衆議院

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第10号 平成30年6月8日(金曜日)

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平成三十年六月八日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 松島みどり君

   理事 金子万寿夫君 理事 北川 知克君

   理事 関  芳弘君 理事 高橋ひなこ君

   理事 武村 展英君 理事 生方 幸夫君

   理事 西岡 秀子君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    上杉謙太郎君

      大西 宏幸君    河井 克行君

      木村 弥生君    工藤 彰三君

      笹川 博義君    武部  新君

      中村 裕之君    百武 公親君

      福山  守君    古田 圭一君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      岡本あき子君    近藤 昭一君

      堀越 啓仁君    山崎  誠君

      横光 克彦君    下条 みつ君

      鰐淵 洋子君    田村 貴昭君

      玉城デニー君    細野 豪志君

    …………………………………

   環境大臣         中川 雅治君

   環境大臣政務官      笹川 博義君

   環境大臣政務官      武部  新君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 境   勉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 塚田 玉樹君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           大野 高志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小瀬 達之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       清瀬 和彦君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    森岡 泰裕君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            早水 輝好君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         縄田  正君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        山本 昌宏君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     大西 宏幸君

  百武 公親君     上杉謙太郎君

  細田 健一君     工藤 彰三君

  山崎  誠君     岡本あき子君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     百武 公親君

  大西 宏幸君     木村 弥生君

  工藤 彰三君     細田 健一君

  岡本あき子君     山崎  誠君

    ―――――――――――――

六月五日

 原発ゼロと温暖化対策の着実な実行等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八四八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八四九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八五〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八五一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八五二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一八五三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八五四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一八五五号)

 同(藤野保史君紹介)(第一八五六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八五七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一八五八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件

 美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

 海岸漂着物対策の推進に関する件


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     ――――◇―――――

松島委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官境勉さん、外務省大臣官房参事官塚田玉樹さん、厚生労働省労働基準局安全衛生部長田中誠二さん、農林水産省生産局畜産部長大野高志さん、経済産業省大臣官房審議官上田洋二さん、経済産業省大臣官房審議官小瀬達之さん、国土交通省大臣官房審議官眞鍋純さん、国土交通省水管理・国土保全局次長清瀬和彦さん、国土交通省水管理・国土保全局下水道部長森岡泰裕さん、環境省大臣官房環境保健部長梅田珠実さん、環境省水・大気環境局長早水輝好さん、環境省自然環境局長亀澤玲治さん、環境省環境再生・資源循環局長縄田正さん、環境省環境再生・資源循環局次長山本昌宏さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武村展英さん。

武村委員 おはようございます。自由民主党の武村展英です。

 きょうは、質問の機会を頂戴しましたこと、心から感謝を申し上げます。

 早速質問に移りたいと思います。

 きょうは、私の地元である琵琶湖の水質を中心に質問をさせていただきます。

 今から三年前になりますが、この委員会で琵琶湖保全再生法を起草いただき、全会一致で、当時、北川知克委員長でしたが、委員長提案で上程、本会議で可決をいただき、その後の参議院でも無事成立をさせていただきました。改めて、委員の皆様、関係者の皆様に対しまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 その後、国により琵琶湖の保全及び再生に関する基本方針が、滋賀県により琵琶湖環境保全再生計画が定められまして、これに基づいて琵琶湖保全再生施策が総合的に推進をされているところです。

 そこで、環境省にお伺いをいたします。

 琵琶湖の保全、再生に向けて、環境省ではどのような取組を行っているか、笹川政務官の御答弁をお願いいたします。

笹川大臣政務官 ありがとうございます。

 環境省では、先ほど委員の方からもお話ございましたが、平成二十七年に公布、施行された琵琶湖保全再生法、北川先生始め多くの先生方のおかげで成立を見たわけでございます。昨年度からは、琵琶湖の水質と生態系の現状調査、そして環境修復対策が効果的かどうかの検討も行っております。加えて、水草の除去や底質の改善等によって、水質と生物の生息環境がどの程度改善したかの効果の検証を行うモデル事業なども始めさせていただきました。

 また、滋賀県からの強い要望もございまして、国立環境研究所琵琶湖分室を、昨年の四月に滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの中に開所をさせていただきました。

 さらには、浄化槽の設置などの生活排水対策の推進、さらには、オオバナミズキンバイを始めとする侵略的外来生物などへの対応にも取り組んでおります。

 先月、お地元の琵琶湖の三日月知事もわざわざ環境省におみ足を運んでいただきまして、地元での取組ですとか、それからまた要望についても意見交換をさせていただきました。

 引き続いて、琵琶湖、そして関係省庁とも緊密な連携をしながら、琵琶湖の保全そして再生に向けた取組を推進してまいりたいというふうに思います。

武村委員 ありがとうございました。

 引き続いてお力添えをよろしくお願いいたします。

 さて、日本の環境政策の方向性を示す環境基本計画がこの四月に改定されました。

 その中で、水環境の保全につきましては、「従来の公害防止を目的とした水質対策を中心とする規制的な手法は施策の基盤として維持しつつ、水質以外の要素も考慮し、また、各主体の自主的な参画と連携を図りながら、生物の生息・生育環境の評価や維持・回復を目指す施策を水域や地域の特性に応じて展開する。」とされています。

 そこで、琵琶湖の現状について、水質を始めどのように認識をされているのか、環境省にお伺いをいたします。

早水政府参考人 お答えいたします。

 琵琶湖の水質につきましては、北湖と南湖それぞれにつきまして、有機汚濁を示す指標であるCOD、それから栄養塩を示す指標である全窒素、全燐の測定結果を見ますと、直近の平成二十八年度において環境基準を達成しているのは北湖の全燐のみでございまして、近年こういった状況が継続しております。

 このため、現在、湖沼水質保全特別措置法に基づく第七期の湖沼水質保全計画が滋賀県により策定され、計画に盛り込まれたさまざまな流入負荷の削減対策等が行われているところと承知しております。

 さらに、こうした従来からの水質の問題に加えまして、侵略的外来種の増加や在来魚介類の減少などさまざまな課題があり、取組が進められていると承知しております。

武村委員 ありがとうございました。

 きょうは、この琵琶湖の施策について、水質管理を主に議論させていただきたいと思います。

 まず、基本的な話なんですけれども、排水基準、環境基準、また両者の関係について御説明ください。

早水政府参考人 お答えします。

 まず、環境基準ですが、水質汚濁に係る環境基準は、環境基本法に基づきまして、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい行政上の目標として設定されておりまして、公共用水域や地下水に適用されます。

 一方、排水基準でございますが、これは水質汚濁防止法に基づきまして、規制対象とされております工場、事業場からの排水に適用される基準でございまして、公共用水域における水質汚濁を防止し、環境基準の維持、達成を図る観点から設定しております。

 このため、排水基準につきましては、水質汚濁防止法に基づいて、事業者による遵守が義務づけられているということでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 行政上の政策目標と政策手段という関係の中で排水基準、環境基準というものがあるということでした。

 続きまして、従来からの環境基準である生物化学的酸素要求量、BOD、それから化学的酸素要求量、COD、それから、将来に新たな指標となり得ると言われています全有機炭素、TOC、それぞれはどのような指標なのか、また、それぞれの指標の特徴は何か、環境省にお伺いをいたします。

早水政府参考人 お答えします。

 まず、BODですが、水中の有機物を微生物が分解する際に消費する酸素の量を測定することによりまして、水中で分解して酸素消費につながりやすい有機物を捉えるものでございますので、河川における有機物による汚濁の指標として環境基準や排水基準に用いられております。

 次に、CODですけれども、これは、水中の有機物が化学的に酸化剤と反応する際に消費される酸素の量を測定することによりまして、やはり水中で分解し酸素消費につながりやすい有機物を捉えようとするというもので、これは、湖沼や海域における有機物による汚濁の指標として環境基準、排水基準に用いられております。

 湖沼や海域につきましては、河川と比較しまして水の滞留時間が長くて、水中の酸素消費も長期間にわたるということを考慮しまして、短時間で済む化学反応によりまして分解しやすい有機物の量を推定するということでCODを用いております。

 もう一つのTOCでございますが、これは、試料を燃焼させることなどで、微生物に分解されにくい有機物も含めて水中の全ての有機物の炭素の量を測定するというものでございます。このため、酸素消費につながらないものも含めて有機物を全て捉えるという特徴がございますので、科学研究の分野で、物質収支の解析、水質シミュレーションなどに主に活用されていると承知しております。

武村委員 ありがとうございました。

 今、三つ指標を挙げさせていただきましたけれども、各指標の意味とイメージは、配付資料一ページでお配りをしています。

 この一ページの右の図なんですが、有機物を把握する範囲が異なっている、それが大きな違いというふうになっております。このように、各指標で有機物を捉える範囲が異なることから、実際に計測される数値もトレンドが異なってくることがあり得ます。

 二ページをごらんください。これは、琵琶湖の平成二十八年度の調査結果です。

 この中で、今御紹介しましたBODとCOD、これはそれぞれ、左側の真ん中、それから左側の下に掲げています。実際、琵琶湖内でのBODが減少する一方で、CODが増加をするという現象が見られています。

 こうした現象につきまして、どのようなことが言えるのか、環境省の御答弁をお願いいたします。

早水政府参考人 お答えいたします。

 琵琶湖では、滋賀県によりましてCODだけではなくてBODも測定されておるわけですけれども、滋賀県が取りまとめた資料によりますと、CODの増加原因は、琵琶湖内での植物プランクトンの種類が変化をして、BODとしては測定が難しい難分解性の植物プランクトンが過去から増加したためではないかと推測されております。

 湖内では、河川から流入した汚濁物質だけではなくて、複雑なメカニズムによりまして物質の内部生産あるいは変換、移動などが生じており、BODでは測定されないものの、CODとして測定される有機物が増加しているのではないかと考えております。

武村委員 ありがとうございました。

 このように、BODとCODのトレンドの乖離が、植物プランクトンの変化、有機物の質の変化によるものだということなんですが、湖沼の環境基準はCOD、また排水基準もCODとなっているんですが、政策目標である環境基準というものはやはり機械的に数値を見るだけでは不十分であって、おのずと限界があり、その基準、指標の持つ意味というものを十分に吟味するということが大事なのではないかなというふうに思います。

 続きまして、琵琶湖の、今度はCODとTOCの傾向についてお聞きをいたします。

 三ページ目をごらんください。

 三ページ目の上の表なんですが、これは流入負荷量になっています。下の図の左がCOD濃度と流入負荷量の経年変化、下の図の右がTOC濃度と流入負荷の経年変化を示しています。

 これまで琵琶湖では、陸域対策によりまして湖内に入るCODを直接減らしてきました。これは、政策手段である排水規制によって減らしてきたということであります。加えて、窒素、燐の排水規制によりまして、内部生産由来のCODも間接的に削減をしてきたところです。にもかかわらず、湖内のCOD、これは政策目標になりますが、これが増加している傾向にあります。

 この現象は何かということをお聞きしたいんですけれども、湖内の有機物の総量が減らないのか、それとも、有機物の総量は減っているけれどもCODとして捉えられる物質に変換をされているのか、これはどういうことなのかをお伺いしたいと思います。また、こうした現象につきまして、CODとTOCを比較した場合にどのようなことが言えるのか、環境省の御見解をお伺いいたします。

早水政府参考人 お答えいたします。

 先ほども少し申し上げましたが、CODとして測定される有機物としましては、河川などを通じて琵琶湖へ流入した汚濁物質のほかに、湖内で発生する植物プランクトンなどの内部生産で発生したもの、あるいは湖の底の泥から溶出してくるものなども想定されます。

 このように、琵琶湖内で複雑なメカニズムによって物質の変換、移動が発生しておりますので、流入する汚濁負荷量と、中のCODの変動傾向が一致しないということもあり得ると考えております。

 他方、TOCも、やはりCODと同じように、内部生産で発生したものも含めた有機物量を測定するということになると考えております。しかしながら、測定される有機物の種類も含めたCODとTOCを比較したデータがまだ十分そろっておりませんので、これを比較して評価するには、なおデータの蓄積が必要と考えております。

武村委員 ありがとうございました。

 今御紹介をしていただきましたように、琵琶湖では、環境基準であるCODに加えてTOCも計測をしています。このTOCの計測によって初めて湖内の有機物の総量が明らかになるわけです。CODだけでは、湖内で何が起こっているのか、これを決して解明することはできないというふうに思います。

 実際、指標に限界があって、政策を講じて頑張って規制をしても、政策目標が全く達成をされない、そういう状況が、既に平成十六年、今から十四年前になりますけれども、総務省の湖沼の水環境の保全に関する政策評価書で指摘をされています。

