衆議院

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第1号 平成29年2月22日(水曜日)

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本分科会は平成二十九年二月二十日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石崎  徹君    石破  茂君

      岩屋  毅君    西村 康稔君

      大西 健介君    辻元 清美君

二月二十一日

 西村康稔君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十九年二月二十二日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 西村 康稔君

      石崎  徹君    石破  茂君

      岩屋  毅君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    高木 宏壽君

      津島  淳君    中村 裕之君

      宮崎 政久君    大西 健介君

      辻元 清美君    本村賢太郎君

   兼務 秋本 真利君 兼務 田畑 裕明君

   兼務 緒方林太郎君 兼務 後藤 祐一君

   兼務 岡本 三成君 兼務 中川 康洋君

   兼務 大平 喜信君 兼務 井上 英孝君

   兼務 丸山 穂高君

    …………………………………

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山本 公一君

   防衛大臣         稲田 朋美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当) 菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (福島原発事故再生総括担当)           今村 雅弘君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (海洋政策・領土問題担当)

   (国土強靱化担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (防災担当)       松本  純君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (情報通信技術(IT)政策担当)         鶴保 庸介君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済財政政策担当)   石原 伸晃君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (働き方改革担当)

   (女性活躍担当)

   (再チャレンジ担当)

   (拉致問題担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   加藤 勝信君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)

   (行政改革担当)

   (国家公務員制度担当)  山本 幸三君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      あかま二郎君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      高木 陽介君

   内閣府大臣政務官     武村 展英君

   内閣府大臣政務官     豊田 俊郎君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   国土交通大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    根本 幸典君

   衆議院事務総長      向大野新治君

   参議院事務総長      郷原  悟君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 松本 智和君

   裁判官訴追委員会事務局長 藤井 宏治君

   国立国会図書館長     羽入佐和子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   会計検査院長       河戸 光彦君

   最高裁判所事務総長    今崎 幸彦君

   最高裁判所事務総局総務局長            中村  愼君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平川  薫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中川  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吉田 幸三君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      宇野 雅夫君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 青柳 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 川合 靖洋君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        高橋  淳君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            武川 恵子君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局参事官)        塩田 康一君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      西村 泰彦君

   政府参考人

   (宮内庁書陵部長)    山内 健生君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           斉藤  実君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山下 史雄君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         中村  格君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    井上 剛志君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            栗田 照久君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小糸 正樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 古市 裕久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮地  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 池田 憲治君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小川 秀樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 森 美樹夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 四方 敬之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 市川 健太君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   山崎 秀保君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       坂根 工博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     住田 孝之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     海堀 安喜君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           増田 博行君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            島  雅之君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            加藤 庸之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小川 晃範君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

   決算行政監視委員会専門員 安齋 雄一君

   衆議院調査局第三特別調査室長           宇佐美雅樹君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     大西 宏幸君

  岩屋  毅君     中村 裕之君

  辻元 清美君     中川 正春君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     高橋ひなこ君

  中村 裕之君     高木 宏壽君

  中川 正春君     本村賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  高木 宏壽君     津島  淳君

  高橋ひなこ君     石破  茂君

  本村賢太郎君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     岡下 昌平君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     宮崎 政久君

同日

 辞任         補欠選任

  宮崎 政久君     岩屋  毅君

同日

 第二分科員大平喜信君、第四分科員緒方林太郎君、第五分科員田畑裕明君、岡本三成君、中川康洋君、第七分科員秋本真利君、後藤祐一君、第八分科員井上英孝君及び丸山穂高君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

西村主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。西村宮内庁次長。

西村政府参考人 平成二十九年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成二十九年度における歳出予算要求額は、六十二億一千七百六十三万七千円でありまして、これを前年度当初予算額六十億九千九百五十五万四千円と比較いたしますと、一億一千八百八万三千円の増額となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費五十六億七千八百九十一万七千円、皇族に必要な経費二億一千四百七十二万円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費七億五千三百二十二万三千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費四十九億二千五百六十九万四千円でありまして、前年度に比較して一億三千三百三十三万三千円の増額となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して一千五百二十五万円の減少となっております。これは、崇仁親王殿下の薨去に伴うものであります。

 以上で平成二十九年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

西村主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

西村主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。向大野衆議院事務総長。

向大野事務総長 平成二十九年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十九年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、七百三十七億八千五百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億一千七百万円余の減額となっております。

 これは、次期議員会館運営手法検討調査費、情報システム関係経費及び給与改定に伴う人件費等の増額がある一方、議員会館関係経費、退職手当等の減額によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百四十億二千五百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百五億七千百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十億九千四百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として八十億八千六百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、議員会館等の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 以上、平成二十九年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

西村主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。郷原参議院事務総長。

郷原参議院事務総長 平成二十九年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十九年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、四百四十二億一千万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七億六千二百万円余の減額となっております。

 これは、主に、通常選挙の実施に伴い必要となる経費が減額となることによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百二十九億八千七百万円余、参議院の運営に必要な経費として百五十四億五千九百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十四億八千九百万円余、民間資金等を活用した参議院施設整備に必要な経費として四十二億六千八百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、各種施設整備に必要な経費及び議員会館の不動産購入費でございます。

 最後に、国会予備金に必要な経費として五百万円を計上いたしております。

 以上、平成二十九年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

西村主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。羽入国立国会図書館長。

羽入国立国会図書館長 平成二十九年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十九年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百二十二億一千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十六億五千六百万円余の増額となっております。

 これは、関西館第二期第一段階施設整備に必要となる経費の増額等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等九十五億五千七百万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費及び情報システム経費等七十四億三千三百万円余を計上いたしております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億九千三百万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、四十一億二千九百万円余を計上いたしております。

 以上、平成二十九年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

西村主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。松本裁判官弾劾裁判所事務局長。

松本裁判官弾劾裁判所参事 平成二十九年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十九年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千二百三十九万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三十三万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

西村主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。藤井裁判官訴追委員会事務局長。

藤井裁判官訴追委員会参事 平成二十九年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十九年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億二千九百七十六万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、百五十五万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

西村主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席いただいて結構です。

    ―――――――――――――

西村主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。今崎事務総長。

今崎最高裁判所長官代理者 平成二十九年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十九年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千百七十七億三百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千百五十三億円と比較いたしますと、差し引き二十四億三百万円の増加となっております。

 次に、平成二十九年度歳出予算のうち、主な事項につきまして御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官、書記官及び事務官の増員等でございます。

 かねてより裁判所の体制の充実強化が求められております中で、複雑困難化する民事訴訟事件の審理充実、成年後見関係事件を初めとする家庭事件処理の充実強化等のため、裁判官は、判事補からの振りかえ二十三人を含め判事五十人、書記官は、速記官からの振りかえ五人を含め二十四人、事務官は十七人、合計九十一人の増員をすることとしております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力といたしまして七十一人の減員をすることとしておりますので、差し引き八人の純減となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費でございます。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため、百四十一億三千五百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として三十一億六千九百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。

 第二に、刑事事件関係経費といたしまして四十五億一千二百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費等が含まれております。

 第三に、家庭事件関係経費といたしまして六十四億五千四百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、庁舎の耐震化等のための経費といたしまして百五十八億七千二百万円を計上しております。

 以上が、平成二十九年度裁判所所管歳出予算の概要でございます。

 よろしく、御審議のほどお願い申し上げます。

西村主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席いただいて結構です。

    ―――――――――――――

西村主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。河戸会計検査院長。

河戸会計検査院長 平成二十九年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の平成二十九年度予定経費要求額は、百七十二億七千百万円余でありまして、これを前年度予算額百六十八億九千五百万円余に比較いたしますと、三億七千五百万円余の増額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費等であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百五十億九千四百万円余を計上いたしております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として二十億七千七百万円余を計上いたしております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 次に、会計検査院施設整備に必要な経費として九千九百万円余を計上いたしております。

 以上、会計検査院の平成二十九年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

西村主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席いただいて結構です。

    ―――――――――――――

西村主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 平成二十九年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成二十九年度における歳出予算要求額は千九十二億三百万円でありまして、これを前年度当初予算額一千百五十二億三千百万円に比較しますと、六十億二千八百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として九百六十五億五千百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十一億八千七百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百十四億六千五百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成二十九年度における歳出予算要求額は三兆四千三百九十九億六千六百万円でありまして、これを前年度当初予算額三兆二千五百四十四億五千六百万円に比較しますと、千八百五十五億一千百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、各般の施策における総合的、戦略的な企画立案及び施策の的確な推進のための経費として三兆五百九十三億八百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百十二億一千八百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用等のための経費として百十二億二千二百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として三千百八十五億二千二百万円、個人情報保護委員会には、個人情報の保護及び利活用の推進等を図るための経費として三十一億五千九百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融市場整備推進等のための経費として二百四十三億七千万円、消費者庁には、消費者の安全・安心の確保、地方消費者行政の推進等を図るための経費として百二十一億六千九百万円を計上いたしております。

 以上をもって平成二十九年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

西村主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席いただいて結構です。

    ―――――――――――――

西村主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。今村復興大臣。

今村国務大臣 平成二十九年度復興庁予算について御説明申し上げます。

 復興庁においては、復興・創生期間の二年目を迎えるに当たり、被災地の抱える課題の解決に直結する取り組みを着実に実施するとともに、復興のステージの進展に応じて生じる新たな課題に迅速かつ適切に対応するための予算として、東日本大震災復興特別会計に総額一兆八千百五十三億円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、被災者支援については、被災者支援の取り組みを一体的に支援するとともに、福島県の避難指示解除区域等における医療提供体制の再構築の支援等に必要な経費として千百二十四億円を計上しております。

 第二に、住宅再建と復興まちづくりについては、住宅再建に関する事業の進展等を踏まえつつ、復興まちづくりを進めるほか、復興道路、復興支援道路の整備等に必要な経費として七千六百九十八億円を計上しております。

 第三に、産業やなりわいの再生については、観光復興や水産加工業の販路回復の取り組みを継続するとともに、新たに被災地、特に三陸沿岸部の人材不足に対処するための施策や、農林水産業を含めた原子力災害被災地域の産業、なりわいの再生に向けた支援に必要な経費として千五十二億円を計上しております。

 第四に、原子力災害からの復興再生については、住民の帰還促進や生活の再構築に向けた支援を実施するとともに、新たに帰還困難区域の復興拠点整備や帰還困難区域等からの避難者への生活支援、加えて、汚染廃棄物等の適正な管理等に必要な経費として八千二百九億円を計上しております。

 なお、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁予算に加え、震災復興特別交付税交付金や復興債の償還及び利子の支払いに必要な経費など八千七百四十二億円を計上しており、全体では二兆六千八百九十六億円を計上しております。

 以上、平成二十九年度の復興庁予算の概要について御説明申し上げました。

 何とぞよろしくお願いいたします。

西村主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席いただいて結構です。

    ―――――――――――――

西村主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 平成二十九年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十九年度予算においては、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、国民の生命、身体、財産及び我が国の領土、領海、領空を守る態勢を強化するため、「平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成二十六年度〜平成三十年度)」に基づく防衛力整備の四年度目として、統合機動防衛力の構築に向け、引き続き防衛力整備を着実に実施することとしております。

 具体的には、各種事態における実効的な抑止及び対処並びにアジア太平洋地域の安定化及びグローバルな安全保障環境の改善といった防衛力の役割にシームレスかつ機動的に対応し得るよう、統合機能のさらなる充実に留意しつつ、必要な事業を計上することができたと認識しております。

 特に、警戒監視能力、情報機能、輸送能力及び指揮統制・情報通信能力の向上を重視するほか、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、ゲリラ、特殊部隊による攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動等への対応を重視するとともに、技術的優越の確保、防衛生産、技術基盤の維持等を踏まえたものとなっております。

 平成二十九年度の防衛関係費の一般会計歳出予算額は五兆一千二百五十一億四千八百万円となり、前年度の当初予算額に比べ、七百九億九千九百万円の増となっております。

 継続費の総額は、平成二十九年度潜水艦建造費で七百九十九億三千九百万円となっております。また、国庫債務負担行為の限度額は、武器購入、航空機購入、弾薬購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で二兆一千三百四十四億六千二百万円となっております。

 また、東日本大震災からの復旧復興に係る経費を平成二十九年度一般会計とは別途、東日本大震災復興特別会計に歳出予算額百二十八億四百万円を計上しております。

 これをもちまして平成二十九年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

西村主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま稲田防衛大臣から申し出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席いただいて結構です。

    ―――――――――――――

西村主査 復興庁所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。秋本真利君。

秋本分科員 自民党の秋本真利でございます。

 質問をさせていただきます。帰還困の除染についてお伺いをいたします。

 まず、大前提として初めに申し上げますけれども、私は、帰還困の除染については懐疑的な見解を持っております。特に、それを国民負担でやるということがこれからこの国会で決まっていこうとしているわけですが、これは本当に正しいのかということについて疑念を持っております。

 自民党の部会でも、私は常々発言をして、反対をしてきました。重大な懸念を示してきました。しかしそれが、自民党から官邸に出され、閣議決定をされ、今回国会に出てくるということでありますので、その中で確認し切れなかった点等について、この場を使って改めて確認をしてまいりたいというふうに思います。

 福島復興の再生特措法では、拠点をつくって除染をして、そこに人を呼び戻す、そういうところをつくっていくんだということになるわけですが、ここに、例えば何年までにどのくらい戻すんだというような目標について入れるのかどうかということについてお伺いをしたいというふうに思います。

    〔主査退席、石崎主査代理着席〕

今村国務大臣 特定復興再生拠点区域を整備するに当たりましては、今つくっております法律の中にも挙げますが、帰還する住民の数でありますとか、それからいろいろな、区域あるいは意義、目標、計画の期間等々、そういったものを約九項目にわたって記載して、きちんとやっていくということで考えております。

秋本分科員 今、入れるという御答弁でしたけれども、その数値目標については、余り低過ぎてもよろしくない。それだけのお金を投入して、国民の税金を投入して、何だ、それっぽっちの人数かということではいかぬわけでありますし、逆に、過大な計画をつくって、過大な措置をとって、そこに十分な人間が帰ってこなかった、目標に掲げた人数が帰ってこなかったということになれば、これはこれでまた逆によろしくないわけでありまして、計画の目標数値の定め方というのは非常に重要なんだろうというふうに思いますが、平成二十七年度の復興庁の住民意向調査では、戻りたいというふうに答えた割合が一一とか一二とか一三とか低いんですよね。解除したところでの帰還率なんかを見ても、一桁というようなことになっているわけです。

 だから、除染したとしても、帰ってもいいですよという形になったとしても、なかなか帰還が進まない。それには、地域ごとにいろいろな事情があって、前提が違うんだろうというふうに思いますが、数字だけ見ると、思ったほどというような形が実際正直なところなんじゃないかなというふうに思います。

 だから、この数字を見ても、帰還困の除染をして復興拠点をつくって、本当にその目標数値が達成できるんだろうかというのは非常に疑義があるわけですね。国民の税金を使ってそれをやる以上、福島の復興再生だったら何でも許されるぜという話じゃないと思うんですよ。きちっと歯どめをかけなきゃいけない。

 そういう意味では、例えば地元に負担を求めるであるとか、あるいは、その数値を達成できなかった場合は、次の計画を定めてさらに地域を拡大していく。例えば、戻らないのはこうこうこういう事情があるから、第二弾としてこういうことをやらせてよというようなことがあってはいかぬと思うんですよ、これは国民の税金を使ってやるわけですから。ですから、先が見えないような形で計画が、数値も達成できないでずるずると、どんどんどんどん拡大していきますみたいな話ではいかぬだろうと思うわけですね。

 今申し上げたとおり、地元負担であるとか、あるいは達成できなかったときの、言葉はちょっときついですけれども、達成できない場合の責任を一定程度、計画を策定した自治体にも負っていただくというような考え方がないと、歯どめがきかぬのではないか、私はそう思っているわけであります。

 これについてはどのように考えていらっしゃいますか。

今村国務大臣 この地域にはぜひ帰ってきてほしいなというふうに思っております。そのために、足がかり、手がかりになる拠点をまず整備しようということですね。

 そして、今委員から、まだ帰りたいという人の数が少ないじゃないかという話もありますが、これはやはり、その地域が今後どういう地域になっていくのか、あるいは、いろいろな生活環境整備がどういうふうに整備されて、そしてまたいろいろな働き場がどういうふうにできてくるのかというビジョンをある程度示すことがまだできていないようなところもあるから、帰ろうかな、帰るまいかなということで迷っている方がかなり多いということであると思っております。

 ですから、そういう意味でも、この拠点をきちんとやって、さっき言ったいろいろな要素を勘案しながら、地元の意見を聞きながら、そしてまた、我々が見て大局的な判断から組み合わせて、そういったものを決めていきたいと思います。

 そして、これは、これで決めたからもう完全にリジッドだ、固定だということではなくて、やはりその状況に応じて、場合によってはこれを拡大したり、あるいは、どうもだめだなと思ったらそこは見直しをするとか、そういった形で進めていきたいなというふうに思っています。

秋本分科員 改正特措法に基づく除染をすると、その除染をどういうふうに除染するのか、除染特措法のようにやるのかどうかということもちょっとよくわからないですし、その除染したものを仮置き場に持っていきますみたいなところまでは多分再生特措法でやるんでしょう。では、その仮置き場から先、どこに持っていくのと。

 仮に、その持っていく場所が、特措法で持っていっている中間貯蔵施設なんかに持っていきますよというふうになったときに、どこで除染特措法の方の適用に切りかわるのかとか、あるいは搬出方法、運搬方法、あるいは、除染特措法の方は今議論をして、再生土壌として使わせてくれというような話も進んでいるわけですけれども、再生特措法に基づいて出た除去土壌についてはどうするのか、再生特措法のままいくのか、それともどこかで除染特措法に切りかえて、再利用の方針も除染特措法に基づく形の方に乗っかっていくのかというようなことがどうなっているのか。

 切りかわるとすると、予算も切りかわるわけですよね。お金の出どころが特会であるとかあるいは国民負担というような形で、ちょっとお金の出どころも違うわけですから、どこが分水嶺になるんですかということもあるわけですが、この辺、ちょっと事前にお伺いしたところではまだはっきりしていなくて、これから決めますみたいな話だったんですが、どうですか。

小川(晃)政府参考人 改正福島特措法に基づきます除染によって発生した除去土壌をどこに搬入するのかという一番最初の御質問でございますけれども、この改正特措法に基づきまして行います帰還困難区域内の除染によって発生します除去土壌の搬入先につきましては、これまでの除染土壌と同様に中間貯蔵施設に搬入するということも一つのやり方として念頭に置いておりまして、こういったことも含めて、帰還困難区域を含む福島の復興が進むように検討を進めてまいります。

 ただ、この改正案では、市町村が帰還困難区域の復興拠点の整備計画を策定して、これを国が認定するという仕組みになっております。このため、具体的には、市町村が策定する計画によりまして除染などの事業の対象や規模が明らかになるということでございますので、こういった除去土壌の搬入その他の取り扱いにつきましては、こうした計画の策定状況を踏まえて詳細に検討してまいりたいと考えております。

秋本分科員 つまり、今私が冒頭で言ったとおり、これから考えていきますよ、自治体が出してくる計画にも中身にもよるからこれからなんですという話でしたが、さっきの話に戻ると、これから何もかも決まりますというものに国民負担で税金を投入するぜということだけは決まっているわけでしょう。そうすると、それはどこまでやるのかということによって額が変わってくるわけですよ。

 今、審議官が、これから決めますという話をしたけれども、例えば、帰還困の除染については、モデルケースでもう平成二十三年ごろからやっていますよね。そうであれば、モデルケースでやって、そこにそれだけのお金をかけてやってきたわけだから、データはあるわけでしょう、おおよそこういう感じですという話が。これからまさに初めてやりますという話じゃないわけだと思うんですよ。だったら、その数字を使っておおよそでも、例えばこのケースだったら、ここまで再生特措法でやったら幾ら、ここまでだったら幾ら、ここまでだったら幾らというのを出して、一定程度全体のボリュームを示さないといかぬと思うんですよ。

 国民の税金をここに突っ込むんですよ。これからどこまで何をどうするかも決まっていなくて、予算も決まっていませんというものに税金を突っ込むんですか。だから、これがおかしいと言っているわけです、私が言っているのは。

 そこまでやってやるのに、どこかで歯どめをかけるシステムがなかったら、これは無尽蔵に、国民の皆さん、税金で負担してくださいと言っているのと同じだと思うんですよ。いつから自民党はこういうばらまきみたいなことをやる政党になったんだろうと私は部会でも言いましたけれども、おかしいと思うんですよね。

 やはり、どこまでやります、こうこうこうです、だからこのぐらいかかりますよということで、一応国民の理解もいただいた上で進めるということであればいいんですが、ちょっとその辺がいかがなものかなというふうに思っております。

 モデルケースがあるわけだから、それを使って試算できるんじゃないのということも含めて、予算をきちっと、全体ですよ、来年度の予算じゃなくて、来年度の予算も含めて全体でこのぐらい、国民の皆さん、負担する可能性がありますよということを示すべきだと思いますが、示せないんですか、どうですか。いかがですか。

小糸政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘にありました全体の規模という点でございますが、まさに今後、この法改正を踏まえて、具体的な復興拠点の範囲ですとかそういった事業規模、これを各市町村において計画を策定していただくというのが先に来るということでございまして、現状では、全体の総額の規模というのは私どもとして見通せていないという状況にあるということを御理解いただきたいというふうに思っております。

秋本分科員 大臣、モデルケースで除染をやっているわけですよね、帰還困の除染は。だから、一定程度の数字があると思うんですよ。自治体からの計画というのはもちろんわかります。でも、その出てきた段階で、では、この計画に基づいてやったらおおよそこのぐらいだよねという数字を、まず全体像を私はどこかで示すべきだと思います。それをやらないと、さっきみたいな話で、先が見えないものに税金だけ投入するということを決めるのかという話になるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。

 ですから、そこについては、一定程度自治体からの計画が出てきた時点で、どこまでが再生特措法でどこからが除染特措法なのかという線引きをして、きちっとここまでで、モデルケースなんかを使って試算した場合、大体こうですよという数字を示してください。

 何でかというと、環境省さんは、中間貯蔵に対してパイロット輸送をかけていたときに、我々国会議員に説明した、おおよそ来年このぐらいかかりますよという予算が、ふたをあけてみたら三〇〇%になっていました、五〇〇%になっていましたとやっているんですよね。これは行革本部で取り上げて今度やりますから、自民党でも。そういうことをやっている省庁なんですよ。

 その省庁が、今みたいな話で、これからだからよくわかりませんという話では、例えば数百億円、数千億円と言われて、今の時点でもおおよそいろいろな人が推計してこのぐらいかかるんじゃないのと言ったのが、ふたをあけてみたら一兆円、二兆円になっていましたなんということになったら、国民負担ですよということを先に決めているわけだから、これは後から請求書を回しますというような話で、私は、もう国民に対する裏切り行為に近いというふうに、ちょっと言葉はきついですが、あえて言っておきます。

 ですから、そういうことがないように、実際あるわけだから、パイロット輸送で、そういうことにならないようにしっかりとやっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、先に進みますけれども、放射線の影響安全性評価検討ワーキングで議事録の削除があったのではないかという報道がありました。

 これはJAEAが事務局を務めていて、関係省庁あるいは有識者の方々が入って議論をしているわけでありますけれども、山本大臣も会見で、発言のポイントのみを記載した会議概要だから、その削除があったということは事実です、だけれども、大きな中身については変更がないんだから、そんなにというような話を会見でされていたようでありますが、行政文書の管理に関するガイドラインというものがあって、経緯を含めた意思過程を合理的に後づけて検証することができる文書を作成するべきだというふうにガイドラインがあるわけですよね、公文書は。

 これに基づいて、経緯、経過をきっちりと、なぜそうなったのか、なぜ八千ベクレルになったのか、なぜ何千ベクレルになったのかということを事後で検証できるように文書を作成しなければならないはずであるのにもかかわらず、そこの発言部分を落としていましたというのは、これは隠蔽としか言いようがないと言われても仕方がないような形なんじゃないかなというふうに思っています。

 JAEAが事務局として作成したものを環境省が手に入れて、それを見た段階でこれは完全に公文書ですよね。だから、これについては、私が今言ったような懸念もぜひしっかりととめおいてもらいたいなというふうに思いますが、少なくとも、発言自体が削除されたという事実があるのかないのかだけ、端的にちょっとお伺いいたします。

小川(晃)政府参考人 ワーキンググループの議事録、議事メモの件でございます。

 まず、こういった会議の議事の取り扱いでございますけれども、平成十一年の閣議決定に基づきまして、審議会等については正確な議事録を作成し公表するとなっておりまして、その他の懇談会等につきましては、これは行政運営上の意見交換の場であるということに留意した上で、議事要旨や議事録の公開等の措置を案件に応じて講じてきております。

 御指摘のワーキンググループにつきましては、こういったことで逐語的な議事録の作成が義務づけられているものではありませんけれども、会議における議論の参考とするために各回の会議の発言の概要をまとめて資料を作成しておったものでございます。

 こういった会議の概要を作成する過程におきまして、一言一句の議事録ではなくて要約するということで所要の要約が行われることとなります。ですから、全体のものではなくて、全ての発言を網羅したものではなくて、記載されていないものもあるということでございます。

 そこで、御指摘の発言につきましては、そういった要約作業の中で、会議に必要なポイント等の観点から整理したものと承知しております。

 いずれにつきましても、この要約作業につきましては、今回、情報公開請求がされる前に通常の業務として整理をして、既に会議の概要が作成されてあったものでございまして、これを、開示請求がございましたのでそのまま提出したということでございます。

秋本分科員 一月五日付の毎日新聞で、環境省さんの役人が、強引に我々が議論を誘導したみたいに思われる発言になっているが、削ったかもしれないし、覚えがないというかよくわからぬというコメントをしているんですね。悪質きわまりないじゃないですか、こんなことを言うということ自体が。

 今いろいろとおっしゃっていたけれども、JAEAが作成してきて環境省さんに回った時点でこれは公文書でしょう、皆さんが見た時点で。意思過程がわかるように残せと言っているわけですよ、ガイドラインでは。意思過程がわかるわけでしょう、八千ベクレルがどうのこうのと環境省さんが発言したという発言は。それを削除するというのは隠蔽以外の何物でもないですよ。それでは意思過程がわからないじゃないですか。

 何で八千ベクレルになったのかというのは、規制庁なんかは懸念を示していたということが、記事ベースですけれども出ていますよ。懸念を示しているにもかかわらず、八千ベクレルにしようぜと言ったのは環境省なわけでしょう。その発言が、要は、規制する側の規制庁であるのにもかかわらず推進しているような発言をしているから、問題だから削ってくれと言ったわけじゃないんですか。そういうふうに捉えられてもおかしくないじゃないですか、削除しますというのは。JAEAから環境省に行って国家公務員であるあなたたちが目にした瞬間に、それは公文書じゃないんですか。

 これは情報公開請求されているということですけれども、必ず開示してください。デジタルデータなんだから、ありませんというのは通用しないと思いますよ。今、ほかの省庁でも似たような案件で問題になっているけれども、きちっと開示をしなきゃこれは大変な問題になるというふうに思いますので、私の方からも開示を強く要請しておきたいというふうに思います。

 環境省さんは規制官庁なんだから、推進するようなことをやっちゃだめですよ。これからこの先でも質問しますけれども、そういうところが私の中にはちょっと懸念がございます。

 ちょっとお伺いをしますけれども、汚染状況重点調査地域なんかに、うちの地元、千葉県の中の市町村も指定をされていたりとかするわけですが、そういう地域等あるいは福島なんかで汚染土壌を、例えば一度剥いだものを持っていく前に仮で埋めておくとかいろいろあるわけですね。そうすると、その土地でも、民民でそういう土地の取引が通常今でも行われているんだろうというふうに思いますが、不動産取引等で必要となる宅建業法で義務づけられている重要事項説明にこの汚染土壌については含まれているかどうか、国交省にお伺いをしたいと思います。

    〔石崎主査代理退席、主査着席〕

海堀政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの除去土壌についてでございますが、宅地建物取引業法に規定する重要事項説明の対象にはなっておりません。

秋本分科員 土地の形質を変更するときや汚染土壌の搬出時に届け出を義務づけるのは、私人の持っている権利を制約しますよね。営業権も財産権も制約をする。だから、土壌汚染対策法では、法律で位置づけてこれを届け出て、何かそうじゃないことをやったときは罰則までついているわけでしょう。これは、私人のそういう権利を侵害している、侵害しているというか侵しているから、だから法律で決めて、罰則がある。

 当然、除染特措法だとか再生特措法で出てきた土を再利用しますというときは、この土対法と同じような形できちっと追いかけていって、形質の変更やあるいは搬出をしたりとか何かあったときにきちっと届け出をする、それに何か瑕疵があったときは、何かあったときは罰則まで設けますよというときは、法律で決めなかったらできないと思うんですよ。私は、これはしっかりやるべきだと思いますよ。

 例えば、百七十年間なんという話も出ているわけでしょう、上に覆土しても百七十年ぐらいしないと減衰しないよねと。百七十年間も時間がかかるんだったら、そこまできちっとして、土対法みたいに各自治体や何かにまで全て義務づけて、業者に対する罰則も設けて、きちっと追いかけていくという作業をしなかったらいかぬと思うんですね。

 これは法律じゃないとできないと思いますよ。政令でやるというようなことを考えていないでしょうね。法律でやるんですか。政令でやるつもりですか。ちょっとお答えください。省令、どっちか。

小川(晃)政府参考人 まず前段の、除染した土壌を現地で保管しているというところの御指摘でございますけれども、市町村等が除染をいたしまして現地保管等されているフレコンバッグ、土壌につきましては、その図面等を作成して、それを閲覧できるようにするということが法律で定められております。

 このため、先日、環境省としましても、除去土壌等が適切に保管されるように、関係自治体に宛てまして、除去土壌等が保管されている土地の所有者、宅地建物取引業者等に対して、汚染の特措法に基づきまして作成されたこの図面等の閲覧ができるという旨をこういった方々に周知するように通知をしたところでございます。

 今後とも、情報の伝達が適切にされるよう、この徹底を求めつつ、除去土壌の管理や安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。

 後段の御質問の、再生利用された場合の土壌の管理でございますけれども、除去土壌の再生利用につきましては、昨年の六月に、福島県内から発生した除去土壌を対象としまして、再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的な考え方というものをお示ししたものでございます。

 この中で、公共事業など安全に管理されるものにつきまして再生利用を進めていくという考え方を示したものでございますけれども、この基本的な考え方を踏まえまして、今後、実証事業ですとかモデル事業等を実施しまして、放射線に関する安全性の確認ですとか御指摘の具体的な管理の方法についてどうすべきかという検証を行うこととしております。

 この検証の中で、具体的に再生資材の使用場所ですとか使用量、放射能の濃度などに関する記録をどのように作成して保管するということにつきましても検討してまいりたいと思いますので、これを踏まえまして必要な仕組みをつくってまいりたいということでございます。

秋本分科員 私が聞いたことに長々と、全然答えていないんですけれども、法律ですか、省令ですかと聞いているんですよ。端的な質問なんですよ。

 それで、除染特措法に措置命令があるから、何か省令とかガイドラインで定めて、そうじゃなかったら措置命令を出しますよみたいな話はだめですよ。さっきも言ったとおり、私人の権利を制限するわけだから、それは法律に基づかなきゃだめでしょう。

 さらに、今まで措置命令を出したことないですよね。悪質な手抜き除染だとか倉庫で火災が発生しましたというようなこと、いろいろな事例があっても措置命令を出していないと思うんですよ。そういう弱腰なわけだから、法律で担保してもらわなかったら、とてもじゃないけれども怖くて任せられません。

 法律でやってもらいたいと思いますけれども、法律できちっと定めるということについてどのように考えているか、お答えください。

小川(晃)政府参考人 再生利用をどうするかということにつきましては、先ほど申し上げました基本的考え方を示したところ、これに基づきまして、具体的にどのような主体がどのようにするかということを詰めてまいりたいと思いますので、その中で、必要な措置をどうするかということについても検討してまいりたいというところでございます。

秋本分科員 きちっと法律で定めていただきますように、強くここの場でお願いをしておきます。

 日印原子力協定、最後お伺いをしますが、CSC条約に基づく拠出金を超えるような原発事故の損害については、インド国内の原賠法の六条に基づいて中央政府が通知で上限額を変更することが可能だというふうに私は思っていますけれども、これは可能ですか。それとも不可能ですか。いかがですか。

四方政府参考人 お答え申し上げます。

 インドの原子力賠償法第六条は、個別の原子力事故の賠償責任の上限額は三億SDR、または、中央政府が通知によりさらに高い額を定めることができる旨規定をしております。

 また、同条に定められている事業者の賠償責任の額につきましても、中央政府は、その額を見直し、より高い額を定めることができる旨規定をしております。

秋本分科員 そうなんですよ。だから、とんでもない、例えば福島級の事故が起きたというときに、中央政府が上限を上げることができるというふうになっているわけですよね。

 そうすると、それはリスクがあるじゃないですか、我々こちら側としては。日本から出ていく企業、あるいは日本だけじゃなくても、協定で結んでいる世界の各国がやったときに、その上限をインドの中央政府が後で幾らでも変えられますよというふうになっているんですよ。

 しかも、いろいろなあれがあるけれども、こういう状況の場合は何年、こういう状況は何年といって、例えば人の健康に影響するような場合だったら二十年となっているわけでしょう、原発の運転が終わってから。四十年、二十年延長して六十年。二十年といったら八十年先まで追っかけられるんですよ。

 そういう可能性、変更して、上限額に基づき請求をしてくるかもしれないという可能性があるのかないのか。一%でもあるのかどうか。あるのかないのかについて端的にお伺いをしたいと思います。

四方政府参考人 お答え申し上げます。

 インドの原子力賠償法には、賠償責任は原則として事業者が負いますが、契約に明記される場合等一定の場合には、事業者が供給者等に対し求償権を行使できる旨の規定があるところ、これに該当する場合には供給者の賠償責任も生ずる可能性がございます。

 ただし、インドは昨年、事業者に賠償責任を集中させることを原則としました原子力損害の補完的な補償に関する条約、CSCを締結しているため、インドの関連国内法令はCSCに適合した形で運用されるものと理解をしております。

 CSCを締結している我が国といたしましても、必要があれば、民間企業とともに、インド政府がCSCに適合する形で原子力賠償制度を運用するように働きかけてまいりたいと思います。

秋本分科員 働きかけてまいりたいと思います、最後がそこだったんだけれども、CSCでどうのこうのと一回目の答弁のときもあった、中央政府が上限を上げられると一回目も答えていますけれども、だから、リスクがゼロじゃないでしょうと言っているわけですよ。リスクがゼロじゃない以上、どういうふうになるかわからないわけですよね。そのリスクがあるということについて、私は非常に重大な懸念を持っているということをお伝えしておきたいというふうに思います。

 もう時間がないので、最後にもう一度言っておきますけれども、再生特措法、除染特措法で、再利用も含めて、あるいは運搬だとかいろいろこれから行われていくわけでありますけれども、先ほど申し上げたとおり、やはり底なし沼じゃいかぬと思うんですよね。だから、国民の負担でやる以上しっかりと枠を設けてもらいたい、あるいは法律でしっかりと定めてもらって、その土がどこまで行くのかということも追っかけていくということが必要だと思いますので、強くお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

西村主査 これにて秋本真利君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西村主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。中村裕之君。

中村(裕)分科員 おはようございます。北海道第四区選出の衆議院議員、自民党、中村裕之でございます。

 加藤大臣におかれましては、安倍政権の一丁目一番地である働き方改革、しかも最大のチャレンジともおっしゃっているその政策課題に、先頭に立って担当大臣として取り組んでいることに敬意を表しますし、大きな成果を上げることを私も期待している一人でございます。

 その中でも最重要課題であります同一労働同一賃金について、まず伺っていきたいと思うんです。

 私の地元にはニセコリゾートというエリアがございまして、世界一のパウダースノーを求めて世界じゅうから観光客の方が押し寄せている状況にあります。

 それだけではなくて、世界から投資が集まっているんですね。世界の投資家がそのすばらしい環境に目をつけて、ホテルやコンドミニアムがどんどんとオープンをしている状況にありまして、そのためにベッドメークやお部屋の清掃をするパートの主婦の方が足りない状況になりまして、今、時給千三百円を超えるようになりました。北海道内でも、ハローワークごとに見ても、有効求人倍率がピーク時では二・三倍とかという数字になりまして、北海道最高の有効求人倍率なんですね。北海道の最低賃金というのは七百八十六円ですから、千三百円というと一六五%というようなことになるわけです。

 こういうように、競争的な労働市場では市場原理によって賃金が決められるわけですから、賃金の低い企業から高い企業にどうしても労働移動が起きていって、賃金格差が自然に解消されて、同一労働同一賃金というのが実現されていくというのが普通の姿なんだと思うんですけれども、我が国では、従来の終身雇用というような影響もあって、労働市場が流動化されていないという面がまだあるんだと思うんですね。ここを解消していくというのが、第一に加藤大臣も考えられていることだと思うんです。

 加えて、我が国の賃金決定の特徴として一つ指摘されているのが、正規社員を中心に構成する労働組合と使用者側が協議をして、交渉して賃金を決める、この際に、非正規の方々が余り重きを置かれない傾向があって、非正規の方々には最低限のことだけやっておけばいい、これが労使ともに暗黙の了解のように、労使自治の原則というふうに横たわっていて、それがゆえに、諸外国に比べて非正規の賃金水準が低いという状況ができているんじゃないかという指摘もあるわけです。

 私は、その指摘を考えたときに、今、政府が進めている働き方改革に関する会議においても、正規社員を中心とする労働組合と使用者側がこの同一労働同一賃金についても協議をしているということになると、非正規社員の皆さんの賃金水準について置き去りにされてしまうのではないか、そういうような危惧を覚えているわけであります。

 非正規社員の賃金水準の向上に向けて政府としてどのような取り組みをしていらっしゃるか、考えていらっしゃるかについてお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 非正規で働いている方といわゆる正規で働いている方について、どうしてこういう形で賃金格差が生まれているのかに対しては、いろいろな議論があるんだろうというふうに思います。

 ただ、実態として、そこに、他の欧州諸国と比べて、時給当たりの単価で見たときに、フルタイムで働く方とパートタイムで働く方の格差が、欧米ではフルタイムの方が一〇〇に対してパートタイムの方が九〇とか八〇に対して、我が国は六〇以下ということでありますから、中身を一律に比較はできない、いろいろな事情はありますけれども、やはりかなり格差がある。

 そして、これは、市場原理に任せていればおのずと是正されていくというものでもないんだろう、こういう認識の中で、我々はやはり同一労働同一賃金ということに踏み込んでこれを議論していく必要がある、こういう認識の中で、昨年九月から働き方改革実現会議においてこの問題も取り上げて、議論をしていただいているというところでございます。

 委員御指摘のように、このメンバーの中に、まさに御自身が非正規で働いているという方が入っているわけではありませんけれども、非正規雇用労働者の待遇改善に実績がある企業の実務家の方などには入っていただいていますし、もちろん、労働や経済の専門家にも入っていただいています。もちろん、労働界の代表にも入っていただいています。

 加えて、車座というのを、総理を囲んで車座でいろいろお話を聞く機会を今回も四回ほど設けました。そのうちの一回には、非正規で働いている女性の皆さんに集まっていただいて、現場の生の声を直接お伺いさせていただき、そうしたことも含めながら先般のガイドライン案を作成させていただいた、こういうことでございます。

中村(裕)分科員 車座の際に非正規の方々の意見を聞いて反映をされているということでありますので、今後も、欧米が八〇から九〇に対して我が国は六〇%もいっていないという状況を大きく改善できるように取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、一つ提案になりますけれども、ヨーロッパでは、職種ごとに労働組合が編成をされているというふうに聞いています。その職種ごとの労働組合が、その職種の産業団体のトップと最低賃金などの賃金水準について交渉して決定をする。トラックの運転手さんの労働組合は、全国のトラック協会の皆さんと、経営者の皆さんと決めるということになると思うんです。

 職種ごとの労働組合というのは、我が国の企業ごとの労働組合とは大きく形態が違うわけでありますけれども、ある意味、職種ごとに最低賃金が決められて、標準の賃金も決められるということになろうと思います。

 そういう仕組みというのは、同一労働同一賃金という我々が目指す目標に、すごく合理的で、いい仕組みだなと私は思うんですが、我が国でもこうした仕組みを取り入れていく方向で検討してはどうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 労働組合について規定をしております労働組合法では、労働組合の自主的な結成や組織化ということを尊重しておりまして、どのような労働組合を結成するのかということについても、労働者の方の意思に委ねられるべきものというふうに考えております。

 ただ、一方で、今御議論がございましたように、非正規労働者の方が労働組合に加入することは、待遇改善に資するものというふうにも考えておりまして、厚生労働省におきましては、引き続き都道府県と連携をしながら、自主的な労働組合の結成などに関する情報提供などに努めてまいりたいというふうに考えております。

中村(裕)分科員 今、厚生労働省の方から労働組合のあり方について答弁がありましたけれども、労働組合の結成に関して政府が関与するということにはならないのかもしれませんが、職種ごとに、同じ職種の方が、どんな勤務体系であっても賃金水準がきちんと決められていくというようなあり方というのは、我が国でも追求する必要があるのではないかというふうに思うわけでありまして、ぜひそうした視点も加藤大臣の方で取り入れていただきながら進めていただければとお願いを申し上げます。

 働き方改革に関して、大手の名刺管理サービス会社がこの一月に実施をした調査によりますと、企業が、政府の働き方改革に呼応して、独自に働き方改革ということで労働時間の短縮などに取り組んでいるようでありますが、そのことによって業務に支障が出ているかという問いに対して、支障が出ているという回答がそれなりにあったんですが、最も多い回答が、帰宅後のサービス残業がふえた、会社からの仕事の持ち帰りですね、これが四五・八%になっております。退社の時刻が早まっても、自宅に仕事を持ち帰ってサービス残業をやっているようでは全く意味がないんだというふうに思うんですね。

 しかし、このような見えない残業対策というのは非常に何か難しいというふうに思うんですけれども、どのような検討をなされているか、お伺いしたいと思います。

土屋政府参考人 自宅に持ち帰って仕事をするということについて、これが労働時間に当たるかどうかという点につきましては、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、労働者の方が自宅に仕事を持ち帰って業務を行った場合であっても、使用者の明示または黙示の指示があったという状況が認められる場合には、これは労働時間に当たるというふうに考えております。

 このような労働時間の考え方については、本年一月二十日付で、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインというものを策定いたしまして、このことを明記したところでございます。

 今後、私どもとしては、このガイドラインのもとで適正な労働時間管理が行われますように、あらゆる機会を通じまして、使用者の方に周知をし、また指導をしてまいりたいというふうに考えております。

中村(裕)分科員 使用者の方々が適正に労働時間を把握するためのガイドラインが発出されているということでありますけれども、それは第一歩だというふうに思いますが、私は、こうした見えない残業対策も含めて、社会が変わっていく必要があると思っているんですよね。

 労働者の健康や生活の満足度を最優先にした働き方改革を進めるべきだと思っているんですけれども、そのためには、企業内の取り組みにとどまらないで、社会全体が変わっていくべきだと思っております。

 例えば、現在、政府が進めている、ゆう活を社会全体に広げるような取り組みが必要だと思っているんです。そうすることによって、会社と自宅の往復ばかりの生活をしているような方が、ゆう活のような活動をすることによって、さまざまな第三者が勤務実態というものに気づくチャンスが生まれるということだと思うんですね。それが、社会全体での、ある意味の監視機能というかチェック機能につながるというふうに考えております。

 そうした社会変革をもたらすための一つのツールとして、サマータイムの導入というのが私は有効だと思っているわけです。

 そこで、整理の意味で、フレックスタイム制度とサマータイム、それぞれの定義について確認をさせていただきたいと思います。

土屋政府参考人 フレックスタイムとサマータイムについてのお尋ねがございました。私の方からは、フレックスタイムについての定義を御説明申し上げたいと思います。

 フレックスタイム制とは、始業時刻と終業時刻を働く方の決定に委ねるという制度でございまして、これによって、働く方々は生活と仕事の都合との調和を図りながら効率的に働くことができるようになるというものでございます。

 具体的には、労使協定で、一カ月以内の一定の期間、これは清算期間と称しておりますが、この清算期間中の総労働時間などを定めておきまして、その中で、働く方が、総労働時間の範囲の中で、各労働日、働く日の労働時間を自分で決めるということができる制度でございます。

