衆議院

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第2号 平成29年2月23日(木曜日)

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平成二十九年二月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 武藤 容治君

      小林 史明君    佐田玄一郎君

      長坂 康正君    浜田 靖一君

      小川 淳也君    奥野総一郎君

      本村賢太郎君    赤嶺 政賢君

      畑野 君枝君

   兼務 吉田 豊史君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           三宅 俊光君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       安藤 英作君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大庭 誠司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       坂根 工博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           佐藤 文一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           木原亜紀生君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         潮崎 俊也君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   総務委員会専門員     塚原 誠一君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     小林 史明君

  小川 淳也君     本村賢太郎君

  赤嶺 政賢君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     佐田玄一郎君

  本村賢太郎君     奥野総一郎君

  宮本 岳志君     島津 幸広君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     小川 淳也君

  島津 幸広君     畑野 君枝君

同日

 辞任         補欠選任

  畑野 君枝君     赤嶺 政賢君

同日

 第四分科員吉田豊史君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十九年度一般会計予算

 平成二十九年度特別会計予算

 平成二十九年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

武藤主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算中総務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林史明君。

小林(史)分科員 おはようございます。自由民主党の小林史明でございます。

 先日の総務委員会に続いて質問させていただきたいと思います。

 今回の予算ではICTの推進ということもしっかり書き込んでいただいて、この間の総務委員会でも、大臣から前向きな御答弁をいただきました。

 このICTの推進の中で、日本がまだまだおくれているなと感じるのは、やはり放送だと思っています。

 今は、技術的にも、テレビの番組をインターネットで同時に放送するというのはそんなに難しい話ではないと思います。もちろんコストの面があると思っていますが、技術的に難しくないですし、特にNHKであれば、先般の災害のときにも、避難所で皆さんが災害情報を見る、こういったところでも大変有効だった、こういう実績もあるわけです。

 このNHKの放送番組のインターネット同時再送信については早く進めるべきだと思いますが、実現に向けてどういう課題があるのか、なぜこれぐらい時間がかかっているのか、お答えをいただきたいと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、放送番組をネットで配信するということは、コンテンツの視聴機会の増加にもつながりますし、視聴者の利便性の向上につながるというふうに考えております。

 私どもといたしましては、放送番組のネット配信を実現するための環境を整備することが非常に大事だというふうに考えております。

 具体的に申し上げますと、今先生から御指摘いただきました、配信のネットワークをどのようにつくるのか、アクセスが集中した場合にそれをどう緩和するのか、あるいは画質の安定的な配信をどうするのかといったシステム構築の効率化のあり方。あるいは、通信のサービスでございますので、放送と違いまして、各社ごとに個別の権利処理が必要になってまいります。それを、全体としてどのようにスムーズに権利処理を進めていくのかといった、さまざまなネット配信に伴う技術的な課題があるというふうに承知をしております。

 したがいまして、現在、情報通信審議会の方に諮問させていただきまして、昨年暮れから民放連やNHKさんにも御参画いただいて、議論をスタートしているところでございます。

 他方、NHKに関しましては、民放さんと異なりまして、受信料を財源といたしておりますので、今、同時配信の試験的な提供は行われておりますけれども、常時同時配信をしようと思いますと、放送法の改正が必要になってまいります。

 したがいまして、常時同時配信まで業務の範囲の拡大を認めるかどうかということにつきましては、今、検討会の中で、業務の範囲と受信料それからガバナンスというもの、三位一体で改革を進めるための議論を進めさせていただいているところでございます。

 関係者の皆さんのコンセンサスが得られるように丁寧に議論を積み重ねさせていただいているところでございまして、引き続き、結論が得られるように努力させていただきたいと思っております。

小林(史)分科員 ぜひ前に進めていただきたいと思いますし、三点いただいたと思っています。

 一つは、権利処理の関係。

 これは、他省庁に任せずに、しっかり放送のところは責任を持って、前向きに進めるようにリーダーシップを南さんにとっていただきたいと思います。

 二つ目が、料金のところです。

 これは、海外も参考にすればいろいろなやり方が、もう答えは出ているのかなと思いますし、あまねく広くの方から受信料をいただくことになれば、現在払っていただいている方の料金も下げることが私はできるんだろうと思っています。

 これは、全体にかけますと言った瞬間に、どうも税金のようになってしまうんじゃないかということで反発がありますが、皆さん、今払っている人たちのも下げられるんですよという形のパッケージで提案をしていけば私はかなり納得感のあるものになるんだろうと思いますので、そのあたりは、世の中とのコミュニケーションも少し考えながらやっていただけたらありがたいと思っております。

 私、重要なポイントは三つ目だと思っていまして、関係者の皆さんとのコンセンサス、ここが一番の阻害要因になっているんじゃないかなというふうに思っています。

 NHKと民放の二元体制で国内は放送をやっていますけれども、最近声が上がるのは、NHKが民放側の領域を今侵食しているのではないか、こういう御懸念がある中で、さらにインターネット放送もやります、こういうことをやってくると、どうも反発が起きている、私はそのように感じてなりません。

 ここは、総務省がしっかり間をとって、NHKの透明性を高めて民放の理解を得ていく、こういう活動が必要だと思いますが、いかがですか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、受信料を財源といたします公共放送たるNHKと、無料広告放送を財源とします民放、この二元体制で切磋琢磨する、これは、我が国が誇るべき放送文化であろうというふうに考えております。

 来年度のNHK予算に係ります大臣意見の中でも、インターネット活用業務につきましては、特に試験的提供も行っておるところでございますので、その成果を民放や関係者との間で共有して、相互連携に努めていただくということを明記させていただいているところでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、審議会の中でも、NHKと民放双方がテーブルに着いて、特に共通の課題でありますシステム構築や権利処理のあり方について今議論を進めていただいているところでございます。こうした検討の中で、積極的に議論をリードするような形で、民放さんと連携することによってどういうふうにコストを低減していけるのかといったような検討でございますとか、インターネット配信における地域性のあり方ということにつきましても、NHKの考えを明確にしていただくようにこれからもお願いをしていきたいと思っております。

 特に、ネット配信の試験的提供をやっていますBBCと比べますと、情報開示ということにつきましても、まだまだ十分でないという面もあろうかというふうに思っておりますので、積極的に先行的な取り組みをしていただいている場合の情報開示についても努めていただけるようにお願いしてまいりたいと思っております。

小林(史)分科員 ぜひ、積極的にやっていただきたいと思います。

 これから少し具体的な話に入っていきますが、この質問をする意図というのを先にお伝えしたいと思っています。

 私は、早くNHKがインターネット放送を始めるべきだ、こういう立場で御質問をさせていただきたいと思っています。ただ、それに対して民放はかなり懸念を示している。それによって前に進まないというのが一番大きな阻害要因だと私は思っていまして、それを早く取り除かなきゃいかぬ、それは総務省とNHKで協力をしてやっていただく、これがまず第一だと思っています。

 それと同時に、なぜこんな議論が起きるかというと、国内のこれから減りゆくであろうパイをいかにとり合うか、こういうところにもう民放の目が向いてしまっている、これが二つ目の要因だと思っています。

 ですから、早く世界に目を向けて、特に、ヨーロッパは英語圏ですからなかなか難しいかもしれないけれども、成長性のあるアジア、アフリカを、ちゃんと民放の背中を押しながらしっかりとりに行く。こういうビジョンがない限り、どうしても国内の狭いパイのとり合いでこういう議論になってしまうのではないか。こういう問題意識から御質問させていただきたいと思っています。

 疑念を抱く具体的な事例として、NHKがネットフリックスの制作した「火花」という又吉さんの作品を放送する。これは私、さすがにちょっとぴんときました。これはまずいんじゃないかなと思って、民放の方に何社か伺ったら、相当デリケートになっているということがよくわかりました。

 さらに、これだけじゃなくて、今度は、NHKが制作をした「東京裁判」というドラマがまたネットフリックスを通じて番組提供されるということもわかった次第です。

 普通に考えると、これはどういうことだろう。外国の企業の、インターネットの、まさに世界じゅうのテレビ局が脅威に思っているネットフリックスという会社の番組を、NHKがわざわざ買って放送する。

 これは、普通の民間企業からするとデリケートにならざるを得ないと思います。このあたりはちょっとちゃんとチェックする必要があると思っていて、まず、この「火花」の配信というのは、NHKが結果としてネットフリックスの宣伝をすることに、つまり、会員獲得をふやすことにつながってしまうのではないかというふうに私は思った次第です。

 そこで、放送法を調べてみますと、第八十三条にこのように書いてあります。「協会は、他人の営業に関する広告の放送をしてはならない。 二 前項の規定は、放送番組編集上必要であつて、かつ、他人の営業に関する広告のためにするものでないと認められる場合において、著作者又は営業者の氏名又は名称等を放送することを妨げるものではない。」というふうに書いてあります。

 これは八十三条に触れるんじゃないかなと私は思ってしまいますが、NHKの方、いかがでしょうか。

木田参考人 お答えいたします。

 まず、一般論として、NHKは放送法の趣旨にのっとり放送を実施しております。

 「火花」につきましては、原作の話題性に加え、青春群像劇として一定の水準に達しているというふうに考えておりまして、あまねくお届けするに値するというふうに考えて、放送すると判断しました。

 動画配信事業者がNHKより先に配信した連続ドラマをNHKが放送した例は過去にも複数ございまして、今後、さまざまな状況が考えられますので、どのように対応するかについては動画配信事業者の皆さんとも協議して検討してまいりたいというふうに考えております。

小林(史)分科員 総務省としての見解はいかがでしょうか。

南政府参考人 先生からお尋ねの件につきましては、現時点でまだ放送されていないということもございますし、番組編集にかかわるものでありますので、個別の番組に対するコメントは差し控えたいと思います。

 その上で、先生御指摘の放送法八十三条というのは、御案内のとおり、NHKの放送というのは、公平中立の立場で、特定の者の利益のために行われるべきでない。したがいまして、受信料を財源とするNHKは、民放と競業するような形での広告放送はやってはいけないという趣旨で広告放送を禁止しているというふうに考えておりますので、NHKにおかれましては、こうした放送法の規定、趣旨にのっとって適切に放送が行われるというふうに承知をしているところでございます。

小林(史)分科員 これは、総務省にも考えていただきたいんです。

 世界の潮流の中で、番組を配信するプラットフォーマーというのが圧倒的に世界を支配しつつある、その代表格がネットフリックスなわけです。これが今、日本に上陸をしてきてかなり話題になっている中で、NHKがその番組を放送する、結果的に会員数がふえることになりはしないかという懸念はやはり持った方がいいと思うんですね。

 これは追えるかどうかわかりませんけれども、放送が始まってからの伸びと、放送が始まる前の伸びは、私はチェックを一回してみた方がいいと思います。事業者が提供してくれるかどうかは別だと思いますけれども。

 「火花」を放送している間、インターネットに接続をして、ネットフリックスに会員登録したら、「火花」の番組はずっとネット上に格納されているわけです。ネットフリックスで見られちゃうわけですから、NHKで見て、おもしろかったよねと話題になる、私、見逃したんだ、そのときに見るのは私はNHKオンデマンドでいいと思うんですよ、それがネットフリックスじゃないと見られないわけですから、これは完全にお客さんが行っちゃう可能性はやはりあると思うんですね。こう考えるのは、普通に、民間出身だったら当たり前に考えることだと思います。

 ですから、先ほどNHKさんから御答弁あったように、一定の水準に達していると思いますと。これは誰が判断するのかということもあると思いますし、このあたりはぜひ総務省とNHKでしっかり整理をしていただいて、民放にも、何でこれはNHKが放送するの、しないのということが整理できるようにぜひしていただくことが、これからそういう摩擦をなくすことだと思っています。

 NHKに全然やるなという話では私はないと思うんですね。理由がつけられるようにきっちりとした整理をつけていただきたい、こういうことだと私は思いますので、よろしくお願いします。

 その上で、政務官にお伺いしたいと思っていまして、これはもう完全に国策、国益の観点で伺いたいと思いますが、こういうことをNHKがやっているとやはり国内の事業者は委縮しちゃいますし、もっと、もう少し国益になることを考えて判断をすべきだと思いますが、今回の件に関してどのようにお考えですか。

金子大臣政務官 お答え申し上げます。

 NHKを含む放送事業者は、放送法に定める番組準則やみずから定める番組基準に基づいて番組編集を行うこととされておりまして、今回のようにネットフリックスが配信したコンテンツをNHKが放送することについては、これはNHKの番組編集にかかわることでありますので、総務省としてのコメントは差し控えたいと思います。

 その上で、NHKには、公共の福祉のためによい放送番組を放送するという公共放送の社会的使命を果たしていただくことが重要と考えておりますし、先ほど局長からもお話がありました、申し上げるまでもなく、こうした公共放送の社会的使命を果たすために必要な財源については、受信料により賄っているものであります。

 こうした実態を踏まえますと、NHKにおいては、国民そして視聴者の皆様に幅広く御理解いただけるよう、放送番組の充実に努めるとともに、その趣旨などについての説明責任を果たしていただきたいと思っております。

 あわせて、今委員から御指摘もあったとおり、その点も踏まえまして、注視もしていきたいというふうに思っております。

小林(史)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、NHKの肥大化というのはどうしても懸念されるわけですから、そのあたりをチェックしていただくというのと、NHKは本来のところはどんどん伸ばしていただく必要があると思うので、それは応援をしていただきたいと思いますし、私も応援をしたいと思っています。

 籾井会長時代、いろいろありましたけれども、国際放送を頑張るんだということで、かなり頑張っていただいて、プレゼンスは私は上がっていると思うんですね。これはぜひどんどん前に進めていただいて、NHKとして役割を果たしていただきたいというふうに思います。応援させていただきますので、ぜひ頑張ってください。

 先ほども申し上げましたが、この議論が噴出をするのは、やはり人口減少下における国内のマーケットが縮小しちゃうんじゃないか、ここをNHKと民放でとり合うのは嫌だな、こういう視野でマーケットを見ているがゆえに起こっている問題だと思っていまして、そういう意味では、総務省としても、コンテンツの海外展開、かなり力を入れてやっていただいていますし、しっかり数値目標も立ててやっていただいたと思っています。

 この成長戦略をしっかり描いて、民放が海外に展開できる、こういう状況を後押ししていくことが私は重要だと思いますが、総務省、いかがですか。

南政府参考人 先生御指摘のとおり、ローカル局も含めました民間放送事業者の広告収入というのは、御案内のとおり、収益のトータルは頭打ちになりつつあるような状況であろうというふうに思っております。したがいまして、魅力的な放送コンテンツを海外展開することによって新たな収益源につなげていくということは、非常に重要なことであるというふうに我々も認識をしております。

 よくローカル局の社長さんは、地域はコンテンツの宝の山であるというふうなことも御指摘いただいておりますので、私どもとしましては、クールジャパン戦略あるいはビジット・ジャパン戦略の一環としまして、放送コンテンツの海外展開を成長戦略の中に明確に位置づけさせていただきまして、二〇一八年度には海外の売上高を約二百億円まで拡大するという目標を定めて、関係府省と連携しながら今取り組みを進めているところでございます。

 特に、先ほど先生から御指摘いただきましたとおり、コンテンツをアジアに積極的に展開するということに重点的に今取り組んでいるところでございまして、BEAJと言われる一般社団法人放送コンテンツ海外展開促進機構、これと連携をしながら、海外の放送局の放送枠を確保しまして、とにかく継続的に日本の魅力を発信していくことが非常に重要である。それから、放送を通じた後、例えばネットに配信することによって物販の拡大につなげていくというような、連動したような取り組みも今進めていっていただいているところでございまして、三年ほど前からその制作費を一部私どもの方が補助する事業を実施させていただいているところでございます。

 特に、過去はどちらかというとキー局さん、NHKさんの取り組みが中心であったのでございますけれども、最近はローカル局が連携して、あるいはキー局さんとローカル局さんが一緒になって地域の魅力を伝える番組づくりというのに着手をしているところでございます。

