衆議院

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第3号 平成30年3月14日(水曜日)

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平成三十年三月十四日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 中山 泰秀君

   理事 小田原 潔君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 鈴木 貴子君

   理事 山口  壯君 理事 遠山 清彦君

      小渕 優子君    黄川田仁志君

      熊田 裕通君    高村 正大君

      佐々木 紀君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    辻  清人君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      中村 裕之君    星野 剛士君

      堀井  学君    山田 賢司君

      岡本 三成君    丸山 穂高君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   外務副大臣        中根 一幸君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    相星 孝一君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     星野 剛士君

  堀井  学君     中村 裕之君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     堀井  学君

  星野 剛士君     熊田 裕通君

    ―――――――――――――

三月十二日

 沖縄県民の民意尊重と、基地の押しつけ撤回に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三九号)

 同(笠井亮君紹介)(第三四〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三四一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三四二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三四三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三四四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三四五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三四六号)

 同(藤野保史君紹介)(第三四七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三四八号)

 同(宮本徹君紹介)(第三四九号)

 同(本村伸子君紹介)(第三五〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四六四号)

 同(笠井亮君紹介)(第四六五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四六六号)

 沖縄・高江の米軍ヘリパッドを撤去することに関する請願(志位和夫君紹介)(第三八五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長下川眞樹太君、大臣官房審議官相木俊宏君、大臣官房参事官安藤俊英君、領事局長相星孝一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。黄川田仁志君。

黄川田委員 自由民主党の黄川田仁志でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 いわゆる名称位置給与法の一部を改正するに当たりまして、在ダバオ日本領事館及び北大西洋条約機構日本政府代表部を新設するということでございますが、これら二つの、領事館、また代表部を新設する理由と意義をお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 おはようございます。

 ダバオは、フィリピンの南部ミンダナオ地域でございまして、これはフィリピンのドゥテルテ大統領の地元でございます。今、ドゥテルテ大統領は、マニラとこのダバオを往復しながら執務をするということもあって、この地域の政治的な重要性が高まってきているというのが一つ。

 それからもう一つ、ミンダナオ地域には日系企業あるいは在留邦人が非常にふえているということもございまして、こうした日本企業を支援する、あるいは在留邦人の保護といったニーズも高まっております。

 また、ミンダナオ地域にはかつてからイスラム過激派によるテロが発生をするという不安定要因があることから、邦人保護、企業の保護に加えて、こうしたテロリストに関する情報収集という拠点としても必要性が高まってまいりましたので、ダバオの総領事館を新設し、重要な戦略的なパートナーであるフィリピンとの協力関係を一層強化してまいりたいというふうに思っております。

 また、NATOにつきましては、NATOは域外における安定確保に向けた活動も実施をしており、サイバーあるいはテロといった分野で日本と共通の安全保障に関する課題を抱えております。これまでも日本とNATOの間で実務的な協力関係を進めてまいりましたが、代表部を開設することによって欧州とのネットワークの強化ということが期待をされるというふうに思っております。

黄川田委員 ありがとうございます。

 私は、特にNATO日本政府代表部の新設に期待をしております。

 私の問題意識の中には、欧州諸国が、極東アジアの安全保障に対し極めて関心が低く、中国や北朝鮮に対する警戒心が薄いことを危惧しております。このNATO日本代表部には、欧州諸国に、我が国及び我が国周辺の安全保障問題について正しい認識を持ってもらえるように努めていただきたいと思います。

 この点について、新設代表部にどのような貢献ができるか、お考えをお聞かせください。

河野国務大臣 アジアは、安全保障に関する問題が、さまざまな観点から深刻化していると言ってもいいのではないかと思います。欧州を含めた国際社会に、こうしたアジアの安全保障の抱える課題について関心を持ってもらう、関与してもらうというのは大事なことだろうというふうに思っております。

 特に、基本的な価値を共有する日欧米、この同盟のネットワークを強化するというのは非常に重要だと思っておりまして、昨年の十月にNATOのストルテンベルグ事務総長がいらっしゃったときの会談の中で、こちら側からは、北朝鮮を始めとするアジアの問題についてNATOの関与を促し、NATO側からも、北朝鮮問題を国際社会全体に対する脅威と捉える、あるいは、テロ、サイバーといった課題について日本との協力が重要だ、そんなことで一致をいたしました。

 また、かつての黄川田外務大臣政務官がミュンヘン対話、ミュンヘン安保会議に出席をされたのではないかと思っておりますが、ことし、先月のミュンヘンの安保対話では、法の支配に基づく第二次大戦後のリベラルな国際秩序の維持と発展のためには引き続きアメリカの関与が必要ではあるが、国際社会全体として少し負担をシェアするということが大切だ、アメリカにだけ負担を押しつけるのではなく、国際社会全体で国際秩序を維持するための負担をシェアしていかなければいけない、その中で、日本とヨーロッパの協力が重要だということを申し上げました。

 NATOに代表部を新たに設置することによって、大使を始めさまざまなレベルで日本とNATOの関係の強化、あるいは日本のプレゼンスの強化ということにつながっていくことを期待したいというふうに思っております。

黄川田委員 ありがとうございます。

 今、大臣からお話しいただきましたミュンヘン会議、私も外務大臣政務官のときに参加をさせていただきました。やはりそこで感じたのは、日本みずからしっかりと発信をし、プレゼンスを示していかないと、ヨーロッパは地理的に日本から遠いわけでございますので、その辺しっかりやっていかないと関心を薄めてしまう、また、中国の影響力も増しているわけで、間違った認識をかの国から植え付けられてしまうということだと思います。