吉田政府参考人 サマータイムについてお答え申し上げます。

 サマータイムとは、太陽の出ている時間帯を有効利用するという目的で、一日の日照時間が長い期間、例えば四月から十月において、国内の、あるいは地域の標準時刻を、例えば一時間程度進めるという仕組みであるというふうに承知しております。

 以上です。

中村(裕)分科員 今それぞれ答弁があったように、全く違う概念でありまして、ゆう活ですとか、プレミアムフライデーも今週から始まるようですけれども、そうしたものがフレックスタイムを活用した一つの取り組みだというふうに思いますけれども、サマータイムとなると国単位というようなことが中心になろうと思います。

 サマータイムは、欧米では広く導入されているというふうに承知をしておりますが、OECDの三十五カ国でいうと実施状況がどうなっているか、お伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 政府として、あるいは行政として正式に調査した直近のデータはないんですけれども、内閣官房として我々が種々状況を把握しているところによりますと、三十五カ国中三十一カ国で実施されているというふうに承知しております。

中村(裕)分科員 そうなんですね。三十五カ国中三十一カ国で導入をされているということで、日本と韓国とロシアと、あと一カ国だけが導入をしていないという状況ですので、ある意味、先進国で、特に高緯度の国については、ほとんどの国で導入をされているわけであります。

 こうしたサマータイムについて、我が国では導入をされていないというところでありますけれども、政府はどのようにこの制度を評価しているのか、お伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 一般論になりますけれども、サマータイムというのは、年間の日照時間の変化の大きい高緯度の諸国で主として実施されているというふうに承知しております。

 ただ、一方、我が国は、当然のことながら、北海道から沖縄まで東西南北で広がっておりますので、例えば、九州あるいは沖縄の方では日の出の時刻がどうしても遅いということがございます。このような地理的条件等を考慮すると、サマータイム制度については、やはりこの辺が重要になってくるのではないかというふうに考えております。すなわち、地理的条件を考慮しながら、もし実施するしないについて検討する場合には、その要素が非常に重要になってくるのではないかというふうに認識しております。

中村(裕)分科員 南北に長い、その地理的な要素ということですけれども、日の出が遅くても暖かいよねというのもあると思うんです。

 ただ、我が国においても、過去にはサマータイムの導入について検討した経過もあろうと思うんですが、その検討はどのような状況だったのか、確認をさせていただきたいと思います。

吉田政府参考人 先ほどの若干繰り返しになりますけれども、やはり地理的な条件というものが非常に大きな要素となっております。

 したがって、実施するというふうな方向での検討というのは確かにあったというふうには認識しておりますけれども、まず現実的に何を一番最初にできるかということで種々検討した結果、現在、明るい時間の活用ということで、ゆう活を国民運動として平成二十七年から展開しているというような状況でございます。

中村(裕)分科員 過去に、CO2削減ですとか省エネとか、そういう観点からもサマータイムの導入について検討されたというふうに私も認識をしておりますが、そのときに、始業時間が一時間早くなって終業時間も一時間早くなるというわけですけれども、現実には終業時間が変わらなければ、労働強化、勤務時間が長時間化することにつながるんじゃないかという大きな懸念もあったというふうに承知をしております。

 しかし、働き方改革を進めることによって、こうした懸念は、私は払拭できるんだろうというふうに思うんですね。そういう働き方改革を進めている今だからこそ、数年後のサマータイムの導入というのが非常に効果的だというふうに考えるわけであります。

 例えば二時間標準時間を前倒ししたときに、今、午後七時に帰宅をしている人が、現実には二時間早まりますから今の時間の午後五時に帰宅をできるということは、相当余暇を楽しむというか、夕方の時間を有効に活用するという動きにつながるわけであります。

 例えば、友達と一緒にテニスに行く約束をする、しかし、その約束が仕事の都合でできなくなれば、お断りの電話をすると、あんたの会社はまだそんなことをしているのかいということになるでしょうし、スポーツクラブの予約をして、やはり行けなくなった、また仕事が延びましたとなると、ここの会社はよくないねというようなことにつながっていくということが、社会全体での労働時間のチェックにつながっていくというふうに私は思っています。そういう意味では、フレックスタイムではチェックがきかないわけですから、サマータイムの導入が有効だ、そういう趣旨の提案でございます。

 しかし、仮にサマータイムを我が国が導入するとしても、例えば金融機関のシステムですとか、そうしたところが対応できなければこれは無理な話なんですが、そういったシステムの対応というのは可能なのかどうか、金融庁の方に確認したいと思います。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本におけるサマータイム制の導入につきまして、大手の金融機関にヒアリングしたところでございますけれども、システム対応の可否が大きな論点になるという、委員御指摘のとおりでございますけれども、現時点では、日本全体として対応の検討が行われているわけではございませんので、その影響範囲が必ずしも定かではないということから、対応ができるかどうかについては今時点で確たることを申し上げることはできないというのが大手の金融機関の見解でございます。

 他方、大手金融機関は海外に拠点をたくさん持っておりまして、そういうところでは既にサマータイムが導入されておりまして、そこでは特に支障なく適切に対応しているものと承知しております。

 したがいまして、十分な周知、準備期間が得られれば、仮に日本でサマータイム制が導入されるということになった場合においては、基本的には対応はできるのではないかと考えております。

 いずれにしても、日本全体としてサマータイム制の導入が検討されるということになった場合には、我々といたしましては、導入に当たっての課題等について業界と議論を深めてまいりたいというふうに考えてございます。

中村(裕)分科員 準備時間があれば対応可能だと。特に、そうですよね、グローバル企業ですから、海外では対応しているということはそのとおりだと思います。

 今回、この予算委員会分科会で質問するに当たって、サマータイムの導入を提案したいと思っておりました。サマータイムについて質問したいということを申し上げましたら、今、政府内でサマータイムについて担当している部署はどこにもないということでございます。

 これは、私、意外でしたし、しかし、私は、働き方改革を進める中で、このサマータイムの導入は、今、企業や観光庁が個々に取り組んでいるゆう活、夕方の時間を有効に活用して豊かな人生を送るという趣旨を国民全体に広げることができる非常に有効なツールであると思っているんです。この検討さえも始められないということなんですよ、担当する部署がないんですから。それではやはり非常に問題があるというか、私は、ぜひこの検討は進めるべきだというふうに今思っているんです。

 特に、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックが開催をされるわけですけれども、そのときには世界じゅうからお客様も訪れますし、その方々が日の長い時間帯を有効に活用していただけるということにもつながります。活動の豊富さや消費の拡大にももちろんつながりますし、心配しているマラソンの開催時刻にもいい影響を与えられると思うんですね、余り気温が上がらないうちにマラソン競技を始めて、大体ゴールも余り気温が上がらないうちに終えることができるですとか。

 もちろん、省エネやエコという観点からも、二〇二〇年にはぜひこのサマータイムを導入すべく政府としても検討すべきというふうに私は思っているところでありますけれども、政府の考え方についてお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 先ほどの繰り返しになって恐縮ですけれども、やはり日本という地理的な条件を考慮させていただきながら、どういうふうなことができるかということ、あるいは、検討している担当の部署がないという先生の御指摘も踏まえて、夏というのは日照時間が非常に長いということもあり、二〇二〇年に向けてどのようなことができるか、ゆう活の充実も含めて検討してまいりたいと思います。

中村(裕)分科員 加藤大臣、大変議論を聞いていただきましてありがとうございます。

 もし加藤大臣の方で、働き方改革を進める上で、私は企業内だけの取り組みでは不十分だと思っているんです。やはり社会全体がチェックし合えて、なおかつ個人個人が豊かな生活を、金銭的ももちろんですけれども、生活スタイルとしても豊かな生活ができるような社会の変革が必要だと思っていまして、それには非常にサマータイムというのは有効な手段だというふうに思っています。

 ぜひ加藤大臣におかれましては、こうした議論もお酌み取りいただいて、政府の中でまた議論する機会があれば取り上げていただくようにお願いを申し上げます。

 もし一言でもコメントをいただければ、よろしくお願いします。

加藤国務大臣 実は、私、官房副長官のころ、ゆう活を議論させていただきました。そのときに、やはり、今委員御指摘のオリンピック、特に、ちょうど日本のすごく暑い時期であります、そういうときにサマータイムを導入することによって、もう少し早朝の、それほど暑くないときから競技が開催できるのではないか、そんなような声も聞かせていただきました。

 ただ、今、政府側から説明を申し上げましたように、やはり、例えば沖縄を考えたときに、サマータイムを導入すると暗い時期から学校に行かなきゃいけないとか、そういったようなこともあるので、それよりは、まずはゆう活をやっていくべきか。

 そして、もう一つは、委員御指摘のように、フレックスタイムもそうでありますけれども、やはり豊かに生きていく。人生をどう、働くことだけではなくて、より自分の趣味や生きがいに合った形で使っていくのか、そういったことを問い直す機会という意味においても考えていくべきであろう、それは全くそのとおりだと思っております。

 したがって、サマータイムという形がそのままかどうかは別として、委員御指摘のように、より国民一人一人がその人生を、あるいは一日一日をいかに有意義に過ごしていくためには、どういう仕組みやどういう形の啓発も含めてやっていくべきなのか、また、特に、先ほどありましたオリンピックというものもあります、そういったものに対してどう対応すべきなのか、個々具体的な御指摘をいただきました。

 したがって、サマータイムとして議論するかというのは直ちにお答えできるわけじゃありませんけれども、今おっしゃられた視点に沿っては、政府においてしっかりと、例えばオリンピックでいえば丸川大臣のところも含めて、また、働き方ということにつながれば私のところを含めて、議論をしていくべきそうした課題だろう、こういうふうに思います。

中村(裕)分科員 加藤大臣、ありがとうございます。大変しっかりと受けとめていただいたコメントだというふうに思います。

 今後の政府の取り組みに大いに期待をして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

西村主査 これにて中村裕之君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西村主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本三成君。

岡本(三)分科員 おはようございます。公明党、岡本三成です。

 質問の機会をいただきました。本当にありがとうございます。また、きょうは、加藤大臣に加えまして、総務省から原田副大臣、文科省から樋口政務官、御多忙の中お越しいただきまして、ありがとうございます。

 きょういただきました三十分で、全体といたしまして子供の貧困対策、撲滅について御質問させていただきたいと思います。

 残念なことに、先進国のトップの一つである我が国、子供の貧困大国になっておりまして、いわゆる子供の貧困率、平均的な所得の半分以下の所得で暮らされている十八歳未満のお子さんの割合は過去最悪になっておりまして、一六・三%、御存じのとおり。特に一人親家庭では五四・六%と、何と半分を超えているような状況であります。近年、特にこの比率が高まっておりまして、OECDの調査の中でも我が国の比率、順位はだんだん悪くなっておりまして、今ではもう半分以下のところに来てしまっているんです。

 初めに、この現状、何が原因で子供の貧困が増加しているというふうにお考えになっていらっしゃるか、加藤大臣に御答弁いただければと思います。

加藤国務大臣 今御指摘がございましたいわゆる子供の相対的貧困率で見たときに、二〇一二年まで傾向的に上昇が続いてきているところでございます。

 先般、別の統計でありますけれども、全国消費実態調査ではそのポイントが少し下がっているということはありますけれども、それに加えて、就学援助の対象者が公立小中学校の児童の約一五%に上っている、あるいは、生活保護世帯や一人親家庭等の子供の大学等進学率が全世帯平均と比べてかなりの差がある。

 こういうことを考えると、やはり、子供の貧困ということに対してしっかり関心を持ち、その対策を進めていかなければならない、こういうふうに考えておりますし、また、子供の貧困対策というのは、次の時代を担う子供たちのことに係るわけでありますから、まさにそうした対策というのは未来への投資ということでありますので、これは国のみならず、さまざまな、地方公共団体等とも連携しながら、しっかり取り組むべき課題だということを認識しております。

岡本(三)分科員 今大臣がおっしゃったとおりで、子供の貧困が教育の機会にも直結をしておりまして、一人親家庭の場合に、高校に行く割合は実は二人親家庭と変わらないんですが、大学になりますと、二人に一人が大学に行く時代に、一人親家庭ですと四人に一人しか行っていないという状況ですので、やはり直結した問題だと思います。

 今、子供の未来応援交付金という交付金をつくっていただきまして、これは、平成二十六年に子どもの貧困対策の推進に関する法律を施行して、同年八月に大綱をつくっていただいているわけですけれども、現在、補正で、六十五の自治体に対して二億四千万円交付をされまして、その地域の子供の貧困の状態の実態調査が行われております。

 これは大切なスタート地点なんだと思うんですけれども、六十五の自治体というのは、日本全国の自治体の中でいうとほんの一部ですので、この調査の結果をまとめていただいて、そして全ての自治体で共有をし、実態調査をやっていないところでも、自分の自治体の状況と重ね合わせて、どういう施策をとっていくかということを、首長や議会の皆様に対して情報を提供する一助となればいいというふうに思っているんですが、この実態調査の取りまとめ、その後の情報共有等をどのように御準備されているか、お聞かせください。

加藤国務大臣 今御指摘ありました地域子供の未来応援交付金、これは平成二十七年度補正予算で計上させていただいたところでありますけれども、御指摘のように、六十五の自治体、約二億四千万を交付決定しております。そして、今後、各自治体においてこの交付金で実施された内容について報告をいただいて、それを取りまとめ、我々としても公表していきたい、こういうふうに思っております。

 また、そもそも、この未来応援交付金そのものは、金額からいっても全ての自治体に同時にということではなくて、むしろ、先駆的な取り組みをしていただくことによって、そこからさらに広げていきたい、こういう思いで進めているわけであります。

 そういった意味でも、今回の交付金を活用した実態調査等の事例、調査項目の分類や選択肢を含む設問の具体的な事例、こういったものを周知する、これは既に内閣府のホームページに掲載をしております。また、自治体向けQアンドA、採択事例集の提供等の改定も行って、できるだけわかりやすく事例集をつくりまして、それぞれの自治体で活用していただきたいと思いますし、また、平成二十八年度の補正でも計上していただいておりますから、こういったものもより使い勝手がよくなるように。

 これまでは、実態調査をして計画策定をして先駆的な取り組み、こういう段階を踏んでくれという話をしたんですけれども、そうではなくても対応できる、そういったこともすることによって、この交付金をより活用していただき、また、そこに積み重ねられた成果をほかの自治体にも提供していくことによって、こうした貧困に対する、あるいは地域の子供を応援していく、この取り組みがいろいろなところで展開していけるように努力をしていきたいと思います。

岡本(三)分科員 私、議員になりまして五年目に入りますけれども、最近、政府は本当にすばらしいなと思っていることがありまして、それは、この実態調査もそうですが、調査するというのは手段ですよね。以前は、何か調査が目的になっていたような調査もたくさんあったように感じていたんですが、調査をしたことを手段として、それを改善のためにどういうふうに活用していくかということも、かなり先進的に取り組まれているようなケースが多いと思いますので、今大臣がおっしゃったように、実際に先駆的な取り組みとしていろいろな情報の共有をしていただけるように、さらに御尽力いただければと思います。

 そして、今認識を共有していただいたこの子供の貧困の状況を改善するために、政府のみならず、民間の方もボランティアベースでいろいろなことをお取り組みいただいております。

 マスコミ等でも話題になっている一つに、子供食堂というものがありまして、私も先日、地元埼玉県吉川市の子供食堂に視察に行かせていただきました。雨が降っている日で夕刻だったんですけれども、お子さんたちがたくさんいまして、本当に、食事をする笑顔もすばらしいですし、その後にそれがコミュニティーとなって、お子さんたちがいろいろな話題を深めて友情関係を結んでいるのにすごく感激したんですね。

 子供食堂、当然、御自宅の経済状況が厳しいお子さんのときもありますし、または、お母さんまたは御両親が働きに行って一人で食事をとるような方、いろいろな方が来られるわけですけれども、民間の方のさまざまなボランティア精神は本当にありがたいなと思ったんです。

 ちなみに、この吉川の子供食堂というのは、社会福祉法人が運営しているんですね。社会福祉法人は、社会福祉法人の中で例えば特養等をやってビジネスをやっています。一方で、完璧にボランティアベースでこの子供食堂もやっていらっしゃるので、聞いてびっくりしたんですけれども、本業の方で補助金を受けているがゆえに、同じ法人の一角として完璧ボランティアベースでやっているこちらには補助金を申請する対象としての権利もないというようなことでございます。一つの法人で一つみたいです。ですから、そういうことも実は、難しいでしょうが、実態を見ながらお取り組みいただきたいんですね。

 ここで一つの、外出しでNPOでやっていない理由は、いろいろなお金がそれでもかかるんですね。そのかかるのを自腹を切ってやるために、何かないといけないということで、その法人のトップの方がそういうふうにやっていただいているんです。

 ただ、今この吉川の子供食堂がどうなっているかというと、食材も全部ボランティアなんです。

 例えば、スーパーマーケット等は、いろいろなことがありますので、お店からいただくというのは難しいので、農家の方を一軒一軒回って、農家の方が、その日自分の畑でとれたようなものを持ってきてくださるんですね。つくっていただいているお母さん方、もう子育ても終わられたようなシニアな方が多かったですけれども、全員ボランティアベースで、その方々が地域の農家を回っている。朝、そこの店に行きますと、店の前に置いていただいている食材を見て、きょう何をつくるかというのを決めていらっしゃるんです。

 びっくりしたのは、調味料等はありませんので、それはそこのボランティアの方々の自腹です。鍋も自腹です。いろいろなことを自腹でやりながらやっている中で、この方々がやっていらっしゃるのは国が取り組むべき子供の貧困対策の一環であるがゆえに、形はどうかはわかりませんけれども、何らかの支援はしていきたいなと率直に思ったんです。

 この子供食堂、今全国に、報道ベースだと三百ぐらいはあるんじゃないかというふうに言われているんですけれども、これをどういうふうに国の施策とマッチングをさせながら拡大をしていくか、支援をしていくか、または必要ないのかということを含めて、子供食堂の実態がどうかということをぜひ御調査いただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 私も、昨年の四月に都内で子供食堂をやっておられるところを拝見させていただきまして、本当にさまざまな子供さん方がそこに来られて、地域の方々のボランティアによってそれが運営されている。

 しかも、この子供食堂というのは、単に食事を提供するだけではなくて、まさに居場所であり、あるいはいろいろな方がそこで相談をしたり、本当にさまざまな機能を有している場所だなということを認識しているところでございます。

 今、子供食堂の輪を広げるための連絡会として設立されたこども食堂ネットワークというのがありますけれども、そこによりますと、現在約二百の子供食堂がこのネットワークに加盟をされている。そして、多分実際はその倍ぐらいではないか、こういうお話を聞かせていただいております。

 先ほど申し上げたように、子供食堂というのは本当に多様性があります。その活動を一義的に決めるというのはなかなか難しいわけでありますし、実際、届け出等が必要なものでもございませんので、正確な件数を把握するというのはなかなか難しいんじゃないかなとは思っております。

 ただ、我々としては、先ほど申し上げた、子供食堂にそれぞれ視察に行く、あるいは、こども食堂ネットワークが主催するこども食堂サミット、あるいは各都道府県で開催されている、「広がれ、こども食堂の輪!全国ツアー」、こういったさまざまなことに参加することで、現場の声というものをしっかり耳にしていきたいというふうに思っております。

 今後とも、そうしたさまざまな機会を通じて、各地域で子供食堂が果たしている役割や、あるいは、運営されている方が、先ほど社会福祉法人のお話がございましたけれども、どのような悩みを抱え、課題を抱えているのか、そして行政、これは国のみならず地方公共団体を含めてどんな役割を果たしていくべきなのか、そういったことについて、数としての実態というのは、先ほど申しましたように難しいわけでありますけれども、内容といいますか、そういったものについての実態把握に努めて、効果的な支援、また、そうした子供食堂がそれぞれ積極的に展開していただけるように対応していきたいと思います。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 その上で、こういうふうな支援の形を模索されてはいかがでしょうかという御提案が幾つかありますので、ぜひ聞いていただいて、可能であればお取り組みいただきたいんです。

 例えば、内閣府、文科省、厚労省が日本財団とともに行っております子供の未来応援基金という基金があります。この基金の内容を見ると、その目的が、例えば子供食堂の運営等に関して支援をしていくような形も十分に考えられると思うんですけれども、残念ながらこの基金は社会福祉法人は対象外なんですね。

 ですから、こういうところもちょっと緩めていただきながら、または、社会福祉法人じゃない形で運営されております子供食堂もありますので、この基金を子供食堂に御活用いただける可能性というのはどのようにお考えかということを御答弁いただければと思います。

加藤国務大臣 今御指摘のありました子供の未来応援基金は、民間の企業や個人の方々から、草の根での民間の活動を支援するために寄附をお寄せいただいているものであります。

 昨年、全国各地で八十六のNPO等の団体に対して約三億一千五百万を交付させていただき、その中には子供食堂も含まれておりまして、さまざまな支援活動は既に始まっているところでございます。

 したがって、これらの団体には、子供食堂の運営に関するノウハウの提供や、行政との連携を通じて応援のネットワーク、これは、これだけでというよりも、これが一つのきっかけになって、地域においてまたそれを支えていこう、こういった動き、こうした応援のネットワークを積極的に構築していただきたいと期待をしているところでございます。

 今御指摘のありました子供の未来応援基金においては、もちろん金額的な制約がありますけれども、引き続き来年度においてもこうした活動を支援していきたい、こう思っております。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 大臣、もう一つ。昨年、休眠預金活用法が制定されました。私もこの議連のメンバーとして携わらせていただいて、これが成立したことは大変すばらしいんですが、この活用法の第十七条に、公益に資する活動、この資金の活用の目的、その一番目に掲げていますのは、子供及び若者の支援に係る活動です。

 この休眠預金の活用につきましても、ぜひこのような子供食堂にも活用いただけるようにお取り組みいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 休眠預金等交付金と呼んでいるわけでありますが、に係る資金の活用のあり方については、休眠預金等活用審議会の審議を得て策定される基本方針などにより定められ、実際の支援対象は公募を通じて決定される、こういう仕組みになっているところでございます。

 今お話ございました、先般成立をしていただきました休眠預金等活用法においては、活用対象となる公益に資する活動として三つの分野が規定をされております。子供食堂を行っている事業への支援は、三つの分野のうち、一般的には、子供及び若者への支援に係る活動か、あるいは、日常または社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動に該当し得るのではないかと考えております。

 休眠預金等交付金に係る資金の活用先として、当然検討の対象にはなり得るものだろうと思います。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 先ほど、さまざまな子供食堂の状況の調査も、できる範囲で考えていきたいという御答弁をいただきましたけれども、そのようなときに、その対象先に、このような休眠預金の活用に関してチャンスがあるかもしれないというような、そういう情報提供もしていただけるような御尽力をいただければと思います。

 加えまして、この子供食堂、きょうは原田副大臣に総務省からお越しいただいておりますけれども、宝くじの売り上げが各自治体に配分されるわけですけれども、宝くじの公式サイトを見ますと、例えば、そのうち三九・八%の約三千六百億円は地域の公共事業等に使われますというふうに書いているんです。公共事業等の等をさらにクリックしていきますと、そこにこう書いてあります。収益金の主な使途として、高齢化、少子化対策云々なんですが、少子化対策、高齢化も含めまして、宝くじの、地域の収益の利用道としてうたっているということは、これもまた地域の工夫で、地域が決めていけば子供食堂等にも活用できると認識していいのか。

 もしそうであれば、もちろん総務省が各自治体に指示をするようなことはできませんけれども、情報を共有しながら、こういうことにも活用ができるというふうに認識をしておりますとか、実際に活用されている自治体の例をさまざまな機会を通して自治体の首長の方に共有するとか、そういう御尽力をいただけないかというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

原田副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、宝くじは、都道府県及び政令市を発売団体として、地方財政法及び当せん金付証票法に基づき、地方財政資金の調達のため販売されているものでございます。

 その収益金は、各団体の貴重な自主財源であります。収益金の使途につきましては、地方財政法及び総務省令に基づき、公共施設の整備を初め、文化、福祉、災害対策などの分野において幅広く活用されているところでございまして、お尋ねの貧困対策については、総務省令で定める特定非営利活動等の地域における社会貢献活動に係る事業等に該当し得るので、発売団体が収益金を活用することは可能であると考えております。

 しかし、宝くじの収益金は地方の自主財源であり、発売団体の自主的な判断が尊重されるべきものであることから、総務省から特定の事業に充てることを指導する性質のものではないことは御理解いただきたいと思います。

 活用しておる自治体等もあることも承知をいたしておりますので、そのことも生かしていただきたいと思います。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 原田副大臣への質問は以上ですので、もし委員長、御容赦いただければ御退席いただいても結構でございます。ありがとうございます。

西村主査 原田副大臣、御退席いただいて結構です。

岡本(三)分科員 ちょっと時間の関係もありますので、御質問の内容を私のコメントにかえさせていただきたい部分を一つ。

 一つは、内閣府でつくっていただいております子供・若者白書というものがございます。役所の方に伺いまして、これをつくっている目的は何ですかと聞きましたら、これはつくらなきゃいけないと決められているからつくっているんですというふうにお答えをいただきましたけれども、これは、つくることが目的ではなくて、この現実を認識しながらどういうふうに改善をしていくかということが目的なんだというふうに思っているんですね。

 それで、子供・若者というふうに冠をつけたときに、最も国民の方が今懸念をして、そして興味があることが、先ほどの貧困対策、それが一つではないかと思うにもかかわらず、こんなに分厚い、何百ページ、三百ページぐらいある中で、子供の貧困に対応して書かれているのは八行ぐらいです。

 実は、いろいろな調査をしていないかというと、していまして、ホームページ等で調べますと、物すごいいろいろなところに、いろいろな情報やデータがあります。

 私は、少なくとも、これほど国民の大きな、懸念があるような、または改善したいという思いがあるところですから、この白書の中に、物すごいセクションをつくって、そこにまとめて、問題提起をしていただく。または、別出しにして、子供の貧困対策白書みたいなものをつくってもいいぐらいなんだと思っているんですね。そのことを、時間の関係で、これは指摘だけさせていただきたいというふうに思います。

 そして、ちょっと質問の順番を間違えましたけれども、一番初めに申し上げたかった、ただ、こういうことを共有した後でよかったんですが、国が全部やる前に、親がやることがあるだろうということなんです。それは、養育費を払っていない親が多過ぎるという問題であります。もちろん、子供を社会全体で支えていこうという気持ちはありますけれども、一義的には親がしっかりと面倒を見るべきなんだと思うんですね。

 離婚されるときに、お母さんがお子さんを引き取るケースが約九割です。この九割のうち、養育費の取り決めを離婚時にやっていらっしゃるところは、どんどん比率が、これは内閣府さんの取り組みもあって上がってきておりまして、ある調査では、足元、六割ぐらいの離婚する御夫婦が養育費の取り決めをやっている。五年前はこれが三割ぐらいでしたので、急速に上がっています。

 ただ、現実は、これも厚労省の調査ですけれども、実際に、養育費の取り決めをして今も受け取っていると答えているのは一九・七%、離婚して四年以上たって現在も受けていると答えた人は一五・六%。要は、取り決めをしても払ってくれないんですね。

 実際は、お父さんが例えば自己破産したとしても、債権債務関係は養育費には起きません。調停を起こせば、全部、資産まで取り押さえられるようなことになっているんです。

 このためにすごく努力していただいておりまして、法務省は、「子どもの健やかな成長のために」ということで、離婚したらこういうふうな問題が起きますので養育費をぜひ取り決めてくださいということで、各自治体の窓口に離婚届を受け取りに来たお母さん方に積極的にこれを渡しています。ですから、調停をすることが、そういう取り決めをする比率が急激に上がってきているんです。

 けれども、実際は、取り決めをしてもお父さんは払わないんですね。払える人も払っていません。払えない状態でも、自己破産したって払わなければいけないというのが法律なのに、払っていないんです。

 養育費の取り決めをした後に実際に払ってもらえる数字を高めるためにどういう取り組みをしていくかということなんです。アメリカやカナダですと、養育費を払わなかったら、自動車の運転免許証を更新してもらえません、パスポートも発行してもらえません。それぐらい強い気持ちで、子供に対する親の責任、子供の未来を開こうとしているのに、日本は実際に養育費を払ってもらえる取り組みが甘過ぎるんじゃないかと思うんです。

 ぜひ、政府の中で今後取り組んでいきたい、数字を上げるために何をやっていこうかというお気持ちがあれば、その施策の内容を教えていただければと思います。

    〔主査退席、石崎主査代理着席〕

小川(秀)政府参考人 まず、法務省としてお答えいたします。

 一人親家庭などの貧困が社会問題化しておりますことから、平成二十七年十二月、政府の子どもの貧困対策会議において、すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクトが取りまとめられ、その中の施策として、先ほどもお話がありましたように、パンフレット、合意書のひな形の作成、離婚届書の用紙をとりに来られた当事者の方への、離婚届書の用紙と同時に、これらの交付の取り組み、こういったことを始めております。パンフレットと合意書のひな形につきましては、ホームページに公開するとともに、政府広報を通じた周知活動を行っております。

 法務省といたしましては、これらの取り組みによりまして、離婚届書に養育費の取り決めをしているとチェックした者の割合を約七〇%まで高めることを当面の目標としておりまして、引き続き、ただいま申し上げましたような形で、関係府省、自治体と協力して啓発活動に努めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 その養育費の取り決めの数字は、すごく実績が上がっているので、七〇%をぜひ目指してほしいと思うんですが、要は、取り決めをした人に必ず払わせるというような施策をどうつくるかだというふうに思うので、これはぜひ御検討いただければと思います。

 時間が五分になりましたので、樋口政務官に最後に御質問させていただきたいんですが、これは去年も質問いたしましたけれども、義務教育の給食の無料化。

 去年、文部科学部会で質問したときには色よい答えはもらえませんでしたけれども、義務教育は無償というのが基本的な憲法の考え方であり、教科書は昭和三十八年までは有料でしたが、それを我が党の柏原参議院議員の質問によって、私の子供たちは、教科書が昔有料だったことも知りません。それがすばらしいと思うんです。十年後、二十年後に振り返ってみると、十年後、二十年後の子供たちが、昔は給食代って払っていたんですかという国にしたいんですね。それは子供の貧困の撲滅の一つにもなりますし、子供の栄養状態をよくしていくこと、または一億総活躍、少子化防止、全てにつながっていくと思います。

 ただ、現実には四千五百億もかかります。そんなに簡単じゃないことはよくわかるんですね。できることからやっていきたいと思うんです。

 例えば、小学校だけだったら三千億でできます。今、自治体で、五十五ぐらいの自治体が、首長の決断で小学校、中学校の給食を無料化にしています。そこだけ全部合わせますと約十八億円ぐらいです。きのうは、群馬県渋川市が、人口八万人にもかかわらず、義務教育の給食無料化を発表しました。大変なことだと思うんですね。

 例えば、自治体に全部任せるんじゃなくて、本来は国がやることですから、自治体が無償化にするような取り組みをしているところは、半分は国が補助しましょうとか、自治体の首長がもっと積極的に地域の税金の使い道としてこれを考えるインセンティブを与えるようなこと。

 具体的に取り組むのはまだまだ難しいのはわかっていますが、この問題意識を共有していただいて、文科省の中で今後どういうふうにお取り組みいただけるかということをぜひお答えいただければと思います。

樋口大臣政務官 まず、岡本議員が学校給食の無償化について熱心に取り組んでいらっしゃるということに対して敬意を表したいと思います。

 学校給食に要する費用、経費については、御案内のとおり、学校給食法の定めにより、給食施設、設備整備費や人件費は学校の設置者が負担をしております。残りの食材費を保護者が負担しているところでございます。

 この保護者負担については、一部の自治体において、それぞれの地域の事情に合わせて無償とする取り組みを実施していると承知をしています。文部科学省としましても、この無償化している自治体について調査を、今年度末を目途に取りまとめていきたいというふうにまず思っています。

 これら一部の自治体における取り組みは、子育て支援や地域の活性化に資するものであると考えられますが、無償化に向けた国の財政的な支援についてはさまざまな意見があるとともに、財源の確保、学校給食を実施していない学校もあります、こういう生徒さんとの公平性などの課題もあります。

 このため、文部科学省といたしましては、御指摘の財源支援については慎重に検討をしていく必要があるというふうに考えておりまして、まずは、小中学校における学校給食の実施率の向上と、学校給食の普及と充実に努めてまいります。

 ありがとうございます。

岡本(三)分科員 そうなんだと思うんです。不公平が出てはいけません。

 けれども、小学校では学校給食は九九・一%です。中学校で八八・一%ですから、要は、第一歩、小学校だけでもいいです、ほぼ一〇〇%ですから。そうすれば不公平感はなくなっていくと思いますし、現実的には、教科書の無料化のときにも同じような議論がありました。けれども、結局は、やはり将来への投資、未来への希望ですから、子供の教科書はということで、財源を確保して、これも、三年以内にというふうに昭和三十八年に言われましたけれども、実際実施するまではさらに長くかかっています。

 給食も一緒なんだと思うんですね。どれぐらい国が子供に対して光を当てるか。これは樋口政務官もよく御存じのように、OECDの中で、経済力に対して子供に対する予算を使っていないびりが我が日本であります。要は、設備投資や研究開発をしていないような企業と同じようなことで、どんどんどんどん未来が暗くなってくるというふうに思いますので、ぜひ力を入れてお取り組みいただければと思います。

 では、以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

石崎主査代理 これにて岡本三成君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方分科員 民進党、緒方林太郎でございます。

 きょうは、三十分、加藤大臣、よろしくお願い申し上げます。

 第一委員会室のこの場に立つとファイティングスピリットが物すごく燃え上がるわけでありますが、きょうは決してそういう感じではございませんので、よろしくお願いいたします。

 まず、働き方改革の中で同一労働同一賃金という言葉がございます。何をもって同一労働となすのか、そして、何をもって同一賃金となすのかというのは、これはなかなか難しいなと思ったんですが、私、もともと外務省の条約課出身で、少しアプローチが変わっておりまして、こういうことについて決めている国際条約はないのかなというふうな視点から探してまいりました。そうすると、なかなかいいものが出てきまして、同一価値の労働についての男女の労働者に対する同一報酬に関する条約、ILO第百号条約というものでありますが、日本も締結しております。一九六七年だったと思いますが、かなり古い条約であります。

 そこで、もちろん、日本が締結しているということですから、何らかの形でそれは国内で実施をされている、それはもう当然のことであります。そうすると、何らかの形で、かつて、そして今も、同一価値の労働ということと同一報酬ということについて、国際条約の視点から何らかの解釈が導き出せるんじゃないかというふうに思います。

 まず、外務省にお伺いいたします。

 このILO第百号条約におけるところの同一価値の労働、そして同一報酬というのは何を指すというふうにお考えですか。

森政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のILO第百号条約でございますけれども、この条約では、第一条の(b)におきまして、同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬というのを一つの用語として、性別による差別なしに定められる報酬等をいうという形で定義しております。

 他方で、同一価値の労働及び同一報酬という言葉についての定義は定められておりません。これは、実は一九五一年のILO総会で、ILO第百号条約、これが採択されるまでの交渉過程において、同一価値の労働の定義を行うことは困難であるという判断がなされまして、最終的に、この条約の規定の中に定義規定が置かれなかったという経緯がございました。

 このように、条約の交渉過程において関係国間で一致した定義を置くに至らなかった用語について、今この時点で、締約国間で一致した定義も存在しない中、条約の一締約国である我が国が一方的に解釈を表明することは適当でないと考えております。

緒方分科員 せつない答弁が返ってくるわけでありますが、実は、質問主意書でも似たような答弁が返ってきておりまして、条約の交渉過程につきましては、後で資料をよろしくお願いします。

 そうすると、同一価値の労働についての男女の労働者に対する同一報酬という言葉全体で、それが何を意味しているかというと、先ほど言った、性別による差別なしに定められる報酬率をいうという言葉で書いてあります。いろいろこれを詰めていくということも意義のあることかなと思います。

 一つだけお伺いさせていただきます。

 性別による差別がないということですが、これは、合理的な差別については許容されている、そういう理解でよろしいですか、外務省。

森政府参考人 少なくとも、この条約の条文上、合理的な差別を許容するかどうかという規定もございませんし、この場でその解釈を申し上げることは困難かと考えます。

緒方分科員 ということは、ほとんど何の解釈も加えていないということでありまして、単に、今外務省が答弁したことは、条約でこの固まりがこういうふうに定義をされています、では、その定義について、それはどういう意味ですかということについてはわかりませんということだったんですね。本当にそれがいいのかどうかということについては、また別途やらせていただきたいと思います。

 ただ、この条約、すごくいいことがたくさん書いてあります。中身を見ていると、これが本当に全部実現できているのであれば、男女の性別による差別とか、報酬においてそういう差別があるとかいうことはほぼ解消しているのではないかというふうに思えるぐらいの、なかなか立派なことが書いてあります。

 この百号条約にあわせて勧告も出ておりまして、この勧告はさらに詳細に書いてありまして、これもしっかりやっているということになれば、本来、男女の賃金格差というのは生じないはずであります。しかし、現在、働き方改革においてもいろいろな形で、やはり同一労働同一賃金の中にいろいろなケースを盛り込んでやっておられるんだと思いますが、ILO百号条約の国内実施のみでは足らざるところがあったということなのかなと思うんですね。

 本当に、これが全部実現できていればほぼパーフェクトと思えるようなものがある、そして、それを国内で実施していると言っているにもかかわらず、それでもまだ検討せざるを得ないという状況が、やはりこれまでの日本の取り組みの中で足らざるところがあったということではないかと思いますが、これは外務省ですかね、内閣府ですかね。外務省でよろしいですか。

森政府参考人 ただいま、足らざるところがあったかどうかという国内実施に関する御質問だったかと思いますが、外務省といたしましては、国内で十分に実施いたしましたかどうかということは、判断できる立場にございません。

緒方分科員 それでは、内閣府でも厚生労働省でも結構ですが、御答弁いただければと思います。

吉本政府参考人 御指摘にありましたとおり、日本はILO百号条約を批准しておりますので、男女の賃金格差の解消に向けてさまざまな取り組みをさせていただいております。

 現在のところ、短時間労働者を除くところの一般労働者、男性労働者を一〇〇としたときに女性労働者は七二・二%といったところで、その格差の解消に向けましては、日本の賃金制度を想定いたしますと、やはり勤続年数を長くしていくということ、それから、課長であるとか部長であるとか役職を上げていくということ、その二つの要因が非常に大きいということがありますので、先般、女性の活躍推進法という法律を通していただきましたので、それに基づきまして、企業の格差解消に向けた、勤続年数を長くしていく、やめなくてもいいようにしていく、それからまた女性の昇進を後押ししていくといったような取り組みをやっているところでございます。

緒方分科員 余りよくわからない答弁でありましたが、恐らく世界的には、こういう理念というのは昔から、早い段階から進められてきたんだけれども、それを国内で実施するという取り組みにどうしても十分なところがなかったということだと思います。なので、加藤大臣、ぜひ頑張っていただければと思います。

 それでは、質問を移したいと思います。

 子育て支援ということについていろいろ考えたときに、先般、国会の事務所に総務省の行政評価局の勧告が配付をされてまいりまして、読んでおりましたら、なかなかいいことが書いてある。「子育て支援に関する行政評価・監視 子どもの預かり施設を中心として」という勧告でありました。

 まず、私の方からコメントを加える前に、どういう行政評価・監視を行い、勧告を出したのか、総務省から御答弁いただければと思います。

古市政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の行政評価・監視は、子供の預かり施設の効果的な整備等を図る観点から、市町村における子ども・子育て支援に関する計画の作成状況や施設の整備等の状況を調査し、内閣府及び厚生労働省に対して平成二十八年十二月九日に改善を勧告したものでございます。

 具体的には、次の三点を勧告しています。

 一点目は、市町村における支援計画の作成についてでございます。市町村は、保育需要を見込んだ上で支援計画を立て、施設整備を進めていますが、住宅開発等の情報や市町村域を超えた施設の広域的な利用状況等が計画に反映されていないなど、子育て支援の潜在的な需要の把握が不十分な事例が見られました。このため、より正確な需要把握に基づく計画の作成を市町村に要請することを内閣府に勧告したところでございます。

 二点目は、二歳児までを預かる小規模保育施設等の整備の推進についてでございます。

 小規模保育施設等には卒園児の受け皿となる連携施設を確保することが求められていますが、市町村の支援が不十分で連携施設の確保が進んでいないものや、連携施設が確保されていても、施設間の距離が離れていることから、卒園後に連携施設に入所していない事例が見られたところでございます。

 このため、連携内容が実行されやすく、保護者が利用しやすい連携施設の確保に向けて、市町村が小規模保育施設等に対して支援を行うよう要請することを厚生労働省に勧告したものでございます。

 三点目は、待機児童数の公表についてでございます。

 厚生労働省が調査、公表している待機児童の数について、育児休業中のものを待機児童数に含めるか否かが市町村によって分かれているなど、市町村間の横並びでの比較が困難となっている状況が見られました。

 このため、厚生労働省の調査について、待機児童数の範囲の明確化を図った上で、これに沿った集計結果の提出を市町村に要請するとともに、待機児童数から除外される入所保留児童がいる場合にはその内容をあわせて公表することを厚生労働省に勧告したものでございます。

 御指摘の勧告の概要は以上でございます。

緒方分科員 この総務省の勧告というのは、総務省設置法に基づいて行われるもので、法令に基づく、最終的には非常に強い権限でそれを実施するようにということも可能な、非常に重要な勧告であったと思います。

 今、需要をきちっと把握すること、そして連携施設の確保をきちっとやること、さらには情報提供の情報の中身がどうも全国的に差があって、横並びでの比較が困難だと。

 私も、昨日夜、テレビを見ておりましたら、ニュース23だったと思いますけれども、待機児童はいないけれども保留児童はいるとか、そして、認可の保育園に入れていなくても、無認可に入っている方はそもそも待機に入らないとか、育休をとっている方が待機に入らないとか、そういったことをやっていて、それは某大きな市でありましたが、待機児童ゼロだと思って来たら全然状況が違った、情報がおかしいではないかと、まさに、ここの行政評価局が言っていることと軌を一にするような報道も昨晩私は見せていただきました。

 そういったことを踏まえて、これから内閣府の方でこの勧告に応えていくということでありますが、これは総務大臣から加藤大臣の方に勧告が来ていると思います。そして、厚生労働省の方については塩崎大臣の方に勧告が来ていると思います。これから勧告を返していくということなので、最終案というのはこれからだということはよくわかっておりますが、この勧告を踏まえて、内閣府として、そして厚生労働省としていかに対応されるか、御答弁いただければと思います。

加藤国務大臣 今御指摘がありました総務省からの勧告を受けているところでございます。特に私のところは、適切に施設整備を進めるために需要の的確な把握が必要だ、そういった観点に係るわけでありまして、子ども・子育て支援を担当する大臣としては大変重く受けとめているところであります。

 現在、市町村の計画策定、これは子ども・子育て支援法に基づく基本方針において、その作成に当たっては、保護者に対する利用希望調査等を行い、教育、保育の量の見込みを推計し、具体的な目標設定を行うこと、各年度の教育、保育の量の見込みを定める際には、必要に応じて、地域の実情を踏まえた社会的流出入等を勘案することができること、都道府県が広域的な観点から市町村間の調整を行うことなど、お示しはしているところでありますけれども、今回こうした勧告も受け、また来年度が、五年を計画期間としているこの市町村計画の中間年に当たって、ちょうど見直し作業に入っているところでございます。

 先般、一月二十七日に、施行後における保育認定等の状況を踏まえた量の見込みを算出すること、都市開発部局と十分に情報共有、連携を行い、大規模マンションの開発等の社会増に伴い必要となる保育の受け皿を確保すること、都道府県において、市町村域を超えた保育等の利用に関し、関係市町村間の連携、調整を支援することなどについて、それぞれ地方公共団体に事務連絡を発出させていただいて、それぞれの市町村計画が地域の実情に応じて策定されるよう、さらに指導あるいは助言を進めていきたいと思っております。

堀内大臣政務官 緒方委員の御質問にお答えいたします。

 厚生労働省といたしましては、総務省から受けた勧告について、主に以下の点について対応させていただきたいと思っております。

 まず、市町村から、みずから連携施設のコーディネートを行うなど連携施設の設定に効果を上げた好事例等の周知や、勧告を踏まえた事業者の懇談の場の設定等の対応を求める通知の発出を通じ、積極的な関与を各市町村に促しております。

