衆議院

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第2号 平成16年11月1日(月曜日)

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平成十六年十一月一日(月曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 赤松 広隆君

   理事 谷本 龍哉君 理事 中谷  元君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺 博道君

   理事 大谷 信盛君 理事 首藤 信彦君

   理事 増子 輝彦君 理事 丸谷 佳織君

      宇野  治君    植竹 繁雄君

      小野寺五典君    河井 克行君

      高村 正彦君    佐藤  錬君

      鈴木 淳司君    土屋 品子君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      三ッ矢憲生君    宮下 一郎君

      今野  東君    篠原  孝君

      武正 公一君    鳩山由紀夫君

      古本伸一郎君    赤羽 一嘉君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   外務大臣政務官      河井 克行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  堀内 文隆君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   横山 文博君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  河野 孝義君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  武智 健二君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    大林 千一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   北島 信一君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            薮中三十二君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           樋口 修資君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  竹谷 廣之君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    石井 健児君

   外務委員会専門員     原   聰君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  三ッ矢憲生君     佐藤  錬君

  藤村  修君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     三ッ矢憲生君

  篠原  孝君     藤村  修君

    ―――――――――――――

十月二十九日

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、在イラク邦人人質事件について政府から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣町村信孝君。

町村国務大臣 お許しをいただきまして、在イラク邦人人質事件についての御報告を冒頭申し上げます。

 政府といたしましては、昨日、イラク市内で発見をされた遺体の身元確認を行った結果、極めて残念なことに、それが香田証生さんの御遺体であるということを確認しました。

 十月二十七日に香田さん拘束の第一報に接して以来、政府として、香田さんの一刻も早い解放のため、アンマンの現地対策本部や関係在外公館と連携し、イラク暫定政府を初めとする関係各国や関係者の協力も得つつ、全力を尽くしてきました。それにもかかわらず、香田さんがテロの犠牲になられたことは、痛恨のきわみであります。心から哀悼の意を表するとともに、御家族に対して心からお悔やみを申し上げます。

 現在、御家族の意向を確認しつつ、可及的速やかに御遺体を日本へ移送できるよう、関係方面と調整を進めているところであります。

 無辜の民間人の生命を奪った今回のテロは卑劣きわまりない行為であり、改めて強い憤りを覚えます。こうした行為は断じて許すことはできません。我が国は、国際社会と協力し、今後とも断固たる姿勢でテロとの闘いを続けなければならないと考えます。

 他方で、イラクの復興は道半ばであります。イラクは、国際社会の支援を引き続き必要としております。我が国として、イラクの復興に引き続き積極的に関与していくことが重要であると考えています。

 今回、最悪の結果となってしまいましたが、本件につき御協力をいただいた関係者の方々に対し、改めて心より御礼を申し上げます。また、本件に関する国会を初めとする国内各方面の御理解と御協力に対しても御礼を申し上げる次第であります。

 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長北島信一君、外務省アジア大洋州局長薮中三十二君、外務省北米局長海老原紳君、外務省経済局長佐々江賢一郎君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、防衛庁防衛参事官横山文博君、防衛庁運用局長大古和雄君、防衛施設庁長官山中昭栄君、防衛施設庁建設部長河野孝義君、総務省自治行政局長武智健二君、総務省統計局長大林千一君、文部科学省大臣官房審議官樋口修資君、水産庁資源管理部長竹谷廣之君、海上保安庁次長石井健児君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 イラクで武装組織に拘束された香田証生さんが殺害されたことは、日本人としてまことにざんきにたえません。心から御冥福を申し上げると同時に、この五日間、彼の救出のために奔走された外務省職員初め政府関係者の皆さんに、心から御慰労を申し上げます。

 この五日間、いろんな情報が飛び交いました。大新聞もテレビ局も、二度も間違った報道がありました。でも、バグダッド周辺には大使館員が数名いるだけで、イラクでの事実確認は大変だったと思います。また、交渉も、日本には情報機関がありません。まして工作員もおりません。各国に協力してもらうしかないわけでありますが、このような背景の中で、外務省は救出や交渉に全力を尽くしてこられたと思いますが、外務省はどのような取り組みをされてきたのか、御紹介いただきたいと思います。

町村国務大臣 十分な結果を出すことができなかったわけですが、それにもかかわらず外務省に対して温かいお言葉をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 まず、私どもは、二十七日の六時十分に一人の邦人が人質にとられたという報道に接したところからいろいろな作業が始まったわけでございます。外務省といたしましては、その日の六時半にオペレーションルームで作業を開始し、午前七時に対策本部を立ち上げまして、在外公館との連絡をとり始め、また情報収集に全力を尽くし始めたところでございます。また、御家族とも直ちに連絡をとっていったところでございます。

 まず、現地で的確な指揮がとれる方がよかろう。残念ながらバグダッドでというわけにはまいりませんので、四月の例を参考にしながら、その日の午後一時の飛行機で谷川副大臣をヨルダンのアンマンに派遣いたしまして、現地対策本部を立ち上げたわけでございます。

 この間、私の方から、イラクの首相、外務大臣、あるいはアメリカ、イギリス、イタリアの外務大臣等々に電話で直接お願いをして、協力要請、情報の提供、各方面への接触等をお願いいたしましたし、私どもの約三十の在外公館に対して指示を出し、必要な各方面への接触、協力要請等々を行ってきたところでございます。

 また、何といってもイラク政府の管轄で、イラク国内で起きたことでございますから、イラク政府との連絡という意味で、現地鈴木大使が先方の首相、外務大臣あるいは国内関係の治安関係の方々への連絡調整というものをとってきたところでございます。

 それより詳しい詳細というのは、事柄が事柄であるだけに差し控えさせていただきますけれども、可能な限り考えられる最大限の取り組みをしたということでございます。

 ただ、基本的に、先ほど委員御指摘のとおり、我が国にはそういう意味のすぐれた情報機関という、専門の情報機関があるわけではございません。また、そのために必要な情報関係の予算が十分とれているというわけでもございません。

 もっと申し上げますと、戦後の日本の中で、そうした情報に要する費用をとろうとか、あるいはそもそも情報の重要性、何か事が起きると情報は非常に重要だという話になりますけれども、それでは情報機関をつくるかというような話になれば、たちどころに今度は反対論が出る。

 あるいは、そういう情報の予算のすべて、情報の公開ということがまず先に参りますから、そういう情報関係のもろもろの体制を組み、予算をとるということは、正直言って戦後の日本の中ではほとんど無視をされていたと言っても過言でないような状態であったことは、私にも大変残念な思いでございます。

 そういう意味で、私はこれから、急にこれは一朝一夕でできるものではございませんけれども、私は今後、日本政府を挙げて、この問題に関して、もちろんこれは外務省だけでできることではございませんが、政府を挙げての取り組みということで今後しっかりと体制整備をしていかなければいけない、かように考えております。

中谷委員 このような国際犯罪に対して、日本が何ができるかということでございますが、事殺害されたのは日本人でございます、同じ邦人。この邦人を国家が救出するというのは当たり前のことでありまして、この犯行グループはイラク人ではありません。国際テロリストのアブムサブ・ザルカウィ容疑者が率いるイラク聖戦アルカイダ組織と名乗っております。

 このアルカイダというのは九・一一の犯行グループと同じ名前でありますが、日本の国益から考えますと、やはり日本人の生命財産、これを守るという観点では、彼をまず救出できなくてはいけません。そして、テロリストの集団と接触をして、交渉をし、そして何らかの圧力をかけながら奪回できなければなりません。

 果たして、日本にとって、彼を救出する手段、これは実員を含めて、警察、自衛隊、果たしてそれがあるのか。また、先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、情報機関として、アメリカならCIAや諜報機関もありますけれども、日本には工作員もないし、もう各国に協力をお願いするしかないという現状を受けて、もう一度、どうあるべきか、このことについて、日本の国益を守る外務省としてどうお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 しばしば諸外国においては、それぞれの国の機関が在外にとらわれた人質等々の救出に向かうという報道を私どもも目にするわけでございます。日本に今そういう部隊、組織、機能があるかというと、それは率直に言ってございません。

 それぞれの国の主権にかかわることに直接日本が出ていくというわけにはいかない、そういう状況でございますから、それはすべてその国の政府の力をかりる。もちろん、その周辺に関する情報に関してはいろいろな国々の情報に依存をするということはございますが、最終的に、物理的な救出ということになりますれば、それは、当該国の治安組織、警察等々に頼らざるを得ないというのが現在の日本の姿であるということだと私は理解をしております。

中谷委員 ペルーの大使館人質事件のときもそうでしたけれども、日本には邦人を救出するすべがないんですね。それを目的として自衛隊も警察も出動できない。まさに国家として欠落した部分でありますので、今後この点についてはよく検討をしていかなければならないと思います。

 そしてもう一点、この犯行グループのイラク聖戦アルカイダ組織、これは今後イラクにおいて、一月に国民議会選挙がありますが、これの阻止のために、ことしの年末にかけて、もう最後の機会と判断して今後誘拐やテロ活動を頻発化させるおそれがありますけれども、外務省としてこのことに対して国民にどう注意喚起をするのか。また、日本は国連の常任理事国を目指しておりますけれども、日本はこのテロ組織の活動の取り締まり、防止に対して一体国際国家として何ができるのか。この二点をお伺いします。

町村国務大臣 まず、邦人に対する注意喚起でございます。これは、委員御承知のとおり、特にイラクは最も危険な地域であるということで、今、四段階に分けておりますけれどもその最も厳しい状態にあるということを、先般来、特にことしの四月の事件以降、あるいはそれ以前からでありますが、そういう危険情報の発出というのをやっております。

 イラクは折に触れて、もう六十回を超えるそういう情報を発出しているところでございます。それも、ただ単に文書で出すということにとどまらず、インターネットを使い、テレビを使い、新聞を使い、ファクスニュースを使い、電話サービスを使い、ありとあらゆる手段でそういう危険情報を流しております。

 また、例えばヨルダンからイラクに入国をするという人が比較的多いものですから、アンマンにあるホテル等には日本語の危険情報の張り紙をする、あるいはホテルの人に頼んで、日本人が来たらばイラクに入らないように話をしてもらう、あるいは大使館に連絡をとってもらうというようなことをやっております。現に、今回香田さんが泊まられたホテルの従業員も、香田さんに対して善意の説得をしてくれたという話を承知いたしております。

 そういうことで、私どもとしては最大限の情報提供をやっているつもりでございますが、まだまだ不十分な点があるかもしれませんので、その辺はさらに今後、どういうことがまだ改善の余地があるのかということを努力していきたい、こう思っております。

 それからもう一つ、委員御指摘の、その一月の選挙に向けてこれからテロ活動がより頻繁になるのではないか。これはテロ活動のみならず、イラクの国における治安をより乱すような行為というものに、自爆テロ等々を通じていろいろ出てくるということが想像されるわけでございます。先般、イラクの支援国会議というのが東京で開かれました。その折にも同じような趣旨のことをサレハ副首相も私に対して語っておられました。

 逆に、だからこそ私どもとしては、その一月の選挙というものを、いかに国際社会の協力を得ながら、またイラク暫定政府の持てる能力を最大限に発揮してこの選挙を成功させるのかということが政治的にも非常に重要だ、こう考えておりまして、私どもができることは、この選挙に対して四千万ドルの支援を行う、さらに各国、私どもはどういう形かまだ今後具体の検討を進めておりますけれども、選挙監視団といったようなものが出せるかどうか、これは国際社会とも協調しながらやっていくということ。

 さらに、イラク国内の治安でございますから、今イラク国内で早急に、ある種の治安組織、警察だと思いますけれども、それを充実するさまざまな活動をやっておりますので、そういったものにも力添えをしていくというようなことで、この一月の選挙を成功させるということに焦点を当てながら、私どもとしても全力を挙げた取り組みをしていきたいと考えております。

中谷委員 一月の選挙を成功させるということは、もう畢生目的でありますので全力でお願いしたいんですが、要は、こういう国際テロ組織集団、これをいかに撲滅するのか。今回亡くなった香田さんは、二十四歳、イラクで何かをやらなくては、何かをやりたい、まさに名前のように生きるあかしを知りたくて、みずからイラク行きのバスに乗ったのですが、帰らぬ人となりました。前途ある日本の青年が、何も罪のない青年が、テロによって殺害されるということは絶対に許せません。日本は、このテログループと徹底的に闘って、この国際テロ組織を根絶する必要がございます。

 そういう意味で、イラク侵攻の事の発端ともなりましたのは、九・一一のニューヨークの同時多発テロ事件。これは、アメリカの建国以来初めてアメリカ本土が襲われて、四千人近くの犠牲者が出た。あのとき世界が変わったと言われますが、あのときアメリカの防衛政策が変わったんですね。

 アメリカの本土、アメリカの国民をいかにして守るかというアメリカの安全保障戦略に転換をして、現在、アメリカの、トランスフォーメーションと言われておりますけれども、軍の再編。この根底にあるのは、不安定な弧と言われる中東からアジア、そして東南アジアのフィリピン、インドネシア、こういった地域にあるアルカイダのような国際テロ集団、こういうものをいかに封じ込めていくかという戦略の上にあろうかと思います。

 こういった米国の安全保障戦略、そして日本も、冷戦後九・一一がありまして、朝鮮半島や中国、台湾の問題を含めて東アジア地域の状況も考慮し、そして国際安全保障戦略の中でテロをなくしていく、このアルカイダのような組織を撲滅していくということも日本はもっともっとかかわっていかなければならないわけでありますが、今現実にこの米国のトランスフォーメーションが議論をされ、そして日本の国益上これをどうとらえて我が国の利益につなげていくかということをまさに政府として考えていかなければならないと思いますが、外務大臣として、米国のトランスフォーメーションと日本の受け入れる考え方、このことについて御意見を伺いたいと思います。

町村国務大臣 テロを根絶するための国際の取り組みということを一言先に申し上げますが、今、二〇〇〇年九月から、包括テロ防止条約というものを、国連総会第六委員会のもとに設置されましたアドホック委員会によって交渉が行われ、現在八回交渉が行われております。

 現状、まだまとまる見通しは立っていないわけでございますけれども、やはりこういった国際的な法的枠組みというものをまずつくっていくということが重要であろう、こう思っておりますので、日本はこれまでテロ防止関連の十二条約についてはすべて締結をしております、完了しておりますが、こういうテロ行為全般を犯罪化することを目的とするこの条約に今まで以上に積極的に参加をして、何とかまとめるような努力をしていきたい、こう思っております。

 さらに、委員から、今米軍の再編成に関連して、日本としてどうこれに取り組むのかという御指摘がございました。これがまさに今私ども国内的にいえば防衛大綱という形で年末までにまとめる大綱、中期防の中で、我が国の防衛としての取り組みというものは、今委員御指摘のような背景をしっかり踏まえながらつくっていくということは当然のことだろうと思います。

 そして、その中ではやはり日米の関係というものが大変重要だ、こう思っております。今言われた不安定の弧というものにどう対応していくのか。日米安保は御承知のように極東及びその周辺ということで、これは安全保障条約によって対応していくということになっておりますが、さらに、不安定の弧という幅広い地域の中でどう日本が役割を果たしていくのか。

 あるいは、これについては御承知のように、もう委員も大変な、防衛庁長官として、あるいは自民党のリーダーとして、テロ特措法あるいはイラク特措法という法律を特に通すということで御尽力をいただいたわけでございますが、こういう形で日本として法律をつくって、できる限りの、最大限のテロ対策をやっていく。

 これは直接安保の枠内ではございませんけれども、世界の中の日米同盟という考え方のもとでこの政策を今まで推進してきている、こう理解をしておりますので、今後ともそういう考え方のもとで、アメリカと緊密な連携をとりながらしっかりとしたテロ対策、あるいは不安定の弧に対応する対策というものを講じていきたいと考えているところでございます。

中谷委員 今後そういったテロに対して、現実に日本人が殺されております、そういったものに対して、国家としてこれを防止したり、また処罰をしたりすることができないとおかしいと思うんですね。そういう意味では、アメリカが今考えている、やはり国際テロをなくしていこうということに日本も最大限協力をしなければならないと思います。

 そして、今このトランスフォーメーションで、統合指揮能力を持つ陸軍の司令部なり統合司令部を日本に置こうという話がされておられると思いますが、このことに対する日本としてのメリット、国益についてお考えをいただきたいわけでありますが、仮に統合司令部が日本に置かれるとするならば、私は、日本防衛の際の米軍の即応態勢が強化される、平素に情報交換や指揮官同士の交流を通じて日米間の協力関係も強化をされる、周辺事態に対する抑止力も向上する、そして何といっても兵士が来るんじゃなくて非常に頭脳と情報を持った指揮官が来るわけでありますので、我が国も積極的に対応すべきと考えますが、この点についての大臣の所見を伺います。

