衆議院

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第1号 平成31年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成三十一年二月二十二日(金曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石破  茂君    小野寺五典君

      河村 建夫君    中山 泰秀君

      小川 淳也君    岡本 三成君

      松原  仁君

二月二十六日

 中山泰秀君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十一年二月二十七日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 中山 泰秀君

      石破  茂君    小野寺五典君

      大西 宏幸君    大野敬太郎君

      岡下 昌平君    鬼木  誠君

      河村 建夫君    黄川田仁志君

      古賀  篤君    中谷 真一君

      阿部 知子君    池田 真紀君

      小川 淳也君    寺田  学君

      宮川  伸君    村上 史好君

      岡本 三成君    松原  仁君

   兼務 石崎  徹君 兼務 西村智奈美君

   兼務 大西 健介君 兼務 津村 啓介君

   兼務 遠山 清彦君 兼務 高橋千鶴子君

   兼務 足立 康史君

    …………………………………

   国務大臣

   (原子力防災担当)    原田 義昭君

   防衛大臣         岩屋  毅君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当)

   (拉致問題担当)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (福島原発事故再生総括担当)           渡辺 博道君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       山本 順三君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (行政改革担当)

   (国家公務員制度担当)

   (領土問題担当)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (海洋政策担当)     宮腰 光寛君

   国務大臣

   (情報通信技術(IT)政策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     平井 卓也君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (全世代型社会保障改革担当)

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (男女共同参画担当)

   (女性活躍担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          片山さつき君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       櫻田 義孝君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   内閣府副大臣       中根 一幸君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      佐藤ゆかり君

   法務副大臣        平口  洋君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      磯崎 仁彦君

   国土交通副大臣

   兼内閣府副大臣

   兼復興副大臣       塚田 一郎君

   防衛副大臣

   兼内閣府副大臣      原田 憲治君

   内閣府大臣政務官     舞立 昇治君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     白須賀貴樹君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   国土交通大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    阿達 雅志君

   衆議院事務総長      向大野新治君

   参議院事務総長      郷原  悟君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 松本 智和君

   裁判官訴追委員会事務局長 中村  実君

   国立国会図書館長     羽入佐和子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   会計検査院長       柳  麻理君

   最高裁判所事務総長    今崎 幸彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤原 通孝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 和夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡本  宰君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 裕之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  二宮 清治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  杉山 徳明君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      佐藤 正之君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 川合 靖洋君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 田川 和幸君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       長屋  聡君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  中川  真君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 石川 卓弥君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室室長代理)         森山 茂樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐藤 文一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松尾 浩道君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 柳   孝君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   海堀 安喜君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日下 正周君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  北村  信君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        山内 達矢君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        三浦健太郎君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        岩井 文男君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      西村 泰彦君

   政府参考人

   (宮内庁書陵部長)    和田 裕生君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      菅久 修一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           藤本 隆史君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 田中 勝也君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高田 陽介君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 下田 隆文君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    小林  渉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   武田 博之君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           佐伯 修司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 石岡 邦章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房儀典長) 岩間 公典君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 長岡 寛介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 秀樹君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    垂  秀夫君

   政府参考人

   (財務省主税局国際租税総括官)          安居 孝啓君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   藤江 陽子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部審議官)            太田 愼吾君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉田 博史君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           清瀬 和彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       林  俊行君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     秡川 直也君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 石川  武君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           齋藤 雅一君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    深山 延暁君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

   決算行政監視委員会専門員 安齋 雄一君

   衆議院調査局第三特別調査室長           武藤 裕良君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          辻本 頼昭君

   衆議院調査局科学技術・イノベーション推進特別調査室長           吉田 郁子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     古賀  篤君

  河村 建夫君     鬼木  誠君

  小川 淳也君     森山 浩行君

  岡本 三成君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     岡下 昌平君

  古賀  篤君     大野敬太郎君

  森山 浩行君     宮川  伸君

  佐藤 英道君     岡本 三成君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     中谷 真一君

  岡下 昌平君     黄川田仁志君

  宮川  伸君     村上 史好君

  岡本 三成君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     大西 宏幸君

  中谷 真一君     石破  茂君

  村上 史好君     寺田  学君

  古屋 範子君     岡本 三成君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     河村 建夫君

  寺田  学君     石川 香織君

  岡本 三成君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 香織君     阿部 知子君

  佐藤 英道君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     池田 真紀君

  中野 洋昌君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 真紀君     森山 浩行君

  鰐淵 洋子君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  森山 浩行君     小川 淳也君

  中野 洋昌君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  鰐淵 洋子君     岡本 三成君

同日

 第二分科員西村智奈美君、第四分科員遠山清彦君、第五分科員石崎徹君、高橋千鶴子君、第六分科員大西健介君、津村啓介君及び第七分科員足立康史君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

中山主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました中山泰秀です。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算及び平成三十一年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。西村宮内庁次長。

西村政府参考人 平成三十一年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成三十一年度における歳出予算要求額は、百十七億三千七百万円余でありまして、これを前年度当初予算額九十八億五千九百万円余と比較いたしますと、十八億七千七百万円余の増額となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費百十一億四千九百万円余、皇族に必要な経費二億六千四百万円余であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第四条第一項第二号並びに同法附則第五条第二号の規定に基づき、皇室経済法施行法第七条に規定する定額を計上することになっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三十三億三千六百万円余、皇室用財産維持管理等に必要な経費七十八億一千二百万円余でありまして、前年度に比較して十九億七千七百万円余の増額となっております。

 その増額の主な理由は、皇位継承のために必要な経費を計上したことによるものであります。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項及び天皇の退位等に関する皇室典範特例法附則第六条第一項の規定に基づき、皇室経済法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっております。

 以上で平成三十一年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

中山主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。向大野衆議院事務総長。

向大野事務総長 平成三十一年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十一年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、七百三十五億七千四百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億二千二百万円余の増額となっております。

 これは、議員会館関係経費及び議案類印刷費等の減額がある一方、議員関係経費及び給与改定に伴う人件費等の増額によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百三十二億七千八百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百十一億二千六百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十億五千四百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として八十一億七百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、議員会館等の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 以上、平成三十一年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

中山主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。郷原参議院事務総長。

郷原参議院事務総長 平成三十一年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十一年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、四百八十九億四千二百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三十億五千九百万円余の増額となっております。

 これは、主に、新議員宿舎整備関係経費が増額になること及び通常選挙の実施に伴い必要となる経費を計上したことによるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百四十二億三千二百万円余、参議院の運営に必要な経費として百六十億六千三百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として四十三億七千三百万円余、民間資金等を活用した参議院施設整備に必要な経費として四十二億六千八百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、各種施設整備に必要な経費及び議員会館の不動産購入費でございます。

 最後に、国会予備金に必要な経費として五百万円を計上いたしております。

 以上、平成三十一年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

中山主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。羽入国立国会図書館長。

羽入国立国会図書館長 平成三十一年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十一年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百七十二億七千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四十二億二百万円余の増額となっております。

 これは、関西館第二期第一段階施設整備に必要となる経費の増額等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等百億五千七百万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費、情報システム経費等七十四億四千七百万円余を計上いたしております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十一億三千五百万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、八十六億三千八百万円余を計上いたしております。

 以上、平成三十一年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

中山主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。松本裁判官弾劾裁判所事務局長。

松本裁判官弾劾裁判所参事 平成三十一年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十一年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千二百八十八万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七十四万円余の減額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

中山主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。中村裁判官訴追委員会事務局長。

中村裁判官訴追委員会参事 平成三十一年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十一年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億三千三百三十七万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、百五十八万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

中山主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。今崎事務総長。

今崎最高裁判所長官代理者 平成三十一年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成三十一年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千二百五十五億七千四百万円でございまして、これを前年度当初予算額三千二百十二億円と比較いたしますと、差引き四十三億六千四百万円の増加となっております。

 次に、平成三十一年度歳出予算のうち、主な事項について御説明を申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官、書記官及び事務官の増員等でございます。

 かねてより裁判所の体制の充実強化が求められております中で、複雑困難化する民事訴訟事件の審理充実、成年後見関係事件を始めといたします家庭事件処理の充実強化等のため、裁判官は、判事補からの振りかえ二十五人を含めまして判事四十人、書記官は、速記官からの振りかえ二人を含めまして十五人、事務官は四十四人、合計九十九人の増員をすることとしております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力といたしまして七十人の減員をすることといたしておりますので、差引きは二人の純増となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費でございます。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図りますため、百四十一億三千万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費といたしまして三十四億三千七百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。

 第二に、刑事事件関係経費といたしまして四十四億五百万円を計上しております。この中には、裁判員制度の関連経費、心神喪失者等医療観察事件の関連経費等が含まれております。

 第三に、家庭事件関係経費といたしまして六十二億八千八百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、庁舎の耐震化等の経費といたしまして百七十四億八千万円を計上しております。

 以上が、平成三十一年度裁判所所管歳出予算の概要でございます。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

中山主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。柳会計検査院長。

柳会計検査院長 平成三十一年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の平成三十一年度予算経費要求額は、百七十七億一千九百万円余でありまして、これを前年度予算額百七十五億百万円余に比較いたしますと、二億一千八百万円余の増額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費等であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百五十五億五千六百万円余を計上いたしております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として二十一億四千万円余を計上いたしております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 次に、会計検査院施設整備に必要な経費として二千三百万円余を計上いたしております。

 以上、会計検査院の平成三十一年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

中山主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 平成三十一年度の内閣及び内閣府予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成三十一年度における歳出予算要求額は一千百十八億一千九百万円でありまして、これを前年度当初予算額一千百四億三千百万円に比較しますと、十三億八千八百万円の増額となっています。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として九百八十四億四百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十一億円、人事院には、人事行政等のための経費として百二十三億一千五百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成三十一年度における歳出予算要求額は四兆八百二十三億百万円でありまして、これを前年度当初予算額三兆五千七百二十七億七千五百万円に比較しますと、五千九十五億二千六百万円の増額となっています。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府において、各般の施策における総合的、戦略的な企画立案及び施策の的確な推進のための経費として三兆六千七百五十五億五千二百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百二十三億二千七百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用等のための経費として百十三億九千万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として三千四百二十億八千五百万円、個人情報保護委員会には、個人情報の保護及び利活用の推進等を図るための経費として三十五億四千七百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融市場整備推進等のための経費として二百五十五億八千百万円、消費者庁には、消費者の安全・安心の確保、地方消費者行政の推進等を図るための経費として百十八億二千万円を計上いたしております。

 以上をもちまして平成三十一年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

中山主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。渡辺復興大臣。

渡辺国務大臣 平成三十一年度復興庁予算について御説明申し上げます。

 復興・創生期間の終了まで残り二年余りとなりました。復興庁においては、被災地の抱える課題の解決に直結する取組を着実に実施するとともに、復興のステージの進展に応じて生じる課題に引き続き迅速かつ適切に対応するための予算として、東日本大震災復興特別会計に総額一兆四千七百八十一億円を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、被災者支援については、災害復興住宅等への移転や避難指示解除区域への帰還が進む中、コミュニティー形成、再生、見守りや心身のケア等への支援に加え、被災者支援にかかわる人への支援に必要な経費として六百十四億円を計上しております。

 第二に、住宅再建と復興まちづくりについては、住宅再建に関する事業の進展等を踏まえつつ、復興まちづくりを進めるほか、復興道路、復興支援道路等の社会インフラの整備について、二〇二〇年度の完工を目指し推進していくために必要な経費として六千九百二十七億円を計上しております。

 第三に、産業やなりわいの再生については、観光復興や人材確保、水産加工業の販売開拓等のソフト支援に引き続き注力するほか、福島については、農林水産業の再生、福島イノベーション・コースト構想の推進、原子力災害被災十二市町村における事業再開、新規立地等への支援に必要な経費として六百九十一億円を計上しております。

 第四に、原子力災害からの復興再生については、避難指示が解除された区域での生活再開に必要な環境整備や帰還困難区域の特定復興再生拠点の本格的な整備を進めるとともに、風評払拭及び放射線に関するリスクコミュニケーションの取組を継続するほか、中間貯蔵施設の整備等に必要な経費として六千四百八十六億円を計上しております。

 なお、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁予算に加え、震災復興特別交付税交付金など六千五百六十六億円を計上しており、全体では二兆千三百四十八億円を計上しております。

 以上、平成三十一年度の復興庁予算の概要について御説明申し上げました。

 何とぞよろしくお願いを申し上げます。

中山主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。岩屋防衛大臣。

岩屋国務大臣 平成三十一年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成三十一年度予算においては、我が国を取り巻く安全保障環境が格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増す中、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱と、これに基づく平成三十一年度から平成三十五年度までを対象とする中期防衛力整備計画の初年度として、多次元統合防衛力の構築に向け、防衛力整備を着実に実施することとしております。

 具体的には、領域横断作戦を実現するため、宇宙、サイバー、電磁波という新たな領域における能力を獲得し、強化するほか、これらと一体となって、各種事態に効果的に対処するため、従来の領域における能力を強化するとともに、後方分野も含めた防衛力の持続性、強靱性の強化に必要な事業を計上することとしております。

 また、少子高齢化等も踏まえた人的基盤の強化や、軍事技術の進展を踏まえた技術基盤等の強化、日米同盟の充実強化、諸外国との安全保障協力の強化も踏まえたものとなっております。

 平成三十一年度の防衛関係費の一般会計歳出予算額は五兆二千五百七十四億四千万円となり、前年度の当初予算額に比べ、六百六十三億三千六百万円の増となっております。

 継続費の総額は、護衛艦建造費で九百五十一億四千二百万円、潜水艦建造費で六百九十九億三千七百万円となっております。また、国庫債務負担行為の限度額は、武器、航空機、弾薬の購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で二兆五千百八十七億二百万円となっております。

 これをもちまして平成三十一年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

中山主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま岩屋防衛大臣から申出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

中山主査 内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本三成君。

岡本(三)分科員 皆様、おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 本日は、IRにつきまして、質問というかお願いをさせていただきたいと思います。

 私、議員になる前に、アメリカの金融機関に勤めているときに、ゲーミングインダストリーのプロジェクトにかかわっておりまして、日本が今回目指しているIRの一つの例であるシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズの財務アドバイザーのチームにおりました。今、内閣府の方がゲーミングのことはもちろん情報がすごく集中していると思いますけれども、実際にそのプロジェクトにかかわった人間は少ないと思いますので、そのときの経験も交えながら、ぜひお願いをさせていただきたいことがあります。

 きょうの質疑のポイントは大きく分けて三つありまして、一つは、このIR法の目的に即した運用、運営、そしてオペレーションをお願いしたいというのが一つ目。二つ目には、地域住民の方々の不安解消に引き続き全力を挙げていただきたいということが二つ目。三つ目が、IR推進法、実施法と経て、この後、基本方針が出てくるわけですけれども、内閣府の方、とりわけIR推進室の方々に最大の情報、知恵が日本の中で集中をしておりますので、今後、内閣府の方々が、引き続き、国交省そして自治体に対しても知恵袋として十分な役割を果たしていただきたいということをお願いしたいというのがきょうの質問の趣旨であります。

 ちなみに、私のIRに対する基本的なスタンスを共有させていただきたいんですが、このIRの実施法等が国会で議論されたとき、マスコミでは、世論を二分する、そういう議論が行われたんですけれども、はっきり言ってどうでもいい法案です。IRごときでこんな議論をする必要は全くありません。

 私、あのIRのときに一番思ったのが、典型的なエビデンスベースじゃない議論だなと思ったんですね。物すごいエモーショナルです。

 というのは、議員の中でも世論でも、やりたい人に、どうしてやりたいんですかと聞くんですよ。そうすると、もうかるからだというんですね。僕はいつも聞きました、幾らもうかるんですかと。そうしたら、こういう答えが返ってくるんですね。いや、岡本さん、めちゃくちゃもうかるんですよと。何だそれと思いました。

 これは、結論から言うと、皆さんの期待ほどはもうかりません。一番もうかると金融機関で言っているのは三兆円、二番目で、もうかるのは二兆円なんですね。余りもうからない。

 そうしたら、メディアを持ってきて、いやいや、シンガポールはGDPの五%、インパクトがあったというんですね。それはそうです。シンガポールというのはGDP四十兆ですから。ちっちゃな国なんです。日本はGDP五百兆以上ありますから、仮に三兆円もうかったって、マクロ的なインパクトは〇・五%とかです。もうほとんど、誤差みたいな数字なんですね。ただ、その実施自治体の三つは物すごくもうかるわけです。ですから、マクロ的には大したことないんです、こんなの。

 それで、反対の人がいるんです。反対の人に、どうしてですかと聞くと、典型的な意見は、依存症がふえるというんです。私、いつも聞くんですね。では、今、パチンコを中心としたゲーミングで何人いらっしゃって、あと三カ所ふえたらどれぐらいの人がふえるんですかと聞くと、結構ふえると聞いているよとかいうわけです。

 依存症も、世界じゅうで、もうデータが出ています。依存症がふえる国というのは、そのゲーミングの数に比べて対応する施設が少ないんですね。そのことが大問題なんです。

 ですから、今回の趣旨には、ゲーミング、カジノ、IRを中心としたその収益で、既存の、例えば競馬や競輪等で依存症になっていらっしゃる方々もケアしていこうということなので、はっきり言って、大したプラスもないし、大したマイナスもないんですね。

 ただ、私がそれでも賛成した理由はたった一つでして、それは、この法律が、国が三つの自治体にやれと命令しているわけではなくて、もし自治体の方が地域住民や議会や商店街やいろいろな方々の意見を総合してやりたいとなったらやってもいいですよという選択権を与えているだけなんです。地方分権にかなっていますし、もしかしてどこの自治体もやろうと手を挙げなければ十年後もゼロかもしれませんし、たくさん挙げれば三かもしれないので、そういう意味において、はっきり言いまして、日本の未来を左右するかのような議論がなされていますけれども、そんな大した法律じゃないというふうに思っています。その上で、やるからには成功しなければいけないというのは当然なんですね。

 ちなみに、今回のギャンブリングで、世界の常識は何かといいますと、ギャンブルは禁止するものではなくて規制をするものだと。だから、カジノも世界じゅうにはたくさんあるわけです。競馬もあります。何で禁止しないかというと、禁止をすると、人間の本質として闇でやっちゃうからなんですね。

 今回、いろいろなことを言う方の中で、日本でIRができる最大の利益というかメリットの一つは、闇カジノが立ち行かないことだと言う人がいます。何年か前にスポーツ選手等が闇カジノにはまって大問題になったことがありますけれども、一部の試算では、闇カジノで反社会勢力に行っている金が数千億だという試算があるんですね。普通の方からすれば、わざわざそんなリスクを冒して反社会勢力の闇カジノに行くよりも公的に行われている方に行った方がいいですから、いろいろなメリットはある。

 その上で、今回、何点か確認、質問、そしてお願いをさせていただきたいんですが、まず初めに、IR実施法の一条に規定してある、IRを日本に推進していく目的は何でしょうか。お答えください。

阿達大臣政務官 IRは、国際会議場、展示場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と収益面での原動力となるカジノ施設などが一体的に運営され、民間の活力と地域の創意工夫を生かして、これまでにないスケールとクオリティーを有する総合的なリゾート施設を整備するものであり、我が国を観光先進国へと引き上げる原動力となるものと考えております。

 IR整備法においては、こうしたIRの整備を推進することにより、我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、もって観光や地域経済の振興に寄与することを目的としております。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 そうなんですよ。地域経済の振興に寄与しないと何の意味もないんですね。なので、私は、成功かどうかの判断のポイントはその一点だと思っていまして、十年後、二十年後に、その地域の方々がこの地にIR施設ができて本当によかったと思っていただける、そのためには経済的な恩恵がなければいけないんですね。

 IR施設で働いている方だけに恩恵が行くとか、又は雇用がふえるとか、そんな話ではなくて、直接的に、宿泊業もやっていないんだけれども、レストランもやっていないんだけれども、ここでこの仕事をして、うちにも回り回って金がチャリンと鳴ったというふうな仕組みづくりをしなければ、今回のIRの目的には、実現には達しないということだというふうに判断をしています。

 そういう意味では、どうやってお金が地元に回って地元の経済が潤うかという観点が何より重要なんですけれども、その一点に絞って、政府のコミットメント、基本的な認識をもう一度お聞かせください。

阿達大臣政務官 今、御指摘がございましたとおり、このIRの一つの大きな目的というのはもちろん地域振興でございます。こういう地域振興という中で、国際競争力を有するMICE施設が整備され、そしてこれまでにない国際的な展示、会議ビジネスを展開し、新たなビジネスの起爆剤となることが期待されております。

 このために、MICE施設の規模等のハード面の要件に加えて、国際会議や展示会等の開催を誘致する体制等のソフト面を充実させることも重要であると考えております。

 こうしたIRにおけるMICE施設がハード、ソフトの両面で充実したものとなり、MICE施設を活用して、多くの人が地域を訪問し、地域経済の振興に寄与することとなるように取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(三)分科員 確認ですけれども、IRは、カジノ単体の施設とは全く別物であります。よく韓国の江原ランドはこうなっているというようなことをおっしゃる方がいますが、江原ランドは、カジノであってIRではありません。私たちが目指しているのは、あくまでもシンガポール型、マリーナ・ベイ・サンズ型のIRでありまして、そこには、カジノ施設とともに、今御言及をいただきました国際会議場、展示場、そしてさまざまなエンターテインメント施設、旅客施設、宿泊等が含まれておりますので、全く違ったコンセプトでぜひ運営をお願いしたいと思います。

 その上で、ちょっと何点か、一歩一歩確認をしたいんですが、典型的な国民の不満、不安はこういうものなんですよ、結局もうかるのって外国の事業者だけなんじゃないのと。

 それは、仕組みづくりによるんですね。そういうふうにならないように、最も知恵が集中をしている、情報が集中している内閣府が、今後誘致を進めるような自治体や、実際の主体となっていく国交省や、いろいろな方と情報を共有して、その国民の不満を払拭するような活動をしていただきたいと思っているんです。

 その意味において、今後出てくる基本方針の後、自治体がいろいろな案をつくってくるわけですけれども、そのときに、もうつくってしまって許可したらそれで終わりなので、自治体の方々に、もちろん指示なんかする権利もありませんけれども、いろいろな情報提供や選択肢や世界の事例は紹介していただきたいんです。

 例えば、いろいろなコンソーシアムが自治体と一緒にやりたいということで、今もう既にコンタクトが始まっているように聞きます。そこにはゲーミングのノウハウがある、アメリカを中心とした業者が当然います。その方々の多くは、自分たちの顔だけだと顔が悪いので、日本の、一緒のジョイベンをつくろうとして、例えば総合商社やいろいろなところと組もうとしています。

 けれども、例えば、自治体が一緒に組むパートナーとしての必要条件の一つが、地域の住民や地域の企業もコンソーシアムの中に入れることと入れてもいいんですね。実際に、関空の株主の中には関西の企業が入っています。多くの自治体の太陽光の中には、その地域住民が株主じゃなければやっていけないところもたくさんあります。要は、そこに住んでいて、株主であるがゆえに、直接的にかかわっていないけれども、上がった上がりの、支払いの配当金には恩恵が受けられるという仕組みがあってもいいじゃないですか。

 実は、事業者の裏には大変なリスクもあります。なので、資本家だけが持っていくというのは大変な誤解で、リスクも全部そこにあるので、そこの住民の方が、もしそれが失敗したら自分が出資した十万円はゼロになっちゃうというリスクまで考えていろいろお考えになると資本家のことまで理解できるわけですけれども。

 要は、そういうことも選択肢としてあるんだよというようなことを、これだけじゃなくて、自治体が物を決める前にいろいろな情報共有をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

阿達大臣政務官 今、委員御指摘のとおり、IRというのは、単にカジノというだけではなくて、国際会議場、展示場、そしてまた家族で楽しめるエンターテインメント施設、また宿泊施設、そういったもの全てを含む総合的なリゾートということでございます。

 そしてまた、そこにどういったものを織り込むかということについては、現在パブリックコメントを求めております施行令、また今後策定される基本方針の中ではっきりとさせていこうと考えているわけでございます。

 そういう中で、特に地元との関係ということで考えた場合に、地元の企業といろいろな形のコンソーシアムが組まれる、これは当然あることだというふうに思っております。

 そして、IR整備法において、IR区域を整備しようとする都道府県等がIR事業者を公募により選定をする、そして、IR事業者になろうとする企業がコンソーシアムを組むという場合に、地元企業が参入するということも当然あり得るわけでございますが、それによって地域経済の振興に寄与するとともに、IRが整備されることにより、地域の雇用も相当程度増大するということが想定されます。

 ただ、一方におきまして、WTOルールなどの国際約束との整合性の観点から、都道府県等がIR事業者の公募選定を行うに当たっては、IR事業者の資本構成について、内外無差別で行うことには留意する必要があると思います。

 国としては、こうした点を踏まえた上で、都道府県等によるIR事業者の公募選定が適切に実施されることとなるよう、必要な情報提供を行ってまいりたいと考えております。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 私、この後、ちょっと何点か申し上げたいんですけれども、要は、IRというプロジェクトを考えたときに、いろいろなフェーズでチャリンと鳴るんですね。そのチャリンと鳴るフェーズに、日本の、特にその地域の方々の、恩恵が十分に及ぶような仕組みを、国際的なルールも含めた観点の中で、しっかりと最大限に、こういうことも可能性としてありますとか、こういう視点も持たれたらどうでしょうかみたいなことを、十分に自治体と知恵を共有していただきたいということなんですね。

 ちなみに、IRで間違いなくもうかる、しかも最大にもうかるのは建設投資です。初め、建物を建てるのは、その後、お客が来なくても来ても、必ず金は地元に落ちるんですね。なので、例えば、一番初めの建設に、大体大きなゼネコンじゃなければ頭はとれないわけですけれども、その下の一次、二次の下請を、地元企業を最大限に使うのは当然のこと。

 今問題になっているように、労務単価はどんどん上がっていっても、公共事業でも、物すごい、現場に行くと削られていくんですね。二次、三次、四次の下請であっても、十二分にその労力に見合ったような支払いが行われるような、そういう建設主体を組むことを、自治体に知恵を十分に共有して、その建設業者、コンソーシアムにつなげていくというのはすごく重要だと思うんです。丸投げっ放しで、あけてみたら、結局利益はみんな東京にとられていたみたいなことがないようにすることは大事だと思うんですね。

 加えて、その後、お客さんがいらっしゃいます。IR施設の中で完結してしまいますと、例えば、ゲーミングをやる、一番観光で金が落ちるのは宿泊ですから、宿泊もそのホテルに泊まる、次に観光でお金が落ちるのは食事です、食事もその中でとる。けれども、カジノを目的にいらっしゃる方は、カジノはしたいけれども、泊まるのは都市型のホテルよりも地域の旅館がいいという方はきっといらっしゃいます。飯も、そこのイタリアンよりは地域の郷土フードを食べたいという方はいらっしゃいます。

 なので、DMO的な役割を含めて、どうやってその人たちをIR以外のところにも十分に回していくか。今回、旅客施設もつくりますから、そこに、ちょっと離れたところでも行って、そこで事消費も起きて、はっきり言って、金を持っている人たちが来るわけですよ。なので、気持ちよく金を使ってもらうような仕組みを初めの業者選定の段階からつくっていくことが重要であること、そして、そのいろいろな知恵を、最も知恵を持っている内閣府の方々に、自治体に共有してもらいたいんですね。

 何が一番悲惨かといいますと、地元からすると、多くの人が来ました、金持ちはみんなIRの中で金を使いました、地元には回ってきませんでした、いろいろな物も売れませんでした。これは、人だけ来て、残るのはごみだけです。邪魔です。来てもらっちゃいけないんですよ、そういう人には。なるべく地域でいろいろなことをエンジョイしてもらって、気持ちよく大金を使ってもらうというような仕組みづくりが、これから実施方針を決めていくその過程の中で最も重要だと思っているんです。

 先ほど、初めに申し上げたように、その最もクオリティーの高い多くの情報というのは内閣府に集中しているんですね。なので、ここからはもう自治体が決めることですみたいな、そんな冷たいことを言わないで、どんどんかかわっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来、岡本委員には、非常に有益な御提言、そして御示唆をいただいているというふうに、重く受けとめたいというふうに思ってございます。

 岡本委員の御指摘は、IRを展開することにより地元にどのような裨益が起こってくるのかということを、具体的に、政府の方でも創造力を働かせて、できる情報提供などのサポートはすべきであるという点に集約されているというふうに理解してございます。

 例えばでございますけれども、先ほど岡本委員からは、出資者あるいは被用者として、雇用としての例示などもございましたけれども、例えば、運営段階になりますと、今度はサプライチェーンに、地元の例えば地産地消的なものがどのように参加できるかとか、そういうこともあると思います。

 現に、これは政府が主導してやっていることではございませんけれども、現時点におきましても、民間主導で、こういうIR事業のサプライチェーンに参加したい民間事業者を対象とした、いわばIR産業展のようなものを展開して、セミナー形式で情報提供する、そういうようなプランも現に場所によっては進んでございます。

 したがいまして、政府としても、民間ベースでそういう動きも現に出てきているというふうに理解してございますので、そういう状況も注視し、そして恐らく、これから地方公共団体、関心のある都道府県等がIR区域整備計画の策定に向けて活動される中で、制度に関するお問合せ、あるいはビジネスモデルに関するお問合せなどもあるかと思いますので、もちろん、認定に当たります国土交通大臣、国土交通省のもとにおいて、国としては基本方針をつくり、それに従った作業を都道府県等に進めていただくことになりますけれども、そういう地方公共団体からのお問合せなどについては丁寧に対応をしていく必要があるだろうというふうに考えている次第でございます。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 中川さん、日本で一番、IRの知恵の宝庫は中川さんですから、縦横無尽にぜひ活躍していただきたいと思います。

 ちなみに、一点だけ、お願い、そして考え方の共有をしていきたいんですけれども、雇用が生まれるというのは最大のメリットなんですけれども、今、日本はすごい勢いで生産労働人口が下がっています。北海道であっても長崎であっても、雇用の求人というのは大変なものなんですね。

 なので、雇用がふえるぐらいで喜んじゃいけなくて、十年後も二十年後も、残念ながら生産労働人口は減り続けますので、雇用の需要の倍率はふえ続けるんですね。なので、高い賃金の雇用をつくるということにしなければ、最低賃金にひっついているようなのが幾ら起きても何の意味もありませんので、物すごい潤うような給料がもらえる雇用をぜひふやすということを考えていただければと思います。

 ちなみに、ゲーミングインダストリーの会社は、申し上げるまでもなく、百戦錬磨です。物すごい経験をしているんですね。

 ただ、彼らはすごくプロフェッショナルで、どうすればゴーイングコンサーン、これが長く続けられるかよくわかっています。大変な初期投資をしますので、五年や十年でけつをまくって帰ってこれないんですね。三十年、五十年の単位でやろうと思いますので、変なことは言いません。けれども、株式会社ですから、どうやったら一円でも多く自分の利益が拡大できるかを考えていますので、その方々と継続可能な長期にわたる信頼関係をもとに、現場の方々が潤うようなプロジェクトをつくっていくわけですから、事前の準備が何より重要だということで、引き続きの最大限の御尽力をいただきたいと思います。

 もう一つ、このことについて。もともとのIRの出発点は、MICEをどうするかということから始まったというふうに私は認識しているんです。日本には大きな会議場や展示場がない。ただ、MICEをやることの意義というのはすごく、特に当時は大きくて、日本にこれほど外国人観光客が来ていなかったときに、よく分析しますと、一般の観光客に比べて、MICEでそこに行った人というのは消費金額が大きいんですよ。なので、いっぱい使う人に来てもらおうといういい戦略だったと思うんですが、これは今後も続かなきゃいけないと思うんです。

 実際に、IRの中に展示場も、そして国際会議場もつくって、その運営、規模までも今回指示をしていらっしゃいますので、それがしっかりと活用できるようにしなければいけないんですけれども、初めの目的に照らしますと、展示会やりました、国際会議場やりました、けれどもその人たちはチャリンと鳴らしませんでしたということだと本末転倒なんですね。

 ですから、せっかくIRとして、MICE施設も一緒に進めていくわけですから、この方々の消費を最大化するためのプランづくり、どういうふうになっているかということを御答弁いただければと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 岡本委員御指摘のとおり、日本のMICEビジネスの現状を、ぜひ、全く違うものにゲームチェンジしたい、これまでにないスケールと、これまでにないクオリティーのMICEビジネスを展開できる国にしていきたいということは、IR政策、IR制度の最も本質的な公共政策上の目的の一つでございます。

 今、岡本委員御指摘のとおり、日本のIRに求めるMICE施設の最低基準は、今パブリックコメントにかけております政令案の中でお示しをしていきたいというふうに考えてございますけれども、同時に、今、岡本委員御指摘のように、どういうイベントを、展示イベントであれ、会議イベントであれ、プロミネントなイベントを日本に呼んでこれるようになるのかという、そこのソフト力が一番問題だと思っております。

 具体的なIR計画の認定基準などにおいてもそういうことに触れる可能性はあると思っておりますけれども、具体的なものの中身は、今後、国土交通省において基本方針を策定する中で、更に検討を深めてまいりたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、立地をする場所の持っている条件、よさ、それも生かしながら、どのようなMICEイベントを誘致できるのかというソフト力、そしてそれを支える地元での取組、あるいはそのための人材の育成のあり方、そういったことを、ぜひ、IR区域整備計画を策定される際にも、地元も含めて知恵を出していただくことを期待している次第でございます。

岡本(三)分科員 これは、ぜひ、観光庁ですとか、地元もあるのかもわかりませんけれども、また、DMOとかとぜひ話していただきたいんです。

 要は、MICEで人さえ来れば地域に金が落ちるんだみたいな、そんな性善説はやめて、MICEで来た方々にどうやって気持ちよくお金を使ってもらうかという仕組みを事前に考えて、誘致のときから一緒に、プロジェクトといいますか、MICEの国際会議を呼ぶときから一緒に、マネジメントする人たちと共有をして、提案をして、確実に金が落ちるように制度を高めていただきたいということをお願いします。

 最後に、国民のもう一つの不安について皆さんにお伺いしたいんですが、もう一つの不安は、ギャンブル依存症がふえるんじゃないかということなんですね。さまざまな依存症の中で、ギャンブル依存症はユニークでして、それは、アルコール中毒や薬物中毒は見た瞬間にわかるんですね。ギャンブル中毒は内面のものが大きいので、見ただけではわかりません。

 今回の予算で、対策費として八億ぐらい積んでいらっしゃるわけですけれども、世界じゅう、依存症の方が少なくなっている国というのは、専門の施設をしっかりと抱えて、専門のお医者さんがコンサルティングをやっているんですね。電話でやっていることもあります。ネットもあります。日本では、今、専門施設は、多分、久里浜医療センターのみだと思うんですけれども、久里浜ももともとアルコール中毒を専門にやっているところですから、要は、どんなにハードをつくっても、専門の医師がいないと、なかなかこれはコントロールできないんですね。

 その意味で、この分野を専門としていきたいという医師に、どういうふうにモチベーション、インセンティブを与えるかというのは物すごい重要だと思うんです。この分野の専門家をふやして、そして公的な医療施設をつくっていくというその方針、どういうふうに今考えていらっしゃるか、御答弁ください。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 ギャンブル等依存症につきましては、地域で必要な医療を受けられるように、依存症対策の全国拠点機関といたしまして、先ほど委員おっしゃいました国立病院機構久里浜医療センターを指定するとともに、都道府県や指定都市における専門医療機関の選定を行う等の医療体制の整備を今進めているところでございます。現在、二十一の自治体で専門医療機関が選定されております。

 また、専門医療機関の選定に当たりましては、依存症に係る研修を修了した医師の配置などを要件としているところでございまして、平成二十九年度から、国立病院機構久里浜医療センターにおいて、地域で専門的な研修を行うための指導者を養成するということと、それから、都道府県等におきまして、地域の医療機関を対象とした依存症医療研修を実施しているところでございます。今後も、養成研修の実施回数の増加などを検討させていただきたいと思います。

 さらに、平成三十二年度からでございますが、医師の臨床研修の到達目標としまして、新たにギャンブル等依存症を含む依存症が適用される予定でございまして、医師の臨床研修において経験すべき疾病、病態ということで位置づけられることになっております。

 加えまして、ギャンブル等依存症の治療法につきましても、AMEDで、平成二十八年度から三十年度までの三カ年の調査研究で、標準的な治療プログラムの開発を目標とする研究を行っておりまして、今後も、厚生労働科学研究におきましてこのプログラムの有効性の検証等を行うことといたしております。

 私ども厚労省といたしましては、以上申し上げましたような取組を通じまして、地域で必要な医療を受けられるような体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

岡本(三)分科員 ありがとうございます。

 十年後、二十年後に、IRができた地域の方が、直接的にそのIR施設に雇用されていなくても、この地域にIRができてよかったと思っていただけるようなオペレーションと、多くの国民の方が懸念していらっしゃる依存症の増大ということが、ああ、あれは本当に危惧にすぎなかったなと思っていただけるような日本らしいIR施設を完成させるために、ぜひ今後も内閣府の知恵をいろいろな方と共有していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

中山主査 これにて岡本三成君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美君。

西村(智)分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの西村智奈美です。

 先日、千葉県野田市で、十歳の女児が亡くなるという大変痛ましい事件がありました。この事件について、論点は大変多くあるわけなんですけれども、私は、きょうは、児童虐待とDV、そしてまた、それについて国として支援のあり方が本当に十分なのかどうか、こういった点に絞って質問をさせていただきたいと思っています。

 まず、きょうはお呼びすることができなかったんですが、片山内閣府特命担当大臣が今回の事件に関連して記者会見で、子供への虐待が併存、あるいは相互作用して起きているというふうに発言をされておられます。

 また、先日の予算委員会一般質疑の中でも、質問に答えて、今回の本当に痛ましい事件、DVとの関連性は非常に強いというふうに認識しているというふうに答弁をされておられました。

 私、国会質疑の中で、DVと虐待について、確かに何回か質疑はあったと承知していますけれども、大臣がこのような形でDVと児童虐待の関連について明確に答弁をされたというのは恐らく初めてではないかというふうに思うんです。

 大臣がこういうふうに答弁された根拠といいますか理由といいますか、それについて、きょうは副大臣にお越しいただいていますので、答弁を求めます。

中根副大臣 ありがとうございます。御答弁申し上げます。

 御指摘の夫婦間のDVそして児童虐待の関係に係る片山大臣の発言につきまして、先般片山大臣のもとに立ち上げたDV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会における学識経験者や支援者による御意見、また内閣府の調査データ等を総合的に見て発言されたものと認識しております。

 DVと児童虐待が重複して発生していると思われるケースにおいては、配偶者暴力相談支援センターや児童相談所等の関係機関が相互に連携協力して対応を進めていく必要があるものと考えておりまして、内閣府としてもしっかりと支援してまいりたいと考えております。

西村(智)分科員 配偶者暴力支援センターと児童虐待に関するさまざまな相談機関がしっかり連携する必要があるという認識を示していただきました。

 しかし、連携がとれていないから問題になっているわけで、連携がとれていたら今回の痛ましい事件は発生していなかったかもしれないというふうに私は思うわけです。

 次の質問ですけれども、これも内閣府の調査ですが、これは資料につけております。DVの被害を受けたことがある家庭の約二割は子供への被害も見られるという男女局の男女間における暴力に関する調査結果が出ております。二割、多いのか少ないのか、この評価についてはいろいろあると思いますけれども、これを内閣府としてはどういうふうに分析しておられるのでしょうか。

中根副大臣 ありがとうございます。

 この指摘の数値につきましては、先ほど先生がおっしゃったように、内閣府で平成二十九年に実施した男女間における暴力に関する調査の結果によるものでございます。

 当該調査における子供の被害については、これまでにDV被害経験のある人のうち、十八歳未満の子供がいるケースにおいて、その子供がこれまでに被害を受けたことがあると回答したものが、先生おっしゃったように、約二割となっております。

 この約二割という結果は、一定程度、DV被害と児童虐待が重複して発生するケースが存在することを示しているものと考えております。

 引き続き、実態の把握に努め、被害の防止、救済に向けて、配偶者暴力相談支援センターを中心に、児童相談所等を始めとする関係機関との連携協力にしっかりと対応して、支援してまいりたいと思っております。

西村(智)分科員 児童虐待とDVが重複して起きる可能性があるということを内閣府としても分析をしている、また、先ほど、片山大臣も、総合的に判断して、今回の事件について言えばDVとの関連性は非常に強いと認識しているという答弁だったわけです。

 実は、民間団体の間でもうずっと言われていたことなんですが、DVの陰に、子供さんがいる家庭であれば児童虐待がかなりの高い確率で発生している。逆に、児童虐待のある家庭の中ではDVがこれまた高い確率で発生しているのではないかということは、実際にそういった家庭をシェルターなどで支援している民間団体の人たちの間ではほぼ通説のように言われてきたことだったんですね。

 そこで、官房長官にお伺いしたいんですけれども、今回、この事件を受けて関係閣僚会議が開催をされました。二月の八日。ところが、この関係閣僚会議の中では、緊急的に安全点検をしなさいとか、新しいルールをこういう方向で検討しなさいとか、あるいは今後の体制についてこういうことを検討しなさいということは書かれている中において、DVのDの字も出てこないんですよ。

 やっぱり今回の関係閣僚会議の中でもDVと虐待の関係に着目をした何らかの取組というか問題提起があってしかるべきだったのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 児童虐待防止法においても、児童虐待の定義に児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力が含まれており、児童虐待と配偶者からの暴力、いわゆるDVには一定の関連性があるとの調査結果があるというふうに、政府もこれは認識をいたしております。

 DVが行われる状況下では子供に対する虐待の制止が困難となる場合があることから、連携して対応を行っていく、今御指摘いただきましたけれども、そのことが重要だと思っております。

 こうした観点から、児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議、これにDV担当の片山大臣も参画をいただいています。

 また、今回の野田市の事件を踏まえて、児童虐待防止対策とDV対策の連携の強化に関する御意見、与党からも私どもいただいております。

 今国会での児童福祉法等の改正法案の提出に向けて、ここはしっかりと検討をして対応していきたい、このように考えています。

西村(智)分科員 今の法体系の中でいうと、面前DVは子供への虐待というふうに書かれてはいるんですね。確かに、面前DVというのは深刻な精神的虐待ですから、これは当然のこと、虐待に当たるわけなんですけれども、しかし、それを例えば防止するとか禁止するとか、それから、一歩関係機関が前に出ていただいて、そして横に連携をとるということについては、やはり私は関係閣僚会議の中でこそ取り上げられるべき課題だったというふうに思っているんです。

 先ほど官房長官の答弁の中で、虐待とDVについては関連性もあるんだというふうに御答弁、明確に今いただきましたので、それはそれとして受けとめさせていただきますけれども、であるとすると、せっかく関係閣僚会議に出席していた片山大臣がこの件について何か発言されたんでしょうか。

 きょうの資料の一枚目ですけれども、こういうふうに大臣は発言されておられます、記者会見において。下から五、六行目のところですけれども、私どもとして、男女共同参画、女性活躍推進の観点から、配偶者暴力相談支援センターの強化とか、児相を始めいろいろな関係機関との横連携とか、こういうことが忘れられないようにしっかりしないと対策自体が実効性を持たないということをしっかりと主張する役割であるというふうに思っていますというふうに述べておられるんですけれども、片山大臣はその役目を果たしておられるんでしょうか、関係閣僚会議において。どうですか。

中根副大臣 その会議での発言、先生のおっしゃるところの部分については、この会議では発言をしていないというふうに伺っております。

西村(智)分科員 官房長官、これは大事な問題ですので、関係閣僚会議、次回がいつ開かれるのかどうかわからないですけれども、やはりDVというコンテクストをきちんと入れて、関係省庁、きょうは来ていただいているのは内閣府と厚労省と警察だけなんですけれども、文科省とかそれから法務省とか、いろいろ関係するところはあるわけですよね。きちんとリーダーシップをとっていただいて、DVのコンテクストから、どうやったら政府として、国としてそういった家庭に支援をしていけるのかということをやはり議論していくべきではないかと思うんです。いかがですか。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、今回の児童福祉法の改正法案提出に向けて、今委員から御指摘をいただきました、そうしたことも参考にさせていただきながら、ここはしっかりと対応していきたい、このように思います。

西村(智)分科員 ちょっと一応確認のために厚労省にお伺いしますけれども、DVと児童虐待について、片山大臣は非常に強い関連性があるというふうに答弁をされているんですけれども、厚労省としては、この両者、DVと児童虐待について関連性があるという認識に立っておられるのかどうか。

 やはり法改正していくのは厚労省が中心になっていくと思いますので、そこの認識をちゃんと確認させていただきたいんですが、いかがですか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 配偶者からの暴力、いわゆるDVの問題がある家庭で子供が育つことは、やはり、子供が暴力を目撃するか否かにかかわらず、これは心理的虐待でございまして、DVと児童虐待は相互に関連性がある、そのように考えているところでございます。

 また、DVが行われている状況におきましては虐待の制止が困難である場合があることから、配偶者暴力相談支援センターの機能を持つ婦人相談所におきまして母子を同時に一時保護するなど、児童相談所と婦人相談所が特に緊密に連携して対応していく必要がございまして、今後も子供の安全対策を最優先にして対応していくつもりでございます。

西村(智)分科員 ということは、今般、報道などで、児童虐待防止法の改正案にあれを盛り込むとかこれを盛り込むとかいう報道が、けさもありました。きのうも出ております。きのうの記事については資料の中につけたんですけれども、虐待防止へDV対策をやる、児相と相談機関の連携を法改正の中に盛り込むということなんですけれども、厚労省として、相談機関の連携、これが必要だという認識には立っておられるということで理解してよろしいですね。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 この連携自体は必要である、そのように認識をしておるところでございます。

 児童福祉法改正法案、これを予定しておるところでございますが、現在、政府部内におきましては、そういった連携を盛り込むということ自体に関しては検討、調整中でございまして、御指摘のような具体的な内容が決まったという事実は現在のところございません。

 いずれにしましても、DVは児童虐待のリスク要因である、そのように考えておりまして、DV対策と児童虐待防止対策は相互に連携協力することが重要である、そのように考えております。

西村(智)分科員 ありがとうございます。

 まだ検討中という答弁なんですけれども、でも、よくよく考えてみたら、きょうはもう二月の二十七日ですから、閣法として提出しようということであれば、ちょっと時間的にはタイトですよね。閣法の提出期限はいつですか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 今国会におきまして、予算非関連法案の提出期限は三月十九日、そのようになっているものと承知をしてございます。

西村(智)分科員 ですので、私、本当はここの場で、そういう法改正を検討していますというふうに答弁してもらいたいですよ。しかし、政府・与党の手前、それが言えないということであれば、しようがない、きょうはここまでにしますけれども、やるべきことはやるというふうに国会の場できちんと言うことが、DVと児童虐待の問題について国民的な関心を生ずるということからも私はやはり必要なことなんじゃないかというふうに思うんですよね。

 今回、児童虐待防止法の中にあれも入れる、これも入れると、それぞれ非常に重要な論点がありますけれども、今回のDVとの関連ということでいえば、私、関係機関の中で、DVと虐待が関係があるということの認識が政府全体の中にやはり薄いというふうに思うんですよ。連携がきちんととれていないから、あちこちでちょっとずつミスが起きている。

 例えば、例えばという言い方はあれですけれども、ちょっと警察の方にもきょう来ていただいているんですけれども、母が逮捕されましたよね。父が逮捕された後で、母も逮捕をされた。そのときに警察の方が、マスコミに対してだと思うんですけれども、こういうふうに言っているんです。事件当時、暴力はなくなっていたということで、DVによって暴行に加担せざるを得なかったのではないというふうに言っている。でも、DVのことをわかっている警察の方であれば、こんな発言は多分出ないんじゃないかと思うんです。

 警察の中でもDVを扱っているのは、いわゆる生活安全部。今回は、いわゆる事件化されましたから、捜査一課ですよね。捜査一課の中に、例えば、DVに関して少しでもわかっている方と言ったらいいのか、生活安全部と一緒に一度でも研修を受けた方などがいたら、私は違う対応があってしかるべきだったと思うし、ましてこのような発言が出なかったんじゃないかというふうに思うんですよ。

 暴力あるいはDVというのは、目に見える形の暴力だけではありません。家の中で、見えない密室で、加害者は常に被害者を何らかの力で支配下に置き続けているわけです。それが、一番最初のきっかけは暴力、身体的な暴力であったとして、その後、服従させられた人は、暴力がない状態でもずっと支配され続けるということは、これまたいろいろな研究者、あるいは事件等々にかかわった民間団体や弁護士の先生方も共通しておっしゃることなのであります。

 警察の方にきょうはお越しいただいていますけれども、私が今申し上げたような発言、警察の方は本当にそういったことを言ったんですか、マスコミに対して。資料もきょうおつけしています。

田中政府参考人 今回の事件につきましては、本年二月、千葉県警察におきまして、死亡した十歳女児の母親を傷害の共犯として逮捕したものと承知をいたしております。

 御指摘の報道の真偽につきましてでありますけれども、個別の報道につきましては警察庁としてお答えする立場になく、また、現に捜査中の事件でありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、千葉県警察において、引き続き事案の全容解明に向けて捜査を進めていくものと承知をいたしております。

西村(智)分科員 そういう答弁だろうというふうには思っておりました。

 そこで、内閣府と厚労省に、警察がこういったことを言ったかどうかはともかくとして、一般論としてお伺いしたいんですけれども、暴力がない状態であってもDVの支配下に置かれ続けているということは、精神的な暴力とかいうことも含めて、これはあるのではないかというふうに思うんですけれども、厚労省と内閣府、それぞれいかがでしょうか。

中根副大臣 警察の発言につきましては、先ほど先生おっしゃったように、今現在捜査中でありまして、詳細を把握する立場に私たちもないものですから、コメントは差し控えさせていただくんですが、いずれにしましても、DVの被害者の支援に当たりましては、一人一人の心情に配意しなければいけないと思っておりますし、当然、その人たちに寄り添った対応を行う必要があるものと認識をしております。

新谷大臣政務官 お答えを申し上げます。

 やはり個別の事案そのものに関してはコメントを差し控えたい、そのように思います。

 なお、一般論としましてでございますけれども、DV自体はやはり児童虐待のリスク要因になるものでございまして、DV対策と児童虐待防止対策、これが相互にしっかりと連携をとっていくことが重要である、そのように考えております。

西村(智)分科員 厚労省の答弁は了としたいと思います。内閣府の答弁が、何とおっしゃったかな、ちょっと私、解せないところがありましたね。

 いずれにしても、やはり、DVとそれから児童虐待、この関係について、先日、院内集会で民間団体の方が開いたときの配付資料をきょうの資料としてもおつけしているので、これもぜひ見ていただきたいと思っています。

 今回の事件について、疑問はいろいろあります。なぜ糸満市の関係機関は背後におけるDVに介入できなかったのか、なぜ子供が命がけで書いたアンケートが加害者の手に渡ったのか、なぜ柏児相は一時保護を解いてしまったのか、なぜ柏児相はDVとわかっていて介入や避難ではなく家に戻したのか、なぜDV被害者である母親が逮捕されたのか、なぜマスコミは被害者である母親を子供を守れなかったひどい母親と批判するのか、なぜ社会は加害者である父親より母親を非難するのか、DVの本質がいまだに関係機関にさえ理解されないのはなぜか。そして、子供の生命を奪ったのは私たち社会であり、問われるべきは国の支援のあり方であるということです。

 多くの虐待死の背後にはDVがある、そして、多くのDVの背後に児童虐待があるとされています。私は、今回のこと、経緯を追っていけば、一つ一つ、たくさんたくさん聞きたいことはあるんだけれども、DVとの関係ということでいえば、やはり関係機関がもう少し、一歩ずつ前に出ていただいて、そして連携をとるということ、これはやはり最低限やらなければいけないことだというふうに思うんです。

 官房長官、先ほど、関係閣僚会議の流れで私が質問したときに、法改正のことについても少し触れてくださいました。これは、今厚労省からも答弁ありましたけれども、関係機関との連携について、現在、関係閣僚会議での思いも含めて検討しているということで理解してよろしいでしょうか。

菅国務大臣 結論から言えば、そうしたい、そのようにしています、このことを申し上げておきたいと思います。

 それと、これまでも、児童相談所の対応に関する指針の中で、配偶者暴力相談センターとの連携、こうしたことを促してはきておりますけれども、いろいろ御指摘がありましたように、DVに関する有識者も含めた個別事例の検証など、一歩踏み込む、そして対応する必要があるということ、重要性というものを感じております。

 この連携強化について、先ほども申し上げましたけれども、与党からも当然そうした、委員が御指摘したような意見もいただいています。そして、今提出に向けて対応しているわけでありますけれども、そうした御指摘というものを参考にさせていただいて対応させていただきたい、こう思います。

西村(智)分科員 できれば、今、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングということが盛んに言われておりますから、やはり、DVと児童虐待の関係といったらいいのか連関性について、一度ケーススタディーなりをやるとか、有識者、それからかかわってきた民間団体の皆さんと共同の検討する場を設けていただいて、まさにそういうエビデンス・ベースドで政策を検討する場をぜひつくっていただきたいというふうに思うんです。

 関係閣僚会議は、それは省庁横断でやられますから、いいこともたくさんあるというふうには思うんです。しかし、今まで縦割りでやられてきた各役所が一歩前に出るときには、やっぱりそれなりに外からの力というものも必要、そして、官房長官としてのリーダーシップもやっぱり必要になってくるというふうに思うんです。ぜひ、民間団体等も含めた検討の場等を、これは、単に一回ヒアリングをしてお茶を濁すとかいうことではなくて、この際ですから、しっかりと議論する場をぜひつくっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、DVに関する有識者も含めた個別の事例の検証、そうしたことも含めて一歩進んだ対応をしていきたい、こういうふうに思っています。

西村(智)分科員 それで、もう一つだけ最後に関係閣僚会議の点で質問をしたいと思っています。

 私、この関係閣僚会議の緊急点検、それから抜本的な対応策をいろいろ見て、本当にこれは実現できるのかなというふうに思ったんです。

 といいますのは、緊急閣僚会議の中で、一カ月以内ですか、全数を緊急的に安全確認しろという指示を出されましたね。これは母数は幾つなんですか。幾つのケースについて、一カ月以内で緊急的に安全確認をしろということなのでしょうか。

 それから、安全確認というふうに書かれていますけれども、私、レクのときに聞いたら、安全確認って何か定義がはっきりしないんですね。訪問をして会えなかった人については関係機関につなぐとか、いろいろなことをおっしゃっていましたけれども、会えて、そして、どういう状況で安全確認をするかとかということについては何だか極めて曖昧なんですよ。

