衆議院

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第20号 平成26年6月11日(水曜日)

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平成二十六年六月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺  周君

   理事 小熊 慎司君 理事 上田  勇君

      井林 辰憲君    石原 宏高君

      大野敬太郎君    木原 誠二君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    今野 智博君

      島田 佳和君    渡海紀三朗君

      東郷 哲也君    中谷 真一君

      星野 剛士君    武藤 貴也君

      吉川  赳君    小川 淳也君

      玄葉光一郎君    辻元 清美君

      松本 剛明君    阪口 直人君

      村上 政俊君    岡本 三成君

      青柳陽一郎君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   外務副大臣        三ッ矢憲生君

   外務大臣政務官      石原 宏高君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣法制次長)

   (内閣法制局第一部長事務取扱)          近藤 正春君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 福島  章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 相川 一俊君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    上月 豊久君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    三好 真理君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 武内 良樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     大野敬太郎君

  河井 克行君     井林 辰憲君

  木原 誠二君     吉川  赳君

  小川 淳也君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     河井 克行君

  大野敬太郎君     中谷 真一君

  吉川  赳君     木原 誠二君

  辻元 清美君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     今野 智博君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     あべ 俊子君

    ―――――――――――――

六月十一日

 米軍輸送機オスプレイの配備撤回・低空飛行訓練の中止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一四二五号)

 普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一四二六号)

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五八〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五八一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五八二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五八三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五八四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五八五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五八六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五八七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアラブ首長国連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一五号)(参議院送付)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一六号)(参議院送付)

 所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一七号)(参議院送付)

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とオマーン国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一八号)(参議院送付)

 中国による西沙諸島をめぐる事態に対し自制を求める決議の件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアラブ首長国連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とオマーン国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官福島章君、大臣官房審議官山上信吾君、大臣官房参事官下川眞樹太君、大臣官房参事官相川一俊君、北米局長冨田浩司君、欧州局長上月豊久君、中東アフリカ局長上村司君、国際法局長石井正文君、領事局長三好真理君、内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣法制局内閣法制次長第一部長事務取扱近藤正春君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、大臣官房審議官武内良樹君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林鷹之君。

小林(鷹)委員 おはようございます。自由民主党の小林鷹之でございます。

 早速、租税条約についての質問に入らせていただきます。

 インターネットの急速な普及などを背景といたしまして、最近は、従来の租税条約の考え方では対応し切れない事例が生じているように思います。最たる例が、国境を越えた電子商取引の広がりだと考えております。

 OECDのモデル租税条約であれ我が国の租税条約であれ、現行では、事業所得については、恒久的施設、いわゆるPEが存在する場合に課税されることになっております。言いかえれば、PEなければ課税なし、そういう原則が存在する中で、PEがなくても利得が生じるケースが現実に生じてしまっている中で、政府としての対応方針をお聞かせいただきたいと思います。

相川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、租税条約では、外国法人に対して、国内にある恒久的施設、PEを通じて事業を行う場合にのみ租税を課すことができるとしておりますが、近年、国境を越えた電子商取引等において、インターネットを通じて、恒久的施設を持たずに販売、サービス提供等の事業活動を行うことが容易になりつつあります。

 こうした問題に関しまして、各国が協調して問題解決を図るために、二〇一二年にOECDにおいて、税源侵食と利益移転、BEPSと言われているものですが、このプロジェクトが立ち上げられております。現在、BEPSプロジェクトにおいて、先ほど申し上げました実態に鑑みまして、恒久的施設の定義の見直し等も含め、電子商取引に対する課税のあり方についての検討が進められております。

 政府といたしましては、このOECDにおける検討に積極的に参加、貢献していくことによりまして、適切な課税権の確保を図っていく考えでございます。また、今後の検討を踏まえまして、必要に応じまして既存の租税条約の改正にも取り組んでいく考えでございます。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 公平なビジネス環境を整備する観点からは、今申し上げた例を含めまして、現実に追いつくための迅速な対応が求められていると思います。

 今ございましたとおり、我が国の租税条約の改正のペース、これはせいぜい年間四、五本でございます。一方で、既に発効済みの条約が五十本以上存在している中で、全てオーバーホールするだけでも単純に十年はかかる計算になります。

 加えて、資料一にありますとおり、発効済みの条約で既に対外直投の九割以上をカバーしてはおりますけれども、カバーされていない一割弱の中には、日本の企業がこれから進出していくであろうアフリカを含めた潜在的な成長力のある国が存在します。

 企業の海外展開を後押ししていく観点からも、既存の条約の改正だけではなくて、それに加えて新規の租税条約を政府が戦略的かつ率先して締結していくことが求められていると思います。

 こうした中で、こうした締結や改正のスピードを上げようとすれば、一つは、今後マルチの枠組みを構築していく方法、もう一つは、バイの条約の締結、改正のスピードをアップしていく方法。特に後者については、例えば電子商取引課税などについてOECDのモデル租税条約が改正された場合などには、時限的にでも担当部局の人員をふやすなどして体制を強化していく必要があると思いますけれども、大臣の見解をお聞かせください。

岸田国務大臣 まず、先ほどの答弁の中にもございましたが、現在、OECDにおきまして、いわゆるBEPS、税源侵食と利益移転に関しまして検討が進められております。その中において、今御指摘がありました多国間の枠組み等に関しましては、BEPSへの対抗措置を効率的に実施するため、既存の二国間の租税条約を一括して改正する多国間協定の開発の可能性について議論を行っているところであります。

 我が国としましては、こうしたOECDでの議論にしっかり参加し、貢献していきたいと思います。そして、検討の結果、必要に応じて多国間協定の作成という取り組みを行うということになった際には、ぜひ協力をしていきたいと考えています。

 そして、もう一点、体制強化について御指摘がありました。

 体制強化につきましては、昨年六月の日本再興戦略においても記載されておりますが、ネットワークの拡充の取り組みを加速する、その実現に向けて関係当局の体制強化を進める、こういった記述があります。

 こうした関連で、外務省としましても体制強化を図ってきており、例えば、平成十六年以降、国際法局に租税条約専任の担当官を置く、あるいは平成十八年からは、国際法局に経済分野の条約の締結等に特化した経済条約課を新設する、こうした、実効的に、また効率的に対応できる体制をつくってきております。

 一方、財務省におきましても、租税条約交渉に対応する部局の体制強化を図っているというふうに承知をしております。

 ぜひ、こうした体制強化という面においても、租税条約への対応のためにしっかりと整備をしていきたいと考えます。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。

 租税条約ではないんですが、国際課税という観点から、昨年一月からアメリカ国内で施行されております外国口座コンプライアンス法、通称FATCAと呼ばれますけれども、これについて伺わせていただきたいと思います。

 この概要は資料二にあるとおりでございますが、二〇〇八年に、UBSの元行員がアメリカの富裕顧客を対象にして脱税幇助をした疑惑が発覚した、これを受けて、アメリカ人が外国金融機関の口座を利用して脱税することを防止するために設けられた法律でございます。アメリカ国内の法律ですけれども、内国歳入庁、いわゆるIRSの求める情報を提供しなかった場合、三〇%もの懲罰的な源泉徴収課税が課されるということで、実質的には、日本を含めて海外の金融機関は従わざるを得ない法律となっております。

 これを受けて、我が国は、昨年六月に声明を発表して、資料三にあるような対応をとっておりますけれども、まず、非協力的な口座保有者の情報を国税庁がIRSに強制的に提供することが国内の個人情報保護法や金融機関の守秘義務などに抵触しないのか、簡潔に教えていただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のFATCAを実施するに当たりまして、国税庁は、日米租税条約に基づくIRSの情報提供の要請を受けまして、租税条約等実施特例法に規定する質問検査権によって当該金融機関から当該口座の情報を入手し、IRSに提供することとなります。

 個人情報保護法は、法令に基づく場合には、本人の同意がない場合でも個人データを第三者に提供することができるとしておりまして、租税条約等実施特例法の規定に基づく口座の情報の入手はこれに該当いたします。したがいまして、国税庁が金融機関から口座情報を入手し、IRSに提供することは、個人情報保護法に抵触するものではございません。

 なお、金融機関には、個人情報保護法によるほか、商慣習上または契約上における守秘義務がございますけれども、一般的には、法令に基づく場合、金融機関が国に対して顧客情報を提供することは、守秘義務違反の責任を問われることはないものと承知しております。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。いずれにしても、慎重な対応をお願いしたいと思います。

 またさらに、そもそも論といたしまして、アメリカがこうした形で国内法を一方的に押しつけてくる、片務的な義務を我が国に負わせていることに違和感を感じます。特に金融機関にとっては、システム上の対応など、大きな負担になってくるはずだと思います。本来であれば、レシプロ、双務契約であるべきだと考えますけれども、政府として今後どう考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 国際的な脱税、租税回避を防止する観点から、FATCAのように片務的に情報を提供するのではなく、各国の間で金融口座に関する情報を定期的に双務的な形で提供し合う、いわゆる自動的情報交換の枠組みを国際的に構築していくことが重要であると考えております。こうした考えに立ちまして、OECDが本年二月に自動的情報交換の新しい国際基準を策定、公表し、G20からも支持を得たところでございます。

 今後、各国がこの国際基準を早期に実施することが期待されており、財務省といたしましても、関係省庁と緊密に連携しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

小林(鷹)委員 ぜひしっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 もう時間も限られておりますので、最後の質問をさせていただきたいと思いますが、アジアインフラ投資銀行、AIIBについて伺いたいと思います。

 先月カザフスタンで開催されましたADB総会の脇で、AIIBの設立に向けて中国が主導する会合が開催されました。このAIIB構想というのは昨年の秋に習近平国家主席が打ち出したものでございますけれども、もちろん、日本、アメリカは招かれておりません。世間ではADBに対抗する動きとも見られる中で、このAIIBの意義や必要性について大臣としてどのように捉えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 AIIB構想、アジアインフラ投資銀行構想ですが、この構想につきましては、ただいま委員の方から御指摘がありましたように、昨年十月に、アジアにおけるインフラ整備の資金ニーズに応えるということを目的に、中国の習近平国家主席が東南アジアを歴訪した際に表明したものであります。中国は、本年秋には参加国との間で同構想の枠組みに関する政府間覚書を締結したい、こういった意向であるということを承知しております。

 アジア諸国の持続的な発展に係る支援につきましては、従来、我が国が最大出資国でありますアジア開発銀行、ADBが中心的な役割を果たしてきました。近年急速に高まっているアジア地域のインフラ需要に対しても、ADBの果たす役割は引き続き大変大きいものがあると認識をしております。

 こういった中にあって、このAIIB構想ですが、アジアにおけるインフラ整備への資金供給にも影響を与えることになります。ADBに加えてAIIBが必要かどうかといったことも含めて、これは慎重な検討が必要ではないかと認識をしております。

小林(鷹)委員 大臣、ありがとうございました。

 中国財政部は、貧困削減を目的とするADBとインフラ投資を目的とするAIIBは補完関係にある、すなわちすみ分けは可能としているようなんですけれども、おっしゃるとおり、そう簡単に割り切れる話ではないと思います。

 特に、ADBを含む世銀グループの場合は、融資を決定するに際して、環境面ですとか社会面に配慮するセーフガード、あるいは構造改革などを求めるコンディショナリティーと呼ばれる条件を付して融資を決定することになりますけれども、一方でAIIBは、まず貸し出しありきということで、甘くて緩い条件をつけて域内各国に働きかけていくことも考えられるところでございます。そうすれば、結局のところ、借入国にとってみれば、持続可能な発展を阻害される、そういう結果にもなり得ますので、この点については、大臣今おっしゃったとおり、ADBの最大出資国として、我が国としてはこのAIIBをめぐる今後の動きをしっかりと見きわめた上で、仮にこの機関が無秩序な貸し付けを行うような機関として誕生する場合には、一線を画していただいて、そうした資金を借り入れる国への融資には慎重な姿勢を堅持していただくなど、しっかりとした、また慎重な対応をとっていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、島田佳和君。

島田委員 自由民主党、島田佳和でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。引き続き、イギリス、スウェーデン、UAE、オマーン、この四カ国との租税条約について質問させていただきたいと思います。

 昨年、この外務委員会でアメリカとの租税条約が審議された際に、薗浦委員の方からこのような質問がありました。利子一般に対して源泉地国免税をやるというのはこれが初めてではないですかという質問に対して、当時のあべ俊子政務官から、利子一般について免税とする規定は、今回、このアメリカとの租税条約が初めてであり、今後、アメリカ以外との租税条約の新規締結、さらには改正の交渉においても積極的に取り上げていきたいという答弁がありました。

 今回、イギリスとスウェーデンの条約改正において、利子所得を源泉地国で原則無税とする規定が盛り込まれましたけれども、まさに有言実行といいますか、このときの答弁がしっかりと結実した成果であると評価させていただきたいと思います。

 改めて、今回のこの条約改正について、意義、内容の説明をお聞かせ願えればと思います。

上月政府参考人 お答えいたします。

 今御質問がありました原則免税とする規定のことでございますけれども、今回の日・スウェーデン租税条約では、利子所得につきまして、源泉地国における限度税率を原則一〇%としております。

