衆議院

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第15号 平成30年6月6日(水曜日)

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平成三十年六月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中山 泰秀君

   理事 小田原 潔君 理事 木原 誠二君

   理事 熊田 裕通君 理事 新藤 義孝君

   理事 山口  壯君 理事 末松 義規君

   理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君

      小渕 優子君    黄川田仁志君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      新谷 正義君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    高木  啓君

      津島  淳君    辻  清人君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      堀井  学君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    山田 賢司君

      阿久津幸彦君    篠原  豪君

      山川百合子君    関 健一郎君

      岡本 三成君    岡田 克也君

      玄葉光一郎君    穀田 恵二君

      丸山 穂高君    井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   外務副大臣        中根 一幸君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   外務大臣政務官      堀井  巌君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       鈴木 秀生君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石川 浩司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 松浦 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 長岡 寛介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           土田 浩史君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        小野 洋太君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小野  洋君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     津島  淳君

  辻  清人君     高木  啓君

  岡田 克也君     玄葉光一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     辻  清人君

  津島  淳君     宮路 拓馬君

  玄葉光一郎君     岡田 克也君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     新谷 正義君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     鈴木 貴子君

    ―――――――――――――

六月五日

 沖縄県民の民意尊重と、基地の押しつけ撤回に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六四五号)

 辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(笠井亮君紹介)(第一六四六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第三号)


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官鈴木秀生君、大臣官房審議官石川浩司君、大臣官房審議官松浦博司君、大臣官房参事官長岡寛介君、大臣官房参事官鯰博行君、北米局長鈴木量博君、経済産業省大臣官房審議官土田浩史君、資源エネルギー庁資源・燃料部長小野洋太君及び環境省大臣官房審議官小野洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

新藤委員 おはようございます。自由民主党の新藤義孝でございます。

 同僚の皆さんの御理解をいただいて質問時間をいただきましたことを感謝申し上げます。

 米朝の首脳会談が開催されることが再び決まり、これによって世界じゅうが動いている。そして、その中で日本がどのように外交的成果を上げられるか、非常に厳しい、しかし大きなチャンスが来ております。そういう中で、外務委員会といたしましても、これまでも外交の質を高めるために積極的な議論がなされておりました。私たちも、しっかりとこれを下支えできるように頑張っていきたい、このように思います。

 きょうは、この委員会の終わった後には外務大臣もアメリカに飛んで、外相会談、そして首脳会談への同席というようなことも聞いております。ぜひ、これは一丸となって外交を後押ししていかなければいけない、また、私たちは主体的にこれを考えて進めていかなければいけない、このように思います。

 そういう中で、私、きょうの議題でありますモントリオール議定書改正、これにつきましても少し確認しておきたいことがありますので、これは粛々と事務的な確認をさせていただきたい、このように思っております。

 まず、この議定書改正につきましては、代替フロンの規制を通じた地球温暖化に取り組む重要な取組でございます。ですから、これについてはまず賛成だということで態度を表明しておきます。

 その上で、この議定書の改正をめぐっては、この審議に至るまでに若干の混乱がございました。国際条約の訂正に関する手続について、これは、我が国がどのように条約改正について手続をとっていくかということについて、これまでにないことが起きましたので、ここのところをどのように判断するべきなのか、これは私たち国会が与野党の理事会の中で議論してきたことでございますが、何点か確認をしておきたいことがあります。

 まず、このモントリオール議定書は、二月の二十三日に政府から国会に提出をされました。しかし、その後に、三月二日付で国連から条約正文の訂正が必要であるとの通知があって、そしてそれは、五月三十一日までに各国の異議申立てがなければこの訂正が確定する、こういうことになったわけであります。

 実際には、この間に異議を申し出た国がございませんでした。けさほど、最終的に、国連の事務総長から通知が来て、どこの国からも異議申立てはなかったということでこの訂正が確定したわけでありますが、私どもとすれば、三月の二十三日に、一度は合意をして審議をしようと、これを、訂正が確定までの間延期してほしい、こういう申入れが理事会の場で野党の皆さんからございました。

 私ども与党としては、この声を受けて、そしてその上で、国会情勢を総合的に判断した上で、これを前例としないということで私は申し上げまして、そして審議の開始の延期を受け入れたわけなんでございます。

 まず、ここで確認をいたしますが、過去に国連より条約正文の訂正がなされた例はこれまであるんでしょうか、外務省。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 国会の御承認後に条約の寄託者による条約正文の訂正が行われた例が複数存在しております。

 御質問いただきました、国連が寄託者として訂正の通知をした例としては、例えばアジア開発銀行設立協定などがございます。

 それからまた、国会の提出後、条約審議開始の前までに国連による条約正文の訂正が確定した事例として、モントリオール議定書の九二年改正がございます。

新藤委員 そうすると、今回のような、国会提出後に訂正提案があって、その訂正が確定する前に条約審議が行われた、こういう例はあるんでしょうか。

松浦政府参考人 外務省の方で確認させていただいた限りですが、過去六十年間において、国会提出後に条約の寄託者による条約正文の訂正提案がなされ、かつ、同訂正が確定する前に国会での審議が行われた条約の事例は承知してございません。

新藤委員 では、過去に条約の訂正があった際には、政府はどのような手続をとって確定させていたんでしょうか。

松浦政府参考人 先ほど、訂正の事例として、国会承認後に寄託者から正文の訂正がなされたものと、それから、国会提出後、国会承認前に訂正がなされた事例と二つあると申し上げましたが、前者、すなわち、国会承認後、公布済みの条約について寄託者から正文の訂正がなされた事例におきましては、最近の事例では、衆議院外務委員会、参議院外交防衛委員会、それぞれの理事会に対して、このような正誤が行われたことを外務省から報告申し上げまして、しかる後に訂正の告示を行ってきてございます。

 また、第二のグループであります、国会提出後、国会承認前に国際機関の方から訂正がなされた事例の場合には、国会に対して正誤通知を行うことによって対応してきてございます。

新藤委員 そうすると、国会の採決後に条約の訂正があった、その場合に、今手続をとられたということでございますが、それでは、条約正文の訂正が行われたので、それを理由として国会で条約審議をやり直したことはあるんでしょうか。

松浦政府参考人 国会承認後に条約正文の訂正が行われた場合、先ほども申し上げましたように、衆参双方の理事会に対して報告を行い、しかる後に訂正の告示ということでございますので、訂正後に国会において審議をやり直した事例はないということでございます。

新藤委員 それでは、今回の訂正の性質について確認したいと思います。

 今回の条約正文の訂正提案は、これはモントリオール議定書の寄託者たる国連からの提案でございます。一般的に、この寄託者が訂正提案を行うということは、条約の意味内容に実質的な変更を伴わない、形式的なものの際に行われる手続である、私はそのように考えておるんですけれども、今回の訂正がどういう内容、性質のものだったのか、国連事務局に問合せもしたと思いますが、国連事務局からの見解を含めて説明をしてもらいたいと思います。

松浦政府参考人 お答えいたします。

 まず、寄託者が訂正提案を行う場合の一般論でございますけれども、委員から御指摘のあったとおりでございまして、寄託者が条約正文の訂正の提案を行う場合、その内容は形式的なものに限られるものと考えられます。

 例えば、今回のモントリオール議定書の改正の訂正に関連いたしまして、さまざま国連事務局とやりとりした中でも、国連事務局から、国連が寄託者として訂正提案を締約国に対して行う際には、条約の意味内容に実質的な変更を行うものでないことを国連として慎重に検討した上で締約国に提案するという説明がございました。

 また、その上で、同じく国連事務局ですけれども、今回の訂正についての国連事務局としての評価でございますが、本件訂正は、極めて形式的な手続であり、問題にすべきではなく、いずれの国からも異議申立てがなされることはないであろうと確信しているとの認識が示されておったところでございます。

新藤委員 条約の訂正について、これはどういう手続なのかということをやはりきちんと把握しておく必要があるなと、私は今回のことでつくづく思ったわけであります。

 そもそも、条約の改正といっても、意味内容に影響を及ぼすような内容の本体の修正であれば、この場合にはどういう手続があると思われますか。

松浦政府参考人 それぞれの条約によっては、我が国が締結済みの条約で、かつ個別の条約に特段の定めがある場合には、その定めに従って変更手続を行うというケースもございますが、一般論といたしましては、条約の意味内容を変更するような修正を加える必要がある場合、当事国間の合意の内容自体を変更する性質を持つということになりますものですから、訂正といった手続ではなく、条約自体の改正を行うことになるものと考えられます。

新藤委員 したがって、国連から訂正通知が来るという類いのものは、これは形式的、事務的なものであって、これについては、これまでも、国連自体がそれを形式的なものであると認め、これを大きな問題とは考えていないという認識を持っていることがわかりました。

 その上で、それでは、今回の訂正提案を受けて、三月二日から国連が条約正文の訂正通知を出したわけですけれども、世界の国々はどのような対応をしたんでしょうか。今回の訂正通知を受けた各国議会の対応について、状況を教えてもらいたいと思います。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 各国の対応状況を調査いたしましたところ、状況を確認できた百カ国とEUのうち、三月二日の訂正通知後に本議定書改正の締結に向けた手続を停止した国は確認されておりません。

 一方、三月二日の訂正通知が行われた後も新たに十一カ国が本議定書改正を締結したほか、十カ国が、いまだ締結には至っていないものの、議会における審議を進めていることが確認されております。

新藤委員 ということは、少なくとも百カ国、これは国連全体がモントリオール議定書に参加しているわけでございますが、状況が確認された百カ国及びEUのうちで、この訂正通知が行われた後にも十一カ国が議会の手続、審議を行って改正を締結した、それから、現状においても十カ国が審議中だ、こういうことが今の話でわかりました。

 とすると、この国連の訂正通知を受けて議会審議を、訂正が確定するまでは審議しない、このように判断して審議をとめた国は世界で何カ国あるんですか。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 確認した限りにおいて、三月二日の訂正通知がなされた後に議会審議をとめたりやり直した国はなく、そのような対応をとったのは日本以外には確認されておりません。

新藤委員 これが実態だと思います。

 私は、与野党の合意でこの審議を進めておりますから、きょうの委員会について、これを審議できたことはとてもすばらしいことだと、これは与野党の協議の結果でございますから、それに何の疑義もありません。

 ただ、今回、初めてのケースなんですね。今までは、訂正通知が来ても国会提出前であって、確定して、確定した後に審議するとか、それから、もう国会審議が終わっていて、そしてもう議会の手続が終わった後に訂正通知が来て、それはしかし理事会の報告で終わらせる。

 こういう事務的な手続について、今回私たちはこれを、慎重な審議ということで、確定するまで審議をしないということで、厳密に、いつ確定するんだ、本当に大丈夫かということで、実は、国連に対しては、ニューヨークの国連事務局の、要するに、五月三十一日の二十四時に確定しますから、その二十四時に職員に、国連職員にも協力してもらって確認する、ここまで我々は厳密にやった。

 日本が厳密にやるという意味では、これはそういうことだと思いますが、しかし一方で、こういうことをやっているのは世界で日本だけということは承知した上で、その上で今後の条約審議というものをこれまたしていかなきゃいけないと思います。

 私が冒頭申し上げました、理事会において与野党が合意する際に、これを前例としないと言ったのは、結局、国会提出された後に条約の訂正通知があり、確定しないまま審議をした前例はないんです。今回初めてのケースです。しかし一方で、確定していないことを理由に審議に入らなかった前例もないんです。今回が初めてなんです。ですから、この今回の判断は、与野党の理事会合意で、そして、与党とすれば、私は筆頭理事を務めさせていただきましたが、これは、総合判断のもとで、国会情勢等を考え、また野党の皆さんの声に真摯に応えるということを含めて判断した結果でありまして、これを前例としないでほしいということを申し上げましたし、そういった考えで進めてきたということでございます。

 いつか、将来、またこのようなケースが出てくるかもしれません。ですから、その際には、その状況によっては、これはまたそのときの判断をしていくべきであって、このときにこういう今回の整理が役に立つことを願っておりますし、私たちはそこまで真剣に議論しているということで委員の皆さんにも御理解をいただきたい、このように思います。

 それからもう一点、これはちょっと順番を変更します。それから、全ての質問ができないかもしれませんので、せっかくおいでいただいた方々には御容赦をいただきたいと思いますが、まず、領土・主権展示館の運営について、これは大事なことがございますので、お尋ねをいたします。

 これまでの国会の議論が実りまして、私もかねてより、我が国に、領土と主権に関する、国民に対する情報を提供する展示館をつくるべしという申し上げをしてまいりました。我が国には、一度もこういうものをつくったことがなかったんです、常設の展示館がございませんでした。

 本年の一月二十五日にこれを開設して、これはとても大きな一歩であったし、喜ばしいと思います。しかし一方で、その領土・主権展示館は、広さが百平米、三十人も入れないんですね。ですから、私は、日比谷公園のところにありますから、国会見学に来た子供たちが行ってもらえばいいなと思いますが、一クラスでいっぱいです。ぐるぐる回さなきゃいけない、こういう、社会科見学にもなかなか活用しづらい。

 それから、百平米ですから、展示物も限られますし、ジオラマですとかさまざまな貴重な資料も、現物のものがあるんですけれども、これも飾る場所もありません。ですから、わかりやすい展示も足りないし、北方領土も実はまだ、北方領土関係は北海道に施設がございますので、まあ、そういう理由があったわけではありませんが、結果的にはそちらもまだありません。

 しかも、この展示館は、入居している会館が、耐震工事のために平成三十二年の三月までに退去しなければならない。再来年で、来年度いっぱいでこれはまた別のところに移らなきゃいけないんです。ですから、せっかくつくった常設展示場の火を消さないように、移転先を確実に探さなければいけない、このように思うんです。

 そして、その際には、今、百平米です、私は千平米ぐらいあったって当然だと思っているんですけれども、やはりそういう大きさが必要です。それから交通アクセス、これに加えて、今は賃料を払ってお借りしていますから、これはやはり予算を考えれば、国の施設、さまざまなものがあるわけだから、そういった中に入居すれば経費、入居費は少なくともかかりません、家賃は。

 そういったものも考えて、展示館を大幅に拡張し、そして安定的な運営をしていくこと、これはとても重要なことだと思うのでございますが、国が管理する庁舎への入居の検討を含めて、今私が聞いているところでは、四ツ谷の駅前に、再開発事業が行われて、そこに国が取得する権利床がある、約七千平米ぐらいの権利床が取得できる、こういう話を聞いているんです。四ツ谷の駅前で、しかも大規模な施設の中で、迎賓館もあるし、集客のしやすい場所だと思うんですが、ここはとてもいいんじゃないかと思うんですけれども、これは今財務省に要望しているのかどうなのか、状況を聞いてもらいたい。ぜひ、この移転先は喫緊の課題であります。

 それから、展示館で見せてあるものは、これを地方に持っていって、企画展示として全国を行脚すればいいんですよ。せっかくいいものをつくっているんですから、この企画を生かして、全国区の企画展示、こういったものも私は検討すべきだと思っています。

 それから、外務省が今予算をとって調査委託事業を始めました。昨年から始まっています。一次的資料は、国の委託によって国問研が貴重な資料を集め、そして整理をしてまいります。そうしたものを使って展示をするという、国問研の領土のセンターとそれから展示館との連携というのは当然やるべきだと思いますが、そういったことを今どのように考えているのか。

 総括して内閣官房の方から説明いただきたいと思います。

山下(雄)大臣政務官 領土・主権展示館は、入居先の耐震工事のために平成三十一年度末までに移転しなければなりません。

 移転する際には、新藤先生御指摘のように、さまざまな点に留意する必要があるというふうに考えております。一つは、交通アクセスがよく、人が集まりやすい場所であること、二つ目に、国会見学などの際に立ち寄れる場所であること、三つ目に、御指摘のように、ジオラマやシアター、北方領土に関する展示などを充実させるのに十分な広さがあること、こうした点が不可欠であるというふうに認識しております。

