衆議院

メインへスキップ



第3号 平成30年12月3日(月曜日)

会議録本文へ
平成三十年十二月三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 末松 義規君

   理事 門  博文君 理事 國場幸之助君

   理事 とかしきなおみ君 理事 西銘恒三郎君

   理事 渡辺 孝一君 理事 篠原  豪君

   理事 山岡 達丸君 理事 佐藤 英道君

      伊東 良孝君    尾身 朝子君

      神山 佐市君    高村 正大君

      笹川 博義君    繁本  護君

      鈴木 隼人君    高橋ひなこ君

      武部  新君    冨樫 博之君

      中曽根康隆君    百武 公親君

      古川  康君    細田 健一君

      宮内 秀樹君    石川 香織君

      前原 誠司君    赤嶺 政賢君

      丸山 穂高君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 宮腰 光寛君

   外務副大臣        あべ 俊子君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   環境大臣政務官      勝俣 孝明君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日下 正周君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  北村  信君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           松林 博己君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 秀樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           平野 統三君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 鳥居 敏男君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 石川  武君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月三日

 辞任         補欠選任

  江渡 聡徳君     高村 正大君

  尾身 朝子君     古川  康君

  鈴木 隼人君     中曽根康隆君

  武井 俊輔君     高橋ひなこ君

  宮内 秀樹君     細田 健一君

  山口 泰明君     百武 公親君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     江渡 聡徳君

  高橋ひなこ君     神山 佐市君

  中曽根康隆君     鈴木 隼人君

  百武 公親君     山口 泰明君

  古川  康君     尾身 朝子君

  細田 健一君     宮内 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     冨樫 博之君

同日

 辞任         補欠選任

  冨樫 博之君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

末松委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官日下正周君、内閣府沖縄振興局長北村信君、内閣府北方対策本部審議官松林博己君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、外務省大臣官房参事官船越健裕君、外務省大臣官房参事官宇山秀樹君、文部科学省大臣官房審議官平野統三君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君、環境省大臣官房審議官鳥居敏男君、防衛省防衛政策局次長石川武君及び防衛省地方協力局長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

末松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

末松委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の笹川博義です。

 きょうは質問の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。

 同時にまた宮腰大臣も、就任以来御活躍ということで、大変お疲れさまでございます。また、それぞれ副大臣も勝俣政務官にも、朝早くから済みませんです。よろしくお願いしたいと思います。

 さて、もう時間もありませんので質問の方に入らせていただきます。

 まず、北方領土問題から宮腰大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、大臣の所信の中でも、「国民世論啓発について」ということであります。「北方領土問題の解決に向けた運動を国民運動として盛り上げ、強力に推進することが重要です。とりわけ、元島民の方々の高齢化が進む中、次代を担う若い世代の関心を喚起することが重要であり、修学旅行の誘致の強化」ということでございます。この国民運動を盛り上げるためにまず第一に挙げられたのが、修学旅行の誘致の強化ということであります。

 本来、これだけ第一目標として掲げられたわけでありますので、数値目標を定めたり、さまざまやはり目標を定めて事業なり展開をすべきというふうに思っておりますので、改めて大臣には、この誘致強化ということにつきまして具体的に何か御所見がありましたら、お願いしたいというふうに思います。

宮腰国務大臣 北方領土問題の解決のためには、できるだけ多くの国民に正しい理解と関心を持っていただくことが重要であります。とりわけ、次代を担う若い世代の関心を喚起することが重要であると考えております。

 このため、内閣府では、平成十五年から、北方領土に隣接する地域への修学旅行等の誘致に対する支援を行ってきております。これまでも北方領土学習プログラムやバスの借り上げ費用等の交通費に対する補助を行ってきたところですが、今年度からは、取組を強化するため、補助対象を拡大するとともに、新規事業として、修学旅行を担当する学校の先生方などを対象とした隣接地域への下見ツアーを実施しております。

 これらの誘致支援策は、必ずしも直ちに修学旅行者数の増加に結びつくものではありませんが、下見ツアーに参加した先生方からは有益なツアーであったと好評を得ておりまして、持続的に実施していくことで、今後の修学旅行者数の増加に結びつけていきたいと考えております。

 ただ、数値的には、残念ながら、平成二十五年度に比較いたしますと、昨年度、やはり半分程度ということになってきておりまして、目標数値を掲げるということも大事かと思いますが、ここをやはりどうふやしていくかということもこれから大事になってくるのではないかというふうに考えております。

笹川委員 何でも、やはり最初の意気込みと、それから、少し年月がたつとどうしてもやはりぐあいが悪いときというのは出てきますから、そのときに趣向を凝らしながらやっていくということは大事でありますので、そういう意味において、先生方に御理解いただく、特に修学旅行の担当者に来ていただいて理解を深めていく、このことも大切なことだというふうに思いますので。

 ただ、大事なことはやはり、政府側の視点だけでやってもこれはだめなんですよ。やはり来る人は生徒さんですから、生徒さんにとって魅力あるものにしていかなければならないというふうに思いますので。

 その中で、根室地域、道東エリアには、世界に誇る世界自然遺産があるわけでありますよ。知床国立公園であります。知床国立公園も、やはり私のところの富岡製糸場もそうなんですけれども、登録をされるときというのはどかんと人数がふえるんですけれども、これがだんだん少しずつ少しずつ減少傾向になるということでありますので。子供たちの教育では、やはり歴史問題、同時にまた自然環境の勉強もしていかなければならない大事なところだと思いますので。

 そういった意味からしても、この知床の国立公園、世界自然遺産の活用と北方領土に対する国民世論の啓発運動がしっかりと連携をしていく、このことが私は大事だと思うんです。そのことによって私はこのエリアの修学旅行に対する魅力度というのはアップするというふうに思いますし、勉強の幅も広がるわけですよ。そのことは子供たち等にもいいというふうに思っておりますので。

 特にあの国立公園からは、北方領土、国後島を見ることができる。私は残念ながら、政務官のときに最後の視察先が北海道だったんですけれども、胆振東部地震がありましてこれが実現できなかったんですよ。このことはもう本当に今でも残念に思っているんですが、必ず私は年を改めてからお伺いしたいというふうに思っていますので。

 改めて、この訪問人数をふやすことは地域の経済の活性化にもつながるというふうに思いますので、ぜひ大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。

宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、北方領土問題と知床の自然環境とを結びつけた複合的な学習機会の提供が有効な手段の一つであるというふうに考えております。

 現に、内閣府による修学旅行等の誘致支援を受けて北方領土隣接地域への修学旅行を実施した学校の中には、世界自然遺産である知床国立公園を組み込んだコースで修学旅行を実施しているところもあります。

 この世界自然遺産の登録のときには、対岸の国後島の一部も含めた地域指定といいますか登録というような議論も中にはあったようでありまして、世界に二つとないこの知床地域の自然遺産、これと組み合わせて修学旅行のコースにしていくということは極めて大きな意味があるのではないかというふうに考えておりまして、領土という問題といいますか、その視野だけではなくて、もっと視野を広げて取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

笹川委員 大臣、ありがとうございました。そういう複合的な視点というのが、私は、多面的に物事を見ることが大切だというふうに思います。

 さて、勝俣環境政務官にお伺いをさせていただきたい。

 今、宮腰大臣の御答弁もございました。やはりこれは逆に知床国立公園からすれば、いや、環境省だけが頑張ったところで幅が広がるわけでもないし、そういう意味では、今、宮腰大臣がおっしゃったように、国としてさまざまなものを取り組んでおりますが、それをやはり省庁の枠を超えて連携をしていくということが大事であるというふうに思いますので、北方領土に関する国民世論の盛り上げと自然環境への理解を深めていくという、役割のある知床の国立公園でもあるわけなんですよ。

 そういったことを考えたときには、羅臼のビジターセンターなど、いわゆる受入れ体制をどう充実させていくかということが大事だというふうに思いますが、政務官、御所見をお願いいたします。

勝俣大臣政務官 笹川先生の御指摘のとおりでございまして、知床国立公園の利用拠点である知床峠からは国後島を臨むことができます。そのため、知床国立公園に多くの利用者が訪れていただけることは、北方領土に関する理解を深めることにも資するものと考えられます。

 現在、環境省では、もう笹川先生御承知のとおりでございますけれども、国立公園満喫プロジェクトとしてさまざまな取組を進めさせていただいております。知床国立公園においても、ユニバーサルデザイン化やWiFi整備等に加え、多言語対応等の訪日外国人受入れといった観点からの取組も引き続き推進する予定でございます。

 環境省としましても、地域関係者と連携しつつ、羅臼ビジターセンターを始めとした施設を有効に活用し、修学旅行生を含む利用者数の増加に向けた取組をしっかりと進めさせていただきたいと考えております。

笹川委員 ぜひ、国立公園満喫プロジェクト、大切な国家的な事業でもございますので、ぜひまた知床国立公園についても目配りをし、今言った形で、省庁の枠を超えてぜひ協力をしていただきたいというふうに思います。

 ただ、一点だけお願いしたいのは、どうしても、例えば北方領土の広報のビジターセンターですとか、専門家の皆さん方が考えてつくると、素人の人が行ったときに余りおもしろくないんですよ。そういう意味では、やはり行ってよかった、おもしろかったという観点、いわゆる子供の目線だとか一般の人の目線だとか、そういうのを大事にしながら、やはり魅力あるものにしていただきたいというふうに思うんです。人間というのはやはり世代によって感性が違いますから。

 そういうことはぜひ大切にしながら、常にやはり中身の充実に向けた努力というのが大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 改めて、次は河野大臣の所信でありますが、「北方四島における共同経済活動の実現に向けた取組を進める」ということでございますが、北方四島における共同活動が、やはり根室地域、道東エリアなどの地域経済の活性化につなげていくということもこれは大事な観点だというふうに私は思っております。

 北方領土だけじゃなくて、そことやはり道東エリア、根室地域が、リンクをしながら経済活動、地域経済が活性化することがより北方領土に対する関心を高めていくことにもつながるというふうに思っておりますので、改めて御所見をお伺いしたいというふうに思います。

あべ副大臣 笹川委員にお答えいたします。

 経済活性化につながるというふうに本当に皆さんが思ってくださる北方領土における経済活動、特に、九月につくりましたロードマップ、委員も御存じだと思いますが、海産物、温室野菜、また、ツアー、電力、ごみ問題などに関してのロードマップを作成させていただいたところでございますが、先般のG20におきましても、十二月一日に行われて、安倍総理から、北方四島、この共同の経済活動の実現に向けた取組について、改めて、引き続き協力を進めていくことを働きかけたところでございます。

 やはりこの共同経済活動の実現に向けた取組におきましては、地元のニーズ、地元の方々がどうお考えになるかということを踏まえて進めていくことが重要だというふうに私ども考えておりまして、適切な形で情報提供をさせていただきながら、かつ、北方四島に派遣した現地調査団、また、ビジネスミッション、地元の関係者の方々にも入っていただいた形で政府と地元が一体となって取り組んでいるところでございますが、引き続き、地元の方々とも連携しながら取り組んでいく所存でございます。

笹川委員 ありがとうございます。

 ぜひまた、外務省だけじゃなくて、関係省庁も含めた中で地元の皆さん方と将来をしっかりと語り合いながら、地域経済の活性化にぜひつなげていける共同経済活動にしていただきたいというふうに思っております。

 続きましては、沖縄の話題に行きたいと思います。

 同じく大臣からは、「北部地域について、産業の振興や」という形の中でお述べになっておられます。

 私も、実は政務官のときに沖縄北部三村の皆様方と懇談をする機会がございました。国頭、大宜味、東村ということで、大変有意義な時間を過ごすことができました。また、北部地域にはやはりやんばる国立公園が実はございまして、また、今回、二〇一六年に米軍の北部訓練場が返還をされて公園域も広がったわけですよ。拡大をされました。

 豊かな自然環境というのは、海だけじゃなくて、こういう地域も実は沖縄の魅力の一つというふうに思っておりますが、残念ながら、この北部地域というのは、やはり発信力が不足しているんですよ。

 私の地元で聞いたんですよ、水族館から上に行ったことがある人と。誰も手を挙げないんだ。大体水族館で完結しちゃっているんです。

 だから、ここから上というのが、やはり皆さんにもう少し知ってもらう必要があるというふうに思う。そうすると沖縄の観光の幅もやはり広がってくるわけです。それで産業振興にもつながるというふうに思っておりますので。

 世界自然の遺産登録の課題もございますけれども、やはり、北部地域の経済活性化に向けた、国立公園をどう活用していくかということも大事だと思いますので、大臣の御所見をお伺いいたします。

宮腰国務大臣 北部にはやんばる国立公園に指定された大自然が残されておりまして、本年六月には、復帰後最大規模の返還となりました米軍北部訓練場の返還地の大部分が国立公園に組み込まれました。二〇二〇年の世界自然遺産登録も見据え、現在、北部振興事業により、やんばるの森を周遊できる観光拠点の整備を重点的に支援しているところであります。

 また、北部へのアクセスを向上させる名護東道路の整備や、本部港での国際クルーズ拠点の形成なども進められております。

 私も先月、大宜見村、国頭村から横断をして東村に抜ける道路を通ってまいりました。特別保護地区を含む北部訓練場の返還地、そこにすばらしい自然がしっかりと残されているというところも見てまいりました。また、以前、沖縄本島の北端にある辺戸岬を経由してずっと東海岸におりてきて東村に至るその途中に、見事なリュウキュウマツの松並木、これは息をのむほど美しいという表現そのものだったと思うんですが、本当にすばらしい自然が残されているということをこの目で確認をさせていただいております。

 これらの自然遺産、これを観光産業の発展に向けた取組とともに北部地域の振興につなげることができるよう、沖縄振興の担当大臣として、特に北部振興にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

笹川委員 もう時間となりました。今の大臣の言葉を聞いて北部地域の人はうれしく思っておるんじゃないかというふうに思いますので。美ら海よりもまた魅力のある地域があるということでぜひお願いします。

 最後、環境省さん、こういう意味では、人が訪れることはいいことです。しかし、希少種の保護とか自然環境の保護もこれも大事でありますので、それをやはり両立させることが大事でありますので、環境と成長の両立について、よく宮腰大臣とも相談をしながらやっていただきたいと思います。

 以上申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

末松委員長 次に、國場幸之助君。

國場委員 本日は、貴重な質問の機会をまことにありがとうございます。

 宮腰大臣、長年、沖縄への深い愛情を持ちながら離島振興やサトウキビに取り組んでいただき、まことにありがとうございます。

 台風や干ばつという亜熱帯の過酷な自然環境の中で離島の生活を守るということは、領土、領海を守ることにもつながり、海洋国家という我が国の国是を守ることにもつながります。その中でサトウキビが果たしている役割は非常に大きなものがあります。

 ところが、昨今の深刻な人手不足の中で、離島の製糖工場の働き手、担い手を集めるということは困難な課題でもあります。今回、十二億円の製糖工場への働き方改革への対策予算を確保していただきました。まことにありがとうございます。

 しかし、沖縄の離島というものは多種多様でございます。人材確保や季節工の宿舎整備についても、分蜜糖の島、八つの含蜜糖の島、そして観光産業の盛んな島、そうでない島、各島々への実情に即したきめ細かな配慮が求められます。

 そこで宮腰大臣から、沖縄振興への決意も含めて、沖縄製糖業体制強化事業に対する答弁をお願いします。

宮腰国務大臣 サトウキビは沖縄農業の基幹作物でありまして、製糖業は、サトウキビ生産を支え、特に離島地域の雇用を支えるなど、重要な役割を担っていると認識しております。例えば、南大東村にある製糖工場の煙突に「さとうきびは島を守り島は国土を守る」と書いてありますが、まさにそのとおりの役割を果たしているというふうに考えております。

 今般の働き方改革の実施によりまして、これまで例外とされていた製糖業にも時間外労働の上限規制が適用されることとなりますが、これに対応するため、操業体制の見直しとともに、増員が必要な季節工の受入れ環境の整備が必要となっております。