 また、平成二十九年度予算案において、保育園と小規模保育事業者との接続、調整等に必要なコーディネーターの保育園等への配置を支援するために費用を盛り込んでいるところであります。

 また一方、待機児童数の範囲につきましては、市区町村ごとの不合理な運用上のばらつきの是正を目的として、昨年の九月より待機児童数調査検討会で検討を進めているところであります。

 本検討会において、各市区町村の待機児童の具体的な把握の仕方について調べたところ、例えば、ほかの利用可能な保育園の情報を保護者に提供することなく、一律に特定の保育園のみを希望する方として待機児童に含めないとするなど、保護者に対してきめ細やかな対応が行われていないなどの事例も見受けられました。

 そのような実態も踏まえて、今後の待機児童者数の調査方法を検討し、年度内を目途に取りまとめる予定でございます。

緒方分科員 もう一言だけ厚生労働省にお伺いをいたしたいと思います。

 待機児童の、同一基準で地方に待機児童の定義を決めるべきだと我々は主張いたしているわけでありますが、先般も、予算委員会でたしか塩崎大臣がこの件を聞かれて、何かはっきりとした答えがなかったんですけれども、やはり比較可能だということはとても重要だと思います。

 最近、子育てが充実している町に移っていこうという方もやはりおられるわけでありまして、あそこはゼロだからと思って行ってみたら、前にいたところよりも状況が悪かったということになると、それは、正しい情報提供がなされないことによる具体的な弊害が出ると思うんですね。

 そういったことも踏まえて、待機児童である、待機児童に至らないものとか、いろいろなカテゴリーがあるということなのかもしれませんけれども、少なくとも何か一つ、この指標で見れば必ず同じ基準で比較できるという状況までつくっていくことが私は必要ではないかと思いますが、厚生労働省、いかがですか。

吉本政府参考人 ただいま政務官から御答弁申し上げましたとおり、待機児童の把握の仕方につきましては、待機児童数調査検討会におきまして今検討しているところなんですが、御指摘のとおり、例えば育児休業中をどう扱うか、特定園希望というのをどう扱うか、また求職中というのをどう見るかといったような、そのあたりについては、個別の自治体にヒアリングを行いましたけれども、ばらつきがあるということを私どもも認識しております。

 不合理な形でばらついている状態というのはよくないというふうに思っておりますので、そこを是正する方向で今検討しているところでございます。

緒方分科員 この件は世の関心も非常に高いということもあって、よろしくお願いいたします。

 一つ、保育士の処遇改善についてお伺いをさせていただきます。

 これは、私、ちょっと違和感を持ったことでありまして、保育士の処遇改善を人事院勧告に基づいて、それを受けて保育士の処遇改善をするということ、これは毎年やってきているわけでありますが、ことしの第三次補正にその費用が入っていたんですね。

 別に、保育士の処遇改善をするのが悪いとか、そこでお金がついていることが悪いとかいうわけではないんですが、なぜ補正予算でやらなきゃいけないのかということについて疑問を持ったんですね。

 逆に、補正予算というのは、財政法二十九条によるところの緊要性があるから、だからやっているということなんですが、これは、人事院勧告がある限りほぼ毎年経費として生じ得る。何らかの形でもし人事院勧告が仮にマイナスに出るのであれば減額補正でしょうし、プラスに出てそれに応じていくということであれば、それは補正予算ということになるわけであって、これは私、中身の話をしているわけではありません。

 そして、補正予算というのは、絶対に行われるというものでもありません。こういう予算が補正予算になっていることというのは、財政のフレームとしてちょっとおかしいんじゃないかなというふうに私は思ったんですね。

 それについて、大臣、いかがお考えになりますでしょうか。

加藤国務大臣 ちょっと済みません、おかしいというところがいま一つつかめていないので、うまく合わない答弁かもしれませんが、子ども・子育て支援制度における平成二十八年度人事院勧告に準拠した保育士等の待遇改善については、御指摘のように、平成二十八年度の第三次補正予算において計上させていただいて、そしてこれは平成二十八年四月にさかのぼって実施する、こういうことになっているわけであります。

 人事院勧告というのは、出てみないとどのぐらいの数字になるか、もちろんプラスもマイナスも含めて確定できないわけでありまして、例年八月に実施をされているわけでありますから、これに準拠して対応できる経費については、その年度の当初予算に盛り込むというのはもともとできないわけでありますので、したがって、当初予算作成後に生じた理由に基づき発生するもの、まさに補正事由でございますから、補正予算によって対応していくことが適切ではないかなというふうに思います。

緒方分科員 いや、そうすると、補正が仮に編成されなかったときは対応できないということになる、私がおかしいと言ったのはそういうことなんです。

 補正予算が編成されなければそれは対応できないということと、もう一つは、これは人事院勧告ですので、国家公務員給与法については、別に人事院勧告が出たからといって補正を打つわけではありません。ということを考えると、国家公務員給与法と同列に並べるのがいいとは思いませんけれども、必ず生じ得る事由でありますので、これは単なる予算のフレームの問題なので、これをやるかやらないかわからない補正予算で必ず入れ込まないと保育士の処遇改善ができないという状況、さっき私がおかしいと言ったのはそういうことです。

 これは、日本の予算制度の中ではなかなか難しいところだと思いますけれども、補正予算というのはやるかやらないかについては若干偶然性がある、そういう偶然性に委ねるような予算の立て方というのは私はやめるべきではないかということ、これを意見として述べさせていただきます。よく考えていただければと思います。国家公務員給与法と同じようなやり方ができないのかということも含めて御検討いただけないかなということで、意見として述べさせていただきます。

 では、質問を移したいと思います。

 私、地元の児童養護施設に行った際に、その施設の方からあるお話を伺いまして、現在、児童養護施設を退所する子供の方が就職したりアパートを賃借したりするときには、施設長等が、もともとの施設長が身元保証人になる場合の損害保険契約の保険料に対して国が補助を行っているということで、なかなかいい事業であります。しかし、進学をするときに対象でない。だから、進学するときの学費とかそういうことの身元保証について、自分がなってあげたいけれども国の補助がない、仕方ないので自分が全額保証しているというような事例をお伺いいたしました。

 児童養護施設に行っている子供さんというのは、やはり一旦施設を出てしまうと立場が非常に不安定なことが多いと思います。そして、私、個人的に物すごく、そういった方々に、進学して、君にもチャンスがあるんだぞということを言ってあげたいという思いが非常に強いです。

 そう考えたときに、なぜ就職時の身元保証とアパートの賃借時の連帯保証のみが対象で、進学をしたときの身元保証が入っていないのかということについて問題提起をさせていただきたいと思います。

 これは何か動きがあるようでありますので、厚生労働省の方から答弁をいただければと思います。

堀内大臣政務官 先ほど緒方委員がおっしゃったように、意欲と能力があるにもかかわらず大学進学に当たって全額保証している、そういった御負担が生じていることについては、あってはならないことだと思っております。

 このため、昨年の通常国会において成立した改正児童福祉法においては、個々の子供の状況を踏まえ、必要に応じて自立のための支援を継続して行うことができるよう、被虐待児等への自立支援の充実を図ることといたしました。

 この改正児童福祉法の趣旨や実際に児童養護施設等を運営されている方々からの御要望を踏まえ、平成二十九年度予算案においては、身元保証人確保事業について大学等へ進学する際の身元保証を新たに対象に加えるとともに、これまで退所後から一年以内とされた申込期限について二年間に延ばすこととさせていただいております。

緒方分科員 ありがとうございました。

 この件、なかなかそんなに目立つ案件ではありませんけれども、こういった形で予算化をされ、進んでいくことによって、一人でも多くの児童養護施設にいる子供さんに、進学をして、そして学業を続けるということがより促進されていくことを本当に心から望むものであります。運用の方もよろしくお願いを申し上げます。

 それでは最後に、公益法人というか公益性の話、これは担当大臣が山本大臣でありますが、きょうは松本副大臣にお越しをいただいております。みなし譲渡所得課税制度についてということでお伺いをさせていただきます。

 公益性のある対象に資産の寄附とかを推進していくことというのは、今そういった思いをお持ちの方というのは結構おられるわけでありまして、自分は土地を持っている、いろいろな資産を持っている、それを公益性のある事業に、公益性のある方に譲渡したい。しかし、これまでいろいろな要望を受けているんですが、適用条件が厳しいとか、さらには、所轄の税務署、国税局と国税庁の間で二重の審査があってこれも大変だとか、書類も複雑だとかいった問題がある。

 さらには、実はきょうの質問の趣旨は、国税庁長官の承認が寄附後に行われるということ。つまり、寄附をして国税庁の長官の承認が得られれば税の特例措置があるんだけれども、それは寄附をする段階ではわからない。寄附をして全部終わった後に国税庁の長官の承認がおりなければ、特例措置が適用されずに大きな課税が行われるという状況。これだと、公益性のある対象に対する寄附が進まないのではないかという御指摘を受けました。

 来年度の税制改革において、少なくとも、さっき冒頭言いました、適用条件が厳しいとかそういった話については、税制改革の中で、現物寄附へのみなし譲渡所得税に係る特例措置において、公益法人に対する寄附財産が公益目的事業に不可欠な特定の財産とされる等の要件を満たすものについては国税庁長官の承認手続を簡素化するという項目が入っています。これはありがとうございます。

 ただ、先ほど言いましたとおり、時間のタイムフレームのところで承認が寄附の後に来るということについては、なかなかお取り組みが進んでいないようであります。

 まず、財務省、きょう来ておられますかね。これはどのような課題があるんでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の非課税制度につきましては、御案内のとおり、事後的にという問題が指摘をされております。要件、チェックポイントはいろいろございますけれども、例えばですが、寄附をした後も寄附をなさった方が公益法人等を私的に支配して相続税等の負担を不当に減少させるといったことがないことということが確認をされなければなりません。それを確認するには、事前の状態では確認ができないということであります。

緒方分科員 なるほどと思ったところもあります。ただ、きょうはお願いにさせていただきたいと思いますけれども、これから公益性のあるさまざまな事業を推進していく観点から、やろうと思っても、国税庁長官の承認がとれなければ、全部終わった後にすごく高い課税だけが寄附をする人の側に来るんですね。譲られた側の公益法人側ではなくて、譲った側の人に来て、善意で譲ったにもかかわらず自分のところにどかんと税金が来るというそのリスク、半ばロシアンルーレットみたいな感じになっているわけですよ。そういう状態があると、せっかく制度を設けても物事が進んでいかないと思います。

 今すぐ答えが出る問題ではないと思いますが、内閣府の考え方、決意を御答弁いただければと思います。

松本副大臣 大変重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、善意の皆様による公益の増進というものをしっかりと進めていくということは大変重要なことかと思っております。

 今財務省からの答弁もあったわけでありまして、そうした問題点があるわけでありますけれども、まずは、平成二十九年度の税制改正要望におきまして、先ほど委員からも御紹介がありましたとおり、当該特例措置の承認手続の簡素化について要望をしたところであります。

 結論といたしましては、公益法人に対する寄附財産が一定の要件を満たす場合には、一月以内に国税庁長官が不承認の決定をしない限り、その承認があったものとみなすこととされたところであります。

 まずは、この制度をしっかりと周知徹底していくことが重要と考えておりますが、引き続き、民の自主性による公益の実現が図られるよう努めてまいりたいと思います。

緒方分科員 終えさせていただきます。ありがとうございました。

石崎主査代理 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木宏壽君。

高木(宏)分科員 おはようございます。自由民主党の高木宏壽です。

 きょうは、経済について大臣と議論をさせていただきたいと思います。

 この四年間のアベノミクスの成果として、デフレマインドというものは依然として残ってはいるものの、デフレではない状況をつくったことにあると思います。

 例えば名目GDPは、二〇一二年第四・四半期と二〇一六年の第三・四半期を比較すると四十四・五兆円ふえて、五百三十七・三兆円になりました。また、消費者物価も、二〇一三年十月以降、前年比プラスに転じ、その後はプラス傾向で推移をしており、約二十年近く続いたデフレ状況が転換したと考えております。また、さらに、二〇一五年に初めて、名目GDP、実質GDP、GDPデフレーターの成長率がいずれもプラスになり、デフレ脱却の姿に近づいたと思います。

 一方、世界経済に目を転じると、一月に米国でトランプ大統領が就任しました。一月足らずの間に、TPPの離脱表明やNAFTAなどの経済協定の見直し、世界経済にかかわる政策を矢継ぎ早に打ち出しております。また、英国のEU離脱問題が今後具体化する見通しで、世界経済への影響も未知数ということであります。

 そこで、まず大臣にお伺いしたいのは、世界経済のこういったリスクを見込んだ日本経済の今後の見通しについてどう見られているのか、お伺いをいたします。

石原国務大臣 高木議員には、環境相時代にも大変お世話になりまして、きょうまた御質問をいただくことを大変恐縮に存ずる次第でございます。

 アベノミクスの成果について、高木議員が御指摘されたとおり、名目GDP、実質GDPもプラスに転じ、かなりのボリュームがかさ上げされてきた、リーマン・ショック以後なかったことだと思っております。しかし、今委員が御指摘されましたように、世界経済のリスクをこの中でどう見ていくかということは、一つ非常に重要だと思います。

 金融資本市場は、今は為替の方も安定しておりますし、株価も一万九千円台で、上値は若干重い感じはいたしますけれども、堅調に推移している。しかし、やはりこういうものに、高木議員御指摘の世界経済の変動リスクというものがかかってくるということもまた事実だと思います。

 そんな中で、経済見通しでございますけれども、雇用・所得環境、これはもう総理がいつも申されておりますとおり、四十七都道府県で戦後初めて有効求人倍率が一を超えておりますし、そんな中で、個人消費は、弱い弱いと言われながらも、トレンドで見ますと、間違いなく緩やかに増加しております。まして、ことしに入りまして、昨年の二〇一六の経済状況、特に後半を見ますと、企業の業績というものも改善しておりますし、設備投資もここに来て伸びてきております。

 こんな中で、見通しでございますけれども、二〇一七年度の実質成長を一・五%、名目で二・五%と見込ませていただいているわけでございます。

 二〇一八年度以降についてでございますけれども、中長期試算においてですけれども、経済が今のまま順調に伸びていく延長線で考える経済再生ケースでは、中長期的にも実質二%、名目三%の成長というものを見込んでいるところでございます。

高木(宏)分科員 デフレではない状況ではあるけれども、デフレに逆戻りしかねない状況。今が、やはり経済再生、デフレ脱却に向けて一番大事な時期であると思います。

 一昨年の九月、安倍総理は、一億総活躍社会を目指すこととあわせて、二〇二〇年に向けて新三本の矢を放つことを表明しました。その第一の矢が、GDP六百兆円の達成であります。これは、昨年六月に閣議決定した骨太の方針二〇一六の中にもうたわれております。二%の物価上昇目標、いわゆる単なる物価ターゲットを掲げた旧三本の矢と異なって、NGDPターゲット、いわゆる名目GDPターゲット政策を宣言したわけで、GDPの三面等価の原則から、名目所得ターゲットという数値目標を設定したと理解をしております。

 ちなみに、現在のGDPは約五百三十兆円ですから、二〇二〇年に六百兆円ということは、一・一三倍にすることであります。現在の国民総所得は一人当たり四百万円程度ですから、一・一三倍ということは、年五十万円の所得の増加を意味します。すなわち、三年後に約五十万円ふやすということであります。

 さきの経済財政諮問会議で、最新の中長期の経済財政に関する試算を公表しましたけれども、ベースケースのまま推移すれば六百兆円経済は実現しませんが、経済再生ケースでは六百兆円を達成いたします。物価ターゲットは日銀の目標で、日銀が金融政策で取り組んでおりますけれども、所得ターゲットは政府の目標で、政府の財政政策として取り組む必要があります。この名目GDPターゲットを掲げたということは、財政政策はしないというオプションは存在しないのではないかと考えております。

 昨年の三月から五月にかけて、国際金融経済分析会合が七回にわたって開催をされました。大臣も出席をされたと承知をしております。その会合に出席したノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授は、リーマン・ショック後のデフレ化した世界経済をジャパニフィケーション、日本化していると表現いたしました。

 どういう状況を日本化と呼んだかというと、九〇年代まで日本のGDPは米国、欧州と遜色のない水準だったわけですが、その後、日本だけがデフレになって、二〇一四年に、中国には二倍、米国には四倍、欧州には五倍に格差を広げられたわけであります。この日本化という現象を終わらせるためには、脱出速度というものが必要とクルーグマンさんはおっしゃっておりました。脱出速度というのは、まさに短期的に、徹底的に財政支出をふかすことと理解しております。

 同じくメンバーであったスティグリッツ教授も、需要不足には生産的な政府支出の増加が必要といって、財政政策の重要性を指摘しております。

 そこで、どうすればこの経済再生ケースに持っていって、GDP六百兆円の目標実現に向けて日本経済が成長できるのか、財政政策が極めて重要と考えますが、大臣の所見を伺いたいと思います。

石原国務大臣 高木議員は内閣府でも経済の問題に取り組まれておりますので、おっしゃるとおりというのが、私も考えているところでございますが、やはり、昨年日本で行われたG7でも、あらゆる政策を総動員する、その中に財政政策というものが含まれていた。

 また、クルーグマンとスティグリッツさんのお話をされましたけれども、私は、そのとき大変印象に残ったわけであります。こういうアメリカのノーベル経済学賞を受賞したような経済の専門家が言っていることを受けて、トランプ大統領も、老朽化したインフラの整備、あるいは、中国とか日本には新幹線網があるけれどもアメリカにはないじゃないかというような話をこの間もされているのをテレビで見ました。

 高木議員の地元の北海道でも、せっかく函館まで来ましたけれども、やはり函館から札幌に持っていく、もちろんあそこは山間部がございますので工事は大変ですけれども、そうしますと、需要というものは間違いなく、流動人口もふえますし、観光としての魅力というものも深まっていく。そういう無駄ではない財政出動というものはこれからやっていかなければならない。

 その一方で、名目GDP六百兆円を目指す上で忘れてはならないのは、財政規律はしっかり守っていく、無駄はできる限り省いて効率のいい社会をつくる観点で必要な財政出動をとっていく。これは、機動的な財政出動という形で、新三本の矢の中でも、今委員が御指摘されましたように、これまでも進めてきましたし、これからも進めていく。

 それは、前のところで委員が御指摘されたように、今、三年間の賃金の状況を見ますと、六%超、実は賃金は上がっているんですね。先般も、逆に中小の方が伸び率が高いというような解説も出ておりました。

 ただ、これでは、委員御指摘のとおり、デフレではない状況ではありますけれども、まだ多くの方々がデフレに戻るというふうに考えていれば、デフレ脱却とは言いがたい。やはり、四巡目、五巡目、二十一世紀に入って六%超賃金が上がった、実質所得も上がってきております。こういうものをことしの春闘あるいは来年とつなげていって、初めて、委員が御懸念されているデフレに戻ってはいけないということにはならない、デフレ脱却ということが完遂してくるんじゃないかと思っております。

 そんな中で、昨年の臨時国会で、二十八兆円という未来への投資を実現する経済対策、新幹線もそうだと思いますし、観光の資源の豊富な北海道を守り立てていく、東京だけが繁栄しても国全体の繁栄にはならない、やはり各地域も特色を持って発展していく、それが、この六百兆円経済、マクロの数字の目指すところではないかと考えております。

 この経済の好循環というものをさらに拡大していかなければなりませんし、今後も、委員御指摘のような、この三本の矢を一体的に取り組むことによりまして、先ほども御答弁させていただきましたように、中長期的にも実質二%、名目三%の経済成長、そして民需主導の持続的な経済成長を実現することによって、今、高木議員が御指摘された六百兆円経済を目指して頑張ってまいりたいと考えております。

高木(宏)分科員 今大臣から、六百兆円実現に向けての道筋を御答弁いただきましたけれども、政府は、経済再生なくして財政健全化なしを基本として、六百兆円経済の実現と二〇二〇年度に財政健全化目標の達成の双方の実現を目指しております。

 財政健全化目標は、平成二十五年に閣議了解された中期財政計画、すなわち、基礎的財政収支について二〇二〇年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指すというものであります。債務残高の対GDP比については、二〇一五年の骨太の「目標とその達成シナリオ、改革工程」の中で、PB黒字化の達成後ではなく、「また、」という文言で並列に並べられました。

 中長期の経済財政に関する試算では、経済再生ケースでも、二〇二〇年度にPB赤字が八・三兆円程度、対GDP比マイナス一・四%程度残ることとなっております。しかし、二〇一五年、PBは約十五・八兆円の赤字であったわけなんですけれども、債務対GDP比は既に安定、いわゆる横ばい傾向にあって、最新の中期財政計画のシミュレーションでも、債務対GDP比は二〇一七年をピークに減少してまいります。

 また、G20の首脳宣言の財政規律目標も、債務対GDP比の持続可能性、減少が掲げられて、PB、いわゆる基礎的財政収支はそのための手段と位置づけられております。

 さらには、PB黒字化目標を掲げた国、例えばギリシャとかアルゼンチンがありますけれども、黒字を達成した直後、緊縮財政、景気後退、税収悪化のため、破綻あるいは事実上の破綻に陥っているという事実もございます。

 以上のような理由から、成長を前提とするとき、そして金利が低い今、このPB、基礎的財政収支を目標に掲げる合理的な理由は存在しないのではないかなと思うわけですけれども、経済再生、デフレ脱却を確実なものとして、名目GDPターゲットである六百兆円達成には、クルーグマンさんが言っているように、脱出速度、すなわちPB等を考慮せず短期の徹底的な財政支出が必要と考えます。

 二兎を追う者は一兎を得ずともいいますが、PBを考慮せず、このGDP六百兆円の目標実現に向けて財政出動、金融政策を徹底すべきで、PBはその後おのずと黒字化していくと考えるわけですけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

石原国務大臣 今、高木議員が御指摘されていました点は非常に重要な点で、PBの黒字化というのは単年度でございますので、先ほど言ったように、実質二%、名目三%の経済成長を続けていく経済体制をつくるということが実は日本にとっては肝要であるといったことは、私もそのとおりだと思っております。

 そして、前段に御指摘されましたとおり、もう既に、二〇一七年度以降は、債務残高対GDP比というものはトレンドとして間違いなく下がっていく、すなわち、債務がこれ以上ふえないわけであります。これが右肩上がりで債務が累積していきますと、それを上回るGDPの成長をしない限りは発散してしまうということになってしまう。

 そういうことは絶対避けなければならないし、間違いなく、経済再生をしない限り、経済が成長しない限り債務の残高のGDP比は減らないということが、この四年間の安倍政権の中で明らかになってきたんだと思います。そんな中で、六百兆円の経済の実現を目指して、委員御指摘の新三本の矢というもので取り組ませていただいている。

 財政健全化目標の達成に向けて、二〇一七年度予算、今御審議いただいているこの予算の中でも、私、小泉内閣の行革相をやっておりまして、そのときの記憶が鮮明に残っているんですけれども、社会保障の伸びを、二千二百億、五年間削るということで、本当に丸々できたのは一年目だけなんですね。その後は、もう本当に血の出るような努力をして、何とか無駄なものを切っていった。しかし、安倍内閣になりましては、今、一兆円、ほっておけば伸びるこの社会保障関連の伸びを、五千億以下に抑えているわけであります。

 それは、まさに財政健全化、委員の言葉ですと二兎を追う者一兎を得ずという話でありますけれども、二兎を追っている。そして、私は経済再生の担当大臣でありますとともに経済財政政策の担当大臣でもございますので、しっかりと財政健全化を求めていく、この錦の御旗をやはりおろしてはならないんだと思っております。

 そんな中で、委員御指摘のとおり、PB赤字や公債等の残高のGDP比が低下していく姿、これをしっかりと今後につなげていくということが非常に肝要なのではないかと考えております。

高木(宏)分科員 財政健全化目標、債務目標を掲げることは、私も必要だと考えております。

 ただ、この債務目標、EUやカナダ、イギリス、ドイツ、フランスなども債務対GDP比に基づく債務目標を掲げておりますので、日本も、PBではなくて、債務対GDP比を目標に掲げるのが得策ではないかなと思っております。

 次に、名目GDP六百兆円に向けた成長戦略として、経済の好循環を民間の動きにつなげていくための生産性の抜本的向上の三つの課題を解決するため、官民戦略プロジェクト10というものを日本再興戦略二〇一六に掲げておりますが、第四次産業革命の実現等この官民戦略プロジェクト10がGDP六百兆円にどれほど貢献することになるのか、お伺いしたいと思います。

武村大臣政務官 お答えいたします。

 日本再興戦略二〇一六では、官民で戦略と認識を共有し、新たな有望市場を創出する官民戦略プロジェクト10とともに、さまざまな横断的な取り組みも盛り込んでおります。これらを総合的に実行していくことで、名目GDP六百兆円の実現を目指していくこととしております。

 このため、成長戦略を総合的に加速していく観点から、早速、未来投資会議におきまして議論を進めています。

 例えば、官民戦略プロジェクト10に位置づけられている分野につきまして、新たな医療・介護システムの構築、運転手が乗車をしない自動走行の実行計画など、新しい具体策を打ち出しております。また、インフラデータの民間開放や形式から実質へのコーポレートガバナンス改革など、横断的施策も同時に打ち出しをしております。

 今後もさらに徹底的な議論を重ねまして、その成果を年央に公表する成長戦略で具体的にお示しすることとしております。これによりまして、日本経済の成長の限界を突き破り、日本の未来を切り開いていきたいというふうに考えております。

高木(宏)分科員 この官民戦略プロジェクト10には、海外の成長市場の取り込みということで、TPPを契機にした中小・中堅企業の海外展開というものも盛り込まれております。

 トランプさんは就任早々TPPからの離脱を表明したわけで、TPPの早期発効というのは極めて困難となったわけですけれども、名目GDP六百兆円実現へのシナリオについて影響があるのか、影響について伺いたいと思います。

石原国務大臣 今委員がTPPについて御言及されましたけれども、私は、トランプさんが永久に離脱すると大統領令に署名いたしましたけれども、これは総理が申しておりましたけれども、トランプ大統領からしつこいと言われるぐらい、マルチの貿易協定の重要性。特にこのTPPは、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドを含むアジア環太平洋の十二カ国が、共通のルール、世界のGDPで四割になる。そして、このルールづくりが肝要である。もちろん、新興国の中には国家統制的な経済を行っているところがありますけれども、やはりそういうものと自由陣営の国々がこれから競争していく上で、ルールをしっかりとつくっていかなければならない。また、戦略的な意義というものも地政学的に非常に重要である。

 これはもう総理から再三再四お話をさせていただいておりますし、こういうような事態になりますと、世論の論調も、TPPはいいんだと言われるようになってまいりましたので、アメリカがすぐさまTPPに対する立場を変える可能性は低いかもしれませんけれども、保護主義が、ブロック経済が、それがさきの大戦を誘発したという歴史的な事実に鑑みて、TPPを推進する意図については理解を得たものと考えているところでございます。

 それは、私がそう思うだけではなく、日米共同声明を見ますと、TPPという文言はもちろんないんですけれども、アメリカは、日本が既存のイニシアチブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することについても了解したというふうに解されているわけでございます。

 やはり日本がTPPにおいて持っている求心力、オーストラリア、ニュージーランド、ベトナム、いろいろな国が、どうですか、これからどうしますかということを非常に御相談に参ります。

 先日も、ニュージーランドのマックレイという貿易大臣が、国会開会中だから十分な時間はとれませんよと言いますけれども、寄託国の責任から、おいでになって、議論をさせていただきました。日米首脳会談の前でございましたけれども、今、どうしようということを言うのは、これは得策じゃないよね、しかし、アメリカを除く十一カ国は重要性をしっかりと認識しておりますし、各国が協力して、まあ、マックレイさんは、日本がリーダーシップをとって、これから、なくしてしまうのではなくて、この枠組み、この協力関係というものを大事にしていくべきだという話がありました。

 そもそも論ですけれども、さっき言いました、アジア太平洋地域において自由で公正な経済圏をつくるということは、日本もアメリカも一致しているんだと思います。今後とも、政府としてその取り組みをしっかりと進めていくことによって、委員が御指摘になっている、ともかく経済成長をしてGDPを六百兆円にする社会、それは、すなわち国民の皆さん方の利益につながるわけでありますし、国力にもつながるわけでございますので、こういうことを進めていく、そのために努力を惜しまない、そんな姿勢で臨んでまいりたいと考えております。

高木(宏)分科員 私もTPPを担当しておりましたので、TPPの意義というのは十分に承知をしております。

 スティグリッツさん、クルーグマンさんも、道路や防災、公共的ニーズに財政支出すべきと言っております。特に大災害というのは国家にとっての損失で、事前に投資して防災性を高めることというのは極めて重要であります。ストック効果が期待される固定資本形成、特に都市の環状道路、アクセス道路の整備、高規格道路、海峡横断プロジェクト、新幹線の整備前倒し、未着工区間の事業着手といった国土強靱化に資するプロジェクト、これはより強力に進めることが成長戦略にも資すると考えております。

 そこでお伺いしますけれども、成長戦略を後押しするこの国土強靱化に資するプロジェクト、より強力に進めるべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

松本副大臣 高木委員は、国土強靱化も担当の政務官をお務めになられておられましたので、よくよく御存じのことかと思いますけれども、東日本大震災や昨年四月の熊本地震を初めとする多くの災害が発生をいたしまして、首都直下型地震、また南海トラフ地震の発生が懸念される中、強靱な国づくりは喫緊の課題であるというふうに認識をしております。

 また、昨年の六月に閣議決定をされました骨太の方針などにおきまして、国土強靱化は、名目GDP六百兆円の強い経済実現のために推進すべき旨位置づけられているところでもありまして、そうした意味からも、重要な政策課題であると認識をしているところであります。

 現在でありますけれども、国土強靱化基本計画、また国土強靱化アクションプラン二〇一六の着実な推進を図るとともに、地方公共団体における国土強靱化地域計画の策定、実施の支援、また、民間における国土強靱化に資する取り組みの促進を進めているところであります。

 今後とも、交通ネットワークの強靱化など、各分野における施策を推進していくために、施策の重点化、優先順位づけや、ハード、ソフト対策の適切な組み合わせを行いながら、オール・ジャパンで効率的かつ効果的に国土強靱化を進めてまいりたいと思います。

高木(宏)分科員 よろしくお願いいたします。

 約二十年近く続いたデフレ経済で、ネガティブな要因として常に挙げられるのは人口減少であります。人口が減ると働き手が減る、だから、よくてゼロ成長、マイナス成長も覚悟しなければいけないといった経済成長について悲観主義が聞かれるわけですけれども、先進国の経済成長を決めるのは、人口ではなく、イノベーションであります。官民戦略プロジェクト10にも、このイノベーションの創出というのが盛り込まれております。

 イノベーションというと、科学者や技術者によるハードな技術、テクノロジーといったものを想像しがちでありますけれども、経済における技術進歩は、ハードな技術進歩だけでなくて、それ以上に、ノウハウ、経営力、コンセプト、ブランドといったソフトな技術が重要であります。

 いずれのイノベーションも、イノベーションを生み出す人材というのが極めて重要になってくるわけで、そこでお伺いしたいんですけれども、このイノベーションの創出にどう取り組むのか、そして、このイノベーションを支える人材の育成、確保に向けてどう取り組んでいくのか、お伺いいたします。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、本格的な人口減少社会におきましては、経済成長を実現するために、やはり生産性の飛躍的な向上が必要でございます。そのための鍵は、やはり人工知能、IoT、ビッグデータ、ロボットと申しました分野で新しい価値を生み出すイノベーションの成果を社会に取り入れていくこと、これが極めて重要でございます。

 このため、成長戦略の新司令塔でございます未来投資会議を創設しまして、これらの重要課題の社会実装につきまして議論を進めているところでございます。

 加えて、世界一イノベーティブな国を目指しまして、オープンイノベーションによる基礎研究から社会実装に向けた研究開発の迅速化を図るため、未来投資会議のもとに設置した構造改革徹底推進会合におきまして、組織対組織の本格的な産業連携体制の構築など、イノベーション・ナショナルシステムの改革構想についても議論を行っております。

 また、先生御指摘のとおり、こうしたさまざまなイノベーションが進む中、人材不足が成長の制約要因となってはならないと考えておりまして、昨年六月に閣議決定しました日本再興戦略二〇一六におきましては、第四次産業革命の時代に向けまして、プログラミングを含む情報活用能力の育成等の初等中等教育改革を初め、高等教育段階における社会トップレベルでの人材育成を目指す卓越大学院(仮称)の創設など、多面的なアプローチにより、人材の育成、確保を図ることとしております。

 また、産業界で求められています人材のスペックが変化していく中、産業構造や就業構造の変化を踏まえまして、成長産業で活躍できる人材を戦略的に育成するということも重要でございます。

 このため、去る十二月に立ち上げました、関係省庁、産業界、労働界、職業訓練機関、教育機関等によります第四次産業革命人材育成推進会議におきまして、こうしたイノベーションに求められる人材像や資質、能力の育成強化策等につきまして検討しているところでございます。

 今後も、そうした取り組みを通じまして、第四次産業革命の実現といった、国民生活を豊かにし、企業の生産性を向上させるための必要な改革を行ってまいりたいと思います。

 以上でございます。

高木(宏)分科員 最後の質問です。

 名目GDP六百兆円実現に向けて、日本再興戦略の主要な柱の一つは第四次産業革命で、その中の一つである自動運転技術を世界に先駆けて開発することは、成長戦略を推し進める上でも喫緊の課題であると思っております。

 私の地元の北海道は、自動車メーカー、関連企業のテストコースが二十八もございます。そして、広大な土地、積雪寒冷地といった気候風土を生かして多様な実験実証モードが提供できる上、我が国のビッグデータ研究の第一人者であります長谷山教授が在籍する北海道大学など、多くの研究機関やIT企業が集積しているという素地もございます。

 そこで、気候風土など地の利のある北海道を自動運転を研究開発する政府の拠点と位置づけて、国を挙げた取り組みを加速すべきと考えますが、御見解を伺いたいと思います。

石崎主査代理 豊田内閣府大臣政務官、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

豊田大臣政務官 お答え申し上げます。

 自動運転は、自動車産業が世界をリードする競争力を維持する上で不可欠な技術と考えております。

 今後でございますけれども、将来的に自動運転を広く普及していくためには、委員御指摘の北海道のように、雪道や寒冷な気候条件下でも走行可能となるような自動運転技術の向上が必要となると認識をいたしております。

 こうした技術の向上に向けた取り組みについては、今後の課題として、民間ニーズや技術動向を踏まえ、関係省庁とともに検討してまいりたいと考えております。

 以上です。

高木(宏)分科員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

石崎主査代理 これにて高木宏壽君の質疑は終了いたしました。

 次に、田畑裕明君。

田畑(裕)分科員 自民党の田畑裕明でございます。

 山本大臣、お忙しいところ、まことにありがとうございます。予算委員会分科会ということで、私からは、まち・ひと・しごと創生総合戦略について、特に、地方における安定した雇用の確保であったりですとか、働く場の創出等についての施策を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 東京一極集中について、まず前段、お話をさせていただきたいと思うわけであります。

 なかなか首都圏への人口流入がとまらないということ。もちろん、いろいろな施策を組み合わせ、懸命に取り組んでいるわけでありますが、よりさまざまなセクションを通じて、これを横断的にしっかり行っていただきたいとも感じるわけであります。

 二〇一五年の国勢調査の結果、前回の五年前よりも日本全体でも約九十六万人近く人口が減っているわけでありますが、首都圏への流入は十一万九千人ほど超過を記録しているわけであります。二十年連続で首都圏の人口がふえ続けているということだそうでありますし、転入の超過数、これは二〇一二年度以降四年連続でふえているということであります。まさに東京一極集中が加速をしているということであります。

 一方、最低賃金は、全国の加重平均は上昇しているわけでありますし、有効求人倍率、これも押しなべて全国で一倍を超えているわけでありまして、高どまりをし、全国においての就労環境というのはむしろ改善傾向で、より売り手市場が進んでいるのではなかろうかと思います。しかしながら、それでも東京への人口シフトが加速をしているという現状であります。

 政府の方では、稼ぐ力の差であるという分析もされているというふうに認識をしています。首都圏への一極集中というのはもちろんメリットもあろうかと思いますが、住民サービスですとか生活環境の面から見れば、当然デメリットの方が大きいのではなかろうかと感じるわけであります。

 国土の均衡ある発展ですとか、人間本来の、土と戯れたりとか、太陽のもと汗をかき、感受性豊かに生活をし感じることといったような環境での生活基盤を整えるということは、やはり心身とも健康で暮らせる大変すばらしい方策ではなかろうかとも感じるわけであります。労働政策ですとか産業政策を一体的に各地で展開する必要、より強化をしていただきたいということを強く感じるわけであります。

 そこで、地方において、地方の都市機能の強化と経済活動を維持するための拠点形成を目指す連携中枢都市圏という取り組み、これは総務省を中心に行っていると思います。これは、各地方において、住民サービスや産業支援のため、一定の都市機能を有した圏域を設定しての振興策を講じるということであろうかと思うわけでありますが、効率的に投資効果を高めるためにも有益だと感じるわけであります。

 そこで、一点目でありますが、平成二十七年度から連携中枢都市圏の形成を後押しして、現在十七圏域が拠点を形成していると承知をしているわけでありますが、まずはこの取り組みの目指すもの的なことを政府参考人にお聞きをしたいと思います。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 連携中枢都市圏についてでございますが、急速な人口減少や少子高齢化といった状況に直面する我が国の地方圏におきましては、単独の市町村でフルセットのサービスを展開するよりも、複数の自治体で役割分担、連携を図っていくことが必要と考えております。

 連携中枢都市圏は、こうした考えのもとに、相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が近隣の市町村と連携をして、コンパクト化とネットワーク化により、圏域全体の経済成長の牽引、高次都市機能の集積、強化、圏域全体の生活関連機能サービスの向上の各分野における取り組みを進めようとするものでございます。

 政府といたしましては、連携中枢都市圏の形成が全国各地で進んで、人口減少、少子高齢社会におきましても一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点が形成されることを期待しているところでございます。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 もちろん、居住の市町村、いわゆる基礎的自治体において、そこに住む皆さんはサービスの提供を受けたり納税をされたりしているわけでありますが、もちろん、市町村の枠組みを超えて、当然、生活圏域があり、経済活動もあるわけであります。コンパクト・アンド・ネットワーク化の拠点をしっかり各地域地域にバランスよく配置していくという取り組みには、連携都市圏の手挙げというか、そこで基本的には協議をされたり、議会での承認や宣言を通じてそうした枠組みをつくっていくということだと理解をしておりますが、しっかり後押しをしていただきたいと思います。

 今、その中でも、県境を越えて圏域を形成している地域もあるというふうにお聞きをしております。広島県と山口県にまたがる広島広域都市圏と、もう一つは広島県と岡山県にわたる備後圏域の二圏域が、実際、県域までを越えて一つのネットワークをつくっているというふうに承知をしております。いろいろ過去からのそこの地域の歴史というものもそこには反映をされているのではなかろうかと思います。

 私は、地元、富山市が選挙区でありますが、今、富山県富山市において、県内の近隣の四市町村、富山市を入れると五市町村ということになりますが、隣接する岐阜県飛騨市、高山市と合わせて七市町村での連携中枢都市圏づくりの動き、構想の構想という程度かと思いますが、実はあるわけであります。

 富山と飛騨地方もいろいろ、経済圏域また生活圏域は重複している部分は非常に大きいわけでありますので、その構想を進めることによって、一つの拠点としての機能をより発揮するということは非常に意義があるのではなかろうかなと思います。

 ぜひ、正式に話等は来ているわけでは多分ないと思いますが、このように県域を越えた取り組みへの支援について、改めてお考えをお聞きしたいと思います。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 県境を越えて圏域を形成している地域の連携中枢都市圏の取り組みについてでございます。

 御指摘のとおり、現在、広島広域都市圏それから備後圏域という例がございます。二つ以上の都道府県にわたる圏域におきましても形成することができるようになっております。

 交通ネットワークの整備などによりまして、住民の経済社会活動の範囲が拡大しているということがございまして、県境を越えて通勤通学が行われて、商圏や観光エリアが広がる、あるいは官民の都市機能の集積が進むといった状況が見られるところでございます。

 こうした場合には、県境にとらわれることなく、圏域の中心都市と経済的、社会的に密接な関係を有する近隣の市町村が連携することによりまして、当該圏域の実態にふさわしい拠点が形成されるものと期待しているところでございます。

 総務省といたしましても、必要に応じ、情報提供等支援をしてまいりたいと考えております。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 そもそも、そうした圏域においては、既存の、いろいろな意味での人間のつながりも非常に大きいわけでありますから、今御答弁にありましたように、情報提供ですとか支援の方を、ぜひまた、そういうお話が上がってきたり、また相談があれば、丁寧に対応していただき、後押しの方もお願いをしたいと思います。

 これは地方交付税措置をしっかり行うということでありますから、まさにやる気のある自治体ですとかやる気のある地域をしっかり応援しようという取り組みであろうかと思いますので、そうした分野、私も非常に関心を持ってこれからも注視をしていきたいと思うわけであります。

 それでは、ちょっと具体的に、雇用創出なりの施策について何点かお聞きをさせていただきたいと思います。

 二十八年度の補正予算から取り組みが始まった地域活性化雇用創造プロジェクトについてお聞きをしたいと思います。

 これは、正社員の雇用の創出のため、各都道府県の産業政策と一体的に実行することに対して、国が手を差し伸べながら地方自治体と連携をしていくということだと理解をしております。成果自身は、二十九年度の半ば、後半以降ぐらいから見えてくるのかなとは思うわけでありますが、二十八年度の補正、また二十九年度、新年度予算についてもこの取り組みが盛り込まれており、まだ、二十八年度補正においては、採択的には六府県というふうにお聞きをしているわけであります。

 この後、いわゆる雇用主と求職者の雇用のミスマッチをしっかり解消しながら、政府として、正社員の雇用増につなげていく効果を当然狙っていくことになろうかと思うわけでありますが、この事業そのものの具体的な成果の展望的なことをお聞きをさせていただきたいと思います。

坂根政府参考人 お答えいたします。

 地方創生のためには、各地域で新たに魅力ある雇用機会を生み出していくことが重要だと考えております。

 その一環といたしまして、今年度、御指摘のとおり、補正予算におきまして、地域活性化雇用創造プロジェクトを創設いたしました。これは、都道府県が中心となりまして、産業政策と一体で良質な正社員の雇用を創造し、地域の雇用の安定や人材の育成、さらには地域における生産性の向上、経済基盤の強化を図る取り組みを行っていただきますが、これを支援するものでございます。

 今年度は六府県でスタートをしたところであります。また来年度、多数の地域から御応募をいただいておりまして、しっかりとした取り組みが進められると思っています。

 厚生労働省といたしましては、このプロジェクトを通じまして、地域の自主性と創意工夫を生かした雇用創造への取り組みをしっかり後押ししてまいります。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 今、緒についたばかりということであろうかと思いますし、売り手市場ということで、やはり各地方においては、労働力の確保であったりですとか、産業そのものを振興していく上での人材の確保、育成というのは、大変大きな、喫緊の課題だと思っております。

 時宜を得た政策と言ったらあれかもしれませんが、これはしっかり後押しをしていただいて、六府県の事例を拝見させていただいても、特色のある、地場産業の育成といったようなことに視点を当てたり、雇用創出の数自身も、それは地方に委ねられている数字というふうに把握をしているわけであります。

 今、来年度分は、審査中というか、申請が上がってきているというふうにお聞きをしておりますが、場合によっては、的確なアドバイスも含めて、それぞれの産業基盤が各地でしっかり花開くように、お支えをお願いしたいなと思っています。

 続いては、内閣府の皆さんにちょっとお聞きをしたいと思います。

 そのほかにも、地方への新しい人の流れをつくるため、仕掛けであったりですとか施策に取り組んでいると思っております。不十分である部分も、私自身はあるなというふうには感じているわけでありますが、二十九年度の具体的な取り組みについて、PRも含めて、取り組みの中でお伝えをするべきことがあればお聞かせをいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、人の流れということでは、一に、働く場の創出ということが重要だということでございます。この点に関しましては、今までも各種の取り組みを進めておりまして、例えば、平成二十七年の通常国会で成立した改正地域再生法におきまして、地方で本社機能を新増設する事業者に対して設備投資や雇用促進のための減税措置を講じる地方拠点強化税制を創設いたしました。

 例えば、委員御地元の富山県におきましても、YKKAP株式会社が、この地方拠点強化税制の認定を受けて、管理部門など、東京の本社機能を一部移転するとともに、研究開発拠点を開設するなどの事例が出てきております。

