題としてこのように位置づけている、こういうことでございます。

 以上でございます。

西田委員 ありがとうございます。

 実際に、では、人権擁護行政の啓発ということでのパンフレットでしょうから、啓発ということで今のそれぞれの課題、項目を見ていきますと、「女性」ということで書いてあるのは、基本的に男女共同参画基本法の宣伝でございます。「子ども」という内容で書いてあるのを見ますと、児童虐待をしてはいけませんとか、いじめはいけませんということ、当たり前の話でございます。体罰もいけませんということ。

 「高齢者」に対しては、介護の際に虐待を受けたら相談してください。そもそも虐待しちゃいけませんし、法で担保されているはずでございます。あと、詐欺商法で被害を受けたなどの事案が発生していますとありますが、法務省の人権擁護局では、まるで内閣府の国民生活センターと同じようなことをやっているんじゃないだろうかというふうに思うわけでございますし、「障害のある人」についても、これは障害者権利条約の理念等を踏まえた障害者基本法の宣伝がなされております。そして、「同和問題」、同和問題については、えせ同和行為の排除ということを説明されていらっしゃいます。

 その後、特に法務省に関係が深いと思えるのは、例えば「刑を終えて出所した人」、もしくは「犯罪被害者等」、確かにこれは法務省に関係が深いというふうに思います。「インターネットによる人権侵害」、これはむしろ生成中という谷垣大臣の先ほどのお話なのかなとも思います。北朝鮮の拉致問題、これも内閣府のかわりに宣伝をされているような気がいたします。「ホームレス」、ホームレスに対する嫌がらせや暴行、これは、ホームレスに対してであろうが誰に対してであろうが、暴行すれば傷害罪としてきちんと我が国では法律があるわけでございます。「性的指向」の問題、これは我々立法府としても、昨年末の最高裁判決等もあって、社会的な関心も高まって、考えていかなければならない問題だというふうにも思います。「人身取引」、これも刑法できちんと重罪ということで位置づけられております。「東日本大震災に起因する人権問題」、仮に法のもとの平等が阻害されているような事案があるのか、こういったことは調査をしていかなければならない問題だというふうに思います。

 このように、この十七項目をそれぞれ見てみますと、果たして、法務省の人権擁護行政、啓発の仕事として本当にこれはやらなきゃいけないことなのかといったことに甚だ疑問を感じるわけでございます。

 先ほど局長答弁がありましたとおり、この根拠になっているのは、人権教育・啓発に関する基本計画、平成十二年の議員立法に基づき、平成十四年の基本計画ということでございましたけれども、十四年からもう十二年目ということになるわけでございます。拉致が追加されたということで、何のために法務省は人権擁護行政をやっているのか、啓発事業をやっているのかということが非常にわかりにくい、理解しにくいというふうな感想を持ちます。

 そして、もう一つの法務省の人権擁護行政、人権救済でございます。

 先週でございますか、人権救済ということで、人権侵犯事件の報告が報道発表ということでなされておりました。数字を申し上げますと、二万二千四百三十七件、新規救済手続を開始され、処理は二万二千百七十二件なされた。どういった内容があったのかということで何点かピックアップされていらっしゃいますが、暴行・虐待事案、名誉毀損事案、プライバシー関係、体罰とか、そういうふうに出されております。村八分が四十一件もある。まだ村八分があるというのは、びっくりいたしました。

 大臣の答弁にもありましたとおり、新たな法的措置が必要な過程、まだ生成過程にあるという状況こそレーゾンデートル、まさに私もそう思うわけでございますけれども、実際の今の法務省の人権擁護行政を見ると、他省庁の取り組み、もしくは他省庁所管の法律の宣伝、あるいは他省庁の所管する法律のサポート、あるいは既にもう司法の場でなされなきゃいけないようなことであったりして、この侵犯事件についても、人権救済という観点の人権擁護行政についても、その必要性についてなかなか理解ができないところが出てくるところでもございます。

 これも、法務省人権擁護局が出している「相談・救済制度のご案内」というパンフレットでございます。「あなたのその悩み人権侵害かも…」と、あたかも何かどんどんいらっしゃいとお客さんを勧誘しているようなスローガンに私は感じるわけでございます。

 実際の事例ということで、おもしろいのはCさんの事例ですね。「理容店において、外国人であることを理由に散髪を拒否されたという相談があったものです。 同店店長に話を聴いて事情を把握した上で、合理的な理由のない不当な差別はしないよう説示しました。」

 そもそも、人の価値観とか価値判断というのは多様でございますし、それを全て把握することなんてできません。自分自身の倫理についてだって、社会全体の必要性から見れば本当にごく一部分であるというのがもう明らかだというふうに思っております。それに、現場の事情や状況等もさまざまでありましょうし。これを人権侵害の代表的な事例で掲げていらっしゃるほど、実は、人権侵害と言われる事例が本当の意味での人権侵害になっていないというふうに私は勘ぐるわけでございます。

 こうして見てみますと、最初の問題意識に戻るわけでございますけれども、今取り組んでいらっしゃるこの人権擁護推進行政を見ると、なぜ法務省がこういったことをやらなきゃいけないんだろうかというふうに思うわけでございます。ここについては、大臣、いかがでございましょうか。

谷垣国務大臣 さっき申し上げたことの繰り返しになってしまうかもしれませんが、司法と違う柔軟性であるとか簡易性、迅速性というものは、やはり存在意義のあるものだと私は思っております。

 ただ、委員の問題意識と照らし合わせてみますと、やはり、簡易迅速で柔軟であるということ、それから生成過程のものというのは、いつもこういう問題が出てくるときに、ある一部の方は、では、すぐ立法措置をとれ、取り締まりができないかとおっしゃる。しかし、問題がどういうものかもう少しよく考えないと、一体何を取り締まるのかまだよくわからないぞと思うことがしばしばあるわけでございます。そこを安易に突っ込んでいきますと、かえって息苦しい社会になってしまうということも十分あり得るんだろうと思います。

 ですから、簡易迅速に、柔軟にできるということは実はもろ刃の剣みたいなところがないわけではない。しかし、やはり、そういう経験を積み重ねていくことによって、そこでどういう解決事案があるだろうか、例えば児童虐待の問題にしても、どういう解決があるだろうか、どういう啓発が必要だろうか、そういう中にまた新しい工夫なり対応が生まれてくるのかなというふうに私は思います。

 ですから、柔軟であるだけに、要するに、すき間風を入れないようにしようと思ったら首の周りに真綿を巻いておくのがいいのかもしれませんが、それは絞められるとだんだん苦しくなっちゃうということがございますね。やはりその辺を、我々の人権擁護といいますか、人権行政というものは注意してやっていかなきゃいけないんじゃないかと思います。

西田委員 ありがとうございます。

 まさしく法務省の人権擁護行政のポイントは、大臣がおっしゃったそこだと思うんですね。ただ、実態がどうしても、それは違うだろうという、私が紹介しましたけれども、他省庁所管の案件の宣伝、あるいは、本来であれば司法という場にあって解決されるべきところまで裁判外紛争手続の一つとして余り広く浸透させると、それこそ大臣がおっしゃったもろ刃の部分があると思います。

 ところで、大臣、これはあんまりだと思ったことで、私が先日分科会で御紹介をしました「デートDVって何?」のDVDはごらんになっていただけましたでしょうか。

谷垣国務大臣 一応拝見いたしました。

西田委員 委員の方でもしごらんになっていない方がいらっしゃったら、見ていただきたいと思います。三組の男女が出てくるDVDでございまして、女性が嫉妬して男性の携帯のメモリーを消してしまったりとか、男性の好みがミニスカートで、最初はそれに合わせていたけれどもだんだんそれが重荷になってくるとか、本当に余計なお世話なDVDなわけですね。

 そのDVD、これはもう予算委員会でやったことでございますけれども、恐らく谷垣大臣も、本来、御感想をお聞きしたいんですけれども、もう聞くまでもないかなと私は思います。

 予算の分科会で最初に申し上げました。我が国のこの厳しい財政情勢、そして硬直化した財政情勢、そして、そういった中で、再犯防止であったり出入国の厳格な体制であったり、さまざまなめり張りをつけた予算という中で、みんな本当に血のにじむ努力をして予算をつくられたはずだと思います。そんな中で、「デートDVって何?」というDVDをつくるための人権擁護推進の委託費や補助金、これが先ほど言った十五億五千八百万の中に入ってくるわけですね。それ以外にも、いろいろな映像コンテンツということでCMをつくっていますけれども、広告代理店をもうけさせているだけじゃないかというものがたくさんございます。本当に、めり張りというのは、細かいところにこそ目配りをしていかなきゃいけません。

 今回は、予算ではなく、人権そのものとは何ぞやという観点から質問させていただきましたけれども、その観点からも、この「デートDVって何?」とかという内容を見れば、いかにこれが余計なお世話、国家の個人に対する本当に過剰な介入の典型的な事例だと思います。まさにもろ刃の剣の負の部分の象徴ではないかと思います。

 こういったことをしっかりと、人権擁護という曖昧な認識で門戸を広くして何でもやるということじゃなくて、やはり大臣が先ほどおっしゃっているような、生成途中のもの、立法措置をすぐやるべきかどうか、そういったことも含めてまだ微妙なところにあるものについて、もっと力を発揮していただきたいということをお訴え申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

江崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

江崎委員長 休憩前に引き続き会議再開いたします。

 質疑続行。初めに、高橋みほさん。

高橋(み)委員 日本維新の会の高橋みほでございます。

 きょうも、どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年の三月、広島県江田島市江田島町にて、カキの養殖加工会社の社長さんら八人が殺傷されるという痛ましい事件が起きました。皆さん、覚えていらっしゃる方も多いかと思われます。容疑者は中国から来た技能実習生でした。

 きょう郡議員も取り上げていらっしゃいましたので、この外国人技能実習制度につきましては皆さんよくおわかりだと思いますけれども、この制度は、開発途上国等での経済発展、産業振興の担い手となる人材の育成を行うために、先進国の進んだ技術、技能、知識を習得させ、諸外国の若い、そして壮年の労働者を一定期間、産業界に受け入れて、産業上の技能等を習得してもらうというような仕組みになっております。この制度は、我が国の国際協力、国際貢献の重要な一翼を担うものだと言われております。

 しかしながら、実際は、よく言われておりますように、安価な単純労働者として扱われることが多いのではないかと言われております。

 この件につきまして、私は、この法務委員会に所属する前に農林水産委員会に所属しておりましたので、そこでのカキの養殖実習等について、外国に日本の進んだ技術をきちんと輸出できているのか、外国のためになっているのか、実習者の人権がちゃんと確保されておるのかということを質問させていただきました。

 その後、新藤総務大臣が、外国人の技能実習制度をめぐる違法労働行為が各地で発生していることから、厚生労働省と法務省に対し、現場の適正な監査と制度の見直しを進めるように勧告したということになっております。そこの勧告では、実習先の、受け入れ先の企業に監査に入ることが義務づけられているけれども、それが形骸化していると指摘して、国による現場の実態把握が不十分として改善を求めたそうです。

 そこで、この総務大臣の勧告を受けまして、法務省としましては実際どのような改善がなされたのか、お教えください。

榊原政府参考人 お答えいたします。

 昨年四月、総務省から、技能実習生等の適切な受け入れ及び管理を推進する観点から、外国人の受け入れ対策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告が行われましたが、入国管理局としては、勧告の内容を踏まえ、必要な改善措置を講じているところです。

 技能実習生の受け入れに関し、当該勧告では、法務省に対し、主に監理団体の監査の適正化が求められていますが、この点については、次のとおりの措置を実施してまいりました。

 技能実習生を受け入れている監理団体及び実習実施機関のリストを作成し、当該リストをもとに監査結果が未報告の監理団体に対し報告を催促できるようにいたしました。

 また、監理団体が実習実施機関を監査する際の監査の視点、手順、方法などの具体化、明確化を図るため、技能実習生の入国・在留管理に関する指針を改定いたしました。

 さらに、監理団体の監査能力の向上を図るため、厚生労働省と連携いたしまして、監理団体の監査実施者を対象として、監査の視点、手順、方法等の向上に資する実践的なセミナーを実施しております。

 当局といたしましては、勧告に基づく改善措置を今後とも着実に実施するなどし、技能実習制度の適正化に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 ただ、今ごろになってリストをつくっているのか、監査の適正化として視点とか手順をつくっているのかというのは、余りにも後手後手に回っているというような印象があります。そして、それがどれだけ実効性を持つのかということにはかなり疑問を持っております。

 ちょっと視点が変わるんですけれども、一九九二年から二〇一一年までの間に二百八十五名の研修生、技能実習生が死亡したというデータがございます。そのうちの三〇%ほどの八十五人の死因が脳・心臓疾患だということです。この傾向は、例えば二〇一一年の死亡者も、二十名中六名の死因が脳・心臓疾患であったというように、この前の法改正後でも同様となっております。

 研修生として来日する方々がほとんど二十代と若いことを考えますと、異常に高い数字となっております。脳や心臓疾患からくるということは、過労からくるというふうに考えられますと、技能実習生が長時間労働等の過重な労働についている可能性が高いと思うんです。

 そこでお尋ねいたします。受け入れ先で突然死するような長時間労働を強いられ、過労によって死亡するような点は、今現在はもうなくなっていると言えるのでしょうか、お答えください。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの手元にありますデータによりますと、直近の場合、平成二十四年、技能実習生十九人が死亡されております。うち、委員御指摘の脳・心臓疾患によるものの死亡というのが二人というふうに確認されております。

高橋(み)委員 十九人中二人というのはかなり多いと思いますけれども、ちょっと母集団が少ないので、皆さんは余りぴんとこないかと思います。ただ、同世代の日本人の脳とか心臓疾患死の割合は五%以下というふうに言われておりますので、やはりこの技能実習生という方が日本に来られて突然死をしてしまうという確率は、ちょっと高いのではないかと思っております。

 せっかく中国とかいろいろな国から日本でお金を稼ごう、技術を移転しようと思って来たのに、若いのに脳疾患や心臓の疾患でというか、突然死をしてしまうというのは、母国にいる人たちの印象も、日本でどんなことをされていたんだろうというふうに思うことにもなると思いますので、本当にこういうような突然死がないのか、あるならば、どうしてなのかということをきちんと調べていただきたいと思っております。

 今度は不正行為についてちょっとお尋ねしたいんですけれども、賃金や労働関係法規違反などが多くなされているということもやはり問題とされていると思います。

 法務省の入国管理局、「平成二十四年の「不正行為」について」を見ますと、二〇一二年に不正行為を通知した機関は百九十七機関であるとされております。では、これら不正行為は減少しているんでしょうか。政府としてどのような対策をとっているんでしょうか。

榊原政府参考人 お答えいたします。

 まず、不正行為の状況について申し上げますと、不正行為を通知した機関数につきましては、平成二十年に過去最も多い四百五十二機関となりましたが、平成二十一年の入管法改正により、現行制度が施行された平成二十二年には百六十三機関となり、平成二十年の約三分の一となりました。その後、平成二十三年は百八十四機関、平成二十四年は百九十七機関、平成二十五年につきましては、現在集計中でございますが、概数として約二百三十機関と再び増加傾向になっております。

 なお、不正行為の内容につきましては、各年とも賃金不払い等の労働関係法規違反が最も多くなっております。

 法務省といたしましては、このような現状を踏まえまして、関係機関と連携しながら不適正な受け入れを停止するとともに、不正行為を防止し、技能実習制度が適正に運用されるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(み)委員 なぜ二〇一三年になりまして二百三十とふえてしまっているとお考えなのでしょうか。

榊原政府参考人 その原因については細かく検討しているわけではございませんけれども、技能実習生の数自体が一時減っていたのが再び増加に転じたこともその背景にあるのではないかと考えております。

高橋(み)委員 今の御答弁はちょっとお答えになっていないんじゃないかと思います。せっかく法務省も総務省も、いろいろなところも連携して不正の行為がないようにやっているのにふえてしまう、これは今までよりも監査の目が厳しくなったからということもあるのかもしれない、それはいいことなのかもしれませんけれども、やはりこの数が多いというのは重大な問題だと思いますので、ぜひもっときちんとしていくようにしていただければと思っております。

 さて、不正行為に至らなくても技能実習生というのは技能を受け入れる予定の受け入れ機関を特定した上で在留資格が与えられておりますので、原則として職場の移転の自由がありません。とすると、技能実習生が受け入れ機関の処遇に不満を持ったとしても他の職場に転職すればいいということにはなりません。ですから、不正行為を告発するとかそういうことはすごく大変なことだと思いますので、やはりこの点はしっかりとちゃんと見守っていくべきだと思っております。

 さて、国土交通省がことしの一月に「建設産業の担い手の状況について」という資料を出しましたけれども、その中で、「建設産業の担い手の確保に向けては、就労環境の整備をはじめとする対策を講じていく必要があるが、外国人技能実習生等の活用促進も有効な対策の一つ。」というように明記しております。これによって、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの建設需要に対応する担い手を確保するという効果が期待されるともしております。

 現在、建設業では鉄筋工や型枠工などの労働者が不足しているというふうに言われておりますが、東日本大震災の復興事業や東京オリンピック開催を控えたインフラ整備のために外国人実習生を利用したいとはっきりと明言しているかと思われます。

 このように、最初に述べました、我が国の高度な技術を海外に持っていって発展途上国の国をよくしていくという精神からはかなり外れてしまっているということを政府も認めているというふうに私は思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 今の建設現場で労働力が足らない、そのことが東北の大震災の復興に影響があったり、あるいはオリンピックの準備が十分できない、こういう御指摘があることは私も承知しております。

 それで、ことしの一月二十四日に関係閣僚会議を開きまして、建設分野における外国人の方の活用について年度内をめどに、この三月末がめどでございますが、時限的な緊急措置の決定を目指すということが確認されまして、今各省庁の事務レベルで調整をしているところです。

 それで、その中で、今、高橋委員がおっしゃったように、技能実習制度で対応するという考え方が、そういう主張をされる向きもあったことは事実でございますが、技能実習制度の趣旨との関係で申しますと、今も御指摘がありましたけれども、いろいろな問題点がこれはあると言わざるを得ない。そこでどういう対応が適切なのか、建設分野での実情とかニーズが一体どこにあるのか、あるいは、それが我が国の産業とか治安とか労働市場へどういう影響を与えていくのか、そういうことを十分考慮して結論を出すということで、今実は詰めのところでございます。今おっしゃったように、技能実習制度で対応するというのは相当いろいろな問題があります。そこは十分に意識して、今詰めているところでございます。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 今、谷垣大臣が、十分そういう趣旨を踏まえてこれからも議論を、もうすぐ結論を出すというお話なんですけれども、今のお話では、ニーズとか治安とか労働市場についても検討していくというお話でしたのですけれども、それは本当に外国人の労働者を実際どうするかというような問題に次元が移ってしまっているようなお話にちょっと私には聞こえました。

