衆議院

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第4号 平成22年11月12日(金曜日)

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平成二十二年十一月十二日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 吉良 州司君 理事 中野  譲君

   理事 中林美恵子君 理事 長島 昭久君

   理事 西村智奈美君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      浅野 貴博君    磯谷香代子君

      小川 淳也君    大泉ひろこ君

      勝又恒一郎君    菊田真紀子君

      熊谷 貞俊君    阪口 直人君

      首藤 信彦君    中津川博郷君

      浜本  宏君    伴野  豊君

      本多 平直君    松本 剛明君

      向山 好一君    山花 郁夫君

      若泉 征三君    金田 勝年君

      河井 克行君    高村 正彦君

      松野 博一君    松本  純君

      笠井  亮君    服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣         前原 誠司君

   外務副大臣        伴野  豊君

   外務副大臣        松本 剛明君

   防衛副大臣        安住  淳君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   国土交通大臣政務官    津川 祥吾君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 甲斐 行夫君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    城野  功君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 牛島  清君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     磯谷香代子君

  阪口 直人君     熊谷 貞俊君

  松本 剛明君     向山 好一君

  河野 太郎君     松本  純君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     菊田真紀子君

  熊谷 貞俊君     阪口 直人君

  向山 好一君     松本 剛明君

  松本  純君     河野 太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオランダ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第四号)


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオランダ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房審議官甲斐行夫君、海上保安庁長官鈴木久泰君、警備救難監牛島清君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阪口直人君。

阪口委員 衆議院議員の阪口直人でございます。本日は質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。

 まず、前原大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 前原大臣が所信の中で、経済外交に力を入れていく、貿易の自由化を推進し、また日本のインフラを積極的に海外に売っていく、そして資源外交に力を入れていく。この方針については、私はもう大賛成である、ぜひ積極的に後押しをしていきたいと思っております。

 本日は、そういった視点で幾つか質問をさせていただきたいと思いますが、国益を追い求めていくと同時に、人類益、地球益、あるいは人類の普遍的な価値である民主化、さらに人権といった問題についても、やはりしっかりと配慮をしていかなければならないと思います。

 十一月七日に、ミャンマーで総選挙が行われました。軍事政権がこの選挙の結果については勝利宣言をしたということでございますが、ただ、諸外国からは、選挙の結果、そしてプロセスについて、自由、公正ではなかったという声明が次々に出されております。例えば、アメリカの大統領の声明として、国際的に認められた標準に値しないものであった。また、クリントン国務長官も、欠陥選挙を行うことで民政移管のチャンスを逃した、深く失望した、こういったコメントを出しております。また、欧州議会のビルマ議連なども、EUはビルマの選挙結果を認めるべきではない、このような厳しいコメントを出しております。

 日本政府における報道官談話を私も拝見しました。ただ、その後、さまざまなプロセス、さらに結果が明らかになってきた中で、日本政府として、このミャンマーの総選挙をどのように評価するのか、ぜひ前原大臣のコメントを聞きたいと思います。

前原国務大臣 今、阪口委員がおっしゃったように、十一月七日に二十年ぶりにミャンマーで総選挙が行われました。総選挙が二十年ぶりに行われたということ自体は、それは私は半歩前進だとは思いますけれども、しかし、完全に公平公正な選挙であったかというと疑問符がございます。

 例えば、上院にしても下院にしても、初めから軍人枠というものが四分の一ずつ設けられていたということと、あとは、アウン・サン・スー・チーさんの解放が十一月十三日ではないかと言われておりますけれども、つまりは、選挙前にはNLDなどとの話し合いがなかったということを考えれば、またそのNLDが総選挙をボイコットしたという状況を考えれば、公正な選挙、完全な民主化の選挙ではなかったということは私は言えるのではないかと思います。

 ただ、国情に合わせて一歩ずつ民主化を歩んでもらうということも大事でございますし、そういう意味では、単に批判をするだけではなくて、今後のミャンマーの民主化をさらに後押しするような両面が、私は政策において、外交において必要ではないかと思っておりますので、今までも人道的な支援はしてまいりましたけれども、慎重にミャンマーの今後の民主化の動向というものを見きわめて、我々としても両面から対応をしていきたい、このように考えております。

阪口委員 ありがとうございます。

 今回の選挙に関しては、私も可能であれば国際監視団に参加したいという思いでさまざまなリサーチをしていたんですが、国際選挙監視団の受け入れは拒否、また国際的なジャーナリストの受け入れも拒否ということで、極めて不透明な面がたくさんある選挙であったと思います。

 ただ、今大臣が言われたように、この局面を受けて、では日本としてどのような対処をしていくのかという視点も大事だと思います。私も、在日のビルマ人の方々の多くに、日本政府として今後何をしてほしいのか、するべきかという視点でいろいろと伺いました。その中で一番多くあったのが、タン・シュエ議長とアウン・サン・スー・チーさんの対話を促進するための努力をぜひしていただきたいという切実な声が多々寄せられていたんですが、この件について、日本政府としての決意をぜひ伺いたいと思います。

前原国務大臣 十月の末にハノイでASEANの会合がございまして、私もハノイに行きまして、ミャンマーの外務大臣とかなり時間をとって、時には激しく議論をいたしました。そして、選挙監視についてもっと受け入れるべきではないかという要望も私からさせていただきましたけれども、ミャンマーの外務大臣からは、外交官についてはどの投票所に行っていただいても結構です、こういうような話もございまして、そういう意味では、ミャンマーなりの透明度のアップというものは図ろうとしていた、一定の努力は私は認めてもいいのではないか。

 しかし、阪口議員や、あるいはそこに座っている首藤委員を含めて、いろいろな地域に行かれて、そして身をもって選挙監視をされ、そして各国の民主化を日本の国会議員として体現されようとされている阪口議員のような方からすれば、物足りない、まだまだ足りないという思いを持っておられるというのは、それは事実だろうと思います。

 十三日に本当にアウン・サン・スー・チーさんが釈放されるのかということについても、まだ私は確たる情報を得ておりませんし、ぜひしっかりと解放されるべきだと思っておりますけれども、それを受けて、トップのタン・シュエ議長を含めて、軍部また政府がしっかりと対話に一歩踏み出して、そして民主化を進めるという意思を示してもらいたいと思っておりますし、またそういうコーディネートも日本政府としてしっかり後押しをしていきたい。

 そのためにも、単に批判をするだけでは、なかなかそういった仲介役もできないのではないかという思いもございます。

阪口委員 ミャンマーの問題に関しては、これまでも日本政府、よく北風と太陽という言われ方をしますが、他国とは違った、対話を極力促進する、そういった戦略でやってきたと思います。

 ところが、それが十分な成果を必ずしも上げてきたとは言えない面もございます。ぜひ、今後は、経済外交の視点もしっかりと入れて、同時に、やはりミャンマーに住む方々の人権、そういった普遍的な問題に対する配慮をしっかり踏まえて対応していただきたいと思います。

 次に、原子力の平和利用における協力のための日本政府とヨルダン政府の協定について質問をさせていただきたいと思います。

 ヨルダンに原発をつくるということ、これはインフラの輸出を積極的に行っていくという日本政府の方針とも一致しますし、先日、ベトナムとの間で原発の開発に関する合意がなされた、これは大変に大きな成果であると思います。

 ただ、ヨルダンという国の地理的な状況を考えてみても、例えば将来、テロのターゲットになる可能性が全くないとも限りません。また、ヨルダン政府がそのような問題に対してすべて対応できるかというと、今後、やはり技術を提供することを目指している日本政府の責任というものも大変に大きなものになってくると思います。

 先日、ヨルダンのリファイ首相は、この原発のプロジェクトについては、紅海と死海を結ぶ運河の建設、またその運河の淡水化プロジェクトであるとか、あるいは高速鉄道の導入とパッケージで考えていっていただきたいという提案をしていただいております。これは、本当に前原大臣も積極的に進めていらっしゃる、とにかく日本の、オール・ジャパンの力で、日本のすぐれた技術、また環境等にも優しい技術を売り込んでいくという成果にもつながり得るプロジェクトだと思います。

 ただ、先ほど申し上げた安全面について、果たして責任を持ってしっかりと対応できるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

伴野副大臣 阪口委員にお答えしたいと思います。

 阪口議員におかれましては、カンボジアの平和活動を初め、その御経験を生かされて、日ごろから議員外交に御尽力いただいておりますこと、まずもって御礼を申し上げたいと思います。

 今の御質問でございますけれども、御案内のように、ヨルダンと今いろいろな協議をしているところでございますけれども、その上で、ヨルダンにおけるテロ対策等の危機管理につきましては、原子力発電所の施設及び原子力材料等を防御する特別の治安部隊が編成されているほか、常時、近隣諸国と協力して国境管理を行っていると承知しております。

 また、安全対策を徹底するため、安全対策に責任を有するヨルダン原子力規制委員会が、国際原子力機関、IAEAでございますけれども、緊密に連携いたしまして、国内の原子力安全利用に関する管理基準の国際基準への適合化を進めていると承知しております。

 危機管理及び安全対策は、一義的にはヨルダンの責任であると考えておりますけれども、我が国は、これまでも、IAEAとも協力しながら、原子力発電新規導入国に対し、人材育成や法整備支援、または必要な基盤整備も支援してきておりまして、ヨルダンにおきましても、二国間で専門家派遣等による協力を行うことにより、またIAEAを通じまして同国の危機管理、安全対策を含む基盤整備に寄与していく考えでございます。

阪口委員 ありがとうございます。

 実は、私、この前の外務委員会においては、再生可能なエネルギー、これを促進するという視点で、特に日本のすぐれた環境技術、日本の規格を世界標準にしていくにはどうすればいいかという視点で質問をさせていただきました。

 温暖化を防止するという点においては、原子力、原発というのは意義があるとは思いますが、ただ、やはり核を利用するということについては、さまざまな反対意見等もどうしてもある。ですから、特にこのことに関しては、安全面、あるいはそれが何らかの形でテロリスト等の手に入る、あるいはターゲットを受けるということが絶対的にないように進めていかなくてはならないと思います。

 その一方で、これは正しい方向に展開することができれば日本にとっての大きな力になっていくと思いますが、この原子力産業を国際展開する上での政府の大きな方針、取り組み、また今後どういった国を対象に進めていこうとしているのか、ぜひお伺いをしたいと思います。

前原国務大臣 原発のみならず、先ほど阪口委員が御指摘をされた高速鉄道あるいは高速道路、港湾、空港そして上下水道、日本のさまざまなすぐれた技術というものを、今後、海外の広がる市場において日本の企業が受注をしていくということは極めて大事なことだと思います。

 今までは、ともすれば民間の仕事、ビジネスであることに余り政府が介入すべきではないのではないかという考え方もありました。しかし、例えばこのような原子力発電所を受注しようと思えば、原子力協定とか、そして今まさに阪口委員が御指摘をされたようなセーフガード、それからセキュリティー、セーフティー、こういったものが一体とならなければいけないという意味には、国の役割というのは大きくなるし、また、それをとろうと思ったときに、他のものとどううまくつなぎ合わせて受注をするかということも大事になります。

 例えば、先般、ベトナムで二期目の工事を日本は初めて海外で受注することができましたけれども、一期目をとったのはロシアなんですが、御承知のとおり、ロシアは潜水艦とパッケージでベトナムに売り込んだ、こういうことでありまして、もちろん我々は潜水艦を売るということはしませんが、原発そのものにODAを使うことはできませんけれども、それにかかわるインフラなどをセットにして売り込んでいくということも考えていかなくてはいけない。

 そういう意味では、先ほど委員がおっしゃったように、日本の原理原則、平和利用、そして不拡散、そして安全性、こういったものをしっかり担保しながら、同時に、日本の技術を売り込んでいくために、先ほど申し上げたような原子力協定、そしてODAの活用、あるいはJBIC、他の公的金融、こういったものを活用して、官民一体となってとりに行くということが大事だと思います。

 なお、他のどの国という御指摘がございましたけれども、いろいろなところで今話をしておりまして、まだ交渉中のところもございますので、具体的な国名は控えさせていただきたいと思います。

阪口委員 ありがとうございます。

 日本のすぐれた技術、安全性が高い、あるいは環境に対する配慮のレベルが高い技術を提供していくということは、世界に対する貢献にもなると思いますし、そこに、例えば現地の住民の方々に対する配慮、あるいは現地の方々に対する教育、人づくりといったことも、ぜひパッケージで積極的に推進をしていただきたいと思います。

 次に、日本国の自衛隊とオーストラリアの国防軍の間における物品又は役務の相互の提供に関して御質問をさせていただきたいと思います。

 私も、実はオーストラリア軍と自衛隊のさまざまな連携の現場にいたことがございます。カンボジアのPKO、そしてスマトラ沖の津波の救援活動、さらに東ティモールでオーストラリア軍との連携の現場にいました。大変に士気が高い、信頼に足る部隊であったという印象を持っています。

 同時に、オーストラリア軍というのは、これはオーストラリア政府の方針として、例えばPKOの部隊派遣に当たっては、まず国益に合致をする、さらに派遣は長期にわたらないというような幾つかのポリシーがございまして、ファースト・イン、ファースト・アウト、とにかく最初に展開をして、国益にもつながるような、その後のビジネスにもつながるような、要は意義のあるところをしっかり押さえるという戦略も大変にすぐれております。カンボジアにおいては、戦後の復興支援及び経済協力につながってくるような通信分野をしっかりと押さえておりました。

 それで、こういったオーストラリア軍と連携をする上で、まずオーストラリアにいいところを押さえられて、日本が単にそれを補完するということでは、やはりメリットは限定的なものになってくると私は思うんですね。

 この協力関係については、オーストラリアの方から持ちかけてきたという経緯も聞いておりますが、協力の相手がなぜオーストラリアなのかということと、オーストラリアと協力をするという上で日本としてしっかりと国益を確保する何らかの戦略があるのかどうか、その点について、最後に大臣にお聞きをしたいと思います。

前原国務大臣 阪口委員御指摘のように、オーストラリアという国は極めて国際貢献に対して積極的でございますし、また、これはカナダと共通している部分もありますけれども、国際貢献というものをみずからの世界でのプレゼンスを高めることに使っているという意味では、先駆的な取り組みをされているところだと私は思います。

 このオーストラリアとは、先ほど委員がおっしゃったように、災害救助あるいは平和維持活動、こういった問題でかなり協力をする場面もふえてまいりましたし、もともと良好な二国間関係でございます。また、2プラス2というものも、アメリカのほかにやっている国はオーストラリアでございまして、そういう意味での協力が、資源あるいは食料品、農業、こういった経済、貿易分野のみならず、国際的な活動における協力もふえてきている。

 こういう意味において、物品役務の提供を結べば、この日豪関係というものはより緊密になっていくのではないか、あるいは現場での協力がよりスムーズになるのではないか、そういう意味の中で、今回この協定を結ぶことに至ったわけであります。

 いずれにしても、EPA交渉もまだ中断をしておりますけれども、先般の包括的経済連携を進める基本方針にのっとって、またそういったものの早期再開というものも考えていきたいと思いますし、この日豪関係というもの、またAPECの生みの親でもある国でございますので、しっかりと協力関係を強化する中で、日本のまた違う立ち位置というものもしっかりつくっていかなくてはいけないと考えております。

阪口委員 質問を終わります。ありがとうございました。

小平委員長 次に、大泉ひろこ君。

大泉委員 おはようございます。民主党の大泉ひろこでございます。

 前原大臣を初め、昨日までAPECの閣僚会議、本当にお疲れさまでございました。

 私は、本日、日豪ACSAを中心に伺わせていただきたいと思います。

 日豪ACSAの締結につきましては、イラクのサマワでの自衛隊とオーストラリア国防軍の協力、あるいは東ティモール、そして先ほど阪口委員のお話にもございましたスマトラ沖地震津波災害、そういう現場での友好な協力関係から今回の締結に至ったというふうに聞いているところでございます。

 オーストラリア国防軍がオランダ軍にかわってサマワに派遣するとき、ちょうど私、キャンベラにおりました。そのときの新聞なんですけれども、なぜ日本を守らなければならないという論調もありました、少数派ではありますけれども。それから、スマトラ沖の災害のとき、日本がインドネシアに対して大きな援助額を一番最初に決めましたけれども、それからややあって、当時のハワード首相が日本を超える大きな援助額をインドネシアにいたしました。ハワード首相に聞いたわけじゃないんですけれども、そのとき感じておりましたのは、非常に競争心があるというか、隣国インドネシアについては我々がやるぞみたいなものを感じたところでございまして、オーストラリアというところは、友好関係にあるけれども結構複雑な思いもあるんじゃないかなというふうに思っているところでございます。

 しかしながら、自衛隊と国防軍が友好関係を保ってきて、今日この締結に至りました。その友好関係を保った理由というんですか、現場での理由になると思いますけれども、これを防衛省に伺いたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、東ティモールあるいはスマトラ沖地震の津波災害の災害救援活動の現場において、日豪、協力連携を積み重ねてまいりました。

 良好な関係を保ててきたその背景ということでありますけれども、まず一点目は、日豪両国首脳による安全保障協力に関する日豪共同宣言、これは二〇〇七年三月でありますけれども、この発表や、日豪2プラス2の着実な実施など、ハイレベルでの信頼関係が一層深まっている、日豪防衛協力の重要性が相互に強く認識をされているということが一点。

 さらには、現場レベルにおいても、自衛隊とオーストラリア軍の二国間の訓練、両者が参加する多国間訓練といった形で、平素からの協力、連携を積み重ねているということなどが挙げられると考えております。

大泉委員 ありがとうございます。

 現場での協力関係の積み重ねと、それからハイレベルでの二〇〇七年の共同宣言、そういうことがずっと続けられているということでございますが、そうすると、日本とオーストラリアというのは安全保障で同じ方向を向いているのかなという気がしてくるわけでございますが、この2プラス2の閣僚会議でも、ずっと安全保障協力について協議をされてきた。その中身も、もちろん発表されていますので、読ませていただいておりますが、アメリカに次いで二番目にACSAを締結したり、こうした積み重ねをしているということは、将来的には三国間、アメリカ、オーストラリア、日本の間での安全保障条約というか協定というものもあり得るのでしょうか。防衛省に再度お聞きしたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、アメリカ以外との国で安全保障分野での条約を締結するのは、オーストラリアが初めてであります。ともに米国の同盟国であり、共通の価値観を共有するオーストラリアと、それからこの地域の平和と安定に不可欠な存在であるアメリカ、この三カ国の協力を進めていくことは、御指摘のとおり極めて重要であるというふうに認識をしておりまして、ことし五月の日豪2プラス2においても、日米豪三カ国の枠組みで、この地域の安全保障戦略に関する協議を深めることで一致をしているところであります。

 今回のACSAの締結を契機といたしまして、今後、こうした協議、協力を通じて情勢認識を三カ国で共有しつつ、政策協調等も図りながら、災害救援活動や共同訓練など運用面における三カ国の協力を進めていくなど、協力関係をさらに発展、深化させてまいりたいというふうに考えております。

大泉委員 いきなり三国安保はないとは思いましたけれども、大変ありがとうございました。

 ちょっと条約に沿って伺いたいのでございますけれども、ACSAの実効性を確保するために物品・サービスの提供をしていくわけでございますけれども、武器輸出三原則によらないという官房長官談話がございますが、よらないということになりますと、条約に付表がございますけれども、どの範囲までの提供になるのでございましょうか。これは外務副大臣にお願いいたします。

伴野副大臣 大泉委員にお答えしたいと思います。

 御案内のように、本協定は、武器または弾薬を提供の対象から除外しております。ここで言う武器とは、銃、火器等戦闘行動において直接人の殺傷その他の武力行使の手段として用いられる物品を指しておりまして、このような物品はこの協定のもとでは提供されないということでございます。

 一方、本協定に基づき提供される物品役務の一部には、軍用航空機や軍用車両の部品、構成品といった、前述の協定上の武器には当たらないが、いわゆる武器輸出三原則等における武器等に該当するものが含まれることがございます。

 このような武器等の輸出について、政府といたしましては、武器輸出三原則等によって慎重に対処しているところでございますけれども、この協定の内容及び意義にかんがみ、これらの物品も相互に提供できるようにすることが適切であると考えられたため、この協定のもとで行われるこのような武器等の提供は武器輸出三原則等によらないことといたしまして、その旨の官房長官談話を先般の五月十九日に出させていただいたということでございます。

 以上です。

大泉委員 ありがとうございました。

 同じ質問というか、日米ACSAが先行しているわけでございますが、これは松本政務官にお聞きしたいと思うんですけれども、日米ACSAのもとでは、こういうサービスとか物品の提供、どんなものが過去において多かったか、現実に渡されたものを教えていただけますでしょうか。

松本大臣政務官 提供の実績でありますけれども、やはり多いものは燃料の提供であります。これが大部分を占めております。それ以外の主なものとしては、要員や物資の輸送、宿泊、それから食料や基地支援に関するニーズが挙げられます。

大泉委員 ありがとうございました。現場のイメージアップが非常にできたわけでございます。

 以上で防衛省に対する質問は終わりますので、あとはAPEC閣僚会議でお疲れの大臣に質問させていただきたいと思います。

 オーストラリアは、日本と同様にアメリカと同盟関係にございますけれども、オーストラリアという国、近年ではアジア系の移民が非常にふえてきておりますし、中国との貿易も非常に激増していて、アジアにもっともっとコミットしていきたいというのがあらわれているというふうに思います。

 オーストラリア人の中で、かつての白豪主義では考えられなかったような、我々はホワイト・アジアンである、白いアジア人であるというような言い方をする方まで出てきているというふうに思うんですね。APECそのものもオーストラリアが、先ほど大臣が生みの親とおっしゃいましたが、提唱してできたのも、こうしたオーストラリアの考え方、アジアによりコミットしていこうという思いがあったからじゃないかなと私は思うわけでございます。

 今の政府は、去年から東アジア共同体構想というのを進めておりますが、こうしたオーストラリアの思いというのを考えたときに、オーストラリアを入れた枠組みで東アジア共同体を進めていかれるのか、あるいはもっとアジア的というか、アジア・プラス3ぐらいで進めていかれるのか、もしその方向性を持っておいででしたら、方針を教えていただきたいと思います。

前原国務大臣 きのう、おとといとAPECの閣僚会議が行われまして、今、大泉委員がおっしゃった点も一つのセッションの大きな議題となりました。といいますのも、いろいろな枠組みというかアーキテクチャーがあるわけですね。ASEANというものもある、あるいはASEANプラス3、ASEANプラス6、それからAPECも当然ながらそうですし、またARFというのもあるし、またEASというのがこの間、ハノイでございました。

 そういったアーキテクチャーをどう考えていくのかということなんですが、我々が目指す東アジア共同体というものは、別に閉じたブロックではない、開かれたものにしていかなくてはいけないということを考えれば、ほかの枠組み、アーキテクチャーと決して摩擦を起こすものではない。

 そういう意味においては、APECもあるし、EASにもARFにもオーストラリアは入っているわけでございますし、また日豪間の貿易関係も極めて濃密なものもございますので、我々が目指している東アジア共同体というものは開かれたものであり、そしてそれがAPECとか他のアーキテクチャーも重なり合って、オーストラリアにも開かれたものであって、オーストラリアとの関係をむしろ促進させるものである。

 きのうの閣僚の宣言でも、APECというものは閉じたものではなく、APECの経済統合、FTAAPという経済統合というものがより世界の貿易、経済活動にインパクトを与えるという採択をいたしましたけれども、そういう意味では、東アジア共同体もオーストラリアに対するプラスのインパクトを与える、そして協力をしていくというものであろうかと思います。

大泉委員 ありがとうございます。さまざまな枠組みを使いながらオープンにやっていくということで、大変納得したところでございます。

 少し話は違うんですけれども、昨年の九月に外務省でオーストラリアの世論調査を行っておられます。この世論調査を見ますと、日本は信頼できる友邦か、友達の国かという質問に否定的なのが六割、そのほかの項目を見ましても、明らかに親日感情が後退しているように見えるわけでございます。これについては、捕鯨問題、鯨の問題が大きいというふうに言われているわけでございますが、私自身のオーストラリアの友人でも、至極まともな人でも、鯨のことになると何かすごく感情的になるというところが見られるわけでございます。私ども日本人にとってみれば、オーストラリア人はカンガルーを食べているので、そっちの方がよっぽど残酷かなと思うんですけれども、これは国民感情の違いなのかなというふうに思われるわけでございます。

 この鯨以上に私は問題だと思いますのは、オーストラリアの戦争博物館、一つはキャンベラにあるんですけれども、そこでは、日本が太平洋戦争中にオーストラリアの捕虜を非常に残虐に扱った、有名な写真で教科書にもよく載っていますけれども、オーストラリアの捕虜を目隠しして後ろから日本刀で首を切りつけるという写真が大々的に載っていて、あるいはシドニー湾の急襲とか、物すごく日本が残虐なことをしたということを取り上げているわけでございます。

 こういうようなことをいろいろ見ますと、日豪関係というのは、表面的には非常に友好的に見えるけれども、そんなに楽観できないのではないかなというふうに思うわけでございます。

 そこで、APECについてはこれから首脳会議に入っていくということでございますが、日豪間の首脳会談が設定されているのかどうかということが一つと、設定されているとすれば、今後の日豪関係というのは、先ほど大臣がEPA、FTAについて言及されましたけれども、これらを含めて、あるいはもっと大きく、日豪関係をどのように進めていかれるのか、大臣に伺いたいと思います。

