衆議院

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第7号 平成30年11月26日(月曜日)

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平成三十年十一月二十六日(月曜日)

    午後四時五十八分開議

 出席委員

   委員長 葉梨 康弘君

   理事 井野 俊郎君 理事 石原 宏高君

   理事 田所 嘉徳君 理事 平沢 勝栄君

   理事 藤原  崇君 理事 山尾志桜里君

   理事 階   猛君 理事 浜地 雅一君

      赤澤 亮正君    奥野 信亮君

      鬼木  誠君    門  博文君

      門山 宏哲君    上川 陽子君

      神田  裕君    黄川田仁志君

      小林 茂樹君    高村 正大君

      高木  啓君    谷川 とむ君

      古川  康君    古川 禎久君

      本田 太郎君    宮路 拓馬君

      和田 義明君    逢坂 誠二君

      高木錬太郎君    松平 浩一君

      源馬謙太郎君    遠山 清彦君

      黒岩 宇洋君    藤野 保史君

      串田 誠一君    井出 庸生君

    …………………………………

   法務大臣         山下 貴司君

   法務副大臣        平口  洋君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  和田 雅樹君

   法務委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     本田 太郎君

  中曽根康隆君     高木  啓君

  古川  康君     宮路 拓馬君

  松田  功君     高木錬太郎君

  串田 誠一君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     高村 正大君

  本田 太郎君     国光あやの君

  宮路 拓馬君     古川  康君

  高木錬太郎君     松田  功君

  杉本 和巳君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     中曽根康隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

葉梨委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長和田雅樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山尾志桜里君。

山尾委員 きょう、予算委員会の集中審議、総理に私も質疑をしましたけれども、明らかになったのは、この外国人受入れ制度の拡大、中身が何も決まっていないということです。

 技能実習制度の未来も決まっていない。上限は決めない。受け入れる人数は決まっていない。永住資格を持つかどうかも決めていない。単純労働とは何かも決まっていない。答えられないとまで総理は言いました。

 そういう中で、一つ一つ法務大臣に確認をしていきたいというふうに思います。

 まず、技能実習制度についてですけれども、大臣、この「失踪技能実習生の現状」、やり直しペーパーはお持ちですか。(山下国務大臣「はい、持っています」と呼ぶ)よろしいですか。(山下国務大臣「はい、どうぞ」と呼ぶ)このやり直しペーパーについて、四点の問題点を伺います。

 まず一点目、直した後もなお、契約賃金以下あるいは最低賃金以下という賃金を訴えた実習生について、「不満を持ち、より高い賃金を求めて」と政府の認識が書いてあります。これは前にもお話ししたとおり、訂正した後のペーパーで書いてあるんですね。大臣は、この「より高い賃金」という問題の表現について、これまでの大臣が漫然とこの表現を使ってきたというふうにおっしゃっております。

 なぜ修正後も漫然とこの表現を使い続けるんですか。正当な権利を主張し、最低賃金あるいは契約賃金を求めた人々じゃないですか。まず一点目、この記載ぶりについて、検討した後だから再々検討ですね、こういう予定があるのかないのか、伺います。

山下国務大臣 お答えいたします。

 この訂正後のペーパーでございますけれども、これにつきましては、この原因について、聴取票のみならず、さまざまな、例えば、入国警備官の聴取した状況であるとか、あるいは実施した実施機関からの聴取であるとか、そうしたことを総合してこういった失踪の原因というものを挙げているわけでございます。「より高い賃金を求めて」というのは、そうした総合調査によって我々法務省がそうした認定をさせていただいているものということでございます。

 そして、漫然とというふうに申し上げたのは、これは歴代の大臣が漫然と答弁をしていたという趣旨ではなくて、その歴代の大臣の答弁をしていた、そういった認識を漫然と訂正前のペーパーの失踪の聴取結果の項目として取りまとめてしまったということについて漫然とというふうに申し上げたものであって、その点、ちょっと舌足らずであったらまことに申しわけなく思っておりますが、私の答弁の趣旨はそういうことでございます。

山尾委員 質問に答えていただきたいんです。再々検討する余地はあるんですか、ないんですか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 この平成二十九年の失踪技能実習生の現状について、前回のペーパー、これが数値や表現ぶりが誤っておった、それを訂正したものとしてはこれを提出させていただいておるわけでございます。

 そしてさらに、失踪技能実習生につきまして、どういった現状把握をすべきか、運用をどうすべきか、そのことにつきましては、これは門山大臣政務官、弁護士でもございます、門山大臣政務官をヘッドとするプロジェクトチーム、これを設けさせていただきまして、そこでしっかりと検討していただくというふうに考えております。

山尾委員 再々検討するということでございました。

 政務官に伺います。いつまでに検討を終わらせるんですか。

門山大臣政務官 いつまでにというか、きょうも実は第二回目のPTを開いたわけでございますけれども、今ちょうど論点を整理しておりまして、山尾先生から言われた質問も含めて、どういう聴取票にするか、あるいは実態をどうやって把握かも含めてこれから検討していきたいと思います。まだ期限についてはわかりません。

山尾委員 これから検討するという中で、今の理事会ではあしたの採決が提案をされております。どういう状況なんですかね。

 政務官に伺います。政務官のプロジェクトチームでは、平成三十年の技能実習生の失踪原因についても、これはどういった形で状況把握すべきかということは当然調査をされるんですか、検討されるんですか。

門山大臣政務官 もちろんそういうつもりでおります。

山尾委員 大臣に伺います。平成三十年、変更後の技能実習制度、新技能実習制度の失踪原因についても状況把握のやり方に問題が継続しており、それについて今、これから、政務官のもとのプロジェクトチームでもう一度どういうふうに状況を把握したらいいかこれから考える、こういうことでございました。

 そういう状況の中で、技能実習制度、新しくなってからは別物だ、うまくいっているんだ、こういう表現が散見されるわけですけれども、新しくなった技能実習新制度がよくなっているという根拠はどこにあるんですか。

山下国務大臣 技能実習制度の改正点、これはさまざまございます。もしお尋ねがあれば御紹介させていただきたいと思いますが、まず、この技能実習制度に対するさまざまな御批判が旧制度であった中で、これは与党のみならず、当時、民進党の、野党の皆様にも一緒になって賛成をしていただいて、そして練り上げた新しい制度であるということでございます。山尾委員もこの法務委員会において、二十八年の十月二十一日に恐らく御賛成されたんじゃないかと思います、議事録によればですね。

 そうした衆知を集めたものである、そして、これについてこれからしっかりと運用をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