 ローカル局さんの場合は、海外展開の実績ですとかノウハウあるいは人脈というのは必ずしも有していない面もあるものですから、私ども、ローカル局も積極的に、場合によっては単独で海外展開に参加できるような後押しをこれからもしてまいりたい。

 特に、二十九年度の予算の海外展開助成事業の中には、地方創生に資する案件につきましては補助率を二分の一から三分の二にかさ上げするという取り組みをやってまいりたいというふうに考えておりますので、引き続き、放送コンテンツの海外展開に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

小林(史)分科員 気合いの入った南さんの御答弁をいただいて、ありがとうございました。

 物すごく重要な話だと思っているんです。世の中的には、インターネット同時再送信が始まることが、地方局、テレビ局の体力、ビジネスモデルが変わるので大再編が起こるのではないか、こういう話が起こっています。

 私は、インターネットの放送だけではなくて、4K、8Kの導入も多分そのトリガーの一つになると思っているんです。それは、かなりの設備投資がシステム側に必要になるからです。

 どっちにしても、これはかなり力のかかる話になってくるときに、国内のために、もちろん、規制を緩和してビジネスを推進していこう、これも重要です。でも、これは、民放に負担のかかる話が同時に出てくる。

 だからこそ、新しい収益源をセットで用意していく、チャレンジをする場を用意していくというのが行政として私は重要だと思っていまして、ぜひ、国内だけに閉じない、世界を見据えた戦略を政府としても描いていただきたいと思いますし、我々も党として御提案をしてまいりたいと思います。これからも積極的な取り組みをお願いいたします。

 ありがとうございました。

武藤主査 これにて小林史明君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)分科員 民進党の本村賢太郎です。

 高市大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 大分議論は出尽くしているようでありますが、まず冒頭に、ふるさと納税について。

 さまざまな課題が指摘をされておりまして、連日報道もにぎわせているわけでございますが、まず、このふるさと納税の本来の趣旨について大臣にお伺いいたします。

高市国務大臣 ふるさと納税制度創設時においては、地方から都会に転出した者がみずからを育んだ地域の教育や福祉のコストに対して還元する仕組みがあってよい、みずからとかかわりの深い地域を応援したいとの納税者の気持ちも大切にすべきなどといった意見が検討の出発点だったと伺っています。

 ふるさと納税制度は、このような御意見を踏まえて、ふるさとや応援したい地方団体のさまざまな取り組みを応援する気持ちを形にする仕組みとして、平成二十年度に創設されました。

本村(賢)分科員 総務省のふるさと納税ポータルサイトを見ても、今大臣からお話があったように、今は都会に住んでいても、自分を育んでくれたふるさとに対して、自分の意思で幾らかでも納税できる制度ということで、私もこの趣旨には賛同しておりますし、ある意味、画期的な取り組みであったんじゃないかなと思っておりますが、今は問題のとおり、サービス合戦というか、いわゆる商品券を初め、さまざまな地域のものを送っていただくということで、いい点もあるんですが、千葉県勝浦市のようなちょっと行き過ぎた点も見受けられまして、所沢市なんかでは既に、いわゆる返礼品に関しては、市長みずからが、見直しをしていく、なくすということまでお話をされておりまして、少しここに来て見直しが必要な時期かなと思っております。

 そういった点において、本来、今大臣が言われた趣旨とは少し変わってきたような感じがするんですが、大臣はどう変わったと御認識されているか、お伺いいたします。

高市国務大臣 ふるさと納税制度そのものについては、先ほど申し上げましたような創設の出発点となった思いに沿ったものだと思っております。

 地方団体からは、交流人口の増加、子育て支援の充実など、地域の発展につながるといった積極的な御評価をいただいています。地方創生を進める上でも重要な制度です。

 それから、災害の被災地への支援としても活用され、昨年末の新潟県糸魚川市の火災後においては多くのふるさと納税が寄せられたと聞いておりまして、多くの国民の皆様の温かい御支援、とてもありがたく思っています。

 一方で、ふるさと納税制度という税制上の措置とは全く別に、地方団体独自の取り組みとして行っている返礼品の送付については、地方団体間の競争が過熱したり、一部の地方団体においてこの制度の趣旨に反するような返礼品が送付されてしまっているということは問題だと考えています。

本村(賢)分科員 御指摘のとおり、二〇一五年までは個人所得の一割まで寄附できたわけでありますが、二〇一六年度からこれが二割になったということで、ここが少し、いわゆる返礼品合戦の火をつけてしまったような感じもしないわけではありません。

 今指摘をされたように、ふるさとに対する思いを税であらわすということは、私はこれはいいことだと思うんですが、例えば、自治体間で年間最大七十億円ぐらいの税収格差が生まれているということでありまして、宮崎県の都城市が四十二億七百五十八万円の黒字でありますが、私の地元神奈川の横浜市では二十八億七百九十八万円の赤字ということでありまして、税収格差も大分生まれている点も指摘をしていきたいと思っております。

 ただ、大臣からお話があったように、そもそも返礼品の送付はふるさと納税に組み込まれていなかったわけでありまして、自治体独自のいわゆる実施をされているわけでありますが、総務省からも千葉県勝浦市に見直しの働きかけをしたように、今後この制度を見直すべきだという声もさまざまな部分から上がっておりますので、こうした声を丁寧に聞いて見直しに今後取り組んでいくべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 返礼品の送付というのは、この制度そのものには組み込まれておりませんので、これまでも通知を発出して地方団体に要請をするという形でございました。

 しかしながら、今委員から御指摘のあったような問題も生まれてきておりますし、せっかく寄せられた寄附を非常に高い返礼品のコストに使ってしまうと、住民のサービスの向上にもつながりにくくなってしまいますので、今後、個別団体への働きかけは引き続き行い、強化をしてまいりますとともに、有識者や地方団体からの御意見も伺いながら、返礼品送付に係る課題を全て洗い出してみて、改善策というものをことしの春を目途に検討してまいります。

本村(賢)分科員 寄附額の四割が返礼品費用に充てられているという実態もございますので、ぜひ大臣、強いリーダーシップで、この春を目途にというお言葉がございましたので、御期待を申し上げながら、私どもも応援をしてまいりたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、森林環境税について、きのうの分科会でも取り上げさせていただきましたが、今、都道府県を中心として独自に課税している森林環境税等の関係については示されておらず、また、税収を全額地方税財源とすることなどの具体設計などにも触れられていない点が問題だということで、各知事会や政令市長会からも御指摘があるわけであります。

 今回の森林環境税の導入に関して、既に三十七の府県で導入をされておるわけでありまして、大臣のお地元奈良県ではこの税収が三億円、私の神奈川県では、私も県会議員をやっておりましたが、三十九億円、これは国内最大の水源環境税を皆様から徴収させていただいているわけであります。

 この森林環境税について、先ほど指摘したように、税収は全額地方の税財源となるよう制度設計するとともに、都道府県の役割や都道府県を中心として独自に課税している森林環境税等との関係について、しっかり今後調整していく必要があると考えておりますが、どのように整理をしていくのか、お伺いいたします。

高市国務大臣 今、本村委員がおっしゃっていただきましたとおり、平成二十八年四月現在で、四十七都道府県のうち三十七府県で森林環境保全を目的とした個人住民税の超過課税を行っています。

 森林環境税、まだ仮称でございますけれども、これにつきましては、平成二十九年度与党税制改正大綱において、「地方公共団体の意見も踏まえながら、具体的な仕組み等について総合的に検討し、平成三十年度税制改正において結論を得る。」ということとされておりまして、また、「市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てる」ことともされています。

 この森林環境税と三十七府県で既に実施されている個人住民税の超過課税との関係につきましては、都道府県と市町村の連携によって一定の役割分担を行うことは可能だと考えます。

 林野庁ともこれからも連携しながら、超過課税を行っている団体の御意見ですとかそれらの運用実態も伺いながら、具体的な仕組みについては検討を深めてまいりたいと思います。

本村(賢)分科員 今御答弁があったように、既に森林環境税を導入している三十七府県や、基礎自治体でいえば横浜市も導入をされているわけでありまして、こうした住民税の超過課税を行っておる自治体も数多くあるわけであります。国税と超過課税の関係をどう整理していくかというのは非常に大事な点でありますので、大臣が今御答弁いただいた方向性で、ぜひ、さまざまな御意見を酌んだ中で、林野庁との取り組みを進めていただきたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、自治体の職員の災害派遣についてお伺いしてまいりたいと思います。

 三・一一以降、熊本地震や、そして糸魚川の火災や北海道の台風被害等々を含めて、全国各地で今災害が多くございまして、その都度、国の職員の皆さんも派遣をされていることは承知をしておりますが、特に都道府県や、そして基礎自治体の職員の皆さんの災害派遣が多くあります。

 私ども相模原市も岩手県の大船渡市と姉妹都市を結んでおりますので、相模原からも多くの職員が、現在も、特に技術系職員を中心に、大船渡市で新たなまちづくりに向けて、相模原市で培ってきた経験を、大船渡市でしっかりと今活動を展開しております。

 昨今起こった一つの事例として熊本地震がありますが、災害派遣の充足状況はどうなっているのか、お伺いいたします。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 熊本地震における被災地方公共団体への平成二十八年度の職員派遣の状況については、本年一月一日現在で、三百十二名の要請数に対し、全国の地方公共団体から二百六十九名の職員派遣を行っていただいております。

 総務省としては、引き続き、被災地における人材確保に向け、できる限り各地方公共団体に対し、職員派遣をお願いしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

本村(賢)分科員 熊本地震が、一つの例えでありますが、要請人数が三百十二人、そして対応人数が二百六十九名、不足人数が四十三名というふうに伺っております。

 その中で、不足の内訳が、事務職が十名、そして土木が八名、建築等が六名、農業土木が十九名となっておりまして、熊本地震の中長期派遣状況を見ても、不足人数の四分の三が技術職系の自治体職員ということであります。

 この形を見れば、私も友人に市長などがおって話を聞きますと、派遣はしたいんだけれども、自分たちのまちづくり等々を含めて、どうしても技術系の職員は手放せないという実情もあるということで、例えば神奈川県も、かつては一万五千人ぐらい技術系の職員がおりましたが、現在は九千人ほどと減っております。

 恐らく、同じように基礎自治体等々でもこうした技術系職員の人員が減少している中で、国としてやはり人材の確保や育成に取り組んでいくべきだと考えておりますが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 地方公共団体における取り組みとしましては、総職員数というのは抑制されていく中で、特に土木技師ですとか建築技師の方など、防災対策に必要な職員については近年は増加傾向にあるということで、行政需要の変化に対応しためり張りのある人員配置が行われていると存じます。

 ただ、加えまして、都道府県とか政令市におかれては、被災市町村への派遣職員を確保するということのために、条例定数の増加ですとか任期つき職員の採用などで増員を行っておられる団体もございます。

 総務省の取り組みとしてということですが、一月十三日、二月二日の全国会議において総務省と被災県から派遣を要請させていただき、また、総務省と被災県から個別団体に対する働きかけも実施しています。あわせて、被災市町村で活躍してくださっている応援職員の方々の様子についても、リーフレットやホームページで周知をしております。

 引き続き、被災地における人材確保については、できる限り各地方公共団体に職員派遣をお願いしてまいります。各団体とも、地元のこともあるので大変なことだと思いますが、誠意を持ってお願いをしてまいります。

本村(賢)分科員 今、恐らく現実にいる技術系職員がもう限られているわけでありまして、これまで地方もやはり行財政改革などで大分人員カットをやってまいりました。

 そういった中でありますが、ぜひ今後、例えば首都直下型地震とか南海地震等々、東海地震含めまして、この三十年間に七割以上の可能性でそういう大きな災害もあるのではないかという推測がされている中で、やはり自治体職員の、特に技術系の職員の確保というのが非常に大事な話でありますので、例えば、定数緩和などによって人材確保をするとか、派遣システムの構築とか、リタイアした人材の活用など、国がリーダーシップをとって進めていくことが求められているわけでありまして、新たなルールづくりをぜひ大臣にお願いしていきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 あくまでも、地方公共団体が行政需要の変化に応じて、めり張りをつけた職員の採用をされるということだと思います。

 ただ、条例定数の増加などは可能でございますし、それぞれ、やはり災害に対して、現在いらっしゃる技術職員の数、それから老朽化対策等もございますので、そういったこと、それぞれの地域の実情に応じて判断をしていかれることだと思います。

 必要な助言ですとか、そういった情報提供などについてはしっかりと行ってまいります。

本村(賢)分科員 ぜひ大臣、国として、国家公務員の皆さんのすばらしい優秀な頭脳も必要でありますけれども、地方公務員の皆さんのやはり現地、現場で培ってきた経験を災害地で生かしていく方策、特にリタイアをされた、定年を迎えた皆さんの再任用などを含めて、今も延びていることは十分承知をしておりますが、まだお元気な皆さんがたくさんいらっしゃいますし、今、高齢社会と言われておりますが、もう六十五歳じゃなくて七十五歳という位置づけでもいいんじゃないかという御指摘もあるように、働ける皆さんにはぜひお力をいただけるように、大臣の強いリーダーシップをお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、上水道事業についてお伺いさせていただきます。

 基本的に上水道は市町村事業でありまして、私どもの神奈川県や東京都、千葉県、いわゆる広域行政がやっている部分もございますが、基本的には基礎自治体がやられているというのは承知をしております。

 今国会で厚生労働省から水道事業法の改正が提案をされておりまして、その中にコンセッション方式、なかなか聞きなれない話でありますが、運営権を付与するということでありまして、施設は自治体が行い、そして運営は民間が実施をしていくという形であります。現行法でも行えるようでありますが、このコンセッション方式を導入することによって、より明確に位置づけられるということで導入していくようであります。

 これまでにコンセッション方式を導入した実施例は日本にはないわけでありまして、検討を始めた自治体はあるが、外資を含む民間が飲用水を管理することに不安を持つ国民の皆さんもいらっしゃるようでありまして、やはり、ライフラインの大事な一つである水道、上水道事業に関しましては、本来ならば、基礎自治体や広域企業団を含めた広域行政が対応していくべきかなと思っております。

 今回、民間委託がしやすいよう政府の法改正が進められていると聞いておりますが、民間参入について、住民から不安の声も上がっておりますので、大臣はこの問題をどのように捉えていらっしゃるでしょうか。

高市国務大臣 水道事業というのは、将来にわたって安定的にサービスが提供されなきゃいけないものだと思っています。閣議決定も既にしておりますけれども、あくまでも「地域の実情に応じて、」という文言が入っております。その中で、広域化ですとか、コンセッションを含むPPP、PFIを初め民間的経営手法の導入の検討や、経営戦略の策定を推進して、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を図る、これが必要だと考えております。

 そのライフライン確保に当たっての懸念ですけれども、PFI法におきましては、コンセッション契約などにおいて、確保されるべき公共サービスの水準ですとか災害時の対応などについて規定すること、公共側が、公共サービスの水準などが確保されているかどうかを的確にモニタリングすること、事業者の対応が不十分な場合には、公共側が必要な指示をすることなどによって、事業の適正な実施を確保することとされています。

 ですから、コンセッションを含む民間的経営手法の導入の検討に当たっては、地方公共団体がサービスの質の向上や事業の効率性などを検討して、あくまでも地域の実情や、また、住民の御意見なども十分勘案された上で、各地方公共団体において判断して取り組んでいただきたいと思います。

本村(賢)分科員 例えばパリでは、この二十五年の中で水道料金が三倍になったり、百五十年ぶりに再公営化されるという報道もございます。

 自分たちの体に入ってくる上水道、非常に国民の一人として関心の高いところであります。ぜひとも、地域の事情とは申し上げられますが、安全で安心な上水道事業を推進していただくようお願い申し上げます。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、日本郵便についてお伺いさせていただきます。