 TOCを指標として、流域全体の物質循環、それから有機物の収支を把握して、シミュレーションモデルにより、陸域と湖内水質、それから湖内水質とプランクトンや魚など生物を一体として把握、評価をしていく、そういう新しい水環境の管理が必要であるということを指摘させていただきたいと思います。

 ところで、水道水の水質基準につきまして、厚生労働省では、平成十六年に全面的な見直しを行いました。有機物の指標について、CODからTOCに水道水の水質基準について変えています。

 この点につきまして、水道水の水質基準と環境基準の目的の違いについて環境省にお伺いをいたします。

早水政府参考人 お答えいたします。

 まず、水道水質基準でございますが、これは、水道法に基づきまして、水道により供給される水が適合しなければならないものとして定められていると承知しております。

 水道水質基準におきましては、浄水処理に関する工程管理などを目的としまして、従来は、CODと類似の指標であります過マンガン酸カリウム消費量というもので有機物の量を測定するという方法を採用しておりました。しかしながら、TOC、全有機炭素というものが、有機化合物を構成する炭素の全量を測定できるという点を考慮いたしまして、TOCが採用されたものと認識をしております。

 一方、環境基準でございますが、これは先ほども申し上げましたが、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい行政上の目標として、公共用水域などに適用されるということでございますので、湖沼などにおきます水質環境基準につきましては、環境水中で分解して水質汚濁を招くようなもの、すなわち、水中の酸素を消費して水質汚濁につながる有機物を捉えるということを目的としてCODを採用してきたということでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 基準の目的に違いがありますので、水道水の水質基準が変わったからといって、それと同列に環境基準を変えるべきという結論には至らないのだろうなというふうに思います。

 また本論に戻りたいと思いますが、TOCの環境基準化も含めた活用についてお聞きをしたいと思います。

 これまでの議論から、政策目標である環境基準は、その基準が持つ意味を総合的に考える必要があるというふうに考えます。

 国におきましても、湖沼の水質や生態系を管理するための指標として、ぜひTOCを活用すべきだというふうに考えますが、環境基準化を含めた検討につきまして、環境省にお伺いをいたします。

早水政府参考人 お答えいたします。

 TOCによりまして湖沼の水質や生態系を管理するためには、TOCがどのような数値であれば水質や生態系が保全、再生できるかということを、湖沼内での、湖の中でのさまざまな現象に応じて明らかにすることが必要と考えております。

 これは大変難しい課題でございまして、また、その数値というものが湖ごとに異なる可能性もございます。しかしながら、現時点では十分な知見やデータが得られている状況ではないというふうに認識をしております。

 このため、TOCを全国一律の環境基準として設定することについて、直ちに検討するというのは困難でございますけれども、現在、琵琶湖における状況につきましては、環境研究総合推進費というものを活用いたしまして、滋賀県におきまして国立環境研究所琵琶湖分室と連携して研究が進められていると承知をしております。

 湖沼の水質や生態系の管理にTOCがどのような形で活用できるのかについては、こうした研究成果も注視しつつ、その成果も踏まえて検討していきたいと考えております。

武村委員 ありがとうございます。

 すぐに環境基準化ということは難しいことだというふうに思いますけれども、滋賀県の取組を注視するだけではなくて、我が国の水環境にとってなくてはならない取組だというふうに思いますので、環境省もぜひ御一緒に取り組んでいただきますように、伏してお願いを申し上げる次第です。

 そして、EUでは、二〇〇八年に改定されました新たな水質基準の監視項目の一つの指標としてこのTOCが使われているということもあわせて御指摘をさせていただきたいと存じます。

 それでは、続きまして、この指標、今までBODとCODとTOCについて議論をさせていただきましたが、それ以外の指標として、底層溶存酸素量、底層DOといいますが、底層DOと沿岸透明度という指標があります。これらの指標はどのような指標であるのか、また、これらの指標の現在の状況、位置づけについてお伺いをいたします。

早水政府参考人 お答えいたします。

 まず、底層溶存酸素量でございますが、これは、湖沼や海域の底層、底の方の水ですけれども、底層の水中に溶けております酸素量を示す指標でございまして、これを確保することによりまして、水の底の方で生息をしております水生生物が生息あるいは再生産できる場を保全するということを目的といたしまして、平成二十八年三月に環境基準項目として設定されたものでございます。

 この指標を活用することによりまして、水の底の方で生活する魚介類の生息環境の保全に向けた取組が促進されるものと考えております。

 この底層溶存酸素量の環境基準でございますが、三段階の基準値が定められておりまして、今後、東京湾や琵琶湖から、順次、どの範囲の水域にどの基準値を適用するのかということを定める類型指定という作業を行っていく予定でございます。

 もう一つの、沿岸透明度でございますが、これは、湖沼や海域の水の透明度を確保することによりまして、水生植物の生育の場を保全、再生したり、あるいは良好な親水利用の場を保全することを目的として設定をされた指標でございます。

 沿岸透明度につきましては、目標値の範囲が地域の実情に応じて相当幅広いものになることが想定されましたことから、全国一律の環境基準ではなくて、地域の合意形成により地域環境目標として設定することが適切であるとしたところでございます。

 環境省におきましては、こういった形、地域で沿岸透明度を活用した取組が促進されますように、現在、目標設定の考え方や手順を整理したガイドラインの作成を進めているということでございます。

武村委員 ありがとうございます。

 政策目標というものは、やはり科学的な知見に基づいて常に検討されなければなりませんし、総合的に考えていかなければならない問題だというふうに思います。引き続いてお取組をよろしくお願いをいたします。

 続きまして、琵琶湖で問題になっている水草対策への支援についてお伺いをいたします。

 滋賀県では、大きな琵琶湖を擁していますので、水草対策に要する多額の事業費が毎年県の財政を圧迫しています。何らかの国の支援が必要であるというふうに考えますが、現在の取組の状況についてお伺いをいたします。

早水政府参考人 お答えいたします。

 琵琶湖におきましては、今御指摘のように、水草の繁殖拡大に伴う悪臭の発生、あるいは航行の障害、それから底質環境の悪化などの課題が生じていると承知しております。

 環境省におきましては、平成二十九年度から着手したモデル事業におきまして、滋賀県と連携して、水草の除去等による湖辺域の水質改善効果等の検証を進めているところでございます。

 また、オオバナミズキンバイを始めとする外来植物対策につきましては、滋賀県や、滋賀県が事務局を担っている琵琶湖外来水生植物対策協議会に対しまして交付金による支援を行うとともに、環境省直轄による防除を実施してきております。

 こうした外来生物を含む水草対策につきまして、引き続き滋賀県と連携して取り組んでまいります。

武村委員 ありがとうございます。

 配付資料の四ページをごらんください。

 この配付資料の四ページには、琵琶湖に関連する経費ということで、これは、滋賀県が、平成三十一年度に向けた琵琶湖の保全ないし再生についての提案、要望というものを国に対してしているんですが、そこから抜粋をしたものです。左側の数字が、事業費約七十六億円、その七十六億円の横に、県負担額六十五億円というふうに記載をしています。

 このように、琵琶湖では、水質汚濁防止や外来生物による被害の防止、大量繁茂する水草対策など多額の経費がかかっていますけれども、この七十七億円という事業費のうち県の負担額が六十五億円ということで、大変大きな金額になっています。

 国民的資産である琵琶湖を始め、これは琵琶湖だけではないんですけれども、大規模湖沼に関する財政需要を反映した地方交付税を算定すべきだというふうに考えますが、総務省の御見解をお伺いいたします。

境政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、普通交付税におきましては、琵琶湖などの湖沼につきまして、維持修繕などの財政需要を、河川延長あるいは湖沼面積といった客観的な指標を用いて算定をいたしております。

 普通交付税は、人口や面積などの全国的かつ客観的な指標を用いまして、地方団体の標準的な財政需要を算定するものでございまして、その算定方法を見直すということになりますと、全国の地方団体にも影響が及ぶということになりますので、全国的な財政需要の状況あるいは算定の簡素化が求められていることとの整合性なども考慮いたしまして、慎重な検討が必要であるものと考えております。

 一方、普通交付税で捕捉できない財政需要につきましては、特別交付税におきまして措置しているものもございまして、琵琶湖を含めました指定湖沼につきましては、湖沼水質保全特別措置法により指定をされた湖沼の水質保全経費につきましても、特別交付税で措置をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、滋賀県などからもよくお話をお伺いしながら、今後とも、財政運営に支障が生じないように適切に対応してまいりたいと考えております。

武村委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

松島委員長 次に、堀越啓仁さん。

堀越委員 お疲れさまでございます。立憲民主党・市民クラブ、天台宗僧侶、作業療法士、そして自然系国会議員の堀越啓仁でございます。

 きょうは、かりゆしウエアで来させていただきました。玉城議員、今いらっしゃいませんけれども、前回、玉城さんがおっしゃっておりましたけれども、非常に涼しくていいんです、ただ、外気温というか室内温が上着を着ていらっしゃる方々に合わせているので、だんだん寒さを感じますということで、私も、着てみると、本当にそれを感じるんですね。環境委員会では、ぜひ、皆さん、かりゆしで来ていただければありがたいなというふうに思います。

 今週の五日は、環境の日でございました。その日を迎えて、環境月間である六月にこうして質問に立たせていただくこと、非常にありがたいというふうに思っておりますが、本日八日は、二〇〇九年から国連の記念日であります世界海洋デーなんですね。この世界海洋デーの日に海洋ごみのことを話し合えるというのは、非常に、まさしく記念すべき日であるというふうに私は思います。そういった中で、この世界海洋デーの主題というのは、我らが海洋、我らが責任という主題なんですね。これに鑑みて、大変うれしく思います。

 そういった意味で、環境の問題について、また、環境省が所管になります動物福祉のことについて述べさせていただきたいというふうに思います。

 まず、先日新聞の報道でも出ておりましたけれども、除去土壌の再生利用について、汚染土壌の件についてでございます。

 福島の中間貯蔵施設に関連して、福島県内の除染で発生した放射性物質を含む土壌、除去土壌の再生利用についてなんですけれども、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法、いわゆるJESCO法では、中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずることが国の責務として定められておりますが、この実現には、除去土壌等の再生利用をふやし、最終処分に回す量をできる限り減らすことが重要な課題とされております。

 これに関連する取組として、環境省は、平成二十八年四月に、中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略とその工程表を策定し、同じ年の六月に、再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方を取りまとめております。

 そして、基本的考え方では、「再生資材は、長期間にわたって人為的な形質変更が想定されない盛土等の構造基盤に限定して使用する。」として、具体的な用途策に、例えば、道路あるいは防潮堤あるいは海岸防災林等における盛土のほか、廃棄物処理場における覆土材や土堰堤を挙げる一方、「他の用途先についても必要に応じて今後順次検討を行い、妥当であると考えられるものは対象に加えることとする。」としていました。

 その後、用途先の追加がなされておりまして、平成二十九年四月には、土地造成における盛土材、充填材が加わり、さらに、今月一日、園芸作物や資源作物用の農地が追加をされております。

 環境省は、除去土壌を用いた再生利用の実証事業を福島県内で進めておりまして、この一日に追加された事業の件に関しましては、飯舘村の長泥行政区で、再生資材化した除去土壌を用いて、園芸作物、資源作物を試験栽培するための農地造成の実証事業を行うというふうにしております。

 これは最終処分場に持っていく量を減らしていこうということであるというふうには承知をしておりますが、やはり他方で、当然ですけれども、除去土壌の再生利用について、不安、あるいは風評被害等々の懸念というものを持たれておられる方々も当然いらっしゃいます。

 今回の用途先を農地造成にまで追加したことを取り上げた報道には、再生利用に関して、周辺住民の反発も予想され、実際に再利用が進むかは見通せないといった、これは六月一日の共同通信なんですけれども、指摘するものもあります。

 そこで、このような不安の声があることを踏まえ、これまで順次用途が追加されてきたものを含めて、それぞれの用途先に関する安全性の評価について環境省の説明を求めたいと思います。

 また、あわせて、用途先の追加は今後も続けていく可能性があるのか、方針をお伺いしたいと思います。

縄田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、除去土壌等につきましては、中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外にて最終処分を完了するために必要な措置を講ずることということにされておりまして、この最終処分量を低減するために、除去土壌等の減容、再生利用を進めることが大変重要であるというふうに考えてございます。

 このために、関係者の理解、信頼を醸成しつつ、再生資材化した除去土壌の安全な利用を段階的に進めるため、再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方をお示しし、適宜、用途先を追加してまいりました。