 日本では、本来の目的を隠して別な制度をつくってそれに依存するというものがよくあるんじゃないかと私は思っております。そうしますと、どこかで破綻して、矛盾してしまって、制度がうまくいかないということがあると思うんですけれども、残念ながら、外国人の実習制度はその典型例じゃないかと私は思っております。

 本当に外国人の労働者が必要で、それによって日本がもっともっと富んでいくべきだ、復興もきちんとするべきだと考えるならば、やはり新しい法制度に移行していくべきではないか。そして、そこで外国人の方々の人権ということもきちんと図るような制度にぜひしていっていただきたいと私は思っております。またもうすぐ、三月の末に結論が出るということで、それを楽しみにしてまいります。

 次の質問に移りたいと思います。

 近年、特に問題とされています取り調べの可視化についてお尋ねいたします。

 取り調べの可視化につきましては、氷見事件や志布志事件がよく知られております。氷見事件では、取り調べ中に自白し、実刑判決を受けましたが、服役後、犯人があらわれ、無罪が確定した事件であります。そのほか、志布志事件では、鹿児島県の議会選挙で買収が問題になり、選挙運動で買収があったということで自白し、起訴された事件ですが、これも無罪判決がおりました。

 密室での取り調べというのは、自白が何としても強要される危険もありますし、強要していなくても、ただ長く取り調べを受けていると、もういいやということで虚偽の自白をしてしまうというふうなこともありますので、そのような場合、公判廷で、自白は本意ではなかったということになり、自白を翻すかのような事件がたまに起きております。そうであれば、きちんとした取り調べをしたんだという証拠として、本来ならば警察や検察側の立場としても可視化を進めていくべきだと思うんですが、これがなかなか進んでいないと私は考えております。

 現在、法制審の部会の審議中ということはもちろん存じ上げてはおりますけれども、弁護士資格をお持ちの谷垣大臣であれば、この件に関してはもともと持論がおありだと思っております。そこで、この取り調べの可視化につきましてどのように考えていらっしゃるのか、お教え願いたいと思います。

谷垣国務大臣 法務省といいますか検察も、この間、試行、試みですが、裁判員裁判事件を中心にかなり積極的に試みを行ってきたわけです。

 午前中の質疑でも御答弁申し上げたところですが、今、高橋委員がおっしゃったようなメリット、これは捜査、公判を担当する側としても、もちろんそれだけで言っているわけではありませんが、捜査、公判を担当する側としても大きなメリットがあるということもわかってまいりました。その反面、午前中の質疑の中でいろいろ浜地委員から御指摘がありましたように、例えば組織暴力と関係するような場合には、なかなか問題が生ずる場合も、これはそういう御指摘もあったことは事実でございます。

 いずれにせよ、バランスのとれた結論を出していかなきゃいけないんだろうと思います。今部会で十分議論をしていただいて、詰めていただけると期待しております。

高橋(み)委員 ありがとうございます。

 午前中の浜地議員の御質問にもありましたように、確かに、一〇〇%というのをやると、もしかしたら弊害が出るのかもしれないんですけれども、やはり一部の事件だけであったり取り調べの間の本当の一部分であったりしたりすると、それは、恣意的なことによって撮るところ撮らないところとかが出てしまう可能性もなきにしもあらずなので、原則可視化にして、その後で調整するというような制度にぜひしていただければと思っております。

 私は今、可視化のことをお話ししたんですけれども、実は、可視化よりももっともっと私が大事だと思っているのは、弁護人の立ち会い権をもっと認めるべきではないかというのが私の昔から思っていた信念でございます。

 可視化をしても、一人だけで心細い思いをしている被疑者とか被告人の立場を考えますと、やはり、自分の味方になってくれるような弁護人がそばにいてくれる、取り調べの最中にずっといてくれるというのは、被疑者や被告人の立場からしますとすごく大きなものだと私は思っております。

 しかしながら、現在、立ち会い権は認められておりません。この点、弁護人の立ち会い権を認めるというようにきちんと法律に明記するべきだと私は思っていますが、いかがでしょうか。それができない場合は、検察官の運用として、弁護人の立ち会い権をなるべく認めていくべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 この点は、委員と私、若干といいますか相当違うのかもしれませんが、考え方が違いまして、我が国の刑事司法手続で、被疑者の取り調べというのは、事案の真相を解明するために不可欠な手段であるということで制度設計がされているんだと思います。極めて重要な役割を果たしてきた。

 そこで、取り調べへの弁護人の立ち会いを、委員は、被疑者の権利として法律できちっと認めたらどうだと。そういうことになりますと、弁護人が立ち会うということによって、取り調べという供述収集手続のあり方は、相当というか極めて大きく変質すると思います。その機能が大幅に削られてしまうといいますか、減退してしまうことにならないかということが一つございます。

 それから、もう一つは、弁護人の立ち会いを法的な権利として認めれば、今度、立ち会いがない限り取り調べができないということになりますと、やはり身柄拘束期間というのは制限がありますから、迅速に十分な捜査をできるのかというような問題点も指摘されておりまして、私どもとしては、ここは相当慎重に考えないといけないなというふうに思っております。

 それから、もう一つおっしゃったのは、仮に法的に、そういう権利として法律に明らかに規定するということではないにしても、後段の御質問は、求めた場合には、それを認めるような運用というのはないかということだろうと思うんですね。

 それは、取り調べを行う検察官が具体的な状況を見て判断すべきものであると私は思いますが、しかし、現実としてそれを認めた例は私は聞いておりません。なかなかこれは難しいのかなと思っております。

高橋(み)委員 谷垣大臣と見解が大分違うということでかなり残念な思いをしたんですけれども、今お話を聞いていますと、谷垣法務大臣は、どちらかというと、悪い意味で、日本のよく言われている自白偏重の捜査というのをちょっと肯定していらっしゃるのかなというような実は印象をちょっと受けてしまいました。

 それで、取り調べの受忍義務も認める説にお立ちになるのかなというような印象もあったんですけれども、取り調べをして自白を得ることに頼るというのは冤罪を生むことにもなりますので、やはりその点はもっともっと、当然谷垣大臣も思っていらっしゃるとは思うんですけれども、そのあたりは慎重にされるべきではないかと私は思っております。

 本当に真実の追求というのは大事だとは思うんですけれども、やはり被疑者とか被告人の方々の人権というのもきちんと保護しないと、認めていかないと冤罪を生みますので、ぜひ取り調べに受忍義務があるんだという説には立たないでいただければなと私は思いました。失礼いたしました。

 ちょっと話題はかわるんですけれども、接見の内容を現在調書化している場合があるということを伺っております。接見の内容が捜査機関などに聞かれてしまって、それを話さなければいけないような状況に置かれるとしますと、被疑者や被告人は接見で真実を話さなくなってしまうんじゃないかというおそれもあります。接見交通権の意義というものを没却するのではないかというようなイメージもあるんですけれども、この点、現在、接見内容の調書化というのはどのくらい行われているのでしょうか。

林政府参考人 接見内容を供述調書に録取する、そのような事例について網羅的に把握しているものではございません。

 ただ、この考え方については、検察当局におきましても、刑事訴訟法三十九条第一項の接見交通権というものでございますが、これにつきましては、接見時の秘密を保障した重要な権利でありまして、被疑者と弁護人の接見交通の秘密というものは、弁護人による弁護を受ける権利の保障の基本をなすものであると考えておりまして、十分に尊重すべきであると考えております。

 したがいまして、こうした接見交通権の重要性を認識しつつ、また弁護人の役割というものも、任務を尊重して、それに十分に配慮した捜査に努めているものと考えております。

高橋(み)委員 把握はされていないということで、ちょっと残念な思いがありました。それで、接見交通だけを形式的に認めて、後で接見交通権をもしかしたら侵害するような可能性があるという事実について目をつぶるというのは、ちょっといかがなものであるかとは思いました。

 さて、現在、接見の面会室で弁護人の写真撮影や録音、パソコン、携帯電話の持ち込みなどを原則禁止していると伺っております。

 現在、膨大な資料はパソコンに入れて持ち運ぶのが便利ですし、会議なども、よくパソコンに直接打ち込む方も多くなっております。その他考えましても、例えば、依頼をしている人が警察に暴力を振るわれたからここにあざができてしまったというふうに訴えたとき、それを写真に撮る必要性もあるでしょうし、例えば、本当に重要な犯罪が起きた時間に私は別なところにいたんですよというふうに言ったときに、携帯電話で弁護士の方が電話をして、こう言っているけれども本当ですかというふうに話を聞いた方が接見の中でのやりとりがとても充実化すると思います。

 それなのに、今現在では、これら、写真、カメラの持ち込み、録音機器の持ち込み、パソコンや携帯電話の持ち込みが原則禁止されております。それを聞きますと、その理由は外部にいろいろな証拠隠滅を指示することを阻む、防止するためだということを伺ってはいるんですけれども、かなりそれは内容的には疑問というか、余り意味がないんじゃないかなというふうに感じております。

