衆議院

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第6号 平成26年2月12日(水曜日)

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平成二十六年二月十二日(水曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君

   理事 塩崎 恭久君 理事 萩生田光一君

   理事 林  幹雄君 理事 森山  裕君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    青山 周平君

      秋元  司君    伊藤 達也君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      うえの賢一郎君    衛藤征士郎君

      越智 隆雄君    大島 理森君

      金子 一義君    黄川田仁志君

      小林 鷹之君    佐田玄一郎君

      斎藤 洋明君    白須賀貴樹君

      菅原 一秀君    瀬戸 隆一君

      関  芳弘君    薗浦健太郎君

      田野瀬太道君    高木 宏壽君

      高橋ひなこ君    武井 俊輔君

      辻  清人君    中谷 真一君

      中村 裕之君    中山 泰秀君

      西川 公也君    野田  毅君

      原田 義昭君    藤井比早之君

      船田  元君    宮路 和明君

      保岡 興治君    山本 幸三君

      山本 有二君    湯川 一行君

      大串 博志君    岡田 克也君

      後藤 祐一君    篠原  孝君

      玉木雄一郎君    古川 元久君

      石原慎太郎君    浦野 靖人君

      坂本祐之輔君    重徳 和彦君

      杉田 水脈君    鈴木  望君

      鈴木 義弘君    中山 成彬君

      西野 弘一君    藤井 孝男君

      松野 頼久君    伊佐 進一君

      浜地 雅一君    浅尾慶一郎君

      大熊 利昭君    佐藤 正夫君

      江田 憲司君    柿沢 未途君

      笠井  亮君    宮本 岳志君

      鈴木 克昌君    畑  浩治君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (国家戦略特別区域担当)

   (地方分権改革担当)   新藤 義孝君

   法務大臣         谷垣 禎一君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    石原 伸晃君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山本 一太君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   森 まさこ君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (規制改革担当)     稲田 朋美君

   財務副大臣        古川 禎久君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      赤羽 一嘉君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    伊藤 忠彦君

   会計検査院事務総局第五局長            太田 雅都君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  佐々木裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北村 博文君

   政府参考人

   (内閣法制局長官事務代理)

   (内閣法制次長)     横畠 裕介君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十二日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     瀬戸 隆一君

  大島 理森君     高橋ひなこ君

  小池百合子君     青山 周平君

  関  芳弘君     黄川田仁志君

  薗浦健太郎君     小林 鷹之君

  中山 泰秀君     田野瀬太道君

  西川 公也君     白須賀貴樹君

  船田  元君     中谷 真一君

  宮路 和明君     湯川 一行君

  玉木雄一郎君     後藤 祐一君

  坂本祐之輔君     石原慎太郎君

  重徳 和彦君     藤井 孝男君

  杉田 水脈君     松野 頼久君

  西野 弘一君     浦野 靖人君

  佐藤 正夫君     大熊 利昭君

  柿沢 未途君     江田 憲司君

  宮本 岳志君     笠井  亮君

  畑  浩治君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     藤井比早之君

  黄川田仁志君     関  芳弘君

  小林 鷹之君     斎藤 洋明君

  白須賀貴樹君     高木 宏壽君

  瀬戸 隆一君     岩屋  毅君

  田野瀬太道君     武井 俊輔君

  高橋ひなこ君     大島 理森君

  中谷 真一君     船田  元君

  湯川 一行君     宮路 和明君

  後藤 祐一君     玉木雄一郎君

  石原慎太郎君     鈴木 義弘君

  浦野 靖人君     西野 弘一君

  藤井 孝男君     重徳 和彦君

  松野 頼久君     杉田 水脈君

  大熊 利昭君     浅尾慶一郎君

  江田 憲司君     柿沢 未途君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

  鈴木 克昌君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     薗浦健太郎君

  高木 宏壽君     中村 裕之君

  武井 俊輔君     中山 泰秀君

  藤井比早之君     辻  清人君

  鈴木 義弘君     鈴木  望君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     小池百合子君

  中村 裕之君     西川 公也君

  鈴木  望君     坂本祐之輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十六年度一般会計予算

 平成二十六年度特別会計予算

 平成二十六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算、平成二十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、内閣官房内閣審議官能化正樹君、内閣官房内閣審議官北村博文君、内閣法制局長官事務代理・内閣法制次長横畠裕介君、総務省情報流通行政局長福岡徹君、海上保安庁長官佐藤雄二君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長太田雅都君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 去る十日の海江田万里君の質疑に関連し、大串博志君から質疑の申し出があります。海江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志でございます。先般に引き続いて質問させていただきたいと思います。

 まず、ソチ・オリンピックが開幕しましたけれども、日本の初メダル、よかったですね。若い選手が大変いい演技を競技で示していただきました。メダルに届かなかった選手も届いた選手も、みんなでたたえていきたいというふうに思います。

 早速質疑に入らせていただきますけれども、通告の順番とちょっと変えさせていただいて、まず最初に、集団的自衛権の課題について、先般来議論になっておりました、少し議論を深めさせていただきたいというふうに思います。

 去る二月五日、参議院の方の質疑でございましたけれども、我が党の羽田雄一郎君からの質疑に対して、集団的自衛権に関して、総理、るる答弁されております。その中で私が注目したのは、集団的自衛権に関するこの答弁でございます。

 羽田雄一郎君から、集団的自衛権の行使に関して、憲法の条文改正と解釈の変更、どこがどう異なるのかという問いに対して、総理の答弁。「そもそも、憲法には個別的自衛権や集団的自衛権についての明文の規定はないわけでございまして、これは御承知のとおりなんだろうと思いますが、」この後です、「集団的自衛権の行使が認められるという判断も政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は、これは必ずしも当たらないと我々は考えているところでございます。」こう答弁されています。

 集団的自衛権は、このフリップにもありますように、これまでの政府答弁、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とするものであるので、政府としては、その行使は憲法上許されないと解しているところである、こういうふうに、これは略していますけれども、ずっと答弁されています。

 それに対して、二月五日、参議院予算委員会で総理は、今申し上げたように、政府が解釈を適切な形で明らかにすることによって、憲法改正をしなくても認められるんだということを、初めてここで政府として答弁されています。

 内閣法制局にもきょう来ていただいています。

 内閣法制局にお尋ねしますが、政府として、集団的自衛権に関して、憲法改正を必要とせずとも、これを用いずとも、解釈変更によって集団的自衛権の行使が認められるというふうに政府として答弁したことはありますか。

横畠政府参考人 お答えいたします。

 集団的自衛権の行使に関するものと明示して御指摘のような趣旨を述べた政府の答弁は承知しておりません。

 なお、一般論として、憲法を初めとする法令の解釈の変更に関することについての政府の考え方として、平成十六年六月十八日の島聡衆議院議員に対する政府答弁書でお答えしたものがございます。

 引用いたします。(大串(博)委員「わかりました。結構です」と呼ぶ)

大串(博)委員 今法制局から答弁がありましたように、これまで、この集団的自衛権に関して、政府として、憲法の条文改正によらずとも、憲法の解釈の変更によってこれを行使することができるという政府答弁をしたことはございません。

 御案内のように、集団的自衛権あるいは九条の問題に関しては、これまで長い間、るる政府の積み上がった、積み重ねられてきた答弁があって、それによって今の法的秩序ができ上がっているというのが現状でございます。

 にもかかわらず、これまで政府として答弁をしたことがなかったライン、すなわち、解釈の変更をもってして、条文変更によらずとも集団的自衛権が認められる、行使できるという答弁。

 これは、もう一度内閣法制局にお尋ねしますけれども、総理の、我々はこういうふうに考える、憲法改正が必要だという指摘は必ずしも当たらないという同じ答弁を、この場で、内閣法制局、できますか。

横畠政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御紹介いたしました政府の答弁書でございます。その内容におきまして、一般論として、憲法を初めとする法令の解釈について述べております。

 基本的なことでございますので、述べさせていただきます。

  憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。

  このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではない

ということでございます。

大串(博)委員 いま一度、私の質問に答えていただくように明確に質問をします。

 一般論で今答えられましたけれども、集団的自衛権に関して、集団的自衛権の行使に関して、総理が二月五日に答弁したように、解釈を明らかにすることによってこれは可能であり、憲法改正が必要だという指摘は必ずしも当たらない。集団的自衛権という課題に関して、同じ答弁を、内閣法制局、できますか。お答えください。(発言する者あり)法制局、お願いします。

横畠政府参考人 お答えいたします。

 一般論と申し上げましたとおりでございまして、一般論と申しますのは、事項を限定しておりませんので、あえて申し上げれば、集団的自衛権の問題も一つの要素。その問題についてはその問題として具体的に検討する必要はあると存じますけれども、一般論の射程内でございます。

大串(博)委員 集団的自衛権という個別の論点に関しては個別に検討されるべきであるという結論になっています。

 しかし、私が尋ねたのは、集団的自衛権の行使に関してという、この論点に関して、総理がこれだけ明確に、解釈を明らかにすることによってそれは可能であり、憲法改正が必要だという指摘は、これは必ずしも当たらないというふうに明確に言っているので、一般論ではなくて、これに関してどうかということを法制局に聞いているわけです。ただ、具体論に至ると非常にはっきりしないところがあります。

 そこで、太田大臣にお尋ねさせていただきたいというふうに思います。

 太田大臣、私は、この件に関して、集団的自衛権に関して、公明党の皆様に期待するところが非常に大でございます。やはり非常に慎重な議論をしていこうとされている。私は、この大きな大きな問題に対して、その態度は極めてありがたいし、重要なものだというふうに思っています。

 太田大臣は、昨年の十一月五日、参議院の国土交通委員会においてこういうふうに答弁されております。

 我が党におきましても、集団的自衛権の行使は憲法上認められているかという問いに対して、これは昭和六十年代でありますけれども、憲法の明文の変更なくして集団的自衛権の行使は認められないという答弁が確定しているという状況でございます。今、私は、政府の一員になっておりまして、公明党を代表する立場に立っておりませんが、従来の九条一項、二項両方から出てきているその集団的自衛権に対する考え方、政府見解というものはそのまま保持をして現在ここに立っているという状況にございます。

 これが昨年の十一月五日の太田大臣の答弁。

 憲法の明文の変更なくして集団的自衛権の行使は認められないという立場を保持して現在ここに立っている、こういうふうにおっしゃっています。私は、非常にこれは妥当な立場だというふうに思いながら聞いておりました。

 ところが、総理は、憲法改正が必要だという指摘は必ずしも当たらない、解釈を明らかにすることによって可能であると我々は考えているとおっしゃっています。

 太田大臣は、二月五日のこの総理の答弁に対して同意されますか。

太田国務大臣 これまで、集団的自衛権につきましては、昭和五十六年の質問主意書を初めとして、数々の場で、政府見解として、認められないということが答弁として出ているということは事実であります。

 しかし、総理が、これは総理が答えた方がいいと思いますが、何度も申し上げておりますように、現在の安全保障状況の変化等々によって、安保法制懇というところで、それらも含めて、ということは、そこの答弁の背景にあるさまざまなことをきっと含めて総理はおっしゃっているというふうに思いますけれども、安保法制懇の中で論議が深められている、また深めていただくことを期待したいということを繰り返し総理は言われております。

 私は、そこで、まさに安保法制懇の中で論議を深めていただいて、そして、一つの報告が出ました後に、自民党、公明党、与党間で、また国会の中での論議をさらに深めていくことが重要であるという認識に立っております。

大串(博)委員 太田大臣、私の質問にぜひ端的にお答えいただきたいと思います。私は、安保法制懇のことは一言もお尋ねしておりません。

 総理がおっしゃった、二月五日の、集団的自衛権の行使に関して、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は必ずしも当たらないと我々は考えている、この考えに同意されるか、いかがか。国会で答弁された総理の言葉でありますので、これに対して同意されるかどうかということをお尋ねしているわけでございます。ぜひ、この点に関してお答えください。

太田国務大臣 私としては、今お答えをしているつもりでありまして、総理は繰り返し、安保法制懇の中でそうしたことも含めて、私が申し上げたのは、そこの文言ということにもさらに膨らみとかさまざまな背景があって、総理はいろいろな機会にこの国会の場でお話をしているところでありますので、その総理がお話をしているということについては、私は認めている立場にございます。

大串(博)委員 いま一度確認させていただきます。

 いろいろなところで発言されていることを認められたというふうにおっしゃっていました。

 では、この言葉、集団的自衛権の行使に関して、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによってこれは可能であり、憲法改正は必要ではないという立場、これに対しては同意されるんでしょうか。この点に関して明確にお答えください。

太田国務大臣 その件は、まさに私が今申し上げております、必要ないとかそういうことを総理自身がおっしゃっているのではない、私はそのように解釈をし、それはまさに総理にお聞きになったらいかがでしょうかということを申し上げたいと思います。

大串(博)委員 総理は、集団的自衛権の行使に関しては、政府が適切な形で解釈を明らかにすれば憲法改正は必要ではないと明らかにおっしゃっているので、私は、公明党の皆様の議論が本当に大事だと思うから、ありがたい議論だと思うから、この憲法改正が必要だという指摘は必ずしも当たらないという点について、これを同意されるかということをぜひ太田大臣に明確にお答えいただきたい、そういうことです。

太田国務大臣 この国会でも累次総理が発言をしてきているということを全て含めまして、私は総理がお答えになっているということに同意をしているということでございます。

大串(博)委員 累次総理がこの国会においてお答えになっていることを含めて、それに対して同意をされているということであれば、いま一度確認させていただきますけれども、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は当たらない、これにも同意されるということでよろしいでしょうか。

太田国務大臣 そこに表現されている言葉にはさまざまな膨らみもあり、ここで、この国会でも総理から発言をされておりますので、総理からむしろ丁寧にお答えになっていただけると思いますから、総理にお聞きいただきたいと思います。

大串(博)委員 この集団的自衛権の問題は、先ほど申しましたように、これまでるる、長い歴史の中で、国会の答弁、政府の発言、質問主意書に対する答弁、これが積み重なって、極めてきちんとつくられた歴史があります。

 それに対して、二月五日に、先ほど法制局が答弁したように、初めて政府として、集団的自衛権の行使に関しては、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であって、憲法改正は必要でない、初めてこういう答弁があったので、政府全体として、これは新しい答弁として積み上げになっているという事実状態にあります。

 これに対して、太田大臣は、去年の十一月に、憲法の明文の変更なくして集団的自衛権の行使は認められないという答弁が確定しておって、現在それをそのまま保持してここに立っているとおっしゃっているので、この答弁とは明らかにそごをするので、太田大臣は今、この総理の二月五日の答弁に同意されるのかということをいま一度お尋ねさせていただきたいということでございます。お願いします。

太田国務大臣 そこの答弁の意味合いを、私は、この国会、ずっとここにおりまして、お聞きをしているので、むしろそこの答弁の意味合いをお話しいただければということを申し上げているわけで、総理の御発言について私は違和感はないということを申し上げているわけで、ぜひとも総理にお聞きいただきたいというふうに思います。

大串(博)委員 では、総理にお尋ねします。

 政府が適切な形で憲法解釈を明らかにすることによって集団的自衛権の行使は可能であり、憲法改正が必要だという指摘は必ずしも当たらないと。これは、先ほどお話があったように、政府としてはこの答弁をしたことはございません。新しい意味としてこの答弁をされたのか、総理の御存念をお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 なぜ、では安保法制懇をつくって今議論をしているかということでありますが、この前も海江田党首と議論をさせていただいたわけでございますが、まさに個別的に分類をしながら議論をしているわけでありまして、ちょうど海江田さんと議論になったのは、例えば、弾道ミサイル防衛のためにアメリカのイージス艦が展開をしていて、いわばイージス機能において弾道ミサイルのためにそれを全部空に向けた場合は、周りがおろそかになるので、もしそのときに普通のミサイル攻撃がなされて、そして、それに対して自衛隊が、自衛艦がそれを撃ち落とす能力があるにもかかわらず、それを撃ち落とさなくていいのかどうかということについてもしっかりと議論をしていく必要があるだろうという議論をさせていただきました。

 このとき海江田さんは、九十五条を変えたからそれはもう問題ないという御議論だったんですが、これは全く間違いでして、九十五条は武器等防護ですから、また、九十五条は改正されたことがないですから全く違うんですが……(大串(博)委員「この答弁のことを聞いていますので」と呼ぶ)一応それは間違いを正しておかなきゃいけないと思いまして、御党の党首の間違いだから、間違いは一応正させていただきたいと思います。(発言する者あり)いや、これは、九十五条が改正されたことはありませんよ、今、欠席裁判という議論がございましたが。

 その上でお話をさせていただきますが、それでいいのかということであります。

 大串さんは、法制局の、今までの積み上げがあるから、そういう状況になってもこれは見過ごさなければいけないという考え方になるわけですね、明確にね。民主党の考え方はそうなんでしょう。(大串(博)委員「私の考え方はまだ言っていません。これに関する答弁をしてください」と呼ぶ)いやいや、民主党としての考え方は恐らくそうだと思いますよ。

 その中において、私たちの考え方は、国際情勢が大きく変わる中において、一国のみによってその国を守ることはできないという考え方の中において、今のこの情勢の変化の中において、もう一度それをよく考えてみる必要がある。憲法の要請において、生存権というのは認めているわけであります。そして、その中において議論をしているわけでありまして、そこは、今までの積み上げのままでいくというのであれば、そもそも安保法制懇をつくる必要というのはないんですから。つまり、ここでしっかりと議論していこうということなんですよ。

 先ほど来、法制局長官の答弁を求めていますが、最高の責任者は私です。私が責任者であって、政府の答弁に対しても私が責任を持って、その上において、私たちは選挙で国民から審判を受けるんですよ。審判を受けるのは、法制局長官ではないんです、私なんですよ。だからこそ、私は今こうやって答弁をしているわけであります。

 そこで、そういう考え方のもとに、先般、お話をさせていただきましたように、そういう考え方の中においてこの安保法制懇というものをつくったわけでありまして、そして、最終的な政府の見解というのはまだ出していませんよ。私たちは、このように考えて安保法制懇をつくったわけであります。

 ですから、先般の答弁の中でも、政府はこう考えているということではなくて、我々はこの考え方のもとに安保法制懇をつくった、しかし、そこは慎重に議論をしていくべきだという中において、今まさに安保法制懇の中において議論が行われているということであります。

 つまり、個別的なことにおいて、先ほども申し上げましたように、そういう能力を持ちながら、そのミサイルをパスして……(大串(博)委員「個別は聞いていません」と呼ぶ)個別のことが大切なんですよ。皆さんはそれはできないで言っているんだから。そういう個別のことを言われると、民主党は恐らく困るんだと思いますよ。だから私が答弁するのを嫌がっているんでしょうけれども、そこはとても大切なところなので、そこはしっかりと申し上げさせていただきたい、このように思うところであります。

大串(博)委員 今、総理、これまでの積み上げだけではだめなんだということをおっしゃいました、だから安保法制懇をしていると。

 僕は法制懇のことだけをとって問うているわけじゃなくて、太田大臣に先ほどお尋ねしたのは、太田大臣が十一月五日に、憲法の明文の変更なくして集団的自衛権の行使は認められない、それを保持しているとおっしゃっていたものですから、それに対して今、総理の「憲法改正が必要だという指摘は、これは必ずしも当たらない」ということも含めて私は同意しているとおっしゃっていたものですから、太田大臣にいま一度確認ですけれども、そうすると、太田大臣の考え方は変わられたという理解でよろしいですか。

太田国務大臣 これは私にかかわらず、これまでの憲法の解釈について、政府の見解というものは事実として存在する、そして、現時点でそうした政府見解の上に立って行政が行われているということは事実のことだと思います。

 しかし、総理が先ほどもおっしゃったように、さまざまな安全保障状況の変化ということに対してどう対応するのかということを幅広く、憲法ということも含めて今安保法制懇で議論をしている、そして、総理自身もそれを深めていただきたいということを発言されているということが全てじゃないでしょうか。

大串(博)委員 なぜ私がこの問題を取り上げたかというと、安保法制懇で議論される、私はいいと思うんです。個別のこともきちっと詰めて、その上で議論される、国民の皆さんも知った上で議論される、これは私はいいことだと思うんです。

 ただ、心配なのは、よくないのは、長い年月を通じて積み重なってきたきちんとした政府の答弁なり見解が、いつの間にか、先ほど法制局からもありましたように、初めて政府が答弁した、ころっといつの間にか答弁が変わっている、政府のスタンスがいつの間にか変わっている、こういうことが非常に心配なんです。よくないと思うんです。

 ですから、これからの議論もぜひ丁寧に国民の前でしていただきたいというのは、この間も岡田委員からも海江田委員からも出たこと。ぜひよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 NHKの議論に移らせていただきたいと思います。

 一部経営委員の皆さんの発言で取り上げられた問題がございました。百田経営委員あるいは長谷川経営委員、特に、きょう私は、百田経営委員の発言について取り上げさせていただきたいと思います。

 都知事選における街頭演説において、このような発言、ある候補の応援に入られて、残り三人ぐらいおります、どいつもこいつも人間のくずです、東京都民の皆さんはくずを知事にしてはいけませんというようなことをおっしゃっています。これも、複数回おっしゃっています。

 普通の一般的な会話だったらどうかと思いますけれども、公衆の面前で経営委員たる方々が言われるのはどうかなと思われる発言であります。しかも、それに対して、その後、夕刊紙において百田氏がコメントを書かれていて、この程度の言葉は応援演説がヒートアップしたときには普通に出てくる言葉だろう、こういうふうに、開き直りともとれるような発言をされています。

 さらには、このとき、例えば南京大虐殺の問題とか、あるいは東京裁判の問題なんかにも触れていらっしゃいます。歴史認識に関しては、個人的な思想、信条があられましょうから、それは私は個人の自由としてあると思います。しかし、それを公衆の面前で発言された。

 それに対して、アメリカ政府の方から、これは私も大使館にきちんと私の事務所を通じて確認をしました、コメントをアメリカ政府が出しています。ジーズ・サゼスチョンズ・アー・プリポスタレス、これらの発言は極めてばかげている、責任ある立場にある人については地域の緊張感を高めるようなコメントは慎むべきである、これは、アメリカ政府自身がこういうふうに言っています。

 経営委員というのは、公共の福祉に関してしっかりした判断ができる方の中から総理が任命をして、国会同意のもとで決めるもの、こういうふうになっています。非常に重要な経営委員という立場を占める方、この方の、この人間のくずというような発言、あるいは、アメリカからでさえこういうふうにコメントが出てくるようなこの状況、これに対して、任命をされた総理として何らかの責任はお感じになられないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 人間のくず発言を私は直接確認したわけではございません。一部報道があることは承知をしておりますが。

 ある夕刊紙は、私のことをほぼ毎日のように人間のくず、こういうふうに報道しておりますが、私は別に気にしませんけれどもね。

 その上において、私は、経営委員の発言等を一つずつ承知をしているわけではありませんし、いずれにいたしましても、経営委員が個人的に行ったものについて政府としてコメントすべきではない、このように考えているところでございます。

大串(博)委員 個人的に発言されたことに対してコメントすべきではないという答弁、ずっとそうなんですけれども、しかし、NHKは法律に基づいて公共放送という極めて重要な役割を負っている組織であります。しかも、そこの経営委員というのは、経営に関して、これを監視するところ、その経営委員を任命するのは総理、公共の福祉をきちんと公正に判断できる人のうちから総理が任命する、こういうふうになっています。

 みんなが、本当にこのNHKを、しっかりした放送をしてくれているなと信頼感を持って見れるような状況に、今、このようなコメントがある中であるのかということを確認したいとみんな思っていると思うんです。

 ですから、私たちは、実は、この百田委員に関して、国会に来て、きちんと公正中立に経営委員としての仕事をしますということを確認させていただきたいということで、来ていただきたいと思いました。しかし、与党の皆様からの反対で、経営委員の皆様にこの国会に来ていただくことはならぬということでありました。

 総理は、自民党総裁として、自民党の国会対策も含めて最終決断を負われる立場にあります。ぜひ、この百田委員の言葉の意味をしっかりただして、国民の皆さんにもきちんと知っていただくために国会に来ていただく、総理、そういうふうな指示を自民党総裁としてできませんか。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、政府の立場として、一々その経営委員の方々個人個人の発言についてコメントすることは差し控えさせていただいた方がいいんだろう、このように思います。

 そして、そもそも、やはり予算委員会の運営においては、まさにこの予算委員会、ハウスにおいて、院において行うというのが院の私は矜持だと思いますよ、私の意見を聞くよりも。しっかりと院において、今までの慣習そしてルールというのが恐らくあるんだろうと思いますね。そういう中においてしっかりと議論をしていただきたい、このように思います。

大串(博)委員 経営委員の国会への招致を委員長にお求めしまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

二階委員長 大串君の御要請については、後刻、理事会にお諮りをいたします。

 これにて海江田君、大島君、岡田君、長妻君、大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、石原慎太郎君。

石原(慎)委員 おはようございます。維新の会の代表の石原です。

 昨年末、被害妄想といいましょうか、その幻想に駆られたような大騒ぎの中で、事なく特定秘密保護法が通りましたが、一部の白痴的というか売国的というか、大新聞やテレビが、ある新聞に至っては、どこかの俳優さんが、このままでいくと、やがて憲兵がそこらじゅうを徘回して我々の、国民の言動を取り締まる時代が来るという、まさに妄想に似たコメントを一面にまで出して反対していましたけれども、この案が確立されたこと、世界が非常に緊迫した状況になった今日、必要だと思いますけれども、この法案が成立したことを踏まえて、一つお聞きしたいんです。

 青森県の三沢という、日本にとってもアメリカにとっても非常に戦略的に意味のある大事な航空基地がありますね。あそこに昔から、ECHELONという非常に大きな諜報装置が設置されております。同じものがミュンヘンにもありますけれども、これは冷戦時代に、主にソビエトあるいは北朝鮮の動向を調査するための諜報装置だと聞いておりますが、専門家に言わせると、それはそのまま機能を失っていなくて、方向を北から南に振ると、友好国であるこの日本の政府の、特に官庁間の電話というのはほとんど盗聴されている可能性がある、それだけの機能を持っているということを専門家は指摘しております。

 これについて、政府はいかがお考えですか。特に官房長官、これをこれからどうしたらいいと思いますか。

小野寺国務大臣 米軍の三沢基地の中に、今委員が御指摘のような形状をしたものがあるということは私も確認をしておりますが、実際それがどのような役割を行っているかということについては、私どもとして承知をしておりません。

石原(慎)委員 承知をしていないでは済まないので、多くの専門家が指摘しているように、あの装置をもってすると、かつてアメリカがドイツの首相のメルケルさんの携帯電話まで聴取したという事例が判明しました。

 わからないでは済まないので、一体どれほどの機能を持ってどういう調査をしているかということを、せっかくの法律が成立した今日でありますから、政府の責任として、国民に対しても説明できるように、これをはっきり明確に把握する必要があるんじゃないんでしょうか。総理大臣、いかがですか。

小野寺国務大臣 繰り返しになりますが、私どもとしては、米側からそのような用に使われているということは報告も受けておりませんし、また、日米間で日ごろ、同盟国でありますので、さまざまな情報の交流はしております。

 いずれにしても、同盟国としての米側の対応については、私どもは信頼をしているということであります。

石原(慎)委員 それならば、ドイツとも協力して、現にミュンヘンにある同じ装置というものが今どういう形で作動しているかということを日本の政府の責任でも調べた上で、アメリカに対する信頼といいましょうか、疑念といいましょうか、そういったものをはっきり確かめる必要があるんじゃないんでしょうか。

 これはやはり政府の責任だと思いますよ。ECHELONという世界的に有名な、専門家があれは強力な諜報装置だということを言っている中で、日本の政府が、現にそういう装置を目と鼻の先に置かれながら、多くの専門家が、政府のやっている電話、要するに会話というのは筒抜けだと言っているこの状況の中で、あれがどういうふうに機能してどういう効果を上げているかということを、政府の責任で確認し、把握する必要があるんじゃないんでしょうか。

 これは多くの国民がひとしく望む、野党の諸君も、それは心配だと思いますよ。

小野寺国務大臣 いずれにしても、同盟国であります日米の中で、常日ごろからさまざまなことについて緊密に連携をとっておりますし、私どもとして、同盟国である米国を、これは信頼できる相手だと認識をしております。

石原(慎)委員 信頼するのは結構ですけれども、信頼するがゆえに、こういった機能が実際にどういうふうに作動しているかということを専門的に政府がきちっと把握することは、せっかく立派な法律ができて、それによって国家の安全が保障されようとしているときに、私は絶対に必要な政府の努力だと思います。

 それ以上の答弁は返ってこないんでしょうが、そういう努力をぜひしていただきたい。国民が安心し、役人も安心して省庁同士の大事な連絡を電話でとり合うことができるような状況というものをつくっていただきたい、同じ日本の国の中のことですから。政府の高官が大事な話をしていることが外国人によって筒抜けになっている、こんなばかな話はありませんよ。

小野寺国務大臣 防衛当局もそうでありますが、政府全体として、このような情報の保全については万全を期す努力を、今後とも続けていきたいと思っております。

石原(慎)委員 先般、総理が靖国に参拝された。これは非常に結構な、大事なことだと思います。一部の白痴的な、売国的なメディアが、どこかの国の威光をかりてキャンキャン言っておりますけれども、こんなことは全く気にする必要がない。

 ただ、総理、日本の一部のメディアも含めて、外国が靖国の存在というものを忌避する一番の理由は何だと思われますか。

安倍内閣総理大臣 靖国参拝については、今まで六十回を超える回数で総理が参拝をしているわけでございます。基本的には、田中内閣までは全く議論になっていなかったわけでございますが、その後、三木内閣のときに、私的参拝か公的参拝かという議論がございまして、その際、あくまでも国内的な議論であったわけでございます。

 そして、御承知のように、その後、いわゆるA級戦犯が合祀をされる、これはA級、B級、C級、全てでありますが、合祀されていった中において、特にA級戦犯が合祀をされたという中において、このA級戦犯が合祀された後も、大平総理、そして鈴木善幸総理も参拝をされましたし、その後、中曽根総理も参拝をしておられます。そして、突如、中国がこれに対して抗議をしてきたという経緯があります。

 この日本のリーダーが靖国に参拝をするという行為について、私は従来から申し上げてきているように、国のために戦った兵士のために手を合わせ、そして尊崇の念を表し、御冥福をお祈りする、この行為自体は世界のリーダーに共通する姿勢なんだろう、こう思うわけでございまして、これからも日本の姿勢そのものについて誤解を解く努力をしていきたい、このように思っております。

石原(慎)委員 大変結構な御答弁で、そのとおりだと私は思いますけれども、ただ、このA級戦犯というクラシファイに、私は、非常に歴史的な、時間的な虚構があるということを、もう一回皆さんに思い出していただきたいと思うんですね。これは東京裁判というものの性格を非常に象徴する案件だと思います。

 私は、この年ですから、恐らく国会議員の中で珍しいことに、私が中学生のときでしたけれども、二回、東京裁判というのを傍聴しに行ったことがあります。これは、父が、どういうつもりか知りませんけれども、チケットをとってくれまして、隣のお兄さん、大学のお兄さんに連れられて、傍聴に行きました。

 一度目のときは、覚えていますが、雨が降っている日で、私がげたを履いてカタカタ階段を上っていきましたら、踊り場にいた憲兵が、MPが、私をつかまえて、おい小僧、きさまの履いているその靴はうるさい、やかましいから脱げと言って、その場で私はげたを脱がされまして、大事なげたですから、とられたら困ると思って、げたをしっかり胸に抱いて、ぬれた階段を上がっていって、指定された席に座って、裁判なるものを傍聴しました。

 そのときの印象を今でも覚えていますが、とにかく、今はやりの同時通訳などは全くありませんで、裁かれている方も裁いている方も英語でしゃべっているわけですけれども、一向に、つまり、特に戦犯として並んでおられる方々は、恐らく自分がどういう論告を受けているかということを聞き取れなかったんじゃないかと思いますし、まして傍聴者は、全くそれはわかりませんでした。そうして裁判が遂行されていったわけですけれども、大事なことは、この裁判の冒頭に、東条英機の弁護人であった清瀬一郎さんが非常に大事な指摘をしているんですね。

 裁判の冒頭に、原告側を代表して次のようなことを言っています。当裁判所の管轄に関する動議というものを陳述していまして、世界の文明国が理解している戦争犯罪人の定義というのは、具体的に挙げてありますけれども、その中にA級という言葉はない、これはあり得ない言葉だ、そういうものにのっとってA級なる戦争犯罪人を十何人か並べて行っている裁判というものに、合法性がないと。

 詳しく言えば、ポツダム宣言受諾当時、戦争犯罪という概念の中に、平和に対する罪、戦争を計画し、準備、履行した罪といった類の罪の概念は、国際法にも先進国の法律にもなかったということを訴えているわけです。それゆえに、この裁判には、管轄権、つまり合法性がないということを問うていますね。

 これに対して、ウェッブという裁判長は、口をもごもごして回答せずに、後のことにしていくと、後回しにして、結局、答えのないままに、この裁判が遂行されたわけです。そして、これについて、スミスという弁護人が、この裁判の管轄について速やかにこの場で明らかにしなくてはならない、それができないならば、直ちに公訴というものを破棄すべきだということを言って、A級戦犯というものの法的な具体性というものが実に根拠がないということで、そういうものを指摘された人たちを裁く権利はこの法廷にないということを言っているわけですけれども、結局、これがうやむやになって、そのままに最後の判決が出ましたな。

 私たちは非常に緊張して、中学の何年生かになっておりましたか、私も二度傍聴した経験もあったものですから、判決の当日、頼りないラジオの声をみんな、耳を寄せて、聞き耳を立てて判決を聞いたのを覚えております。

 今でも覚えています、鮮明に。何か、なよなよした声の裁判官が、アワー インターナショナル コート、その前に名前を言いますね、ヒデキ トウジョウ、アワー インターナショナル コート プット ユー デス バイ ハンギング。東条英機、おまえを我々国際裁判所は首をつることで殺す、死刑に処すということを言って、延々それから十数人の方々の名前が挙げられて、刑が執行されたわけです。そして、その後、遺体も遺族に戻されずに、焼却された灰は東京湾に捨てられたということでありますけれども、それは余りにも忍びないので、花山さんといいましたか、その最期に立ち会った教誨師が一部の骨を盗み取って遺族に渡したという逸話もあります。

 いずれにしろ、この裁判というものが、A級戦犯、そういった法的根拠のない罪状を科せられた方たちを裁き、死刑に処し、しかも、その方たちが合祀されているということでいろいろな立場の方々から忌避されているということは、私は、これはやはり、この際、国家としてこの問題をはっきりして、それを建前に、総理なら総理の参拝というものを批判する人たちにはっきり物を言ったらよろしいんじゃないかと思う。これはやはり、国民のために、ぜひその努力を内閣全体でしていただきたい。

 これは決して議論の蒸し返しではありません。現に、現職の総理が国民を代表して靖国神社に参拝されることで、いろいろなごたごた、つまらぬ問題が起こっていて、そして国民が緊張を強いられて、非常に不愉快な思いをさせられている。

 もともと、その原点というものが、A級戦犯が合祀されている、そのA級というものの指定、クオリフィケーションというものが全く国際法の上で存在しない。それを無視してこの裁判が始まって、遂行され、かつ、A級戦犯の方々は無残にもまさに首をつることで死刑にされたということを私たちはもう一回思い直して、この裁判の性格というものを認識することで、あの裁判が私たちに強いた、要するに、A級戦犯を絞首刑によって葬ることで彼らが示した、あの戦争に対する価値観というものを、私たちはその呪縛の中からいまだに逃れ切れずにいて、非常にわけのわからぬ負い目というものを周りに感じろと言う人もいるし、感じろと言うばかな新聞もありますが、全く根拠のない不安といいましょうか、いら立ちの中にあるわけです。

 どうか総理、あなたがせっかく、あえて靖国に堂々と参拝された。これは、日本を牛耳っているのは、名前は言いませんけれども、売国的、売名的なばか新聞が多くて、しかもそれに便乗するテレビがほとんどですけれども、国民は余りこの大メディアの言うことを信用していないんです、全然。

 例えば、インターネットなどで新しい情報の流通というものをハンドルしている人たちが、既存のメディアというものにどういう評価をしているかというと、この人たちの意見というのは全く違うんですね。あなたの靖国参拝に関しても、インターネットで調べてみますと、何と八五%以上の人が、いいじゃないか、結構だ、ありがたいという表示をしているということを念頭に置いて、私たちはやはり事の判断というのをこれからしていく必要がある。