 近年、企業の資金調達の方法が多様化しておりまして、また、国境を越えたグループ企業間の融資等が積極的に行われております。今回の改正は、このような変化を踏まえて、利子所得について原則免税とし、企業による資金調達の円滑化、多様化に対応するものでございまして、この規定によって両国間の投資、経済交流がさらに促進されると考えております。

 また、日英の租税条約の中では、事業所得に関する規定が改正されまして、租税対象となる支店、工場等の恒久的施設に帰属すべき利得の算定方法をより明確化することを内容としております。この改正は二〇一〇年のOECDモデル租税条約の改定に沿ったものでございまして、この改定により、恒久的施設に帰属する利得の範囲がより明確となりまして、我が国と英国との間の二重課税、二重非課税のリスクが小さくなることが見込まれております。

 以上でございます。

島田委員 ありがとうございます。

 イギリスはヨーロッパの中でも対外投資額が非常に大きい国でありますし、またスウェーデンも、かつては、スウェーデンといえばボルボとかサーブとかの自動車産業が有名でありましたけれども、近年では、家具のイケアとかアパレルのH&Mとか、非常に我々の生活圏に近い企業が日本にどんどん参入してきております。ぜひ、今回の租税条約をきっかけに、日本・イギリス、そして日本・スウェーデンの投資交流がさらに進むことを願っております。

 次に、UAE、オマーンとの租税条約についてお伺いしたいと思います。

 UAEに関しては、近年、残念ながら日本からの直接投資が減ってきております。また、UAEから日本への投資は、三十億円に満たない、非常に小さな金額でありますが、やはり中東諸国との経済交流、投資交流を健全な状態に保つということは、まさに我が国のエネルギー資源をしっかり確保する上でも重要な案件だというふうに考えております。

 この条約の締結、新規の締結になりますけれども、今後のUAE、オマーンとの経済交流、投資交流に与える影響等について説明をいただきたいと思います。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、アラブ首長国連邦から我が国への直接投資残高は二十五億円前後で推移しておりますし、また、我が国からUAEへの直接投資残額も、二〇一二年末の二百八十四億円から二〇一三年の二百二十四億円と、若干減少しているという状況でございます。

 他方、今後、アラブ首長国連邦の国内におきましては、二〇二〇年のドバイ万博開催に向けまして、各種施設の建設などインフラ整備が進められる予定でございます。また、再生可能エネルギー分野、これはUAEが力を入れている分野でございますけれども、我が国からの投資拡大の可能性が十分あると考えております。

 また、UAEから日本への投資につきましても、UAEの政府系投資ファンドは、中には七十兆円を超える資産を持っているものもございまして、UAEから我が国に対する投資を取り込んでいくことも非常に重要であろうと考えております。

 また、オマーンにつきましても、従来のエネルギー分野にとどまりませんで、今後は、造水、発電といったインフラ事業、あるいは観光産業などの分野におきましても、日本企業の進出が見込まれております。

 今回の両国との租税条約の締結によりまして、相手国に進出する企業、個人にとりまして、投資、経済活動に対する課税について予見可能性が高まることとなります。これによりまして、相互の投資、経済、人的交流が一層促進されることを期待しておりますし、いろいろな関係が深まっていくことを期待しているところでございます。

 以上でございます。

島田委員 ありがとうございます。

 今、ドバイ万博のお話がありましたけれども、まさに中東にビジネスチャンスがないということではありませんので、例えば、オマーン政府は、二〇二〇年にかけてのインフラ計画、いわゆるオマーン・ビジョン二〇二〇というものを発表しております。これは、十八ぐらいの大型案件が列記されておりまして、かつ、予算額まで出ております。

 例えば、観光地で有名なマシーラ島とオマーンの本土を結ぶ千五百億円の橋の建設であったり、空港拡張、また、新しい空港を二つつくるといった計画もありますし、千キロ以上の鉄道計画、また平均時速二百キロの鉄道導入といった、非常にビジネスチャンスが多い国がオマーンでございます。

 また、大きなコンベンションもやっておりますので、ぜひ日本の企業も積極的かつ戦略的にこのチャンスをとりに行っていただきたいと思いますし、今回の租税条約も含めて、政府の方も投資環境づくりをしっかり整備していただきたいというふうに思っております。

 そういった中、政府は、二〇二〇年を目標にインフラ輸出三十兆円という目標を掲げているわけでございますが、今、資料の方を配らせていただきました、日本、韓国、中国のインフラ受注実績を見てみますと、非常に日本が立ちおくれているわけでございます。日本は年間大体二兆円ぐらいのところで微増、横ばいといったところですけれども、韓国はその三倍以上、中国は約七倍のインフラ受注を海外で達成している。

 また、中東を見てみますと、これは資料二になるんですけれども、棒グラフのオレンジの部分が中東になります。アメリカ、韓国、中国が一兆円規模のインフラ受注を達成しておりますけれども、日本はイタリアにも負けて約四千億円レベルにとどまっている。トップスリーにおくれをとっているわけでございます。

 安倍政権以降、安倍総理そして岸田大臣がまさにみずからトップセールスとして世界じゅうを駆け回っているわけでございますが、この現状について、大臣、感想があればお聞かせ願えればと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘の中東地域ですが、世界の成長センターであり、大きな潜在力を持つ地域であると認識をしております。そして、中国、韓国を含め世界各国の企業が積極的に進出をしている、こういった地域であると認識をしております。

 我が国としましても、御指摘のように、総理御自身が先頭に立ち、各国首脳への強力なトップセールスを行い、また、企業関係者から成る経済ミッションを伴う外遊等も実施をしているところであります。

 安倍総理は、この一年間で全てのGCC諸国を訪問いたしました。トルコには二度訪問いたしました。こうした幅広い経済分野の協力関係の構築に尽力をしてきましたし、外務大臣である私ほか、外務副大臣あるいは大臣政務官、中東地域に積極的にこの一年半訪問を続けてまいりました。

 電力ですとか水、交通等の分野で案件の成約が目指されているところですが、ただ、御指摘のように、中国、韓国、こういった企業もより積極的な働きかけを行っているところでありますので、我が国としましてもより一層しっかりと取り組んでいかなければならない、このように認識をしております。

 中東地域を含め、インフラシステム輸出戦略で設定しました、二〇二〇年に約三十兆の受注目標を官民で共有してともに努力していく、これは当然でありますが、ぜひ、こうした目標につきましても、経協インフラ戦略会議等を活用して、目標達成に向けての施策の取り組み状況をしっかりとフォローアップすることによって実績を確認し、成果につなげていきたいと考えております。

島田委員 ありがとうございます。ぜひフォローアップの方も重要視していただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間の方もなくなってきましたので、最後の質問をさせていただきたいと思いますけれども、このインフラシステム輸出戦略の中でも非常に大きな位置を占めると思われますリニア新幹線の海外戦略について質問したいと思います。

 ここ一、二年、特にアメリカに対してのリニア輸出の機運が高まってきているわけでございますけれども、昨年、日米首脳会談で、オバマ大統領に対してリニア導入の提案を安倍総理からされました。そして、ことし四月には、ケネディ駐日大使を山梨のリニア実験センターの方へお招きして、新型車両にも試乗していただいております。そして、ことしのオバマ大統領来日の際にも、ウクライナ問題とかTPP、集団的自衛権といった重要な案件も多かった中で、リニアの提案を改めてしていただきました。

 現状、いわゆるマグレブ技術、マグネティックレビテーション技術の輸出に関してどのようなアメリカとの交渉状況になっているのか、アップデートをお願いしたいと思います。

相川政府参考人 申し上げます。

 先生御指摘のとおり、本年四月の日米首脳会談において、安倍総理からオバマ大統領に対して日米協力の象徴として提案するなど、これまでトップセールスを実施してきているところであります。また、米国のワシントンにおきましても、佐々江駐米大使以下さまざまなレベルで、アメリカの政府関係者に対して我が国のマグレブ技術について説明してきているところでございます。

 引き続きまして、日本政府としても、さまざまなレベルで米国関係者への働きかけを一層継続していきたいと考えております。

島田委員 ありがとうございます。

 今、働きかけというお言葉がありましたけれども、昨年の首脳会談から既にもう一年以上たっておりますし、オバマ大統領の任期もあと二年ほどでございます。せっかく安倍総理みずからがトップセールスをされているにもかかわらず、大統領がかわったらまた一から始めなければいけないというのでは水の泡になりますので、ぜひ、オバマ大統領の任期中に何らかのコミットメント、緒につけていただければというふうに考えております。

 最後になりますけれども、ぜひ外務省にリーダーシップをどんどん発揮していただいて、日本の企業が海外に進出していく環境整備を他省庁と連携しながら力強く進めていただきたいと思います。最後に大臣の方から改めて意気込みをお願いしたいと思います。

岸田国務大臣 日本経済再生につながる経済外交を進めるに当たりまして、関係省庁と緊密に連携し、政府一丸となって取り組んでいかなければならない、当然のことだと思っております。

 外務省におきましても、昨年十二月、日本企業支援推進本部、こうした組織を立ち上げて、日本企業の海外展開支援を積極的に進めると同時に、租税条約等のビジネス環境整備を含むさまざまな取り組みを進めている、こういったことでありますし、在外公館におきましても、日本企業支援窓口を設置するなど、相談をしっかり受けつける、また、ジェトロ等の関係機関との連携もしっかりと進めている、こういったところであります。

 ぜひ、こうした取り組みに当たって、外務省ができる限り中心となって積極的な役割を果たしていきたいと考えております。

島田委員 ありがとうございます。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 おはようございます。

 きょうは、アラブ首長国連邦、オマーン、そしてスウェーデン、イギリスの租税条約ということでございますが、先ほどトップバッターの自民党の小林委員からも、租税条約を含む経済条約を整備していく体制についてということで質問がありました。小林委員の方からも、このペースでは間に合わないのではないかというか、ついていけないのではないか、こういう御指摘だったのではないかと思いますが、問題意識は共有をさせていただいていると思います。

 昨年の臨時国会でも、私も三ッ矢副大臣との議論の中でそういった指摘をさせていただきました。そういったところで、副大臣の方からも、かなり業務が広がり、量も多いということで、私はそのときに、定員の問題もありますが、外部の人材も登用いただくなど、かなり従来の延長線を超えた体制づくりをしていただきたいという趣旨のことをお願いさせていただいたんですが、そのときの副大臣の御答弁で、「期限つきの任用、あるいは外部の方のいろいろな形での登用の仕方があろうかと思いますけれども、その点も含めて、ぜひ検討させていただきたいなというふうに思っておるところでございます。」こうお話をいただきました。

 ぜひ、やはり我が国の経済活動を支援するという意味でも、租税条約また投資条約の締結というのは、いわば飛躍的な推進ができる体制をこの機会につくっていただきたいという思いでお願いをさせていただいておりますが、御検討をいただいたかというふうに思いますので、そのあたりの進捗を御報告いただけたらと思っております。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げます。

 昨年の十一月に委員から同趣旨の御質問をいただきまして、そのとき私は、いろいろ工夫をしながら努力をしていきたいというふうにお答えさせていただいたわけでございます。もう大臣を経験されていますので、外務省の体制が非常に手薄だということはよく御承知のことだと思います。

 また、経済関係の条約に関しては、特に租税条約に関して申し上げますと、これは財務省の方の体制もございまして、なかなか外務省だけでというわけにもいかない面もございますが、あの後、まだ半年ぐらいしかたっておりませんけれども、どういうことをやったのかということをかいつまんで申し上げたいと思います。

 一つには、委員からあのときも御指摘いただきましたが、任期つきの職員、これは、あの時点から、わずか二名かと言われるかもしれませんが、当時十六名だったのを現在は十八名に増員をいたしまして、体制の強化を図ってきておるところでございます。

 それから、もう少し長期的な話として、経済関係の条約に関する業務を扱う知見、語学力、交渉経験等を有する省内の人材の人材育成というんでしょうか、これを我々としては非常に重視しておりまして、人材を育てていこうということで、これはすぐに結果が出るわけではございませんけれども、努力を重ねてきておるということでございます。

 それから、あのとき委員から、アウトソーシングも考えたらどうか、こういうお話もございました。これも一つの案だとは思いますが、他方で、守秘義務、秘密保全ということもございますので、それに抵触しない範囲でお願いする業務もあろうかと思います。

 これはちょっと、今、具体的に、この半年間でこういう成果が上がりましたということを申し上げるのは非常に難しゅうございますが、今後も引き続き体制の強化に向けて努力を続けていきたい、このように考えております。

松本(剛)委員 その前後の議論でも、経済界と外務省の政務の皆さんとの懇談の場も深めていただきたいとお願いをさせていただいた、そういったあたりについては、随分といろいろな形で展開をしていただいているやに仄聞をいたしております。

 この体制の問題は、先ほど副大臣もおっしゃっていただいたように、私も外務省に勤務をする時代にいろいろ思うところがございました。今回は、岸田大臣の御尽力もあって、在外公館も三つ拡充をしていただきましたけれども、やはり在外公館の拡充であるとか、こういった経済条約の体制であるとかいうことを考えると、定員、体制を、少し今までの延長線とは違う、飛躍的な形を考えていただかなければいけないのではないかというふうに思います。

