衆議院

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第17号 平成23年8月24日(水曜日)

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平成二十三年八月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小平 忠正君

   理事 大泉ひろこ君 理事 吉良 州司君

   理事 首藤 信彦君 理事 長島 昭久君

   理事 西村智奈美君 理事 秋葉 賢也君

   理事 小野寺五典君 理事 赤松 正雄君

      浅野 貴博君    井戸まさえ君

      勝又恒一郎君   木村たけつか君

      菊田真紀子君    阪口 直人君

      道休誠一郎君    中津川博郷君

      中野  譲君    中林美恵子君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    河井 克行君

      河野 太郎君    高村 正彦君

      高木  毅君    笠井  亮君

      服部 良一君

    …………………………………

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   参考人

   (社団法人日本原子力産業協会理事長)       服部 拓也君

   参考人

   (国際環境経済研究所所長)            澤  昭裕君

   参考人

   (元日本原子力研究所研究員)           青柳 長紀君

   参考人

   (「環境・持続社会」研究センター理事)      田辺 有輝君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月十七日

 辞任         補欠選任

  稲津  久君     赤松 正雄君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  山尾志桜里君     井戸まさえ君

  山花 郁夫君     木村たけつか君

  松野 博一君     高木  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     山尾志桜里君

  木村たけつか君    山花 郁夫君

  高木  毅君     松野 博一君

同日

 理事稲津久君同月十七日委員辞任につき、その補欠として赤松正雄君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

八月二十二日

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二三一九号)

 不当に拘束されているウイグル人ジャーナリスト解放に向けて中国政府に対して日本国政府からの働きかけを求めることに関する請願(古屋圭司君紹介)(第二三六四号)

同月二十四日

 普天間基地の無条件返還を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五四五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二五四六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 参考人出頭要求に関する件

 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一四号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

小平委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に赤松正雄君を指名いたします。

     ――――◇―――――

小平委員長 次に、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とヨルダン・ハシェミット王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、参考人として社団法人日本原子力産業協会理事長服部拓也君、国際環境経済研究所所長澤昭裕君、元日本原子力研究所研究員青柳長紀君、「環境・持続社会」研究センター理事田辺有輝君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小平委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、服部参考人、澤参考人、青柳参考人、田辺参考人の順序で、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御了承ください。

 それでは、最初に服部参考人にお願いいたします。

服部参考人 原子力産業協会の理事長をやっております服部でございます。

 皆さんのお手元に「原子力産業の国際展開」という資料をお配りしておりますので、これに沿いましてお話を申し上げたいと思います。全部で五枚ぐらいありますので、手短にやりたいと思います。

 まず、福島原子力発電所の事故がございまして、その後、世界がどのように動いているかということをざっと見てみたいと思います。

 まず行われておりますのは、それぞれの国が持っている原子力発電所の安全性の確認ということが行われております。このやり方でございますが、括弧の中にありますように、一応、運転継続ということを前提として既存炉の安全確認をやっているということでございます。

 まず、IAEAという場でさまざまな議論が行われておりますが、六月二十日から二十四日にかけまして閣僚級会合というのが行われまして、この福島の問題について、世界でこの問題をどう取り扱っていくのかということが議論されまして、原子力発電所の安全基準の強化という方向で一致しておりまして、その具体的な中身は、この九月に行われます総会の場で改めて議論されるということになっております。

 それから、EUでございますけれども、これは、EU二十七カ国のうちの十四カ国で原子力発電所、合計百四十三基持っておりますけれども、いわゆるストレステストというものを始めております。これは六月一日からスタートしております。

 それから、米国あるいはロシアというようなところにつきましては、それぞれが独自に自国内のプラントの安全性の確認を行っている。基本的には、ストレステストと同じような方向で検討、確認をしているところでございます。

 それから、原子力政策という観点で見ますと、原子力を進めておりますいわゆる先進国、米国、フランス、英国などでございます、それから新興国と言われているロシア、中国、インドなど、それから、これから原子力発電所を始めようとするいわゆる新規導入国と呼んでおりますけれども、アラブ首長国連邦であるとかベトナム、トルコ、サウジアラビア、ヨルダン、ポーランドなどは、引き続き原子力の開発推進政策というものを維持していこうという方向を打ち出しております。

 ただし、一部の国におきましては、脱原子力政策というものを決定しております。具体的には、例えばドイツであり、イタリアであり、あるいはスイスといったところでございます。

 次のページに参りまして、そのような中で世界が日本に対してどういう期待を持っているか、あるいは要望、要請といったところでございます。

 まず、福島の事故につきまして、これをきっちり片をつけてほしいということでございます。そのために、福島の事故に関連する情報をしっかり提供してほしいということ。それから、事故の収束をやってほしい。事故の収束というのは、炉周りだけではなくて、そのほかの、除染だとか、そういうものも含めてのことでございます。

 それから、福島で得られました教訓をできるだけ世界で共有をして、これを世界の原子力発電所の安全性の向上に生かしていくということで、世界じゅうが協力をして最高水準の原子力発電所をつくっていこうということで一致しております。

 それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、原子力発電所をつくっていこうという、原子力政策を維持している国が多うございまして、それらの国々から、日本の技術力あるいはノウハウを自分たちの計画に生かしていきたいということで、これらを提供してほしいという要望、要請が出されております。これは主として新規導入国でありますけれども、先進国におきましても、日本でしかできない部分がありますので、そういう部分について、日本がこれからもそういう役割をしっかり担ってほしいという要請が寄せられております。

 どういう点が日本の強みと言われているところかと申し上げますと、一つは物づくりのところでございます。

 高品質、高信頼度の機器を供給する能力を日本が持っているということで、例えば、よく言われておりますが、北海道にあります日本製鋼所というところで大型の鍛造品、鍛鋼品をつくる能力、これは日本しかできないと言ってもいいようなところでございます。それから、計測制御と言われている、いわゆる神経に当たるところでございますが、この辺も日本が非常に実績を持っているところでございます。

 それから、耐震設計の技術。もう一つは、プロジェクトマネジメントといいまして、オンタイム、ウイズインバジェットと書いてございますが、建設をするに当たって、時間どおり、予算内で仕上げる、そういう能力というのは日本はたけております。それから、運転、保守に関する技術の支援だとか、人材育成、法整備、PAなどの基盤整備というようなところについて、日本から支援をしてもらいたいという要請があります。

 そういう要請にこたえていくことがどういう意味を持つのかということが次のページでありまして、国際展開の意義ということで整理をしておりますが、これは二つの視点から整理をしております。一つは世界への貢献、もう一つが我が国としての意義ということでございます。

 世界への貢献の意味では、一つは、エネルギーの安定供給ということを各国が重要な施策として大きく進めておりますけれども、それに対して日本が貢献をする。

 それから、これと同時に、地球温暖化対策という観点でも、原子力発電所は温室効果ガスを出さないという観点から非常に大きく期待されているところでございまして、そういう観点からも貢献できる。

 それから、そういうことでエネルギーの安定供給ができれば、それだけ地域の安定あるいは国の発展に大いに寄与するという点でございます。

 それから、核不拡散体制の維持強化と書いてございますが、日本はこれまで平和利用に徹してまいりました。厳格な保障措置を適用して、非核兵器国として唯一、再処理あるいは濃縮を許されているといいますか、そういうことをやってまいりました。そういう核不拡散の保障措置といいますか、そういうものの技術開発も相当進めておりますので、そういうものをしっかり適用していく。

 それから、先ほど申し上げました世界最高水準の原子力、事故を起こしましたけれども、その経験を踏まえて、しっかりと安全性を向上するような炉をこれからつくってまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 それから、我が国としての意義につきましては、国内産業、輸出というようなことができれば、雇用の確保あるいは産業の空洞化に対しても対応できるということ、それから技術力の維持向上にも資するというようなところでございます。

 それで、次に参りまして、産業界の取り組み、これまで産業界としてどういう取り組みをしてきたかということでございますが、まず、海外展開に対する基本的な考え方でございます。

 大きくグリーンで書いておりますが、一つは、いわゆるスリーS、核不拡散、原子力安全、核セキュリティーというものをしっかり確保するということ。それから、ハードとソフトをパッケージとして輸出していく、いわゆるシステム輸出というものをやる。それから、メーカー、電力、ゼネコン、こういう日本の産業界が一体となって取り組んでいくというようなことでございます。

 それで、具体的に、例えばベトナムの例で申し上げますと、これまで人材育成、法整備、PAなどの基盤整備に努力してまいりました。十年以上の実績がございます。それから、FS、フィージビリティースタディーの実施の支援をしたり、これをしっかりやっていくために新しい体制を整備したりしたところでございます。

 そういう中で、一部、国に対しても要望しておりまして、今回の議論にありますような二国間の原子力協定の早期締結ということもございますが、そのほかにも、国としてリーダーシップを持ってやっていただきたいということで、これは既に国が取り組んでいただいているところでございます。

 最後に、本件のヨルダンの原子力の開発計画のところでございますけれども、ヨルダンという国は中東の小さな国でありますけれども、エネルギー資源に乏しいということから、原子力をやっていこうということで、百万キロ級を一基つくる計画がございます。

 そういう中で、日本に対して大いなる期待を持っておりまして、先ほど申し上げました日本の持っている技術力、あるいは人材育成というようなところにも取り組んでいる中で、日本からもこれを支援してもらいたいということ。それから、ヨルダンという国は地震国でありまして、耐震設計に大変関心があるといいますか、安全性という観点から、日本の耐震設計技術、あるいは、先ほど申し上げましたプロジェクトマネジメントのようなところから品質管理技術というようなところに大変関心があるということでございまして、現在、ヨルダンに対して、日仏連合、ロシア、カナダ、この三つが競合している状況でございまして、日本といたしましては、日仏連合、フランスのアレバ社と日本の三菱重工が組んで、改良型の加圧水炉アトメア1というものを提案しているところでございます。