 ちょっと、何かいかにも、やっていますということの、何と言ったらいいんでしょうか、現場の作業をふやしつつ、実は、現場の児相なりあるいは学校の現場なりが日常的にやられていることなのであって、本当にどのくらいの効果があるのか。そして、一カ月で何件あるかわからないという全虐待ケースについて、本当の意味での安全確認がし切れるのかなというふうに思うんですけれども、官房長官、いかがですか、この点については。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 件数自体でございますけれども、新規の場合は、指導される件数は約三万二千件となっているところでございますが、継続分も含めた継続指導あるいは児童福祉司指導、この件数自体は正確には把握されていないところでございますが、数万件になる、そのように見込まれているところでございます。

 今般の千葉県野田市の事案を踏まえまして本年二月八日の関係閣僚会議を開催いたしまして、昨年七月の緊急総合対策のさらなる徹底、強化のための対策を決定しているところでございます。

 この対策におきまして、在宅で指導している全ての虐待ケースについて、保護者の状況、これは委員がおっしゃられたように面接も含めということでございますが、一カ月以内に緊急的に安全確認を行うこととしているところでございます。

 今回、緊急安全確認が必要な虐待ケースは、実際、今、児童相談所が継続指導や児童福祉司指導を行っているケースでございまして、各児童相談所におきまして指導が必要なケースとして既に管理、把握しているものを対象としているところでございます。

 いずれにしましても、児童虐待防止対策とDV対策の連携の強化に関しては、与党を含め多数御意見をいただいているところでございまして、今国会で児童福祉法等の改正案につきましてしっかりと検討、対応してまいりたい、そのように考えております。

 これがしっかりと……(発言する者あり)無理がないようにということでございますので、しっかりこれは体制を拡充して取り組んでまいりたい、そのように考えております。

 ありがとうございました。

西村(智)分科員 母数がわからないんですよ。数万件。三万二千プラス数万という単位で、それで一カ月以内にやらなければいけない。

 ただでさえ児童相談所の機能強化の必要性という、体制の強化ということが言われている中で、私は本当にこれはどうだったのかということを思っております。

 以上申し上げて、終わります。

中山主査 これにて西村智奈美君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮川伸君。

宮川(伸)分科員 立憲民主党の宮川伸でございます。きょうはよろしくお願いいたします。

 まず最初に、沖縄の県民投票のことに関してお伺いしたいと思います。

 県民投票の結果から、辺野古埋立反対が圧勝したわけでありますけれども、この辺野古の問題あるいは沖縄の基地の問題は日本の国防にもかかわる非常に大きな問題でありますが、この結果を受けて、安倍政権と沖縄県民の間に大きな溝があるということが私はあらわになったのではないかと思います。

 なぜこのような大きな溝ができてしまったのかということでありますが、私はやはり、今の安倍政権の強権的なやり方が県民の反感を買ったのではないかというように思いますが、大臣は今回の結果をどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

岩屋国務大臣 宮川委員にお答えいたします。

 今回の沖縄の県民投票の結果については、評価することは避けたいと思いますが、沖縄の皆さんの一つの民意だと私どもは受けとめなければいけないというように思っております。

 今、国と沖縄の間に大きな溝ができているのではないかという御指摘ですけれども、一方で、普天間基地の危険性を除去する、ひいては普天間基地の全面返還を実現するということについては、共通の認識に立っている、そこに溝はないというふうに私ども考えております。

 政府としては、沖縄における抑止力を維持しつつ、しかし、沖縄の過重な基地負担についてはこれを少しでも軽減していくという考え方から、やはり辺野古に代替施設をつくって普天間基地の全面返還をなし遂げたいという思いでこの事業を進めているところでございまして、今後とも、丁寧に説明を行って、御理解をいただきながら事業を前に進めさせていただきたいというふうに思っております。

宮川(伸)分科員 ホワイトハウスに求めて署名運動をされていたロブ・カジワラさんが、この県民投票の最中に日本に来日をされました。最初に関空から入ったわけですけれども、関空に入ったときに入管で二時間ほど拘束を受けた、そしてそのときに、なぜ沖縄に行くのか、そしてデモに参加するのかというような趣旨のことを何度も何度も繰り返し聞かれたというように私は聞いております。

 世界が注目をしていて、日本でもこの署名運動がかなり行われたということでありますが、そういった中で、このタイミングでこのようなことがあるのは、やはり私は、民主主義がしっかり守られているのか、そして言論の自由が守られているのか、そういうような疑問を抱かれても仕方がない、そしてそういったことが、この県民投票に関しても、県民との溝を広げている要因になっているのではないかと思いますが、大臣はこの件に関してはどのように受けとめられていらっしゃいますでしょうか。

岩屋国務大臣 その報道については私も承知をしておりますが、ホワイトハウスに求める署名活動は、他国が行っている施策に関することでございますし、御指摘のロブ・カジワラさんの入国に関しましては、まさに入管の問題でございまして、防衛省として関与したということではないことから、ちょっとお答えすることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。

宮川(伸)分科員 今回の県民投票、やはり私は県民との大きな溝があるということだと思いますので、法務省だとかということではなくて、防衛省としても、溝が埋まるようにしっかりやっていっていただければと思います。

 次に、自衛隊の海外派遣についてきょうはお話ができればというように思います。

 シナイ半島への自衛隊派遣のことも議論がされているようでありますが、私は、新しく自衛隊を海外に派遣する前に、やはり南スーダンのPKO派遣がどうだったのかということをしっかりと検証する必要があるというように思っています。そして、安保法制が成立をして、その後、やはり自衛隊が非常に厳しい任務を担わなければならないような状況になっている、そして、自衛隊の隊員の方々の命をどういうふうに守っていくのかということも非常に重要なテーマとしてあるので、やはりこの南スーダンの問題、きょう、限られた時間しかありませんが、どのような状況だったのかということを少しでもディスカッションをして、そして次の自衛隊海外派遣に役立てるようにできればというように思っています。

 最初に、二〇一六年の七月に大規模衝突がありました、南スーダン・ジュバで。このジュバの大規模衝突がどのようなものであったのかということを改めて確認をしたいと思います。

 今、大臣のお手元に、ポンチ絵のような、私がつくったものをお示しをしております。

 ジュバにはPKOの宿営地が、UNハウスとUNトンピンと二つあるわけですが、このUNトンピンの方に自衛隊は宿営していた、そして、オレンジ色のこの左の方に自衛隊の宿営地があったということであります。その中で、報道等で流れている中では、この近くにあるトルコビルに反政府軍が立てこもり、そして、自衛隊を挟んで反対側から政府軍が、戦車も含めて銃撃戦があったというように聞いております。そして、監視塔を銃弾が直撃し、倉庫や給水塔にも撃ち込まれ貫通していた、戦車砲の衝撃波が非常に強かったというようなことも聞いておりますが、詳細を今ここで全部確認することはできないので、ちょっと一点だけ、日本の宿営地内に複数の弾頭が発見されたということを政府は確認をしていますでしょうか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、二〇一六年、平成二十八年でございますが、七月、南スーダン共和国のジュバにおきまして、キール大統領派と当時のマシャール第一副大統領派の一部兵士の間で大規模な衝突が発生をいたしました。その際、現地に派遣されていた自衛隊の宿営地に隣接するビルの付近においても銃撃戦が発生をいたしております。

 この銃撃戦によると見られる複数の流れ弾が宿営地内で発見されたものの、現地部隊の報告によりますと、日本の宿営地を狙ったものではなく、また、隊員への被害はなかったものと承知をいたしております。

宮川(伸)分科員 もう一つ、UNハウスの方でもかなりの戦闘があって、私の理解では、中国隊員が二名お亡くなりになり、国連要員の方も一名お亡くなりになったということですが、ちょっとこちらは時間の関係で少し省きまして、もう一つ、UNトンピン地区、自衛隊がいたところに関して、市内で戦闘が起こったことによって市民が逃げてきた。そして、この市民がPKOの宿営地に逃げ込みたいというときに、ルワンダ隊がそれを受け入れた。そして、数千人の市民、私は五千人ぐらいというようなことも聞いていますが、かなりの人数の市民がこの宿営地の中に入ってきた。

 この私の絵だと、この黒い棒と丸みたいなものは人間のつもりで書いたんですが、避難民が入ってきた。この避難民が、まさにこの自衛隊が宿営しているところの近くまで来るぐらいの避難民が入ってきて、その中には反政府軍の兵士がいたかもしれないというようなことも言われているというふうな理解でいます。

 そういった中で、ルワンダ隊の宿営地内に砲弾が撃ち込まれて、隊長室が直撃をして、隊員あるいは避難民が大けがをした。そして、これに対してバングラデシュの隊が反撃をして、この絵に少し書いてありますが、銃撃戦が行われた。まさに、この自衛隊のいるすぐそばでこういった銃撃戦が行われたということであります。

 ここでもう一度政府の方に質問ですけれども、国連施設に砲弾が着弾するなどの被害があり、国連側が防衛的な対応をとったということは確認をしていますでしょうか。

長岡政府参考人 御答弁申し上げます。

 二〇一六年七月に南スーダンの首都ジュバで起きた大規模な衝突による死傷者の数につきましては、南スーダン政府、国連とも総合的な数字は発表していないと承知をしておりますけれども、この衝突によって複数の死傷者が生じたと承知をしております。

 また、この衝突の際に、今御質問ございました国連のトンピン地区近辺に砲弾が着弾をし、被害が集中をしたこと、また、国連、すなわちUNMISSにおいてこの衝突に際して防衛的な対応をとったということは承知をしておりますが、その詳細については公表されていないというふうに理解をしております。

宮川(伸)分科員 今の話である程度御理解できたと思うんですが、かなり激しい状況が自衛隊のいるすぐそばで起こったということであります。

 そこで、今度、宿営地の共同防御に関して御質問しますが、このときに、大規模衝突があったときに第十次隊がいたということでありますが、この第十次隊は、安保法制が変更された後なわけですけれども、この銃撃戦に宿営地防御ということで参加することが法律的にできたかどうかということをお答えいただけますでしょうか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年、二〇一六年六月から十二月にかけまして現地で活動をいたしました南スーダン派遣施設隊第十次要員でございますけれども、宿営地の共同防護の任務は付与されておりませんでした。また、三月の時点で平和安全法制が施行されたわけでございますけれども、委員御案内のとおり、そのための訓練が行われていなかったということによるものでございます。

宮川(伸)分科員 ちょっと今不明確だったんですが、もしここに加わっても法的に問題があったのかなかったのかというのは、どういう状況でしょうか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 法律的には施行をされておりました。ただ、その部隊に対して必要な任務を与えていなかったということでございます。

宮川(伸)分科員 次に、この後、十一次隊が派遣をされたわけですが、十一次隊には、私の理解では、宿営地の共同防御の任務も付与されていたということでありますが、このような事態になった場合に、法律的には、宿営地防御に参加するということが想定をされているのでしょうか。

岩屋国務大臣 今御指摘の二〇一六年の第十一次隊の派遣に際しましては、同年七月の衝突事案後も南スーダンは厳しい状況にありましたので、みずからの力だけでは平和と安定を確保することができなかったために、国連が新たに地域保護部隊を創設するなど、取組を強化しておりました。

 したがって、我が国としても、引き続き南スーダンの安定に貢献すべく、施設部隊の派遣を継続することが適当と判断したものでございますけれども、駆けつけ警護及び宿営地の共同防護の任務付与につきましては、法制が整備され、また、駆けつけ警護に必要な条件である南スーダン政府の受入れ同意の安定的維持が認められたところ、さらに、必要な教育訓練も完了した上で、邦人保護や自衛隊の部隊に対するリスク軽減のために必要であるというふうに判断をしたところでございます。

 いずれにしても、派遣に当たりましては、十分な教育訓練を行った上で、現地の実情に応じた正確なリスク分析を行った上で、きめ細やかな準備と安全確保策を講じ、リスクを低減するという取組を行った上で派遣をしたところでございます。

宮川(伸)分科員 もう少し、本当はここの、できるのかできないのか、こういう場面で宿営地防御ができるのかということはしっかり議論する必要があると思うんですが、ちょっと時間の関係で、次に移ります。

 このような環境のもとに自衛官が、隊員がいたわけですけれども、もし過って住民を死亡させてしまった、こういった場合に、今、日本には軍法というものがないわけですけれども、どういったルールによってそれは処理をされるのでしょうか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げさせていただきますけれども、自衛隊員が派遣先国で犯したとされる罪について我が国の刑罰法規が適用できるかどうかということになろうかと思いますが、当該行為につきましては、国外犯処罰規定が設けられているかどうかというところが論点になります。

 仮に、海外派遣された自衛隊員が過って住民を死亡させた行為が過失罪に当たるといった場合においては、我が国の刑法では国外犯罪処罰規定が設けられておりませんので、刑事罰を科すことはできないということになろうかと承知しております。

 一方で、当該行為を行った自衛隊員に対しましては、行政罰としての懲戒処分により、厳正に対処することとなると思っております。

宮川(伸)分科員 御承知のとおり、自衛隊が南スーダン、あるいはジブチもそうですが、地位協定を結んで今行っている。そして、自衛隊が何かあっても、その国の法律では裁かれないということでありますが、そういった中で、どういうふうに我が国がしっかりやるのかということをしっかり示さなければ、私は、国際社会に対して説明ができないというように思います。

 そして、そういった中で、過去の政府答弁では、厳しい教育訓練を行っていることから、現地で民間人を誤射、死亡させてしまうような事態は極めて想定しにくいというような趣旨の答弁が何度もされています。しかし、先ほどUNトンピンの状況を御説明しましたが、やはり、安保法制も変わって、宿営地防御、駆けつけ警護ということを付与されている状況の中では、今までのこの答弁、もう非常に厳しい状況になっている、状況が非常に変わってきているという中で、どういうときに自衛隊が派遣できるのか、これを本当に真剣に考えていかなければ、この負担が隊員の皆さんに乗ってしまうというように思います。

 改めてお伺いをしますが、この二〇一六年七月の大規模衝突は、政府の方はもう中身は恐らくわかっていたと思いますが、そういった中で、こういう軍法を持っていない日本、日本国憲法を持っている日本が駆けつけ警護あるいは宿営地防御の任務を担った第十一次隊を派遣したことは、今、この時点になって、大臣としては適切だったというように思われますでしょうか、大臣。

岩屋国務大臣 なかなか難しい御質問だと思いますが、先ほども説明をさせていただいたように、我が国においては、通常の裁判体系と切り離されたいわゆる軍法会議等の設置は、憲法七十六条第二項によって禁止されている特別裁判所に当たることから、現憲法下においてその設置は認められていないところでございます。したがいまして、違法行為を伴う隊員の規律違反については、自衛隊法に基づく懲戒処分を行うということにしているところでございまして、現段階においていわゆる軍刑法やいわゆる軍法会議が必要であるというふうには考えておりません。

 私ども、派遣に際しては、現地のリスク等を子細に分析した上で派遣を行ってきたところでありますし、これからもそうする所存でございます。隊員のリスクというものを最大限軽減する形で派遣を行うということをこれからも目指してまいりたいというふうに思っております。

宮川(伸)分科員 私、この資料の二ページ目にこういう年表のようなものをつくってみました。

 この二〇一六年のところからですが、三月に安保法制が施行されたわけですけれども、この年に、七月に大規模衝突、先ほど説明をした大規模衝突がありました。実は、大規模衝突があったのとほぼ同じときに参議院選挙があったわけでありますが、これを受けて七月の終わりに、ジャーナリストの布施さんが日報の開示を求めたわけです。この日報が隠されていたということであるわけですけれども、八月に、この大規模衝突があった一カ月ちょっとのときに、駆けつけ警護、宿営地の共同防御に関する自衛隊の訓練が始まっているんです。

 少なくとも私は、この大規模衝突がどういうものであったのか、そのときはサラリーマンだったんですが、よく理解をしていませんでしたが、多くの国民が余りわからなかったと思います。そういった中で、一カ月で、大規模衝突、これだけの大規模衝突があった、そして法的には宿営地防御もできたかもしれないというような中で、訓練が八月に始まっていたということであります。

 そして、先ほど大臣の方で十分なトレーニングを積んでという話でありましたが、訓練を始めて三カ月後に隊員は派遣をされているわけです。しかも、七月の大規模衝突であれだけのことがあった場所に三カ月の訓練で派遣をされたわけでありますけれども、大臣の方は、こういった大規模衝突があって一カ月後に隊員の皆さんに訓練をさせて三カ月後に派遣をさせる、これが隊員にとって本当に正しい判断だったというように思われますでしょうか。

岩屋国務大臣 防衛省では、南スーダンに派遣される要員に対して、これまでも、事前に十分な教育訓練を実施して現地に派遣をしてまいりました。

 御指摘の十一次隊でございますけれども、平成二十八年の十二月から二十九年の五月までの間、駆けつけ警護や宿営地の共同防護の新しい任務を付与されて現地で活動した要員たちに対しましても、派遣前の約二カ月間、関係法令や現地情勢などの座学教育のほかに、道路補修などの施設作業や新しい任務に関する実践的な訓練を適切に実施したというふうに承知をしております。

 その訓練の成果を当時の、当時は稲田防衛大臣ですけれども、大臣のほかに、統幕長、陸幕長が部隊を視察して、新たな任務に対応可能なレベルに隊員のレベルが到達しているということを確認した上で派遣されておりまして、当時の対応としては適切であったというふうに考えております。

宮川(伸)分科員 やはり、今の日本国憲法、あるいは先ほどの軍法がない、そういったような状況でこういった形で大規模衝突の直後にやるというのは、私はいかがなものだったのかというように思います。

 そういった中で、これは報道によるものなんですが、隊員の一人が先ほどの大規模衝突のときに遺書を書いていたというようなものを、私、ちょっと拝見をしました。その内容が、妻へ、後はよろしく頼みます、息子へ、お母さんを助けて、お父さんのかわりに家のことを守ってください、勉強頑張れ、お父さんよりというような紙を書いていた方がいらっしゃるというように聞いています。

 今の日本国憲法のもとで、ここまで隊員を追い詰めるような、こういった任務を付与させるというのは適当ではないんではないかというように私は思いますが、大臣はいかが思われますでしょうか。

岩屋国務大臣 全自衛隊員は、事に臨んでは危険を顧みずという宣誓をして任務についてもらっているわけでありまして、その隊員が残されたというか書かれた文書は、そういう覚悟、決意のあらわれではないかなというふうに思いますけれども。

 何度も申し上げますように、隊員の派遣に当たりましては、現地のリスク、現地の情勢をしっかりと分析した上で、必要な訓練を行って、リスクを最大限低減させて派遣をし、また、隊員の安全に留意しながら部隊活動を行ってもらうように、今後ともしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

宮川(伸)分科員 私は、専守防衛、我が国の防衛のために日本国憲法は隊員に対して危険な任務も強いている部分はあるんではないかと思いますが、海外派遣に対して、どういう状況なのか。日本国憲法はそこまでのことを求めているとは私は思ってはいません。

 そういった中で、安保法制、私は解釈改憲だと思っていますが、安保法制でやはり範囲を広げ過ぎた、日本国憲法が認めている分以上に広げ過ぎているのではないかというような問題意識を私としてはお伝えをしたいなというように思います。

 そういった中で、今、安倍首相が、本会議の中でもお話をされていますが、安倍改憲、憲法の第九条の第一項、第二項を残して、そして自衛隊を明記する案についてしばしば国会で答弁をされております。その安倍首相の答弁では、自衛隊の任務や権限に変更が生じることはないというふうに答弁をされています。これは正確ではない、誤りだと私は思っています。

 自衛隊員に直結する話なわけですが、防衛大臣として、この発言に対してはどのように捉えられていらっしゃいますでしょうか。

岩屋国務大臣 総理は、総理として憲法改正について述べるのは適切ではないというふうにお断りになった上で、問いに答える形で、自由民主党総裁として憲法についての御意見を述べられたんだというふうに思いますが、私は、一閣僚の立場で、党を代表する立場でもありませんし、ましてや、防衛大臣は、主権者である国民によって定められた憲法、あるいはそれによって定まった憲法解釈によって自衛隊を運用する立場にございますので、防衛大臣の立場で、とりわけ九条の問題についてコメントすることは控えさせていただきたいというふうに思います。

宮川(伸)分科員 一歩踏み込んだお話をいただいたと思います。

 私の考え方ですけれども、私は、今の安倍首相の案では、フルスペックの集団的自衛権が入ってくるというように思っています。今、安保法制に関しても私は反対ではあるけれども、新三要件がついているという中で、このままやれば、私は、自衛隊の任務、範囲は広がるというように理解をしているわけですが、やはり国会の中で首相がこのような答弁をされているというのは、誤ったメッセージが、あるいは隊員に対して不誠実なのではないかというように思います。そういった私の気持ちをお伝えをしたいというように思います。

 ちょっと時間がなくなってきてしまったんですが、私、もう一つ、海外派遣について非常に重要な問題として、文民保護の考え方をどうするのかということをしっかり政府内で、国会の中でも議論する必要があると思っています。

 安全確保業務が安保法制で任務として付与できるようになったわけでありますが、どのような状況だとこの安全確保業務が自衛隊に付与されるのか。これから自衛隊が海外派遣されるときには、この安全確保業務というのはつくというような認識でいいのかというところを教えていただけますでしょうか。

岩屋国務大臣 安全確保業務は、防護を必要とする住民等の生命、身体及び財産に対する危害の防止及びその抑止その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警護などを行うものでございます。

 この安全確保業務というのを付与して派遣するかどうかというのは、その都度判断をしていくということになろうかというふうに思いますが、言うまでもないことでございますけれども、憲法や関連法令の枠内で行われることはもちろんのこと、現地状況をしっかりと見きわめて、我が国の国益に資する活動であるかどうか、要員の安全が確保できるか、停戦合意や受入れ同意を含む参加五原則が満たされているか等を十分に考慮した上で判断をしていくということになるわけでございます。

 付与された場合は、当然、そういう任務に当たることもあり得るということだと思います。

宮川(伸)分科員 時間が来ましたので終わりにしますが、文民保護をどうするか、非常に重要な問題で、私は、南スーダンの自衛隊の撤退の時期も、やはりもう少し早い時期にあったんじゃないかと思いますが、また別の機会にぜひ議論させていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

中山主査 これにて宮川伸君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 岩屋大臣に初めて質問させていただきます。

 本日は、イージス・アショアの問題について伺いたいと思います。

 先週、候補地となっている秋田市の新屋演習場、中には入れてもらえなかったんですが、周辺を見てまいりました。もう何度もごらんになったかもしれませんが、資料の一枚目にこの配置図をつけてあります。鉄条網から数百メートルのところに秋田商業高校があり、向かい側には勝平小学校があります。学校の裏山が基地という距離感、余りの近さに驚きました。

 現在の演習場は、松林や砂地、原野に近い状態になっていて、いわゆる駐屯地というイメージ、防衛装備品が多数配置されていたりとか、射撃訓練などが日常的にやられている、そういうのではないので、住民はむしろそんなに演習場を意識することはなかったわけです。そこに突然持ち上がった話でありました。

 勝平地区は、五千四百世帯、一万三千名が住む住宅密集地です。保育園、幼稚園、福祉施設、もちろんあります。地域の人々に代々語り継がれているのが、先人、栗田定之丞の話です。二百二十年以上も前に老中松平定信からロシア船の見張りを命じられた栗田は、飛ぶ砂が田畑や家までも埋め尽くす本当にひどい状況だということに気づいて、砂どめのための植林を始めました。一本一本植林するところから今こうした地域がつくられたんだ、それがわかっているのかと大臣に聞いてくれと現地の人から託されてまいりました。

 まず伺いますが、住民の理解を得るために努力をするとおっしゃっています。こうした先人の努力の上に築かれた町であること、子供たちが演習場の真ん前に暮らし、学んでいます。勝平全十六町内会が反対決議を上げているのを御存じでしょうか。住民合意のない立地はないということでよろしいでしょうか。

岩屋国務大臣 イージス・アショアの配備に関しましては、地元の御理解を得るための努力を最大限行っていきたいというふうに考えております。

 そのためにも、現在実施している各種調査の結果と、それを踏まえました防衛省の検討結果につきまして丁寧に御説明をしたいというふうに考えております。

 そして、私どもとしては、こうした説明の機会において、今先生から御指摘あった勝平地区の十六町内会の皆様を始め、関係自治体の首長や議会、住民の皆さんにもしっかりと説明をし、イージス・アショアを安全に配備、運用できるかという点についてしっかりと説明したいと思っておりますし、また御意見を頂戴して適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)分科員 どの時点で判断かとか、何をもって住民の理解かということに対して、説明会でも明確に答えていらっしゃらないんですね。岩屋大臣も前任者の小野寺大臣も、繰り返しの質疑の中で、住民の理解は必須であるということをお認めになっております。やはりそこを答えていただかないと、いろいろ説明するけれども、結局、反対があっても進めるんだということなのかという懸念が拭えないわけです。もう一言、お願いします。

岩屋国務大臣 何をもって地元の皆様の御理解を得たとするかということについては、その時々の状況において、お地元の自治体等からの御意見あるいは住民の皆様の声も踏まえつつ判断していくものでありまして、一概にお答えできるようなものではないと思いますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げたように、関係自治体の首長さんや議会あるいは住民の皆様に御理解をいただけるように、調査結果も踏まえて丁寧に説明を行ってまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)分科員 幾ら丁寧にといっても、それはやはり配備ありきではないか、そのことに対してやはり懸念を拭えないと言わざるを得ません。

 具体の話に入っていきたいと思います。

 昨年の八月に、秋田県男鹿市に住む元秋田大准教授の福留高明さんが、みずからのフェイスブックに、イージス艦の真の狙いはと題して投稿したことが大変大きくシェアをされて、話題を呼んでいます。資料の二枚目であります。福留氏は地政学などを専門にされている方なんですけれども、世界地図作成ソフトを用いて、北朝鮮のミサイル基地のある舞水端里からICBMの最短コースを直線で結ぶと、秋田の先がハワイの基地、萩の先がグアム基地に届く、発射点が西海岸の東倉里に移ったとしてもほとんど条件は同じだといいます。

 多くの識者が同様の指摘をしておりますが、改めて伺いたいと思います。イージス・アショアの候補地は、なぜ秋田と山口なのか。北朝鮮からハワイとグアムを攻撃対象とした場合の位置関係を考慮したと言われているが、そうなんでしょうか。

岩屋国務大臣 決してそのようなことではございません。たまたま線を引くと、先生の資料はそういうふうに見えなくもないわけでございますが、米国を防護するということを意図した候補地の選定ではございませんで、候補地については、まずバランスよく我が国全域を防護できるかどうか、それから遮蔽がない平たんな敷地を確保できるかどうか、そして、当然電力を使いますので、それらのインフラの確保が見込めるかどうかという条件を満たす場所としてさまざまに検討した結果、秋田県の新屋演習場、山口県のむつみ演習場の二カ所を選定したものであって、この二カ所であればほぼ我が国の全空域をカバーできるということで候補地として定めて、今、地元の皆さんに説明を行っているところでございますので、米国防護ではなくて、あくまでも我が国の安全確保のためにあの候補地を選んだということでございます。

高橋(千)分科員 昨年の十一月二十七日の参議院の外交防衛委員会で白眞勲議員が、逆に、ハワイやグアムに弾道ミサイルが発射された場合に、日本のどこの上を通過するかという質問をされています。防衛省の深澤官房審議官は、およそグアムについては中国地方の上空、ハワイについては東北地方の上空という答え方をしておりまして、中国地方には山口が含まれること、東北地方には秋田が含まれること、そういうことを事実上お認めになっています。

 たまたまだと大臣はおっしゃるかもしれませんけれども、それは当然、そういう位置関係にあるということがまず、それは否定できないことだと思うんですね。

 そこで次に伺いますけれども、アメリカ海軍は、二〇一六年の五月にルーマニアで一基目のイージス・アショアを運用開始、二〇二〇年には二基目をポーランドに配備を予定しています。実験施設は、二〇一四年五月にハワイ・カウアイ島に配置をされています。イージス艦を陸に配置したものと簡単に説明されることもあるんですけれども、そもそも陸自にはそのノウハウがなく、運用には米軍が参加し、米軍共用の軍事基地になるのではないかという危惧がされておりますが、そのようなことはないんでしょうか。

岩屋国務大臣 イージス・アショアにつきましては、陸上に迎撃用の装備品を固定的に設置するため、平素の施設警備について高い能力を持っているということが必要でございます。したがいまして、陸上自衛隊が運用を担当するということにいたしました。

 今後は、長年イージス艦を運用してきた海上自衛隊の経験、知見というものを生かしながら、陸自の要員をしっかり養成をした上で、実際の運用に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。

 したがいまして、イージス・アショアは陸上自衛隊が我が国の指揮のもとに運用するということになるわけでありまして、米軍と共同で運用するという御指摘は当たらないというふうに考えております。

高橋(千)分科員 これまでも答弁されているんですけれども、あくまでも我が国が運用するということであったと思います。

 ただ、全く経験がないということは、アショアの運用についての経験がないということはそのとおりなわけですから、米軍の施設で研修をするというふうなことを伺いましたが、それは間違いないですかね。

岩屋国務大臣 どこで訓練するかということも含めてこれから検討してまいりたいと思いますが、今申し上げましたように、長年、海上自衛隊がイージス艦、イージスシステムを運用してきておりますので、まずはその経験、知見を生かしてしっかり訓練、養成を行っていきたいというふうに考えております。

高橋(千)分科員 我が国のみがということを強調されました。

 それで、ちょっと資料が飛んでしまうんですけれども、資料の五番、いつも皆さんが使っている、よく見る図でありますが、我が国の弾道ミサイル防衛体制についての図であります。

 この図にあるように、これまでの体制というのは、まず米軍の早期警戒衛星が真っ先に熱源を探知するんだ、そして国内のレーダーによる情報を共有した上で、イージス艦、そしてそれを逃した場合も含めてパトリオットという二段階の体制だったと思います。

 これは、Xバンドレーダーの配置のときの図も、レーダーの中にXバンドがあった、こういうふうな図を見てきたわけでありますが、イージス・アショアによってこれがどのように変わるのか。レーダーがアショアになるだけで、アショアが攻撃もできるわけですけれども、どうなるのか。まずそこを確認したいと思います。

岩屋国務大臣 今までのイージス艦とPAC3による対応に加えて、ここにイージス・アショアが加わってくるということになりますと、まさに指揮統制をどうするかということが大きな課題になってくるわけでございますけれども、この三つの要素というものが最大限に効率よくその能力を発揮することができるように総合ミサイル防衛体制をつくって、最適迎撃ができるような体制を構築していくということになろうかというふうに思います。

高橋(千)分科員 全然わからないです、それだと。

 まず、米軍とレーダーを共有する、この点は一緒ですか。

岩屋国務大臣 まず、早期警戒衛星による第一報というのは米軍に依存をしているわけでございますけれども、我が国のミサイル防衛システムというものも自己完結できるような仕組みになっているわけでございます。

 もちろんあってはならないことですが、有事というような場合に立ち至れば、米軍とさまざま連携協力をしていかなきゃいけないと思いますけれども、我が国のミサイル防衛体制としては、それは完結できる仕組みができ上がっているというふうに考えております。

高橋(千)分科員 完結できる仕組みということは、今ある早期警戒衛星の、米軍がまず、情報が最初に出るということ、ここの点は体制が変わっていくということでよろしいのか。

 それから、通告してありますが、じゃ、誰がどの段階で迎撃を判断するのか、これについてもお答えください。

岩屋国務大臣 早期警戒衛星の情報については、私ども独自に今開発する予定はございませんので、今後ともそこは米軍に依拠していくということになろうかと思います。

 それから、我が国の弾道ミサイル防衛は、海上自衛隊のイージス艦による上層での迎撃、それから航空自衛隊のPAC3による下層での迎撃を組み合わせた多層防衛体制をとっておるわけでございます。

 その上で、自衛隊法第八十二条の第三項に基づきまして、弾道ミサイル等への対処が必要となる場合には、一般に航空総隊司令官を指揮官とするBMD統合任務部隊を組織し、その一元的な指揮のもとに対処することとなっております。

高橋(千)分科員 自衛隊法八十二条第三項を用いてお答えになったと思います。ただ、それは、明らかに日本が、攻撃、的とされたというか、目標となった場合の話だと思うんですね。仮に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとしても、軌道によって日本を目標にしているんじゃないのはわかるはず、そういう場合でも同じかということなんです。

 二〇一八年十一月二十七日の参議院の外交防衛委員会で、白眞勲議員の質問に対して、ハワイやグアムに落ちるであろうミサイルに対して破壊措置命令は出せるのかというのに対して、防衛省はできないと答えております。では、存立危機事態を前もって閣議決定しておくことが可能かというのに対して、岩屋大臣御自身が、前もってすることはできないんだと思います、こう答えているわけですね。

 その前年には、八月十日、衆議院の安保委員会、後藤祐一議員が、SM3ブロック2A、これはアショアの話が出る前ではあるんですけれども、イージス艦に既に配備という話があっているわけですので、これが配備された場合に、グアムに向かうミサイルを日本は撃ち落とすことができるか、法的に可能か、集団的自衛に当たるかという問いに対して、小野寺防衛大臣は、「日本の安全保障にとって米側の抑止力が、打撃力が欠如するということは、これは日本の存立の危機に当たる可能性がないとは言えない。」つまり、当たる可能性がないとは言えない、撃ち落とすことができるという趣旨でおっしゃったと思うんですが、ただ、これは、できませんと答えた政府答弁の方が新しいわけです。

 正解はどっちでしょうか。

岩屋国務大臣 まず、先ほどの答弁で、自衛隊法第八十二条の三の第三項と申し上げましたが、八十三条の二の第三項の間違いでございますので、訂正をさせていただきたいと思います。

 それから、存立危機事態というのは、我が国と密接な関係にある国に対する、まず武力攻撃が発生をしていなければ事態認定には至らないわけでございます。しかも、その攻撃が発生したことが、我が国がその武力攻撃を受けるに等しい、大変な被害をもたらすおそれがあるというときに初めて認定されるものですから、あらかじめそれを認定することはできないというのは、当時の小野寺大臣も同じお考えで答弁をされたものというふうに思います。

 その上で、もし存立危機事態というものが認定された際には、米国へ向かうミサイルを迎撃することもあり得るということだと思います。

高橋(千)分科員 存立危機事態を前もってできないと答弁されたのは岩屋大臣ですので、やはりそこが大事だと思うんですよ。小野寺大臣は、何かやりにくいんですが、大臣が隣にいてちょっとやりにくいんですけれども、この当時繰り返していたのは、そもそもアメリカに打撃力があるんですから、日本は専守防衛である、そこは分けるんですということを繰り返し答弁をされていたわけですよね。

 結果として、さっきの図に戻っちゃうわけですけれども、日本が前にいるわけですから、その位置関係で、はなからもう存立危機事態を予測する事態になっちゃうじゃないか、そういうことを言わなきゃいけないと思うんですね。

 実は、この答弁のときに、小野寺大臣は、一般的に言えば、日本とアメリカの役割分担というのがあって、日本は防衛に関しては盾の役割だ、これはしっかり、来たものに対して守り、防ぐんだ。逆に、その攻撃する相手に対しては、しっかりとした打撃力を持って抑止力を高めるのが、これは米側の役割だと述べているんですね。

 アメリカは矛だと言ってしまうと、これ、矛と盾になっちゃって、言えないから、そういう表現をしたのかなというふうに思うんですけれども、資料の3に戻っていただきたいと思うんです。これ、秋田魁新報の一月八日付なんですね。「あれ、アメリカです 日本が「巨大イージス艦」に」、この見出し、大変衝撃を受けました。出だしのところ、この表現は、実は九月十九日の県議会の本会議で佐竹知事が答弁したときに出た言葉だということなんですね。

 二段目のところで、アメリカの民間シンクタンク、CSISが、昨年の五月に、日本の地上イージス導入に関して、「米国本土を脅かすミサイルに対し、前方に配備されたレーダーの役割を果たしうる」と書いたわけです。そのタイトルが「太平洋の盾 巨大なイージス艦としての日本」。ですから、先ほどの地図をつくった福留さんも、このCSISのリポートを読んだからこそ、秋田と山口の位置に意味を持たせることができたんです。

 この記事の最後に書いていますけれども、佐竹知事も、「アメリカでは出ている話を無視するというのはおかしい。だからストンと落ちない」と述べたと。当然の発言だと思うんですね。言ってみれば、日本全体が、この二カ所に、ちょうど北と西にイージス・アショアが配置されることによって、日本全体が巨大イージス艦になるんだと。この例え、当たらずとも遠からず、的を射ていると私は思いますけれども、それでもやはり国民の命、財産を守るための配備だとおっしゃるんでしょうか。

岩屋国務大臣 いろいろな論評というのはあるんでしょうけれども、私どもがイージス・アショアの導入を決めたのは、あくまでも我が国の防衛のためでございます。

 ちなみに、米国のミサイル防衛政策の基本指針でありますMDR、ミサイル防衛見直しにおきましては、同盟国及びパートナー国との協力の重要性について記述がございまして、そのうち、インド太平洋地域に関する項におきまして、その一例として、日本のイージス・アショア導入について記述があるというふうに承知をしております。

 しかしながら、先ほど申し上げたとおり、我が国のBMD、ミサイル防衛システムの性能、能力及び配置等については、あくまでも我が国を防護する観点から決定をしたものでございます。

 今回の二カ所の候補地につきましても、先ほど申し上げたように、我が国の全空域をカバーできるという条件を満たす場所であることから選定をしたところでございまして、我が国のミサイル防衛システムは、あくまでも我が国の領域に飛来する弾道ミサイルに対処し得るように整備してきているものでございまして、そうでない他国の領域に、我が国の領域に飛来しないミサイルを迎撃することを想定して整備をしているものではございません。

高橋(千)分科員 きょうはこのことはこれ以上言いませんけれども、今おっしゃった、同盟国の中で、これだけみずからがお金を出してこれだけの態勢をとっている、いわゆる今回のイージス・アショアというのは、初めてのこれだけの態勢なわけですから、そういう意味でも、同じではないというふうに指摘をしておきたいなと思います。

 それで、イージス・アショアに搭載されるレーダー、もう皆さん御存じのように、アメリカ、ロッキード・マーチン社製の最新鋭レーダー、LMSSRを使うわけですけれども、電磁波の影響がないのかとか、最低どのくらいの保安距離を確保する必要があるのか。これは、住民の不安に対して、防衛省は機密を理由に答えてきませんでした。改めて聞きたいと思います。

 また、三月一日から、千葉県にある陸自高射学校から、対空レーダー、中SAMを使って、四日間の実測調査を行うと言います。当然ながら、今回のレーダーは、実際にイージス・アショアで使われるものとは違うわけであって、一体それが何倍くらい、四桁なのか五桁なのかすらもわからないわけですが、違いがあるのか。また、この実測調査で何を得ようとしているのか、伺います。

鈴木政府参考人 今回実測調査で使用いたしますのは、陸上自衛隊の対空レーダー、具体的には中SAMの対空レーダーでございますが、これとイージス・アショアのレーダーでは、その具体的な出力の値、これがどの程度違うかにつきましては、やはり能力に係ることでございますのでお答えを差し控えますが、こちらの中SAMの対空レーダーの出力はイージス・アショアのレーダーに比べて小さいということでございます。

 ただ、この実測調査の背景、理由でございますけれども、昨年十月から電波環境調査を実施しております。そこの中で、地元の皆様から、人体への影響について、机上検討、机の上だけの検討だけで大丈夫なのかといった御意見をいただいておりました。こうしたことを踏まえまして、実測調査ということを実施することにしたものでございます。

 この実測調査の実施によりまして、中SAMの対空レーダーを用いて電波を実測した値と、その当該レーダーの諸元から机上計算した値とを比較して、その妥当性というものを実証することで、イージス・アショアの電波環境調査で行いますところの机上検討が手法として妥当なものだということを御理解いただくための一助になるものというふうに考えておるものでございます。

高橋(千)分科員 住民の不安が大きいからレーダーを持ってきて調査をしましたよと言っても、それは実際のレーダーよりは小さいということ以外の情報はないわけでありまして、シミュレーションの、机上の数値が正しいかどうかという話を幾らされても到底納得できるものではないと思うわけです。

 総務省の電波防護指針の範囲内だから大丈夫だと、繰り返し防衛省はそういうふうに説明しています。でも、そもそも、自衛隊法百十二条により、自衛隊のレーダー施設は電波法の除外対象となっています。電波防護指針そのものについても、日弁連なども意見を出していますが、それは別としても、幾ら基準値内だし安全だということを言っても、では、一体どのようにしてそれを住民が把握できるのか。総務省でさえ、それはどのくらいになっているかわからないと言っているんです。どうでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘いただきましたところは、先ほども委員から御言及ございましたいわゆる保安距離といったようなものだと思いますけれども、こちらのイージス・アショアのレーダー、こうしたものの最大出力、この値をもとにした机上計算をした結果導き出されますところのレーダーの保安距離、いわゆる保安距離でございますが、こうしたものについてはしかるべきタイミングで地元の皆様に御説明させていただく予定でございます。

 防衛省といたしましては、地元の皆様の御不安や御懸念を払拭して御理解が得られるよう、各種の調査の結果を含めまして、具体的でわかりやすい説明により一層努めさせていただきたいと思っております。

高橋(千)分科員 保安距離だけは、今、お答えになるということがわかりました。

 イージス艦の場合は、電磁波から乗組員の安全確保のためにどのような取決めをしていますかという問いをする予定でしたが、時間がないので私の方から言ってしまいますけれども、やはり強力な電磁波が出るので、乗組員がそのときは艦内にいるようにと、甲板に出てはならない、甲板の上には赤線が引いてあるということですし、米海軍司令部の技術マニュアルの中には、明確に、保安距離が百六十四メートルであることとか、こうした情報は、別に公開されている、ホームページで公開されているものなんですよね。最低でもそうしたことはできるはずだ、そういうことは強く、米軍ができるものを何で日本はできないのかということは重ねて指摘をしたいと思うんです。

 きょう、問いをたくさん残して残念だったんですけれども、一番最後に、魁新報が昨年の七月十六日に書いた、「兵器で未来は守れるか」というこの社説をぜひ大臣に後で読んでいただきたいと思います。社長名で出しておりますので、社運をかけたこうした論説に対して、本当に私たちは真摯に応えなければならないと思います。

 きょうは二回目の米朝会談の日であります。やはり世界の流れは、力に対して力ではなくて、対話の外交ということが大きく流れとなっている。そういう中で、今、イージス・アショアの配備というのは違う、やめるべきだということを指摘をして、終わりたいと思います。

岩屋国務大臣 済みません、一点だけ。先ほど、正確には、自衛隊法八十二条の三の第三項でございましたので。

 それから、先生の御指摘も踏まえて、住民の皆さんにはしっかり丁寧に説明を行ってまいりたいと思います。

高橋(千)分科員 終わります。済みません。ありがとうございました。

中山主査 これにて高橋千鶴子君の質疑は終了いたしました。

 次に、村上史好君。

村上(史)分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの村上史好でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。きょう初めて岩屋大臣に質問ということで、一生懸命質問したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 先ほど我が党の宮川議員からも質問がございましたけれども、私からも、沖縄の県民投票の結果について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 今回の県民投票は、法的拘束力はありません。国民投票と違って、ないわけですけれども、結果を見れば、圧倒的な七一%を超える県民の方々が埋立反対だという明確な意思を示されたというふうに思います。

 大臣、政府の方では、安全保障政策は国の専権事項だから、それは国としては進めますよというような姿勢に見えるんですけれども、やはり今回の民意というものをきっちりと受けとめて尊重すべきだと思うんですけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。

岩屋国務大臣 今回の県民投票の結果については、沖縄の皆様の一つの民意だというふうに真摯に受けとめたいというふうに思っております。

 しかし、この案件は、先生御承知のとおり、もう橋本・モンデール会談から二十三年、辺野古に決まってから二十年近くが経過をしている問題でございまして、途中、政権交代などもあり、政府の方針もダッチロールした時期もございました。

 今日に至っても普天間飛行場の返還が実現できていないということからも、私どもとしては、この普天間飛行場の危険性を除去するためには、しかも抑止力は維持しなければいけないわけですから、やはり普天間の機能を辺野古に移させていただいて、全面返還をなし遂げたい、目に見える形で沖縄の皆さんの負担を軽減したいという思いで事業を行っているところでございます。

 そして、普天間飛行場の危険性を除去したい、返還をなし遂げたいということについては沖縄の皆さんの思いも同じだと思うんですね。それもまた沖縄の皆様の民意の一つだ、大きな民意だというふうに考えておりますので、今後とも丁寧に説明を続けて理解を得ていきたいと。

 沖縄にも民主主義は当然あります。国にも民主主義はあります。国民によって民主的に選挙された国会、国会が内閣を構成し、その政府は国の安全保障という大きな責任を担っているわけでありまして、沖縄の皆さんの声を受けとめつつ、しかし、国として果たさなければならない責任はしっかりと果たしていきたいというふうに思っているところでございます。

村上(史)分科員 今、大臣の方から言われたことは、沖縄県民の方も十分承知の上で、今回こういう形の意思を示されたと思います。

 そういう面で、日ごろから政府の方では、内閣の方では、県民に寄り添う施策を遂行するんだということを常々おっしゃっておられます。

 今回の民意を受けて、少なくとも工事を一時中止をして、一旦立ちどまって沖縄県と話し合うべきだというふうに思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 安倍政権では、沖縄の基地負担軽減を、一日も早く、できることは全て目に見える形で実現するという基本方針のもとに取り組んでおりまして、今般の移設事業も、もちろんその中の重要な課題の一つでございます。

 これまでも、総理と玉城知事、また官房長官、あるいは私も、この四カ月で四度玉城知事さんにお目にかかって、お話をさせていただきました。また、謝花副知事さんと官房副長官の間で、一カ月にわたって、対話、話合いの機会も持たせていただきました。そのときの了解は、国としては事業を進めさせていただくという前提で話合いを行ってきたところでございます。

 この二十三年来の課題を一日も早く解決するために、ぜひ事業は進めさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

村上(史)分科員 大臣のお考えというのは常々伺っております。

 もちろん、普天間の危険性を早く除去する、これはもう共通した考え方ですけれども、それに対しての、いかにアプローチをしていくかというところで県民の方々と政府との間にやはり考え方の違いがあるわけですから、そこはきちっとその溝を埋める努力を政府の側の方からやはりしていくべきではないかなというふうに指摘をして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 昨年十二月十八日に防衛大綱、中期防の見直しが行われましたけれども、六年前にNSCで国家安全保障戦略というものを作成をされました。今回それは見直しをせずに、なぜ大綱と中期防だけを見直しをしたのか、その理由をお聞かせください。

岩屋国務大臣 先生御承知のように、国家安全保障戦略は、国防の基本方針にかわるものとして、我が国の掲げる理念や我が国の国益等を含め、外交等も含む国家安全保障に関する基本方針を示したものでございまして、最上位に存在する大方針でございまして、これは、安易にといいますか軽々に変えていいものではないというふうに思いますし、また、この国家安全保障戦略においては、国際社会におけるパワーバランスの変化、技術革新、宇宙、サイバーといった新たな領域についても、その段階で既に記述をされているところでございます。

 そういう意味でいいますと、現下の安全保障環境は、全体として見れば、この国家安全保障戦略で示された基本的な考え方の枠内にあるというふうに考えられます。

 したがいまして、同戦略の枠内において、今回、大綱と中期防を見直させていただいたということでございます。

村上(史)分科員 新たな時代に合わせて、状況に合わせてということだと思いますが、サイバーについては防衛大綱でも以前から指摘をしているところでございますので、新たに加わったというわけではないと思います。

 今回、防衛大綱の優先事項の中に、このサイバー、宇宙の取組について、重点事項として取り上げておられます。それはそれで、我が国のサイバー攻撃に対する対処能力がまだまだ弱いということもこれありでございますから、そういうところに重点的に、優先的に防衛政策を遂行するということは理解できるんですけれども、ただ、現実は決してそのようになっていないのじゃないか。

 例えば、航空機を百四十七機、更新も含めての数ですけれども、およそ一兆三千億円。また、イージス・アショアについても、まだ確たる金額は出ておりませんけれども、積み上げていくと、およそ八千億円ぐらい。あるいは、中期防にはなかった「いずも」型の改修、空母化ということを今回挙げておられます、中期防整備計画の中で。

 そういう中で、やはり正面装備に余りにもちょっと偏った内容になっているんじゃないか。もっと突っ込んで申し上げると、昨年来、アメリカのさまざまな防衛装備を日本に購入するための、そのための条件整備じゃないのかという疑念もございますので、その点について大臣はどのようにお答えになりますか。

岩屋国務大臣 今、安保委員会等で先生とは長らく一緒に議論させていただきましたが、日本を取り巻く安保環境は本当に速いスピードで変わりつつあるというふうに考えておりまして、先ほど先生がおっしゃった宇宙、サイバーといった新しい領域も、ここで劣後してしまうと、今まで蓄えてきた陸海空の能力すら発揮できなくなる、そういう問題意識で、今般、大綱、中期防において、これらの領域を含む多次元統合防衛力を早期につくり上げなければいけないということにさせていただいたわけでございます。

 正面装備を買い過ぎではないかというお話がございましたけれども、防衛装備品については、事態が切迫してから取得しようとしても、取得までにかなりの時間を要するわけでございまして、やはりその判断は早くなければいけないというふうに考えております。

 それから、米国からのFMSは、一般では調達できない機密性の高い米国製の高性能の装備品、最新鋭の装備品を我が国の防衛力強化のために調達をするという非常に重要な仕組みだというふうに考えておりますので、決して何かつじつまを合わせるために買物をしているということではないというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

村上(史)分科員 それでは、ちょっと個々のステルス機あるいはイージス・アショア等について、個別で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、日本の戦闘機でございますけれども、現有、保有数は三百四十九機体制でございます。今後、新たなF35A、Bか、まだ決まっておりませんけれども、恐らくBだろうと言われておりますが、百四十七機を整備、導入した段階で保有規模はどのようになるのか、お尋ねします。

鈴木政府参考人 委員御指摘の、今、戦闘機の保有数三百四十九機、これでございますけれども、これは恐らく、平成三十年版白書、これは平成三十年三月三十一日の数字として出ておりますけれども、今、平成三十一年一月末という時点で申し上げますと、F4の減勢ですとかF35Aの導入が進んでおりますので、今三百三十八機の戦闘機を保有しているということになります。

 将来の戦闘機の保有数ということにつきましては、年度ごとの予算編成過程における取得数の精査ですとか、現有機の退役ペース等によりまして増減があり得ることから、一概に申し上げることは困難でございますが、昨年十二月に閣議了解したF35Aの増勢、これが完了した後ということで仮定して考えますと、F15非近代化機九十九機、これがF35A百五機によって代替されることによって六機ふえます。そして、F4戦闘機三十四機がF35A三十一機に代替されることによる三機の減少、それから、F2戦闘機が今月二十日、事故による一機を減耗いたしましたので、単純計算いたしますと、先ほど申し上げました平成三十一年一月末時点の三百三十八機と比較しますと、二機増の三百四十機。それから、平成三十年三月三十一日、委員が御指摘になった三百四十九機から比較しますと、九機減の三百四十機。こういう数字になります。

村上(史)分科員 ありがとうございます。

 それでは、戦闘機のパイロットの数は何人でしょうか。

鈴木政府参考人 現在の戦闘機のパイロットの具体的な人数につきましては、自衛隊のいわゆる戦力、これが明らかになることから、お答えを差し控えます。

 ただ、その上で申し上げれば、パイロットの人数は、現有の戦闘機の数量を下回ることのないように措置しておりまして、今後とも我が国の防衛力を維持する上で必要不可欠な戦闘機パイロットの育成というものを計画的に進めてまいるというところでございます。

村上(史)分科員 保有台数が公開されているのにパイロットの数は公開できないというのはちょっとおかしな話だと。基本的には全部動かせるという状況の中で体制を組んでおられるのではないかなと思うんですけれども。

 ただ、現実の話でいきますと、機数が多過ぎて、例えば五機の編成でありながら、一機は部品調達のために運用されていないという例も現場では起こっているというふうに聞いておりますけれども、そういう事実はありますか。

鈴木政府参考人 先ほども申し上げましたように、パイロットの人数そのものは、現有の保有機数、これを下回らないようにきちっと措置をしておるということでございます。それから、その上で、御指摘は稼働率の話だと思いますけれども、戦闘機の数をそろえるだけでなく、その稼働率の向上、これも図ることも非常に重要な課題でございます。

 例えば、F35Aにつきましては、自動的にふぐあいを特定の上、速やかな部品供給と修理が受けられる包括的な後方支援システムを導入しておりまして、稼働率の確保にも配意されているところでございます。

 引き続き、防空任務に当たる能力向上後のF15も含めまして、高い稼働率、こういうものを確保できるよう、必要十分な経費を確保するなど、必要な取組を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

村上(史)分科員 時間がなくなってきましたので、パイロットの養成についてもお聞きしたかったんですけれども、ちょっとはしょりまして、今回、ステルス戦闘機を大量に導入をするということになったわけですけれども、本来、ステルス戦闘機はレーダーをかいくぐっていわゆる敵地をミサイルで攻撃する、いわゆる攻撃型の戦闘機という概念がございますけれども、専守防衛の日本にあってこれが必要なのかどうか、明確な御答弁をお願いしたいと思います。

岩屋国務大臣 これも先生御案内のとおり、現在諸外国の軍事技術の革新は著しい状況でございまして、いわゆる第五世代というステルス性能を持つ戦闘機の開発、生産が進んでおりますことは御案内のとおりでございます。

 このような第五世代の戦闘機の開発、生産の進展によりまして、わかりやすく申し上げますと、相手に見つかることなく、相手を先に見つけ、ミサイルを発射して退避するという戦法が非常に重要となっております。その観点から、相手のレーダーに捕捉されにくいステルス性能の有無が非常に決定的になってきている状況だというふうに認識をしております。

 したがって、航空優勢を我が国防衛のために維持していくというためには、こういった能力を持つ最新鋭の戦闘機、この場合はF35でございますけれども、この導入が必要だというふうに考えているところでございます。

村上(史)分科員 それでは、具体的にお聞きしたいんですが、F35Aに搭載をされるミサイルは射程距離何キロのミサイルでしょうか。また、それは空対地なのか空対空なのか、あわせてお願いします。

岩屋国務大臣 対艦、対地攻撃用のスタンドオフミサイルでありますJSMは、F35Aの機体の内部に搭載ができます。また、外につけますとステルス性は損なわれるということになりますが、搭載することも、外にも可能でございます。また、このJSMは射程約五百キロでございます。

 それから、我が国として導入予定の他のスタンドオフミサイルは、JASSM、LRASMというのがございますけれども、これは基本的にF15に搭載する予定でございますが、LRASMが約九百キロ、JASSMが同じく約九百キロでございます。

村上(史)分科員 まさに、今の御答弁によると、いわゆる空中戦を想定したミサイルではない、遠くの相手を攻撃するためのミサイルを搭載するということだと思います。

 ステルスということになりますと、少しでも敵地に近づくことが可能だ、五百機もあれば十分敵地に攻撃できる能力を有するという判断をせざるを得ませんし、F15に九百キロの距離を飛ぶミサイルを搭載可能だということは、F15はステルスじゃありませんから余り近づくことができない、より遠くから敵地を攻撃できるという面で、まさに、今回のF35A、あるいはスタンドオフミサイルの購入、導入というのは、専守防衛にとってそれに反する状況が生まれるんじゃないか、そういう危惧があるんですけれども、その点についての御見解を伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 専守防衛の考え方は、もう先生御案内のとおりですから、逐一申し上げません。この基本的な考え方を変えるものではございません。