 金融のユニバーサルサービスを維持することは重要でありまして、日本郵便が果たす役割は大きいと考えておりますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 国民生活にもう既に定着しています簡易な貯蓄や生命保険などの役務を、郵便局で一体的かつあまねく全国で公平に利用できるようにする、金融ユニバーサルサービスを確保するということは重要でございます。

 これを、郵政民営化法と日本郵便株式会社法により、その提供責務を課されている日本郵便の役割というのはその中で大変大きいものだと考えております。

本村(賢)分科員 ユニバーサルサービスとは、地域の分け隔てなく、また障害などの有無が関係なくサービスを利用できることでありまして、大臣の御見解のとおりだと私も思っていますので、そのことを私どもも十分理解しながら応援をしていきたいと思っております。

 次に、ゆうちょ銀行、かんぽ生命からの業務委託手数料に消費税がかかっていることは御存じだと思いますけれども、もともと、民営化前は同一組織でありまして、業務委託そのものが発生していなかったが、今や大変な負担となっているということも現実問題としてございます。

 日本郵便の厳しい経営状況の中、金融ユニバーサルサービスを維持していくためには何らかの減免措置を検討されてもいいのではないかなと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 このゆうちょ銀行とかんぽ生命が日本郵便に支払う窓口業務委託手数料に係る消費税の特例措置に関しては、民営・分社化に伴って発生した追加負担の解消ですとか、ユニバーサルサービスを確保するという観点からも、私ども、平成十七年度より毎年度、要望を実施しております。

 平成二十九年度の与党税制改正大綱においては、「郵政事業のユニバーサルサービスの安定的確保の観点から、経営基盤の強化のために必要な措置の実現に向けた検討とともに、引き続き所要の検討を行う。」とされました。この「経営基盤の強化のために」というあたりは、昨年までになかった表現でございます。

 総務省としては、ユニバーサルサービスの安定的な確保のために必要な措置について、日本郵政を初め関係者と調整を行いながら、平成三十年度税制改正要望などに向けてしっかりと検討してまいります。

本村(賢)分科員 日本郵便の株式会社の決算短信によれば、前年比大幅な減益が予想されるわけでありまして、もともと同じ組織であったわけでありますが、十年前の郵政民営化によって、政治によって分社化されたことで、窓口業務を委託するという形をとることになったわけでありまして、業務委託手数料約一兆円となっており、これらが消費税の対象となっている中で八百億円ということを伺っております。

 大変多くの負担を強いているわけでありまして、法の求める金融ユニバーサルサービスを提供するためには窓口業務を維持する必要があるわけでありまして、ほかの民間企業と異なり、赤字だから閉鎖することはできないという実情がございますので、その点を踏まえて、来年度に向けて大臣の強いリーダーシップをお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問は、たばこ税についてお伺いいたします。

 受動喫煙の防止の方向で、今国会、健康に関する増進法の改正が厚労省を中心に議論されていくわけでありますが、たばこ税は地方にとってもとても貴重な税収でありますし、先般の予算委員会一般的質疑でも麻生大臣に問いましたら、本当に、少しでも減収することが非常に痛々しいというお話をいただいております。

 受動喫煙防止対策が地方税収に与える影響について、大臣のお考えをお伺いいたします。

高市国務大臣 現在、まだ受動喫煙防止対策強化の取り組みについては、規制案の具体化に向けた検討が行われているところでございます。

 ですから、その具体的な内容ですとか施行時期が固まっていない現時点で、たばこ税収に与える影響について申し上げるというのは大変困難なことでございます。

 数字だけ申し上げますと、地方のたばこ税収は、平成二十七年度決算で、道府県たばこ税が千五百三十億円、市町村たばこ税が九千三百六十一億円でございますから、地方にとっては確かに現在大変貴重な財源でございます。

本村(賢)分科員 大臣も、かつては自民党たばこ議連の副会長もお務めいただいていたわけでありまして、恐らく、たばこも御自身吸われるかもしれませんけれども、たばこの税収というのは今地方でも非常に大事な部分でありまして、御指摘のとおりでありますので、今後、受動喫煙防止の流れはとめられませんが、地方の税収に影響がないように取り計らいをお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入ります。

 選挙区区割りの改定についてお伺いしてまいりたいと思います。

 公選法の改正に伴い、選挙区区割りの見直しを行っていると承知をしておりますが、現在の進捗状況はどうなっているでしょうか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 衆議院の小選挙区の区割りの見直しにつきましては、衆議院議員選挙制度改革関連法に基づきまして、現在、衆議院議員選挙区画定審議会において審議が進められておりまして、昨年十二月、区割り改定案の作成方針が決定され、現在、この作成方針に基づきまして、具体の区割りの改定作業が行われているところでございます。

 なお、区割り改定案の勧告は、この改革関連法の規定により、衆議院議員選挙制度改革関連法の施行の日から一年、したがいまして、本年五月二十七日以内に行うものとされておりますので、同審議会において期限までに区割りの改定作業が進められていくものと考えております。

本村(賢)分科員 細かい進捗については、第三者機関であるという性質上、公開できないことは十分承知をしております。

 五月二十七日までに勧告を行われるという話でありますが、少し早くなるのではないかという報道も一部あります。それはいかがでしょうか。

大泉政府参考人 その改定作業につきましては、審議会の判断に基づき行われているものでございまして、総務省としては、具体的な改定作業の時期、勧告時期などにつきまして言及することは差し控えさせていただきたいと思います。

本村(賢)分科員 区割り審による勧告が行われた後はどのようなスケジュールでなっていくのか、お伺いいたします。

大泉政府参考人 先ほど申し上げました改革関連法、昨年五月に成立いたしましたが、その附則第二条第五項において、政府は、衆議院議員選挙区画定審議会の勧告があったときは、「当該勧告に基づき、速やかに、必要な法制上の措置を講ずるもの」と定められておるところでございます。

 したがいまして、その規定に基づきまして、勧告がなされたときには、総務省としては、その規定に従って対応してまいりたいと考えております。

本村(賢)分科員 平成三十二年には大規模な国勢調査に基づく区割りの見直しが控えていることもあります。

 私どもの神奈川県でも、例えば、神奈川七区、八区では、三十万人ぐらいの人口の異動が今回行われるんじゃないかという改定案が出ておりますし、私の選挙区、神奈川十四区、十六区も、地元で十万人ぐらいの異動があると言われておりまして、平成三十二年国勢調査に基づく形で、恐らく、三十四年ごろアダムズ方式導入でまた新たな区割りが見直される可能性もありまして、そこでまた、神奈川は定数が一から二にふえるという話もございます。有権者にとっては、選挙区がこの五、六年の間に大きく変わっていくという可能性もあって、前回の選挙は神奈川十四区だったのに、次は神奈川〇〇区になってしまったという形で、非常に有権者も戸惑う可能性があります。

 そうでなくても、私どもの相模原は、例えば、神奈川十四区は、南区の御園一、二、三丁目が十四区で、五、六メーターの道路を挟んで四丁目、五丁目が十六区という、行政区を割っている地域もあって、ようやく今の選挙区になれ親しんできたわけでありまして、今回の区割り審の改定案、そして今後、三十二年の大規模調査等々で大きく有権者の皆さんが戸惑うことがないように、例えば、選挙区が決まりましたら、しっかりと皆さんに御理解いただけるような方向性で取り組みを進めていただきたい、そのことをお願いして、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

武藤主査 これにて本村賢太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)分科員 日本維新の会、吉田豊史です。

 高市総務大臣には初めて質問させていただきますので、どうぞ御指導をよろしくお願いしたいと思います。

 予算についてということで、分科会、総務省担当分、参加させていただきますが、私、いつも各委員会で攻めの何とかというタイトルをつけて質問しているんですけれども、今回は、攻めの地域経済というテーマを持ってまいりました。地域の自立、そして地域経済の好循環の確立への施策、こういうテーマでお聞きしていきたいと思います。

 富山県富山市の者ですから、当然、地方の地方の地方でもございまして、地域が自立する、そして地域経済をどう元気にしていくのかが最大のテーマだと思っております。

 まず最初に、総務省のイニシアティブ二〇一七というものを少し聞きかじったんですけれども、紙一枚、A3のものを見せていただきましたが、本当に大きいんですね、ボリュームも。これを総務省一つで面倒を見ていらっしゃるというのは本当に大変なことだなと思いますが、一番最初に、地方創生と地域経済の好循環の確立と出てくるわけです。

 大きく、平成二十九年度予算案の中でこのイニシアティブをどのように位置づけていらっしゃるのか、まず大臣にお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 総務省イニシアティブ二〇一七をごらんいただき、ありがとうございます。

 これは五つの項目を大きな柱としておりまして、一番目が地方創生と地域経済の好循環の確立、二番目が世界最先端のICT大国へ、三番目に国民の生命・生活を守る、四番目に暮らしやすく働きやすい社会の実現、五番目に未来を拓く行政基盤の確立ということで、平成二十九年度に総務省が積極的に取り組む重点分野を昨年の八月末に取りまとめました。

 もちろん、平成二十九年度の予算案におきましても、この重点分野に掲げた施策を積極的に盛り込んでいます。

 特に、委員がおっしゃっていただいた地方創生と地域経済の好循環の確立につきましては、地域に雇用を創出するローカル一万プロジェクト、エネルギーの地産地消を進める分散型エネルギーインフラプロジェクト、そして、地域への人、情報の流れを創出する、ふるさとワーキングホリデーやお試しサテライトオフィスなどのチャレンジ・ふるさとワーク、地域おこし協力隊の拡充などによる人材還流の促進などの施策を盛り込んでおります。

 御審議を経て予算成立の暁には、これらの予算を最大限活用して、多岐にわたる課題に全省を挙げて取り組んでまいります。

吉田(豊)分科員 大臣おっしゃるとおり、この総務省イニシアティブというところで私はやはり一番重要だなと思いますのは、自立促進に向けた取り組みというところを地域がどのように捉えていくかということだと思うわけです。この予算案の主要項目の中にも、地域の自立促進という表現を使っていらっしゃるわけで、改めて、総務省として、地域の自立促進あるいは地域の自立ということはどのような考え方で進めていくべきという、概論をお聞きしたいと思います。

    〔主査退席、長坂主査代理着席〕

高市国務大臣 地域の自立というのは、それぞれの地域が豊かな地域資源を活用しながら、住民の福祉の安定と向上、地域経済、地域文化の振興などについて、みずから考え、みずから企画し、みずからの責任で地域づくりに取り組み、個性豊かな地域となっていくということを指すと理解をしております。

 私どもも政策を構築するときに特にこだわりましたのは、これは防災対策もそうです、産業を興していく、ビジネスを起こしていくことでもそうなんですが、地域の人材と地域の資源をフル活用していただきたい。それから地域経済に関しては、やはりリスク管理ということを考えましても、為替変動にも強い地域経済構造を構築していく、そのようなことを先ほど紹介しました政策に反映させたつもりでございます。

吉田(豊)分科員 大臣から為替変動という言葉をいただくと、私は経済は実は得意じゃないんですけれども、おっしゃる意味は、やはり地域ということこそ、国内での消費、そういう安定したものをつくっていくという、そのベースの考え方ですね、グローバル社会だから、経済だから、いろいろなことで振られるんですけれども、そういうことがあっても、地域というものは、きちっと自分たちの中で生産して、そして消費していく、そういう体制を、力強いというか、それを狙っていくというのは、私も本当にそのとおりだなと思います。

 そのために、自分たちの特性といえばいいか、地域地域に、日本は小さいといっても地方で全然違うわけですから、そういうところの個性を生かして自分たちの考え方を置いて、それを総務省としてサポートする、そういう考えがやはり一番私はいいと思うんですね。

 税制のことでいうと、地方というのは、国からさまざまな交付金なり与えていただくというイメージがどうしても残っている部分があるわけですが、でも、そうじゃなくて、施策、政策からすると、自分たちでこういうことをやりたいと思うから、そのために必要なことは、原資はこれだという、その発想の転換をしていくというのが一番大事なところだろうというふうに私は理解しています。

 ありがとうございます。

 そこで、自立、地域おこしということを考えたいと思うんですが、人口、やはり何を言っても地域では人口減少が進んでいる。これをどう歯どめをかけて、改めて人口を自分たちで確保してふやしていくのかという考え方のもとに、地域の自立促進というところで、地域おこし協力隊というのがあるのは私も存じ上げているんですけれども、まずこれについて、概要、そして今どうなっているかというところについて、審議官の方にお聞きしたいと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 地域おこし協力隊でございますが、これは、都市部の若者等が過疎地域等に移住をいたしまして、おおむね一年以上三年までの期間でございますが、地場産品の開発、農林水産業への従事等、地域協力活動を行いながら、地域に定住、定着を図る取り組みでございまして、平成二十一年度に創設された制度でございます。

 総務省としましては、この地域おこし協力隊に要する経費につきまして、隊員の報償費や活動費について、隊員一人当たり四百万円を限度として、また、隊員等の起業に要する経費につきましては、起業する者一人当たり百万円を限度として特別交付税による財政措置を行っているほか、自治体が隊員の募集等に要する経費につきましても、一自治体当たり二百万円を限度として財政措置を行っております。

 発足当初八十九人であった隊員も年々増加をいたしまして、二十八年には、隊員数、前年度比一・五倍の四千百五十八人となっております。また受け入れ自治体数も、前年度比一・三倍増の八百六十三団体となっているところでございます。

吉田(豊)分科員 地域おこし協力隊、非常にいい成果を上げているという、本当にうれしい話だと思います。

 これ自身が、やってみて、そして企画、施策として成功しているということ、その本来の狙いである人口増といえばいいか、その地域の人口を確保していくという、そこについてきちっとした成果につながっているかどうなのかというところ、それも改めてお聞きしたいと思います。

時澤政府参考人 お答えします。

 今申し上げましたように、現在、四千百五十八人でございます。当初、今年度、二十八年度に三千人、そして三十二年に四千人という目標を掲げておりましたけれども、今年度で既に三十二年度の目標を前倒しで達成している状況でございます。

 この中身を見てみますと、現役の隊員の方の四割が女性でございまして、二十代、三十代の隊員の方が七割を占めている状況でございます。若い方々の感性で地域を元気にしてくれている状況がございます。

 また、隊員の約六割が任期終了後も引き続き同じ地域に住み続けていただいておりまして、同一市町村内に定住した方の二割は、みずから起業を行いまして、地域での新しい仕事を創出していただいているところでございます。

 私どもとしましては、隊員のなり手の掘り起こしに引き続き取り組んでいきたいと思いますし、隊員の活動が円滑に行われますように、サポート体制の強化あるいは起業の支援ということにも力を入れてまいりたいと考えております。

吉田(豊)分科員 非常によい話だと思うんです。どういう人材が地方に来ていただくかというところなんですけれども、今おっしゃった、研修といえばいいか、隊の活動が終わった後に地域にとどまる、それだけでも大成功ですけれども、そこから起業家、アントレプレナーになっていってくれるという、この話は本当に想像以上のいい効果だと思いますし、実際に当初の狙いを超えるという評価をなさっているかどうかも一言いただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、今年度三千人という目標、前年度が二千七百程度でございまして、今年度三千人という目標を掲げておりました。三十二年度に四千人という目標でございましたのが、一気に今年度で四千人ということでございますので、我々の目標というのを大きく上回るペースで地域おこし協力隊の隊員がふえている。

 また、先ほど申し上げましたように、六割が任期終了後も引き続き住んでいただいておりますので、私どもとしましては、これが定住、移住ということにつながっているということが、今回の地域おこし協力隊の一つの大きな目標でございます、それによって地域が元気になる、地域の活力を創出していく、そういった目標については着実に達成しつつあるのではないかというふうに考えております。

吉田(豊)分科員 ありがとうございます。

 それで、大成功しているというところですけれども、これはやはり受け入れている地域地域によって、このプログラムを上手に使えているなというイメージのところと、何かもう少し改善があってもいいなと思うところとか、これだけ年数を重ねていますから、これを上手に使っているところ、それとも、余りこれを大事だなと思っていないところと、そういう分析的なことも出ているんでしょうか。