 こうした流れをさらに推進するため、平成二十九年度税制改正大綱におきましては、一部税額控除額の上乗せなどの税制の拡充措置が盛り込まれております。

 また、地域において稼げる仕事をつくるため、地域資源を活用しながら長続きする企業化を目指す地域商社事業、あるいは、成長が期待される第四次産業革命分野や、観光などの地域の特性を生かして高い付加価値を生み出し地域経済を牽引する事業につきまして、平成二十九年度の地方創生推進交付金などで積極的に支援していくことを予定しております。

 また、人の流れということでございますけれども、このように、飛躍が期待されます地域の事業に対して人の流れをつくるため、潜在成長力のある地域企業に対してプロフェッショナル人材の採用を支援する事業も実施しております。制度発足以来、今まで、既に転職実績が八百件を超えるなど順調に成果を上げており、今後もきっちりと取り組みを進めていきたいと考えております。

 以上のように、さまざまな政策を総動員して、地方への人の流れをつくってまいりたいと考えております。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 特に、税制においても、企業移転税制も今動き出したところでありまして、我が富山県においても幾つか事例が出てきております。常にまた検証しながら、そこに谷間が生じていないか、そんなこともしっかり見定めていただいて、御答弁にありましたが、あらゆる政策を総動員してしっかり、地方への人の流れをこれからもとめることなく、懸命に取り組んでいただきたいなと思います。

 それでは、大臣、済みません、お忙しい中お越しをいただいておりまして。一点、大臣に、私自身の要望的な意見も含めたお話をちょっとさせていただきたいと思います。

 冒頭、首都圏への人口の流入が加速しているということを申し上げました。その一方で、地方に縁者がいないと言われるような都市住民も反対にふえてきているのではなかろうかなというふうに思っております。

 内閣府、大臣におかれましても、今、「そうだ、地方で暮らそう!」国民会議を主催されて、国民運動として展開をしていこうということで懸命に取り組んでいらっしゃること、もちろん、そのほかの政策も含めて御評価を申し上げるところであります。

 先般、先週でしょうか、その「そうだ、地方で暮らそう!」国民会議があって、私の地元の若者も、パネラーというか、移住の好事例ということで御紹介をし、発表もあったということで、本人からも大変うれしいお話もお聞かせをいただいたところであります。

 地方のよさ、大臣は北九州ということでありましょうが、私は富山でありまして、それぞれ国会議員は、その地方や地元を愛し、郷土愛に燃えながら、国政に、仕事をしているのではなかろうかと思うわけでありますが、地方だからこそできること、決して首都圏を否定するわけではありませんが、いろいろなお取り組みは、まだまだアイデアが埋まっているのではなかろうかなと思っています。

 地方だからできる、かかわりやすい仕事、例えば、安全な食をつくる農業であったり、地場の新鮮な魚介や野菜を利用し、食の喜びを提供するような飲食業であったりですとか、はたまた都市よりも高齢化がより進展をしておりますから、医療や介護においての、人の健康や自立、尊厳をしっかり守るといったような仕事、そうしたことに喜びを感じられるフィールドが地方においてはたくさんあるのではなかろうかなと私は思っております。

 むしろ、そうした仕事が、実は地方においては若い世代の職業の選択肢から外れてしまっている部分もあるのではなかろうかなと思っております。少し汚い仕事だったりですとか、汗をかいて、そしてまた、一定の方の指示でこつこつと仕事を覚えていかなければいけない、そうした分野は、非常に若者が職業選択から敬遠をしているのではなかろうかと思っているところであります。

 私自身、そういうような問題意識を持ちながら、地元のNPO活動の皆さんから非常に示唆に富んだお話をいただいたところでございます。

 これは、日本版のCCRCとは、着眼は似ているんですけれども、ちょっと中身が違うというようなことであります。高齢者の移住政策も、これはしっかり政策として柱立てをして、これからも推進をしていかなければいけないと思うわけでありますが、母子支援を通じた、シングルマザーなり父子家庭なり、そうした首都圏なり都市部で貧困にあえぎながら苦しんでいる世帯の方々の地方移住みたいなことをちょっと御提案させていただきたいと感じるわけであります。

 具体的なことを言うと、例えば、夏休みとかの長期の休暇の期間に、生活自体が不安定になっていたりとか居場所も失いがちな子供たちに地方に移住をしていただき、安定した生活支援を行い、学業に専念できる環境をつくったり、また、保育園児や小学生児童の学習アクティビティー支援を、多世代の交流という枠組みをつくって、受け皿を地方へ置くことができないのかなというふうに考えているわけであります。

 はたまた、発展的には、例えば、夏季の長期期間に、お子さんが地方に一定の期間移住をして、それなりになじんだとしたときに、今度はその母親なり父親なりが地方に移住をしていくということが求められることではなかろうかなということでございます。

 これは、ちらっとそういうお話を、官僚の皆さんとお話をしていれば、今、地方創生推進交付金や厚労省の既存の事業を活用して、地方就労ですとか自立支援事業ということが幾つかの自治体で独自に行われているともお聞きをしております。

 浜田市の一人親家庭受け入れ事業であったりとか、泉佐野市と弘前市での連携事業ということをちょっとお聞きをしたわけでありますが、首都圏と地方、地方同士でも結構だと思いますが、そうした人の流れをつくるときに、私が今お話をしたのは、少し生活困窮に近かったりですとか母子家庭であったりですとか、むしろ首都圏で縁者的な人のつながりがない中で生活をされている方々で、そうしたお母さんやお父さんは、自分の子供の成長や生育、教育環境についても不安を持っている方がいらっしゃるのではなかろうかなと思っています。

 実際、地元のNPOの皆さん方は、首都圏のNPOと連携をして、この夏、今度の二十九年の夏、そのような動きで幾つかの御家庭の児童生徒の受け入れをしようということを御検討されているようであります。

 受け皿をやろうとしているNPOさんは、もともと医療法人も御自分で経営をされておられまして、医療や介護のそうした現場で、進展的なことを言うと、後々移住をされてくる父母、生産年齢の方々の就労の受け皿も、ひとつ受け入れをできないかなということも考えられているようであります。

 今、仕組みというか、各地方自治体とかでは幾つかのこういうような動きがあったりですとか、もちろんNPO同士で、民民でそういう動きは、私が把握していないだけで、いろいろな動きが恐らくあるのではなかろうかなと思いますが、もう少し国として、制度だったりですとか、ちょっと光を当てるというようなことをぜひ御一考いただけたらありがたいなと思うわけであります。

 もちろん、そうした年代、児童生徒が仮に移住をした先での教育環境や、また、友達ができたりしながら、その子がまたそこで定着をし、大人になって就労し、納税者になっていくというか、そうした動き、非常に谷間的な、ニッチな話なのかもしれませんが、やはり、真に困っている方々がそうしたところで救われると言ったらあれでしょうけれども、就労の機会が、受けることができる。また、教育環境が、割と地方は、公教育も非常に安定的に展開をされ、しっかりし、地域コミュニティーもかちっとしているところが多いのではなかろうかなと思うわけでありますが、そうした取り組みについて、大臣の御見解といいますか、後押しについてのお話、私のこの話を聞いて御答弁をいただければありがたいなと思います。

山本(幸)国務大臣 委員御指摘のとおり、東京一極集中を何とか是正したいということを考えているわけでありますが、その一つのやり方として、御提案のような、例えば一人親家庭など、東京での生活に困難を抱えている方々を、希望に応じて地方定住、移住していただけるように支援する取り組みについては、NPOあるいは地方自治体等が地域の実情に応じて進めていただいておりまして、これはもう地方創生の観点、あるいは東京一極集中是正の観点から非常に意義があるものと考えております。

 委員も例に挙げられましたけれども、島根県の浜田市では、地方創生関連交付金を活用していただきまして、シングルペアレント受け入れ事業ということで、市外のシングルマザー、ペアレントに対して、介護職員として就職できるように研修費用の助成をする、また、市の単独事業で住居等の生活支援をしているというようなことであります。これによってかなり成果も出ておりまして、こうした形で移住を促進して、人口減少、少子化対策、介護サービス人材の確保など複数の目的が達成されておりまして、大変意義の大きい取り組みだと思います。

 これに触発されて、ほかのところも、いろいろ取り組みを始めようとしているところが結構あります。

 鳥取県は、ミライカレッジ鳥取ツアーということで、シングルマザーの皆さん方に、鳥取にツアーを組んで来ていただいて、いろいろ取り組みの紹介をしていたり、長野県の佐久市でも、介護、子育てリポーター募集、あるいは、北海道の羽幌町も、「仕事・住居・子育てが充実した羽幌町で」というようなことで取り組みを始めようとしております。

 あるいは徳島県でも、ちょっとお聞きしたんですけれども、デュアルスクールという取り組みで、まず子供たちに、夏休みとか、ある時期、地方の方に来てもらって、そして地方での生活を体験してもらって、それが場合によっては家族の移住につながるというような形へ持っていく、そういう取り組みも行われております。

 私はぜひ、おっしゃったように、田舎のそういう空気のいいところで、また環境のいいところで、しかも公的機関も充実していますから、そこで教育をすることには非常に意義があるんじゃないかと思っております。

 先般、山梨県の韮崎を訪ねたときに、一昨年のノーベル賞をとられた大村智先生とお会いしまして、そのときに大村先生から、ノーベル賞をとるのは、地方で育った子供じゃないととれないんだというお話を聞きまして、戻って調べましたら、日本でノーベル賞をとったのは二十五人いるんですけれども、小中高で、少なくとも地方で生活したことのない人は一人もいないというのを発見しまして、最近そういう話もまたしたりしているところでもあります。

 いずれにしても、そういう形で、積極的に地方への人の流れに資するこうした取り組みに関しては、各省における支援策の活用とあわせて、地方創生推進交付金等を活用して、立ち上がり経費等の財政支援あるいは必要な情報提供などを行っていきたいと思っておりまして、引き続き国を挙げて支援していきたいと思っております。

    〔石崎主査代理退席、主査着席〕

田畑(裕)分科員 御答弁ありがとうございます。

 いろいろ各地で、地方自治体やNPOのそういうような移住に関する胎動があるというお話、非常にこれは後押しをぜひお願いをしたいと思いますし、春休みですとか夏休みですとか、そういう期間を使ってのトライアル的な実施について、ややもすれば、NPO間であれば、若干の、信用力と言ったら言い方がおかしいですけれども、やはり行政のお墨つきであったりですとか、ひいて言えば、国全体がそうした取り組みをしっかり旗を振っているんだというようなことは、ある意味、お互いの、皆さん方のやりがいにもつながるし、そしてまた、それがより機能していくということにもつながっていくのではなかろうかなと思っております。

 私自身も、この夏を目指してそういうようなお取り組み、具体的にはしっかりサポートをしていきたいなと思うわけでありますので、地方での取り組みを国を挙げてしっかり御支援いただきたいと思いますし、特に大臣におかれては、地方創生は各省にまたがっている部分が非常に多いわけでありますが、しっかりコントロール、司令塔としてのお力を発揮していただきまして、やはり、人の地方への流れ、東京一極集中の是正に関するさまざまなメニューを駆使して取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 お時間の関係で、幾つか通告していますが、あと一問、女性の活躍について、活躍の推進交付金というものを創設して、今、事業を展開していこう、これも地方独自の、それぞれの自治体からアイデアを募って、そこについて後押しをしようということであろうかと思います。

 先ほど、シングルマザーなり、そうしたお話も、ちょっと事例としてお話をしておりましたが、やはりそうした女性が就労しながら子育てや自立をしていくというのは当然大事な観点であろうかと思います。

 これまでも何もしていなかったわけではないとは思いますが、こうした推進交付金を使っての事業推進の目標や御見解をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

武川政府参考人 地方創生の課題の一つとして、地方から若い女性が都市部に流出しているということが挙げられるわけでございます。

 地域が、女性にとってより魅力的でより一層活躍できる地域になるということが地方創生の実現に寄与するという観点で、女性活躍推進法に基づきまして、地域女性活躍推進交付金を平成二十九年度当初予算案では二・五億円計上させていただいております。

 この交付金は、同法に基づく推進計画に基づきまして、地域の経済団体、金融機関、その他のさまざまな団体が連携、協働して事業を実施したり、女性が活躍するために必要なさまざまな情報を提供するワンストップ相談窓口を整備したり、そういった取り組みを支援していくものでございます。

 この推進計画の策定につきましてKPIがございまして、成果目標として、この推進計画の策定率、平成三十二年度までに、都道府県、市区では一〇〇%、町村では七〇%という目標を掲げておりまして、現状では、平成二十八年度中の策定予定を含めて、都道府県は九七・九%、市町村が二四・二%という形で推移しているところでございます。

 交付金はまだ募集中でございますので、どれほど要望があるかということはこれからでございますけれども、積極的に活用して、地域の女性活躍が進むように取り組んでまいりたいと思います。

田畑(裕)分科員 ありがとうございました。ぜひまた実効性の上がることを御期待申し上げたいと思います。

 時間になりましたので、御通告、質問し切れなかったことをおわび申し上げて、以上で終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

西村主査 次に、津島淳君。

津島分科員 自民党の津島淳でございます。質問の機会をありがとうございます。

 山本幸三大臣、本当に早朝からお疲れさまでございます。また、西村主査初め皆さんも、分科会、ロングでございますので、大変お疲れさまでございます。

 午前中最後の質疑ということで、きょうは私、地方創生について建設的な議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、山本幸三大臣にお尋ねをしたいと思います。

 地方創生担当大臣として、昨年九月二十五日に青森県津軽地方を訪問されていらっしゃるかと思います。御視察をいただきまして、まずは本当にありがとうございます。

 私、地方創生で地元でもよく言うことは、大事なことは気づきということだよとよくお話をするんです。特に地域外の方から、いわゆるよそ者ですね、よそ者の方から御指摘いただいたことにはたくさんの気づきがあります。地方創生に取り組む人は、自分の地域に眠っている魅力や価値に気づく機会というものも求めていくべきでしょうし、また、そのような意識を持った人材を育成することが大変重要だと思っております。

 そこで、大臣、全国の地方創生の事例を御視察なさっているお立場から、今回青森県を視察された印象と、今後、地域としてこういうことに取り組んでいったらいいんじゃないか、そういうアドバイスをいただけますと大変我々にとってはいい気づきになると思いますので、よろしくお願いします。

山本(幸)国務大臣 昨年の九月二十五日、日曜日ですけれども、青森県に出張いたしまして、青森市、五所川原市、鶴田町、板柳町、弘前市、田舎館村を訪問させていただきました。

 これは、前に総務副大臣をやっておられた土屋先生から電話がかかってきまして、五所川原、鶴田、田舎館、すぐ行ってこいと。特に、田舎館村の稲のアートは早く行かないと間に合わなくなるよというような話がありまして、急遽スケジュールをつくらせていただいて訪問させていただきました。大変感動いたしました。

 いろいろありましたが、まず、伝統産業の藍染めに科学技術を取り入れて成長している青森市のあおもり藍産業協同組合の取り組み、それから、市民有志による、八十年ぶりに復活された立ちねぷた、また、青森県・函館デスティネーションキャンペーンのポスターにも取り上げられました鶴の舞橋を視察いたしました。それから、特産のリンゴを活用して加工品をつくるりんごワーク研究所、ブナを使った木工品で海外にも積極的に展開しているブナコ株式会社を伺い、あるいはまた、七色の稲を使いこなして繊細で緻密なアートをつくり上げる田んぼアート等を視察したわけであります。

 中でも、あおもり藍産業協同組合の取り組みというのは非常にすばらしいなと思いました。私は、地方創生というのは地方の平均所得を上げることだと定義して、稼いでもらわなきゃいけませんよということを特に強調しているわけであります。そうでないと持続しません。

 何で青森で藍産業なのとお聞きしたら、自分たちなりに分析して、周辺に藍産業はない、そういうことから、ではこれに取り組もうということで、藍産業、藍を生産して、それからまた大学と共同研究をして、大変科学的に、通常の藍染めじゃなくて、粉末にしまして、そして各種の色が出るというように開発した。そして、藍というのはにおいや抗菌作用もありますので、そういうことから、宇宙服にも使われるというようなこともあったり、あるいは消臭剤とか化粧品とか、今や食べ物にまで発展しているということで、大変すごい取り組みだなと思いました。

 立ちねぷたや鶴の舞橋もすばらしいと思いましたが、ちょっと立ちねぷたや鶴の舞橋で気にかかったのは、これをいかに稼ぎにつなげられるかなということでありまして、私は、観光産業を地方創生の大きなポイントと思っているんです。しかし、観光というのは稼げなければ意味がないので、立ちねぷたのところでどういうふうにお金を取ったらいいのかとかいうことも考えたらいいし、鶴の舞橋に参りましたときに、すばらしい橋なんですけれども、料金を取っているのとお伺いしたら取っていないということでありまして、それはもったいない、来る人は必ず見たいはずだから、それはやはり少し稼ぎにつながるような取り組みにしたらいいんじゃないか、そんな話を申し上げました。

 しかし、いずれにしても、豊かな地域資源、自然環境を活用して創意あふれる工夫をやっている取り組みでありまして、大変大きな刺激を受けたし、今後の可能性、伸び代を感じたところであります。こういうふうに、みずから頑張るという自助の精神を持って工夫して、海外展開あるいは稼げる観光に向けた取り組みは非常に重要なことでありまして、他の地域にも刺激になると思います。

 ぜひ、こうした意欲を持って頑張る地域には、情報面、人材面、財政面でしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。

津島分科員 大臣、ありがとうございます。大変すばらしい気づきをいただいたと思っております。

 私も、地元青森というのは、もったいないが多いんです。価値に気づいていないがゆえに、稼ぐこと、チャンスを逃している。そういうもったいないをなくして、そして観光で稼ぐ。大変すばらしい気づきをいただきまして、改めて地元にしっかりとそのことを伝えていきたいと思っております。

 そこで、今、稼ぐことのできる観光という言葉が大臣からございました。観光については、私、昨年まで国土交通大臣政務官を務めさせていただいて、その折、観光を担務としておりました。稼ぐ観光を実現するための取り組みを強化しようといろいろ話し合っていたことを記憶しております。

 例えば、今後、長期滞在ということ、外国人を含めて長期滞在というものにいかに対応していくのか、あるいはガイドツアー、ガイドさんを養成してガイドツアーを展開する、そこでしっかりお金を取るということが大事ですね。それから、体験型の観光コンテンツといったものを創出していかなければいけない。それを行う組織として、日本型のDMOというものを、デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーションを各地域に設けていただくことといたしました。

 そこで、観光庁さんに二点お伺いするんですが、そのDMOの現状についてどのようになっているかという点と、また、まだまだ地域によっては、このDMOの意義が知られていないがゆえにまだ設置がされていない、設けられていないというところもあろうかと思います。いや、本県も実はまだまだおくれている、私はそういう認識があるものですから、これをいかに広げていくか、その対策を来年度の予算案においてどのように考えられているか、二点お伺いします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 観光庁では、平成二十七年十二月から日本版DMO候補法人の登録制度というものを開始してございます。現時点で、全国で百二十三の法人が登録をされてございます。一方で、委員御指摘のとおり、地方において日本版DMOのさらなる普及啓発をしていくということが必要であると考えてございます。

 このため、引き続きまして、全国各地でシンポジウム、セミナーなどの機会を活用しての普及啓発、そして各地域におきます観光地域づくりに関します優良事例を横展開させていただくということによりまして、DMOの形成に関する地域の機運を高めてまいりたいと考えてございます。

 二〇二〇年までに世界水準というものを百つくるということを目標としてございますので、観光庁といたしまして、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部を初めといたしました関係省庁と連携をいたしまして、まず、地域におけるマーケティング、あるいはDMO間の連携促進を支援するためのシステムとしてのDMOネット、こういうものの開発、提供、こういったことの情報支援をやっていきたいと思ってございます。

 また、観光分野の専門人材のマッチングなどの人材支援、さらには地方創生交付金等によります財政支援、こういったことで支援を実施してまいりたいと思います。こういったものの支援に関しまして、来年度の予算においてしっかり措置をさせていただいておると思っております。

 よろしくお願いいたします。

津島分科員 ありがとうございます。

 来年度予算でしっかり措置をされ、また種々の取り組み、意義が周知されるように今後取り組んでいくというお答えをいただきました。

 私も、地元に帰って、また改めて首長さんとか市町村議会議員さん、あるいは商工会議所、商工会といった方々に、折に触れてDMOの意義というものは説いてまいりたい、そのように考えております。

 続きまして、地方創生を担う人材育成についてお話をしたいと思います。

 まず、地元の一つの取り組みからお話をしたいんですが、私の地元に五所川原農林高校、県立高校がございます。この高校では農業生産工程にかかわる国際的認証、グローバルGAPを、恐らく全国の農業系高校で初めてかと思いますが、一昨年、リンゴで取得しました。昨年、今度は米でそのGAPを取得いたしております。

 さらに、ことし一月でございますけれども、生徒六人が、みずから生産したそのGAPリンゴを、中国四川省成都市に輸出し販売する実習を行いました。生徒たちは指導を受けながら、輸出手続、マーケティング、そして販売戦略づくり、つまり価格設定も含めてですが、そしてリンゴの実際の出荷などを自身で行うとともに、中国語、そして中国文化を学んで、成都市のイトーヨーカ堂で一日半、一月二十日、二十一日と販売実習を行いました。

 売価は一個四百十円という、これは中国産リンゴの五倍の価格の設定をして、しかし、それだけの高い価格であったんですが、生徒たちの創意工夫もあって、目標を上回る六百五十個を売り切るという成果を上げたところであります。

 この五所川原農林高校では、農業のグローバル化に対応した教育の一環としてこういった取り組みを行っているんですが、それだけではなく、農業を広く、地域の食にかかわる、まあ日本のと言ってもいいでしょう、食にかかわる産業として捉えまして、幅広く人材を育成しようとしています。

 実際、私が生徒さんにお話を伺いますと、世界一の農業法人をつくるという女子生徒がいたり、それから地方公務員になって食にかかわる仕事をしたいという男子生徒がいたり、あるいは栄養士になって地元の健康づくりに私はかかわっていきたいなどの具体的な目標を語っております。

 地方創生ということは、地方において、それぞれの役割を見つけていかに地域のために貢献できるか、そういった視点、そういった力を持った人材を育成することが極めて重要だと思いますが、国において、内閣府さん、来年度予算においてどのような施策を盛り込んで進めていくのか、まずそれをお伺いします。

 そして、もう一点は、高等学校教育において、地域及び地場産業を支える人材の育成をどのように支援していくのか、こちらは文部科学省さんにお伺いします。

高橋政府参考人 まず最初に、内閣府から御答弁をさせていただきます。

 今、委員から御指摘がございましたとおり、地方創生についてはまず担い手の育成ということで、人材育成、これは極めて重要でございます。

 このため、昨年十二月から、私ども、地方創生カレッジというのを開講しております。この地方創生カレッジは、データ分析などの基礎的な知識から、先ほども話題に上っておりました、例えば観光DMOなどの専門的な知識に至るまで実践的な講座を、またこれも今委員からお話がありましたように、社会人の方から学生の方までさまざまなお立場の方が幅広く受講していただけるようにEラーニングの形式で提供いたしまして、地域における地方創生人材の育成につなげていく取り組みでございます。

 現在は、おおむね七十講座の提供ということでスタートしたところでございますが、引き続き、いろいろ皆様のニーズを承りながら、講座の充実を図って実践的な人材の育成ということに注力をしてまいりたいと思っております。

 大臣から先ほどお話もありましたように、自助の精神を持って、稼ぐ地方というのを地方がそれぞれつくっていけるように、こうした人材面を初めとする多様な施策、支援策を総動員して取り組んでまいります。

藤江政府参考人 委員から、農業高校で初めてグローバルGAPの認証を取得した五所川原農林高校のお話をいただいたところでございますけれども、農業高校等の専門高校において地域産業の担い手を育成するに当たっては、地元企業等との連携強化により、社会人講師による実践的な指導ですとかあるいは産業現場における実習など、地域の特性に応じた実践的な職業教育を推進していくことが重要であるというふうに考えております。

 文部科学省におきましては、現行高等学校学習指導要領におきまして、地域や産業界等との連携、交流を通じた実践的な学習活動を積極的に取り入れることを明記いたしまして、各学校や地域の実情等に応じた取り組みが行われているところでございます。

 また、先進的な卓越した取り組みを行う専門高校を指定し、実践研究を行うスーパープロフェッショナルハイスクール事業を実施いたしまして、地元企業等と連携して高度な知識、技能を身につけ、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成しているところでございます。

 文部科学省におきましては、今後とも、地元企業等との連携を図り、専門高校における地域産業を担う専門的職業人の育成を推進してまいりたいと考えております。

津島分科員 ありがとうございます。

 内閣府さんからEラーニングという言葉がございまして、五所川原農林高校においては、そのGAP取得、これはぜひ全国に水平展開したいということで、今、NECさんと、プログラムですね、ソフトの開発などを行っているところであります。

 そういった取り組みも含めて、農業系高校を含め地域の高校は、実学というものも今後やはり重視をして、より専門的なプロフェッショナル人材を育て、そしていかに地元に定着を図っていくか、そういう視点でぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。

 次に、流通にかかわる話をさせていただきます。

 青森県の総合流通プラットフォーム、Aプレミアムというものでございます。

 山本大臣が青森にいらっしゃったときに、地域のブランドづくりへの支援ということがございました。つまり、いかに高付加価値の、農産物を含め地場産品を消費地に効率よく届けるか、流通というのは極めて大事なことだと思っております。

 それで、青森県では、農水産物の販路拡大と高付加価値での流通を図る目的で、総合流通プラットフォーム、Aプレミアムの取り組みを行っております。

 これは、物流大手ヤマト運輸、それからANAカーゴと連携をし、航空便を活用して完全保冷一貫輸送システムを構築、これにより、青森から日本列島の九割の地域に、翌日の午前中までに、マグロ、ホタテ、ヒラメ、リンゴ、米等新鮮な農水産物を配達する、それを可能にしたわけでございます。

 ですから、大臣の御地元の北九州、もちろんでございます。兵庫県ももちろんでございます。新潟県、鳥取県、残念ながら大分県が翌日午後になっておるのは改善の余地があろうかと思っております。でも、おおむね九割の地域に新鮮なものをお届けできる、そういう物流プラットフォームでございます。

 これは、官民連携による一つの取り組みでございまして、実際、ANAカーゴの取り扱い、国際クール宅急便、国際ということは、済みません、前後しましたが、ANAの沖縄の貨物ハブを利用することで東南アジアへの輸出も視野に入れております。当然に、東南アジア向けの国際クール宅急便、ANAカーゴの取扱個数、二〇一五年千二百八十一個、二〇一六年が二千五百八十一個と、ほぼ倍増しているということでございます。

 こうした官民連携による商流づくりを国としてもいろいろな形で支援していく必要があると思いますが、内閣府さんのお考えというものをお伺いしたいと思います。

川合政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘にございました青森県総合プラットフォーム、Aプレミアムは、輸送時間の短縮と鮮度、品質を保持した付加価値の高い物流により、農林水産品等の国内外への流通拡大を物流面で支援することを目的とした輸送の枠組みで、平成二十六年七月に青森県とヤマト運輸株式会社により締結された官民連携協定に基づく取り組みと承知をしております。

 また、ただいま先生からも御指摘がありましたように、従来、東北地域に限られていた翌日午前の配達エリアを、本州、四国の全域と福岡県まで拡大し、また、これにより、大消費地から遠いという青森県の地理的なハンディキャップを克服し、高鮮度で高品質な農林水産品の新たな販路の開拓を図ろうとするものであり、さらにこれに加えて、ANAカーゴとの連携により、香港、台湾、マレーシア、シンガポール等への翌日または翌々日の配達を可能とすることによる青森県産の農林水産品等の輸出促進を図るという取り組みであるというふうに承知をいたしております。

 このAプレミアムの取り組みは、官民連携により、青森県産の農林水産品のブランド化、販路開拓、さらには輸出促進による地域の農林漁業者等の所得向上につながる取り組みであることから、国におきましても、平成二十八年度の地方創生推進交付金による支援を行っているところでございます。

 こうした取り組みにより、青森県の地方創生が加速的に進むことを期待しておるところでございます。

津島分科員 ありがとうございます。

 引き続き、いろいろな形での支援をお願いすると同時に、せっかくつくったプラットフォームがより有効に生きるかどうかは、農林漁業者さんもさまざまな一手間をかけることで価値の向上を図ることができるんだという、これもまた気づきの世界だと思います。

 水揚げした魚をただそのまま出すんじゃなくて、生け締め等、そういった一手間を加えることでより価値が高まる。価値が高まるということは値段が高くなるし、むしろ自分が値段をつけて、それを買ってくれる消費者を探していくという考え方をぜひ私も地元で広めていきたいし、そのことで地方創生あるいはそれぞれの業種の方の所得向上というものにつなげていきたい、そのように考えております。

 次に、地方創生にかかわる、その支える交通ネットワークについて質問をいたします。

 今の物流プラットフォームでも、結局、飛行機に載せるまでの集荷の段階というのは、トラックによるヤマトさんの集配送網を使うわけで、地方創生につながる人流とそれから物流の強化においては、地方の道路を中心とする交通ネットワークの確立というのがやはり必要だと思うんです。

 それから、地方創生を考えたときに、地方での暮らしの安心をつくり上げるためにも、道路ネットワークをつくる上で地域の医療構想とリンクをさせて、地域医療の拠点と道路が近接しているというような、そういう考え方で整備をするという観点も私は必要であろうかと思っております。

 青森県でも、高規格幹線道路、地域高規格道路の整備が今続けられているところでございますが、先ほど申し上げた観点、つまり人流、物流の強化という点と、それから医療ですね、医療を支える道路ネットワークであるという観点から、しっかり予算を確保し、着実な整備というものが望まれておりますので、この点について国土交通省さんの見解をお聞きしたいと思います。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今、委員から御指摘いただきましたように、高速道路ネットワーク、これが整備されることによりまして、地域相互の交流であったり広域交通拠点との連携、こういうものが促進することに加えまして、さまざまなストック効果が大いに発揮をされるところでございます。

 例えば、企業立地や観光振興が進むこと、それから農産品の販路の拡大、リダンダンシーの確保による防災機能の強化、また広域医療施設への速達性の確保等が期待されるところでございます。

 こういった効果から、人流であったり物流であったり、それから医療施設との拠点ネットワーク、こういうものに非常に有効に活用され得るというふうに考えております。

 このため、青森県内におきましても、東北縦貫道八戸線や津軽自動車道、下北半島縦貫道路などにつきまして、事業の推進でありましたり計画段階評価の推進等を着実に進めているところでございます。

 今後とも引き続き、高速道路ネットワーク整備の重要性を踏まえまして、青森県内を初めとした計画的な整備に努めてまいりたいと考えております。

津島分科員 ありがとうございます。

 着実な事業推進を図るとともに、やはり地元でも、先ほど申し上げました二つの観点での整備をする上で、医療側からも地域医療の拠点の再編ということも行って、結果として、暮らしの安心、安全というものが担保されるということをやはり考えていかねばいけないので、これは県レベル、それから市町村レベル、それぞれの病院機能というものをどのように集約し、再編し、展開するのかというプランニングが非常に大事であると思いますし、そこに道路づくり、交通インフラとリンクさせる、そういった発想を地方自治体レベルでもやはり考えていく必要があろうかと思っております。

 時間が残り少なくなってまいりましたが、最後の質問になります。

 人材のUターンの促進策について、私の考えを少し申し上げたいと思うんです。

 先ほど、地方創生ではよそ者目線が重要だということを申し上げたんですが、地元で三十代、四十代の方と意見交換をしていて折々聞く意見として、一旦自分の出身地、青森だったら青森以外の地域に出てみる経験もやはり重要だという意見をいただくんですね。これは、自分の出身地を外の地域から客観視して見るということが、冒頭から言っている、多くの気づきがあるということを念頭にした意見だ、そういうふうに私は理解しております。

 現在、全国各地で人材の定着策を行っているんですが、もちろん新卒者の定着というのもすごく大事なんですが、私は、こういった意味で、有為な人材を育てていく意味では、一旦外に出てそして戻ってくる、いわゆるUターンというものをもっともっと進めていくべきではないかと思うんです。ただし、Uターンにおいて鍵になるのは、地元での就職先の確保に不安を抱いてなかなか踏み切れない、そういう状況もあると承知しています。

 そこで、私、こういう制度はどうだろうかと考えたんですが、地元の高校や大学を卒業後、地元企業に就職を一旦決めた若者が一定期間県外企業で働くことを可能にする、いわゆるインターンシップ制度というんでしょうか。

 つまり、地元企業には何らかのインセンティブ、そして県外企業との連携、枠組みというものもまた必要でしょうけれども、こういった制度があれば、地方の若者が望めば、地域外から、暮らしながら自分の地域を見詰め直す、そして自分がやりたいと思うことの技能を身につける機会になり、そして地元に帰ったときに、いわば、先ほど申し上げたよそ者目線で地方創生に取り組んでいただけるのではないか、そしてUターン時の就職の不安解消ということにもなって、Uターンの促進になるんじゃないかと思います。

 この提案について、内閣府さんはいかがお考えになるか、率直な御所見をいただければと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の件でございますが、私どもとしても、大学の卒業前、後を含めまして、就職するに先立って、あるいは就職後もそうでございますけれども、外を知るということは、就職のインターンシップ事業というのは、学生ないしは御本人の多面的な視点を育成するという観点から意義あるものと考えられます。

 そういう意味で、私どもとしましては、大学の中で外を知るであるとか、あるいは大学と地域との連携によるインターンシップ事業というのを進めております。今般もまた、地方創生インターンシップ事業ということで進めさせていただいておりまして、来月にはその機運醸成のためのシンポジウムも開かせていただきます。

 一方で、一旦就職をしてから企業内でいろいろなところにインターンシップする、これも貴重な御意見だと思っております。具体的にそれをやっている事例というのは今承知してございませんけれども、例えばいろいろなところで卒業後の学び直し、職業実践育成プログラム事業等々をやってございます。そういったことで、例えば厚生労働省の給付金が出るものであるとかございますけれども、それがまだまだ広がっていないというのが実情でございますので、私どもも、先生御指摘の件、よく研究してまいりたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

津島分科員 済みません、内閣府さんじゃなくて文部科学省さんから、前向きなお答えをいただけたと思っております。

 大変有意義な質疑をさせていただきまして、また、地方創生というのは息の長い取り組みであろうかと思っておりますので、山本大臣におかれましては、リーダーシップを発揮されて成果が大いに全国で花開くように、活躍を期待しておりますし、私も頑張ってまいりたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

西村主査 これにて津島淳君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

西村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣府所管について審査を進めます。

 警察庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川康洋君。

中川(康)分科員 公明党の中川康洋でございます。

 きょうは、予算委員会の第一分科会ということで、私は、特に警察庁にかかわる部分について五点質問させていただきたいと思っておりますので、松本大臣初め御関係の皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最初に、伊勢志摩サミット、私、地元は三重県でございますので、この伊勢志摩サミットにおける警備についての総括及び評価についてお伺いをしたいと思います。

 昨年五月二十六日、二十七日の日程で開催されました伊勢志摩サミットについては、例えば、会場がリアス式海岸に囲まれた離島という大変に難しい地形であったり、さらには、首脳の到着地である中部国際空港からサミット会場の賢島までは大変に距離があるという地理的条件にもかかわらず、その前段階からの準備も含め、テロなど何の事案も発生させることなく成功裏に終わらせることができた、これは、私は大変大きな成果であったというふうにも思っております。

 言うまでもなく、警備は、その期間において何も起こらなかったということ、これが最も重要でございまして、かつ、期間中、少なくとも私が知り得る上で、三重県民初めサミット会場近くの住民が、必要以上のストレスを感じることなく過ごせることができたというのも大変によかったというふうに私は感じております。

 そこで、まず初めに大臣に伺いますが、今回の伊勢志摩サミットにおける警備についての総括及びその評価について、今回警備を指揮した側からのお答えをいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

松本国務大臣 昨年五月二十六日、二十七日に三重県志摩市で開催をされました伊勢志摩サミットにおいては、国内外要人の身辺の安全と行事の円滑な遂行の確保、テロ等違法行為の未然防止を図るため、全国警察が一丸となって警戒警備に当たったところでございます。

 開催県はもとより、全国各地のソフトターゲット等における警戒警備についても徹底し、テロ等違法行為の発生を完全に抑止するとともに、一般治安の確保にも万全を期すなど、開催国としての治安責任を全うし、日本の治安のよさを世界にアピールすることができたものと思っております。

 警備に際しましては、開催地周辺の住民の方々を初め各種施設利用者の方々、関係の自治体や事業者から、長期間にわたる多大な御協力を賜ったところでございまして、改めて厚く感謝を申し上げたいと思います。

 先般のサミット警備の経験を生かしながら、引き続きテロ対策に万全を期してまいりたいと存じます。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 先ほどは、政府の側というか、指揮した側からの総括と評価を伺ったわけでございます。

 私も、今回のサミットは、これまでの例に比べると、本当にそういった事案が起こらずに日程を消化していくことができた。本当に、何もなかったということが一番よかったわけでありまして、一義的に、警備というのは、前に出る、前面的なものではありませんけれども、しかし、この結果を得たことによって、我が国日本が、本当に治安がいい、さらには秩序が保たれている、こういったことを世界に発信することができたのではないか、このようにも感じている一人でございます。

 私も三重県民の一人でございますので、本当に感じる中でこのサミットというのを過ごしてきましたけれども、県民の皆さんも、例えば、宿舎にお泊まりいただいておる、その移動の中で検問等もあるわけですけれども、本当にストレスを感じることなく、また県民の皆さんも、警備の皆さんが全国からお集まりいただいていますけれども、一体的に、このサミットの成功に向け、そういった御協力をすることができたのではないか。

 さらには、例えば旅館の方からは、こんな話を聞いたことがあります。警備に来ていただいた全国からの警察官の方が、今度は家族で、個人的に、またこの三重県に、伊勢志摩に来たい、こういった話をして地元に帰っていっていただいた、こういった話も伺ったものですから、私は、きょう冒頭、このサミットの警備についての総括と評価を伺わせていただいたわけでございます。大変にありがとうございました。

 続きまして、治安対策の充実強化についてお伺いをしたいというふうにも思っております。

 近年、我が国の治安を取り巻く状況は、刑法犯認知件数、さらには交通事故死者数については、これは減少傾向にはありますが、ストーカーやDV事案、また特殊詐欺等が多発するとともに、例えば、近年ではサイバー犯罪など新たな治安上の脅威が生じております。

 私の地元三重県におきましても、平成二十七年中の刑法犯認知件数は一万五千百七十八件と、これは平成十四年をピークに減少傾向にありますが、県民に強い不安を与える殺人や強盗などの凶悪犯罪、これは後を絶たず、またストーカーや特殊詐欺等が多発しているほか、サイバー犯罪に見られるような新たな治安上の脅威も深刻化するなど、県民の不安を真に解消するには至っておりません。

 また、加えて、これも三重県の状況でございますが、交通事故死者数は、平成二十七年には過去最少の八十七人、これも皆さんの御努力でこの状況になったものの、平成二十八年には再び増加の兆しを見せ、本年も予断を許さない状況でございます。

 また、平成二十七年中の交通人身事故発生件数は七千百六十九件、警察官一人当たりの負担件数は二・三七件と、全国十九位というふうになっている状況でございます。

 さらには、三重県の警察官一人当たりの負担人口は六百十一人でございまして、全国平均の五百二人を大きく上回っており、全国では実は第七位、また中部管区内では第一位という状況がございます。大変な負担がかかっております。

 地方警察官の増員や諸施策の推進などにより、刑法犯認知件数、こういったものは減少傾向で推移をしておりますけれども、しかし、この減少幅は、増員数の減少に伴い、実は小さくなっているほか、凶悪事件の多発や新たな治安上の脅威などにより、警察を取り巻く情勢というのは依然として厳しい状況にございます。

 そこで、私は、今後も一層の治安維持を図り、さらには治安対策を充実強化するためには、警察庁は、引き続き、人的基盤の増員によりまして、その警察力を強化する必要があるというふうに考えますが、いかがでしょうか。御答弁を願います。

斉藤政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、最近の治安情勢は、刑法犯認知件数が減少するなど改善傾向にはございますものの、ストーカー、DV事案等が増加しておりますほか、サイバー空間や国際テロの脅威に直面するなど、依然として厳しい情勢にあると認識をしているところでございます。

 こうした情勢を踏まえまして、平成二十九年度にありましては、ストーカー事案等のいわゆる人身安全関連事案対策の強化などの喫緊の課題に対処をするために、地方警察官八百八十六人の増員に関する経費を政府予算案に計上しているところでございます。

 今後とも、情勢に応じた体制の強化を始めまして、すぐれた人材の確保や育成など人的基盤の充実強化を推進し、国民の安全、安心の確保に努めてまいりたいと考えております。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 先般のサミットでも同じですけれども、警察官の皆さんがいることによって、体感治安として、県民の皆さんが、さらには国民の皆さんが安心、安全をどう感じるのか、これは非常に大事なことだというふうに思うんですね。

 そういった意味においては、やはり今後も、今回、平成二十九年については八百八十六人、全国で御増員をいただくということでございますが、人的な配置、さらには人的基盤の充実というのを、さらに警察庁として強化をしていただきたいというふうに思っております。

 それと、人材というところが非常に大事な組織でございますので、計画的に配置をしていくことによって、世代的に、年代的に差が出ないような、こういったこともお続けいただくこと、これは非常に大事かというふうにも思っておりますし、私、三重県からも、警察官の人員の増員というのは、毎年御要望をいただいておるところでございます。引き続き、その御努力をぜひとも賜ればというふうにも思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 きょうは、斉藤総括審議官に御答弁をいただきました。実は、斉藤審議官は、私が三重県議会議員時代に三重県の本部長をおやりいただいておりまして、県議会の中で非常にやりとりをさせていただいた間柄でございましたし、また、三重県においても非常に重要な、難しい事案を御解決いただいた本部長でございました。この場をかりて御礼を申し上げるとともに、私、きょう、まさか、県議会でやりとりしていた間柄が、国会のこの第一委員室の場でやりとりさせていただくということで、非常に感慨深いものがございまして、きょう、第一分科会を選択してよかったなというふうにも思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、さらに具体的なところ、警察庁に係るところで御質問をさせていただきたいというふうにも思っております。

 最近、つとに報道等されております高齢運転者に係る交通事故について確認をさせていただきます。

 最近、高齢運転者による交通事故及び死亡事故に係るニュースをよく耳にいたします。

 平成十七年以降十年間の七十五歳以上の高齢運転者による死亡事故件数、これは、実は、おおむね四百五十件前後と横ばいで推移をしております。

 ただし、死亡事故件数全体に占める高齢運転者による死亡事故の構成比、これは、これまで十年間の全体の死亡事故件数がおよそ半減しているために、その割合というのは必然的に高くなっております。

 また、七十五歳以上の運転免許の保有者数についても、平成十七年はおよそ二百三十六万人だったものが、平成二十七年には四百七十八万人と、倍増近くしておる状況にございます。

 そこで、まず初めに伺いますが、近年、顕著となっております高齢運転者に係る交通事故について、所管省庁としての御認識、このような部分をお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 交通死亡事故の件数が年々減少しているのに対しまして、七十五歳以上の運転者による死亡事故件数は、御指摘のとおり、横ばい傾向にございまして、過去十年間にわたって四百五十件前後で推移いたしております。

 このため、死亡事故全体に占める七十五歳以上の運転者による死亡事故の割合が大きくなっておりまして、平成二十八年の死亡事故件数は四百五十九件でございますが、全体の一三・五%となっております。

 また、第一当事者の年齢層別免許人口十万人当たりの死亡事故件数を見ますと、平成二十八年の七十五歳以上の運転者による死亡事故は八・九件と、七十五歳未満の運転者による死亡事故三・八件と比べまして、二倍以上となっているところでございます。

 このように、高齢運転者の交通事故情勢は厳しく、また、今後、高齢の運転免許保有者の一層の増加が見込まれておりますことから、本格的な超高齢社会の到来を迎えております我が国において、高齢運転者の交通事故防止対策は喫緊の課題であると認識いたしておるところでございます。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 まず、警察庁としての御認識を伺ったところでございます。

 私は、今回、この質問をする中で、高齢の方々が運転免許を持つな、さらには運転をするなというふうに言っているわけではございません。高齢化が進む中で必然的に保有者数がふえてくる、そうすると、その対応とか対策、これはやはり急務であるだろうということで、今、喫緊の課題というふうにおっしゃっていましたけれども、その部分をどうしていくのか、このところを重要視したいために質問をさせていただいているわけでございます。

