衆議院

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第25号 令和元年5月23日(木曜日)

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令和元年五月二十三日(木曜日)

    午前十一時二分開議

 出席委員

   委員長 高市 早苗君

   理事 菅原 一秀君 理事 御法川信英君

   理事 赤澤 亮正君 理事 大塚  拓君

   理事 松本 洋平君 理事 熊田 裕通君

   理事 手塚 仁雄君 理事 牧  義夫君

   理事 佐藤 英道君

      大隈 和英君    古賀  篤君

      百武 公親君    藤丸  敏君

      星野 剛士君    本田 太郎君

      牧島かれん君    八木 哲也君

      武内 則男君    松田  功君

      近藤 和也君    森田 俊和君

      塩川 鉄也君    遠藤  敬君

      広田  一君

    …………………………………

   議長           大島 理森君

   副議長          赤松 広隆君

   事務総長         向大野新治君

   参考人

   (検査官候補者(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構研究開発部特任教授))           田中 弥生君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     八木 哲也君

  関 健一郎君     近藤 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     根本 幸典君

  近藤 和也君     関 健一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 検査官任命につき同意を求めるの件

 次回の本会議等に関する件


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     ――――◇―――――

高市委員長 これより会議を開きます。

 まず、検査官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る十五日の理事会において、西村内閣官房副長官から、内閣として、検査官に独立行政法人大学改革支援・学位授与機構研究開発部特任教授田中弥生君を任命いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会の申合せに基づき、検査官の候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として検査官候補者田中弥生君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高市委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

高市委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、田中参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、田中参考人、お願いいたします。

田中参考人 田中弥生でございます。

 本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。

 まず、会計検査院については、内閣から独立した憲法上の機関として、国の会計検査を実施し、検査の結果に基づき、検査報告を作成して内閣を通じて国会に御報告をするという重要な使命を課されていると認識しております。

 また、検査官は、三人で構成される検査官会議のメンバーとして会計検査院の意思決定にかかわり、事務総局の指揮監督をするという大変重要な職責を負っていると承知しております。

 近年、我が国の社会経済は、本格的な人口減少社会の到来、少子高齢化に伴う社会保障費の増大、潜在成長力の伸び悩み、社会資本の老朽化などの難しい課題に直面しており、行政などにはこうした課題への適切な対応が求められております。

 会計検査院は、このような社会経済の動向を踏まえながら、不正不当な事案に対して、正確性、合規性の観点から厳正な検査を行い、厳しい国の財政状況にも鑑みて、経済性、効率性及び有効性の観点からの検査を重視し、そして、行財政の透明性、説明責任の向上や事業運営の改善に資するための分析や評価を行っていくことが重要と考えております。

 私は、昭和五十七年に大学を卒業後、民間企業、財団法人研究員、国際協力銀行参事役、東京大学大学院工学系研究科客員助教授を経て、独立行政法人大学評価・学位授与機構、現独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の特任教授等として研究を行い、東京大学公共政策大学院では十年以上にわたって非営利組織論を教え、また、芝浦工業大学の特任教授等として研究を行ってきました。

 また、この間、行政改革推進会議構成員、政策評価審議会委員、財政制度等審議会臨時委員など、政府の審議会などの委員を務めさせていただくなど、政府の施策や財政についても知見を深める機会を得ました。

 そして、私は、これまでの研究活動や行政とのかかわりにおいて、一貫して、民間が担う公共領域とその運営及び評価という課題に取り組んできた中で、政府には政策の有効性の検証という点や公正で効果的な資源配分という点に重要な課題があると考えているところです。

 仮に検査官に任ぜられるとするならば、私は、非営利組織論や政策評価に関する研究、政府の審議会等の委員として培った知識経験を生かし、国民の皆様の関心の所在や、国会における御審議の状況に常に注意を払うなど、いろいろな御意見に耳を傾けながら、検査官会議における公平かつ均衡のとれた意思決定に貢献することによって、検査官としての職責を担ってまいりたいと考えています。

 以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会をいただき、厚く御礼を申し上げます。

高市委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 議長、副議長は御退席いただいて結構でございます。

 理事会の申合せに基づき、報道関係の方々は御退席をお願いいたします。

    ―――――――――――――

高市委員長 これより田中参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 本田太郎君。

本田委員 本日はありがとうございます。自由民主党の本田太郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。早速ですが、田中弥生検査官候補者に質問をさせていただきたいと存じます。

 候補者は、非営利組織論、評価論を専門分野とされ、同分野について高い見識をお持ちでいらっしゃいます。また、行政改革推進会議、政策評価審議会、財政制度等審議会において国の行財政や政策評価などに関する審議に参画されるなど、国民の視点に立った行政運営にも精通をしておられます。

 会計検査院は、日本国憲法第九十条の規定により、国の収入支出の決算の検査を行うほか、法律に定める会計の検査を行う機関であります。そして、検査官は、この会計検査院の意思決定機関である検査官会議を構成するお三方のうちのお一人であり、会計検査等に関して豊富な知識と経験、また公正な判断力が求められると同時に、行政の無駄を見逃さないという観点からは、国民や民間の視点を意識することが大事だと思いますが、御自身の御経歴をどのように生かされまして今後活動されてまいりたいと思っておられるのか、抱負を伺いたいと思います。