町村国務大臣 今委員から米陸軍の第一軍団司令部の日本国内移転という具体のお話がございました。

 現状、今このトランスフォーメーションの関係で、日米関係では、むしろその具体論に入る前の段階の、アメリカの軍事体制の見直しの考え方、それにいかに日本として対応していくか、あるいは日本の防衛計画の大綱等をどういう考えで進めていくか、その背景にある地域の情勢というものをどうお互いに共通認識をとるのか。そして、そういう中で日米の役割分担、使命というものがどういうところにあるのかというようなところを、基本的な論点について包括的に議論をしている段階でございます。その辺はいずれまとめて発表していかなければいけないかな、こう思っておりますけれども。

 したがって、まだ個別の、どこをどうするという話が、いろいろ報道が先行しているわけでございますけれども、それは理念を語れば、ある種どこかそれを具体化するという意味でのケーススタディー的な個別名は現実に出たことはございますけれども、しかしそれが正式な提案であるとか回答であるという性質のものではございませんので、私としては、今具体のお問い合わせへの回答ができる状態にはまだなっていないということを御理解を賜れば、こう思っております。

 その上で、米軍とのより密接な協調関係をつくり上げていくということは、これは安保条約の機能を高める上からも重要であろう、こう思っておりまして、そういう意味で、委員御指摘の点を含めていろいろな面で幅広く検討をし、お互いの両国間で合意ができるような努力をしていきたいと考えているところであります。

中谷委員 この話し合いは現在も行われていると思いますが、この話し合いをしている段階で二点確認をさせていただきたいんですけれども、一つは、安保条約の六条、これがあるからだめというような報道もございますが、しかし昭和三十五年のこの政府答弁を見てみますと、こういう範囲にはとらわれていないということが書かれております。

 事実、現在日本にある米軍基地の、沖縄に第一海兵航空団司令部があります。キャンプ瑞慶覧にあります。同じく沖縄のキャンプ・ハンセンには三十一機動展開部隊、この司令部もあります。また、日本を母港とする第七艦隊、これは横須賀にベースがあるわけでありますが、このように、在日米軍の行動範囲が極東範囲を超えて中東やインド洋に及んでも問題がないということで整理を行ってきたと存じます。

 仮に第一軍団司令部が日本に来ることになっても、この安保条約の解釈変更にはならない範囲でこういった統合司令部を日本に置くということは可能ではないかと思いますが、この点について確認をさせていただきます。

町村国務大臣 日米安保条約の枠組みに関するお問い合わせでございますけれども、御承知のように、在日米軍の施設・区域というものは、日本と極東の平和と安全の維持というものを目的として提供されているわけでありますけれども、安保条約上、在日米軍の行動が極東の範囲に限定をされているというわけではございません。

 まず第一に、我が国及び極東の平和と安全の維持という目的に沿って行われている限り、施設・区域を使用する米軍の行動が極東の範囲を超えることについて、条約上問題にはならないということ。

 また、例えば在日米軍の部隊が、例示でございますが、例えばイラクとかアフガンに派遣されるというような場合は、従前から、これは異なる任務のために他の地域に移動していくということでございますから、これは安保条約上問題になるものではないし、したがって事前協議の対象になるという問題ではないということであります。

 また、委員今御指摘のありました司令部の役割とこの条約との関係というお問い合わせでございますが、一般論として申し上げますと、この日本の国内における施設・区域を使用して指揮統制を行う司令部がどういう活動をやるのかということについて、必ずしもまだはっきりした定義といいましょうか機能といいましょうか、それがどういうレベルの司令部がどの範囲の指揮を行うのかというようなことをまだ具体論をやっているわけではございませんので、一概にこの安保条約六条との関係を申し上げることはできないわけでございます。

 しかし、今いろいろなことで条約、法令を頭に置きながら議論するわけでございますけれども、最終的には、私どもの今の考えでは、現行の安保条約、そして関連取り決めの枠内で行われていくということを最終的にはチェックをしながら今次のトランスフォーメーションの議論に臨んでいるという次第でございます。

中谷委員 どのような部隊があるのか、これからということですが、我々が欲しいのは米軍の統合運用のできる司令部であります。というのは、日本の防衛というのは自衛隊とそして日米安保による米軍の二本立てでやっておりますが、この自衛隊においても、もう新しい時代、陸海空の統合運用ということで、一年ちょっとで統合幕僚監部という統合運用の組織ができます。日本にいる在日米軍は、空軍、海軍はありますけれども陸軍がなかった。それに合わせて統合運用のできる部隊の司令部が来れば、日本の防衛上、大変機能的に効力を発揮するということを申し上げたいと思います。

 そして最後に、これからの日米同盟の課題、これは、早期に取り組むべき課題として、平成八年の日米安保共同宣言において米軍のプレゼンスの意義をアジア太平洋地域の平和と安定の維持と規定しておりまして、それが国民の一般的な理解になってきております。今回の米軍再編において、この実態に基いたより戦略的な観点から対応すべきと考えますけれども、あいまいにするのではなくて、もう国民に対してははっきり宣言して、2プラス2あたりでもこのような同意を日本側からすべきだと思いますけれども、この点についての政府のお考えを伺います。

町村国務大臣 平成八年の橋本・クリントン間での日米安保共同宣言、これは再定義であるとか再確認であるとかいろいろな言い方がされているわけでございますけれども、私どもは、これは累次私の先輩の大臣等が答弁をしておりますように、これは再定義というよりむしろ再確認だということでございます。

 しかし、それはそれとして、ではこれからどうするのかというお話でございました。私は、在日米軍の兵力構成の見直しの日米間の協議において、こうして今基本的な考え方について議論しているわけでございまして、今後、戦略的な観点ということを踏まえながら引き続き議論を煮詰めていきたい、こう思っております。

 そういう議論の中で、必要があれば何らかの両国の政治的な意図表明をするということがあるかもしれない。そういう場合には、それはそれとして、必要なことはやはりやっていかなければならないんだろう。特に、国民に対するきちんとした説明をする、あるいは国内外への説明責任といったような観点から、そういうものが必要になるかもしれません。ただ、今あらかじめそれをつくるということを前提にして作業をしているわけでは必ずしもないということもまた御理解を賜ればと存じます。

中谷委員 いずれにしましても、もう東アジアは、二国間の間ではなくてリージョナルな時代になっておりますので、現在の六者協議というものも発展させて、この東アジアの安全保障という体制を大臣の在任中にしっかり構築をしていただきますこと、そして国際テロ防止のために、日本は常任理事国を目指す国としてしっかりとした対応ができ、日本国民を守ることができる国になりますように、心から御期待とお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

赤松委員長 西銘恒三郎君。

西銘委員 冒頭、政府の懸命な努力にもかかわりませず、無辜の民の香田さんが殺害されましたこと、テロリストに対して強い憤りを覚えると同時に、御家族の皆様には心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 さて、私は、ことし一月、台湾の台北で行われました世界の国会議員の集い、そして五月には、政調会長のお供をしまして、米国ワシントン、国務省、国防省の高官との話し合いの場面、また九月には再び、単身、国務省、国防省の実務者との意見交換等々を行う機会がございました。その辺のところを基礎にしまして、大臣に質疑をしてみたいと思います。

 二十一世紀の国際安全保障環境が大きく変わる中で、私は、日米関係は極めて重要な二国間関係、日米同盟をしっかりと維持していかなければならないと考えております。しかし、我が国でも、もう来年の春には憲法調査会の最終報告が出てくる、憲法改正の議論が行われてくる、そういう中で、日米関係のあり方といいますか、あるいはそのもとにある日米地位協定のあり方といいますか、そういう議論も、検証も必要な時代になっているのかなと思っております。

 まず最初に、中東から北東アジアの地域、いわゆる石油エネルギーが我が国に運ばれてくる地域かと私は認識しておりますが、このいわゆる不安定の弧と言われる地域の安全保障と我が国の安全保障について、外務大臣の基本的な認識をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 委員から今不安定の弧というお話がございました。いわゆる中東から北東アジアへ伸びるこの一帯の広範な地域のことを指すと思いますが、確かに大変不安定な状況というのが今のイラク、アフガンの状況、さらには極東における朝鮮半島の状況、中台関係等々を見たときに、さまざまな不安定な要素、これは伝統的な冷戦構造の、ある種残った部分ということに加えての、テロあるいは大量殺りく兵器の拡散といったような問題が新しい要素としてつけ加わっているということでございます。

 そういう意味で、私どもはこれにしっかりと対応していくことが、今言われた日本の国のことだけを考えても、例えば御指摘のような、油が中東から入ってくる、その不安定な弧をずっと通って入ってくるということであります。特に、最近は海賊行為というものもかなり出てきているというような、また別の要素もございます。そういう意味で、私どもとしては、この一帯の安全というものが非常に国益にも重要なかかわりを持ってくるものだ、こう思います。

 したがいまして、私どもとしては、まず、現在あります日米安保条約というものを一つの大きな基盤として、この極東及びその周辺の安全を確保していく。この安保の直接の効果ではないかもしれませんけれども、やはり基本的な日米関係が安保条約によって担保されている。そのことによって、まさにアジア太平洋地域の安定というのは、日米同盟があるからこそ初めて成り立つという考え方であろうと思います。

 そういう意味で、我が国自身の防衛努力もこれから必要でございますが、日米関係の安定した、より密接な関係をつくり上げること、さらには我が国独自の外交努力によってそうした平和な環境というものを積極的につくっていくということをさまざまやることによって、この不安定の弧への対処をしっかりやっていくということが極めて重要な我々の仕事だ、かように考えます。

西銘委員 私は、この不安定の弧は、まさに大臣言われましたように、エネルギーの安全保障という意味でも、我が国の安全保障にそのままかかってくる。国民に対しても、この不安定の弧、エネルギーの通ってくる道の安全保障を我が国独自で主体的に行っていくのか、あるいは日米関係の中で行っていくのか等々も国民に考えるチャンスを与えなければならない。私は、日米関係、日米安保体制の中で、しっかりとこのエネルギーの安全保障を守っていくべきだと認識をしております。

 今般、政府はインド洋上での燃料補給を六カ月間延長する方針を決めました。あくまでも一般論としてでございますけれども、このように自衛隊の海外での活動、イラクのサマワでの活動も含めてではありますが、一般論として、兵を引くといいますか、兵を引く判断が非常に困難だという話をよく聞きます。

 任務が終了する時期をどのように判断して、派遣をするときから兵を引く状況等を考えるということは重要なことだと思いますが、一般論として、このインド洋上での任務の終了時期、どのような要素を判断しながら政府としての判断をしていくのか。今般の半年延長はそれとしておきますけれども、一般論としての任務の終了時期をどう判断していくかという点で、大臣のお考えを聞かせてください。

町村国務大臣 これはテロ特措法の法律の目的にそこが書いてあるわけでございまして、九・一一テロによってもたらされている脅威が除去されればということでございます。しかし、これはなかなか、世界じゅうのテロリストが確かにいなくなりましたということを証明するということは、これは容易なことではないんだろうと思います。したがって、もう少し限定した形で、より具体のことを考えなければならないんだろう、こう思います。

 したがって、一概に申し上げることは難しいんでありますけれども、例えば、アルカイダやタリバンの残党に打撃を加えまして、九・一一テロのような組織的かつ大規模なテロを遂行する人的、物的、資金的な能力を喪失させるに至った、こういう判断ができる場合には、この九・一一テロによりもたらされている脅威が除去されたということが言えるんだろうと思います。かなりの程度、このタリバン等々の幹部が捕らえられている、活動家が捕らえられている、資金源もかなり分断されてきているといったようなことがだんだんわかってきておりますので、そういったことを押さえなければなりません。

 他方、現状では、この国際社会は、国際テロを根絶するためのテロとの闘いというのが、これはアフガンのみならず世界レベルで続いているわけでございまして、そういう意味で、このテロとの闘いというものの世界レベルでの状況というものも総合的に勘案して、日本で最終的には独自の判断をしなければいけないんだろう。あくまで一般論でございますが、そういうふうに考えております。

西銘委員 先般、国防省の実務者との意見交換の中で感じることですけれども、米軍は地球規模でトランスフォーメーション、米軍再編を考えている。そういう中で、トランスフォーメーションはいつ始まっていつ終わるというものではない。常に、最良の配置、税金のむだ遣い等を廃止する等々の考えのもとに、米軍統合の中でトランスフォーメーションが考えられている。

 意見交換をする中で私が感じましたことは、国防省の高官の中にも在日米軍の中でも在沖の米軍基地が過重な負担になっているという認識は重々感じます。その中で、日米同盟関係をどう維持するのか、あるいは抑止力を維持しながら地域の過重な負担を軽減していくのかという、在沖の米軍基地の負担を少なくしたいという意向は、話し合いの中で感じることができました。

 私は、特に在沖の海兵隊の訓練等々に関しまして、オーストラリアの北部地域での訓練場のことを国防省の実務者に聞いたわけでありますが、オーストラリアと合意をしたというような趣旨の話もありました。政府、外務省の方で、オーストラリア北部の訓練基地等について、わかる範囲で、在沖の海兵隊の訓練との兼ね合いも含めまして、御説明をいただきたいと思います。

薮中政府参考人 お答え申し上げます。

 本年七月にワシントンで行われた豪米閣僚会合において、豪州にある訓練施設、これを改良して豪米共同統合訓練センターとすることについて合意がされたというふうに承知しております。

 この合意におきまして、クインズランド州のショールウォーター米訓練場、北部準州のデラメア・エアレンジ及び北部準州のブラッドショー・レンジにおけるハイテク機器の導入、そしてまた米国施設とのネットワーク化等が想定されているというのが我々の承知しているところでございます。

 そして、これは豪州がアメリカとの安全保障同盟の信頼性を確保するためという目的で、一九九七年以降二年置きに豪州各地で陸海空及び海兵隊を含む豪米の統合部隊、これによる共同訓練を実施しているということでございまして、この今回の合意も、両国の統合部隊による共同訓練、これを実施するための施設の改良であるということでございまして、これら施設は、引き続き豪州政府が保有、管理し、そして両国の共同訓練のために使用するというふうに承知しております。

西銘委員 より具体的に、過重な負担、在沖の海兵隊の訓練がこのオーストラリアの北部の地域で行われていくというふうに考えていいわけでしょうか。

薮中政府参考人 私どもの理解といたしましては、先ほども申し上げましたように、今までから豪州とアメリカで共同訓練を行ってきている、その共同訓練をより効果的に実施するために施設を改良したというふうに承知しております。

西銘委員 国務省との意見交換の中で私は安保条約に基づく地位協定についても意見交換をしましたけれども、率直に、日米地位協定、運用の改善を今行っておりますけれども、改正の規定もある。日米地位協定を改定、改正するときにはアメリカの国会の承認も必要かという話を聞きましたら、それは必要ないような話をしておりましたが、改めてこの場でお聞きをしたいんですが、地位協定の改定、改正には日米両国の国会の承認が必要でありましょうか。事務的にお答えいただきたいと思います。

海老原政府参考人 まず、日本側でございますけれども、日米地位協定は国会の御承認をいただいた条約でございます。したがいまして、その改定に当たっても国会の御承認をいただく必要があるというふうに考えております。

 米国におきましては、改定のときにいかなる国内手続をとるかということにつきましては、米国の国内問題でございますので、我々として必ずこうだということは有権的に申し上げられないわけでございますけれども、ただ、現在、現行の日米地位協定は、その発効に当たりまして米国議会の承認は得ておらず、行政府限りでこれを締結したということでございます。

 ただ、我々の理解では、そういう場合であっても、その改定に当たって、例えば非常に政治的に重要であるというような判断があれば議会の承認を得ることもあり得るというふうに聞いておりますので、結論から申し上げれば、今の段階では議会の承認を得るのかどうかということについては予断できないということでございます。

西銘委員 私は、より二十一世紀の日米同盟、日米関係のあり方を構築するためにも、憲法改正の議論をする時代に入っておりますので、地位協定も検証をしていく。そして、よりよき日米関係のために運用の改善の事例を並べてみる。そして、地位協定の一条から二十八条の明文化された規定と運用の改善で、そごの部分がないのか等々検証をする中で、しっかりとした日米関係を築くために地位協定の検証も必要だと考えております。その点については答弁は要りませんけれども。

 視点を変えますが、米国の連邦議会の中で、海外の基地の見直し委員会、アル・コーネラ委員長のもとの委員会があるようですが、十一月に沖縄を訪問すると聞いておりますが、政府の方で、それがいつごろになるのか、情報がわかったら御説明いただきたいんですが。

