衆議院

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第1号 平成30年2月23日(金曜日)

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本分科会は平成三十年二月二十一日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      河村 建夫君    橘 慶一郎君

      平井 卓也君    平沢 勝栄君

      逢坂 誠二君    大西 健介君

      原口 一博君

二月二十二日

 橘慶一郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十年二月二十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 橘 慶一郎君

      河村 建夫君    黄川田仁志君

      国光あやの君    佐藤 明男君

      田所 嘉徳君    平井 卓也君

      平沢 勝栄君    逢坂 誠二君

      大西 健介君    原口 一博君

   兼務 繁本  護君 兼務 高木  啓君

   兼務 本田 太郎君 兼務 渡辺 孝一君

   兼務 櫻井  周君 兼務 西村智奈美君

   兼務 小熊 慎司君 兼務 太田 昌孝君

   兼務 黒岩 宇洋君 兼務 宮本 岳志君

   兼務 串田 誠一君

    …………………………………

   総務大臣         野田 聖子君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   総務大臣政務官      小倉 將信君

   総務大臣政務官      小林 史明君

   国土交通大臣政務官    高橋 克法君

   内閣府大臣政務官     武部  新君

   衆議院法制局長      橘  幸信君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           宮地  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           吉田 眞人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        池田 憲治君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  今林 顯一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       巻口 英司君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            渡辺 克也君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    千野 雅人君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   谷脇 康彦君

   政府参考人

   (消防庁次長)      緒方 俊則君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吾郷 進平君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  平沢 勝栄君     田所 嘉徳君

  大西 健介君     源馬謙太郎君

  原口 一博君     広田  一君

同日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     佐藤 明男君

  源馬謙太郎君     岡本 充功君

  広田  一君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     国光あやの君

  岡本 充功君     奥野総一郎君

  福田 昭夫君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     黄川田仁志君

  奥野総一郎君     大西 健介君

  菊田真紀子君     原口 一博君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     平沢 勝栄君

同日

 第一分科員西村智奈美君、太田昌孝君、第三分科員本田太郎君、第四分科員高木啓君、櫻井周君、第五分科員渡辺孝一君、黒岩宇洋君、第六分科員小熊慎司君、宮本岳志君、第七分科員串田誠一君及び第八分科員繁本護君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

橘主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました橘慶一郎でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。野田総務大臣。

野田国務大臣 おはようございます。

 平成三十年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、現下の重要課題に的確に対応しつつ、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算という政府の方針のもと、総務省として、地域経済の好循環の拡大と地方の一般財源総額の確保、ICTによる経済成長の実現、暮らしやすく働きやすい社会の実現、防災・減災、復旧復興、国民にとって効率的で利便性の高い行政基盤の確立に特に力を入れて取り組むために編成したものであります。

 一般会計の予算額は、十六兆九百六十九億円であります。

 以下、事項等の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願いいたします。

橘主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申出がありました総務省所管関係の予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

橘主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木啓君。

高木(啓)分科員 おはようございます。自由民主党の高木啓と申します。

 私は、昨年十月の衆議院選挙で初めて議席をお預かりをさせていただくことになりまして、きょうが初めての国会での質問でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 衆議院議員に就任をする以前は、私は東京都議会議員を務めておりまして、その前は、私の地元、東京都北区の区議会議員を務めておりまして、そういう意味では、ずっと私は地方議員を務めてまいりました。

 そうしたことから、地方自治あるいは地方分権、そうしたことに非常に今までも興味を持って取り組んでまいりましたので、きょうは、第二分科会の質疑、特に地方分権改革についてお伺いをさせていただきたいと存じます。

 私、まさに今地方分権改革を進めるに当たって、最終的にというか究極的に、地方分権というのは国家の統治機構をどうするかということになるんだろうというふうに思っています。

 最近の地方分権改革の流れというのは、平成二十一年の地方分権改革推進計画を踏まえて、平成二十三年、第一次一括法に始まりまして、現在、第八次一括法を提案するところまで進んできたということでございます。この間の総務省を始めとする皆様方の御尽力には大変敬意を表するものでございます。

 しかしながら、この地方分権というのは、よく考えてみますと、最近始まったという課題ではありませんで、このことは長い歴史の中でずっと我が国が取り組んできた一つのテーマであったと私は思っております。

 特に、ことしは明治百五十年ということがよく言われますが、明治維新以来、実は、地方分権というのは我が国にとっては大変大きな課題でありまして、明治維新以来、我々の先人は、地方をどう治めるかということに対しては物すごい情熱を持って取り組んできたと私は思っているわけであります。

 例えば、私が所属をしておりました東京都議会は、東京が明治維新以来設立をされて、東京府であったわけでありますけれども、明治十一年には既に東京府議会議員選挙を行っておりまして、明治十二年の初頭に東京府議会の第一回、最初ですから臨時議会ですね、臨時議会が開かれているわけであります。

 つまり、我が国にとって非常に重要な課題であった憲法の制定、そして国会の開設、そうした明治の一つの流れの中で、国会開設が明治二十三年でございますから、それに先立つこと十一年前に、実はもう既に地方議会は開設をされていたということで、地方分権とよく言いますけれども、実は政治的には、地方の方がそういう制度を先に整えたというか、一つの試験的なモデルをつくって、それから国会開設にずっと流れてきた。つまり、地方をどうするかということの方が政治的には先に進んできたというのが事実だろうというふうに思っているわけであります。

 一つの我が国の地方分権の研究といいますか、そういうことを一番最初に学術的にやったのは多分福沢諭吉だろうというふうに思っておりまして、明治十年に福沢諭吉は「分権論」という論文を書かれております。

 福沢は、このときに、この「分権論」の中で、国家の権力、いわゆる国権というものを政権と治権というふうに分けたと言われています。政権というのは国の権力、そして国はどういう権力を持って国家を治めていくか。そして、地方はどういうふうに治めていくかという意味で、治める権力と書いて、治権というものを考えた。この二つを分けて考えたということであります。

 この国権と治権というのは、実は、今でも地方分権を考える上では非常に示唆的な考え方でありまして、福沢は、当時、明治の時代に、国権、国は何をやるべきかということを五項目にわたって考えました。一つは、一般の法律を定めること。二つ目には、徴兵令を行って海陸軍の権をとること。三つ目には、中央政府を支えるがための租税を取ること。四つ目は、外国交際を処置して和戦の議を決すること。五つ目は、貨幣をつくりてその品位、名目を定めること。これが国の権限であり、権力だと。

 そして、一方で地方は何かということは、地方も五つに分けて、一つは、警察をつくって治安を維持すること。二つ目には、道路、橋梁、堤防の営繕、いわゆる社会資本を整備しよう。三つ目には、学校、社寺、遊園の整備。四つ目には、衛生を管理すること。五つ目には、地方の行政を進める上での費用を取り立てること。この五つをそれぞれ考えて、「分権論」の趣旨がこういうことになっているわけであります。

 もう一方で、憲法の問題については、これも、早稲田大学をつくった小野梓という人がいますが、これは大隈重信と一緒に早稲田大学をつくった人ですけれども、小野梓は「国憲汎論」を明治十七年に上梓をいたしまして、このときも、小野はこう言ったんですね。日本は地方自治の制によるべしと断言すべきと言ったわけであります。

 それはなぜかというと、いろいろなメリットはあるというふうに言っておりますが、その大きな一つは、地方分権によって、中央に人材が集中するのを防ぐこと、つまり、地方に人士をたくさん集めるというか、中央にだけ偏らないように、いわゆる日本全体を見て政治の仕組みをつくるべきなんだ、こういうことを言ってきたわけであります。

 さて、今申し上げた明治のエピソードでありますけれども、以来、さきの大戦を経て長い歴史を持った地方分権の議論なんですが、まず、安倍内閣として、この地方分権というものはどうあるべきと考えているのかということをお伺いさせていただきたいと思います。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 地方分権改革の推進は、地域がみずからの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものでありまして、地方創生においても極めて重要なテーマであります。

 国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現するため、国は外交、安全保障など国家の本来的任務を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体が担っていくよう地方分権に取り組むことは重要であります。

 二十年を超える取組を経まして、平成二十六年からは、国の委員会勧告にかえまして、地方の発意に根差した提案募集方式を導入しておりまして、平成二十九年も、地方からの提案に対する対応方針を先般閣議決定し、その実現を図ったところでございます。

 ただいま高木委員からも豊富な地方分権に対する見識を御披瀝いただきました。私も地方議員出身でございますが、今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立ちまして、地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいりたいと考えております。

高木(啓)分科員 今、長坂政務官から大変前向きな答弁といいますか、取組に対する情熱を語っていただいたわけでありますけれども、地方分権を考える上で、自治体というものがどうあるべきかというふうに考えるのは大変大事な視点だと思っております。

 この間、我が党の中でも、憲法改正推進本部の中で、地方はどうあるべきかという議論はずっと行われてきたわけでありまして、先般、私も憲法改正推進本部の議論に参加をさせていただいたんですが、地方自治体の種類とかそれから役割、これを憲法に明記すべきかどうかという議論も実は結構活発にございまして、今それが推進本部の中でどう取りまとめられるのかというのは極めて興味深いところであります。

 そこで、安倍内閣として、地方自治体ということを考えたときに、自治体というのはどうあるべきなのか、これは一般論も含めてですけれども、自治体はどうあるべきかということをぜひ御答弁いただけないでしょうか。

小倉大臣政務官 お答えを申し上げます。

 人口減少や少子化が進む中におきましても、地方公共団体におきましては、みずからの課題に自主的、主体的に取り組みつつ、持続可能な形で行政サービスを提供していくことが重要である、このように考えております。そのためにも、各地方公共団体において、効率的で利便性の高い行政基盤を確立していくとともに、地方公共団体間の連携や外部資源の活用を積極的に進めていくことが重要であると考えております。

 また、地方公共団体が持続的な形で行政サービスを提供していくためには、その裏づけとなる税財源が不可欠でありまして、こうした観点からは、地方税や地方交付税など、地方が自由に使える安定的な税財源基盤を確保していくことが重要だというふうに思っております。

 結論といたしましては、総務省としては、地方公共団体が置かれた実態に即して自立した行財政運営ができるよう、法律や予算などさまざまな政策手段を総動員して取り組んでまいりたい、このように考えております。

高木(啓)分科員 地方自治体が自主的そして主体的に取り組む、主体的にあるべきだというのが一つのキーワードだと私は思っています。

 私は、ずっと地方議員をやっていましたので、やはり、地方は活力を持つことと、それから、できるだけ自立した地方自治体を目指していく、これは原理原則だと思うんです。

 そのために、では国の役割は何なのかということが一方で問われるわけでありますが、地方が自立的、自主的、そして活力を持って主体的にいろいろな事業に取り組んでいくためには、やはり権限と財源とそして事務事業というのがセットで、一体でなければならないと思っていまして、つまり、地方分権一括法もそうでありますが、そうした一つのパッケージの中で権限移譲を行い、そして、税財源の移譲、そして事務をとり行うための権限、そういったものが一つのパッケージとして地方に受け渡されていかなければならないんだろうと思うわけであります。

 これは一つの研究テーマだと思うんですが、私は地方議会にいるときにずっと地方税法というのに非常に興味を持っておりまして、地方税法、地方がその地域の住民に対して課する税金というものが、地方で課税自主権があるにしても、基本的にはほとんど全てが地方税法の世界の中で行われている。つまり、地方税法というのは法律でありますから、当然、国会がこれを決めるわけでありまして、課税自主権とはいいながらも、なかなか地方には、そうした税に対する権限というのは限られているというふうに思っておりました。

 中で一つ象徴的なのは、この間ずっと激しい議論が行われていましたけれども、やはりゴルフ場利用税というのは、一つの研究テーマとして私は格好の材料だと実は思っているわけであります。

 このゴルフ場利用税は、もうずっと議論されていますから内容については省きますけれども、これは地方税法第四条の第二項に書かれている法定普通税ということになっています。

 ゴルフ場利用税の議論は、一つには、スポーツに課税をするということがいいのかどうかというのがずっとテーマとしてあって、もう一方では、存続してほしいという議論の趣旨は、当然、もう既に税目として、財政の、収入に占める割合が大変多いので、それを廃止されたら困るということのせめぎ合いだったと思っています。これは幾ら議論をしても多分平行線で、交わるところは私はないと思うので、ですから、自民党税調の中でも、将来的に議論をしていく課題というふうに取りまとめを行われたと思っています。

 地方税法の第四条の二項というのは、先ほど小倉政務官も御答弁された地方の主体性とかあるいは自立とか、そういうことを考えたときに、課税自主権ということを考えたときに、ゴルフ場利用税のような、こういういわゆる、もとをただせば娯楽施設利用税で、消費税と同時に全ての娯楽施設利用税は、ゴルフ場利用税以外は全部廃止をされて、ゴルフ場利用税だけ残ったんですけれども、こういうものが、取らなければならない、課さなければならない、いわゆる法定普通税として、課税自主権をある意味では制限をしながら地方税法の中でずっとこれが残っているということは、本当にこれは地方自治にとってふさわしいのかどうかということを私はずっと考えておりました。

 その点について、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 ゴルフ場利用税については、ゴルフ場が道路整備など地方団体の行政サービスに密接な関係を有していることや、その利用者に十分担税力が認められることなどに着目して課税されるものであり、特に過疎地域など財源に乏しい市町村の貴重な財源になっている事実があります。

 現行のゴルフ場利用税では、法律上、統一した課税方式のもと、制限税率が千二百円ですが、負担の上限が定められています。しかしその一方、都道府県の判断によって、ゴルフ場の整備の状況等に応じた多様な税率設定ができるなど、地方団体の自主性に十分な配慮がなされているほか、地方税としてふさわしい応益性等も有することから、引き続き、全国共通の法定税として位置づけられることが適当と考えています。

 自民党のこのゴルフ場に関する議論というのはずっと長らく続いていまして、ただ、問題になるのは、地方の自由に任せればいいという議論よりは、なくした方がいいという議論がある中で、これまでは、地方自治を進めるに当たって必要な、特に財政の脆弱な過疎にとっては大変大きな収入源であるということで、私も維持していただきたいという意見を聞いてきたところです。

高木(啓)分科員 私は、ゴルフ場利用税はなくさない方がいいと実は思っています。なくさない方がいいんです、この税金は。なくさないで、地方に、課税をするかしないかということを考えていただくことがいいと思っている。それが地方自治だというふうに私は思います。

 ですから、地方税法の第四条の二項に今あるんですが、これを第四条の三項に移していただくということが、私は、本来の地方分権としては一番いい方法だと思います。

 つまり、それは何かというと、課することができるという任意税にしていただくということです。そうしますと、課税をしなくてもいい自治体、そして、私のところは絶対に課税をしなければだめなんだという自治体、それぞれ出てくると思います。これは基本的には都道府県税ですから、都道府県でそれが決まると思います。

 そして、そのことを、仮にA県は課税をします、B県は課税をしませんといったときに、ゴルフ場の利用者は、A県に行ったら課税されたけれどもB県に行ったら課税をされなかったといったら、多分、A県は何で課税をしているんだという話が出てくると思います。逆に言えば、B県はなぜ課税をしなくていいんだという議論が出てくると思います。そのときに、地方自治体が、いや、我が県はこれこれこういう理由だから課税をしなければならないんだということを説明するということが、本来の地方分権であり、地方の役割だと思うんですね。

 ですから、野田総務大臣がお答えになられたことはまさにそのとおりなんですけれども、一律に課税をするということで、逆に言うと、地方が楽をしているんだと私は思っていますよ。一律に課税をするということで、いや、これは税法で決まっているから税金を取るんだというのは一番簡単な方法です。

 しかしながら、地方が、本当にゴルフ場の利用者に、我が県はこれこれこういう理由だから課税をしなければならないんだということを御納得いただく努力を今までしていないわけですから、そのことをしていただくということの方が、私は、地方の自立性であり自主性であり、地方分権にかなっているというふうに実はずっと思ってまいりました。

 ですから、真の意味で、地方を自立的に、そして自主性を持って自治体を運営していただくということを、国の方で、そして総務省で、それを一つの考え方として導いていただくということがあるとすれば、一つの例を出しましたけれども、ゴルフ場利用税のようなものは、課税自主権という考え方で、ぜひ地方に、本当に課税をするのかしないのかというのを地方で判断をしていただけませんかというふうに私はぜひ方向性として持っていっていただきたいと思うんですが、御答弁いただけますでしょうか。

野田国務大臣 おっしゃっていることはそのとおりでありますが、実際には、このゴルフ場の利用税につきましては、先ほど申し上げたように、多様な税率設定は任せてあります。

 例えば、高知県なんというのは、ゴルフ場によって百七十円しか取らないところもあれば千円取るというふうに、それは地方の裁量に任せているところがあるので、事実上、百七十円というと、標準が八百円とセットしている中では相当めり張りがついた設定になっているということもあり、私としては、今の段階でも相当地方には裁量を委ねているところがあると思うので、今後、引き続き、税のあり方というのは大変幅広く、大きな、そしてたくさんの費目があるわけですから、しっかりと、自由にしたところ自治体の財源がしっかり担保できず住民生活をしっかり守れなくなるということでも相なりませんので、検討していかなければならないと思っています。

高木(啓)分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、地方を育てていくというか、地方を強くしていくという視点で、引き続き御検討いただければ大変ありがたいなと思っています。

 今、総務大臣がおっしゃられた不均一課税の話ですよね。一つの税の中で上げたり下げたりということ、あるいは、例えば高齢者に対する割引をしたりとか、子供たちは減額をしますよ、不均一課税。それも一つの方法で、今の第四条二項の中でそれをやられている。

 私が言っているのは、それもいいんですけれども、もう一方で、任意税にしていただくということも、一つの検討の課題として、ぜひ頭の片隅に置いていただければありがたいなと思います。

 もう一つ、地方分権改革で忘れてはならないのは、やはり、地方議会の権能強化だと私は思っています。

 地方自治は二元代表制でありますから、執行機関と議会というのはそれぞれが住民に選ばれているわけであります。ところが、私は長年地方議会におりましたのでよくわかるんですが、その権能に弱い面というのが非常にありまして、それはやはり調査能力と、そして条例制定のための研究とか課題の整理だとか、そういうことに対しては実は非常に弱い面があります。

 それは、一つには、やはりスタッフが足りないということもあると思っておりまして、地方議会の権能の強化ということに対して、総務省としてはどのようにお考えになられますでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 憲法九十三条で、地方公共団体に議事機関として議会を設置する、長と議会の議員は住民が直接選挙する、こう決めてあります。

 実は、国際的に見ますと、日本の地方議会というのはかなり強い権能を持っているというふうに考えております。

 もちろん、長は執行機関として、予算編成とか財産管理とか、統括代表権も含めて持っておりますが、議会の方は、先生御指摘のように、条例の制定、改廃という肝を握っておりますし、それから、地方税の賦課徴収に係る議決権、予算の決定ということで、議会は団体意思の決定をすることになっております。それから、予算の執行につきましても、契約議決だとか、いろいろな執行権に類いするところも地方議会としては持っている。国際的に見ますと、そういう意味では、相当強い権能を持っているというふうに思っております。

 それからまた、長に対する不信任議決も、プレジデンシャルシステムをとりながら更に有しているということで、全体としては相当に強い二元代表制、車の両輪になっているんじゃないかというふうに思っております。

高木(啓)分科員 今のお話は、制度として強い権能を持っているということだと思っておりまして、確かにそのとおりなんです。やはり一院制の議会というのは強いんですよ。ですから、歴史的に見れば、民主主義というのは、三権分立の中で、立法する議会というものに対する権限あるいは力、それを弱くするために二院制にしたという側面もあるわけですよ。ですから、民主主義における議会の権能とか権限というのは、今でもずっと議論は続いていると思いますが、一院制の議会は強いんです。

 強いんだけれども、私が言っているのは何かというと、議員がどれだけ議会の中でその強い権限を行使できるだけの条件を持っているかということを申し上げているわけであります。

 私は先ほどちょっとスタッフという話をしましたが、全国議長会は、従前から、スタッフの問題、いわゆる秘書を置くことができるという規定を自治法の中に入れてもらえないだろうかということをずっと議論してきましたし、あるときはそれが表に出てきたこともありました。

 こういった、地方議会に、全ての議会じゃないですよ、置くことができるですから、選択制にしていただいた上で、秘書を、我々議員に対するスタッフを置くということが可能かどうか、あるいは、それに対する見解があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

山崎政府参考人 先生御指摘のように、都道府県議会議長会を中心にかなり議論されてまいりました。具体的に、平成十年には、公設秘書というものを置くべきではないかという要望も受けております。

 そのときの議論でございますが、公設秘書の役割はどう考えるのか、つまり、議会の会期中、あるいは議会の活動としてのサポートをどうするのかということと、それから、いわゆる政務の活動をどういうふうに捉まえるのかということがございました。それから、現にあります議会事務局との関係、役割分担をどう整理するのか。それから、人件費に係る公費負担の範囲をどういうふうに考えるのか。そういうこともございまして、議論が続きました。

 現行、実は政務活動費になっておりますが、政務調査費というものがその議論の中で芽吹いてまいりまして、今は政務活動費に落ちついている、こういう経過をたどってございます。

高木(啓)分科員 時間もありませんので最後に伺うんですが、まさにそのとおりで、政務調査費が政務活動費になりました。ところが、政務活動費の問題については、今、全国でいろいろなことがニュースになるように、残念ですけれども、そういうことがよくニュースに出てきます。

 私も都議会議員をずっとやっておりましたが、私たち、実は都議会の時代に議論してきたのは、スタッフを置くことができれば政務活動費を全廃してもいいじゃないかという議論すらありました。そういうことも実は一つの考え方として議論をしてきたんですが、こういう点については政務活動費全廃でもいい、スタッフが置ければ、その点についてはいかがですか。これを最後の質問にします。

橘主査 山崎自治行政局長、簡潔にお願いいたします。

山崎政府参考人 御指摘のとおり、政務調査費で入りまして、平成二十四年に議員修正で政務活動費となって、かなり幅広く使えるようになってございます。

 そのときもやはり、先ほど申しましたように、公設秘書の関係も含めて議論になりまして、各党各会派で御議論いただいてこの形になっております。そういった意味で、ここに恐らく議論を及ばせるときには、各党各会派の御議論が必要になろうかというふうに思ってございます。

高木(啓)分科員 ありがとうございました。

橘主査 これにて高木啓君の質疑は終了いたしました。

 次に、黒岩宇洋君。

黒岩分科員 おはようございます。無所属の会の黒岩宇洋でございます。

 きょうは第二分科会、総務省所管ということで野田大臣にもお越しいただきまして、きょうは憲法の改正手続ということですので、国会法の改正やまた国民投票法案については、これは議員立法でありますので、国民投票法は総務省の所管と言いながら、実務については大泉選挙部長や橘法制局長にお聞きしながら、大臣には所感等をお聞きすることがあるかと思いますので、ぜひ政治家としてのお話もお聞きできればなと思っています。

 昨今、安倍総理が憲法改正を目指すと強い意欲をにじみ出しているわけです。マスコミを通じても、ともすればもう近々にも、今年中にも憲法改正かとか、来年は統一地方選や参議院選挙があるけれども、逆にことしは大きな選挙もないので、憲法改正ちょうどいいなんていう論調も聞かれているんですけれども、ただ、実務上、一体どうなのか。特に国民の皆さんから、本当にどんなペースでこの改正手続って進むのと。やはりリアルに感じ始めている皆さんから、いろんな疑問の声が地元でも聞かれてきます。

 というのも、この国民投票法の成立も二〇〇七年ですので、もう十年以上たっておりまして、私も記憶しています、当時、参議院選の直前でしたから、かなり慌ただしく成立しましたし、逆に言うと、参議院選挙の直前ということで、なかなかメディアを通してもその内容等が国民に徹底されていなかったかもしれないということを、当時の肌合いとしても覚えております。

 それから十年以上たちましたので、今申し上げたそのペースのこともそうですが、また、一言で改正といっても、よく聞かれるのは、改正に対して反対か賛成か、マルかバツかだけで意思表示すればいいのか、国民としては実際にはどういう意思表示の仕方をするのとか、非常に実務的なこともよく皆さんからお聞きするところです。

 そんなことも含めて、過去の議論についての確認をしながら、そして手続等を、この二〇一八年という、節目の年になるのかもしれませんけれども、改めてこの予算委員会の分科会にて、議事録にもしっかり残しておきたいですし、私も、政府や、また当時の法制局、法案作成の担当部長でありました橘法制局長官にも確認をさせていただきたいと思っております。

 まずは、簡単なところなんですけれども、これは橘法制局長、この改正案の発議に関する要件、国会議員の人数とか決められていますけれども、これは通常の法律案とは異なると思うんですけれども、この点についてお聞かせいただけますか。

橘法制局長 黒岩先生、御質問ありがとうございます。

 私ども衆議院法制局は、黒岩先生始め各先生方の議員立法のお手伝いをさせていただく部署でございまして、法律的に確定的な解釈を申し上げるような部署ではございませんが、せっかくの御質問でございますし、また、今も先生御指摘いただきましたように、当時お手伝いさせていただきました担当部長として承知している限りのことを御答弁申し上げたいと思います。

 憲法改正原案の発議要件は、通常の法律案よりも加重されておりまして、衆議院の場合には賛成者が百名以上、提出者お一人以上ですから、結局、百一名以上という形で初めて原案が発議できるということになります。

 なお、参議院においては賛成者五十名以上ということになっておりますので、発議者お一人以上ということですので、五十一名以上で改正原案は提出できるということになっていると承知しております。

黒岩分科員 ありがとうございます。

 加重要件が課されているということは重要なことだと思います。ただ、今の政治勢力でいうと、与党でもう三分の二、自民党だけでも衆議院百一名というのはもう軽く超えるわけですから、今の政治状況からすればこの発議要件というのはクリアしているなということがつぶさにわかるわけでありますが。そこで、やはり国会での議論が丁寧にされていくということは大変重要なことだと思っております。

 そこで、国会法の六十八条の三においては、こうありますね。「憲法改正原案の発議に当たつては、内容において関連する事項ごとに区分して行う」という、これは通常、個別発議の原則というわけですけれども、この個別発議の原則というものの内容と趣旨について、改めてお聞かせいただけますでしょうか。

橘法制局長 先生御指摘の個別発議の原則の趣旨につきましては、当時の法案の提出者でいらっしゃいました自由民主党の船田元先生、あるいは公明党の斉藤鉄夫先生などの御答弁によりますと、一つは、個別の憲法政策ごとに民意を正確に反映させる、そういう御趣旨、もう一つは、しかしながら相互に矛盾のない憲法体系を構築する、こういう御趣旨、この二つの要請を調和させた結果、先生御指摘のような条文になったものと承知しております。

 問題は、先生の御質問の御趣旨は、何が内容において関連する事項かということになってまいると思います。これについても大変な御議論がございましたけれども、その判断は、憲法改正を発議する国会自身が個別具体的な条文を踏まえて政治的あるいは政策的に総合判断をする、そのような旨が御答弁されているところでございます。

 以上でございます。

黒岩分科員 最終的な判断は国民の代弁者である国会ということは論をまたないところなんですけれども、今局長のおっしゃったとおりに、やはり内容については、個別ごとに民意を問うんだという、これは大変重要なことでありますし、そして、おっしゃりたいのは、逐条ごとといっても、憲法も一つの条文だけで完結しているとは限らないわけですよね。複数の条文にまたがりながら、内容が関連しているものがあるということは排除しないということですので。