田中参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、私の経歴をこの検査官の仕事にどのように生かしていくかという点でありますが、私は、特に評価につきましては、研究者として、また、時には実践者として着手してまいりました。

 具体的には、国際協力銀行においては円借款の評価に従事しましたし、また、NPOなどの民間非営利組織の、すぐれた非営利組織を選別するための評価基準だとか、あるいは非営利組織の財務的な持続性をはかるための指標の開発等々も行ってきました。

 こうした経験というものは、会計検査院においては、例えば、有効性だとか効率性を見ていく、分析をしていく上で、その知識やあるいは方法論というものを生かせるのではないかというふうに思います。

 また、あわせて、非営利組織論についても研究をしてまいりました。私の恩師はピーター・ドラッカーという、経営学の父と言われている人です。氏は、常に、有限の資源を使って最大限の効果を上げるという点では営利も非営利も変わらない、この非営利の中には政府も含まれます、こうしたドラッカーのマネジメント論を参考にしながら、仮に国会の御同意を得て検査官に任じられた場合には、事務総局の指揮監督にこのマネジメントを生かしていきたいというふうに考えております。

 以上です。

本田委員 ありがとうございます。

 時間も限られておりますので、次の質問に移らせていただきます。

 本年十月には消費税増税が予定をされており、行政の無駄に対する国民の視線は大変厳しいものとなっていますが、仮にそうした状況になくとも、税金の無駄遣いを避けるため、内閣から独立した地位を有する会計検査院は、常に行政の無駄遣いを指摘して改善をさせるという極めて重要な役割を担っています。

 他方で、高齢化に伴う社会保障費の増大や、インフラの老朽化対策による公共事業費の増加など、避けて通ることのできない各種課題へ対応するために、支出の増加が避けられないのも事実であります。

 こうした状況のもと、単に無駄を削減するという視点だけでなく、国民生活の安心、また、地域の活性化など、より大きな視点からも政策の投資効果を評価していく必要があると考えますが、御自身はどのように取り組んでいこうと考えておられるのか、伺いたいと思います。

田中参考人 御質問ありがとうございます。

 大きな観点から、あるいは政策の投資効果という観点からどのように取り組んでいくかという御質問であったと認識しております。

 会計検査院の直近の会計報告を見ますと、不正不当に係る合規性や正確性の観点からの指摘はまだ多いと存じます。その意味で、一つ一つの事案をこういった観点から見ていくことがやはり必要かと思います。

 しかしながら、今御質問にありましたように、昨今の社会課題あるいは財政の問題に鑑みますと、限られた公的なリソースを使ってどれだけの効果を上げられるのかという観点からの検査はますます重要になっていくかと思います。

 こうした観点からの検査については、会計検査院の言うところの有効性や効率性、あるいは経済性の観点であります。

 この場合には、仮に思うような効果が上がらない場合には、徹底的にその原因を究明して、その究明に基づいて改善要求をしたり意見表明をしているのが会計検査院であろうと思います。

 そういう意味で、多角的な観点からこうした会計検査を行うということは今後もますます重要になるのではないかと思います。

 以上です。

本田委員 ありがとうございました。

 次の質問に入ります。

 検査担当者には、高い専門性やマクロの視点が必要になってくると思われます。

 候補者は、大学で教鞭をとられており、人材育成には卓越されていると推察いたしますが、こうした高度な能力を有する人材育成について、どのように人材育成されていくのか、御自身の御所見を伺いたいと思います。

田中参考人 人材育成について御質問をいただいたと承知いたしました。

 まず、会計検査院について見ますと、千二百人余りの職員の中で、千人は実地調査等、調査に従事しておりまして、こういった人材の育成というのは非常に重要な課題になっております。実際、会計検査院においては、各種の研究プログラムを用意し、また大学院等、他機関での留学の機会を設けていると承知しています。

 さらに、社会課題が多様化する中で行政業務も多様化していきますが、外部の人材を登用するなどして、こうした人材の多様化も図っていると承知しています。

 こうした会計検査院の人材育成というのは、今後も尽力していく必要があるだろうと思います。

 あわせて、私についても御質問いただいたと思いますが、私は、評価論というものについては、学生のみならず、霞が関の官僚の皆さんを対象に講義を行ったり、あるいは、時にはワークショップを行ってまいりました。

 その様子を見ていますと、非常に真面目な方ゆえに、ある手法とかある技法というものが導入されると、それに振り回されてしまう傾向が見られました。そういうときには、評価に対する恐怖感だとか、あるいは一定の偏った考え方みたいなものをまず取ってもらうために、頭をやわらかくしていただくようなワークをしていただいて、そこから、評価においても、いろいろな手法は向き不向きがあるので、そこを評価の目的に応じて選択をしていくようにというような話をいつもしておりました。

本田委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

高市委員長 次に、武内則男君。

武内委員 立憲民主党・無所属フォーラムの武内則男といいます。

 本日は、検査官候補であられます田中弥生候補に、実際起こっていることと、そして私の経験から、検査官としてどうあるべきか、その所見をお伺いしたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について」という報告が二十九年十一月に出されました。その後、国会の議論がされて、予算委員会の中でも会計検査院の方に来ていただいて、幾つか質問をさせていただきました。

