衆議院

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第7号 平成30年2月22日(木曜日)

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平成三十年二月二十二日(木曜日)

    午前十一時一分開議

 出席委員

   委員長 古屋 圭司君

   理事 石田 真敏君 理事 岸  信夫君

   理事 御法川信英君 理事 大塚 高司君

   理事 松本 洋平君 理事 熊田 裕通君

   理事 手塚 仁雄君 理事 牧  義夫君

   理事 伊藤  渉君

      大隈 和英君    古賀  篤君

      田野瀬太道君    根本 幸典君

      百武 公親君    藤丸  敏君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      中谷 一馬君    森山 浩行君

      伊藤 俊輔君  もとむら賢太郎君

      福田 昭夫君    塩川 鉄也君

      遠藤  敬君

    …………………………………

   議長           大島 理森君

   副議長          赤松 広隆君

   事務総長         向大野新治君

   参考人

   (人事官候補者(人事官))            立花  宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  山内 康一君     森山 浩行君

同日

 辞任         補欠選任

  森山 浩行君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 人事官任命につき同意を求めるの件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 まず、人事官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る十六日の理事会において、西村内閣官房副長官から、内閣として、人事官に立花宏君を再任いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会の申合せに基づき、人事官の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として人事官候補者立花宏君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、立花参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、立花参考人、お願いいたします。

立花参考人 立花宏でございます。

 本日は、所信を述べる機会を与えていただき、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 国家公務員制度は、国の行政運営の基盤となる重要な制度であり、国家公務員法は、国民に対して公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを基本理念としております。

 人事院は、この基本理念のもとで、国民全体の奉仕者である国家公務員の人事行政の公正を確保するとともに、労働基本権制約の代償機関としての役割を担うための中立第三者機関として設置されており、これを構成する人事官には、その重い職責に照らして、公正な姿勢と高い倫理観が求められるとともに、公務員制度や職員の人事管理についての高い専門性も求められていると考えております。

 私は、長年にわたり、経団連におきまして、民間経済界の立場から経済産業政策の立案、提案活動に携わり、加えまして、平成二十年七月からは、内閣官房参与・国家公務員制度改革推進本部事務局長として、官の立場から公務員制度改革に取り組んでまいりました。

 その後、平成二十六年四月からは、人事官として国家公務員の人事行政に携わり、地域間、世代間の給与配分の見直し等の給与の総合的見直し、配偶者に係る手当をめぐる状況の変化等を踏まえた配偶者に係る扶養手当の見直し、働き方改革の推進に資するフレックスタイム制の拡充、女性の採用、登用の拡大などの人事行政施策の推進に取り組んでまいりました。

 国家公務員の人事行政につきましては、時代の要請や変化に対応してさまざまな課題があり、公務や公務員に対する国民の目には引き続き厳しいものがございます。このような状況であるからこそ、全ての国家公務員が、国民全体の奉仕者としてみずからの役割と使命を深く自覚しつつ、高い専門性を発揮して国民の期待に応えていくことが強く求められていると考えます。

 人事院としても、人事行政の専門機関として、政府全体として取り組むべき重要な課題である働き方改革や高齢層職員の能力、経験の活用、仕事と育児や介護との両立支援など働きやすい環境の整備、多様な有為の人材の確保、人材育成などの課題に取り組み、その責務を適切に果たし、現下の諸課題にも関連して、採用から退職に至るまでの公務員人事管理全般にわたって、国家公務員法の趣旨が実現されるよう、取組を進めていく必要があると考えております。

 仮に人事官に再任されました場合には、国民の代表である国会での御議論を始め、国民各層や関係各方面の御意見に謙虚に耳を傾けながら、先任のお二人の人事官と協力して、重大な責務を果たすべく、微力ではありますが、全力で職務に取り組んでまいりたいと存じます。

 以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただき、ありがとうございました。

古屋委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 議長、副議長は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。

 理事会の申合せに基づき、報道関係の方々は御退席をお願いいたします。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより立花参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 大隈和英君。

大隈委員 自民党の大隈和英でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、先生方、本当にありがとうございます。

 まず、時間が限られております。早速、立花宏候補者にお尋ねをいたします。今まで一期四年務めておられたわけですけれども、御自身のこの経験、そして実績をどのように自己評価しておられますでしょうか。また、次に改善すべき点、あるいは挑戦したいと思っておられる点がございましたら御披露いただきたいと思います。

立花参考人 お答え申し上げます。

 四年前に、私、人事官に任命されて、その後は、人事院は三人の人事官による合議制の機関でございますので、私がこれをやったとかという、そういうことはもちろんございませんけれども、過去四年間人事院で取り組んできた課題を若干ポイントだけ御紹介申し上げます。

 一つは、冒頭申し上げましたけれども、給与の総合的見直しということで、環境変化に応じて公務員の給与のあり方を見直すということで、全国一律の俸給表、これを二%下げて原資を生み出しまして、その原資を使って、地域ごとの公務員給与の実態に応じて見直しをすること。それから、世代間、二十代、三十代の方と四十代、五十代の方との間の、民間と比べてみてのバランスの問題がありますので、世代間の給与の配分の見直しという問題。三つ目が、勤務の実態に応じて、例えば転勤の問題一つとりましても、私、民間にいたときと違って、公務員の場合には、全国、非常に転勤が多うございます。そういった勤務実態に応じたいろいろな手当の見直しの問題、こういった点に、給与の総合的見直しということで三年かけて取り組んで、できるだけ無用な摩擦、混乱を起こさないような形で取り組んできたつもりでございます。