 この考え方の中では、利用先を管理主体や責任体制が明確となっている公共事業等に限定すること、そしてまた、追加被曝線量を制限するための放射能濃度の限定、覆土による遮蔽等の適切な管理のもとで実施するというふうに決めてございます。

 現在、この考え方を指針といたしまして、地元の皆様の御理解をいただきながら、南相馬市などの実証事業を通じて、再生利用の安全性の確認を進めているところでございます。

 また、この用途先につきましては、飯舘村等関係者の御意見あるいは御要望を踏まえつつ、幅広く可能性を今後も検討してまいりたいというふうに考えてございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 この件に関してメディアで出されたときに、農地の造成に利用することが決定されたというような書きぶりで出ているんですね。これをごらんになった方々は、全て地域地域に汚染土が拡散されてしまうのではないかということで、非常に不安を持たれた。その声が逆に私のところに届いたということがありました。そういう意味でも、不安を持たれている方々は非常に多いということはぜひ承知おきいただきたいということ。

 あとは、やはり最終処分の方法、場所等々も含め多方面から議論を進めていく必要があるというふうに当然ですが思いますが、私個人としましては、汚染土壌に関してはやはり集中管理をするという原則、ここにしっかり立ち戻り、さまざまな、多方面から積極的な議論をなされることが私は重要だというふうに思っております。そして、最大でいうと二千二百万立米になると言われておりますこの汚染土壌、これは、やはり減量、減容というのも重要だとは思いますが、健康被害等々も含め、懸念されておられる方々も多いので、ぜひ積極的な議論を進めていただきたいというふうに思います。

 次に、現在、超党派の議員立法で改正を目指している動物愛護管理法について伺いたいと思います。

 ことし二月、日本に輸入されペットとして販売されている爬虫類の約二割が絶滅危惧種でありました、そして約四割が国際取引が規制されている種だという、NGOの調査が示されています。種の保存法や国際希少野生動植物種に該当しないワシントン条約附属書2、3掲載種、原産国で保護されている種に関して、十分な管理ができているとは言えない状況であると思います。

 二〇一七年には、インドネシアで、ワシントン条約に書かれている爬虫類を二百五十三頭密輸しようとした日本人が逮捕されたと報道されております。過去にはオーストラリアでも爬虫類の密輸で有罪判決を受けたこの人物は、その後も国内のペット業者へ多くの動物を納入していると言われています。また、つい先月、五月三十一日、爬虫類をインドネシアから密輸しようとして逮捕されるなど、日本人による爬虫類の密輸は後を絶たない状況です。

 さらに、日本固有種のペット売買に関しても、先月NGOから出されたレポートによると、亜種が知られている南西諸島固有の両生類、爬虫類約七十種の五割を超える三十七種で国内外でのペット取引が確認されております。

 国内法で厳格に保護されているはずの種の国際取引や、生育地の条例で捕獲が禁止されている種の国内取引が確認されたことから、国際取引、国内取引両方の対策が必要なのは明らかです。環境省は、生息国で保護されているワシントン条約掲載種の違法取引をどのように管理、規制していくのか、また、絶滅のおそれの高い固有種をどのように守っていこうとお考えなのか。伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 ワシントン条約で求められております輸出入管理は、外国為替及び外国貿易法、いわゆる外為法に基づいて行われておりまして、税関は、関税法に基づいて、ワシントン条約附属書該当物品について経済産業大臣の承認等を確認しているところであります。

 環境省では、ワシントン条約の日本における科学当局として、附属書に掲載をされました陸生動物の輸出入の際に、その取引がその種の存続を脅かすことにならないかを管理当局である経済産業省に助言しております。

 また、関係省庁と連携して、附属書掲載種の違法な輸出入が生じないよう、希少野生動植物種の取引規制についてのパネルを作成して全国の動植物園で展示をし、制度の普及啓発を行う等の取組も行っております。

 さらに、ワシントン条約を補完する観点から、絶滅のおそれのある種で、取引により影響を受けるものとしての附属書1掲載種、これにつきましては、いわゆる種の保存法に基づく国際希少野生動植物種として指定をして、国内における譲渡し等の規制を行っているところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 この密輸に関する問題は、動物福祉という概念からも当然容認できないことでもありますし、今国会に提出されました気候変動適応法、こういった気候変動に対して生態系が大きく変わってくるという問題に対して、やはり日本固有の生態系そのものを破壊してしまう可能性も極めて高いというところに直結してくる問題だというふうに私は思いますので、ぜひ厳格化を求めていきたいというふうに思います。

 先ほど御質問の中でもありましたけれども、動植物が日本の生態系に与える影響、これは経済効果としても非常に大きくなってきていると思います。先ほど琵琶湖の件でもありましたオオバナミズキンバイ、これは本当に繁殖力が非常に多くて、経済損失にもつながるということでもありますし、外来種がどんな形で日本に定着するかというのは、本当に気候が変動してくる状況の中では未知数であるというところもありますので、ぜひ厳格化をお願いしたいと思います。

 次に、やはり動物福祉の観点からなんですけれども、屠畜場や食鳥処理場での動物愛護管理法の遵守について伺いたいと思います。

 産業動物に関するアニマルウエルフェアというのは、当然ですけれども、輸送に関しての所管は農林水産、そして屠畜に関しては厚生労働が所管になっているというふうに承知をしておりますが、動物愛護管理法に関しては環境省が所管であるというところでありますので、その点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、畜産や屠畜場の実際の現場については、動物福祉の観点から述べさせていただきますが、端的に言えば、動物愛護管理法や動物福祉に関連した指導が、畜産、屠畜に関しては自主的になされているとはとても言えない状況であるというふうに思います。地方行政の動物愛護担当職員はおりますが、動物愛護の観点で屠畜の現場あるいは畜産現場に入ることは当然ありますが、動物愛護管理法に関連する指導は行われていない状況があるのではないかと言わざるを得ない状況だというふうに思います。

 というのも、やはり、厚生労働省が管轄しているエリアにおいて、OIE規約に違反する行為が多数見受けられるからなんですね。また、ある意味では、このOIE規約に違反するということは、これは動物愛護法に厳密には違反しているという状況があるというふうに思います。

 ある食鳥処理場では、鶏を処理する処理場ですね、鶏を生きたまま壁に打ちつける、あるいは、さらに、死に至らずもがき苦しんでいる子を放置している、こういうことも多々あるように見受けられます。また、鶏を処理するときに、シャックルという、逆さづりにして両足を固定して、そしてコンベヤーのように運ばれていって、そして殺されるわけなんですが、そのシャックルという装置にたたきつけるなどの行為が見受けられるというのが確認されております。

 また、豚にスタンガンを執拗に押し当てて、そして誘導する。豚は感じないわけはありません。人間でもアリにかまれれば痛みを感じるので、動物も同様に、痛みも苦しみも感じます。

 ですので、こういった現場が今まさに起こっているというところはぜひ承知をしていただきたいというふうに思います。

 また、鶏に関しては、生きたままゆでられる、こういった例も非常に多くあります。これは一カ所で起こっていることではありません。大変心苦しい、インターネットやテレビの報道などでも一部最近は出るようになってきましたが、国民の皆さんの目に触れる機会も非常に多くなってきております。

 また、他方で、これも私は非常に問題だと思うのは、屠畜場、豚や牛が屠畜される現場において、最終的に水が飲めない状況、飲水の装置ですね、豚であれば大体一日に十リッターから十二リッター飲むと言われています、そして、牛に関しては二十リッターから三十リッターぐらいの水を飲むと言われています、二十時間以上も水が全く飲めない状況で最期を迎える、そういう屠畜の現場が大半なんですね。私たち人間にとって考えれば、ちょっとあり得ないような状況が今まさに起こっているというところであります。

 実際、飲水の設備が、牛を処理する屠畜場であれば四九・六%しか普及していない、そして、豚を処理する屠畜場では一三・六%。とても、アニマルウエルフェアあるいは動物福祉の観点から見過ごせるようなものではないというふうに思います。

 しかし、厚生労働省が、新設及び改築等が行われる屠畜場の飲用水設備の設置についてということで通達が出されているんですが、新設及び改築等なので、今実際稼働している屠畜場に関しては言及しないというところになっておりまして、これは、OIEの福祉規約の中にもありますように、動物の屠畜で常時適切な水が飲めることを定めているということは、飲水が断たれている状況は、適正な飼育とも、その習性を考慮しているとも言いがたいわけであります。

 さらに、飲水の設備があったとしても、係留しているところが過密な状態になっています。非常にストレスフルな状況なんですね。その中に、二十時間も、最大では二十七時間係留する屠畜場もある。多くが二十時間以上係留される可能性があるとしています。飲水の設備を早急に配備をするか、あるいは係留時間そもそもを上限を定める、こういったものが非常に必要だと思います。

 これは、当然ですけれども、先ほどお話しさせていただいたように、厚生労働省所管ではありますし、輸送に関しては農林水産が所管になると思いますので、そういった点においては、動物福祉といえばやはり環境省であるというふうに思います。

 その中で、環境省がすばらしい取組をされております。この動物愛護管理法に関して、環境省、厚生労働省、農水省三省で、動物福祉に関する担当者会議を行うというふうに承知をしています。

 そこで、この件に関して質問をさせていただきますが、産業動物に関して、先述のように、非常に複雑な枠組みとなっております。しかし、関連するどの省庁にも動物福祉の理念を共有しながら、実効性のある施策を講じる必要があると思います。その上で、環境省が主体となって開催している担当者会議、私は非常にすばらしいと思います。評価をさせていただきます。

 そこで、産業動物の動物福祉、この担当者会議が発足された経緯、そして目的、今後の展望などについて、お考えを教えていただければと思います。その上で、これは繰り返しになりますが、中川環境大臣の方から、動物福祉に対する意気込みを伺えればと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 産業動物の適正な取扱いの推進に関する実施状況を共有するために、環境省では、農林水産省、厚生労働省とともに定期的な打合せを行っているところでございます。

 前回の打合せにおいては、産業動物のアニマルウエルフェアに係る最近の対応ですとか、動物愛護団体からの要望等について、関係省庁間での共有を図ったところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 先ほど述べさせていただいた、私たちの体をつくっている豚さんや鳥ちゃんの命というのは、亡くなるからといって最期まで乱暴に扱ってはいけないんだということ、尊厳を持って接しなければいけないんだということは屠畜の現場にも言えることだと思います。

 ぜひ、その点で、環境大臣、よろしくお願いします。

中川国務大臣 産業動物を含む動物の取扱いにつきまして、動物愛護管理法は、基本原則として、動物の飼養の目的の達成のために支障を及ぼさない範囲で必要な健康の管理等を行うとともに、動物の種類や習性等を考慮した飼養環境の確保を行わなければならないことを規定しております。

 また、環境省では、産業動物の適正な取扱いを確保するために、飼養者等が遵守すべき産業動物の飼養及び保管に関する基準を一般原則として定め、衛生管理や安全の保持、導入、輸送に当たっての配慮、危害防止などに努めるよう求めているところでございます。

 環境省では、動物愛護管理法の基本原則に加え、同法に基づく各種基準で、飼養、保管に当たって衛生管理や安全保持に努めることや、できる限り動物に苦痛を与えない殺処分方法を用いることが求められていることを踏まえ、産業動物の適正な取扱いがなされるよう必要な対応について意見交換するなど、関係省庁と連携を強化してまいりたいと考えております。

堀越委員 環境大臣、ありがとうございます。

 動愛法というと、犬、猫の殺処分ゼロというのが浮かんでくるんですが、畜産動物やいわゆる産業動物に関しても、この動愛法はしっかり向き合っているんだということは、なかなか実は知られていない事実なのではないかなというふうに思います。そういった中で、先ほどの環境大臣の御答弁、非常に心強いところであります。

 先ほど申し上げた動物の扱いに関しては、本当に氷山の一角です。生きたまま焼かれてしまう鶏もおります。豚に関しては、麻酔をしないで尻尾を切られる、歯を抜かれる、こういった状況も、今現場の中ではまさしく起こっております。

 私たちが生きていくのに本当に大事な命をささげてくれる畜産動物の命を大事にするということ、これはやはり先進国としては重要なことでありますし、東京オリンピックで海外のアスリートが皆さん日本に来られる、そのときに、日本の畜産のアニマルウエルフェアのレベルというのがやはり世界レベルからしても低いという状況を目にされれば、これは世界に拡散されてしまうような状況にもなると思いますので、こういったところも、環境省がぜひリードをして是正をしていただければというふうに思います。