 その点、大臣がミュンヘン会議に行っていただきまして、このたび演説をし、北朝鮮の脅威、そして中国の海洋進出に対して警笛を鳴らしていただいたこと、大変感謝をしておりますし、頼もしく思いました。そういう意味で、ヨーロッパに対する日本のプレゼンス、これは、大臣また大臣を先頭とする外務省並びにこのNATO日本政府代表部も含めて、政府の在外公館挙げてしっかりとやっていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 そして、最近のNATOの取組において私が注目をしているのは、サイバーセキュリティーの分野に関してでございます。

 NATOサイバー防衛協力センター、これはエストニアにあるわけでございますが、このNATOサイバー防衛協力センターとこのたび新設をされますNATO日本政府代表部、この協力関係について御説明をよろしくお願いいたします。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 日本は、NATOとの間で国別パートナーシップ協力計画というのを設けておりますけれども、その中で、具体的な協力分野の一つとしてサイバー分野における協力を定めておりまして、演習へのオブザーバー参加などを通じて協力を積み重ねてきているところでございます。

 御指摘をいただきましたNATOサイバー防衛協力センターでございますが、エストニアの主導で同国に設置をされておりまして、NATO加盟国またパートナー国の訓練及び教育機関として活動しておるところでございます。日本は、このセンターが主催する演習へのオブザーバー参加でございますとか国際会議への参加などを通じて協力を行ってきているところでございます。

 今般、NATO日本政府代表部が新設されることになりますれば、サイバー分野を含めまして、我が国とNATOとのさらなる強化につながり、また、委員御指摘のとおり、同センターとの協力関係の進展にも資するものというふうに考えてございます。

 我が国としては、こうした協力を通じまして、我が国のサイバー防衛能力の向上をさせつつ、国際社会の安定にも貢献をしていく考えでございます。

黄川田委員 ありがとうございます。

 話題をそのエストニアのサイバー分野に関する協力についての方にちょっと移させていただきたいというふうに思いますが、そのNATOサイバー防衛協力センターのあるエストニアは、国政、地方選挙でインターネット投票を導入するなど、IT先進国でございます。

 一月に安倍総理が訪問されまして、エストニアのラタス首相からは、NATOサイバー防衛協力センターへの日本の参加の承認について歓迎の言葉をいただいたというふうに聞いております。

 その安倍総理とエストニアのラタス首相の間では、日・エストニアの間でのサイバー分野での連携を深めていくということが確認されたと認識をしております。今後、サイバー分野でエストニアとどのような協力関係を構築していくのか、外務省の所見をお聞かせいただきたいと思います。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 エストニアは、委員御指摘いただきましたとおり、電子政府の先駆的な取組でございますとか多くのスタートアップ企業を輩出するなど、IT、サイバー分野での先進国でございまして、我が国はこの分野でのエストニアとの協力を重視しております。その観点から、安倍総理が本年一月にエストニアを訪問いたしまして、この分野での両国の協力を推進していくことを首脳間でも一致をしたところでございます。

 また、日・エストニア間では、これまで三回にわたりましてサイバー協議を行っております。サイバー分野における両国の最新の取組や戦略などを紹介しつつ、重要なインフラ防護でございますとか国連を含む国際場裏での議論における協力などについて意見交換を行ってきておるところでございます。

 今後とも、サイバー協議の継続的な実施、あるいは安倍総理のエストニア訪問の際に創設を発表いたしました日・バルト協力対話などの機会も活用しつつ、サイバー分野でエストニアとの協力を更に進めてまいりたいというふうに考えております。

黄川田委員 ありがとうございます。

 ぜひ、エストニアとの関係を深めて、IT先進国から学ぶところは多いと思いますので、その知見を我が日本にも生かしていただきたいというふうに思っております。

 そして、ここ二、三年のIT分野の発展というものは非常に目まぐるしいものがあります。国際社会においても、このIT技術、サイバーセキュリティーに関する日本からの国際協力についての関心が高まってきていると私は認識しております。

 先般、在京のケニア大使と意見交換をさせていただく機会がございました。ケニアは、コンザシティーというところにケニア版のシリコンバレーをつくりたいということで、我が国からの投資や日系企業の誘致を熱心に話されておりました。

 昨年ナイロビで行われましたTICAD6では、IT技術やサイバーセキュリティーに関する国際協力について、両国の間では余り議論をされていませんでした。これはある意味仕方がないことでございまして、まだまだケニアにとっては、モンバサ港またその他の重要インフラ、これを日本にやってほしいということで、昨年は、日本に対しての協力はそういう分野に限られたということでございますが、それが整備されてくると、いよいよそのようなIT分野に各国関心を示しておりまして、ケニアでもケニア版シリコンバレーをつくりたいというふうな動きになっているということでございます。

 ケニアのみならず、多くの途上国が今後ますますIT関連産業やサイバーセキュリティーに力を入れていくことが予想されております。また、途上国、ここのサイバーセキュリティーが脆弱でありますと、そこにセキュリティーホールが生じ、そこから日本へサイバー攻撃がなされるということも考えております。ですので、日本も、途上国のIT分野、またサイバーセキュリティーに対する協力を推進していかなければならないと私は考えております。

 また、IT技術やサイバーセキュリティーに対する支援は、中国もまだ本格的に取り組んでおりません。まだまだ中国が得意としているところは、資源開発とか道路、またビルなどのインフラ整備、建物を建てていく、そういうハードを中心としております。ですので、我が国は、質の高いインフラを輸出していく、そういう国策はございますが、このIT分野にも関心を持ってやっていくことで、中国のアフリカ並びに世界に対するプレゼンスの中に日本としてもくさびが打てるのではないかというふうに考えているところでございます。