 このため、内閣府では、製糖工場の所在するそれぞれの離島の状況や規模を踏まえつつ、人材の確保、育成や、季節工の増員に対応する宿舎整備等に向けた支援を行うため、平成三十一年度概算要求において、約十二億円を関連予算として要求しております。

 今後の製糖工場の運営に支障がないよう、また、サトウキビ産地が将来にわたって安心して生産振興に取り組むことができるよう、引き続き万全の支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

國場委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。

 続きまして、あべ外務副大臣に質問をします。

 今回、大阪での万博開催が決定されました。誘致に長年取り組まれてきた全ての方に敬意を表したいと思います。

 先日の経産委員会におきまして世耕経産大臣は、大阪開催に決まったのは、国威発揚のみではなく、SDGsの目標達成についても積極的にかかわりたいというメッセージも共感を生んだと思われると答弁されておりました。

 私は、これからの沖縄振興も同様であると考えております。沖縄振興は国家戦略であり、骨太方針にも記されているように、沖縄の発展は日本経済再生の牽引役にもなり得ます。しかし、国民全体の理解と支援なくして沖縄振興は継続できるものではありません。従来の、地理的優位性、アジアとのかけ橋、観光や国際交流での我が国の牽引役という役割と同時に、人類共通の課題への挑戦、SDGsへの取組にも積極果敢な地域として将来展望を描くべきだと考えております。

 河野大臣も所信で、沖縄のさらなる成長につながる国際化支援を進めたいと発言されております。

 そこで、SDGsを所管する外務省として、今後の沖縄振興と国際化支援についてどのようなコミットができるのか、所見をお願いします。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 SDGs、国連が出した、これまで貧困国だけではない、先進国も含めてしっかりとコミットをしていく、持続可能で強靱な、さらには誰一人取り残さない、このゴールが出されたところでございまして、このSDGsにつきましては、日本のSDGsモデルの三本柱の一つに地方創生が掲げられているところでございます。

 今後、成功事例をしっかり出していき、沖縄を含む日本各地に、この推進に取り組んでいく考えでもございますし、今回は総務大臣が、日本のSDGsは、地方自治体における住民自治組織、ここがしっかりと頑張っているんだということの所信もあったところでございます。

 また、沖縄におきましては、JICAの沖縄センターがございまして、沖縄の強みを生かした、自治体、大学、企業と協力しながら、途上国の政府関係者を対象とした研修事業、特に、沖縄という特徴を生かした水源資源、また、サモアにおける水道の事業なども含めた形の研修事業、また、民間の海外展開支援、草の根レベルの技術協力支援を実施しているところでございます。

 何といいましても、国づくりは人づくり、いわゆる人間の安全保障を私ども掲げてきた外務省といたしましては、人材育成、交流に特に力を入れているところでございまして、沖縄の国際化に貢献する取組として、国際社会で活躍する人材の育成を重視し、例えば米国の高校生、大学生の派遣プログラム、これは委員も御承知のとおり、TOFUプログラムというふうに言っておりまして、食べるお豆腐ではなく、シンク・オブ・オキナワズ・フューチャー・イン・ザ・USという形で、今、米国に高校生、大学生を派遣していく。

 それ以外に、また、県内における米軍施設・区域内におけるアメリカンスクールがございまして、今、小学校に英語の授業が入った、これに対応しにくいという学校の先生方に対しての研修の機会も提供しているところでございまして、今後もJICA沖縄センターのさらなる活用を通じて、途上国支援、また、沖縄の国際化に資する人材育成、交流の取組を通じて沖縄の振興に貢献してまいりたいと思っております。

國場委員 ありがとうございます。

 ぜひ、JICAやTOFUプログラムやアメリカンスクールの活用、沖縄の持つ優位性というものを最大限に生かして、英語教育に関しても日本一になり得る可能性を持っておりますので、今後とも外務省の取組をよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして防衛省に質問したいと思います。

 島嶼経済の沖縄にとりまして、観光、交流、物流といった外部経済とのかかわりは極めて重要でございます。しかし、その最大のインフラは平和と安全でありますけれども、残念なことに、近年、米軍機による事故が続いております。河野外務大臣の所信にも、在日米軍に対する地元の理解が不可欠で、米軍機等の安全確保は米側に強く要請するとあります。

 一月二十九日の予算委員会で、米軍機の事故再発防止として、日米の整備部門の専門家が安全性への知見を共有する目的で相互交流できないかとの質問、提案に対し、当時の防衛大臣からは、自衛隊の知見が生かせる体制を米側に申し入れたいと前向きな答弁がありました。

 訓練や飛行の安全確保というものは両国の国益に資することです。今の取組、動向について説明をお願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、やはり米軍による事故、事案はあってはならないことであると考えており、飛行の安全に関しましては重点を持って考えてまいりたいと考えているところでございます。

 御指摘の会合につきましては、広く飛行安全をテーマにした包括的な議論を日米間で実施をすることで日米双方の航空機の飛行安全を向上させることを目的といたしまして、十一月八日に第一回目の会合を実施をしております。

 この会合におきましては、現場への相互訪問ですとか定期整備の手順、また、予防・緊急着陸の考え方、さらには、耐空証明などを今後の議題として取り上げていくこととしたところであります。

 今後、日米の専門家間でこれらの具体的な意見交換などを速やかに実施できるよう、準備や日程を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 引き続き、この会合により、双方の飛行安全を更に向上させるため、日米で協力しながら取り組んでまいりたいと考えております。

國場委員 ありがとうございます。

 従来、今まで日米の共同訓練という形ではありましたけれども、やはり、日米が事故を起こさない、そのことを最大の目標にした日米の協力関係というものが大切であると考えております。十一月八日の日米の専門家会合というものは初めての試みであると思いますけれども、さまざまな課題があるかと思いますが、どうかその形を引き続き推進していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、沖縄特有の課題であります子供の貧困に関連して、寡婦控除と認可外保育園について質問をしたいと思います。

 沖縄県は全国で最も子供の貧困の割合が深刻な県です。そして、母子世帯というものが非常に経済的に厳しい現状にありますけれども、母子世帯と一言で言いましても、婚姻の後に離婚し死別するというケースもありますが、婚姻によらない母子世帯も沖縄では二四・四%もあり、また、この世帯の経済状況は特に厳しいという現状もあります。

 今回、厚生労働省は、母子寡婦の控除適用拡大の対象に婚姻によらない母、父を加えようという動きがありますが、地元でも期待が高まっております。

 そもそも、この動きは沖縄から全国に広がりました。平成二十年の四月に、沖縄県の県営住宅に生活をしていた寡婦に退去命令が出たのを契機に、翌年の全国の母子寡婦連合会の大会要望項目に含まれたのがスタートでございます。どのような家庭環境の中に生まれようとも、ひとしく子供の健やかな成長と笑顔を守る義務があります。

 そこで質問でありますけれども、今般初めて、寡婦控除に婚姻によらない母、父を加えるということが税制改正要望に盛り込まれております。実現に向けての取組を御答弁をお願いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 一人親家庭の自立を支援をし、子供たちの未来が家庭の経済状況によって左右されないということにしていくことは非常に重要であると考えております。

 婚姻によらないで生まれたお子さんを持つ一人親につきまして厚生労働省としても各般の施策を行ってまいりましたが、今般の税制上の支援措置の拡充につきまして、三十一年度税制改正要望をさせていただいているところでございます。

 本件につきましては、昨年末の平成三十年度与党税制改正大綱を踏まえまして与党においても御検討いただいていると承知をしておりまして、厚生労働省といたしましても、子供の貧困に対応する観点から、経済的に厳しい状況にある一人親家庭が、親の婚姻歴の有無にかかわらず、税制上も支援が受けられるように努力をしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

國場委員 続きまして、寡婦控除のみなし適用について文科省に質問をします。

 保育料の軽減など、厚生労働省の所管する分野では寡婦控除のみなし適用が進んでおります。国土交通省も、公営住宅の家賃軽減などにみなし適用があります。一方、奨学金などを担当する教育分野では取組がおくれているという実態があります。

 教育に格差があってはいけないと考えます。教育こそ全ての子供にチャンスを与えるべきであり、文科省としても、厚生労働省や国土交通省のように、みなし適用に取り組むべきではないでしょうか。答弁をお願いします。

平野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点につきましては、当省の制度のうち、所得判定の際に寡婦控除を含めた所得控除を勘案している制度が対象となり得るものと承知しております。

 婚姻歴のない一人親に対する寡婦控除のみなし適用につきましては、昨年末に決定されました平成三十年度の与党税制改正大綱において、「平成三十一年度税制改正において検討し、結論を得る。」というふうにされております。

 厚生労働省において平成三十一年度税制改正要望を提出しているものと承知しておりますが、こうした税制上の議論も注視しつつ、他の制度の事例も研究しながら検討を進めてまいりたいと思います。

國場委員 他省庁のみなし控除に対する実態も含めて、文科省も取組を研究していただきたいと思います。

 続いて、認可外保育園の無償化についてお尋ねをします。

 待機児童の最も多いゼロ歳児から二歳児までの認可外保育園に通わせる住民税非課税でない世帯への支援、これも沖縄特有の課題でございます。

 沖縄県は、認可外保育園の割合が五対五と、全国的には認可外は全体の一割しかありませんけれども、非常に認可外園が多い県でございます。その世帯への取組といったものも沖縄特有の課題でありますが、この点についてどのようなお考えがあるのか、最後に質問をしたいと思います。

川又政府参考人 お答えいたします。

 今般の幼児教育の無償化の対象範囲等の検討に当たりましては、本年三月、沖縄県認可外保育園連絡協議会からのヒアリングが実施されるなど、現場や関係者の声に丁寧に耳を傾けつつ検討がなされたものと承知をしております。

 この検討会の報告書も踏まえ、認可保育所に入ることができない子供に対する代替的な措置として、幼稚園の預かり保育、あるいは認可外保育施設を対象とすることになったというふうに認識をしております。

 認可外保育施設がより質の高い認可保育所に移行できるよう支援もしておりまして、特に沖縄におきましては、補助率のかさ上げ、全国二分の一でございますが、沖縄県については十分の八とするなど、認可化の移行への支援も進めているところでございまして、こうした取組を一層充実強化していきたいというふうに考えております。

國場委員 認可できない、しがたいという実態もありますので、さまざまなケースをしっかりと研究して取組をよろしくお願いしたいと思います。

 以上をもちまして質問を終わります。ありがとうございました。

末松委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 北方領土問題の早期解決と日ロ平和条約の早期締結に向けて、随時質問を行ってまいりたいと思います。

 去る十一月十四日、シンガポールで、二十三回目となる日ロ首脳会談が行われたわけであります。安倍総理は、日ロ平和条約の締結について、一九五六年日ソ共同宣言を基礎として平和条約の交渉を加速させることでプーチン大統領と合意したと語りまして、七十年余りに及ぶ両国の領土交渉と平和条約の問題解決への決意を述べられたわけであります。

 引き続き、日本時間の十二月二日未明、前回から二週間という大変短いスパンでありましたけれども、訪問先のアルゼンチン・ブエノスアイレスで日ロ首脳会談が行われたわけでありますけれども、今回の首脳会談の内容、成果等について、あべ副大臣の御認識等についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。

あべ副大臣 委員にお答え申し上げます。

 本当に、委員がおっしゃるように、前回から約二週間という短いスパンでの第二十四回目の会談が行われたところでございます。

 まずは、十一月十四日のシンガポールの日ロ首脳会談におきまして、一九五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるという合意がございました。

 これに続きまして、十一月二十三日、ローマにおきまして日ロ外相会談が行われました。この中で、平和条約締結問題に関しまして、シンガポールの日ロ首脳会談の結果も踏まえて議論を行い、首脳間の合意を踏まえて外相間でも議論を深めていくことを確認させていただいたところでございます。

 さらに、両首脳、十二月一日でございますが、ブエノスアイレスのG20の際に首脳会談を実施いたしまして、シンガポールの合意を踏まえ、日ロ双方は、河野外務大臣及びラブロフ外務大臣を交渉責任者として、その下におきまして、そのもとで、森外務審議官及びモルグロフ外務次官を交渉担当者とするということで一致をしたところでございます。更に交渉を加速させることを確認したところでございます。

 特に、この担当者がしっかりと定められたということが大きいところでございまして、ロシア側はモルグロフ外務次官を大統領特別代表に、また、日本側は森外務審議官を総理特別代表と位置づけることとなりました。

 さらに、安倍総理の年明けの訪ロの前に、可能であれば外相会談を調整することで一致したわけでございまして、平和条約交渉を加速させる上で、担当者が決まったこと、また、道筋が定まっていきそうな形になってきたことは、本当に有意義な会談になったというふうに思っております。

佐藤(英)委員 今副大臣からお話があったとおり、平和条約の交渉が一気にやはり加速していく、そのように捉えているわけでありますけれども、こうした中で、国民の方々の最大の関心は、やはり、平和条約締結の前提条件である四島の帰属をどのタイミングで、どのように決着していくのかという点であると思います。

 総理の御発言から、二島先行返還論が構想の一部であり、残りの二島、択捉、国後は平和条約締結後に継続協議していくのだろうという見方もあるわけでありますけれども、しかし、先行返還される場合、二島の主権がきちんと認められるかという懸念もあるのも事実であります。

 報道等でもあらゆる臆測等が飛び交う中、私は、最も大切なことは、四島が故郷である元島民の方々に納得と理解を得られるかが極めてやはり重要なことであると思います。

 千島歯舞諸島居住者連盟の方々を始めとする元島民の方々の切実な思いを深く受けとめて、交渉を進めていくべきであると考えますが、御認識を伺いますとともに、来年一月には、二十五回目となる安倍総理とプーチン大統領との首脳会談も総理の訪ロによって行われるということも決まっているわけであります。

 日ロ平和条約と北方領土の交渉の最終合意に向けて極めて重要な首脳会談となるとも考えますけれども、この首脳会談に向けてもどのような姿勢で取り組まれるのかも含めて、お伺いをさせていただきたいと思います。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 佐藤委員、北海道にお住まいでいらっしゃいまして、元島民の方々の切実なお話をたくさん聞いていらっしゃり、大変それを深く受けとめていらっしゃる御質問だというふうに思っております。

 そうした中で、この戦後七十年残されてきた課題、安倍総理は、この課題を次の世代に先送りすることなく、両首脳の手で必ずや必ずや終止符を打つという強い意思をプーチン大統領と十一月十四日の首脳会談におきまして共有させていただいたところでございます。

 先ほども申し上げました一九五六年のこの共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる。今後とも、元島民の方々の思いに寄り添っていきながら、そういう中でこの領土問題を解決して平和条約を締結するという基本姿勢のもと、引き続き、粘り強く粘り強く取り組んでいく考えでございます。

 また、この姿勢に関してでございますが、私ども、年明けの首脳会談の結果、予断することは差し控えるところでございますが、領土問題を解決して平和条約を締結するという戦後七十年以上残された課題、これを必ずや、先ほども申し上げましたように、次世代に先送りすることはしない、終止符を打つという強い意思を総理からしっかりとプーチン大統領と共有させていただいているところでございます。

 以上でございます。

佐藤(英)委員 私が初当選させていただいて予算委員会で初めて安倍総理に質問したのも北方領土の問題でありました。やはり、ぜひ安倍政権の間にこの問題の解決ができるよう、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次の問題に移ってまいりたいと思います。

 本年、私は、七月二十七日から三十一日までの五日間、北方四島ビザなし交流訪問団の一員として、国後、択捉両島を訪れることができました。元島民の方々の参加がやはり年々難しくなっているということに対し、しっかりと対応しなければならないのではないかと痛感もしたところであります。

 昨年来、航空機による墓参が実現し、大変に喜ばれております。しかし、墓地までの道のりは、足場の悪い草地を何キロも歩かねばなりません。また、「えとぴりか」から島に帰島する際、波やうねりの影響を強く受けるため、上陸率も四八・八%にとどまっているわけであります。

 後継者の確保についても深刻であります。墓参事業と自由訪問のよいところをあわせ、対象を元島民の親族に広げ、長期間滞在が可能で、墓地周辺だけではなく、居住地の跡なども訪問可能な、ふるさと訪問とも呼ぶべき新たな制度の創設も求められているところであります。