 そんなことで、ヨルダンのプロジェクトを日本としても全面的に支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 一点ちょっと訂正があるので、申しわけございません、今申し上げているところの六ページのところでございますが、エネルギー事情と書いているところの二行目に、ウラン資源を有する、括弧しまして世界第八位と書いてございますが、世界第十一位でございます。ちょっと慌ててつくったものですから、訂正をさせていただきます。世界八位を十一位に変えていただきたいと思います。これは、年々データが変わっておりますので、この時点でのということでございますので、余り大きな意味はないのでございますけれども。

 以上でございます。ありがとうございました。

小平委員長 ありがとうございました。

 次に、澤参考人にお願いいたします。

澤参考人 おはようございます。国際環境経済研究所の澤です。よろしくお願いします。

 お手元にお配りした資料、「エネルギー政策の見直しに向けて」というペーパーがございます。きょうは原子力協定ということなので、原子力にメーンに話を当てながらエネルギー政策全般のお話をしたいと思います。

 まず第一枚目でございますけれども、エネルギー政策の見直しの論点、いろいろな論点がありますが、次の三つに集約されるかと思います。一つは、エネルギーの量の安定供給の確保、二番目に、エネルギーを供給する責任主体はだれか、そしてそのときのコストの負担はどうするのか、三つ目に、エネルギー産業をどう再編していくのか、この三つが大きな論点かと思います。

 政策を立案あるいは実施する責任を持つ政府としてのお願いしたいところはこの三つでございまして、自然エネルギー、期待が高まっているところで、二〇%をいつにするかという話がメーンでお話しされていますが、国民全体の経済、生活の観点からすれば、むしろ残りの八〇%をどういうふうに確保していくのか、こちらの方が重要な論点だと考えております。

 二番目に、政府は七月二十九日だったかに今後の需給見通しを発表されていますが、二年以内の短期しか示されておりません。さらに、エネルギーの基本計画、これはまた二〇三〇年というえらい先の話になります。特に、企業を経営する立場からすれば、今後の投資計画とかあるいは雇用計画、こういうものを決めようと思えば、ここ三年から五年先、ここに電力供給がちゃんと信頼できるようなものが出てくるのかどうか、これが大きな要因になってこようかと思います。それに引きかえ、今流れている情報というのはそういうところが欠如しているという問題がございます。

 三番目は飛ばしまして、こういうことから、安全確保を前提としながらも、やはり原発の再稼働、この問題は、日本経済あるいは生活の安定のためには不可避ではないかというふうに考えているところでございます。

 二ページ目、裏返していただいて、発電電力量の推移というのがございます。

 実は、原子力を開発してきた大きな理由というのは、一九七三年当時のこの棒グラフを見ていただければ、ほとんどが、七割以上が石油火力で発電をされてきたわけであります。このときのオイルショックの大きな教訓が脱石油。今脱原発と言われていますが、脱石油。このときに、日本はエネルギー自給率が非常に低いものですから、何を選択していくのか、これは大きな議論をしたわけであります。その結果、原子力の部分がまず第一の選択肢として選ばれ、第二の選択肢としてLNGが選ばれ、その政策は三十年、四十年のリードタイムを経て、ようやく原子力三割、LNG三割、こういう電源の多様化まで結びついたというのがエネルギー政策の根幹でございます。

 逆に言えば、今、新エネ一・一%という、二〇〇九年の一番上の方に赤いポツがありますが、これがここ数年で原子力の三〇%を全部リプレースできるかというと、現実上やはり不可能であるということから、今後原子力をどういうふうにしていくかということについて、余り性急に、感情的に議論をしない方がいいのではないかと思っております。

 その下、エネルギー自給率を見ていただくと、エネルギー自給率の低い国、下の方の国は、やはりこの黄色の部分の原子力というのを重要なオプションとして取り入れているという実情がおわかりになるかと思います。

 次の右上のページに行きますけれども、そのときのコスト、この問題は、今後政府の委員会で白紙から見直されると聞いておりますが、地球環境産業技術研究機構、RITEがことしの五月に出した数字がこれでございます。いわゆる原子力五円、六円というのは余りに低過ぎるという話がありますが、これは今の時点で更地で見直した数字でありまして、原子力は八円から十三円という、五、六円よりはもちろん高くなっているわけですが、風力や太陽光に比べればまだ一日の長がある。

 今後、安全対策などで多分お金がかかってくるとは思いますが、原子力が大規模電源であること、つまり、生涯で発電電力量がどれぐらいたくさんできるか、この分母の方が大きいがゆえに、上に分子で乗ってくるコストが随分ふえても、やはりその経済性というのは保てるというのが原子力の特徴でございます。

 その下でございますが、そういうことに着目をして、今後世界の中で原子力発電をつくっていこうというのは、特に新興国、中国、インド、東南アジア、こういう今経済発展が進んでいる国が大きな計画を持っております。そういう中で、日本が仮にこういう国に原子力の技術を供与しなくても、どこかほかの国がこういう国にどんどん出ていってしまう。そういうことであれば、先ほどの服部参考人のお話じゃないですが、日本の技術力あるいは生産力というものを、むしろ世界の安全のために役立てていった方がいいのではないかというふうに考えております。

 最後のページの論点、まとめでございますけれども、原子力について三つのメリットがございます。エネルギーの安全保障、二番目に経済性、三番目にCO2を出さないという環境性であります。

 特に一の安全保障については、やはり大規模電源であるということがあって、量的な安定供給に、太陽光や風力に比べれば数十倍の大きさで寄与ができる。二番目の経済性、先ほど述べませんでしたが、実はLNGとか石炭とか、今後日本が買っていかなきゃいけない、その量がふえていく中で、原子力というものがあることによって、むしろ化石燃料の値段を下げる交渉ができてきたわけです。それが脱原発と言ってしまうと、むしろその交渉カードさえなくしかねないということが心配されるわけであります。

 以上のことで、私自身の考えとしては、原子力は選択肢としてやはり残しておくべきであり、さらに、それをだれがどういう形で運営していくかということについては、例の国有化の議論もありまして、国有化か民営のままか、そういう議論は多分必要だとは思いますけれども、いずれにしましても、原子力の技術というものがなくなってしまえば、今後、原子力を運営していくことさえできなくなる、あるいは世界の安全に対しても寄与できなくなる、この点は非常に慎重に、前向きに考えていただきたいと思っております。

 そのときのポイントとして、三つ挙げてございます。

 原子力発電のリスク分担、これが今の原賠法の形では、金融機関も地元も心配、国が逃げてしまうんじゃないかというふうに思われがちなので、原賠法の中で国と事業者が共同で責任を負っていくという分担の仕方をする必要があろうかと思います。

 二番目に、技術、人材、生産力の維持改善とありますが、何しろ、技術者あるいは技術力を確保するためには技術の現場が必要であります。そういう意味では、生産基地あるいはそれを運営していく発電所が日本の国内にあることが必須だと思っております。

 三番目に、福島の教訓を踏まえた国際貢献ということですが、これは各国から非常に期待されているものだと考えております。

 そういう意味で、原子力の産業力と我が国の安全保障全体が密接に関連しているという認識の上で御審議いただければと思います。

 以上でございます。

小平委員長 ありがとうございました。

 次に、青柳参考人にお願いいたします。

青柳参考人 元日本原子力研究所で研究員をしておりました青柳でございます。

 きょうお話しすることについて、まず第一点につきましては、福島原発の事故の経験を踏まえまして、今後どういうふうに原子力を発展させていったらいいのかという問題点から、この協定についての見方をお話ししたいと思います。

 実際に、福島の第一原発で起こった事故がまだ、現時点では収束はおろか、第一ステップでも必ずしも十分な達成がされていないような状態であります。ほぼ第二ステップ、来年一月まであるような状態でありますので、今回の事故が起こった内容について、どれほど具体的に事故の内容が検討され、その経験が今後の原子力の安全に関して生かしていけるかという点においては、まだ十分生かされない状態であると思います。実際に事故調査・検証委員会の事故原因の究明も今始まったばかりでありまして、その委員会の検討も、ようやく当事者を呼んで聞くというような状態になっております。

 それから第二番目に、大きい問題としましては、これから原子炉を輸出していくということになりますと、現在起こった福島原発に対してどのように今後その原子炉が生かされていくのかという問題点から見ますと、再稼働の基準になります二段階のストレステスト、これはほかのところもやっておりますが、これもまだ、実施するということで、始まったばかりで、検討がなされるという段階であります。これが基本的には原子炉の再稼働になるわけですけれども、そういう意味からいきますと、現在の原発の現状から見まして、原子炉を輸出するというような段階から考えますと、十分安全が確認されたというような状況にはなっておらないと思います。それを踏まえてどう生かすかという経過を経た後にやはり問題になるという点を考慮していただきたいと思います。

 それから第三番目には、原発の過酷事故対策ですね。今回の事故は大変大きな社会的影響、そして世界的にも大きな衝撃を与えたわけですけれども、そういう中で見ますと、例えば今回、日本はIAEAに対して報告書を出しておりますが、そこでは五つのグループの大きな教訓を述べております。こういうようなものを、具体的に今後の原子炉開発の中でどうやって今の現存炉に対して生かしていくかということも課題でありますし、さらに、大きな問題としましては、既にチェルノブイリの事故後行いましたIAEAのさまざまの過酷事故に対する処置の経験やそこのまとめに対しても、日本の場合はまだ十分生かせていないだろうと思います。

 例えば、そのようなことが端的にあらわれますものは、日本の行政機関である経済産業省内に保安院があるということのような、いわゆる自律的な規制が十分されていないというような例が示すように、これは条約の中では、相手国の中にはそういう制度はちゃんとなっているというようなことからいいますと、むしろヨルダンの協定そのものでは都合がいいのかもしれませんが、我が国から見れば、そういう問題が十分原子力の中に生かされていないという重大な欠陥があるわけであります。