 改めて確認しますけれども、これは逐条ごとではないけれども、あくまでも、内容についてこれは明らかに個別だなというものについては個別、例えば、十一年前の議論では、憲法九条と環境権についてはどうだといったときに、これが、簡単に言えば、当時の言葉でも抱き合わせという言葉が使われていますけれども、抱き合わせは可能か、こういったことに対しても、提出者の方からしっかりとした方向性が示されていると思うんですけれども、この点もあわせて長官の方からお答えいただけますでしょうか。

橘法制局長 先生御指摘のとおりでございます。一般によく誤解されるところがあるようでございますが、逐条ではございません。

 例えば、最終的に正式に受理はされませんでしたが、一院制を導入するための憲法改正原案が国会に提出されようとしたという事例があったかと存じます。

 一院制を導入するということになりますと、例えば、衆議院の解散について定める憲法第七条から国会について定める第四章の規定、そして、内閣との関係も生じてまいりますから第五章の規定、数十カ条の規定に及びますが、これは全体として内容において関連する事項だというのは先生御指摘のとおりでございます。そういうことですから、逐条ではないということは御指摘のとおりでございます。

 でも、他方、今先生も御紹介されましたように、九条の改正案と環境権追加の改正案が、これが一般的に考えれば、どうしても内容によって関連する事項とは思われないだろう、これは国民の丁寧な判断に委ねるために、別の憲法改正原案として立案し、国会が国民に御提案されるべきだ、そういう御答弁がしっかりとなされていたところかと存じます。

黒岩分科員 わかりました。

 そこで、今自民党内で推進本部で議論されていることが、これはもう報道で明らかになっていますけれども、いわゆる四項目ですね。九条、自衛隊といってもいいですけれども。緊急事態条項、そして、教育の無償化、さらには合区。

 これは、今の局長の答弁、これは十一年前の議論を踏まえた、法律をつくる方向性であるし趣旨でありますけれども、これに照らし合わせて、この四項目を丸々一緒に抱き合わせとか、ないしは複数で関連したということにして発議として国民に民意を問うという、このことは可能なんでしょうか、許されるんでしょうか、お聞かせください。

橘法制局長 今し方御答弁申し上げた点、あるいは先生御指摘の点を踏まえますと、自由民主党において検討中と報道されております四項目につきましても、その具体的な条文の内容が明らかになった段階で、自由民主党の先生方がすぐれて政治的、政策的な御判断をされ、憲法政策的な内容の関連性を御判断される、それが仮に国会に出てまいった場合には、今度は国会における与野党の先生方が御議論の中で本当に内容において関連するのかどうかを御判断されるということになるかと思います。

 ただ、あくまでも一般論、一般論と申しましても、先生御紹介の制定時の御議論を一般的に、報道されている限りの情報を前提として当てはめた場合という形で御了解いただきたいのですけれども、例えば、それらの内容を拝見する限りでは、自由民主党、あるいはそれぞれの先生方の御発言においても、個別の憲法政策として御議論されているのではないかと推察されること、あるいは、先ほども先生御指摘になられましたように、九条と環境権は別だよといった明確な御答弁があることなどに鑑みますと、これらを一括して憲法改正原案とすることは余り考えられないのではないかとは存じます。

黒岩分科員 局長、ありがとうございます。

 余り考えられないという、これはやはり、法の提出したときの担当者である、そして国会の法制局の長官という立場でおっしゃっていただいたので、これは非常に重みのある言葉だと思っておりますので。

 野田大臣、いかがでございましょうか。自民党の議員のお一人でいらっしゃるので、今法制局長官は、自民党内でも個別に議論しているという、そして、内容においてもやはり関連しているとは考えづらいということなので、特にわかりやすいのは、九条と教育の無償化といえば、これは抱き合わせで、国民に、さあどうなのと聞くわけにはいかないと思うんですが、この発議の議論について、やはり個別に丁寧にやっていく、こういったことを大臣としても了承されている、そういった認識であるということでよろしいでしょうか。

野田国務大臣 今、きょうは分科会で、総務大臣という立場で所管のいろいろな問題についてのやりとりをさせていただく立場ですので、大臣としてはこのことについてコメントは差し控えますけれども。

 一般論というか、私も自民党の国会議員の一人としてことし二十五年目になりますので、私としましては、まず、自民党というのは、そもそも自主憲法制定というのを党是に掲げております。つまり、今の憲法を絶対に見詰め直してはいけないという政党ではないということ。私は、どちらかというと新憲法制定、未来に向かって、この国のあるべき姿の中に、国民がしっかりと生きていけるような、そういう夢や希望が描けるような、そういう新憲法というのも一つ考えにあっていいと思います。

 ただ、今回は、全部を見直すんじゃなくて一部を見るということやに承っております。私は、今自民党のこの会議に直接かかわってもおりませんので報道で知る限りですけれども、今御答弁があったように、まずやはり、党内でたくさんの議員がおりますから、しっかりと議論をしていただいて、国民に発議した際に恥ずかしくないというか、ちゃんとしたものをやはり考えていく中で、先ほどもお話があったすぐれた政治判断というのがやはり党に求められていると思います。

 つまり、先ほど冒頭先生がおっしゃったように、自民党は大多数を持っていますから、だからできたんだと言われるものではいけないんだと思います。それに甘えてこういうものを出したのではなくて、やはり一生懸命、連日、全ての国会議員が議論して、そして、よりよいものを考える中で、こういう議論があるということもしっかりお見せしなければならないし、その結論も得なければなりません。

 それで、さっきお話があったように、最終的には国会でしっかりと与野党で論議されて決せられるものだと思っていますので、それがしっかりできるよう、個別につきましては、これはもうそこで、プロセスの中でしっかりと明確になってくると私は信じております。

黒岩分科員 ありがとうございます。

 個別にしっかり丁寧に党内議論もし、それが国会議論にもちろん反映される、それは多数の与党だけではない、野党も含めて議論は必要だというこの御見識、私も共鳴するところでありますけれども。

 ただ、ちょっと一点確認なんですけれども、今、野田大臣がおっしゃった、自主憲法制定というのが自民党結党以来の党是という言葉、これは私は安倍総理からも聞いたことがあるんですけれども、私はちょっと確認したんですけれども、五五年の結党時の綱領には自主憲法制定は入っていないんですよね。その後の綱領改定、割と最近になってなんですけれども、その中で自主憲法という言葉が盛り込まれたと思うんですが、私、済みません、党員じゃないもので、そんなに細かな議論は明確に承知しているわけじゃないんですけれども、結党時から自主憲法制定というものがうたわれていたということでよろしいですか。

野田国務大臣 申しわけありません。率直にお答えするならば、私の祖父がかつて自民党の国会議員をしておりまして、その際に祖父の方から、自民党というのはそもそも自主憲法制定というのを目標にして結党されているということを聞いて、それをずっと信じておった次第です。

黒岩分科員 政治の系譜でいえば、吉田茂自由党党首、吉田茂総理のときには、憲法改正議論に当時の自由党自体もコミットしたわけですよね。その後、民主党との合併になるわけですけれども、自主憲法制定というのは、どちらかというと、その当時の憲法制定にコミットした方たちは論理上そう強く訴えていなかったという記憶がありますので、これは、私も、済みません、記憶のまた確認、精査をしますけれども、ちょっとそこら辺が私は本当にそうなのかなと思いながら聞いておったので、ちょっと党内でもこれは確認していただきたいと思います。

 そこで、個別発議の原則について確認しましたけれども、また、国会の中でもやはりあくまでも慎重に手続していくんだという、これを具体的に、どういった、法的に担保されているのか、この慎重手続の原則についての根拠と趣旨についてお答えいただけますでしょうか。

橘法制局長 先生御指摘の慎重審議の手続については、そもそも憲法改正原案については、国家のあり方にかかわる重要な案件であること、また、最終的に国民投票に付されて国民の審判を受けるものであること、これらのことに鑑みまして、国会における審議の段階におきましても、慎重な手続のもとに、かつ正確な情報を国民に提供しながら議論が行われるべき、このような認識が共有されていたと思います。

 そして、このような趣旨を踏まえて、まず、総予算などと同様に公聴会の開催が必要的なものとされていること、二つ目には、中間報告の制度は適用しないこととされていることなど、このような一般の法律案とは異なる取扱いが国会法や衆議院憲法審査会規程などにおいて定められているところかと存じます。

 さらに申せば、憲法改正原案につきましては、閉会中審査についての特例も設けられております。すなわち、憲法審査会において審査中の憲法改正原案が一つの会期中に審査を終了しなかった場合でも、本会議において閉会中審査の議決を経ることなく、自動的に次の国会に継続することとされております。

 この趣旨というのはどういうものであるかと申しますと、憲法改正原案は、その性質上、複数会期にまたがる慎重な審議が必要となることが通例である、このような認識が当時の提出者の先生方に共有されており、このようなところにも憲法改正原案の慎重審議の要請があらわれていると言えるかと存じます。

 以上です。

黒岩分科員 そうなんですね。非常に重要な観点だと思っています。わざわざ閉会中審査をしなくても後会に引き継ぐことができるという特例を設けているわけです。そして、その趣旨は、今おっしゃったように、通例、複数回の会期にわたって議論する、要するに何年も議論するというような、やはり重いものだということが、当時の議事録を見てもその思いが伝わってくるわけですけれども。

 そう考えますと、今通常国会で、さあ、いきなり発議ですというようなものではないということだと思います。そうしますと、少なくとも複数回国会をまたげば、来年以降何年かかけてということになると思うんですけれども、そういう理解でよろしいですね。

橘法制局長 これは、正確に申し上げますと、通例そのように考えられていたということで、もちろん、一つの会期で議論が十分になされた場合には、一つの会期で原案提出から発議まで行くことは、もちろん国会法、衆議院憲法審査会規程上、制限されているわけではございません。

黒岩分科員 余計なことを確認しちゃったな。それは制限されていませんよ。

 ただ、重要なことは、今言った閉会中審査の特例を設けたという趣旨について、やはり、当時の与野党ともに、議論の中でこれを設けたということは、あくまでも目的があったわけですよ。それは、複数回にまたがってしっかりと議論をしましょうということだということが私は肝要なことだと思っております。

 そこで、この後、投票の期日についてもちょっとお聞きしたいんですけれども、この期日自体は国会が決めることになっていますけれども、いざ発議してからその期日までの期間というものにはルールがありますよね、何カ月以上何カ月未満という。このルールについてちょっとお聞かせいただきたいのと、これが設けられた趣旨についてもお聞かせいただけますか。

橘法制局長 憲法改正国民投票法二条一項の規定によりまして、国民投票の期日、投票日につきましては、国会が憲法改正を発議した日から起算して六十日以後百八十日以内において、国会自身が議決において投票日を決めるということになっております。先生御指摘のように、国会が決めるんですよねということ、これがまさしく大変重要な御議論に制定時になりました。

 その趣旨につきましては、投票日の決定そのものが非常に政治的に重要な判断であるということ、こういう御認識がございました。また、この投票日は、憲法改正案、国民に御提案される憲法改正案の内容と無関係ではない、このような御認識もございました。そこで、政府ではなく、憲法改正案の内容を熟知している国会みずからが、その改正案の内容を踏まえて、この改正案であれば国民に周知するのにどのぐらいの期間が必要だろうか、そのようなことを勘案して周知期間の長短を決定するべき、このような御認識が背景にあったものと承知いたしております。

黒岩分科員 最短でも二カ月、半年までの間ですね。やはり、国民に周知するわけですから一定以上の時間がかかる、いざ発議してからでも半年ぐらい時間がかかるというわけですよね。いずれにせよ、発議してからも含めて、大変丁寧な議論が国民の間でも求められているという趣旨だと理解をしております。

 そこで、これも、メディアなんかですと、来年の夏の参議院選挙、いわゆる国政選挙と一緒に国民投票を行うというような観測も流れているんですけれども、こういったことが、これは法律上は可能だと思いますけれども、当時の議論を含めて、昨今の議論でもいいんですけれども、そういったことが許されるのかどうか、その点について、長官、お答えいただけますか。

橘法制局長 お答え申し上げます。

 先生御指摘の国政選挙と国民投票の同時実施、いわば投票日を同一日にするという問題につきましても、これは制定時、大変な御議論になった論点だったと存じます。

 先生御指摘のように、これにつきまして、法律上禁止する規定はございません。ですから、法律上は可能でございます。

 ただ、制定時には、国政選挙と国民投票の同時実施は望ましいものではない、そのような認識が与野党の先生方から、提出者の先生方から開陳されていたと拝察いたしております。

 例えば、提出者のお一人でいらっしゃった斉藤鉄夫先生は、同時実施を否定はできませんが、与野党が政権を争う国政選挙と、国会の三分の二以上の勢力が協調して国民合意を問う国民投票とは全く異なる性格のものであり、同時に行えば国民の混乱を招きますとの御答弁や、もう一人の提出者でいらっしゃった加藤勝信先生の、与野党が政権をかけて争う国政選挙と、国会の三分の二以上の勢力が協調して行われる憲法改正の是非を問う国民投票とは質的に異なるものである、したがって、これを同時に行えば有権者の混乱というものを引き起こしかねない、こういう観点から、この法律においては、憲法改正国民投票と国政選挙を同時に実施することは想定いたしておりません、そのような御答弁がございます。

 以上でございます。

黒岩分科員 あくまでも期日は国会が決めるんだということは当然なんですけれども、これは、去年の十一月一日に安倍総理が記者会見で、一九年の夏の参議院選挙のときに国民投票を合わせるかどうかといった議論については、これは、私はする考えはございませんと。

 これは、私は、行政府の長とすればちょっと踏み込み過ぎていて、国民投票期日はあくまでも国会が決めるわけですけれども、総理もこうやって、私はこれは踏み込み過ぎていると。これは指摘にとどめますよ、これを野田大臣に是か非かなんて聞いたってしようがないので。

 ただ、私が申し上げたいのは、やはり、冒頭申し上げた、年内にも改正かとかいう話が出ていましたけれども、とてもとても時間がかかるわけですし、じゃいつ国民投票といっても、参議院選挙と一緒にやるわけにもいかないというと、実はかなり政治日程からすると制約された中でこの議論が進んでいくということ、これはどうも国民の皆さんにも伝わっていないので、マスコミも割と華々しく年内に改正かなんて言っていますけれども、そう簡単ではないということを今の議論で、非常に重要な議論を確認させていただきました。

 もう時間がないので、もう一つ、国民はどうやって意思を表示するのというときに、先ほどおっしゃられた、個別発議でも複数項目の内容がいざ国民に聞かれる、民意を問うとした場合には、そのときの投票の仕方、投票用紙のあり方も含めて、どんな形で国民は投票するのか。その点について、大泉選挙部長、御答弁いただけますか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 国民投票法の規定でございますが、先ほど議論がございました個別発議の原則に基づきまして、国民投票法第四十七条において、投票は、国民投票に係る、国会の発議に係る日本国憲法改正案ごとに、一人一票と定められているところでございます。

 また、法律に定められております国民投票法別記様式に定める投票用紙の様式におきましては、備考において、二以上の憲法改正案について国民投票を行う場合には、いずれの憲法改正案に係る投票用紙であるかを表示しなければならないというふうな規定になっております。

 投票人の方々が、投票の意思表示の方法としては、賛成あるいは反対の方にマルをつけるというようなことに規定されております。

黒岩分科員 もう時間が限られているので、大泉選挙部長に。

 そこで、これは国会で決めることになると思うんですけれども、投票用紙に個別に、個別の内容については個別の投票用紙だということはわかりました。じゃ、四項目に分かれれば四回投票するんだな、マル・バツ、分けるんだなということですよね。

 そこで、例えば合区の解消ですと、今議論されているのは、四十七条と九十二条にまたがって自民党内で議論されていますけれども、こういった条立てが複数にまたがるものというのは、それは、投票用紙にはどういう形で明記されると国民にとってはしっかり理解できるものだと、これは実務上の話ですけれども、どういったものを想定していますか。

大泉政府参考人 発議自体が国会で決められるものですから、その表題、あるいは、国民投票協議会というものがまた国会に置かれまして、そこで公報などを発行すると伺っておりますので、それらの過程でどのような表示になるかというのが決まってくるのではないかと、ちょっと想像でございますが、私どもはそれを受けて投票用紙をつくるということになると思います。

黒岩分科員 わかりました。

 今、我々も、口頭では合区の解消とか教育の無償化という言葉を使っていますけれども、実際に国民に意思を仰ぐときには、本当にわかりやすい、その背景となる議論を丁寧にして、そしてしっかりと発出しなければいけないということ、このことがきょう認識としてしっかりと深められたということで、これで私も多くの有権者に説明できると思いますので、どうもありがとうございました。

 またよろしくお願いいたします。

橘主査 これにて黒岩宇洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、田所嘉徳君。

田所分科員 皆さん、おはようございます。自由民主党の田所嘉徳でございます。

 今、オリンピックが行われておりまして、最初は、ほほ笑み外交にばかり注目が行きまして、我が国の成績も余り振るわなかったわけであります。安倍総理の外交戦略はなかなかよかったというふうに思っておりますけれども。

 いずれにしても、そういう中にあって、低調を伝えられたオリンピックも非常に何か今盛り上がってきまして、我が国も最多のメダル獲得ということでございますので、非常にオリンピックパワーというのはすごいな、世界の人々が全力を尽くして競うその姿というものはやはり大きな力があるんだというふうなことを感じるわけでございます。

 そういう中で、我が国は、かつての、今から五十四年ぐらい前でしょうか、東京オリンピックのときに、大きく成長して経済大国になったということがあったと思います。それを考えれば、今、非常に企業の業績もよくなったと言われておりますし、給与も上がって雇用の数値もよくなった、経済の好循環が生じているということでありますから、かつてのオリンピックのときのように、夢よもう一度ということで、東京オリンピック・パラリンピックに向けてしっかりと成長する時代というものをつくっていくべきだろう、いきたいなというふうに願うのであります。

 そういう中で、私は、大いに当時と違うものがあるというふうに思っております。それは、当時はまだ人口は九千万人台でありました。そういう中で、高齢化率は六・二%、そして年少人口の割合は二六%ということでありますから、まさに若々しい我が国が、人口の増加とともに市場も拡大し、経済も成長してきたという時代だと思います。

 しかしながら、今度のオリンピック・パラリンピックに向かう時代というのはまさにその逆でありまして、少子高齢化、人口減少という中で、市場が縮小し、あるいは社会を支える人々が少なくなってしまうということが非常に懸念をされているわけであります。

 私は、この大きな課題を克服して、すばらしい成長を手にするためには、やはり総務省は非常に大きな役割を果たすというふうに思っているのであります。それはICTの活用、とりわけAIですね。AIにどんどん仕事が代替されていく。私の地元にはファナックという、ロボットがロボットをつくる工場がございまして、大変成長をしております。そういった、ロボット、自動運転というものがありますし、そういうものもしっかりと情報政策の中で進めることだろうというふうに思っております。

 さらには、地方が疲弊していくということでありますが、定住人口はふえませんけれども、交流人口をしっかりふやして活力を得るということが一つの方策だろうと私は思っております。

 そういう中にあって、総務省の所管をフルに活用して、皆さんに活力ある時代を開いていただきたいというふうに思っております。

 オリパラに向けて、大いに成長する時代をどうつくっていくのかということを中心に聞いていきたいと思っています。

 そういう中で、5Gというんですよね、第五世代の通信技術ということについてお伺いをいたします。

 三十年間で一万倍の通信速度を確保できるようになった、さらに、今の4Gからでも百倍の速度、そして、接続するものも百倍ぐらいできるということですから、IoT時代の、全て、いろいろなものがインターネットでつながるような時代に、非常に重要な、そういうものだというふうに思っておりまして、しっかりとこれを進めていくことが必要だろうと思っております。

 しかしながら、よくイメージが描けなければ支援もできませんので、どのような時代に将来していくのか、そういったことについてちょっと説明をしていただきたいというふうに思うわけです。政務官、よろしく。

小林大臣政務官 ありがとうございます。

 田所委員御指摘のとおり、このIoTは、あらゆるものがネットワークにつながり、情報のやりとりをすることで新たな価値を生み出す、第四次産業革命の起点となるものであります。まさに、問題意識のとおり、人口が減っても発展ができる、そういう国の将来を示すための重要なツールになると私たちは思っております。

 その中でも、この第五世代通信システムと呼ばれる5Gは、超高速、そして多数接続、さらに超低遅延といった特徴を持っておりまして、本格的なIoT時代の基盤となることが期待されております。

 具体的な活用事例として、例えば、まさに田所議員は一級建築士も持たれて、建設現場のこともよく御存じで、今、人手不足で大変苦しんでいるということを御承知だと思いますが、そういった建設現場においては、例えば、4Kカメラ、すばらしい高精細の画像を見ながら、遠隔地から建設現場の建機を操作をする、そういった形で人手不足に対応した活用方法。それ以外にも、広大な農場に多数の気象センサーや土壌センサーを配置して、農作物の生育状況を遠隔地で的確に管理するスマート農業など、こういった形で活用いただけるものだというふうに考えております。

 総務省では、5Gの実現に向けて、早くから要素技術の研究開発に着手をしてまいりました。また、現在は、具体的な利活用を想定した実証実験の推進、国際的な標準化を進める観点からの国際連携の強化、来年度末の割当てを目標とした5G用周波数の確保に注力しておりまして、二〇二〇年の5G実現を目指して、関係機関と連携しながら、これからの取組を加速してまいりますので、応援よろしくお願いいたします。

田所分科員 ありがとうございます。具体的な例も挙げて説明をいただきました。

 そういうことですね。まさに、危険から離れていろいろな仕事ができたり、あるいは地方でも高度の医療を受けられたり、さまざまな、幅広い効用が期待できるというふうに思っています。

 最新の農業機械、製造工場も齋藤農水大臣と見てきましたけれども、無人でトラクターが耕うんし、あるいは田植をして、コンバインが刈取りをするというような時代がもうすぐそこに来ているということですので、その基盤をしっかりと整備してもらいたいというふうに思っています。

 そういう中で、周波数を有効に利用して、そして、それに対応するインフラの整備というものも私は必要になってくるんだろうというふうに思っています。

 行政で何ができるかといえば、規格や何かで最後に外国にやられないようにするということが非常に重要なガードだというふうに思っておりますし、いろいろなリードだというふうに思っておりますので、我が国の国際的な中における5Gの位置や、これから行政としてどんなふうに支援していくのかということについて、もう一度お尋ねしたいというふうに思います。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 特に5Gにつきましては、今先生御指摘のように、技術的な関係からも国際競争力が非常に重要な分野だろうというふうに思ってございます。

 そういったことから、国際的な標準化、これを進めることが非常に重要だろうと思っておりまして、そういった観点からの国際連携、これをいかに強化していくかということが一つの大きな課題だろうと思います。

 それと、先ほど小林政務官の方からもお話がございましたが、5Gを活用した具体的な実証的なシステムというのをどのような形で実現していくのか、これは単に技術的な側面だけではなくて、日本が抱える多くの課題等にどう貢献していくのか、こういったことを含めて対応していくことが重要だろうと思っています。

 欧米諸国におきましても、単にブロードバンドのシステムということだけではなくて、農業ですとか、あるいはエネルギー分野ですとか、さまざまな分野での取組に向けた取組を行っているところでございます。

 こういったことを含めて行うとともに、さらには、二〇二〇年の具体的なシステムの実現に向けての周波数の割当て、これに関しましても早期に対応できるよう、対応を図っていきたいというふうに考えてございます。

田所分科員 わかりました。

 それで、続けまして、4K、8Kテレビについてお伺いをしたいというふうに思います。

 私は、NHKで実物を見てまいりました。後からその利益がわかったんですが、立体感も出るんですね。もう本当にすばらしい。総務省の前でも何か見せているというので、多くの人が知ればいいなと。

 私は、最初は、NHKで研究しているというから、まだ地デジになったばかりで、またそんな投資をいっぱいやって、どういうあれがあるんだというふうに思いましたが、あれを見れば、これはもうしっかりと、かつて東京オリンピックのときにカラーテレビが非常に爆発的に伸びたように、4K、8Kというもの、世界をリードして、我が国が進めていくということが成長戦略としても重要だろうというふうに思っております。

 そういう中で、ロードマップもございまして、ことしの十二月には衛星放送も始めるということでございます。

 しかしながら、若干懸念されますのは、4K対応テレビというのはずっと前から売っているんですが、あれで4Kを見られるかと思ったら、見られないんだそうですよね。やはりチューナーが必要だと。そのチューナーについても、一時は十万円ぐらいするんじゃないか、いつできるんだというふうな話がありました。どれだけ難しいのかよくわかりませんが、まだ売られてはいないようでございますので、これを、どんなふうなものが発売されていくのか、そういった受皿、受入れ側の支援というか状況をしっかりと見ていかなくちゃならないというふうに思っております。

 4K対応テレビ、今どのくらい販売、割合として、売られていくのか。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックのときに、もうそれがどんどん出ていくようになって、今買った人が、こんなはずじゃなかったと思って後悔しても困りますので、やはり、これからこういう時代になりますよ、4K、8Kの時代になりますよということをPRしながら、しっかりとそれを普及するようにしていくべきだと思っていますが、その状況をちょっとお聞きしたいというふうに思います。

山田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、4K、8Kにつきましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます二〇二〇年に、全国の世帯の約五〇%で視聴されることを政府目標としております。

 現在、御質問が今ございました4K対応テレビの累計の出荷台数でございますけれども、昨年十二月末時点で累計約三百六十六万台、十二月について見ますと、テレビの出荷台数の全体の四三・二%を占めております。

 8K対応につきましても、昨年十二月に一般消費者向けに発売をされたところでございます。

 普及状況については、今のところ、そういうことでございます。

田所分科員 それでは、どのくらいの割合の世帯がこれから二〇二〇年のころに見るような状況になるだろうと、目標設定もされているんじゃないかと思いますが、それもお尋ねしたいというふうに思います。

 それをどんどん早くしていくことが、私は、コンテンツ、いわゆるいろいろな放送局等の作成するものもリードして、ふえていくことにもなりますし、やはりスピード感は重要だろうというふうに思っております。

 さらに、これにつきましても、地デジについて、方式でリードしていろいろPRをかけた国では、いろいろなハードや何かの販売でもリードできたという、たしかそういうこれまでの経緯もあったと思います。

 でありますから、4K、8Kについても、やはりしっかりと世界をリードするような、そういう基準の中でこれから打って出られるような、そういうものにしていくべきだと思っておりますけれども、行政としてどんなふうにこれに取り組むのか、お聞きしたいと思います。

山田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 目標でございますけれども、二〇二〇年に全国の世帯の約五〇%で視聴されるということを目標にしておりますけれども、今先生御指摘のとおり、その普及に向けては、対応受信機の普及などの受信環境の整備、また、魅力あるコンテンツの提供、これが非常に重要だというふうに考えております。

 そういったこともございまして、現在、4K・8K放送推進連絡協議会というものを設置しておりまして、その中で、特に周知広報計画について、アクションプランを取りまとめたところでございます。

 その取組の一環といたしまして、昨年十二月には、新4K、8K衛星放送の開始の一年前セレモニーというものを開催いたしまして、推進キャラクターを総務大臣から、深田恭子さんでございますが、任命するなど、メディアを通じた周知広報活動も積極的に行っているところでございます。

