衆議院

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第6号 平成30年3月30日(金曜日)

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平成三十年三月三十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中山 泰秀君

   理事 小田原 潔君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 鈴木 貴子君

   理事 山口  壯君 理事 末松 義規君

   理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君

      池田 道孝君    小渕 優子君

      黄川田仁志君    熊田 裕通君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      杉田 水脈君    鈴木 隼人君

      辻  清人君    渡海紀三朗君

      中曽根康隆君    堀井  学君

      山田 賢司君    阿久津幸彦君

      篠原  豪君    山川百合子君

      関 健一郎君    緑川 貴士君

      岡本 三成君    岡田 克也君

      穀田 恵二君    丸山 穂高君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣審議官)       森 美樹夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           岡田 健一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 市川 恵一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   三上 正裕君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    相星 孝一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           下間 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     池田 道孝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     辻  清人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官飯島俊郎君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官岡田健一君、大臣官房参事官安藤俊英君、大臣官房参事官市川恵一君、大臣官房参事官鯰博行君、国際法局長三上正裕君、領事局長相星孝一君、内閣官房内閣情報調査室内閣審議官森美樹夫君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、文部科学省大臣官房審議官下間康行君、厚生労働省大臣官房審議官小林洋司君、大臣官房審議官渡辺由美子君及び防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 おはようございます。立憲民主党の末松でございます。

 きょうは、ちょうど電撃的な中朝会談が行われたということで、この問題を中心に質問させていただきたいと思います。

 まず、ちょっと情報収集能力の関係で気にはなるんですけれども、どのタイミングで金正恩委員長が訪中をしたということを政府として察知をされたのか。アメリカなんかは、二十六日の早い段階で察知をして、そして特別列車の動向なんかをずっと見ていて、そこで衛星監視しながら見ていた中で、金委員長が訪中したということを言われていますけれども、そこはどんなものでしょうか。

河野国務大臣 例えば、日本が何かやろうというときに、さまざまな国に事前に、こういうことをやるよという御連絡を申し上げるときがございます。百数十ある国全てに事前に、こういうことをやるよと言うのは物理的にもできませんし、また、それをやっては意味がないということもありますので、事前に御報告、御連絡する国々というのは極めて限られた国になるわけでございます。これは日本だけでなくて、どの国も同じだろうと思います。その際に、総理から御連絡をするところもあれば、外務大臣が連絡をする、あるいは事務方が連絡をする国ということもあります。時には、全ての国に事務方が連絡をするということもあるんだろうと思います。

 この国には事前に連絡をするけれども、こちらの国には事前には連絡をしない、あるいは物理的にもできないということがありますので、こういうやりとりをするときには、それはあなたには言うよ、あなた限りだよと言うのは、これは外交上の儀礼的な常識になっているわけでございます。

 やってみると、国によっては、わかりましたと言ってしっかり守ってくれるところもあれば、日本から事前に連絡があったと言ってしまうところもあれば、連絡がないけれども連絡があったと言う国もある。

 我が国は、こういう外交的な儀礼に関しては相当しっかり守っているだろうと思いますし、しっかり守ってきた。どういう御連絡があったか、あるいは、どなたからどのレベルで御連絡をいただいたか、これは対外的には日本は一切申し上げないということをずっとやってまいりましたので、日本に対して何か連絡をする、情報のシェアをするというときには、日本はそれを外には出さないという、それなりの信頼感を得てきているんだろうというふうに思います。

 今回の中朝の話についてもさまざまやりとりをさまざまな国とやっておりますが、それは、今申し上げたように、我が国が情報を提供するときには、あなた限りですよということを申し上げて情報を出す、情報を受けるときにも、それはありがとうございます、それは日本限りで扱わせていただきますというのがいわば外交上の常識的なやりとりでございますので、この中朝の件につきましてもそのようにさせていただいているところでございます。

末松委員 結論を言えば、そこは答えないよという話なんだろうと思いますけれども。

 ちょっと、特別列車を衛星でずっと監視しているという、ああいう諜報機関を持っているところというのは、さすがにすごいなというのはあるわけでございます。別に日本にそれを求めるわけではありませんけれども、そういったすさまじい情報合戦をやっているところと我々は外交をやっているんだということを肝に銘じておかなきゃいけないなと思います。

 それで、金正恩委員長とそれから習近平主席がこの二十六日に会談をしたということで、外務省の資料によれば、大体十五時ごろに北京駅に金正恩委員長が到着した、そしてあと十八時ごろから北朝鮮の車両の車列が人民大会堂に入った、そして二十二時二十分ごろ車列が人民大会堂から退出した、そこで釣魚台の迎賓館に行ったということで、会談の時間はさほど長くはないなと。

 例えば、十五時、北京駅から、そして、すぐに会談を行おうという話じゃないのかもしれませんから、十八時ごろから人民大会堂で会談を行ったとしても、まあ本当に、二、三時間できれば、二、三時間もないのかもしれませんけれども。ちょっと私から見たら、初めての訪問であって、もっと時間的には長くとっていろいろなことをしゃべるのかなと思ったら、その人民大会堂でいろいろと、いろいろな催物とかがあったという話で、時間は短いなと思うんですけれども、その辺はどう感じられましたか。

河野国務大臣 それについてもさまざまな分析というのがあるんだろうと思います。

 金正恩委員長が夫婦で行った、それをもちろん、夫婦で外国のトップが来るわけですから、受ける側も夫婦で出迎えたという話もございますし、宴席を何回かやった、あるいは視察にも行って、視察した場所についても写真その他が出ているようでございますが、こういう状況で、しかも初めて行ったわけですから、どうなんだろうというのは、いろいろな分析もあるというふうに思っております。

 中国側からの情報を含め、そうしたことをまずしっかり分析をしてみて、今後の南北あるいは米朝の会談の中で、国際社会として北朝鮮に対してどう向き合うかというものの参考にしなければならぬと思っておりますので、そこのところについてしっかり分析をやりたい。これはいろいろな物の見方があるでしょうから、多分見方は一つにまとまるかどうかわかりませんが、そうした分析をしっかりやって、関係国とノートを比べてみるということをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

末松委員 これも、さまざまな解釈があるということで、それに対する日本外務省の分析はコメントしませんよというのが大臣のお答えだったと思いますけれども。

 もうちょっと側面的な話で、さっき大臣もおっしゃられた、北朝鮮が夫人を連れて、国外に行ったのも初めてですから、そこは夫人を連れて行くというのもちょっと、へえという感じで、私も驚いたわけなんですけれども。こういう、中国なんかも、外国のいろいろな、これは国によっても違うし、そのオケージョンによっても違うんだろうと思いますけれども、夫人を連れて大会堂で話をするというのもややちょっと異例な感じがしたんですけれども、その点については、改めてお聞きしますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 夫人を同伴されたということは、これは私の個人の感想で、外務省の分析でも何でもありませんが、それは正直ちょっと驚いたというところはございます。

 これは北朝鮮流なのか中国流なのか、あるいは金正恩委員長流なのか、そこはよくわかりませんが、夫人が同伴で行かれたということについては、ちょっと、私、個人的には、最初にその情報に接したときにはびっくりしたというのが正直なところでございます。

末松委員 そしてあと、これは大臣の感想で結構なんですけれども、金委員長が訪中、まあ電撃的にと自分でおっしゃっていますから、電撃的に行った訪中、その報に接してまずどういう感じを持たれましたか。私はやはり驚いたんですけれども、その辺はいかがですか。

河野国務大臣 発表の中にも電撃的なという言葉があったような気がいたしますが、それがどれだけ電撃的だったのかというのはしっかり分析をしてみたいというふうに思います。

 オリンピックを利用してほほ笑み外交をやるというのは、これは何となく想定の範囲内という気がいたしますが、その後の、特に米朝の対話云々ということについては予想よりも早かったというふうに、私は、個人的な意見を申し上げさせていただければ、そう思っております。

 国際社会がかなりしっかりと経済制裁、安保理決議を履行してくれております。これは、中東、アフリカ、中南米といった国々もかなりしっかり経済制裁をやっているという反応もございますし、バルトのラトビアでしたか、独自制裁までそれに加えてやっているという国もございますし、ヨルダンが国交を断絶するというようなことを宣言したりということで、この問題は、東アジアの問題ではなくて国際社会に対する脅威。これは、もちろん、ミサイルの射程ということもあれば、不拡散が破られつつあるという認識をしている国もあって、いろいろな国が、これは国際社会全体で取り上げなければいけない問題だというふうにとってくれているというのが、私としては、いろいろなところでこの話をしたときに返ってくる反応がほぼそういう感じだったというのは非常にありがたいと思っておりまして、北朝鮮の労働者も送り返す、あるいは大使を追放する、受入れを拒否するというようなことも広がっていた。

 そういうことで、かなり国際社会の圧力というのはきいているなという気がしておりましたが、北朝鮮が非核化をするからといって対話に出てきたタイミングというのは、私の個人的な予想より早かったというのが現状だろうというふうに思っております。

 その中で、ただ南北、米朝というのでは芸がないと言うとちょっと言葉があれかもしれませんが、やはり北朝鮮もさまざまなことを考えながらやろうとしているんだろうと思いますが、国際社会として大切なことは、何ら状況は変わっていない。非核化についても言及がありませんし、核の関連施設についても活動が続いているということは、オリンピック前と比べて何ら状況は変わりがない。ただ北朝鮮が対話、対話と言っているだけで、それは、非核化への意思というのもはっきり明確にしていない中で対話だ、対話だと言っているだけでは、国際社会としては、そうですかと言うだけの話で、これから具体的に北朝鮮がどういう動きをするのかというのをやはり国際社会としてしっかり注視をしていく、そういう必要があるんだろうというふうに思っております。

末松委員 私の、後に続く質問の答えについても答えていただいたような感じなんですけれども。

 ちょっと私の方で注目したのが、さっき言った、短い会談ということ、それも電撃的だということを考えて、しかも夫人同行みたいな形でやっていくと、事前に会談の内容の詰めを事務的に行うとか、そういうことは実際にできないんだろうと。金委員長自身が行って、そこで内容を明らかにして初めて中国側とも意思疎通ができたんじゃないかなという気がするわけです。ということは、金正恩委員長ペースで会談が進んだということと同時に、この会談そのものが、何といいますか、演技というのかな、外交的な演技をきちんとやっているなという気がするわけです。私の方の分析はそういうことなんですけれども、そういう和やかさ、非常にそこを意識しているということでございますけれども。

 演技をするという、和やかなムードをつくって、中国とうちは一番親しいんだぜというようなところから考えていくと、さっき大臣もおっしゃったように、和やか外交というか、私から見たら、新たな平和攻勢、そういうものをまず第一点ここで強調し始めているのかなという感じがします。

 それをもうちょっと敷衍すれば、北朝鮮からすれば、和平ということを今考えているわけだから、それに反するようなことはするなよなという、和平の路線に対する敵ということも同時に考えていて、もう一つ、第二点は、そこにある発想なんですけれども、やはり、先ほど大臣がおっしゃられたように、経済制裁というのが国連を中心に国際的に一般化していった。これは、日本外務省の外交、そして日米韓が連帯してやったことの成果だということで、私も評価したいんですね。そういったことに対して北朝鮮が非常に危機感を覚えて、そして経済制裁もきいてきた、そうするとどういう手を打つかというと、じゃ、日米韓、それと中国、ロシアを含めた中での分断といいますか、ディバイド・アンド・ルールという、分断させてやっていく必要があるんだろうと。

 そう思ったときに、まずそこで、中国というものが、経済制裁といった場合に、なかなか立場が微妙な形で、主導権をとるということができなかったし、ロシアも、どちらかというと苦々しく思いながら、ある程度の制裁に応じざるを得なかった。そういうところでもって、狙い、北朝鮮の思惑なんですけれども、私から見たら、分断をやろうと今度はしかけているんだろうなと。

 だから、中国に行って、中国と北朝鮮とのいつもの蜜月な関係を演出していく。演出をしていった中で、そこで、まず中国、そしてあとロシア、さらにもともと北朝鮮と和解をしたがっている韓国、これで新たなリーグをつくって、日米と、それから韓国、中国、ロシア、それとを分断していくという中での平和攻勢みたいな形を今やり始めているのかなという気がするんです。

 大臣としては、先ほどもちょっと触れられましたけれども、北朝鮮の今回の思惑についてどう思われていますか。

河野国務大臣 北朝鮮として、やはりこの包囲網を何とかしたい、こう思う、それは当然だろうというふうに思います。

 日米韓だけでなく、中国、ロシアも朝鮮半島の非核化というのが最終ゴールでなければならないということは常々言っておりましたし、安保理の経済制裁の決議全て、中国、ロシアも賛成をして採択をされてきているという、先ほど申し上げましたように、国際社会が一致している中で、北朝鮮に対して圧力をかけ続けているというのがやはりはっきり見えてきたんだろうというふうに思います。

 現時点で、中国は国際社会の責任ある一員として行動をするというふうに言っているわけですから、中国は、国連の安保理決議の制裁について、恐らく、こうした電撃訪問があっても維持するという状況に変わりはないと思っておりますし、今週、インドの外務大臣、あるいはG7の議長国のカナダの外務大臣が来日され、当然北朝鮮情勢についても意見交換をいたしましたが、インド、カナダについても全く見方は我々と同じでございます。

 きのう、イギリスのボリス・ジョンソン外務大臣、それから、新しくドイツの外務大臣になりましたハイコ・マース外務大臣とも電話会談をやりましたが、北朝鮮に関する認識は、少なくとも、北朝鮮が具体的な行動に出るまでは何ら状況に変わりがないという見方は全く一致をしているところでございますから、北朝鮮がいろいろ分断をしようとしてもしやっているんだとすれば、国際社会はきちんとそれを見ていて、しかも、これまで少なくとも八回対話というものがあった結果何も生まなかった、その対話の結果、少なくとも八十億ドルの資金が北朝鮮に流れているということは、今、国際社会がよく理解をし共有をしているところで、この過去の間違いを繰り返してはならないというのが依然として国際社会の一致した見方だというふうに思っております。

 そこがやはり今の段階で一番大切なことであって、北朝鮮に対して、やはり、核、ミサイルを放棄する、拉致被害者あるいは被拘束者をしっかりと解放する、こういう国際社会の要求に北朝鮮が応えれば、これはさまざま交渉が進むわけですし、ただただ対話の場に出てきていても、国際社会は今北朝鮮に対して対価を払うつもりは全くないということを徐々に北朝鮮も理解していくのではないかというふうに考えておるところでございます。

末松委員 そこは私も一致をしているところなんですね。

 先ほど、北朝鮮は国内では、私もいろいろな資料とか説明を受けたときに、国内の平壌の中央放送ですか、それについては非核化ということは一言も使っていないと。ということは、国の内外で使い分けをしている。そこはそういうふうに認識をされておられますか。

河野国務大臣 いまだに言及がないというのは、そのとおりなんだと思います。

 これは少し見方は、ここから先はいろいろあると思うんですが、一つは、要するに二枚舌なんじゃないかという見方は当然にあろうかと思います。国内では全く言っていないではないかということ。

 それからもう一つは、ああいう特異な政治体制の中で、国際社会から圧力をかけられたので核、ミサイルを放棄するんだということを果たして言えるんだろうかというと、これは、北朝鮮の中で多少なりとも顔を立てる必要がある。

 というのも、これまで、特に、やめられたティラソン国務長官と話をしたときに、北朝鮮がもし本当に非核化に向けて行くんだったら、それは国際社会として、北朝鮮の中で金正恩委員長が顔が立つようにする必要はあるかもしれないね、つまり、何だおまえはといってぼこぼこにされてしまって体制がひっくり返るようなおそれがあるなら当然出てこないだろう、だから、当然に、中で金正恩委員長の顔が立つように、言葉尻は、国際社会が屈服した、だから核を持っている必要がないから核をやめると言っても、別にこっちは怒る必要はないよねというような話をしたことはございます。

 だから、国内的に言及をしていないし、現実に核関連施設における活動もあるわけですから、その合わせわざを考えると、ちょっと意思はどうなんだろうか、そこはまだ明確になっていないのではないかという見方は個人的には私はしているところでありますが、最終的に金正恩の意図というのをどうはかるのか、それは国内的にも、国民にもそう宣言しろと迫るのがいいのか、あるいは何らかの形でそういう意思を、あるよということがこちらサイドが明確にわかればいいのか、あるいはわかる方法があるんだろうか、その辺のことは、これから少しじっくり、関係諸国、国際社会の中で意見交換をしていく必要があるのではないかなというふうに思っています。

末松委員 そこは非常に外交の機微的なところで、日本が経済制裁をやったから、やったからと余りまくし立てると、それは金正恩委員長としてもなかなか顔が立たないよねという話があるから、ティラーソンさんが言った、大臣との間でそういう話をしている、そこは非常にいい感じだろうなと思います。

 ちょっと今度は内容的に見ていくんですけれども、北朝鮮の方が、段階的に同じ歩調をとれば、これは非核化に向けてですね、半島の非核化は解決する、こういう言い方をしているというのを資料で読んでいるんですけれども、この段階的にというのは何を意味するのか。

 経済制裁、あるいは合同軍事演習とか、あるいは在韓米軍の撤退とか、いろいろなものが想定されるし、同じ歩調でということであれば、みんながみんなその包囲網を、みんなそういった形で敷居を低くしていく、そうすれば非核化ができるんだという言い方、これを、なかなか、何というか、自分本位的な考え方というのかな、あくまでも主体は自分の国にあるということを力強くやっていこうという北朝鮮の意図だと私は感じるんですけれどもね。

 要は、非核化ということの商品、売り物を高くして、それに対して、この商品をあなた方が買いたいんだったら条件づけを幾つかやりますよ、その条件づけも、自分の方で気に入れば、それはそういう非核化にたどり着けるよ、もし北朝鮮の方がその条件づけの実行を気に入らなければ御破算になるよ、私からすればこういう意図が見えるんですよね。

 そういう内容、段階的、あるいは同じ歩調、そして非核化、このワーディングについてどういうふうに思われますか。

河野国務大臣 ここから先はちょっと機微なものですから、ちょっと、どう解釈するか、どう分析しているかというのを申し上げるのは、申しわけございませんが、差し控えたいと思いますが。

 いずれにしろ、北朝鮮が何を言うにせよ、具体的な行動が大事だというのが我々のメッセージでありまして、内外使い分けをするんだどうするんだ、それはあるのかもしれませんが、少なくとも、具体的な行動がない限り国際社会の制裁というのは続く、これは今の段階ではっきりしているわけですので。