 墓参のルートの整備と新たな制度の創設について、今後更に力を入れてロシア側との協議を行うべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、元島民の方々が高齢となられていることを考慮しまして、身体的な御負担の軽減など、人道的な観点から現行の枠組みによる訪問手続の改善を図ってきているところでございます。

 具体的には、委員からも御指摘のありましたように、昨年及び本年、航空機による墓参としまして、国後島及び択捉島への訪問が行われました。また、昨年及び本年、船舶による墓参の際に、臨時の追加的な出入域地点が設置されました。これらの措置によりまして、四島への移動に要する時間が大幅に短縮されまして、元島民の方々の身体的負担をある程度軽減することができたと考えております。

 墓参ルートの整備や元島民、親族の方々による北方四島訪問のための枠組みの改善につきましては、関係団体からも種々要望をいただいてきているところでございまして、こうした課題があることは政府としても承知しております。

 委員の御指摘も踏まえまして、内閣府及び関係団体とも協議しつつ、不断の改善に取り組んでまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、宮腰大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 宮腰大臣におかれましては、北方領土の問題の解決のために何度も北海道にも足を運んでいただき、ライフワークとして取り組まれている姿に私も心から敬意を表し、そしてまた、このたびの大臣御就任を心からお祝い申し上げたいと思います。

 共同経済活動についてお伺いさせていただきたいと思います。

 早ければ来年春にも始まると言われる共同経済活動でありますけれども、本年八月にビザなし訪問と現地調査団の日程が重なり、ビザなし訪問が延期になるという事態が生じたわけであります。こうした事態が再び起こらないよう、年間計画に基づいた円滑な事業実施を行うべきであるとも考えます。

 今後、両地域の往来が活発すると予想されておりますけれども、「えとぴりか」に加えて新しい船をもう一隻つくるという件について、宮腰大臣も先月十六日に言及されたと承知しておりますけれども、既存船の活用も含めて御見解をいただければと思います。

宮腰国務大臣 四島交流等事業につきましては、来年度の年間計画について、現在、各実施団体において個別事業の計画案の検討を行っている段階でありますが、今後、内閣府におきまして年間計画案を取りまとめる際には、本年度の事業の実施を通じて確認されたさまざまな課題への対応についてもしっかりと検討を反映させることにより、御指摘の点も含めて改善を図っていきたいと考えております。

 共同経済活動の進展に伴う北方領土との往来の活性化への対応につきましては、プロジェクトごとの訪問先や、渡航する人、物の規模、内容等に応じて適切な渡航手段を検討する必要があります。

 今後、共同経済活動の進捗に応じて、内閣府といたしましても、外務省とも連携しつつ、既存船の活用も含めしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。

 ぜひともよろしくお願いを申し上げますとともに、元島民の方々やビザなし交流に参加をしたいという方にも本当にうれしいお話であると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 また、この共同経済活動について、先月、官民の現地調査団が三回目となる北方領土訪問を行いました。その後の協議も含めて、検討中の五項目でかなり現実的な具体案が示されているわけであります。

 共同経済について、一昨年、プーチン大統領の訪日の際に表明されたものでありますけれども、なかなか進まないなどさまざまな御批判もありましたけれども、私は、振り返れば、わずか二年で大きな進展を見せたと評価しております。

 特に、イチゴの温室栽培では、ハウスの建設地も決まり、栽培品目や日ロ双方の役割の分担も定まっております。また、観光分野でも、三つのツアーのルートや規模が決まるなどもしております。

 私は、本年七月九日の当委員会で、共同経済活動は、北方隣接地域の振興につながるよう一体的に考えていくべきとお訴えをさせていただきました。こうした事業案の作成に当たりまして、これまでどのように反映されてきたのか、お伺いさせていただきたいと思います。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 委員がことしの七月の委員会でおっしゃったように、この共同経済活動、北方の隣接地域の振興につながるということが本当に一体的に考えられていくということが重要だというふうに私自身も思っているところでございます。

 この共同経済活動に関しまして、九月の日ロの首脳会談で両首脳が了承いたしましたロードマップ、特に、北海道の特性を生かした形でのこのロードマップは、海産物、温室栽培、ツアー、また、風力発電、ごみ対策なども入っているところでございますが、この十月初めの、委員もおっしゃった北方四島でのビジネスミッション、ここで、十月末に局長級の作業部会と次官級の協議を実施したところでございます。

 その後、十一月十四日の日ロ首脳会談、ビジネスミッションが実施されたことを歓迎し、双方の法的立場を害さない、こういう形でプロジェクトを早期に実施すべく、さらなる作業を進めることになりましたが、先ほども申し上げました十二月一日の首脳会談におきまして、この共同経済活動の実現に向けた取組、引き続き協力を進めていくことを働きかけたところでございます。

 地元のニーズ、これをしっかり踏まえさせていただきながら進めていく必要があると考えておりまして、適切な形の地元の方々に対しての情報提供も取り組ませていただいているところでございまして、地元の関係者の方々が、この北方領土に派遣いたしました現地調査団、ビジネスミッションにも入っていらっしゃるところでございまして、政府と地元が一体となって取り組んでいく。委員がおっしゃるように、引き続き地元と連携しながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。

 あべ外務副大臣が農林水産副大臣をされていらっしゃるとき、私も政務官としてお仕えをさせていただきました。農林水産業に対しての振興についても大変に御見識のある副大臣でございますので、ぜひこのミッションが成功するように、引き続き御努力をお願いしたいと思います。

 最後になりますけれども、宮腰大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 大変にうれしいことに宮腰大臣は、就任会見の折に、隣接地域の振興は思い入れを持って進めていきたいと力強い発言をされるなど、非常に熱意を持って取り組まれていると認識しております。

 共同経済活動について申し上げれば、事業案の作成、両国の法的立場を害さない特別な制度の検討とあわせて、隣接地域の環境整備も加速する必要があります。

 大臣は、就任時に、根室港の整備などについても御言及をされたわけでありますけれども、隣接地域の振興策について、大臣の今後の展望についてお聞かせをいただければと思います。

宮腰国務大臣 さきの通常国会で成立をいたしました改正北特法におきましては、今後、共同経済活動の進捗に合わせて隣接地域の振興が進められるよう、共同経済活動のうち、主として北方領土隣接地域経済の活性化に資するものを特定共同経済活動と位置づけ、国、北海道、北方領土隣接地域の市及び町は、その円滑な実施のために必要な北方領土隣接地域の環境整備に努めることが規定をされたわけであります。

 この改正法の精神にのっとって、共同経済活動の進捗に合わせて、隣接地域全体の振興に努めてまいりたいと考えております。

 また、北方領土への玄関口として重要な役割を果たしております根室港、根室港区におきましては、今後、共同経済活動が進捗していくことに伴い、新たな人、物の往来が増加することにより、その果たすべき役割も増大していくことが見込まれております。

 これまで、ビザなし交流が始まりまして四半世紀以上経過しておりますけれども、残念ながら、根室港の整備が進められてこなかったという現実があります。

 今後、政府といたしましても、共同経済活動をしっかりと推進していく立場から、外務省、国交省北海道局、北海道、根室市とともに、根室港の整備推進に向けてしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

佐藤(英)委員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 終わります。

末松委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 篠原豪でございます。

 きょうは、大臣の皆様、お忙しい中、ありがとうございます。質疑をさせていただきますので、よろしくお願いします。

 先ほどの佐藤委員の御質問にありましたけれども、先週末のG20、ブエノスアイレスで、アルゼンチンで行われて、そこで日ロ首脳会談が行われまして、河野大臣とラブロフ外相と直接的な協議をする枠組みをつくる。担当者として、その下に森外務審議官とモルグロフ外務次官が一緒にやられるというお話がありました。

 報道を見ますと、これは質問通告していないんですけれども、ちょっと先ほど質問がありましたので聞かせていただければと思うんですが、向こうからは、島の返還については、北方領土の返還については、この枠組みでは協議をしないというふうに言っているというような報道もあります。

 ここで確認させていただきたいんですけれども、河野大臣は、この枠組みにおいて、島の返還についてもお話をなさっていくかどうかということについて教えていただければと思います。

河野国務大臣 この平和条約に関して申し上げれば、領土の問題を解決して平和条約を締結するというのが政府の一貫した方針でございます。

篠原(豪)委員 そうすると、順番の話になるかもわかりませんので、お話をるる伺っていきたいと思います。

 十四日にシンガポールで日ロ首脳会談が行われました。一九五六年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるということで合意をしたということであります。

 日ソ共同宣言は、日本の国会とソ連、ソビエト連邦の最高会議が承認をし批准された、平和条約交渉に対して法的拘束力を持つ唯一の、不可欠な文書であります。

 二〇〇一年三月に当時の森首相とプーチン大統領が合意したイルクーツク声明、ここを見ますと、ここにも、一九五六年の日本国とソビエト社会主義共和国連邦との共同宣言が、両国間の外交関係の回復後の平和条約締結に関する交渉のプロセスの出発点を設定をした基本的な法的文書であることを確認したということになっていて、そして、つまりこれは日ソ共同宣言でありますけれども、交渉のプロセスの出発点を設定した基本的な法的文書ということが明記されているので、この合意は、先ほどおっしゃったことも当然といえば当然のことだというふうに思います。

 ちなみに日ソ共同宣言ではどういうふうに書かれているかというと、歯舞群島及び色丹島を除いては、領土問題につき日ソ間で意見が一致をする見通しが立たず、そこで、平和条約にかえて、戦争状態の終了、外交関係の回復等を定めた日ソ共同宣言に署名をしています。

 これは何かというと、平和条約締結交渉の継続に同意をし、そして、歯舞群島及び色丹島については、平和条約の締結後日本に引き渡すということにつき同意したというふうになっています。

 ですので、今おっしゃったことはここについてのことをおっしゃったというふうに理解しているんですが、これでよろしいのかどうかと、一方で我が国の政府は、国後、択捉両島を含む四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという日本政府のこれまでの一貫した方針があります。

 これはどのように整合性があるのかということについて伺います。

河野国務大臣 今回は、一九五六年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速していこうということで両首脳が合意をいたしました。

 日本政府としては、引き続き、領土問題を解決して平和条約を締結するというのが基本方針でございますので、その基本方針のもと、粘り強く交渉してまいりたいと思います。

 これ以上のことにつきましては、交渉に影響を出さないように、政府として申し上げるのは差し控えさせていただいておりますことを御理解いただきたいと思います。

篠原(豪)委員 そうしますと、全部それでありますと、今までの日本の国会がやってきたこと、ソ連の連邦議会が認めてきたこと、法的拘束力文書があって、そこに書いていることがあります。一方で、我が国には、これまで言ってきたように、四島の帰属の問題を解決をして平和条約を締結するという日本政府のこれまでの一貫した方針があります。

 ですので、ここはどういうふうに整合性がとれるんですかということについて今の時点で御説明をいただけないということは、恐らくここに何らかの問題点があって、そこのところを政府が変えていこうとしているのかということがあるんだろうからこれは言えないんだろうというふうに、交渉といえばそういう交渉なんだろうというふうに思います。

 では、事実上の例えば二島返還合意となった後に、国後、択捉が返ってくる保証があるわけも何でもないんですけれども、政府は、今回の合意が国後、択捉の問題解決にどのようにつながってくるのかというふうに思っているかについて教えてください。

河野国務大臣 政府の今後の方針あるいは交渉に臨む考え方について対外的に申し上げるのは交渉に資さないというふうに考えておりますので、今、対外的に政府の考え方、方針を申し上げるのは差し控えているということを御理解いただきたいと思います。

篠原(豪)委員 では、これからも見させていただきたいと思うんですが、何か、政府の中での交渉、我が国の政府がロシア側とやっている交渉の中で、島の返還の順番も違うかもしれないし、何島と何島と何島までがとか順番がどうなっているんだとかいう話がよくわからないので、いろいろな報道が出ている中で、ではわかりやすく政府でも教えていただきたいことがあって、国民の皆さんがなかなかわかりづらいということがあると思うんですけれども。

 これまで政府は、引渡しが主権の返還であると述べてきたというふうに考えています。十一月十八日も、ロシアの大統領府のペスコフ報道官も、日ソ共同宣言を平和条約交渉の基礎とすることは領土を自動的に日本に引き渡すことを意味しないなどと改めて主張をしています。

 ですので、改めて、主権ということが何なのか、帰属というのが何なのか、引き渡すということが何なのか、返還というのが何なのか、それぞれ政府の定めている意味と関係をまず述べていただきたいと思います。

河野国務大臣 言葉の使い方もさまざま交渉の中で議論される可能性があるものでございますので、政府として政府の考え方を対外的に申し上げるのは差し控えていることを御理解をいただきたいと思います。

篠原(豪)委員 済みません。もう一度伺いますが、これは大事なことなので、では今まで政府が使ってきた主権という言葉は、何かそれすらも言えないんですか。主権というのは何ですか、外務省が言う日本の主権というのは。

河野国務大臣 一般的に主権は何かということを申し上げれば、国際法上、国家が自国の領域において有する他の権力に従属することのない最高の統治権のことを言い、国家の基本的地位をあらわす権利を意味するということだと承知しております。

篠原(豪)委員 では、北方四島の引渡しが主権の返還であるというのは、返還というのは何ですか、今おっしゃった言葉の返還というのは。

河野国務大臣 これから交渉を加速化させようということでございますので、政府の考え方、基本方針を対外的に申し上げるのを差し控えていることを御理解いただきたいと思います。

篠原(豪)委員 済みません。主権は先ほどおっしゃったので、それを返還するのは、それは島ということなんですか。引渡しとか島というのが、これが主権にかかわることだから、それだから答えられないということなんですか。よくわからないんですけれども。済みません。

 やはり、それぞれの主権、帰属、引き渡す、返還という言葉を使ってこれまで政府が述べてきているんですよ。これに対して、述べてきたこと自体も、その言葉自体がどういうことだったのか。では、これまでどういう意味で使ってきたのかということを教えてください。

河野国務大臣 今後、交渉を加速化させようということでございますので、政府の考え方あるいは方針を対外的に申し上げるのは差し控えていることを御理解いただきたいと思います。

篠原(豪)委員 済みません。これまでの日本の中でどういうふうにこの言葉が使われてきたのか。外交文書になり、それぞれ宣言もつくって、みんな発表してきてやっているわけですよ。それで、どういうことで四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するのかということと、そして、日本が、国後、択捉は返ってくる、二島先行返還。

 では、この二島先行返還だとか四島返還、返還というのは何ですか。今までどういう意味で使ってきたんですか。これからの交渉はいいです。今までどういうふうに使ってきたのかということを主権との関係性から教えてください。

河野国務大臣 これから交渉を加速化させようというところでございますので、交渉に影響が出かけないことを鑑みて、対外的に申し上げるのは差し控えさせていただいているところでございます。(発言する者あり)

末松委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

末松委員長 速記を起こしてください。

 まず、篠原君の方に申し上げますけれども、今、返還ということについて具体的に、河野大臣にそこをちょっともう少しはっきりと質問していただきたいと思います。

篠原(豪)委員 私が聞いているのは、例えば引渡し、平和条約の締結後に、日ソ共同宣言には、歯舞群島及び色丹島について日本に引き渡すことについて同意したと。日本は引渡しという言葉を使ってきているわけです。政府は、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するというふうになっているわけです。引渡しというのは何を示すんですか、帰属というのは何を指しているんですかと。

 主権の返還というのは、何に帰属する、どの島がどういうふうに帰属するのかということが、それが主権をあらわすものではないのかという議論があって、引渡しを含めてどうするかという議論が今までさんざんいろいろなところでされてきて、このことについて、主権と帰属と引き渡すということと返還、それぞれどういう意味があるのかということを、政府がこれまでどういう意味で使ってきたのかということを聞いているだけなんですよ。お願いします。

河野国務大臣 五六年の共同宣言以来、半世紀以上にわたって平和条約が締結できなかったという状況に鑑みて、これまでの交渉に関しても、両国の中でさまざま意見、考え方が違ってきて、こういう事態になってきたわけでございます。