 二つ目が、冒頭申し上げました配偶者手当、これは、昨今、女性の職場進出というのがもう当たり前の時代になりましたけれども、そういったことで、配偶者手当の問題について、このままでいいのかどうなのかという御議論がございまして、民間の状況等も加味しながら、配偶者手当を見直し、その浮いた財源でもって、むしろ子供に対する手当を拡充する、こういった配偶者手当の見直しの問題に取り組みました。

 三つ目が、昨今、働き方改革、育児、介護等々の問題がありますので、フレックスタイム制ですね。きょうの日経の一面でも、セブンイレブンが時間差出勤というようなことですけれども、基本的にはフレックスタイム制のようなイメージでありましたけれども、そういったフレックスタイム制を非常に拡充したこと。

 こういった点も、できるだけ働きやすくするということですけれども、問題は、こういった働き方改革を通じて、モチベーションが上がった分を、やはり能率的な行政でもって国民に還元していく、そういう視点が大事だろうということで、私自身、内心心がけておりましたのは、国民の立場から見てどうなのかということと、それから、国民に対してきちっと説明責任をいかにして果たすかということを、自分の心の中では絶えず反すうしながら仕事に取り組んできたつもりでございます。

 これからの課題としましては、一つは、定年延長に対してどう対応するかということで、これは総理の方から人事院総裁に宿題が出ておりますので、検討要請がございますので、これに対してどう応えていくのかという問題。あるいは、それに関連して、中高年のモチベーションをいかにして高めていくのか。さらには、問題になっております長時間残業の問題、これをいかにして実効ある形で効果を上げていくか、この辺も、残された課題の中では一つ大きな課題ではないかなと考えております。

 ちょっと長くなりました。

大隈委員 人事院は、今お話しのとおり、やはり国家公務員の人事行政のかなめでございます。その中で、政府の進める働き方改革、今もいろいろ言及がございましたが、この改革のレフェリー役、あるいは時にはナビゲーター役として、民間企業あるいは国民の範となるべき取組を先導する役割が期待されていると考えております。

 その一方で、今フレックスタイムのお話もありましたが、ちょうど一年を迎えようとしておりますプレミアムフライデー、なかなか盛り上がっているとは言えないかもしれませんが。あるいは、依然として、国会対応、私たちが質問通告が遅いということが大きな原因になっているわけですが、長時間待機を強いられる国会対応ですね。そのような改善点が挙げられるというふうに考えておりますが、その点についていかがお考えでしょうか。

立花参考人 先ほどの、一問目に対する答えがちょっと長くなって、大変申しわけございません。失礼いたしました。おわびします。

 今の御質問でございますけれども、いわゆるプレミアムフライデーにつきましては、先生おっしゃったとおりで、民間の方でもなかなか、果たして月末の第四金曜日という一番忙しいときに一体どういうことなんだろうかということで非常に議論があって、定着したかというと、まだまだ課題を残している。しかも、通常の年休の範囲内で考えろということですから、なかなかその辺のインセンティブが乏しいというような問題があるようですけれども、公務の方とも、勤務時間の範囲内でいろいろ工夫しろということで進められていることは事実でございます。

 それから、いわゆる国会対応等の対応でございますけれども、まず、みずから公務員の世界で改善すべきだということで、例えば国会対応についても、待機する体制を、どうやってまず自分たちの方でその辺合理化するかという待機体制の見直しの問題もありますし、その上で、国会の方で、まさに先日ですか、衆議院の予算委員会でもこの国会対応の問題が先生方の間で御議論されたというのは承知しておりますけれども、この辺はやはり国会の方の先生方の御議論にぜひお願いして、その辺がうまく回れば結構だと思っております。

 以上でございます。

大隈委員 時間が限られてまいりました。

 国家公務員の人事評価をするには、それに対して精度の高い物差し、スケールがやはり必要になってこようかと思います。

 その評価指標につきましても、例えば、今般、京都の方に文化庁が移転されるようなときに、地方勤務になった場合、私も、国立病院、広島の方に勤務したことがあるんですが、僻地手当というものがありましたが、むしろ、地方に行きますと、使えるお金、可処分所得がふえてくる、物価が安い、あるいは通勤時間が短いということも、ワーク・ライフ・バランスも上がってくるという点もあります。そういう点で、総合的に評価していく物差し、指標をぜひともつくっていただきたい。

 また、民間企業にとっても、あるいは海外にとっても、我が国の公務員勤務というものの評価については、非常に有用であると思いますので、ぜひともその点、お進めいただきたいと思いますが、その点について見解をいただきたいと思います。

立花参考人 正直申しますとなかなか難しい点ではございますけれども、やはり人事評価に当たって、どういうように評価するか。今先生がおっしゃった、国の、中央での勤務、地方での勤務等々、そういう人事評価に当たっても、平成二十一年から実施されて、もうかれこれ八年近くたつわけですが、人事評価項目の項目についても、今先生のおっしゃったような御趣旨なんかも加味しながら、場合によっては見直すことも必要になってくるかもしれません。

 それから、あと、やはり人事評価の場合には、単に人を評価するということで事足れりではなくて、その結果を本人にどうやってフィードバックして、本人と話合いしながらモチベーションを高めていくかということが大事なので、その辺はまだまだ改善する余地があるのではないかなと思います。