 我々としては、向こうの発信について、そこはきちっと情報収集をして分析をいたしますが、大事なのは、北朝鮮が何を言うかというよりは北朝鮮が具体的に何をやるか。それが不可逆的に段階を追って進むのか、ちょっと核を停止するけれども、何かやったけれどもやはり戻りますというのでは、これは昔と同じことになりますから、何かステップをとるときに、それが不可逆的なものであって検証可能なもの、それが最終的に完全な非核化につながるんだというところは、国際社会がしっかり確認をしていかなければいけないところだと思います。

 何かの活動をとめますというのか、いや、とめても、原子炉の中にコンクリをどばどばと流し込んで、全部コンクリで塞いじゃいましたというのか。それは、とめていますといっても全く違うものなんだろうというふうに思いますので、どういう段階かとかいろいろな議論はあると思いますが、大事なのは、我々が言っているのは、不可逆的でなければならないし、それは完全な非核化に向けてのものでなければいけない。

 だから、一部は残すけれどもというのでは、これはだめですよと。もとの段階へ戻ろうと思えば戻れますというのは、前へ進んだことにはなりませんよと。それから、やりましたと言うけれども外国は中に入れませんというのでは、これは検証ができませんから、これはだめですよと。つまり、完全で不可逆的で検証可能なということが実現して初めて一歩前に出たねということになる。

 だから、何かを残しておいてこれをやりましたというのは完全でないし、戻れるんだけれども一歩前に出てみましたといってもそれは前に出たことにはならないし、それは、外からの目がちゃんとそこにあって、それが見られるということでなければ一歩前に出たことにはならないというのが、これは今国際社会のコンセンサスと言ってよろしいと思います。

末松委員 そこは私も同意させていただきます。

 特に、今までつくった核兵器があるとすれば、それも全部国際監視の中で破壊するような、そういう形です、検証可能ということですね、そこをやってもらわなきゃいけないし、いまだに北朝鮮が、過去の八回の会談で結局八十億ドル得た、それを今度は百億ドル得たいと思ってもだめだよという話を、そこは国際社会の中での合意というものをしっかりやっていかなきゃいけない。

 ただ、そこは私も不安は持ってはいないんですけれども、韓国なんかにすれば、四月の二十七日に首脳会談、これを行うということで、同じ民族でもありますから、少し浮き足立っているのかなという感じもしないわけではないんですけれども、そこは、日米韓を含めた形で、あるいは中ロも含めた形で、きちんと国際的な合意、連帯というものを何回もこれからやっていく必要があると思うんですけれども、そこの点についてはそれでよろしいですよね。

河野国務大臣 日米韓、事務レベルでも首脳レベルでも、あるいは外務大臣のレベルでも、かなり緊密に連絡のやりとりをさせていただいておりまして、特に外相レベルでは、康京和外交部長官とは普通に英語でやりとりができる、電話会談も英語でやらせていただいておりますし、この間もワシントンで、土曜日の午前中でしたか、日韓の外相会談をやらせていただいて、極めて緊密に連携をしております。

 NSCのレベルでも、それぞれ連携をしております。アメリカを入れて三カ国のNSCのミーティングというのも緊密にやっておりますし、首脳間の電話会談というのもやっているわけですから、今、日米韓、かなり一枚岩になって、この南北、米朝をどうするかという議論がしっかりできているというふうに考えていただいてよろしいかと思います。

末松委員 ちょっと私が不安を抱くのは、中国ともそこは緊密にやっていらっしゃると思うんですけれども、ロシアが今、外交官の追放とか、そういったところでちょっとほころびが西側との間で起こっている。

 ロシアに対しても北朝鮮は何かの仕掛けをする可能性もあると思うんですけれども、ロシアとの間でもその意思確認は大丈夫ですか。

河野国務大臣 三月の二十一日だったと思いますが、ラブロフ外務大臣と相当長い間、外相会談とワーキングランチをやりました。当然、北朝鮮についてもさまざまやりとりをさせていただきましたが、ロシアはかなり早い段階から朝鮮半島の非核化が必要だということを明確に言っておりますし、経済制裁のための安保理決議にもロシアは累次賛成をしてきております。

 北朝鮮の労働者が、中国を除けば多分ロシアが一番多かったのではないかと思いますが、この北朝鮮の労働者の送還というのもロシアは始めておりますので、そういう意味で、今のところロシアも足並みをそろえてくれているというのは現実でございます。

 イギリスの事件がありまして、御指摘のように、国際社会と多少ぎくしゃくというところはあろうかと思いますが、総理からプーチン大統領に、大統領選挙の後、電話をされて、化学兵器の使用は許されないし、化学兵器を使った者は処罰されなければいかぬ、日本として、イギリスの警察並びにOPCWの捜査をしっかりと見て、情報の共有をしていきたいというような話をプーチン大統領にされまして、私もラブロフ外務大臣と同じ話をいたしました。

 そういう意味で、日本は今、イギリスの警察、それとOPCWの捜査あるいは調査といったものをきちっと見た上で対応していきたいということはロシア側にもしっかり伝わっておりますが、北朝鮮の問題についてロシア側が安保理決議から何か外れているというようなことは、今の時点で全くありません。

 そういう意味で、この北朝鮮の問題、北朝鮮を非核化する、朝鮮半島の非核化が必要だという点で、ロシアも今、国際社会の中で足並みをそろえているという認識でございます。

末松委員 今の御発言の中で、プーチン大統領に安倍総理から電話会談、あるいは大臣の方からラブロフ外相に話をした、特に化学兵器の使用ということ。これについて、そこまで言われたので、ロシア側の反応はどういう感じだったですか。

河野国務大臣 先方の反応をここの場で公にするのは外交儀礼上にも反すると思いますので、先方の反応を申し上げるのはちょっと控えたいと思いますが、日本側からは、安倍総理からも私からも、それぞれ、プーチン大統領、ラブロフ外務大臣にそのようなことを申し上げました。

末松委員 この場では言えないという話でございますので。

 あと、拉致問題で、きのうの報道にもございました、家族会の、ここが絶好のチャンスであるという話。確かにそこは、今まで、私は、拉致問題、最近停滞してきたと思うんですけれども、進展がなかったと思うんですけれども、これをいいチャンスにして、それを踏まえた形での、例えば北朝鮮の方から日朝首脳会談あるいは日朝のハイレベルの会談がオファーされた場合、あるいはこっちからしかけていくということは、核兵器非核化ならず拉致問題解決をも、それも重要な考え方だと思うんですけれども、いかがですか。

河野国務大臣 この外務委員会も北の誰かが恐らく聞いているんだろうと思いますから、ここで、まあメッセージがあれば別ですが、今の時点でどうこう申し上げるというのはちょっと差し控えなければいけないと思いますが。

 アメリカ人も北朝鮮に三人まだ拘束をされていて、これは非常にアメリカの政権も重要視しております。また、トランプ大統領、メラニア夫人が来日された折に、拉致被害者の御家族と会っていただいて、また、累次、拉致問題を重視するというような発言をトランプ大統領からもしていただいているわけでございます。

 核、ミサイル、拉致問題、拘束者の問題、この拉致問題というのは、日米韓だけでなく、そのほかの国にも被害者がいるということですから、国際社会として、これもしっかりとテーブルにのせて北朝鮮とさまざまこれからやっていくという方針で、スウェーデンでしたか、北朝鮮の外務大臣がつい最近行かれましたが、スウェーデンの外務大臣からすぐ電話会談の申入れがありまして、スウェーデン側からは、この拉致問題についても核、ミサイル同様に問題提起をしたというような御連絡をいただき、その際の北朝鮮側の反応についても御連絡をいただいたところでございますので、国際社会の中で、さまざまな国が北朝鮮に対して機会があるたびにそういう問題提起をしていただいているということに我々感謝申し上げながら、しっかり連帯をしてやっていきたいというふうに思っております。

末松委員 そこはタイミングを逃さず、考えられていると思いますけれども、そこは本当に重要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 あと、余り時間がないのでちょっと深められないんですけれども、米韓の合同演習が四月一日からあると言われていまして、先ほど私が申し上げた、北朝鮮の和平工作、新たな和平攻勢の一環として、要するに、この和平に対して弓を引くやつがいたらこれはけしからぬというような形で、米韓の合同軍事演習とか、そこはちょっと指摘をされるような危険性もあると思うんですけれども、これは日本は参加しているんでしたっけ。

小波政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のように、米韓両政府は、三月の二十日、定例の米韓合同演習を四月一日から例年と同様の規模で実施する旨発表したと承知しております。

 当該米韓合同軍事演習につきましては、現時点で、自衛隊として参加する予定はございません。また、現時点で、オブザーバー等を派遣する予定もないところでございます。

末松委員 ここは、大臣、これは突然の質問になりますけれども、こういった、北朝鮮から、和平路線に対して、弓引くものだみたいな言い方をされるとこれもしゃくなので、そこは米韓の、これも微妙な判断ですけれども、圧力は加え続けるんだというメッセージにもなりますけれども、そこは様子を見た方がいいんじゃないかという話、また御検討いただきたいと思います。

 あと、それから、話をちょっとかえますけれども、サイバーテロ等あるいは盗聴について、私の方からまたお伺いをさせていただきたいと思います。

 この前、原発をチェックしろ、サイバーテロでスノーデンが仕掛けたウイルスということ、これを私が質問した後で説明に来てくれまして、クローズシステムでオペレーションをやっているから大丈夫だと。あと、いろいろな形でサイバーテロを防ぐ仕掛けがしてあるということで、聞いて安心をしたんですけれども。

 ウィキリークス等で、二〇一三年からでしたっけ、かなり、いろいろな政府の秘密がどんどん暴かれていっているということで、外務省の公電というのは大丈夫なのかというのは、ちょっと私は聞いておかなきゃいけない。

 特に、第二次大戦のとき、アメリカへの宣戦布告の言葉が外務省の関係でおくれたということで、外務省は非常に恥辱にまみれたわけですけれども、もっと、もっとですね、私が問題と思うのは、暗号が解読されていて、それを、解読されているということを気づかなかったことが一番のこの国の恥辱だと思っているんですけれども、外務省の公電、これは大丈夫ですか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省といたしましては、現時点で、委員御指摘のような事実があるというふうには認識をしておりません。公電から漏えいした事実等は発生していないと認識しております。

 外務省の公電システムは、インターネットなどの外部の回線とは接続をしていない、物理的に独立した回線上で稼働をしております。また、委員御指摘の暗号につきましても、外務省独自に開発をいたしました暗号を使用していることに加えまして、最新の技術等に基づくさまざまなセキュリティー対策を講じておるところでございます。

末松委員 内部の人が買収されたとか、いろいろな、人を信じちゃまずいという、それはもう仕方がない話で、これは、仕組みとしてそれが、秘密保全が常時できるような形で、本当にそこはよろしくお願いしたいと思います。

 それと、あと、盗聴についてお聞きしたいんですね。

 これも、メルケル首相が十年間ほど盗聴されていたということで、アメリカのオバマ大統領に抗議をしたという情報がありましたけれども、まずは、政府の盗聴、要人の盗聴というのは、これは何か、そういった情報があってから調査されましたか。

森政府参考人 お答えいたします。

 政府として、諸外国等により各種の情報収集活動が行われてきているおそれがあること、これは当然念頭に置いております。

 御指摘の問題につきましても、専門家の助言も得つつ、内閣官房長官が議長を務めておりますカウンターインテリジェンス推進会議などを通じて、特に機密性の高い情報の保全の徹底について取り組んできております。

 これまでに、政府の機密性の高い情報が通信の過程におきまして漏えいしたという事実は承知しておりませんが、今後とも情報の保全には万全を期していきたいと思っております。

末松委員 私も、きのうの質問通告をする時点で、盗聴について調査したかと、これも自分で愚かな質問かなと思ったんですけれども、外国機関なんかは本当に、衛星から始まってECHELONとか、いろいろな形で、相手国が盗聴されているということがわからない形でそこはやっているわけでありますから、そこについて、多分、日本でやっているのは警察とか、その方で技術があるのかなと。だから、そこは本当に一番取り締まりにくい状況だろうとは思うんですけれども、ただ、いつもそこは意識をしておかないといけない。

 外務省、幹部についてはいかがでしょうか、そこは。盗聴問題というのは、話題となって、チェックをしたような事実はありますか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで把握している限りにおきましては、外務省幹部の盗聴の被害は確認はされておりませんが、外務省におきましても、諸外国等による各種の情報収集活動が委員御指摘のとおり行われるおそれも念頭に置きまして、職員に対して、幹部に対しまして、当該活動に対する危機意識を持つよう指導をするとともに、特に機密性の高い情報につきましては漏えい防止策を講ずるよう指導するなど、情報の保全に努めてきております。

 現状の対策といたしましては、本省及び在外公館の職員に対しまして、秘密を含む会話につきましては、一般回線による通話を原則禁止し、秘匿通話が可能な専用の電話によるよう指導をしてきております。

 また、携帯機器につきましても、それ自体が盗聴器として働く可能性があるという現実に鑑み、幹部の部屋に原則持込みを禁止しているところでございます。

末松委員 防衛省に対して、一番、国の機密事項が外務省とともにあるわけですけれども、今まで防衛省に対してマルウエアとかウイルス攻撃をやられたようなことは、大体、日常茶飯事でやられているんですか。

小波政府参考人 お答えいたします。

 防衛省・自衛隊においては、自身の情報通信システムや通信ネットワークを防護するため、サイバー防衛隊が二十四時間体制で通信ネットワークを監視しておりまして、今委員御指摘のように、年間百万件以上の不審メールや不正な通信等を認知しております。これらのサイバー攻撃については、スパムメール、ウイルスつきメール等の不審メールや防衛省ウエブサイトに対する不正な通信等を集計したものでございます。

 なお、これより細部の内訳について明らかにすることは、防衛省のサイバー攻撃の探知能力を明らかにすることになることから、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、御指摘のように、その手口は年々複雑化、巧妙化してきております。

 防衛省・自衛隊としては、これらのサイバー攻撃に適切に対処するため、内閣サイバーセキュリティセンターを始めとする関係省庁、企業等との連携を強化しつつ、サイバー防衛部隊による各種脅威情報の収集、分析及び対処に努めており、引き続き、対処能力の強化に努めてまいりたいと考えております。

末松委員 あと、時間がなくなったので最後の質問になるかと思いますけれども、防衛省の方も、そういう被害を受けてやられているばかりというのも困るのかな、その源を断っていく、そういうことも整備する必要もあるのかなと思うんですけれども、これはかなり機微な話なので、ではあっても、そういうことについてもちょっとお聞きしたいのと、最後に、こういったサイバーセキュリティーというのは、凡庸な事務官が百人あるよりも天才が一人いた方がよっぽど効果があるという話になりますから、ただ、天才を雇うという場合は、やはりそれなりの対価が必要です。一般の公務員規定に従うとこういう人は雇えないので、そこを、天才をきちんとリクルートするような仕組み、こういったものについて、これもやっていく必要があると思うんですけれども、最後の二点について、防衛省、どうですか。

小波政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、サイバー攻撃への対処について御質問いただきました。

 御指摘のように、高度化するサイバー攻撃の態様を考えますれば、今後サイバー攻撃によって極めて深刻な被害が発生する可能性も否定できず、サイバー攻撃への対応は我が国の安全保障にかかわる重要な課題であると認識しております。

 そのため、防衛省では、中期防衛力整備計画に基づき、武力攻撃事態等において相手方によるサイバー空間の利用を妨げることが必要となる可能性を想定しつつ、サイバー攻撃の分析機能の強化や実戦的な訓練環境の整備等を行っており、その結果として、サイバー空間を通じた反撃にも応用し得る一定の知識、技能を得ています。

 他方、サイバー攻撃の態様については手法、対象の多様性などさまざまあり得るため、もう委員御指摘のように、法的側面も含め、慎重な検討が必要なものと考えております。

 それから二点目、サイバー対策を行う人材の確保について御質問いただきました。

 防衛省・自衛隊では、高度な知識、技能、経験を有する人材の育成が極めて重要であると考えており、日ごろより国内外の教育機関への留学や民間企業における研修などに努めているほか、キャリアパスの設定や教育の充実、高度化によって人材育成に更に努めているつもりでございます。

 さらに、御指摘のような高度な専門的知識等を有する外部の人材を積極的に活用することも必要だと考えております。

 今後、サイバー人材の確保については、防衛省・自衛隊が必要とする高度な人材を特定した上で、専門的な知識経験又はすぐれた識見を有する者を任期を定めて採用する任期つき隊員制度を活用した新規採用でありますとか、民間企業における実務経験を積んだ者を採用する官民人事交流制度及び役務契約等による外部人材の活用を含め検討してまいる必要があると考えておりますが、いずれにいたしましても、今日非常に重要な課題であると考えており、これについてしっかりと検討していきたいと考えているところでございます。

末松委員 終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 希望の党の小熊慎司です。

 末松議員と同様、北朝鮮について、まずお聞きをいたします。

 非核化に向けて動きが激しくなっている中でありますけれども、中朝首脳会談、そして四月には南北首脳会談、そして米朝首脳会談、場合によってはロシアとの首脳会談も行われるんじゃないかとも言われていますが、日本の首脳会談に対して、私は必要性があると思いますが、この取組、現時点での状況をお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 先ほどの末松委員の御質問の中でも答弁で申し上げましたが、北朝鮮の問題というのは、日本と北朝鮮、韓国と北朝鮮、アメリカと北朝鮮というような問題ではなくて、国際社会と北朝鮮の問題というふうに我々認識しておりますし、今国際社会もそのように認識をしてくれているんだろうというふうに思います。

 今大事なのは、北朝鮮に対する国際社会の制裁の足並みがきちっとそろった状態を維持しながら北朝鮮に圧力をかけ、北朝鮮の非核化を実現させる、あるいはミサイルの放棄、拉致問題の解決といったものを実現させるということなんだろうと思います。

 例えば、中朝の首脳会談、南北の首脳会談、米朝の首脳会談と、こう話題になりますが、その一方で、北朝鮮の外務大臣、今、スウェーデンに行ったり、いろいろなところへ行って会談をやっております、これは余りメディアには載りませんが。いろいろなところが外務大臣の会合をやりますが、みんな足並みをそろえて、対話をするだけでは対価はないよ、具体的な行動をとるまで国際社会はこの圧力を維持するということをはっきり北朝鮮に言ってくれております。それを国際社会の中で情報を共有している、今そういう国際社会の枠組みがございますので、北朝鮮の外務大臣が次にどこの外務大臣と会談をしようが、国際社会としては同じ答えを出すということなわけで。