 スタンドオフミサイルにつきましては、まさに小野寺大臣のときに国会でもしっかり説明をさせていただいておりますが、あくまでも、相手から武力攻撃を受けたときに、これを排除するために必要な範囲で使用するものでございます。ミサイルの長射程化も、我が国以上に諸外国は進んできているような状況でございます。

 そういう軍事技術の進展に対応し、自衛隊員の安全を確保しつつ、我が国を防衛するために不可欠なものでございまして、これは自衛のために必要最小限度のものだというふうに私どもは考えておりまして、御指摘の専守防衛との関係では問題を生ずるものではないというふうに考えております。

村上(史)分科員 そういう、対外的に見れば攻撃可能な戦闘機だというふうに見られるということは、我が国としても承知しておかなければならないと思います。国内だけの論理で全て通用するかといえばそうではないと思いますし、そういう面で、今後も、内容について、専守防衛、またあるいは憲法上の制約の中でどのように防衛、安全保障政策を進めていくかというのは、絶えず検証をしていかなければならないことだというふうに思っております。

 それに関連して、「いずも」の空母化について最後にお伺いしたいと思います。

 改修費用、あるいは、いつその改修が終わるのか、期間、それについて御答弁いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 大変恐れ入ります。先ほど御指摘ございましたF35A、Bのミサイルの搭載でございますけれども、スタンドオフミサイルということに限って申し上げれば、先ほど岩屋大臣から御説明したとおりでございます。

 ただ、このF35A、Bにつきましては、空対空ミサイル、AMRAAMというものでございますが、これも搭載可能でございますので、いわゆる要撃戦闘、こういうものも実施できるということでございます。

石川(武)政府参考人 「いずも」の改修費用、それから改修期間についてお答え申し上げます。

 今般、「いずも」型護衛艦の改修を進めていくに当たり、まずはSTOVL機が離発着する際に発する熱及び音の船体への影響につきまして調査研究を行うこととし、そのための費用として平成三十一年度政府予算案に約七千万円を計上しております。

 改修に必要な費用の見積りと改修に必要な期間につきましては、この三十一年度に実施する調査研究の結果等のさまざまな検討を踏まえる必要がありまして、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えますが、いずれにしましても、改修後の「いずも」が多機能護衛艦としてその有する能力を発揮できるよう、しっかりと今後検討を行ってまいります。

村上(史)分科員 予算を審議する場合は、見積りであってもおよその金額が示されないと、本当にこれは費用対効果として必要なのかどうかという議論もできないと思いますので、費用についても大体おわかりだとは思うんですけれども、出されていないということですが、この予算の審議の中できっちりと見積り、また費用の予想はやはり公開していただきたいなというふうに思います。

 それと、今回の改修の目的は、いわゆるSTOVL機を搭載するための改修だと今おっしゃいましたけれども、現実に、これは空母化ということをよく言われますし、私もそうだと思うんですけれども、どういう形で運用を考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。

岩屋国務大臣 まず、「いずも」改修の予算についてですが、まず調査研究を行って、その結果、きちんと見積りが出れば、当然また予算に計上して御審議をいただくということになろうかと思います。

 それから、改修型「いずも」はどういう運用をするのかというお尋ねだと思いますが、これは今までどおり多用途の、多機能の護衛艦として運用したいというふうに思っております。

 先生御案内のように、「いずも」は、ヘリコプター運用機能、対潜水艦作戦機能、指揮中枢機能、輸送機能、医療機能を備えた多機能な護衛艦でございますけれども、ここに航空機の運用が加わる、その航空機は常時、艦載、搭載されるものではない、地上にきちんと基地を持って、必要な場合に搭載できるようにする、そういう多機能な護衛艦として今後も運用してまいりたいと考えております。

村上(史)分科員 それでは、最後の質問でございます。

 この改修された「いずも」に、米軍のF35Bは利用可能なのか、現行法でできるのか、それをまた、逆に、日本政府として拒否はできるのか、その点について見解をお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 時間がないでしょうから簡潔に申し上げますが、まず、改修された「いずも」は、能力的に米軍の35Bの発着艦は可能になると考えております。

 例えば、訓練で、お互いの航空機を乗せ合いっこするというクロスデッキという訓練がありますが、そういう場合や、米軍機が事故になって近場に空港がないという場合にも、それは発着艦することが可能になると考えておりますが、しかし、例えば、我が国に対する武力攻撃に際して日米共同で対処するといった場合は、米軍機の運用も現行法上も可能でございます。

村上(史)分科員 もう時間になりましたけれども、またこの問題をちょっと深く考えたいなと思っているのは、有事の際に米軍とのいわゆる一体化という問題もあります。また、それは憲法上どうなのかということも含めて、今後そのあたりの議論をまたさせていただければなということで、きょうは質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山主査 これにて村上史好君の質疑は終了いたしました。

 次に、寺田学君。

寺田(学)分科員 立憲会派の寺田です。

 岩屋大臣、よろしくお願いします。

 この場に来て、本当に感慨深い偶然を感じるんですが、イージス・アショアについて議論させていただきたいと思っているんですが、今お並びになられている小野寺さんが閣議決定した当時の防衛大臣で、後ろに、私と同じ選挙を戦っていますけれども、秋田市選出の冨樫先生がいて、イージス・アショア、秋田と山口の、山口の河村先生がいらっしゃって、関係者全員そろっていますので、大臣、一回、もちろん地元に対する説明もいいですけれども、いいというか、大変必要ですけれども、関係議員を含めて、一回、じっくりと懇談する場、議論する場を設けてくれないですかね。

岩屋国務大臣 そういう会話、対話の機会は必要だと思いますので。

寺田(学)分科員 できる限り早くその場を設定していただければ。予算が通過後は比較的皆さん時間があると思いますので、よろしくお願いします。まあ、大臣が忙しいかもしれません。

 イージス・アショア、安全保障面で議論すること、あと、地域との向き合い方を含めてさまざまな観点があると思いますが、今回、私は、安全保障論というよりは地域という視点で議論をしたいと思います。

 かつ、今、秋田市の新屋演習場にイージス・アショアを設置したい、あと山口ですけれども、ということで、秋田市民の中でもイージス・アショアが設置をされるという認知はかなり高くなり、それに対してどのように考えていいのかと。もちろん反対する方、賛成する方いらっしゃいますが、まだわからないという方が多くいらっしゃるのは事実です。

 ですので、今後どのようなことが起こり得るのかということを真摯に御説明いただいた上で、県民としてもしっかりと、賛成、反対、私は反対ですけれども、議論していく土壌ができればというふうに思っています。

 基本的なことなんですが、まず一問目なんですけれども、現状の日本国土において、常設のミサイルを設置されている場所というのは今あるんでしょうか。

岩屋国務大臣 これまでの自衛隊の各種誘導弾部隊は、車両等に搭載することによって移動することが可能でございましたが、イージス・アショアは、御案内のとおり、陸上に据え付けるというものでございますので、このような誘導弾の発射装置を含む装備品を自衛隊が導入するということは初めてのことになります。

寺田(学)分科員 詳しく御説明いただきましたが、端的に、ごらんになられている地元の方にもわかりやすくなんですが、常設のミサイルが設置されるのは今回初めてになるんですか、設置されれば。

岩屋国務大臣 先ほども申し上げたように、このような誘導弾の発射装置を含む装備品を自衛隊が導入する、つまり陸上に据え付けるということは初めてのこととなります。

寺田(学)分科員 今、防衛大臣経験者のお二人から固定式という表現の仕方がありましたが、固定式のミサイル装備というのは、今回設置されれば、日本国土においては初めてになるということでよろしいですか。

岩屋国務大臣 そのとおりでございます。

寺田(学)分科員 そういう意味で、非常に、その設置が検討されている地元では、長い長いこれからの、一瞬の話ではないですので、これからの世代のことも考えた議論というのは行われることだと思いますし、必要だと思っています。

 今、秋田の新屋ですけれども、住宅街が目の前で、もともと空港があったところにあるんです。演習場、新屋演習場ということで呼称がありますけれども、イージス・アショアが設置された場合は、演習場という名前は、当然、演習をする場ではありませんので変わると思うんですけれども、何に呼称は変わるんでしょうか。

岩屋国務大臣 新屋については、候補地として選定して御理解をいただくべく、今一生懸命説明をしている段階でございまして、配備先として確定をしているということではございませんので、具体的な検討を行っているわけではありませんが、陸上自衛隊の部隊等が所在する施設については、通常、部隊等の規模に応じて、基本的には、駐屯地あるいは分屯地と呼称をしております。

 いずれにしても、イージス・アショアが配備されるところの名称につきましても、今後、配備に向けた取組が進む中で検討してまいりたいと思っております。

寺田(学)分科員 まさしく配備を検討されて、今調査されているんでしょう。

 演習場という名前は変わることは事実ですよね。よろしいですか、大臣。

岩屋国務大臣 演習場に仮に配備を行った結果、演習場としての機能を維持し得ないということになれば、名称を変更する可能性はあると考えています。

寺田(学)分科員 演習場の機能が失われた場合には名称を変えなきゃいけないって、逆に言うと、イージス・アショアを配置した上で、その場で演習をされるんですか。その可能性を残されているんですか。

岩屋国務大臣 演習の規模、形態によってはあり得ると思います。

寺田(学)分科員 それでは、演習場、後ろに今役人の方が来られていますけれども、御答弁を正確にされるとすれば、それをお伺いした上でも結構ですけれども。

岩屋国務大臣 先ほど申し上げたのは、あくまでも一般論として申し上げたのであって、当該地を想定しての名称の変更検討というのは今行っていないということでございます。

寺田(学)分科員 名称の変更の必要性はあると考えていますか。具体的に検討されているかどうか、今。

 正直、その場にイージス・アショアという固定式のミサイル装備を置かれるときに、どのような呼称にするのかを含めて、人員体系も含めて、全てある程度シミュレーションされた上でやっているわけじゃないですか。

 私、別に特段、これは追及して何か問い詰めるような話じゃないですよ。演習場ではなくなるわけですから。まあ、わからないですよ。演習は、できるのであればやると言っていますけれども、やるとすればどういうことをやられるのか。大体の面積と、イージス・アショアを置いた場合の、占有される面積を含めてわかっているわけですから。

 演習場という名前は変わりますよね。具体的に何になるかということは、決まっていないならそれでいいですけれども、演習場という呼称は変わりますよね。

岩屋国務大臣 これも一般論ですけれども、演習場というものに、今までは演習場であったところに新たな機能が加えられて、全体を演習場と称するのが適当でないといった場合には、やはり名称の変更を考える可能性はあるというふうに思っていますが、今は、一生懸命に候補地に対してさまざまな説明を行って御理解をいただいているというその最中でございますので、だから、名称の変更までは、正直、具体的に検討しているわけではないというのが事実でございます。

寺田(学)分科員 常識的に考えて、演習場ではないですよ。今までは、演習する場だったので演習場ですけれども、その場にイージス・アショアを設置するわけですから、政府としてはそういう意向なわけですから、それを引き続き演習場と、呼称として使い続けるとしたら、それは地元に対する誠意あった向き合い方ではないですよ。

 変わるなら変わるとはっきり言っていただいて。具体的に何になるかというのは鋭意検討中というぐらいはわかります。答弁はありますか。

岩屋国務大臣 変わる可能性は非常に高いと思いますし、委員おっしゃったように、イージス・アショアを配備した場合に、それを演習場とだけ言い続けるということは適当ではないというふうに思っておりますので。

 ただ、これまでは原則、さっき申し上げたように、駐屯地あるいは分屯地と称することになっておりましたが、それをどうするかということも踏まえて、配備先の部隊の呼称については、施設の呼称については検討していくことになるというふうに思います。

寺田(学)分科員 陸自や空自、海自で呼び方はいろいろ変わるんですが、私の秘書も、もともと防大を出て、今も即応予備自衛官をやっていますので、さまざま具体的に聞いています。駐屯地というのは何で駐屯地と呼ぶのというと、それは、やはり陸自は、そういう状態になった場合には戦地の方に出向いていくので、一時的にとどまっているから駐屯地と呼ぶんだというのは、陸自の中でも常識的に語られていますし、広辞苑でもそういうふうに書かれています。

 最初に、固定式のミサイルが置かれるのは初めてかと問うたのはそういうことで、今回、イージス・アショアがもし設置された場合には、有事になった場合に、そこから人が離れるわけにはいかないですし、固定されているから、そこはそこでとどまっているわけですよね。駐屯ではないと思うんですよ。だとすると、これはどういう名称になるんだろうということを聞きたいんです。

 そういう観点から、何かしらの御示唆はありますか。

岩屋国務大臣 今、委員から重要なヒントをいただいたというふうに思っておりますが、確かに駐屯地というのはそういうことなのかなと。そういう御指摘、御示唆も踏まえて、今後検討してまいりたいというふうに思います。

寺田(学)分科員 それで、住民、市民、県民含めて一つ懸念に思っていることは、イージス・アショアを今回、まあ、地元の理解どうこうというのはまた後でやりますけれども、設置された後に、それ以外の防衛装備品も新屋に置かれるのではないか、それはどうなっているんだろうということを、将来的なことを含めて考えて悩んでいる方々は多いです。

 防衛大臣、今後、新屋にイージス・アショア以外の防衛装備品を設置される可能性はあるんでしょうか。

岩屋国務大臣 現時点で、もし配備地として決定をさせていただければ、新屋演習場に配備する装備品はイージス・アショアを主として念頭に置いておりまして、その重要性を踏まえて、しっかりした警備体制を演習場内に構築する必要があると思っております。また、その警備をしっかりやってくれということは、候補地のお地元からも御要望をいただいているところでございます。

 通常の駐屯地の警備に用いられるような小火器を除き、現時点でイージス・アショア以外の装備品の具体的な兵備計画はございません。

 今後の検討を踏まえて、他の装備品の配備の有無についても地元にきちんと説明をさせていただきたいというふうに思っております。

寺田(学)分科員 今、丁寧に御答弁されている中で、さまざま貴重な表現がありましたけれども、主としてというお話をされました。

 この主としてということと、現時点でという言葉についてお伺いしたいんですけれども、主としてというお言葉を使われたのは、もちろん、イージス・アショアを配備した際に、それを警護するため、そのために、ある種、イージス・アショア関連の装備品がその地域に持ち込まれることはあり得るということなのか。主としてイージス・アショアだけれども、イージス・アショア及びイージス・アショアを警備する類い、関連的なもの以外のものも置かれることを想定されて主としてと言われたんでしょうか。

岩屋国務大臣 イージス・アショアというものが主になるという意味でございます。

 それは、しっかり警備、警護をする必要がある施設ということになりますので、それに必要な装備品は当然必要になるわけでございますけれども、それ以外の装備品の具体的な配備計画はないということでございます。

寺田(学)分科員 今御答弁された、それ以外という言葉は、イージス・アショア、イージス・アショア関連のもの以外ということですか。それでよろしいですか。

岩屋国務大臣 そのイージス・アショア関連のものというのは、委員の場合、何を想定して言っておられるんでしょうか。

寺田(学)分科員 イージス・アショアを設置するに当たり必要な装備品、アショア本体のみならず、警備のために必要とされるもの、それがワンパッケージだと考えて、それ以外の装備品、全くイージス・アショアと関連性がない防衛装備品が今後設置される可能性はありますかと聞いているんです。

岩屋国務大臣 だから、イージス・アショアがあって、それを警備しなければいけない。当然、警備のための装備は要りますよね。

 それ以外のものを何か配置する計画、予定はあるかという問いですか。(寺田(学)分科員「そうです」と呼ぶ)それは、今のところありません。

寺田(学)分科員 今後、今の議論で言うところの、それ以外のものが設置される可能性はありますか。

岩屋国務大臣 初めて、これから我が国で固定式のイージス・アショアという装備を配備するわけでございますから、そのために何が必要かということを子細に検討した上で答えが出てくるんだろうと思いまして、この時点ではなかなか断言しがたいところはありますが、イージス・アショアという装備、そしてそれをしっかりと警備する装備という以外に、現時点でというのはそういう意味ですけれども、何かが予定されているということではございません。

寺田(学)分科員 予定の有無は御答弁いただきましたけれども、聞き方を変えますけれども、それ以外の防衛装備品が配備される可能性は否定しませんか。

岩屋国務大臣 何度も申し上げますが、現段階で、それ以外の装備というものを予定しているものはございません。

寺田(学)分科員 住民にとってみても、演習場だったところにイージス・アショアを配備したいと政府が言ってきて、それが地元の理解を得たということで配備をされた後に、イージス・アショアの配備を地元として理解したんだけれども、その後も、さまざまな、演習場として使われたところだったんですが、イージス・アショアをきっかけに、他の防衛装備品も配備されるようになるのではないかという強い懸念があります。現時点ではないということなんだと思います。

 残り十分しかないので。それで、やはり地元との向き合い方が一番問われると思うんです。私は、あれを演習場に配備することは絶対に反対です。住宅街の目の前です。こんなところに、北朝鮮の危機が一段階差し迫ったものだといいながら、安倍総理も言われていますけれども、しばらく配備まで時間がかかるものなんだからと。時間軸は五年後以上のものですよ。そういうものを、非常に緊迫したという理由をもとに、今すぐ住宅街の目の前に置く必要性は私はないと思っています。

 ただ、その中で、いらっしゃいますけれども、小野寺前大臣が、イージス・アショアの配備に当たっては地元の理解が必須という発言をされて、その後、総理を含めて、その表現を踏襲されています。地元の理解をどう捉えるかということが大事だと思うんです。

 一旦、沖縄に議論を移したいと思うんです。

 大臣、素朴な質問というか、シンプルな質問ですけれども、今、辺野古の埋立ての工事をしていますけれども、これは地元の理解を得ている、その工事に関して地元の理解を得ているというふうに大臣はお考えになられますか。

岩屋国務大臣 これについては、委員も御承知のとおり、もう二十三年来の課題になっているわけでございます。そして、一旦は知事さんも当該市の市長さんも合意をして、埋立承認をいただいたのでありますけれども、紆余曲折があって多くの時間を要しているということでございます。

 そして、簡潔に申し上げますが、普天間飛行場の危険性を除去したい、全面返還を果たしたいというのも、私は沖縄の皆さんの強い民意だというふうに思います。国は、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を軽減するという使命を負っておりますので、その責任を、これからも丁寧な説明を重ねていきながら果たさせていただきたいというふうに思っております。

寺田(学)分科員 普天間の返還は強い民意と、民意をちゃんと御自身で解釈されながら表現されましたね。辺野古の埋立工事は、反対する方々、私は多いと思いますけれども、その強い民意があるというふうにお考えになられていますか。

 辺野古の埋立ての工事に反対する方々は、私はたくさんいらっしゃると思います。それは私の民意の捉え方です。今、大臣は、普天間の返還に対する沖縄県民の強い民意はあると民意を解釈してお話しされましたので、同じように、辺野古の埋立てに関して反対する強い民意があると思いますか、ないと思いますか。

岩屋国務大臣 両方とも沖縄の民意なんだというふうに私は考えております。

 普天間だけではなくて、基地負担を軽減してほしい、返還してほしいという声もたくさんあると思うし、できれば新しい施設はつくってほしくないというのも沖縄の皆さんの民意なんだろうと思いますが、しかし、答えを出していかなければなりません。私どもは、普天間返還のためには辺野古に移設するというのが唯一の解決策だということで事業を進めているところでございます。

寺田(学)分科員 私が沖縄のことを聞いているのは、もちろん沖縄そのものとしての問題も多いと思いますし、これから秋田にとって、地元の理解を得たと政府側が考えるに当たって、どういう思考回路でやっているのかということの、一つ、同じパラレルで議論できるものだと思っているんです。

 客観的事実だけでいえば、沖縄は、首長さん、議会、そして県民投票を経た県民、住民、全員、新しい辺野古の基地建設に対しては反対です。これ以上わかりやすい地元の意見表明は、私はないと思うんです。

 秋田の場合、どう考えたらいいんでしょう。どういう答えが出たって、この今の沖縄のやり方を見ていると、地元の理解を得るような真摯な姿勢があるとは私は思えないんです。

 なので、もう一回聞きます。

 この今進められている沖縄の工事は、地元の住民の皆さんの理解を得ていると思いますか、思いませんか。どっちですか。

岩屋国務大臣 私どもとしては、やはり国の安全保障における責任をしっかり果たしていかなければいけない。一方で、沖縄の基地負担、過重な負担を少しでも目に見える形で軽減しなければいけない。その思いで事業を進めさせていただいておりますので、最終的に御理解がいただけるように、全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。(寺田(学)分科員「地元の理解を得ているかどうかと聞いているんですよ」と呼ぶ)

中山主査 再度、御答弁をお願い申し上げます。

岩屋国務大臣 単純な言葉で答えられる事柄ではないというふうに私は思っておりますので、先ほど来丁寧にお答えをさせていただいているところでございます。

寺田(学)分科員 地元の理解を得ていると考えているんですかと聞いているんです。

岩屋国務大臣 一部に反対の御意見があるということも承知をしておりますが、しかし、その中でも、ぜひこの事業は、最終的に普天間の全面返還、沖縄の基地負担の軽減を果たすために進めさせていただきたいというふうに考えております。(寺田(学)分科員「答えていないですよ、こんなの。シンプルな質問じゃないですか。そんなに難しい質問していないですよ。理解を得ているかどうかという政府の判断ですよ」と呼ぶ)

中山主査 では、再度、大臣、御答弁をお願いします。

岩屋国務大臣 シンプルに答えられる御質問ではないというふうに私は考えておりますので、私なりに誠心誠意答弁をさせていただいているところでございます。

寺田(学)分科員 イージス・アショアを置くときに、地元の理解が必須というシンプルな答えを出しているのはそっちじゃないですか。地元の理解が必須というのは、今隣で目をつぶっている小野寺さんが言っていたんですよ。それに対して、地元の理解を得るのが必須だと政府側が言っておいて、じゃ、沖縄に関して地元の理解を得ていると考えているんですかと言ったら、シンプルに答えられないと言われたら、秋田はどう考えればいいんですか。

 もう一回聞きます。

 地元の理解を得ていることが必須だと秋田で言っているんですよ。じゃ、同じように工事を進めている沖縄に関して、地元の理解を得ているんですかと。いや、得ていないけれども進めているという答えもあるでしょうね、得ているから進めているという答えもあると思いますよ、いずれ進めているんですから。

 自分たちでイージス・アショアに対して地元の理解が必須だと言っておきながら、同じような問いをほかのところでされたときに、シンプルに答えられないと言ったら、秋田だってシンプルに答えられないじゃないですか。自分たちで設定しているんですよ。

 もう一回聞きます。

 今回進めている沖縄の工事に関して、地元の理解を得ていると思いますか。

岩屋国務大臣 本当にシンプルに答えられない質問だと思うんですよね。私、専権事項という言葉を使うつもりはありませんが、国はやはり安全保障上の重大な責任を担っている。しかし、地元の皆さんの声もある。そのはざまの中でできるだけ最大限の御努力をいただく。その努力をしながら防衛政策というのは進めていかなければいけないというふうに思っております。

 沖縄においても引き続きその努力をしていきたいと思いますし、秋田においても、山口においても、その努力をしっかりとさせていただきたいと思っております。

寺田(学)分科員 努力は当たり前ですよ。そんなことは議論にもなっていないですよ。その上で、小野寺前大臣が地元の理解が必須と言われたんですから。努力が必須と言っているんじゃないですよ、理解が必須と言っているんですよ。

 聞き方を変えますよ。沖縄の工事には地元の理解が必須ですか、必須ではありませんか。

岩屋国務大臣 地元の理解というのは、なかなか一概に言い得ることではないと思います。ここは丁寧に申し上げなければいけないところだと思います。

 辺野古についても、さまざまな曲折がありました。知事さんからも市長さんからも、つまりは、当時、県民からも市民からも御理解を得ていたという時期もあったし、また、反対意見が強くなったという時期もあったんでしょう。

 そういう中で、国として、安全保障上の責任を果たしつつ地元のお気持ちに応えるにはこの道しかないということで、今、辺野古の作業は進めさせていただいているわけでありまして、いずれにしても、地元の御理解を得られるように、これからもしっかり努力をしてまいります。

寺田(学)分科員 得られるようにと今さら言って進めているわけですよね。では、得られていないんですか。

岩屋国務大臣 どちらの話をされて……(寺田(学)分科員「沖縄」と呼ぶ)沖縄については、さまざまな民意があると思いますけれども、普天間基地の危険性を除去し、返還を果たすための事業であるということを御理解いただいている方もいらっしゃると思います。

 私どもは、最終的に沖縄の基地負担が目に見える形で減ったなということを実現するために全力を尽くしてまいりたいと思っております。

寺田(学)分科員 真正面からもう少し向き合ってくださいよ。

 こういう場で言うことじゃないですけれども、うちの妻は大臣のファンなんですよ。介助犬の、犬の施設に行かれたのを覚えていますか。あのときの写真、私、持っていますが、非常に優しい目をされて。

 そういうところに目が届くというのは、防衛政策のみならず、そこに暮らしている、日々暮らしている方々の思いとかつらさとかということがわかるからこそ、そういう活動にも、以前、大臣、やられていたわけじゃないですか。

 秋田だって、新屋の目の前に住んでいる子供たち、山ほどいるんですよ。その子たちの顔とか想像してみてくださいよ。彼らが向き合うんですよ、これから。

 地元の理解を必須だと言っておきながら、沖縄ではこういう形ではぐらかされて、では、これから秋田でどういうふうに意見表明していこうかというときに、どうせ政府なんて言うことを聞いてくれないよねと思われたら、誰一人として幸せにならないですよ。

 大臣、大事なことです。ぜひ正面から向き合ってください。

 終わります。

中山主査 これにて寺田学君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。

鬼木分科員 質疑の機会をいただきましてありがとうございます。衆議院議員鬼木誠でございます。

 本日は、恐れ多くも、皇室についての質問をさせていただきます。

 今上陛下は御即位三十年を迎えられ、昨日も衆議院本会議において賀詞を奉呈させていただきました。陛下の御即位三十年に当たってのお言葉、また天皇誕生日でのお言葉は大変感動的なものでありました。皇后陛下とともに歩まれた天皇としての旅を終えようとしているという感慨を拝聴し、私も胸に迫るものがございました。私たち国民も、陛下とともに壮大な旅をお供させていただいたように思います。被災地の御訪問、戦没者の御慰霊、障害のある方への御理解とお励まし、世界の日系人との御交流と、そのお務めは本当にありがたい限りでございました。

 ここで外務省にお伺いします。

 国際社会において、日本の皇室はどういう役割を果たされているでしょうか。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 皇室が行われる国際親善の御公務といたしましては、天皇皇后両陛下あるいは皇族の外国御訪問を始め、賓客として訪れる外国の国王、王族、大統領などとの御会見、その他来訪される外国の要人などとの御引見、来日外交団の接遇など、さまざまなものがございます。

 このうち、外国の御訪問ということで、天皇皇后両陛下を始め、皇族方は国際親善として外国を御訪問されておりまして、天皇皇后両陛下におかれましては、直近では、平成二十九年にベトナムを御訪問になり、タイにお立ち寄りになられておられます。

鬼木分科員 本当にさまざまな国際親善の場面にお出ましいただきまして、各国で多大な歓迎を受けておられます。

 平成二十七年、戦後七十年での天皇皇后両陛下パラオ御訪問は、多くのパラオ国民から手厚く迎えられ、訪問日である四月九日は、ペリリュー州の祝日に定められました。世界の国々の日本国天皇への敬意は、時として日本人の想像以上のものがあります。

 その敬意の理由はさまざまございますが、その一つとして、二千年以上にわたって一つの血筋で皇統が継承されてきた。このことは、世界じゅうの国々から畏敬の念を持って見られております。

 日本は、王朝が一度も滅びることなく続いてきた唯一の国、現存する世界最古の国であります。現存するもので日本の次に古い王朝はデンマークであり、その起源は十世紀前半。その次に古いものがイギリスで、一〇六六年からの王朝だと言われております。これらの国々を圧倒的に超えて、長い時間日本の皇室が継承されてきたことを、世界の人々は驚きと敬意を持って見ているのです。

 さらに、日本の皇統のすばらしいところは、血筋がつながっているだけでなく、例外なく男系で継承されてきたということです。

 男系とは、父方の血筋がつながっていること、つまり、歴代全ての天皇は、その父、そのまた父、そのまた父をさかのぼっていくと、必ず神武天皇という共通のルーツに行き着きます。血筋がつながっているということの確かさとともに、どこからさかのぼってもルーツが明確である君主が現存しているということが、世界史上類例のない驚異なのです。

 皇室の男系継承とは、お父さんが天皇家の血筋であることであり、お父さんをさかのぼっていくと神武天皇に行き着くこと、これが男系継承の意味であり、日本の天皇が天皇である定義、天皇の天皇たるアイデンティティーなのです。

 日本の天皇が男系で継承されてきたことがどれほど重要であるかを述べさせていただきました。

 日本国憲法では、第二条に、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と定められています。この字面だけを見れば、皇位継承が男系であるべきか否かについて、憲法は価値中立的であるということになるのかもしれませんが、歴史的に、天皇とはそういうものではないということを私は申し上げたいし、昭和二十一年の制憲議会以来の答弁でも、世襲とは男系継承の意味であるという答弁が積み上げられてきたはずであります。

 平成二十九年十月に内閣法制局がまとめた憲法関係答弁例集では、平成二十九年六月一日の横畠内閣法制局長官の答弁だけが紹介されています。憲法二条の世襲とは、皇位が代々皇統に属する者によって継承されるということ、皇統と申しますのは、天皇の血統、血筋ということとだけ説明されています。

 憲法に書いてある文言だけを見れば、そうとしか読み取れないのかもしれませんが、後に申し上げますが、皇族というものは必ず男系によって継承されてきましたので、皇統という憲法上の用語も、当然に男系という意味を含んでいたはずです。これを曲げてはいけないと私は考えます。

 ここに、安倍総理が官房長官を務めていたときの国会答弁を引用させていただきます。「男系継承が古来例外なく維持されてきたことを認識し、その事の重みを受けとめつつ、皇位継承制度のあり方を検討すべきものである、」とおっしゃっています。

 政府は、皇位継承についての男系継承の重みをいかにお考えになりますでしょうか。お答えください。

菅国務大臣 安定的な皇位の継承を維持するということは、国家の基本にかかわる極めて重要な問題であると認識しています。男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行っていく、その必要があるというふうに思います。

鬼木分科員 ありがとうございました。

 そういうありがたい男系継承の重み、認識いただいているということで、ありがたく思います。

 現在、皇室についての重要な課題として、公務の御負担問題と皇位の安定継承問題、大きく分けて二つの課題がございます。

 公務の御負担問題とは、女性皇族が御結婚なさった場合、皇族を離脱されるため、皇族の数が少なくなった結果、皇室に残られた方々の御負担が過重になっているという問題です。

 また、皇位の安定継承問題とは、男性皇族が減った現状で、このままでは皇位を継承できる人がいなくなってしまうのではないかという問題です。

 それらに対して、女性宮家の創設という案が出てきました。ところが、この女性宮家なるものが具体的には何を指しているのかがわかりません。今上陛下の御譲位を可能にするための法律である、天皇の退位等に関する皇室典範特例法に対して附帯決議がなされました。そこでは女性宮家という言葉が出てきましたが、この女性宮家という言葉には定義はあるのでしょうか。お答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる宮家とは、独立して一家をなす皇族に対する一般的な呼称でありまして、法的な制度として位置づけられてはいないものと承知をいたしております。したがいまして、御指摘の女性宮家につきましても、法的な制度としては位置づけられていないものと承知をいたしております。

 以上でございます。

鬼木分科員 宮家というものがそもそも法的な制度として位置づけられていないということがわかりました。

 附帯決議では、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、本法施行後速やかに、皇族方の御事情を踏まえ、全体として整合性がとれるよう検討を行い、その結果を速やかに国会に報告することとされています。

 辞書、広辞苑によれば、宮家とは、宮家、皇族で宮号を賜った家、終戦前は十四家があったが、現在は三笠、常陸、秋篠、桂、高円の五宮家とあります。

 皇室典範では、女性皇族は結婚と同時に皇籍を離脱するので、宮家の当主として残ること自体があり得ません。したがって、女性宮家という言葉は自家撞着であり、論理的に成り立ちません。

 宮家は歴史上常に男性によって継承されました。そして、天皇直系の家に跡継ぎの男子がいなくなった場合、男系をさかのぼり、一番直系に近い血筋の皇族によって皇位が継承されました。その血筋を男系でさかのぼることのできる血族が宮家だったわけです。宮家とは、天皇家の男系の血筋を絶えさせないための知恵、仕組みだったのです。

 女性宮家を主張する方は、女性皇族が結婚しても皇族身分を維持して宮家を引き継ぐということを想定しているかもしれませんが、そうなると、その女性が産んだ子供は女系であります。父方が天皇家の血を引いていないということになります。女系だと、お父さんの血をさかのぼっていったときに、神武天皇まで行き着かないのです。もし仮に女系の方が天皇になったとすれば、父方の血筋をたどっていけばルーツが明らかになっていた皇統が、父方に行ったり母方に行ったりしないとルーツがわからないようになってしまうことになります。

 また、女系を容認するヨーロッパの国では、家系が女系に移ると王朝名が変わります。王朝の交代という、日本がかつて経験のしたことのない激変が起こることになります。そういうことが起こらないように男系継承を明確にすべく、女性皇族は結婚と同時に皇籍を離脱なさるのです。したがって、日本の歴史上、女系天皇というものは一人も存在しておりません。

 また、海外の歴史を見れば、男系継承と女系継承を両方認めたがために、王位継承を争う戦争が起こっております。英仏百年戦争、イギリスのバラ戦争などです。こうした争いを防ぐためにも、皇位継承のルールをきちんとつくり、守り続けてきたのが日本の先人の知恵であり、偉大さと言えるのではないでしょうか。

 明治における井上毅の例を挙げたいと思います。

 明治維新後、我が国は近代国家としての制度を整えていきました。それまで不文の伝統に基づいてきた皇位継承の方法についても明文化する必要が出てまいりました。その際考慮されたのは、当時我が国が模範として学ぶべき対象と考えていた西欧諸国が、女系による王位継承を認めていたことでした。

 明治十九年ごろ、宮内省は、西欧の王位継承法を取り入れようとした女系の皇位継承を認める案を立案しましたが、井上毅は、一官僚として謹具意見と題する反論の意見書を伊藤博文に提出いたしました。

 井上毅の反対論を現代的に表現すると、以下の三点となります。

 一つ、西欧の王位継承は、土地相続法の考えから来ているため、女系による王位継承を名目に国家間の争いを招き、他国の王位を奪うことさえもある、我が国の導入はできないということであります。他国の王位を奪うことさえもあるというのは、裏を返すと、自国の王位を他国に奪われることすらあるということであります。

 そして、第二点。女系制度を導入するオーストリアやイギリスは、女王に夫を迎えたとき、王朝名をその男性の家名に変える伝統があるため、異姓の子孫が王位を継ぐことになり、イギリスは二百年間に四度も王朝交代した、女系導入は皇統の断絶を招くおそれがあるというのが反対論の二です。

 そして、三番目。西欧において、女王の子が王位を継いで新しい王朝名になるのは、血統さえつながれば、前王朝名を継承することにはこだわらないという伝統から来ている、我が国の皇位継承のあり方は、既に祖先から受け継いできたものがあるので、西欧をまねてはならないというのが第三の反論であります。

 その結果、井上毅は、古来より伝えられてきた不文の法を三つの原則にまとめて、皇室典範において示しました。

 一つ、皇祚を踏むは、皇胤に限る。つまり、皇位を継ぐことができるのは、神武天皇の血筋を引く御子孫に限るということ。そして、一つ、皇祚を踏むは、男系に限る。皇位を継ぐことができるのは、男系に限るということ。そして、一つ、皇祚は一系にして分裂すべからず。天皇の御位は、第一代神武天皇にさかのぼることができる一つの家系で継承されなければならず、皇統は分裂してはならない。この三原則を皇室典範に示し、日本の伝統を守ったわけでございます。

 公務御負担問題と皇位の安定継承問題の解決に当たっては、これまでるる述べてきた男系継承の歴史の重さを踏まえた上で答えを出すべきだと改めて訴えさせていただきたいと思います。

 また、それではどう解決するのかということにつきましては、公務の御負担問題については、結婚して皇籍離脱した女性皇族がその一代に限り引き続き公務を御負担いただくということなら可能なのではないかと提案したいと思います。皇族という身分は離れた上で、特別公務員などといった形で公務についていただくという案でございます。

 また、皇位の安定継承問題については、皇位継承の対象となる皇族、皇族となれば男系男子ということになりますが、その数をふやすことが必要かと思われます。戦後、GHQによって臣籍降下を余儀なくされた旧皇族もおられます。先ほど述べたように、皇位継承のルールというものは大変よく考えられてつくられたものでありますから、できるだけ皇室典範に手を加えることなく皇族の数をふやしていく手だてを考えていきたいと思います。また、それがさきの皇室典範特例法の附帯決議に応える道であると確信いたしております。

 しかし、附帯決議によると、まずその検討を行うのは政府であります。政府におかれましては、日本の皇室が紡いできた歴史の価値を損なうことなく未来に引き継いでいくことができますように、御理解をいただきたいとお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

中山主査 これにて鬼木誠君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。足立康史君。

足立分科員 ありがとうございます。日本維新の会の足立康史でございます。

 憲法九条の議論も国会でいろいろ行われている、まあ停滞ぎみでございますが。日本維新の会、そして私たちは、やはりしっかりとこの憲法九条、自衛隊を明記していく、これは与党とも協力しながら進めていけたら、こう思っていますが、きょうはその関連ということで、憲法論ではありません。そうではなくて、国のために戦い、そしてとうとい命を犠牲にされた方々にしっかりと尊崇の念をあらわしていくというのは、私は当然だと思いますが、なかなか今の日本はそういう形になっていないという現状があるものですから、改めて、きょうは菅官房長官にもおいでをいただいて、確認をさせていただきたい、こういうことでございます。

 実は、大阪に真田山陸軍墓地というのがありまして、予算もつけていただきました。昨年の、橋下前代表、松井知事、特に吉村市長、そして衆参の維新の会の国会議員がいろいろ国会でも取り上げ、また、馬場幹事長始め我が党から菅官房長官にも直接お願いをし、予算もつけていただきました。

 まず、感謝を申し上げたいと思いますが、事務方からで結構ですから、この旧軍墓地に関する点検結果の概要、それから予算措置に至った経緯、簡単、簡単でもないな、それなりに御紹介をいただきたいと思います。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 旧軍用墓地につきましては、昭和二十年の陸軍省、海軍省廃止に伴いまして、当時の大蔵省に引き継がれ、国が地方公共団体に無償貸付けを行い、借り主である地方公共団体又は遺族会等が維持管理を行うという整理がなされたものでございます。

 こうした経緯を踏まえ、国有財産であります旧軍用墓地につきましては、地方公共団体等が日常的な管理を行い、国は財産の所有者といたしまして工作物の修繕等を行ってきたところでございます。

 このような中、一部の旧軍用墓地において、昨年夏の台風によりまして、木が倒れ、墓石が倒壊するなどの被害が見られたことから、厚生労働省と協力し、昨年十月より、改めて全国で八十六カ所の全ての旧軍用墓地の状況につきまして、財務局より地方公共団体にヒアリングを行うとともに、現地確認を行うなどの点検作業を行ったところでございます。

 その結果、基本的には、草刈りや樹木剪定などの通常の管理は行われていたものの、一部で、老朽化し耐震性に劣る納骨堂や、災害で損傷した慰霊碑、さらには、倒壊の危険のある墓石などの修繕を要すると見られる工作物が確認されたところでございます。

 その上で、二つ目の御質問の点でございますが、予算措置につきましては、このような点検結果を踏まえまして、真田山旧陸軍墓地を含みます旧軍用墓地について、地方公共団体と国の役割分担の明確化を図るとともに、国有財産の管理に係る経費を拡充し、計画的に工作物の修繕を実施することとしたところでございます。

 委員御指摘の真田山旧陸軍墓地につきましても、老朽化が見られる納骨堂の修繕を行うなど、関係者と協力しながら適切に管理を行っていくこととしているところでございます。

足立分科員 ありがとうございます。

 今御紹介があったように、これは日本維新の会、そしてきょうおいでの菅官房長官のリーダーシップでこういう形で予算をつけていただいたということで、きょうは、おいでをいただいたのは、改めて感謝を申し上げたい、こういうことでございます。

 今御紹介をいただいたそういう整理に今はなっているわけですが、その背景には、大蔵、自治両省の次官通牒があります。この両省次官通牒の、まあ書いてあるとおりなんですけれども、何でそういう整理になっているか。この次官通牒がそういう内容で発出された背景等、御調査が進んでいれば教えてください。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 旧軍用墓地につきましては、御指摘の昭和二十一年の大蔵、内務次官通牒におきまして、旧陸海軍から引き継がれた後の管理方針が規定されておりまして、一つには、旧軍用墓地は都道府県又は地元市町村に無償貸付けする、また、二つ目としまして、旧軍用墓地の維持管理は地方の実情に応じ都道府県又は市町村、宗教団体、遺族会等が行うなどの方針が示されているところであります。

 この方針に基づきまして、現在、旧陸海軍から引き継がれた旧軍用墓地のうち、約半数の四十四カ所は基本的に地方公共団体に無償貸付けをしておりまして、残りの約半数の四十二カ所は地方公共団体等に移譲しているところでございます。

 背景を調査するため、委員からの御質問もございましたので、次官通牒に関する資料を探したところでございますが、今から七十年以上前の戦後直後のものでございまして、その発出の背景などが確認できる資料は見つからなかったところでございます。

 ただ、この通牒には、地方の実情に応じ適切なる処理を実施するよう注意すべき旨の記載もあることから、旧軍用墓地につきまして、それぞれの墓地の特性や遺族の御意向など地域の実情に応じてきめ細やかな対応を行うには、地元の地方公共団体が管理の担い手としてふさわしいという判断があったのではないかというふうに考えているところでございます。

足立分科員 一応、大蔵、自治ですから、総務省からも一言お願いします。

武田(博之)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生には、昨年十二月、総務委員会の場でもお尋ねいただきました。その後、御指摘の当時の通牒の背景、経緯を確認できる資料を探す努力をしたところでございますけれども、いまだに確認できる資料は見つかっておらず、当時の経緯を確認できていない状況でございます。

足立分科員 ありがとうございます。

 そういう状況なわけですが、私は、時期等も考えると、やはりGHQの占領下、占領政策の影響は否めない、私の私見ですけれども、そういう推測をするわけであります。

 むしろ、いろいろな場で総理からもおっしゃっていただいているように、国のために戦って、そしてとうとい命を犠牲にされた、落とされた方々に、しっかりと手を合わせ御冥福をお祈りし、尊崇の念を表していくというのは、これは国として、国民として、国会として、そういうことがしっかりとなされるように、できるようにするというのは、これは国の存立の基盤だと私たちは思っているわけです。

 戦後のそういう占領政策の影響、これは私の私見ですが、の中で、地方自治体に今追いやられているこの旧軍墓地、まあ全てとは言いませんが、例えば真田山は立派な墓地です。すごく立派な墓地です。この陸軍墓地、旧軍墓地を、一部でも結構ですが、私はこれを国立化すべきだ、こう思いますが、菅官房長官。

菅国務大臣 昨年いただいた維新の皆さんからの要望書についても、そうしたことが書かれておられました。恥ずかしい話ですけれども、私自身、こうした要望を受けまして初めて軍用墓地の存在というものを知り得るということでありました。

 いろいろ調べてみますと、まさに、戦没者の御冥福を祈って、尊崇の念を表する、そしてこの軍用墓地、これについては政府として責任を持って対応する必要があるというふうに判断をいたしまして、とりあえずは財源措置はさせていただきました。それと同時に、全国の墓地を総点検をさせていただきました。

 そういう中で、財源的支援というのは、ある意味では国は当然のことだというふうに思っていますし、そのあり方でありますけれども、そこは地方公共団体と協力しながら適切に処理していかなきゃならないというふうに思っております。

足立分科員 ありがとうございます。

 まさに、現状は、経緯がありますから、例えば真田山の旧陸軍墓地については、国と大阪市、大阪府も関係あるのかな、国と大阪市で連携しながら、今こうして必要な修繕とかやっているわけです。

 官房長官、通告からちょっとそれますが、国立化、私はそれを、もうここまでコミットしていただいているわけだから、やはり国立化に手をかけていくべきだ、こう思っているわけです。急にここで、では、国立化しようというわけにはそれは官房長官もいかないと思いますが、やはり歴史がありますから、一歩一歩そういう戦後の経緯というものを乗り越えていく取組をやはり政府にもお願いしたいし、また我々維新の会も、また大阪もしっかり頑張っていきたいと思っているんです。

 例えば、六月にG20があります。後でちょっと質問しますけれども、今、外国の要人の方が日本に来られても、例えば安倍総理がアメリカに行くとアーリントン墓地に献花をします、これは当たり前のようにされますが、実は、日本に来られた世界の首脳方が献花をする場所が日本にはないんですね。実際されていませんよ、ほとんど。

 例えば、G20に合わせて、なかなか人数も多いからあれかもしれませんが、いろんなアレンジメントがあると思います。これは通告していませんから率直なところで結構なんですが、例えばG20に合わせて、真田山旧陸軍墓地に世界の首脳方に例えば献花をいただくような機会をつくるとか、これは検討だけでもいただけないかなと。これはジャストアイデアです、ジャストアイデア。ちょっと一言お願いします。

菅国務大臣 いずれにしろ、G20を大阪で開催をさせていただきますので、地元と調整をしながらさまざまな行事も行っていくことになっておりますので、そういう、自治体とも相談をしながらということにはなるんだろうと思います。

足立分科員 ありがとうございます。

 今、通告もなしで提案をさせていただきましたが、委員長も大阪で、中山先生、いつもお世話になっています。政府・与党一体でこのG20を成功させる。かつ、それはいろんな意味合いがありますが、特に、新しい、サイバーとかそういうテーマも上がっているようでございますが、やはり世界の首脳が大阪に来られる。大阪としては、やりたいことはたくさんありますが、その一つとして、真田山旧陸軍墓地にそういう形で諸外国の首脳に献花をいただければこんなうれしいことはないな、こういうことでございます。

 官房長官、ここまでは具体的な話ですが、一般論として、小泉政権のころ以降というかその直後かな、国立追悼施設、国立墓地についていろいろ内閣官房の方で議論もあったかと思いますが、これはその後は余り議論されていないようにも承知していますが、現時点で、この国立追悼施設、国立墓地についての政府の見解を教えてください。

菅国務大臣 国立の追悼平和祈念施設でありますけれども、遺族の皆様を始め多くの国民に理解をされ、敬意を表されるものであること、このことがやはり重要だと思っています。

 さまざまな御意見があることから、国民世論の動向を見据えながら慎重に検討を進めるべきものだというふうに考えております。

足立分科員 我が党の前代表の橋下徹氏が、憲法二十条改正ということをおっしゃっています。我が党としてちゃんと議論したわけではありませんが、国立追悼施設、国立墓地に関するかねてからの内閣官房での御議論あるいはいろんな国会での議論でも、やはり靖国神社をめぐるさまざまな議論もあって、なかなか、きょう取り上げているように、こういう、国のために戦われた方々に尊崇の念をあらわす場が、特に場がない。総理も紆余曲折があるし、今上陛下におかれてももう御代がわりを迎えるわけですが、平成の時代にしっかりと天皇陛下にも、今上陛下に靖国に、何と申し上げるのかわかりませんが、参拝をいただくこともできていないわけであります。

 そこの環境整備をするのが政府そして国会の、やはりそこをほったらかしにしていたら私たちはあかんと思っていまして、橋下前代表の問題提起は、憲法二十条の信教の自由、政教分離の例外をつくってでもいいからこの議論を前に進めたらどうかというような議論を、ちょっとこれは私の解釈ですから正確じゃないかもしれませんが、そういう議論があります。

 御所感がありましたら。

菅国務大臣 宗教法人である靖国神社のあり方について、政府としては見解を申し上げる立場じゃないというふうに思っています。

足立分科員 国立追悼施設、国立墓地については以上にさせていただきます。

 最後に、外務省かな、先ほど私、G20の折にぜひ真田山旧陸軍墓地に世界の首脳に献花をいただく等の形がとれればすばらしい、こう申し上げました。今、外国の要人が日本にいらっしゃったとき、例えば安倍総理がアメリカに行かれるとアーリントン墓地に献花をする。世界の首脳が日本に来られたときは、これはどうなっているんですかね。外務省、お願いします。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしまして網羅的に把握しているわけではございませんが、国立の施設としての千鳥ケ淵の戦没者墓苑に限って申し上げますれば、例えばイギリス連邦の戦死者墓地委員会の副会長ですとか、米国国防省戦争捕虜・行方不明調査局長官、それからアメリカの国務長官及び国防長官が訪問し、献花した例があると承知しております。

足立分科員 例えば、アメリカの大統領の献花等はないんでしょうか。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもで調べました限りにおきましては、その事実は見当たっておりません。

足立分科員 こういう現状に対して、戦後七十年余り、そろそろ、そして憲法も改正の手続に入っていこうという中で、やはり私たち国会の、国民の代表たる国会の責任として、こうしたテーマについて一歩でも前に進めていく。そのためにも、菅官房長官を始めとする政府にもぜひこの趣旨について御理解を賜って、きょうの私の提案、また御一考をいただけたら、こういうことでございます。

 テーマ二つ目が、戦争被害の補償法制です。

 現状、どうなっているでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 国と雇用関係にあった軍人軍属等が公務等による傷病によって死亡した場合等には、国が国家補償の精神に基づいて補償を行うという仕組みがございます。

足立分科員 一般の国民に係る被害については、お答えできる方、いらっしゃいますか。

八神政府参考人 空襲等によります一般戦災者に対しましては、一般の社会保障施策の充実等により対応し、個別の補償は行わないという方針で対応してきたものというふうに承知しております。

足立分科員 今おっしゃったとおりですが、そういう戦争被害に係る国内補償制度、日本はそういうことです。

 欧米の先進国、G7でもG8でもG20でもいいんですが、欧米における戦争被害の補償法制と比較したときに、日本の補償法制はないに等しい。でも、それは世界のグローバルスタンダードからいえば大変特異で、普通は、やはり戦争被害の、一般の、だって戦争というのは自国民を守るためにやっているわけですから、その自国民に係る被害については補償法制があるのが普通だというのが私の理解です。

 日本はない、それは大変特異なことでありますが、そういう認識でよろしいですか。通告の十一番です。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 戦争で亡くなった方の御遺族に対する施策につきまして、国としてどういう措置を講ずべきかというのは、その国の歴史的事情によって異なるものというふうに考えてございます。

足立分科員 こういう御答弁を、この第一委員会室でやっている予算委員会の第一分科会においてさえ、そこで手を挙げていただいているのは厚生労働省です。ここに今の日本の補償法制の大変大きな限界があるわけでありまして、本当は防衛省なり外務省なり内閣官房なりということになるはずでございますが、今答弁できる内容を持っているのは厚生労働省だけなんです。これがやはり日本の異常さ、日本の戦争被害の国内補償法制の現状の特異さ、おかしさを物語っていると私は思っています。

 官房長官、こういう補償法制、私はしっかり整備をすべきだと思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 国民的議論が必要な、極めて大きな問題だというふうに受けとめています。

足立分科員 何らかの御検討に着手をいただく余地はないですか。

菅国務大臣 政府として、現時点では考えておりません。

足立分科員 官房長官、私は、僣越ながら、一介の議員でございますが、やはりこれから、特に維新の会は、自民党と一定の足並みもそろえながら、やはり憲法九条を改正していこう、自衛隊を明記していこう、そこでは足並みがそろっているわけであります。

 私は、それは自民党、維新の会だけじゃなくて、これは国として当たり前のことだと思っていますし、補償法制については、これは自国民を守るという国の機能、役割、責任において、諸外国で当たり前のレベルまで、少なくとも諸外国の法制を勉強するぐらいは、きょうはなかなか勉強もできていないんです。

 政府として、諸外国の法制をしかるべき部署でしかるべき形で掌握をしていく、この点だけでもお願いできないですか。

菅国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありますけれども、そうした委員の意見を受けとめておきたいと思います。

足立分科員 こういう国会での議論を契機に、またいろいろな動きが出てくることを心から期待をいたしたいと思います。

 残る時間は、今の補償法制の関連で、日韓請求権協定、日ロ平和条約について、一言確認をさせていただきたいと思います。

 日韓請求権協定の締結に伴う国内補償はどういうことになっていたか、御紹介をいただけますか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 日韓間の財産請求権の問題は、一九六五年に締結された日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであるというのが我が国政府の一貫した立場でございます。

 その一方で、この協定はそれぞれの国内における補償をどうするかについて定めたものではなく、御指摘の日本国民の財産等に関する韓国による措置及び日本国民の全ての請求権についていかなる主張もすることはできなくなったことについて、過去に補償が行われたことはございません。

足立分科員 これが政府の立場でありますが、一方で、水産庁は一定の補償措置を講じています。これは、内容を簡単に御紹介いただくとともに、どういう理屈で補償がとられたのか御紹介ください、農水省。

太田政府参考人 お答えいたします。

 韓国に拿捕されました漁船にかかわる船主及び抑留乗組員等に対して支給するために、昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)において、だ捕漁船船主乗組員等特別給付金を措置しております。この給付金制度によりまして、拿捕された漁船の船主及び乗組員等に対して約三十八億円が支給されております。

足立分科員 いや、だから、その理屈は何ですか。それは、外務省は、国内補償法制はないし、日韓請求権協定に伴う国内補償はないということですが、水産庁が行った補償措置はどういう理屈なんですか。

太田政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと、五十年以上前の古い話でございますので、経緯等はつまびらかではございませんけれども、当時は補償金ではなくて特別給付金として拿捕された漁船船主や乗組員等に対してお金が交付されていたという整理でございます。

足立分科員 結局、こういう体制が、現下の日韓両国に横たわる、日韓請求権協定に係るさまざまな混乱、私は日本政府の立場が当然だとはもちろん思いますが、こういう国内補償に関しては、日本も十分な対応を、まあ十分じゃないというのは私の私見ですが、しかとれてきていない中で、どこまで国際的な、世界の中で、世界に言うべきことを言い、そして日本の繁栄を維持拡大していけるかということについては、少し心もとないなという印象を持ちます。

 最後に、日ロ平和条約の締結の議論が今あります。日ロ平和条約の締結に伴う国内補償の要否について見解をお願いします。

宇山政府参考人 現在、日ロ間で平和条約締結交渉が行われている中で、我が国の交渉方針や考え方につきまして交渉以外の場で申し上げることは、交渉に悪影響を及ぼすことになり得ますので、お答えすることは差し控えさせていただきます。