 ここで、この共同宣言を基礎にして平和条約を、交渉を加速しよう、そういう首脳の合意が改めて確認できたわけでございますので、政府としては、これまでの考え方を含め、交渉の場以外のところで政府の考え方、方針を申し上げるのは交渉に資さないというふうに考えておりますので、交渉の場以外のところでそうしたことを申し上げるのを差し控えているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。

篠原(豪)委員 済みません。私は、過去、どういう意味で我が国が使ってきたのかということを、民主主義の国家において外務大臣にどういう認識ですかというふうに聞いているんです。

 別にこれからの交渉で、それが今まで、では全ての政府の使い方が間違っていたと言うんですか。だから答えられないと言うんだったら、それを認めてください。外務大臣、お願いします。過去、認められないと。

河野国務大臣 これまで、五六年以来、平和条約が締結できてこなかった。それを今回首脳同士が合意をして、共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速化しようということになったわけでございます。

 これまで両国の間で立場、考え方が違ってきた、そうしたことを、これから交渉を加速化させる中で、対外的に条約の交渉の場以外のところで申し上げるのは交渉に資さないと政府は考えておりますので、条約の場以外のところで、これまでのことも含め政府の考えを申し上げるのは差し控えるというのが交渉方針でございますので、御理解をいただきたいと思います。(発言する者あり)

篠原(豪)委員 では、皆さんは定義を変えていいと言うんですか、今そうだと言った皆さんは。

 外交というのは言葉をちゃんと使って、では大臣、こっちの定義があるわけですよ。それぞれの言葉にはちゃんと意味があって使ってきているんです。だから、翻訳するときだって、一生懸命考えて、お互いこうやってすり合わせて、これでいいのかというようにやっていって、それをもとに歴史というのをどんどんつくっていくわけです。そうしたら文書に何の意味があるんですか、言葉に意味がないということであれば。

 だから、それを全て変えていっていいかという話になると、日本は怖いから聞いているんですよ。何ですか、TAGって。FTAじゃないですか。移民を外国人材と言って、どんどん言葉をすりかえていっている政権だから、怖いから私は聞いているんですよ。

 今までの、主権と帰属と引き渡すと返還という意味を変えるんですか。そのことについてこれから変えて……(発言する者あり)いや、これもすごく重要だと思っているんです。だって、そういった言葉に基づいてこれまでさんざん議論がされているんですよ、国会の中で。その議論された言葉の定義を変えていってやっていって、では何を議論するかという話です。

 それができないと言うんだったら、では何を今までやってきたのかということを認めていただきたいし、それは今までの交渉が全部だめだったからそれでできないと。この五六年の日ソ共同宣言をつくった、つくったけれどもできなかったのは、それぞれの双方の考え方の違いにあると。その双方の考え方の違いがあったからできなかったので、これはこれから裏っ側ですり合わせていくということになったので、ですので、これは今、表の場では言えないということだとすると、過去のこと自体もどういうふうに思っていたかとか言わなくて、この先のことをできるのかという話でありますので。

 だって、裏ではこういう考えで使っていたんですかというのを誰が記録していくんですか。そのときの担当者だけに任せるんですか。森外務審議官と、モルグロフさんと、河野大臣と、ラブロフさんに任せるんですか。そんなことを委任していないんじゃないですか、国民は。

 だから、それをちゃんと聞くからこの審議があるわけで、この審議の必要性というのは、国民の皆さんが疑問に思っていることをさせていただいているわけです。言葉が変わっていってわからなくなっているので、順番も変わっている、わからなくなっていると言われているので聞いていっているんです。

 ではいいです。双方に受入れ可能な解決策。二〇一三年の四月に、安倍首相は、日本の首相として十年ぶりに訪ロしたときのことです。プーチン大統領と会談した際、双方に受入れ可能な解決策の作成で合意したとされています。

 これは、しかし、領土問題はナショナリズムに直結する政治問題です。どうやって双方に受入れ可能な解決策をやっていくのかということがわからない。

 例えば、ロシアの二〇一六年の世論調査では、北方領土の引渡しに国民の八割が反対を表明しています。引き渡せばプーチン氏に対する信頼度が下がると答えた割合も五割を超えている。ロシアでは、北方四島はそもそも、第二次世界大戦の結果、ロシア領となった、正当性に疑いはないとみなしているわけです。二島でも返還反対の声も強い。そのため、ロシアにある四島の占領、占有を不法占拠であると主張する、これは日本はそういうふうに主張してきているじゃないですか。これに対して日本を批判する声が強いんです。

 そして、領土交渉の進展には日本が結果を受け入れることが不可欠だとまでラブロフさんは言っているんです。このラブロフさんと河野外務大臣はこれから、日本が結果を受け入れることが不可欠ということを言っているわけです。この方に対して、どういうふうに双方に受入れ可能な解決策を主張していくつもりですか。

河野国務大臣 交渉の基本方針や考え方を交渉の場以外で申し上げるのは交渉に資さないと考えておりますので、差し控えておりますことを御理解いただきたいと思います。

篠原(豪)委員 では聞き方を変えます。

 ラブロフ外相は、第二次世界大戦の結果、ロシアでは、ロシア領となった正当性に疑いがないと。ロシアによる四島の占領、返還を不法占拠であると主張する日本を批判する声が強いわけで、もう一度言いますよ、日本が結果を受け入れることが不可欠だというふうに主張しているんです。

 では、こういうふうに主張していること自体はお認めになりますか。交渉をしなくても、交渉をする前に。

河野国務大臣 交渉の場以外でロシア側の発言、主張にコメントすることは交渉に資すると政府は考えておりませんので、対外的に申し上げるのを差し控えていることをお許しいただきたいと思います。(発言する者あり)

末松委員長 今、篠原委員に申し上げますけれども、不法占拠についてお聞きになっておられるわけですか。

篠原(豪)委員 ロシアは、第二次世界大戦の結果、北方四島はロシア領になったというふうにしているんです。正当性に疑いがないというふうに主張はしてきているんです。

 なので、日本の、四島占領は不法占拠であると主張していることに対して、彼らの側からすれば批判をしてきている。領土の交渉の進展には日本がこの結果を受け入れることが不可欠だと主張しているんですよ、その当人が。そのことは知っていますか、御存じですかと聞いているんです。

河野国務大臣 先方の発言、主張についてこちら側がコメントをすれば、当然それは先方の新たなコメントを生むことになり、交渉の場以外でそうしたことが行われるのはこの交渉にとって資するものではないというふうに考えておりますので、交渉の場以外で先方の発言にコメントをしたりこちら側の考え方を申し上げるのは差し控えるというのが政府の方針でございますので、御理解をいただきたいと思います。

篠原(豪)委員 わかりました。

 では聞いてまいります。

 ロシアのメディアは、今回、日ロ首脳会談の内容に警戒感をあらわにして、会談当日の国営テレビの討論番組では、歯舞、色丹の二島、群島が日本に引き渡された場合には、米軍が基地を設置する可能性に懸念が示されています。

 日米安保条約では、日本の施政下にある領域で米国の対日防衛義務を定めていまして、米国は日本のどこへでも基地を置くことができると解釈されているので、二〇一六年の十一月に谷内国家安全保障局長がプーチン氏の側近のパトルシェフ安全保障会議書記と会談した際、五六年宣言を履行して二島を引き渡したら米軍基地は置かれるのかとの質問に、その可能性はあると回答した。

 しかし、プーチン大統領もその回答に懸念を示したので、安倍首相はプーチン大統領に対し、一九五六年の日ソ共同宣言に沿って歯舞群島、色丹島が日本に引き渡された後でも、日米安保条約に基づいて米軍基地を島に置くことはないと伝えられていると報じていますけれども、これは本当でしょうか。

河野国務大臣 これから交渉を行うわけでございますので、政府の考え方、方針、過去のことを含め、交渉の場以外で申し上げるのは差し控えるというのが政府の方針であるということを御理解をいただきたいと思います。

篠原(豪)委員 米国とロシアは、ウクライナ危機やシリアの内戦、米大統領選への介入疑惑などで対立する中、現に今回も、トランプさんはプーチン大統領との首脳会談をドタキャンしたばかりであります。我が国の総理は、プーチンさんに長門で大分待ちぼうけさせられて、理由もよくわからずに、何ということだというふうに国民は感じたと思いますけれども、トランプ大統領は相手にぴしゃりとやる人ですよ。

 そして、その米国がロシアの意向に沿った協力をすることが果たしてあり得るのかということになりますので、ここは難しいというふうに私は思いますけれども、これは答えられないと思いますので。

 では、仮にそういうことをやるとしたら、これは地位協定の解釈を変更するということも考えていくのかどうか、伺います。

河野国務大臣 交渉に資さないという理由で、こうしたことを対外的に申し上げるのを差し控えているというのが政府の方針であることを御理解いただきたいと思います。(発言する者あり)

末松委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

末松委員長 速記を起こしてください。

 篠原君。

篠原(豪)委員 今、お答えにはなりませんでしたけれども、日本が一定地域に基地を置かないようにしてくれということを要求するということは、これは、尖閣諸島で安保条約の適用を求めてきたことと、もし仮にやったら矛盾することとなるんですけれども、どう思われるか、教えていただければと思います。

河野国務大臣 これから交渉をするわけでございますので、政府の考え方、方針を対外的に申し上げるのは差し控えるというのが政府の方針であることを御理解いただきたいと思います。

篠原(豪)委員 尖閣諸島に安保条約の適用を求めてきているんですよね。それだけ教えてください。

河野国務大臣 そのとおりでございます。

篠原(豪)委員 ですので、それは日本の領土だからなんです。

 基地の設置に日本の同意が必要とされると外務省は解釈しているようですけれども、ちなみに、日本は、基地の設置についてアメリカが言ってきたときに拒否権というのは持っているんでしょうか。これを教えてください。

河野国務大臣 基地施設の提供は、日米の合意のもとで行われると承知しております。

篠原(豪)委員 つまり、日本がノーと言えばできない、そういうことでよろしいでしょうか。

河野国務大臣 日米の合意のもとで提供されるものと承知しております。

篠原(豪)委員 次に、領土問題の解決は、これは安倍政権に対しても言えることだと思うんですけれども、政権基盤がよほどしっかりしていないとできないと思います。

 プーチン大統領の支持には陰りが見えているのは、大臣、お感じになっていらっしゃるかと思うんですけれども、これまで八割を誇った支持率は、ことしの六月に年金受給年齢の引上げをしたことで急落をして、十月には六六%、これは二〇一四年のクリミアの併合前の水準まで落ちています。

 ロシアは、汚職が横行する一方で、欧米の制裁による景気低迷や、これまでプーチン氏の支持基盤であったはずの年金受給者、今言ったとおりです、低賃金労働者、地方出身者の若者などが選挙で政府に抗議の意思を表明するようになってきているというふうに感じていらっしゃるかと思います。

 与党候補の当選を危うくするような対立候補者が最初から立候補することさえなかなかできないと言われているような中で、複数の州で九月に実施した知事選で、プーチン氏が推す与党統一ロシアの候補が相次いで敗北をしたということになっています。選挙後には、地方の市民の不満を抑えるために、焦りを強めた政権がすげかえに動き、少なくとも十人の州知事や市長が辞任したというふうにされています。

 こういった情勢の中で、プーチン大統領との領土交渉に本当に成果が期待できるのかということを政府がどういうふうに思っているのか伺いたいんですけれども、現状のロシアの多くの首長が、今までではなかなかなかった与党統一ロシアの候補が相次いで敗北をしたということについてはどういうふうに思っていらっしゃるか教えてください。

 これは交渉に関係ないので、教えていただければと思います。

河野国務大臣 交渉の相手についての評価を対外的に申し上げるのは差し控えたいと思います。

篠原(豪)委員 この話をなぜ伺ったかといいますと、プーチン政権についての最近の評価、これはすごく日本がしっかり考えておいていただいて交渉に臨んでいただかないと、焦って勝手にいろいろなことを皆さんが言葉の定義もよくわからなくしてやられるのが不安なので聞いているんですけれども。

 二〇一八年九月のウラジオストクにおける東方経済フォーラム、これは、プーチン大統領が突然安倍総理に、前提条件なしで平和条約を年内に締結することを提案したときのことであります。突然そういうことがあったので日本でも大きなニュースになりました。

 そのとき、実はこの地元の沿海州では、ロシア政府が擁立した現職知事が決選投票に追い込まれていたんです。その東方経済フォーラムの会議で、プーチン大統領は、みずからその候補者を推薦をし、知事に、決選投票に持ち込まれたのは知っているが、全て大丈夫だろうと語った。この発言に刺激をされて、最初の選挙よりも大幅に多い有権者が投票所に足を運んだため、三十七歳の共産党候補のアンドレイ・イシチェンコ氏が当選することになったんです。

 つまり、領土問題を棚上げをし、平和条約を締結しようと言ったのは、これは、主権放棄をもはや言える状況ではないということを私は証明しているんじゃないかというふうに思っています。

 ですので、ウラジオストクで前提条件なく平和条約を年内に締結することを提案したのは、私は、プーチン政権の弱さのあらわれではないかというふうに思っていますが、この辺のことはどういうふうに御認識されているでしょうか。

河野国務大臣 先ほども申し上げましたが、これから交渉を始めるわけでございますので、交渉相手についての評価を対外的な場で申し上げるのは差し控えたいと思います。

篠原(豪)委員 それともう一つ、共同経済活動についても、先ほどの佐藤委員からも進捗状況についてのお話をいただきました。

 聞くところによれば、そもそもロシアにとっては、現在実効支配をする北方領土を日本に引き渡す動機はないわけで、まして、四島全てを返還することは選択肢にない。安倍首相が領土交渉で新しいアプローチを唱えて共同経済活動を提案したのは、これはまさに、経済協力を先行させることで領土交渉を前進させようとしたものというふうに理解しているわけです。ですので、この共同経済活動は領土交渉を前進させるためのものである。

 しかし、その日本の対ロシア経済協力は、向こうから見れば、韓国よりずっとおくれをとっていて、ロシア側には不満があるとも言われています。

 進捗状況、早い遅いの話は先ほどありましたので、答えもあったので私は聞きませんけれども、日ロ双方の法的な立場を害さないような法的枠組みをどういうふうにこうやって決めていくのかということも含めて、ではこの共同経済活動に関しての日ロの双方の立場を害さないような法的枠組みについては、これは領土交渉と関係ない、前進する、関係ないのであれば、ここの部分だけ教えていただければと思います。

河野国務大臣 北方四島における共同経済活動の実現に向けて、これまでに現地調査団が二回、ビジネスミッションが一回、北方領土を訪問をいたしました。

 調査結果を踏まえ、十月末に行われた日ロ次官級協議では、このプロジェクトを実現するための法的課題についても時間を割いて議論を行ったところでございます。

篠原(豪)委員 何でお伺いしているかというと、共同経済活動は、北方領土で日本がロシアの法律に従って経済活動すれば、四島をロシア領と認めることになります。

 ですので、そうならないように法的な枠組みを構築しなければいけないけれども、今お話しをされましたけれども、特別な制度をつくっていこうというふうなことになって、そして、ロシアの国内法に基づかない、日ロ双方の法的な立場を害さない特別な制度というのはどこまで現実化をしているのかということがなければ、これは、勝手に決めた後に、ではどうするんですかという話になりますので、すごい大事なことなので伺った次第でございます。

 ちなみに大臣は、質問通告してないですけれども、主権を二カ国以上が主張をして、あるいは地域です、そこで何かうまくいっているところというのは、経済活動だけに限っても世界じゅうで何か想像できるところというのはございますか。例えば中東の方とかです。

河野国務大臣 済みません、ちょっと質問の意図がよくわからなかったんですけれども。(篠原(豪)委員「二つの主権、例えばパレスチナみたいなところです」と呼ぶ)二つの国が……

篠原(豪)委員 済みません。

 例えばパレスチナあたりを見てみますと、イスラエルといろいろとうまくいかないで、一つの領域の中で主権を両方とも主張してやっているようなところがあって、そこで経済活動をやろうとかなんとかいっても、なかなかうまくいかないと思いますけれども、世界的に見て、この北方領土の地域だけうまくいくというふうにお思いでしょうか。