 それから、先生がおっしゃった、人事評価のいろいろなデータをきちっと集めて、それを行政に生かしていくという点は非常に大事な点で、人事院の方でも、昨年、非常に大がかりではありましたけれども、従業員満足度調査ともいうべき、公務員の現場での満足度調査というものを実施して、その結果に基づいて、的確な人事行政に役立てていきたいということでございまして、先生の御指摘の問題は、まだ不十分ではございますけれども、そういった点は、確かにおっしゃるとおりだろうと思っております。

大隈委員 ありがとうございます。

 旧来の指標よりも、やはり満足度ですとか、そういう新しい指標というものをぜひ創造していただきたい。そして、さらに、よき国家公務員、人事評価の方に導いていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

古屋委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。本日は、よろしくお願いをいたします。

 いろいろな部分があるんですが、まず、過労死が今、社会で大変な問題になっております。

 これは内閣委員会でも昨年御質問をさせていただいておるんですけれども、過労死白書、平成二十九年度版というものが十月の六日に発表されておりまして、その中で、労働時間を正確に把握するということが重要であるというふうに書かれております。これは人事院が出されているものではなくて、厚生労働省なわけなんですけれども。

 それに対しまして、勤務時間の管理については、国家公務員の場合は、人事院によって示されております方法によって、各府省において適切に行っていただくということになっておりますという御答弁をいただいております。

 今の公務員の残業、勤務時間の実態については、どのように認識をされておられますでしょうか。

立花参考人 確かに、森山先生御指摘のとおり、私どもから見ましても、公務におきまして長時間労働をいかにして是正していくかという、その必要性はかつてなく高まってきているというふうに思っております。

 御案内のとおり、現在、超過勤務につきましては、一年間について三百六十時間、国会あるいは予算等々、条約等々、他律的な業務の多い部署でも年間七百二十時間という上限の目安時間が設けられているわけですけれども、目下、民間の労働法制につきましては、この七百二十時間という上限規制については罰則つきで守らせようという御議論が国会で進められているというふうに承知しております。人事院といたしましても、どのような実効性のある措置を講ずるか、検討を進めていく必要があるというふうに考えております。

 勤務時間の管理につきましても、民間の事例も参考にしながら、制度に関係する省庁あるいは服務管理する各府省との連携を図りながら、どうすれば有効で、かつ効率的な方法があるのか、政府全体として検討を進めていく必要があると思っておりまして、公務におきましても、民間と同じように、職員の健康保持、あるいはワーク・ライフ・バランスとの関係、人材確保の観点から、この長時間労働の是正の必要性は民間と異なるところはないわけでございまして、真剣にこの問題に取り組んでいく必要が来ているというふうに考えております。

 以上でございます。

森山(浩)委員 特に中小企業者を始めといたしまして、経営者の皆さんの中には、罰則つきで勤務時間の管理、そして超えたらまずいよという話になると、経営をやっていけないというような話も出てきたりしています。しかし、命にはかえられないという部分がありますから、厚生労働省さんとしても一生懸命啓発に努めておられるわけなんですが。

 実は、前回の質問のときに、実態どうですかという部分について、十分把握をされておらないようでございました。タイムカードがないよという実態。あるいは、朝、判こを押す、来ましたよという判こは押すんだけれども、何時に帰ったかというのを書く場所がなかったり、あるいは、まとめて一カ月分書いたらいいよという話になっていたり、府省によってさまざま、ばらばらな勤務時間の管理になっておるというようなお話も聞いたりしております。

 ぜひ、人事官、お気をつけていただいて、各府省から、どのように勤務管理しているのか、特に時間を把握するというのは非常に大事な部分かと思いますので、まずそこから取り組んでいただきたいなと思うわけなんですが、いかがでしょうか。

立花参考人 先ほど申し上げましたとおり、やはりこの問題につきましては、真剣に、どうすれば現場での人事管理の観点から効率的で、かつまた有効なのか、そういう視点を入れながら、制度官庁それから各府省と連携しながら、真剣に議論を進めていくべき時期に来ているというふうに考えております。

 以上でございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 民間の出身ということで、民間の事業者の皆さんのお気持ちをよくおわかりかと思います。本当にぎりぎりのところで、経営者も大変な思いをしてやっている、そして労働者の皆さんにも過重な残業時間というものになってしまっているという、現在、何とかしたいんだけれども自分たちでは何とかできないというような経営者の皆さんの思いも含めて、役所の方は、そんなこともやっていないのに偉そうに言うなよというようなことのないように、ぜひお願いをしたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 きょうは御苦労さまでございます。

 立花参考人におかれては、経団連等の経験も踏まえて、人事官としてこれまで四年間、しっかりと取り組んでこられたということ、問題意識をしっかりお持ちであることは、今、お話を通じて認識をさせていただきました。

 ただ、いろいろ取り組むべき問題点、取り組むべき課題についての問題意識を持っている、これにはしっかり取り組んでいかなきゃいけないというお気持ちはよくわかるんですが、もう一歩ちょっと踏み込んで、どういう個人的なお考え、御認識を持っているのかというところにまで、もう少し踏み込んでおっしゃっていただければなと思いましたので、三点、ポイントを絞ってお聞きをさせていただきたいと思います。

 時あたかも、働き方改革の議論も始まっておりますが、公務員の仕事においても、まず、税金を預かって仕事をするわけですから、きちっと成果を上げなきゃいけない。利潤を追求するという観点ではないんですけれども、費用対効果というか、より高い成果を求める、こういうことも求められると思います。これをどういうふうに追求していくかということが一点。