前原国務大臣 どこの首脳と会談を行うかということは、まさに最終調整を今しているところでございまして、菅総理大臣は議長でございますので、なかなか、マルチの会合もたくさん出ていただかなくてはいけませんし、またさまざまな国とのバイ会談というものも予定をされておりまして、今最終調整をしているところでございまして、その点は御理解をいただきたいと思います。

 今、大泉委員がおっしゃったキャンベラにある戦争博物館、私も行ったことがございます。元軍人の方に御案内をいただいて、見学をいたしました。確かに残虐な場面もございますけれども、それと同時に、これを機に日豪関係というものの平和的なシンボルにしていきたい、こういうお話もございましたし、またそこには、シドニー湾の魚雷、回天そのものも展示をされているということでございます。

 私がオーストラリアの方から伺ったのは、オーストラリアの安全保障の議論を盛り上げるのはなかなか大変です、つまりは、直近の安全保障の危機というものはまさにシドニー湾の回天なんですと。それからずっとなかなか大きな問題がないということの中で、そういう国民に対する安全保障に対する啓蒙といいますか、問題意識を持ってもらうという意味もあるんだということを、これはオーストラリアの方から私は伺いました。

 また、先般、ラッド外相が日本に来られまして、ラッドさんとは何度もお会いをしておりますけれども、外相になられる前から、首相のときにも、あるいは私、日豪の二十一世紀の交流委員会をしているときにラッド議員もそのメンバーで、何度もお話ししたことがありますけれども、問題意識はかなり一緒でございまして、とにかく経済活動、貿易活動、これをしっかりやっていこうということと、あとは、お互いアメリカとの同盟国であるということを横に置いて、日豪の安全保障関係も強めていこうということと、あとは、先ほど阪口委員のときに答弁をいたしましたように、今、前に進んでいない日豪のEPA、これをやはりしっかり進めていこう、こういうような議論をしているところでございます。ラッド外相がこの間、日本に来られたときいわく、捕鯨以外はすべてうまくいっている、こういう認識ではないかと思っております。

 捕鯨の問題も、これはまさに、先ほど委員もおっしゃったように、沿岸を泳いでいる鯨に名前をつけるというような、鯨を愛する国民だという話も聞いたことがありますし、また国民性の違い、歴史の違いというのもあるかもしれませんが、しかし、しっかりとそこは話をし、国際的な取り決めにのっとって我々は捕鯨をしているわけでありますので、その説明をしっかりやっていく中で、両国のそういった違和感というものを乗り越える努力をしっかりやっていかなくてはいけないと考えております。

大泉委員 大変御丁寧にありがとうございました。

 我々もカンガルーに名前をつけたりしながら、日豪関係をよくしていきたいというふうに願っております。

 質疑時間を終わります。

小平委員長 次に、浅野貴博君。

浅野委員 民主党会派、新党大地の浅野貴博でございます。

 我が党の代表、鈴木宗男の議席を引き継ぎまして一カ月半になります。この短期の時間に質疑の時間を与えていただきました小平忠正委員長、長島昭久筆頭理事初め、理事の皆さん、委員の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。

 まず、日豪ACSA、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する協定に関しまして質問させていただきたいと思います。

 まず、日豪がACSAを締結することの意義は何か、前原大臣、改めて御説明いただきたいと思います。

前原国務大臣 浅野委員にお答えをいたします。

 オーストラリアは、我が国にとりまして、国際社会の諸課題に共同して今までも対処してまいりました。また、経済、貿易関係あるいは政治や安全保障関係での協力というものも極めて緊密なものがございます。

 特に、国際社会の諸課題への協調という意味においては、先ほど来からお話のありますように、イラク・サマワでの協力、そしてまた東ティモールでの協力、あるいはスマトラ沖地震での協力、こういった自衛隊と豪州軍との協力する機会がふえております。

 こういった活動における自衛隊とオーストラリア軍との物品役務の相互提供を定めることによりまして、より円滑な協力というものが可能になるのではないか、そしてそのことが日豪のより緊密な戦略的パートナーシップを高めることになるのではないか、それを意図するものでございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 日豪ACSAの活動の対象となるものの中に、日本の自衛隊とオーストラリア国防軍の共同訓練というものが含まれていると承知します。この共同訓練、具体的な内容はどのようなものか、教えていただきたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 具体的な内容でございますけれども、艦艇による対潜戦、対空戦、対水上戦等の各種戦術訓練、通信訓練、さらには捜索救難訓練といった訓練が実施をされております。

浅野委員 ありがとうございます。

 今、松本政務官から御説明いただきました訓練の中に、例えば実弾を用いた実射訓練といったものは含まれますでしょうか。

松本大臣政務官 日豪間の共同訓練において、自衛隊がみずからの保有する弾薬を使用することはございます。場合によっては実弾を使うこともございます。

浅野委員 実弾を使った訓練が含まれると。その一方で、日豪ACSAの相互に提供が許される物品の中には武器と弾薬が外されていると承知します。

 先ほど、大泉先生の質問の中で、伴野副大臣から武器と弾薬が外されていることの説明がなされたかと思いますが、例えば、武器輸出三原則の中でも、日豪ACSAも実効性が担保されて初めて国益に資するものと思います。せめて、共同訓練の中での弾薬の相互提供、これは認めるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

伴野副大臣 浅野委員にお答えしたいと思います。

 御案内のように、本協定に基づく物品役務の提供の対象について日豪間で協議した結果、武器または弾薬については、自衛隊とオーストラリア国防軍との間で融通するニーズが互いに存在しないと判断いたしましたことから、今回の提供の対象からは除外することで合意したものでございます。

浅野委員 わかりました。

 ちょっと話をかえます。

 二〇〇六年十二月に防衛庁から防衛省に昇格いたしました。その際に、自衛隊の海外派遣が国土防衛と並ぶ本来任務になったと承知します。

 それよりほぼ四年が経過いたしました。我が国自衛隊の海外派遣の現状、頻度、どのようになっておりますでしょうか、説明を願います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 二〇〇七年に国際平和協力活動等を本来任務化いたしました。これまで国際平和協力活動に積極的に参加をしてきたところでありまして、現状では、ゴラン高原、ネパール、ハイチ、スーダン、東ティモールといったところに展開をしております。現政権になってからでも、既に撤収をしましたけれども、パキスタン、ハイチ、それから東ティモールへの派遣を実施してきたところであります。

浅野委員 私の生まれ故郷の北海道釧路市に釧路駐屯地というところがございます。そこの司令をされている福永正之さんを中心として、本年の三月から八月でしたか、ハイチに災害救助支援隊が行かれました。福永司令とお話をしてお聞きしたところ、日本人特有のきめ細かい、現地のニーズに合わせた災害復興体制が大変感謝されたとおっしゃっていました。

 今、世界の中の日本から、世界に責任を持つ日本の中で、我が国の国益を世界の最前線で体現して守っているのが自衛隊だと思います。もちろん、我が国の自衛隊が海外に行く必要のないような、そういった災害や紛争が起きないことが最も望ましいと同時に、我が国日本国憲法の平和の理念というものは遵守しなければなりません。ただ同時に、日豪ACSA締結を機に、我が国の国益のために、自衛隊の海外派遣というものをさらに活性化することが国益に資するんじゃないかと考えるんですが、いかがでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど、現地での活動が大変感謝されているというお話もいただきました。こういった、これまで培ってきた自衛隊の高度な能力、経験、技術を生かして、今後とも国際社会の平和及び安定に貢献することが極めて重要であるというふうに認識をしております。

 オーストラリアを含む各国と協調しながら、国際平和協力活動に今後積極的に取り組む所存でございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 日豪ACSAにつきまして、最後にもう一点お聞きしたいことがございます。

 オーストラリア以外に、今後、政府として締結を目指している国はあるか。例えば、オーストラリアであれば、同様にニュージーランド、もしくは極東アジアにおいては同様の価値観を有している韓国、もしくは北米のカナダ、そういった国々とも締結することで我が国の国益がより増進されるのではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。

伴野副大臣 浅野委員にお答えしたいと思います。

 浅野委員の御指摘、御趣旨は理解させていただくわけでございますけれども、しかしながら、今後どのような国との間でACSAを締結するかについて、共同訓練やPKO、災害救済等の現場での物品役務の融通に関する防衛当局のニーズを初め、二国間関係、条約締結の意義、必要性等を考慮して、総合的に判断していくことになるかと思っております。

浅野委員 ありがとうございます。

 それでは、以下、前原外務大臣に御質問したいと思います。

 我が新党大地は北海道の地域政党でございます。北海道といえば、やはり北方領土問題、特に道東、釧路、根室の皆さん、今大変な懸念を持っておられます。

 そこで、前原大臣にお聞きします。

 昨年十月十七日、当時、国交大臣、北方担当大臣でいらっしゃいました。根室を訪問された際に、海上保安庁の巡視船「くなしり」に乗られ、国後島を海上から視察された後、羅臼町で記者団に対して、日本国民として望郷の念を強くした、ロシア側に不法占拠と言い続け、四島返還を求めていかなければならないとの発言をされていると承知します。

 北方四島、歯舞、国後、択捉、色丹の四島がロシアに不法占拠されているという認識に、大臣、今も変わりはありませんでしょうか。

前原国務大臣 北方四島は我が国固有の領土でありますけれども、我が国が現在、管轄権を事実上行使できない状況にあるということでございまして、四島の帰属を確定して、そして平和条約を結ぶ。一九五六年の日ソ共同宣言以降、解決をしないこの領土問題、何とか解決をしたいという思いでございまして、その思いには変わりはございません。

浅野委員 不法占拠という思いに変わりはありませんでしょうか。この一点、もう一度御質問いたします。

前原国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますけれども、北方領土は我が国固有の領土であるけれども、管轄権を事実上行使できない状況が続いているということでございます。

浅野委員 わかりました。

 昨年十月の当時の前原国交大臣の御発言、そのうち、私の師である鈴木宗男代表が出した質問主意書の答弁が昨年十一月二十四日閣議決定されまして、その中に、「政府としては、ロシア連邦が北方四島を不法に占拠している現状において、」という文言があります。これは当時、新聞報道がなされましたが、ロシアが大変激しい反発をいたしました。また、本年九月二十九日、前原大臣は、ベールイ駐日大使を外務省に呼びつけて抗議をされています。

 北方四島が我が国固有の領土であり、ロシアによって実効支配されている、これは事実でございますが、昨年来、この不法占拠という言葉を殊さら政府が強調して、何も私はロシアの側に立つ者ではありませんが、ロシアとしては、日ロの冷静な議論を、北方四島に関する交渉を行う冷静な空気を日本側が壊した、少なくともロシア側がそう受け取って、今回のメドベージェフ大統領の国後訪問、強硬姿勢をとらざるを得なくなった、こういう背景があるかと思うんですが、前原大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。

前原国務大臣 さまざまな見方はあるかもしれませんが、私どもはそのような見方を余りしておりません。

 これは累次、今までも国会で答弁をしてきておりますけれども、私は、やはり大きいのは、国際社会の中で資源価格が高騰して、石油や天然ガスの産出国であるロシアの財政というものが豊かになって、今まではなかなか資金が回ってこなかった北方四島あるいは千島列島にもお金が回るようになってきた。

 そして、二〇〇六年八月三日に閣議決定をされたクリル諸島社会・経済発展連邦特別プログラム、以下、クリル開発計画というふうに言わせていただきたいと思いますが、これが、まず二〇〇七年から二〇一〇年までが第一段階、そして来年からは第二段階に入ってきて、内外企業の投資誘致、漁業コンプレックス企業の集中的発展、養殖業の創設とその効果的な操業、加工、そのためのインフラ整備、また観光レクリエーション発展及び利用ということで、かなりの資金を投入するということで、その視察のために、二〇〇五年以降は多くの要人たちが北方領土を訪れるようになってきております。

 今までですと、イワノフ国防大臣であるとか、あるいはまたイワノフさんが副首相になってから、ラブロフ外相も何度か訪れております、あるいはサハリンの知事、あるいは長官、さまざまな要人が訪れて、この開発計画の実施状況を視察に来ておりまして、むしろ、そういった要因の中で今回の視察が行われた可能性が高いのではないかと思っております。

 ただ、いずれにいたしましても、北方領土、国後島も含めて我が国固有の領土にロシアの大統領が訪れたということは極めて遺憾でありまして、私の方から抗議をいたしました。

浅野委員 何よりも、この問題、いろいろな要因があると私も考えます。

 先日の外務委員会で前原大臣が、外交は原理原則だけではできない、まして外交はけんかではないとおっしゃったのが私も印象に残っております。

 とにかく、今、私の二度にわたる質問で前原大臣は不法占拠という言葉はおっしゃいませんでしたけれども、一国民もしくは一国会議員が言うのではなく、閣僚が不法占拠と殊さら相手側を刺激するような言葉を使うのは、我が国にとって国益にならないと思います。何よりも、静かで冷静な環境で実利を得るべく、四島をいかにして取り戻すか、現実的な交渉をこれからも大臣にはお願いしたいと思います。

 続きまして、最後に、メドベージェフ大統領の国後訪問につきまして聞きたいと思います。

 十一月一日の産経新聞に、河野雅治駐ロ大使が記者団の質問に対して、今回のメドベージェフ大統領訪問について、うわさはあるが、具体的な計画があるとは承知していない、準備しているという話はないと語ったという記事が出ております。また、これは記事になっているわけではないんですが、小寺次郎外務省欧州局長がマスコミ関係者との懇談の中で、常識的に考えればないだろうと判断していた、私の判断が間違いかロシアの常識がおかしいのかわからないが、結果として北方領土に行かないという判断は間違えていたと。ロシアに日本の全権代表として行かれている河野大使、そして対ロ外交責任者ともいうべき欧州局長が非常に甘い認識を有していたことが、この中でうかがい知れます。

 この発言が事実かどうか、大臣、確認はされていますでしょうか。

前原国務大臣 河野ロシア大使の発言は、これはマスコミに対して行ったものでございまして、そういった趣旨を大使が発言したということは承知をしております。ただ、一方で、小寺欧州局長の発言については、これは非公式な形で行われたのか行われていないのか、そこは確認をしておりませんし、そのような発言を公式な場でしたとは認識をしておりません。

 いずれにしても、これは浅野委員が先ほどおっしゃっていただいたことで私は大変意を強くしたんですが、一九五六年から解決していない大変大きな問題ですよね。そんな一朝一夕でこれは解決する問題じゃないというふうに思います。やはり今までの交渉経過というものをしっかりひもといて、そしてまた今のロシアの国内事情というものもしっかりと読み解く中で、焦らずに、しかしみずからの立場をしっかり保ちながら交渉を進めるという姿勢が、我々、この連立政権にも必要ではないか、こう思っておりますので、ぜひ、この問題に関心を持っておられる浅野議員にもさまざまな観点からのお知恵をいただきたい、アドバイスをいただきたい、こう思っております。

浅野委員 今大臣は焦らずにとおっしゃいました。確かに、一朝一夕に、あしたにでもすぐにこの問題が解決するとは思っておりません。

 ただ、北海道、特に多くの元島民の方がお住まいの根室そして釧路の元島民の皆さんは、平均年齢がもう七十代後半になっております。残された時間は極めて少ないです。焦り以上の、焦燥感といいますか絶望感を皆さんは抱いておられます。中には、六十年以上たって外務省で解決できないのであれば、外務省じゃなくて内閣府にやってもらえばいい、そういう厳しいことをおっしゃる方もいらっしゃいます。

 きょうあすにも解決する問題じゃないことは確かです。ただ、今回、少なくとも、河野大使、先ほど大臣は確認はできていないとおっしゃいましたが小寺局長、前線に立って情報を集めて大臣そして菅総理に情報を上げるべき人間の認識が甘かった、判断を間違えた、このことは事実だと思います。我々国会議員は、選挙で議員バッジをいただいて、次の任期まできちっとした仕事ができなければ、選挙において国民から厳しい審判を下されます。やはり信賞必罰というものがどの組織にも必要だと思います。

 今回のこの事態を受けまして、河野大使、小寺局長、人事を一新するお考えはありますでしょうか。

前原国務大臣 先ほど焦らずにと申し上げたのは、焦ると交渉相手に足元を見られて交渉がうまくいかない、あるいはこちらの言い分というものがたたかれる、こういう意味で申し上げたわけでありますが、他方で、浅野議員がおっしゃったように、解決をしていない、長く解決をしていない問題で、元島民の方々の高齢化、あとは半分の方々はもう亡くなっておられます。そういう意味では、もちろん悠長に構えてやるという意味ではなくて、焦るということは交渉においては一般論として慎むべきだということを申し上げたわけであって、ただ、早くに解決しなきゃいけない問題だということは、浅野議員と問題意識は共有をしております。

 なお、私もこの立場に立って一カ月半余りがたちます。組織の中の人事それから体制のあり方については、一緒に仕事をしていく中でシビアに見ていかなくてはいけない問題だと思っております。

 したがいまして、個別にどの部署がどう、だれがどうのということは、今直ちに何かをするということは考えておりませんが、当然ながら、浅野議員がおっしゃったように、組織というものは、官僚組織だけじゃなくてこれは政治家の組織も同じだと思いますけれども、信賞必罰、そして頑張った者が報われる、こういうものでなければいけない、そう思っておりますので、そういった観点からの不断の見直しはこれからも役所全体で考えてまいりたいと思っております。

浅野委員 ありがとうございます。

 今回の問題に限りませんが、ここ数年、特に、大臣、外務大臣を支えるべき外務官僚がきちっとした仕事をしていないと私は痛切に感じております。大臣、外務大臣、前原大臣を裂帛の気合いで守り抜く、菅総理を守り抜く、こういう気合いが交渉の実務者である外務官僚にない限り、北方領土問題に限らず、日本外交の再生はあり得ないと私は考えておりますので、前原大臣におかれましては、きちっとしたリーダーシップを発揮されて日本の国益のために頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小平委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 条約の案件の前に、特に中国漁船ビデオ流出の問題について少し質問をさせていただきたいと思います。

 まず、おとといでしょうか、仙谷官房長官が、政治職、執行職の責任のとり方は違うというお話をされました。これは、かいつまんで言うと、きょう出席していただいています鈴木保安庁長官が今回の責任者であって、政治家、政務三役に及ぶものではないというお話をされていましたが、前原大臣にお伺いします。

 今回の事案について、官房長官が言うように、政治職、執行職、これは責任のとり方が違うから、今回の流出事件の責任は鈴木長官にある、官房長官と同じお考えかどうか、お伺いしたいと思います。

前原国務大臣 責任のとり方というのはケース・バイ・ケースで考えるべき問題だと私は思っておりますし、今回のビデオ流出という案件については、いまだ捜査中の案件でございますので、捜査の推移を見守ってまいりたいと考えております。

小野寺委員 あれほど政治主導、政治主導とお話をされていた今の政権ですので、こういう責任が出てくると、それはすべて現場だ、執行職と政治職は違う、こんな区分け方を今まで私どもはしたことも聞いたこともありません。大変おかしな、不思議に思う言い方です。これはとても承諾できる話ではない、そう思っております。

 それでは、まず、海上保安庁長官にお伺いします。

 今回、責任があなたにすべてあると、これは官房長官があなたにすべて責任を押しつけた形になっていますが、報道によりますと、巡視船の共用パソコンで今回の保安官はこのビデオを見ることができたということです。しかも、乗っているほぼすべての乗員が同様の映像を見ることができたというふうに証言をしていると報道されております。

 私どもは何度も国会でこの公開を求めてきて、そしてその公開につきましては、これは厳重に保管をしているということを何度も海上保安庁はお話をされておりました。今回、このような流出が出たということ、そして共用パソコンでも見られるようになっていたということ、この保管、管理のことについて、お考えをお答えください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今回の流出したとされるビデオ映像は、石垣保安部で那覇地検の要請に応じて捜査説明用に作成し、提出したものとほぼ同一の内容と承知をしておりますが、報道されておるような、神戸の巡視艇の艇内で見ていたとか、そういう事実については、今捜査中の案件でありますので、お答えは差し控えさせていただきます。

小野寺委員 もしこれが事実だということが後で発覚した場合には、これはもちろん、長官、官房長官が言うように、あなたの責任は大変重大。そして、国会に対して今まで答弁してきたことがうそであったということにもなると思います。

 しかも、この答弁というのは、実は、保安庁長官だけじゃなくて政務三役も何度もしています。当然政治家にも責任が及ぶ範囲だ、私はそう思いますが、ここまでの事案になって、まだ、これは事務方の責任である、政治が責任を負う必要はないと前原大臣はお考えでしょうか。

前原国務大臣 先ほどと同じ答弁になりますけれども、捜査中の案件でありますので、真相究明をしっかりするということがまずは先決だと思います。

小野寺委員 では、もしこの問題が、今報道されているように、共用パソコンで皆さんが見られるような状況にあったということが後で判明した場合、当初から私どもが主張していた公開を妨げるような形で、これは公開できないようにしっかり保管している、これは長官だけじゃなくて政治レベルでも何度も答弁していますが、このことが発覚をして、これが明白に証明されたとなった場合には、当然、政治責任があるとお考えでしょうか。

前原国務大臣 恐縮でありますが、何度も同じ答弁になりますが、とにかく、捜査中の案件でありますので、真相究明をするということが先決だと思っております。

小野寺委員 それでは、ちょっと角度を変えて、大臣にお伺いします。

 今回のビデオの流出、これは日中関係に何か悪影響を及ぼすようなことになったんでしょうか。

前原国務大臣 日中関係というよりも、大事なことは、いわゆる公務執行妨害事案の参考資料として海保が検察に出したもの、これが何らかの形で漏れたということが、私は大変大きな問題であるというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、そういった観点での問題が大変大きいというふうに思っておりますし、そういった認識を中国側も持っているのではないかと私は思っております。

小野寺委員 今、証拠資料ということでお話をされましたが、では、お伺いします。

 今からこの事案に関しての公判が開かれる見込みがあるんでしょうか。

前原国務大臣 私は法務大臣ではありませんので、その質問にはお答えしかねます。

小野寺委員 十月十二日、予算委員会で仙谷官房長官は、公判はもう開かれないというふうに答弁をしています。そうすると、公判は開かれないということで、これは別に、もう証拠書類として、証拠資料としての意味がない。意味がないものをなぜ公開しないのか。

 そして、例えば、今お話がありましたけれども、これは流出した後、中国側から強い抗議もあったわけではない。ということは、別にこれを公開しても、日中関係に何か影響が起きたわけではない。

 しかも、海保の責任ということで今追及をされていますが、もし一般の海保の職員が、例えばネットにあった、あるいはホストコンピューターにあった、そういうものを普通に見られるというような状況で、しかも、この海保の職員は捜査の当事者ではありません。その方がこのビデオを、たまたまアクセスしたら見られた、しかも周りの人もみんな見ていた、そしてこのビデオを入手した。

 今どうなっているかというと、流出しても日中関係に特に問題がなかったし、あるいは、もう公判は開かれない。ですから、これはもう証拠としての意味がないという状況になっている中で、この流出が行われた。こうやって考えると、一体、このビデオをまず出さなかった理由もよくわからない。そして、今回ビデオを流出したということで、どこまでこの職員の方を追及できるのか。

 今、警察、検察に告発をされていると伺っていますので、法務省にお伺いしたい。

 今回のこの事案、日中関係にも特に問題がなかった、そして公判が開かれる状況もない。仮にこれが一般的に入手できるようなビデオであったということになった場合、これは何か訴追を、これから続けるようなことができるんでしょうか。

甲斐政府参考人 現在捜査中と承知しておりますけれども、個別の犯罪の成否につきましては、やはり捜査を遂げた上で、その事実関係に基づいて、法と証拠に照らして判断すべきものというふうに考えられますので、その点についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

小野寺委員 いつもここで法務省は法と証拠ということでお話をされるんですが、法と証拠で粛々と捜査を進めていって、そして最後は、国際関係を勘案して速やかに釈放する。こんなことを繰り返している法務省ですから、私は、もっと誠意のある答弁をぜひしていただきたい、そう思っております。

 それでは、大臣にお伺いします。

 私ども、ようやくこのビデオを見ることができるようになりました。そして、何度も映像で見る限り、これはやはり中国側の行為というのがひどいなという印象を持ちましたが、大臣は当時も見ていらっしゃいましたし、今回は恐らくネットあるいは映像をテレビで、全体の像ももっと見られたと思うんですが、今回、やはり中国側に明らかな非がある、そういうふうに思われていらっしゃいますか。

前原国務大臣 私が国土交通大臣のときに、事案が起きてすぐにビデオを見て、これは極めて悪質な事案であるという判断をいたしました。その思いは全く変わっておりません。

小野寺委員 保安庁長官にお伺いします。

 保安庁長官もこのビデオを見て、あるいは現場の職員の報告を受けていると思うんですが、やはり私ども国民が思っているように、中国漁船、これが本当に今回は非常に悪質な事案、大変危ない事案、そういうことだとお感じでいらっしゃいますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、この当該中国漁船が私どもの巡視船に故意に衝突をさせてきて、私どもの公務の執行を妨害したということで、その容疑で逮捕いたしておりましたし、それから、釈放時の那覇地検の記者会見でも、この中国漁船が私どもの巡視船「みずき」に故意に衝突させてきたということは明白であるという旨を述べられております。