時澤政府参考人 現在、地域おこし協力隊を受け入れている、受け入れ可能な団体というのがございます。これは条件不利地域等でございます。そういった団体が約千等ございますが、まだ受け入れていない団体もあります。そういったところの掘り起こしというのも、御活用についても検討いただきたいと思うんですが、実際に受け入れている団体でありましても、さまざま課題を抱えております。

 それは、地域おこし協力隊と受け入れ市町村の意思疎通がうまくいっていない、あるいは、地域おこし協力隊がこういうことをやりたいという意思に対してのマッチングがうまくいっていないとか、そういったこともありまして、私どもは、地域おこし協力隊のみならず、受け入れの自治体の職員についても研修を行うと同時に、地域おこし協力隊へのサポートデスク、要するに相談体制というのもつくりまして、悩みがある地域おこし協力隊員あるいはその市町村の職員について、こういったサポートデスクによって、相談体制を利用していただくことによって課題解決につなげていっていただきたいというふうに思っております。

 私ども、よりよく進んでいくために、いろいろ分析をしながら改善していきたいと考えております。

吉田(豊)分科員 それは大事なところでして、やはりいろいろなプログラムを企画してみる、アイデアで、やってみるのはもちろん大事なんですが、やってどうだったかということ、それが、これだけの期間について実施することができると、当然、よかった部分はもちろんそれでいいけれども、うまくいっていないところということをきちっとフィードバックしながら次のプログラムに生かしていく、これをやらないと、結局予算というのは、結果が出たか出なかったかということよりも、それを使って、そしてそこから何かを学んで、それから新しい、よりクオリティーの高いものに仕上げていこう、こういう姿勢があることが僕は一番大事だと思っています。

 そういう意味で、この地域おこし協力隊、そこから、きょう次に話をしますけれども、ふるさとワーキングホリデーという一つ新しいアイデアなわけですね、ここに入っていかれるというのは非常に賛同できます。

 この上で、ふるさとワーキングホリデーということが出てくるんですけれども、これは具体的にどういうことかというところから御説明をまずいただきたいと思います。

時澤政府参考人 ふるさとワーキングホリデーでございます。これは、都市部の若者などが一定期間地方に滞在し、働いていただいて、地域での暮らしを学ぶ機会を提供する地方公共団体の取り組みを支援するというものでございまして、地域の活力向上に資するとともに、将来的な地方移住の掘り起こしを行うという趣旨でございます。

 具体的には、都市部の若者などに、滞在経費等の負担を低く抑えるために、働いて収入を確保していただきながら、地域住民との交流や学びの場などを通じまして、通常の観光では味わえない地域での暮らしを丸ごと体験していただいて、地域とのかかわりを深めていただく、こういうことを主眼に置いて行うものでございます。

 この事業によりまして、都市部から地方への人、情報の新しい流れが生み出されるということを期待して行うものでございます。

吉田(豊)分科員 今度はワーキングホリデーですけれども、私も二十数年前、学生だったころには、ワーキングホリデーというのが、海外に行きたいなと思うときに、その当時は海外に行くというのはお金がかかったんですね。ですから、働きながらというか、少しあっちに行って、アルバイトしながら海外を体験できる。例えばオーストラリアだとかカナダとか、幾つかの国がそれを受け入れているという形があって、こういうことというのは非常に、当時、これは斬新だなと思いましたし、興味も持った。若い人たちは、結構こういう言葉には食いつくといえばいいか、反応がいいと思うんですね。

 その中で、改めてワーキングホリデーというのは、ワーキングとホリデーをセットにしていますという、両方のいいところをとりたいという発想だとは思いますけれども、ワーキングというところについて、今回のふるさとワーキングという中で、どういうのがワーキングかというイメージはもう少しクリアにならなくちゃいけないと思うので、そこら辺をお聞きしたいと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 ワーキング、働く場でございますけれども、これは、地域がそれぞれの特色を生かしながら、地域で今考えていただいて実施していただいております。

 例えば、例として申し上げますと、野菜、果樹、ノリ等の特産品を扱う農林水産業でございますとか、乳製品あるいは練り製品等の食品加工、日本酒等の醸造業、あるいは旅館、ホテルといった宿泊業、こういった実施団体において、各地域ならではの働きの場というのを用意していただいているところでございます。

 地域の特色ある職場で働くということも、その地域とのかかわりを深めていくことに大いにつながっていくのではないかと考えているところでございます。

    〔長坂主査代理退席、主査着席〕

吉田(豊)分科員 それが、このプログラムからはワーキングという部分で想定される、私もそうだろうと思うんですけれども、私も少し考えていまして、実際に、本来のところは、結局、都市部の人たちに地方で体験してもらうというところの重要性を考えると、そういうプログラムがあってしかるべきだけれども、ただただ何かの形で、ワーキングの中身は何でもいいからとにかく行ってみようという部分がもしあっても、それも含めて広く受けとめるという姿勢も実はいいんじゃないかなと。

 行って、そこを体験すると、今度はそこからもう一歩進んでみようというその取っかかりとすると、もうしっかりとしたプログラムがありまして、そこに乗らないと始まりませんよとがちがちにやっちゃうと、今度はそれはそれで門戸を狭めてしまうという可能性も出てくるかな、ちょっと私の感想です、そういう部分もあるかなというふうには今思っています。

 引き続きふるさとワーキングホリデーですが、今年度、実施団体というのはどうなっているのかということをお聞きしたいと思います。

時澤政府参考人 実施団体でございますけれども、今年度は、北海道、福島県、兵庫県、奈良県、山口県、愛媛県、佐賀県、熊本県の八道県でございまして、県と県内市町村が連携をいたしまして、地域の魅力、特色を生かしたプログラムを提供していただいているところでございます。

吉田(豊)分科員 八道県で実施なさっていると。始まったばかりですからそうだと思いますし、これを受け入れられる潜在的な力を持っている地域というのも当然限られてくることだと思いますが、今紹介なさった中で、例えば福島県というのは具体的にどんな、それぞれやはり県で発想が違うだろうと思うんですが、それをどういうふうにしていらっしゃるか、福島の例を教えていただければなと思います。

時澤政府参考人 福島の例でございますが、福島でも、県内の市町村と連携をしまして、さまざまな職場を用意してございます。

 さらに、地域とのかかわり合いということも福島でもいろいろ考えていただいておりまして、例えば、福島の食を通じた地域の方々との交流イベント、それから、都市部から実際に移住した方あるいは地域おこし協力隊の方々との意見交換によりまして体験談を経験していただく、あるいは、福島の場合、震災、原発事故からの復興に向けて取り組む福島の今というものも知っていただくために、被災地域をめぐるバスツアー、こういったことも用意をして、地域の実態を見ていただくようなプログラムを用意しているところでございます。

吉田(豊)分科員 そこで、このふるさとワーキングホリデーですけれども、やはり、いいプログラムを考えたときに、それを知ってもらうということが何よりも本当は大切で、先ほどの地域おこし協力隊のところで御紹介いただきましたが、四割が女性、それから七割が若い方というのは本当に狙いどおりというところでしょうけれども、ふるさとワーキングホリデーになれば、もっともっと若年層、まあ動きやすいということだと思いますけれども、そういう方々に来ていただきたいというふうに思うんです。

 これは、PRこそが何よりも予算化したことの一番最初の仕上げというか、そういうことだと思うので、ここについて、どのような考え方で今準備をしているのかということをお聞きしたいと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 私どもとしましても、これは初めて行う事業でございますので、若い方々に対するPRというものをどうやってやっていこうか、力を入れてやっていくということで、さまざまな工夫を行いました。

 例えば、専用ポータルといたしまして、公式ツイッターあるいは公式フェイスブックを開設いたしまして情報発信を行いましたし、インターネット上でのバナー広告や駅ポスターによる広告も行っているところでございます。また、大学内で、食堂で使われているトレーにステッカーを張って広報するという取り組みも行いましたし、個別の大学におきまして、学生の目にとまる場所でのポスター掲示やチラシの配布、学内ポータルでの周知というのも行っていただいたところでございます。

 また、ふるさとワーキングホリデーに関心を持つ若者に直接案内をするということも大事でございますので、実施する八道県と合同説明会を東京、大阪、京都、福岡で実施をいたしましたし、このほか、八道府県におきましても、ホームページの開設、あるいは大学で個別の説明会なども行っていただいているところでございます。

 私どもも、できる限りの周知を図りまして、一人でも多くの若者に参加をしていただきたいと考えておるところでございます。

吉田(豊)分科員 本当に何でもやっていただきたいというところですね。ちょっとでも宣伝していただきたい。

 改めて、地域おこし協力隊が成功している、これからは次のステップとしてふるさとワーキングホリデーというものをこの予算で準備なさるわけですが、それぞれ大事なんでしょうけれども、この関係についてどのように捉えていらっしゃるか、改めて大臣にお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 まさに今、広報の話が出ました。私自身もすごくこだわって、キャッチコピーですとか写真とか大変こだわったものですが、「旅とはちがう、ふるさとへ。」というキャッチになっています。

 地域おこし協力隊の場合は、都市地域から過疎地などの条件不利地域に住民票を移して、おおむね一年以上三年までの間、地域に移住して、地域協力活動を行いながら、その地域への定住、定着を図る取り組みになります。しかしながら、ちょっと、住民票を移してまでとか、いきなり地方に移住することを前提としているので、ハードルが高いというお声があるのも事実でございました。

 この政策を構築するときに、観光以上移住未満ぐらいの思いを持った方々を対象にということを考えまして、移住にはまだ至らないですが、単なる数日間の観光では味わえない、地域とのかかわりを深めていく、より柔軟なプログラムを用意したいなと思いました。

 二週間から一カ月程度ですが、働きながら地域の暮らしを学んでいくふるさとワーキングホリデーを通じて、またその地域に将来的には移住を考えたり、その地域でのビジネスを起こす、起業というものを考えたり、そういう方々がふえていくことを期待しながら、継続的に拡大していきたいと思っております。

吉田(豊)分科員 本当にすばらしい答弁で、また僕が褒めてばかりいると、日本維新は与党かと言われると困るなと思いながらなんですけれども。

 観光以上移住未満という、実際そうなんですね。それをキャッチフレーズになさるというのには、物すごい苦労が実は要るわけです。言葉というのは、やはりインパクトがあるものを引っ張らなくちゃいけないですし、そこが、「旅とはちがう、ふるさとへ。」これはいいなと思うんです。

 そういうキャッチフレーズ自身が、僕は初めてきょう聞きましたので、地方ですから、地域地域で、こういうことを求めている人たちに対してその声が届くように、ぜひまたもう一歩、どう宣伝していただくかとか、こんなこともお考えいただきたいな、こう思います。

 次に、お試しサテライトオフィスというのをお聞きしたいと思うんです。

 お試しサテライトオフィスというのも、何となく、何かなと思う、そういう言葉なんですけれども、改めて、このお試しサテライトオフィスというのはどういう位置づけで、それがどんなふうな状況に今あるかということを確認させていただきたいと思います。

時澤政府参考人 お試しサテライトオフィスの事業でございます。これは、サテライトオフィスに関心の高い三大都市圏の民間企業の方を地方に招聘いたしまして、お試し勤務という体験をしていただくことを通じまして、地方へのサテライトオフィスの誘致を目指すというものでございます。

 また、本事業の採択団体におきまして、お試し勤務を通じまして、民間企業のニーズを実証的に検証、分析をするほか、サテライトオフィスの開設、誘致に向けた戦略を策定するということを内容としております。

 二十八年度の二次補正で現在行っている団体が十団体ございまして、これらの団体では、お試し勤務等の受け入れに向けた取り組みを今進めておられます。

 総務省といたしましては、こうした取り組みを効果的に進めるために、三大都市圏内の民間企業約六万社を対象に、サテライトオフィスに関する基本ニーズ調査を実施しているところでございます。

 その調査結果につきまして、本年度をめどに取りまとめまして、また、採択団体に情報提供して活用していただくということを考えております。

吉田(豊)分科員 このお試しサテライトオフィス、実際に準備しているところだと思います。そして、お試し勤務ということも今は準備中だと思いますけれども、相手先の民間企業が、今、どのような反応があって、どのような状況にあるかということをまず御紹介いただきたいと思います。

時澤政府参考人 現在、採択団体でいろいろな準備を進めていただいております。団体としても広報をやっておられますし、私どもも、先日、移住交流フェアというところで、ブースを設けて紹介をして、マッチング等に努めているところでございまして、現在進行形でございますので、まだ数的には申し上げる段階ではないんですけれども、幾つかの団体が具体的に地方の提案団体との交渉に入っているという状況でございますので、私ども、さらに、引き続き、先ほど申し上げました基本ニーズ調査等を行いながら、参加団体の掘り出し、あるいはニーズの把握に努めて、採択団体にフィードバックをして活用していただきたいと思っております。

吉田(豊)分科員 今ほど審議官の方から移住交流フェアというところを御紹介いただきました。私もパンフレットを見たんですけれども、たまたま私がきょう取り上げているふるさとワーキングホリデーとお試しサテライトオフィスという、この二つを大きな柱にして企画なさっているわけですね。

 移住交流フェア、今月、二月の十二日、東京国際フォーラムで行われていますが、やってみられて、実際どういう反応があって、どういう状況だったかということにつきまして、これは大臣にお聞きしてもよろしいですか。お願いします。

高市国務大臣 二月十二日に東京国際フォーラムで開催させていただいた移住交流フェアですけれども、私も行ってまいりました。

 当日、お試しサテライトオフィスの展示ブースに二百名を超える企業の方々の来場者がありまして、その結果、新たに二十八社とお試し勤務に向けた具体的な調整を進めるに至ったと聞いています。

 また、採択団体では、民間企業に対して、その展示ブースで、お試し勤務の誘致に向けて非常に魅力的な展示が多く見られました。

 例えば魅力的な立地、あと、サテライトオフィスで働く方の移住支援ですとか地元の人材の確保に向けた支援の提案といったことのほかに、具体的なサテライトオフィス開設に向けた財政支援措置までが紹介されていまして、非常に企業の関心も高かったと思います。

 総務省で現在実施している三大都市圏内の民間企業などを対象としたニーズ調査ですが、現時点で集計済みの六千二百九十三件のうち、千三百四十四件の企業から、このお試し勤務について興味があるという回答が寄せられていますので、期待いたしております。

吉田(豊)分科員 ぜひ私は、きょうお聞きしてきて、宣伝していただきたいなと思うんです。移住交流フェアは一日、それは、いろいろなことがありますから期間が限定というのはよくわかるんですけれども、きょうの質問のところで、小林委員が朝、どうやって情報を広げていくのかということについてのお話だったと僕は理解しているんですね。

 ですから、こうやって一回移住交流フェアをやりました、そしたら、それで終わりじゃなくて、そのときの様子ですとかそれから商談の話とか、こういうものが何かの材料になって、それを今度は総務省のホームページなりなんなりで、やはり総務省らしく、どうやっていろいろなものを広げていくか、今の時代にふさわしいやり方でぜひやっていただきたい、こういうことをお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

武藤主査 これにて吉田豊史君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)分科員 大臣、連日お疲れさまでございます。きょうもよろしくお願いをいたします。

 通告がばらばらしていたので、ちょっと順序が変わるかもしれませんけれども、まず最初に、皆さんが既にたくさんお尋ねでありますふるさと納税についてから伺いたいと思います。

 ふるさと納税につきましては、この間、読売新聞などにも出ていましたが、こういう現況調査があります。それによれば、二〇一五年度の寄附総額のうち、およそ四割近くが返礼品の調達、送付費用に充てられた、こうありますが、これは、事実の確認ですが、事実でしょうか。