 また、賃料などのコストを抑え、安定的に運営していくため、例えば現在開発中の四谷駅前再開発事業における国の取得部分など、国が保有する庁舎、施設などへ展示館を大幅に拡張して移転できるよう、財務当局に要望しているところであります。

 領土・主権展示館の移転先を確実に確保すべく、財務当局としっかり交渉してまいりたいというふうに考えております。

 加えて、地方での出張展示の実施や、外務省の国際問題研究所を始めとする関係機関及び地方自治体などとの一層の連携を図り、領土、主権問題にかかわる我が国の立場についての正確な理解が浸透していくよう、内外発信の強化に注力してまいりたいというふうに考えております。

新藤委員 しっかり対応していただきたいと思います。私たちも応援したい、このように思います。

 さて、大臣、到着いただいて、きょうは厳しい外交日程があって、そちらの方の頭でいっぱいだと思います。しかし一方で、基本は、この外務委員会で国会審議を進めていく、これも大臣の大きなお役目ですから、その意味で、すばらしい判断のもとで、しかもたくさんの処理をされているというふうに思います。まず、活躍を期待したいと思います。

 そして、その上で一点、これからアメリカに行かれるわけでありますが、何よりも、北朝鮮問題、これからどのように進めていくべきなのか、これはさまざまな観点があります。

 今は米朝会談です。

 そして、朝鮮半島の非核化。これは、核、それからミサイル、そして、核というよりも大量破壊兵器という意味では、生物化学兵器の問題もあると思います。ミサイルだって、たくさんの、さまざまな射程があります。米朝の中にはまらないものだってあるわけであります。

 そして、さらには、私たちとすれば、拉致は絶対に外さない、こういう問題があります。

 更に加えて、朝鮮半島の戦争状態の終結。こういう問題も出てくれば、それに伴って、朝鮮半島、またそれを含むこの東アジアの安全保障だって変わってくる。

 そして、私たち日本は、拉致の問題に加えて、日朝平壌宣言に基づく今度は日朝間の問題、また別次元のものがあると思います。ですから、複雑な方程式の中でやっていかなきゃいけない。

 まず、ここに来て北朝鮮が交渉の舞台に出てきたのは、これは、安倍総理を先頭にして、そして大臣が大活躍して国際社会に、圧力をかけようじゃないか、こういう日本の運動が実を結んだ、大いなる成果だと思います。

 その上で、これから私たちは国難を打開するための厳しい交渉をしていくんですが、一方で、話がちょっと動き出すと、バスに乗りおくれるなとか蚊帳の外に置かれているのではないのかというような声が時々聞こえますけれども、全く私はそんなことはないと思います。日本は、日本の信念を持って、そして戦略的に、時には距離を置き、あるときは大胆に、外交をやっていかなきゃいけない、こういうことだと思います。

 ですから、河野大臣がこれから朝鮮半島問題を解決するに当たって、私たちはどういうことをなすべきなのか、基本認識をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 おはようございます。

 今週、ウガンダ、そしてアルバニアの外務大臣が訪日されまして、外相会談、ワーキングディナーを行ったところでございますが、今の北朝鮮問題、国際社会が安保理決議に基づいて一致して、安保理決議の求めるところの経済制裁を国際社会が一致して履行できている、その結果、北朝鮮は対話の場に出てこざるを得なくなった、この共通認識というのは国際社会の中でほぼ全ての国が共有しているんだろうと思いますし、北朝鮮が現実に核、ミサイルのCVIDを達成するまでこの安保理決議に基づいた経済制裁を緩めてはならない、さらに、制裁逃れである瀬取りというような行為についても国際社会として断固対処しなければならない、対話することだけに見返りを出してはならない、こういう共通認識を広くさまざまな地域の国も持ってくれているというのが非常に喜ばしいことだと思っております。だからこそ、この米朝首脳会談という場へ北朝鮮が出てくることになったんだろうというふうに思っております。

 トランプ大統領がおっしゃっているように、北朝鮮には、早く非核化あるいはミサイルの放棄を達成して、経済制裁を早く解除してもらうか、あるいは、それをずるずると引き延ばし、結果として経済制裁、国際社会による経済制裁も長く続くか、そういういろいろな選択肢があるだろうと思いますが、国際社会は、CVIDが達成されるまでしっかりと協調して経済制裁を続ける、この立場に何ら変わりはございません。

 日本といたしましては、この米朝の会談を見きわめた上で、平壌宣言にうたっている核、ミサイルそして拉致問題の解決に向けて、北朝鮮が明確なコミットメントを出すことができるかどうか、それをしっかり注視してまいりたいと思っております。

 拉致問題につきましては、これは最終的には日朝間で解決しなければならない問題でありますが、核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決し、国交を正常化する用意がある、この基本的姿勢は、これまでも累次さまざまなルートで北朝鮮に対して伝えてきているところでございます。そして、北朝鮮がこの平壌宣言にうたう三つの問題を包括的に解決する用意があれば、国交を正常化し、その後、この北東アジアの安定と繁栄に寄与するであろう北朝鮮の経済の発展のために日本として支援をする用意がございます。

 できればそこまでこの一連の道のりでしっかりと達成してまいりたいというふうに考えているところでございます。

新藤委員 しっかりやっていただきたいと思います。私たちも役割を果たしてまいります。河野大臣の大活躍を期待しておりますので、お願いいたします。

 本日はこれで終わります。

中山委員長 次に、山川百合子君。

山川委員 おはようございます。

 きょうは、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正について御質問をしていくわけでありますが、先ほど新藤先生の質問に関連してちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 条約審議の手続についていろいろと御質問されていたわけでありますが、私は、国会と行政の関係について、今回のモントリオール議定書の審議を行うに当たって、条約が最終的に固まっていないものを外務省が持ち込んで国会の審議を要請してきたということは、国会としては容認しがたいことだというふうに思います。そういう経緯があったということであります。ですので、今後はこのようないいかげんなことが起きないように外務大臣には要求をしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 しっかり対応するようにしたいと思います。

山川委員 先ほど手続のいろいろなやりとり、質問が繰り返されましたが、私たちは、やはり、最終的に固まっていないものが出てきたということで、審議を今すべきではない、固まってからということで審議をきょうすることに至ったということは前例として非常によかったことだというふうに私たちは思っておりますので、ぜひ大臣にはよろしくお願いをいたします。

 それで、きょうは改正についての質疑なんですが、まず初めに、本条約そのものの目的であるオゾン層の保護の状況について、まずは確認をさせていただきたいというふうに思います。

 この条約及び議定書が採択されて、各国はオゾン層を破壊するフロンの使用の全廃に向けて取り組んできているわけでありますが、その取組によってオゾン層の破壊がどう食いとめられ、そしてまた、この取組がスケジュールどおり実行されることでオゾン層の回復の見通しはどうか、まずその点を伺いたいというふうに思います。

小野(洋)政府参考人 お答え申し上げます。

 地球規模のオゾンの量でございますけれども、一九八〇年代から一九九〇年代前半にかけて大きく減少いたしました。その後、モントリオール議定書に基づく国際的な取組、これが一九九〇年代後半に進みまして減少傾向が緩和し、一九九〇年代後半からはわずかな増加傾向が見られております。ただ、現在においてもまだ少ない状況が続いているということでございます。

 今後の回復でございますけれども、オゾン層の回復時期につきましては地域によって異なるわけでございます。最も回復が遅いと考えております南極域では、オゾン全量が人為起源のオゾン層破壊物質による大規模な破壊が起こる前である一九六〇年のレベルまで回復する時期、これは二十一世紀末までかかるというふうに予測されてございます。

山川委員 一九六〇年代のところにまで回復するには二十一世紀末までかかるということのお答えでしたので、ぜひとも、オゾン層の破壊による環境とそして健康、人体への影響というものに警鐘を鳴らされてこの取組がされておりますので、日本もそうですし、世界、協力して、ぜひ前倒しで進めていっていただきたいというふうに思います。

 確認をした上で、今回の改正についてお伺いをしていくわけであります。

 これは、二〇一六年にルワンダ共和国のキガリにおいて開催された第二十八回の締約国会合において採択されたものでありますが、この改正で規制の対象とされた物質というのは、オゾン層を破壊する物質ではないハイドロフルオロカーボン、HFCであります。

 このHFCの規制の目的は、オゾン層を破壊する物質の代替物質として使用が増大した、これがHFCであって、このことが実は非常に高い温室効果を有している、地球温暖化に影響があるということで今回規制の対象になったものであります。

 温暖化防止のための国際的な協力を定めたのは、国連気候変動枠組み条約、いわゆる地球温暖化防止条約でありますけれども、本来、温暖化の防止のための使用物質の規制はこちらの条約のもとで具体的に定めていくものであるのではないかなというふうに思うんですが、モントリオール議定書のキガリ改正の前年である二〇一五年の十二月に採択されたパリ協定ではなく、キガリ改正によって規制されたのはなぜか。

 そして、パリ協定においてHFCは温室効果ガス物質として規定はされているんだけれども、パリ協定では効果的にはこれを規制することができないのか。

 この点について確認をしておきたいと思います。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 モントリオール議定書は、委員御指摘のとおり、オゾン層を保護するということが主な目的ではございますが、この議定書に基づいて、まさにオゾン層破壊物質の生産及び消費の削減、規制を行った結果として、その代替物質であり高い温室効果を有するHFC、ハイドロフルオロカーボンの生産、消費量が増大することとなった、こういう因果関係があるということでございます。

 このような事情、因果関係を踏まえて、HFCを本議定書のもとで規制することが合理的であるということで国際的に合意され、そのための議定書改正が締約国の全会一致で採択されたということでございます。

 一方、御指摘のありました気候変動枠組み条約、いわゆる京都議定書、それからパリ協定につきましては、温室効果ガスの排出の抑制を目的とするものであり、特定の規制対象物質ごとに生産と消費の具体的な削減義務を課すモントリオール議定書とはその規制の態様にいろいろ違いがあるというところでございます。

山川委員 ありがとうございます。

 そうしますと、京都議定書、パリ協定のもとでは排出を減らすということが定められているわけでありますけれども、やはり、具体的に規制をかけていくということはなかなかパリ協定では難しいということでのお答えでよろしいんでしょうか。

鈴木(秀)政府参考人 委員御指摘のとおり、パリ協定は排出の削減を目的とするものでございます。そのやり方としましては、もちろん、もともと、そもそも生産を削減するというやり方もありますけれども、例えばCCSのように、一旦排出したものを取り込んで地中に埋めるということによって、結果的に大気への放出を削減するというやり方もあります。

 そういういろいろなやり方はあるわけでございますけれども、今回のこのHFCにつきましては、その発生起源、先ほども申しました、オゾン層破壊物質を削減した、その代替物質として出てきたということもあり、やはり生産量そして消費量を直接規制するということの方が適当ではないかという判断があったということでございます。

山川委員 専門家の間では、このキガリ改正がパリ協定よりもより実効力のある画期的なものだというような評価もされているということもちょっと伺っているんですけれども。ですので、このキガリ改正の内容がしっかりと進められていくことを求めるわけなんです。

 そこで、改正の内容について少し詳しく伺っていきたいんですけれども、今回の改正では、フロンの代替物質として広く使われてきたHFCを規制して、日本含む先進国は二〇三六年までに八五%の削減をしていくことが定められています。

 ですが、このスケジュールを確実に実行していく見通しは果たしてどうなのか。二〇二五年までは、フロン排出抑制法に基づく使用見通しから、定められている四〇%減まではもう既に大丈夫ということで、達成できる見込みであるようですけれども、その後についてはいかがなんでしょうか、達成の見込み、スケジュール等は。お願いします。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 フロン排出抑制法に基づきまして経済産業大臣が定める日本の代替フロンの使用見通しを踏まえますと、二〇二八年までの、基準値から四〇%削減という義務は、ただいま委員がおっしゃいましたように、現行の削減努力の継続で達成することが可能ではないかというふうに考えているところでございます。

 一方で、二〇二九年以降の、基準値から七〇%削減、最終的に二〇三六年以降は基準値から八五%減という、より厳しい削減義務となっております。このような非常に厳しい義務の達成に向けては、早期から代替物質の技術開発などの取組を計画的に進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。

山川委員 そうすると、まだ達成する見通しというものは立っていないということになりますでしょうか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げましたように、二〇二八年までは見通しが立っておりますけれども、それ以上は非常に厳しい削減義務ということでございまして、これを達成するためには技術上の課題をしっかり解決しなければ、今のところ見通しは立っていないということになろうかと思います。

山川委員 見通しが立たない中で先進国は二〇三六年八五%減ということを定めたんですけれども、見通しが立たない中で定めているということは、温暖化を抑制するのに必要な削減は八五%減だとか、何らかの基準があって八五%という数値を二〇三六年というところで定めたのではないかと思うんですが。

 では、逆に、なぜ一五%は残しているのか。なぜ、全廃ではなくて八五%であり、一五%を残しているのか。フロンの場合は全廃でしたし、代替フロンも全廃ということで今やってきていますよね。何回か改正も行われてきているわけですが。この時点での改正で、なぜ八五%で、そして、じゃ、なぜ一五%を残しているのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

鈴木(秀)政府参考人 委員のおっしゃるとおり、まずオゾン層破壊物質を規制する、全廃する、そして、さらにその代替物質も全廃する、そしてさらに、その代替物質のかわりとして出てきたものをこれも規制するということで、そういう意味では、非常に、どんどん規制が厳しいところに来ているということもあろうかと思います。そのような状況を踏まえて、国際的に八五%ということに合意されたものだというふうに考えております。

山川委員 もう一度聞いていいでしょうか。ちょっと答弁がよくわからなかったので、もう一度お願いします。

鈴木(秀)政府参考人 おっしゃるとおり、したがいまして、フロンについては全廃、いろいろなほかのものもこれまでは全廃ということで定めていたわけでございますけれども、そのさらなる代替物質ということで出てきたハイドロフルオロカーボンについては、そういうこれまでのフロン等の削減結果、削減をしたものの代替として出てきた、それを更に全廃するということは、いろいろ産業にも影響がそれなりにあるというような、そういう現実の問題を踏まえて、この八五%という数字が出てきたものだというふうに理解をしております。

山川委員 そうすると、見通しの立たないまま数字だけ定めたというお答えだったように思いますけれども、では、このキガリ改正でHFCを具体的に規制、生産と消費、あと貿易を規制していくわけですけれども、このことが温暖化の防止にもたらす効果についてお伺いをしたいというふうに思います。

 パリ協定では、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて二度より十分低く保ち、一・五度に抑える努力をするということが世界の目標として掲げられたわけですけれども、今回のこのキガリ改正のHFCの規制のスケジュールでこの目標が達成されることによって、気温上昇の抑制に対してはどの程度の効果が見込まれているんでしょうか。

鈴木(秀)政府参考人 国連環境計画やこのモントリオール議定書の事務局によりますれば、改正された議定書の規定に従ってHFCの生産、消費が削減されれば、今世紀末までの世界の気温上昇が最大〇・五度抑えられるというふうにされているところでございます。

山川委員 〇・五度というのは、二度のうちの四分の一ですから、非常に大きなものだというふうに思うのですけれども、この〇・五度というのが達成というか、スケジュールどおりに各国が取り組んで、その取り組んだ結果、〇・五度というふうに見込まれているわけですから、この改正を条約の締結国全てが批准するということが当然大前提になるわけですよね。

 この発効は来年の一月一日であるわけですけれども、各国の批准の見通しと、その後、これまで四回の改正は、百九十六カ国、あとEUが全て締結をしている、批准をしているということですけれども、この改正についてはどういう見通しなのかということを伺いたいと思います。まず、お願いします。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一八年五月現在、英国、ドイツ、カナダ及び豪州を含む三十七カ国が本議定書改正を締結済みでございます。現在、その他の国においても順次締結の手続が進められていると承知をしております。