 また、国際的にも、日本のすぐれた技術をやはり海外に周知して普及を図っていくことが大変大事だというふうに考えておりまして、例えば、タイなどのASEAN諸国に日本の技術を紹介するなど、積極的な周知を図っているところでございます。

田所分科員 わかりました。

 次に、電波利用料の制度についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 三十年度の歳入の予測は六百二十億円ということを聞いております。歳出の予算に合わせて徴収しているようなことを、三年ごとに賦課額を決めてやっているんだということでございます。

 そういう中で、この電波利用料というのは、法律で、電波の適正な利用の確保に関して、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用を、その受益者である無線局の免許人等に公平に分担していただく、共益費のような形で進めているんだと。いろいろ聞きますと、マンション管理組合みたいなものだというふうなことを皆さん言うわけであります。

 そういう中で、その事務の内容につきましては、限定列挙されて、この百三条の二の第四項の中に書いておりまして、それで進めているということでございます。

 しかしながら、私は、これと直接どう関係するかということは別として、全体の電波関連産業の市場というものを考えますと、二〇二〇年で六十・五兆円、そして、二〇三〇年には八十四兆円というような、そういう数値もあります。私は、大変大きな市場の中で、いつまでも共益費という位置づけで、内部で必要なところを集めて直していくみたいな感覚は変えていく必要があるんだろうというふうに思っています。

 有限希少な国民の財産である電波を使って利益を上げているということでありますから、もうかるようなものであれば、私は、それを還元するようにすべきだというふうに思っております。

 放送事業は、電力事業などと同じように、講学上の特許ということになるんだろうというふうに思っております。私は、特許というもののあり方というものが、我が国で非常に大きな、これからどう見ていくのかということが、意味があるというふうに考えているものであります。

 特許というのは、もう先願主義は妥当しないし、一定程度の独占的利益が得られるようなものを大きな裁量の中で与えるものだというふうに思っておりますけれども、そうであるならば、その中でどういった経営が行われ、どんな利益があり、また国民が負担はしているのかということを、行政がしっかりと、融合しちゃうんじゃなくて、見ていって、それを今後どういうふうに還元し、あるいは、安くしたりとかするかということをコントロールしていくということを忘れてはならないというふうに私は思っているわけであります。

 そういう中にあって、今後、このあり方というものをしっかりその位置づけを変えて、しっかりと国民のための利益に資するようにしてもらいたいというふうに思っておりますけれども、その点についてどう考えているのか。電波有効利用の成長戦略懇談会というものの中でもお話がされているようでありますけれども、積極的な改革が必要なときだというふうに思っていますが、それについてお答えをいただきたいというふうに思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおり、電波利用料は、電波の適正な利用の確保に関しまして、無線局全体の受益を直接の目的とする事務の処理に要する費用といったものを、受益者である無線局の免許人の方々に御負担いただくという制度でございます。

 また、昨年十一月に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおかれましては、あらゆるものがインターネットでつながるIoT社会に不可欠な基盤である電波の重要性が非常に高まっているといったことを背景に、電波の経済的価値を踏まえた電波利用料全体についての一層の適正化のための見直しを行うということが盛り込まれたところでございます。

 こういった状況を踏まえまして、委員からも御指摘ございましたが、昨年十一月から開催しております電波有効利用成長戦略懇談会での検討結果をことしの夏ごろまでに取りまとめた上で、総務省では、電波の経済的価値をより一層反映した電波利用料体系の見直しといったものを進めていきたいというふうに考えてございます。

田所分科員 よろしくお願いしたいと思います。総務大臣にも、いろいろとリーダーシップをこれについてもとってもらいたいなというふうに思っております。

 また、野田総務大臣は非常にテレワークについても考えが深いということを聞いておりますので、その点についてお尋ねをしたいというふうに思っています。

 今、働き方改革ということが一番大きな課題として言われているわけでございます。高齢化、人口減少社会の中で、男性も女性も、その持てる力が広い世代にわたって発揮できるような、そういう働き方ができるような環境というものが大変重要だというふうに思っております。そういう中では、やはりICTを使わない手はないということだというふうに思っております。

 在宅勤務で、自由な、いろいろな、育児とかそういうこと等を含めて、非常に働き方が広がっていくというふうに思っておりますし、さらには、サテライトオフィスみたいなものもできるんだろうというふうに思っています。

 地方が活力を失っている中で、やはり、地方のおおらかな田園風景とか山々を見ながらコンピューターで創作するということは非常に重要だろうと思っておりますし、地方創生にもつながるんだろうというふうに思っております。交通の負担も少なくなってまいりますし、そういった点は、しっかりとした活用を、アイデアをどんどん生かして、していくべきだというふうに思っております。

 その点についてどのように考えておられるのか、また、今後の目標について野田大臣にお聞きしたいというふうに思います。

野田国務大臣 テレワークという言葉を使い始めてもう二十年余たつんですけれども、実態が伴っていないというのは、さっきのIoTと一緒で、言葉はわかるけれども何をすることかということが多くの人たちにわかりかねているのではないかなと思っています。

 これだけICTの環境が大変よくなって、さくさくと仕事ができる状態になっていますので、それを使わない手はない。それは、例えば、今までの働き方では働くことができなかった、また、十分力が発揮できなかった人たちの多様性をやはり取り込んで、それが結果としてこれからの日本の新しい付加価値を生み出すという、新たな日本の強い経済をつくるための必須だと思います。

 実は、きょう、小林政務官、来ておいでなんですけれども、小林政務官の御提唱で、総務省でも、私たち、大臣、副大臣、政務官と幹部との会議というのは、最初からテレワークの中のウエブ会議。だから、私たちは直接会って会議をしたことはございません。常に、ウエブ上の中で定例的に会議を行って、そこでいろいろなやりとりをしています。

 最初はやはり、できない、今までそういう会議をやっていたのに、できないかもしれないと思う人も多かったけれども、もう既に、回数を重ねると、それが非常に当たり前になってくる。つまり、テレワークを当たり前化することがとても大事なんじゃないかと思っています。

 最近では、またこの小林政務官のアイデアによりまして、決裁も全部電子化させていただきました。これまで、総務省は、役所の人たちまでは電子決裁が終わっていたんですけれども、政務三役、私たちの方には、相変わらずのサインという形でやっていたのを、全てタブレットを利用して決裁をとるという形になった次第です。

 つまり、やらない理由は幾らでもあるんですけれども、やってしまえば、別に今までどおりと変わらない、いや、それ以上に効率的な仕事ができるということを、どんどん、小林政務官のリーダーシップのもと、頑張っていかなくちゃならないなと思っています。

 だけれども、なかなかテレワーク、言い出してから二十年たって進まない。一三・三%です。理由は、やはり働き方改革にあると思います。

 つまり、テレワークが働き方を変えるのではなくて、働くあり方を根本的に変えないとテレワークの魅力は発出できません。つまり、今までのように、会社に来ることを仕事だと思っていること、会社にある自分の机に座ることが仕事だと思っていること、又はいつも部下が近くにいないと何をしているかわからないという疑心暗鬼の上司がいること、さまざまな今あるものを全部変えてしまわなければ、本来のテレワークの魅力は発出できないと思います。

 そういうことを踏まえて、総務省では、経産省や厚生労働省と力を合わせて、例えば、テレワークとはこういうことなんだとセミナーをしたり、又は専門家を派遣したり、さらには、テレワークデーやテレワーク月間というのを設けて、多くの人たちに、テレワークというのは、そんなに難しいことでも機械操作のことでもなく、働き方そのものなんだ、いつでもどこでも働けるということが大事なんだということをお伝えしているところでございます。

 また、さっき申し上げたように、意識改革というのは、組織のトップが変わらなくちゃなりません。つまり、大企業のトップが変わっていかない限り、若い人たちへの柔軟な働き方、テレワークによる働き方は浸透しませんので、私みずから、経団連とかさまざまなところに出かけまして、経営者のトップの方たちにそういう形をしていただくよう要請をしているところです。

 ぜひ、御理解のほど、また応援をいただきたいと思います。

橘主査 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺総合通信基盤局長。

渡辺政府参考人 先ほどの電波利用料の関係での御答弁でございますが、新しい経済政策パッケージの時期を十一月と申し上げましたが、十二月の間違いでございます。おわびして訂正させていただきます。

田所分科員 わかりました。

 一三・三%。非常に詳細にわたって御理解を示されて、本当に心強く感じております。また、将来目標も多分あったんだと思います、今言われませんでしたけれども。

 いずれにしても、企業の数ですから、内容が重要ですので、そのことも含めて進めてもらいたいということを付言させていただきたい。

 さらに、これから防災のことを言いますけれども、BCPという観点からも、やはりテレワークは非常に決定的な意味を持ってまいります。パンデミックあるいは感染症なんかでもう誰も来れないときには、これは重要な意味があるでしょう。いずれにしても、しっかりとこの改革で活力が得られるようにしてもらいたいというふうに思います。

 続きまして、消防防災についてお伺いをしたいというふうに思います。

 時間もありませんので、端的に聞きます。

 強風下で大規模な火災の発生する可能性がある地域を確認をしようとしております。私は、大変重要だと思っています。こんな三十時間も、四万平米、百四十七棟も燃えるという、二十一世紀にこんなことがあるのかなということ、非常にこれは警鐘だと思います。

 そういう中で、これは各消防本部に扱いを任せるというのではなく、それぞれの地域が、ここは密集地で大変なんだということを理解するような、そういう扱いをして、例えば、水防法の改正などでは、これは、タイムライン、あるいは一人一人のマイタイムラインをつくらせたりして対応しております。そういうことが非常に重要だと思っていますので、その点について絞ってお聞きをしたいと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 今回の糸魚川市大規模火災を受けまして、消防庁の対応でございます。

 消防庁におきましては、今回の火災を受けまして、各消防本部におきまして、一つには、大規模な火災につながります危険性が高い地域を確認、指定をし、事前に消防の活動につきまして計画を策定しておくこと、そして、二つ目に、近隣の消防本部などの応援体制を充実強化すること、三つ目に、大規模火災発生時の消火に必要な水を確保しておくこと、四つ目に、出火防止や火災の早期発見、初期消火対策など火災の拡大を防ぐ取組を進めることなどにつきまして、推進するように助言を行ってきております。

 各消防本部におきますこれらの取組の進捗状況につきましては、平成二十九年度末時点でのフォローアップ調査を予定いたしておりまして、それぞれの対策が着実に進んでいきますように、消防庁としましてしっかりと取り組んでまいります。

田所分科員 わかりました。

 国土交通省にもおいでいただきまして、密集市街地の解消をどうしていって安全を確保するのか、あるいは、延焼防止性能の高い建物については、インセンティブを与えて建てかえをするような、いろいろなことも考えているということでございますので、それもしっかり進めてもらいたいとお願いさせていただきたいと思います。

 続きまして、とりあえず、まず総務省に聞いていきたいというふうに思っております。固定資産税の特例についてであります。

 機械装置、器具備品、建物附属設備について、これは今特例が行われております。課税標準額を二分の一にするというものであります。これが二十八年から三十年まで。そして、更にこれを進めて、三十年から三十二年まで、市町村計画に基づいて中小企業が設備投資計画を策定して、市町村計画に合致するかどうかを市町村が認定して、さらに、労働生産性が年平均三%向上する投資について、これは特例率をゼロから二分の一にできるというような条例のことがうたわれているわけであります。

 政府でも、ゼロにできるんだということを大変強く主張をしておりますけれども、私は、これはなかなか市町村で理解が簡単にできないというふうに思っております。地方の貴重な財源が減少をしてしまいますし、地方にとっては不利益な面もあります。

 それと、地方は、それぞれ工夫をして誘致とか設備投資のことについては政策を行っているわけでありますけれども、それを行う力というものを私はそぐことになるというふうに思っておりますし、地方の実情に即した政策という面では、いろいろ課題もあるというふうに思っております。

 生産性向上とともに地方への税収増というその関係、これもなくなってきてしまいますし、私は、投資を促進する、あるいは進出してもらって構造物なんかができれば、その部分は一〇〇%固定資産税がもらえるんですから、そういうことを含めて、全体的な、市町村が主体的にやるということが必ずしも強くなっていかないというふうにも考えているわけであります。

 そこで、この新たな特例制度についてどのように捉えているのかということと、市町村においては、今言ったように、なかなか理解しにくいです。これを計画策定をもって、取り組むのかどうか、まずこの判断をしなくちゃなりませんね。さらには、税率をどれだけにするんだということも、これはなかなか難しいと思いますね。ゼロから二分の一ということであります。

 そういったことに対して、どのように地方に対応できるようにしようというふうなことを総務省において行うのかということを、最後の部分は大臣にお聞きしたいというふうに思っております。

 以上です。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村の基幹税目でございます固定資産税の特例ということでございますので、今回創設する仕組みにつきましては、市町村が措置を講ずるか否かを含めまして、市町村が地域の実情を踏まえ、必要と判断した場合に、税制面での支援を行うことができる仕組みといたしておりますし、特例率も市町村が条例で定めることができることとするなど、市町村の主体性、自主性を尊重する新たな仕組みとしているところでございます。

 また、その減収につきましても、市町村の定めた率によりまして、基準財政収入額の減少分を交付税で補填されることとなります。

 市町村にとりましても、地域経済の活性化は重要な課題でございますので、市町村の主体性を尊重し、地域活性化に向けた取組をバックアップする仕組み、こういうふうな捉え方をしているところでございます。

野田国務大臣 委員御指摘のとおり、固定資産税というのは、市町村の住民サービスを支える大切な基幹税です。ですから、それをこういう形で特例にする場合には、本当に限定すべきと思います。一方、政府の方では生産性革命というのが大きな政策課題になっておりまして、それも進めていかなくちゃならない。

 結果として、やはり市町村の独自性又は地方自治を担保しつつ、そこで何が必要かというものを、その地域がわかっている市町村そして地域の商工会議所等のようなところでしっかりと計画を立てていただく中で、やはり両輪、国の政策も進めつつ、その地域の市町村も潤っていくような形をとっていくために主体的にお決めいただくことが、そもそも固定資産税、基幹税ということでよろしいのではないかということ、そういうふうに思って取り組んでいるところです。

田所分科員 わかりました。

 冒頭申し上げましたように、これからの新しい活力のある時代を開くために総務省の役割は非常に大きいというふうに思いますので、大いにまた活躍していただきますように願いまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

橘主査 これにて田所嘉徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、太田昌孝君。

    〔主査退席、平井主査代理着席〕

太田(昌)分科員 分科会で質問するのは初めてでございます。どうかよろしくお願いをいたします。

 先日は、遠隔医療について委員会でも質問をさせていただきました。

 超低遅延、あるいは超高速、同時多数接続という特徴を持った5Gの活用は、自動運転を始め建設機械や作業ロボットの遠隔操作、AR、VRと連動したスポーツ観戦など、社会のあらゆる現場や場面で大きな変革をもたらすものかなと期待をしております。

 今、平昌オリンピックが大変に行われておって、日本選手の活躍、とてもとてもすばらしいなと思って拝見をしておるんですが、二十年前、長野オリンピックが開催されたとき、私は実は組織委員会の方におりまして、パラリンピックの方におりました。当時は、覚えておりますけれども、ウィンドウズ95という、政務官なんかはもしかしたらさわったこともないという、もう古典的なOSを使いまして、私はパラリンピックだったんですが、オリンピックの方はIBMが入っておりましたから、IBMのOSを使っておりまして、実は、私はパソコンというのを使ったのはそこの組織委員会に入って初めてでございました。これがパソコンかと思いながら、当時は一・五メガのフロッピーディスクで勝負をしていたという時代でございます。

 インターネットで同時の放送ができるなんというのは夢のまた夢で、当時は、とりわけパラリンピックというと、なかなか世間にも注目が集まらないような状況でしたから、その日の映像をデータに落として、デイリーサマリーというような形で放送会社にお渡しをして、何とか放送をしてくださいなんというような形でやっていたものでございます。

 もし、今のこうした5Gが当時あれば、我々としても、障害者スポーツなんてさらに振興することもできたかなというふうにも思うところでもございます。

 若干自分のところのPRをさせてもらうと、オリンピックのみならず、そのときに実は大変に長野でもボランティアの文化が生まれまして、そのときにできた長野オリンピックに向けたボランティア団体が、その三年前、一九九五年でございます、阪神大震災が発災をしたときに、そのボランティアの皆さんがこぞって神戸に飛んでいって、そして被災者の支援をやった、こんなことも大変に思い出深く思い出すところでもあります。

 何でこんな話をしたかというと、私、インターネットという言葉をその阪神大震災のときに初めて知りました。神戸では、そうした通信がさまざまダウンをする中で、こういう情報通信については、これは生きていた、大変に有効な手段であったということから、当時は、一番最初は余り大した災害ではないんじゃないかというような現地の状況がわからない中にあって、神戸市立外大とかが一生懸命そうした現場の状況を配信をしていたというような、そんなことも思い出深く思い出すものでございます。

 ちなみに、そのころ私は役所に勤めておったんですけれども、役所に実は携帯電話は一台もございませんでした。ですから、私は手ぶらで神戸に、あの発災は十七日、二十日には神戸に着いていたんですけれども、手ぶらで行ってまいりまして、長い列に連なって公衆電話でかけたなんということも思い出深く思っております。

 そういうことでいいますと、今のスマートフォン、あるいはこうした5Gの推進というものを大変に期待をしておるところでもございます。

 先日もデモに行かせていただきまして、先ほど大臣からもテレワークというような話がございました。働き方改革に向けてのテレワークの実証実験でありましたり、スポーツの、オリンピックですね、産業拡大のためにAR、VRによる観戦システムであったり、人手不足の解消というようなことで建設機械の遠隔操作であったり、あるいは安全な災害復旧ということで人型ロボットによる遠隔作業、さらに、先日取り上げさせていただきましたとおり、高度医療、医療格差の解消に資するそうした遠隔診療なんかも拝見をさせていただきました。

 長々としゃべりましたけれども、こうした5Gを始めとするICTを活用したこれらのサービスというのは、年齢、性別、障害の有無、あるいは国籍にかかわりなく、さまざまな方々がそうした多様なライフスタイルで安心して安全に暮らせる社会、そうしたものを享受できる、そしてさらに、今は人口減少、あるいはコミュニティーがなかなか確保できないような時代でございますので、そういう中で持続可能な社会を実現するための大切なツールであるというふうにも思っております。

 これから人生百年時代に対応した社会を実現するためにも、この5Gを始めとするICTを活用したIoT、AI、ロボットなどのイノベーションの成果を地域の隅々まで浸透させること、さらに、人口減少、高齢化社会におけるさまざまな課題を解決するためのツールとして大変に期待をしております。

 そこで、総務省では、二〇二〇年オリンピックに向けて5Gの社会実装を目指して、研究開発の推進、さらに、さまざまな分野における5Gを活用したサービスの総合的な実証実験、先ほどちょっと一部実例を出させてもらいましたけれども、展開してきたと聞いておりますが、今日までの成果と今後の展開について、先ほどの大臣のあのテレワークの話、とても目に浮かぶようなお話をしていただきました、どうか、この放送はなかなか見られませんけれども、お答えを国民の皆さんが見ることによって将来像ができれば目に浮かぶような、そんな展開についてお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いします。

小林大臣政務官 委員御指摘のとおり、この5Gというのは、もちろん経済成長にも結びつくというところは大きいと思っていますが、先ほどおっしゃったように、障害があってもなくても、性別にかかわらず、みんなが活躍できる、これは総務大臣もずっと言っているダイバーシティー、インクルージョン、サステーナビリティー、こういうところにまさに合致するツールだと思っています。そういう意味では、大臣がそういうリーダーシップを発揮していただけるので、我々も、会議等も、大臣は実際に会議に出席をしているけれども、政務官はウエブ会議で出席する、こういったことも自由に許していただいているおかげで、総務省の中でもこの活用が進んでいるところであります。

 そういった中で、先ほど御指摘いただいたように、いろいろな活用事例を展開するということで取り組んでまいりました。例えば、市内の大学病院と山間部の診療を5Gの超高速通信で結んで、高精細な映像を用いて問診や診断を行う実証であったり、遠隔地の土木作業を5Gを用いて効率化を行っていく、若しくは、トラックの隊列走行、ここに5Gの超低遅延通信を活用して、運送効率の向上と自動運転につなげる実証などに取り組んできております。

 このような実証を通じて、高精細な映像を瞬時に伝送したり、多数のセンサー情報を効率的に処理する技術が確立されることで、交通、医療、防災を始めとするさまざまな分野での5Gの活躍が期待されており、地域の活性化や地方が抱える課題の解決にも大きく貢献できるというふうに考えております。

 さらに、総務省では、地域での5Gの有効な活用に向けたICTインフラ地域展開戦略の検討を先月から開始をいたしました。地方自治体、事業者等と連携して、5Gの活用に向けた動きを地方からつくり出して全国的な普及、展開につなげてまいりたいと思いますので、引き続きの応援をよろしくお願いいたします。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 今、さまざまな実例も挙げていただきました。総務省の中の取組も伺いました。

 とりわけ、今、地域からというようなお話もございました。今おっしゃっていただきましたとおり、山間地、とりわけ医療の足りていないところ、今は何とか病院に近づけるための道路を一生懸命つくっているというのが実態でございます。それでは実際は追いつかないというようなこともございます。地域に診療所はあるんだけれども、設備もあるんだけれども医師がいないというようなところに、ぜひこれからそういう形で、人の命を守るためのICT、また地方からの要望などもぜひ聞き取っていただいて、使えるツールをどんどんふやしていっていただければと思います。

 こうした5Gを始めとするICTの進展によりまして、例えば日常生活における移動の手段として、車を所有するのが、モビリティーサービスの消費というような形で、サービスの形態が、物を所有することから事への変化というような形で進んでいるように思います。今後、さまざまなサービスがそのようないわゆる事ということに移行することによって、サービスのふぐあいが生活に直接的にかかわることになると同時に、地域や生活の場におけるサービスへのベンチャー等の新規参入が加速するんじゃないかな、こんなふうに思われるわけでございます。

 こうした時代の流れの中で、その情報通信網や情報通信機器、さらにIoT関連の商品やサービスなど、幅広い分野におけるセキュリティーを確保することが大変に重要であるというふうに考えますが、総務省としての現状の取組と今後の取組についてお聞かせをいただければと思います。

野田国務大臣 今、小林政務官、そして先生もおっしゃったように、5Gで広がる夢や希望というのは果てしないわけであります。

 今、ややもすると、自信を失っている人たちも、そういうものがあるから頑張ってみようとか、今まで地方にいたからいい仕事に恵まれなかった、いやいや、もう5Gで変わります。又は、高齢者の方も、今は免許返上というのが相次いでいます。でも、5Gによって自動運転が確立されれば、生涯、やはり、アクセスの権利というんですか、移動することができて、何か年をとっていくことがいろいろなものを失うことなんだではなくて、最後までそういうサポートのもとで人間らしく尊厳を保って生きていけるとか、さまざまなことを考える、大変わくわくするような話であると同時に、やはり、それだけの広がりを持つということは、影も大きくなっていくのではないかと思っています。

 特に、IoTというのは大変な勢いで機器が普及している中、そして、逆に言うと、IoTは非常に便利だけれども、それに対するサイバーセキュリティーの脆弱性というのも以前から言われているところです。また、IoTというのは非常に家庭の中に身近に入ってしまいますので、家庭の中で気がつかないうちにそういう脆弱性のもとで御苦労されることになるのではないかと思っています。

 ですから、私たちは、サイバーセキュリティーに関しては特にIoTに特化して、特に消費者と近いIoT機器なんかを対象にしっかりと調査をして施策を進めていこうということで、昨年十月にはIoTセキュリティ総合対策を公表しまして、平成三十年度についても予算をしっかり予算案の中に盛り込んでいるところです。

 ことしの夏には、サイバーセキュリティー統括官を新設いたします。それで、総務省における、サイバーセキュリティーというのは全方位なんですけれども、そこに司令塔みたいな人がいないとやはり散逸してしまうので、そこでしっかり責任を持ってサイバーセキュリティーを推進していこうということに取り組もうということにいたしております。

 私が心配性なのかもしれませんが、IoTがどんどんどんどん進んでいく中、やはりその影の部分が広がっていくと、結果として、せっかくIoTでいいことがあるはずなのに、こんな嫌な目に遭ってしまった、そんなことにならないように万全の体制で取り組んでいかなければならない、取り組んでいきたいと思っています。

太田(昌)分科員 詳細な、また大変に地域の実情をよくおわかりになっている御説明をいただきまして、ありがとうございます。

 本当に、高齢者、今、免許返上が大変ふえております。私の地元でも、本当にもう運転をやめた方がいいんじゃないかというような軽トラに乗っているおじいちゃん、おばあちゃん、だけれども、病院に行かなきゃいけない、食料を手に入れなきゃいけないということでなかなか返上できないということについて、これが、もしかしたら、そうした高齢者の皆さん方がその地域でそのまま住み続けていけるためのツールであるということを期待をしているところでもございます。

 今、詳細をいただきましたけれども、昨年七月の次期サイバーセキュリティ戦略の中間施策の中では、二〇二〇年の東京五輪を見据えて、IoT機器を踏み台にした、今おっしゃっていただきました、サイバー攻撃の顕在化、インシデント対策における体制整備などが盛り込まれたと承知しています。この中で、特に、分野を超えた情報共有が大変重要だと考えます。

 今、統括官という話もいただいたところでもございますけれども、全体としてどのような体制を構築していくのか、ちょっともう一回いいですか。

小林大臣政務官 委員御指摘のとおり、サイバーセキュリティーの確保のためには情報共有が非常に重要となっております。

 通信分野では、他分野に先立ちまして、二〇〇二年に、サイバー攻撃のインシデント情報等を収集、分析する、業界内で共有するTelecom―ISACJapanが設立されておりまして、取組を推進してまいりました。

 二〇一六年には、ICT―ISACJAPANとして一般社団法人となりまして、通信事業者に加えて、放送事業者、ICTベンダー、セキュリティーベンダーが参画をして、情報通信分野全体の情報共有体制を構築しております。

 また、総務省では、マルウエアに感染したパソコンと不正サーバーとの通信を遮断することによって被害を未然に防止するプロジェクトなど、連携して取組を実施しております。

 今後も、総務省としては、情報通信分野における情報共有体制を更に強化をして、サイバーセキュリティー体制の確保に取り組んでまいります。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 今度は、人材育成についてちょっと伺わせていただきたいというふうに思います。

 二〇一〇年の時点では百三万人というふうに聞いておりますけれども、このICTに向けての必要な人材ということでございます。二〇二五年にはこれが更に二百二万人になる、そのように推定もされているというふうにも聞いてございます。新たに約百万人の人材を育成をしなければならないというようなことでございます。

 本当に、このICTの活用、今さまざま御説明いただきましたとおり、生活に直結する、そんなこれからの時代でもございます。それぞれの地域地域の中で、やはり、セキュリティーを始めとするICT人材の確保、育成、大きな課題であろうというふうに思いますが、総務省の見解と今後の取組についてお聞かせいただければと思います。

小林大臣政務官 ICT分野は技術革新のスピードが非常に速くありまして、IoTやビッグデータなど新たなイノベーションが次々に生まれてくることが特徴であります。したがって、刻々と進化する技術に対応できるスキルを身につけた専門人材を確保するとともに、将来に向けた人材育成に取り組むことが大変重要であります。