小野寺委員 私も映像を見て、衝突をするとき、このときには、甲板にいた中国人船員が、実は、ぶつかるぞというところを予期して、皆さんちゃんと構えて、そして衝突していた、こういうことが行われていました。大臣もそのことについては同じお考えだと思います。明らかに衝突するぞということを明確に予期して実は今回はぶつかっていった、そういうことだと思います。

 さて、そこで私ども、一つ不思議なことがあります。九月二十四日、この日はこの船長が釈放された日です。そしてそのとき、那覇地検の次席検事の鈴木さん、この方が正式に記者会見をして、釈放した理由ということを明確に言っています。

 ちょっと読み上げますと、被疑者はトロール漁船の一船長で、本件は、海上保安庁の巡視船「みずき」の追跡を免れるためとっさにとった行為と認められ、計画性等は認められず、かつ被疑者には我が国における前科等もない。これが、実は釈放の中心の理由だったんです。もう一度言いますよ。本件は、海上保安庁の巡視船「みずき」の追跡を免れるためとっさにとった行為、これが検察が釈放を決めた理由です。

 保安庁長官にお伺いします。

 先ほどお話をされました、悪質だとおっしゃいました。では、この検察が言っている理由、とっさの行為、このことについて、とても承服できないと思いますが、この検察の判断についてどう思われますか。

鈴木政府参考人 ただいまの那覇地検の会見では、計画性は認められないというような表現も使われておったかと思いますが、私ども、それについてコメントする立場にはございません。

小野寺委員 長官、ちょっと伺いますけれども、ぶつかるときに、みんな身を固めて、今から突撃するぞ、ぶつかるぞと、船員みんな身構えたじゃないですか。そして、あの航跡を見たら、どこから見ても、ぶつかる、追突する、それを明確に今回は行っているじゃないですか。あれが計画性と言わずにとっさと言えますか。もう一度お答えください。

鈴木政府参考人 繰り返しになりますが、那覇地検の御判断でありますので、私どもとしてはコメントする立場にございません。

小野寺委員 外務大臣にお伺いします。

 先ほどお話をされましたが、このビデオを見て、これが、この那覇地検の判断があるように、計画性が認められない、とっさの判断だ、そういうふうに思われますか。

前原国務大臣 私に有権解釈権があるわけではありませんが、計画性はなかったけれども故意にやったのは間違いないということではないでしょうか。

小野寺委員 そうなんですよ。今回、故意に行ったんですよ。これはとっさの行為じゃないんです。那覇地検のこの判断、これはおかしいんです。

 きょうは法務省から来ていただいていますが、この那覇地検の判断はおかしいと思いませんか。

甲斐政府参考人 那覇地検の発表におきましても、船長が故意に衝突させたことは明白であるということは申し上げているところでございまして、その上で、計画性までは認められないというふうに認定したものというふうに理解をしております。

小野寺委員 もう一度お伺いしますが、甲斐さん、あの映像から見て、あれはとっさの行動、法務省もそういうふうに判断するんですか。お答えください。

甲斐政府参考人 犯罪行為の認定につきましては、これは刑事手続の中で判断されるべき事柄でございますので、これは検察当局においてそういう認定をしたということだと理解をしております。

小野寺委員 きょうは委員の皆さんがいらっしゃいます。ビデオを政府が出さない理由、ビデオを政府が公開しなかった理由はこれなんですよ。

 那覇地検が釈放したときの会見をもう一回思い浮かべてください。船長が巡視船「みずき」の追跡を免れるためとっさにとった行為、こう理由づけて、いかにもこれが軽いことであるように理由をつけて、船長を釈放しました。ですが、映像を見たら、この船長はいかに悪質かということがよくわかります。そして、四十四分以外のほかの映像がこれから出てきたら、恐らくさらにその悪質性がわかるんでしょう。だから出さなかったんですよ。

 自分たちが釈放した、これは間違いなく政治が判断をしました。今回のハンドルネームはsengoku38です。これは、仙谷官房長官の判断で今回船長を釈放する、ところが、釈放する理由がないんです。日中関係、そんなことを言ったら、当然、検察がそんな判断をするわけがないと言われます。ですから、いろいろな理由をこじつけて、ここで理由として記者会見したのが、「みずき」の追跡を免れるためとっさにとった行為。

 これを保安庁の長官がもし認めるのであれば、現場で働く保安庁の職員はどう思うんですか。巡視船の職員はどう思うんですか。長官、答えてください。これが、とっさの行為、「みずき」を避けるための行為とあなたは思われますか。

鈴木政府参考人 先ほどもお答えいたしましたように、那覇地検の御判断でありますので、私どもがそれについてコメントする立場にないと承知しております。

小野寺委員 今回のビデオを出さない理由はこれだったんです。見たら、多くの国民がわかるんです。あの船長を釈放した理由、那覇地検の判断というのは検察の捏造なんです。ビデオを見たら、みんなわかります。とっさの判断でぶつかったんじゃない。

 この検察の記者会見、報告は検察の捏造、私はそう思いますが、法務省はどう思いますか。

甲斐政府参考人 那覇地検におきまして御説明した内容につきましては、地検において認定した事実に基づくものというふうに理解をしております。(発言する者あり)

小野寺委員 今、官邸の捏造という言葉がありましたが、恐らく、委員の皆さん、与野党を問わず、いろいろなお気持ちを持ってこの話を聞いていると思います。

 でも、ビデオを出さなかった、そして、ビデオを出したときに何がわかったか。実は、今回の船長の悪質さ、これがわかったわけです。そして、私どもがどうも腑に落ちなかった、那覇地検があの船長を帰す理由というのは、とてもそれには当たらない。恐らく、日本国民どの方が見ても、この那覇地検の解釈、もう一回言いますよ、「みずき」の追跡を免れるためとっさにとった行為だ、これが検察がこのビデオを証拠として見て判断した内容であれば、検察官の目がよっぽど節穴か、あるいは、この報告書が政治の力で釈放に向けてねじ曲げられて、今回、このような形に地検が言わざるを得なかった、そう追い詰められたとしか私は思いません。そして、恐らくこれが、ビデオを出さない、ビデオを出さないと言った真相なんですよ。

 そして、ビデオを出さないと何度も会見して話をしているのは、仙谷官房長官。私は、この責任があると。だから、皆さん、きょう、冒頭に私が言ったでしょう。仙谷官房長官が記者会見で何と言ったか。このビデオの漏出については、政治職、執行職の責任のとり方が違う。私はこれを聞いて、馬淵大臣を守っているのかな、そう思いました。違うんですよ。自分のことなんですよ。仙谷官房長官は、自分を守れるようにこうやって防御線を張った。そして何度も、ビデオは出さないと。出さない理由は、見たら国民が全部わかるから。何がわかるか。那覇地検の釈放した理由自体が全くおかしい。

 もう一度、法務省に伺います。

 ここに書いてある、「みずき」の追跡を免れるためとっさにとった行為と認められる、この発表、正式な記者会見です。これは、あのビデオを、甲斐さん、あなたも見ていると思います、あなたが見て、この判断は適切だとお思いですか。お答えください。

甲斐政府参考人 検察当局において捜査の結果認定したものというふうに理解をしております。

小野寺委員 これは、私はどういう形でこの決着について不服を述べたらいいんでしょうか。恐らく、多くの国民の方がこの事実を知ったら、改めて、今回の釈放がいかに不自然だったか、そして、まさか地検がこんな判断をするわけはない。それは、どう考えても政治判断だと思っています。

 長官、済みません、次のことがあると思いますので。どうぞ、体に気をつけて頑張ってください。あなただけが責任をとらされるということは、私は決して許しません。ありがとうございました。

 そこで、お伺いします。

 今回、このビデオの流出の問題、これは実は当初から起きていたと、今、一部報道されています。ですから、事件発生当初から実はこのビデオが流出をされていた。その時点で、もしかしてこれが貴重な資料であれば、公判にかかわる資料であれば、当然、これをしっかり管理するという責任があると思います。

 事件発生当時、この管理をする最高責任者、国土交通省の大臣はどなただったでしょうか。前原さん、お答えください。

前原国務大臣 私であります。

小野寺委員 そのとき、この流出事案について、あるいはこのような形でコンピューターを通じて映像があちらこちらに流されるということについて、大臣は、その守秘義務に関しての明確な指示を出したか、あるいはそういうことがないように調査をしたか、そのことをお答えください。

前原国務大臣 当然、この資料というものは公開しなかったそのときの判断は、逮捕をしてすぐに検察に送致をされる、そのときに証拠物件になるということですので、公開をしなかったわけですから、当然ながら厳重な管理が行われるべきだというふうに考えておりました。

小野寺委員 私は、ちょうどこのときの事案を見て、前原大臣が、この後、外務大臣にもなられ、馬淵さんとも交代する。多分、いろいろな引き継ぎ等もあったと思います。いろいろな守秘義務のことも中にはあったと思うんです。ですが、いつもこの中心で判断をしたのは仙谷さん。私は、仙谷さんに最大の責任がある、そう思っています。そして何度も、恐らくこれからの会見でも仙谷さんは繰り返すでしょう、このビデオは残り全部は出さない、出せないと。

 何かうわさによると、中国に配慮とか、いろいろなことを言っています。でも、外務大臣はおっしゃいました、流出したからといって別に中国は何も言っていないと。そうなんですよ。流出させない、表に出さない最大の理由は、この船長釈放の理由がうそだった、検察が捏造したうそだった。

 また検察がこのような捏造を繰り返すのか。私は違うと思います。あの記者会見をされた次席検事の顔を見て、映像を見て、多くの国民が思ったと思います、これは言わされていると。そして最後に、日中関係のこと、外交関係のことを申し伝えました。こんなことを今まで記者会見で理由として挙げた検事はいなかった。

 これは、前の日に、事もあろうに、外務省が中国課長を現地に派遣して外交案件のことを説明させて、釈放はその翌日ですよ。どう考えても政治の圧力があった。そして、地検のこの説明は捏造としか思えない。これがばれるから今回ビデオを公表しなかった。私は、この一連の流れ、これが真実だと思っています。

 きょうは条約の問題ですので、最後にお伺いします。

 外務大臣、私のこの指摘というのは外れているでしょうか。どう考えていらっしゃいますか。

前原国務大臣 私が検察の公表したものを解釈する立場にはありませんけれども、一つだけひっかかったのは、とっさの故意というのもあるんじゃないですか。つまりは、私が先ほど申し上げたのは、計画性はなかったかもしれないけれども故意であったことは間違いないと思うと私は申し上げましたけれども、とっさにぶつけてやろうというのは、それはとっさであっても故意であることは間違いないんじゃないでしょうか。

小野寺委員 ちょっと甲斐さん、今の外務大臣の判断というのはどう思われますか。

甲斐政府参考人 大臣の御答弁に私の方でコメントする立場にはございませんけれども、先ほども申し上げましたけれども、検察庁においては、故意に衝突させたということは明白であるということは認めているわけでございます。それとは別途、計画性までは認められないというふうに認定したものということでございます。

小野寺委員 甲斐さん、肝心なところを読み飛ばさないで。

 この話はもう余りやりたくないのだけれども、もう一回言うよ。この釈放の事案というのは、海上保安庁の巡視船「みずき」の追跡を免れるためとっさにとった行為と認められ、計画性は認められずだよ。とっさにとった行為と認められる。あの、ガーン、しかもぶつかるときに、みんな、さあ隠れろ、二回もやっている、あれがとっさの行為ですか。しかも、「みずき」の追跡を免れるためのとっさの行為ですか。逃れるんだったら、どうして後ろから、わきからぶつかるの。これはおかしいじゃない。

 申しわけないけれども、もう一回聞くよ。検察はこれを捏造していないか。この判断、今回映像が出たからばれちゃったんだよ、検察のうそが。甲斐さん、どう思いますか。

甲斐政府参考人 検察当局におきましては、事実関係を捜査した上で認定をしたものというふうに考えております。

小野寺委員 検察当局の判断だからこれは仕方がない、法務省としては一切かかわりはないと。だけれども、ここで、多くの人がこのビデオを見て、検察の判断がおかしい、那覇地検の判断がおかしい、もしそう思った場合、そのときもあなたは、これは検察の判断だからあなたたちは一切関与しない、こういう仙谷さんみたいなことを言うんですか。

甲斐政府参考人 たび重ねてのお尋ねでございますけれども、刑事手続上の認定は、捜査当局においてなされることになろうかと思います。

 繰り返しますけれども、故意の認定、故意でやったということは間違いない、その計画性まではということでございますので、そこはやはり区別して考えられるべき事柄ではないかなというふうには思っております。

小野寺委員 恐らく、このやりとりを見た法律の専門家は、多分甲斐さんの話については、本当に大丈夫なの、この人、法務省の審議官で大丈夫なのと。前から何度も言いますけれども、大変苦しいお立場にあるのはわかります。私たちは、もう大体わかっていると思います、この話の真相、そしてだれが一番ここで黒幕にいるか。これを私自身の認識とさせていただきたいと思います。

 さて、きょうは、がらっと変わります、条約の内容でございます。ちょっと時間を費やして恐縮ですが、まず、日・ヨルダンの原子力協定についてお話を伺いたいと思っています。

 ベトナムを初め、これから原子力発電所を輸出するという大切な新しい成長戦略ということ、これは私ども理解をしております。今回、ヨルダンとの原子力協定を結ぶということは、ヨルダンの例えば原発発注、こういうことにつながるような内容なのかどうか、お尋ねいたします。

伴野副大臣 小野寺委員にお答えしたいと思います。

 御案内のように、本協定は、原子力関連資機材等の移転のための法的枠組みを定め、我が国とヨルダンとの間で原子力の平和的利用に関する協力を促進するものでございます。本協定の締結自体が我が国企業の原発受注を約束するものではございませんけれども、本協定の締結により、原子力関連資機材の我が国からの移転に際して、ヨルダン政府による原子力の平和的利用の法的保障を含む法的基盤を整備することができるわけでございます。

 このような基盤整備や本件入札プロセスにおきまして我が国企業を後押しすることに資するものと考えておりまして、このため、政府といたしましては、本協定を可能な限り早期に締結することを希望しておるものでございます。

小野寺委員 ヨルダンに具体的に原発の設置計画、新設計画があるのかどうか、教えてください。

伴野副大臣 あるものと承知しております。

小野寺委員 そして、当然、日本の成長戦略ということで、原子力をこれから輸出することもあると思うんですが、同じように、この国とは原子力の協定を結び、そして日本の原子力技術をその国で活用してもらおう、そのような国がまだまだこれからあるのか、今、今後この協定を結ぼうと思う、想定をされている国があるのかどうか、教えてください。

伴野副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 原子力発電の導入拡大に関心を有する国は増加しているものと判断をしておりますけれども、そうした中で、政府部内で今さまざまな検討をしているところでございます。

小野寺委員 日本の原子力、恐らく世界でもトップクラスの保守管理、保安管理に努力をされていると思います。ですから、実は日本国内の原子力の養成、育成も大事だと思っています。事業仕分け等で、保守管理等の予算について今後検討されるということがないように、ぜひ、日本の原子力発電がこれからも安全に運用されるように、しっかりと政府としても支援をしていただきたい、そのように思っております。

 さて次に、日・スイス租税条約についてお話を伺います。

 日・オランダ等もありますが、特にスイス、ここは、私どもの印象としましては、伝統的に銀行の顧客情報を厳格に守り、また、なかなか銀行、金融機関の内容がわからないので、もしかしてここが課税逃れの場所になっているのではないか、タックスヘイブンの役割を担っているのではないか、そのような危惧も持っております。

 今回この協定を結ぶということによって、このような課税逃れということが未然に防止できるのか、あるいは、過去にそのような事例があったからこのような協定を結ぼうとしているのか、そのことについて教えてください。

尾立大臣政務官 小野寺委員にお答えをいたします。

 個別の調査事例についてはお答えを差し控えさせていただきたいんですけれども、今般のスイスとの租税条約により、情報交換規定というのが盛り込まれておりまして、課税上有効な資料、情報の収集が促進され、課税上問題があると認められる場合には適正な調査、課税が行われるもの、そのように期待をしております。

小野寺委員 もしわかればなんですが、例えば、スイスとの間で今までこのような脱税等の摘発あるいは事案が過去にあったかということ、そして、このような協定を今いろいろな国と結んでいますが、協定を結んで以降、このような課税逃れということを防止できたあるいは摘発できた、そのような事例があるかどうかを教えてください。

尾立大臣政務官 お答えいたします。

 スイスに所在する被相続人の財産が相続税の対象となっている事例はあると承知いたしております。

小野寺委員 具体的に、例えば摘発事例あるいは既に報道された中でのこういう脱税行為等の事例というのはあるんでしょうか、あったら教えてください。

尾立大臣政務官 個別のことは、恐縮でございますが、差し控えさせていただきたいと思いますが、相続税の対象となっている事例はございますが、それ以外の税目については、国別に把握してございません。

小野寺委員 今回こういう協定を結ぶということは、お互いの金融取引の明確化、顧客情報の相互の流通ということで、こういう租税逃れ等の対応については大変重要な協定だと思っています。ぜひ、このような協定を積極的にほかの国とも結んで、金融取引の明確化を進めていただきたい、そのように思っております。

 次に、日豪の物品役務協定についてお伺いをさせていただきたいと思っています。

 今までアメリカとこの協定は結んでおりました。これは、日米安保という非常に重い日米のきずながあったから、このような役務協定も、スムーズに行うためには必要だと私ども理解をしておりましたが、今回初めて日米安保以外の国ということで、オーストラリアと結ぶということになりました。

 なぜオーストラリアと結ぶことになったのか、そのいきさつについて教えてください。

前原国務大臣 これは、今、2プラス2ということで、閣僚間で、外相また防衛大臣クラスで2プラス2の会合を行っているのは、外務副大臣もやられた小野寺委員はよく御存じだと思いますけれども、アメリカと豪州であります。

 なぜ豪州と2プラス2を結んでいるのかといえば、アメリカとお互いが同盟関係であるということのみならず、国際的な協力関係の中で、例えば、PKO、平和維持活動そして災害復興、こういったものでお互いが今まで協力をしてきたという点もございました。

 そういう意味においては、単なる経済活動、貿易活動で緊密な協力関係にあるということのみならず、国際的なさまざまな活動においても今まで協力をしてきたという観点から2プラス2も行われているわけでございますし、そういう意味で、現場での協力をより円滑にするために、今回、物品役務の相互融通協定を提案させていただくに至ったということでございます。

小野寺委員 こういう役務協定というのは、当然、もしかしてその中には、例えば武器の問題も含めて、武器輸出三原則、こういうところにも抵触する可能性がなきにしもあらずということだと思っています。

 最近、政府は、この解釈について、さまざま解釈を変えるような意見も出ている、そのようなことも伺っておりますが、今回、この役務協定において、この武器輸出三原則の問題、これをどのように解釈して対応するか、教えてください。

伴野副大臣 小野寺委員にお答えしたいと思います。

 本協定は、武器または弾薬を提供の対象から除外しているものでございまして、ここで言う武器とは、銃、火器等戦闘行動において直接人の殺傷その他の武力行使の手段として用いられる物品を指し、このような物品はこの協定のもとでは提供されないというものでございます。

 一方、本協定に基づき提供される物品役務の一部には、軍用航空機や軍用車両の部品、構成品といった、前述の協定上の武器には当たらないが、いわゆる武器輸出三原則等における武器等に該当するものが含まれ得るというものでございます。

 このような武器等の輸出につきまして、政府は、武器輸出三原則等によって慎重に対処してきているところでございますが、この協定の内容及び意義にかんがみまして、これらの物品も相互に提供できるようにすることが適切であると考えられたため、この協定のもとで行われるこのような武器等の提供は武器輸出三原則等によらないことといたしまして、この旨の官房長官談話を先般発出したところでございます。

小野寺委員 こういう役務協定というのは、確かに、現場の自衛官の中で、相手と活動する場合の便宜を図るということで役立つこともあるんだと思います。ただ、余りこれがどんどん進んでいくと、例えば、国際平和活動の中で、あるいはさまざまな国連の要請あるいは他国の要請によって今いろいろな国に日本が出ていくような状況、自衛隊が出ていくような状況になっておりますが、そこに対して、例えばアフガンに今度医療チームを派遣するあるいは自衛隊の医務官を派遣する、そのようなことがもし前提として行われるのであれば、そういうことではなくて、やはりしっかり国会の論戦を踏まえてそれぞれの国に自衛隊を派遣するという、その歯どめを一つ一つ確認する必要があると私どもは思っております。

 さて、この条約については、私どもも、これは国際関係の促進のためにも国会で速やかに成立させるべきと思っておりますが、ちょっと時間がありますので、最後に。

 今週末、日本におきまして、横浜でAPECが開かれることになります。そこでの首脳会談、今これが大変注目になっておりますが、現時点で、日中、日ロそして日韓、この首脳会談が行われる見込みがあるかどうか、教えてください。

前原国務大臣 日韓の首脳会談におきましては、今、十四日の午前中に実施をする予定でございます。他の首脳会談につきましては、今調整中でございます。

小野寺委員 実は今回、中国あるいはロシアとの関係の中で、尖閣の問題あるいは北方四島の問題、この領土問題を、私ども大変危惧をして、注視してこの二国間会談を見ております。

 そういう中で、実はもう一つ我が国にとっては大切な領土問題、これは竹島の問題になります。

 竹島の問題について、今回の日韓の首脳会談、ここでぜひともこの問題も取り上げ、日本の主張というのを韓国に明確に伝える、李明博大統領に明確に伝える、この作業をしておかないと、これは、日本が同じく領土の問題について後ろ向きという印象をとられた場合には、北方四島と同じようなことが今後起きないとも限らない、そのような心配をしております。

 今回の日韓首脳会談の中で、竹島の問題、領土問題について議論をされるかどうか、お伺いしたいと思います。

前原国務大臣 日韓に限らず、首脳会談においてどういうテーマで議論をするかということについては、その両国間の諸事情を踏まえて首脳間で検討しているところでございます。

小野寺委員 今、諸事情というお話がありました。日本の諸事情というのは間違いなく、領土は日本の固有のもの、北方四島も竹島もこれは日本の固有の領土である、これが日本の諸事情ということになりますし、日本国民が今、実はロシアに言っていただきたいこと、そして韓国に言っていただきたいこと、そして尖閣につきましては、これは領土問題ではありませんが、日本が、ここは固有の領土ということを、前から実効支配をし、今回その海域内でこのような事案が発生したことに対しての強い懸念と抗議、これを当然申し伝えることが、日本国民の思い、そして今大臣がおっしゃる諸事情だと思いますが、このことについて、もし首脳会談が開かれれば、日本側として当然お話をされるということで理解してよろしいのでしょうか。

前原国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、日韓に限らず、首脳間で話し合われることについては、両国間の諸事情を踏まえて、両首脳間で検討されることになると思います。

小野寺委員 これは、聡明な前原大臣であればもうおわかりのことだと思っています。もしこの二国間の首脳会談の中で、例えば日ロの会談の中で、北方四島の問題、あるいは今回メドベージェフ大統領が国後に行ったことに対しての強い抗議、これを言わなければ、日本は領土問題に関しては譲った、後ろ向きだという間違ったメッセージが与えられます。

 そして、竹島の問題についても、日本は、ここで今ヘリポートを増強しようとしている韓国に対して強い抗議をしなければ、竹島に対して、日本が領土の問題について譲ったという間違ったメッセージが伝えられることになります。

 そして、中国に関しては、尖閣の問題はもちろん、東シナ海のガス田の開発の問題、前原大臣が前から強く主張されていますが、この問題についても強く主張しなければ、強く抗議をしなければ、間違ったメッセージがまた中国に伝わってしまう、こう思っております。

 同じ考えと承ってよろしいんでしょうか。

前原国務大臣 今、さまざまな国とのさまざまな問題について小野寺委員が言及をされましたけれども、多くの問題意識は共有をしているというふうに、今お話を伺って感じておりました。

小野寺委員 時間が参りました。

 私どもは、菅総理の外交を大変ふがいなく見ております。ぜひとも、後ろから後押し、時にはけ飛ばしてでも、しっかりと日本の主権を主張していただくように、今回の首脳会談で実現するように大臣にお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小平委員長 次に、河井克行君。

河井委員 おはようございます。自由民主党の河井克行です。

 きょうは、条約の審議も取りまぜながら、今、国民的関心の日中関係もろもろについて、前原大臣に質問をいたします。

 まず大臣、戦略的互恵関係、これは日中関係を表現する言葉遣いとして菅首相あるいは外務大臣、両国首脳がいつでもどこでも言っている言葉ですね。戦略的互恵関係とは何ですか。お答えをください。

前原国務大臣 この戦略的互恵関係というものについては、安倍政権のときに話をされているものであります。

 これは、二〇〇六年の十月八日、安倍総理訪中時の共同プレス発表の中身でありますけれども、「双方は、共通の戦略的利益に立脚した互恵関係の構築に努力し、また、日中両国の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展という崇高な目標を実現することで意見の一致をみた。」こういうことでありますし、また、温家宝総理などが日本に来られたときは同様の発言をされているわけであります。