 このIT分野に対する協力について、我が国がリーダーシップを発揮できる可能性が十分にあるというふうに考えておりますが、外務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

堀井(学)大臣政務官 お答えをいたします。

 サイバーセキュリティー分野における開発途上国支援については、我が国はこれまで、主にASEAN諸国を対象とし、専門家の派遣や研修など、我が国の高い技術や知見といった強みを生かし、途上国のサイバーセキュリティー能力の構築、強化を支援してきているところでございます。

 アフリカについては、二〇一六年の第六回アフリカ開発会議、TICAD6ナイロビ宣言でも、イノベーションやICTを通じてアフリカの経済の多角化と産業化に貢献することが表明されており、日本での研修や専門家の派遣などの支援を実施しているところであります。

 アフリカにおけるIT関連の支援は重要と認識をしており、今後とも、現地のニーズや被援助国の要請を踏まえ、効果的な支援のあり方を検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

黄川田委員 ありがとうございます。

 来年二〇一九年にはTICAD7がまた日本で開催されますので、またその機を捉えて、アフリカに対するIT分野またサイバーセキュリティー分野への協力もしっかりと提案していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 さて、ちょっと引き続いてお話をしていきたいと思いますが、このIT分野、サイバーセキュリティーの国際協力を進めていく上で注目をしておりますのが、二〇二〇年に京都で開催される国連犯罪防止刑事司法会議、通称コングレスであります。

 この会議を誘致するに際して、我が国の犯罪防止、刑事司法分野における国際的なプレゼンスを高め、我が国の法の支配の浸透を国内外にアピールすることを目指しております。同会議では、あらゆる形態の犯罪防止に対処するための国際協力及び技術支援の一環として、サイバーテロのような新興の犯罪についても積極的な議論が展開されると聞いております。

 これまで述べたように、我が国がIT技術やサイバーセキュリティーに関する国際協力の分野でリーダーシップをとっていくためには、このコングレスの機会を上手に活用していくべきだと考えております。会議の詳細な議題等は法務省が担当すると聞いておりますが、外務省としてもより積極的に関与すべきと考えております。現在の取組状況、今後の方針等をお聞かせいただきたいと思います。

堀井(学)大臣政務官 お答えをいたします。

 国連犯罪防止刑事司法会議、いわゆるコングレスは、犯罪防止、刑事司法分野における国連最大の会議であり、二〇二〇年に第十四回会合が京都で開催される予定であります。同じ二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されることに鑑みれば、京都でのコングレス開催は、この分野における我が国の国際的なプレゼンスを高め、世界一安全な国日本を国際社会に発信する絶好の機会になると考えております。

 また、第十四回コングレスの全体のテーマは、国連の持続可能な開発目標SDGsの達成に向けた犯罪防止、刑事司法及び法の支配の推進であり、御指摘のサイバー犯罪も含む新たな形態の犯罪などの課題についても議論が行われる見込みであります。

 外務省としても、コングレスの機会を活用し、国際社会と連携して、サイバー犯罪を含む犯罪防止、刑事司法課題に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上であります。

黄川田委員 ありがとうございます。

 サイバーテロまたサイバー犯罪についての話題も入れてこの会議に臨むということでございますが、議題を見てみますと、どうも、非常に端っこの方に少しちょろっと話すような感じも見受けられます。このサイバー犯罪、サイバーテロというものは非常に大きな問題だというふうに思っております。私は、一つの議題に上げて、特出しして話をしてもいい話題であると思います。

 個人、集団、国家レベルでのサイバー攻撃、サイバー犯罪、国だと犯罪というよりも戦争というか、そういう定義になるかもしれませんが、定義も含めて、しっかりと日本がイニシアチブをとって、サイバーテロ、サイバー犯罪についてしっかりと整理していく、これは非常に大切なことであると思いますので、五十年ぶりに日本で行われるこのコングレス、この機にしっかりと日本の考えを示していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 話題をちょっとかえさせていただきますが、世界各国でテロ、緊急事態が多発する中、在外公館には、諸外国の治安情報等の機動的な情報収集、分析強化により一層努めていただきたいと思っております。

 私の友人が、二〇一六年七月にバングラデシュ首都ダッカで発生しましたレストラン襲撃、人質事件で大けがを負いました。邦人は七人犠牲になりましたが、一人だけ生き残ったのが私の大学の同級生、同じ研究室でありまして、彼はけがを負って、入院先に、そのとき政務官だったんですけれども、いろいろ話をして、邦人の安全により一層努めてもらいたいと泣きながらお願いをされました。

 今後、在外邦人がこのような事態に巻き込まれないよう、外務省にはさらなる安全対策の強化に努めていただきたいと考えております。

 このダッカ事件の後、在外邦人の安全対策について、改善した点や強化した点をお聞かせいただきたいと思います。

相星政府参考人 お答えいたします。

 一昨年のダッカでのテロ事件を受けまして、在外公館と現地の在留邦人の代表者との会合でございます安全対策連絡協議会というものを累次にわたり実施してきております。さらには、世界各地で安全対策セミナーというものを実施しまして、邦人の危機管理意識や安全対策に係る知識、対応能力の向上を図ってきております。

 また、日本人学校などの在外教育施設の安全対策も重要でありまして、昨年来、危機管理専門家による安全対策の評価を行った上で、施設強化の工事あるいは安全対策マニュアル策定に関する支援を実施してきております。