 そこで、総務省としては、最新の技術に対応できる専門人材を確保する観点から、企業等で働く社会人を主な対象として、通信ネットワークの運用、管理やサイバーセキュリティーを担う人材の育成、企業内のIoT導入推進にかかわる人材の育成などの施策に取り組んできております。

 また、将来のICT人材を育てる観点から、二〇二〇年度から小学校におけるプログラミング教育が必修化されるわけですが、そのモデル事業に取り組んでおります。今後は、学校外でもIoTやプログラミングなどについて学べる地域IoTクラブの全国展開に向けた環境を整備してまいりたいと思っております。

 さらに、その先の二〇三〇年、四〇年代を見据えまして、本格的なIoT、AI時代に対応できるよう、より裾野を広げてICT人材を確保、育成するために、現在、情報通信審議会において、変化のスピードに対応できるような人材育成の場、そして未来の起業家の育成などのあり方について検討しているところであります。

 総務省としては、文部科学省など他府省庁とも密接に連携しつつ、人材の確保、育成の強化に努めてまいりたいと思っております。

太田(昌)分科員 ともあれ、そうした人の確保、何よりも大切なことであろうというふうに思います。

 そこで、ちょっともう一つ。

 超高速を活用しての8K、高精細映像技術の医療応用、前回もちょっとお伺いをさせていただきました。

 我が国発の放送技術でもあります8Kの高精細映像技術の医療分野への応用、内視鏡や病理診断、遠隔診断などの質を大きく向上させる新しい技術でありまして、一日も早い実用化が期待されておりますが、この8Kの高精細映像技術の医療応用について、これまでの取組、それから今後の展開についてお聞かせいただければと思います。

小林大臣政務官 委員御指摘のとおり、日本発の8K技術、これは放送以外にも、医療、教育、防犯など多方面で活用が見込まれておりますし、国内だけではなく国際展開も期待をされております。

 総務省では、医療分野において、外科医からのニーズが高い8K内視鏡の開発、若しくは8Kを活用した遠隔医療の実現に向けた実証に取り組んでおります。

 特にこの8K内視鏡は、高精細という特徴を生かせるものでありまして、臓器への損傷やがんの取り残しを防ぐ、安全で質の高い手術を行えるものとして期待されております。平成二十八年の七月、当時の輿水政務官から安倍総理に対して実物を用いて御紹介もしておりまして、平成二十八年度から三年計画で開発を進めております。

 そのほかにも、8Kを活用した遠隔医療については、昨年度、皮膚科分野では、専門医のいない離島から伝送される映像で大学病院の専門医が患者を診断するモデルであったり、病理医が病変のある組織や細胞を8K画像により遠隔診断するモデルについて実証し、通常の目視による診断と同程度の精度が実現可能との結果が示されました。

 5Gの実現によりまして8Kなどの大容量映像の通信が円滑に行えるようになれば、質の高い遠隔医療の実現、普及に大きく資するものと考えておりますので、引き続き、厚生労働省や医療関係者と連携を図りながら、8K技術の医療現場への展開に積極的に取り組んでまいります。

太田(昌)分科員 どうもありがとうございました。

 通告した質問につきましてはここまででございます。

 一方で、若干お話もさせていただきたいというふうに思いますし、自分自身の問題意識なんかもちょっとお伺いをさせていただければというふうに思っております。

 先ほどちょっと申し上げましたが、田舎に行くと、やはりなかなかそこで動けないような方々もいらっしゃる。一方で、こうした5Gの活用とセキュリティーというようなことをきょう御質問させていただきました。

 遠くない将来にこのような形になるのだろう、いただいた資料の中でも二〇二五年までに起こると期待されている、そんなことの中で、一〇%の人がインターネットに接続した衣類や時計、装飾品を身につけるとか、センサーがインターネットに一兆個接続されるだとか、眼鏡がインターネットに接続されてさまざまなデータが容易に入手できるとか、体に埋め込むタイプの携帯電話が商品化されるであったり、人口の九〇%がスマートフォンを利用する、あるいは九〇%が定期的にインターネットにアクセスをするというような形の夢のある話ができております。

 こうした、先ほどの、例えばトラックの隊列であったり、中山間地から医療あるいは食料を得るための外出、こんなようなことのさまざまな制度、設備というものは、これは十分にこれから進めていただけることなんだろうなというふうに思います。

 一方で、恐らく相当簡易的に使えるようになるんだろうなとは期待はしているものの、それこそ中山間地にお住まいのひとり暮らしのおじいちゃん、おばあちゃん、先ほどの、まさにそういう車を運転しているような人たちでございます。そういう人たちが本当にこうした先端技術を使いこなすことができるのか、あるいは、その方々にどのような形でこれから周知をしていくのか、どういう形でこれを展開していくのかというようなことについて、ちょっとこれは質問してございませんけれども、そこについて少しお話しいただけることがあればと思うんですけれども。

小林大臣政務官 大変重要なお話だと思っております。先ほど申し上げましたが、やはり大臣もその点をすごく大事にされていると私たちも思っています。

 特に、サステーナビリティーということを国連のSDGsでは言っていますが、やはり誰も置いてきぼりにしないということが書いてあって、まさにこのテクノロジーの分野でも誰も置いてきぼりにしないことがすごく重要だ、こういうふうに思っています。

 そういう意味では、我々も検討会の中に人づくりワーキンググループというのをつくりまして、まさにシニアの方や障害のある方、そして子供たち、各分野の立場にある方々がどう参画をいただけるか、そしてその能力を身につけられるか、若しくはそのテクノロジーを活用できるかという観点で議論をしているところであります。そこでしっかり答えを出しながらやってまいりたいと思いますが、既に、総務省の取組で地域IoTクラブというのを、これは学校外で行っているんですが、これは実は、子供たちだけじゃなくて多世代で活用いただける、一緒に学べるような取組も始まっています。

 こういった形で、テクノロジーをただ学ぶんじゃなくて、地域のコミュニティーをもう一度復活させるような、そういうきっかけにもなるように取り組んでまいりたいと思いますし、そういった仕組みが新しくなってきているのは、私はシェアリングエコノミーではないかと思いますので、新たな共助の形もこういうIoT、ICTを使ってつくり上げていくということが、私たち総務省としては地域活性化も担っているので、大変重要な分野だと思っています。

 長野市での現場の課題もよく御存じの先生だからこその御指摘だと思いますので、一緒につくり上げていければと思います。よろしくお願いします。

太田(昌)分科員 丁寧な説明、ありがとうございます。

 なかなか、やはりちょっと、もとから取りつきづらい分野であろうというふうに思います。スマートフォンなんというと、もとからさわる気もしないというようなおじいちゃん、おばあちゃん、たくさんいらっしゃいます。田舎へ行くと、なかなかタクシーを呼ぶのも、呼べばいいじゃないかと、免許を返上した人にはそういう支援もたくさんしているんですよ。だけれども、なかなか使わないんです。

 ですから、そういう中で、やはり使いやすい、使い勝手のいい、そして、今なかなかそういう地域のIoTクラブなんというのには、本当に、地方の中山間地でも、そういう高齢者に対しても、なかなか出てこられなくなっちゃった人に対しても、きちんと耳に届くようなきめ細やかな政策をしていただければというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 若干だけ時間があるので、もう一つ。

 先日の質問の中で、ちょっと木曽地域の話を大臣にさせていただきました。大変に広い地域の中で、市もなくて、町や村が頑張っていますよ、そういうところ、実はあそこも今診療が、がん診療指定病院もやはりない、先端医療もなかなか受けられない。

 木曽の先は大臣の地元でございます。山口村も岐阜に越境合併までいたしました。そういう中にあって、実は県立の木曽病院というところがあって、大変に頑張っております。本当に、院長、少ない医師が体を張って地域の医療を何とかつなぎとめていると言ってもいいというふうに思います。

 そんな中で、なかなか応援してあげられない、何とか医師不足に対して対応していく、大変じくじたる思いを、ずっと私は、地域の県会議員として、何とか応援をしたい、そんなふうにずっと考えてきておりました。

 先ほどのさまざまな地域の課題がこのICTだけで全て解決できるとは思ってもおりませんし、それが全てでもないことはよくよく承知をしておりますが、しかし、先ほどコミュニティーとおっしゃいましたけれども、今度は助けられる人間がいないのも事実です。

 ですから、助けてほしい人ばかりがふえていく中にあって、いかにこうした技術を広めていって、そして皆が活用できる、皆が安心して暮らせる、そんな社会を心から念願をいたしまして、若干早いのでございますが、これで質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

平井主査代理 これにて太田昌孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

    〔平井主査代理退席、主査着席〕

逢坂分科員 どうも、逢坂誠二でございます。よろしくお願いします。

 まず、それでは第一問目、簡単な方から行きましょうか。

 まず、新幹線の携帯電話の関係ですけれども、新幹線で携帯電話の通じないエリアが相当あるということで、総務省では遮蔽対策という言い方をしているというふうに思いますが、これに対する基本的な考え方と今後の見通し、お知らせいただけますか。事務方で構いません。

野田国務大臣 事務方がおりません。私が答弁したいと思います。

 今お話がありましたが、JR北海道のトンネルの不感対策ということでお答え申し上げたいと思います。

 新幹線トンネルにおける携帯電話の不感対策については、未来投資戦略二〇一七において、二〇二〇年までに全ての新幹線トンネルの対策完了を目指すこととしています。

 これを受けて、総務省では、今お話がありました電波遮蔽対策事業により、新幹線のトンネル内での携帯電話の不感の解消を進めています。現在、合計千百五キロメートルある全国の新幹線トンネルのうち、約半分に当たる五百七十キロメートルについては既に対策を講じてまいりました。

 これまで、鉄道トンネルの不感対策の費用は、鉄道事業者にも事業費の六分の一負担いただいておりました。北海道新幹線については、この費用負担が大きな障壁となり、対策が進んでいませんでした。

 平成三十年度予算案では、経営状況の厳しい鉄道事業者について、費用を負担いただかなくても対策を進められるように手当てをしています。これにより、北海道新幹線についても、電波遮蔽対策事業を活用して、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される二〇二〇年までに不感対策が完了することを期待しております。

 以上です。

逢坂分科員 ありがとうございます。

 全国に新幹線網が広がっていって、新幹線の移動中というのはやはり仕事をするにちょうどいい時間なんですよね。そのときに電話が通じない、電話だけじゃなくて、今は、このような類いのものが使えないとなると、これはなかなか、せっかくの時間が有効に使えないということで、ぜひ頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 さてそこで、交付税なんですけれども、世の中の多くの人は、交付税を非常に誤解している人もいるようだなというふうに思います。例えば、先日も予算委員会での質疑を聞いていましたら、交付税を国税だと思っている人もいるようで、そういう質問をしている人もいてちょっとびっくりするんですが。

 交付税というのは、やはり、私は、どこの国であっても財政調整と保障の仕組みというのはなければだめだと思っているんですね。

 大臣、交付税のイメージというか、それはどんなものだと思いますか。役人が書いたものを別に読まなくてもいいです。後で揚げ足もとりませんので、どうぞよろしくお願いします。

野田国務大臣 せっかくですので、逢坂先生は御承知と思いますけれども、念のため確認で、地方交付税を担保している法律はどういうものかというのについて、もう一回、復習を兼ねて申し上げたいと思います。

 地方交付税制度というのは、地方交付税法第一条に定められておりまして、「地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能をそこなわずに、その財源の均衡化を図り、」「地方行政の計画的な運営を保障することによつて、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的」としています。また、地方交付税法第三条二項においても、「国は、交付税の交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」と定められております。

 私も三十数年前は県議会議員を務めておりまして、地方の政治に若干かかわった一人として、まさにこういうふうに教わってきたものでありますので、法律と私と意見が違うことがありましても、まさにこのとおりだということでお伝え申し上げたいと思います。

逢坂分科員 日本には四十七の都道府県があって、同じ通貨、円を使っている。それから、県と県の間には関税はないということですね。同じような状況が実はEUなんです。EUは、ごく一部を除いて全部同じユーロを使っている、国と国との間には関税はない、これがEUですね。だから、お金の流れという面で見ると、EUと日本の都道府県というのは同じ状況になっているわけです。

 その際に、EUと日本の違いは何かというと、交付税がないということなんですよ。EUには国家間の交付税がないんですね。

 本来であれば、関税と、通貨の違い、すなわち為替、関税と為替の変動によってそれぞれの国の財政や経済の違いをこれは調節できるようになっているわけです。ところが、EUにはそれがないものですから、国家間の財政力や経済力の差を調整する仕組みがないわけです。

 だから、その点でいいますと、条件のいいところ、例えばドイツ、これはどんどん経済の調子、財政の調子もよくなる。相対、よそと比較してという意味だと思いますけれども。一方で、ポルトガルとかギリシャとかは、必ずしも条件が今の経済社会の中ではよくない。だから、よくない状態がそのままに放置される。だからギリシャでもいろいろなことが起きているわけですね。

 だから、日本においても、交付税という仕組みがなければ、各県の経済や財政の差というのはそのまま放置をされてしまって、それを是正する仕組みがなくなってしまうということなんだと思うんです。

 EUの話はきょうの本筋ではありませんけれども、EUの制度を考えるときに、国家間の財政調整の仕組みを本当は組み込んでおくと、もう少しEUというのはモデレートな国家間の関係になったのかなというふうに思うんですが。だから、そういう意味で、本来、交付税というのは私はどの国においても絶対に必要なものだと思うんです。

 経済や財政のあり方というのは、それはそれぞれの地域で自助努力はいろいろしますよ。するけれども、どうしても埋めがたいものがあると私は思います。

 例えば、北海道で一次産業中心のエリア、農業地帯であるならば、平均耕作面積が仮に十五ヘクタールだとすると、まあ、地域によっていろいろ差があります、八ヘクタールのところもあれば二十ヘクタールのところもある。仮に平均十五ヘクタールだとしたら、三百メートル掛ける五百メートルです、十五ヘクタールというのは。ここで、家族、一家五人ぐらいで、どのぐらいでしょうね、作物にもよりますけれども、そこから上がる水揚げが三千万とか五千万とか、場合によってはもっと、高収益の作物をつくっているところだったらもっと多いかもしれない。でも、それで家族五人が生計を立てられるぐらいのことをやるわけですね。

 では、同じ面積、三百メートル掛ける五百メートルの面積が例えば東京の銀座、新宿、そういうところであったらどれぐらいの経済活動が行われるだろうか。多分、三千万とか五千万とかなどというものではないわけですね。当然、そこから上がる税収も大きく差がある。これは当たり前の話なんです。

 だから、それぞれの地域で頑張るとか頑張らないとかといって、よく、自前の税収で全てのことが賄えることが自立だという言い方をするんですが、産業や地理的条件によって全く比較にもならないぐらいの経済の格差が生まれるというのは、これは当たり前のことなんですね。

 だから、そういう意味でいうと、交付税というのは私はこの国において必要不可欠なものだ、いや、実は、この国だけではなく、世界において、交付税のような財政調整や財源を保障する仕組みというのは私は絶対不可欠だと思っているんですが、大臣、どう感想をお持ちになられますか。

野田国務大臣 通告のない質問なので、私の個人の意見も入ってしまいますが、御勘弁いただきたいと思います。

 ちょっと頭の中の整理ができていないんですけれども、まず、国があって地方があるではないと思うんですね。特に、最近東京一極集中で、今おっしゃったような固定資産税というのがやはり大宗を占めているんだと思います、そういう収入がある中で、どうしたら地方にというときに、一つは、地方頑張れというんですけれども、そもそも土地の値段が違い過ぎて、同じだけ頑張っても同じだけの益は得れないことは、北海道でも岐阜でも、住んでいれば十分わかっています。

 と同時に、私たち、何となく、東京、大都市からいろいろとっているようなイメージもあるんですけれども、いやいや、この国が狭いながらもこれだけの経済成長や高度な教育やさまざまなイノベーションができる源泉というのは、北海道から沖縄まで全国津々浦々のやはり人材があるんだと思います。だけれども、どこで生まれてもやはりきちっとした教育が受けられる権利とか、又はちゃんとした人生を歩めるいろいろな当たり前の条件、そういうことはもう当然どこでも整えて初めて、全国津々浦々からさまざまな個性を持った人が集まって、そこでのダイバーシティーによって、日本というのは小さいながらもいろいろなことを生み出してきた国だと思っています。ですから、お答えになるかどうかわかりませんけれども、そんな思いです。

 もう一つは、やはり、県議会議員をやっているときに非常に感じたことは、当時はまだまだ地方分権の推進法などなく、要は、県議会の仕事というのはお願いに行く仕事なんです、お金を取りに行く仕事で、何か大きなプロジェクトをするにしても、自主財源がありませんから、そのときに、きょうはいらっしゃらないけれども、某、かつての建設省の人にけんもほろろにされて、岐阜県民のため、市民のためにちゃんとした社会資本をするのに、どうしてこの人たちにこんなことを言われなきゃいけないのかなという思いを非常に強く感じていたことを今でも私はどこかに置いておいて地方を考えていきたいと思っています。

逢坂分科員 冒頭に大臣が言った、国があって地方があるんじゃないというのはまさにそのとおりで、実は私の選挙のキャッチフレーズは、「地域の元気!それが、国の元気!」、あるいは「地域があって、国がある」というのが私のポスターにいつも書いてあることなんですね。だから、まさにその意味では全く同じ思いです。

 それで、今、交付税のことについて話をさせていただきましたが、今の交付税で何が問題なのか。もしかすると、後ろにいる黒田さんなんかはもっと細かく私よりもいろいろ言ってくれるかもしれませんが、やはり、地方の財政需要を今の法定率だけで賄うことができない。だから、どうしても追加的財源を準備しなければ、まあ、橘先生もよくわかっていることで、追加的財源がどうしても必要になってくるということ。

 それからもう一つは、いわゆる起債。地方債の償還費の一部を交付税の中でカウントしている、それの割合が、これは個人によっていろいろ考えは違うかもしれませんけれども、その割合が必ずしも小さくなくて、それが非常に多い。また、地方の側も、そこに過度に期待をして、交付税で補填される起債を多く発行する傾向がある。もちろんそれは、地方議会に対する説明の上でもそれをすると都合がいいんですけれども、でも、そこに過度に期待をし過ぎて、その割合が高くなっていくというようなこと。

 あと、私はこれは余り悪いことだとは思わないんですけれども、計算方法が複雑で、一般的にはなかなかわかりにくいというふうに言われている。まあ、確かにわかりにくい。だから簡素化せよ、そういう指摘もある。でも、私は、簡素化には必ずしも賛成ではありません。やはり地域の財政需要を的確に把握をする、地域の違いも的確に把握をするためには、ある程度算定項目の数が多くなければ的確に反映できないと思うので、そこは、簡素化というのは大事な視点だけれども、だからといって、測定単位を一気に減らせばいいなどという問題だとは私は思えない。

 こんなようなところを交付税の課題、問題点かなというふうにも思うんですけれども、大臣、どう思いますか。別に、答弁が合っているとか間違っているとか、そんなことは何にも思いませんので。ざくっとした感じでいいですので。

野田国務大臣 恐らく黒田局長がはらはらしていると思うんですけれども。

 まず、算定の簡素化については、逢坂委員がおっしゃったように、私は総務大臣ですから、働き方改革を考えたときに、この算定に携わっている総務省の人たちを楽にしてあげたいという気持ちがあります。それはやはり、簡素化すれば仕事が楽になるのかなという思いがあって、もう本当に算定時期には大変な思いをして細かい数字に取り組んでくれているわけで、そういう頑張ってくれる皆さんにこうべを垂れるとともに、その彼らの働き方を少しでも楽にするためには簡素化ということも何か考えてあげなきゃいけないなと思うこともありますが。

 今おっしゃったように、日本は、狭い国土だけれども、ありとあらゆる違う地方を抱えています。そこで、やはり、一律でざくっざくっと切ってしまうと、例えば北海道は海に囲まれているけれども、私の岐阜県は山に囲まれていたり、そんな、本当にそれだけでも全然違う生き方があり交通網がありという中で、やはり緻密に算定をしてくれることで初めてそれぞれの住民の意思、その思いに届く、地方をつくる材料になってくるのかなと思っています。

 あとは、法定率は、もう本当に私自身も、素朴に、なぜ上げられないのかということを随分黒田局長とやりとりをしました。

 国と地方、先に地方ありきと私は思いますけれども、でも、ばらばらではないわけですね。どちらもやはり支え合っていかなきゃいけないし、今はどちらも苦しい状況にあるから、地方だけが法定率を上げてどうにかすればではいいのかというと、結果としてそこで国がまた大きく後退することになってしまうとバランスがとれない。そういうところも見合いながら、苦しいけれども、でも、理想というか、やるべきことは法定率を上げてしっかり地方が自立することだということを、その旗はしっかり掲げたまま、少しずつ伸ばしていけるよう取り組んでいきたいなという気持ちはございます。

 あとは、追加財源。まさに、何か独自性を出そうとか新たに先進的に取り組もうとすると、当然、でも、私、それは地方の得手でもあると思うんですね。国だと、例えば私は障害児を抱えているんですけれども、障害児のいろいろな取組というのは実は地方の方が早かったりするんです。みずから、その首長なり、意思、何の意思かわかりませんけれども、それで先進的な取組をしてくれたりすると、どうしても、やはりいろいろなところで、頑張れば頑張っただけ足らなくなるということも私はもうずっと見てきた。でも、それが結果として住民に喜ばれ、最終的には国の方針になることも間々あるので、実は、国が決めたことを地方がやるというよりも、いろいろな地方で先進的に取り組んだことを評価して、国が平準的にお進めをするということも相当多いんじゃないかと思っている。

 だから、地方というのはやはり個性を発出する場所だということで、ぜひそれに対しては理解を示していかなきゃいけないかな。チャレンジしてくれるところなんです。国はなかなかチャレンジできません。平準的なことをしなきゃいけない。やはり、小さなところほどチャレンジしてくれて、結果が出れば、好事例として多くの人たちがそれの恩恵をこうむることがあるということで、そこへの配慮は大事だと思います。

 あと、起債については、私もこの間、地方債はどのくらいあるのというのを改めておさらいをしたんですけれども、ありとあらゆるものがございまして、大変なことになっています。

 でも、やはり、人というのはどうしても有利なところにどんどん、それはやはり議会への説明責任に関しても、これだけお値打ちだ、例えば合併特例債についてもいろいろ議論があるんですけれども、だからやりましょうというコンセンサスづくりには非常に効果的だ。

 でも、その先にはやはり住民にとって必要なものがあるのかもしれません。そこら辺は一概に、そちらに流れてしまうといいながらも、なかなか今、住民の方でそういうことに対して、特に今、大規模災害が起きる、又は震災、直下型があるとか言われる中で、一番おくれているのは市庁舎の耐震化とかつくりかえだと思うんですね。それは、どうしても選挙になるとそこが争点になってしまったりして、ついついやらなければならないことを先延ばしにして、基金だけがたまっているという現状は相当あります。でも、そういうところにはやはり背中を押してあげるようなことをして、結果として、そこがいざというときの住民の拠点、基地となって、よりよい初動、復旧復興につなげるというようなことも後押しできるような、何か伴走するような形の起債があればいいのかなというふうに私は理解しています。

逢坂分科員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃった中で、地方の方が先に取り組んで、後で国がそれを平準化するというようなニュアンスの話がありましたけれども、ほとんどの政策、私そうだと思います。

 例えば、情報公開もそうです、あるいは行政評価もそうです、住民参加の仕組みもそうです。それから、授業料の無償化みたいなこと、乳幼児に対する対応も、これは実は地方が先取りをしていろいろなことをやって、いろいろなところでやるものですから、それは国家的に統一的な政策にせざるを得ないということになっているわけで、やはり、そういう意味では、地方の現場のいろいろな取組の中に将来を見据えた真実というか現実があるんだろうなと思っていますので、その意味で、総務省には、さまざまな事例を吸い上げる大きな役割を果たしてもらいたいと私は思っています。

 それともう一つ、これは今までの流れとはちょっと関係ない話なんですが、国と地方の財政はそもそも基本的な考え方が違うというところだけは改めてここで言っておきたいんですが、よく財務省のつくるグラフに、国と地方の単年度の収支、赤字、黒字というのを載せて、地方の方は割と収支プラス・マイナス・ゼロだ、国の方は赤字だ。これは実は当たり前なんですよ。

 地方財政というのは、財源が確保できないと歳出予算が組めないんです。歳出予算を決めて、歳入を見つけて、足りない分は何とかしましょうというのは地方財政ではなくて、地方財政というのは、入るお金の範囲内でしか歳出が組めないので、決算は当然プラス・マイナス・ゼロに近くなるんですよ。国の方はそうではなくて、赤字国債が発行できますから、歳出に見合う分だけ、足りない歳入については赤字国債を発行するということが可能なわけですね。

 だから、そういう意味で、今厚生労働省といろいろやり合っていますが、条件の違うデータを同じグラフに載せて比較なんかしちゃいけないんですよ。それを財務省はよくやるので、私、いつも財務省に怒るんですが、彼らは性懲りもなくいつもやるので、それはぜひ財務省に大臣からも言っていただきたいなというふうに思います。

 それで、話題をかえます。

 先ほど地域の元気という話がありましたけれども、地域の元気を呼び覚ます、そのために何が必要か。

 私、第二次安倍内閣になって地方創生の取組というのをやっていて、全国至るところで地方創生、地方創生と言っているんですが、一〇〇%、頭からあれは否定はしないんですけれども、でもやはり無理があるなと思っています。それは、全国に一律にやらせているわけではないけれども、どうも一律にやはり似たようなことをやらせている結果になっているような気がしてしようがないんです。

 私は、地方の元気のためにはやはり考えるということが必要だと思っていて、あるいは、地域の実態を地域の皆さん自身がよく知る。

 地域の皆さん自身が実は地域の実態を余りよく知らないことが結構多いんですよ。最近は減りましたけれども、地域づくりの関係で講演に呼ばれていろいろなところへ行くと、全国どこへ行っても大体同じことを言うんですね。うちには人材がいないとか、うちには観光資源も何もないとか、うちには特色がないとか、うちは人口が少ないとか、同じことを言うんです。それが、島根へ行っても同じことを言うし、山形へ行っても同じことを言うし、何か元気がいいなと思うような地域へ行ってもそういうことを言うんですね。

 だから、私は、国がある種旗を振って、地域振興、地方創生のために何かをせよということを急いでさせるのではなくて、少しじっくり物を考えるというようなことを国の方もある種奨励するという雰囲気をつくるべきではないかと思うんです。そうしないと、金太郎あめのような地域づくりばかりになってしまって、結果的に地域が衰退するというふうに私は思っています。

 何らかの財源を用意することも大事、何らかの政策を奨励することも大事なんですけれども、その前提として、やはり考えるというところに力点を置くべきだと思っています。かつてはそれを総合計画といったようなことでやっていたようにも思うんですが、でも、かつての総合計画はどちらかというと箱物の羅列であって、あれはあれで必要な時代もあったと思いますけれども、今は、箱物の羅列ではない、地域の将来図をどう描くかということが非常に大事だと思っています。

 これは余りお金にならない取組かもしれない。お金にならないというのは、各省の予算の分捕り合いで、総務省の予算がこれほどふえましたみたいなことには必ずしもならない取組かもしれないんですが、でも、全国の自治体には、焦らないで地域の実態をちゃんと把握して、その上で自分たちの将来の姿を、自分たちの地域の将来の姿をあなたたちでちゃんと考えるんだというようなことを私は奨励すべきではないかなと思うんですが、大臣、どう思われますか。答弁は読まなくていいと思いますよ。大臣の思いでいいと思いますよ。