 それで、二〇一四年の一月二十五日の毎日新聞の記事によりますと、第二東京弁護士会の男性弁護士さんが、被告の足の静脈瘤を情状酌量にするため、接見時にカメラで撮影、公判で画像を映したところ、拘置所からは今後は撮影をしないと約束してほしいと求められ、拒んだところ、弁護士会に対して懲戒請求をされたという記事がございました。

 この被告の足の静脈瘤を情状酌量の資料にするために写真で撮ったということは、何が問題があるかというのは私には何にもちょっとわかりませんでした。これは真実の追求とか、そういう証拠の隠滅にも全く関係ありません。こういうことをするということは、弁護人、容疑者などの活発な討論を拒んでいるんじゃないかというような、ちょっとげすの勘ぐりのような感じもします。

 そこで、現在、これら、写真撮影を禁止し、録音機器の持ち込み、携帯の持ち込み、パソコンの持ち込み等ができないのはどうしてなのか、どのような運用がなされているのか、その理由をお尋ねいたします。

谷垣国務大臣 今、刑事施設で、接見交通権というのはきちっと法によって認められた権利でございます。そこで、一定の条件のもとで弁護人による録音機の使用やパソコンの使用については認めております。

 しかし、弁護人が面会室の中で携帯電話を用いて、未決拘禁者と弁護人との間以外の間で話をさせるとか、直接に話をさせるということとか、あるいは間接に、弁護士が介して、こう言っているけれどもどうだというようなやりとりは、未決拘禁者と弁護人の直接の意思疎通を保障するというのが接見交通権の意味ですから、それは認めておりません。それから、カメラで未決拘禁者の姿等を撮影するということも、これは認めていないわけです。要するに、接見交通権の保障の範囲でないというふうに私どもは考えて、ここは認めていないわけでございます。

高橋(み)委員 時代も変わりますので、いろいろな機械というものも、それほど恐れなくて利用できるようになるべきではないかと思っております。

 あと、接見室が整備されていない検察庁のところがあるので、接見室をもう少しふやしてほしいという要望を最後に申し上げたいと思ったんですけれども、ちょっと時間がありませんので、これで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

江崎委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 こんにちは。結いの党の椎名毅でございます。

 本日は、一般質疑、四十分時間をいただきましたことを感謝申し上げたいというふうに思います。

 まずもって、第一に、私、きょう喪章をつけているんですが、去る三月十五日に我が党の藤巻幸夫参議院議員が御逝去されたということで、日本をもっといい国にしていきたい、日本から世界に発信をしていきたいという強い熱い思いを持った議員であり、ビジネスマインドあふれる国会議員だったというふうに思っています。政治の世界に民間マインドを取り入れて改革をしていこうということを志向しているすばらしい議員だったと思いますが、志半ばで病に倒れてしまったことを本当に非常に悲しく思っております。彼の熱い思いと、日本をよくしていきたい、そういう思いを少しでも受け継いで、これから日本に少しでも貢献できるように私自身働き続けるという決意を新たにしたものでございます。

 さて、本題に入ります。

 きょうは、先日、経済財政諮問会議の二月の二十四日の「選択する未来」委員会というところで一つのシナリオが提示をされました。内閣府から「目指すべき日本の未来の姿について」という資料が出されて、それについての説明があったわけです。

 これを受けて、一部メディアで、政府も移民を二十万人受け入れるということについて検討を正式に始めたみたいな、先走り報道だと思いますが、そういった報道がなされて、人口減少というものについて問題意識を少し喚起するような報道なんかがあったかと思います。

 これに関連して、今後、日本の人口減を食いとめていく話の一つとして、大きく二つ取り上げさせていただきたいというふうに思っています。一つ目が、生まれてくる子供が種々の理由によって生まれることができない、または、生後または生後すぐに亡くなってしまうという状況を改善するために、社会的養護というテーマで一つ取り上げさせていただきたいという点が一点目。二点目が外国人の移民受け入れという点について伺いたいというふうに思っています。

 先ほど言及いたしました「選択する未来」委員会における提示された資料では、今後の日本について、人口シナリオやそれから経済成長シナリオといったシナリオを提示されているわけです。幾つかのあり得べきシナリオのもと、今後三十年、五十年、日本がどういうふうになっていくかということを見た上でこれからの政策を打っていく、そういう前提となる資料かなというふうに思っています。

 その中で、出生率と人口の話について言及がありましたけれども、仮に出生率が現状のままだとすると、二〇六〇年に人口が八千六百万人、さらにこの状況が続くと、人口が二一〇〇年には四千六百万人になってしまう、そういう話が書かれていたのと、それからあと、経済成長という意味でいうと、実質GDPの話、これについては、さまざまな前提条件のもとですけれども、経済の国際的な開放、それから女性登用、雇用制度が今と同じまま、さらには財政として消費税が一〇%のままという前提条件のもとで、数十年後に実質GDP三兆五千億ドル程度ということになるというような、そんな悲観的なシナリオが書かれていて、非常に困った事態だなというふうに思っています。

 だからこそ、人口をふやしていくということ、それから経済成長していくということが物すごく重要であるというふうに私自身は思っています。

 人口減少の中で、私自身、一つ社会的養護に注目しようと思った最大の要因は、妊娠中絶件数というものです。ちょっと今手元に正確な数字はないんですけれども、年間大体二十万件程度、人工妊娠中絶件数があるという話です。もちろん、中絶をされるにはそれなりに理由がある方も大勢いらっしゃるので、一概にこれが全て生まれてこなければならなかったことということではないかと思います。しかし、その中には、若年で育てられないから中絶をするとか、生活環境が悪いからとか、そういった理由で、あとは不倫の子だからという理由で中絶をしてしまうというようなことがあったりするわけですけれども、子供はやはり国の宝だということで、社会的養護を考えていかなければならないというふうに思っています。

 きょう、厚生労働省の参考人の方にもいらっしゃっていただきまして、ちょっと社会的養護についていろいろ議論をさせていただきたいと思っております。

 社会的養護というのは、一般的に定義をすると、保護者のいない児童、保護者に監護させることが適当でない児童について、公的責任で社会的に養育をし、保護することというふうに定義をできるのかなというふうに思いますけれども、この社会的養護の中でも、里親委託というものを典型的な例とする家庭環境での養育、家庭的養育と、児童養護施設それから乳児院といった、そういったところで育てる施設内養護、大きくこの二つの方向性があるというふうに思っています。

 これは国際比較したものがあるんですけれども、諸外国における里親等委託率の状況というのを見ると、日本が圧倒的に少なく見えますね。イギリスだと里親委託というものを選択するのが七一・七、オーストラリアだと九三・五、アメリカだと七七・〇、香港だと七九・八といった感じで、諸外国だと結構、里親委託と施設内養護という意味でいうと、里親委託、家庭的な環境によって子供を社会的に養護していくという発想が多いというふうに思っています。その中で、日本は一二%というふうに書いています。平成二十四年末の新しいデータだと、里親等委託率というのは一四・八%ということで、やはり少ないのではないかなというふうに思っております。

 そういった観点から、この里親委託というところについて、より重要度を上げて考えていくべきではないかなというふうに思っているんですけれども、しかし、日本の現行の制度において少し軽く扱われているような気がしますが、厚生労働省の御所見をいただければというふうに思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からも御指摘ございましたように、里親制度は、保護者のない子供、虐待を受けた子供が家庭的な環境できめ細かなケアを受けることができる、こういうことでございまして、厚生労働省としても、これは積極的に進めたいと思っております。

 平成二十三年七月に、「社会的養護の課題と将来像」というものを示しましたけれども、その中で、今後里親などへの委託率を全体の中で三分の一に引き上げていくということを示して、目標としているところでございます。

 具体的な施策といたしましては、まず、引き受けていただける里親さんを開拓しなければいけない。そして支援をする。里親さんはいろいろ御負担がありますので、決して孤立化することがないようにしていくというのが有効な施策だろうと思っております。そのために、従来から、里親制度の普及促進、それから地域の里親会によります相互交流の取り組み、こういったものへの支援を行っております。

 それから、児童養護施設は専門家の集まりでございますので、ここで、里親の支援を専門的に行うような相談員の配置、これを開始いたしております。

 それから、御案内のように、二十七年四月からは子ども・子育ての新制度がスタートいたします。都道府県が事業計画をつくりますけれども、その中では、里親への委託率の目標を定めていただいて、事業計画にきちんと位置づけていただく、こういうことも考えてございます。

 あわせまして、消費税の財源が子ども・子育てに充たりますけれども、その中で、先ほど申しました里親支援の担当職員、これを段階的に全施設に配置していけるように、そういった財源の配分もしたいというふうに現在取り組みを進めているところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 非常に心強い部分はあるんですけれども、それでもやはりまだ目標が三分の一ということで、全体の三三%ということなんだと思います。しかし、先ほどちょっと指摘しましたけれども、国際的に見ると、三分の一というのも、ほかの国、ほかの先進諸国を見ると、そこまで多いわけではなさそうだなというふうに思うわけでございます。施設の中で養護していくというのがどうしても原則化しているように思いますけれども、先ほど参考人の方もおっしゃっていただきましたけれども、子供である以上、家庭的な環境で育つということがやはり一番望ましいわけですね。