 そこで、今、御通告も申し上げておりませんので、こんな意見が委員会であったということだけ大臣、副大臣にも念頭に置いていただきたいと思います。

 先ほど、小林委員だったかというふうに思いますが、年間四つ五つのペースだと、この調子だと十年で四、五十だ、せいぜい既存の条約のリニューアル程度にとどまるんじゃないか、こういう指摘でありました。

 これだけ経済外交を推進される立場からすれば、例えば年間十本は経済条約を結んでいくんだというような目標を内閣で立てていただいて、それに合わせて財務省や外務省がその目標に向かっていくとか、そういう形でもしていただくことによって、少し従来と違う、これは私も、残念ながら、新しく在外公館もつくりたいと思いながら、震災もありましたけれども、余裕もありませんでしたけれども、つくることもできませんでしたし、体制についても、私自身も何とかしたいという思いがありながら、宿題で次の政権の皆さんにお願いをさせていただいているわけであります。

 やはり、定員の問題であるとか外部の登用、今、守秘義務の形もありましたが、従来の形でいくとできない課題とか、これがあるから難しいとかいうことがたくさんあるのはよくわかりますし、そこにひっかかってなかなかできなかったというじくじたる思いもあるんですが、当面、アジアの発展などについていくためにも、租税、投資などの条約、ASEAN諸国だけ含めてもまだやらなければいけない課題があると思いますので、そういった一つの段階が来るまでは、例えば向こう三年間は年間十本ペースでやることを目標にするとか、そういうようなことをぜひ御検討いただきたいということを、御要望だけ申し上げておきたいと思います。

 次へ進ませていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。何かありますか。では、せっかくですから。

岸田国務大臣 大変、応援の御質問をいただいたと受けとめております。感謝を申し上げます。

 租税条約等につきましても、もちろん、量も必要でありますが、状況の変化に応じて改定も考えていかなければいけない、質とあわせて量も考えていかなければいけない、これが租税条約に対する考え方でありますし、租税条約以外にも、投資協定ですとかあるいは社会保障協定、こういった協定、条約もあります。こうした課題に立ち向かう際に、御指摘のように、在外公館ですとかあるいは人員ですとか、こうした基本的な足腰がしっかりしていかなければいけない、大変重要な点だと認識をしております。

 ぜひ、委員を初め国会、そして多くの国民の皆様に御理解をいただきながら、財源も伴うものでありますので、こうした理解をしっかりと得ながら、体制整備について積極的に取り組んでいきたいと考えております。

松本(剛)委員 よろしくお願いをいたします。

 かかってくる条約がふえれば、国会運営の方も改革をしなければいけないことが出てくるんだろうというふうに思いますが、何よりも、これだけの経済が国際化する中での必要なことだと思いますので、大臣からも前向きにお取り組みをいただくということをいただいたことを多としつつ、繰り返しになりますが、少し今までと違う観点で、何らかの目標を設定するような形でおろしてくるとか、そういうことを内閣レベルで共有していただいて、財務省の方も少し考えていただくとかいうことをしないと、なかなか延長線から抜け出せないかなという思いがあることだけ申し上げさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 前回、五月三十日に私が質問させていただいた武力の行使についての議論の続きを少しさせていただきたいと思っております。

 前回、PKOと武力行使の関係ということについて議論をさせていただきました。PKOについては、国際法局から武力行使には当たらないんだというお話をいただいたように記憶をしておりますが、その点、もう一度確認をさせていただきたいと思います。

石井政府参考人 結論から申し上げると、委員がおっしゃったとおりでございます。

 もう一度繰り返させていただきますと、国連PKOは、一般的には、領域国や主要な紛争当事者の同意、不偏性、それから自衛及び任務防衛以外の実力の不行使といった原則のもとで、国連安保理等の決議に基づいて行われる非強制的な活動でございます。

 国連PKOのような国内の治安維持型の活動の本質は、領域国の同意に基づき、本来ならその国の警察当局などの機関がその任務の一環として行う治安の維持、回復活動をいわば代行する性格のものでございます。

 このように観念される活動は、国際法上、一般に国連憲章第二条4で禁止される武力の行使には当たらないというふうに考えられております。

松本(剛)委員 さて、そこで、これを受けて法制局に御質問させていただきました。そのときの御答弁は、PKOの活動は、「当事国の警察的な活動であるということではございますけれども、あくまで我が国の統治権の及ばないところでございますから、国外の領域でございますので、やはりそこは、統治権に基づく警察権の行使と、類似の行為ではあるかもしれませんけれども、あくまで主権の中の世界ではない世界とは、やはり法律上は同一には論じられない」ということで御説明をいただきました。

 警察的な活動だけれども武力の行使に当たるおそれがある、こういう説明だという理解でよろしいんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 前回、警察権かということで、そういう法律的な整理のお答えをいたしましたけれども、従来、政府がお答えをしております、例えばPKOにおける任務遂行を実力で妨げるような企てに対する対抗措置とか、いろいろなものについての国会での議論がございますけれども、およそそれが武力の行使に当たるということを申し上げているわけではなくて、相手方が国または国に準ずるような組織である場合に仮に起こった場合には、そういうことに当たるおそれがあることを否定できないということでございます。

 今のPKO活動が、もともと想定された停戦合意なり受け入れ同意がきちっと担保された形でやられているときに、通常、そういうことは余り想定はされないわけですけれども、PKO法の議論のときには、いろいろその状況が変化して、停戦合意が崩れたり、あるいは同意が撤回されたり、いろいろな状況がある、そういった中では、ぎりぎりそういったこともいろいろなケースとしてはあり得るということで、あくまでも、そういう懸念のある問題については踏み込まずに、武器の使用について抑制的に規定をしたということだと理解しております。

松本(剛)委員 いわば武力行使の対象が国または国に準ずる者、国、国準である場合、こういうお話でした。

 武力を行使する、もしくは武力の行使の中身が武器の使用であったりと思いますが、この主体は自衛隊であろうと海上保安庁であろうと警察であろうと、相手が国または国に準ずる者であれば武力の行使に当たるという理解でいいんですか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 現実には、今、PKO活動で武器を持って活動されているのは多分自衛隊の方であろうかと思いますけれども、過去の法制局長官の答弁も、日本の公務員が国の行為として行うということでございますので、通常、典型的には自衛隊でございますけれども、他の機関の者が武器を使って同じような行為をするということは、別に区別はないという理解でございます。

松本(剛)委員 それで、前回の御議論では、我が国の統治権の及ぶところと及ばないところ、国外の領域かそうでないかによって違うんだ、こういう御説明であったかと思いますが、主体は海上保安庁であろうと自衛隊であろうと警察であろうと、我が国の公務員が国の行為として行うのであれば、それは法の論理的には変わらない、こういう話であります。PKOということに限定をせずに、この理屈はそのまま当てはまるという理解だと思うんです。

 そうしますと、例えば、我が国の統治権の及ばない公海における海上保安庁の活動も、相手が国または国に準ずる者であれば武力の行使に当たるという理解でよろしいんでしょうか。

近藤政府参考人 お答えします。

 今、一般的に公海でというお話でございましたけれども、例えば、今、海賊対処法でやっておりますような、海上保安庁と自衛隊が協力してやっているような行為、あれは、あくまでも、我が国の刑法というんでしょうか、犯罪として取り締まりをしているというケースでございますので、一概にどうこうということは言えませんけれども、あくまでも、海上保安庁で認められています警察権の行使として行われるような活動以外の形で、まさしく戦闘行為になるような状態での話であるとか、そういうことであれば、それは武力の行使に当たる状態になり得るのではないかと思います。

 ただ、それがどういう状態で起こるのかが、ちょっと詳細はよくわかりませんけれども、国際法上、観念的にはそういうことではないかと思います。

松本(剛)委員 そうすると、例えば、我が国に近い公海上において何らかの治安を乱す行為の主体が国または国に準ずる者であったとすれば、それは、対応しようとする海上保安庁は武力の行使を行うということになるんでしょうか。

近藤政府参考人 今申し上げましたとおり、公海の話ということでございますけれども、我が国の近海であろうが、その中で、海上保安庁があくまでも国際法上、多分海洋法条約とか、いろいろなところで各国が統治、管轄権を及ぼせるような、例えば不審船の問題であるとか麻薬であるとか、あるいは海賊であるとか、いろいろな議論がございますので、そういう意味では、まさしくその事態事態でございますので、全てが当たるとか全てが当たらないということではなくて、当たり得る場合も当然あり得る。

 ただ、通常、海上保安庁はそういう状態で武器を使うということは余り想定はされないと思いますけれども、観念論とすれば、当たり得る場合もあるし、当たり得ない場合もあるということだと思います。

松本(剛)委員 前回の答弁では、統治権が及ぶか及ばないかを一つの基準におっしゃっておられました。統治権の及ぶ範囲であれば警察と言える。これは恐らく、国または国に準ずる者のテロであったとしても警察だという御説明なのかもしれません、ちょっとそれを詰めている時間がありませんが。

 公海は基本的には統治権の及ぶ範囲ではないというふうに理解をいたします。そうすると、観念論からいけば、今、あり得るという話でしたが、武力の行使ということを国として認めようとすれば、武力攻撃事態対処法に基づく自衛権の発動がなければできないわけですよね。

 そうすると、公海において、海上保安庁も相手によっては武力の行使に当たる場合があると、海上保安庁といえどもできない場合がある、こういう理解でよろしいわけですか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、海上保安庁が通常活動しているところでそういう事態に遭遇するということは余り想定はされないと思いますけれども、まさしく法理的な議論として、自衛隊もいる、一緒に海上保安庁も同じような形でそういった状況に巻き込まれるというようなことになれば、そこは例えば武力の行使の一翼を担うようなことになり得るということは、それは法理上はあり得ると思いますけれども、実際、海上保安庁がそういう活動に従事するということは余り想定はされておりませんし、あくまでも海上保安庁に任された警察権の行使という中での活動が現実にはされているというふうに思います。

松本(剛)委員 安全保障の議論で余り想定外というところからスタートをするのはどうかというふうに思いますし、さまざまな紛争の態様が多様化していたり、非常に境をつくりにくいということが幾つかあるということから、こういう議論になってきているんだろうというふうに思います。

 きょうの質疑でわかったことは、やはり、武力の行使もしくは武力の行使に当たるおそれというのは、かなり広い範囲で対象にされているということからすると、海上保安庁の活動であっても対象になり得る。そうだとすると、通常の海上保安庁の活動から、相手が国または国に準ずる者であった場合は、武力攻撃事態対処法の法律に基づく活動でなければいけないというときが法理的にはあり得るというお話であったのではないかと思いますが、本当にそういう法の立て方でいいのかどうか、また次回の機会をいただいて議論させていただきたいと思います。

 質問を終わります。

鈴木委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 民主党の辻元清美です。

 本日議題の租税条約につきましては、民主党政権下でも進めた案件で、賛成でございます。

 二国間の租税条約の署名件数は七十四件ということで、主要国に比べれば十分な数字とは言えないと考えております。そこで、より一層、租税条約のネットワーク拡充の取り組みを加速していただくことを要望しておきたいと思います。

 さて、今、集団的自衛権の行使の与党協議が佳境に入っているということですので、国会でもしっかり審議しなければならないと考えます。

 先週も質問いたしましたが、この際、何点か詰め切れなかった点を確認したいと思います。

 まず最初に、果たして限定容認論が成り立つかどうか。

 法制局長官が先週の私の質問に対しまして、歴代長官と同じように、集団的自衛権については必要最小限度の範囲を超えるもの、これは数量的概念として申し上げているものではございませんと、同じ答弁を認められました。

 そこで、お聞きしたいんですけれども、安倍総理が昨年の五月の八日、参議院の予算委員会でこのように答弁されているんですね。「法制局の答弁としては、言わば集団的自衛権について言えば、国際法上は自衛権は保持をしているが憲法上行使できないと、こういう答弁をしているわけでございます。 そこで、」この後です、「この答弁の際にも、言わばこの概念として、絶対概念ではなくて量的概念として必要最小限を超えるという当時は判断をしている」。

 「量的概念として必要最小限を超えるという当時」、これは昭和五十六年のことを指していますが、「判断をしている」と答弁していますが、これは法制局長官の答弁と矛盾すると思います。私は、安倍総理は今までの積み重ねの間違った認識で答弁していると思いますが、長官、いかがでしょうか。

横畠政府特別補佐人 前回お答えいたしました数量的な概念ではないという趣旨は、自衛権行使の第一要件を満たしているか否かという、そういう趣旨で数量的な概念ではないということを法制局としてはお答え申し上げております。

 それに対して、御指摘の総理の答弁が、どのような趣旨でそのようなことを、量的概念であるということを述べられたのか、その趣旨がそれと同じことであるのか、また異なる趣旨であるのかについては、必ずしも存じ上げないので、その相違について申し上げることは難しいと思います。

辻元委員 実は、量的概念ではないという答弁は、かつての秋山法制局長官の答弁をそのまま引いていらっしゃるんですが、これは、安倍総理がかつて、二〇〇四年に、必要最小限度の範囲は数量的な概念で、この範囲の中に入る集団的自衛権の行使というものが考えられるという自説を展開されて、それに対して法制局長官が、違いますよ、数量的概念ではありませんよということで否定しているんですよ。ところが、総理大臣になったら、また量的概念だという答弁をしているんです。