 さらに、国際協力の事業関係者の安全対策につきましても、ダッカ事件を受けまして、外務大臣のもとに、関係省庁、業界団体、NGO等の参加する国際協力事業安全対策会議を設置いたしまして、同会議が取りまとめた報告書に基づいて安全対策を実施してきております。

 具体的には、JICAによる事業関係者及びNGO等に対する安全対策、テロ対策等に関する研修を行うとともに、事業関係者が外務省及びJICAに対して情報提供を行う体制を強化する、さらには、相手国政府への事業関係者の安全確保に関する働きかけの強化といった点に取り組んできております。

 以上です。

黄川田委員 ありがとうございます。

 引き続き強化していただきたいと思いますのと、あとは、大使館の存在感を現地で増して、しっかりと現地での呼びかけ、またセミナーを開催するなどやっていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 最後になりますが、平昌オリンピック、非常に感動的な場面がありましたが、その裏で、やはりまた日本の間違った認識を植え付けるような情報といいますか報道がなされております。

 米国のNBCのコメンテーターのジョシュア・クーパー・ラモさんという方がいらっしゃるんですが、この方は、文化的、技術的、経済的に韓国が発展していくお手本に日本がなっていたんだという趣旨の発言をしております。このことに韓国国民が反発しまして、一万三千もの署名を集めて抗議したところ、このコメンテーターはNBCのオリンピックの放送からはいなくなる、解雇されるという事態になりまして、NBCも謝罪をしているということでございます。

 これを受けて、英国のBBCがこのNBCの事態を取り上げて報道しているんですが、この中で、日本語版では強制売春という言葉を使って、強制売春を始めとする日本の統治下の過去は多くの韓国人のげきりんに触れる話題であり続けるというコメントをつけております。また、英語版の方は、残念ながらまたフォースト・セックス・スレーバリーという言葉を使って世界に配信しているということでございます。

 このような事例は枚挙にいとまがないわけでございまして、外務省もしっかりと打ち返しをしていただいていると思いますが、全体的に、こういうような報道についての外務省のこれまでの対応をお聞かせいただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 性奴隷という言葉は事実に反するので使用すべきではないというのが日本の考えでございます。

 かかる観点から、外務省といたしましては日ごろから、外国メディアの報道において性奴隷のような不適切な表現があった場合には適切に申入れを行っているところでございます。

 引き続きしっかり対応してまいりたい、このように考えております。

黄川田委員 ありがとうございます。

 打ち返しの件ですが、堀井学政務官におきましても、先般ジュネーブで開かれました国連人権理事会で、韓国の誤った認識に対してしっかりと反論していただきました。とてもすばらしかったと思っております。

 このような打ち返しですね、このような対症療法だけではなくて、日本、我が国が主体性を持って中国の世論戦や韓国の情報戦に対抗していかなければならないと思っております。

 積極的な情報発信のあり方について、外務省の考えをお聞かせいただきたいと思います。

堀井(学)大臣政務官 お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。

 委員御指摘のとおり、諸外国による広報文化外交の強化や情報伝達手段の多様化などの近年の状況変化に伴い、戦略的に対外発信を実施する必要性が高まっていると認識しており、外務省といたしまして、日本の政策、取組発信、親日派、知日派の育成、日本の多様な魅力発信に取り組んでいるところでございます。

 特に、主体性を持って積極的な情報発信を行う観点も踏まえ、四つ挙げております。

 総理、外相、在外公館長等からの直接的な発信、二番目といたしまして、各分野の有識者を派遣しての講演会の実施、三番目に、発信力のある有識者や記者の招聘、四番目に、大学やシンクタンクと連携してのシンポジウムなどを実施し、日本の政策、取組の発信を強化しているところでございます。

 これらの結果、我が国の政策や取組を支持する前向きな論調も多数獲得しており、今後とも、日本の政策や取組の国際社会への発信へしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

 以上であります。

黄川田委員 時間が来ましたので、終わりにします。どうもありがとうございました。

中山委員長 次に、鈴木隼人君。

鈴木(隼)委員 自由民主党の鈴木隼人でございます。

 きょうは、質疑の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。

 残念ながら野党の皆さんがいらっしゃいませんので、きょうは私が野党に成りかわって、少し耳に痛いようなことも含めて御指摘をさせていただきたい、このように考えております。

 きょうは、在外公館名称位置給与法の審議を行っておりますので、その内容について一つ一つ質疑をさせていただきます。

 まず、子女教育手当について御質問をさせていただきます。

 この子女教育手当、細かくいろいろありますけれども、ざっくり言うと、現地において、日本人学校があるにもかかわらずインターナショナルスクールに子女を通わせようと思った場合に、インターナショナルスクールに通う場合に、その学費が高いから、これまでであれば十二万円補助をするということとしていたものを、今回の法改正によって三万円その補助をアップして、十五万円補助しますという内容が盛り込まれております。

 そもそも、日本人学校に通うのであれば補助が要らないにもかかわらず、あえて、希望してインターナショナルスクールに通う場合に十五万円補助をするというのは、これは国民の理解をなかなか得にくいのではないかなというふうに私は思っておりますけれども、その辺、外務省としてどうお考えなのか、お聞かせください。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも、子女教育手当の制度をまず御説明させていただきたいと思います。