 首脳会談についても、中朝の次は南北、その次は米朝という話になっておりますが、国際社会として、対話に対する対価はありませんよ、むしろ、四月の一日から米韓の軍事演習は予定どおりやりますよ、対話に出てくるなら具体的な行動という答えを持ってきてくださいという、これを維持することが大事でありますし、今、国際社会はそれがきちんと維持できている、そういう状況にあるというふうに認識をしておりますので、緊密に連携をしながら、それぞれの国となるべく広く情報を共有をし、北朝鮮と国際社会というこの状況をこれからもしっかり続けて、北朝鮮に対して圧力をしっかりとかけ続けていく、この状況を維持してまいりたいというふうに思っております。

小熊委員 今週水曜日の質疑の中でも、今大臣がおっしゃった、日本は連携の役割をしっかりやった方がいいという話を私はさせていただきまして、今の大臣の答弁のとおりではある、私も同意するところでありますが。

 一方で、懸念されるところが、日本がスルー、パッシングされている部分もあるんじゃないかとか、とりわけ拉致問題。先日正式に着任した駐米大使の杉山さんがしっかりアメリカ政府にもこの拉致問題については強く訴えていたところであるということをお聞きしているところでありますけれども。

 一方で、拉致問題を取り上げることは北朝鮮は嫌がる部分もあるんですけれども、一部報道によれば、北朝鮮の祖国平和統一委員会というウエブサイトで、拉致問題を北朝鮮のいろいろな対話の中で入れていくということに対して、日本が南北の和解を妨害しているということをこの北朝鮮の一機関のウエブサイトで言っているんですね。

 北朝鮮がそう言おうとも、今言った国際連携の中でしっかりこの拉致問題を提起し続けなければいけないですし、非核化のために、非核化は非常に重要なことではありますけれども、朝鮮半島の非核化は大事ではありますが、だからといって、この拉致問題が除外されることはあってはならないというふうに思います。

 北朝鮮は、一機関のウエブサイトを通じて今そうした意見表明がなされていますが、この拉致問題に関して、今大臣が言った、国際連携の中でしっかり、これは外していかないということについて確認をしたいと思います。

河野国務大臣 核、ミサイル並びに拉致あるいは拘束者の事案を解決するというのが、国際社会の北朝鮮に対する方針だというふうに御理解をいただいてよろしいと思います。

 これは、アメリカのトランプ大統領がメッセージを出してくださっているだけでなくて、中東の国々あるいは北欧の国々といったところがばんたび問題提起をしてくれていますし、バンクーバーで行われた北朝鮮に関する会議の席上でも、日本、韓国、アメリカ以外の国々がこの拉致問題について言及をし、さまざま議論をしてくれておりますので、我々としては、国際社会の中でしっかりとこの核、ミサイル、拉致問題、拘束者の問題、これを取り上げていく、そういう方針でやってまいりたいというふうに思っております。

 日本がパッシングされるのではないかというような御意見もありますが、それはもう国際社会が周りを壁のように取り囲んでいるわけですから、どこへ北朝鮮が弾を撃ってもそれは戻ってくるだけの話で、どのれんがに当たっても弾の返りは同じよというのが今の恐らく現状だというふうに思っておりますから、弾がこっちへ飛んでくるかこないかというのを余り気にするよりは、その弾を撃っている方の人間の行動がどう変わってくるかというのが大事だと思いますし、先ほど申し上げましたように、北朝鮮の発言というのは、一つは、北朝鮮の意図というのがそこに含まれている場合もあれば、国内向けの、顔が立つようにしているということだってあろうかと思いますから、この北朝鮮の対外発信を額面どおりにとるというよりは、そこにある意図は何かというのをしっかり分析をするというのが大切なんだろうというふうに思っております。

小熊委員 しっかり国際連携ができていれば心配はないということではありますが、とりわけこの拉致問題に関しましては時間がないということもありますし、大丈夫だということではありますけれども、でも、中国やロシアに対してはしっかり確認がとれていないというか、私は信頼し切ることはちょっとできないなという状況にあるというふうに思いますし。だから、拉致問題は決して外さないということですね、この朝鮮の問題に関しては。

 常々政府が言っているとおり、原因者は北朝鮮であって、我々にはないわけです、ほかの国際社会にはないわけです。だから、譲歩ということはあり得ないと思っています。ただ、交渉事ですから、いろいろな条件整備はあるとは思いますが、譲歩はないというふうに思います。

 その中で、また懸念されている、これは心配ないよという言葉を聞きたいんですけれども、例えば、このミサイル開発に関しても、アメリカがこの点についてもアメリカ・ファーストであり続けるのであれば、ICBMが開発されないのであれば中・短距離ミサイルに関しては譲歩しちゃうということも懸念されているのも事実です。これもないということにしなければなりません。こういった点、このミサイルの観点。

 あと、拉致問題に関して、今、アメリカの話だけが出てきて、ほかの国も総合的には指摘はされているんですけれども、とりわけ中国やロシアに関しても、この拉致問題は取り上げてもらわなければいけないと思っています。

 ここの連携、ミサイルと拉致。ミサイルに関しては、アメリカが譲歩しないかどうかという懸念に関してのまたコメントをいただきたいと思います。

河野国務大臣 さまざまな国とのやりとりの中で、拉致問題というのは問題提起をしております。ミサイルについても、ICBMでなければいいのかといえば、それはさまざま、グアムもあれば、在韓米軍、在日米軍というのもアメリカは持っているわけですから、この短・中・長距離ミサイルに対する懸念というのは日本や韓国と全く同じ状況にあるわけでございますので、そこは、先般、ワシントンでも、ミサイルといったときには短距離からICBMまで含んでいるというのがアメリカの現時点の理解でございます。

 そういう中で、しっかりと、核、ミサイル、拉致問題に国際社会を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

小熊委員 ぜひ、これは連携が大事だという話、私もそのとおりということもお話しさせていただきましたが、ただ、場合によっては、やはり日朝首脳会談をやっていくということも一方で努力をしていただきたいなというふうに思いますし、先ほど末松議員の質問の中にもありましたとおり、中朝首脳会談の情報が日本に入ってきたのは報道ベースが先だった、アメリカには報告、連絡みたいなのがあったということを考えれば、連携の中に日本がどの程度かかわりがあるのかというところがまた心配にもなってきますし、そういう意味では、日本独自でも、やはり北朝鮮との首脳会談は、実現に向けて努力することは国際社会の連携を乱すことでもないというふうに思いますので、ぜひその点については努力をしていただきたいということを申し述べまして、次の質問に移らせていただきます。

 その都度、大臣においては、香港に行って福島の風評被害のことをやってきたと言っていただいていて、私、質問を一回もしていなかったので、せっかくですから、大臣が香港に行かれて、林鄭行政長官とお話合いをしてどれだけ成果を上げたのか、お聞きをしたいと思います。

河野国務大臣 日本の食品の香港での輸入規制の問題は、これはもちろん、日本側はぜひ輸入規制を解除してほしいというふうに申し上げているわけでございますし、香港側でも、日本の食料品、農作物、野菜から果物から牛乳からに対する消費者の志向というのは非常に強いものがあるわけでございます。日本のいいものをなるべく安い値段で香港に入れて多くの消費者がそれを食べたり飲んだりしたいということは非常に強い要望があるわけでございますし、香港の行政の中では、科学的な知見についてはよく御存じでいらっしゃいます。

 この食品の輸入規制の問題は、安全と安心と、よく日本でも遺伝子組み換え食品なんかで言われましたけれども、香港の行政側も、安全なのは理解をしている、消費者が安心してそれを食べてもらうためにどういう努力が必要なのかということなんだろうというふうに思っております。

 今、まだ五県の中で幾つかの品目の輸入に規制がかかっているわけでございますが、香港側として、この問題が日本でも重要であるというのはよく理解をしてくれておりまして、関係者の間で鋭意努力が続いておりますので、これはそう遠くないうちにいいニュースが来てもおかしくないというふうに思っております。

 これは日本と香港の問題ではありますが、香港の行政と香港の消費者、香港の消費者にいかに安心してもらえるかということを香港の行政が今御苦労されているところでございますので、流れというのはできているというふうに思っておりますので、そこはしっかり必要な情報を提供しながら、この問題の解決に向けて、流れがしっかりとゴールにたどり着くというところを、後押しをしながら見守っていくということになろうかと思います。

 会津の食品のフェアをやっていましたけれども、大変な人気でございましたので、そこは委員もぜひ自信を持って、ことし、またいろいろなものが開催をされるようでございますから、ぜひ香港にお出かけをいただいてやってきていただきたいというふうに思っております。

小熊委員 ありがとうございます。

 今いないんですけれども、何回か、超党派の日中次世代交流委員会、ことしの訪中の中には香港も行く予定でありますので、ぜひ確認をしてきたいと思いますし、また、林鄭さん、鉄の女という異名もとっている人だというふうに聞いていますが、ちなみに、行政長官の林鄭さんは、この規制解除に関してはどのような具体的反応をされていたか。

河野国務大臣 申し上げましたように、香港の行政は、科学的な知見でいえば全く問題がないというのはよく御理解をいただいているところでございまして、これはもうひいては香港の消費者の皆様が安心して今規制されているものを食べられるということにかかっておりますので、香港の行政が、香港の消費者から信頼をされて、この輸入を解禁しても皆さんは安心して食べられますよという、そこにかかっているというのを我々もよく理解をいたしましたし、もう先方はよくおわかりでございますので、日本が、これは絶対安心だとかなんとかといってプレッシャーをかける必要も実は余りないんだろうというふうに思っております。

 そこはもういかに香港の消費者の皆さんに安心していただけるかという努力を今先方がやってくださっている。それがそれなりの安心感というところでいきましょうということになるんだろうと思っておりますので、方向は、日本も香港も同じ方向を向いていると言ってよろしいと思いますので、そこはしっかりと、この状況が変わらぬように日本としてしっかり見守っていくということに尽きるのではないかと思っております。

 外務省としても、必要なことはしっかりやりますし、情報提供も、もう向こうもよくわかっていらっしゃいますから、余りつけ加える情報というのもないのかもしれませんが、必要なことはしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

 そう遠くないうちに、流れがちゃんと終着点にたどり着くということになるのではないだろうかというふうに期待をしているところでございます。

小熊委員 ありがとうございます。

 この規制解除、大臣、御努力いただいたことに感謝申し上げますし、また、これまでも、いろいろな国の規制解除が達成されていますが、ちょっと配付資料を見ていただきたいんです。

 私の地元の新聞に載った記事でありますが、国内のことは消費者庁がいろいろ調べていて、とりわけ首都圏においては一五パーから二〇パーぐらいの人がいまだに福島県産というだけで避けるというデータが、これもずっと横ばいで最近は推移していますけれども、海外においてはこういったような結果であります。非常に親日的な台湾、また人口比当たりにすれば震災のときに一番寄附をしていただいた、個人寄附が多かった台湾が、実はこういう現状であります。

 ただ、昨年、私も台湾に行って、何人かの議員と規制解除に向けたお願いをしてきたときには、台湾の人も日本に来ていて、日本に来ているときは食べ物に、福島県産だからといって拒否しているわけではないですよと向こうの政府の人は言うんですけれども、実際はこういう状況でもあって、また、とりわけ規制解除している国でもこういう状況になっています。

 だから、規制解除がゴールではないんですね。規制解除後、こういった風評をどう払拭していくかということが大事ですし、香港に関しては、御努力で規制解除に向かっていくということは強く感じましたけれども、一方で、私、この委員会でも過去に何回か取り上げましたが、日本とは別会社ですが、香港吉野家が、福島県のものは使っていませんというポスターを店に張ってお客さんを呼び込もうとしたというのがありました。これは、ネットの中で、吉野家は福島県のものを使っているというふうにあって、それで客が激減したという対策を、安易にそういった間違った手法でやってしまったということで、これは当時、外務省が抗議もしていただいたんですけれども、抗議した一年後にまた同じようなことをしたんですね。

 大臣が言ったとおり、消費者側へのアプローチというのは非常に重要だと思います。ほかの国でもこうやってあるわけですけれども、科学的知見に基づいて解除はしていますが、早期に解除した国でも、消費者の段階においてはこういう状況であります。まずは解除が前提ではあるんですけれども、解除した上でも、消費者へのアプローチというのはまだまだ続いていかなければならないというのが実際のところです。

 この点について、大臣就任前でしたけれども、だから昨年の今ごろ、前復興大臣が失言でやめたときに、安倍総理が、安倍政権は全ての閣僚が復興大臣というつもりでやっていきますと。これはそのとおりだ。だけれども、実際、この外務委員会で質疑してみたら、飯倉公館でのいろいろなレセプションで、過去一年においては被災地のものを一切使っていなかった、情報発信していなかったという事実があって、言葉だけだったということがわかりました。

 その後、努力はしていただいてはいますが、ちょうど震災から丸七年が経過しましたけれども、具体的に外務省としては、復興、そしてこうした風評被害対策といった被災地への支援に関してはどういうふうに取り組んでいっているのか、改めてお聞きいたします。

堀井(学)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 東日本大震災、原発事故からの復興は政府の最重要課題の一つであり、外務省としても全力でさまざまな施策に取り組んでいるところでございます。

 諸外国・地域における日本産品に対する輸入規制に関して申し上げれば、外務省は、あらゆる外交機会を捉え、その撤廃に向け粘り強い交渉を行っており、こうした取組の結果、これまで計二十七カ国で規制が完全撤廃され、計五十一カ国・地域で規制が緩和されてきております。

 二十五日、先ほどの大臣の答弁のとおりでございますが、河野大臣が、香港訪問のときにキャリー・ラム香港行政長官に働きかけを行ってまいりました。また、日ロにつきましてですが、河野大臣を始め外務省、関係府省庁、各級レベルの働きかけを粘り強く交渉してきた結果でありますが、私自身が二十六日、ロシアを訪問した際、先方より、水産物の輸入停止措置について、岩手県、宮城県、山形県、新潟県、茨城県、千葉県の六県については規制を撤廃、福島県については放射性物質の検査証明書を添付することで輸入可能にするという決定した旨回答を得たところでございます。

 しかし、いまだ東アジアを中心に、輸入停止を含む規制を維持する国、地域が残っております。

 今後とも、外務省の持つリソースを最大限に活用し、関係府省庁との協力をしつつ、輸入規制の撤廃に向け、取組を強化していく所存でございます。

 以上でございます。

小熊委員 通告の際に、私、レクをやらないので、意思疎通があれなんですけれども。

 だから、撤廃はそうなんですが、配付の資料のとおり、消費者にどうアプローチしていくかというところが一番大事で、規制撤廃はゴールじゃなくてスタートなんですね。

 今言われたとおり、台湾においては逆に関東に規制がかかっちゃっていますから、これは福島県だけじゃない、日本、かなり広い地域でいろいろ割を食っていますし、政府においても農産物の輸出を高い目標値を掲げていますけれども、これはいいことだと思いますが、規制をかけられているエリアはハンディ戦なんですよ。とりわけ貿易量が多いアジア地域でなっちゃっていて、この規制撤廃、EU等もなりましたけれども、やはり、主戦場というか、大きい取引のあるアジアで攻め込むところが攻められないということが非常に大きなところで、じゃ、規制撤廃したところでこういった消費者の状況であれば、規制撤廃以後どうやってやっていくんだと。

 大臣、例えば、規制撤廃前から消費者へのアプローチをしていくということですから。ただ、外務省として、これはどういう事業をやっていくのか、ほかの関係省とも連携しながら。最大限やっていますと言うけれども、やっていなかったんですからね、これまで、昨年は。僕らもチェックしていなかったので、びっくりしましたよ、本当に。これはどうなんだということ、そこをどうやってやっていくかという話ですよ。

 政務官、ちょっと、学校が同じだから、もう一回。

堀井(学)大臣政務官 今御指摘の点もしっかり踏まえながら、被災地の一日も早い復興に向け、いかなる施策が効果的であるか、不断の検討をしっかりと行わせていただいて、さらなる取組の強化を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小熊委員 その際、だから、いろんな取組、科学的根拠、先ほど証明書と言ったんですけれども、実は、福島県内のところはお米は全袋検査していましたが、これはちょっとどうしようかと検討しているんですね、県内で。結構な負担ですし、もうほとんど出ないということなので、サンプル検査だけにしてやろうかという話もあるんですが、証明書を必ずつけろとなると、やはり全袋検査を続けなきゃいけないと負担にもなってくるという状況もありますので。そういった点もぜひ考慮に入れながら、証明書をつければ規制撤廃になってそれでよかったではなくて、そういったサンプルだけの検査でもオーケーにするとか、実態に合わせたことをまたぜひ交渉していっていただきたいと思いますし。

 我々が今闘っているのは、風評だけでなくて、風化ということも闘っています。震災直後は応援消費もあったんですが、やはり応援ということがなくなっても、それは現実だというふうに思います。

 風化とも闘っていくという意味では、やはり我々が情報発信をしっかりしていかなきゃいけないというふうに思っていますし、海外に向けては、これは他省庁、農産物ならば農水省ということもありますが、海外発信、国際発信という意味では、これはやはり外務省の役割が一番でありますし、また、二年後の東京オリンピック・パラリンピックに関しましても、復興をちゃんと世界に示していくと言っていながら、何となく我が福島県内ではまだまだそう盛り上がっていないし、それをちゃんと情報発信されていくというニュースも何か少なかったりします。

 そういう意味でも、ぜひ、海外発信については今まで以上にやっていただかなければいけないんですね。実は、この数字って固定化した数字なんです。固定化しているということは、いろんなリスクコミュニケーションの情報発信をしているんですけれども、それをわかった上でこうだということですから、そういう意味では新たな発信が必要だということでもありますので、今までどおり積み重ねれば解決するということじゃないです。今までと違う手法、努力をしなければ解決しない数字だというふうに思っています。

 そういう意味では、たびたび言っていますが、先日、公明党の伊佐議員から福島をテーマにした映画の紹介をいただきましたけれども、こうした、昨年かな、おととしかの台湾の映画が福島で撮られたというのもありますけれども、そうしたことも考えていかなきゃいけないなというふうに思っています。いろいろな、報道番組べースではなくて、映画を撮るとか、また、台湾においても旅番組が非常に盛んでありますので、大丈夫だというような旅番組じゃなくて、普通に、福島はよかったねみたいな、ここのものはうまいねみたいなものがあってしかるべきだなというふうに思います。