 つまり、草の根の声というものが歴然としてあるわけで、それを代表しているのは何とか新聞でもかんとか新聞でもない。あなたに盾突いて快哉を叫んでいるばかな新聞がたくさんいますけれども、その新聞が決して草の根の声を代表していないということをしっかり踏まえられて、総理、特に、えたいの知れない東京裁判というものは、A級戦犯というクオリフィケーションというものを踏まえて行ったあの裁判の結果、それによって日本に押しつけられたあの戦争に対する価値判断、戦争史観というものを、私たちはやはりそのトラウマからそろそろ脱出するべき時期に来ているんじゃないかと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 政府の立場としては、極東国際軍事裁判所において被告人が極東国際軍事裁判所条例第五条二項に規定する平和に対する罪等を犯したとして有罪判決を受けたことは事実である、そして、我が国としては、平和条約第十一条により、極東国際軍事裁判所のジャッジメンツを受諾している、なお、極東国際軍事裁判所が科した刑は、我が国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない、これが政府の基本的な立場であります。

 基本的な私の姿勢といたしましては、靖国参拝については、先ほども申し上げましたように、国のためにとうとい命を犠牲にされた方々に対して、尊崇の念を持って、そしてこうべを垂れ、手を合わせ、みたま安かれなれとお祈りをし、御冥福をお祈りするという意義でございまして、そして同時に、二度と戦争の惨禍で人々が苦しむことのない時代をつくっていかなければならないという意味において、不戦の誓いをしたところでございます。

 これは、先ほども申し上げましたように、世界のリーダーの共通する姿勢であるわけでございますし、その中において、繰り返しになりますが、我々としては、この行為において人々を傷つけようというつもりは全くないわけでございます。

 また、私は、参拝の際に談話を発表させていただいておりますが、これを各国語に訳しまして世界に発信しているところでございますが、今後、誤解を解く努力をしていきたい、こう思っているところでございます。

石原(慎)委員 注目すべきは、この裁判を設定して行わしめた当時の占領軍の最高司令官でしたマッカーサー元帥は、当然、A級戦犯というカテゴリーというのを承知の上でこの裁判を遂行させたんでしょうけれども、この男は、日本を離れた後しばらくして、アメリカの上院で宣誓し、所見を述べていますね。

 日本軍が行った、マッカーサーが日本を相手に戦ったこの戦争なるものの性格について彼は問われて、これは今になってみるとはっきり自衛の戦争だったということを私は確認していると言っているわけです。

 要するに、こういった大きな事実があるわけでして、私は、やはりこれをいろいろな形で周知徹底させる必要があると思いますね。そうすることで、この東京裁判というものが象徴的に戦後の日本を規定する事実として存在した、そして、それが醸し出したさまざまなトラウマから日本人が解放されて、もうちょっと胸を張って、はっきり世界に向かって物を言う。

 私は同僚だと言いたくありませんけれども、河野洋平君なる非常に好ましくない政治家が官房長官のときに、ああいうばかな発言をして、従軍慰安婦の問題を、つまり、結局強引に捏造させたということのそういった連脈の中で、私たちがもうちょっとはっきり、隣国に向かっても姿勢を正して物を言い、反駁すべきものはすべきです。そういった大きな一つの引き金になると思いますので、ぜひその努力をしていただきたいと思います。答弁は結構です。

 続いては、私、これから恐らくこの国会で大きな問題となるでしょう集団的自衛権のために必要な、その大前提となるべき日本独自の個別的自衛権について、少しお話をお聞きしたいと思っています。

 今、聞きますところ、あの非常に紛争、ごたごたの絶えない尖閣諸島の水域に自衛艦が一隻出動しておるというんですね。いかがですか。

小野寺国務大臣 さまざまな事態に対応できるように、私どもとしては、しっかりとした態勢をとらせていただいております。

石原(慎)委員 そのしっかりした態勢というのは、よくわかるようでわからないんですけれども、これは、どこまでの権限、どこまでの使命というものを帯びて出動しているんでしょうか。

 この自衛艦があの水域に出動するのに対して、防衛省は出動命令というのを出しているんですか、出していないんですか。

小野寺国務大臣 自衛艦船のみならず、自衛隊がさまざまな活動をする場合に、当然、これはシビリアンコントロールの点から、私ども、政治レベル、大臣がそれぞれ指示をして行わせているということであります。

石原(慎)委員 そのシビリアンコントロールという言葉がよくわかるようでわからないんですよね。過去に、その美名ですか、この名目にかまけて、非常に大事な問題がネグレクトされてきた。

 私、前も予算委員会で申し上げましたが、かつて、ベレンコというロシアの中尉が、最新鋭のミグ25に乗って、亡命を求めて函館に強引に着陸した。それから、それについて大きな問題が起こりましたね。あのときも、結局、政府は出動命令を出さないままに、現地の司令官たちに適当に判断しろという形で、その裁量に任せる。そして、いろいろ、そのときは情報もありまして、繰り返して申しますけれども、アメリカ側から、最新鋭の戦闘機ですから、これを奪取するためにコマンドがやってくるかもしらぬということで、これは当然、日本の自衛隊が、陸海空協力して防衛態勢をしいたわけです。

 そして、その当時は、三木武夫という、私、全く評価しません総理大臣がいまして、自民党に、残念ながら。これを何とかおろそうということで、三木おろしという、政局が混乱していたということで、自民党なんかにも、政府なんかにも混乱がありまして、結局、出動命令が何も出なかったということで、ないままに、当時の陸上自衛隊の最高司令官が北海道の方面の総司令官にはかって、そして、函館に陸上自衛隊が布陣して、高射砲を備え、それから、海自の軍艦も日本海側、太平洋側に配備して、遊よく行動をした。

 結局、当時の官房長官は、それに関する資料を全て隠蔽しろと消却を命じたことで、非常に大きなフラストレーションが自衛隊に起こったということで、当時、それを受けて陸幕の幕僚長は辞任しましたな、責任をとった形で。

 その後、代がかわって、何内閣でしたか、金丸信さんが防衛庁の長官をしているときに、栗栖という統幕の議長が、その事態を振り返ってみて、とにかくこの国に欠けているものがある、出動命令も出ないのに兵隊を出して、その後の行動に一体誰がどう責任をとるのかという批判をした。とにかく、それをもって、その栗栖さんは、シビリアンコントロールに反する言動だということで罷免されましたね。その事態がいまだずっと続いているわけですよ。

 その後、繰り返して申しますけれども、能登沖でも北朝鮮の不審船が見つかって、状況からいって、当時いなくなった数人の日本人の拉致被害者がその船に収容されていることはほとんど状況的に自明だったのに、出動した海上自衛隊あるいは海上保安庁が、艦船の能力からいってその快速船に追いつくことができずに、それを強引に拿捕することも撃沈することもできずに、結果としては、邦人というのは救出することができなかった。これに対しても、やはり自衛隊の中からいろいろな批判がありました。

 いずれにしろ、そういう事例を重ねながら、自衛隊が緊急の形で出動のときも、政府はきちっとした出動命令を出すことをなさずに来た。

 もっと滑稽な事例がありましてね。今はもうなくなっちゃった、社会党は今何と言うんですか。名前が変わっちゃったし、なくなったかわからないけれども、これが言い出して、その中の女の議員が騒ぎ出して、ソマリアの、非常に狭小な、紅海という非常に細長い海から出てきてインド洋に出るあの入り口で、海賊がばっこして、大きな船舶の航行が非常に不安なので、何とかパトロールしてほしいということで、海上自衛隊の船が出向きましたな。

 そのときに、ばかな国会議員たちが反対して、ピースボートなるものを仕立てて、あそこへ出向いている日本の海上自衛隊の艦船の行動を監視するという名目で出かけていった。自分たちは非武装ですし、ちっぽけな船ですから、まあ言っていることは結構格好いいのかもしらないし、世間の喝采を浴びたかもしらないが、海賊に近づくと非常に不安になって、そばにいる自衛艦に助けてくれということを頼んだ。自衛艦に助けてくれなんて体裁が悪いので、彼らは何を言ったか。本国へ打電してきて、海上保安庁に来てくれと言ったんだ。日本の海上保安庁が、外国の遠い海まで行って、日本の艦船を擁護する義理も何もない、義務、責任もないわけですからね。

 このときも、調べてみると、一体私たちはどうしたらいいんでしょうか、そういうリーファーが防衛省の本省にあったときに、本省は何と答えたかというと、現地でいろいろなことが起こるだろうけれども、その際には警察官職務執行法にのっとって対処しろと。警察官職務執行法というのはいろいろな幅がありますけれども、そのときのあれでは、相手が悪いことをして、それが禁錮六カ月以上の罪に該当する場合には思い切った行動をしてよろしいと。

 これはおかしな話で、日本の軍人に警察官の法規を当てはめて、それにのっとって行動しろなんて、ばかなそういう措置を本省が命令する、こんな事例というのは世界じゅうにないと思うんですけれども、私たちはそろそろこのことを反省して、すべき準備をしたらいいんじゃないかと思うんですよ。

 今、防衛大臣、尖閣に出向いている船が、例えば、目の前で、何かとち狂った中国の公船か軍艦か知りませんけれども、我々の同胞の保安庁の船に、現に体当たりしてきましたけれども、装甲の厚さが違って、下手すると、ああいう衝突でも沈没させられるかもしらない。その際、これは明らかに敵意を持った攻撃でしょうが、あるいは砲撃をしてきたとき、攻撃に限らず砲撃をしたときに、その攻撃によって日本の僚船、保安庁の船が沈没したときに、日本の海上自衛隊がこれに対して砲撃、反撃できるんですか。

小野寺国務大臣 まず、委員が冒頭お話しされましたミグ25事案、これを受けて、防衛省・自衛隊、さまざまな法整備を行い、有事に関する法整備も進んでいったということであります。

 今御指摘がありました、これは仮定のお話ですので明確にお答えすることは控えますが、一般論としまして、例えば、海上警備行動を発令した中におきまして、さまざまな対応を私どもはとることができますし、それは、今お話がありました警職法の規定以上について場合によっては対応することができるということであります。

 そのようなことが起きないように、私どもとしては、海上保安庁と協力をしながら、しっかり対応していきたいと思っております。

石原(慎)委員 あなたも、やはり現況の中で、苦しい答弁を強いられていると思うんですよ。同情しますよ。私は、防衛大臣にも同情するし、あなたが率いている全ての自衛官にも同情せざるを得ない。

 警職法にのっとって日本の軍隊が行動するなんて、こんなばかな拘束というのは世界じゅう例はないので、私は、そのためにも、はっきり、自国の艦船を撃沈した船を反撃して、要するに沈没させてもいい、そういう交戦規定というものを速やかにつくっていただきたいんだ。日本には今、それがないんでしょう。

小野寺国務大臣 委員が今お話しされましたROEのことですが、これは部隊の行動基準という形で私どもはつくっております。この基準につきましては、さまざまな事案にそのときにどう対応するかということで、中で、私の指示でつくっております。

 また、こういう安全保障のさまざまな状況というのは刻々と変わるものでありますので、その都度適正に対応できるように、基準については不断の見直しを図っていきたいと思っております。

石原(慎)委員 本当に、防衛大臣は非常になかなか苦しい職務だと思いますよ、この現況の中では。

 例えば、この間、向こうの艦船が日本の、あれは自衛艦に向かってですか、レーダーを照射した。レーダーを照射したということは、つまり、それでターゲットを要するに電波的に確認して、次に攻撃するという威嚇の前提の一つの作業だと思いますよ。

 それで、仮に彼らが要するにレーダーを照射して、ミサイルを発射して日本の艦船を撃沈したときに、撃破したときに、日本の艦船はそれに反応できるんですか、反撃できるんですか、すべきじゃないんでしょうか。

小野寺国務大臣 昨年一月に、中国艦船より我が国の海上自衛隊の艦船にレーダー照射がございました。火器管制用のレーダー照射ということになります。

 そして、これは同時に、私ども、その中国艦船についてはしっかり監視をしながら、レーダー照射の後に砲の指向が実際に向いた場合、その場合には、例えば、これはもう明確に攻撃があるということを認定した場合には、私どもとして必要な対応をその時点でとることができるということであります。

石原(慎)委員 これはもうごく当たり前な答弁ですけれども、私は、仮に、仮にの話かもしれませんけれども、相手がレーダーを照射してきて、それにのっとってミサイルを発射して攻撃したときには、これは当然反撃して、相手を撃沈していいという、そこまでの踏み込んだ、きちっとした交戦規定というのをつくる必要があると思いますよ。それがない限り、私たちの警戒行動というのは何の抑止にもならないということを私たちはやはり認識した上で、速やかに、つまり交戦規定というものをつくっていただきたい。

 それをつくるということが、総理にも前にも申し上げたけれども、総理はそのときは、いや、既に鯉口は切っていると言われましたけれども、昔の侍みたいに、本当に、寄らば切るぞという、鯉口をきちっと切るということになると思うんですよ。交戦規定のないような軍隊というのは世界にあり得ないので、それをきちっと構えることが、寄らば切るぞという強い姿勢になると思う。じゃなかったら、国民はいつまでたっても安心できませんぞ。

小野寺国務大臣 これは、どこの国の艦船も同じだと思いますが、例えば、レーダー照射があり、そして、それに向けて砲の指向あるいはミサイルの指向があり、明確に攻撃をされるということがもうわかっている段階では、個別的自衛権の中でしっかりとした対応ができるということだと思っております。それは我が国も同じだと思います。

 その中で、今お話がありました部隊の行動基準、どういう場合にはこちらはどういう対応をするかというのは、これは我が方の手のうちということになりますので明かすことは控えさせていただきますが、少なくても私どもとして、必要な事態に備えられるような行動基準、これは設けておりますし、また、今後とも、想定されることについて、新たに不断の見直しが必要な場合には見直しをさせていただきたいと思っております。

石原(慎)委員 世界が時間的、空間的に狭小なものになってきて、いろいろなものが、思いがけぬ事態が頻発しておりますけれども、こういった中で、隣の中国と私たち、いろいろな緊張関係というものを構えるようになりました、決して望むところではありませんけれども。こういったものを踏まえて、ひとつ、この国をやはり自分自身の手でしっかり守るんだ、最低限守るんだという装備というものをつくるためにも、これから本予算を組まれていくんでしょうが、総理、防衛予算を思い切って拡大していただきたい。防衛予算というのは非常に裾野の広い産業でして、私は、いろいろな刺激を与えてくると思いますよ。

 特に私がお願いしたいのは、あなたが総理のときかな、アメリカがやっと協力して、C1の後続機と、それからP3Cの後続機というのを日本がつくっていいという。結局あれは、住友重工ですか、名古屋の工場がそれをつくり出しましたときに、ぜひ、日帰りで行けるから、目の前に飛行場がありますので、行って見届けていただきたいというお願いをしたと思うんです。

 航空機産業というのは、私は、これは絶対に日本にとってこれから致命的な意味を持つ産業になると思いますし、これを発達させることを絶対好まない国がある。それはアメリカです。

 アメリカは、戦後、日本の航空機産業というのを徹底してつぶしてきました。今はやりの「永遠のゼロ」という有名な、小説もあります、映画もありますけれども、あれが示しているみたいに、太平洋戦争の情勢において、世界で一番優秀な戦闘機はゼロ戦だった。本当に、全くかなう戦闘機はなかった。

 同時に、敗戦の直前に日本がつくった紫電改という、これは不思議なことにどこかの化粧品会社のヘアトニックの名前になっていますが、紫電改という飛行機は、ほとんどの戦闘機は出力がなくて亜成層圏まで飛んで行けなかったんだけれども、あれ一機だけはB29にも対応できる優秀な戦闘機だった。

 私は参議院にいるときに、源田さんに、もう引退されましたけれども、真珠湾攻撃の立役者の源田参議院議員に席を並べていろいろなお話を聞きましたが、彼も、とにかく紫電改というのはすばらしい飛行機だった、ただ、あれが量産できなかったのは、資材がなくてではなくて、燃料がなかったという慨嘆をしておられました。ゆえに、私は、日本の航空機産業のポテンシャルというのは非常に高いと思います。

 現に、アメリカの軍用機、特に戦闘機のコックピットは全部日本製です。セラミック、それからそこに並んでいる計器の中のクリスタルリキッド、液晶体、これは全部日本製でして、アメリカもこれが業腹でね。クリントン政権の第二期目のとき、突然、あれは五月か六月でしたけれども、デュアルテクノロジー調査ということで、つまり、日本が平時に使い、民間の人たちが使っている機材でも、転用すれば軍事的に非常に高性能のものになる、そういう調査にアメリカの調査団がやってきました。

 このきっかけは、あの年の初めにソニーが開発したプレイステーション2という、あれに搭載されるマイクロチップが、その精度というものは何とアメリカの宇宙船に搭載されているマイクロチップの四倍以上の出力があるということ、これを聞いて彼らは驚いて、日本人のばかが営利に駆られてこんなものを北朝鮮や中国に売られたらえらいことになってくるから、その抑制に来た。

 ついでに彼らは、当時の通産省も非常に反対したそうですけれども、関連企業の秘密工程に属するところまで強引に立ち入って、とにかく、ダッシュボードを形成しているセラミックと、そこに搭載されているクリスタルリキッドというものを、同じものをつくるという努力でそれを分析したんですが、結局諦めて、これはやはりアメリカで自前でつくっても二倍時間がかかる、二倍コストがかかるということで諦めて、日本の供与に仰ぐことに甘んじることに結論を出して帰ったという状況が今でも続いているわけです。

 私は、日本の歴代の自民党の政府が犯した大きな間違いの一つは、かつて中曽根時代に三菱重工が立案したF2の、要するに次の世代の戦闘機、その次期支援戦闘機を、アメリカが非常に恐れたもので、F15を、共同開発で、よりいい改良型をつくろうということで甘んじてやめましたが、これはやはり日本の防衛にとっても致命的な間違いを私は犯したと思います。

 どうかひとつ、F2に続く次期次期の戦闘機というものを日本がつくる、そのための努力を、あなたが命令して、とにかく日本の産業界にやらせていただきたい。そうしませんと、これからやってくるアメリカのF35ですか、ステルスか何か知りませんけれども、塗られている塗料も日本製だというけれども、これにもブラックボックスがついていて、たとえ故障しても日本でそれを直すことができないんだ。

 そういう非常に大きな制約のついた戦闘機ですから、これは、ある意味では物の役に立たない、間に合わないということがありますから、ぜひ日本の独自の要するに系列の、戦闘機というのを日本は三つ使っていますけれども、F2というものの延長の、次の次の世代の戦闘機というものも積極的に開発するということを、私は、総理の至上命令で、政府の大きな目的の一つとして構えていただきたい、それをぜひお願いします。

小野寺国務大臣 委員が御指摘ありました、例えば対潜哨戒機、新しいP1、それから輸送機であります新しいC2については、今、鋭意開発ができ、あるいは開発途中でありますが、配備をするところになっております。川崎重工のものであります。

 また、新しい戦闘機につきましては、現在、先進技術実証機ということで研究をしております。

安倍内閣総理大臣 今、石原委員御指摘のように、我が国航空産業は、かつては大変な高い技術を誇っていたわけでございますし、現在においても、今、小野寺大臣から答弁をさせていただきましたように、航空機ということでは、例えば救難機のUS2は、海難救助において大変な能力を発揮するわけでございまして、海外からの発注もあるわけであります。

 そこで、主力戦闘機等についても、やはり我が国独自の技術というのは極めて重要であろうし、そして、そこからもさまざまな民生用の技術が生まれてくるということもあるわけでございまして、そういうことも勘案しながら、同時に、最適の形において、コストの面もございますが、我が国を守るためにどういう形がいいのかということも、しっかりと総合的に勘案をしていかなければいけない。

 その中において、今、石原委員が御指摘のように、我が国の技術をしっかりと発展させていくことも大切ではないかという御指摘は、私もそのとおりなんだろう、このように思います。

石原(慎)委員 次に、違うカテゴリーの質問をさせていただきます。

 最近、中国は突然、防空航空識別圏なるものを拡大して、その縄張りを見ますと、尖閣の上空にもそれがひっかかってきますし、日本から台北という友好国に足しげく飛んでいる日本の民間航空機も、一番合理的なフライトのプランを構えれば、そこにひっかかるということになってきます。

 これに日本も非常に強く抗議しましたし、アメリカも、抗議をしたようなしないような、戦略爆撃機を飛ばして無反応なことを確かめて、それで安心したのかどうか知りませんが、その後突然、アメリカは、アメリカの民間航空機はあの航空識別圏にひっかかったフライトをするときは飛行プランを出せという命令を出しましたね。

 私たちは、それを聞いて、日本と大分姿勢が違って鼻白んだわけですけれども、これはどういうふうに解釈されますか。

小野寺国務大臣 中国の防空識別区の設定に関して、一番初めにこのことについて厳しく反応したのはアメリカ政府でありました。もちろん、日本もしっかりとした反応をさせていただきました。特に、アメリカの国防省、ヘーゲル国防長官が真っ先にこのことについては厳しい発言をされたということであります。

 この問題については、日米ともに、防衛当局も含めて、共同の対処を今後ともしっかりしていきたいと思っております。

石原(慎)委員 国交大臣にお尋ねしますけれども、今、日本の民間航空機は、中国が言い出した防空航空識別圏というのを無視して、従来の飛行プランのとおり、あの上をかすめる飛行航路をとって台湾に飛んでいるんですか。

太田国務大臣 撤回を求めている以上、当然、そうさせていただいています。

石原(慎)委員 撤回を求めるというのは、強い姿勢で非常に結構なんですけれども、当然ですけれども、それでも今飛んでいるわけですか。これは、私はやはりひとつ要注意だと思いますね。

 皆さん、覚えがないでしょうけれども、中曽根内閣時代に、大韓航空機が二機、こういう危険を冒した。

 一機は、ヨーロッパへ飛んだ飛行機が、ソビエトのムルマンスクという、非常に大事な軍事基地の近くの領空というものを飛んで、これは、戦闘機がスクランブルして、強制着陸をして、雪原に不時着をして事なきを得た。

 二度目のときは、シアトル経由でどこかへ向かって飛んでいる大韓航空機が、恐らくソウルへ向かって飛んだんでしょう、これは、サハリンとそれからその前のカムチャツカ半島を横断して、そして結局、最後はオホーツク海で撃墜されたんです。

 私は、この詳細な情報を、実はある筋から聞きました。当時、まあ名前を言ってもいいんでしょう、天川さんというえたいの知れない人物で、恐らくCIAのエージェントだったんでしょう。この人が、日本の限られた財界人に非常にホットな国際問題のニュースをCIAから情報を得てリポートする、その会がありまして、私は、敬愛していた賀屋興宣先生に推挽されて、そこに加わることができまして、そこからその詳しい情報を聞いたんです。

 これは、ムルマンスクで航空識別圏というものの侵犯を許した現地の司令官は、即座に死刑になりました。そして、同じ過ちを犯した担当の司令官というのは死刑に処するという通達が行われまして、それで、それを承知かどうか知りませんけれども、大韓航空はあるとき、堂々とその禁忌のカムチャツカ半島の上を横断して、さらに今度はサハリンを横断した。

 そのときの現地のロシアの空軍のろうばいぶりというものを、実は、日本の北部にある諜報機関が全部傍受していまして、その詳しい会話のいきさつを聞きましたが、このとき、二度目のときには、現地の司令官が非常にアップセットしまして、とにかく、暗号で発信しモスクワからの指令を仰ぐそのいとまがないものだから、ロシア語で話をしているんですね。それを全部、日本側が傍受した。

 そして、ついに三機の飛行機がサハリンからスクランブルしまして、そのうちの二機が大韓航空の旅客機の後ろにライドオンして、それでもなお、そのパイロットは、地上との、要するに普通の会話での交信の中で、これは明らかに民間機だぞと。尾灯に民間機を象徴する赤いランプが、ストロボランプがともっているけれども本当に撃墜していいのかということを再三確認して、結局、命令が下ってミサイルを発射するんですけれども、最初のレーダー追跡型のミサイルは、それてしまって命中しなかった。それで、下からの号令で赤外線追跡型のミサイルを発射して、これが熱を発射している大韓航空機のエンジンに命中しまして、それで大韓航空機が撃墜されて墜落して、多くの死傷者を出した。

 そのときに大韓航空機が発信した、デルタ・ワン・オー・ワンという、いずれの国かの諜報機関と結んだ暗号の発信が傍受されていまして、これは日本がほとんど完全につかんだんですけれども、アメリカがそれをどうしてでも取り戻そうとして、非常に中曽根内閣に強いた。そのときの官房長官の後藤田さんは、さすがに、これを非常に忌避しまして、かたくなにこれを拒んだんですが、結局、圧力に屈して、中曽根内閣はその全文をアメリカに渡さざるを得なかった。

 しかし、一体、どの国の民間航空機が、どういう圧力があってかは知りません、恐らく韓国はいろいろな負い目がアメリカにあるんでしょうけれども、それをかさに着てでも、アメリカの当局が緊急のときの暗号電報まで組んで、そしてこういう強引なフライトをさせる、その結果、数多い乗客の生命が失われたわけですけれども、そしてああいう大惨事が起こっている。

 アメリカは、オホーツク海でそのブラックボックスを回収すべく努力をしたようですけれども、見つからなかったと称している。恐らく見つかったんでしょう。見つかっても彼らは堂々とそのブラックボックスを持って帰るでしょうがね。こういった事例が現にあったわけです。

 ですから、ひとつ、それはやはりそういうものを念頭に置いて、相手という国が、何するかわかりません、共産圏というのは。ばかげたことを平気でやる国ですから、そういう国ですから。

 ですから、ひとつ、太田大臣、これは三度目の犠牲が出ないように、非常に要注意の上で、日本の民間航空にフライトというものを指導していただきたい、これを強くお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 この際、藤井孝男君から関連質疑の……(石原(慎)委員「委員長、一つ忘れちゃったんです。いいですか」と呼ぶ)はい、どうぞ。

石原(慎)委員 総理、これからNSCでいろいろなことを、国家の安全保障について合議されるようですが、アメリカは実に緻密なことをやっているんです。アメリカは一番余計な戦争をしている国ですけれども、そこで出る負傷者に対する対応というものも、実に綿密に協議して、その専門家を養成しています。

 私が足しげく行っている東京の都立の広尾病院というのは、恐らく日本一、小笠原までカバーしておりますから、日本一の救急病院ですけれども、そこの院長が非常にサジェスチョンをくれましてね。これは、アフガンとイラクでの戦いで、新しい兵器によって新しい負傷者ができる、どうやってそのサージャリーをするか、外科手術をするかということをまとめた本です。

 こういったものの研究のシンクタンクを、ぜひ私は日本でつくっていただきたい。これは何も戦時というものを想定してじゃなしに、これからやってくるかもしらない災害というものにも、いろいろな形で被害者が出てきますから。そういう点では、やはり日本で一番進んでいる救急病院ですけれども、そこの責任者が、アメリカの事例を見て、ぜひこういったものを研究するシンクタンクをNSCの活動でつくっていただきたい、これは本当に国民全体にとっての安心のためになると思いますから。

 これを、参考に持ってまいりました。

 終わります。ありがとうございました。

二階委員長 この際、藤井孝男君から関連質疑の申し出があります。石原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤井孝男君。

藤井(孝)委員 日本維新の会の藤井孝男でございます。

 ただいま我が党の石原代表から、特に安全保障、そして自衛隊・防衛省のさまざまな活動についての質問がありましたけれども、私も、この点につきましては後ほど質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、総理に申し上げたいと思います。これは質問をする前にですが。

 きのう、実は、御承知のとおり、建国記念日でありました。私も、地元岐阜県岐阜市におきまして、私が会長をしております会議におきまして、これは毎年、建国記念日の式典を開催しておりますけれども、そのときに、歴代の総理で初めて総理が談話、メッセージを発せられましたね、これを会場で全文朗読をいたしました。そして、披露いたしましたところ、万雷の拍手で、こうした総理の談話、メッセージというものが非常に評価が高かったということをまず申し上げておきたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきますけれども、この一年間、特に総理は外交日程を精力的にこなされた。本当に、私も、総理のこの二十回近い外交活動というのは、これは大変私はすばらしいことだと思いますけれども、一方では、大丈夫かなと。総理は、御自身が一番よくわかっていらっしゃるように、大変な難病を抱えておられましたが、今それが回復されて、元気な姿で本当に力強く思いますけれども、しかし、何といいましても日本の総理でありますから、そして、リーダーとしての活躍はもちろん期待しておりますけれども、どうか、その点、余りテンションを上げ過ぎて、心配をしている国民の皆さん方も結構いらっしゃいますので、ぜひその辺も御自愛いただきたいな、こんな思いであります。

 そこで、昨年の臨時国会で最大のテーマとなりました特定秘密保護法案について質問をさせていただきたいと思います。

 この法案は二つに分かれておりまして、いわゆる国家安全保障会議の設置、それからもう一つは特定秘密保護法、この二つがあるわけでありますけれども、特に特定秘密保護法が、これは報道機関によるものなのか、誤った、誤解と申しましょうか、そういったことで伝わっている。要するに、国民の、我が国の民主国家、報道の自由であるとか、あるいは知る権利だとか知らせる権利、それが侵されてしまうのではないか。

 先ほど、石原代表もその点についてちょっと触れましたけれども、そうした誤解を招く、まさに誤解だと私も思っておりますけれども、しかし一方では、こうした大事な、これまでそうした規定がなかった。そういったものについて、もっと正しく、しっかりとしたものにつくり上げていかなければならない。この法案を施行するまでにはまだ時間がありますけれども、その間いろいろ検討されると思いますけれども、やはりこういった問題についても、しっかりとした機関を設けてチェックをしなければいけないと思います。

 ですから、まさに第三者機関のチェックというものがいかに大事であるかということを私どもは主張し、そして最終的には、臨時国会の十二月に四党合意というものが、修正合意がなされたということで、これも大変よかったなと思っております。

 そういった中での論点は、今申し上げたように、やはりチェック機関をどのようにしてつくるのか。特に、内閣府に設置されます、これは森大臣が担当だと思いますけれども、独立公文書管理監あるいは情報保全監察室、これは近いうちに局に上げるということを総理がおっしゃっておりますけれども、私どもはできるだけ早く局に格上げしていただきたいと思っていますが、このチェック機能に関する要件というのは、私なりに五つあるんだろうと思います。

 一つ目は、やはり、この監察局と申しましょうか、これは米国の情報保全監察局のような大変な権限を持たせなければいけない、そういったことを、しっかり独立した形の中で権限を持たせなければいけないということが一つあるんじゃないかと思います。

 それからまた、公文書管理監というのは、役人が担うのもあるかと思いますけれども、私は、外部から登用して、これを国会での同意人事事項にした方がいいんじゃないか、はっきりと、そこはしっかりと国会同意人事事項にすべきではないかというふうに思います。

 それから三つ目は、各行政機関にも監視の窓口を設置して、そして連携体制をしっかりつくるべきではないか。

 四つ目は、この新組織は、やはり法律によって制定すべきではないかというふうに思います。

 最後の五つ目は、よく言われますように、公益通報者保護制度の利用、つまり、不正な指定に対して良識ある内部告発者が守られるということも大事じゃないか、こういったことを指摘してまいりました。

 そういった中で、先日、予算委員会の中で我が党の山田宏委員が、質問の中で、米国の情報保全監察局が持っている各行政機関への強力な調査権や報告書の請求権、また秘密解除勧告権などの権限が日本にも必要だとただしたんですけれども、森大臣からは、その答弁として、十二月五日の四党合意のとおり、こういったものを権能としていく、そういうふうに考えておりますという答弁がありました。

 この答弁、私は議事録を見たのですけれども、ちょっと明確でないような、何か抽象的な答弁になっていますけれども、この点について、もう一度確認をさせていただきたいんです。もうちょっと明確に答弁していただけないでしょうか。

森国務大臣 お答えいたします。

 特定秘密保護法ができたそのこと自体が、今までルールがなかったところに、行政の恣意を排除するために法律でしっかりとルールをつくっていくということ、委員のおっしゃるとおりでございます。

 その上でさらに、その適用が行政の恣意に当たる場合がないように第三者機関をつくっていくということが、日本維新の会を含む四党協議で定められました。その四党協議、十二月五日の文書、藤井先生の御署名もある文書の中に、権能として六項目書いてございます。それをしっかりとこの機関に入れ込んでいきたいと思っています。その際には、アメリカの情報保全監督局の持っている権限を参考にしてまいりたいと思います。

 現在、既に立ち上がりました諮問会議、有識者でつくってありますけれども、こちらの方の御意見もいただきながら、この第三者機関が、秘密の指定、それから有効期間、そのほかの運用についてしっかりとチェックをできる権能を設置してまいりたいと思っています。

藤井(孝)委員 少し前進した答えだと思いますが、まだ、よくはっきりわからない点があると思うんですね。

 ちょっと別な角度から申し上げますと、例えば、この監視機関といいますか第三者機関といいますか、そういった客観的なチェック機関というものの中で、内閣官房に設置される保全監視委員会というのがありますね。これは事務次官級で構成されるというようになっていますけれども、もう一つ、内閣府に設置される独立公文書管理監は、審議官級で構成するというふうになっています。

 こういったことについては、これは根拠法令があるわけではありませんけれども、これでは、今申し上げたいろいろなことをやっていく上において、バランスと申しましょうか、そうしたことについての高度な独立性を備えた機関というふうに言えるんでしょうか。この点についてはいかがですか。

森国務大臣 特にアメリカの制度を参考に、諸外国の制度も参考にしてまいりたいと思っているんですけれども、内閣官房の中に置く機関でございますが、こちらの保全監視委員会の方は次官級でつくっておりますけれども、アメリカの方は、ISCAPという省庁間上訴委員会というのがありまして、関連省庁の幹部から成っております。それに対して、内閣府の方に置く情報保全監察室、これは将来、法令によって局に格上げをしたいと思っておりますが、もちろん、局に格上げするときには審議官級以上になるということが予定されているわけでございます。

 それにしても次官級とは違うのではないかというような御指摘だと思いますけれども、アメリカの方の、参考にしているISOOという情報保全監督局の場合は、そのトップは、先ほど申し上げましたISCAPの事務局長を兼任しておりますので、そういう意味では、階級が一緒だということが必ずしも要求されるものではないというふうに思っています。

 いずれにせよ、こういった諸外国の制度も参考にしつつ、目的は行政の恣意が行われないようにチェックをしていくということでございますので、そこは諮問会議の御意見等も聞きながら、しかるべく設置してまいりたいというふうに思います。

藤井(孝)委員 それでは、森大臣、もう一つつけ加えて、情報保全監察室の上に公文書管理監を置くというふうに、さきの予算委員会の答弁もそういうふうにされておりますが、この点について、もう一度、確認のためお答えいただけますか。

森国務大臣 御指摘のとおり、情報保全監察室の上に独立公文書管理監を置く予定でおります。

藤井(孝)委員 管理監を上に置くという、ただ組織的なことじゃなくて、実質的に、では、公文書管理監を上に置くということは、どういうことをこの監察室の上に立ってやろうとしているのか。具体的にもうちょっと説明してくれますか、わかりやすく。

森国務大臣 内閣府に審議官級の独立公文書管理監を置きます。そのもとに、二十人規模の情報保全監察室を設けます。

 すなわち、情報保全監察室のトップが独立公文書管理監であるというふうに理解しております。

藤井(孝)委員 そういう中で、私は、もう一つ角度を変えてお聞きしたいと思いますが、冒頭にも申し上げたように、要するに、この第三者機関のチェックというのは非常に国民も注目していますし、チェック機関がしっかり監視するかどうか、監察するかどうかということが非常に大事なことだと思っているんです。

 そこで、内閣府に設置するということになりますと、同僚の山田委員が、先般質問の中で、これは内閣府に置いてもこの機能は発揮できるだろうと。山田委員は、元杉並区長をやっていて、その中で監察室を役所内に置いたんだけれども、十分機能したということを踏まえてそういった意見を述べられていましたが、私は、もう一歩踏み込んで、やはり四党合意の事項の基本を踏まえると、もっとしっかりとしたチェック機能、機関、権能というものを持たせなきゃいけない。

 つまり、私が申し上げたいのは、いわゆる三条委員会というような、まさに公正取引委員会のような強い権限と専門性、政治的中立性を持った、そうしたことを確保するための設置される機関にした方がいいのではないか、このように思うわけでありますけれども、その点についてはいかがですか。

森国務大臣 この機関、三条委員会にした方がよいのではないかというような御質問でございますけれども、四党協議には、独立の機関を設けて監察、検証を行っていくというふうに規定をされているわけでございますので、その機能が発揮をされていくための仕組みについて、そのあり方については、諮問会議の御意見も踏まえながら、そして行政改革の観点も踏まえながら、さらに検討を進めてまいりたいと思います。

藤井(孝)委員 官房長官、この点について、もうちょっと、これから検討されて、実質的に、施行までのいろいろな検討をされると思いますけれども、私は、この点は非常に大事なことだと思うんですよね。

 三条委員会的なものにするのか、あるいは、内閣府に置きますけれども、その内部で、内閣総理大臣が最高責任者になるわけですけれども、官房長官、内閣官房との関係もあります。この点について、官房長官の見解というのを、考え方というのをお聞きしたいんですけれども。

菅国務大臣 まず、藤井委員からお話があった件でありますけれども、政府としては、維新を初めとして四党で合意をしたその合意事項については、政府は真摯に受けとめて、責任を持って対応させていただきたい、このことをまずはっきり申し上げたいと思います。