 それからもう一つは、建設中ですとか新たに設置される原子炉が今後輸出される、いわゆる第三世代と言われるようなものに近い原子炉でありますが、そういうようなものが輸出されるということになりますと、やはり日本で現在建設中とか新たに建設されている原発の安全審査の問題がございまして、これは原子力安全委員会も言っておりますように、現在の基本設計から始めまして、立地指針及び基本設計指針その他耐震設計指針、さまざまのものを全面的に今見直している段階でございます。

 これを経まして、現在の原発がどれほどの安全が確保できるのかというのを再審査しなければならない状態。これは、建設中のものに関してももちろんですが、今後出されるものについては改めてそこでやらなきゃならない、こういう段階になりますから、この観点からいきましても、現状において、輸出される原子炉が、安全が国内において担保されているというような状態にはとても至らないというふうに思います。

 それからもう一点、基本的な、これは私個人の考え方かもしれませんが、やはり今の原発は軽水炉が特に中心ですが、いわゆる過酷事故、今回起こりましたように、強大な社会的影響を及ぼすような事故が防げるかどうか、これが一つの大きな原子力の基本であります。この点に関しては、残念ながら現状において過酷事故を完全に防げるような状況になっていない、まだ技術的には完全に確立したとは言えない原子炉が現在世界的に共通のものです。

 その中で日本のものは進んでいるというふうにおっしゃいますけれども、それは必ずしもそうではない。第三世代のものに関しては、やはりこれからすべて検証されなければならない問題になっております。

 チェルノブイリ事故のときに、そういう経験を踏まえまして、固有安全炉なんという特別な原子炉、いわゆる過酷事故などが起きないようにつくろうとしましたが、残念ながら、そういうようなものはまだ現実になり得るような段階にはなっていないというふうに思います。

 そういうようなことを考えますと、今直ちに原子炉を輸出するということは、安全上、国際的な信用を十分保てない状態で輸出するという現実的な問題になりますので、この協定を結ぶこと自身が大変時期尚早であるというふうに私は思います。やはりこれは日本国内の審議を経た後に行っていくべきであろうと思います。

 それから、協定の内容そのものについて若干お話ししたいと思いますが、やはり三つ問題があると思います。

 一つは、輸出の基準としまして、いわゆる核不拡散条約体制を十分踏まえて、核不拡散条約を基本的に守った政策をやるということに関しましては、私は、例えば今回のさまざまの国に対する協定の中で、日本の基本的な考え方がきちんとしていないであろうというふうに思います。その最大のものは、核不拡散条約に未加入であるインドとの協定の問題です。それから、それに対する追加的保障措置の問題であります。

 こういうふうな問題を踏まえまして、それを具体的にどういう基準で各国に適用していくのかということについて、非常に相手国の便宜のままで日本はやっているということで、これはやはり国際的な信用を失うことであると思います。

 それから、極端に言いますと、原子力供給国グループ、NSGの協定での制限というふうなことがインドに対して行われるようなことを言っておられますが、これだけでは基本的な制限ないしは相手国に対する十分な規制には全くならないというふうに思います。基本的には、核兵器国そのものの中に制限を加えていくという考え方の中では、余りにもこれは弱いものであるというふうに私は考えております。

 それから、あと二点ですが、今回の福島の原発の状況から見ますと、これは社会的に大変大きな影響、経済的な大きなダメージを与えますので、国際的な点で見ますと、安全規制の問題に対する一致をやらなければならない。

 国際条約の履行の問題に関しましては、御存じのように、日本の政府が、必ずしもIAEAの過酷事故対策に対する履行は完全に守れるような状況になっていない。ですから、残念ながら、日本の場合も勧告を受ける程度の状態でありますから、この四つの協定を、どこまで履行して、きちんと相手国が自国において安全を保てるかということを見きわめるための検証が十分必要であると思います。そういう点に関しては、やはり、ただ四つの条約がそろっているからいいというような考え方では私はいけないと思います。

 それから、原子力損害賠償の問題についても、ここには外務省から出された資料が十分ありますが、三国に、三つの問題、システムがありますけれども、必ずしもそれは、補償の額が非常に小さいわけですし、国際的に共通しない部分もあります。ですから、今後、小国が原子力を実際やるとか、または過密な、陸続きの国家がやるという場合に、その補償の問題に関しては、やはり国際的に統一された補償体制をとれるような状況へ持っていかないといけない。特に、中東ですとかそういうような国々に対してもそうですし、例えば中国とかベトナムに対してもそうですけれども、そういうふうな問題に関して、きちんとやはり確立しなきゃならない。

 そういう点からいいますと、日本はほとんどこの状態を、もちろん経済力があるからという観点があるのかもしれないですが、されていないということで、逆に、海外へ輸出するのであれば、きちんとした補償をつけるべきであるというふうに思います。

 以上で終わります。

小平委員長 ありがとうございました。

 次に、田辺参考人にお願いいたします。

田辺参考人 「環境・持続社会」研究センター、JACSESの田辺有輝と申します。

 本日は、お手元の「ヨルダンへの原発輸出の問題点」という資料をもとにお話をさせていただきたいと思います。

 結論から申し上げますと、私はもともと、そもそも原発輸出をこれから積極的に推進していくべきではないと考えておりますが、仮に原発輸出をするにしても、ヨルダンの現状の計画の立地それから条件で行うということの妥当性はかなり低いのではないかというふうに思っております。そのような視点から、八点ほど、ヨルダンの原発の問題について申し上げたいと思います。

 まず第一点目ですが、私はこれは一番驚きだったわけですが、立地の問題です。

 原発、軽水炉というのは基本的に大量の水を使用しますので、海岸とか河川、大規模な河川のわきに建てるというのが通常設置する場所であります。ところが、現在予定されているマジダルというところは世界有数の乾燥地の内陸部でありまして、小規模な河川はありますが、大規模な河川はありません、海岸でもありません。そのような場所なので、慢性的な水不足に見舞われている土地であります。

 そのため、計画では、下水処理場を拡張して、その水を冷却水に使用するということが予定されております。仮に、何らかの影響でこの下水処理場の水が供給できなくなった場合に、例えば福島の事故では海水を利用しましたが、このような事故が起こった場合に対処できるのかどうかということが非常に懸念されております。

 それから第二点目ですが、先ほど服部さんからちょっとお話がありましたが、ヨルダンは地震のリスクを抱える国であります。

 福島事故においては、原発本体の地震による影響というのはまだ調査中ではありますが、少なくとも送電線の鉄塔は地震によって倒れたわけですね。原発そのものだけではなくて、周辺のインフラが地震に耐えられる設計になっているかということは非常に重要な点であります。この原発においては、送電線ということもありますが、下水処理場を使うということでありますので、この下水処理場がきちっと耐震性が行われているかどうかというところは非常に大きなものになります。

 それから第三点目ですが、これも非常に驚いた点でありますが、原発立地の周辺の人口が余りに多いということであります。

 人口約百二十万人の首都アンマンが四十キロ圏内にある。それから、人口八十万人のヨルダン第二の都市で、工場の五〇%が集中するザルカというところが十五キロの位置にあります。これは、福島の事故でいまだに二十キロ圏内を立入禁止にしている国が、このような十五キロで人口八十万人が住むところに原発立地を支援しようというところはやはり問題ではないか。

 さらに、原発予定地の下流域でありますが、これは、野菜や果実の一大生産地であるヨルダン渓谷のかんがい地域、同国における農業の中心地であります、そこが広がっております。福島では大量の排水を海に流しましたが、これが起こった場合に影響ははかり知れないものということになる。やはり福島の事故の経験が生かされていないのではないかというふうに考えております。

 第四点目に、テロの危険性であります。

 一般的に、原発というのはテロの危険性というのが言われますが、特に同国においては武器がかなり広まっている、ロケット弾や爆弾などの武器が広まっている地域である、それから、パレスチナ問題の火種がいまだにくすぶっている地域であるというところであります。

 格納容器は割と頑丈につくられているので、もしかしたらロケット弾で壊れない可能性もありますが、ただし、いろいろな周辺のパイプライン、パイプですとかそれから下水処理場等原発の運転に不可欠な施設がすべて、このような爆破とかテロに対する防御が完全にできるかどうかというところは非常に重要な点でございます。

 それから第五点目に、ヨルダンの経済の脆弱性があると思います。

 ヨルダンの一人当たりの年間所得というのはいまだに三十万円程度です。依然として外国の援助に依存している国であります。外務省のウエブサイトによりますと、非常に経済に脆弱性があるということが指摘されております。所得格差や貧困、それから慢性的な財政ギャップがあるというふうに外務省も書いています。

 このような国で果たして電気料金を徴収して回収できるのか。それから、JBICが多額の融資を行ったときに、それを回収できるのか。それから、例えばアメリカなんかでは、原発は経済的に不利として約三十年間建設されていないわけですが、これが果たして経済的にフィージブルなものなのかどうかというところはあると思います。

 加えて、原発事故が発生した場合、日本でもいまだに財政的にはかなり厳しい状況にあります。このような小さな国は、財政的に致命的な影響があるというふうに言えるのではないかと思います。

 六点目は、使用済み燃料の処分であります。

 これは日本でもいまだに処分方法は決まっておらず、いずれ大問題になってくると思いますが、ヨルダンにつくる場合には、この問題をきちっと計画した上でやっていくべきではないかと思います、もし仮にやるのであればということですが。

 それから、七点目でありますが、情報公開、市民参加の点であります。

 一月以降、中東各地で民主化を求める抗議行動が頻繁に起こっておりまして、ヨルダンにおいても起こっております。この半年間、原発反対に関する抗議行動というのも活発化しているという中で、報道の中では福島事故においても言及されているというところで、このような社会的な抗議行動が拡大していくのであれば、社会的な不安を起こす不安定要因になるのではないかという懸念もありますので、非常に注視すべき問題ではないかと思っています。