野田国務大臣 いろいろなことを今委員のお話を聞きながら思い浮かべておりました。

 岐阜県というのは今知事が非常にリーダーシップをとっていただきまして、私たちが気づかなかったことを気づかせていただいている例があります。

 例えば岐阜県には関ケ原という地域がございまして、岐阜県民からすると、新幹線で、雪のためというので関ケ原―米原間とよく聞くので、当然、いつもあるところですし知っているところなので、余り関ケ原ということを強調することはなかったんですけれども、知事の方の発案で、世界の三大古戦場ということで、ゲティスバーグとワーテルローと関ケ原なんだというふうに言い続けるわけですね。そのうちみんなもその気になってきて、これ自体は、関ケ原は外から持ってきたものじゃなくてもともとあった土地なんですけれども、あえて誰かがこれに価値があるということを示してくれれば、それは外の人でも中の人でもいいんですけれども、それがやはり新たな価値を生んでくるというのを目の当たりにした。

 ただ、今、逢坂委員が御指摘あったように、これまでの地方の活性化とか地域の元気のための予算というのは、物というか有体物というか、例えば商店街だとアーケードとかそういうことにはつくんだけれども、そこを運営する、マネジメントしてくれる人を雇うときに人件費はつかないみたいな、そういう、ちょっと硬直性があったんだと思います。

 今後はやはり、地方創生というのは当然やっていくべきことなんだけれども、それをやる人にとって使い勝手のいい、例えばそれは、その地域を考える人は別に外の人じゃなくてもいいんですね、中に住んでいる人に対してそういう人件費を充当するとか、そんなことをどんどん、できる限りのことをやってあげればいいのではないかなと私は思っています。

逢坂分科員 大事なのは、よそから見て立派だね、すばらしいねということをやることでは私は必ずしもないと思っていて、自分たちの頭で考えて自分たちが行動するということが私はいろいろなものの原点になると思います。そして、その積み重ねが最終的に大きなうねりになっていくというふうに思うんですね。

 だから、今、総務省でやっている地域づくり協力隊とか、よそから人材を派遣するということも、これは必ずしも私は悪いとは思わないんですけれども、でも、余りそれに頼り過ぎると地域の自主性、自立性を失ってしまうということもあるので、そこは首長なりのコントロールなのかもしれませんけれども、そこのあんばいは少しよく考えてみた方がいいなと思っています。

 時間がなくなってきましたので、最後に一つだけ。森林環境税、これは通告していませんので答弁は要らないんですけれども。

 あれは、私は、日本の今の森林の状況を見ると、森林に何らかの対策をしなければならない、財源を確保するという意味では非常にいいと思います。森林環境税の創設については、私自身も、基本的にまあ悪くないなと思っています。ただ、もう少し工夫できなかったかなという感じはあるんですよね。それは私ももっと知恵を出せばよかったんですが。

 あれは国税ですね。国税を住民税均等割に上乗せをして国に一回戻す、そしてそれを地方に、ある一定の基準で配分をしていくということです。これは実は自治体にとってもすごく楽だし、国にとっても都合がいいということなんですが、自治の本旨という点で考えてみると、本当にこれでよかったのかなという気がするんですね。

 本来、やはり自治体が悩んで、自治体が住民の皆さんに、我々のところでは、森林資源を整備する、維持する、そのためにはこれぐらい財源が要るんだ、だからやはり課税はこれぐらい必要なんだということを地方税の範囲内でもう少しやれる部分というのはなかったのかなという気がしているんです。

 確かにあれは便利です。でも、自治の本質を失わせるような危うさもあるなというふうに思っていまして、ここは少し注意が必要ではないかというふうに思います。あの手法を多用するとすごく楽です。地方も悩まなくていいんです。国で決めてくれて、しかも均等割はもともと徴収しているものですから、徴税の手間もさほどないというか、額が多少変わるだけだ。でも、自治体の本旨、自治の本旨という観点でいうと、もう一工夫何かできなかったかなという思いがあります。

 我が党は森林環境税に賛成するか反対するかまだわかりません。もちろん私個人は賛成しますけれども、まあ、そんな思いを持っているということも、だからそういう意味では、自治というのは結構微妙なものだなということもぜひ御認識いただければと思っております。

 最後に、総裁選に出られますか。ぜひ私はチャレンジしたらいいと思うんですよ。それで、そのときに、ぜひ、国家の大きな姿というか、外交も含めてどういう国家であるべきなのかという論を、瑣末な、小さな政策をやるんじゃなくて、国家の大きな方向性、これを野田さんなりに、総裁選ということになると、大臣じゃない、野田聖子、一人の人間ということになると思いますけれども、野田さんなりに思い描いて、それをぶつけ合うような総裁選に出ていただければなと思いますけれども、もし何かあれば。

野田国務大臣 自民党において、誰でも総裁選に出る権利はあります。だけれども、大事なことは、二十人応援してくれる仲間がいないと実際に総裁選には出られないということで、きょうも何人か自民党の同僚議員がいますけれども、それぞれ大なり小なり、やはり総裁になって自分たちの持っている政策をしっかりやりたいという思いは全ての自民党の国会議員は持っているはずだと信じています。

 今、お話、いろいろ議論を交わす中で、やはりいろいろな政策があっていいんじゃないか、多様性で、男性的な政策もあれば女性的な政策もある、地方の政策があれば大都市の政策がある、そういうものを広く受けとめてきたのが我が国民政党自民党だったはずだと思うので、そのよき特色を決してなくしてはならないという思いから、今一生懸命努力をしているところです。

 御勘弁ください。

逢坂分科員 終わります。ありがとうございます。

橘主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、障害を持つ方々への参政権保障の問題について聞きたいと思います。

 まず、外務省に確認をしたいと思うんです。

 二〇〇六年十二月十三日に国連総会において採択され、二〇〇八年五月に発効した障害者権利条約は、既に我が国も批准をしておりますけれども、この条約第二十九条において、障害者の参政権、とりわけ投票の手続や設備及び資料についてどう定められておりますか。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者権利条約第二十九条は、障害者の政治的及び公的活動への参加についての規定でございますけれども、同条(a)は、「特に次のことを行うことにより、障害者が、直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、他の者との平等を基礎として、政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができること(障害者が投票し、及び選挙される権利及び機会を含む。)を確保すること。」と規定しております。そして、その具体的な内容といたしまして、続く同条(a)(1)は、「投票の手続、設備及び資料が適当な及び利用しやすいものであり、並びにその理解及び使用が容易であることを確保すること。」と規定しております。

宮本(岳)分科員 我が国は、二〇〇七年九月二十八日、高村正彦外務大臣がこの条約に署名し、二〇一四年一月二十日に批准書を寄託、二〇一四年二月十九日には我が国でも効力を発しております。

 条約が、他の者との平等を基礎として、効果的かつ完全に参加することができることを確保すること、障害者が投票し、及び選挙される権利及び機会を含むとしていることについては、これはもちろん、大臣もその精神を遵守するということでよろしいですね。

野田国務大臣 はい。

宮本(岳)分科員 お認めいただきました。

 こういう流れも踏まえて、総務省は、二〇一〇年から障がい者に係る投票環境向上に関する検討会を立ち上げ、二〇一一年三月には報告書をまとめました。そこでは、視覚障害者への選挙公報について、総務省、何と書いてありますか。

大泉政府参考人 平成二十三年三月に取りまとめられました障がい者に係る投票環境向上に関する検討会報告書によりますと、視覚障害者向けの点字又は音声による選挙のお知らせ版の今後の方向性として、国政選挙や都道府県知事選挙における選挙のお知らせ版につきましては、「その内容を選挙公報全文とするとともに、視力に障害のある方の意向に沿うよう、点字版だけではなく、カセットテープ版、コンパクトディスク版及び音声コード付き拡大文字版を必要数、準備する。」こと、また、「知的障がい者など視覚障がい者以外の障がい者の方々にとっても音声による「選挙のお知らせ版」が有用となる場合があるため、その配布についても配慮する。」ことなどを定めてあります。

宮本(岳)分科員 点字又は音声による選挙のお知らせ版については、その内容を選挙公報全文とすること、視力に障害のある方の意向に沿うように、点字版だけでなく、カセットテープ版、コンパクトディスク版及び音声コードつき拡大文字版も必要数準備する、今答弁があったとおりですね。

 そこで、現状を聞きます。

 直近の国政選挙、昨年十月の衆議院総選挙では、選挙公報全文の点字版は、全ての都道府県で視覚障害者のお住まいの各戸にまで届けられたのか。また、カセットテープ版、コンパクトディスク版及び音声コードつき拡大文字版が障害者の御自宅まで配布されたのは、それぞれ何県になっておりますか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 昨年十月二十二日に執行されました衆議院議員総選挙において、各都道府県による点字又は音声による選挙のお知らせ版に係る各戸配布状況につきまして、配布というのは、都道府県選挙管理委員会が福祉部局や障害者関係団体から提供された配布対象者リストに基づき配布対象者の自宅等へ配布する場合、あるいは、都道府県選挙管理委員会から依頼を受けた福祉担当部局や障害者関係団体が配布対象者の自宅等へ配布する場合を各戸配布と申しますが、各戸配布しているのは、四十七都道府県中四十六団体でございました。

 音声版のうち、カセットテープ版を各戸配布しているのは三十四団体、コンパクトディスク版については三十八団体、音声コードつき拡大文字版につきましては、各戸配布しているのは二団体となっております。

宮本(岳)分科員 点字版も、まだ一県、各戸配布できていないんですね。これはどの県か。お恥ずかしいことに、私の出身県である和歌山県でございます。

 大臣、次回の国政選挙、つまり来年の参議院選挙では、その県以外は全てやっておられるわけですから、和歌山県でも、少なくとも点字版については各戸にまで、お宅にまで配布されるように、ぜひ総務省としてもしかるべき手だてを講じていただきたいんですが、いかがでしょう。

野田国務大臣 御指摘のとおり、視力に障害のある方を始め有権者の方々が選挙権を行使するに当たり、候補者情報を提供することは大変重要なことです。

 今お話をしております、点字等による選挙のお知らせ版の各戸配布が未対応の団体においては、先般の衆議院議員総選挙において、限られた期間内に対応することが困難であったと聞いております。ですから、今回はできなかったけれども、前はできました。ずっとやっていないわけではなくて、和歌山県は今回ちょっと対応ができなかったという報告でございます。

 既に大多数の都道府県において対応できていることから、各戸配布も含めた積極的な取組について、各団体における取組事例を横展開するなど、引き続き、各選挙管理委員会に対してしっかり働きかけてまいります。

宮本(岳)分科員 総選挙は突然やってきますけれども、参議院通常選挙は解散というものはありませんので、きちっと準備をしていただいて、来年は間違いなく全県で各戸にまで点字版が届くようにしていただきたい。

 我が党の堀内照文前衆議院議員の調査によりますと、神戸市選挙管理委員会では、点字版、音声版の両方を各戸にまで届けているということでありました。しかし、仮に全都道府県が各戸配布をするようになったとしても、そもそも点字版の配布部数の全国合計、これを見せていただいたら、約三万四千部なんですね。全国に視覚障害者は三十一万人以上おられる、こうなっておりますから、これはわずか一割強にしかすぎないわけであります。それは、日常的に点字公報などを届けている世帯と、御希望されるところにだけ届けるということになっているからなんですね。

 しかも、厚労省の社会・援護局が行った平成十八年身体障害児・者実態調査結果というものを見ますと、視覚障害者の点字習得の状況は、点字ができると答えているのは視覚障害者の一二・七%。一割強しか点字はできないんですね。

 ですから、福祉部局とも連携して、障害手帳を持っている方々など全ての対象となる方の手元に、点字版と同時に音声版、両方の選挙公報が届くようにするのは、最低限の情報保障、権利保障という点で私は不可欠だと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 今御指摘のとおりで、視覚障害の全ての方が点字を御理解いただけていないわけですから、今お話がありましたように、総務省としては、選挙のお知らせ版が重要であることは今申し上げたとおりでございまして、これまでは、配布について、個人情報の保護に十分留意をしておりまして、必要とされる方を把握している障害者団体に配布を依頼したり、又は団体に対して必要とされる方のリストの提供を依頼して配布するというふうに、慎重にやってきたところです。

 総務省としては、今御指摘のように、選挙のお知らせ版が必要な方のところにしっかり行き届くように、更に関係機関と連携を密にして、個人情報の兼ね合いもしっかりと踏まえつつ配布することや、今お話があったように、点字版だけではなくて、CD版などの音声版についても必要数準備することについて、しっかり、引き続き各選挙管理委員会に対して要請をしてまいります。

宮本(岳)分科員 当事者の方に話をお伺いしますと、選挙のお知らせが届くには届くんだが、昨年の総選挙のときは投票日の二日前、金曜日に届いたと。これも、期日が近かったというか短かったということもあるんですが。投票日は台風で、土曜日に期日前投票しようと出かけたけれども、長蛇の列、中には諦めて帰ってしまう人がいたのではないかという声も聞きました。過去には投票日が過ぎてから届けられたと、笑い話みたいなこともあったそうであります。

 地方議員の選挙ともなると、そもそもお知らせが届かない。届いても候補者名と簡単な経歴のみで、選挙公報の全訳になっていないなど、更に問題は山積であります。

 これらはいずれも、選挙期間が短いことからくる問題でもあるわけですね。抜本的な解決には、選挙期間のあり方を含めた検討が必要になってくるわけですけれども、ただただこの問題だけで選挙期間を決めていくというわけにも、それはもちろんいかない、簡単ではないというふうには思います。

 ただ、事は参政権という障害者の権利の基本、根本にかかわる問題でありますから、これはやはり放置することは許されない。しっかり検討を、これはもう答弁は結構ですから、しっかり、こういう問題もあるということを念頭に置いていただいて御検討いただきたいと思います。

 視覚障害者の参政権にかかわって、もう一点。最高裁判所裁判官の国民審査の投票方法でありますけれども、健常者であれば、あらかじめ候補者名が刷られた用紙が準備され、罷免したい人のところにバツを書き込むやり方であります。

 視覚障害者の方は、罷免したい人の名前を点字で打ち込むという方式になっております。前回は七人が対象でありまして、当然、全員罷免したいという人もいらっしゃいますから、そうなりますと、かなりの時間を使って七人の名前を打ち込まなくてはなりません。打ち間違えれば無効票となるんですね、これは。当事者からは、健常者と比べて負担が重いだけでなく、同じ一票なのに無効票のリスクが高いなど条件が違うのは不平等だという声が出されております。

 前回の国民投票のを、では、ちなみにどういう状況か聞いてみたら、二〇一四年の総選挙で、比例代表の点字投票七千七百七十五、全国でですよ。ところが、国民審査、これは六千三百一ですから、やはり、比例の投票はしたけれども、裁判官の国民審査はちょっと負担なのでしなかったという人も随分いらっしゃるんですね。無効率を見てみたら、比例代表で一・七%です。点字投票の無効率ですよ、点字に限ってですよ。しかし、国民審査は四・三%。やはり、有意に国民審査の方が無効率が高くなっているんですね。

 なぜこういう不平等が残されているのか、ちょっとまず事務方、お答えいただけますか。

大泉政府参考人 御指摘のとおり、最高裁判所国民審査の点字による投票というのは、自書式といいますか、点字で打ち込む方式になっております。

 この理由は、選挙という短期間の中で、点字による記号式投票用紙を調製することが、全国的にわたるものですから、なかなか困難であると考えられること、それから、記号式の審査に付される裁判官の欄にあらかじめ裁判官の氏名を点字で打たれた場合に、罷免を可とする意思を表示すべき場所、これをつくらなきゃいけませんけれども、この箇所に審査人が、審査をする方が点字により正確に記入することが難しいのではないか。特に、点字には基本的にマルやバツというものをあらわす記号がなく、そういう中で記入が難しいのではないのかなどの理由によるものでございます。

宮本(岳)分科員 あらかじめそういう説明も聞いて、昨年十二月五日にも今の答弁が繰り返されております。

 実は、この投票方式は、最高裁判所裁判官国民審査法第十六条で、「点字による審査の投票を行う場合においては、審査人は、投票所において、投票用紙に、罷免を可とする裁判官があるときはその裁判官の氏名を自ら記載し、罷免を可とする裁判官がないときは何等の記載をしないで、これを投票箱に入れなければならない。」と法定されているんですよ、このやり方が。

 では、この投票方式がいつから法定されたのかと調べてもらったら、昭和二十二年、一九四七年の十月。

 一九四七年十月十六日、参議院司法委員会で法案の説明を行った福原忠男衆議院参事は、「何故にかような盲人の点字には自署式を採るかといいますと、現実の問題といたしまして点字の投票用紙を全国に用意するということは非常な費用も掛かりますし、実際の従来の選挙の際の投票数は全国で約六百ということでございます。さような意味合から比較的少数のために非常なる費用を要するという点を考慮して、この盲人の点字の場合には特に記号式を置かなかつた次第なのであります。」云々と述べております。

 今では、視覚障害者の投票は六百どころじゃありません、さっき紹介したように七千七百七十五。また、費用や技術という問題も、これはもう七十年前とは大きく変化をしてきていると思うんですね。

 大臣、法制定以来七十年間、この規定、この十六条は一切変わっていないんですね、改正されていないんです。そろそろ、きちんと検討した上で、可能であれば法改正を行うことぐらい、当然検討すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 今選挙部長から答弁もありまして、委員も御指摘がありましたけれども、自書式による点字投票の投票方法を見直す場合、短期間で点字による記号式投票用紙を調製することが難しいと考えられることや、記号式投票の審査に付される裁判官の欄に裁判官の氏名が点字で打たれた場合に、罷免を可とする意思を表示すべき箇所に審査人が点字により正確に記入することが難しいと考えられることなど、さまざまな課題があると言われてまいりました。

 しかしながら、私も総務大臣になりましてから、障害者、当事者の家族の一人でもありますし、障害者の方々を含め、在外の人もそうですが、投票しにくい状況下で、投票率を上げろと言っても、上げるためのいろいろなことができるはずなのに、そういうことができていないということをつぶさに調べさせていただく中で、選挙人の投票環境の向上方策については、きょうは視覚障害者の方ですけれども、昭和二十二年にはなかったICTというのがこの世に今あるわけでございます。非常に利便性の高い道具であります。こういう活用をしてどのようなことが可能になるかということを、実は両方とも総務省にありますから、選挙もICTも、それを踏まえて、総務省に投票環境の向上方策等に関する研究会というのがあって、そこで新たに検討していただいているところです。

 国民審査についても、こうした研究会にしっかり議論していただいて、投票環境の向上を図っていくことは可能ではないかと私は考えております。

宮本(岳)分科員 おっしゃるとおり、技術も格段の進歩をしているわけですし、このとき、わずか六百だという議論をされて、そのままになっているというのは本当に胸が痛むんですね。参加できないから少ないわけであって、本来は全員が参加してもらわなきゃなりませんから、しっかり検討していただきたいというふうに思います。

 次に、聴覚障害を持つ方々にとって、候補者の政見を知るために欠かせない政見放送の手話通訳や字幕の付与について聞きたいと思うんです。

 衆議院の小選挙区選挙については、持込みビデオ方式が認められておりまして、手話通訳や字幕を作成者の側で入れることができます。また、スタジオ録画形式については、衆議院比例代表選挙や参議院比例代表選挙、そして都道府県知事選挙については既に手話通訳をつけて録画できることになっております。

 ところが、参議院の選挙区選挙については、手話通訳も字幕の付与もいまだにできていないんですね。これはまず事務方、なぜですか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 参議院の選挙区選挙でございますが、全国で同時に政見放送の収録が行われるということとなります。一定数の手話通訳士を各地域においてそれぞれ安定的に確保する必要が出てまいりますが、地域によっては手話通訳士の数が少ないところもあります。

 具体的には、政見放送に対応するための研修を履修した手話通訳士が十名に満たない団体が全国で七県ありまして、最も少ない佐賀県では、手話通訳士自体四名、うち研修を受けている人は二名というような状況でございまして、したがいまして、現状においては、限られた収録期間の中で必要な数の手話通訳士を確保することにはちょっと課題があるということでございます。

宮本(岳)分科員 手話通訳士の地域偏在という答弁がありましたけれども、それでも、さきに紹介した総務省の検討会報告を受けて、二〇一一年四月の統一地方選挙で行われた知事選挙で、初めて政見放送に手話通訳がつきました。だから、知事選挙ではやられているんですね。ただ、知事選挙は一斉にやりませんので、それぞれが応援して、少ないところにも人を派遣してやっている。

 この二〇一一年時点では、政見放送手話通訳研修を履修した人は全国で六百四十二人という体制で報告されておりました。それでも、その後、各ブロックごとで対応することによって、とにかく全ての都道府県知事選挙、もう今一巡、全て手話通訳が付されてきたわけであります。その後、総務省も努力していただいて、今御報告の研修履修者は、直近の二〇一六年一月二十一日現在の資料では千三百三十九人となっております。

 きょうは資料をお配りいたしましたので、お手元の資料を見ていただきたいんです。これは前の数は書いていないですけれども、十七人だった北海道は四十七人に、三十六人だった東北ブロックが八十人、二十七人だった中国ブロックも九十九人、四国も十六人から五十九人へ、九州は二十九人から百二十人へと、なかなか格段の増員がされております。これは大いに評価したいと思うんですね。

 このような努力を引き続き来年に向けて強めていって、例えば、先ほどお話にあった、今は二人と少ない佐賀県には隣の福岡県から派遣するとか、五人の徳島県には兵庫県から派遣するなど、やりくりを、手当てを本当に少ないところに幾つか講じれば、決して不可能ではないんですね、都道府県知事ではやっているわけですから。

 やはり、来年の参議院選挙からは選挙区についても手話通訳をつけることをぜひ大臣に検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 資料をありがとうございました。

 確かに、研修を受けていただいて、数をふやしていただいているところです。

 実は、別なところでも、電話リレーサービスとか、手話でいろいろ福祉サービスを提供するということで、私自身も、そのサービスを展開するにも人手がいないんじゃないかということを指摘したことがございます。

 引き続き、やはりこの研修会を総務省としては実施して、手話通訳士の確保に向けた取組は行ってまいりたいと思います。

宮本(岳)分科員 大いに頑張っていただいているわけですから、もうあと一歩ですから、そこにしっかり融通もきかせて、本当に首を長くして障害者の方々は手話通訳がつくことを待っておられますから、ぜひやっていただきたい。

 さらにもう一点、政見放送への字幕の付与についてであります。

 私は、かつて参議院議員時代に、交通・情報通信委員会でNHKの予算審議にも当たってまいりました。一九九九年三月二十八日には、当時郵政大臣だった野田大臣とも議論したことをきのうのことのように思い出します。十九年前、お互い随分若かったのでありますけれども。

 当時は、地上波放送のデジタル化で、データ放送を活用することによって、今足踏みしているような問題も迅速に解決の方向に向かうというような説明があったと思います。私は、当時の東海村の原子力事故を受けて、聴覚障害者にNHKのニュースが伝わらなかった問題を取り上げて、災害や事故など命にかかわる緊急なニュースには生放送でも字幕を付与することを求めて、NHKはついに二〇〇〇年三月二十七日から「ニュース7」でリアルタイム字幕放送を開始いたしました。

 あれから十八年たったんですね。さぞかし進んでいるだろうと思っておりましたら、国政選挙の政見放送にすらまだ字幕が付与されていないと聞いて、率直に言って驚きました。

 NHKに聞くわけですけれども、リアルタイム字幕放送から十八年ですよ。総務省の障がい者に係る投票環境向上に関する検討会報告書からでももう七年たったわけでありますが、今でも国政選挙の政見放送にすら字幕がつけられない、どんな技術的困難があるんですか。

木田参考人 政見放送につきましてはNHKの方で制作する等々のことではありませんので、技術的にというよりは、まず制度的に我々の方ではタッチしておりません。

宮本(岳)分科員 言うまでもなく、放送法第四条第二項には、「放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送等の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。」こう定められております。

 この放送法の趣旨を踏まえて、総務省は、放送分野における情報アクセシビリティーの向上を図るため、ことし二月七日、放送分野における情報アクセシビリティに関する指針を定められました。総務省、この指針は前文でどのような趣旨を掲げておりますか。

山田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の指針でございますけれども、先生御指摘の放送法第四条第二項等を踏まえまして、放送分野における情報アクセシビリティーの向上を図るため、字幕放送、解説放送及び手話放送の普及の目標を定めるものでございます。

 本指針の運用に当たっては、障害者基本法等に鑑み、視聴覚障害者等の情報アクセス機会の一層の確保を図ることとしております。

宮本(岳)分科員 ちなみに、この目標でNHKの目標はどのようになっていますか、地上波。

山田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 NHKにおきましては、放送時間六時から二十五時までのうち連続した十八時間につきまして、字幕付与可能な全ての放送番組に関しまして字幕を付与することを目標としております。これを十年間の目標として定めているところでございます。

宮本(岳)分科員 明確に、対象の放送番組の全てに付与というのがNHKの目標なんですね。

 それで、フォローアップの対象ということでいいますと、残念ながら地方局作成の番組はカウントされないというふうに説明を受けました。

 NHKは当然、地方局制作の番組も含めて、全ての放送番組に字幕を付与するということを目指して頑張っていただいていると私は思っております。よもや、フォローアップの対象でなければ字幕付与の必要はない、そんなふうに考えておられないと思うんですが、NHK、もちろんのこと、そんなことは思っておりませんね。

木田参考人 地域放送局では字幕を付与する体制が整っていないなど、まだまだ今後の拡充に向けた課題は多いのではありますが、可能なことから着手して、サービスを充実させていきたいというふうに考えております。

宮本(岳)分科員 地方局の字幕付与の体制が整えば、参議院の選挙区選挙の政見放送への字幕の付与もできるようになると私は思います。

 ちなみに、これも、もう一つだけ確認しますが、総務省、字幕付与の経費はきちんとNHKに支払われておりますね。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 公職選挙法第二百六十三条の九号の規定によりまして、政見放送に係る経費は国が支払うこととされておりまして、既に字幕を付与することが可能でやっております参議院の比例代表選出議員選挙、これは全国で東京一本で今やっておりますけれども、これは現に、字幕付与に要した経費につきまして支払っているところであります。

宮本(岳)分科員 きちっとこれは、経費はもちろん国が持つわけですから、手話通訳の付与も字幕の付与も、そのための予算はしっかり確保することは私も求めておきたい。

 また、NHK受信料収入が過去最高を更新して、内部留保に当たる繰越金は三十年度末で七百六十七億円となる見込み、こういう報道もあります。しかし、本来、公共放送に当たるNHKは、字幕放送、解説放送、手話放送、こういった情報アクセシビリティーの向上にこそ、しっかりとこの繰越金を振り向けていただきたいというふうに思っております。これは選挙じゃないですよ。選挙は国が出さなきゃならないけれども、それ以外のあなた方の放送コンテンツにきちっと、地方局も含めて、つけることに振り向けてもらいたいと思います。

 当事者の方々に聞けば、手話でないと話の意味がつかめないという方もいれば、手話ができない人は字幕がないと困るという声もあり、手話と字幕は、どちらかがあればよいというものではないようです。両方実現できるよう努力すべきことは言うまでもないと思います。