海老原政府参考人 今、西銘委員がおっしゃいましたアル・コーネラ氏を委員長といたします在外軍事施設の構成見直しに関する委員会、このメンバー数名が今月の十二日より二十日まで、太平洋軍の管轄区域にある米軍基地を訪問する予定であるというのは承知いたしております。

 ただ、その日程の中で、沖縄にいつ訪問をするのかということについては、我々は承知しておりません。

西銘委員 政府として、お願いしたいんですが、ぜひ、沖縄を訪問する機会がありましたら、地元の沖縄県知事との意見交換の場を政府としても働きかけていただきたいと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

町村国務大臣 先般、十月十六日でございますけれども、朝から沖縄の各地を訪問いたしまして、最終的に、基地所在の市町村長さんたち、あるいは稲嶺知事ともお目にかかりました。

 いろいろな基地にかかわるさまざまな問題、どういう思いで今沖縄の皆さん方がおられるのか、西銘先生からも私も常日ごろ沖縄の県民の大変な過重なる負担の実情というものを伺っているわけでございますが、改めて知事さん等からも伺いまして、今後そうした過重なる負担をいかに軽減することができるのかということで、この再編成の関連で、一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。

西銘委員 外務大臣の方からも、このアル・コーネラ委員長が沖縄を訪問した際には、ぜひ知事との意見の場を、側面的に会談を実現するように働きかけていただきたい、これは要望しておきたいと思います。

 さて、最後になりますが、去る十月の十日、台湾の国慶節に、平沼団長のもと、与野党の国会議員十一名で参加をいたしました。その昼食会、三時間余り陳総統あるいは副総統等と懇談の場がありましたけれども、国慶節の日に、陳水扁総統の方からは中台両岸の対話を進めたいと。

 新聞報道によりますと中国側の反応は全くゼロでありますけれども、私は、朝鮮半島あるいは台湾海峡、この地域の安全保障といいますか、台湾海峡で武力紛争が起こらないように、起こさないようにするにはどうしたらいいかという視点を常に持っておりますけれども、この懇談の場で私は中台の対話の場を、香港やシンガポール等で行われているようでありますが、総統閣下、ぜひ、沖縄サミットの会場もありますし、中台の対話を沖縄でやったらどうですかという提案を申し上げました。総統閣下は、日本政府がそういう仲立ちをしてくれるならば考えてもいいというような趣旨のお話もありましたが、中台の対話が進むということは安全保障上は私はいいことだと思っております。

 政府として、この中台の対話について、中をとるとは言いませんが、何らかそういう対話の促進がされるような動きをするお考えはないでしょうか。お伺いいたします。

逢沢副大臣 今委員より、中台間の緊張の緩和、その重要性ということについて言及をいただきました。政府といたしましても、大変強い関心を持っているということは当然のことでございます。

 中台間の緊張が高まることがないようなさまざまな呼びかけ、また働きかけを日本政府としてもいたしているところでありますし、また広く国際社会もそういった立場で、中国に対してまた台湾に対して、いたずらに緊張を高める、結果的にそのようなことが起こらないように冷静さを求める、また話し合いによって、この中台間の関係の改善、それを促してまいりました。当然のことでありますし、引き続きそのような努力が必要であります。

 そういった脈絡からいたしますと、国慶節、訪れられたということでありますが、十月十日の陳水扁総統の演説について、両岸協議や中台間のチャーター便を通じた直接の交流との新たな考え方が示されました。そのことに私どもとしては着目、注目をいたしているわけでありまして、具体的な実現を大いに期待したい。また、そのような環境整備に、さらに、近隣国、また地域に存在をする日本としても、必要な適切な努力を重ねてまいりたいと存じております。

西銘委員 どうもありがとうございました。

赤松委員長 次に、谷本龍哉君。

谷本委員 自由民主党の谷本龍哉でございます。質問をさせていただきます。

 まず冒頭に、イラクにおける日本人の人質事件、大変残念な結果となりました。質問通告はしておりませんが、一言だけ冒頭に大臣のお考えを聞かせていただきたいと思うんですが、大変、本当に残念なことだと思います。いろいろ見直さなきゃいけない点もあると思います。

 しかしながら、今我々に必要なのは、冷静に、イラクの国民が本当に何を思い、何を望んでいるのかということをしっかりと考えることであって、勘違いしてはいけないのは、テロリストのねらい、考えというのはそれとは違うんだということだと思います。いろいろな報道、いろいろな方の発言を聞いておりますと、しっかりそれを分けていられる方もありますが、中にはテロリストの考えとイラクの国民というものの思いを混同したような議論もかいま見えます。我々は、しっかりとこの辺を冷静に判断し、議論をして、イラク国民のために何ができるか、日本としては何をすべきか、これをしっかりと考えなきゃいけないと思いますが、その点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 委員御指摘の点、まことに重要なポイントだ、こう思っております。

 犯人グループがどういうたぐいのものなのか、必ずしもそれは判然といたしませんが、イラク国民を本当に代表する、真っ当に代表する人たちとはそれはとても思えないということは、委員のおっしゃりたいことだろうと思います。

 これは、イラクにおける世論調査というものをオックスフォード・リサーチ・インターナショナルという機関がやっておりまして、ことしの二月、三月、六月と、サンプル数約二千から三千の間でやっているわけであります。これを見ますと、イラクを再建する際にどの国と一緒に再建をしていきたいかという質問がありまして、それに対して、日本が常に一位なんですね、四三%から四四%。第二位がアメリカ、第三位はイギリスであったりフランスであったりするわけでありますけれども。

 やはり、日本という国のイメージといいましょうか、これまでイラクの発展のために営々として努力をしてきたこと、そして今回もまた自衛隊の人道復興支援という形で一生懸命努力している姿、そういうものはやはりイラク国民にしっかりと私は受けとめられている、こう思っております。

 したがって、私ども、テロリストのこうした行為に惑わされないで、これからもしっかりと、イラクが今まさに再建途上にある、そのイラク国民の努力に私どももしっかりとこたえていくということがまさに原点だろうし、そのことを踏まえながら、今後しっかりと国を挙げて取り組んでいくということが大切なんだろうと考えております。

谷本委員 イラク復興へ向けての、国民を思っての取り組みに今後期待をしたいと思います。

 では、質問通告どおりの質問に入りたいと思います。一問目は、沖縄、特に与那国島の関係について質問をさせていただきます。

 先月、十月の四日から衆議院のこの外務委員会の視察で沖縄を訪問してまいりました。そのときには、米軍ヘリの墜落現場の視察あるいは普天間飛行場の視察、こういったことで与那国には行かなかったんですが、実は、個人的な予定がその後ありまして、そのまま残って与那国島を訪問してまいりました。

 そこで、島民の方々ともいろいろな話をしながら思ったことは、沖縄について、確かに基地問題というのが非常に大きな問題として議論に上ることというのは多々あるんですけれども、やはりもう一つ重要な問題として、国境の問題、これもやはり沖縄については同時にもっと考えなきゃいけないのではないかということを実は実感をいたしました。

 そういう中から幾つか聞きたいと思うんですが、まず、防空識別圏というものがございますが、これの定義をお聞かせ願いたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 防衛庁で設定している防空識別圏につきましては、我が国周辺を飛行する航空機の識別を容易にしまして、もって領空侵犯に対する措置を有効に実施するため、我が国を囲むような形で定めた一定の空域でございます。

 当該空域を飛行する自衛隊機の機長に対し、その空域に進入する予定地点、予定時刻等をレーダーサイト等に報告せしめているところでございます。

谷本委員 それでは、続きまして、その防空識別圏というのはどのようにして決められているのかを説明願いたいと思います。

大古政府参考人 我が国の防空識別圏につきましては、もともと米軍が我が国の防空及び航空管制を実施していたころに設定したものでございます。防衛庁は、昭和四十四年でございますが、米軍の防空識別圏の線引きをほぼ踏襲する形で訓令を定めまして、防空識別圏を規定しているところでございます。

谷本委員 では、ちょっと確認したいんですけれども、ということは、例えば隣接する国と協議をして線を引くとかそういうことではなくて、独自に決めてあるということですか。

大古政府参考人 防空識別圏につきまして、米軍から防衛庁が引き継ぐ際には、関係諸国と協議したということはございません。

谷本委員 今、ございませんですか、ございますですか。(大古政府参考人「ございません」と呼ぶ)ございませんでいいですか。はい。

 それでは、この与那国島周辺、このあたりの防空識別圏は現状どういうふうになっていますか。

大古政府参考人 与那国島の、これは東西に長い島でございますけれども、西側部分の三分の二あたりの上空に防空識別圏が線引きされているという状況でございます。

谷本委員 ということは、その島のちょうど真ん中ではないですけれども三分の二のところ、島の上に防空識別圏がある。ということは、では、例えば防空識別圏の外側の部分は他の国の防空識別圏になっているんですか。

大古政府参考人 与那国島の領土の上空に防空識別圏がございまして、日本側でない部分については台湾側の防空識別圏であるというふうに承知しております。

谷本委員 では、その台湾側に日本の何らかの飛行機が進入して台湾からスクランブルを受けたということは過去にありますか。

大古政府参考人 自衛隊機につきましては、過去すべての記録があるわけではございませんが、ここ数年において台湾側からスクランブルをかけたという事実はございません。

谷本委員 詳しい、ちょっと確かな情報ではないんですが、昭和五十九年に一度スクランブルがあったという話を伺ったことがあるんですが、これは何を言いたいかといいますと、日本の領土である与那国島、その上に、しかも三分の二のところで防空識別圏が分かれている。ということは、島の方にとっては、感覚として、日本であるのに空の部分は何分の一かはほかの国が管理をしている。これに対する不安といいますか、なぜそうなっているんだ、こういう素直な疑問が出てきて当然だと私は思います。

 この防空識別圏、先ほど、他の近隣諸国と話し合いをして決めたわけではないと。そういう意味では独自で決められるという理解だと私は思いますし、実際、防衛庁の訓令で決まっているということですが、この識別圏を、例えばしっかり与那国島をすべて日本側にできるような変更措置というのはできないものなのでしょうか。

大古政府参考人 現在の防空識別圏を与那国島の部分において見直すことにつきましては、台湾との関係等諸般の事情を考慮しつつ慎重に検討する必要があると思っています。

 ただ、御理解いただきたいのは、防空識別圏といいますのは、基本的に自衛隊の飛行機がそのそばに入るときにいろいろレーダーサイトなりに通報するための線引きの線でございます。与那国島の上空につきましては、これは領土、領空でございますので、そういうところに、防空の観点から、進入するような飛行機があればいずれ適切に侵犯の対処をするということは当然だと思っております。

谷本委員 当然島の上は領空であるということは理解もしておりますし、ただ、やはり島の方々としては、たとえ自衛隊の飛行機の通行のためとはいえ、その管理、防空識別圏という管理の線引きがなぜ島の上にあるのか、我々の部分は当然日本がやって当たり前じゃないかと思うのは、恐らく素直な感情だと思います。通告にはありませんが、町村大臣、この問題についてもしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、一言答えていただけますか。

町村国務大臣 防空識別圏の件、大変重要な点でございます。また、さらに、これは日中関係ということも念頭に置きながら、しかし、さはさりながら、日本のまさにこれも国益という観点から、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

谷本委員 引き続き与那国島関係なんですが、時間の都合もあってまとめて聞きますが、現在、与那国島には自衛隊の何らかの施設があるのか。まず、それを一点お願いします。

横山政府参考人 お答えします。

 与那国島には自衛隊の施設は現在ございません。

谷本委員 それでは、海上保安庁の何らかの施設があるのか、並びに、では島の方に海上保安庁あるいは自衛隊の巡視艇等を接岸できるバースがあるのかお聞きします。

石井政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では与那国島における警備救難業務のために石垣海上保安部から駐在員を派遣しておりますが、その駐在員の庁舎としまして与那国駐在所がございます。また、このほか、海上保安庁の管理灯台といたしまして航路標識五基が設置をされております。また、巡視艇が接岸できるバースでございますが、与那国島には、久部良漁港、祖納港、この二港ございまして、こちらのバースを必要な折に利用させていただいております。

谷本委員 もう一点、しつこいようですが、では警察の配備状況をお願いします。

伊藤政府参考人 与那国島は沖縄県八重山警察署の管轄となっておりまして、島内二カ所の駐在所にそれぞれ一名、合計二名の警察官を配置しているところでございます。

谷本委員 与那国島は非常に小さい島でありますから、周囲二十八キロほどしかございません。その中で、今言ったような余り大きな施設あるいは部隊が駐留するということはないとは思うんですけれども、ただ、島の方々と話をしておりますと、この与那国島はやはり日本の一番西の端、一番近い日本側の島でも石垣島が百十七キロ、それよりも台湾が百十一キロと近い、こういう状況の中で、確かな証拠があるわけではありませんが、島を通じて外から人が入ってくるんじゃないか、そういう不安も非常に持っておられます。いろいろな話をすれば、行政側の方々は、何とかして、例えば海上保安庁、もう少し置いてくれないか。あるいは、島の方々に聞くと、自衛隊でもいいから、やはり国境だからしっかり守ってほしい、こういう話をたくさん伺っております。

 こういう国境というもの、そこにある島というものには、私は特別なやはりいろいろな政策を考えるべきだと思うんですけれども、その中で、二点残しておりました、与那国島の人口の推移について、昨年の減少分も含めてお伺いします。

大林政府参考人 お答えいたします。

 与那国島の人口は、すなわち与那国町の人口となっておりますけれども、国勢調査による与那国町の人口は、返還前の昭和四十五年では二千九百十三人、返還後の昭和五十年では二千百五十五人、昭和五十五年二千百十九人、昭和六十年二千五十四人、平成二年千八百三十三人、平成七年千八百一人、平成十二年千八百五十二人と推移しているところでございます。

谷本委員 人口は、今非常に、離島ということもあって、与那国島は減っております。昨年だけで百人近くが減って、今千七百人台だというふうに伺っております。

 今、国境問題がいろいろ言われる中で、北方領土は少し別かもしれませんが、尖閣諸島あるいは竹島の問題、こういうものと絡めて考える場合に、与那国の方たちが今非常に心配しているのは、どんどん人口が減っている。尖閣諸島魚釣島も、かつては仕事のためとはいえ九十九軒の家があって人が住んでいた。そうであれば、なかなか国境問題も起こらない。しかしながら、どんどん人口が減っていけば、いずれ与那国も国境問題の当該地になるんではないかというような心配をされている方もたくさんおります。

 そういう中で、大臣にお伺いをしたいんですけれども、確かに島に対しては離島振興という政策もありますが、それとは別に、国境問題というのはやはり大きな外交問題になるわけでありますから、こういった国境、端っこにある、端っこという言い方は悪いですけれども、一番ある意味では日本の外側で外国と接しているこういう島々に対しては、しっかりと、そこに人が住むということ、そこに人がたくさんいるということがそれだけで国の守りになるという部分もございますので、何らかの国境保全のためのそういった政策というのをしっかり進めるべきではないかと思うんですが、その所見を伺いたいと思います。

町村国務大臣 谷本委員から大変に大切な御指摘をいただいたと思います。

 与那国はまだそれでも人が住んでいるからいいのですけれども、例えば長崎県の離島の方に行きますと、無人島が幾つもあります。無人島に知らないうちにどこか第三国の人が住み始めてしまうというような事態が想定されなくもないわけであります。

 そういう意味で、まさに広い意味の安全保障あるいは国防という観点から、今委員が言われたような、なかなか無理やりに人を住まわせるというわけにもいかない部分もありますが、しかし何らかのことをいろいろ考えまして、どんどん人が減って、そしていずれの日にか人がいなくなるということがないように、与那国島を初め、広義の安全保障という観点からしっかりとした取り組みをやっていく必要があるだろう、かように私ども考えております。

谷本委員 通告した質問が多くて、ちょっと時間がなくなりまして、全部できないかもしれませんが、次に、留学政策の問題について伺いたいと思います。

 大臣、留学経験はございますか。

町村国務大臣 大学三年生のときに一年間、サンケイスカラシップというのを試験を受けて受かったものですから、留学をいたしました。学位は取っておりません。

谷本委員 これについていろいろ聞きたかったんですが、時間がありませんので、簡単に質問をしたいと思います。

 留学生の政策、私は、これは教育という意味だけではなくて、しっかりと、例えば受け入れ側としては親日家をつくるという意味で非常に重要でもありますし、またいろいろな国といろいろなつながりを持ち、その国を理解する、日本人がしっかり理解する、こういう意味では大きな外交の基礎になる重要な政策だというふうに私は考えております。