 そういう意味では、私、特段ファンではないと言っちゃうと失礼なんですが、ジャニーズのTOKIOが福島のことをよくやってもらっているんですけれども、それは自然体ですよ。福島は安全だからいいですねというのではなくて、単純に、福島に来て温泉に入ってよかったねとか、トマトを食べておいしい、最高と言っているような、そういう方がかえって消費者に届くんじゃないかな、勘違いをしている消費者に、そういう方がいいアプローチになるんじゃないかなというふうに思いますので、そういったやわらかな、やわらかなというか、数字を示して大丈夫ですと言うようなアプローチじゃないことも今度考えていただきたいと思います。

 政府においては、映像誘致や被災地の撮影に関する支援はしていますが、いまだにちょっとかたいものしかなかったり、報道マンを連れてきて撮らせていくということでしかなかったりしていますので、そういうアプローチをちょっと考えて、そういう方に支援をちょっと移していただきたいと思いますが、答弁があれば。

河野国務大臣 先日香港に行ってそごうとイオンを見てきたんですが、福島県産のものを売っているんですね。福島県産のもので輸入規制がかかっていますというのは限定された品目で、お酒なんかは福島のお酒がずらっと並んでいて売行きもいいですという話ですし、食べ物も福島のものを、売っているものは普通に消費者の皆さんは選んで買っていっていかれているわけで、そういう意味でいうと、何となく風評というのが、実態とかけ離れたところで風評がひとり歩きしているなというのはよくわかります。

 香港の方が日本に来れば、例えば、ツルムラサキとかサヤインゲンなんというのは相当福島のシェアが高いわけですから、サラダを食べたら恐らく相当な確率で東京のサラダの中にはそういうのが入っていて、それを実際食べて帰っていらっしゃるというのは、誰も恐らく気にされていない。台湾、韓国から来られる方だって、東京へ来てサラダを食べて帰るという方は大勢いらっしゃるわけですから、そういうのを余り気にしないときには全然気にされていない。むしろ、それがそのまま続いていけばいいんだろうというふうに思っております。

 いろいろなやり方があるよというのは、確かに、数字を出してこうだと言っても、私は初めて当選して最初にやった仕事が遺伝子組み換え食品の問題で、遺伝子組み換えは安全ですと言っても、いやいや、いろいろな話を聞いているから嫌だと。では、豆腐なら豆腐に、遺伝子組み換えの大豆を使ってつくった豆腐にちゃんと表示をしましょう、そうでないのとそうであるものと選べるようにしましょうといって表示をした瞬間にその話がわっと下火になった、そういうこともございます。いまだに遺伝子組み換え食品には表示をして、私は食べませんという方もいらっしゃいますが、気にしませんという方も相当ふえてきているということなので、恐らく、全ての人が一〇〇%気にしないかというと、そんなことにはならないのかもしれませんが、気にする必要はないんだねということがわかれば、この数字はがっと低くなる。

 そうすると、科学的にというのは、香港の行政の方と話をしても、もう科学的にはわかっています、福島は全部検査しているから、安全なものを食べたければ福島を選んで食べた方が安全なのもよくわかっています、問題は、それをどう伝え、どう納得してもらうかだということでしたので、かたい話ばかりではなくて、やっぱりやわらかいことも少しやっていかないといけないのかなというのは、おっしゃるとおりだと思います。

 何ができるか。外務省、役所でございますから、むしろ、外務省が考えるよりは、いろいろな方にこういうアイデアがあるよというのを考えていただいた方がいいのかもしれませんし、委員の方からこういうのをやったらどうだという御提案があればそれもしっかり検討していきたいと思いますので、やれることは一生懸命やって、この数字がどこまで下げられるかというのを、しっかり、外務省も目標の一つとしてやっていきたいというふうに思っております。

小熊委員 大臣のお墨つきがあったので、ではいろいろ提案させていただきたいと思います。

 農産物は、私も、東京にいても、ひところよりは百貨店で福島県の牛乳が置かれていたりお米が置かれたりするようにはなりましたが、実際数字を見てみるとやはり厳しいものがありますし。この委員会でも、インバウンドに関しては、宿泊数でいうと、福島県内に来る中国、これは香港と中国は別カウントしていませんから、中国でいうと震災前の半分程度。台湾はそこそこ戻ったんですけれども。ただ、全国を見てみると三倍近いので、実は、二〇一一年の前に戻ったといっても、ほかのエリアからすれば三周おくれみたいなところにあります。とりわけ堀井さんのところの北海道はいいみたいですけれども。何か輝いているなと思いましたが。だから、そういう意味ではまだまだ足りていないということなので、改善しているということではないと思います。

 いろいろな、我々も努力、福島県内の人も努力してハッピーニュースを発信しているんですけれども、一たび何かあって、汚染水が漏れた、ボルト一本がおっこちていたというニュースも、世界を駆けめぐるたびに、福島が福島がとなるんですね。ちょっとした地震でも旅館なんかがキャンセルを食らうなんというのも間々ある話ですし、それは福島県に限らず、ちょっと火山が噴火しそうだとなったらキャンセルがあるように、そのぐらいのことですから、たゆまぬ努力が必要だということで、しっかりこれは対応していただきたいというふうに思います。

 何度も言います。大臣にお墨つきをいただいたので、もう千三つの覚悟で数多く提案をしたいと思いますので、ぜひ前向きな御検討をいただきたいということと、きょうの、香港の近々明るいニュースが聞けるのではないかということは、きょうちょうど若松市長と夜懇談することになっていますので、お伝えをしておきたいなというふうに思っています。

 次に移ります。

 在留外国人についてですが、年々ふえてきて、ことしも、法務省の数字によると、また過去最高を更新をしたというところであります。ただ、在留外国人がふえていく中でいろいろな社会的な課題も抱えてきているところでありまして、医療や福祉や、また、子供さんもいるわけですから教育の問題といったものもありますし、これはしっかり日本としても対応していかなければならないというところがあります。

 ただ、対応していく上で、国の役割、都道府県の役割、市町村の役割というものもあるんですが、在留外国人が一番多いのは東京、二割程度いるんですかね、一番多いんですけれども、でも地方にもそれはいるわけであって、地域格差もいろいろなくしていく努力もしなければいけないというところに来ているというふうに思います。

 年々増加する流れというのはここしばらくは続くんだろうなというふうに思っていますし、また、政府においても、数年前から高度専門職をもっと入れていこうとやっているところでもありますから、ふえていく背景がありますから、そういった中で課題解決にもしっかり努力していかなければ、来たはいいけれどもいろいろな問題が起きる、また、本国に戻ったときに、日本って余りいい社会じゃなかったねという形にもなりかねませんから、ぜひこの対応をしっかりしなければいけないと思いますけれども、この増加する在留外国人に対する課題に対する対応についてはどういうふうにされていますか。

佐々木政府参考人 それでは、まず法務省からお答え申し上げます。

 まず、最近の在留外国人の推移につきまして概括御報告を申し上げます。

 我が国における在留外国人は、平成二十五年以降一貫して増加を続けておりまして、平成二十九年末には二百五十六万千八百四十八人で、前年末に比べまして十七万九千二十六人、七・五%増加をしており、過去最高となっております。また、在留外国人の我が国の総人口に占める割合は、前年末に比べ〇・一四%増加し、二・〇二%となっており、これも過去最高となっております。

 さて、このような状況の中、法務省におきましては、平成二十四年から新しい在留管理制度を実施しておりますけれども、入国の時点でその許可、不許可を判断するのみならず、入国した外国人について、居住状況や就労状況等、在留状況を継続的に把握し、しっかりした在留管理を行うとともに、今委員から御指摘ありましたように、必要な情報の共有に関して市区町村と連携をすることにより、住民である外国人への行政サービスの向上に寄与することも大切でございます。

 冒頭申し上げましたとおり、在留外国人が増加することに伴い、きめ細かい在留管理の重要性がますます高まっているものと認識をしておりまして、法務省といたしましては、在留管理制度のより適正な実施が大きな課題と考えておりまして、諸々その対策について検討しているところでございます。

小熊委員 いろいろこの点について調べると、在留外国人のいろいろな問題が起きたときにどうやって解決していくかというところで言うと、言語さえコミュニケーションをとれれば解決する問題も多数あるという調査データもあります。そういう意味では、いろいろな、福祉の分野であろうとか教育の分野であろうとかという部分での体制をちゃんとしておくということもさることながら、コミュニケーションをどうとっていくかということが重要で、いわゆる多言語にどう対応するかということです。

 日本人というと、外国人というのは全部英語が通じるという、ちょっと誤解もあるんですが、それだけじゃやはり済まないというところもあって、そうなってくると、そういったコミュニケーションギャップを言語でどう埋めていくかということもあわせて考えていかなければなりません。

 そういう意味においても、人口集積地においては多言語に対応することは可能ですが。うちの方でもありました、お医者さんが通訳を探していると言ったら、英語をしゃべれない人が来たので、もういないと。ちょっと差し支えがあるのでその国の名前は言いませんが、福島県内で探してみたら、それをしゃべれる人が三人ぐらいしかいなくて、私の地元の会津には全然いなかったので、それをわざわざお呼びするのも大変なことがあったんですけれども。

 こうした多言語に対する対応というのも、日本に来るんだから日本語ぐらい少ししゃべってよと言ったって、現実、そうでもないところもありますし、こういった多言語対応といったものを意識しなければならないと思いますが、その点については、検討とかその問題把握はされていますか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 特に就労面からお答えをさせていただければと思っております。

 昨年十月末現在の外国人労働者数、労働者に関して見ますと、百二十八万人ということで、前年に比べて二十万人増加ということで、過去最高の数字というふうになっております。

 多言語のお尋ねがございましたけれども、一つは、外国人労働者の安定就労を促進しようということで、各地で外国人就労・定着支援研修というのを実施しております。ここの研修の中身の一つは、仕事に必要な日本語というのを学んでもらうということを目的としております。

 それから、安定就労という観点では、全国のハローワークで対応させていただいておるところでございまして、ハローワークのうち、百二十八のハローワークには通訳を配置しております。

 ただ、先生御指摘のように、通訳の空白地帯みたいなものをなくしていく必要があるだろうということで、昨年から電話通訳のコールセンターというのを設けまして、全体で十カ国語に対応できる体制をとっております。全国どこからでも、どこのハローワークに御相談いただいても、そのコールセンターを通じて、通訳を仲介させることになるんですけれども、多言語化に対応できるという体制をとっておるところでございます。

下間政府参考人 お答えを申し上げます。

 子供たちに対する教育における多言語の対応の部分につきまして、補足をさせていただきたいと存じます。

 まず、数でございますけれども、公立小中学校等における日本語指導が必要な児童生徒は、この十年間で一・七倍に増加している状況でございます。地域の分布につきましても、都道府県別の在籍者数の上位六都府県の在籍者数の合計が全体の六割を占めるということで、特定の地域への集住化の傾向ということが見られる一方で、学校ごとに見ますと、在籍者が一名から四名の学校数が在籍学校の七六%を超えている状況でございまして、児童生徒が全国に散在化するという状況も一層顕著になってございます。その上で、児童生徒が使用する言語も多様化する傾向が見られるということでございます。

 お尋ねの多言語への対応ということにつきましては、三十年度予算におきまして、日本語指導が必要な児童生徒の在籍する学校への母語支援員の派遣などの地方自治体が行う取組を支援する補助事業を行ってございますが、これまでの取組に加えまして、新たに、多言語翻訳アプリなどICTを活用した取組などをメニューに加えているところでございます。

 文部科学省といたしましては、このような予算の確保に努めまして、日本語指導が必要な児童生徒に対する施策の充実を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

小熊委員 あのアプリ、うちの党の部門会議でも絶賛されていました。非常にいいなというふうに思います。

 ああいったものを、ただ、一般の人は知らなかったりもしますので、どんどんそういった面も、日本国内の外国人ではなくて、日本人そのものにもしっかり伝えていかなきゃいけないですし、あと、やはり一番重要なことは、実は、制度とかこういうハード整備よりも、心の壁をちゃんと取っていかなきゃいけない。日本人はどっちかといえば、単一的な民族で歴史を重ねてきましたから、外国人というものに対しての、ほかの多民族国家よりはまた違った文化を持っていますので、まさにそのレイシズムが蔓延しないようにしていかなければいけないというふうに思っています。その点もぜひ留意して、いろいろ対応をとっていただきたいなと思っています。

 次に、在外選挙につきましてですけれども、昨年の選挙の投票率を見ても、一番投票率が低いのは二十代全般なんですが、それを下回るんですよね。二〇%程度なんですね。

 この在外選挙人に登録した方が近年でいったら十万人ちょっとぐらいなんですけれども、これは積極的な登録ですから、在外の邦人が十万人ということじゃないんですよ。意識ある人が十万人ちょっといて、意識があって登録しているのに投票は二割程度というですね。

 これは何だろう。これは、やはりやりにくさがあるんですよね。一つには、在外公館に行かなきゃいけない。郵便投票という制度もあるけれども、時間がかかる。あとは、一時帰国したときにやるときもかかる。あと、突然の解散、この衆議院みたいな場合に、登録して申請してそれになるまですごい時間がかかるということで、いろんなハードルがあって投票しにくい状況でもあります。

 まず初めに、国民としての権利である選挙、投票権というものに関して、この在外選挙制度の意義について、まずちょっとお願いいたします。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 在外選挙制度は、一般的に申しますと、国外に居住する自国民に選挙権の行使を保障する制度と解されております。

 我が国におきましても、国外に居住する者につきまして、日本国民である以上は国政選挙の選挙権を保障されているということでございますので、これらの方々に選挙権行使の機会を保障する、そういう制度でございます。

 これは、平成十年に公職選挙法の改正によりまして、衆議院、参議院の、まずは比例代表選出議員の選挙について創設されましたが、平成十八年、その前年の最高裁判決なども踏まえまして、衆議院の小選挙区選出議員選挙、参議院選挙区選出議員の選挙も対象にされまして、現在に至っているということでございます。

小熊委員 ちょっとそれますが、今大事なことを言っていただいたので。日本国民である以上、大事な選挙権。

 一方で、国内においては、住民票と居住するところがずれているということで失われている投票の権利があるわけです。そういう人たちがいっぱいいるわけです。

 この間、総務省で調べてもらいましたけれども、調べ方がずさんでいいかげんでした。昨年の衆議院選挙の際に市町村で調べましたかとやったんです。こんな突然の解散の選挙で、あなたはここに住んでいますかなんて手紙をやって、戻ってくるのを、事務をやっているところなんてないですよ。

 結果、全国で三千人といったけれども、聞いてみましたよ、幾つかの町村に。いや、衆議院選挙、解散のときに調べたんじゃないんです、居住のアンケートをとったんじゃないんですと。定期的にやっている中で、そういう調査をしているかしていないかといえば、しているから、何千人と上げたと。じゃ、調べていませんと言った自治体で、実際は調べているんですけれども、去年の衆議院選挙ではやらなかったけれども、定期的にはやっていて、登録されていない人は何百人いますよということで、こんないいかげんな数字をNHKで発表して、何千人しかいませんと矮小化していて。これ、ちょっと、総務委員会をやって、違う日にきっちりやりますけれども。

 大事なことは、投票権は大事だということですよ。努力している。こういう制度をつくったわけですよ。だけれども、意識して登録している人が二割程度しか投票できないということは、はっきり言えば、これは投票したくなるような候補者がいないという我々側の問題もあるかもしれません。けれども、物理的に、これは調べてみると非常にやりにくいし、在外公館に行ってやれ、一義的にはやれということで、そのほかにも郵便投票とかもやっていますけれども、じゃ、在外公館はどこでもあるのかといえば、ないわけですよ。そうすると、いろいろ、人によっては、すごくハードルが高くなってくる。

 だから、今、これはもうちょっと、技術的にも、いろいろな取組で、投票しやすいという取組はできるんじゃないですか。それは、検討、どうなっていますか。

河野国務大臣 この在外投票の問題は、私は非常に重要視しておりまして、まず、登録をしていただく人が少ない、なおかつ登録しても投票される方が少ないという、御指摘のとおりでございます。これは、転出するときに、あるいは在留届を出すときに、もう登録が一緒にできるような形で、まず、そこへいますという方は自動的に登録がされるぐらいでなければならぬというふうに思っていまして、これはもうとにかく書類を一つにまとめようよということを今政府内でお願いをして、これは自治体も関係するものですから、自治体にもお願いをしなきゃいかぬというふうに思っております。

 登録をした後は、その在外公館へ足をお運びくださいといってもなかなか難しいものですから、もうこういう時代ですので、まずこの部分からインターネット投票をやれるような努力をしようではないかということで、野田総務大臣とお話をして、野田総務大臣のところで、総務省のところで、このインターネット投票について検討をすると。私からは、これはもう次回の国政選挙のときにはインターネット投票ができるように、何とかそれぐらいのスピードで検討をお願いします、外務省としては全面的に協力をいたしますということを申し上げておりますので、政府として、そういう方向で今検討をする、なるべく早く。

 まあ、なるべく早くと言うと、来年の参議院選挙がありますから、来年の参議院選挙に間に合うかというと、それはちょっと厳しいのかなというところもございますが、次の総選挙はいつかわかりませんけれども、少なくともこの任期までしっかり行ったときには、在外投票でインターネットで投票できるぞぐらいのことができるようなつもりで政府としては当たりたいというふうに思っておりまして、外務省としては、必要な措置は全面的にとっていくつもりでございます。

小熊委員 いい答弁、ありがとうございました。次の総選挙と言っちゃうと、ことしあるかもしれないので、これは言えないんですけれども、ぜひ早目の実現をお願いしたいと思います。

 それで、野田総務大臣にもこれは言っているんですけれども、あわせて、これは所管外ですけれども。

 私の地元では三千人、投票権が失われているのがいるんですよ、居住実態がないということで。でも、在外に関しては居住実態関係なくやっているわけです、国民の権利だということで。これをちょっとあわせて、大臣からも野田大臣と議論をしっかりしてください。ぜひよろしくお願いします。では、一言。

中山委員長 申合せの時刻が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

大泉政府参考人 まず、国内の方でございますが、私ども、この前の衆議院選挙につきまして調査した結果、三千人ほどの登録されていない、独自の調査によって、登録されていない方がいるということを把握しまして、そこでわかった問題点としては、住民基本台帳がある……(河野国務大臣「簡潔に」と呼ぶ)はい、わかりました。その二つの部分をきちっと詰めていきたいというふうに思っております。