 少なくとも国政選挙には、参政権の基本となる政見放送に手話と字幕を付与する、そのための第一歩を来年の参議院選挙で踏み出す。

 最後に大臣の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

野田国務大臣 今委員の御指摘になったのは、聴覚そして視覚に障害がある方の限定のように聞こえますけれども、日本というのは超高齢社会に入ってきます。加齢によって、年をとることによって耳が遠くなったり目が見えにくくなる方もどんどんふえる国なわけですね。ですから、一部の障害の人のためということではなく、全ての有権者がひとしく投票できるということをしっかり捉まえて、極めて重要な課題だと認識していますので、しっかり検討していくことをお約束したいと思います。

宮本(岳)分科員 ありがとうございました。

橘主査 これにて宮本岳志君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

橘主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐藤明男君。

佐藤(明)分科員 私は、自由民主党の佐藤明男でございます。

 本日は、予算委員会第二分科会で質問の機会をいただきまして、大変光栄に存じております。

 また、本室に入りましたら、我が地元栃木県の郷土の誇りであります元衆議院議長の船田中先生の額のもとでの質問ということで、大変緊張しております。

 昨年十二月、大臣所信に対する質疑で質問をさせていただきました。総務省が多くのすばらしい事業を行っているということにもかかわらず、国民の皆様に、事業のメリットというんですか、十分浸透していないなということが非常に残念でありまして、本日は、その周知の一助を担えるような質問をさせていただきたいと考えております。まだまだふなれでありますので、わかりやすい答弁をお願いをしたいと思います。

 まず、昨年の特別国会で伺った案件でありますが、地方公共団体の不安がまだまだ拭えないという話が私の耳にも入っております。庁舎の長寿命化対策について質問をさせていただきます。

 平成二十六年四月に、当時の新藤義孝総務大臣が、「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」ということでお話がありまして、国において、インフラの老朽化が急速に進展する中で、新しくつくることから賢く使うことへの重点化が課題であるとの認識のもとで、平成二十五年十一月にはインフラ長寿命化基本計画が策定されたところであります、各地方公共団体におきましては、こうした国の動きと歩調を合わせ、速やかに公共施設等の総合的な、計画的な管理を推進するための計画、公共施設等総合管理計画の策定に取り組まれるよう特段の配慮をお願いします、また、各都道府県においては、貴都道府県内の市区町村に対し、本通知について速やかに連絡をしていただき、その趣旨が徹底されますようにお願いしますとの要請文が都道府県知事、政令指定都市の市長に出されているということであります。

 この件について、私の質問に対しまして、公共施設等の総合管理計画につきましては、平成二十九年の九月末の時点でおよそ九九%、ほとんどの地方公共団体において策定が完了している、今後、地方公共団体におきましては、この公共施設等の総合管理計画に基づきまして、更に個別施設ごとの具体の対応方針や経費の見通しを織り込みました個別施設計画を平成三十二年までに策定し、それらの計画に基づきました具体の老朽化対策の取組を着実に推進していくことが求められますとの答弁をいただきました。

 しかし、我が国の庁舎等はおおむね一九七〇年代に建設されたものが多いと私は考えております。総務省の基本耐用年数においての五十年を平成三十二年より前に超えてしまう庁舎も多いのではないでしょうか。コンクリートの建築物は一般的に六十年程度の耐用年数があると思いますが、どの程度の庁舎が長寿命化対策をせず法定耐用年数を超えているか、総務省は把握をされているのでしょうか。

 私の地元栃木県では、庁舎等でいえば、建設後五十年を経過する施設は、平成二十七年度末の時点で三・八%、その十年後には一五・四%、二十年後には三六・二%と、加速度的にふえていくことになります。

 総務省としては、公共施設の現況を把握していただくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今の耐用年数の問題でございますが、私ども、一昨年の熊本地震の発生に合わせまして、庁舎の倒壊が非常に問題になりましたので、当時は、耐用年数というよりも、五十六年の建築基準法の、旧の基準で建てられた庁舎がどれぐらいあるかということの調査をいたしました。

 ただ、公共施設の老朽化対策は非常に重要でございます。

 現在、地方公会計の整備を行っております。それぞれの地方団体におきまして、今年度末までに統一的な基準による財務諸表等を作成するように進めていただいております。この財務書類の作成のために整備される固定資産台帳の情報から、地方公共団体の所有する施設の減価償却の累計額は網羅的に把握できる、そういうことになってまいります。

 このことから、総務省におきましては、平成二十七年度決算より、公共施設等の老朽化の度合いを示す手法としまして、取得価額に対する減価償却の累計額の割合であります有形固定資産の減価償却率、これを公表することとしております。この中で、庁舎につきましても調査して公表しまして、経年なり、類似団体とのデータ比較という形でお示ししている、そういう状況でございます。

佐藤(明)分科員 ありがとうございます。

 昨年のこの件のときに、政府参考人の方から、この個別施設計画に基づく点検、診断等の実施を踏まえて、総合管理計画を不断に見直し、実施を図る、また、これらを、全庁的な老朽化対策の取組を推進する観点から、庁内での推進体制を強化する、これとあわせて、中長期的な視点に立って所要の財源を計画的に確保していくことが課題であると。また、政務官からは、総務省としても、公共施設の老朽化対策に取り組む団体への地方財政措置を拡充するなど、地方公共団体が適時適切に対策を実施できる環境を整備してまいりますという回答がありました。

 県庁舎の長寿命化対策に関しては、交付税措置が残念ながらなされておりません。交付税措置を県庁舎まで拡大させることについての御見解をちょっといただきたいと思います。

黒田政府参考人 公共施設等の長寿命化対策でございますが、公共施設の計画的な管理を進める中で、維持管理でありますとか更新等に係る財政負担を軽減、平準化するために、平成二十九年度から、公共施設等適正管理推進事業債、これを地方債の事業債の類型として創設しまして、公共施設の長寿命化事業等につきまして地方財政措置を講じてきております。

 ただ、地方公共団体の行政を運営していく上での基本となる公用施設であります庁舎の建設、改修事業につきましては、それぞれの地方公共団体の判断で決定されるものでございますので、これまでも特別な財政措置を講じないことを基本としてきたところでございます。

 長寿命化事業におきましても、庁舎を始めとする公用施設につきましては特別の地方財政措置の対象としないことを基本としていることにつきましては、御理解賜りたいと思います。

佐藤(明)分科員 今回の公共施設の老朽化対策なんですが、市町村役場緊急保全事業の地方財政措置は自治体に大変好評だと伺っております。

 一方で、時限の制度があるために工期に無理が出るのではないかという懸念も伺っております。恒久措置という形は無理としても、期間を長くとっていただいて、支援措置を拡充していただくといったようなことをお願いをしたいと思います。

 次に移ります。

 続きまして、所信質疑でお伺いさせていただきたかったんですが、ちょっと時間の都合でできませんでした、情報通信技術を活用した地方を元気にする方策や、我が国の社会的課題につなげる方策について質問をさせていただきます。

 まず、多言語音声翻訳システムについてお伺いをいたします。

 二〇一九年のラグビーワールドカップや二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、ここ数年、訪日外国人の数が急増している中ですが、この動きを地域経済の活性化にもつなげていくためには、訪日外国人を、日本の、魅力あふれるさまざまな地域にいかに誘引していくかが課題であります。

 地域における訪日外国人の受入体制づくりにおいては、言葉の問題が非常にポイントとなってきます。

 言葉に関連する取組として、総務省所管の国立研究開発法人情報通信研究機構、NICTにおいては多言語音声翻訳技術の研究開発が進められていると聞いております。観光収益を最大に取り込んで地域を一層元気にするためにも、この多言語音声翻訳技術の多言語化や精度の向上を進め、地域社会での実利用を一層進めるべきかと考えますが、総務省はどのように取り組んでいっているのか、お伺いをいたします。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、訪日外国人の旅行者の数は年々ふえてきておりまして、二〇一七年では既に二千八百六十九万人と、推定値でございますが、二千八百万人を超えるまでになっております。

 政府といたしましては、総理を議長とする観光ビジョン構想会議というところで四千万人を目標とするということで目指して、さまざまな施策に取り組むこととしております。先生が挙げられましたワールドカップあるいは東京オリンピック・パラリンピック競技大会、こういった年には更に多くの外国人が訪日することが予想されております。

 NICTにおきまして、これも先生から御紹介いただきました多言語音声翻訳技術、この高度化、開発が進んでおりまして、これはスマホの方にVoiceTraと呼びますアプリをダウンロードしていただきますと、日本語を入力すると即座に外国語で出てくる、あるいは逆に外国人の方が外国語で発音されると日本語で表示される、こういった機能を今開発して、精度を高めているところでございます。

 訪日外国人の方々が滞在中に言葉の壁を感じることなくお過ごしいただけるような環境を実現すべく、二〇一四年の四月にグローバルコミュニケーション計画という計画を策定、発表して推進しているところでございます。

 この計画では、さまざまな民間企業さんと連携をいたしまして、二〇二〇年までに十カ国語について旅行会話を中心とした生活会話で実用レベルの翻訳精度を実現して社会実装していくということを目指しております。

 さらに、総務省といたしましては、今後ますますふえてまいります訪日外国人の方々に、東京だけでなくて地方の方に不便なく訪れていただくということ、それから地方の方からもその魅力を存分に発信していただく、こういった地方創生の観点からもこの技術の社会実装を加速してまいりたいと考えております。

 そこで、総務省では、ICTの活用全般を通じまして地方を元気にしていこうということで、さまざまな取組事例あるいはその方法などについて今説明の機会の場を設けましたり、あるいはその中で多言語音声翻訳の利活用、こういったものについても説明をさせていただいておりますし、また、この二年度におきましては、二十七年度、二十八年度と、地方の十地区におきまして多言語音声翻訳技術の利活用実証というようなことも実施をいたしております。こういった場を通じて、地方の方々にも多言語対応の意義あるいはその必要性、便利さといったものの御理解を深めていただいております。

 しかし、今後は更に、関係府省あるいは地域の企業、団体の方々との連携を更に強化いたしまして、多言語音声翻訳技術の地域での利活用、あるいは実利用、実装と申しておりますが、これを推進して地方創生、地域経済の活性化に貢献してまいりたいと存じます。

佐藤(明)分科員 ありがとうございます。

 NICTの、今お話があったVoiceTraですか、これは日本で試すと非常に双方向で翻訳がすっきりできるんですが、一方、海外で使ったときにちょっとふぐあいがあるんじゃないのかなというような感覚を私は持ったんですね。それとまた、使い勝手の向上、ちょっと上げていただきたいなと。

 また、このアプリ、二〇一五年から使用開始ということだったんですが、アプリのダウンロード数というんですか、どの程度やられているのか、教えてください。

今林政府参考人 先生御指摘のとおり、言葉によりまして、対応ができるもの、できないものがまだございます。

 それから、グーグル翻訳などと違いまして、単なる機械翻訳でなくて、実例に即していろいろな文例を入れて、それにおいて、状況に応じた答えが返ってくるというようなことを目指しておりますので、若干そういったところでは、まだ精度が悪いと使い勝手が悪いということになりますが、逆に、利用場面に即して非常に当意即妙な会話が可能になるのではないかなと考えております。

 現在は三十一言語間の翻訳が可能でして、二十三言語については音声入力が可能になっております。それから、十七言語については音声出力が可能になっております。先ほど挙げました十言語といいますのは、特に日本においでになる方々が多い、あるいはこちらとしてもアウトバウンドも進めたい国々ということでその十言語を目指しているわけでございます。

 ダウンロード数ということでございますと、ちょっと今手元にすぐ出てまいりませんので後ほどまた御報告を申し上げたいと思いますが、年々ふえております。

 ダウンロードして使っていただくのもスマホでできるということで非常に簡単ではあるんですが、利用場面ですと、余り複雑な会話が要らなくて、例えば決まり文句が必要な場合には、入れた機器を開発していただいている、そういうメーカーさんもございます。例えば電車に乗られるときに、外国人の方々が落ちないようにということで、メガホン型の機器を開発されたり、あるいは空港ですと、例えばカウンターで会話ができるように、タブレットにマイクをつけたもので会話ができるように、こういったような機器も開発されております。

 ですから、私どもは、今あるものを更に実用で民間の方々にお使いいただくということと同時に、更にその精度を高めまして、先生御指摘のように、海外にお持ちいただいても不便なく使えるように進めてまいりたいと存じます。

佐藤(明)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと意地悪な質問だったので申しわけないんですが、NICTの方に伺ったところ、ダウンロード数は百九万人ぐらいだということらしいんですね。ただ、諸外国のそういった企業のダウンロードが数億とか数千万というようなことをちょっと聞いているので、かなり差があるなと。せっかくすぐれた技術をこういう形で駆使しているのに、使われないというのは本当にもったいない。

 私の地元の栃木県の日光なんかでも観光客が、外国の方がどんどんふえているんですが、やはり言語の問題にどうしても突き当たるということで、こういったものをどんどん推進をしてもらって、地方の発展にもつなげていただきたいなと思います。ありがとうございました。

 次に、第五世代の通信システム、5Gの実現に向けた取組についてお伺いします。

 午前中に田所委員からも何かお話があったようでございますけれども、ここ数年、スマートフォンが急速に普及をして、いつでもどこでもさまざまなサービスをモバイルで受けられるという環境が整いつつあります。また、あらゆるものがインターネットにつながって、IoTの実現によって、より便利な社会が実現されることになります。この技術は、我が国が直面する社会的な課題の解決など、さまざまな分野で新しいサービスをつくり出すことができると思います。

 このIoTを支える基盤技術として5Gの早期の実現が期待をされているところで、世界的にも二〇二〇年のサービスを目指してさまざまな準備が進められているということでありますが、この分野で日本が世界の主導的な役割を果たせるよう、より強力に5Gの実現を早期に進めていく必要があると思います。

 二〇二〇年の第五世代移動通信システムの実現に向けて総務省としてはどのような取組をされているのか、お聞かせをください。

小林大臣政務官 佐藤先生には総務委員会でも大変御指導をいただいておりまして、本当にありがとうございます。

 佐藤先生御指摘のとおり、第五世代の通信システム、5Gは超高速、そして多数接続、さらには超低遅延という特徴があります。そういう意味では、日本の通信の環境というのは大変いいというふうにお話をいただいたとおり、先ほどのVoiceTraも遅延なくやれるというのはまさに通信環境がいいという観点もあるんだろうと思っています。

 これらの5Gの技術的な特徴を生かすことで、自動走行や工場、建設現場の無人化、遠隔医療、こういった形で社会課題の解決にもつなげられると思っておりますし、今までサービスを受けられなかった方々を取り残すことなく、サービスを受けられる環境をつくっていくということもできると思っています。

 先ほどのお話にもあったように、外国人観光客が大変ふえていますが、一人頭の消費額を海外から比べると、まだまだ実は日本の外国人観光客の消費額は少ないというところがありますので、ずっと長く地域の政治家を支えるお仕事をされてきた佐藤先生だからこそ、地方議会等々と御協力をいただいて、ぜひ地域でVoiceTraも活用いただくような取組をやっていただけたら大変心強いなと思っております。

 総務省としては、まず、5Gの実現に向けて、利活用を想定した実証実験の推進、そして国際的な標準化を進める観点からの国際連携の強化、来年度末の割当てを目標とした5G用周波数の確保に向けて注力をしておりまして、二〇二〇年の5G実現を目指して、関係機関と連携しながら取組を加速してまいりたいと思います。

 ぜひ、実験する場所もまた御提案をいただきながら、一緒にやっていきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。

佐藤(明)分科員 大変爽やかな御答弁をいただきまして、逆にこちらの仕事もふえたようでありますけれども、大変ありがとうございます。

 私個人も使っている中で、動画などを見るときは現在の4Gでも十分かなという程度なんですが、毎秒十ギガビットもの5Gの用途がちょっと思いつかないんだけれども、今聞いて得心をいたしましたので、よろしくお願いをいたします。

 続いて、情報技術の活用についてお伺いをします。中長期的な課題に対する情報通信の活用についてであります。

 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会を過ぎると、日本はますます人口減少や高齢化の影響が本格化してくるというふうに予想されます。例えば、私の地元栃木県では、もう既に、五年前に二百万の県民と言っていたのが、二百万を切りまして、二〇一〇年から二〇四〇年の間の三十年間でおよそ人口が三十六万人も減ると言われています。また、その中で、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口が四十二万減る一方で、六十五歳以上の人口が十五万ふえるというような予測も出されております。

 この数字を見るだけでも、地域の経済や暮らしがこのままでは厳しい状況に直面するだろうということは容易に想像はできます。しかし、こうした見通しだけを悲観するのではなくて、どうしたらこの難題に立ち向かい、乗り越えなくてはいけないかと考えた場合、国民に示していくことが政治の責務だと思います。私は、この問題を解くキーワードが情報通信技術ではないかなと思っております。

 例えば、インターネットが世に出ましておよそ三十年がたつと言われていますが、手紙や駅の掲示板が主流であった時代から、スマートフォンの電子メールやSNS、私なんかも利用しておりますけれども、このことが当たり前の時代になっております。産業分野でも、モバイル端末や社内のLANとかの導入によって仕事の効率化も図られております。仕事の効率化が劇的に進み、ネット通販など新しいサービスも続々と登場しています。今も、あらゆるものがインターネットにつながって、人工知能やこれを使ったロボットなど、新しい技術が開発されているわけです。

 日本の人口減少や高齢化に伴う中長期的な課題を乗り越えていくためには、こうした最新の技術を上手に取り入れることが重要ではないかと考えています。

 そこで、我が国が抱える中長期的な課題に、総務省として、IoTの活用についてどのような取組を進めていくのか、お伺いをいたします。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、時代は、全てのものがインターネットにつながる、インターネット・オブ・シングス、IoTの時代を迎えております。このIoTは、多種多様なデータの収集、分析等を通じまして、生産性の向上を始めといたしまして、地域住民の生活の利便性の向上、あるいは経済の活性化、我が国は人口減少に直面しておりますけれども、その中におけるさまざま社会的課題の解決に有益なものというふうに認識しております。

 総務省では、生産性の向上などに資するため、IoTを活用した新たなサービスのモデルを構築するとともに、さらに、その成功モデルの横展開を図っていくといったような事業に取り組んでいるところでございます。

 一例を申し上げますけれども、第一次産業の例で申し上げますと、畜産分野の例でございますが、画像の認識技術とAIを用いまして、養豚の、体重の予測モデルによる最適な体重での豚の出荷。実は、養豚業においては、最適体重で豚を出荷するということが生産価格に大きく影響するということで、最適な体重を把握するのが重要なんですが、実際にこれまでは目視等でやっておると非常にそれを把握するのは難しい。また、生産現場では、農業の場合は人手不足ということもございまして、そういうふうな最適な体重を把握するというふうなこと、これにその画像認識技術とAIを用いていこう。さらには、餌の場合も、最適な餌のやり方、量というふうなことで、餌のコストの低減というふうなことにもこのIoTの技術を使っていく、こういうプロジェクト。

 あるいは、もう一つ農業の例でございますけれども、センサーから得られます土壌データや気象データなどビッグデータを蓄積、分析をいたしまして、ワイン用のブドウの収穫や害虫駆除の最適なタイミングを予測しまして、地元の中小のワインブドウ農家で高品質なブドウ栽培を目指し、地元のブランドの確立などを目指していこう、こういう取組なども支援をしているところでございます。

 総務省といたしましては、このようなプロジェクトなどを通じまして、生活に身近な分野における地域経済を牽引する新たなIoTサービスの普及、展開を進めることによりまして、生産性の向上、あるいは人口減少下でのさまざまな社会的課題の解決に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

佐藤(明)分科員 ありがとうございました。

 人づくり革命、働き方改革、いずれも情報通信の技術なしではなし得ないと思います。人口減少社会という、どの時代でもどの地域でも経験をしていない未曽有の難しい時代を乗り切るためにも、さらなる技術革新を期待しております。

 最後に、テレワークの推進について。

 これも前回の特別国会のときにも質問をさせていただきました。テレワークの推進については、働き方改革、地方創生への切り札として強く認識を持っておりますが、野田大臣から、経団連などの経済界に対して、テレワークを活用しながら目に見える形の働き方改革を推進していただくようにお願いをしたところです、成功事例をお見せしながらお願いしているといったような答弁がございました。

 お示しをされた具体例はどんなものがあるのか、ぜひともお話をしていただければと思います。

吉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 総務省では、今御指摘のように、テレワークの普及を強く今推進しているところでございますけれども、導入企業の成功事例なども取りまとめまして広く周知する取組を行っております。

 例えば、具体例でございますが、これはある大手ICT企業の例ですけれども、テレワークを始めといたします働き方改革に積極的に取り組まれた結果、二〇一〇年から二〇一五年の五年間で、社員のワーク・ライフ・バランスの満足度が四〇%増加、生産性についても、社員一人当たりの売上げが二六%増加、女性の離職率、職を離れる率が逆に四〇%減少、ペーパーレス化も五〇%進展したといったような具体的な成果があったという事例がございます。

 また、総務省では、テレワークにより地方でも都市部と同じように働ける環境を実現し、都市部から地方への新たな人や仕事の流れをつくり出すふるさとテレワークというものも推進しておるわけでございますけれども、これは和歌山県の白浜町の例ですが、白浜町にテレワーク拠点を整備した結果、商談件数が二〇%増加、契約金額が三〇%増加、生産性の向上により、一人当たり一日平均三時間の地域の交流や家族との交流に充てる時間、自分時間と言っておりますが、これが増加したといったような効果が得られた、これも一つの事例でございます。

 今先生御指摘のように、野田大臣が先頭に立ってテレワークの推進に努めていただいているわけでございますけれども、大臣が経団連などの経済界に対しまして働き方改革の推進に関する講演などを行う際にも、ただいま申し上げたような具体的事例を御紹介いただいているというふうに承知しております。

佐藤(明)分科員 ありがとうございました。

 聞けば聞くほど、総務省の役割は多岐にわたって、本当に幅広い仕事をやられているなと思います。御苦労もあるかとは思いますが、幅広い仕事であっても、懐の深い大臣もいらっしゃいますので、ぐっと先頭にしていただいて、国家国民のために政策を積極的にお進めをいただいて、これからの日本をやはりしょって立つのはこの総務省の皆さんだと思いますので、ぜひ御尽力をいただくようにお願いをいたしまして、お時間が早いですが、終了とさせていただきます。

 ありがとうございました。

橘主査 これにて佐藤明男君の質疑は終了いたしました。

 次に、繁本護君。

繁本分科員 京都二区から選出しております、自由民主党の繁本護でございます。

 分科会では初質問でございます。どうぞ御指導よろしくお願いを申し上げます。

 きょうは、二点、来年度の予算にかかわる質問を御用意させていただいております。

 まず、一点目。ドローンを活用した災害対策の充実についてということであります。

 一月七日に、京都市の岡崎公園、これは平安神宮の目の前なのでありますが、この公園の前で出初め式がございまして、京都市消防局が持っている装備や、あるいは、常日ごろ京都市の安全、安心を守ってくださっている消防局、消防団、分団、皆さんおそろいで、よし、ことし一年、京都市、無火災を目指して頑張るぞという出初め式に参加してまいりました。本当に、常日ごろ、消防庁そして消防局の皆さんが無火災に向けて一生懸命汗を流してくださっていることに、まず感謝を申し上げたいと思います。

 思い起こせば、その出初め式で一つ見なかった機材がございました。ドローンでございます。ドローンは、この世の中で、消防に限らず、農業の分野だとかあるいは漁業の分野だとか、もともと私は建設の専門家でありますけれども、その建設の分野、常々の維持管理、災害復旧などなど、非常に広範囲に使われている最新の機器でありまして、これを、全国の国民の、火災現場や災害発生時においても活用していかなければならない、そんな時代が来ておるわけであります。

 まず、一点目。大規模災害が発生したとき、ドローンの活用について、消防庁、来年度の予算あるいは今年度の補正にも組まれておりますが、その取組状況について、まずお聞きしたいと思います。

小倉大臣政務官 繁本先生から、ドローンの活用についてお尋ねがございました。

 実際に、昨年の夏の九州北部豪雨におきましては、道路の寸断等による孤立地域でドローンを活用した情報収集活動を実施することによりまして、消防庁を始め関係機関で迅速に被災情報を共有することができまして、緊急消防援助隊の的確な運用にもつながりました。

 この九州北部豪雨での災害対応における有効性を踏まえまして、今回の補正予算によりまして、全国の主要な消防本部に無償使用制度によりドローンを配備をしていただきまして、緊急消防援助隊の情報収集体制を強化をしたい、このように考えております。

 また、消防庁におきまして、大規模災害時の情報収集体制のさらなる強化を図るため、ドローンによる空撮等を行う民間事業者と協定を締結することとしておりまして、現在、相手方となる民間事業者の公募を行っているところです。

 さらには、各都道府県の消防学校に消防団員向けの訓練用ドローンを無償貸与し、消防団等への配備を推進をしております。

 まさに繁本委員が御指摘いただきましたように、消防におけるドローンの活用は非常に重要だと思っておりますので、消防庁におきましても、特に大規模災害に備えまして積極的に取り組んでまいりたいな、このように思います。

繁本分科員 政務官、御答弁ありがとうございました。

 民間との協定も含めて、ドローンをいかに生かしていくかということは非常に大事なポイントであると思いまして、実は、私の選挙区であります京都市においても、ついせんだって、国より先んじて、二月の五日の発表でございましたが、災害時において、民間の団体と、民間が持っているドローンをいざ何かが起きたときに活用させてほしい、あるいは、常日ごろ、災害が起きたときではなくて平時において、ドローンを使った技術的な助言、アドバイスを民間から京都市消防局が受けるといったことだとか、あるいは、民間が持っているドローンでありますから、その使い方については、災害時においての対応だとか平時の助言だけでなくて、常日ごろの観光振興という観点でも利活用ができるというようなことも、かなり幅広いテーマで、京都市が二月の十三日に民間二団体と協定を結んだところであります。

 ぜひ、消防庁においても、京都市の例も少し見ていただきながら、門川市長も、一生懸命、京都市の安全、安心のためにこういった最新の取組をやっております。これは、京都市が、ドローンに関する包括連携協定、包括と言ったのは、先ほど申し上げたとおり災害以外のことも含めた連携という意味でありますが、京都市が初めてなんですよ。ですから、これもぜひ御参考にしていただきたいというふうに思います。

 そして、もう一つ、京都市が、先ほど政務官にお答えいただきました予算の話でありますけれども、情報収集活動ドローンというのをぜひ京都市にも配備したいというふうに要望を持っておりまして、伺っております。また、京都市の計画としては、緊防債を使って無人機一機を京都市が保有する。

 ですから、京都市は、全部でドローンを二機持って、さらに民間の持っているドローンとあわせて活用しながら、これからの発災時の対応について備えをしていくということであって、極めて先進的な民間との協定についても率先して取り組んでおるこの京都市に対して、情報収集活動ドローンの配備について前向きな御検討、御答弁を賜りたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。

小倉大臣政務官 繁本先生がお話しになられました民間とのドローンの包括連携協定、しっかりと勉強させてもらいたいと思います。

 また、京都市には、緊急消防援助隊の取組、これは非常に国としても重要だと思っておりますけれども、積極的に御助力をいただいておりますことにまずは感謝を申し上げたいなというふうに思います。

 それで、今回の補正予算で配備をするドローンでありますが、全部で十八台を予定しております。これにつきましては、緊急消防援助隊で主要な役割を担う政令市、まさに京都市も含まれますが、消防本部に配備をしたいと考えておりまして、今後、各消防本部の意見などを再度確認をいたしまして、年度内を目途に配備先を決定をしたい、このように考えております。

