衆議院

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第3号 平成31年3月13日(水曜日)

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平成三十一年三月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 若宮 健嗣君

   理事 小野寺五典君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 武井 俊輔君

   理事 堀井  学君 理事 寺田  学君

   理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君

      小田原 潔君    小渕 優子君

      黄川田仁志君    高村 正大君

      佐々木 紀君    杉田 水脈君

      鈴木 憲和君    鈴木 隼人君

      辻  清人君    中曽根康隆君

      中山 泰秀君    福山  守君

      三浦  靖君    岡田 克也君

      堀越 啓仁君    山川百合子君

      青山 大人君    高木 陽介君

      穀田 恵二君    杉本 和巳君

      玄葉光一郎君    井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   外務大臣政務官      鈴木 憲和君

   外務大臣政務官      辻  清人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 赤堀  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    垂  秀夫君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     三浦  靖君

  山田 賢司君     福山  守君

  櫻井  周君     堀越 啓仁君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     山田 賢司君

  三浦  靖君     杉田 水脈君

  堀越 啓仁君     櫻井  周君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

若宮委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長下川眞樹太君、大臣官房審議官大鷹正人君、大臣官房参事官赤堀毅君、大臣官房参事官安藤俊英君、北米局長鈴木量博君、領事局長垂秀夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。

武井委員 おはようございます。自民党の武井俊輔です。

 十五分という短い時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 名給法の質疑ということですが、まず日韓関係について、ちょっと気になる点がありますので、質問をさせていただきたいと思います。

 もちろん、昨年来の文在寅政権の対応、各種の裁判、またレーダー照射の問題など、課題は引き続き山積をしているわけですが、一方で、日韓の相互往来というものは引き続き活発なものがありますし、四万人を超える在留邦人が韓国にいるというのも確たる現実であるわけであります。私どもの知人の中でも、厳しい外交関係の中で、何とかビジネスや観光を通じて頑張っていこうという仲間もたくさんいるところであります。

 その上で、日韓関係の悪化に伴いまして、特に、さきの三・一独立運動百周年というものがあったわけですが、これに当たって海外危険情報を出すべきだといったような意見、これは自称保守系と言われる人たちの主張もそうですし、我が党の外交部会などでもそういう議論というのはあったわけですが、領事局もそれに伴う注意喚起というのはしたところであったわけです。

 まず、お伺いをしたいんですが、この三・一独立運動、具体的には三月一日でありますけれども、この日に、韓国において、例えば、邦人が暴行を受けるとか、日系の企業や店舗が攻撃をされる、ないしはそれに類するような行為が実際にあったのかどうか、お伺いしたいと思います。

垂政府参考人 お答えいたします。

 三月一日のデモ等につきまして、邦人への被害等がなかったことを確認しております。

武井委員 つまり、そういうことだと思うんですね。日本のメディアの中継なんかを見ていても、そもそもデモの前で、今デモをやっていますみたいな中継を日本のメディアも各社やっていたわけで、本当に危険なら当然そういうことはできないわけであります。

 ツイッターなどを見ても、在留邦人の方がハッシュタグをつけて、今のソウルが日常と変わらないみたいなことを一生懸命発信をされているという姿もそこにあったわけです。

 そこで、改めて考えたいのは、ソウルが反日だから危ないんだ、海外危険情報を出すべきだ、やはりこれはあるべきではないんだろうなというふうに思うわけであります。

 私は、外務省の政務官をしておりましたときに、バングラデシュの邦人殺害事件の対応というのに行ったことがあります。木原理事が副大臣のときにまさに直接対応なさった、その一年後に、その状況をどういうふうにするかということで、初めて政務で行ったんですけれども、そのときに、先方の大臣などとも話をしながら、どういう形でこれを解除していくかといったような話もしてきたんです。そのときに、海外危険情報というのは、やはりこれは非常に客観的なルールがあって、かつ、国際的にも一定のルールに基づいて出されているんだということを実感をしたわけであります。

 改めまして、この海外危険情報の発出についての基準、そしてまたルール、こういったようなものがどのようになっているか、お伺いしたいと思います。

垂政府参考人 お答えいたします。

 危険情報は、邦人の安全を確保すべく、中長期的な観点から、治安情勢を始めとした政治社会情勢等を総合的に判断し、それぞれの国、地域に応じた安全対策の目安をお知らせするものでございます。

武井委員 まさにそういうところでありまして、ですから、これは非常に客観的に、今の状況がどうだ、例えばその国の殺人率であるとか、その国の内政の状況であるとか、そういったようなもので判断をしているということでありまして、ですから、あくまでも客観的なものであって、外交の道具ではない、ましてやこれは制裁のツールでもないということを改めて感じるわけであります。

 そういう意味で、この海外危険情報というのは、例えば旅行や観光の業界、またその国に住んでいる人たち、また企業などにこれは非常に大きな影響があるわけですね。特に、私は旅行業におりましたけれども、海外危険情報二が出ると、旅行会社は主催旅行をJATAの申合せで組まないということになっているわけでして、実質的にはその国への観光というのはもうできないということになるわけであります。ですから、やはり海外危険情報が出るということは非常に注視をしております。

 また、加えて、出すときよりも、むしろこれは解除するときが難しいわけですよね。解除するということは、やはり何らかの判断に基づいて解除をするわけですけれども、解除をして、もしまたその後で実際に何か事件が起こったといったときに責任をとれるのかみたいな話になると、どうしても、もう終わったものでもずるずるとなかなか解除できずにあるといったようなこと、これも非常に困るわけでありまして、そういう意味でも、非常にこれは慎重にしていかなければいけないものなんだろうというふうに思うわけであります。

 もちろん、さはさりながら、韓国に対する今の現状を踏まえて、厳しい対応が必要なことというのは言うまでもないわけですけれども、改めて、そういった努力をしている方がいる、またそういったところに暮らしがあるということは、我々、常に胸にとめながら対応また判断をしていかなければいけないんだろうというふうに思っております。

 我が国でも、今、法も改正して、さまざまな努力もしているわけですが、先週も、これは京都の八坂神社の周辺で、朝鮮人排斥だといってヘイトデモみたいなものがありました。外国人観光客も大変多い京都でこういったようなことが起こるのは大変残念で、大変恥ずかしいことだというふうにも思うわけであります。

 大臣に一点確認させていただきたいと思うんですが、大臣もかねがね、日韓の民間の交流がしっかりと続けられることが重要だということは言及をされておられるわけでありますが、その思いが引き続き変わられないか、またその重要性について御見解をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 まず、外務省の危険情報について申し上げますと、これは客観的なものだけで出すわけではございません。これはある程度政府の意図といったものを内包して出す場合があるということはしっかり明言をしておきたいというふうに思っております。何かの指数に基づいて、客観的な指標だけで出しているものでもないし、下げるものでもない、これはある程度政府が高度な判断をして出す場合があり得るということはしっかり申し上げておきたいというふうに思っております。

 日韓関係について申し上げれば、今回の大法院判決というのは、日韓の両国関係の法的基盤を根底から揺るがしかねない極めて重大な出来事でありまして、これは韓国政府には極めてしっかりとした認識を持って対応してもらわなければならないというふうに思っているところでございます。

 再三再四協議の申入れをしているところで、我々としては、請求権協定にのっとった協議を韓国が誠意を持って受けるというふうに考えて対応しておりますが、万が一の場合には政府として必要な措置をとらざるを得ないというふうに思っているところでございます。

 他方、今委員おっしゃったように、日韓両国の国民の交流というのは、昨年、相互交流が一千万人を超え、非常にいい状況にあるというのはそのとおりでございまして、相手の国を訪問をして、実際に相手の国を自分の目で見て、さまざま相手の国民と交流をするというのがやはり両国の関係の基盤をなすものだろうというふうに思っております。そういう意味で、日韓の両国の国民の交流が非常に活発であるということはいいことだと思っております。

 残念ながら、ことしの一月の韓国からの日本への訪問は前年同月比マイナスになっておりますが、マイナスといっても若干でございます。そういう意味で、またことし盛り返して前年同月を超えてくれる月が出てくるのではないかというふうに期待をしているところでございます。

武井委員 まさにこういう時期なればこそ、そういう交流の重要性ということは共有できたというふうに思うんですが、また引き続き外務省、これは観光庁、経産省、それぞれの役所もあるんだと思うんですが、当事者の皆様には引き続きそういった努力をお願いしたいというふうに思います。

 さて、時間もちょっと押してきましたが、名給法について一点お伺いをしておきたいと思います。

 今回は、主に国名や地名の変更がメーンということで、おおむね事務的な部分であるというふうに思うんですが、私もさまざまな国に行かせていただいて大使館の館員の皆さんに大変お世話になってきたところであります。今回は、この名給の給の方ですね、この給与の方につきましては、子供さんの学校に係る経費の見直しということで、やはりこれもかなりそれぞれの国によって事情も異なるわけですが、多くの職員の皆さんが持ち出しで苦労されているという状況を聞いたわけでありまして、それに鑑みれば非常によいことだというふうに思うわけであります。

 あわせて、課題としてよく聞きますのは介護の関係ですね。これはもちろん、どの府省でも、また民間でも同様の課題というのはあるわけですけれども、特に海外にいれば、なかなか頻繁に介護のために帰るというわけにもいかなくて大変な思いをしているという話は館員の皆さんからも聞いたところでありますが、こういったようなことが海外赴任のネックになるとすれば、この対応もしていかなければいけないんだろうというふうに考えるわけです。

 これについて外務省でもいろいろと、今回も要求はされたというような話も聞いているところでありますが、この職員の介護、またこれに対するフォローについて、今後どのように対応されようとしているのか、お伺いしたいと思います。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 勤労者が親などの介護と仕事を両立して活躍できる職場環境を整備するということは、いずれの職場におきましても喫緊の課題であるというふうに考えております。

 特に外務省におきましては、家族の介護の問題を抱える在外職員数が全在外職員数の約一四%にも及んでいるという数字もございます。

 こういったようなことを踏まえまして、家族の介護のために一時帰国する際の経費負担を軽減するための措置としまして、昨年八月、外務人事審議会勧告に基づきまして、平成三十一年度の予算概算要求におきまして介護支援手当の創設というものを要求したところでございます。

 在外公館の職員が家族の介護のために一時帰国費用を自己負担している例というのがございます。そういったようなことについて何らかの対応が必要であるということについては財務省の理解も得たところでございますけれども、今のところ、同様の補助が民間企業に広まっているとは言いがたいこと、手続が煩雑になり得ることなどから、来年度予算における介護支援手当の創設は見送られたところでございます。

 以上申し上げた上で、在外職員が家族の介護のために一時帰国費用を自己負担している実情、そういったようなことも踏まえまして、外務省の共済組合、これが提供しております保険を通じまして家族の介護に関連する費用の負担に備えられるようにするということを現在検討しているところでございまして、在外職員が利用しやすい仕組みとなるようにいろいろと検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

武井委員 職員の皆さんが安心して仕事ができるということは、これから外務省も、日本全体が人手不足になる中で、選ばれる職場になっていくという意味においても非常に重要なところであろうというふうに思っております。

 ことしは財務省との折衝の中で難しかったということであるようでございますけれども、引き続き努力をしていただいて、共済も含めていろいろとフォローもしていただきながら対応していただきたいと要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。おはようございます。

 本日は、在外公館名称位置給与法改正案、我が党として賛成でございますが、これに関して三問ほどお伺いをして、その後、時間の許す範囲で、別の課題についても二問ほど伺いたいと思っております。

 まず一問目、外務大臣にお伺いをいたします。在外公館の整備の今後の方針についてお伺いをしたいと思います。

 外務省が五年前に発表いたしました在外公館の整備方針、これに基づいて在外公館の整備が進められてまいりまして、当初の目標でありました世界で百五十の大使館を整備するということは達成をされたと認識をしております。しかし、引き続き、地球儀を俯瞰する外交を掲げている安倍政権、この立場からすれば、在外公館がまだない地域というものは世界にあるわけでございまして、その解消をできる限り進めていただきたい、こう思っております。

 そこで、大臣にお伺いしますが、百五十大使館体制を達成したわけでございますけれども、今後は、どういう要件を、条件を満たせば在外公館のない地域で新たに在外公館を整備するというお考えなのか、御答弁をいただければと思います。

河野国務大臣 国連加盟国だけで百九十三あるということを考えれば、在外公館の数は多ければ多い方がいいという考えも当然あるかと思いますけれども、今の財政状況あるいは外務省の定員を見れば、一度立ちどまって、足腰を強化する必要があるというふうに思っております。

 百五十を掲げ、今百五十一まで来ましたので、少し、量の拡充よりは、今まで設置した在外公館の質を高めていく、それぞれの在外公館の中で必要なところの定員をふやし、足腰を強くしていく、そういう方向で今後しばらくやりたいというふうに考えております。