 それからもう一つは、やはり、公僕とはいえ、自分の幸福を追求する権利はあるわけで、ワーク・ライフ・バランスをどう実現するか、どう自己実現を公務員の方もしていただくのかということももう一つのポイントだと思います。

 そしてもう一つは、これは民間とも課題を共有することだと思いますけれども、昨今のこの少子超高齢社会における人材の確保、定年制のあり方ですとか子育て世代への支援、対応など、働き方の柔軟性というものをより求めていかなければいけないと思いますが、これらについての基本認識をお聞かせいただきたいと思います。

立花参考人 わかりました。

 三点いただきました。

 一つは、税金を預かっている以上は、やはりその成果をきちっと国民に還元すべきだという御指摘でございました。

 ちょっと余談ですけれども、余談というのは大変失礼なあれですけれども、民間では、部下に仕事を命じる場合に、この仕事をいついつまでにやってもらいたいということを上司が部下に言う場合、その結果の仕上がりぐあいを一としますと、部下に仕事を頼むときに、実はこの仕事はこういう意義があるんだ、非常に大事なんだ、うちにとっても周りにとっても非常に大事なんだということをきちっと本人にわかりやすく説明して仕事を命じる場合のアウトプットが一・六三倍。さらに、仕事を命じる場合に、そういった仕事の意義等々に加えて、この仕事のやり方はいろいろある、だけれども、そこのところはぜひ自分で考えて工夫してもらいたいということをやると一・六三倍の自乗の成果が出てくる。これは、有名な船井総合研究所の、経営コンサルタントの大家である舩井先生が実証されたことだというふうに物の本には書かれております。

 確かに、仕事の成果を国民に還元するには、やはり仕事の意義なり、そういったことはきちっとよく理解させて、モチベーションを高めて、上げていくことが非常に大事だろうという感じがします。

 それから二つ目は、ワーク・ライフ・バランスの問題。これは全くおっしゃるとおりで、昨今、いわゆる家庭責任ということが、従来、私たちの世代は余り重視されませんでしたけれども、今は家庭責任をいかにして男も果たすかということが言われていますし、その意味でいうと、いかにして働きやすい職場をつくっていくか。そうしないと、人も定着しない、能率も上がらない。不満たらたらということでは国民に対する行政サービスの向上も望めないということで、このワーク・ライフ・バランスの問題は、目下、今いろいろな角度から取り組んでいるところでございます。

 それから、人材の確保の問題。これはまさに、景気の回復に伴って、民間と人材の激しいとり合いというのが現状でございまして、各府省の人事担当者も非常に頭を悩ませている。

 これは、単に月給を上げるということ、まあもちろん月給の問題も、給与の問題もありますけれども、それと同時に、やはり公務の魅力、働きがいですとか、公共に対する奉仕の喜びとか、あるいは公務にはいじめは少ない、そういったハラスメントの問題等々、こういった公務の魅力を訴えると同時に、公務のハンディといいましょうか、長時間残業の問題等々、その辺の問題についてはやはり改善をしていかないと人材の確保につながらないということで、その辺は今後、人手不足が非常に目立ってきているだけに、大きな課題だと思っております。

 以上でございます。

牧委員 いみじくもおっしゃったとおりだと思います。

 人手不足というのは、もう本当に地域においてもあちこちから悲鳴のような声が聞こえてくるわけですけれども、そういう中で、今人材確保の観点からのお話がありましたが、もうちょっと踏み込んでお聞かせいただきたいんです。

 やはり公務員の給与というのは民間に準拠する形で決められているわけですけれども、そもそもそういう形があるべき姿なのかどうなのか、個人的な見解で結構ですので、お聞かせいただければと思います。

 一昔前であれば、公務員の給料は民間より安い、その分、後々、天下り先でわたりを繰り返して人生の帳尻を合わせるんだというようなお話がありましたけれども、昨今はそういうことに対しては非常に厳しい世の中になっておりますので、そもそも、民間に準拠するという観点じゃなくて、より優秀な人材を確保するためにどうしたらいいかということを、個人的な見解で結構ですので、最後にお聞かせをいただきたいと思います。

立花参考人 正直言うと、ちょっと私の口からはなかなか短時間で御説明しにくい点がありますけれども。

 ただ、公務の労使関係と民間の労使関係はやはり大きく違っているわけでございます。公務の場合には、民間で言う市場の抑制力が働かないとか、あるいは、財源も含めて、国会の民主的なコントロールのもとで勤務条件が決まっていますので、したがって、なかなか、当事者能力について限界があるという点。

 そういうこともあって、民間の、真剣な、労使が話し合って、ぎりぎりまで話し合った、その妥結した結果に基づいて、それに倣って、準拠して、公務員の処遇、待遇、給与条件を決めていくことが、まあ現実的な解としては、現時点においてはベストではないかなということで、労働基本権制約の代償措置として、人事院も従来こういった取組をしてきたわけです。

 ただ、この民間準拠につきましても、いろいろ環境変化もありますので、状況の変化に応じて適宜産業分野を追加するとか、あるいは企業規模の問題ですとか、その辺はいろいろ改善する、あるいは見直しをする。適宜、状況変化に応じてということも必要になってくるかなという感じがいたします。

 以上でございます。

牧委員 時間が来たので、終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 続きまして、立花人事官候補に御質問いたします。