 きょうは副長官に来ていただいていますけれども、安倍総理が量的概念だと、これは自分の自説なんですね。そうではないという見解をずっと歴代内閣はしてきた。

 この自説を押し通す、要するに、量的概念である、だから、限定容認論というのは、一部、集団的自衛権は成り立つんだということを基本にして、まさか閣議決定をしようとしているのではないでしょうね。いかがですか。

加藤内閣官房副長官 いずれにしましても、今の問題を含めて与党間で協議をさせていただいておりますので、その与党の協議を待って対応していく、こういうことになると思います。

辻元委員 安倍さんはずっとこの自説を言っていらっしゃるんです。では、自分が総理大臣になったら、今までの議論の積み重ねや政府の解釈を自分の自説で変えてしまえ、そのために、法制局、何とかしろよ、何とかつじつまを合わせろよというように言われているのではないかと私は実は懸念しているんですね。

 もう一点、長官に別の角度からお聞きしたいんですが、前回の私との質疑の中で、長官は、集団的自衛権の行使は、国と国の関係におきまして、いわゆる戦時の国際法というものが適用になるというように御答弁されたんです。

 これは先に外務省にお聞きします。これは適用されるかどうかだけお答えいただければ結構です。

 国と国の間で武力紛争が生じたときには、戦時国際法、武力紛争法とも言われますが、これが適用される、国と国との間で武力紛争が生じたときに適用されるのがこの戦時国際法であるか、その点だけお答えください。

石井政府参考人 少し詳細にわたることをお許しいただければと思います。

 おっしゃいますように、戦時国際法は、戦争が政策遂行の一つの手段として認められていた時代に発達したものでございます。一方、国連憲章のもとにおきましては、原則として、武力の行使は禁止されている。そういうことで、伝統的な意味での戦争というものは認められなくなっております。

 したがって、こういう戦争観の変化の結果、戦時国際法のうち、戦争開始の手続であるとか中立国の義務など、戦争が違法でないことを前提とした国際法規がそのまま適用される余地はなくなっております。

 一方、従来の戦時国際法のうち、害敵手段の制限や戦争犠牲者の保護などに関する国際法規は、現在の国際法のもとでも、一般に武力紛争が生じた場合には適用されるものと解しております。

辻元委員 一般に武力紛争が生じた場合には適用される。要するに、武力紛争が生じるということは、交戦状態というか、そういう状態になることだと思います。

 そこで、法制局長官は、集団的自衛権の行使は武力行使をするということであると前回御答弁も、議事録を見ていただいたら、されているんですね。

 交戦状態にあるということは、戦時の国際法が適用される、それは武力紛争の状態になること、いわゆる交戦状態になること。

 そうすると、これは法制局長官にお聞きしますが、前回の流れで、集団的自衛権の行使における戦時国際法の適用というのは交戦状態になることであるということであれば、憲法九条二項の「国の交戦権は、これを認めない。」と抵触すると思うんですが、いかがでしょうか。

横畠政府特別補佐人 憲法第九条二項におけます交戦権につきましては、現在の憲法の解釈上認められております個別的自衛権を発動した場合についても同じ問題が生じ得るわけでございますけれども、憲法九条のもとで認められる自衛権の行使につきましては、それは自衛のための措置の一環でありまして、憲法第九条二項に言う交戦権とは別のものという整理をされております。

辻元委員 もう一度お聞きしますが、集団的自衛権、要するに、自分の国が攻められていないけれども、密接な関係がある他国が武力行使をした際に自分たちも一緒にするという、これは、こういう状況で相手から敵とみなされて交戦状態になった場合、現状は、憲法九条二項の「交戦権は、これを認めない。」ということが適用されますね。

横畠政府特別補佐人 前回もお答えいたしましたけれども、今議論されていると承知しておりますのは、限定的な場合における集団的自衛権の行使の問題であると理解しております。それがどのようなものになるかということによるわけでございまして、今の時点で御指摘の交戦権との関係についてお答えすることは難しい状況にございます。

辻元委員 ということは、限定的であれば、事によっては、憲法九条二項の「国の交戦権は、これを認めない。」に抵触しない場合もあるという理解でいいんですか。

横畠政府特別補佐人 予断的なことを申し上げるのは差し控えたいと思いますけれども、検討の結果いかんであろうかと思います。

辻元委員 では、抵触するものと抵触しないものの線引き、判断の基準は、最低限どこに置くべきだとお考えですか。

横畠政府特別補佐人 それも検討中の事柄でございまして、あらかじめ一般的にここで線が引けるということを予断的に申し上げることは難しいと思います。

辻元委員 いや、与党や政府が検討して持ってきたものを、法制局は何か基準があるから、これはだめですよ、これはいいですよと、あらかじめここからは譲れないという基準がなければ、法制局の仕事をしていることにならないじゃないですか。その基準は何ですかと聞いているわけです。

横畠政府特別補佐人 ですから、限定的な場合における集団的自衛権の行使というものについて、必要であるかどうか、あるいはどのようなものにするかということ、それ自体が与党における協議が進行中ということでございますので、あらかじめ一般的な基準ということを申し上げることは難しいと思います。

辻元委員 限定的については、先ほど、数量的概念ではない、これは変わらないですね。

横畠政府特別補佐人 その点につきましても、まさにどのような限定的な場合における集団的自衛権の行使というものを考えるかということでございまして、あらかじめそれを数量的である、数量的でないという物差しで断定することは難しいと思います。

辻元委員 先週、数量的概念ではございませんと言い切ったんじゃないですか。違いますか。一週間で意見を変えるんですか。

横畠政府特別補佐人 前回もお答えいたしましたけれども、数量的な概念ではないという趣旨は、自衛権行使の三要件の第一要件を満たしているか否かということであるという意味でお答えしてきたということで、そのように申し上げたところでございます。

辻元委員 前も申し上げました。戦争にちょっとだけはありません、行くか行かないか。結局、その線引きは、歴代内閣が言ってきた、我が国に対する武力攻撃が発生したかどうか、この線引き以外にないんですよ、できないんですよ。

 法制局、ここは頑張っていただきたいんですよ。私は応援するつもりで、法制局の皆さんが言いたいことを私が言っているのかなと思いつつ質問しているぐらいなんですから。

 先ほど言いましたが、安倍総理は自分の自説をずっと言っているんですよ、必要最小限度の中に集団的自衛権も入るんだ、量的なんだと。やはり、幾ら総理大臣でも、自説を通すために頭から変えていくということは、やってはならない規範だと思います。

 もう一点質問します。

 安倍総理は、特に邦人輸送中の米輸送艦の防護について強調されて記者会見もされております。皆さんのお手元に資料を配っています。この右を見ていただいたら、米輸送艦の防護の要請、ですから、米輸送艦に限って質問をいたします。

 まず、これまでに戦争時に米輸送艦が邦人を輸送した例はありますか。どうですか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 海外における邦人の退避の事例につきましては、邦人が独自に退避した例もあり、全てについて網羅的に把握しているわけではございませんが、政府といたしましては、お尋ねのような、過去の戦争時に米輸送艦によって邦人が輸送された事例があったとは承知いたしておりません。

 なお、艦船によるものではございませんが、米軍用機で在留邦人三名を輸送した事例はございます。

辻元委員 余計なことはいいですよ。これは輸送艦を防護するという話ですから。

 それでは、前回のガイドライン改定時の協議について岸田外務大臣が御存じかどうか、お聞きしたいんです。

 一九九九年三月十八日の衆議院の日米防衛協力指針委員会、私もこれはその場におりました。中谷元委員がこう言っています。朝鮮有事に際して、韓国の在留邦人の救出について、こういう発言をされています。「当初、ガイドラインにも米軍による邦人の救出を入れて、米国が実施する項目というようなことでお願いをしておったんですが、最終的にはアメリカから断られました。」「自分のことは自分でやりなさいというようなことで、当然のことだと思います。」と発言しているんですが、ガイドラインのときに断られたという事実があったかどうか、御存じかどうかだけお答えください。

岸田国務大臣 御指摘の点、ちょっと事前に通告がなかったので、確認しておりません。確認しなければお答えできないと存じます。

辻元委員 実は、私、このときの協議に関係した外務省関係者にヒアリングをしたことがあるんです。断られたとはっきり言っているんですね。アメリカは、軍による自国民以外の外国人の退避への協力は一貫してネガティブなんですよ。

 ちょっと資料を見ていただきたいと思います。二ページ目です。これは、外国にいる米国市民及び指定外国人の保護と退避に関する国務省と国防総省との間の合意メモというものです。これは早稲田大学の水島朝穂教授が明らかにしたものなんですが、これを見ていただきますと、その次のページ、翻訳をしていますが、一番に書いてあるように、国務省は、外国政府と、同国民の退避について正式の協定を締結することを控えている、そして、次のページの三番、その理由なんですが、それは、軍が援助して行われる退避の時期とか期間及び場所を決定する米国政府の能力が制限されている、これによって米国の軍と市民はより大きな危険にさらされる可能性があるから、事前に他国民の避難を約束することは控える、しないと書いてあるんですね。

 それでは、どうしようとしているのか、この文書では外国政府に対してどのように要請することになっているのか。あらかじめその部分を外務省に指定していますので、その部分をお答えください。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の部分は、先生の方からお配りになった資料の二というところだというふうに思いますけれども、日本語の仮訳ということで申し上げますと、以下の内容になると思います。カナダ及び英国を含む全ての外国政府は、自国民の避難についての計画を立て、また米国政府の手段に依存しないことが求められる。

 以上でございます。

辻元委員 というのがアメリカの本心なんですよ。

 これは、四年前の米国統合参謀本部の非戦闘員退避作戦でも、ここではもっと踏み込んで、民間航空機などによって実施されるべきだとまで書いてあるわけですね。

 内閣官房副長官にお聞きしたいと思います。

 この事例を出されましたよ。いろいろ事例を出されましたけれども、つまり、安倍総理はこれを記者会見で冒頭に挙げて、何回も発言されています。

 米国政府の基本方針は、外国人の退避は事前に約束はできない、協定は結ばない、アメリカを当てにしないでほしいというような、だからガイドラインのときも断られていて、今も方針は変わっていないはずですよ。これは外務省に確認しています。

 現実は、安倍総理が言うように、アメリカから、日本人を輸送してもらう米輸送艦の防護の要請が事前に来るどころか、アメリカ側は、米輸送艦による日本人の救出は事前には約束できない、自分でやってくださいと。そもそも想定していないと思いますよ。

 内閣官房は、このような事実を一つずつ踏まえてこの事例を出したんですか。いかがですか。

加藤内閣官房副長官 基本的には、我が国の国民を守るのは我が国政府がまずやるというのは当然のことであるというふうに思います。

 その上で、今の御指摘を含めて、アメリカ側はアメリカ側の方針というのはそのとおりだと思いますけれども、ただ、いろいろな有事を考えたときに、起こり得べき事態、そういう中から、その事例も含めて十五事例を出させていただいた、そういうことでございます。

辻元委員 最後に、岸田外務大臣にお聞きします。

 私は、これを見て一番びっくりしたのは米国政府ではないかと思いますよ。私は、湾岸戦争のとき、湾岸の近所を客船で走っていたことがあるんです。そのときも、アメリカ人を救助してくれ、サウジアラビアのジッダに集結させるから、そこに行って救ってくれと言われて、私は行ったことがあるんです。そのアメリカ人たちは前のタンカーに救助されたんですけれども。

 アメリカ政府及び軍は、紛争になったら、周りの客船やタンカーにアメリカ人を乗せてくれ乗せてくれとがんがん言ってくるんですよ。これは、船関係者ならみんな知っています。そういう経験も踏まえて、非常に違和感を持ったんですね。

 最後に聞きますが、これは、はっきり申し上げて、私は失笑しました。総理大臣がこんなことを大げさに、一番最初に言う、事実も踏まえずに。対外的にも、日本政府はこの程度の認識かと思われますよ。これは取り消された方がいいと思うし、問題だと思いませんか。最後にお聞きします。

岸田国務大臣 今や海外で生活する日本人は百五十万人と言われています。また、年間一千八百万人の日本人が海外に出かけていく時代です。こういった時代にあって、総理の挙げられた例は、国民にとりまして大変身近な、切実な問題提起ではなかったかと思います。

 そして、実際のところ、過去の例を調べますと、二〇一一年二月、リビアにおける情勢悪化を受け、現地から邦人が米国政府のチャーター船により輸送された例がある。あるいは、二〇〇〇年六月に、情勢が悪化したソロモン諸島から、豪州軍艦により邦人が輸送された例がある。また、二〇〇六年七月に、レバノンから、英国の軍艦船により邦人が輸送された例がある。こういった過去の例を見ましても、こうした例は全くあり得ないものではないと認識をいたします。

 やはり、あらゆる事態を想定して、すきのない体制を考えていく、こういった問題意識は大変重要なのではないかと私も認識をしております。

辻元委員 終わりますが、今おっしゃった例は私も点検しました。それは国内の紛争なんですよ。戦争中ではないんですよ。戦争中というのは、相手の国からミサイルが飛んできたり、殺し合いをやっているわけです。リビアも、国内の内紛のときに他国の艦船などに乗せてくれ、それも、四名ですよ、リビアから救ったのは。全部調べていますよ。