 また、屠畜場で働いておられる労働者の皆さんの負担を軽減するにも、この動物福祉という概念は非常に重要であります。

 例えば、先ほど、鶏を逆さづりにしてつるすという作業、生きた状況でそうするのは非常に大変ですが、今、最終的に、絞めるというか、気絶を一旦させる、そういうのが工程の中に一旦盛り込まれれば、ガスによって眠ってしまったその鶏をつるすという作業は非常に労働者の環境としても負担が軽減されるというような見方もありますので、動物の習性や動物の福祉というものを屠畜や畜産の現場に盛り込むことによって、効率的な、そして経済損失も少ない、そういった処理の方法が行えるのだということもあわせて、環境省、そして農林水産、厚生労働の中で一体となって議論を進めていただけるように、担当者会議の中では積極的な議論を進めていただくことを切に切望させていただきたいというふうに思います。

 そうしましたら、時間も間もなくなってしまいます、ちょっと一問飛ばさせていただきます。

 実は、この件に関して、農林水産の予算委員会の分科会で私は質問させていただきまして、食鳥処理場に夜間放置されてしまう、輸送されて処理されるまでの間、非常に狭い、ぎゅうぎゅうのコンテナの中で、鶏が生きたままぎゅうぎゅう詰めにされている状況で放置されている、夜間、二十時間近くも放置されてしまうという、長時間の放置について質問させていただきましたが、農林水産大臣の方から、各食鳥処理場に通達を出されたということは承知をしています、本当にこれはありがたいというふうに思っております。私個人も喜んでおりますが、動物愛護を進めている、活動をされておられる国民の皆さんも、本当に喜ばしいことだということで私の方にも声をいただいております。

 この件に関して、三月二十六日にその通達が出されたわけですけれども、その後二カ月たちますが、どのような改善策がなされているのか、また、現在改善は進んでいるかどうかを伺いたいと思います。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 食鳥処理場におきまして、委員御指摘のように、夜間を中心に成鶏が長時間放置されるような状況の防止、改善に資するよう、農林水産省では、本年三月、関係団体等に対しまして成鶏の計画的な出荷を促す旨の通知を発出しますとともに、食鳥処理場を所管する厚生労働省に対しても周知を依頼したところでございます。

 この通知の発出後、その趣旨を徹底させていただきますために、農林水産省におきまして、関係団体の広報誌によりまして通知の内容を会員の方々に紹介されるよう働きかけ、周知徹底を図りますとともに、生産者団体あるいは成鶏処理事業者団体との間での意見交換を通じまして、計画的な出荷の必要性についての共通認識を醸成する、こういった取組を進めてきたところでございます。

 今後とも、関係方面と連携させていただいて、通知の趣旨のさらなる徹底を図ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 ぜひ、このあたり、これからまた時期的には暑い時期になってきます。最期を迎えるときに飲水もできないというぎゅうぎゅう詰めの状態で鶏が最期を迎えるということは、当然ですけれども、先進国としてはあってはいけないというふうに思います。

 また、先ほどもお話しさせていただきました東京オリンピックの際には、オリンピックの選手村で扱う食材に関してはOIEの基準にのっとった、アニマルウエルフェアの観点のもと飼育された食材を使うんだということを決定しておりますので、今アニマルウエルフェアの観点からかけ離れた屠畜や畜産の方法、こういったものを進めていってしまえば、先ほども言いましたように、国際社会からやはり乗りおくれてしまうということ、それから、今ある日本の優良な、いい畜産物を海外に輸出するという選択肢、これを広げるためにも、海外基準にのっとった動物福祉の概念のもと飼育される、そういった取組も非常に重要であると思います。

 狭いケージの中で長時間放置されていると、当然、生きた状況ですから、上から卵が降ってきたり、それが割れて大変ウジが湧くというような、そういう状況もあるというふうに確認されております。ぜひ、このあたりについては、先進国として全力で環境省、厚生労働省、農林水産省一体となって進めていただくことを再度切に願わせていただいて、私の質問を終了とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、下条みつさん。

下条委員 国民民主党の下条みつでございます。

 きょうは、提出されました海岸漂着物の処理の推進に関する法律について、また、それに付随して幾つかの点で御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 海洋ごみというのは、最大の課題がプラスチックということはもう当たり前の話になっております。また、プラスチックというのは我々人類にとっても欠かすことができない、また当たり前の存在になっているだけに、今回の法律みたいにいろいろな規制を入れたり、事業者との交渉も非常に僕は難しいなということは思います。だから、非常に御苦労があったんだなというふうに思っております。

 しかしながら、例えば、従前やっていただいた、洗顔料などに用いられた、マイクロプラスチックの一種でスクラブ粒子、これは業界団体の自主的な取組によって代替素材にかわって、大臣御存じのとおり、今ほとんど見られなくなっている。これは皆さんの、環境省が中心になった、行政が中心になったリーダーシップがあって、本気度があったのでできたんじゃないかなというふうに思っています。そういう意味では、環境省というのは特に、私は、いろいろなところの障害を、本気でどれだけできるかによって幾つかの難関を越えられるんじゃないかなと思っておりますので。

 そういう意味では、まず初めに、最初からマイクロのサイズに製造されているもの、それが下水道を通じて海に放出されていっている、一次的なマイクロプラスチックについて御質問させていただきたいというふうに思います。

 経産省が、二十八年に、化学物質安全対策報告書によって、二年前の二十八年、一年間で約十九万トンのマイクロプラスチックが販売されていたと。十九万トン販売されているということであります。

 このうち、産業用途のプラスチックというのは、適切な管理をしていれば外に出ませんが、お聞きするところによると、平成五年にマニュアル化ができて、その後、自主的な取組になっているという話も聞いていますので、まず、産業用のマイクロプラスチックについての規制が今ないとは思うんですが、その中で、自主的に取り組んだその結果、また、その措置がどの程度効力が出ているか、これをまず経産省さんにお聞きしたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 産業用途のマイクロプラスチックとしましては、プラスチック製品等の原料としまして、生産工程の中で用いられることが多い状況であります。

 このような生産工程上でマイクロプラスチックが環境中に漏出をしないように、プラスチックの業界団体では、従来から、自主的な取組として、漏出防止のマニュアルを整備するとともに、会員各社に対して啓蒙活動を実施しているところであります。

 これを踏まえまして、各社では、例えば、運搬時において荷崩れをしないような積み方の徹底でありますとか、あるいは、工場の排水溝に目の細かい金網を設置するといった取組を進めているところであります。

 経済産業省としましては、こうした業界の自主的な取組が一層推進されるよう、引き続き業界を促していきたいというふうに考えております。

下条委員 大臣、要は、非常に難しいのはわかっているんですよ。わかっている。

 というのは、これだけ景気が、ばらつきが地方と中央があって、そんな中で、今おっしゃったような自主的な取組ということも必要だとは思うんですが、今後として、またいろいろな措置を踏まえてやっていく課題の一つではないかなということを、この委員会を通じて私は議事録に残しておきたいというふうに思っているので、きょう、この課題をまず一つ目に挙げさせていただきました。

 二つ目が、先ほど申し上げました、洗顔料の中に使われているスクラブ粒子というもの、これはほとんど今なくなってきて、これは企業努力によって、また、御省を含めた、また行政の方々含めた本気度でこれが達成できたと思っているんですね。

 ただ一方で、二〇一六年現在で、実を言うと、一千万トンの化粧品用途のマイクロプラスチックが販売されているんですよ。一千万トンです。これは化粧品なんですね。さっき言った洗顔料は、いろいろな方々がいろいろな代替品によって落としてきた。

 ところが、化粧品というのは、最近、若い男性も、日やけどめとか、アイシャドーはしませんが、いろいろ、アイシャドー、それから何かファンデーションとかマスカラ、僕もよくわからないんですが、それは委員長がよく御存じだと思いますけれども、男性も大分入ってきている。ですから、だんだん販売量が上がってきているわけですよ。

 この化粧品というのが非常に、実を言うと、どこで洗い流すかというと、洗顔をしたとき、入浴時に洗い流して、それが水となってどんどんどんどん、下水から川になって海に流れていくわけです。まさにマイクロプラスチックのもとになるやつがどんどん流れていっているのが実を言うと現状なんですね。

 これは、正直、ここに課題として挙げたいということで申し上げて、これは一体どうやって取り組むかということも環境省の委員会として必要だと思うんです、責任として。これは、相対が、相反するところが経産省ではあると僕は思うんです、正直。私が経産省の人間だったら、いや、ちょっと待てよ、もうちょっと時間くれよというふうになるに決まっています。だけれども、私は、この一千万トンというのは、一方でいろいろな規制をしている中で、どんどんどんどんどんどん、男女問わず、老若男女問わず、入浴時、洗顔時に化粧品がどんどん海に流れていくことは、これはやはり問題意識を持っていくことが必要ではないか。

 この辺について、経産省は対策はどういうふうにお考えになっているのか。また、実を言うと、私の手元にはいろいろな資料があるんですけれども、これはあえてきょうは言いませんが、この問題は非常にこれから大きくなると思うんです、これから大きくなっていく。それで、この環境省の委員会で経産省さんにまず御意見をお聞きして、その後また御質問させていただきたい。いかがですか、対策等を含めて。

小瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 先生、使用量一千万トンと、これは一千トン……(下条委員「一千トン。ごめんなさい、訂正。済みません」と呼ぶ)

 議員御指摘のとおり、洗顔料などに用いられるマイクロプラスチックにつきましては、産業界の自主的な取組などによりまして、欧米の規制と同様、使用の中止に向かっているところでございます。

 一方、ファンデーションやアイシャドーといったメーク品などにも、化粧品特有の色彩や感触の調整の観点から、マイクロプラスチックが用いられているのは事実でございます。こうした製品に用いられるマイクロプラスチックですけれども、品質の維持向上のためには細やかな形状の制御が必要であるために、代替は容易でないのが現状でございます。

 産業界におきましては、各国の化粧品メーカーが集まりまして、こうした課題についても検討を行っているというふうに聞いてございます。

 経済産業省といたしましても、天然由来の原料の活用も含めた代替物質の検討などについて、業界とともに考えていきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

下条委員 失礼しました。一千トンでございますので、修正しておいてくださいませ。済みません、私の間違いであります。

 大臣、今あったように、本当に、アイシャドーとかそれから日やけどめとか、それはもうそのままスルーして、皆さん、男女ともに、日やけどめを落とす、また、化粧を落としたものがそのまま川からどんどんどんどん毎日今流れている。非常に喫緊の課題の中の一つではないかと思うんですけれども、これはちょっと質問通告していませんが、今おっしゃった中で、諸外国との関係でも詰めていくべきだというふうにおっしゃっています。いかがですか、御意見をいただきたいと思います。

中川国務大臣 マイクロプラスチックの問題につきましては、大変諸外国で取組が進んでおりまして、マイクロプラスチックは、マイクロビーズといった化粧品等に含まれているもののほかに、プラスチック容器とか、いろいろなプラスチックを使っている製品が海に流されて、そこで分解をしてマイクロプラスチックになるという、それが、魚が食べたりして健康被害にも影響を及ぼすのではないかというようなことで、例えばEUでは、プラスチックに代替できる原材料でつくれるものであれば、例えばストローなどはもう禁止をしましょうというような提案がなされておりますし、いろいろな国で、プラスチックの製品というものを抑えていこう、そしてまたリサイクル、リユースというものを徹底していこうという取組が進んでおります。

 日本もそうした流れの中にしっかり乗って議論を喚起して、こういった取組が日本においても進んでいくように進めていかなければならないというように考えております。

下条委員 大臣、ありがとうございます。

 今経産省がおっしゃった、アイシャドー等は代替品は難しいけれども、これをこのままスルーしてどんどんどんどん海に流していくというのは、これはもう非常に、結果的になぜ海に流しちゃいかぬというと、皆さんの口に入る魚が食べているんですね。

 これは今、もちろんきょうは質問しませんが、いろいろ研究段階ですけれども、この魚ちゃんを食べるのは我々日本人なわけですよ。それがひいてはどんな病気になっていくか。がんが日本は多いのか、脳卒中は、何かいろいろわかりません。いろいろなところにつながっていく。そのもとになる部分を、さっき言いました洗顔料を含めて本気を出せば、政府と行政の皆さんが汗を流して本気を出せば、そこに必ず見えてくるところがあると思いますので、ぜひ諸外国との関連を含めて大臣がリーダーシップをとっていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

 ところで、私は、これだけ高齢化社会になってくると、一番が、介護のときに発生する、もっと言えば、排せつ物の処理とかおむつの処理ですね、これは非常に皆さん御苦労されているというふうに思っているんですね。