 外交は、私は、政権交代によって変わるものもあれば、当然ながら国益に根差したものであるので変わらないものもあると思っておりますし、日中間の戦略的互恵関係というものは、今や日本にとって中国は最大の輸出国であり最大の輸入国である、中国にとっても日本は最大の輸入国であり、そしてアメリカに次いで二番目の輸出国である。こういったことを考えれば、経済的にも相互依存関係が強まっているし、また人的往来も強い。ということから考えれば、お互いが、さまざまな問題については、当然ながら主権国家として議論しながらも、大局に立ったウイン・ウインの関係を築いていくということがこの戦略的互恵関係の意味だと私は理解をしております。

河井委員 しからばお尋ねいたしますが、中国以外の国、日本は戦略的な互恵関係にない国はあるんでしょうか。

前原国務大臣 どのようなワードを使うかということだと思いますけれども、私もこの立場につかせていただいて一カ月半余り、幸いにも、ニューヨークで国連総会があり、ハノイでASEANがあり、そして今、APECをやっているということで、余り海外に行かなくても多くの国々の外相との二国間会談をやらせていただいておりまして、それぞれの国が重要であるという思いは持っておりますし、そこにどんな冠をつけるかということについては、これは赤松委員が、むしろ教えていただきましたけれども、中国は三十三カ国と戦略的という言葉を使った関係を結んでいるということでございまして、日本はそのうちの一つであります。

 日本にとっても大変重要な二国間関係はたくさんあるというふうに私は思っておりますが、どういうワードを使うかどうかということは別として、それぞれが本気に、大事な国として、お互いの国益に資する形で互恵関係を築いていくということは大事なことではないかと思っております。

河井委員 私は、やはり言葉遣いというのは大事だと思うんですね。外交においてほかの国と共通の認識を持つためには、使っている言葉は大事です。まして、あの国は漢字の国ですから、そこのところはきっちりと詰めていかなきゃいけないと思うんです。

 まくら言葉のように首脳や外務大臣らは戦略的互恵関係とおっしゃる。本来、まくら言葉自体には意味がないんですね。意味があったらまくら言葉じゃなくなるわけですよ。私、この戦略的互恵関係という言葉を、何の場面でもお使いになっていらっしゃいますけれども、日本語で考えた場合、これは結構おどろおどろしい言葉なんですよ。戦略というのは、本来、戦争用語でありまして、大辞泉という国語辞書によりますと、「戦争に勝つための総合的・長期的な計略。」あるいは「政治・社会運動などを行う上での長期的な計略。」というのが戦略ですね。

 先ほど大臣は、日中間で共通の利益という表現をされましたけれども、日中間の戦略的な利益、それはどういうものなんでしょうか。もう一度お示しください。

前原国務大臣 一つは、私は、この地域が、お互いの国が存在をするアジア太平洋地域が平和であること、これがまず一つ大きな利益だと思います。二つ目には、きのう、おとといとAPECの閣僚会議の議長をさせていただいて、中国側からも何度となく発言がございましたけれども、やはり自由な貿易体制というものをつくっていく。もちろん完璧ではありません。今、ドーハ・ラウンドは、二〇〇一年から十年間、まだまとまってはおりませんので、完璧な全くの自由貿易ではないけれども、より自由な貿易を築いていくということ、そして同時に、地域のさまざまな問題についてお互いが協力して臨むということ、こういった事柄が私は相互の利益になるのではないか。一つの事例でございますけれども、申し上げさせていただきます。

    〔委員長退席、長島(昭)委員長代理着席〕

河井委員 今回の条約審議の中で日豪ACSAがあります。日本とオーストラリアは、戦略的な互恵関係にはないんでしょうか。

前原国務大臣 委員のおっしゃったように、言葉というのは大変大事でございます。戦略的というものを使うかどうか。例えば、戦略的という言葉の意味をより深く考えるのに戦術的との違いというのがありますけれども、極めてミクロの視点で物事を考えるのが戦術的で、マクロの視点で考えるのが戦略的だとよく違いを言いますけれども、そういう観点に立って考えれば、言葉は使うかどうかは別にして、豪州との関係というのは私は極めて大事な二国間関係だと思っております。

河井委員 外務省からもらった資料に日豪関係は戦略的パートナーシップと書いてあるんですが、大臣、日豪は戦略的な関係でいいんですね。もう一度確認しておきます。

前原国務大臣 戦略的なパートナーシップということを相互で確認をしております。

河井委員 だからこそ、日米間に次いで、世界で二番目のACSA協定を結ぶための審議をこれからしていこうということであります。

 大臣、オーストラリアと中国、日本にとって安全保障協力、どちらが近い関係ですか。

前原国務大臣 安全保障の問題においては、どちらも私はそれぞれの重要性があると思っております。

 例えば、中国とは、隣国でありますし、海を隔てて、同じシーレーンというものを有しているという意味においては、海洋の安全を保つという意味においては同じ重要性を共有しなければいけないところだと思います。

 一方で、豪州におきましても、太平洋という大きな海原で隔てられてはいますけれども、しかし、そこも、自由な航路を確保した上で物事を自由に、安価に、安全に運ぶという大事なミッションがあるわけであります。

 そういう意味においては、中国とも豪州ともそれぞれの安全保障にかかわる大事な関係にある、私はそのように思っております。

河井委員 大臣、今の答弁を豪州の友人が聞いたら悲しむと思いますよ。日豪と日中、安全保障協力と私は申し上げたんです。安全保障協力において、重い軽い、遠い近い、同列だという意味でしょうか、今のは。もう一度重ねて聞きます。

前原国務大臣 例えば防衛交流というものについては日中だってやっているわけでありますし、そういうものをやっていくことは大変重要だということを申し上げたわけであります。

 今委員のおっしゃった防衛協力という部分においては、先ほどから何度も答弁をしておりますように、豪州とはサマワで自衛隊の活動を守ってもらったということもありますし、東ティモールで協力をした、あるいはスマトラ沖の地震で災害復興について協力をした、そういう実績もございますし、また、2プラス2を結んでいるのはアメリカと豪州だけであります。そういう意味では、防衛協力という意味については、実績もあるし、それだけの大事な国だからこそ2プラス2を結んできたということであります。

河井委員 まさに今、答弁でおっしゃいましたけれども、豪州軍はこれまで海外において我が国の自衛隊を体を張って守ってくれていた実績もあるわけです。そういう国だからこそ、きょう、私たちはこうしてACSAの審議をしている。そこと、日本の固有の領土である尖閣諸島の領海を侵犯するようなそういう国の軍隊との協力関係を、大臣、どうもきょうは発言が安全運転ですね。APECが始まるからじゃないんですか。あなたらしくないなと思って、こういう答弁では次の私の考えている質問に移ることができないんですよ。

 もう一度、明確に言ってもらいたいんですよ。豪州と中国との、あなた自身、防衛には随分詳しいというふうに私は思いますよ、全く同列同格なんですか。もう一回だけ聞きます。

前原国務大臣 だれも、どことどこが同列同格という話をしているわけではありません。しかし、大事なことは、一般論ですよ、A国とB国があって、そしてある観点から聞かれた場合、A国よりB国の方が大事ですということを外務大臣が言うということは極めて慎重であるべきだということで私は申し上げているわけであります。どこの国とも大事なんですよ。どこの国とも大事につき合っていかなくてはいけないということで、この国とこの国の大事さはどうですかと聞かれると、具体的にお答えをしますけれども、どっちが大事なのかという観点からのお答えについては慎重でなければいけないということを申し上げているわけです。

    〔長島(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

河井委員 どこの国とも仲よく大切なつき合いをしなきゃいけない、全くそのとおりです。

 ところが、中国は、核心的利益という表現を持ち出してきております。十月二日の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道によりますと、ことし初めから中国政府は、東シナ海、尖閣諸島を含んでいます、及びASEAN諸国と領有権争いをしている南沙、スプラトリー諸島などを抱える南シナ海について、一切の妥協を拒む最高級の核心的利益に格上げしたとされている。昨年までは、台湾、チベット、新疆ウイグル自治区が核心的利益。ことし初めから、尖閣も台湾やチベットや新疆ウイグルと同じ扱いになったという報道があります。

 大臣にお尋ねをいたします。このことについて確認をしていますか。

前原国務大臣 確認しております。

河井委員 どういう形で、そして中国側はどのような返答でありましたでしょうか。

前原国務大臣 中国の立場を私が説明する立場にありませんが、お尋ねでございますので申し上げますと、二〇一〇年七月十三日の中国外交部の定例記者会見において報道官が、中国の核心的利益につき、国家主権、安全、領土保全と発展利益を指すという旨の応答をしておりますし、またさまざまなところでそういったものについて言及をしていると認識をしております。

河井委員 今、外務大臣から明確な御答弁をいただきました。実は、これまで外務省の事務当局と話をしておりましたときには、大臣、この核心的利益、尖閣も入ったということについては一切確認できないという言葉遣いを使ってきたわけでありまして、ただいま明確な御答弁をいただいたというふうに思っております。

 先ほど三十数カ国と中国は戦略的な関係を結んでいるというお答えがありましたけれども、その後ふえたんでしょうか、今ではもう四十カ国ぐらいに膨れ上がってきているということなんです。戦略的互恵関係、聞けば聞くほど、私は、中身がない、空疎な印象を抱いております。

 戦略という言葉、日本語でいいますとかなり、もう切っても切れない関係、同盟国、日米関係に匹敵するぐらいの同盟国のような印象を与える。また、互恵というのも、辞書で調べてみますと、A国とB国が第三国と比べて特権的な関係をお互いにつくっていくのが互恵関係という意味合いになっておりますので、何でこんなに難しい言葉遣いを日中関係でしているのかな、日本語の意味も含めて腑に落ちない気持ちなんです。

 ここで大臣にお尋ねをいたしますが、この戦略的互恵関係という言葉は、もともと日中どちらが言い出したんでしょうか。

前原国務大臣 まず、今のお答えをする前に、核心的利益についてでありますけれども、私が先ほど申し上げたのは、中国が諸外国との間で発出した共同声明等において、台湾、チベット、新疆ウイグル自治区が核心的利益の具体例として明示されているものと承知はしておりますが、他方で、尖閣諸島が中国政府により核心的利益と位置づけられたとは承知をしておりません。

 そもそも、我々からすると、東シナ海には領土問題は存在いたしませんし、尖閣諸島というものは我が国固有の領土でございます。

 その上で、お尋ねの点で申し上げますと、当然ながら、互恵関係というのは相互に確認をするものでございますので、どちらがということではなくて、お互いが確認をしたということでございます。

河井委員 外交交渉ですから、相互に、それはもちろん結果はそうなんです。そうなんですけれども、ここに持ってきましたけれども、日本、韓国、北朝鮮、ASEAN、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、カンボジア、インド、もう早口言葉になりますからこれ以上言いませんけれども、ずらずらと中国が各国と結んでいる言葉が全部、戦略的何とか関係という言葉を全部使っている。

 これから類推するに、日本側から言い出した言葉遣いではない、中国側が日本側に提案してきたのがこの戦略的互恵関係という言葉だというふうに私は考えるのですが、大臣の所感をお聞かせください。

前原国務大臣 先ほど委員からお話のありましたように、日豪間は戦略的パートナーということで、日本と他国の間でそういった言葉が使われているものもございます。

 そういう意味においては、日本と中国の間でも、お互いが確認して、そしてそういう言葉を使っているという御認識に立っていただければと思います。

河井委員 この戦略的な互恵関係というものと、核心的利益という考えは、私は相入れないところがあると考えております。

 なぜならば、先ほども申し上げましたように、核心的利益、何が何でも国家の利益を追求するために譲ることができない、その利益が核心的利益ということでありまして、戦略的な互恵関係を結んでいる国と、自国の核心的利益、位置づける。私は、これはどう考えても矛盾するというふうに考えているんですね。

 その上で大臣に申し上げたいんですけれども、私は、今後、核心的利益だとか、あるいは第一次列島線というのがありますね、海上の生命線のことです、そういう言葉、考えを諸外国に向かって使うべきではない、戦略的互恵関係にあるんですから、先ほどから大臣がおっしゃるのは。私は、その意味合いは極めて薄いと思っておりますけれども、現実は。戦略的互恵関係にある隣にある国でありますので、大臣がかの国の外務大臣とお会いになったときにそういう御助言をされるべきではないか、私はそう思っているんです。

 なぜかといいますと、核心的利益だとか、あるいは海上生命線、そういうことばかり固執しておりますと、これは対話が成立しないんですよ。日本国にとって尖閣は我が国固有の領土ですよ。これはもう何が何でも守らなきゃいけない。あなたも、どこかの会合で、体を張ってでもという表現をされた。全く正しいと私は考えます。

 しからば、対話が成立しない。そして、周辺国が対抗的に中国に対して結合する可能性も出てくるわけです。この核心的利益に位置づけられた国や地域、皆同じ思いであります。あなたが言う戦略的互恵関係の見地から、私はむしろ、それは決して中国のためにはならないことであるというお話をされるべきではないか。いかがでしょうか。

前原国務大臣 今の御質問の前提として改めて申し上げておかなくてはいけないのは、日中間に領土問題は存在をしないということであります。

 その上で、私が先ほど日中間の戦略的互恵関係を高めていくということはどういうところかということを御質問にお答えしたのは、とにかく経済の相互依存関係、協力関係が強まっている、そういった面はどんどん高めていかなくてはいけないし、お互いがこの地域の平和と安定というものを享受するために努力していかなくてはいけない、さまざまな地域問題についても協力をしていくべきだということを申し上げたわけであります。

 他方で、言うべきことはしっかり物を言っていくというのは大事なことでありますので、その都度その都度、大事なことについてはしっかりと私も物を申し上げていきたいと考えております。

河井委員 次は、いつ日中外相会談が開かれますか。

前原国務大臣 まだ未定でございます。

河井委員 その席で、尖閣が核心的利益に盛り込まれたかどうか確認されるおつもりはありませんか。

前原国務大臣 尖閣は我が国固有の領土でございまして、東シナ海には領土問題は存在をいたしません。したがって、我が方から確認する事案はございません。

河井委員 実は、戦前、昭和六年、一九三一年の衆議院本会議におきまして、我が国の衆議院議員、政治家であります松岡洋右さんがこういう発言をしているんです、満蒙は我が国の生命線であると。満蒙とは、中国の東三省と内蒙古三地区、これを指しております。私たちの日本国も、かつて、そういう言葉を使って、そういう概念を近隣、そして世界に高らかにうたったがために、そのことがいつまでも足かせとなって戦争に突入していった、そしてあのような結果になってしまった。やはりそういう経験が私たちにもあるわけなんです。

 だからこそ、私は、満蒙は我が国の生命線というのが、今どうも聞いていると、中国政府が言う核心的利益、あるいは第一次列島線、海上生命線、そういう言葉と、表現と重なってしようがない。私たち自身が、かつてそういった事柄があった、その経験を踏まえて、私は、前原外務大臣から中国の要人に対して、核心的利益ですとか、あるいは海上生命線、そういう概念、言うべきではない、それが友人としての考えだということを重ねて言ってくれませんか。もう一度お答えをください。

前原国務大臣 河井委員の御意見については、そういった見方もあるなというふうに拝聴しておりました。

河井委員 もう一つ、次の質問に移ります。

 中国のネット、あるいはせんだっての反日デモ、いろいろと情報を集めてみますと、尖閣の話だけではなくて、沖縄を返せとか、沖縄を解放しろとか、沖縄をとるとすべてが解決するというふうな、目を覆いたくなるような言論があふれております。

 そのことにかんがみて、ネットの中だけでなくて、実は、中国を代表する有力な歴史学者が沖縄の領有権についてはまだ確定をしていないんだという論文を発表いたしました。大臣、御存じでしょうか。お答えください。

前原国務大臣 ある有名なという方がどなたなのかということについては、私が持っている資料と河井委員がおっしゃっている方とが符合するかどうかわかりませんが、中国の学者の中で、そういう意見をおっしゃっている方がいるということについては承知をしております。

河井委員 昔はそれほどこの論は中国国内でもなかったということなんですが、これから始まったという論文が、二〇〇五年八月一日に発売された中国誌の「世界知識」という雑誌に載った、北京大学の教授の徐勇さんという方の論説であります。北京大学の教授ですから、そんなにとんでもない学者とは到底思えない。その方が、琉球の地位は未確定であるというふうに結論づけています。

 大臣は、この論文、あるいはこの人の考え方、先ほど御答弁で一緒かどうかわからないと言われましたが、頭の中に入っていらっしゃいますでしょうか。

前原国務大臣 徐勇という大学の教授が、今委員がお示しをされたような意見を持っているということについては承知をしておりますけれども、これは中国国内の一部の学者で行われていることであり、沖縄が我が国の領土であることについては論をまたないことでございまして、沖縄の帰属をめぐる争いが生じ得るとは全く考えておりません。

河井委員 私は、やはり日中関係を見ておりまして、最初はどんなに小さな出来事でも、決して見逃すことは適当ではないというふうに考えております。それだからこそ、あえてきょうは、この委員会の場で、大臣に確認といいましょうか質問をさせていただいているわけであります。

 繰り返しますけれども、この方は、とんでも学者ではなくて、第一期の日中歴史共同研究、日本と中国、両国政府が中心となってつくり上げた、あの共同研究におきましても、中国側の委員として「近代日中関係の発端と変遷」という部分を東京大学の北岡先生とカウンターパートという形で執筆をされている。その共同研究の中でも持論を、先ほど申し上げました、琉球の地位は未確定ということについて執筆をしているということでありますので、私は、やはり注意をしておいていただきたいという趣旨で、今この質問をいたしております。

 それらを踏まえ、もう一度大臣から御認識を伺いたいと思います。

前原国務大臣 河井委員の問題意識については、御見識として拝聴させていただきました。

 先ほど答弁をさせていただきましたように、一民間人の主張について見解を申し上げる立場にはありませんけれども、沖縄が我が国の領土であることについては論をまたないところであり、沖縄の帰属をめぐる争いが生じるとは全く考えておりません。

河井委員 領土問題、さまざまな国際法、これまで判例があります。いろいろと勉強しながら調べる中で、二〇〇八年、マレーシアとシンガポールの間で持ち上がったペドラ・ブランカという岩礁、小さな島をめぐる問題、私は、このさまざまな経緯等をずっと見ながら、これまたしっかりと留意をしなきゃいけないな、そのように感じた次第です。

 これは、シンガポール海峡東入り口付近の岩礁、歴史的にはジョホールのスルタン、つまりマレーシアの領土であったとして、マレーシアが、専門用語ですと原初的な権原を認定しましたが、シンガポールの主権行為、例えば難破事件の捜査ですとか海洋調査の許可などにマレーシアが適時に反応しなかったために、いつの間にか主権が、マレーシアのものであったのがシンガポールに移ってしまった。つまり、幾ら原初的な権原があっても、他国が主権行為を重ね、適時に抗議をしないと主権が移ることがある、そういう判例です。

 大臣、このことから含意がもしありましたら、お示しをいただきたいと思います。

前原国務大臣 私も、国際司法裁判所、ICJが今までどのような判断をさまざまな係争案件について出してきたのかということについては関心を持って見ておりますし、今、河井委員が指摘をされたペドラ・ブランカ事件判決についても、もともとマレーシアが、ジョホール王国でありますけれども、実効支配をしていて、そしてしっかりとした対応をとってこなかったがために、結果としてシンガポールに主権が移る、こういうことについては、多くの示唆を示していると私も思っております。

 実効支配をしっかりと続けること、そして我が国固有の領土でありながら管轄権の及んでいないところについては、その問題を提起し続けること、そのことが極めて大事だという思いを強く持っております。

河井委員 実効支配を続けるだけでなくて、私は、実効支配を深化、つまり深めなくちゃいけないと先日もこの委員会で申し上げましたが、上空から視察し、確かに日本国が実効支配している、ただ、やはりもっともっと深めなくちゃいけない、そういう認識を強く抱きました。

 例えば、その一環として、地元の石垣市、そして市議会の皆さんが尖閣に上陸調査をしたいというふうな話もあります。大臣も既にその話はお聞き及びだと思いますけれども、もう十一月になってしまいました。市議会が上陸調査について許可をくださいという一連の決議をして、もう相当時間がたっているわけでありますが、地元の市長や市議会、市民の代表が自分の市に上陸をする、私は当たり前のことだと感じますが、まず、大臣のこのことについての御所見がありましたら、お聞かせください。

前原国務大臣 今までもこの尖閣についてはいろいろな上陸希望というものが出されてきたわけでありますけれども、しかし、実効支配をしているということ、そしてまた民間の土地を借り上げているということ、これは魚釣島、南小島、北小島でございますけれども、そういった観点において国がしっかりと管理をしているということでございまして、今後もそういった姿勢を持ち続けることが適切ではないかと私は考えております。

河井委員 つまり、市長や市議会議員の皆さんが上陸するということについては、大臣としては認めるべきだという考えでしょうか。もう一度お答えください。

前原国務大臣 その逆でございまして、今までもそういうことをしてこなかったわけでございまして、その上で実効支配がしっかりできているということを考えれば、今までの方針どおりでいいのではないかと考えております。

河井委員 この前の委員会の答弁と随分、後ろになりましたね。何か本当にどんどん前原さんらしくなくなってきている答弁ばかりで、前大臣かと思いながら、今答弁を聞いておりました。大変残念な今の言葉であります。

 実効支配の深化というのはこれからも進めていかなくちゃいけないということでは、認識は共通しておりますけれども、その具体策についてはかなり認識の隔たりがあるということが今わかったわけであります。

 最後になりますが、先ほど同僚の小野寺五典議員が一連の海上保安庁のビデオの流出について質問をしておりました。

 もう一度聞きますが、あのときの国交大臣は前原さんですね。前原大臣、最初は、海上保安庁が撮ったビデオ、差し支えないところ、公開しようと思ったんじゃないんですか。

前原国務大臣 これは何度も国会で答弁をさせていただいておりますけれども、五分余りのビデオを私は見ました。事件のあった翌日だったと思います。ですから、九月八日だったと思いますけれども、見まして、極めて悪質な事案だというふうに思いました。そして、海上保安庁が公務執行妨害で船長を逮捕するということになりました。

 手続を見ておりますと、これは長くても二日、取り調べをして、検察に送致をするということがあらかじめわかっておりましたので、そうなると、このビデオというものは検察におけるいわゆる証拠物件として扱われるということでございましたので、今こういう世論が盛り上がっていますけれども、当初から、私は、これは証拠として検察が取り扱うことになろうものであったので、公開については慎重でございました。

河井委員 前国交大臣としてお尋ねをしますが、北朝鮮工作船、最初は不審船と言われておりましたが、スパイ船、工作船、あのときも海上保安庁の諸官がすばらしい活躍をしていただいた。あのビデオ、もう既に公開されていますね。あの公開された目的は何だというふうにお考えになりますか、お聞かせください。

前原国務大臣 奄美大島沖の事案だというふうに思います。あのときは、まさに北朝鮮の工作船と銃撃戦になりまして、結果的に北朝鮮の工作船は自爆をして沈没するということで、事案としてはまさに被疑者死亡の形でもう片づいているということで、これから公判とかがあるという事案ではなかった。したがって、あのときについてはすぐに公開ができたのではないか。今回と単純に比較をするのは、少し事案の性質が違うのではないか、そう私は今お話を伺って思います。

河井委員 最初から公開には消極的だったというお答えですが、ということは、役所に対して、映像の管理については秘密保全をするようにという具体的な指示をされたんですか。

前原国務大臣 当然、海上保安庁に対しては、これは検察に送致をされたときの証拠物件として扱われるものだということで、指示はしておりました。

河井委員 先ほどもありましたが、ビデオを公開しない理由の一つとして、中国側の反発ということが巷間言われていた。今、少し小首をかしげられましたけれども、私も同じようにかしげるんですよ。中国側から反発は、今回の流出以降あったんでしょうか。

前原国務大臣 今回のビデオ流出の経緯がどういうものであったかという問い合わせについては外交ルートでございましたけれども、抗議とか反発とか、そういうものは届いておりません。

河井委員 だからこそ、公開を渋ってきた真の理由は、私は、中国はむしろ口実にされたんじゃないのかなと。先ほども話がありましたけれども、あのビデオを国民が見ると、明らかにわかってしまう、政府の一連の判断が誤りであったということがわかってしまう。言うなれば、一度うそをついてしまいますと、またそのうそを隠すために、またうそをつかなきゃいけない、またうそをつかなきゃいけないという、うそをどんどん塗り固めて、そのうち必ず自白するわけですけれども、私は、そういう悪循環に今の政権中枢が陥っているという印象を強く抱いております。

 今回のこの流出について、直接の責任は国交大臣大臣、馬淵さんでありますけれども、主管官庁ということで馬淵大臣に政治責任はあるとお考えでしょうか。

前原国務大臣 現在捜査中の案件でございますので、真相究明を行うことが今一番大事なことだと考えております。

河井委員 仙谷官房長官に、政治家としての、さまざまな総合的な判断を下した立場にいた人間として、政治責任はあるとお考えでしょうか。

前原国務大臣 さまざまな総合的な判断というものを、何をもってそれを指されているのかということはよくわかりませんが、もしこのビデオ流出の関係でおっしゃっているとすれば、先ほどお答えをしたとおり、今捜査の途中であり、真相究明が最も大事だというふうに考えております。