遠山委員 大臣、私もやみくもにふやせばいいという立場ではございません。

 ただ、例えば、最近設立をさせていただいた日本・マルタ共和国友好議員連盟、私はここの幹事長に就任をしておりますが、このマルタ共和国、人口四十三万人しかいなくて、小さなヨーロッパの国でございますけれども、イギリスが、UKがEUを離脱した後は、英語を公用語にしている国はヨーロッパではマルタ共和国とアイルランドしかないという状況にもなりますし、大臣は恐らく御承知だと思いますが、マルタ共和国は国際海事法の研究の拠点、最近はブロックチェーンなどのITでも存在感を出しておりますし、マグロも大分日本に輸出をしているという、私は日本にとって小さいながらも戦略的に大事な国だと思っております。

 議連の関係で仕事をしておりますと、このマルタ共和国も近い将来日本に彼らの在外公館をつくろうかということも聞いておりますので、そういったところはしっかりと、財政の制限のある中で、戦略的な観点で、適切な対応を考えていただきたいというのを要望として大臣には申し上げておきたいと思います。

 次の質問でございますが、在外公館の国有化率、これは現在約四〇%にとどまっていると認識をしております。機密保持や警備対策の観点から、更に国有化を推進することが望ましいと思っておりますが、外務省はどのような達成目標を持っているでしょうか。

辻大臣政務官 お答えします。

 委員御指摘のように、我が国の在外公館施設の国有化率については、主要先進国と比較して低水準にとどまっているのが現状であります。

 このような状況を踏まえて、我が国の安定的な外交拠点の確保の観点から、現行借り上げ物件を国有化する場合の中長期的なコスト比較と、そのほかの諸事情を総合的かつ慎重に勘案しつつ、引き続き、主要先進国並みの国有財産比率の実現を目指して、国有化率の向上に向けた必要な検討を行ってまいりたいと考えています。

遠山委員 ありがとうございます。

 これも一問目と同じで、財政上の制約がある中でのお話だと思いますが、四〇%の国有化率ですので、少なくとも早期に五〇%を超えられるように外務省には努力をしていただきたいと思います。

 三つ目の質問でございます。先ほど武井委員からもありましたが、本改正案で子女教育手当の加算上限額が二・七万円から四・三万円に引き上げられるということでございますが、これにつきましては、日本国内でもことしの十月から幼児教育の無償化が本格的に開始をされることもございますので、私どもはこれは妥当な措置であるというふうに考えております。

 その一方で、外務省の概算要求に盛り込まれていましたが、最終的に政府案から落ちているものがございます。これが介護支援手当というものでございまして、わかりやすく言うと、外務省の在外でお勤めになっている方々、特に御本人がある程度年を重ねておりますと、その親御さんたちはもっと高齢になっているわけでございまして、場合によっては介護を理由として帰国をしなければいけない、その補助として介護支援手当というものが外務省の概算要求に盛り込まれておりましたが、政府案から落ちております。

 その理由と、また今後、こういった介護を理由に帰朝するということはずっとあると思うんですけれども、外務省としてどういう対応措置を考えておられるか、お伺いできればと思います。

辻大臣政務官 お答えします。

 さきの武井委員の答弁で御説明したとおり、在外職員が家族の介護のために一時帰国費用を自己負担している例がありまして、何らかの対応が必要であることについては財務省の理解は得ましたが、同様の補助が民間企業に広まっているとは言いがたいこと、手続が煩雑になり得ることなどから、その創設が見送られた次第でございます。

 その上で、在外職員が家族の介護のために一時帰国費用を自己負担している実情に鑑みて、外務省共済組合が提供する保険を通じて家族の介護に関連する費用の負担に備えられるようにすることを検討しておりまして、在外職員が利用しやすい仕組みとなるよう考えてまいりたいと考えています。

遠山委員 わかりました。

 外務省の共済組合を使ってということでございますので、これはまだ制度としてないんだと思いますが、官房長もおられますので、早期に制度設計をしていただいて、他の省庁と違って在外勤務が多い外務省でございますので、その特性に応じた制度というものを構築していただきたいと私からも要望申し上げます。

 法案に関する質問は以上で終わりまして、二問、日米地位協定関係の質問を外務大臣にさせていただきたいと思います。

 私は、現在、公明党内にございます日米地位協定検討ワーキングチームの座長をさせていただいておりまして、昨年、やや中間的な見直しの提案書をつくりまして、菅官房長官に八月に直接お会いして申し入れました。その同じ内容を、ことしの一月に米国首都ワシントンDCに参りまして、国防総省ボスティ日本部長、代行がとれて、国務省はナッパー国務次官補代理代行、これはまだ代行が残っていますが、このお二人にお会いして、同じ内容を申し入れてまいりました。

 きょうは時間がありませんので、その全体の中身ではなくて、少し個別のことについてお伺いをします。

 まず一つは、この我々の提案の中にも含まれておりますが、米軍のヘリコプター等の事故時、その事故の後に現場で引かれる規制線内への日本側の立入り権の確立を我が党は昨年から求めているわけでございますが、河野外務大臣は、先月七日の参議院の予算委員会の我が党の河野議員への答弁の中で、米国側とこの点について協議をしていると発言をされております。

 この協議について、いつごろ結論を出されるのか、本当に米軍機の事故の直後の規制線の中に、今これは米軍関係者しか入れないんですね、日本政府関係者、沖縄の関係者は入れていないという状況ですが、これは私は入れるようにすべきであると思っておりますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

河野国務大臣 今まさに協議中でございますので、具体的な内容を含む詳細について今お答えをするわけにはいきませんけれども、協議がまとまり次第、適切にお知らせをしていきたいというふうに思っております。

遠山委員 わかりました。

 今はそういうお答えしかできないのかもしれませんが、なるべく早くやっていただくことが、たくさんの米軍基地を抱える私の地元でもあります沖縄の県民の皆様にも朗報になろうかと思います。

 もう一つ大事な点がございます。私どもの申入れの中では、騒音軽減委員会、これは仮称ですけれども、こういった組織をつくるべきではないかというものを言っております。

 これはどういうことかといいますと、米軍基地の司令官や、あるいはその基地のある周辺の日本側の自治体の首長さんで、騒音を始めとする基地から派生する問題について議論する場を定期的に持つ仕組みというものをつくった方がいいのではないかという趣旨でございます。

 これはどうしてかといいますと、大臣もよく御存じのとおり、一年間通年で、沖縄の基地周辺の自治体の首長さんや議員たちが上京しまして、我々与党や、場合によっては野党の議員の皆様に、いろいろな具体的な騒音等の問題について要請というか陳情がございます。それを我々は防衛省や外務省に伝えて、そこからまた米軍当局へ伝えてくださいといって、経由地が政治的に多いようなやり方がずっとまかり通ってきているんですね。

 だったら、基地を抱えている自治体の首長さんが、その基地を運営している司令官たちに、あるいは場合によってはパイロットたちに直接定期的に訴えるような仕組みをつくった方が確実に伝わるわけでありますから、それが今までないというのがおかしいんです。ということを、我々、去年の八月に官房長官に申し上げたんですが、実は去年の十一月にこの点で画期的なことがございました。

 もう時間がないので余り詳しく申し上げませんが、昨年の十一月七日に、沖縄市、嘉手納町、北谷町でつくる、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会、略して三連協という会合が開かれまして、ここには、私は個人的に驚いたんですが、嘉手納基地の米空軍第一八航空団の司令官と六人のパイロット、操縦士本人が参加をして、沖縄市と北谷町と嘉手納町の首長さんと直接意見交換をしたということでございます。

 先日、このお三方が私の部屋に参りまして、大変にこの三連協の内容はよかったと。ヘリコプターとか戦闘機を操っているパイロット本人が出ているわけですから。

 きょう、大臣に簡潔にお伺いをしたいのは、この三連協はぜひ定例化をしてもらいたい。年に一回はちょっと少ないと思いますけれども、せめて年に二回ぐらいやれるように定例化してやっていけば、これは大分、またその基地周辺自治体の皆さんの気持ちというものもいい方向に変わっていくのではないかと思うわけでございますが、ぜひ、外務省としても、米側に対してこの三連協の定例化を訴えてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 日米安保というのは、これはもう外交でございますから、国がしっかりと責任を持つというのは大前提でございますけれども、そうした前提のもと、地元の懸念について、現地の在日米軍と自治体の間で意見交換を始めとする関係の構築ができるというのは大変いいことだと思います。

 関係の地方公共団体の御要望を承りながら、相手のあることではありますけれども、在日米軍にもしっかりと理解をいただいて、可能な限りこうした要望に応えていけるように、アメリカ側としっかり協議はしていきたいというふうに思っております。

遠山委員 ありがとうございます。

 外務大臣、ぜひこの三連協の定例化、そして、できれば、普天間基地はまだありますから、普天間基地周辺の連絡協議会というのも、立ち上がったらその定例化も後押しをしていただきたいということを申し上げて、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。本年もよろしくお願いします。

 毎年質疑に立たせてもらっていますけれども、今回、公館法の質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、先ほど遠山先輩もお話をされていましたけれども、在外公館の整備方針という問いに対して、大臣の方から、できる限り広げてはいきたいけれども、一回立ちどまって質の向上を図りたいというようなお話がありました。私の方でも通告を、今後の方針はということでちょっと立てていますけれども。

 今大臣が言われたその質を高めるというのは、具体的に、もう一段掘り下げて言うと、どういうような形で既存の公館の質を高めていくというお考えなのか、お答えいただければ。

河野国務大臣 外務大臣を拝命する前に行革担当大臣というのをやっておりました。そのときに、在外公館を新設する際にミニマムマイナス公館というのをつくりました。これは、公館の人員四人でやれるだろうということで、いろいろなところでやりましたが、実際、幾つかそういうところへ行ってみると、とても回らないんですね。館員が休みも満足にとれないという状況で、これは失敗だったと。自分でまいた種ですから、自分でしっかり刈り取らにゃいかぬということで、ミニマムマイナス公館はやめよう、人員を少しふやそう、そういうことを今やっております。

 百五十一の館の中で、本来ならもっといろいろな業務をやらなければいけないのに、人手の関係で業務がきちんとできないというところがやはりある。まず、人員をそういうところにきちんと配置をするということと、さまざまなトレーニングをしっかり積んだ人員をそこへ配置をしていく、それぞれの館の能力を高めていくということをやはりやらなければいけないというふうに思っております。

 それからもう一つは、ロジの関係で、いろいろな公館から人を駆り出していろいろなロジをやらせるということがあったわけですが、これは少し無駄な部分もそれこそあるだろうというので、例えば、隗より始めよで、外務大臣の出張に必要なロジの人数を大幅に減らして特に問題はなくやってこれておりますので、もう少しいけるのではないかな。今公館にやってもらっている業務の中で無駄なものを削って、本来公館がやらなければいけない業務をしっかりとできるようにまずしていきたいというふうに考えております。

 そういう足腰を強くするということをまずやった上で、全く新設を考えないかというと、そういうわけではありませんけれども、数を求めるよりは質を高めて、在外公館の業務のレベルを上げていくというところにしばらく、どちらかといえばそっちに比重を置きたいというふうに考えております。

寺田(学)委員 ありがとうございます。

 私も本当に、おおむね大臣のお考えには同意をします。限られた予算とリソースをどのように効率的にやって外交力を高めるかということですので、単純に公館がふえればふえるほど高まるというものではないだろうとも思っています。

 ですので、これから残された時間で、委員会で質疑するレベルかという細かさで議論をしたいと思いますけれども、実際、やはり、先ほど大臣も言われましたけれども、すごい細かい運用のあり方であったり待遇のあり方で全然その人間のパフォーマンスが変わってきたり、広く言うと、外務省に入ってくる、外交官を目指そうとする人材の質にも影響してくると思うので、私は、非常に議論が必要だ、こういう議論は大事だと思っているので、やらせていただきます。

 先ほど、介護の話はさきの二人の委員からお話しされたので省きますけれども、子女教育に対しての補助、今回かさ上げをするという形で、私もそれは賛成です。

 ちょっと一回大臣にお伺いしてみたかったんですけれども、大臣の教育観というのはどういうものなのかな。大臣が、これからの世代に対する教育観、外務省所管でいうならば、それは駐在した人間のお子さんたちがどういう教育環境にあるべきなのかというところにも多少リンクしてくると思うんですけれども、一般的な質問になってしまいますけれども、大臣の教育観というのはどういうものなのか、一度お伺いしたいと思っています。

河野国務大臣 なかなか難しい御質問でございまして、我が家も一人息子がいますが、女房と子供の教育をめぐっていろいろ意見を闘わせているところでございますので、どこの家も同じかなと思いますが、少なくとも、外務省の人間の子女の教育に関して言えば、なるべく、外務省の職員が海外へ出るときには子女帯同するのが望ましいというふうに思っております。

 これだけ国際化が進み、これからも国際化が進んでいくだろうと考えられる中で、やはりそういうチャンスがあればそういう環境で育ってもらいたいというふうに思っておりますし、外務省の職員、何度も海外へ出る人間がいるわけですから、その子女の教育の接続ということもしっかり考えていかなければいけないんだろうなというふうに思います。

 よく、海外へ出たときには、日本人学校なのか現地校なのかどうなのかという議論がありますけれども、いろいろな国に行くということを考えると、やはり、チャンスがあればインターナショナルスクールにきちんと入れて、教育を受けられるような環境を提供するということは大事なんだろうなと思います。