 その後、二十九年の十一月報告に対して、国会での議論を経、それに係るその後の検査についてという概要が昨年の十一月に出されています。その主な、二十九年度の報告に対する影響について、検査の過程で、改ざん前の決裁文書、法律相談文書、交渉記録が提出されなかったために、会計経理に係る意思決定の経緯、法律的な検討の状況、森友学園等との交渉内容等を正しく把握できなかったというふうに、二十九年の報告への影響が出されています。人一人の、優秀な職員がみずからの命を絶った案件でもあります。

 現状、財務省は、いわゆる懲戒処分を関係者にしたということで、既にやめているのでということで、この三十年の十一月以降、会計検査院の方での報告の検討はされていないというふうに承知をしておりますが、人一人の命が絶たれた案件です。引き続き、私は事実をしっかりと解明をするための会計検査院の役割があるというふうに思っておりますが、御所見をお伺いいたします。

田中参考人 森友学園に関する会計検査院の役割に関する御質問と承知いたしました。

 おっしゃられたように、会計検査院から一度報告が出され、その後、改ざん文書の問題が浮上し、改めて検査を行って、昨年十一月に検査報告が公表されたというふうに承知しております。

 こういったことはあってはならないことであり、検査院としても、こういったことが起こらないように、また、国会やあるいは国民の皆様の信頼を失わないように、検査を厳正に行っていく必要があると思います。

 仮に私が国会の御同意を得て検査官に任じられた場合には、こうした点も踏まえまして、厳正に中立に検査が行われるように指揮監督してまいりたいと存じます。

武内委員 ありがとうございました。

 重ねてお伺いをいたします。

 会計検査院が検査をし、指摘をし、そして、人の命まで絶たれて、みずから絶つという状況の中で、財務省の対応は、反省とともに、二度とこういうことが起こらないように、当然処分もあったわけですが、そうしたスキームを今後つくって、きちっとそういうことが起こらないように対応していきますというふうになりました。

 申しわけないんですが、いわゆる会計検査をする側と受ける側、会計検査院が出した報告、それに対する対応というのが余りにもお粗末で、国と地方の関係においてもいろいろ出てくるのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

田中参考人 会計検査院は、内閣から独立した立場を有し、また憲法九十条に規定された組織であり、国民の負託を受けて大変重要な使命を担っていると思います。

 その検査の方法でありますが、法律に定められた国及びその機関について、会計経理の点から、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性という観点から厳正に検査を行っていくものと承知しております。

 今後も、公正中立の立場から、この規則にのっとり、誠実に検査を行っていくものというふうに思います。

 また、検査官に任じられましたら、そのように指揮監督してまいりたいと存じます。

武内委員 時間が参りましたので終わりますが、私、土木の技術屋で、地方の職員でした、行政の。会計検査を何度も受けました。物すごい緊張感を持って受けます。それで、何か起これば、その担当者は処分、上まで全部処分して、返納までしてということをやります。

 会計検査院の役割というのは、国と地方で対応が違うことがあってはなりません。しっかりと検査官としての任を務めていただきますようよろしくお願いをして、私の質問を終わります。

高市委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 国民民主党の森田俊和と申します。

 早速でございますが、質問させていただきます。

 先ほど、ドラッカーのお話が出てまいりまして、その中で、無関心の罪というお話が出てきたのを私は講演録の中で拝読をいたしましたけれども、今、投票率も非常に下がっている中で、会計検査というものがこの無関心の罪に対して何かできることがあるかどうか、御所見を伺えればと思います。

田中参考人 ドラッカーの無関心の罪に対して会計検査院が何ができるかという御質問と承知いたしました。

 無関心の罪というのは、ピーター・ドラッカーが、自身がユダヤ人でして、最も多感な青年時代をちょうどドイツで過ごした、そのときに味わった屈辱、ユダヤ人としての屈辱を本にしたためました。それは、なぜドイツ人がナチスを選んだのかという分析の書であり、そのときの最大の理由の一つがこの無関心の罪というものであり、社会課題に対して無関心であったり、あるいは政治やいろいろな活動に対して国民が無関心であったことが大きな原因ではなかったかということを述べています。

 会計検査院においては、まさに、内閣から独立した地位にあり、そして憲法に定められた機関でありますけれども、国民が納めた公的資金の使途と目的、結果について検査を行い、国民に説明をしていくという大変重要な役割があると思います。

 そして、具体的に申し上げれば、検査を行い、検査の結果というものを内閣に提示をし、そして国民の代表である議会に提出するということで、まさに会計検査院というのは議会制民主主義の大事な一端を担っているものと思います。

 その意味で、国民に対して検査の結果を伝えていく、あるいは情報発信をしていくということは大変重要であり、今後も、検査の結果をわかりやすく伝えていく必要があるのではないかと思います。

森田委員 なかなか、予算委員会に注目が集まるほどの注目が決算委員会に集まらないということもありまして、やはり、膨大な決算にかかわるものを私たちが一つ一つチェックするというのは大変な作業でございまして、ぜひ鋭い視点を持って当たっていただきたいなという期待を持っております。

 また、ナチス・ドイツの時代に、ポスターを見せていただきましたけれども、障害者の方にこれだけの税金がかかってくる、無駄をなくせという趣旨でそのポスターをつくったんだというお話がありました。