 その上で、三条機関でありますけれども、本年一月に、外部の有識者の皆さんで構成される情報保全諮問会議というものが発足をしました。こうした皆さんからの意見を聞きながら、また、今、森大臣が答弁されましたけれども、行革の観点、そうしたものを踏まえて、四党合意の趣旨に沿うような形でこれは検討させていただきたいと思います。

藤井(孝)委員 冒頭にも私申し上げましたように、この法律というのは、国民からもより理解を得るように努力していかなきゃならないということが大事なことだと思っております。

 そのためには、チェックする機関というのは、非常に独立性を持った、そして、ある程度、いわゆるそれを監察する機関であると同時に、権限も権能もしっかりと持たせるようにすべきだということを改めて申し上げておきたいと思いをするわけであります。

 また、今、与党においてですか、国会においても特定秘密に関するチェック機能をどうするかというような議論が始まっていると思いますけれども、国会も、もちろんそうしたチェック機能、それを常設にするのかどうするのか、これから詰めていくんだろう、これも必要だと思います。

 いずれにいたしましても、こうした今度の法律が、国民により深く、そしてまた、日本もこうした中での規定が今までなかったわけですから、そうしたことを踏まえて、これは大変重要な法律案が通ったというふうに認識しておりますので、より議論を深めて、しっかりと施行までに確立させていただきたい。我が党は、そういった経緯を踏まえながら、よくまたチェックをしていくことを怠らないようにしていきますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 そして、もう一つのテーマでありました日本版NSC、いわゆる国家安全保障会議に関してちょっと質問をさせていただきます。

 私どもは、この国家安全保障会議というのを設置するのは、これも大変有意義なことだと思っております。これはどういうことかというと、やはり情報の管理といいましょうか、米国を初め各国との情報のやりとり、こういったものについて、やはりこうした国家安全保障会議というものが中心となって情報を得なきゃいけませんし、また、国家安全保障の戦略を立てるための情報をいかに収集し、把握し、そしてどう対処していくかということをやっていかなきゃいけない。

 しかし、日本には、先進諸国には大体どこの国でもあるようなインテリジェンス機関、いわゆる情報機関、諜報機関とも、極端に言えばそういうことでありますが、そういう機関がありません。だから、そうした機関がないということになると、他国から限られた情報しか入ってこないんじゃないかということを心配しているわけです。

 やはり我が国も、これからこうした国家安全保障会議、日本版NSCというのを設置することを決めたわけですから、そうするとそれが有効的に機能する、そのためには、情報のやりとりというのは、特に米国との大変機密を要する、そういった問題についても、受け入れる機関、また、日本も独自に情報機関というものを設けなけりゃいけないと思うのでありますが、総理、この点について何か御見解があったらお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 藤井委員にも御協力いただきまして、特定秘密保護法が成立をいたしました。

 この法律によって、今まで以上に海外から情報を入手しやすくなったことは間違いないと思います。米国の情報部門の責任者であるクラッパー氏も、今後さらに日米の協力が進んでいくだろう、こういう趣旨のことを述べているわけでございます。

 その上において、海外における我が国独自の情報収集機能、対外情報収集機能についての御質問だと思いますが、我が国をめぐる安全保障環境が悪化する中、国家国民の安全を守るためには、安全保障や国民の安全に直接かかわる情報の収集が極めて重要であると政府も認識をしております。例えば、国際テロ、大量破壊兵器拡散等について、関係する国や組織の内部情報の収集は極めて重要であります。

 一方、それらの国や組織は閉鎖的であるために、情報収集活動は相当な困難を伴うものでありまして、そういう困難な仕事をしていく上においては、これはもちろん知見もそうでしょうし、そして経験も当然必要なのだろう、こういうふうに思いますが、そうした認識のもとに、内閣の戦略的な意思決定に資する情報機能を強化することは極めて重要であると考えております。

 こうした観点から、より専門的、組織的な対外人的情報収集の手段、方法及び体制のあり方について、委員の御指摘も参考にさせていただき、さらに研究を深めていきたい、このように考えております。

藤井(孝)委員 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 要するに、総理、今、大変目まぐるしく変化してくる世界情勢ですから、まさに情報、個人においても情報というものは大事であるし、またビジネスにおいても情報である。国家間においても、こうした情報のやりとりというのをいかに収集し、分析し、そしてどう対応するかというのを、そういう意味で今総理が答弁になりました。

 アメリカのCIAというのがありますけれども、これも第二次大戦中に多分数十人からスタートした機関でありますけれども、今やCIAというのは大変な情報機関であり、諜報機関とも言われています。

 何も、諜報というとすぐ、また戦前に戻るような、スパイの何か取り締まりだとか家庭の盗聴だとかいろいろなことだけを、そういうことではなくて、もっと冷静に、情報というものをどうやってこれから国益につなげていくかということをなし遂げるためには、今総理が言った専門的な、できれば、CIAとは言いませんけれども、一つ一つ積み重ねて、日本の国益にかなう、そしてまた安全保障にもかなう、そして、日本の国民のいわゆる安全、そしてまた生活、また、領土、領海も含めてのいわゆる防衛問題についても、大変重要なそういった情報機関というものはぜひ必要だと思いますので、よろしく今後とも御検討して実施していただきたいと考えております。

 それから、外務大臣にちょっとお伺いしますけれども、日本のロビー活動、ロビイストですね。

 今度、カリフォルニア州のグレンデール市ですか、韓国の慰安婦像が設置されたり、また、バージニア州議会で、今度は委員会でですか、日本海を、東海ですか、そういうふうに両論を併記するような、そういったものが可決されているわけであります。

 こういうことを思いますと、やはり、お隣の韓国もそうでありますけれども、中国も、各国のロビー活動というのは米国において大変盛んに活動します。その点について、外務省もそれにどうやって対処していくのか、あるいは、今どういう状況にあるのかということについてちょっと基本的な考え方を、今どういう状況なのかを御説明いただきたいと思います。

岸田国務大臣 外交におきまして情報発信あるいは広報活動、これが大変重要であるということ、言うまでもありません。

 今日までも、在外公館を通じまして、大使あるいは在外公館の館員、さらにはロビイスト等を通じまして、我が国もさまざまな情報収集を行い、そして我が国の立場を説明し、情報発信を行ってきました。

 しかし、今御指摘のような具体的な動きですとか、さらには直面する課題を考えますときに、より一層この体制を強化して情報発信に努めていかなければならない、これも強く感じるところでございます。

 こういった認識のもとに、平成二十六年度予算につきましても、広報文化活動予算の増額を図り、その中で、内容としましても、各国の世論に大きな影響力を持つ有識者の国際的なネットワークをつくっていこう、こういった取り組みも盛り込ませていただいております。

 こうした各国の有識者の横の連携を図るプラットホームを外務省ともつくり、そして、こうした有識者の国際的なネットワークをつくり国際世論に働きかけていく、こういった新しい試みもこの予算の中に盛り込ませていただいておりますが、引き続きまして努力を続け、そして、新しいこの試みを続けることによって我が国の情報発信、広報活動の強化を図っていきたいと考えております。

藤井(孝)委員 今、大臣がおっしゃいましたように、確かに今度の二十六年度予算につきましては、今、日本におけるネットワーク活動であるとか、いろいろな対象者発掘の関連情報のインプットだとかいろいろな発信だとか、そういったことについて予算を措置しておりますけれども、ただ、全体的に見ますと、多分、外務省の広報予算というのは百九十九億円だと思います。確かに多少昨年よりはふえておりますけれども、今から十年前といいますか、平成十五年における外務省の広報関係文化活動の予算というのはたしか二百九十億余りだったと思うんです。それから比べると、約百億近く、そしてまた三三%の減なんですね。

 こういう中で結局、だんだん、先ほどの慰安婦像の設置だとかロビイストの活動だとかは、お隣の韓国はこれは官民挙げてそういったことをロビー活動している。そして、どういう予算をつけているかわかりませんけれども、比べると、余りに外務省のそういった広報予算というのは、平成十五年から比べても三三%も減っている。本当にこれでやっていけるのかどうか。

 そしてまた、アジアにおける最も重要な米国のパートナーはどこであるかと世論調査したら、今、日本ではなくて中国だというふうに、そういった、世論調査も逆転している状況でありますから、まさに日本の、ロビイスト活動をどんどんどんどん盛んにやれということではなくて、やはりロビイスト活動も含めて、日本の広報予算、日本が各国に発信する、そういったものをもっと充実すべきだ、そう思うんですが、いかがですか。もう一度答弁願いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、我が国外交における広報文化予算は、ここ十年ほど減少し続けてきました。我が国の厳しい財政状況の中で効率的な運用を図ってきたところでありますが、平成二十六年度は久々に増額を計上させていただいております。また、内容におきましても、新しい試み等、充実を図るべく努力をしております。

 ぜひ、この予算自体も、厳しい財政状況の中ですが、外務省としましては、充実を図るべく努力をしていかなければいけないと思っておりますし、その効率的な運用また効果的な運用という点につきましても、さらなる工夫を加えていきたいと考えております。

藤井(孝)委員 岸田外務大臣、要するに、各国は、米国によるそういういろいろな活動は、官民、草の根運動的なことを展開しているんですね。日本は、どっちかというと、大使館とか領事館、官に任せている嫌いがあると思うんです。もっとやはりそういうところをしっかりと、官民、特に日米同盟、同盟と言っているのなら、もっともっと、特に外務省の大使館だ領事館だというのは、それはもちろん大事ですよ、第一線で頑張ってもらわなければいけない、大使も、領事も、館員も。しかし、頑張っているんだけれども、限度があります。

 だから、そういう意味では、もっともっとやはり、日系人も含めた、そういった人たちの、同胞の人たちの意見をしっかりと踏まえながら、本当に効率的に、官民挙げて、そして在住の日系米国人であろうと、そういった人たちとも交流を深めて、日本の正しきあり方、そして竹島の問題にしても、あるいは尖閣諸島の問題にしても、非常に誤った情報が流れ過ぎています。そういった問題があるからこそ、私はあえて、むしろこれは自民党政府に、もっともっと大きな責任を持って、決意を持って頑張ってもらいたい。

 ですから、予算的な部分で何か云々と言うつもりはありません。ぜひ、もっともっと大きな、もっとしっかりとした、外務大臣として在外公館に指令を出す、指示を出すのも結構ですけれども、そこにいらっしゃる、国にいらっしゃる、米国人も含めて、日本人も含めて、日系人も含めて、そういった人たちにも、やはり草の根運動的な展開をもっとすべきだということをあえて申し上げておきたいと思います。何かありますか。

岸田国務大臣 我が国が外交において立場や考え方を発信する際に、御指摘のように、官民が協力してこうした発信をするという点が重要であるということは御指摘のとおりだと思います。在外公館はもちろんですが、現地にある民間企業の関係者、さらには現地におられる日系人の方々の協力が欠かせないと考えております。

 私も昨年、アメリカ西海岸あるいは中南米各国を回らせていただきまして、現地の日系人の方々の存在あるいは組織、これは我が国外交にとりましても貴重な財産であるということを痛感して帰ってまいりました。

 こういった方々との連携あるいは協力、こういったものをしっかり大事にしながら、引き続き、情報発信に努めていきたいと考えております。

藤井(孝)委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは次に、先ほど石原代表も、いわゆる日本の防衛、自衛隊のあり方、自衛隊法、その他法律上どうなんだ、こういう質問がありました。何といいますか、防衛大臣も非常に、今の憲法の範囲内、今の自衛隊法の範囲内でいろいろ苦慮された答弁だ、私もそういうふうに聞いておりました。

 総理、私はちょっときょうコピーを持ってきたんですけれども、これは、昨年、二〇一三年四月二十八日の読売新聞朝刊で、朝鮮半島の有事のとき、日本の政府はどういう対応をするか、こういう記事が大きく載っているわけですね。

 総理、この記事を読まれた記憶はございますか。あるかないかで結構ですから。

安倍内閣総理大臣 さっと読んだ記憶はございます。

藤井(孝)委員 これを見ますと、もう時間がありませんから、限られていますから申し上げませんが、防衛出動させるのか、あるいは、朝鮮半島でいろいろな有事が起きたときに、機雷があったときにそれを即排除できるのか、あるいは集団的自衛権がどう発動できるのかとか、いろいろな問題、QアンドAも書いてあります、私も読みましたけれども。

 これは、では何を言っているかというと、ほとんどグレーゾーンみたいなんですよね。今の現行法ではとても対応できない。対処するにしても、警察権のような範囲の中で、根拠法の中でしか対応できない、武器の使用についても。そういったことがこれに書かれているんですね。

 だから、こういったことが去年、読売新聞に出されておりますが、要するに、グレーゾーンというのは一体何なのかということもありますけれども、例えば、先ほどちょっと海上保安庁の船のことについて石原代表が、何か攻撃を受けて撃沈された場合、海上自衛隊はどうできるのか、対処できないんじゃないかとかということを、また大臣は一般論として答えておられましたけれども。

 ちょっと細かな話で大変恐縮なんですけれども、海上の護衛艦の燃料は軽油なんですね。これは太田大臣、質問するつもりはありませんけれども、海上保安庁の艦船は軽重油なんですよ。これは、何か一朝有事があったときに、いわゆる海上自衛艦というのは補給というのができるんですけれども、海上保安庁の船艇は一旦岸に戻って補給して出る。

 今までそういった事態が起きなかったからこういった問題は何も注目されなかったんですけれども、万一何かあったときに、海上保安庁の船艇が補給をしなきゃならないという事態になったときに、海上自衛艦からの補給を受けられない、質が違いますから。そういった矛盾といいますか、これで本当に海上保安庁のコーストガードと海上自衛隊との連携がそういった際にできるのかどうか、こういうちょっと細かな点について質問させていただきたいと思います。

小野寺国務大臣 さまざまな事態に対応して、海上保安庁と海上自衛隊は、シームレスな対応をするために、日ごろ、さまざま協議をしっかりさせていただき、連携をとらせていただいております。

 その中で、今委員が御指摘ありました燃料のお話です。

 海上自衛隊の艦船は基本的には軽油を使っておりますが、実は、補給艦におきましては、軽油もありますが、重油も搭載することができます。ですから、燃料としての例えば提供等は可能だと思いますが、大切なのは、実は、今までそこの、お互いのパイプをつなぐつなぎ目というのが共通化されておりません。

 今後、こういうつなぎ目のことについて検討すれば、海上自衛隊の補給艦から海上保安庁の例えば軽油なり、軽油と重油をまぜたものということに関しての対応は可能だと思いますが、いずれにしても、海上保安庁の運用の中で、私ども、できる協力は今後ともしていきたいと思っております。

藤井(孝)委員 今申し上げたとおり、本当に細かな話なんですけれども、補給口の口径が違うだけでも、今のところはできないわけですよね。誰もこういうことをわかっていない。私がたまたま調べていったら、こういうことがわかってきた。

 そうすると、いかにも表上は海上保安庁と、今大臣が言われたように、連携はちゃんとやっていますよと言いながら、実際そうなったときにこれは全然補給できないとか、そういう問題から地道にちゃんとしっかりと私はつくり上げていくべきだというふうに、それで今、細かな話ですけれども、補給艦の口径が違うだけで油が補給できないとかいう話、そういう基本的な話からやはりしっかりとこれから迅速に対応していくように改善していただきたいことを要望しておきます。

 さて、そうした中で、まだまだ防衛関係についていろいろお話ししたいんですけれども、先ほど石原代表も質問いたしましたとおり、では、どういうことが必要かといいますと、結果的に、私は自衛隊法というものをやはり改正する必要があるんだろうと。特にグレーゾーンが余りに多いものですから、結局、自衛隊法に領域警備などの任務と武器使用の権限を盛り込むといったことの自衛隊法を改正するというのが私は非常に大事なことだと思っています。

 しかし、それともう一つ、私の考え方としましては、そういう一部の改正にとどまらず、要するにもっと、例えば領海警備法というものを新たに制定しまして、領海内での無害でない活動に、武器使用も含め、必要な措置をとることのできる権限を急ぎ与えるということが必要ではないか。そういった新しい領海警備法みたいなものをつくって、そして我が国の領海、領土、そういったものをしっかりと防御していく、そして国民の安心、安全というものを確保していく、こういったことも必要だと思うんですが、いかがですか。

小野寺国務大臣 御指摘にありますように、現在の事態に対しては、例えば、海上警備行動を含め、私どもとしては、防衛出動、治安出動、さまざま自衛隊が対応できるそういうことの根拠はございます。

 ただ、今おっしゃっているように、さまざま新しい安全保障環境に応じて、グレーゾーンと一般的に言われるような有事でも平時でもないような状況、あるいは、領海について、これは一義的に海上保安庁あるいは警察権の中で対応しておりますが、どのようにしたらいいかということは、現在、安保法制懇の中でも議論をされていると承知をしておりますし、また、各党の中でそれぞれそういう議論がなされていると思っております。

 いずれにしても、私ども防衛省・自衛隊としては、憲法の中で、そして決められた法律の中でしっかりと我が国を守っていくということ、これが前提の中で今後とも対応していきたいと思っております。

藤井(孝)委員 答弁としてはわかるんですけれども、海上警備行動と今おっしゃられましたけれども、これもやはり、防衛大臣が出動命令を出さないと、警備行動を発令して、海上自衛隊は行動できないわけですね。時間差があるわけですよ。

 だから、私が言っているのは、そういうとっさの事態が起きたときに、今の自衛隊法では対応できない。まさにグレーゾーンである。そういったことをどうやって、日本の領海、領土を守るためのそこの基本的な考え方を、私はもっと、自衛隊法を改正すべきであるとか、そういった権限をちゃんとして、警察の根拠法によるものではなくて、本当に自衛隊としてのそういう活動がしっかりできるような法体系というものを私はやるべきだ。これはまさに私は今の安倍政権の中で大変大事なことだと思っていますので、ぜひこの点についても早急に検討して、もう時間がありませんので答弁は結構です、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、もう一つだけ、これは防衛大臣なのか総務大臣なのかちょっとわかりませんが、防衛大臣ですか。

 サイバー攻撃、これはきょうの産経新聞にも出てまいりましたね。こういったものを今度九十人規模で米国とよく連携をとってやると。これは非常に大事なことだ。

 要するに、某国が我が国を武力行使する前に、まず、我が国の、いわゆる鉄砲では撃たない、要するにこういったコンピューター攪乱、これがまず最初に来るんだろう。これをやると、我が国の自衛隊にしても、ほかの通信機能にしても、混乱をさせてから攻撃するという、これはもう当たり前。これはきょう、たまたまけさの産経新聞に書いてありますけれども、この点についてどういうふうに考えておられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。

小野寺国務大臣 今後の安全保障の中で、委員が御指摘のサイバーの空間を安定的に利用するということは大変重要になります。

 例えば、ミサイル防衛で私どもさまざまな能力を持っておりますが、この根拠となりますのは、例えば衛星からのさまざまな情報があったり、あるいは各種レーダーサイトからの情報等がございます。これがサイバーにより例えば機能が十分でないということになった場合には、これは我が国の防衛の根幹にかかわる内容になります。今後、さまざまな有事の中で、このサイバー空間の問題は大変重要だと思っております。

 防衛省・自衛隊としては、これは政府のさまざまな、一体の中で、自衛隊の役割として、特に、ことしの年度末におきましてサイバー防衛隊、仮称でありますが、その設置を行い、現在、この防衛についての能力について、しっかりとした対応をとるべくしておりますし、また、昨年のヘーゲル国防長官と私との会談の中で、日米でこのワーキングチームを設立するということが合意をなされました。ことしに入りましてワーキングチームが実際に動き始めまして、現在、日米でこの能力の向上についてお互いに協議を始めたということであります。

 大変重要な御指摘だと思っております。

藤井(孝)委員 ぜひ、このサイバー攻撃につきましては、まさに鉄砲の弾が、ミサイルが飛んでくるわけではありませんけれども、事前にそういった攻撃、これに対して、日本の有事対応というのは、法的にも、また、今この記事にもありますけれども、国際法においても、まだしっかりとはっきりとした根拠が決まっていないということがありますので。しかし、これも先んじて、やはり防衛大臣また総理も含めて、このサイバー攻撃についてはもっともっと前向きに、私は、九十人規模程度では足りないと思って、もっともっと、千人規模でもいいぐらいの、これも官民挙げて、こうした攻撃に備えるということが大事だということを指摘しておきたいと思います。

 時間がだんだん迫ってまいりましてあれなんですが、昨年、私は四月に、総理に、予算委員会でエネルギー問題と外交問題の集中審議をやりましたときに、質問をさせていただきました。

 その質問の中で、中東も大事である、その中でもクウェートという国も非常に大事である、さらには、アフリカという諸国はこれから本当に成長が見込まれる大陸である、そういった意味で、モザンビークの例も出しました。要するに、海底に豊富な天然ガス田が発見されたということを指摘いたしましたら、総理には本当に感謝申し上げたいんですけれども、昨年八月に中東そしてクウェートにも訪問され、そしてまたモザンビークにも訪問されて、大変な成果を上げられた。

 その際に、私は、その質問のときに、総合商社的な発想と言って、まさに総理も一般企業の皆さん方も同道されて、いろいろな意味で日本が、旧宗主国でない日本という国が独自の、アフリカの開発に投資をしていく、そういった意味での支援をしていくというのは非常に大事なことだと思っております。

 そこで、日本とアフリカというのは、もう時間がなくなって、私、提案なんですけれども、アフリカ諸国に対する、これは外務大臣もそのときに答弁していますけれども、世界の中で今アフリカ大陸が一番成長である、人口構成も一番若いのはアフリカである、だから、いろいろな意味での可能性が高いのはアフリカ大陸である、そういう岸田外務大臣の答弁もありました。そのとおりだと思います。しかし、その中に、どうしても、ODAを含めてやりますと、何か、インフラ、道路だとか空港だとか学校だとか、そこに行きがちなんですけれども、もちろん人材育成も必要だと思います。

 そこで、ちょっと私なりの提案なんですけれども、実は、去年五月だったですかね、オバマ大統領がアフリカを歴訪しているんです。そのときにどういう構想を出しているかといいますと、パワー・アフリカという構想、プロジェクトを立ち上げているんです。

 これはどういうことかといいますと、パワー・アフリカとは、簡単に言えば、官民協力してアフリカに対し投資と貿易を行うプロジェクトなんですよ。

 官は、USAID、これは米国国際開発庁とでも訳すんでしょうか、USエージェンシー・フォー・インターナショナル・ディベロップメント。そして、このバックには、国務省、エネルギー省がバックアップしているということですね。民の方は、CCA、コーポレート・カウンシル・オン・アフリカ、これはアフリカに特化した、要するに、日本語に訳するとどうなるんでしょうか、対アフリカ貿易商工会議所というような、そういうようなことなんですけれども、これには、アフリカに投資しているエクソン・モービルとか大企業を初め、投資している民間企業が八割ぐらいはここに参加している。そして、官民挙げて、こういうパワー・アフリカというものを開発していこうと。

 アメリカも旧宗主国じゃありませんけれども、しかし、そういった意味では、日米同盟というのであれば、やはり新しい観点から、軍事的な安全保障だけじゃなくて、こうしたプロジェクトがアメリカにもあるわけですから、日本も、これは、例えばJOGMECであるとか、あるいはODAの関係のJICAであるとか、そういった官と民の、いわゆる日本の投資している企業、商社も含めてですけれども、そういったものと協力して、アメリカとこういったことについて協力して、さらにアフリカの開発を促していくということを、そういう観点から、日米同盟というと、何かすぐ軍事とか安全保障となりますが、アフリカに関しては、旧宗主国にない、そういった日本の独自な外交そして援助、そして、それは、アメリカでもこうしたものがプロジェクトで出ているということについて、非常に大事なことじゃないかと私個人的には考えております。

 茂木大臣でも結構ですけれども、外務大臣でも結構ですけれども、もしお答えがあれば、お願いいたしたいと思います。

岸田国務大臣 アフリカですが、御指摘のように、近年、年六%以上の経済成長を続け躍動する大陸ということで、世界じゅうから注目を集めている存在であり、我が国の戦略的な外交にとっても大変重要な地域だと認識をしております。

 その際に、まず、アフリカに対する支援を考えた場合に、官民の連携という視点が大変重要だということは御指摘のとおりだと思っております。

 昨年六月のTICAD5におきましても、我が国はアフリカに対する支援を表明したわけですが、その内容としまして、やはり成長の果実が広く社会に行き渡る、なおかつ自律的に続く質の高い成長を実現していく、こういった内容を盛り込んでおります。

 要は、単なるアフリカ支援だけではなくして、投資を呼び込む、こういった形で、アフリカが自律的に成長していく、こういった視点を重視した次第です。やはり官民の連携の重要性を改めて指摘したところですが、今の御指摘のアメリカの体制も、こういった基本的な考え方においては共通する部分があると存じます。

 具体的にはいま一度しっかりと検討しなければならないと思いますが、基本的な考え方においては共通する、協力できる部分は、可能性はたくさんあるのではないか、このように感じますし、ぜひそういった視点でアフリカ支援についても考えてみたいと考えております。

藤井(孝)委員 時間が参りましたので、最後に総理にちょっと御質問をさせていただきたい。アフリカ問題というのではないんですけれども、一応アフリカ、せっかくいらしていただいたので。

 今後のアフリカ問題、さまざま、ほかの国もそうなんですけれども、カントリーリスクというのがあるんですね。

 それは、残念ながらアルジェリアで起きた、日本人が犠牲になった、ああいう、いわゆるそういった国々に行ったときの安全の確保の問題というのが一つある。

 それからもう一つは、ガバナンスの問題なんですね。要するに、統治機構といいますか、それが非常に、アフリカの国は発展途上国ですから、金融システムであるとか、あるいは、贈収賄と言っては大変失礼なんですけれども、こういったことも横行している、そういうような、国によるシステムがしっかりしていない。そういった金融制度のシステムというのは日本は非常に大きなノウハウを持って、先進国の一員として大変大事なこと。

 もう一つのリスクというのは、やはり政府援助。ひもつきであるとかひもつきでないとか、アンタイド、こういうのはありますけれども、要するに、ODAのあり方についても、ただ単にアフリカに投資した、ODAを援助したということで、あちらから何人、人材を、若い人たちを日本に留学させて、日本から何人派遣するという直接的なやりとりも大事だと思うんですけれども、むしろ横横の関係になると、例えば、日本のODAだけれども、アフリカのそういった国々の若い人たちを逆に、世界の共通語ではアメリカとかイギリスとか、あるいは旧宗主国でも結構なので、そういうところへ派遣する。

 一見それは何か我が国のためじゃないというようなことを思うかもしれませんけれども、将来、そういった若い人たちが欧米企業に入ったときに、日本がその企業と事業展開しようといったときに、そういったアフリカの人たちが育っていると、自分は日本のODAのおかげで勉強させてもらって、今こういう企業に勤めて、日本とのこういったことについて交流を深めていきたい、こういうような横横のつながりといいますか、単に日本とアフリカとの人材育成だけの直接的なことじゃなくて、間接的な、そういった問題についても、やはり知恵を絞って、日本的な発想の中で展開していくというのは大事だと思うんです。

 四月のときにも総理にもお聞きしましたけれども、日本の、いわゆる資源外交というわけではありません、アフリカという大変これから成長が見込まれる、日本のいろいろなノウハウをお手伝いできる、その国に対する総理の考え方を改めてお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

安倍内閣総理大臣 アフリカは、貧困あるいは紛争、ガバナンスの課題をずっと抱えていたわけでございますが、近年は目覚ましい経済成長を遂げつつあるわけでありまして、その中で日本外交においてはまさにフロンティアと言ってもいいんだろう、このように思います。

 昨年の藤井委員からの御指摘もございました。アフリカ、昨年ジブチに参りましたが、ことしはアフリカ三カ国を訪問したところで、モザンビークとコートジボワール、そしてエチオピアでございます。

 その三カ国を回ってきたわけでございますが、今委員が御指摘になられたように、我が国の対アフリカ支援においては、道路や港湾等のインフラ整備といったハード面だけではなくて、女性、若者の能力強化等のソフト面や、またガバナンス等も重視する旨を表明してきたところでございまして、日本とアフリカがパートナーとしてともに成長するための、日本らしい支援や投資促進を進めていきたい、このように思います。

 そこで、今委員が御指摘になったように、人材の育成については、専ら、基本的には日本は、日本に留学あるいは研修に来ていただいて、そして技能、能力を身につけて、その国のためにその能力を発揮していただきたいということで行ってきましたが、委員の御指摘のように、その原資でもって海外に留学ということでございます。

 そこで、基本的には、受け入れ国の能力を高めていく上においては、我々のODAを受け入れる国の能力を高めていくというところに着目をして、例えばアメリカに留学をさせる、フランスに留学をさせる、日本のお金でですね、その際、そういうアメリカ、あるいはフランス、それぞれの国と日本も協力してその国を支援していく、そういう観点も大切なんだろう、このように思いますが、同時に、やはり日本の国民の税金を使うわけでありますから、その際、いわば日本に対する理解を、そのアフリカの学生なり研修生なりに深めてもらうことも極めて重要なんだろう、こう思うわけであります。いわば、日本のお金で直接アメリカに行ってアメリカの技術なり勉強なりをして、そのままその国に帰ってしまったのであっては、果たして、では日本のこの援助は何だったんだろうということになってはならないわけでございますので、そうしたことも加味しながら、しかし、さまざまな柔軟性を持っていくということも大切だろうと思いますので、よくそういった点も研究していきたい、このように思います。

藤井(孝)委員 終わりますけれども、今、最後に総理がおっしゃったので、あえて言いますけれども、ODAの予算も、いろいろつけて各国にあれしていますけれども、そのODAの予算を落札するときに、中国の企業が落札しているケースがあるんですよ。ODAも日本の税金ですよ。財務大臣も御承知だと思います。一部かもしれませんけれども、結構な金額、日本のODAを使って、インフラ整備にしても、それは中国の企業が落札している。

 こういうことを考えますと、ODAとは一体何なんだと、今おっしゃった最後なんですけれども、そのように指摘されたので、ですから、私どもは、縦縦の、日本とその国との交流そして人材を育てる、これは一番大事だと思います、日本の税金を使うわけですから。だけれども、世の中は複雑ですから、横横の関係、そういう意味で、先ほど、アメリカとのそうしたプロジェクトを一緒にやってみたらどうかとか、そしてまたこうした人材も、将来にわたっての長い目で育てていくということが大事だということで、私は、私見としてきょう述べたわけであります。

 もし参考にしていただければ幸いに存じますけれども、日本の信頼、国力のためにも、ぜひ総理にリーダーシップを発揮していただきたいことを強く望んで、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

二階委員長 この際、松野頼久君から関連質疑の申し出があります。石原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松野頼久君。

松野(頼)委員 日本維新の会の松野頼久でございます。

 きょうは、総理、今回の予算、補正予算あわせて、中身、または税制について、若干お伺いしたいと思います。

 今回の本予算九十五・九兆、そして補正予算五・五兆。確かに、アベノミクスで税収が上がったということで、国債発行が四十一・二五、以前の内閣は四十四兆でキャップをはめるみたいなことを言っていましたので、相当財政的に改善されているというふうに思います。

 しかしながら、この二、三日前に、国の借金が一千十七・九兆円、これはいろいろな試算のやり方がありますので数字はいろいろあると思いますけれども、これだけの借金が積み重なっているという状況で、税収が、改善しても五十兆です。これは一体、テレビを見ている国民の皆さんは、どうやってこれを返していくのか、そして同時に、どこまで税金が上がれば国の財政がよくなるのか、こういう素朴な疑問をお持ちだというふうに思うんです。

 ぜひ、財務省が中期財政計画で、二〇二〇年にプライマリーバランスを黒字化する、こういう目標を掲げていらっしゃいますけれども、まず、この目標が、今のこのアベノミクスで、名目三%、実質二%、この中でどのように、中期財政計画、変更されたかということを、もしわかれば教えていただきたいと思います。

甘利国務大臣 プライマリーバランス、つまり国債費を除いたその年の政策経費をその年の税収で賄う、これに向けて財政構造を改善していくことが重要であります。

 二〇一五年までにこのプライマリーバランスの赤を半分にする、これは大変厳しい目標でありますけれども、比較的順調な歩みを来年度に向けて進めたと思います。一般会計の国費ベースで四兆、四兆改善するのを、五兆二千億改善するという新年度予算になっております。

 二〇一五年度以降二〇二〇年まで、これがなかなか厳しいのが正直なところであります。中期財政計画では、一五年から先はいわば自然体で構えておりまして、そこでまだ達成できないということになっております。そこでは、一五年までの改善を見据えながら、より一層の歳出歳入の努力が必要だということを明記しておるところであります。

松野(頼)委員 確かに、一五年から二〇年の間の数字というのがまだ出ていないんですね。

 ですから、これは早急にぜひ目標を立てていただきたいのと同時に、今言っているプライマリーバランスが黒字化したとしても、例えば、ことしでいうと、九十五・九兆が予算です、二十三・三兆が国債の利払い。

 要は、この九十五・九兆から二十三・三兆、政策経費の七十二・六兆、これを税収で賄うか歳出の削減をするかで均等にするというのがプライマリーバランスの中身だと思うんですけれども、二〇二〇年の姿というのが、これはプライマリーバランスが均衡化されたとしても、要は、過去の債務、今でいうと一千十七兆から二〇二〇年までまず積み上がる金額、そして利払いももっとふえるでしょう、そしてその利払いは、さらに、二十五兆か二十六兆かわかりませんけれども、利払い分だけはまた赤字国債として積み上がっていくわけですよね。

 一体どこまでこれは積み上げられるのか、そして、どこまで行ったらこれは破綻するのか、だから、どこまでにはどういう改善をするのかということを、やはり民間企業では当然のことながら目標を立ててやっているんですけれども、政府のその目標が全く見えない。

 ぜひ、どこまでこれは積み上げられるのかということを政府の中で考えているのなら、お聞かせいただきたいと思います。

甘利国務大臣 二〇二〇年にプライマリーバランスを黒字化するというか均衡させる、その時点では、要するに何が起きるかというと、経済成長率と金利の上昇の競争なわけです。これがぴたっと一致している場合は、対GDP比率は変わらないわけです。しかしながら、例えば経済成長を金利が上回った場合には、たとえ二〇二〇年に目標を達成したとしても、債務が膨らんでいくということになります。

 ですから、安全を見るならば、若干均衡よりも黒字に持っていかないと、金利変動と経済成長の競争に負けた場合には全体が膨らんでいくということになりますから、少なくともプラマイ・ゼロではなくて黒字化していくということが全体の対GDP比率を減らしていくことに重要なキーワードになろうかと思います。

松野(頼)委員 大臣がおっしゃっていることももっともだと思うんですけれども、要は、このまま赤字が膨らんで国の借金がかさんでいく、もう既に一千十七兆ですよ、これをどこまで積み上げられるのか。そういう想定をされたことはありますか。

甘利国務大臣 要は、財政資金を海外に依存すると、これは金利の変動リスクが高くなる。国内でどれくらい耐え得るかということの関係だと思います。

 これは、具体的に、いつまで、幾らまでが限界だという試算、明確な数字ははじいていませんけれども、いろいろな要素が、例えばアメリカなんというのは、海外資金に依存しても、基軸通貨国ですから立派にやっていけますから、一概に、国内のフロー及びストックを超えたときに国債金利が暴騰するとは言えないと思うのであります。

 いずれにいたしましても、経済成長と財政再建を両立させて、赤字幅が少なくとも拡大していかない、黒字展開していくような最大の努力をしていくということだと思います。

松野(頼)委員 民間企業では当たり前だと思うんですけれども、要は、五十兆の売り上げ、税収で、一千兆の借金というのは、ほとんど破綻状態なんですね。返せない状態です。民間企業ならばですよ。

 民間企業では、当然、こういう状態に陥ったときには、まず、役員の給料を下げる、役員の数を減らす、不採算部門を切る、採算部門を伸ばす、と同時に、システムの変更をする、こういう根本的な改善方法を試算を立ててやっていくというのが民間企業では当たり前の話ですね。国は全くそれができていないという状況です。ですから、国民の皆さんは、どこまで税金が上がっていくのか、どこまで自分たちの保険料や社会保障が切られていくのかということを心配するわけですよ。

 ですから、しっかりと、切るものは切る、そして返すものは返すという方向でぜひやっていただきたい、このことをまず冒頭申し上げて、その中で、今年度予算、約四・六兆が税収の上振れ分でできました。これはアベノミクスの果実であることは評価させていただきたいと思います。

 ただ、この税収でせっかく四・六兆上振れた分を、過去の債務に返済せずに、そのまま五・五兆の補正予算にしちゃっているわけですね。これでは、全く財政再建ができないじゃないですか。確かに、国債発行額四十四兆と言われていたものが四十一・数兆に減りました。ただ、減ったけれども、積み上げる数は少なくなったけれども、せっかく税収が上振れた分の四・六兆を補正予算でまた吐き出しちゃった、こういう状況なんです。