 それから最後に、八点目ですが、再生可能エネルギーの代替策が十分潜在力がある国であるということであります。

 これはジェトロが指摘していることですが、太陽熱発電と風力発電の潜在力がかなり高いということをジェトロ自身が言っておりますので、これは、原発の代替案としては十分にある国ではないかというふうに思っています。

 最後に、このヨルダンへの原発輸出をするのであれば、これらの問題をきちんとクリアしていく必要性があると思います。特に、福島事故で悲惨な影響を受けた我が国においては、その経験に基づいて、リスクを適切に把握して、危険性の高いものには支援をしないという選択肢も必要ではないかというふうに思っております。

 以上であります。

小平委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

小平委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阪口直人君。

阪口委員 民主党の阪口直人でございます。

 きょうは、先生方、本当に忙しい中お越しいただき、大変貴重な御意見をいただきましたことをまずはお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 さて、私自身、原発の輸出に関しては、みずから高いハードルを設けるべきであると考えています。相手国との信義、国際約束は守っていかなくてはなりませんが、しかし、福島第一原発の事故そして事故処理は、いまだに進行中でございます。ストレステストの結果を初めとするさまざまな情報を明らかにするとともに、原発の技術だけではなく、地球の未来、そして人間の安全と命を守るための最高レベルの安全対策をパッケージで輸出していく、このことが私は最低条件であると考えています。

 また、中長期的に原発輸出を続けていくのかどうか、さらなる議論が必要だと思います。

 福島第一原発の事故があったからこその貢献をしていく、我々はこういう共通の認識を持った上でこの原発の輸出を考えていかなくてはいけない、そういった考えに基づいて質問させていただきたいと思います。

 まず、田辺先生にお伺いをしたいと思います。

 今御説明いただきましたように、原発予定地のマジダルは、冷却水確保に大変困難な乾燥地帯、内陸部の立地にあるということでございます。下水処理場を拡張して、処理水を冷却水に使うとのことですが、いろいろとお伺いをした中で、世界的にも、こういった立地、すなわち海や大規模な河川に面していない場所にある原発というのは、アリゾナ州に一例あるだけと伺っております。ここは大体十五日分の水が確保できる貯水池があるということですが、地震のリスクであるとかあるいはテロ、こういった危険性を考えると、私も本当にこの立地については考え直す必要がある、あるいは、相当な対策を講じることをそれこそパッケージにしていかなければいけないと考えているんですが、この点について、御意見あるいは御提言があればお伺いをしたいと思います。

田辺参考人 阪口先生、ありがとうございます。

 阪口先生がおっしゃったように、私も把握する限り、下水処理場を使う原発というのは、アリゾナ州のパロベルデ原発というのが一例あるのみでございます。

 そして、この原発において、仮に下水処理場から水の供給が停止した場合に、フルで運転している場合に、近くの給水池から水を供給するわけですが、そのストックがわずか十五日分であるということですので、福島事故で大量の海水を使用してきたわけですが、そのような事故が起こった場合に、このアリゾナ州においても難しいわけですし、仮に同様の規模でヨルダンにつくるとしたら非常に危険であるというふうに思います。

 わずか一例、世界に五百基原発があるわけで、わずか一カ所ということ自体がそもそもやはり危険が大きいと言わざるを得ないのかなと思っております。

阪口委員 ありがとうございます。

 場所に関しては、当初は、比較的アカバ湾に近いところ、でもこれも四十キロぐらい距離があるというふうに聞いておりますが、そこから現在の地点に変更になったというような経緯も伺っております。

 私は、輸出する場合も、これはやはりもう少し場所を……(発言する者あり)反対というよりは慎重な意見です。少なくとも場所をより安全な場所に変更する、こういった働きかけを我々の責任としてやっていくことも必要なんじゃないかと思うんですが、この点について御意見をいただきたいと思います。ほかの先生方でも構いません。

服部参考人 ありがとうございます。

 私は、たまたま福島事故の直前にヨルダンに行く機会がございまして、せっかくな機会でございますので、予定されているサイトを見てまいりました。それを見まして、その後に、このヨルダンの計画の責任者であるトゥーカーンさんという原子力委員長、それから資源エネルギー大臣とお会いしまして、現場を見たときの感想といいますか、私の意見を申し上げました。

 今御指摘の点は、最初に私も事前に聞いておりましても、本当にそんなことが可能なのかどうか、私自身も今まで経験がなかったものですから、そういう点をしっかり見てこようと思って見ました。

 確かに、下水処理場、処理能力は一日に二十万立米を超えるぐらいの大変大きな処理場でございますが、やり方としては、そこで処理した水を、大きな池をつくりましてそこにためる、こういうやり方は世界で幾つかの例がございます。川の水をくみ上げて大きなポンドにためて、それでそこを循環している間に自然冷却をされて、それでまたもとに戻ってくるということでございますので、先ほど十五日間云々という話がございましたけれども、もっと大量の水をそこに保有することは可能だと思います。

 それからもう一つは、ヨルダンの場合には、近くにダムがあるものですから、そこから水をくみ上げるというようなことも可能だと思いますので、そういう設計も考える必要があると思います。

 いずれにいたしましても、水の確保についてはしっかりやる必要があるということを私から大臣の方にも申し上げました。これは、通常運転の場合の冷却と、それから安全上の必要な水、この二種類ありますので、これをしっかり確認する必要があると申し上げまして、これからそういう設計をしっかりやっていくということになろうかと思います。

 以上でございます。

阪口委員 ありがとうございます。

 今いただいた説明では、私は、本当に事故が起こったときのリスク管理になるのかどうかということが明快ではないんじゃないかと思います。通常の場合は、そういったいわゆるオルタナティブがあれば対応できるのかもしれませんが、先ほど田辺先生がおっしゃったようなさまざまな危険性が想定される中で、例えば、下水処理場の機能自体がトラブルに見舞われた場合、あるいはそのダム、これは世界でも乾燥地帯なわけですから、そのダムがうまく機能しなかった場合、本当にこの安全を守れるのかということについては、私は、今説明を伺う限りでは、疑問に思っています。

 そういった意味では、私は、やはり場所の変更も含めて、最初に申し上げたように、世界最高レベルの安全が担保できるような手だてを我々としてもしていくことが大事ではないか、このように考えております。

 次に、青柳先生が被害の補償、賠償についてお話しになりました。お聞きしたいと思います。

 日本は、国境を越えた被害の損害賠償訴訟を事故発生国で行うことを定めた国際条約には加盟をしていません。したがって、例えば外国人から提訴された場合、日本国内で裁判ができないということがございます。

 これは、一つは、原発の安全神話を前提に、大規模事故を想定していなかったこともその原因ではないかと私は個人的には思っています。また、どの国が加盟国かによって日本にとってのメリット、デメリットが変わってくるので、方針を定めることが難しかったということもあるかと思います。

 ただ、仮に原発を輸出した場合に、事故の可能性というものがゼロではないとすれば、その際の備えについても万全を期す必要があると思うので、この賠償のあり方、また条約の加盟について、先ほど御意見をいただきましたが、もう少し踏み込んで御説明をいただければと思います。

青柳参考人 おっしゃいますように、今現在考えられている補償の限界、これは、日本の場合にも補償の限界があるのと同じように、結局は国家的に補償しなければならないような大きなものになるということは明確なわけでありまして、そういうことになりますと、小国の予算が少ない国家ではそれがとてもできない場合、それを提供した国が道義的な責任を負うという点において、私は大変であるだろうと。

 そういうことになりますと、例えば中国ですとかインドみたいな大きい国は別にしましても、こういう小国が、ヨーロッパなんかにありますけれども、実際に事故を起こして大きな影響を及ぼしたならば、その周りの国に対する影響まで含めまして国際的に補償しなければならないというふうなことを考えないと、実際には、原発は世界どこにでも輸出すればいいというようなことには絶対にならないと思いますので、そういう点でも、各国の原発の協定そのものをそういう観点から見直す必要があるというふうに思います。

 それから、先ほど田辺参考人が御指摘されたようなことに関して、私も全面的にこの問題は大切だと思います。特に、耐震設計の問題に関しましては、やはり日本においても全面的に見直さなきゃならない。実際には、基準地震動なんかの評価の問題で根本的に今見直す必要があるということになっております。

 そういうようなことを考えますと、安全審査そのものを通すために、相手国の問題であるからいいといいましても、国内で通らないようなものを海外で設計するわけにはいきませんから、そういうような点に関しましてきちんと見直しが終わった後に、相手国に対する具体的な、ターンキーで輸出するような内容の原子炉に関してはやらなければ絶対にまずいと思います。これが、枠だけとっておくとかいうような、そういう概念で協定を結んだらとんでもないことになりますので、受注して、受注契約を受けて、社会的な影響までを考慮した輸出をされるのであるならば、私は、ここで田辺さんが指摘されましたことはあらゆる点において正しいことではないかと思いますので、見直しをすべきであると思います。

阪口委員 ありがとうございます。

 さまざまな厳しい意見、また高い見識を先生方からいただいたことをしっかりと受けとめて、私は、本当に世界最高レベルの安全対策、これをパッケージにすることが最低条件である、そういった覚悟を持ってこの件について議論をしていかなくてはいけないということを私の意見として申し上げて、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

小平委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、参考人の皆様、大変お忙しい中、当委員会においでをいただきまして、本当に限られた時間ではございましたけれども、大変貴重な御意見をちょうだいしましたことに、心より御礼と感謝を申し上げたいと存じます。

 今の与党側の質問でも、何かしら、この協定の締結にはまだ時期尚早ではないのかといった前提に立ったような質問だったなというふうに思っております。従来でいえば、やはり福島第一原発の事故が起こるまでは、日本が、ある意味では世界の中で最もリードしている、こう思われてきた原子力の日本での取り組みでございましたけれども、あれだけの大事故を受けまして、国内では、ある意味では脱原発というよりも、少なくとも減原発の方向にかじが切られつつある。しかし、海外には日本の原子力を輸出していこうというような、国民の中では、政府の取り組みは矛盾しているんじゃないか、こういう指摘が大変強くございます。そういう文脈から、きょうは、それぞれの先生方に、推進の必要性あるいは見直しの必要性ということで、幾つかの論拠も示しながら御議論があったわけでございます。