 それから、今年度はまだ途中ですのでそういう集計はないと思いますが、直近のデータでお答えいただきたいと思います。寄附総額は幾らで、そのうち幾らを返礼品あるいは送付費用に使われているかということです。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省が行った調査結果によりますと、平成二十七年度におけるふるさと納税の受入額は約一千六百五十三億円、対前年度比で約四・三倍となっているところでございます。

 また、同じ調査によりますと、平成二十七年度におけるふるさと納税の返礼品の調達に係る費用は約六百三十三億円、返礼品の送付に係る費用も含めた経費は約六百七十五億円となっております。

 これまでも何度も御説明しているとおり、返礼品送付というのは、ふるさと納税制度という税制上の措置とは別に、各地方団体が独自の取り組みとして行っているものでございますけれども、お尋ねのように、先ほど申し上げた受入額と比較をしますと、この費用は受入額のおおむね四割程度となっているところでございます。

奥野(総)分科員 ちょっと通告はしていなかったんですが、今年度、途中なんですが、新聞報道などによれば、さらにふるさと納税の寄附総額自体は伸びそうなんですが、そのあたりは何かデータはありますか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省として、現時点で調査結果ということを何か申し上げるものを持ち合わせていないんですけれども、関係する、特にウエブサイトなどを経営している業者などに聞いたところ、相当程度の伸びになってくると。前年度、先ほど申し上げたように、一千六百五十三億円というお話を申し上げましたが、それをかなり上回る姿になるのではないかという感触を持っているところでございます。

奥野(総)分科員 たしかテレビなんかでもポータルサイトのコマーシャルとかが出だして、ああいうのを見ると、皆さん、やってみようかなと思われる方も多いと思うんですね。伸びていくのは、それはそうだと思いますし、そのこと自体は必ずしも悪いとは私は思わないんです。

 ただ、今伺ったように、やはり大体四割、四割を超えていますね、四割強ぐらいが返礼品あるいはその送付費用に使われている。ここが私は問題だと思っていまして、本来、やはり税収は行政のサービスに使われるべきだと思います。百歩譲って意味があると考えれば、その地域の産品、地方創生に寄与していると言えなくもないと思いますが、それにしても行き過ぎだと私は思います。

 大臣に、四割という今数字がありましたが、返礼品に充てられているこの割合、返礼品のあり方について、適切かどうか、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

高市国務大臣 御承知のとおり、返礼品送付というものについてはふるさと納税制度そのものに組み込まれているものじゃないですので、地方団体の自主的な取り組みとして行われているものではございますが、今、奥野委員がおっしゃったように、返礼割合が高いというものについては、せっかく寄せられた寄附をその地域の住民のサービスに使えない、また地方創生のために必要なものに使えない、政策に使えないということにもつながりかねないということが一つ。

 それから、極端にやはり返礼品の発送ですとか返礼品の購入に係るコストが高いところに関しては、持ち出しになってしまっている地域もあると指摘されていますので、それでは、せっかくふるさとに向けて、もしくは応援したい地域に向けて寄せられた寄附の意味をなさなくなってしまうんじゃないかという危機感を感じております。

奥野(総)分科員 持ち出しなんというのは論外であります。その地域の住民の税金を他の地域の住民に物品という形で供与しているということであります。これはあってはならないということでありますけれども。

 再三皆さん答弁されているんですが、この返礼品の法的な位置づけというのは全く何もないんでしょうか。例えば、地方財政法上とか、あるいは規制というか、自治体のお金の使い道として法的に何か規制する、そういう手がかりのようなものは今ないんでしょうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今、いわゆる財政規律に係りますような関係法規というものはあろうかと思いますので、そういった意味で、その支出の態様によってそういった関係法規の点からいって問題が生じ得る、そういった可能性は否定できないというふうに考えているところでございます。

奥野(総)分科員 それで、こういう通知ですね、抜粋と書いてありますが、昨年の四月から通知が行われているということであります。金銭類似性の高いもの、あるいは資産性の高いもの、高額または寄附額に対して返礼割合の高い返礼品というものについては慎重にということだと思います。

 私、千葉県なので千葉県の新聞を持ってきましたが、最近話題になった勝浦市ですね、商品券廃止ということで、きょう、ようやく出ています。その前もたしか大多喜も同じような話があったと思うんですね。

 ですから、モグラたたきではないですけれども、こういう通知を出しても、今年度はずっとこれを勝浦市はやっていたわけですから、なかなか言うことを聞いてくれないんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、文書指導の効果、これは具体的に返礼品が改められたとか具体的な効果というのは何かあるんでしょうか。

高市国務大臣 二十八年度の通知を多分お持ちいただいていると思うんですが、そこでは、制度の趣旨に沿った運用をさらに進めていただきたいという観点から、金銭類似性の高いもの及び資産性の高いものについて返礼品としないようにということで、より具体的に例示を追加して通知したものです。

 昨年の春に総務省が実施した調査なんですが、この通知を踏まえて、ふるさと納税制度の趣旨にそぐわないような返礼品について、見直しを実施する、または見直しを実施する予定であるとした団体は百団体近くございました。

 一方で、依然として、通知に照らして適切でない事例もございますから、今後、今もやっておりますけれども、個別団体に対して、都道府県と連携しながら働きかけをしていくこと、それから、やはり有識者からも地方団体からも御意見を伺いつつ、返礼品送付に係る課題を先ほど幾つか私申し上げましたが、そのほかにもある可能性がありますので、一旦全部洗い出してみる、そして、改善策というものをことしの春をめどにしっかりと打ち出していきたいと思っております。

奥野(総)分科員 確かにその効果は、勝浦も指導があってやめたわけですし、ちょっとネットで検索すると、上尾市なんかは自転車というのをやめたとか、あるいは所沢は全廃をした、これも英断だと思います。一定の効果はあるのかもしれませんが、一方で、あくまでこれは強制力はないということでありまして、逐一取り上げて、個別にやっていかないとなかなか難しいのかなという面があると思います。

 ちょっとこれも通告していないんですが、この通知ですか、この根拠、これは一体どういう根拠、例えば高額というのはどういうものが高額かとか、返礼割合の高い返礼品とか、一定割合というのはどういう割合をいうのかとか、その根拠は、やはり地方財政上の観点からきているのか、税法上の観点からきているのか、あるいは、ふるさと納税制度の趣旨から見て定めているのか、いきなりで申しわけないんですが、伺いたいと思います。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしては、これはふるさと納税制度を健全に発展させていくという上で、制度に組み込まれているわけではないんですけれども、返礼品の送付という点につきまして、これはやはり、あくまでも地方団体の判断で、そして、ふるさと納税の寄附に対するお礼の気持ちという位置づけであろう。

 そういう位置づけであればこそ行われているということでありますけれども、そういった観点から考えまして、やはり、ふるさと納税の寄附額に対して返礼割合といったものを殊さらにアピールをしていくといったようなこととか、あるいは返礼品の豪華さを競うといったようないき方というのは、これはお礼といった感覚からはかけ離れたものになるだろう、ひいては、ふるさと納税に対して今回寄せられているような批判にもつながるであろう、こういった観点から、技術的助言として通知でお願いをしているところでございます。

奥野(総)分科員 いろいろ見直しをこれからされるということでありまして、有識者などの意見も踏まえるということなんですが、これは例えば、今はどこまで言えるかですけれども、高額とか一定割合、返礼割合の高い返礼品、これは何か基準をこれから設けていくような考えはあるんでしょうか。

高市国務大臣 この返礼品という、ふるさと納税制度に組み込まれていない取り組みによって実際に起きている弊害というものは、もうさまざまなところで指摘されておりますし、私自身も幾つかの論点を認識しております。

 それらを改善していただくための策を何とか講じなきゃ、せっかくいい制度であり、被災地にも多くの温かい御寄附をいただいたり、ふるさと、各地方において子育て支援など有効な使われ方をしているいい制度ですから、これを長く続けるために何とか改善したいという思いでございます。

 その中で、私や役所の例えば林崎局長が頭の中で考えたことだけじゃなくて、やはり現場の御意見も聞きたいということで、また専門家の御意見も聞きたいということで、有識者や地方団体の御意見も伺うつもりではございます。

 その議論の中で、どういう形で打ち出しをするかというのは、現時点では具体的な内容をお答えはできませんけれども、ただ、私自身は、地方財政法上、また地方自治法上、行き過ぎた返礼品というものは問題がある。税法上は一時所得に該当するというのがありますが、総務省の所管で考えますと、やはり地方公共団体の経費というのは、「その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」という地方財政法の条文もございますし、また、地方自治法も、「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」地方自治法第二条の条文もありますから、こういう精神にも、条文にも、法令にも沿った形になるように考えてまいりたいと思います。

奥野(総)分科員 災害時の寄附とか、あるいは過度な返礼がなければ、自分のふるさとおこしに使ってくれとか、一定の意義というか、かなり意義は私もあると思っていますが、せっかくそういう制度ですから、きちんと運用されるように、しっかり検討いただきたいというふうに思います。

 質問しようかとも思ったんですが、特例控除のあり方も、例えば災害だけに限るとか、余り過度に行き過ぎるようだったら考えてもいいのではないか、これは個人的な意見ですけれども、御指摘をさせていただいて、この件は以上にしたいと思います。

 次に、済みません、順序が入り繰りしますけれども、東京オリンピックの関係なんですが、これも千葉の新聞ですけれども、千葉市も千葉県も、幕張メッセを会場にする、レスリングなど七競技を実施するということで関係しています。

 その費用負担のあり方について、きのう、仮設整備については東京都も負担することを排除せず検討する、こういうコメントを都知事は出されています。これに対して、千葉県側としてはおおむね歓迎をしているということなんですけれども、そもそも招致時の立候補ファイルでは、仮設施設の整備等は大会組織委員会が担う、こういう原則があったということで、原則に沿っている、要するに千葉県は負担しない、あるいは千葉市は負担しない、仮設施設については負担しないということで、都が負担してくれるということで歓迎している、こういう記事になっています。

 一方で、どこまで都の負担割合があるのかわからないという意見もありますし、それから仮設施設以外のところですね、ここにも出ていますが、全体として、警備など運営費などを合わせると千六百億円、千葉だと二百十八億円ぐらいあるわけですね。この辺の行方もわからないということであります。一部でまだ不安視する声があると思います。

 大臣に、地方自治を所管している、あるいは地方財政を所管している大臣としてお伺いしたいと思いますけれども、昨日の小池都知事の、仮設施設についても、他の自治体の部分についても費用負担を検討する、これについて地方自治を所管している大臣としてどうお考えかコメントいただきたいのと、それから、再三予算委員会等でも議論されているようでありますが、地方財政法上、他の自治体が、要するに、東京都が例えば千葉市の幕張メッセの仮設施設の整備の費用を負担することは法令上問題はないのかということを改めて伺いたいと思います。

高市国務大臣 まず、小池知事の御発言についてということですが、トータルで全ての発言を承知しているわけじゃございませんが、これから検討をされるということでございます。東京オリンピック・パラリンピックを成功させるために一歩でも二歩でも道を開いていこう、前進していこう、そういう思いでの御発言なんだろうなと思っております。

 あと、法的なたてつけですが、地方財政法第九条におきましては、「地方公共団体の事務を行うために要する経費については、当該地方公共団体が全額これを負担する。」と規定されています。さらに、地方財政法第二十八条の二においては、「地方公共団体は、」「当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。」と規定されています。

 これらの地方財政法上の規定は、地方公共団体に係る経費負担の原則について規定したものでございます。地方公共団体の具体的な経費負担ということについては、これらの原則を踏まえて、個々の事務の範囲や政策目的に照らして、具体的なケースに応じた判断が必要だと考えています。

 東京オリンピック・パラリンピック大会の役割分担については、今後、東京都、大会組織委員会、内閣官房の三者を中心に協議が進められて、その中で東京都の事務の範囲というものが整理されていくと思います。

 その結果、東京都の事務として整理されたものについては、その経費を東京都が負担しても地方財政法上の問題はないと考えております。

奥野(総)分科員 今のお話であれば、招致ファイルの原則どおり、例えば千葉県は仮設施設については負担しないという整理もできる、一歩前進だと思いますが、今の答弁を逆から見ると、例えば千葉県の事務だと整理されなければ千葉県はこれは負担できないということになる。

 要するに、森田知事もおっしゃっていますけれども、仮設については費用負担をしないと言っているわけで、そこが合意できない、あるいは、費用分担の問題で合意できなければ千葉県は負担しなくていい、あるいは、これから運営費の問題も出てきますけれども、そこもどこまでというのをきちんと整理がされなければ強制的に千葉県ないしは千葉市が負担させられることはない、こういう理解でよろしいんですか。

高市国務大臣 先ほど地方財政法第二十八条の二というところを紹介させていただきました。仮にこれからの三者のお話し合いによって東京都の事務というふうに整理されたものについては、東京都は、その経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分を乱すようなことをしてはならないと規定されています。

 今後の役割分担に応じて決まっていくことではございますけれども、そのように考えます。

奥野(総)分科員 せっかく首都圏でやるわけですから、千葉県にとっても千葉市にとってもプラスであることは間違いないわけですね。ただ、それが財政上に影響が及ばないように、できる範囲で協力していくということだと思いますので、きのうの都知事の発言には一歩前進と評価をしつつも、しっかりそこは議論していただくことを期待して、この質問を終わりたいと思います。

 それから三番目ですが、今度は郵政の話を伺いたいと思います。

 上場もして一見順調に見えていますが、なかなか株価も戻ってこない、次の上場の話も出てきていますが、これじゃなかなか厳しいんじゃないか。私が気になるのは、ビジネスモデルとしてうまくいっているのかなと。郵政というのは、ユニバーサルサービスを担いながら、しかし民間企業だという非常に特殊な経営形態でありますから、これはユニバーサルサービスを担いながらきちんと収益を上げて、しかも、株価維持と言ったらいけないですけれども、せっかく上場しているわけですから、民間の期待に応えられるのかなというところを非常に懸念しているところであります。

 まず伺いたいんですが、平成二十八年度第三・四半期の決算は出ていますが、それを踏まえて通期の決算見通し、当初言っていた想定どおりなのかということを改めて伺いたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 日本郵政グループの平成二十八年度第三・四半期決算は、対前年同期比で減収減益ということでございます。

 このうち、日本郵便につきましては、営業収益は増加したものの、人件費などの営業費用の増加により増収減益でございます。また、金融二社につきましては、市場金利の低下の影響等によりまして減収減益でございます。

 通期の業績予想に対しましては、おおむね計画どおりの進捗率を確保していると考えてございます。

奥野(総)分科員 見通しがそもそも厳し目だったということでそのとおりになるということだと思いますが、ただ、前期で見てみますと、グループ全体としても減収減益だということですし、郵便は増収ですが減益ということ、ゆうちょ、かんぽも減収減益なんですね。

 今、若干その中で要因についてもお話がありましたけれども、もう少し踏み込んでそれぞれ要因を分析いただきたいんです。

 日本郵便について、よく言われるのは、郵便物数が減ってきている、あるいは人件費の高騰などということも言われています。それから、金融サービスについては、もちろんマイナス金利の影響もあるでしょうし、それがはねて、かんぽなんかは、料率の引き下げ、要するに実質的な値上げが行われているということだと思うんです。

 改めて、今回、グループ全体として減収減益になっている理由を伺いたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今、おおむね先生がおっしゃっていただいたようなところだと存じます。

 日本郵便に関しましては、御案内のとおり、引き受けの郵便物数の減少傾向がとまらないという状況にございます。その中で、人件費などの営業費用は増加をしているという状況にございます。

 この郵便物数の減少でございますけれども、郵便物数が減少するとともに、同時に、配達の箇所数が減るわけではなくて、これは余り変わらないということになりますと、収入は減るものの費用は減らないという状況にございます。

 それから、金融二社につきましては、やはり市場金利の低下が続いているということは大変大きくございます。また、かんぽ生命に関しましては、保有契約数の減少がとまっていないというような状況もございます。