 いずれにしましても、政府として、領土問題を解決して平和条約を締結するという基本方針のもとで、引き続き粘り強く交渉してまいります。

足立分科員 では、時間が来ましたので終わりますが、官房長官、きょうは、お忙しい中お出ましをいただいて、ありがとうございました。また、いろいろ御指導賜りまして、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

 ありがとうございます。

中山主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 次に、津村啓介君。

津村分科員 国民民主党の津村啓介でございます。

 本日は、皇位の安定的継承に関しまして男系女子の皇位継承、また、日本尊厳死協会の公益法人不認定、裁判官の訴追、以上三点について順次御質問させていただきます。

 まず、皇位の安定的継承についてでありますけれども、今、日本の皇室は、その安定的な継承について大きなリスクを負っている状態だと思います。識者の中には天皇制存続の危機だという表現をされる方もいらっしゃるほど、厳しい状況にあります。私たち国会議員は、今の現状にもっと大きな危機感を持って、しっかりと議論するべきだと私は思っております。

 私は、女性宮家の創設、そして、男系に限定いたしますけれども女性天皇の議論を始めるべき時期が来ていると考えております。

 そうした問題意識から、以下、宮内庁、そして菅官房長官に御質問をさせていただきます。

 まず、西村宮内庁次長に伺わせていただきますけれども、皇嗣の地位にあられる方が皇位継承を辞退する場合の法的根拠について伺いたいと思います。

 数十年後に予想される次の御代がわりを想定いたしますと、皇嗣の地位にある方の意思が大変重要なポイントになる可能性がございます。例えば、皇嗣の地位にある方が、生前退位、譲位を仮に当時の陛下がされるとなった場合に、世代が近い等の、高齢などを理由に皇位の継承を望まないという意思を公に表明されるなどした場合に、これは皇室典範の中でどのように解されるのか。

 私が皇室典範を読んだ限りでは、第三条の定める重大な事故に該当するのかしないのかというのが一つの論点になると思いますけれども、宮内庁の考え方をお聞かせください。

西村政府参考人 お答えいたします。

 委員お尋ねの件につきましては、将来の時点における皇嗣殿下の御意思の表明という仮定を前提にした御質問であり、宮内庁としては回答を控えさせていただきたいと思います。

津村分科員 わかりました。結構でございます。

 ただ、こうした論点は決して非現実的な想定だとは私は思っておりません。宮内庁として、この国の根幹にかかわる重要な部分について、皇室典範を所管されているということですので、さまざまな内部的な検討をお願いしておきたいと思います。

 続きまして、菅長官に伺わせていただきます。

 皇位継承を男系男子に限定する根拠についてでございます。

 こうした議論は、戦後長く議論されてきたテーマでございまして、新しいものではありません。

 平成四年四月七日に、当時の加藤紘一官房長官は、皇位継承資格を皇統に属する男系男子に限定する根拠として、少し長い答弁をされましたけれども、とどのつまりは、象徴天皇制度の基礎にある伝統という歴史的な要素と国民意識、国民の気持ちという、いわば日本国憲法の精神のような、この二つの要素を挙げて答弁をなさっていますけれども、現在、官房長官はこの根拠につきましてどう整理されているんでしょうか。

菅国務大臣 憲法第二条において、皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところによりこれは継承されるということになっております。また、皇室典範第一条は、皇統に属する男系男子が皇位を継承するということになっております。

 このように皇位継承を男系男子に限定する制度を採用しておりますのは、男系継承が古来例外なく維持されてきたという我が国の古来の伝統を踏まえたものであり、御指摘の平成四年の答弁も同様のことを申し上げたものだというふうに思います。

津村分科員 長官、今、男系について、古来例外なくというお話をされましたが、私は男系女子の話をしているのでありまして、男系男子か女子かということが大きなきょうの質問のポイントでございます。その点を踏まえて、再答弁をお願いします。

菅国務大臣 ですから、今申し上げましたように、まさに、皇位継承を男系男子に限定する制度を採用しているというのは、男系継承が古来例外なく維持されてきたという我が国古来の伝統を踏まえてきている、そういうふうに思います。

津村分科員 加藤長官の答弁に私はあえて触れさせていただきましたけれども、その答弁を踏襲されるという意味ですか。加藤長官の答弁を踏まえながら、御答弁をお願いしたいと思います。

菅国務大臣 加藤当時の官房長官は、皇位継承が男系男子に限定されていることと男女平等の原則についての質問に対して、皇室の問題は日本の伝統に基づいたものであり、男女の平等と別個に論じられるべきものであるというのが国民の気持ちではないかという趣旨の答弁をされたものと承知をしております。

 いずれにしろ、皇位継承を男系男子に限定する制度を採用しているのは、先ほど来申し上げていますけれども、男系継承が古来例外なく維持されてきたという我が国古来の伝統を踏まえたものであり、加藤当時官房長官の答弁も、同様のことを述べたんだろうと思います。

津村分科員 今触れていただきましたとおり、加藤長官はそのように述べられ、それについて、皇室関連法、皇室典範の恐らく我が国における最も権威ある概説書であります園部元最高裁判事の「皇室法概論」には、この加藤答弁を例示しながら、現行制度は、象徴天皇制度の基礎にある伝統と国民意識、加藤さんの言い方では国民の気持ちですね、この二つの要素をもって男系男子に限定する根拠としているという記述をなさっておられます。

 それを踏まえて申し上げるんですが、この象徴天皇制度の基礎にある伝統、今長官おっしゃられたように、繰り返し、過去の全ての歴史において男系で継承されてきたというのは私もそのとおりだと思うんですが、その中で男系女子の継承の伝統もあるわけで、男系男子が多いわけですけれども、いわばピンチヒッター的な位置づけで男系女子の歴史が我が国にはございます。

 また、国民意識、国民の気持ちということであれば、女性天皇を容認する国民世論というのも、直系の皇族であらせられる敬宮愛子様が健やかに御成長されている、そして多くの国民が温かいまなざしで御成長を見守っているという中で、そうした国民感情というのも芽生えつつあると私は思っております。

 そういう意味で、男系男子に限定するというこれまでの政府答弁の根拠は前提が変わってきているというふうなことを指摘させていただきたいと思いますし、そのことを菅長官はどうお考えになっているのか、今後どうお考えになられるのか、伺いたいと思います。

菅国務大臣 極めて重大な問題であるという認識はいたしておりますけれども、皇位の継承を維持することは、国家の基本的にかかわる極めて重要な問題であって、男系継承が古来例外なく維持されてきたというその重みを踏まえた上で、慎重かつ丁寧に検討することが重要だと思います。

津村分科員 ちょっとかみ合っていないところがございますけれども、古来の伝統を非常に重視するということは私もそのとおりだと思いますし、加藤さんの答弁、あるいは今の菅長官の答弁を何ら否定するつもりはございません。その上で、今長官もおっしゃられたように、男系の伝統はそのとおりで、私もそれを踏まえた男系女子ということを議論させていただいているわけですから、そのことは踏まえていただきたいと思います。

 その上で、最後の御質問といたしますけれども、女性宮家の創設について。

 特例法附帯決議で、法施行後速やかにとなっているわけですが、いよいよ五月一日に特例法が施行されます。もう間もなくそのタイミングが訪れますし、検討する環境整備のためにはそろそろ重い腰を上げていただく必要があると思いますけれども、今後の皇位の安定的継承をめぐる政府サイドにおける議論の準備、スケジュールについて伺いたいと思います。

菅国務大臣 衆参両院の委員会で可決された附帯決議では、政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、また、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情を踏まえ、全体としての整合性がとれるよう検討を行い、その結果を速やかに国会に報告する、いわゆる平成三十一年四月三十日以後速やかに、そういう附帯決議であります。

 政府としては、まずは、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が国民の皆さんの祝福の中で滞りなくとり行うことができるように全力を尽くし、その上で、今申し上げました衆参両院で可決された附帯決議の趣旨を尊重して、対応してまいりたいと思います。

津村分科員 ありがとうございます。

 もう私の所見を述べて終わりますけれども、最初に申し上げましたように、天皇制の大きなリスクといいますか、今の皇族の皆様の公務の範囲、あるいは安定的な継承という姿を私たちの世代やその次の世代で大きく損なわせてはならないと思っておりますし、そのための菅長官の責任といいますか役割は大変大きいものと思いますので、私は、もう何度も今まで菅長官と、五回か七回かわかりませんが、お話をしてきておりますけれども、この問題、ぜひ早急なお取組をお願いしたいと思います。

 これで菅長官への御質問は終わりますので、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

中山主査 どうぞ、長官、御退席いただいて結構でございます。

津村分科員 続きまして、日本尊厳死協会の公益不認定の問題について取り上げていきたいというふうに思います。

 まず、経緯を少し御紹介させていただきますと、二十八年十二月に、内閣府の公益認定等委員会は、日本尊厳死協会の公益法人認定の申請につきまして、これを認定することはできないという判断を下されました。その後、東京地裁に協会がその不認定処分の取消しを求めて裁判を起こしまして、東京地裁は、原告勝訴の判断、これは公益認定等委員会としては初めての敗訴だそうですけれども、そうした判断を下されました。

 公益認定等委員会の不認定理由は、終末期医療における延命措置の中止等について明確な法的位置づけがなされていない現状においては、医師等医療関係者は常にその行為が刑事上その他の責任に問われる可能性をそんたくし、慎重な判断を求められているものと考えられるという現状認識を示しています。

 他方、この点につきまして、東京地裁は、二〇〇七年策定の厚労省のガイドラインの役割を評価して、本件登録管理が公益目的事業と認められた場合であっても、医師等が厚労省や日本医師会等による各ガイドライン等に従って延命措置の中止等を行う限り、刑事上、民事上又は行政上の責任を問われる可能性が増大するとは解されないという判断を示しています。

 これは、厚労省の二〇〇七年のガイドラインというものが、尊厳死、安楽死に関して、これまで刑法上の刑事免責ということについて法務省が重い腰を上げてきていない中で、厚労省が現場の医師の方々の一つの判断のよりどころとするために策定したガイドライン、これについての評価がまさに公益認定等委員会と東京地裁で真っ向から対立をしておりますし、この評価は厚労省にとっては非常に重要な分かれ道だと思います。もしこれが公益認定等委員会が言うような明確な法的位置づけがなされていないという低い評価にとどまるのであれば、厚労省は見直しをしなきゃいけないということになると思うわけですけれども、厚労省は、このガイドラインの評価について、みずからどのように評価されているでしょうか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 人生の最終段階における医療、ケアにつきましては、医療従事者から適切な情報提供がなされた上で、本人、家族と、そして医療、ケアチームが十分な話合いを行いまして、本人の意思決定を基本として行われることが何よりも重要である、そのように考えております。

 そのため、厚生労働省としましては、昨年度開催した人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会での議論を踏まえまして、本人の意思は変化し得るものでございまして、医療、ケアの方針についての話合いは何よりも繰り返すことが重要であること、そして、本人がみずからの意思を伝えられない状態にある、そのような状態になる可能性があることから、本人の意思を推定し得る家族等の信頼できる者も含めて事前に繰り返し話し合っておくことが重要であること、これらと今後の高齢社会等に対応できるよう、二〇一八年三月にガイドラインの改定を行ったところでございます。

 このガイドラインにつきましては、人生の最終段階における医療、ケアの現場において、本人の意思を尊重するための基本的な手続を整理したものでございまして、医療、介護の現場に対し一定の方向性を示した、そのように考えているところでございます。

 なお、先ほど御指摘の刑事や民事の係争につきましては、裁判所の所管、所掌に属するものでございまして、コメントは差し控えたい、そのように存じております。

津村分科員 現在の、最近見直された厚労省のガイドラインは、現場の医師の意思決定に際して十分なものとなっている、政務官はそう思っていらっしゃるわけですね。

新谷大臣政務官 今は、先ほども申し上げたところでございますけれども、そういった検討会がございまして、そういった議論を踏まえてガイドラインの改定を行ったところでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、ガイドラインに関しましては、現場に対して一定の方向性を示した、そのように考えておるところでございます。

津村分科員 新谷さんをきょうお呼びした理由なんですけれども、これは、役所からすると、政府全体として、内閣府が出した不認定というものに対して、民間である尊厳死協会さんが、不当だといって取消しを求めた、そして、地裁がこれを原告勝訴とした、政府が敗訴したわけです。それを、控訴を控えるとか、あるいは、高裁の判決が出た後、最高裁に更に上げていくことをやめるというのは、これは政治家しかできない判断だと思うんですね。

 これは、政と官の関係、問題なんですよ。だから、私は、このことをずっとやってこられた事務方の方が率直に言って政務三役より事実関係はお詳しいだろうと思いましたが、しかし、これは政務三役に問うべきテーマだと思ったから政務官に来ていただいたんです。

 小泉総理がハンセン病問題で控訴を控えたこと、あの政治判断によって多くの方が救われたわけでありまして、尊厳死の問題はハンセン病の問題とは違いますけれども。

 いずれ、これは高裁の判決が出ると思います。そのときに政府がどういう判断をするのか、更にそれを係争するのかということは、政府の政治家が、与党の政治家の皆さんが政治判断されなければいけないことで、事務的には、下からは、我々の主張を最後まで闘わせますということが上がってくると思いますけれども、それをちゃんと判断するのは政府の三役の皆さんだということを言いたくて、お呼びさせていただきました。

 一言下さい。

新谷大臣政務官 先ほども申し上げましたが、係争中に関しては、これは具体的なコメントは差し控えたいと存じますけれども、まさに委員御指摘のとおり、我が国の医療とかケアの現場に関して、まさにこれは非常に大きなテーマといいますか、課題となるところでございます。そういったことも踏まえて、しっかりとこれは認識を深めてまいりたい、そのように思っているところでございます。

津村分科員 私は、今の政府の政治家の皆さんを批判しているのではないんです。むしろリスペクトして、お呼びしているんです。ぜひ、必要なときには政治判断をしてください。

 中根副大臣にも伺わせていただきます。これは中根さんの問題でもあるわけでございます。

 東京地裁の判決は、公益認定等委員会の不認定理由について、網羅的に検討して不当との判断を下しているわけで、全く同じ主張を政府が繰り返すというのは私は非常におかしいなと思って見ております。新たに加える論拠がないのであれば、認定の判断をいたずらにおくらせるだけでありますから、その政治判断自体が公益を損ねていると思いますけれども、中根さんの御意見はいかがですか。

中根副大臣 ありがとうございます。答弁させていただきます。

 御案内のとおり、御指摘の判決に対して、私ども、法務省とも協議した上で、ことしの平成三十一年一月三十一日に東京高等裁判所に控訴いたしたわけであります。

 今後の控訴の遂行する事項であるために、内容の詳細についてはお答えはできないわけでありますが、法人の尊厳死の宣言書の登録管理事業を公益目的事業として認めた場合の問題点等、この一審判決ですね、やはり承服しがたいという点がありまして、関係省庁と協議の上で、控訴審において適切に対応してまいりたいと考えております。

 そしてまた、前回と変わらないのに控訴するということは認定をただおくらせるだけではないか、取り下げるべきではないかという委員の御指摘でございますが、御案内のとおり、この不認定処分は第三者委員会である公益認定等委員会における議論及びそれを踏まえた答申を受けてなされたものでありまして、内閣府として、控訴審の判断を仰いでいきたいと考えております。

津村分科員 個別の事案の話は、ちょっと、今の御答弁でわかりましたので、置いておきますね。

 中根さん、私が先ほどからるる申し上げている、行政訴訟において政府が敗訴したケースにおいては、政治家の判断というのが非常に重要な意味合いを持つ。これが、議院内閣制において、政務三役が役所の見識ある方々の上に立つということの意味だという私の認識についてどう思われますか。

中根副大臣 大変すばらしい御意見だと思います。(津村分科員「中根さんがどう思っているかを聞いているんです」と呼ぶ)それは、先生の意見として、大変尊重いたしたいと思います。

津村分科員 私の意見としてというのは意味がわかりませんけれども、問題提起をさせていただきます。

 最後に、三点目の裁判官訴追委員会のあり方について伺わせていただきます。

 私自身が裁判官訴追委員でございます。

 裁判官弾劾法十条三項は、訴追委員会の議事はこれを公開しないと規定しておりますが、この解釈について、訴追委員会の公式ホームページをのぞきますとこう書いてあります。「訴追委員会の議事は、公開しないことになっています(弾劾法十条三項)。したがって、訴追委員の出欠、発言や表決、審議資料、調査の経過や内容、決定の理由等は、一切明らかにすることができません。」

 しかし、これは先例と反します。昭和四十四年の平賀書簡事件におきましては、当時の中村梅吉裁判官訴追委員長の名前で不訴追の理由が詳細に文書で公表されておりますし、少数意見だった方の意見も付されております。その際、記者会見も行われました。

 私は、このホームページの説明は、先例にも、また本来の立法趣旨にも反すると思いますので、直ちに書き直していただきたいと思います。

 どう書き直すかということですけれども、十条三項の規定からは、確かに、訴追委員会が傍聴を認めないという、文字どおりの非公開の形で行われることは当然読み込めますし、容易に想像できますのは、いわゆるチャタムハウスルールのように、その場で発せられた他の委員の発言については委員会以外の場でオープンにしないという守秘義務は当然付随するんだろうというふうに思います。

 しかし、他方で、裁判官の訴追請求というのは国民の公の権利として認められているわけで、年間何十件も、年によっては何百件も訴追請求がなされて、訴追請求をした方は、私は訴追請求しましたよということは当然公にできるわけですね。あるいは、訴追請求、訴追されて例えば出頭を求められたというような方がいた場合、その方が私は出頭を求められましたよということは多分言えるんだと思います。

 そうなると、その訴追、不訴追の決定というのが、国民に選挙された国会議員によって、国会議員の仕事として定められている以上、とりわけ社会的な耳目を集めている案件については、訴追委員に指名、任命されている国会議員は、説明を求められる場面は当然あるでしょうし、説明責任を一定の範囲で負うんじゃないかと私は思います。

 例えば、訴追委員長等が、まさに中村梅吉さんがされたように、国民からどのような訴追請求がなされたか、どのような判断が下されたか、そしてその理由は何かということについて説明責任を果たすべく記者会見等を行うことは、これは許容されるべきだと思うんですけれども、ホームページの表現との不整合を含めて、事務局、説明してください。

中村裁判官訴追委員会参事 お答え申し上げます。

 裁判官弾劾法第十条第三項は、訴追委員会の議事はこれを公開しないと規定しています。

 したがって、訴追委員会事務局としては、訴追委員会に係属している事案の内容、調査経過、審議資料の標目や内容、訴追委員の出欠、訴追委員の発言や表決、決定理由などについては、訴追委員及び予備員以外には開示しておりません。

 ホームページの記載につきましても、一般国民の方がごらんになることを念頭に置いたものであり、この原則論を記載しているというものでございます。

 当該規定の趣旨は、訴追委員会における調査や審議におきましては、その性質上、被審査裁判官の名誉、訴訟当事者等の関係者のプライバシー等人権にかかわる事項、公序良俗に関する事項等が含まれることも想定されることから、公開することによりその侵害のおそれがあるため、及び独立して職務を行う各訴追委員の自由な発言及び議論を保障するためとされております。

 しかし、十条三項の具体的な事例における解釈、運用に関しては訴追委員会の権限であることから、社会的に耳目を集めた事案などについて、訴追委員会において、慎重に検討した上、これを必要かつ相当な範囲で公にすべしという議決がなされれば、その範囲内において公表することは可能であると考えております。

津村分科員 今、条件付でできるという話をされたのは国会での御答弁としては初めてだと思いますので、非常に重要なことをおっしゃったと思いますけれども、二つ重ねて御質問をいたします。

 一つは、裁判官弾劾法八条を見ますと、訴追委員は独立してその職権を行うと規定されています。つまり、何が言いたいかと申しますと、私も含めてですが、個々の訴追委員が、先ほどの議事非公開原則の立法趣旨、るる説明された趣旨を踏まえた上で、みずからの心証について、他の方がどう述べたかということはチャタムハウスルールに反すると思いますけれども、みずからの意見、心証について説明責任を果たしていくことは許容されるべきだと思います。このことについて、事務局の所見を伺いたいです。

 少しだけ付言するとすれば、先ほど、被訴追裁判官のプライバシーとか名誉ということをおっしゃいましたけれども、それは、中身をるる説明されればそうかもしれませんが、訴追を受けたということについて、受けたか受けていないかということについてまで隠すのはおかしいと思います。なぜなら、日本国民は誰であっても裁判を、訴えられることはあり得るわけです。

 御答弁願います。

中山主査 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

中村裁判官訴追委員会参事 個々の訴追委員の先生方がその先生御自身の責任において御自身の考え方を発信されることについて、法規上、それを制限する規定はございません。

 事務局といたしましては、御発言に際しては、十条三項の趣旨及び委員会の決定等を十分尊重していただきたいと申し上げた上で、具体的には個々の先生の御判断にお任せするしかないと考えております。

津村分科員 ありがとうございました。

 終わります。

中山主査 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。

 次に、松原仁君。

松原分科員 冒頭、きょうから、きょう、あすで、ハノイで米朝会談が行われる予定になっております。官房長官の受けとめをお伺いします。

菅国務大臣 本日からハノイで行われていますまさにこの米朝首脳会談に向けて、先般、日米の首脳で電話会談を行いました。私も同席しましたけれども。北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題、その解決に向けて緊密にその方針をすり合わせたところであります。

 特に拉致問題について、総理から、被害者の皆さんの肉親の拉致解決に向けての切実な思いを丁寧に説明をさせていただいて、大統領から、今回も協力をするということを、力強い発言がありました。

 いずれにしろ、今日の会談に至るまでも、また今日も、日米事務方も含めて、緊密に連携をとっております。

松原分科員 この会談で、巷間伝わるところでは、開城工業団地、金剛山観光地などの南北共同事業に関して、国連の制裁から適用除外にされる可能性があるという風聞もあります。

 確認したいわけでありますが、日本政府の立場は、拉致、核、ミサイルの問題が解決されない限り経済制裁は解除しないという立場を国連の中においても今後とも堅持する、こういう認識でよろしいでしょうか。

菅国務大臣 まず、米朝首脳会談に関する動きについては、予断を持って発言することは当然控えなきゃまずいというふうに思います。

 ただ、米国との間では、先般の北朝鮮の核、ミサイル、そして、先ほど申し上げましたが、何より重要な拉致問題、この解決に向けて現在すり合わせを行っており、我が国としては、第二回のこの会談が拉致、核、ミサイル問題の解決につながることを強く期待をし、また、北朝鮮対応についても、安保理決議を完全に履行しつつ、米国及び韓国を始めとする国際社会と緊密に連携していくという立場には変わりありません。

松原分科員 極めて重要な御発言をいただきました。国連の中における日本の従来の立場は堅持するという、ありがたい、また極めて重要な答弁でありました。

 ちょっと一つ飛ばしまして、次に入ります。

 警察に対して質問しますが、認定拉致被害者以外で、拉致された被害者に関してどのように扱っているか、お伺いします。

下田政府参考人 現在、警察においては、合計十三件十九人を拉致容疑事案と判断しているところでございます。

 また、これまで、拉致被害者と判断している方以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方が存在しているとの認識のもと、現在、八百八十三人の方について捜査、調査を進めているところでございます。

 今後とも、御家族のお気持ちを受けとめ、事案の全容解明に向け、関係機関と緊密に連携を図りつつ、関連情報の収集、捜査、調査に全力を挙げてまいりたいと考えてございます。

松原分科員 拉致担当大臣にお伺いいたしますが、警察も大分精査をしてこの八百人を扱っている。中には極めて確度の高いものと警察が判断しているものもあろうかと思いますが、認定被害者をふやすということは、拉致問題担当大臣としては、内閣としては考えておられないのか、お伺いします。

菅国務大臣 今事務方から説明しましたけれども、これまでは十七名の方々、そして、政府としては、この十七名のほかにも、日弁連に人権救済申立てを行った方々を含め、拉致の可能性を排除できない事案が存在しているとの認識のもとに捜査に全力を挙げております。

 捜査、調査の結果、北朝鮮による拉致行為があったと確認された場合には、法令に基づき速やかに拉致認定していく所存でありますけれども、いずれにしろ、政府としては、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者、一日も早い帰国を実現することができるように全力で取り組んでいるところです。

松原分科員 実際、事実、北側と交渉する場合において、この拉致認定に関しては、どういうことなのか、きちっと北に問いただすというのは当然であります。

 しかし同時に、今言った特定失踪調査会、若しくはその中の人権救済申立て、さらには警察の方で今調査している八百余件、こういった個名に関しても、私は、北に対して、その者はどうなのかと。北側の答弁として、場合によっては入国していないというふうな答弁もあろうかもしれませんが、答えが。この八百人を超える人数について、一通り俎上に上げて、少なくともそのことに関して北朝鮮側に問いただす、そういった御判断があるかどうかをお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 いずれにしろ、拉致被害者のみならず、今委員からお話がありました八百三十三名についても、大使館ルート、さまざまな手段を通じて、拉致問題の解決に向けてあらゆる努力をしております。

 ただ、今後の対応、その内容については控えたいと思いますが、可能性のある方について、当然、捜査する、調査するというのは、当然のことであります。

 失礼しました、今、私、八百三十三名と言ったようです、八百八十三名の間違いです。

松原分科員 今の発言も極めて重要だと思います。

 可能性のある者については俎上に上げるということでありますから、可能性に、つまり拉致認定に、少なくともプラスして、日本側の認識として、警察が精査している八百八十三名、当然また、特定失踪者調査会が把握している七百人を含めて俎上に上げる、こういうふうな答弁であったというふうに思います。

 最後に、安倍総理は金正恩委員長と会談する意欲を示しておりますが、当然、事前に、拉致担当大臣が北側の政府高官と事務的に意見交換といいますか、きちっと会って話をすることは必要だと思いますが、これはいかがでしょうか。

菅国務大臣 まず、委員からお話がありましたように、総理、金正恩委員長と向き合う決意である、そのことは、並々ならない決意で今取り組んでいることを私から申し上げたいというふうに思います。

 いずれにしろ、拉致問題担当大臣として、拉致問題解決、それが最大の使命ですから、その中でどういうことが必要かという、ありとあらゆる、できることについては全力で取り組んでいきたい、こう思います。

松原分科員 今の御発言も重要でありまして、ありとあらゆる、全力で取り組むという中には、当然、総理が金正恩に会う前に、政府高官として会う予定があるという認識として私は捉えました。

 次に、eスポーツのことをお伺いします。

 昨年、政府のいわゆるクールジャパン骨太方針というものが行われました。このeスポーツがその骨太方針に盛られましたが、その後どのように扱われているか、簡潔にお伺いします。簡潔にお願いします。

住田政府参考人 御指摘のeスポーツでございますけれども、eスポーツは、まさにゲームソフトを扱うということで、日本の魅力ともいうべきものが世界で評価される、こういう点でクールジャパンの一つの要素になり得るというふうに認識をしておりまして、その健全な発展のための適切な環境整備を行うということが必要ということでございます。

 こうした観点から、内閣府では、総理を本部長といたします知的財産戦略本部のもとに置かれております検証・評価・企画委員会におきまして、昨年に引き続きまして、ことし一月にも、我が国のeスポーツの専門家から今後の展望と課題につきましてヒアリングを行いました。

 また、一般社団法人デジタルメディア協会主催のeスポーツのシンポジウムにおきましても、内閣府の後援名義の使用承認などを行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、民間企業あるいは関係省庁の連携が進み、eスポーツ振興のための適切な環境整備が進められるということを期待をしておるところでございます。

松原分科員 現状においてeスポーツを所管しているのは、当面、どこの省庁であるという認識でよろしいですか。

住田政府参考人 eスポーツはさまざまな観点からの見方がございますので、必ずしも一つの省庁が所管しているということではございません。いろいろな要素を含みますので、例えばゲームを使うという観点からは経済産業省と関係が深いということにもなるわけでございますが、一方、先ほど御指摘のございましたように、クールジャパン戦略に含まれるということで、昨年六月に閣議決定されました、いわゆる骨太の方針などにも関連する記載があるわけでございます。

 このクールジャパン戦略を所管をしております内閣府としても、関係省庁と連携を図りながら、後押しをしていきたいというふうに考えております。

松原分科員 当面は内閣府だということで御答弁いただく予定でしたので、そういう趣旨と理解します。

 このeスポーツがこれから大きく成長する産業であるという認識に関して、経済産業省にお伺いします。極めて短く答弁をお願いします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 民間調査会社の調査でございますが、eスポーツの世界市場規模、二〇一九年時点で約十一億ドルと推計されています。これが二二年には約十八億ドルまで拡大するという予想がございます。

 また、国内につきまして、別の会社の調査でございますが、二〇一七年に約四億円の市場でございましたが、昨年、二〇一八年には、大会がどんどんふえてきたこともございまして四十八億円規模まで増大し、二〇二二年には百億円規模まで増大するという予測が出ております。

 このように、eスポーツの市場は今後も拡大すると予測されております。また、ゲーム産業の発展のみならず、動画配信サービスとか、地域のeスポーツ大会の開催などの波及効果もございます。日本のコンテンツ市場全体の拡大に大きく寄与するものと考えております。

松原分科員 eスポーツ大会は風俗営業法の対象外であるかどうか、簡潔に御答弁をお願いします。

小田部政府参考人 風営適正化法はeスポーツを規制対象として規定しているものではなく、テレビゲーム機等の遊技設備を店舗や施設に設置して客に遊技をさせる営業をゲームセンター等営業として規制対象としております。

 ゲームセンター等営業として風俗営業の許可を要するかどうかにつきましては個別具体的判断をすることになりますが、例えば、客にeスポーツの競技状況を見せる営業である場合など、客に遊技をさせるものではない場合には、風営適正化法のゲームセンター等営業には該当せず、風俗営業の許可を要しないものと認識しております。

松原分科員 今言ったように、それをお客さんに見せる場合は、その対象外であるということだろうと思います。

 訓練施設に関してはどうでしょう。簡潔にお願いします。

小田部政府参考人 御指摘のeスポーツの練習場につきまして、ゲームセンター等営業の許可を要するかどうかにつきましては、当該練習場の実態を踏まえて、個別具体的に判断することとなるものと認識しております。

松原分科員 これは景表法の対象外ということでよろしいか。消費者庁、お伺いします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 景品表示法では、景品類の最高額、総額等を規制しておりますけれども、景品表示法の景品類としては、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品、サービスの取引に付随して提供する物品、金銭その他の経済上の利益と定義されております。ただし、同法の運用基準におきまして、仕事の報酬に当たる金品の提供は景品類に該当しないということを明らかにしております。

 一般に、eスポーツの競技大会では、多数の観客、視聴者が各ゲーム参加者の競技を見て楽しんでいるという実態があると承知しておりますので、このような興行性のある大会における上位者に対する賞金は仕事の報酬と見ることができるものであることから、景品表示法上の景品類に該当しないと考えております。

松原分科員 eスポーツに関して、スポーツであるかどうかというのは、IOCの判断も今揺れているわけであります。したがって、このことについては、スポーツ庁、文部科学省、ぜひとも更に研究をしていただきたいと思っております。

 答弁ありますか。短目の答弁がいいんですが。スポーツ庁。

藤江政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、アジア競技大会でデモンストレーション競技として採用されたり、あるいは、国民体育大会で文化プログラムとして採用されたりといったような動きもございますし、言及いただきましたIOCの検討などもあって、さらなる対話と研究が必要といったような検討がなされているところでございます。

 スポーツ庁といたしましても、こういった国内外の動向を注視しつつ、研究してまいりたいというふうに考えております。

松原分科員 実際これを、日本で唯一の、一つの団体としてアンブレラになっているのが、これが、日本eスポーツ連合でありますが、こことの連携というのが必要と思いますが、いかがでしょうか。

左藤副大臣 お答え申し上げます。

 日本eスポーツ連合については、既に昨年三月の検証・評価・企画委員会において、浜村弘一副会長から今後の展望等についてヒアリングを行っております。また、ことし一月にヒアリングをしたeスポーツの専門家も、日本eスポーツ連合文化振興委員会の委員長でございました。

 引き続き、日本eスポーツ連合等関係団体から必要に応じて要望をお聞きした上で、その内容に応じて関係省庁と連携して、スピーディーに対応していきたいと思っております。

松原分科員 ありがとうございます。

 次に、WHOがいわゆるゲーム障害を疾患としたということでありますが、この件に関して、行為依存症に関する民間の研究機関の活用、連携というものも重要であると思いますが、御所見をお伺いします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 WHO、世界保健機関が、昨年の六月十八日に、いわゆるゲーム障害を疾病等の分類に位置づけるという国際疾病分類、ICD11の案を公表いたしまして、ことしの五月の総会へ提出される予定というふうに伺っております。

 今申し上げたゲーム障害ですが、睡眠や学業などのさまざまな日常生活と関係があるというふうに指摘されてございまして、まずはその実態等を把握するために、平成三十年度より国立病院機構久里浜医療センターにおきまして調査に取り組んでいるところでございます。

 私ども厚労省といたしましては、先生御指摘の民間機関も含む関係機関とも連携をしながら、引き続き実態等の把握を進め、その結果を踏まえて必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

松原分科員 時間の都合で、次は、先に、中国国内の日本人拘束問題を扱います。

 去る二月十四日、中国当局が広東省広州市で四十代の邦人男性を拘束した、拘束が一年以上にわたっている、こういったことが報道されました。中国の国内法違反であったとしているわけでありますが、このことに関してお伺いをしたいと思っております。

 他方、カナダにおいては、カナダ人が中国において拘束されたことに関して、二人拘束されたことに関して、法の支配は全ての自由社会の基盤となるものであり、我々はこの原則を擁護し支持するというふうなことを言った上で、カナダの外務大臣は、中国によるカナダ人二名の恣意的拘束を強く懸念すると批判をしているわけであります。

 これに関して、これとの比較においてもお伺いしたいわけでありますが、我々は、二月十四日まで拘束、起訴の事実を公にしなかったのはなぜか、また、当該男性の拘束、起訴をめぐり、政府が中国政府に対して抗議、釈放要求をした事実はあるか、まずお伺いします。

垂政府参考人 お答えいたします。

 本件につきましては、昨年二月、広州日本国総領事館を通じ、当該邦人が中国当局に拘束された旨確認しておりましたが、事柄の性質上、積極的に対外公表をすることは差し控えてまいりました。

 具体的には、政府としては、御家族への配慮、人定事項を含めた何らかの確認や公表を行うことにより、当該邦人及び同様に拘束されている他の邦人に対する中国当局の今後の中国側司法プロセスにおける取扱い等において、不利益な影響を生じさせる可能性が排除できなかったことから、対外公表をすることは差し控えたものでございます。

 もう一点、委員御質問の点につきましては、我が方としては、中国側に対して、これまでも日中首脳会談や日中外相会談を含め、あらゆるレベルを通じ、厳正に申し入れ、前向きな対応を求めてきているところでございます。また、その事実は、外務省ホームページで対外的に公表するとともに、会談後の報道機関へのブリーフ等の機会に説明してきております。

 以上でございます。

松原分科員 極めて不十分だと思っておりまして、いかなる行為が規制、中国の法規に違反しているかに関して明らかでないということをブリーフの段階で私は聞いているわけであります。こういう状況で、一年以上拘束されるとかいう状況というのは、私は、カナダの外務大臣の対応と比べると、余りにも相手を認めているというか、中国政府の拘束を、それを正しいと認めているようにしか見えないわけでありまして、極めて遺憾であります。

 これに関して抗議をしていない、抗議をしたという、抗議のレベルのものがあるのかないのか、お伺いします。

垂政府参考人 先ほど説明させていただきましたが、日中首脳会談、日中外相会談を含め、あらゆるレベルを通じまして、厳正な申入れを行っているところでございます。

 委員御指摘の、いかなる行為が規制されているのか必ずしも明らかでないという点につきましても、深い懸念を中国側に伝えているところでございます。

松原分科員 そのことを対外的に発信しなければ、水面下でやっていたら、諸外国は、日本は中国の言を、中国の意をそのまま了解しているというふうに見えてしまう。

 もう一回確認しますが、抗議、釈放要求をしていない場合は、中国当局によるこういった拘束を妥当と考えているのか。妥当と考えているのかいないのか、この場ではっきり言ってください。

垂政府参考人 先ほど御説明させていただきましたが、日中首脳会談、外相会談等のやりとりにつきましては、会談後の記者ブリーフでしっかりと説明するとともに、外務省ホームページ等に、対外的に発表しているところでございます。

 また、外務省の海外安全ホームページにおきましては、中国当局のこうした行為、こうした対応につきましても、いかなる行為が規制になるのか必ずしも明らかでない点につきましても、相当詳しく海外ホームページで記載し、注意喚起を行っております。こうした詳細な注意喚起を行っている国は多くないというふうに承知しております。

松原分科員 これ以外に九人の拘束、起訴事例も同じようにあって、中国側のそれに対して、日本の例えば外務大臣が、カナダの外務大臣のように明確な声明を上げていない。

 私は前にも外務省に言ったことがあるんですが、水面下でというのは、相手の言っていることを認めてしまうということをメッセージとして伝えることになるケースがあるわけですから、ちょっと、これは菅さんは所管外ですか。菅さん、お答えできますか、今のこのやりとりを聞いて、官房長官として。

菅国務大臣 今、事務方から答弁させていただいていますけれども、日中首脳会談でどのようなことがあったか。それは、総理が邦人救出のためにまさに全力投球でやっている、このことは私からはっきり申し上げたいと思います。

松原分科員 確かに、外務大臣がカナダと同じように、これは納得できないと。明確な邦人保護をしない日本の外務省というふうに私ははっきり言ってなってしまうんだろうと思いますが、きちっとやはりこれは、拘束の法的根拠も明らかにしないんだったら、我々はそれはもうまさに許しがたい、釈放しろというふうなことを声高々に言わないといけないのであって、ちょっとどういうことか説明してくださいとか、そんな状況で一年、二年、三年、四年と過ぎてしまったら、日本という国は邦人を本気で守る決意がないのかというふうになってしまうので。

 きょうは、これは外務委員会ではありませんから、これ以上は言いません。いいですか。お願いします。

菅国務大臣 まさに外務省の事務当局も、外務大臣の指揮のもとに、そこは邦人保護のために全力で取り組んでおりますし、そして、私ども内閣においても、そうしたさまざまなことを一つ一つ私ども掌握しながら、邦人が一日も早く釈放されるように取り組んでおります。

松原分科員 当然、釈放されるように取り組むことも大事ですが、私は、やはりそれに関して、我々は中国の行動を妥当と思っていないということを明確にしていただければと思っております。

 時間がなくなってまいりましたので、いわゆる戦時労働者問題は簡潔にお伺いしたいと思いますが。

 新日鉄住金の資産が押さえられ、そして今やそれが換金されそうになっている。こういう状況の中で、仲裁を要請する公文を今発すべきだと思いますが、この点だけ簡潔にお伺いします。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 旧朝鮮半島出身労働者をめぐる問題につきましては、現在に至るまで、韓国政府が日韓請求権協定違反の状態を是正する具体的な措置をとらず、加えて、原告側による差押えの動きが進んでいるということは、極めて深刻に考えております。

 我が国としましては、韓国による協定違反の状態を解決すべく、韓国政府に対し累次にわたり協定に基づく協議に応じるよう求めているところであり、韓国側が当然誠意を持って協議に応じるものと考えております。

 この協議要請に加えて、どのタイミングで何を行うかといった具体的な内容につきましては、我が方の手のうちを明らかにするということになるため、差し控えさせていただきたいと思います。

松原分科員 協議に対して応じてこないわけであって、応じていないでどんどんとそれを最後は差押えをして換金化するということになったら、これはもう全然話にならぬので、やはり、もちろん日本は大人の対応をするというのは大事だと思いますが、このことに関しては、もはや少なくともこういった対抗措置をとるべきだというふうに私は考えております。その上で、さらに、不十分であれば次なる手を考えるべきだというふうに考えております。

 次に、河野外務大臣は韓国に対してさまざまな対抗措置を検討していると表明していますが、さまざまな対抗措置の中に、日本銀行の保護預かりしている韓国銀行保有日本国債その他の債権の一部を拘束するということは入っているのかどうか、含まれているかどうか、答弁をお願いします。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、現在の協議要請に加えて、どのタイミングで何を行うかといった具体的な内容につきましては、我が方の手のうちを明らかにすることになるため、差し控えさせていただきたいと思います。

 外務省といたしましては、関係省庁で連携しながら、企業に対する説明会を開催するなどして、一貫した政府の立場につき説明する等してございます。

 日本企業の正当な経済活動の保護の観点からも、引き続き、関係企業と緊密に連絡をとりつつ、日本政府としての一貫した立場に基づき適切に対応してまいりたい、このように考えております。

松原分科員 私は、この日本人の中国における拘束問題もしかり、今回の韓国の問題もしかり、やはり、日本という国はお人柄がまろやかだから何をやっても大丈夫だ、こういうふうな話になってしまったら、なかなかいたし方ないわけであります。やはり、別にこわもてになる必要はありませんが、日本というのは一歩もひるまないでやるときはやるよ、こういう決意、それは日本人がそのことを誇らしく思う部分だとも思っております。

 このことに関して、政府のかなめである菅官房長官に決意といいますか思いをこの場で語っていただきたい。

菅国務大臣 こうした、日本の国益、そして人命の確保、これは政府としての最大の職務であります。私ども、ありとあらゆるレベル、そうしたものを通じて、その実現のために毅然と対応をしていきたいと思っていますし、そこは、大人の対応ではなくて、主張すべき点はしっかり主張していることを申し上げたいと思います。

松原分科員 終わります。ありがとうございました。

中山主査 これにて松原仁君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。遠山清彦君。

遠山分科員 公明党の遠山でございます。

 岩屋大臣、お忙しいところ、ありがとうございます。

 防衛省に関する御質問は後ほどさせていただくということで、まず最初に、ちょっと日程の都合で、浜田復興副大臣に来ていただいておりますので、復興庁関係の質問を二問ほどさせていただきたいと思っております。

 まず、東日本大震災発災から来月十一日で八年が経過するわけでございます。復興・創生期間の終了は二〇二〇年度末ということでございますので、あと約二年ということになっております。この間、被災自治体、関係機関、また政府を挙げて全力で復興事業に取り組んできたことを高く評価をいたしたいと思います。

 また、私自身、公明党内の役割分担ということもございまして、岩手県の三陸沿岸部の市町村に通ってまいりました。先月も一度伺いました。その現場の復興状況を考えますと、あと二年間で復興事業が完遂できるとはなかなか思えないというのが率直な感想でございます。

 復興庁におかれましては、昨年の十二月十八日付で「復興・創生期間後も対応が必要な課題の整理」という文書を発表されまして、二〇二〇年度以降も、ハード事業、心のケア等の被災者支援、産業、生業の再生など、多岐にわたって支援が必要である、またその要望が被災自治体から出ているということが記載をされているわけでございます。

 そこで、最初の質問でございますが、ワンストップ窓口としての復興庁の機能の維持、特に復興・創生期間が終わる二〇二〇年度以降のワンストップ機能の維持について政府でどういう検討を今されているのか、副大臣からお答えをいただきたいと思います。

浜田副大臣 遠山委員より、復興庁の後継組織について御質問いただきました。

 現在、被災自治体等から、後継組織のあり方について、さまざまな御提言、御要望をいただいているところでございます。

 これらを踏まえまして、関係省庁と十分に協議しながら、三月には、復興・創生期間における東日本大震災からの復興の基本方針、これを見直すこととさせていただきまして、後継組織のあり方を含め、復興・創生期間後の復興の基本方針の方向性を取りまとめたいと考えているところでございます。

遠山分科員 副大臣、ありがとうございます。

 では、来月に基本方針が出るということでございますので、それを待ちたいと思いますが、私、一言、地元は九州で、比例ブロックですので全域をカバーしているわけですが、復興庁で蓄積をされたノウハウと経験というのは非常に貴重だと私は思っております。

 というのは、熊本で地震が三年前ありましたけれども、あのときに、私もすぐ熊本の被災現場に入りましたら、熊本は相当混乱をしておりました。そこで、当時、復興庁とか総務省にお願いをして、東北の震災の復興の経験のある地方自治体の役人の皆さんを緊急に集めて熊本に入っていただきました。

 そうしたところ、瞬く間に、一カ月、二カ月の間に、復興への速度というものが加速度的に上がったという評価があったということを私も経験をいたしておりますので、ぜひ、復興庁の二〇二〇年度以降のあり方についても、今後も、きのうも新聞に出ていましたが、大きな地震がまた東北で起こるかもしれない。南海トラフとか関東にもそういう大震災、予測をされておりますし、九州も、日向灘地震というのが起こりますと、岩屋大臣の地元の別府あたりから宮崎のところまで大きな被害が来ると言われておりますので、そういうところにも生かせる形で、復興庁に蓄積されているアセットを継続させていくという知恵も出していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 二つ目の質問でございますが、被災元地の利活用についてでございます。

 やはり、被災地におきましては、復興・創生期間が終わった後の地域の存続ということが非常に大きなテーマに今浮上しておりまして、キーワードとしては、新たな産業の振興と交流人口の拡大、こういうのがキーワードだというふうに言われているわけでございます。

 まさに、私が定期的に行っている陸前高田市などでは、ようやく土地のかさ上げとか整地とか、ハードの整備が終わってきたところでございまして、これから各種産業の振興や交流人口の拡大について新たな事業に着手しなきゃいけないというところまで来ております。

 そこで、もちろん地元の自治体が中心にこの利活用のメニューというのを考えていくわけでございますが、ぜひ、政府として、また復興庁としても、被災地に具体的なメニューを提示して、こういうプロジェクトであればこういう支援ができますよ、あるいは、こういうメニューであれば、新たな産業、企業誘致含めて、こういうことができるのではないか等々の示唆を与えることができるのではないかと思っておりまして、この点についての復興庁のお考えを副大臣からお伺いしたいと思います。

浜田副大臣 ただいま防災集団移転の移転元地の利活用について御質問いただきました。

 移転元地の利活用につきましては、復興庁は、例えば登録免許税の免税措置の創設による公有地の集約促進の支援とか、また、具体的な土地利用ニーズに応じまして、復興交付金などを活用いたした基盤整備の支援など、総合的な支援策を取りまとめまして、自治体に説明してきたところでございます。さらに、土地の集約や土地情報の整理、発信など、利活用の担い手を見つける取組も自治体と一緒になって進めているところでございます。

 このような取組によりまして、移転元地の約七割で利活用が決まるといった一定の成果を上げているところでございます。

 引き続き、職員が直接自治体に出向かせていただいて、支援策を提示するなど、自治体からの相談にきめ細かく対応する決意でございます。

遠山分科員 ぜひ、現場に人を送っていただいて、具体的な支援というものをやっていただきたいと思います。

 特に、一点だけ、これから被災元地の開発、再開発をしていく上には、まとまった土地を形成するために、民地の購入補助でありますとか、あるいは土地を交換する制度の創出というものが非常に重要になってきますので、いろいろな省庁にまたがるお話も多いと思いますけれども、ぜひとも積極的に、現場で御対応いただければと思います。

 それでは、副大臣、御公務もあるようでございますので、御退室いただいて結構でございます。

中山主査 復興副大臣、御退席ください。

遠山分科員 ありがとうございます。

 それでは、岩屋防衛大臣、お待たせをいたしました。大臣には、三問お伺いをいたしたいと思います。

 日ごろから安定的に防衛行政をつかさどっていただいて、まず感謝を申し上げたいと思いますが、日韓関係、もう言わずもがなのことでございますが、大変今、全体的に厳しい状況だと認識をいたしております。

 特に、韓国とのいわゆるレーダー照射事件につきましては、極めて遺憾な事案と思っておりますが、防衛省としては、一つの区切りをつけて冷静に対処をされているというふうに理解をしております。

 そういう中で、最近、四月二十九日から五月二日の期間に、韓国の釜山沖、シンガポールのチャンギ沖でしょうか、そこで、ADMMプラス海洋安全保障専門家会合の海上共同訓練というものが行われるということで、岩屋防衛大臣は二月二十三日に、海上自衛隊は参加すると発表されているわけですが、韓国の国防部というんでしょうか、韓国の当局はある意味それを否定しているというような報道が出ております。

 これについて、改めてになりますけれども、防衛大臣御本人から、日本政府としての正確な立場というものをこの場で御答弁いただければと思っております。

岩屋国務大臣 ADMMプラスの海上訓練については、私ども、韓国との防衛交流は適宜適切に判断して進めていくという考え方のもとに、当初から、釜山への入港は見送るけれども、それ以降のプログラムについては参加をするという方向で調整を行ってまいりました。

 これは、先般の二十一日、二十二日にこの訓練にかかわる最終計画会議が開かれまして、関係国による議論が行われた結果、釜山沖からの訓練、つまり、釜山からチャンギまで移動する共同運航の訓練は行われないということに最終的になりましたので。

 最初は三つのフェーズに分かれておりました。釜山周辺での訓練、釜山からチャンギまでの共同運航、そしてチャンギ周辺での訓練というスリーフェーズだったんですが、結果として二つのフェーズになりましたので。そこで、私どもとしては、シンガポールでの、チャンギでの訓練には参加をするというふうにさせていただいたところでございまして、これは韓国側にも伝達をしています。

 したがって、韓国の国防部が日本は参加しないと発言をされたのは、釜山港周辺での訓練について日本は参加しないということを説明されたんだというふうに思います。

 いずれにしても、日韓の防衛協力、大切だと思っておりますので、今後とも適宜適切に判断をして、参加すべきものは参加をしていきたいと思っています。

遠山分科員 大臣、ありがとうございます。

 今まで、私も報道ベースだけで理解をしていたことが、今の大臣の御答弁で相当クリアになりました。

 要するに、釜山港周辺の訓練と、釜山港からチャンギ港に向かう途中の訓練と、チャンギ港周辺の訓練と三つあったんだけれども、真ん中はそもそも実施しないことになった。釜山港には海上自衛隊は入港しないので、こっちは参加しないから、韓国はそこだけ言っている。チャンギ沖の訓練には参加をするということですので、ADMMプラス海洋安全保障専門家会合の海上訓練のシンガポールの部分について自衛隊は参加します。こういうことでよろしいんですね。(岩屋国務大臣「はい」と呼ぶ)わかりました。

 そういう理解が、多分新聞を読んでいるだけの日本国民には広がっていなくて、何か、岩屋大臣がおっしゃっていることと韓国当局が言っていることが矛盾しているかのような報道になっていますので、ぜひ、防衛省の事務方も、きちっと国民にわかるように情報発信をしていただければと思います。

 続いて、二問目の質問は、私も与党のワーキングチームのメンバーとして策定に一定の関与をさせていただきました、新たな防衛大綱と中期防についてでございます。

 やはり議論の最大の焦点の一つは、「いずも」型護衛艦を改修しまして、STOVL機の、垂直に離着陸できる、軍用機の離着陸を可能とする措置をとるということが認められた点でありました。

 大臣におかれまして、改めて、なぜこの「いずも」型護衛艦のそういった改修が必要なのか、この必要性についての説明を一点求めたいと思います。

 また、あわせて、これも大臣よく御存じの議論でございますが、現行の憲法のもとで専守防衛を旨とする自衛隊は、いわゆる過剰な攻撃能力を持った艦船を所有、運用するということは憲法上問題があるというのが私たちの基本認識でありまして、この「いずも」型護衛艦改修の目的と、憲法や、あるいは専守防衛との整合性をどう整理されているか、これも改めて大臣から御答弁をいただければと思います。

岩屋国務大臣 遠山先生には、大綱、中期防の策定に当たって、与党ワーキングチームで、小野寺先生が座長でいらっしゃいましたが、極めて重要な役割を果たしていただいたことに敬意を表し、お礼を申し上げたいというふうに思います。

 したがって、自問自答できる御質問ですが、大臣が本当にわかっているかどうか確かめるという御質問だと思いますので、お答えをさせていただきますが。

 近年、我が国の南西諸島の列島線を越えて、太平洋側にも進出する戦闘機や爆撃機の飛行が増加しております。太平洋の空域における軍用機の活動が急速に拡大をしているわけでございます。これは前の大綱策定時には見られなかったことでございまして、更に拡大、活発化することが見込まれております。

 ところが、我が国の太平洋側には、一千キロメートル四方を超える海域に我が国領土が存在し、我が国の排他的経済水域の約八割が広がっている。この広大な太平洋において、自衛隊の戦闘機が使用可能な飛行場は硫黄島一カ所です。北海道から沖縄にかけては十九カ所あるんですが、太平洋側には一カ所しかない。極めて脆弱な状況でありますので、今後、広大なこの太平洋空域で任務に当たるパイロットの安全確保を図る必要がある。

 それから、改修を行った「いずも」型の護衛艦というのは、そういう意味で、広大な太平洋を含む我が国の海と空の守りについて、自衛隊員の安全を確保しながらしっかりとした備えを行うために必要不可欠であるというふうに考えております。さらに、航空機の運用の柔軟性というものもそれで確保できるようになるというふうに思っております。

 それから、後段の憲法との関係で申し上げれば、政府としては、従来から、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは憲法上許されない、保有できないということを言ってきたわけですが、その例として、攻撃型空母というのを挙げてまいりました。

 今般の「いずも」型護衛艦における航空機の運用は我が国の防衛上必要不可欠なものでありまして、改修後の「いずも」型護衛艦の能力は、F35クラスの航空機を十機程度運用し得るにとどまるものであって、憲法で保有を禁止されている攻撃型空母には当たらないというふうに考えているところでございます。

遠山分科員 やはり大臣じゃないとできない御説明、大変ありがとうございました。

 特に、前段の御答弁の、必要性のところで、大臣おっしゃったように、北海道から沖縄までは十九カ所の飛行場があるけれども、太平洋側は硫黄島の一カ所だけだ。十九カ所と一カ所という。にもかかわらず、太平洋地域での活動が活発化している、拡大しているという点がなかなかまだ国民全般に御理解されていないところもあろうかと思いますので、これからまたいろいろな国会論戦でこの点は聞かれることが、特に野党の先生方から、多いと思いますが、必要性の部分をしっかりと具体的にお話をされて、その上で憲法等との整合性も、後段の答弁にあったように御説明をいただきたいと要望しておきたいと思います。

 大臣への質問、最後、三番目ですが、これは前任の小野寺大臣とも質疑をさせていただいたことですが、いわゆる自律型致死性兵器システム、LAWSと呼ばれておりますけれども、これは人工知能を搭載した最新鋭の兵器で、まだ実戦配備されたという話は世界じゅうでないわけでございますが、一部の国では真剣に開発をしていると疑われている未来型の兵器であります。

 この開発規制を検討するプロジェクトチームを公明党内に今月立ち上げまして、私が座長になりました。今、公明党内では毎週、このLAWSをテーマに有識者等を呼んで勉強している、研究をしているところでございます。