 子女教育手当は、在勤地一つ一つにつきまして、日本人学校とインターナショナルスクールそれぞれにつきまして、邦人子女が就学できるということを前提といたしまして、その上で、就学経費が最も廉価な学校を基準校として定めまして、そこから自己負担額を引いた当該基準校の就学経費、これは日本人学校の場合ないしはインターナショナルスクールでございますけれども、それを上限に手当を支給しているということでございます。

 すなわち、日本人学校が所在しないような在勤地の場合には、先ほど申し上げましたインターナショナルスクールの基準校の就学経費というものから自己負担額を引いた金額を就学経費の上限として手当を支給しているところでございます。

 他方で、日本人学校が所在する在勤地でございますけれども、こういったところに関しましては、日本人学校に通学することが原則ではございますけれども、例えば、両親の一方が外国人であるとか前任地でもインターナショナルスクールに就学していた、そういったような合理的な理由があれば、インターナショナルスクールの基準校の限度額を上限に手当を支給するようになっているところでございます。

 それで、この上で更に申し上げれば、ここが今委員から御質問のあったところに該当するところでございますけれども、そういった合理的な理由いかんにかかわらず、自己の選択によりインターナショナルスクールに就学する場合には、これまでのところは十二万円を上限に子女教育手当が支給されてきたということでございます。

 そういう子女教育手当でございますけれども、そもそも、インターナショナルスクールの就学経費というのが、平成二十三年度当時と比較いたしまして二十八年度には約四〇%上昇しておるところでございまして、十二万円の限度額を超えて追加的な自己負担を行う在外公館職員の平均自己負担額は、例えば、日本国内におきまして自己の選択で私立学校に就学する場合の平均就学経費と比べても三万円程度負担が重くなっているということでございます。

 そういったような事情もございますので、インターナショナルスクールの就学経費の上昇を背景といたしまして、在外職員の経済的負担は依然として大きいものはございますけれども、職員が子女を国内の私立学校に就学させる場合に生じる経費との均衡を図って、今回、上限額を十五万円に改定させていただきたい、そういうものでございます。

鈴木(隼)委員 御説明ありがとうございました。

 しかし、ちょっとよくわからない部分がまだ残っております。今の御説明におきましても、四〇%インターナショナルスクールの学費が高くなった、それに伴って自己負担額も三万円多くなったというお話がありましたし、また、事前の御説明でも、日本であれば、日本国内で公立の学校に通うのと私立の学校に通うのだと六万円程度差額が生じます、したがって、海外でインターナショナルスクールに通う場合であっても、自己負担額が六万円程度におさまるような制度設計にしています、こういうような説明でありました。

 しかし、では、国内で私立学校に子供を通わせようとしたときに、その差額を国費から補填してもらいますか、今。してもらわないですよね。

 そう考えると、やはり、海外だから補填をするというのはちょっと理由として足りない、理屈として足りないんじゃないかというふうに思いますけれども、その辺、どうお考えでしょうか。

下川政府参考人 ただいま御指摘がございました国内における私立学校の就学経費ということでございますが、先ほど申し上げた六万円程度の就学経費というのは、文科省が行っております平成二十八年度私立高等学校授業料等の調査結果に基づく私立学校授業料の平均額というところから申し上げているところでございます。

 以上申し上げた上で、学校の選択ということでございますけれども、やはり、在勤地によりまして、日本人学校があるかないか、それからインターナショナルスクールにどういう選択肢があるか、状況は多様でございますと同時に、特定の任地においてはいろいろな事情で選択肢が実は相当限られている、そういったような場合もございます。

 そういうことで、先ほど申し上げましたように、日本人学校の所在する勤務地においては日本人学校に行くというのが基本ではございますけれども、いろいろな事情でやはりインターナショナルスクールを選択することが必要になってくるという場合もあり、事実上インターナショナルスクールしか選択肢がないような、相当限られているような場合もある、そういったようなことも踏まえて、こういうような制度設計になっているところでございます。

鈴木(隼)委員 御説明ありがとうございます。

 であれば、事実上インターナショナルスクールしか合理的な選択肢がないという場合に限って補助すればいいのであると私は今の御説明を伺って感じました。

 そこは、これこれこういう理由により日本人学校を選ばずインターナショナルスクールに通わせることとしますという申出を当該職員からさせているのかいないのか、その辺、教えてください。

下川政府参考人 一番最初の御説明で申し上げましたとおり、日本人学校が所在しない場合には、おのずとインターナショナルスクールということになるわけでございます。

 そして、日本人学校が所在する場合も、二つの場合がございまして、日本人学校に通学することが原則としつつ、いろいろな合理的な理由、特に、両親の一方の方が外国人であるとか、継続的にインターナショナルスクールに就学している、そういったような事情がある場合には、インターナショナルスクールの基準校の限度額というものを上限に支給しているところでございます。

 以上申し上げた上で、そういう個別の事情がない場合であっても、限られた選択肢の中で、例えば今後の勤務のことですとか、それからいろいろなことを踏まえまして、インターナショナルスクールを自己の事情によって選択するような場合には、これは、任地に子女を連れていくということを前提にした場合に、やはりインターナショナルスクールに行く場合の経費というものもある程度負担する必要があるということで、上限を設けて子女教育手当というものを支給している、そういうことでございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 今のお答えをお聞きして、今、現時点において、そういう事情をちゃんと申し出た上で補助をするというようなことはやっていないということだと理解をしました。

 であれば、これからの、法律事項じゃなくて運用の話ですから、今後、そうやって、やむを得ない、合理的な事情があるからインターナショナルスクールに通わせますということを申請させて、そしてきちんと審査をした上で、補助するかどうかというのを判断されたらどうでしょうか。