 少し具体的なところを確認したいというか、お願いをしたいと思います。

 現在、各自治体においては、バス事業者などとともに、運転免許証の自主返納制度、これを検討しているところがあります。

 一例を挙げますと、私の地元の三重県では、県内を中心に運行しております三重交通さんが、全国で高齢者が運転する車で交通事故が相次ぐ中で、気軽にバスに乗ってもらい、免許の返納率を高めることを目的に、ことしの三月一日から、運転免許を返納した高齢者の方を対象に、乗車の際に同伴者一人を含めた計二人の運賃を半額にするという新たなサービスを始めるというふうに伺っております。

 これは、私の地元での好事例の一つでありますけれども、実際は、特に地方部において、自治体を初め関係機関というのはさまざま協議を重ねているわけでございますが、この運転免許証の自主返納、これは、実は余り進んでいないのが現状でございます。

 そこで、私は、この自主返納制度を高齢者の思いにも配慮をしつつ確実に進めていくには、今後もこの課題を地方自治体任せにはせずに、国も何らかの具体的な支援策、これをやはり検討するべき段階に入っているのではないかというふうに思いますが、今後の取り組み、さらにはお考え、また方向性についてお伺いをしたいと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 運転免許証の自主返納は、あくまでも運転者の自主性を尊重するものでございますが、警察といたしましては、加齢等により運転に不安のある方が免許証を自主返納しやすい環境の整備を推進することは重要であると認識いたしておるところでございます。

 このため、自主返納制度について、その制度の周知に努めるとともに、運転に不安を感じる高齢運転者やその御家族の方々からの相談を受ける体制の充実を図ることや、自治体等に働きかけ、自主返納した方に対する公共交通機関の運賃割引等の支援措置の充実に努めており、引き続きこうした取り組みを推進してまいりたいと考えておるところでございます。

 また、警察庁が開催いたしております高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議の検討課題にも運転免許証の自主返納の促進が掲げられていることから、その有識者会議における議論の状況を踏まえながら、関係府省と連携をし、今後どのような取り組みができるか、幅広く検討してまいりたいと考えておるところでございます。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 あくまでも、やはり自主的に御返納いただくという、ここが原則でございまして、強制的に云々というのは、認知症の部分はちょっとまた別の段階としてはありますが、大事な部分かというふうに思っています。

 加えて、また、この免許証というのは身分証明書にもなり得ますので、そういったところも含めて配慮が必要なわけですけれども、やはり地方自治体だけでは、関係機関と協議しているんですけれども、なかなか進まない状況がございます。今すぐ支援制度、支援策をつくれというところまでは私は言いませんが、やはり総合的に、有識者会議等でも今議論をしていただいていますけれども、検討していく、そういった段階が来るんじゃないかというふうにも思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 きょうは国交省さんにもお越しをいただいておりますが、一方、この高齢運転者等の事故を減らす取り組みとして大事になってくるのが、いわゆる自動ブレーキとか、ペダル踏み間違い時加速抑制装置というんでしょうか、こういった安全運転サポート車、これをどう今後開発普及していくか、これも、一面、大事な部分かというふうに思っております。

 現在、政府としては、この安全運転サポート車の開発普及について、その取り組みを加速させているというふうに伺っておるところでございますが、具体的にどのような取り組みや議論が進んでいるのか、この場で御確認をさせてください。

島政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、自動ブレーキやペダル踏み間違い時の加速抑制装置といった先進安全技術につきましては、高齢運転者による交通事故の防止や事故時の被害軽減の効果が期待されてございます。

 国土交通省におきましては、自動車ユーザーの方々が安全な自動車を選びやすい環境を整えますとともに、自動車メーカーによる安全技術の開発を促進するために、市販車の安全性能を比較評価し、結果を公表する自動車アセスメント事業を実施してございます。この取り組みにおきまして、平成二十六年度からは、自動ブレーキの性能の評価、公表を行っているところでございます。

 また、国土交通省におきましては、自動ブレーキなど高齢運転者の安全運転を支援する技術を搭載した自動車を安全運転サポート車と位置づけまして、その普及啓発を図るべく、関係省庁とともに副大臣等会議を設置しまして、先月、第一回会合を開催したところでございまして、年度内に中間取りまとめを予定してございます。

 今後、この会議を通じまして、安全運転サポート車の普及啓発、導入促進のための方策について幅広く検討を進めさせていただき、先進安全技術を搭載した自動車の普及を図ってまいりたいと考えてございます。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 いわゆる開発普及する側の部分として、きょうは国交省さんに御答弁をいただいたわけですけれども、これは、経産省であるとか、さらには警察庁であるとか、やはりしっかりと連携を図りながらこの開発普及を前に進めていただくこと、これは非常に大事だというふうにも思っています。

 また、現場の感覚でいきますと、いわゆるこういった安全装置が、例えば、高級車にだけついているとか、オプション仕様になっているというのは、やはり少しまたハードルが高くなるのかなと思います。

 高齢者の方は、これはどんどんどんどんふえていきます。こういった方は、コンパクトカーにお乗りになる。また、身近に少し移動するということが多いですので、こういったコンパクトカー等にも標準装備でつけていくような、そういった部分、これは業界とも議論をしていく必要がありますけれども、そういった方向性を具体的に目指していって、よりこれが現場に広がりやすくなるような、そういった状況なんかもおつくりいただきたいと思いますので、この場で御要望をさせていただきたいと思っております。

 四点目。次は、自動車から今度は自転車にかわりまして、自転車関連の交通事故についてお伺いをしたいというふうに思います。

 この自転車関連の事故につきましては、統計上、平成二十七年の自転車が関連した事故数は九万八千七百件でありまして、この事故件数そのものは年々減少傾向にあります。非常に御努力いただいています。

 しかし、近年、この自転車については、例えば、歩行者などに衝突した場合には加害者となる場合もありまして、中には、被害者に重傷を負わせたり、さらには高額な賠償を求められるケースも出ております。

 一例を挙げますと、平成二十年の九月、少年が神戸市の住宅街の坂道をマウンテンバイクで下り、散歩をしていた女性と正面衝突、女性は頭を強打いたしました。一命は取りとめたわけでございますが、四年半たっても寝たきりのままでございます。

 判決では、この少年が時速二十キロから三十キロで走行し、少年の前方不注意が事故の原因と認定、さらには事故時にヘルメットが未着用だったことも挙げて、指導や注意が功を奏しておらずに、監督義務を親の側が果たしていないということで、この母親に計約九千五百万円の賠償を命じておる、こういった判決も出ている状況がございます。

 そこで伺いますが、近年、この自転車事故による重症化、さらには高額賠償化している自転車に起因する事故について、所管省庁としてはどのような認識をお持ちなのか、この御認識をまず確認させていただきたいと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年中の自転車乗用中の交通事故死者数は五百九人でございまして、平成二十七年中と比べまして六十三人減少し、負傷者数は八万九千五百四十六人で、七千六百八十七人減少をいたしております。

 また、自転車が関係する事故の件数は、平成二十八年中で九万八百三十六件でございまして、二十七年中と比べまして七千八百六十四件減少をしておりますが、依然として交通事故全体の約二割を占めているところでございます。

 また、御指摘がございました自転車対歩行者の事故の件数でございますが、平成二十八年中は二千二百八十一件でございまして、平成二十七年中と比べて二百二十五件減少をしておるところでございます。

 減少傾向にあるとは申せ、御指摘のような高額賠償というようなケースも散見をされるところでございますし、今申し上げたような死者数も発生をしておるということでございますので、引き続き自転車に関する事故情勢は大変厳しいものがあると認識をしておるところでございます。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 今、二十八年の統計の数字を御紹介いただきまして、二十七年に比べると減少をしておるということで、これは本当にさまざまな御努力をいただいた結果であるというふうにも思っております。

 しかし、あわせて、歩行者に対しての重症化、さらには高額賠償化、これが事実として散見されるのはやはり非常に厳しい状況でございまして、ここをどう解消していくのか、これは非常に大事な部分であるというふうにも思っています。

 次に、この自転車関連事故の、特に自転車に起因する事故について、ソフト面、またハード面において、何らかの具体的な対策を講じていく必要があるのではないかなというふうにも感じております。

 この具体的な内容について、講じている、こういった状況がございましたら、御答弁を願いたいというふうにも思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 自転車の事故当事者の多くに法令違反が認められますことから、自転車利用者に対するルールの周知と安全教育を推進するとともに、自転車の指導取り締まりを強化するほか、自転車の通行環境を整備するなど、総合的な対策に取り組んでいるところでございます。

 また、平成二十七年の六月からは、自転車の運転中に一定の危険な行為を繰り返した者に対する講習制度が導入されておりまして、その適切な運用にも努めているところでございます。

 いずれにしましても、今後とも、自転車に係る交通事故の防止と良好な自転車交通秩序の実現を図るため、これらの対策を強力に推進していく所存でございます。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 やはり法令違反が多く見られるということで、ルールの周知でありますとか安全教育、こういった部分とか、さらには講習指導まで行っていくというところのお話をいただいたところでございます。

 あわせて、ハード整備の部分で、私、今回一点、御提案というかお願いをしたいのは、これは国交省の方でございますけれども、やはりこの自転車事故を防止するハード整備の一つとして、自転車道とか自転車専用通行帯、この整備というのは、大変有効な手段の一つであるというふうにも思っています。

 現在、各自治体及び道路管理者は、おのおのの立場でこの自転車専用通行帯の整備、これは鋭意努力をしているわけですけれども、まだまだ進んでいないのが現状でございます。

 そこで、国としては、今後さらにこういった自転車事故を抑止していくためにも、この自転車専用通行帯などの整備について、その地方への支援策も含め、今後さらに推進していく必要があるというふうにも思っておりますが、この部分について御答弁を願いたいと思います。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、自転車の通行空間の整備というのは、基本的には歩行者と自動車と分離することが望ましいとは考えておりますけれども、用地取得であったり関係者との合意形成、こういう時間を要するケースというのも少なくないというのが状況でございます。

 このため、国土交通省におきましては、警察庁とも連携しまして、自転車の専用通行帯、それから自転車の通行位置を示す路面標示、それから道路交通環境に応じたさまざまな柔軟な方法を含めて、自転車通行空間の整備を進めているところでございます。

 また、その整備を効果的に進めるためにも、市町村を初めとする関係機関に対しまして、自転車ネットワーク計画を定めて、計画的に整備を進めるようにということを促しているところでございます。

 さらに、地方公共団体が整備をするという場合におきましては、防災・安全交付金等により財政面の支援をしているところでございます。

 いずれにしましても、国交省といたしましては、引き続き関係機関と連携しまして、自転車の通行空間の整備を推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

中川(康)分科員 ありがとうございました。

 この整備をどうするか。これは、一義的にはやはり道路管理者であるとか地方自治体の責務になってくるわけですけれども、国としても、しっかりと連携を図りながら、また協議を重ねながら、現場においてそれが進んでいくような体制をまたよろしくお願いしたいと思っております。

 残った時間、最後、飲酒運転の根絶に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

 言うまでもなく、飲酒運転は故意犯でありまして、絶対に許されない行為であります。この飲酒運転による交通事故及び死亡事故は、平成十四年及び平成十九年の飲酒運転の厳罰化などにより年々減少してきているものの、近年では実は下げどまりの傾向が見受けられます。

 そのような状況の中、近年、都道府県などの地方自治体では、独自に飲酒運転を根絶及び撲滅する条例の制定が進んできておりますが、中でも、福岡県の福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例や、三重県の三重県飲酒運転0(ゼロ)をめざす条例については、法律による厳罰化とは違う観点からの対応が必要との認識のもと、飲酒運転の原因としてのアルコール依存症の存在に着目するとともに、条例の中で飲酒運転違反者に対するアルコール依存症の受診義務を課しておるところでございます。

 私は、これら条例は大変先進的かつ特徴的な条例であるというふうに思いますし、国においても、アルコール障害基本法が成立している今、その効果も含め、十分検討に値する内容ではないかと思いますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、飲酒運転根絶に向け、これまでも飲酒運転の厳罰化、行政処分の強化、取り締まりの強化、さらには地方公共団体や関係機関、団体等と連携した飲酒運転抑止の広報啓発などの取り組みを推進してきたところでございますが、飲酒運転による悲惨な交通事故が依然としてなくならないという実態を踏まえまして、アルコール依存症の疑いがある飲酒運転者を治療等につなげる対策も推進しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、全国警察におきまして、常習飲酒運転者対策として、飲酒運転により運転免許の取り消し処分を受けた方が免許を再取得しようとする場合に、問題飲酒行動の改善のためのカリキュラムを含む飲酒取り消し処分者講習を実施いたしまして、この中において、アルコール依存症の疑いがあると思われる者には治療機関を紹介するという取り組みを実施しているところでございます。

 ただいま御指摘のございました幾つかの県における条例による取り組みについては、飲酒運転根絶対策の一環として、飲酒運転者の情報を公安委員会から県に提供し、違反者にアルコール依存症の検査のための医療機関の受診と結果の報告を義務づけ、アルコール依存症の者の発見と治療を促進するという取り組みであると承知をいたしております。

 このような取り組みは、都道府県、医療機関等が連携した上で、それぞれの役割を果たす体制、仕組みの構築が不可欠でございますが、御指摘のとおり、福岡県や三重県のような条例がされるなどして体制、仕組みが構築された場合には、警察といたしましても、それぞれの都道府県の実情に応じて、違反者情報の提供等の協力を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、関係機関、団体等と連携をいたしまして、飲酒運転の根絶に向けた諸対策をさらに強力に推進してまいる所存でございます。

中川(康)分科員 丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 今後とも、飲酒運転の事故によって命を失う、そういった状況がないような、そういった社会をともどもにつくってまいりたい、このように思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 以上で質問を終わります。大変にありがとうございました。

西村主査 これにて中川康洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、丸山穂高君。

丸山分科員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 先ほど、午前中は第五分科会で厚労大臣と議論をさせていただきました。そこでは、外国人の方の生活保護の問題と、そして、生活保護の方が生活保護費を使ってまでもパチンコに行かれるような依存症に関連した、幾つか重要な御答弁をとるためにお願いをして、それで御答弁いただいたというふうに考えているんですけれども、その後半の部分に関係して、本日は、国家公安委員長にも来ていただきましたし、警察の御担当の局長にも来ていただきまして、このパチンコの問題について、第一分科会でもお話をさせていただきたいというふうに考えます。

 まず、率直に伺います。

 パチンコのいわゆる三店方式と言われるものが、多々、これが非常にグレーじゃないかと言われております。

 端的に言うと、パチンコ店はあくまでも遊技で、そして景品を出す、ユーザーは景品を受け取って、それを交換所で現金にかえる、交換所は卸問屋にその景品を売る、そしてパチンコ店はこの卸問屋からその景品を買う、これがいわゆる三店方式と言われるものですが、これについて、やっているということを認識されているかということをまず伺いたいんです。

 事前に答えを言っておきますと、平成二十八年の主意書で既に、「客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知している。」という答弁もありますので、それは認識しているものだと思うんです。御答弁されていますからね。

 となると、それをしているならば、なぜこれが刑法上の賭博罪に当たらないというふうに考えているのか、改めてその法的位置づけの整理を御答弁いただきたいんですけれども、お願いいたします。

松本国務大臣 客がパチンコ店の営業者からその営業に関して賞品の提供を受けた後、パチンコ店の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することがあるということは承知をしているところでございます。

 このパチンコ営業に係る賞品の買い取りについては、風営適正化法におきまして、パチンコ店の営業者が現金等を賞品として提供することや、客に提供した賞品を買い取るということを禁止しております。

 パチンコ店の営業者以外の第三者が賞品を買い取ることは、直ちに風営適正化法違反または賭博罪に当たる行為となるものではないという認識をさせていただいております。

 一方、パチンコ店の営業者が直接に賞品を買い取るものではない場合におきましても、営業者と実質的に同一であると認められる者が賞品を買い取る場合については、風営適正化法違反となるほか、賭博罪に当たることもあると認識をしているところでございまして、違法行為については取り締まりをしっかり行っているところでございます。

丸山分科員 非常に苦しいなというのは国民誰もが思っているんですけれども、しかし、これまでその法的な整理をされて、ただ、パチンコの射幸性についても警察は認めていて、それをきちんと取り締まるために風営法があるというのが現時点の法のたてつけで、今委員長が明確におっしゃったように、警察は、パチンコに対して、賭博ではない、直ちに賭博となるものではないという御回答をしておられます。

 そうしたら、お聞きしたいんですけれども、では、今のパチンコ店というのはどういう法的な位置づけかというと、今私が言ったような、風俗店と同じ法律の風営法ですね、風営法によって規制されている遊技場なんだということなんですが、同様の風営法上規制されている遊技場というのはこの日本にあまたあるわけで、例えばゲームセンターなんかもそうですね。あとは、最近はアミューズメントカジノみたいな形で、換金はもちろんしていない、ゲームセンターとしてのカジノを楽しむようなところもたくさんあります。

 そうしたところで出された賞品、例えばゲームセンターでクレーンでとった人形を、景品ですよね、まず景品を渡しているところなんていっぱいあるんですけれども、この景品をすぐ近隣で買い取るような業者がいる状況、まさしく先ほどの三店方式の状況と一緒なんですけれども、こうした方式を行っている者に対して検挙したような事例があるのか。ある場合には、最新の検挙数をお伺いできますか。

    〔主査退席、石崎主査代理着席〕

山下政府参考人 風営適正化法では、財物をかけることなくカジノを体験できる、いわゆるアミューズメントカジノを含め、ゲームセンター営業を営む者は、その営業に関しまして、遊技の結果に応じて賞品を提供することが禁止されているところでございます。

 なお、ただいま委員も御指摘のクレーン式遊技機等のように、遊技の結果が物品により表示される遊技設備に関しましては、当該物品が少額である場合につきましては、これを提供する行為は賞品の提供には当たらないものと解しているところでございますが、いずれにいたしましても、当該物品を営業所のすぐ近隣で買い取る業者がいるということは承知をしていないところでございます。

丸山分科員 つまり、承知もされていないので、そうしたものに対して検挙された事例もないということでいいんですね。

山下政府参考人 そのとおりでございまして、検挙事例については承知をしておりません。

丸山分科員 もしそのような事例があった場合には、では、今の話であれば、少額でなければ基本的には違法行為だということでよろしいんですね。

山下政府参考人 その物品についてでございますけれども、少額、これは小売価格がおおむね八百円以下のものということでございます。

 ただいま委員も御指摘のように、例えば高額なものが提供されるということにつきましては、賞品の提供に当たるということでございますので、これは違法ということでございますが、今お尋ねの買い取りというところにつきましては、それは直ちに違反になるというものではございません。

丸山分科員 今の局長の御答弁だと、ゲームセンターで、もしくはそういったアミューズメントで景品として八百円以下の景品を提供した、出ました、結果として。それが、近隣で景品を買うような方式の店がある。しかも、それは直接経営しているような状況、関連がないというような状況が見つかったとしても、では、それはアミューズメントカジノだとかゲームセンターみたいな形でも、違法じゃないということなんですね。

山下政府参考人 そのとおりでございます。

丸山分科員 問題は、では、その経営者のところと換金所の経営関係がどういう状況にあるかというのが非常に大事な観点だと思うんですけれども、そういった意味で、警察というのは、そこを中心に解釈をしながら、実はパチンコの方は、ある意味、容認と言ったら怒られるかもしませんけれども、この法のたてつけをやっている。一方で、ゲームセンターやカジノといったものは、今検挙もないし、把握もしていないという御対応だと思います。

 でも、その言い方だと、今の御答弁を聞いたら、では、ゲームセンターで十分に、パチンコのような、同じ三店方式みたいな形で、現にパチンコ店もペンだとかこういう八百円以下の景品でやっているわけで、同じような形態が、例えばアミューズメントカジノみたいなので、できちゃうわけじゃないですか。

 例えば、バカラで、最後の賞品でこれがもらえますみたいなので、それがいわゆる少額というたてつけで、パチンコと同じような賞品が出てきて、それを横で換金するものは直ちに違法ではないという話だったら、それもできてしまうということじゃないですか。いかがなんでしょうか。

山下政府参考人 今御答弁申し上げました、少額な物品につきまして提供する行為が賞品の提供に当たらないというものにつきましては、これはクレーン式遊技機のものに限られているところでございます。

丸山分科員 では、パチンコはその八百円以下じゃなくてもよいという認識でいいんですか。

山下政府参考人 パチンコにつきましては、パチンコ営業ということでの規制がかかってございますので、いわゆるゲームセンター営業に関する規制とは別のものでございます。

丸山分科員 では、アミューズメントカジノみたいなのはどうなんでしょうか。その景品を例えばバカラやポーカーの大会で得た場合というのはどうなんでしょうか。

山下政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、いわゆる財物をかけることなくカジノを体験できるような、そういうアミューズメントカジノにつきましては、これはゲームセンター営業ということでございますが、その営業に関しましては、遊技の結果に応じて賞品を提供することは禁止されているところでございます。

丸山分科員 つまり、パチンコという営業形態のみ、風営法上は景品を提供することを認めている。

 一つ、ほかのものは基本的には禁止しているんですけれども、ゲームセンターのようなところのみ、クレーンゲームにおいて八百円以下であれば認めているという法のたてつけなので、基本的には、パチンコ店以外で三店方式と言われるものをとることはほぼできない状況になっているということでいいんですね。

山下政府参考人 ゲームセンター営業につきましては、そもそも賞品を提供することが禁止されているということでございます。

丸山分科員 そうしたら、なおさら、何でパチンコだけなんですかというのが、やはり国民の皆さんの素朴な疑問だと思います。

 そうした意味で、ただ、ここでどうしてだというのを詰め続けても建設的ではないと思いますので、現状の警察庁の法解釈は、今伺ったように非常に整理はされていることがわかりましたので、その整理のもとにお伺いしていきたいと思うんです。

 何でこの話をきょう議題にしているかといいますと、いわゆるIRの法案、今ここにいらっしゃいます岩屋議員にも御尽力いただきまして、去年、基本法案が通りました。これは、ことし必ず実施法の議論をするわけです。依存症の対策も打つわけですよ。依存症対策法案も出てくるんですね。恐らく、ことしほど依存症の話が出る国会はない。

 そして、では今の依存症はどうなっているんだという話はこの間の予算委員会でもさせていただきましたけれども、今もう既に日本は依存症の方が五百万人以上いらっしゃる、疑いの方がいらっしゃるんですよ。この調査結果、パチンコによるものかどうかというのは、今政府は因果関係がまだ調査できていないと言っていますけれども、これは三月に出るんです。この間の予算委員会で厚労大臣に公表してくださいねとお願いしました。

 そうすると、必ずこの国会、依存症、どうなっているんだ、パチンコはと。IRができるときっちり入場規制とかもする、依存症の方が入れないようにしていく、そういう議論をしているのに、今の依存症を生み出しているパチンコだけおいておいていいのか、警察はどうされているんだという声が必ず出てくると思うんですよ。

 私、警察はしっかりやっていらっしゃると思います。いろいろな御意見の方がいて、過激な方は警察とパチンコが癒着しているんじゃないかみたいな、そんなことは絶対ないと私は信じていますし、国民のために仕事をしてくださっていると思いますけれども、そういった意味で、非常にこのパチンコに対する風当たり、しっかりやってくれよ、しっかりルールを定めていこう、規制を強化していこうというのが恐らく出てくると思いますので、しっかり、警察さんの方で先に、先手先手を打ってこの対応をすべきだと思うんです。

 今、実は、調べましたら、パチンコだと、マックス機の規制だとか五号機の話が、パチンコ、パチスロで規制されているんですけれども、しかし、小手先の規制というよりは、やはり本質的な、今申し上げているような部分に、しっかりIRに並ぶものにしていかないと、この批判というのは恐らくおさまらないと思いますので、しっかりやっていただきたいんです。

 問題は、パチンコ自体の問題性とともに、パチンコによって生み出される問題というのは、さっき言った依存症の問題と、もう一つは、それによって犯罪が生まれているというのも、実際数字としてはあるというのがあります。

 そこでお伺いしておきたいんですけれども、主たる犯罪の被疑者が、その犯行の動機として、パチンコをするための、パチスロをするためのお金欲しさであるというような犯罪の件数について最新のものをお伺いしたいんです。一応私の認識では、平成二十七年の九百九十五件ということでいいのか。そして、それについてどのように認識しているのか。見解をお伺いできますでしょうか。

松本国務大臣 犯罪がいかなる要因によって発生したものかにつきましては、これを一概に申し上げることは困難でございますが、警察庁の犯罪統計によりますと、平成二十八年中に検挙した刑法犯約三十三万件のうち、主たる容疑者の犯行の動機、原因がパチンコ遊技をするための金欲しさなどパチンコ遊技をすることへの欲求であるものの件数は千三百二十九件でございまして、平成二十七年中の九百九十五件から三百三十四件増加をしておりました。

 こうしたことを犯行の動機、原因とする犯罪が一定数存在することも踏まえまして、警察としても、パチンコへの依存問題について、関係省庁とも連携をして、必要な対策により一層しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

丸山分科員 びっくりしました。ふえているということでありますので、まさしく今お話ししたような批判の対象にさらになりかねないと思います。

 そういった意味で、犯罪をどう抑止していくかというときに、どうしても、パチンコが絡んでくる部分について、同じように批判の的になると思いますので、しっかり、これは原因の分析を進めつつ、それをどう断っていくかというのは非常に大事な観点だと思います。

 警察さんは、予防よりも捕まえる方がどうしてもメーンに、もちろん予防もやられているんですけれども、この捕まえる方を考えてしまうんですけれども、しかし、この予防の観点を考えていかなきゃいけないと思うんですよ。それを考えたら、どう考えても、パチンコをしっかりと見ていかなきゃいけないなというふうに思うんです。

 ちょっと、別の観点の、違法行為なのかどうかへの警察の答弁を確認しておきたいんですけれども、今、パチンコ側が、店の方が打ち子を用意しているんじゃないかという話がありますけれども、この打ち子を用意する行為というのは違法行為に当たるんでしょうか。もし違法行為に当たるんだとしたら、そのような案件でのこれまでの検挙件数みたいなものがありましたら、お答えいただけますでしょうか。

山下政府参考人 一般論として申し上げれば、パチンコ店がいわゆる打ち子を雇い、大当たりをする様子を強調することで集客を図ろうとする場合などは、都道府県の風営適正化法施行条例において規定をされております、著しく射幸心をそそるおそれのある方法で営業しないこと等に違反する場合があると考えられるところでございます。

 当該違法行為につきましては、これは行政処分の対象となり、直接罰則が適用されるものではございませんが、当該違法行為のみに関して集計した統計は持ち合わせていないところでございます。

丸山分科員 刑法犯に当たる疑いは、可能性は生じ得ないんでしょうか。例えば詐欺罪なんかは、まさしく当たり得ると思うんですが、いかがでしょうか。

山下政府参考人 今先生、詐欺罪に当たるようなことはないかということでございますけれども、これはなかなか一概に申し上げることは難しゅうございまして、まさに個別の事案ごとに判断されることとなるというふうに考えております。

丸山分科員 しかし、詐欺罪の構成要件に当たれば、今の局長答弁だと、逆説的に言えば、その構成要件に当たれば、当たる可能性もあるということでいいんですか。それとも、当たり得ないということなんですか。

山下政府参考人 まさに個々の事案に即して判断されるものだということで考えております。

丸山分科員 いずれにしても、詐欺罪でも、また局長が明確に答弁された行政処分の対象だということについても、明らかにこれは処分対象だということなんです。

 何でこんな話をしたかというと、最近ニュースになっていました大阪の事例なんですけれども、大阪市の鶴見区のベラジオ横堤店というお店、パチンコの遊技場で、店長さんが、従業員である店長さんが、LINEで、ある女性に対して、こういう打ち子の募集を、やらないかみたいなのを呼びかけていて、それがネット上で暴露されて、それによって、店側が慌てて調査をして処分した、刑事告訴も考えているみたいなニュースが出ているんですが、この事例、把握されているのかどうか。

 そして、一般的にでいいんですけれども、こうした事例はさっきの行政処分の対象に当たるという認識でよいのでしょうか。

山下政府参考人 先生が御指摘の事案につきましては、報道等で承知はしているところでございます。

 個別の事案につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、警察としては、違法行為に対しては厳正に対処してまいる所存でございます。

丸山分科員 厳正に対処していきたいということですので、よろしくお願いします。

 やはりパチンコはどうしても、グレーなんじゃないかという、うわさのみの部分もあれば、しかし、こうして表立って出てくるようなものもあって、いろいろなこういう話が出てきがちですので、そうしたときに警察がどういう動きをするかというのは、国民みんな非常に注目しているところだと思うんです。

 今回、IRの法案を審議するに当たって、やはりパチンコの話題がどうしても出てくると思うんですが、ちょっと、まず、基礎的な数字も聞いておきたいんですけれども、警察庁さんの認識として、国内に今どれぐらいパチンコ店やスロット店があって、店舗数はどれぐらいで、そして、全台数、これはチェックする機構があると思いますけれども、それも含めて、台数はどれぐらいあってというのはわかっていらっしゃるのかどうか。全国に何店舗ぐらいあって、何台あるんでしょうか。答えていただけますでしょうか。

山下政府参考人 平成二十七年末におきまして、全国におきましてパチンコ営業の営業所数は一万一千三百十件、パチンコ遊技機の台数は二百九十一万八千三百九十一台、回胴式遊技機、いわゆるパチスロの台数は百六十六万一千五百六十二台であると承知をしております。

丸山分科員 今の台数を聞きますと、二百九十一万台、そしてスロットの方が百六十六万台、合計すると四百五十七万台あるということなんですけれども、依存症の疑いがある人の数が、今、成人人口の四・八%だと厚労省は言っているんですよ。これを人口比、成人人口なので、人口で割ると、大体五百万人ぐらいなんです。

 では、そのうちのパチンコによって依存症になった人はどれぐらいの割合かというのは、厚労省が三月に出すデータで見えてくるんですけれども、民間の調査、この間、予算委員会でもパネルでごらんいただきましたけれども、九割と言う人もいれば、少なくとも八割以下と言う人はほぼいなくて、八割から九割と言う人が多いわけです、民間の調査で。そうすると、大体五百万の八割、九割だったら、今言ったような四百五十万人ぐらい。ちょうど台数分、依存症の方が、疑いのある方がいらっしゃるというのが今の日本の現状なんです。

 そう考えても、この辺の、台数を把握されていて、非常に多いということも今わかりましたけれども、この点、依存症の数字との関連性も含めて、今後審議していかなきゃいけないと思うんです。

 一つの懸念は、もちろん依存症対策という意味があるんですけれども、もう一つ、今、日本は、海外からお客さん来てください、ビジット・ジャパンということでやっています。今、二千万人、三千万人目指してやっていて、現にふえていますよね。オリンピック目指して、いっぱい、もっともっと来られるので、警察庁さんとしては、一つ大事なのは、テロを起こさせないためにしっかりその辺の管理をやっていただくというのは十分やっていただけると思いますし、これはしっかり予算もつけていかなきゃいけないと思うんですね。

 一方で、テロ関係者は別にして、では、その来られた外国の人が日本についてどう思うかというのは非常に大事な、日本をよく思ってもらうということが非常に大事だと思いますね。これは日本の外交にとっても、根本の大事な部分になってくると思うんです。

 パチンコに対して、海外の方がどう思われているかみたいなのは、残念ながら、公的な資料はないんですが、しかし、民間の方がいろいろ調査されたのを見ていますと、よくわからぬが、うるさい光っているものがあるという認識だとか、もしくは、やってみようと入ったけれども、全然わけがわからないみたいな、プラスのものがほとんどないんです。なおかつ、では、どういうものかと聞いたら、カジノ場じゃないかと。そんなカジノ場が駅前、駅前のそばにそんなにあるのかという声が、民間の調査ですけれども、あるわけです。

 外国人の方にいっぱい来てもらうという中でも、パチンコの問題、非常に重要なことだと思うんです。重要な岐路に立っていると思うんですが、まず、この点に関して、委員長、どのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。

松本国務大臣 丸山先生から今御紹介がありましたが、我が国を訪れる外国人観光客がパチンコ店をどのように受けとめているかなどについては、必ずしも今承知をしているところではございません。

 いずれにいたしましても、風営適正化法は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持することなどを目的に、パチンコ営業を規制しているところでございまして、こうした規制を通じまして、パチンコ店周辺の善良の風俗と清浄な風俗環境の保持に努めてまいりたいと存じます。

丸山分科員 委員長としての御答弁を今いただいたので、ちょっと、政治家として、松本先生の御感想を伺いたいんです。

 外国の方が来られたときに、そういった状況があるのは少し心苦しいんですけれども、そういうふうにお感じになられないでしょうか。率直に、どのようにお考えになられますか。

松本国務大臣 我が国に訪問された外国人の方が、まずは、パチンコのゲームそのものについての理解というのがなかなか、直ちにできるものではないのではないかと思います。

 そういった中で、先生の御指摘のある、さまざまな依存症の問題も含めて、対応を一つ一つ丁寧にとっているところでございますが、それをどう受けとめて、どういう感じをしたかということが、残念ながら、今、手元にないところでございますので、そういったことにも配慮はしながらも、対応はしっかりしていきたいと思います。

丸山分科員 今後、対策を何かしら考えられる中で、この観点もぜひ一つ加えていただきたいというふうに思っています。外国の方がどう見るかということですね。

 今まで伺ってきたように、パチンコの問題というのはるるあるわけです。いろいろな問題点がある中で、ただ、私がきょう申し上げたいのは、いきなり、けしからぬ、なくせというのは暴論だというふうに私は思っています。というのは、何でもそうなんですけれども、アメリカの禁酒法なんかまさしくそうでしたけれども、完全に禁止することで裏が出てきて、それによって、より治安も悪化する、警察の管理が行き届かないところに行くというのは、逆に非常に問題だと思います。

 そういった意味で、裏カジノとか裏パチンコみたいな規制はしっかり、警察さん、やってくださっていると思っていますので、やっていらっしゃいますよね、大きくうなずいていただいていますけれども。そういうものが、対策がふえてしまうということになりかねないので、そういうことを求めているんじゃなくて。

 しかし、先ほど来申し上げたような、IRの規制がかかる中で、それに合わせた規制強化をしないと、恐らくこの数年間が、国会で一番パチンコという言葉が出るこの一年間の依存症対策、一年間だけじゃなくて、次はオリンピック、次は大阪で万博の招致の話を進めていますので、この数年間、パチンコがどう動くんだと。

 私は、実は、業界の自主規制に対する目も、国民の目も今、光り始めているというふうに思うので、業界さんも考えてほしいし、そして、警察も何より考えてほしいし、我々議員もカジノ依存症の対策の法案の審議を今後していきますので、ここで考えていかなきゃいけない、非常に大事な局面にあると思います。

 恐らくカジノ場は、他国の例を見ても、入場のチェックをすごくしています。ゲートで、誰が来たか、カメラで、顔認証で、誰が来て、誰がどのテーブルで幾らかけたかまでわかるような仕組みをしている。そこまでやるというのか。

 もしくは、ただ、カジノだけじゃなくて、今のパチンコというのはすごく、カメラもいっぱいついているわ、機器もすごくハイテクで、カードを入れて玉が出てきて、玉も機械でカウントするようなところもいっぱいあるみたいです。

 そうすると、カードにしても、例えば認証、要は入場規制という形で、依存症の方はチェックしていくとか、そういった犯罪を抑止していく、未成年が入るのを防止していく、そういった具体的な、カジノと並ぶような規制も可能だと私は思うんです。

 そこまでぜひ議論していっていただきたいんですけれども、今すぐお答えを、そこまで欲しいとは言えませんが、しかし、ぜひ前向きな、少しでも前向きな御答弁を委員長からいただいて、終わりたいというふうに思います。

松本国務大臣 パチンコ営業については、その態様によっては客の射幸心を著しくそそるおそれがあることから、風営適正化法に基づき必要な規制が行われております。

 しかし、パチンコへの依存問題に関しましては、IR推進法の審議において問題として指摘をされたほか、同法の附帯決議等において、パチンコを含めたギャンブル等依存症への対策について言及されたところでございます。

 昨年十二月にギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議が開催をされまして、幅広くギャンブル等依存症全般について、政府一体となって包括的な対策を推進することとされているところでございまして、警察といたしましても、パチンコへの依存問題について、さまざまな御意見を踏まえつつ、関係省庁とも連携して、必要な対策により一層しっかり取り組んでまいりたいと思います。

丸山分科員 時間が来ましたので終わりますが、しっかりやっていただきたいと思いますし、我々議員もこの国会で議論をしていきたいというふうに考えております。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

石崎主査代理 これにて丸山穂高君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

石崎主査代理 次に、皇室費について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡下昌平君。

岡下分科員 自由民主党、大阪十七区、堺市の岡下昌平と申します。

 きょうは、質問の機会を頂戴いたしましたことに心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

 私は、百舌鳥・古市古墳群についてお尋ねをさせていただきたいと存じます。

 私の地元堺市には百舌鳥、お隣の羽曳野市、藤井寺市には古市という多数の古墳が存在しております。地元では、仁徳さんあるいは応神さんと親しみを込めて呼んでおります。これらは、古墳時代の中期、四世紀後半あるいは五世紀後半に築造されておりまして、非常に巨大なものがございます。

 例えますと、仁徳天皇陵古墳、これが全長四百八十六メーター、応神天皇陵古墳は全長四百二十五メーター、履中天皇陵古墳におきましては三百六十五メーター、ニサンザイ古墳におきましては三百メーター、そして仲姫命陵古墳、二百九十メーター、仲哀天皇陵古墳は二百四十二メーター。いずれも大きなもので、全国古墳の大きさランキングでトップスリーを占めるなど、国内最大級の巨大前方後円墳が多く集まっております。

 一番大きい仁徳天皇陵古墳におきましては、エジプトのクフ王のピラミッドやあるいは秦の始皇帝陵より大きくて、大林組の試算におきましては、延べ約六百八十万人の作業員が必要で、一日最大二千人が働いて十五年と八カ月かかるという試算が出ております。これは大手建設会社の試算でございますので、土曜日、日曜日がお休みで、一日八時間労働で試算した数字でございます。以上のことから、古墳を建造した人たちというのは非常に強大な力を持っていたことがわかります。

 百舌鳥・古市古墳群の形は、前方後円墳、そしてホタテの貝の形をした帆立貝形墳、円墳そして方墳、さまざまな形がございまして、同じ時代、同じ地域にこのような大小さまざまな形の墳墓がつくられた事例というものは、日本全国で二十万基あると言われている古墳の中でも百舌鳥・古市古墳群だけでありまして、世界の諸文明と比較しても極めて異例だそうでございます。

 この古墳からは、さまざまな型式の埋葬の施設、あるいは数多くの希少な副葬品が見つかっております。

 御廟山古墳という陵墓参考地が百舌鳥・古市古墳群の一角にございまして、平成二十年に宮内庁が調査を行った結果、七十三体のはにわが出土しております。宮内庁の書陵部陵墓課で調査研究をしたところ、はにわの組織やはけ目、これははにわの柄なんですけれども、はけ目の違いで、十二人ぐらいの職人さんがつくっていて、同じ職人さんがつくったものが非常に近くで、あるいは遠く離れたところでも見つかったりしております。また、小さな扉が開閉できる、そういったような高い技術の出土品なども発見されておりまして、当時の技術水準を知る手がかりとなっております。

 さらに、九州最大の前方後円墳がございます女狭穂塚と百舌鳥・古市古墳群の出土品でありますはにわ等には類似点あるいは共通点がございまして、近畿と九州、宮崎ですけれども、その間に、はにわ職人等の往来があったのではないかと想定もされております。

 このような調査研究は、専門性と緻密な作業の連続で大変な業務であると同時に、日本の古代史をひもとくためには非常に重要で夢のある業務だと思っております。しかし、私たちが想像するよりかなりの少人数で調査研究がなされていて、これでは少し不十分、十分な調査研究ができないのではないかと心配しております。

 そこで質問させていただきますけれども、現在、陵墓課の研究職員さんは何人いらっしゃるのでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども宮内庁書陵部陵墓課におきましては、現在十一名の職員がおりますけれども、そのうち七名が、おっしゃいました調査研究の業務に従事をいたしております。

岡下分科員 続いて、陵墓監区事務所は全国に何カ所ございますでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 陵墓は、現在、一都二府三十県にまたがって所在をしておりますが、それらの陵墓を、東日本では多摩陵墓監区事務所一カ所、それから西日本におきましては桃山、月輪、畝傍、古市の四カ所の陵墓監区事務所、合わせまして全国で五カ所の陵墓監区事務所を設置しておりまして、そこで陵墓の日常的な維持管理を行っているところでございます。

岡下分科員 それでは、全国の陵墓参考地あるいは陵墓は何カ所存在しているんでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 陵墓には、先ほど先生も御指摘をされましたけれども、例えば、前方後円形、円形、方形といったような形をしております、古代高塚式陵墓と我々は呼んでおりますが、そうしたもの、あるいは木造さらには石造の堂塔式陵墓などさまざまな型式のものがございますが、その数につきましては、現在、陵墓参考地を含めまして八百九十八となってございます。ただ、そのうち、同じ場所に複数の陵墓が営建されているところもございますので、箇所数で申し上げますと、四百六十カ所ということでございます。

 以上でございます。

岡下分科員 ありがとうございます。

 それでは、その陵墓関係の予算、どのようになっておりますでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度の陵墓関係の工事費の予算でございますけれども、六億八千六百万円となってございます。また、現在御審議をお願いしております平成二十九年度の予算案におきましては、五億二千三百万円となってございます。

 二十八年度が、比較的大きな施設の耐震化工事を行いました関係で数値も若干大きくなってございますけれども、平成二十九年度の数値が平年度並みというふうにお考えいただければと思います。

 以上でございます。

岡下分科員 ありがとうございます。

 今、人員そして事務所の数、あるいは陵墓の数等々を伺いまして、予算額も伺いました。これだけのものを管理、調査研究するとなると、やはり予算も人もかなり不足しているのではないかなと思います。

 また、近年、大雨や地震などの自然災害がふえまして、陵墓の調査と保護は喫緊の課題だと思います。

 昨年四月に起こりました熊本地震におきましては、百件近くの国指定あるいは登録の文化財が被災しました。熊本城だけでも被害額が六百億円を超えると言われております。文化庁の文化財保護事業がございますけれども、年々、国指定文化財がふえてきていることもございまして、平成二十八年には約三百六十五億円、そして平成二十九年には約三百七十七億円、これでは到底賄えないというのが実情だと思います。

 ちなみに、今申し上げました文化財保護事業というものは、文化財保護法に基づきまして、文化審議会の答申を受け、文部科学大臣が指定、選定等をされた文化財に国庫補助を行うものであって、国指定等文化財の所有者、管理団体、地方公共団体などに補助金として交付されているというものでございます。

 また、特に昨今、災害復旧にかかわる文化財補助金の補助率、これが非常に重要なんですけれども、通常時に算出した、したがって平時に算出した補助率が大体約五〇%ほどで、その約五〇%の補助率に二〇%加算されて、上限は補助対象経費の八五%ということになっておりますが、これでは、国の予算だけではやはり限界があると思います。したがって、寄附を募ったり、民間の力を活用して、地方自治体等が復旧活動に当たっております。

 陵墓関係予算につきましても、いきなり何十倍と飛躍的にふえることは難しいと思いますので、さらなる工夫が必要ではないか、このように考えております。

 そんな中、当時所管大臣であった河野太郎先生のホームページに、これは二〇一六年三月二十七日のホームページの記載なんですけれども、これを少し読ませていただきます。

 昨年秋に、官房長官から、国の施設の中で観光資源として価値のあるもの、国民に見てもらう価値のあるものを積極的に公開することを検討する指示をいただきました。それを受けて行革事務局で、関係各省庁と調整した結果、首相官邸から日本銀行まで、十五の施設について新たに公開あるいは公開を拡充することになりました。

 このような記載がございました。

 例えますと、首相官邸の官邸と公邸を、小中学生を対象に、毎月土日の二日間、そして八月の九日間、見学を実施する。迎賓館の赤坂離宮は、毎週水曜日を除き、通年公開。京都の迎賓館におきましては、ゴールデンウイークに試験公開、そして当日受け付けも可能である。京都御所におきましては、月曜日以外の通年公開。これは事前予約不要となってございます。そのほかにも、大阪市内にございます造幣局の本局、これは造幣博物館を休日も開館する、あける。日本銀行におきましては、本店本館を当日受け付けで見学を可能にする。貨幣博物館におきまして、月曜日以外既に毎日開館をする。