河野国務大臣 北方領土の共同経済活動については、双方の法的立場を害さない形で枠組みをつくってプロジェクトを進めようということで、これまでも、調査団あるいはビジネスミッションを派遣し、この法的枠組みの協議を続けてきたところでございますので、これはこれでしっかりと議論を続けていきたいというふうに思っております。

篠原(豪)委員 最初はみんなうまくやろうとするんですけれども、主権を、お互い国家がここはうちのところだというふうに主張していますと、結局これはうまくいかないで更に悪くなっていくというようなことが、歴史が、今のところ、それがうまくいったというところは近現代においては私は多分なかろうというふうに思っていて、それに対する新しい挑戦でありますので、そこのところが本当にうまくいけばいいなと思っていますが、最終的にそれが、やってしまって何か我が国の国益を著しく損することになってはいけないというふうに思っていますので、くれぐれもそこのところはよろしくお願いをしたいと思っています。

 日本にとって最終的な決着というのは何かというところなんですけれども、もう一度申し上げますが、ロシアにとっては四島は論外で、現状では二島だって、歯舞は返し、色丹はロシアの主権を維持して日本の利用を認めるというような形の決着を狙っていると仄聞します。そういうことであれば、これは仮説ですけれども、日本は現実的に何をもって解決と考えているのかというところが見えません。

 ですので、そうした、この決着というのは何なのか。そして、そこに世論の支持がちゃんとついてくるのかということについて、最後、どう思っているかについて、この問題を教えていただければと思います。

河野国務大臣 領土問題を解決して平和条約を締結するというのが基本方針でございますので、しっかりとそれに向けて粘り強く交渉してまいりたいと思っております。

篠原(豪)委員 もうすぐ時間ですので、きょうはほとんどお答えいただかなかったので、ちょっと沖縄についても、副大臣にいらしていただいていますので、一問だけお伺いをします。

 沖縄の基地問題は、軍事的には、海兵隊の前進配備必要論をどのように考えるということに尽きるんだと思っています。その下要素として、通例では、東アジア緊急対応、湾岸への緊急展開、そういった必要性が言われていますが、それは必ずしも沖縄駐留を帰結するとは言いがたい。

 しかしながら、決定的と考えられるのは、米国防費が抑制される中で、米戦略が求める前進配備兵力を維持するには、財政負担を軽減できる日本への駐留が不可欠となっているという事実だと思っています。

 日本のホスト・ネーション・サポートは年間約六千億円であり、それは米軍駐留経費の七〇%以上をカバーしています。米国内に置くよりも日本に軍隊を駐留させる方が安上がりになる、これは九五年六月のロード国務次官補の米下院での証言ですけれども、そういった状況を生み出しているのであるというふうに思います。

 また、米海兵隊が沖縄に確保している基地のインフラストラクチャーも、沖縄駐留の重要な利点となっています。一九九六年、沖縄海兵隊の施設代替価格は七十五億ドル、日本本土の海兵隊支出は二十億ドル以上と査定されています。

 したがって、毎年のホスト・ネーション・サポートに加えて合計一兆円以上の基地資産と同様な条件が確保されるならば、米海兵隊の前進配備は沖縄に限られないということになると思います。

 私は、沖縄県との対話というのは、こういったところからもしっかり始める必要があると思っているんですが、このことについてどういうふうに考えていらっしゃるか、御質問させていただきます。

原田副大臣 お答えをいたします。

 沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いているという利点を有しております。また、南西諸島のほぼ中央にあることや、我が国のシーレーンに近いなど、安全保障上極めて重要な位置にございます。

 そして、こうした地理上の特徴を有する沖縄に幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留することは、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素であると思います。

 我が国の平和と安定を確保する上で必要なものと考えておりまして、このような在沖海兵隊の抑止力は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、その重要性が減じることはないと考えております。

 他方、在日米軍の施設・区域が沖縄に集中していることも事実でございます。沖縄は、戦後長らく我が国の施政権の外に置かれ、戦後七十年以上を経た今もなお大きな負担を負っていただいておりまして、この現状は到底是認するものではございません。

 政府としては、この負担軽減のためにできることは全て行うとの方針のもと、一つ一つ確実に結果を出すことによって沖縄の負担軽減に全力を尽くしてまいります。

 その上で、普天間飛行場の辺野古への移設について、米軍の抑止力を維持しながら、同時に、危険性を一刻も早く除去するための唯一の解決策であると考えておりまして、こうした政府の考え方や、沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという政府の取組について丁寧に説明をし、沖縄の皆様から御理解、御協力が得られるよう粘り強く取り組んでいきたいと考えております。

篠原(豪)委員 当委員会は、沖縄と北方領土について話をする特別委員会です。臨時国会として初めて開会できましたが、これはしっかりと議論をこれからも続けていかなきゃいけないというふうに思います。

 特に、これまでの四島一括返還という公式の態度から、二島先行とか、それも諦めて残り二島断念とシフトダウンしていくというのであれば、それはそれでしっかりと国民の皆さんにそれでいいのかどうかを聞かなければいけないし、沖縄の問題も、辺野古の問題も含めて、先ほど私、早期の移転と言いましたが、明らかに民主主義を無視して、民意を無視して今政府はやっているというふうになります。

 そういったこともしっかりと考えながら国会もやっていかなければいけないと思いますので、その点もまた引き続き我が党としても追及していくことをお約束をし、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

末松委員長 次に、石川香織君。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織でございます。私からも質問をさせていただきます。

 先ほど来、篠原委員からるる質問がありましたけれども、なかなかお答えにならないということで非常に残念に思っておりますけれども、私も北海道選出の議員でありますので聞かないわけにはいきませんので、ぜひ初めに、先日行われましたプーチン大統領との会談について少しお伺いをしたいと思います。

 一日午後、日本時間で二日未明に、安倍総理とプーチン大統領がブエノスアイレスで会談をしたということでありました。平和条約に向けて新しい枠組みをつくったということで、先ほど、あべ副大臣からの御報告もありました。

 その前に、十一月十四日、シンガポールでの会談でのいろいろな新しい方針というものについても各報道機関が大きく報道しておりましたけれども、まず、これらの会談について河野大臣はどのように評価をしているのか、お伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 日ロの首脳が十一月のシンガポールで、一九五六年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させるということで合意をすることができました。

 日ロの首脳の間でこうした合意がなされたということは非常に意義のあることだと思っております。

石川(香)委員 日ソ共同宣言を基礎として平和条約を加速するということで合意したということで、お話しいただきました。これらの内容は、これまで、従来日本がとってきた四島一括返還というものの方針と異なるというのは、先ほどの篠原委員の質問でもありました。

 ただ、一方で、長年動かなかった北方領土問題が今度こそ動くかもしれないという非常に期待感も、北海道のみならず全国の中で起こっているというのも感じていらっしゃるのではないかと思います。

 この返還ですとか主権という意味合いについて、私もぜひお伺いをしたいと思っていたんですけれども、お伺いをさせていただきたいと思います。

 今、歯舞には人は現在住んでおりません。国後、択捉、色丹に住んでいるという状況の中で、返還というのはどういうことを示すのかというのは非常に大事なことになってくると思います。ただ行き来がこれまでよりも簡単にできるようになるだけなのか、それとも主権はロシアなのか、住んでいる人たちはどうするのか、いろいろなシミュレーションをしていくというのが非常に大事ではないかと思っています。

 現に、シンガポールでの会談の後に記者会見でプーチン大統領は、二島が誰の主権下に残るかも述べられていないというふうに述べているというふうに報道でも見ました。

 まず、主権ですとか政府が使っていたこれまでの返還という意味についてぜひお伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 これからの交渉でございますので、これまでのことを含め、政府の考え方を交渉の場以外で申し上げるのは差し控えるというのが政府の方針でございますので、御理解をいただきたいと思います。

石川(香)委員 そのようなお答えが返ってきてしまいましたけれども、沖縄北方委員会であります、この時期に開催をされているということもありまして、この北方領土問題がどうなるか、みんな非常に関心を持って見ているという状況の中で、過去のこともお答えにならないというのはやはり残念に思いますし、その姿勢は余り誠実ではないのかなというふうに感じています。

 この北方領土でありますけれども、返還、主権といろいろな質問をしてきて、お答えにはなりませんでしたが、もしかしたら歯舞は例えば即時返還で、色丹は何年後、それから何十年後というのもシミュレーションの中にもあるかもしれません。

 今、プーチン大統領の支持率も下がっているという状況の中で、これだけ交渉が難航していたこの北方領土問題が今動くということがもしあれば、その裏にはロシア側の相当なメリットがないと動かないのではないかというのは、これまでの状況を見ても感じるところでありますけれども、ただ、北方領土問題に動きが出たというのは事実でありますし、返還についての機運がこれまで以上に高まっているというのも事実であるということであります。

 島民の方々にとっては、交渉が前進したというふうに感じる人もいれば、日本も態度をはっきり示してほしいという意見も多くありまして、戦後七十年以上残されてきた課題である北方領土問題解決に向けてしっかり交渉していただきたいと思いますし、ぜひ質問にしっかり答えていただきたいと思います。

 こういう問答をしていても、ほかに質問したいこともたくさんありましたので、一度、ほかの質問に移りたいと思います。

 共同経済活動についてお伺いをしたいと思っております。

 根室でウニの種苗施設を建設するということで最終調整に入ったという報道がございました。この共同経済活動を主な活動とする事業拠点が新設されれば今回が初めてということになるかと思いますけれども、いつからスタートをするのか。それから、進捗状況でありましたり概要を御説明いただきたいと思います。

    〔委員長退席、篠原(豪)委員長代理着席〕

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 北方四島における共同経済活動につきましては、九月の日ロ首脳会談で両首脳が承認したロードマップに基づきまして、十月の初めに北方四島にビジネスミッションを派遣しまして、その結果も踏まえまして、十月末に局長級作業部会と次官級協議を実施したところでございます。

 その後、十一月十四日のシンガポールでの日ロ首脳会談におきまして両首脳は、このビジネスミッションの実施を歓迎し、作業の進捗を確認した上で、双方の法的立場を害さない形でプロジェクトを早期に実施するべく、更に作業を進めるということで一致をいたしました。

 さらに、今般、十二月一日の日ロ首脳会談におきましても、安倍総理から、北方四島における共同経済活動の実現に向けた取組について、引き続き協力を進めていくことを働きかけたところでございます。

 今後の共同経済活動の実現に向けた取組や、根室など北方領土隣接地域で実施されます国内施策の進捗につきまして、予断することは差し控えさせていただきますが、引き続き、根室地域など地元とも連携しつつ、取り組んでまいります。

    〔篠原(豪)委員長代理退席、委員長着席〕

石川(香)委員 ありがとうございます。

 双方の法的立場を害さないというのが非常に大きなポイントになると思いますし、非常に難しい点であると思います。

 ウニの種苗施設でありますけれども、事業費はおよそ十億五千万円を見込んでいるという報道がありましたが、国が三分の二、北海道が残りを補助するという見通しだということでありました。

 ただ、この双方の法的立場を害さないという点でいいますと、センターの建設後も、日ロ共同の養殖場の実現には、放流の方法であったり漁獲ルールの調整などが非常に重要になってくると思いますので、こういった特別な制度を構築する必要が非常に大事だということで、ぜひしっかりとした道筋をつくって、この共同経済活動が進んでいくということを進めていただきたいと思います。

 そして、北方基金についてもお伺いをしたいと思います。

 北方基金は、国が八十億、北海道が二十億出資をしております。この事業費確保のために取崩しを可能とするという改正北方領土促進特別措置法が成立したのはことしの七月のことでありましたけれども、この北方基金、どれぐらい取崩しをしたのかということをお伺いしたいと思います。

 また、基金を活用した事業の、どういったものを想定しているか、そういったものもお伺いしたいと思います。

松林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、さきの通常国会でいわゆる北特法の改正法が全会一致で成立をいたしまして、元島民の方々や隣接地域の自治体に対して今後より一層の支援が可能となりましたが、この改正法につきましては、平成三十一年の四月一日施行予定でございますので、現時点ではまだ取崩しは行われておりません。

 また、基金の対象事業につきましては、基金の設置されている北海道において決定されるものではございますが、改正法案の検討過程におきましては、水産資源の増大対策、交流人口拡大に向けた施設整備、地域医療体制の充実、元島民の方々への援護事業の拡充等に活用するとの説明を受けております。

 内閣府といたしましても、今後、執行計画の事前協議プロセスにおきまして、北海道の自主性に配慮しつつ、事業の必要性、緊急性、効果、効率性等について精査をいたしまして、有効に活用されるようしっかりと取り組んでまいります。

石川(香)委員 この北特法では、共同活動の円滑な実施に向けて、根室管内一市四町の環境整備に努めるという条文を盛り込みました。まず、地域の活性化のために、引き続きしっかり活用していただきたいと思います。

 それから、次は、非常に平均年齢も高くなっているという元島民の方々のことについてお伺いをしたいと思います。

 北方四島ビザなし渡航では、年々、参加する元島民の減少が非常に顕著になっています。今、平均年齢八十三歳ということでありました。元島民の方々の数は、ことし三月時点で六千四十一人ということでありましたけれども、これは二〇〇八年に比べて二割以上減った計算になります。

 チャーター船による移動でしたり、それから、先ほど佐藤委員の質問にもありましたが、上陸後も非常に険しい道を歩いて墓地まで行かなきゃいけないという行程を考えると、体力的に難しいということで、参加を諦める元島民も多くなっているという状況のようであります。

 元島民たちの年齢が高齢化していき、それから今後も減少していくという中で、この墓参でありますけれども、基本的に、元島民の方の記憶に頼って墓参をする、居住地の跡まで行き方を記憶をたどって行くということでありまして、まずこれをしっかり次世代に引き継いでいかなきゃいけないということでありました。

 居住地を散策できる自由訪問の対象者は元島民と配偶者、二世に限られるということで、もう少しその幅を広げてほしいということもありましたけれども、これは既に国へも要望が来ていると思いますが、私からもぜひ、この事業継続のためにも、親族が幅広く参加できるような取組、制度を創設してほしいということを強く要望したいと思っています。

 時間が経過していく中で、一方で、新しい世代につないでいくということで非常に大切になっているということがあると思います。

 宮腰大臣の所信にもありました、修学旅行の誘致の強化でありましたり、SNSなどを活用した情報発信の充実というものがございました。

 北方四島のビザなし渡航、これで使用するチャーター船「えとぴりか」にインターネットの接続を可能とするWiFiの整備を検討しているということでありました。WiFiの設置は、元島民の二世、三世を中心に、参加者から実現してほしいという声が非常に上がっているということでありました。

 これは、ロシア人の島民の方々との交流でありましたり、島ですとか船の様子を船内からSNSを通じて発信していくということが今後の領土問題の啓発につながるということで、非常に次世代の方々からの要望が強いということでありますけれども、「えとぴりか」にWiFiを設置するということについての進捗状況など、お伺いしたいと思います。

宮腰国務大臣 北方領土問題に関する国民世論を盛り上げるには、広く国民の関心と理解を得るための情報発信が重要であり、とりわけ若い世代に対しては、SNS等によりビザなし交流の様子等を発信することが効果的であると考えております。

 また、元島民二世、三世等の後継者の方々を始めとする地元関係者からも、「えとぴりか」船内からの情報発信を可能とするよう、無線WiFiの設置について要望をいただいているところであります。

 これらを踏まえまして、内閣府におきましては、来年度予算概算要求におきまして、衛星回線を活用した船内におけるWiFiシステム環境整備のための予算を要求したところでありまして、引き続き、本件を始め、北方領土問題に関する情報発信を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。

石川(香)委員 来年度の概算要求の中で、WiFi環境を整備する予算を求められているということでありました。非常に大事なことだと思います。

 今、この四島の本年度の自由訪問、既に終了しておりますけれども、自由訪問では、一回当たり平均十五・六人、十年前の六割に減っているという中で、若い人たちもぜひその声をつないでいきたいというこの声をしっかりつなげていかなくてはならない。そういった意味で、ぜひこのWiFiのこともしっかり頭に入れて、引き続き進めていただきたいと思っています。