 その上で、御提案は、どちらかが外国人であるとか、あるいは、御説明の中であった、それまでインターナショナルスクールに通わせていたとか、これは全く合理的な理由にならないと思いますので、そこはしっかりと判断してもらいたいなというふうに思いますが、いかがですか。

下川政府参考人 済みません、先ほどの説明、ちょっと舌足らずでございました。

 日本人学校に通学することが原則な場合においても、両親の一方が外国人であるとか、継続的、前任地から引き続いてインターナショナルスクールに就学させないと言葉の問題とかが発生するとか、そういったような事情がある場合に、基準校の限度額を上限に手当を支給することにしていますが、これは申告制でございまして、そのような状況にあるかどうかということについて個々に申告を受けて支給するようなことになっております。

 それ以外に、全く自己の選択でもって自由にインターナショナルスクールを選択するというような場合については自己申告制とはなっておりませんが、その場合の最低限の補助ということで、先ほど申し上げた、現行で十二万円、法改正後十五万円の補助ということで手当てしたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(隼)委員 正直言って満足な御回答をいただけていないわけではありますけれども、私が何でこういった質疑をさせていただいているかといいますと、やはり外務省の方々というのは、一たび外交官として任地に赴けば、日本国を代表する存在として大変大きな職責を担われるわけであります。そういう外務省の方々というのは、やはり国民から敬愛をされるような、そういう存在であってほしいと私は心から願っております。だからこそ、国民の感覚から離れてしまうといったようなことがあってはならないんだと思います。

 ですので、私、与党の議員ですし、これ以上この問題について、今、子女教育手当についてはこれ以上は言いませんけれども、そういう指摘があったということはきちんと念頭に置いて、これから進めていっていただけたらなというふうに思います。

 それから次に、在外基本手当について御質問をさせていただきます。

 私は今四十歳でありますので、私、もともと経済産業省の職員でありましたけれども、大体、同期ぐらいが、外交官として任地に赴くと一等書記官レベルです。この一等書記官のレベルで在外基本手当をどれぐらいもらえるのかというのを、別添の表を見てみたところ、大体、毎月三十五万円から百万円弱、ボリュームゾーン、多いのは五十万円台となっていました。では、大使はどうなっているのかなというのを見ますと、五十万円超から多くて百三十万円弱ぐらい、一番多い価格帯は七十万円台ぐらいでした。

 これは民間調査会社を使って必要額を算出しているということでありましたけれども、ベースとなる給与に加えて毎月百三十万円を払っている、この事実自体が国民の理解を得られるのかどうかというところ、やや疑問なしとしないところがあります。その点についてどうお考えか、お聞かせください。

下川政府参考人 まず、在勤基本手当について御説明させていただきます。

 在勤基本手当は、生活費を保障する部分、海外赴任に伴う特有の経費を賄う部分、及び特に厳しい勤務、生活環境を勘案した特定勤務地加算という三つの要素から構成されているところでございます。

 最初の生活費保障につきましては、日本で勤務していたときと実質的に同じ水準の購買力を維持できるように、民間調査会社が行う生計費調査の結果を反映させて、在勤地ごとに客観性のある適正な額を決めているところでございます。

 それから次に、海外赴任に伴う特有の経費という二番目の経費でございますが、これは、日本企業が、通常、駐在員に赴任時に生活設営経費という形で支給する手当に準拠することを基本といたしまして、これもまた民間調査会社が行いました生活設営に必要となる家具ですとか家電ですとかそういう現地価格調査の結果に基づいて、これを在外公館職員の平均の赴任期間三十六カ月、これで割りまして、月割りにいたしまして一月当たりの額を決めているものでございます。

 最後に、特定勤務地加算でございますが、これは、民間調査会社の調査も参考といたしまして、任国におけます医療、衛生、治安、生活インフラ、こういったような生活、勤務の環境の厳しさを緩和するために必要となる追加的経費というものに基づいて決めているところでございます。

 この特定勤務地加算に関しましては、例えば、一等書記官の在勤手当が最も多い南スーダン、約九十五万円でございますけれども、この場合は、現地における著しいインフレによる物価上昇のほか、治安等の勤務、生活環境の厳しさを緩和するための追加的経費が含まれております。

 また、大使の在勤基本手当が最も多いベネズエラ、百二十九万円でございますが、この場合は、現地における著しいインフレによる数百%に及ぶ物価上昇、こういったようなものが大きく金額の決定に影響を及ぼしているところでございます。

 このように、在勤基本手当は、海外で事業を行う日本企業が多く利用する民間調査会社の物価調査等の結果に物価変動の影響と為替変動の影響を加味しまして、客観性を確保することによって、外交官が海外で標準的な駐在生活を行うために必要な経費として適正な基準額を定めているところを御理解いただければと思います。

 それから、本俸に更に加えてという話がございましたけれども、在外で勤務する場合には、例えば東京で受ける本俸の地域手当とかそういうものが逆に支給されなくなっておりますので、ベースとなっております本俸は減額されているということはあわせて申し上げます。

鈴木(隼)委員 今、かなり詳細に御説明をいただいたんですけれども、基本的な、ざっくり言えば、外務省さんからの説明を聞きますと、赴任地に行っても日本に住んでいるのと同等の生活を送れるようにするんですということでありまして、そのために、例えば食料品だったりとかあるいは家電だったりとか家庭用品、こういったものを輸入しなきゃいけないのでコスト高になるんですよ、あるいは、物価の高いところに行けば生活費がそれだけ上がるんですよ、ざっくり言うとこういう説明があったわけなんです。