山川委員 特に、アメリカと中国が批准するかどうかというのは非常に重要だというふうに思うんですね。地球温暖化の原因として、二酸化炭素の排出量では、世界一位が全体の二八%を占める中国で、二位が一五%を占めるアメリカですから、この二国が批准するかどうかというのは極めて重要であるということは明らかであろうというふうに思います。

 そもそも、HFCの削減に向けたこのモントリオール議定書の改正の背景には、オバマ政権時代に非常に熱心に積極的に取り組んだということがその背景にあるわけですけれども、その後誕生したトランプ政権では、オバマ前政権が行ったさまざまな気候変動対策を撤廃するなどの動きを進めているというふうに思います。

 このオバマ政権の気候変動計画にはHFCの排出削減が含まれているわけですから、このキガリ改正について、米国が本改正を締結する方針に変わりがないのかどうかというところがとても気になるわけであります。

 日本として、温暖化防止そしてHFC削減に向けてアメリカが積極的に取り組むよう促していく必要があるというふうに思いますが、政府としては、どのような基本認識をお持ちなんでしょうか。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 米国の本議定書改正の締結に向けたスケジュールはまだ明らかになっておりませんが、関係省庁、すなわち国務省、環境保護庁等において、締結についていろいろ検討されている段階にあるというふうに承知をしております。

 また、中国につきましても、具体的なスケジュールは明らかにされてはおりませんが、本議定書改正の締結に向けて国内で積極的に取り組んでいるところだと承知をしております。

 我が国としては、引き続き、両国の動向を注視しながら、本議定書改正を早期に締結することを通じ、改正された議定書の効果的な実施に向けた機運の醸成を図っていきたいというふうに考えております。

山川委員 では、続いて、その代替フロンであるHFCにかわる物質としてのグリーン冷媒についてお伺いをしていきたいんです。

 先ほど、まだ見通しが立っていないということで、御答弁の中では、グリーン冷媒の開発がまだ十分ではないというような話はなかったわけですけれども、じゃ、その代替のものが開発されなければ削減は難しいわけでありますから、グリーン冷媒の開発、開発し、そしてそちらに転換していくことは非常に重要であるわけであります。

 この開発と転換状況なんですけれども、家庭用の冷凍冷蔵庫や自販機、自動販売機については、新規出荷分は全てグリーン冷媒に転換済みである一方、業務用エアコンや家庭用エアコンは代替冷媒候補を検討中の段階というふうに聞いています。このような状況でスケジュールが達成できるのかどうかが心配なわけであります。

 日本では代替候補を検討中ということでありますが、例えば欧州などは、グリーン冷媒への移行を、もう随分前から積極的に移行してきているという話もちょっと聞いたことがあるんですね。アメリカの方は代替フロンを使ってきた、たくさん使ってきた。欧州は、できるだけフロンからグリーン冷媒に移行できるような取組を積極的に行ってきた。日本はその中間だという話もちょっと聞いたこともあるんですけれども、このグリーン冷媒への移行、日本国内そして世界的な状況、開発の分野も含めて、どのような状況になっているのか、お伺いしたいと思います。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと、世界的な状況につきましては、当方に資料がございませんので、国内の状況を御説明させていただきますと、グリーン冷媒につきましては、代替フロンに比べまして、一般的に、燃焼性を有したり、あるいは適切な温度で気化、液化しないといった物性面の課題がございます。こういった技術上の課題を克服して、先ほど申し上げました八五%削減の見通しをつけてまいりたいということでございますが。

 このため、冷媒量が少なく、冷房用途のみのカーエアコンなどにつきましては、グリーン冷媒への転換の目途が現在立っているところでございます。冷媒量が大きく……(発言する者あり)はい。家庭用や業務用エアコンでは転換の目途が立っていないというのが現状でございます。

 例えば、燃焼性を有するものにつきましては、漏えいした場合等、着火のリスクをやはり考慮する必要が生じますけれども、その評価手法などが現在確立していないということでございまして、このため、経済産業省におきましては、平成三十年度から、燃焼性に関するリスク評価手法を世界に先駆けまして確立する産学官のプロジェクトを開始することとしたところでございます。これによりまして、グリーン冷媒の技術開発を獲得し、加速いたしまして、世界的な国際競争がございますので、そういったものにも資するようにしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

山川委員 もう少し詳しく伺っていきたいんですけれども、例えば大型業務用冷凍冷蔵庫については、グリーン冷媒として空気を利用するということのようですけれども、ちょっと私、自分で調べてみたところ、日本のある企業がNEDOのプロジェクトで、エネルギー使用合理化技術戦略的開発事業で、三年間の開発と、それからその後の二年間のフィールドテストを実施して実用化にこぎつけている、製品を発売をしている。これは二〇〇八年ですね。

 これは、空気という安全で画期的な冷媒の活用と、あと、省エネ性能をあわせ持つ新技術の運用を確立したということで非常に画期的だったようであるんですけれども、こういった日本の技術というものは国際社会に大いに貢献できるものというふうに私は考えるわけでありますが、新技術の開発に日本政府としてより積極的にバックアップしていくべきと考えているわけであります。

 このグリーン冷媒の開発に向けてどのような事業を政府として後押しをしているか。このグリーン冷媒の開発は大きなビジネスチャンスにもつながるものというふうに考えておりますけれども、具体的な事業と、また政府の認識についてお伺いをしたいというふうに思います。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員から御指摘ございましたように、大型の冷凍庫等につきましては、空気あるいはアンモニア、CO2を冷媒といたしましたものが既に実用化されております。これは、冷凍庫といたしましては非常に大がかりな設備でございますので、大きな圧力をかける設備が可能だということで、そういったことができるようになっておるところでございます。

 一方で、先ほど申しましたように、小型のものにつきましては、なかなかそういった大規模な圧力をかけることができないということで、別途の、燃焼性のあるような冷媒を使わざるを得ないということもございまして、先ほど申し上げましたような産官学のプロジェクトで、燃焼性のリスク評価を世界に先駆けて確立するプロジェクトを開始したということでございます。

 そのほか、こういった手法をもし開発できましたら、国際標準化を図ることによりまして日本のすぐれた技術を海外に展開する、そういったことを目指しているところでございます。これにより、世界の温暖化防止に貢献するとともに、日本企業の新たな市場獲得にもつなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山川委員 さらに、ちょっと確認をしておきたいんですけれども、HFCは、オゾン層を破壊しない物質として、フロン代替物質として、代替フロンとしてその使用が急激にふえた物質であるわけですけれども、しかし、それが急激にふえてしまった。それが今度は、地球温暖化の原因となる、これはCO2で換算すると百倍から一万倍もの温室効果ガスであるということで、今度は規制されることになったわけであります。

 そうしますと、この代替フロンの代替として開発される、新技術としてグリーン冷媒、こちらも、今度は次に新たな環境の負荷、温暖化の部分はちゃんと計算されているから大丈夫なわけですけれども、温暖化に対する負荷はちゃんと計算されていますが、新たな環境に負荷をかけるものでないかどうかということについては、研究等、ちゃんとした評価する、この代替物が大丈夫だということを評価するような仕組みはあるのか、この点について、ちょっと確認のため伺っておきたいと思います。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、代替フロン冷媒にかわりますグリーン冷媒ということで推進しているものにつきましては、いわゆる温暖化係数が非常に小さなものということで推進しておりますので、温暖化係数をはかることによりまして、そういったものが代替、グリーン冷媒として適当かどうかということで進めてまいりたいというふうに思っております。

山川委員 それから、ここまでちょっと細かく確認してきたんですけれども、少し外交交渉のことで伺っていきたいと思うんです。

 この今回のキガリ改正をめぐっては、日本の、日本政府の存在が余り見えてこないという印象を私は持っております。

 さっきもちょっと触れましたが、専門家の間ではパリ協定でも画期的だとさえ評される今改正でありながら、その改正に当たって日本はどのような役割を果たしてきたのか。多数国間基金にも日本は多額の拠出をしておりますけれども、具体的にどのような貢献をしているのか。お金は出しているけれども、具体的にどのような貢献をしているのかというのがなかなか見えてこないような印象を持っております。

 より積極的に交渉の主導権をとるべきであるというふうにも考えるわけなんですが、この交渉において、また途上国支援において、日本政府がどのような役割を果たし、また具体的にどのような途上国支援を行ってきているのか、そしてまた今後行っていくのか、それについてお伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 このハイドロフルオロカーボンは、オゾン層を破壊する効果を有しませんが、高い温室効果を有することから、二〇〇九年以降、その規制の必要性がモントリオール議定書のもとでも提起されるようになりました。こうした中で、ハイドロフルオロカーボンをモントリオール議定書のもとで規制することが、約七年にわたる協議の末、国際的に合意され、そのための議定書の改正が二〇一六年十月の締約国会議で、締約国の全会一致で採択をされました。

 日本は、議定書改正に係る協議において、G7諸国を始めとする主要先進国と連携しつつ、積極的に対応をいたしました。特に、協議が大詰めを迎えつつありました二〇一六年五月、日本が議長として取りまとめた伊勢志摩サミットの首脳宣言において、議定書改正を二〇一六年中に採択するとのG7のコミットメントを盛り込み、この改正の採択実現に向けた国際的な機運の醸成に大きく貢献をいたしました。

 日本は、多数国基金のもとでのプロジェクトの実施を通じ、これまでフロンを始めとする規制物質の着実な削減が達成されている中で、日本は、同基金に対する、米国に次ぐ第二位の拠出国となっております。こうした基金の活用により、議定書が上げてきた成果やそのための我が国の貢献に関し、引き続き、国民の理解を得られるよう、しっかりと周知、広報に努めてまいりたいと考えております。

山川委員 大臣に御答弁いただいたんですけれども、印象ですけれども、マスコミでも余り取り上げられないし、余り日本政府の貢献とか交渉過程というのが国民に伝わっていないのではないかなという印象を持っているわけであります。

 そこで、最後に大臣にお伺いいたしますが、日本政府の環境外交への積極的な取組について伺いたいというふうに思います。

 今世界が直面している環境問題というのは、オゾン層の破壊にしても、また地球温暖化にしても、あるいは海洋汚染とかいろいろありますが、世界全体の共通の課題であり、人類がともに取り組んでいかなければ解決あるいは改善に向かうことができない深刻な課題であります。片側で、産業の発展や経済の発展を脇に置いてよいわけではない、だからこそ、サステーナブルディベロップメント、持続可能な開発という概念が打ち出されて、環境と開発は互いに反するものではなくて共存し得るものだというふうに捉えられて、環境保全を考慮した節度ある開発が可能である、重要である、こういう理念が打ち立てられているわけです。

 これは、世界共通のものになっているというふうに思いますが、環境外交において日本こそがもっとリーダーシップを発揮していくべきであり、日本であるからこそそれができるというふうに、技術の面でもそうですし、日本だからこそリーダーシップを発揮していくことができるというふうに私は考えるわけであります。

 環境外交こそが日本がとり得る非常に重要な平和外交というふうに私は考えるわけですし、また、日本の技術をもってすれば大きなビジネスチャンスもつくれるというふうに思うわけですが、日本政府としてもっと積極的に世界の環境外交にリーダーシップを発揮していくことについて、河野大臣の御認識、お考えをお伺いしたいというふうに思います。

河野国務大臣 外務省といたしましては、気候変動というのは外交の中でも非常に大きなテーマであるという認識のもと、気候変動外交を掲げております。しっかりこうした問題に取り組んでまいりたいと思っております。

 日本の大きな問題の一つは、日本が技術を持っているからこういうことにリーダーシップをとれるんだということはよく言うわけですけれども、残念ながら、大きなビジョンを掲げて、そこへ向かって英知を集めていこうということが今まではなかったのではないか。一つ一つ見えているものを積み上げているだけで、極めて短期的な目標しか設定することができなかったというのがやはり大きな失敗だったんだろうと思います。

 大きなビジョンを掲げ、長期的にそれを達成するためにどのように取り組んでいったらいいのか、そうした観点から世界のリーダーシップをやはりとっていく必要があろうかと思っておりますので、外務省として、大きなビジョンを掲げ、当面答えはなくとも、それに向けて全世界を引っ張っていく、そうした外交を展開してまいりたいと思っております。

山川委員 ありがとうございます。いい御答弁を本当にいただけたと思います。

 これまでの問題として、大きなビジョンを掲げていないで目の前のことに対処してきたというようなところに課題があったということで、ビジョンを掲げて、長期的な視野を持って積極的に取り組んでいきたいという御答弁をいただけましたこと、ぜひ頑張っていただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 国民民主党の小熊慎司です。

 今ほどの山川議員の最後の質問の答弁、まさにこのモントリオール議定書が、今回の改正がそういうことであって、確立されていない技術でありますけれども、まさに目標を掲げて、しっかり地球環境に寄与していこうということであります。

 だから、目標値も一〇〇%ではなくて、少し幅を残しているというのはそういうところにあって、先ほどちょっと気になることが、産業界の負担をって、違うんですよ。確立していない技術だから一〇〇%と約束していないだけで、それでも高い目標値になっているというのが今回の改正の認識で、残された一五%というのはそういうことです。

 でも、一五%残すといっても、そこまで持っていくのにも大変な努力が必要でありますし、こうした、ある意味、自己啓発でいうところの引き寄せの法則なんというのが今はやっていますけれども、まさに地球規模の課題を解決するという意味でも、引き寄せの法則じゃないですが、高い志、目標を掲げて、そこに向かって英知を結集していくということが必要でありますし、そういう意味では、ちょっと外れますけれども、河野大臣も目標にしている脱原発なんというのも、現実にできないんだじゃなくて、まさに掲げてやっていくことで達成をしていくということが大きな目標で、ここはまた、違うところで大臣とは一致協力してやっていきたいというふうに思っています。その笑顔で全てが語られていると思いますから、ここは後、議論しませんが。

 そういう意味では、消費量の見通しを踏まえて、回収なんかもまだちゃんと確立を、きちっと回収できるという技術も実は完璧でもないわけでありますし、この回収の方法、そして、代替フロンのまさに代替をどうやっていくか、また、それに対応する機器をどう開発していくかということが重要になってくるというふうに思います。

 この新たな代替のもの、ガスと、それに伴う機器への対応、技術開発ということに対しての対応、今後の対策についての見解をお伺いいたします。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二九年以降は基準値から七〇%削減ということで、より厳しい削減義務となっているところでございまして、このような厳しい削減義務の達成に向けましては、早期から代替物質の技術開発などの取組を計画的に進めていく必要があるというふうに考えております。

 現時点で、温室効果の低い代替冷媒を機器に用いる際の燃焼性等のリスク評価の手法が確立されていないということを先ほど指摘させていただきましたが、そのことが開発のネックになっているという現状がございます。

 このため、今年度予算でそうした燃焼性等に関するリスク評価の手法を確立するプロジェクトを開始しているところでございまして、こういった新たな開発したリスク評価の手法を国際標準に反映していくことによりまして、日本の冷凍、空調技術の国際競争力の強化につなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。

小熊委員 それで、技術開発もさることながら、先ほども議論ありましたが、新たな冷媒も、まだこれだというものにはなっていないわけです。

 今回の議定書の改正を踏まえて、いろいろな年限、数値目標を考えると、この新たな冷媒も、おおよそ二〇二五年ぐらいまでには確立というか、これでいこうというのができていなきゃいけないんですね。具体的な年限が区切られる、数値が区切られていて、そこから年限を想像していくと、二〇二五年にはこの研究を終えていなきゃいけない、新たな冷媒、これでいこうというのが。