 以上でございます。

奥野(総)分科員 今伺うと、非常に厳しい状況というのを改めて確認できると思うんですが、郵便と金融とをちょっと分けて、もう少し伺いたいんです。

 郵便は、ことしは年賀が、私も出発式も伺ったんですが、何と一億通も減っているんですね、六%弱。一億通も年賀状の差し出しが減っている、これを伺ってびっくりしたんですけれども、ドル箱の年賀も減ってきている。今話がありましたけれども、物数自体が減っている、しかし配達箇所は変わらない、しかも毎日翌日配達というユニバーサルサービス義務がかかっているということです。

 このままでいくといずれ赤字になってしまって、今度二種のはがきの値上げもありますけれども、それをやってもなかなか恐らく厳しいんだろうという中で、どうやって郵便のユニバーサルサービス、これは根本ですよね、あまねく全国に郵便を届けるというのが郵政事業の原点でありますから、これはやはり守っていかなきゃいけないと思うんですが、この民営化という体制の中で、どうやって郵便のユニバーサルサービスを今後確保していくのかということを大臣に伺いたいと思います。

高市国務大臣 現状においては、日本郵便の皆様の御努力によって、郵便のユニバーサルサービスは適切に提供されていると思います。

 日本郵便では、今委員がおっしゃいましたとおり、郵便物数が減少しているという中で、ユニバーサルサービスの安定的な提供のために、本年六月には第二種郵便物などの料金見直しを実施予定としている。そのほか、郵便物の区分作業の集約による効率化に取り組むということなど、収支改善や経営基盤の強化に努めておられます。

 将来にわたる郵便のユニバーサルサービスの安定的な確保についてでございますが、現在、総務省の検討会において、中長期的課題についてことしの夏ごろを目途に検討、整理を行っていくという作業をしております。

 引き続き、日本郵便の取り組み状況、そして経営状況は注視しながら、しっかりと監督をしてまいります。

奥野(総)分科員 三種とか四種とか、そういう割引制度もありますし、あるいは毎日翌配がいいのか、いろいろな観点から考えていかなきゃいけない、もちろん国民の利便性が第一でありますけれども、その費用負担の関係も含めて考えていかなきゃいけないと思いますので、ぜひしっかり検討をいただきたいと思います。

 それからもう一つ、今度は金融の方ですが、とりわけ、かんぽは保有契約数自体がどんどん減ってきているという中で、また、料率の見直しが恐らく避けられないということで、実質的な値上げがまた続くんだろうと思います。そうすると、かんぽについても来年度もなかなか厳しいんだろうと思いますし、ゆうちょは、限度額の引き上げなどもやり、手を打っていますから、ある程度は収益は大丈夫なのかもしれませんが、といいつつもマイナス金利であります。金融のユニバーサルサービス、これも法律に金融のユニバーサルサービスというのが郵政改革のときに入っているわけですから、これをきちんと確保させるように、やはり国としても責務があると思います。

 大臣として、この金融のユニバーサルサービスの維持、要するに、収益をもう少し確保していかなきゃいけない、マイナス金利下でも耐え得るような経営構造にしていかなきゃいけないと思いますが、これについて何かお考えでしょうか。

高市国務大臣 この金融二社の収益確保につきましては、両社の経営判断によりまして適切な取り組みが進められるということを期待しています。

 これまでも、ゆうちょ銀行による地域創生ファンドへの出資ですとか、かんぽ生命によるほかの生命保険会社との共同投資など、両社で収益確保に向けたさまざまな取り組みは進められていると思っております。

 総務省としては、運用の多様化ですとか利用者のニーズに応える商品開発ということをしていただいて、両社による取り組みがさらに進むということを期待しています。そのような検討の中で、新規業務の認可申請があるという場合には、これは郵政民営化法にのっとり適切に対応させていただきたいと思っております。

奥野(総)分科員 そうすると、今出ている企業貸し付けとか住宅ローンなどもありますが、さらに何か新しい利用者のニーズに沿うものが出てくれば、それは検討してもよい、そういうお考えでしょうか。

高市国務大臣 ゆうちょ銀行から四年も前に申請されていました新規業務の認可というのが残っております。私は、認可するにしてもしないにしても、こういうことは早くしっかりと結論を出して収益力の強化に取り組んでいただける環境をつくることが大事だと考えましたので、ゆうちょ銀行にもお伝えをしておりますが、今と四年前では大分金融環境も変わってきていると思いますので、その申請された内容について、現在の考え方をしっかり伺って、またそのままの内容でいくのか、また違った形の認可申請になるのか、これはわかりませんけれども、やはり郵政民営化法にのっとって、金融庁とも連携をしながら、迅速に審査を進めていくということが重要だと考えています。

奥野(総)分科員 まさに迅速に審査を進めていくということは大事だと思いますし、そのことが一つはマーケットの期待にも応えるということになるでしょうし、利用者の期待にも応えていることになるでしょうし、そして何より現場の局長さんとか職員の皆さん、事業を支えるために本当に一生懸命頑張っていただいていますから、彼らのためにもユニバーサルサービス確保をきちっとやっていくんだ、そのためには、いろいろな手段、費用負担も含めて、あるいは新サービスも含めて、大臣がしっかり発信していただきたいというふうに思います。

 郵政については、これをお願いして、終わらせていただきます。

 続きまして、マイナンバーの話です。

 静岡県の湖西市でマイナンバー千九百九十二人分が記載ミス、こういう記事がありますけれども、これも、ふるさと納税に関連して、誤って千九百九十二名分のマイナンバーを寄附者の住む自治体に送付したということのようであります。寄附を受ける自治体から、寄附者のマイナンバーを寄附者の住む自治体に送付するという中で、そういう仕組みの中で誤ったナンバーが送られた、他人のナンバーが寄附者の住む自治体に送られた、全部ではないんですが、送られたということのようです。

 これは恐らく、千九百九十二名、事実とすれば非常に大きな規模の事故ということになると思います。マイナンバー法では百名を超すと重大な事態ということで規定をしていますから、非常に大きな事態だということだと思います。

 幸い、これが当該住人に渡ったとか外部に出たということはないようなんですけれども、だからいいという話ではないと思いますし、こういった単純ミスが今後も起きないためにも厳しい措置が必要じゃないかと思いますが、まず、この件の概要、現状どういう報告を受けているのかということを事務方から伺いたいと思います。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘をいただきました事案につきましては、ふるさと納税のワンストップ特例サービスにおきまして、寄附を受けた湖西市が、寄附された方千九百九十二名の情報をその方の住所地の自治体に対して通知する際に、別の方のマイナンバーを誤って記載していた事案でございまして、外部への漏えいはないという報告を受けております。

 発生原因といたしましては、通知書を作成する過程で、表計算ソフトで送付先自治体ごとに並べかえる機能を使用した際に、担当者の操作誤りによりまして、マイナンバーの欄が並べかえられないまま通知書に印刷されたものというふうに聞いております。

奥野(総)分科員 これは本当に単純ミスで、私なんかもエクセルになれていないので、行で並べかえると、その行だけかわってあとはかわっていないという、本当に単純ミスだと思うんですね。ただ、こんな重大な業務であってはならないミスだと思います。

 対応は、自治体は再発防止策は何か言ってきているんですか。

其田政府参考人 現在、湖西市におきまして再発防止策を具体的に検討しておるところでございまして、当委員会といたしましては、再発防止策について詳細な報告を求めているところでございます。

 今後、また、その内容とか報告に応じまして指導助言等を行ってまいりたいと考えております。

奥野(総)分科員 指導助言というのは、文書を出して行政指導になるのか、それとも単なる事実上の措置なのか、どっちなんですか。

其田政府参考人 法律上、当委員会には機関に対して指導助言を行う権限がございますので、この法律上の権限に基づいて指導助言を行うことも含めて検討してまいりたいと思います。

奥野(総)分科員 ぜひ、単純ミスとはちょっと考えられないようなミスなので、きちんと公表して、適切に法律にのっとった措置をやっていただきたいと思います。

 それで、大臣に改めて伺いたいんですが、結局、こういう人為的なミス、絶対ないとは言えないんですね。今回たまたま発出されなかったということなんですが、ただ、事の性格上、こういうことは今後も起こり得るし、発出されてしまう可能性もあるわけですね。

 総務省として、今回の事故をどう受けとめて、全国的に注意喚起をして、こういったことが起きないように、人間のやることですから一〇〇%というのは難しいと思いますが、そうはいっても、やはりこれは一〇〇%が求められるんですね、こういう案件は。これが起こることで、やはりマイナンバー制度自体の信頼が損なわれてしまいますので、大臣として、どう受けとめ、どう注意喚起していくか、伺いたいと思います。

高市国務大臣 これは地方税に係る事務において発生した事案ですけれども、あってはならないことであると思います。

 マイナンバーを適切かつ慎重に取り扱う必要というのは当然あるわけで、そのためにもマイナンバー法第二十八条の四、また第十二条などにそれを担保するための規定があるわけでございます。

 今回は、湖西市に対して再発防止の徹底を求めさせていただいたわけなんですけれども、あわせて、二月十六日に、ここにおります林崎自治税務局長の名前で、全地方団体に対し、地方税事務において本人のマイナンバーが正しく記載されていることを複層的なチェックにより十分に確認するように通知を発出しました。改めて、マイナンバーの適切な取り扱いについて周知徹底を図らせていただきました。

奥野(総)分科員 素早く対応されたと思います。今後、こういうことがないように、しっかり指導助言、適切に対応いただきたいと思います。

 それからもう一点、今度はマイナンバーの通知の件ですけれども、十九日付の朝日新聞に、マイナンバー通知百三十五万通が戻ってきて宙に浮いている、こういう記事がありました。この記事によりますと、会計検査院からも、一部の自治体で、一時、配付のために定められた措置がとられていなかった、要するに、転出の確認をしていないだとか、いろいろ定められた手続をしていないという中で、百三十五万通が宙に浮いている、こういう記事がございました。さらに、あわせて、同じ中で、既に大阪などでは八万通の通知カードが廃棄される、あるいは杉並区でも九千通の通知カードを廃棄されている、こういうことなんです。

 まず、事実関係ですね。今通知されていないものがどのくらいあるのか。それから、この廃棄というのが気になるんですが、適切にちゃんと、例えば死亡とか転居でもう可能性がない、交付する必要がないというふうに確認されたものなのかどうなのか。それから、一定数の方はまだ通知を受けていない方がいらっしゃる可能性がありますから、今後どのように対応していくのかということをあわせて伺いたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年の十月五日にマイナンバー制度が施行されまして、順次通知カードの送付を実施してきたわけでございますが、二十八年の十一月末時点で約六千二十八万通の通知カードが郵送されまして、その時点、当初、二十八年一月の時点でございます、の返戻率は約一〇%であったわけでございます。その後、市区町村において再送等の取り組みが行われ、現在、市区町村において保管されている通知カードは約二・二%まで低減したわけでございますが、なお約百三十五万件について保管されているのは事実でございます。

 この返戻された通知カードの取り扱いでございますけれども、事務処理要領というものを私ども出しておりまして、住民票記載事項の確認、調査を行った上で、他の市町村への転出を確認した場合、死亡などにより住民票が消除されている場合につきましては廃棄するということとしておりまして、それ以外の場合においては、一定期間、これは三カ月程度と言っておりますが、保管するということにしているわけでございます。

 この保管期間につきましては、通知カードを確実に本人に交付するという観点に鑑みまして、総務省から、まず昨年度末までは保管を継続してくださいという要請をしておりました。さらに、昨年度末に発出している通知におきまして、「通知カードの物理的な保管場所の確保や窓口での業務に支障のない範囲において、返戻された通知カードを平成二十八年四月一日以降も引き続き保管することについて、ご検討いただくよう」、そういう依頼をしているところでございます。

 各市町村におきましては、今申し上げましたような事務処理要領でございますとか通知を踏まえまして、その保管のあり方について判断をいただいているところでございまして、必要な確認、調査を行った上で、既に廃棄がなされたものもあるというふうに考えているところでございます。

 引き続きまして、通知カードが手元に届くよう、市町村に対して助言をしてまいりたいというふうに考えております。

奥野(総)分科員 会計検査院の指摘の事実関係ですけれども、適切な手続をとらない自治体が一部あるように書かれていますが、これは事実でしょうか。あるいは、事実だとして、どう対処していくか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年一月二十七日に公表されました会計検査院の随時報告によりますと、平成二十八年三月末時点で、八百五十二市区町村、これを調査対象にしたわけでございますが、そのうち二百九市区町村で、返戻された通知カードについて調査を行っていなかったとされているわけでございまして、その理由として、人手不足や多忙のためとされているものと承知しております。

 総務省といたしましては、事務処理要領におきまして、通知カードが返戻された際には、住民票の記載事項の確認、調査を行うことを要請しているわけでございますけれども、この会計検査院の調査、これは調査時点が一年ほど前になるということ、それから全市区町村を対象とした調査ではなかったということを踏まえまして、現在、総務省としても、改めて全市区町村に調査を行い、事実確認を行っているというところでございます。

 この調査結果を踏まえまして、地方団体に対して必要な助言を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

奥野(総)分科員 今年度から、例えば確定申告などもマイナンバーを使うようになっていますし、ふるさと納税も、さっきの話ですけれども、マイナンバーを使うようになってきていますから、制度を定着させるためにも、なるべく多くの方にきちんと御理解いただくという中で、通知漏れがないようにしっかり御指導いただきたいと思います。

 続きまして、今度は庁舎の建てかえ、公共施設等適正管理推進事業について伺いたいと思います。

 昨年の秋の臨時国会で、私の方から、庁舎の建てかえについて一定の財政措置をお願いしたい、こういう質問をさせていただきました。きっかけは、熊本などで、益城でしたか、建てかえていない庁舎が倒壊したということもあったので、調べてみたところ、私の地元も、千葉市が昭和四十年代に建てた庁舎をそのまま使っていますし、四街道市も古い庁舎を使っている。耐震補強をしないで、いずれ建てかえるんだ、いずれ建てかえるから耐震補強をしないんだということで、ずっとそのままになっているということなんですね。

 ところが、これはいつ首都圏で直下型地震が起こるとも限らないわけですから、そこで庁舎が倒壊してしまうと、指揮をとる場所がなくなる、あるいは住民が問い合わせをする場所がなくなる、寄る辺がなくなるわけですから、一般的に庁舎の建てかえというのはなかなか政治的には難しい、首長さんは難しいので踏み切れないんですが、そこを後押しできるようにぜひ財政措置をお願いしたいということをそのときに申し上げました。

 早速、今回、市町村役場機能緊急保全事業ということで、昭和五十六年の新耐震基準前に建てられた建物、庁舎について、建てかえの際に一定の財政措置をとっていただけるという制度が導入されました。これは、今までの一般単独事業債の起債しか認めていただかなかったことに比べたら、非常に大きな一歩だと思います。

 この事業について、具体的な要件とか概要について改めて伺いたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました市町村役場機能緊急保全事業につきましては、設立の趣旨は今御指摘いただいたとおりでございます。その趣旨に沿いまして、基本的には、昭和五十六年の新耐震基準導入前に建設された本庁舎の建てかえ事業を対象にする、そのためには、公共施設等総合管理計画で位置づけをしていただいて、さらに業務の継続計画にしっかりと位置づけていただく、それを要件として対象とさせていただいております。

奥野(総)分科員 これは潜在的なニーズは結構あると思うんですね。建てかえというと、政治的な理由で、首長さんは選挙のときに二の足を踏んでなかなか言いたがらないんですけれども、実際、建てかえたいというニーズはあると思います。

 こういう制度を入れることで後押しをするのは非常に重要なことだと思うんですが、では、今具体的なニーズを総務省としてつかんでおられるのか、それに対して十分な規模の額は、今後四年間の措置と伺っていますけれども、確保されているのかというのを伺いたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 これから建てかえを検討するに当たりましては、耐震化を行うか、建てかえがいいのかということをコスト的にいろいろと検討される団体が多いと伺っておりますけれども、今の時点で既にその検討は済ませている団体もございます。そういう団体からは、できるだけ早く着工したいという声もいただいておりますけれども、今回見積もるに当たりましては、最近の庁舎の建てかえの動向等を見まして、機械的にこの程度は必要であろうかということで見積もらせていただいている状況でございます。