 非常に大きな価値判断を伴うのが、この無駄をなくすという一言だと思っておりますが、会計検査に当たって、そのあたりをどのように御判断されていくお考えか、お聞かせください。

田中参考人 御質問ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、何が無駄であるか無駄でないかという点については、価値判断を伴うものと私も思います。

 会計検査院がこれを見るときには、会計検査院法に基づき、五つの観点から検査をしていきます。また、客観的なエビデンスに基づいて、政策の目的に照らしてそれが執行されているか、あるいは、想定された効果やあるいは成果が得られているのかという観点から検査を行っていますので、まさに客観的なエビデンスと目的に照らすという点で客観性や中立性というものを担保しているというふうに理解しております。

森田委員 ありがとうございます。

 そういった意味では、いわゆるばらまきのようなお話と、やはり政策目的をはっきりさせてということがあると思いますけれども、例えば、ここのところ数年で問題になった事例について、何か具体的にこういうことを思ったというようなお話があれば、お聞かせ願えればと思います。

田中参考人 ばらまきかどうかは、判断のちょっと迷うところがございますが、直近の会計検査報告を拝見していますと、幾つか印象に残るものがございました。

 一つは、少し大きな観点で言うと、量的緩和が進む日銀の財務状況に関する分析であります。また、直近のところでは、財政健全化に及ぼす社会保障費の影響という、非常に大きな観点からの分析もなされています。

 他方で、厚生労働省のデータの入力を中国の業者に請け負わせていたという点も指摘をされていまして、これは、昨年、何度か報道されていましたので、多くの人の目につくところであったと思います。

 こうした多角的な観点からの検査がなされており、これ一つ一つが印象に残っているところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 ドラッカーのお話の中で、一人一人が位置と役割を持つ自由社会、こういった、望ましい社会像についての言及がございます。

 田中様の今までの経歴の中で、NPOの研究もされていらっしゃるということなんですけれども、いずれにしても、私たちがみずから政治にかかわっていくというのは、大きな意味で自治でございまして、その中で、いろいろなデータをお示しいただくということがすごく大事な、私たちの政治にかかわる動機になっていくんだろうなというふうに思っております。

 そういった意味で、会計検査として、自治ということに対してどのような役割を果たすというふうにお考えか、お聞かせ願えればと思います。

田中参考人 ありがとうございます。

 一人一人が位置と役割を持つ自由社会というのは、まさに、ドラッカーが、人類が二度と全体主義に陥らないために、戦後、まだ戦中に書いた本ですけれども、第二次世界大戦が終わったとしたらどういう社会が望ましいのかといったときのベースにあるのがこの言葉でありました。

 おっしゃるとおり、これの大事な条件として、住民の自治という言葉が出てまいります。そして、おっしゃるとおり、住民が自治をするということは、何らかの社会課題に問題意識を持って判断をしていくわけですから、その際に判断の材料となるデータやエビデンスというものは非常に重要になっていくと思います。

 こうした中で、会計検査院は、法律に基づき、国やあるいは関係する機関についての会計経理を中心に、五つの観点から検査を行って、それを公表しております。こうしたデータの提供というものはますます重要になるのではないかと思います。

森田委員 時間が近づいておりますので最後の質問とさせていただきたいと思いますが、NPOですとか、いわゆる政治ではない、行政ではない人たちがやるということについて考えると、政治が口を出し過ぎるということ、あるいはやり過ぎるということがかえって害になるというケースもあるのではないかなというふうに思っております。

 そのような事例を含めて、会計検査に当たっての思いがもしございましたら、お聞かせいただければと思います。

田中参考人 NPOと会計検査院の役割で私が非常に印象に残っているのは、「大雪りばぁねっと。」といって、東日本大震災のときに多額の補助金を受けていたNPOが会計検査の対象になったという事案で、私たちも記憶に残っております。

 確かに、政治の干渉のし過ぎという点については多くの関係者からも言われるところではあるんですが、やはり自浄作用をきかせていくためには、会計検査院からの検査というのが、パブリックにそれが出されたということは、私は大変重要ではなかったかというふうに思います。

森田委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

高市委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。

 検査官の田中弥生候補者に何点か質問させていただきたいと思います。

 まず、会計検査院の役割、使命をどのように認識をされているのか。また、現状の課題をどのように捉えていらっしゃるのか。また、検査官は三人で相互に補完しながら会計検査院をリードしていくことが重要と考えておりますが、既に任命されている二人の検査官が、お一人は実務経験豊富な公認会計士の検査官、さらには検査実務全般を熟知した会計検査院の事務総局出身の検査官という体制の中で、候補者はどのような役割を果たしていこうとされているのか、抱負を伺いたいと思います。

田中参考人 ありがとうございます。

 会計検査院のミッションと、そして会計検査院の課題と私の役割ということで承知いたしました。

 まず、会計検査院は、内閣から独立した地位を有し、憲法九十条に規定された機関であり、その使命というのは、国民の負託を受け、税の使途、その結果について報告をすることと理解しております。

 先ほども申し上げましたが、会計検査院法に基づいてその具体を申し上げれば、法律に定められた国及び機関の会計経理を中心に、合規性、正確性、経済性、効率性、有効性の観点から検査を行い、検査の結果を検査報告にまとめ、内閣に提示をし、そして国会に御提出をするというものであると理解しております。