 それに対しての工程表づくりというのは、しっかりできていますか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 代替フロンにつきまして、二〇二九年度以降非常に厳しい目標でございますので、これを達成していくためには、事業者あるいはユーザーによる協力によりまして機器開発を進めていくことが非常に重要だというふうに認識しております。

 そのため、フロン排出抑制法におきまして、今般のモントリオール議定書改正の議論に先駆けまして、二〇一五年になりますけれども、フロン類の使用合理化のため、二〇二〇年度と二〇二五年度のフロン類の使用見通しを設定いたしました。

 今般、このモントリオール議定書の改正を踏まえまして、既に設定しております二〇二五年度の使用見通しの見直し、そして、二〇二九年度に向けまして使用見通しの設定の議論を今後してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 このようなフロン類の将来の使用見通しスケジュールを明らかにすることによりまして、事業者による機器開発を促すということは非常に重要であるというふうに考えておりますので、こうした取組を通じまして代替フロンの削減を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

小熊委員 事業者に開発を促していくということ、年限を切ってということですが、実際、この開発に関しては、単に年限を切って、これで頑張ってくださいと尻をたたくだけではなくて、やはりインセンティブを発揮していかなければいけないというふうに思っています、この開発に関してですね、開発者、事業者。

 まさにそこに向かって新しい技術開発をしていくという、これも年限が決まっていますから、そこに向かってしっかり開発が促進されるようなインセンティブ政策は、どういうふうにしていきますか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 代替フロンの製造量、輸入量の割当てという制度がございまして、その運用におきまして、各事業者の実績を踏まえた形を基本としつつ、画期的に温室効果の低い製品の製造あるいは輸入というものに対しましてインセンティブを付与することを今考えているところでございます。

 現在、各事業者への割当てにつきましては、各事業者の安定供給の確保あるいは事業の継続性に留意しつつ、議定書上の義務を遵守すべく、個別の事業者に対しまして、前年実績をベースに一定の削減率を掛けた代替フロンの数量を割当てする予定でございます。

 ただし、これを一律に適用するだけでは、各事業者にとりまして新たに冷媒開発などに取り組むインセンティブが損なわれまして、温室効果の低い冷媒の実用化の可能性を妨げるということにもなりかねないのではないかというふうに考えているところでございます。

 このため、将来、日本全体で代替フロンの量の削減を加速することが期待できるような画期的な冷媒の製造、輸入を行う事業者に対しましては、インセンティブといたしまして、総量上限の枠内で追加的な製造あるいは輸入の枠の割当てを行うことを考えているところでございます。

小熊委員 インセンティブ付与を具体的に検討されているということで、これはだから二つあると思うんですね。開発のためのインセンティブ、あと、これを普及させていくための、使用する側の事業者へのインセンティブ。

 まずは、技術、新しい冷媒が確立されていませんから、まずはそっちの方を先にインセンティブ付与して、開発が促進されることを努力していただきたい。その上で、これを普及させるため、代替フロンから新しい冷媒にかえていくための普及のためのインセンティブ、こういう二段階が必要だというふうに思いますので、そういった観点からぜひ対応していただきたいというふうに思っています。

 これは国際的な合意の話でありますし、地球規模課題というのは日本一カ国で達成するものでもありません。日本は先進国、技術力の高い国でありますし、そういった意味においては諸外国との連携が必要となってきますし、また、日本の立場として、ほかの国へのこの普及促進への支援といったことも必要になってくるかというふうに思っています。

 そういう意味で、こういった他国との協力、支援のあり方についてはどのようにされていくか、お伺いいたします。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 モントリオール議定書に基づく多数国間基金は、途上国である締約国が議定書上の義務である規制物質の削減を行うために必要となる生産設備の転換、あるいは代替物質の使用に関するさまざまな実証事業、それから国内法制度の整備、そういったプロジェクトの実施を今支援しているところでございます。

 現在は、主にHCFC、ハイドロクロロフルオロカーボン削減対策に関するプロジェクトを行っているところでございますが、今回の議定書改正を受けて、今後は、HFC、ハイドロフルオロカーボンの削減対策についても同基金により同様の支援をすることが想定されているところでございます。

 我が国としては、引き続き、同基金が効率的、効果的に運用されることを通じ、途上国による議定書上の義務の円滑な履行が図られるように貢献していく、そのような考えでございます。

小熊委員 そういう意味では、先ほど山川議員の最後の質問にあって大臣がすごくいい答弁をされたとおり、この議定書自身が、まさにある意味画期的な取組だというふうに思っています。

 まず目標値を掲げ、確立されていない技術であっても、目標値を掲げ、そこに英知を結集していく、そこで日本外交のリーダーシップを発揮していくということにおいては、まさに、国内対策がしっかり充実をしていくことはもとより、他国間への協力支援といったものをやってこそまさに意味がありますし、それは日本の国益というよりは地球益として必要な視点でもありますので、ぜひ、国内での努力、また海外での協力連携といったものをしっかりこの議定書に沿ってやっていただきたいということと、これはモントリオール議定書ということだけではなくて、こういった外交姿勢というものがこれからまさに必要になってくるというふうに思いますし、グローバル化する社会の中で、地球規模の課題もまた山積もしているわけでありますので、こうしたアプローチの仕方をどんどんどんどん違ったところでも生かしていただきたいということを申し述べまして、次の質問にさせていただきます。

 DAIKU二〇一八という取組が外務省でされています。

 きょう六月六日は、松江豊寿さんの誕生日にも当たります。松江さんというのは、会津出身で、陸軍少将まで上り詰め、百年前に、徳島県鳴門の板東俘虜収容所の所長として活躍をされ、非常に人道的な俘虜の扱いによって、当時のドイツ俘虜たちがそこで第九の初演を行った。日本だけでなくてアジア第九初演百周年という年で、外務省としてもこの支援をしていく、日独のみならず、こうした人道的、平和的な思いを広げていくために、DAIKU二〇一八というプロジェクトを立ち上げていただいて、御支援をいただいています。

 先週末、金、土、日と鳴門で百周年の記念のコンサート並びに関連事業が行われ、私も会津第九の会会長といたしましてコンサート、演奏会に出演をしてきましたが、それに先立つ記念行事に堀井政務官がお出になられたということで、大変ありがたいなと思っています。

 今年度の取組ですからまだ途中経過でありますが、このDAIKU二〇一八についての成果についてお伺いをいたします。

堀井(巌)大臣政務官 お答え申し上げます。

 ちょうど今から百年前の一九一八年六月一日に、第一次世界大戦期でございましたが、現在の徳島県鳴門市にありました板東俘虜収容所のドイツ軍捕虜の方々によって結成された楽団が、日本で初めてベートーベン交響曲第九番、第九を全曲演奏しました。それからことしでちょうど百年を迎えることを記念いたしまして、日独両政府は、本年をDAIKU二〇一八と名づけまして、日本及びドイツで開催されます第九にちなんだ事業を「DAIKU二〇一八」記念事業として認定し、第九を通じた日独交流、相互理解を促進をしてきております。

 去る六月一日に、委員御指摘のとおり、徳島県鳴門市で百周年記念式典が開催されまして、私も出席をさせていただきました。その場では、ドイツとの交流に携わっておられます鳴門市民の方々あるいはドイツ人捕虜の子孫の方々からさまざまなお話を直接伺うことができまして、第九を通じて両国の市民や自治体間で活発な交流が行われていることを改めて実感をいたしました。

 この背景でございますが、委員も今お述べいただきましたが、ちょうど当時の収容所の所長が、松江豊寿所長、会津若松の出身の方でございまして、この方がドイツ人捕虜の住環境改善に尽力をするなど、捕虜の方々に対して大変人道的な対応をされたということでございます。それを受ける形で、一九一八年六月一日に、この捕虜の方々が同収容所内にて地元のオーケストラの方々と合唱団を共演するという形をもって、初めて第九を全曲演奏したという経緯でございます。また、その後も、地元の方々は、同収容所で亡くなったドイツ軍兵捕虜を弔うための慰霊碑を守ってこられたところでございます。

 本年、日本においては、会津若松も含めまして、全国各地におきましてさまざまな演奏会等が開催される予定でございます。また、ドイツにおいても、陸上自衛隊中央音楽隊が訪問して、各地で第九の演奏を行っているなどの取組がございます。

 引き続き、DAIKU二〇一八を通じた日独友好関係の促進に向け取り組んでまいりたいと存じます。

小熊委員 このお話、実はこの委員会でも数年前にやったことがあるんですけれども、これは実は外交上も寄与していた話で、当時、不平等条約を解消したばかりである中で、日本の軍隊の当時の文化でいえば捕虜というのはひきょう者だということで、劣悪な環境に置かれ、非人道的な扱いをされていましたが、この松江所長は武士道精神をもって扱ったという経緯があり、しかしながら、上層部からは、会津人のくせに何をやっとるんだと言われたわけですよ。差別があったわけです。会津は少将どまりといって、それ以上は出世をさせてくれませんでした。

 今内閣府でやっている明治百年の中で、明治政府は機会均等に人材を登用したと書いていますけれども、全くこれは事実と異なっていまして。ただ、このとき松江所長が、何をやっているんだと怒られたときに、単に人道主義だけを言うのではなくて、不平等条約を解消して一流国の仲間入りをしているのにもかかわらずそうしたことをやったのでは二流国のそしりを受けるということで、上層部に押し返して、これを貫き通したという経緯があります。そういう意味では、これは外交上の歴史にも載るべき話であります。

 外務省として支援いただいていますけれども、ロゴマークをつくって、これを使っていいですよというだけで支援なんですね。これを決めたときに、小熊議員、これは支援決めましたからと、外務省が鬼の首をとったように私に御報告いただきましたけれども、では何を支援してくれるんだといったら、このマークだけなんですね。

 これは金をかけてマークもつくってというけれども、これがどう効果的になって、どう日本じゅうに広まっているかというのはきちっと、今長々と説明して、ありがたいんですが、実際厳しく言うと、何の成果になっているのかなと。使っている我々も、これでどう一般の人たちにこの意味が知れ渡っていくのかなというのがあります。こんな、こんなと言うとつくった人に悪いけれども、ロゴマークをつくるのであれば、そういう演奏会に些少でも支援金をいただいた方がよっぽどいいなというふうに思っています。

 これはここで終わりますけれども、この手の話が支援といって多くて、やっておけばいいみたいな、やりましたというアリバイ的なものがちょっと散見されますので、ちゃんと効果の上がるこうした支援をしていただきたいというふうに思っています。

 これはまだ継続中でもありますから、ロゴマークをつくったからこれは達成したという話ではなくて、ちょっともう少し、この後担当者と議論させていただきますけれども、しっかり成果の上がるための支援のあり方というのは、こういう市民レベルの国際交流に関しては、表面づらだけじゃなくて結果の出る支援策というのを今後しっかり検討していただきたいと思っています。これは、やったといっても、何の成果かというのは実は何もありません。ぜひよろしくお願いいたします。

 次に移りますけれども、過日行われました党首討論でも、我が党の玉木代表が総理とも議論させていただきました。アメリカとの外交、貿易についてであります。

 これは、トランプさんですから、普通のとおりにこれは解釈してはいけないんですけれども、やはり自動車関税の引上げというのは、これははっきり言えば狂気の沙汰です。

 これはTPPの議論のときも言いましたけれども、自由貿易で利益が拡大するというのは経済上のセオリーでもありますし、お互いウイン・ウインになるというのは、これは自由貿易協定によって経済規模が膨らむということで、どっちの国にとってもいいということのあらわれなんですけれども、これはそれぞれの国内におけるさまざまなマイナス部分も生じるのは事実でありますけれども、これを埋めるために、国内対策でやるのではなくて自由貿易から遠ざかっていくというやり方は、逆にこれは利益から遠ざかる話であり、トランプ大統領もアメリカ・ファーストと言って、表面づらはアメリカ・ファーストだとしても、根本的には逆にアメリカ・ファーストになっていない、アメリカ自身が自分の首を絞めているということになっているというふうに思います。

 まずは、玉木代表は総理の見解を聞きましたけれども、あえて外務大臣に、自動車関税引上げについてお伺いをいたします。

河野国務大臣 まず、先ほどの小熊議員からのさまざまな行事への支援のあり方でございますが、これは、本当に効果が出るものでなければ意味がないわけで、これはどういうやり方がいいのかというのは、きちんと効果を見た上でしっかり評価をしていきたいというふうに思います。御指摘ありがとうございます。

 アメリカの商務省が、自動車及び自動車部品の輸入に関し、通商拡大法第二百三十二条に基づいた調査を開始したところでございますが、具体的な措置が決定されたものではありませんので現時点において予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思いますが、ルールに基づく多角的な貿易体制を重視する我が国といたしましては、いかなる貿易上の措置につきましてもWTO協定と整合的でなければならないというふうに考えておりまして、今後、日本に悪影響が生じることがないよう、しっかり動向を注視してまいりたいと思います。

小熊委員 堀井政務官、参議院の方があるそうですので退席していただいて結構でありますが、ぜひ、今大臣も言っていただいたので、しっかり成果の上がる検討をしていただくことをお約束していただいて、どうぞ退席してください。

 今、大臣おっしゃっていただいて、これは経緯も推移もしっかり見きわめていかなければなりませんが、これまでも冷静に、また事実をもって、数字を持って、外務省としてもアメリカ側を説得しているというか、さまざま、別に損しているわけじゃないんだといろいろな説得、交渉していたというふうに思っています。ただ、トランプさんがゆえにセオリーどおりにいかないというのが、今アメリカとの関係だというふうに思っています。これまで、外務省も大臣もちゃんと正論を言い続けてきた中で、全然それが、説得がきいていないというのが現状だというふうに思っています。

 これは、自動車に限らず、一方的な関税措置というのがこれまで続いてきましたし、この間のG7でも、ある意味では一対六になって、アメリカが孤立しているという状況です。孤立していながらも、そっちに突っ走っていってしまっているというのが今のトランプ外交であり、また、いろいろなツイッターの配信にしても、次の日に発言も撤回したり変わったり、ふらついている。まさに不確定な中でのアメリカとのつき合いを続けなければならないというのが、今の大きな世界じゅうの悩みだというふうに思っています。

 一部評価のある、安倍総理とトランプ大統領との関係性の深さというような評価もありますけれども、僕は、そこは余り寄りかかってはいけないなというふうに思っています。というのは、安倍総理のケミストリーとトランプ大統領のケミストリーは全く違うものであって、まして、トランプ大統領と関係が深いというふうに言い切ってしまうことがリスクが生じると思います、ああいう人間性を持った方というのは。信じちゃいけない、逆に、きちっと一定の距離感を持ってつき合っていかなければしっぺ返しを食らうというのが私の見解であります。

 そういった意味では、ぜひ外務大臣においては、冷静に、トランプ・アメリカ外交と適正な距離感を持ってやるということが重要だというふうに思います。その関係性の親密さ、深さを言うというのであれば、トランプ大統領の不確定なものと一緒につき合っていくということになりますから、ここはやはり外務大臣には期待したいと思いますけれども、一定の距離感を持ってこうしたものに対応していくべきだと思いますが、御見解があれば。

河野国務大臣 日米関係というのは、貿易だけでなく、安全保障その他さまざまな関係がございます。北朝鮮問題しかり、あるいは、さまざまなアジアにおける安全保障に関しても日米関係でございますので、首脳同士が非常に深い関係にあって、じっくり物事について話をすることができるというのは、日米関係にとっては極めてプラスに働いているというふうに認識をしております。

小熊委員 これ以上そこは議論しませんが、ただ、リスクがあるということは、認識は大臣もしているというふうに思いますし、そもそも人種差別的な発言までする、これは大統領以前に人としてどうかと思う部分も持っているトップでもありますから、ぜひそこは冷静にやっていただきたいし、属人的な部分、そういった部分がふえてしまうということは外交上のリスクにもなりかねませんので、個人の関係性は、トランプ大統領だからこそ余り誇るべきではないということをあえて申し上げ、次に移ります。