繁本分科員 政務官、極めて前向きな御答弁をありがとうございました。

 政令市に配備するということでありますので、京都もその二十ある政令市のうちの一つでございます。ぜひ、これを活用した取組が、年度内に配備が決まるということでありますから、京都市でもフル活用されますことを本当に願っているところでございます。

 さて、このドローンを使った消防については、実はお話を伺っておりますと、いろいろな、建設分野でありますとか農業の分野でありますとか、他分野と比べても、まだ国として、これをどのようにして取り組んでいこうか、あるいは機材をどのように配備していこうか。

 私、実は阪神・淡路大震災を大学四年生のときに経験しておりまして、二十年前ぐらい、二十二、三年前ですね、あの規模の大規模災害を目の当たりにしたものですから、当然、大規模災害が発生いたしますと、情報収集のために、自衛隊のヘリが飛ぶ、警察のヘリが飛ぶ、消防のヘリももちろん飛びます、報道用のヘリも飛ぶ、ありとあらゆる、空からの情報収集のためのヘリがいっぱい飛んでいくわけでありますよね。

 そういったことも含めて、じゃ、例えば、神戸、あるいは京都は花折断層を震源地とする地震とこれに伴う火災が想定されるわけでありますけれども、例えば百四十七万都市の京都において、ドローンが何機必要なんだとか、それを常々どこに置いておけばいいのかとか、あるいは、バッテリーが限りがありますから、三十分、四十分飛行したらまたそれを基地に戻さないといけないということもありますね。そして、バッテリー交換してまた飛ばすわけですけれども、ドローンそのものが、有視界といいますか、自分の、操縦者の目で確認できる範囲でしか飛ばせないとか、いろいろ、運用に当たっては考えるべきことがたくさんございます。

 夜間に飛ばした場合に、夜間の映像をしっかり撮るだけのカメラの性能はどのようなものが必要なのか、あるいは、類焼を防止するために熱感知センサーがついていた方がいいのではないかとか、スペックだけでも相当、全国配備するに当たっては考えることが多いように思いますね。

 そして、それを幾つ配備すること、どこの分団あるいは消防団に持たせるか、そして、それを使うための操縦士を、今回、平成三十年度の予算で消防学校に無償で貸し付けるというメニューがありますから、これも四十七都道府県にしっかりとこれから配備がなされるんだと思いますが、その操縦士の位置づけはどうするんだろうかということも含めて、相当、やはりドローンを活用した消防体制について、消防庁が率先をして考えていくべきこと、準備していくべきことが多いのではなかろうかと思います。

 消防行政は基本的には自治行政でありますが、国が率先して、例えば、ガイドラインを示してはどうかとか、あるいは、今回、三十年度の予算にも研究開発費が組まれておりますけれども、これをもっともっと加速して準備するべきではないかと思いますが、この点について国が率先してこれから指針なりなんなりを示していく、このことについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

小倉大臣政務官 お答えを申し上げます。

 現在、七十カ所の消防本部でドローンが導入されておりまして、建物火災の状況確認、山間部での要救助者捜索、車両転落事故におけます情報収集、大規模災害時の被害状況の確認など、多岐にわたる使われ方がされておりますが、今後ますます多様な活用が見込まれます。例えば、救助資機材の搬送でありましたり、スピーカーによる要救助者への呼びかけ、こういった使い方もあるのではなかろうか、このように考えております。

 そういった中で、消防庁といたしましては、ドローンを先進的に導入している消防本部による活用事例、消防防災分野での活用に推奨されるスペックや装備の例、法令上の留意事項や事故防止のための留意事項、人材育成手順の例などについて取りまとめた手引をことしの一月三十日に発出をいたしまして、都道府県、市町村、消防本部に対して周知をしたところであります。

 ただ一方、繁本先生が御指摘のとおり、ドローンの技術は日進月歩でございまして、今お話しになられたようなさまざまな論点もあるのではないか、このように思っております。

 そういった中で、引き続き、先進的な取組をしております消防本部の知見、関係行政機関に係る情報、研究事例などをまとめまして、その結果をまとめての手引のブラッシュアップを率先して行いまして、関係者に周知をしてまいりたい、このように思います。

繁本分科員 極めて前向き、かつ、既に取り組まれているお取組も詳しく御説明を賜りまして、ありがとうございました。

 日進月歩で進化する機器、そのとおりであります。先ほど、僕の前に佐藤先生が御質問の中で、IoTだとかあるいはAIだとかということも話題になっておりましたが、この消防の機器の部分も、これからそのAI、IoTなどなどがどんどん盛り込まれていく分野だと思うんですね。ぜひ御検討を進めていただきたいと思います。

 ガイドライン、さっき政務官のお話もあったんですけれども、消防力の整備指針というのがございますね。これは平成二十六年に最終改正されたわけでありますが、これをいろいろ勉強しておりますと、基本理念の第三条の中に、災害対応における地域の防災力を高めるために、「災害情報の伝達等に必要な資機材の整備等を図るとともに、」というふうに明確に書いておりますし、まさにこれが、ドローンの配備に必要となってくる根拠となる条文だというふうに思うんですね。

 ところが、「施設に係る指針」というのが第二章と続いて、第三章では「人員に係る指針」というふうになってくるんですよ。ずっとこの指針を読んでおりますと、施設の部分で、ポンプ車がどうとか、はしご車がどう、化学消防車がどうときめ細かく書いてあるんですが、先ほど来私が申し上げているような、大規模災害が発生して、発災直後に迅速な対応をとるための情報収集体制に関する機器の例示がないんですよ。消防団員間の相互の連絡に必要な情報機器については記載がございます。

 ですから、この点も、消防力の整備指針というのは、まさに機器の予算要求をするときの、本当に指針ですよね。ですから、これも少し見直しをしていただいて、しっかりと消防庁が財務省に対してこの機器の予算要求をする。あるいは、操縦士を訓練するためにはそれなりの定員が必要でしょうから、定員要求を総務省にしてやっていこうじゃないかということで、この指針も、今回、私の発言をもとに一度見直していただければありがたいというふうに思います。

 これは詳しく通告していなかったので、もしお答えがあれば、政府参考人の方でもお願いしたいと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 今、小倉政務官の方から御答弁申し上げましたように、このドローンに関しましては、今後、現在つくっております事例集などをブラッシュアップしていきながら、関係者に周知をやっていきたいと思っております。

 そういったふうな中で、今御指摘のあった整備指針の関係で、どういったふうな形で反映できるかどうかということも含めて研究していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

繁本分科員 それでは、通告に従いまして二つ目の課題に移ってまいりたいと思いますが、よろしくお願いをいたします。

 二つ目の問いは、水道あるいは公共下水道、あるいは高速鉄道、自治体によってはさまざまな地方公営企業を持っておりまして、一般会計とは別に、料金収入をベースにその事業を組んでおります。

 現在、京都市も、まさに京都市会、来年度予算を審議しているところでありますが、京都市では、一般会計七千八百四十四億円であります。

 きょうテーマになっている水道事業の会計を見ていますと、来年度は五百五十八億円。そして、公共下水道は九百八十七億円であります。高速鉄道、地下鉄でありますが、八百二十九億円という非常に大きな規模で、これからの経営に向かって取り組んでいくわけでありますけれども、いかんせん、今申し上げた水道なり公共下水道、あるいは、京都市のことでありますが、地下鉄の建設、過去に非常に金利が高いときに建設債を京都市が発行して、そして毎年度毎年度、元本と利子を償還しながらその経営をやっている。利子が高いときに建設債を発行しているものですから、その負担が非常に重いということであります。

 例えば、水道事業について申し上げましたら、給水収益に対する企業債の残高の割合は、京都市の場合五・九倍。大都市の平均を調べてみたら、二・八倍なんですよ。だから、全国平均、大都市の平均よりも倍近い企業債残高がある。あるいは、料金収入に占める毎年度の元利償還の割合、毎年出していくお金の、借金返済の部分に当たる割合も、京都の場合は三九・二%。これは大都市平均を勉強してみますと、二四・一%なんですね。

 地下鉄の場合、営業収益、お客さんの料金収入、切符を売って集まってくるお金、これに対する企業債の残高の割合は、京都市の場合十三・七倍。ほかの都市の平均と比べたら、ほかの都市の平均が五・七倍なんですね。

 これは、京都市の特有のことを私は申し上げているので、そういった今申し上げた状況なんですけれども、これからも、企業会計というか、公営企業でありますから、基本的には、水を供給する、そしてそこから得られる料金収入、切符を売った料金収入でこれを何とかしていかんのでありますが、京都市も御多分に漏れず、やはり人口減少社会であります。なかなか収益の部分が上がらない、人も減っていく。いいか悪いかは別として、そういう状況の中で、なかなか企業会計、公営企業の経営は厳しいような状況なんですね。

 そこで、何とかしてこれを、例えば建設債を借りかえるような制度をつくっていただけないかというような要望を受けておりますが、実際、こんなことが可能かどうか、過去に例があったのかを含めて、総務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

小倉大臣政務官 私、去年の末に、京都市に宿泊税の関係でお邪魔をさせていただきました。京都市の方からは、私は観光客がふえて非常に経済も財政も潤っているんじゃないかと思ってお邪魔をしたところ、やはり観光業は非正規の方が多いというような点もありまして、一方で、インバウンドの観光客がふえるとそれに伴って非常に行政ニーズもふえるということで、非常に京都市は厳しい財政運営を送っているということを言われました。

 今の繁本委員のお話で、一般会計だけではなくて公営企業会計も非常に厳しい状況であるということを承知をいたしました。

 それで、御質問の件なんですけれども、実際に特例措置があったかどうかというところでございますけれども、平成十九年度から平成二十四年度までに、年利五%以上の公的資金を対象といたしまして、補償金免除繰上償還を実施したところであります。

 この結果、平成十八年度末に約九兆円あった年利五%以上の公的資金の公営企業債残高は、平成二十八年度末には〇・四兆円だったところと、二十三分の一まで減少したところでありまして、高金利で借り入れた公的資金に係る利子負担は、この特例措置によって相当程度軽減されたのではないか、このように考えております。

繁本分科員 今政務官御答弁いただきましたとおり、そのような特例措置をやっていただいたおかげで、全国の公営企業の借金の部分が随分と圧縮された。これは非常に高く評価されるべきであって、地方自治体もその経営に随分助かったことかと思うんですが、今、京都市の置かれている状況を見ておりますと、まだまだ借金の債務残高がたくさん残っているということですね。

 それともう一つは、例えば下水道であれば、国交省の緊急改築推進事業というものを使いまして、設置から五十年を経過した下水道の更新をやってきた、頑張ってやってきたんですよ。

 ところが、京都の場合は、明治維新百五十年、まさに、もっと長い歴史でいうと一千二百年の歴史のある、下水道の開発普及も他都市に比べれば早い都市でありましたから、下水道の老朽化というのは、まだまだ、これから先の問題として大きな問題になっております。

 平成二十八年現在において、下水道の耐用年数を、五十年を超えた割合が二割なんですけれども、これから、あと例えば二十年たったとしたら、その割合が、耐用年数を超えた下水道の割合が七割に達するということでもあります。

 ですから、人口が減ってくることによって料金収入がなかなか上がらないというレベニューの、収入の問題に加えて、これから老朽化対策でやらなければならない下水道の事業というのも山盛りこの京都は控えているわけであります。

 また、水道のことを少し申し上げますと、実は京都市では、節水に対しても非常に努力を積んでいるところであります。

 琵琶湖という大きな水がめを背後に控えて、そこから水をいただきながら、でも渇水期には水が足らなくなるわけでありますし、その水がめは、京都だけでなくて阪神一円の水がめとして役割を果たしている、したがって節水もしっかりやっていかなきゃならぬということで、例えば、一般の御家庭とか事業所も、井戸を掘って地下水をしっかりと利用しているんですよ。

 ところが、井戸を掘ってその井戸水を使っている人は、井戸水を使うわけでありますから、水道料金を払わへんのですよね。でも、いざというときに水供給というのは、これは健康の問題、安全の問題でありますから、水道施設は引っ張っておかないといけない。実は、こういったところの日々の水道施設のメンテナンスということも必要になって、そこにもお金がかかるわけでありますね。

 あるいは、鉄道のこともそうであります。るる申し上げましたけれども、今のような、まず高い金利で借りた借金があり、料金収入が減って、そしてこれからたくさんお金がかかっていく。鉄道については、毎年度何とか黒字を計上できるようになった京都市の地下鉄でありますけれども。

 これだけの借金があって、その返済に、金利三%以上の借金を少し御紹介いたしますと、水道、公共下水道事業でいけば四百二十六億円ございます。これは全体の借金二千八百二十三億円に対する四百二十六億円でありますから、非常にやはり重たい負担になっていることは言うまでもありません。地下鉄についても、三%以上の借金、これは二百五十八億円残っているわけであって、全体の借金が一千百五十一億円でありますから、この割合というのはやはり大きいわけであります。

 何とか、過去に発行した建設債の負担、これを軽くするためのいろいろな工夫を総務省に検討していただきたいのでありますが、もう一点、何か一言御答弁をお願いできたらと思います、今の状況を踏まえまして。

小倉大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほど申し上げた従前の特例制度によりまして、大分、高金利の企業債残高は減ってきている。一方で、その原資でありました旧資金運用部資金につきましては、財投特会の積立金残高が相当程度減少しておりまして、金利変動に対する対応余力が著しく低下しておりますことから、さらなる補償金免除繰上償還は今のところ困難な状況にあります。御理解をいただきたいと思います。

 ただ、繁本委員がおっしゃったような、今の公営企業、特に上下水道の事業を取り巻く環境の厳しさというのは私ども認識をしておりまして、このような状況を踏まえて、各公営企業が将来にわたって安定的に事業を継続をできるように、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を図るため、総務省では、各公営企業における経営戦略の策定等を推進をしているところであります。

 特に水道事業と下水道事業につきましては、それぞれ研究会を設置したところでありまして、持続的な経営を確保していくための対応策等について検討してまいりたいと思います。

 いずれにしても、京都市を含めた自治体の公営企業の経営のあり方については、総務省としてもきちっと寄り添って対応させていただきたいなというふうに思います。

繁本分科員 戦略をつくっていく、研究会で御検討いただけるということで、新たな借りかえについては難しいという御答弁もありましたけれども、ぜひその検討を前に進めていただきたいというふうに思います。

 今国会で提出されている法案をずっと見ていますと、例えば水道法の改正も予定されていますね。これは、今までPFIを活用した水道事業の展開ということがありましたけれども、更に一歩踏み込んで、コンセッション方式という形で、より、民が持っているノウハウや、あるいは経営資源ややり方、資金力を含めてやっていくということで、これから厚生労働委員会でありますから、私が所属しておりますので、責任者の一人でもあるのでありますけれども。

 ただ、その他の公営企業を含めて、PFIだとかPPPだとか、こういったやり方もあるんですが、やはり水道だとか下水道というところですね。我々の命にかかわる水の供給でありますから、どうしても公共の役割というのは残るはずなんですよ。それを残した上で、その役割を果たすための定員も実際に残した上でのPFI、PPPとかコンセッションといっても、これはどこまで効果があるかはこれから検証していかなければなりません。

 したがいまして、やはり、コンセッションやPPP、PFIにも期待するところもあるんですが、地方財政について一番よく見ていらっしゃる、これからの総務省の戦略の策定や、あるいは研究会での議論に御期待を申し上げているところでございます。

 以上申し上げまして、私の質問時間が参りました、終わらせていただきます。ありがとうございました。

橘主査 これにて繁本護君の質疑は終了いたしました。

 次に、串田誠一君。

串田分科員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 まずは、本会議におきまして野田総務大臣に質問させていただきまして、御丁寧な回答をいただきましたこと、まずもってお礼を申し上げたいと思います。

 これからかなり細かな質問をさせていただきますので、後半、大臣に決意を述べていただくということもありますので、適宜離席をしていただいても結構でございますので、委員長においては御配慮いただければと思っております。

 まず、地方議員の年金問題についてお聞きをしたいと思います。

 私たち日本維新の会は、地方議員の年金に関しては一貫して反対ということでございます。この点、この法案に関しては、現在、政府案というようなことでもございませんので、総務省に質問するというのも少し違うのかなとも思いつつ、これまでの地方議員の年金ということもございますので、廃止に至る経緯と、そして、もし復活をした場合の概算の予算などを教えていただければと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 旧地方議会議員年金制度は、議員立法により、昭和三十六年に公的な互助年金制度として設けられたものであります。

 しかしながら、平成の市町村合併に伴う議員定数の削減が予想以上に進展したことなどにより財政状況が悪化し、今後も持続的な制度として存続させることはもはや困難であると判断されたことから、平成二十三年に廃止されたものでございます。

 それから、仮に地方議員が厚生年金へ加入した場合ということだろうと思いますが、その際、大ざっぱな推計ですが、地方議員全員が厚生年金に加入するとして試算を行うと、保険料の二分の一の事業主負担が生じます、これがごく粗い推計で毎年度約二百億円の年金に係る公費負担となる見込みでございます。

串田分科員 ありがとうございます。

 地方によりまして、給料も少なくて、なり手がない、そういう地域もあるかと思うんですけれども、私の地元の神奈川県におきましては、横浜市会議員の給料は九十五万三千円、県会議員も九十七万円と大変高額なわけでございまして、とてもなり手がないというような状況であるとは私は思えないわけでございます。

 我が党の馬場幹事長が予算委員会で質問させていただきましたけれども、せめて、そういう法案ができたときには、地方議員が選別できる、潔く、自分は税金で年金を補ってもらいたくないという議員も多数いるわけでございます。特に我が党の地方議員は恐らく皆この年金には加入しないと思われるわけでございますが、そういうふうなこともあるわけでございますので、国民の税金を使う議員年金が、これは成立を私たちは反対をしているんですけれども、仮に成立をするということにおきましては、選択的な制度にしていただくことを要望させていただきたいと思います。

 次に、IoTという分野について御質問させていただきます。

 このIoTというのは、インターネット・オブ・シングスという、頭文字をとったものだそうでございますけれども、今まで、インターネットに接続しているというのは、パソコンとかあるいはスマホとか、こういったようなところはイメージが湧くわけでありまして、かねて、あえて言うならば、テレビも相当前からインターネットに接続をしていたというのも承知をしているところでございますけれども、最近では、冷蔵庫だとかエアコンだとか、あとはドアだとか防犯カメラだとか、至るところがインターネットに接続をしていて、外から帰る前に暖房がつくとか、必要なんだろうかというようなぐらいまでインターネットがずっとついているわけでございます。

 こういうものが増加をしてきたことによってどのような問題が発生しているか等々、御説明をいただければと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 世界全体におけますいわゆるIoT機器の数でございますけれども、民間の調査によりますと、二〇一六年の段階で約百七十億個という数でございます。今後とも幾何級数的に増加が見込まれるところでございまして、二〇二〇年の時点で約三百億個まで達すると見込まれているところでございます。

 総務省所管の国立研究開発法人でございます情報通信研究機構、いわゆるNICTの観測データによりますと、二〇一五年から二〇一六年の一年間に、我が国におけるサイバー攻撃は二・四倍の増加でございますけれども、IoT機器に限ったサイバー攻撃につきましては約五・八倍の増加ということでございます。また、二〇一六年時点の全サイバー攻撃の中で、約三分の二がIoT機器を狙った攻撃となってございます。

 さらに、二〇一六年の十月には、ミライと呼ばれますマルウエアに感染した大量のIoT機器が米国のダイン社のサーバーに対して大規模なDDoS攻撃を行い、SNSやオンラインショッピングなどのサービスが利用できなくなるなどの障害が発生したものと承知をしております。

串田分科員 今るる説明をしていただいたんですけれども、例えば冷蔵庫とかエアコンとかにサイバー攻撃というのがちょっとイメージが湧かないんですけれども、その攻撃を受けたことによってどんなことが要するに支障を来すのか。例えば、自分は暖房をつけていたわけじゃないのに、帰ったらすごい暖房がついていたとか、冷房になっていたとか、どういうことがサイバー攻撃になっているのかということを、ちょっと具体的な事例を御存じであれば披露していただければと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど触れさせていただきましたアメリカのダイン社に対するサイバー攻撃の場合も、その攻撃に用いられたIoT機器といたしまして、例えば、防犯カメラが攻撃者に乗っ取られまして、これが攻撃の踏み台として使われていたという事案がございました。

 監視カメラあるいは防犯カメラが外部からアクセスをされて乗っ取られるという場合には、撮影されている映像あるいは音声というものがインターネット上で誰でも閲覧できるような状態にさらされてしまうということが考えられるわけでございます。

 また、家庭ではございませんけれども、例えば、事業所におけるネットワークに接続された複合機などの場合ですと、ハードディスクに蓄積されておりますさまざまなデータがサイバー攻撃によって窃取あるいは外部から閲覧ができるという可能性がございます。

 また、実際にサイバー攻撃が発生したものではございませんでしたけれども、アメリカにおきまして、二〇一五年、自動車をインターネットから遠隔操作ができるという脆弱性が見つかりまして、自動車会社が百四十万台に及ぶリコールを発表したといったような事案も発生しているところでございます。

串田分科員 今、防犯カメラという御説明がありまして、何となくイメージが湧くわけでございます。今、よく盗聴器というのが非常に問題になるわけでございますけれども、盗聴器というのは、誰かが家の中に入って、コンセントから電源をとるとか乾電池だとかいろいろあるわけですが、防犯カメラの場合には、みずから、自分がカメラを設置して、そしてわざわざ外部にその映像を流すというようなことにもなってしまうということで、大変恐ろしいわけでございます。

 IoT機器を購入したことによって、どうしてそんなに簡単に乗っ取られるのかということは国民も大変思っていることだと思うんですが、その原因というものがあるのであれば、教えていただければと思います。

谷脇政府参考人 お答えを申し上げます。

 繰り返しになりますが、先ほどの、米国において発生しました、IoT機器が乗っ取られてダイン社に対する大規模なサイバー攻撃が行われたという事案の場合ですと、実は十万台を超えるIoT機器が乗っ取られておりました。

 このマルウエア、ミライに感染したIoT機器でございますけれども、その原因につきましては、IDあるいはパスワードを初期設定から変更しないまま利用しているなど、これが脆弱性につながりまして、これを利用されて攻撃者にこの機器が乗っ取られまして、そして攻撃の踏み台として使われた、こういった事案だったというふうに理解をしております。

串田分科員 せっかく大臣もいらっしゃるところなんですが、御自宅で、IoTの機器だな、これは気をつけなきゃいけないなというような認識でもって生活はしていらっしゃるでしょうか。

野田国務大臣 幾つか我が家で、最近のはやりといいますか、声をかけると天気を言ってくれるみたいなものを持っていますし、また、AI搭載のペットというのも最近飼い始めておりまして、いろいろ調べますと、今、谷脇さんが言ったようなこと、脆弱性があるということで、気をつけなきゃならないなとは思いながら利用させてはいただいています。

 何をされるかはちょっとわからないんですけれども、やはり常にそういうものなんだという意識を持ってつき合っているという感じです。

串田分科員 防犯カメラの場合には外へ向かってカメラがあるわけですけれども、今大臣のお宅には最近はやりのロボットがあるようで、あのロボットは近づいていくわけですから、カメラの映像が外部に漏れないように、ぜひ気をつけていただきたいと思います。

 私も言われれば幾つかあるようでございますけれども、そう言われれば、IDとパスワードを〇〇〇〇のままにしていることが圧倒的に多いのかなと思いますので、今御指摘をいただいたとおり、早速変えていかなければいけないなというふうに思っているわけです。

 さて、その攻撃がこんなにたくさん発生しているということなんですが、一体それは誰なんだ、そんなことをやっている人は誰なんだというのが国民にとって一番の関心事だと思うんですけれども、その点、調査の結果というものは出ているんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバー攻撃でございますけれども、一般的に、攻撃を行う主体でございますけれども、攻撃者が自分の痕跡を隠す匿名化技術というものを使っている場合が多うございまして、技術的にこうしたサイバー攻撃を行っている者を特定するということは極めて困難なものでございます。

 ただし、先ほど触れさせていただきました、二〇一六年秋のマルウエア、ミライを用いて行われた大規模サイバー攻撃の主体でございますけれども、これにつきましては、訴追をされた米国在住の個人が罪状を認めたということで、昨年十二月、米国司法省の声明によって公表をされているというところでございます。

串田分科員 先ほど、防犯カメラの例が出てまいりましたが、聞くところによると、冷蔵庫だとかあるいは暖房機などが乗っ取られた場合というのは、各家庭における画像が送られるというのはイメージとしてわかるんですけれども、IoT機器がほかの形で乗っ取られたときというのはどういう現象が発生しているんでしょうか。何か、IoTを通じて、ほかの、要するに、各家庭に対する攻撃ではないというようなこともちょっと聞いているんですけれども、いかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、例えば家庭内のIoT機器が攻撃者によって乗っ取られる、あるいはマルウエアが仕込まれるという場合がございます。このマルウエアが仕込まれた場合には、家庭内のネットワークを経由して、他の機器、例えばパソコンですとか、こうしたものが感染をして、そしてパソコンの中に保存されております個人的なデータ、こうしたものが窃取をされる、こういった脆弱性が拡大をしていくという可能性が一つ可能性としてはあるのではないかと思っております。

串田分科員 ちょっとニュースで読ませていただいたんですが、IoT機器を通じて、ほかのサーバーに集中して攻撃をするようになるというような話も聞いたところでございまして、そういうことになると、自分の冷蔵庫だとか暖房機だとかがアメリカの何かサーバーを集中して、各家庭のいろいろなIoT機器が一つのところに集中して攻撃をするような、そんなような現象もあるかと聞いているわけでございます。

 そうなると、各家庭の機器が、実は加害者であるにもかかわらず、それを全く認識しないままに乗っ取られているというようなことがあるようでございますので、大変怖いなとは思っているんですけれども、現在、パソコンの場合にはウイルスソフトというのがございますが、例えば防犯カメラだとか、そういう家庭内の機器、こういうものに対してもウイルスソフトというのはあるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、パソコン等の情報通信機器につきましては、ウイルスソフトを導入していただくということがまず基本動作として重要かと思っておりますけれども、例えば防犯カメラですとか、こうした汎用的な家庭で使われる機器の場合、ウイルス対策ソフトが適用される、あるいはそれ用のウイルス対策ソフトが販売されているという事実は余りないわけでございます。

 そうした中で、総務省におきましては、こうしたさまざまなIoT機器のセキュリティーを確保するために、IoTセキュリティガイドラインというものを、平成二十八年七月に、経済産業省あるいはIoT推進コンソーシアムと連名で公表させていただいております。

 このガイドラインにおきましては、一般の利用者の皆様のためのルールといたしまして、機器を購入したときのパスワードをそのままにしないで、適切なID、パスワードを設定するなど初期設定に気をつけるということ、また、問合せ窓口やサポートがない機器あるいはサービスの購入、利用を控えていただくということ、さらには、使用しなくなった機器については電源を切っていただく、さらに、機器を手放す場合には、機器に既に記憶されているデータを削除した上で処分をしていただく、こういった事項を示させていただいております。

 総務省といたしましては、一般利用者の方々に安心、安全にIoT機器を使用していただけるよう、こうしたガイドラインの周知に努めるとともに、こうした家庭内のIoT機器のセキュリティーをいかに確保、強化していくのかという技術的な対策、開発というものについても積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。