 そして、その補正予算、中身を言わせていただくと、また一兆円が公共事業です。けさの新聞に、各自治体の公共事業費、結局、消化できずに、自治体に財務省が繰り越しを催している。要は、使い切れていないんですね。

 ここで国交大臣に伺いたいのは、公共事業の執行率というのが今どれぐらいあるのか、教えていただけますか。

太田国務大臣 公共事業全体については財務大臣だと思いますが、国土交通省関係で申し上げますと、二十五年度当初予算がどれだけ消化されたというのは、十一月末現在、五九・五%ということでございます。

 最終的には、十二月、一月、かなりこれは契約ができていっているという状況だというふうに思っておりますし、例年でありますと、最終的に差金という部分もありますから、かなり消化はされているという認識です。

松野(頼)委員 では、財務大臣、繰越額は大体どれぐらいになるのか教えていただけますでしょうか、公共事業の。

麻生国務大臣 二十五年度の当初予算における公共事業の昨年十一月末時点における契約率、五八%。もちろん、今、また時間がたっていますから、大分契約率は高まっていると思いますが。

 二十六年度の当初予算における公共事業関係費が、前年度比で見かけ〇・七兆円増加になっているというところが一番問題なんだということを言われたいんだと思いますので、先に言いますと。

松野(頼)委員 要は、けさの新聞によると、三・八兆繰り越しているということなんですよ。三・八兆繰り越して、また今回、補正で一兆円積んで、本予算を合わせると約六兆円積んでいるわけですね。ですから、結局、緊急経済対策だといって公共事業をやっても、それがマーケットに流れていっていないんですよね。パイプが詰まっているんですよ。

 ですから、この状況を、まず、本当に公共事業が景気の対策になるのか、緊急経済対策になるのかということをぜひ考えていただきたい。もし御答弁いただければありがたいと思います。

麻生国務大臣 まず最初に、公共事業を積み増しても消化がされていないではないかということなんだと思いますけれども、基本的には、補正予算と本予算と、いろいろ、がちゃがちゃというか、重なっているようなところが幾つもありますので、少々混乱をされている面というのは、その新聞記事もそうなんですけれども。

 いわゆる五八%なんですけれども、その五八%の公共事業関係費は、前年度比では見かけ〇・七%の増加となっているんですけれども、今回の場合は、特別会計改革というのをやらせていただいていますので、今までは社会資本整備事業特別会計といったものを今度は一般会計にしておりますので、それで約〇・六兆円本予算の方に入ってきています。まず〇・七のうち〇・六はそれで、残り、消費税の引き上げの影響が〇・一ぐらいは間違いなくあろうと思いますので、それと合わせて考えれば、前年度比、ほぼ実質は横ばいということだというように御理解いただいておくのが一番わかりやすいかなと存じます。

松野(頼)委員 いや、私が言いたいのは、まだ去年の分が消化できていないのに、横ばいだとして予算をつけても、それがマーケットに流れていないんじゃないですかということを申し上げているんですよ。

 私の地元なんかでは、確かに仕事はある、ただ、例えば資材の高騰、人件費の高騰、人手不足によって、仕事はあるけれども容易に受注できない、下手にとると赤字になる、こういう話がもう蔓延しているんですね。

 ですから、そこの、まあ、これは財務省じゃないかもしれませんが、実際にこれがしっかりとマーケットに流れるような方向性というのをやはり考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。このことを指摘させていただきたいと思います。

 そして、今回のこの補正予算と本予算、補正予算で基金事業というのが四十九、これは補正予算のときに柿沢未途議員がここでも質問されていましたけれども、基金事業が四十九基金で一・二兆、本予算で四十八、四十六かもしれません、一・四兆という基金事業があります。合わせて二・六兆ですね。

 特に、補正予算、これは前に議論があったかもしれませんが、補正予算で緊急経済対策といいながら基金に積む。これは資料の一で配らせていただいていますが、財政法上、法律または契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算編成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出、こういうときに補正予算を組む。特に、今回、緊急経済対策だと銘打っているわけですから、即効性のあるお金を、それも四月の一日を待たずに、本予算が成立するまで待たずに、二月の頭に、緊急で補正予算を組む必要があるということで、補正予算を組まれたんだと思います。

 だけれども、緊急だと言いながら、時間をかけて使う基金に積むというのは、これは本末転倒じゃないかと思うんですけれども、もし今回の補正予算の意義、財務大臣、あったら教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 複数年度にわたります場合というのが話をかなり込み入らせることになるんだと思っておりますが、基本的には、まずは、補正予算を組む本来の目的は、四月から予想されます消費税の値上げに伴う需要減を補うためには、四月から政府の支出に伴います需要が喚起されることを期待せねばならぬ。

 そのためには、政府が予算を出しますのは、いわゆる地方の自治体、基本的に基金をつくったりするのは地方自治体ですから、その地方自治体は御存じのように三月がほぼ定例議会というか県議会がありますので、その県議会までに間に合っておかないと、三月末に予算ができました、はいと言っても、そのときにはもう定例議会は終わっていますから。そうすると、その前までに、つくります基金やら何やらは三月の県議会までにつくっておかないと、県議会はそれを執行する予算の立てようがありませんので。

 したがって、補正予算できちんとやらせていただきます、なるべく四月一日からすぐ施行できるようにしてもらいたいということが、結果として四月からの需要減に対応できるのではないかというのが一番大きな観点かと存じます。

松野(頼)委員 そこで、資料を配らせていただいている五枚目をぜひ見ていただきたいと思います。今回、補正予算及び本予算で組まれた基金のデータです。

 右側の欄に、二十六年度当初予算で組んだ基金、数字の一番左の欄が、二十四年度末で余っている残金というのがついているんですね。例えば、安心こども基金というのは、補正も本予算もついています。二十五年度の上から五番目ですね。補正予算で三十九億、二十六年度当初予算で百八十億。だけれども、ここには二百三十億も持っているんですよ、基金の使い残しを。

 こうやって、二十四年度末で残高を持っている各基金にさらに補正予算で、要は、二月から四月までの間、間に合わないからといって積んで、そしてまた、今度の当初予算で積んでいるんですね。

 要は、補正予算で基金を積むというこの感覚が、少しこれはおかしいんじゃないかと思うんですけれども、この配らせていただいた資料の表を見ていただいて、御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 一つの基金で複数の事業を実施するということに関しましては、これは財政法上別に問題ありませんので、その点は御理解いただいているんだと存じますけれども、少なくとも、基金もいろいろありますので、一つの例を引かせていただければ、例えば緊急人材育成・就職支援基金というのは複数の事業が行われておりますけれども、こういったものも補正予算とあれと両方あるんだと思いますけれども、そういったようなものを含めまして、私どもとしては、基本的に、必ずしも、前に使われている分は緊急に使っていただかないと、四月、六月に間に合いませんと。ただし、子供の育成基金等々は長期の話でもありますので、そういった形では、後半の本予算の分は、勘定科目はきちんと分けて使っていただきたいという話はきちんと要請をいたしております。

松野(頼)委員 ちょっと答弁の意味がよくわからないんですけれども、きょうは会計検査院に来ていただいています。

 例えば、平成二十年、二十一年、これは、二千五百十八の基金がつくられて、三・四兆の国費が投入されたんですね、その基金に。二十二年度末で、幾ら執行できないで国庫納付されたか、お答えいただけますか。

太田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院といたしましては、平成二十五年の十月に国会に御報告いたしておりますけれども、国庫補助金等により基金法人に設置造成された基金の状況を御報告しております。

 その中で、これはお答えになっているかどうかわかりませんけれども、平成二十年度から二十四年度までの間に国庫への返納があった基金につきましては、百六十基金、返納額は一兆……(松野(頼)委員「それじゃなくて、二十年、二十一年度、三・四兆のうち幾ら返金されたか」と呼ぶ)ちょっと手元に資料がございませんので……。

松野(頼)委員 きのう通告して、会計検査院と話して聞いた数字は二兆円というんですね。二兆円。三・四兆の国費が投入されて、二十二年度末、三月末で執行できなかった数字は二兆円というんですよ。

 では、今の、お答えになりそうになった、要はその二十年から二十四年、これは基金法人だけに限って、百六十基金で幾ら返納されたかを答えてくださいよ。それが二番目の、今答えた数字だと思います。

太田会計検査院当局者 大変失礼いたしました。

 ただいまの御質問でございますけれども、返納額は一兆五百十五億円となっております。

松野(頼)委員 要は、大臣、基金で積んでも使い切れないで、国庫返納がこれだけ行われているんですね。だから、緊急経済対策で基金を積んでも、補正予算の例えば五・五兆という大きな見かけ、それで結局使い切れないから基金に積む。基金に積んでも、さらに使い切れないから国庫返納されちゃうんですよ、多額の金額が。

 こういう状況なので、私は、緊急経済対策、特に補正予算を組んで基金を積むという、この数年のはやりかもしれませんが、これは経済対策に資さない、効果が薄い、このように指摘せざるを得ないんですけれども、その辺いかがでしょうか。

麻生国務大臣 基金が返金されるというところは、それは使い切らなかったところが問題なのではないかという御指摘なんだと思いますけれども、それはもう間違いなく問題だと私どもも存じますので、きちんとそういったものはその要求したものに応じて、一年間もありますといろいろ事態は変わるかもしれませんけれども、基本的にはきちんとした、勘定科目に上げた分に沿ってその基金もしくは予算が執行されるように努めなければならぬ。当然のことだと存じます。

松野(頼)委員 厚労大臣に、ちょっと個別の案件で聞きたいと思います。

 これも先日柿沢議員が質問していました。

 今回、緊急人材育成・就職支援基金、これは今言った補正予算の中の四十八のうちの一つです。中央職業能力開発協会に、要は、いわゆる基金法人に対して基金を積む事業なんです。

 資料の十二ページをごらんになってください。

 これは、補正になるとここに基金が積まれるんですね。平成二十一年、麻生内閣、このときが七千億円、この法人に積まれました。二十二年の九月、十一月、これも補正で約二千億ちょっと。二十三年十一月で二百三十五億。二十五年三月で六百億。今回、二百三十三億。これは不思議なことに、補正でしか積まれないんですよ、ここに。

 そして、ちょっと一ページめくってください。

 ここの収支決算書を見ると、最初に基金がつくられた麻生内閣のときなんですけれども、七千億円、基金が入りました。この十三ページの決算表の上の予算額のところに七千億と出てくるんですが、その下に運用収入というのがあるんですね。その下にも七千億と出てくるんですけれども、この七千億がこうやって出てくる理由を教えていただけますか。わからなければ事務方でも結構です。

田村国務大臣 ちょっと確認させていただいて、後ほど委員の方にこの点は御報告をさせていただきたいと思います。

松野(頼)委員 事務方はいませんか。(田村国務大臣「通告していないでしょう」と呼ぶ)いや、しています。

 では、後で結構ですが、要は、説明だと、使い切れなかったので一瞬運用に回しましたというんですよ。だから、運用益がここに出ているんですよ。

 要は、七千億、緊急経済対策だといって積んで、すぐに使えなかったから一回基金に戻して、その間の運用益が現に三億六千万出ているんですね。これは、基金事業として、緊急経済対策と言えるんだろうか。

田村国務大臣 これは、今確認しましたら、七千億積んで、それが、そのまま基金に入れたという意味での七千億ということでございますから、何ら、この部分に関しましては、そのまま七千億を計上した。

 ただ、ここについている三億五千四百万ですか、これに関しては、おっしゃるとおり、運用の部分で出てきた数字だということで、七千三億五千四百万というような数字が出ておるということであります。

松野(頼)委員 これは、事業仕分けで約三千五百億を一回返しているんですよね。要は、ここはずっと、一回積んでは使い切れずに返す、こういうのが繰り返されているんですね。

 資料の十五ページを見てください。

 これは朝日新聞に出ていた記事ですけれども、七千億積んで、一回三千五百三十三億を国に返還、二百九億使用。そうすると、三千二百六十二億積んであるんです。それで、次の年に、また追加の補正予算で二千百十五億積まれて、千三百六十億円を使用して、四千十九億がまた残っている。そして、一二年の二月の補正予算で二百三十五億が追加されて、二千二百七十六億が使われて、千九百八十一億円が残っている。さらにまた六百億積まれて、三百十六億を使用されて、一二年度末に二千二百六十六億残っている。そこにまた今回、二百三十三億積むんですよ。

 この使い方をどう思いますか。茂木大臣は笑っていらっしゃいますけれども、ちょっとひどくないですか、これは。

田村国務大臣 まず、安心こども基金の方の話から若干させていただきますが、それは、待機児童解消加速化プランをスタートさせていただいておりますので、そういう意味では、必要な分といたしまして、今般、計上させていただきました。

 今回のこの基金の話でありますけれども、こちらは、御指摘もございまして、会計検査院からもいろいろと御指摘をいただきました。結果、この二十五年末で七百八十一億円、これを返納させていただきました。残り、まだ五百億円残っておるんですが、これは今年度中に使い切るという見込みでございます。

 もし残れば、もちろん今年度中にまたこれを返納という話になりますけれども、二百三十三億円さらに補正で上げておりますのは、新しい事業も含めて今般積ませていただいておるということでございますから、もう使う見込みのないものは返納させていただいて、今までの反省も踏まえて、二百三十三億円、これは新しい事業として組ませていただいておるということでございまして、御理解いただければと思います。

松野(頼)委員 会計検査院、ここも指摘していますよね。この中央職業能力開発協会に指摘した事項を答弁ください。

太田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 平成二十五年十月に国会に報告しております「国庫補助金等により基金法人に設置造成された基金の状況について」におきまして、中央職業能力開発協会に係る報告事項の概要でございますけれども、厚生労働省から交付金の交付を受けて中央職業能力開発協会に設置造成された緊急人材育成・就職支援基金につきまして、新規申請の受け付けが終了していたのに、基金の取り扱いを検討しておらず、開発協会が使用見込みのない額を保有し続けていたもの、基金の終了後に残額が生じた場合には国直轄の事業であります求職者支援制度の財源として活用することとされておりましたが、活用されることなく、開発協会が保有し続ける状況となっていたもの、及び、基金の支給見込み額が基金保有額を上回っている一方で、他の事業に配分変更しておりまして、基金の管理が適切に行われていない状況となっているものを事例として掲記しております。

松野(頼)委員 大臣、こうやって指摘されているんですよ。

 さらに、資料をもう一枚めくってください、十六。

 これは、反社会的勢力に求職支援を悪用と、新聞記事にもなっているんですけれども、この求職支援をだまし取られているんですね。要は管理がずさんなんですよ、会計検査院が指摘されているように。私は、さらにここに二百三十三億も基金を積む必要があるのか、疑問でなりません。

 そして、もう時間がありませんので、総理、この四月の一日、四月から消費税が上がります。国民感情としては、国民には、きょうやろうとしましたけれども、さまざまなこの四月からの負担増というものが、次のページ、十七につけてありますけれども、負担がふえています。そういう状況の中で、国民感情としては、無駄な金は使わないでもらいたい、少しでも財政をよくして税金が上がらない状況をつくってもらいたい、これが多くの国民の願いではないかと思います。

 やはり、景気対策も必要かもしれませんが、もし無駄な支出があるとすれば、徹底的にここには切り込む。そして、税収増だけを見込むのではなくて、歳出の削減をすることによってプライマリーバランスの均衡というのも考えるのと同時に、過去に国が発行した国の借金というものを、もし税収が上振れて増収分があるならば、それは少しでも早く返済をして、増税しなくてもいいような形を少しでも早くとってもらいたい。

 これが望みだと思うんですけれども、ぜひ最後に御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私ども、先ほど甘利大臣からも答弁をさせていただきましたが、財政の健全化を目指して、まずは税収増を図っていく、同時に、当然無駄遣いは厳に慎んでいくということでございます。

 今般の補正予算については、普通であれば、税収が上振れた段階においてはなるべく借金返しに使っていきますが、ことしは、今年度は、四月から消費税を引き上げる中において、この反動減を緩和していかなければ成長軌道に戻れないという大きな問題があるわけでありますし、デフレ脱却にも支障を来す。こうなれば、もともと目指している財政健全化にも大きなマイナスが出てくるということで、今回は五・五兆円、マクロ的に五・五兆円ぐらいは必要だろうということをはじき出したわけでありますが、その中において、厳に無駄遣いを慎んでいく。

 昨年の秋のレビューで指摘された点等は常に念頭に置きながら、執行その他において十分注意を払っていきたい、このように思いますし、最初に松野委員から御指摘があったように、いわば、まさに反動減に対する緩和に資するものでなければいけないということでありまして、執行についてはできるだけ、全体の執行、最初に公共事業で指摘をいただきましたが、そういう執行についても、しっかりと我々はスムーズな執行に心がけていきたい。同時に、先ほど申し上げましたように、無駄遣いは厳に慎んでいきたい、このように考えております。

松野(頼)委員 終わります。ありがとうございました。

二階委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、中山成彬君から関連質疑の申し出があります。石原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中山成彬君。

中山(成)委員 日本維新の会の中山成彬でございます。

 午前中に引き続きまして、質問させていただきたいと思います。

 予算委員会ですから、最初、経済の話から入ろうかなと思っていたんですけれども、きのう、韓国の女性家族省、政府が、要するに、日本軍による従軍慰安婦、これを、従軍慰安婦と称する人が初めて手を挙げたとき、八月十四日を従軍慰安婦の日と決める、そして世界じゅうに日本の非を広める、さらに、ユネスコの世界記憶遺産、これに登録申請する、こういう情報に接しまして、とんでもないと、怒りを込めまして、まず、このいわゆる従軍慰安婦の問題、それにまつわります河野官房長官談話について質問させていただきたいと思っております。

 午前中も同僚議員が、アメリカにおきまして、いわゆる慰安婦と称する少女の像とか碑があちこちに建てられていると。それから、総理も御承知のように、あちこちの議会で、慰安婦に対して、日本を非難する決議が出ているわけですね。

 それから、一月の末でしたか、アメリカの下院議員三名が、ケリー国務長官に、日本に謝罪するように働きかけるような、そういう書簡を送ったと。その書簡によりますと、日本軍は作り話で女性を招き寄せ、売春を強要して軍に奉仕させた、誘拐することさえあったと、日本軍による強制を決めつけているわけですね。

 また、これも大問題だと思うんですけれども、フランスのアングレームで開かれました非常に有名な国際漫画祭、これでいわゆる従軍慰安婦と称する漫画がいっぱい展示されました。私は週刊誌でしか知りませんが、その写真を見ますと、まあ荒唐無稽、日本人を犬に仕立てまして、本当にひどい漫画の内容になっているわけですね。これを見たフランスの人たちは、あるいは世界じゅうから来ているわけですけれども、やはり信じてしまうんですね、これを。ひどい国だ、日本はと。

 これに対して、フランスの日本の大使館は何と言っているか。いや、もう日本は何度も謝罪しているんだ、そして見舞金も出している、こういうことで一生懸命弁明に努めているんですけれども、謝罪しているということは、認めたことになるわけですね。

 私は、安倍総理と一緒に、自民党で、日本の前途と歴史教育を考える議員の会で、この問題をずっとやってまいりました。よくよく御存じのことでございますけれども、要するに、韓国によるジャパン・ディスカウント戦略といいますか、日本をおとしめよう、おとしめよう、こういう運動に対してどのように考えていらっしゃるか、まずお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 基本的には、もちろん韓国というのは日本にとって極めて重要な隣国でありますし、日韓の友好な関係をつくり出していくために努力をしていきたい、このように考えておりますが、同時に、事実でないことに対する広報活動がもし行われているとすれば、これは民間の活動が主な活動なんだろうと思いますが、というものに対しては、しっかりと政府としても、事実でもって反論していくことが大切ではないか、このように思います。

 政府の立場は従来から述べてきたとおりでありますが、今後とも私たちは、基本的に礼儀正しく、謙虚に、かつ冷静に、そして、事実は事実として、我々で反論すべきものは反論していくべきなんだろう、このように考えております。

中山(成)委員 アメリカで、いわゆるコリアン・アメリカンというんですか、かなりの人がおりますし、力を持っているので、この人たちが、例えば教科書に日本海と併記して東海と書かせろとか、あるいは、何でも、日本が発祥なのに、オリジナルと称して、韓国が最初なんだと。これは笑って済ませてもいいのかもしれませんけれども、事この従軍慰安婦、日本の官憲が強制的に、韓国、朝鮮の女性を強制連行して慰安婦に仕立てた、これはとんでもない誤解、間違いであります。

 去年の三月の八日、私はそのことを、ここでパネルを使って、要するに従軍慰安婦というのはいなかったんだということをはっきり証明いたしました、第一次資料を使って。ですから、それを見られた方はそうだとわかっていらっしゃるんですけれども、そうじゃない方がいっぱいあるわけですね。

 これを考えますと、私、福沢諭吉さんは偉かったと思うんですけれども、もう朝鮮半島を相手にするな、脱亜入欧ということを明治の初めに言っておられるんですけれども、ずっとそういうことが続いている。

 安倍総理はいつも、韓国に対しては、対話の窓口は開いていますよ、いつでも対話に応じますよ、こう言っておられますけれども、こういう状態の中で日韓の首脳が会談することに日本の国民は納得できないと思いますけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、間違った事実を並べて日本を誹謗中傷していることに対しては、しっかりと事実をもって、冷静にかつ礼儀正しく反論していかなければならない、このように思っております。

 一方、韓国は日本の隣国である、極めて重要な隣国であると言ってもいいんだろうと思います。いろいろな課題があるからこそ、私は、首脳間の交流を、意見交換をすべきではないか、こう考えているところでありますし、誤解がもしあるとするならば、その場で解いていく努力もしていきたいと考えております。

 日本は、対話のドアは開いておりますし、我々もむしろ、ドアの中に閉じこもっているというよりも、対話に応じるようにこちらからも働きかけを行っているわけでございますが、残念ながら、まだ先方が日本と同じ態度をとっていない状況であるということでございます。

中山(成)委員 やはりこの問題は、日本の外交の失敗というか、その場しのぎその場しのぎできたことが、そのツケが今回ってきていると思うんですよ。

 幾ら在外公館が抗議して釈明しても、河野官房長官談話がある限り、これも、私はあれを読んで、はっきり認めたわけじゃないんですね。だけれども、いや、認めた認めたといって韓国はやっているわけでございます。やはり、この河野官房長官談話を見直すというか撤回しない限り、もとを絶たない限り、この問題は根絶やしにならない、私はそう思って、いろいろと活動しているわけです。

 昨年末も、いわゆる従軍慰安婦と称する女性たちの聞き取り調査をした文書がある、一部新聞等に出ましたので、ぜひどうか開示してくれということで実は内閣府の方にお願いしたんですけれども、だめだということでした、個人情報にかかわるからと。

 しかし、あれを見ますと、個人の名前もでたらめ、生年月日もでたらめですよね。一体、個人情報として保護するほどの価値があるのか。

 逆に、あのとき韓国側は、強制連行という言葉を入れればもう後は問題にしないから、こういうことだったのに、すっかりだまされてしまったんですね。そのことが一番の問題なんです。

 官房長官、あれは出してもらえなかったんですけれども、どうですか、名前と生年月日を伏せて出したら、個人情報じゃなくなるんじゃないですか。お答えください。

菅国務大臣 元慰安婦に対して行った聞き取り調査の結果については、特定の個人を識別することができる情報を記録していること、また、非公開を前提として行った聞き取りに基づいていることから、その内容については公表しないという形にさせていただいています。

中山(成)委員 ですから、名前を伏せて生年月日を伏せたら誰かわからぬわけですから、事実だけが明らかになるということで、私はぜひ、これは開示してもらいたい。

 総理がきのう、建国記念日でメッセージを出された、すばらしいことだと思います。私は、ぜひこの建国記念日に政府主催の式典をやってもらいたい。お願いいたします。

 しかし、その中で述べられた、先人の名誉といいますか、先人の努力に対して敬意を表する、こういうふうな文言がありましたけれども、この問題は先人の名誉を汚しているわけですね。それだけじゃありません。これからずっと、日本の子供たちはこの中で生きていかなきゃいかぬわけですね、セックススレーブにした親の子供たちであると。

 これはやはり大問題だと私は思うわけで、河野官房長官談話を一体どういうふうにして作成されたのか。いろいろな話は漏れ伝わってきますけれども、河野官房長官、それから当時の石原官房副長官、そして谷野外政審議室長、この三人を呼びまして、歴史問題に関する集中審議をぜひやっていただきたい。そして、日本人の汚名を晴らすような、そういうことをぜひやってもらいたい。委員長、ぜひともよろしくお願いいたします。

二階委員長 後刻、理事会で協議いたします。

中山(成)委員 一生懸命、維新の会はその招致をお願いしているんですけれども、国会議員OBの招致をするのは前例がないということで断られているんですけれども、これほど日本人の名誉にかかわる、日本民族の名誉にかかわる問題ですよ。河野官房長官というのは、特に、一番の国家褒章を受けた方でしょう。私は、お呼びすれば必ず出てきて説明していただけると思うので、ぜひ理事会の方でも取り上げていただきたい、心からお願い申し上げます。よろしいですか。

二階委員長 理事会で協議します。

中山(成)委員 お願いいたします。

 そこで、本題に入るといいますか、安倍内閣の政治姿勢についてお聞きしたいと思うんです。

 この本予算の冒頭に、御党の野田総務会長が、自民党は衆参ともに多数をとらせていただいたけれども、傲慢にならず謙虚にやっていかないかぬ、もうそのとおりだと私は思いました。いいことを言われるなと思って聞いていましたが、しかし、やっておられることを見ていますと、本当にそうなのかなと疑問に思うことがございます。

 先月の一月十九日でした、辺野古のある名護の市長選挙がありました。普天間基地の移転をめぐって、沖縄の自民党県連は、反対だったのを強引に賛成に押し切って、そして、島袋前市長がもう出馬を表明しているのに、現職県議の末松さんを出した。強引に島袋さんをおろしたわけであります。

 そしてまた、選挙戦になりまして、どうも不利だというふうな話があったとき、御党の石破幹事長が乗り込みまして、末松氏が通れば名護市に五百億円の振興基金をつくる、こういうふうに言われたんですね。ところが、落選したら、やめたということですね。

 麻生財務大臣、事前にこの五百億円の話はあったんですか。

麻生国務大臣 五百億円の名護振興基金について、私は事前に直接お話を伺ったことはありません。ただ、自民党側が政府と意見交換ということで、その中で、この構想について伝えられていたということは承知しております。

中山(成)委員 沖縄の県民、名護市の市民の方の立場に立てば、まるでこれは札束でほっぺたをひっぱたかれたみたいなものですよ。沖縄の方々にもプライドがあるんですね。中には、日本の防衛のために移転はやむを得ないなと思っている人たちもいるんですけれども、お金で動いたということになったら、これはやはり、とても賛同できないという方もたくさんいたんじゃないかと思うんですね。

 まるで、五百億円というお金を自分のポケットマネーみたいに考えている、これはやはり、私は、傲慢というかおごりじゃないか、このように思う。ひとつ、野田総務会長が言われたように、謙虚にやってもらいたいなと心からお願い申し上げる次第でございます。

 私どもは、先週成立しました補正予算に反対をいたしました。反対の理由については、先ほどもお話がありましたけれども、これは去年の秋のレビューで否認されたものがまた復活したじゃないか、あるいは、科学技術振興機構に基金を積む。私は前から、補正予算については、財政規律を緩めるから反対とずっと言ってきましたけれども、今回は消費税の導入に伴うショックを和らげるということでしようがないかなという思いもあるんです。しかし、この基金というのは、見ますと、平成三十一年までずっと支出される、こういう予算。やはり、そういう意味で即効性という意味もないわけですから、問題だと思います。

 しかし、私は、さらに問題にしたいのは、二十四年度予算で国債の利払い費に充てるために計上された予算がありました。これが、金利が思った以上に高くならなかったから、余った一兆三千億円、これを補正予算の原資にしているんですね。

 考えていただきたいと思うんですけれども、一般の家庭で例えば住宅ローンを組みます。そして、その金利が思ったより下がった、その差は何かに使いますか。私は、一刻も早くローンを返済するためにローンの返済に充てるのが普通じゃないか。国の財政においても、やはり、積み上がった国債ですよ、一千兆円を超えているけれども、その中の一兆円かもしれないけれども、できるだけこの国債残高は未来の子供たちのために減らしていくんだ、そういう姿勢が私は必要じゃないか、このように思います。

 個人的なことを申し上げて恐縮ですけれども、私は若いころ、税務署と国税局に三年間勤務しておりました。納税者と直接接する、そういう職場だったんですけれども、特に大企業の反面調査で中小企業の経営者のところを回りますと、夏は暑い中で汗をかきながら、冬もまた真っ黒になって働いていらっしゃる。税金を納めるために皆さん方は本当に苦労されているんだなということを身をもって体感しました。また、そういう仕事に携わっている税務署の職員というのも本当に御苦労さんな仕事だな、こう思うんです。

 そういう意味で、この税金というのは、そういった納税者の、私は血税という言葉は嫌いですけれども、やはり汗と涙の税ではないか、そういうことをしっかり考えた上で、一円たりとも無駄にしない、そういう思いで、予算を組む方、予算を使う人たちもやってもらいたいなと心からお願いする次第でございます。

 さて、そういうことは前置きですけれども、私は今、日本の経済を考えた場合、非常に心配になります。この図にありますけれども、特に貿易収支が急激に悪化しているわけです。所得収支が何とかそれをカバーしていますが、日本の産業構造が変わりつつあるんじゃないか。

 私は、もう二十年以上前から、産業の空洞化、日本の企業がどんどん海外に出ていってしまう、この問題を指摘してまいりましたが、この二十年にわたるデフレ、円高の中で、日本のまさに貿易で稼いでくれていた企業がどんどん海外に行ってしまっていることが大きな問題じゃないか、こう思います。

 昭和四十年ごろ、このころは外貨準備が十億、二十億ドル台でした。ですから、ちょっと景気がよくなるとすぐ国際収支の天井にぶつかりまして、それで金融引き締めをしなきゃいけない、そういう時代がずっと続いたんです。今はそれが年一兆二千億ドル以上になっている。四十年余りで、ばあっとふえてきた。しかし、四十年でこんなにふえてきたということは、逆に、だあっと下がっていく心配もしなきゃいかぬわけであります。

 この産業構造の変化、これからどういった産業、どういった企業で日本の外貨を稼ぐか。今、一生懸命、アベノミクスで成長戦略をやっておられますけれども、特に国際競争力を高めるという意味で、甘利大臣、どういうことをお考えか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

甘利国務大臣 本来なら貿易立国の日本が、貿易赤字に苦しんでいるということは、ゆゆしき事態であります。しかも、それが拡大をしている。

 事の発端は、原発全停止によって追加の原油や天然ガスを輸入する、それが発端でありますけれども、それに加えて、円安で輸出が伸びるはずのところが、思うように伸びていかない。それには幾つかの理由があるとこの予算委員会でも申し上げましたけれども、やはり根本原因は、競争力が落ちているということだと思います。

 でありますから、安倍政権の成長戦略におきましては、各分野の競争力を引き上げていくということと、それから、新たなフロンティアをつくっていく、開拓していくということであります。そのフロンティアの設定の仕方は、日本が抱えている社会課題を逆手にとってフロンティアにしていこうと。

 例えば、少子高齢化の将来像というのは元気のない社会というふうに普通ならなってしまうけれども、しかし、そこをフロンティアと捉えれば、健康長寿社会をつくっていくんだ、そのためにライフサイエンスの分野で技術革新を起こしていく。制度でも、安心の制度をつくっていって、通常なら、ある一定年齢になったらリタイアということになるのですけれども、高齢者の方にも、あるいは女性にも、それから若者も、最大限経済活動に参入していく、そういう社会システムを考える。

 技術開発あるいは先端技術開発を通じて新たなフロンティアをつくり、競争力を引き上げる。研究開発投資とか設備投資をふやしていく、そのための環境整備をしていくということを通じて、競争力をつけていく。そして、地方においても、一次産業を成長産業としていく。

 もろもろの努力を通じて、競争力をつけ、輸出力をつけていくということを考えております。

    〔委員長退席、上杉委員長代理着席〕

中山(成)委員 日本は賃金が高いですから。それで、追っかける方は強いんですよね。だから、常に新興国よりも先に先に走っていかないかぬ。非常に厳しいと思いますけれども、ずっと科学技術創造立国で一生懸命やってこられた甘利さんですから間違いないと思いますけれども、これから何で稼いでいくんだということはやはり深刻に考えていかないかぬ、そのように思っているところでございます。

 ところで、日本の借金、GDPの二倍以上になっているわけですけれども、これが余り問題になっていない。これはなぜかといえば、個人金融資産が潤沢にあるからであります。しかし、これも皆さん、この図を見ていただくとわかりますけれども、個人金融資産と、それから国、地方の借金、だんだんだんだんと縮まってきているわけですね。今は、計算しますと約四百五十兆ぐらいですよ。毎年四、五十兆ずつ借金がずっといくと、十年間ですき間がなくなってしまうんですけれども、その前に、やはり私は、世界の余剰資金といいますか、ハゲタカファンドは黙っていないと思うんですね。弱いところを見れば、この前のアルゼンチンみたいに、ばっと押し寄せるわけですけれども、一体これから日本はどうなっていくんだろうか。

 黒田日銀総裁、来ていらっしゃいますか。

 私、異次元の金融緩和は大賛成でありますけれども、これから一体、この中で、日本の金融市場は海外からどのように見られることになるんだろうかなという見通しを聞かせていただきたいと思います。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、政府債務残高のGDP比が二〇〇%を超えるという極めて高い水準に達しているわけですが、これまでのところは、国債市場は安定をしており、財政運営に対する市場の信認は維持されていると思いますが、仮に万が一、それが国内の投資家から来るのか、あるいは御指摘のような海外の投資家から来るのかわかりませんが、市場で財政の持続性に対する懸念が生じた場合には、国債保有に関するリスクプレミアムが上昇して、金利が上昇してしまうということになり、我が国の経済に悪影響を及ぼす可能性がある、懸念があるというふうには思います。

 こうした事態にならないように、持続可能な財政構造を確立するということが日本経済の持続的成長のために不可欠でございますので、この点は国全体として取り組むべき課題であるというふうに思っております。

 この点、政府は、例の中期財政計画という形で、財政健全化に向けた数値目標を提示しておられまして、二〇一五年度までにいわゆるプライマリーデフィシットといいますか、基礎的財政赤字を半減する、二〇二〇年までにこれをなくするという目標を立てておられまして、それに向けて取り組みを行っておられますが、日本銀行としては、ぜひこういった財政健全化に向けた取り組みをしっかりやっていただいて、それが着実に進んでいくということを強く期待しております。

中山(成)委員 まさに、財政再建待ったなし。そういう意味でも、財政規律をしっかり守っていただきたいということがお願いでございます。

 黒田総裁といいますと、今からもう四十年近く前になりますけれども、ワシントンで、私は世界銀行、黒田さんは、家内と一緒にIMFの日本理事室におられた。私どもは、どっちかというと、ゴルフをしたり、マージャンしたり、酒を飲んだり、遊んでばかりおりましたけれども、彼は、その誘惑に負けないで、本当に勉強ばかりしておりました。そして、いろいろな方々との交流を深めている。ああ、この人は我々と違うなと思っていたんですけれども、やはり違ったな、こう思います。

 特に私は、彼の人脈といいますか、国際金融界における人脈を十分活用していただいて、日本が本当に異次元の金融緩和をやっていますけれども、これは決して日本だけのためではないんだ、日本の経済が発展するということは世界経済のためになるんだ、こういうことをぜひPRしていただきたい。安倍総理も本当に世界じゅうを回っておられますけれども、どうぞ黒田総裁、負けないように世界を回って、あなたの人脈を使って、日本の立場というものを説明していただきたい。

 きょうはもういいですから、どうぞお帰りください。ありがとうございました。

 さて、これから要望というかお願いに入りますけれども、昨年の予算委員会で、私は、交際費課税、ぜひぜひもっともっと軽減してくれ、こういうことを申し上げました。去年は中小企業に対しての軽減をしていただきましたが、ことしを見ますと、大企業についても飲食について五〇%は損金算入するよと。さすが経済がわかっている麻生財務大臣、こう思いました。

 やはり今、何が問題かというと、需要不足なんですね。個人消費を含めて、飲み食いといいますけれども、やはりそれも一つの文化。和食が今度世界遺産になりましたけれども、日本の和食をもっと広めるためにも、もっともっと、食べること、食の文化というのを進める意味でも、今回のことはすばらしい決断だったなと改めて敬意を表します。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 ということで、もう一つ、去年私がお願い申し上げましたのが、太田国交大臣に、要するに、内需を振興するために、防災マンションというアイデアはどうかなということを申し上げました。

 今、東北の震災復旧、地盤の底上げとか、堤防をつくっている。これも、必要なところがあるかもしれませんが、千年に一回しか来ないかもしれない津波のために高い堤防をつくる、これも景観とか、住むだけでも息苦しくなるわけで、あるいはまた防災タワーという話もありますけれども、これも津波が来なかったら無用の長物になるわけです。