 しかし、そうはいっても、海外に住んでも、毎日毎日、日本食材を買って日本食を食べ続けるわけじゃないですよね。現地で、その現地の価格で食材を購入して料理をつくるとか、そういったこともあるでしょうし、そもそも、別添の表を見ると、かなり在外手当の計数は、それなりの計数になっていることが見てとれますけれども、では、日本よりも生活費が高い国がどれだけあるのかというようなところもあると思います。

 こういった意味で、計数が一律に高くなっていることについては、どうしてそうなるのかという疑問が生じると思いますけれども、その辺の御説明をいただけますか。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 食料品等、御指摘がございました品目の購入経費につきましては、民間調査会社を通じまして、現地に派遣されている日本人駐在員の標準的な購買パターンというものをもとに、現地で入手可能な品目や、品質、価格、そういったようなものも調査した上で、海外駐在員の生活に必要かつ標準的な品目、価格というものを積み上げて、在勤地ごとにできる限り客観性のある適切な額を決めているところでございます。

 この民間調査会社の調査対象品目の中には駐在員が購入可能な現地における品物というものも含まれておりまして、現地の海外駐在員の生活に必要かつ標準的な購買実態に即した調査結果とするように努めているところでございまして、この点について御理解いただければと思います。

鈴木(隼)委員 本来であればもっと御質問をさせていただきたいところではありますし、時間としてはまだまだあるんですけれども、大臣のこの後の日程があるというふうに伺っておりますので、この後、質問ではなく、意見だけ、させていただきます。

 在外手当の基本的な考え方として、生活費まるっと手当でかさ上げをすることによって日本での生活と同等の生活を送れるようにしてあげるという考え方なんですけれども、まるっとやる必要が本当にあるのかどうか。

 食料品とかそういう生活必需品のところだけ、これはどうしても向こうでも買わなきゃいけないものだから、したがって、向こうで購入費が高くなる分、例えば輸入しなきゃいけないとか、現地の物価が高い、その分については割増しで手当として払います、だけれども、ぜいたく品とか、生活必需品を除いた部分のところについては、それは個人の趣味、嗜好の部分だから、その生活費の値上がり分についてまでは国では面倒を見ませんという考え方もできるのではないかなと私は思っております。

 例えば、手当を算出するに当たって、調査の対象品目に家事サービスというのが含まれていますよね。これは、言ってみればお手伝いさんですよね。お手伝いさんて、国内でもお手伝いさんを雇えるほど豊かな家庭というのは多くないと思うんですよ。それから、外食費とかレクリエーション代とか、こういったものも調査対象品目に含まれています。

 こういったお手伝いさんとかレクリエーション代とか外食費が海外に行くと高くなるから、その分も含めてちょっと高く手当を出しますというのは、これはなかなか理屈として厳しいのではないか、国民の理解を得にくいのではないかというふうに思います。

 この法律全体として、私は今回の必要性について最終的には理解は示させていただきますけれども、そうはいっても、やはり国民から行政が余りにも感覚がかけ離れていってしまうと、最終的には大きなしっぺ返しを食うのは行政自身であります。そこのところをしっかりと認識した上で今後の外交活動を行っていただきたいということをお願い申し上げまして、私からの御質問とさせていただきます。

 本日はありがとうございました。

中山委員長 次に、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の質疑時間に入るのでありますが、いまだ御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

中山委員長 これにて立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の質疑時間は終了いたしました。

 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 きょうも欠席されている状況で、本当にひどい状況だと思います。しっかりと森友の件、やっていかなきゃいけないというのは間違いありませんし、これは、佐川さんを呼んでしっかりやるべきだというふうに私も思いますが、一方で、外務委員会は外交ですから、この状況で、まさしく国民の皆さんからサボっていると思われないように、しっかりしていかなきゃいけないなと思います。

 私、いただいた時間、空回しの時間は二時間ぐらいあるのに、私の時間は九分ですので、早速議題に入らせていただきたいと思います。言いたいことはいっぱいありますが、議題の方に進みます。

 今回、在外公館の給与法の改正ということで、我が党としては、いろいろ事前に審査する中で、おおむね賛成かなという方針でございます。ただ一方で、確認しておきたいところ、議事録に残しておきたいところ、幾つかありますので確認していきたいと思います。

 まずは、先ほど与党側の質疑でもありました、NATOの日本政府代表部を今回新設するということです。

 これは重要だと思いますけれども、一方で、現在は、ベルギー大使館、これが兼館となっているということです。NATOとの関係も非常に安全保障上重要だ、アジアの安全保障体制をわかっていただかなきゃいけないという御答弁も大臣ありましたけれども、そうした中で、どうして今までできていなかったんでしょうか。

 また、今回、法が施行されることでどのように業務体制が変わって、しっかり国民の皆さんに、コストもかかるわけですから、変わったなと思ってもらわなきゃいけない、成果を出していかなきゃいけないと思いますが、このあたりについてお答えいただけますでしょうか。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国はこれまで、国際社会の平和、安定に関する喫緊の課題に対応し、域外の安定確保に向けた活動を実施するNATOとの協力を進めてきているところでございます。

 そうした中で、特に近年厳しさを増すアジアの安全保障情勢でありますとかサイバーテロといったグローバル化する安全保障課題に、より効果的に対応する必要が高まっております。

 その中で、今般、日・NATO関係の一層の強化に資するよう、新たにNATO代表部の開設について法改正をお願いしているところでございます。

 これまでは、二〇一三年以降でございますけれども、外務大臣の職務命令によりまして、駐ベルギー大使にNATOに対する我が国代表を命じ、これをNATO側に通知するにとどまっていたところでございます。