 いやいや、それでも、国は違ってもそれぞれ現地校へ入れてスパルタにやるということもあれば、日本人学校へずっと入れたいという人もいるでしょうから、そこはいろいろな考えがあっていいと思いますが、少なくとも、外務省の子女が海外に行く場合には、どの国に行ってもある程度一定の接続が可能になる、インターに入れる前提で環境をつくっていきたい。

 あとは、親の判断というところがありますから、そこから先はとやかく言う必要はないというふうに思いますが、そうやってせっかく海外へ出るチャンスがある以上、国際的な教育を受けた上で、それぞれがどういう人生を歩むか、本人が将来的に決められるようにすればいいのではないかなというふうに思っております。

寺田(学)委員 お考えに激しく同意しますけれども、もちろん、子供の希望であったり親の考え方がありますけれども、私は、海外へ行かれた場合には、もちろん日本人学校もそうですし、現地校もそうですし、大臣が言われたようにインターに通うということもちゃんと選択肢として選び得た上で、親ないしは子供の希望というところだと思います。

 きのう、レクの段階で、インターに入る場合、恐らく海外、まあ地域によるでしょうけれども、年間二百五十万から三百万ぐらい学費がかかると思いますけれども、月十五万ぐらいの補助が出るという話でした。百八十万円ぐらい。それで、持ち出しが結構出て、ある程度位が上の方が赴任した場合のお子さんの通わせ方としては経済的な負担は何とかなりますけれども、若い職員が行った場合に、その選択肢というのは、実質的に持ち出しが多過ぎてなかなか選び得ないのではないかなという懸念も持ちました。

 ですので、これは官房長の御答弁でも結構ですけれども、今大臣言われた大きな教育観、そしてまた外務省の職員の子女教育のあり方、選択肢としてしっかりインターも含めてやっていけるというお話がありましたので、そういうところに対しての今後の方向性、補助のあり方、官房長でも結構ですし、大臣でも結構ですけれども、御答弁いただければ。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、在外職員の子女教育手当の基本的な構造について簡単に触れさせていただきます。

 子女教育手当につきましては、職員が子女を伴って赴任している場合に払われる定額の八千円という部分と、そして、学校等の就学に必要な経費、それに基づく加算額、この二つの部分で構成されております。

 そのうち、小中高、ここの部分につきましては、日本人学校に通う場合には、これはこれで必要経費で月額というのがございますので、その月額から、自己負担、二万二千円は各人が負担するという思想のもとで、その差額、差し引いた額が加算されるという構造になってございます。

 これを基本としつつ、やはり、地域によっては日本人学校がないような場合、ないしは、日本人学校がありましても、勤務の接続ですとかいろいろな合理的な理由がある場合に、インターに通う必要性がある場合がございますので、そういったような場合について、インター学校に通う場合に、邦人子女が就学可能な学校、一定の水準を確保している就学可能な学校のうち最も低廉な学校、この必要経費というものを基準といたしまして、そこから先ほど申し上げた自己負担額二万二千円を引いた分は、各人に負担していただいて、残りを補助する、そういうふうな制度になってございます。

 更に言えば、より幅広くインターを選択したいというような状況がある場合に、そういう意味で、特段の事情はないけれども、自己の選択によりインターナショナルスクールに就学する、そういったような場合には、先ほど委員から御指摘のありました、十五万円を上限として補助を出すというような形になっているところでございます。

 こういうように、各国の教育事情、それから各人の選択、いろいろと多様でございますので、そういうものにできるだけ対応できるような形で、もちろん予算の制約がある中で、必要な、適切な支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。

寺田(学)委員 民間と比べながらとか、いろいろ参考にする補助額はあると思いますけれども、本当に人材の獲得合戦になると思います。やはりそれは、民間の大手の方に行ったら、海外に行った場合の補助も高いしみたいな形で選ばれる方もいらっしゃるとは思うんですね。なので、そこは本当に、人材獲得、外交官の質の向上ということを含めて、そういうところの補助というのはしっかりとケアしていくべきだと思いますので、鋭意努力していただきたいと思います。

 私は三菱商事というところにいたんですけれども、そのときのチームのリーダーだった人が今アイスランド大使を、北川さんという方がやられていまして、恐らくことしで帰任されるだろうということで、急いで年末に行ってきました。私の上司でもあり、自民党の福田達夫さんの半分上司ぐらいの、一緒に仕事をしていた仲なんですけれども、その北川さんからいろいろ御指導を賜ってきました。

 アイスランド、私、初めて行きましたけれども、フランクフルトから四時間ぐらいかけて行って、私が行った年末ですから、夜明けが午前十一時半ぐらいで、日没がその四時間後ぐらいに落ちて、ひたすら真っ暗な中で、風が強い中でやるんですけれども、いろいろ頑張ろうと。アイスランド自体は、北極にも近いことも含め、今、中国がどんどんどんどんそこに対する地政学的な意味を含めて攻めてきている中で、日本食の人気も高まる中において、何とかプレゼンスを高めていこうと頑張っていらっしゃいました。

 一つずつ、細かいですけれども、いろいろなお話をいただいたところをちょっと、大臣にも知っていただきたい、改善していただきたいということでお話しします。

 初めて知ったんですけれども、在外公館に勤務する外務公務員の休暇帰国に関する省令とかといって、不健康地その他これに類する地域というのは、外務大臣指定で国、地域が指定されて、一年半たつと休暇として帰ってこられるということで、一覧をちょっと見ましたけれども、エルサルバドルとか大変なところはいっぱいあるんですけれども、アイスランドが入っていない。

 大使御自身は、もう自分自身は間もなく帰任だからいいけれども、これからここの重要性が高まる中において、やはりアイスランド、いいところもある、観光で行って、ブルーラグーンにちゃぽんと入って、きゃあと言って帰ってくる分にはいいですけれども、ずうっと住み続けてやっていくことのつらさと、私も意外だなと思ったのは、やはりうつが非常に多くて、日照時間の関係も含めて、そういうことが社会問題になっているところでした。なかなか住むには大変なところだけれども、先進国というくくりで、この休暇帰国の中にも入っていない。

 中を見てみると、ほかの南米とかは大変ですけれども、バンコクだったりマニラだったりクアラだって入っていますよね。ここが大変じゃないと言うつもりはないですけれども、私自身も何度も行っているところですので、比較的暖かく、娯楽もあり、気候もよく、日本からも近くというところは入っているんですけれども、アイスランドのようなところが入っていないというのはやはり不均衡だなというのは率直に思いました。

 これは、都度都度改正はしているようですけれども、アイスランドを入れろとその国だけを言うのもなんですけれども、もうちょっと実態に沿った形で考え直す必要性があるな、それが外交力を高める間接的な意味もあると思いますので、どうでしょう、大臣でも官房長でも。

下川政府参考人 御指摘ありがとうございます。

 どういう公館が不健康地であるかということにつきまして、そしてどういう手当てをするかということに関しましては、自然、地理的な環境、それ以外にも、衛生環境ですとか、生活環境ですとか、社会、文化環境ですとか、さまざまな要素を見て、勤務、生活環境が特に厳しいのはどこか、そういう観点から判断しているものであるというふうに考えております。

 御指摘のとおり、アイスランド、これは北極に大変近い世界最北端の首都レイキャビクにあるわけでございますけれども、冬の日照時間が極端に短く、夏は極端に長いといった、特に自然環境、地理環境の面で厳しい勤務地であるというふうに認識しております。

 他方で、アイスランドを今度見始めますと、北欧のオスロ、ストックホルム、ヘルシンキはどうなんだろうかとか、いろいろなこと、横並びも見ながら、そして、勤務の厳しさということでいいますと、地理的、自然の環境以外に、衛生状況とか生活のしやすさとか、そういうことも踏まえながら考えていく必要があるんだろうと思います。

 いずれにしましても、御指摘いただきましたことでございますので、こういう形での厳しい勤務環境に置かれていること、これについてどういう改善策があり得るかということにつきましては、外務省としても、これから将来に向けて検討していきたいというふうに考えております。

寺田(学)委員 アイスランドに行かれたとき、官房長、ありますか。行ってくださいよ。僕、その後、オスロに寄って帰ってきましたけれども、オスロは天国でしたよ。日照時間は大して変わらないんですよ。ただ、やはり、人口の多さだったり、お店の多さだったり、町の明るさだったり、あと風の強さも全然違いますよ。

 そういう形で先進国とか北欧というくくりでやったときに、アイスランドだけどうこうと考えにくいのかもしれないですけれども、北川大使も海外経験が長い方ですよ。恐らく、フィリピンとかシンガポールなんという並の外交官よりも物すごい食い込んでいる方です。ただ、その方もやはりきついと音を上げていました。

 そういう意味で、やはり、足を運ばれていないのはあれかもしれませんけれども、大臣は行かれていると思いますけれども、大臣が行かれるのと一般の人が行くのはまた違うと思いますので、ちょっと再考してください。これは特出しで、答弁は求めませんけれども、大臣、よろしくお願いします。

 あと、外務省の外交官の方々、日本にいる方も含めて、去年いろいろありましたけれども、さまざまな人がいるなと思いますし、そういう一人一人の個性を何とか伸ばして頑張ってほしいなと思います。比較的、役所の中では、まだ外交官に対して希望する方々が多くて、いい人材が集まっていると思いますけれども、とはいえ、若い人たちに結構いろいろなしわ寄せが来ていると思います。

 僕も初めて知ったんですけれども、海外に行くと、在外手当があるせいで残業代がつかないんですね。そういう話を聞きました。上のクラスの人たちは、やっておけよといって帰れるかもしれませんけれども、下の人たちはひたすら、時間外も含めてサービス残業しているという実態がある。全ての公館がそうだとは思いませんけれども、結構若手にしわ寄せが行っています。

 こういうものをどう改善していくかというのを官房長に聞きたいところですが、官房長は答弁が長いので、大臣、やはり若手は大変ですよ。

 もう一個、すごい細かいですけれども、僕が前いた会社も、海外赴任があるときには、赴任する瞬間はどんな若手でもビジネスで一回だけまず行けます。荷物も相当多いんですよ。いきなり引っ越しの荷物が届くわけでもないので、とりあえずの荷物をたくさん持っていくんですけれども、外務省の若手はエコノミーしか乗れないので、ラゲッジの部分のオーバーチャージを取られるらしいんですよね。そんな、たかだかそれぐらいと言うかもしれませんが、安い給料で働いているわけですよ。なので、僕は全員ビジネスに乗せてやれなんという偉そうなことを言うつもりはないですけれども、何か、そういう一つ一つのところの待遇改善が、よっしゃ、頑張ってやってやろうというところに僕はつながると思うんですよね。

 大臣、残業代の問題、あと赴任のときの問題を含めて、何かちょっとお考えを述べてください。

河野国務大臣 外交官で赴任をするときに、もちろん勤務時間というのはあるわけですけれども、少なくとも外交官というのは、現地でそれこそいろいろなところへ食い込まなきゃいけないとか、日本を代表して赴任をしているわけですから、若手の外交官といえども、いろいろな人からその立ち居振る舞いを見られているというところは当然にあろうかというふうに思います。そういう部分をいろいろな在勤手当その他でカバーをしているわけですから、時間だけではかって超勤手当が云々というほど簡単な話ではないと思いますので、そこについてはちょっと慎重に検討させていただきたいと思います。

 細かいところでいえば、細かいところはいっぱいあります。赴任のときの、エコノミーなのかどうなのか、あるいは、在外公館で仕事をしていると、総理や外務大臣が出張に行くとそっちのロジでとられてしまうとか、さまざまなことがありますので、少しそこは、先ほど申し上げましたように、立ちどまって、足腰を強くする、質を高めていく、そういう中で、そうした一つ一つの細かいところは見ていきたいというふうに思います。

寺田(学)委員 国会議員全員が世話になっているわけですよね。軽はずみで頼むわけじゃないですけれども、便宜供与をいろいろお願いする中で、結局のところ、公館にいる若手のところにがっと仕事の量があって、さまざまなお世話をしなきゃいけなくなって大変なんだと思います。もちろん本業は本業でありますし。

 そういうところで、大臣が目を配らせろといっても大変と思いますので、ちょうど政務官、きょうは二人いますけれども、海外に行ったときにぜひ若手からの本当に細かい改善点を聞いて、ぜひとも中で官房長を含めて議論して、改善してください。

 ずっと長年やっている公邸料理人の話なんですけれども、外交演説の中に入れていただいてありがとうございます。

 さっきのアイスランドと絡めて言うと、アイスランドの私が行ったときの公邸料理人の方は、非常に腕がよく、ベテランの方だったんですけれども、お体の調子も含めて、ちょっとかわられるということでした。そのときに、公邸料理人以外のことで、公邸での食事の外交のあり方の話で言われたのは、結局のところ、ああいうところは専属のスタッフを何人もいっぱい持てるわけじゃないので、運転手だった人がバトラーとしてやるんですよね。