 このようなことが記載されておりました。

 そして、注目したいのがその次の記載なんです。

 また、今回の検討の中で、我が国の長い歴史を伝える陵墓につきまして、適切な管理ができていないものが見られたため、宮内庁と地元自治体の教育委員会の専門官や各種歴史学会の専門家などが協力して修復、保全のための調査を新たに開始することが決まりました。今後、さまざまな専門家の協力をいただいて、計画的に、かなりスピードアップして調査が行われることとなりますという記載がございました。

 この方針は、古墳などが存在する自治体にとっては大変にありがたいことだと思います。これまでももちろんしっかりと行ってこられたと思いますけれども、これまで以上に、さらなる地元自治体あるいは住民の皆様方の協力を求めながら進めていきますというふうに理解できますけれども、この点はいかがでしょうか。この記載の趣旨についてお聞かせをいただきたいと存じます。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまのお話でございますが、宮内庁におきましては、我々自身が、宮内庁自身が事業主体になって行う調査、こういうものもたくさんございますけれども、こういった調査につきましては、今先生がまさにおっしゃいましたように、これまでも、必要に応じまして、地元自治体とかあるいは研究者の方の参加、御協力をいただきながら実施をしてきたという経緯もございます。

 例えば、大きなところで申し上げますと、平成二十年度には百舌鳥陵墓参考地、それから平成二十四年度には東百舌鳥陵墓参考地におきまして、まさに地元であります堺市の御協力をいただいて同時調査というものを実施したところでございます。

 私ども宮内庁におきましては、今お話がございましたように、今後、陵墓の保全管理を一層強化していくという必要があると考えておりまして、御指摘のとおり、これまで以上に、地元自治体や研究者等の参加、御協力をいただきながら、こうした調査を実施してまいりたいというふうに考えております。

岡下分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、一層強化していただきまして、取り組んでいっていただけたらと思っております。

 そこで、去ることしの二月の十一日から十三日の間、百舌鳥古墳群におきますと永山古墳、そして丸保山古墳、古市古墳群におきましては墓山古墳、この古墳を宮内庁と地元教育委員会が調査をしたと聞いております。

 報告は、いつ、どんな形でされるんでしょうか。教えてください。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度におきましては、御指摘になりました、仁徳天皇陵飛び地と号、いわゆる永山古墳、それから仁徳天皇陵飛び地へ号、いわゆる丸保山古墳、それから、応神天皇陵飛び地ほ号、いわゆる墓山古墳、こうしたものを初めといたしまして、幾つかの陵墓におきまして、地元自治体あるいは研究者等の御参加、御協力をいただいて調査を行ったところでございます。

 その調査結果でございますけれども、最終的には、平成二十九年度末に刊行をいたします予定になっております書陵部紀要というものにおいて掲載をし、発表することにしたいと考えてございます。

 この書陵部紀要と申しますのは、私ども宮内庁書陵部において毎年刊行しておるものでございまして、大学等の研究機関ですとか、それから都道府県の図書館等に配付をしておるもの、専門誌でございます。

 ただ、それまでには一年余の期間がございます。それまでの間に、例えば講演会のような形で、そういう適当な機会がもしあれば、我々といたしましては、その調査結果の一部を中間報告のような形で発表させていただくことについても、前向きに検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

岡下分科員 実は、その講演会あるいはシンポジウムが、今後あるんです、大阪市で。ことしの五月の十四日なんですけれども、大阪市内で開催予定の百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録推進シンポジウムというものがございまして、五月十四日に開催をいたします。

 ぜひ、このシンポジウムにおきまして、この調査結果、さまざまな報告、こちらでやっていただきますように、御検討いただきますようよろしくお願いを申し上げます。五月十四日でございますので、よろしくお願いいたします。

 今申し上げてきましたけれども、百舌鳥・古市古墳群には、かなりの数の陵墓が存在をしております。

 少し御紹介申し上げますと、まずは、十四代仲哀天皇陵、これは藤井寺にございます。十五代の応神天皇陵は羽曳野、十六代仁徳天皇陵は私の地元堺市、十七代履中天皇陵も堺市、十八代反正天皇陵は堺市、十九代允恭天皇陵、こちらは藤井寺、そして、二十一代雄略天皇陵は羽曳野、二十二代清寧天皇陵も羽曳野でございます。二十四代仁賢天皇陵は藤井寺、二十七代安閑天皇陵は羽曳野などなどでございます。

 これらの陵墓等につきましては、日本書紀や古事記にも記されておりますけれども、私たちの責務といたしまして、やはり、この世界に誇るべき貴重な遺産というものをしっかりと後世に残して、そして伝えていく必要があると考えております。ぜひ、地元自治体にも協力を求めて、進めていっていただきたいと存じます。

 そんな中、私の地元堺市、そしてお隣の羽曳野、藤井寺さん、今、力を合わせて世界文化遺産への登録を進めております。これは、長い間の悲願でございまして、地元にとり大変な励みになることと考えております。

 世界文化遺産登録に向けた取り組みを今日まで実は十年間行ってきております。平成十九年に文化庁へ提案をさせていただきまして、平成二十年には、百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録有識者会議を設置、そして、平成二十七年、二十八年と国内推薦の最終候補に残るも残念ながら選ばれず。ことしこそ、国内推薦を獲得して、平成三十一年度の世界文化遺産登録を実現したいと、今地元でも頑張っているところでございます。

 ちなみに日本では、皇室、宮内庁管理のもので世界遺産に登録されたものは、古都奈良の文化財であります正倉院がございます。海外では、イギリスのロンドン塔やあるいはスウェーデンのドロットニングホルム宮殿を含む王領地など、王室のものが世界遺産に登録される例は多々ございます。

 世界遺産に登録されれば、世界じゅうから観光客が集まってきて、もっと中を公開してほしいとかそういった声が、どんどん要望が強まってくる。したがって、静安と尊厳が保たれないとの心配の声もございます。

 しかし一方、世界遺産に登録されれば、今まで以上に陵墓に参拝する人がふえて、陵墓に対する国民の理解が広がり、さらに周囲を緩衝地帯としてビルや看板などの景観やあるいは開発規制などが課せられることから、今まで以上の整備、保全が期待されます。

 そこで、宮内庁として、陵墓が世界文化遺産の候補に挙がっていることをどのようにお考えになられているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 陵墓は、皇室の御祖先が葬られている場所として、現に皇室において祭祀が継続して行われ、皇室と国民の追慕尊崇の対象となっておりますので、その保全管理に当たっては、何よりも静安と尊厳が保持されることが重要であると考えております。

 世界文化遺産登録との関連につきましては、地方自治体におきまして、静安と尊厳が損なわれることがないよういろいろと努力されていると聞いておりまして、宮内庁といたしましては、世界文化遺産登録の推薦に当たって、地元自治体や関係機関と引き続き十分協議をしてまいりたいと考えております。

 なお、世界文化遺産登録の推薦に当たりましては、文化庁におきましても、また地方自治体におきましても、宮内庁の従来の維持管理方法、管理体制の変更は要しないとしていると聞いているところでございます。

岡下分科員 ありがとうございます。

 世界遺産について、日本は、一九九二年、ユネスコの世界遺産条約を締結して、翌一九九三年、我が国から初めて、法隆寺地域の仏教建造物及び姫路城の二件が文化遺産として世界遺産の一覧表に記載されました。その後、十四件が世界文化遺産として登録されまして、合計十六件が登録されております。イタリアやフランス、ギリシャなどのヨーロッパに比べると数は少ないんですけれども、日本においても順調にその数はふえてきております。

 しかし、最近では、日本からの国内の推薦がとれても、年々審査が厳しくなってきていると言われております。そこで、今後の動き、あるいは見通しについて、文化庁のお考えをお尋ねしたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ユネスコの世界文化遺産への新規推薦につきましては、例年、文化審議会における審査等を経まして、政府において推薦候補を一件選定し、それをユネスコ世界遺産委員会事務局に九月三十日までに暫定版の推薦書を提出し、さらに翌年の二月一日までに閣議了解を経て正式版の推薦書を提出することとなっております。

 その後、ユネスコの諮問機関でありますイコモスによりまして、書類審査や現地調査等を経て勧告が出され、この勧告を受けて、ユネスコ世界遺産委員会において世界遺産登録の可否が決定されることとなっております。

 文化庁といたしましては、近年の審査の動向を注視しながら、関係省庁や自治体と連携し、国民の皆様の世界遺産の登録に向けた期待に応えられるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

岡下分科員 ありがとうございます。

 以前は、陵墓を世界遺産にするというのは非常に恐れ多い、そういった考えもございました。大切だからこそ、世界遺産、文化遺産に登録させていただいて、しっかり整備、保全して後世に引き継いでいくべきだという考え方に今は変わってきていると思っております。

 私の地元堺市では、魅力を伝えるための公式のキャラクター、ハニワ課長さん、しゃべりますけれども、ゆるキャラではなくて、ハニワ課長さん、はにわカレーあるいははにわパンをつくり、また、古市の古墳群においては宝くじの絵柄に古墳をデザインする、そんなような取り組みを行って、市民の皆様方の御理解やあるいはその機運が非常に盛り上がってきております。

 同じ地域に、さまざまな大きさ、形の古墳があって、いろいろな身分の人たちがその古墳にかかわりを持って、かつ古墳を中心とした社会の形成がなされてきたというのは、この百舌鳥・古市古墳群だけなんです。悠久の歴史を誇る我が日本国において、古墳というものは非常に貴重な歴史遺産であると考えます。

 七月に行われます文化審議会で決定されると思いますけれども、ぜひ、百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産の国内推薦、これを最後にお願い申し上げまして、少し早いですけれども、私の質問を終えさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

石崎主査代理 これにて岡下昌平君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西宏幸君。

大西(宏)分科員 続きまして、自由民主党・無所属の会、大西宏幸、質問をさせていただきます。

 本日は、質問の機会を賜りまして、心より感謝申し上げます。

 さて、昨年八月、今上陛下のお言葉、大御心を、我々日本国民にとって大変衝撃のもとで賜りました。陛下が、御自身のお気持ちを率直に、そして直接語りかけるものであり、私を含め、国民の多くが心を動かされたものと思っております。

 また、大きな意味では、日本国の行く末に係ることで直接国民に語りかけたのは、実は、昭和天皇陛下の、終戦時に録音レコードでラジオから流れたいわゆる玉音放送以来。今回は録画ビデオという、時代の流れで手法は違えども、今上陛下のお心は、昭和天皇陛下の当時の決意と同じく、強い意思を持ったお言葉であると私は認識しております。

 この陛下のお言葉を受け、安倍総理のリーダーシップのもと、検討が開始されたところでございます。

 現在、政府の天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議の論点整理を受けて、衆参両院の正副議長により各党各会派の代表者から個別に意見聴取がなされました。

 自由民主党としても、我々は、さまざまな観点から検討した結果、現時点において天皇陛下の退位は今上陛下一代に限った対応とすることが望ましいと考えられること、また、現行憲法及び皇室典範と今回の立法措置の関係を明確にする必要があること、立法に当たっては、今回の対応の趣旨や必要となる手続の明記など、法案の内容への十分な配慮を求めること等を意見書として提出しております。

 このように、国会での議論が始まる前ではありますが、国民の関心が高く、我が国にとって必要な問題であり、高齢化が進む日本において、いずれは検討しなければならない課題であったのではないかと私自身も思っております。私自身も、衆議院では内閣委員会の委員を務めさせていただいており、責任の重さに思いをいたすところであります。

 本日は、天皇陛下の御譲位に関して質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今上陛下はこれまで、国民とともに歩む皇室としてさまざまな公務をお務めになってこられました。私などから拝見しても、大変忙しく、いつお休みになっておられるのかと本当に心配になります。

 陛下は、御公務が多いことを理由に、体力的に難しいので譲位するとおっしゃっているのではありませんが、今後も高齢化が進むことが予想される中、公務の状況についても重要な要素であると私自身考えております。

 そこで、陛下の御公務の件数、また主な公務の内容についてお聞きしたいと思っております。いわゆる休日が何日あるのか、あわせてお答えいただければ幸いに思います。直近のデータで構いません、平成二十七年になりますでしょうか、よろしくお願いいたします。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 天皇陛下の平成二十七年における御公務の件数は、国事行為が一千四十七件、公的行為が五百二十九件、その他の行為が六十八件であります。

 御公務の内容につきましては、まず第一に、国事行為として、内閣からの上奏書類への御署名、御押印、信任状奉呈式、勲章親授式、新年祝賀の儀などがございます。第二に、公的行為としまして、認証官任命式、拝謁、午さん、晩さん、都内や地方への行幸、外国御訪問などがございます。第三に、その他の行為として、展覧会御覧、演奏会御鑑賞、御進講などがございます。

 天皇陛下の御活動のなかった日につきましては、平成二十七年中、百四日ございました。

 なお、平日はほぼ毎日御活動があり、土曜、日曜等も主催者からの願い出が多数あること、また、皇室行事の伝統にも由来し、相当多数の御活動がございます。

 また、御活動のない日でありましても、各行事等の趣旨、意義、歴史等に関して資料をごらんになるなどしてお過ごしになっておられます。

大西(宏)分科員 今おっしゃいましたように、国事行為で千四百七件、そして公務で五百二十九、その他六十八件。二千件を上回るような年間行事、それを百四日の休日でどう御身体を安定そして慈しむことができるのかということがすごく心配になります。

 と同時に、これほどの公務があるということは、事前に用意をしなければならない。また、用意に伴ってのいろいろな部署からの、お問い合わせ等々もしなければならないことを考えると、この百四日丸々お休みになっておられるのかなと大変心配になります。そのことも改めて議論をしなければならないということでございます。

 こうして改めてお聞きすると、やはり多忙で、体力的にも大変御負担があるのではないかと推察いたします。

 ところで、天皇陛下の重要なお務めの中に祭祀というものがございます。早朝、深夜に行われる宮中祭祀としてはどのようなものがございますでしょうか。お願いします。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、早朝の宮中祭祀としましては、元日の午前五時三十分から行われる四方拝の儀と、引き続き五時四十分から行われる歳旦祭の儀がございます。

 また、深夜まで行われる宮中祭祀としましては、十一月二十三日から翌日にかけて行われます新嘗祭神嘉殿の儀と、年間三回行われます御神楽の儀がございます。

 新嘗祭神嘉殿の儀は、夕方から夜にかけて行われます夕の儀と、深夜に行われます暁の儀から成っております。また、御神楽の儀、これは、雅楽を奏し、舞を舞って神霊を和める儀式でございますが、この御神楽の儀につきましては、昭和天皇祭御神楽の儀、これは一月七日でございます、それから皇霊殿御神楽の儀、これは四月三日でございます、及び賢所御神楽の儀、これは十二月中旬でございます、これらのものがございます。

大西(宏)分科員 今おっしゃいましたように、もともと天皇家は祭祀をつかさどる御一家ということでございまして、その中で、早朝、深夜の神祇が多く今まであったということで、近年になって大分少なくはなってきておるんですけれども、京都の石清水八幡宮の御霊遷等につきましては深夜から朝方にかけてというのがございます。

 そういうことも鑑みたら、みそぎ、斎み慎んで臨まれることを考えたら、すごく時間のかかる祭祀をずっとされておられることはすごく御負担にもなっておられるんでしょうけれども、基本的に、我々は、天皇陛下には祭祀をしていただきたいという気持ちがやはりあります。そのことも踏まえて今後とも議論をしていかなきゃいけないのかなと思います。

 続きまして、現行の皇室典範では、天皇の譲位に関する規定はどのようになっているのでしょうか。これは重要なことなので、お聞かせください。

西村政府参考人 委員御指摘の規定は、皇室典範にはございません。

 なお、皇室典範第四条で、皇位継承の原因について、天皇が崩じたときと定めているところであります。

大西(宏)分科員 そういうことなんですよね。もともと、皇室典範というのは明治以降につくられたもので、そのときの考え方等々が、伊藤博文翁のお考え方も踏まえて、その当時の政権の考え方がやはり大きく入っている。それだからこそすごく難しい部分があると思っております。

 それでは、歴史的に見まして、その当時当時の陛下が退位した例はどれぐらいありますでしょうか。お聞かせください。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和天皇までの百二十四代の天皇のうち、譲位された方は歴史的には五十八方おられます。

 譲位された最初の天皇は第三十五代皇極天皇でありまして、また、直近の天皇は第百十九代光格天皇であります。

大西(宏)分科員 六四五年、第三十五代皇極天皇から、一八一七年、百十九代光格天皇陛下に至るまで、五十八方の方々が歴史的に御譲位をされておられるということでございます。

 こういうこともやはり考えていかなきゃいけないのは、なぜ近代になって譲位がされなくなったのか。これはもう単純明快に、明治維新があると思います。

 当時、江戸幕府から、いわゆる御維新、明治維新が起こり、新政府、明治政府が立ち上がりました。その当時の明治政府の中心にいたのは、草創の士、いわゆる下級武士、そして町人、各階層からの人々、そして岩倉具視を初めとして、下級公家と言われる方々が中心として明治政府を起こしました。そのときに何を一番最初に行ったのかというと、いわゆる上級公家、五摂家を廃止し、そして、天皇陛下が必ず横に置いておられた神祇官というのを廃止されました。

 神祇官を廃止し、五摂家を廃止し、そして廃藩置県、廃仏毀釈等々をされていく中で、明治政府が何をされてきたのかということは、これは、我々が言わなきゃならない、考えなきゃならない。隠してはならないこと、特に国民は知らなきゃならないこと、これは何だというと、当時の天皇を利用しようとしてこの皇室典範をつくったとしか言いようがないという認識を我々は持たなければならないということです。

 井上毅が皇室典範をつくろうとしたときに、実は天皇譲位のくだんを井上毅は入れようとしました。しかし、その当時の伊藤博文翁が譲位については拒否をして、皇室典範に入れなかった。

 そのときの議論は私は存じ上げませんけれども、時の政府がその当時どう考えておられたかというのは、容易に理解がつきます。譲位をされた天皇と新天皇、反政府にどちらかがついたときに、また国内戦争が起こる。起こらないようにどうするのか。天皇というのを改めてつくらない、生存している間に天皇を改めて譲位させない、そういうふうなことであったように思います。

 ここで、天皇の公務の負担軽減に関する有識者会議の論点整理について、改めて幾つか質問をさせていただきます。

 言うまでもなく、その全文も公開されているところでありますけれども、報道でも取り上げられました。しかしながら、やはり内容についてしっかりと理解できている国民は少ないのではないかと思っております。確認の意味でも質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、運用上の負担軽減については、どのような意見や課題があるでしょうか。

平川政府参考人 お答えいたします。

 天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議におきましては、天皇陛下の御公務の負担軽減等を図るためにどのようなことができるのか、専門家からの幅広い意見を聴取しつつ検討を重ね、一月二十三日に「今後の検討に向けた論点の整理」を取りまとめ、公表したところでございます。

 この論点整理におきまして、運用による負担軽減といたしまして、国事行為に関連する儀式等の見直しや、公的行為の縮減、皇族方による分担などを行うべきだとの意見が記載されておりまして、それらの課題といたしましては、既にできる見直しは実施されてきており、これ以上の見直しは困難ではないのかという意見が記載されております。

大西(宏)分科員 続いて、特に譲位について、一般的な課題はどのようなものがあるでしょうか。

 今の質問に関して、今上陛下に限らず、将来の全ての天皇を対象とする場合については、どのような課題がありますでしょうか。

平川政府参考人 お答えいたします。

 まず、退位の一般論につきましての課題でございますが、論点整理におきましては、退位には、強制退位や恣意的退位の問題、象徴や権威の二重性の問題などさまざまな問題があるとの意見、天皇の自由な意思に基づく退位を可能とすれば、即位しないことも可能としなければ均衡がとれず、憲法が定める世襲制を維持することが難しくなるとの意見、天皇の意思に基づかない退位を可能とすれば、天皇の意向に反して天皇が退位させられることとなりかねないとの意見、退位を皇位継承事由とすれば、天皇の意向、内閣や国会の発意など何らかのきっかけが必要とならざるを得ず、天皇の地位が不安定となるとの意見などが記載されております。

 また、将来の全ての天皇を対象とする場合の課題といたしましては、将来のさまざまな状況を見据えた退位の要件化は困難で、一般的、抽象的な要件ではかえって強制退位や恣意的退位を正当化することになるとの意見、天皇の退位の判断の責任は皇室会議ではなく政府や国会が負うべきとの意見、天皇の意思を前提とすれば、天皇の国政介入禁止を規定した憲法に違反するおそれがあり、また、手続として別の機関を関与させたとしても、退位は望ましくないとの判断をすることは通常考えにくいので、恣意的退位のおそれがあるとの意見などが記載されております。

大西(宏)分科員 ありがとうございます。

 これから議論をする最も基本的な点であろうかと思いますが、譲位を可能とする法形式についてです。

 皇室典範の改正や特例法の制定などが挙げられていると承知していますけれども、論点整理については、どのように整理し、また、政府としてどのように考えておられるでしょうか。

平川政府参考人 お答えいたします。

 有識者会議におきましては、法制的な法形式論よりも、将来の全ての天皇を対象とすべきか、今上陛下に限ったものとすべきかが議論の本質であるとして、そのような観点から論点整理が行われております。

 いずれにいたしましても、天皇の退位等につきましては、衆参両院の議長、副議長による各党各会派からの意見聴取が行われ、議長、副議長を中心に、静かな環境で議論が進められているものと承知しておりまして、政府といたしましては、国会での御議論をしっかり受けとめ、天皇陛下の御公務の負担軽減等についてさらに検討を進めてまいりたいと考えております。

大西(宏)分科員 続きまして、各国の王室等の継承の状況についても参考までにお聞きしたいと思いますけれども、どうでしょうか。

平川政府参考人 お答えいたします。

 海外の王室におきまして、退位による王位の継承が行われた最近の事例でございますが、二〇一四年六月にスペイン王国のフアン・カルロス一世国王陛下が、二〇一三年七月にベルギー王国のアルベール二世国王陛下が、二〇一三年四月にオランダ国王のベアトリクス女王陛下が退位されたものと承知しております。このほかにも、英国、ブータン王国、ヨルダン王国などにおいて国王の退位が行われております。

 また、退位の理由でございますが、国王が高齢であること、健康上支障があること、次世代への円滑な継承に資することなどが挙げられているものと承知しております。

大西(宏)分科員 法律に基づくいわゆる譲位がなされている国は、オランダ王国、そしてクウェート国、ヨルダン・ハシェミット王国。特別法によって譲位、特例法で譲位されている国が、英国、スペイン王国、カタール国、ブータン王国、ベルギー王国です。憲法上、特例も認められているが、両方とも認められているけれども事例がないのが、スウェーデン王国とデンマーク王国、ノルウェー王国ということに今なっております。

 本当に、各国、この王室問題については、その国々によって大きく論点、議論、そして状況が異なりますので、日本の皇室と同等に話をするわけにはいかない部分があるとは思いますけれども、どの国においても正式に譲位をできるようになっていると思うんですね。

 憲法上、特例も認められている、事例がないというのは、いわゆる王室というのは憲法の範囲外に存在して、その都度その都度、皇室、王室が議論をして、皇室内で議論して、それで決めていくということの基本的コンセプトがあるかないかにかかってくる。逆に申し上げますと、その国々が民主化、国民主権になっているのか、なっていないのか。国民主権になっている国においては、やはり皇室ルールというのを国民の議論のもとにつくっていくということがなされているように私は思っております。

 そう考えますと、やはり日本も、この皇室典範については改めて今後、まあ、今回の今上陛下の大御心以外にでしょうけれども、一度皇室典範を改正するべきだなという意識は私自身は持っておる次第でございます。

 最後になりましたけれども、やはり安定的な皇位継承が重要であろうと思います。今回論点ではないかもしれませんけれども、検討状況について、今どういう検討をなされているか、お聞かせいただけますでしょうか。

平川政府参考人 お答えいたします。

 安定的な皇位継承の維持につきましては、国会におきまして、総理が、国家の基本にかかわる極めて重要な問題である、この問題については慎重かつ丁寧に対応する必要があり、男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえつつ、今回の公務の負担軽減等の議論とは切り離して引き続き検討していく旨の答弁をなされております。

 政府といたしましては、総理の御答弁を踏まえまして対応してまいる所存でございます。

大西(宏)分科員 我々政治家もやはり考えなきゃならないのは、天皇陛下に、いろいろな場所に行っていただきまして、本当であれば政治家が行かなきゃならないけれども、例えば、他の政党のことは言ってはだめなんでしょうけれども、東日本大震災のときに、内閣総理大臣が何回行っても民心は定まらなかった、けれども、天皇陛下が一度お行きになったら、やはり被災地の地域の皆さんはお喜びいただき、そして天皇陛下に感謝されて、心が落ちつかれたということもあります。天皇陛下というのは、象徴天皇という形にはなっておりますけれども、やはり日本の心であり、魂であり、そして宝であると私自身は思っております。

 そのことも踏まえて、今後とも丁重に慎重審議をされ、そして、確かに有識者の皆さんは大変すばらしい議論をお持ちでしょうけれども、有識者の皆さんがお考えになっている範囲外にも正しいことはあると思います。勉強し、そして理論武装し、書物に書かれているものが全てではない、全ては歴史のその一つ一つの重ねた時間と時代にのっとってあるものだと私は改めて御指摘をいたしまして、今回の質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

石崎主査代理 これにて大西宏幸君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

石崎主査代理 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。井上英孝君。

井上(英)分科員 日本維新の会の井上英孝でございます。

 予算委員会の第一分科会ということで、質疑を三十分間させていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 それではまず、いきなりちょっと第一分科会とは離れているんですけれども、御無理を申し上げて、きょうは経産省の住田審議官にお越しをいただいております。どうもありがとうございます。

 万博についてということで、これから閣議了解も控えているということもありまして、内閣府を所管している、内閣官房も含めた、話のできる第一分科会で、そういう絡め方でお越しをいただきましてありがとうございます。

 我々大阪は、私は大阪出身なので大阪の話をちょっとさせていただきますと、東京というのは、もう群を抜いて圧倒的な存在感というのを、この日本の中でもまた世界の中でも突出した都市の一つじゃないかなというふうに思います。

 そういう中で、いっときは大阪もそれに負けないぐらいの勢いがあったんですけれども、最近はちょっと非常に厳しくなってきたというのが現状であります。これは、東京以外の日本の各都市においても言えるような現状じゃないかなというふうに思います。

 ただ、その中でも大阪、特に大阪市でいいますと、人口二百六十万人ですけれども、昼間人口、昼間に流入人口が来て、大阪市の昼間の昼間人口においては四百万ぐらいの都市ということをまだ維持できています。そういう意味では、日本の中でもまだポテンシャルを持っている都市ではないかなと。新幹線の東京駅から新大阪までの本数、または羽田―伊丹といった飛行機の便数を見ても、まだぎりぎりポテンシャルを保てているところにいてるんじゃないかなというふうに思っています。

 そういう中で、我々、大阪を中心に盛り上げたい、大阪を何とか盛り上げたいと、当然、大阪の選出の国会議員としては思っていますし、先ほどから申し上げるように、大阪が盛り上がることでやはり日本の勢いもつけられるんじゃないかというのが我々の思いにあります。

 そういう中で、先ほども申し上げたように、万博、二〇二五年に日本万博で、それを大阪でぜひ開催させていただきたいということで我々提案をさせていただいておりまして、当然、安倍総理含め政府もしっかりとスクラムを組んでやっていただけるということはお聞きをしておりますけれども、現状、二〇二五年国際博覧会の検討会というのが今月もこの地東京で行われて、三月には取りまとめということになっています。

 ただ一方で、BIE、博覧会国際事務局へ実際に立候補を届け出するという立候補期限、それが五月の二十二日というふうにお聞きをしています。

 ですから、ちょうどこの三カ月以内に、しっかりと検討会での報告を取りまとめていただいて、その間に閣議了解というのをとっていただいて、五月の二十二日までに立候補の届け出をするという必要性があるわけですけれども、閣議了解も含め、そしてまた検討会の進捗、この二月も含めた進捗も含め、取りまとめの予定も含めて、意気込みをトータルでお答えいただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

住田政府参考人 大阪万博の誘致についての御質問でございますけれども、国際博覧会を国内に誘致するということは、我が国から、第四次産業革命がもたらすような未来の姿、あるいは未来の社会、そしてライフスタイルといったようなものを発信して、我が国が世界をリードするための絶好の機会だというふうに考えております。

 また、開催中には、世界から多数の来場者が訪れるのみならず、全国各地を訪れる観光客も増大をすると考えられますので、地域経済を活性化させる起爆剤になるというふうに考えております。

 昨年、安倍総理から関係閣僚に対しましては、協力して立候補に向けた検討を進めるよう御指示をいただいたところでございます。

 関係省庁と連携しながら、既に、経済界、有識者等から成る、先ほど御指摘いただきました検討会で、立候補に向けた検討を進めてございます。二月の検討会におきましては最終的な報告書の骨子のようなものを議論いただきまして、次回三月中旬の検討会におきまして報告書全体について御議論をいただき、その後パブリックコメントを経て成案を得たいというふうに考えてございます。

 したがいまして、四月の初めぐらいまでにそういうことができますれば、その後、閣議了解といった手続に進むことを目指して作業を行いたいというふうに考えてございます。

 御指摘のとおり、立候補の申請の期限は五月二十二日ということになりますので、できるだけ早く立候補に向けた検討を進めてまいりたいと思っております。

 また、この立候補をいたしますと次は国際的な選挙でございますので、既に我が国からは、首脳、あるいは閣僚、政務、あるいは大使といったようなところを含め、百二十カ国以上のBIEの加盟国に対して、我が国が立候補した場合の支持をお願いすると要請を行ったところでございまして、また、二月の七日には、榊原経団連会長に誘致委員会の会長もお引き受けをいただきまして、オール・ジャパンでの誘致体制が整ったところでございますので、先ほど申しましたように、できるだけ早く立候補に向けた検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

井上(英)分科員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 大阪を元気にする一つの形として、やはりこの万博、それから後ほどIRも聞かせていただきますけれども、この二つをすることによって、国内外問わず継続的な投資につながるということで期待をしております。

 二〇〇五年に愛知で、地球博という形で万博が行われています。その地球博においても、これは財団法人二〇〇五年日本国際博覧会協会の結果ですけれども、経済効果においては、約七兆七千億円という経済効果があったというふうにも言われています。

 そして、今検討会で出させていただいている大阪府の資料では、経済波及効果、これは全国へ、直接間接を入れて六兆四千億円の波及効果があるというふうにも言われております。この誘致、まあ日本で決まっても、最終的には選挙で恐らくパリと争うことになるかなと思いますけれども、先日総理も、日米首脳会談を含めて、精力的に海外に働きかけもいただいていますし、我々はもちろんそれは後押しをしていきたいと思っていますので、ぜひとも、この万博に関して、五月の二十二日に決して間に合わなくならないように、それだけくれぐれもお願いを申し上げて、御退席いただけたらと思います。ありがとうございました。

 それでは次に、IRについて聞かせていただきたいと思います。

 根本政務官、済みません、どうもありがとうございます。

 根本政務官、冒頭、IRについて、やはり必要と我々は思っています。それは、大型ホテル、国際会議場、商業施設、そしてまたカジノも含めて、一体となった統合型リゾート、つまりIRはやはり実現するということで、さまざまなメリットがあると思うんですね。そういう中での必要性というのをぜひ政務官にお答えいただきたいと思います。

根本大臣政務官 IR推進法に言う特定複合観光施設、いわゆるIR施設については、カジノ施設のみならず、会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設、その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出といった効果が非常に大きいと期待されております。このことは、IR推進法の目的にも記載されているところです。

 いずれにいたしましても、今後設置されることとなる本部において、こうしたIRの効果が十分に発揮されるよう、実施法案の検討を進めてまいります。

井上(英)分科員 政務官、ありがとうございます。

 必要性を政務官に改めて確認させていただきましたけれども、同じ認識で、もし大阪に指定をいただければ、関西のみならず日本経済の発展というのに非常に重要なステップになるんじゃないかというふうに我々は思っていますので、ぜひともお願いしたいと思います。

 では、政務官、御退席いただいて結構です。

 それでは、引き続いてIRをやらせていただきますけれども、結果的には、IRもメリット、デメリットというのがある。我々も、デメリットがないというような、そういうことは申し上げるつもりはありません。物事には全てあるかなと。

 これだけ少子化で、待機児童がいてるということになっていて、保育所をつくろうかといっても、それが騒音やから隣はやめてくれという議論があったり、夏に盆踊り、我々もたくさん行かせていただいていますけれども、盆踊り、夏のいっとき、夜ぐらい、一日、二日、大阪なんかやったら河内音頭とか有名な盆踊りがあるんですけれども、その音楽が鳴るぐらいいいやないかと思うんですけれども、ある方に言わせればやはり騒音だと言われますし、年末には除夜の鐘、我々は本当に大みそかの風物詩だと思っていますけれども、除夜の鐘でさえも騒音だというような時代になってきて、やはり物事には表と裏というのがあるんかなというふうに改めて思いました。

 そういう中で、IRに関しましても、当然、いい部分、メリットの部分とデメリットの部分がありますけれども、推進法を成立していただいた以上、最大限メリットを求めて、そしてデメリットを最小化するというのが我々のやらなければいけない義務じゃないかなというふうに思っていますので、その点を含めて質疑をさせていただきます。

 まず、メリットに関しては、経済効果をちょっと確認させていただきたいと思いますけれども、我々当然、財界、関西の財界も含めて非常に前向きにやっています。

 特に、関西経済同友会なんかが積極的に数字なんかも出していただいているんですけれども、これは二〇一六年、昨年の三月二日ですから、約一年前に出した数字では、投資規模を試算すると六千七百五十九億円、場所が大阪市の夢洲というところでやるということなので、鉄道等の基盤整備のインフラ整備で別途一千億円程度と。ですから、経済効果は、この両者を加えた七千七百五十九億円というのが試算されています。

 開業までの経済効果は、累計で約一兆五千億円。細かく言うと一兆四千七百十一億円なんですけれども、約一兆五千億円。さらには、約九・三万人の雇用を創出できるという数字を出していただいています。

 さらには、五千五百四十五億円の事業規模というのを前提にして開業後の経済効果を試算すると、毎年七千五百九十六億円の経済効果。さらには、約ですけれども九・八万人、九万七千六百七十二人の雇用を創出できるというふうに関西経済同友会の試算で出ています。

 すなわち、IRというのは、五千から六千億円規模のビジネス、またさらには、七千億から八千億規模の投資というのが行われて、そして十万人弱の雇用を生み出すという、関西にとっても本当に一大事業だというふうに我々考えています。

 また、そういう中で、昨年の十一月には大阪府が試算を出しています。

 ほとんど同友会と変わりませんけれども、二〇三〇年におけるIR開業に伴う経済波及効果は一兆九千六百億円になる見込み、また、二〇三〇年におけるIR開業に伴う税収効果は、カジノ特有の納付金などを含めて約二千五百億円になるというふうに言われています。

 今の関西の経済状況を考えると、言い過ぎかもわからないですけれども、天文学的な数字なんです。それぐらいの経済効果があるということなので、ぜひともその辺の認識をお答えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、一般論としての御答弁を申し上げたいと思いますけれども、統合型リゾート、いわゆるIRにつきましては、政府におきましても、これまでの累次の成長戦略、二〇一四年以降の累次の成長戦略におきまして、観光振興、地域振興そして産業振興などに資することが期待されるとしまして、政府としても、成長戦略の一環として位置づけてきたところでございます。

 こうしたIRの経済効果につきましては、さきの臨時国会におきます推進法案の御議論の中でも、カジノは既に世界の百二十七カ国で行われていること、あるいは、カジノのみならず、国際展示場、会議場施設、娯楽、宿泊施設などが一体となった特定複合観光施設の整備が行われれば、観光振興、地域振興、産業振興などにも資するものであるといった御議論、あるいは、過去の具体例としましては、よくシンガポールの例が御議論に上がっていたと思いますけれども、シンガポールでは、二つのIRの開業によりまして、初期投資効果あるいは雇用創出効果、海外旅行者の増大、海外旅行者消費額の増大などが生じたといった御議論がされてきたということは承知しております。

 政府といたしましては、成立いたしましたIR推進法に基づいて、特定複合観光施設区域の整備に必要となります、この推進法で言われるところの法制上の措置について検討を進めることとしておりますが、その際、今委員から御指摘のございました経済効果をどのようにして極大にしていくか、あるいは、今度は日本でIR、統合リゾートの制度をつくるわけですので、日本に独自のどのようなIRを目指すべきなのか、そういった検討課題の議論を深めまして、これまでの国会での附帯決議ですとか御議論の趣旨を十分に受けとめまして、しっかりとした制度設計に取り組んでまいりたいというふうに思います。

 なお、今委員の方から、大阪府ないしは関西経済同友会のつくられました経済効果についての御紹介がございました。無論、我々政府といたしましても、大阪府において、あるいは関連団体において、こういういろいろな、立地があった場合の経済効果などを試算しておられるということは承知しておりますし、また、今委員から御紹介のございました大阪府の調査によれば、今御紹介のありましたような数字が披露されているということも十分承知をしているところではございます。

 しかしながら、具体的なIRの制度設計につきましては、まだ何分これからの制度設計にかかわるところでございますので、IR事業そしてカジノの規制の法体系がどのようなものになるか、それらがIRの経営全体にどのような影響を及ぼしていくのか、そういうことを十分慎重に見きわめながら今後制度設計を進めていくということになってございますので、現段階で、特定の地方公共団体、あるいは特定の地方公共団体に立地を目指す方々の試算の内容、個別の検討内容について、政府の立場ではちょっと今コメントできる立場ではない、そういう段階ではないということにつきまして御理解を賜りたいというふうに存じます。

井上(英)分科員 ありがとうございます。

 次の質問も含めて答弁いただいたような雰囲気もあるんですけれども、結果的には、経済効果、もちろん全て絶対こうなるという数字でもありませんし、当然、今審議官がおっしゃったように、今は推進法、プログラム法が成立した段階だけなので、これから実施法を一年以内ということで、今回は予算委員会の分科会ですから、ビジット・ジャパン等の予算も含めた思いで聞かせてはいただいておるんですけれども、その実施法の中に、そういった経済効果が生み出されるような仕組みで、メリットの部分を最大限発揮できるように、ぜひ成案化に向けて頑張っていただけたらというふうに思います。

 先ほど言いました自治体、大阪というか関西の提案、和歌山も手を挙げるというような報道が先日ありまして、私もちょっと詳しく存じ上げないんですけれども、そういう意味で、大阪の中身についてよく知っていただければという思いで、今後、どこが優位だとかという議論は必然的に出てくるわけですけれども、それは実施法が成立してからまたやらせていただきたいと思っておりますので、まずは熱意をお感じいただけたらというふうに思います。

 それでは、先ほどメリットというのをお話しさせていただきましたけれども、次はデメリットで、時間も残りあと十分になりましたので、させていただきますけれども、大きく言えば三点、デメリットが考えられるんじゃないかなというふうに思っています。

 一点目は、やはり周辺地域も含めた治安の悪化、さらには暴力団の関与ですね。そしてまたマネーロンダリング、そういう犯罪行為が起きるんじゃないか。または、やはりずっと言われているギャンブル依存症の、そういう依存症対策というのが必要になるんじゃないかと言われている点。そして三つ目は、青少年に対して、健全育成に対して悪影響が及ぼされるんじゃないかという御意見。この大きく三つあると思います。

 もちろん、まだまだあるかもわかりませんけれども、これからそれがわかった段階でしっかりそれをまた実施法なりで対応していくということが必要ですけれども、今、現時点で大きく想像できるその三点について、まずは一点目の治安の悪化について、そしてまた犯罪抑止をどうするか、お答えいただけますでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員がただいま御指摘されましたとおり、IRの整備に伴って周辺地域における治安の悪化が生じることがあってはならないわけでございまして、警察といたしましてはもとより、犯罪の取り締まり、あるいは地域の実情に即した防犯活動など、十分に効果的な対策を講じてまいりたいと考えております。

 また、IR推進法の国会審議におけます御議論、あるいは同法の附帯決議におきまして、カジノ事業からの暴力団排除、マネーロンダリング対策の必要性について御指摘を受けたところでございます。

 暴力団の排除につきましては、例えば既存の制度において、事業者が暴力団員であることを欠格要件とする仕組みなど、各種事業から暴力団を排除するための仕組みが設けられているところでございます。

 他方で、マネーロンダリング対策につきましては、その国際基準であるところのFATF勧告におきまして、カジノ事業者は顧客の取引時確認や疑わしい取引の届け出等の措置を実施しなければならないとされているところでございます。

 警察におきましては、こうしたことを念頭に置きながら、実施法案の策定に当たって有効な暴力団対策、マネーロンダリング対策が講じられるよう、関係省庁と連携しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、カジノを含むIRが整備される場合に、御懸念のような治安の悪化を来すことのないよう、警察として最大限の有効な対策、対応に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

井上(英)分科員 ありがとうございます。

 せっかく、IRをやっていろいろな意味でプラスのメリットを享受していても、デメリットがずぶずぶに抜けていくと全く意味がありませんし、そこでは、今、中村部長がおっしゃっていただいた、警察の皆さん方初めやはり皆さん方の対応というのは必要不可欠になりますので、ぜひとも、IRが来たことで町が悪くなったとか犯罪がふえたとか、そういうことはないと思いますし、そういうことが絶対にないように、よろしく改めてお願いを申し上げて、また、それを実施法案に生かしていただけたらというふうに思います。

 また、続いて二つ目、依存症対策ですけれども、厚労省、よろしくお願いいたします。

坂口政府参考人 今、議員御指摘の依存症の対策でございます。

 厚生労働省としましては、ギャンブル等依存症対策につきましてはこれまでも、依存症の方への専門的な治療とか相談支援、それからあと御家族の方に対しての相談支援、そういった依存症への正しい理解を広めるということの周知というようなことについて、これまでも取り扱って対応してきたというところでございます。

 ただ、今委員御指摘のような状況のもとでしっかりやっていかなければいけないということがございまして、平成二十九年度の予算案におきましては、これまでのそういった対策を踏まえた上で、ギャンブル等依存症を含みます依存症対策全体の推進に係る予算としまして、今年度の約五倍に当たる五・三億円を計上いたしました。

 具体的にどういったことかということでございますけれども、依存症対策の全国の拠点機関ということとしまして国立病院機構の久里浜医療センターを指定しまして、依存症の医療支援体制ということの整備をしっかり図っていく、それからあと、全ての都道府県指定都市に依存症の拠点となる医療機関を確保するということ、全ての都道府県の指定都市の精神保健福祉センターといったところなどに依存症の専門の相談員を配置するというようなことを方針としております。

 それからあと、地域生活支援促進事業ということを行っておるんですけれども、その中に、地域においてギャンブル等の依存症問題に取り組まれる民間団体の方々がおられますので、そういった団体を支援するための事業ということも、そういった事業の中に新たに盛り込んだということがございます。

 さらに、依存症対策というのは、今まで申し上げたような保健医療分野のみならず、やはり就労支援であったり生活分野であったり、いろいろ広範的な支援策が求められているということで私どもも認識しておりますので、各種施策を総合的に推進していかなければならないという認識のもと、昨年の十二月に、厚生労働大臣を本部長とします依存症対策推進本部というのを省内に設置いたしました。その中で、ギャンブル等依存症対策推進チームというものも設けまして、いわば省内横断的に施策をどう進めていくかということをしっかり考えていきたいということで、このような対応によりまして、しっかりギャンブル等依存症の対策についても取り組んでまいりたいと考えております。

井上(英)分科員 ありがとうございます。

 依存症と言われたら、今まで、アルコールとそれから薬物がどっちかというとメーンで、ギャンブルというのは、余りそういう認識というのが、認識からはちょっと低かったんじゃないかなというふうな気がします。

 競輪、競馬、競艇、オートレースといった公営賭博。それから、遊技ですけれども、パチンコ、パチスロといった類似のそういう遊技業界もあります。そういった中では、ギャンブルに対する依存症の対策というのはちょっと後進的だったんじゃないかなという気はいたしますので、今後、先ほど言われたようなダイレクトな対策もあれば、間接的な、本当に広範にわたる対策が必要だと思いますので、そういったものもしっかりと盛り込まれたような実施法案で、また実施法案に盛り込んだ上で具体的な対策というのをしっかりと打てるようにお願いをしておきたいというふうに思います。