 おむつごみ急増というのは、大体三十万トン以上の販売がある。どんどんどんどん、これはちびたちのおむつもあれば御老人の介護の方のおむつもある。これは、これだけ高齢化になってくると、お子さんの数は少し減ってくるにしても、逆三角形になっている人口構造からしても、おむつの比率が上がってくる。子供さんのおむつとそれから介護さんのおむつというのはもともとの体積が違っているので、相当やはりふえていくということが前提になっていると思います。

 そこで、大臣御承知かあれですが、おむつの吸水材の中にはこのマイクロプラスチックが使われているんですね。がつがつに使われている。これをそのまま破砕処理した上で流していくかどうかというところなんですけれども。

 そこで、今検討されているのが、ともかくおむつをそのままもうごみと出してしまう。それ以外に、おむつを破砕して、そしてそれをばらばらにしてごみとして出す。若しくは、おむつを破砕した後にそれを下水として出してしまう。

 私は何を懸念しているか、この下水として出している分です。俗に、Cタイプですね。ちょっと専門になっちゃうんですけれども、Cタイプの、三つ目のやつについては、これは非常に私は懸念をしておりまして、何でもそうですけれども、大きくなる前に本気度を出してここを潰していかなきゃいけないうちの一つの課題だと思っているんですね。

 そこで、おむつ検討会というのは、もう当然、そちらで控えている方もやっていらっしゃると思うんですけれども、その放出問題についてどういうふうに今これから進めていって、そして、私は、皆さん、その三番目の破砕して下水に流すやつというのは非常に危険を持っていると思います。せっかくこれだけほかの環境省の皆さん、与野党を問わず汗を流しているのに、それをまた端っこでどんどん流していくのであれば、これはちょっとクエスチョンかなというふうに思っていますが、その辺のこれからの検討課題として、どういう進め方をするか、お聞きしたいというふうに思います。

森岡政府参考人 お答えいたします。

 今後の高齢社会への対応として、下水道への使用済み紙おむつの受入れに対するニーズがあることを踏まえまして、国土交通省では、本年一月に、有識者、地方公共団体等で構成される検討会を設置し、下水道への使用済み紙おむつ受入れに関する検討を進めているところでございます。

 現在までの検討におきまして、地域特性あるいは下水道施設の状況等を踏まえ、先ほど御指摘いただきましたA、B、Cの三つの受入れタイプについて議論をするということにしております。

 まず、Aタイプでございますけれども、紙おむつから排せつ物を分離させて下水道へ流し、吸水材を含む紙おむつ固形物はごみとして回収するタイプ。次に、Bタイプでございますが、これは集合住宅を想定いたしまして、紙おむつを一旦破砕して、建物外の分離、回収装置に集めた後、排せつ物を分離して下水道に流し、紙おむつ固形物はごみとして回収するタイプ。そして、先ほどCタイプを御案内いただきましたが、紙おむつを破砕し、排せつ物、紙おむつともに全て下水道に流すタイプであります。

 これまでの私ども検討会の議論におきましても、御指摘いただきましたように、マイクロプラスチックの流出の可能性など、環境への影響について検討が必要という意見も出てございます。

 そのため、今後、こういった環境への影響も十分検証、配慮しつつ、高齢社会における介護負担等の軽減に資するよう、下水道への使用済み紙おむつの受入れについて検討を進めてまいります。

    〔委員長退席、関(芳)委員長代理着席〕

下条委員 ありがとうございます。

 A、B、C、大臣、こういうことなんですね。下水さんも頑張っているわけですが、これはやはり環境省としても、当然、その検討会、おむつ検討会というんですけれども、その部分について、環境省としても首を挟まないわけにいかないと思うんですよ。

 というのは、今言った、今僕が質問したのは、どんなぐあいで検討ですかねというのに対して、ここに紙にあるそのとおりなんですけれども、おっしゃっていただいたんですけれども、極端な話、この三番目のCタイプ、破砕してそのまま下水に流していってしまうのであれば、ほかのところでマイクロプラスチックについて規制していても、湯水のように行ってしまうことになる。そしてその数はふえていくということですが、この辺、環境省としてのお考えをお聞きしたいというふうに思います。

早水政府参考人 お答えいたします。

 マイクロプラスチックの問題につきましては、さまざまな発生源が想定されますので、十分なデータの蓄積が必要と考えております。

下条委員 そういう回答だと思うんですけれども、私は、大臣、もう一つ踏み込んで、決意をお聞きしたいと思います。

 こういう状態の中で、環境省としてどうやってにらみをきかせていくか、お聞きしたいと思います。

中川国務大臣 今局長が答弁いたしましたように、データの蓄積が当然必要であります。そのデータを踏まえた上で、環境省としてどのようなことができるのか、各省と意見交換しながら対応してまいりたいと考えております。

下条委員 ありがとうございます。

 環境問題というのは、釈迦に説法で、大先輩おっしゃるとおり、本当にそうだと思うんですけれども、長い目で見てどうかなんですね。だから、間口でどうやってそれに着目していくかということが一番重要だと思います。

 一次的マイクロプラスチックというのは、海洋中にあるのは全体からすれば一%なので、まだまだ見かけが少ないかもしれませんが、例えば、一例を言えば、最初の大被害であった公害の足尾銅山なんかも、大臣、あのころは環境省があれしておりましたけれども、百年たった今でもいろいろな問題が残っているんですね。でも、最初の段階から入っていっていれば大きな被害にならなかったなと。また、そのころの方はもう生きていらっしゃらない方も多いと思うんですが、そういう意味で、こういう部分も、さっき、一番最初、私は申し上げたけれども、本気度を出してやっていくことが必要であるので、ぜひ、連携していただいて、この紙おむつ検討会を含めて、リーダーシップを出していただくことをお願い申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、ほとんどのごみは河川に流れていく。国交省では、一級河川について、ゴミマップというのがあるんですね。ごみ、不法投棄の実態について公表されてきた。

 不法投棄について、私は非常にいい結果が出ているなと思っているんですね。というのは、平成十年での産廃の不法投棄が、判明しているだけで約千百九十七件で、二十八年では百三十一件になっている。ということは、この不法投棄について非常に骨を折られた結果だと思うんですよ。僕はそう思っています。だって、たかが十七、八年ぐらいで非常にいい結果が出ているんですね。

 これは、簡単に言えばどういうことでこういう結果になったかというのをまずお聞きしたいのと、その本気度を、これは褒めているんですよ、委員会というのは提案だけじゃなくて褒めることも入れなくちゃいけないというふうに思っていまして、この本気度というのがどこにあるのかなとお聞きしたいんです。それによって急激に不法投棄が落ちているんですね。ちょっとお答えいただきたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から今御指摘ありましたように、産廃の不法投棄件数、毎年度把握しておりますが、これは、ピーク時には一千件を超えていたというものですが、直近の二十八年度には百三十一件まで少なくなってきている。

 これは、これまで累次の廃棄物処理法の改正を重ねまして、不法投棄防止対策として、罰則の強化でありますとか排出事業者責任のより強化といったようなことを、制度的な手当てをしていただいてきているというところに加えまして、不法投棄の監視活動ということで、こちらは、都道府県、政令市ともしっかり連携をしながら、不法投棄の監視ウイークを設けてしっかり監視をする。あるいは、ホットラインを設けて、常時不法投棄に関する情報を受けるといったような取組も進めてございます。

 こういった取組によりまして大きく減ってはきているというのは事実でありますが、まだまだ撲滅には至っていないということでありますので、これも都道府県、政令市ともしっかりと連携しながら、今後とも対策の強化に努めてまいりたいと考えております。

    〔関(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

下条委員 これは非常にいい結果だと思っています、僕は。すばらしい。

 要は、大臣、本気を出してチェックすれば、こういうふうになるんですよ。だから僕は、これが今まで言った幾つかの課題、また、ほかの委員もおっしゃって、これからも委員がおっしゃっていく課題について、やはり本気度を出すことによって事前に防げるし、そして罰則を今おっしゃらなかったが、罰則がたしか、罰金が一千万とか大きくなったり、五年になったり、法人一億とか、何かいろいろあるんですよ、全部うちの方でも捉えていますけれども、だからいい結果。それはやはり、横断して、皆さんがタッグマッチを組んで、本当に行政の方の御努力とリーダーシップがあったからだと思います。

 これをぜひ、このリーダーシップというのが僕は非常に重要だと思うんです、環境は。じゃなきゃ、今回の法案もそうですけれども、やはり業界団体との行ったり来たりの中で御苦労なさったと思うんですよ。でも、それでどうやってまとめていくかが、僕は、大臣、皆様の手腕だと思いますので、ぜひ、こうやっていい結果が出ているのがあるので、横断的にリーダーシップをとって、行政とタッグマッチでやっていただきたいということを更に申し上げたいと思います。

 次は、日本は島国ということで、海岸線の全部を見ると三万キロあるんですね。そこで、これに対して、ごみの処理の対策費用というのがおよそ三十億円であると。三万キロで三十億円。

 その一方で、中国から一年間に海洋中に放出されるプラスチックごみというのは、これは、こういうペットボトルの漂着の文字で大体およそどのぐらいかなと評価しているんですけれども、一年間に、固有名詞で申しわけないけれども、書いてあるのは、百三十二万から三百五十三万トン。一方で、日本の流出量というのは二万から六万トンなんですね。

 だから、僕が何を言いたいかというと、日本も中で努力して、隗より出よで、かつ、諸外国に、君のところは多いじゃないかときちっと言っていくことが必要だと思うんですよ。

 それと同時に、各地区の、西日本の離島なんか大変だと思いますよ、大臣、ただでさえこうやって、今お配りしたように、どんどん流れてきていますから。この諸費用というのは、お聞きすると、単独で地域がやったら二、三億とお聞きしましたけれども、本当にそれだけで足りるのかなと思っているんですね。三万キロですからね、全部で。その三万キロで、これだけ何万トン、何百万トンと来ているのに、本当に三十億だけでいいのかなという僕の単純なクエスチョンですよ、大臣。

 私は、これはあえて言えば、恐らくプロパガンダと徹底性がちょっと少ないような気もしているんです。例えば、地域によって、実は私の方にもばらつきの資料はありますけれども、ここの部分だけ非常に多く補助金が出て、こっちの方は出ていなかったりとかってあるんですね。でも、漂着はしているわけですよ。

 だから、やはり全都道府県的に徹底をしていって、ごみの漂着については国の方で七、八割もサポートできるんだぞ、これをもっとどんどん言うべきじゃないかと思うんですが。三万キロですから。いかがですか、大臣。お考えをお聞きしたいんです。

中川国務大臣 日本各地の海岸では、国内外から多くの海岸漂着物が漂着しておりまして、各地方自治体においてはその対応に苦慮されていることは承知しております。

 今御指摘のように、例えば、平成二十九年度補正予算で約二十七・一億円、平成三十年度予算では当初予算では四億円ということで、地方自治体による海岸漂着物等の回収、処理等を支援しております。

 この金額が少ないのではないかという御指摘でございますが、各自治体においては、補助率が原則十分の七、過疎地等は十分の八、離島等は十分の九とかさ上げしているところでございまして、さらに、残りの地方負担分の八割が特別交付税により措置され、実質的な自治体の負担軽減に配慮した制度になっているわけでございます。

 金額につきましては、従来から環境省も予算の確保に努力しているところでございますが、これからも、補正予算も活用して、必要な財源の確保に最大限努めてまいりたいと考えております。

下条委員 大臣、ありがとうございます。

 今までやったことは、大臣、百点ですよ。七、八、九割あった、もう百点。私が言いたいのは、もっとプロパガンダを広げてもらって、三万キロ海岸線がある中で、本当に三十億だけで徹底されているのかなというところなので、それはまたぜひリーダーシップを出していただいて徹底していただきたい。

 というのは、知らないところは実際あります、いろいろな意味で。だから、どんどん各都道府県に向けて発信していただいて、これは国から補助が出るんだぞ、八割出るぞ、九割出るぞ、七割出るぞというのを言っていただきたい。そういう意味でございますので、ぜひよろしくお願いします。

 時間の関係で、最後にさせていただきます。

 先ほども動物愛護の問題がちょっと出まして、イギリスでも、例えば動物保護、マーティン法が一八二二年に出て、これは動物福祉法、ドイツでも動物保護法、フランスでもグラモン法、アメリカでは連邦レベルで動物福祉法ができている。

 それで、実を言うと、これは超党派議連でも、愛護、防止法というんですか、八週齢規制というのをやっているわけです。私も議連に入っております。これは何かといえば、御存じのとおりで、八週間で親元を離した方が、結果的にはそのワンワンは懐いて、お漏らしをしなかったり、ちゃんと御飯を食べたりということなんですね。親元をそれよりも早く離してしまうと結局懐かなくなって……