 アイスランドは、言い方は悪いですけれども、しっかりした国なので、時間外手当というか、残業手当が一時間七千円ぐらいなんだそうです。会食自体を三時間ぐらい、全てをやると大体二万円を超えてきて、超過手当の分の予算は予算であるので、結局そこを使い切っちゃうと、本当は公邸で食事をしたいんだけれども、その給仕する人の残業手当の予算分がないのでやれないとか、そういうような話にもなっているそうです。

 日本でいうと、余りそんな、残業に対するケアというか、なかなか比較すると乏しい国なのであれかもしれませんけれども、ほかの国でやると、そういう形で、公館での、公邸料理人の方に腕を振るってもらっていい外交をするということがなかなかできないということがありました。

 これは答弁を求めませんけれども、官房長、何とかしてください。

 今、一生懸命、公邸料理人の方を募っているところで、最後、今度東京でまたやるのかな、この間初めて京都でやったという話を伺いましたけれども、応募状況を含めてどんな感じなんですか。

下川政府参考人 公邸料理人のなり手でございますけれども、やはり、国内において、インバウンド観光客の増加に伴いまして料理人の需要がふえておりまして、海外においても日本食レストラン数が増加してきております。こうした中で、公邸料理人を志願して委託業者に新規登録する人の数というのは、近年、減少傾向にあるのが実態でございます。

 参考までに申し上げますと、大体五年前ですと、新規の登録者数が百名前後で推移しておったんですけれども、最近、二十八年度が八十二人、二十九年度が五十一人というふうに、新規登録に関して言えば顕著に減少してきているということでございまして、こういうことも踏まえまして、公邸料理人の魅力というものを高めて積極的に広報していかなければ、そして募集していかなければいけないというふうに考えているところでございます。

寺田(学)委員 海外で料理、自分の腕を磨いて、自分の腕を振るって、さまざまなVIPの方に召し上がってもらって日本のために頑張りたいという方、私は、志ある方は多いと思うんですけれども、いかんせん、やはり待遇が厳しいなというふうに思います。もちろん日本で修業したところでも下の間は大変かもしれませんけれども、ある程度の腕になってくるとやはり今引く手あまただと思うので、待遇をしっかり改善することが大事だと思います。

 ことし、官費による補助が三万円ですか、上がるということはまず前進だと思います、まだまだ足りないと思いますけれども。

 これは一点だけ、ちょっと確認を大臣にちゃんととっておきたいんですけれども、国として三万円ふやすときに、今、この仕組みを僕はおかしいと思うんですけれども、大使がポケットマネーで同じぐらいの分を出しているんですけれども、官費がふえた分だけ大使のポケットマネーを減らしたら料理人がもらう給料が変わらないというケースもあり得るんです。これは、そういうことがないような通達なのか、仕組みになっているか、確認だけ。

下川政府参考人 今回、この予算手当てをするに当たりまして、三万円ふえていく部分が、三万円、大使の負担をそのまま減らすような形にならないような形で運用していくというふうに考えております。

 すなわち、これは、今後、新規に契約する場合ないしは給与水準を上げるときに補助をふやしていくという形になっておりますので、予算をふやした部分が、大使の負担額を直接補助するといいますか、減らすという形にはならないような形で運用してまいる予定でございます。

寺田(学)委員 運用していく予定ですけれども、それは大使のポケットマネーで払われている部分があるわけですから、そこのさじかげんは大使ができるわけですよね。だから、その点に対して、そういうことがない、そういうことを前提にしていないというような御発言もあればいいですけれども、大臣、どうですか。

河野国務大臣 当然、そういう前提にはしておりません。

 それから、もう少し検討が必要ですが、やはり契約の形態を変える必要があるのではないかというふうに思っております。

 大使とか大使の奥様との相性とか、いろいろなことが言われるわけですけれども、そこはお互いプロなわけですから、ある程度きちんとやれるだろうというふうに思っておりますので、大使がかわると公邸の料理人もかわってしまうというのが今現実ですけれども、せっかくそこで定着をしているんだったら、大使がかわっても長くやってくれるという方がありがたいのかもしれませんので、少し、契約の形態については、見直しを含め考えていきたいと思っております。

寺田(学)委員 本当に、今回、官費で三万円ふやすということは前進だと思いますし、喜ばしいですけれども、やはり大臣が言うとおり、根本的な待遇のあり方、契約のあり方、私個人的には、もう公私に分ける必要もないと思うんですよ。それは、大使の日常的な食事までつくるので私的な部分があるんだという解釈はできますけれども、とはいえ、何のためそこに行っているかといったら、国のために働くために行っているんですから、私は、そこら辺、大きな心で、余り公私を分けてどうこうということじゃなくて、しっかりとした契約体系で迎え入れる。

 このままいったら、本当に日本料理人を囲えなくなりますよ。単純に、予算の制約もあるので、待遇を徐々に、給料を上げていくということもできるかもしれないですけれども、何かもうちょっと違ったやり方ができないのかなと思うんです。

 例えば、余り具体的な名前を出してもあれですけれども、日本料理のなだ万さんとかを含めて大きくやられているところと、契約でも何でもないですけれども、協力関係を結んで、ある程度の派遣を定期的にしてもらうとか、さまざまな工夫をして、一般的に募集をして応募してマッチングするということ以外の違ったやり方をしないと、どんどんどんどん、今頑張っていらっしゃる方はいい腕を振るっていらっしゃいますけれども、本当に質を上げていくということであれば、違ったやり方の募集及び採用のあり方があると思うんですけれども、どうですか。

下川政府参考人 御指摘ありがとうございます。

 公邸料理人の確保に関しましては、確かに、今の委託業者を通じて人のマッチングをするという方式以外に、大手のホテルですとかレストランですとか、そういうところと協力関係を結びまして、例えば、大使館で公邸料理人として働くことがその料理人の方々のキャリアパスの一部となるような、そういう方策を検討するということも非常に重要だと思っております。

 他方で、やはり大きな公館の、先進国の首都などですと非常に人気があるわけですけれども、非常に日本から遠隔で、なかなか勤務状況自体が厳しいところ、そこをどういうふうに確保していくかというのは、なかなかこれはこれで難しい問題でございます。

 そういう中で、例えばタイ人の料理人を使うという制度をつくったり、それから、本当に勤務状況が厳しいところでは、大使の個人的な契約ではなくて、まさに大使館として契約を行って、そこで館員の食事も含めて全部、給食的にやってもらうような契約を結ぶとか、いろいろな任地の状況に応じて工夫しているところでございます。

 いずれにしましても、いろいろな選択肢を用意して、いろいろなルートから確保する努力を続けていかなければいけないというふうに思っておりますので、これからもいろいろと御指導いただければありがたいと思います。

寺田(学)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、大きい都市であれば、民間で食べられるところもあって、日本食のプレゼンスがどんどん高まっていく部分もあると思うんですけれども、そこから招聘してやることもできると思うので。ただ、本当に、アイスランドも含めてですけれども、そういう大きくないところの料理人の方々の待遇をしっかりと高めて、効果的に運用してもらいたい。

 大臣、いつまで大臣をやられているかわかりませんけれども、大臣をやられている間に、この公邸料理人に対してのもう一段、二段踏み込んだ考え方をお示しいただいて、次につなげていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

若宮委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 国民民主党の青山大人です。

 まず、在外公館の労働環境の改善について質問させていただきます。

 先ほど、大臣が御答弁の中でミニマムマイナス公館についての言及もございましたけれども、大使館とか、山積する外交上の課題に対応するための拠点として重要な役割をする中で、慢性的な、人が足りない、そういったことも指摘をされております。とはいえ、財政制度審議会でも、平成三十一年度予算の編成等に関する建議でも、我が国の限られた財源や人員数で真に必要な外交政策の重要課題を解決できるよう、増員を図る前に、職員の配置の見直しや業務の効率化に取り組む必要性が指摘をされております。

 在外公館の人員については今後も継続して見直しを行う必要があると思いますが、一方で、このように増員に対する厳しい見方も存在する中、外務省として今後どうやって在外職員の労働環境の改善を図っていくのか、改めてお伺いします。

河野国務大臣 先ほど申し上げましたようなミニマムマイナス公館を解消するとか、必要な人員の手当てはしっかりとやっていかなければならないというふうに思っておりますが、財政の制約、定員の制約が厳しい中で、そう野方図に人数をふやすということもできないと思っておりますので、まず、公館の数をふやすよりは質をしっかりと高めていくということをやっていきたいと思っております。

 それから二つ目に、省力化できるところは省力化させていただきたいというふうに思っておりまして、外務大臣のロジがまずその先頭でございます。

 それから、今さまざま便宜供与に当たらせていただいているわけでございますけれども、例えば飛行場のお出迎えとか、極端なことを言えば、ある面、若手あるいは派遣員に任せて、大使、公使、総領事というのはその辺は失礼をさせていただいて本来業務にもう少し注力させるとか、そういうことを少し御理解をいただいてやらせていただきたいというふうに思っておりますので、なるべく業務に優先順位をつけて、優先順位の高いものにきちんと注力できるような体制というのを組ませていただきたいというふうに考えております。

青山(大)委員 丁寧な御答弁をありがとうございました。

 次の質問に行きます。外務人事審議会の実質的第三者性の担保について伺います。

 外務省には、在勤手当額の改定に係る外務大臣への勧告や特命全権大使の任免に関する外務大臣への意見の提出などを行うため、七人の有識者から成る外務人事審議会が設置されており、原則として月一回の定例会合が開催されています。

 平成三十年の開催状況は、九月と十二月を除く計十回開催されており、一回当たりの審議時間は約一時間だったとのことでございます。しかし、各界の有識者に集まっていただき、貴重な時間を割いて議論をしているにもかかわらず、外務省のホームページに掲載されている議事概要は相当程度簡略化されたものとなっております。

 外務人事審議会は、在外職員に支給される在勤手当が人事院勧告の対象ではないことを踏まえて設置され、在勤手当額の改定は同審議会の勧告を受けて増額を図るという仕組みになっており、このことから、外務人事審議会には高い第三者性が求められることは言うまでもないと思います。

 しかし、現実には、議事の内容は事後的にもつまびらかにされていないため、外部の有識者に御議論いただいているという形式的な第三者性があることはわかりますが、議論の内容の中立性、公平性といった実質的な第三者性の有無は不明でございます。

 重要なことは、個々の委員がどんな発言をしたかということでなく、外務人事審議会においてどのような議論が行われていたかということを広く国民の皆様に知ってもらい、検証し得る状態にすることで実質的な第三者性を担保することだというふうに私は考えます。

 そこで、外務人事審議会が人事院勧告を代替する機能を担っていることを重く受けとめ、議事の概要だけではなく、原則として内容を公表すべきと考えますが、御所見を伺います。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員に御指摘いただきましたように、外務人事審議会は、原則として月に一回会合を開催しまして、名誉総領事の任命に関すること、在勤手当改定額の外務大臣への勧告、そして人事管理にかかわります外務省令の制定や改廃に関する審議、こういったようなことを議論しているわけでございます。

 そして、その機会に、外交の舞台の実態を知っていただくという意味も込めまして、外部有識者の委員の間でさまざまな外交テーマについて忌憚のない御意見をいただいているところでございまして、こういうような議論の結果も踏まえた上で、毎年一回、外務人事審議会の勧告といたしまして、外務大臣に対して、外交実施体制強化に向けた各種提言をいただいているところでございます。

 議事録につきましては、同審議会運営規則第七条に基づきまして、会議の開催年月日及び場所、会議の開会及び閉会の時刻、出席者の氏名、議題、そして審議の経過及びその結果を記載した上で、次回会議において委員の承認をいただいた上で、毎回ホームページ上で公表する手続をとっているところでございます。

 議事録のあり方につきましては、ただいま委員から御指摘をいただきましたので、外務人事審議会の委員の方々、先生方とともに、ちょっと検討してまいりたいというふうに考えます。

青山(大)委員 さすがに発言者の氏名とかまでは別に書かなくていいと思うんですけれども、せっかく活発な議論が行われている中で、何か消極的な情報提供といいますか、ホームページを見てもほとんど書いていないと、何かまるで隠しているのかなみたいな感じの印象も持ってしまいますし、せっかく集まってもらっている審議会委員の方に対しても失礼かなと思いますし、今後はもう少し積極的な情報提供、開示の方をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に行きます。外務公務員の人材育成について伺います。

 私も報道で見たんですけれども、外務省が省内の専門官認定制度ということで、外交アーキビストという区分をことし一月から新たに設けて、募集を開始したとのことでございます。

 それによると、外交アーキビストとは、外交史料を収集、管理して調査研究を行うことに加え、外交交渉などにも携わり、効果的な助言をすることが期待されている、そんなことも書いてございましたけれども、まず一点目、現時点での外交アーキビスト、募集状況はどうなっているのか、まずはお伺いいたします。

下川政府参考人 外務省では平成十五年に専門官制度というものを導入いたしまして、二十ぐらいのさまざまな専門分野におけます職員の専門性を更に向上させる一助としているところでございまして、これまでさまざまな分野で百二十五名を専門官として認定しているところでございます。