 他方で、会計検査院の課題でありますが、社会の課題は、少子高齢化が進む中で、非常に多様に、量、質とも急速にふえていると認識しております。そんな中で、行政業務の内容というのも非常に多様化あるいは多量化している状況の中で、会計検査院においては、検査の対象が量、質ともふえていくということを意味していると思います。

 限られた時間と限られた人数の中で、この多様化する行政業務を、検査を行っていく、正確に行っていくということは、マネジメント上、非常に大きな課題になっていくのではないかというふうに認識しております。

 また、検査官でありますが、先ほど御指摘がありましたように、お一人は監査法人御出身の検査官であり、もうお一人は事務総長出身の検査官であると思います。私の場合は専門が評価論でありましたので、例えば評価と親和性が高いのは有効性の検証であったりするのですが、こういった側面から貢献ができたらというふうに考えております。

佐藤(英)委員 それでは、直近で、昨年十一月九日に平成二十九年度の決算報告が出されました。これをどのように評価されているのか、また、今後どのような検査を目指されていくのか、お聞かせください。

田中参考人 ありがとうございます。

 直近の報告が出ておりますけれども、その指摘事項を拝見していますと、やはり、不正不当に係る合規性の観点からあるいは正確性の観点からの指摘というのはまだまだ多いという印象を受けました。そういう意味では、合規性や正確性の観点から一つ一つの事案を丁寧に見ていくということが求められているのだというふうに思いました。

 他方で、我が国の社会課題あるいは国民の関心事、国会の御議論の動向を見ていますと、やはり有効性の観点からの検査というものもより求められているのだと思います。しかも、その範囲というのは非常に広くなっておりまして、例えば社会保障費の一件一件の案件を見るというのもありますけれども、同時に、社会保障費の財政健全化に与える分析のような、大きな観点からの検査もなされていると思います。

 こうした多角的な取組をしているという点で、私は、大事な役割を果たしているというふうに思いました。

 以上です。

佐藤(英)委員 ただいま、有効性の観点からの検査というお話がありましたけれども、平成三十一年次の会計検査の基本方針には、特に有効性の観点からの検査において、検査対象機関がみずから行う政策評価等の状況についても留意して検査すると記載をされております。

 候補者は評価論の御専門であると伺いましたけれども、政策評価にもお詳しいとも伺っております。各府省が行う政策評価との連携についてはどのような認識をお持ちなのか、お聞かせください。

田中参考人 ありがとうございます。

 会計検査院は、内閣から独立した立場から、法律に定められた国及び機関の会計経理を主軸にして、五つの観点から検査を行っていると承知しています。

 他方で、他省庁においても、政策評価、行政事業レビューあるいは予算執行調査など、幾つかの評価の試みがなされていると思います。

 会計検査院はこれらとは立場や観点は違うのですが、例えば今おっしゃられた有効性の観点などは、類似するところもあるやと思います。

 実際に、会計検査院においては、こうした関係する省庁と連携会議を行って、そして情報交換を行っていると承知しています。また、会計検査を実際に行う際には、必要なものに応じてこの政策評価の結果を参考にしているというふうに承知しております。

佐藤(英)委員 次に、検査の実効性の向上についてお伺いをしたいと思います。

 私の感想として、会計検査院は毎年数多くの指摘をされておりますけれども、指摘して終わりでは、本当の意味での無駄遣い、不正の根絶にはつながっていかないのではないかと考えております。

 指摘事項が各府省の事務事業にしっかりと反映されて、繰り返されることのないように、指摘後も、各府省任せにせず、しっかりとフォローアップに取り組んでいくなど、検査の実効性を高めていく取組が極めて私は重要と考えますが、御見解を伺いたいと思います。

田中参考人 検査の実効性に関する御質問と承知いたしました。

 おっしゃるとおり、検査の実効性を高めていく努力というのは、不断の努力が必要であると思います。

 ただ、同じような問題が繰り返されているということについては、まず第一に、その当該府省のガバナンスであったりマネジメント、そして職員の意識改革、こういったものが大前提になるかと思います。

 その上で、会計検査院は、実際に検査を行って、改善点がある場合にはそれを指摘して、検査報告に記載をします。そして、実際に改善がなされるまで検査を続け、検査報告に記載をしており、さらに、改善がなされた結果についても検査報告に記載をするということで、非常にきめ細かいフォローアップを行っているというふうに承知しております。

 今後も、このようなきめ細やかなフォローアップを行っていく必要があるのではないかと思います。

佐藤(英)委員 最後になりますけれども、我が国の社会経済が、人口減少や少子高齢化に伴う社会保障費の増大など、さまざまな難しい課題に直面する中で、行政も複雑化しております。複数の省庁にまたがる施策もふえているとも考えられますが、検査する側も、より大きな視点で府省横断的な検査に積極的に取り組むべきではないかと考えますけれども、御見解をいただきたいと思います。

田中参考人 複数の省庁を横断するような政策の取組についてということで承知いたしました。

 おっしゃるように、昨今、例えば災害の問題だとか、複数の省庁にまたがる社会課題というものが多く、また、そのために複数の省庁にまたがるような政策というものもふえてきていると存じます。これは、私は、国民の関心事とも非常に親和性が高いものであると思います。