河井委員 そして、当時の国交大臣であった、今、外務大臣のお仕事をしていらっしゃるあなた自身に責任はないとお考えでしょうか。

前原国務大臣 何度も同じ答弁になって恐縮でございますが、今捜査中の案件でございまして、真相究明が最も大切だと考えております。

河井委員 せっかく国交の大臣政務官にお見えをいただいておりますので、今時点で、取り調べ中の海保の職員が逮捕されたという情報には接していらっしゃいますか。

津川大臣政務官 ございません。

河井委員 せんだっての事件におきまして、さまざまな取り調べの資料、特に、押収された物品があると思います。押収目録を国会に出していただくことはできますでしょうか。

津川大臣政務官 先ほど前原外務大臣からもお話があったところでございますが、現在、海上保安庁の職員が事情聴取を受けているという状況でございまして、国土交通省としては、まず捜査に全面的に協力をするということ、それから事実を明らかにした後で、二度とこのようなことが起こらないように再発防止を講じていくということが今、私どもの立場だというふうに思っております。

 その中で、捜査に全面的に協力をするということは、私ども、まさに捜査を受けている立場でございまして、その立場で、捜査の状況について、私どもから御説明をさせていただくべきではないというふうに思っているところでございます。

河井委員 委員長、済みません、あと三十秒だけ。

小平委員長 河井克行君、時間がもう来ましたので。

河井委員 私の質問が正確に伝わっていなかったようだと思うんですけれども、尖閣沖で捕まった中国漁船、この中国漁船にあった押収物の目録一覧をお示しいただくことができますかという質問であります。

津川大臣政務官 申しわけございません。

 その件については、現在捜査中でございますので、捜査情報でございますので、提出ができないというのが現状でございます。

河井委員 終わります。

    ―――――――――――――

小平委員長 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、政府参考人として海上保安庁次長城野功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 きょうは条約の審議でございますけれども、その前に、今やはり多くの国民が関心を持っているのはビデオの流出問題でございます。

 同僚議員からも種々の質問がございましたけれども、私からも改めて、この状況に至る問題点、お伺いをさせていただきたいと思うわけでございます。

 報道によりますと、流出したこのビデオ、第十一管区のみならず、あらゆる管区、あるいは船内における共有のパソコンでも閲覧することができたということが報道されているわけでございますが、こういう可能性もあるということを海上保安庁としては想定していたんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 私どもとしては、十一月五日の未明にユーチューブにビデオ映像が流れたということを確認して以降、直ちに沖縄向けの第一便で担当官二名を派遣し、さらに六名追加をして、合計八名で土日も返上して現地の調査を行ってまいりましたが、流出経路を特定するに至りませんでした。

 それで、内部調査では限界があると考えまして、警視庁及び東京地検に告発するということになったものでございまして、それ以降のことにつきましては、捜査中でありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

秋葉委員 予算委員会やほかの委員会でも、肝心の場面になると捜査中という答弁が出てくるわけでございますけれども、私がここでやはり確認したいのは、海上保安庁は、現場でのビデオ映像を公開することによって国民の信頼をかち得てきたというすばらしい伝統があるんだと思うんですね。今回も、先例にのっとって広報部の職員が、このビデオをメディアに公開することもあるかもしれないということで、十本のDVDが編集をされたというふうに報道されております。恐らく、当時の前原国交大臣がごらんになったのもその中の一本ではないかな、こう思うわけでございます。

 現実に、捜査中の案件だとはいえ、こういった事態が起こり得ることを想定されていたのかどうかというのをまず伺いたいんですが、明確にお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましては、捜査関係資料は金庫等に施錠して保管する等、厳重に保管することとしておりましたので、今回のような事態は、想定はしておりませんでした。

秋葉委員 今、長官から想定はしていなかったという御答弁でございますけれども、また、前原外務大臣も、国交大臣のときには厳格な対応を求めるような指示をされていた旨の御答弁が先ほどございました。私が本当に懸念いたしておりますのは、まさに政府の危機管理能力といいますか情報管理のずさんさ、このことがこういう事件に結びついてきたんじゃないかということを思わざるを得ないわけでございます。

 したがいまして、報道によりますと、まだ逮捕はされておりませんけれども、取り調べ中のこの保安官の言として、事情聴取に応じる前のマスコミのインタビューに対して、機密情報としては一切扱われていなかった、こういう報道があるわけですね。あらゆる巡視船、巡視艇の船内からも、これはそれぞれの管区だけじゃないですよ、見られたんだということを堂々と述べているわけですね。

 ということは、従来どおりのいわゆる情報管理のプロセスのまま推移してきたということが流出につながったと私は思わざるを得ないわけですけれども、そういう可能性を想定していないという答弁は余りにも無責任であり稚拙だと思うわけですが、もう一度、御認識を伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 先ほども申し上げましたように、捜査関係資料は金庫等に施錠して保管する等、決まりを定めております。それから、今回の流出事件直後も、担当官八人で土日も返上して徹底した現地調査を行いましたが、流出経路の特定には至りませんでした。

 そういうことから、今回のような、流出させたという人間が出てくるというふうな事態は想定しておりませんでした。

秋葉委員 長官は別の委員会があるようでございますので、退席していただいて結構でございます。

 想定していましたと答えるわけにもいかない面はあるかもしれませんけれども、甚だ無責任であり、ずさんな情報管理の体制がとられてきたというふうに断じざるを得ない問題だと私は思っております。

 前原大臣が国交大臣として、当然厳格に扱われるものだと思っていたと言っていても、少なくとも現場の末端までには全くそれが浸透しておらず、そして、最前線で頑張っていただいている隊員の皆さんの意識の中では機密情報だという指令はなかったということを、少なくとも当該者が事情聴取前のマスコミからのインタビューに明言をしているわけでございまして、やはり再発防止も含めて、これは捜査しているからという問題とはまた別の次元の話だと私は思うんですね。

 事件の全体像は、当然、捜査をしながらそれぞれの原因究明をして再発防止を図るということになりますけれども、私が今、冒頭問うている問題というのは、それ以前の、ふだんの管理体制が現実にどうだったのか。第十一管区から本庁に伝わる過程で幾つか漏れたとか、何かにダウンロードされた、そういう問題じゃないわけですね。事実上、海保内のすべての部署に拡散していたと言ってもいいような現況が今、伝わっているわけでありますから、それについて全く想定していないんだなんという答弁自体が、私に言わせれば本当に無責任であり、国民的に言えばいいかげんにしろということになるんだと思います。

 さて、大臣は、五分のその映像をごらんになったときに、明らかにこれは故意であるということは何度も答弁されておるわけでございますが、改めてお伺いいたしますけれども、中国側の船長及び船員が逮捕される瞬間の画像は映っておりましたか。

前原国務大臣 私が見ましたのは五分余りのものでありまして、二回にわたる衝突の映像は映っておりましたけれども、そして海上保安庁の職員が船に乗り込むときの映像は映っておりましたけれども、それほど詳しくは、例えば捕まえる瞬間とか、そういうものは映っていなかったと記憶をしております。

秋葉委員 鈴木長官もほかの委員会での答弁で退席をされて、城野次長に引き続きおいでをいただいておるわけでございますが、ここで一つ確認をしておきたいのは、結局、予算委員会に公開されたビデオもそうだと思うんですが、今の前原大臣の御答弁のように、まさにぶつかったところ中心の映像なんですね。現場の海保職員の皆さんがまさに命がけで防戦をされ、命がけでこうした国益を、体を張って体当たりをしていただいた。そのときに負傷者が出なかったのか、かなりの激闘ではなかったのかということが想定することができると私は思うんですね。

 改めて、この逮捕時において、保安官なり職員の皆さんの、身体的な被害も含めて負傷はなかったのか、伺っておきたいと思います。

城野政府参考人 今回の中国漁船の捕捉、逮捕に当たりまして、海上保安庁職員に負傷はございません。

秋葉委員 それは一切なかったということでよろしいんですね。すり傷、かすり傷も含めて、なかったという理解ですね。

城野政府参考人 そのときに、小さなすり傷、かすり傷が、小さなものまで、その辺のところはちょっと把握をしておりませんけれども、私どもには負傷はなかったというふうに連絡が来ております。

秋葉委員 もしそれが事実だとすれば、本当に不幸中の幸いだったと思います。大きな人的な被害は少なくともなかった、このことは安堵をするわけでございますけれども、やはり今回、いわば被疑者として参考人聴取を受けている保安官の言によれば、この問題がやみに葬られることへの危機感だったという、大変憂国の思いを述べていらっしゃるわけでございます。

 そういう文脈で考えたときに、本当に、ビデオを公開する範囲の問題というのも、私は、もっと厳格に、厳密に判断されるべきじゃなかったのかなと。どうしても、私たちは中国が故意にぶつかってきたということばかりに目を奪われて、その瞬間の映像が、今回ユーチューブに公開になったものもそこの部分がメーンなわけであります。やはり最も核心の部分も含めて、これは全面公開をすべきだと私は思うんですね。

 いまだに官房長官や総理は、公開といってもどういうレベルの公開なのかとか、余りぴんとこないような答弁に終始をして明確な方針を示しておりませんけれども、私は、これは前原大臣、外務大臣として、我が国の国益はもとよりでございますけれども、事実上、多くの国民の皆さんが、明らかに中国側の過失であって、日本側には何の責任もないということが広く知れ渡っているわけでありますから、早急に部分の公開ではなくて全面公開するように、総理や官房長官に進言すべきだと思いますが、いかがですか。

前原国務大臣 少しこの問題については整理する必要があると私は思っております。

 どういう整理かというと、時系列的にもう一度見ていく必要がある。先ほど、私が国交大臣のときに、公開には慎重であるべきだということを申し上げました。それはなぜかというと、それは公判に使われる、捜査資料として使われる、であるから、公開に慎重であるべきだ。これは処分保留なんですね。処分保留ということは、まだその状況が続いているということであって、だからこそ、刑事訴訟法四十七条において、そのいわゆるただし書きのところで、国会での、予算委員会での一部の公開というところになったと私は認識をしているわけです。

 ただ、今回こういう流出事件があって、もう大分みんな見ているんだから、この際公開したらどうだというのは、それは私は筋としておかしいと思うんです。つまりは、まだ処分保留で、この問題については片づいていないわけですね。そして、あくまでもビデオというのはいわゆる資料として提出をされている。しかし、四十七条で一部は公開していいよということで出されている。あくまでも、今回流出したものは、もし流出となると、事件としてとらえられる可能性が高いわけですね、刑事事件として。ですから、そういう意味においては、流出して多くの国民が見たんだからもう全部公開したらどうだという文脈については、先ほどの時系列的な経緯というものをもう少し勘案した上で判断すべきではないかと私は思います。

秋葉委員 大臣の今の答弁というのは、一つの建前だと思うんですよ。事実として今、処分保留で釈放はしたけれどもまだ継続しているという認識に前提として立たれているわけですが、私の認識は、過去の類似の事件に照らし合わせて考えたときに、もうこの問題が裁判に持ち込まれるということは事実上ないと思うわけですね。

 いつの間にか、処分保留のまま、もう船長も既に釈放してしまったわけでありまして、そういう意味では、仙谷官房長官も、意図的か確信を持ってかわかりませんが、もうこの問題は終わった旨の発言をされている。そういう状況があるわけですから、そういう状況の中では、裁判の係争中、処分保留でこれからの行方がわからないからということを理由にこの問題の判断ができないということにはならないと思うんですが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 今後この処分保留をどうしていくのかということとも関連はしていくと思いますが、いずれにしても、刑事訴訟法四十七条をどう解釈するかという問題に私は最終的には行き着くと思います。

秋葉委員 いずれにしても、あしき慣例をつくることのないように、今後の再発防止、これは捜査中だからということではなくて、並行していろいろな手だてをやはり指示していくべき問題だと思いますので、しっかりとした対応をしていかなければならないと思います。

 ですから、私は、今回の処分保留で釈放してしまって、結果として、これはこのままうやむやに終わってしまうのではないか、裁判上の手続に関しては、そう思わざるを得ないんですね。しかし、一方で、先般の委員会でも触れましたけれども、中国に対して我が国の政府として強い思いをぶつけていくと同時に、向こうがぶつかってきた船はあくまで民間の漁船でございますから、その所有者に対してしっかりと賠償請求をしていくべきだ。これは全く裁判とは関係のない話なわけですね。

 長官が離席されましたけれども、次長、「みずき」についてはもう既に十月二十一日に修理を終えておりますね。「よなくに」については十二月の中旬に終える見込みだと伺っております。この後、第三者機関に評価をさせて損害額を確定すると伺っておりますけれども、これは当然、中国の民間漁船会社に対して賠償請求することを前提に金額を査定しようとしているんですね。

城野政府参考人 今先生御指摘のように、現在のところ、「みずき」は修理を完了してございますけれども、「よなくに」については十二月中旬をめどに修理が完了する見込みでございまして、その後、損害額については外部検査機関によって確定するという予定にしてございます。

 その後、これを請求するかどうかにつきましては、これは関係省庁と協議しまして適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

秋葉委員 だから、関係省庁と協議して対応するのはいいことだと思いますけれども、海上保安庁としてはどう考えているんですか。賠償請求を前提として関係省庁と協議するということで理解していいんですか。

城野政府参考人 海上保安庁としましても、賠償請求するかどうか、これは今後、関係省庁と協議しながら海上保安庁としても検討していくということでございます。

秋葉委員 いや、何か海上保安庁として他の関係省庁の意向を踏まえてという型どおりの答弁では、本当に現場の士気が下がると言わざるを得ませんよ。みんな命がけで、我が国の主権を守るために体を張って頑張っているときに、海上保安庁として、あくまで関係省庁との協議を待つんだなんという姿勢は、私は到底容認できません。

 海上保安庁としては、当然、この問題にけじめをつけ、そして我が国のしっかりとした主権をアピールするためにも請求したいと考えているけれども、関係省庁の意見も聞いて最後は調整したいという答弁ならわかりますよ。海上保安庁としての意向がどこにも示されていないじゃないですか。こんな生ぬるいことでいいんですか。

城野政府参考人 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、海上保安庁としても、今後、損害額が確定してから、関係省庁と協議しながら検討していくということでございます。

秋葉委員 もうこの答弁自体、非常に矛盾があるのは、賠償請求しない可能性もあるということではないでしょうか。だとすれば、何のために被害額の鑑定を行うんですか。

 改めて伺います。

 では、第三者機関による被害額の確定をいつまでに行う方針なんですか。そして、その額の定めが終了した後に、賠償請求するかどうかの前に、国民に被害額そのものを公表する考えはあるんですか。

城野政府参考人 被害額の確定の予定でございますけれども、十二月中旬をめどに修理が終了する見込みでございまして、その後、外部機関による数週間の調査を経て確定する予定でございます。

 その金額の公表をするかどうかについては、まだ決定しておりません。

 以上でございます。

秋葉委員 数週間というのは、中旬に修理が終わるわけですから、年内という理解でいいんですね。

城野政府参考人 明確な日付については、ちょっとまだ確定しておりませんので申し上げられませんが、「みずき」の場合でございますけれども、二十一日に工事が完了しまして、そして調査は十一月八日に終了して確定してございまして、およそ二十日足らずで確定しているということでございます。

秋葉委員 そうすると、「みずき」の修理はもう十月二十一日に終わっているわけですから、先行して年内には「みずき」の公表は、第三者機関による査定を終えて、公表するかどうかはこれからの検討という答弁でしたけれども、少なくとも金額自体は「みずき」については年内に確定するんですね。

城野政府参考人 「みずき」につきましては、年内に金額は確定いたします。

秋葉委員 日程的に、数週間ということは二、三週間を超えないという意味で理解するのが通念だと思いますので、年内に、できるだけ急いでこの両方の巡視船の被害額の確定をし、改めて国民に公表をし、そして結果として中国の漁船会社に対しても賠償請求をするように、強く申し入れをしておきたいと思います。またこの委員会でも随時、その進捗状況について伺ってまいりたいと存じます。

 さて、時間も限られてまいりましたけれども、条約の案件についてお伺いもしておきたいと存じます。

 まず一つは、ヨルダンとの原子力協定に関してでございます。

 きょうは経産省からもおいでをいただいておりますので、まず、我が国の原子力の成長産業としての世界への売り込み戦略、いろいろ多角的に考えていかなければいけないと思っております。先月、国際原子力開発株式会社が設立をされたことは大変時宜を得たものだと思っておりますし、相手国のニーズに合わせて、やはり国内の電力会社のみならず原子力製造会社、すべて入っていただいて、パッケージとしていろいろな提案がこれでできるようになると思います。

 今回のヨルダンでの原子力の受注構成というのは、御案内のとおり日仏の共同合弁会社がその想定になっているわけでございますけれども、私は、既に受注の見通しが決まっておりますベトナムとの原子力協定が先ではなかったのかな、こういう思いもございます。ヨルダンも来春には受注が行われる、入札が行われると伺っておりますから、この時期に速やかにこの協定も成立をさせなければならないという認識でおりますけれども、まず経済産業省に冒頭伺っておきたいのは、我が国の原子力の技術、海外への展開というものをどのように考えているのか。

 原子力というと、かつては日米仏という三カ国がメーンでございました。しかし、現在は、もちろんフランスも韓国もロシアもすべてこれは国営企業でやってきておりますから、特に韓国、ロシアの台頭が著しい中で、大変な国際競争の中で売り込みを図っていかなければなりません。そういった中で、経産省の方針、戦略というものをまず冒頭伺っておきたいと存じます。

田嶋大臣政務官 秋葉委員の御質問に御答弁いたします。

 御案内のとおり、先般、ベトナムでのパートナー合意もいたしたところでございますが、世界じゅうで今、熾烈な受注競争が行われているということです。そして、キーワードは官民挙げてということで、インフラ輸出の大変重要な柱の一つとして、この原子力発電の輸出も取り組んでおるところでございます。

 そして、今後の基本戦略ということで御説明を申し上げます。

 いろいろなところで、今、十カ国以上と交渉を行っておるところでございますが、原子力発電に関心を示す国は、環境に関する意識が高まる中で、ますます世界的に増加をいたしてございます。

 まず、先進国、欧米市場でございますが、当面は、市場の規模が最大であるということ、そして事業リスクが低いということがございますので、既設炉の高経年化に伴ういわゆるリプレース需要が大きいということが特徴でございます。例えば、アメリカでは今、約三十基の増設計画がございますが、そのうち、我が国が受注が八基、そして受注見込みが三基という状況でございまして、今後、公的金融支援を活用しながら、国際展開へは積極的に政府としても支援をしてまいる所存でございます。これが先進国というか欧米市場でございます。

 一方で、新規の原子力発電の導入国市場の方でございますが、こちらは、システム輸出として、原子力発電プラントの建設、そして運転管理、燃料供給まで含めた一体的な対応が必要である。これも数多くございますが、特に東南アジアや中近東の新規導入国は将来的に発展の可能性が大きい。

 そして、ヨルダンなどが原子力発電所の具体的な導入計画を発表いたしました。ヨルダンにおきましては、我が国企業とフランス・アレバ社の合弁企業が受注を現在目指しているところでございます。

 御案内のとおり、十月には、官民一体となって新規導入国への一元的な提案を行うために、電力会社を中心とした国際原子力開発株式会社が設立されたところでございまして、政府としても、今後も積極的に支援をしてまいる考えでございます。

 以上でございます。

秋葉委員 大臣、これはヨルダン、カザフスタン、今回ヨルダンが通れば、ベトナムはもう通常国会で早く上げなきゃいけないと思いますし、マレーシアを初めほかの国についての協定の批准状況について、今、外務省ではどういう段取りになっているんでしょうか。

前原国務大臣 さまざまな国と今、下交渉をしているところもございますし、また、そういった段取りがつき次第、国会と御相談をして、協定を出させていただきたいと考えております。

秋葉委員 ベトナムは受注の方が早くなったわけでございますから、こうした協定も追い風にしながら、戦略的にやっていくことが大事だと思います。国会も、今国会ももとよりでございますが、いろいろ日程の問題でもタイトになってくる面もございますから、早目早目にやはり準備をしていただきたいなというふうに思います。

 また、スイスとの租税の条約改定の議定書についても取り上げたかったんですが、残念ながら時間となりました。今回、銀行の顧客情報なども対象になるというのは、大変有意義な改定内容にはなっているんですけれども、スイスから日本を見た場合に、とても怖くて情報を渡せないなということにならないように、こうした国家機密にかかわる情報の管理というのは徹底をしていただきたいということ申し入れまして、私の質問を終わらさせていただきます。

小平委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、四条約の審議でありますが、それも含めまして、まず初めに尖閣諸島事案、あるいはまた対ロシア外交等の質問をさせていただいた後、条約の質疑をさせていただきたい、そんなふうに思います。

 まず、尖閣の問題については、過去、前原外務大臣に、あるいはまた菅総理大臣にも質問をしてまいりましたけれども、正直申し上げて、今、尖閣のなぞ、「普天間の謎」という本がありますけれども、尖閣のなぞとも言っていいような、なぞめいた、よくわからない、そういうところが今なおあります。

 この尖閣をめぐる問題のなぞを解くかぎは、なぞを解くキーパーソンは、紛れもなく前原外務大臣である、私はそう思います。先ほど仙谷官房長官の名前も出ましたけれども、第一義的には、前原外務大臣のさまざまな判断、行動、これに大きく起因をしている、こんなふうに思います。

 そういう観点から、尖閣のなぞを解くということで、一、二、私が疑問に思っておること、これを外務大臣にぶつけたい、そんなふうに思います。

 まず、この事案が起こったのは、衝突が起こったのは九月七日、そして九月八日に中国船長の逮捕を決めた。聞かずもがなというか言わずもがななんですが、当時、この逮捕を決めたのは国交大臣であった前原さんですね。

前原国務大臣 国土交通大臣には逮捕権はございませんので、逮捕を決めたのは海上保安庁でございます。

赤松(正)委員 それは厳密に言えばそうですが、その海上保安庁長官をしっかりと統括する立場にあるのは国土交通大臣。それで、海上保安庁長官と国土交通大臣は綿密な連絡をとっていたはず。

 では、そういうふうなおっしゃり方をするということは、海上保安庁長官が逮捕を決めるということについて、大臣は報告を受けなかったということですか。

前原国務大臣 当然、事案については報告を受けておりますし、相談も受けております。

赤松(正)委員 直接的には海上保安庁長官が逮捕を決めた、その相談を逐次受けたということなんだと。(前原国務大臣「長官じゃないです、海上保安庁」と呼ぶ)海上保安庁が決めた。その相談に乗って、いいだろうと。いや、それはだめだというふうには言わないで、了解を、どういう言葉を御自身が使われたかは後でお聞きしたいんですけれども。

 そのときの判断、海上保安庁と国土交通大臣との連携、こういう流れの中で、当然、ビデオを見たということは影響していると私は思うんですけれども、いかがでしょう。

前原国務大臣 それは、当然、ビデオを見なければ判断はできません。極めて悪質な事案だというふうに私はビデオを見て思いました。

赤松(正)委員 国交大臣の、このビデオを見た、極めて悪質である、この報道は、当時、その報道に接した人間にとって非常に強いインパクトを受けたニュースであったわけです。私もそういう受けとめ方をいたしました。

 そのとき、まさに悪質な云々ということを、現外務大臣、当時国交大臣が思われた。そのときに、ビデオを公開しなければ、船長逮捕の正当性について日本国民及び国際社会の理解を得られないと、当時、国交大臣は思わなかったんですか。

前原国務大臣 これは、何度も国会のさまざまな場で申し上げていることでございますし、午前中にも答弁をさせていただきましたけれども、海上保安庁が逮捕をした、取り調べは長くて二日であろう、そして、検察に送致をするということになればこのビデオは証拠物件として扱われる、したがって、公開には慎重であるべきだということをずっと思っておりました。

赤松(正)委員 いや、大臣、今、正確に言うと私の質問に答えておられないんですね。思ったか思わなかったかを聞いているんです。その後の処置を聞いているんじゃなくて、そのビデオを見たときに、これは、このビデオを公開しないと、要するに、船長逮捕の正当性について理解が得られないんじゃないかということを思わなかったかと聞いているんです。

前原国務大臣 そこまで、今赤松委員のおっしゃるようなところまで思っていたかと言われると、そこまでは考えていなかった。

 ただ、先ほどのことに付言して申し上げますと、相談を受けた、そしてビデオを見た、私なりの判断は伝えた。しかし、最終的には、これは外交問題になる可能性の極めて高い問題でございましたので、官邸の中でさまざまな相談をして最終決定に至ったということでございます。

赤松(正)委員 今、私が最初に思うなぞというのは、現外務大臣は私の指摘に対して、そこまでは考えなかった、こう言われたんですが、聡明なる前原現外務大臣なら、当然、そのビデオを見て、そのことのもたらす影響、さまざまなことを考える、その前に、先ほど来申し上げていますように、一目瞭然、そのビデオを見ればさまざまな誤解を解くことはできる、このように思われるのは当然であったと私は思います。

 というのは、その後、先ほどの同僚委員の指摘にもありましたように、中国の側からまさに正反対の主張が出てきている。日本人のある有名なジャーナリストが、要するに、そういうビデオを見ない限り、海上保安庁の行動というものがやむなく中国のそういう漁船の行動に追い込んだという見方が成り立つ、こんなふうなことを書いたものに私は接触したことがありますけれども、そういったことを持ち出すまでもなく、そのビデオを見たときに、先ほど来申し上げておりますように、一目瞭然という観点で、そのことが、先ほどおっしゃったように、外交的な影響性というものの前に、要するに、まずは、そうしたものが持つ意味ということについて、先ほど、そう思わなかった、こう言われましたけれども、さらにその部分を再度、外務大臣の思いをもっと克明に述べていただきたいと思います。