松島委員長 済みません、質疑持ち時間が終了していますから、短く。

下条委員 はい、わかりました。

 大臣、御存じかあれですけれども、毎年五万頭殺されているわけですよ。

 私はこれは、最後に申し上げますけれども、議連でどんどん今進めている八週齢規制の、撤廃というんですか、八週齢規制にしてもらいたいということと、それから、動物愛護については超党派で、彼らは言葉を発せない分、ぜひ超党派で進めていきたい。そのバックアップを環境省でもとってもらう。環境省は、実を言うと、麻布大学の先生に委託して、引き離す時期を八週以降にすることによって問題行動の程度に差が出ることが明らかになったというふうに、環境省も麻布大学にそれをお願いしている話であります。

 それで、最後に、この問題について、私も超党派できちっとやっていきたいと思いますが、環境省としてもバックアップをとっていただきたいので、大臣の覚悟だけをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

松島委員長 大臣、一言でお願いします。

中川国務大臣 動物愛護管理法は、従来から議員立法で、そして改正も議員立法でやっていただいておりますので、議員の、例えば超党派の議連や各党のしかるべき機関でしっかりと御議論いただいて、適切な改正をしていただければというふうに思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 もう時間が来ておりますので以上とさせていただきますが、ぜひ環境省も御協力していただいて、この超党派の議連の法案に対してバックアップしていただきたいとお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松島委員長 次に、田村貴昭さん。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 きょうは、アスベスト対策について質問をします。

 アスベスト公害については、二〇〇八年の提訴以来、国の責任が繰り返し断罪され、昨年十月の高等裁判所、東京高裁では、建材メーカー四社に賠償を命じました。また、個人事業主として扱われてきた一人親方についても、労働者として救済の対象となったわけであります。

 国と建材メーカーなどが拠出する資金で裁判によらず簡易迅速に救済する被害者補償基金制度の創設の確立が、今まさに強く求められているところであります。そして、求めたいと思います。

 アスベスト対策の全般的な考え方については最後に大臣にお伺いするとして、当面する課題について質問をしたいと思います。

 アスベストは、一九七〇年代から九〇年代にかけて日本に大量に輸入され、吹きつけ材、屋根などの建材に広く使われてまいりました。建築物の解体による石綿の排出量が、二〇二〇年から二〇四〇年にピークを迎えます。対策強化が必要であります。

 そこで、伺います。

 住宅、建築物における国のアスベスト含有調査、アスベスト除去等の補助制度について御説明をいただきたいと思います。資料も配付しているので、簡潔にお願いします。

眞鍋政府参考人 住宅、建築物のアスベスト調査、アスベスト除去等の補助制度についての御質問をいただきました。お答えしてまいります。

 国土交通省におきましては、社会資本整備総合交付金における住宅・建築物アスベスト改修事業により、住宅、建築物における吹きつけ建材中のアスベストの有無を調べるための調査費用、吹きつけアスベスト等の除去、封じ込めあるいは囲い込みに要する費用について支援を行っております。

 地方公共団体が行う場合には直接、民間事業者が行う場合には、地方公共団体を経由して補助を行っております。

田村(貴)委員 調査と除去における補助率について教えていただけますか。

眞鍋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず調査でございます。これはアスベストの含有調査でございますが、国費率は十分の十ということになってございます。

 除去等の工事費用については、地方公共団体が実施する場合には三分の一以内、民間事業者が実施する場合には、地方公共団体の補助額の二分の一以内で、かつ全体額の三分の一以内、これを上限としてございます。

田村(貴)委員 それで、自治体が補助を受けるためには補助制度そのものを設けなければいけないんですけれども、政令市を除く市町村の創設状況について説明をしてください。

眞鍋政府参考人 市町村の補助制度についての御質問でございます。お答え申し上げます。

 直近で私どもが把握しておりますデータ、平成二十九年の四月の一日現在の数字でございますが、政令市以外の市町村では、三百五十三自治体で補助制度がございます。そのほか、補助制度はありませんが、利子補給や融資制度を創設している市区町村が十一、かつて補助制度を創設していたが既に役割を終えて終了している市区町村が四十八、現在検討中の市区町村が八十五というふうに把握してございます。

田村(貴)委員 今答弁いただいた数字については、資料として配付させていただいております。

 私もこの結果を見て驚いたわけなんですけれども、政令市を除く八割の市町村では補助制度が創設されていないわけなんですね。初め御説明いただいたように、調査においては自治体では十割国費で補助してもらえる、そして除去については三分の一以内という規定があるわけなんです。こうした制度すら活用されていない。私は福岡県なんですけれども、六十自治体があって、政令市が二つですから、五十八の市町村のうち五十七の市町村がないという状況がこの結果に書かれているわけであります。

 融資等において対応というのも、この右下の表で見ますとわずか〇・六%。つまり、多くの市町村において、調査ないし対策あるいはそのいずれも対応がなされていないというふうに受けとめました。

 環境省、対策が急がれるのではないでしょうか。解体や災害などによる飛散の防止、又はどこにアスベストが建材などで使われているのか、この把握をすることが何よりアスベスト対策の前提となってまいります。この状況を今後どうされていくのかについて、答弁いただけますか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 アスベストの解体時のためには、やはりどこにアスベストが使われているかということの情報が非常に大事かと思います。これは、災害発生時にも非常に重要かと思います。

 こういった、平常時から建築物等における石綿の使用状況を把握しておくことが大事だということで、例えばですが、昨年度改定した災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルにおきまして、平常時から建築物等における石綿の使用状況の情報を把握、整理しておくことが望ましい旨を明記しまして、自治体へのブロック会議においてもこの説明をして、災害に備えた事前準備を行うように周知をしております。

 平時からこういった準備をして、情報共有が進むように周知していきたいと考えております。

田村(貴)委員 建築物石綿含有建材調査マニュアル、平成二十六年十一月、国土交通省、こういう報告があります。ここに述べられている記述をちょっと紹介したいと思うんですけれども、「建築物に石綿含有建材が使用されているか否かの調査について、国の助成制度は整備されているものの、建築物における石綿含有建材の使用実態の把握は決して進んでいるとはいえない。」四年前の記述ですけれども、こう書かれている。そして、数字的にも今あらわれているわけですね。

 しかも、この報告の中で、対象となっている鉄筋や鉄筋コンクリート造のおよそ二百八十万棟の建築物を調査対象とし、というふうに挙げられているんですけれども、国交省にこの間教えていただいた調査建材というのは、吹きつけアスベスト及びアスベスト含有吹きつけロックウール、この対象は二十六万三千棟ということで、ちょっと桁違いではないかなというふうに思うわけです。

 もっともっと調査をする必要があるんじゃないでしょうか。乗り込んでいって、建材等々にこうしたものが含まれているのかどうなのか、これはやはり行政の力をもって把握していくことが何よりも重要だというふうに思います。

 そこで、一つ提案させていただきたいと思うんですけれども、熊本地震アスベスト対策合同会議において、アスベストアナライザーが建材における含有を測定でき有用であるというふうに会議で紹介されました。その一文をここで紹介したいと思います。

 二〇一七年三月二十一日、熊本地震アスベスト対策合同会議録がホームページ上で公開されています。この意見を行った委員は、熊本県の環境生活部の職員の方であります。

 「事前調査が適切かどうかというチェック・監視としてアスベストアナライザーを使っております。」「大防法関係で」、大気汚染防止法ですね、「大防法関係でアスベストを担当している職員は化学の職員が多く、建築はよく分からないところですので現場に行っても、解体業者が自信たっぷりに、どの建材にもアスベストは無いと言い切る場合が多く、なかなか建築の知識がないとそれに反論して説得力のある指導が出来がたいところがあったのですけれども、アスベストアナライザーで入っていることを示せば、指導に納得頂くことが有って、非常に重宝しているところでございます。」というふうに言われています。

 ですから、災害では、東日本大震災でも、熊本地震においても、このアナライザーという計測器が大いに役に立ったと。はかれる限界はあります。しかし、ここで計測されたということは必ず入っているわけですから、ここはやはり注意して扱わなければいけない。解体するときも、注意しなければいけないというふうにわかるわけなんですね。

 アスベストの所在を知り、そして飛散を未然に防止するためにも、こうしたアスベストを検出する機械を、行政機関、国や自治体に備えるべきであるというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。

早水政府参考人 お答えします。

 先ほども少し御紹介しました、環境省が最近改定いたしました災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルの中で、自治体が石綿露出状況を把握するために、吹きつけ石綿等を使用している可能性のある建築物等を特定し、確認調査を実施するため、必要な資機材を準備するとしておりまして、その中で、アスベストアナライザーにつきましても、今もお話のあったように、建材中の比較的高濃度のアスベストについては、簡易に短時間で測定することができる機材ということで、その一つの例として取り上げております。

 自治体におきまして、災害時における石綿の露出状況把握のための、資機材として必要なものを整備するよう、引き続き周知してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 周知していくということですね。確認しました。

 災害時は、その瞬間、その瞬間が勝負でありますし、そこでないと言われて、実は飛散していた、そこでもう吸い込んでしまったら、後は、二十年後、三十年後に発症してしまう、悲劇を生んでしまうので、本当に繊細な神経が要るんじゃないかというふうに思うわけです。周知徹底を図っていただいて、ぜひ推奨していただきたいというふうに思います。

 また、関連して、自治体がアスベストの使用構造物を掌握する意味では、今言いましたような検査を行いながら、どこに建材として隠れているかを把握し、これをやはり記録する、住民にこの情報をやはり共有してもらうことが必要であるという意味で、アスベストハザードマップの作成の意義が、建築あるいは医師、専門家からも指摘されているところであります。

 この作成支援について、国の方はどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御紹介しました災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルの中で、平常時から、石綿使用状況の把握、整理をしておくことが望ましいと明記しておりまして、ブロック会議でも周知しておりますけれども、このマニュアルの中で活用できる情報を示しておりまして、例えばですけれども、国土交通省で整備を推進しているアスベスト調査台帳あるいは自治体の所有施設の使用実態調査など、こういった情報を共有できると示しておりますので、平常時から自治体において関係部局で共通するよう、このマニュアルを通して周知していきたいと考えております。

田村(貴)委員 次に、アスベスト新法による救済給付についてお伺いします。

 アスベスト疾患は、二十年から四十年の潜伏期間を経て発症するので、今後、患者が増大する可能性があります。被害者、患者が救済制度から漏れてはなりません。

 アスベスト新法による救済給付で、肺がんの基準が厳し過ぎると専門家からの指摘があります。喫煙歴があることをもって外されてしまうということが多々あるというふうに伺いました。

 肺がん患者であって、アスベストの暴露を医学的に確認できる方法はあるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 肺がんは、喫煙を始めとしてさまざまな原因があり、石綿によるものであるか否かの判定は容易ではないことから、現行制度におきましては、国際的コンセンサスに照らして石綿によるものである蓋然性が五〇%以上と言えるような医学的所見が確認されれば、石綿暴露歴を問わずに石綿によるものと判定することとしております。

 また、その具体的な基準につきましては、例えば、肺内石綿小体の量について、国際的なコンセンサスが得られている科学的知見として幅のある値の中から最も緩やかな値を採用するなど、科学的根拠に基づきつつ、個別的因果関係を問わず迅速な救済を図るとの制度趣旨に照らして設定されておりまして、国際的に見ても厳しい基準とは考えておりません。

 石綿健康被害救済制度における肺がんの医学的判定に当たりましては、胸膜プラークや肺線維化所見等の放射線画像所見や、肺内石綿小体濃度の計測により行いますが、それらが認定基準を満たさない場合には、原則として肺内石綿繊維計測を行うこととしております。

 環境省といたしましては、救済制度で救われるべき方が救われるよう、今後とも、石綿による肺がんに関する医療機関への重点的な周知等に努めながら、着実な制度運営を図ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 つまり、開胸しなくても調べられるということですよね。

 ところが、がん拠点病院においても、肺がんの患者さんに対して、職業歴が聞かれない、居住歴についても尋ねられないといったところで、そうしたら、アスベスト疾患というふうに認定されなくなってしまうわけなんですね、所見がない以上は。そういうことがあるというふうに、私も専門医から伺いました。

 答弁が重なるかもわかりませんけれども、今こういう現状があって、多くの被害者が救済から漏れている可能性がある。現状打開が必要ですよ。

 ですから、もっと、職業性がんであることの可能性を持って診察に当たっていくことが必要ではないかと思いますけれども、環境省、これからどうされていきますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 環境省としては、石綿による健康被害者を迅速に救済するため、職業暴露歴を問わず、救済制度及び石綿関連疾患に関する、救済が行われるように、この情報を医療機関、医療関係者へ周知することが重要であると考えております。