 政府は、公式的には、国際的な原子力協定のあり方については、東京電力福島原子力発電所における事故の調査、それから検証委員会が行っている事故原因、こうした調査、それからIAEAにおける原子力安全への取り組みの強化の検討の状況を踏まえつつ、できるだけ早い時期に我が国としての考え方を取りまとめるというふうにしておりまして、今回のいわば事故の結果が、なぜああいう事故につながったのかというのはまだ出ていないわけですね。今後どうするのかという国内での取り組みも、まだ答えが出ていないわけです。そういう中で多国間との間での協定だけは進めていこう、こういうのが今の現況ではないかと思っております。

 そこで、まず各参考人に冒頭お伺いをさせていただきたいと存じます。

 国際的な原子力協定のあり方について、国内でこれから見直しをするんだということでまだ答えが出ていない中で、今回あるいは今後も含めて、これからの多国間との原子力協定をどう進めていけばいいのか、あるいは今後政府が取りまとめるであろういわばこの考え方についてどういった方向性が打ち出されるべきなのか、それぞれの参考人の皆さんに屈託のない御意見を冒頭伺っておきたいと存じます。

服部参考人 秋葉先生、ありがとうございます。

 確かに、福島の事故があって、現在、日本国それから国際的にも見直しの途上にあります。ただ、見直しの内容につきましては、基本的な方向性というのは、ある程度もう出ておりまして、それがストレステストの中身であったり、あるいは日本国で、国の方から指示をされている安全強化策というようなところが出ております。それのベースになる安全基準という観点、それを、今の基準では、今やっているようなさまざまな見直しというのは出てこないんですね。したがって、その今やっていることを引き出すような基準を、しっかりもう一回再構築しようということをやっているところでございまして、やろうとしていることについては、ほとんど世界じゅうで方向的には一致しておりますし、それほど、とんでもない結論が出るというふうには思っておりません。

 したがいまして、そういうものを先取りしながら、世界最高水準というものに十分合致するような、そういうものに合うようなものを私どもとしてはやっていきたいし、もちろん、その途中の段階で新たな知見が出てくれば、それをどんどん取り入れてやっていきたいというふうに考えているところでございます。

澤参考人 エネルギー政策あるいはエネルギー源を何にするかというのは、各国の一番根源的な国家主権だというふうに思っていますし、また、日本もそうだったと思います。そういう中で、先ほどプレゼンでも申し上げたように、途上国の中で、原子力の計画をどんどん進めていく、この事故があってもその方針は変わらないという国が多々あるわけであります。

 この原子力協定というのは、私は余り詳しいわけではないんですけれども、少なくともこれで輸出の商談が何か決まるというわけではなくて、それをするためのインフラとしての取り決めだろうと思います。個別の商談あるいは個別のサイトについては今後いろいろ議論があろうかと思いますけれども、そういう、途上国がどんどんとふやしていこうとするさなか、日本の技術以外の、他国の技術もやはりそこに市場として入ってこようとしていることは間違いないわけであります。そういう中で、日本の技術者が持っている安全基準として、その安全の最高水準というものを日本もそこに提示する、そういう機会自体がなければ、途上国も選択肢を失ってしまうわけであります。

 そういう意味では、私は、おっしゃったその安全基準についての考え方の整理などは必要かと思いますけれども、原子力協定が、今、だからやめておくべきだというような結論にはすぐには至らないと思っております。

青柳参考人 私は、どういう展望があるかということに関して言いますと、やはり基本的には、個々の形で、ターンキーのような形で輸出していくというようなことは、実際には非常にまずいであろう、不可能であろうというふうに思います。相手国に対して責任を持つという意味で言うならば、見直しだけが基本であるだけでなく、やはり我が国がエネルギー政策として原子力から何がしかの政策の転換を図ろうというようなことがある場合には、その産業自身がどういうふうに今後発展させていけるのかということが明確にならない限りにおいては、やはり世界最高水準の技術に到達するというようなことはあり得ないというふうに思います。

 これは、逆に世界的に見ますと、もしそこで海外に輸出したものが事故でも起こしましたら、日本の信用を、最大の信用を落とすという結果になりますので、私は、基本的には、やはり現在の原子力をターンキーの形でそのまま輸出していくような協定を考えるというのは大変まずいと思いますので、その点からまず考え直していただきたいというふうに思います。

 それから、さまざまの基準を適用するというような問題に関しましても、やはり日本国内の安全審査がきちんと通らないようなものを海外には出せないという観点から見ましても、先ほどから繰り返しになりますが、やはり今の段階で輸出というようなことを考えるのは、それも具体的なメーカーを指定して、原子力を供給する共同体がそれを提供するというような形での提供は、基本的に見直すべきであろうというふうに思っております。

田辺参考人 先ほど若干説明をさせていただきましたが、やはり冷却水の確保、それから周辺人口の大きさから考えても、この二つだけをとっても、現在の予定しているプラントが福島の教訓から学んでいないのではないかというふうに考えております。

 さらに申し上げれば、原発の市場が果たしてこの先拡大していくのかどうかという点であります。現在、世界に約五百基、原発がありますが、これは、ほとんど七〇年代、八〇年代に年間二十基、三十基といったスピードで運転開始していったものです。九〇年代以降は年間五基、数基程度の増加ということになっておりまして、足元、若干減少しているというのが原発のマーケットの段階ですね。仮に新興国で多少ふえるとしても、この基を維持するには、世界で年間三十基程度、これから増設していかなければマーケットは縮小していくということになります。

 非常にレッドオーシャン化した、非常に過酷な、韓国なんかは運転保証を長期つけているといったようなうわさも聞こえてきますが、非常に過酷な市場に国家のリソースを投入していくということが、果たして非常に有利な競争を行えるのかどうかという観点もあるかと思います。

秋葉委員 ありがとうございました。それぞれの参考人の知見をお示しいただきました。

 本当に、ある意味では世界一安全だと言われていた我が国の原発事故を受けて、今後どうするのかということ。まず、その出発点になるのは、やはり徹底した原因の究明だと思います。それが新しい対策にもつながってくるわけでございます。

 これまでの原子力行政について国民の不信が最も強いのは、いわば政府が本当に正しい情報を提供しているんだろうかということに対する国民の不信、不安というものは大変大きなものがございます。

 そういう中で、今、政府もこの事故調査あるいは検証委員会というもの、結局は従来のスキームのとおり政府内の中で検討してやっていく、調査してやっていくんだということの対応なわけでございますが、私ども自由民主党では一歩踏み込んで、これまで政府内に設置されていたこうした一連の調査委員会等を国会に設置しようじゃないか、そしてその独立性を高めた委員会を設置して、その委員の任命に当たっても国会の同意事項にしよう、そして、やはりこれまで日本が進めてきた原子力行政の安全性をより担保していこうじゃないか、こういった前向きな観点から、政府内ではなくて国会の中で、国会の設置事項にしていこう、国会に設置して報告をさせていこう、こういう法案を今出しているところでございます。

 直接、原子力協定とは関係ありませんけれども、これまでの我が国の原子力行政に対する情報公開のあり方とあわせて、今後のこの事故調査委員会、従来のとおり政府内の設置でいいのか、あるいは、我が党が提案しているように国会に設置をしてより客観性を担保していくべきだと思われるのか、この二点についてお伺いをしたいと思います。すべての参考人の皆さんにお答えをいただければと存じます。

田辺参考人 質問をもう一度お願いできますか。済みません、聞き漏らしてしまいました。

秋葉委員 今、政府は、今回の福島原発の事故調査というものについて、事故調査・検証委員会というところで調査をするんだということで進めております。我が党は、政府内にそういう調査機関を置くんじゃなくて、独立した機関として政府の外に調査機関を置いた方がいいんじゃないかということを、今、法案をつくって提案しているんですね。そして、そこの調査委員会の委員は国会の同意人事にして、より客観性を担保した方が国民に対して責任を果たしていくことになるんじゃないかということで、今提案をさせていただいております。なぜかといいますと、従来は政府内にそういう機関があって、ほかに委員を委嘱していても、政府と一体になって癒着しているんじゃないかとか情報隠しがあるんじゃないか、こういう国民の疑念が強いので、そういう法案を出しております。

 ですから、これまでの情報公開のあり方と、これからのそれの打開策としてどのように考えられるかということを、参考人の皆さんにお伺いをさせていただければと思います。

小平委員長 ちょっと待ってください。

 秋葉委員、時間が余りありませんけれども、各参考人に……(秋葉委員「簡潔に」と呼ぶ)では、簡潔に御意見をお願いいたします。

田辺参考人 安全性において独立性が欠如したのではないかというのは、まさに福島の事故を通して、そのとおりだと思います。

 一言申し上げれば、原子力の輸出に関しても、やはり経産省が今審査をすることになっておりますが、果たしてこれでいいのかどうかというところはあると思います。国会議員の皆様に御検討いただければと思います。

青柳参考人 私は、行政機関としての規制機能を十分持つという意味では、独立した規制機関が必要でありますし、当然であると思います。

 ですから、これは経済産業省から独立させるというのは当然で、やはりそれを強化するということが大切でありますけれども、同時に、国会がいろいろな審査権をお持ちになりまして、そういうことを検討し、勧告を与えるという意味においては、国会内においてもそういう審査ができるような委員会ないしは責任を持った委員会がしかるべく持たれて当然であると思います。