 一義的に、この問題は、担当省庁は外務省になりますけれども、実際は、防衛装備、兵器にかかわることでもございますので、そういう意味で岩屋大臣にもお伺いをしたいと思います。

 これは確認になりますけれども、日本政府として、AIを搭載した完全自律型、すなわち人間の判断が介在せずに攻撃目標を捕捉、選定をして、実際に攻撃も実行する、英語でインゲージですけれども。ターゲティングとインゲージメントを人間の判断を仰がずに人工知能がやってしまうという致死性の兵器システムの開発をする、あるいは配備をするという意図は、防衛省としても全く持っていないということを確認したいということが一つです。

 それからあわせて、他方で、私が申し上げているのは、完全自律型でAIが攻撃をしてしまう兵器のことを申し上げているわけでありまして、AIの活用をしてはいけないと言っているわけではないわけでございます。

 ですから、そういう意味でいうと、実は新たな防衛大綱にも書かれておりますけれども、自衛隊の装備の中でAIを活用していくことは、私はこれは大いに可能だというふうに思っておりますが、二番目の、ちょっと違う次元で、どういうふうにAIを活用していこうとされているのか、きょう答弁できる範囲で御答弁いただければと思います。

岩屋国務大臣 その前に、先ほどの、改修された「いずも」型の護衛艦の運用については、自民党と公明党の間で、御党の御意見を取り入れる形で確認書を交わしていただきまして、その運用のあり方について明確に定義をしていただきました。それが大綱、中期防にもしっかり反映されておりまして、そのことについても敬意を表し、お礼を申し上げたいと思います。

 ただいまの御質問のLAWS、自律型致死兵器システムについてでございますが、これも遠山先生のお取組に敬意を表したいと思いますが、御案内のように、その定義につきましては国際的なコンセンサスがまだ得られていないというふうに承知をしております。

 その上で申し上げれば、防衛省・自衛隊において、今先生が指摘された、人間が介在しない致死性の兵器は現存せず、またこれに関する研究開発を行う具体的な計画もありません。当然のことながら、国際法や国内法により使用が認められない装備品の研究開発を行うこともございません。

 他方、防衛省としては、これも後段の先生の御指摘にあったように、隊員の安全確保や負担軽減を目的としたAIや無人装備については、研究開発を含め、積極的に技術基盤の向上に努めていく必要があると考えております。

 具体的には、平成三十一年度予算案におきまして、AIを用いて船舶自動識別装置、AISと言っておりますが、のデータを解析し、不審船を発見するための研究、あるいは、海中を自律的に航走する無人水中航走体、UUVと言っておりますが、これらの研究等を実施する経費は計上しているところでございます。

遠山分科員 大臣、明確な御答弁、大変にありがとうございました。

 ちょっと時間が押してまいりましたので、簡潔にお聞きをしたいと思います。

 沖縄の米軍との合意で、那覇軍港移設につきましては、平成十三年に、国と県と関係市町村の協議会が三つ設置をされております。その三つのうち二つが防衛省主宰の協議会でございます。もう一つが内閣府主宰の協議会でございまして、この内閣府主宰の協議会の名称が、県都那覇市の振興に関する協議会というものでございます。

 私個人としては、三つとも大事な協議会なんですが、特に三つ目の内閣府のところ、しばらく開かれていないと聞いておりますので、再開をしていただきたいと思っておりますし、防衛省主宰の方も、那覇軍港そのものの移設はまだ実現をしておらないわけでございますので、これもしっかり精力的にやっていただきたいと思いますが、現在、協議会が停滞している理由、あるいは現状でもいいんですが、それと再開の見込みについて、防衛省、内閣府からそれぞれ簡潔にお答えいただければと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の那覇港湾施設移設に関する協議会でございます。こちらにつきましては、平成二十九年四月に開催されたこの協議会におきまして、代替施設の配置案に係る評価結果が報告をされております。現在、その配置案につきましては関係地方公共団体で協議中であると承知をしております。

 防衛省といたしましては、その協議状況を踏まえまして、協議会の開催については適切に対応してまいりたいと考えております。

 もう一つ、那覇港湾施設移設受入に関する協議会でございますが、移設受入れに係る振興策等の諸措置を協議するものでございまして、これまで地元の御要望を受けて開催をしてきました。今後も、移設に関する協議の状況ですとか地元の御要望を踏まえつつ、開催については適切に対応してまいりたいと思います。

 いずれにいたしましても、防衛省としましては、浦添市を始めとする地元の皆様の御意向を丁寧に伺いながら、那覇港湾施設の移設を早期に実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 県都那覇市の振興につきましては、沖縄振興の観点から非常に重要であるというふうに考えておりまして、来年度末の使用開始を目指し、那覇空港第二滑走路増設事業を進めるとともに、今般の税制改正におきましても、物流特区や情報特区の二年間の延長の方針を決めさせていただいているところでございます。

 先生御指摘の三協議会につきましては、平成十三年十一月に設置されまして、現在、関係自治体の間で代替施設の位置や形状について協議が行われていると承知いたしております。

 県都那覇市の振興に関する協議会でございますけれども、これは那覇港湾施設受入に関する協議会と同様に、しばらくの間開催されていないところでございますけれども、内閣府といたしましては、今後、これらの協議の状況も踏まえながら、地方公共団体と十分相談した上で適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

遠山分科員 両省の御答弁を聞くと、要するに、地元の自治体、那覇軍港に即して申し上げれば、沖縄県と那覇市と浦添市、この地元の自治体が強く要望すれば協議会は再開される可能性があるというように私は解釈をいたしました。答弁は要りません。

 ということを確認した上で、これは私、沖縄も見ておりますので、しっかり沖縄の地元自治体とも調整してやりたいと思います。

 最後の質問でございます。

 昨年の九月に、沖縄県那覇市から、北部の本部、あるいは北谷、恩納村、名護を経由して本部ということで、沖縄観光の交通モードの多様化に向けた高速船実証実験、これを民間事業者が主体として行ったと承知をしております。

 これは、沖縄がずっと慢性的に渋滞を、北部についてしておりますので、船で行けば渋滞はないという単純な発想から実証実験が行われたものと聞いておりますが、この実証実験がどういう成果があったのか、また今後実際に事業化されていくのか、その展開について、行政の立場で御答弁いただければと思います。

北村政府参考人 お答えいたします。

 好調な沖縄経済の牽引役である観光分野におきまして、今後、観光客のさらなる増加が見込まれる中、那覇から本島北部へ向かう交通モードの多様化や観光振興に資するため、昨年の九月一日から十日の間の六日間、内閣府が公募により選定した第一交通産業グループが高速船を運航する実証実験を行ったところでございます。

 実証実験は、御指摘のあったとおり、那覇から本部間の直行便を一日三便、那覇、北谷、恩納、名護、本部を結ぶ経由便を一日二便運航し、期間中、延べ約五百名が乗船したところでございます。

 実証実験におきましては、乗客へのアンケート調査及び関係自治体へのヒアリング等を実施し、高速船に対する期待や一定のニーズがあることが判明した一方で、事業化をする上で、船舶の性能、係留施設の利便性、運航ダイヤ及び料金等の面での課題も明らかになったところでございます。

 内閣府といたしましては、高速船の事業化に取り組もうとする民間事業者に対し、実証実験で得られた知見を踏まえ、関係自治体とも連携して、できる限りの協力を行い、本事業化の実現に取り組んでまいります。

遠山分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

 大臣、ありがとうございました。

中山主査 これにて遠山清彦君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部分科員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、今大変大きな問題になっております企業主導型保育所につきまして、宮腰大臣としっかり三十分質疑をさせていただきたいと思います。

 宮腰大臣にあっても、これがいろいろな意味で今大きな問題になっているという御認識はまずおありかと思いますが、とても単純な言い方で失礼ですが、今まで、こうやって、できた保育園が非常に短期間のうちに、そして突然に休園したり、そしてそこから廃園になったりというようなことは、宮腰大臣が政治家として御経験されたことがあるかどうか、お聞きになったことがあるかどうか。

 園児の数が少なくなって来年度からの募集はいたしませんとか、年度末、年度区切りではございますが、今回、大臣もお気づきなように、昨年の秋、世田谷で二園、閉園ないし休止というふうになった事案などは、ある朝お母さんたちが預けに行ったら、きょうからもう、ちょっと預かれませんと言われたような、本当に突然の休止、預かれない状態がもたらされましたが、大臣はこういう御経験、あるいは聞いたことがあるのかなどについて、直截な御意見を伺います。

宮腰国務大臣 そういう経験はありませんし、また、あってはならないことであるというふうに思います。

阿部分科員 今おっしゃっていただいたとおりで、私も小児科の医者をやっておりますが、今回のような事態に出会ったことはありません。そして、これまで、多く保育園関係の行政は、厚生労働省がさまざまな基準や規制を設けて運用しておりまして、それは、何よりも子供たちの安全と、そして、突然にそこが閉じちゃうなど等あった場合には、子供が、ある意味、路頭に迷ってしまいますので、行き場がない状態になってしまいますので、そういうことがあってはならないということからだろうと思うのです。

 今般、子ども・子育て支援法が内閣の担当になって、その内閣の旗振りのもとに始まったのが企業主導型保育園でありまして、私が思いますに、これに取り組むに当たっての内閣府のそもそも認識ですね。厚生労働省、厚労省が長年時間をかけて築いてきたノウハウもありますでしょうし、その一つが規制という形をとることもありましょうし、そういうものについて内閣府の自覚が薄かったのではないか。内閣府といっても漠然としておりますが、この子ども・子育て担当の各責任である、大臣も含めて、非常に私は自覚が問われる事案だと思いますが、いかがでしょう。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業は、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童解消に貢献する大変重要な事業であると考えております。

 私も、都内の企業主導型保育の現場を拝見いたしてまいりましたけれども、大変立派にこの運営をしておいでになりました。企業の方々や経済団体からも高く評価をされておりまして、また、多くの保育施設は高い志と理念を持って運営されております。

 ただ、これまで内閣府が事業を進めてきた中で、量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか。ここは一度立ちどまり、これまでの取組を検証し、反省すべきは反省し、しっかりと改善を図っていくべきではないのか。私としては、そういう厳しい認識のもとに、昨年十二月に、実施体制を強化するための検討委員会を立ち上げました。

 一昨日、二十五日の検討委員会で議論されました取りまとめ骨子案におきましては、企業主導型保育事業の課題として、審査や指導監査において保育の質の視点が不足しているのではないか、一部に定員割れ、休止など、継続性に問題がある施設があるのではないか、特に保育事業者型は、設置者と利用者との間に雇用関係がないことから責任が不明確になりやすいのではないか、自治体との間で各施設の運営状況の情報共有や指導監査の連携が不足しているのではないか、指導監査、各種相談の実施体制が不十分ではないかといった御指摘をいただいております。

 今年度内に議論を取りまとめ、検討結果を踏まえ、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

阿部分科員 今大臣が御答弁の点は、間違ってはいないと言うと失礼ですが、そういう点もございますでしょう。私は、でも、逆に、この間、三回行われた検討委員会の出されている限りのものを拝見しても、ここには、例えば、廃園に至った具体的な経緯とか、それから、そもそも審査段階でどういう問題があったのかとかが、ほとんど具体事象が挙げられておらないですね。要するに、具体的なものを見ないと、実は、きれいなまとめはできても、本当の改善ができないのではないかという懸念を持つわけです。

 大臣は、例えば、こんな事例があるのは御存じでしょうか。沖縄で廃園になったのは、平成二十八年に申請をされて、そこから二十九年も継続的に園の整備が行われて、平成三十年にいざ開園となって、一日も開園せず閉園しちゃったんですね。びっくりするような事案です。大臣、御存じでしたか。

宮腰国務大臣 具体的な内容については存じ上げておりませんが、閉園になったリストの中にあるということは存じ上げております。

阿部分科員 私は、これは大臣、ぜひ具体的な事案を大臣も把握していただきたいんです。今まで経験したことがないわけです。

 例えば、厚生労働省が補助金を出して、建設がおくれて二年にわたるというようなことは、なくはないと思うんです。しかし、二年フルに過ぎて、開園だと言っていて閉園というか、あかないで終わっちゃう、こんな事案が、私は、実はこれは明らかになった一例で、ほかにもいろいろ問題があるように思うんです。

 大臣が一生懸命今見直しをしてくださっているのは私も理解しないわけではないですが、やはりもっと具体的な事案を見ていただきたい。その資料を上げてこないところが問題なんだと思うんですよ。そうすると、もっと適切な処方箋が出るように思います。

 引き続いて、これも大臣が御存じかどうか、お伺いいたしますが、先ほど御紹介した世田谷区、相次いで二園が閉鎖されて、その一つはこどもの杜という保育園でした。このこどもの杜にコンサルティング業務をしているもう一つの保育事業者がございまして、このコンサルティング事業者がかかわる七園が、実はもしかして補助金の不正請求があったのではないかと今問題になっております。

 ここ、何が一番わかりやすい問題かというと、百平米くらいのちっちゃな保育園、大体、企業主導型はそう大きくございませんから、これの内装工事で七千万以上の補助金が出ているんです。百平米で七千万の内装って、大理石でも張ったんじゃないかと言われているような事案で、それがこの事業者がかかわるだけでも七園もあると。

 七園合計いたしまして四億何がしかの補助金が入ったということで、この保育園関係では、工事費を九千八百七十三万円と見積もって、大体そのうち四分の三に相当する七千何がしかが補助、七千七百四十二万円の助成決定通知を受けたわけです。

 これはそもそも、常識で考えても、どんなものをつくるんだろうとか、やはり一回は見に行かなくちゃいけないし、これが妥当性があるということが、私は、もっと早く違うんじゃないのということがなぜ児童育成協会も気がつかなかったのか。

 もっと言えば、児童育成協会に任せきりにしている内閣がやはり問題なんじゃないかと思った次第ですが、まず、具体的に御存じでしょうか。そして、この児童育成協会がやるんだ、運営主体だ、ハンドルしていくんだということになりましたが、そのときの内閣の責任は、内閣府の責任はどこにあるんでしょう。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 助成金に関する不正のおそれがある場合は、まず一般論で申し上げれば、まずは本事業の実施主体、補助事業者であります児童育成協会において、確認のための調査等を行い、その事実が判明した場合には、助成決定の取消しを行い、助成金の返還を求めることになります。

 また、内閣府といたしましても、必要に応じ、補助金適正化法に基づく対応をすることになります。

 お尋ねの件につきましては、内閣府から児童育成協会に対し、情報収集の上で必要な措置を講ずるよう指示をしております。

阿部分科員 指示が遅いんじゃないですか。平成二十八年に申請されて、もうお金が出ているんですよ、二十八年、二十九年と。今ごろ適正に調査しなさいと指示を出しておりますというふうなことをやって、本当に、これは企業の拠出金なんですね。年金特別会計に入るんですね。年金特別会計といえば、スパウザ小田原と言われるように、不要な施設をつくっちゃって、安く転売して問題になっている。

 私は、殊さら透明性と信頼が要求される、税金もそうですが、保険料で、企業に負担していただいているんですよ。そこで湯水のような無駄遣いがあったんじゃ、私、正直言って、安倍総理のメンツ丸潰れだと思いますね。企業にお願いして三千億の拠出で、何とか次世代支援をやってほしいとお願いした結果、スタートした事業ですよ。内閣府の自覚がなさ過ぎます。

 子ども・子育て支援で、全く今まで手がけたことのない保育事業のいわば責任者となり、しかし、やった途端にぼろぼろ問題が出てきて、果たしてこれで、宮腰大臣、これからいわゆる経済界の皆さんともお話しになるわけですよね。だって、料率をどんどん上げていっていただいているわけです、今、毎年。年金の企業主負担分の料率を上げていただくことで数をふやしているわけです。

 こうした事案について御報告されましたか。年に五回くらい経営者サイドとお話しされているそうですよ。経営者サイドには、少なくともこういう問題が生じているらしいとか、お話しになりましたか。どうでしょう。

宮腰国務大臣 事業主拠出金を財源として実施している企業主導型保育事業などにつきましては、経済団体に対し、毎年、定期的に、今委員御指摘の、平成三十年度に関しては五回にわたりまして、予算収支の状況や実施状況につきまして、情報共有と意見交換を行っております。

 参加団体といたしましては、日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国商工会連合会、さらには全国中小企業団体中央会並びに全国商店街振興組合連合会、こういう方々と情報共有、意見交換を行っているところであります。

 また、企業主導型保育事業のあり方について議論しております検討委員会にも経済団体の方にオブザーバーとして参加をいただいておりまして、さまざまな課題について問題意識を共有しており、御意見をいただいております。

 今後とも、この見直しに当たりましても、経済団体との情報共有や意見交換を丁寧に行ってまいりたいというふうに考えております。

阿部分科員 大臣に申し上げたいのは、あり方一般じゃなくて、相手が企業人であれば、一円のお金の無駄遣いもやはり許されない、そういうお立場の人たちなんですね。それに対して、今、大臣の言われたのは、非常に抽象的なあり方で、何度も申し上げますが、では、この検討会で具体的事案は一例なりとも検証されたのか。何が問題なのか検証されたのかというのがなくて、その上で、問題点は、確かに大臣が御指摘のような点もあろうと思います。

 でも、私は、例えば、大臣、お手元の資料の二ページを見ていただけましょうか。一ページは、この検討会のそもそもの開催についての御案内で、三年経過して、もろもろな課題が明らかとなっているからやりますよと。こんな生易しいものじゃないんですよ。もろもろな課題が露呈してと言える以前の、びっくりするような、経験したことのないような、どうしてこうなっちゃっているのというような事態を前に、二ページ目、お開きいただきますと、企業主導型保育所に関する予算と施設の整備について書いてございますが、予算はある種、オートマチカリーに、自動的に料率を〇・二〇、〇・二三、〇・二九とどんどん上げていっているわけです。

 それで、例えば平成二十八年度は、この予算のうち施設整備費、要するに箱物をつくるための整備に四百八十八億円支出したとなっておりまして、つくった施設あるいは改装した施設は八百七十一というふうに報告を受けています。これを単純計算いたしますと、一施設五千六百万円にも上るんですね。保育所をやっている厚労省に聞いていただければわかるけれども、これだけの額が施設整備にかかるだろうかと私なんかは思います。

 そこで、これは大臣じゃなくて担当部署でもいいですが、八百七十一のうち、例えば新設が多かった、もう最初から、土台からつくったから高かった、それが幾つぐらいあって、さっき御紹介した内装、幾ら何だって七千万かからないわね、百平米よというような、内装だけのものが幾つあったんですか、この八百七十一のうち。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度に助成決定が行われました八百七十一施設から、運営費のみの助成を受けた九十九施設を除いた七百七十二施設のうち、土台からつくられました創設整備は三百十五施設、既存施設を改修した改修整備は四百五十七施設となっております。

 また、助成金額につきましては、創設整備につきましては合計約百二十一億円、改修整備につきましては合計約九十三億円。平均しますと、一施設当たり、創設整備については約三千八百二十七万円、改修整備につきましては約二千八百八十万六千円となってございます。

阿部分科員 実は、私は、今のデータは、二日にわたって出してくれ、出してくれと言ったデータですよね。ここの質問に至るまで出してこないのも極めて不誠実ですよ。質疑を充実させようという気がないんじゃないですか。

 今伺った限り、新設が三百十五で、平均が三千八百二十七。私どもが単純計算すると割増しになりますけれども、何が違うのか後ほど検討させていただきたいが、そのいずれをとったって七千万はかからない。

 それから、私は、この内装整備二千八百八十六万円、それは、まあそのくらいのものもあろうかと思いますが、特に初年度の、最初のころのものは、内装整備であっても非常に高いお金で、そのままスルー。すなわち、見にも行かないで、書類審査でスルーしているんですね。こういうやり方をするから、ああ、これは簡単に補助金が来るんだと思わせしめたと思うのですね。そういうことがあるので、大臣、やはり具体例を知ってほしいと思うんです。

 もちろん、保育にかかわる人たち全員がいつも善人で、そういうことは絶対しないんだと思いたいです。でも、起きている事案が余りにも問題が多いので、私は、このお金の使われ方をきちんと、今担当官からありましたが、妥当性を含めて検証すべきだと思います。

 今いただいた数値を私が知っていたら、逆に、きょう、計算して問い直すことができましたけれども、いただいてすぐにはできませんので、私は非常に不信感を持ちます。

 そして、次の、平成二十九年度で単純割増しすると三千二百万円。だんだん新設が減っているとはいいながら、だんだん単価は減っていっているわけです。

 例えば、平成三十年、このときの施設整備費、施設件数千五百三十九で、これは、新設、既設はどんなものでしょう。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますが、ちょっとただいまの数字、手元にございませんで。

 済みません、先ほど御答弁申しました数字の方でございますが、一施設当たりで改修の方、私、二千八百云々と申しましたが、二千二十八万六千円の間違いでございます。訂正させていただきたいと思います。おわび申し上げます。

阿部分科員 いずれにしろ、この検証会議では、こういう具体的なことも含めて、私は、お金のことがきちんと経済界にも説明できるようにしないと、次々料率だけを上げていくことはもはやできないんだと思うのです。

 これは、今後の子ども・子育て支援にあっても、企業のある意味の協力。でも、私はそれは、企業は、情けは人のためならずで、自分たちの次の労働力を生んでくれる子供たちを育てていくわけですから。

 でも、少なくとも、その保険料の拠出で成り立っており、特別会計に投げ込まれている分だけ外から見えづらいということは自覚して、検証する側が妥当性をきちんと具体的に見ていただく。

 大臣、いかがでしょう。

宮腰国務大臣 先ほどからの御指摘、具体的な不祥事事案を踏まえなければ現実的な検討ができないのではないかという御指摘でございますが、先日の検討委員会で取りまとめ骨子案をお示しいただいたところでありますけれども、これは、国会等における指摘事項、あるいは自治体や事業団体、保護者の代表の方々からのヒアリング、それから過去二回の検討委員会における御議論を踏まえて提示をしていただいたものであります。

 一方で、これまで二年間で助成決定された施設の検証を行うということは大変重要なことだというふうに考えておりまして、検証結果を検討委員会に報告をさせていただいた上で、委員の皆様にさらなる御議論をいただきまして、今年度内に最終的な報告を取りまとめていただきたいと考えております。

 また、今ほどの施設整備費の助成の問題でありますけれども、今回の取りまとめ骨子案におきましても、施設整備費の助成基準の適正化ということが盛り込まれております。

 確かに、過去いろいろな問題があったということではないかと私も考えておりまして、こういう事案については、検討委員会の方にしっかりとお示しをした上で、議論をいただきたいなというふうに思っております。

 経済団体の皆様方とは、今年度も五回、意見交換の場を持たせていただいて、そういう問題点もあるということなども含めて、情報の共有、認識の共有を図らせていただいているところであります。

阿部分科員 正直言って、私が経営者側でしたら、ああ、そうでした、そういうのがありましたかと言えませんね。本当にこれは深刻な事態です。

 大臣、御存じですか。運営者がかわった、要するに、ある保育園を運営している人がやれなくなって譲渡した、これが幾つぐらいあるか。大臣に伺いたいです。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません。ただいま、譲渡の方でございますが、現在、二カ年の検証の最中でございまして、精査中でございまして、数字は手元にございません。

阿部分科員 手元にあるでしょう。だって、二十八園までわかっていると言いましたよ、これは二回も。どうしてそんなにうそをつくんですか。あなた方から聞いたことですよ、二十八園あると、わかっているだけで。

 譲渡って、補助金をもらった施設が人に売り渡している、場合によっては保育園転がしなんですよ、補助金がついたまま次の人がもらう、譲り受けるわけですから。大臣、少なくとも、これが適正価格なのか。譲渡の一つ検討していなくて、本当にこんなことで経済界と話なんかできない。わかっていないなんてこともない。だったら、わかって隠しているのかと思いたくなりますよ。

 大臣の責任において、譲渡の価格が適正なのか、その考え方が適正なのか。例えば、七千万円くらいの補助金がついているわけですよ。その保育園を始めようと思ったけれども、あるいは始める気はなかったけれどもつくった、次に売る、そういうことが横行しているから、私はこれだけ厳しく言っているんです。子供のことでこんなことをやってほしくないからです。

 大臣、少なくとも、譲渡についてはきちんと調べて全例を報告する、このことをここで確実に御答弁ください。

宮腰国務大臣 事業譲渡につきましては、協会の承認のもとで行われておりますけれども、そういう事例を調べるということはそんなに難しいことではないのではないかというふうに思います。

 ただ、助成要綱に、現状では事業譲渡に関するルールは明記されていないという状況にあります。ただし、企業主導型保育事業の施設整備の助成決定を受けた事業者が施設を譲渡し、収入があった場合には、助成要領に基づきまして、その収入の全部又は一部を児童育成協会に返還させることとしております。

 また、事業譲渡につきましては、検討委員会の取りまとめ骨子案におきまして、事業譲渡する場合、基本的に新設時と同様の審査手続が必要とされておりまして、今後、取りまとめられる検討結果を踏まえまして、内閣府として、この事業譲渡の問題についてもしっかりと対応してまいりたいと考えております。

阿部分科員 現実にはそれがなされていなくて、安易な譲渡になっているから、指摘をさせていただいております。逆に言うと、譲渡をめぐるきちんとしたルールというのは今まで私はないと思います。そこもまた問題です、だって補助金が入っているわけですから。こんなことを安易に許したら、悪い例になります。

 もう一つ改善すべき点があります。必要性の本当の把握のないところ、ニーズの把握のないところでつくって、場合によっては転売して、閉園してなどが起こり得る。じゃ、これをどう防いでいくかということで、大臣には既に意識がおありと思いますが、自治体の調べているところの保育ニーズや、自治体の助言指導にのっとって今後はこれを進めていく、このことはもう最低限必要と思いますが、大臣の御所見を伺います。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業は、従業員の仕事と子育ての両立支援を図る観点から、企業が主体となって実施しているものでありますけれども、一方で、地域の保育需給や保育の質の確保といった観点からは、自治体との連携を強化する必要があると認識をいたしております。

 一昨日二十五日の検討委員会における取りまとめ骨子案では、自治体との連携について、地域枠の設定は市町村との調整が必要である、また、地域の保育需給状況を審査に反映するなどといった項目が盛り込まれておりまして、今年度内に報告書を取りまとめていただき、その結果を踏まえ、平成三十一年度について、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

阿部分科員 大臣、ありがとうございます。

 最後に、お手元の資料を見ていただきますと、実は、企業主導型保育所、どのくらい埋まっておるかというと六割、これは三月時点ですが。下に比べてございますのは、ある自治体の自治体立保育園の、自治体立というか認可保育園の充足率、九二・四%。

 単純に比較はできないといっても、今企業主導型でつくっている保育園が本当にその保育の不足を補えているのかどうかというところも実は問題で、それは自治体との意見交換もそうでしょうし、私は、安易に料率を上げる前に、先ほどお願いした点をきちんと調べて、今回のことを踏まえて、企業との話合い、経済界との話合いに臨んでいただきたい。ただふやすだけが解決策ではないと思いますので、申し添えて、終わらせていただきます。

中山主査 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

 次に、古賀篤君。

古賀分科員 自由民主党の古賀篤でございます。

 本日は、この第一分科会におきまして質問させていただく機会をいただきましたことを心から感謝申し上げます。ありがとうございます。

 きょうは、宮腰大臣には保育について最後に伺いたいと思います。きょうは、限られた時間でありますので、早速、保育についてお伺いしたいと思います。

 まず、保育所の臨時休園の判断についてお伺いしたいと思います。

 昨年の十一月、総務省の行政評価局からの勧告として、子育て支援に関する行政評価・監視、この副題として「保育施設等の安全対策を中心として」という勧告が出されました。手元にこの結果報告書があるわけですが、保育施設の安全対策について報告、そして勧告されたものであります。

 私も、かつて総務省の行政評価の担当政務官をさせていただいたことがございますので、この行政評価・監視について少し申し上げますと、行政評価局が各府省の業務の現場における実施状況を調査し、課題や問題点を把握、分析し、そして課題の改善方策を提示するというものでございます。

 今回、この勧告の特に後半に、いろいろ報告されているわけですが、「その他」というところで、「非常時における保育施設等の迅速かつ適切な臨時休園の判断の推進」というような調査、そして報告がされております。

 まず、この事項につきまして、総務省行政評価局の所見、そして、これを受けました厚生労働省の対応について伺いたいと思います。厚生労働省は以前からこの臨時休園についての問題について把握されていたかということも、わかれば教えていただきたいと思います。

讃岐政府参考人 お答えいたします。

 昨年十一月に勧告しました御指摘の行政評価・監視では、自然災害発生時などの非常時における臨時休園を含む保育施設の安全対策について調査しております。

 具体的には、百四十九の保育施設を抽出し、臨時休園の実施基準が設定されているか調べたところでありますが、その結果、自然災害発生時における臨時休園の実施基準が定められている施設は一七・四%、感染症流行期についての基準としては七・四%ということでありました。これらは、地方公共団体による臨時休園の基準を定める取組などが契機となって、施設としての基準が定められていたものであります。

 他方、八割程度の施設では臨時休園の実施基準が設定されていなかったところであります。設定されていない理由としては、乳幼児を預けたいとする保護者がいる限り、臨時休園を行うべきではないとする施設がある一方、保育施設については臨時休園を行うことができる旨を定めた法令がないことから、制度的に臨時休園はできないと思っていたとする施設や、臨時休園を行う具体的な基準が決められないとする施設があったところであります。

 以上のことから、非常時における保育施設の迅速かつ適切な臨時休園の判断を推進するため、保育施設における臨時休園に関する国の考え方を整理し、地方公共団体に提示するとともに、臨時休園の実施基準の設定を検討することについて地方自治体に要請することを厚生労働省と所管府省に求める勧告を行ったものです。

 この勧告に対する対応状況については、勧告からおおむね六カ月後と、更にその一年後を目途にフォローアップすることとしておりますけれども、所管府省において適切な対応が図られる必要があると考えております。

本多政府参考人 お答えいたします。

 まず、議員からの、これまで厚生労働省としてこの課題について認識していたかということなんですけれども、自治体などからの意見があることにつきましては、幾つかの機会で承知をしておりました。

 保育所等における災害発生時や感染症流行時の休園につきましては、日常と異なる環境での保育による二次災害の防止や感染症拡大のリスク回避のため、必要でございます。一方、休園する場合に、保護者が休暇をとって対応しなければならず、保護者への影響が大きい、こういった理由から、その判断が難しいといった課題がございます。

 臨時休園に関する判断基準につきましては、地域の実情や園の置かれた状況がさまざまで、災害や感染症の種類によっても対応の方法が異なると考えられますことから、一律の対応方針を現在のところ示していないところでございます。

 一方、先ほど総務省からの説明にありましたとおり、臨時休園の実施基準の設定に係る考え方を整理し自治体に提示すること、臨時休園の実施基準の設定の検討について自治体に要請することにつきまして、昨年十一月に勧告をいただきました。まずは、既に対応している自治体での状況等の実態を把握いたしまして、勧告の内容に沿って対応してまいりたいと考えております。

古賀分科員 この質問を最初にさせていただいたのは、地元、私、福岡でありますけれども、本当にこの臨時休園について、園の先生方、大変悩んでいるという声をよく聞くからなんですね。

 今厚労省からも答弁があった状況、よくわかっています。やはり、保護者の方からすると、保育園に子供を預けて働かなきゃいけないという現状を踏まえて、臨時休園もよく考えていかなきゃいけないわけですけれども、幼稚園だったり小学校、この辺は法律で休園、休校できるというような規定があるわけでございまして、そういったルール、一定の何か判断できるルールを示して、そして適切に臨時休園の判断ができるように、子供たちが安心して、安全にその園で過ごせるような園の判断ができるように、ぜひ、厚生労働省におかれましては、提示していただき、そして、自治体又は園が適切な判断ができるような環境づくりをしていただきたいと思います。

 行政評価局のこの勧告は制度上もフォローされるようになっていますが、私の方もこの勧告後の状況を適宜フォローさせていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、評議員の数の経過措置についてお伺いいたします。

 平成二十八年に、社会福祉法の改正によりまして、社会福祉法人において、これまで任意の設置だった評議員会が必置、必ず置かなきゃいけない議決機関となって、その評議員の数というのは七人以上ということになっております。しかし、収益四億円未満のいわゆる小規模の法人は、三年間、具体的には平成三十二年、来年の三月末、あと一年ほどあるわけですけれども、経過措置として、この評議員の数が七人でなく四人以上というふうにされております。

 小規模の法人、特に保育の関係につきましては、七名確保するというのは大変きついという声をいまだにいただくところであります。こうした声を、厚生労働省、所管省として把握されているのか、そして、今自治体に調査をかけているようにも伺いますが、この調査の目的、また、今後の対応予定についてお伺いいたします。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございました平成二十八年の社会福祉法の改正におきまして、経営組織のガバナンスを強化する、こういう観点から、法人運営の基本ルール、体制の決定、事後的な監督を行う必置の議決機関、こういうことで評議員会を位置づけた、少なくとも七人以上の評議員を置くということが義務づけられたところでございます。

 一方で、今御指摘ございましたように、小規模法人に対しましては、法施行から三年間は評議員の定数を七人以上から四人以上とする経過措置を講じているというところでございます。

 小規模法人からは、やはり、七名の評議員の確保は難しいというふうな声を確かに、私ども、お伺いをすることがございます。

 調査ということで、今般、経過措置期間が終了するまでに小規模法人が円滑に評議員の確保ができるように、評議員確保に当たっての課題ですとか、法人ごとの計画についての進捗状況、こういったことを把握をし、必要な支援策というものを講じていくということを目的として調査を実施をしているというものでございます。

 今後の対応ということでございますが、調査によって得られました法人の課題、こういったことについて分析をいたしまして、速やかに、社会福祉法人を所管する都道府県等の自治体、あるいは社会福祉協議会等の関係団体と連携をいたしまして、評議員の円滑な確保に向けて、厚生労働省としても全力で取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

古賀分科員 厚生労働省におかれましては、ぜひ、調査だけではなくて、実際どういう状況になっているのか、現場あるいはいろんな関係者から意見をとっていただきたいというふうに思います。

 やはり、一法人一形態でやっている保育園が多いという中で、なかなか、評議員を確保する、いろんな支援策も講じられているのは把握しておりますけれども、三年間で本当に解決できるのかという意味では難しいんだというふうに思います。

 最終的に、この経過措置、法改正するような話になってきますけれども、経過措置じゃなくて何らかの特例措置だったり、少なくとも期間を延ばすとか、本当に法人の運営に支障を来さないように、しっかりとこれから検討を練っていただきたいというふうに思います。

 続きまして、副食費についてお伺いいたしたいと思います。

 ことしの秋に、消費税一〇%引上げに伴って、幼児教育、保育の無償化がスタート予定ということでございます。この中で、食材料費、その中でも副食費の取扱いについて伺います。

 二号認定の保育園等につきましては、これまで保育料として市町村徴収だったところから、無償化後は園が保護者の方から直接徴収するというような方向と伺っております。そもそも、これにつきましては、引き続き市町村の方で徴収してほしいというような園の声もあるわけであります。

 いずれにしましても、この副食費について問題を二つ指摘させていただきますと、一つは、この副食費、実費徴収というような表現がされております。実費となると、一人一人、園で食事をとったとらない、あるいはアレルギー対応だったり、宗教上の関係で食事にコストがかかる、こういうことも正確に把握するのかなということも思うわけですが、当然、現実的ではないし、そういうことを想定されてはいないというふうにも伺っております。であれば、実費というのは非常に誤解を与えるんじゃないかというふうにも思うわけです。

 ですから、指摘させていただく一つは、実費ではなくて、給食費とかそういった形で月額でというのがわかりやすいんじゃないかというのが一点目であります。

 そしてもう一点でありますが、この副食費は四千五百円と算定されている、こういうふうに聞いております。今後、徴収する園に対して、この四千五百円を原則として、あとは状況に応じて園が最終的に設定するというような方向で検討が行われているとも伺っているところであります。

 この背景としては、月曜から土曜に、園に通わずに、土曜日は保護者の関係でお休みという子供がいる場合に少し副食費を下げるといったこと、あるいは、地域によっては四千五百円もかかっていない、そういう中で四千五百円と設定すると副食費が値上げになるというようなことも考えられ、そういった意味では、原則四千五百円、しかし園の判断というようなことも伺うわけであります。

 この考え、一理あるとは思いますけれども、保育所において、食、また保育における食育というのは大変大事だというふうに捉えておりまして、そういう意味において、園が自由にこの副食費を設定できるとなると、保護者の側からすると、あっ、この園は安い、若しくは、園の中でも場合によっては副食費が下がるというようなことになると、やはりどうしてもそこがいろんな判断の材料になってしまう。食が中心になくなってしまう、価格の面での判断になってしまうということが危惧されるわけでございます。

 そういう意味では、この副食費の額は、自治体や園任せではなくて、国が具体的な方針だったり考え方を示して、その上で園の混乱を回避するということが私は大事じゃないかというふうに思うところであります。

 こうした二点の観点から、副食費の実費徴収についてお伺いいたします。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 幼児教育、保育の無償化に当たりまして、食材料費につきましては、引き続き保護者に御負担いただくこととしたため、これまで保育料に含まれ、市町村が徴収していた三歳以上の児童の副食費につきましては、給食費として施設に徴収いただくこととなります。

 この取扱いの変更につきましては、保護者の方々に御理解いただけるよう、わかりやすい周知用資料を作成するなどいたしまして、行政の責任におきまして、丁寧に周知、説明をしてまいりたいと考えております。

 また、各施設における円滑な給食費の徴収に資するよう、目安となる額や徴収額の算定に当たっての考え方、これらを通知等によりしっかりお示ししたいと考えております。

 また、副食費の徴収に当たりましては、関係者に広く御納得いただきますよう、給食費の徴収などの表現とすることを検討していきたいと考えております。

古賀分科員 ありがとうございました。

 今、給食費というような言葉もいただきました。名称の部分、そして目安を示す、そして通知を出されるということでありましたけれども、速やかに出していただく、そして、その前には、ぜひ関係者にも考え方を示していただいて、十分調整をした上での通知、そして、その後の運営ということを、ぜひ丁寧に進めていただきたいというふうに考えております。

 次に、子ども・子育て支援新制度での施設型給付等の公定価格についてお伺いいたしたいと思います。

 この新制度、施行後五年で見直すというような規定が置かれておりまして、公定価格の検討もその中で来年度検討されるというふうに伺っております。

 早くも昨年の秋には財務省の予算執行調査、そしてことしに入っての厚生労働省の調査が公表され、来年度、新年度には内閣府の調査も行われるというふうに伺っているところであります。

 公定価格につきましては、制度スタートの前、五年ほど前にも、積み上げ方式がいいのか、包括方式がいいのかといった算定方式の点だったり、党の中でも大変大きな議論をした、私もその議論に加わっておりましたが、そういった記憶がございます。

 園の実態を反映した公定価格という考えは共有できる部分でありますけれども、現行の公定価格というのは、認定こども園、幼稚園、保育園とある中で、副園長の加算だったり、学級編制加算だったり、こういうもので園に差があるというような声にまだ応えられていないということ。そして、現行の公定価格も十分じゃない、いろんな園の状況を考えるとまだまだ十分足りていないというような声もあるわけであります。

 そういった中で、既に調査がスタートしていて、特に財務省、予算担当部局は、私もいたのでよくわかるんですけれども、何か材料を探して少しでも予算を抑えられないかということで、いろんな調査がもうかかっているようでございます。

 これからもう公定価格の検討になると思いますが、ぜひ、園を充実させる、実態を把握した上で充実させるという方向でこれから検討していただきたい。その中では、書面上の調査だけではなくて、本当にどうなっているのか、何が足りないのか、これから、園の先生始め、園の充実を図る上でどういったお金が必要なのかということもしっかり考えていただきたいと思っているところであります。

 そこで、公定価格の見直しについて、スケジュールや考え方についてお伺いします。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 公定価格の検討に向けましては、来年度に幼稚園、保育所、認定こども園等の経営実態調査を実施することとしてございまして、その結果などを踏まえまして、具体的な検討を行ってまいります。

 その際、収支差のみから単純に判断するのではなく、各施設の経営実態をしっかりと把握することが重要と考えておりまして、現在、調査票の様式の改善等を検討しているところでございます。

 調査結果を得ましたら、まさに、有識者、関係団体から構成されております子ども・子育て会議でしっかりと意見を聞きながら、子ども・子育て支援新制度施行後五年の見直し、これらの議論も加味しながら、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

古賀分科員 これからの議論ですので、調査の方も、夏あたりに調査がある程度整理され、そして秋以降更に本格的にやる、年末には大方見直しの形ができるということなんだと思っております。

 いずれにしましても、本当に、この公定価格については、大変、園の方も、先生方も注目されておられますし、介護のように包括方式にされると中身が見えなくなってしまう、本当に必要なものを一つ一つ積み上げての価格であるということを十分認識していただいて、これから議論していただきたいというふうに思います。

 それでは最後に、大臣、お待たせしました、少子化対策担当でございます宮腰大臣にお伺いしたいと思います。

 これまで御指摘させていただいた点は、いずれも私が保育園で各園の先生からお声を頂戴し、そして、先日は九州、私の地元は福岡でありますけれども、福岡に九州の保育の先生方が来られて研修会が行われた、そこでいただいた声の一部を指摘させていただいたということでございます。

 待機児童の対策、待機児童を解消するという政府の大きな方針があって、今、園の整備が全国的に進んでいる。待機児童がいない地域もありますけれども、そういった中での待機児童対策、あるいはこれからの幼児教育、保育の無償化という中で、今、園の方は、各制度あるいは制度の見直しに大変対応を苦慮されているという状況です。

 加えて、先ほど申し上げたように、評議員の対応だったり、本当に現場現場の対応があって、そして感染症だったり、災害のことも指摘させていただきましたけれども、日々園を運営していく上での御判断の御苦労があるという状況であります。

 そうした中で、少しでも園が充実が図られて、その結果、子供たちが安心して一日の大半を園で過ごすことができるという環境をつくっていくこと、それが国の役割だというふうに思います。

 国が方針を示して、その上で自治体が、そして、最終的には園がという関係にありますけれども、今この保育、大変注目を受けていて、かつ、国が今力を入れているという中において、少子化対策担当大臣の役割も大変大きいんだというふうに思っております。ぜひとも、園の現場の声を丁寧に聞いていただきまして、不安や過度な負担にならないようにぜひお努めいただきたいというふうに思います。

 そこで、先ほどの副食費の扱いだったり、あるいは公定価格の話をさせていただきました。その点につきまして、所管の宮腰大臣から御所見をいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、施策を進めていくに当たりましては、子供たちの健やかな育ちのために、現場の最前線で日々御苦労されている各施設の方々に不安や過度の御負担を与えることのないようにすることが極めて重要であるというふうに考えております。

 副食費の取扱いや公定価格の見直しにつきましては、これまでも、幼稚園や保育所などの代表と有識者から成る子ども・子育て会議でしっかり御審議をいただいておりまして、また、さまざまな機会を捉えて現場の皆さんと意見交換をしておりますけれども、引き続き、現場の声にしっかりと耳を傾けながら、また速やかな情報提供にも努めながら、施策を進めていきたいというふうに考えております。

古賀分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、大臣におかれましては、関係の大臣、厚労大臣だったり文科大臣等おられると思いますが、しっかりと連携を図っていただくとともに、リーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 きょうは、このほかに、本当は、先ほども質問が出ておりました企業主導型保育の点だったり、あるいは、予算委員会ですので、平成三十一年度の保育関係の予算、こういった質問もさせていただきたいと思っておりましたが、時間の関係上、質問の方は省略させていただきました。

 ただ、私の方からぜひ申し上げさせていただきたいのは、先ほどるる企業主導型保育園の話も出ておりましたが、地元でも、企業主導型保育、大変多くできていて、福岡市は特に待機児童が多いので助かるという声もある一方で、やはり、自治体がもう少し関与しないと、どんどん園ができていくと、地域ごとに保育が必要な状況、数字というのは違うわけですので、もう少し自治体の関与を強めてほしい、それはかなり早い段階で自治体が関与していくということが大事だというようなお声もいただいているわけであります。

 先日、内閣府の中で検討会が開催されたというふうに伺っておりますが、取りまとめに向けて、自治体の関与と、そして地域で必要とされる保育の把握の中で、企業主導型も地域における保育に対する貢献をいただきたいというのがまず一点目でございます。

 そして、平成三十一年度の予算につきましては、チーム保育の推進加算の要件緩和だったり、あるいは栄養士の充実だったり、こういった面もあって、大変ありがたいというふうに聞いております。また、保育士の方の処遇改善も、年々上がってきておりまして、来年もまた上がるということでの歓迎する声も伺っているわけであります。

 ただ、処遇改善、上がっていっても、特に深刻なのは、保育士が確保できないということであります。幾ら処遇がよくても、人が足りない。働いている方が、だんだん人口が減って、減ってきているという全体の中で、保育士の方を確保するというのは大変大事なことでございまして、保育園、箱ができても、そこで働く保育士さんがいないというような状況は大変まずいということでありますし、福岡市の保育園も、実際、そういう中で休園になったというような状況もございます。ですから、何が今地域で起こっているのかということをしっかり把握いただいて、ぜひ、しかるべき措置をとっていただきたいというふうに思います。

 きょう、ここで御披露できなかったんですが、いただいている声としては、それ以外に、保育士、調理員の方の配置基準の改善をしていただきたいということ。そして、保育園、十一時間開所でございますよね、この実態に見合った給付をしていただきたい。それだけじゃなくて、計画、準備、記録等の保育士の負担軽減のために、業務体制の構築に国の関与、国の支援が欲しい。あるいは、業務量、今、副食費の話を申し上げましたけれども、こういったさまざまな業務量がふえてくれば、常勤の事務職員の方の配置が必要になってくるんじゃないか、こういった声もいただいているわけであります。

 本当に、処遇あるいは箱をつくるだけじゃなくて、まだまだできていないことがたくさんあると思っております。ですから、そういった面で、予算を確保するだけではなく、臨時休園の話というのは別に予算が要らない話ですので、そういう意味で、通知の面だったり、いろいろな、できること、できないことがあると思いますが、いろいろな声を拾っていただきまして、ぜひ取組を進めていただきたいと思っております。

 私も六年この仕事をさせていただいておりますが、毎年毎年保育がよくなってきているという、本当に評価をいただいている声もあります。ただ、今申し上げたように課題もあるということでありますし、私もそういった中で、昨年保育士の試験を受け、保育士の資格も取得させていただきました。

 より現場に即した政策を打つ、生きた政策を打つということが大変重要だというふうに思っております。そういう意味では、保育士の方の声というのがまだまだ国政に届いていないという心配もしておりまして、私も、いろいろな機会をいただいて、園に伺い、そしてそれぞれの立場に立った、いい政策を打っていきたいと思います。

 ですから、国の各省の皆様におかれましては、ぜひ子供の最善の利益ということを念頭に置いていただきまして、各省の真摯な取組、大臣にも先頭に立っていただきたいと思いますし、私も微力ではありますが、引き続き、子供たちの将来、輝かしい未来が待っていることを期待し、信じて取り組んでいきたいということを最後にお約束しまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山主査 これにて古賀篤君の質疑は終了をいたしました。

 次に、池田真紀君。

池田(真)分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの池田真紀です。よろしくお願いいたします。

 きょうは三本柱で、防災関係、そして子育てを含む消費税関係、そして最後に、統計といいますかの問題をちょっと触れさせていただきたいと思います。

 まず、昨年でございますが、自然災害が相次ぎました。北海道の方でも地震がありましたけれども、そのほかにも、環太平洋地域の方では、地震、火山噴火、津波などの活動が活発化しております。

 こういう中で、恐縮ではございますが、現政権下におきます災害対策の中の国土強靱化緊急対策プランにおいては、残念ながら、人命を守り切るという、言い切るところまでの覚悟に至っていないのではないかというふうに思いまして、何点か、確認といいますか、質問させていただきたいと思います。

 まず、耐震化の政策でございますが、住宅関係でございます。耐震化診断、そして耐震化の表示の現状をお伺いしたいと思います。お願いします。

眞鍋政府参考人 建物の耐震化についての御質問がございました。お答え申し上げたいと思います。

 地震発生時の国民の生命、財産を守るため、住宅あるいは建築物の耐震化は大変重要な課題と考えております。住宅建築物の耐震化を加速させるため、従来より防災・安全交付金などを活用して、耐震の診断それから耐震の改修に要する費用への支援を行っております。

 三十年度からは、住宅の耐震化に向けた積極的な取組を行っている地方公共団体の区域を対象にして、住宅の耐震改修費などに対する、原則、戸当たり百万円の定額補助制度を創設して御活用いただいているところでございます。また、あわせて、住宅の耐震改修を行った場合に、所得税や固定資産税を軽減する、こういう措置も講じているところでございます。

 平成二十五年に耐震改修促進法を改正いたしましたが、その改正法に基づいて、一定の建築物の所有者に対しましては耐震診断の義務づけを行っております。

 具体的には、多数の者が利用する一定規模以上の建物については平成二十七年末までに耐震診断の結果を所管行政庁に報告する、公共団体が指定した避難路沿道の建物については地方公共団体が定める期日までに耐震診断の結果をやはり所管行政庁に報告することを義務づけており、所管行政庁においては各建物の診断結果をホームページで順次公表をしております。また、こうした診断の義務づけの建物についても、補助金の、補助率の引上げということで支援申し上げているところでございます。

 それから、耐震性の表示についてのお尋ねがございましたけれども、やはり同じように、平成二十五年に耐震改修促進法を改正いたしまして、耐震性の表示制度を設けております。

 具体的には、建物の所有者が、その建物が地震に対する安全上の基準、これは耐震診断の基準でございますが、それに適合していることについて所管行政庁による認定を受けまして、その旨を当該建物や広告などに表示できる、そのためのマークの制度も設けてございます。これまでの実績は全国で約三千五百件、三千五百棟というふうになってございます。

 引き続いて公共団体と連携しつつ、このような表示制度の周知、普及、そうしたものを通じて耐震化の促進に取り組んでまいりたいと考えております。

池田(真)分科員 御説明ありがとうございました。

 もう言うまでもありませんけれども、阪神・淡路大震災のときに、まず、圧死ということで、耐震化による、死亡といったものが圧倒的を占めていたということで、この耐震化が今るる説明あったように進んでこられたとは思います。しかし、今御説明があったように、この特徴は、持家で、そして高所得者層、高所得者の世帯といいますか、そういった方々に対しての支援が重立っています。

 具体的に、提案といいますか、持家の方、高所得の方というのは引き続きこのような支援を進めていただく。と同時に、賃貸の方、特に賃貸の低所得、そして持家の低所得の方々に対しては今何もない状況でございますので、この方々に対しては地域の丸ごとの耐震化といったものを進めていく。そういったような、選べない人の命を守る姿勢といったものが、政策を今後進めていただきたいというふうに思いますので、これはぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

 このままですが、引き続き、水防法の一部改正がございまして、その後、土砂災害等の防止法、この一部改正もありましたが、避難確保計画、こちらについての策定状況、また訓練の実施状況をお伺いしたいと思います。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘いただきましたように、二〇一七年の五月に水防法それから土砂災害防止法の改正案を国会でお認めいただきまして、各法律に基づきまして、市町村の地域防災計画に位置づけられております社会福祉施設や医療機関といった要配慮者利用施設につきましては、避難確保計画の作成と訓練の実施、これが義務づけをされております。

 その後、二〇一八年の三月時点でございますけれども、まずは水防法に基づく避難確保計画作成の状況でございますが、対象施設が五万四百八十一ございまして、そのうち八千九百四十八の施設で避難確保計画が作成されておりまして、そのうち三千三百五十一の施設で訓練を実施していただいております。

 また、同様に二〇一八年の三月末時点で、土砂災害防止法に基づきます避難確保計画作成対象の要配慮者利用施設、これは一万七百二十施設ございますが、これにつきましては千五百五十三の施設で避難確保計画が作成されておりまして、そのうち二百の施設で訓練を実施していただいております。

 こうした状況を受けまして、国土交通省におきましては、二〇二一年度末、すなわち二〇二二年の三月になりますので、おおむねあと三年ということになりますが、これまでに、水防法それから土砂災害防止法に基づきます要配慮者利用施設におきます避難確保計画の作成や訓練の実施を一〇〇%にしたい、こういう目標を掲げております。

 このために、手引の作成や充実でありますとか、点検マニュアルの作成、あるいは先行モデルの事例集、こういったことを通じまして、関係省庁や都道府県、市町村、こういったところと連携をしながら計画作成等の取組を支援してまいりたいと考えております。

池田(真)分科員 ありがとうございました。

 平成二十八年の災害を機にこの法改正は行われまして、義務づけたことと、そして今みたいに、きちっとその後の実施状況を確認していること、そしてさらに、期日を設けて、二〇二一年までに一〇〇%実現するという目標を明確にしていること、これは非常に評価するところでございますので、ぜひこのまま進めていただきたいと思います。

 そして、一方で、内閣府の目玉事業でありました地区防災計画、こちらはどうなっていますでしょうか。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 災害の多い我が国において、地域の防災力向上を図るために、地域住民がふだんから地域のリスクを把握し避難計画を立てる地区防災計画の取組は大変重要であります。

 昨年、西日本豪雨におきましても、愛媛県の大洲市三善地区において、事前に地区防災計画を策定し、避難カードあるいは訓練を実施していたことが役立ち、住民皆さんが無事に避難することができたと承知しており、有効性が確認されているところでございます。

 内閣府といたしましては、今年度は全国八カ所、北海道においては、知床のウトロ地区において、観光客の津波避難などを考慮した地区防災計画の策定支援を行っております。また、札幌市におきましても、札幌市の事業として七地区のモデル事業を支援していると聞いております。

 今後とも、地域の防災リーダーを中心に、市町村や住民等が地区防災計画や避難計画等の策定に取り組みやすくなるよう、アドバイザーの派遣、シンポジウムの開催、優良事例のホームページでの公開など、地域防災力の向上に向けた取組を支援していきたいと考えております。

池田(真)分科員 今の説明では、よくわからないといいますか、ちょっとお茶を濁されたようなところを感じます。と申しますのも、この地区防災計画の支援策の部分につきましては、二十六年から二十八年で予算は終わっていますよね。こちらについてのものはもう既に終わってしまっていまして、今は策定状況を伺ったわけであります。

 まだまだ地区防災計画の普及啓発といったものは達成していないというふうに考えます。こちらの方は、実際に、行っていないというところが七四%でございまして、うち制度自体を知らなかったというところがまだまだあるわけであります。制度を打ち切るということより、やり切っていただくということが重要でありまして、とりわけ、この地域防災計画の中には、住民主体ということでありますけれども、しかし住民任せだけでは高齢者等の命も当然難しくなってくるわけでありますから、先ほど北海道の話を、私は北海道なのでお気遣いいただきましてお話しいただいたとは思うんですが、実際には、地区防災計画はゼロですよ。百七十九市町村ありますけれども、北海道はゼロでした、モデル事業。