 きょうは、せっかく臨時国会の中でこの沖縄北方委員会を立てていただきまして、いろいろと質問をしてまいりましたけれども、まず、やはり北方領土の問題は、みんなどうなるのか見詰めている中で、もう少し国民の皆さんに誠実に答えていただくような姿勢が大切ではないかなということを非常に感じています。

 この交渉の過程が徐々に明らかになる中でクリアしていかなくてはならない問題の一つに、北方領土を日米安保条約の適用除外地域にするかどうかという点があるかと思います。

 ロシアは、日ロ平和条約を結ぶと同時に、北方領土にアメリカや日本の軍事基地を置かないという条約を日ロ間で結ぶということを求めているというふうに思います。

 この北方領土問題、戦後七十年間停滞してきた中で、今動き出すかもしれないという中で、安倍総理がまずトランプ大統領に理解を求めて、北方領土にアメリカや日本の軍事基地を置かないということに関して合意する必要があるかと思いますけれども、これができるかどうかが鍵になると思います。

 さらに、トランプ大統領、安倍総理の合意があれば一気に動くのではないかというふうにも考えられると思います。

 来年の六月には大阪でG20のサミットが開かれるということでありまして、このときに北方領土について安倍総理とプーチン大統領の共同記者会見で合意を発表という段取りも最短で考えられるのではないかと思っています。非常に重要な局面でありますので、ぜひその進捗状況も随時説明をしていただきながら、引き続き進めていただきたいと思っております。

 それと同時に、元島民の皆様方の問題も非常に年齢の問題もあります。大きな問題になっています。

 一日の土曜日に、北方領土問題の早期解決を訴える北方領土返還要求中央アピール行動というものが都内で行われました。これまではシュプレヒコールで島を返せなどと訴えていましたけれども、今回、今、北方領土問題が非常に動いているということで、ロシア側を刺激したくないということもありまして、平和条約を締結し、日ロの新時代を築こうというふうなやわらかい表現になったということでありました。

 今、この流れを最大のチャンスと捉えて、ロシアを刺激したくない、こういう思いも、元島民の皆さんも非常に感じながらいつもの中央行動をされていたというところにも、非常にその思いが出ていると思います。

 これまでもぎりぎりの交渉をしていただいていると思いますけれども、引き続きしっかりと粘り強く交渉をしていただいて、ぜひこの北方領土問題、終止符を打つことができるように、私も期待をしておりますので、これからもよろしくお願いしたいと思いますし、それまでの進捗状況も、ぜひ審議も、議論も必要だと思っておりますので、引き続き議論をさせていただきたいと思っております。

 では、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

末松委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 北方領土問題についてお話を伺いたいと思います。

 まず河野大臣、一九五六年の日ソ共同宣言というのは、有効であり、日本国政府として尊重する立場ですか。

河野国務大臣 一九五六年の共同宣言は、国会でも御承認をいただいたものというふうに考えております。これを基礎に、平和条約の交渉の加速化を行ってまいりたいと思います。

前原委員 一九九一年の日ソ共同声明というのは、有効であり、日本は尊重する立場ですか。

河野国務大臣 これから平和条約の交渉を加速化しようということでございますので、これまでのことを含め、政府の考え方、方針を対外的に申し上げないというのが政府の方針でございますので、御理解をいただきたいと思います。

前原委員 千島列島の中に北方四島は含まれますか。

河野国務大臣 申し上げましたように、これまでのことも含め、政府の考え方あるいは方針を対外的な場で申し上げないというのが政府の基本方針でございますので、御理解をいただきたいと思います。

前原委員 北方四島は日本の固有の領土ですか。

河野国務大臣 政府の法的立場に変わりはございません。

前原委員 一つまず申し上げたいのは、私は、いろんなこれから領土問題の交渉があっていいと思います。しかし、その上で、一九五六年からずっと議論をしてきて解決できなかった問題についていよいよ交渉になっているから、今までのことも含めて、交渉の過程にあるから何も申し上げませんということについては、私は真摯さに欠けていると思います。

 なぜなら、先ほど一九九一年の日ソ共同声明のことを申し上げましたけれども、ある意味、河野外務大臣がよくわかっておられるのは、私のひっかけ質問にはひっかからなかったわけですよ。

 日ソ共同宣言のときは、これは、その当時の自民党の党議決定も含めて、二島先行返還、二島継続協議なんですよ。しかし、一九九一年の日ソ共同声明から四島の帰属に変わっているんです。そこが一つの大きな変わり目になっているんです。つまりは、二島先行返還、二島継続協議であった前提での日ソ共同宣言、一九五六年から、一九九一年以降は、四島の帰属を確定して領土問題を解決する、こういう形になっているんです。

 したがいまして、この日ソ共同声明については、今後の交渉の過程の中でそういうものを含めて交渉するんだということをおっしゃったということは、ある意味わかっておられることなんですが、一つ申し上げたいのは、先人の並々ならぬ努力があったんです、この問題については。そして、まさに時期を捉えて、そして先人たちが、相手の大統領、あるいは旧ソ連時代は総書記と相まみえて、秘密交渉も含めてこういう問題を積み重ねてきたというのが日ソ、日ロの歴史の積み重ねなんです。

 したがって、それについて全て今交渉するから、全部何もかも放り投げて、そして、交渉過程だから申し上げませんということは、これは余りにも真摯さに欠ける。

 私、ずっと先ほどの答弁を聞いていると、前の国税庁長官と同じですよ。予算委員会で証人喚問に呼ばれて、刑事訴追の可能性がありますので答弁は差し控えます、全く同じに聞こえます。

 なぜ今までの政府の立場を堂々と述べないんですか。今までの政府の立場はこうでした、しかし、これから自分も責任者として交渉に入りますと言えばいいじゃないですか。うやむやにするからいかぬのですよ。我々はそれを申し上げている。

 これは総理もずるいんですよ。総理もずるい。総理はこう言っているんです、十一月二十六日の衆議院の予算委員会で。「政府のこれまでの姿勢は一貫しており」、「領土問題を解決して平和条約を締結する、この方針に一切変わりはない」。姿勢は一貫している、一切変わりないと言って、文言が変わっているんですよ。

 それは何か。「四島の帰属の問題を解決し」というのが必ず入ってきた、今まで。それが入っていない。それが入っていなくて、政府のこれまでの姿勢は一貫している、方針に一切変わりはないと、外務大臣、言えますか。

河野国務大臣 政府の姿勢は一貫しており、領土問題を解決して平和条約を締結する、この方針に変わりはございません。

前原委員 四島の帰属問題を解決しということを除いても、領土問題を解決するということについて変わりない、こういう御飯論法です。御飯は食べていないけれども、パンは食べた。領土問題を解決すると言って、四島の帰属ということを明確に言わない。でも、領土問題を解決するという方針は変わっていないよね。

 私は、国民に対して、国民の代表が集まっている国権の最高機関である国会の議論にしては極めて不誠実だということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 先ほど、四島は日本の固有の領土であるということについては法的には変わりないとおっしゃいましたね。つまりは、四島のそのいわゆる法的根拠には変わりないということは、四島は日本の固有の領土ということでよろしいんですね。

河野国務大臣 政府の法的立場に変わりはございません。

前原委員 これは大事な答弁なんですよ。政府の法的立場に変わりはないということは大事なことなんです。

 それで、この法的立場は変わりはないけれども、いろいろな交渉の中でこれからさまざまなことがあるので明確なことは言えないということをおっしゃいました。では、違う形でこれから質問をさせていただきたいと思います。

 まず、その前提で、これは私は河野大臣にある意味プレゼントのような質問をしたいというふうに思うんです。

 一九四五年の二月十一日にヤルタ協定というのが結ばれているんです。これは、ソ連のスターリン、それからアメリカのルーズベルト、イギリスのチャーチル、この三者が集まってヤルタ協定というのを結んでいました。これは、日本は当事者ではありませんのでこの協定には拘束されないという立場でありますが、このヤルタ協定の中に、千島列島がソ連に引き渡されることと書かれているんです。千島列島がソ連に引き渡されることと書かれている。

 それで、日ソ共同宣言の中に何が書かれているかというと、「歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡す」と書かれているんです。

 私、ロシア語は全然わかりませんので、スパシーバぐらいしかわからないのでロシア語を読むことはできないんですが、もしあれだったら事務方でも結構ですけれども、質問通告しておりますので外務大臣に答弁をいただきたいんですが、ヤルタ協定に書かれている引き渡すというロシア語と、そして、日ソ共同宣言に書かれている引き渡すというロシア語は同じですか、違いますか。

河野国務大臣 御指摘の、ヤルタ協定の中で使われている引渡しというロシア語と日ソ共同宣言の中の引渡しというロシア語の単語は、両方、ペレダーチャという同じ単語が使用されていると承知しております。

前原委員 同じ単語が使用されているんです。

 それで、プーチンは何と言っているか。プーチン大統領は何と言っているかというと、この日ソ共同宣言について、歯舞諸島及び色丹島を日本に引き渡すと言っているが、それについてどのような基準が設けられて、どちらの主権になるかは記されていない、こう言っているわけです。

 つまり、引き渡すということは書いてあるけれども、基準も設けられていないし、どちらの主権になるかも記されていない、こういうふうに彼は言っているわけですが、ヤルタ協定も、日本語訳を読むと、千島列島がソビエト連邦に引き渡されることしか書いていないんです。しかし、それをもって彼らは、自分の国に言ってみれば主権があるということを認めさせて、そして、言ってみれば実効支配を今もしている、こういうことなんです。

 ということは、プーチン大統領の日本に対するこういった発言というものは、ヤルタ協定からすると同じ言葉を使っているので、引き渡すというのは主権も含めて引き渡すということじゃないですかということを堂々と言えばいいんじゃないですか。

河野国務大臣 これから交渉を加速化させようということでございますので、交渉相手のコメント、発言、特に、交渉の場以外でのコメント、発言についてこちらから何か申し上げるのは差し控えたいと思います。

 やはり、交渉は交渉の場でこれはしっかりとやっていきたいと思っておりますが、交渉の場以外でのコメントが、これは当然相手にも伝わります。相手にも伝われば相手方のリアクションを生むことにもなり、それが更にさまざま影響を広げていくということになるわけでございます。

 特に、これまで数十年にわたり、違う立場の中で交渉、話合いをやってきたわけでございますので、さまざまなお考えの方が、両サイドあるいは第三者、いらっしゃるわけで、そうした影響を防ぐためにも、政府としては、極力、交渉の場で相手に対して我が方の主張を申し上げる、交渉の場で相手から聞いたことについてお答えをするというのを交渉の基本方針にしております。

 前原外務大臣のときにこの日ロの問題でさまざま御決断があったということも承知をしておりますが、そうしたさまざまな先人の積み重ねの上に今日があり、その上で両首脳が交渉を加速化させようということを合意するに至ったわけでございますので、しっかりと平和条約が締結できるように、そこは粘り強く交渉してまいりたいと思います。

前原委員 私が外務大臣のときに、毎月のようにラブロフ外相とは会ったり、あるいは電話会談をいたしました。彼が一回、えらいけんまくで電話会談で怒ってきたことがあって、それは、日本の新聞報道を見て、これは事実なのかということを確認をしてきたわけです。

 私が申し上げたのは、まあマスコミの人には申しわけないけれども、あることないこと書かれていますよと。したがって、もし何か懸念事項があれば、マスコミを通じて議論するんじゃなくて、交渉当人同士で議論しましょうということを私もラブロフ外相に申し上げました。そういう意味では、今河野外務大臣がおっしゃったことはよくわかります。

 今私が申し上げたことについてはこれ以上申し上げませんが、ヤルタ協定の引渡しという文言と、そして日ソ共同宣言の引き渡すという文言は同じだということを踏まえてぜひ交渉していただきたい、このように思います。

 それから、平和条約、平和条約って何か言うんですけれども、平和条約って一体どんなものになるんだろう、こういう疑問が恐らく多くの国民の皆さん方にあると思うんです。平和条約ってどんな形になるんだろう。どんな形になるんですか。

河野国務大臣 一般的に平和条約と言われているときにその要素として主なものは、戦争状態が終結したということ、さらに、それに伴う領土問題の解決、そして戦争賠償などにかかわる問題の解決、こうしたものが要素として含まれるものと理解しております。

前原委員 おっしゃったように一般的な平和条約というのは、戦争状態の終結、それから賠償請求権問題の処理、それから国境線の画定、今外務大臣がおっしゃったとおりです。

 他方で、この戦争状態の終結、賠償請求権の問題の処理というのは、日ソ共同宣言で終わっているんじゃないですか。

河野国務大臣 これから平和条約の締結交渉を行うわけでございますので、その交渉の中身、考え方について、外で申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。

前原委員 繰り返す必要はないかもしれませんが、共同宣言の中には、戦争状態の終結と、そして賠償請求権問題については書かれているんです。日ソ共同宣言についてはもう書かれていますので、要はこれから何がポイントになってくるかというと、今外務大臣がおっしゃったように、国境線の画定ということになります。もちろんそれは北方領土という国境線だけれども、お互いの国土の承認をし合うということになります。

 さて、尖閣は我々の領土だということをソ連に了承させますか。

河野国務大臣 尖閣諸島が我が国の領土であることは何ら疑いがないことでございますので、これはロシアが承認するとかしないとか、そういう問題ではございません。これは日本の領土であることに間違いございません。

前原委員 今、若干最後がひっかかるんですけれども、日本の立場はそうです。日本の立場はそうですが、彼らが日本の考え方と一緒だよと言うことが、平和条約、国境線の画定においては必要なんじゃないですか。

 つまりは、彼らがどう言うのではなくて、日本の立場を彼らに理解させるということが必要なんじゃないですか。

河野国務大臣 おっしゃっている意味がよくわからないんですけれども、特にそうしたことを云々ということでは多分ないんだろうと思っております。

前原委員 多分わかっておられると思うんです。

 中国との問題がありますね。中国、ロシア、これは表面的には非常にうまくいっているということでありますが、それは、お互い国同士です。しかも、数千キロメートルの国境を接している大国同士の中でいろいろな思いがある。

 中国は注視していますよ、この平和条約が、国境線の画定、尖閣についてロシアはどう言うか。

 戦略的にも、尖閣も含めて日本の領土、主権というものを認めさせるということの方が、これは、国家戦略としても日本の立場としても極めて重要なことじゃないですか。

河野国務大臣 この日ロの平和条約交渉は、戦略的にもさまざまな重要な要素を含んでいるわけでございます。

前原委員 ちゃんと答えてください。

河野国務大臣 戦略的に重要な要素をさまざま含んでいると申し上げております。

前原委員 では、その上で、尖閣については日本の領土だと認めてもらうということは大事なことじゃないですか。

河野国務大臣 尖閣諸島について、これはもう日本固有の領土でございます。

前原委員 わかっております。今聞いているのは、ロシアに認定してもらうということが大事じゃないですかということを聞いております。

河野国務大臣 繰り返すようで恐縮でございますが、尖閣諸島は、これは日本の領土であるということに間違いございません。

前原委員 竹島はどうですか。

河野国務大臣 竹島も日本固有の領土であります。

前原委員 では、別の視点から伺いましょう。

 クリミア、ウクライナ東部をロシアの領土と認めますか。

河野国務大臣 クリミアあるいはウクライナの問題については、これは平和裏に解決されることが望ましいと日本政府は考えております。

前原委員 過去のみずからの答弁というのを私も全て持っておりますけれども、今までの答弁をもう一度していただけませんか。

 クリミア、そしてウクライナ東部、どういうお答えをされているのか。これは誰のものなのか。力によって変更されたものではないのか。どうですか。

河野国務大臣 クリミアあるいはウクライナの問題は、平和裏に解決されることが重要だというふうに考えております。

前原委員 答えてもらっていません。これは物すごく大事な問題なんです。ひょっとしたら、日ロ平和条約が結べなくなる一つの大きな要因になるかもしれませんよ。

 ロシアが、クリミアを認めろ、ウクライナ東部を認めろ、そうでなければ平和条約を結ばないと言う可能性、十二分にありますよ。だって国境線の画定なんですよ、平和条約というのは。