 しかし、今回、法改正をいただきまして代表部の新設が認められれば、正式に任命されることになりますNATO特命全権大使は、NATO加盟国代表から成ります北大西洋理事会における手続を経まして、NATOに正式に接受される外交使節として受け入れられることとなるところでございます。

 この結果、我が国のプレゼンスの強化を通じ、また、NATO加盟国、NATO事務局及びパートナー国代表部の長との関係強化が見込まれ、これまで以上に、日・NATO関係の強化に向けて効果的に職務を遂行できるようになるというふうに考えております。

 また、他の会議につきましても、それぞれのレベルにおいて同様の効果が見込まれるところでございます。

丸山委員 なぜ今までこれをやってこなかったんだということに対してはお答えがなかったですけれども、しかし、やるべきことだと思いますので、この法が通り次第しっかりとやっていただいて、国民の利益になる成果を出していただきたいというふうに思います。

 次に、今回、在外公館の方々の子女教育手当の支給額、改定されております。これについて、引き上げる理由とその算出の根拠、財源をどうされるのか、このあたりお伺いできますでしょうか。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 子女教育手当につきましては、在勤地ごとに、日本人学校及びインターナショナルスクールそれぞれにつきまして、邦人子女の就学が可能であるということを前提として、就学経費が最も廉価な学校を基準校として定め、そこから自己負担額というものを引いた上で、当該基準校の就学経費を上限に手当を支給しているところでございます。

 それで、日本人学校が所在しない在勤地の場合は、インターナショナルスクールの基準校の就学経費から自己負担額を引いた就学経費を上限として支給し、他方で、日本人学校が存在する在勤地につきましては、日本人学校に通学するのが原則ではございますけれども、両親の一方が外国人ないしは前任地でもインターナショナルスクールに就学していたような合理的な理由があれば、インターナショナルスクールの基準校の限度額を上限に手当を支給しているところでございます。

 こういったような事情がなくて自己の選択によりインターナショナルスクールに就学していた場合、従来、十二万円を上限に支給していたところでございます。今回、これを十二万円から十五万円に三万円上げるということをお願いしているわけでございますが、これは、平成二十三年度と比較し二十八年度には約四〇%インターナショナルスクールの就学経費が上昇しているということを踏まえまして、そして日本国内で私立学校に就学する場合の平均就学経費との均衡を考えて三万円の負担ということをお願いしているところでございます。そういうことでございます。

 そして、財源でございますけれども、財源について御質問がございましたが、子女教育手当の上限額の改定とともに、今回、子女教育手当を受ける全在外公館の職員、これは日本人学校であれインターナショナルスクールであれ、従来、自己負担額二万円というものをお願いしておりましたが、今回、あわせましてこれを二万二千円に改定することといたしました。これは、日本国内においての教育支出の実態を勘案すべしということが在外公館名称位置給与法十五条の二の二項に規定されていることを踏まえまして、今般、一人当たりの自己負担額を二千円増大させたところでございます。

 こういう改定をあわせまして実施することでもって、必要性を個別に検討して、教育手当の支給をやっていくところでございます。

丸山委員 在外公館の皆さんの中で二千円集める額をふやして、その中で、こうした高い部分に申請されるところに関してはやるということですので、そういった意味では、全体としては国民に負担がふえるわけじゃないとは思いますけれども、しかして、その国民の皆さんとの差とか現状というのはしっかり見ていかなきゃいけないと思いますので、引き続き、我が党としてもこれはチェックしていきたいと思います。

 時間もなくなってまいりましたが、半島情勢、非常に動いております。韓国の徐薫国家情報院長が来られて会談、会食されたということですが、大臣、本件半島情勢、どのような印象を受けられたのか。

 今回、やはりまた繰り返しじゃないかという、北朝鮮が緩めてきて、結局またミサイルを飛ばして、結局またこの繰り返しじゃないかという懸念の声もありますが、それについてもどのようにお考えでしょうか。

河野国務大臣 韓国の徐薫国家情報院長と十二日、会談並びに夕食会を合わせて約三時間行いました。徐薫院長からは、先般の韓国の特別視察団が訪朝した際の先方とのやりとりについてかなり詳細な御説明をいただき、また、今後の見通しについてかなり突っ込んで意見交換をさせていただきました。非常に有意義な会談だったと思います。

 南北あるいは米朝の首脳会談というのが今後行われますが、北朝鮮の非核化へのコミットメントというのはいまだ言葉だけでありますので、委員のお話にもありましたように、ここで制裁を緩めてしまえば、またいつか来た道ということになりかねませんので、日韓米、今緊密に連携をして、具体的に完全に検証可能な不可逆的な非核化が行動としてあらわれるまでは、最大限の圧力、経済制裁というのは緩めないというところで一致をしております。

 ですから、首脳会談がなくてもこの最大限の制裁は続く、首脳会談があっても具体的な行動に出るまで制裁は続くということで、国際社会からしてみれば損をすることはないということでございますので、最大限の圧力をかけ続けながら、この二つの首脳会談の様子を見る、そして、北朝鮮が具体的な行動に出たときに初めて制裁についての議論を始める、そういうことでございますので、これまでの間違いを繰り返さないように、三カ国並びに国際社会、一致団結してこの課題にしっかりと当たってまいりたいと思います。

丸山委員 時間が来たので終わりますが、しっかり日本としての外交の軸を保っていただいて、国益を追求していただきたいと思います。

 以上です。終わります。

中山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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