 今のお話というのは、恐らく、別の予算に関して、津波ということで、北海道の中で津波ということであれば、ああ、あの地区だろう、A地区だろう、B地区だろうというところとはまた違うところで今行っているということでございましたけれども、これは正式に、もう一回、地区防災計画といったものを、内閣府は横串の役割をしっかりと果たさなければ意味がないと思いますので、これはもう一度検討して復活をぜひさせていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 そして、もう一つ、地域の防災計画の中でなんですが、既に昨年も私は質問させていただきました、福祉施設に関する質問ですね。要配慮者、あと既にケアサービスを利用されている方の防災計画について状況を伺いたいと思います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 社会福祉施設におきましては、各施設の運営基準におきまして、利用者の避難を含む非常災害に関する計画等を立てるということとされてございます。

 例えば、指定介護老人福祉施設におきましては、運営基準上、非常災害に関する具体的計画を立てる、定期的に避難、救出その他必要な訓練を行わなければならないということとされており、制度上、各施設を所管する自治体が把握の上、必要に応じて指導が行われるということになってございます。

 また、御指摘ございました在宅で暮らす要介護高齢者、障害者が介護保険や障害者福祉のサービスを利用する際に作成をする計画との関係ですが、この計画の中には、災害発生時における避難のあり方、支援内容といったものを記載することは求めていないところでございますが、当然、要介護高齢者等が被災をした場合、その状況を把握するとともに、サービスを継続して受けられるということが重要であるというふうに考えてございます。

池田(真)分科員 そうなんです。今お話しいただいたように、義務づけられていないんですね。

 さらには、日常忙しい、介護の人手不足でもありますし、体制も厳しい状況の中で、福祉を必要とする方々、ケアを必要とする方々がより取り残されるような状況がわかっていながら、これがプランに入っていないということが、これは実は、平成十六年、地域包括支援センターができたころから指摘をされていましたが、なかなか法律や制度で位置づけられてこなかった問題であります。

 とりわけなんですが、平成二十五年の八月の公表を最後に、福祉施設のBCPの策定状況の公表すら、今されない、されていない。昨年もですけれども、こちらの方を進めてくださいというようなお願いを申し上げても、前向きな答弁をいただかなかったということがありますので、要するに、ケアを必要とする人たちは逃げおくれるのが当然というふうに思っているのではないかというふうに、本気度を全く感じられません。ぜひこれは義務づけていくような方策をお願いしたいと思います。

 一つ御紹介、もう御存じだとは思いますけれども、こういうさなかでございますが、災害時の要援護者の個別支援計画、ケアマネジャーさんが、介護保険上のケアプランとか、あるいは障害者への施策ですとか、通所事業所、そしてヘルパーさん、在宅等を問わずですけれども、こちらの方にきちっと位置づけていくというのを、今回、公的に兵庫県が率先して行っています。

 こちらの方では、兵庫県といいますと、阪神・淡路大震災のときの死者の半数が六十五歳以上だった。また、東日本大震災もそうですし、六割でしたね、高齢者、そして障害者の死亡率は健常者の二倍という数値はもう重々御存じだとは思っておりますが、そういう中で、ケアプランに組み込むということは、お願いしますというだけではやはりだめなんです。

 こちら、兵庫県の中では、ケアマネジャーさんに支払う報酬は一件当たり、プランニングですけれども、こちらは七千円です。県の方がきちっとこちらを当初予算に、報酬、研修も含めて一千六百万円の経費を盛り込んだということですが、これは兵庫県で完結をするということではなくて、これを機に国にぜひ進めてほしいというアピールの政策でありますので、ぜひこれは受けとめていただきたいというふうに思います。

 今すぐにでもできるかとは思いますけれども、あわせて、ちょっとこちらの方のケアプラン、プラス、スフィアについてですが、内閣府とスフィアについての現在の取組、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 スフィアプロジェクトについてでございます。スフィアプロジェクトは、災害や紛争後の援助を行う国際的な難民支援基準でありまして、内閣府が市町村向けに公表している避難所運営ガイドプランにおいても、避難所の質の向上を考えるときに参考とすべき国際基準である旨を記載し、地方公共団体に周知させていただいているところでございます。

池田(真)分科員 内閣府の方でも一応お願い事という形で自治体にお示しをいただいているということですが、まだまだ浸透していませんので、ぜひ、こちらの方は世界基準に合わせて、大臣、このスフィアといったところで、基準の周知、そして、あともう一つ、先ほど言ったような、福祉、ケアする、必要とする人たちの、法律や制度の中に盛り込んでいくというようなことはお考えいただけないかどうか、今の時点の大臣の見解をいただければと思います。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 避難所における生活環境の改善を行うということは、被災者を支援する上で極めて重要であるという認識をいたしております。今ほどのスフィアプロジェクト、これは避難所の生活環境の改善を考えるときには大いに参考になるものだというふうに思っております。

 避難所の生活環境の改善は、これは市町村が行うものでありますけれども、避難期間が長期に及ぶ場合等には、政府において、被災地のニーズやあるいは市町村の対応状況を確認しながら人的な支援を検討したい。そしてまた、被災者の命にかかわる生活必需品等のプッシュ型支援の実施もして、しっかりと支援を行っているところでございます。

 今後とも、スフィアプロジェクト、これを参考にしながら、被災者に寄り添ったきめ細かな支援を切れ目なく行ってまいりたいと思っております。

池田(真)分科員 ありがとうございます。ぜひ進めていただきたいと思います。

 そして次に、もう一つと思ったんですが、ちょっと時間の関係から、先に統計の話をさせてください。統計といっても、今予算委員会でやっている統計とはちょっと違った視点になります。

 生活保護基準の関係でありますが、昨年、平成三十年の十月に生活扶助基準額の見直しが行われました。基準改定と言われているものですが、今回の統計不正問題によって生じる疑義といいますか、多くの疑問がありまして、ここでぜひはっきりとお答えをいただきたいというふうに思っています。

 この引下げにつきましては、平成三十年、昨年は平成二十六年の全国消費実態調査の数値に基づいています。その前の引下げについては、平成二十一年の全国消費実態調査の数値に基づいているわけなんでございますが、そのほかでございますけれども、こちらの方、ちょっと四点、これの算定に当たって、基準額の算定の仕方も前回はちょっと変わりましたので、ここに関係しているものだけ確認をさせていただきたいと思います。

 平成二十六年の全国実態調査、そして平成二十一年の全国消費実態調査、そして小売物価統計と、あと民間最終消費支出。こちら四点、不正があったのかなかったのかということ、あるいは調査中なのかという、結論をお聞かせいただきたいと思います。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 まず、全国消費実態調査については、平成二十六年に実施した調査において、手続等に問題がございましたが、統計調査の実査や調査結果に影響を及ぼすような不正があったものではないということでございます。それから、平成二十一年の調査についても、実査や調査結果について不正は生じておりません。

 それから、小売物価統計調査については、地方公共団体で任命した一部の統計調査員において、調査店舗への訪問を数カ月置きなど不定期にしか行わず、訪問しなかった月は前月の価格を継続して報告していた、こういう不適切な事案がございました。ただし、この不適切な事務処理により修正が生じたのは全国約二十一万データのうちの約五十でございまして、小売物価統計調査の結果を用いて作成している消費者物価指数の公表済み数値について影響は生じておりません。

池田(真)分科員 ありがとうございました。

 そして、引き続きになりますが、実は、昨年の十月の改定の基準というのが、算定の根拠がちょっと不透明でございまして、今までとは違うんですね。数字を当てはめて検証をすることができない状況になっていまして、こちらの、算定するに当たって使用した統計の生データをぜひ示してほしいというお願いをしているんですが、こちらについては、厚労省の方の御見解を伺わせていただけますか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の検証におきましては、統計法第三十三条に基づきまして、平成二十六年全国消費実態調査の調査票情報というものを特別集計をしてございます。

 この調査票情報につきましては、統計法第四十三条第二項におきまして、「当該調査票情報又は当該匿名データをその提供を受けた目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供してはならない。」とされており、また、総務省のガイドラインにおきまして、利用終了後は調査票情報及び中間生成物を破棄するということとされてございます。したがいまして、調査票情報及び中間生成物そのものをお示しすることは困難でございます。

 一方、生活保護基準の水準の内容につきましては、有識者で構成をされます生活保護基準部会におきまして、五年ごとに検証のために審議をいただいているところでございまして、これは資料を公表し、公開の場で行われているものでございます。

 その上で、生活保護基準の検証に際しまして、更にわかりやすい分析、集計データ等を示していくということにつきまして、次回の検証に向けて検討してまいりたい、このように考えてございます。

池田(真)分科員 基準部会は五年ごとで、わかりやすい資料というのはわかるんですけれども、その大もととなるものが、今回検証ができないというのが非常に問題だというふうに思っています。

 一つ、ドイツの方では、御存じだと思いますけれども、こちらの方、違憲判決が出ているわけですよね、二〇一〇年に。それで、新しい、生活保護にかわるドイツの生活保障基準といったものが見直しをされたということであります。

 要するに、国が不利益を受ける国民に対して、どのような計算で基準給付が下がったのかということが示せなかったという点がこの違憲判決の理由づけの中心という形になっておりますので、今回、昨年の引下げといったものが、非常に同じような、同様の状況でございます。ましてや、今回、こういう統計の問題もあります。

 今後ですけれども、今回の、国の、厚労省の方が今、中間生成物を破棄したということで再現ができないということでございますので、これは、ちょっとこの後も厚労委員会の方で引き続き、こういったやり方ではないやり方で求めていきたいというふうに思います。

 これが、何でかといったら、最後のセーフティーネットですから、ぜひ、透明性ある、公平性ある最後のセーフティーネットの構築に向けて、副大臣、きょう来られているということで、ちょっと、今の問題、違憲まで出ていますから、昨年の基準額の見直しや算定、検証できない状況でありますので、ぜひこの後の引き続きの委員会に向けても、あるいは五年後の基準の見返しについてもコメントいただければと思います。お願いします。

大口副大臣 池田委員にお答えいたします。

 今、八神官房審議官から答弁ありましたけれども、生活保護基準の検証については、生活保護基準部会において有識者の先生方に公開の場で検証していただいているわけであります。五年ごとの検証ということでございます。

 今申し上げましたように、調査票ですとか中間生成物はなかなかこれを出すことはできないんですが、ただ、更にわかりやすい分析、集計データ等を示すことについては検討してまいりたい、こう思っております。

池田(真)分科員 お願いします。

 あと、最後に一つだけ。消費税の増税にかかわる幼児教育の無償化といったものは、今までの委員からも、いろいろさまざまな指摘があったかもしれません。しかし、ここの一点に、高所得者優遇措置ということでありますが、しかし、ベビーホテルだとかその他の認可外施設といったものは、実は、そもそも利用できるというのが、低所得者の方々はそもそも利用がしづらい状況でございますので、そういった意味でも恩恵を受けることができません。

 そして、こういうような状況の中で、児童虐待の問題等が出てまいりました。非常に子育て支援というものに拡充していく、厳罰化だけではだめで、実際に子育て支援を拡充していく、そして親支援をしていく、地域で子供を育てていくんだという支援が広がらない限りは、幾ら厳罰化したってこれは防ぐことはできません。

 ですので、こういう事態においても、子供、子育てあるいは消費税増税のところで、それでも幼児教育の無償化に踏み切って、かじを切り返すことができないのかどうか、もう一度ここは確認をしたいと思います。見直しを含めて、御見解を聞かせてください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 幼児教育、保育の無償化は、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の役割の重要性、こういった観点から実施するものでございます。

 高所得者を優遇しているとの御指摘につきましては、もともと所得の低い方の保育料は既に公費を投じて負担軽減を図っており、さらに、これまで低所得世帯を中心に、先んじて段階的に無償化の範囲を拡大してきているところでございます。今回の無償化による公費負担のみではなく、これまでのこうした取組全体を見ていく必要があると認識しているところでございます。

 一方、保育士の処遇改善、待機児童対策、教育、保育の質の改善なども重要な課題であると認識しており、幼児教育、保育の無償化とあわせまして、これらの取組も着実に進めていきたいと考えております。

池田(真)分科員 今のお答えで、もともと生活保護世帯だったらゼロ円だとか非課税世帯も助成があるということですけれども、それ以外にかかわるのが、今、教育と言っていましたので、幼児教育ということであれば、教育にかかわるその他の費用がすごく高いんですね。なので、利用ができていないんです。なので、公費の負担割合は変わらないとおっしゃいますけれども、そうではないということだけは申し上げておきたいというふうに思います。

 そして、やはり、次、厚労副大臣の方にちょっと最後にお伺いしたいと思いますけれども、今のような教育の無償化に関する子育て支援策、今のところですけれども、変える見込みはないというお話でしたが、ぜひ見直しをしていただきたいと思うんですが、子育て支援策、児童福祉ということで、児福法は厚生労働委員会ですから、ぜひ副大臣の方から強い決意を一言いただきたいと思います。

中山主査 申合せの時刻が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

大口副大臣 子育て支援の方もしっかりやっていきたいと思います。

 以上です。

池田(真)分科員 委員長、ありがとうございました。

 それでは、また引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 いずれにしても、副大臣にもいただきましたが、命を守るということで、ぜひ、それを第一に取り組んでいただきたいんです。これは与野党問わずだと思いますので、ぜひお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山主査 これにて池田真紀君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、警察庁について質疑の申出がありますので、これを許します。大西健介君。

大西(健)分科員 国民民主党、大西健介でございます。

 せっかくの機会ですので、きょうは先に、ちょっと国会所管のお話を聞かせていただきたいというふうに思っております。

 皆さんのお手元に、これまでの国会議員政策担当秘書資格試験の受験者と合格者の一覧というのを出させていただいているんですけれども、私、平成五年の第一回の試験の合格者なんです。ほかにも、第一回の合格者には、林芳正議員、宮下一郎議員もいらっしゃるんです。

 これをごらんいただくと、最初の試験、非常に注目を浴びて、受験者数が七百三十九名、合格者は六十三名ということだったんですけれども、直近を見ますと、受験者数が百三十二名と、非常に受験者数が激減をしているんですね。

 この政策秘書の制度というのは、かつては縁故採用が中心だった国会議員の秘書に、試験に合格さえすれば、資格を取れば秘書になれるという道を開いたという意味で、私は非常に画期的な、意味がある制度だというふうに思っております。

 しかし、政策秘書の椅子というのは、当然のことながら、議員定数と同じ数だけしかありません。それから、ほかにも、選考採用審査認定ということで弁護士資格を持った人であったりとか、公設秘書の一定年数の経験がある人が研修を受けて資格が取れるというような、ほかの道も開かれているということで、試験組と言われる人たちが実際に採用されているのは大体一割ぐらいということで、横ばいになっているんですね。

 試験に合格した有資格者というのは毎年ふえてくるんですけれども、逆に、新しく当選された議員さんというのはどうしても経験のある秘書さんを求めるということで、試験に受かって新たにこの永田町の世界に入ってくる人というのはなかなか残念ながら採用に至らない、こういうことになっている。

 ですから、難関の試験をせっかく突破しても採用に結びつかないということで、受験者がどんどん減っていくというのは、ある種当たり前だというふうに思います。

 制度発足からことしで二十五年目を迎えるわけですけれども、私は、これは本当に意義のある制度だというふうに思っておりますので、ぜひこれまでの運用の積み重ねの上にしっかり改善をして、よりよい制度にしていただきたいというふうに思っているんですけれども、きょうは衆議院事務総長にお越しをいただいておりますので、御答弁をお願いしたいと思います。

向大野事務総長 お答えさせていただきます。

 今、大西先生がおっしゃったとおり、問題点はそれに尽きるんじゃないかと思います。我々もそういう問題点を共有しております。

 我々もちょっと考えたんですが、やはり問題なのは、この試験が資格試験にとどまっている、それで実際の、なかなか採用に結びついていないというところにあるんじゃないかと思うんですね。

 この試験を受けている人の中には、単に力試しで、非常に難しいということで、採用されることは余り期待していない、ただ受けようという人もいるんですが、やはり真剣に秘書になりたいという方がいらっしゃって、そういう人には、これは我々の姿勢なのかもしれませんが、我々からすれば、試験をやって、資格を付与して、それで終わりみたいなところがあったので、どうしても、そういう希望をされる方は、その後どうしたらいいのかと戸惑われたことも、私は事実だと思います。

 その点でいいますと、やはり合格された後のフォローの姿勢なのかなと思っています。つまり、実際に秘書の仕事はどういうものかを研修とかでわかっていただくとか、あるいは先生方にお願いしてインターンのようなことをしていただく、そういうのが大事なのかなと思って、そういうのを含めて、これからちょっと工夫をしていきたいと思っております。

大西(健)分科員 今、事務総長の御答弁にあったように、資格を取っただけで、それでおしまいということでほったらかしじゃ、確かに難しいですよね。

 ですから、実は、試験組という、試験組の合格者で、現在、今、永田町で実際秘書として働いている秘書の先輩たち、超党派の皆さんが、毎年毎年自主的に手弁当でオリエンテーションというのをやっているんです。

 例えば、こういうふうに、議員のところに採用してもらえるように面接の申込みをしたらいいよとか、あるいは、言いにくいですけれども、こういうところは、ブラック事務所みたいなのがあるから気をつけた方がいいよみたいなことで、ノウハウを共有しているんですね。

 だから、そういうことは自主的に、実は試験組の先輩たちがやっているんです。これは事務局が全然、残念ながら今までノーケアだったので、実際にやっています。

 今、そういう構造的なお話もあるということが、御答弁いただきましたので、聞くところによると、十年とか二十年の節目は、別に事務局としてはこの制度について何もやらなかったということですけれども、二十五年を迎えて、平成の時代も終わります、平成の時代の置き土産にしないように、私は、この機会に何かシンポジウム等を開いて、この制度、どういう問題があるのか、これからどうしていったらいいのかということを議論したらいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、なかなか衆参事務局、両院ではできないということであれば、先ほど言いましたように、自主的に我々がやって、試験組の先輩秘書たちがいっぱいいますから、彼らがやって、それに例えば事務局の後援名義をつけていただくなんということは可能なんでしょうか。御協力をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

向大野事務総長 お答えさせていただきます。

 オリエンテーションにつきましては、先日、大西先生から聞きまして、私も初めてそれを知りました。申しわけありませんでした。

 ただ、すばらしい試みで、こうやって有志の方でやっていただいているということに大変我々も敬意を表したいと思います。

 我々からすると、シンポジウムもすごく大事なんですが、ちょっと我々が考えているのは、オリエンテーションをそこまでやっていただけているのなら、まず、そこに対してどういう協力ができるか、それを考えていきたいなと思っておりますので、そこを先に考えさせていただければと思っております。

大西(健)分科員 いずれにしろ、これは本当に、先ほども言いましたように、永田町の外の世界の有為の人材が資格試験というパスポートを得てこの世界に入ってくるという道を開いたということ、私は非常に意義のある制度だと思っていますので、よりよい制度にしていくように御努力をいただきたいなというふうに思っています。

 もう一つだけ、せっかく事務総長に来ていただいていますのでお聞きしたいんですけれども、先日、国立公文書館が二〇一九年度から歴代首相の在任中の体験などを聞き取るオーラルヒストリーの事業を始めるということを聞きました。

 欧米では、例えば、大統領や首相経験者が引退をすると、手記、回顧録みたいなのを出すというのが一般的であります。単なる自慢話じゃなくて、今だから言えるあのときの決断というのをちゃんと証言として残しておくということは、私、非常に意義深いことだというふうに思っています。

 私は、二十年前にアメリカの在米大使館に勤務をしたことがあるんですけれども、そのときに米国の議会を担当しました。お手元の資料の一ページ目の裏に、上のところですけれども、これはアメリカの上院のホームページに載っているものですけれども、アメリカの上院も下院も、こういうオーラルヒストリープロジェクトというのをやっているんですね。

 議会というのは、先例とか与野党の協議によって運営をされるということで、行政以上に文書での記録が残りにくいというところがあるというふうに思います。この点、私は、議会こそ、このオーラルヒストリーという手法を活用してはどうかなというふうに考えております。

 その下に載せてあるのが、実は二〇一二年に出版されたものですけれども、谷福丸衆議院事務総長のオーラルヒストリーというのが出版されています。これは私も読ませていただきました。これは議会史の一級の史料だというふうに私は思いますけれども、立法府においても、歴代議長だとか事務総長のオーラルヒストリー、これを事業として行ってはどうかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

向大野事務総長 お答えさせていただきます。

 先生の御提案につきましては、我々も大いに賛同するところでございます。

 この資料にありますように、谷とか、あるいは近藤といって調査局長をやった者がいるんですが、あるいは今野という、オーラルヒストリーにも今までこういうふうに、赤坂先生とか、あるいは御厨先生、あるいは奥健太郎先生らの御協力をいただいてやっておりまして、これは非常に仕事にも役に立つ。

 それで、私らも、今は事務局だけが多いんですけれども、いずれ正副議長にもぜひこれは残していただければ、本当に歴史の検証にもなりますし、政治のある転換点でこういう判断をされたということは、やはり国民がひとしく知るべきものじゃないかと思うんですね。

 ですから、ぜひ、こういうことを、今までは先生方を外縁的に御協力していたんですが、我々が主体となって本当にやるべき時期に来ているのかなと思っております。

 ただ、主体としてやるためには、当然、語り手の記憶や経験をうまく引き出すということで、やはりインタビュアーの資質も育てていかなきゃいけないという問題がありますので、もうしばらく、若干時間はかかろうかと思います。

 そういう点では、学者とかいろいろな方がやられるときにしっかり協力して、ぜひ我々もそういうものを残すように頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

大西(健)分科員 まさにこの分科会の、第一分科会の所管、国会ということで、国会の予算を議論しているわけですから、衆参事務局にしっかり予算をつけて、私、このオーラルヒストリープロジェクトというのをやったらどうかなというふうに思っております。

 次に、国家公安委員長にお越しをいただいていますのでお聞きをしたいんですが、昨年ですけれども、昨年の九月、福井市内の県道で四十代の男性僧侶が僧衣を着て車を運転していたことを理由に、福井県警に交通違反の切符を切られたと。これに対して仏教界からは、これでは檀家回りができないということで反発の声が上がっています。

 私、これに対して質問主意書を出させていただいているんですが、これが二ページ目の表ですけれども、この答弁書を読むと、まず、僧衣、和装での運転が一概に道路交通法に当たるとは言えない、これはそのとおりだと思います。この答弁はそのとおりだと思います。

 ただ、一方で、後段の方ですけれども、各都道府県警において、それぞれ適切に判断し、対応すべきものと考えているという答弁が返ってきているんですけれども、これは私、納得ができない。

 つまり、例えばですけれども、じゃ、僧衣を着た僧侶が、東京を運転していて、東京ではおとがめなかったけれども、埼玉に入った瞬間に違反切符を切られるみたいな、こういうことが起こるということを指しているんでしょうか。つまり、各都道府県警察においてそれぞれ適切に判断するということは、そういうことが起こり得るということなんでしょうか。いかがでしょうか。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 これは、道交法第七十一条第一号から第五号の五までにおいて、運転者の遵守事項というのが書かれておりまして、例えば、携帯電話等を使用しないとか、通学通園バスの側方を通過するときは徐行して安全を確保する。これに加えまして、同条の第六号において、各地域における道路上の危険を防止し、交通の安全を図るため、各都道府県の公安委員会が運転者の遵守事項を定めることができるというふうにしておるところでございます。

 この規定を受けまして、一部の都道府県の公安委員会規則では、運転者の遵守事項として、運転操作に支障を及ぼすおそれのある衣服を着用して車両を運転すること、これを禁止する旨が規定されていると承知しておりますけれども、このような行為を禁止するかどうか、禁止するとしてどのように規定するかということは、先ほどの話のとおり、各都道府県警察においてそれぞれ適切に判断し対応すべきものであるというふうに考えておりまして、今ほどの御質問でありますけれども、その見解が異なることはあり得るというふうに思います。

大西(健)分科員 最後の部分をお聞きしたかったわけですけれども、異なることがあり得るということなんですけれども、私はそれはやはりまずいんじゃないかなというふうに思うんですね。

 地域によって何か事情の異なるような事情があればいいんですけれども、僧侶が僧衣を着て檀家回りをするというのは、地域で事情なんか異ならないですよ。それが、東京から埼玉に入った瞬間、切符を切られるという話だと、これはやはりおかしいと思いますし、実際、福井県警の例だと、切符を切られた僧侶も納得いかないということで反則金の支払いを拒否していたら、年明けには、一転して福井県警は、証拠の確保が不十分で違反事実が確認できなかったと送致を見送っているんですね。この辺が非常に曖昧なんです。

 実際、福井県警は、昨年一年間に、僧侶一件、着物の女性二件で青切符を切っていると。だから、何が違反になるか、基準が極めて曖昧でよくわからない。これでは予見可能性が立たないというふうに思うんですね。

 ですから、私はやはり、例えばですよ、地域の独特の事情で何か各都道府県警が定められるのは、それは結構だと思いますけれども、例えば、一般的に着物はどうなのかとか、僧衣はどうなのかとか、じゃピンヒールだったらどうなのかとか、こういうことについて国がガイドラインをつくることは可能じゃないかと。

 少なくとも、ちょっと話は違いますけれども、例えば刑法でも、医者がメスで体に傷をつけることは、職務行為、正当行為だから違法性は阻却されるわけです。ですから、僧侶が職務として僧衣を着て運転することは、これは交通違反にならないということをガイドラインで明示することは可能だと思いますけれども、いかがでしょうか。

山本国務大臣 先ほど答弁したとおり、本件の遵守事項は、道交法第七十一条第六号の規定によって、各都道府県公安委員会が、先ほど言ったように、いろいろな事情で、安全を確保するために必要であるというふうに認めている規則であることは、これはもう御理解いただきたいと思うのでありますけれども。

 そういった意味で、ガイドラインを定めるということはこの法律にはなじまないということでございますが、ただ、今回の福井県の案件につきましては、現在、福井県警察で、衣服に関する運転者の遵守事項について、その規定の仕方を含め、改善の余地がないかどうか、これを今現在検討しているというふうに承知をいたしております。

 したがって、同様の規定を有する他の県に対して、何らかの検討結果が得られれば、それをそれぞれが共有できるようにしてまいりたいというふうに考えているところでもございます。

大西(健)分科員 少なくとも、僧衣で運転することについて、何らかのちゃんとした警察としての統一見解みたいなものを出さないと、大混乱すると思いますよ。

 ちょっと私がびっくりしたのは、質問主意書を出したら、月刊住職という雑誌から取材の申込みがありました。これだけ関心があるんですよ、皆さん。だから、本当に皆さんにとっては死活問題ですよ、これは。僧衣を着て檀家回りができるのかできないのか。これは当たり前のことじゃないですか。

 だから、僧侶が僧衣を着て運転するのは交通違反にならないよというのは、さっき国家公安委員長は共有と言われましたけれども、やはり統一的なものがないとおかしくて、東京から埼玉に入った瞬間、切符を切られるみたいな話はおかしいと思いますので、もう一度しっかり検討をお願いしておきたいというふうに思います。

 それから次に、最近、ちまたでよく、高齢者講習の予約がとれない、こういう声を聞くんですね。地域によっては三カ月待ちは当たり前、中には、講習が受けられないために免許を失効してしまう方も出てきている。七十一歳以上の方は、違反の有無にかかわらず、免許は三年ごとの更新になります。そして、更新の前には高齢者講習を受けなきゃいけないということですので、高齢者講習の予約がとれないというのは本当に大変大きな問題なんですね。

 ところが、高齢者講習というのは、通常の教習に比べると、教習所にとってはもうからないんですよ。ただでさえ、今、人手不足で指導員が不足している。ですから、教習所は、本来業務である新規免許取得者の方にもちろん人を割きますから、高齢者講習にはなかなかマンパワーも割けない。そうすると、高齢者がなかなか予約がとれない、こういうことが起きている。

 これに対して、やはり何か改善しなきゃいけない。ですから、例えばスクリーニングをして、本当に必要な方にだけ講習を受けていただくというように、講習を受ける人を絞っていくのか、それとも、今言ったように、もうからないからそこにマンパワーが割かれないわけですから、委託する費用の単価を上げて、もう少しちゃんと適正な利益が出るようなことにしていくとか、何らかの見直しをしないと、本当に三カ月待ち、四カ月待ちは当たり前みたいなことが起こっていて、本当に選挙区でも、我々もよく聞くんですよ、こういう話。ですから、何か改善の必要があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 お話のとおりでございまして、一昨年の三月の制度改正で、七十五歳以上の高齢運転者の運転免許証の更新は、まず認知機能検査でスクリーニングを行い、その結果に応じて、二時間又は三時間の高齢者講習を受ける形になりました。

 以前は、認知機能検査プラス二時間半の高齢者講習ということでございましたが、これだけでもかなりの短縮にはなっておりますけれども、それでも、現在において、高齢者講習の待ち時間が長いという指摘があることは承知をいたしております。

 各都道府県警察において、認知機能検査や高齢者講習をみずから直接実施をしたり、自動車教習所の予約状況を提供したりするなどの取組を進めておりまして、例えば、埼玉県警でございますけれども、抜本的な対策を講じたことによって待ち時間が大幅に短縮されたという事例もございます。

 また、認知機能検査や高齢者講習を、委託を受けて実施をしております自動車教習所の委託料、これも今お話がございました。これが業務に見合ったものとなるように、手数料については昨年の四月に引き上げられたところでございまして、今後とも、待ち時間の改善に努めるとともに、警察庁において改善に向けて不断に検討を進めていくよう指導してまいりたいと思っております。

大西(健)分科員 今、国家公安委員長から、改善をしっかりしていくということで御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 国家公安委員長、ここまでで結構でございます。

中山主査 国家公安委員長はお引き取りください。

大西(健)分科員 次に、原田防衛副大臣に来ていただいているんですけれども、先日、自衛隊の海外派遣などに使用される軽装甲機動車、LAVですか、を生産してきたコマツが新規開発を中止するということを発表しました。

 もともと、防衛装備品というのは納入先が防衛省に限られていて、高度な技術や専用のラインを維持し続ける負担もあって、採算性が厳しいけれども、でも、国防を担っているんだという自負のもとに、使命感でやってきた、支えられてきたというところがあります。

 来年度の防衛予算は過去最高になっていますけれども、約四割は過去に購入した武器の支払い、また約四割は人件費や糧食費ということで、F35とかイージス・アショアとか、米国製の高額な装備品の購入によって、他の装備品に使える予算が圧迫されている、こういうことが指摘をされています。

 今後、こうした事例が相次いでいくと、特殊な技術の継承ができずに国内の生産基盤が弱体化して、長期的には防衛力の低下を招いて、そして有事の際の安定調達にも支障が出かねないというふうに懸念をしますけれども、この点はいかがでしょうか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 ただいま大西委員御指摘の小松製作所に関する報道につきましては、小松製作所とは平素からさまざまな意見交換等を行っておりますが、個々の企業とのやりとりやその経営方針について、防衛省からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、御指摘の点について、一般論として申し上げれば、防衛産業をめぐる動向が今後の防衛力整備や自衛隊の運用に影響を与えることがないよう、さまざまな対応策を検討していくことが重要と考えております。

 また、国内の防衛産業は、装備品の生産、運用、維持整備に必要不可欠な基盤でありまして、だからこそ、新たな防衛大綱及び中期防において、技術基盤の強化と産業基盤の強靱化について優先事項として取り組むことといたしておりまして、競争力のある強靱な防衛産業を構築してまいりたいと考えております。

大西(健)分科員 まさに、御答弁にあったように、防衛大綱の中にも産業基盤の強靱化というものが入っているわけですから、民間の企業のことだからということではなくて、そこは、日本の防衛力に直結する問題ですので、しっかりやっていただきたいなというふうに思っています。

 時間がありませんので、最後にちょっと東京オリンピック・パラリンピックの質問をしたいと思うんですが、白須賀政務官に来ていただいております。

 私は以前、決算行政監視委員会の分科会、二十八年の十一月の分科会で、小型家電のリサイクル金属を使ってメダルをつくるというプロジェクト、これをぜひやるべきだということを言ったら、当時、伊藤忠彦環境副大臣が、大西さんの言うとおりだということで非常に賛同してくれて、一生懸命やってくれて、その後、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」は東京二〇二〇参画プログラムの公認プログラムになって、そして、金属が集まらないんじゃないかということを心配されていたんですけれども、これもしっかり集まった、めどが立ったということで、あとは、これをどう世界に向けてアピールするか。

 このリサイクル率一〇〇%のメダルというのはオリパラ史上初のことであります。日本のもったいない精神を象徴するプロジェクトとしても非常に意義深いものがあると思うんですけれども、せっかくやるわけですから、あとは、オリンピック担当大臣の方から、この初めての一〇〇%のリサイクルメダルというのをしっかりアピールしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

白須賀大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 環境に優しい大西先生から、今回、一〇〇%リサイクルの金属でメダルをつくっていこうという取組、そして、この取組は国民参加型でございまして、家庭に眠っている金属を、みんな、国民参加で、都市鉱山からリサイクル金属一〇〇%のメダルの作成の見通しもできたことも伺っております。

 政府としましても、全国の自治体や商業施設での回収に取り組んだことに加え、中央省庁での回収実施、ホストタウン自治体での回収の促進にも取り組んでまいりました。

 SDGsに貢献するこの取組を、今後の小型家電リサイクルでもレガシーとして生かし、循環型社会の構築を図るとともに、さまざまな場面で発信していきたいと思います。

 御質問ありがとうございます。

大西(健)分科員 そうなんですね。私の携帯電話が水泳のあのメダルになったみたいな、ちゃんとトレーサビリティーというか、追いかけることができるようになっているということで、これは非常におもしろい取組だと思います。

 また、レガシーという話がありましたけれども、今後の小型家電リサイクルの促進にもぜひ結びつけていただきたいというふうに思います。

 最後に、メダルとともに副賞として渡されるビクトリーブーケ、花束、この話をぜひしたいと思うんです。

 これは、実はリオの大会以降ずっと途絶えていたのが、三大会ぶりに復活することが内定した。私の地元の愛知県というのは、最後のページにつけていますけれども、実は花卉の産出量が日本一ということで、愛知県から五輪の事務局の方に、ぜひこのビクトリーブーケの採用というのをやってくれということで、要望してきたんですね。白須賀政務官のお地元の千葉も、たしかお花の生産がここでも上位ですけれども。

 花は、枯れてしまうし検疫があって持って帰れないということなんですけれども、そうはいっても、やはり花でたたえるというのはすばらしいことであります。

 IOCとの調整の上、二月中旬には正式決定されると聞いていますけれども、このビクトリーブーケを三大会ぶりに採用した理由と、このことによって、日本の花卉産業、それから、我が国の、伝統文化の生け花とかもありますけれども、我が国の花をめでるという文化を世界に向けて発信していく、その意気込みを最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。

白須賀大臣政務官 質問にお答えいたします。

 本当に、すばらしい質問、ありがとうございます。花の産地の愛知県、そして千葉県もそうでございますけれども、リオ大会の副賞には、ブーケではなくてギフトが採用されていたと組織委員会から伺っております。

 国産花卉を東京大会でアピールすることは、日本の魅力を世界に発信し、地域活性化につなげていくという観点からも重要な取組だと思っております。

 先ほど大西議員がおっしゃったとおり、表彰式の副賞につきましては、IOCとの開催都市契約の関連規定に基づいて、ブーケとする方向でIOCと組織委員会で調整していくと伺っております。

 政府としましても、大会関係施設でのより一層の国産花卉の活用が進みますよう、引き続き、関係省庁とも連携して、サポートしていきたいと思っております。

 御質問、ありがとうございます。

大西(健)分科員 ふだん私も厚労委員会では相当厳しい質問をいつもさせていただいているんですが、きょうは、特に東京オリンピックについては、与野党ともにしっかり、この成功のために、また、東京オリンピックを通じたさまざまな、今言った小型家電のリサイクルであったりとか、花卉産業の振興とか、日本の花をめでる文化だとか、こういうレガシーをその後にもしっかりつなげていくということが大切だというふうに思っておりますので、ぜひそこはしっかりやっていけたらというふうに思います。

 少し時間が早いかもしれませんけれども、私の質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

中山主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、皇室費について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、これを許します。岡下昌平君。

岡下分科員 自由民主党の岡下昌平でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 ことしは、今上陛下が御退位される四月三十日に行われる退位礼正殿の儀、そして、皇太子殿下が翌五月一日に御即位される、そのときに行われます剣璽等承継の儀と、そして、即位後朝見の儀がとり行われる予定でございます。

 そして、さらには、それから後、六月の二十八日の金曜日、そして二十九日の土曜日、大阪で、日本が主催する首脳会議としては史上最大規模となる、G20サミットが開催される予定でございます。

 日本がG20サミットの議長国を務めるのは今回初めてであって、十四回目にして初めて大阪で実現がなされました。このサミットの成功がなされれば、二〇二五年に開催予定の大阪・関西万博の弾みとなることで、大阪にとりましても大変重要なイベントであると考えます。

 また、その後、私の地元堺市にございます、仁徳天皇陵古墳を含みます百舌鳥・古市古墳群のユネスコ世界文化遺産登録を今現在目指しておりまして、六月の三十日から七月の十日、アゼルバイジャンのバクーにおきまして、ユネスコ世界遺産委員会において決定がなされれば、大阪で初めての世界文化遺産の誕生ということになります。

 そして、来年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定となっております。

 今申し上げたように、たくさんの支出、そして、かつ重要な行事を抱えていることしにおいて、やはり警備、そしてテロ対策、あるいは緊急事態への対策、こういったことには万全を期さなければならないと考えますが、そのための予算、どのような形で要求をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

下田政府参考人 警察庁における平成三十一年度予算案においては、テロ対策と緊急事態への対処について約三百三十三億円を計上しており、前年度予算と比べ約二百七億円の増となっているところでございます。

 主な内訳でございますが、天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典等の警備対策の推進に要する経費として約三十八億円、G20大阪サミット等の開催に伴う警備対策の推進に要する経費として約百二十四億円、国際テロ情勢等を踏まえたテロ対策の推進に要する経費として約百八億円、そして緊急事態への対処に要する経費として約五十億円でございます。

 御指摘のとおり、テロ対策や緊急事態への対処は重要であると認識しており、今後とも引き続き、各種行事の警備対策に万全を期してまいりたいと考えてございます。

岡下分科員 ありがとうございます。今るる御答弁をいただきましたけれども、やはり警察力の向上というものが非常に重要になってくると考えます。

 それでは次に、平成三十一年度の警察庁の人員についてお尋ねをしたいと思います。

 国家公安委員会におきましては、新規増員四十五名、時限増員が二十一名、国家公務員の高齢職員の活躍の場の拡大で四名ふえまして、合計七十名の増員となっております。

 平成三十一年度内閣の重要課題を推進するための体制整備及び人件費予算の配分の方針におきまして、テロ対策、サイバー犯罪・サイバー攻撃対策、治安そして海上保安の基盤強化などを重点分野として位置づけているわけでございますので、果たしてこの七十名の増員が的確なのか、少し不安でありますが、その対応はどのようにお考えになられているか、お聞かせください。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十一年度予算案におきましては、七十九人の定員削減等とともに、厳しい治安情勢に対応するため、国際テロ対策やサイバー空間の脅威への対処能力の強化等のため百四十九人の増員が盛り込まれており、御指摘のとおり七十人の定員の純増となっているところでございます。

 今後とも、業務の効率化、合理化に努めますとともに、体制を有効に活用し、治安情勢に的確に対処してまいりたいと考えております。

岡下分科員 それでは次に、各省庁の人員についてお聞かせいただきたいんですが、国の行政機関の機構・定員管理に関する方針が平成二十六年七月二十五日に閣議決定されました。それによりますと、平成二十七年度以降、五年ごとに基準年度を設定して、省庁全体で、毎年二%以上を合理化することを基本とするとなっております。

 総理は、参議院の予算委員会で、平成三十二年度以降もこの方針を堅持していくとおっしゃっておられましたけれども、四月一日から施行される働き方改革を政府が率先して実行していかなければならないときに、果たして各省庁の人員をこのまま減らし続けていっていいのか、少し疑問に思うところでもございます。

 また、現在は、人手不足等々で今お困りのところもたくさんあると伺っておりますが、実際に国家公務員の人員を見てみますと、平成二十九年度は二十九万七千三十人、その翌年、平成三十年度は二十九万七千七百六十六人、そして平成三十一年度は二十九万九千百九十四人とふえてきているんですね。

 定年延長などもささやかれている中で、そろそろこの人員について合理化という方針をやはり見直す必要が出てきているのではないかなと考えますが、その点、いかがでしょうか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国家公務員の定員管理の基本的な考え方でございますが、委員言われました、国の行政機関の機構・定員に関する方針、これを閣議決定してございますので、これに基づきまして、五年で一〇%以上の合理化を行う、一方で、内閣の重要政策には重点的に増員を措置して、戦略的な定員配置を実現するということを基本としているものでございます。

 引き続き厳しい財政事情にあることに鑑みれば、今後も定員合理化計画を通じて不断に業務の見直しを行っていくことはどうしても必要となるわけでございますけれども、内外の行政課題に迅速かつ的確に対応するための体制を整えていく、これも行政の重要な責務でございます。

 こうした考えのもとで、今後も厳正な定員管理を行っていく一方で、治安を始めとした内閣の重要課題に適切に対処できる体制が構築できるように、必要な増員措置を講じて、引き続き戦略的な定員配置に努めてまいりたい、こう考えているところでございます。

岡下分科員 ぜひ、国民の安心、安全、そういったことも考えつつ、また、中小企業のお手本にもなります、この国家公務員の働き方や定年制度については。そのことも踏まえて適切に今後対応されていかれることを要望させていただきたいと存じます。

 次に、地方警察官についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今年度、平成三十年度の全国と大阪の地方警察官の政令定員と、そして条例定員を教えてください。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度の全国の警察官の政令定員ですが、二十五万五千二百五十人であり、条例定員は二十五万九千七百四十五人でございます。

 同様に、平成三十年度の大阪府警察の政令定員は二万九百五十四人であり、条例定員は二万千四百七十四人でございます。

岡下分科員 今大阪は、アベノミクスの恩恵でインバウンドのお客さんが大変ふえて、外国の方々が大変ふえてきております。やはり、そういったことも踏まえて、今後、地方警察官の政令定員を増員する予定はあるんでしょうか、お聞かせください。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 警察におきましては、治安情勢の変化などを踏まえつつ人的基盤の強化を進めてきたところでございます。

 平成三十一年度の政令定員につきましては一部削減の予定でございますが、平成二十七年度から平成二十九年度までの三年間で合計三千人の地方警察官の増員が措置されたところでございます。

 この間、大阪府警察に係る政令定員につきましては合計百九十九人の増員が措置されたところであり、引き続き、すぐれた人材の確保や育成など人的基盤の充実強化を推進し、国民の安全、安心の確保に努めてまいりたいと考えております。

岡下分科員 先日、自民党の部会において、経済財政諮問会議の民間の議員の先生で東大の柳川範之先生が、配置転換や学び直しで適材適所に働けること、そして、一つの仕事にこだわらず、学びながら、働きながら余暇を楽しむ必要性をお話しになられたことを記憶しております。

 それもそれで非常に重要なことではありますが、警察力、警察官という職責というのは大変重い職責であって、なおかつ特殊なお仕事でありますので、これは兼業やら、簡単にほかの部署やほかの分野から人を持ってくるということは難しいと思います。ぜひ、そういったことを踏まえながら、今後十分な定員の確保をお願いしたいと思います。

 次に、警察署新設についてお伺いをしたいと思います。

 実は、三年前、この予算委員会の分科会で、私の地元堺市中区の警察署の新設要望について質問をさせていただきました。

 私の選挙区には、堺市の西区、南区、中区、この三つの区がございます。西区は人口約十三万五千人、南区は人口約十四万一千人いらっしゃって、その両方の区に警察署はございます。しかし、人口約十二万三千人の中区には警察署がございません。

 三年前の質疑におきまして、自治会の皆様方や住民の方々の御努力、署名活動といったことや、市民主導で防犯活動あるいは治安の維持活動を行っていただいている、その地道な活動を紹介をさせていただきました。あのときの質疑からこの警察署の新設の話が動き出しまして、ことし、やっと警察署の庁舎の工事を着工する予定であると伺っております。

 そこで、この中堺警察署の予算についてお聞かせいただきたいんですが、堺市から土地の無償提供という協力もいただいておる中で、平成三十一年度から三十三年度までのこの三カ年計画の基準となる工事費は一体どれぐらいなのか、その試算をお聞かせいただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 大阪府堺市に新設を計画している警察署の工事費でございますが、補助金算定の基礎となる事業費の所要額といたしまして、約十四億円を見込んでいるところでございます。

岡下分科員 この新設は、国と地方の比率が十分の五でありますので、国費で賄うのは七億円であると。そのうち、平成三十一年度、これは大阪府から幾らの予算要求がございましたでしょうか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの警察署の新設に当たりまして、国が補助することを予定をしております約七億円のうち、平成三十一年度につきましては、大阪府警察から、三カ年計画の初年度分といたしまして、約四千八百万円の補助の要望を受け、警察庁におきましては、同額を平成三十一年度予算案に計上しているところでございます。

岡下分科員 ぜひ、しっかりとした予算確保をお願い申し上げたいと思います。

 中区の刑法犯罪件数なんですけれども、これは地元の皆様方のお力添えもあって減少傾向にございますが、しかし、昨年の性犯罪の件数が二十二件、これが前年比五件ふえております。そして、自動車盗、これが四十三件で、前年比六件ふえております。合計千五十一件の犯罪件数が昨年あったと。

 この状況の中で、五月までこの建設予定地の土地は駐車場としての契約があると伺っておりますが、ぜひ、その契約後は確実な着工をお願いしたいと思います。そして、中堺警察署の警察官の人員、約二百名と伺っておりますが、その人員の確保のお力添えもぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、G20大阪サミットについてお尋ねをしたいと思います。

 今回のG20、アメリカのトランプ大統領、ロシアのプーチン大統領、あるいは中国の習主席などなど、世界各国の要人がこの大阪の地に集まってこられると。今回は、アメリカ・ファースト、米国第一主義を掲げておるトランプ政権など、世界のグローバル化とはちょっと逆行する保護主義が台頭してきておりまして、非常に難しい局面での開催となりまして、日本のかじ取りが注目される重要なサミットになると考えております。

 しかし、一方で、この大阪、関西におきましては、ライフサイエンスや物づくり、こういったものを世界に発信できるいい機会であると考えます。

 私の地元の堺市におきましては、地元の産品の都こんぶや、あるいはケシ餅、刃物、注染技法で染めた手拭い、浴衣、線香、さまざまな産品がございますし、観光資源におきましては、百舌鳥古墳群、あるいは堺の打ち刃物の見学、利晶の杜、そして堺伝統産業会館、こういったものもアピールしていくいい機会になればと期待しております。

 先ほども冒頭述べましたけれども、今回のG20サミットは、日本が主催する首脳会議としては史上最大規模となります。G20のメンバー国、これは日本、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダ、欧州連合、EUですね、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ。このG20のメンバー国だけで、世界のGDPの九割、貿易総額の八割、そして、加盟国の総人口は世界の三分の一を占めることになります。

 また、このG20の二十カ国のほかに、今回、招待国もございます。スペイン、シンガポール、オランダ、ベトナム、チリ、そして、ASEANの議長国であるタイ、アフリカ連合の議長国であるエジプト、アフリカ開発のための新パートナーシップ議長国のセネガル、こういった国家も招待がなされます。

 また、今回、そのほかにも招待される国際機関もたくさんございます。国連、世界銀行、国際通貨基金、IMF、金融安定理事会、FSB、世界貿易機関、WTO、国際労働機関のILO、経済協力開発機構のOECD、世界保健機関のWHO、アジア開発銀行のADB。

 これだけさまざまな国々と国際機関が参加される予定なんですけれども、一体、この期間中、どれぐらいの人数の方々が大阪に来られると想定をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、G20大阪サミットには、G20の国に加えて、招待国、国際機関を含む合計三十七の国、国際機関の首脳が参加し、日本が主催するサミットとしては史上最大規模のものとなります。

 この期間中、各国の代表団、内外報道関係者等が多数大阪を訪れることが予想されておりまして、これらに日本政府の関係者、警備関係者、そのほかの関係者も含めますと、約三万人が大阪、関西を訪問することが想定されており、受入れの準備を鋭意進めているところでございます。

岡下分科員 三万人ということになると、物すごい数で、想像以上に大変なことかと思います。

 現在、G20の準備をするに当たりまして、政府の体制はどのようになっておりますでしょうか。

飯島政府参考人 お答えをいたします。

 政府におきましては、G20大阪サミットに向けて、内閣官房副長官を議長とするG20大阪サミット準備会議を設置し、省庁横断的な準備体制を構築しております。また、外務省におきましては、昨年四月に経済局にG20サミット事務局を設置し、関係省庁や地元自治体と連携をしながら準備作業を進めているところでございます。

 さらに、地元大阪におきましては、大阪府、大阪市、経済団体から構成される二〇一九年G20大阪サミット関西推進協力協議会が地元での受入れ準備を進められていると承知しております。

 G20大阪サミットの成功に向けて、引き続き政府一丸となって必要な準備に万全を期してまいりたいと考えております。

岡下分科員 先ほど、三万人の方がお越しになられるという御答弁でしたけれども、やはり大阪サミットで一番課題となるのは交通問題、渋滞対策だと思いますが、この交通対策の概要、今現在どのようになっていますでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど外務省の答弁にもありましたように、G20大阪サミットに伴い、各国の首脳等のみならず、国内外報道関係者や警備関係者等、多数の方が来阪する見込みであり、交通量も相当程度増加することが予想されます。

 こうした状況を踏まえ、警察としては、サミット期間中の交通対策について、各国首脳等の警護車列の安全かつ円滑な通行を確保するとともに、会議の円滑な進行を図るという基本方針のもとで検討しているところです。

 具体的には、主会場周辺や各国首脳等の宿泊場所の周辺、主会場と宿泊場所を結ぶ高速道路、一般道において、サミット開催の前日から各国首脳等が離日するまでの間、通行禁止等の所要の交通規制を大規模かつ長時間にわたって実施することが不可避となる見込みです。

 こうした中、国民生活と社会経済活動への影響を最小限にとどめ、真に必要な車両が円滑に通行するためには、自動車の利用自粛や運行期間の変更等の交通総量の抑制対策が極めて重要です。

 そのため、関係する行政機関や阪神高速道路、関西経済連合会、大阪商工会議所、関西経済同友会の経済団体等を構成員とするG20大阪サミット交通総量抑制連絡会において、平日交通量の五〇%削減を目標とし、各種対策を講じていくこととしているところでございます。

岡下分科員 五〇%の抑制ということでございますが、昨年六月に発生した大阪北部地震では、阪神高速や阪和道などが約五時間通行どめになって、一般道では最大通常の七倍の渋滞が起きました。これから五〇%抑制に向けた広報あるいは啓発、こういった活動をどのようにお考えになられているか、お聞かせください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 平日交通量の五〇%削減という交通総量抑制の目標を達成するため、大阪府では、先ほど御説明したG20大阪サミット交通総量抑制連絡会がこれまでに二回開催されているところです。その中で、マイカー利用の自粛、業務用車両の運行期間や運行時間の変更、工事の抑制等について、構成員を通じて周知を図っていくこととされたものと承知しております。

 また、今後の取組としては、交通総量の抑制に向けたチラシの配布に取り組むとともに、サミット開催の約二カ月前からは、交通規制に関するチラシの配布、一般道、高速道路における横断幕の設置等、二週間前からは、テレビやラジオ、フェイスブック等のSNSを活用した集中的な広報の実施等、段階的に取組を強化していくことを検討しているものと承知しております。

 このほか、警察庁としましても、サミット開催地域周辺への自動車乗り入れの自粛や業務用車両の運行調整等への協力について、経済団体等を通じて全国に要請することを検討しております。

岡下分科員 ありがとうございます。

 やはり、これだけ多くの、サミットを開催するということでございます。やはり、会場の地域となるインテックス大阪周辺の地元の住民の皆様方の協力も不可欠でございます。インテックス大阪周辺の住民の皆様方、約二万五千人いらっしゃいますが、この地元住民の皆様方への説明、こういったことも非常に重要となっております。ことし一月十六日から地元で四回ほど説明会が開催されたと伺っておりますけれども、住民の皆様方からはどのような意見が出たんでしょうか。お聞かせください。

下田政府参考人 本年一月でございますけれども、大阪府、大阪市、そして経済団体等から構成されます二〇一九年G20大阪サミット関西推進協力協議会が主催して開催されました住民説明会に大阪府警察も参画をいたしまして、警備措置や交通規制等に関する説明を行いました。

 この住民説明会において、住民の皆様から、交通規制の具体的な内容を早く示してほしい、また、主会場に隣接する住宅地の警備についても強化してほしい、今後もこうした説明会を実施してほしいといった趣旨の御意見などをいただいたところでございます。

 警察といたしましては、引き続き、御指摘の住民説明会を始め、あらゆる機会を通じて警備措置や交通規制について説明を行うなどして、住民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、G20大阪サミット警備に万全を期してまいりたいと考えております。

岡下分科員 ぜひ住民の皆様方への丁寧な御説明をよろしくお願い申し上げます。

 このような史上最大規模のサミットがこの大阪の地で開催される。地元の住民の皆様方や企業やさまざまな方々にお力添えをいただいて、テロ対策や警備、万全の体制を組んでいかなければならない、そんな時期であるにもかかわらず、今現在、残念ながら、大阪の府知事、そして会場となる大阪市の市長さん、これは、任期満了前に辞職して、四月の統一地方選挙に合わせて知事選挙、市長選挙を前倒しして、二人が入れかわって立候補する、そんな意向を固めているという報道も聞きました。そんなことをしている場合ではないということをこの場で指摘をさせていただきたい。

 そして、政府におかれましては、ぜひ成功に向けて力強いバックアップを賜りますようにお願いを申し上げて、最後の質問に入らせていただきたいと思います。

 最後の質問は、百舌鳥・古市古墳群についてお聞かせをいただきたいと思います。

 この百舌鳥・古市古墳群、ユネスコ世界文化遺産の登録を目指し、昨年九月十一日から七日間、イコモスの現地調査が行われて、イコモスの勧告が五月ごろに出る予定と伺っております。

 宮内庁は、今回、昨年の十月二十三日から、国内最大の前方後円墳、堺市の仁徳天皇陵の陵墓保全のため、基礎資料を収集することを目的として、堺市の協力を得て、宮内庁による発掘調査が行われました。これは、非常に画期的な調査だと考えますが、結果はどういった結果だったのか、お聞かせください。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 このたびの調査におきましては、地元の堺市の御協力もいただきながら、仁徳天皇陵の第一堤の南東部周辺に、幅二メートル、長さ二十八メートルのトレンチ、削掘のための溝でございますけれども、を一本、それから、幅二メートル、長さ三十メートルのトレンチを二本、合計三本のトレンチを設けて掘削の調査を行ったところでございます。