 ロシア課長が九カ月停職をされたということが発表されました。ただ、この経緯についてはさまざま、被害者に対するプライバシーのこともあるので説明が控えられておりますけれども、これは重大な事柄であります。

 かつて、ひもとけば、アメリカにおいて有罪判決を受けた傷害事件、これで停職六カ月です。これを超える九カ月というのは相当重いわけでありますし、一部言われているセクハラということであれば、今、野田担当大臣のもとでこの再発防止策も検討されているというわけでありますから、これは、あえて聞きます。なぜ停職九カ月なのか、経緯をお伺いいたします。

河野国務大臣 国家公務員としての信用を損ない、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない行為を行ったことを受けて、国家公務員法に基づく懲戒停職九カ月を科したということでございます。

小熊委員 もう少し具体的には説明できませんか。だって、そういう理由であれば、これはうがった言い方をすれば、ちょっと気に入らない官僚がいれば、その理由で何ぼでも処分できちゃうんですよ、ふさわしくないというだけで。非常に定量的じゃないわけですね、客観的じゃない。

 もう少し、客観的な事実としての九カ月の意味を教えてください。

河野国務大臣 さまざま、総合的な判断をしてのことでございます。

小熊委員 具体的には言えませんか。

河野国務大臣 過去の類似の事例を踏まえ、総合的に検討した結果でございます。

小熊委員 報道にあるとおり、セクハラということでよろしいですか。

河野国務大臣 被害者の特定につながることを含め、被害者が知られたくない情報につながるようなことは、一切、対外的にお答えをいたしておりません。

小熊委員 このセクハラや、いわゆる一般の社会でレイプなどがなかなか顕在化してこないというのは、まさに被害者に対するいろいろな配慮であったり、また被害者側からも訴え出ないというのは、知られたくないという思いがあるからというのがあります。

 ただ、今、これはまさに外務省のみならず財務省、またほかのところでもこうしたハラスメントというのは、日本の中においての大きな社会問題となっています。この解決をするためには、また再発防止をしっかりしていくということにおいては、やはり状況が多少明らかになっていかなければなりません。もちろん、被害者のことといいますけれども、被害者保護に関しても具体的に議論をしなければ、本当の被害者保護というのは確立もされません。

 今回の件、まさに、被害者に対して配慮しなければならないということでありますけれども、それに配慮しつつも、これはまた一般の場合と違って、我々もそうですし、官僚の皆さんも、これは国民の血税の中で我々は報酬、給与をいただいているわけであり、これは一定程度の説明責任も伴いますし、責任もあるわけであります。

 九カ月というのは、相当重い処分だというふうに思います。それだけのことが起きたということは、ある意味、根深い個人的なケースなのか、組織的なまたふぐあいがあったのかということも含め、しっかり検証し対策を得るという意味では、今まさに被害者のことをおもんぱからなければならないのは私も同意するところでありますけれども、これはぜひ、外務省内部、また今、全体で取り組んでいるこういうセクハラの防止、また対策について努力をしなければなりませんので、今の段階ではこの説明で足りていますが、やはり、再発防止という点に関しては、より一層説明責任を果たさなければいけないというふうに思っています。

 そういう観点から、大臣、もう一言お願いします。

河野国務大臣 今回の事案は、国家公務員としての信用を損ない、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない行為があったことを受けて、国家公務員法に基づき懲戒停職を科したものでありまして、それ以上お答えをするつもりはございません。

小熊委員 信用を損なうって、誰の信用、国民の信用ですよね。国民は何があったかを聞いていないのに、信用を失うという話でもないんですよ。こういうことがあったからそれは信用するに足らぬというから、信用を損なうんです。

 この信用を損なうというのは、国家公務員としての信用を損なうというのは、内部での同僚、上司、部下の間での信用は損なったということで、国民から見て国家公務員の信用を損なっているということではないですよ、今の説明では。知らないんだから。その信用したのは誰ですか、その主体者は。

河野国務大臣 国家公務員としての信用を損なない、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない行為があったことを受けての懲戒停職でございます。

小熊委員 国民の信用が失われたというふうに思います。

 ただ、これはちゃんと、どういうことが起きて失われたかというのは国民には知っていただかなければならない。もちろん、被害者の保護はあった上ででありますけれども。

 これは多分、早晩、いや、わかりませんが、推測ですけれども、早晩いろいろな週刊誌が書いて新たな事実がまた明らかになってくる、これが私はいいとも思いませんけれども、なってくるとも思います。そうしたケースも踏まえ、想定をして、被害者の保護には努めていただきたいというふうに思いますし、週刊誌によって国民が知り、我々が知り、どうなっているんだというような議論をしたくありません。ちゃんとした議論をして再発防止に努めていきたい、被害者の保護に努力をしたいというのが我々の思いであります。

 そういう意味では、週刊誌がもし書くということになれば、まあ、それをとめるというわけにもいきませんし、適正な被害者保護がなされる上で、適正な情報を提供していただいて、説明責任を果たすべきだと思います。

 国家公務員はこれは国民のための公僕であり、国民のために働いているわけであります。国民が信頼を失ったということを大臣が言われるのであれば、どういうことをしたから失っていて、どうすれば回復をするのかということの説明がなければなりません。

 今、野田大臣のもとでこの対策をとるということでありますから、政府全体として、今回の停職九カ月って重いですよ、まして、ロシア課長、この間、総理と一緒にロシアに行って交渉していて、重要な交渉を担っている人が九カ月も食らうということでありますから、これはもう少し丁寧な説明を求めて、対策防止に寄与していただくことをお願い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 六月の十二日に歴史的な米朝の首脳会談を直前に控えておりますので、これに関連して、時間があればですけれども、大きく三つのことを聞こうと思います。一つは、板門店の宣言文にある終戦宣言あるいは平和協定、平和体制といった問題について、二つ目は拉致の問題、そして三つ目は、これまでの対北朝鮮外交における過去の教訓を外務大臣としてどう捉えているのかということについて議論できればというふうに思います。

 まず、第一点であります。

 終戦宣言、平和協定、平和体制の問題でありますけれども、二〇一八年四月二十七日、文在寅大統領と金正恩委員長との間で行われた南北首脳会談で、板門店宣言文というのが出されました。その中で、南北は、休戦協定締結六十五周年となることし、終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制を構築するため、南北米の三者又は南北米中の四者会談の開催を積極的に推進していくこととした、こういうふうにあるわけでありますが、ここのところをよく整理をしておきたいと思います。

 まず第一に、この終戦宣言ということでありますが、最近はトランプ大統領まで、終戦宣言をすることもあるという言及がなされたという報道も出ているわけでありますけれども、外務大臣として、終戦宣言の意味するところを日本政府はどう捉えているのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

河野国務大臣 御指摘の、朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言文は、四月二十七日の南北首脳会談において発出されたものであり、当事者ではない我が国がその内容についてお答えをする立場にございません。

 また、我が国は休戦協定の署名者でもないことから、休戦協定の扱いについてもお答えをする立場にございません。

 その上で申し上げれば、今後の議論を予断するものではございませんけれども、韓国統一部は、終戦宣言とは、戦争を終わらせ相互の敵対関係を解消させようとする交戦当事国間の共同の意思表明のことであると整理し、平和協定を、戦争状態の終結、平和回復及び平和管理のための当事者間の法的関係などを規定した協定と整理していると承知しております。

 さらに、韓国統一部によれば、朝鮮半島における平和体制とは、南北間の政治、軍事、経済的信頼と関係国間の敵対関係の解消を基盤として、朝鮮半島の戦争の危険性が顕著になくなり、南北が平和に共存する体制を意味すると整理していると承知しております。

玄葉委員 当事者でないので答える立場にはないと言いつつ、韓国統一部の文書を参照しながら今外務大臣はお答えになられたということだというふうに思いますけれども、もう一度、終戦宣言もさることながら、一緒にお答えになっておられましたが、休戦協定から平和協定へ、こういう文言がありますが、これは一般論でいいんですけれども、このことによって何がどういうふうに変わるのか、これを整理してお答えをいただけますか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣の方から御発言があったとおり、我々、この板門店宣言の当事者ではないので確定的にお答えすることはできませんが、一般論として申し上げれば、休戦協定が平和協定に変わることによって、戦争状態に完全に終止符が打たれるという効果が期待されるというふうに思っております。

玄葉委員 これはまず、例えば、トランプ大統領は終戦を宣言することもあるということを話されたという報道がなされ、もしかしたら文在寅大統領もシンガポールに駆けつけて政治宣言をするのではないかなどという報道もある中で、この終戦宣言というのは、日本政府にとってはネガティブなものですか、ポジティブなものですか、それともニュートラルなものですか。どういう評価でしょうか。

河野国務大臣 そうしたことが行われるかどうかもわかりませんし、内容もわかりませんので、お答えする立場にないとしか申し上げられません。

玄葉委員 先ほど、休戦協定から平和協定へ転換をするというときに、何がどう変わるのかということで質問をしたときに、基本的には戦争状態が終わるということなんだ、こういう答弁だったと思いますけれども、御承知のとおり、この休戦協定というのは、一九五三年七月二十七日、米軍の陸軍大将と中国人民義勇軍司令官と朝鮮人民軍総司令官との間でサインをされたということでございます。

 現在の朝鮮国連軍司令官は、在韓米軍司令官が兼ねていて、十八カ国の駐在武官が在韓大使館に常駐をしているというふうに承知をしていますし、また、その後方司令部は横田にあって、在日米軍と機能は一緒ですけれども、司令官はオーストラリア人であるということでございます。さらには、八カ国の駐在武官が朝鮮国連軍の連絡将校として在京各国大使館に常駐をしているということでございます。

 さらには、日本国における国連の軍隊の地位に関する協定の二十四条には、「すべての国際連合の軍隊は、すべての国際連合の軍隊が朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない。」、こういうふうに規定しているわけであります。

 これは一般論でいいんですけれども、仮に平和協定に転換するということになったときには、朝鮮国連軍あるいはその後方司令部は用済みになる、こういう理解でよろしいですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、まず、そもそもの議論の前提となっております朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言文、これは四月二十七日の南北首脳会談において発表されたものでありまして、当事者ではない我が国は、その内容についてお答えする立場にない。

 その上で、今、一般論としてのお尋ねでございました。

 我々としては、平和体制の構築、朝鮮半島の平和と安全をどのように確保していくか、こういうことについて我が国を含む関係国間で議論していく課題であるというふうに認識しておりまして、そういった中で御指摘のような論点も含まれてくるのかなというふうに思っております。

玄葉委員 いや、これは、石川さん、一般論なので、いわばリーガルな整理だと考えてもらってよいと思うんです。

 つまり、休戦協定から平和協定に変わったときに、当然ながら、朝鮮国連軍とその後方司令部というのは、安保理決議が必要になると思いますけれども、基本的には整理をされることになるのだろう、私はそう思って、そう解釈をしておりますが、これは一般論とすれば当然そういうことになると思いますが、いかがですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、いわゆる朝鮮国連軍につきましては、一九五〇年六月の朝鮮戦争勃発に伴い採択された安保理決議八十三号の勧告に基づいて、加盟国が自発的に提供した兵力により編成され創設された。しかし、この決議には、朝鮮国連軍の解散に関する特段の規定はないというふうに承知しております。

 したがって、今後の法的整理も含めて、対応を予断するのは差し控えたいというふうに思います。

玄葉委員 非常に慎重な答弁なのですが。

 確かに、解散の規定がないから、だからさっき申し上げたように新たな安保理決議も必要になって、そこで安保理決議で、いわばもう一度新たな決議がなされて、朝鮮国連軍を整理するということになるだろうというのは十分想定されるわけであります。

 何でこういうことを聞くかというと、最近、あるメディアの論調に、休戦協定から平和協定に転換をされると、イコールというか、そのまま在韓米軍の縮小につながってしまう、あるいは在韓米軍の撤退につながってしまう、こういう議論があるわけです。

 私の解釈でいうと、朝鮮国連軍と同後方司令部と、それが一くくりで、在韓米軍と在日米軍というのは、そのあり方というのは、やはり別物だと思うんです。仮に、朝鮮国連軍が、あるいは後方司令部が整理されても、在韓米軍と在日米軍の機能は基本的に残るし、それは別の議論であるというふうに、私はそう考えているんですけれども、そこはどう考えていますか。

河野国務大臣 韓国の文在寅大統領も、在韓米軍は韓米同盟の問題であって平和協定の締結とは何の関係もないというふうにおっしゃっていると承知をしておりますので、議員の御了解と近いのではないかというふうに思います。

玄葉委員 きょうこういうことを冒頭聞いたのは、さっきも申し上げましたが、繰り返しますけれども、一部メディアの論調に、仮に平和協定を結ぶということになっちゃうと在韓米軍の縮小につながっちゃうんじゃないかという論調があるから、それとこれはちょっと別なんじゃないか、きちっと整理しておく必要が政府としてあるし、むしろそれを公にした方がいいんじゃないかと思って聞いているわけです。ですから、一般論で聞いているので、余り慎重にならずに、リーガルな面はお答えをいただいてもいいんじゃないか。

 つまりは、新たな安保理決議がなされて、朝鮮国連軍は、仮に平和協定が締結されるということになれば整理されるのだ、こういうことでよろしいですね。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 なかなか一般論としてもお答えするのは、いろいろと影響があるというふうに考えますが、一点だけ申し上げれば、今回、朝鮮国連軍は安保理決議に基づいて設立されたものでございます。

 同じように、例えば、世界じゅうで今、国連PKOというのも安保理決議に基づいて設立されていまして、その後、状況の変化を踏まえて、安保理も定期的にそれをレビューし、必要に応じてそれを終了させる決議を採択するという事例はございます。

玄葉委員 終戦宣言と平和協定、政府は比較的慎重な答弁でありますけれども、もう一つの言葉として、平和体制、恒久的で強固な平和体制を構築、こういう言葉が板門店宣言文には入っております。

 それを、三者、三者というのは南北とアメリカ、あるいは四者、南北とアメリカと中国、こういう三者若しくは四者でやるのだ、こういうふうに言っているわけでありますけれども、本当に平和の体制を話し合うなら、これは明らかに在韓米軍のあり方も対象になるわけであります。私は、これを三者と、あるいは四者とやるというのではなくて、確実に日本も入って、これは関与して議論していかなければならない課題だというふうに認識をしておりますけれども、外務大臣、いかがですか。

河野国務大臣 これまで南北米あるいは南北米中で議論すると言われているのは、休戦協定をどうするかという議論のことであって、これは三カ国が署名をし、韓国も当事者でございますから、三カ国ないし四カ国で議論されるというのは、これは当然のことだろうと思っておりますが、その後の、朝鮮半島あるいは東アジアの平和体制をどう構築していくかということは、当然にこれは日本も入って決めていかなければならないことでございますし、韓国の文在寅大統領も明確に、これは日本が入らなければならないというふうに発言をされているわけでございますから、議員のおっしゃるように、休戦協定をどうするかというリーガルな議論と、その後の平和体制の構築をどうするかというのは、これは別物であるというふうに我々も認識をしておりまして、平和体制の構築につきましては、日本もさまざましっかり関与していかなければならぬと思っております。

玄葉委員 その場合、これは、大臣、六者の枠組みというのを活用するというのが一つの考え方だと思いますけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 六者の活用というのも十分に考えられることだと思います。それだけなのかと言われると、そこのところはまだほかの選択肢もあるかもしれませんが、六者というのは一つの有効な手段たり得るというふうに考えます。

玄葉委員 この間の日本外交を見ておりますと、非核化については基本的にアメリカに任せるというか、そういう側面がどうもあるように思います。非核化のプロセスで六者を活用するという考え方よりは、むしろ、そこは六者は置いておいて、もっと後になって六者は活用するけれども、非核化のプロセスにおいては米国にある程度委ねていこう、米国に注文をつけることで非核化を促していこう、こういうふうに考えているのではないかというふうに思います。