前原国務大臣 事案が起きた、そして、最終的に船長が公務執行妨害で逮捕をされた、取り調べを海保が行い、検察に送致をした、それが、今委員がお話をされている、時系列で見るとそのあたりのことだと思いますけれども、私は、そのときに、ビデオを見て、編集ビデオでございましたけれども、明らかに故意に体当たりをしてきているという映像を見ましたし、それについての悪質性については余地がないというふうに思いました。

 しかし、結果的に、逮捕をして、そして取り調べをして、検察に送致をした後、それが、先ほど申し上げたように、公開に慎重であったというのは、検察がその証拠物件をつぶさに見て正当な判断をしてくれるだろうということは思いました。

赤松(正)委員 今のことをさらに言うとまた押し問答になるんですけれども、私は、その検察の判断が来る前に、当時国交大臣個人の思いの中に、ビデオを出すことによって事態のそういうさまざまなる誤解を招くことを防ぐことができる、このように思われたに違いないと思うんですけれども、しかし、それだけの判断ではなくて、先ほど言われたような、政府の中での検討の中で、今公開をするのにはふさわしくない、検察の、那覇地検の対応等を見て対応を決めるべきであって、現時点で公開するのは望ましくない、言ってみれば、このような政府内の検討の結果、先ほど来言われているような、公開をしないということに同意をされた、こんなふうな理解でよろしいんでしょうか。

前原国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますし、今委員がおっしゃられたこととほとんど同じことの繰り返しになるかもしれませんが、事案が起きて、官邸との相談はありましたけれども、海保が逮捕をするということに至り、逮捕をして、取り調べをして、そして検察に送るということになった場合については、そのビデオは証拠物件として扱われるということで、公開については極めて慎重であったということでございますし、その証拠を見れば、検察の判断はおのずと明らかになるだろうという思いでいたということでございます。

赤松(正)委員 今の大臣の御発言だと、そのビデオを見た、検察に任せた、そうしたら、検察がビデオを見れば、おのずとその行く末ははっきりするというふうに言われた。その行く末というのは、後に処分保留のまま釈放する、こういうことにつながっていっていいんですか。

前原国務大臣 その後は検察が決めることですので、そこまで私が絵を描く立場にはございません。

赤松(正)委員 いや、絵を描くどうこうではなくて、そういう結論について大臣はどう思ったかということを聞いているわけです。

前原国務大臣 自分がどう思っていたか、どういう結末になるかということを今申し上げても私は意味のないことだと思っておりますので、検察が決めたことについて、我々はそれを、まさにそうしたんだということを認識しているということであります。

赤松(正)委員 今、先ほど来の大臣とのやりとりで私は大変に失望するわけですけれども、日ごろの前原大臣の言動とはこのくだりは余りふさわしくなくて、政治の決断というものをしない、検察任せにする、こういうことが、今日、極めてねじれたというか、先ほど冒頭で申し上げましたような、よくわからない事態を引き起こしている、そんなふうに思うんですね。

 そこで、そのことに関連をして、もう一つの角度で質問いたしますけれども、結果的に、この間の質問、外務大臣に質問をした際に、ビデオの問題について小野寺委員がかなり詳しくされた、その後を受けて私は、要するに、ビデオの公開がおくれたことに大変な原因があるというふうな意味合いのことを申し上げましたけれども、今ここでお聞きしたいのは、この海保ビデオ流出ということについて、私自身も、何というか、自分自身として、我が身の不明を恥じるところがあります。それは、どこを恥じるのかというと、想像力のなさという点であります。

 かくも長きにわたってビデオが公開されない状態であって、一方で、さまざまなそれに対する要求というものが高まっていく、そういう状況の中でどういった事態が起こるのかということについては、少しばかりの想像力があれば、今日の事態も起こりかねないということを指摘してもよかった、それができなかった自分の不明を恥じるわけです。

 きょう朝のやりとり、仲間の委員の大臣とのやりとりを聞いておりまして私が思いますことは、従来、こうした海上保安庁におけるさまざまな事案が過去にあったわけで、例えば、大きなものでは不審船事案がありました。そういうときにどういう対応をしたかということ。

 こういう記録ビデオといったものの取り扱いを、私どもの仲間にも国交大臣経験者が複数おりますし、また自由民主党にもおられる、そういう人たちに意見を聞きますと、要するに、こうした事案が起こった場合、海上保安庁の中でお互いに情報を共有する、この問題がどういう経緯で起こったか、そしてどう推移していくかということについてお互いが情報を共有するためにそうしたビデオはともに見る、厳重にだれも見ない、シャットアウトしてだれも見ないというのではなくて、結構オープンに見るという慣習、現状、そういうものがあった、こんなふうな指摘を受けておりますけれども、この点について、国交大臣当時のことを思い起こしていただいて、前原外務大臣はどのように思われるでしょうか。

前原国務大臣 海上保安庁は、いろいろなところですばらしい活動をしております。例えば、小笠原沖で漁船が転覆をして、九十時間ぐらいたった船内から三人でしたか四人でしたか、救い出すということをいたしましたし、また、転覆をしているタンカーあるいはさまざまな船、そこから、荒波にもかかわらず、みずからの命を顧みずに油まみれになりながら人命救助を行ってくるということをやっておりまして、そのことについて、私は本当に、海上保安庁の職員の士気の高さ、まさに命を顧みずに使命感を持って職務を遂行するという意識の高さ、これについてはずっと高い評価をし、また誇りに思っておりました。

 そういうものについて、今後のいわゆる救難活動に資するという意味において、お互いそのときに撮っていたビデオを共有するということは、それはあったと思います。今後の捜索救難活動に資するという意味において共有したというのはあったと思いますが、今回の話は別だと思います。

 つまり、今回の話は、先ほどから申し上げているように、刑事事件の証拠物として提出したものでありますので、刑事訴訟法第四十七条の規定に基づけば、原則としては公にされない、してはならないとされていることから、今般の衝突事件の映像を他の事案と同じようにいつも見ているというようなことでは、それは話が全く違うのではないかと思います。

 したがって、刑事事件の証拠物である資料が公開を前提に海上保安庁内で自由に閲覧されているといった慣行は存在しない、あるいは存在してはならないと思います。

赤松(正)委員 今、存在しない、存在してはならない、こう言われましたけれども、直接確認されたんでしょうか。

 要するに、先ほどどなたかの質問に対してお答えになられた中に、厳重に管理されていたと思う、こんなふうな発言をされました。大臣、九月八日に逮捕がなされて、そしてその後、海上保安庁を所管している国土交通省、そのときはもう既に大臣は外務大臣なっておられますけれども、現国土交通大臣が厳重管理の指令を出したのはいつだと認識しておられますでしょうか。

前原国務大臣 十月の十八日と承知をしています。

赤松(正)委員 ということは、事件が起きてから約四十日間の日数がたっているわけです。四十日間がたって、厳重管理を時の国土交通大臣が指示するというのはおかしいじゃないですか。

前原国務大臣 その厳重管理を指示されたのは現国交大臣でありますけれども、当然ながら、私の思いとしては、それは、ビデオを公開した方が世間一般にわかるという御意見がいろいろなところから出されているのは私も承知をしておりますが、何度もお答えをしておりますように、逮捕が九月の八日、取り調べというものが長くても二日で、そして検察に送致をされる、送致をされた場合においては証拠物件になり得る、そういうものが厳重に取り扱われるというのは、私は当たり前だと思っております。

赤松(正)委員 その当たり前だと思っていることが行われなかったということだと思うんですね。要するに、約四十日間の間に、では、私は今この場で、実際にその場を見ていない人間と、当時大臣であったけれども、大臣がどのように、その現場を知っていたかということは別だと思うので、これはおのずと、これからのさまざまな取り調べあるいはこれからの捜査の中ではっきりしていくことだと思いますけれども、この四十日間の中できちっと映像管理ができてきたかどうかということは極めて疑問であるということを指摘させていただきたいと思います。

 これは、今ここでどうだこうだというのでなくて、必ずそれははっきりすること。大臣は、厳重管理がなされているはずだと思っていたということについて、御自身の思いと現実とは違った、であるがゆえに今日の事態を招いているんだ、そんなふうに私は思います。

 大臣が先ほど来、今に始まったことじゃないわけですけれども、要するに検察に任せたという意味合いのことをおっしゃっておりますけれども、私はこのテーマについて強く思いますことは、主権侵犯の公務執行妨害という重い国際事件、この極めて重い国際事件に対して、内閣の政治判断がない、あるいは内閣が政治判断をしない、このことについて、重要な閣僚である国土交通大臣を経て外務大臣になった前原さんとして、内閣が政治判断をしないということについてどのように、それでいいとお考えなのかどうかをお聞きしたいと思います。

前原国務大臣 これも再三再四国会で答弁をしておりますが、刑事事件についての対応というのは、これは捜査当局あるいは検察が行うことであって、それにかかわる事柄で外交問題や他の大きな問題になってくるときには、政府全体として、あるいは外交当局が取り扱う問題であって、刑事事件そのものは、いわゆる一連の過程で処理するというのが当たり前でないでしょうか。

赤松(正)委員 私は、外務大臣として、今指摘をさせていただきましたこの重要な国際事件についての政治的な判断というものを示されるというのが外務大臣としての見識だ、こんなふうに思うということを指摘させていただきまして、この問題についてはこれぐらいにいたしておきます。

 これに関連をして、私、日常的に神戸を行ったり来たりしておりますけれども、神戸の海上保安庁の保安官がこの問題の、いわばビデオ流出の行動を起こした人間だったということが、今、本人の申し出によってはっきりしてきたわけでありますが、この保安官の行為について、守秘義務違反、こういう指摘がされているわけですけれども、この守備義務違反を構成する要件というものは何なのかということについて、法務省の方からお答えいただきたいと思います。

甲斐政府参考人 国家公務員法の百条一項におきましては、これは前段でございますが、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」と規定しております。それから、これを受けまして、百九条におきまして、「次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定しております。そして、その十二号におきまして、「第百条第一項」「の規定に違反して秘密を漏らした者」というふうに規定しております。

 したがいまして、百条一項の規定に違反して秘密を漏らしたということが構成要件ということになろうかと思います。

赤松(正)委員 この場合、あの人がそういうビデオを流出した時点で、だれもが閲覧できる状態で、私たちもそれを、直接ではないにせよ、編集したビデオであるにせよ見ていた、こういう状態で、むしろあの保安官は国民の知る権利にこたえたのではないか、こういう意見、指摘もありますけれども、これについてはいかがでしょうか。

甲斐政府参考人 お尋ねの点につきましては、犯罪の成否ということになろうかと思いますけれども、この点は、やはり捜査当局において、捜査の上、判断されるべき事柄であるというふうに考えております。

赤松(正)委員 この問題は、これから捜査の流れの中ではっきりしていくと同時に、果たしてこれで起訴できるのかどうか大いな疑問がわいてくるわけですけれども、これからさまざまなこの問題をめぐる議論というものがなされていく、私たちも強い関心を持って見守っていきたい、こんなふうに思います。

 それで、この問題について外務大臣に引き続きお聞きしたいんですけれども、先般、この事案が起こった、このことについて、尖閣の実効支配というものについて、意味のある実効支配、今まではどうしても省庁別という部分があって、なかなか一本化した対応というのができづらいという状況にある、それについてしっかりと一本化した仕組みをつくるべきだ、こういう主張をさせていただきました。

 大臣も大筋それに同意をされたと私は理解しておりますが、この問題について、その後の動きといいますか、さまざまな付随した動きがあるわけですけれども、根本の尖閣の実効支配ということについての政府の一本化した対応というものは前進をしたんでしょうか。

前原国務大臣 これは、一義的には海上保安庁第十一管区が対応するものでございまして、尖閣諸島をしっかりと周辺警備をしているということでございます。

 今までも実効支配をしっかりやってきたわけでございますけれども、今後もそれについてしっかりやっていくということでございまして、体制については、余りこういう公の場でどのような変化があったのかなかったのかということは適当ではないと思いますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

赤松(正)委員 それは、やっている場合もやっていない場合にもどちらにもとれる答弁でありますが、ぜひとも一本化ということを早急に考えるべきだということを、改めて、再度主張しておきたいと思います。

 その実効支配に絡むわけですけれども、きょうは安住防衛副大臣に来ていただいておりますが、第一義的には海上保安庁の対応でありますが、そのバックというか、それをサポートする形として防衛省の役割も極めて大きい、こう思うんです。

 先日、防衛副大臣が記者会見で、尖閣を含む南西諸島の島嶼防衛ということについて発言をされておりましたけれども、このことについて、また要約、改めてお聞きしたいと思います。

安住副大臣 赤松先生からの御指摘は、多分、私が沖縄にお邪魔をさせていただきまして、たしか月曜日に記者さんに取り囲まれたところで大綱を含めた質問を受けたものですから、そうした中で、私の方から、ことしじゅうに取りまとめる防衛大綱においては、我が国を取り巻く政治的な状況それから軍事的なことをさまざま勘案した上で考えれば、日本の南西地域、この島嶼部での防衛というものは一つ非常に重要なポイントになるであろうということを、私個人もそうでございますが、この一カ月ほど省内でさまざま大綱に向けまして議論をしている中で出てきた話も加味しまして、私の方からお話をさせていただいたということでございました。

赤松(正)委員 それは、一部報道では、与那国島に二百人とか三百人とか、そういう数字まで取り上げられて書かれておりましたけれども、そのあたりは、今言われたように、副大臣個人のお考えということなのか、それとも、防衛計画大綱の議論の中で具体的な固まりを見せてきているものなのかどうか、その点はいかがでしょう。

安住副大臣 先生、与那国を含めた具体の数字というのを、私の方から話したことも一切ございませんし、一部新聞でそういう数字が躍っていることはありますけれども、防衛省の方からの発信ということは一切ございません。当該県である沖縄県、私が申し上げたのを含めて、そうした地元の皆様方のまず御理解等々がなければ、大体、そういう数字がひとり歩きしても意味もないことでございますので、そういうことは毛頭、私の方から言ったこともありませんし、防衛省の方からもありません。

 なお、大綱につきましては、御存じのとおり、安保会議が最終的に決めるということで今議論を、前原大臣、また我が方の北澤大臣等々入ってやっておりますけれども、私どもで協議を進めているというのは、防衛省としてのあるべき考え方を、その会議に北澤大臣に持っていただいて、発言をしていただくための省内での検討を、この一カ月、私どもずっと、陸海空を含めてやってきている中での話として、私個人というよりも、やはり島嶼部での防衛というものに対して真剣に考えていこうという話が出ていたということは事実でございますので、私もそう思いますし、防衛省としてもそういう島嶼部についての重要性というものを認識していると御理解いただければと思っております。

赤松(正)委員 この問題について、副大臣のその発言でわかりました。

 次に、外務大臣、ロシアの大使、河野さんがいっとき帰ってこられて、またロシアへ戻られたということでありますけれども、中国大使については、この大きな尖閣の事案が起こってきて、そしてさまざまな両国間の問題、いろいろ出てきている。そして、首脳の会談が行われる、あるいは、行われなかったというか立ち話に終わったとか、あるいはまた、あすから始まるAPECの流れの中でそうした首脳会談が行われる可能性もある、あるやなしやということでありますけれども、そういった状況の中で、中国大使が、日本に戻ってきて、本省で外務大臣と、あるいは私たちと懇談をするという場面はないんでしょうか。

前原国務大臣 きょう、丹羽大使は一時帰国をいたします。APECにおいて、これは中国に限らず、赴任国の首脳が来られる際に、それぞれの赴任地の大使は戻ってきているということであります。そして、首脳会談が行われれば同席をするということになります。

 私は、丹羽大使とは個別に会って、いろいろと意見交換をしたいと考えております。

赤松(正)委員 丹羽さんはいつまでいらっしゃるんでしょうか。私どもと会うというような機会をとれるだけの時間的余裕はあるのかどうか。

前原国務大臣 まだ、いつ帰るということは、私は報告を受けておりません。

赤松(正)委員 丹羽大使は、赴任される前、私ども外務委員会の理事会で、理事との懇談に出られて、いろいろな機会にお互いに意見を交換しましょうと言っておられましたし、また、菅総理大臣御自身が、国民外交、国民をベースにした外交というふうなこともしばしばおっしゃっておりますし、国民から選ばれた私たちも、日本国を代表して北京にいらっしゃる大使と意見交換をする機会があるということは非常に大事なことだと思いますので、ぜひともそういうあたりの努力をしていただきたいというふうに思います。

 次に、ロシアの問題でありますけれども、ロシア大使の報告等、私たちは、大臣からお聞きしたり、あるいは新聞等を見る限りにおいて、ロシアの国内事情というものが今回のメドベージェフ大統領の国後訪問の背景にあった、主たる原因はそこであった、こういうふうな発言、指摘というものによく接触するわけでありますけれども、私は、それだけではないと。

 前回の委員会でも申し上げましたけれども、日本とロシアの関係、ソ連時代からの領土をめぐる関係というものについて、やはり、ここ数年の、日本がすきを与えたというかその辺の部分、あるいはまた近過去における政府の対応、そういうものを見て揺さぶってきた、そういう側面も同時に強くある、そんなふうに多面的に見なくちゃいけないと思います。

 先ほど大臣は、同僚委員の質問に対して、ロシアに対して抗議をした、こういうふうにおっしゃいましたけれども、一般的に見て、この日本の対応、ロシア・メドベージェフ大統領のこの事案に対する強い意思表示というものが見えない、こういうふうに言う向きが多い、こんなふうに思いますし、私はそういう認識をしているわけですし、私もそういうふうな思いを持つわけですけれども、大臣、このあたり、どのようにお考えになるか、御意見を聞かせていただきたいと思います。

前原国務大臣 外交をやっていく上で一つの大きなポイント、もちろんそれはすべてではありませんけれども、一つの大きなポイントというものは、首脳同士の信頼関係、人間関係、あるいは外交当局者同士の信頼関係、人間関係、これは私は極めて重要なファクターだと思います。もちろん、それぞれの首脳や外交当事者が国益を背負い交渉するわけでありますので、人間関係ができたからといってすべてうまく解決するということではないと思います。

 ただ、対ロシア外交あるいは対ソ連外交、特にこの領土問題を、ずっと私は、この立場に立って、一九五六年以降どんな交渉をやってきたのかということをかなりつぶさに調べてまいりましたけれども、ロシアの内部事情、つまりは、経済的な問題、あるいはさまざまなロシア側の問題があるとき、あるいは首脳間の人間関係というものが比較的友好なとき、こういったときが、領土問題で前進しそうな雰囲気があったときというのは幾つかございます。

 そういうことを考えたときに、確かに、北方領土は日本の固有の領土である、四島の帰属を確定させて、そして平和条約を締結する。その日本固有の領土にロシアの大統領が訪問したということは極めて遺憾なことであり、だからこそ抗議をしたわけであります。

 領土問題を解決して、平和条約を結び、日ロのさらなる発展を築いていく中で、それが日本の利益にも裨益するというトータルのことを考えたときに、一カ月半という、まだラブロフ外相とは、ニューヨークではお会いはしましたけれども、これはG8の場で一回会っただけ。しかし、その中で、これから難しい、領土交渉も含めてやっていかなくてはいけない。やはりトータルのことを考えて対応すべきだというふうに私は思っておりまして、それが弱腰に見えるのか、あるいは強腰に見えるのか、私には皆さん方の見え方というものについて客観的に判断をする立場にはありませんけれども、しかし、目的は何かというところに向かって我々は対ロ外交をやっていかなきゃいけない、そういう思いで、私は、ぜひこの外交当事者間の忌憚のない意見交換の中でのつき合いを始めたい、そう思っております。

赤松(正)委員 今おっしゃったような方向で、ぜひとも実効ある外交を展開していっていただきたいと思います。

 まだ質問したいことはあるんですけれども、きょうの条約の審議に入りたいと思います。

 今回の四つの条約のうち、日本・ヨルダンの原子力協定、それからオーストラリアとの日豪ACSA、この二つの協定というものは、やはり双方ともに、日本が世界で唯一の被爆国であるという点で、原子力の平和利用というものについて極めて高度な、熱心な成果を上げている国であって、同時に、原子力の誤った使われ方ということに対しては、強い、そうあってはならないということを国是として持った国家であるという観点、非常に大事な側面を持った国家が、このヨルダンとの、ヨルダンだけではありませんけれども、この原子力を、先ほど来大臣がおっしゃっているような、新成長戦略の流れの中で原子力発電を海外に持っていくということに当たって、やはりここは原子力にまつわる理念というものを、こうした協定が発足するという流れの中でしっかりとそうした理念をビルトインさせた外国との交渉というものをやっていただきたいということが一点。

 それから、日豪ACSAという問題において、先ほど来も少し話題になっておりましたけれども、武器輸出三原則、こう言うんですが、私は武器禁輸三原則というふうに言った方が的確であろうかと思うんです。

 武器を外国に輸出しない、武器等ということを先ほど副大臣がかなり強調しておられましたけれども、そういう武器等という形で、実際に、この日豪ACSAについても、ちゃんとこの条約第二条の二項、三項、このあたりで、「日本国の自衛隊又はオーストラリア国防軍による武器又は弾薬の提供が含まれるものと解してはならない。」こういうふうな規定づけがある。あるにもかかわらず、改めて官房長官談話、極めて読みづらい官房長官談話ですけれども、こういうものをセットにして出さざるを得ない、こういうところに若干の危惧を感じる。

 心配し過ぎだというふうに思われるかもしれませんけれども、日本の国是、先ほど申し上げましたように、核という問題についても、あるいはこういう世界に誇るべき憲法第九条を持った平和国家である日本という観点から、諸外国に誤解を与えてはならない。

 そういう観点で、この日豪ACSAについて、武器輸出三原則をめぐる官房長官談話と本体部分のこの条約との関係というものをもう一度整理して、的確に副大臣に答えていただきたいと思います。

伴野副大臣 赤松委員にお答えしたいと思います。

 赤松委員の御指摘はまさにそのとおりだと思います。その上で、改めて御説明をさせていただきたいと思います。

 本協定は、武器または弾薬を提供の対象から除外しておりまして、ここで言う武器とは、銃、火器等戦闘行動において直接人の殺傷その他の武力行使の手段として用いられる物品を指し、このような物品はこの協定のもとでは提供されない。

 一方、本協定に基づき提供される物品役務の一部には、軍用航空機や軍用車両の部品、構成品といった、前述の協定上の武器に当たらないけれども、いわゆる武器輸出三原則等における武器等に該当するものが含まれ得るということでございます。

 このような武器等の輸出について、政府といたしましては、武器輸出三原則等によって慎重に対処してきているところでございますけれども、この協定の内容及び意義にかんがみ、これらの物品も相互に提供できるようにすることが適切であると考えられたため、この協定のもとで行われるこのような武器等の提供は武器輸出三原則等によらないことといたしまして、その旨の官房長官談話を先般五月十九日に発出させていただいたわけでございます。

 この場合、協定上、受領側の義務といたしまして、提供される物品または役務につきましては、一つ目といたしまして、国連憲章と両立しない使用及び、二つ目といたしまして、提供側政府の事前同意なく第三者に移転することの禁止を定めておりまして、これによりまして、国際紛争等の助長を回避するという武器輸出三原則等の基本理念は確保されるものと承知しております。

赤松(正)委員 書かれたものを一生懸命読まれましたけれども、先ほど来申し上げたことに加えて、今、政府の方で、例の新安防懇の問題提起、提言を受けて、さまざまな検討がなされている。そういう状況の中で、この武器輸出三原則についても見直しをという声がある。

 別にそれと符牒を合わせたわけじゃないでしょうけれども、日米ACSAに続いて日豪ACSAというものがこういう形でスタートをするということには、そうした、先ほど申されたようなことを原則としつつも、さまざまな例外というものを多く生み出して、実際、展開される中で、武器等というこの等の中に含まれるという格好になったにせよ、武器輸出というものに近い形で状況が展開していくということについて強い懸念というものを持ちたい、そんなふうに今思います。

 その点も含めて、また先ほど申し上げましたヨルダンの原子力協定、その日本の国是というものを踏まえて、原子力発電所の海外における展開、ここに被爆国家日本としての立場というものをしっかり厳守しながら、こうした外国に向けて、このような原子力を基盤にした、言ってみれば商売を展開するということについての心構え、その辺について大臣にお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 いずれも赤松委員の御指摘は大変重要なポイントだと私は思っております。

 もともと、武器輸出三原則が生まれた背景には、紛争当事国、それから国連決議、そしてまた対共産圏、ここには武器は輸出をしないということでありましたけれども、だんだん厳しくなってきて、基本的には武器を輸出しないということになってまいりました。そして、その例外措置として、幾次にもわたる官房長官談話というものが出されてきたわけであります。

 そして、その根本にある、日本は武器の商人とはならない、そしてまた紛争を助長しないという基本理念は大事にしていかなくてはいけないという赤松委員の御指摘は、私はまさにそのとおりだと思います。と同時に、今の時代の変化の中で、例えば、今議論があるのは、共同開発を行っていく、また、共同開発をやることによって、お互いが共有をすることで、またそれがお互い同じものを持つということの抑止力にもつながるという議論もあるわけでございまして、そういったところをどのように考えていくかという新たな時代的なニーズというものは今後検討していく余地があると思いますけれども、その理念というのは極めて大事だと思います。