 そういう意味では、日ごろ人々が住みながら、いざというときには近隣の方々を救助するといいますか、避難してもらう、そういう意味で、いわゆる防災マンションの構想を提案したんですが、これも、ある意味では、そういうような津波が来るかもしれないところにマンションをつくるというのは、かえって被害が大きくなる可能性もあるじゃないかという話もあるんです。

 しかし、今度の東京都知事になられた舛添さんが言っておられました。下町の方に行きますと、住宅密集地、これをどうするかという話があるんですね。そういうときに、やはり地域の人たちが相談して、では、高いマンションをつくってそこに一緒に住むようにしようじゃないかとか、いろいろなアイデアが出てくると思うので、ぜひそういったところも検討を進めていただきたい。お願いいたします。

 もう一つ、これは地元からのお願いなんですけれども、いわゆる東南海関係の特措法で、支援についてですけれども、病院とか福祉施設、いわゆる公共施設の高台移転につきましては、集団移転事業とセットでなければ財政支援が受けられないということになっているらしいですね。

 ですから、財政の厳しい地方においてはなかなかそれは困難だ、高台に移転したい公共施設があっても移転が進まないということがあるものですから、ひとつ太田大臣、そういうふうな意味で、集団移転と一緒じゃなくても、公立病院など単独でも移転できるような、そういう補助制度をつくっていただきたいと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 昨年も御指摘いただきまして、今、南海トラフの地震等につきましては、今ありました防災タワーをつくる、それも、住まないというよりは、日ごろは公民館のように使うような工夫をされたり、あるいは命の山ということで山を削っていくとか、高速道路に階段をつけるとか、防潮堤あるいは堤防等ももちろんでありますが、やっている中で、先生御指摘のように、まさに民間が日常的にできるということで、防災ということ、あわせて津波対策もできるという防災、津波マンションということは極めて重要な課題だというふうに思っておりました。

 そこで、津波避難ビルを民間が建てる場合について、国としまして、費用を助成し、支援を行っているという状況にございます。具体的には、外づけの階段、あるいは避難スペース、備蓄倉庫、自家発電設備、共用の廊下などの整備費に対して、社会資本整備総合交付金によって支援をするということをさせていただいております。

 また、津波避難ビルの備蓄倉庫等については容積率を緩和するというような措置もとらせていただいて、この一年で、要望とか問い合わせが非常に多くなっています。具体的には、先生の宮崎の日南、そして高知の高知市、そこでは具体的に着工ということになっているわけですが、これは拡大すると思いますし、また、そうして経済効果も含めて支援をしたいというふうに思っております。

 病院等については、公共的なものについては、耐震化の促進ということで、昨年、耐震改修促進法ということをやらせていただきましたが、高台に大きく移るとかそういうときについてはまだ検討中ということでありますが、先生の御指摘を受けて、検討させていただきたいというふうに思います。

中山(成)委員 ありがとうございます。

 宮崎市の方からもそういう話が出てくると思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、農政とTPPについてお聞きしたいのでございます。

 私は、最初に役所に入りましたとき、一番最初にやらされた仕事が、バナナの関税を下げるための資料づくりでございました。毎日図書館にこもって、ずっと戦後のバナナの市況を調べたことを思い出しますが、当時、バナナの関税は七〇%ぐらいで、非常に高かったですね。今、随分安くなりまして、関税割り当てと季節関税を組み合わせていますから、随分バナナの価格は安くなりました。

 そのころから、日本のいわゆる関税交渉、ガット・ウルグアイ・ラウンドとかケネディ・ラウンドとかを見てまいりました。日本は、やはり自由貿易が国是でございますから、ほかの国に率先して関税を下げてきたという経緯もございまして、私は、日本の関税というのは、特に工業品については世界に比べて安いな、そういう感想を持っております。

 そこで、TPPの交渉が今進んでいるわけですけれども、その交渉の過程が明らかにされないということで、国民の中に不安と不満がたまっているような気がするんです。

 今度、二十二日からまた会談が開かれるという話ですけれども、オバマ大統領が四月の末に来るというふうなことで、それを期限にして、何とかそれまでにまとめたいと日本政府も思っていらっしゃるでしょうし、向こうもそう思っているかもしれません。しかし、アメリカは、この秋に中間選挙が待っているものですから、一括して交渉の内容を承認してもらうTPA法案、これも労働組合のいろいろな反対もありますから、先行きどうなるかわからない。その中で、これは交渉事ですから、ぜひ日本の国益というのを守ってもらいたい、こう思うんですね。

 よくこのTPPについて、東南アジアの成長力を取り込むんだ、こういう話、それはそれで納得いくんですけれども、しかし、アメリカとのバイの交渉で、アメリカに何を一体日本は求めているのか。自動車につきましても、もう既に、普通車は二・五%、トラックは二五%という関税を、TPPの交渉に入る前にもう決めてしまったわけですけれども、一体日本は今アメリカに何を求めているのか。お答えいただきたいと思います。

甘利国務大臣 TPPは、御案内のとおり、従来の自由貿易協定を、深さも、それから幅も広げる、恐らく世界初と言っていい交渉事であります。日本は、御案内のとおり、工業製品についてはほぼ関税がゼロ、しかし、農産品の一部については関税で国内産業を守っているというところであります。加えて、TPPの特徴は、ルール分野について、WTOよりもさらに踏み込んだ深さと幅を持っているということであります。

 でありますから、もちろん、工業製品で日本はほとんど障害をなくしている。参加国の中には、アメリカの自動車を初め、工業製品の関税障壁が残っているわけであります。

 あわせて、非関税の部分、ルールの部分につきましても、日本としてはかなり優位に立てる分野でありますから、海外の投資について、国内資本と海外資本との差別をしない、あるいは政府調達について、日本同様に対外資本に対して開放していく、あるいは、知財についても共通なルールをつくっていくということ等々、ルールの分野においても日本が要求するものは多々あると思っておりますし、そして、工業製品についても日本並みにアクセスをよくするということは要求をしているところであります。

 もちろん、先方からは、日本の農産品についての関税障壁あるいは非関税障壁を下げてほしいという要求は受けております。

中山(成)委員 どうも、日本にとってプラスなのかマイナスなのかよくわからないんですけれども、最低限、オバマ大統領が来るときまでに決着をつけなきゃいけないんだということで、やる必要のない妥協はしないでいただきたい。交渉というのはやはり国益と国益の闘いですから、そのことを念頭にやっていただきたいと思っております。

 きょうも、実は、日比谷公園に地方からたくさんの農家の青年たちが集まっていますよ。TPP交渉で、いわゆる聖域五品目と言われました農産物が一体どうなっていくんだろうかと大変心配しております。

 自民党は公約で、この五品目は必ず守るんだ、こういうことだったんですけれども、調製品とか加工品という名目のもので少しずつ削っていこう、そういう気配があるんですけれども、私は、頑丈なダムも、ちょっとしたモグラの一穴からわあっと壊れていく、そういったこともあるわけで、そういう意味で、日本の農業を守るというしっかりとした観点から、下手に変なところを削らないようにということをぜひお願いしたい。

 いつも安倍総理が言われるように、日本の美しい農村風景、これはもう絶対に守っていかなきゃいかぬということを念頭にお願いしたいと思うんです。

 そこにつきまして、私、非常に心配していますのは、減反の政策の廃止ということが来たんですね。稲作をやめて飼料作物をつくれば補助金が出ますよということなんですけれども、畜産の価格が、畜産の関税率が下がればどうなるかということで、畜産農家も、それから米づくりの農家も本当に実は戸惑っているんですね。

 そしてまた、御承知だと思うんですけれども、今、地方では豚の流行性の下痢が拡大しています。また、近隣諸国では口蹄疫とか鳥インフルエンザというのが多発していまして、本当に農家の方というのは心配で心配で夜も眠れないという感じもあるんですけれども、安倍総理、この聖域五品目だけは必ず守る、そういう強い決意をお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私どもも、さきの選挙でお約束をしているわけでございますが、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、TPP交渉には反対をするということでありました。同時に、これはJ―ファイルの方で、五品目について守っていくということが書かれているわけでありますが、いずれにせよ、衆参両院の農林水産委員会において決議がなされております。この決議をしっかりと体して、国益を守るための交渉を続けていきたい、このように思っております。

中山(成)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 林大臣にお聞きしたいんですけれども、職業柄、日本をあちこち回っているんですよ、北海道から沖縄まで。北海道に行きますと、広い畑に、畜産とか、野菜とかがいっぱいつくってあります。東北に行きますと、どこで減反しているんだろうかと思うぐらい、ずっと青い水田が広がっているんです。宮崎に帰りますと、もう半分近く減反ですよ。そのかわり畜産とか園芸でやっているということで、日本の農政というのは一律じゃいけないんじゃないか、こういうことをつくづく感じるんですね。

 農政こそ、権限とお金を地方に渡す、地方分権が必要な分野じゃないかと思うんですけれども、農林大臣の見解をお聞きしたいと思います。

林国務大臣 中山先生もおっしゃるとおりでございまして、我が国の国土は南北に非常に長くて、今おっしゃっていただいたように、北海道と九州を比べただけでも、地理的条件、気象条件が異なっておるということは一目瞭然でございまして、したがって、稲作、畑作、施設園芸、果樹、酪農、それぞれ地域の特性を生かした多様な農業が営まれておるわけでございます。

 したがって、安倍政権の農政のグランドデザインとなる農林水産業・地域の活力創造プラン、去年の十二月にまとめさせていただきましたが、まず、その施策をつくるときに、それぞれの地域でうまくいっている例と先進的な取り組みを、現場の宝ということで把握をしまして、これを、施策を展開する上で基礎と位置づけまして、そして、この本部で農林漁業者から直接意見を聞かせていただいたわけでございます。

 今御指摘のあった、米政策の見直しも含む一連の新農政と言われているものでございますが、主食用米偏重ということではなくて、麦、大豆、餌米、需要のある作物、これは、残念ながら主食用米が毎年八万トンずつぐらい需要が減っているものですから、農業者みずからに判断をしていただいて、何が一番需要のある作物かということを選択していただくということと、まさに今、中山先生がおっしゃっていただきましたように、地域の特色ある作物生産を支援するために、地域の裁量で活用可能な産地交付金、これを拡大することといたしまして、地域の実態に応じた生産や独自の取り組みを支援していきたい、こう考えておるところでございます。

中山(成)委員 ありがとうございます。

 何か、日本の農政というのは、自分らの頭の上をすうすう通り過ぎていく風みたいなものだ、こういうふうに感じておられる農家の方々も多いということを御理解いただきたいなと思っております。

 私は、ことしの正月に沖縄の南大東島というところに行ってきたんですよ。去年、台風で大変だったので、どんな感じかなと思って、お見舞いも含めて行ったんです。それと、もう一つは、ああいうところは畜産とサトウキビだなと思ったんです。ところが、もう畜産がなくなっていました、安愚楽の牧場が撤収したものですからね。だから、もうサトウキビだけなんです。島の真ん中に製糖工場がありましたけれども、そこに書いてありましたね、垂れ幕が。サトウキビは島を守り島は日本を守る。そのとおりなんですね。

 やはり、離島といいますか、そういったところに人が住む。住まないと、なかなか日本の国というのは守れない。尖閣はその典型ですけれども。そういう意味で、農業問題というのは安保にも非常に重要なかかわりがある、TPPというのは安保にも関係があるんだということを御理解いただければありがたいなと思っております。

 あと、時間がなくなりましたけれども、最後に教育問題についてお聞きしたいと思います。

 下村文科大臣が本当に積極的に教育改革に取り組んでおられるのを本当に頼もしく見守っておりまして、ぜひ成功していただきたいな、こう思っております。

 教育委員会制度につきましては、維新の会は教育委員会廃止ということでございますが、これについては後ほどまた議論を深めていきたいと思うんですけれども、私は一つ申し上げたいんです。

 首長に権限を渡すと、首長がかわるたびに教育行政が変わってしまうのは問題ではないか、こういうことを指摘される方がいますけれども、私は逆だと思うんですね。首長はかわっても教育は変わらなかったことに、これまでの日本の教育問題があるんじゃないか。

 地方によって濃淡はあります。大分変わってきましたが、まだまだ、いわゆる日教組といいますか、特定の組合が支配していて、非常にゆがんだ教育行政、教育が行われているということが問題だと思っていますけれども、文科大臣の御意見をお聞きしたいと思います。

下村国務大臣 中山文科大臣のときの、私は政務官でございますので、思いは全く同じでございます。

 これからぜひ今国会に教育委員会の抜本改革案を政府としては出したいと考えておりまして、今、与党の中で協議をしていただいております。できるだけ早くまとめていただいて、国会でしっかりと議論できるような状況をつくるように、私の方も努力していきたいと思います。

中山(成)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それで、今、日本史の必修ということが言われています。大賛成ですよ。まあ世界史、世界も知ることが大事だけれども、これからの国際化の時代で、やはり自分の国のこと、自分の歴史も知らないのでは通用しないので、私は日本史の必修化はもう大賛成ですけれども、問題は、その学ぶ教科書がひん曲がっていると困るんですよ。

 今度、検定基準も改定されましたけれども、去年もオーケーしていただきましたが、調査官もかえる必要があるんじゃないかと思うんですけれども、ちゃんとかえていますか、今。

下村国務大臣 去年も問題提起いただきまして、ありがとうございます。

 全くこれも共通認識でございますので、昨年の十一月の十五日に、今後の教科書改革に向けた総合的な政策パッケージとして公表いたしました教科書改革実行プラン、これをつくりまして、新しい教育基本法にのっとった、バランスよく記載された教科書で子供たちが学ぶことができるよう、ことしの一月の十七日に教科書検定基準を改定いたしました。

 この検定基準にのっとって、しっかりとした、なおかつ、今御指摘の、検定基準も変えて、そして、この調査官でありますけれども、バランス感覚の合った調査官というところからしっかりと対応するように、今省内でも検討しているところでございます。

中山(成)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、私、先ほど問題にしましたけれども、補正予算でいろいろなものを取り込もうとする、これはシーリングがあるからなんですね。シーリングがあると、これ以上は要求できない。しかし、逆に言うと、これまでは既得権みたいに考えている人がいる。だから、新しいものがなかなか芽が出ないんですね。

 今のオリンピック、なかなか今のところいい成績が上がりません。これはぜひ、次の東京オリンピックに向けて、やはりスポーツ予算もうんとふやしてもらいたい。

 それと同時に、私が思いますのは、やはりせっかくオリンピックを見に日本に来ていただく方々に、日本を知ってもらいたい、日本を理解してもらいたい。そういう意味で、文化予算もうんとふやしてもらいたいと思うんです。それこそ私が大臣のときに、ちょうど一千億円を超えたんですけれども、ことしまだ一千三十三億円ですよね。微々たるものなんですね。

 これを見ますと、あれを思い出すんですよ。フランスのミッテラン大統領が誕生しまして、一九八一年でしたかね、文化予算を予算の一%にするということを決めて、当時の文化大臣に倍増を命じた。何をやったかというと、それまで役所に使われていたあのベルサイユ宮殿を美術館に変えたんですね。だから、あそこだけでも年間九百万人の人が来るという話ですね。日本も今、一千万人になったということで非常に喜んでいますが、もっともっとふえてもらいたい。

 日本は、そういう意味で、自然とかあるいはホスピタリティーとかいうことではいいんですけれども、なかなか文化遺産というものがないですね。海外に行きますと、すごい宮殿とか金銀財宝がある。あれは逆に、日本が余り貧富の差がなかったから日本にはそういったものはないんだろうと思うんです。

 でも、日本にはやはりもう本当に世界に冠たる日本の文化や伝統、いろいろなものがありますから、そういった意味で、ぜひ文化予算もふやしてもらいたい。そのためには、やはりシーリングを撤廃するということも考えていかなきゃいかぬ、こう思うんですけれども、麻生大臣、どう考えていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 シーリングというやり方は、これはいつの時代から始まったかは中山先生の方がお詳しいんだと存じますけれども、昔はなかったんだと思います。

 これが、夏の概算要求ぐらいの段階から、各省庁の内容を厳しく見直さざるを得ないような環境をつくるということによって、青天井のときと違って、既存のものに関して見直す機会を与えるということになっている面もあるんだと思っております。

 いずれにいたしましても、今のは、既存の要求額プラス幾らかというのを基準にしてやっている仕組みですから、従来から、予算配分を固定化される源はこれではないかという御指摘をいただいているのは、もうよく承知をしておるところです。

 いずれにしても、こういったものは、今、オリンピック等々、例を引かれましたけれども、文化を含めまして、日本の文化予算等々というものが、クール・ジャパン初めいろいろな面で随分と、日本人の持っている従来のものに対して外国からの評価が変わってきたものを、さらに一層刺激、促進していくというのは大事なことなんだと思って、予算の聖域なき見直し等々は今後とも考えねばいけませんし、予算の重点化ということに関しましては、十分に、従来の考えとは違った観点から見ていくというのは大事なところだ、私どももそう思っております。

中山(成)委員 私が主計局におりましたときにシーリングというのはできたんですけれども、ずっと続いていまして、本当にそういう意味で予算編成が硬直化しているな、新しい芽がなかなか出にくいな、こう思うんですよね。

 ミッテランに任命されたジャック・ラングという文化大臣が何と言われたか。生きるすべや雇用、国際的な影響力において、文化に注がれた投資は百倍になって私たちに返ってきた、こういうことを言われているんですよね。すばらしいですね。

 そういう意味で、予算編成のあり方というのも、昔もやったように経済財政諮問会議の先生方がやるんじゃなくて、例えば役所のOB、要求する方も査定する方も、七十歳を超えてもう一線から退いて、それぞれの役所のしがらみのなくなった、ある意味では賢人になったような方々を集めて、どうしたらいいのかと、本当に国家的な見地から予算編成の仕組みというのをもう一回考える必要があるんじゃないかな、こういうことを考えます。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 時間がなくなりましたので、下村大臣に教育関係のお願いをしたいんです。

 今、大学の教育改革でいろいろやっておられて、複数回の受験の機会とか、いいことだと思うんですね。英検とかTOEFLを使うとかいうのもいいことだと思うんです。

 こういうことをやられるなら、私は、国語についても、漢字検定とか国語検定みたいなものをつくって、そこまでの達成度、例えば二級、三級になったら何点とか、そういった形で、日ごろから、小さいころから子供たちがずっと学べるような、そういったものも考えてもらいたい。

 もう一つは、私、今、日本武道館の常務理事をしているんですけれども、文部大臣のときに武道の必修化を進めた一人としてお願いですけれども、まだ今は年間九時間ぐらいなんですね。もう少しふやしてもらいたいということ。

 もう一つは、九種目の中から選ぶことになっていますけれども、ほとんど柔道と剣道ばかりなんですね。中には、空手だとか少林寺拳法を小さいころからやっている子供もいるんですけれども、その子供たちが中学校に入ったら、柔道か剣道しかできなくなる。

 ぜひ、学校で二種目とか三種目ができるように、あるいは、学校間で、この学校はこういう武道をやる、この学校はこの武道をやるということで、年間、大して時間もないわけですから、そういったことで、スクールバス等を利用して、子供たちが自分が学んできたことをずっとさらに練習できるように。それには、市井のいろいろな道場主、立派な方がいっぱいいらっしゃるんですよ。こういう方々を活用すればさらに日本の武道界の底上げになる、こう思っていますので、ぜひそういったことも御検討いただければありがたいな、こう思っております。

 いろいろ申し上げてまいりましたが、私、何といっても、アベノミクスが成功してもらいたいな、本当にそういう意味では最後のチャンスじゃないか、こう思っています。

 それと同時に、一番最初に申し上げましたように、日本人としての自信と誇り、安倍総理がいつも言われますけれども、先人たちに対する尊敬の念、こういうことも考えますと、やはり日本人としての自信と誇りを取り戻せるような教育というのが一番大事だし、それは我々大人の責任だ。これからの時代をまさに世界的な規模で頑張って働く子供たちが日本人としての自信を持って乗り出していけるような、そういう教育環境をつくっていくということが一番大事だ。

 そして、それをもとにして、先ほど申し上げましたけれども、どこの国よりも一歩先んじた科学技術立国、これを目指していくというのが日本の進むべき道ではないか、こう思っていますので、ひとつ教育改革の方も、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

上杉委員長代理 これにて石原君、藤井君、松野君、中山君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 みんなの党に対して国民の皆さんが期待されている部分というのは、やはりデフレ脱却を中心とした経済政策とか、あるいは公務員制度改革を中心とした行政改革、そして道州制の実現といったようなことを中心とする地方分権というところになるのではないかと思いますが、きょうは特に経済政策、そして行政改革について伺ってまいりたいと思います。そして、喫緊の課題であります外交、安全保障についても残りの時間で伺いたいということなので、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。

 日本銀行の総裁にお越しいただいております。

 この間、日銀は資産を毎月一定の割合でふやしてこられました。結果として日銀の資産は大きくふえたわけでありますが、今後、この資産をふやす割合を実額でふやしていくと、分母である資産はふえた中で、ふえる実額は小さくなる、つまり変化率というのは小さくなるということになりますので、この変化率を一定にしていくという議論も一部エコノミストの中ではあるわけでありますけれども、そのことについて日銀の黒田総裁はどのように考えられるか、最初に伺いたいというふうに思います。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、昨年の四月四日に政策委員会で決定いたしました量的・質的金融緩和のもとでは、二年程度を念頭に置いて、できるだけ早期に二%の物価安定目標を実現するという強いコミットメントのもとで、マネタリーベース及び長期国債の保有残高を二年間で二倍にするというテンポで増加していくということを決めて、それを実行しております。

 これまでのところ、十分効果を発揮して、例えば金利につきましても、グローバルに金利が上昇している中で、日本の金利は低位で安定しているということでございます。

 御指摘の長期国債の買い入れの効果につきましては、基本的には、中央銀行が買い入れて保有する国債の残高による効果というふうに考えられておりますけれども、市場には確かにフローの買い入れ額あるいは買い入れ率といったものを見ている参加者もおられるわけでございますが、理論的には恐らく保有残高というものが最も重要であろうと思っております。

 いずれにいたしましても、委員の御指摘の点も含めまして、量的・質的金融緩和は今後きちっと実行し、長期国債の保有残高が年間五十兆円ずつふえるというテンポでこの緩和を進めてまいりたい。その中で、もとより上下双方向のリスクというのはあり得ますので、その点につきましては、リスクが顕在化する懸念があるということになれば、ちゅうちょなくその政策を調整してまいりたいというふうに思っております。

浅尾委員 ぜひ、変化率も含めて、必要であれば、必要でなければそういうことをやる必要はありませんが、適宜適切に対処していただきますように総裁にお願いいたしまして、私の総裁への質問は以上でございます。

 次に、税制。三本の矢ということになりますと、財政出動が二番目ということになりますけれども、公共事業での出動よりも、税を使って民間のお金がより動くようにする方が効果が大きいというふうに私どもとしては考えています。

 その理由は簡単でありまして、実は、税率分が国に入る、しかし、税率の影響で動くお金というのは、〇・何とかで割ったことになりますから、例えば四十兆円減税するとすれば、税率が五〇%だとすると、動くお金は八十兆円ということになりますので、動くお金の量は、税制を動かした方が民間で動くお金は大きくなるというふうに考えているからであります。

 そういう観点から、今年度の税制改正で私は一定の前進だと思っているのは、設備を取得した場合に即時償却ができるということは一定の前進だというふうに思いますが、かねてより麻生財務大臣には、ぜひ、設備を取得したら即時償却を認めるのであれば、例えば事前に三年間で計画して償却するということであれば、それも含めて自由償却というのを認めてもいいんじゃないかということを申し上げてまいりました。

 そのことについて御検討いただく用意があるのかないのか、まず伺いたいと思います。

麻生国務大臣 平成二十六年度の改正におきましては、前々からお話がよくあっておりましたように、企業のため込んだ内部留保が昨年九月末で約三百六兆円ぐらいになっておりますので、そういったものを、基本的には、配当するか、設備投資するか、賃金上げるか、どれか三つのうちに使っていただければいいんですけれども、じっと金利もつかないままため込んでおるのはいかがなものかというお話をよくさせていただいておりました。

 そういった意味では、企業が今国内で設備投資をしていただければ、それは雇用にもつながりますし、GDPにもつながりますし、いろいろな意味で民間の企業の活性化につながりますので、ぜひこれをということで、今般創設する即時償却制度におきまして、生産性の向上というようなことを考えて、経済効果の高い投資を促進する、促すという考え方のもとで、設備の取得をいたしました年度におきましては取得価額まで自由に償却できます。

 また、取得年度に全額償却をしなくても、翌年度に残存価額の残り、全額までやはり自由に償却することができるというようなことにさせていただいて、この二年間の償却によって、損失が仮に発生する、これは十分にあり得ますので、発生した場合は、それは繰越欠損金として、その後九年間、今は九年間ということになっておりますので、九年間は所得と相殺できることなどを考えておりますので、今言われるような、自由償却制度を導入せないかぬという必然性は、ちょっと今はないのではないかと思っておりますので、課税の公平性等、いろいろ考えないかぬところだとは思っております。

浅尾委員 恣意的な利益調整が可能になるというふうに財務省はよく言うんですが、私はちょっとおかしいのかなと。

 つまり、設備投資をした金額の税率分しか安くならないので、残りの分は回収しようというふうに思いますから、残りの分を回収するためには、いずれかのタイミングで利益が発生する。そうなれば、いずれかのタイミングで税が発生するということになりますので、二年間で償却して残りは損に出して九年とかいう、ちょっとみみっちいことではなくて、九年間きっちり均等に償却ができるような設計を事前につくれるようにしたらいいのではないかということを御要請して、ぜひ中で検討をいただければというふうに思います。

 次に、今、麻生財務大臣から御指摘がありましたけれども、三百六兆円の内部留保、これは、内部留保のうちで、実際に設備投資に回っているけれども、資産計上されているものは現金で持っているわけではありません、まだ償却していないわけですから。資産計上されて、要するに償却された残りの部分は現金ではないということになりますけれども、どうも、いろいろな一般的な話を聞くと、三百六兆円のかなりの部分は現金、預金に近い形であるということなんです。

 そこで、民間の有識者の方にもそういう意見が一部あるんですけれども、税金をかけるものについて、まさにお金を動かすということで、従業員の方に人件費で払っていただくか、あるいは新しい設備を買っていただくか、そうでなければ株主に還元するという配当、この配当を促すという意味で、配当を思い切って法人税がかかる前に持ってくる。そのかわり、個人は配当金に対して二〇%、来年度から本則の税率で課税がされますが、法人は二重課税防止という観点から税金はかかりませんが、法人、個人、区別なしに配当金に同じ税金をかけるというようなことをすると、企業としては、ため込んでいるお金を動かすインセンティブが働くというふうに思いますが、そういったことについての考えはどのように思われますでしょうか。

麻生国務大臣 一つの考え方だと存じます。

 今、三百六兆と申し上げましたけれども、そのうち、これは正確には、表向きに出ている金なので、たんす預金やら何やらというのはどれぐらいあるかちょっとなかなか捕捉がしがたいところでもありますので、表向きに出るお金、約八百五、六十兆、現預金であるであろうと言われております。

 いわゆるためたお金は飾り物じゃないので、これは動かさぬと意味がありませんので、こういったものを動かすためには、私どもとして、投資優遇税制とか、給与をふやした企業への税額控除とか、いろいろやらせていただいて、先ほど中山先生が言われた交際費課税の件も含めまして、いろいろやらせていただいておるんです。

 平均給与というのは、確かに、十年前に比べて、四百四十五、六万から約四百六万に、一割ぐらいこの十年間で下がっておるということになっていると思いますが、逆に、配当は十年前と比較して約二倍以上ふえておりますので、そういった意味では、六・五兆が十四兆円までにふえております。

 そういった意味では、事業の経費ではありません、利益処分である配当の損金算入みたいな形を認めるかどうかというのは意見の分かれるところだと思いますので、これはちょっと少々、今すぐここでそうさせていただきますとお答えできるほど簡単な話ではありませんので、検討させていただきます。

浅尾委員 ぜひ御検討いただければと思います。

 今、平均の人件費が下がっているという中で、直近の有効求人倍率に基づくこととも関係するかもしれませんが、日銀の雇用人員のDIという表を用意させていただきました。

 この表を見ますと、雇用が過剰であるということと足りないというものの差でマイナスになっているということは、雇用が逼迫しているというところのあらわれなんですが、これを見ていただくとわかりますけれども、非製造業の中企業ないしは小企業で一番雇用が逼迫しているというような状況であります。

 一般的なイメージで言うと、非製造業の中小企業というのは、どちらかというと、今、平均の給料というか報酬の話を財務大臣はされましたけれども、産業別でいっても低いところが実は、低いと思われている、まあ実際もそうだと思いますけれども、低いところが需給が逼迫しているというのがこの数字から読み取れます。需給が逼迫しているということは、逆に言うと、少しずつお給料を高くしないと採用ができないということになります。

 政府は、経団連や組合、まあ組合にというのはないでしょうけれども、経団連等々、企業に賃上げの要請をされておりますけれども、むしろ、政府としてできることとしては、細かく都道府県別そして産業別に見た上で、特に雇用の需給が逼迫しているところについては最低賃金を引き上げていくということが、結果としてトータルの底上げにつながるんじゃないかというふうに思いますが、そのことについてまずどういうふうに考えておられるか、伺いたいと思います。

田村国務大臣 最低賃金という考え方からしますと、先生も御案内のとおり、労働者の方々の生計費でありますとか賃金水準、そして企業の賃金支払い能力というところにかかってくるわけであります。

 そう考えますと、もちろん、労働需給が逼迫しておりますから賃金は上がりやすいわけでありますけれども、やはり支払い能力というものがしっかりないことには、これは支払えないということでございますから、そのような点からいたしましても、経済の好循環をしっかりと我々はつくっていかなければなりません。

 あわせて、そのような努力をされている企業に対してはしっかりと支援をしていく、こういうメニューも厚生労働省としても考えておるわけでございまして、最低賃金、昨年も十五円ほど上がるように我々も要請をさせていただいたわけでありますが、やはり賃金が上がる、そのような好循環に向かって努力をしてまいりたい、このように思っております。

浅尾委員 実際に最低賃金を監督する立場の労働基準監督官なんかとも話をいたしますと、まず、この監督官の数が少ないのでこれはぜひ増員をしていただければと思いますが、最低賃金割れで摘発するケースも結構あるそうであります。

 それはまさに今大臣がおっしゃいましたように、払えないからということなんですが、三本の矢の三本目、成長戦略、構造改革ということを考えた場合には、生産性がそこまで上がらないところ、現在の最低賃金でも払えないので最低賃金法で摘発されるというようなところは、ぜひ積極的に業種の構造転換を促す。特に今雇用の需給が逼迫しているということであれば、そういったような考え方も成長戦略としてあるのではないかというふうに思いますが、そのことについて、総理、もしお考えがあれば伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 浅尾委員の御指摘は、最低賃金を上げていくことによって、いわば、それに追いついていけないところは淘汰をされて構造改革が進んでいくというお考えなんだろうと思います。

 先ほど田村大臣からも答弁をさせていただきましたように、まさにこれは企業側の支払い能力、特に中小・小規模事業者の支払い能力という点にも着目する必要もあるんだろう、このように思うわけであります。

 我々の考え方としては、企業が賃金の引き上げを行うことのできるような経済環境を整えていくということと、そして、我が国の経済の生産性を上げていくことによって、そしてまた、第一次政権でも行っていたんですが、そういう中小・小規模事業者の生産性を底上げするような施策をしっかりと実行していく。そして、あるいはまた産業の新陳代謝の促進、これも重要であるというふうに認識をしておりますが、事業再編を促進するための税制を講じるなどの措置によって、我々、今委員がおっしゃったような趣旨については、中身については、そういう方向で進めていきたい。

 しかし、それを最低賃金を引き上げるという形において行うということについては、いわば、それは中小あるいは小規模事業者に対しての影響が相当大きくなって、結果として、ついていけないところについては倒産あるいは事業をやっていけないということになりますと、そこで働いている人たちも職を失っていくということにつながっていくのではないかということも懸念をいたしております。

浅尾委員 当然、生産性を引き上げなきゃいけないということが大前提であるわけですけれども、必ずしも市場が完璧なわけではないので、雇用が逼迫しているからといって、安いところにいる方が高いところに移るというようなものでもありませんので、そこは、うまい形で全体の底上げができるということの一つの道具としてこの最低賃金があるということは、ぜひ御認識いただきたいと思います。

 あわせて、先ほどちょっと申し上げましたが、監督する人数が結構少ないというふうに聞いております。これは、大企業と中小企業とでは、いわゆる査察に入る件数がかなり大企業寄りになっているということも聞いておりますので、そこも、ルールはルールとして守っていただけるような体制をつくっていただきたいというふうに思いますが、もし何かあれば伺いたいと思います。

田村国務大臣 昨年の九月に過重労働重点監督月間というものをやりまして、これは、三六協定で非常に時間が長いような協定を結んでおられるところであります。あと、九月一日に電話相談を全国で一斉にやりました。特にブラック企業問題等々がございましたが、ブラック企業というのは定義が難しゅうございまして、中小が入るかというと、もともとブラック企業というようなことがネット上で言われたのは、新興産業の結構大手等々で、要は、正規で入ってこれで安心だなと思ったら、どうもそうじゃなかったというようなところから出てきた言葉のようでございます。

 それも含めて、過重労働に対していろいろと調査に入りました。結果、やはり七割ぐらいが中小で三割が大手、これは労働者の数と大体比例する部分でございます。

 そういう意味では、中小、大手ともにやっておるわけでございますが、確かに、監督官の数、いろいろと御指摘もいただいております。決められた範囲の中でやっておるわけでありますけれども、大変重要な分野でございますので、我々もしっかりと、そのような違反等々を疑われるような企業に対しては指導監督に入るように、これからも努力をしてまいりたいというふうに考えております。

浅尾委員 それでは、ちょっと幾つか経済政策の分野でも御質問を用意していたんですが、時間の関係で行革の方の分野に移らせていただきたいと思います。

 まず、歳入庁にかかわることでありますけれども、厚生労働省に、法務省から、法人登記簿情報というもので、法人数が移管したはずであります。それによりますと、四百四十九万法人が存在する。

 テレビを見ておられる方、ラジオを聞いておられる方はちょっとわかりにくいかもしれませんが、法律の定義では、全ての法人は、雇用人数のいかんにかかわらず、厚生年金に加入しなければいけないということであります。

 そういう中で、四百四十九万法人が法務局で把握している法人数であるということでありますが、実際には百七十八万事業所、これは法人数ではなくて事業所ということでしか厚生年金が適用されていない。では、法務省が把握している法人と合致した数は幾つかというと、百三十九万だ。だから、その残りというのは、実は日本年金機構では把握していなかったというふうに思いますが、まず、今私が申し上げたこと、細かい数字は別として、大きな数字では合っているかどうか、伺いたいと思います。

田村国務大臣 今委員おっしゃられました法人登記簿情報、これを法務省の方からいただきました。

 四百四十九万法人、これは、動いている法人もあるけれども、動いていない法人も入っているかもわかりません。その中において、百七十八万事業所が厚生年金の適用事業所数でございまして、これをヒットさせてみますと、百三十九万件が一致をしたということであります。

 この違いというのを、もし後でお聞きをいただけるのならば後でお答えをしますけれども、お聞きになられないのならば、今お答えさせていただきたいんですが、後でよろしゅうございますか。(浅尾委員「後で聞きます」と呼ぶ)はい。

浅尾委員 実は、法務省が持っている数字というのは、今までは日本年金機構には行っていなかったんですね。これが行くようになりました。

 財務省、国税庁には、毎年毎年、法務省が持っている数字が行っているんです。ですから、四百四十九万というのは、もともと財務省は持っているはずなんですが、財務省の方が毎年丁寧に法人を申告しているかどうか調べる。休眠してしまった法人については、これは休眠したんだということなので、財務省が把握している数字は、二百九十八万五千ということが平成二十五年六月三十日現在で、なおかつ、その中でも一部休眠しちゃったようなものがあるので、申告しているのは二百七十六万一千ということでよろしいでしょうか。

古川副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、平成二十五年六月三十日現在、国税庁が管理する法人数は二百九十八万五千法人でございます。

 それから、申告件数もあわせてお尋ねいただきましたけれども、平成二十四年四月一日から平成二十五年三月三十一日までの間に終了した事業年度に係る申告につきましては、平成二十五年七月末までに提出のあった申告件数は二百七十六万一千件であります。

浅尾委員 そうすると、登記をされて廃業届を出していない法人が四百四十九万ある中で、実際に申告しているのが二百七十六万ということなんですが、だから、大分そこで休眠しているようなものは圧縮されるんですが、毎年毎年圧縮していく、あるいは新規で起業されるということがあると思います。