 いいですか、国境線の画定というのは、確かに係争地域もそうだけれども、先ほど申し上げたように、日本の立場、尖閣、竹島、これは日本の固有の領土である、これを相手に認めさせること、相手からすると、クリミア、ウクライナ東部、これはロシアのものであると認めさせること、これは極めて大事なディールになってきますよ。日本もそのディールは使わなきゃいけない、尖閣の問題は。

 この問題で平和裏に解決されなかったら、望みますということですけれども、そういう形に今なっていないし、見通しとしてはますます固定化、複雑化していますよ。

 ロシアからクリミアを認めろ、ウクライナ東部を認めろと言われたときに、認めますか。

河野国務大臣 これから交渉が始まるわけでございますので、交渉の内容について対外的に申し上げるのは差し控えているところでございますが、仮定の問題でもございます、仮定の御質問でもございますので、差し控えたいと思います。

前原委員 日本国民はこの北方領土の問題については、長年解決しなかった問題であり、大臣に対して僣越ですけれども、日ソ共同宣言の方向性については大方の国民が私は理解をするんじゃないかと思います。

 つまり、二島先行返還、二島継続協議といういわゆる日ソ共同宣言の方向性についてはおおむね理解すると思いますが、平和条約というものを結んだときに、その平和条約の中に書くかどうかは別ですよ、それはまさに交渉事ですから。お互いの国境線というものをどう認め合うのかということも含めて、もし、先ほど大臣が、これは平和条約をなぜ結びたいかというと、戦後を終わらせたいということと同時に、この間、安保委員会でも外務大臣には質問いたしましたけれども、これから数十年、数世紀にわたって日本の最大の外交課題は、中国とどうつき合うかなんですよ。強大化する中国とどうつき合うか。その中で、だからインド太平洋戦略とか、ロシアとどううまく戦略的につき合っていくかとか、そういうさまざまなことをまさにパズルにして外交を行っているのが河野外務大臣でしょう。

 平和条約を結んで一段日ロの関係を上げるということであれば、それがまさに、対中政策の一つの大きなカードにしていこうという戦略的な意図は持っておられると思います。それは持っていなかったらおかしい。誰が外務大臣をやっても総理をやってもそうであるはずです。だから向こうも、返還されたあるいは引き渡されたところには米軍基地は置かないのかということを言っているわけです、向こうも。

 この領土問題というのは、いいかげんな形で棚上げできない問題ですよ。

 特に、力で変更されたものを認めるということになれば、中国の、南シナ海での岩礁を領土だと言って国際仲裁裁判所の決定についても聞く耳を持たないということにも、それも力で認めたんだから仕方がないねということになってしまいますよ、ダブルスタンダードになりますから。力で変更したものについてはだめだということを言い続けなきゃいけない。

 日ロ交渉においてもそういう普遍的な価値というものは守って交渉するということをお約束いただけませんか。

河野国務大臣 国際社会の中で、普遍的な価値というのは当然に尊重されるべきものだというふうに考えております。

前原委員 私が求めた答弁ではない点が多々ありましたけれども、宮腰大臣に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私も外務大臣もそうですが、沖縄北方担当大臣をさせていただき、北方領土も沖縄の問題も私も思い入れを持って取り組ませていただきましたし、大臣が今まで議員としてこの両方の問題に本当に真摯に熱心に取り組まれてきたことということはよく存じ上げておりますので、本当にすばらしい方が大臣になっていただいたと、御活躍を心から期待をしているところであります。

 沖縄についてお話を伺いたいというふうに思うわけでありますが、来年の二月二十四日に県民投票がございます。これは、いわゆる辺野古の基地の問題についての県民投票ということであります。どういう結果になるのかわかりません。

 大臣のお立場というのは、私もこの辺野古の問題というのは沖縄の皆さん方に大変御迷惑をおかけをしたけれども、しかし、これについては、普天間飛行場という極めて世界でも最も危険な基地をなくすために代替地として申しわけないけれどもつくらせてほしい、そのかわり、普天間の返還あるいはほかの基地の返還も含めてしっかりとそういったいわゆる跡地対策、経済対策、こういうこともしっかりやっていこうということを、防衛大臣でない沖縄担当大臣である宮腰大臣が熱心にやはり説かれるということが私は大事なことだというふうに思います。

 以前の自民党の方々より私は今の自民党の方々というのは、沖縄の方々に寄り添っている方々というのは余りおられないんじゃないかという気がするんです。梶山先生にしても野中先生にしても、沖縄の方々と本当に膝を突き合わせて、泡盛を飲んで、そして沖縄の将来について語っておられた方々がたくさんおられます。我々もそれをまねして沖縄の方々と今まで接してきました。

 やはりそういう、政府の立場は政府の立場だけれども、あなた方のことは本当に真剣に考えている、あなた方の振興、そして、基地があるために皆様方の発展というものが阻害されている、だから自分はこういう沖縄に協力したいんだということを、二月二十四日の前後、別に前だからということじゃなくて、後も含めてやはりしっかりと私はおっしゃるべきだと思いますし、今までの取り組まれ方からすると、大臣にはその資格は十二分に、僣越な言い方ですけれども、あるのではないかと私は思います。

 この二月二十四日のいわゆる県民投票を踏まえて、沖縄担当大臣として何が自分のやるべきことなのかというふうにお考えになられますか。

宮腰国務大臣 県民投票につきましては、地方公共団体における独自の条例に係る事柄でありますので、そのことについて言及は差し控えたいと思いますが、その結果いかんにかかわらず、沖縄県の抱えておいでになる問題を一つ一つ前に進めていくということが担当大臣としては最も大事ではないかというふうに思っております。

 地理的優位性、いろいろな優位性があるんですけれども、十分に生かし切れていないというのが今の沖縄の現状ではないか。そこを一つ一つ丁寧に後押しをしていく、国としてやるべきことはもうしっかりやっていくというのが担当大臣の仕事だというふうに思っております。

 沖縄の振興を一口で申し上げるのは大変難しい。北部は北部の問題を抱えておいでになる。さらには、離島地域は離島地域としての問題を抱えておいでになる。また、御案内のとおりでありますけれども、小規模な離島は高校もない。十五の春、島立ち、こういう構造的な問題も抱えておいでになる。そういうところに、沖縄県みずからの力ではいかんともしがたい部分もある。

 そういうところを政府としてしっかりとどう後押しをしていくか。最終的なゴールは沖縄県の自立的発展、その条件を、あるいは環境をどうつくっていくか。その後押しをするのが我々の仕事ではないかというふうに考えております。

前原委員 私も鳩山内閣のときに国土交通大臣兼沖縄北方担当大臣をさせていただいて、ちょうど国土交通大臣もやらせていただいておりましたので、二本目の滑走路をつくりたいというのが最も大きな沖縄県の御要望でございましたので、その決定もさせていただきました。

 また、野田政権ときの政調会長として、これは仲井真知事でいらっしゃいましたけれども、とにかく沖縄の予算というものは三千億円規模を何とかなし遂げて、そして沖縄振興計画というのは、沖縄が返還されたのは一九七二年ですから、十年、十年、十年、十年、四十年やってきて、この最後の十年だとおっしゃっていたわけです、仲井真さんは。

 ここで、いわゆる今大臣がおっしゃったように、お国の力をさほどかりなくても沖縄が自立的にテークオフする。最後の、沖縄が返還されて五十年のときには、今までと違う形で自立して発展をしていく。これもやはり沖縄の方々の尊厳とか自負心とか、そういうものに寄り添う意味では極めて大事なことだというふうに私は思っております。

 昔は、基地の問題と経済の問題というものをリンクさせるということは、これは自民党政権も含めて、厳に慎むべきだというのが政府、国会の中の雰囲気でありました。私はこれからもそうあるべきだろうというふうに思います。基地の問題と関係なく、基地の問題で言うことを聞かなかったら予算減らすぞ、そういう方、第二次安倍政権でも若干おられましたよね。私はこれはよくないと思いますよ。基地の問題は基地の問題。

 先ほど申し上げたように、基地があるがゆえに沖縄は発展し切れていないんです。だって、全国の七二%の施設・区域が集中していて、沖縄本島の二〇%ですよ、基地は。しかも、銃剣とブルドーザーで基地がつくられたということの中で、いいところに基地がつくられているわけですよ。嘉手納町に至っては町の八三%が基地ですから。

 そういう意味では、やはり、沖縄の自立的な発展のために資することをやっていくということが大事だと思います。

 我々は、二本目の滑走路あるいは予算、それから、これは我々がやったことで一括交付金というのを沖縄だけ残していただいていますけれども、宮腰カラーとしては何をそれにプラスして、自分が担当大臣のときに沖縄の自立的発展のためにこれはやろう、今までの大臣とは違う、これはやろうということでやる意気込みを持っておられますか。

宮腰国務大臣 那覇空港第二滑走路はもうすぐ完成いたします。これは、与野党問わず、沖縄県の発展に大きく資する事業であるということで推進をしてまいったと思います。インバウンドもふえて、ハワイと肩を並べるぐらいまで来た。

 しかし、残念ながら、県民所得、まだまだ内地に比べて低いのが大半でありまして、中には四百万を超える所得のある地域もあるわけですけれども、全体的にはやはりまだまだだというふうに思っております。

 県民所得をしっかり上げていく、そのためには、やはりこの一次産業、二次産業、三次産業、しっかりとバランスのとれた形で、一つに偏ることなく、それぞれが生かしていけるような産業構造にしていく必要があるのではないかというふうに思います。

 一昨年の統計で、例えば沖縄県の農業産出額、二十一年ぶりに一千億円を超えた。これから輸出もにらんで、単なる生産だけではなくて、付加価値もつけた上でもっともっと沖縄県の農業が元気になる、そういうことを一つ一つ後押しをしていくのが大事なのではないかなと。特区のやはりもっとさらなる有効活用なども必要だと思います。

 そのほかには、やはり離島地域をたくさん抱えておいでになるので、その離島であるがゆえの条件不利性をしっかりと国の後押しで解消もしていくということによって、離島であっても内地と同じ条件で勝負ができる、そういう環境をしっかりとつくっていくということが大事なのではないか。

 まだまだ微力でありますが、一生懸命頑張りたいと思います。

前原委員 今まで以上に沖縄に愛を持って取り組んでいただければと思います。

 終わります。

末松委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 先ほど、期せずして沖縄の農業の発展の問題が出ました。私は最初に、その農業にかかわって、台風二十四号、二十五号に伴う農産物の被害対策について伺いたいと思います。

 立て続けに沖縄を襲った二つの台風は、サトウキビ、野菜、花卉、タンカン、シークワーサーなどの果樹生産農家に大きな被害をもたらしました。

 私は、台風直後の農産物の被害を調査をするため、県内各地を回り、農家の声を聞いてまいりました。二十四号の直後に畑を回っていたら二十五号の台風が近づいてくるという、経験したことのない被害調査でありましたが、その中でも、例えば、沖縄の小菊の出荷というのは今日本一なんです。沖縄県内で小菊の生産沖縄一という糸満市、ここは本島の最南端に位置するわけですが、海岸沿いは菊畑が広がっております。

 菊は、お正月やお彼岸、ちょうど今ごろ出荷の時期を迎えてくるわけですが、そこに向けて出荷できるように、夜に電気をつけて花の咲く時期を調節しております。いわゆる電照菊であります。

 ところが、今度の台風では四日間停電があったために、その影響でつぼみが早期について市場に出荷できないため、根こそぎ引き抜かれている光景を目にいたしました。

 これらの被害から農家が一刻も早く立ち直れるよう、菊だけにとどまらず、野菜や果樹なども含めて、農産物被害への国の支援策、これは強く求めていきたいと思います。

 また、その農家の声を聞いていたら、停電のために国営地下ダムからファームタンクへの送水がストップし、スプリンクラーによる散水もできず、塩害被害が拡大した。停電時に地下ダムの機能が失われないように、発電機を設置してほしい。これは被害に対する支援というよりは、今後の農業基盤整備にもかかわっていくと思うんですが、そういう声もありました。

 台風時にも、あの糸満市の地下ダム、この利用が滞らないように万全の対策をとっていただきたいと思いますが、宮腰大臣、いかがですか。

宮腰国務大臣 私も、大臣就任後、初めて沖縄を訪問させていただいたときに、沖縄県南部のサトウキビの被害状況とこの菊の被害状況を視察をしてまいりました。この時期にやられるとやばいというふうに思ってきたわけであります。

 今、農業用水が台風の影響でとまったというお話であります。農業用水の安定供給は、沖縄の特性を生かした収益性の高い農業を展開していく上で重要な役割を果たしていると認識しております。

 この沖縄本島南部地区の国営かんがい事業、実はこの竣工式に、私は当時、農水副大臣として出席をしてまいりました。これをもって沖縄県南部の農業用水の不足を解消して多様な農業が展開できるなというふうに、その竣工式に出て可能性を確認しておったところでありますが、今回、台風の影響で停電になって水の供給ができなかったということであります。

 この地下ダムの水を利用するために、ファームポンドをつくって、実は自然流下式でこの送水をいたしております。今回、揚水機場が停電をして、糸満市で菊に塩害が生じたということであります。台風による停電時におきましても塩害防止の農業用水を確保するためには、蓄電施設の設置のほかには、このファームポンドの運用改善、これが必要だ。

 具体的には、台風接近前にファームポンドに水を満タンにして揚げておく。停電のときであっても、そこから自然流下式で、ファームポンドにたまっている水は停電時でも全部使えるというような状況にしておくというのが一番大事ではないかなというふうに思っております。

 内閣府といたしましては、関係機関とも連携しつつ、農業者が安心できるようなファームポンドの運用改善、さらに、どうしても必要であれば蓄電施設の設置ということもあるわけですけれども、まずは、ファームポンドの運用改善、大きな台風が来る前にはファームポンドを満タンにしておくということで安心していただけるように努力をしていきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 宮腰大臣とはこれまでも、離島の振興や沖縄のサトウキビ、菊、いろいろ議論をしてまいりました。離島振興法は一緒に提案したこともありました。

 それで、今、ファームポンドを満タンにしておけば改善されるというお話を私も事前に伺ったものですから、地元の農家に聞いたら、いや、あれは夜中に満タンにしてあるよと言うんですよ。だが一日で使い終わったと言うんですよ。

 塩害は菊だけじゃなくて、御存じのようにサトウキビも、二十四号、二十五号が続いて来たものですから、サトウキビの倒れる向きも変わったりして大きな被害が出ておりますから、満タンにしておけばというのは、やはりもう一回現場の状況も調査していただいて、発電機が必要であれば発電機も設置する。

 これは、宮腰大臣の、そういう起工式にも参加されてあそこのダムの役割についてもよく御存じだと……(宮腰国務大臣「竣工式です」と呼ぶ)竣工式ですか、大変失礼しました。竣工式で地形もおわかりだと思いますので、ぜひその努力をなさっていただきたいと思います。調査もして実現していただきたいと思います。

 次に、沖縄の米軍基地にかかわる環境汚染問題について質問をいたします。

 沖縄県企業局は、二〇一六年一月、嘉手納基地周辺の北谷浄水場などから高濃度の残留性有機汚染物質PFOSが検出されたことを明らかにしました。企業局は、嘉手納基地内を流れる大工廻川から千三百二十ナノグラムの高濃度のPFOSが検出されたことから、発生源は嘉手納基地の可能性が高いとして、同基地内でのPFOSの使用を直ちに中止するよう強く要請をいたしました。しかし、企業局のその後の調査では、今でも水源から高濃度のPFOSが検出されています。

 きょうは資料を出しておりますが、資料をごらんになればおわかりだと思いますが、今年度の沖縄県の調査でも、大工廻川、嘉手納基地に流れている川です。そこは、最大八百四十一ナノグラムものPFOSあるいはPFOAが検出されています。