 この留学生の政策について、最近少しずつ、予算の関係もあるんでしょうが、減っているような、支援の仕方が弱くなっているような気がしております。

 例えば外務省管轄の日・ASEAN連帯基金事業、この中でも、一つはもともと予算枠が決まっていたということですが、日・ASEAN連帯基金事業が平成十五年で終了、日・ASEAN総合交流基金事業は四十名から二十名に減っている、また、日・ASEAN学術交流基金事業も三十名から二十名に減っている。こういうのを見ておりまして、私は、この留学政策、実は将来の外交にとって非常に重要だと考えておりますので、もっと支援というものをしていくべきではないかと考えております。

 この政策というもの、留学生の政策、どうもばらばらに行われているような気がするんですが、これを戦略的、一元的に企画しているところ、あるいは実行しているところがあるのかどうかというのが一点。そして、この留学生政策、今後どう活用していくかということについて大臣の所見を伺いたいと思います。

逢沢副大臣 留学生政策、大変重要な日本外交の一面、一局面であるというふうに承知をいたしております。留学生として日本にやってくる若い方が、帰国後、日本人に対する、また日本に対する正しい知識や知見、それぞれの国の中で広めていただく。また、恐らく日本に留学生として来られた方は、それぞれの本国において将来枢要な立場に立たれる、そういう方も非常に多いというふうに承知をいたしております。

 対市民外交、これは外務省にとりまして大変大きな役割の一つでございます。いわゆる対市民外交を積極的にフォローする、そういう意味でも留学生政策についてはより力を入れて積極的に推進をする必要があろうかと思います。

 昨年、長年の懸案でございました、いわゆる留学生受け入れ十万人計画を達成することができたわけでありますが、委員御指摘のように、日・ASEAN連帯基金事業あるいは総合交流基金事業、また学術交流基金事業、それぞれ御指摘をいただいたような面も確かに事実としてございます。全体の予算の関係あるいは留学生政策をどのように総合的に整理をし直すか、外務省、文科省中心となって、委員の御指摘を踏まえ、より適切な、またより積極的な留学生政策を立案してまいりたい、そのように承知をいたしております。

谷本委員 時間が来ましたので、質問を残しましたが、以上で質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 昨日、イラクで香田さんの御遺体が発見されました。この一連の事件につきまして、御家族の思いを考えると、申し上げるべき適切な言葉も探せないような思いでございますけれども、心からお悔やみを申し上げます。

 外務省としましても、外務大臣が各国へ協力を働きかけ、また現地対策本部に副大臣を派遣し、在外公館で情報を収集するなど、可能な限りの措置をとってきたことというふうに思いますけれども、今後も香田さんの御家族に対しましてできるだけの支援と協力を惜しまないようにお願いをしておきたいというふうに思います。

 外務大臣におかれましては、今回のこの事件の対応はもちろんのこと、大臣に就任をされましてからすぐに米国を訪問し、あるいは、連日、日々積極的な外交活動をされていることに心から敬意を表するとともに、北海道出身の外務大臣としまして、北方領土返還の前進を図っていただきたいという、道民はもちろんでございますけれども、全国からの熱い期待を背負っていらっしゃるというふうに思いますし、また私も大いに期待をさせていただいておりますので、まず日ロ関係から質問をさせていただきたいと思います。

 北方領土の返還につきましては、今まで、歴代総理はもちろんのこと、旧島民の皆さんや多くの方々がいろいろな努力を重ねてこられました。領土交渉自体が難しいということに加えまして、ロシア国内の政治状況にも左右をされてきた面もあるかと思います。プーチン大統領が、国民の非常に高い支持率のもと、見事に二期目の当選を果たされまして、よりリーダーシップを増し、また大統領の側近と言われる方々で政権を固めた中、日本側にとってはいよいよ領土交渉のときが来たのかなというような思いもあったと思います。

 しかし、残念なことに、さきに起きましたチェチェンでの学校占拠事件等で多くの罪のない子供たちが犠牲になり、またロシア国内外にも大きな衝撃を与えました。この一件で、現在のロシア政府の状況は、テロとの闘いとまた国内情勢の安定というところが喫緊の課題となっているかと見てよろしいかと思います。

 このような難しい背景はあっても、旧島民の皆様が高齢化していらっしゃる、またできるだけ早く北方領土の解決を図っていただきたいという観点から、大臣のこの四島返還にかける意気込みをまず聞かせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、増子委員長代理着席〕

町村国務大臣 いつも委員から、同じ北海道ということでいろいろ御声援をいただいておりますことに心から感謝を申し上げます。

 まず、北方領土の問題でございますが、日ロ間の最大の懸案事項ということで、御指摘のように、長い間いろいろな方々が御努力をしてこられたテーマでございます。

 そういう中で、小泉総理も先般、九月上旬でしたか、海上から北方領土を視察するということもなさっておられますが、私も、大臣就任に当たりまして総理から取り組むべき五つの課題というものを御指示いただきましたが、その中の一つが、当然のことではありますけれども、この領土問題をしっかりと解決した上で、日ロ平和条約の締結に向けて努力をするようにという御指示をいただきました。

 私も、まさに同じ思いで、特に北海道ということもあるわけでございますけれども、旧島民の方々の御意見を聞いたことがありますし、私は海上からあるいは空中からは見たことはございませんが、根室の方から、北方領土がこんなに近くにあるんだということを目の当たりに、最初見たとき、その余りの近さに実は驚いたという記憶が今でも鮮明に残っております。

 そういう意味からも、私は、ぜひこの北方領土交渉をしっかりと進めたいし、またその環境整備ということもありまして、領土以外の面でも、日ロ行動計画というものが定められておりまして、これによって経済交流やあるいは文化交流等々幅広い交流を進めていく、相互理解を深めていくということもまた環境整備として大切だろう、そういった面もあわせてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

丸谷委員 次に、ロシアの情勢についてお伺いをしたいと思うんですけれども、チェチェンでのテロが起きて以来、ロシア国内の政治状況を私の目から見させていただきますと、治安維持の強化を図っていく必要性から、かなり強硬な政策が打ち出されているのかなというふうに思います。もともと中央集権化が強かったロシアでございますけれども、地方自治体の長を選出する際にも大統領が関与していく方向性などが検討されているあたり、健全な民主化の道が遠のいていくのではないかという危惧さえ覚えるところでございます。

 基本的には、他国の内政に口を出すというのは、そのこと自体いかがなものかというふうに思いますけれども、我が国の国益から見ても、ロシアが民主化の道を歩んでいくことは歓迎されるべきでありまして、懸念することがあるのであれば、懸念は懸念として何らかの形で伝えていくべきだというふうに思いますが、外務省としましては、現在のロシア情勢をどのように判断しているのか、この点についてお伺いをいたします。

    〔増子委員長代理退席、委員長着席〕

逢沢副大臣 ことしの三月、圧倒的な国民の支持を得てプーチン大統領が再選をされたわけであります。選挙の結果でございますが、実に七〇%以上の得票率であります。そのことを背景に、さまざまな意味で、プーチン大統領のリーダーシップでロシアは変わりつつある、またロシアは大きく動きつつある、そのような認識を持っております。

 その中で、今委員が御指摘をなさいました九月の北オセチア共和国での学校占拠事件を初めとする一連のテロ事件、これに対して、いわゆるテロとの闘い、テロを封じ込める、そのことがプーチン政権下にあって最も大切な政治あるいはまた政策課題になっている、そのことは否めない事実であろうかというふうに思います。

 もちろん、経済は上向いている、あるいは高い原油価格に支えられた収支状況が良好である、そういった面を見落とすことはできないわけでありますが、全体として、テロとの闘い、これに基調を置いたロシアの政治状況であるということは、率直な印象として私どもそのことを受けとめているわけであります。

 もちろん、ロシアとの間でもさまざまな二国間政治対話は行っております。私自身も、ことしの六月、モスクワに参りまして、ラブロフ外務大臣とも会談をいたしました。二国間協力下の中にあってテロとの闘いを進めていく、そのことについて意見交換もさせていただいたわけであります。

 一方、いわゆる西側諸国、アメリカでありますとかヨーロッパは、先ほど委員が御指摘のように、いわゆる政治の民主化が停滞をし始めたのではないか、また逆方向に行っているのではないか、さまざまな角度からそういった懸念が出されているということも承知をいたしているわけでございます。

 一国の内政のことでありますので、それをとやかく言う立場にはないわけでございますけれども、いわゆるロシアの民主化、開かれた政治体制、また法律が、全国にいわゆる統一法的空間としての体制が整う、そういったような状況が非常に大切なことであり、私どもとしては注視をいたしているところであります。

丸谷委員 先ほど、大臣に北方領土返還に向けた御決意を聞かせていただいた際に、行動計画の実施等を初め、信頼関係の構築が大事である旨の御答弁をいただきましたけれども、日ロ間の信頼醸成の構築を考えるときに、やはり経済協力ということが欠かせない事項になってくるというふうに思います。

 我が国は、石油資源の多くを中東に依存している状況を踏まえまして、エネルギーの安全保障の観点から、早い時点でサハリン・プロジェクトにかかわってまいりました。現在進行中のサハリン2のプロジェクトも日本の企業が出資しておりますし、九州電力ですとか東京ガス、東京電力、東邦ガスが液化天然ガスの購入を合意しております。

 一方、先月十四日から、プーチン大統領が中国との国交樹立五十五周年に合わせて訪中をし、いわゆる太平洋パイプラインのルートについて具体的な議論をしたと報道をされています。

 このシベリア原油パイプライン構想については、我が国が望んでいますアンガルスク―ナホトカルートと、中国の望むアンガルスク―大慶ルート、この違いがございますけれども、ロシア経済にとっても、また我が国のエネルギー政策にとっても非常に重要であるこのエネルギー分野の二国間協力について、今後どのように進めていくおつもりなのか、この点についてお伺いします。

逢沢副大臣 委員御指摘の日ロ間のエネルギー協力を進めるということは、二国間関係を強化する、いわゆる双方がウイン・ウインの関係に立てる、共通の利益を拡大する、そういう観点からも大変重要な問題、課題であるというふうに承知をいたしております。

 当然、ロシアにとりましては、日本との協力において、極東、シベリア地域の開発、それを促進するという側面がございます。

 また、我が国にとりましては、我が国のエネルギーセキュリティー、安全保障を強化する、また我が国のみならずアジア太平洋地域のいわゆるエネルギーセキュリティーの問題解決にも資するといった大きな脈絡を念頭に置いて、この日ロ間のエネルギー協力を進めるということは大変重要なことと思います。

 今、委員の方から、サハリン・プロジェクト1、2のことについてもお触れをいただきました。政府といたしましても、可能な範囲で、これらのプロジェクトが順調に推移をする、前進をする、そのことに適切な側面協力を行ってまいりたいというふうに思います。

 また、いわゆる東シベリアの原油を太平洋岸に輸送する太平洋パイプラインプロジェクトについてでございますが、我が政府といたしましても当然のことながら重大な関心を持っておりますし、また具体的な協力のあり方について日ロ間で積極的な協議、交渉を行ってまいりました。

 ロシア政府内にあって、ルートの決定の方向も見守りつつ、我が国としてどのような協力が可能か。ルートの決定については、いわゆる太平洋ルート、ナホトカ・ルートが心証としては有力になりつつあるといったような心証も持つわけでございますが、最終的なルートの決定の方向も見守りつつ、適切な協力関係をさらに強化してまいりたいと承知しております。

丸谷委員 このルートの決定も含め、また来年の二月にもプーチン大統領が訪日されるという時期も含めまして、非常に今、年内、重要な交渉の時期を迎えているのかなというふうに思います。今外務大臣が席を外していらっしゃいますので、大臣がお帰りになりましたら、大臣の訪ロも含めて最後にお伺いをさせていただきたいと思いまして、大臣が戻ってくる前に次の質問をさせていただきたいと思います。

 昨日の報道で、在外公館二十一公館を会計検査院が検査したところ、検査をした二十一公館すべてで不適切な会計処理がわかったというような報道がございました。この報道を見たときに、非常に怒りとともに本当に残念だという思いがしてなりませんでした。

 外務省の一連の、松尾事件から発生をしまして、外務省のいわゆる不祥事事件に対して、今までいろいろな提言がなされ、外部からの提言がなされ、そして外務省を変える会ができ、外務省の中にも変わる会ができ、いろいろな措置がとられていたはずなのに、まだこのような不正が見つかるのだろうかという怒りでいっぱいでございます。

 この点につきまして、まず、事実関係から御説明を願いたいと思います。

北島政府参考人 お答え申し上げます。

 十月二十八日に、会計検査院より、在外公館の出納事務についての是正改善処置要求というものが提出されました。これは、検査院が、我が方二十一の在外公館を訪問されまして包括的に検査した結果、会計規則に合致していない点があるとして、手続面での改善を求めているものでございます。

 事実関係ですが、この中には、例えば低額の領事手数料を徴収する際でも徴収決議書を作成することなど、外務省自体として特に必要とこれまで認識していなかったものもあれば、小切手は歳出責任者がみずから署名すべきことなど、外務本省からの指示が在外公館で十分守られていなかったもの、そうしたものも含まれております。

 なお、不正行為、ラオス大使館及びエドモントン総領事館におきましては、職員による現金領得があったとの記述がございます。これらは、当然のことながら、極めて遺憾な事態と考えておりまして、当該職員については既に免職または解雇という厳正な措置をとった、そういうことが事実関係でございます。

丸谷委員 今の御説明では、手続、会計に対する手続面での認識の違いによる今回の検査における不適切な処理としての指摘があったのと、また明らかに金銭面において不正な事件があったという御説明でございましたけれども、認識の違いによる不適切な処理であれば、これは認識を統一するなりテクニカルなことで対処はできるでしょうが、この不正等に対しては、やはりいま一度、外務省としての、その職員の意識徹底というのをやり続けていただかなければこれはなくなっていかないのかなという思いがしております。

 ここで非常に不思議なのが、一連の外務省不祥事を受けまして、全公館を対象にして基本的には査察を実行するというような対応策がとられていたと思います。ただ、この査察の中ではわからなかったけれども、今回の会計検査の検査によって発覚した不正というのがこのラオスでありエドモントンであったのかどうか、この点についてはいかがですか。

北島政府参考人 監察、査察につきましては、委員御指摘のとおり、ここ数年来、それを強化してやってきているわけですけれども、今度の事例のうち、査察にもかかわらずわからなかったという事例がございます。

丸谷委員 そうなりますと、査察のあり方自体、また大きな予算をかけて、全公館百八十七でしたか、公館が査察に及んだと思うんですけれども、予算もかかった、その中で査察でもわからなかったことがありましたということでは、これはどのような形で国民に説明をしていいのかという問題になるんだと思います。

 今後、この査察のあり方、会計のあり方を含めて、本当に在外公館、私も政務官をさせていただいたときに、少しですけれども職員の皆さんとお話をしました。その中で本当に、若手の職員の方が、休みもない中で、半分ノイローゼになりそうになりながら、一身に会計を担っているという姿を見たときに、人員の不足等も含めて、この会計のあり方、在外公館のあり方そのものが問われている、また査察のあり方自体も問われているというふうに思いますけれども、この点について外務省はどのようにお考えになりますか。

北島政府参考人 外務省としましては、委員御指摘のとおり、まさに一連の不祥事を踏まえまして、平成十三年度以降、国民の信頼を回復するための諸般の改革に全力を尽くしてきているということでございますけれども、今回、検査院より経理手続の改善について指摘を再度受けたということについては厳粛に受けとめているわけです。

 既に、支払い決議書を作成して意思決定過程を明確化することや、関係者への指導、研修の強化などの改善手当てを講じておりますけれども、今後とも、在外公館の事情を踏まえつつ、一層の改善に取り組みたいと思います。さらに、委員が御指摘になった査察のあり方でございますが、これについてもさらなる改善努力を進めてまいりたい、そういうふうに考えております。

丸谷委員 時間が参りましたので、ぜひ外務大臣、日本の国民がこの外交に対する大きな期待を持って、いろいろな領土問題も含めて、北朝鮮の問題も含めて、微妙な時期だけに、大事な時期だけに、外交に対する期待は大きいと思います。

 どうか外務省、この外交のあり方について、また頑張れという思いで応援している人も多いわけですから、期待を裏切らないような形で精力的な活動をしていただきたいというふうにお願いして、質問を終わります。

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として内閣官房内閣審議官堀内文隆君、警察庁長官官房長安藤隆春君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 まず、昨日、香田さんの遺体と確認をされたことに、心から香田さんの御冥福をお祈り申し上げ、御遺族並びに関係者の皆様にお悔やみを申し上げる次第でございます。

 民主党はこの事件発生後、二十七日七時半イラク日本人人質事件緊急対策室を設け、十時半対策会議、十六時緊急対策本部を、岡田克也代表のもと、本部を立ち上げました。そして、毎日のように本部を開催し、また人質解放の呼びかけを、アルジャジーラ・カタール本社あるいはイラク大使館等に出向き、そしてアルジャジーラでの報道、そして岡田代表もアルジャジーラで呼びかけるというような、さまざま民主党としてでき得る限りの手を尽くしてきただけに、本当に残念、痛切の思いでございます。