 これは、アメリカあたりでも当然でありますが……

小平委員長 簡潔にお願いいたします。簡潔に。

青柳参考人 議会がそういうことを持たれれば大変よろしいと思います。

澤参考人 行政が自分の責任で自分で調査する、それも必要ですし、それをダブルチェックする国会の機能というのもやはり必要だと思います。

 唯一、一点だけ言えば、責任追及の場にしないというところが一番重要かと思います。

服部参考人 まず、情報公開につきましては、私は必ずしも十分じゃないというふうに思っておりまして、わかりやすさ、それからタイムリネス、この二点が十分ではないというふうに感じております。

 それから、調査委員会の関係でございますけれども、スリーマイルアイランドの事故の後に、アメリカではケメニー委員会というのがございまして、これは今回の委員会をつくるに当たっても大いに参考にされたと聞いておりますけれども、これが一つの下敷きになるんじゃないかと思っております。

 もう一点、私があえて申し上げようと思いますのは、国際的な視点をどう入れていくか。原子力というのは日本国内だけでは閉じませんので、そういう形をどういうふうにこれからとっていくのかというのが重要かというふうに思っております。

 以上であります。

秋葉委員 どうも、限られた時間の中、参考人の皆さんには改めて御礼を申し上げまして、私の質疑を終わりにさせていただきます。

 きょうは本当にありがとうございました。

小平委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 四人の参考人の皆さん、きょうは本当にありがとうございました。時間が余りありませんので、すぐ質問に入ります。

 まず、青柳参考人にお伺いします。

 先ほど、こういったヨルダンとの原子力協定、これは時期尚早である、時期尚早という言葉を使われました。では、どういう時期が来たら、例えばヨルダンとの原子力協定、何か一定の時期が来たらこういうものは進めていいというお考えなんでしょうか。

青柳参考人 私の言葉の使い方が大変悪かった部分はあると思いますが、時期が尚早という意味ではなくて、やはり私が先ほど述べましたように、協定そのものにおいて、現在の段階では不適当であるということだけでなく、そういうターンキーのようなもので輸出するということ自身に私は賛成できないという点がありますから、そういうふうに御理解いただくのがいいと思います。

 では、しからばどういう時期にというふうにおっしゃいましたので言いますと、例えば、やはり私は、先ほど言いましたように、軽水炉そのものの過酷事故の問題がありますので、新たな原発の設計そのものから考えなければならないだろうというふうに思っております。

赤松(正)委員 田辺参考人にお聞きします。

 先ほど、詳細にわたって、実質的には七つでしょうか、八つ目はちょっと性格が違いますから。七つの項目を挙げて、ヨルダンへの原発輸出は問題がある、こうおっしゃいました。これを全部否定しますと、ひっくり返しますと、例えば冷却水確保はできる、あるいは地震リスクはない、周辺人口も甚大な事故影響もない、テロもない、全部七つのことを否定した形になると輸出していいんでしょうか。

田辺参考人 少なくとも、論理的にはそのとおりです。ただし、これは相当ハードルが高いと私は思っております。

赤松(正)委員 今お二方にお聞きしたのは、お二方とも原子力発電所そのものに対して否定的な見方をしておられるのではないか、こういうふうに思ったから今のような質問をしてみました。恐らくそうだろうと思うんです。

 次に、澤参考人にお聞きしたいのは、さっき、原子力協定は余り詳しくないという、珍しく弱気なことを言われましたけれども、それでは困るのでありまして、先ほど来議論になっております、例えば、いい例ですが、田辺さんが挙げたこうした項目。さっき、発展途上国においての国家の主権に非常にかかわるエネルギー政策というのは重要なものである、私もそういうふうな考え方をとっております。ただ、一般論としてそういうことは言えると思いますが、今ヨルダンという固有の相手国について、ここにいらっしゃる参考人が、このようなことがあるじゃないか、こう指摘をされていることに対して、澤参考人はどう思われますか。

澤参考人 原子力の協定においてといいますか、原子力の安全については、選択も国家主権なんですけれども、安全の確認においてもその国がすべきことだと思うんですね。ですから、逆に言えば、その国が安全かどうかを確認する中で、日本の知恵が欲しい、あるいは経験が知りたいというときに日本がそれを示せる、それのインフラになるのがこの協定だと思っておりますので、今の、ヨルダンにこういう状況があるじゃないかというのは、むしろヨルダン政府に言ってあげる話なので、我々の判断の根拠になるとは思っていません。

赤松(正)委員 服部参考人にお伺いいたします。

 ヨルダンについて、中東地域にあるこういう国家、先ほどの当初の御説明の中で、国際展開の意義として、核不拡散体制の維持強化ということがありました。非常に大事な視点だと思いますけれども、このヨルダンについて、そういう原子力の平和利用という観点だけではなくて、軍事的利用への転換、こういうことに対する懸念というものは全くないとお考えでしょうか。

服部参考人 確かにそういう点は、ヨルダンという地理的な位置、私の資料にもありますように、周りはイスラエル、シリア、イラク、サウジアラビアと隣接をしている。大変微妙なといいますか、地域でありますけれども、この国自身は非常に安定した国でございまして、原子力輸出ということを考える場合には、相手国の政治的な安定性それから地政学的な安定性といいますか、そういう点を十分考慮しつつ、それから、今の軍事転用につきましては、これは核不拡散の要求といいますか、その中で十分カバーされるというふうに考えております。

赤松(正)委員 それでは、四人の皆さんにそれぞれお伺いいたしたいと思います。大体の皆さんの考え方の方向性はわかっているつもりですが、さらに細かくお聞きしたいと思います。

 といいますのは、エネルギー政策、とりわけ原子力発電所をめぐって国民世論というのは、今、大きく分かれていると思います。そういう状況の中で、私は、大胆にというか、だれが考えても多分こういうふうになるんだろうと思うんですが、四つほど類型があると思います。その類型のうち、どれかということを、御自身が薦めたい、依存している考え方はこうだということを言っていただきたいと思うんです。

 一つは、いわゆる脱原発依存。原発に依存していくということをやめよう。これは、直ちにゼロ、直ちに原発をなくしていく。いわゆる、わかりやすく脱原発依存型、これが第一項目です。

 二つ目は、段階的原発依存解消。段階を追ってゼロにしていく。段階を追って一〇%か二〇%にとめるのではなくて、段階を追って原発依存を解消していく、ゼロにしていくべきだという考え方、これが二つ目。

 三つ目は、私の造語ですが、すみ分け原発依存。つまり、ゼロにはできない。さっき澤参考人が、このいっときに感情的にならない方がいいとおっしゃっていましたけれども、今が約三〇%なら二〇%ぐらいにすみ分け、ほかのエネルギーとのすみ分けをして原発依存にしていくべきだ、原発依存は温存すべきだ、そういう考え方が三つ目。

 四つ目が、当然のことですが、安全に留意して、安全性をさらに高めるという格好で、安全留意型原発依存。現在の三〇%、場合によったら、安全性がさらに高まっていったら、もちろんそれ以上を目指していっていいんだ、そういう安全留意型原発依存。

 この四つのうち、自分はどれだということを、済みません、二十八分が試合終了なもので、お一人一分ずつでよろしくお願いいたします。

澤参考人 先生おっしゃっていただいたようにというか、三番目のすみ分けが一番近いと思いますが、別の私の言葉で言うと多様化、電源は多様化しておかなければリスクヘッジができない、これがオイルショック以降の日本の一番の政策の根本ですので、これは今も変わっていないと思います。なので三番を選ばせていただきたいと思います。

青柳参考人 これは、聞かれたあれからいくと、各政党や何かの考え方にもあれされると思いますけれども、私は、やはり原発が基本的には過酷事故に耐えられないというふうなことを考えますと、原発は漸次減らしていくべきであるというのが基本的な考え方であると思います。私は、直ちに今停止すべきであるというふうには考えておりません。

赤松(正)委員 それでは、それは二ということでよろしいですね。段階的ということでよろしいですね。

青柳参考人 ええ、そうですね。言葉で言うとそういうふうなことになると思います。

田辺参考人 私も二ですが、一点申し上げるとすると、放射性廃棄物の処分で行き詰まって一にならないようにしないといけないなと。エネルギーの安全保障上、この放射性廃棄物の、今後非常に問題になってきますので、そこが行き詰まる可能性があるということを若干申し上げておきたいと思います。

服部参考人 私は、いずれの選択肢をとるにしても、原子力の技術力を維持するということが大事だというふうに思っておりまして、その前提の上で、私自身としては四を考えておりますけれども、これはあくまでも国民の理解と信頼と支持がなければここには行きませんので、それを進めつつということでございます。条件つきであります。

赤松(正)委員 的確なお答えをいただきまして、ありがとうございました。

 終わります。

小平委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮でございます。

 きょうは、四人の参考人の方々、貴重な御意見ありがとうございました。

 まず、服部参考人に伺いたいと思いますが、先ほど来のやりとりの中で、事故は起こしてしまったが世界最高水準の安全性を確保して輸出するんだ、それから、日本の技術力、ノウハウということを生かしてということをおっしゃいました。

 ただ、私伺っていて、福島の東電の事故について言うと、やはりこの事故というのが、大気中や海中への放射性物質の拡散でいうと、日本国内はもちろんですが、海外へも重大な影響を及ぼして、そして、その中で、東電と原子力産業界そして政府の重大な責任が問われていると思うんですね。

 率直に伺います。服部参考人は、御経歴を拝見していても、福島第一原発の所長もされて、そして、東電の中でも副社長あるいは原子力の副本部長という重職を担われてこられたわけですが、今回の事故は、本当にいまだに数万人の方々がいつ戻れるかという状況、収束もしていない。率直に言って、そういう場におられて、やってこられて、我が党としても、地震、津波が起こったら大変だよという警告もさせていただいたんですが、にもかかわらず、こういうことになっていることについての、どういうふうに感じていらっしゃるか。反省といいますか、どのように受けとめていらっしゃるかについて伺いたいと思います。