 戦争中です。戦争中にはこういうオペレーションをやらないとアメリカが言っているかどうかという質問をしたわけです。それに対して、国内の紛争と戦争は、全く違うことを外務大臣がお答えになること自身、私は認識不足だと思いますし、その例をあたかも集団的自衛権の行使を認める最重要のように総理がキャンペーンすることは、申しわけないけれども、国民を欺いているんじゃないかという気持ちに私はなりました。

 今までの法的な、理論的な積み重ねも自説で曲げようとし、そして事実に基づかないような事例で国民の世論の操作をしているんじゃないかと言われても仕方がない。

 私は、こんな状況で閣議決定するというのは政治に禍根を残すということを申し上げて、終わります。

鈴木委員長 次に、村上政俊君。

村上(政)委員 おはようございます。村上政俊です。

 きょうは租税条約の審議ということですので、租税条約についてのみお伺いしたいと思います。

 まず初めに、ちょっと簡単に御紹介したいと思うんですけれども、大臣におかれても、四月の二十九日から五月の八日までデンマーク、カメルーン、フランスを訪問されて、また三ッ矢副大臣も、六月二日から六月六日にマレーシアとラオスを訪問されて、極めて活発に外国訪問を展開されて、経済を中心にしながら、さまざまに我が国の国益に資する外交活動を行っておられると承知いたしております。そういった経済の外交を進めていくためにも、こういった租税条約、本日審議するものが必要だと思います。

 簡単に私から、租税条約とはそもそもどういったものであったかということを振り返るために、租税条約とはどういうことかということを、私なりに理解していることをお話しさせていただきたいと思います。

 まず、租税条約の主な目的というものは、国際的な二重課税を排除することによって、締約国間の経済的な交流、貿易や投資、それから人の移動などを促進すると同時に、脱税や租税回避行為を防止するために、締約国間の協力、これは租税関連情報の交換やそれから租税徴収の共助等の枠組みを設定することにあるというふうに私は理解いたしております。

 また、一般に租税条約の対象となるのは、所得に対する租税である。我が国が過去に締結してきた租税条約の多くは、所得税、法人税、それから住民税を対象といたしております。また、消費税それから酒税、印紙税等は、所得に対する租税ではないため、租税条約の対象とはされない。

 国際的な二重課税というのは、経済活動が国境を越えて行われることにより生じることとなります。一般に各国の税務当局は、自国の居住者に対しては全世界所得、これは外国で得た所得も含む全ての所得に税を課す一方で、自国内で発生した所得にも税を課す。このため、ある国、A国に居住している人がB国で得た所得は、もともと住んでいたA国、居住地国、及びB国、所得の源泉地国の双方から課税されることになる。

 こうした二重課税というものを排除するためには、あらかじめ租税条約において、一方の締約国の居住者、個人や法人等が他方の締約国で所得を得た場合の課税方法等を規定しておくことが大変重要である。すなわち、居住地国とそれから源泉地国の課税権を調整しておくことが極めて重要であるというふうに思います。こういうものが租税条約である。

 我が国を含む先進国の間の租税条約の大半は、経済協力開発機構、OECD、これは先般大臣も訪問されたと思いますが、OECDが作成しているモデル条約の内容に準拠している。

 OECDのモデル条約というのは、第二次世界大戦後に国際的な経済交流が急速に促進されることによって発生した二国間の二重課税を防ぐために、租税条約のモデルとして、昭和三十八年、一九六三年にOECD理事会において採択されました。こういった、これまでに我が国が締結した租税条約も、基本的にOECDモデル条約に沿って策定されてきたものだと思います。また、OECDはモデル条約の改定を逐次行ってきています。

 このような租税条約の中では、配当それから利子、使用料に関しては、それらの源泉地国における課税の軽減や免除が規定されていることも多いというふうに承知いたしております。こうした特典の付与は、締約国間の投資促進を目的としていて、加えて、多くの租税条約には、締約国間での租税関連情報の交換や租税徴収における共助等に関する規定等、脱税や租税回避行為の防止を主な目的とする規定も盛り込まれています。

 また、一般的には、先進国は、労働力や資源が安価な開発途上国において、技術や人材を送ることによってそこで利益を得ていることが多く、開発途上国が源泉地国となることが多いが、OECDモデル条約は源泉地国の課税権を大きく制限していることになっていますので、OECDの加盟国そのものも先進国で構成されていることから、先進国に有利な租税条約となっていると思います。

 最初に、大臣に総論的なことをお伺いしたいと思います。

 私が今御紹介したような、こういった目的を持って租税条約というものが締結されていると思います。また、今御紹介させていただいたように、国際的な二重課税の回避や、それから脱税、租税回避行為への対処等が進展してきて、これによって健全な投資それから経済交流が促進されていくというふうに理解いたしております。また、例えば、外務省の、大臣含めて政務で経団連とお話しされているように、経済界からも強い要望がある。

 租税条約の新規の締結、改正を進めて、租税条約ネットワークをさらに拡充すべきだと考えますが、政府としてはどのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 租税条約の役割については、ただいま委員の方から詳しく御指摘をいただいたとおりだと存じます。

 二〇一四年六月一日現在、六十一の租税関連条約を我が国は締結しており、これを八十三の国、地域に適用しております。これによりまして、我が国の租税条約ネットワークですが、金額ベースで見ますと、我が国からの対外直接投資先の九割以上を既にカバーしているということであります。

 しかしながら、今後とも、租税条約のネットワーク拡充につきましては、相手国の経済関係、あるいは租税条約の締結、改正によって生じる効果、あるいは相手国の租税条約に対する考え方、こういったものを総合的に考慮していかなければならないと思います。

 そして、このネットワーク、量も拡充しなければいけませんが、御指摘がありましたOECDのモデル条約の内容の変化等、国際的な環境の変化にも対応するべく、既に結んだ条約の改正作業にもしっかりと取り組まなければいけない。要は、量だけではなくして質の向上にも努めていかなければならない。

 こういった認識で、引き続きこうした租税条約のネットワーク拡充に向けてしっかりと努力をしていきたいと考えます。

村上(政)委員 次に、今回の四本の租税条約の内容というか、ポイントについて伺いたいと思います。

 まず、新規に提出されたアラブ首長国連邦それからオマーンとの租税条約について、これはどういった点がポイントになるのでしょうか。

三ッ矢副大臣 お答え申し上げます。

 一般的に申し上げまして、この四本の租税条約とも、国際標準でございますOECDモデル租税条約を基本としておりまして、委員御指摘いただきましたように、二重課税の回避及び租税回避行為の防止等を図るものでございます。

 ア首連とオマーンにつきましては新規の締結でございまして、新たに源泉地国における課税の減免や税務当局間の情報交換等がこの条約の締結によって可能になるというものでございます。

村上(政)委員 それで、今回改正する、スウェーデンとそれからイギリスとの既存の租税条約を改正する議定書のポイントというのはどういったところでしょうか。

三ッ矢副大臣 スウェーデンとイギリスはいずれも改正でございますが、これは、源泉地国における課税のさらなる減免、情報交換の対象範囲の拡充、さらに徴収の共助あるいは仲裁手続の規定の整備等のための改正でございます。

 それに加えまして、スウェーデンの場合は、租税回避行為に対処するための規定を新たに導入しております。それから、イギリスのケースにおきましては、恒久的施設に帰属する事業利得に対する課税をさらに明確化する規定も導入してございます。

 以上でございます。

村上(政)委員 今副大臣から御紹介いただいたスウェーデンとそれからイギリスの具体的な規定の内容については、後でまた詳しくお伺いしたいと思います。

 次に、租税条約では、投資先の国、源泉地国における課税に限度税率を設定しています。日本とスウェーデンの租税条約及び日本とイギリスの租税条約については、今般の改正によってこの限度税率が引き下げられるものと承知いたしております。

 このことによってどのような効果が期待されているのでしょうか。お伺いいたします。

三ッ矢副大臣 御指摘のとおり、スウェーデンそれからイギリスの場合は、限度税率がさらに引き下げられることになっております。我が国と両国との間で二重課税が生ずる余地はさらに少なくなるものと期待されておるところでございますが、この結果、投資がさらに促進されることが期待されております。

 実は定量的にどのぐらいふえるだろうかというのはここで申し上げるのはなかなか難しいわけでありますが、それは、その時々の経済状況ですとか、あるいは為替の変動の状況もございますでしょうから、そういうことも勘案しながら投資をしていくということになろうかと思いますけれども、いずれにしても、予見可能性等が高まることによりまして、あるいは扱いが有利になるということもありまして、投資が拡大する余地はふえるということは確実であろうかと思います。

村上(政)委員 限度税率という言葉は専門的な意味合いもあると思いますので、この限度税率という言葉はどういう意味なのかということを簡単に御説明していただければと思います。

三ッ矢副大臣 これはちょっと例を挙げて申し上げたいと思います。

 例えば配当所得につきまして、今般の改正によりまして源泉地国で免税を受けるための要件も緩和されるわけでございますが、例えばスウェーデンの議定書におきましては、我が国企業の出資比率が一〇%以上二五%未満であるスウェーデン子会社からの配当が新たに源泉地国免税の対象になります。イギリスの場合は、出資比率が一〇%以上五〇%未満である英国会社からの配当が新たに源泉地国免税の対象となります。

 OECDのモデル租税条約では、例えば配当に関しましては一五%という税率が適用されることになっておりますが、スウェーデンの場合はこれが一〇%、イギリスはもともと一〇%でございます。

 それから、利子につきましては、OECDのモデル租税条約は一〇%でございますが、今までスウェーデンの場合は一〇%だったんですね、これが原則免除になる。さらに、イギリスの場合も、金融機関等のみが免税だったんですが、これが原則免除になる。こういうことになってございます。

村上(政)委員 ありがとうございました。

 次に、各国の状況についてお伺いしたいと思います。

 アラブ首長国連邦それからオマーン、いずれもエネルギー安全保障上極めて重要な国だと思います。また、先ほど大臣からも御答弁があったように、こういった湾岸諸国等に精力的に訪問されて関係を強化されていることだと思います。両国との関係強化というのは外交上の極めて重要な課題であると思います。

 今般の租税条約の締結が我が国と両国との関係にどのように影響を与えるのか、お伺いいたします。

三ッ矢副大臣 委員御指摘のとおり、この両国とも、我が国にとりまして、特にエネルギー供給という面で非常に重要な国でございます。

 ア首連、アラブ首長国連邦は、日本にとりまして第二位の原油供給国でございまして、自主開発油田の約四割が存在しておる、エネルギー安全保障上非常に重要な国でございます。また、経済分野におきましては、中東・アフリカ地域で最大の二百七十社に上る日系企業が進出しておりまして、在留邦人も三千五百人弱が在留しておるわけでございます。このように、UAEは中東・アフリカ地域最大のビジネス拠点となっております。

 それから、オマーンにつきましては、我が国にとりまして重要な原油、LNG、液化天然ガスでございますが、これの供給国でございます。また、これも御承知のとおり、ホルムズ海峡に面しておりまして、海上交通の要衝でございまして、その意味でもオマーンとの協力は欠かせないということで、この両国とも、我が国のエネルギー安全保障上非常に重要な国でございます。

 さらに、オマーンでは、今後、従来のエネルギー分野にとどまらず、造水、これは海水の淡水化でございますが、あるいは発電事業といったインフラ産業や観光産業等の分野におきましても日本企業の進出が今後見込まれるところでございます。

 今般の租税条約の締結によりまして、我が国から相手国に、また、相手国から我が国に進出する企業や個人にとりまして、投資、経済活動に対する課税関係について予見可能性が高まるということが期待されております。これによりまして、相互の投資や経済、人的交流が一層促進されるということになろうかと考えております。

村上(政)委員 今回審議しているこの租税条約によって、今副大臣が答弁されたような、両国との関係というのがますます強化されることを期待したいと思います。

 次に、改定する方の議定書、租税条約なんですが、スウェーデンそれからイギリスとの改正議定書においては、租税に関する情報交換の対象を全ての租税に拡大しているというふうに承知いたしております。その理由というのはどういったところにあるのでしょうか。

上月政府参考人 お答えいたします。

 スウェーデン及び英国との現行の租税条約では、両締約国の税務当局間の情報交換の対象は一定の租税に限られておりました。これが、最近では国境を越える経済活動が活発化していまして、租税の徴収を確実に行うためには、海外での経済取引や課税対象資産の状況等に関する情報を適切に収集することが不可欠となっております。そのために、今回の改正議定書では、全ての租税について情報交換が行えるように対象を拡大した、こういう次第でございます。

村上(政)委員 この情報交換なんですけれども、この意義というのは、私の承知している限りでは、例えば、我が国の居住者が海外に開設している銀行口座の利用状況については、その全てを把握することは困難である、しかしながら、我が国の国税当局としても、従来から、国外送金等の調書や租税条約に基づく情報交換制度などを効果的に活用して、課税上の問題があると認められる場合には税務調査を行うなど、適正な課税の実現に努めている。

 また、我が国の居住者による海外銀行口座の利用状況についても、条約の実施や国内法令の運用、執行等に必要な情報として、相手国の税務当局から情報の提供を受けることは可能だ。