 さらに、在外投票につきましては、現在、研究会におきまして、インターネット投票を含めまして、いろいろな問題点がありますが、ICT活用の、有権者の投票環境の向上につきまして研究をしているところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小熊委員 ありがとうございました。全国で三千人じゃないですからね、うちのところだけで三千人ですから。

中山委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 民進党の岡田克也です。

 きょうは、北朝鮮と核の問題について少し議論を整理したいと思って、大臣の御意見を聞きたいと思います。

 まず、北朝鮮の核の脅威ということですけれども、衆議院の予算委員会、二月十四日、安倍総理の答弁というのがあるんですね。中距離弾道ミサイル、ノドンを使って日本を核攻撃することが現在可能な状況にあるのかという希望の党の後藤さんの質問に対して、私、見ていて、安倍さんは相当慌てたという感じを受けたんですが、いずれにしろ、答弁は、既に数百発配備されているという認識だと述べた上で、ノドンに核兵器を搭載することが可能かどうかについては、核兵器を搭載できるほど小型化し、完全に起爆できるかについては、さまざまな情報に接しているが、確たることは答えられない、こういうふうに答弁をされました。

 確たることは答えられないということですが、見通しとしては、どういう状況であるというふうに大臣は認識しておられますか。

河野国務大臣 二〇一六年以来、北朝鮮は、過去最大出力と推定される規模の核実験を含む三回の核実験を強行したほか、二回連続での我が国を飛び越える弾道ミサイル発射、我が国の排他的経済水域への弾道ミサイル発射、ICBM級の長射程の弾道ミサイル発射など、四十発もの弾道ミサイルの発射を強行してまいりました。

 核実験を通じた技術的成熟などを踏まえれば、核兵器開発が相当に進んでいる可能性も考えられる。また、核兵器を弾道ミサイルに搭載するための小型化、弾頭化に至っている可能性も考えられる。

 いずれにせよ、北朝鮮の核、ミサイルの開発の動向については、今後とも、日米韓を始め関係国で緊密に連携をしながら、引き続き情報収集、分析に努めてまいりたいというふうに思います。

岡田委員 一般的なお答えだったんですが、しかし、やはり国民に対して、北の核が深刻な問題であると言われる以上、なるべく正確な情報提供というのは私は必要なことではないかというふうに思うわけですね。

 現実に言われていることは、米国に対する大陸間弾道ミサイルについて、核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイルについて、一年を待たずに、米国本土に到達する、そういったレベルに達する可能性が高いと言われています。大気圏を飛ぶ戦略ミサイルについてそういう状況であれば、そういった高度を飛ばないノドンミサイルが日本に到達する、そしてきちんと起爆する可能性はもう十分に高いというふうに考えられるというのがお答えではないんですか。

河野国務大臣 大気圏の再突入技術についても、北朝鮮がそういう技術を実現しているかについては引き続き慎重な分析が必要だと思っております。これはICBM級の再突入技術の話でございます。

 核兵器をどれだけ小型化、弾頭化に至っているかというのは、政府として確たる確証を持って御答弁をする段階にはございませんが、それに至っている可能性も十分に考えられるというふうに思っております。

岡田委員 どのレベルまで来ているかという認識というのは、いろいろな対策を考える上での前提ですから、私はもう少し具体的におっしゃった方がいいのではないかというふうに思いますが、いずれにしろ、可能性はかなり高いということは言えると思うんですね。そういう前提でこの核の問題を議論されているわけですが。

 それでは、大臣も、北朝鮮は核・ミサイル開発を執拗に継続している、日米同盟のもとで、米国の同盟国に対する拡大抑止の明確なコミットメントを高く評価するというふうに答弁されているわけですが、こういう議論も一方であるわけですね。

 通常戦力で圧倒的に米国は北朝鮮にまさっている段階で、必ずしも、核のレベルでの抑止、特に戦術核の抑止ということを議論する、そこに固執をする必要はないんじゃないか、通常兵器による抑止ということも考えられるのではないか、そういう議論がありますが、この点について大臣はどう考えられますか。

河野国務大臣 抑止というものの本質は、攻撃を行う国に対して受け入れがたい損害を与える能力と意思があるということをこちら側が表示することによって相手に軍事行動を思いとどまらせるということでありますから、北朝鮮が、今岡田委員がおっしゃったように、ミサイル、核の開発を進めているという段階で、アメリカの核による抑止は、北朝鮮による攻撃、とりわけ核を使用した攻撃を抑止するために、アメリカの拡大抑止というのは私は必要だというふうに思っております。

岡田委員 ですから、戦略核に対して戦略核による抑止というならわかりますけれども、戦術核に対して必ずしも戦術核による抑止ということを考える必要はないのではないか。一部は戦略核による抑止でカバーされると思いますし、そのほかは通常兵器による抑止ということでも代替できるのではないかというふうに私は思うんですが、いかがですか。

河野国務大臣 たびたび申し上げていると思いますが、核のエスカレーションラダーに穴があいていると、相手側が、これだけで攻撃をとどめたのだから、戦略核を使って全面的な核抑止には出ないだろうという誤認をする、誤解をする可能性というのがあるんだろうと思います。

 ですから、十に対して百かゼロかという選択しかないということを相手が考えれば、それなら、十なら百は来ないと考えて核を使う可能性がある、それを防ぐためになるべく相手側とエスカレーションラダーを合わせるというのが、やはり核抑止のある面本質でもあろうかと思います。通常兵器がこれだけあるんだぞといっても、それと核の攻撃というのをどう対比して考えるかというのは、これはなかなか難しいことなんだろうと思います。

 ですから、やはり、十の核に対しては十あるいは十五、十五なら十五なり二十五なりという、このエスカレーションラダーがきちんと合って、それが、こっちが引き金を引いたときには耐えがたい損害が押し寄せてくるということを相手側にしっかりと認識をさせなければいけないということがあろうかと思いますし、また、イラクの湾岸戦争を見ても、通常兵器で何かやるというときには、それなりの準備というのをやらなければいけないということもあろうかというふうに思います。これは防衛省にむしろ聞いていただかなければいけないことかもしれませんが。

 私は、戦術核であっても、やはりこれは、核による拡大抑止というのが、今の北朝鮮と日本の関係でいえばアメリカの拡大抑止が必要であるというのが、政府の責任ある答弁ではないかと思います。

岡田委員 エスカレーションラダーというのは、今回のトランプのNPRの一つのテーマだと思います。

 ただ、そのことは横に置いたとしても、戦術核には戦術核でというふうに必ずしも考える必要はないのではないか、同じだけの威力を持った通常兵器があるのであればそれで代替する、そういう議論というのは当然あり得るのではないかというふうに私は思っております。

 では、次に参ります。

 もう一つは、今回のNPRでは、場合によっては核を先に使用することもあり得るということを、前回もそういったことは書いていましたが、大臣の言葉を使えば、より明確化しているということになるわけですね。私に言わせると、より具体化しているということになるわけですけれども。

 その場合に、じゃ、先に核を使われると北朝鮮が考えたときに、それならそれよりも先に使ってしまおうということで、核の使用の敷居が下がるという議論があります。このことについては大臣はどういうふうにお考えですか。

河野国務大臣 アメリカが核の先制不使用を否定したことはないんだと思いますが、例えば、アメリカは、化学兵器にしろ生物兵器にしろ、これは保有しないということでやってまいりました。例えば、相手国が化学兵器なり生物兵器なりを使用しようとした際に、これは核の抑止力を利用するよということなんだろうと思います。

 それが一つということと、もう一つは、北朝鮮がでは先に核兵器を使用するかといえば、恐らく北朝鮮が核兵器を使用すれば北朝鮮という国がなくなるぐらいの反撃に遭うだろうということを考えれば、それは北朝鮮も使えないんだろうというふうに思います。

 だからこそ、この七十数年間、核兵器というのが使われなかったわけで、相手が核の先制不使用を否定していないからこちらが先に使わなければならないという思考回路がもし本当に働くんだとすれば、これまでさまざまな危機の中でそうしたものが使われてきた可能性があるわけですが、実際にそういうことになっていなかったということを考えれば、恐らく一国の指導者はそういう思考回路にならない、むしろ核というのは使えないものだという考え方あるいは規範というのがそれなりに成立しているだろうというふうに思います。

 そういう意味で、米国が言っている、先制不使用を否定しないというのは、どこかの国を先に核でがちゃんとやるぞということではなくて、化学兵器なり生物兵器なりの使用を防ぐための抑止力として核を使っている、生物兵器を使うことを抑止するために生物兵器を持つ、化学兵器が使われるのを抑止するために化学兵器を持つということではないよということを明確にしているのではないかというふうに思いますので、アメリカが先制不使用を否定しなかったからといって、北朝鮮が先制使用をする何かインセンティブが大きくなっているということにはならないというふうに考えております。

岡田委員 今回のトランプのNPRにおける先制使用の議論ですが、今大臣が言及された大量破壊兵器、核以外のですね、そういったものに対するものだけではなくて、例えば、米国及び同盟国の重要なインフラ、そういうものに対しても、それを守るために先制使用することがあるということは例示しているわけですね。だから、かなり具体的に広げているわけですよ。そのことはまず指摘しておきたいと思います。

 その上で、もし、大臣が言われるように、北朝鮮は、核を使えば当然もう北朝鮮そのものがなくなってしまうぐらいの反撃を受ける、そういうおそれがあるから核を使うことはないであろう、そういう考え方に立つのであれば、そういう北朝鮮に対して核の先制使用があり得るようなことを、つまり、あらゆる手段がテーブルの上にあるというようにして、核の先制使用も選択肢の一つであるというようなことを言う必要は、私は無用なことではないかというふうに思っているんですが、いかがですか。

河野国務大臣 まず、最初の話で申し上げますと、例えば、最近は、何というんでしょうか、電磁パルス攻撃というような、これだけ電気なりのインフラに、あるいはコンピューターのネットワークというインフラに社会が依存をするようになった、その結果、そうしたインフラが停止することによって多くの人間の命が奪われかねないという状況にもなっているというのは、インフラへの攻撃というのは非常に重要視される必要があるのではないかというふうに考えられるんだろうというふうに思います。

 また、現在の北朝鮮を抑止するために、全ての選択肢がテーブルの上にあるというのは、アメリカも国際法の規範の中でそういうことを行っているというふうに我々は認識をしております。何があってもアメリカはきちんと同盟国を守るというアメリカの意思表示、これは拡大抑止を含む意思表示もあるわけでございますから、少なくとも、北朝鮮が核やミサイルといったもの、あるいは生物兵器、化学兵器を使うという誘惑に駆られるようなことがないという対応をアメリカがとるというのは、アメリカの同盟国あるいは国際社会にとって極めて安心できる、そういう対応だというふうに思っております。

岡田委員 この核の先制使用の話は、大臣のお話を聞いていると、外務省、事務当局は常に言うんですね、いや、オバマのときとは変わっていませんと。でも、それは確実に私は間違いだ、あるいはだましていると言われても仕方がないんじゃないかと思います。そこはもう一度よく注意深く御自身で検証されることをお勧めしておきたいというふうに思います。明らかにやはり拡大している、あるいは明らかに具体的なことを述べることによって拡大しているということは申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、国際法の規範の中での先制使用ということですけれども、今まで日本国政府が、アメリカの先制使用、先制攻撃ですね、先制攻撃と言われることについて、それは違法であるというふうにはっきり言われたことはありますか。

中山委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

中山委員長 速記を起こしてください。

 河野太郎外務大臣。

河野国務大臣 通告がなかったものですから、今にわかに調べられませんので、後ほど調べて御回答したいと思います。

岡田委員 私も、この問題は小泉総理時代に随分議論したことがあるんですが、小泉総理は絶対に違法であるとかそういったことは言われたこともないし、きちんとは答弁されていませんよ。だから、同盟国アメリカの国際法に反するかもしれない攻撃についてコメントすることを避けてきた日本政府が、国際法の規範の中で行われるものについて認めるんだ、言っているんだといっても、結局は、そういうことではないんじゃないかということは申し上げておきたいというふうに思います。

 いずれにせよ、敷居を下げてしまうんじゃないかということについては、大臣の御答弁は、余り下げることにはならないんじゃないかということですが、私は、そうではないんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、もし米国が日本を守るために、日本のために戦術核を使う、そういう場面があり得るとすると、日本政府とアメリカ政府の間の協議というのはどうなるんでしょうか。そういう仕組みは今明確なものはないというふうに思うわけですね。

 例えば、日米安保条約に基づいて、日本にある在日米軍基地から直接攻撃するという場合には事前協議の対象になりますね。そのことは仕組みとしてあるということです。では、アメリカ政府が日本のために戦術核を使ってどこかの国を攻撃するというときに、何らかの事前の協議の仕組みというのは必要があるんじゃないでしょうか。

河野国務大臣 そうした場合には、当然、事前の協議というのが必要になってくるというふうに理解をしております。

 その際にどのような枠組みにしたらいいのかというのは、少し研究をして、やはりしっかり確立をしておく必要はあろうかというふうには思います。

岡田委員 それは、ですから、先ほどの基地使用の場合には、きちんとした、明文でそういう仕組みになっているということですが、もし米国が日本を守るためにといって戦術核を使用したとすれば、当然、その報復が日本に返ってくるということはあり得るわけですから、日本のあずかり知らぬところで日本を名目にして戦術核が使われるというようなことは、やはり避けなければいけない。きちんと事前に協議をして、その上で、覚悟を持って、イエスと言うかノーと言うか、決めなきゃいけない、こういう問題だと思うんですね。

 そのための仕組み、今、検討しなければいけないというふうに御答弁になったんですが、やるとするとかなり大変なことだと思いますが、内々そういう仕組みがあるとかそういう話ではなくて、きちんとした仕組みとしてそういうものをおつくりになる、そういう覚悟はおありですか。

河野国務大臣 仕組みは必要なんだろうと思いますが、その仕組みを公開するかどうかというのは、これはまた別のことなんだろうと思います。仕組みを公開すると、ではまずそこを狙えばいいじゃないかということにもなりかねませんから、仕組みの研究をするというのと、それをオープンにするということは、これは別次元で考えなければならないというふうに思います。

岡田委員 これは、ハードの問題じゃなくて、制度としてそういうものを必要とするんじゃないかということを申し上げているわけです。

 NATOの場合の核使用についても一定の仕組みはある、それがいいか悪いかの評価はともかくとして、日本にはそういうものはないということを私は申し上げているわけですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 こうした事態にならないようにするのが外務省の仕事だというふうには思っておりますが、検討する必要があるものについてはしっかり検討してまいりたいと思います。

岡田委員 ぜひ問題意識として持っていただきたいというふうに思います。

 次に、大臣は、米国の戦術核による抑止力というものを高く評価しているというふうにされているわけですが、もしそういうふうにお考えであれば、米国による日本への核配備、これを否定することにはならないんじゃないですか、いかがですか。

河野国務大臣 日本は非核三原則を堅持しているとたびたび申し上げてきたところでございまして、日本に米国が戦術核を配備するという計画も、相当遠い将来を見渡しても、アメリカは全くそんなことを考えておりませんから、そういうことにはならないと思いますし、日本は非核三原則を堅持しているわけですから、そういう面からもそういうことにはならないということでございます。

岡田委員 非核三原則は、もちろん被爆国としての日本が一定の歴史を経て持つに至ったもので、私は極めて重要だというふうに考えていますが、戦術核による抑止力が重要だ、高く評価するという話とは、やはり相入れないものがあるわけですね。ですから、それを高く評価するということだと、むしろ、非核三原則があるからというのは、これは紋切り型の御説明になるわけですけれども、非核三原則の考え方そのものと私は矛盾を来しているんじゃないかというふうに思って質問しているわけですが、いかがですか。

河野国務大臣 究極的に核廃絶を目指すというのが日本政府の考え方でございますが、現下の安全保障の状況を考えれば、日本の周辺に核を保有している国が幾つも存在をするのが現実でございますし、北朝鮮に至っては、核兵器で日本を海の中に沈めるというような発言も繰り返ししているところでございます。そういう中にあって、非核三原則を維持している我が国としては、アメリカの拡大抑止に頼らざるを得ないというのが現実だろうというふうに思っております。

岡田委員 究極的に核廃絶を目指すということで非核三原則があるわけですか。私は、それはイコールじゃないというふうに思うんですね。究極に核廃絶を目指すから、日本は持たないし、持ち込まないんだ、あるいはつくらないんだという、そこは必ずしもイコールではない。やはり、核兵器を使うことは、それは人類にとっても日本にとっても重大な被害がある、被爆国としてそのことがよくわかっている。だから、我々は非核三原則を持って、持たないし、つくらないし、持ち込むことも許さない、こういうふうに言っていると思うんですね。

 そのことと、核の抑止を高く評価すると言っていることの間に矛盾はありませんかと私は聞いているわけです。

河野国務大臣 日本が、広島、長崎という、核を使用された現実があり、そうしたことを含めて、非核三原則というのが今あるということだと思いますし、そうした経験をした我が国として、究極的に核兵器をなくす、究極的な核廃絶を目指すというのは、これからも変わらない方向性だというふうに思います。

 しかし、その中で、現実に国民の生命あるいは平和な暮らしを守らなければいけない政府としては、日本の周辺の安全保障環境に現実的に対応していかなければいけない責務があるわけでございます。現在そうした核兵器を保有している国がある中で、我が国は、いざというときに米軍の拡大抑止に頼らざるを得ないというのが現実でございますから、究極的な核廃絶を目指し、非核三原則を持つ我が国が、現時点でアメリカの拡大抑止に依存して国民の生命あるいは平和な暮らしを守るというのは、責任ある政府として何ら矛盾をしていないのではないかと思います。

岡田委員 核なき世界を求めるということと核の抑止力を期待するということは矛盾しない、それは、時間という概念を入れれば、矛盾しない、まだ説明することは可能だと思うんですね。

 ただ、非核三原則というのは、将来の話じゃなくて、現在核の持込みを認めないという現在の話ですから、その話と核抑止、現実の核抑止というものを必要とするということは、同じ時間帯の話として私は矛盾するところが出てきてしまっているのではないかというふうに申し上げているんですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 現実の安全保障環境の中で、核を持っている国が日本の周辺にあり、核を持って日本におどしをかけている国がある、こういう現実の中で、非核三原則を持っている日本がアメリカの拡大抑止に頼るというのは、これは、国民の生命あるいは平和な暮らしを守るという観点から見て、矛盾していないと思います。