 その結果、地表面から二十から四十センチメートルの場所で各トレンチにおける堤の外周側で埴輪が一列に並んだ状態の埴輪列が確認されてございます。一方、堤の内側では、埴輪列は確認はされなかったところでございます。

 また、いずれのトレンチでも、拳大の石を敷き詰めた石敷きが確認されてございます。この石敷きは、少なくとも、仁徳天皇陵などの所在する百舌鳥・古市の古墳群では確認されていないものでございます。今回の掘削で出土いたしました埴輪は、筒状の形をした円筒埴輪やアサガオ形の埴輪などでございます。

 今回の調査の範囲は、第一堤のごく一部のものでございますので、今後更に調査を行ってまいりたいと考えております。

岡下分科員 ありがとうございます。

 このような調査は、天皇陵を守っていくという観点からも、そして次世代に引き渡していく、引き継いでいくという観点からも非常に重要なことと考えます。

 そういった観点から、今回、世界遺産登録がなされるかどうか、アゼルバイジャンのバクーで決定がなされます。ぜひ、政府のバックアップ、お力添えを賜りますように、そして、ユネスコ世界文化遺産に無事登録がなされますようにお力添えを賜りますようお願い申し上げて、私からの質問を終えさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中山主査 これにて岡下昌平君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。石崎徹君。

石崎分科員 貴重な質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、ライフワークとして取り組む我が国の人口減少対策につきまして、自然減、社会減対策につきまして質問と、あわせまして、交流人口の増加、とりわけビジネス交流人口の増加につきまして、主に展示会産業、IRに絡めて質問させていただきたいと思います。

 また、今、私の地元新潟市は政府の国家戦略特区にも認定をいただいておりまして、最近、スーパーシティー構想というところも出てきましたので、そこにも絡めて質問させていただくのとあわせまして、きょうお越しいただいております塚田一郎国土交通副大臣、自民党新潟県連会長でありますけれども、かねてから新潟に冬季オリンピック誘致というふうなところを御主張されておられますので、私も、こちらはやるべきだというような立場から、いろいろと御質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、少子化担当大臣として宮腰大臣にお越しいただきましたので、まず宮腰大臣に質問させていただきたいと思います。

 私、今、三原じゅん子参議院議員とともに、婚活・ブライダル振興議員連盟というものをやっております。これは五年ほど前に立ち上げまして、それまでは、結婚政策というのは国は全く行ってこなかった、予算ゼロだったわけでありますけれども、やはり、今、結婚願望はあるけれどもできない、要するに、結婚したくないという選択肢は、それはそれでよろしいんだと思うんですけれども、結婚したいけれどもできないという方に対してもう少し光を当てたらいいんじゃないかということで、この議員連盟を立ち上げました。

 全国の各自治体はそれぞれでいろいろな取組をやっておりますので、こうした自治体向けにいろいろと後押しとなる予算をふやしてまいりました。最大で四十億円ほどの予算に行ったときもあったんですけれども、足元では二十五億円ということでありますが、これもいろいろと大きな予算ということだというふうに思っております。

 ちょうどタイムリーな話で、昨日、宮腰大臣が記者会見で、少子化対策大綱を見直すと。それほど、今、政府の掲げる希望出生率一・八の達成もなかなか厳しい状況だということも含めてもそうですし、大変、人口減の問題が我が国の社会、経済、いろいろなところに影響がある、その危機感のあらわれだと思います。

 また、あわせまして、きょうはオレンジバッジをつけさせていただいています。先週の予算委員会でも児童虐待の問題を取り上げさせていただきましたが、虐待の問題ですとかいじめの問題、こうしたところも新たに少子化対策大綱に盛り込まれていくということになるんだというふうに思っているんですけれども、その中に結婚対策というものをどうしていくのか、こちらについてもやはりもう少し議論を進めていく必要があるんだと思っております。

 全国の自治体だけではなくて、商工会議所、商工会、こういったところが主催の結婚支援セミナーというのも全国で行われているわけでございますが、先ほど申し上げた二十五億円の予算、確かに大きな予算ではあるんですけれども、いろいろと、まあ、鶏、卵の議論だと思うんです。予算が多ければ多いほど、やはりこれは活用していただける団体ですとか自治体ももっともっと私はふえてくるんじゃないかと思っております。

 議員連盟に三重県の鈴木知事にもお越しいただいたり各自治体の長の方にも来ていただいて、その必要性については直接伺っているわけでございますし、新潟県新潟市もいろいろな取組を行っているところでございます。

 去年から、結婚新生活支援事業ということで、結婚されたカップルが新たに新居に移る場合の支援金ということで、新潟市も三十万円ということで、これは国からの交付金をいただいてやっているところでもあるんです。

 また、あるいは結婚支援税制ということで、子育ても含めての支援税制でありますが、おじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんに結婚資金を贈与した場合に贈与税を減免するとか、そういった制度も行われているわけでございますけれども、我々議員連盟としては、やはり予算がちょっと、一桁足りないんじゃないか、そして税制をもっと抜本的にやればいいんじゃないかというような問題意識を持っておりますので、まずはそこのあたり、宮腰大臣の御認識を伺いたいと思います。

宮腰国務大臣 昨日、会見におきまして、少子化対策大綱の見直しについて触れさせていただきました。少子化を国難と捉えて、できる限りの政策手段を講じていくという決意から、見直しを開始するということとさせていただいた次第であります。

 委員御指摘の地域少子化対策重点推進交付金、二〇一六年度以降、当初予算化をいたしました。そして、今年度補正予算と来年度予算案を合わせ、二十五・五億円を計上いたしております。

 この交付金は、全国知事会を始め地方団体からは大変喜ばれておりまして、これまでの執行状況を踏まえれば、自治体の取組に支障が生じない予算額は確保しているというふうに思っております。

 先ほど委員からお名前が出ました鈴木三重県知事も大変熱心でありまして、わざわざこの予算について大臣室に要請においでになったこともあります。

 地域によっては非常に有効に活用していただいているものと思っておりますが、更にPRに努めて、この予算の有効活用を進めていきたいというふうに考えております。

 また、私も、先月、茨城県内に四カ所ありますいばらき出会いサポートセンターの中の県南センターを訪問させていただきました。

 この交付金を活用したマッチング支援やボランティアの育成などについてお話を伺ったところでありまして、成果も上げていただいておりますし、いい活動を進めておいでになると思っております。

 その中で、それまで気がつかなかったことでもあるんですけれども、県南センター以外の地域の方との出会いを希望する、そういう会員の方もおいでになりますし、そういう方がふえてきている。また、この県南センターなどでは、できれば、県外で婚活支援の活動を行っているセンターの皆さん方と連携をとって、県外とのマッチングなども今後進めていきたいというようなお話も伺いました。そういう際にも、この推進交付金は相当いい後押しになるのではないかなというふうに考えております。

 この交付金に関する自治体の期待は大きいものがあると感じたところでありまして、引き続き結婚支援を含む少子化対策の取組を進めるとともに、複数年度にわたる自治体への支援を行うなど、その充実も図ってまいります。

 さらに、委員御指摘の税制の関係、結婚・子育て資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置につきましては、現在、二年延長するための税制改正法案を国会で御審議いただいていると承知をいたしております。

 今後とも、少子化対策に取り組む地方自治体に対する支援を引き続き積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。

石崎分科員 宮腰大臣、まことにありがとうございます。

 複数年度という言葉は初めていただいたと思いますので、ぜひ、後押し、我々議員連盟としても全力で応援していきたいと思っております。

 ただ、頑張っている自治体もあれば、なかなかノウハウがない自治体があるんですね。今まで役所で仕事していた方に、いきなり、あしたから婚活の自治体の事業をやってくれと言われても、ノウハウがないところがありまして、そういったところに民間事業者がやはり連携をしてやっているケースもあります。

 そういった意味で、こうした交付金がより直接的に民間事業者向けに使えるものになると、これもまたこうした結婚のニーズに対して応えることができるようになるというふうに私は考えているんですけれども、このあたり、民間事業者向けの新たな支援措置も、ぜひこれは宮腰大臣の目玉事業としてやっていただきたいんですが、御所見を頂戴できればと思います。

宮腰国務大臣 この重点推進交付金、これは自治体を対象としておりまして、企業、団体に直接支給することはできませんけれども、委員御指摘のとおり、民間事業者は支援の具体的手法や実績を豊富に持っている、ノウハウを持っているということだと考えております。そこで、この交付金を活用した取組については、例えば自治体の委託を受けて民間事業者、団体が行うことが十分可能な仕組みになっておりまして、ぜひそういう形で活用を進めていただきたいというふうに思っております。

 やはり地域で取り組んでいただくということが何よりもこの問題に関しては大事ではないかというふうに考えておりまして、我々としては、地方自治体をしっかり後押しをしていく。地方自治体の方は、ノウハウがなければ、民間の皆さん方のノウハウをしっかりと活用していただく。かつ、公が、自治体がしっかりとやっている、そういう信頼を得て、婚活についてしっかりと前に進めていただければというふうに思っております。

石崎分科員 ありがとうございます。

 まさに自治体と民間事業者の連携というものの重要性についておっしゃっていただきました。

 あと、先ほど大臣からも茨城の例で、いわゆる県外の方、やはり身近な方と婚活というのはなかなかやりたがらない人も多いというようなニーズはよく伺っているんですけれども、県外というふうになると、やはり、これはこの後ちょっと質問させていただきます。

 私、地方居住推進議員連盟というのもやっておりまして、こうしたところとまさにUIJターンの政策と絡めていくということが重要だと思いますので、このあたりはちょっと意見、御要望ということで受けとめていただくとともに、これまでの内閣府の事業として、結婚支援について、大臣みずから御出席されるようなイベントもかつて開いていたこともありますので、やはりこのあたり、政府もいろいろな、あちこち、少子化というのは非常に危機的な状況なんだ、結婚、出産、子育て、そして復職支援、この切れ目のない支援について、もっと大きなトレンドというか啓発活動をぜひしていただきたいということで、御意見を申し上げたいと思います。

 宮腰大臣、お隣の富山県ということで、富山県は日本のスウェーデンというふうに言われているようでございまして、このあたり、ぜひ、いろいろとまたお知恵をいただきながら、新潟も参考にさせていただきたいと思っております。

 大臣、お忙しいと思いますので、これで結構でございます。

中山主査 では、国務大臣は御退席ください。

石崎分科員 ありがとうございました。

 続きまして、地方居住推進につきまして御質問させていただきたいと思います。

 本日、舞立政務官にお越しいただきました。舞立政務官も大変新潟にゆかりのある方でございまして、総務省時代、新潟県庁に御出向されて、地域政策課長、財政課長を務められ、実は、新潟でも舞立会というのがまだございます。きょうは、新潟に対しての本当にいろいろな強い思いを述べていただく、すばらしい、まあ、リップサービスとまでは言いませんけれども、いろいろとお考えを伺いたいというふうに思うんです。

 私は、今の石田総務大臣とともに、三年前でございますけれども地方居住推進議員連盟というものを立ち上げて、地方居住推進政策というのも頑張ってまいりました。

 先週発表されましたふるさと回帰支援センターというところの調べでありますけれども、全国移住希望ランキングというのがございまして、新潟県は五番ということであったんですが、二十代については一番を獲得しました。これはいろいろな要因があると思うんですけれども、実は今、新潟も、新潟市HAPPYターン事業ということで、かなり地方居住、UIJターンの支援策というものを行っております。

 今、政府全体として、東京一極集中の是正ですとか、あるいは成長戦略のKPIの中に二〇二〇年度に東京に流出入する人口をとんとんにするという目標を掲げてこられたと思うんですけれども、この目標が全然達成できていないというふうに伺っておりますが、やはりこうした自治体が取り組んでいるさまざまな移住支援策についてももっと後押しをすべきじゃないかというような問題意識を持っております。

 まだまだそういった意味で、この地方居住推進の予算というのは心もとないと思うんですけれども、そのあたり、舞立政務官のお考えを伺いたいと思います。

舞立大臣政務官 石崎先生におかれましては、私もかつてお世話になった新潟を始めといたしまして、全国の地方創生の推進に多大な御尽力を賜っておりますこと、厚く感謝、お礼申し上げたいと思います。

 答弁でございますけれども、御指摘のとおり、東京圏転入超過、景気がよくなると大きくなる傾向がございますが、昨年、平成三十年の東京圏への転入超過数は十三万六千人に上る状況にあるなど、依然として東京一極集中の是正というものは最大の課題と認識しております。

 このため、今年度から始めましたきらりと光る地方大学づくりを支援するとともに、引き続き民間企業の本社機能の地方移転等を税制などで支援していくこととしております。

 さらに、これに加えまして、来年度予算案におきまして、地方創生推進交付金を活用し、UIJターンにより地方で起業、就業する若者たちに最大で三百万円支給する、新しい制度も盛り込んでいるところでございます。

 また、先生に御紹介いただきました新潟市のHAPPYターン事業につきましては、移住を促進するため、起業、就業、住まい、子育て、教育等の移住や市民生活のための情報を総合的に発信し、移住者の新生活をサポートするなど、地方創生の優良事例と認識しているところでございます。

 このような意欲と熱意のある地方公共団体の取組を応援することにより、地方にこそ成長のチャンスがあるという考えのもと、地域活性化と過度な東京一極集中の是正に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

石崎分科員 ありがとうございます。

 それに更に加えまして、移住者、来てもらった後の課題もありますよね。

 なかなか溶け込めなかったりして戻ってしまうケースもいろいろあるわけでございますが、新潟ではミチシルベという移住者コミュニティーというのがございまして、ラーメン王国新潟のPRとか、いろいろな不安とか期待に応えるようなコミュニティーなんですけれども、Sea Point NIIGATAという浜茶屋でいろいろな交流イベントを開いたりして、いろいろと頑張っている取組がございます。

 こういったようなNPOですとか移住者自身が取り組んでいるようなさまざまな仲間づくり、こういったものに対しても国としてもっと支援をすべきじゃないかと思うんですけれども、政府参考人で構いませんので、よろしくお願いします。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地方居住を進めていく上で、移住者の仲間づくりやコミュニティーの形成を促すことは大変重要であるというふうに認識しております。

 地方創生推進交付金におきましては、地方への人の流れを進める観点から、移住、定住の促進や移住者のコミュニティー形成に向けた取組をこれまで支援してきております。

 例えば、新潟県燕市における、移住者が交流を楽しめるコミュニティーの育成のためのまちづくり協議会等への支援等も行ってきているところでございます。

 今後とも、地方居住のさらなる推進に向けた地方の具体的な取組を、地方創生関係交付金等によりまして一層推進してまいりたいというふうに考えております。

石崎分科員 ありがとうございます。

 今の答弁ですと、こうしたNPOですとか自治体コミュニティーに対しても交付金が使えるのかなというような答弁だったと思いますので、ぜひ活用させていただきたいと思います。

 続きまして、新潟市は国家戦略特区に選んでいただいているわけでございますけれども、事前に新潟市から、今、特区はどんな課題があるのかと伺ってきたんです。

 伺いましたら、今、国として、レギュラトリーサンドボックス制度の創設ですとか、自動運転、電波利用、こうしたところを盛り込んだ新たな特区法案、改正案を閣議決定して、その法案成立について取り組んでいるというふうに伺っております。それを早くやってほしいというような御要望をいただいたわけでございますが、まさに今スピードアップして頑張っているということでございますので、これは聞いても答えが想像つきますので、ぜひ、これは舞立政務官に音頭をとっていただいて、この法案を一刻も早く通していただきたいというふうに思っております。

 その上で、この国家戦略特区を基盤に、新たにスーパーシティー構想というものが出てきたというふうに伺っております。

 先日も、政府の会議でスーパーシティーについてのペーパーなど出てきまして、拝見をさせていただいたところでございますが、私、いろいろな議員連盟をやっているんですけれども、人工知能の若手議連ですとか、あるいは党のこうした人工知能の分野を担当させていただいております。

 トロントとか雄安市は、まさに白地から未来都市をつくるような、そのようなスーパーシティーみたいなものをつくっているものがあったり、あるいはシンガポール、ドバイ、既存の都市を新たにそうした未来都市のようにつくり上げるというような、これはブラウンフィールド型というそうでございます。

 こうした中で、日本では、生活全般で、いろいろな最先端の技術を暮らしに実装していく、住民目線の未来都市づくりということを狙うということで伺いましたけれども、これはまさに国家戦略特区制度を基礎としつつということに二月十四日の諮問会議の中で書いてございますので、ぜひこれは、新潟市というのも今まで特区でいろいろな実績を行ってきまして、ICT農業ですとか最先端のことをやってまいりましたので、このあたり、舞立政務官の方に。

 このスーパーシティーを導入するに当たりまして、住民合意が必要だというような要件があると伺っております。この住民合意というのは具体的にどういうことを意味しているのか。

 例えばなんですけれども、ある開発ビル一棟で実施する場合におきまして、そこの入店者、入居者などの合意を得る、あるいは、大学などで実施する場合に、学生や保護者、教諭など、そういった方々の合意を得るとか、そうしたところの関係者からの合意につきましてもう少し詳しく答弁いただければ、これは新潟市としても検討に値するというふうに判断をしていただく可能性もありますので、ぜひちょっとそのあたり、答弁できる範囲で構いませんので、よろしくお願いいたします。

舞立大臣政務官 お答えいたします。

 スーパーシティーの実現は、人口減少や高齢化に悩む地域においてこそ、生活の基本機能が維持され、住民の皆様が暮らしていけるための基盤をつくる上で重要であり、委員御指摘のように、人口の首都圏への流出の歯どめとなり得る地方の中核的な都市におきましても、周辺地域を支えるための未来を見据えた取組として、大いに期待されるところでございます。

 具体的な話につきましては、現在、鋭意さまざまな角度から法制作業を検討中でございまして、引き続き、法制作業の中でしっかりとスーパーシティーの実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

石崎分科員 端的にありがとうございます。

 今のお話を伺いまして、これからいろいろな動きを私もつぶさに伺いながら、地元ともちょっとまた連携をして、このあたり、私は、やるべきだという立場から連携をしていきたいというふうに思っております。

 続きまして、展示会産業議員連盟というのを私はやっておりまして、いろいろやっているんですけれども、いろいろと伺いましたら、ちょっと時間もなくなってきたので簡単に申し上げますと、本当に日本は非常に展示会場が不足しております。そして、二〇二〇年問題ということで、全国の展示会場のうち約半数が使えなくなってしまう。これはいろいろと改修工事とかで使えなくなってしまって、本当はそういういろいろな見本市とかをやりたいのにもかかわらず、やりたくてもできないという問題が生じている。

 この根本的な原因はハードの不足だということで、展示会場が大きければ大きいほど来るお客さんがふえていくということで、これから、今、インバウンド、インバウンドということで、お土産を買っていく人を狙うことも大事なんですけれども、商談でやってくる人が落とすお金というのも非常に大きいものがございます。これは中小企業もそうですし、いろいろな分野の人、物、金が一度に集まるのはこの展示会産業だというふうに理解しております。

 きょうは、塚田一郎国交副大臣にもお越しいただきました。

 私は、これは社会資本だと思っております。いわゆる今までの道路とか港とか、そういった既存のインフラにプラスして、ぜひこのあたり、展示会というのも非常に大事な社会資本として、やはり国交省としてもう少し、もう少しというか、今まで全くないんですけれども、ハード面で国として後押ししていく予算を私はつくるべきだというふうに思います。

 そのあたりのお考えとあわせまして、新潟を含めた地方の中核都市でこうした展示会場をつくっていくということは、何かあった場合の備え、分散化という観点も非常に重要だと思いますので、そのあたり、塚田副大臣から、地元新潟への思いも込めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

塚田副大臣 石崎委員におかれましては、展示会産業議員連盟の一員として展示会施設の整備促進に大変な御尽力をいただいておりますことに、感謝を申し上げます。

 大規模展示施設については、国内外から多数の来客が見込まれる、都市国際競争力強化の観点からも重要な施設整備だというふうに認識をしております。

 国土交通省では、大規模展示施設そのものについては社会資本整備総合交付金の対象として支援は行っておりませんが、こうした施設と来場者の主たる乗降先となる鉄道駅等を結ぶ歩行者用デッキや交通広場、公共駐車場等の設備に対して、社会資本整備総合交付金等により支援をしているところでございます。

 また、民間事業者による展示施設を含む都市開発事業の実施に対しては、地域の特性に応じて、民間都市開発推進機構による金融支援や税制上の特例措置を講じているところでございます。

 こうした支援制度を総合的に活用していくことで、各地域における大規模展示施設の整備促進を図り、我が国の国際競争力の強化を図ってまいりたいというふうに存じます。

 また、新潟についてもお話がございました。

 新潟市においては、朱鷺メッセ、その隣接する緑地や地域交流拠点、また、朱鷺メッセと古町地区、新潟駅の結びつきを強化するための遊歩道や情報板の整備など、回遊性の高い歩行空間の整備について、社会資本整備総合交付金により支援をさせていただいております。

 また、石崎議員から長年御支援をいただいております新潟駅の整備に関しましては、新潟駅の周辺整備として、鉄道の高架化や鉄道の駅前広場の整備、また朱鷺メッセを含む拠点地域のまちづくりなど、御支援を行わせていただいております。

 引き続き御支援をよろしくお願いいたします。

石崎分科員 塚田副大臣、ありがとうございました。

 今伺いましたら、展示会場そのものに対しての交付金はまだないけれども、周辺のところ、道路とかには使えるということでございましたけれども、ぜひこれから検討を深めていただきまして、展示会場そのものも社会資本なんだという位置づけで、ぜひ国交省としても考えていただきたいと思います。

 なぜ国交省にお伺いしたかというと、この展示会産業を所管しているのは一応経産省ということで、質問はしませんけれども、経産省としてはソフト面での、MICE誘致とか、いろいろなことをやっているということでありますが、日本で一番大きな東京ビッグサイトでも世界で見たら七十三番目にすぎなかったり、あるいは、もういろいろな世界の国際見本市ですとかは世界にとられてしまっているというような危機感もぜひ感じていただきまして、国交省、経産省、連携して頑張っていただきたいというふうに思っております。

 これは地方創生にも資するというふうに考えておりますので、そのあたりは舞立政務官にもぜひ御認識いただきまして、これからぜひ連携をしていただきたいというふうに思っております。

 それで、あわせまして、冬季オリンピックでございますが、日本国内でこれから冬季オリンピックを開催できる場所というふうに考えますと、既にやったところは長野、北海道・札幌ということで、あとできるとしたら我が地元新潟が、やはりこれはインフラ面もそうだし、雪質もそうですし、あるいは宿泊施設など含めると、非常に私は可能性があるというふうに思っておりますし、塚田副大臣もかねてからこの点は御主張されているというふうに思っております。

 きょうは地方創生の担当の委員会でございますので、このあたり、伺いましたら、それぞれの都市が手を挙げないとオリンピック誘致というのは始まらないんだというようなことを役所から伺ったわけでございますが、これは先ほどのいろいろなテーマと同じでございまして、鶏、卵であります。

 やはり国として、冬季オリンピックをもう一度やるんだ、今までやっていないところも含めて検討するんだということがある程度見えてきてこその自治体の手挙げということに私はつながるんじゃないかなというふうに、私はそう考えているわけでございますが、きょう、せっかく舞立政務官が来られていますし、冒頭申し上げたように、新潟でいろいろと課長等もやられていた、そうした御経験を踏まえて、地方創生の観点から、冬季オリンピック、新潟の可能性について御所見を伺いたいと思います。

舞立大臣政務官 お答えいたします。

 今後のオリンピックの誘致の関係でございますが、新潟を始めとして各地域でさまざまな検討が今行われているんじゃないかと承知しておりまして、現段階で個別の取組に関して見解を申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。

 一般論といたしまして、オリンピックを誘致する際には、地域の経済や社会にとって有益なレガシーを引き継ぐ計画とするなど、地方創生に寄与する取組となることを期待したいと考えております。

石崎分科員 ありがとうございます。

 こうした質問も、全ては交流人口の地方への還流という観点からの質問ということでございます。

 最後に、IRでございますけれども、IR法案ということでいろいろと進めてきて、全国で何カ所かというふうな話でございますが、いろいろと漏れ伝わってくると、委員長の大阪ですとか、いろいろとお話を伺うわけでありますが、これはぜひ私は地域バランスを考えるべきじゃないかと思っております。

 こちらにつきまして、きょう、IR担当の副大臣でもあられます塚田副大臣がお越しでございますが、やはりこうした地方の中核都市にIRという可能性は私はあると思っております。

 IRというのは、もう皆さん御承知のとおり、カジノだけではなくて、先ほど御質問しましたような国際展示場というのも一つの中核の施設になるんですね。そういった意味で考えますと、国際展示場とカジノ施設あるいはショッピングモール、こうしたもの全体として考えれば、その地域に莫大な人と物と金を呼び込む装置になるというふうに思っております。

 いろいろと今手が挙がっている都市が、非常に大都市の名前をよく聞きますので、このあたり、IR副大臣として、地方都市にIR、MICE施設を含むこうしたところの可能性について、手が挙がりやすいような環境整備をするべきだというふうに思っているんですけれども、そのあたり、御所見を伺いたいと思います。

塚田副大臣 今、石崎委員の方から御指摘がございましたIRの区域整備につきましては、地域の創意工夫また民間の活力を生かし、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するという基本理念を踏まえて推進をしておるところでございます。

 これを受けて、IR整備法では、全ての都道府県又は政令指定都市が区域整備計画の認定申請を行えることとされており、大都市、地方都市によらず、認定基準を満たし、すぐれたものであれば、認定の上限数を超えない範囲で認定をお受けすることができるというふうにされているところでございます。

 こうした趣旨を踏まえまして、各地域において、それぞれの特色を生かし、創意工夫ある区域整備計画が作成されることを期待しております。

石崎分科員 ありがとうございます。

 政令市も含まれるということでございました。

 このあたり、引き続き、塚田副大臣また舞立政務官と連携をしながら、地方創生そして人口減対策に取り組んでいきたいと思いますということを最後にお誓い申し上げまして、きょうの質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中山主査 これにて石崎徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、大野敬太郎君。

大野分科員 自由民主党の大野敬太郎でございます。

 まずは、中山泰秀先生におかれましては、十二時間の長時間の審議のおさばき、大変お疲れさまでございます。まずは御慰労申し上げさせていただきたいと思います。

中山主査 ありがとうございます。

大野分科員 きょうは、地方創生、その中の有力なツールの一つであると私は考えております社会的事業について、後半は、科学技術イノベーションの政策について御質問させていただきたいと思います。

 この二つ、一見、全く違うように見えますけれども、社会へのインパクトを生むという形で新しい価値を生んでいく、そのために息の長い支援が必要だという意味で共通項があると考えておりまして、その中でも、課題としましては、どういうスキームにするのだ、その上で、制度、運用、そして意識の面でどうやってこの構築をしていくのかという意味で課題が残っている、そう認識をしてございます。

 まず、きょうは、平井大臣におかれましては、ちょっと後半ということで、同郷のよしみで少々お待ちをいただければと思いますが、舞立政務官にお越しをいただいております。

 いわゆる社会的事業、ソーシャルベンチャーとかソーシャルビジネスと言われている分野でございますけれども、社会的な課題、これは地域に存在をしているいろいろな問題があると思いますけれども、それをビジネスで解決していくんだという取組、試みだと承知をしております。

 まずは冒頭、舞立政務官、この問題、各県でも取組が進んでいるところもあると伺っていますけれども、この動きをどのようにごらんになっているか、質問させていただきたいと思います。

舞立大臣政務官 大野先生におかれましては、地元の香川を始め、本当に地方創生の推進に多大な御尽力を賜っておりますこと、厚く感謝、お礼を申し上げたいと思います。

 社会的事業と地方創生の関係でございますが、事業性と社会性を両立させつつ、民間の力を活用して地域の課題解決に取り組む社会的事業は、地方創生において重要な役割を担い得る存在と認識しております。

 具体的には、多様な子育てニーズに柔軟に対応するサービス、また、障害を持ったお子さんたちの教育、就労支援、そして地域資源の生産者をサポートして販路拡大へつなげる取組など、その事業領域は、多様な地域の課題に対応し、非常に幅広いものとなっているところでございます。

 一方で、こうした社会的事業につきましては、事業が安定するまでに長い期間を要することや、事業の認知度の向上、担い手となる人材の確保、育成、資金調達の面などの課題があると承知しております。

 このため、政府といたしましては、昨年末に閣議決定したまち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一八におきまして、社会的事業の重要性を踏まえ、その推進に必要な環境整備を図っていく、取り組んでいくということとしているところでございます。

大野分科員 ありがとうございます。

 公式なペーパーで、重要性を鑑みてしっかりと記述をいただいている、重要だと認識をいただいている、そう承知をいたしました。

 実は、ここに来る前に、舞立政務官の御地元、鳥取でございますが、ちょっと調べてまいりました。そうしたら、鳥取でもやはり県のホームページ上にソーシャルビジネスの推進に関する記述がございましたので、恐らく鳥取県も取り組んでいらっしゃる、そう思ってございます。

 このソーシャルベンチャー、先ほどの政務官のお話にもありましたように、官だけでもできない、民だけではなかなかビジネスとして回せないという領域、この領域に今積極的にいろいろな方が取り組もうとしている。

 特に、今、働き方改革が必要だというような時代になりましたけれども、その上で、それを体現するように、例えば若い人たちが、一つの会社に、ずっと同じ会社に勤め上げるという生き方を選ぶよりも、やはり新しい領域に飛び込んでいって、そして社会に貢献して、かつ、それを起業してビジネスでそういった課題を解決したい、そういう生き方を選択するという若い人もまあまあいらっしゃる。そして、意外とそういった方々が各地方で成功をおさめている事例というのが多くなってきているんだと思います。

 また一方で、アクティブシニアと呼ばれる、いわゆる御年配の方、会社を退職されて、そして、まだまだ元気なので、そういった方が御地元に帰られて、そして、社会のために貢献をしたいんだということでビジネスを始められる。

 社会の課題を解決する取組になるんだったら、それは時代がまさに求めている領域だと私も考えておりまして、ぜひ積極的に推進をしたいなと思ってございます。

 特に、官民二元論、こういったものをやはり私も排していきたいんですね、全部ではありませんけれども。こういった特に社会性の高い課題というのを解決するような手法には、昔、民でできることは民でとおっしゃった方がいらっしゃいましたけれども、官民でできることは官民でという勢いでぜひ取り組んでいきたい、そう承知をしております。

 党内でも、私自身も含めて多くの先生方でこの問題を議論しておりまして、その結果、累次にわたる提言を政府に出させていただいております。

 どういった課題かというと、多くございますけれども、例えば、支援の対象とする事業をどうやって認定するのか、あるいは担い手の育成、兼業、副業も必要じゃないか、あるいは規制の調整機能、これは事業を行うに当たってはどこかで規制にぶつかってしまう、あるいはファイナンスのスキーム、どうやってお金を回していくのか、このファイナンスツールをどうしていくのか。こういった課題を解決するような検討を行っていただくように政府には求めておりましたけれども、現在、この進捗状況あるいはその現状はどうなっているのかをお答えいただければと思います。

舞立大臣政務官 お答えいたします。

 大野先生におかれましては、党の特命委員会で事務総長を務められるなど、本当に御活躍いただいているところでございますけれども、御指摘の特命委員会におきまして、実際に社会的事業に取り組む多くの事業者などからのヒアリングを通じて、人材育成や資金調達など、現場の声を踏まえた課題と対応について御提言いただいたものと承知しております。

 政府といたしましても、その提言も踏まえながら、総合戦略の記述も充実しつつ、社会的事業の支援に向けた施策に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、事業の社会性を評価、認証する仕組みの検討、また、社会的事業の起業に必要な知識、ノウハウを誰もがオンラインで視聴できるeラーニング講座の開講、そして、SIB、ソーシャル・インパクト・ボンドなどの手法を活用して社会的事業の推進に取り組む地方公共団体の事業に対する地方創生推進交付金による支援などに取り組んでいるところでございます。

 さらに、来年度予算案をお認めいただければ、東京圏からUIJターンする方々や地域の方々が地域のさまざまな課題の解決に取り組む社会的事業を起業される場合に、地方創生推進交付金を活用して最大で三百万円の支援金を支給し、その取組を後押ししていきたいと考えております。

 民間の知恵と活力を活用しつつ地域の社会的課題解決に取り組む事業は、今後の日本社会におきまして重要な分野であると承知しております。政府といたしましても、実際に社会的事業に取り組む方々やNPO、そして支援機関などとも連携しつつ、これらの取組を通じまして、その一層の発展、活躍に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。

大野分科員 ありがとうございます。

 今、政務官がおっしゃったSIB、ソーシャル・インパクト・ボンド、これはファイナンスのツール、スキームとしても非常に有効活用できるんじゃないか、そう思ってございます。

 数年前にイギリスで提唱された制度だと承知をしておりますけれども、現在のSIB、ソーシャル・インパクト・ボンドの市場が大体十一兆円ぐらいと言われております。一方で、日本のこの市場規模というのが、二、三年前のデータではありますけれども、三百四十億円。二桁も三桁も違うような現状であります。

 このスキームは、実は科学技術イノベーションでも使えるスキームだとは思っておりますが、後ほど触れさせていただきたいと思います。

 このSIB、現在、政府で具体的にどのような活用、促進事例があるのか、あるいは、今どういった規模で行われているのかを御教示賜れればと思います。

石川(卓)政府参考人 お答え申し上げます。

 SIB、ソーシャル・インパクト・ボンドを活用した件数全てにつきましては詳しく承知しておりませんけれども、関係省庁に確認しましたところ、政府においては、例えば、大阪府における養育里親の支援事業、兵庫県神戸市においては糖尿病性腎症重症化予防事業、大分県におきましては服薬見直しの勧奨による健康増進、医療費適正化事業を始めとして、平成三十年末までに十九件のSIBによる事業に対し支援を講じているということでございます。

 昨年六月に閣議決定されました、骨太方針二〇一八、未来投資戦略二〇一八及びまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一八に基づき、議員御指摘のSIBを含む成果連動型民間委託契約形式の活用と普及を積極的に進めてまいりたいと考えております。

大野分科員 ここだけにこだわるということではありませんけれども、有力なツールであると承知しております。これは行政のコストの合理化という意味でも大変重要なツールだと思っていますので、ぜひ、政府におかれましては、引き続き積極推進に努めていただければと思います。

 最後に、舞立政務官、このSIBを含めて、ソーシャルベンチャー、改めて、取り組むに当たって意気込みをまた示していただければと思いますので、お答え、よろしくお願いします。

舞立大臣政務官 お答えします。

 今後とも、大野先生の御指導もいただきながら、しっかりと、重要な分野と言われる社会的事業、政府といたしましても、いろいろな、地方創生推進交付金等の活用も含めまして、さまざまな面から取組を進めてまいりたいと考えております。

大野分科員 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、科学技術イノベーション政策に移りたいと思います。大臣、大変お待たせをいたしました。恐縮でございます。

 まずは、国際競争力についてお尋ねをしたいと思うんです。

 数年前に、ネイチャーという有名な雑誌、ここに、日本の研究開発力、これが結構弱体してきたんじゃないかというような御指摘がありました。これは結構インパクトがありまして、国内のメディアでも取り上げられ、また、科学技術力の低下が危ぶまれているのではないかという指摘も政府自身もされているかと思います。

 また、著名な研究者自身も、例えばノーベル賞の、先般の本庶先生も、私まではまだノーベル賞はとれるかもしれない、だけれども、十年、二十年たって、このままの制度が続いていたのではもうノーベル賞は出ないかもしれない、そんなことをおっしゃっておられました。

 もちろん、国の科学技術政策はノーベル賞をとるためにやっているわけではありませんが、一つのバロメーターとして、結果的にノーベル賞がどんどん輩出されるような、そういったイノベーティブな国にしていかなくちゃいけない、そう思ってございます。

 まずは、大臣、この科学技術イノベーション、これは何がいけないのか、どういう課題があるのか、そういったところを基本的な認識としてお伺いをさせていただきたいと思います。

平井国務大臣 大野先生、質問ありがとうございます。

 まず、お礼を申し上げておかなきゃいけないのは、研究開発力強化法の一部改正、名前が変わりましたね、科学技術・イノベーション活性化法、御尽力いただきまして、通していただいて、それは恐らく、今、研究開発力、アメリカと比較してという話がありましたが、そういう危機感の中から大変御尽力いただいて、さきの国会で通して、この予算の中で手当てをせよというようなことだと思います。

 今、世界において、破壊的イノベーションというもの、これをどう見るかというのがあると思うんですね。どちらかというと、日本は、得意なのは持続的なイノベーション。しかし、よくよく考えると、かつての日本は破壊的なイノベーション、スタートアップみたいなことが得意だった時期もあるんです。ただ、やはりしばらく、非常に持続的なイノベーションはやるものの、ハングリー精神というか、思い切ったことに取り組むというマインドセットがちょっと弱かったんではないかという思いがあります。

 今、やはり、考えていることは、これまでの延長線上で科学技術イノベーション政策を進めるというのではもうだめだ、ここを変えようという意味で、統合イノベーション戦略においては、新しい目標を置いて進めています。

 特に、ソサエティー五・〇という言葉は、もう経団連の皆さん、いろいろなところでお話しになるんですが、では、一般の人にどの程度伝わっているかということが少し心配にもなるんです。要は、サイバー空間と実態のリアルの空間、ここをデジタルのいろいろな技術を使って、今までとは違う新しい、人間が幸せを感じられるような社会をつくるチャレンジというふうに説明をしていくべきだろうというふうに考えています。

 いろいろな問題点を、私、今回、大臣になって以降気づきました。というのも、こういう変化の激しいときには現場の声を聞くべきだということで、かつてエストニアが国としてやっていたピッチ・ツー・ザ・ミニストリーというのがあるんですね。役所に対して直接ピッチをする、プレゼンをすると。そこをちょっと変形しまして、ピッチ・ツー・ザ・ミニスター、私自身が直接、イノベーションに取り組んでいる現場の意見や科学者やスタートアップの企業やいろいろな方々から、彼らの今考えているやりたいこと、そして問題点等々について直接話を伺うということをずっとやってきました。

 そこで、やはり、イノベーションエコシステムをつくるに当たってのいろいろなギャップがあるなと。そのギャップをどうやって埋めていくかだと今思っています。それはやはり、分析だったり、資金だったり、ネットワークだったり、人材だったり、教育だったり、多岐にわたるんですが、まず一番最初に一番欠けていたのは情報共有、つまり、どこの誰が何をやっているか、どこの誰と一緒にやれば何かできる可能性があるということを、検討すらしていないケースもある。

 今、いろいろなスタートアップ企業や、特に大学の若手研究者なんかは非常に野心的な取組もしているんですが、そこがいま一つ知られず、広がらず、人とめぐり会えない。というか、それはこれから我々がやっていかなきゃいけないというふうに思っていて、今、AI、バイオ、量子の三分野における戦略の策定、あとガバナンス強化、人事給与マネジメント改革、民間資金獲得のためのインセンティブの付与と大学改革、野心的な構想を掲げ挑戦的な研究開発を推進するムーンショット型の研究開発制度の創出、そしてもう一つ、世界に伍するスタートアップエコシステムの拠点を形成していくべきだろうというふうに考えています。

 ここはまず、マインドセットを変えるということもさることながら、機関横断的創業支援、そしてオープンイノベーションを加速させるための方法論について、もうこれを具体的に実行に移す段階に来ているというふうに思いますので、大野先生、ずっとこの分野に取り組んでおられました。ぜひ、今だと思いますので、党の方からもどんどん積極的な御提言をいただければと思います。

大野分科員 ありがとうございます。

 まさに思っているような内容の御答弁を賜りました。

 この分野は非常に多岐にわたる改革が必要なんだと思います。実際に資料を拝見させていただくと、大学改革とか、あるいはその人材をどう供給するのか、先ほど大臣がおっしゃったような話が盛り込まれている。それは全て重要なんだと思います。

 その中で、例えば資金というのに着目すると、現在、例えば、政府というよりも、むしろ、科学技術基本計画の中ではGDPの一%を目指しましょうというふうに書いてございます。この一%すらもまだ実際には到達していない。もちろん、お金があれば全てが解決するなんてことは絶対なくて、中身を変えていかなくちゃいけないのは事実ですけれども、まずここの部分から、資金を獲得するような努力をぜひしていただきたいと思います。

 まず、この点について、大臣の意気込みを。

平井国務大臣 ありがとうございます。

 対GDP比の話になるんですけれども、二期から四期までの科学技術基本計画期間、対GDP比一%との政府研究開発投資目標は、非常に苦しいというふうに思います。

 ことしの予算に関して、平成三十一年度予算案における科学技術関係予算は、対前年度比約四千億円の増、一〇%以上ふえたということです。平成七年の科学技術基本法制定以降で最大規模となる四兆二千億円余りを計上しているところですが、対GDP比一%、五年間で総額二十六兆円を目指すということになると、これはもう一踏ん張りでは足りない、二踏ん張りも、どんどんやらなきゃいかぬというふうに思っています。

 それと、ムーンショットの一千億にしても、結局、どれだけ民間のお金を同時にやはり使っていただけるようにするかということで、これは大学もそうですけれども、プロジェクトに対しても、民間ができるだけ将来に投資できるというような環境をつくっていくこと、ですから官民挙げてという形にしないと。

 また、調達であったりそういうものにも一工夫を加えていきたいというふうに思っておりますし、やれることは全部やって、目標に近づければと思っております。

大野分科員 ありがとうございました。

 なぜ改めてこの予算の話を申し上げたかというと、冒頭申し上げたように、予算をつぎ込めば全てバラ色だということは全くない。ところが、日本の研究開発投資というのを中身を見ると、政府の支出の割合というのは、世界各国に比べてみてもパーセンテージは明らかに低いわけですね。

 政府の役割とそれから民間の役割、これはもちろん、私が地方創生の中で、冒頭申し上げたように、官民一緒にやるんだ、そして、政府は呼び水、巻き込まれて皆さんの、民間の力を活用する、一緒になってやるんだ、この分野もございますけれども、民間だけで言えば、やはり直近に成果が出るような研究開発。政府は、やはり長期的に息の長い支援をして、そして、全然成果が見えなかった領域に突然成果があらわれて、それが社会的なインパクトを生じせしめる、そういうような課題があると思うので、政府の役割というのも非常に重要だと思ってございますので、ぜひ積極的な取組をこれからも行っていただければと思います。

 その上で申し上げれば、今大臣がおっしゃった話で、私、一番注目しているのは何かというと、エックスプライズ方式なんですね。エックスプライズ、これは御存じのとおり、ファンディングのアレンジをする財団がエックスプライズであって、そこにメーンのファンダーがいて、そこで、価値を中心、事中心ですね、を中心にして、お金も集める、そして研究者も集める、そして実施する企業も集める。これは例えば、直近で言えば、全日空さんが今アバターというプロジェクトをエックスプライズでやってございますけれども、オープンイノベーションという意味では究極のオープンイノベーションだと思っていまして。

 どちらかというと、現在のオープンイノベーション、もちろん、企業側でおっしゃっているのは本質的なオープンイノベーションのことをおっしゃっているんだと思いますけれども、どうも、政府の中で議論されているオープンイノベーションというのが、大学中心のオープンイノベーションに近いような概念じゃないかと私も前からちょっと心配をしておりまして、より価値中心に全てが集まっていく、研究者も集まっていく、そういった構造にしていかないといけないんだと思うんです。

 それはなぜかといえば、企業にとってみれば、どこの大学に出資をするということではなくて、どういったことができるかという価値に出資をするわけですので、幾らどの大学とあの大学を連携するといっても、価値中心にならないとなかなかうまく進まないんじゃないか、そんなことを思ってございます。

 そういった意味で、エックスプライズ方式というのは、政府の中でぜひ取り組んでいただければなと、前々からその御指摘をさせていただいているんですけれども、例えば、先ほどスタートアップの話をお触れになられました。あるいはムーンショット型の構図もおっしゃいました。ある程度近くなってきたのかな、そういった感じは、私、しているんですけれども、中身についてつぶさに承知しておりませんので、こういった観点から、本当に必要な科学技術あるいは研究開発、それから社会実装、これは社会実装が何よりも一番大切だと思っていますので、そういった観点で、現在の状況について、先ほどおっしゃったスタートアップの話も含めて、御答弁いただければと思います。

平井国務大臣 大野先生と私、全く同じ気持ちでおります。

 さっき例に挙げたムーンショットなんかは、要するに、今までの、研究シーズに対してお金を出す、どこの大学の何先生というのでは全くなくて、野心的な、今、日本が直面しているいろいろな問題をこうやって解決するんだ、そういうプロジェクトに対して世界から人を集め、なおかつ、そこに国のお金そして民間のお金を集めてやるというようなことは、まさにこれはやれるかどうかなので、ここは非常に我々も重要だと思っています。

 そして、さっき全日空のアバターの例もありましたけれども、いろんな企業がやり始めました。それは非常にいいことだと思っていて、一時はやはり自分の本業に近いところだけをやっていたのが、今はそうではなくて、人に対してそういうものを、お金を出すという意味では、少しずつ姿勢は変わってきたんだと思います。

 それと、オープンイノベーションについてもお話しになりましたけれども、産官学連携功労者表彰というのを、ことしから日本オープンイノベーション大賞という形でスタートして、ことし第一回目になるんですけれども、選考の中身を見ても、いいなと私も思っています。これをもっと広げて、オープンイノベーションというのは、もう全く同じ感覚で、民間のあらゆるいろんな技術、大企業が持っているものから大学が持っているもの、個人のもの、いろんなものを全部、いろんなものをオープンにして、そこから新しい価値を生むというようなことにチャレンジしなければならないと考えております。

大野分科員 ありがとうございます。

 冒頭、ソーシャル・インパクト・ボンドの話を触れさせていただきました。これは地方創生の中で私が取り組んでいる話でございますけれども、どういった指標にするのかというのは別にしても、科学技術イノベーションという分野で社会に与えるインパクトをある程度指標化して、それに向けて出資を募る、いわゆるインパクト投資を募る、募った後に、その指標に到達したならば、政府はある程度の、成功報酬型の、換金と言っちゃいけないですね、補助を出すというような形もありだと私は思ってございますので、ぜひ大臣、そういった観点も含めて取組をいただければと思ってございますが、何かおっしゃられることがありましたら。

平井国務大臣 このソーシャルビジネスのスタートアップというのも、実はたくさん、今多くの方々が取り組んでいるというのに私は知らなかったんですが、ピッチでいろんなところに行って話を聞いていると、出てきました。日本でやるのみならず、海外でソーシャルビジネスをやるというようなチャレンジも起きてきているというのは、やはり大分変わってきたんだと思います。特に、若い人たちがそういう問題意識を持ち始めているし、今、高齢化の問題とか地方の疲弊の問題とか一次産業の衰退とかいろんな問題がある中で、これは時代の要請だと私は思います。

 どのようにすれば進められるか、こちらでも検討を開始したいと思っておりますので、よろしくお願いします。

大野分科員 最後に、ムーンショット型について、ちょっと時間がなくなってしまったんですけれども、端的に事務方にこれはお答えいただければと思います。

 私、結構これは感動した部分がありまして、それは何かというと、ステージゲートを経た上で、最終的にオープン・クローズ戦略も視野に入れて行う。つまり、ど真ん中の産業政策をやっていこうということだと私は理解しました。

 もちろん、オープン・クローズになじまない研究領域、成果領域というのもあるとは思うんですけれども、そこを銘打ったというのはすごく期待したいなと思うんですけれども、一体、過去のImPACTというプログラム、どういったところが問題があって、どういった課題があって、そして、今回どうやってこのムーンショット型が本当に時代を切り開いていくのか。これは端的にわかりやすくお答えいただければと思います。

中山主査 申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いをいたします。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘がございましたImPACT、革新的研究開発推進プログラムでございますけれども、ハイリスク・ハイインパクトな挑戦的研究開発を推進するという我が国初の試みでございました。光の量子効果を活用した新型コンピューターなど、大きな研究成果を得ることができたものと考えてございます。

 他方、研究者の既存の研究シーズから描いた目標を設定したプログラムが多かったということから、将来の産業社会を大きく変革させるような大胆な斬新さ、そういうものがなかったのではないかという側面でございますとか、行政側におきましても、プログラム一つ一つを成功に導く、どうしても成果を重視する従来型のマネジメントであったために、失敗も想定した大胆な挑戦を誘導することができなかったのではないかという側面もあったのではないかと考えております。

 したがいまして、御指摘のムーンショット型研究開発制度におきましては、破壊的イノベーションの創出というものを目指しまして、困難な社会課題の解決等を目指しまして、人々を魅了する野心的な目標及び構想を国が掲げ、その実現に向けて世界じゅうからトップ研究者の英知を結集させる仕組みとし、また一方で、特に基礎研究段階にあるさまざまな知見やアイデアを最大限に引き出して、失敗も許容しながら革新的な研究成果を発掘、育成すること、そして、御指摘のございました将来の事業化というものを見据えてオープン・クローズ戦略の徹底を図ること、これらをあわせて基本的考え方として、平井大臣のもとで具体的な目標やマネジメント方法というのを検討してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

大野分科員 終わります。ありがとうございました。

中山主査 これにて大野敬太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、黄川田仁志君。

黄川田分科員 よろしくお願いします。自由民主党の衆議院議員の黄川田仁志でございます。

 本日は、AI社会に向けた国際的な動きと我が国の取組についてということで質問させていただきます。

 まず、報道によりますと、ロシアのプーチン大統領が、AIを制する者がこの世界を制すると発言したということがございました。

 また、私は、先々週、OECDのグローバル議員ネットワークの会合に出席いたしまして、そこでの主要議題の一つに、社会における人工知能の原則についてということが取り上げられて、議論してまいりました。

 今後、さまざまな分野において国際社会をリードしていくためには、AI技術、またそれを活用したAI社会をいかに構築していくかが重要であると考えます。

 そこで、来年度、平成三十一年度の当初予算におきまして、AI関連予算が、前年度と比較して一・五倍の一千二百億円を計上されているということ。年々予算が増額されていることについては、この国際社会の流れに合致しているということで大変評価できるというふうに思っていますが、また、他国と比べると、特にアメリカの政府では、二〇一八年では予算は五千億円、中国政府は四千五百億円ということで、これらの国々と比べると、まだまだ少ないというふうに言わざるを得ません。

 単純比較はできないということはわかっておりますが、我が国も将来を見据えてAI関連予算を更に強化をしていくべきだというふうに考えておりますが、この点について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

平井国務大臣 平成三十一年度政府予算のうち、内閣府を始め関係各省によるAI関係施策を合算すると、初めて一千億を超えて、約一千二百億になったところです。

 しかしながら、米国、中国と比べると少ない。これは、しかし、国の予算ということで、民間の研究開発はもうゼロが一個違う以上に差が開いているということで、日本もできるだけ頑張っていきたいというふうに思います。

 AIの研究開発とか社会実装で世界がしのぎを削っている中、世界に伍するための国家戦略を策定することが急務と考えておりまして、現在、官房長官を議長とする統合イノベーション戦略推進会議のもと、議論を進めています。

 AI戦略においては、特に人材育成が最大のポイントであるというふうに考えていて、世界に通用するグローバルトップのAI人材の育成、文系、理系を問わずに全ての人がAIリテラシーを身につける社会の実現といった大きな目標に向かって、小中高校や大学教育、さらにはリカレント教育に至るまで、教育システム全般にわたる大胆かつ具体的な制度改革を盛り込むべく戦略の今具体化を進めているところで、ことしの夏までに総合的なAIの国家戦略として取りまとめ、日本の特徴を出しながら、スピード感を持って取り組んでいきたいというふうに考えております。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 民間はまた一桁以上も違うということで、官民挙げてのAI技術、AI社会に向けての取組というものはより力を入れていかなければいけない、そういう中で人材育成に特に力を入れていくというようなお話でした。

 このような予算の中で、どこにしっかり投資をしていくかということについては、それぞれ選択と集中が必要だということも私は考えております。

 そういう中で、研究者の中で、AIと一言で言っても、それを大きくただ見てしまうとなかなか見えにくいということも言われておりまして、このAIについては、技術的にはIT、ビッグデータ、ディープラーニングの三つに大別されるとも言われております。その中で、特にディープラーニングに対しては投資をできるだけ集中すべきという意見もあります。

 IT分野は既にGAFAに席巻されておりまして、日本がどれだけ頑張っても、投資しても、なかなかこれらの巨大IT企業に追いつくというのはかなり難しい状況だと私は考えております。また、ビッグデータに関して言えば、中国などの巨大人口を有する国家、かつ個人情報に関する個人の権利に対する国民の意識がそんなに高いとは言えない国が有利になるというふうに考えております。

 このような世界情勢を踏まえまして、我が国は、AI、特に技術の方ですね、どの技術に焦点を置いて戦うべきか、大臣はどのように考えていられますでしょうか。

平井国務大臣 私も、海外のデジタル関係者の会合等々に行くと、このAI、AIの社会実装、そのときの倫理の問題等々が必ず議題になるんですけれども、社会実装という意味では、やはり各国これからだと思っています。

 AIの倫理に関してといいますか、社会実装するに当たって、その基本原則等々では日本は主導的な立場でこれからやっていけるとは思うんですが、じゃ、技術ということになりますと、はっきり言って、ディープラーニング系等々はもう既に社会実装されているものもあるし、組合せ最適化みたいなものも一種のAIといえばAIだし、AIという言葉の範囲が最近広くなり過ぎて、何でもかんでもAIというところもある。

 しかしながら、我々は日本なりの強みをやはり出していかなきゃいけないというふうに思います。特に、現在検討中の新たなAI戦略においては、農業における世界最高水準のスマート農業の早期実現、健康、医療、介護分野におけるデータ利活用環境整備、このあたりをAIの有識者の提言を踏まえた上で進めていきたいというふうに思っております。

 GAFAに対しては、EUもいろいろな考えをお持ちです。我々も、要するに、情報を全部とられて、そして勝手に分析されてというモデルに対して、今後、やはり安心や安全にデータを流通、活用できるような環境をつくっていく必要があるというふうに思っています。そして、AIはデータによってどうにでもなるので、やはりデータ・ウイズ・トラスト、これは総理も言っておりますが、そういうことも必要だと思います。

 そこで、日本特有の取組という意味では二つあると思います。まずは情報の銀行、信託、そしてデータ取引市場、この二つは今のところ日本しかありません。

 これは、利用者からパーソナルデータの信託を受けて、安全に管理しながら、個人の包括的な同意に基づいて他の事業者に提供する事業、これを一応情報銀行と言っているんですが、これははっきり言ってGAFAとは全く違う、逆の考え方だと思います。

 巨大プラットフォーマーのようにビッグデータを蓄積するのではなくて、データの保有者とデータの活用希望者を仲介する環境を公正なルールに基づいてやるというのがデータ取引市場で、これがもう既にスタートしているのは日本だけです。

 ここらあたりの動きが世界的に広がっていくかというのはこれからだと思うんですが、GAFAとは全く違う、要するに国民の立場に立ったデータの扱いというようなことに関しても、これからどんどん前に進めていかなければならないと考えています。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 いかに質の高いデータを蓄積し取引をしていくかということで、世界にはない形のAI社会またAI技術をつくっていくということと理解しました。