 それと同時に、ヨルダンの原子力協定の中で委員がおっしゃったこと、原子力という、兵器に転用されれば大変な殺傷力を持つ、被害を及ぼすというものについての扱いは極めて慎重でなければいけないという御指摘は全くそのとおりでございまして、我々は、ただ単に売れればいいというだけではなくて、その前提として、スリーS、セーフガーズ、セキュリティー、そしてセーフティー、こういったものがしっかり担保されるかどうかというところが大事なところであって、やはりそういう前提がなければ、我々としては、売れるから売ればいいという安易な考え方には決して立っていないということは、委員にも御理解をいただきたいと思います。

赤松(正)委員 今申し上げた二点は、まさに日本の平和外交の基本になる問題で、悪い方向のターニングポイントにならないようにしっかりと心がけて取り組んでいただきたい、こう申し上げまして、時間が参りましたので、租税条約については一言も触れられませんでしたけれども、終わりたいと思います。

小平委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、日豪物品役務提供協定について、ACSAについて質問いたします。

 日本がアメリカ以外の国とACSA、物品役務相互提供協定を締結したのは、今回の日豪ACSAが初めてであります。

 そこで、前原大臣に伺います。

 日本はアメリカと軍事同盟の関係にある、一方でオーストラリアもアメリカと軍事同盟の関係にあって、それぞれ日米ACSA、米豪ACSAというのがあります。今度は日豪ACSAということで、三カ国が相互に結ぶ三つの協定ができるということになりますけれども、これはどういう意味を持つということになるでしょうか。

前原国務大臣 笠井委員にお答えいたします。

 今委員が御指摘のように、日米、それから米豪、この両国同士はあった。今回、日豪も結ぶということでありますが、この三つが連関をするというふうには、法的なつながりは想定をしておりません。

 あくまでも、日豪のACSAにつきましては、平和維持活動あるいは国際的な大災害、自然災害においてともに協力をし合う場面が多くなってきている。また、もともと日豪という関係は極めて重要な関係であり、資源あるいは食料、経済活動、そういった面での、そしてまた何よりも価値観の共有という非常に強いつながりのある大事な二国間関係でございます。

 そういう意味で、より円滑な物品役務の協力ができるような形ということでこの締結をお願いするわけであって、三つをすべて連関してお考えいただく必要はございません。

笠井委員 三つ連関はないんだということを言われたんですが、この協定締結の契機になった二〇〇七年三月の安全保障協力に関する日豪共同宣言というのがございます。これを見ますと、こうあります。「日豪それぞれとアメリカ合衆国との同盟関係に具現された共通の戦略的利益及び安全保障上の利益を確認し、」「両国間の強化された協力が、三箇国間の協力の強化に資する」というふうに述べております。

 日豪それぞれとアメリカ合衆国との同盟関係に具現された共通の戦略的利益及び安全保障上の利益というのは一体何なのか。また、両国間の強化された協力が三国間、つまり日豪米の協力の強化に資するというのは、ではどういうことでしょうか。

 このACSAを通じて三カ国の同盟関係を強めていこう、そういうアメリカの戦略があるんじゃないかと思うんですが、この宣言に基づく今回のACSAとの関係で、さっき関係ないというふうにおっしゃったんですが、どういうふうに見たらいいんでしょうか。

前原国務大臣 これは笠井委員よく御存じのとおりであると思いますけれども、日米関係というものは日米安全保障条約に基づいて、非対称的ではありますけれども、お互いが条約上の責務を負って、例えば五条では日本が他国から攻撃された場合においてはアメリカが防衛の責務を負うとか、あるいは六条においては極東の安全のために基地を提供するとか、そういったお互いが責務を持ち合っているわけであります。

 また、米豪でもそういった条約に基づく同盟関係を結んでいるわけでありますけれども、日豪間は、あくまでも、大事な国ですね、価値観も共有し、そして貿易関係も極めて重要な相手国同士ですね、そしてまた国際的な平和維持活動あるいは国際的な大災害、ここにおいても今まで協力しましたね、これからも協力していきましょう、その協力に当たってはACSAというものがお互いにあった方が、より円滑なそういう融通ができますね、ですからやりましょうということであります。

 ある場面で、確かにそれは日米豪も参加するようなものがあるかもしれませんけれども、だからといって、それが必然的に日米豪で何かいつも一緒にやっていこうということではありませんし、また、行動については国内法あるいは条約に基づかないと行動はできないわけでございますので、そのように余り、三カ国の協力関係を強めていこうということは、それは当然いろいろな場面ではありますけれども、このACSAをもって何か新たな次元に入るということではないと御理解をいただければと思います。

笠井委員 二〇〇六年三月に、日米豪の戦略対話、TSD閣僚会合第一回が開催をされました。この会議の共同ステートメントを見ますと、現下の安全保障上の課題に対処するために三カ国の戦略対話を強化することが確認をされて、日本とオーストラリアは共同ステートメントを発表して、安全保障上の問題について日豪が協議していくことを確認しました。そして、二〇〇七年の三月に安全保障協力に関する日豪共同宣言を発表して、それを機に日本とオーストラリアとの協議が重ねられた結果が日豪ACSAであります。

 この経緯を見ますと、日豪安保協力と日米豪の戦略対話は相互補完的なものとして進められてきたということは明らかだと思います。

 そこで伺いたいんですけれども、ことし二月に発表されたアメリカの国防計画の見直し、QDRでは、地域の同盟国及びパートナーシップ国の能力に依拠し、それをより広く配備された適応力のある米軍のアジアでのプレゼンスを確保するということで、アジア太平洋地域における安全保障と同盟国の役割を強調しております。

 今回の日豪ACSAによる日豪の安全保障上の協力強化というのは、アメリカのアジア太平洋地域におけるプレゼンスの維持強化のために役立つという位置づけなのかどうか、その点はいかがでしょうか。

前原国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、日豪のACSAというものはあくまでも日豪二国間のものでございまして、アメリカからすると、日米がある、あるいは米豪があるといったところでございまして、国際的な平和維持活動あるいは国際的な大自然災害、そういったものに今までもオーストラリアと協力してきた、これからもしていこうという中での、より円滑な物品役務の融通ということで、今回、日豪ACSAを結ぶわけでございますので、アメリカの戦略とあわせて考えることは少し飛躍があるのではないかと思います。

笠井委員 では、ちょっとこの点の確認だけしたいんですが、ことし五月二十日の第三回日豪外務・防衛閣僚協議、2プラス2の結果概要というのが外務省から出ておりますが、そこに「日米豪三カ国協力」という項目で、「日豪両国は、アジア太平洋地域において米国のプレゼンスが引き続き不可欠であるとの認識で一致し、日米豪の枠組みでこの地域の安全保障戦略に関する協議・協力を深めることで一致。」これは間違いありませんね。

前原国務大臣 その点は委員のおっしゃるとおりだと思います。

笠井委員 そういう協力関係を深める、日豪の間でもある、三カ国でもあるという中での具体的な一つの産物が、日豪の間でいえば、それはおっしゃるとおり直接は日豪ですよ、ACSAであると。

 しかも、今回の場合はあくまで限定的なんだと大臣はおっしゃっているわけですけれども、しかし、今回の協定を見ても、連絡調整その他の日常的な活動のためにと、かなり幅広くなっている。しかも、先ほどおっしゃったような、人道的な問題、いろいろな問題と言われるけれども、結局、こういう形で自衛隊が海外活動を拡大していくというところが私は問題なんだと思うんです。

 自衛隊が海外派兵、派遣をする機会が増大してきたのは、一九九〇年代になってからということだと思います。一九九六年に日米安保共同宣言で、日米安保体制をアジア太平洋地域に拡大し、地球的規模に広げたことが契機となって、アメリカの要請に基づく海外派兵、派遣がふえてきた。二〇〇六年十二月には自衛隊法を改正して、自衛隊の海外派兵、派遣、これを本来任務にまでしてしまったという経過だと思います。これは、自衛隊の任務規定について、専守防衛を建前としてきた従来の政府の憲法解釈さえ覆すものだった。

 他方で、オーストラリアはどうかといいますと、第二次大戦後、自国の防衛政策をアメリカに依存するという立場に切りかえて、そして朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン及びイラク戦争などに対米協力として参戦してきております。

 そこで伺いたいんですが、そういう中で、二十一世紀に入って自衛隊とオーストラリア軍の協力が増加して、イラク戦争では、サマワ派兵の自衛隊をオーストラリア軍が警備するということになった。今回の日豪ACSAでは、自衛隊とオーストラリア軍が協力する機会が増加していることを締結理由に挙げておりますけれども、これはアメリカが行う戦争、軍事活動をより効果的、効率的にするために必要になった、こういうことじゃないんでしょうか。そこはいかがですか。これまでの経過から見てそうだ、これからより効率的、効果的にやるためのACSAという位置づけの流れではないかと思うんですが、いかがでしょう。

    〔委員長退席、長島(昭)委員長代理着席〕

前原国務大臣 今、イラクのことについてお話がございました。イラクについても、いわゆるサマワという地域の人道支援のために、自衛隊はみずからの判断で派遣をし、自己完結の作業をしておりましたけれども、しかし、治安面での警備というものをオーストラリアが担ってくれたということは大変ありがたい話だと思っております。

 一方で、東ティモールあるいはスマトラ沖地震津波、それの災害に対する協力活動もオーストラリアと日本で行ってきたわけでございまして、そういう意味においては、今委員がおっしゃった、アメリカの戦略にすべて基づいてという観点からは乖離があるのではないかと私は思います。

笠井委員 私は、すべて基づいてと言ったわけじゃないんです。これまでの経過の中でそういうことが何度もあった、これからも、そういう側面から見ると、より効果的、効率的にアメリカがやっていくような軍事行動に対して、オーストラリア、日本がかかわっていくということになるんじゃないかと申し上げたんです。それはいかがですか。

前原国務大臣 それぞれの国が、日本なら日本が、オーストラリアならオーストラリアが、みずからの判断で国際的な協力活動に参加をするわけでありまして、その中での協力をする場合は協力をする。そして、今回のACSAというものが物品役務のより円滑な融通に資するということで、何かアメリカをすべて軸にして物事を考えてこの日豪ACSAに評価を与えようとするのは、私は少し無理があるのではないかと思います。

笠井委員 大臣、日ごろ、日米同盟基軸ということで言われていますから、そういう点でのことで申し上げたわけであります。

 民主党政権のもとで防衛白書が出されて、その中でこうあります。日豪は、「ともに米国の同盟国であると同時に、基本的な価値観を共有しており、アジア太平洋地域および国際社会が直面するさまざまな課題の解決のため、緊密に連携・協力してきている。このような連携・協力を効果的、効率的なものとするためには、」「米国を含めた日米豪三か国による協力を積極的に推進する」、こう述べて、アメリカとの同盟を軸とした日米豪の三カ国の軍事協力の意義、役割を強調していると思うんですね。今回の日豪ACSAはそういう中で結ばれた、これはもう明らかだと思うんです。

 現実を見ますと、日本、オーストラリアの海外における軍事協力の増加とともに、日米豪三カ国の安全保障協議と軍事演習もふえてきております。三カ国による共同訓練は、二〇〇七年と二〇〇九年、二〇一〇年、この間、三回にわたって実施をされている。ことし六月の沖縄周辺での共同訓練というのは、アメリカの原子力空母ジョージ・ワシントンなど艦艇十九隻が参加をする過去最大規模のものになっております。

 そこで伺いたいんですが、日米・米豪ACSA、そして今回の日豪ACSAというのは、それぞれ両国の共同訓練実施の際に機能することになっております、大臣が言われたとおり。今後、三カ国の共同軍事演習が実施される場合には、これらの三つの協定がそれぞれあるわけですけれども、その三つの協定によって三カ国相互の物品役務の提供というのが可能になってくるということにつながるんでしょうか。これはどういうふうになっているんでしょうか。

前原国務大臣 提供するものについて、範囲については、日米ACSAは日米ACSAで決まっている、日豪ACSAはこれで御議論をいただいて決まれば決まってくるということでございますので、余り一緒にして考えずに、分けてお考えをいただいたらいかがかと思います。

笠井委員 三カ国共同訓練ということになりますと、いろいろな場面があると思うんですね、これは長島理事の方がいろいろ御存じなのかもしれませんけれども。そういう場面の中で、いろいろなことでまたそういう相互なことが可能になる、あるいは、するようなことの必要性が出てくるということはあり得るんですか。

前原国務大臣 恐らく、笠井委員が御懸念のことというのは、要は、例えばオーストラリアをスルーしてアメリカに行くのではないか、そういうような懸念で物事をおっしゃっているわけですか。それであれば、先ほど申し上げたように、日米は日米でACSAがある、日豪は日豪でACSAがある。ということは、何もわざわざ豪州を迂回させてアメリカに融通する必要はない、日米のACSAの中でできるものについてはやるということになろうかと思います。

笠井委員 色がついていないものをどういうふうにするかというのは、いろいろ出てくるのかなと思ったものですから、私は伺ったんです。

 では、さらに伺いますが、今、アフガニスタンの情勢がさらに悪化している。困難に直面しているアメリカから、さらに同盟国への一層の負担の分担の要求が高まって、日豪両国もこれまで以上に大きな役割を担わされる可能性があると思うんです。

 今後、アフガニスタンにおけるPKO活動とか、あるいは大規模な難民救助の活動が求められた場合に、この日豪ACSAが機能することになっていく可能性があるということでしょうか。

前原国務大臣 今、政府の中でそのような、今委員がおっしゃったような、大規模なアフガニスタンへの自衛隊の派遣というものについては考えておりませんので、その先のことについてはお答えをする必要はないと思います。

笠井委員 では、もう少し近い話で伺うんですが、今、アフガニスタンをめぐって、十九日にポルトガルでNATOの首脳会議をやる前にして、アフガニスタンへの自衛隊の医官と看護官などの派遣、それから医療機関への資材提供が検討されている、午前中も若干そういうことが出ていましたけれども。そして、今、それがISAFの指揮下に入ると武力行使の一体化の問題が出てくるとかという議論も出ていて、それも北澤防衛大臣の指揮下なんだとか、いろいろなことが報道もされていますけれども、このISAFにはオーストラリアも入っていますね。そうすると、直面する今、その先の話じゃなくて、医官それから看護官、あるいは医療機関への資材提供をめぐって、この日豪のACSAというのが何らかの形で機能するということはあり得るんでしょうか。

前原国務大臣 まだ、アフガニスタンへの医官などの派遣については、政府の内部で検討段階中のものでございまして、正式にそれが決定しているわけではございませんので、これもまた、その先のことについては今お答えをする段階ではないと思います。

笠井委員 そういうことがいろいろ出てくると思うんです。

 では、日米ACSAでは、一九九六年に締結された当初は、適用の対象を共同訓練それからPKO、人道的な国際救援活動などというふうに定められていましたけれども、九九年に改正して、周辺事態における活動が追加をされて、さらに二〇〇四年の改正で、武力攻撃事態等における活動、テロとの闘い、大規模災害への対処の活動などが加えられました。

 今回の日豪ACSAでは、先ほど当面限定という話が具体的に出ていましたけれども、今後もこの範囲に限定していくのか、あるいは日米ACSAのように、協議によっては改定して広げるという可能性も当然あるのかどうか。これもないとは言えないと思うんですけれども、いかがでしょう。

前原国務大臣 現時点においては、今、条約審議をお願いしている内容しか考えておりません。

笠井委員 結局のところ、日豪ACSAということになりますと、冒頭のことにもかかわるんですけれども、日米豪のトライアングルで、事実上の三国軍事同盟をつくっていく上で重要な位置と役割を担うんじゃないかという議論もある。そうじゃないということは言えますか。

前原国務大臣 繰り返し答弁をさせていただいているように、さまざまなオペレーションというものは、当然ながらそれぞれの国が国内法に基づいて行わなくてはいけないし、また条約に基づいて協力できる場合とできない場合があるわけであります。

 アメリカとの場合は、日米安全保障条約に基づいての条約上の義務が、お互い非対称的ながらあるわけでありますけれども、オーストラリアとはそういうものは結んでおりません。しかし、アメリカとオーストラリアは結んでいるということの中で、それぞれの国がそれぞれの国内法、そして二カ国間の条約、決められたことに基づいて行うということがベースでございます。

笠井委員 そういう中でベースだということは私も承知しています、同盟関係が明確にある問題とそうでないところ。

 しかし、こういう形で協力関係が広がってくるという状況の中で、これは今後の方向として、そういう議論もあり得るということは、あり得ないというふうになるのか、その辺はどういうふうになっていくのかということをちょっと伺っておきたいんです。つまり、だんだん深まってくるということの延長で、そういう可能性は全くないということなのかどうか。

前原国務大臣 今の御質問は笠井委員のどういった御懸念から出されているのかということを私なりに考えてみたんですが、少し私の洞察力が薄くて、どういう御趣旨でその質問をされているというのがよくわかりません。

 つまりは、先ほど申し上げておりますように、アメリカがあって、オーストラリアがあって、そして我々日本がある。先ほどの懸念はわかったんです。つまりは、オーストラリアを通じてアメリカに横流しをされないかという御懸念があったんですが、先ほどこれはみずから、笠井委員御自身が披瀝をされたように、ACSAで融通できる範囲は日米関係の方が圧倒的に広いわけですね。

 では、そういうことを考えたときに、オーストラリアに何を求めるのか。オーストラリアとの関係を強めていくということになった場合、逆に言えば、それを担保するようなものが必要になってきますね、日米の関係のような、あるいは米豪の関係のような。そういうことは、今の段階で想定はしておりません。

笠井委員 このACSAをめぐってはいろいろなことが経過の中で出てきたので、そしていろいろな議論があるということで、私は、こういうことはないのか、ああいうことはないのかという形で今伺っているわけであります。

 まさに、いろいろな思惑やねらいを持ちながらやってきている問題だと思うんですが、この日豪ACSAというのは、日本にとってはアメリカ以外の国との初めての協定となりますが、午前中もちょっとありましたけれども、自衛隊が派兵、派遣された地域において、オーストラリア以外にも韓国、カナダ、ニュージーランド、インドを初めとしてNATO諸国など、ともに活動する諸外国が多数あると思うんです。

 今後、これらの諸国とも、安全保障面での連携がテロや大量破壊兵器の拡散など不安定性を増す国際社会の安定のために必要などということで、ACSAの締結が検討されていくことになるのか。先ほど伴野副大臣は、総合的に判断して、それぞれいろいろありましてという話だったんですが、あるとすれば、どことどんな進捗というようなことは少しあるのかどうか、いかがですか。

伴野副大臣 笠井委員にお答えしたいと思います。

 同じような内容の答弁で恐縮でございますが、今後につきましては、どのような国とどういった形でACSAを締結するかということにつきましては、共同訓練やPKO、災害救援等の現場での物品役務の融通に関する防衛当局のニーズを初め、二国間の関係、条約締結の意義、必要性等を考慮して、総合的に判断していくものと承知しております。

笠井委員 では、一つだけ伺います。

 韓国ですが、北澤防衛大臣は、去る六月にシンガポールの国際会議で日米韓防衛相会談を行った際に、こう言っております。「PKO等で日米韓が隣り合わせる機会が増えていることを踏まえ、人道支援・災害救援などの分野において三か国共同訓練の実施などの協力を推進していくことで一致した。」ということで、防衛省発表の会談概要に書いています。

 この会談を通じて、まさに日米豪と同じような形で協力という話が出ているわけですけれども、報道でいえば、自衛隊と韓国軍のACSA協定締結の方針を固めたということも、その中で出てくる。前原大臣は、十月二十九日にハノイで、日韓外相会談で、安保、防衛分野でも日韓間の協力を推進していきたいということを言われました。

 つまり、そういう延長でいえば、日本と韓国のACSAについても検討課題になっている、こういうふうに受けとめていいんでしょうか。

前原国務大臣 先ほど伴野副大臣が答弁をしたとおりでございまして、その状況状況において考えるということでございますが、現時点においては、日豪ACSAを我々としては考えて、国会での御審議をお願いしているところでございます。

笠井委員 一つ一つというふうに言われたのかなというふうに思ったんですけれども、こういう形で、アジア太平洋諸国間で、アメリカを軸とした同盟国間、あるいはその協力関係を強化する国の間での安全保障面での連携と軍事協力が進んでいることは、私は看過できないと思うんです。軍事同盟に属さない非同盟の国々が圧倒的なこの地域の流れ、紛争の平和的解決、外交力の強化の方向とは逆行するということを申し上げたいと思います。

 次に、オランダ、スイスとの租税条約の問題について質問いたします。

 まず伺いますが、今回の両条約は、その特典を享受する要件として、日本がこれまでに批准した条約にはない多国籍企業基準等という条項を新しく設けておりますけれども、その理由は何でしょうか。

 また、この措置によって日本に進出しているオランダ、スイス資本企業のうち、どれぐらいが新たにこの条項の適用となるでしょうか。

伴野副大臣 笠井委員にお答えしたいと思います。

 租税条約におきまして、事業実態のないいわゆるペーパーカンパニー等につきましては、租税条約の特典の適用を制限する規定を設けることで、条約の特典の濫用を防止することが一般的であると承知しております。

 今回の日・オランダ租税条約及び日・スイス租税条約の改正におきまして、いずれも相手国、スイス及びオランダということでございますが、そちら側から、国内に実際に多くの多国籍企業が本拠を有しているという特別な事由を踏まえまして、多国籍企業集団の本拠である法人が取得する投資所得に関しまして、条約の特典を、源泉地国免税というものでございますが、認める規定を設けることについて、特段の要請があったと承知しております。

尾立大臣政務官 特典の対象となる数のお尋ねでございますので、私の方からお答えをしたいと思います。

 両条約は、租税回避行為の防止のため実態のない企業が租税条約の特典を利用することを制限しておりますが、一定の要件を満たす多国籍集団については、業種を問わず、条約の特典の適用を認めております。

 ただ、個々の多国籍企業が一定の要件を満たすかどうかについては、条約適用届出書等の提出によって確認していく必要があることから、現時点においては多国籍企業集団の数は把握しておりません。

笠井委員 旧条約では配当にかかる五%の源泉地国課税は日本の親会社にとって純粋なコストとなるが、新条約では配当の源泉地国課税がさらに軽減される特典が強化されました。だから、オランダ、スイスなどに子会社を有する日本企業にとって大いに歓迎される改正だという率直な指摘も出されております。

 そこで、海外に展開する日本の多国籍企業は、欧州の拠点をオランダに置いている子会社が多いことはよく知られておりますけれども、今回の改正は、まさに日本の多国籍企業にも有利な改正になるというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。いかがでしょうか。

伴野副大臣 続けてお答えいたします。

 我が国といたしましては、相手国側からの要請も考慮して、例えば実際に複数の国にまたがっている事業を展開している多国籍企業集団を統括するような法人等につきましても、濫用の懸念が合理的に払拭できることから、ペーパーカンパニーと区別して条約の特典の適用を認めることといたしました。

笠井委員 いや、要するに、今回の改正は、日本の多国籍企業にも有利な改正になっているなというふうに受けとめていいのかどうかということなんですが。

前原国務大臣 そういう見方を笠井委員はされていますけれども、今回の目的は、あくまでも二重の税負担の回避、あるいは税当局間での納税者情報の交換のための重要な法的枠組みなんだという点で、素直に御理解をいただければありがたいと思います。

笠井委員 素直に理解した上で、有利になるのかどうかということを確認したかったんです。有利になるということをかなり言われていますので、実際そうなんじゃないかということを聞いたわけです。

 では聞きますが、これらの条約では、配当、利子、使用料のいわゆる投資所得に対する源泉地国課税の減税と免税の適用範囲が拡大をいたしております。この措置を新たに導入することで、日本側の減税規模というのはどれぐらいになるというふうに試算されているでしょうか。

尾立大臣政務官 笠井委員にお答えいたします。

 一般論として申し上げれば、源泉地国における課税を軽減する租税条約を締結した場合には、我が国また相手国の税収の増加また減少、両方の効果が及ぶものと思われます。

 例えば、今御指摘いただきました、配当や利子等の投資所得が一定とすれば、源泉地国における税収を減少させる要因となる一方、両国間の投資活動が活発になりますと、税収を増加させる要因になります。また、源泉地国課税が軽減されたことにより外国税額控除が減少することになれば、税収を増加させる要因となるということで、このように非常にプラスマイナスが入り組んでおるということでございます。

 そして、御案内のとおり、国境を越える投資活動というのは、その国のみならず国際的な金融経済情勢によって非常に大きく左右されるものでございますので、これらの条約の締結による我が国の税収への影響、増減収額については見込みを行っておりません。

笠井委員 増減はいろいろあるというのは言われたのですが、私が聞いたのは、投資所得に対する源泉地国課税の減税と免税の適用範囲の拡大によってどれぐらいの減税規模になるかということを聞いたわけです。

 私は、租税条約の審議の際に、いつもこの減税額の試算を明らかにするように問題提起してきたんですけれども、日本側の減税規模を明らかにできないようでは国民に対する説明責任を果たしていないということを言わざるを得ないというふうに思います。

 では次に、両条約の第二十二条に関連して、二〇〇九年に日本で導入された外国子会社配当益金不算入制度について伺います。

 周知のように、この制度は、外国子会社からの配当の九五%が免税となって、残りの五%に源泉税がかかるわけでありますが、この制度の適用状況というのはどうなっているでしょうか。