 それは、恐らく、私の推測ですけれども、六者になると中国とかロシアがやや北朝鮮の立場に立ってしまうので、非核化のプロセスにおいては、むしろ六者を活用せずに米国と緊密に連携することで非核化を実現しよう、こういう考え方ではないかと推測しておりますが、いかがですか。

河野国務大臣 核並びにミサイル、核を含む大量破壊兵器と弾道ミサイルにつきましては、これは今、米朝がシンガポールで議論をしようということでございますので、その行方をしっかり見守りたいと思っております。

 核兵器に関して言えば、これは、核兵器を持っている国でなければなかなか放棄ということはできないわけでございますので、この場合はアメリカが中心となって行うということだろうと思いますが、それ以外の核関連施設につきましては、例えばIAEAが査察をし、そのもとで放棄が進むということも十分にあり得ると思います。その場合、日本はIAEAに対しましてさまざまな財政面、技術面の支援を行う用意がございますので、核の放棄に関して全てをアメリカに委ねるというよりは、我が国として我が国ができるところはしっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

玄葉委員 別の聞き方をすれば、この非核化のプロセスで六者の枠組みを活用しないのはなぜですか。

河野国務大臣 非核化のプロセスは、今、米朝がまさにシンガポールで首脳会談を行い、そこで議論をしようというところでございますので、日本としてはこの米朝会談の行方をしっかりと見守りたいと思っております。

玄葉委員 ここはもうこれ以上申し上げませんけれども、いずれにしても、日本国としてより主体的に関与をしていく局面というのがこれからより出てくるのは間違いないというふうに思います。

 時間の関係で、拉致の問題に行きます。

 この拉致の問題も、まずはトランプ大統領に言ってもらうという政府の姿勢でございますけれども、必ず日本国の政府が直接乗り出さなければならない局面が来るというふうに思います。

 そのときにはというよりも、今の議論とも実は関連するんですけれども、北朝鮮が核を放棄するということは、すなわち体制の保証といずれかの経済協力が必要になるということでありまして、その経済協力の主役として日本は少なくとも米国等々から期待をされている。したがって、拉致が解決をされなければ経済協力はありませんよということを日本政府の立場として当然トランプ大統領に伝えていると思いますし、各国に伝えているし、北朝鮮にも伝わるようにさまざまなところで主張している、こういう理解でよろしいですか。

河野国務大臣 おっしゃるとおり、日本の立場は、日朝平壌宣言にうたっている核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決し、その上で国交正常化を目指すということでございまして、この立場に変わりはございません。

 これは、北朝鮮に対し総理からもあるいは私からもさまざまなルートでも伝えておりますし、トランプ大統領にもその旨説明をしてきているところでございます。また、関係国についても日本の立場というのは説明をしてきておりますので、北朝鮮を含め、そうした日本の立場というのは明確に伝わっていると考えております。

玄葉委員 安倍総理は、拉致問題の解決がなければ北朝鮮に対しての支援は行わない、こういうことを明言されているわけでありますけれども、この拉致問題の解決の定義というのは一体どういうふうに考えればいいんでしょうか。

河野国務大臣 政府といたしましては、拉致問題の解決に向けて、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しということのために全力を尽くしていく旨、これまで累次表明をしているところでございます。

玄葉委員 全ての拉致被害者の即時帰国、真相究明、実行犯の引渡しというこの三点を北朝鮮に求めていくことは当然だと思いますし、私もそれでよいと思います。

 問題は、その拉致問題が全て解決されるというのは今の三点が満たされた場合だというふうに考えたときに、それじゃ、その三点全てが満たされなければ、これから米朝首脳会談で非核化が仮に進んだ、拉致の問題で一定の例えば進展があったなどという場合に、日本国政府としては、それは拉致問題の解決、先ほど申し上げた三点を満たすものではないので、一切の制裁も解除しない、国交正常化に向けても乗り出さない、こういう理解でよろしいですか。

河野国務大臣 日本の基本的な立場は北朝鮮に明確に伝えているところでございます。さらに、その後のさまざまな交渉の中でどうしていくのかというのは、これは交渉の手のうちでございますので、差し控えたいと思います。

玄葉委員 そうすると、先ほど河野大臣も言われた、全ての拉致被害者の即時帰国、実行犯の引渡し、真相の究明、三点が全て解決されなければ、一切日本政府として制裁の解除も支援も行わないということではなくて、一定の進展あるいは前進があれば、その前進あるいは進展の度合いに応じて日本政府としてさまざまなことを考えていく、こういう理解でよろしいですか。

河野国務大臣 我が国は基本的な立場は申し上げておりますが、それ以上のことは交渉の手のうちでございますので、それでいい、悪いを含め、申し上げるつもりはございません。

玄葉委員 ここは非常に難しいところだというふうに思います。

 安倍さん、安倍総理は、この拉致の問題で国民的な人気が上がって、ある意味総理大臣まで上り詰めたという側面もあるわけでありまして、日本世論との、国民世論との問題も含めて、最終的な幕引き、最終的な決着というのを、ぜひ現在の政府のもとで責任を持って行ってもらいたいというふうに考えているということを申し上げておきたいと思います。

 もう時間がなくなりましたけれども、やや総論的な話になりますが、対北朝鮮の外交における過去の教訓を外務大臣としてどういうふうに見ているかということであります。

 つまり、六月十二日に歴史的な首脳会談がありますけれども、これまでも米朝の接触というのはさまざまあったわけであります。有名なものは、一九九四年の、ペリー・プロセス、米朝の枠組み合意というのもありますし、二〇〇五年の六者の声明といったものもあるわけであります。これらも含めて、私は全て失敗だったとは思わないのでありますが、ただ、結果が少なくとも出ていないということは言えるんだろうというふうに思います。

 これらから導かれるさまざまな教訓、幾つもあると思いますけれども、通告をしておりますので、大臣として、これまでの日本国の対北朝鮮外交、あるいは六者として北朝鮮に接触をしていて、これまでの教訓というものをどういうふうに整理されているか、それをお答えいただきたいと思います。

河野国務大臣 まず、九四年の米朝枠組み合意でございますが、米国と北朝鮮の間で合意された米朝枠組み合意においては、アメリカが重油供給や軽水炉の提供、建設を北朝鮮に約束する一方、北朝鮮は、IAEAの監視のもと、黒鉛減速炉及び関連施設を凍結し、最終的にこれらを解体することに同意をいたしましたが、二〇〇二年十月、北朝鮮が濃縮ウラン計画をひそかに進めていたことを認めました。

 北朝鮮による核兵器開発の阻止を念頭に取組を進めたものの、凍結及び解体といった措置の対象を黒鉛減速炉などに限定をしてしまっていたということが、ウラン濃縮を許すことにつながった理由の一つだと考えております。

 また、六者会合におきましては、二〇〇五年九月の共同声明において、朝鮮半島の検証可能な非核化を六者会合の目標として再確認した上で、北朝鮮は、全ての核兵器及び既存の核計画の放棄、NPT及びIAEA保障措置への早期復帰を約束いたしました。

 しかし、二〇〇八年十二月の第六回会合に関する首席代表者会合において、検証の具体的な枠組みについて議論が行われたものの、立場の違いが埋まらず、合意が得られませんでした。

 こうしたことを振り返ってみますと、北朝鮮が非核化を達成する上で、まず北朝鮮に十分なコミットメントをさせる、北朝鮮が明確に非核化についてコミットをするということができていなかったということと、北朝鮮が具体的に行動をとるための必要な措置を国際社会として維持することができなかったということが、やはり失敗の原因だったんだろうというふうに思います。

 今回の米朝首脳会合の中で、金正恩委員長が出てくるわけですから、北朝鮮が明確に非核化に向け、あるいはミサイルの放棄に向けコミットをすることができるかどうか、そして、国際社会が安保理決議のもと経済制裁を非核化が達成されるまで維持することができるかどうか、この二つが鍵を握っているのではないかというふうに考えております。

玄葉委員 確かに、ペリー・プロセスも、今おっしゃったように、凍結の見返りに軽水炉支援をしたわけです。ある意味わかりやすい一つの教訓だと思うんですが。

 要は、凍結しただけで見返りを与えちゃったというのは確かにあって、そこは、ある程度戻れないところまでいって初めて見返りを与える、あるいは支援をする、そういうことにならないといけないというのが一つの過去の教訓なんだろうというふうに思って、恐らく、そのことは外務大臣も安倍総理大臣もそれぞれ米国側にそれを伝えているのではないかと推測するのですが、最近、トランプ大統領は、最大限の圧力という言葉は使わないであるとか、複数回会うというのは私はやむを得ないのではないかと思いますけれども、どうも、これまで日本国としていわばトランプ大統領にアドバイスをしてきた方向から乖離し始めているのではないかと思いますけれども、河野外務大臣としてはいかがお考えでしょうか。

河野国務大臣 トランプ大統領は、北朝鮮が非核化を達成するまで経済制裁を緩めることはないということを明確にされております。また、トランプ大統領は、米朝会合をトランプ大統領がやらないということを明確にしたときに、まだまだ制裁のメニューはあるということをおっしゃっておりました。

 現在の、圧力を最大化しない、あるいは、ということを言いたくないということは、つまり、今の制裁は維持をする、そして、これ以上アメリカが制裁を加えることはしたくない、つまり、北朝鮮がきちんと対話の場に出てきて、アメリカがこれ以上余計な制裁をつけ加える必要がないようにしろという明確な意思表示だと思っておりますので、これまでとアメリカの対応ぶり、変わっていないというふうに認識をしております。

玄葉委員 時間が来ましたので終わりますけれども、恐らく一つの大枠での合意というのは十分可能だと思うんですけれども、恐らく、非核化の具体については長い道のりになるんじゃないかというふうに思いますので、忍耐強い外交交渉を河野外務大臣としてもこれから行ってほしいと思います。

 以上です。ありがとうございます。

中山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 条約に関する質問の前に、政府が二〇二三年度の運用開始を目指す陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム、イージス・アショアの配備問題について聞きます。

 防衛省は、先週一日、秋田県と山口県に政務官を派遣し、両県に所在する陸上自衛隊の演習場が配備候補地になることを正式に表明し、夏以降、現地の地盤測量と電波状況の調査を行うことなどを明らかにしています。

 これに対し、自治体側からは、電磁波の人体への影響など住民の不安が大変大きいことを認識してほしいなどの意見が出されています。私は当然のことだと思います。

 秋田の新屋演習場は、県庁がある市の中心部から直線距離で三キロ足らず、住宅密集地の近くで、保育園や、後で述べますが、学校も隣接しています。防衛省は、地域住民に影響を与えないようにするにはどうすべきかを含めて調査すると説明したそうですが、それぞれ、直近では知事や市長も秋田では会見も行っていますが、これでは、既に配備を前提とした調査と受けとめられると懸念が表明された、これも私は当たり前だと思うんですね。

 そこで、山本副大臣に伺いたい。

 防衛省が自治体側に示した説明資料によれば、イージス・アショアのレーダーについて、航空機の計器等への影響を与えないように必要な対策を実施していくとあります。しかし、万が一の場合として、航空機の計器等への影響を勘案して飛行制限区域を設定する必要があるとも書かれています。

 これは、つまり、レーダーの運用に当たって、航空機の計器等へ影響が生じる可能性を排除できないということじゃないのか、初めに確認しておきたいと思います。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、先般、福田、大野両政務官が秋田県、また山口県にそれぞれ訪問をいたしまして、イージス・アショアの候補地であるという旨の説明をさせていただいております。

 お尋ねの、レーダーが航空機の計器に影響を与えるのではないかということでございますが、防衛省・自衛隊では、全国でさまざまなレーダーを配備、運用を現在もしております。これらは、いずれも、周辺を飛行する航空機の計器などへ影響を与えないよう、必要な対策を実施しております。

 イージス・アショアのレーダーにつきましても、十分な調査を行った上で、必要に応じた対策をとってまいりたいと考えています。

 その上で、イージス艦のレーダーについて申し上げれば、レーダー照射中であっても適切な管制により、ヘリコプターの離発着がイージス艦の場で行えるなど、航空機の計器等へ影響を与えないよう運用しているというのが実情でありまして、イージス・アショアの配備に際して、万が一、航空機の計器等へ影響を勘案して飛行制限区域、これは委員御指摘のことでございますが、飛行制限区域を設定する必要がある場合でも、例えば、ドクターヘリなどが緊急時に飛行できるよう停波をするなどの必要な対策を実施する考えでございます。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

穀田委員 簡単に言えば、要するに、配置場所の上空では、一定の範囲で飛行できない区域を設定する可能性があるということだと。

 しかも、ドクターヘリの話も出ましたから、では、私、ドクターヘリの問題についても一言言っておきますと、京都府の京丹後市の米軍経ケ岬通信所では、同じく強い電波を出すXバンドレーダーが航空機の計器類を狂わせるおそれがあり、半径六キロ、高さ六キロの半円柱状の空域を飛行制限区域としています。

 そのため、経ケ岬通信所では、先月、交通事故の負傷者をドクターヘリで搬送するため、米軍に電波の送信停止、いわゆる停波を要請しましたが、すぐには実施されず、負傷者の搬送が十七分もおくれるという問題が起きている現実があります。

 しかも、この問題について言うならば、本来、停波を直ちにする約束をしていながらもこういうことがあって、一度ならず三度もやっているということまで明らかになっている。

 ですから、ドクターヘリなどの緊急ヘリは、人命にもかかわる重要な運航手段であって、そうした航空機の飛行に影響を及ぼす可能性があるということは到底容認できないと私は思います。

 そこで、防衛省の説明資料では、イージス・アショアのレーダーが施設区域外に騒音を与える可能性は低いとする一方、これも同じように、万一、周囲に騒音を与える場合は消音装置を取りつけるとある。

 つまり、周囲に騒音を与えることもあり得るということか。これも結論だけでいいですから、話は私はわかっているので、よろしく。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

山本副大臣 御説明を申し上げます。

 先ほど委員御指摘の五月十五日、確かに、経ケ岬でレーダーの停波がうまくいかずにドクターヘリがうまく運用できずに、けが人がドクターと接触するのに十七分の遅延をもたらしたということも事実でございまして、これは、米軍と消防機関、常に訓練をして、そういった意思疎通がうまくとれるようにということを関係機関ともども訓練を行ってまいっておりましたが、先般の場合は、意思疎通がうまくとれずに、そういう事態に陥りました。

 もちろん、けが人に対して別状問題はなかったということでございますが、我々にとってはまことに遺憾であるということは申し上げたいと思いますし、今後とも、米軍、そして消防、関係機関とはきちっと再発防止に向けて取り組んでまいりたい、そういったこともあわせて申し上げたいと思います。

 その上で、今委員御指摘のレーダーによる周囲の騒音問題が発生するのではないかということでございますが、本年一月に小野寺防衛大臣が、米国のイージス・アショアの試験施設、これはハワイでございますけれども、試験施設を視察をいたしました。その際に、実際、大臣が現地で確認をしましたけれども、レーダーが稼働中でも特段の騒音の問題はなかったと私も聞いておりますし、大臣もそのように申し上げているところでございます。

 このように、イージス・アショアのレーダーにつきましては、敷地外に騒音を与える可能性は低いと考えておりますが、防衛省・自衛隊が全国で配備、運用しているレーダーに関して、レーダーそのものといいますか、その電源装置などが周囲に騒音を与えないよう、必要に応じて対策を実施しているところでございます。