 私自身も、地元、川崎市内の愛児園と呼ばれる児童養護施設なんかも定期的に訪問させていただいて、実際どういう環境にあるのかみたいな話も見たり聞いたりしているわけですけれども、やはり、こういった環境にいるよりも、いわゆる里親という形で家庭的な環境で過ごしていくということの方が、教育という意味でも、それから福祉という意味でも、より効果が発するのではないかというふうに私自身も常に感じさせていただいております。

 しかし、全体の三分の一をとりあえずの目標とするということであるということは、逆に言うと、三分の二は施設で、専門家のもとで育てていくということが原則になっているのかなというふうに思います。

 さまざまなケースが考えられますけれども、施設において児童を養護していくという基本的なスタンスの背景にある考え方というか、それはどういう理由に基づいているのかというところについて教えていただければというふうに思います。

鈴木政府参考人 今実態として確かに施設にウエートが置かれてございますけれども、これは、そういった方針で取り組んでいるといいますよりは、なかなか里親になっていただき手がいないということが一番大きいと思っております。

 ちなみに、二歳未満の新生児等が新たに児童相談所からいろいろな理由で里親に措置をされる、あるいは施設に措置をされるということでございますけれども、その比率で申しましても、里親には一五%しか行っていない、残りは乳児院ということでございます。

 これはやはり里親の認知度がまだまだ日本の社会は低いということ、それから、それを背景としまして、なかなか新規に引き受けていただける里親さんが出てこないということ、それからもう一つは、実際に出てまいりましても、里親さんの希望する条件と子供側の条件が必ずしも合致しないといったような、さまざまな原因があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、先生御指摘のように、家庭的環境という意味でこれは好ましい制度でございますので、いろいろと努力をしてまいりたいと思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 里親というシステムというか、里親委託という制度そのものの認知度という意味でいうと、福岡市なんかの取り組みで、要するに、民間の方々を使って宣伝して、こういう制度がありますということで普及活動をしていくということで里親委託率が上がったという例もあるやには聞いておりますので、そういった努力を続けていただくということなのかなというふうには思います。

 先ほどおっしゃっていた、子供側のニーズと、親側というか、里親になりたい方々のニーズとがマッチングしないという話でした。後で触れようかと思っていましたが、いわゆる愛知方式というものを進めている方の一人で、矢満田さんという方に一度お会いをしたことがあるんです。その方がおっしゃっていたところによると、要は、親側というか、愛知方式については、正確に言うと里親ではなくて養子なんですけれども、養子を受け入れようとする人たちが、子供に対して選択権を持たないという覚悟を持つことが重要だというふうにおっしゃっていたんですね。

 自分で子供を産む、自分の子供が生まれるときに、子供が障害児だろうが、知的障害を持っているか、それとも男か女かというところについては基本的に選択ができないはずだということをおっしゃっていて、それと同じように、養親になるというのはそれだけの覚悟が必要であるということもおっしゃっていて、非常にハードルが高いなと思いながらも、それはそれで必要なことだったりもするなと思って、いろいろ悩ましいところではあるというふうに思っています。

 なので、必ずしも状況がマッチングしないからといって里親委託というものが成立しないわけではなくて、違った考え方に基づいてやっていらっしゃる方もいるということは、ああ、そうなのかなというふうに思っています。

 先ほど、今後、厚生労働省の方でもより里親委託を進めていきたいというふうにおっしゃっておりましたけれども、改善点というか、要するに、施設内養護というところと里親委託というところでいうと、里親委託をすることによって施設内養護の何を改善していかなきゃいけないのかという課題なんですけれども、どういった課題があって、実務上、今現在問題となっている課題というのを解決していきたいというふうにお考えでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 里親は里親として推進をしていく。それから、やはり養護施設の側にも相当程度預かっていただかなければいけないお子さんがいらっしゃいます。養護施設の方では、できるだけこれもまた家庭的環境で子供に育ってもらうということから、いろいろな小規模化を進めたいと思っております。

 大きな部屋でみんながいわゆる雑魚寝をするというのではなくて、なるべく小さな部屋あるいはグループホームの形式で、できれば家庭的な環境に即したような形で、施設であってもそういったような、例えば改修も含めて国が支援することによって家庭的な育ちをやっていただける、この環境整備を進めたいというふうに思っているところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 仮に三分の一まで里親委託というのが進んだとしても、残りの三分の二はおっしゃるとおり施設の中で行われるわけですから、施設の中の改善というのも必要ですけれども、施設の中で、施設養護という意味でいうと、最大の問題は、家庭的環境というもの、疑似家庭をつくるわけですけれども、どんなに小規模化して家庭のような環境をつくったとしても、やはり面倒を見る方は職員なんですね。お仕事である以上、お休みも必要ですし、自分の家庭も必要なので、当然、御自宅に帰るわけですよね。御自宅に帰って家庭生活を送るということで、ここが一番難しい問題なのではないかなというふうに思っています。

 そういう意味でいうと、入れかわり立ちかわりで面倒を見なければならないという疑似家庭の限界というのがあると私自身は思っています。そういった観点からも、やはり里親という形により移行していくということが重要ではなかろうかというふうに私自身は思っています。

 次に行きます。

 里親というものも、厳密に言うと、幾つか里親にも内容がありまして、里親というのは、養育里親とか専門里親とか養子縁組里親、親族里親とか、幾つか類型があるわけですけれども、里親によって受けられる中の養子になる人というのは実は非常に限定的な数です。

 ちなみに、社会的養護を必要とする対象児童が大体四万六千人ぐらいなんですけれども、現在里親に委託されている児童数が四千五百七十八人ということで、そのうちのさらに養子縁組という意味でいうと二百十三人ということで、非常に少ないというふうに思っていますが、家庭的な環境にいられない、保護者のいない児童や保護者に監護させることが適当でない、こういった要保護児童について養子縁組を進めていくということも一つ考えていかなければならないかというふうに思います。

 養子縁組を進めるに当たって、こういった児童相談所等を通じた社会的養護の措置としての里親委託の一部としての養子縁組と、それ以外に、民間企業というか民間のNPOなんかを通じて行われる養子縁組あっせんというものが存在しているかと思います。特に、養子という意味でいうと、特別養子と普通養子があるわけですけれども、特に乳児の段階で養子縁組あっせんをするという意味でいうと、特別養子縁組あっせんを進めるということはより望ましいのではないかというふうに私自身は思っています。

 具体的には、新生児として生まれたお子さんのうち児童虐待で死んでしまうお子さん、特に、そのうちのゼロ歳、ゼロカ月、一日というところで亡くなってしまうお子さんたちというのが結構な数いるわけでございます。こういった非常に短期間で虐待死してしまう児童というのは、要は、親が面倒を見切れないから、生まれた直後に嬰児殺という形で殺してしまう、そういう例が大半だというふうに思います。

 これがまさに、一番最初に私自身が申し上げた、経済的理由だったり不倫だったりみたいな理由で育てることができないようなお子さんであっても、気づいたときには既に妊娠中絶をできなかったような方々、そういうお子さんについて、こういった事例があるんだというふうに思っています。

 それに加えて、生まれる前に、育てることができないという理由で中絶をしている事例というのもやはり多いわけでございまして、こういった児童虐待だったり妊娠中絶だったりみたいな件数を、新生児における特別養子縁組あっせんをやることによって救済していって減らしていくということができるんじゃないかというふうに私自身は思っていますけれども、これを進めていくということについて御所見というものをいただければというふうに思います。

鈴木政府参考人 確かに、乳児の虐待による死亡事例を見てみますと、これはやはり望まない妊娠によるものではないかと思われる事例が多い。その中で、特に、関係機関が関与する機会がなかったり、あるいは、そういう機会が極めて少ない、それによって虐待、死亡につながっているというような事例が多うございます。したがいまして、まずは、妊娠について相談しやすい体制でございますとか、あるいは、相談窓口で支援が必要な方を見逃さない体制、これをきちんとつくっていくということが重要であると思っております。

 その上で、先生御指摘の養子縁組でございますけれども、特別養子縁組あっせんにつきましても、養子縁組のあっせんをすると同時に、それを捉えまして、例えば経済面あるいは育児面、いろいろな悩み、不安を抱えている方がいらっしゃいますので、それに対するさまざまな公的な支援とか、あるいはいろいろな社会的養護の制度、こういったものをあわせて御紹介しながらあっせんを行う。こういうことによって、まさにこういった虐待死のようなものを防ぐ効果があるのではないかというふうに我々も思っているところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、窓口業務というか相談業務というか、そういったものが重要であるというのは、それは本当にそうかなというふうに思っております。

 昨今、養子縁組あっせん業者という方々が多額の報酬に似たような金銭を受領しているんじゃないかとか、こういった事例を捉えて、子供に命の値段をつけているんじゃないかみたいな、そういう倫理的な理由で批判をしている事案というのが結構あるように私自身は思っていますが、今おっしゃっていただいたように、適切に相談業務というかコンサルティング業務みたいなものを望まない妊娠をした方々に持っていき、かつ、養子縁組あっせんなりをして、子供を救ってあげた上で、その子供に将来、幸せな人生を送っていただく道筋をつけてあげるという意味でいうと、非常に役に立つものだというふうに思います。

 それを、ともするとヒステリックな批判みたいなこともあったりはしますけれども、そういった倫理的な理由だけで批判をし、たたいて、かえってそれを阻害していくような、さらに言うと、団体の中で活動することが難しくなるような状況をつくっていくことはかえって望ましくないんじゃないかというふうに私自身は思っています。