 こういうふうに、情報交換の規定というのは課税実務に際して極めて有用だと思います。こういうものが全ての税の項目にわたって拡大されたというのは非常にいいことなんじゃないかなと思います。

 次に、スウェーデンとそれからイギリスの改正議定書について続いてお聞きしたいと思いますが、改正議定書においては、各締約国の税務当局が相手国の租税債権の徴収を相互に支援する徴収共助の規定が新たに設けられた。この規定を設ける意義というのはどういったところにありますでしょうか。

上月政府参考人 お答えいたします。

 租税債権の徴収につきましては、通常、自国に認められた執行管轄権を国境を越えて行使することは制約を受けております。そのような中で、租税条約によって法的枠組みを整えて、各締約国の税務当局が相手国の租税債権の徴収を相互に支援する、これが徴収共助でございます。

 昨今の経済活動のグローバル化によりまして、滞納者が財産を国外に移転したり、海外への移住者が我が国の租税を滞納する事例が増加しております。これに対応するため、スウェーデン及び英国との改正議定書におきましては、徴収共助規定を設けることで相手国と合意した次第でございます。

村上(政)委員 次に、スウェーデンとそれからイギリスとの現行の租税条約には、条約の規定の適用に関する紛争の解決のための税務当局間の相互協議手続が定められています。

 今回の両議定書において、この相互協議の一環として仲裁手続が導入されることとなりましたが、その理由及び期待される効果について伺いたいと思います。

上月政府参考人 お答えいたします。

 相互協議手続でございますが、これは、租税条約の規定に適合しない課税措置がとられた場合に、納税者の申し立てに基づいて、両締約国の権限のある当局間で相互に協議を行い、解決する枠組みでございます。しかしながら、協議によって当局間の合意が成立しない場合には事案が解決されないおそれがあります。

 このような事態に対応するために、今回のスウェーデン及びイギリスの改正議定書におきましては、相互協議手続の一環として仲裁の枠組みを設けることとした次第でございまして、これは、権限のある当局間の協議の開始から一定期間が経過しても合意が成立しなかった場合には、申し立てを行った納税者の要請に基づき、仲裁に付託する制度でございます。

 この仲裁制度の導入によりまして、相互協議を通じた事案の解決がより確実なものとなり、相互協議の実効性が高まることが期待されております。

 以上でございます。

村上(政)委員 今お話しすることは質問ではなくて指摘にとどめたいと思います。日本とアラブ首長国連邦の租税条約、それからオマーンとの間での租税条約において仲裁手続及び徴収共助規定が存在しないことについて、質問ではなくて指摘するだけにしたいと思います。

 近年、我が国が締結する租税条約は、仲裁手続及び徴収共助に関する規定が盛り込まれております。これは、今欧州局長からも御答弁いただいたように、スウェーデンとかそれからイギリスの間でも書かれている。

 仲裁手続については、二〇一〇年に署名したオランダ、香港との租税条約以降、ポルトガル、それからニュージーランドとの租税条約及び二〇一三年、昨年の署名の日米租税条約改正議定書においても盛り込まれている。

 また、徴収共助規定については、ニュージーランド及びポルトガルとの租税条約、それから日米租税条約改正議定書に加えて、二〇一一年に署名した多国間条約である税務行政執行共助条約にも盛り込まれています。

 今国会に提出された日・スウェーデン及び日英議定書には仲裁手続や徴収共助に関する規定が盛り込まれている。これは先ほどの御答弁で御紹介のあったとおりだと思います。他方、アラブ首長国連邦及びオマーンとの租税条約にはこの規定は盛り込まれていません。

 経済界からは、未締約国との租税条約締結の際は、課税問題が発生した場合に解決できる仲裁手続の規定を盛り込む旨が要望されている。これは、国際課税連絡協議会、平成二十六年度税制改正に関する要望、これは二〇一三年九月二十六日に出てきたものですが、そういった要望があるにもかかわらず、アラブ首長国連邦とそれからオマーンとの租税条約には仲裁手続に関する規定が盛り込まれなかった。

 そもそも、仲裁手続というのは、締約国同士の権限のある当局、税務当局等が、条約の規定に適合しない課税をなされた事案について、両締約国の権限ある当局が事案を解決するための合意に達することができなかった場合に、第三国出身の仲裁人等が構成する仲裁委員会が両締約国を拘束する決定を当該事案に関して下すものである。

 また、徴収共助というのは、御説明のあったとおり、不正に課税回避された租税の徴収に関して締約国同士が協力し合うものであって、この規定が盛り込まれていれば、納税者が資金を逃避させるとしても、それが締約国内であれば有効に徴収することが可能である。こういったものが徴収共助だと思います。

 こういった規定がアラブ首長国連邦とそれからオマーンとの租税条約には存在しないことについて指摘をしておきたいと思います。

 通告した質問が全て終わってしまいましたので、ちょっと時間がまだ余っているんですけれども、これにて終わりたいと思います。

 租税条約がこれからもたくさん結ばれて、経済外交が推進されることを期待して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、質問の機会を十五分いただきました。ありがとうございます。

 最初に、ちょっと通告していないんですけれども、一点お伺いしたいと思います。

 けさの報道で、中国政府が南京事件や慰安婦に関する資料をユネスコの記憶遺産に登録申請したということが明らかになって、官房長官も、これは政治的意図を持って申請したと判断されれば抗議をして取り下げさせるということを記者会見で表明されておりますが、本件について外務省としてはどのように対応されるおつもりなのか、確認させていただきたいと思います。通告しておりませんでしたが、報道で大きく出ておりますので、お聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 報道は承知しております。

 そして、今、まずは現状の確認をしっかり行っておりますが、認識、考え方としましては、官房長官から発言がありましたように、これが政治的意図を持って行われたものであるとするならば、しっかり抗議をし、取り下げを求めていかなければならないと外務省においても認識をしております。

青柳委員 ありがとうございます。

 私は、明らかに政治的意図を持っていると思われますので、きちんとした対応をお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

 それでは、租税関連条約四本の質問に移りたいと思います。

 我が国の租税条約の締結状況というのは、きょうの議論でもありましたが、現在、八十三カ国・地域で、投資額ベースでは九三%をカバーするということで、これまでの取り組みに一定の評価はできると思いますが、他の主要国の締結状況と比較すると、数の上でも実際は見劣りがするというのも事実だと思います。

 そして、経済界からの要望だということで外務省さんの説明資料にも書いてありますが、であれば、投資協定や社会保障協定といった経済条約については一体で有機的に連携させて取り組みを進めてほしいというのが経済界からの要望でございまして、こうした、重層的に取り組んでいるのか、取り組めているのかという点でいえば、やはりまだ十分だとは言い切れないのではないかと思います。

 外務省は、二〇〇八年六月に、「BITの戦略的活用について」と題した取り組み方針を策定しておりますし、さらに、二〇〇八年十二月に対外投資戦略会議というものを設置して、経済条約について戦略的に進めていくという方針を決めているということであります。さらに加えると、最近では、昨年六月の日本再興戦略においても、投資協定、租税条約の締結、改正の推進と明記されているわけであります。

 こうした方針はとても重要だと思いますが、方針はあるんですけれども、実態は伴っているのかということについてお伺いしたいと思います。この経済条約の締結方針、投資協定や社会保障協定とともに一体として有機的に取り組んでいくという方針について、どうやってこの方針を実現していくのかということについて、まずは大臣にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、租税条約、投資協定、さらには社会保障協定、こうしたものは、企業の海外展開を推進するに当たって環境整備をする際、大変重要なツールであると認識をしております。

 こうした条約あるいは協定の交渉につきましては、経済関係等の二国間関係、そして御指摘のような経済界からの要望、そして相手国の制度、こういったものを総合的に考慮して選定し、交渉を行っているというのが現状であります。これからも、優先度が高いものから順次交渉を行い、日本企業の海外展開に資する総合的なビジネス環境整備に努めていきたいと考えております。

 昨年六月の日本再興戦略におきましても、「企業の海外展開の支援に資する租税条約のネットワーク拡充の取組を加速する。」とされております。外務省におきましても、外務大臣が本部長となり、日本企業支援推進本部を立ち上げております。ぜひ、こうした本部におきまして、日本企業の海外展開に資するビジネス環境整備についてどうあるべきなのか、しっかり検討を進めながら、取り組みを進めていきたいと考えております。

 いずれにしましても、こうした考え方そして体制を持ちまして、租税条約ネットワークを初めとする条約、協定の締結に向けて、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。

青柳委員 ありがとうございます。しっかりと取り組んでいただきたいと思うところであります。

 今おっしゃられたような条約を戦略的に進めていくには、当然、体制の強化というものが必要であると思いますが、きょうお越しいただいている三ッ矢副大臣のこれまでの国会答弁、例えば昨年十一月十三日の本委員会での答弁、あるいはことし五月二十一日の外務委員会の答弁では、副大臣は、外務省の人員が足りないのを認める答弁をされております。

 ですから、今大臣がおっしゃられたような方針でいくのであれば、かけ声倒れにならないかどうかという懸念があるんですけれども、この体制の強化については具体的にどうやって図っていくのかについてもお伺いしたいと思います。

三ッ矢副大臣 先ほど松本委員にもお答え申し上げたところでございますが、実際、やはり外務省の人が足りないというのも事実でございまして、この点に関しては、むしろ先生方に応援をしていただきたい、このように考えておる次第でございます。また、外務省のみならず、特に租税条約あるいは投資関係の条約に関しては財務省の体制の強化も必要でございますので、その点につきましても、ぜひ御支援のほどよろしくお願いしたいと思っております。

 その上で、外務省として、これは先ほどの松本委員に対する答弁の繰り返しになるかもしれませんが、長期的に正職員の増強を図っていくというのは当然でございますけれども、任期つき職員の増強でございますとか、先ほどちょっとお答え申し上げましたが、昨年十一月の時点では実は任期つき職員は十六名だったのが、この半年間で二名増員をさせていただきまして、今現在十八名の体制になっております。

 それから、長期的には、やはり職員の能力向上といいましょうか、経済関係の知識、知見に関する人材育成の面からの対応が必要でございまして、その点についても努力を重ねていきたい。

 それから、アウトソーシングされてはどうかという話もございましたが、この点については、実は守秘義務との関係でちょっと難しい面もございますけれども、それに抵触しない範囲で外部の方の知見を活用させていただくということも考えてまいりたい、このように考えておる次第でございます。

青柳委員 ありがとうございます。体制の強化については、ぜひ与野党を超えて取り組んでいく必要があるなと思います。

 次に、条約の質の向上についての取り組みについてもお伺いさせていただきたいと思います。

 今回の日英租税条約の改正については、我が国が締結している租税条約としては初めて、事業利得の算出についてAOAに基づく形で改正されるということであります。これによって二重課税や二重非課税の緩和に資するということが期待されていると思いますけれども、このように、既存の租税条約をAOAに基づく規定へと改正するという方針やめどについて政府の方針を伺っておきたいと思います。

三ッ矢副大臣 実は、二〇一〇年に改定されましたOECDモデル租税条約で、本店と支店との間の内部取引を厳格に認識するといういわゆるOECD承認アプローチ、AOAが導入されました。これを踏まえまして、今回、日英の租税条約改正議定書におきましては、事業利得に関する規定が改正されたわけでございます。

 これは、課税対象となる支店、工場等の恒久的施設に帰属すべき利得の算定方法をより明確化するということを内容にしております。簡単に申し上げますと、例えば、日本に支店を置いている場合に、その支店が一定の資本金を持った独立した法人であると、擬制といいましょうか、そうみなしまして、そこで得られる利得に関しての課税をはっきりさせるというものでございます。今までそこの点が曖昧だったわけでございますけれども、これによりまして、二重課税あるいは二重非課税のリスクが小さくなるというふうに考えております。

 我が国が締結した租税条約におきましてこの規定を置きますのは初めてでございまして、今後、我が国が租税条約を締結、改正する際におきましても、相手国との交渉結果次第ではございますけれども、基本的には同様の規定とすることを目指す方針でございます。

青柳委員 ありがとうございます。ぜひ既存の条約のバージョンアップについてもお取り組みをいただきたいと思っております。

 次に、せっかくの機会なので、北朝鮮の情勢、日朝政府間協議について伺わせてください。

 今回の合意内容についてまず伺いたいと思いますが、北朝鮮の拉致問題の情勢が大きく動き出そうとしているところで、関係者だけでなくて、国民全体が大きな期待を持って注視しているところだと思います。

 既にいろいろなところで聞かれていると思うんですけれども、これまでの政権の方針とちょっと違って、なぜ今回は、調査を開始するという時点で制裁を一部解除するというところまで踏み込んだのか、この点についてはやはりどうしても改めてお伺いしておきたいと思います。

 言うまでもありませんが、これまでの北朝鮮の対応を見れば、調査を開始しても、あるいは調査結果についてはとてもいいかげんなものばかりだったし、引き延ばしということもありました。ところが、北朝鮮拉致問題の専門家をそろえた安倍内閣が、拉致問題の専門家を自負している安倍総理自身が、それでもなお、今回は、調査の開始時点で、開始した時点で一つの成果だと判断して一部の制裁を解除するということなので、逆に、非常に強い感触を持っているということなんだろうと理解させていただきたいと思いますが、そういう理解でよろしいのか。