 ここまでの質疑の中で、人材の確保あるいは評価、こんなことも問いがあったと思います。やはり何といっても、日本の中枢で国のさまざまな業務を支える公務に携わる皆様、この人材を確保することは極めて重要で、それから、確保した優秀な皆さんをどう育成していくか、これも、人事院また人事官候補におかれても極めて重要な職務であろうと思います。

 私も二〇〇五年に初当選をして、落選等も経験をして、十数年が経過をしておりますけれども、民間からこの世界に入りました。それで、最初に持った印象は、確かに国というのは大きいので、国のトップたる内閣総理大臣がおりまして、そのもとにたくさんの省庁がございます。ただ、民間のイメージは、基本的にはやはり社長を中心に一枚岩で一つの事業をなし遂げていく、こういう感覚を持っておりましたけれども、国が大きいということもありますし、よく言われる、余りよい意味では使われませんけれども、縦割りとか省益とか、社長をトップにして全体が一丸となって物をなし遂げていくという雰囲気とは少し違うときもあるなと。これが、私が十数年の経験の中で受けてきた印象でございます。もちろん、それぞれのつかさつかさでなし遂げていかなければならない政策の実現がございますので、時にその省庁間がけんけんがくがくぶつかることを否定するものではありませんけれども。

 一方で、高い立場でよく言われることですが、あなたが社長だったらどう思うと。これは常に、民間でも公務でも私は同じだと思うんですね。あなたがトップだったらどう思う。それは、例えば自分が所属している省であれば違う答えなのかもしれませんけれども、日本全体として議論したときにはどうなんだと。こういう感覚もどこかできちんと持っていただきながら、自分が所属する組織において最大のパフォーマンスを発揮してもらう。これが多分、人材の育成という観点で私は大事な視点じゃないかなということを感じながら、きょうに至ってるわけでございます。

 そういう意味において、日本政府全体を俯瞰して府省横断的な政策課題に取り組む、こういう人材を育てるためのこれまでの取組、そして今後の所見等ございましたら、ぜひ御披露いただきたいと思います。

立花参考人 今の伊藤先生の、まさに根幹の問題だろうと思います。

 憲法十五条で、公務員は国民全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないということがうたわれていますので、それを具体的に担保するものが、公務員の人事行政の公正さ、中立性をいかにして確保するかということにつながってくる、そこに人事院の一つの役割もあるんだと思います。

 その意味で、一つは、人事院が力を入れておりますのが職場での研修。オン・ザ・ジョブ・トレーニングももちろんありますけれども、なかなか現場では時間がとれない、それからミーティング、コミュニケーションが必ずしも十分とれないということで、採用から退職までの節目節目において、横のつながりを深めるという意味もあって、人事研修の強化を目指しております。

 そのときに、公務の、国民全体の奉仕者としての考え方をいかにして実現していくかというマインドを持ってもらうこと。それから、国民から信頼されるための倫理、公務員倫理をいかにして確立していくのか。単に法律に違反しなきゃいいということではなくて、やはり国民から見られているということを意識しながら、国民の負託に応えて、信頼に応えて、我々の公務員だというふうに国民から思ってもらえるような、そういう環境をいかにしてつくり出していくのか。そのための心構えといいましょうか、研修といいましょうか。

 あともう一つは、国民に貢献する上で専門性といいましょうか、みずからの、これだけは絶対負けないという、外国ともきちっと対等に渡り合えるというぐらいのそういった専門性、政策マインド。これは自己研さんによるところも多いですけれども、そういった専門性の能力を磨くということも、あと、グローバル化、国際化というようなことで、語学の問題等々ありますけれども、その辺の研修の充実ということが非常に大きな課題になってくるというふうに考えております。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 あっという間に時間が来てしまいましたので、これで終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党所属、無所属の会の福田昭夫でございます。

 私は、簡潔に二問御質問したいと思います。

 一つは、実は昔から、国家公務員は勤務時間にルーズじゃないかと思われてきました。そうした中で、実はドイツでは、一日十時間以上勤務をさせてはならない、こういう法律があるそうであります。

 国家公務員も、霞が関で働く本府省の人間と、それから地方の機関で働く人間では相当差があるかと思いますけれども、国家公務員が一日十時間の労働で可能なのかどうかということをぜひ人事院として調査をしてほしいと思っていますが、立花さんの考えをお聞きできればと思います。

立花参考人 公務員制度はそれぞれの国の成り立ちとも関係しますので、必ずしも私、各国の制度を詳しく承知しておりませんけれども、日本の場合には、超過勤務については、上司が公務の必要性に応じて臨時、緊急に勤務を命じるということになっておりまして、御案内のとおり、災害ですとかあるいはサイバーテロとか、海上保安の問題もありますし、そういったことで、二十四時間体制で国民の生命財産を守り続けていく、そういった使命があるわけで、ここでおしまいということがなかなかできないのが、公務のつらい点だろうと思います。

 ですけれども、だからといって、公務員も、過労死していい、そういう時代じゃないわけで、この辺につきましては、現在、国の方でもきちっと議論が進んでおりますので、その辺の議論もにらみながら、また民間法制のぐあいも見ながら、どう対応していくのか。

 先生から、一日十時間でどうなんだ、その辺、調べてみろという御指摘がございましたが、その辺は、私もにわかに、どうこうというのはすぐにはちょっと頭が回らないような状況でございます。申しわけありません。