 平成二十八年の石綿健康被害救済小委員会の審議におきましては、医療現場において現行制度への申請を勧奨できるように、関係する医療団体等へ周知を図るべきとされたほか、肺がんについて重点的に医療機関に周知すべきとされました。

 これを受けまして、医療従事者向けの講習会や医療関係者向け手引の作成、配布等を通じた周知に加えて、昨年度から、関係する学会や医療ソーシャルワーカーの団体を始めとする医療関係団体及びがん診療連携拠点病院等の相談支援センターに対しても、制度周知等を実施しているところでございます。

 今後も引き続き、救済制度等のさらなる周知を図ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 その周知徹底が目に見えて前進するように、頑張っていただきたいと思います。

 大臣に今お伺いしたいと思うんですけれども、きょう議論してきました。多くの被害者が救済と補償を求めています。私が冒頭言いましたように、裁判によらずに、例えば、アスベストを扱っていた労働者が簡易迅速に救済を受けられる被害者補償基金制度、この創設というのはお耳にも入っていると思いますし、ぜひ強く求めていきたいと思います。こうした状況があること。

 そして、きょう議論しましたように、現時点でも多くの課題があるわけであります。そして、その所管は幾つかの省庁に分かれているところであります。いろいろお話を伺って勉強する中で、コーディネートする方がおられないなというふうに思うわけです。

 ぜひ、中川環境大臣には、省庁にまたがるアスベスト対策において、大きな視点に立って見ていただきたい、コーディネートもしていただきたいし、私がきょう申し上げた対策、救済制度についても、万全を尽くしてぜひ前進させていただきたいなと思いますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 アスベスト問題は、国民生活に密接に関連する重要課題でございます。関係省庁が密に連携しながら、総合的な対策をとることが必要であると認識しております。

 政府全体では、平成十七年十二月に開催したアスベスト問題に関する関係閣僚会合において、アスベスト問題に係る総合対策を取りまとめ、健康被害者の救済、今後の被害を未然に防止するための対応、国民の有する不安への対応に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、関係各省との緊密な連携のもと、環境省としてもしっかりとその役割を発揮して、アスベスト対策に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 ぜひ全力を尽くしていただきたいと思います。

 厚労省に最後お伺いします。

 健康管理手帳を労働者が持った場合に、年間二回ぐらいの健康診断が受けられます。どの程度の方が罹患しているのか、そして、罹患した方がどの程度労災に申請したのか、こうした傾向を見ていくことが非常に大事だと思うんですけれども、今の時点でそういうデータがないというふうにお伺いしました。いかがでしょうか。

松島委員長 厚生労働省田中労働基準局安全衛生部長。なお、質疑持ち時間が終了いたしておりますので、短くお願いします。

田中政府参考人 御指摘の健康管理手帳で健診を実施しているわけですけれども、平成二十九年時点で、その手帳は約三万五千人の離職者に交付をしていまして、年間で延べ四万六千人の方が健診を受けておられます。

 そのうち、要療養となっている方は約二百五十人というふうに把握しておりますけれども、その中で労災申請の状況については、現在、把握していないところでございます。

田村(貴)委員 時間が来ました。終わります。ありがとうございました。

松島委員長 次に、玉城デニーさん。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 きょう最後のバッターですが、重複する質問の内容等ありましたら、ぜひ答弁をお願いしたいと思います。

 まず、世界自然遺産について、大臣にお伺いしたいと思います。

 世界自然遺産候補の奄美大島、徳之島、沖縄の沖縄本島北部及び西表島について、国連教育科学文化機関、ユネスコへの推薦を一旦取り下げるということを六月一日に閣議決定しております。

 この世界自然遺産、地元でも、今指定されると、少しまだ準備が整わないのだがという声がある中で、一旦取り下げて、そしてまた再提出をするという運びであるということは報道でも報じられております。

 大臣に、その取り下げた理由、経緯、今後の計画、特に今後の計画等について、それを含めてお話を伺えればと思います。

中川国務大臣 我が国から推薦を行っております奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島については、先月、IUCNの評価がユネスコから通知され、延期の勧告を受けました。

 IUCNの評価書では、延期の理由として、今回の推薦区域の設定には、主に次の二点で課題があるとされております。

 すなわち、まず第一は、推薦地の連続性の観点で、沖縄の北部訓練場返還地が重要な位置づけにあるが、現段階では推薦地に含まれていないこと、それから二番目に、推薦地は連続性に欠け、遺産の価値の証明に不必要な、分断された小規模な区域が複数含まれていることでございます。

 一方で、絶滅危惧種や固有種の生息地であるという点で、四島が世界遺産としての可能性を有していること、推薦地の保護管理の状況は、世界遺産としての要件を満たしていること等が評価されております。

 このように、延期と勧告されたものの、世界遺産の登録の可能性が十分にある候補地として一定の評価が得られ、登録に向けた明確な道筋が示されているものと理解しております。

 このため、確実な登録を実現するためには、本件推薦を一旦取り下げ、IUCNの指摘を踏まえて推薦書を再提出し、再度審査を受けることが最適な方法であり、かつ早道であると判断いたしました。

 環境省といたしましては、関係者ともしっかりと連携して、IUCNのアドバイスを求めるなど、登録に向けた再スタートを切り、来年二月一日までの推薦書の再提出と確実な登録を目指してまいりたいと考えております。

玉城委員 今大臣が答弁していただいたとおり、二〇一六年十二月に四千十ヘクタールが返還された北部訓練場は、これまでに大規模な森林の伐採などがなくて、良好な自然環境がそのまま残されていたということになっております。それを、IUCNがぜひ遺産登録の中に、細切れにせずに全体を一体的に入れるようにという勧告を出したのは、私は非常に、妥当性と、それから将来への期待が持てると思います。

 さて、実はこの返還されました北部訓練場の跡地で、絶滅危惧種のヤンバルホオヒゲコウモリが京都大学チームによって捕獲されたということが公表されています。沖縄で確認されるのは二十二年ぶりです。

 このヤンバルホオヒゲコウモリは、県のレッドデータブックで絶滅危惧種1A類に指定されています。体重は五グラムほどで、木の洞などに生息しておりますが、一九九六年に琉球大学とハワイ大学の合同研究者チームが初めて発見。その後、奄美大島などで見つかっていますが、個体数は少ないと言われているんですね。

 つまり、北部訓練場の中には、このようにまだまだ希少種が生息しているということが十分うかがえるということが、このホオヒゲコウモリの発見でも、二十二年ぶりの確認でも明らかになったわけです。

 この返還された北部訓練場跡地の本格的な調査について環境省はどのように考えておられるのか、参考人から伺いたいと思います。

亀澤政府参考人 環境省では、米軍の北部訓練場の返還地におきまして、平成二十八年と二十九年の二カ年にわたって自然環境調査等を実施し、当該地域にはやんばる国立公園の既存の公園区域と同等の自然環境、とりわけ広大な亜熱帯照葉樹林や希少な野生動植物の生息、生育地が広がっていることを確認しております。

 これらの調査を踏まえまして、先月末、中央環境審議会から、返還地の大半を規制の強い核心地域として指定する国立公園の拡張案について、妥当である旨の答申をいただいております。

 環境省としては、この答申を踏まえまして、七月末までにやんばる国立公園の拡張を完了させ、今後、地域の方々とともに、固有種や希少種が生息、生育する、このすばらしい自然環境を後世に残せるよう、適切な国立公園の管理を実施してまいりたいと思っております。

玉城委員 そして、北部訓練場は、返還区域と、まだこれからも訓練場として使う非返還区域がつながっています。つまり、フェンスは仕切られていても、自然環境は一体となっているわけですね。

 ところが、そこで、オスプレイの飛行訓練や、さまざまなジャングルでの戦闘訓練、特にゲリラ戦によるそういう厳しい訓練なども行われておりますし、CV22、空軍仕様のオスプレイが先日嘉手納に飛んできましたけれども、そのオスプレイは、局地戦的な戦略でも北部訓練場を使うということが予測されています。

 重要な自然環境と一層の保護における、この北部訓練場による影響についてはどのように受けとめていらっしゃるのか、お聞かせください。

亀澤政府参考人 IUCNの評価書におきましては、北部訓練場として残る地域については、推薦地に対する実質的な緩衝地帯として機能しており、景観の連続性や重要種の生息に貢献しているというふうに評価されております。

 また、これまで、米国政府の協力も得て、外来種であるマングースの防除等の生態系保全の取組を進めてきておりまして、IUCNには、こういった我が国と米国政府との協力関係についても一定の理解が得られたものと認識をしております。

 米国政府に対しましては、引き続き、協力の継続を働きかけていきたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 では、ちょっと残り時間が少なくなりましたが、委員の皆様に資料を配付させていただいております。

 これは、実は今埋立てが進んでおります、護岸の造成が進んでいるキャンプ・シュワブですが、写真はきょうは配付しておりませんが、こういうふうに囲われております。写真がこういうふうになっております。実は、この護岸で囲まれようとしているところは、ジュゴンの餌場になっているところで、良好な藻場でもあります。ジュゴンが食べた跡、海草を食べた跡が百本余り、ジュゴントレンチといいますが、そのはみ跡も見つかっているところですが、そこにはヒメサンゴが生息しているということも明らかになっております。

 お手元に配付しました資料は、実はこの時期に、現在、護岸の造成工事が行われ、護岸がつながり海が締め切られたら土砂を投入する計画が七月、きょうのニュースでは、八月に一月延期するということになっております。

 沖縄防衛局がサンゴの産卵期や高水温期に移植を実行するとなったときに、専門家からは非常に批判の声が相次ぎました。そこで、手元にありますように、遮光ネットで直射日光を避け、遮閉シートで水の濁りを抑制して、護岸の外からポンプでくみ上げて水流をサンゴに送ってサンゴの生息を、少しその手だてをとっておく、だから締め切っても影響がないというようなことが報道で明らかになっております。しかし、この対策方法は国内に前例がなく、保護効果を証明するデータは示されていないということも明らかになっています。

 環境省にお伺いいたしますが、このサンゴ移植に関する、移植までの防衛局によるこのような対策方法についてはどのように見ていらっしゃいますか。

亀澤政府参考人 御指摘のサンゴの保全策に関しましては、事業者である防衛省により設置をされました、サンゴを含む各分野の専門家が委員となっております環境監視等委員会の意見を聞いて、当該サンゴに影響を与えないよう対策をとりながら、自然環境に配慮して工事が行われるものと認識をしております。

 環境省といたしましては、引き続き、事業者である防衛省により自然環境に十分配慮して実施されることが重要と考えております。

玉城委員 この護岸の外にも、ヒメサンゴなどがまだ残されているわけですね。今答弁がありましたが、実は専門家は、環境監視等委員会が防衛局の方針を認めたことも、これはおかしいと批判しています。専門家が見て、こういうやり方はあり得ない、まずサンゴの保護、移植を図って、後にそのサンゴが良好な環境の中で生育をしているかという、その事後の観測も含めてしっかりと対策をとるべきだというふうに言っております。

 この護岸の造成工事によるサンゴに与える影響の評価について、最後に、環境省のその評価を伺いたいと思います。

松島委員長 亀澤局長、質疑時間が終了していますので、短く。

亀澤政府参考人 事業者であります防衛省が、環境監視等委員会の意見を聞いて、サンゴに影響を与えないような対策をとりながら、自然環境に配慮して工事が行われると認識をしております。

 環境省としては、防衛省により自然環境に十分配慮して実施されることが重要というふうに考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 一帯は重要海域です。陸も海も連続して守っていけるように、ぜひ頑張ってください。

 質問を終わります。ニフェーデービタン。

     ――――◇―――――

松島委員長 次に、美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、北川知克さん外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び自由党の共同提案により、お手元に配付いたしております美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。北川知克さん。

北川委員 美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 現行の法律は、海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進することを目的として平成二十一年に制定され、これまで海岸漂着物等の円滑な処理及び発生の抑制に寄与してきました。

 しかしながら、この法律が施行されてから間もなく九年が経過する現在においても、我が国の海岸には国の内外から多くのごみが漂着しており、また、沿岸を漂流するごみや海底にあるごみが船舶の航行の障害や漁場環境の支障となって海洋環境に深刻な影響を及ぼしています。

 さらに、近年、マイクロプラスチックと呼ばれる微細なプラスチック類が海洋に流出し、有害化学物質を吸着して食物連鎖に取り込まれ、海洋生態系に影響を及ぼす等の懸念が国の内外で高まっており、この対策が喫緊の課題となっております。