 あるいは、北朝鮮の意思決定というのは、当然ですが、金正恩の意思というのが働かなければならないと思いますが、金正恩の意思が何らかの形で確認されたんだろうというふうに期待しておりますけれども、そういう理解でよろしいのか。

 答えられないことも多いと思いますが、一応委員会で確認させていただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、今回の合意、これは日朝間の諸懸案解決に向けた重要な一歩であると認識をしております。

 そして、こうした合意の中身ですが、まず、対象とする分野につきましても、拉致問題はもちろんですが、それ以外の全ての日本人に関する問題、こうした幅広い分野に向けて早期解決への努力を行う、こうした内容となっております。

 そして、特別な権限を持つ特別調査委員会の立ち上げを確認したわけですが、その調査委員会につきましても、随時通報する。

 あるいは、調査の進捗に合わせ、日本側の提起に対し、それを確認できるよう、日本側関係者による北朝鮮滞在、関係者との面接、関係場所の訪問を実現させ、関係資料を日本側と共有し、適切な措置をとる。こうした実効性を担保する具体的な方策につきましても文書において確認をいたしました。

 そしてさらに、この文書の中で、調査の過程において日本人の生存者が発見される場合には、その状況を日本側に伝え、帰国させる方向で去就の問題に関して協議し、必要な措置を講じる、こうした帰国させる方向という部分につきましても文書において確認をした次第であります。

 こういった合意を両国間で行った上で、我が国としましては、北朝鮮に対する制裁措置の一部を解除するという対応を行った次第であります。

 そして、感触を得ていたのではないかという御質問がございましたが、これは、こういった合意に基づいて特別調査委員会の実効性を確保するのが当面の最大の課題だと認識をしております。この調査によってさまざまな方々の情報について明らかにされるべきことであると認識をしております。

 ぜひ、こうした第一歩をしっかりと結果に結びつけるよう、調査の実効性をしっかりと確保できるよう、全力で取り組んでいきたいと考えております。

青柳委員 もう一問お伺いしたかったんですが、時間を超過しましたのでこれでやめますが、関係者だけでなくて多くの国民が期待をして見守っておりますので、ぜひ結果を出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 本日の審査案件である四件、日・アラブ首長国連邦、日・スウェーデン、日英及び日・オマーンの租税条約は、グローバルに活動する日本の多国籍企業に対する源泉地国課税をさらに緩めるという、大企業優遇税制を拡大、補強するものであります。また、国際的な課税引き下げ競争を助長することにもなり、我が党はこれらの承認に反対であります。

 その上で、この際ですが、TPPをめぐる日米間の交渉あるいは協議、TPP交渉あるいは並行交渉の現状について幾つか質問したいと思います。

 まず、日米協議における米国側の姿勢といいますか態度の問題なんですが、澁谷内閣審議官が四月二十一日の記者ブリーフの中で、米国が初めからの相当厳しい主張、原則撤廃であるという主張をいまだに崩していない、基本的に米国は関税率や制度の撤廃を求めていると説明をしております。

 要するに、米国は、日本がTPP交渉に参加表明して以来、今日まで一貫して厳しい姿勢で臨んできている、そういう認識なんでしょうか。いかがですか。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 TPPは、そもそも高いレベルの自由化を目指しての交渉でありますので、米国は従来より、物品の関税を原則として撤廃すべきという主張をしてきておりますので、澁谷審議官もその旨を述べたものというふうに理解をしています。

笠井委員 日米の通常の交渉と違うと審議官も言うぐらい、米国が日本に厳しく要求している交渉だということだと思うんです。

 また、澁谷審議官はブリーフィングの中で、主要五品目、米、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖やその原料などの交渉について、難航しているというふうに発言しておりますが、この主要五品目の何がどう難航しているのか、これは国民に対してどんな説明になるんでしょうか。

西村副大臣 先般の日米首脳会談、及び甘利大臣、フロマン代表の閣僚協議などを通じまして、非常に難航はしておりますけれども、重要五品目についてもそれなりの進展がありました。合意をしたわけではありませんけれども、共同声明に書かれておりますように、前進する道筋が特定されたという表現をしております。

 これは、二国間の市場アクセスを改善するためのさまざまなファクター、要素、フロマン代表はパラメーターといった言い方を記者会見で言われているようでありますけれども、ファクター、要素といったもの、それぞれの関係、あるいは、どういうふうにした場合にどういうふうになるのか、そういう全体のパッケージ、甘利大臣は方程式という言い方もされていますけれども、合意に向けて、解決に向けてのそういう道筋、やり方を特定したということでありまして、なかなかわかりにくいんですけれども、しかし、これまで非常に難航しておった、なかなか歩み寄りが見られなかった中で、いろいろな考え方が整理されてきたという意味で、重要な節目を画するもの、共同声明ではキーマイルストーンという言い方をしております。

 さらに、それを受けて、五月二十九日から三十日にワシントンにおいて大江首席交渉官代理とカトラー代表代行との間で折衝を行っておりまして、さらにそれが縮まるかどうか、折衝を行っているところでございます。今後、七月には首席交渉官会合が行われる予定になっておりますので、その前に、今月の下旬にも改めて事務折衝を行う予定でありまして、それまでさらにしっかりと交渉させていただきたいというふうに思います。

笠井委員 今、西村副大臣がわかりにくいと率直に言われたとおり、何がどうと言われても、方程式とかパラメーターとか、それから前進への道筋と言っても、国民にとってはさっぱりわからぬという状況になっているんだと思うんです。

 そこで、今、大江首席交渉官代理の話も出ました。五月三十日のブリーフィングで、日米協議について、一進一退しながら間合いを狭める作業をしているというふうに発言をされていますが、この間合いを狭めるというのは、日本側が米側の要求、かなり厳しいことを、通常の交渉とも違うと言っている中で、それに応えるべく努力している、そういうことになるんですか。

西村副大臣 日本側は、国会の決議もございますし、我が国の農業の基盤を崩すような、そうした提案は受け入れられないということを主張してきておりますので、間合いを詰めるというのは、我々が何か全て譲歩するような、そういうことを意味するものではなくて、双方が納得する形で合意ができるかどうかという間合いを詰めているということでありますが、やり方、方程式が決まってだんだん間合いが詰まっている分だけ、最終段階、最後のところに近づきつつあって、そのためになかなか難航しているという状況で、一進一退という言い方を大江代理はしたものと思いますけれども、いずれにしても、引き続き、日本の主張をしっかりしながら、粘り強く交渉していきたいというふうに思います。

笠井委員 もともとTPPの交渉そのものが、副大臣が冒頭にも言われましたが、高いレベルということで、そこを目指していくんだという話になっていますので、原則撤廃していく場だということになっている。そういう話で入ってやっているわけですね。

 それで、ブリーフィングによれば、それを正面から突きつける米側に対して、あのブリーフィングを読みましたけれども、日本側は、米側交渉官の背後に控える農業団体の存在とか政治的圧力を感じながら、間合いを狭めるということで、米側の方も作業をしている。つまり、日本側がどういう形で、つまり、双方がと言うんだけれども、向こうがそういうふうにして臨んだ中でどう譲歩するかという形できゅうきゅうとなっているのが現実じゃないかというふうに私は読み取ったんですね。

 五月三十日のブリーフィングで大江代理は、農業分野の市場アクセスについて日米が合意に至った場合、その関税レートはほかのTPP参加国にもオファーされるのかと問われたのに対して、可能な限り同様の対応をしたいというふうに答えております。

 そこで伺いたいんですが、今後の日米協議である分野の非関税措置の撤廃や緩和についても合意した場合に、その内容というのは、関税措置と同様に、他のTPP参加国にもオファーされるのか、提示されるということになるのか。そういう考え方なのか、基本的に伺いたいんです。

西村副大臣 TPP交渉、特に関税の議論、市場アクセスの議論は、二国間で議論を積み重ねていくということで今進めておりますので、その一環で、特に大きな大国である二国、日米両国が議論を詰めているところでありますけれども、ほかの国もそれぞれやっておりますので、日本との関係、アメリカとの関係では、ほかの国は日米の交渉を待っているような状況であります。しかし、二国間それぞれが交渉したものを積み上げていって、最終的に全体でどう扱うかというところはまだ決まっておりません。

 我が国としては、まず日米の交渉である程度の方向性を早く出しながら、ほかの国とも交渉を進めるという方針でありますけれども、その際に、それぞれ各国の事情がありますから、どういう形でそれを提示するかというのは、これは交渉の中身にかかわってきますので答えは控えたいと思いますけれども、全体としてはそういうやり方で進めております。

笠井委員 つまり、例えば現在協議中の自動車貿易でありますけれども、関税、非関税措置について仮に日米間の合意に至った場合に、その内容が他の参加国にオファーされる、取り込まれる、そのままいくかどうかというのはもちろん議論、交渉があるんでしょうけれども、そういう形で反映していくという、今、日米が大きな部分を占めているということがありましたが、そういう考え方ということで基本的に整理したらいいんでしょうか。

西村副大臣 日米の自動車協議は、これは外務省の方で行っていただいておりますけれども、これはTPPの合意の中に溶け込ませるということになっておりますので、最終的にはそういう形に仕上がってきますけれども、最後、どういう形で二国間の協議をほかの国に示し、ほかの国同士も二国間でやっているものをそれ以外の国にどう適用するかという議論がありますので、全体としてどういう進め方をするか、まだ決まっているわけではございません、合意ができているわけではありませんので、まずは二国間を積み上げていくということであります。

笠井委員 そういう形で、今、溶け込ませるという言い方もされましたけれども、その結果としてTPPで合意された内容ということになりますと、これは合意の中身に秘密保持協定が適用されるということになりますか。

西村副大臣 交渉の内容は各国間で合意ができておりまして、それぞれの会の後、合意した内容のものしか公表せずに、どういったやりとりがあったかなどは公表しないということになっておりますので、そういう状況です。今後どういう扱いにするかは、その都度また決めていくことになりますし、最後、全体としてどういう公表の仕方になるかというのは、これから議論の中で決めていくということになると思います。

笠井委員 日本側が協議した形で詰めていって譲歩した合意内容というのがTPP協定のスタンダードになっていくというふうな方向になっていくんじゃないか。しかも、その内容が国民に対して秘密になるということになると、最悪の日米FTA交渉になっちゃうんじゃないかと私は思います。

 関税交渉というのは、一般論として、税率をどこまでどの期間を通じて下げるのか、それから関税割り当てをどう組み込むのか、セーフガードの発動の条件はどうするのか、そういうことにわたるものだと思うんです。

 これは大臣に伺いたいんですが、内閣官房と外務省のホームページを見ますと、国民に対しては肝心な点を説明されていない。わかりにくいという話もさっきやったんですけれども、交渉が終わってしまってからでは遅いということがあると思うんです。日米協議について、国民の利害に直接かかわる問題については、どういう論点で何がどこまで行われているかぐらいはきちんと明らかにすべきじゃないかと思うんですが、その点については、大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 御質問はTPP交渉と日米並行交渉についてですが、まずTPP交渉につきましては、情報公開に関しまして、各国とも、守秘義務の遵守と情報提供のあり方について悩みながら、大変工夫しながら対応しているというのが現状であると認識をしています。そもそも秘密保持契約が存在するわけですし、また、交渉事ですから、言えることと言えないことがある、こういったことは当然あると思っています。

 その中にあって、現在までも、交渉会合の前後に、国会ですとか、与野党、関係団体に随時説明を行うなど、できるだけ情報を提供し、御意見をいただく機会を設けているというのがTPP交渉のありようですが、日米並行交渉の方は、先ほど西村副大臣からありましたように、例えば自動車貿易に関する並行交渉の結果は、枠組み文書上、TPP協定に附属される二国間の市場アクセスの表に組み入れられる、こういった形でTPP交渉に溶け込ませることになっております。また、非関税措置に関する並行交渉、こちらは対象分野がTPP交渉と重なっている、こういった状況にあります。

 こういったことでありますので、この日米並行交渉につきましても、TPP交渉の情報保全のあり方とも密接に関連していくものだと思っております。その範囲内で、国民に対して、国会に対して、しっかりと情報提供は行っていきたいと考えております。

笠井委員 そういう形では全然見えてこない、わかりにくい話という話しか残ってこないわけです。

 最後の質問をしますが、USTR、アメリカの通商代表部が毎年、外国貿易障壁報告書を出しております。二〇一四年の報告書でも、日本に対する要求を該当するところで具体的に列挙していますが、米国は、TPP交渉や並行交渉にとどまらず、日本に対して、例えば電気通信とか医療機器など多分野にわたって、この報告書の線で関税、非関税の措置の撤廃や緩和を要求しております。

 そこで、端的に、現在、並行交渉中の保険とか競争政策等の非関税措置の協議が仮に合意になった場合に、米側は、何らかの日米間の交渉チャンネルで、例えば電気通信分野の対日要求を新たに提起してくる、こういう可能性はありますね。

石原大臣政務官 御指摘の外国貿易障壁報告書の中には電気通信というのが入っておりますけれども、佐々江駐米大使発の書簡が、TPP交渉と並行して、保険、透明性、貿易円滑化等々を載せておりますけれども、発表している中には電気通信というのは載っていないところであります。