 まず、財務省あるいは国税庁としては、どういう手順で、休眠したものはもうこれは休眠ですという判断をされるのか、その手順を教えていただきたいと思います。

古川副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたとおり、約二百七十六万の法人を管理対象としておりますけれども、一度把握した管理対象法人のうち、商業登記簿を閉鎖した法人、あるいは収益事業を廃止した公益法人等、あるいは商業登記簿は閉鎖していないけれども事実上廃業したと国税庁が判断をいたします、これは実態調査等をしまして判断するわけですけれども、こういうものは管理の対象から外すということでございます。

浅尾委員 実は、この予算委員会で、かつて今の話を質問させていただきました。本当は、国税庁が持っているデータを日本年金機構に渡していただくと、休眠したものは全部省かれているので、生きているものだけになるんですが、なかなかそのデータはもらえなかったみたいで、法務省から休眠のものも含めて日本年金機構に渡ってしまったので、数がちょっと多くなっているんです。

 いずれにしても、国税庁では二百七十六万一千件は少なくとも生きているというふうに判断をしているわけですから、それとこの百三十九万。百三十九万と百七十八万の差は、私はかなりの部分は、大手企業の支店が別登記されている事業所、あるいは工場が別登記されている事業所なのではないかなというふうに思いますので、法人の数として今厚生年金に加入しているのは百三十九万だろうというふうに思います。あるいは、それに近い、ちょっと超えるぐらいの数。

 そうすると、いずれにしても、二百七十六万と百三十九万ですから、あらあらいっても百三十万社ぐらいは厚生年金に未加入のところがあるんだろうというふうに思います。

 これを別組織で潰していくというのが大変効率が悪いものですから、税務署と日本年金機構の徴収部門を一緒にしたらいいのではないかというのが、かねてから私が申し上げております歳入庁のメリットなんですけれども、今そのことを指摘させていただいた上で、後で答弁されたいということだったので、田村大臣、何かありましたら、どうぞ。

田村国務大臣 今委員おっしゃられました、百七十八万件と百三十九万件の差でありますが、一つは、言われたとおり、それぞれの法人が、支店もございますし、それから工場等々もございます。どうしても、法人情報の方は、本店等々が基本的には登録されている。一方で、この厚生年金の適用事業所の場合は、その場所でございますので、その差があります。

 それからもう一つは、地方公共団体等々で、公務員じゃない方々、しかし厚生年金の適用になられる方々がおられます。こういう方々も実はその差に入ってくるということでございますから、これはどれぐらいあるのか、ちょっと我々も把握はしておりませんが、その差もあるんだと思います。

 しかし、いずれにいたしましても、今この二つの情報で五年間かけて集中的にやろうと思っておりますが、さらに、今おっしゃられました、財務省から実際動いている法人の情報も何とかいただけないかということで、今これは検討をさせていただいておりまして、何とかその方向でこれができれば、さらに具体的にスピードが上がっていくのではないか、このように期待をいたしております。

浅尾委員 では、そういう要請がありましたので、以前は断られたんですが、麻生財務大臣、ぜひ、動いている情報を提供いただきますようにお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 昨年八月に取りまとめられております年金保険料の徴収体制強化に関する政府検討チームの論点整理というのがあるんですが、これは御存じのように、歳入庁というものの創設をやりますと、年金機構、これは特殊法人ですけれども、この年金機構に約一万六千人ぐらいの方がいらっしゃるはずですが、この一万六千人の非公務員を公務員にもう一回するという話ですので、行政改革との関係で、一万六千人公務員がふえるということを意味するので、これはいかがかなと思っておりますのが一点。

 それから、保険料徴収の基本的な考え方を整理して必要な対策を講ずるということが重要なのであって、これは組織を統合して歳入庁を創設すれば解決するという問題ではないのではないかと思ったりいたしております。

 いずれにしても、これは、厚生年金の適用事業所の把握というのを促進するために、国税庁の保有しております必要ないわゆる法人情報を提供するなど、現在の体制のもとで関係省庁との連携を強化することで、法人の把握、また突合させるペースを向上するようにさせていかねばいかぬ、そのように考えております。

浅尾委員 今ちょっと、財務大臣の指摘の中で、私が考えていることと一点だけ違うので、実際の人数を教えていただきたいんです。

 日本年金機構の職員は確かに一万六千人ですが、徴収部門に従事している方、つまり、支払いは大体、一万六千人のうちの一万二千人ぐらいじゃないかと思うんです。徴収業務は多分二千人ぐらいじゃないかと思いますので、二千人がくっつくだけなんじゃないかと思いますが、実際に徴収部門に従事している人数は何人ぐらいですか。

田村国務大臣 二十五年四月時点で、厚生年金と協会管掌健康保険、この分野が千五百人、それから国民年金の徴収分野が九百人ということで、合わせて二千四百人でございます。

浅尾委員 この千五百人の方も、実は、端的に言えば、一般の方は、私も含めて、そう言われればそうだなと思い直したんですが、税金は税務署が集め、年金保険料というのは年金機構が集めというふうに思っていますが、それはうそで、実は集めているのは会社なんですね。皆さんのお給料から天引きをして会社が納めているだけなので、納める先を一カ所にするというのは行革にまさになるわけでありますし、その千五百人の方、要するに企業にかかわる千五百人の方の部分は、実はその人数も要らなくても多分集めることはできるだろうというふうに思いますので、そういう意味で行革になるんだということを指摘させていただきたいと思います。

 そのことを踏まえて、総理に、もう一歩踏み込んだ、行革も含めて、発言をいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 浅尾委員は、何か非常に整理されていて、何となくいいと思われる方もおられるかもしれませんが、政府の立場としては、先ほど麻生大臣から答弁させていただいたとおりでありまして、厚生年金の適用促進については、年金機構において、本来、厚生年金に入るべきにもかかわらず入っていない事業所に対する集中的な加入指導等に取り組む、そしてまた、今後、国税庁から必要な法人情報の提供を受けることを検討するということは、今も述べたとおりでありますが、まずは、現在の体制のもとで、関係機関との連携強化を行いつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 そして、歳入庁については、これも繰り返しになるんですが、内閣官房副長官及び関係省庁政務官による検討チームが取りまとめた論点整理において、さまざまな問題点が指摘をされているわけでありまして、年金保険料の納付率向上等のためには、保険料徴収の基本的な考え方を整理して、そして必要な対策を講ずることが重要であり、組織を統合して歳入庁を創設すれば問題が解決するものではないと指摘がございました。

 また、税の適切な徴収については、社会保障・税番号制度の活用や的確な税務調査の実施などにより、適正かつ公平な課税、徴収に努めていきたいと考えております。

浅尾委員 特に、この歳入庁については、厚生年金等々の保険に入っていない業者と入っている業者で、例えば派遣の入札をすると、入っていない業者の方がかなり低い値段でとれるといったような、そういう問題点もありますので、ぜひそういうことを解決するためにも前に進めていただきたいということを申し上げて、次の質問、外交、安全保障にかかわる質問に移らせていただきたいと思います。

 中国が防空識別圏を設定いたしました。もとより、この質問をするに当たって、昨日、建国記念日でありまして、たまたま、戦艦大和と一緒に沖縄戦に行かれた矢矧という船に乗っておられた池田さんという方のお話を伺って、相当、戦争というものは、実際この方は卒寿ですから九十歳でありましたけれども、大変だということを私自身も認識をしておりますので、当然のことでありますけれども、抑止という観点から質問させていただいているということは申し上げておきたいと思います。

 この中国が設定したとされる防空識別圏、何が問題かというと、防空識別圏を設定すること自体はいろいろな国がやっていますので、そのこと自体をもって何か問題があるということではありません。しかし、防空識別圏は公海上に設定されているので、基本的には通行が自由でなければいけないというふうに思うわけでありますが、ここで問題になり得るとすると、我が国の防空識別圏と中国の防空識別圏が重なっている。

 そこで、先日、米軍がB52爆撃機、これはあえて公表した話でありますが、もう少し低い高度で、もう少し速い速度で飛んだ飛行機もあるというふうな未確認の情報もありますが、それは別として、B52爆撃機というのは速度は遅いです。戦闘機と比べて遅く、なおかつ高い高度を飛ぶわけでありますが、いずれにしても、その中国の防空識別圏の沖縄尖閣周辺を飛んだということであります。

 仮に、このB52爆撃機か何かは別として、米軍機がこの重なるエリアを飛んでいるときに、中国がいわゆるスクランブル、中国軍機がスクランブルをかけた場合に、我が国の領空に迫ってくるということであれば、当然、航空自衛隊はスクランブルをかけるという理解でよろしいかどうか、まず伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 まず、委員が御指摘の防空識別区ですが、これは通常各国が行っている防空識別圏とはかなり異なりまして、一つは、我が国の領土、尖閣にかかっているということ。それから、ここを普通は、日本もそうですが、防空識別圏の場合には領土に向かってくることに関してスクランブルをかけますが、今回中国が発表しているのは、全てそこを通るものについては公表せよ、これは民間航空機も同じだということであります。

 委員御指摘がありますように、今回、ここにもし、この防空識別区の中においても、ここを航行する例えば他国の航空機が我が国の領土に向かってくる場合には、私どもとしては、対領空侵犯、スクランブルをかけるということになると思います。

浅尾委員 先日は、先ほど申し上げましたB52がこの重なる部分を飛びました。そのときに中国側はスクランブルをかけなかったわけでありますが、仮にかけてくれば、航空自衛隊もスクランブルをかけるということになるんだろうと思います。航空自衛隊の場合は、各方面の司令官に、スクランブルをした場合の、どういう対応をするかの権限が平時においても移行しているというふうに理解しております。

 中国側はどういうROEになっているかというのはわからないわけですけれども、仮に、第三国、先般の例でいうと、米軍機が飛んでいた、そこに中国側がスクランブルをかける、それが尖閣上空に迫るということになれば、航空自衛隊もスクランブルをかけるということになると思いますが、その中国軍機が、我が国自衛隊機ではなくて、米軍機に先に中国側のROEに基づいて何らかの攻撃をした場合に、現行の航空自衛隊のROEに基づいた対応というのはどういうものになるんでしょうか。

小野寺国務大臣 まず、スクランブルのことについては、あくまでも、これは防空識別区あるいは中国の勝手に言っています防空識別区の中ですが、我が国のADIZもそうですが、基本的には、我が国の領土に向かってくる場合についてはスクランブルをかけるということになります。

 今回の個別事案については、ですから、あくまでも我が国に近づいてきた場合ということでの対応ということになります。

 そして、一般論でお話をすれば、公海上を通る外国軍機に関して、当然、自衛隊法八十四条に基づく対領空侵犯措置を実施するということは、我が国の領土の侵犯を行うということが前提ということになりますので、公海上で我が国の領土を侵犯しない形で、例えば、どこかの航空機とどこかの航空機がある面では交戦状態に入るということになった場合には、これは、我が国を防衛する必要があると認められない場合には、私どもとしてこの対応は困難だと思っております。

 ただし、今回、この東シナ海の防空識別区の中には尖閣の上空も当然入ります。尖閣は我が国の領土であります。ですから、この領空において、例えば、これは米軍機に限らず、航空機に対して外国機による攻撃が行われた場合には、当該攻撃が我が国に対する武力攻撃に該当すると認められる場合には、自衛隊法七十六条に基づく防衛出動によって対処することも可能であると考えられます。

浅尾委員 実は、私がこのことを取り上げましたのは、海の上だと空の上よりは大分スピードが遅いんですね。空の上は、残念ながら、一発当たれば航空ができなくなるということであります。

 先ほど申し上げましたように、現行の、多分、私の理解で、この場合でいえば南西方面の航空司令官というんですかに移行されているのは、信号弾を撃つところまでの判断だというふうに理解をしております。

 したがって、空の上で、今申し上げましたように、特に、尖閣の領空というのは尖閣諸島の上プラスそこから十二マイル、十二海里のところまでですから、その外側は領空ではないということになると、その外側のようなところで不測の事態になったときに、先ほど防衛大臣が言われたように、対処し切れない状況になる可能性があるんだろうと思います。

 対処し切れるか、し切れないかを法律が整備されていない中で、防衛出動というのは、戻ってきてと、そんなことをしている時間はないわけでしょうから、そうだとすると、対応策を事前に、平時に、冷静な環境のもとで考えておくということが必要なんだろうというふうに私は思いますが、その点について、今までの議論も含めて、防衛大臣、もしあれば。その後、総理に考えを伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 尖閣上空に限らず、我が国の領土、領海、領空を断固として守るという姿勢の中で、私どもとしては、あらゆる事態を想定して、その際にどのような対応をとるかということは内部でしっかりと検討させていただいております。

浅尾委員 私がこのことを取り上げているのは、この間はスクランブルがなかったから逆によかったのかもしれませんが、万が一スクランブルがあって、それに対応して自衛隊機がスクランブルしているけれども、米軍機に対応した中国軍機と交戦的なことになった場合に、その場で自衛隊機は飛んでいるけれども何もしないということは、そのこと自体が日米同盟に大きな亀裂を与えることにもなり得るだろうというふうに思いますので、そういうことも含めたさまざまな可能性について、国会の場においても議論をしていくことも必要なんだろうというふうに思いますが、総理のお考えを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 発生し得るさまざまな可能性と我が国の対処については、常に、いわばこうした平時においてこそしっかりと議論していく、冷静な議論をしていく、そして万全を期していくことが大切だろうと思います。

 同時に、中国との間においては、中国がこうした形で防空識別区を設定いたしました。その中において、海よりも空の方が、偶発的な事故、衝突が起こる危険性は高まるわけでありますから、だからこそ、いわば防衛当局同士の話し合いをしていく必要はあるんだろう、このように思うわけであります。

 海については、既に第一次政権のときに申し入れをして合意に達したんですが、具体的にそれをつくっていくということについて、まだ中国側が応じていないわけでありますが、今後とも、海と空において、そうしたコミュニケーションがとれるようにしていくために働きかけを続けていきたい、このように思っております。

浅尾委員 終わります。

上杉委員長代理 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 結いの党の江田憲司でございます。

 総理初め閣僚の皆様には、本当に連日お疲れさまでございます。

 特に安倍総理におかれては、大変熱心に外国にも行かれて、御苦労の多いことだと思います。私も昔、総理秘書官という仕事をさせていただいていて、私は、総理大臣というのは半分は内政、半分は外交だ、特に首脳外交だと思っておりますので、ぜひ、これからもそういう形で御活躍をいただけるとともに、今、国会改革が議論されておりますけれども、そうした重要な国際会議には、交渉にはしっかりと総理大臣が対応できるように、我が結いの党は足を引っ張ることはいたしませんので、これは明言をさせていただいております。

 さて、きょうは、一番の国民の関心事、一体、ことしも、アベノミクスが功を奏して、具体的には、給料が上がって、国民の生活が安定をしていくのか、その点についてお聞きをし、時間がありましたら原発の問題もお聞きをしたいと思います。

 我が結いの党は、基本的にアベノミクスの方向性については賛同しております。殊に、第一の矢、大胆な金融緩和でございますね。これは、手前みそでございますけれども、安倍総理が採用される以前、二〇〇九年、民主党への政権交代の選挙のときから訴えておりまして、これを安倍総理が採用され、見事に結果を出された。株も上がり、円高も是正され、景気も上向き始めた。これは、政治は結果責任ですから、率直に評価をさせていただきたいと思うんです。

 ただ、私が非常に懸念をしているのは、やはり四月からの消費増税なんですね。

 これは、我々は凍結と言ってまいりました、あと一年、二年待てないのかと。それもこれも、前回消費増税をしたのは橋本政権でありまして、私は、その当事者の一人として、三から五、あのときは、上げることについて、判断は間違ってはいなかったと思うんですけれども、残念ながら、結果的に言うと、その後起こった金融連鎖破綻等々の影響もあって不況に突入した。そういった怖さを、経済は生き物だという怖さを非常に実感しているものですから、大変、今危惧をしております。

 そういう意味で、このアベノミクス、この方向性はいい、それを採用された総理として、どうだったんでしょうね、本音は。本当に、このタイミングで消費増税をする、大変悩まれたと思いますけれども、率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まさに、今、江田委員が御指摘をされたような、橋本政権の三%から五%に上げたときの反動。あのときは、社会保険料も随分上がったということもありますし、その後のアジアの通貨危機もございました。

 あのときのこともしっかりと分析した上で判断をしようということでございまして、確かに、消費税を上げていくということは、デフレから脱却をしていくということについては足を引っ張る危険性もありますし、成長軌道に乗りかけているわけでありますが、これが腰折れをするという危険性もある。そういう観点から専門家の皆さんにそこで御議論をいただきまして、これはやはり専門家の皆さんに議論をしていただいた上において判断をしようということにしたところでございます。

 その上において、五・五兆円の経済対策と一兆円の税制対策を行うことによって、反動減、消費税引き上げによる影響を緩和し、そして、もとの成長軌道に残るための施策を打っていくことができるという中において、そう判断をさせていただいたところでございます。

江田(憲)委員 今も総理のお話に出ました、いろいろな識者の方に意見をお聞きになった。そういう意味で、今、内閣参与をされている浜田宏一先生、イエール大学の名誉教授ですが、この方は総理にとってはどういう存在なんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 いわば、今行っている三本の矢の政策、特に大胆な金融緩和につきましては、もちろん、みんなの党が従来から主張しておられたということは承知を……(江田(憲)委員「結いの党です」と呼ぶ)みんなの党というか、元みんなの党。今、みんなの党とプラス結いの党ということでございますが、その皆さんが主張しておられたということは承知をしておりますが、同時に、浜田教授が従来からそう主張しておられた。そこに私も着目をしたわけでございまして、いわば、私どもが進めているこの経済金融政策においては理論的な支柱の一人であろう、このように思っております。

江田(憲)委員 浜田宏一先生、私も、四十年前、大学の教養学部で経済学を教えていただいた方で、それ以降、渡米されて、イエール大学で教鞭をとられている。日本人の方はなじみがなかったと思うんですが、安倍総理のブレーンになられて、大胆な金融緩和ということで採用されたということで、私も昔から言っているものですから、三年ほど前は、浜田宏一先生がこうおっしゃっているよと言ったら、それは江田さん、浜幸さんのことですかと言われたものです。しかし、今はもう、正確に、浜田宏一イエール大学教授ということなんですけれども。

 この浜田宏一先生が、昨年の十一月十五日ですか、中央大学で講演をされていまして、消費増税についてこうおっしゃっているんですね。消費増税の増税の問題は、残念ながら、財務省にコントロールをされているんだ、私たち増税慎重派の説得が、財務省の説得の方が上回ってしまった、その結果、安倍総理は増税に踏み切られた、こういった発言もあります。

 浜田先生のお考えでもあり、我々の考えでもあるんですけれども、ちょっと、きょう、パネルを最初に出させていただいたのが、デフレギャップというものなんですね。

 我々は、やはり、十数年来続いてきたデフレ、これを脱却するまでは増税は思いとどまる。とにかく、増税するということは、これはもう釈迦に説法ですけれども、せっかくアクセルを踏んでスピードが上がり始めた、そこにブレーキをかける。別の言い方をすれば、せっかく暖房を入れて部屋が暖まり始めたのに、冷房も同時にかける。そういう、ある意味では真逆の政策ですね。

 ですから、先ほど私は、安倍総理に、アベノミクスの方向性とは基本的に違う、異質な要素をここに取り込んだ、これは苦渋の決断だと思いますけれども、非常に危険も伴うと思っていまして、その一つの証左がデフレギャップということですね。

 デフレギャップというのは、簡単に言うと、マクロの供給と需要の差でありまして、このグラフをごらんになっておわかりのように、総理の第一の矢が力強く飛んで、どんどんデフレギャップは縮小していたわけですね。総理が御就任されたとき、一二年の第四・四半期は十六兆円のギャップが、十二兆、八兆、八兆と、一応順調に縮小しているんですが、まだ八兆円デフレギャップがあるということは、引き続きデフレ圧力がかかっている、そこにデフレそのものである消費増税を当てる、これが非常に我々は危険だと心配をしているところです。

 これもちょっと本筋の話じゃないですけれども、総理大臣、どの総理大臣も政権をとられれば、霞が関の雄である財務省との向き合い方というのが一番問題になるんですが、この点について、率直にどうでしたか。御感想をお願いします。

安倍内閣総理大臣 消費税引き上げにおける議論で、確かにそれは、財務省という立場からすれば、国の信認を守らなければいけないという立場がありますし、そして基本的には、伸びていく社会保障費に対応するという大きな目標というか、そのために行う、消費税を引き上げていくわけでございます。

 この二点、伸びていく社会保障費に対応して次の世代に今の社会保障制度を引き渡していく、そして国の信認ということにおいて、一方、今、江田委員が指摘をされたように、デフレから脱却をしていくということが安倍政権の大きな方針でございます。

 その中において、率直な議論を展開したところでございますが、黒田日銀総裁も、今回、この状況の中において消費税を引き上げていくことが妥当であろうと。これは、国の信認ということと、そして、今の状況の中から見れば十分に、四―六はもちろん影響を受けるわけでありますが、七―九においては成長軌道に戻ることも可能であるという御議論もございました。

 もちろん、浜田先生のお考えも尊重するわけでありますが、同時に、麻生副総理の考え方も十分に傾聴に値したということでございました。

 その中において、ああした形で判断をさせていただいたということでございます。

江田(憲)委員 総理、異次元の金融緩和を採用されたわけですから、ぜひ異次元の財政政策もとっていただきたかったんですよ。

 私はここで前政権時代からパネルを出してさんざんやってきましたけれども、国の財政もやはり貸借対照表、民間も採用しているような貸借対照表で見ないと、とにかく財務省は口を開けば千兆円の借金でGDPの二倍だとおどかすんですけれども、どこの世界に貸借対照表の右だけ取り出して大変だ大変だと言う会社がありますか。

 トヨタだって、あれは十九兆、二十兆の負債があるんですよ。では、それだけ取り出したらトヨタだってあした倒産ですよ。しかし、それをはるかに上回る資産があるからいいんですね。

 ですから、私はもうくどくど言いませんけれども、千五百兆円の金融資産もある、もう今や二百五十兆から三百兆円の海外での資産も持っている。外貨準備が百兆もあって、国債の金利はどうですか、直近で〇・六%ですよ。どこが財政破綻して国債が急落するのか。

 こういうオオカミ少年の言うようなことを本当に安倍総理は採用していただきたくなかったというのが、私の基本的な考えであります。

 もう一つ、きょうは、しかし、これはもう四月から上がりますよ。これから凍結法案を出したって凍結できませんから、現実的に。ことしじゅうに決断をされると言われる来年秋の一〇%増税のときにはぜひひとつ頭に置いていただきたいと思うのが、このドーマーの定理というものですね。

 ドーマーの定理、ちょっと難しそうに聞こえますが、簡単です。ドーマーの定理というのは、債務管理、借金管理の一つの考え方として、これに書きましたように、まず、プライマリーバランス、基礎的財政収支を均衡させることが大事。これはもう今の政府もとられているとおりですね。目標値を決めてやっておられる。その上で、名目成長率が国債の長期金利、名目金利を上回る成長をする。そうすれば借金はいずれ収束するんですよ。それは当たり前のことですね。

 プライマリーバランスが均衡するということは、その時々の政策経費は借金なしで賄える、税収で賄える、税外収入も含めてということですから、残るのは利払いだけ。利払いの伸び率が名目金利で決まりますから、この名目金利よりも経済成長率が高ければ、GDPの伸び率の方が高いですから、GDP分の借金の比率は下がっていく、あるいはイコールだ。ですから、これは、幾ら、千兆円だっていいんですよ。国は、日本は、千年でも万年でも続いていく。いくべきだ。

 けさほど松野頼久維新幹事長の質問もありましたけれども、どうやって千兆円をやっていくんだというのは、まさにこういうマクロ管理。要は、それは千兆なんて、消費税で返すといったら何%ですか。四〇〇%分ですからね、二・五兆円として。できるわけないので、まさに経済成長を原動力にして借金管理をしていく、減らしていく、こういう努力が必要なので、そのときにはやはり何よりも経済成長が必要なんですね、名目経済成長率。

 しかも、長期金利、どうしても景気がヒートアップすると長期金利が上がっていきますから、今みたいな〇・六ではとどまりません。しかし、それがイコールかちょっとでも上回れば、国というのは何万年も続いていく、続いてほしい、収束していく。それが、発散しない、財政の信認というところにつながっていくので、こういった観点から、経済成長なくして財政再建なしというのが我が結いの党の立場なので、そういう立場でぜひことしの決断、考慮していただきたいんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 このドーマーの定理は、小泉政権の最終年に経済財政諮問会議で議論になっておりました。竹中大臣と吉川議員との間でも随分議論が交わされまして、果たして名目金利とそして名目成長とのどちらが上回るか、そういう議論があったわけでございまして、マンキューの論文の理解について延々と議論があって、当時の小泉総理がもういいかげんにやめろと言ったという有名な話がございます。

 そこで、大切なことは、今、江田委員がおっしゃったように、しっかりと名目成長を大きくしていく努力をしていくということが極めて大切である。名目成長を伸ばしていくためにも、これはデフレから脱却をしなければどうしようもないわけでございますから、しっかりとデフレから脱却をして、成長戦略を進めていく中において、名目成長を確保していきながら税収を確保し、そして、もちろん無駄遣いもなくしていく中において、財政の健全化も目指していきたい、こう考えているところでございます。

江田(憲)委員 与謝野・竹中論争ということで有名だったんですが、現実問題、プラクティスとしてこのドーマー条件をクリアしているのは、例えばオーストラリア、アメリカ、イギリス、スウェーデン、大体かつかつでクリアしているのはフランス、イタリアみたいな、大体四%名目成長なんですよ。四%名目成長があれば大体において長期金利を上回る、だから借金管理ができるということなので、我々も、増税将来まかりならぬとは申し上げませんが、本当に一年、二年待っていただきたかったですよ。このデフレギャップが解消されて、経済、景気回復が巡航速度に行くまでに、そんなところまでに国債が暴落するようなことはあり得ませんからね。

 ですから、ぜひ為政者、総理大臣としては、増税しなければ国債が暴落するんだ、こういうリスクを選ぶのか、それとも、増税をした結果腰折れしてまたデフレ、不況に突入するリスク、どちらを選ぶかという大変な決断なんですけれども、ぜひ総理としては、私はこの四月からもそういう決断で、とりあえず一、二年は待つという決断をしていただきたかったんですけれども、それがもう現実的にかなわないとすれば、ぜひそういうことを念頭に置いてやっていただきたいと思います。

 今、小泉政権の話が出ましたけれども、これは釈迦に説法でございますが、小泉政権が政権についたときには二十八兆円のプライマリーバランスの赤字があったのが、二〇〇七年にはもう六兆円に減っちゃったんですね、二十兆以上改善した。これは消費税にしたら八%以上の増税分ですよ。これが経済成長の威力というものですね。

 クリントン政権のときも、実は三千億ドルの赤字だったんですよ。今の時価でいうと三十兆円の赤字を九七年には解消しているんですよ。だから五・七%の名目成長があった。

 ぜひこれを念頭に置いていただいて、私は財政再建も大事だと思っていますけれども、やはり何よりも今は、最優先は経済成長。今のお答えはそういうことでしょうから、ぜひお願いをします。

 そこで、第一の矢は力強く飛んだんですが、しかし、これはカンフル剤ですよね。第二の矢、機動的な財政運営というところで、これもけさほど松野議員、別に打ち合わせたわけじゃないんですけれども、別々の政党なんですけれども、同じ意識でやっていまして、私は、この第二の矢の中で、補正、本予算も含めて額は積んでいるけれども、しかし、公共事業と基金に頼り過ぎ、そしてこの矢は折れつつあるということを少し論証してみたいと思うんです。

 これはちょっとマクロの数字でございますけれども、公共事業関係費の推移ということでございます。これはもう財務省資料で明々白々、決算ベースの資料でございますが、これをごらんになってわかるように、大変高水準で公共事業を積んでまいりました。平成二十一年度、これはもう補正も全部合わせて総額十兆円。二十二年度七・八。二十三年度九・七。二十四年度もまた十兆円。

 しかし、どうでしょう、皆さん。このうち、繰り越しと不用を合わせた額が、二十一年一・七、二十二年度二・〇、二十三年度に至っては三・七、二十四年度は四・四。何と二十四年度は、十・一兆円のうち四・四兆円が使われずに翌年に繰り越されるか不用として計上されている。実に四割、五割ですよ。これは、二十五年度も結構積み上がっていますね。見かけ七兆、特別会計の関係で六兆数千億。

 しかし、残念ながら、これはもうあちこちで言われていますけれども、入札をかけても、二次、三次入札をかけても応募がない。被災地においては、公共事業、三割は未消化だ。そういった状況が続いているわけで、残念ながら、この第二の矢、この公共事業を幾ら積んでも、これは貴重な税金です、経済成長の果実である税収増も使っていますよ、しかし、この公共事業というのは本当に効き目がないんだ。こんなところに積む暇があったら、法人減税を少しでもやる、投資減税をもう少しでも拡充する、研究開発、技術革新にもう少しでもお金を積む。

 なぜ、安倍総理、そうした御判断ができなかったんでしょうか、お答えください。

麻生国務大臣 この二十三年度、二十四年度というところが直接我々の関係するところなので。

 この二十四年度の繰越額プラス不用額というのが増加しているとされておりますが、これは、主として、東日本大震災からの復旧復興のための補正予算で追加をいたしました公共事業関係費が約二・三兆円につきまして、事業実施のおくれから多額の繰り越しが発生したというのが主たる理由だったと存じます。

 また、二十四年度の未消化が増加している点につきましては、二・四兆円の公共事業関係費というものの追加を含む二十四年度の補正予算というのが成立をいたしましたのは二月の二十六日にずれ込んだことなどから、これは多額の繰り越しなどが発生したことによるものだ、私どもとしてはそう理解をいたしております。

 いずれにしても、今言われましたように、人夫が足りない、鉄筋の曲げ工がいない、型枠工がいない等々、いろいろ現場では問題を抱えているのは事実ですよ。事実、私どものところから、もう大量の人がいなくなっておりますので、現場が人が足りなくなっているのは事実ですから。

 そういった意味では、どうなっているかといえば、これは国交大臣に聞かれた方がいいと思いますが、人件費を七%か八%上げておりますので、ベースアップとは言いませんけれども、間違いなく七、八%給料は上がっておると思いますし、また、材料費も、今の直近の物価版に合わせて材料費を調達するような方法に変えておると思いますので、かなりの部分はそういった形で対応させていただいておるところだと存じます。

江田(憲)委員 もう公共事業を積んでも、限界効用というか、効果はありません。

 ですから、公共事業を私ども全く否定するものではないし、景気が落ち込んだときにカンフル剤的に公共事業を注ぎ込むのはありですね。しかし、この数値を見ても、これはまだ二十四年度で、今度、二十五年度の決算が出て、また二十六年度、どんどんどんどん繰り越していく。

 数兆円ベースで繰り越していくということは、それだけ、GDPというか、さっきの名目成長には寄与しないということなので、ぜひもう少し、先ほど申し上げました減税とか投資とか研究開発とか、これも釈迦に説法ですけれども、経済成長というのは資本プラス労働プラス全要素生産性。ですから、資本ストックの増強、設備投資、そして、労働は余り期待できないとすれば、全要素生産性、技術革新、研究開発投資、そういうところにぜひ、安倍総理、ちょっと決意を表明してください。

安倍内閣総理大臣 まさに日本は、グローバルな経済の中でしっかりと成長していく上においては、企業の競争力を確保しなければならない。そういう観点から復興特別法人税については一年間前倒しをし、そしてまた、法人税についてもそうした観点から検討を進めていきたい、こう思っておりますし、同時に、今回においては、企業の投資を促す税制を行っているところでございますし、また、賃金を引き上げていく上において必要な税制も行っているところでございます。

 基本的には、今回も一応一兆円の税制対応をしたわけでございますが、今後ともしっかりと、企業が生産性を向上していくために必要なさまざまな施策を行っていきたいと考えております。

江田(憲)委員 御努力は一部私も認めさせていただきますが、やはり法人税は、代表質問のときにも申し上げましたけれども、一気に引き下げられないのであれば、段階的に何年までに例えば二五%にするとか二〇%にするとか、そういう行程表さえ安倍総理のリーダーシップで示していただければ、企業というのはそれで計画を立てて実行していきますので、いきなり二五に下げろと言っても無理ですから、そういう意味で、ぜひ、まさに手法を変えていただきたい。

 そういう意味で、もう一つ。これも午前中にやっていましたけれども、基金ですね。

 これは、麻生大臣、申しわけないですけれども、大臣が総理のときから相当活発に、例えば平成二十一年の補正予算で四十六の基金に四兆三千億円積んで以来どんどんできていまして、会計検査院の昨年十月に出た報告書からとりました図によりますと、その後、二十四年度までに実に新しく百六十一も基金ができていまして、そこに五兆円の国費が投入をされている。

 ここの表に示しましたのは、そのうち、二十四年度を入れると、執行といったってまだまだできたてなので、二十三年度までに新設された、新しくできた基金のうちの執行率というものを、これは会計検査院の報告ですから正しいんですけれども、表に示させていただきますと、実は、百十一、さっき言った百六十一のうちの百十一の基金のうち、表を見ていただければ、四分の一も執行していないというのが二十七、半分も執行していないというのが十九、合わせて四十六、半分近くの基金がまだまだ半分も執行していない、こういう事態なんですね。

 これは普通の予算ですけれども、復興予算関係でも基金がどんどんつくられていて、例えば、二十四年度までに二・九兆円の国費が復興関係の基金に投入をされていまして、その執行はたったの〇・八兆円、八千億円ですよ。執行率は二八・七%。

 ですから、これも公共事業と同じように、まさに、ずっとこの数年間、公共事業と基金で、特に補正を中心に、景気を上向かせようといって努力をされてきたんですけれども、残念ながら、貴重な税金を投入しても効果の薄い施策に頼ってきたと言わざるを得ないんですけれども、安倍総理、これに対する見解をお願いいたします。

麻生国務大臣 今の話でいきますと、私のときの平成二十一年度、たしかあのときは、リーマン・ショックの後を受けて景気対策をせねばならぬということで、ああいったことをやらせていただいたと記憶をします。

 それから三年間はちょっと違いますので、その三年間のことはちょっとそちらに聞いていただいて。

 こちらの方には、その残りのところなんですが、これは御存じのように、先ほどもちょっと同僚の方の御質問でしたけれども、今、私どもとしては、景気対策というものは、何といっても、平成二十六年度四月から始まりますいわゆる景気対策をしないと中折れする、先ほど御心配いただいた、景気が腰折れしかねないという状態に対応するもの。その前の年につきましては、これは御存じのように、予算編成を私どもでスタートさせましたのが十二月の二十何日からでしたので、当然間に合いませんので、四月から六月までの間を何とかしなければならぬということで補正予算を組んだ。

 補正予算というのは毎年違いますので、その時代に合わせてやらせていただいたと思いますので、それなりの、事情は、その時々によって補正をつくる意義は違っておるとは思いますけれども、いずれにしても、私どもとしては、四月から確実に使っていただけるようにするためには、三月末までにきちんとしたものをつくっておかないと、地方議会は三月の議会で事を決定しますという事情があるというのはもう御存じのとおりです。

江田(憲)委員 確かに間は民主党政権を挟みますけれども、ことしのこの補正でも一・二兆円も組んでおられるわけですから、五・五兆円、それを踏襲しておられるわけですから、私は申し上げているわけですね。

 総理、何度も言いますが、せっかくお金を使うのであれば、もっと乗数効果というか限界効用というか、こういう景気に本当にきくような対策をとらないと何にもならないわけです。

 これは、評論家とかコメンテーターは言いっ放しでいいですけれども、総理御自身の問題で、これはもうアベノミクスが今のところ功を奏してきたから、支持率も上がり、安定をしている。しかし、残念ながら、またこういうことをやっていると、本当に、私は、四月からの増税のときに、非常に危惧しているのは、多少兆候もあらわれておりますけれども、外国投資家が本当に投げ売りするんじゃないか。せっかく株がどんどん上がってきた、しかし、この前、塩崎議員がやられておられましたが、株式保有率で見ると、外国投資家は三割なんですよ。

 そして、外国投資家が十五兆円以上買い越して引っ張ってきた株価です。逆に、日本の投資家、日本国民は逆に二十兆円ぐらい売り越している。要は、外国投資家が幾ら買って引っ張ってきたつもりなんだけれども、残念ながら日本の投資家はついてこなかった。

 そして、先行きも暗い、増税もある、これから述べます規制改革もはかばかしくないとなれば、三月の決算売りに重なって、三割を占める外国投資家が本当に売り逃げをしちゃったら、私は本当に危惧しているんですね。

 だから、そういう意味で、今回こういう対策を打ったと言われますけれども、残念ながら、基金にしろ公共事業にしろ、もう実体経済にきかなくなっているんですね。ですから、これも、異次元の財政政策を打たれるのなら、総理、ぜひこれは、もう手おくれかもしれないけれども、ぜひやっていただきたいと思うので、一言ちょっと決意をお聞かせ願いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 基金については、麻生大臣からも御説明をさせていただきましたが、来年度以降まで継続して、各年度における所要額が見込みがたいといった施策について活用しているところでありまして、二十五年度補正予算にも計上をいたしました。