 会計検査院においても、複数の省庁にまたがるような施策の検査というものを実際に行っていると承知をしています。例えば、昨年国会から御要請をいただいた子供の貧困の問題なども、複数の省庁にまたがるようなものであると思います。

 ただ、こういった御要請に応えるためには、体制を整えていく必要があるかと思います。複数の省庁にまたがるために、それに対応するための課をつくったり、あるいは臨時でチームをつくったりというような形で体制を整えているというふうに承知しております。

 今後も、こういった複数の省庁にまたがるような政策の検査にたえ得るように、体制を充実させていく必要があるかと存じます。

佐藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。

高市委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 検査官候補者の田中弥生さんにお尋ねをいたします。

 最初に、憲法第九十条の意義についてお聞きします。

 憲法第九十条においては、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、」と規定をしております。

 戦前、機密費は調査対象から除外をされ、軍事関係費は旧会計検査院法の適用が除外をされ、ふえる軍関係経費等を検査できなかった。このような反省から、日本国憲法は全てを対象とするとして、このような例外を認めないことを明らかにしたものであります。この点についての田中さんの認識を伺いたいと思います。

田中参考人 会計検査院は、おっしゃるとおり、内閣から独立した地位を有し、憲法九十条に規定された組織でありまして、会計検査院法に規定されたものは全て検査の対象になるというふうに承知しております。

 また、それを厳正に検査を行うために、検査の観点を定めて、そして報告の方法も定め、検査を行っているというふうに承知しております。

塩川委員 会計検査院が内閣から独立した地位を持つ、その立場から、全て検査の対象となるということでの役割のお話をいただきました。

 その点で、防衛費の検査についてであります。

 憲法は、前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」と明記し、財政民主主義を確立しております。これは、過去の戦争で、戦費調達のために大量の国債を発行し、国家財政と国民生活を破綻させた、その痛苦の体験を踏まえてのものであります。

 そこでお尋ねしますが、この間、アメリカ政府の武器輸出政策であるFMS、対外有償軍事援助が急増しております。第二次安倍政権以降、FMSによる武器購入は約七倍となっております。

 このFMSについて会計検査院はきちんとチェックできるのだろうか、この点についてのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

田中参考人 FMSに関する御質問というふうに承知いたしました。

 会計検査院法、法律に基づけば、全てのものを審査するわけですので、これも検査の対象になっているというふうには承知しておりますが、ただ、このFMSの具体については、まだ外のものですので、詳細を存じ上げませんので、申しわけないのですが、検査の対象になるというところまででとどめておきたいと思います。

 仮に国会の御同意を得て検査官に任じられた場合には、二人の検査官と議論をした上で、この状況についてどうなっているのかということも確認をした上で進めてまいりたいと存じます。

塩川委員 田中さんは、財政制度等審議会の臨時委員をこの十年来お務めと承知をしております。

 財政制度審議会においても、このFMSの議論、指摘が行われております。FMS調達については、価格上昇要因の未把握、把握できない等の課題があるとの指摘があります。

 このような、財政審でも議論をしていますFMS調達の、財政審の指摘でいえば価格上昇要因の未把握等の課題がある、こういう点については、田中さんは何らかの見解をお示しにならなかったのでしょうか。

田中参考人 この調達の問題につきましては、私は、このときには意見を表明しておりません。

塩川委員 このFMSの場合には、価格だけではなく、納期もアメリカ次第という点が問題となってきたわけであります。

 このようなFMS調達というのは、憲法にも規定をされている財政民主主義の原則と相入れないのではないのかと考えますが、お考えはいかがでしょうか。

田中参考人 御質問ありがとうございます。

 この点についても、まだ詳細を存じ上げませんので、仮に検査官に任じられた場合には、詳細の説明を受けて、検討してまいりたいと存じます。

塩川委員 時間が参りましたので、終わります。

高市委員長 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。

 行財政運営上の課題について少しお伺いをしたいと思います。

 現在の政府における行財政運営にはどのような課題があるとお考えか、また改善に向けて会計検査院としてどのように取組が必要とお考えか、お伺いします。

田中参考人 ありがとうございます。

 行財政の課題でありますけれども、何よりも、やはり財政の問題は大きいかと思います。

 債務残高は八百兆円を超え、そして対GDP比でいえば先進諸国の中で最悪という状況です。そして、一般会計費に占める公債費の割合は、収入でいえば三割、そして支出の方では利払い費で二割を占めており、また、償還期限を考えれば、次世代に、まさにこの負担を先送りしている状況でありますので、現在の日本のみならず、将来の日本にとっても大きな課題を抱えているというふうに承知しております。

 また、行政の運営につきましても、無駄の問題というのは指摘されて久しいですけれども、あわせて、昨今の働き方改革の動向も見ていますと、行政運営の生産性をいかに上げていくのかという点も今後の大きな課題になっていくのではないかと思います。

 会計検査院においては、こうした観点に立って、有効性やあるいは効率性の観点からの検査も行っていると承知しています。

 先ほど申し上げた、国の取組に関するもの、あるいは社会保障費の財政健全化における影響の分析も行っていますし、社会保障費あるいはそのほかにおいても、我が国の財政の問題に大きな影響を与えるものについては検査を続けていると存じます。