 そうした中、今回の香田さんのこの死を決してむだにすることなく、日本の外交、安全保障、危機管理、さまざまな面でこれを国会としてどう生かしていくのか、これをもって香田さんの本当に痛ましい死に報いる、これが国会の役割ではないか、こう考え、以下質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、当日二十七日、既に、午前五時七分、ウエブサイトに過激派を名乗る組織の犯行が、人質をもって、香田さんをもってウエブサイトに登場してすぐに、首相秘書官を通じての指示、あるいは自衛隊機で兵庫県の被災地に向かう首相が電話で官房長官に指示等が伝えられておりますが、いわゆる表向き、午前十時に首相の発言というものが出ました。それが午前十時の、自衛隊は撤退しない、テロは許すことができない、テロに屈することはできないと。これはもっと長い部分の一部分を切り取った形で、かなり厳しい表情で、激しい口調でこの部分が何度も何度も流されたところでございます。

 これについて、これはイラク・イスラム党幹部のソハイブ・ラウィ氏、小泉首相は当然ながら犯人側の要求を受け入れるなどとは言えない、しかしあんなに強い調子で言う必要はなかったと振り返る、人質は殺すなと強調する声明も出せたはず、それと同時にフランス政府のように水面下で交渉のチャネルを開くよう努力することは可能だという指摘、これが報道されております。

 また、イスラム聖職者協会幹部のサバハ・ジャセム氏も、小泉首相の発言は賢明でなかった、もし犯行グループが身代金目的ならあれで問題ない、しかし今回はとても過激な姿勢で知られるグループだ、彼らを挑発する必要はないと語る。

 こういった指摘、コメントをどう受けとめられるか。これは外務大臣、よろしいでしょうか。

町村国務大臣 委員御指摘のように、かなり早い時点で小泉総理の方針、指示が公表されたわけでございます。

 ポイントは三つありまして、一つはまず事実解明に全力を挙げること、二番目は、もちろんのことでありますけれども人質救出に全力を尽くすこと、第三番目が、ポイントだけ言えば、テロに屈した形で自衛隊の撤退というものは今考えないということであります。

 それはいろいろなお立場の方がいろいろなコメントをされていることを私も承知しております。それらが別に、それぞれのお立場の考えで、あえて間違っているとか正しいとか言うつもりもございません。ただ、日本国政府として、小泉総理が政府の基本的な方針をそこできっちり述べるということは、私は、非常に大切なことであった、かように受けとめております。

武正委員 発するタイミング、あるいは外に向かってしゃべることといわゆる省庁あるいは対策本部内でしゃべること、これはいろいろと、やはりこうした事態にはあるのかなということだというふうに思います。

 そこで、きょうは官房副長官もお見えですが、ちょっと質問も外務大臣とかぶっているところもありますので、ここは取捨をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。

 イラクの聖戦アルカイダとされる犯人グループ、これが特定はできなかったというコメントもありますが、接触はされたのかどうか、これも外務大臣、お答えいただけますか。

町村国務大臣 今回の事件の実行犯の蓋然性が高いとされておりますザルカウィ関連組織の犯行と見られる実は未解決の問題が、委員御承知のようにまだまだあるという状況が一つございます。それから、この組織が、当然のことですが活発な活動をしているという事実もございます。さらには、これは関係国とのいろいろな情報のやりとりというものがあるわけでございまして、それらの国に対する信義の問題というのもございます。

 したがいまして、本件につきましては、テログループと接触があったかというお問い合わせでございますが、これは秘密を守らなければならない性格のことであろう、こう考えますので、接触の有無についてのお答えは差し控えさせていただきます。

武正委員 それでは、冒頭お聞きした中に入っておりましたが、テログループは確認をされたのか、どこがテログループという、あるいは犯人組織という確認はされたのかどうか。

町村国務大臣 インターネットを通じて出されたものがそういう名称のものでありましたから、先ほど丁寧に申し上げたつもりでございますが、実行犯の蓋然性が高い組織の名前が挙がっていると私は考えております。

武正委員 外務大臣は、やはり二十七日、このようなコメントを、先ほどの首相のコメントに続いてでございましょうか、発せられております。再三強い退避勧告が出され、危険であることが十二分にわかっていながら何ゆえ旅行されたのか理解に苦しむ、こういったコメントをされたという報道がありますが、このようなコメントをされたのか、また今もその思いは変わらないのか、お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 イラクが非常に危険な場所であるということは、四月の事件あるいはその後のあるいはその前の国際的ないろいろな人質の事件等を見ても、非常に危険な場所だというのはもう自明の理であろうかと思います。しかるゆえに、外務省としても、あらゆる手段を尽くして、退避勧告等を出し、やってきたわけでございます。

 それにもかかわらず、今回のようなまず事件が起きたということでございまして、その瞬間の私の気持ちとしては、これだけ退避勧告が発せられるのになぜそんな危険を冒して入るんだろうかと、御本人の意図その他もよくわからなかったわけでございます。結局わからないままで終わったわけでございますけれども、そういう意味で、理解に苦しむと申し上げたのは事実でございます。

 しかし、その後のいろいろな経過、そして今回のような大変残念な結果になったということで、委員と同様、私も心からお悔やみの念を深くしておりますし、とにかくまことに残念であるとしか言いようがない、今の時点で私はそう思っております。

武正委員 このコメントは、いわゆる自己責任論というようなニュアンスであるという指摘をされているわけでございますが、今私がお聞きをしたのは、今も、つまりこのときのコメントと同様、つまり退避勧告が出され、危険であることが十二分わかっていながら旅行される、これは理解に苦しむといういわゆる自己責任論というような指摘がある。これについて、今もその御認識は変わらないのかということをお聞きしたんです。

町村国務大臣 自己責任論というのがちょうど四月の事件の後いろいろ言われました。自己責任論にもいろいろな意味合いがあるということですから、私も、自己責任論という思いでこのことを言ったんではなくて、ごく最初に第一報を聞いたときの最初のいわば直観的な印象を、なぜ行ったんだろうかなということを、これは多分ほとんどの方が自然にそうお思いになるんではないんだろうかなと思いまして、私はそういう印象を述べて、今もその思いはあります。

武正委員 今もその思いはありますということで、御認識が変わらないということをお述べになられたと思いますが、私は、外務大臣がこのタイミングでこのコメントをすることが果たして適切だったかどうか、これはやはり検証されてしかるべきというふうに指摘をさせていただきます。

 さて、午前七時に外務省には対策本部が立ち上がり、午前九時三十五分、関係閣僚による邦人人質事件対策本部、本部長細田博之官房長官、立ち上がっておりますが、この両対策本部の関係というものを、官房副長官お見えでございますので、御説明いただけますでしょうか。例えば、情報収集はどちらが行うのか、あるいは指示命令系統はどちらが上なのか下なのか、並行、同じなのか。お答えをいただけますでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 まず、本来、細田長官が伺って御答弁申し上げるべきところでありますが、公務が立て込んでおりまして私が参りましたことを御了解いただきたいと思います。

 御質問でございますが、本事件発生後、午前七時に外務省に対策本部が設置された、そのとおりですが、実は官邸の対策本部は、この四月の三人の方の事件が起こった際に閣議決定がございまして、「重大テロ等発生時の政府の初動措置について」という閣議決定があの事件の直後出されまして、これに基づいて、これは総理大臣の判断で内閣に官房長官を本部長として設置することができるとしておるものでございますが、そのときに、官房長官を本部長として対策本部が設置されておりました。

 その対策本部が、そのフォローアップもありますし、その後も幾つか事件が起こったことは御案内のとおりですが、そのまま存続しておりましたので、その対策本部をこの事件についても動かしたという趣旨でございました。新たに設置されたわけではございませんが。

 官房といたしましては、事件発生直後に危機管理審議官を長とする連絡室を設置して情報体制を強化したわけですが、すぐに内閣危機管理監を長とする官邸対策室へ格上げしたところでございます。その後、総理から御指示があって対策本部を動かせということで、対策本部が動き出したわけでございます。

 両対策本部の関係でありますけれども、内閣官房に設置いたしました対策本部は、事件の解決に向けて政府が一体となって取り組む、関係省庁が一致協力して施策に取り組むということを推進するために、官房長官を本部長として設置されたものでございます。

 他方、外務省の対策本部は、現地からの情報収集、その分析、それから邦人保護、これは国の責務、外務省の責務ですが、そういう見地からの対応などを含めまして、外務省に期待されている役割を効果的に果たすためにつくられたものだと承知しております。外務大臣を長として設置されたものでございます。

 したがいまして、両対策本部の関係は、法令上の指揮命令関係といったものではございませんで、むしろ総合調整を行う内閣とそれに従い協力する外務省との関係、これは内閣法、憲法にもございますが、その一部としてとらえられると考えております。いずれにしても、両者は緊密に連絡、連携協力しながら事態の対処に当たったことは申し上げるまでもございません。

武正委員 今明らかになったのは、官邸、官房につくられた人質事件対策本部は総合調整、連絡調整に当たるんだということで、各省庁に設けられた対策本部との指示命令系統というものは明確になっていないということの答弁だと思います。私は、やはり危機管理上、ここの点があいまいになったまま、今回、人質解放に向けた対応、これが後々の情報の二転三転も含めた混乱につながっているのではないかと、これは問題点を指摘させていただきたいと思います。

 さて、実は、土曜日に福田康夫前官房長官の御長男の結婚披露宴が都内のホテルで開かれまして、報道によりますと、首相、官房長官、あるいは自民党の森前首相、中川国対委員長ら政府・自民党の幹部が出席したという報道でございます。

 報道によれば、「公邸で状況の報告を受けていた首相は、午後に「遺体は香田さんとは別人である確度が高い」との報告を受け、出席を決めた。」また、別な報道も「首相らは、発見された遺体が香田さんと確認された場合には出席取りやめを検討していたが、「別人」と分かり、結局そろって参加した。」ということでありますが、今の人質事件対策本部本部長細田官房長官、そしてまた首相、お二人がこの結婚式に参加をされている。

 これは何時から何時まで出席をされていたのか、官房副長官、よろしくお願いします。

赤松委員長 官房副長官に申し上げますが、できるだけ大きい声で、ちょっと聞こえにくいので、済みません。

 杉浦内閣官房副長官。

杉浦内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 総理は、十七時半、これは開宴の時間でございますが、開宴と同時に御出席されまして、十九時四十五分ごろ、中座、退席されました。

 官房長官は、総理よりおくれて、開宴後出席されまして、総理より早く、その退席前に中座いたしております。

武正委員 恐縮ですが、時間もお願いできますか、官房長官の時間を。

杉浦内閣官房副長官 時間は伺ってこなかったですが、十七時半開宴のしばらく後に出席されて、十九時四十五分、総理が中座、退席されましたが、その直前と言ってもいい、そんなに差のない、そういう前に退席されたと伺っております。

武正委員 これは質問通告でお願いをしている件でありますので、御答弁をいただかないとちょっと次に移れないんですが。

杉浦内閣官房副長官 早速調べまして、御答弁するようにいたします。

武正委員 もちろん外務大臣は出席をされていないという、報道でお名前がないものですから、改めて確認をさせていただきます。

町村国務大臣 私もお招きをいただいておりましたが、出席はしておりません。

武正委員 私は、首相、官房長官、お二人そろって出られるというのは、やはり問題だったのではないかなと。しかも、御遺体が香田さんでないから出席をするということが果たして、その後の結果、残念な結果を見るにつけても、やはりその二時間十五分の首相、そしてこの後明らかになる官房長官の出席というのが、お二人そろって出席をされるのは適切でなかったということを考えます。これも指摘にとどめさせていただきます。

 さて……(杉浦内閣官房副長官「御説明させていただきます」と呼ぶ)どうぞ。

杉浦内閣官房副長官 総理、官房長官が出席されたのは事実でございますが、総理は、二名の秘書官を分けまして、二名は官邸にとどめ、二名を同行して出席されております。それで、危機管理監初め官邸におりました二人の秘書官から常に連絡を受けておりましたし、さらに事務方でも、二橋事務副長官や内閣広報官は招待を受けておりましたが、欠席させまして事態に備えました、念のためですね。もちろん、その場所は帝国ホテルですから、官邸から車で五分ぐらいのところですので、何かあればいつでも戻れる場所でございました。

 総理は主賓として呼ばれております。御案内のとおり、大恩ある福田赳夫先生のお孫さんの結婚式でございます。官房長官も重要なゲストとして招待されておりましたことから、待機期間中ではありますが、直前でキャンセルすることは大変失礼との認識もあられたようでございまして、結婚式に出席され、途中退席されたということでございます。出たこと自体、問題があったとは思っておりませんけれども、人質問題が心配だったものですから、失礼とは思いながら、中座して官邸へ戻られたというふうに伺っております。

武正委員 その時間は速やかに御答弁をいただきたいと思いますが、私はやはり、首相そして官房長官お二人が出席したのは適切でなかった、このことを指摘させていただきます。

 先ほど来、危機管理監、危機管理監という言葉が出てまいります。

 さて、二十七日の午前六時十分から、内閣の連絡室が対策室へ格上げになった。六時四十分ですね、三十分後、危機管理の連絡室が対策室への格上げになった。これはだれの判断で格上げになったんでしょうか。これも官房副長官、お答えいただけますか。

堀内政府参考人 お答えをいたします。

 内閣危機管理監の判断によって格上げをしております。それにつきましては、昨年の十一月に政府の初動措置に関する閣議決定が行われておりまして、その中に定められておるものでございます。

武正委員 これは、当外務委員会でも、あるいは事態対処特別委員会でやっと明らかになったんですが、例の尖閣諸島、この不法上陸のときも、その判断、これもやはり危機管理監がされて、官房長官や首相に上げなかったというようなことがございます。

 私は、やはりこうした危機管理において、初動であろうと何であろうと、さまざまな意思決定を、危機管理監はもちろん大変なお役を担っていただいておりますが、これが官房長官とか首相に上がらないことが間々あってはならないというふうに思っておりまして、今回も、実は、首相や官房長官がなぜ結婚式に出るのか、それはやはり、実際のところは危機管理監がやっているからいいというような甘えが、官房にも、そして首相、官房長官にもあるのではないか、この問題点を指摘させていただいたわけでございます。

 続いて、質疑に移らせていただきます。

 実は、この水曜日というのは、午前十時四十分に震度六弱の余震が起き、危機管理センターの中は電話が鳴りっ放し。そして、危機管理監の判断で、危機管理対策室に格上げされて以後、A班、B班の二正面作戦というような形、新聞報道もあります。つまり、片っ方の班が、これはA班が、A班とB班に分けまして、片っ方が地震対策、そして片っ方が人質対策ということで、もしここに何かもう一つ事故が万が一起きた場合、C班をつくろうとしても情報収集機材が二セットしかなく物理的に対応が困難、こういった大混乱の状況で人質対策の対応に当たった、こういう指摘がされているわけでございます。いかに日本の危機管理がお粗末であるかをここでも露呈しております。

 さて、今回、新潟県中越地震で政府の非常災害対策本部長を務める村田吉隆防災担当相が、この小泉内閣では国家公安委員長を兼務しております。すなわち、地震対策本部長を兼ねて今回のテロ対策の警察のトップを務めている。こういったことも、果たして地震とテロ対策、しっかりと村田さんができるのかといったことも、やはりここでも指摘をせざるを得ないわけであります。

 防災担当ということでいえば、阪神大震災以降ということでお答えをいただきたいんですが、過去、防災担当と国家公安委員長が兼務した例が何例あるのか、お名前を挙げていただきたいと思います。警察庁、お願いいたします。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 過去、国家公安委員長がいわゆる防災担当大臣を兼務した例といたしましては、いずれも平成十三年でございますが、伊吹文明元国家公安委員長及び村井仁元国家公安委員会委員長の二例がございます。

武正委員 たしか伊吹さんのときにえひめ丸事件が起きたというふうに記憶しておりますが、正しいでしょうか。

 まあいいです、それは。これは私の指摘にとどめさせていただきます。

 二例というお話で、三例目ということで、平成七年からでございますか、約十年の中での三例目に当たるわけでありますが、私はこれは、この内閣が、私はこう考えております、郵政担当大臣というものを置いたがために、沖縄北方大臣と環境大臣が兼務したり、さまざましわ寄せが来ているというようなことを私は思っておりまして、これもやはり、国民が望んでいる、今やるべきことはこうした災害対策あるいは年金問題解決であって、郵政民営化は優先度が低いのではないかということが、私はここにもそのしわ寄せが来ているということを指摘させていただきます。