 御指摘ございましたとおり、外交アーキビストを認定分野の一つといたしまして、省内公募でもって募集を開始したところでございますけれども、この募集状況というものに関しましては、本人がみずからの専門性を踏まえて、いわば自薦の形で応募している、そういう制度でございますので、募集ですとか選考の途中経過についてお答えすることは差し控えさせていただければというふうに思います。

 ただし、認定結果については省内で周知しているところでございますし、そういうふうに認定された本人がその名称を、認定後、対外的に名乗ることはできるような形にしておりまして、そういったことも通じまして、専門性を高める一つの仕組みといいますか動機にしたいというふうに考えているところでございます。

青山(大)委員 関連して、外交アーキビストを育成する必要性について、ちょっと見てみたら、昨年に行われた外交記録公開推進委員会の会合でも、外交記録の公開についての必要な対応策として指摘されている。ただ、その会合の中で、外交アーキビストを外交と所蔵史料について高度な専門知識を持つ者としていますけれども、先ほどの報道では、外交アーキビストの業務に、外交史料の調査研究だけじゃなく外交交渉に携われることも含まれていると。

 当然、外交等に関する高度な専門的知識を外交交渉に生かすことはぜひ推進すべきであると考えますが、外交記録公開推進委員会の議論の結果を若干直して外交アーキビストの区分を新たに設けた経緯について、改めてお伺いをさせていただきます。

下川政府参考人 外務省におきましては、平成二十二年に外交記録公開に関する規則というものを制定いたしまして、外交記録公開推進委員会というものを設置いたしました。この委員会の役割は、透明な外交記録公開の円滑な実施を推進するということでございまして、それについて年に数回委員会を開きまして、提言をいただくと同時に、個別具体的なファイルの公開についての審査をいただいているところでございます。

 そういう流れの中で、委員から御指摘ございましたように、昨年六月、外交記録の公開というのを今後どういうふうに取り進めていくべきかという提言をいただく中で、所蔵史料について高度な専門知識を持つ外交アーキビストの増員、育成が必要であるという提言をいただいたわけでございます。

 こういったような流れ、更に申し上げれば、昨年十二月に国立公文書館がアーキビストの職務基準書、こういうものを定めたということもございまして、この二つを契機といたしまして、これまでも実は、外務省の専門官制度の中で認定分野の一つに外交史料というのがあったのでございますけれども、これを外交アーキビストとして公募するに至ったわけでございます。

 外交アーキビストの職務の中身につきましては、先ほど委員から御指摘があったことでございまして、外交史料を一体的に管理して、専門的な見地から歴史資料として重要な公文書か否かを判断するといったようなことで、外交史料の保存、管理、移管、利用、提供を進めていくということがございます。

 のみならず、これも委員から御指摘がありましたところでございますけれども、こういうアーキビストを育成することを通じまして、外交史料の適切な管理、さらには、それを外交交渉にうまく活用していくということを追求していきたいというふうに考えているところでございます。

青山(大)委員 さらに、せっかくそういった制度を設けました中で、研究と実務をつなぐことができる人材を育てる必要があると外務省が判断したとも報じられております。

 研究という視点を重視すれば、例えば国内外の大学院などの研究機関に派遣することも考えられますが、そのような育成についての検討はなされているのでしょうか。

下川政府参考人 外交アーキビストは、まずもっては外務本省そして外交史料館、ここにおけまする実務を通じてその専門性を高めるということを想定しているところではございますが、やはり研究機関ですとか研究者など外部の知見の活用をしていくということが大変重要でございますので、そういうことも活用した人材育成について検討していきたいというふうに考えております。

 それから、そもそも申し上げれば、こういう提言を行った外交記録公開推進委員会、これ自体、有識者委員ということで、三名の大学の教授の方から構成されておりまして、その提言を受けて我々はこういう制度を創設し、運用をこれからしていこうとしているところでございます。

青山(大)委員 さらに、最後にもう一点。

 外交交渉での助言役として外交アーキビストを活用する意義は大きいと思います。ただ、それだけじゃなくて、戦略的、対外的な発信にも外交アーキビストの知見を活用してみることも必要かなと私は考えます。

 一般に、国家間の歴史問題において、歴史資料を公開して、その上で、多くの言語に翻訳するなどして世界じゅうに使用してもらえるようにするか否かが国際世論形成の鍵ともなると私は思います。その点、高度な専門性と倫理観を持って、歴史資料として重要な公文書及びその他の歴史資料の収集、保存、利用の職務を行う者であるアーキビストは、歴史学についても相当程度の識見を有しているため、戦略的対外発信、とりわけ我が国の正しい姿を含む政策、取組の発信に係る企画立案には適任であると私は思います。

 以上を踏まえて、外交アーキビストが戦略的対外発信に係る企画立案に携わる将来的な見通しについて、改めてお伺いいたします。

下川政府参考人 外務省といたしましては、ただいま委員から御指摘ありましたように、日本の政策や取組、こういったものを積極的に発信していくこと、あるいは、日本の多様な魅力を発信して親日派、知日派の育成につなげていくこと、こういうことが大変重要だと考えておりますので、そういう意味で、近年特に戦略的対外発信というものを強化してきているところでございます。

 そういう流れの中で、御指摘のとおり、外交史料というのは、日本の政策や取組、更に言えば歴史ですとか基本的な立場、こういったものを発信していく上で極めて重要な要素であるというふうに考えております。

 そういう観点からも、外交アーキビストを育成しまして外交史料の適切な管理、活用、これを行っていくこと、これが戦略的対外発信にも大きく資するものであるというふうに期待しているところでございます。

青山(大)委員 ありがとうございました。

 最後の質問に移ります。在外公館による日本企業及び地方自治体の海外展開支援と連携について質問させていただきます。

 海外に拠点を構える日系企業の数は近年増加し、平成二十三年には六万二千二百九十五拠点であったものが、平成二十九年には七万五千五百三十一拠点に増加しています。それに伴い、日系企業が法律や商慣行を異にする海外で事業活動を行う中で、政府レベルでの対応が必要となるトラブルに直面する場合が増大しており、日系企業の海外進出や現地での事業展開を支援するに当たっての窓口である在外公館による日系企業の支援件数は、平成二十三年度の二万二百四十八件から、平成二十九年度には六万二百六十八件と約三倍にふえています。

 そういった中で、外務省の中では官民連携推進室を設置され、官民連携推進室では企業支援のための情報収集や指針の策定、企業等からの照会への対応、広報業務など、日本企業の海外展開に向けた官民連携業務を総括しているとのことでございます。

 官民連携推進室の設置後の在外公館による日本企業支援の現状について、政府はどのように評価し、今後どのような取組を行う方針であるのか、質問させていただきます。

赤堀政府参考人 お答えします。

 新興国を始めとする海外の経済成長の勢いを取り込み、日本経済の着実な成長を後押しするためにも、政府による日本企業の海外展開支援は極めて重要であると考えております。

 このような考え方のもと、外務省としても、二〇一五年の官民連携推進室の設立を含め、本省、在外公館が一体となり、他省庁、機関と連携して、オール・ジャパンで積極的に取り組んでおります。

 例えば、在外公館に日本企業支援窓口を設置し、現地の規制、治安等に関する個別企業からの相談、弁護士、会計士を紹介してほしいといった支援の要請などに積極的に対応しております。

 この結果、委員御指摘のとおり、約二万件だった在外公館における日本企業支援件数は、二〇一七年には約六万件に増加し、外務省といたしましては効果が上がってきていると評価しております。関係企業等からも多くの肯定的評価をいただいておるところでございます。

 官民連携推進室では、定期的に日本企業支援の成功事例を取りまとめておりまして、全在外公館に配ることによって業務の改善に役立てております。

 今後も、ODAを活用した中小企業の海外展開支援、日本企業の安全確保を含め、現地情勢やニーズに応じた柔軟なサポートを積極的に行っていく所存でございます。

 河野外務大臣も、一昨日、ツイッターで日本企業支援窓口の活用を呼びかけたところでございます。

青山(大)委員 次に、中国との関連において伺います。

 平成二十九年十月現在で中国に進出している日系企業の数は、国別では最も多い三万二千三百四十九拠点であり、また、地方自治体の中国拠点も平成二十九年九月末時点で七十八拠点が設置されております。私の地元である茨城県も上海に海外事務所を設置しております。こういったことからも、日系企業及び地方自治体の連携において、中国の経済動向は常に注視しなければいけないと考えます。

 昨年から続いている米中貿易戦争を受けて、在外公館においては、中国現地日系企業や地方自治体の現地事務所に対し、どのような支援策や連携策を実施してきたのか、お伺いします。また、今後はそれらの策をどのように展開していく意向なのかもあわせてお伺いをさせていただきます。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 米中間の貿易摩擦につきましては、日本を含めまして国際社会の大きな関心事項となっているところでございまして、外務省といたしましては、米中間の協議の動向、日本も含めた他国への影響について注視してきているところでございます。

 同時に、中国における在外公館におきましては、日ごろから、大使、総領事を先頭に、館員一同が各地の事情に応じたきめ細やかかつ実効的な支援に努めてきているところでございます。

 具体的には、大使館と企業が一体となって外国政府当局へ働きかけを行うこと、在外公館を活用した日本産品のプロモーション活動、日本人弁護士の協力を得つつ、トラブルに巻き込まれた日本企業への法律相談など、多様なメニューで支援を行っているところでございます。

 引き続き、外務省といたしましても、中国における現地情勢あるいはニーズに応じた柔軟なサポートを積極的に行っていきたい、このように考えております。

青山(大)委員 現在、アメリカと中国との間で行われている貿易協議に関し、首脳会談を行った後、両国が合意するとの見方がある一方で、中国進出企業によるサプライチェーン見直しの動きが進むとの指摘もございます。

 外務省として、中国に進出している日本企業の現況をどのように認識しているのか、お伺いいたします。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の米中間の貿易摩擦の複雑なサプライチェーンを通じた日本企業等への影響について一概に申し上げることは困難でございます。

 他方、先月、ワシントンDCにおいて米中閣僚級経済貿易協議が開催されまして、米国による追加関税引上げの期限が延期されるなど、米中間の交渉が進展していることは前向きなものというふうに受けとめております。

 いずれにしましても、GDP世界第一位、第二位の経済大国でございます米中両国が建設的な意思疎通を行うことは、我が国を含むアジアのみならず、世界全体にとっても重要と考えております。

 引き続き、米中間の協議の動向、日本を含めた他国への影響について注視してまいりたい、このように考えております。

青山(大)委員 先ほど、茨城県も上海に事務所を構えているという中で、本当に茨城県も、県庁の職員一名と民間の県内の企業から一名人員を派遣して、更に現地の方を数人雇っているという中で、なかなか県の上海事務所だけでは当然対応できない中で、ぜひ、在外公館も、そういった地方自治体の海外事務所なんかとも連携しながら、現地法人の企業などの支援等をこれからも行ってほしいと思いますので、そういった連携強化を重ねて要望し、私からの質問を終了させていただきます。

 以上です。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 在外公館法改定案の質問に入る前に、本日は原田防衛副大臣にお越しいただいているので、初めに、陸上自衛隊が参加した海外での共同訓練に関する日報問題について質問します。

 防衛省から提出を受けた資料も配付しているので、最初に、事の経過について若干説明したいと思います。

 自衛隊のイラク日報が大問題になっていた昨年四月二十六日、私は、防衛省に対して、陸上自衛隊が作成した海外での共同訓練に関する日報について、安保法成立後の二〇一五年十月一日から二〇一八年三月末日までの保有状況を提出するように要求をしました。

 これに対し、防衛省の防衛政策局訓練課の担当者は、そもそも、海外での共同訓練に関して陸上自衛隊が日報というものを作成しているのか否か、現時点で把握していない、わからないので、調査する時間が欲しい旨の説明がありました。これを受けて、昨年五月十日、防衛政策局訓練課長が陸上幕僚監部運用支援・訓練部訓練課長宛てに発した調査依頼の文書が、今皆さんにお配りしている配付資料の一枚目と二枚目であります。

 文書には、次のように記されています。冒頭部分を読み上げたい。

   「陸上自衛隊の海外での共同訓練に係る「日報」を含む定時報告文書」の保有状況調査について(依頼)

  平成三十年四月二十六日、穀田恵二衆議院議員より、「陸上自衛隊が、二〇一五年十月一日以降に参加した海外での共同訓練に係る「日報」を含む定時報告の陸上自衛隊の部隊又は陸上自衛隊の機関の保有状況について、1日米共同・日米豪等・多国間の別、2訓練の名称・期日・場所・参加部隊・訓練概要の別の一覧資料」についての資料要求があった。

  先般より、いわゆる「日報」を含む定時報告に係る国会議員からの資料要求及び国会答弁並びに情報公開請求への防衛省の対応に対する指摘等を踏まえ、全ての部隊及び機関において、海外に派遣された自衛隊の活動に関し、全ての「日報」を含む定時報告の探索作業を徹底して行ったところであるが、本資料要求に対応した標記調査についても、下記の要領により実施するので、遺漏なきを期されたい。

と文書があります。

 そして、実施要領として、陸上自衛隊が二〇一五年十月一日から二〇一八年三月三十一日までの間に参加した海外での共同訓練に係る日報を含む定時報告を、昨年の十一月三十日十八時十五分厳守を最終的な期限として探索するように求めています。