服部参考人 先生の御指摘のとおりでございまして、私自身の経歴から申し上げて、もう九九%、私のキャリアといいますのは原子力にかかわってまいりました。その中で、東京電力の経歴が一番長いわけでございますけれども、その過程の中で、今回のような事故を起こしてしまったということについては、これは地震、津波ということはございますけれども、それであっても、想定外ということは原子力の場合には許されないわけでございます、事故の性格からいって。そういうことになってしまったことについては大いに反省をしているところでございます。

 特に、私自身、福島の勤務を大分長くやりましたので、そういう観点から、福島の地元の皆さんが、まさに生活を破壊され、コミュニティーを破壊され、今非常に苦しい生活をやっておられることについて、大変私は申しわけない気持ちでいっぱいでございます。

笠井委員 となれば、まだ原因も究明されていない中で外国に出すという話は、これまた安全神話を繰り返すことになるんじゃないかと率直に私は思います。

 もう一つ伺いたいのですが、原発事故の持つ危険性については、ほかの事故とも違うということが非常に今回国民的にも明らかになりました。

 業界としてもどれだけ認識されていたのかということでいいますと、政府はかつて、自民党時代ですが、一度だけ、一九六〇年に、東海村で五十万キロワットの原発が重大事故を起こした際の被害想定というのを行ったというのがあります。ここに、当時のマル秘の文書でありますが、大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算というのを一回出した。これは二百四十四ページにも上る詳細なレポートで、数百人の死者、数千人の放射能の障害者、四百万人の放射能被害による要観察者が生じ得る、損害額は当時の日本の国家予算の二倍以上で三兆七千三百億円に上るということで、余りに衝撃的だったので、当時政府は内容を隠してしまって、公式に認めたのが四十年近くたって後でした。

 服部参考人に伺いたいのは、実は、このレポートを当時の科技庁が依頼をして、日本原子力産業協会の前身である日本原子力産業会議自身が調べて出したレポートだったわけですが、この作成した当事者である当時の原子力業界は、このレポートの結果についてどう受けとめていたのか。そして、福島事故がありましたが、そうした原発事故の危険について、今どう受けとめているのか、このことについて伺いたいと思います。

服部参考人 お答えいたしたいと思いますが、今のレポートについては、実は私、まだ会社におった時代のことでございまして、その詳細については存じておりませんので、コメントは差し控えたいといいますか、できない状況でございます。

 確かに、原子力の潜在的な危険性というのはとても大きい、これが原子力安全の基本的な考え方で、それがスタートになっております。これを、いわゆる深層防護という設計の思想と、それからそれをしっかり管理する、管理、いわゆるハードウエアとソフトと、その両方でそういう事故が顕在化しないようにするというのが原子力の基本的な考え方でございますけれども、そういうことで、ただ、そういう場合が起こった場合についてもしっかり勉強しておこうということでその当時やられたのだと思いますけれども、ただ、その当時は恐らく、まだスリーマイルアイランドの事故もなかった、チェルノブイリもなかったというようなことで、原子力の安全性について、どちらかといえば絶対安全というようなことが言われていた時代のレポートだと思いますので、そういうことで、恐らくそういう影響の大きさを考慮されたのではないかというふうに考えているところでございます。

 そういうことで、このレポートがどうだったかというようなことについては、今私が申し上げたようなことで、推定で申し上げることしかできないということをお許しいただきたいと思います。

笠井委員 一たん事故を起こせばコントロールできなくなって、空間的にも、時間的にも、社会的にも甚大な影響を及ぼす。当時もそういう予測もしていたし、現実にそのことが明らかになったのが今回の事故なわけで、そこのところをきちっとあれしないで外国には出していくなんていう話が安易に出てくる話というのは、これは大変なことになると思います。

 澤参考人に伺いたいと思うんですが、今後のエネルギーの政策見通しということでお話を伺いまして、私も、ここ数年ということでの単位ではなかなかそう言い切れないとは思うんですが、しかし、おっしゃったのは、再生可能エネルギーというのはなかなか原発に取ってかわることができないんだよというお話を伺いました。

 伺いたいのは、今回の福島の事故を踏まえて、原発そのものの持つ危険といいますか、リスクというか、事故が起こった場合のリスク、コストについてはどのように考えて、今後位置づけていくべきだというふうにお考えでしょうか。

澤参考人 先ほどプレゼンでも申し上げましたけれども、まさにそのリスクをどういうふうな形でだれが分担するかということについて、これまで議論があいまいだっただろうと思います。なので、今の原賠法についての国の責任、特に賠償責任についての位置づけがはっきりしない、そういう中でこの事故が起こってしまったわけで、今後、原子力を私が申し上げたように政策上位置づけていくとすれば、原子力賠償法において、民間あるいは国、これがどういうリスク分担をしていくのか、その議論は更地から始めなきゃいけないと思っています。

 したがって、だからやめるとかやめないとかということではなくて、これまでは政府が、地元にもあるいは金融機関にも、原子力のリスクが生じたら、それは国が何らかの形で責任を持つというふうな印象を与えてきた中でこの事故が起こって、結局、東電の賠償スキームを見ても、国が前面に立った形ではない形で法案が成立してしまっているわけです。

 ですから、そういう意味で、今後、原子力、私の申し上げているような政策案でいく限りにおいては、もう一度、リスクとコスト、おっしゃったコストの部分も含めて、どこがどういう形で、税金なのか、それとも電気料金なのか、そういうことも含めて議論をしていくべきだろうと思っています。

笠井委員 青柳参考人にお伺いしたいと思います。

 今のお話との関連もありますが、原子力発電と再生可能エネルギーの将来展望について、福島の事故ということも、経験も踏まえながらなんですけれども、どのように考えておられるか、伺いたいと思います。

青柳参考人 私は、経済的にどういうふうになるかということを計算するのには、いろいろな、さまざまな想定がされなきゃならないと思いますので、どちらが安くなるとか、どちらが高くなるというような問題ではなくて、世界的なトレンドとして見た場合にどういうふうになるかということをちょっと申したいと思います。

 一つは、例えば、米国の民間の機関であるワールドウオッチ研究所なんかのデータを見ますと、現在、世界的に見ますと原子力発電はやはり収れんしまして、今後収束していくのではないか、むしろ減っていくのではないかというふうに見られています。

 その理由としましては、では何が代替になるかというと、基本はやはり化石燃料が中心ではありますけれども、かわるべきものはやはり再生エネルギーないし自然エネルギーであるという流れが明確に出ております。それは、最近どんどん急激に自然エネルギーの方が、再生エネルギーがふえまして、今や原子力よりも、ふえる量からいきますと、昨年度からの傾向から見ますと、自然エネルギーの方がはるかに大きくなってきているというのが現在であります。

 それで、それに対しまして、今度は費用の観点からいきますと、これも、ある程度国際的なデータがありまして、やはり原子力は、いろいろな、さまざまなリスクを踏まえますと高くなりつつある。これが、いろいろな事故が起こるたびにリスクの評価は拡大していく。まさに、それはもう今や諸外国でも非常に負担が大きいんじゃないかというふうになっております。

 それに対して、やはり自然エネルギーの開発または再生エネルギーの開発は、これが爆発的に行われるならば、それなりの発展によって、効率的には非常に有効な、経済的にも有効なものになるということは明確なトレンドとしてあると思いますので、そういう観点から見ますと、やはり私は、現時点での計算がどうであるかということは別にしまして、そういう世界的な流れと今の科学や技術の流れの中で日本の選択を選ぶべきであるというふうに思います。

笠井委員 田辺参考人に伺いますが、先ほどヨルダンについて、どういう条件の国かということで、協定とのかかわりでも、原発を輸出した場合のいろいろな問題点を指摘されまして、私は共通して大事な指摘だったなというふうに伺ったんですけれども、要は、輸出しようというその考えの基本にあるのが、最初から福島のような事故は起こり得ない、いわば安全神話がここにもあるな、そういう前提に立っているから、これだけの条件があるところでも出そうという話があって、それが、事故前にそういう協定が結ばれたのが、事故が起こってもそのまま通してしまおうという話になっているんじゃないかと。つまり、基本的な思想、発想がそういうところにあるんじゃないかなというふうに受けとめたんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

田辺参考人 全くそのとおりだと思っております。

 今回、ヨルダンとの原子力協定なんですが、国会でこの協定が進んでしまえば、確かにその果てはJBICの融資ということになってきます。仮にこの安全性が問題で失敗した場合に、JBICにお金が返ってこない可能性もある、その点をきちんと検討すべきで、協定だからいいんだということではないというふうに思っています。

笠井委員 青柳参考人に、あと一言で結構ですが、この福島の事故を踏まえての、やはり本当に国会として、この協定審議に当たってどうしても考えておかなきゃいけない点について、お考えがあれば、短時間ですが、お答えをいただければと思います。

青柳参考人 私は日本原子力研究所に勤めておりまして、今まで三十数年間やっている中で、過酷事故、このような社会的な大きな影響を及ぼすような事故が起こるということは、当初から私は危惧しておりましたけれども、現在このような目の前に起こっていることを考えますと、やはり原子力というのは非常に重大な結果を生み出すものであるというふうに思っております。社会的に、こういう大きなものに関しては、やはり社会全体で、別のオプションとしてエネルギーを供給すべきものの内容に現時点での状態ではしなければならないというふうにつくづく思っております。

 残念ながら、そういう点からいいますと、今の進み方からでは、輸出というようなことが問題になるようなことは、やはり私は、現実的なことからしましては、絶対にそういうことにすべきことではないというふうに思っております。

笠井委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

小平委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。きょうは参考人の皆さん、御苦労さまです。

 特に、きょうは田辺参考人の問題点のレポートを見させていただいて、これはもう全くあり得ない選択だなということを改めて私は強い思いをいたしました。

 まず、原発の肝である水、これがいわゆる内陸の砂漠地に建設されるということで、水の確保が非常に厳しい。それから地震国であるということ、人口密集地の近くに建設されるということ、そしてテロの危険性。ヨルダンは安定だというような話もありましたけれども、その周辺国はまさに世界の火薬庫と言われている、そういう地域であるということ。それから、ヨルダンの経済の脆弱性からして、いわゆる資金回収の採算性が合うのかどうかという問題もあり、使用済み燃料の問題も非常にグレーだということを考えますと、ヨルダンに原発をつくるということ自身が本当にあり得ない選択ではないだろうかというふうに私は思います。