 そういった意味で、今現在、第二種社会福祉事業者として、登録事業者としてやっているんだというふうに思いますけれども、こういった事業者について、改めて何かしらの規制をし、何かしらの規制をしというのは厳しくするという意味ではないんですけれども、規制をし、ルール化をすることによって、かえって透明性を高め、役に立つ部分だけをうまく取り出せるような形でルールづくりをしていくということが必要ではなかろうかなというふうに思っています。

 さらには、将来的に、今の政府の目標でいうと、里親ないし、里親というか家族的養護というものを少なくとも三分の一ぐらいまでは持っていきたいという話ですから、そういう意味でいうと、逆に言うと、施設に対する国の投資というのは将来的に減っていっても構わないはずのものなので、お金のつけかえと公的支援という意味でいうと、あっせん業者に支援をするだったり、養子としてもらう養親に支援をするとか、さまざまなやり方があるのではないかというふうに思いますけれども、厚生労働省の御所見をいただければというふうに思います。

鈴木政府参考人 民間の養子縁組のあっせん事業者でございますけれども、先生御指摘のとおり、私どもも、事業運営の透明化、適正化を図ることというのは一つの課題だと思っております。

 それに合わせまして、こういったあっせん事業者が実際に児童や実親、養い親にいろいろな支援をしておりますので、その支援の質の向上を図ること、この二つが課題かなというふうに思っております。

 現在、事業者に対する指導に係る通知の見直しを検討中でございまして、その中では、一点目といたしまして、事業運営の透明性を確保していかなければならない。そのために、例えば外形的に営利目的が疑われるような事業運営を禁止することや、養い親の希望者から金品を徴収するといった場合のルールの明確化を図っていかなければならないと思っております。

 それから二点目といたしまして、先ほどの質の向上という意味で申しますと、支援の適切性を担保するという観点から、やはり実親に対する養子縁組の同意を強制するといったようなことは禁止しなければならないと思っておりますし、それから、あっせん事業を廃止した後に、文書を的確に残して引き継いでいきませんと、どのお子さんがどういうふうな形で養子縁組でその行く末を別の御家庭に任せることになったか、このあたりがわからなくなってしまいますので、そういったものの適正化、こういったものも図ってまいらなければならないと思っております。

 その上で、こういった養子縁組のあっせん事業者にどういうような公的な支援をしていくかということは、このあたりルールの透明化、整理をした上で、また検討してまいりたいというふうに思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 お金づけの話という、支援の話というのは、確かに、まだ現状、ルールがない中で手探りでやっているというので、恐らくそれは大分遠い先の課題になるだろうというのはおっしゃるとおりですけれども。

 まず、今現状、私自身の感覚的な話で恐縮ですけれども、児童養護施設の面倒を見るところというのは、基本的に都道府県か政令市なわけですね。そうである以上、そこにお任せをするということで、なかなか厚生労働省が踏み込んでいないんじゃないかなという感覚をちょっと持ち合わせていて、だからこそ、私自身は、立法によって質の向上と透明性を高めるというところについて、ぜひともルール化をした方がいいということを申し述べさせていただいているわけです。

 第二種社会福祉事業者である以上、一応、営利目的で行うことというのは法的には禁止されているわけですけれども、先ほどおっしゃっていたように、事実上金品をもらっているわけですね。手数料という名前だったり、寄附金という名前だったり、さまざまな形でお金はもらっているわけですね。

 それが百万とか二百万とかになると、その子供の値段は二百万なのかみたいな、それは高過ぎるんじゃないかみたいな、どうしてもそういう話になってしまう。しかし他方で、団体の中で、それを仕事として従事をしている方々がいるので、そういった人たちの運営費だったり、経費だったり、人件費だったりは当然賄わなきゃいけないわけですので、やはりそういう意味で、一定程度規制のかかった業種として明確に法律に定めていくことが私は望ましいというふうに思います。

 先ほど厚生労働省の参考人の方におっしゃっていただいたような、方向性という意味では、私自身はすばらしい方向性だなというふうに思っておりますので、ぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。

 済みません。法務委員会なのに、厚生労働省とばかりお話ししていましたけれども、次に大臣にお話を伺いたいと思います。

 今まで話をしてきたのは、全て養子というシステムそのものに対する入り口のお話でございます。特別養子縁組というのは昭和六十二年に導入されたということであり、そのさらに前提となる、問題提起をされた菊田医師という医師が行った事件により問題が喚起されてつくられたものです。

 特別養子縁組になると、結局、実親との関係が切れます。養親との関係が直接の親子関係になりますということだったというふうに思っています。それは事実としてそうなんだと思うんですけれども、しかし、現実、例えば戸籍を見てみると、特別養子縁組の戸籍というのは、記録には一定程度残って、見えるようになっているわけですね。

 明確なルールというか、順で言うと、一応、戸籍法の二十条の三というところで、一番最初に、実親のところから子供さんが独立して単独戸籍をつくり、その後、戸籍法の十八条三項というところに基づいて養親の戸籍の中に入るという手続、こういう手続が入る。何か二段の手続になるようです。

 その結果として、一応、でき上がった特別養子縁組の戸籍の中では、実親の名前は見えないけれども、特別養子縁組であることまでは一定程度明確化されている。具体的には何かというと、民法八百十七条の二による裁判確定日と書いてあって、要するに、特別養子縁組は裁判によって確定して決めなければならないことなので、こういったことで、さらには、届け出日、届け出人、そして従前の戸籍といったものが記録に残るわけですね。記録に残るというか、戸籍謄本をとると表に見えるわけです。

 そこで、法務省に伺いたいんですが、今の日本の社会で、養子という属性にいる方々が、やい、おまえはもらわれ子だとか、橋の下で捨てられてきた子だといっていじめられるという事例がやはりないわけではないんだろうというふうに思っています。そういった意味で、戸籍謄本の表に、養子であることが、特に特別養子という意味ですけれども、特別養子縁組について、その特別養子であることが明確化される必要性まではないんじゃないかなというふうに思うんです。

 これを、例えば、戸籍の付票とかに落として、一見見えないようにしつつ、記録にはとどめておくという対応ができないのかというふうに私自身は思うんですけれども、ぜひ法務省の御見解をいただければというふうに思います。

深山政府参考人 今委員が御説明になったとおり、戸籍の取り扱いは、特別養子縁組の審判が確定しますと、まず新戸籍がつくられ、その新戸籍から養親の戸籍の中に養子が入ります。そのときの身分事項欄の書き方も、民法八百十七条の二という項目を設けて、八百十七条の二による裁判確定日という日が書かれ、新戸籍が従前戸籍であるということも書かれる。

 これは、この記載によって確かに特別養子縁組の成立を公証しております。養子はもとの戸籍をたどれるようになっているわけです。ただ、この書き方は、養子が未成熟な間、子供の間は、仮にこれを目にしても容易に特別養子縁組があったということがわからないように、わざわざ民法の条文だけを掲げるというふうにして記載に配慮しているものでございます。

 議員の御指摘は、さらにこれをもう一歩進めて、見られないように、戸籍を見てもわからないようにしたらどうかということなんですが、ただ、これを戸籍の記載そのものから除いちゃったり、あるいは特殊な記載方法にして当事者からもわからないようにするというような措置をとることにつきましては、まず、そもそも論として、戸籍の記載というのは、真正な身分変動は登録、公証するという、そもそもの戸籍の本質的な機能との関係で記載事項から削ってしまうというわけにはいかないということがあります。

 また、特別養子の実方の親族との間で近親婚が生ずるおそれがある。実際には妹、血縁上の妹かもしれないというようなことがあり得ます。そういうときに、特別養子の御本人がそういう疑いを持ったときに調べようと思っても、その記載がないとか見られないということになると調べようがないという問題もございます。

 さらに、これは特殊な場合なんですが、非本籍地の市区町村に婚姻届が提出された場合に、近親婚か否かの審査を今していますけれども、それが非本籍地なものですからわからない、役所の側もわからないということで、婚姻要件を満たさない婚姻届を受理してしまうおそれも例外的にはあり得ると思います。

 今申し上げたさまざまなことを考えると、こういった制度の見直しはなかなか難しいというのが実情でございます。

椎名委員 いや、おっしゃっていることの意味は理解はします。近親婚を禁止するというような目的が大事である、さらに言うと、特別養子縁組になる直前に、例えば実親との関係で相続関係が起きる可能性というのも恐らくゼロではないので、そういったことを考えると、本当に記録をトレースできることというのが物すごく重要であるというのは、そこはもう完全に同意はします。

 しかし、やはり、今局長が、子供が幼いころはわからないようには配慮されているとおっしゃっていますけれども、今の時代、グーグルで検索するとわかるわけですよ。民法八百十七条の二と検索すると、それが特別養子縁組であるというのは、普通にグーグルで検索すると一秒もかからず出てきちゃうわけですね。それは今の時代にはなかなか合わないというのが正直なところでして、私自身は、ぜひ、総務省と御協力の上、付票に落とすということも検討していただきたいなというふうに思っています。

 付票というのは、実は住民基本台帳法に基づくものでして、戸籍であるにもかかわらず住民基本台帳法に基づくものなので、所管は総務省なんですけれども、ぜひ法務省と総務省で協議をして何か御検討いただきたいなというのが、私自身の希望として、ちょっと申し述べておきます。