 今後も、こうした検査を通じて、国会の議論に資するような情報を提供していくのが検査院の役目ではないかと存じます。

遠藤(敬)委員 続いては、検査結果の反映ということで、検査結果については、各府省の予算編成、執行や事業運営にしっかり反映していく必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいかれるか、御所見をお伺いしたいと思います。

田中参考人 検査結果を反映して、行政を、是正をしたりあるいは更に効率化をアップするということは大変重要なことであると思います。

 会計検査院は、検査を行った結果として改善点等が見出された場合には、改善要求あるいは意見表明を行い、各府省に是正を求めます。そして、その結果を検査報告に記し、また、翌年には、是正されているのかどうかという点についても検査を行い、さらに、改善が遂行なされるまで検査を行い続けるというふうに承知しております。

 また、検査が終わったものについても改善点を検査報告に記しており、きめの細かいフォローアップをすることによってこの実効性を高めるということをしているというふうに承知しております。

遠藤(敬)委員 先ほど田中候補からもお触れになっておられましたけれども、検査業務の効率化ということでございます。

 ITの活用というのもこれから求められていくのではないかと思いますけれども、限られた人員、体制の中、会計検査院の検査業務を効率化していく、先ほどのお話にもございましたけれども、重要な観点だと考えております。

 会計検査院業務へITを活用すれば、業務効率化にもつながるのではないかと期待されておりますけれども、そのような観点で御所見をお伺いしたいと思います。

田中参考人 効率化とITに関する御質問と承知いたしました。

 確かに、ITの技術革新が進む中で、政策においても、ITに関連するようなものが随分急増していると承知しております。

 まず、こうした検査業務にたえるために、会計検査院では、IT関連の訓練、職員に対する訓練をきめ細かく行っていると承知しております。また、省庁横断的なITに関する会計経理の検査を行うために、新たに室を設けたということも承知しております。こうした、まず検査対象のIT化にたえ得るための体制を整えていると思います。

 また、会計検査院の検査の業務そのものにおいても、IT化を導入していくスペースというのはまだまだあると思います。

 国会の御同意を得て検査官に任じられた場合には、効率化を図るためにどのようなITの導入が必要なのかということを、二人の検査官とともに、議論しながら、指揮監督してまいりたいと存じます。

遠藤(敬)委員 続いて、広報活動についてお伺いをしたいと思うんです。

 国民の会計検査院に対する期待は本当に大きいと思っておりますし、感じております。

 会計検査院も、情報公開を積極的に進めるとともに、広報活動に力を入れていくべきではないか、とりわけ国民目線で国民にわかりやすい広報に努めていくべきではないかというように思うんですけれども、御認識をお伺いしたいと思います。

田中参考人 国民目線での情報公開に関する御質問というふうに承知いたしました。

 まさに、会計検査院の役割というのは、国民に対して、会計検査の報告をもって説明責任を果たしていくということで、広報というのは、あるいは情報発信というのは非常に大事であると思います。

 その際に、誰の目線かといったときに、国民にわかりやすく、国民の目線でというところは大変重要であります。

 そのために、報道の動向、あるいは国民の代表である国会の審議の動向などを注視しながら、どのような観点で発信をしていくのかということを工夫していく必要があるだろうと思います。

 実際に、会計検査院では、検査報告に加え、検査報告のあらましというものもアップをしておりますし、また、検査の是正効果について金銭に換算をしてわかりやすく説明をするということもしていると思います。

 今後も、より国民の目線に沿った、わかりやすい広報を続けていくよう努力をする必要があるかと思います。

遠藤(敬)委員 最後に、候補者は評価論や非営利組織論が御専門ということでありますけれども、検査官として、その経験をどのように生かしていくのか。

 また、任命された場合には、内閣に対して独立した憲法上の機関である会計検査院を指導していく重要な役割を担うことになりますけれども、最後に御決意をお伺いしたいと思います。

田中参考人 私自身、おっしゃっていただいたように、評価については、研究者として、時には実践者として、この課題に二十年以上着手してまいりました。時にはODAの円借款の案件の評価も行いましたし、また、大学改革支援・学位授与機構においては、大学の評価をつつがなく進めるためのデータ整備を行ったり、あるいは、各大学における評価人材の育成というものも行ってまいりました。

 検査官に任じられた場合には、こうした評価での技術と、実践面あるいは人材育成の面から貢献ができたらというふうに考えております。

遠藤(敬)委員 ありがとうございました。

 終わります。

高市委員長 次に、広田一君。

広田委員 社会保障を立て直す国民会議の広田一でございます。

 ラストバッターでございますので、よろしくお願いを申し上げます。

 去る五月十七日の報道で、厚生労働省による毎月勤労統計、この不正問題をめぐりまして、弁護士グループの皆さんが会計検査院に対しまして、厚生労働省に是正措置を促進するよう通知を出すように、このことを求めることを明らかにして、審査要求書を提出するとの報道がございました。

 御承知のとおり、毎月勤労統計の不正問題、これは国会でも大きな問題になっているところでございますけれども、田中候補者御自身のホームページを拝見させていただきますと、元統計数理研究所所長で、世界的な統計学者でありました林知己夫先生のもとで補助をする好機に恵まれたといったような趣旨のことを記されております。

 そのような御経験から、今回のこの統計不正問題についても大きな関心を持たれているんじゃないかと思いますけれども、この点についての御所見と、会計検査院が果たせる役割について、あれば、御所見をお伺いしたいと思います。