 ただ、万が一周囲に騒音を与える場合には消音装置を取り付けるなど、必要な対策を実施しているところでございます。

穀田委員 可能性は低い、万が一って。私、京都に住んでいますけれども、経ケ岬なんて、万が一って、Xバンドレーダーってたった二つしかないのに、二つのうちの一つはガンガン音がして大変だと。万が一って、その二つしかないやつのうち一つあったら何で万が一になるのか、ようわからぬけれどもね。よっぽど数字が違うねんなと思いますわ。

 レーダーなどによる、さっき言った自家発電が騒音を出すというのはわかっています。問題は、電波も、先ほど大臣が視察したと言っていますけれども、そんなもの、電波の出力というのは、強弱がいっぱいあって、一定じゃないんですよ。しかも、米国の試験施設というのは、ハワイ州の西端にあって、広大な米軍施設の中に置かれて、人的、物的影響は想定しがたい。米軍が二〇一六年五月から運用開始したルーマニアも、民家から離れたところにあると言っておきたいと思うんです。

 これに対して、秋田の新屋の演習場は、南北二キロ、幅八百メートルほどで、実射訓練が困難な狭い土地で、周辺には緩衝地帯が全くありません。近くには、勝平小学校、マンモス校の日新小学校、勝平中学校、栗田養護学校、秋田商業高校などがあり、隣接する建物からは演習地が丸見えということだそうです。このような場所を最適候補地とするなど、私はおよそ理解できないと思います。

 そこで、防衛省が提出した、「弾道ミサイル対処能力の総合的な向上に関する施策の方向性」と題する資料があります。これは、請求して、いただきました。

 防衛政策課、戦略企画、防衛計画の三つの課で作成したもので、昨年八月三十日に行われた統合機動防衛力構築委員会で使われた、席上回収、秘指定の文書であります。

 資料を見ると、昨年の三月の自民党政務調査会の弾道ミサイル防衛に関する提言を参考にして、イージス・アショアを中心に新規アセット導入を目指すとして、費用対効果などの検討を行っています。山本副大臣は、この通称統機防委員会の委員長を務めているので、よく御存じと思います。

 そこで確認ですが、資料には、「弾道ミサイル防衛について」として三つの課題が列記されています。一、二、三とあります。この中には、配備に当たってどういうことを書いているかということで、住民生活への影響などの課題というのは含まれて議論されていますか。

山本副大臣 申しわけありません、最後の部分が余りよく聞き取れなかったんですが、住民の課題でございましょうか。

穀田委員 住民生活への影響を課題としているか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 確かに、この統合機動防衛力構築委員会の委員長を私が務めておりまして、今委員が手元にお持ちの資料は当方で作成したものでございます。

 この中で、我々、弾道ミサイル対処能力を議論した中では、基本、ベースとしましたのは、装備品の能力あるいは費用、運用に対する人員、そういったものがメーンではございますが、当然、どこに配備をするのか、そういった観点、あるいはそういったことによってどういう影響が出てくるのか等々も踏まえて検討をさせていただいているところでございます。

穀田委員 課題というところの一、二、三、これが大くくりでして、これには、そういう住民生活の影響などは課題として考えられていないということははっきりしている。

 そこで、この統機防委員会が開かれた八月三十日といえば、防衛省が二〇一八年度予算案の概算要求で、いわゆる「金額を示さない事項要求」としてイージス・アショアの導入を明記した前日のことであります。この資料を見る限り、課題のみが列記されている。中では、そういう住民生活に与える影響というのが主な課題になっていないことは明らかであり、この課題の中にはないということだけははっきりしている。

 そこで、この「弾道ミサイル防衛について」の「課題」とある箇所には、「発射の秘匿性が向上する中、二十四時間/三百六十五日、弾道ミサイル対処の態勢をとることが困難」と記されているわけですけれども、残りの二と三には何が書かれているんですか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 委員会にも資料が配付されていないようでございますが、一、二、三と書かれておりまして、二と三は黒塗りにさせていただいておりますので、この内容を今ここで答えるということは適切でありませんし、我が国の安全を害する可能性もございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 では、もう一つ、防衛省が出した「事務連絡」と題する、真っ赤な表紙の秘密指定の原議、コピーすると原議と出てくるやつがあるんですね。これは、昨年十二月六日に行われた統機防委員会で使われたものです。

 資料には、費用対効果を踏まえイージス・アショアを二基とすることや、担当する自衛隊を陸自とするということなんかが提案されています。

 それに加えて、こちらの資料には、先ほどの「弾道ミサイル防衛について」のページと同じような、「弾道ミサイル防衛について」のページに「再掲」と書いています。

 そこには、八月三十日の資料では、先ほど、今副大臣がお話あったように、二、三は黒塗りだというところがあるわけですけれども、この二には、きのう、こちらの資料には「飽和攻撃を受けた場合、全ての弾道ミサイルを迎撃することは困難」と、これにはそう記されています。また、三には「ロフテッド軌道への対処能力が限定的」と書かれています。

 となると、この八月三十日の資料の二と三というのには同じことが記されているということではないのですか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 先ほど来から委員が提示をされている資料は、確かに私どもが委員に提供をさせていただいたものであり、私も手元に持っておりますけれども、今、もう一種類お示しになられた資料というのは、私はちょっと承知をしておりませんし、本日そういった質問をされるという質問通告も受けておりませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 私、まず、いつも思うんだけれども、質問通告がなかったということで答弁できないということを恥としなくてはならぬと。

 まず、あなたは、まあ、あなたはと言っちゃ悪いけれども、副大臣はこの委員会の長なんですよ。あなたが知らない文書が、そこで、副大臣が長とされている中で議論されているのを知らないとすると、それはどうなんだと。そんなことはないのかあるのか。

 私は、じゃ、はっきり言わせていただいて、今わからぬと言ったんだったら、この資料が出されたことはないというふうに言うんですか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 確かに、統機防の委員長でありますけれども、お示しされたその資料というものが何なのかというのがまずわからないんです。ですから、どういったものかというものをきちっとお示しをしていただかないと、それが当方から公表した資料なのかどうかも私はよくわかりませんので、以前もそういうことがございましたけれども、真贋を含めてお答えできないといいますか、何をお持ちなのかがそもそも我々としてはわからないということでございます。

穀田委員 いつも、この議論をしていると、そちらの省が提出した内容で、日付まで明らかにし、これほど真っ赤なやつを忘れるとか知らないとか言うとしたら、およそもうどんな議論をしてんのやと。それで、おたくのところが提出した資料で、日付も明確にし、そして中身はこうだということを聞いているのに、中身の話をせずに前段で話をそらすというのはもうやめにしたらどうです、いいかげん。それが防衛の体質ですか。(発言する者あり)いきなりじゃないですよ。この問題と同時に提出された資料なんです。ですから、そういうことについては。まあいいでしょう、その程度だと、真っ赤な文書まで忘れるほどの文書だということがようわかったと。

 そこで、やはり問題は、このイージス・アショア二基で日本全域をカバーする上で、日米共同開発の迎撃ミサイルSM3ブロック2Aを搭載する予定と。しかし、例えばことし一月十六日の朝日新聞には、「多数のミサイルを同時発射する「飽和攻撃」を仕掛けられた場合、すべて撃ち落とすのは「極めて困難」」だと防衛省幹部が述べています。

 この真っ赤な、統機防委員会ですね、この資料には、まさに、「飽和攻撃を受けた場合、全ての弾道ミサイルを迎撃することは困難」、こう書いているんですね。その中身も忘れるようじゃ、もうこれは資格がないと私は言わざるを得ないんですけれども。

 やはり、防衛政務官を務めた佐藤外務副大臣は、就任前の昨年五月十五日の参議院決算委員会で、ミサイル防衛の層を幾ら厚くしても、飽和攻撃とかロフテッドに対しては限界があるのも周知の事実と指摘しています。さらに、江渡元防衛大臣も、ことしの二月十四日の衆院予算委員会で、導入したとしても、飽和攻撃を受けた場合、その全てに対応することは大変難しいと強調しています。

 ですから、そういう内容がこれに書かれているということを隠したかったんじゃないかというのが、これとこれですね、同じ日付で、私どもがもらった文書で、そちらが提出した文書で、真っ赤なやつも忘れると言ったのは、まさに真っ赤なうそをついているということになるのか知らぬけれども。

 そういう意味でいいますと、私は値段もついでに聞いておきたいと思うんですね。一基当たり一千億円、二基で二千億円もの巨額費用を要するとされています。配備後の維持費などのライフサイクルコストを含めて、全体の運用コストは一体幾らかかるか、端的に言ってください。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘の弾道ミサイル防衛能力の件に関しましても、我々も国会で逐次答弁をさせていただいておりますけれども、今御指摘のようなロフテッド軌道、そういった弾道ミサイルのものに対して、我が国の防衛能力、これにつきましては、あくまでも一般論でありますけれども、ロフテッド軌道をとることにより迎撃を回避することを企図して発射された弾道ミサイルについては、確かに迎撃がより困難になると考えておりまして、そのことに関しては我々も国会で既に答弁をしているとおりでございます。

 その上で申し上げれば、我が国の迎撃にかかわる個別的な、具体的な能力については、我が国の手のうちを明らかにすることになりますので、従来よりお答えは差し控えさせていただいておりますが、我々が国民の生命と財産を守るために万全の体制をとっているということだけは申し上げておきたいと思います。

 その上で、今、イージス・アショアの一基当たりの価格等々の御質問がございましたけれども、イージス・アショアの一基当たりの費用あるいは配備後のライフサイクルコストにつきましては、レーダーを含むシステムの構成、あるいは配備する場所などによりまして相当程度変動すると予想しておりますので、現時点で一基当たり幾らだというようなことを確定的に申し上げることは困難だと思っております。

穀田委員 ことしの秋田魁新報によれば、防衛省の五味賢至戦略企画課長、この会議に参加している人ですけれども、それに導入費の見通しについてインタビューしていると、米側から情報を得て確定していくと。だから、あっちが確定していないからできへんねんということを、簡単に言うと、言っているわけですよね。

 結局、政府が二〇〇四年に導入したミサイル防衛整備経費は、一八年度予算までの累計で二兆五百八十八億円に既に上っています。当初、導入経費としておおむね八千億円から一兆円としていたけれども、既に倍増しています。このままでは二兆円すら大きく超える事態になりかねぬと思います。

 最後に、外務大臣に質問しておきたいんですけれども、この財政が厳しい折に、政府は北朝鮮の脅威を導入の理由に挙げているけれども、来週十二日は、既に議論になったように、史上初の米朝首脳会談が開催される。イージス・アショアの配備計画というのは、国際社会の対話による解決に逆行するとは思いませんか。一言だけ。

河野国務大臣 現時点においても、北朝鮮の核・ミサイル開発が我が国の安全に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威であるとの認識に変わりはなく、政府としては、イージス・アショアの導入に向けた取組を引き続き進めていく考えでございます。

穀田委員 先ほどの質問の、答弁に一言だけ言わせてもらいますと、やはり何も変わっていないと言うんじゃなくて、北朝鮮を変えるための努力をどうしてきたのかということを問われるし、小泉政権下での外務審議官を務めた田中氏は、この間の報道で、テレビで、圧力、圧力で日本の戦略が全く見えないと指摘しています。

 私は、今強く求められているのは、アメリカの顔色をうかがって、過剰な備えで軍拡の悪循環をつくることではないと思います。

 時間がなかったので、モントリオール議定書については、質問する予定でしたけれども、私は、新たに議定書の規制対象を追加し、生産、消費の段階的削減を目指すものであり、賛成であるということを申し添えて、質問を終わります。

中山委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 穀田議員が時間がなくてできなかったということで、私、このモントリオール議定書の話、続きをしっかりと聞いていきたいというふうに思います。

 オゾン層の破壊ということでずっと言われていると思いますし、もうかれこれ三十年以上、オゾンホールの発見からたっております。議論を聞いていると、果たしてどの方向に行くのかというのは、もちろんわかるんです、穴を塞いでいこうというのはもちろんわかるんですけれども、どこまでいけば心配のない程度で、そして、目標値は具体的には立てているんですけれども、どれぐらい改善されたのかというのは結構わかりにくいなというのは、正直、一国民としても議員としても思うんですが、このあたりについて政府はどのように考えていて、一体、何年後には、これは問題ないと言えるように回復するというふうに考えているのか、このあたりをまずお伺いできますでしょうか。

小野(洋)政府参考人 お答え申し上げます。

 地球規模のオゾンの量でございますが、一九八〇年代から一九九〇年代前半にかけて大きく減少いたしました。その後、モントリオール議定書に基づく国際的な取組等によりまして減少傾向が緩和し、一九九〇年代後半からわずかな増加傾向が見られております。ただ、現在も引き続き少ない状態が続いているところでございます。

 オゾン層の回復時期でございますけれども、これは地域によって異なるわけでございますが、数値モデルでの予測によりますと、最もその回復が遅いと考えられております南極域では、オゾンの全量が、人為起源のオゾン層破壊物質による大規模な破壊が起こる前の一九六〇年と比較して、そのレベルまで回復する時期というのは二十一世紀末というふうに予測されているところでございます。

丸山委員 今の話を聞いていますと、えらい長期で考えなきゃいけないですし、未来に向けてしっかりと地球をもとに戻すんだという意思を、我々の世代でやっていかなきゃいけないという趣旨でこの議定書はあるんだなというのを改めて感じるところですが、そうした中で、数字目標というのをしっかり日本もこの中で請け負っているという状況だというふうに思います。

 具体的には、一九年には基準値から考えて一〇%、二四年には四〇、二九年七〇と結構レベルが上がっていって、最終的には三六年までに八五ということで、なかなか他国と比較してもハイレベルな厳しい状況にあるんだなというのは見ていて思うんですけれども、政府としても一応見通しを立てていらっしゃると思うんですね。

 基本的には、二〇二四年までは削減義務を達成できるだろうと使用見通しを政府としても立てられていますが、二五年以降は、こうした数字という形で見通しを立てられていないと思うんです。一方で、今申し上げたように、二〇二九年には基準値の七〇%という非常に高い数字を達成しなきゃいけないと思うんですけれども、このあたり、政府としては、その二五年以降、明らかになっていないこの部分について、どのような見通しを考えていらっしゃるのか、政府、お答えいただけますか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 フロン排出抑制法におきまして、今般のモントリオール議定書改正の議論に先駆けまして、二〇一五年に、フロン類の使用合理化のため、二〇二〇年度、二〇二五年度のフロン類使用見通しを設定しているところでございます。

 この日本の代替フロンの使用見通しを踏まえますと、モントリオール議定書の改正により定められました二〇二八年までの基準値から四〇%削減という義務につきましては、現行の削減努力の継続で達成することができるのではないかというふうに考えているところでございます。

 一方で、二〇二九年以降につきましては、基準値から七〇%削減という、より厳しい削減義務となってございます。このような非常に厳しい削減義務の達成に向けましては、早期からの代替物質の技術開発などの取組を計画的に進めていかなければなかなか厳しいというふうに考えているところでございます。

丸山委員 そういった意味では、今まさしくお答えにあったように、新しい技術開発がないと厳しい目標なわけですよ。私としては、今の世代の方々からすれば、こんな先のことと思うかもしれませんが、若い世代からすれば、今、目標を決めたものを、このときに国際的な約束として達成しなきゃいけないわけで、若干、そういった意味で、前のめりになり過ぎているという批判もあるというふうに思います。

 ただ、高目の目標を掲げることで技術の促進を促して達成していくんだという姿勢でもって日本は臨んでいくというのは、ある意味、技術の発達を促すところもあると思いますが、一方でそういった御批判もあるんじゃないかというのは真摯に受けとめていただきたいというふうに思います。