 本当は外国人の話をしようと思っていたんですけれども、済みません、大臣、一番最後になってしまって恐縮ですけれども。

 今るる申し上げてきた中で、やはり特別養子縁組を進めていくということはそれなりに意義があるというふうに私自身は思っていますけれども、そういった中で、制度という意味で、少し難しいというか、なかなか難しいところがやはりあるわけですね。

 特別養子縁組については、原則として、実親の父母の同意が必要であるとか、父母による養子となる者の監護が著しく困難であるとか、その他特別の事情があるとか、それから年齢制限として養子になる子は六歳未満とか、いろいろあるわけですね。

 でも、例えば、いわゆる赤ちゃんポストみたいなところに置かれている子とかについては、やはり両親不明みたいなこともあるわけですね。要保護事例であることは間違いないので、そういった子たちを救ってあげるという意味でも、なかなか難しいとは思いますけれども、こういったものに例外を設けて、養子縁組、特別養子縁組も進めていくということもできないかなというふうに思うんですけれども、今までの議論を聞いた上での所感を含めて、大臣の御所見をいただけると大変幸いでございます。

谷垣国務大臣 やはり過去の事例から見まして、特別養子縁組を活用しなきゃならない場合というのはあるんだと思うんです。

 ただ、委員がおっしゃったように、これは子供の利益のために、養子縁組成立の日から実親との関係は一応切ってしまうということですから、そういう前提のもとに幾つか要件があるわけですね。それは、さっきおっしゃったように、養子となる者の年齢が原則として六歳未満である、それから原則として父母の同意があること、子の利益のために特に必要があることといった要件を一応要求している。

 しかし、例外も設けられております。赤ちゃんポストのような場合だと、父母は明らかに意思を表示することができないような場合ですから、その場合には子の父母の同意は不必要である。それから、子の利益のための特別な必要性の要件を判断する場合にも両親が知れないという事情は当然考慮されることになりますので、私も、隅々まで考えたわけではありませんが、かなりの部分がそういう例外によってカバーできるんじゃないかというふうに思っております。

椎名委員 どうもありがとうございます。

 実務的な運用という面の話だというふうにおっしゃっていただきました。

 条文を読めば、実務的な運用というところでできなくはないのかなというふうには思うんですけれども、他方で、現実に、特別養子縁組というのが実は年間三百件とかそのぐらいなわけですね。決して多くはないわけでして、その制度自体の認知度が低いということもそうなのかもしれないんですけれども、やはり、こういった実務に携わっている人たちを含めて、使い勝手が悪いというふうに思っているからというところも考えられるのかなというふうに思っています。

 そういった意味で、今現状のものでも大丈夫ということよりかは、新しく一つ特例法みたいなものを設けると、打ち出し方としてはよりきれいに見えてくる部分もあるかと思いますので、そういったことも今後検討していったらいいのかなというふうに思っています。

 時間が来ましたので、外国人労働者の話と移民の話がちょっとできませんでしたけれども、結構重要な問題だと思っていますので、この養子縁組の問題についても、私自身、引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。本日はどうもありがとうございます。

江崎委員長 次に、鈴木貴子さん。

鈴木(貴)委員 本日もこうして質問の時間をいただきましたことを委員長初め理事の皆さんに感謝、御礼申し上げます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 今回も、前回同様、いわゆる証人テストについてお尋ねをさせていただきます。

 先月、二月の二十一日に、当委員会におきまして、民主党の階委員から、証人テストが適正に行われていないのではないかという指摘に対しまして、林刑事局長が、「御指摘のように、検察官がその証人に対して、この尋問事項メモどおりの内容を証言するよう求めることはないものと承知しております。」と答弁されておりますが、林局長、お変わりはありませんでしょうか。

林政府参考人 証人テストを行いまして、尋問事項メモというものについて、そのものを、本人の記憶にないことを実際の証人尋問において証言させるというようなことはないものと承知しております。

鈴木(貴)委員 変わりはないというような答弁だったと思います。

 また、改めて、重ねてになってはしまうんですけれども、その次の答弁でも、局長は、「検察当局においては、証人が体験した事実、記憶状況、表現能力等について十分確認するなどして、適切に証人尋問の準備を行っているものと承知します。」と答弁されておりますが、これについても同様かどうか、端的にお答えを願います。

林政府参考人 もとより、その証人尋問、証人については、その証人が記憶しているところを証言していただく、これが手続の根本でございます。したがいまして、それを本人の記憶に反するような形で証言を誘導したり、証言をさせることについてはないものと承知しております。

鈴木(貴)委員 重ねてになりますが、承知をしているで間違いありませんね、林刑事局長。

林政府参考人 基本的に、検察当局において、証人尋問においては、その証人の記憶に沿った証言をしていただく、こういうことについて、それに向けて証人テストを行っているものと承知しております。

鈴木(貴)委員 よくわかりました。

 ただ、ここで非常に私は矛盾点を感じるんです。

 私が、では証人テストが真にその趣旨にのっとった形で適正に行われているか否かは過去の事例も含め検証する考えはありますかと、質問主意書で答弁を求めさせていただきました。その答弁は、「御指摘のような検証をする必要はないものと考えている。」といったものでありました。また、二月二十一日、同じその法務委員会での質問なんですけれども、「そういう事案について網羅的に把握しているわけではございません。」というふうに答弁をされております。

 検証もされていない、検証もしません、する必要もない、網羅的に把握もされていないのに、なぜ適切に準備を行っているものと承知をすることができるのでしょうか。

林政府参考人 証人テストというもの、証人尋問の準備でございますが、結局のところ、実際の公判における証人尋問に対しての準備でございます。

 したがいまして、仮に不当な証人テストが実施されることによって結局その証言の信用性に問題があると疑われる場合には、その当該公判における証人尋問において、その経緯等が吟味されるものと承知しておりまして、その観点から、御指摘のような調査というものを実施することは考えていないということでございます。

鈴木(貴)委員 証人テストにおきまして再質問の、いわゆる九番の答弁と全く同じものを今局長にお答えいただきまして、私もよくよく承知をしておるところであります。

 ですが、局長、私の質問は、もし万が一その疑いに資するものがあったときに反対尋問でカバーができる、そういうことを問うているんじゃないんです。そもそも論として、この証人テストで本来あるべき証人テストの手続が行われているのか否かというところを私は問題視を、たださせていただいているわけであります。

 ですから、もう一度お尋ねをさせていただきます。

 前回の二月二十一日のときにもさまざまな報道の例も挙げさせていただきましたが、この尋問事項メモどおりの内容を証言する、証言を求めていることはないものと承知をされていらっしゃるんでしょうか。

林政府参考人 基本的に、検察当局におきましては、その証人尋問を円滑に行うために、刑事訴訟法の規定に基づきまして、証人が体験した事実、記憶状況、表現能力等について十分確認するなどして、適切に証人尋問の準備を行っているものと承知しております。

 したがいまして、証人の記憶に反するような証言をあえて証人テストを通じて証言させているようなことはないものと承知しております。

鈴木(貴)委員 そういったことが慣行として起こっているかは網羅的に把握しているわけではございませんと、同時に局長はお答えになっていらっしゃるわけです。検証もされていない、しないということも、閣議決定の質問主意書の答弁でもお答えになられているわけであります。

 もう一度、繰り返しになりますが、検証もされていない、検証もしていかない、検証さえも、見直しさえもされていない中で、なぜ手続にのっとった証人テストが行われていると局長は断定をできるのでしょうか。

林政府参考人 証人テスト、証人尋問の準備というものはさまざまな形態があると考えておりますけれども、いずれにしましても、その結果証人尋問が結局適切に行われたかどうかということについては、仮にそういった不当な証人テストが実施されることで証言内容の信用性に問題があると疑われる場合には、当該公判で証人テストについてその経緯等が吟味されるということになるものと承知しておりますので、調査を実施するということは必要ないと考えております。

鈴木(貴)委員 吟味される、つまり、起こった後の、私は後論を話しているのではなくて、証人テストで、しかるべき手続にのっとった証人テストは、もちろん私も認めているところであります。しかし、前回も申し述べさせていただきましたが、さまざまなメディア、報道などにおいて、行き過ぎた証人テストが行われているのではないかという種々指摘がなされているわけであります。

 こういった報道など、また外部からの指摘を受けて、林刑事局長に改めてお尋ねをさせていただきます。この証人テスト、行き過ぎた証人テストというものは行われていないと断言をできるのでしょうか。

林政府参考人 行き過ぎた証人テストという意味においては、本人の、証人の記憶に反するあるいは記憶に一切ないような証言を求めるというようなこと、このようなことについては、基本的に検察当局においては行っていないものと承知しております。

 他方で、証人テストの実施方法というものについては、すぐれて実務的な立証活動の一つでございます。そういったことについては、そもそも、証人尋問の準備である証人テストのやり方が特定の事項を証言するよう証人を誘導しているのではないかというような疑念を持たれてはいけないというのはそのとおりでございまして、その観点におきましては、検察当局においても、日々の立証活動のあり方というものは、研修であるとか種々の会合で検討しておるところでございます。

 そういった中では、証人テストというものがそういった証人を、記憶に反しての証言を誘導しているかのような疑念を持たれないように、そのような証人テストを心がけるように日々研修等をしているところでございます。