岡田委員 非核三原則があるからと、大臣、最初に答弁されたんですが、非核三原則というものが所与のものとしてあってということではなくて、やはり非核三原則のもとになっている基本的な考え方というものがあって我々は非核三原則を持っているわけですから、そういう意味で、その根本の、非核三原則の根本になっている考え方と核抑止のために高く評価するという考え方というのは、私は、相当矛盾を抱えた、矛盾しているとはあえて言いません、矛盾を抱えた問題である、そういう認識は持っていただきたいというふうに思います。

 終わります。

中山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田です。

 きょうは、沖縄における米軍施設の共同使用問題に関して質問したいと思います。

 きょうは、山本防衛副大臣においでいただいています。

 最初に確認したいのは、小野寺大臣は、三月十三日の記者会見で、防衛省の文書管理についてこう述べています。

 昨年、南スーダンPKOの日報問題に関し、国会からも厳しい指摘を受けた、これを受け、情報公開、文書管理の再発防止策を着実に実施していると述べております。

 文書管理について再発防止策を着実に実施しているというのが防衛省の認識かどうか、まず最初にそれをお聞きします。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 お尋ねの件ですが、小野寺防衛大臣が国会答弁などで、あるいは三月十三日の大臣の記者会見において、委員御指摘の、情報公開、文書管理の再発防止策を着実に実施する旨を確かに述べております。

 公文書などは、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的財産でありまして、書きかえなどはあってはならないことだと考えております。

 防衛省の文書管理については、昨年、南スーダンPKO日報問題に関し、国会からも厳しい御指摘を受けたところでございますが、今般の財務省の問題につきましても、他省の問題とすることなく、防衛省・自衛隊における文書管理の重要性を改めて認識し職務に当たるよう、これも、三月の十二日、防衛大臣から省内幹部に指示があったところでございます。

 さらに、同月二十三日の閣僚懇談会において、安倍総理より、公文書の信頼回復について指示があったところであり、四月から、新ガイドラインによる厳格なルールのもと、適切な公文書管理の徹底に真摯に取り組んでまいりたいと考えております。

穀田委員 大体、会見で行った内容をなぞった、こういうことですな、閣僚懇は別としてですけれどもね。

 そこで、具体的にお聞きしたいと思うんですけれども、防衛省の統合幕僚監部防衛計画部の「日米の「動的防衛協力」について」という二〇一二年の七月付の文書があります。これです。この文書について、私は二度にわたって政府の見解をただしたことがあります。

 文書では、中国の脅威を前面に出し、キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセンなど沖縄の米軍施設を陸上自衛隊の部隊が恒常的に共同使用し、南西地域で紛争が起きた場合の対処計画が書かれています。

 具体的には、「沖縄本島における恒常的な共同使用に係わる新たな陸上部隊の配置」として、宮古島や石垣島などの先島諸島に一個連隊規模、尖閣諸島や先島諸島で有事が発生した場合に初動対処部隊として増援する一個連隊規模の勢力の設置、水陸両用作戦の能力向上などが検討されています。その上で、キャンプ・シュワブに普通科中隊、ハンセンに普通科連隊を常駐させる構想が明記されています。

 この防衛省の文書について、私は、質問後の二〇一五年四月三日、防衛省に対して資料提出するよう求めました。これに対して、防衛省の日米防衛協力課から五日後の四月八日に文書で回答があり、これなんですけれども、このように述べています。「穀田議員が防衛省の内部文書と主張して提示した文書は、防衛省として対外的に明らかにした文書ではないことから、その真贋を含め、当該文書について答えることは差し控える」ということだったわけであります。

 そこで、改めて確認したい。私が質問で示し、資料提出を求めた、これですね、「日米の「動的防衛協力」について」と題する文書は防衛省にあったのかどうか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 平成二十七年三月三日の衆議院の予算委員会及び同年の四月一日の衆議院の外務委員会において穀田委員から御提示のありました文書、先ほどお手元に提示をされておりましたけれども、その文書について、これはもう既に穀田委員の事務所の方にも我が方としてお答えを申し上げていると思いますけれども、防衛省として対外的に明らかにした文書ではないことから、その真贋を含め、当該文書についてお答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 いや、それは、今言ったように、私はそういうふうに受けたよということを言っているんだけれども、あったのかということでいうと、相変わらず、答えは差し控えたいということになるわけだね。

 しかし、そうなりますと、今私が述べた、これですけれども、「日米の「動的防衛協力」について」と題する文書については、平成二十九年五月五日に開示請求があって、防衛大臣が平成二十九年七月十日及び九月八日の二回に分けて開示請求者に開示決定をした、これは防衛省の三月二十三日の文書でそう書いているんですよね。ということは、要するに、同じ表題の文書開示の請求があって、提出されているということになるじゃありませんか。それはどうなんですか。

山本副大臣 お尋ねの文書に関してでございますが、過去の開示決定についてお答え申し上げますと、平成二十九年五月五日付の行政文書開示請求に対し、同年七月十日及び九月八日の二回に分けて決裁を行い、開示決定を行っております。

 ただ、委員が先ほど手にされていたそのものに関しては、これは、大変恐縮ですが、繰り返しのお答えになりますけれども、そのものは防衛省として対外的に明らかにした文書ではありませんので、その真贋を含め、当該文書についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 私も、今大臣が述べた、開示された文書を受け取りました。これですよね。これとこれなんですよ。まあそんなに近づかんかてええて。簡単に言うと、二つ同じ文書なんですよ。まあちょっと表題とあれが違うということになるわけだけれども。

 結局、防衛省は、国会の外務委員会並びに予算委員会で、私の資料要求に対して、何回も言うんだけれども、真贋を含め答えることは差し控えるなどと拒否しておきながら、情報公開請求については、これなんですけれども、もう最初から、はなから黒く塗ってあるということになるわけですけれども、一部黒塗りで文書を開示していた。余りにも国会を愚弄した対応じゃないかと思うんですね。

 そこで、まあ中身はもう少しねちねちやるとして、この文書を開示決定したのは昨年の七月十日と九月八日の二回ということだけれども、そのときの防衛大臣は稲田さんと小野寺さんであることは間違いありませんね。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 お尋ねの、二回に分けて決裁を行っておりまして、平成二十九年七月十日での決裁の施行者は稲田防衛大臣でありまして、同年の九月八日の分は小野寺防衛大臣ということになっております。

穀田委員 私が二〇一五年三月三日の予算委員会で、防衛省の文書を示して質問した際に、中谷防衛大臣は、最初の三回ばかしは、この文書に基づいて私が質問したらちゃんと答えているんですけれども、そのうち四回目から、いかなる文書か承知していないということを言い始めて、代替施設での恒常的な共同使用は考えていないと答弁し、さらに、安倍総理も全く考えていないと否定しています。

 しかし、実際は、キャンプ・シュワブやハンセンなど沖縄の米軍施設を陸上自衛隊の部隊が恒常的に共同使用する計画が秘密裏に進められていた。そればかりか、稲田、小野寺の両氏は、防衛大臣としてこの計画の存在を知っていたにもかかわらず、これまでの国会答弁で、個別具体的に決まったものではないと繰り返している。二重の意味で、私は断じて許されるものじゃないと。

 私は、これとこれ、ちょっと違うように見えるんだけれども、まあ同じなんですよね。「日米の「動的防衛協力」について」という、見出しも同じですね。同じなんですよ。そこで、提出を拒否していたものがあった。それだけでも私は大問題だと思うんですね。

 そして、防衛省が開示した文書を見ると、私が質問で示した原本と、まあ、原本といったってこれは原本のコピーやから、原本のコピーと大きく異なる箇所が二つあるんですね。

 どこが違うかというと、ここにありますように、「日米の「動的防衛協力」の取組について」ということで、日米安全保障協議委員会、2プラス2での共同発表を踏まえた班長級、課長級の検討状況や、日米間協議などの今後の予定について記したページ、ここなんですよ、これなんですけれども、これが丸ごとないということだと。

 二つ目に、もう一つ、ないのがあるんですね。これは、「沖縄本島における恒常的な共同使用に係わる新たな陸上部隊の配置」とある箇所で、米軍と共同使用や共同訓練を行う具体的な施設や訓練名が細かく列記されたページが抜けている。

 だから、これとこれはほとんど同じ文書なんだけれども、抜けているところがあるわけなんですね。すぐ顔をしかめて言うねんけれども、後で大変なことになるということになるわけですね、こんなことをやっておったらね。

 私は、なぜこのような形で文書を開示したのか。意図的に、これは、今言いましたように、この二ページが違うわけですね。これは見出しが最初、当然これはないわけですけれども、その見出しのところをつけるためにここから引っ張ってきて、見出しはこっちへ持ってくるということまでやって、御丁寧に直しているわけですよね。こういうことについて、なぜこのような形で文書を開示したのか。意図的に削除、抜き取ったのか。これではまるで森友文書と同じ公文書の改ざんではないのかということが問われるんじゃありませんか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど委員が、防衛省が資料請求や情報開示を拒否したというような御発言をされておられましたけれども、当方として拒否をしたという事実はないと承知をしております。

 また、お尋ねの、今先生も手持ちにありますけれども、これは先生がお持ちのもので、これは我々としても出しているものであります。

 ただ、もう一方、委員が原本のコピーだと今称して手元に持たれているものは、我々としては、防衛省としては、対外的に明らかにしたようなものではありませんので、その真贋を含めて我々としてはわからないものですので、これが抜けている、抜けていないとかと申されても、我々としてはお答えしようがないというところです。

穀田委員 真贋を含めて答えを差し控えると言って、拒否していないと言うけれども、国会の予算委員会と外務委員会で、国会で議論をし、その提出を求めたわけじゃないですか、私は。それに対して、真贋も含めお答えを差し控えると。つまり、国会に提出を拒否してきた文書が、実際上、山本さんが言うには、これとこれということで、私が示しているのがわからぬからと言っているんだけれども、ほとんど同じだということですよね、これは。明らかに同じなんですよ。ただ、抜けているところがあるということを指摘しているわけで、そんな言い逃れは通用しないと。

 では、こういうことについて言えば、抜いたところはないと言っていいんですね。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 繰り返しの答弁になって大変恐縮ですけれども、抜いたとか抜いていないとか、そういう議論ではなくて、我々としては、委員が手にお持ちのものというものが、そもそも我々防衛省としては、対外的に明らかにしたようなものでもございませんし、その真贋がわからないというものでありますので、抜いたのか抜いていないのかというところも含めて、そもそもその真贋がわからないものでありますので、お答えができない、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 よく言うよね。真贋がわからぬと言うんやったら、私が出したときに、聞きに来て、どうやと聞いたら、しまいじゃないですか。しかも、同じ文書であることは、これは誰が見たって同じなんですよ。ページが二枚だけ抜けているというだけの話なんですよ。

 しかも、これは、取扱い厳重注意という文書で、秘密の文書でも何でもないんですよ。そういう意味でいうと、秘密の度合いが非常に少ないところなんですよ。開示されている文書は黒塗りになっているということを私は示しているわけです。

 副大臣は、先ほど一番最初に、私に対して、公文書の位置づけについて、わざわざ公文書管理法の条文まで引いて言うてはりましたよ。国民共有の知的財産だと。国民の財産なんです、これは、もともと情報というのは。そして、私が言っているのは、少なくとも何が抜けているかということについて言うと、二ページ抜けていると。なぜ抜けているかという問題でいいますと、私は非常に問題だと思うんだけれども。

 では、今お話ありましたように、真贋を含めてと言うのであれば、私が提示したものについて受け取っていただいて、それはあれですか、防衛副大臣としてしっかり調査するわけですか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 委員が二つお持ちだと思いますけれども、私も持っていますのは、これは、委員から資料請求を受けてこちらでお出しした文書でございますが、全ページそろっておりまして、抜けているというようなものではございませんので、ちゃんと我々は、委員から要求があったものに対して真摯にお応えをしているところでございます。

穀田委員 そんな、話をそらしちゃいけませんよ。これは情報開示で出たやつを私はもらっただけの話であって、国民が要求して出したものですやんか。

 あなたの出しているものは、全部真っ黒けのやつなんじゃないんですか。こういうふうになっているわけじゃありませんか。私が示したのはそうじゃなくて、それだったら、きちんと調査はすんねやなということでよろしいか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 今委員がお手元で御提示されている資料につきましては、少なくとも、我々防衛省としてこれまで公表した資料であるとは承知をしておりません。どういった経緯によって入手されたものなのか明らかでない限り、当該資料の真贋や位置づけについてお答えすることは困難です。

穀田委員 私は、提出を拒否したものがあったというだけでも大問題だと思うんですね。そして、そのもともとの原本は私が最初から示していた原本と違うというなら、それをきちんと証明するのがおたくのところの責任じゃないですか。

 しかも、じゃ、何が消えているか言いましょうか。この消えているかというところを言いますと、検討状況を記したページには、当時防衛政策局次長で、その後PKO日報の隠蔽問題で事務次官を辞任した黒江哲郎氏、現在政府の国家安全保障参与が検討会に参加していたことも記録されている。当時の文書に記載された当の本人が、私がこの文書に基づいて質問した際、三月三日、その際に、政府参考人、防衛政策局長として出席していたんですよ。ということは、防衛大臣がうその答弁をすることにだんまりを決め込んでいたということで、全くこれも許しがたい話だと思うんです。

 私は、これとあわせて、昨年八月に、河野大臣に最後は一言言っておきたいと思うんですけれども、出席した2プラス2の共同発表で、事務当局に対して在日米軍施設の共同使用作業を加速するよう求めているが、この防衛省の文書は、まさにその事務当局による検討内容を示すものであります。その肝心なところを全部、今お話があったように、知らぬ存ぜぬ、しかも国民に対して開示した文書はほとんど真っ黒ということがやられているわけですよね。

 これはやはり、少なくともこういう問題について、事務当局の検討内容について、こういうやり方が、森友文書と同じで改ざんの疑いがある、これは非常に重大じゃないかと思うんですが、大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。

河野国務大臣 済みません。その今議論されていた防衛省の文書を、私、見たこともありませんので、ちょっとこの場では何ともお答えできません。

穀田委員 この問題は、外務委員会で私、追及しまして、やっている問題なんです。

 大体、見ていただいたらわかるんですけれども、皆さんにわかりやすいようにこう見せるわけだけれども、この日米動的防衛力についてという文書、これは見出しも全部同じなんですよ。ちょっと縦と横があるぐらいの話で、いざとなるとこういうふうに真っ黒になる、こういう文書ですよね。こういうやつなんですよ。

 私はそのことを示し、当時、中谷防衛大臣がこのことを、あることを前提に答弁を行ったといういわくつきの文書なんですね。それで、四問目のあたりから、そこの、先ほどありましたように、事務方がとととっと寄ってきて、要するに、山本さんが言っているように、その文書についてはどこから来たのかというような話をして、そういうことにしちゃうわけですよ。

 だから、こういう問題が、特にPKOの問題で、あれほどのことについて、しかも、それを反省してやっていますというわけでしょう。ある意味じゃ、前に犯罪を犯した省がまたこれはやっているということになるわけじゃありませんか。

 ですから、財務省だけじゃなくて、それこそ舌の根も乾かぬうちに防衛省は、この間、南スーダンの日報問題で隠蔽をやって、組織ぐるみで隠すようなことをやっていた、今度はこれかというふうなことになるわけですね。

 したがって、こういう問題については徹底的に私は調査をすべきだと。少なくとも外務省もそうだし、防衛省についてだって問題提起しているわけだから、真贋を含めてというのやったら、取りに来て、ほんまかいなと言ったらしまいですやんか。そういうことを含めて極めて重大な問題だと私は思うんですが、大臣、いかがですか。

河野国務大臣 防衛省において適切に対応されるものと思います。

穀田委員 防衛省はどう対応するんですか。

中山委員長 山本防衛副大臣、既に申合せの時刻が参っておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 公文書等は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的財産であるということは間違いないとございます。

 そして、先ほど御提示のあった文書の開示決定に当たりましては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第五条の規定に基づき、国の安全が害されるおそれのある情報については不開示と判断したものであり、特段問題があるとは考えておりません。

穀田委員 私は今後もまたやりますけれども、極めて重大な改ざんが行われている。やはり、こういう問題でいうならば、同じ体質がある。ですから、財務省ばかりじゃなくて、ここでも改ざんがやられているのかということについて述べて、質問を終わります。

中山委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも質疑させていただきたいというふうに思います。

 まず、イギリスにおきますロシアの元諜報部員の暗殺未遂の事件を発端に、欧州各国を中心に、ロシアに対する外交的な、対ロ制裁という形で、外交官を追い出す国外退去命令を出すとか、逆に、きょうは、ロシア側がそれに対抗措置として国外にそれらの国の外交官を追放するというような、ロシアを中心にこうした外交戦が行われている状況だというふうにニュースで報道されております。

 こうした中で、日本の立場というのがどういう位置にいるのか、改めて、大臣、日本としてはどういうふうに見ていて、どういう対応をとられるのか、御確認をお願いいたします。

河野国務大臣 三月四日にイギリスで発生した元ロシア情報機関員襲撃事件により、イギリスにおいて市民に被害が出たことはまことに遺憾であり、憤りを感じます。被害を受けた英国及び英国市民に心からの同情を表します。

 化学兵器の使用は許容することはできず、我が国も、その使用を非難し、化学兵器を使用した者は当然に処罰されるべきであると考えております。

 今月十九日に、安倍総理からプーチン大統領に電話をし、日ロ首脳電話会談が行われ、また、二十一日に、来日中のロシアのラブロフ外務大臣と外務大臣会合を行いましたが、このような我が国の立場をロシア側に対して直接伝達いたしました。

 我が国としては、本件に関するイギリス政府の立場を注視しており、現在行われている英国警察による捜査及び化学兵器禁止機関、OPCW、専門家による調査を通じ、早期に事実関係が解明されることを期待し、関係国との間でもこれまでと同様に緊密に連携をして進めてまいりたいと思っております。

丸山委員 今大臣に丁寧に答弁を読んでいただいたんですけれども、簡単に言うと、きっちりこれは見ていく必要があるということなんだと思うんですけれども、しかし、それに対して、日本も同様に、欧州各国のように外交官を国外退去にさせるとかいうことは直ちにとられることはないということでよろしいですね。