 さて、情報が二転三転したことに移らせていただきます。

 これは、三十日午前四時、もう未明から、身長、体重、後頭部の特徴が似ているということで、香田さんである可能性が高いという、米軍からの情報ということで、午前四時、高島報道官が記者会見をされています。一体、日本には、現地大使館に連絡が来たという報道がありますが、どこからいつこうした、香田さんではないかという三十日のまず情報が来たのか、どことやりとりをしたのか、お答えをいただけますでしょうか。外務大臣、お願いいたします。

町村国務大臣 日本時間の三十日の未明でございますけれども、在イラク米軍より在イラク日本大使館に対しまして、バラドで日本人らしい遺体が発見された、この遺体は日本側から入手していた香田氏の身体的特徴と一致する部分がある、さらに正確な身元確認のためにカタールの首都ドーハに移送したいという旨の連絡がございました。

 なお、先方の当事者の具体的氏名、肩書等につきましては、これは外交上のやりとりでございますので差し控えさせていただきます。

武正委員 外交上のやりとりということでありますが、後々の質問にも、あるいは今回も大変大事な危機管理のポイントでありますので、一体、日本政府の情報ソースがどこだったのか。今回、香田さんである可能性が高いという、そうした記者会見がもとになって、ある通信社までが配信をして、そうしたことが一様に流れるといった事態を招いて、香田さん御遺族には二度にわたって大変な心痛を与えたという指摘もあるわけでございます。

 この情報ソースを明かせないということでありますが、例えば、米軍に派遣されている国務省の顧問等とのやりとりというものを一つ外務省として情報ソースにされているというふうに聞いておりますが、こういったところからの情報であるかどうか、お答えいただけますでしょうか。

町村国務大臣 一つは、高島外務報道官の発言でありますが、可能性が高いという発言はしておりません。細田官房長官の発言におきましても、最終的には可能性はどのくらいかという問いに対して、全くわかりませんので即断をしてはいけないとまではっきり言っております。

 そこから先、後、報道各社がどういう判断をして、可能性が高い、あるいは断定をされたのか、それは各社それぞれの判断なり独自の情報があったのかもしれない、そこまではわかりませんけれども、そうしたマスコミの報道の一々について政府が責任を持つことは、それは不可能でございます。

 それから、在イラクの米側の、それは軍の関係者かというあれでございますけれども、先ほど申し上げたように、米軍関係者という以上の詳細は差し控えさせていただきます。

武正委員 私が言ったのは、身長、体重、後頭部の特徴が似ていることを勘案し、香田さんである可能性があると米軍が判断した、これは高島報道官の記者会見であり、今の御指摘のとおりでありますが、ただ、例えば、午前四時三十九分、自民党本部、久間政調会長、顔の特徴から見て本人に間違いないだろうと外務省から連絡があったと。これがやはり共同電で流れているんですけれども、私は、午前にかけて、香田さんではないかということを、いろいろな確度から高いということが、やはり政府のさまざまなコメントで伝わってきた。これが、今回の混乱のやはり原因ではないかというふうに考えております。

 そういった意味で、私がここで指摘をしたいのは、情報ソースは明かせないということでありますが、これは、指摘がされているように、米軍に頼った情報しかとれなかったところに問題がある。外務省在外公館における情報収集のあり方、そしてまた外務省の情報収集のあり方、そして先ほどいわゆる官邸の対策本部との位置関係もはっきりしないといったところのやはり情報収集、この一点が今回問題があったというふうに考えるわけでございます。これは、ちょっと質問の時間も限られておりますので、この点は指摘にとどめさせていただきたいと思います。

 さて、ちょっと質問の時間も押してまいりましたので、ここで幾つか飛ばしましてお聞きをさせていただきます。

 これは、官房長官が、いわゆる渡航禁止法制化の議論について慎重姿勢を示したわけでございます。官房長官からは、外国移住の自由に抵触する可能性があることと、入国管理が徹底されない国があることを理由に挙げたとされておりますが、この御認識、官房副長官、お聞きをさせていただきたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 その前に、先ほどの官房長官の時間でございますが、出席は十七時四十五分ころ、つまり開宴後十五分後ころ出席しまして、総理が出られる一分ぐらい前ということでございますから、十九時四十四分ごろ退席されたということでございます。

 危険な地域への渡航禁止の法制化の議論についてですが、官房長官が記者会見で申しておられるとおりでございます。御指摘のとおりでありまして、憲法が保障する海外渡航の自由との関係もあり、慎重に検討する必要があると言っておられます。その際言っておられるのは、最近の渡航の形態として、最初は別の目的で他の国へ行って、それから転々とされるという形で、後で危険な国に入るという方も多いし、また渡航禁止を法制化した場合にその実効性をどのように確保するかという問題もあるということでございます。

 とりあえずは、退避勧告が発出された地域に、非常に危険であるという認識を国民の皆さんに持っていただく。スポット情報を六十二回も出したとかいろいろやっておるわけですが、さらにそれを徹底して、そういう認識を持っていただくことが大事じゃなかろうかというふうに考えております。

武正委員 ちょっと飛ばしたところで、一点、外務大臣に御確認をさせていただきますが、三十一日午前六時半、遺体安置所に日本大使館員を派遣して御遺体の御確認をされたわけでありますが、これは日本人ですか、イラク人ですか。お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 イラク人でございます。我が方大使館を警備している、契約関係にあるイラク人でございます。

武正委員 在イラク大使館の日本人大使館員、あるいは在イラク日本大使がイラクでの大変行動ができない状況、そしてまた先ほどの渡航禁止法制化でありますが、非戦闘地域であることを理由に自衛隊が派遣されているイラクへ渡航を禁止することは矛盾しかねず難しい。

 こういったことをかんがみますと、イラク特措法に基づいて、イラクは非戦闘地域であるということが既に矛盾をしていることも、今の在イラク大使館の日本人大使館員の行動、そしてまた渡航禁止法制化がやはり難しいことの理由として挙げざるを得ないわけではございまして、十二月十四日をもってさらに自衛隊派遣延長ということは民主党として断じて認めることができないということをこの理由をもって改めて指摘をし、質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、首藤信彦君。

首藤委員 民主党の首藤信彦です。

 イラクで、日本の若者が、香田証生さんがお亡くなりになった、本当に心からお悔やみ申し上げます。

 私は、長年この地域でもいろいろ活動してきまして、今この時点でイラクへ入られる、そのことは本当に無謀であった、私はそれはそう思います。特に、大統領選を直前に迎えて、アメリカがともかく実績を上げようということで大量の攻撃を行っているそのさなかへ入ってきたときに、日ごろの状況よりももっと危険なところに必ずしも十分な準備がないまま行かれた方に対しては、私自身も強い不満を持っている。

 しかしながら、問題は二つあると思います。

 一つは、なぜすんなり入っていけたのか、なぜとめられなかったのか。それからもう一つは、言うまでもなく、こういう事件が発生したらなぜ救えなかったのか。

 世界を代表する経済大国、世界じゅうに企業のネットワークを持ち、そして日本無二の同盟国と言われている世界最大の軍事大国と軍事同盟を結んでいるというふうに主張している方もおられる。そうした中において、どうして、この方の安否情報も、そして最終的に救うことはできなかったのか。証生さんというのは生きているあかしということでありますが、生きているあかしをどうして確保できなかったのか、私は本当に残念に思うわけであります。

 そして、特に問題なのは、この香田証生さんの死に、日本政府の不手際、特に事件が起こった最初の言動、これは危機管理上そしてまた人質誘拐や拉致の事件で一番重要になっているんですが、ファーストリアクション、最初のリアクションというものが、この拘束の事件や人質事件、こういう問題においてはすべてだと言われています。最初にどう対応するか。最初にどう反応するか。

 それを犯人側もずっと注視していて、その反応でほとんどその人質の運命は決まってしまう。これは危機管理の鉄則です。日本だって、何十年も、少なくともこの三十年間では多数の症例がそういう形で指摘されているんです。それにもかかわらず、なぜ総理が直ちに自衛隊は撤退しないということを言われたのか。これには二つ意味があると思うんです、強いて言えば、強いて解釈すれば。

 一つは、いわゆるノンコンセッションポリシー、非妥協政策といいますか、国是としてこれは絶対に撤退しない、そういうものには妥協しない、これはアメリカが言っていることです。しかし、その裏づけをアメリカは、もしそういうところで例えばアメリカの国民を誘拐したり殺害したりすれば、それは最終的にはアメリカの軍隊を送って、あるいはありとあらゆる手段を通して、世界じゅうを追い回して必ず見つけて逮捕して処罰する。こういう力を前提として主張しているのがノンコンセッションポリシーです。それは、国の表現としてはそれはあり得るべきことであると思いますね。しかし、それは決して災害現場のぶら下がりで言ってはいけないことです。当然のことじゃないですか。

 それから第二点は、犯人が特定、わかっている、犯人とのコンタクトをする必要がある。その意味で犯人に対してメッセージを送る必要がある。その場合は、これはあり得るんですよ。そういうことで、ほんの現場での一言が、何度も何度も繰り返し、いろいろなメディアを通じて、ありとあらゆるメディアを通じて流される。

 その中において、今説明いただきましたけれども、決して両方でもなかった。犯人側とも接触できていない。そしてまた、ノンコンセッションポリシーという国のがちっとした方針を説明しているのでもなかった。結局、私は、この発言が香田証生さんを結果的に死に追いやった、それぐらいの重要な発言であったと思うんです。

 こうした基本的なことをどうして例えば総理がふっとしゃべってしまうのか。そこに首席事務官とか危機管理監とかがたくさんおられるという今話がありました。なぜそういう方が総理に対して一言、一言ですよ、体制が整うまでそのことだけはやめていただきたいということが言えなかったんでしょうか。官房副長官、いかがですか。

杉浦内閣官房副長官 通告を受けておりませんので、どういう経緯だったか調べてまいりませんでしたが、総理が政府の基本姿勢をああいう形で表明されたということは私は間違ってはいなかったと思っておりますし、官邸の認識もそのとおりでございます。

首藤委員 そもそも私は、いや、私だけじゃなくてすべての委員の諸君、やはり今本当に国民が思っているのは、一体、小泉さんはこの問題に対してどう責任をとるのかということなんですよ。ですから、当然、小泉首相に対して、やはり出てきて委員会で発言してほしい。我が党の岡田代表もそういうふうに言っていました。本当にそうだと思う。こういうときにこそ、時々しっかり出て発言されるというのは当然だと思います。

 そしてまた、官房長官にも出ていただきたい。というのは、官房長官はまさに当事者なんですよ。総理ではなくても、少なくとも官房長官は当事者なんですよ。ですから、官房長官には出ていただきたい。官房長官のかわりに杉浦副長官が来られたので、ちょっとしようがないというところがありますけれども、質問させていただきますけれども。

 今もう武正同僚議員から質問がありましたけれども、三十日の十七時三十分、五時三十分から約二時間十五分にわたって総理は結婚式の祝宴におられた。そして、危機管理の最終責任者であるかもしれない官房長官は、やはり五時四十五分から二時間近くおられたということですが。

 それでは、杉浦副長官、この香田証生さんが殺された時刻というのは大体何日の何時ごろだとお思いでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 私どもが第一報を受け取ったのは、昨日の午前三時三十分でございます。ですから、死体が発見されたという第一報を受けましたので、事件が起こったのはその前だと思います。

 推定時刻はまだはっきりいたしておりませんが、事件が起こったのは、宴会の時間、通報は、向こうの時間で三時半というと九時半ですか、遺体を発見して通告があったのは。ですから、事件が起こったのはその前、推定時刻はわかりませんが、ひょっとするとその披露宴にかかっている可能性がございます。通告はございませんでした。

首藤委員 外務大臣、より詳しい時間を御存じだと思いますので、お願いします。

町村国務大臣 今、副長官が言われたように、三時半にイラク保健省の副大臣から在イラク大使に対して連絡があったと。我が方、三時半でございますから、六時間の時差と考えますと、九時半ごろということになりましょうか、そういう時間に現地では連絡があったということであります。

首藤委員 ここに朝日新聞の記事があります。ここに何と書いてあるか。現地時間の三十日午後七時、病院の前で発見された。現地時間の午後七時、日本時間の午前一時、そういう時間なんですよね。

 こうした、今二時間のおくれがありましたけれども、結局、随分早い時間に見つかっているんじゃないですか。そして、今二時間のおくれということをおっしゃっていたわけですが、そして先ほどもひょっとしたら時間がかかるというふうにおっしゃっていたわけですが、発見されたところが、これは病院なんですよね。ですから、病院の人は非常にはっきり確認できると思うんですが、そういう状況の中で、実際にいつごろ殺害されたと外務省では把握されているんですか。

町村国務大臣 検視を待ちませんと、死亡推定時刻は申し上げるわけにはまいりません。

首藤委員 いや、それは病院のそばで発見されて、救急医療職員が発見したということですよね。ですから、そこで発見されたのは、死亡時間というのをはっきり知っているわけですよ。だから、そうしたことを、発見された時間をはっきり把握して、一体そのときに我々はどう対応していたのか、もう一度よく考えていただきたいと思うんですね。

 それから、もう一つの最大の問題は、こうした方がイラクへ入っていってしまったわけですが、どうしてこれはチェックできなかったのかということですね。これは前にも質問させていただきました。これは、もうこんな難しい時期ですから絶対入っちゃいけない。そして、そういう入ろうとした人たちは、実はたくさんいるんですよ、イラクの周りにも。そして、決してそれはジョルダンだけでなくて、実はクウェートにもサウジアラビアにもシリアにもイランにもおられるわけですよ。

 ですから、もしそういう兆候があったらとめなきゃいけない。特に、ラマダンの一番難しい時期、アメリカの大統領選を迎えた一番難しい時期には当然そういうことをしなければいけないんですが、実際、この方が入ろうとしているということは現地のホテルのマネジャーなんかも知っているわけですけれども、では、日本の大使館員が行って、それに対してやめるように説得をしたでしょうか。外務大臣、いかがですか。

町村国務大臣 ホテルの方からヨルダン大使館に対して連絡があったので大使館員はそのホテルへ向かったわけですが、その時点では香田氏はもはやホテルを出発し、ヨルダンで接触ができなかったという実態がございます。

首藤委員 外務大臣、それをごく当たり前のようにおっしゃいますけれども、当たり前じゃないんですよ。アラブの社会においては、もう本当に身元の不確かな人間というのは、それは幾つも警察機関があって、さらに民間のいろいろな組織があって、もうありとあらゆるところで見張っているんですよ。ですから、そういうところから情報があれば、幾らでもとらえられる。私は、ジョルダンを含めて、大使館のそうした体制というものを非常に問題にしているんです。

 実は、私も昨年六月にイラクに入ったときに、やはり大使館の方がどうも機能していないんですよ。もう私も本当に大きな問題を抱えてしまったときもあるんですけれども。こういうところでもどうしてこういう問題があるか。そうすると、なぜかというと、昔は、大使館の末端の方までが外務省の方でおられた。しかし、実際、最近やっておられるのは、例えば警備保障の方であるとか、あるいは語学研修生でともかくそういうことをやって、空港へ迎えに行ったり、君、空港まで行ってビザを見ておいで、こういうのが、外務省の本当の係官というよりは、そういう人たちがやっているわけですね。ですから、どうしても十分な情報が得られていないんじゃないか、そういうふうに思うわけですね。

 結局、この方に関しては、外交官は説得をされなかったわけですね。もう一回、お願いします。

町村国務大臣 先ほども申し上げましたように、彼が出発した後、ホテルの方から連絡があったということですから、接触のしようがなかったということであります。

首藤委員 いや、そうおっしゃいますけれども、例えば、恐らく自分で車で行ったことはないんでしょうが、実際、出発してから国境まで八時間もかかるんですよ。それから、定期バスでもずっと並べられるから、二時間ぐらいそこでとどめ置かれたりするわけですね。それから、一応は国境のチェックがあるんですよ。

 ですから、もちろん、現地人の方は行ったり来たりしていますから、ビザはなくて当然入ったり出たりしているわけですが、外国人がいれば、そこでビザをチェックしたりするんですね。当然のことながら、ビザは得ていない。それからさらに、その国境を越えてから到達するまでに何時間も時間がある。バグダッドで、例えば大使館の方あるいは大使館の関係している警備会社の方、いろいろな方が行って、来た人間を、そこでコンタクトして、そこで対応することも可能だったんですね。