福田(昭)委員 これはもう二十年ぐらい前の話ですけれども、私がドイツのある小さな町を訪問したときに、ダルムシュタットという都市でありましたが、そこで話を聞いたときに、ドイツの平均年間労働時間がそのときはちょうど千六百時間ぐらいでした。今、千三百七十時間ぐらいになっていますが、そのときの副部長が話をしてくれたのは、全体の平均の労働時間はそうです、しかし、将来出世をしたいと思っている若手とか、やる気のある人間はそんなことはありません、こういう答えをしておりました。そういったことで、国家公務員も、もし普通に働いていいという人間は多分一日十時間で私は間に合うんじゃないか、こう思っているんです。

 今後、これから少子高齢化、人口減少時代に入りますので、そうしたことも踏まえて、ぜひ検討していただくようお願いしたいと思います。

 次に、二点目に行きます。

 二点目は、実は最近、全体の奉仕者としての国家公務員の倫理観がおかしくなっているんじゃないかなというふうに感じております。それは御案内のとおり、森友、加計学園問題などに象徴されるように、そんたくという言葉がはやったり、あるいは、もしかすると萎縮しているんじゃないかというような、そういうことが随分見られるようになってきました。

 そういった意味では、やはり公務員はあくまでも全体の奉仕者でありますから、間違ったものは間違ったと総理大臣に対しても言えるような公務員が欲しいと私は思っているんですが、そうしたことに対して、人事院としてどういうふうな方針をこれから、あるいは内閣人事局が与える影響というのはどういう影響があるんだ、そういうものもぜひ調査をしてほしいと思っていますが、いかがでしょうか。

立花参考人 なかなかちょっと、正直申し上げますと、これも非常に難しい課題ではありますけれども、倫理につきましては、先ほどもちょっと、もう繰り返しませんけれども、絶えず意識として注入し続けるということで、忘れないように、やはり初心に返るということで、これは研修の場等を通じて訴え続けていくことが、採用から退職に至るまで必要な課題だろうと思っております。

 それから、昨今言われるそんたくとかそういう問題でございますけれども、官と政の役割分担を一体どう考えるかということとも福田先生のお話は関連してくると思いますけれども、基本的には、政は、国民から選ばれた政の立場は、政策決定の、右か左か決めるというのが政の役割だとすれば、それに対して、パブリックサーバントとして公務員は、政策決定の意思決定に役立つような情報を集め、それから選択肢を提供し、決まったことをいかにしてきちっと実行していくかという、官と政の役割分担ということを踏まえて議論される必要があるので、平成二十六年に国家公務員制度の大改正があったわけで、これに基づいて内閣の方にああいう内閣人事局ができて、幹部人事の一元管理、あるいは、その他関連の施策が講じられたわけです。

 そのもとで、人事院としても、人事行政の公正さをいかにして確保するか、採用から昇任、昇進、昇給等々ですね、その公正さの確保、それから、労働基本権代償措置としての人事院の役割、これをきちっと果たしていくことが、そういった公務員の人事行政の公正さを確保することにつながっていくというふうに考えております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 なぜこんなことを申し上げるかといいますと、ある省庁で、そういうふうな法律をつくる理由はどこにあるんだと聞いたときに、理由はわかりませんと。要するに、上から指示されたからこういうふうにつくっているんですという話がありましたので、そういったことが続くようだと日本の国もおかしくなりますので、ぜひその辺も目をちゃんと通していただきたいと思います。

 以上で終わります。

古屋委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 立花参考人が人事官となりました二〇一四年、人事院勧告においては給与制度の総合的見直しが打ち出されました。職務給の原則や地域経済への影響を考慮せず、地域の民間賃金の水準に公務員賃金を合わせて地域間格差を拡大するものであり、また五十歳代後半層の給与を引き下げるものであります。

 二〇一五年四月から三年かけて見直してきた給与制度の総合的見直しは、職務給原則を損ない、勤務地と年齢による賃金格差をつくるものであり、人事院の労働基本権制約の代償機能としての役割を否定するものではなかったか、このように思いますが、御意見を聞かせてください。

立花参考人 平成二十六年人事院勧告で、給与をめぐる状況の変化ということで、総合的見直しに三年がかりで着手して、二十七、二十八、二十九と三年度で完了するということで進めてきたわけですが、基本は、全国一律の職務給ともいうべき号俸を平均二%下げて、その二%のファンドをもって、いろいろ勤務実態の変化に応じて地域、世代、手当等々に再配分したということで、基本はあくまで、全国一本の職務給ともいうべき号俸をベースに置いているわけでございます。給与法上も、国公法上も、給与について、必要な場合には手当を出す、あるいは地域に応じて手当を出すということも認められているというふうに承知しております。

塩川委員 この間、大企業などの民間企業出身者が、非常勤の国家公務員として内閣官房で勤務する事例が増加しています。二〇〇七年五十九人が、二〇一六年では百六十人とふえているわけです。

 例えば、医療分野の研究開発を政府一体で推進する健康・医療戦略の事務局である健康・医療戦略室では、スタッフ四十九人中二十三人が日立製作所やアステラス製薬、大塚製薬など医薬品、医療機器メーカーの出身であります。出身企業に籍を置いたまま、非常勤で働いています。役職は課長補佐、係長クラスだが、非常勤なので、年収換算では二百六十五万円とか二百三十万円程度です。