 そして、今回補正予算を成立させていただきました。本来の目的である、消費税引き上げに対する影響を緩和する、そしてもとの成長軌道に戻るということが重要でございますので、迅速かつ円滑な執行に全力を挙げることが重要だと思っておりますし、また、今委員が御指摘になったようなさまざまな課題については、執行状況等も見ながら、今後の検討課題としてしっかりと見ていきたいと思っております。

江田(憲)委員 私も元官僚ですから、これは手にとるようにわかるんですよ。知恵を出さなくていいんですよ。

 結局、これは政治も悪いんですけれども、例えば補正で五・五兆円積めという数字がありきで、積み上げられないんですよ、急に言えと言われても、需要を調査する時間もないし。そうすると、結局、基金に積んじゃうんですよ、額を稼ぎたいために。公共事業だってそうですよ。消化できないなんということはもうわかっているんですよ、役人はばかじゃないので。だけれども、公共事業なら積み増しは簡単なんですよ、鉛筆をなめれば。

 ですので、ぜひ、安倍総理それから菅官房長官、霞が関ににらみをきかせている官房長官として、官僚の習癖というか、官僚ばかりが悪いんじゃないんですよ、本当に。だけれども、こういう中身のないものをつくると、本当にこれは国を誤ることになりますので、ぜひお願いします。

 そこで、規制改革ということで、第三の矢、成長戦略の中の一番の肝である規制改革について、残りの時間はお聞きしたいと思うんですね。

 ここがみそでありまして、それは、さっき言いましたように、資本プラス労働プラス全要素生産性で経済が成長していくのであれば、この資本ストック、設備投資のところは、まさに農業であるとか医療、福祉、子育てであるとか、さらには電力、エネルギーであるとか、誰しも認める日本の成長分野、これがもう規制でがんじがらめなわけですから、その規制を改革して、新しい血を入れていく、新規参入をさせていくという意味では、農業にも、しっかり、土地を買って、農地を買って株式会社が農業を営めるようにする。医療や福祉の分野でも、民間活力をどんどん、今でも入れていますけれども、さらに広げていく。電力、エネルギーは、政府も目指しておられる電力の再編、自由化で地産地消の、地域分散型の新しい電力会社をどんどんどんどん参入させていく。そういうことで資本のところがふえていく。技術革新も大事だということで、そういう意味で一番私どもは大事だと思っているんです。

 きょうも時間はありませんので、農業に絞ってお聞きしますけれども、その前に、たびたび名前を出して恐縮ですが、ちょっとイエール大学でハクションをされているかもしれませんが、浜田宏一先生が、実は、アベノミクスを評価され、第一の矢の金融緩和はAだ、第二の財政運営はBだ、第三の規制改革、成長戦略はEだ、本当はFをつけたいんだけれども、Fをつけたら私が落第になって内閣参与をやめなきゃならないのでEにするという発言をされているんですが、率直な感想をお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 これはA、B、Eでアベになっているんですね。

 そこで、いわばこれは浜田教授の一つのウイットなんだろう、このように思いますが、こうした意味において、さらにこの成長戦略に磨きをかけていきたい、このように思っております。

江田(憲)委員 そうおっしゃるしかないと思いますが。

 ちょっとお年を召しておられるんですが、ぜひまた帰国をされて、安倍総理に的確なアドバイスをお願いしたいと思います。

 さて、我々結いの党の農業改革については、このボードで示させていただいたとおり、簡単に申し上げますと、減反は正真正銘廃止する。そうすると、今、一俵一万五千円ぐらいの値段、これが、生産調整をやめるということになれば、例えば八千円に下落する。そうすると、今でも北京やシンガポール、上海で四、五倍高い日本の米は、おいしい、安全だということで飛ぶように売れているんですね。これが、一緒にはなりません、二倍ぐらいになったら、もっと売れるようになる。ですから、これは輸出競争力という意味で輸出産業化していく。

 ただ、価格ががたんと下がりますから、農家の皆さん、所得が減るでしょう。そこに直接支払いで税金で補償してもいいというのが、我が結いの党の考えです。ただし、専業、主業農家、これからも農業でしっかり生計を立てて頑張るんだという人を中心に直接支払いをしていく。

 そうすると、やはり、米価が下がりますと、非効率な零細農家を中心に農家はやっていけなくなる。そういう農家の人は、土地をぜひ大きな農家のところに貸していただく、売っていただく。そういうことで、採算が合いませんから経済合理性でそういうふうになっていくんですけれども、それで集約化が図られる。土地を出した人は地代で暮らしていける。今だって、零細農家、兼業農家は年収で百万円もいっていないんですよ、農家収入は百万円もいっていないんですから、地代でしっかりと従前の所得も保障できるということになります。

 そして、何よりも重要なことは、農業を産業化するということは、やはり法人化するということが必須でございます。特に農業については、生産要素が土地でございますから、土地というものは、しっかりと所有をして、そこにしっかりと投資をしていくというインセンティブを与えていかなければなりません。そういう意味では、リース方式で今株式会社は参入できるとはいっても、本来の姿は、やはり、土地も所有して、農地を所有して、例えばワイン畑をしっかり買って、そこで土壌改良して、ブドウを育ててワインをつくっていくというのが本来の姿ですから、そこのところ、ぜひ、農業生産法人の要件緩和も含めて、農業への新規参入も図っていく。

 ただ、林大臣御指摘のように、株式会社が入ると利益中心になるから、どうしても利益が上がらなきゃほっぽり出して、休耕地がふえるんじゃないかという懸念があります。しかし、そこは、フランスとか先進国がやっているように、ちゃんとゾーニング規制をもっと強化していく。今、農業委員会というのは、転用委員会という俗称もあるぐらいに、要は転用期待で、農地は宅地と比べて固定資産税も安い、だから休耕地がどんどんふえている。耕す意思もないのに、転用期待、転売期待で休耕地を持っている。だから、今、埼玉県から滋賀県並みにどんどん休耕地、荒廃地がふえてきたということですから、こういう形でしっかりと転売規制をかけていくということであればデメリットも防げる。

 これが我が結いの党の総合的な農政改革プランなんですけれども、そういう意味で、減反廃止と称しながら、実際問題は転作奨励金を三割ぐらいアップさせ、そして既存の農家の所得が一三%ぐらいアップするというような、こういうことではなかなか今申し上げたような減反廃止というわけにはいかない。実際上、今の既存農家が維持される、農地の集約化も進まないという事態で、私に言わせると、形を変えた減反政策の維持、そして農政改革にもならない、農業は引き続き弱体化していくばかりだというふうに思いますけれども、これに対する安倍総理の見解をお伺いします。

林国務大臣 幾つか論点を明示していただきましたけれども、基本的に、短く申し上げれば、みんなの党の政策と大体同じかなと思って……(発言する者あり)結いの党ですけれども、みんなの党のときと基本的には御主張は変わっておられないな、こういうふうに思っております。

 一つ、要するに、減反の廃止をして、米価が下落をして集約していくというところなんですが、実は、兼業農家の方が零細なんですね。兼業農家の方は、まさに兼業ということで、農業からの収入は非常に少ないので実は余り影響を受けずに、集約化が進んでいる大きな方が実は影響を受ける。そういうところの収入をきちっとできるようなことを選択肢として用意をしておかなきゃいけないということで、先ほど八万円が十・五万円のお話をされたと思いますが、あれは、八万円が、正確に言うと、十・五万円と五・五万円の間で数量払いというのを導入した、インセンティブがよりきくような仕組みにしたということでございますので、こういうことをあわせて、目標としてそんなに違っているところが大きくはないとは思いますけれども、手段においてその辺が異なっているというところはちょっと申し上げておきたいと思います。

江田(憲)委員 今回、中間保有機構ですか、土地を集約化するような機構もつくられているんですけれども、私の知るところで言うと、土地が出てこないんですね、農地が。

 これは、例えば、四百五十万ヘクタールですね、今、農地の面積。そのうち、年間、売買で出てきている土地は、たった七から九千ヘクタールなんですよ。賃借が一・二から一・六万ヘクタール、四百五十万あるうち。何で土地が出てこないのか。土地が出てこないのに集約機構をつくってもだめなんです、総理。何で出てこないかというと、土地を持っていた方が得だからと思っているからなんです。

 なぜ得かというと、宅地並み課税とか昔から言われていますように、農地を持っていても、税金が安いんですよ、極端に。だから、みんな転売期待なんですよ。いずれ道路が通るだろう、いずれ宅地に高く売れるだろう、だから、ずっと持っているんです。

 だから、土地が出てこないんだから、幾ら中間保有機構をつくったって、土地の集約はできないんですよ。だから、そこは経済合理性でやっていかなきゃだめなんですね。経済合理性でこういう減反を廃止して値段が下がれば、非効率な農家ほど退出せざるを得ない。

 しかし、それを、もう死んでくれとは絶対言いませんよ。そういう人たちは、土地を貸すなりなんなりして地代でやれば、百万未満の、六十万、七十万の年収しかない人は地代で吸収できるんですからいいでしょう。それよりも、大きな観点からもっと集約化をして、大規模化して生産性も上げていくということを私は申し上げているので、もう林大臣はお答えになったので、総理、ちょっとこういう考え方で進めていただけませんか。

林国務大臣 ちょっと事実関係だけ申し上げますと、今回の中間管理機構も、今おっしゃったように、賃料をきちっと払っていこう、こういう仕組みでございます。

 多分、江田先生も現場をお回りになったらそういうお話を聞いたことがおありになるかもしれませんが、今現在起きていることは、もう自分でなかなかできないので、例えば、委託料を払ってまでやってもらっている、こういうことまで現場では起きておりますので、きちっとこういう中間管理機構をつくって、賃料をきちっとお支払いするというスキームをつくって、そして、そこが、いろいろなものを、借りてきたものをまとめて、土地改良もやった上で貸し出すということをつくるということが非常にこれは集約化に役立つと我々は思っているわけでございます。

安倍内閣総理大臣 基本的に、最終的な絵姿としては、結いの党と我々はそれほど変わってはいないんだろうと思います。集約化をして競争力を高めていく、そして、輸出も行いながら日本の農業を産業としても活性化していくということでございます。

 そこで、今、林大臣がお話をさせていただきましたように、これは、県がこの集約をまず一時的に行うことによって土地を集まりやすくするということと、これは地域によって違うんですが、多くの地域、例えば、私の地元の山口県なんかは、休耕はしていても、そこに草が生えるということはむしろ家として恥ずかしいという観点から、それを、いわば誰かにお願いをして借りてもらっているということも起こっているわけでございまして、しっかりと賃料を払えば、この政策によって集約は進んでいくもの、このように考えております。

江田(憲)委員 規制改革はアベノミクスの成否を左右する重要案件ですから、これからもしっかり前向きな提言をさせていただきたいと思いますので、ぜひお聞きいただきたいと思います。

 本当にきょうはありがとうございました。

上杉委員長代理 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、安倍総理の靖国神社参拝問題について質問いたします。

 総理が参拝をした靖国神社は、さきの大戦をどういうふうに位置づけて、どういう立場、主張をし、それを発信しているか、当然、総理は御承知ですね。

安倍内閣総理大臣 靖国神社自体は、戊辰戦争以来、国のために戦った方々をお祭りしている神社である、このように認識をしております。

笠井委員 総理、私の質問、さきの大戦ということについてどういう立場を発信、主張しているかということで、主張を発信しているかということにお答えにならなかったんですけれども、では、靖国神社がどんな立場、主張をとっているか、見ていきたいと思います。

 靖国神社の施設に遊就館という展示館があります。そこが発行したパンフレットがここにあるんですけれども、この冒頭にこうあります。「明治十五年我が国最初で最古の軍事博物館として開館した遊就館は、時にその姿は変えながらも、一貫したものがあります。」こう言いながら、その続きをパネルにしてみたんですが、こう書いてあります。「近代国家成立のため、我が国の自存自衛のため、更に世界史的に視れば、皮膚の色とは関係のない自由で平等な世界を達成するため、避け得なかった多くの戦いがありました。それらの戦いに尊い命を捧げられたのが英霊であり、その英霊の武勲、御遺徳を顕彰し、英霊が歩まれた近代史の真実を明らかにするのが遊就館の持つ使命であります。」。

 そういう立場で、あの侵略戦争を正しい戦争だったと美化をして、宣伝し続けているのが靖国神社であります。総理は、このことは当然承知されていますね。

安倍内閣総理大臣 遊就館と靖国神社は別でございまして、私がお参りしたのはあくまでも靖国神社であるということでございまして、これは先ほど申し上げましたように、明治以来の戦死者の方々をお祭りしている神社であるわけでありまして、そこにお参りをして、手を合わせてきた、こういうことでございます。

笠井委員 今総理は別であるというふうに言われましたが、この遊就館というのは、靖国神社の遊就館部という部署が管理運営をしているところであります。そして、この靖国の敷地内にかなり大きな場所を占めていますが、館内に入ると、いきなりゼロ戦が展示をされている。これが神社の施設かと驚かされる、そういう軍事博物館であります。

 歴代の遊就館部長というのは靖国神社の祭祀をする責任者の宮司を補佐する禰宜が務めるなど、靖国神社がその歴史観、戦争観を、まさにここにあるように展示、宣伝する役割を靖国神社の部門として担っているということであります。

 総理、そういう施設がここに紹介したパンフレットで明らかにしている靖国神社の立場について私は聞いているんです。「我が国の自存自衛のため、更に世界史的に視れば、皮膚の色とは関係のない自由で平等な世界を達成するため、避け得なかった多くの戦いがありました。それらの戦いに尊い命を捧げられたのが英霊」だと。

 つまり、靖国神社は、あの大戦が自存自衛の正義の戦いであり、自由で平等な世界を達成するための避け得なかった戦いだった、このように主張し、それに殉じた英霊をたたえる施設だと。そういうことを十分御承知の上で総理は参拝されたのかということを伺っているんです。

安倍内閣総理大臣 私は、宗教法人の考え方あるいは歴史観についてコメントをするべきではない、このように思っておりますが、つけ加えさせていただきますと、靖国神社の境内には、世界じゅうの戦没者をお祭りしている鎮霊社というお社もあるわけでございまして、私は、そこで手を合わせまして、二度と再び戦争の惨禍で人々が苦しむ時代をつくってはならないという思いを込めて、不戦の誓いをしてきたところでございます。

笠井委員 繰り返し違うものだというふうに言われるんですが、遊就館が今の姿になったのは、二〇〇二年七月であります。新館を大増築して、展示スペースを従来の二倍に拡大いたしました。その開館式の挨拶をした靖国神社の湯沢貞宮司当時は、太平洋戦争を大東亜戦争と呼んで、我が国の自存自衛のため、さらに世界史的に見れば、皮膚の色とは関係のない自由で平等な世界を達成するため、避け得なかった戦いと説明いたしました。

 まさに、この主張は、靖国神社そのものであります。ですから、そうやって、みずからの参拝は性格が違うと言っても通用しない。

 では、総理に伺いますが、総理御自身は、あの戦争が、自存自衛、そして自由と平等な世界を達成するための正義の戦争だというふうに考えていらっしゃるのか、それとも、そういう主張は間違っていると考えていらっしゃるのか、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。

    〔上杉委員長代理退席、委員長着席〕

安倍内閣総理大臣 さきの大戦において、とりわけアジアの人々に対して多大な損害と苦痛を与えたことの反省の上に立って、今日の自由で民主的な、そして法をたっとぶ国をつくってきたところでございます。

 そして、基本的には、歴史観については、私は歴史家に任せるべきであろう、この考えを持っているところでございます。

笠井委員 この自存自衛というのは、日本の政府、軍部が侵略と領土拡張を合理化するために最大の旗印に掲げたスローガンであります。

 歴史家に任せるという感じじゃなくて、日本の政治の中でそういうスローガンを掲げてやってきた、そしてその反省とかというふうに言われたけれども、そういうことを言うんだったら、では、あの戦争は、自存自衛、自由と平等な世界を達成するための正義の戦争だったというのは間違いだ、こうはっきりおっしゃれますか。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁させていただいたように、さきの大戦において、とりわけアジアの人々に多大な損害と苦痛を与えた、この反省の上に立って、戦後、日本の再建に当たってきたわけでございまして、この再建の歩みは、私の誇りとするところでございます。

 同時に、いわゆる歴史においての認識については、政治の立場にある者は謙虚でなければならない、このように思っているところでございまして、政府が一定の歴史観を決めるということではなくて、それは歴史家に任せるべきだというのが私の考えでございます。

笠井委員 総理が行かれた靖国神社が唱えている自存自衛の戦争、そしてアジア解放の戦争、まさに正義の戦争ということについて、間違っているとはっきりおっしゃれない。

 さきの戦争というのは、中国、アジア諸国に対する領土拡張と外国支配を目指した侵略戦争であったことは、歴史の事実であります。来年で第二次大戦が終わってから七十年になろうとしていますけれども、日本、ドイツ、イタリア、これがやった戦争というのは、いかなる大義も持たない侵略戦争だった。日本国民三百十万人、アジアの人々二千万人、第二次世界大戦全体で数千万人とも言われる犠牲を出した戦争は、決して繰り返してはならないというのが、戦後の出発点、それが戦後の国際秩序の土台となっているわけであります。

 日本政府も、紆余曲折ありましたが、一九九五年の村山談話で、我が国は、遠くない一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えましたとして、痛切な反省と心からのおわびを述べたわけであります。

 ところが、それとは全く正反対に、あれは正義の戦争だったというのが靖国神社の立場であります。そうした靖国の立場が間違っていると総理ははっきりと言えずに、そして、その神社に参拝するということは、戦後の政府見解の到達点を崩して、過去の侵略戦争を肯定、美化する、そういう立場と同じ立場にみずからの身を置くことを世界に向かって宣言することになる。総理にはそういう認識がありますか。

安倍内閣総理大臣 まず、そういう認識はありません。

 繰り返し答弁をしているとおりでございまして、さきの大戦によって、とりわけアジアの人々に多大の損害と苦痛を与えた、この痛切な反省の上に立って、日本は戦後の再建の道を歩んできたわけでございます。

 そして、いわゆる歴史認識については、これは私は、政治の場において、いわば政府の場において、これがこういう考えであるということを申し上げるということについては謙虚でなければならない、歴史に対しては謙虚でなければならないと考えておりまして、歴史家に任せるべきだ、このように考えているところでございます。

笠井委員 認識がないというのは重大だと思うんですが、歴史に対して謙虚でなきゃいけないのに、はっきりと正しい戦争だったと言っている靖国神社に間違っていると言わずに参拝する。まさに、謙虚じゃない、そういう証拠じゃないですか。

 国のリーダーとして当然と繰り返し総理は言われますけれども、あの侵略戦争は正しかった、自存自衛、アジア解放の戦争と言っているのが靖国神社であります。不戦の誓いに最もふさわしくない場所であります。

 この間、日本政府の公式に表明してきた立場と全く正反対の主張をしているところに国のリーダーが参拝するから、国内外から批判が出るのであります。

 もう一つ、パネルの二をごらんいただきたいんです。

 これは、靖国神社そのものの社務所が作成したリーフレット「やすくに大百科」、それの外国人向けの翻訳版なんですね。英語、中国語、そして韓国語に訳されて、海外の来訪者も受け取れるものであります。

 パネルにしてまいりましたが、この中に重大な記述があります。日本語版にあることが訳されているのですが、戦後、日本と戦った連合軍、アメリカ、イギリス、オランダ、中国などの、形ばかりの裁判によって一方的に戦争犯罪人とせられ、無残にも命を絶たれた千数十人の方々、靖国神社ではこれらの方々を昭和殉難者とお呼びしていますが、全て神様としてお祭りされています、こう述べた日本語版が、英語、そして中国語、それから韓国語にそれぞれ訳されております。

 総理、これを、アメリカ、イギリスの方々や中国、韓国の方々が読んだら、どう受けとめると思われるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは宗教法人の出しているパンフレットでございますから、私がコメントをするのは適切ではない、このように思います。

 一方、先ほども申し上げましたが、いわば靖国神社の境内の中においては、本殿の横に、世界じゅうの全ての戦場における戦没者も含めて、これは日本もそうでありますが、海外もそうなんですが、その霊を安んじるためのお社があるわけでございまして、私はそこにもお参りをしてきたところでございます。

笠井委員 この、戦後、日本と戦った連合軍、アメリカ、イギリス、オランダ、中国などの、形ばかりの裁判によって一方的に戦争犯罪人とせられ、そして無残にも命を絶たれた千数十人の方々という中には、東京裁判で裁かれたA級戦犯が含まれております。そのA級戦犯も昭和殉難者と呼んでいるのが靖国神社の立場ということでありますが、総理はそういう場所に参拝したということについては認識されますね。

安倍内閣総理大臣 私は、何回も申し上げておりますとおり、国のために戦った方々、とうとい命を犠牲にされた方々のために、手を合わせ、みたま安かれなれと御冥福をお祈りするというのは、世界のリーダー共通の姿勢なんだろうと思いますし、国のリーダーとしては当然のことなんだろう、こう考えているところでございます。

 そして、先ほど申し上げましたように、靖国神社の中には鎮霊社というお社があって、これは、日本と戦った相手国の人々の、命を落とされた方々の霊も祭っているわけでございます。それがまさに、その総体が私は靖国神社なんだろう、このように思っているところでございます。

笠井委員 総理は、繰り返し繰り返し、鎮霊社にも行ったのでというふうに言われるんですけれども、総理が世界じゅうの戦没者が祭られているとする鎮霊社でありますけれども、これは、靖国神社の本殿の脇にある、高さ三メートルほどの、鉄の柵で囲まれた、柵で囲まれちゃっているんですけれども、わずか十平方メートル程度の小さなほこらのことでありますが、この鎮霊社の手前には、万邦諸国の戦没者ということで、そういう立て札はありますけれども、一体誰が祭られているのかは全く不明で、名簿すらないんですね。創建以来、祭神を個別に明確化しながら祭ってきたというのが靖国神社と言われておりますが、そういう中で、祭神名も不明というのは極めて不可解だと言われております。

 しかも、一九六五年の建立当時に禰宜を務めていた人物の話から、A級戦犯が、本殿に合祀される一九七八年までの十三年間、この鎮霊社に祭られていたという指摘もあります。このような場所で手を合わせたからといって、総理が靖国神社を参拝したという事実が消えるわけじゃありませんよね。

 東京裁判、これにはいろいろ問題はありました。私たちもそのことを思っています。しかし、日本の戦争が侵略戦争だったときちんと断罪したこと、その責任を持つ人々について、個々にも罪を明らかにしたことは正しかった。実際に、日本はそれを受け入れたわけであります。

 では、伺いますが、総理自身は、東京裁判でA級戦犯が裁かれたことは当然だと考えていらっしゃるのか、それとも、そのことは不当であって、神として祭ることは当然だとお考えなんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 極東国際軍事裁判所において、被告人が極東国際軍事裁判所条例第五条第二項(a)に規定する平和に対する犯罪を犯したとして有罪判決を受けたことは事実であります。そして、我が国としては、平和条約第十一条によって、極東国際軍事裁判所の裁判を、ジャッジメンツを受諾しております。なお、極東国際軍事裁判所が科した刑は、我が国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない。

 これが従来からの政府の見解であり、安倍政権においてもこの見解でございます。

笠井委員 A級戦犯として裁かれた人たちというのは、B級、C級とも違った罪の重さで裁かれました。つまり、あの侵略戦争を計画、開始、遂行したということで、戦争指導者として責任が裁かれた。このことを否定すると、この日本の戦争は正しかったということになります。

 そして、今、国内法では裁かれていないんだというふうに総理は言われましたが、よく、その後大臣になったじゃないかという話がありますが、まさに、A級戦犯として国際的に有罪の判決が下った人たちが大臣になるような政治そのものがおかしいわけであります。

 今、結局、私が問うても、間違っているのかどうかお答えにならない。しかし、第二次世界大戦後の国際秩序というのは、日独伊による侵略戦争を不正不義のものと断罪することを共通の土台としております。日本は、ポツダム宣言、東京裁判を受け入れて、サンフランシスコ条約を結んで、国連に加盟し、そして国際社会に復帰した、これが戦後の政治の出発点です。

 ところが、現在も日本軍国主義による侵略戦争を正義の戦いと美化、宣伝する靖国神社は、侵略戦争を引き起こしたA級戦犯を、連合軍による一方的な裁判でぬれぎぬを着せられた犠牲者として、神として祭っている。そのことについて私は問うたんだけれども、そして、日本の首相が間違っているとも言えずに参拝するというのは、結局、今日の国際秩序に正面から挑戦することになる。総理には、そういう認識はありますか。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁をさせていただきましたように、サンフランシスコ平和条約を締結したわけでございまして、そして、共産党は反対されましたが、それによって、先ほど申し上げましたように、第十一条によって極東国際軍事裁判所のジャッジメンツを受諾しているわけでございまして、この立場は今までの日本の政府と全く変わりはないということでございます。

笠井委員 サンフランシスコ条約にうちが反対したというのは、別の理由があるんですから、今の話と違うんです。

 靖国神社というのは日本軍国主義のシンボル、そして、世界からもそうみなされている。そこに総理が参拝すれば、世界の国々が、A級戦犯を含めて尊崇の念を示したんじゃないか、日本は戦後の国際秩序に挑戦して戦後政治の出発点を否定してひっくり返したいんじゃないか、そういう疑念を抱かれるのは当然だと思います。

 総理は、国の命令で命を落としたから国のリーダーの責任というようなことも、参拝について繰り返し言われておりますが、しかし、戦前、戦中、靖国神社は陸軍省、海軍省の共同管理。そういうもとにあって、財政を担ったのは陸軍省、責任者である宮司も軍人や陸軍大将らが当たって、中国への全面戦争が始まった翌年、一九三八年から終戦後の四六年一月までは、鈴木孝雄、陸軍大将をやった人がやったわけです。

 神社といいますが、最初から戦争のための軍事施設として扱われました。そして、戦場に出かけていく兵士、軍人の間で、靖国で会おうが合い言葉にされた。戦地に行ったら戻ってこられないかもしれないが、死んだら靖国神社で神様に祭られる、それが最大の光栄と言われて、国民を戦場に動員する役割を担ったものであります。そうやって補給も考えずに大軍が戦場に送り込まれて、多くは命が失われました。日本の陸海軍の軍人軍属の戦没者は二百三十万人にもなって、半数以上が餓死者と言われております。

 間違った国の命令を正しかったとしている場所に行くことは、最もふさわしくないと思うんです。戦争中は国民を不正不義の侵略戦争に動員して、戦後はその侵略戦争を正しかったと肯定、美化する施設に参拝するリーダーが世界のどこにいるかと言いたいと思うんです。

 八十を過ぎた高齢の女性のことを、参拝されたとよく総理は言われますよね。御遺族が戦死した夫や息子、父や祖父、兄弟のために参拝することを私たちは問題にしているんじゃないんです。靖国でしか会えないようにしたことが問題で、そういう戦争動員に使われた神社に、そして戦後もそれを美化し続けている、そういう神社に総理が参拝することが問題だというふうに言っているわけであります。

 そういう神社に総理が参拝するから、国内外から強い批判が広がるばかりであります。総理の行動によって、文字どおり国際社会の信頼を失って、特に近隣諸国との友好という国益を大きく損なったという自覚と反省は、総理にありますか。

 総理、私は靖国参拝はやめるべきだと思うんですが、どうですか。

安倍内閣総理大臣 靖国神社は、これは東京招魂社と言われていたわけでありますが、その原型は山口の下関にありました招魂社でございまして、今は桜山神社として残っております。大村益次郎が、まさにそれを原型として、あそこに社をつくろう、こう考えたというふうに承知をしているところでございます。

 先ほど来申し上げておりますように、まさに国のためにとうとい命を犠牲にされた方々のために手を合わせ、御冥福をお祈りしたわけでございまして、これは世界各国のリーダーの姿勢と全く変わらない、こう思うところでございます。これはある意味、リーダーとしては当然のことではないか、このように認識をしております。

笠井委員 総理はみずからの行動を本当にわかっていらっしゃらないと思うんです。こういう行動を続けるなら、日本は世界のどの国からもまともに相手にされない国になってしまうと率直に申し上げたい。

 日本が経験してきた戦争の現実と向き合って真摯な反省をしてこそ、国際社会の信頼を回復し、近隣諸国との友好という国益につながって、戦争に命をささげた多くの人たちの死を無駄にせずに、本当の意味で戦没者を追悼することになる、そのことを強く言っておきたいと思います。

 次に、原発問題でありますが、原発事故が起きた際の避難計画について伺います。

 電力各社は、原子力規制委員会に提出した再稼働の申請の書類の中で、原発の過酷事故がどんなふうに進むかという時間を、解析コードと呼ぶコンピュータープログラムを使ってシミュレーションしております。

 再稼働審査中の原発ごとに整理しますと、このパネル四のようになります。

 事故発生からメルトダウン開始、いずれも、十九分、二十一分、十九分、二十二分、十九分と二十分前後。格納容器から放射能が漏えいするのが始まる、その開始というのが約一時間半前後という状況であります。事故は急速に進展するということであります。

 総理、福島原発事故のように一たび全電源を喪失してメルトダウンしたときに、こんな短時間に住民を被曝させることなく安全に避難完了させることができるというふうにお思いでしょうか。

石原国務大臣 委員御存じのことだと思いますが、福島第一の教訓等々、あるいはIAEAの定める防護措置の枠組み等を踏まえまして、一挙に全員が急いで逃げるというような形にはなっておりません。

 原子力規制委員会が作成いたしました原子力災害対策指針に定める基準に基づきまして、今委員が御指摘されましたように、原子炉の運転中に原子炉への全ての給水機能が喪失した場合において、全ての非常用の炉心冷却装置による注水ができない場合、あるいは、全ての非常用発電機から電力供給が停止して五分以上継続した場合などには、全面緊急事態と判断して、原発の周辺おおむね五キロメートルの住民の避難を行います。

 また、これも福島第一で問題になりましたが、避難に時間のかかります要援護者の方については、原子力災害対策指針で定める基準に基づきまして、その前の段階で原子力規制委員長から避難要請を行い、避難や屋内退避を開始していただく。

 ですから、一遍にだっというような形にはなっていないということを御理解いただきたいと思っております。

笠井委員 今担当大臣からあったんですが、総理、感想で結構ですが、福島原発事故後というのは、対策をとっても、それでも事故が起きて、放射性物質が放出されるかもしれない。メルトダウンが起きたときには、有無を言わさずに、とにかく直ちに避難せよというのが今大臣が言われた現在の国の方針、原子力防災対策指針でありますが、非常に短時間に早く進むわけですね。

 避難というのは容易なことだというふうに思うか、それとも大変なことだというふうに思うか、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 もちろん、避難はなかなか困難も伴うわけでありますから、そのためにもしっかりと避難計画を策定していくことが重要だろう、このように思っております。

笠井委員 そこで、先日、私自身が鹿児島県の川内原発地域に伺いまして、昨年秋に国が主体になった原子力総合防災訓練というもののもとで行われた避難訓練の実態を、関係機関、参加した方々からつぶさに伺ってまいりました。

 あそこは、地域でいいますと、中心になっているのが薩摩川内という市ですけれども、その市内、原発から五キロ圏内の高齢者福祉施設に伺いますと、そこでは、訓練なので準備ができていたはずなんだけれども、第一報の電話連絡は来なかった、それで、歩行困難者を運ぶ救急車もそろわずに、四台来たけれども、最後、五台の一台が来なくて、一緒にならないと出られないということで、そろってからようやく第一陣が出発したのが、防災無線で避難指示が出てから七十分後だったというんですね。

 事業者も、避難計画を事業者ごとにつくれと言われているけれども、受け入れ先が大体どこかというのをはっきりさせてもらっていない、どこかも未定で、計画づくりをどうやっていいかわからないし、めどが立たないと、不安と懸念の声を上げられておりました。それから、隣のいちき串木野市というところの幼稚園では、そもそも、事業者ごとの避難計画づくりの説明も聞いていないという話でありました。

 一番確実に避難の支援が必要な、さっき大臣が言われた要援護者がこういう状況だったというわけなんですけれども、こうした実態、総理はどう受けとめておられるでしょうか。

石原国務大臣 ただいま委員が御指摘された事実は、現地に副大臣を派遣させていただきまして、同じような報告を受けております。ですから、この訓練で、今委員御指摘のような、いわゆる要介護者の避難に際しての車のおくれ、避難の状況等々に問題があったということは、私、事実だと思っております。

 今回の原子力防災訓練では、実際の災害場面に近い内容、よりリアリティーを高めた形で、状況の変化に応じてどういう対応をすればいいのかということを確認させていただきました。この結果として、今委員御指摘のような課題を確認できたのは、ある意味では、訓練でございましたので、私は成果ではないかと思っております。

 現実に災害が発生した場合に臨機応変に対応できるように、このような訓練等々を通じまして、継続的に実施していくことが委員の御懸念に応える唯一の道ではないかと考えております。

笠井委員 この訓練自体、北北西の風という想定でやられているんですけれども、しかし、事故はいつ起こるかわからない、昼、夜違うし、風向きもいろいろあるというところでいうと、気象条件は刻々と変わるわけであります。だから、これをやったら十分とかいうんじゃなくて、一つの例を挙げてやったにすぎないということであります。

 そして、川内原発地域では、避難対象の住民というのは、三十キロ圏内でいいますと約二十三万人、これは二〇〇五年の国勢調査に基づいてそういう数字だそうです。では、実際にこの訓練に参加した住民というのはどれだけいらっしゃるかというと、わずか三百七十人ということです。

 二十三万人が対象なんだけれども、訓練参加が三百七十人で、実際に事故が起こって、一斉に避難したら、車が渋滞になって避難などできない。あるいは地震とか、それから、噴火から百年たつ、またそろそろ百年周期じゃないかと言われている桜島とか、あるいは霧島の噴火で道路が寸断されれば、避難そのものが不可能になるとされている。海に逃げたらといって、自衛隊の掃海艇だそうですが、これが出てきたんだけれども、掃海艇にお年寄りがとても乗るような、もともと乗る状況の船じゃないからできないというので大変だということでありました。

 それ以外にも、では、逃げたときにどうやってスクリーニングをやるかとか、いろいろな問題があって、住民を被曝させることなしに安全に避難させる計画などそもそもつくれないというのが現場の共通した声でありました。

 そこで、このパネルをごらんいただきたいんですが、原発事故の際の避難経路や手段を定めた避難計画、今議論してきましたが、この策定状況を政府がまとめた資料でありますけれども、下から二番目の川内地域にしても、今申し上げた程度の計画と訓練の実態でも、九市町村が対象になるわけですけれども、その全てが避難計画策定済み、一〇〇%というふうにされております。全体では、対象市町村が百三十五あるうちに、一月末の時点で、ここにあるように、策定済みというのは五十八で、策定率四三%。

 総理は、昨年末の防災会議の場で、具体化が相当進んでいるということも言われておりましたが、まだ半分以上の自治体ができていない。そして、東通、女川、柏崎刈羽、東海、浜岡地域、ここに至っては避難計画が全くできていない。未定あるいは今年度以降ということになっている。

 そして、私、重大だと思いますのは、この一番下の注をごらんいただきたいんですが、注二なんです。「ここで言う避難計画は一般住民を対象としたもの。いずれの地域も、入院患者等の要援護者については検討中。」とあります。つまり、要援護者は大事だからと今大臣も言われた、そこをちゃんとやりますと言われたけれども、入院患者等の要援護者を含む避難計画が策定できた市町村というのは、現在のところ、いずれも検討中ですから、まだ一つもないということでよろしいですか、大臣。

石原国務大臣 今委員が御指摘されておりますこの問題、要援護者の避難先の確保というのは、やはり地域全体で組織をつくって支援する。そして、輸送にやはり大変手間がかかる。輸送手段の確保、こういうものには、自衛隊など国の機関あるいは自治体による具体的な調整もやらなければいけません。こういうものをしっかりとつくっていくために、現在、国のワーキングチームを活用して充実を図っているところでございます。

 いずれにいたしましても、地域の防災体制の強化に、これで、訓練をやったから、計画ができたから完璧、終わりであるということはないんだと私は思っております。政府としても、関係地方自治体と協力いたしまして、地域の防災体制を継続的に改善し、充実するという形をとっていかなければならない。終わりのないことを一つ一つやっていくことが重要であると考えております。

笠井委員 総理、この問題は非常に重大だと思うんですよね。東京電力の福島第一原発の事故では、まさにこの要援護者の避難がいかに困難で、避難途中で病が悪化して亡くなるケース、悲劇がどれだけ相次いだか。

 例えば、大熊町の双葉病院では、あの三・一一の翌日、十二日に、入院患者三百三十八人の避難が始まりましたが、完了したのは十六日の未明。院内で最初の死者が確認された十三日以降、十四日に、放射能の影響を避けて県内を十時間かけて走るバスの中で三十四人中三人が亡くなり、翌朝までに計十四人が亡くなる。月末までに計四十人の命が奪われました。こうした痛苦の教訓こそ生かさなきゃいけないはずであります。