笠井委員 今の交渉の中に載っていなくても、今、このUSTRの報告書の冒頭部分でいいますと、「TPP交渉に加え、米国は二国間及び他のフォーラムを通じて、通商関連の懸念事項及び課題への取組も継続する。」と明言しているわけですね。つまり、現在TPP交渉や並行交渉で扱われていないさまざまな分野、項目をいっぱい日本に要求しているんだけれども、これについても、今後そういうことをやってくる可能性があるということなんです。

 結局、関税、非関税での日米合意の内容というのがTPPの方に反映されてスタンダードになっていく。しかも、米国は、一つ合意すれば、また次にいろいろなフォーラムあるいは場面で要求してくる可能性があるということになってくる。しかも、中身が国民に具体的には知らされないで、結論が後になっている。このまま交渉を続けたら、広範な分野で国民生活と地域生活に打撃を与えて広げるだけだということになると思います。

 やはり、譲歩を重ねるだけのTPP交渉からの即時撤退と日米並行協議の即刻中止ということを強く求めて、時間になりましたので、きょうは終わります。

鈴木委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 本日は、条約に関連しての審議です。日本・アラブ首長国連邦租税条約、日本・スウェーデン租税条約改正議定書、日本・英国租税条約改正議定書及び日本・オマーン租税協定、この条約及び改正議定書に関する件についてまず質問をさせていただきます。質問の内容が重複する点はあるかと思いますが、どうぞ、御答弁は丁寧にお願いをしたいと思います。

 まず、アラブ首長国連邦、オマーンとの条約及び協定において、規定に適合しない課税を受ける、あるいは規定に適合しない課税を受けた納税者の紛争解決のために、相互協議に関する手続が二十四条で定められています。

 他国との租税条約及び協定において、過去にこのような規定を置いて手続が図られた協議、その事例等があればお伺いいたします。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、相互協議手続とは、租税条約の規定に適合しない課税が行われたと納税者が考える場合に、納税者の申し立てに基づきまして、両締約国の権限のある当局間で相互に協議を行って、合意によって事案を解決する枠組み、仕組みでございます。

 今、今までどのような事案について解決が図られたかというお尋ねでございました。

 例えば、租税条約に定められました範囲を超える課税、あるいは租税条約に定められた上限税率を上回る課税、こういったものが今までこの協議手続の対象となっております。

玉城委員 手続の対象となることを紹介していただきましたが、過去にこのような事例はないというふうなことで思料してよろしいのかと思います。

 では、日本・スウェーデン及び日本・英国の改正議定書では、この規定の適用に関する紛争解決のための相互協議の手続について、仲裁の導入が盛り込まれています。

 今般の改正議定書でこの仲裁を導入する意義について伺いたいと思います。

石原大臣政務官 租税条約の規定に適合しない課税が行われる場合には、納税者の申し立てに基づき、両締約国の権限のある当局間は相互に協議を行い、合意によって事案の解決に努めなければなりません。

 しかし、当局間の合意が成立しない場合には、事案が解決されないおそれがあります。このような事態に対処するため、スウェーデン、英国との改正議定書において、相互協議手続の一環として仲裁規定を設けることといたしました。これは、権限のある当局間の協議の開始から一定期間を経過しても合意が成立しない場合に、申し立てを行った納税者の要請に基づき、仲裁に付託する制度であります。

 この仲裁制度の導入により、相互協議を通じた事案の解決がより確実なものとなり、相互協議の実効性が高まることが期待されます。

玉城委員 ある一定期間、協議が進まなければ調停に入るというふうなことですから、こういう項目こそ、私は、この租税条約の中にもしっかり織り込むべきではないかというふうに思うわけですね。

 日・アラブ、日・オマーンでは、手続規定はあるものの、仲裁規定までは盛り込まれておりません。なぜ盛り込まれていないのか、その理由についての説明をお願いいたします。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に申し上げまして、租税条約の具体的な規定内容につきましては、相手国との交渉の中で合意されるということになります。今回、アラブ首長国連邦及びオマーンとの租税協定におきましては、交渉の過程あるいはその結果におきまして、仲裁規定は導入しないこととなったということでございます。

 交渉の以前におきまして、アラブ首長国連邦及びオマーン、それぞれが各国と締結をしておりました租税条約、他の例でございますけれども、この中にも仲裁規定は含まれておらなかったということで、結論から申し上げますと、相手国との交渉の結果、この仲裁規定が含まれなかったということでございます。

玉城委員 その交渉のいかんによって、今後、恐らく、相手国の法令関係の準備等が整うと、そのような規定が織り込まれていくという協議に進んでいくということだと思います。

 では、続いて、今回の条約及び改正議定書の中で、特に配当に関する免税についてお伺いいたします。

 持ち株要件の軽減に関して、日・スウェーデン改正で、親子会社間での二五%が一〇%以上へ、日・英国の改正では五〇%以上等が一〇%以上に、それぞれ軽減されるということになります。

 軽減されることによって免税対象へ移行するそれぞれの対象企業はどのような数を見込まれているんでしょうか、説明をお願いいたします。

上月政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、日・スウェーデンの条約改正議定書では、出資比率が一〇%以上二五%未満のスウェーデン子会社の配当が新たな源泉地国免税の対象になります。それから、日英租税条約改正議定書におきましては、我が国の出資比率が一〇%以上五〇%未満である子会社からの配当が新たに源泉地国免税の対象になります。

 この結果、民間企業の調査によりますと、今回の改正により新たに免税対象となると考えられる我が国の企業は数十社ございまして、これらの企業が直接出資するスウェーデン及び英国の子会社から我が国企業に支払われる配当が条約が定める株式保有期間等の要件を満たす場合には、新たに源泉地国免税の対象となる可能性がございます。

 さらに、今回の改正を契機に、我が国企業がスウェーデン及び英国子会社への出資比率を引き上げ、新たに源泉地国免税の対象となるケースが出てくることも想定されます。

 こういったことの全体の効果でございますけれども、今回の改正によりまして、源泉地国における所得課税の免税の範囲が拡大いたしまして、スウェーデン及び英国との間で二重課税が生ずる懸念が小さくなりますので、両国との間の投資、経済交流が一層促進されることが期待されるところでございます。

玉城委員 両国との投資関係、民間企業の活発な活動を進めることによって、さまざまな弊害、二重課税等の弊害が取り除かれていくということだと思います。

 この日英改正議定書において、これは改正後の条約第七条になりますが、恒久的施設に帰属する課税対象利得の明確化が織り込まれています。この改正によってどのような影響が見込まれているのか、伺いたいと思います。

石原大臣政務官 日英租税条約改正議定書では、事業利得に関する規定が改正されました。これは、課税対象となる支店、工場等の恒久的施設に帰属すべき利得の算定方法をより明確化することを内容としております。この改正は、二〇一〇年のOECDモデル租税条約の改定に沿ったものであります。

 この改正により、恒久的施設に帰属する利得の範囲がより明確となり、我が国と英国との間で二重課税、二重非課税のリスクが小さくなることが見込まれます。

玉城委員 ありがとうございます。

 この改正、いわゆる恒久的施設に帰属する課税対象利得の明確化、これをその他の条約やあるいは日・スウェーデンの改正議定書に盛り込まなかった理由は何か、伺いたいと思います。

上月政府参考人 お答え申し上げます。

 日英では、今委員御指摘のとおり、恒久的施設に帰属する利得の範囲がより明確となりまして、我が国との間で二重課税、二重非課税のリスクが小さくなることがございました。

 他方、租税条約の具体的な内容は相手国との交渉の中で合意されるものでございますけれども、スウェーデンとの間では、交渉の結果、スウェーデン側の事情もございまして、事業利得に関する新たな規定を導入しないということになっております。

玉城委員 それぞれの条約に関しても、相手国との協議をさらに重ねて、活発な投資関係が築かれるよう御尽力いただきたいと思います。ありがとうございました。

 次に、日米拡大抑止協議に関する件について質問をさせていただきます。

 日米同盟体制において我が国の安全を確保する上で米国より提供を受けている拡大抑止に関する協議が、今月、米国において開催されています。協議に参加した日米双方の担当部局及び担当者、そしてその協議で交わされた意見についての内容を伺います。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 日本とアメリカの間におきましては、従来から、アメリカによる我が国への抑止力の提供、いわゆる拡大抑止につきまして、さまざまな形で協議を行ってきておるところでございます。

 そして、今先生御指摘のとおり、今回の協議につきましては、まさにきょうも行われておりまして、十日から十二日までということで、アメリカのニューメキシコ州アルバカーキにおいて行っておるところでございます。

 そして、日本側ですけれども、防衛省の方からは、防衛政策局の真部次長ほかが出席をしております。それから、外務省の方からは、北米局の秋葉審議官ほかが出席ということでございます。

 それから、アメリカ側でございますけれども、国防省につきましては、核・ミサイル防衛政策担当のバン次官補代理、国務省の方からは、核・戦略政策担当のフリート筆頭次官補代理、それから日本・韓国担当のズムワルト次官補代理ほかが出席をしております。

 これにつきましては、事柄の性質上、詳細につきましては、内容的なことにつきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、日米同盟の抑止力という事柄につきまして率直な意見交換をしているものでございます。

玉城委員 まさに今この協議が行われているということではありますが、これまでにも過去に何度もそのような協議が行われてきて、相互の情報共有というふうなことでの意見交換がなされていると思います。

 いわゆる拡大抑止というのは、核による拡大抑止というふうに捉えているわけですが、二〇〇九年四月五日、米国のオバマ大統領は、チェコの首都プラハで、核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として行動する道義的責任がある、国家安全保障戦略における核兵器の役割を縮小し、他国へも同様な措置をとるよう求めると演説し、核兵器廃絶へのプロセスをとることを宣言しています。

 また、本邦の外務省は、国民や世界に向けて、日本は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、国際社会による核軍縮・不拡散の議論を主導してきています、日本は、全ての核兵器保有国に対し、軍備の透明性の向上を図りつつ核軍縮措置をとることを呼びかけ、具体的な行動を起こしていますと宣言し、呼びかけております。

 最後に、外務大臣にお伺いいたします。

 米国を初め各国が所有する現有の核兵器が廃絶されるまでには長いプロセスがかかるということを認めつつではありますが、核軍縮・不拡散の目的を実行するために、日米同盟関係においての核縮小・廃絶協議も重要だと思われます。その件に関して外務大臣の見解をお伺いいたします。

岸田国務大臣 御指摘のように、二〇〇九年四月、オバマ大統領はプラハで演説をされまして、核兵器のない世界に向けて現実的かつ具体的な方途を追求する、こうしたことを明確に宣言されました。我が国は、唯一の戦争被爆国として、こうした姿勢を支持しており、核兵器のない世界を目指すという目標については、我が国も共有していると認識をしております。

 そういったことから、これまでもさまざまなレベルで、日米間で、核軍縮あるいは不拡散に関する意見交換あるいは協議を行ってきました。四月に行われました日米首脳会談におきましても、安倍総理とオバマ大統領の間で軍縮・不拡散について意見交換を行いましたし、また、同じく四月に行われました第八回NPDI外相会談には、初めて、核保有国であります米国から、ゴッテメラー国務次官をゲストスピーカーとして招かせていただきました。御案内のとおり、NPDIは、核を持たない国、十二カ国での枠組みですので、この枠組みに初めて、核保有国でありますアメリカから国務次官が出席をし、スピーチをする、こういったこともありました。核兵器をなくしていくためには核を持っている国にも協力してもらわなければいけない、こういった観点からこうした取り組みも行われた次第であります。

 ぜひ、日米間においても、核兵器のない世界を実現するという目標を共有しているわけですから、これからも、しっかり緊密に連携しながら、大きな目標に向けて現実的で実践的な取り組みを進めていくよう努力をしていきたいと考えています。

玉城委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。ニフェーデービタン。

鈴木委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアラブ首長国連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得及び譲渡収益に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とオマーン国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、城内実君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、結いの党及び生活の党の六派共同提案による中国による西沙諸島をめぐる事態に対し自制を求める決議を行うべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。青柳陽一郎君。

青柳委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま議題となりました動議につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読をもちまして趣旨の説明にかえさせていただきます。

    中国による西沙諸島をめぐる事態に対し自制を求める決議(案)

  中国による、西沙諸島周辺の境界未画定海域における一方的な掘削活動の着手及び進入禁止区域の通告により、中越間の対峙が未だ続いており、南シナ海における緊張が高まっている。先般のG7ブリュッセル・サミット首脳宣言でも指摘されたように、威嚇、強制又は力による領土又は海洋に関する権利を主張するためのいかなる者によるいかなる一方的な試みも、断じて容認できない。

  南シナ海の平和と安定は、海洋国家である我が国のみならず、国際社会全体の関心事項であり、対話を通じ、平和的に問題が解決されるべきである。本委員会としては、政府に対して、米国、並びに、ASEAN諸国をはじめとする各国との連携を強化するとともに、関係国に対し、緊張を高める一方的な行動を厳に慎み、関連国際法を遵守して自制的に行動することを強く求めていくよう要望するものである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣岸田文雄君。

岸田国務大臣 政府といたしましては、ただいま採択された御決議の趣旨を体しまして、しかるべく取り組んでまいります。

鈴木委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十五分散会


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