 ところが、調査の最終的な期限だった十一月三十日が過ぎ、年が明けても防衛省から連絡がない。よほど探索結果の取りまとめに時間を要しているんだろうと思いましたけれども、三月に入っても何の音沙汰もない。

 そこで、こちらから防衛省に、先週三月八日、改めて資料提出を督促したところ、川崎大臣官房審議官らが要求された資料だといって持参してきた調査結果が、配付資料の三枚目であります。

 そこで、原田副大臣にお聞きします。

 調査期限だった昨年十一月末日から三カ月以上連絡一つなく、こちらから督促してようやく資料を提出するというのはどういうことか。余りに国会軽視ではないかと思うんですが、いかがですか。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 穀田委員の方から御指摘の資料要求に関しましては、資料作成の担当部署において提出資料が整っていたにもかかわらず、国会との連絡調整をつかさどる部署が不注意により十分な確認をしなかったため、昨年十二月二十五日に資料が作成されてから先週八日に委員に提出するまで、数カ月にわたり、資料の提出が滞りました。

 今回のような委員への資料の提出がおくれたことは大変遺憾であり、私からもおわびを申し上げる次第でございます。

 二度とこのような提出のおくれがないよう、私からも、複数の者による確認を徹底させるなど、本件を担当した部署の関係者を厳しく指導し、再発防止を徹底させたところでございます。

穀田委員 今ありましたけれども、謝罪がありました。

 それで、十二月二十五日に作成していながら三月八日まで持ってけえへん。そんなずさんな対応があるかと私は思うんですね。よう考えてみると、そもそも私が要求したのは昨年四月なんですね。それから数えれば、資料が提出されるまで一年近くかかっている。

 南スーダンやイラク日報の際も、国会質問や資料要求に対する防衛省の対応のずさんさが大問題になった。だから、そういう文書もわざわざ書いて示達しているんでしょう。それをこんな形でやっているというのは、何一つ変わっていないということじゃないのかということを思うんですが、いかがですか。

原田副大臣 委員御指摘のとおりでありまして、私からも、先ほど申し上げましたように、担当者の方に厳重に注意をしたところでありまして、二度とこのようなことがないように対応したいと思います。

穀田委員 二度とないようにと。二度とないようにと前に言って、これがあったわけじゃないですか。しかも、一年近くほっておいてこうやっている。しかも、つくっておいて出しはしない。もうずさんの限りとしか言いようがない。

 要するに、防衛省は国会議員の資料要求を軽視しているのか、それとも、よほど要求された資料を提出したくない事情があったのではないかと疑わざるを得ないと思います。

 原田副大臣、改めて確認したいと思います。

 安保法制成立後の二〇一五年十月一日から二〇一八年三月末日までの間に陸上自衛隊が参加した海外での共同訓練では、日報を含む定時報告文書が作成されているのか。作成されているならば、現在防衛省が保有している文書はどのくらいあるのか、訓練の名称ごとに保有期日を答えてほしいと思います。

原田副大臣 お答えをいたします。

 平成三十年十二月二十五日に作成した資料で掲げたものは、空挺降下等に係る共同訓練である平成二十八年度米国における米陸軍との実動訓練、アークティックオーロラ、空中機動作戦に係る戦術、戦闘の共同訓練である平成二十九年度豪州における米軍との実動訓練、タリスマンセーバー、日米豪による戦闘訓練等の共同訓練である平成二十九年度豪州における米豪軍との実動訓練、サザンジャッカルーの三つでございまして、各文書の保存期間は、それぞれ、平成二十八年度米国における米陸軍との実動訓練、アークティックオーロラは三年、平成二十九年度豪州における米軍との実動訓練、タリスマンセーバーは三年、平成二十九年度豪州における米豪軍との実動訓練、サザンジャッカルーは一年でございまして、その三件でございます。

穀田委員 陸上自衛隊が参加する海外での共同訓練でも、日報を含む定時報告文書、いわゆる日報ですよね、これがつくられていたということであって、極めて重要な答弁だと私は思います。

 そこで、そうすると、今言った三つの訓練の日報を保有している部署はどこですか。端的にお答えください。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 アークティックオーロラにつきましては第一空挺団、タリスマンセーバーについては第一空挺団、サザンジャッカルーについては第一三旅団でございます。

穀田委員 二〇一五年十月から二〇一八年三月までの二年六カ月の間で、保有している日報がわずか三つの訓練しかないというのは、余りに少な過ぎませんか。

 配付資料の三枚目、今お話があった内容は、大体このとおり読んでいる、活動名を新たに補強していただきましたけれども。このただし書きには、下に米印でありますように、「共同訓練の相手国との関係から、公表していない訓練は含まない。」とあります。

 防衛省が予算委員会の要求資料などで明らかにしている訓練を見ても、陸上自衛隊は、アメリカでの指揮所演習や米海兵隊との実動訓練など、複数回参加しています。多国間の訓練でも、モンゴルでのカーンクエストに参加し、国連PKOに関する実動訓練を行っています。そのほかにも、フィリピンでのカマンダグに参加し、国際緊急援助活動に関する訓練を行っています。

 このように、陸上自衛隊は海外での多くの訓練に参加している。それなのに、なぜわずか三つの訓練の日報しか保有していないんですか。その辺をお答えください。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 部隊が上級部隊に定期的に報告をいたしますいわゆる定時報告につきましては、海外で部隊がPKO等の任務に従事する場合には、防衛大臣や上級部隊の判断に資するよう、これまで一般に現地の状況や活動状況などを定期的に上級部隊に報告をさせておりまして、他方、海外での陸上自衛隊の共同訓練については、基本的に演習場等で計画的に訓練を実施するものでございますので、そうした上級部隊への定期的な報告をさせることは一般的でなく、通常、訓練終了後に成果報告をさせているところでございます。

穀田委員 資料の一枚目、防衛政策局訓練課長の調査依頼の文書には、なお書きとして、「探索の結果、文書が発見されなかった場合には、その旨を陸上幕僚監部運用支援・訓練部訓練課あて報告」し、「内容を取りまとめの上、防衛政策局訓練課に送付する。」とあるわけですね。これに書いていますわね。したがって、当然、防衛省は、日報が発見されなかった理由を全て把握しているはずですよね。

 つまり、ここにありますように、「文書が発見されなかった場合」というのは、それは、あるのかないのかということだけじゃない。当然、ないと言えばしまいのこっちゃないから。そうすると、なくしたものもあれば、あったけれどもどこかに行ったものもある、いろいろなことがあるわけですね。結論は、ないというだけの話なんですよね。

 だから、この文書というのは、そういう意味合いがあるということがよくわかりますよね。単純じゃないんですよ。ないと言えばしまいだという文書なんです、これは。そうなりますと、私は、三つの訓練しか日報が発見されなかった理由はわかっているんじゃないのかと。

 三つしか発見されなかった理由はわかっているはずじゃないのか、そこを言ってください。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 今般の穀田委員からの資料請求につきましては、陸上自衛隊が二〇一五年十月一日以降に参加した海外での共同訓練に係る日報を含む定時報告の機関別の保有状況について、一、日米共同・日米豪等・多国間別、訓練の名称・期日・場所・参加部隊・訓練概要別の一覧資料となっておりました。

 該当する資料の保有状況を確認するに当たって、当該訓練に参加した陸上自衛隊の部隊が作成をし、みずからの上級部隊に対し定期的に報告したものを対象といたしまして、当該訓練に参加した陸上自衛隊の部隊がみずから所属する部隊等、連隊あるいは大隊等に報告した文書は除外したところでございます。

 なお、共同訓練の相手国との関係から、公表していない訓練については、今回お示しした資料には含めておりません。

 その上で、陸上幕僚監部並びに陸上自衛隊の部隊及び機関に調査をした限りにおいては、お示しした資料に記載された三件が該当したものでございます。

穀田委員 今のは、経過を説明し、先ほど述べたことをもう一遍繰り返しているにすぎないんですよ。

 要するに、三件しか発見されなかった理由というのはわかっているはずなんですね。ほかにあるはずなんですよね。そういうことで、三件あったということが大事なんですけれども。

 そこで、先ほどありましたように、なぜ、何年かという問題もさっき言うてはりましたわな、原田さん。だから、陸上幕僚監部運用支援・訓練部訓練課の標準文書保存期間基準、これを見ますと、先ほどありましたように、共同訓練、演習その他の命令に基づき実施する部隊等の活動に係る記録や報告は、保存期間を三年と定めているわけですね。

 三つの訓練での日報が発見されたのは、この規定に照らして保有していたからじゃないんですか。

原田副大臣 繰り返しで申しわけございませんけれども、先ほど、委員の方の資料要求に沿って調査をした結果でありまして、今回の調査においては該当する文書の有無のみを対象としておりまして、その理由につきましては報告を私の方は受けておりません。

穀田委員 それはしかし、妙な話ですよね。三つ、それぞれがあった理由が報告されていないとなると、聞かぬ方も聞かぬ方やし、三つなのか、大丈夫かと聞くのは当たり前じゃないですか。こんだけいっぱいやっとんのやからやね。

 しかも、この文書の形態を見ますと、こういう言い方をしたんじゃ、ないと言ったらしまいやね。ないという意味はいろいろあるんちゃうのと聞くのが、普通、資料を提出する側じゃないですか、そっちは。我々は受ける側じゃないですか。受ける側がそういうように思うわけやから、出す方も、おい大丈夫かと聞くのは当たり前だと私は思いますけれどもね。

 それで、自衛隊が作成する日報を含む定時報告文書について、防衛大臣経験者は、防衛省・自衛隊に長くかかわった経験からも、日報という最初のオリジナルのものを廃棄することなど絶対にないと断言しています。

 さらに、ある防衛大臣も、ある防衛大臣ですが、日報は、現場の隊員が緊張感を持って対応した状況がわかる一次資料としての貴重なものと強調しています。

 海外での共同訓練は、南スーダンやイラクなどの海外派兵とは異なるものの、その訓練の内容から得るというものは、先ほどの保存期間を定めた内規でもどう言っているか。活動の過程や実績を事後に跡づけ、検証するために必要不可欠なものと位置づけられています。そんな貴重な一次資料である訓練日報を作成していないなど、あり得ないことだと私は思います。

 原田副大臣、二〇一五年十月一日から二〇一八年三月末日までの間に、陸上自衛隊が海外でどんな共同訓練に参加したのか、また、その中で、日報を含む定時報告文書を保有している訓練と保有していない訓練がどうしてあるのか、保有していない訓練の中には廃棄したものもあるのか、これらを徹底調査して、全て明らかにしていただきたいと思いますが、どうですか。

原田副大臣 今御質問のありました点でありますけれども、先ほど答弁をさせていただきましたように、海外での陸自の共同訓練につきましては、基本的に演習場等で計画的に訓練を実施するものであるので、そうした上級部隊への定期的な報告をさせることは一般的ではなくて、通常、訓練終了後に成果報告として報告を上げさせているところでございます。

穀田委員 ちゃんと出せと言っているわけで、答弁書を読んでもらっても困るんですよね。

 今私が言ったのは、貴重な一次資料、しかも、活動の過程や実績を事後に跡づけ、検証するために必要不可欠なものということで三年間やっているわけじゃないですか。そういうものとしてやっている活動の内容をすべからく明らかにしろということを言っているわけですよ。

 委員長、私が要求した期間というのは、安保法制が二〇一五年九月に成立して以降のものなんです。安保法制の施行を受けて、陸上自衛隊の海外での訓練内容も大きく変質しています。さらに、ACSA協定によって、アメリカはもとより、他国との共同訓練も拡大してきている。海外訓練の日報の問題というのは、まさに本委員会の審議に直接かかわる問題でもあります。

 外務委員長、一つは、防衛省が現在保有しているという陸上自衛隊の海外での三つの訓練の日報の全文、二つに、私が今原田副大臣に求めた調査の結果を、資料として本委員会に提出するよう要求したいと思います。

若宮委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をさせていただきたいと思います。

穀田委員 最後に、外務省に、法案との関係について一言質問します。

 外務省が広報文化拠点と位置づけているジャパン・ハウスなんですが、サンパウロのジャパン・ハウスでは、日本のたくみのわざを物品として紹介して展示販売しております。茶筒や、月の桂という日本酒や、公長齋小菅さんのそういう竹細工なんかも売っています。

 私は、サンパウロで、京都のたくみのすぐれたわざ、精密さについて、茶筒を手にとって館の方から説明を受けました。密閉性を強調されていました。

 その製品が京都の老舗の開化堂の作品であり、同店の発行するパンフレット、これなんですけれども、こういうパンフレットです、この中に、「フタを閉める時は、フタの継ぎ目の線と胴の継ぎ目の線を合わせてください。継ぎ目を合わせるだけで、フタは自然に閉まっていきます。」現物を持ってきてもよかったんですけれども、すうっと閉まるんですね。そういうものなわけです。