 ところが、入院患者等の要援護者の避難計画というのは、まだどの地域でも検討中で、そして存在しない。高齢者、身体障害者、妊婦さん、乳幼児など自力で動くことが困難な住民がどう避難するかの計画は、いわばこの政府の集計でいうと最初から除外をして集計して、策定済み一〇〇%、こう書いてあるわけです。

 最初から、救うべき命を対象にさえせずに、よく安全の確保なんということが言えると思うんです。到底これは策定したとは言えないと思うんですけれども、総理、いかがお考えでしょうか。

石原国務大臣 要援護者のための対策ということはどんなことが考えられるかということは、各自治体また原子力防災の方でも整理をさせていただいております。

 ただいま委員が福島での悲劇について御開陳になりましたけれども、ですから、すぐ動かせばいいのかといえば、ケース・バイ・ケースであるのだと思います。こういう方々のために、発電所周辺の病院、あるいは委員が御指摘された介護施設等々の福祉施設についても、放射性物質が入ることを防ぐための建物のいわゆる気密性の向上や、空気を換気するためのエアフィルターの設置などは現に進めさせていただいております。

 個々の施設における避難計画の作成は、もう委員の御指摘を待たず最重要な課題だと考えております。

 このため、国としては、自治体におけるこれらの取り組みに対して技術的にどうすればいいか、あるいは、財政力の弱い団体に対しては財政的な支援を行わせていただいている現状でございます。

笠井委員 今大臣から答弁があったんですが、総理御自身はこの防災会議の議長でいらっしゃる、そういう立場から、こうした現状について、どういう認識をされて、そしてどういう課題だというふうに思っていらっしゃるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 避難計画については、避難の実施単位、避難先、避難経路など基本的項目について、市町村が策定を今進めてきているところであります。

 要援護者の避難体制については、地域ごとに避難先を調整する仕組みづくりの支援、そして原発周辺の病院や福祉施設の換気用エアフィルター設置など放射線対策に対する財政支援など、政府として、先ほど石原大臣から答弁をさせていただきましたように、福島での出来事等についても十分に反省点としながら各自治体の取り組みを支援しているところでありまして、避難計画を初めとした地域の防災体制の強化に、これで完璧、終わりというものはないわけでありまして、常に課題や問題点を洗い出し、改善していく必要があると考えております。

 政府としても、地方自治体と協力をして、地域の防災体制を継続的に改善し、充実を図っていく考えであります。

笠井委員 私、特に総理から伺いたかったのは、相当避難計画が進んでいるというふうに去年末に防災会議議長として言われたんだけれども、今、肝心なところは除外して、要援護者については除外して、それは検討中と言っているのに策定済みと政府がこうやって出していることについて、おかしいと思わないかということなんですよ。

 つまり、そういうことで救うべき命について最初から対象にしてさえいない、こういうやり方についてどう思うかということなんですよ。

 総理、総理に聞いているんですよ。議長ですから、防災会議の。何で防衛大臣ですか。

安倍内閣総理大臣 先ほども答弁させていただきましたように、いわば計画としては、これはしっかりと今進めてきているところでございます。その中で、要援護者の避難体制については、先ほど申し上げましたような点について力を入れながら、さらに改善をしていきたい、こう考えている次第であります。

 また、今防衛大臣が手を挙げておりますのは、自衛隊の協力も得ながらこうした要援護者の避難も進めていくということについても検討を始めているということでございます。

笠井委員 私は、こういうまとめ方、集計の仕方をして認識している政府の姿勢を問うているわけです。

 一昨年十月以来策定が求められていた要援護者を含めた避難計画というのが、いまだにいずれも検討中で、そして、国が主体になって訓練をやったのは、全国の中で川内原発一カ所だけですよ。それ以外は訓練すら行われていない。そもそも、いろいろやっていきますと言うけれども、実効性ある避難計画などつくれない、そういうことを示しているんじゃないか。それを一〇〇%と書いている。けしからぬと思うんです。

 高齢者も施設にいるだけじゃありません。自宅療養中の身障者からのメールをいただきました。

 川内原発から十五キロに住む、間質性肺炎、七十三歳、身体障害者一種四級で、二十四時間酸素吸入の男性です。

 車の運転はできずに、酸素ボンベを引いて近所を歩ける程度、二年前に診断されるまでは原発避難については深く考えなかったが、一人では避難できない、避難計画では自立行動できない人の調査や聞き取りが報道されているが、私のところには一回も調査に来てもらっていない、原発がなければ心配しないで暮らせたはずが、身障者になった身には心配と不安がいっぱいだ。

 総理、この気持ちがわかりますか。総理は、原発再稼働について、福島事故の教訓を踏まえて安全を確保することが大前提と本会議でも答弁されました。原子力規制委員会の審査さえ通れば再稼働ということでしょうけれども、そもそも、規制基準にも、避難計画を原発運転の必要条件にしておりません。その上、避難計画については、大臣が言われたみたいに、終わりのない課題なんですから、これでできたということにならない。

 要援護者を初めとして住民の安全が確保される計画ができないというのに、よくも再稼働が口にできたと思うんですが、きっぱり再稼働をやめると決断すべきじゃないですか。この点だけでも。

茂木国務大臣 避難計画を含みます地域の防災計画、委員御指摘のように、法令上、原発の再稼働の要件ではありませんが、原発の再稼働に当たりましては、立地自治体等、関係者の御理解を得ることは極めて大切であります。

 ですから、我々としても、地元自治体がつくりますこういった計画、要介護者・援護者も含めてしっかりと支援をしていきたいと思っておりまして、各自治体が策定する地域防災計画、これは住民の方々の安心、安全を高めるためにも極めて重要である、そのように考えております。

笠井委員 そんな一般的な重要性を言っているだけで、事故が起こったら誰が責任をとるんですか。

 もう原発は再稼働せずに、そのままゼロにということで、その決断を強く求めて質問を終わります。

二階委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の党の鈴木克昌でございます。

 二十六年度の総予算、また基本的質疑を、生活の党の立場で、総理に順次お聞きをさせていただきたいと思います。

 我が党は、国民の生活が第一という目線でこの質問をさせていただきます。大都会だけではなくて地方の皆さん、大企業ではなくて中小零細企業の皆さん、そして、病める人も健康な方も、若い人もそうでない人も、本当にみんなが幸せになる、豊かになる、それが、国民の生活が第一、我々の党の目標でございます。どうぞひとつ、そういう意味で、総理には真摯に御答弁をいただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 最初は、やはり経済から入らせていただきます。

 アメリカ経済の後退感やいわゆる新興国の通貨不安、そういったことなどから、現在、株式市場の乱高下が大変激しくなっております。日経平均では、先日の底値では、年初からの、約二千円ぐらいの下落幅ということでありました。若干、今戻してはおりますけれども、いずれにしても、非常に乱高下が続いておるというふうな状況になっております。

 先行きについては、今までになく、やはりいろいろな意味で慎重な意見が広まってきておる、このように私は思っております。

 総理は、昨年来、株価について、投資家向けの会合のいろいろなところで、日本は買いだということを積極的に発言をされてみえました。

 一つ一つは申し上げませんけれども、ちょうどことしの一月に、例のNISAがスタートしたわけであります。多くの個人投資家の方々が口座を開設され、そして、NISAの資金が一カ月で約三千億というふうに言われております。その大半の方々は、恐らく株を買われておるというふうに思うんですね。結果的に高値をつかんだ、そういった方々からは、株はもう懲り懲りだ、そんなふうな意見も、またそんな声も実は聞かれております。金額の多寡ということではなくて、そういう意味で、せっかく始まった制度が本当に残念な状況に今なっておるということであります。

 さて、株が上がったり下がったりする、それから、投資については、当然のことながら個人責任であります。そのことをとやかく申し上げるつもりは全くありません。

 ただ、一国の総理が買いだということを積極的に発言されてきたということは、私は、やはりこれは重たい、このように思っております。

 それで、責任をとやかく言うつもりはありませんが、総理にぜひお聞きしたいのは、今現在も日本は買いということでよろしいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私が日本が買いだと言ったのは、この演説をしたのは、ニューヨーク証券取引所において、まさに日本というのは成長していくから、成長していかない国に投資をする人はいないわけでありまして、まさに日本はこの三本の矢によって間違いなく成長していく、今までの日本の見方を変えてもらいたい、成長していく日本に投資をしていくべきだという話をしたわけでございまして、日本の指導者が日本を売りだと言ったら、これはおしまいであろう、このように思うわけでありまして、我々はしっかりと成長戦略を進めていくわけでありますから、依然として、当然、日本は買いだということは重ねて申し上げたい、このように思います。

鈴木(克)委員 もちろん、日本の代表、総理が売りだということを、私は、言えということを言っておるわけでは全くありません。ただ、本当に今現在も、総理が自信を持って日本は買いだということを言われるかどうかということを私はお尋ねをしたかったわけであります。

 それで、バイ・マイ・アベノミクス、こうおっしゃいました。これはやはり、ある意味では、バイ・マイ・リスキー・アベノミクスというふうにならないように、私は、ぜひひとつ、国民の経済をしっかりと足元から守っていただく、こういう意味で頑張っていただきたい、こういう意味で一つ確認をさせていただいたということであります。

 そこで、次に、アベノミクスの中の重要な施策の一つでありますいわゆる異次元緩和について、少しお話を聞きたいと思います。

 アベノミクスは、言うまでもありませんけれども、異次元の金融緩和によって、為替相場を円安に誘導し、株価を上昇させ、そしてデフレマインドを払拭していく、こういうことでございます。その結果、企業収益や所得に好影響を与えていくというのが基本的な考え方であると認識をいたしております。

 しかし、政府が日銀にじゃぶじゃぶお金を出させて株価をつり上げていく、これはいわゆる官製バブルというふうに言えるのではないのかな、このように思いますし、それが結果的に長続きするかどうか、ここが問題でございます。

 一方、言うまでもありませんけれども、アメリカでは、昨年来から、FRBによる、俗に言う量的緩和の出口戦略ということで、非常に株が問題視をされております。出口戦略を口にした途端に株価が下落し、そして、これまでの株価上昇が全て吹っ飛んでしまう危険性すらあるというふうに考えられております。

 金融市場をゆがめ、足元を不安定にしている一番の原因は、本来独立性を保つべき中央銀行に対する政府の強いかかわりがあるのではないのか、強過ぎるかかわりがあるのではないか、このように思います。

 今、日銀にいわゆる国債をじゃぶじゃぶ買わせていますけれども、一たび出口戦略をとるとなった途端に、国債市場、株式市場、為替市場が大混乱をし、日本経済が大変な状況になっていく、そういう心配すらある、このように思っております。

 この点を、海外も含めた関係者が冷静に見始めております。このことが最近の暴落の根っこにあるように思われるんですが、総理の御所見を伺います。

甘利国務大臣 市場関係者が冷静に、本当に冷静に見たら、こういう乱高下は起きないのであります。

 テーパリングというのは、出口戦略でありますけれども、増加の過程を緩めるということで、供給量が減っているわけじゃないんですね。それを、あたかも供給量がもう減って新興市場から資金がどんどん引き揚げられるというようなことをあおった、そういう認識があったものだから乱高下したわけであります。

 アメリカは、中央銀行の総裁は、アメリカ経済がきちんと回復してくるということに見合って拡大基調を少し緩めていくということで宣言しているわけですね。ですから、市場が正確にこれを読み取れば、こういうような乱高下はなかったというふうに理解しております。

鈴木(克)委員 いずれにしましても、まさに今、世界が、いわゆるアメリカのFRBのこの動向というのを注視している、これはもう間違いないと思うんですよね。どこかでやはり出口を探さなければならない。

 私は、麻生大臣とも何回も財務金融委員会でそのことを申し上げました。しかし、今はそんなことを考える時期じゃないんだ、こういうお話でありました。

 それはそのとおりかもしれません。しかし、いずれはその出口を探さなきゃならない、その時期は必ず来ると思うんですよ。そのときをどういうふうに乗り切られるおつもりなのかということを、私はぜひ総理の口からお聞きしたいということであります。

安倍内閣総理大臣 いわゆる金融緩和の出口戦略については、日本銀行の黒田総裁も、具体的に議論するには時期尚早、このようにおっしゃっているというふうに承知をしておりますが、具体的な金融政策の手法については、これは日本銀行が決めることでありまして、日本銀行に私たちは委ねているわけでございます。

 先ほど、過度な介入というふうにおっしゃったわけでありますが、我々が日本銀行とまさに結んだ合意書については、二%の物価安定目標を定める、これに向かって日本銀行はさまざまな政策手段をとっていくということでございますが、政策手段そのものについては、我々は日本銀行に任せている。これはある意味、グローバルスタンダードと言ってもいいんだろう、こう思うわけでございますが、その中において、日本銀行が間違いのない政策的な手段をとっていかれることというふうに認識をしております。

 日本銀行においては、経済、物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行うこととしており、市場とのコミュニケーションを適切に図りつつ、適切な対応をとられるというふうに期待をしております。

 いずれにいたしましても、今、日本の隅々までこびりついたデフレマインドを払拭していくことが大切でありまして、なかなか企業家の、経営者のデフレマインドを払拭するのが大変難しかったわけですね。やっと消費者が消費を拡大させまして、まさに消費が引っ張る現在の成長、景気回復ではありますが、なかなか企業家が設備投資あるいは賃上げに進んでいかない中において、政労使の懇談会を設けまして、賃上げについてお願いをしているところでございまして、企業家、経営者が企業の収益の改善を賃上げに結びつけていくことによって、さらにそれは消費の拡大につながり、さらなる賃上げ、あるいは設備投資、こういう景気の好循環の中に入っていくことが期待されるわけでございます。

 いずれにいたしましても、私たちがこの政策を行うまでは、ずっとデフレマインドがこびりついて、デフレから脱却できなかったわけでありまして、私たちは、この道しかない、この確信のもとに、しっかりと政策を進めていきたいと考えております。

鈴木(克)委員 今、総理は、要するに、消費が拡大をすることがやはり景気回復の最大のポイントだということをおっしゃいました。

 それで、私はぜひここをお考えいただきたいんですけれども、物価が年間二%ずつ上がっていくというふうにして、それで経済成長をさせていく、このお考えであることはわかりました。だけれども、問題は、いわゆる国民の所得が本当にそれについていくのかどうかということなんです。給料が二%上がっても、物価が二%上がっていけば、これは何にもならないということです。特に、ことし四月から、要するに三%上がり、来年二%仮に上がると、五%です。では、本当に、総理、ここで五%、六%のいわゆる給料上昇というのが考えられるのかということであります。

 実際的には、私はやはり、今、図で御説明をさせていただきますけれども、ここにありますように、この十年間で賃金総額は百五十兆円下がった、このように言われております。それから、正社員を非正社員に置きかえるリストラ、格差社会が拡大をしておるということが言われています。それから、十年で正社員が六百六十万人減って、非正規社員が八百五十万人ふえておるということも言われておるわけですね。したがって、非正規社員のいわゆる平均給与というのは、四十歳平均で十九・四万円という数字も実は出ておるわけであります。ここで、完全失業者が三百万人。さらに、潜在的な失業者が四百七十万人いる。合わせて七百七十万人の方々がいわゆる失業をされておるのではないかというデータもあるわけです。

 そういう中で、本当に今おっしゃるような形で給料が上がって、消費が上がっていくのか、そしてそれが景気回復に結びついていくのかということを、私は、ぜひ総理に、実態を見間違えないようにしていただきたい、このように思います。

 きょうはちょっと時間がなくて申し上げられませんけれども、例のブラック企業というのがあります。これは、従業員に対して、過労な、いわゆるサービス残業だとか、それからパワハラとか若者を使い捨てるとか、そういうような、いわゆるブラック企業というふうに私はそれを置いておるわけですけれども、そういう状況等も考えていくと、今、総理がおっしゃるような形で賃金が上がって景気が回復するというようなことにはなかなかならないんじゃないかな、このように思います。

 どうかひとつその点を、本当に大企業だけでなく中小零細企業にも、それから東京だけでなく地方にも、また、正社員だけでなくて、労働者の三六%を占める非正規社員にも所得増が行き渡るのかどうか、それにはまたどういうふうにやられるおつもりなのか、総理のお考えをお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 ただいま鈴木委員が、国民の収入が減ってきた、まさにそのとおりなんですね。まさにそのとおり、十年間。だからこそ、私たちは、この三本の矢の政策によって経済を変えていこうということであります。

 つまり、デフレ経済はどういう経済であるかといえば、これは物の値段がどんどん下がっていくわけでありますから、物の値段が下がっていくのであれば、買うのを待った方がいい、あるいは、設備投資をことしするよりも、来年になった方が安くなるわけでありますから、そうやって企業はお金を使わないということになった結果、内部留保もふえ、そして、デフレの問題点は、この物の値段が下がっていく以上に給与が下がっていくという問題点があります。その中で、どんどんどんどん日本の経済は縮んできた。経済全体が縮んでいるんですから、当然これは収入は減っていく、企業はどんどん淘汰されていくわけでございます。

 そこで、私たちは、三本の矢の政策によって、デフレから脱却をしていくということに全力を挙げているわけでありまして、デフレから脱却をしていくことによって、いわば生産をしていけば、頑張って工夫をしていけば、商品をつくっていけば、それに見合う金額でその商品を売ることができるという、市場が正常に機能する、そういう市場をつくっていくことにつながっていくわけでありますから、その中における経営者の判断というのは、これは、ただお金を持っていれば、デフレではないんですから、お金の価値はどんどん減損していくわけでありまして、これをしっかりと投資していかなければ経営者の判断としては大きな間違いにつながっていくということでございます。

 この三本の矢の政策によって、今、中小企業も含めまして、業況判断は、非製造業においては二十一年と十カ月ぶりにプラスに転じたわけでございますし、有効求人倍率も、リーマン・ショック後は〇・四二倍であったものが一倍までになりました。つまり、一人の求職者に対して一人分の職があるという状況をつくり出すことができたわけでございまして、このように労働市場がタイトになっていくことによって、当然、ある程度の賃金を提供していかなければ人材は確保できないという状況ができつつあるわけであります。

 それを加速させるために、我々は、先ほど申し上げましたように、経営者の皆様に賃上げをお願いしたわけでございまして、今まで労使交渉の中において、長い間ベースアップが全く話題になっていなかった。これがやっと話題になってきたということであります。

 さらには、この景気回復の実感を全国津々浦々に広げていくことがことしの大きな使命ではないか、このように思っているところでございます。

 中小企業においては、例えばものづくり補助金については、それを出す中小企業においては、給与を引き上げた中小企業に対して優先的に出していく、そういう政策的なインセンティブをこの政策の中に入れているわけでございますし、また税制においても、給与を上げた企業において、その税において減免が行われる、しかも使い勝手をよくする、こういうことを駆使しながら、しっかりと実感を全国津々浦々に広げていきたい、このように考えているところでございます。

鈴木(克)委員 今、中小企業のお話が出ました。

 表をごらんになっていただきたいんですが、実際に、いわゆる円安によって中小企業の原材料が高くなってきておるということで、非常に中小零細企業の皆さんが苦しんでみえるという実態があります。

 数字でお話をいたしますと、この数字は、二〇一三年度における輸出と輸入のいわゆる総数量と総額と平均単価なんですね。これは、輸出は実は一一%平均単価が上がっていますから、ある意味では輸出企業はもういいわけですけれども、逆に、輸入が一五・四%やはり上がっているんですね、コストが。ということは、それだけ、資材等の高騰によって、いわゆる利益幅が減少しておるということです。

 詳しいことを申し上げませんけれども、いずれにしても、いろいろの調査によりますと、円安によって利益が減少したという企業も非常に多い、それから、場合によっては円安によって赤字に転落したという企業もたくさんあるわけです。そういうことでありますから、私は、円安に対するきちっとした対策をしていかない限り、また、中小零細企業が要するに利益を出していく体質にならない限り、従業員に対する給料なんというのは上がるわけがないわけですから、そこのところをぜひひとつお考えいただきたい、このように思います。

 いずれにしましても、繰り返しになりますが、我が国の経済の好循環を取り戻すためには、一部の大企業や輸出企業の利益だけではなくて、いわゆる中小零細企業の回復、ここがポイントであるというふうに思うわけでありますが、もう一度、総理の答弁をお願いしたいと思います。

茂木国務大臣 原材料の価格、今、値上がりをしているのは確かであります。ただ、日本の産業構造上、輸出が大企業で輸入が中小企業、必ずしもこういう構造ではなくて、先生の御地元愛知県におきましても、さまざまな中小企業、そしてまた小規模企業が自動車関連初め日本の基幹産業の裾野を支えて、競争力を維持している、このことはよく御理解いただいていると思っております。

 その上で、昨年十二月の日銀短観によりますと、中小企業の販売価格の判断、これは改善をしておりまして、業況判断でも、製造業では六年ぶり、非製造業では二十一年ぶりにプラスに転換するなど、中小企業にも景気回復の流れがあらわれてきております。

 もちろん、為替レートの変化に伴います原材料、燃料の仕入れ価格の上昇分を十分販売価格に転嫁できない、こういった声が中小企業、零細企業の間にあるのも確かでありまして、我々としては、価格転嫁がきちんと進むように、下請代金遅延等防止法に基づきます取り締まり、こういったことにつきましても、二月七日現在で、立入検査件数が八百九十件、そして改善指導件数が八百八件。今後とも厳正な対処をしていきたい。

 さらには、値上がりによって資金繰りが困っている、そういう企業に対しましては、セーフティーネットの貸し付け、これを充実する、こういった対策もとっております。

 さらには、先ほど総理からも答弁させていただいたように、ものづくりの中小企業が元気になる、こういう経営を支援するために、昨年我々の政権で創設をしましたものづくり補助金、昨年は一千七億円でありましたが、ことしはこれを一千四百億円に拡充をいたしまして、これにつきましては、試作品だけではなくて、製造プロセスとか流通プロセス、こういう改善にも適用させる。そして、製造業だけではなくて、非製造業、流通業、サービス業も対象にする。さらには、使い勝手をよくするという意味で、申請書類、こういったものも今までの三分の一に簡素化する、こういう対策もとっております。

 これからも、まさに、日本の中小企業、小規模企業が元気になる、こういったことによりまして、アベノミクスの成果、そして景気回復の実感が全国津々浦々に行き届く、こういう年にしていきたいと考えております。

鈴木(克)委員 今、意気込みはお伺いをしました。

 私は、本当にそういうふうになってもらいたいというふうに願っています。しかし、現実は、繰り返しませんけれども、本当に厳しい局面もあります。苦しんでみえる方もたくさんいるんです。だから、そこのところを、やはり、ただ表面的な数字だけではなくて、ぜひひとつ、きちっとフォローをしていただきたい、このことをお願いして、次の質問に入らせていただきます。

 総理が、先月、ダボス会議の講演で、いかなる既得権益といえども私のドリルから無傷ではいられないと、岩盤規制の打破についても取り組む姿勢を示されました。私は、歴代の総理が、そして歴代の内閣が、そして国会が、いかにこの既得権益を打破することが難しかったかということを実は見てきております。そういう中で、総理が、自分のドリルは必ず無傷では済まさないんだということを言われたことは、私は非常にすばらしいことだと思います。

 ただ、本当にそういうふうになるかどうか、このところを、二、三の具体例を挙げて、ひとつ申し上げていきたいというふうに思います。

 実は、岩盤規制の打破ということになりますと、例のあの、理化学研究所の小保方晴子さんですね、STAP細胞の組成に成功をされたということであります。これは本当にすばらしい快挙だというふうに思っております。

 問題は、STAP細胞というのは、今後、再生医療や創薬に応用されていくということが期待をされておるわけですが、しかし、問題はそこでありまして、実際に、例えば、これがどんどん開発が進んでいく、研究が進んでいく中で、ドラッグラグとかデバイスラグという問題が実はあるんです。ここのところが岩盤規制との戦いということになってくると思うんですけれども、例えば平成二十二年度のデータでありますけれども、ドラッグラグは十四カ月、デバイスラグは二十二カ月のいわゆる差があるということであります。

 平成十二年、二〇〇〇年でありますけれども、再生医療に多くの医療機関が、研究所が、会社が参入をしたわけでありますけれども、ほとんどの事業所が、今、事業撤退の憂き目に遭っております。それはまさに、いわゆる規制が余りにも厳しいということでありまして、私は、ぜひここのところを、総理は、岩盤を突き破るんだということをおっしゃいました。この規制を打ち破っていくことが、高度成長、また、いわゆる日本の成長産業の主力に、私は、再生医療がなっていく、そのポイントだというふうに思っておりますが、このドラッグラグ、デバイスラグ等に対して総理はどのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

田村国務大臣 STAP細胞、理研の小保方さん、若い研究者が、割烹着を着ながら、ふだんのスタイルのままで、しかも、我が安倍内閣も女性の活躍というものを後押ししておるわけでございまして、そういうような中で今回のすばらしい研究成果を出されたということ、我々も大変期待をさせていただいておりますし、日本の誇るべき研究者だというふうに思っております。

 こういうような研究がさらに進んでいくと、いよいよ製品化になっていくわけでありまして、そうなった場合に、今言われましたドラッグラグ、デバイスラグ、この問題があるわけでありますが、例えばドラッグラグに関しましては、審査ラグ、審査期間、これに関しましては、今委員おっしゃられました、平成十八年度、十四カ月あったものが、実は直近では、平成二十三年度、一カ月まで縮まってきている、ほぼなくなってきております。

 ただ、一方で、開発ラグ、つまり、審査する前にまず開発をしてもらわないと審査までも至らないわけでありまして、この開発ラグは、相変わらず、十四カ月だったものが五カ月ほど残っておるわけでございます。

 これをさらに縮めるという意味では、例えば国際共同治験、日本だけじゃなくて他の国と一緒に治験を始めたりでありますとか、薬事戦略相談といいまして、要は、初めの段階から出口までの戦略をしっかりとPMDAが絡んで組んでいくということ、そして、新薬創出加算、新薬だけ創出加算をするのではなくて、実は適応外薬の促進、まだ今は適応されていないけれども、そういうものを早く開発してくださいよというような、そんなお願いをこれはあわせ持った制度でございますので、こういうものでこれからかなり縮まってくるのであろうというふうに我々も期待をさせていただいております。

 いずれにいたしましても、まだ審査ラグも一カ月ございますので、二〇二〇年には、PMDAを強化いたしまして、これもなくしていこうというように思っておりますが、やはり創薬というものは大変重要であります。

 今、創薬支援ネットワークというものをつくって、それこそ、まず初めの、始まりのところから出口の戦略までしっかり組みながら、我が方ですとそういう役割をしっかり担っていくのは医薬基盤研究所というところなんですけれども、我が省だけではなくて、例えば、今言われました文科省は理研でありますとか、経済産業省は産総研でありますとか、こういうところともしっかりと連携をとりながら、創薬を全面的に支援していこう。

 何といいましても、今、三万候補のそういうような物質があれば、それからやっと一つぐらいしか製品にならない。しかも、開発期間が十年以上、場合によっては一千億お金がかかるなんというような、そういう非常に知識集約型の薬産業でございます。

 このデバイスも含めて、しっかりとラグを我々も短くしていく、これはおっしゃられるとおりでございますので、全力を挙げて岩盤に穴をあけていく、そのようにしてまいりたいというふうに思っております。

鈴木(克)委員 もう少しこのことについて、具体的に御質問させていただきたいというふうに思います。

 今、お話しになりました。確かによくはなってきておりますけれども、まだまだ日本はおくれておるということでありまして、先ほど申し上げましたように、多くの企業が参入したにもかかわらず、結果的には事業撤退をしておる。そして、現在、日本では一社のみが、皮膚とそれから軟骨について成功しておるというのが実情であります。まだまだ私はこの分野は、今厚労大臣はおっしゃいましたけれども、そんな、日本が先進的な状況になってきていないというふうに申し上げたいと思います。

 ただ、この表をごらんになっていただきたいんですが、先ほどお話をいたしました再生医療については、去年、かなり大きな動きがあったんですね。二十五年の四月に再生医療推進法が成立をいたしました。それから、二十五年の十一月に二本の法律が成立したんですね。それによって再生医療の分野がぐんと進んできたというのは、これは事実、私もそのとおりだというふうに思っています。

 次の資料をごらんになっていただきたいんですが、この中で早期承認制度というのがあると思います。

 ここについて、上の段をごらんになっていただきますと、臨床実験から始まって、治験が非常に長い間、この肌色の部分なんですけれども、そして、長い間かかって承認というのが今まででありました。それが、昨年のこの承認の法律の成立によって、下のようになったんですね。どうなったかというと、臨床研究というのは一緒なんですが、治験の部分が非常に短くなって、とりあえず条件、期限を付して承認をするということになりまして、これは本当に関係者にとっては大変大きな前進であったということであります。

 ただ、これも問題が実はあるわけでありまして、ここで条件、期限を付して承認をするということなんですが、ここのところで市販が始まります。しかし、ここでいわゆる保険収載がまだ認められていないんですね。したがって、条件、期限はあるけれども、いずれにしても市販が始まったわけですから、これは要するに認められたということであります。したがって、やはり私はこの時点から保険を適用すべきではないかというふうに思っておるんですが、現実にはそういうふうになっておりません。

 それからもう一点、難病、希少疾病、そういった関係者もこの中に包含をされるということになると、難病や、非常に苦しんでみえる患者さんや御家族、そして海外からも私は高い評価を受けるということになると思うんですけれども、その辺の二点をぜひひとつ御答弁をいただきたい。

 一つは、要するに、条件、期限を付して承認をした以上、保険適用も認めるべきではないかということが一つ。それから、難病、希少疾病の皆さんに対してもこの早期承認制度を適用すべきではないかという、この二点について御答弁をいただきたいと思います。

    ―――――――――――――

二階委員長 ここで、議事の途中でございますが、ただいま、後方の傍聴席にアイルランド共和国上院議長パディ・バーク氏御一行がお見えになっております。この際、御紹介をいたします。

    〔起立、拍手〕

二階委員長 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

二階委員長 議事を続行いたします。田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 今、再生医療のお話が出ました。

 確かに、おっしゃられましたとおり、今、日本で認められているものというのは二つしかないということでございまして、ジェイスとジャック、自家培養表皮、それと軟骨でございますが、今般、法律が成立する中において、再生医療製品等々の特性を踏まえて、安全性が確認できた上で、その上で一定の有効性が推定できれば承認を早くするというような法律が成立したわけでございます。

 でありますから、薬事申請、薬事承認は受けられるわけでありますが、問題は、保険収載までまだラグがある。そこはやはり、保険収載用の安全性、有効性を確認しなければならないということでございます。こういう部分、例えば治験という形で今も保険外併用でやっている部分がありまして、そういう範疇もあります。

 いずれにいたしましても、この法律は本年の十一月末にいよいよ施行ということでございますので、今先生がおっしゃられた観点も踏まえながら、しっかりと検討を進めてまいりたいというふうに思っております。それまでに結論を出してまいりたいというふうに思っております。

 それから、あわせまして、難病、希少疾病、オーファンドラッグやウルトラオーファンという分野でございますが、これに関しましては、そもそも、このような難病、希少疾病に関する薬、治療薬というものに関しては優先的に審査をするということになっております。

 しかし、それのみならず、もともと少ないものでありますから、どうしても、臨床研究、治験をやる場合にも、患者の方々が少のうございますので、そういう場合には、欧米のいろいろなデータというものを使いながらいろいろと研究ができるような、そんな体制にもなっておりまして、いろいろと先生のおっしゃられた部分、これも踏まえながら、早く、このようなオーファンドラッグ、ウルトラオーファンドラッグが保険収載に向かって進むように、我々も努力をしてまいりたいというふうに思います。

鈴木(克)委員 ぜひ岩盤に穴をあけていただきたい、ドリルでしっかりと穴をあけていただきたい、このことをお願いしたいと思います。

 次に、外交について質問をさせていただきます。とりわけ、アジア外交に影響を与える諸問題について総理にお伺いしたいと思います。

 最初に、まず、NHK会長らの歴史発言問題ということであります。いろいろな党からも御質問があったかもしれませんが、私の立場で御質問をさせていただきます。

 昨今、籾井NHK会長の従軍慰安婦に関する発言や、百田尚樹経営委員の南京大虐殺はなかったとする発言など、安倍カラーの強くなったNHK経営委員会に任命された会長や、総理が日ごろから親しくされている経営委員が、歴史問題に関して次々に波紋を呼ぶ発言をされています。

 私は、このような発言が相次ぐ状況は、正直、異常であり、公共放送のトップが、また公共放送の経営委員という立場にある者が、アメリカやヨーロッパのメディアでも言われておるような非常に問題発言をするというのは国際関係にも影響をしかねない、こういうことだというふうに思っております。

 そして、この悪影響というのははかり知れないというふうに思っていますが、総理、さんざんお答えになっているかもしれませんが、私からもぜひ、この二つの問題について総理はどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 累次お答えをさせていただいておりますように、報道機関のトップが行った個別の発言、あるいは経営委員がおのおの個人で行った発言について、総理としてコメントするのは不適切ではないか、このように思っております。

鈴木(克)委員 総理にお伺いすべきことかどうかわかりませんけれども、例えば、現場の記者の皆さんは、対外的な発言というのは恐らく相当プレッシャーを感じながらやってみえるというふうに思うんですよね。にもかかわらず、会長や経営委員の皆さんがこのような問題発言をするというのは、私は、本当に大変な状況だということを改めてぜひお考えをいただきたいというふうに思います。

 そこで、私流の考え方なんですけれども、こうしたNHK会長らの発言の問題というのは、そしてまた、昨今の日中、日韓の関係の悪化の問題も、いわゆる総理の歴史観の問題がその根底にあるというふうに私は思います。

 総理は、これまでも、太平洋戦争についての歴史認識については歴史家に委ねるべきだとして、御自身の歴史認識の明言を避けてみえました。しかし、そのことが実は、総理はかつての戦争における日本の責任についての認識がないんじゃないかというような誤解や不信感を生んでしまっている、このように思えてなりません。

 総理がしっかりと御自身の歴史観について示されないと、いつまでたっても我が国はこの点を追及され、中国、韓国どころか、先行き、世界各国との外交関係にもひびが入りかねない、このように思うわけであります。

 そこで、これまでのように曖昧にせずに、アジア各国の誤解を招くことのないように、ぜひここで改めてはっきりと、官僚の作文ではなく、総理御自身の言葉で、かつての太平洋戦争とはどのような戦争であったのか、日本の、一国の総理としての見解をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日中関係について申し上げれば、いわば日本が尖閣諸島を国有化した段階において、中国側が態度を極めて硬化させ、その後、何回にもわたって我が国の領海に公船を入れてきているという状況がまずあります。そして、防空識別区、しかもこれは国際的な標準とは全く違う形で一方的にそれを押しつけているという状況があるわけでございます。

 そういう中においても、私は、そういう課題があるからこそ首脳間の会談は行うべきだ、こう申し上げているわけでありまして、公船が入ってきているのは我が国の領海でありますから、我が国が中国の公海を侵しているわけでは全くないわけでありまして、我が国が勝手に防空識別区を設定したわけではないわけでありますから、そういう認識もぜひ持っていただきたい、こう思うわけであります。

 その中において、我々は、まさにさまざまな課題があるからこそ、首脳間の交流、会談は行うべきだ、対話のドアはいつでもあいている、こういうふうに申し上げているわけでありまして、中国側にもぜひ同じ姿勢をとっていただきたい、こう思っているところでございます。

 韓国におきましても、かつて李明博大統領が竹島に上陸をしたわけでございます。そうしたことが起こったとしても、私は、いわば対話のドアは常にあいているということを申し上げているわけであります。さまざまな課題があるからこそ、これは前提条件をつけずに首脳会談を行うというのが私の基本的な姿勢であるということは申し上げておきたい、このように思うわけであります。

 そして、政治の、いわば行政の責任者である私が、この歴史認識はこうですと神のごとく審判を下すことはできない、こう思うわけでありまして、これはまさに歴史家に任せるべきであろう、このように思います。

 その上で申し上げれば、我が国は、さきの大戦において、とりわけアジアの人々に多大の苦痛と損害を与えた、この反省のもとに、戦後、自由で、そして平和な日本をつくってきたわけでございます。今後もこの歩みは変わらないということは申し上げておきたいと思うところでございます。

鈴木(克)委員 最後の質問になると思うんですが、歴史認識をやはり総理御自身がお答えになる。後世のといいますか、歴史家に委ねるというのは、私は、自分も政治をやらせていただいてきた中で、政治家というのは、特に首長なんかは全ての責任はやはり自分にあるわけですね。だから、それについてきちっとした考え方を示さないと、周りの者は勝手な臆測をしていくということになるわけであります。

 いろいろなことを総理在任中におやりになります。例えばアベノミクスもそうですよ。いろいろなことがあります。だけれども、それを、責任を、いわゆる後世の歴史家に委ねるということではなくて、自分自身がやはり責任を感じ、そしてどのように責任をとっていく、そういう覚悟なのかということを私はやはりぜひお聞かせをいただきたい、そういう意味で質問をさせていただいたということであります。

二階委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十三日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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