奥野(総)分科員 あと、期間なんですけれども、今、例えば私の地元の四街道市なんかでは、頭出しはされていないんですね。聞くと、もちろん潜在的な要望はあるんですけれども、これから具体的な計画を立てて、議会の承認を得てということになったときに、では、この三年、四年の間できちんと着工できるか、あるいは事業が立ち上がるかということを考えたときに、もう少し長いスパンでやっていただくことがいいのかなと思うんですが、それはそのときに延長については考えるということかもしれませんが、これ、期限を切っている理由は何なんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今回の市町村役場機能緊急保全事業を四年間と設定いたしました理由は、現在行っておりますこの緊急防災事業の中で、庁舎の耐震化であるとか、それから津波の震災エリアからの移転に対しての庁舎の建てかえが対象になっております。

 この緊急防災事業の期間につきましては、今回、東日本大震災の復旧復興の期間を踏まえまして、あと四年間の延長ということにさせていただきました。

 庁舎につきましては、基本的には交付税措置をしないということを原則としてやってまいりましたので、今回の特例につきましても、この緊急防災・減災事業の期間に合わせまして、四年という形でまずは時間を区切って、まさに緊急の措置として設定させていただいたという状況でございます。

奥野(総)分科員 緊急防災対策債、緊防債については昨年答弁いただいて、検討いただくということで、これも私の地元で使いたいというところもありますし、非常によかったと思っています。

 通告していませんが、今、私、期間の問題、もう少し柔軟に考えていただけないかということなんですが、そのあたり、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 まさに熊本地震で私たちが目の当たりにしたとおり、老朽化した庁舎への対応というのは急がれるわけでございます。もう発災直後からその庁舎で対応しなければ住民の方々を守れないという大切な場所でございます。

 それでも、先ほど委員もおっしゃったように、政治的な事情から、庁舎というものの、耐震化もそうですけれども、特に建てかえとなると一番後回しになってきた。一般の住民の方がふだん使われるほかの公共施設を優先的にやらないとなかなか御理解が得られないという現状もあったわけでございます。

 まずは、今までは地方公共団体で独自でやっていただくという仕組みを、今度は支援できる枠組みをつくった、そして、四年という期限ではございますけれども、まず急いで各市町村に取り組んでいただきたいということからでございます。

 またその時期が到来しましたときに、全国的な状況も見ながら、ニーズを把握しながら、またそのときに判断をされるべきものだろうと思っております。

奥野(総)分科員 せっかく立ち上がった事業ですから、これがきちんと機能して、日本は本当に地震国ですから、庁舎の建てかえがスムーズに進むようにということを私の方から大臣にお願いしたいと思います。

 それから、次は消防の話に移りたいと思います。

 消防の団結権の話なんですけれども、我々の政権のときに、最後、二〇一二年の秋ですか、一応法案までできたんですが、最後廃案になってしまったということで、その後この話は進んでいません。

 ILOの八十七号条約で、日本も批准をしているはずですが、消防職員の団結権に関して、長年、日本政府に勧告、昨年も十度目の勧告が行われているということです。

 団結権を認めていない国がほかにどういう国があるのか、これはほとんどの国が認めていると思うんですね。それから、そうだとして、日本もこれは批准しているはずですから、条約に抵触しているんじゃないかということなんですが、見解を伺いたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 各国の消防行政は、消防機関が実施する任務などについて多様性を有しておりますが、平成二十二年の総務省の検討会における調査によりますと、消防職員に団結権が認められていない国として、ブラジル、韓国、タイの三カ国が挙げられております。

 ILO第八十七号条約については、当該条約の批准に当たり、我が国の消防は、条約の適用対象外である警察と同視すべき若干の職務と見て、条約適用上の問題はないというILOの見解を踏まえて行ったものであり、条約上の問題はないものと認識しております。

 その上で、平成八年には、勤務条件の決定等に消防職員が参画する消防職員委員会制度を設けたところであり、今後とも適正な運用に努めてまいりたいと考えております。

奥野(総)分科員 一つは、勧告を受けているということなんですが、勧告を受けているということは、ILOがどう捉えているかということなんですね。この勧告の中身、理由についてひとつ伺いたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 ILOからは、我が国の公務員の労働基本権の制限や消防職員への団結権の付与に関して勧告をされておりますが、この勧告は、基本的に、制度改正について関係者と十分に話し合うこと、改革の進展についてILOへ情報提供を続けることの二つを要請したものと認識しております。

 総務省といたしましては、ILOからの指摘を踏まえ、引き続き関係者との意見交換を行うとともに、適時適切にILOに対する情報提供を行うなど、しっかり対応してまいりたいと考えております。

奥野(総)分科員 タイと韓国とブラジルとおっしゃっていましたよね。やはり少ないですね。

 確かに、日本としては、一定の留保条件を述べた、御理解いただいたというふうに主張していますが、やはりILOとしても勧告を出してくるという中で、これは私の意見ですが、多分見解が日本の政府と若干違うんじゃないかというふうにとることもできます。

 それで、さっきちょっと気になったのですが、もう一度確認したいんですが、警察は団結権がないんだというのはそうなのかもしれませんけれども、警察と消防、消防業務の中に警察的な部分があるんだと言っていますが、これは具体的にどういうところなんですか。日本の消防はそこは特殊なんですか。

高原政府参考人 もともと消防は警察の部門から分かれた経緯もございます。また、公共の安全等を維持するために指揮命令系統のもとに活動するといったようなところが警察と類似性があるというふうに思っております。

奥野(総)分科員 でも、どの国の消防だって指揮命令系統はあるでしょうし、人命救助のために破壊消防だってやるんだし、そんなに変わらないと思うんですね、業務は。だから、ここは見解の相違ということになると思いますが、日本だけ違った仕組みを果たしてとるべきかということですね。

 やはり、きちんと団結権ぐらいは、争議権を認めろと言っているわけじゃないわけですから、団結権ぐらいは私は認めるべきだというふうに思いますが、大臣、日本においても早期に認めるべきだと思いますけれども、いかがですか。

高市国務大臣 平成八年には、消防職員委員会、つまり勤務条件の決定などに消防職員が参加する消防職員委員会制度を設けたところでございます。また、私も就任以来、春闘のときもそうですけれども、秋にも自治労の委員長から要望をお受けし、また、お答えをする議論の場を設けさせていただいております。

 消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権のあり方については、国家公務員制度改革基本法附則第二条において、「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する。」ということとされています。

 国家公務員の労働基本権のあり方がどうなるかということにまたかかわってくることですが、これは、安倍総理から、「多岐にわたる課題があることから、これまでの経緯などを踏まえ、引き続き慎重に検討する必要がある」という答弁が国会でなされております。

 ですから、消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権のあり方については、まだこれからも国家公務員についての動向を踏まえて、また関係者の御意見もこれまでどおりよく伺いながら対応していく必要があると思っております。

奥野(総)分科員 我々のときは、国家公務員を含めて、団体交渉権とか、そのあり方を見直そうということをやっていたんですが、残念ながら、政権がかわって進まなくなっています。僕は決してこれは悪いことじゃないと思っています。きちんと交渉を表立ってやるということはむしろ大事だと思っていますので、ぜひ、国家公務員あるいは地方公務員の交渉のあり方を含めて、御検討いただきたいと思います。

 それからもう一つ、消防本部におけるハラスメント等への対応策に関するワーキンググループというのが開催されているやに伺っていますが、これはどういう理由で設けられて、これはハラスメントがあるということなんでしょうか、その現状について伺いたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティーハラスメントなどにつきましては、職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景とした暴力行為などによりまして相手の尊厳や人格を侵害する、断じて許されない行為であって、決してあってはならないものだと考えております。

 これらにつきまして消防庁として統計的な調査は行っていないところでございますが、例えば、新聞報道等によりまして消防庁が把握しているパワーハラスメント事案としまして、平成二十七年度は九件、今年度は十五件となっており、残念ながら、一定程度発生いたしております。こういうことから、ワーキングを開催することとしたところでございます。

奥野(総)分科員 現状を認めて、そこで対応策を考えるということですけれども、一つ、メンバーを見ると、職員代表が入っていないようなんですが、職員の代表を入れて現場の声を聞くべきではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 やはり、消防職員の方々の働く環境を整備してさまざまな悩みを解決していくということに当たっては、現場の声を直接伺うということはとても大切なことだと思っております。

 ワーキンググループは、二月六日に、有識者及び全国消防長会などの方々をメンバーとしてスタートしましたけれども、消防庁からは、既に、現場の消防職員の方々から御意見としてお受けしていると聞いております。

 私から消防庁に対して、次回以降は、現場の消防職員の方々数名にワーキンググループオブザーバーとして御参加をお願いして、議論に加わっていただくように指示することといたします。

奥野(総)分科員 ぜひお願いします。ありがとうございます。

 もう時間が来て、最後、消防団の話を伺おうと思ったんですが、消防団について、最後、私のお願いですけれども、ようやく地域防災力の充実強化法が我が党も協力してできました。処遇の改善、それから装備の充実ですね。末端の消防団の人に聞くと、何か装備はなかなか改善していないんだという声も耳にしますので、ぜひ、一番最前線で頑張っている個々の団にも、士気が上がるようにお願いしたいというふうに思います。

 以上、一時間にわたり質問させていただきました。終わりたいと思います。

武藤主査 これにて奥野総一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑野君枝君。

畑野分科員 日本共産党の畑野君枝です。

 まず初めに、子供の医療費無料化について伺います。

 子供医療費無料化は、子供が何かあったときに、お金の心配なく医療を受けたいという保護者の、地域の皆さんの切実な願いから出発したものです。新日本婦人の会が取り組んだ「子ども医療費無料化拡充・国の制度化を!!ペナルティーは直ちにやめて!緊急アンケート」の中で、川崎市のお母さんはこのように訴えておられます。

 私は小二、小五、小六の子育て中ですが、子供は乳幼児のときに風邪などの感染症で小児科を受診することが多く、学童期になると、骨折やけがで整形外科、虫歯で歯科、視力が悪くなり眼科、花粉症で耳鼻咽喉科に受診することになりました、早期発見、早期治療につなげ、命と健康を守ることだけでなく健康増進の充実につながる助成制度を強く求めています、とりわけ子供の医療無料化は最も急がれる施策です、医療費負担の軽減は本来国の制度として確立すべきものです、どこに住んでいても子供の命は平等ですという声です。

 また、子ども医療費無料制度を国に求める全国ネットワークの皆さんが一昨年の秋から取り組んだ請願署名「地域から国へ広げよう 中学卒業までの子ども医療費無料制度」、これは約七万一千六百筆が昨年十一月に国会に届けられております。

 きょうはお手元に資料をつけさせていただきました。市町村でどのような子供医療費助成が行われているのか、厚生労働省のお調べのグラフです。これによれば、ほとんどの自治体で三歳未満、未就学児、小学生、中学生で行われて、進めているわけですね。

 それで、これまで厚生労働省は、子供の医療費無料化、つまり、窓口の無料化を行っている自治体に対しては、その自治体の国保の国庫負担を減額するという減額調整措置を行ってまいりました。これは本当にやめてほしいと自治体からも声が上がっておりまして、高市大臣も求めていただいたと思いますけれども、いよいよ未就学児までについては医療費助成についての国保の減額調整をしないというふうになったと伺いましたが、その理由について、まず厚生労働省に伺います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 子供医療費助成に係ります国保の減額調整措置につきましては、昨年六月二日に閣議決定されましたニッポン一億総活躍プランにおきまして、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会の取りまとめを踏まえまして、見直しを含め検討し、年末までに結論を得ることとされていたところでございます。

 これを受けまして、全ての市町村が未就学児までは何らかの助成措置を実施している実態、今議員がお示しされた資料でございます、また未就学児の自己負担割合は三割ではなく二割としていること、また地方団体、関係審議会での御意見等を踏まえ、検討を行いました。

 その結論といたしまして、自治体の少子化対策の取り組みを支援する観点から、平成三十年度より、未就学児までを対象とする医療費助成について減額調整措置を行わないこととしたものでございます。

畑野分科員 それでは、未就学児までの医療費助成について減額調整措置を行わないことによる国庫調整額は幾らになるのかということと、私はさらにこれは進めるべきだというふうに思っておりますので、同じく小学生、中学生、それぞれ国庫調整額の試算について伺います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 医療費助成に係る国保の減額調整措置の国庫調整額でございます。平成二十六年度で申し上げますと、未就学児で約六十二億円、あと、小学生以上まとめまして、中学生も含めまして約三十・八億円となっております。

 議員御指摘になりました小学生と中学生を区分した国庫調整額につきましては、正確な数字を把握しておりませんけれども、社会保障審議会医療保険部会で一定の仮定を置いた数値を示しておりますので、その数値を紹介させていただきますと、小学生で約二十億円、中学生で約十億円となっております。

畑野分科員 そうしますと、今回の未就学児の医療費助成の減額調整措置の廃止に伴う国庫調整額は約六十二億円。そして、それに対して、今後ぜひ進めてほしい、小学生の部分でいえば二十億円、中学生の部分でいえば十億円という試算が出ている。本当にあとちょっとということだと思うんですね。

 それで、先ほどの資料にありますように、ほとんどの自治体でやっていらっしゃる。小学生でも、助成なしはわずか二%。九八%の市町村で、入院でいえばやっているということですよね。そういう点でいいますと、これは本当にやろうと思えばできるということだと思います。

 それで、昨年十二月二十二日の地方六団体による共同声明では、子供の医療費にかかわる部分は、「子どもの医療費助成に係る国庫負担減額調整措置については、今後、全面的な廃止を求める。」というふうになっております。また、昨年三月二十九日の全国知事会、市長会、町村会の要望では、「国の責任において、子どもの医療に関わる全国一律の制度を構築すべきである。」というふうに述べられております。

 高市総務大臣にお伺いいたします。

 子供の医療費について、本当に子供のためにと、地方の皆さんが頑張っていらっしゃいます。そうした声に、どのようにお応えになるおつもりでしょうか。

高市国務大臣 毎年度、概算要求の時期に、概算要求基準の閣議了解時に、各府省の大臣、副大臣に対して、地方財政に関して取り組んでいただきたい事項について要請をしています。

 委員も御承知のとおりですが、厚生労働省に対しては昨年の八月二日に申し入れを行っていて、その中で、乳幼児医療費助成に係る国民健康保険の国庫負担金の減額調整措置については、見直しを含めて検討し、年末までに結論を得るとされていることを踏まえて、廃止するなどの見直しをされたいということ、それから、乳幼児医療費の自己負担のあり方については、医療保険制度を含む全国的な制度での対応もあわせて検討されたいということをお願いしております。

 平成三十年度以降、減額調整を行わないとされたことについては、地方側から評価をしていただいていると承知しておりますが、先ほど委員がおっしゃった声明が出ていることも承知していますので、制度を所管される厚生労働省において、引き続き地方の御意見もよく踏まえながら対応していただけると期待をいたしております。

畑野分科員 私も、二〇〇一年、参議院議員として国会におりましたときに、参議院の本会議で、全会一致で、乳幼児医療費の国庫助成を重点的に取り組む、そうした国会決議を上げさせていただきました。本当に、皆さんの、国会挙げてこれをやろうというふうにしているわけですから、ぜひ、国としての責任、進めていただきたいと思うんです。

 少なくとも、国としての減額調整措置というペナルティーは全廃する、そして、地域では、所得制限や一部負担など、本当に自治体の格差があるという状況がありますから、さらなる政策として、国としての全国一律の子供の医療費無料制度をぜひつくっていただきたい、そのことを強く求めたいと思います。