山尾委員 私と山下大臣が違うのは、前回の技能実習制度、衆知を結集したと言いますけれども、その衆知の前提となっている数字や評価に誤りがあったということであります。そして、その数値や評価、これを立法府の一員として見逃してきたことに私は恥じています。そこは山下大臣と違うかもしれません。それを、みんなで賛成したじゃないかと。賛成した前提の数値が違ったじゃないですか。あなたも賛成したんだ、そういう答弁に時間を使うのはもうやめていただきたいと思います。

 その上で申し上げます。

 もう一度、このやり直したペーパーを見てください。低賃金(最低賃金以下)が二十二人、〇・八%、こういうふうにありますね。これについては、理事会でも、この表現をこのまま置いておくのがよいのかどうかということは問題にもなっております。ただ、本来は法務大臣が問題を感じるべきところであります。

 私から申し上げます。

 開示がいまだ認められていない大事な大事な平成二十九年聴取票ですけれども、これについて、私たち、手書きで書き写しをやらされているわけですね。そういう本来は法務省がやるべきことを国会議員が手書きでやらされているわけですね。

 そういう中で、五百八十八枚やりました。五百八十八枚中四百八十八枚が、鹿児島県七百六十一円という、最低賃金の中では全国では残念ながら低い基準値、これにとったときの最賃割れ、つまり八三%です。〇・八%とこの紙にありますけれども、聴取票によれば、その申立ての月給と申立ての労働時間をきちっと計算すれば、〇・八じゃなくて八三%なんですよ。〇・八%じゃなくて八三%なんです。

 私も、これは申立てだということはわかっていますよ。でも、そうであれば、法務省でまず、申立てベースでいくと実際には何割が最賃割れを申し立てているのかということをしっかり調査して、公表していただくべきだと思います。なぜやらないんですか。

山下国務大臣 この記載、新たな訂正後の記載につきましては、これは、失踪動機としてチェックされていた、チェックするのは聴取した入国警備官でございますが、その数値を加工もせず記載したものということでございます。

 そして、委員御指摘の、例えば時間がこれぐらいだ、そして給料がこれぐらいだ、割ってみたら最賃を下回っているというふうなことにつきましては、これは二つの点がございます。

 一つは、この聴取票は一枚でございまして、毎月毎月この金額なのか、毎月毎月その時間を働いていたのか、単純に割って、それで算出していいのかというふうな問題がございます。

 そうしたことも含めまして、この聴取票の記載などから違法、不正行為が認められるものにつきましては、これは徹底的に調査の対象とするということを入管局長に私は指示しております。

 そうした調査、これがやはり反面調査として行われるわけでございますが、その結果を踏まえて適正な措置をとってまいりたいと考えております。

山尾委員 結局、適正な措置をとると言って、やるべきことをやらないということが続いているわけですね。

 ここで改めて申し上げますけれども、刑事訴追のおそれがあると言いながら、どうして、じゃ、閲覧を認め続けているんですか。刑事訴追のおそれがある書類なら、さっきも何かこっちからやじがありましたね、だったら本気で閲覧をとめてくださいよ。私は、手書きで閲覧したものをメディアの皆様にも公開をしております。

 法務大臣、そんな顔をしても、それは理事会でも私、言っていますから。

 そして、きょうもしっかりと書き写しをやらせていただいて、当然これは国民の財産ですから、公開させていただいています。

 刑事訴追のおそれがあるというのが本心で言っているなら、とめてくださいよ。私はそう思っていないので公開しております。どれだけの覚悟でそう言っているのかということなんですよ。本当に刑事訴追のおそれがある書類なら、閲覧を認めたらおかしいんですよ。

 そして、次に申し上げます。

 平成三十年、新しい技能実習制度と政府が力説しているこの新しい技能実習制度に基づいて、技能実習となった方も含めて今も聞き取りが進んでいるというふうに思いますが、この平成三十年の聞き取りは何人ぐらいにされているんですか。(発言する者あり)

葉梨委員長 いや、局長は認めないということです。

山下国務大臣 申しわけございません、当然局長が登録されているものだと思っておりましたので、申しわけございませんでした。

 そこで、これは、昨年、一昨年と、個票の数につきましては、約三千件の入管法の違反者について技能実習生から聴取させており、したがって、本年についてもこの違反者に相当する聴取票を地方局において作成しているものと思われますが、済みません、ちょっと、もとより通告がない事情はよくわかっております。ただ、こういった事情について、やはり実務を取り仕切っております入管局長、これをぜひ登録を認めていただきたいというふうに考えております。

山尾委員 当然局長が登録されていると思っていたという法務大臣の認識は、私には理解できません。

 そして、今の質問は前にもこの法務委員会の中で顕出されている質問でありますし、今すぐきっちりした正確な数値とは言いませんけれども、今、約三千件というようなお話もございました。

 この平成三十年の聴取、先ほど政務官も、やはりこの聞き取り、状況把握の方法自体も本来はどうあるべきなのか、今、プロジェクトチームの検討対象に入っているということでございました。ぜひ、この聴取票についても私どもに閲覧あるいは公開していただきたいと思います。

 実際になぜ二十九年ではそういう過ちがあったのかということ自体、私たちはまだ納得できる説明もいただいておりませんし、新技能実習でよくなっているんだ、新技能実習と旧技能実習は違うんだということをさんざん皆さんおっしゃっているので、新技能実習がどれだけうまくいっているのかも含めて、法務省は、申しわけないけれども、これだけの虚偽の数字、故意か過失かは別として、そして虚偽のデータ、これを出してしまった以上、そのまま平成三十年は、じゃ、改めてあなたたちに任せますよというわけには、本来やりたいけれどもいかないんですね。なので、平成三十年の聴取票の閲覧そして公開を求めます。

葉梨委員長 理事会で協議します。

山尾委員 次に、単純労働についてお伺いをしたいんですね。

 これ、きょうの予算委員会の集中審議で、法務省が、例えば単純労働とは土を右から左に動かすだけの仕事です、これは法務大臣が撤回されました。もう一つあったんです。ティッシュ配り。ティッシュ配りは、今回、外国人に拡大しない単純労働である、この答弁は維持されるんですか、撤回するんですか。

山下国務大臣 この点については、きょうも予算委員会で申し上げました。例えば、今回の受入れにおいては、個別の作業に着目して単純か否かを判断するものではなくて、従事する業務を全体として、例えば業務を構成する複数の作業があると思います。そしてその手順であるとか、要求されるスキルであるとか、知識経験などを全体として評価するということでございまして、その上で、我々がどのような人材を、各省庁が一定の専門性、技能を有するかということを評価しているかということをしっかり見させていただいて、それを枠に入れるということでございます。

 今、どういった人材が必要かということについて関係省庁と検討しているものであるということでございまして、一般的、抽象的にここで例をお示しするということは適当ではないというふうに考えております。