 三点目の青少年に対する悪影響に関してですけれども、文科省、よろしくお願いいたします。

    〔石崎主査代理退席、主査着席〕

瀧本政府参考人 青少年への悪影響に対する取り組みについてお答え申し上げます。

 子供たちが成長し大人になった際に、ギャンブル等に依存せず、自律的かつ健康的に生きていくためには、学校教育を含むさまざまな場面を通じて、消費に使える金銭の限度や優先順位を考えた自覚ある消費行動をとれるようにすることや、欲求やストレスに適切に対処し、心身の健康を保てるようにすることなどのために必要な力を育んでいくことが極めて重要であると考えております。

 このため、学校教育の中におきましては、家庭科の時間などを通じて、家計における収支バランスや計画を考え、適切な意思決定に基づいた消費行動が行えるようにすることや、保健体育などの時間を通じて、欲求やストレスが及ぼす影響や適切な対処が必要であることなどについて理解し、自分に合った対処法を身につけられるようにすることなどについて指導をしているところであります。

 文部科学省としましては、昨年十二月に設置されましたギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議における議論も踏まえつつ、引き続きこうした指導の充実に努めるとともに、依存症に関する教育について、今後、児童生徒の発達段階に応じた適切な指導のあり方の観点から検討してまいりたいと考えております。

井上(英)分科員 ありがとうございます。

 そういう依存症の存在ということをしっかりと認知させて、そしてまた、そうならないように未然に、青少年のころからそういうことに知識を持ってもらうということは非常に大事ですので、それも、ギャンブル依存症に限らず、やはりさまざまな依存症というものに対して理解を深めて対応できるように、ぜひお願いをしたいと思います。

 時間も来たんですけれども、これから予算委員会ももう大詰め、終盤に来られていて、恐らく近々締め総が行われるんじゃないかなというふうに思っていますけれども、僕は締め総の担当になっているので、締め総のときにまた防衛省に関しては聞かせていただきたいかなと。

 今、後ろに稲田大臣がおられます。日報に関してもちょっと通告していたんですけれども、僕は、大臣の感覚というのは当然だと思うんですね。日報がない、不開示と聞いて、本当にないの、調べ直しなさいという指示があったというのは、僕はそれは当然のことだと思います。

 僕が一つ気にしているのは、一点だけ聞かせていただきますけれども、公文書等の管理に関する法律というのがあって、陸自の内部規則、内規があります。その日報の処理というのは一年、PKOは三年に決まっています。随時処理もできる。だから、全て破棄したことも私は合法だと思っていますし、適法だというふうにも思っています。

 ただ、その公文書等の管理に関する法律が、一つは行政を効率的に動かすという目的と、国民に十分ちゃんと説明する責務を全うすることというのが二つ目の目的にあると思います。

 たしか、要望された情報公開請求は、七月七日から十二日の約一週間ぐらいの日報についての情報公開請求だったと思います。それを三カ月後の十月に情報公開請求をして、日報を破棄しましたというのは、本当に国民に対する説明責任というのを全うできていると思っておられるのか、お答えいただけますでしょうか。

辰己政府参考人 お答え申し上げます。

 南スーダン派遣施設隊の日報は、上級部隊である中央即応集団の司令官に対し、日々の報告を行うために作成している文書でございまして、陸上自衛隊文書管理規則に規定する、随時発生し、短期に目的を終えるものとして、保存期間が一年未満とされていました。この主要な内容は、中央即応集団司令官に対して報告され、この報告後、日報はその目的を達したとして、関係法令及び規則に基づき廃棄をしております。この処置について、法令上問題があったとは思っておりません。

 一方で、今先生がおっしゃったように、国民によく説明をしていくという観点もございます。派遣部隊のつくった一次資料、これについてはやはり可能な範囲で保管することが望ましく、新たな任務を付与いたしました十一次隊につきましては、半年間の活動期間ではございますが、それが終わって帰国した後にも、その評価が定まるまでの間は日報を破棄せず保存しておくよう、稲田大臣の方から指示を受けておりますので、しっかりとした対応をしてまいりたいと思っております。

井上(英)分科員 済みません、ちょっと時間もオーバーいたしましたけれども、適法だというのはもうよくわかっています。ただ、国民が情報公開請求をしたときに、現物自体は残っていなくても、いや、データはここにあるということをさらっと答えられるような組織じゃないと、また隠蔽していたんじゃないかとかよからぬ指摘を受けてしまうわけでありまして、ぜひともその辺の鋭意努力を要望いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

西村主査 これにて井上英孝君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西村主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。

宮崎(政)分科員 自由民主党の宮崎政久であります。

 きょうは、質問の機会をいただきましてありがとうございます。早速始めさせていただきたいと思います。

 きょうは二月の二十二日でございまして、十日前、二月の十二日に私の地元沖縄県浦添市で市長選挙が行われまして、自由民主党、公明党が推薦をする現職の松本哲治市長が見事に二期目の当選を果たされたわけであります。

 大変激しくて、拮抗した選挙戦でありました。結果自体は、八千六百九十票という大差がつきまして、また、浦添の市長選挙では初めて三万票を超える得票をされて、松本市長が当選されるという結果でありました。私も松本市長の選対本部長を務めさせていただきまして、市民の皆さんの大きな御支援と御理解が松本市長の四年間の市政に集まったということで、正直ほっとしているというのが正直な感想であります。

 この選挙戦では、実は那覇軍港の浦添移設への対応というのが大変大きな争点になりました。

 松本市長は、四年前、初当選を果たされる際には、さまざま経緯があったわけでありますけれども、結果だけ申し述べれば、反対であるという立場で当選をされまして、その後の状況の変化であったり、翁長、後に県知事になるわけですが、県知事や那覇市長がそろって那覇軍港については浦添移設を求めるなどということも踏まえて、沖縄全体の基地負担の軽減に浦添市もともに協力をするんだ、こういうさまざま公益もあるということを第一に考えて受け入れ表明をさせていただいた上で、さらには、市民の皆さんと一緒になって、それではということで浦添市の素案を提示させていただいて、市民の皆さんと一緒につくった浦添市素案とともに、浦添市の発展と、また沖縄の過重な基地負担の軽減を一緒になってやっていこう、こういった市政運営をしてきたわけであります。

 そして、今般選挙に臨まれまして、この選挙結果も、実は琉球新報が一面で「軍港移設に信任」というタイトルをつけて報道されておられたわけでありますけれども、この問題についても、松本市長のもとで策定をされた浦添市素案を前提に那覇軍港の浦添移設を進めてもらいたい、そして、これと一体となった西海岸の開発ということで、浦添市民の意思が示された形で決着をしたというふうに評価をされていると私も理解しておるところであります。

 松本市長自身も、選挙が終わりまして、早速、翁長知事と面談をして、県、那覇市、浦添市で協議の場を設置してほしいということを持ちかけているわけでありまして、実は、浦添に限らず、沖縄全体の発展に大きな寄与をすることは間違いないこの西海岸の開発は、当然、那覇軍港の浦添移設、そして沖縄全体の基地負担軽減とセットになっているわけであります。

 今後、統合計画で示されたキャンプ・キンザーの返還、実はこの前倒しの返還も求めておりますが、この点はちょっときょうは触れないでおきますが、那覇軍港の移設、キャンプ・キンザーの返還と一体となって西海岸の開発を進めていく、ここに浦添市民が将来を託していこう、大きな希望を感じて、今般の選挙結果になったわけであります。

 それゆえ、那覇軍港の移設に関しては、受け入れ側である浦添市の意向を十分に尊重していただきたいと地元では考えております。稲田防衛大臣の御見解をお尋ねいたします。

稲田国務大臣 御指摘の那覇港湾施設の移設については、先生御自身からも、また松本浦添市長からも、累次にわたってお話を伺ってきたところでございます。

 この移設に当たっては、那覇港浦添埠頭地区における港湾整備計画との整合を図ることができるように、これまで国と地元との間で密接に協議をしてきたところです。

 防衛省といたしましては、目に見える形で沖縄の負担軽減を実現するため、引き続き、浦添市を初めとする地元の皆様方の御意向を丁寧にお伺いいたしながら、那覇港湾の移設を早期に実現できるよう取り組んでまいります。

宮崎(政)分科員 ありがとうございます。

 沖縄の基地負担の軽減というのは、非常に難しい側面があるわけであります。現実が目の前にあるわけでありまして、これは安全保障に関する問題でありますので、いろいろ難しいことも全部あわせのんでいかないと基地負担の軽減というのは進まない。だからこそ、松本市政一期目でも苦渋の選択をせざるを得ない場面があった。それは、政府・与党一体となって進めている、私たち沖縄の自民党の国会議員も同じでありまして、やはり、今大臣からもお話をいただきましたとおり、現実に目に見える形で基地負担の軽減を進めていく。

 それは、当然、安全保障環境を脆弱にするということがあってはならないことと一緒になっているわけでありまして、こういったことにぜひ、我々もさらに地元で県民の皆様、市民の皆様の理解を進めていこうと思っておりますけれども、どうか、この那覇軍港の浦添移設に関しましては、選挙の後でもございますので、浦添市民の意向をぜひ十分に御理解いただきたいというふうに思っているところでございます。

 また、もう一つですけれども、実はこの浦添市長選挙では、昨年来、私も、また松本市長も要望させていただいております、よく四事業なんて呼んでいるんですけれども、四つの大きな事業についても、改めて公約に掲げさせていただいております。

 うらそえスポーツ王国を樹立するということで、浦添市民体育館の建てかえをする。これは、雨の日に雨漏りがして、きょうは雨が降っているんだなということがわかる体育館でありまして、そのままではちょっといかぬだろうということで、建てかえをさせていただく。

 また、今ヤクルトスワローズがキャンプをしてもらっているんですけれども、浦添市民球場、これはナイター施設がないものですから、ナイター照明施設をつけさせていただく。

 また、浦添市では、海浜公園にしていきたい、港川にカーミージーという場所がありまして、漢字では亀の瀬というふうに書くんですけれども、カーミージーの海浜公園の整備をさせていただきたい。

 そして、もう一つは、昨年のこの予算委員会の分科会でも私は質疑に取り上げさせていただきましたけれども、障害のある子供さんも健常のお子さんも一緒に受け入れることができる新しい保育施設、また障害のある方々を支援する複合の新施設、こういったものを整備していきたい。これは、福祉、介護の出身である松本市長とも意見の一致を見て、彼も大きく推進したいと言っている分野であります。

 これらは国会質疑にも上げさせていただきました。また、防衛省の方に、稲田大臣のもとを松本市長と一緒にお訪ねをさせていただいて、幾度もお願いさせていただいた点でもあります。予算確保に万全を期して、市民の皆さんの期待に応えていきたいと思っております。

 稲田大臣の方から現在の状況等御説明いただいて、ぜひ御助力をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。

稲田国務大臣 お尋ねの四つの事業については、昨年九月、委員も立ち会われた場で、私自身も松本浦添市長から御要望をお伺いしたところです。

 御要望のあった各事業については、防衛省として実施に向けて取り組んでおり、昨年十一月、事業内容の審査等必要な手続を経た上で、必要な予算の手当てをしたところです。現在、浦添市において、事業を実施するために必要な調査を行っているものと承知をいたしております。

 防衛省としては、引き続き、事業の計画や防衛施設による影響の実態等を踏まえ、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

宮崎(政)分科員 ありがとうございます。

 昨年来進めていただいている、調査費もつけていただいておりまして、市長選挙も終わりましたので、スピーディーに進めていきたい、市民の皆さんの要望の非常に強い部分でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、住宅防音事業についてお尋ねをしたいと思います。

 これまでもさまざま、住宅防音については、こういった予算委員会分科会の場であったり、また防衛省にお邪魔をさせていただいたり、また地元も非常に尽力をしていただいておりますので、大会を開いたり、また沖縄防衛局の皆さんも一生懸命仕事をしていただいていることを私も十分承知しているところでありまして、こういった取り組みには地元として感謝をしているものでございます。

 その上で、まだ足りない部分もございまして、今回は、どうしても、一つこれは何としてもお願いをしたいという点を質疑で上げさせていただきたいと思っています。

 それは、うるささ指数の七十五W区域の防音建具復旧工事をぜひ認めていただきたいという点であります。

 まず、この防音建具の復旧工事に関しましては、沖縄県以外の施設を対象とする区域では、全てではないわけでありますけれども、七十五Wの区域も一部対象となって、希望届が受け付けられるような状況になっております。

 沖縄県においては、普天間、嘉手納というこの二つの施設では、七十五Wは建具復旧は全く対象になっていないという実情があります。厚木は昭和五十九年までに防音工事が完了した住宅、そして、浜松、岐阜は昭和六十年度までの住宅防音工事が完了した住宅が対象になっております。

 嘉手納基地、普天間飛行場との関係では、平成二十三年度に八十W以上に対象を拡大していただいております。これは、騒音の大きい地域を先行させるという考え方で住宅防音事業が建具復旧に関して進められているものでありまして、私も、これは一概に悪いというふうに思っているわけではございません。限られた予算をどう執行していくのか、その中で、基地周辺住民、我々県民から、さまざまな負担もあるわけですけれども、理解を得ていくのかというようなことでありますので、言ってみれば、優先順位のつけ方に数学や物理のような正解というようなものがあるわけではないというふうに思ってはおります。

 私も、ですから、これまでの取り組みが一概におかしいんだと言って非難をしているわけではないという前提で、これから質問させていただきたいわけであります。

 ただ、限られた予算の中でどうこれを執行していくのかということを考えたときに、制度であるとか決まりであるとか、こういうのはあくまでも手段であって、絶対視する存在ではないということも、また反面事実なわけであります。

 そうしますと、七十五Wの地域で防音工事をして、何年たっても建具復旧工事の受け付けをしない、できないということで、これで、見過ごすことができないような事態が生じているということなのであれば、それはそれとして認めた上で、制度を見直していくことによって対処するというのも、また一つあり方としては当然あっていいわけであります。

 こういった不断に対応する姿勢で基地をめぐる課題に対処するというのが、基地負担に対して真摯に向き合っているということだと私は信じているわけであります。

 きょう、委員長の御了解をいただきまして、写真を撮った資料を配付させていただいておりますので、この資料をごらんいただければと思っております。これは、沖縄県北谷町吉原という場所がございますけれども、この吉原の地域で住宅防音を施した住宅の写真であります。七十代の御夫婦がお暮らしになっている、沖縄に普通にある住宅であります。

 この家で防音工事を施したのは平成の初期のことでありまして、既に三十年近く経過をしております。沖縄の暑い夏の太陽のもとで幾度となく夏を経た。そしてまた、年に数回襲来する、本土とは違う、まだまだ亜熱帯でありますので、生きのいい台風にも耐えてきた。そして、今の冬の季節ですと風が強いんですけれども、海からの塩分を含んだ強い風にも耐えてきた。そんな住宅でありまして、当然、経年劣化しているわけであります。

 左の上の写真を見ていただきますと、これは足元を写しているんですけれども、ドアが閉まらないんです、玄関のドアが。そのまま見ていただきますと、下の方にちょっと明るくなっている部分が見えると思いますけれども、これは、ドアが閉まらない状況になっていて、すき間ができちゃっているわけです。

 右の上の写真は、これは上の方を写しているんですけれども、サッシ窓が劣化をして開閉に支障が生じてしまって、これもまた完全に閉まらないような状況になっちゃっている窓であります。

 下の二枚の写真は、防音サッシと障子が見えると思うんですけれども、この部分がもう変形しちゃっていて、ハンドルが癒着しちゃっていて、実はもう開かない、開閉不能になっちゃっているというのが下の二枚の写真であります。

 では、上のような、閉まらないのに台風が来ちゃったらどうするんだ、大きな台風が来たら。これは実は、おじいちゃん、おばあちゃんと言うとちょっとまだ失礼なぐらいの元気な御夫婦が住んでいらっしゃるんですけれども、御近所の人に協力してもらって、ガムテープを張ったりとか、すき間のところにちょっと板を挟んで、それでその上にガムテープを張ったりとか、こんなことをして台風に備えています。

 そのまま台風が来ちゃうと、すき間があると、雨風が入ってくるだけじゃなくて、その振動や風圧でガラスが破れたりする可能性があるものですから、そういったことも毎年幾度となくやらないと過ごしていけないような住宅環境になっているというのが実際であります。

 七十五W地域で、こういった住宅はほかにも複数ございます。そこには当然、この家と同じで、人が住んでいるんですね。全て県民が住んでいるわけです。もちろん、私の地元でありますし、自分の選挙区であります。

 せめて、七十五Wの区域について、沖縄県以外の防衛施設で行われているのと同様に扱ってもらえないかというのが、きょうの質疑での希望であります。

 例えばですけれども、昭和六十年度までに防音工事を完了した住宅というのは、もはや三十年以上経過をしているわけであります。実は北谷町に限らないんですけれども、私はこういった状況をやはり救ってもらいたいと思っております。

 大臣、もう十分御承知だと思いますけれども、沖縄に限らないですけれども、沖縄は過重な基地負担があります、沖縄の基地周辺で長いこと暮らしている県民の皆さんの理解があって、初めて私たちの国の安全保障は保つことができるわけであります。大臣からも、これまで幾度となく、沖縄の県民であるとか基地負担の軽減に努めるというお言葉をいただいておりますし、また、そのお言葉に沿う職務をしていただいていることも十分承知をしております。

 きょうは、防音工事、今までもさまざま質問をさせていただいておりますけれども、もうきょうはこの一点だけに限っての質問であります。この問題は、実は予算も関連するということで、非常に難しい問題であることは重々承知をしているんです。でも、きょうは、この七十五W区域の防音建具復旧工事を認める、これをやるということを、ぜひ稲田大臣からその御決断をいただきたいと思って、質疑に上げさせていただきました。

 大臣の御所見をいただきたいと思います。

稲田国務大臣 御指摘の住宅防音工事における建具復旧工事については、防音工事の完了から十年以上が経過し、現にその機能の全部または一部を保持していない防音建具に対して実施をしています。この建具復旧工事については、対象となる世帯数が多いことから、騒音による障害が著しい区域に所在する住宅等を優先することを考慮し、それぞれ地域の実情を踏まえながら実施してきております。

 嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺の建具復旧工事については、平成十一年度に八十五W以上の区域から開始し、平成二十三年度に現在の八十W以上の区域に対象を拡大いたしましたが、沖縄については、対象世帯数が多いことから、本土で実施しております七十五W区域での実施ができていないことは、委員が御指摘のとおりでございます。

 防衛省としては、現在対象となっている区域の中でも建具復旧工事をお待ちいただいている方がいることから、当該区域において工事を促進することに努めたいと思っております。

 他方、七十五W区域まで建具復旧工事をさらに拡大して実施することについては、地元の皆様から御要望をいただいていることはよく理解しており、ただいまの委員の御指摘を踏まえ、速やかに検討の上、可能であれば来年度中に建具復旧工事を希望する方々の受け付けを開始することなどができるよう調整してまいりたいと考えております。

宮崎(政)分科員 ありがとうございました。

 これは、年来の大きな課題だと私は思っております。今大臣から、平成二十九年度から受け付けをしていただけるような方向で進めていただけるという言葉をいただいたこと、大変うれしい思いでおります。

 現に、地元を歩かせていただいて、いろいろな方の御意見を一軒一軒丁寧に聞いていて、またその状況も見て、台風の前になるとやっぱり心配になるんですよ、あのうちは大丈夫かなと。だから、ぜひ速やかに、この建具復旧、七十五W地域にも進めていただけますように、改めてお願い申し上げます。

 次に、質疑をかえさせていただきまして、沖縄の子供たちが置かれている状況の改善を求めるための提案をさせていただきたいと思っております。

 待機児童の問題というのは人口の多い都市部を中心とした大きな課題でありますが、我が沖縄県は、地方でありながら待機児童の問題に悩まされております。

 都道府県別の待機児童数、沖縄県は東京都に次いで多いわけです。待機児童の数は、多い順に言うと、東京、沖縄、千葉、大阪、埼玉という順番でありまして、地方で入っているのは沖縄だけということです。

 実は、私も三人子供がおりまして、私たちのような、子育て世代というんでしょうか、こういう世代の人間が頑張っていることはもちろんでありますけれども、保育にかかわっている全ての関係者の皆さん、認可保育園も認可外も、また保育士さんも、また職員の皆さんも、大変な努力を重ねて、次の時代を担う子供たちの保育に一生懸命やっていただいております。

 ちょっと、きょう触れる時間がないんですが、学童保育をめぐる問題というのも実は沖縄にはあります。

 沖縄には、実は、保育環境として、認可外の保育施設が多いという、ちょっと特別な事情がございます。

 数字をお示ししますと、施設の数だけでありますと認可園の方が認可外よりも多いんですけれども、認可園が五百十六施設で五七%に対して、認可外は三百九十施設、四三%ということで、辛うじて認可園の数が多いという程度であります。全国と比較をさせていただくと、認可外保育施設数の割合というのは、全国平均では二三%ですけれども、沖縄は今述べたように四三%ということで、倍近い数字。そして、児童数の割合でいうと、全国では認可外は八%であるのに対して沖縄県は二九%ということで、全国の平均の三倍を超えているという状況です。それが、全国一律ではなかなか問題の解決が図れない、前提が違い過ぎるというような状況があるわけです。

 その原因は当然あるわけでありまして、この原因は幾つかあるんですけれども、実は、さきの大戦が終わった昭和二十年から昭和四十七年までの二十七年間、沖縄が米軍統治のもとに置かれたということも大きな原因です。この間、実は米軍、米国民政府というのは、就学前教育はプレスクールということで、小学校に上がる前の五歳児の一年間だけであったんですね。ですから、沖縄では、公立小学校にはみんな幼稚園が併設されているわけです。

 ところが、その一方で、保育所の設置は行われないまま放置されていた。復帰をした後、認可保育園を設置するということになったら、市町村が主体になるわけでありますけれども、実は、日本全体では昭和の大合併というのが昭和二十八年から三十六年まで行われて、約一万あった市町村が三分の一になって、市町村がぐっと収縮して、市町村の財政力も強めていったというのがある。これも、実は米軍統治下だから経験ができなくて、国土面積の〇・六%しかない沖縄に、実は四十一もの市町村がある。当然、財政力にも限りがある。こういった事情があって、なかなか認可園をふやすことに障害があるという実情もあります。

 こういったこともあって、実は認可外保育施設というものが社会的に担ってきた役割というのは非常に大きなものがありまして、ただのヘルプみたいな位置づけではないという、社会的に大きな役割を担っているというところがあるわけです。そこに一万四千名余りの子供たちがいる。だから、この保育環境の改善は、実は真正面から捉えないといけないという実情にあります。

 堀内政務官、きょう来ていただいていますので、こういう沖縄の実情をお聞きいただいて、どんな感想をお持ちか、お聞かせいただけますか。

堀内大臣政務官 沖縄では、合計特殊出生率が全国一位という大変喜ばしい状況がある中、一方、待機児童数や認可外保育施設の利用児童者数が多いなど、全国と比べて保育を取り巻く環境、状況が異なっていることについては承知しておりました。

 しかし、ただいまの宮崎先生の熱意あふれるお話を承りまして、重ねてそういった状況を認識した次第でございます。

宮崎(政)分科員 ありがとうございます。政府でも御認識をいただいていることは私も承知をしております。

 ただ、これだけ状況が違うということになると、私は、これは真正面から突破していくということをしない限りはなかなか状況改善ができないというふうに考えておりまして、実は私も地元で、年来、沖縄保育特区構想ということで、国家戦略特区を使った特区をつくりたいということを訴えております。

 十年という期間を限定して、保育をめぐる現状であったり、例えば、先ほどちょっと触れた学童保育ですね。学童なんかは、実は、所得水準が日本一低い沖縄で、民設民営が多いものですから日本一高い保育料を払わないといけないという状況になっている矛盾があるというんですね。ですから、十年という期間を区切って、さまざまな状況改善に、基準もつくって、公費も投入をしていきたいと考えています。

 そのかわり、この期間で、例えば、さっき申し上げた市町村の財政力を強める方法を合併も含めて真剣に追求していく、こういったこともしないといけないんじゃないかなというふうに思っています。

 その中で、実は沖縄の保育環境の改善に充てるために幾つか提案があるんですが、一つが、保育士の処遇改善策、四%の賃上げの部分ですけれども、これを認可外の保育施設に対しても適用して、予算措置をしていただきたいという要望がございます。

 認可外園にとっては、現在働いている保育士さんの離職を防ぐ、そしてまた新規の雇用を進めるということの必要性は高くて、先ほど言ったとおり一万四千名も子供がいますので、その保育環境の維持ができないということもあります。

 また、子ども・子育て支援新制度の効果で、沖縄でも認可園はふえてきております。ただ、ふえてきている中で、保育士不足から、保育士さんの処遇改善がされている認可園にだけどんどんどんどん一方的に保育士さんが引き抜かれていくということになると、非常に大きな社会的役割を担っている認可外の保育施設の運営ができなくなってしまう、今切実な課題も出てきているわけであります。

 そういった事情もございまして、認可保育園以外にも、例えば準認可のような形で、認可に準じた形での助成を受けられる保育施設を認めてほしいという意見もあるわけであります。

 実は、こういった意見は、昨年の十一月に沖縄県の認可外保育園連絡協議会が主催をして認可外保育園園長サミットというものが開催されて、その中での提言にも入っております。私もこのサミットには参加させていただきました。全県から二百名を超える認可外保育施設の園長さんや関係者の皆さんが集われまして、大変真剣な意見交換がされておりました。皆さん一緒に、本当に熱意あふれる意見交換の場であったわけです。

 ここで訴えられたことというのは、実は、先ほど述べたように、沖縄の歴史も踏まえた特殊事情が影響しているという背景があるわけですね。私は、この歴史的なものがあるときに、後ろを振り返って、ただただ文句を言うというだけではなくて、あくまでも前を向いて、現状を少しでも改善するんだ、そしてその積み重ねが、十年たち、二十年たったときにきちっと評価をされる。今を生きる者として、大人としてやるべきことをしっかり果たしていこうという姿勢で、こういった歴史も絡む問題というのは臨むべきだと思っていますし、このサミットで意見を上げられた皆さんの意見もそうだったんじゃないかと思っております。

 私は、こういった提言、私が言っている保育特区構想みたいなものも根本の考えは一緒ですので、ぜひ受けとめていただきたいと思っています。このあたりの堀内政務官の受けとめをぜひ聞かせていただきたいと思います。

堀内大臣政務官 ただいま宮崎先生から、沖縄の歴史も踏まえた上での未来を見据えた沖縄保育特区構想について承りました。

 国が認可外保育施設に対して公的補助を行うということにつきましては、認可外保育施設から認可保育園等への移行を進めるという政策の方向性にそぐわない部分がございまして、また、保育の質の十分な向上につながりにくいといった懸念もございます。

 このため、国といたしましては、認可保育園等への移行を希望する認可外保育施設に対して、認可化移行支援強化事業により運営費や改修費の一部を補助するなど、その移行を促しており、御主張のような認可外保育施設もこれらの支援メニューをぜひ、御活用いただくことが可能でございますので、そういった状況を御説明申し上げます。

 国といたしましては、一定の保育の質が確保されている認可保育等を整備していくことが重要と考えており、沖縄の認可外保育施設についても、本事業の活用により移行を進め、沖縄の保育に対する質の向上の取り組みを支援してまいる所存でございます。

宮崎(政)分科員 ありがとうございました。

 これは前提が大きく違うということをぜひ御理解いただいて、また引き続き質疑もさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 終わります。ありがとうございました。

西村主査 これにて宮崎政久君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)分科員 民進党の後藤祐一でございます。

 まず冒頭、天皇陛下の生前退位の件について御質問したいと思います。

 天皇陛下が生前退位された場合、退位後の呼び名は今後の検討事項だというふうに聞いておりますけれども、いずれの呼び名になるにせよ、皇族にとどまるのであれば、皇室典範第五条では皇族を限定列挙されておられますので、退位後の陛下の呼び名を追加列記する必要があるのではないかと考えます。

 これは、現在の天皇陛下である今上天皇に限らず、一般論で結構なんですけれども、天皇陛下が生前退位された後の呼び名を皇室典範第五条に追加する必要があるのではないか、生前退位が可能になった場合ですね。これについて内閣府の内閣審議官の御答弁をいただきたいと思います。

平川政府参考人 お答えさせていただきます。

 国会におきましては、一昨日、天皇の退位等について、衆参両院の議長、副議長による各党各会派からの意見聴取が行われ、議長、副議長を中心に静かな環境で議論が進められているものと承知しております。

 政府といたしましては、国会での御議論をしっかり受けとめ、天皇陛下の御公務の負担軽減について、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。

 お尋ねの、天皇が退位され、かつ皇族にとどまられる場合という前提を置きました仮定の御質問に対しましては、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

後藤(祐)分科員 これは実際、これからこういう議論になってきますので、真剣に御検討いただきたいと思いますが、くれぐれも、第二類型の皇族をつくる、あるいは特別な皇族というものを別途つくる、こういったことは皇族のあり方としてもいかがなものかと思いますので、ぜひ慎重にお考えいただきたいということを申し述べておきたいと思います。

 続きまして、裁判所の現場での改善について一つ、これは要望も含めて御提案をさせていただきたいと思いますが、きょうは最高裁判所の総務局長にお越しいただいております。

 横浜地方裁判所相模原支部では、政令指定都市の中で唯一、合議制で行われておりません。これを合議制で可能にしていただきたいということと、あと、これに伴って、労働審判も行える環境になっておりません。これは実際にニーズがありまして、地元の弁護士会などからもぜひ可能にしてほしいというお声をいただいておりますので、速やかに実施していただきたいということを御検討いただきたいと思います。

 また、厚木の簡易裁判所には、家庭裁判所の出張所というものがございません。これについてもニーズがありますので、厚木簡易裁判所に家庭裁判所の出張所を併設していただきたいと思いますが、両方、これに伴って、人的、物的体制あるいは予算措置等が必要であれば、それもあわせて御検討いただきたいと思いますが、最高裁判所の御見解をいただきたいと思います。

中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 三点について要望、御質問等いただきました。

 まず、支部で合議事件あるいは労働審判事件を取り扱うか否かということにつきましては、最高裁判所規則に基づきまして、各裁判所の裁判官会議が決定するということになっております。全国的な観点からの体制整備あるいは司法サービスの充実ということを検討していく必要がありますことから、最高裁でも各庁における事件動向等を常に注視しているところでございます。

 先生からも御指摘がありましたように、相模原支部につきましては、管轄地域内の自治体、弁護士会等から合議の取り扱い、労働審判について要望があることも、最高裁として承知しているところでございます。

 まず、合議事件を取り扱うか否かという点でございますが、相模原支部、管内人口約八十五万人程度という非常に大きな人口がありますし、また事件数も、民事通常一審事件が約五百七十件、これは年間でございますが、刑事が約三百六十件ということで、事件数もそこそこあるというところでございます。

 ただ、横浜地裁本庁までのアクセスということであれば、約一時間程度ということでございます。

 相模原支部の合議事件を取り扱うことになる横浜地裁の本庁におきましては、行政、知財あるいは医療事件等、専門事件を集中的に扱う部が設けられておりまして、その専門的知見を活用して適正かつ迅速に処理する体制が整備されております。

 現時点で、横浜地裁で合議を取り扱って、相模原支部管内の合議相当事件が横浜地裁で取り扱われるということについては、事件処理体制としては合理性があるというふうに考えているところでございます。

 労働審判につきましては、これもやはり予想される事件数や本庁までのアクセスの時間、利便性といったことを総合的に考えないといけないということになりますが、労働審判員の確保というところもあわせて考慮しないといけないということになります。

 労働審判の関係は、今、支部で労働審判を取り扱っているのは立川支部、小倉支部の二支部しかございません。この四月から新たに三支部を取り扱うということで、今準備を進めているところでございます。

 相模原支部につきましては、アクセスの良好さ、あるいは取り扱うことが予想される労働審判事件数等を考慮すれば、今直ちに労働審判事件を取り扱うことが必要だというところまでは考えておりませんで、まず新たに取り扱いを始めます三支部の運用状況を見てまいりたいと思います。

 最後に、厚木簡裁における家裁出張所の設置でございますが、家裁出張所の設置は最高裁規則で定めることになっています。全国四百三十八カ所に簡易裁判所がございますが、家裁出張所が置かれているのは七十七庁でございます。これは、家裁の場合には、簡裁とは違いまして、簡裁事件のみを行うという簡裁判事がいるわけではなく、判事、判事補が本庁または支部から出張して事件を行うということになります。したがいまして、出張所の新設ということは、本庁、支部までのアクセスの困難性、事件数等を考慮して慎重に検討しなければならないというふうに考えております。

 厚木簡裁につきましては、横浜家裁小田原支部が取り扱っているということになりますが、アクセスが五十分程度と比較的良好であるということで、厚木簡裁に家庭裁判所の出張所を新設する状況にあるとは考えておりません。

 ただ、いずれにいたしましても、最高裁としては、限られた人的、物的資源を有効に活用しつつ、利用者の利便性を確保し、司法サービスを充実していくということが重要であると考えておりまして、引き続き、必要な事件処理体制の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。

後藤(祐)分科員 実は、相模原市というのは合併して政令市になって大変広い市になっておりまして、山梨県との境目の本当に山の奥の方まで相模原市なんですね。ですから、今、相模原支部があるところから横浜のアクセスだけではなくて、その奥の方から相模原へ出てくるところまで考えますと、決してアクセスの点で恵まれているわけではないんです。また、厚木についても、厚木の町中まで来るところまででかなり遠いところの方もいらっしゃいますので、そのあたりも考えて、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

 内閣府と裁判所についてはこちらで終わりでございますので、結構でございます。ありがとうございました。

 引き続きまして、防衛大臣に伺いたいと思いますが、まず冒頭、先週二月十六日、防衛省の女性の職員の方が私の議員会館に来て御説明をされたときに、私の言い方が厳しく、その方が威圧的な言動と受けとめられたというお話が大臣の方から示されました。心からおわびを申し上げ、二度とこのようなことがないよう気をつけてまいりたいということを申し上げたいと思います。申しわけございませんでした。

 その上で、質疑に入りたいと思いますが、まず冒頭、民進党は、昨日、南スーダンの自衛隊を撤収させるべきという結論に至りました。

 それは、UNMISSのマンデートが派遣当初の平和構築から住民保護といったものに変わってきていて、今の自衛隊の身の丈には余る状態になってきているということ。そして、この直近を見ても、国連の報告等から見ても、大変治安の状況が悪化してきているということ。そして、その現場の状況がなかなか、我々のところにきちんと届いているのかということに関してやや疑念があるという状況に至っているということ。これらを考えて、民進党としては撤収させるべきという結論に至ったことを申し上げておきたいと思います。

 その上で、おとといの審議の続きをやりたいと思いますが、稲田大臣のところにも配付資料があると思います。

 情報公開請求が十月三日になされて、南スーダンの日報を出してくださいという請求がありました。これに対して、現地の南スーダンの派遣施設部隊ですとか中央即応集団ですとか、そういったところはお調べになられたんだと思いますが、それが陸自指揮システムに残っていて、そこからダウンロードされたのが統合幕僚監部で、その統合幕僚監部にあったのではないかということが議題になっているわけでございます。

 その中で、おとといの質疑では、統合幕僚監部の中にこの日報があるのではないかということで、大臣官房文書課から、これは情報公開請求の窓口だということだと思いますが、統合幕僚監部に対して、破棄により不開示と防衛省として答えていいかということについて意見照会がありました。これは大臣がお答えになられております。これに対して、意見なしという回答を、これは統合幕僚監部としてされておられます。

 さらに言うと、これは窓口の方が単独でお答えしたわけではなくて、統幕の中で決裁をしてそういう回答をしているというお答えもありました。その決裁というのが企画調整官まで上がったというお答えもありました。

 これは、きのう事務方に確認したら、政策調整官という方がこちらにおられて、政策調整官という方なんだそうでございますが、この参事官付、統合幕僚監部の中の参事官付というところはこういう組織になっているそうでございます。

 ここまでが、前回のやりとりの中で、この中で決裁の過程にあった、すなわち、破棄により不開示とすることでよいかということについてよしとした方々の中で、日報の存在を知っていた方がいらっしゃるんじゃないんですかという私の質問に対して、稲田大臣は、その時点で知っているという認識をした人はいないと思いますという答弁をされましたので、いないということを確認したんですかと私は申し上げました。

 それに対して稲田大臣は、もしその存在を知っていたら、それはあると言いますよ、なので知っていないということですとお答えになられまして、その意見照会の時点で、統幕で決裁している過程で存在を知っている者は当然おりません、その後、私の指示で捜索して、しかも公表しているんです、隠蔽はないんです、隠蔽していないんです、隠蔽でもないのに私に対する報告をはなから疑う必要はなく、私はしっかりと聴取をしているということでございますというお答えがありました。

 これを、きちんとこの参事官付の中を調査してくださいということで、これは、調査した結果を理事会に提出していただくよう、既にお願いしているところでございます。

 きょうは、この調査結果がどうであったかということについて聞きたいわけでございますけれども、まず、この参事官付というところが、これは参事官付に確認してつくらせていただいた資料でございますけれども、参事官の下に政策調整官という方がおられて、もう一人何か同じような感じのポストの方がいらっしゃるという話もあるんですが、これは確認させていただいていますので、まあここにおられて、その下に班というのが四つございます。総括班五、六名、国外運用班十名程度、国内運用班、災害派遣・国民保護班と、四つの班がございます。

 まず、大臣官房文書課からの破棄により不開示としたことについての意見照会、この決裁がどういう形だったかについて御確認をさせていただきたいと思います。この決裁に携わった方を、もちろんお名前は結構でございますので、固有名詞は結構でございますので、例えば、総括班の中で、ある一人の方が見て、その後、総括班の班長に上げましたとか、つまり、総括班の中で班長プラス二名が関与したとか、そういった形で結構でございますので、あるいは、国外運用班の班長なり、あるいは班長プラス何人の方が決裁に関与したといった形で結構でございますので、御説明を具体的にしていただけますでしょうか。

稲田国務大臣 冒頭、後藤議員から謝罪がございました。そして、その内容、厳しく指導して女性職員が威圧と受けとめたと言われたわけですけれども、先日の会見、読ませていただいても、報告を受けている内容とかなり乖離をいたしております。そして、極めて不適切な言動であったということについて遺憾に思います。この場で具体的にそのことについてこれ以上は申しません。立ち入りません。

 その上で、今のお尋ねですけれども、日報の開示請求に関し、防衛省では、日報作成元の派遣施設隊、報告先の中央即応集団の司令部で日報を探したけれども、廃棄済みのため不存在だった。かかる捜索結果を受けて、幕僚長から不存在のため不開示との上申がなされ、昨年十一月二十八日、大臣官房から統幕に意見照会が行われました。

 統幕参事官付では、日報の作成元である陸上自衛隊が廃棄済みのため不存在とした判断について意見の有無を問われ、政策調整官まで了解をとり、意見なしと回答をいたしました。このとき関与した者は、当該文書について、統幕が報告先でもなく、保存せよとの業務上の指示も受けていなかったことから、開示請求を受けた日報が統幕参事官付内に存在しているとの認識はなかったものです。

 私は、以上のような報告を踏まえ、二十日の衆議院予算委員会で、統幕が回答した時点で当該日報が統幕にあることを知っている人はいない旨をお答えいたしたところです。

 そして、この意見照会に対し、統幕参事官付政策調整官は、部下職員から照会文書の提示を受け、口頭で意見なしとの回答を了解しました。この過程において、文書は作成されておりません。

 なお、本件については、政策調査官の了解をもって回答したものであり、当該照会について統幕参事官本人は承知していませんでした。

 通常、この種の過程は、参事官付の次席である政策調査官を含め、数名の職員がかかわると考えております。

後藤(祐)分科員 文書の存在の話は後で確認しますが、まず、この意見照会に関して、どなたが決裁にかかわったのかということについて、参事官はそこにはかかわっていなかったというお話がございました。

 政策調整官ですよね、大臣。その政策調整官にどなたかが口頭で説明して、政策調整官が了解したというお話でございますが、この口頭で御説明されたのは、どこの班の方なんでしょうか。そして、それは、大臣官房文書課からまず最初に承った方そのものなのか、あるいは別の方が関与しているのか。それぞれ、総括班の方なのか、国外運用班の方なのか、あるいはほかの班の方なのか。何人かいらっしゃる可能性もありますので、そこを具体的に説明いただきたいんです。

稲田国務大臣 今御答弁申し上げましたように、通常、この種の過程には、参事官付の次席である政策調査官を含め、数名の職員がかかわると考えております。

 そして、統幕参事官付は、不開示決定の後、私の指示を受け日報を発見し、これを公表しているんです。

 後藤委員は、統幕参事官付が昨年十一月に意見なしとの回答をしたことをもって、日報を隠蔽しようとしたのではないか、そういった疑いをお持ちのようですけれども、その後の経過を見れば、そのような疑いは筋違いで、当時の過程を検証することに意味はないと考えております。

後藤(祐)分科員 この了解をした過程を検証することに意味はないというのは、今、組織的な隠蔽があるかないかということが話題になっているときに大変残念な発言だと思いますが、政策調整官の決裁を受けるまでに数名がかかわるとおっしゃられました。この数名というのが、総括班と国外運用班の何人ずつなんですか。特に、班長プラス一だとか、あるいは班長ではないような方が直接言ったのかとか、そういったことを御説明していただきたいと言っているんです。

 これは、おとといの委員会で、理事会に対して提出していただきたいという事項になっておりますし、きのう、私は、明確にこのことは、これと同じような図を手で描いて通告をしておりますので、明確にお答えください。

稲田国務大臣 本件については、政策調査官の了解をもって回答したものでございます。

 そして、この種の過程には、政策調整官を含め、数名の職員がかかわるということを申し上げているわけです。(後藤(祐)分科員「数名って何人ですか。ちょっと委員長、お答えになられないので」と呼ぶ)

西村主査 後藤祐一君、もう一度質問してください。

後藤(祐)分科員 もう三度目ぐらいなんですが、政策調整官に対して上げるまでの間、大臣官房文書課から、破棄により不開示としたことについて、これでいいですかという意見照会を受けた方が必ずいるはずなんですね。その方が直接政策調整官に言ったのか、あるいは、そこから何人か経て言ったのか、そこを、総括班と国外運用班のそれぞれの班長がそこに入っているのかどうかも含めて、何人かかわったのかということを御説明していただきたいと、これは三度目ぐらいだと思いますが、御答弁いただきたいと思います。

西村主査 これは通告をされているんですね。

後藤(祐)分科員 明確に通告しています。これと同じような絵を描いて説明しています。

西村主査 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西村主査 起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 意見なしと回答したとき関与した者は、当該文書について、統幕が報告先でもなく、保存せよとの業務上の指示も受けていなかったことから、開示請求を受けた日報が統幕参事官付内に存在しているとの認識はなかったわけでございます。何度も言いますけれども、これは不開示にして、そして、統幕で見つかって、開示をしたわけであります。

 全く隠蔽の意図もないし、情報請求の過程において、趣旨にのっとって結局は公表したわけですね。何か隠蔽をしたというような、そういう疑いのもとで犯人捜しのような検証をすることに意味はないと考えます。(後藤(祐)分科員「委員長、聞いていないので。もう四度目になっちゃうので」と呼ぶ)

西村主査 ちょっと速記をとめてもらえますか。

    〔速記中止〕

西村主査 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、本件については、政策調査官の了解をもって回答し、口頭で、意見なしとの回答を了解しているんです。

 ですから、通常は数名ですけれども、案件により異なりますし、口頭ですから、今から検証は不可能だということでございます。

後藤(祐)分科員 数名いらっしゃるわけですよ。その方が誰であったかは聞けばわかるんじゃないんですか。それはちゃんと検証していただけませんか。

 実際、これは、おととい、その話をここでして、理事会に提出する話になっていて、きのう明確に通告していますから。数名の話ですから、検証できるはずですよ。お答えください。

西村主査 理事会で引き続き協議をいたしているところでありますけれども、現時点で答弁できることを答弁してもらいたいと思います。

稲田国務大臣 口頭で、意見なしとの回答を了解しているわけであります。

 したがいまして、数名はかかわっているでしょうけれども、この口頭で了解がついたことについて、案件によって異なるわけでありますし、検証する必要はないと思っております。

後藤(祐)分科員 ここを検証する必要がないというお答えは大変残念な回答だと思いますが、少なくとも数名はかかわっているわけですよね、政策調整官に説明するところまでで。その数名及び政策調整官は、この日報が参事官付の共有フォルダにあることを知っていたんですか。どなたか一人でも知っていたんですか。