鈴木(貴)委員 今回も資料で出させていただきました。東京新聞見開きで出させていただきましたが、「ストーリーあり、指示受け偽証も」などといった非常に過激な、目を疑ってしまうような見出しが並んでおるわけであります。この東京新聞の一例だけではなく、もう本当に、さまざまなメディア、また書籍で、証人テストがそれこそ冤罪を引き起こすのではないかといった可能性、その指摘がなされているわけであります。

 こうした外部からの指摘を受けて、それこそ検察改革という言葉も出てきた今におきまして、検察の方で証人テストを全体的に見直しといったことは全くもって考えておられないのでしょうか。

林政府参考人 証人テスト、まさしく証人尋問の準備といったことで行われるとなりますと、結局のところ、その証人尋問における証言が、信用性が争われる場合があります。そのことで、証人テストのあり方が原因してその信用性が揺らぐということになれば、それは検察の立証活動自体の問題点になります。

 そういったことから、今回、さまざま、証人テストのあり方について疑問が呈せられているということでございますが、そういったことを受けまして、検察当局としては、日ごろの検察の立証活動のあり方というものについては、先ほど申し上げたように、研修等において、そのような特定の証人の記憶に反するような証言を誘導するような、そのような疑いを持たれないような立証活動、ひいてはそのための証人テストのあり方というものを研修したり、あるいは会合等で議論しているところでございます。

鈴木(貴)委員 今、刑事局長のお言葉の中に、日々努力しているんだといった趣旨のお話だったかと思います。

 疑われることがないようにというもとで日々研さんを積んでいらっしゃる、尽力されているということですが、裏を返せば、疑われるような何かがあったという指摘をされ、またそれを認めていらっしゃるということでしょうか。

林政府参考人 実際に、さまざまこの間も指摘されているということは承知しておるわけでございますが、一方で、もとよりその検察当局の立証活動のあり方というのは、結局のところ、公判において、さまざま、それが、よしあし、その証言の信用性が吟味されるということになれば、当然、それに向けての準備という観点では、疑いを持たれたり疑念を持たれてしまったならばその立証活動自体が失敗するわけでございますので、そういった観点からも、これまでも検察当局においては、こういった証人尋問の実際のやり方、あるいはそれに向けての準備としての証人テストのあり方については、研修等で対象にしているということでございます。

鈴木(貴)委員 局長も、さまざま指摘は受けているということも今お認めいただいたかなと思います。

 確かに、ことしの一月五日の朝日新聞でも、「検察、裁判証言を指示か」「密室で「予行練習」」「他の地検でも相次ぐ」、また二面においては、「検事、筋書きを畳みかけた二分間」「調書通り証言なら求刑減示唆」。また二月十二日の朝日新聞三十九面には、「「誘導尋問の恐れ」法曹関係者」と。そしてまた、きょうお配りしたものであれば、「ストーリーあり、指示受け偽証も」と。さまざまに指摘がなされているわけであります。

 林局長は、そもそも「検察の理念」をつくられたのが林刑事局長だとお伺いをいたしました。そういった職業倫理の重要性というものにおいては、もう重々御承知の林局長であると私も思っております。ぜひとも真摯かつ前向きな答弁をいただきたいなと思うところなんですが、このさまざまメディアで出てきている、そしてまた林局長が策定にも携わられた理念には、「常に内省しつつ行動する、謙虚な姿勢を保つべきである。」また、「不断の工夫を重ねるとともに、」「広く社会に目を向け、」「様々な分野の新しい成果を積極的に吸収する姿勢が求められる。」とあります。

 こうしたさまざまな分野からの新しい証拠や指摘、受けた上で、何ゆえ、証人テスト、見直しをしないという答弁をされるのか、教えていただけないでしょうか。

林政府参考人 もとより証人テストにつきましては、先ほど来申し上げているように、結局、最後の公判において疑念を持たれるような形で実施されてはならないという立場に立っております。

 その立場から、検察当局においては、検察当局の行う捜査、公判活動というのは、結局のところ、裁判、公判においてさまざまな問題提起がされるわけでございまして、そういうことがあれば、必ずそれについては、反省すべきところがあれば、必要に応じて検察庁内で勉強会を開催したり、あるいは各種の会合で事例として報告するなどして、そういった疑念を持たれないような立証活動とはどのようにすべきかというようなことは問題意識を共有して、その後の捜査、公判への教訓としているものと考えております。

 そういった観点に立ちまして、先ほど「検察の理念」を挙げられましたが、そういったことの理念に沿うような立証活動が今後できるようにしているものと承知しております。

鈴木(貴)委員 そのように日々尽力されているというお話でありますが、では何ゆえ、検察のあり方、姿勢、捜査のやり方を指摘する、そういった声が相次いでいるんでしょうか。

林政府参考人 検察活動につきましては、この証人テストのみならず、さまざまな公判における立証活動も含め、処分のあり方も含めまして、常々、指摘、議論というのはございます。これはこれまでも当然ございました。そういったものについては、先ほど申し上げましたように、そういった指摘について、その当否を含めまして、検察庁内でさまざま議論、問題意識を共有して、よりよい検察活動、あるいは捜査、公判活動の指針とするように努力しているものと承知しております。

鈴木(貴)委員 時間が迫ってきましたので、谷垣大臣に質問させていただきたいと思います。

 これまでの、二月二十一日、そして今の質疑を受けまして、この証人テストに対しての指摘があるという事実、そしてまた、それを受けつつも、質問主意書の答弁でもいただきましたが、検証は行わないという決定がなされたと承知しておりますが、大臣の見解を教えていただけますでしょうか。

谷垣国務大臣 先ほどから刑事局長が答弁しておりますけれども、これはもう言うまでもなく、偽証を教唆するというようなことは、これはもう刑事罰をもって禁じられていることでありますし、それから誘導尋問というものが認められていないことも御承知のとおりです。

 ですから、証人テストということが行われるとしても、そういうようなことにわたってはならないのは当然のことだろうと思います。

 私は、個別の捜査のあり方、あるいは公判の準備のあり方を言うつもりはございませんが、そういう一般論をきちっと踏まえて検察はやるべきことだ、このように思います。

鈴木(貴)委員 その大臣の力強い発言を具現化といいますか形にするためにも、今後、検察側がとるべき対策、対応というものも考えていかなくてはいけないのかなと思います。

 例えばその一つが、証人テストにおいての可視化であるとか、こういったことも必要になってくるのかなと私は個人的には思うんですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 これは、今、私は新時代の捜査のあり方等々諮問をしている立場でございますから、法制審議会の審議が熟してくる、いい議論をしていただけるだろうと期待しております。

 ただ、証人テストに対する可視化は、余り、今までほとんど論点にはなっていないと存じます。ですから、そういう状況を踏まえますと、今、答申を前に、余り私がそれ以上言うのは控えるべきかもしれませんが、やはり、いわゆる反対尋問によってきちっと検証されるべきものかなと、今のところはそのぐらいをお答えするのにとどめたいと思います。

 諮問の対象にもなっていないわけです。済みません。

鈴木(貴)委員 大臣、ありがとうございました。

 諮問の対象になっていないという最後のお答えが、次の新たな課題かなというふうに承知をしておるところであります。

 そして、最後に一点。実は私も何度も質問させていただきましたが、きのう、袴田巌死刑囚救援議員連盟の再立ち上げがありまして、総会を開かせていただきました。本委員会の先生にも御協力をいただいているところであります。その支援団体の皆さんから大臣宛ての要請書というものも預かっておりますので、今後そちらの方でも、大臣に、ぜひとも法と正義に基づいて公正公平な社会をつくるべく、またお力をかしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

江崎委員長 次に、内閣提出、少年法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。谷垣法務大臣。

    ―――――――――――――

 少年法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷垣国務大臣 少年法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 少年審判及び少年の刑事裁判に対する国民の信頼を確保することや非行少年の再犯防止は重要な事項であります。そのためには少年審判において適正な事実認定が行われ、それに基づいて非行事実の存否が的確に判断され、適切な処遇が決定されることが重要であります。また、少年の刑事裁判において、犯罪を犯した少年に対して適切な科刑がなされることが必要でありますが、少年に対して現行法に基づいて科し得る刑罰の範囲では、犯罪を犯した少年に対して適切な科刑を行うことが困難な事案が存在すると指摘されております。さらに、犯罪を犯した少年による再犯を防止するためには少年審判の段階から少年が再犯に及ばないように環境を整えていくことが重要であります。

 そこで、この法律案は、少年審判のより一層の適正化及び充実化並びに少年の刑事裁判における科刑の適正化を図るため、少年法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、家庭裁判所の裁量による国選付添人制度及び検察官関与制度の対象事件の範囲を死刑または無期もしくは長期三年を超える懲役もしくは禁錮に当たる罪に拡大するものであります。

 第二は、少年の刑事裁判における科刑の適正化を図るための法整備であり、少年に対して有期の懲役または禁錮を科す場合に原則として適用される不定期刑に関する規定について、その長期と短期の上限をそれぞれ五年引き上げ、十五年と十年とするなどの整備をするとともに、罪を犯したとき十八歳に満たない者を無期刑でもって処断すべき場合において、無期刑にかえて有期刑を科すときに科すことができる有期刑の上限を五年引き上げて二十年とするなど、いわゆる無期刑の緩和刑に関する規定の整備をするものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

江崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これをもって散会いたします。

    午後二時三十八分散会


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