山尾委員 質問に答えていただきたいんです。ただ法務省はティッシュ配りがそういう例に当たりますとおっしゃったので、それは撤回されるんですか、維持するんですか。

山下国務大臣 この点につきましては、ティッシュ配りという単なる作業ではなくて、その業態、それがどういうふうな業がやっているのかということ、そしてその者がどのようなことをやっているのか、業務をほかにもやっているのか、マルチタスクということもございますから、そういった上で、業所管庁において判断して我々に協議してくるものというふうに承知しております。

山尾委員 例に出したティッシュ配りは単純労働であります、これは維持されるんですか、撤回するんですか。

山下国務大臣 その点につきましては、ティッシュ配りというのは作業の話ではないでしょうか。労働という、作業が幾つか組み合わさって、それで一定のスキル、あるいは一定の手順、あるいは一定の準備、そういったものが、総体として労働というものが判断されるものでございます。

 そこで、ティッシュ配りという一つの作業を捉えてこれを単純労働ということにつきましては、これは私、法務大臣としての見解とは違うということでございます。作業と労働は異なるということでございます。

山尾委員 私がこのティッシュ配りを単純労働だと言ったわけじゃないんですよ。あなたの部下であります法務省の方が、ティッシュ配りという例を御自身で出されたんですよ。それは法務大臣の見解とは違うということですので、これは維持しない、法務大臣として撤回するというふうに受け取ります。

 そういう中で、もう一度伺います。大事なことです。

 特段の技能、技術、経験を要しない単純労働、これは外国人に拡大しない、そうすると、こういった特段の技能も技術も経験も要しない仕事は誰がやることになるんですか。

山下国務大臣 現在の人手不足、それはさまざまな形で解決されなければならないと思っております。そして、外国人の受入れにつきましては、生産性の向上、これはIoT技術の活用などいろいろなことがございます。あるいは、国内人材の活用、例えば、スキルを要しない事業でも、ちょっと一時間だけでもやってみようかという方はおられるかもしれません。そうした国内人材の活用であるとかあるいは生産性の向上、これをしっかりやった上で、では我々はどういう外国人を受け入れるのだといった場合においては、これは一定の技能、専門性を有し、即戦力となる外国人を受け入れるのだということを申し上げているわけでございます。

山尾委員 つまり、生産性の向上で吸収できない、人でしかやれない単純労働は国内人材でやる、こういう答弁なんですね。単純労働の例示もできないで、でも特段の技能や技術を要しない仕事は外国人には拡大しません、日本人にやっていただきますと。この外国人材受入れ拡大の哲学というのは何なのかということなんですね。

 私は、いわゆる特段の技能、技術、経験の要らない、人でしかできない単純労働なるこういうカテゴリーをつくって、それを日本人だけにとっておいて、外国人には入れませんと。これが実際、実在するならいいですよ。でも、それは例は挙げられませんと。こういう分断の仕方やカテゴリーの仕方をして、単純労働はやらせない、こういうことを強弁するというのは、やはり日本の労働環境とか労働者の尊厳に対してよくないというふうに思っているんですね。

 でも、多くの新聞やメディアは、単純労働に拡大と書いていますね。なぜなら、じゃ、拡大しない単純労働って何ですかと聞いても、今もなお何一つ出てこないからです。

 そういう中で、時間があと五分ですね。単純労働については、結局、例示は何一つ出てこない、しかしいわゆる単純労働は国内人材にやらせる、こういうことが大臣の今の答弁でありました。

 もう一つ、永住の話を申し上げたいと思います。

 大臣は、この委員会で、与党議員の質問に対して、特定技能一号、これはガイドラインの就労資格には該当しない方向、そして、二号、これはガイドラインの就労資格、すなわち永住ルートにつなげる方向、こういう答弁をいたしました。私は方向を聞いているんじゃないんです。本来閣議決定で決めておくべき事項なんだけれども、決まっていませんので、実際に現時点でしっかり決めて、この場で答弁をしていただきたいというふうに言っているんです。方向ではありません。

 一号、二号、これが永住資格につながるのか、このことについて、いつ決めるつもりですか。

山下国務大臣 永住資格は、別途、永住資格を判断する法務大臣の判断として判断させていただくということでございます。特定の在留資格が永住資格につながるかどうかではなくて、その当該者が、永住資格を認めるかどうかという判断ということになります。

 その上で申し上げますと、特定技能一号につきましては、これについては、これは順序を申しますと、結局、永住許可要件について三要件ございます。そのうちの、国益に合する要件を満たすかどうかというところのガイドライン、これが永住許可に関するガイドラインでございまして、その中で、原則として引き続き十年以上本邦に在留している、ただし、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって引き続き五年以上在留していることを要する、こういうふうな規定がございます。

 このガイドラインに合致したからといって直ちに認めるわけではない、これは前提として申し上げておきますが、そもそも、こういう五年要件、これを求めましたのは、これは五年を超えて継続して在留した実績を求めているからということになります。

 そうすると、特定技能一号というのは在留期間が五年を超えることはないんですね、上限五年ですから。しかも、原則一年ごとに更新するというふうな状況でございますので、このガイドラインの趣旨から考えると、これは五年以上継続的な在留が認められるものではないのではないかということで、このただし書きに言う資格には該当しないのではないかというふうに考えているところでございます。

 そして、二号については、これは更新をすれば五年を超えて在留する資格ということになるということでございますから、二号については、他の、従来の専門的、技術的分野における在留と同じく、永住許可に関するガイドラインに言う就労資格又は居住資格ということの五年要件の中身にしようというふうに考えているところでございます。ということです。

 ただ、いずれにせよ、このガイドラインについては、法律が成立して、この資格が法律として認められた上で確定するものでございますから、現段階ではそのような答弁になるということでございます。

山尾委員 全く今のは詭弁なんですね。考えを聞いているんじゃなくて、その大事なこと、これは技能実習制度を主な供給源として特定技能一号がスタートをし、一号を前提として二号になり、そして二号の方がガイドラインの就労資格に該当すれば、これは、永住資格を求めていく、そういう者となり得るわけです。

 だから、ここで、一号や二号が永住資格を求める要件に当てはまるんですかという論点は、この新しい制度によって技能実習制度から永住へと新しいルートが開かれるかどうかという国民の関心事項であり、それは閣議決定の前に決めておくべきじゃないですかということを私は申し上げているのであります。

 そういう中で、今の答弁は、決まっていません、私はこうしたいと考えております、こういう話でありました。

 時間だということですけれども、最後に伺います。

 この受入れの人数ですけれども、結局、五年で三十四万人というのは、法案が成立した後、分野ごとに積み上げてみたら数字は変わるということですか。

山下国務大臣 この三十四万五千人、五年間でというのは、これは各省庁が精査して出した数字でございます。これを超えることはないというふうに考えております。

 ただ、この超えないというメカニズムについては、法律ができました後に、基本方針ができて、分野別運用方針ができて、その中に今後五年間の受入れ見込み数が書かれて、これが運用上の上限として運用するということになります。私が申し上げたのはそういうことでございます。