 このような実態を御存じでしょうか。

立花参考人 詳細は私は存じ上げませんけれども、先生が国会の方で、こういった官と民の関係についていかにあるべきかということで質問されたのは承知しております。

塩川委員 それに関連してお尋ねしますが、確認ですけれども、人事院も関与している官民人事交流法におきましては、公務の公正性を担保するため、民間企業に所属したまま公務で仕事をするときには、出身元企業における業務の従事や給与の補填を禁止していると承知をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

立花参考人 詳細な法的な根拠というのは、ちょっと私も今、にわかにあれですけれども、少なくとも、基本的な狙いは、官の人材が民に行って、いろいろ民間のいい点を学んで、それを官に戻ってまた生かす。それから、民間にすれば、民間のすぐれた人材を、官が三年なり五年なりで来てもらって、民間のすぐれた経験、ノウハウを吸収するということで、プラス効果ということで狙ったんでしょうけれども、基本は、官民人事交流法に基づいて、国民から、ある意味、基本的には後ろ指を指されないといいましょうか、よこしまな心でないということをきちっとやはり確認しながら進めるということが基本であろうと存じます。

塩川委員 後ろ指を指されないようにという話で、政府は、内閣官房の非常勤職員が出身企業の仕事に従事をしていることや、給与の補填を受けていることを否定しておりません。

 先ほども申し上げましたように、これは人事院が答弁しているとおりですけれども、官民人事交流法は、公務の公正性を担保するため、出身元企業における業務の従事や給与の補填を禁止しているわけですが、今回の事例のように、非常勤職員として雇用することが抜け穴となって、公務の公正性が損なわれることになっているのではないのかという懸念がありますが、この点についてのお考えをお聞かせください。

立花参考人 あくまで、塩川先生の御質問に対して、ちょっと一般論で、必ずしも十分先生の御期待に沿えないかもしれませんけれども、基本は、やはり国民から見て信頼される行政をいかにして築いていくか、それが公務員にとっても非常に大事なわけで、また政府にとっても大事なわけで、したがって、それに対して、法律をきちっと守って取り組んでいくということが大原則だろうというふうに思っております。

 以上でございます。

塩川委員 終わります。

古屋委員長 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 立花参考人、御苦労さまでございます。

 質問に入らせていただきます。

 我が国の重要課題として、働き方改革があります。民間企業においてもさまざまな取組が行われ、また、長時間労働の是正のために罰則つきで時間外労働の限度を設けようとしている中で、国家公務員の長時間労働についても是正していく必要があると思われます。

 候補者は、長年、経団連においても、民間経済界からの立場から経済産業政策の立案そして提案活動に携わり、民間企業の人事管理の実態もよく御理解、御存じのことかと思いますが、そうした経験を踏まえて見た場合、働き方改革を進めていく上で重要なことは何でしょうか。お答えをいただきたいと思います。

立花参考人 先生が今おっしゃったとおり、働き方改革の中で、全部同時にというのはなかなかあれですけども、やはり一つ大きな、優先順位をつけるとすれば、長時間残業をいかにして是正するか、民間でもそれを是正しようという空気が出てきていますし、長時間残業を見直すということは即、仕事のあり方、やり方を見直すことにつながるわけで、それは具体的に、お経の文句じゃありませんけれども、どうやって具体化するかといえば、企業と同じように各トップが問題意識、強い決意を持って、自分の役所の仕事のボリューム、それから仕事のやり方、このままでいいのかどうなのかということをきちっと真剣に考えていく必要がありましょう。

 また、各職場、職場において、従来、惰性的とも批判されがちでしたけれども、残業については、あらかじめ上司と職場の同僚が、スタッフが事前に話をして、きょうやらなきゃいかぬのかどうなのか、どの程度必要なのか、やはりその辺をきちっと、お互い、上司と部下が確認し合って残業に対応していく。そういったコミュニケーション、民間でもこれは同じですけれども、人事院の方も去年、おととしとそういった必要性を指摘しておりますけれども、この辺の取組が課題ですし、もうこの問題は待ったなしだというふうな感じで受けとめております。

遠藤(敬)委員 続いて、公務には、例えば国会関係業務とか、あるいは災害等の緊急時の対応であるとか、民間とは異なる業務がございます。また、定員管理という縛りがありますが、公務において働き方改革を進める上で、民間とは異なる特殊性、難しさを感じたことはありますか。

立花参考人 私、民間から公務の世界に来て非常にびっくりしたというのは、一つは、やはり転勤の多さですね。

 それは今先生の御指摘があったとおり、国民に対する、生命財産、治安、災害対応、対外的な交渉等々、あるいは海上保安の仕事もあります。そういったことで、かつては言葉だけだったのが、現実の問題として、国民一人一人が災害、治安の問題、あるいは防衛問題等々を非常に身近に感じるようになってきた。警報も出されるというような状況で、非常に気が抜けないというような状況の中で、非常にやはり民間と違ったのは、民間ですと、転勤といっても、全国で展開するのは百人あるうちの大体二、三人ぐらい転勤するという状況ですけれども、公務の場合は平均すると約一割が転勤、住所を異にする、転勤しているということで、この転勤の多さ、それだけ負担を強いている。

 この辺はなかなか一朝一夕に改善はできないわけですけれども、民間との違いという意味で、先生の御指摘、何かあるかということをおっしゃられたので、この辺の問題は、正直言うと、私、個人的な意見ですけれども、民間と大いに違っているなというふうに感じた次第でございます。