 そういう中で、今大臣が公正なルールということが必要だということをおっしゃっていたと思います。GAFAという巨大IT企業の活躍する場とは違ったAI社会を構築するということであるということで、これには、日本だけの市場じゃなくて、国際的にも情報銀行、情報市場という考え方をつくっていくためには、国際的なルールづくりというのが大変重要であるというふうに考えます。

 私が先ほど言及しましたOECDグローバル議員ネットワーク会合に参加した際、ヨーロッパを中心とした参加国の国会議員やユネスコの文部科学を担当している事務局次長と会談した際に感じたことは、国際機関とヨーロッパ各国と日本は、AI分野において共有できる価値観を持っているのではないかというふうに思いました。そういう意味で、これらのヨーロッパ、国際機関と一緒に、公正なルールにのっとった情報共有ということをやっていかなければならないというふうに思います。

 そして、そのチャンスがことしはあるというふうに思っておりまして、ことしはG20の議長国であるということで、日本に対して非常にこのAI分野の国際的なルールづくりにおけるリーダーシップをとってほしいという期待が高まっていました。そういうことで、国際ルールをつくる中で、まずは日本がどういうルールをつくるかということが注目をされております。

 そういうところで、政府は、人間中心のAI社会原則検討会議を設置いたしまして、日本発のAI分野の国際的なルールづくりを進めていこうとしていると思います。この人間中心のAI社会原則について、パブリックコメントも終了しておりまして、最終段階に入っているというふうに思いますが、政府が進めているこの人間中心のAI社会原則、今のところ案でしょうけれども、案についてお話をいただければと思います。

佐藤(文)政府参考人 ありがとうございます。お答えいたします。

 先生のおっしゃるとおり、AI分野の国際的なルールづくりは大変重要だと考えております。政府においては、諸外国の動向も踏まえつつ、産学、民間の民、官のマルチステークホルダーから成る人間中心のAI社会原則検討会議で、昨年の五月より、社会が留意すべきAIの基本原則について議論を進めているところでございます。

 本会議での議論を踏まえ、プライバシーの確保、セキュリティーの確保、公正競争の確保など、七つの原則から成る人間中心のAI社会原則を本年三月に政府として取りまとめる予定としておりまして、これにより、AI分野の国際的ルールに貢献してまいりたいと考えております。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 詳細な内容はこの三月にできるということでございました。これを踏まえて、また六月には、つくば市で開催されますG20デジタル経済大臣会合で同原則が取り上げられるとも聞いております。我が国の人間中心のAI社会原則という考え方をG20の首脳会談等の会議でどのように反映させていくかということが今後大変な作業になってくるというふうに思います。

 現在、このAI分野の国際ルールづくりにおいては、デファクトスタンダード、これでいいんだということで押しているアメリカ、中国等の陣営と、日本やヨーロッパ、また国際機関が考えている、ルールに基づく、デジュール側と言ってもいいでしょう、そういう陣営との綱引きであるということであると思います。

 こういう観点から、G20の場でも結構激しい綱引き合戦があるようにも推測されておりますが、特に、アメリカをやはり味方につけないといけないというふうに思っておりますが、そのあたりの見込みといいますか、どのようにアピールしていったらよいかという点についてお話をいただければと思います。

佐藤(文)政府参考人 お答えいたします。

 日本が議長を務めることしのG20においては、現時点での決定はしておりませんが、ぜひ、AI原則をアジェンダの一つとして取り上げるべく、関係省庁とも連携し、各国との調整を図ってまいりたいと思います。

 例えば、EUにおいては、現在、我が国と同じようなAI倫理原則を策定中でございますので、これまでもG20に向けた連携や意見交換を行っているところでございます。

 他方、御指摘のとおり、AI分野の国際ルールづくりにおいては、米国との連携が大変不可欠であると考えておりまして、価値観を共有できるEUやあるいはカナダなどとも連携しながら米国に働きかけてまいりたいなと思いますし、さらには、先ほど先生からお話がありましたとおり、OECDやユネスコといった国際会議の場も活用しながら、ぜひ、各国と協調、連携をしつつ、G20において我が国のAI原則を世界に発信できればと考えておるところでございます。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 ことしは、日本がG20の議長国を務めるということでありますので、今後の公正で公平なAI社会のルールづくりにはこの機会を逃してはならないというふうに思っておりますので、ぜひ、日本がリーダーシップを持って、アメリカ等も巻き込んでやっていっていただければというふうに考えております。

 また、国際世論をつくっていく上で、また特に大事だと思うのが、アフリカの存在だと思います。アフリカ五十四カ国が、日本が考える人間中心のAI社会原則に賛成していただかなければ世界は動いていかないというふうに考えております。

 そこで、本年は、東京におきまして、アフリカ開発会議、TICAD7も催されるということで、この機会を逃してはならないというふうに考えている次第でございます。

 また、国際世論、アフリカの数の力というものも必要としていますが、アフリカ自体も、インフラのおくれ、また貧富の格差、いろんな問題を抱えている中で、情報においても格差を広げてはならないというふうに考えております。

 このような事態を防ぐためにも、TICAD7で人間中心のAI社会原則の考え方を、アフリカ各国の首脳や政府関係者に積極的にアピールをしていくべきだというふうに考えております。そのあたりの考え方について、大臣、よろしくお願いいたします。

平井国務大臣 御指摘のとおり、国際世論の形成のためには、アフリカ諸国に対して、日本のAI原則に対する理解、賛同を得ることが非常に重要だと考えています。

 他方で、世界の国々は、それぞれの地域、文化、伝統等によって多様な価値観を持っておりまして、必ずしもそういった国々との間の調整は簡単ではありません。

 このため、昨年十二月には、モロッコのマラケシュで開催されたユネスコの国際会議に、日本から人間中心のAI社会原則検討会議の構成員を派遣して、我が国のAI原則の考え方についてアピール、説明をしています。アフリカの諸国からの参加者にはおおむね高い評価であったとの報告をいただいています。

 さらに、ことしの八月には、横浜で第七回アフリカ開発会議、TICAD7が開催されます。

 アフリカ諸国に対して、日本のAI原則の考え方に理解、賛同いただけるよう、これから積極的に働きかけていきたい、そのように思っております。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 アフリカは非常に、こういう言い方が正しいかわかりませんが、おくれているというところはありますけれども、電話で例えると、普通の電話がつく前に一気に携帯電話とかスマートフォンとかに、一気に技術的、社会的受入れ体制も、受け入れてしまうので、一気にAI社会が到来できるとも考えられます。

 また、アフリカの中でいち早くこのAIを取り入れて発展したいという国もあるというふうに聞いておりますので、そういうような国を、そういうパートナーとなる国をしっかり見つけて、五十四で対するのもそうでしょうけれども、そういう興味のある国を味方につけて一緒に歩んでいける体制をつくっていっていただければと思います。

 ちょっと角度を変えて、あと二、三問質問させていただきたいと思いますが、AI社会が構築されれば、もちろん私たちの生活は今よりももっと便利になるというふうに思います。その一方で、国民の間から不安の声も聞こえてくるわけでございます。その一つが個人情報保護についてでございます。

 個人情報そのものが商品化されまして、保護できないのではないかというような話が一つと、また、プラットフォーマーによって大量の個人情報が独占的に利用されて、その独占的な立場を利用して、国民が自由な形の取引ができなくなるのではないかというような懸念も生じているというふうに聞いております。

 そういう観点で、EUは、プラットフォーマーに対してGDPR、一般データ保護規則をつくりまして、個人情報はあくまでも個人にあるものであるというデータ主権の回復に努めておりまして、またさらに、個人情報の独占的利用の規制を検討しているというふうに聞いております。

 そこで、日本政府による、プラットフォーマーと個人情報にまつわる動きを教えていただきたいと思います。

 まずは、AI社会が構築される中で、今後ますます個人情報が商品として扱われることを踏まえまして、個人情報そのものをどう扱うべきであるか、また、個人情報保護の観点から政府の考え方を教えていただきたいと思います。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のおっしゃったその個人の主体のというところは、非常に大事な個人情報保護法の精神でもあるというふうに考えております。

 我が国では個人情報保護法が平成十七年に全面施行されておりますけれども、個人情報保護制度というものは、それぞれの国、地域によりまして文化的、歴史的な背景もございますので、国によりさまざまな制度が存在しているのが現状でございます。

 一方で、グローバルスタンダードの観点からは、OECDにおきましてプライバシーガイドラインという共通の考え方が示されております。我が国の個人情報保護法もこれに即したものとなっておりまして、国際的な制度調和を図っております。

 さらに、本年一月二十三日に、日本と欧州連合の間で相互に個人データを移転できる枠組みが実現をいたしました。その中で、我が国の個人情報保護法とEUのGDPRは、条文が全く同じというわけではありませんけれども、個人情報の保護について同等性があるということで、欧州当局との間で確認をしてございます。

 こうした中で、当委員会におきましては、個人情報保護法の附則の規定に基づきまして三年ごとに見直しを行うことになっておりますので、まさに今検討を行っているところでございます。その中で、個人情報保護に関する国際的な動向、技術の進展、それから産業の発展等を勘案いたしまして、各方面の御意見も伺いながら、先生御指摘の個人の主体の権利利益というあり方も含めまして検討を進めてまいりたいと思います。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 また、本日、日本経済新聞にも載っておりましたが、公正取引委員会が、プラットフォーマーが、大手IT企業が地位の濫用をしているのではないかということで、実態調査を行うという報道がございました。この新聞記事においては、大手IT企業が中小企業に対して不当な取扱いをしていないかということでございましたが、私は、そういう観点もあると思うんですけれども、個人に対してもこの地位の濫用ということが考えられるのではないかというふうに思っております。

 フランスでは、特にフェイスブックの利用が高いということで、フェイスブックを利用しないとあらゆるサービスにアクセスできないということもあって、消費者が、知らずにといいますか、強制的に情報を提供しないと普通の情報インフラにアクセスできないということも生じているということであります。そのあたり、公正取引委員会の考え方を教えていただければと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 経済のデジタル化が進展しておりまして、人々が便利な商品やサービスを利用でき、メリットを享受するようになってきておりますが、その一方で、プラットフォーマーと呼ばれる企業の一部によりまして、市場が寡占化する傾向が指摘されております。

 このような寡占化自体が独占禁止法上問題となるわけでございませんが、例えば、これを背景に形成された力が濫用された場合には、優越的地位の濫用として問題となり得ます。これまで、優越的地位の濫用規制は、事業者間の取引にのみ適用されておりまして、事業者と消費者の取引に適用されたことはございませんが、公正取引委員会としましては、デジタル社会を見据えますと、デジタルプラットフォーマーと消費者との取引に対して優越的地位の濫用規制を適用することは、独占禁止法を執行していく上で排除されないものと考えております。

 ただ、この適用に当たりましては、デジタルプラットフォーマーの取引上の地位、これが消費者に優越していると言えるかどうか、デジタルプラットフォーマーが消費者に対して不当に不利益を与えていると言えるかどうか、また、デジタルプラットフォーマーの行為が競争に悪影響を与えていると言えるかといった点につきまして、個々個別のケースに応じまして判断する必要があると考えております。

 今後、デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査、この結果なども十分に踏まえまして、デジタルプラットフォーマーと消費者との取引に対する優越的地位の濫用規制の適用、これについて検討していきたいと考えております。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 もう一つの懸念は、課税のことでございます。

 伝統的に、恒久的な施設がその国にあるとか、内国法人の子会社があるかとかいうことで、物理的な店舗があるかどうかで税金を取る取らないということが今までは主流でございました。しかしながら、IT上では、スマートフォンにアイコンがあれば、それはお店のごとく商取引ができるということでございまして、また、それによって巨額な利益をこれらの大手IT企業は得ているということであります。

 しかしながら、実際の経済活動においては、社会的インフラを使用したり、その上げた利益の中から、国としては、所得の再分配とかいうことでしっかりと税金を集めて、それをインフラ又は再分配に使わなくちゃいけないということを考えると、AI社会を見据えて、また新たな租税のあり方ということを考えていかなければならないと思います。

 OECDでもBEPSプロジェクトということで研究が行われているということでございますが、我が方のこの租税のあり方について、最後に御答弁をお願いいたします。

中山主査 恐縮ですが、申合せの時間が来ておりますので、端的にお願いします。

安居政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、現在認められております国際課税の原則におきましては、外国の企業の事業所得に課税するためには、自国の中に物理的な拠点がないといけないということになっております。

 ただ、議員御指摘のとおり、デジタル企業につきましては、必ずしも物理的な拠点を持たずに事業をしているということで、これに対する課税をするためには国際課税の原則の見直しが必要ということで、今OECDで一生懸命議論しているところでございます。

 OECDの中では、二〇二〇年までにグローバルな長期的解決策を取りまとめるということを目指して今議論をしておりまして、我が国としましても、G20の議長国として、二〇二〇年の解決に向けてしっかり議論をしていくように頑張ってまいりたいというふうに思います。

黄川田分科員 時間が来ましたので、ありがとうございました。

中山主査 これにて黄川田仁志君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中山主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。

中谷(真)分科員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。自民党の中谷真一でございます。

 夜遅くまで、大臣、御苦労さまです。また、本当に皆様、御苦労さまでございます。

 本日、質問の数が多いので、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 まずは、政府が進めておられますデジタルガバメントについての質問でございます。

 このデジタルガバメント、デジタルファースト、私もこれは推進をしていかなければいけないというふうに思っております。国民の利便性向上、また、スピーディーな行政というものを実現していかなければいけないというふうに思っているんですが、少々問題があるなというふうに思っておりますのは、私の地元は山梨県でございまして、ここには判この町、印鑑の町というのがありまして、これは市川三郷町というところでございます。ここの六郷というところが判この町ということを言っておりまして、そこには判こを彫る職人さんがたくさんいるというものであります。判こで生計を立てている人たちが非常に多いというところでございます。

 このデジタルファーストを進めるに当たって、印鑑が非常にネックになっているのではないか。印鑑を、今までは特に法人印ですね、今、会社設立とか、こういうことを言われていますので。この法人印の義務化を廃止するとか任意化するとか、こういうことが今言われているところであります。ただ、この法人印を要らないというふうになると、非常に大きな打撃を受けるというところもございます。

 そこで、まず最初にお聞きしたいのは、デジタルファーストにおいて法人印が問題となっているというふうに政府は言われているんですけれども、その理由についてまずお聞きしたいと思います。

佐藤(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 法人設立手続のデジタル化に当たりましての、法人が印鑑を用いることに係る課題についてのお尋ねというふうにございますけれども、成長戦略の取りまとめを担います内閣官房としまして、三点ほど課題があるかというふうに考えております。

 まず一点目に、デジタルで手続が完結しないということがございます。すなわち、我が国の法人設立手続におきましては、現行では会社代表者の印鑑届出が義務化されておるということでございまして、そうしたもとにおきましては、オンライン申請の場合であっても、紙に押印をした上でこれを郵送又は持参するというアナログな手続が求められているという状況がございます。

 二番目に、書面で行われる印鑑届出の手続におきましては、ビジネス界からの迅速化の要請になかなか応えづらいという点もあろうかと思います。具体的には、我が国では、法務局におけます優先処理的な扱いによりまして、法人設立登記につきまして、従前の七日程度から三日以内に完了させるべく昨年三月から取組を新たに始めているというところでございます。

 ただ、他方、海外の方に目を転じますと、既にデジタル化によって、二十四時間以内、一日以内に登記手続を終えるという取組が各国で加速中であるという状況もございます。

 最後に第三点目でございますけれども、近年の技術進歩によりまして、印鑑使用に伴うセキュリティー上の問題、課題も生じているというふうに認識しております。具体的には、スキャナーや印刷技術の進化によって、押印した書類の偽造が容易になるといったようなこともございます。あるいは、3Dプリンター技術等が安価になりまして、その結果としまして、印鑑そのものの偽造も容易になってきているといったことも認識しております。

中谷(真)分科員 三点ですよね。デジタルで完結できない、これは、紙に押印をしてやらなければいけないので、紙がどうしても発生するということをおっしゃったんだと思います。あとは、法人設立、二十四時間以内でされているところもあるということで、いわゆる紙を郵送しなきゃいけないということで時間がかかるということを言われている。あと最後は、安全性、いわゆるコピーできるのではないかということが言われているというところであります。

 私は、これを何とかクリアしていって、印鑑を、今まで日本がつくってきた制度、文化でありますから、ぜひ使用できるような体制をつくっていっていただきたいなというふうに考えているんです。

 それで、今までこの日本国において、法人印、あとは実印とか、印鑑を用いた制度をやってきているわけなんですよね。今回、法人印が問題になっています。

 そこで、私、法務省にお聞きしたいんですが、法人印は、今までこの日本において、どういう役割なのか。そして、法人印というものの法務省の評価というか、これまで法人印を用いてきた、この制度を用いてきた法務省の評価というものをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

筒井政府参考人 お答え申し上げます。

 法人の登記の申請に際しましては、法人の代表者はあらかじめその印鑑を登記所に提出しなければならないこととされております。その意義は、登記官が登記の申請を審査するに当たり、申請書に押印された印影と登記所に届け出られた印鑑の印影とを照合することにより、適正迅速に申請人の同一性を確認することを可能にすることにございます。

 この届け出た印鑑について発行されるのが印鑑証明書であり、登記所が発行する印鑑証明書は、法人の代表者の印鑑であることを証明するものとして広く取引実務に利用されているものと認識しております。

中谷(真)分科員 この取引においても、今現時点で、ふぐあいがそんなに出ているのかといったら、私、これは出ていないと思うんですよね。そしてあとは、今、登記手続した代表者というんですか、それが本当の人なのかどうかという同一性を確認するものだというふうにおっしゃいましたけれども、私、印鑑というのは、まさに本人であるという確認を印をもって行うということと、あとは、これを私は認めました、そういう行為であるというふうに思います。

 それで、私は、そういう行為がなくなるのかといったら、これはなくならないと思うんですよね、デジタル化になったって。それが誰なのかとか、あとは、これは私が認めますよということは、デジタル化になってもなくならない行為だというふうに思います。

 では、その行為を今後どうやってやっていくのかといったときに、私は、これはサインに取ってかわられるのでは違うのじゃないかな、今まで日本がつくってきた制度でありますから、印鑑でぜひこれをやっていくべきではないかなと。今までつくってきて、しかも、これは今運用している制度でありますから、やり方によっては、うまく利用できるのではないかなということを考えているんですよね。

 そしてまた、印鑑というのは非常に便利でして、特に法人印の場合は、代表者があなたに託しますよといって印鑑を渡して、その人がつくこともできるとか、実はそういう利便性もあるんです。そういったものでありますので、私が以前聞いたときに、法務省さん、これはどうなんですかと言ったら、いや、私たちはこれは信頼できるいい制度ですよということをおっしゃるんですよね。

 ですから、私は、これは、やり方によっては、何も排除しなくてもデジタルファーストの中に取り込めるのではないかなというふうに思っているんです。

 そして、三つ目の質問をさせていただきますけれども、自民党の中に議連があるんです。日本の印章制度と文化を守る議員連盟というのがありまして、私はそこの事務局長をやっているんですが、そこでちょうど勉強会を今重ねております。

 そして、私たちが何を勉強しているのかというと、デジタル化にぜひこの印鑑というものを乗っけてもらいたいということを今お願いしているんですよね。勉強したり、そういう技術はどうなのかとか、あとはお願いをしていくということをやっているんですが、例えば、例えばというか、先日、この議連を開きまして、そこにちょっと企業に来てもらったんです。NECさんでした。そのNECさんに何をお願いしたかと申し上げますと、印鑑をいわゆるデジタルで登録できるように、そういう技術はないのかなということを申し上げたところ、それはできますよといって、そこで展示もしてもらったんです。

 これは簡単でして、スマートフォンに本当に印鑑を、そのときはちょっと器具をつけていましたけれども、くっつければ、その印影がとれる。そしてまた、それをデジタルに乗っけて、すぐ登録できるというようなものでした。

 ですから、今問題になっている、押印をして紙を送るということではなくて、デジタルに乗っけてパソコン上で登録できるというようなことは、私は十分可能だなということをそこで思ったわけであります。

 また、安全性の問題が結構指摘されているんですけれども、これは安全性の問題でいきますと、押印、押したということだけではなくて、NECさんの展示で見せてもらったアプリケーションというかシステムでは、いわゆる凹凸もとるんですよね。それも認識をするというものでありました。ですから、非常に一致させるのは難しい、彫りの深さまでやるわけですからね。これは指紋に似ているというものでありまして、顔もそうなんですけれども、そういうものだというふうに思います。

 だから、これは安全性も非常に高まるということであります。そして、最初に言われていたデジタルで完結することもできるということでありまして、これは今懸念されている三つをクリアできるんじゃないかと私は非常に思っているところなんです。

 また、それ以外の認証制度で、よく生体認証とか言われますよね。指とか顔とか、こういう認証もあるんですけれども、ただ、これは、私が申し上げたいのは、一回とられちゃうと、指は取りかえられませんから。顔もそうなんですよ。印鑑は取りかえられるんですよね。ですから、そういう意味でも、私は印鑑がいいのではないかなというふうに思っているんです。

 ぜひ、私は、法務省が今後、デジタルファーストに乗って、いわゆる会社設立二十四時間を目指されるときに、印鑑も同じようにデジタルで登録できるシステムをつくっていただきたいなというふうに思っているんです。

 そこで、大臣に御答弁いただきたいのは、ITを担当される大臣として、今私が申し上げたことに対しての御所見をいただきたいと思います。

平井国務大臣 まず、この国会に提出するデジタル手続法案は、判こをどうするということとは全く関係ありませんので、そのことをまず委員に御理解をいただいた上で、結局、これはよく誤解を受けるんですが、デジタル化自体は我々の目標ではないんですよ。要するに、社会全体がデジタル化が進む中で、いかに国民の利便性を上げていくか、セキュリティーを上げていくか、それが目標でありまして、その一つの手段だと思います。

 私がもう一つ担当しているのがクールジャパンでして、判こ文化はまさしく日本のクールジャパン・コンテンツの一つであることは間違いなく、海外の人たちもお土産で大量に買っていったりするし、ここは、またそれはそれでひとつ委員にも応援をいただいて、クールジャパンの観点からの判この普及と判この販路拡大というのはあるというふうに思います。

 今のお話を聞いていて、結局、ID、パスワードのかわりに判こというようなイメージで私お聞きしたんですが、それは技術的には十分可能だと思います。

 そこで、もう一つ委員にも考えていただきたいのは、マイナンバーカードの中に入っている利用者証明書と署名のチップというものは、まさにいろいろな形で、それが誰が最後に使ったのかというような意味で、非常に重要なんですね。それと、いろいろな書類でいうと、いつ押したかというタイムスタンプ。

 お年寄りがID、パスワードを覚えるというのが難しいものの代替としてなるのであれば、これは人に優しいデジタルの技術として一つ可能性はあるなと今お話をお聞きしていて思いました。

 そういう意味で、このデジタル化というのは、いかに人に優しいかというところがポイントなので、判こを守るというよりも、高齢者の方々とか、デジタル化にストレスがないとか、そういう観点からの技術をぜひまた御検討いただければと思います。

中谷(真)分科員 法務省からもお願いいたします。

平口副大臣 お答えをいたします。

 現行の制度のもとでは、法人の代表者の印鑑の届出は、印鑑を押印した書面を提出することによってするということとされておりまして、オンラインによる届出は認められていないところでございます。

 印鑑届出をオンラインで行う方法としては、申請人がスキャナーで取り込んだ印影の画像を登記所に送信する方法も考えられますが、この方法によりますと、送信された印影と実際の印影とが同一サイズであることの確保や印影の鮮明度等について、技術的な課題があるものと認識しております。

 法務省といたしましては、このような技術的な課題やオンラインによる印鑑届出のニーズ等を踏まえ、オンラインによる印鑑届出の可否について検討していきたいと考えております。

中谷(真)分科員 大臣、非常に、別の方法も言っていただきまして、ありがとうございます。

 私も思うんですよね。よくお年寄りがキャッシュカードの裏とかにパスワードを書いているんですよね。これは非常に私、安全性が低いと思うんですよ、やはりとられてすぐ打たれちゃいますから。そこに、ちょっと印鑑を持っていってぱっとかざせば、そこでこうという、そっちの方が私は安全性は高いのではないかなというふうに思うんです。ですから、そういう使用の仕方もぜひ御検討をいただきたいし、また印鑑としての使い方もぜひお願いをしたいと思います。

 また、法務省さんには、いろんないい技術が出てきていますので、その技術の進展を含めてぜひオンライン化へ乗せていただきたい、このことをお願いをしたいと思います。でも、非常に前向きな答弁をいただいたというふうに思っております。

 それでは、次の質問に移ります。

 国土強靱化について質問させていただきます。

 政府は、国土強靱化ということで、この三年間で予算以外に七兆円を使って、今までつくり上げてきたインフラが本当に災害のときに役に立つのか、このことを総点検し、これを実行に移していくということを年末に閣議決定されました。

 私はそれを聞いていて、非常にこれはやらなきゃいけないことだというふうに思っているのでありますけれども、その中でも、私の地域で南アルプス市というところがございまして、ここに七本の川が集まっている地域がございます。ここは三十年前か四十年前ぐらいにそこを整備しまして、すごいんですよ、川の下を川が走っているというんですか、穴をあけまして、トンネルをあけてその川が走っているみたいな、非常に複雑な治水を行っているんです。これはもう治水の見本にすべきではないかというぐらいなんですけれども。

 ただ、近年、雨の降り方が変わってきて、そのアンダーパスが、いわゆるサイズがそれでオーケーなのかとか、あとはポンプがついていたりするんですけれども、ポンプの能力を上げなければいけないのではないかとか、こういったことがあるというふうに思います。

 それで、いろいろ今お願いをしていまして、国、県、市で協議会をつくっていただいて、これを前に進めていただく準備をしていただいているんですが、やはり具体的に進めていただきたいなというところもございまして、例えば、いつの時期までに計画をつくるとか、こういったところをお示しいただければというふうに思います。ぜひ御答弁をお願いします。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘をいただきました富士川水系横川合流部付近、この付近につきましては、御指摘のように、幾つもの河川が立体交差をしておるなど複雑に入り組んでおりまして、この箇所における各河川の合流に係る施設につきましては、甲府盆地の治水のかなめとして極めて重要な役割を果たしているものと認識をしております。そのために、これまでも歴史的にも、関係者が連携を図りながら、合流部の改良あるいは排水機場の整備等を順次行ってきております。

 また、現在稼働中の国管理の施設であります横川排水機場等につきましても、今後もその能力が発揮できるように適切に維持管理をするとともに、ここ山梨県で管理をしていただいております五明川の排水機場ですとか横川潜管等につきましても、引き続き、防災・安全交付金を活用しながら、老朽施設の長寿命化のみならず、施設の機能向上も含めた更新等を支援をしておるところでございます。

 また、委員から御指摘をいただきました検討会でございますが、これにつきましては、横川潜管付近、非常に複雑に施設が連携をしながら機能を果たしているということもございまして、安全度のさらなる向上に向けまして、国、山梨県、南アルプス市で昨年二月にそれぞれの役割分担を決める検討会を立ち上げまして、これまでに三回開催をさせていただきました。

 また、来る三月にも第四回の検討会を開催する予定としておりまして、今後、浸水被害を効果的に軽減する対策、これは非常に複雑なものですけれども、そのメニューの組合せとそれぞれの機関の役割分担について調整を図っていくこととしたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、今後とも、当該箇所の特性ですとか重要性を踏まえながら、早期の治水安全度の向上に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

中谷(真)分科員 ぜひよろしくお願い申し上げます。ぜひ具体的に進めていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 防災におけるソフト面ということで、私は元自衛官でありますけれども、自衛隊とか警察とか消防とか、こういう人材、OBになられた方々をやはり活用するべきだということで、以前、防災監というポストを自治体がつくって、そこにそういう人材を入れた場合、半分のお給料を総務省が持つ、そういう制度をつくっていただきました。

 これで大分入り始めてはいるんですが、自衛隊の方から聞きますと、千七百四十一自治体の中で三百八十二自治体がこれを採用していると。あとの自治体は採用していないんですよね。

 ただ、私、自衛官時代にさまざまそういう自治体と調整をやったんですが、そこに有識者がいるかいないかでもう全然違うわけであります。特に、意識が低いという言い方はいいかどうかわかりませんけれども、その自治体においては、例えば総務課の何か違う役割の方が兼務でやっていたりとかするわけですよね。そうしたら、これはもう意識が全く違うわけでございまして、これは進めていくべきだというふうに思っています。

 そこでお聞きしたいのは、これはなかなか進んでいかないと私は見ているんですが、それについての御所見を防災からいただきたいと思います。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘の、経験者を地域の防災監等に活用するため、平成二十七年の十月に地域防災マネージャー制度というものを創設させていただきました。

 これは、防災に係る一定の知識経験、いわゆる研修を受けたり実務経験を積まれた方が、その経験を有するということを内閣府が証明することによりまして、地方公共団体において外部人材を採用するのに活用していただいているものというふうに考えております。現在、証明を受けていらっしゃる方は九百五十七名というような状況になっております。

中谷(真)分科員 では、今、どれぐらい入っていて、何が問題というかネックになっているのかというところをちょっと。

海堀政府参考人 今、そういうような制度を設けておりますが、現時点においては、三年四カ月たってメンバーが九百五十七名ということになっています。

 ただ、このマネージャーの証明を受けた者で公共団体に現在就職されている方は約四割という状況でございまして、今後は、防衛省、あるいは災害対応に関して国と地方公共団体の連絡調整を行っている消防庁さんなどと連携をして、これを広げるべく適切に対応していきたいというふうに思っております。

中谷(真)分科員 そうですね、要請するだけではだめですからね。要請して、その人たちが入っていかなきゃならないわけですから、ぜひ、そこの施策を強力にやっていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 私、自民党の宇宙小委員会というのがございまして、そこの事務局長をやっておりまして、宇宙は今、党だけではなくて、政府としても非常にスポットライトを当てていただいているというふうに認識をしております。

 ただ、やはりかけ声だけではだめで、特に私は予算面が非常に大事だと。十年間で五兆円の予算を計上するべきだということで、自民党としては提言を政府に提出させていただいているところであります。ただ、年換算すると五千億なんですが、今現在の予算は大体三千五百億というところでございまして、私はさらなる増額が必要だというふうに考えているところであります。

 そこで、内閣府に、大臣に、そのことについての御所見をいただきたいと思います。

平井国務大臣 委員のおっしゃるとおり、宇宙基本計画では、十年間で官民合わせて累計五兆円を目指すとなっています。

 ところが、今、日本の予算はということになりますと、平成三十一年度予算宇宙開発利用関係予算は、政府全体で対前年度比二・二%増の二千九百七十二億、先日成立しました平成三十年度第二次補正予算と合わせると五・一%増の三千五百九十七億円であり、宇宙関係予算の集計を始めて以来最大規模ではあります。ただ、海外に比べると見劣りするというのは、そうだと思います。

 宇宙基本計画の遂行のために必要となる各種事業が着実に推進されるように全力で頑張りたいと思いますし、最近、私も宇宙関係のいろいろな会合等々に行っても、宇宙ベンチャーが急に元気になっています。民間の宇宙活動がこれだけ活発化したのは初めてだと思いますので、民間の資金がより宇宙産業に向かうよう、資金面でのリスクマネー供給とか、専門家のマッチング支援とか、技術実証支援、宇宙産業全体の振興ということにも全力で取り組んで、何とか盛り上げていきたいと思っています。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 宇宙二法が成立しまして、今度は衛星データ利用も始まりますので、ぜひそれに対しての御支援をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最後の質問です。

 この予算をしっかりとしたものにしていくためにも、これは防衛大綱にも今回先頭で書かれているんですよね。一番最初に、宇宙領域というのは新たな領域ということで位置づけられています。そういう意味では、これは国家戦略としてやっていかなければいけないというふうに考えております。

 そういう意味では、私は、やはりNSCとかまた宇宙開発戦略本部、こういったところがヘッドになって、そして、この宇宙に対しての戦略を国家戦略としてやらなければいけないのではないかというふうに考えているところであります。海外からすると非常にまだ見劣りをするというところでありまして、金額を膨らましていくにはやはり大きな号令が必要ではないかというふうに思っているところであります。

 各省庁同士で調整するというのではなかなかドラスチックにできないというところもありますし、非常に多くの省庁がかかわっているものですから、これはなかなか動きがとれないというところもございます。そういう意味では、これはぜひ国家の戦略として、この宇宙、私はNSC若しくは宇宙開発戦略本部がそういったものを打ち出すべきだというふうに考えておりますけれども、それに対しての御所見をいただきたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘は、宇宙政策につきましては、安全保障の観点から、長期的かつ戦略的に進めるべきなのじゃないか、そういう御指摘だと御理解しておりますが、我々も同じような認識を持ってこれまでも取り組んできたところでございます。

 具体的に申し上げますと、平成二十五年十二月には、国家安全保障戦略が閣議決定されました。この中では、国家安全保障に関する基本方針として、宇宙分野の施策についても指針を示しておりまして、我が国のとるべき戦略的アプローチの一つとしまして、宇宙空間の安定的利用の確保及び安全保障分野での利用の推進というものを明記しているところでございます。

 そして次に、平成二十八年四月には、今後二十年程度の長期を見据えた十年間の長期整備計画としまして、宇宙基本計画が閣議決定されております。この宇宙基本計画におきましては、国家安全保障戦略の策定を踏まえまして、我が国の宇宙政策の第一の目標といたしまして、宇宙安全保障の確保というものを初めて位置づけたところでございます。そして、その宇宙安全保障の確保という目標を達成するために必要な具体的なアプローチにつきましても示しているところでございます。

 そして、先生先ほど御指摘もありましたように、昨年十二月に閣議決定いたしました新しい防衛計画の大綱におきましては、宇宙領域、これを重要なものと、我が国としてその優位性を確保、獲得することが死活的に重要と位置づけた上で、防衛力整備において必要となる宇宙領域での能力強化の方向性を明示したところでございます。

 こうした諸施策の策定、実施に当たりましては、国家安全保障局といたしまして、宇宙開発戦略推進事務局などの関係部局と緊密に連携してきたところでございますけれども、この新たな防衛大綱の策定を受けまして、これまで以上に、より緊密な連携のもとで、安全保障の観点から、長期的、戦略的に宇宙政策を進めてまいりたいと思っております。

 御指摘の新たな戦略も含めまして、今後の具体的な戦略体系のあり方につきましては、こうした宇宙基本計画それから国家安全保障戦略、そして防衛計画の大綱といいました、法令に基づく政府の既存の諸計画等の関係や、その内容も念頭に置きつつ、そしてまた、きょう先生から御指摘いただきましたさまざまな御意見なども参考にしながら、慎重に検討してまいりたいと考えているところでございます。

中谷(真)分科員 終わります。ありがとうございました。

中山主査 これにて中谷真一君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西宏幸君。

大西(宏)分科員 きょうは、朝の九時から……(発言する者あり)ああ、八時からか、済みません。八時から夜の八時までということで、ちょっと十分オーバーしておりますけれども、最終の質疑者といたしまして質問をさせていただいております。

 私は、自由民主党・無所属会、大西宏幸でございます。

 中山主査始め皆様方、本当にお疲れさまでございました。

 気軽にちょっと質問をさせていただきたいなと思っておりまして、質問をさせていただくわけでございます。

 私は大阪一区でございまして、中山主査は大阪四区ということでございまして、大阪の中心部に我々の選挙区があるわけでございますけれども、簡単に言えば、私は、大阪城、通天閣、道頓堀がある地域、また、中山先生も、大阪城の横側が先生の選挙区であったり、北新地が先生の、主査の選挙区でありまして、大阪の中心部を二分するうちの一方が大阪一区ということでございます。

 昔から大阪というのは大阪商人や船場商人がユニークな情報のもとでいろいろな御商売をされるということで、例えば高島屋なんかいうたら、近江商人がわざわざ日本橋まで来て、そこで第一号店を建て、今の百貨店の第一号になったというぐらい、大阪というのは商売、商人の町ということでございまして、今は有数な観光地となってきているんですけれども。

 今後、我々自民党が誘致をしました六月二十八、二十九のG20、三十五カ国の首脳が集まってきますサミットが大阪で開催をされ、また、二〇二五年大阪・関西万博が世界に向けてアピールするチャンスだということでございますけれども、その集大成として我々が考えていかなきゃいけないのは、やはりIRの誘致だと思っております。

 一点、これは、IRの誘致は我々自民党としても推進しているわけでございますけれども、私の選挙区も海沿いにありまして、IRの誘致をする夢洲という地域の近隣地域でございますので、やはり大阪市民や近隣地域の住民がちゃんと安心できて、コンセンサスを得られるような状況の中で誘致をしていかなきゃいけないということも踏まえて、質疑をさせていただきたいと思います。

 今後のスケジュールについて、ちょっとお聞かせいただきたいんです。

 導入は、やはり事業者の選定プロセスにあるわけでございますけれども、本年の夏に政府が基本方針を策定して公表、そして、それを受けて、IRを導入する各自治体が、事業者選定と整備計画案の選定が行われるということでございます。IR選定要請を行うと認識をしていますけれども、今後のスケジュールを可能な限り明確にお答えいただいたらありがたいと思っております。

塚田副大臣 IR整備法に基づき、今後、政府において、区域整備計画の認定に向けて、政省令の制定や基本方針の策定を行うこととしております。

 これを受けまして、都道府県等は、実施方針を策定するとともに、IR事業者の公募選定を行い、選定したIR事業者と共同して区域整備計画を作成して、国土交通大臣の認定を申請することとなります。

 国土交通大臣は、都道府県等から申請があった区域整備計画について、基本方針に適合するなど認定基準を満たし、すぐれたものから三カ所を超えない範囲で認定を行うこととなります。

 このため、区域整備計画の認定までには一定程度の期間を要することが想定されますが、政府としては、できるだけ早期にIR区域の整備による効果を発現できるよう、都道府県等における準備状況等を踏まえながら、区域整備計画認定に向けた準備作業を進めてまいりたいと考えております。

大西(宏)分科員 塚田内閣府副大臣、本当に、大変申しわけございません。ありがとうございます。

 お言葉を返すようですけれども、今の時点でスケジュールが出ていないというのは、やはり大変難しいことだなと思っているんですよ。

 実際の開業はやはり何年ぐらい想定されておられるのかなと思うと同時に、開業が時間がかかるようでしたら、一部なりとでも先行的に開業することが可能かどうかもちょっとお聞かせいただきたいなと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の開業までの見通しについての御質問でございましたけれども、先ほど副大臣の方からも御答弁申し上げさせていただきましたとおり、区域整備計画の認定までには、まずは政府が政省令を制定したり国としての基本方針を策定する、それを踏まえて都道府県等が地元での実施方針を地元での合意も形成しながら策定をする、そして、そこに書かれている公募選定の方式にのっとってIR事業者の公募選定をしていただき、選定されたIR事業者と共同して区域整備計画を作成し、国土交通大臣に認定申請をしていただくというプロセスが必要になります。

 そして、さらに、認定が出ればの話でございますけれども、その後、民間事業者がIR施設の整備を行う工事の期間が始まります。シンガポールの例を見ますと、工事の期間だけでも三年を超える時間がかかっているという現実もございますし、また別途、民間事業者は、新しく設置されるカジノ管理委員会にカジノ事業免許の申請をして取得をしていただかなければならないという、複雑な、まだ多段階のプロセスが想定されております。

 そういう意味で、これらを全部総合いたしますと、現時点においては、IRが最初にいつ開業するのかという時点については、まだ明確に政府として申し上げることが難しい状況でありますけれども、一定程度の年数がかかるというふうに想定をしております。

 また、後段の御質問の中で、カジノ以外のIR施設を先立って開業させることは可能かという御質問でございましたけれども、IR整備法の中では、IR施設のうちカジノ施設を他のIR施設に先行して開業することは禁じるということにはなってございますけれども、逆に、ホテルですとかMICE施設などカジノ施設以外の施設について、IR施設全体の開業に先立って開業するということは禁じられていないということになります。

 したがいまして、カジノ以外の部分を先行して開業することは、IR整備法上、可能になっているということでございます。

大西(宏)分科員 政省令を整えなきゃいけない、シンガポールは三年を超えるような時間がかかった等々お聞かせいただいたわけでございますけれども、ほかのカジノを推進しておられる方々は、もういらいらいらいらしてはるんでしょうね、これは聞くごとに。

 その中で、カジノ以外で、MICE施設とか、会議、研修旅行等の各施設が活用できるということで、先行的にはできるんでしょうけれども、我々は、大阪は、二〇二五年に万博がありますので、それに合わせてやはりスケジュールを組んでいかなきゃいけないやろうなと思っているんですけれども、その状況ではちょっとしんどいかなと意気消沈するところでございます。

 次に、いわゆる今のIR整備区域の選定ですよね、特定複合観光施設の中の中核でございますけれども、メーンの施設になるということでございますが、具体的な要件について、改めて御説明をお願い申し上げます。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法の中では、今委員が御指摘いただきましたIRの中核施設について、その施設の基準を政令で定めるということになってございまして、政府におきましては、今、IR整備法の施行令の案をパブリックコメントにかけて実施しているところでございます。

 IRを構成する国際会議場や展示場などの中核施設について、昨年の国会審議における御議論ですとか、あるいはその際に衆参内閣委員会で決議いただきました附帯決議の趣旨を踏まえ、規模などに関する基準を定めるという手続を今進めているところでございます。

 具体的には、まず会議、展示施設、いわゆるMICE施設でございますけれども、世界又は日本で開催されているMICEイベントの開催規模ですとかあるいは市場特性などを分析した上で、まず第一に、一般的な規模の国際会議に対応できる国際会議場施設と極めて大規模な展示会が開催可能な規模を有する展示等の施設、それから第二に、大規模な国際会議が開催可能な規模を有する国際会議場施設と大規模な展示会が開催可能な規模を有する展示等施設の組合せ、第三に、極めて大規模な国際会議が開催可能な規模を有する国際会議場施設と一般的な規模の展示会に対応できる展示等施設の組合せ、以上の三つの類型のいずれかを都道府県等が民間事業者とも共同して選択をして、今申し上げた基準は最低基準ということになってございますので、いずれかの類型の最低基準を超えるような計画をつくっていただくということを政令の中で想定しております。

 また、宿泊施設につきましては、諸外国のIRの宿泊施設ですとかあるいは世界水準の宿泊施設の総客室数や一部屋当たりの客室面積などを参考に、IRにあるホテルの総客室の総合計の面積、総客室面積の合計として、おおむね十万平方メートル以上となることを基準としております。

 いずれにしましても、政令ではこの各施設が満たすべき最低限の基準を定めるものでございますので、都道府県や民間事業者の創意工夫を生かして、より魅力的な施設を整備していただきたいというふうに考えているところでございます。

大西(宏)分科員 今まで、政府答弁としましては、日本型のIRは、これまでにないスケールとクオリティーを有する総合的なリゾート施設、また、IR区域の来訪者を全国各地に送り出すことにより、世界と日本の各地をつなぐ交流のハブとなっていくことを期待するみたいなことを言っておりますけれども、その中で、やはり大阪は地理的に関西の要衝です。そして、関西独特の豊かな歴史や文化がありますので、これに適しているのかなと思いながら今の話を聞いておりました。

 続きまして、基本方針の策定、公表と連動して、カジノ管理委員会が設置をされます。委員会の役割についてお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 カジノ管理委員会は、IR整備法に基づいて、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図ることを任務といたしまして、独立して職権を行使する、いわゆる三条委員会として設置することとなります。

 具体的には、カジノ管理委員会は、まず第一に、徹底した背面調査の実施などを通じてカジノ事業免許などに係る厳格な審査をすること、第二に、内部統制、財務会計制度、法制の整備など、カジノ事業者などに対する監督、第三に、カジノ関連機器などの技術面の監督、第四に、依存防止対策、第五に、外国規制当局との連携、国際対応などの権限を持っておりまして、これらの業務を執行いたします。

 そしてもって、世界最高水準のカジノ規制を的確に実施するということが期待されている行政委員会でございます。

大西(宏)分科員 今おっしゃったように、ギャンブル依存症対策というのは、誘致を目指している各地ではやはり一番のネックになっていますし、市民、国民はそれに対して不安というのを持っていると思われます。

 これはやはり対応していかないけないな、理解してもらわないけないなと思うんですけれども、その中で、IR区域の認定申請準備、業者選定などですよね、プロセスについて、これは監督は管理委員会がされるんですか。どうでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法上、区域整備計画を共同して作成することとなるIR事業者、民間事業者を公募選定する主体は、この区域整備計画を認定申請することとなる都道府県又は政令指定都市に限られてございます。

 先ほども御答弁申し上げましたように、国が出す基本方針を踏まえて、都道府県等が地元でどういうIRをつくりたいかという実施方針を策定することが法律で義務づけられておりまして、その実施方針の中に、民間事業者をどのような手続で公募選定するかということを記載していただくこととなってございます。

 したがいまして、民間事業者を選定するプロセスは都道府県等が行っていただくものとなってございます。

 そして、民間事業者が選定されて、区域整備計画が認定申請された暁には、今度は国土交通大臣が、公募選定のプロセスだとかも含めて、この区域整備計画がIR整備法に記載されているような形で認定申請されたものかどうかということを審査することになる、そういうふうな記載になってございます。

大西(宏)分科員 今の話を聞くと、やはり前提的には性善説ですよね。都道府県にお任せをして、監理をしないみたいなことに聞こえるんですけれども、それじゃ、もし不正が起こったとき、誰が監理して、誰がチェックするんですか。教えてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの私の答弁で、公募選定のプロセスのところについて十分な御答弁を申し上げなかったというふうに思っておりますけれども、都道府県等が民間事業者を選定するに当たりましては、選定プロセスの公正性ですとかあるいは透明性を確保する観点から、恣意的に特定の事業者を選定することなく、広く公募の方式によって民間事業者の選定を行っていただくということが義務づけられているところでございます。

 したがいまして、国土交通大臣が都道府県等の区域整備計画を審査するに当たっても、都道府県等による民間事業者の選定が公正かつ透明に行われたものであることを確認する必要があるというふうに考えておりまして、こういう観点も踏まえて、今後、国土交通省において基本方針の内容を検討されるものというふうに考えております。

大西(宏)分科員 最終的には国交大臣が責任を持つみたいなことになるんでしょうかね。

 続いては、お聞かせいただきたいんですけれども、IR開発運営主体、これは原則的には、世界の基準から考えたら、日本の会社との合弁会社になるんでしょうけれども、そこまでも余りわかっていないところなんですけれども、今、大阪においては、業者からのPR合戦、大変ですよね。そういう状況の中で、業者の選定基準というのが本当に明確にされているのかなと思うんですよね。どうなんでしょうか。教えてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR事業者となる民間事業者につきましては、IR整備法上は、日本の会社法の会社であることという要件のみがこの法律の中に記載されております。この条件を満たした上で、都道府県等が、先ほど来御説明しております公募選定のプロセスをするに当たって、都道府県等が作成する実施方針の中で、どういう民間事業者を選んでいくのかということを、地元の合意も得てつくられる実施方針の中で記載をしていくということになるというふうに想定をしております。

大西(宏)分科員 その中で、例えば、問題のある、うわさのある海外の会社とか、反社と関係している会社とか、そういうことが基準にひっかかることになるのかなということなんでしょうけれども、明確にちゃんとした答えが出ていなかったので、そこら辺がちょっとわからないですね。

 ともかくとして、企業がIR申請予定の自治体に接触をすることによって何が起こるか、ちょっとわからない。今回のIR設置法にしても、初めてじゃないですか、日本は。そのことについて、わかりませんとか、中途半端にするんじゃなくて、きっちりと明確に一つ一つつくっていかなければ、後で、犯罪者をつくったのはあなた方の責任ですよとなってしまうんですよ。

 このことはきっちりと考えていかなきゃいけないし、例えば、大阪市においては、大阪地検特捜部が数十人体制で、この間、ガサが入りましたよね。そういうことも踏まえて、例えば、今の大阪というのは、知事と市長が一緒の政党にいるので、お互いのチェックのし合いができないような状況になっているというのも問題ではないのかなと思っております。

 そういうことも踏まえて、プロセスとかルールというのが、今、話ができる範囲でいいんですけれども、明確になっている部分をお教えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 民間事業者の要件につきましては、先ほど御答弁させていただいたとおり、IR整備法上は、日本の会社法の会社であることという要件が定まっていること、あと、これはIR整備法案に関する国会審議の中でも御議論がございましたけれども、IR事業者の資本構成については内外無差別を原則として考えているという国の考え方はこれまでも表明しているところでございます。

 それを超えて、具体的にどのような民間事業者を都道府県等が公募選定されるのか、その公募選定の方式そのものについては、都道府県等が作成する実施方針の中で決めていただくことになるわけでございますけれども、国の立場としては、先ほども御答弁申し上げましたように、今度は国土交通大臣が区域整備計画を審査する際に、認定をする際に、その民間事業者の選定が公正かつ透明に行われたものであるということを確保するような、そういう国土交通大臣としての認定基準も含めて、今後、国土交通省において基本方針の内容を検討されるものだというふうに考えてございます。

大西(宏)分科員 検討されるもの。検討していただきたいと思うんです。

 主査にまた御議論いただきたいと思うんですけれども、これは提案ですけれども、監督していただきたいんです。監督していただかなければ、これはやはり、犯罪になり得る可能性のあるものというのは、我々も、やはり一つでも芽を取っていかなきゃいけないことを考えたら、やはり国交省の監督、きっちりとしていただきたいと思います。これは提言をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

中山主査 ただいまの件につきましては、私の方から予算委員長に申し伝えます。

大西(宏)分科員 よろしくお願いいたします。

 続きまして、IR導入を検討している地方自治体、今、例えば大阪なんかいうたら先行整備しているということなんですけれども、IR整備地域として認定されたらいいんですけれども、これこそある意味ギャンブル性があるんじゃないのかなと思いますよね。

 基盤整備に九百三十億とかいうので大阪市は予算をつけましたけれども、その中で、例えば、交渉に来たIR業者に、二百億出せみたいなことが予算に入っているんですよね。それが悪いのかいいのかというのは、ワールドスタンダードであれば、いい話らしいんですけれども、何せ日本で初めてなので、いや、すごいなと思いながらその話も聞いているわけでございます。

 莫大な投資やIR業者の費用負担に取り組んでいる例もあるわけでございますけれども、財政規律とのバランスについて、どう思われますか。お教えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法の中では、国がつくる基本方針あるいは都道府県等が策定する実施方針の中では、特に、地元の地方公共団体の財政規律の観点からの基準を設けなければいけないとか、そういうルールは定めてはございません。

 それが直接的な御答弁になるわけですけれども、そういう意味では、大西委員が今御指摘された、IRを誘致することを念頭に置いた、地元としての基盤整備のための予算を計上するといったことについては、国の立場から見ますと、これは都道府県等の判断において行われるものであって、IR整備法において特段制限されているものではないという整理になります。

 国といたしましては、都道府県等から区域整備計画の認定の申請があった段階で、公平かつ公正な審査を、国土交通大臣に審査を行っていただき、三という認定数の上限の範囲内ですぐれた計画を認定するという整理をしてございます。

大西(宏)分科員 実は、二月の二十日、日本外国特派員協会というところがあって、そこで大阪市長が、現時点で、一〇〇%近い確率で大阪に来るぞと言っているんですよね。

 これは、委員会とかで審議、審査されて、結局、選ばれるわけじゃないですか、多くて三カ所みたいなことになっているんですけれども。こんなことを言われると、何か裏話があるんじゃないのかなみたいなことになるので、こういうことを言わせてしまうというのは私はよくはないと思いますし、特に大阪府民、市民から、ルールがないと後で困るという危惧もあるわけですよ。

 だから、これは平均して、四十七都道府県、どこでも公平公正にやる。大阪だけじゃなくて、いろいろなところが手を挙げていくんでしょうけれども、やはり用意ドン、スタートみたいなことをやっていかなければだめじゃないのかなと思います。華美な投資というのを本当にどこまで許してしまうのかというルールもつくっていかなきゃいけないので、これはまた主査に、大変申しわけございませんけれども、問題提起をさせていただきます。

中山主査 ただいまの件につきましては、私の方から予算委員長の方に申し伝えます。

大西(宏)分科員 それ以外にも、大阪というのはもともと、ギャンブルとかパチンコとか、パチンコはギャンブルであるかないかという議論もさることながら、やはりギャンブルに対してすごく過敏な町なんです。

 ギャンブル依存症について、地域の不安に対して、管理委員会は依存症対策も担当するということで、府民一体で取り組むためにも、具体的な内容というのは今どこまで積み上がっているんでしょうか。お教えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 多少IR整備法の中身を御説明させていただくことになるかと思いますけれども、IR整備法におきましては、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除に関しまして、まず第一に、国及び地方公共団体の責務として、そういう有害影響を排除していく措置をとるということを明確に国、地方公共団体の責務としてまず位置づけてございます。

 それから、第二に、国が策定いたします基本方針及び都道府県等が策定いたします実施方針に基づいて、区域整備計画の記載事項として、あるいは実施協定の記載事項として、都道府県や政令市が行うこと、それからIR事業者が実施する依存防止策、それの対応、有害影響の排除のための措置を記載するということが義務づけられております。

 こういう制度的枠組みを通じて依存防止対策が適切に講じられていくことというふうに考えてございますが、もう少し具体的な依存防止対策といたしましては、まず、そもそも、IR区域数が上限を三という形で限定されていること、そして、カジノ施設そのものの規模を制限しているという仕組みが導入されていること、それから、一つのIR区域の中にはカジノ施設の数は一つに限定をしなければならないとされていること、また、日本人などを対象とした一律の入場回数制限や入場料の賦課というものが法定されていること、それから、IR事業者には依存防止規程というものをつくってもらうことが義務づけられておりまして、その中には、お客さん本人とかあるいは家族の申出などによって利用を制限する措置ですとか、あるいは相談窓口の設置といった利用者の個別の事情に応じた対応が義務づけられていること、それから、日本人などに対するカジノ事業者による貸付業務ですとか広告、勧誘などの勧誘時における規制なども含まれているところでございまして、これらを総体的に見れば、重層的かつ多段階的な依存防止対策の取組が制度として整備されている、万全が尽くされているものだというふうに考えてございます。

大西(宏)分科員 本当にこのIRというのは、大阪の起爆剤となって、経済界も大いに期待をしていますので、来るんだったら、言うようなすばらしいIRが来ていただきたいと思います。

 きょう一日、どうも皆様お疲れさまでした。

 以上です。ありがとうございました。

中山主査 ありがとうございました。

 これにて大西宏幸君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、おかげさまで本分科会の議事を無事終了することができました。高い壇上からまことに恐縮ではございますが、きょうお集まりの皆様、この部屋の皆様、全ての皆様に厚く御礼を申し上げ、感謝の誠をささげる次第でございます。

 以上、これにて散会をいたします。

    午後八時十分散会


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