山尾委員 これで終わりにします。

 超えないというメカニズムをこの中で理解した方はいらっしゃるんでしょうか、超えないというメカニズム。

 結局、本当に、上限、人数、永住、単純労働とは何か、大事なことを何も決めないままに、外国人という、人間を生活者としてこの国に受け入れていく。そういう大事なことをどうして決めないでこの立法府に持ってくるのかということです。人間を受け入れるんですよ。

 そういう中で、これだけ覚悟がない閣法がこの立法府に出てくるということを大変私は問題だと思いますし、決まっていないものの中身を詰めるのもまた立法府の責任ですから、しっかりとこの委員会で審議を続けていきたい、続けるべきだ、あしたの採決というのは論外だということを申し上げたいと思います。

 以上です。

葉梨委員長 以上で山尾志桜里君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 国民民主党の階猛です。

 私からも、拙速な審議は百害あって一利なし、そして、国会というのは、委任立法を法務省に丸投げする機関ではありません。憲法四十一条で唯一の立法機関ですから、この国会の場で根幹の部分についてはしっかり議論をして、足らざるべきは補うべきだということをまず申し上げます。

 その上でですが、私ども国民民主党では、きょうの午前中の予算委員会でも後藤委員が指摘していました、提案していました。地方の人材確保への配慮、これが今の法案では抜け落ちている。幾ら人材不足を補うといっても、外国人の方は条件面で恵まれている都会の方に集中して、私の岩手もそうですが、結局人手不足は解消しないのではないか、こういう問題意識があります。

 きょうの午前中の答弁で総理は、全体として地方の分もカバーできるような枠をとると言っていますが、幾ら枠を設けても、労働選択の自由、職業選択の自由、移動の自由があるわけですから、これは必ずしも、地方に人材がとどまる、そういう保証にはならないのではないかと思います。

 どうやって地方の人手不足の解消につなげていくのか、この点についてまず御答弁をお願いします。

山下国務大臣 お答えいたします。

 私も岩手におりましたので、岩手の状況も承知しているつもりでございますが、確かに、全国各地で人手不足が深刻化する中で、地方における人手不足の対応は、これはもう政府全体として取り組むべき喫緊の課題であると認識しております。

 そういった中で、今回の外国人の受入れ制度が、人手不足の本当に深刻な分野において、人手不足の状況に応じて外国人材が入国してくるということになると、これは必ずしも大都市圏に限らず、地方においても人材の受入れが進むのであろうというふうに考えております。

 ただ、他方で、就労の在留資格というのは、法律上、これは別表の記載をそのまま読み上げますと、本邦において行う活動を定めるものでございます。したがって、一般法である入管法において、特定の地方に限定した活動を法律で定めて外国人を例えば地方に強制的にとどまらせることは困難ということになります。

 ただ、地方で人手不足が深刻な業種、こういったものがあろうかと思います。そうしたものに配慮しつつ、必要な外国人材を地方にどう確保していくかということについて、例えば分野別運用方針などに記載できないか、そうしたことを業所管省庁としっかり詰めて検討してまいりたいというふうに考えております。

階委員 私、冒頭言いましたとおり、こういうところを詰めるのは法務省ではないんです。この場なんですよ。

 今、働き手不足が深刻だということでこの法案を出していらっしゃる、そういう中で、地方の働き手不足は今のままでは、法案上は何も書かれていなくて、解消されないのではないか。検討するとおっしゃっていますけれども、今の段階ではそのアイデアはないということですか。

山下国務大臣 この入管法の法案のたてつけにつきましては、例えば、入管法は、入国、在留する外国人の動向や経済社会の情勢の変化に即応するため、まず、法律事項としては、出入国管理、在留管理の仕組み、そして在留資格の種別などを法律事項として定めます。しかし、在留資格に関する具体的な細部事項は、臨機に対応が可能な法務省令の下位法令に委ねております。

 例えば、入管法七条につきましては、これは上陸審査基準省令というものを定めておりますが、これについて、我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して定める基準というのは法務省令で定めるということを七条に明記してあるわけでございます。

 そして、こういった広範な裁量を法務大臣に認めるこの入管法のたてつけにつきましては、委員も私も弁護士でございます、よく御存じのマクリーン最高裁判決におきまして、法務大臣は、出入国の管理及び在留の規制の目的である国内の治安などなど、労働市場の安定など国益保持の見地に立って、国内の政治、経済、社会上の諸事情など諸般の事情をしんしゃくし、時宜に応じた的確な判断をしなければならない、このような判断は、事柄の性質上、出入国管理行政の責任を負う法務大臣の裁量に任せるのでなければ到底適切な結果を期待することができないということで、これは在留資格の更新の規定ではありますが、概括的に規制され、その判断が特に定められていないことを最高裁判決が是認しているわけでございます。(階委員「短くしてください、もういいです」と呼ぶ)

 そうして、私どもは、入管のこのたてつけに基づいて、大枠で在留資格を法律事項として定める。

 そして、例えば……

葉梨委員長 簡潔にお願いします。

山下国務大臣 産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案したものについては法務省令で定めておるということでございます。

階委員 マクリーン事件判決、私は知っていますけれども、当時の入管法と今回政府が出されている法案、新たな目的が加わりましたよね、人手不足の解消。これは従来なかったわけです。人手不足の解消という意味でいえば、しっかり地方に人が入ってくるような仕組みを法案の中で決めないと。法務省に丸投げ、法務大臣に丸投げではだめだと思いますよ。人手不足の解消をこの法案の目的とするのであれば、私は、今ここでちゃんとした案を示さなくてはいけないと思っています。

 案がないんですね、地方の人手不足解消のための案は。もう一回、簡潔に御答弁をお願いします。

葉梨委員長 山下法務大臣、簡潔にお願いします。

山下国務大臣 その点につきましては、我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準ということで考えております。

階委員 法務省令で決めるだけで、今の段階では何も案は持ち合わせていないということですか。

山下国務大臣 地方の問題に関しましては、これはこの入管法だけで解決できるものではございません。これについては、やはり政府全体を挙げて考えていく。地方の人手不足の問題、これは当然、法務省の所管を超える問題もございます。労働法制の問題でもございます。あるいは地方創生の問題でもございます。そうしたことを総合的に考慮するということになろうかと思います。

 そうした中で、外国人材の受入れということに関して、法務省は、従来の例えば在留資格の規定ぶり、それに従ってこの法案を、案をつくり、この委員会で御審議いただいているわけでございます。