 私も機械メーカーで二十年間営業をやっていましたので、物を売るときは、必ず自分のいわゆる技術力と安心、安全性をどう売るか、これは一つの基本。そして、もう一つの基本は、顧客に対するリスクヘッジなんですね。資金回収の面もある、あるいは、そこに建設することによってどういうリスクが生まれてくるか。ここはやはりよっぽど真剣に考えていかないと、オール・ジャパンで、オール丸ごととんでもないことになってしまうということじゃないかというふうに思います。

 そこで、きょういろいろ議論されたわけですけれども、田辺参考人に、このヨルダンの地元での動き、福島の事故がどういうふうに受けとめられているかとか、反対運動も起こっているということなんですが、その辺の状況についてちょっとお聞きをしたいと思います。

田辺参考人 ヨルダンの地元の反応ですが、先ほど若干簡単に御紹介しましたが、一例を挙げると、例えば、六月には、原発建設中止を求めて、その地元の団体と環境NGOが共同で、首相府前で抗議行動を行ったということがあります。それから、つい先週も、これは地元の地方自治体の庁舎の前で、同じ地元の団体と環境NGOが共同で抗議行動が行われた。

 注意しなければいけないのは、これが、民主主義に若干制約がある国でこのような抗議行動が行われている。火種かもしれないけれども、今後、社会不安の要因になってくる可能性があるということだと言えます。

服部委員 ありがとうございます。

 先ほど水の問題で、服部参考人は福島の第一原子力発電所の所長もされていたということで、この冷却水の確保の問題というのは、今回の事故で大変な問題になっているわけですね。

 今回、ヨルダンの、最初は紅海に近いアカバというところに立地をされるということで、ここが、地震対策のコスト、あるいは送電ロス、あるいは海水の淡水化をしなければならないということで、そういったコストもあわせて、マジダルに変更になったというふうに聞いているわけです。

 水は、福島の場合、一次冷却水が確保できなくなって、それを海水に変えたという問題もありますし、当然、二次冷却水に大量の海水を使っているわけですね。福島第一原子力発電所を建設するときに、その海水の確保のために、わざわざ十数メーター地盤を下げて、レベルを下げて建設したということも指摘をされているわけです。

 こういった内陸の砂漠地に、先ほどのお話ですと、下水処理場からの水をプールして、一定程度、十分だみたいな感じのニュアンスで御返事されておりましたけれども、この福島第一原子力発電所の事故というものを受けて、地震で供給できなくなったということであるとか、あるいは、一たん事故が起きたら何カ月も水を注入しなければならない、そういう状況を踏まえた、本当に事故を受けとめての御見解なのかどうか、改めてお聞きをしたいと思います。

服部参考人 ありがとうございます。

 先ほどの私の説明が若干舌足らずだったのかもわかりませんけれども、原子力発電所なり火力発電所をつくる場合には、まず通常運転のケース、通常運転の場合には、これは一秒間に何十立米というとてつもない冷却水が必要です。これは、そういう大量の水が必要だということなので、海に面するか、あるいは大きな川に面するかというのがまず基本です。

 ただ、そういうところが必ずしもない場合には、川から水をくみ上げて、大きなポンド、これはもうとてつもない大きなポンドですけれども、先日、私がアメリカで見たポンドでは一周二十キロぐらい、大きな池をつくって、そこに水をためて、その水で常時冷却するわけです。そのときには、冷却塔をつけたり、いろいろなことをやりますけれども、その中が、一週間とか二週間ぐらいかけてようやくまたもとへ戻ってくるぐらい、それぐらいのとてつもない大きなポンドをつくるわけです。それで通常運転時の冷却をする、これはタービンを冷却するためのものです。

 これに加えて、今度は事故時の話をしますと、事故のときに原子炉に水を注入する必要があります。この量は、確かに多い量ではありますけれども、圧倒的に少ないです、通常運転時に使われる冷却水に比べますと。その水は、別途、安全上しっかり対策をしたポンドをつくって、そこに水をためておく必要がある。これは恐らく何十万立米とか、そのぐらいのオーダーのものになろうかと思いますけれども、そういう水をためておく。それは、しっかりと耐震設計をしてやっておけば、十分私は対応が可能だと思います。

 その水も、ためておくだけではだめだから、しっかり補給する必要がある。そのためには、例えば、ヨルダンの場合には小さなダムがありますから、そこから常時水をくみ上げてやる。その水をくみ上げるシステムも、しっかり耐震設計をしておけば、耐震設計あるいは事故に対する対応も十分可能だと思いますけれども、それらの詳細については、これから現地をしっかり見て、それでそういう設計を固めていくということになろうかと思っております。

服部委員 内陸の砂漠地で、そもそも住民の水も足らないぐらいの地域じゃないんですか、ここは。僕はよく知りませんけれどもね。

 田辺さん、その辺はどうですか。今の御説明は、私、全然納得できないんですが。

田辺参考人 この地域は世界でも有数の乾燥地でありまして、おっしゃるとおり、住民の水というのも十分に足りていないというのが実態です。正確なデータは、私、今持ち合わせてございません。

服部委員 先ほど、民主党の議員さんの中からも、この立地そのものをやはり見直しをする必要があるんじゃないかという御発言もありました。このヨルダン原子力協定の前提が崩れているんじゃないかなというふうに思いますし、こういう形で早急に原子力協定の採決に踏み込むということについては、改めて私は反対の意見を申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、今まで余り触れられていないことで、いわゆる使用済み核燃料の処理の問題。これは、実はベトナムの契約の中には、日本がそれを安全に保障するということで、一体それを、本当に保障するという、それは言葉は簡単ですけれども、日本ですら、どこをどう処分して貯蔵するかということが決まっていないような状況の中で、海外で発生する使用済み核燃料は一体どうなるのかという問題、これは極めて深刻ではないかというふうに思うわけです。

 そこで、各参考人にお尋ねをいたします。

 この使用済み核燃料の処理ということについて、例えば、もしヨルダンでそういったプラントが実際に動き始めて、一体どういう可能性があるのかということについて、知見ないし御意見があればよろしくお願いをしたいと思います。

青柳参考人 使用済み燃料の保管の問題ですが、最終処分という形になりますと、世界的にまだ全く確立されておりません。これは、例えばドイツなんかは割に進んでおりますが、アメリカ自身が、そういうことについても、最終処分の問題でもはっきりしていないというような段階ですし、世界的に見まして、ほとんどこれははっきりしておりません。見込みがないです。ないという意味は、めどがないです。ですから、これはやはり暫定保管という形になりまして、いわゆる中間貯蔵という概念が大体世界的に今共通の部分になっております。

 中間貯蔵というのは、要は自国において使用済み燃料を中期的に保存していくというような程度のこと、これはほとんどの国がそういうところへ収れんしていくであろうと思いまして、我が国においてもそれはまさにそのとおりでありまして、恐らく、どんどん出てくる使用済み燃料は、中間貯蔵する以外にないと思います。

田辺参考人 中間貯蔵を仮にヨルダンでやる場合、やはりここの地域の安全保障というのが非常に重要になってくると思います。この五十年間余りでも幾多の戦争がこの地域では行われておりますので、そしてテロも非常に多く発生しておりますので、貯蔵する場合に、その安全性というのが非常に大きな問題になってくると思います。

服部参考人 今、大体皆さんお答えになったと思いますけれども、使用済み燃料の管理という観点では幾つかの選択肢があるわけでございますけれども、事ヨルダンにつきましては、中間貯蔵を推奨するというのが最も妥当な方法だとも思っております。再処理、プルトニウム利用につきましては、この地域で推奨はできない。これは、世界的な、周辺地域も含めて理解が十分進まないと、そういう方向に進むのは適切じゃないというふうに思っております。

 ということで、五十年ないし百年といいますか、そのぐらいのオーダーで中間貯蔵をしていく。ただ、その際には、今、田辺参考人の方から御指摘がございましたけれども、テロ対策、あるいは保障措置といいますか、核不拡散の観点から十分な管理が必要だというふうに考えております。

澤参考人 もう皆さんおっしゃったとおりでございまして、私も今の服部参考人と同意見でございます。

服部委員 何か、聞けば聞くほど不安になっていくんですけれども。

 それで、先ほど、田辺参考人の方からJBICの問題を言われておりました。JBICの融資あるいは貿易保険の引き受けなど、手厚い支援策が講じられるということになるわけなんでしょうけれども、このような高リスク案件に官民一体で巨額を投資して取り組んで、本当に財政的、財務的にも大きなリスクを引き受けることにならないのか。個別企業もしかりですし、あるいは日本の財政的にも経済的にも、本当に投資に見合ったリターンというものが見込めるのか。とても見込めない、それ以上のリスクをかぶるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、その点について、もう一度お願いいたします。

田辺参考人 ヨルダンの原発においては幾らというのは出ていないんですが、福島の、震災の前にJBICが検討していたサウス・テキサス原発、アメリカの原発ですが、これは報道では三千億から四千億程度の融資がJBICから期待されていたとなっています。この額はJBICの資本金の約三割から四割に当たりますので、仮にこういった額が焦げついた場合、それは国民負担になっていくということで、非常に深刻な問題ではないかと思っております。

服部委員 一応また金曜日も議論があると思いますけれども、いずれにしても、きょうの参考人の御意見を聞いて、改めて、これはもうやめるべきだということを強く確信をいたしましたので、ぜひ、与党の皆さんにつきましても、もう一度原点に帰って、このあり方について御検討いただくようにお願い申し上げまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

小平委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 次回は、来る二十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十三分散会


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