    〔長島(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

尾立大臣政務官 御指摘の外国子会社配当益金不算入制度の適用件数及び適用金額は、現在、把握しておりません。

 なお、この外国子会社配当益金不算入制度の適用件数等を把握するためには、内国法人から提出されました法人税の申告書を一件ずつ確認をして、その制度の適用件数等を手作業で集計していく必要があり、相当な事務量を要するということで把握していないということを御理解いただきたいと思います。

 ちなみに、平成二十年分の内国法人の法人税の申告件数は約二百六十四万件であるということを申し添えたいと思います。

笠井委員 アメリカの議会では、国の歳入実態が問題になって、アメリカの多国籍企業の活動実態がわかる客観的事実、統計数値が公表されております。

 例えば、アメリカの会計検査院、GAOは、タックスシェルター問題をきっかけにしてではありましたけれども、クリントン政権時代に、外資系米国子会社の七三%が米国税を全く払っていないことを発表いたしました。その後、いろいろ紆余曲折はありますが、オバマ政権下の二〇〇九年には、アメリカの多国籍企業の実効税率が二・三%だったことを公表しております。

 要するに、数値公表というのは、いろいろ手間がある、大変だという話がありましたが、政府のやる気ということもあると思うんですね。租税の専門家や研究者、実務家からも統計数値の公表について強い希望があるということも申し上げておきたいと思います。

 そこで、前原大臣に大きな意味での認識を伺っておきたいんですけれども、日本の多国籍企業にとってオランダとスイスにおける税務メリットというのは、今挙げたようなことだけじゃなくて、オランダ側の資本参加免税制度と実効税率が二五・五%であることから、日本のタックスヘイブン税制のトリガー税率二〇%に抵触しない、そしてスイスも州によっては実効税率が二〇%超のところもあって、日本の多国籍企業の海外子会社の設置場所として価値が出てくるということがあります。

 日本経団連がことし九月に出した「平成二十三年度税制改正に関する提言」の中では、平成二十二年度税制改正でタックスヘイブン税制のトリガー税率引き下げ等が実現したことは評価できるとしております。まさしくそういう方向で、日本の多国籍企業の子会社が海外進出しやすい方向で優遇税制の強化がいろいろな形で実行されている、こういう実態がある。

 ことし四月ですけれども、当時の峰崎財務副大臣が、こうした国際的な租税の引き下げ競争をどこかでとめなきゃいけない、少なくとも先進国でとめなければならないということで、G20でこの種の議論をした方がいいということも発言されたことがありました。やはり税の引き下げ競争ということでやっていくのがいいのかどうかというのは問題だと思うんですね。

 それについて、大きな意味での認識といいますか、条約が出ていますので、それにかかわってということで、大臣、御見解を伺えればと思うんですが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 確かに、委員がおっしゃるように、経済活動のグローバル化が進んでおりますし、また国際的な投資交流というものがどんどん促進されているというのは事実でございます。日本は、かなりの地域で租税条約を今、結んでおります。四十八条約、五十九の国と地域の間で適用している、これは十月末現在でございます。

 その中にあって、先ほど委員が御指摘をされたように、脱税や租税回避をどうやって防止するかという国際的な協力の機運が高まっていることも事実でございまして、したがって、今御審議をいただいている租税条約も含めて、この条約の中には、国際標準に沿った情報交換を規定する等の中身を盛り込むことを基本としているわけであります。

 特に、最近は、租税に関する情報交換に主眼を置いた協定の締結にも力を入れておりまして、いわゆるタックスヘイブンと言われるバミューダとの間での協定をことしの八月に発効させましたし、類例の協定について、英領ケイマン諸島や、英領ガーンジー、バハマとの間で交渉を行っているわけであります。

 つまりは、グローバルな経済活動を進めていく、そして国際投資を進めていくと同時に、このような脱税や租税回避の防止もともに行っていくという観点が必要だと考えております。

笠井委員 脱税、租税回避にとどまらず、やはり引き下げ競争になっているという問題を大きく見ていかなきゃいけないと思うんです。

 時間になりましたから終わりますが、廃止するといいながら、みなし外国法人税額の控除額が増加している問題も含めて、やはり結局のところ、日本の多国籍企業とその海外子会社が、租税条約の特典税制と国内の大企業優遇税制を強化されて享受できる方向になっているということを見ざるを得ないと思うんです。

 そういう方向が法人税減税のさらなる強化の方向とつながっているということで、私は、そうした優遇税制こそ抜本的に正すべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 大臣も皆さんも大変お疲れだと思うんですけれども、最後の質問ですので、元気よく、ひとつよろしくお願いをいたします。

 きのうから沖縄の知事選が始まりまして、私は、前々回の委員会で名護市の市議会決議を配付させていただいて、この決議をしっかり受けとめてほしいという思いで、オスプレーの問題等議論をさせていただきました。

 十一月の四日、五日に、名護市長、議長がこの決議文を持って政府への要請に来られたわけですけれども、一週間も前から要請をされていたにもかかわらず、官邸、内閣府、外務省、防衛省とも、政務三役のだれもが面談をせずに、名護市の皆さんは大変怒って、記者会見をして帰られたわけなんです。

 外務省は、政務三役として対応しなかった理由というのは何かあるんでしょうか。

前原国務大臣 先般も記者会見でお答えをしておりますけれども、北米局長がお会いをするという予定の時間が十一時半でございましたけれども、そのとき、徳永政務官は海外出張、そして松本副大臣は国際会議で講演し、その後農水委員会に出席、そして、ほかの政務三役は衆議院の外務委員会に出席をしておりました。それで対応できなかったということであります。

 いずれにいたしましても、玉城デニー議員にも私はおわびを申し上げたんですが、あらかじめお話があって、時間がとれる範囲があれば、今後は稲嶺市長さんあるいは名護の市議会の皆さん方とはできるだけ私もお会いをさせていただきたいと思っておりますので、服部委員からもそのようにお伝えいただければと思います。

服部委員 忙しかったから会えなかったんだという御返事だというふうに思いますけれども、沖縄側には非常に誤ったメッセージが伝わっているというふうに思うんですね。何でだ、何で会わないんだ、一週間前から、しかも与党の議員さんの仲介を立ててやっておるのにというようなことなんです。

 前原さんも、前は島袋前市長と東京都内でお会いになったり、違うんですか、そうですか、新聞等でちょっとそういう報道もありますけれども、現場の市長、議長が、今この辺野古の問題が非常に焦点になっているときに、しかも一週間も前からアポをとる、しかし、外務省だけじゃなくて、どの省庁も政務三役、いわゆる政治家が対応しないというのは、私は非常におかしいと思っているわけです。

 一部にといいますか、十一月五日の末松内閣府副大臣の記者会見で、党との調整で会わないように決まったかのような記者会見もあり、別の報道によれば、民主党の某幹事長代理の方が会うなと言うたかのような報道もあるんですけれども、これは、外務省は外務省として、党からのということじゃなくて、多忙ということもあり、外務省として判断をされたということでしょうか。

前原国務大臣 確かに、御要望や陳情の窓口は党に一元化をしているわけでございますけれども、その判断、どのレベルで会うのかという判断をいたしますのは、それぞれの政務三役で判断をしたいと、我々は、特に外務省では思っております。

 先ほど服部委員がおっしゃっていただいたように、その日は政務三役とも、委員会、講演、海外出張等で多忙であったということでございますので、我々が対応できるようなときにお越しをいただくということであれば、時間をやりくりして、お互いの都合の合うような形でぜひお会いをさせていただきたいと思います。

服部委員 名護市の方が来られたのが四日、五日なんですが、その数日後の八日には、安住防衛副大臣が沖縄県庁に行かれて、国会が落ちついたら、前原外相、北澤防衛相とローテーションを組んで沖縄にお伺いしたい、いろいろと沖縄側に説明をしたいと、真摯に説明とか誠実に説明という言葉をよくおっしゃるわけですけれども、そういうことをしたいということをおっしゃっているわけですね。

 ですから、私がこれをあえて今回申し上げているのは、日ごろ沖縄側に説明をしたいだとかいろいろ言いながら、実際に来られたときに、政府、官邸も内閣府も外務省も防衛省も、だれも対応しない、しかも、一週間前から申し込んでいるのに。これでは言うていることとやっていることがばらばらじゃないですかということを私は言いたいわけなんですよ。沖縄はこの件で非常に怒っていますよ。

 それで、実は、おととい公明党の遠山議員が、予算委員会で官房長官と総理に、この件、同じことを言われております。官房長官は、このことを知って愕然としました、こういうふうにおっしゃっておりますし、総理は、大変申しわけなく思っているということもおっしゃっているわけですね。

 大臣、ぜひ名護の市民の皆さんに、この件で何かコメントはございませんか。

前原国務大臣 国土交通大臣のときは、正直申し上げて、全国千七百を超える自治体の首長さんあるいは議長さん初め、お越しになられたいということで、これはとてもじゃないですけれども、すべての要望にはおこたえしかねるということで、政務三役だけでは対応できないものについては事務方も対応しておりました。

 ただ、外務省に御要望されるということについては、基地関連であるとか、あるいは他の用件ということで、かなり限定的だというふうに思っております。

 したがいまして、今後は、あらかじめ、前もってお話をいただければ、名護の市長さん、市議会議長さんに限らず、あらゆる首長さんあるいは議会の議長さんとできるだけ政務三役でお会いをし、お話を伺い、対応させていただきたい、このように考えております。

服部委員 今回も、一週間、前もってお願いをしているんですけれども。

 改めて、おわびといいますか、それをされるお気持ちはございませんか。

前原国務大臣 先ほども答弁をいたしましたように、仲介の労をとってくださった玉城デニー議員には私はおわびを申し上げました。改めて、名護の稲嶺市長さん、また名護市の市議会の議長さん初め議員の方々には、公務が立て込んでいたとはいえ、お会いできなかったことについては、心からおわび申し上げたいと思います。

 また、今後はできるだけお会いをさせていただくように努力したいと考えております。

服部委員 大臣のその一声を聞いて、若干安心いたしました。

 それでは、続いて、ヨルダンとの原子力協定の質問に入らせていただきたいと思います。

 御存じのように、我々社民党は、原子力発電の推進については反対だ、こういう立場で、では何で原子力協定に賛成するんやとよく聞かれるわけですけれども、実は、このヨルダンの原子力協定というものは、外務省としては大変努力をされているなということを率直に評価させていただいているわけです。

 こういう原子力協定というのは、いわゆる核の拡散にもつながる問題であるわけですけれども、第二条の三項には、ウランの濃縮、使用済み核燃料の再処理、それからプルトニウムの転換等を、この協定のもとでは移転されないということがうたってあります。

 それから六条の二項には、「安全性を確保するための措置の実施に関する相互に満足する取極」ということで、「相互に」というところに非常にポイントがあるわけですけれども、要するに、日本の安全基準をヨルダンにも適用しますよというふうに解釈できるんじゃないかと思うわけです。だから、勝手なことをしてもらったら困るよということになるわけです。

 それから第九条には、「生産された核物質は、」「濃縮され、又は再処理されない。」ということが明確にうたってございます。

 そういう意味で、外務省のこの原子力協定にかけた努力というのは率直に評価できるというふうに思うんですけれども、こういう考え方を今進行しているほかのいろいろな原子力協定にまできちっと敷衍していくといいますか、そういう協定の標準とする考え方はありますでしょうか。

前原国務大臣 これは極めて大事なことでございまして、先ほど同僚委員にもお答えをさせていただきましたけれども、我々が他国との間で原子力協定を結ぶ際の前提条件は、スリーS、これをしっかりやっていくということであります。セーフガーズ、それからセーフティー、そしてセキュリティー、この三つをしっかりと担保する中での原子力協定。

 セーフガーズというのは、移転とか拡散、こういうものはだめですよということ。それからセーフティーというのは、まさに原子力発電所そのものの安全性の問題。セキュリティーというのは、いわゆるそれがジャックをされないような、そういうきっちりとした防御体制。こういうものを前提とした中で他国との協力を進めていくということでございまして、そういう意味においては、協定の標準という意味においては、このスリーSというものが基準であるということを御理解いただければと思います。

服部委員 ということは、この二条三項、それから六条二項、九条の私が先ほど申し上げた点については、今後、外務省の標準として考えていくよという理解でいいんでしょうか。

前原国務大臣 今御指摘の二条三項というのは、まさに、濃縮や再処理設備等の移転の禁止ですよね。ですから、不拡散ということで、これはセーフガーズの中に入っているわけでございますし、濃縮、再処理の禁止、そして再移転の事前同意制、すべてこういったものについては、我々としては、担保する中で他の国との原子力協定を結んでいくということは基準にしてまいりたいと考えております。

服部委員 ありがとうございます。

 そこで、十月三十一日付で、日越、日本とベトナムの共同声明の中で、ベトナムと実質合意した原子力協定というのが出てくるわけですが、まだ条約として提起されていないわけですけれども、ベトナムとのこの協定の中においても、ウラン濃縮と再処理、安全確保、あるいは軍事転用、移転の禁止というものがきちんと担保されているんでしょうか。

伴野副大臣 服部委員にお答えさせていただきたいと思います。

 日本とベトナムとの間の原子力協定は、現在、実質合意の段階でございまして、引き続き、署名に向けて作業中であると承知しております。それゆえ、詳細はお答えを控えさせていただきたいわけでございますが、いずれにしましても、先ほど大臣が申し上げましたスリーSの概念、並びに、我が国といたしましては、平和的目的利用、核不拡散、原子力安全及び核セキュリティーの重要性をしっかりと踏まえて対応していきたいと考えております。

服部委員 お手元に、フィンランドのオルキルオト三号機の無残な状況という資料を配らせていただきました。

 官民を挙げて原子力発電所の輸出ということをされているわけですけれども、私も現役の機械メーカーにいたころ、台湾のごみ焼却場のプラント工事をいろいろやって大変苦労した経験もあるわけですけれども、非常にリスクの伴う面があるわけです。

 このフィンランドのオルキルオト三号機、これは、数字をちょっとここに書いていますが、契約価格、三・二とありますが、これは三・二ギガユーロ、すなわち三十二億ユーロで、これは、為替レートにもよりますけれども、百十三円で換算しますと、契約金額が三千六百三十億円で、フィンランドでフランスの原子力製造メーカーが受注をして、建設をしているわけです。

 ところが、技術的なトラブル等々で、建設がもう三年おくれているんです。したがいまして、この右の下の方にちょっと私がつけ加えているわけですけれども、運転開始から三年以上遅延して、契約価格が三千六百三十億円に対して、今、総費用が約二倍に近い六千六百九十億円まで膨らんでおる。それだけじゃなくて、フィンランドの電力会社の方から二千七百二十億円の損害賠償の請求をされておるということで、そもそもの受注金額からもう三倍ぐらいにコストがはね上がろうとしているわけなんです。

 まず、こういう実態にあるということは、大臣、御存じだったでしょうか。

前原国務大臣 今委員から資料を御提示いただきまして、初めて認識をいたしました。

服部委員 ですから、こういう原子力発電所、私が実際にかかわったのはごみの焼却場だったんですけれども、ごみの焼却場と原子力発電所とは、リスクの問題というか、危険性の問題で全然違うわけです。設計が正しくても施工がきっちりやられる保証はない。やはりいろいろと問題があるわけです。その中で、どんな事故が起きるかもわからない。国を挙げて受注活動といえば非常に格好よく聞こえますけれども、では、そのリスクも含めて国が引き取るのかということになるわけです。

 そういう意味で、工事あるいは安全上のトラブルに起因するリスクの回避あるいは引き受けに関する国の考え方についてお聞きをいたします。

前原国務大臣 仮にそういう事故が起きたときにどうするんだ、こういうことでございますが、前提としては、日本は今五十五基だと思いますけれども、原子力発電所については、極めて世界からも評価を受けるような安全性を保っているというふうに私は思っておりますし、だからこそ、今回初めてベトナムでの受注につながったのではないか、こう考えているところでございます。

 他方で、仮にそういった問題が起きたらどうするのかということでございますけれども、個別の事例ごとに契約内容等に照らして検討されることになるでありましょうが、本件の協定上からいうと、我が国政府が相手国の事故に関して責任を負うことはありません。つまりは、これは受注企業が負うということになるわけでございます。

 また、テロ対策とか安全対策というのがどうなのかということなんですが、これは相手国に当たっても、しっかりやってもらわなくてはなりません。つまりは、安全対策を徹底するために、安全対策に責任を有する、例えばヨルダンであれば、ヨルダンの原子力規制委員会がIAEAと緊密に連携して、国内の原子力安全利用に関する管理基準の国際基準への適合化を進める、これは進めておられます。

 そういう意味で、つくろうとしている国も努力をしていただく。そして、我々の安全性という今までの実績を見て、日本の企業を決めてもらう。しかし、万が一、仮にそういうことが起きた場合については、これは民民の問題である。

 ただ、そういう意味においては、先ほど、スリーSが大事だ、基準にしていくと言いましたけれども、基本的に、どの原子力協定においてもスリーSというものをベースにしていかなくてはいけないというふうに思っているわけでありますけれども、そこは契約の中でしっかりと詰めて、そして安全性を高めていく、事故のないような形にしていくという確認が、私は、お互いの国に真剣に求められるし、相手側がどの国を選ぶか、どのパートナーを選ぶかというときにも、その点が極めて重要になることではないかと思います。

田嶋大臣政務官 経済産業省からも御答弁申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国際事業であれ国内事業であれ、事業にはリスクがつきものでございますので、起きてから慌てるよりも、事前にどういうような対策をとるかということが極めて大事でございますが、まず、こういった国際案件に関しましては、輸出相手国におけるリスクにつきまして、利用者からの保険料で運営している貿易保険、いわゆるNEXIの保険がございます。これはかなり広範囲なカバーをいたしまして、事業リスク、それからいわゆるカントリーリスク、自然災害等に関しましてのカバーを一定の条件のもとで行っている。これは、融資に関しても、投資に関してもカバーを行っているということでございます。

 また、一般に、国がリスクを引き受ける場合には、産業政策や地球環境対策、資源確保といった国益と国民負担とのバランスを勘案しつつ、国民に対する説明責任を果たした上で行うということが必要であるというふうに一般的には言えると思います。

 あわせて、海外での案件であればさまざまリスクが増幅されるわけでございますが、そのリスクを低めるべく、相手国との適切な責任分担等について、案件の形成段階から相手国側に働きかけて行うことが重要でございまして、よく契約書というのは仲が悪くなったときのために書くものだという話も聞きますけれども、やはりいろいろな想定、いろいろな最悪な事態、どういうことが起きるかということを想定しながら、しっかりと契約書によって責任分界点を決めて、何を相手が責任をとってくれるか、こちらが責任を負うのかということを明確にすることが、いろいろな意味での将来のリスクあるいはトラブル、法的訴訟の回避につながるというふうに思っております。

 以上です。

服部委員 結局、私も三十三年間、製造メーカーで働いてきたんですけれども、必ずミスは起こるんです、必ず事故も起こる。海外のプラントでも、実際に図面を書いたりするのは三菱さんであり東芝さんかもしれないけれども、末端で仕事をするのは現地の労働者なんですね。だから、施工の問題もあります。これを管理するというのは大変なことなんですよ。

 ですから、これはフィンランドの例ですけれども、三千億、四千億で受注したものが一兆円もかかるようなことだって現実に起きているわけですから、そこに日本の税金がどんどんつぎ込まれるというようなことになったら大変なことですから、ここはよほどしっかりと考えていただかないと大変なことになるということを、私の実感として申し上げておきたいと思います。

 そこで、この原子力協定ですけれども、ヨルダンにしてもベトナムにしても非核兵器国ということになるわけですが、インドは核兵器国ですよね、しかもNPTにも加盟をしていない。インドとの原子力協定がいろいろ検討されているというふうにお聞きしているわけです。

 これも資料として配付をさせていただきましたが、広島市長と長崎市長が、インドとの原子力協定について即刻中止しろ、我が国がインドの核兵器保有を容認することになる、あるいはNPT体制の崩壊にもつながりかねず、核兵器廃絶を進める上で極めて重大な支障となるのではないか、そういうことをおっしゃっているわけです。

 裏ページに、岡田前外務大臣が、インドが核実験するならば協力は停止するということをおっしゃり、前原大臣も、これは十月の記者会見ですか、私もそれを継承した形で交渉に臨んでほしいということについて御見解を述べられておりますけれども、その考え方というのは今もお変わりないということで理解してよろしいでしょうか。

前原国務大臣 先般、シン・インド首相が来られたときに、私からこの考え方は強く申し上げたところであります。シン首相からは、核実験をすることはない、こういうお話がございましたけれども、仮に核実験が行われた場合には、我が国からの協力については停止をいたします。

服部委員 わかりました。

 このヨルダン協定の中にも、これは十二条ですか、日本またはヨルダン政府が核実験、核爆発装置を爆発させる場合にはこの協定は破棄するんだということが書かれておるわけですけれども、こういった条項をインドの協定の中にも入れるという理解でいいんですね。

前原国務大臣 現在、日印の原子力協定の交渉中でございますので、中身については詳細は差し控えたいと思いますけれども、先ほど委員に対してお答えをした基本的な考え方、基本的にはというふうに申し上げた基本的な考え方はしっかりと盛り込んでいくための努力は今しているところでございます。

服部委員 ありがとうございます。ぜひ、その方向でよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 これは、日本の被爆国としての責務であるし、世界に核廃絶を訴える、ダブルスタンダードをつくってはいけないというふうに思っているからであります。

 日本とオーストラリアとのACSAについて質問する時間がなくなってしまったんですが、武器弾薬の提供についてはしないということがこの協定に書かれているわけですが、先ほど、副大臣の回答ですか、武器弾薬の提供について、融通がきかないからしないんだというような趣旨の答弁が午前中にあったように思うんですね。要するに、お互いの武器弾薬が融通がきかないから、そういうふうにおっしゃったと思うんですが、そうじゃないんですね。だったら、ちょっと議事録をまた確認していただければと思うんですが、あくまで武器輸出三原則との関係で武器弾薬は提供しないという考えでいいわけですね、当然。

前原国務大臣 武器弾薬は、今服部委員が言われたように、提供の対象から除外しております。銃とかあるいは火器等の戦闘行為において直接人の殺傷その他の武力行使の手段として用いられる物品については提供されません。

 今回提供される物品役務の一部は、軍用航空機や軍用車両の部品とか構成品と言われるもので、今委員が御指摘のように、前述の協定上の武器には当たりませんが、いわゆる武器輸出三原則等における武器等に該当するものも含まれるのは事実であります。ただし、先ほど委員がおっしゃった理念についてはそのとおりだと御理解をいただければ結構だと思います。

服部委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、武器輸出三原則の武器等のことについて、官房長官談話で、対象としないということなんですが、ACSAをいろいろな国と今後締結するという動きがある中で、例えばインド軍と締結するとかいうことをどんどん広げて、例外、例外ということになると、それこそ武器輸出三原則も穴だらけになってしまう、そういう懸念を申し上げて、質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小平委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小平委員長 これより各件に対する討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、四条約、協定に反対の討論を行います。

 日本・ヨルダン原子力協定は、現在ヨルダンが進める原子力発電所建設計画に日本企業が参加し、関連機器の輸出や技術供与など、積極的な原子力ビジネス展開を可能とするための法的枠組みを整備するもので、経済産業省が推進する原子力立国計画の一環として打ち出されたものであります。

 政府は、ことし六月の新成長戦略でも原発などのインフラ輸出を重要な柱の一つに位置づけていますが、これは、原発の重大事故が頻発する中で、技術的に安全性が未確立な原発への依存を一層深めるばかりか、国内外で安全を軽視した原発の新増設を推進するものであり、反対です。

 次に、日本・オランダ租税条約、日本・スイス租税条約改定議定書は、両国に展開する日本の多国籍企業とその海外子会社が、条約上の特典である源泉地国課税の減免税を享受するだけでなく、国内のタックスヘイブン税制や外国子会社配当益金不算入制度等とともに、大企業優遇税制を拡大強化するものにほかなりません。日本の多国籍企業の国際競争力強化を名目にしたこのような優遇措置には反対であります。

 最後に、日豪物品役務提供協定、ACSAは、自衛隊が海外で他国の軍隊とともに活動することを前提に、他国の軍隊との間で物品役務を相互に提供し合う仕組みを構築するものであります。他国との軍事協力を拡大し、自衛隊の海外活動の範囲を広げて派兵体制を拡大強化することは、憲法九条を一層踏みにじるものであり、断じて許されません。

 米国は、この間、対テロ戦争やイラク戦争などで同盟の役割を求め、日豪両国は対米支援を強めてきました。政府は、本協定の締結理由として、海外で活動する自衛隊と豪州軍の協力機会の増加を挙げていますが、それは、米国の軍事戦略、同盟戦略を支援してきた結果にほかなりません。

 日豪ACSAは、両国の軍事協力の範囲を拡大することによって、米国との同盟を軸に日米豪三カ国の軍事協力体制を強化しようとするものであり、武器輸出三原則の形骸化にもつながるものです。こうしたアジアと世界の平和の流れに逆行する協定には反対であります。

 以上で、討論を終わります。

小平委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小平委員長 これより採決に入ります。

 まず、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオランダ王国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小平委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時八分散会


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