階委員 結局、地方の人材確保については、この法案だけでは何ともならないということを言われているわけですよね。だから、そこが、私たちは、ちゃんと議論をした上で、この法案について結論を出していくべきだと考えております。

 それから、地方でも都市部でもそうだと思うんですが、中小企業は、外国人材を受け入れる場合に、ある程度の日本語能力がないと教育が大変なんですよ。建設現場なんというのは人手不足が深刻ですけれども、一方で、安全面も重要ですね。これは、まかり間違って現場での指示が的確に伝わらなかったとした場合、重大事故につながりますよ。

 今回の法案で、新たな在留資格が与えられるための日本語能力、これは具体的にどの程度が要求されるのか、明確にお答えください。

山下国務大臣 日本語能力につきましては、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを確認されることを基本とした上で、受入れ業種ごとに、業務上必要な日本語能力水準、やはり業種によって専門用語とかがございます、そうしたことも踏まえて、業務上必要な日本語能力水準を考慮して、具体的に確認することにより測定することとしております。そういった程度の日本語能力を有することを入国時の要件というふうに考えております。

階委員 さっぱりわからないんですけれども、例えば、現場で外国人の方と一緒に働いている方からすると、N4以上は必要だというようなお話もよく聞くんですね。そうじゃないと会話が成り立たないで危険だということを言うんですよ。

 このN4、例えば建設業でいうとN4とか、N3だとまた低過ぎると思うんですね。最低でもN4とか、そういう考え方というのは今のところないんですか。

山下国務大臣 N4とかN3というのは特定の日本語試験の基準をお話しになっているんだろうと思いますが、その点については、今回についてはやはり業種ごとに求められる日本語の、例えば語彙であるとかそういったものも違ってくるのではないかということで、一律にN3、N4という形で考えるということはしていないということでございます。

階委員 だから、一律にとは申しませんよ。建設業ではどうですか、建設業では。ここに限ってもいいですよ。今の段階で、建設業界ではどの程度の日本語能力が必要か、案はありますか。

山下国務大臣 今、業種ごとのお尋ねでございます。業種ごとの建設業ということになると、建設業にどういった日本語が必要であるのかということについて、やはりこれは業所管庁に聞いていただかないと、なかなか私から……(階委員「だめです、それをまとめているのが法務省でしょう」と呼ぶ)いやいや。ただ、それがどういうことなのかということでそこの業所管庁から聞いていただくわけですから、ぜひ、そういったことで、業所管庁について呼んでいただければというふうに思っております。

階委員 業種ごとに異なるとはいっても、やはり最低限必要なレベルというのはあると思うんですよ。それが全く白紙で我々は委任していいのかという話ですよ。先ほど言いましたよ。安全面も大事ですよ。日本語ができない人が来て、重大事故が起きたらどうするんですか。せめて、最低限のレベルとしてN4とか、そういうことは必要だと思いますよ。

 法務省は業所管庁じゃないから答えられないということではなくて、やはり全体を取りまとめて、そして、新たな出入国在留管理庁という役所までつくって、三百十九人もふやして、そして適正な入国管理、在留管理をしようというわけだから、せめてそれぐらいは答えてもいいんじゃないですか。お願いします。

山下国務大臣 先ほども申し上げたように、日本語能力については、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本とした上で、やはり受入れ分野ごとに業務上必要な日本語能力というのを考慮して、具体的に確認するということで御理解賜れればと思います。

階委員 あと、後藤委員の午前中の質疑の中でも、外国人の待遇ということ、待遇が、中抜きされたりして、ピンはねされたりして、低くなるんじゃないか、こういう問題も指摘されていました。

 それで、私の方でちょっとまとめてみましたけれども、特定技能と現行制度との比較ということであります。

 中抜きすることがこの特定技能の中で可能なのかどうかということでいえば、技能実習にもさまざまな問題がありますけれども、監理団体というところが許可制になり、業務の適正化が図られる。あるいは、監理団体以外の仲介、あっせんについては、右の方に書いていますけれども、もしやった場合は、違法だということで、一年以下の懲役又は三百万円以下の罰金が科される。これは営利団体の仲介とかあっせんも認められないということで、不当、不法な中抜きができないようになっていますが、今回の特定技能では、これが法律上はできるようになっているんですね。これは間違いないですか。

 大臣、大事なところです。当然、本質的なところなので、答えられると思います。

山下国務大臣 済みません、中抜き、ごめんなさい、中抜きができるというのは具体的にどこの部分か。申しわけございません。

階委員 私が今指摘したのは、この「監理団体」というところがありますよね、その下に、「監理団体以外の仲介・斡旋」「営利団体の仲介・斡旋」、こういったものが特定技能の制度では、現行の制度と異なって、可能であるように読めるわけです。この認識でいいのかどうか、お尋ねします。

山下国務大臣 特定技能の制度につきましては、監理団体というものを設けておりませんので、そうしたことは可能であろうと……(階委員「可能なんだ」と呼ぶ)仲介やあっせんはということについてですが、ただ、そういった段階で、例えば過剰な保証金であるとか、そういうものを払っていないとか、そういったものについては、これは在留資格認定証明書交付の審査の際に、しっかりと見るということでございます。

階委員 在留資格認定の段階でしっかり見るというのは、全ての制度に共通してあるわけですね、在留資格認定についてちゃんと行うというのは。

 その上で、労働の条件とかが適正かどうかというところは、「計画認定」というところを見ていただくと、今回の制度では、既存の制度とは違って、届出だけで足りる、こういうふうな緩い仕組みになっていると思います。ほかの制度は、真ん中と右端、「建設就労」と「技能実習」、これは計画の認定が必要だということで、緩いたてつけになっております。かつ、「監督官庁」も、先ほど来、所管の省庁じゃないので答えられないと言っていますけれども、まさに所管ではない法務省の外局である出入国在留管理庁が監督官庁として単独で行うということなんですね。

 ほかの部分を見ますと、建設就労であれば国土交通省も監督する、あるいは技能実習であれば厚生労働省も監督するということで、所管の省庁じゃないと答えられませんと言っている法務省でちゃんと監督できるんですか。中抜き、防止できるんですか。

山下国務大臣 監理団体がないこと、あるいは計画認定がないことについては、これは、技能実習というのは、実習計画をずっとやっていただくということ、この実習計画の実施の管理が必要だから、こういった監理団体などが必要なわけですね。

 特定技能というのは、一定の専門性や技術を持つ外国人、即戦力となっている方に働いていただく資格ということでございますので、こうした監理団体というのが、概念がちょっと想定できないということでございます。

 ただ、他方で、届出制ということではございますが、受入れ機関というのは、これは在留資格認定のときに必ず出してもらうということになっております。そうしたことで、しっかりと雇用契約の適切性を確認するということもありますし、また、例えば指導助言であるとか、あるいは報告徴求、立入検査、そういったことが入国管理局ができる、改善命令を出して、それに違反したら罰則もかけられるということで、そういった担保をさせていただきたいというふうに考えております。