 そうした中で、やはり肝になるのは、そうすると、その後、八五%を三六年までに達成する、これを履行しようと思ったら、今の代替フロンでは難しいんだという今お答えもありました。既存の代替フロンにかわるような新しい冷媒をしっかり開発していく、民間企業中心だと思います、こうしたものを促していく、また、それを、冷媒を用いたような空調機、冷蔵庫もそうでしょうけれども、そういったものの開発をしてもらえるような環境を促進していく、これが国としても非常に大事なミッションですし、約束した限りは、国としても全力でそれを達成するためにバックアップしていかなきゃいけないと思いますけれども、どういった予定や人員、予算、計画を立てられているんでしょうか、お伺いできますか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 代替フロンにかわります新たな冷媒物質となるグリーン冷媒の開発等につきましては、自動販売機ですとか家庭用冷凍冷蔵庫の冷媒につきましては、既に、今後、新規出荷分におきましては、CO2、イソブタンなどに転換済みでございます。また、カーエアコンにつきましても、既に温室効果の低い物質への転換技術が確立されておりまして、今後、転換が進められる見込みとなっております。

 一方で、現時点では、温室効果の低いグリーン冷媒を空調機器等に用いる際、可燃性のものが多くございまして、燃焼性等のリスク評価の手法が確立されていないという現状がございまして、そのことが開発のネックとなっております。

 このため、経済産業省におきましては、今年度予算におきまして二・五億円を確保しております。このグリーン冷媒に係る、燃焼性に係るリスク評価手法を確立する産学官のプロジェクトを開始するということにしているところでございまして、このような燃焼性等に関するリスク評価手法を確立するプロジェクトを進めていくことによりまして、リスクを抑制することのできる機器設計を可能といたしまして、さまざまな機器開発がされることが期待できるのではないかというふうに考えているところでございます。

 このような取組を通じまして、二〇二九年以降の厳しい削減義務の達成に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 今審議官お話しいただいたように、最終的には民間の皆さんの開発をお願いするわけで、そうした部分の予算をしっかり確保していくことが本当に必要だと思います。外交で最前線にいらっしゃる方もしっかりやってくださってはいますが、結んできて、結局、達成、履行するのは国内の企業の方々、中心にいる現場の方々です。なので、これは経産省だけじゃなくて外務省も一緒になって、この部分の予算をしっかり確保していく、ふやしていくことで、きっちりこの目標達成のための技術革新を日本から生み出していくんだという形でやっていただきたいと思います。

 今お話のあったように、フロンは安定しているからフロンが使われてきたわけで、それにかわる安定した冷媒というのは非常に難しいところだとは思いますが、突破するという意気込みをぜひ見せていただきたい、予算面も含めて、よろしくお願いしたいと思います。

 これは、予算という意味でいえば、この議定書に基づく基金、多数国間基金があると思うんですけれども、これはかなり出しているんですけれども、アメリカに次いで二位ということですが、これはいつもこういう批判もあると思うんですね。こんなに出して、また日本はという批判もあると思うんですけれども、これについてどのようにお考えでいらっしゃるか、どういうスキームでこれがついているのか。そして、今後も同程度出していくつもりなのか、ここも含めてお伺いできますか。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 モントリオール議定書に基づく多数国間機関の資金規模は、途上国における規制対象物質からの転換を支援するために必要とされる額として、締約国会合において三年ごとに決定されているものでございます。この基金の発足は一九九三年でございますが、それ以降、二〇一七年までのこの基金への各国から拠出額の合計は約三十四億七千二百万ドル、このうち、我が国は約六億八千七百万ドルを拠出しております。

 これは委員御指摘のとおり、米国に次ぐ二番目に大きな拠出でございますけれども、この基金への拠出については、各先進国が国連分担率に基づく比率に応じて負担するという、その議定書の規定に従って行っているものでございます。

 我が国としては、今後とも、多数国間基金が適切な規模のもとに効率的、効果的に運用されるよう、締約国会合での議論を通じて促していく考えでございます。

丸山委員 基本的には、ルール上決まっていて、それを日本としても負担していく、今後もそれに基本的には従っていくんだというお考えでいいということですね。

鈴木(秀)政府参考人 そのとおりでございます。

丸山委員 模範的ではあるんですが、一方で、ほかの国を見ていると、本当に非常にしたたかで、ある一定のときに負担金を、要は拒否する、若しくは国内事情のせいにして、拒否することで自国の利益を確保していくみたいな戦術をとるところもありますが。

 そういった意味で、今回の議定書を見ていても、非常に中国なんかはうまく、消費国として発展途上国的なやり方をしながら、私も技術畑じゃないので余り詳しくなかったんですけれども、調べていけば、中国なんかは、非常に法令でうまいこと取組をやって進めていますし、また日本も含めて、欧米、欧州や米国の企業なんかは、日本より進んでいるんじゃないかなみたいな取組をしている企業もあるんじゃないかと思いますし、意見によれば、例えば欧州や米国、中国の方が進んでいるんじゃないの、先行しているんじゃないですかという意見もあると思いますけれども。

 こうした中で、日本の取組、どのように政府として、今、他国との比較を含めて捉えられているのか。政府はどのように考えていますか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 モントリオール議定書に基づきますHCFC等の特定フロンの生産量、消費量の削減義務につきましては、中国は開発途上国としての義務が課せられているのに対しまして、日本は、先進国として、より厳しい義務が課せられているところでございます。

 日本では、環境先進国といたしまして、HCFCの対策を議定書の削減義務より速いペースで進めてきておりまして、HCFCの生産、消費量の実績は、議定書に基づく上限値を大きく下回っております。

 また、規制面におきましても、平成二十五年に改正されましたフロン排出抑制法におきまして、フロン類の、製造時に加えまして、使用、管理、回収、廃棄に至るライフサイクル全般にわたる対策を行うこととしております。

 モントリオール議定書の改正によりまして、代替フロンにつきましても削減対象となりますが、環境先進国として、グリーン冷媒への転換技術を世界に先駆けて開発し、その成果を他国に波及させていくことなどを通じまして、世界全体の温暖化対策の推進に貢献していく考えでございます。

 そのため、先ほど申し上げたような今年度予算のプロジェクトも行っているところでございます。

丸山委員 日本は環境先進国ということで、先ほどお話ししていただいたような基金の負担もかなりやっている、それは国連の分担金の中なんですけれども。

 一方で、では、この基金を使って、どういった支援やプロジェクトがされているのかを見ていくと、いろいろな国に支援されていると思いますね。ちなみに、この基金でどういった国にプロジェクトして支援されているのか、その支援先とか支援額についてお伺いできますでしょうか。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 この議定書の多数国間基金では、委員御指摘のとおり、いろいろ、拠出国は、拠出額の二〇%を上限として二国間の支援プロジェクトを実施するということが認められております。

 我が国のこの二国間支援プロジェクトの実績は、これまでに合計四十七件、金額にして約二千万ドルに上ります。主な支援先は、ベトナム、中国、タイ、モンゴルなどでございます。

 こういったプロジェクトについては、我が国として、やはり、国内企業の有するさまざまなすぐれた技術、こうしたものをアピールしていく、そして将来の市場開拓につなげていく、そういったことも目的として案件を選択している、そういうところでございます。

丸山委員 先ほども中国、また名前が上がってきて、そうした中で、要は、先行しているという部分もかなりあって、GDPも日本より高いわけですよ。

 そうした国が、したたかと言ったらあれかもしれませんが、開発国ということで、こうした支援も受けながら、目標も、ある意味日本に比べて緩目の、先進国じゃないという形での緩目の目標値を持って国益をとっていくという形をとっているんですけれども、対象国、もう中国は要らないんじゃないかなと、正直、はたから見ていると思うんですが、このあたりについて政府はどう考えますか。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、中国につきましては、委員御指摘のとおりの事情がいろいろあって、非常に、このフロンの問題に限らず、中国は環境問題についていろいろと先進的な取組をしていることは、これは事実でございます。他方、それでは中国を途上国から先進国の方に移すかということになりますと、それはまたいろいろと現実的に難しい問題がございます。

 議定書上の援助国と受益国、今、中国は受益国ですが、カテゴリーを見直すためには、締約国の三分の二以上の多数票による議定書の改正が必要となります。他方、現状では、開発途上国が議定書の全締約国数の四分の三を占めている、そういう状況でございます。

 また、今回のキガリ議定書改正は、主に米国を中心とする先進国や島嶼国が、当初改正には余り前向きでなかった中国あるいはインドといった開発途上国を説得した、そういう形で実現したものでございます。特に、開発途上国にも規制物質の削減を求める先進国と、そのためには資金援助が必要だと主張する開発途上国の利害調整は非常に厳しいものがございまして、その過程においては、このカテゴリーの見直しに関する議論は忌避され、最終的には議定書改正が全締約国の一致により採択された、そういうような経緯もございます。

 したがって、現時点で本件カテゴリーの見直しをするというのは、こういった各国間のさまざまな利害のバランス、そして、これまで着実に規制物質の削減を達成してきたこの議定書の実効性を損なうことになる可能性もあるわけでございます。こういうことから、カテゴリーの見直しについては、途上国のみならず先進国からも支持を得ることはなかなか現実的には難しい面もあろうかというふうに考えております。

丸山委員 時間が来たので終わりますけれども、したたかにやっている国もあります。そうした中で、日本は、先ほどお話をしたように、かなり技術革新がないと達成できないような目標を背負うことになるんですね。そうした中で、しっかりやるのはもちろんお願いしたいんですけれども、同時に、したたかに国益も追求いただきたいというふうに思います。

 ありがとうございます。

中山委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 本日は、モントリオール議定書、それから、この間の議論の続きで、日米地位協定について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、モントリオール議定書について質問をさせていただきます。

 議論も出ていますけれども、今回の改正によってHFC、ハイドロフルオロカーボン、これを段階的に削減していくということになりますので、この代替フロンにかわる新たな冷媒物質、グリーン冷媒というふうに呼ばれていると承知しておりますけれども、これを用いた空調機などへの対策、これが非常に重要になってくると思いますけれども、どのように進めていくのか、お答えいただきたいと思います。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 いろいろな機器によって異なりますけれども、自動販売機ですとか家庭用冷凍冷蔵庫の冷媒は既に、新規出荷分につきましては、CO2、イソブタンなどに転換済みでございます。また、カーエアコンも既に温室効果の低い物質への転換技術が確立されておりまして、今後転換が進められる見込みでございます。

 一方で、例えばエアコンでございますけれども、代替冷媒の実用化に至っていないという現状でございまして、代替冷媒の燃焼性に関するリスク評価手法を確立するプロジェクトを今年度から開始しております。そういった研究開発を推進しているところでございます。

 こうした取組によりまして、代替フロンにかわる新たな冷媒物質対応機器への転換を促進してまいりたいというふうに考えております。

井上(一)委員 しっかり取り組んでいっていただきたいと思います。

 それでは、日米地位協定について質問をさせていただきます。

 資料を用意しておりますので、資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、一枚めくっていただきまして、こういう議論をしております。

 まず、地位協定につきましては、「日米地位協定Q&A」、これは外務省のホームページにあるんですけれども、そこでは、「一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されず、」ということで、原則国内法は適用されないというふうな言い方をしています。

 他方で、米国務省の要請に基づく国際安全保障諮問委員会、この報告書を読みますと、当該国の法令が適用されるのが一般的に受け入れられている国際法の原則であるということで、駐留軍に対しては原則国内法が適用されるというふうな書き方をしておりますので、前回の質問で、この関係はどうなっているんですかというふうに聞きましたところ、この外務省の答弁ということで、私が読むと、若干軌道修正したのではないかなというふうに思いますけれども、個別の具体的な事象において派遣国と接受国のいずれの管轄権が優先的に行使されるかという点については、協議を通じて具体的に取扱いが決定されると。

 これが出てきましたので、また更にいろいろ質問しました。本当に国際法上の一般原則というのは確立しているんですか、確立したとしても、外務省の見方、それから国務省の諮問委員会の見方、どっちの見方が正しいのか、それは政府の考え方を明らかにしてくださいと。最後に、この衆議院外務委員会の答弁でも、今までのホームページとは違うのでやはりホームページにはきっちりした考え方を示す必要があるのではないかという質問をしたところ、一番最後に回答がありますけれども、これは答弁で返ってきました。

 これも、更に政府部内で相当綿密に議論し、厳密な議論をしたんだと思いますけれども、例えば先ほどの、管轄権が優先的に行使とか、こういう言葉はなくなりまして、個々の事情によってやるんだ、それから派遣国と受入れ国の間で個々の事情を踏まえて詳細が決定されるんだというふうに、政府として非常に厳密に議論して、より正確な表現にしたものと私は評価しておるんです。

 もう一度ここで外務省に聞きたいんですけれども、まず、国際法上の一般原則、これはやはり確立していると言えるんでしょうか。この点について確認したいと思います。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 政府のポジションにつきましては、先ほど先生からお読み上げいただきました答弁書のとおりでございますけれども、改めて申し上げますと、一般国際法上、受入れ国の同意を得て、当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員は受入れ国の法令を尊重する義務を負うが、その滞在目的の範囲内で行う公務について、受入れ国の裁判権等から免除されると考えております。免除の具体的内容については個々の事情によって異なりますので、必要に応じて、こうした一般国際法上の考え方を踏まえつつ、当該軍隊の派遣国と受入れ国の間で個々の事情を踏まえて詳細が決定されるものと承知しております。

 このような考え方でございますけれども、受入れ国の同意のもとで、その国で活動する外国軍隊及びその構成員は、軍隊の性質に鑑みまして、滞在目的の範囲内で行う公務について受入れ国の裁判権等から免除を付与されるべきだ、こういう考え方については一般国際法上の考え方として国際的に広く共有されている、そういうふうに認識してございます。

井上(一)委員 時間も限られているので余り議論する時間はないんですけれども、今まで外務省は広く捉えて、原則国内法は適用されないと言ったところを、今回は非常に厳密に、枠を狭めて、そこの部分については国内法は適用されないんだというのが私の理解なんですけれども、いずれにしても、ここはまた議論していきたいと思います。

 ここの部分について、やはり正確に、政府として綿密に議論したものが今回の答弁書だと思いますので、外務省のホームページもこれに差しかえた方がいいのではないかと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 先日委員からいただきました質問主意書に対する答弁書も、今御指摘いただきました外務省ホームページの記載も同様の趣旨を述べたものでございまして、いずれも適切なものであると認識しております。

 その上で、御指摘を踏まえまして、国民に対し政府の考え方をよりわかりやすく説明するとの観点から、質問主意書に対する答弁書の内容をどのように活用することが適切かという点につきましては、今後、私どもとしてもよく検討していきたいと思っております。

井上(一)委員 前向きな答弁、ありがとうございました。

 この点、外務大臣、リーダーシップを発揮して、ぜひホームページの修正ということも取り組んでいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 局長が答弁したとおりでございます。

井上(一)委員 地位協定、これは、沖縄県も、他国の地位協定の調査、中間報告書を出しております。こういう中でいろいろ調べておりまして、例えばドイツにおける地位協定の状況ということで、「米軍の飛行もドイツ航空管制が原則としてコントロールし、空域での訓練はドイツ航空管制の事前許可が必要である。」こういうふうになっています。イタリアも、「米軍の訓練等の活動には事前にイタリア軍司令官の許可が必要となっている。また、米軍基地の航空管制はイタリア軍が行っている。」こういうふうになっています。

 また、私も沖縄県で勤務したことはありますし、そういう意味で、米軍がしっかり安定的に運用するためにも、私は地位協定の改定が必要だと思っていますし、先般沖縄県で、普天間第二小学校の上空を飛行しないようにということを日本政府が要請したにもかかわらず飛んだ事案もありました。

 私としては、先ほどのドイツ、イタリア、こういう国については、航空機の飛行ルートそれから訓練場所をしっかりコントロールしております、同じように、日本としても、飛行ルートそれから訓練場所、こういったことについては、住民の理解を得るためにもやはり日本側としてしっかりコントロールしていく必要があると思っていますので、今後ともしっかり地位協定の改定について議論していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

中山委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改正の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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