稲田国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおり、関与しました者は、当該文書について、統幕が報告先でもなく、保存せよとの業務上の指示も受けていなかったことから、開示請求を受けた日報が統幕参事官付内に存在しているとの認識はなかったものでございます。

後藤(祐)分科員 今申し上げた政策調整官及びその決裁にかかわった数名が、この共有フォルダ内に日報が存在したということを知っていたか知っていないかは確認されていないということですか。

稲田国務大臣 統幕参事官付内に存在しているとの認識はなかったということでございます。

後藤(祐)分科員 これは、統幕からの意見照会があって、政策調整官が決裁しました。政策調整官のところに行くまでに数名がかかわっているという御答弁がありました。その数名及び政策調整官のどなたかがこの参事官付の共有フォルダにあった日報の存在を知っていたということはございませんか。同じ質問です。

稲田国務大臣 日報が統幕参事官付内に存在しているとの認識はなかったということでございます。(後藤(祐)分科員「主語を言っていないから、何も答えていないです。同じ答弁です。委員長、答えていないんです」と呼ぶ)関与いたしました者は、開示請求を受けた日報、すなわち七月の日報、それが統幕参事官付内に存在しているとの認識はなかったということです。

後藤(祐)分科員 この政策調整官も知らなかったんですか。

稲田国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、この政策調整官が了解という回答をしたものでございますので、承知していないということでございます。

後藤(祐)分科員 きのう、事務方の説明では、国外運用班の中のUNMISS担当の方がこの参事官付の共有フォルダの中に日報があることを知っていた、管理していたというお答えになっています。

 実際、我が党の逢坂議員の質問主意書に対する答弁がきのう閣議決定されていて、「統合幕僚監部の担当者においてその執務の参考とするために保管していた」というのが、これは政府側から正式に答弁として返ってきています。

 この共有フォルダの中に日報があるということを知っていた方、UNMISS担当の方は、少なくとも一人は知っていたということなんですが、ほかに何人の方が知っていたんですか。どこの班のどなたがこの日報の存在を知っていたんですか。

 参事官及び政策調整官及び各班長及び国外運用班の中の方、どなたが知っていたか、網羅的にお答えいただけますか。

稲田国務大臣 先ほど申しましたように、関与した者の中に、当該文書について、日報が統幕参事官付内に存在していることの認識はなかったということです。

後藤(祐)分科員 この意見照会と関係なく、参事官付にある共有フォルダに日報があったんです。そして、そのことは「担当者においてその執務の参考とするために保管していた」、これはきのう閣議決定された答弁書です。だから、どなたかは、少なくとも担当者としてこれがあったことを知っていたんです。

 それは、事務方の説明においては、国外運用班のUNMISS担当の方は少なくともこれを保管していたという御説明がありました。まず、そのことをお認めいただけませんか。国外運用班の、UNMISS担当という言い方を事務方はされましたが、少なくとも一人はこの共有フォルダ内に日報があったということをお認めになられています、事務方が。しかも、閣議決定もされています。このことをまずお認めいただけませんか。

稲田国務大臣 捜索して、そして発見されたんですから、保管はされていたんでしょう。

 しかし、意見照会が来たときに……(後藤(祐)分科員「そのことは聞いていません」と呼ぶ)意見照会に来たときにどうかということをお聞きなんじゃないんですか。

西村主査 発言は手を挙げてしてください。

 大臣、答弁してください。

稲田国務大臣 日報が統幕参事官付内に存在しているとの認識はなかったということでございます。

後藤(祐)分科員 少なくとも、国外運用班の中の一人は、共有フォルダ内に日報があったということを認識していたということでよろしいですか。これは閣議決定しているんですよ。

稲田国務大臣 捜索して見つかったんですから、保管はしていたという事実があるということを閣議決定の中で書いているものと承知をいたしております。

後藤(祐)分科員 少なくとも一人はそういう方がいるということですよね。担当者は少なくとも保管していたという事実を知っていたわけですね。そのほか何人の方が、そして班長がどうか、政策調整官がどうかも含めて、どなたがこの共有フォルダに日報が存在していることを知っていたんですか。

稲田国務大臣 当該担当者は、業務上の参考とするため、配付を受けた日報をフォルダに適宜保存していると承知していますが、報告先でもなく、保存せよとの業務上の指示も受けておらず、日常にさまざまな大量の文書を処理している担当者が、数カ月前の日報をフォルダの中に保存したか否か認識がないことは、私は当然だと思いますよ。

 今回、一次隊から九次隊までの日報も、いろいろなところを徹底的に探して、出てきたんですよ。ですから、膨大な大量の文書を処理している担当者が、数カ月前の日報をフォルダの中に保存して、そのままであるか否かについて認識がないことは、私は当然だと思いますよ。

後藤(祐)分科員 質問にお答えになられませんが、時間が来ましたので。

 あしたも一般質疑でやりますから。明確に通告をしていますから。

 二つ、別のことなんです。意見照会の決裁の過程に関与した人は誰か。そして、共有フォルダに日報があることを知っていた人は誰か。別のことなんです。そこに重なりがあるかどうかということを確認しているんです。

 それを調査することに、意味がないという表現がどうかはともかく、否定的なのは大変残念です。

 あしたまた同じことを質問しますので、よく調べておいてください。これはそんなに数は多くありませんから、今から調べてもわかりますから、今から調べておいてください。

 終わります。

西村主査 これにて後藤祐一君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)分科員 民進党の本村賢太郎です。どうぞ大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、防衛大臣の政策参与の皆さんが、中谷前防衛大臣のもとで任命をされた、森本元防衛長官、そして西元防衛事務次官、そして片岡元航空幕僚長、この三名の皆さんは、シビリアンコントロールを維持するのに必要な重要な方だなという認識が私自身もありますが、昨年の十二月二十八日にこの三名が解任をされたという報道がございます。その経緯について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

稲田国務大臣 防衛大臣政策参与は、防衛大臣のブレーンとして高度に専門的な観点から補佐を行う方々であって、その活用は、防衛大臣のニーズに応じて判断されるものです。また、防衛省設置法七条は、「防衛大臣政策参与三人以内を置くことができる。」としており、防衛大臣政策参与の任命は必須ではありません。

 御指摘のとおり、中谷前大臣が任命をされた三名の防衛大臣政策参与には、昨年末に退任をしていただくことといたしました。今後、私なりの問題意識を踏まえ、私の補佐体制全般も勘案しながら、必要に応じ、後任の防衛大臣政策参与について任命をする考えでございます。

本村(賢)分科員 大臣の必要なニーズに応じて三名の政策参与を任命できるわけでありますけれども、今の御答弁から、もちろん、過去の政権のときにもこの政策参与が不在な時期もあったことは十分承知をしておりますけれども、この三名、非常に私はバランスのとれた方だなと思いまして、中谷前防衛大臣のときの任命だから解任したわけではないと思いますけれども、大臣のお考えになる政策参与、どのような姿が一番ふさわしいのか、また、いつごろ任命する予定なのか、もう一度お伺いいたします。

    〔主査退席、石崎主査代理着席〕

稲田国務大臣 今後、私なりの問題意識を踏まえて、そして補佐体制全般との兼ね合いの中で、必要に応じて任命をしていこうというふうに思っております。

 そして、この防衛大臣政策参与は防衛大臣のブレーンでございますから、私のニーズに応じて判断をされるものであって、いつまでとか、そういった計画的なものではないというふうに考えております。

本村(賢)分科員 今、これだけ南スーダンの問題とかで、シビリアンコントロールが十分機能していないんじゃないかという御指摘がある中で、まさにこの防衛大臣政策参与というのは非常に必要じゃないかなと思うんですが、今現時点で、この段階で必要じゃないでしょうか。

稲田国務大臣 やはり、防衛大臣のブレーンとして、その都度のニーズに応じて判断をするものというふうに私は承知をいたしております。

本村(賢)分科員 私どもの大串政調会長もきのうの記者会見で、南スーダンへの自衛隊PKO部隊が活動を継続するには重大なリスクがあることなどを踏まえて、自衛隊員の生命を守るために自衛隊の南スーダンからの撤退を求めるという声明を出されておりますけれども、これについて、大臣のお考えは変わりないでしょうか。

稲田国務大臣 現在の南スーダンの情勢、大変治安が厳しいものがあります。特に、北部、それから南部、ここの国会での議論、さらには参考人の質疑等もございます。そして、私も、毎日、南スーダンの情勢について、日報のみならず、さまざまな角度から報告を受けております。そして、七月のあの衝突を振り返っても、本当に急激に悪化することもございますので、現在の治安状況、そして刻々と、毎日の状況をしっかりと見て、そして、PKO五原則は満たされていたとしても、私はむしろ、自衛隊の皆さんがみずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができるかどうか、しっかりと見ていきたいと思っております。

    〔石崎主査代理退席、主査着席〕

本村(賢)分科員 それでは、現状では有意義な活動ができているという状況でよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 厳しい暑さの中で、今、第十一次要員は道路の補修を毎日やっております。もう既にジュバからマンガラまでの六十キロ、補修は全て終わっております。また、ジュバから今度コダに向けて補修を始めております。そして、そのことを、南スーダン政府、さらには国連、UNMISSからも非常に評価をされていて、頑張っている。本当に厳しい状況の中で有意義な活動をしております。

 しかしながら、今委員御指摘になったことはとても重要で、やはり、この南スーダン、特にジュバの状況について、しっかりと見ていくということが私は必要だと思っています。

本村(賢)分科員 日報の問題などいろいろ出ておりまして、ぜひ、自衛隊員の生命財産を含めて、防衛大臣として、的確な御判断をお願いしてまいりたいと思います。

 それでは、分科会でありますので、地元の基地のお話をさせていただきます。

 私は神奈川県相模原市が選挙区でありまして、沖縄県に次ぐ神奈川県は基地負担県であります。その中で私どもの相模原市には、相模総合補給廠が百九十七ヘクタール、そして相模原の米軍住宅が五十九ヘクタール、そしてキャンプ座間が百七十二ヘクタールと、四百二十八ヘクタールもの基地が市内にございます。その点について、ここ数年間、この第一分科会で基地の返還について議論させていただきましたが、これから残る時間、地元の基地問題を踏まえて質問させていただきたいと思います。

 今、相模総合補給廠の一部返還が十五ヘクタール行われたわけでありますが、土壌調査で基準値を超える汚染が確認をされました。この地図でいいますと、きょうお配りした資料三の、ちょうどオレンジ色の部分の家族住宅区域及び野積み場の一部返還の十五ヘクタール部分と、それからスポーツ・レクリエーションゾーンの十ヘクタール、この部分の土壌調査で基準値を超える汚染が確認をされております。

 きょうは、この十五ヘクタールに関してまず御質問させていただきますが、土壌改良は誰が主体となって、誰の負担で行っていくのか、また、今後の払い下げのスケジュールや金額にどう影響するのか。この問題に関しては、今、森友学園のいわゆる国有地の払い下げの問題などが絡んでいまして、地元市としても、どのような方策で払い下げやそして土壌の改良などが行われていくのかという、注目をされておりますので、この点をまず財務省にお伺いいたします。

市川政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま御指摘のございましたこの十五ヘクタールの土地でございますが、現在、防衛省において土壌汚染調査を実施中であり、この調査終了後に、現在の見込みですと本年三月末に防衛省から財務省に引き継がれる予定でございます。

 それで、土壌汚染に係る具体的な対応につきましては、この最終的な調査結果を踏まえて検討することとなりますので、現時点で確たることを申し上げることは困難でございます。

 ただし、国有地に土壌汚染がある場合の一般的な対応について申し上げますと、これは、有償でその土地を処分する場合と無償で処分する場合とで対応が異なってまいっておりまして、国有地を売却など有償で処分する場合には、国において事前に除去した上で処分するか、もしくは土壌汚染を明示した上で土壌汚染の状況を考慮した不動産鑑定評価による価格で処分する、このいずれかとしておりまして、この場合、いずれにしても国の負担により対応を行っております。

 そして、他方で、無償での貸し付けや譲与の場合には、民法の規定に基づきまして、利用者がその負担において汚染除去等の対応をしていただくこととなっております。

 御質問のあった財産につきましては、この最終的な土壌汚染調査の結果及び相模原市の具体的な利用計画を踏まえまして、関係者間で十分に協議しながら必要な対応を行っていくこととなります。

本村(賢)分科員 財務省の一般的なルールをお聞きしまして、有償の場合は、国が費用を持つケースと、今回、森友学園のような費用該当金額を払い下げ金額から相殺するケースとあるというふうに伺いましたし、また、無償の場合は、横浜市の小柴の施設がたしか無償貸し付けだと思いますが、このケースを指しているんじゃないかなと思います、自治体が負担をするということだと思います。

 私ども、長年基地負担をしてまいりまして、本来、固定資産税相当分の約三割ぐらいしか、たしか交付金等々でいただいていないというふうに思っておりますけれども、ぜひとも、これまでの相模原市が、JR相模原というのは、相模原市役所がある一番相模原のへそ部分でありまして、ここにおける長年の基地の負担というもの、市民の皆さんが非常に長く支持したわけでありますので、その点を十分鑑みて、財務省の皆さんには適切な対応をお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、二〇一五年、ちょうど二年前でありますが、八月二十四日に、この補給廠内で米軍施設の爆発事故がございました。私どもも、民進党も、先ほど質問した後藤祐一県連代表を先頭に、この問題に取り組みを進めてきたわけでございます。

 二〇一六年、昨年の十一月一日に、確実な火災原因を特定するまでには至らなかったということで、事故原因は、バルブのふぐあいで漏れ出した酸素が火花を発生させ、可燃物に引火し燃え上がったと推定するようなお話もあったわけでありますが、結果的に、特定するまでには至らなかったという残念な結果になりました。

 そして、昨年は十二月にオスプレイの墜落などがありまして、あれを不時着水とは私は言わないんじゃないかと思いますけれども。

 私ども相模原市に基地がありますが、基地の理解というのは、市民は随分進んでいます。もちろん基地の返還やその後のまちづくりというのも望んでいるところでありますが、現状、基地がありますから、中に入っている米軍との関係も非常に友好的なおつき合いをしておりますが、その一昨年前の補給廠の爆発事故で、市民の皆さんが大変不安がられた事実がございます。

 そういった中で、私も昨年も政務官の方に、この日米地位協定の改定が必要ではないかという御質問をさせていただきましたが、これは本来ならば外務省であり、また他国でも、韓国、ドイツで地位協定の改定が進められておりまして、できないことはないと思いますし、防衛省は必ず、お話をすると、運用改善をしてきたという話をするんですが、ぜひ、政治家として稲田防衛大臣の地位協定に対する、私は改定をするべきだと思いますが、改定をするべきかしないべきか含めて、御答弁をお願いしたいと思います。

稲田国務大臣 日米地位協定について、政府としてはこれまで、手当てすべき事項の性格に応じ、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取り組みを通じ、一つ一つ具体的な問題に対応しております。

 引き続き、そのような取り組みを積み上げることにより、日米地位協定のあるべき姿、不断に追求をしていく必要があると思っています。

 これまで日米両政府は、平成二十七年九月には、環境基準や立ち入り等について規定を設けた環境補足協定を締結し、また本年一月には、在日米軍の軍属の扱いについての補足協定を締結いたしました。

 いずれも、法的拘束力を有する協定であり、従来の運用改善とは一線を画す点で極めて重要だと思っております。そうした取り組みを積み上げていき、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求していきたいと考えております。

本村(賢)分科員 不断に追求していくというちょっとわかりづらい言葉でありますが、例えば、昨年オスプレイが墜落いたしまして、もう既にオスプレイは飛来しておりますけれども、オスプレイの原因究明とか再発防止に対する米側からのお話というのが、御理解があった上で大臣は再度オスプレイが飛来されていると認識されているんでしょうか。

稲田国務大臣 オスプレイの不時着の事故に関して、私もマルティネス司令官と深夜電話をして、飛行停止をして、これは初めてですけれども、そしてまずはオスプレイの再開、さらには給油機の訓練の再開、二段階にわたり、アメリカから、米側から聞いた情報のみならず、防衛省において、防衛省の経験と知見を生かし、そして検証もし、さらにはそれに対する再発防止策を確認した上で、まずはオスプレイの飛行とさらには空中給油機の再開について理解をしたということでございます。

本村(賢)分科員 非常に国民の期待を踏みにじる答弁だなと思うのは、恐らく、原因究明、再発防止、まだまだ不十分じゃないかと思うんですよね。そこは指摘をしていきたいと思いますし、また、大臣、政治家として、日米地位協定、運用改善等々じゃなく、改善するべきかしないべきか、どちらでしょうか。

稲田国務大臣 先ほど御答弁いたしましたように、例えば環境基準や立ち入り等の環境補足協定、軍属の扱い、これは法的拘束力を有するそういう協定であって、従来の運用改善とは一線を画すものであります。そういったものを積み上げていくことによって、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求していくということでございます。

本村(賢)分科員 不断に追求していくというのは、防衛大臣として日米地位協定改定をするべきだとお考えでしょうか。いかがでしょうか。

稲田国務大臣 運用改善のみならず、法的拘束力を有する協定の積み上げをしてきた、そういったことによって、あるべき姿を不断に追求していくということでございます。

本村(賢)分科員 何だか答弁をよく理解できませんが、政治家として、やはり、恐らく大臣も、日米地位協定、私は、ちょっとまだ不十分じゃないかなと思いますし、改善するべきだなと思っているんですよ。

 そういった中で、もちろん押しつけじゃないです、大臣として、本来ならば、今国民が置かれている、さまざまなお考えが、やはり地位協定改定というのは、私どもの地元の相模原市長も神奈川県知事も感じている話でありますし、多くの国民が感じていることなんですよね。ですから、そういった言葉をしっかり防衛大臣として、また、外務大臣とも協力しながら、日米地位協定の改定に向けて頑張っていただきたい、そう締めさせていただきます。

 次の質問に入りますが、資料三の相模総合補給廠の北側道路部分の返還に関しまして、ちょうど二年前のこの第一分科会、そして昨年の第一分科会で、現地の実施協定は平成二十七年度中に締結するという方向で引き続き努力してまいりますというこれまでの答弁がありましたが、既にもう二年がたっております。

 なぜおくれているのか、そして、今後どのような方向になるのか、お伺いいたします。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の相模原補給廠北側外周部分の土地約〇・九ヘクタールの問題につきましては、相模原市の御要望を受けまして、平成二十五年十月の日米合同委員会において、当該土地の返還に必要となる米軍施設の移設等を条件に返還することが合意されまして、相模原市において、その返還条件とされている工事に関する測量調査等、これはもう既に実施されていると承知しております。

 当該工事を実施するための現地実施協定の締結時期、これにつきまして、排水設備の管理などの調整に当初の見込みより時間を要したところでございます。しかしながら、現在、相模原市と米側と最終調整の段階に至っておりまして、今年度中に締結できるように努めてまいりたいと考えておるところでございます。

本村(賢)分科員 今、深山地方協力局長から前向きな御答弁をいただきました。ぜひとも、少し時間がたっておりますので、これは町田市との境界地域でもありまして、相模原市としても、防災などに非常に役立つ道路として市道で整備をしていきたいという意向がございますので、局長も南関東局長時代、お地元をよく御理解されていると思いますので、前へぜひ前進させていただきたいとお願いいたします。

 次は、空母艦載機の岩国移駐についてお伺いいたします。

 もう既に質問主意書等々で、移駐によって厚木基地周辺の騒音は減るのかと聞いておりますが、これに対しては、質問主意書でも減る方向だということで伺っておりますが、そのことを踏まえてお伺いしてまいりたいと思います。

 まず、山口県、そして岩国市側の受け入れ姿勢はどのようになっているのか。岩国市長はまだ容認していないと、これは福田市長ですよね、聞いておりますが、大臣から訪問し直接説明されたのか。一部話を聞くと、外務副大臣と防衛大臣政務官が岩国を訪問したお話や、二月五日には菅官房長官が岩国市を訪問され、知事や市長と面会されているという話もございます。

 稲田大臣は、市長が東京を訪れた際に面会をしていらっしゃるようでありますが、防衛大臣として岩国市には行かれたのか、お伺いいたします。

稲田国務大臣 空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐については、今御指摘になった岸外務副大臣と宮澤防衛大臣政務官が、平成二十九年一月二十日、山口県知事及び岩国市長等へ、また同月二十七日、岩国市議会全員協議会においても、当該移駐に係る全体計画の概要を説明いたしました。

 地元の岩国市等においては、今後、当該移駐計画について、地元議会の意見も踏まえ判断されるものと理解をいたしております。

 なお、私については、防衛大臣就任以降、山口県知事、岩国市長等とこれまでもさまざまな機会を捉え意見交換を実施しておりますが、今後、機会を見て地元へ伺うことも検討したいと考えております。

本村(賢)分科員 伺うことを検討するのでなく、菅官房長官も現地へ行かれています。それで、この厚木の基地負担を岩国で受けていただくに当たって、ぜひ防衛大臣として現地に行って、受け入れの体制がどうなっているのか、そして、福田市長を初め県知事に対しても、やはり防衛大臣として、国民の代表として、誠意を持って当たるべきじゃないかなと率直に思います。そのことは指摘をしてまいりたいと思います。

 それから、厚木基地周辺の防音工事が今行われておりますが、町田市が北関東防衛局、そして神奈川県内の七市に関しましては南関東防衛局ということで承知をしているわけでありますけれども、現在の防音工事、昭和五十九年告示と十八年告示が行われているわけでありますが、現在の周辺各地における進捗率はどうなっているのか、お伺いいたします。

深山政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねのありました厚木飛行場周辺八市における住宅防音工事の進捗状況でございますが、平成二十七年度末の時点において、防音工事を実施したことのある世帯数について申し上げます。

 大和市が、約五万二千世帯、進捗率九〇%。綾瀬市、約二万世帯、進捗率九三%。藤沢市、約二万八千世帯、進捗率五九%。座間市、約二万四千世帯、進捗率九三%。海老名市、約一万世帯、進捗率八七%。相模原市、約二万八千世帯、進捗率六八%。茅ケ崎市、約一千世帯、進捗率三九%。町田市、約二万二千世帯、進捗率四七%となっております。

 引き続き、所要の予算の確保に努めまして、住宅防音工事の促進に努力してまいりたいと考えておるところでございます。

本村(賢)分科員 この防音工事は大分取り組みが進められているようでありますが、告示後住宅の課題などがございますので、この辺も今後ぜひ御検討をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、岩国への移駐後には、いわゆる防音工事を含めたエリアを見直していくのか、その場合はどのようなスケジュールで行うのか、お伺いいたします。

深山政府参考人 委員からも御指摘があったところですが、厚木飛行場においては、昭和六十一年九月の第一種区域の最終指定以降、約二十年が経過しておるところでございます。その間、NLPの大部分が硫黄島で実施されるようになったことなどから、平成十八年一月に第一種区域等の見直しを一旦行ったところでございます。

 防衛省としては、現在、他の飛行場の第一種区域等の見直しに取り組んでいるところであり、厚木飛行場における第一種区域等のさらなる見直しについては、具体的な時期は現在決まっておりません。岩国飛行場への空母艦載機の移駐後については、その状況を踏まえまして対処してまいりたいと考えておるところでございます。

本村(賢)分科員 なかなかまだスケジュールは立たないと思いまして、移駐がことしの七月から始まって来年五月まで、たしか六十一機行いますし、約三千八百人の方々が岩国へ移られるという話も伺っています。この岩国の移駐が終わって、厚木基地がどのような方向になっていくのか、エリアの見直し等々も今後あると思いますので、ぜひ基礎自治体の皆さんの御意見も聞きながら鋭意進めていただきたいと思います。

 最後の質問にいたしますが、私も、NHKの受信料の減免措置に係る指定基準の見直しについて、これまで取り組みを進めてまいりました。

 特に、二〇一五年の分科会で、防衛省から、いつまでに結論かということは、なかなか現時点で確たることを申し上げることが困難、まずは基準の策定をできる限り早期に進めてまいりたいとの答弁をいただいております。

 全国で十九施設が対象で、一九八二年、NHKから引き継いで以来、三十年以上見直しが行われていないわけでありまして、会計検査院からも、二〇一二年十月に、補助対象区域の指定に当たり勘案することとなっている各種要件を定めた際の根拠資料が残されておらず、指定基準がテレビ放送の聴取における航空騒音の実態を適切に反映したものとなっているかは不明など、会計検査院からも指摘をされてございます。

 この点において、今後、NHKの受信料減免措置に係る指定基準の見直しについて、進捗がどうなっているのかお伺いいたします。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、防衛省における放送受信事業の助成は、自衛隊等の飛行場等の周辺地域におきまして、ジェット航空機の飛行に伴う騒音によるテレビ放送の聞き取りにくさの緩和に資することを目的といたしまして、放送受信料の半額相当の補助金を交付しておるところでございます。

 この助成制度は、今御指摘ありましたように、その開始から三十年以上経過しておりまして、社会状況及び騒音状況が変化していることから、より効果的な施策となるように助成制度の見直しを行うことといたしまして、部外調査機関に委託の上、有識者にも参画いただき、慎重に検討を行いました。

 現在のところ、この調査結果をいただきまして、それを踏まえまして、助成制度の見直しについて検討を行っておるところでございますが、まだ現状におきましては、いつの段階からということにつきまして決定を行っている段階ではございません。

本村(賢)分科員 三十年以上見直しが行われていないということでありまして、大分、環境、状況も変わっていると思いますので、ぜひともこのNHKの受信料減免措置、広がるところもあれば狭まるところもあると思いますが、しっかりと地元の皆さんの御意向も踏まえながら進めていただきたいと思います。

 私の質問を終わりにします。ありがとうございました。

西村主査 これにて本村賢太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、大平喜信君。

大平分科員 日本共産党の大平喜信です。

 稲田防衛大臣には、昨年の臨時国会の決算行政監視委員会の分科会で、F35Bの配備問題を中心に、岩国基地強化の問題を質問いたしました。きょうは、その後の状況の変化も含めて、引き続き岩国基地問題についてお伺いをいたします。

 まず、神奈川県厚木基地からの空母艦載機移駐計画についてです。

 この計画は、耐えがたい騒音被害を解決するためにと、岩国基地の滑走路を沖合に一キロ移設する工事が進められているそのさなかに、突如として押しつけられてきたものでした。住民をだまし討ちにして、政府が既成事実を積み重ねてきたというのが今日までの経過です。

 政府は、一月二十日に、今後の艦載機移駐の具体的なスケジュールを岩国市などの自治体に伝達しました。大臣、内容について簡潔に御説明ください。

稲田国務大臣 御指摘の平成二十九年一月二十日、岸外務副大臣と宮澤防衛大臣政務官が、岩国市長等へ全体計画の概要を説明しました。

 内容としては、E2Dは、二月に第五空母航空団の一員として加わり、岩国に飛来し、E2CからE2Dに部隊更新され、二、三カ月程度、岩国飛行場に前方展開し、配備前訓練を実施した後、一旦、空母ロナルド・レーガンに搭載されること、第五空母航空団の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐は、二〇一七年後半に開始される予定であるが、早ければ二〇一七年七月以降、空母ロナルド・レーガンが横須賀に寄港した時期になること、移駐計画は、今後の米側の運用により変更があり得る可能性があるが、現時点における具体的な移駐計画は、二〇一七年十一月ごろ、FA18の二部隊が岩国飛行場へ移駐し、二〇一八年一月ごろ、EA18G部隊及びC2部隊が岩国飛行場へ移駐し、二〇一八年五月ごろ、FA18の二部隊が岩国飛行場へ移駐することを説明いたしております。

大平分科員 全体で何機の米軍機が移駐する見込みになっているでしょうか。

稲田国務大臣 現在、岩国飛行場には、米軍の航空機約六十機と自衛隊の航空機約三十機が配備されております。また、空母艦載機の岩国飛行場への移駐に伴う航空機の機数については、米側は公表を差し控えておりますが、厚木飛行場の現状を踏まえると、六十一機が移駐すると見込んでおります。

大平分科員 六十一機の航空機の移駐が見込まれているとの御答弁でした。要員、家族の皆さんが岩国に移ってくることになります。

 岩国基地には、現在、米海兵隊の航空機部隊また自衛隊の航空機部隊が駐留、駐屯しておりますが、この移駐によって総計で何機の航空機が岩国基地に配備されることになるでしょうか。

稲田国務大臣 空母艦載機移駐後における岩国飛行場の航空機の機数については、米軍の航空機と自衛隊の航空機を合計して、約百六十機になるものと考えております。

大平分科員 戦闘機など約百六十機を超える軍用機が常駐する米軍の基地は、沖縄の嘉手納基地を除いて日本にはほかにありません。海外への殴り込み部隊である海兵隊の航空基地ということにとどまらず、東アジア最大規模の軍事基地へと大きく変質しようとしているのであります。

 大臣、今回自治体に示された計画の内容は、二〇〇六年発表当初の計画と、航空機の機種や機数、内容が大きく変わっております。当初の計画とことし伝達した計画の変わった点を簡潔にお答えください。

稲田国務大臣 今般、地元に説明した空母艦載機の岩国飛行場への移駐について、平成十八年当時に説明した内容と比較いたしますと、FA18の四飛行隊が全てスーパーホーネットの飛行隊に機種更新されたこと、EA6BがEA18Gに機種更新されたこと、E2CがE2Dに機種更新されたこと、防衛省が見込んでいる移駐する航空機の機数が五十九機から六十一機にふえたことが変更されております。

大平分科員 機種がスーパーホーネットとグラウラーへかわったと。これは騒音被害が大きくなることが予想される重大な変更であるにもかかわらず、私の国会質問への答弁などを除けば、これまで政府による住民への積極的な情報発信はありませんでした。

 岩国基地をめぐっては、艦載機移駐計画のほか、沖縄普天間基地からの移駐をしたKC130空中給油機が十二機から十五機にふえました。また、海兵隊のFA18ホーネットの一個中隊が、この後伺いますが、ステルス戦闘機F35Bへとかわっております。いずれも騒音被害を増大させる重大な変更であります。

 大臣、一つ大事な変更点についておっしゃられなかったのでさらに伺いますが、うるささ指数七十五以上という防音工事の対象区域である第一種区域の面積は、艦載機移駐の当初計画では五百ヘクタールとしておりましたが、今回の変更によって面積はどのぐらいになるでしょうか。

稲田国務大臣 ただいまのお尋ねについて、通告を受けておりませんので、確認をしてお答えをさせていただきます。

大平分科員 当然わかることだと思って聞いたんですけれども、当初の計画では五百ヘクタールとしておりましたが、今度の変更によって六百五十ヘクタールと、計画の当初より百五十ヘクタールふえるということになります。百五十ヘクタールといえば、東京ドーム約三十二個分ということになりますから、極めて大きな変更であります。

 ところが、政府、防衛省は、住民が求めている住民説明会の開催については否定的な態度を続けております。一月二十七日に開催された岩国市議会の全員協議会でも、住民説明会の開催を求められ、政府は検討したいと答えておりますが、大臣に、この住民説明会を開催せよとの声にどう応えるのか、はっきりとお答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 住民説明会の開催については、本年一月二十七日の岩国市議会全員協議会において一部の議員から要請がありました。

 防衛省としては、これまでの地元の説明の経緯などを踏まえた結果、今回は住民説明会を開催しないとの結論に至りました。

 なお、住民説明会を開催しないことについて岩国市へ伝えたところ、岩国市からは、住民説明会の開催を国に求めないとの回答があったところでございます。

大平分科員 とんでもない答弁だと言わなければなりません。住民は全く納得をしておりません。

 自治体が態度決定をするのに住民の声が反映されるということは必要不可欠であります。それは政府にとって最低限の責任だということも訴えたい。一日も早く住民説明会を開催することを重ねて強く求めておきたいと思います。

 艦載機移駐問題の最後に、早期警戒機E2CにかわるE2D、既に二月から岩国基地で飛行訓練を行っています。冒頭の大臣の答弁の中でもありました。二、三カ月の訓練が終われば岩国を離れ空母に搭載されるから移駐の前倒しではない、こういう趣旨の説明を防衛省はしておりますが、E2Dの支援施設は岩国にしかないということも同様に説明の中でありました。

 だとすれば、整備、支援要員はその後も岩国に残るんじゃないでしょうか。いかがでしょうか、大臣。

稲田国務大臣 今回の岩国飛行場におけるE2Dの配備前訓練については、二、三カ月程度、岩国飛行場に前方展開し、配備前訓練を実施した後、一旦、空母ロナルド・レーガンに搭載されることになっています。

 配備前訓練を実施するに当たっては、支援要員も必要になると考えられますが、当該訓練実施後、支援要員は岩国飛行場に残留するか否か、これは米軍の運用にかかわることであり、承知をしておりません。

大平分科員 要員が岩国基地に残るかどうか承知していないということで、残ることも否定をされませんでした。

 航空機は一旦、厚木か、あるいは空母に行くかもしれませんが、整備、支援要員が岩国基地にとどまるというのであれば、岩国市含め自治体が移駐計画をまだ容認していない中で、移駐計画の前倒しになるではありませんか。

 さらに、私、岩国基地のホームページを見ておりましたら、タナー海軍中佐が、VAW125、つまりE2Dの部隊のことですが、は既に岩国基地やそのテナント部隊と一体化していますと岩国基地のホームページの中で述べておりました。既に一体化していると海軍の中佐自身がはっきり述べているではありませんか。準備行為だなどというごまかしや言い逃れは決して許されないと言わなければなりません。

 それだけではありません。このほかにも、厚木から岩国に移さないとしていたFA18戦闘機のデポレベルの修理、整備拠点が岩国基地に設置されることにもなっております。

 るる述べてまいりましたが、住民をだまし討ちにしたやり方で押しつけてきたこうした艦載機移駐計画は、米軍の言いなりに、どんどん住民負担が増す方向で変更をされております。住民の生活、安全、安心より米軍の都合を優先する安倍政権のやり方を、住民、国民は決して許さない。騒音被害、基地被害をたらい回しにする空母艦載機の移駐計画の撤回を強く求めて、次の質問に移ります。

 次に、F35Bの岩国配備強行についてです。

 昨年十月末の重大事故の原因究明がなされないまま、ことしの一月、配備が岩国に強行されました。

 大臣、日本政府は何をもってこのF35Bは安全だとおっしゃっているのでしょうか。

稲田国務大臣 昨年十月二十七日、アメリカ・サウスカロライナ州において発生した米海兵隊F35Bの出火事案については、米側から、初期段階の調査結果として、F35B兵器倉内のワイヤーを束ねるブラケットにふぐあいが生じ、電気系統及び油圧系統に障害を与えたことが原因であると説明を受けております。

 出火した際、F35Bの高性能コンピューターによる航空機の安全を維持する機能が正常に作動したことで、パイロットは問題なく機体を着陸させることができました。また、米側は、機体の構造上の問題があると疑う理由はないと判断しつつ、岩国飛行場に配備される機体を含めた全てのF35Bの点検を行い、異常がないことを確認いたしております。さらに、全てのF35Bパイロット及び整備スタッフに本件調査結果を伝えるとともに、各飛行の前後にブラケット部分の点検を行うなど、再発防止策を実施いたしております。

 防衛省としては、米側は今回の事案に関し、事案の調査及び再発防止策の実施など、事故後とり得る最大限の措置を施していると考えており、また、岩国飛行場に配備されるF35Bは、既に米軍による点検が終了し、異常がないことが確認されていることからも、F35Bの岩国配備に関し、安全性について特段の問題はないと考えているところでございます。

大平分科員 大臣の先ほどの答弁、私、防衛省のペーパーをいただきまして、これを読み上げられたというふうに思うわけですが、さらに次のように書いてあるんですね。「米海兵隊及び統合打撃戦闘機計画室は、F―35B及びそのシステムには自信を持っており、通常任務及び試験を継続している。」と、この防衛省のペーパーの中にもそのように述べられております。しかし、肝心の、今回問題になっているブラケットのふぐあいがなぜ起きたのかということについては言及がありません。

 私、いろいろ調べておりましたら、米国の複数の軍事専門メディアの資料を見つけました。昨年十二月二十日付の報道記事をここに持ってまいりました。ここには、F35ジョイント・プログラム・オフィス、この防衛省のペーパーで言う統合打撃戦闘機計画室、これを率いる空軍中将クリストファー・ボグダン氏の記者会見の内容が述べられております。ここで何と言っているか。

 この事件が起きるずっと前にこの問題について知っていた、全ての飛行機に新たなブラケットをつけかえていたところだ、出火事故を起こしたF35Bは、ブラケットの改造が行われていなかったと述べており、ボグダン氏は続いて、全ての航空機が改造されているわけではないので、改造されていないBモデルが飛行しており、そのリスク、危険性は高いと述べております。

 防衛省のペーパーにあるように、どこがF35Bとそのシステムに自信を持っていると言っているのか、防衛省の説明と全く真反対、そのリスク、危険性は高いとこの中将ボグダン氏は述べているではありませんか。防衛省の説明と矛盾していると私は思います。

 大臣に伺いたいんですが、岩国に配備されたF35Bについて、ブラケットが改修されているということを本当に確認されたんでしょうか。お答えください。

稲田国務大臣 防衛省としては、御指摘の発言の全体について承知しておりませんので、報じられている発言内容についてコメントすることは差し控えます。

 その上で申し上げれば、米側からは、今般ふぐあいが生じたブラケットについては設計を変更し、本年一月に岩国飛行場に配備された十機については既に新設計のブラケットを装着済みである旨の説明を受けているところでございます。

大平分科員 米軍の説明をうのみにして独自の調査をやらないというこの姿勢は、私はどうかというふうに思います。これでは、基地周辺の住民の皆さんが、安全上問題ないという防衛省の言葉を信じられるわけがないではありませんか。

 昨年、沖縄でのハリアーとオスプレイの墜落事故、高知沖でのFA18ホーネットの墜落事故など、岩国基地所属または関連機の事故が相次いだ中で、こうした日本政府の姿勢は全く無責任だと言わなければなりません。

 昨年の臨時国会、決算行政監視委員会の分科会において、私は、岩国に配備されているF35Bは、位置情報把握装置をオフにして飛行訓練することはないとはっきり言えるかと大臣にお聞きしましたら、大臣は、現在米側に確認を行っているところだとの答弁がありました。

 F35B十機は既に岩国に到着をしております。訓練を開始しております。改めてお伺いしたい。この問題について、米軍からはどういう回答があったんでしょうか。

稲田国務大臣 米海兵隊のF35Bが訓練を行う際に、トランスポンダーなどの自機の飛行に関する位置情報を発信する装置をオフにするかどうかについて米側に対し確認をいたしましたところ、米側から、米軍の運用にかかわることであるため答えられない旨の回答がありました。

 米軍機の運用に当たっては、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払ってその運用が行われるべきものであることは言うまでもありません。防衛省としては、米軍に対して累次にわたりその旨申し入れており、米軍もこの点には十分留意して、安全面の配慮を払うとともに、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めていると承知をいたしております。

大平分科員 全く無責任きわまれり、そういう答弁だというふうに言わなければなりません。

 さきの国会でも述べましたが、F35Bはレーダーで捉えにくいステルス戦闘機であります。管制当局などが飛行位置を把握できないまま訓練が行われるようなことがあれば、日本の空の安全も守れないではありませんか。日本の空の安全も米軍任せでは、主権国家とはとても言えない。はっきりと突きつけたいと思います。

 私がこれまで指摘をしてきたF35Bをめぐる安全性の問題、騒音の問題、運用の問題は何一つ解決されていないばかりか、安全上の新しい疑問さえ生まれております。

 岩国とその周辺に住む住民の皆さんは、次は私たちの住む町で米軍機の墜落事故が起きやしないだろうか、こういう不安を抱えながら毎日過ごしている。大臣にはこの気持ちがわかるでしょうか。住民の安心、安全より米軍の都合を優先し続ける態度は絶対に許されない、そのことを重ねて指摘して、次の質問に移ります。

 最後に、空中給油の問題についてです。

 沖縄でのオスプレイの墜落事故によって、空中給油の危険性がクローズアップをされています。一九九九年には、岩国基地所属のFA18ホーネットが空中給油訓練中に友軍機と接触し高知県沖に墜落するという事故が起こっております。言うまでもなく、空中給油には高いリスクが伴います。

 そこで大臣に確認ですが、オスプレイの墜落事故を受け、米軍は、空中給油訓練は陸地から遠く離れた海上で行っているとの説明をしておりますが、この陸地から遠く離れた海上で訓練を行うというのは、オスプレイに限らず、全ての空中給油訓練に当てはまるという理解で間違いないでしょうか。

稲田国務大臣 昨年十二月に発生したオスプレイの不時着水事故後の空中給油の再開に際し、防衛省としては、米側から、今後とも空中給油訓練は陸地から離れた海域の上空でしか実施せず、陸地の上空では実施しないことを確認いたしております。

 この空中給油訓練の実施場所は、オスプレイに限るものではなく、全ての米軍機に当てはまるものと承知をいたしております。

大平分科員 確認をいたしました。

 配付資料をお配りしております。ごらんいただきたいと思います。

 写真一は、ユーチューブのUSAミリタリーチャンネルというチャンネルに昨年の五月十七日付でアップされた動画の一場面です。

 動画には、タイトルに、在日米軍FA18戦闘機(海兵隊)瀬戸内海上空での空中給油というタイトルがつけられております。

 大臣にも事前に動画を見ていただくようお願いもしておきましたが、瀬戸内海といえば、七百を超える島々が存在をし、住宅密集地やコンビナートなどが沿岸にずうっと続く、そういう地域であり、決して海上ではありません。そうした地域で米軍が空中給油を行っている。これは事実であれば大問題です。

 防衛省から米軍へ問い合わせをしていただきましたが、米軍からはどういう回答があったでしょうか。

稲田国務大臣 米側に対し、御指摘のインターネット映像について照会をいたしましたところ、同サイト、USAミリタリーチャンネルは、米海兵隊の公式関連サイトではなく、このような公式のものではないサイトに掲載されている動画の内容の事実関係についてお答えする立場ではない旨の回答があったところでございます。

大平分科員 公式サイトではない、だからコメントする立場にない、そういう御答弁でした。

 この問題のUSAミリタリーチャンネルにアップされているその他の動画も私は見ましたが、在日米軍を含め、米軍の関係者か、あるいは許可を受けた者でなくては撮影できない、そう捉えられる動画ばかりであります。中には、自衛隊との共同訓練の様子や行事などの動画も含まれており、現職の自衛官がインタビューに答える動画までありました。

 米軍の公式サイトでないのでコメントできない、問題の動画の真否についてコメントする立場にないというごまかしは、私は許されないと思います。

 それだけではありません。資料の下段、写真二をごらんください。

 この写真は、中国地方のNHKのローカル局が昨年の九月十四日にニュース番組の中で低空飛行訓練問題を特集した番組の一場面を写真で撮りました。KC130空中給油機がEA6Bプラウラーに空中給油をしている写真です。この画面には、写真にもありますように北広島町提供とあります。私もこの写真を入手いたしました。

 北広島町というのは、いわゆるエリア567という自衛隊の訓練空域があるところであります。危険を伴う空中給油を米軍はこれまで陸上でやっていた、そういう証明ではないでしょうか。

 大臣にお聞きしたいと思うんですが、私たちが住む町、訓練空域でもない瀬戸内海の上空、あるいは広島県下の上空を、こうした空中給油機、通称空飛ぶガソリンスタンドが飛び回り、訓練をしているなんということは、絶対にあってはならないと思います。

 文字どおり住民の命が脅かされているその状況が可能性としてあるわけですから、ぜひ大臣、責任を持って御確認していただきたいと思います。そして、直ちにやめるよう求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 先ほど御答弁いたしましたように、米側から、オスプレイの不時着事故の後の再開に当たって、空中給油訓練は陸地から離れた海上で行うと確認をしたところです。

 現在、御指摘の画像について、米側に対し事実確認をしているところでございます。

大平分科員 オスプレイが墜落をし、日本じゅうで、住民の皆さん、国民の皆さんが大きな不安に駆られて、今、日々過ごしている。オスプレイが、今度の予算案でも追加購入がされ、日米合わせて五十機を超える、そういう機数で日本じゅうを飛び回る、そういう状況にもなっております。

 私の地元、中国地方、鳥取県米子、境港に広がる自衛隊の美保基地には新型の空中給油機が三機配備される、こういう計画も狙われている。私たちが住むそうした上空を、こうした空飛ぶガソリンスタンドが飛び回る、訓練しているということは、重ねて申し上げますが、絶対にあってはなりません。

 米軍言いなりの日本政府の態度を根本から改める、そのことを重ねて求めまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

西村主査 これにて大平喜信君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十三日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十一分散会


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