階委員 監理団体がそもそもなくて、そして、その結果、いろいろな団体が仲介、あっせんをして、中抜きができるということは大臣も認められているわけです。しかも、所管の業務の官庁が監督機関でないということで、幾ら届出段階でいろいろな基準を出されたとしても、これが本当に監督し切れるのかどうか、これもはっきりしません。

 さまざまな問題点が、きょう、この十七分の質疑だけでも明らかになったと思います。さらなる審議の深掘りを求めまして、私の質問を終わります。

葉梨委員長 以上で階猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 無所属の会の黒岩宇洋です。

 早速、失踪技能実習生の聴取票のプロジェクトチームリーダーである門山政務官にお聞きしますけれども、門山政務官、この聴取票をお持ちですか。それじゃありません。個票です。後ろ、出してあげて、個票ぐらい。まあ、いいや、耳で聞いてもわかるので。

 先ほどから、最低賃金以下〇・八%とか契約賃金以下五%とか、数字が、先ほど最初に出した青い紙、取りまとめに出ていますね。これは、先ほど政務官も、志望動機について、これが失踪技能実習生から、みずからこうだと言ったものにチェックした数字を出した、こうおっしゃっています。これは事実だと思いますが。

 ここで聞きますけれども、この聴取票には、その下に、実習実施者等という一つのくくりがあって、そこに月額給与とか労働時間とか書いてあるわけですね。これを見ることによって、我々は、この人は最低賃金以下じゃないのかな、又は契約賃金以下じゃないのかなと推察できるわけです。

 そこでお聞きしたいんですけれども、この志望動機についてというチェックボックスと実習実施者等についてのチェック欄、ここの関係性はあるんですか、ないんですか。

葉梨委員長 失踪動機ね。

黒岩委員 ごめんなさい、失踪動機。

 失踪動機についてのチェックボックス欄と実習実施者等についての記入欄、ここは関係性はあるんですか、ないんですか。

門山大臣政務官 私も今、初めて質問を受けたんですけれども、その関係性の意味するところがちょっとよくわからないんですけれども、少なくとも、失踪動機の中に例えば低賃金というものがあって、それは多分そのまま受け入れて出したものであると。他方、ここの実労働時間とか給料というところも、言われたものがあるので、これは関連性というか、それぞれ聞いたものをそのまま受けて拾ったものが出てくるだけだと思います。

 その意味では関連性はないのかもしれませんが、ただ、逆に言うと、今先生方がやられているように、いろいろ、そこの労働時間と賃金、これが全部内容が正しいという前提で計算すると、もしかしたら、そこから最低賃金を超えているかどうかということは計算できるんじゃないかとは、それは、数字をこれが全部正しいと見れば、先生のおっしゃるとおり、関連性が出てくるんじゃないかと思います。

黒岩委員 この前、エクセルを間違えた理由というところに、いみじくも法務省が、二十六年からこの聴取票をつくったけれども、二十七年に聴取票の様式を見直すことになった、その理由というものをわざわざ文書で書いてくれたんですよ。そこにこう書いてあります。

 低賃金については、これはさまざまな、低賃金とか指導が厳しいなどの失踪動機の項目はあるんだけれども、低賃金については、今まで自由記入方式だと、給与額が安いとの不満にとどまらず、一部には、明らかに入国前に言われていた金額よりも相当安い賃金だったという、こういう意見が多かったため、あえて志望動機の欄に、1低賃金、2契約賃金以下、3最低賃金以下を設定することにしたということなんですよ。

 だから、私が申し上げたいのは、こういう、低賃金といえど三つに分かれるから、その内容を実習実施者等についてわざわざ聞いたわけですよ。これは関係なかったら、ここを聞く必要ないじゃないですか。

 それで、もう時間がないから。

 志望動機だけ切り抜いて、実習生が言ったから〇・八%だけだと言ったけれども、結局、法務省は、このアウトプットでは、「より高い賃金を求めて」に入れたわけでしょう。この前の山下大臣と山尾さんとの間でも、この下の「等」については、受入れ側の不適正な取扱い、この「等」には、契約賃金以下と最賃以下はこっちに含まれますと、徐々に徐々に、このアウトプットが、方向が微妙にずれ込んできたわけだ。

 そこで、私が申し上げたいのは、これも山尾さんが、二十枚のアトランダムに調べたやつですよ。最低賃金以下が二十人中十七人だったんですけれども、入国前の説明と入国後の賃金と、すなわち、実習生からすれば契約賃金と異なるという回答が二十名中十八名ですよ。この人たちも、一枚もこのチェックボックスの欄で最低賃金以下にはチェックしていません。これが現状ですよ。

 だから、私は、その人たちを契約賃金以下にカウントしなくていいから、せめて、より高い賃金等からは引いてほしいんですよ。

 最低賃金についてもそうです。最低賃金が八割あったと、これはデータ、数字としてアウトプットしなくても結構です。ただ、最低賃金と思われる、今政務官がおっしゃった、月額給与と労働時間から割り出せれば、その可能性が出てくるわけですよ。最賃以下の可能性がある人は、せめて、より高い賃金というくくりからは引いてほしい。

 そうすると、恐らく、今言った契約賃金以下でも大体八割、その可能性が出てきますよ、この聴取票から。最賃以下の人も八割出てきますよ。これを合わせれば、ともすれば九割ぐらい、この中に、カテゴリーに入ります。

 そうなると、法務省が言った低賃金、すなわち、より高い賃金を求めてという人は百何十人程度になるんですね。そうすると、暴力を受けたとか最賃以下とか、最賃以下は除いてもいいや、暴力を受けたとか厳しい指導だとか労働時間が長い、こうして合わせただけでも五百人になりますよ。

 そうすると、アウトプットのデータですら、この不適正な受入れの人数がふえます。そして、その数字に対する評価もまるっきり逆になって、これも藤野委員から、まず順番を変えろよと。そうなりますよ。失踪の原因だったら、多分、1番が、受入れ側の不適正な取扱いが多数存在となって、二番目が、より高い賃金を求めて、少数存在と。

 こういう表現をしっかりしないとなぜだめかというと、技能実習制度もまだ続く、そして、技能実習制度の後に、特定技能が枝木としてその後に追加される。さらには、この前の参考人でもありました。やはり、これから特定技能で受け入れる人も、いざ働き場所で、その使用者から、入管に言いつけるぞ、帰ったら借金あるぞと言われたら、低賃金でも働かなきゃいけないという根本的なこの構造は変わらないんですよ、特定技能になっても。