 私は、そのことを館の方にお伝えしました。館の方からは本省に連絡があって、そのような味わいのあることを各地のジャパン・ハウスに通知したということで、後で中南米局長からお聞きしました。そういうことについて、努力を多としたいと私は思うんです。

 そこでです。問題は、茶筒にしても、いわば単なる密閉性と違って、そういう仕掛けになっているということだとか、竹細工にしても、日本の竹というのはどういう竹をやっているかとか、それから月の桂というお酒でも、大吟醸というのはいつつくられて、どんなことをやっているか、どういう苦労があるかというようなことを、提供いただいた中小零細企業、本当にみんな、おうちでやっているような方々、もちろん少しは大きくなっていますけれども、そういう方ばかりですよ。だから、製品のすぐれた特徴を最初からお聞きしていれば済んだことじゃないかと思うんですね。そういう当たり前のことの手だてが必要じゃないか。

 努力については私は多とするわけですけれども、もともとそういう中小零細企業がどんな努力をしているかということを最初から聞いておけばいけることちゃうか。逆に言うと、もしかして聞いてないんちゃうかと思って、そういうことの改善が必要とちゃうかと思うんですが、いかがですか。

河野国務大臣 ありがとうございます、いろいろ御指摘をいただきまして。

 日本の工芸品というのは、今御指摘をいただいたような、細かいところまで老舗がいろいろ考えてやっているというのが一つ売りだろうと思います。そこが抜けていると、何となく見た目きれいねで終わってしまうのでは非常にもったいないと思いますし、サンパウロのショップの話なんだろうと思いますけれども、そこは、それぞれのジャパン・ハウスが、おっしゃられたように、本当に扱っているものをしっかりと認識して、それを現地の方にきっちりと説明をするためにつくっているのがジャパン・ハウスでございますので、しっかりとそうした情報をあらかじめ入手して情報の発信ができるように、職員の研修を少し徹底させたいと思いますので、そこは御指摘ありがとうございます。しっかり対応させたいと思います。

穀田委員 そのことがつくっている方に更に激励にもなりますし、また、そのことによって、日本のたくみのよさというのがどこにあるかということをお互いの共通認識にしていけると思いますし、そのことが本当の意味での日本の文化の発信にもつながると思いますので、よろしくお願いして、質問を終わります。

若宮委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳です。どうぞよろしくお願いします。

 きょうは、法案については前向きに賛成の意向でございますけれども、子女教育の手当のところで、ちょっと先を言って恐縮なんですけれども、赴任先の国の言語をもう少し深く掘り下げて、将来は、専門調査官なのか外交官なのかわかりませんけれども、そういう形でその子女教育が生かされるような、さらなる予算手当てみたいなのを考えていく必要があるのではないかみたいなお話ができればと思っています。

 御案内のとおり、世界は目まぐるしく動いておりまして、アルジェリアは今大統領を交代させるデモが起きていて、一方、野党側はばらばらになっているというようなこととか、ベネズエラでは大規模停電が五日前から起きていて、今は飲料水の不足がいよいよ始まったというような状況は大臣は御存じだと思いますけれども、そういう中でこういった質疑ができる、ある意味での政治の安定というものは、私はやはり評価するべきと思います。

 また、冒頭質疑があったかと思いますが、麻生副総理が韓国について発言をされましたけれども、一部だけ切り取られて報道されるということなく、きちっと前後の内容もマスコミの皆様には報道していただき、誤解がないようにしていただきたいと思いますし、また、立場立場でいろいろなタイプがあるので、いろいろな立場の方がいろいろな発言を重層的にしていくことは外交として私は重要だと思いますけれども、大臣におかれては、本当に扇のかなめの外交の中心でいらっしゃいますので、いつもの形で慎重に対応もいただければと思いますし、言うべきは言うということもお願いしておきたいと思っております。

 ちょっとまた前振りがいつも長くて恐縮なんですが、テレという言葉を御存じな方がいるかわからないんですが、テレというのはこんにちはという意味だそうです。ヘアダーガ、これはさようならという意味で、エストニア語であります。近隣の国で、ヘイというのはこんにちはで、ヘイドー、ちょっと発音が正しいかわからないんですが、ヘイドーというのがさようなら、ビーシーアス、あるいはビーシーセスというんでしょうか、また会いましょう、これはスウェーデン語でございます。

 また、その近隣の国で、御案内と思いますが、キートスというのがフィンランド語でありますし、オーチンハラショーなんという言葉は、私は鈴木宗男さんの生の言葉で聞いた記憶が強いんですが、北方領土に行かせていただいたときに、オーチンハラショーと何度も鈴木さんが言われているのが非常に印象に残っておりますし、一方で、スパシーバという言葉は、NHKのロシア語講座で、ちょっと個名を言って申しわけありませんが、ローザ姉川さんというすてきな方が先生をされていて、少し興味を持って、そんな単語を覚えた記憶があります。

 ちょっと手前みそで、私の話をして恐縮ですが、高校一年のときに、新聞の小さな記事で、フィンランドの留学二年間というのを募集というのがありまして、実は相当悩みました。応募しようかどうか悩んだんですけれども、まず、受かるか受からないかがその先にあったと思いますが、勇気がなくて挑戦できなかったので、残念ながら今は違う形で社会で活動させていただいているという状況です。

 そんな意味で、先ほど寺田先生、外されましたけれども、大臣の教育観、あるいは、お言葉の中ではチャンスという表現があったと思うんですけれども、なかなか、一般の子供たちにとって海外に行くというチャンスというのは少ないかなと思います。

 逆に、今、子供たちの発想として、私の娘の話をして恐縮ですが、一カ月海外に研修に行かせたことがあります、大学の終わりぐらいに。その後、海外に行け行けと言っても、私は日本がいいからということで、リカレント教育で、金融の世界にいて結構稼いだんですけれども、今は看護師の大学に入り直してリカレント教育を受けているというようなことで、意外と外に対する目の向け方というのがなくなってきていて、まあ、人それぞれ違うと思うんですけれども、私のときと娘のときはちょっと違うんだなというふうに思っていますが、志ある人は、田舎と言ったら語弊がありますね、地方の、あるいは中山間部なんかでも、私は、お子さんでもあるんじゃないかなとも思っています。

 一方で、質疑があった子女教育、この点で、今回、教育手当の支給額が改定されて金額がふえること、これは適切な判断ではないかと思うんですけれども、教育の自由とか職業選択の自由というのが我が国の憲法で保障されているわけで、押しつけるわけにはいかないと思いますけれども、小さなお子さんがお父さんの赴任の関係で、商社マンの方もあるかもしれないし、まして、きょうの議論では、外交官として外務省の方々が赴任する中のお子さんたちという意味からは、珍しくチャンスを得たお子さんたちではないかなと思っています。

 そんな意味で、ちょっと質問の順番が変わって、三番目に質問しようと思っていたのを冒頭言って恐縮なんですけれども、在外公館の勤務の子女、その方々が学んでいる言語というものが、主要言語と言われるものではないような、今冒頭申し上げたような単語の国々というのがあると思いますし、アフリカの国々もあると思いますし、アラブの国々では、マルハバンフナッカというのを大臣御存じかどうか、こんにちは、アラビア語でございますが、発音が違っていればお許しいただきたいですが、こういう単語もやはり中東に行かれたお子さんしか学べないようなことだと思っています。

 そういった意味で、ちょっと突っ込んで答弁をいただければと思いますけれども、その他の言語といったら定義づけがちょっと失礼かもしれないんですけれども、主要言語と言われているような言語でないようなところの言葉の能力を獲得し、それを維持し、向上させていっていただく、そして将来、外交官として、専門調査員あるいは派遣員なんという形で現状は外務省は受け入れているようですけれども、こういった形で、日本の外交をしょって立つお子さんたちを広く長く、人材育成という観点から、将来展望として、そういった方々に対する教育のサポート、これは金銭的なこともあると思いますが、これをぜひ考えていただきたいというのが一点。

 もう一点は、さっきちょっと言った、中山間部で志があって、NHKの語学の講座を勉強している子がいて、将来やはり外交官になってみたいとか、この国の専門で何らかのかかわりを持ちたいとか、そういう方々に対して、外務省が音頭をとるのか、文科省が音頭をとるのか、両省がしっかり話し合うのか、わかりませんけれども、政府を挙げて、人口減少の中でそういった志ある子供たちにその他言語というか語学を奨励、推進する。英語はもちろんベースだと思いますし、できればフランス語、中国語かもしれないんですけれども、それ以外の国の言語という意味で、やはり専門的な方を我々は将来の日本のために支えていくというか育てていくという必要があると私は感じているんですけれども、そんな点について、大臣の御所見というか考えを伺えればありがたく存じます。

河野国務大臣 国際化する中で、日本の次世代を担う若者が海外の経験を積む、あるいは外国語を勉強するというのは、非常に大切なことだと思っております。

 外務省の職員の海外転勤に伴ってその子女が一緒に帯同するというのは私は非常に重要なことだと思っておりますし、先ほど申し上げましたように、海外転勤が複数回あるであろう外務省の職員の子女が、教育の接続性というところを考えて、いろいろな国で同じような教育を受けることができるインターナショナルスクールに通うことができるということを担保するのは非常に大事だと思いますし、また、それぞれの家庭の考えで、現地校に行く、あるいは日本人学校に行く、そういうことがあってもいいんだろうと思います。

 やはり、せっかくのチャンスに子女が財政的な面で帯同できないということがあるのは避けたいと正直思っておりますし、その子供たちが英語を学ぶにしろ、さまざまな言葉を学ぶにしろ、それはきっと将来何らかの形で役に立つはずでございます。外交官になるか、民間で活躍するか、研究者になるか、いろいろな道があると思いますが、それは非常に大事なことだと思っておりますので、少なくとも、そうした外務省職員の子女の教育に資するようなことはきちんと対応してあげる必要があるだろうというふうに思っております。それはしっかりやりたいと思います。

 また、日本国内でさまざまな言葉を勉強したいというニーズにもやはり応えていく必要があるんだろうと思います。それは、NHKのいろいろな語学のテレビ、ラジオもありますし、インターネットで恐らくさまざま教材が提供されているということもあるだろうと思いますので、ちょっとそこは私も改めて、細かい言語まで見たことはないんですが、一度確認してみたいというふうに思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 インターネット社会になって、スマホで今、この単語をこの国の言葉で言うとどうなのかなというとすぐ意外と出てきて、今、アラビア語を引いて申し上げたんですけれども、残念ながら、隣のイランのペルシャ語というのは音が出てこなかったので、何と発音していいかわからないみたいなことがありました。

 いずれにしても、大臣が言っていただいたように、あるいは皆さんのコンセンサスにあるように、このIoT社会の中で、非常に、ある意味で遠隔地に住んでいらっしゃる、日本の国内で遠くに住んでいる方が、海外のそんな主要な言語でない国の語学の先生と直接会話ができる、学べるというような社会に変わってきているという意味からは、志のある外務省の子女さんもあり、あるいは一般のお子さんたちも、ぜひともそういう機会を、我々、シニアといったら私はシニアだなと思うんですが、今後子供たちに任せていかなければならない立場の者が、財政制約がありますけれども、最大限の努力をして、この国の発展であり、世界の積極的平和を目指す観点からも、外交の人材といったものをぜひとも育てていただきたいとお願い申し上げます。

 二点ほど、多分、公館の方に御答弁いただくことになると思いますが、在外公館の国有化、それから在勤基本手当の基準額の改定について、続けて質問をさせていただきます。

 遠山先生も、たしか、国有化率四〇じゃなくて五〇ということをおっしゃっておられました。私の観点はちょっと違うんです。

 国によって土地の資産価値というのは大分違うのは確かですけれども、大方、首都にあるわけでございまして、私は、ちょっと財務省的な、海外保有資産的な意味から申し上げたいんですけれども、日本のポートフォリオとして、海外資産は十分、米国債を始め持っているという観点はわかるんですけれども、私がいつも危惧している、財政が大変厳しい状況になるという懸念が、何年後なのか、すぐなのか、ずっと先なのか、これはまだ議論があるんですが、そんな意味からも、実は、海外の主要都市のところに日本の国有地、大使館があってしかるべきかなという意味からも、ふやしていく方が得策かなというふうに私は思っておるんです。

 現在、主要国という定義が、どういうくくりで申し上げていいのかわからないのですが、例えばOECD諸国であるとか、人口が多いとか、あるいは比較的日本と外交関係が深いとか、ここはもう外務省さんにお任せしてお尋ねしておりますが、残念ながら、国有化できていないような国と外交関係のある国といったものは今どんなところがあるのか、教えていただければと思います。

下川政府参考人 主要国ということで、例えばでございますけれども、OECD諸国と世界じゅうの人口上位十カ国の数というのが日本を除きまして四十三カ国ございますが、そのうち、事務所が国有化されていない大使館は、以下の十九カ国公館でございます。アイスランド、アイルランド、イスラエル、英国、エストニア、オーストリア、オランダ、スロバキア、スロベニア、デンマーク、ナイジェリア、ニュージーランド、ノルウェー、フィンランド、ベルギー、ポルトガル、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク。