遠藤(敬)委員 最後に、公務における雇用と年金の接続の問題です。

 重要な課題であり、私も以前からこの場で取り上げさせていただいておりますが、昨年六月に閣議決定をされた経済財政運営と改革の基本方針二〇一七においても、高齢者の就業促進を掲げられております。

 公務員については、定年の引上げについてまた具体的な検討を進められていると承知をしておりますが、先日は、政府の公務員の定年の引上げに関する検討会の論点整理が公表され、人事院に検討要請がなされたところであります。

 民間と公務をいずれも経験している候補者から見た場合、この雇用と年金の接続の難しさ、あるいは今後の検討で留意すべき点はどこにあるか、お伺いをしたいと思います。

立花参考人 どうもありがとうございます。

 雇用と年金の接続、これはもう待ったなしの課題で、遠藤先生御指摘のとおり、総理の方から人事院総裁に対しまして、先般、定年延長の問題について、公務員の分限、給与のあり方について検討要請が出されたということで、人事院といたしましても、平成二十三年に、段階的に定年を六十五まで延長すべきという意見を申し出たわけですけれども、その後は、政府の方の対応は再任用ということで対応してこられて、再任用ということで果たしてモチベーションが上がるのかどうなのか、いろいろ難しい指摘もございました。

 一方で、モチベーションの問題等々、モチベーションの問題は高齢者の問題もあるし、それから現役の若い人たちのモチベーションも両方あるわけで、その辺の問題を考えながら、かつ、平成二十三年以降、民間でもこの辺についていろいろ改革が進みつつあるようですし、その辺も参考にしながら、きちっと検討していく必要があると思っております。

 ただ、一つ、これはちょっと先生の御質問をおかりして、大変、私の個人的な意見でございますけれども、やはり六十以降について、公務で全ての方に望ましいポストを全部用意できるとは限らない。現に民間では、六十前後から早期退職とかあるいは再就職支援ということで、できるだけ多様な生き方といいましょうか、老後の生き方といいましょうか、そういうことも言われているわけです。

 そういう意味で言うと、現在の公務員の再就職について、確かに右から左にこういうふうに移すというのは非常に論外だとしても、きちっと意識改革を含めて再就職を支援して、民間できちっとその能力、経験を生かしてもらうということは、国全体の立場からも、あるいは国と地方の関係からも非常に大事な課題なので、そういう意味で言うと、現在の再就職支援のあり方、特に官民人材交流センターがあっても余り活用されていないという点は、非常にもったいないといいましょうか、もちろん国民から批判されないように、やましいというふうに批判されないように、そういった対策を講じるとしても、六十前後からの出口の方をもう少し多様化して、いろいろな選択肢を用意するということも、非常に、この定年制、定年延長の問題に絡めて忘れてはならない課題ではないかなということで、ぜひ、この辺は取り組むべき宿題ではないかなというふうに考えております。

 以上でございます。

遠藤(敬)委員 立花参考人、御丁寧な答弁、ありがとうございました。

 終わります。

古屋委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 第二次安倍政権は、国家、国益に奉仕する国家公務員を掲げ、政権の方向性を常に念頭に置いて取り組むよう求め、政権に奉仕する公務員への改革を推進してきました。

 二〇一四年の国公法改定では、幹部職員人事の一元管理と称して、内閣官房に内閣人事局を設け、官邸が各府省の幹部人事に関与する仕組みをつくりました。その弊害が、森友、加計疑惑などにあらわれています。安倍総理夫妻へのそんたくが問われる森友学園疑惑の大もとには、政権に奉仕する公務員をつくる内閣人事局の存在があります。

 前川喜平氏は、文部科学次官時代に、官邸から幹部人事を差しかえろというのは間々あった、官邸の了解が必要ない課長クラスでも、あの人物を処遇しろとか外せと指示されたと述べております。

 立花参考人は、経団連在籍当時から幹部職員人事の一元管理を主張してこられましたが、安倍政権による内閣人事局の設置は、国民に奉仕する公務員から総理、官邸に奉仕する公務員へと公務員制度の変質を推し進めたのではないか。この点をお聞かせください。

立花参考人 塩川先生のお話、問題提起は、まさに公務員制度改革の本質の御議論につながるものだろうと思います。

 私、民間におったときは、やはり官僚主導だとか官僚内閣制だとか、そういう批判が多々ございました。それに対して、やはり国民が選んだ、それでマジョリティーをとった政党が内閣を組織し、その内閣が掲げる政策を実現するべく政策資源を動員する。その結果については、次の選挙で国民が判断を下す。そういう対応になっております。

 幹部人事については、やはり今、政治との応答性といいましょうか、政治が掲げる政策に対してどう自分たちがそれに取り組むかという視点は、一つの改革の視点であって、それを悪用してといいましょうか、恣意的な人事を行うということは、私は、許されない。

 幹部公務員の一元管理に絡めて、幹部候補者名簿の作成あるいは適格性審査のベースは、あくまで人事評価に基づいて、能力、実績に基づいて行う。そういった実績がない民間人については、専門的な知識の高い人事専門家の意見を聞くということで、こういった名簿の作成あるいは適格性審査に係る政令につきましては、人事院が意見を言って、その意見を尊重するということで運営されているものというふうに考えております。

 以上でございます。

古屋委員長 ほかにはございませんか。

 それでは、これにて立花参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 立花参考人、ありがとうございました。

 以上をもちまして人事官の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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