田中参考人 毎勤統計に関する御質問であったと承知いたしました。

 統計の問題は、非常に多くの分野に想像もつかないほど影響をもたらしたと思います。実際に、私ども研究者においても、今までの研究のエビデンスがもしかすると間違っていたかもしれないというところで、非常に大きな影響を及ぼしました。

 そういう意味では、今後こういうことはあってはならないですし、こういったことを防ぐような策というものが求められているのではないかというふうに思います。

 会計検査院においては、実際に審査の請求というものが行われたということは承知をしています。ただ、審査をお受けするかどうかについては、これは規定に基づいてこれから手続をするというふうに承知しておりますので、仮に検査官に任じられた場合には、二人の検査官とともに、これの対応の仕方について検討してまいりたいと存じます。

広田委員 御発言であったように、あってはならないことが今発生しているわけでございますので、高い問題意識を持って取り組んでいただければなというふうに思います。

 次に、田中候補は財政制度等審議会の臨時委員でもいらっしゃいます。平成十九年から十二年間、務められているというふうに承知をしているわけですが、その財政審、昨年の十一月二十日、麻生財務大臣の方に、平成三十一年度予算編成等に関する建議を提出しましたけれども、これについての御評価についてお伺いしたいと思います。

田中参考人 財政審の建議であります。

 昨年十一月に出した建議については、常に細心の注意を払い、全力で委員等で作成をするものでありますが、特に力が入ったという印象を持っております。なぜならば、それは、平成最後の年の建議書であったということであります。そして、財政健全化に関してはまだ道半ばであるということで、我々財政審としても、まだじくじたるものがある、あるいは大きな課題を先に残しているという思いの中でこの建議をつくらせていただいたと承知しております。

広田委員 財政再建は道半ばというふうなお話があったんですけれども、建議の中では、平成を、常に受益拡大と負担軽減、先送りを求めるフリーライダーのゆがんだ圧力に税財政運営があらがい切れなかった時代と厳しく総括をしております。先人たちや、新たな時代、そして更にその先の時代の子供たちに、平成時代の財政運営をどのように申し開くことができるのであろうかと、政策の失敗まで認めておりますけれども、この点についての御所見をお伺いします。

田中参考人 建議書は我々の同意でつくったものでありますので、先ほど申し上げたように、じくじたる思いがあり、また、本来、我々は、財政審の方は、大臣に対して意見を申し入れる方ですけれども、その意見がなかなか思うように実現できなかったのではないかという思いで、少し厳しい口調で書かせていただいたと思います。

 ただ、会計検査院においては、財政健全化に関してはさまざまな観点から検査を行っております。実際に、一つ一つの事案の検査について、不正不当を示すだけではなく、政策の有効性や効率性という観点から検査を行い、もしそれが思うような効果が上がらない場合には、徹底的に原因を究明して問題提起をするということで、できるだけ財政健全化に対して必要な情報を提供していくという努力をしていると思います。

 私が会計検査院の検査官に任じられた場合には、こうした予断を持たず、検査の仕事に着手してまいりたいと存じます。

広田委員 予断を持たないで検査をしていくということですけれども、財政審は、更に、平成という時代における過ちを二度と繰り返してはならないと指摘をした上で、平成三十一年度予算は、新時代の幕あけにふさわしいものであることを期待したいというふうに結んでいるところなんですけれども、今年度予算、百兆円を超えました。財政審の建議の期待に応えた予算であると評価されるのか否か。この点についての御所見もお伺いしたいと思います。

田中参考人 百兆円に到達したということについては私たちも承知しています。ただ、同時に、国債の発行額を抑えたというところについては、少し努力が実ったのではないかというふうに評価をいたしました。

広田委員 以上で質問を終了します。どうもありがとうございました。

高市委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 学校法人森友学園への国有地売却問題に関する会計検査院報告書に関連してお尋ねをいたします。参議院が国会法第百五条の規定に基づき要請したものであります。

 会計検査院は、約八億円の値引きの根拠となったごみ撤去費について、十分な根拠が確認できないと指摘をしました。

 しかしながら、昨年五月、我が党が明らかにした航空局長と理財局長との意見交換概要という会合記録によると、財務省と国交省が、ごみ撤去費の八億円について、過大だと受け取られないように、会計検査院には金額でなく重さを記入させようとしたやりとりが記録をされておりました。

 会計検査院は、検査報告書を公表する三カ月前に、報告書原案を財務省と国交省に渡しておりました。そして、結果として、検査院報告には金額が盛り込まれませんでした。

 会計検査院法第一条では、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」としております。しかし、森友報告をめぐる会計検査院の対応は、その独立性に国民が疑念を抱く事態となっているのではないのか。お考えをお聞かせください。

田中参考人 森友学園の問題、そして一連の省庁の対応、また、会計検査院が改ざん文書を見抜くことができなかったということについては、まさに御批判のとおりで、私も一国民として非常に残念に思う次第であります。

 またこういうことがあってはなりませんので、今後は体制の強化に努めていく必要があるのではないかと思います。

高市委員長 他に質疑はございますか。

 ないようですので、これにて田中参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 田中参考人、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

 以上をもちまして検査官の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

高市委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、来る二十八日火曜日午後一時から開会することといたします。

 また、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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