河野国務大臣 早期に事実関係が解明されることを期待しておって、現時点で、ロシアに対する措置をとることは考えておりません。

丸山委員 重ねてお伺いしておきたいんですけれども、その関連で、各国では、六月にロシアでサッカーのワールドカップが開催されますので、それにおける政府の代表団だとか、若しくは国の代表選手、これを出させない、若しくは行かないといったことを検討している国もあるみたいな報道も出てきております。もちろん、日本として、恐らく前の御回答を考えればこれに関してどうこうということはないと思いますけれども、一応念のため、この点についても確認しておきたいと思います。

河野国務大臣 サッカーのワールドカップの日本代表の出場云々について、政府としてお答えする立場には当然にございません。また、政府関係者の出席については、検討中と申しますか、これから検討されることになろうかと思います。

丸山委員 欧州はこういった動きをしていますが、日本は注視しながら、とはいえ独自な日本の立場がありますので、この日本の立場をうまく堅持しながら、しかし筋は通さなきゃいけませんので、この辺、微妙なバランスが問われていく状況だと思います。ぜひ、外務大臣の外交のバランス感覚、非常に各国を飛び回られて成果も出されていると思いますので、この点もよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、米国の関連で、鉄鋼とアルミニウムの貿易の制裁、日本は枠に入っている状況でございます。これについて、一連の日本を含めた貿易制裁、どのように見解としてお考えかを大臣にお伺いして、これは事務方で構わないんですけれども、制裁となると、国内企業にどういう影響があるのかというのは非常に国民の皆さんも注視していますし、また、万が一、この影響拡大時においては政府として何かバックアップ体制なり、何かしらの対応を考えていらっしゃるのか。これは細かいので事務方の方で構いませんが、重ねてお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 戦後、アメリカも日本も、経済の発展、繁栄を遂げてきたその裏には、WTOを含む自由で開かれたリベラルな国際秩序というのがあったんだろうと思います。特に、自由貿易の中では、WTOを含む一連の自由貿易体制というのが非常に重要であったというふうに認識をしております。

 今回のアメリカの安全保障を理由とした貿易制限措置は、アメリカのみならず、アジア地域あるいは世界の鉄鋼市場、アルミニウム市場に大きな影響を及ぼしかねない、混乱を及ぼしかねない、ひいては自由貿易体制に影響を及ぼしかねない、そういう観点から、日本はアメリカに対してこうした懸念をしっかりと説明してまいりましたが、アメリカがこうした措置を発動したということは極めて遺憾でございます。

 日本の鉄鋼やアルミというのは、アメリカの産業、特に自動車、あるいは天然ガスその他のパイプラインをつくる産業にとってはなくてはならない材料でございまして、これが日本からアメリカに輸出されたからといって、アメリカの安全保障には影響がないというのは広くアメリカの政府関係者も認めるところだろうというふうに思いますが、そうしたものまでこの関税の対象になったというのは、日本として極めて遺憾でございます。

 WTOの枠組みの中で日本としてどのように対応していくかということを考えていくと同時に、アメリカに対して、安全保障に何ら影響を及ぼさない、日本の鉄鋼・アルミニウム製品がこうしたものの措置の対象になるべきではないということはしっかり申し上げてまいりたいと思います。

飯島政府参考人 国内企業への影響と、政府のバックアップ対応についてお答えいたします。

 国内企業への影響に関してですけれども、日本からの鉄鋼、アルミニウムの全体の輸出のうち米国向けの割合は、二〇一七年の数字で、鉄鋼については六・〇%、金額にして一千八百五十五億円、アルミにつきましては九・八%、金額にして二百五十億円となっております。

 この数字から見た場合の国内企業への影響につきましては、さまざまな立場からの御判断があるかと考えておりますけれども、内外からの輸出に対して今後どの程度追加関税が課されるのか、また製品除外のプロセスの状況がどうなるか、各国がどう反応していくか、こういった要素もございますので、現時点においてこれを精緻に分析することはなかなか困難かと考えております。

 大臣から御答弁がありましたとおり、日本の鉄鋼・アルミ製品が代替のできない高品質なものであることを踏まえて、引き続き、米国に対しては適用除外について働きかけをしていくとともに、日本企業に対しましては、個別にあるいは業界団体を通じまして情報提供を行っているところでございます。在米の日本企業に対しましては、日本大使館、総領事館を通しまして、製品別除外に係る手続について周知をしております。また、ジェトロの国内外の事務所も通じて、日本企業への情報提供や相談等の対応もしてもらっているところでございます。

 引き続き、米側に対しては粘り強く働きかけを行うとともに、日本企業に対してはきめ細やかな情報を提供してまいりたいと考えております。

丸山委員 しっかりとよろしくお願いします。

 後半は、いわゆるジャパン・ハウスの関連をお伺いしていきたいと思います。

 二年前、私は外務委員でございまして、ちょうど予算のときにこの話をやりまして、箱物に総額五百億円、この箱は五十二億円ですかね、ジャパン・ハウス。世界に三つつくって、日本の正しい姿の発信ということで、そのためにそれだけ大きなお金をかけているんですけれども、そういった部分じゃなくて、もう少しソフトの部分にお金をかけていく。例えば、正しい姿だという、慰安婦だとか領土問題だというのなら、翻訳された本とかはすごく少ないですから、そうした翻訳の部分にもっとお金をかけていくとか、また、ロビーイング活動というようなソフトの部分に全然やはりお金がかかっていないので、ハードの部分よりはそうした部分にという議論をずっとしてきて、これはしっかり見ていきますという話も私もさせていただいたので、二年たっております、そういった意味で、少しお伺いしていきたいんです。

 今般、サンパウロがオープンしまして、ロサンゼルスが一部あいた、ロンドンはことしあくということでございますが、この成果について、まずお伺いしたいと思います。どれぐらい人が来られたとか、展示内容だとか、イベントも含めて、ぜひお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ジャパン・ハウス、サンパウロでございますが、昨年四月に開館いたしまして、これまで、日本の伝統文化、建築、現代芸術、テクノロジー等を題材としたさまざまな展示、これに加えまして、日本の政策に関する講演会であるとか、あるいはセミナー等を行ってきております。

 例えば展示につきましては、開館を記念する最初の展示では、竹を題材にして、我が国の竹工芸の第一人者の方に御協力をいただいて、伝統工芸としての竹細工から現代の芸術作品まで、竹の多様な側面を見せる展示を行いました。

 それから、政策の発信でございますけれども、こちらの方につきましては、東アジアの安全保障ですとか日本の経済外交、さらに震災からの復興など、さまざまな分野において講演会を実施してきております。

 お尋ねの来館者数でございますが、サンパウロにおきましては、開館後十一カ月たちまして、現在七十万人に達しているということで、当初の年間目標の十三万六千人を大きく上回ってございます。

 次に、ジャパン・ハウスのロサンゼルスでございます。

 ロサンゼルスにつきましては、昨年十二月に、ギャラリーとショップの部分を先行して開館いたしました。本年一月から今月まで、日本の現代ファッションのブランドを題材とした企画展示を開催いたしております。

 ロサンゼルスの現在までの来場者数については二万人に達しておりまして、現地のアート系メディアでもイベントについて報じられるなど、話題を集めているとの報告を受けているところでございます。

丸山委員 これなんですけれども、日本の魅力の発信、いわゆるクールジャパンのようなものを発信していく、日本を好きになってもらう、こうした部分、もちろん大事なんです、だめだと言っているわけじゃないんですけれども、しかし、これをやる組織はほかにもいっぱいあって、ジェトロなり、JICAもそうですし、国際交流基金なり、民間企業でもこれはできるわけで、クールジャパン機構というのが新しくできて、どんどんこれもやっているわけです。

 そうした中で、そこの部分にジャパン・ハウスが重きを置いていたら、それと何が違うんだというふうに、外務省がやることなのかという話にやはりなってしまうので、むしろ、攻め方は難しいですけれども、正しい姿の発信、前にもお話をしている領土問題だとか従軍慰安婦に関する日本政府の見解を正しく知ってもらうというのは、非常にここジャパン・ハウスにおいて大事な役割、これがなければほかと変わらないので、ここをしっかりやっていただきたいというふうに私は思っているんです。

 こうした領土問題とか従軍慰安婦の問題について、これまで何らかの形式でこういったイベントなり何かされた形跡はありますか。具体的な内容や回数、入場者数、この辺をお伺いしたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の歴史や文化について、客観的な事実に基づいた正しい認識が形成され、日本の取組が国際社会から正当な評価を受けることは重要と考えてございます。こうした考え方に基づき、政府として、戦略的対外発信の強化に努めているところでございます。

 ジャパン・ハウスにおきましても、領土保全、歴史認識等を含む我が国の重要政策についてしかるべく発信することは重要と考えておりまして、セミナーあるいは講演会の開催等を通じて日本のさまざまな政策について発信しているところでございます。

 具体的に歴史認識や領土保全について申し上げますと、ことし二月に田中明彦政策大学院大学学長をサンパウロの方に派遣いたしまして、ジャパン・ハウスにおいて、現地政府関係者、有識者、学生等約百三十名の参加を得まして、東アジア安全保障に関する講演を行い、この中で、領土問題、歴史認識等についても発信をいたしました。

丸山委員 済みません、それはつまり、この一年間でサンパウロでこの関係でやったのは一回のみということですか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 サンパウロにおきましては、講演会、セミナーの形で日本の重要な政策について発信を行っておりまして、先ほど申し上げましたように、日本の経済外交ですとか復興ですとか、あるいはアベノミクス、こういったテーマについても発信をしておりまして、そういう中で、田中明彦先生の方からも、東アジアの安全保障環境というタイトルで講演をやっていただいたということでございます。

丸山委員 お伺いしているのは、つまり、東アジアの安全保障問題の中でも、特段、領土問題、竹島の問題や北方領土の、日本の考えや日本の主張を発信していく、若しくは従軍慰安婦の誤解を、うそでまみれているおかしな部分に対して、正しい事実はこうですよとしっかり日本の立場を主張していく、こうしたものをやったのは、サンパウロでその一回ということですか。

安藤政府参考人 現在までのところ、東アジアの安全保障というタイトルで講演を行ったのが一回でございますけれども、今後、ロンドンも含め三カ所、ジャパン・ハウスが開かれるということで、セミナーの開催あるいはライブラリーの活用によって、領土や歴史など、日本のさまざまな政策について発信をしていきたいというふうに考えてございます。

丸山委員 これは、その部分が外務省として一番大事で、やるからといってこれを特別につくって、そうじゃなければクールジャパン機構でもいいわけで、民間でもできるわけで、若しくは今もともとあるジェトロやJICAでもできるわけで、そうじゃなくて、こうした部分に光を当ててほしいんですが。

 一方で、フォローするわけじゃないですが、やり方を間違えれば、中国の孔子学院みたいな、ひんしゅくを買うような状況になってしまうのは避けたいんです。

 そういった意味では、そもそも何でこれをやるんだというのが、私は二年前ずっと言っていた部分で、しかし、こうした正しい姿を発信していくんですとおっしゃっていましたけれども、二年たって、今、そのうちの一年、サンパウロを開いてからやっていらっしゃって今の一回だけというのは非常にびっくりしました。

 逆に、今後の計画について聞きたいんですけれども、ロンドンも含めて三カ所でこうしたものをやっていかれるということで今お答えになりましたけれども、そうした具体的な計画というのは立っているんでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたサンパウロでの講演会あるいはセミナーに加えて、ロンドン、ロサンゼルスも含めて、領土、歴史認識を含めて、我々のさまざまな政策についての発信をしていきたいというふうに思っております。具体的な計画については、現在検討中でございます。

丸山委員 私は、もういいんじゃないかなというふうに思っています。

 一応これも、ずっとやるというふうに政府も言っているわけじゃなくて、一八年度までは決まっているんですが、一九年度以降どうするかというのは、基本的には、当時の外務副大臣、薗浦さんですけれども、来場者数、発信力、広告効果、知日派の数を総合的に判断してこれを継続するのか決めるという御発言をされているんですけれども、そういった意味を踏まえて、この継続可能性について、一九年度以降ということは、来週からもう一八年度に入りますから、そう考えたら、予算要求を考えたら、もうことしじゅうにはある程度判断しなきゃならないのかなと思ってしまうんですが、これはどういう判断をされるんですか。いつ時点で判断されるんですか。

河野国務大臣 委員の御懸念というのもよくわかるんですが、これは政府が直接やっているものではございません。政府からワンクッション置いて、そこで親日派、知日派をふやす、あるいは全く日本に興味のなかった方に日本に興味を持っていただこうということで、少し戦略的な情報発信をやろうではないかという試みでございます。

 少し私も気になるところがあったものですから、三つのジャパン・ハウスの館長さんが来日された折にお目にかかって幾つか申し上げたんですが、一つは、やはり今までどうも責任と権限が明確になっていなくて、責任のない人が何だか余計にいろいろなことを言うので、何だかよくわからないという話になっていた。これはやはり、責任と権限を表裏一体のものにして、責任ある人にちゃんと権限を渡してそこはやってくださいということに明確にいたしました。

 もちろん、日本政府として情報発信をしたいところはジャパン・ハウスにも手伝ってもらうし、また活用させてもらうというところはありますけれども、少なくとも親日派、知日派をふやすという中で、あるいは日本に興味のなかった方に興味を持ってもらうという観点から、戦略的にどうするかというのはある面お任せをして、権限を渡すかわりに責任をきちんと果たしてくれというようなやり方にさせていただきました。

 それから、もう一つ、これをこの先どうするのかというのをそれぞれ考えてほしいということで、エグジットストラテジーというとちょっと言葉が違うのかもしれませんけれども、少なくとも、今のあり方から次のあり方にどういうふうにしていくのかをそれぞれ考えてほしい。

 これは、サンパウロのように日系社会がかなりがちっとあって、当初の入場人員目標をはるかに上回るような状況でいっているところもあれば、ロサンゼルスのように、日系人コミュニティーもあるけれどもアジア系アメリカ人のコミュニティーもあって、その中に日系人コミュニティーがきちんと位置づけられているという地域という意味でいうと、同じ日系人社会でもサンパウロとは違うんだと思います。また、ロンドンは、サンパウロやロサンゼルスのように、日系人社会があってバックアップしましょうという体制になっているかというと、むしろこれは、日本を知ってくださいといって出ていったという、三カ所のバックグラウンドも違いますので、当然、この次の展開というのは同じにはならない可能性がある、大きいと言ってもいいかもしれません。

 そういう中で、今後、いつまでも同じような状況を続けるつもりは外務省としてもありませんよと。だから、それぞれの地域でどうするのか。新しいNGOみたいなものをつくって運営を移行しようかというアイデアを考えているところもあれば、別のやり方を考えているところもあるし、外務省としても、きちんと続くならそういう形で受渡しをしたいし、何もずっとやらなくてもいいのではないかということだって、極端なことを言えばあるわけですから、そこは現地としっかりこれから外務省はやりとりをさせていただいて、次の展開をどうしようかということを今から考え始めておりますので、そこはまたいろいろ御説明をさせていただきながら対応してまいりたいというふうに思います。

丸山委員 時間が来たので終わりますけれども、国民の税金です、政府がやるべきことをしっかり絞ってやっていただきたいと思います。

 質疑を終わります。

中山委員長 次に、山田賢司君。

山田(賢)委員 私は、自由民主党の山田賢司でございます。本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 本日は、国際情勢一般ということで、まず北朝鮮情勢について、私からも御質問させていただきたいと思います。

 金正恩委員長と習近平主席の会談が行われましたが、現段階において、予断を持って判断すべきではないとは思いますけれども、この意義、影響についてどのように見ておられるか、お聞かせいただけますでしょうか。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 三月二十五日から二十八日まで金正恩委員長が中国を訪問し、習近平国家主席と会談を行ったということで発表ないし報じられております。

 今回、北朝鮮の側から対話を求めてきたことは、日米、日米韓三カ国で協力し、中国及びロシアを含む関係国とも緊密に連携しながら北朝鮮に最大限の圧力をかけてきた成果である、結果であるというふうに思っております。

 今般の中朝首脳会談に関する中国側の発表には、北朝鮮側が朝鮮半島の非核化の意思を表明した旨含まれておりますけれども、北朝鮮側による発表には、そのような非核化の言及は一切ございません。今後とも、北朝鮮側の意図をしっかりと分析していくことが必要だというふうに考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 現段階ではまだ確定的なことは言えないと思うんですが、北朝鮮にとっては、国際社会が圧力をかけていく中、また、米朝会談で具体的な交渉が進められればいいんですが、もし具体的な交渉成果が得られない場合に、米国が強硬策あるいは軍事行動などに出ることを牽制するために、核廃絶に合意したという表明をしたような形で見せかけて時間稼ぎをしているのではないか、あるいは、中国にとっては、米朝の交渉が進められることで米国主導の交渉が行われることに対して、中国の主導権をとろうという動きがあるのではないかというふうに考えるんですが、どのようにお考えでしょうか。

鯰政府参考人 委員御指摘のありましたような、アメリカとの関係あるいは中国の考え方について、さまざまな考え方があろうかと思っております。私どもは、こういう考え方を情報収集し、分析し、今後の対北朝鮮政策につなげていきたいというふうに思っております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 現段階ですから何も確定的なことは言えないんでしょうけれども、くれぐれも時間稼ぎに使われないように注意していただきたいと思います。

 同じように韓国も交渉を始めるということで、南北首脳会談が四月二十七日に行われることになりました。ややもすれば、対話ということで、いいことが進められる、対話の歓迎ムードがあるかのようにも見えるんですけれども、北の核廃絶は、先ほど来各委員が御質問になられているように、何ら具体的かつ検証可能な形で実行されたわけではございません。

 こうした中で、韓国が経済協力などについて前のめりな交渉を進めるとすれば、これは国際社会がせっかく一致団結して北朝鮮の核廃棄に向けて制裁を科していることに対してマイナスに作用するのではないかと考えますが、韓国政府に対して、制裁決議を徹底して履行する、このことを遵守するように求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鯰政府参考人 御指摘ありましたように、南北首脳会談は四月二十七日ということで発表されております。中朝にしても、南北にしても、このたび北朝鮮の側から対話を求めてきたことは、関係国が最大限の圧力をかけてきた成果だというふうに、先ほども答弁しましたが、思っております。

 しかし、御指摘のとおり、それ以上の成果が現時点で得られているわけではないわけでありまして、過去の教訓を踏まえると、北朝鮮が対話に応じるだけで制裁解除や支援などの対価を与えてはいけないというふうに考えております。