 次に、そうした若い方たちを含めて、安心して暮らしていける、あるいは家庭生活を営むことができる、子育てもできるという点で必要なのは、やはり雇用の問題、もう地域からはたくさん不安の声が上がっております。

 まず最初に、東芝のことを伺います。

 東芝では、かねてから粉飾決算が発覚して、二〇一五年決算で赤字転落に陥って、一万人規模のリストラが行われてまいりました。五十代の男性は、不正会計問題を受けたリストラで、数週間以内に早期退職か配置転換かを選ぶように迫られたという声も報道されております。

 さらに、今回、東芝の連結子会社の米ウェスチングハウスの原子力事業において約七千億円の巨額の損失が見込まれるということで、東芝からは、リストラを進める姿勢だということも伝えられているわけです。この点では、これまでの一万人リストラ、そして今後の対応、この両面が強く求められていると思うんです。

 そこで、大きく二つの点をまとめて伺いたいんです。

 一つは、この間、東芝の大量雇用変動届や再就職援助計画、これがどうだったのか、実態を調査して明らかにする。その上で、その再就職援助計画対象者について、二〇一三年にその就職状況を特別集計としてやってきたわけですから、一万人のこのリストラ計画についても、まさにこういうときに調査をして行うべきだと。

 さらに、労働移動支援援助金というのがあるんですが、その効果の検証をしているというふうに伺っているんですが、東芝ではどのように活用しているか、この点についてまず伺いたい。

 あわせて、今後の問題ですが、私は川崎市内の方から伺いましたのは、市内には、マイクロエレクトロニクスセンターや半導体技術センターなど、重要な東芝の部門がある、さらに関連グループ会社や協力会社も多い、一体どういう影響があるのか、大変心配の声が上がっている。そういう点では、ぜひ雇用対策本部を立ち上げる必要があるんじゃないかという声が上がっているんです。

 大きく言ってこの二つの点について、どのような対策をとるのか、伺います。

坂根政府参考人 お答えいたします。

 まず、東芝という個々の企業についてのお話でございますけれども、個々の企業の経営に係りますことですので、一般論としてお答えをしたいと思います。

 お尋ねの大量雇用変動届あるいは再就職援助計画は、事業所が三十人以上の離職者を発生させる場合に作成し、公共職業安定所長に提出するものであります。

 それらが個別の企業から提出されているかどうかについては、今申し上げましたとおり、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 また、私どもも、労働市場分析レポートという形で、再就職援助計画の対象者について調査をしたことがあります。これは我が国全体の雇用動向を把握する観点からの調査でありまして、今後も同様の調査を行うかどうかについては、必要に応じて判断をしていきたいと考えております。

 また、労働移動支援助成金の支給実績、これも全国の一般的な状況を申し上げたいと思います。

 この助成金は、再就職援助計画の対象となった方々の再就職支援を目的とする助成金でございます。その活用による再就職の実績を申し上げますと、平成二十七年度は、大企業が三千百七十五人、中小企業が千三百二十人の計四千四百九十五人を対象としております。また、平成二十八年度、今年度でありますが、十月末までの数字を申し上げますと、大企業が千八百五十八人、中小企業が千一人の計二千八百五十九人となっているところでございます。

 最後に、雇用対策本部について申し上げます。

 この本部につきましては、雇用調整の規模が大きく、地域経済あるいは雇用への影響が懸念される場合に、必要に応じて地方公共団体あるいは地域の関係団体と連携しながら設置し、離職された方々への再就職支援を行っているものでございます。

 引き続き、こうした取り組みを通じて、事業規模の縮小を余儀なくされた企業の労働者の再就職支援に努めてまいりたいと考えております。

畑野分科員 二〇一三年の厚生労働省職業安定局の通知の中でも、雇用対策本部の役割について書かれていますけれども、的確な情報収集を行う、そうしたことを報道機関等に適切にやはり発表するんだということが言われているわけですね。ですから、この間のことについても、今後のことについても、やはり住民が、国民が知りたいということについてはきちっと今後発表していくべきだということを私は申し上げておきたいと思うんです。深刻な問題が起こっているということです。

 さらに伺いたいのは、定年退職にかかわることなんですが、高齢者等の雇用の安定等に関する法律というのがあります。労働者、国民の平均寿命や健康寿命が延びて、年金支給年齢を引き上げたことに対応して、年金支給までの間に労働者の暮らしを支えるために、まともに生活できる賃金が得られる雇用を確保するということでつくられているんです。

 ところが、私が先日伺った例ですけれども、例えば、日立の雇用延長の制度は、六十歳を迎える労働者に対して、それまでどおり週五日を提示される労働者もいるけれども、多くの労働者から伺っているのは、雇用延長はしても週一日もしくは二日しかない、どうしたらいいかと。やめるか、一日でも働くか、そういう選択を迫られて、結局、退職を余儀なくされているという状況なんですね。

 このような労働条件というのでは、やはり、法律の趣旨からいっても、実質的に法令違反になるのではないかというふうに思いますけれども、そういう点では、きちっと生活が安定できるような指導を行うべきだと思いますが、厚生労働省、いかがでしょうか。

坂根政府参考人 まず、基本的な考え方を申し述べます。

 高年齢者雇用安定法に基づく雇用確保措置につきまして、具体的な労働条件は、あくまでも労使の合意で決まるものと考えております。ただ一方で、その際、企業は、私どもの指針等にも書いておりますけれども、合理的な裁量の範囲の条件を示す必要があると考えております。

 具体的には、継続雇用されている高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮し、適切なものとなるよう努めるという、この法律に基づく指針の中身、内容を踏まえたものであることが必要であると考えております。

 継続雇用時の労働条件の提示に当たりましては、各企業においてこうした指針の趣旨を適切に踏まえていただくとともに、労働契約の締結時に当事者間でよく話し合っていただくよう、今後とも、都道府県の労働局あるいはハローワークを通じまして、周知や指導助言に努めてまいりたいと考えております。

畑野分科員 一方的に決まるということではなくて、労使の合意、労働者の意見もよく踏まえるということで、確認をいたしました。

 次に、鉄鋼業での労働災害死亡事故の問題です。働き続けるという点では、本当にこうした事故のない職場環境にしていくことが喫緊の課題です。

 鉄鋼業で、昨年一月から二月に労働災害死亡事故が六件連続して発生して、腐食した設備のもと転落死をするという痛ましい事故も、川崎市でも全国でもありました。

 昨年のこの二月の分科会で、私、経済産業大臣に質問をさせていただきまして、大臣からも、本日午前にも厚労省とともに鉄鋼各社に対して速やかに対策を講じるように指示をした、半年以内をめどに実施報告を提出するように指示を行いましたと約束をしていただきました。その実施報告について、どのようになっているか伺います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、昨年二月二十五日の予算委員会においてお答え申し上げたように、当省では二月十七日、日本鉄鋼連盟に対して、屋外や厳しい環境下に置かれている機械設備の周辺、通路などを含め、従業員が立ち入る全ての場所の安全性を確認することを要請したところでございます。

 また、二月二十五日には、厚生労働省とともに、鉄鋼各社に対して、安全性を確認した結果、安全対策を講じる必要がある箇所については速やかに対策を講じ、半年以内をめどに実施報告を提出するように指示を行ったところでございます。

 これらを踏まえ、日本鉄鋼連盟からは昨年九月に報告があったところですが、その内容としては、まず第一に、二月二十五日付で鉄鋼連盟から会員各社に緊急要請文を発出し、安全管理体制の再確認及び墜落、転落災害防止対策の徹底を要請したということ、第二に、当省が要請を行った以降に会員各社が緊急的に実施した安全対策についての情報収集及び共有を行ったということ、第三に、七月十五日に厚生労働省が鉄鋼各社に対して安全管理体制の分析結果を公表しましたが、日本鉄鋼連盟として、その結果を会員各社に対して速やかに各事業所に周知徹底するように要請したというところでございます。

 なお、日本鉄鋼連盟は、九月に当省に対して実施報告を行った後にも、安全管理対策及び経年設備について必要な対策を進めております。

 具体的には、安全管理体制については、厚生労働省の分析を踏まえ、まずは会員企業の安全衛生教育や作業マニュアルの作成、遵守状況、機械等の更新について確認を行うとともに、必要な見直しを要請いたしました。また、今後の取り組みとして、事業所のトップから現場第一線までの安全意識のさらなる向上、リスクアセスメントのレベルの向上、非定常作業の手順の明確化、さらには協力会社との連携強化等の方策について進める予定としております。

 経年設備についてでございますが、厚生労働省が十二月二十二日に行った分析結果を踏まえ、会員企業に対して、計画的な設備の更新、優先順位を踏まえた設備の定期的な点検、補修等の必要な対策を講じるように促すとともに、その実施をフォローアップしていくということにしてございます。

畑野分科員 今後どのように進められるのか、特に推進の方向についてあれば、お答えください。

佐藤政府参考人 今の答弁の繰り返しになりますけれども、実は、九月以降に進めておるこの安全管理対策それから経年設備の対策については、現在進行中でございますので、これをしっかりと進め、また、そのフォローアップをしていくということになるかと思っております。

畑野分科員 厚生労働省の方からもお願いします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、昨年初頭に鉄鋼業で死亡災害が相次いだということを受けまして、昨年二月に全国の鉄鋼事業者に対し、安全管理の強化、それから高経年設備への対策を促すための自主点検の実施を要請しました。

 この自主点検を踏まえ、昨年七月に業界団体に対して、しっかり事業場のトップの方々が指示をして安全対策に取り組むよう要請しました。また、十二月には、高経年設備に対する自主点検の分析結果を私どもは公表しまして、それに基づく計画的な設備の更新といったものを優先順位をつけてしっかりやっていただくように促してきております。

 今後とも、経済産業省としっかり連携しつつ、引き続き鉄鋼業の労災防止に努めてまいりたいと考えております。

畑野分科員 昨年は、前年を上回る十三人の労働災害死亡事故が起きているんですね。もう二度とこういうことがないように、しっかりとやっていただきたいと思います。

 あわせて、建設アスベストの被害についてです。

 アスベストを吸い込んで肺がんや中皮腫を発症したということで、建設労働者の皆さん、職人の皆さん、遺族の皆さんが国と建材メーカーを相手に損害賠償を求めた訴訟では、十四日、札幌地裁は国に対する賠償を命ずる判決を言い渡しております。南は福岡、北は北海道まで、五たび国の責任が断罪された地裁の結果です。もう被害は確実、国の責任は揺るぎないものになったわけです。

 判決文の中で、国だけではなく建材メーカー、建設関連企業も一緒に、建設作業員がこうむった被害を補填するために何らかの制度を創設する必要がある、立法府及び行政府の政策判断を待つしかない、このように言っているわけです。

 もう国が動くときではないでしょうか。国と企業が、被害に遭われた方を救済するために、何らかの制度、すなわち基金制度を創設すべきではないかと思いますが、いかがですか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 建設作業従事者のアスベスト被害につきましては、現在、国及び建材メーカーを被告とする複数の訴訟が係争中でありますので、国の主張は引き続き裁判の中で明らかにしていくことといたしております。

 石綿による健康被害に遭われた方々に対しては、現在、労災保険制度や石綿健康被害救済法に基づく給付制度などに基づき救済を図っているところであり、こうした制度の的確な運用を図ってまいります。

 厚生労働省としては、引き続きしっかりとこれらの対策に取り組んでまいりたいと考えております。

畑野分科員 だめですよね。今ある制度はもちろんなんです。しかし、国と企業が責任をきちんと認めて、謝って、そして、裁判によらずに補償していく、そのことが、二度と被害者を出さない、アスベスト被害は根絶していくという国の本気の姿勢を示すことになるわけです。

 全国建設アスベスト訴訟の本人原告六百六十八人のうち、半数以上がもう亡くなっているんです。待ったなしだということで、対応を私は求めたいと思います。

 こうした建設労働者の皆さんが健康をどういうふうに保持していくかということで、昨年十二月、臨時国会で、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律が全会一致で可決、成立いたしました。この点について、基本計画の策定が義務づけられていますが、専門家会議なども設置されて、これは、現場労働者の声も聞いて実効性ある計画にするべきだ、全建総連などもそういう声を上げているわけですが、この点についていかがでしょうか。

木原政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、法律第八条に定める、政府が策定する建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画、すなわち基本計画につきましては、厚生労働大臣及び国土交通大臣が関係行政機関の長に協議した上で基本計画の案を作成し、閣議決定を求めることとなっております。また、法の第十五条では、関係行政機関相互の調整を行う建設工事従事者安全健康確保推進会議、及び建設工事従事者の安全及び健康の確保に関し専門的知識を有する方々によって構成される建設工事従事者安全健康確保推進専門家会議を設置することが求められております。

 基本計画につきましては、このような場を通じ、現場労働者のお声も含めて建設業に従事される方々や専門家の御意見をお伺いしながら作成していきたいと考えております。

畑野分科員 そこで、高市大臣に伺いたいんですが、基本計画の策定は、都道府県に対しては努めるというふうになっております。建設産業は地域性のある産業で、やはり、地域の実態に即した実効性のある計画にしていくためにも、都道府県で策定をしていくように働きかけていくことが必要ではないかと思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

高市国務大臣 この法律には私自身も大変思い入れがございます。建設現場で働いておられる職人の方々が、もう何年も前になりますけれども、自分たちの安全を、健康を確保するために法整備が必要だということで立ち上がられて、まだ一国会議員の立場として、勉強会の段階から参加をしてまいりました。

 昨年の十二月にこの法律が成立して公布となりましたので、早速、総務省、大臣室でも指示を出しまして、既に、ことしの一月、二月にかけて全国十ブロックで開いておりますブロック会議でも、法の趣旨の説明を行ってきています。さらに、近いうちに、文書で改めて地方公共団体への周知徹底、協力依頼も行います。

 都道府県における計画策定の取り組みをしっかりと促して、実効性のあるものにしていきたいと思っております。

畑野分科員 ぜひ進めていただきたいと思います。

 最後に、ホームドアのことについて一つだけ聞かせてください。

 中間取りまとめが出ましたけれども、川崎市内のホームドアの設置計画について、武蔵小杉でどのようにするのか、横須賀線についてどうするのか、南武線についてどうするのか、そこだけ伺いたいんです。

 つまり、今、超高層マンションが建って、本当にまちづくりが大変になっているんです。またこれは今後時間があるときに質問したいと思いますが、その点についてだけ伺って、質問を終わります。

武藤主査 申し合わせの時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

潮崎政府参考人 ただいまの御質問ですが、武蔵小杉の駅につきましては、二十一年度末に横須賀線の駅が開設されて以来、利用者が増加しておりまして、駅の混雑の緩和が課題となっているということは私どもも認識をしております。

 ホームドアの設置についてでございますが、現在、川崎の市内、東急の駅を中心についているところがあって、今後の計画がございますけれども、今後、JR東日本では、川崎駅にはつけるという計画が明らかになってございますが、武蔵小杉については今現在まだ計画はございません。

 南武線につきましては、今後、新しい車両が入ってまいりますので、その車両に統一をされるという過程について、設置に向けた検討がなされるものと私どもは考えておりますが、横須賀線のホームは、御承知のとおり、後からつくったホームで、周辺の土地の状況や構造的に極めて制約の高い状況になってございますのと、また、複数の特急、タイプの異なる特急の車両を含め、横須賀線も編成が違う車両が発着するということで、なかなか直ちにホームドアの設置というのが見通せない状況になっております。

 そうした中で、東日本でも、平日の最も混雑する時間帯に、駅員や警備員の配置を充実させるとか、あるいは少しでも被害を軽減させるために、非常通報装置、それからそれに加えまして転落検知マットの設置などを行っているところでございます。

 私どももこれは重要なテーマであると考えておりますので、引き続き、人的対応の充実を図るとともに、少しでも何らかの方策ができないか検討を行って、最大限の取り組みを促してまいりたいと考えております。

畑野分科員 終わります。

武藤主査 これにて畑野君枝君の質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会


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