 ですから、政務官、しっかりと聴取票の吟味については、アウトプットのファクトである数字とそしてファクトに対する評価を、これは我々の要求だけじゃない、法務省として出していただく、このことを強く要求して、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございます。

葉梨委員長 以上で黒岩宇洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 きょうの予算委員会で、私は、法務省から提出を受けた「新たな在留資格による人材不足・受入れの見込み数」という資料に基づいて質問をさせていただきました。

 局長に確認しますが、この資料が提出された経過は、どのような経過ですか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 まず、十一月十四日に、理事会に、受入れ見込み数、それから人材不足の見込み数、これについてまとめたものを出すようにという御指示を受けまして、それで、そのまとめた表を提出いたしました。

 その表を提出いたしましたところ、このうちの内訳、例えば、技能実習生からどのぐらい入るのか、試験ルートからどのぐらい入るのかという内訳を明らかにするようにという御指示がございまして、十一月十六日に、各業ごとにこれをまとめた資料を各業所管省庁において作成していただきまして、これを、お昼の理事会であったかと思いますが、提出をいたしました。

 そうしましたところ、この一覧性のないものではわからないのではないか、一覧性のあるものをつくるようにという御指示を受けまして、そして、その日の夕刻、御指示を受けました一覧表を各業所管省庁において取りまとめいただいた上で、各理事の先生方、オブザーバーの先生方の事務所にお届けした、このような経緯でございます。

藤野委員 今答弁のあった経過なんですね。

 もっと言いますと、これは、十一月三日に、初年度四万人、五年目には二十五万人程度という報道があって、その二日後の参議院予算委員会で、これはどういうことだということに対して、山下大臣が、近日中に出したい、法案の審査に資するようにしっかり出してまいりますと。こういう経過もあって、今答弁あったような、当委員会にも提出がされた。初めはこういうざっくり、紙のものでありましたけれども、委員長の指摘もあって、こうした一覧性のあるものになったわけであります。

 私は、これをもとに、これそのものではないんだけれども、これをもとに資料を作成して、きょうの予算委員会で質問をいたしました。

 ところが、山下大臣は、私の質問に対して、あたかもこれが法務省が提出したデータに基づかないような答弁を行いました。絶対に許せない。速記録を読みますと、冒頭、まず、お示しのパネルのデータですが、これは法務省が提出したデータ自体ではございません。こんなとんでもない答弁、これはどういうことですか、大臣。

山下国務大臣 お答えいたします。

 パネルのデータと申しますのは、素形産業一〇〇%、産業機械製造業一〇〇%、電気・電子情報関連産業一〇〇%……(藤野委員「法務省が出したデータですか」と呼ぶ)法務省はパーセンテージでは出しておりません。

 そして、法務省が提出した資料によれば、これは、この受入れ見込み数について、技能実習とそして試験によるもの若干名というふうな記載がございます。これは、あたかも一〇〇%ということになると、試験はやらないのではないか、そういった誤解を与えます。

 そうしたことから、これは、一〇〇%と言い切るのは、これはミスリードではないかというふうに申し上げ、そして、自動車整備業においても、一〇〇%というふうな数字は出てこない初年度の数字になっています。試験が五百程度、技能実習が三百程度というふうに書いてありますので……(藤野委員「あなたの見解は聞いていないんだよ」と呼ぶ)

葉梨委員長 簡潔にお願いします。

山下国務大臣 ということで申し上げたということでございます。

藤野委員 私は、法務省が出したデータに基づいて、もちろん、そこから先は私の責任で資料を作成したわけです。予算委員会ですから、予算委員会でも議論をしていただきました。その上で質問したわけであります。

 問題は、そのバックデータそのものは法務省が提出したものなんですね。ですから、多少、表現ぶりとか、若干名という書きぶりもありますよ。しかし、提出したデータが、大臣の答弁は、提出したデータ自体ではございませんと言うわけですよ。これは、全く事実をゆがめる。

 そして、大臣、何が起きたかといいますと、このもとで、私の質問で総理がこう言ったんです。その資料については、法務省として別の見解を持っているので、この資料に基づいた答弁はできない。

 これは、大臣がその前にあたかも法務省がデータを出していないかのような発言をし、それについて何か私が別のものに基づいて質問しているかのように総理が受け取ったからですよ。全く違うじゃないですか。そちらが出された資料に基づいて私は質問しているわけです。

 いろいろ言うのはいいですけれども、総理がこう受け取ったということは、要するに、提出したデータ自身が法務省と違うとあなたが冒頭言った言葉に総理が反応されている。それで、私への答弁を拒んだわけですよ。どういうことですか。こんなことが許されるのか。

葉梨委員長 山下法務大臣、簡潔に願います。

山下国務大臣 お示しの資料は、題名が「技能実習生からの移行見込み 一〇〇%が五業種も」というふうに書いてあります。これは、我々が示した事実のデータに基づくものではないということで、そのように申し上げたわけでございます。

藤野委員 先ほどから、データに基づくものではないとおっしゃいますが、これは維持されるんですか。

山下国務大臣 一〇〇%という数字をお示ししたものではございません。

 ただ、委員が委員の判断で丸めて書かれたものであるということであろうというふうに考えております。

藤野委員 丸めるというのは、例えば過半数を超えていたら六割、七割とか、そういうことであって、皆さんが出された数字というのは、例えば、素形材産業三千四百から四千三百、うち技能実習三千四百から四千三百、産業機械製造業八百五十から千五十、うち技能実習八百五十から千五十。まさにぴったり一致しているわけです。だから私は一〇〇という数字を使った。

 丸めても何でもないんです。それをあたかも別のものに言うから、総理が私への答弁を拒む根拠にしている。こんなことは許されないですよ。こういう答弁は撤回してください。

葉梨委員長 山下法務大臣、時間が経過しています。簡潔にお願いします。

山下国務大臣 まず、自動車整備業一〇〇%という、この引用については、これは誤りではないかというふうに思っております。要するに、試験によるものが五百程度というふうに明記しておるわけでございます。

 そして、一〇〇%という数字は我々出していなくて、若干名というのを切り捨てて、それは試験をやらないというふうな表現にも受け取れかねないので、そのように答弁させていただいたということでございます。

藤野委員 もう終わりますけれども、要は、私が言いたいのは、お聞きしたのは、この答弁、データに基づかないという答弁、維持されるんですか。

葉梨委員長 では、最後に、山下法務大臣。

山下国務大臣 このパネルの数字自体の数字は、法務省は提供しておりません。一〇〇%ということについては。

藤野委員 これは答えていないです。

 データを提供したことも、していないという答弁を維持されるんですか。一〇〇パー云々じゃない。

山下国務大臣 整理して言うと、この受入れ見込み数については、こういった数字は提出しております。

 ただ一方で、この「一〇〇%が五業種も」、こういったものについては、我々は、一〇〇%という数字は提出していないということでございます。

藤野委員 この問題は、要するに、行政と立法の問題にかかわるんです。行政から出された資料に基づいて私たちは質問する。議長の所感でも、そこが今大問題になっているという所感も出ているわけですね。