 米軍は嘉手納基地内で今でもPFOSを使用しているのではありませんか。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきましたPFOSに関係しまして、平成二十八年七月、米側から提出された文書によりますと、嘉手納飛行場の消防車はPFOSを含む水成膜泡消火薬剤を使用していないこと、二点目といたしまして、PFOSを含む水成膜泡消火薬剤は試験目的や訓練目的でも使用されていないこと、他方で、三点目になりますが、PFOSを含む消火システムが稼働している施設が一つ残っているということなどの回答を得ているところでございます。

 この回答に鑑みますと、平成二十八年七月の時点におきましては、PFOSを含む消火システムが一つ稼働しているという状況ではなかったかと考えているところでございます。

赤嶺委員 PFOSをまだ使っているというんですね。

 日本の国内では、化審法によってPFOSの使用は禁止をされています。日米の関係法令のうち、より厳しい基準を選択するのが、二〇〇〇年の、環境原則に関する共同発表での日米の合意だったはずであります。

 化審法の基準を踏まえて、基地内でのPFOSの使用を直ちに禁止させるべきではありませんか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、嘉手納飛行場におけるPFOSの使用状況につきましては、平成二十八年七月の米側回答によりますと、PFOSを含まない泡への交換がまだ済んでいない消火システムが稼働している施設が一つ残っているという情報がございます。

 この消火システムの取りかえ作業につきましては米側に問い合わせているところでございますが、現在のところ、取りかえ作業を完了したとの回答は得ていません。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、沖縄県民の方々がPFOS等の検出に対し不安を抱いておられることは重く受けとめているところでございます。

 沖縄県、米側、さらには関係機関等で密接に連携してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 二年前にも同じ答弁をして、米軍は今にもPFOSは使わなくなるようなことを言って、しかし、二年前と全く変わらない状態が今でもあるわけです。PFOSは、国内での使用禁止が、米軍基地の中ではいまだに使い続けている。これは県民の命と安全にかかわる問題であります。米軍は直ちに使用禁止するよう強く求めたいと思います。二年間同じような答弁を繰り返すことは許されません。

 米軍は、当時、沖縄防衛局への覚書で、嘉手納飛行場では水成膜泡消火薬剤といった製品については、業界の標準的な慣行に従って使用します、このように述べていますが、具体的な保管方法や処理方法については言及しておりません。

 私は二〇一六年四月十一日に提出した質問主意書で、業界的な慣行に従って使用しますという点について、米軍又は日本、国際約束のうち、いずれの基準に基づく慣行を指しているかを含めて、その意味、内容を明らかにするよう求めました。

 防衛省は、少なくとも二年前のことですから、この点は確認しておりますね。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の覚書につきましては、嘉手納飛行場周辺で検出をされましたPFOSに関する平成二十八年二月の米側回答文書のことであろうかと考えております。

 この米側の文書に記載をされております「水成膜泡消火薬剤といった製品については、業界の標準的な慣行に従って使用しています。」という文言につきまして、その意味するところを米側に照会をしているところでございますが、今日に至るまで直接的な回答は得られておりません。

 他方、先ほども申し上げましたところではございますが、平成二十八年七月、米側からは、嘉手納飛行場の消防車はPFOSを含む水成膜泡消火剤を使用していないこと、PFOSを含む水成膜泡消火薬剤は試験目的や訓練目的でも使用されていないこと、PFOSを含む消火システムが稼働している施設が一つ残っていることといったような回答は得ているところでございます。

赤嶺委員 有害性が指摘され、日本の国内法令で使用が禁止されている。しかし、米軍基地内で使用しているかどうか、あるいは使用している、そういうことになっているにもかかわらず、その管理、保管状況もいまだにわからない。二年たっても返事が来ない。これは余りにも、県民の命を預かる水の問題という点からしても、米軍追従で、無責任だと言わなければなりません。

 沖縄県企業局は、PFOSの検出が明らかになった当初から、発生源の特定のための嘉手納基地内への立入りとサンプル調査を米軍と沖縄防衛局に要請をしています。しかし、企業局の立入調査はいまだに実現していません。なぜ三年もたつのに立入調査が実現しないんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年一月に沖縄県より、嘉手納飛行場周辺の河川等の水質調査で高濃度の有機弗素化合物であるPFOSが検出された旨発表されているところでございます。

 それ以降、沖縄県が米側に対しまして嘉手納飛行場における水質調査を要望してきているものの、いまだ実現をされていないと承知をしております。

 いずれにいたしましても、防衛省としましては、沖縄県民の皆様がPFOSなどの検出に対し不安を抱いておられることは重く受けとめております。

 沖縄県、米側及び関係機関と密接に連携してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 いまだに基地の中に入ってサンプル調査ができていない。

 外務大臣に伺いますが、結局、米軍が認めないわけですよ。基地内でのサンプル調査が行えなければ安全性が全く確認できないわけです。

 二〇一五年に締結された環境補足協定は、このような米軍基地による環境汚染が疑われる場合に、関係自治体が基地内に立ち入って調査できるようにするためのものではなかったんですか。

河野国務大臣 政府としては、地元の方々の関心に応えられるよう、環境関連の日米合同委員会合意や補足協定を適切に運用していくことが重要だろうと考えております。

 環境に関連した立入調査につきましては、アメリカ側からの情報提供を端緒として立入り申請を行う環境補足協定に基づく手続に加えて、日本側としては、環境汚染を疑う場合に、アメリカ側に調査要請や立入り許可申請などを行うことを可能とする既存の日米合同委員会合意も存在をしております。

 政府としても、周辺の住民の方々がこのPFOSなどの検出に対して不安を抱いていることを重く受けとめております。施設・区域内外の環境対策が実効的なものとなるよう、こうした日米合同委員会合意や補足協定を適切に運用しながら、米側との連携を含め、引き続き必要な努力を尽くしてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 日米合同委員会合意で基地の立入りというのが全く実効性がなかったわけですよ。これまでも、実効性がなかったから環境補足協定をつくって、これはもう歴史的な意義を持つ地位協定の見直しに値する、環境の問題が起きたら基地内に立ち入れることになる、そういうことを今まで国会でるる説明してきたじゃないですか。

 何で今回、PFOSの問題で基地の立入調査、これが環境補足協定によって認められないんですか、外務大臣。

河野国務大臣 先ほど答弁したとおり、環境補足協定に基づく立入り申請はアメリカ側からの情報提供が端緒となっておりますが、米側から通報がない場合であっても、日本側として環境汚染を疑う場合には、別途、既存の日米合同委員会合意に従って、米側に調査要請や立入り許可申請などを行うことは可能でございます。

 実際、環境補足協定が締結された以降でも環境補足協定に基づかない形での立入りは行われておりまして、例えば、普天間飛行場において燃料漏れが二〇一六年六月十五日に発生をしたときに、八月三日、宜野湾市及び沖縄防衛局職員が飛行場の中に立ち入り、現場確認を行った、こうしたことがございます。

 日米地位協定は合意議事録などを含んだ大きな法的な枠組みであり、政府としては、日米地位協定について、これまで、手当てすべき事柄の性格に応じて効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきているところでございます。

 引き続きこのような取組を積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 一九七四年の日米合同委員会合意で基地に立ち入ったことがあるということで、一例、今外務大臣説明しましたけれども、いかにも外務省らしい答弁だなと思いました。

 環境補足協定は、結局、米側が通報しなければ基地の中に入れない、こういう仕組みになっているわけです。

 ところが、全国知事会の日米地位協定の抜本改定の中には、日本側が、あるいは自治体側が必要だと認めたら、無条件に基地に入れるようなそういう地位協定の改定をやるべきだ、このように申し入れているわけですよ。現にドイツではそういうことができている。いわば、日本政府の、自治体のコントロール下に基地を置くという意味では環境補足協定は何の役にも立っておりません。

 地位協定の改定、基地の立入り、無条件に認めるように改定をすべきだということを申し上げて、質問を終わります。

末松委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 まず初めに御礼申し上げたいのは、決まりました大阪万博についてでございます。本当に、外務省の皆様始め、ここにいらっしゃる全ての方も含めて、超党派でお話を前に進めてくださいました。特に、外務省の在外公館にいらっしゃる皆さんも、本当にロビーイングという形でもやっていただいたり、大臣も、どこかに行くにしても、その場所で必ずこの話に触れていただいたという話を聞いております。

 まずもって、大阪の皆さんも、お会いしたら絶対お礼言うといてやと皆さん言ってはったので、ここをおかりしまして、まず御礼から始めさせていただきたいと思います。

 しっかり大阪も準備を進めていって、日本じゅうの方を巻き込んで、世界じゅうの方を巻き込んで、すばらしい万博にしていかなければならないなと若い世代の一人として思います。

 そうした中で、うれしいニュースもありまして、一方で、きょうのちょっと質疑を聞いていまして、私もちょっと、大臣、厳しいお立場なのはわかるんですが、非常に型にはまった御答弁が多いなというふうに感じたところです。

 私も、やはり大事な北方領土の問題、国民の皆さんの関心も高い大事な課題である中で、しかも、このタイミングでこの委員会をやるというのは、これに触れざるを得ないということもありまして、ただ、交渉に触れるつもりはなくて、その交渉の前提以前の、さらに、そもそも文言の解釈、これまで政府が結んできた条約の文言の解釈ぐらいはこの委員会でしっかりまず確認しておいて、それに基づいてその後の交渉をしっかり見守っていく。そして、何かしらの成果をかち取っていただけるように、これも超党派でやっていかなきゃいけないことだな、オールジャパンでと思っていたところなんですが、しかし、私が準備した質問も、恐らく大臣としては同じお答えになるんじゃないかなというふうに感じています。

 一応、準備しておりますので、まとめて上から四つ、恐らく同じお答えだと思うんですけれども、共同宣言の文言解釈、沖縄返還協定の返還との違いだとか、若しくは、官房長官は記者会見で主権はもちろん含まれているとお答えになっているんですけれども、しかし、大臣は、きょうのお答えだとちょっと違うお答えをされていましたし、同時に、そもそもこの文言、引き渡すという文言が共同宣言にありますけれども、これには、無期限貸与なのかとか、一番国民の方が気にする一つは、海域が含まれるのか、海が含まれていると考えるのかどうか。日本政府としてどう考えているのか。

 非常に、まずはの大前提の土台の部分で大事な、確認しなきゃいけないものなんですが、しかし、答えられる範囲で、こちらからは聞きたいところなんですが、大臣のお答えは見えているような気もしますが、期待して、大臣、このあたりについてどのようにお答えになるのか。

 文言解釈について、どのようにお考えになりますか。

河野国務大臣 まず、大阪万博につきましては、ようやく決定をいたしました。これからやらなければいけないのは、もちろん国内の準備もそうでございますが、一カ国でも多くこの万博に参加をしてくださるというのが非常に重要なことだと思っておりますので、決定をしたからといって、緩めることなく、多くの国に参加してくださるように、また、日本を挙げて参加要請をしていきたいというふうに思っております。

 日ロの条約交渉につきましては、本日再三申し上げてまことに恐縮ではございますが、これから条約交渉を加速化しようということでございますので、対外的に政府の考え方を申し上げるのは差し控えるというのが政府の方針でございますので、御理解をいただきたいと思います。

丸山委員 理解しましたが、しかし、そうすると、この委員会は何のためにという話にもなりかねませんので、委員長も今うなずいていらっしゃいますけれども、そもそもこのタイミングでこの委員会というのはどうかなというのも一つはもしかしたらあるのかもしれない。

 でも、同時に、大臣の御答弁がやはり委員会で出てこないとなると、特に外務委員会に私が所属しているときもそう感じたんですけれども、結局、交渉事だということで出てこないと、では何のための国会なんだ、立法府なんだというところは、みんな恐らく疑問に思うのは間違いないと思いますので。

 ただ、これ以上お話ししてもこれ以上は出てこないと思いますので、これ以上は進めませんが、でも、何となく、河野大臣のいつもの話を、こういう同じような話が出てくると、何か壊れたレコーダーのような御答弁だみたいな話はよく昔ながらの言い方でありますけれども、ただ、河野大臣のお話を聞いていると、むしろ、レコーダーはレコーダーでも最新のICレコーダーみたいな形で、的確なときに的確な答弁を、これは答えてはいけない段階だからこれだという話で出てきますし、例えば、必要なものですけれども、なるべく短く終えるべきだと多分お考えなんだと思うんですけれども、所信をお読みになるときとか、いつもと違うすごいスピードでお読みになられたり、非常にすごく頭の回転が速い大臣でいらっしゃって、恐らく、そうした中での言えること、言えないことももちろん考えた上での御答弁だというのも我々もわかっておりますので、そのICレコーダー並みの頭の回転をぜひ交渉でも役立てていただきたいと思うし、国民の悲願だと思いますので、北方領土の関係の交渉をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 宮腰大臣に実は消費者特ででも少しお話をさせていただきまして、消費者特だけれども北方領土の話を少しさせていただいたときに、非常に真摯にお答えいただきまして、ありがとうございました。

 大臣としても非常に苦しいところかなというのは正直思っていまして、というのは、交渉は、今、河野大臣が担当者と決まりまして、向こうと前面で交渉される。一方で、例えば沖縄も、今、沖縄選出の議員の方が基地の話をされていましたけれども、実際の米軍との交渉となると防衛省が前面に出てきて、外務省、防衛省が出てきて、防衛大臣もいらっしゃる。

 そうした中で宮腰大臣が、唯一、北方領土、沖縄も名前がついている大臣としてどういう役割を果たしていくかというのは非常に大事だと思いますし、御自身でも一番悩まれて、なおかつ、その中で自分は何をされるかというのを日々考えていらっしゃるんだと思うんですけれども、所信をお聞きしたら、どちらかというと、やはり後方支援というところを強調されて御答弁されていたと思うんですけれども、御自身も、もしかしたらじくじたる思いもあるのかもしれません。しかし、逆に、やるぞという思いもあるのかもしれません。

 このあたり、後方支援というのを含めてどう連携されていくのか。このあたりをぜひお伺いしたいんですけれども。

宮腰国務大臣 沖縄、北方、両方とも国内対策を担当するということであります。外交政策と密接にかかわっている問題でもあり、それぞれの地域に住んでおいでになる方々、沖縄県民の皆さん、あるいは、北方関係につきましては北方領土隣接地域の皆さん、さらには元島民の千島連盟の皆さん、それぞれいろいろな思いを持って政府の交渉を見守っておいでになるという状況ではないか。特に、北方に関してはそういうことではないかと思っております。

 その思いをしっかりと受けとめつつ、外交交渉は、これは当然河野大臣が当たられるわけでありますけれども、政府全体で、私の場合は、特に国民世論、政府の外交交渉を後押しをする国民世論をしっかりと盛り上げていく。盛り上げると同時に、その関係の皆さん方に理解あるいは納得いただけるような努力をしていくということが大事なのではないかなというふうな思いでおります。

丸山委員 きょうの委員会、この月曜日のこの時間にみんなで出てきて東京でやっている意味というのを非常にずっと聞きながら考えていました。

 やはり、若い議員の一人としてすごく矛盾も感じるところがあって、なかなか委員会で大臣の御答弁が出てこないところもそうですし、同時に、やはり北方領土の関係も沖縄の関係もその名前がついていらっしゃる大臣がいらっしゃる一方で、このねじれというか、縦割りというか、ほかの防衛省なり外務省なり、直接交渉するようなところもある。

 こうしたところもそうですけれども、何より、きょうも、大臣にお答えいただけないのであれば、もう大臣の一分一秒は国益にとって非常に大事な一分一秒なので、例えば早目に御退席いただけないかという話をしたんですが、しかし、張りつきだということで退室いただくこともできないという。非常に、若い世代の議員として、この国会のあり方、行政のあり方を含めて大きく変えていかなきゃいけない転換期にあるんじゃないかなというふうに強く思いました。

 しかし、そうした中でも、相手はもういますし、刻一刻と交渉が進むところだと思います。恐らくこの半年が一番大事なタイミングだと思いますので、我々も、足を引っ張るのではなくて、しっかり応援すべきところは応援していく。あと、交渉の先に事後はきちんとチェックさせていただきます。

 しかし、今の段階ではしっかり応援していくということが大事だと思いますので、河野大臣に、しっかりとした交渉、国益を守っていただくことをお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

末松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.