 要するに、こういうところでは、余り皆さんも経験ないかもしれませんが、そうした外交と違う人たちが入ってくるのを物すごく嫌がるんですよ。何かあったらすぐ荷物をチェックして、ああ、あなたはコレラの予防注射を受けていない。いや、ここはコレラの汚染地帯じゃないでしょうと言っても、いや実はWHOの情報だとここは汚染地帯だからあなたはだめですとか。それから、荷物をあけてみて日本の週刊誌なんかがある。ごく普通の週刊誌でも、女性の写真か何か載っている。そうすると、ああ、あなたはこの社会にポルノを持ち込もうとした、こういうことをチェックされるんですよ。

 ですから、もう何段階も何段階も、この方がイラクへ入り、バグダッドに到達するまでにチェックポイントがありながら、何で何一つチェックがされてこなかったのか、それはどのように報告されますか。

町村国務大臣 二十日の日の十八時ごろ、香田氏はイラク行きのバスでアンマンを出発したと想定されます。ホテル関係者からヨルダン大使館の我が方領事に対してこの情報提供があったのが二十一時半、三時間半のギャップがあります。

 その三時間半を経た後にどれだけのことができたかなというふうに思いますが、ホテルとしては好意的に我が方に連絡をしてきた、あるいは従前から何かあったら教えてくださいねということを依頼してきた、その結果が、三時間半後ではありましたが連絡をしてきたということにつながったわけであります。

首藤委員 いや、これは今回だけじゃないんですよ。前回の四月の事件もそうだし、そういうことがあれば早く察知して、そしてきちっと説得なら説得して、あるいは行かないようにいろいろなことを、現地の情報、それから今はやめてくださいと、今はやめてくださいということだって言えるわけですよ。

 例えば、この方がパスポートを持っています。パスポートに、この方はイスラエルに入ってそこでアルバイトをしていたらしいんですが、イスラエルのビザが、ビザの判こが、イスラエルの入国印がパスポートに入れば、それはその場で絶対だめですよということは言えるはずなんですけれども、この方のパスポートにはイスラエルの入国の印はあったでしょうか、外務大臣。

逢沢副大臣 事実関係でありますので、私から答弁をさせていただきますが、香田氏のパスポートの所在が今確認をされておりません。したがって、そのパスポートにイスラエル入国あるいは出国の印の有無は、当然のことながら確認はできないという状況であります。

首藤委員 今回の問題の大きな問題は、やはりそうした不明な点が非常に多い。特に、今後の、発生した事件に関して、例えば……(発言する者あり)いや、余計な、大臣、余計なコメントをしないでください。しているのは今これからの質問ですから。情報が非常に錯綜して、国民にも非常に不安感を与えたということなんですよ。

 どうしてこの、例えば最初にティクリートで発見された、アジア人だ、次はバラドで発見されたと言われるアジア人、それで我々も騒然となっていたわけですね。私も本会議で質問させていただきました。どうして、例えばバラドで発見されたアジア人に関しては、特徴も似ているとかそういうことがあって、その現場にどうして例えば香田さんの身体的特徴を、それから例えば指紋であるとか、そういうものを画像で送れば、アメリカ軍はRMAといって装備の電子化を進めているわけですから、当然現場の中で指紋の形状もすぐわかるんですね。どうしてそれぐらいのことを確認されなかったんでしょうか、外務大臣。

町村国務大臣 まず前段の、東洋人らしき、アジア人らしき遺体があったという点については、先ほどの御質問にもありましたけれども、これは米軍の情報ということでございまして、結果的にはその現場にいた方の判断が結局違っていたということになるわけでございます。

 そして、これについて、混乱がある、混乱があると盛んに言われますけれども、私どもは一度として可能性が高いであるとか断定的なことは一切言っておりません。そこから先は、後はマスコミの判断でいろいろな報道を流しているということでありますから、その責任を政府に求められても困るわけであります。

 それから、指紋云々のお話がございました。現場ですぐとればいいではないかとおっしゃいます。そういうこともそれは可能であったかもしれないけれども、しかしその最初に見つかった遺体については、現場では判断ができないから、したがってクウェートの基地に送る、そこで日本の医務官もいるから、そこで判断をしようということで、最終的には日本の医務官の判断によってこれは違うということを最終確認したわけであります。

首藤委員 いや、外務大臣、ずるずると話を延ばさないで、いいかげんなことを言わないでくださいよ。私が聞いているのは、現地で、現地でどうして、日本の指紋をどうして送らなかったかと。日本から指紋を送っていれば、現地の米軍の兵士も見て、あ、これは違うわとすぐわかるわけですよ。どうしてそれぐらいができなかったかということなんですよ。

 そこで、そういう話もあるかもしれない。指紋がとれなかったことですね、指紋が、例えば送るのが難しかったという話もあります。御存じないかもしれませんけれども、指紋というのは、ただこういうすべての形状だけじゃないんですよ。これは渦巻き、右流れ、左流れといって、これをやって、この三種類で、右、私だったら、円形、円形、円形、左流れですよ。この両手で合わせると、もう百万人に一人しかその形状で同じというのはないんですよ。ですから、指紋の基本的な情報を送っただけでそれは対応できたわけです。それがどうしてできなかったか、なぜ送らなかったか、それはいかがですか。

町村国務大臣 一つは、米軍の方では、日々何体かわかりませんが、遺体が出たりしております。遺体は、日本人、東洋人、アジア人的な一遺体だけがあったわけではないというのが一つありましょう。

 もう一つは、現場に最初に上がった遺体と言われているものはかなり傷んでいて、そういうものを採取できない状態であるということが連絡であったものですから、それならば、医務官のいるクウェートに運んでもらう、そういう米軍の空輸の便もあるものですから、そちらに送って判断をしようということになったわけであります。

首藤委員 私はなぜこういう質問をしているかというと、外務大臣、こういうことなんですよ。日本とアメリカの情報の共有体制は何なんだろう、日本がアメリカに本当に頼んでいることは何なんだろうということですよ。要するにこういう状況というのは、アメリカ軍が必死になって、香田証生さんの解放を必死で働きかけてくれたわけじゃないということですよ。

 本当に突入して探すんなら、その人間が、救い出した人間が香田証生かどうかの一〇〇%の情報を持っていないと、本当に救い出したかどうかわからない。それから、突入したところで、たまたま銃撃戦でお亡くなりになった方があったか、そうすると、その方が本当に救おうとしていた人なのか、あるいはまた別な人なのかもわからない、別の事件が起こっているかもしれない。

 ですから、要するに現場の米軍には何一つ情報が入ってなかったということじゃないですか。これでどうして、我が国はその力がないんだから米軍に頼って、一体米軍にはどういう形で解放をお願いしていたんですか、外務大臣。

町村国務大臣 まず香田さんの身体的特徴等々については、米軍に対してもきちんと連絡はいってありましたし、それは彼らも持っていたわけであります。したがって、それらから類推して日本人かもしれない、あるいはアジア人、東洋人かもしれない、そういう連絡があったということでございまして、そこの連絡はきっちりできていた、こう私は考えております。

首藤委員 いや、だから、きっちりできていなかったから、実際の見つけた人の死体のアイデンティフィケーションができなかったわけですよ。だから、どういう人でどういう情報を持っているか。例えば、普通、解放に行くときはきちっとその人のことを教えるんですよ。その解放した人間が本当にターゲットとなっていた人間かどうかわからないから。例えば、その人のお母さんの名前、その人の卒業した高校の名前、こういうのも押さえて、そして現場に突入するわけですよ。

 だから、結局、こういうことを見ると、事実上アメリカ軍に頼りながら、実際何の協力体制もできなかった、情報の共有もない。日本と米国との間の情報共有というのは外務委員会でも何十遍もが繰り返されたけれども、結局は米軍との間できちっとした情報の共有関係がないということを示しているんじゃないでしょうか。

町村国務大臣 先ほど来から突入、突入とこうおっしゃっているのはどうも意味がわからないのでありますけれども、それはどこかで居場所が、日本人の居場所がわかり、それを救出するというオペレーションに入っていれば今のような委員のお話になるかもしれませんが、そういう状態ではなかったということはよく御承知のとおりであって、突入云々という発言は私にはよく理解ができません。

 それから、米軍との関係について言えば、これは在イラク日本大使館からイラク暫定政府に対して、あるいはもちろん米軍に対してもさまざまな情報の提供、そして所要の協力助言を要請する。その際に、先ほど申し上げましたような身体的特色等はきちんと連絡をしてあるわけであります。また、私からもパウエル長官等々にもお願いをしてありますし、また逆に先方からの連絡もあったところであります。

 そのほか、イラク国政府あるいは周辺国の外務大臣等々にもきちんと要請をし、私はそれはそれなりに、三十カ国近い在外公館がそうした指示を受けてしっかりと情報交換をやり、まあ結果はこうなってしまったんですから、私はそれは別に胸を張って言うつもりもございませんけれども、しかし何の連絡調整、情報提供・交換が行われていなかったのではないかという委員の御指摘に対して、それは事実と違うということだけは申し上げておきます。

首藤委員 いや、お言葉ですが、まさにそれこそ日本の外交の現場の事実だということを今もう一度確認させていただきますよ。

 ヨルダンでこういうことがありました。では、今、例えばシリアやイランやあるいはクウェートや、そういうところではどのような体制を現在とっておられますか。質問通告してありますから。

町村国務大臣 まず、関係国、ヨルダンでありますけれども、ヨルダンは先ほど来から御説明をしてあるとおりのことでありまして、多くの邦人が利用するホテルに対しては渡航情報の掲示を依頼してあります。これは現に掲示をされているということであります。また、イラクへ渡航する邦人の宿泊客がいる場合には、大使館への通報に加えまして、ホテル関係者からも渡航の取りやめを説得するように要請している、これは現に行われているわけであります。

 サウジアラビアにつきましては、観光目的の入国が認められておりません。そのために、邦人がサウジアラビアを経由して観光目的でイラクへ入国する可能性は極めて少ない、こう思われます。もちろん、サウジアラビアの在留邦人に対しては、在サウジアラビア日本大使館から、イラクの危険情報というものは周知を図っております。

 シリアにつきましては、イラク入国査証の取得には日本大使館の添え状というものが必要であるということで、添え状の発給を求める邦人に対しては、イラク入国を思いとどまるように強く説得をしております。また、シリアにおられます在留邦人に対しては、サウジと同様に、イラクに対する危険情報というものを周知徹底を図っているところであります。

首藤委員 だから、そんな、大使館にビザを下さいという人に、それは発給するときにいろいろコメントするのは当たり前なんですよ。今回のように、一般の出稼ぎの労働者などに紛れて入ってくる人たち、それがやはり問題になるわけでしょう。しかし、いずれにせよ結果は同じなんですよ。結果は同じように、我が国の国民の生命が危うくなり、我が国の今の政策も危うくなるわけでしょう。

 ですから、どうしてそれに対して徹底した対策をとるとか、そういう言明はできないのかと私は非常に疑問に思いますよね。ですから、それが、前回日本の四月に起こった事件で、全然対応が進んでいないじゃないですか。そこが外務省の問題だということを指摘しているわけですよ。

 このような状況の中で、一体その再発防止策というのは本当はどういうふうにおとりになるつもりなんですか。

町村国務大臣 現在バグダッドには、正確な人数はあえて申し上げませんけれども、ごく限られた人数の方、それらはほとんど私どもの理解ではメディアの関係の方々がバグダッドにおられます。しかし、それ以外に、これだけ危険情報というのが既に周知徹底しているわけでありますから、この状況のイラクに入るという方がほとんどいないというのが実態であろうと私は思います。

 そういう中で、香田さんのような形で入られてしまった。それはとめることができなかった、それは日本政府の責任であると言われれば、それを私はあえて否定はいたしませんけれども、しかし、それじゃ物理的に、先ほど答弁したように、どうやればそれができるのか。一〇〇%入らせない措置というのはあるか。仮に、よしんば新規立法をして入国、出国を禁止するという措置をとったって、それを実効上どう担保することが可能かということを考えたときに、そこにはおのずと一定の限界があるんだろう、こう思います。

 したがいまして、結果がこうでありましたから、先ほど来申し上げているように、別に胸を張って言っているつもりもありませんが、これ以上のことが一体どうすればできるんだろうか。現にそれだけ、四月の事件を契機として、より徹底した周知徹底を図っているからこそ、現実にはメディア関係以外の方はほとんど今イラクにいないという事実が、何よりもの私どもが再発防止策をとってきたことの成果ではないだろうか、こう思っているわけであります。

首藤委員 時間がもうなくなりましたけれども、町村外務大臣、それはデジャビューの世界ですよ。全く同じことを前もおっしゃったんですよ。それはもう数少ない自衛隊と、あと数少ない自衛隊とくっついているジャーナリストしかいません、だから安全、もうこういう危険は起こらない。しかし、現実には思いもかけぬ抜け道から入ってくるわけですよ。

 だから、そういう形に一つはどうやって対応すればいいか。それは全世界レベルでやらなきゃだめなんですよ。今回はイラクで起こりました。しかし、同じことを、別にイラクじゃなくたって、これはエジプトでやったって、あるいはいろいろなところでできるわけですよ。だから、本当に外務省が総力を挙げてこの問題に対応しないと、これは二回も三回もこれからも起こるということをしっかりと把握していただきたいと思いますね。

 もう一つは、今現状で、イラクは、米軍の死者がもう既に千百名を超えているわけですね。そして、死者も八千名に達している。そして、今まさにどんどん規模が大きくなってきているわけですよ。だから、そういう巨大なリスクを今イラクはある。そして、その中に、我が国の自衛隊がそこに加担しているわけですよ。

 ですから、そういうことを考えれば、この十二月に簡単に延長するんではなくて、もう一度原点に返って、一体イラクの安定のために我が国は何をしたらいいのかということを考え直さないと、ただずるずると延長させるということは全くの間違いであり、我が国の国民をいたずらに危うくさせるものだということを指摘させていただいて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私は、冒頭、武装集団による無法なテロの犠牲となった香田証生さんに心からの哀悼の気持ちを述べるとともに、御遺族にお悔やみの言葉を申し上げます。

 午後もイラク特別委員会がありますので、イラク問題はその場に譲りたいと思います。私は、沖縄国際大学のヘリ墜落問題について外務大臣に質問をいたします。

 十月二十八日に、CH53D型ヘリ同型機三機が岩国へ向かいました。一カ月間、普天間基地でテスト訓練を行い、そして宜野湾市民から恐怖の思いをよみがえらせるものだと厳しい抗議を受けました。十月十三日に、駐日大使館のマハラック臨時代理大使は、練度の維持のために飛行を早期に再開する必要がある、このように発言をしております。これを受けて、外務大臣は「原因もはっきりしたし再発防止策の説明も受けた。これ以上運航再開に異論を唱えない」このようにおっしゃいました。

 そこでお伺いをいたしますけれども、日米間で事故の原因を究明してきたとされる事故分科委員会、この事故分科委員会はこれまでに三回開かれております。アメリカ側から英文二百四十ページの事故報告書と、日本文の一ページの概要も出されました。この事故分科委員会は三回の会議で終了したのですか。次回開催の予定があるとすれば、その予定はいつなんでしょうか。

海老原政府参考人 これは事故分科委員会の作業といたしましては、今後、分科委員会としての報告書、これには勧告も含まれますけれども、これを日米合同委員会に提出するという作業がございます。したがいまして、今後も分科委員会を開催することを考えております。

 次回がいつということについては、現在米側と調整中でございます。

赤嶺委員 そうすると、事故分科委員会はまだ終わっていない、飛行は再開された、こういうことになっておりますが、最終的には、事故分科委員会の報告が日米合同委員会に出されて、日米合同委員会から勧告について検討を進めることになる、こういうぐあいに理解していいんじゃないかと思いますが、その勧告の内容というのは再発防止策とか安全対策とかが含まれると思うんですが、その勧告というのはいつごろをめどに出されるおつもりなんですか。

海老原政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、現在日米間で協議中でございますので、いつごろその勧告を含む報告書を日米合同委員会に提出できるかということについてめどが立っているわけではございません。

 ちなみに、昭和五十二年にF4ファントムが横浜市に墜落した際には、九月に事故が起きまして、勧告を含む事故分科委員会の提出は、たしか翌年の一月であったというふうに記憶いたしております。

赤嶺委員 そうすると、沖縄県民は日米両政府の明確な勧告を知らないままに、日米両政府の間で事故同型機の飛行が再開されている状態だということになると思うんですよね。

 皆さんの文書、十月十二日付の文書でありますが、こう書かれています。

 十月五日及び八日の事故分科委員会でのアメリカ側から示された安全点検を含む事故再発防止策に関する説明を踏まえ、意見交換を実施した、さらに、九月三十日、十月七日及び十一日には、日本側専門家が普天間飛行場を訪問し、事故機と同型のCH53Dを視察し、安全点検や整備体制につきアメリカ側から説明を受け、確認を行った、そして事故原因及び飛行再開に向けた再発防止策について十分な説明を聴取することができた、このようになっています。