 行政から出された資料に基づいて質問したのに、それが、法務省は全く別物のように描いて、総理が答弁を拒む根拠にするなんということがもし許されたら、国会と行政の関係は根底から崩れるじゃないですか。こんなことは絶対に看過できない。

 このことを主張して、質問を終わります。

葉梨委員長 以上で藤野保史君の質疑は終了いたしました。

 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 今回の聴取票、あるいは個票の開示の仕方につきまして、私は、葉梨委員長の決断に賛成をさせていただくものでございます。

 その理由として、よく刑事訴追のおそれ云々とありますが、私は、最大の理由は、この個票は事実の裏づけが全くなされていないものであるということなんだと思います。これを政府が何らかのデータということで示すということになると国民の誤解を招くことになる、これが私は最大の理由であると思います。

 これは、失踪者が身柄確保された後に任意で聴取し、失踪者が一方的に話したことを聴取してそれを記したものであるということで、事実としてはこれが全く裏づけがなされていない、国民に誤解を与えるということを危惧をしなければならないと思います。

 特に、その点から、私は法務省に対して苦言を呈したいんです。

 なぜならば、この聴取票は、一方的に言っているだけであって、事実と違うわけですから、そういう意味では、「失踪技能実習生の現状」、この現状という表現、あるいは、失踪の原因のところに、「出稼ぎ労働の機会と捉え、」という文言、あるいは「より高い賃金を求めて」という文言、あるいは、前回の部分では、人権侵害行為等が存在しているという文言、これは、どういうふうな裏づけでもってこのようなことを言えるのか。

 今回新しく書き直された中には人権侵害行為等が入っていないという主張があって、これは当然だからという回答もありましたが、なぜ当然だということを、一方的な主張で、裏づけもない中で認定しているのか。これは私としては非常に誤解を招くことだと思います。単純に、失踪者に動機を尋ねたところ、以下の項目について次の回答があった、こういう報告をしておくべきではないだろうかと思うんです。何が存在したかなんというのは何の裏づけもない。

 だから、聴取票が出てきて、まさにそっちが真実かのような誤解を与える。これは何が問題かといいますと、技能実習生を受け入れている企業、本当に、真面目に日本の技術を学んでもらって、母国に帰ってもらい、それを活用してもらう、それが国際貢献だと思っている企業というのはたくさんいらっしゃるんです。しかし、これが、こういうような形で、何か最低賃金法以下の会社だらけのような報道をされると、偏見の目で見られてしまうんです。

 ですから、こういうような、まるで事実でないわけですから、ないとも私は言いませんよ、ないとは言わないけれども、事実の裏づけのないものを政府が公開をするということで誤解を招くということは、私は大変問題だと思うんです。

 そういう意味で、なぜ、人権侵害行為等が少数存在するというような、こういう断定が書かれているのか。大臣、こういうような表現は今後見直していかなければならないと思うんですが、御意見を伺いたいと思います。

山下国務大臣 お答えいたします。

 確かに、技能実習制度につきましては、失踪者の割合、これは計算方法にもよりますが、失踪者の割合は数%ということでございます。そこからすると、九割以上、九割をはるかに超える技能実習生については、技能実習計画に従ってしっかりと励んでおる、そして、それを見守る実施機関の方々がおられるわけでございます。

 串田委員のお話、まさにそういった方々の思いにも応えるべきではないか、そのことは法務省もしっかりと踏まえてまいりたいと思います。

 他方で、一部、人権侵害的な行為があったというふうな、これは事実認定の部分ではございますが、他方で、やはり聞き取りのままという部分もございます。そうしたことで、やはり表現ぶりについても正確を期すよう、しっかりと検討してもらうよう、今般、門山政務官をヘッドとして、技能実習制度運用に関するプロジェクトチームを立ち上げたところでございますので、そこで、先生御指摘の点も含めてしっかりと検討させていただきたいと思います。

串田委員 一方で、参考人質疑の中では、長年の経験、あるいは件数において、かなり労働条件が悪いというようなことの実態も私はあると思うんです。ですから、そういったようなことは、入管だけで解決できるのではなくて、厚労省との間でしっかりと連携をとっていかなければ私はだめだと思います。

 その点について、強く、入管は出入りの件だけれども、労働条件に関しては、地方自治体や労働基準監督署がしっかりとそれを把握していかなければいけないと思うので、連携について、大臣、その所感を伺って終わりにしたいと思います。

山下国務大臣 それにつきましては、私は、官房長官とともに、外国人の受入れ・共生のための関係閣僚会議の議長も仰せつかっているわけでございます。その閣僚会議において、御指摘の点も含めて、外国人が働き、暮らし、そして留学生であれば学ぶ、そうした環境をしっかりと、受入れ環境の整備を図っていきたい、そのための総合的対応策を検討させていただきたいというふうに考えております。

串田委員 時間になりましたので、終わります。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で串田誠一君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 この際、本案に対し、井野俊郎君外五名から、自由民主党、公明党及び日本維新の会の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。串田誠一君。

    ―――――――――――――

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

串田委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府提出の法律案についての当委員会におけるこれまでの議論を踏まえ、真摯な修正協議を重ねた結果、今般、次のような内容の修正案を提出することで合意に至ったものであります。

 以下、この修正案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、分野別運用方針に定める事項のうち、当該分野別運用方針において定める産業上の分野における人材の不足の状況に関する事項について、当該産業上の分野において人材が不足している地域の状況に関する事項を含む旨を明記することとしております。

 第二に、一号特定技能外国人支援について、一号特定技能外国人と日本人との交流の促進に係る支援を含む旨を明記することとしております。

 第三に、附則に、政府は、特定技能の在留資格に係る制度の運用に当たっては、人材が不足している地域の状況に配慮し、特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することとならないようにするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする旨の規定を追加することとしております。

 第四に、附則の検討条項として次の二つの事項について定めることとしております。

 一、政府は、この法律の公布後、速やかに、本邦に在留する外国人に係る在留管理、雇用管理及び社会保険制度における在留カードの番号その他の特定の個人を識別することができる番号等の利用のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。

 二、特定技能の在留資格に係る制度のあり方に関する検討について、「施行後三年を経過した場合」から「施行後二年を経過した場合」に改めるとともに、地方公共団体の関与のあり方、特定技能の在留資格に係る技能を有するかどうかの判定の方法のあり方及び技能実習の在留資格に係る制度との関係に関する検討を含む旨を明記すること。

 以上が、この修正案の趣旨及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。

葉梨委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時七分散会


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