 そこで、私どもといたしましては、韓国についても、ほかの国についてもそうですけれども、このような考え方を伝えてきているわけでありまして、韓国については、例えば、三月十六日には日韓首脳電話会談がございました。あるいは、河野大臣御訪米の機会に康京和韓国外交部長官との会談もございました。こういったハイレベルの機会あるいは事務レベルの機会を通じて、我が方の先ほど申し上げたような考えを伝えているところでございます。

山田(賢)委員 北朝鮮の核廃棄の可能性、現実性についてどのように認識しておられるか、お聞かせいただけますでしょうか。

鯰政府参考人 先ほど申しましたが、北朝鮮が非核化に向けて動き出したように見えるということはありますけれども、それ以上のことは現段階では進展があったわけではありませんので、今後どうなっていくかということについてはまだわからないということだと思いますから、日本政府といたしましては、北朝鮮による完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での核、ミサイルの廃棄という目標を絶対に譲ることなくやっていきたいというふうに考えてございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 そうしますと、米朝会談が今後行われますけれども、北側がもしも時間稼ぎだということがわかった場合、米国が軍事行動に出る可能性も、これは否定できないというふうに考えるんですけれども、その場合、これはいたずらに不安をあおるつもりはないんですけれども、半島有事が起こった場合、この蓋然性は決してゼロではないと考えておりまして、その場合、在韓邦人あるいは半島渡航者に対して渡航に対する注意喚起あるいは退避訓練といったものを行っているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

相星政府参考人 お答えいたします。

 政府としましては、韓国に滞在する邦人の保護、退避が必要になった場合を想定いたしまして、緊急時の連絡体制を整備するとともに、邦人の協力を得て各種訓練を実施してきております。

 具体的には、特に緊急の際、情報提供や注意喚起といったことが必要になるわけですけれども、外務省や現地の大使館のホームページに掲載するとともに、在留届あるいはたびレジに登録された連絡先へのメール、SMSを送付するとともに、日本人会の緊急連絡網なども活用して情報提供を行うこととしております。最近では、昨年の十一月及びことし一月に、ソウル日本人会の協力も得まして、安否確認の訓練を行ったところでございます。

 今後とも、こうした取組を強化して、在外の邦人の安全確保に遺漏なきを期してまいりたいと思います。

山田(賢)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 そして、もう一つ、日本にとっての最重要課題であります拉致問題でございます。これは野党の各委員からも御質問いただいたように、関心を持っていただいていることに感謝申し上げます。

 政府におかれましても、国際社会に精いっぱい働きかけを行っていただいているとは思うんですけれども、なかなか現実に被害者の帰国実現ということにつながっていない。このことについては、今回、ある意味で世の中が動き出したということはいいことなんですけれども、実際に被害者が帰国を実現させる、このためには、ある意味、実力奪還ということも考えないといけないんだと思っているんです。

 だからといって、直ちに自衛隊を送れとかそういうことではなくて、例えば、国際社会において、国連憲章七章の行動をとるように安保理に求めるということは可能なのでしょうか、お聞かせください。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 国連加盟国は、国連憲章第三十五条に基づきまして、いかなる紛争についても安保理の注意を促すことができると規定されてございます。また、国連憲章第七章に基づく措置をとるための前提となる、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在につきましては、憲章第三十九条に基づき、これは安保理が決定する、このように規定されてございます。

 いずれにせよ、あくまで一般論としてでございますが、加盟国は、この安保理による決定に関しまして、安保理理事国に対してさまざまな働きかけを行うことができると考えておるところでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 安保理に関しまして、日本政府も働きかけて対北朝鮮制裁決議を多数出していただいておるのですが、これは主として核、ミサイルを根拠とした決議であって、これに人道上の問題、北朝鮮の人権侵害を根拠としたものをつけ加えていただいているというふうに認識しております。

 ただ、拉致問題というのは、我が国の国民が、我が国に侵入されてそして連れ去られたという、我が国独自の問題でございます。我が国として、こういった北朝鮮の侵略行為、この存在を認めて必要な行動をとるように安保理に申立てを行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

鯰政府参考人 委員御指摘のように、安保理との関係におきましては、まず、安保理決議におきまして、この問題を何とか入れるということで、平成二十八年十一月に採択されました安保理決議第二千三百二十一号以降、北朝鮮にいる人々という表現で、これらの人々が受けている深刻な苦難に対し深い懸念をあらわすというような言及が含まれているところでございます。この北朝鮮にいる人々という表現には、我が国を含む各国からの拉致被害者も当然含まれるということで関係国の認識は一致しているところでございます。

 このほかにも、例えば昨年十二月には、日本が安保理の議長国でございましたけれども、安保理におきまして、人権状況を含む北朝鮮の状況に関する会合を開催いたしました。これは四年連続でございます。

 このような取組を含めて、全ての拉致被害者の無事な帰国のために何ができるか、何が最も効果的かということについて、不断の検討をしていきたいというふうに存じます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 何が最も効果的かということをいつも答弁でいただいておるんですけれども、現実に、何年たっても拉致被害者が帰国が実現できていない、このことについてもう本当に心を痛めておるところでございます。ぜひ、本当の意味で、最も効果的、ではなくて、実際に、現実に被害者が帰国できるように取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、国際法の概念一般について、きょうは質問をさせていただきたいと思います。

 日本国憲法第九条第二項後段には、交戦権はこれを認めずという規定があるんですけれども、現代国際法において交戦権に基づく武力行使というのは認められているのでしょうか。

三上政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の国連憲章のもとでは、自衛権の行使や国連憲章第七章のもとでの安保理の決定に基づく行動を別にすれば、武力の行使が一般的に禁止されているということでございます。

 御指摘の交戦権につきましては、一般国際法上、定まった定義があるわけではなく、一般的には、伝統的な戦時国際法において国家が交戦国として有する国際法上の諸権利を指すと考えられておりますけれども、戦争が一般的に違法とされた国連憲章のもとでは、伝統的な意味での交戦権をそのままの形で適用することはできないと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、伝統的国際法という戦時国際法の概念であって、国連憲章ができた現代においては交戦権という形で行使することはできないと思います。同じような行為であっても、これは交戦権として整理、かつては整理されていたんだけれども、現代は自衛権の行使、これに伴う措置だというふうに理解しております。

 日本国政府の過去の答弁においては、先ほどおっしゃられたように、交戦権というのは交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であるというふうに解して、例えば、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政、中立国船舶の臨検、敵性船舶の拿捕なんかを挙げておりますけれども、相手国の領土の占領や占領行政は別として、我が国が例えば武力攻撃を受けた場合というのは、自衛権の行使として相手国の兵力の殺傷や破壊は認められることになろうかと思います。

 それはもちろんのこと、中立国の船舶の停船ですとか検査というのは海上輸送規制法でも可能であるというふうに承知しておりますが、これは自衛権行使に伴う必要な措置だという整理になっていると思います。

 ですので、先ほど、ちょっと重複になりますけれども、従来交戦権に該当し得るというような似たような措置ではあっても、これは交戦権の行使としてではなく、自衛権ないしは自衛権行使に伴う、自衛行動権ともいうのでしょうか、こういったものが憲法上も行使が可能というふうに理解してよろしいでしょうか。

三上政府参考人 伝統的な交戦権の考え方につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、一般に、自衛権や国連憲章第七章のもとでの安保理の決定に基づいて、国際法上、合法な形で武力の行使が認められる場合であっても、そこでは伝統的な戦時国際法における交戦権の行使が一般的に認められるものではありません。

 その上で、紛争当事国は、個別の事例ごとにおける国際法上の根拠に基づいて、その認める範囲内で、従来であれば交戦権の行使として認められていた措置を行うことは可能であると考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 そこで、日本国憲法の交戦権というのは、政府の公式な英訳では、ザ・ライト・オブ・ベリジェレンシーとされております。日本国憲法以外にこのザ・ライト・オブ・ベリジェレンシーという用語を規定したような憲法、法律、条約あるいは国際法規というものはあるのか、お聞かせください。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国として、必ずしも網羅的に他国の憲法及び法律、条約等の規定を承知しているわけではございませんが、承知している範囲で、他国の憲法、法律、条約等において、御指摘のザ・ライト・オブ・ベリジェレンシーとの文言を用いた規定を置いている例があるということは承知しておりません。

山田(賢)委員 ありがとうございます。そうなんですね。

 日本国憲法制定当時の過去の記録を見てみますと、金森国務大臣は貴族院帝国憲法改正特別委員会で「交戦権ト云フノハ、私ハ此ノ語ヲ詳シク知リマセヌガ、」と答弁されていらっしゃるんですね。また、GHQのケーディスもその後のインタビューに答えて、それ、すなわちザ・ライト・オブ・ベリジェレンシーが具体的に何を意味するのか、私は確かではなかったと述べていて、一九五二年当時もある国際法学者は、「このような権利が国際法上存することを私は未だいかなる著述中にも見出す機会に恵まれない。」と述べていらっしゃる。

 国際法の専門家の間では、これは余り使用されていない用語法であり、マッカーサーの特殊な用語法に起源するものというふうな説明がされている例もございます。

 実は、当時は、交戦権というのは国際法の中で一般的に確立した概念ではなかったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

三上政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国憲法制定当時から、交戦権については、一般国際法上定まった定義があるわけではなくて、断定的に述べるのは難しい面がございます。

 他方、いずれにしても、先ほど申し述べましたように、一般的に、伝統的な戦時国際法において国家が交戦国として有する国際法上の諸権利を指すものと考えられているということでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 そうなんです。私もいろいろ調べていて気づいたんですけれども、日本国民はずっとこの交戦権という言葉を、意味を深く詰めないまま、これは護憲派もそうですけれども、改憲派も深く詰めないで、交戦権というのはないんだという言葉にとらわれてきたような気がしますけれども、実は、国連憲章下の現代国際法においては当たり前のことを言っているにすぎないんだということがわかりました。

 続きまして、ジュネーブ条約についてお聞きをしたいと思っております。

 自衛隊は、国内の憲法上は軍ではないとしておりますけれども、国際法上、とりわけジュネーブ諸条約では軍隊として位置づけられると理解してよろしいでしょうか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊は、憲法上、自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約が課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものであると考えられておりますが、国際法上は一般的に軍隊として取り扱われているものと考えられております。

 また、ジュネーブ諸条約に言う軍隊とは、武力紛争に際して武力を行使することを任務とする組織一般を指すものと考えられております。

 自衛隊は、当然でございますが、我が国を防衛することを主たる任務とし、自衛権行使の要件が満たされる場合には武力を行使する、こういうことでございますので、一般にジュネーブ諸条約上の軍隊に該当すると考えられております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 これは軍隊に該当するかどうかということは何が重要かというと、自衛隊が仮に海外で活動した場合にジュネーブ諸条約の保護を受けるかどうか、もし軍隊に該当して軍隊の構成員ということであればこれは捕虜として扱われるか、ここが問題になるんですが、これは実は、国内憲法で軍と言っているか言っていないかではなくて、このジュネーブ諸条約に言う紛争当事者に該当するか否かということが大事なんだ、紛争当事者に該当すれば、そこの軍隊の構成員というのは戦闘員になって、戦闘下で敵国勢力の手中に入ってしまったら捕虜として扱われる、こういう整理でよろしいでしょうか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のとおりでございまして、ジュネーブ諸条約におきましては、基本的に、武力紛争の当時国の間における関係を規律しておりますが、我が国が紛争当事国である場合には適用を受けるものと理解しております。ジュネーブ諸条約上の捕虜は、紛争当事国の軍隊の構成員等で敵の権力内に陥ったものをいうとされております。

 その上で、あくまで一般論でございますけれども、いわゆる存立危機事態ですとか武力攻撃事態という事態になった場合、これを排除するためにその武力を行使している状況においては、我が国はこのジュネーブ諸条約上の紛争当事国になっておるというふうに考えております。したがいまして、このような場合にはジュネーブ諸条約上の紛争当事国の軍隊の構成員に関する規定が当然自衛隊にも適用されることになると考えております。

 したがって、このような場合に、この条約上の捕虜に関する規定が敵対する紛争当事国の権力内に陥った自衛隊にも適用され、自衛隊員は捕虜として取り扱われることになると考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 その上で、PKOなどで海外派遣するときには、すなわち紛争当事者にならないように、このように注意しているということの理解でよろしいでしょうか。

市川政府参考人 まさに御指摘のとおりでございまして、ただいま申し上げましたように、ジュネーブ諸条約は、基本的には、武力紛争の当事国における関係を規律しているものでございます。

 したがいまして、PKOですとかその他後方支援などをやっているような場合というのは、我が国が紛争当事国になることはないということで、このようなジュネーブ諸条約の規定が自衛隊のそのような活動にそのまま適用されるということはございません。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 もう一つ、ジュネーブ諸条約では、四条約あるんですけれども、四条約とも条約の普及という規定がありまして、締約国は、この条約の原則を自国の全ての住民等に知らせるために、平時、戦時を問わず、この条約の本文をできる限り普及させること等を約束しております。

 我が国の国内においてこの条約の本文をどのように周知させていただいているのか、教えてください。

市川政府参考人 まさに条約の普及という規定がございまして、それに基づきまして、我が国もさまざまな努力をしてございます。

 一つには、自衛隊における教育でございまして、自衛官の職務遂行に当たって、まさに国際人道法の知識というのは不可欠でございます。したがいまして、自衛隊の内部あるいは防衛大学校、防衛医科大学校、その他幹部自衛官になるためのさまざまな訓練の中で、こうした国際人道法についての教育が行われております。

 それから、その他政府機関、主に外務省でございますけれども、その周知の努力をさまざましておりまして、国際人道法に関する教育及びその普及について精力的な活動を行っております日本赤十字社と協調する形で、ジュネーブ諸条約を始めとする国際人道法の普及に取り組んでおります。

 このほか、学校教育におきまして、学習指導要領に基づきまして、高校の公民科において国際法の意義について指導が行われております。複数の教科書において、主な国際人道法としてジュネーブ諸条約に関する記述が書かれているところでございます。

 以上でございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、国際人道法だとかジュネーブ諸条約ぐらいまでは多分聞いたことがあるという人はいると思うんですけれども、この条約に書いているのは、この条約の本文をできる限りみんな、国民、これは軍事組織、自衛隊員だけではなくて、住民も含めた文民に対しても知らせるようにと書いておりますので、ぜひその条約の履行をしていただきたいと思います。

 続きまして、国連憲章に関連しまして、国連憲章に関しては、敵国条項、旧敵国に対する条項というのがいまだに残っておるんですけれども、この削除に向けてこれまでどのような取組をなさってこられたのか、教えていただけますでしょうか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありました、いわゆる旧敵国条項でございますが、我が国は、一九七〇年の第二十五回国連総会以来、一貫して、国連総会の場で、削除することを主張してまいりました。

 一九九五年の第五十回国連総会では、旧敵国条項が既に死文化しているという認識を示す決議が圧倒的多数の賛成により採択されております。

 それからまた、二〇〇五年の国連首脳会合では、憲章上の関連する条項における敵国への言及を削除するとの加盟国の決意を示す成果文書がコンセンサスで採択されております。

 我が国は、これらの決議あるいは成果文書の採択に際して、関係国に対して積極的な働きかけを行ってきた次第でございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 既に死文化しているとか、総会の場で誰も文句を言わなかったとか、コンセンサスが出ているとか、であればなぜ削除しないのかという気がするんですね。

 一般企業でも、例えば、競合他社だったんだけれどもMアンドAで一緒になった会社が、そのライバル会社のことを敵だとか書いている定款があったら、合併した時点で改正するんじゃないかなと思うんですけれども、なぜこれを速やかに削除させないのか、教えていただけますでしょうか。

市川政府参考人 まさに、ただいま申し上げましたように、国連総会あるいは国連の首脳会合の場で敵国に関する言及を削除するようにというような文書が採択されて、我が国としても引き続き関係国に対して積極的な働きかけを行ってきた次第でございます。

 現実の問題としては、その旧敵国条項は事実上死文化している、いかなる国も旧敵国条項を援用する余地はないというような状況になっていると考えておりまして、今の時点で直ちに何か問題が生じているということはございませんけれども、今申し上げましたように、これまでも我が国としては各国に対して働きかけを行ってきている、こういう状況でございます。

山田(賢)委員 今何か問題があると思っていないという認識が問題なんですね。

 日本がこれだけ国際貢献をしていて、国連の分担金も二番目でしたっけ、払っていて、二番の大株主が敵国だと書かれたのをそのままにしていて直ちに問題がないと言っている時点でおかしくて、法律上の効果として死文しているとしても、それが残っていることが問題だと言っているんですね。

 外務省さんには何度もこの話をしているんですが、憲章を改正するのに手続が要るとか言って、それは安保理の改革と一緒にやりたいとか言っているんですが、安保理、例えば、日本の常任国の理事国入りというのは、全部の国の合意が得られているわけではないですよね。

 だけれども、この国連の敵国条項の削除は、あらゆる機会で、みんなこれは合意しているんだ、反対する国はいないんだというのだったら、これだけ先にやってくれというふうに言うべきであって、もしもそれに反対するというのは、これはまた踏み絵になりますから、あんたら賛成していたんじゃないの、何で反対するのというふうに突き詰めることができるんじゃないですか。どこの国がどういう理由で反対するんだというふうになるので、これは速やかにやるべきだと思いませんか。もう一度御意見いただけますでしょうか。

市川政府参考人 先生の御指摘、ごもっともだと思っておりますし、いずれにしろ、我が国としては、この敵国条項の削除に向けてこれまでも努力してきたところでございますけれども、まさに、さまざまな機会を捉えて、できるだけ早期にそのような文言が削除されるように、これまでもやってきた努力を一層進めてまいりたいと思います。

山田(賢)委員 できるだけ早期にではなくて、具体的に速やかにやっていただきたいと思います。

 大臣に、改めて、国連憲章における敵国条項の削除に向けた御決意をお聞かせいただけますでしょうか。

河野国務大臣 既に申し上げておりますように、この条項は既に死文化し、直ちに問題が起きるとは考えておりません。

山田(賢)委員 ということは、大臣は、特にこれを、削除に向けて何かを行動されるということはないという御理解でしょうか。

河野国務大臣 私といたしましては、国連の安全保障理事会の改革のためにテキストベースでの交渉に入るのが最優先事項だと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私としては、安保理改革ももちろんこれは重要なことですが、安保理改革の具体的な道筋が見えていないのであれば、敵国条項については各国が合意していることですから、具体的に進めていただきたいと思いますので、このお願いを申し上げまして、もうそろそろ時間でございますので、私の質問を終わらせていただきます。

中山委員長 次回は、来る四月四日水曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十八分散会


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