 大使公邸になりますと少し減るんですが、大使公邸が国有化されていない大使館は九公館です。アイスランド、エストニア、スロバキア、スロベニア、チェコ、ナイジェリア、ラトビア、リトアニア、ロシアという状況でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 伺ってみて、イギリスであるとかニュージーランドだとか、意外と資産価値も随分ありそうなところなんですが、逆に、いろいろな事情で取得できていないのか、高過ぎるからなのか、わかりませんけれども、ちょっと財務省ともよく御相談いただいて、国家のポートフォリオとして、海外の固定資産を持つというのは国の安定という意味からも私は意義があると思いますので、国有化比率、特に主要国、今挙げていただいた国のようなところで我が国が保有できる国、土地の相場にもよると思いますが、お値打ちなタイミングで手当てをしていただくということをぜひともお願いをしておきたいと思います。

 次に、在勤基本手当の基準額の改定について、為替に合わせて、ドルのベースはドル安の方向に小幅改定、ユーロの方は円安・ユーロ高の方向へ改定というようでございますけれども、為替の変動が小幅な状況であるときは、こういった年一回程度の改定でよろしいかと思うんですけれども、乱高下するような状況の中で改定が年一回で本当に事足りるのかなというのが、生活実感を、海外で多少なりとも暮らした人間としては、為替相場というのは非常に大きく影響すると思うんです。

 こういった改定の確認なんですけれども、過去の事例で、これまでに、一年未満の段階、小まめに変えたことがあるのかどうか、そういった点も考慮していく必要があるのかどうか等について御答弁いただければと思います。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 在勤基本手当につきましては、在外公館名称位置給与法第十条の規定に基づきまして、同法別表第二に定める基準額の上下二五%の範囲内において政令で定める額、これを支給するということとなっております。

 そういった中で、委員御指摘のとおり、為替は日々変動しておりますところから、同一年度内でありましても、基準額の算定に用いたレートから一定以上、七%以上の為替の変動が生じた場合には、適時に政令を改正いたしまして、例えば円高に動く場合には減額するなど、支給額を柔軟に調整しているところでございます。

 この政令改正による調整は、定期的に為替変動の状況を観測した上で、年度内に複数回行っているところでございます。

 ちなみに、三十年度、二十九年度、二十八年度ともに、八月一日付、十一月一日付、そして翌年の一月一日付で見直しをしているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 心配しているのは、余計な心配だったというような感じでよろしいのかと思います。ありがとうございます。

 最後に、さきの質疑でも質問させていただこうかと思ったんですが、念のため、やはり確認しておきたいということで、外務省の人事について、公式発言をいただいておきたいと思っています。

 前ロシア課長さんが、停職のような形があった後、ベラルーシの公使に着任されたという報道がございました。いろいろなプライバシーの事情とかあると思いますので、差しさわりのない範囲で、公式の理由、経緯、あるいは、ベラルーシに対しての外交上の問題がないというようなことを確認させていただきたいと思います。

河野国務大臣 三月五日付で、在ベラルーシ大の公使を発令をいたしました。この者は、国家公務員としての信用を損ない、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない行為を行ったことを受けて、昨年六月四日、国家公務員法に基づき懲戒停職九カ月を科したものでございますが、このたび、この期間を終えたこともあり、ベラルーシ大の公使として発令をしたものでございます。

 ベラルーシとの国家の関係において、問題があるとは認識をしておりません。

杉本委員 ありがとうございます。

 時間となりましたので、きょうはこれで終わります。ありがとうございます。

若宮委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 今までいろいろ議論になっておりますけれども、私も、外務人事審議会による勧告、これについて中心に議論させていただいて、残りの時間で軍属について質問させていただきたいと思います。

 青山先生からもいろいろありましたけれども、外務人事審議会、これは勧告ですから、やはり大臣にこれはぜひやってほしいということで出ているものだと思います。

 外務人事審議会のメンバーを見ますと、会長が三菱商事の取締役会長、それから一橋大学の副学長とか、そうそうたる方々がメンバーとなっておられて、外務省にぜひこういう人事施策をやってほしいということで勧告されていますので、その実現に向けてはぜひやっていただきたいと思います。

 それで、その中で、女性職員活躍の推進ということで項が設けられておりまして、外務省による女性職員の割合はもう既に職員全体の三割に達しているということです。それから、私もこれは初めて知ったんですけれども、六十名の職員が単身子連れで在外勤務を行っている。教育と仕事の両立は本当に大変だと思います。その中で、在外公館勤務に伴うベビーシッター代金の公費支給拡充を図るというような勧告も出されています。

 女性職員の活躍の推進について、外務省としてどのように今取り組んでおられるか、お聞かせいただきたいと思います。

下川政府参考人 外交におきまして、外務省の全ての職員が、厳しい環境の中で心身の健康を保ちながら、高い意識を持って能力を発揮できることが大変重要であるというふうに認識しておりまして、そういった中で、女性職員の活躍というのも大事だというふうに認識しております。

 そして、男女問うことなく、今御指摘のありました、例えば職員が単身で子連れで在外公館において勤務する、この人数が、時によって変動はいたしますけれども、六十名程度いるということでございまして、例えば、こういった職員の赴任に当たりましては、できる限り、そういう単身子連れの方でも勤務できるような条件が整うということを勤務面、生活環境の面で確認をする、あるいは家事補助者を帯同する場合の側面支援を行う、そういったようなことも含めて取り組むようにしているところでございます。

 そして、先ほど御指摘のありましたように、そのような場合におきまして、保育園やベビーシッターを利用している場合に一定額を補助する、あるいは、単身ではありますけれども子女を帯同している場合は、配偶者を帯同しているのと同等の住居手当を支給する、そういったようなことを行っているところでございます。それ以外にも広く育児と仕事の両立の支援といたしまして、在外公館におきましてもフレックスタイム制度を導入しているところでございます。

 今後とも、単身子連れで在外公館に勤務している職員をサポートすべく、環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

井上(一)委員 続きまして、もう幾つか議論はされております介護支援についてですけれども、これは武井先生、それから遠山先生も御質問で出されました。私もやはり介護支援についてはしっかり取り組むべきだというふうに思っています。

 先ほど答弁の中にありましたけれども、三千四百人いる在外勤務の職員の中の約五百人の職員、この方が家族の介護の問題を抱えながら勤務されているということであります。それで、この人事審議会の勧告の中でも、もう二十八年、二十九年の二回も勧告したけれども、実現に至っていないということであります。

 いろいろ、今、答弁の中では、保険というか共済組合の中でもいろいろ検討していくんだというふうにありましたけれども、やはり私は手当で対応すべき課題ではないかと思います。共済組合となると、やはり保険で対応するわけですから、これは政府としてしっかり支援していくんだというような姿勢が大事じゃないかと思っています。

 この勧告の中でもこういうふうに言われています。ニッポン一億総活躍プラン、これは閣議決定されたものですけれども、新たな三本の矢の一つとして介護離職ゼロが掲げられ、公務員において、介護と両立して活躍できる職場環境整備を推進するとされている、そして、この外務省の特殊性、まさに民間代替がきかない役割だ、こういうことに鑑みれば、まず隗より始めよの考えにより、早急に対策を講じるべきであるということであります。

 ぜひ、外務大臣、これはやはり介護支援手当ということで財務当局と議論していくということが大事じゃないかと思うんですけれども、この点、どうでしょう。

河野国務大臣 おっしゃるように、介護支援手当でやれればそれにこしたことはないと思いますが、財政的な制約の中で、残念ながら、創設が見送られるということになりました。

 外務省としては、余り待っていられないということもありますので、まず共済組合の保険というものを少し検討をして、どのような仕組みがいいのかしっかり考えて、始められるものから手をつけてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 ぜひ、保険から始めるにしても、やはり手当ということについても諦めずにやっていっていただきたいというふうに思います。

 それから、この勧告の中では在外公館警備体制の強化ということも指摘されております。まさに、大臣おっしゃったように、それぞれの公館の質の強化ということを考えるのであれば、この警備強化ということも非常に大事になってくるんじゃないかと思います。

 この勧告によりますと、全二百五十一公館中二十六の公館、全体の一〇%でいまだに警備対策官が配置されていない状況にあるということで、警備体制の強化ということが言われておりますけれども、この警備強化についてどのように取り組んでおられるか、お答えください。

下川政府参考人 在外公館は、諸外国における日本外交の基盤であると同時に、邦人保護の最後のとりででもございます。そういう在外公館の警備というのはそういう意味で大変重要でございます。現地の治安情勢も考慮しながら、警備担当要員による人的警備と、施設の安全対策強化や警備機器の物的警備、この両面で安全確保のための必要な体制整備に取り組んでまいりたいと思います。

 御指摘のありました警備対策官につきましては、引き続き定員増を追求しているところでございます。残念ながら、まだ全ての公館に警備対策官が配置されるような状況になっておりませんで、そういうところにおきましては、警備の専門員ですとか警備担当の現地職員ですとか、こういう者に警備を担当させると同時に、現地の任国の治安当局等と協力しているところでございますが、やはり基本は定員をきっちり確保していくことだと思いますので、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

井上(一)委員 ぜひ、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、地位協定に定める軍属について幾つか質問させていただきます。

 平成二十八年四月に沖縄県うるま市で米国人による殺人事件が起こりまして、この軍属に関する議論が始まったと思います。この殺害をした人は米軍と契約している会社の従業員だったということで、この人が本当に軍属に該当するのかどうかということで議論になりまして、軍属の定義、それから範囲を明確にすることを目的に、日米地位協定の軍属に関する補足協定、これが平成二十九年一月に締結されたというふうに承知しております。そして、日米合同委員会に基づく米国の報告が平成三十一年一月二十五日にあったということで、これについて幾つか確認したいと思います。

 まず、軍属の範囲が明確となりまして、今まで七千三百人だった軍属が、私はもう減るものだ、範囲を明確にするので減るものだと思っていましたけれども、四千八百九人ふえたということになっていますが、なぜ一年で四千八百九人も軍属がふえることになったんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一七年一月十六日に署名、発効した日米地位協定の軍属補足協定発効から二年を迎えるに際しまして、同補足協定に基づいて、米側から日本側に対して、二〇一八年十月末時点での軍属は一万一千八百五十七人、そのうちコントラクターの被用者は二千二百二十四人であるとの報告がございました。

 同報告における軍属の総数が、先生が御指摘されましたように、増加した理由については、米側から以下の説明を受けております。

 第一に、これまでの軍属補足協定に基づく報告には、基地内の例えば売店、食堂、PX等に勤務する、米国政府に直接雇用される一部の米軍関係者の人数が含まれていなかった。これらの米軍関係者はこれまでも軍属として取り扱われていた。

 第二に、この補足協定に係る日米間の協議を踏まえまして、米側が同協定に基づき、軍属の適切な管理のための制度及び手続を強化する作業を進めた結果、こういう一部の米軍関係者、含まれていなかった米軍関係者も含むことによって、より正確な情報を提供できることになったということでございます。

 こうした報告が米側から行われたのは、まさに軍属補足協定が活用されている証左であると考えておりまして、政府としては、今後とも、軍属作業部会等を通じて、補足協定の実施に係る諸事項について米側と緊密にやりとりをしていく考えでございます。

井上(一)委員 軍属が一万一千八百五十七人で、そのうちコントラクターの被用者が二千二百二十四人ということでありました。

 それで、資料でお配りしているんですけれども、日米合同委員会合意の軍属の範囲、それから軍属に該当することとなるコントラクターの被用者の認定基準、これが合同委員会で合意されまして、一から八まであります。

 コントラクターの人数はわかったんですが、それぞれ、一から八、どのくらいの人がいるんですかというふうにきのう聞いたんですけれども、これについて、わかる範囲でお答えください。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 軍属補足協定に関する合同委員会合意に基づき米側から報告されることになっておりますのは、軍属の構成員の総数及びコントラクターの被用者の総数等でございます。

 米側からは、同合意に基づく各種別による軍属の人数は算出していないとの説明を受けておりますことから、一つ一つの種別の具体的な数字は承知しておりません。

井上(一)委員 算出していないといっても、それぞれ一人一人、あなたはこの一に該当するんですか、二に該当するんですかという、当然、チェックするということは米側はやっていると思うんですけれども、それでもその一から八について、それぞれの人数、これは確認したけれどもわからなかったということですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 軍属補足協定の主な目的は、軍属の構成員としての資格を有する者の基準を定めまして、軍属の範囲を明確化することにございます。したがいまして、本補足協定で軍属を八つの種類に分類されておりますけれども、その詳細について日本側に提供することをこの協定は目的としたものではございませんので、米側にそうした情報を提供することを義務づけてはおりません。

 重要なことは、軍属補足協定のもとで、軍属の構成員としての資格を有するか否かについて判断するために、定期的にレビューを行うことを含めて、軍属全体として適切に把握、管理していくことだと考えております。

 いずれにしても、政府としては、今後とも、軍属作業部会等を通じて、補足協定の実施に係る諸事項について緊密に米側とやりとりをしていきたいと考えております。

井上(一)委員 もうちょっと質問したかったんですけれども、時間ですので、きょうはここにとどめて、また質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

若宮委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る十五日金曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十九分散会


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