 専門家が普天間基地に入って、いろいろなアメリカ側の整備体制やら事故同型機を見てきたというんですが、事故を起こした機体そのものについては専門家はごらんになったのでしょうか、あるいは検証を行ったんでしょうか。いかがですか。

海老原政府参考人 三回我が方から、国交省と防衛庁の方の専門家が普天間飛行場に参りまして、米側の安全点検の状況等について説明を受けまして、意見も交換したということでございます。その中には、墜落をしたヘリコプターの点検ということも含まれておりました。

赤嶺委員 事故を起こしたヘリコプターをきちんと日本側専門家は見たんですね。見たわけですね。

 その機体は、現場から普天間基地に運んだと思うんですが、全部普天間基地に保存されていたでしょうか。それとも、一部は米本国に調査を依頼したということはありませんでしたか。いかがですか。

海老原政府参考人 そこまでは承知いたしておりません。

赤嶺委員 機体は、沖縄県警の専門家が指摘しているとおりに、事故原因を解明する証拠の山、宝の山だという認識を捜査当局は持っております。私が普天間基地の司令官にこの問題について聞いたときに、一部は米本国に持っていって検証をしているというような説明もありました。これについては、ぜひ確かめていただきたいと思います。ただごらんになっただけで、本当に事故の原因が解明できるぐらいの認識に至ったのかどうか、疑問であります。

 そこで、さらに伺いますけれども、専門家は、皆さんの出した文書によると、普天間基地で安全点検の要否、整備体制につきアメリカ側から説明を受けたとしております。意見交換の中で、日本側はどんな質問を行ったのですか。そして、アメリカ側はどんな説明を行ったのですか。いわゆる事故原因の解明がどういう中身で行われたか、この問題であります。それはいかがですか。

海老原政府参考人 専門家が普天間飛行場に行きました目的というのは、今回の事故の原因の究明ということと再発防止策ということにあったわけでございます。したがいまして、米側からの報告書を受けまして、特に専門的な観点からさまざまな検証、意見交換を行ったというふうに理解をしております。

 ただ、その詳細を明らかにせよということでございますけれども、これにつきましては、物によりましては米軍の運用にもかかわるということでございますので、そのすべてを明らかにするというわけにはいかないということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 他方、原因、そして再発防止策につきましては、説明可能な原因についての説明を受け、また必要な再発防止策につきましては既に実行されているということが専門家の観点からも確認をされたということでございます。

赤嶺委員 その専門家が確認したことを県民は知りたいんです。何も説明を受けないで、安全だという確認が得られている。せめて、日本の専門家が墜落した事故機を見たというならば、何を感じたのか、どういう質問をしたのか。同型機について、老朽だとかいろいろ指摘もされております。そういった点について、県民の不安を解消するためには、でき得る限りの専門家のやりとりなるものは公表すべきではないかと思いますが、外務大臣、いかがですか。これで安全説明は十分だと考えられますか。

海老原政府参考人 今回の事故の原因、そして再発防止策につきましては、冒頭、委員も二百何ページにわたる米側の報告書が出ているというお話がありましたけれども、その報告書においてもかなり詳細に書いてあるわけでございます。

 それを受けまして、事故分科委員会を三回行いまして、ここで相当専門的な見地からその検証を行ったということでございまして、それに加える形で、三回にわたって専門家が現地に赴きまして、米側の安全点検の状況等について説明を受け、議論もしたということでございます。

 その結果、我々としては、受け入れ可能な原因というものと必要な再発防止策が既に実行されているということを確認できたわけでございまして、その確認できた内容につきましては、外に対してわかりやすい形で御説明をしてきた、ここで繰り返してもよろしいんですけれども、そういうふうに考えているわけでございます。

赤嶺委員 三回事故分科委員会を開いたけれども、日米合同委員会での最終的な勧告は出ていない、ここも、安全説明、危険の除去についての不信感が生まれる一つの根拠であります。専門家が現場に行ったけれども、その中身は明らかにすることはできない。

 例えば、英文の二百四十ページの報告書、これはもう難しい軍事用語がいっぱい書かれていて、とっさにその中身を理解するのは困難だ、翻訳したものを出してほしい、こういうのも出ております。これは、つまり、安全説明を徹底して求めたいという立場からです。

 そういう、翻訳して出すということはいかがですか、外務大臣。

海老原政府参考人 現在、防衛施設庁において作成中でありますので、作成し次第公表するということになると思います。

赤嶺委員 時間もありませんので外務大臣に伺いますが、参議院の予算委員会で、小泉総理は、事故は絶対に起こらないということを一〇〇%断定できるということを私は申し上げることはできないと答弁しております。外務大臣も総理と同じですか。

町村国務大臣 ちょっと前後の脈絡がどういうことで総理がそう言われたかよくわかりませんが、それは一般論ですよ、一般論で言えば、事故がゼロということは、何もヘリコプターのみならず、米軍のみならず、日本の自衛隊だって何だってかんだって、それはゼロが望ましいし、ゼロにする努力は皆さんするけれども、絶対にゼロということは、それはあり得ないんじゃないでしょうかね、この世の中において。

赤嶺委員 そうなんですよ、絶対にゼロにすることはできないんですよ。しかし、普天間基地の原点はゼロにすることなんですよ。普天間基地の原点というのは、そもそもSACO合意の原点は、危険の一〇〇%の除去なんですよ。

 それを皆さんが、一般論でできない、しかし普天間基地においてはそれが求められていると言うのであれば、直ちに普天間基地は即時閉鎖をする。そして、事故原因の説明についても極めて不十分なまま飛行が再開していることに断固抗議をして、私の質問を終わりたいと思います。

赤松委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子です。よろしくお願いいたします。

 昨日イラクで武装集団の手にかかって殺害された香田証生さんに心から哀悼の意を表しますとともに、御家族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げたいと存じます。

 私も、イラク関連の質問につきましては午後のイラクの特別委員会で質問させていただくことにして、ここでは沖縄について、通告もしてありますから質問させていただきます。

 まず、先月二十七日、本委員会での町村大臣のごあいさつの中で、さきの沖縄訪問の成果を踏まえつつ、抑止力の確保と沖縄等の地元住民の過重な負担の軽減の観点から米国と協議してまいりますということをおっしゃっておられましたけれども、まず最初に、その沖縄訪問の成果というのは何だったのか、お聞かせください。

町村国務大臣 私は今まで沖縄にもう二十回以上訪問したことがありましょうか、院の派遣でも米軍基地を初めとして視察をした経験もございますが、今回、改めて外務大臣として十月十六日に訪問いたしまして、辺野古地区あるいは普天間の実情、さらには基地所在の市町村長、そして県知事、一連の視察あるいは会談の中で、なるほどこれは大変な、確かに過重なる負担が沖縄の皆さん方にかかっているなということを、外務大臣という重い職責を通じて、改めて生の声を聞いて、そのことを実感したということでございます。

東門委員 そういう一連の視察の中から、では、外務大臣として、これからこの負担をどのように軽減していこうというふうにお考えでしょうか。方針ですね、今具体的にこれこれとおっしゃれないかもしれないけれども、この方向でいくんだということをお聞かせください。

町村国務大臣 これは今ちょうど、委員御承知のように、日米の間でトランスフォーメーション、米軍の再編成問題というのが議論をされております。もとより日米間ではSACOその他いろいろな形で沖縄の負担軽減のことが話されていたわけでございますが、今改めて、この再編成の議論の中で、私どもとしては、まず安保条約の有効性を維持しながら極東及び周辺の平和と安全を維持する、その抑止力をしっかりと維持するという基本的な視点が一つ。もう一つは、沖縄に対する過重な負担を何とか軽減していきたい、その具体策をつくりたいものだというこの二つの観点で今後作業をしていく、もちろんほかの重要なポイントもあろうかと思います。

 そんなことで、実は先般十月二十四日にパウエル国務長官が日本を訪問されました。一時間半余にわたって会談をした中でも、私からこの沖縄の問題を明確に述べまして、パウエル長官もこれに対して理解を示されたわけでございまして、そういう基本的な共通の認識の中から、今後、具体策をよりしっかりとしたものをつくり上げていきたい、かように考えております。

東門委員 御答弁を私は少し期待し過ぎていたかもしれません。国会に参りまして四年余が過ぎましたけれども、各外務大臣同じような、御答弁だけなんですね。何も進んでいない。外務省では本当に沖縄県民の負担を軽減する意思があるのかということさえ疑わざるを得ない、そういう感じを今持っています。正直にです。

 町村外務大臣は、何度も沖縄訪問をされた。外務大臣としては今回が初めてかもしれません。しかし、沖縄視察の成果を踏まえつつということは、沖国大にも行かれました、あのヘリの墜落現場もごらんになった、そこに本当に隣接しているあの普天間飛行場もごらんになった。まあ両方で三十分そこらの視察だったという報道はありますが、それをごらんになって、しかも県知事とお話をし、いろいろな方の、宜野湾市長のお話も伺ったと思います。そういう中で今の答弁というのは、全然納得がいかないんですよ。

 何も変わらない、何も進まない、何もしてきていない、そういう印象なんですが、負担の軽減と言うときに、外務省から見た、国から見た負担なんでしょうか。県民が感じる負担、それをどう軽減するかということなのか、とても不思議なんです、この四年間、ずっと感じてきました。県民が目に見える形で、ああ本当に負担が軽減されたんだと感じる形での負担の軽減、あるいは目に見える形、それが全然この方行われていないということなんですね。

 ですから、それをどのようにしていくのですか。私は、抑止力の維持と負担の軽減、いつもおっしゃいますが、いや、これはもう最近からですね、最初のころはありませんでした、負担の軽減だけで、SACOでした。今度は二つおっしゃって、SACOだと言う。何も県民にとっては負担の軽減は見えないというのが正直な実感なんですよ。

 あの普天間をごらんになって、沖国大の現場をごらんになっての大臣の発言がこれだけだというのは、すごく残念だと申し上げることしかできないのが本当に悲しいという思いなんですが、もう一度、大臣。

町村国務大臣 SACOの合意には普天間以外のこともいろいろ書かれているのは、もう委員御承知のとおりでございます。その中で、随分進んだもの、実現をしたものもございます。現在協議中のものもございます。なかなか話が進まないもの、確かにそれは遅い、早いの違いはありますけれども、それらを今誠実に実行しようとしているところでございます。

 普天間に関しても、当初のSACOの合意と、それは地元とのいろいろな調整の過程で当初の案とは違うものになっておりますけれども、普天間の状態を改善するために今辺野古沖に持っていこうということで、これに時間がかかり過ぎるという御指摘はよくわかりますが、できるだけこれを早くしっかりと進めること、このことが大切なことだ、こう思っております。

東門委員 それでは、伺います。

 ラムズフェルド国防長官も、普天間基地を上空からごらんになって、世界で一番危険な基地だという指摘をなされたということがあります。その普天間基地の閉鎖が、今県民が一番願っていることだと思うんですね。それについて、政府内でこれまで協議をしたこと、検討したことがあるでしょうか。

町村国務大臣 過去の詳しい経緯は私ども全部聞いているわけではございませんが、直ちに普天間基地を閉鎖するということになりますと、あそこの持っている抑止力といいましょうか、基地としての重要性というのがあるわけでございますから、他の代替措置全くなくして直ちに閉鎖ということは、これはあり得ないことだと思います。

東門委員 普天間基地は、多くの専門家が話していることなんです、今現在もそうなんです。ほとんど普天間基地の兵隊はイラクに行っていて、少ししか残っていないはずなんですよ。本当に、普天間基地を視察しました、少ししかヘリコプターも残っていない、機体の数というのはすごく少ない、本当にこれは存在していなきゃいけないんだろうかというのが専門家の意見であり、私たち県民の思いなんですが、その普天間基地、代替施設がどうしてもなければいけないというのは、アメリカの意見ですか、外務省の意見ですか。

町村国務大臣 これは日米間で合意したSACOの合意というのがあるわけでございまして、これは日本の認識でもあろうし、アメリカの認識でもあるということでございます。

東門委員 アメリカの言うことに対して外務省は物が言えないと多くの国民が感じていますし、そうなんですが、特に沖縄から見ると見事にそれに当てはまるんですが、今の御答弁、まあ両方だとおっしゃるんですけれども、しかし今トランスフォーメーションが行われている中で、時間がないからもうはしょって質問しますけれども、トランスフォーメーションが行われている中で、政府のとるべき態度というのは、私ははっきりしていると思うんです。

 本当に危険も除去、負担の軽減ということをしていく、考えていくというならば、まずそこからやっていかなければいけない、普天間の閉鎖を考えていかなければいけないと思います。

 時間の都合でぱっとはしょって行きますけれども、日米安保条約で日本の安全が守られるといいます。しかし、九・一一のときのように、あのときを思い出してください、米軍を守るために日本の警察、自衛隊が出動しました。では、これだけ大きな米軍基地があるために、沖縄県だけではないかもしれませんが、しかし沖縄は七五%あるわけです。その広大な基地から派生する事件、事故、そこから県民の生命財産を守るのは、だれが守るのですか。

 危険の除去という場合には、しっかりそこにある原因、それを撤去しなきゃいけないはずなんですが、それは行われずに、抑止力の維持、これが何か前面に出てくるということは全然納得いかないんですが、大臣、沖縄県民の生命財産を守るのはだれですか。これだけの米軍基地があるという事実から生じてくる県民の危険、恐怖、不安の中で生きている、そういう気持ち。県民の命、財産はだれが守るのか。繰り返します、済みません。

町村国務大臣 一義的には日本国政府の責任だろうし、もちろんそれはそれぞれの役場や、持ち場は持ち場に応じて、県当局でもあろうし、市町村当局でもあろうし、また県民みずからのということもあろうかと思います。

東門委員 基地の提供責任者は国です。そして、県民は早い撤去を望んでいます。大き過ぎます、危険が多過ぎます。毎日のように、起こり得るんですよ。十年間で米軍の航空機事故、確かに今回のあのヘリ墜落事故ほど大きいのはなかったかもしれませんが、航空機からの落下事故というのはたくさんあります。少なくとも四十五件あるはずです。

 その中で原因が究明されたのがたった十件、残りは究明されていません。原因究明をします、徹底していきます、再発防止策を講じますと言いながら、再発どころか再々発、再々々発しているんですよ。こういう現状を見て、まだ国は、沖縄県のその負担を軽減するという立場から、普天間の閉鎖、まずはそれだと思います。

 大きな事故、あの事故でお年寄りから子供まで今でも本当に苦しんでいる。この現実をお考えになったら、あるいは視察してこられたのならば、そこからしっかりと、私は、外務省として、外務大臣としてアメリカ側にはっきりと、普天間はもうだめだ、沖縄県民の強いそういう要望もある、国として県民の生命財産をしっかり守っていくためにこれはどうしても閉鎖しなければならないということをぜひ言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

町村国務大臣 先ほど申し上げましたように、パウエル長官にも沖縄の厳しい状況ということはきちっと話をしてありますし、それを、先ほど申し上げましたように、一つの重要な視点としてこのトランスフォーメーションの議論をやっていこうということについてもきちんと話してありますし、先方もそれについては理解を示していると先ほど申し上げました。

赤松委員長 東門委員に申し上げますが、既に質問時間はオーバーしていますので、特別な配慮でお許ししますが、なるべく簡潔にお願いをいたします。

 東門美津子君。

東門委員 はい、済みません。ありがとうございます、委員長。御配慮は感謝いたします。

 大臣、大臣としてスタートしたわけですから、これまでと違った方向で、やはりまずは国民に目を向ける、県民の思いをしっかりと受けとめるという形で、ただこれまでの答弁を繰り返してきたこれまでの大臣とは異なる、そういう大臣の力を見せていただきたいと要望をいたしまして、終わります。

 委員長、ありがとうございました。

赤松委員長 御苦労さまでした。

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣町村信孝君。

    ―――――――――――――

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

町村国務大臣 ただいま議題となりました経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 平成十四年十月の我が国とメキシコとの間の首脳会談において、二国間の経済連携強化に関する協定締結のための交渉を開始することで意見が一致したことを受け、同年十一月以来、両政府間で協定の締結交渉を行ってまいりました。その結果、本年九月十七日にメキシコ市において、我が方小泉内閣総理大臣と先方ビセンテ・フォックス・ケサーダ大統領との間でこの協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、我が国とメキシコとの間の貿易及び投資の自由化並びにビジネス関係者等の自由な移動を促進し、ビジネス環境の整備、人材育成、中小企業支援等における協力を含む幅広い分野での連携を強化するものであります。

 この協定の締結により、両国の経済が一段と活性化され、両国間の経済上の連携が強化され、ひいては両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。

赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明二日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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