 こうした状況のもと、海岸における良好な景観及び環境の保全並びに海洋環境の保全を図るため、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、題名を美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律に改めることとしております。

 第二に、法の目的規定に、海岸漂着物等が海洋環境の保全を図る上でも深刻な影響を及ぼしており、また、大規模な自然災害の場合に大量に発生している旨の認識を追加することとしております。

 第三に、我が国の沿岸海域において漂流し、又はその海底にあるごみその他の汚物又は不要物を漂流ごみ等と定義した上で、これを法が対象としている海岸漂着物等に追加することとしております。

 また、国及び地方公共団体は、地域住民の生活又は経済活動に支障を及ぼす漂流ごみ等の円滑な処理の推進を図るよう努めなければならないこととしております。

 第四に、海岸漂着物対策は、循環型社会形成推進基本法等による施策と相まって、海岸漂着物等の発生の効果的な抑制が図られるよう十分配慮されたものでなければならない旨を明記することとしております。

 第五に、微細なプラスチック類をマイクロプラスチックと定義した上で、海岸漂着物対策は、マイクロプラスチックが海洋環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあること及びその処理が困難であること等に鑑み、海岸漂着物等であるプラスチック類の円滑な処理及び廃プラスチック類の排出の抑制、再生利用等による廃プラスチック類の減量その他その適正な処理が図られるよう十分配慮されたものでなければならないとする基本理念を規定しております。

 また、事業者は、通常の用法に従った使用の後に河川その他の公共の水域又は海域に排出される製品へのマイクロプラスチックの使用の抑制及び廃プラスチック類の排出の抑制に努めなければならないこととしております。

 さらに、政府は、最新の科学的知見及び国際的動向を勘案し、海域におけるマイクロプラスチックの抑制のための施策のあり方について速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。

 第六に、さらなる海岸漂着物対策として、国は、海岸漂着物等の処理等の推進に寄与した民間の団体及び個人の表彰に努めるものとしております。

 また、国は、海岸漂着物対策の推進に関する国際的な連携の確保及び海岸漂着物等の処理等に関する技術協力その他の国際協力の推進に必要な措置を講ずるものとしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することといたしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同いただきますよう、委員各位によろしくお願いを申し上げます。

    ―――――――――――――

 美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、これを許します。田村貴昭さん。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 大事な修正提案であるというふうに思います。

 そこで、提出者の方に伺います。

 今回の法改正で、漂流ごみを位置づけたこと、また、ごみとなっている廃プラスチックの排出抑制、再生利用など適正処理、マイクロプラスチックの製品への使用抑制が位置づけられたことの意義等々について述べていただければというふうに思います。

北川委員 ただいま田村委員から御質問のありました今回の法改正におけるそれぞれの位置づけでありますが、まず、漂流ごみの位置づけにつきましては、船舶の航行の障害や漁業環境の支障となる漂流ごみや海底ごみについてはその対策の必要性が認識されており、政府においても海岸漂着物の発生の抑制の観点から補助金の対象にはしていたものの、現行法上には明確に位置づけられていなかったところであります。

 そこで、今般の改正では、漂流ごみ等を海岸漂着物対策の対象に加えるとともに、その円滑な処理の推進について規定を設けることといたしております。これにより、現行の諸施策の対象に漂流ごみ等が含まれることが明らかとなり、漂流ごみの一層の処理が図られるものと期待をいたしております。

 次に、マイクロプラスチック製品への使用抑制が位置づけられた意義についてでありますが、近年、マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響等が懸念されており、世界的な課題となっていることから、今般の改正では、マイクロプラスチックの発生を抑制するための基本理念を定めるとともに、事業者の責務を明らかにすることといたしております。

 プラスチックごみの減量やその円滑な処理は、マイクロプラスチックの中でも二次的マイクロプラスチック、従来のプラスチックが破砕をされて微細になる、こういう二次的マイクロプラスチックの発生抑制にも資するものであると考えております。

 他方、マイクロビーズ等の一次的マイクロプラスチックについては、一たび環境中に排出されるとその回収、処理が困難であることから、製品への使用を抑制することが重要であるという認識のもと、マイクロビーズについては、現在、業界団体が自主規制を呼びかけ、代替素材への切りかえが進んでいると承知をいたしております。

 今般の改正により、こうした産業界の取組が更により一層推進、促進されることになると考えているところであります。

 なお、マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響等については現時点では科学的知見が必ずしも十分ではないところであり、今般の改正では、政府は、最新の科学的知見及び国際的動向を勘案し、海域におけるマイクロプラスチックの抑制のための施策のあり方について速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨を附則に規定をしているところであります。

 ぜひ御理解をいただきたいと思います。

田村(貴)委員 再度提出者にお伺いしたいと思います。

 マイクロプラスチックを含む廃プラスチックに関してでありますけれども、諸外国ではプラスチック製品の製造、流通、使用の規制がされております。今回の法改正ではこれらの規制にまでは触れていません。それはなぜでしょうか。時間が余りありませんので、簡単に。

江田(康)委員 田村委員の御指摘のとおり、諸外国におきましては、海洋におけるプラスチックのごみの問題を踏まえまして、プラスチック製品の規制についてさまざまな検討や提案がなされているところと承知しております。

 我が国におきましては、循環型社会形成推進基本法を始めとして、廃棄物処理法や各種リサイクル法によって、プラスチックごみの排出が抑制されるとともに、その適正処理が推進されておりまして、まずはこれらを徹底することが重要であると考えております。

 この観点から、今般の改正では、循環型社会の形成、すなわちスリーRの推進等によって、海岸漂着物等の発生を抑制する旨を明記することとしたところでございます。

 プラスチック製品は我々の生活において広く用いられておるところでございまして、そうした現状や国民生活に与える影響に鑑みれば、いきなり規制するというのではなく、対応のあり方について、科学的知見を踏まえて、代替製品の開発の可否も含めて丁寧に検討されるべきものと認識しております。

 今般の改正においては、今北川議員から答弁なされたように、マイクロプラスチックの発生を抑制するための基本理念や事業者の責務を規定したところでありまして、一定の成果が期待できると考えております。

田村(貴)委員 ありがとうございました。

 そこで、私も、今度の法改正を機に、マイクロプラスチック対策は、本気で地球規模で進めていかなければならないと思いました。

 資料をお配りしています。東京農工大学の高田秀重教授が東京湾で釣ったカタクチイワシを分析したものであります。見て驚いたんですけれども、六十四尾中四十九尾からマイクロプラスチックが検出されたと。まさに、この問題は身近なところで起きているという調査であります。

 法改正に当たって、実効ある対策、そして取組が求められますけれども、環境省にお伺いをいたします。

 今、この問題で世界的に注目が集まっているのはレジ袋でありますね。レジ袋の扱いについて、これも資料を配っていますけれども、アメリカ、カナダ、アフリカ、アジアの多くの国々で、レジ袋の生産の禁止、有料化を含む使用抑制に踏み切っているわけであります。

 日本において、レジ袋というのは年間三百億枚、国民一人当たり、ざっと年間三百枚というような状況になっています。この製造と使用の抑制をどのように図っていかれますか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のレジ袋の問題は大変重要だと認識しておりまして、実は、今月閣議決定をすべく、第四次の循環基本計画案を今検討しておりますが、その中で、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略を策定するということが盛り込まれてございます。

 この戦略の策定という中で、委員御指摘のレジ袋の有料化の問題を含めて、レジ袋を始めとした使い捨て容器包装のリデュースをどうやって進めていくか、その施策のあり方についてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 住民がごみとなるものを買わない、使わない、出さない、分別を徹底していく、こうした基本が大事であるというふうに考えます。レジ袋や使い捨て容器の製造や使用を諸外国に見られるように減少させていく、禁止させていく、こうした取組を国が主導して行っていくことが非常に大事であることを指摘させていただきたいと思います。

 最後に、海岸漂着物地域対策推進事業、いわゆる海ごみ補助金についてお伺いをします。

 現場からは大変喜ばれている制度でありますけれども、予算も限られています。一例を挙げさせていただきたいんですけれども、長崎県の離島、五島市に海ごみの状況を伺いました。観光地である鐙瀬溶岩海岸では、六月から十月の間に二回の清掃を行っている。一回は事業費でやって、二回目はボランティアでやると。しかし、すぐにもとに戻ってしまう、海岸がごみでいっぱいになってしまう、この期間に十回は回収をしなければきれいな海岸は維持できない、せっかく訪れた観光客はごみを見に来ているようなものだというような指摘もされているところがあります。

 そこで、予算がないがために回収をしたくてもできないところがあります。今度の法改正におきまして、海底ごみ、海岸の漂流ごみも明確な対象となりました。そして、海ごみを放置しておけば、マイクロプラスチックを生み出していくことも明らかであります。より積極的に対策を行えば、自治体の仕事はふえてまいります。自治体の状況に応じて予算増を含む措置を検討されていくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、海岸漂着物等地域対策推進事業におきまして、地方自治体による海岸漂着物等の回収、処理等を支援しておりまして、平成二十九年度補正予算で約二十七・一億円、平成三十年度予算で四億円を計上しております。

 補助率につきましては、原則十分の七とし、過疎地等は十分の八、離島等は十分の九にかさ上げするとともに、残りの地方負担分の八割が特別交付税により措置され、自治体の実質的な負担軽減に配慮した制度としております。

 本事業は、海岸漂着物等の回収、処理を推進していく上で非常に重要な事業であると認識しておりまして、地方自治体の要望も踏まえながら、できる限りの予算確保に取り組んできたところでございます。

 環境省といたしましては、地方自治体によります海岸漂着物等の回収、処理が円滑に進むよう、必要な財源の確保に最大限努めてまいります。

田村(貴)委員 地方自治体の実情に即した予算の確保について、進めていただきたいというふうに思います。

 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。

松島委員長 以上で発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松島委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松島委員長 次に、本法律案の提出に際しまして、関芳弘さん外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び自由党の共同提案による海岸漂着物対策の推進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。下条みつさん。

下条委員 ただいま議題となりました海岸漂着物対策の推進に関する件につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    海岸漂着物対策の推進に関する件(案)

  政府は、「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律の一部を改正する法律」を施行するに当たっては、次の事項に留意し、その運用について万全を期すべきである。

 一 諸外国における法規制の導入事例も踏まえ、マイクロビーズやレジ袋を含むプラスチック類に関する施策の在り方を予防的アプローチにより不断に見直し、廃プラスチック類の削減を推進すること。特に、マイクロビーズについては、できるだけ使用抑制に向けた検討を行うとともに、その他のマイクロプラスチックについては、環境中への漏出を防ぐため、その実態を把握し、3Rの推進と適正処理の確保を図ること。

 二 マイクロプラスチックの分布実態に関する調査については、海域のみでなく、河川、湖沼等の公共の水域も広く調査対象に加えた上で実施し、その結果の速やかな公表に努めること。

 三 現在懸念されているマイクロプラスチックの人の健康及び生態系への影響についての科学的解明を早急に進めるとともに、得られた成果を分かりやすく情報提供するなど、国民とのリスクコミュニケーションを推進すること。

 四 マイクロプラスチックの実態調査結果並びに人の健康及び生態系への影響の科学的解明の成果に基づき、廃プラスチック類の発生抑制に向け、法的措置も含めた抜本的対策を検討し、必要な措置を講ずること。

 五 海岸漂着物等の回収・処理及び発生抑制のための海岸漂着物対策については、国、地方公共団体、事業者、国民、民間の団体等が相互に連携をとりながら、長期的に取り組む課題であり、政府は、現行の財政支援措置の維持・拡充に努めること。

 六 海洋ごみの発生抑制を進めるに当たっては、事業者や国民の取組が極めて重要であることに鑑み、その取組に資する情報提供や消費者教育等を徹底すること。また、事業者や国民が海洋ごみの発生抑制を考慮した製品等の選択が可能となるよう、使い捨てプラスチックの代替品に関する研究・技術開発・試験的運用を早急に進めること。

 七 マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策の国際的な枠組みについては、引き続き、我が国がリーダーシップをとって構築を進めること。また、海洋へのプラスチックごみの大量流出が懸念されている東アジア及び東南アジア地域に対する取組として、国においても、関係国に対して実効性のある発生抑制対策を講じるよう要請するとともに、廃棄物・リサイクル対策の改善に向けた支援を引き続き実施し、発生抑制を進めること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

松島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松島委員長 起立総員。よって、本動議のとおり決議することに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。中川環境大臣。

中川国務大臣 ただいまの決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ、努力してまいる所存でございます。

松島委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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