串田分科員 私もかねてより、破産法というのはもう少し改正していかなければいけないなと思っているんです。

 なぜかといいますと、会社の個人情報は、これはパソコンで管理をしていまして、個人情報保護法でしっかりと管理をしているんですけれども、破産しますと、その会社のパソコンというのは、従業員が勝手に持ち出したり債権者が勝手に持っていったりと、要するに、破産法というのは、会社が存続をしていることだけを前提にして、会社が消滅した後のことについては破産法の適用外ということになりまして、持っているパソコンの処理というもののガイドラインというのが法律の中にはしっかり定められていないわけですよね。

 それと同じような形で、今、パソコンだとかスマホだとかを販売するところにおきましては、例えばブックオフなんかでは十分パソコンの情報だとかを処理していますよというようなことになっているわけですけれども、そういう意味で、まだまだ物を処分するときの情報管理というのは十分なされているわけではないのかなと思うとともに、今、国民も、パソコンとかスマホにはかなり情報が入っていて、それを処分することは非常に危険であるということはちょっと承知しているところも出てきていると思うんです。

 けれども、せっかくこのIoTという、シングスという、要するに、パソコンとかそういう国民がイメージしやすいようなものでないものにも今インターネットが接続をされているというようなことの中で、例えば冷蔵庫だとか電話機だとかいろいろな、テレビなどはかなり承知していると思うんですけれども、既にウイルスに感染されているとか、あるいは非常に怖いサーバーに接続がされているというようなことを認識しながら、冷蔵庫を友達に渡して、これは非常に今情報がもしかしたらあれだからそちらでリセットしてねとか、そんなことを言いながら処分しているということはちょっと考えつかないわけでございますので、その点について、今後、IoT機器の処分のことに関しましては十分な配慮をしていただくということが必要かなと思います。

 それと、今、非常にサイバー攻撃というのがいろいろと多岐にわたってきて、それこそイタチごっこというようなことでもあるかと思うんですけれども、総務省におかれましては、サイバー攻撃に対する対応の人材、あるいはそういうものに対してどのようなことを対策として考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、サイバー攻撃に対処するためのいわゆるサイバーセキュリティー人材の育成ということは非常に大きな課題でございます。現時点においては、圧倒的にセキュリティー人材が不足している状況でございます。

 こうした中、総務省におきましては、幾つかの施策を展開をしております。

 昨年の四月に、情報通信研究機構、NICTにナショナルサイバートレーニングセンターという組織を設けまして、ここにおきまして、実際にサイバー攻撃事案、インシデントと呼んでおりますけれども、が発生した場合にどのように対応するのかということを、実際にパソコンを使いながら研修する仕組みを構築をしてございます。

 これによりまして、今年度、約三千名の皆様方、具体的には、地方自治体、あるいはいわゆる重要インフラ事業者のエンジニアの皆様方、こういった皆様方に研修を受けていただいております。

 また、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックがございます。これに向けた対策を強化するということで、組織委員会と連携をしながら、こうしたオリンピック・パラリンピックに向けたセキュリティー人材の育成を現在進めております。

 また、特に若手人材を今後育成していくことが大変重要になってまいりますので、本年度から、二十五歳以下のセキュリティーイノベーターを公募いたしまして、現在四十七名を登録してございますけれども、一年間のカリキュラムでこうしたイノベーターの力を伸ばすといったような、こうした取組を進めているところでございます。

串田分科員 何か乗っ取られたときの対策というのも非常に重要なことだとは思うんですけれども、もともと、電気機器、いわゆるIoTになっている機器を開発しているというのは電機メーカーではないかと思うので、電機メーカーの方でサイバー攻撃に強い機器にしてもらいたいという、これが一番の原点なのかなと。それで、それが乗っ取られたときのために、それこそ政府だとかそういったようなところが対応するのかなとは思うんです。

 メーカーサイドでIoTに対してはどういうような、要するに、非常に効率よい機器をつくるというだけではなくて、サイバー攻撃に対しても十分それに対して防波堤となるような部門というか、そういうようなところは総務省としてはどんなような感じで把握されていらっしゃるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、昨年の十月、IoTセキュリティ総合対策というものを公表させていただいております。その中で、IoT機器のいわゆる脆弱性というものをどのように解消していくのかという取組を始めているところでございます。

 その中で、IoT機器といいましても、既にもう現実の社会に設置されているものと、それから今後製造、販売をされるもの、二種類に分かれると考えております。その中で、既に設置されているIoT機器につきましては、どれくらいの脆弱性があるのか、また、それを個別に解消していくということが必要でございます。

 総務省では、昨年の九月から、民間団体でありますICT―ISACと連携しながら、こうしたIoT機器の脆弱性の調査を始めております。こうした調査結果を踏まえて利用者に注意喚起を行っていくという取組を現在しておりまして、更にその体制の強化を来年度以降進めていきたいというふうに思っております。

 また、委員御指摘の、今後の、新たに販売される機器、とりわけメーカーさんも含めた対応ということでございますけれども、一定のセキュリティー要件をクリアしている機器を認定をするような仕組み、それによって、ユーザーから見ると、この機器を使うのは安心、安全であるということが判別できるような仕組みづくりというものを、メーカー各社にもお入りいただいて、民間の組織であるIoT推進コンソーシアムという場におきまして、経済産業省とも連携しながら現在検討を進めているところでございます。

串田分科員 本当にしっかりと対応されているなと思って、私もちょっと安心しているんですけれども、ただ、メーカーの機器の箱とかパンフレットには、この機器は乗っ取られるかもしれません、例えば冷蔵庫のそういうパンフレットに見たことがないんですよ。

 ですから、そこら辺が、もしかしたら僕が見逃しているのかもしれないんですけれども、これは経産省の問題なのか総務省の問題なのかわからないんですけれども、ハード面では各メーカーがしっかりと対応し、また総務省も非常にその点について十分力を注いでいらっしゃるということはよくよくわかったんですけれども、ソフト的な部分、要するに国民に知らしめる部分というのは少し欠けているような気もいたしますが、その点はいかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、一般の消費者の皆様に過度の負担をかけるということは望ましくないわけでございますし、また、正しい情報を消費者にお伝えするということも極めて重要だというふうに考えております。

 そういった意味では、どのような情報提供をどういう体制で行っていくのか、この点については経済産業省あるいは消費者庁などとも相談をしながら進めていく必要がございますし、また、こうしたIoT機器のセキュリティーについておわかりにならないことがあった場合の相談窓口などの体制整備のあり方についても、先ほど触れさせていただきましたIoTセキュリティ総合対策の中の検討項目になっておりますので、なるべく可能な限り急ぎながら具体的な施策をまとめてまいりたいというふうに考えております。

串田分科員 今回、IoTを取り上げさせていただいたんですけれども、今後はますますいろいろな機器がIoTにつながっていくのかな、そういう意味では、非常にささいなことではなくて、本当は国家的なプロジェクトとして非常に関心を示していかないと、何かすごく便利な世の中というのは、便利なことに対する仕返しみたいなことがきっと起きる可能性もあると思うんですね。

 そういう意味で、最後に大臣に、IoTセキュリティ総合対策に対する今後の決意を国民に向けても述べていただければと思います。

野田国務大臣 むしろ私の方から串田委員にお礼を申し上げなければなりません。

 サイバーセキュリティーに関しては、国民も、また国会の中でもなかなか関心が薄く、こうやって議論する場がとても少ないように思います。

 私自身はたまたまパラリンピックを担当していて、パラリンピックを運営してきた諸外国の人から、でも一番大切なことはサイバーセキュリティーですよと。ここ近年は、やはり各会場、オリでもパラでもサイバー攻撃を受けていて、それに四苦八苦している。そういうところから伝わってきて今に至るんですけれども、特に日本の場合は、IoTに関して、今おっしゃったように、IoTは便利だ、IoTはすごいということで、どんどん普及はしているわけですね。驚異的に普及はしているんだけれども、それに対しての今委員が御指摘になった不安、心配というものについては、ちょっと後手後手になってきたんじゃないかということを感じています。

 これは決して日本だけのことではないと思います。むしろ、今、谷脇さんがお話しになったIoTセキュリティーというのは、世界に先駆けて日本がこれだけ事細かく消費者レベルの相当数の数のIoTに対してしっかり調査をしていくというのは、世界でも初めての試みではないかと思います。

 インターネットというのは絶対という言葉はないと思うんです。でも、最善を尽くすという意味で、先ほどの対策を通じて、今御指摘あったように、しっかりとメーカーにそういう安全の認証、ハードルをちゃんとつくっていくとか、またその啓発とか、とにかくありとあらゆることをして、消費者に余り負担をかけないように、せいぜいパスワードを変えたり初期設定を変えるということは、これからはIoTの中では全てにおいて常識な感じで消費者教育も進めていかなきゃいけないと思うんですけれども、それ以上の負担を余りかけないように、消費者をサイバー攻撃から守っていかなければならないという使命を感じています。

 また今後とも御支援をよろしくお願いします。

串田分科員 正直なところ、想像以上に総務省さんは頑張っているなと思いました。これからも、世界に先駆けて、セキュリティー分野でいろいろと御努力をいただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

橘主査 これにて串田誠一君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美君。

西村(智)分科員 立憲民主党の西村智奈美です。

 大臣、お疲れさまです。よろしくお願いいたします。

 私、地元が新潟でございます。新潟市は、ことし、例年にない大雪でした。

 新潟ですと言うと、雪が大変でしょうと言われるんですけれども、私のところは海の近くですので、実は、山の方が大雪になっていても、ふだんはそんなには多くないところなんです。ところが、ことしは、典型的な里山ということで、北陸地方を中心に本当に大変でした。いつもですとどかっと降るのが一日ぐらいで終わるんですけれども、ことしは二日続いて、センター試験にもぶつかったということもあって、市内は大混乱でした。それだけではなくて、新潟県内のほかの自治体も大変混乱をいたしました。

 今回、特別交付税を繰上げ交付していただいた、きょう決定されて発表されたということで、私も資料をいただきましたけれども、二百十八億円。感謝いたします。しかし、もうちょっと欲しかったです、正直に申し上げると。

 新潟市の例で申し上げますと、今の時点で既に除雪費七十五億円の見込みです、年度末までで。例年の同じ時期と比較しても二・三倍ということですので、今回は新潟市内も五・五九億円でしたか、ということだったんですけれども、三月の本交付と言ったらいいのかわかりませんが、三月の特交の交付のときには、ぜひ、これまた除雪に対する配慮を含めてお願いしたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

野田国務大臣 今お話のあったとおり、本年度は本当に、御地元の新潟県を始め福井県等々でも大変な降雪量がございまして、今おっしゃったように、ふだん積もらない、ふだんはどうにかしのげる地域でも大変な積雪を迎えて、本当に、私自身も直接たくさんの地方自治体の代表の方から除排雪の経費についての御要望を承ってきたところです。

 今、少なかったと言われましたけれども、平年を大きく上回る大雪に見舞われた団体など百六十三市町村を対象に、本来三月に交付すべき特別交付税の一部を、二百十九億円を繰り上げて交付することを決定して、二十六日に現金交付をする予定です。

 実は、今回の特別交付税の繰上げ交付は、対象団体の数は過去二番目の多さ、そして交付額は過去最高の規模となりました。

 地方団体の除排雪経費については、普通交付税の算定において標準的な所要額を措置するとともに、実際の所要見込み額が普通交付税の措置額を超える場合には三月分の特別交付税により措置をしているわけですが、総務省として、引き続き、それぞれの地方団体の除排雪経費の実態を丁寧に把握して、しっかりこれからも対応していきます。

西村(智)分科員 ぜひ、よろしくお願いいたします。

 国土交通省の方からもお越しいただいていて、伺いたいんですけれども、雪寒地域道路事業費補助、これは当初では百四億円というふうに聞いております、平成二十九年度で。既に二月の十六日に国交省から、追加補助の要望の調査が自治体に依頼されたということでありますけれども、これはどの程度追加になるという見込みでしょうか。

高橋大臣政務官 委員御指摘の自治体に対する除雪補助の問題でございますが、まず、道府県・政令市そして市町村に対しまして、雪寒寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づいて、例年、年度当初に社会資本整備総合交付金をまず配分いたします。これは、道府県も政令市も市町村も共通です。

 その上で、道府県それから政令市への支援といたしまして、例年三月には、この年度当初の交付金とは別に、除雪費を補助金として配付しております。今年度は、補助金として国費百四億円を計上しておりますが、降雪の状況等を踏まえて、これらの百四億円の財源で適切に対処してまいりたいというふうに思っています。これは道府県と政令市です。

 市町村へはまた別の仕組みでございますので。それはよろしいでしょうか。

西村(智)分科員 それも伺いたいと思っております。幹線市町村道除雪費補助臨時特例措置、これについても各自治体から非常に要望が強いというふうに伺っております。これについてはどうでしょうか。ぜひお願いしたいと思うんですが。

高橋大臣政務官 委員よく御存じですので細かな制度のお話はいたしませんけれども、この臨時特例措置に関しましては、二月十六日から、支援の検討に必要な降雪状況でありますとか除雪費の執行状況等を把握する調査を開始をいたしました。それを今、調査を取りまとめているところでございます。

 一日も早く取りまとめをいたしまして、そしてこの結果を踏まえまして臨時特例措置を行っていきたいというふうに考えております。

西村(智)分科員 二月の十六日から調査が始まったということで私も承知しておりますけれども、ぜひ、これは一日も早く取りまとめをしていただいて、各自治体が安心して年度末を迎えることができるように、しっかりと重点配分をお願いしたいというふうに思っております。

 除雪に関しては以上で終わりまして、野田大臣、ちょっと話題がかわるんですけれども、SOGIという言葉を御存じでしょうか。

野田国務大臣 申しわけありません。存じていません。

西村(智)分科員 セクシュアルオリエンテーション、それからジェンダーアイデンティティーの頭文字をとって、SOGIと申します。

 大臣にも顧問を務めていただいているLGBTの超党派の議員連盟でヒアリングをしているときに私も初めて知ったんですけれども、つまり、性的指向と性自認、これの略称なんですね。(野田国務大臣「もう一度言ってください」と呼ぶ)性的指向及び性自認です。

 これは、大臣はパラリンピックの担当大臣でもいらっしゃるということなんですけれども、オリンピック憲章に、開催国はこの点についてきちんと配慮せよ、こういうことも義務づけられているものなんですけれども、昨今、やはり、いわゆる性的少数者の方々、あるいはそのSOGI、性的指向あるいは性自認に関していろいろなハラスメントもあるというふうに言われております。これは、例えば学校のいじめの問題から始まって、就職のときの差別ですとか、あるいは社会の中でいろいろ人と接するときに受けるハラスメントのようなものが一般的に言われるんです。

 そんなことをいろいろお聞きしている中で、彼らのいろいろな要望の中には、そういった差別を解消してほしいということと同時に、同性のパートナーと一緒に暮らしたいとか、あるいは法的な関係を維持したいというような考えを持っておられる方々もやはりいらっしゃるわけですね。

 それで、大臣も御存じのとおり、もう既に日本国内の幾つかの自治体で、同性パートナーシップを条例などとして制定しているところがございます。世田谷、渋谷、札幌、ここに至るまで大体六つか七つぐらいだったでしょうか。そういったところで、既に、宣誓とかいうような形で同性でパートナーシップ制度を認めるということをやっている自治体があるんですけれども、実は、同性で一緒にお暮らしになっていらっしゃる方々が一体どのくらいいられるのかということが正確には把握できておりません。

 で、これは私も前から伺ってはいたんですけれども、五年に一遍行われる国勢調査で、配偶者の有無をチェックするところがあるんですけれども、例えば、同性同士のところにマーカーがついていたりすると何か正確に把握されないということのようなんです。

 大臣、このことを御存じだったでしょうか。

千野政府参考人 お答えいたします。

 国勢調査の調査票には「世帯主との続き柄」という欄がございます。そこに「世帯主又は代表者」「世帯主の配偶者」「子」等となっておりまして、「世帯主の配偶者」という欄があります。その上の方の調査項目に、男女を記載する欄がありますので、例えば女性、女性、世帯主、世帯主の配偶者ということになりますと、現時点では、論理的に間違いだということで処理しております。

西村(智)分科員 処理されるということは、要するにそれはカウントされないということなんですね。何か私が聞いたところだと、エラーとしてはじかれてしまうというふうにも聞きました。これですと、本当に正確な国勢調査の結果が導き出せないというふうに思います。

 国勢調査は、あらゆる国の施策を立案するときのまさにベースとなる統計ですので、正確に把握されるべきものだというふうに思いますけれども、大臣、これは、同性でパートナーとして一緒に暮らしている方が何人いらっしゃるのかというのを把握できるように、何とかこの国勢調査のあり方を変えていただきたい。少なくとも、そういうふうにはじかれるような処理の仕方ではなくて、何がしかの、多分技術的なことなんだと思うんですけれども、把握できるような方法を考えていただきたいと思うんですけれども、次が平成三十二年、二〇二〇年ですので、あと数年余裕があるわけですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 まず、統計局を預かる総務大臣として、現在の状況について申し上げたいと思います。

 今西村委員から御質問がありました国勢調査の調査内容、これについては、国や地方公共団体の施策への利用、国民意識から見た普遍性、妥当性、回答の負担や正確性の確保、各種法令への対応など、さまざまな観点から有識者の御意見をいただき、つまり私たちだけでなく、また統計委員会に諮った上でその内容を決定してきています。

 今御指摘のように、一部の地方公共団体で同性パートナーシップ制度を導入しているということは私も承知しておりますが、しかし、日本の現行の法律では同性婚は認めておりません。ゆえに、必ずしもその定義が明確でない中、公的統計でありますから、そことしての正確性の確保の必要性などを考慮すると、今現在は、国勢調査において同性パートナーの実態を把握することは現時点では困難であるかなというふうに考えています。

 しかしながら、本件については、将来的な課題として、既に超党派で議員連盟もあり、相当多くの方がかかわっていただくようになってきて、過去に比べれば非常にリアリティーのある政策課題でありますので、今後の国民のコンセンサスや法律のあり方、法制度など、いろいろな本件にかかわる動向というのを注視していきたいな、そんなふうに思っています。

 そして、国会議員としては、西村委員同様、私はダイバーシティーというのは政治のあるべき姿だと思っているので、差別がないことが前提として、そこに人的差別があるのなら全部取り除いていかなきゃいけないというのが私の政治姿勢なので、そういう中では、同性婚というのは決して、私野田聖子という国会議員としては受け入れて、そしてともに歩んでいきたいものだと思うんですけれども、ただ、やはりその大もとの法律、私たちはやはり国会、立法府の一員ですから、今ある法律がそういう状況であるのならば、そこをやはり国会の中でしっかり議論を進めていかなければならないのかなと思っています。

 おまけを申し上げるなら、差別されるマイノリティーとして障害児者というのが古くからあるわけですけれども、実は私自身、障害の子供を持っていて、障害児の実数ってどのくらいあるのかなと聞くと、実はわかっていないんですよ。古くからある障害児の数ですら今現在つかめていないというところを思うと、全般的にやはり、少数者と言われる、マイノリティーと言われる人たちについてはしっかり配慮をしていかなければならないというふうに痛感しています。

西村(智)分科員 ここに、国勢調査の調査票、サンプルを届けていただいたものがあります。ここに「六 配偶者の有無」といって記載をするところに、「届出の有無に関係なく記入してください」、こういうふうに書かれているのですね。つまり、日本の法律に基づいた婚姻の届出をしていない人でも配偶者としてここに記載をしなさいということですので、同性のパートナーを排除する理由には私はならないんじゃないかというふうに思うんです。

 ですから、ここはぜひ、検討会ですか、国勢調査のあり方を検討する検討会、ここの俎上にはのせてもらいたい。そうでなければ、この六のところに「届出の有無に関係なく」と書いてあることとの整合性がつかないというふうに思いますので。

 もう一回答弁をいただきたいと思います。

千野政府参考人 問題は、今は日本では現行、法律では同性婚は認められておりませんので、同性婚の定義が必ずしも明確ではないということで、したがって、その前の、男性、男性、それから配偶者みたいなところが、記入誤りなのか、それともそういう事実なのかというところが判然としないということもございます。

 あと、外国の例を我々は調べてございますが、諸外国でも、イギリス、カナダなどは国勢調査の調査票に同性婚パートナーの選択肢がございます。こういう国はどういう国かといいますと、同性婚が法律で合法化されております。したがって、法律の中で明確に定義がされているわけです。

 そういうふうな環境になれば我々も同じような対応ができると思いますが、そういったことがどうなるかということをこれから注視していきたいと思います。

西村(智)分科員 私、この六のところに「届出の有無に関係なく」というふうに書かれているので、そことの整合がとれないのではないですかということなんです。届出の有無に関係なく配偶者がいる人はここにつけてくださいというふうに書かれているわけなので、それは、現行の法制度、日本の国内法にのっとっていないいわゆる配偶者関係と言ったらいいのか、一緒に住んでいる同居パートナーという関係と言ったらいいのか、その人もここに書いてくださいというふうに書いてあるので、それだったら整合性は私はやはりつかないと思うんですよ。

 ぜひ、検討会で検討するということはやっていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

野田国務大臣 いろいろ私の知らないことも教えていただいてありがとうございます。しっかり今のことは問題意識を持って検討させていただきたいと思います。

 あと、実は、午前中、逢坂委員とこの場で話をしたときに、逢坂委員が、地方が進んでいるんだ、地方で先進的にやったことが最終的に国の、オール・ジャパンの制度になることがあるというのをおっしゃっていました。今まさに西村委員にこうやって教えていただいている各地方自治体の取組というのはそういうことなのかな。こういうことがどんどん広がっていけば、おのずと今西村委員がおっしゃったようなことも拍車がかかる。総務省は地方自治を応援する役所ですので、ぜひそういうこともしっかり理解を深めていきたいと思います。

西村(智)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。期待しておりますので。局長、よろしくお願いいたします。

 続いて、また少し話題をかえまして、今度、原子力防災のことについてお伺いをしたいと思っております。

 私の地元新潟県は、世界最大規模の柏崎刈羽原発を擁しております。今、新潟県は、独自の検証をするということで、既にあった一つの委員会に加えて、新たに二つの委員会を加えまして、それを統括する委員会が先日、一月何日だったでしょうか、第一回目が開かれたというところであります。

 問題意識は、やはり今の状況で本当に安全な避難計画等々がつくれるのだろうかということだと思います。私も、その点については率直に疑問に思うところが多々あります。きょうは、絞って四つのことについてだけ伺いたいというふうに思っております。

 まず、まさに原子力発電所で事故が起きたときに、第一義的には事業者がその対応に当たるということになっておりますけれども、例えば海水を注入しなければいけないというような状況が差し迫ってきたときに、それは、さまざま原子炉を規制する法律もあると思います。そういう中で、海水を注入するというこの重大判断を、一体誰が判断をするのか。第一義的には事業者なんでしょうけれども、それは現場の所長さんということになるのか、あるいは会社の社長なのか、このあたりを確認させていただきたいと思います。

山田(知)政府参考人 原子炉等規制法に基づきまして原子力規制委員会が定めております規制基準におきましては、海を水源として利用し、重大事故等の収束に必要な水を供給するための手順を整備すること、安全を最優先する方針のもとで、炉心の著しい損傷等を防止するために最優先すべき操作などの判断基準をあらかじめ明確化することなどを要求をしておりまして、審査でその有効性については確認しております。

 また、原子力災害対策特別措置法におきましては、原子力事業者は、その事業所ごとに原子力防災管理者を選任し、原子力防災組織を統括させること、原子力防災管理者は、その事業所においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てると規定をされてございます。

 原子力災害が発生した場合には、この原災法に基づきまして、原子力防災管理者、これは通常、原子力発電所所長になりますけれども、直ちに原子力事業者防災業務計画の定めるところにより、原子力防災組織に原子力災害の拡大を防止するための必要な応急措置を行わせなければならないというふうにされてございます。

西村(智)分科員 つまり、所長がそれは判断して注入をできるということでよろしいですか。

山田(知)政府参考人 はい、そのとおりでございます。

西村(智)分科員 確認させていただきました。

 次に、安定沃素剤のことについて伺いたいと思っております。

 PAZの中では既に医師の面談等を行いながら住民に安定沃素剤が配布されているというふうに仮定をいたします、そういう前提に立たせていただきますが、問題は、UPZの中における配布をどうやってやるのかということ。これは、私もいろいろ頭の中で考えてみたんですけれども、UPZのそのときの状況といえば、原子力災害対策指針に基づいて屋内退避を指示されている状況だと思います。そういったところに、実際に医師の面談をしながら安定沃素剤を配布することができるのかどうか。ちょっとこれは、ちょっとじゃなくてかなり疑問に思うんですね。

 柏崎刈羽の例で申しますと、UPZの中に約四十四万人が住んでおられます。すごい人数で、今回の冬の雪害のときも、道路が、例えば三車線、四車線のところがようやく一車線通れるような状況であったりとか、ホワイトアウト、地吹雪のような状況になって先が全く見えないような状況にもなってしまうわけです。そういう中で、まず避難できるかどうかという問題がある。沃素剤を本当にそういう状況の中で配り切ることができるのかどうか、ここは本当に疑問なんですけれども、この点については見解はいかがですか。

武部大臣政務官 UPZ内の住民に対しての安定沃素剤の配布の件なんですけれども、これは、原子力規制委員会が策定いたしました原子力災害対策指針におきまして、PAZ外は、全面緊急事態に至った後に、原子力施設の状況やあるいは緊急時のモニタリングの結果などに応じて、避難や一時移転等とあわせて安定沃素剤の配布、服用をするということになっています。

 つまりは、屋内にまず退避していただきまして、その後、退避の指示が出たときに、その退避する退避の路上ですとか一次避難所ですとか、そこで安定沃素剤を配布するということになっております。

西村(智)分科員 なっておりますことは私も承知いたしております。問題は、なっているとおりに本当になりますかということなんですね。

 昨日、私の地元の新聞が、安全・安心研究センターが行った住民の意識調査について報道をしました。それはどういうものかと申しますと、UPZ内の人たちにいろいろ、PAZの中の人たちにもそうなんですが、意識調査をやっております。サンプル数が多いか少ないか、あるいは設問項目がどうかということについては私はまだ詳細には確認をしていないんですけれども、しかし、これは、住民の心理からいえば多分こうだろうなと思うような結果がやはり出ていて、つまりは、UPZの中の住民の三割が、避難してくださいという指示が出る前に避難すると答えているんですよ。三割の人たちが。

 そうなりますと、恐らく、先ほど申し上げたように道路の状況も一気にがあっと混乱するでしょうし、それから、安定沃素剤が配られているのか配られていないのか、集合場所に集合してくださいと言っても、多分集合しないで避難を開始する人たちがたくさんいる、モニタリングポストのデータを収集して分析するまでもなく逃げちゃうというような人がいる中で、本当にこれは、安定沃素剤の配布と、それから服用の指示、一気に服用してくださいという服用の指示が出ると思うんですけれども、それをちゃんと正確に伝達できるのかどうかということも、これは甚だ疑問だというふうに思うんですね。

 その点について、政務官、いかがですか。

片山政府参考人 原子力災害対策指針の考え方にかかわることでございますので、原子力規制庁の方からちょっと、まず考え方を御説明させていただければというふうに思います。

 原子力災害が発生した場合には、要するに、事故を起こした施設により近い地域が放射線の影響をより強く受ける、それから、屋外で行動しているときに放射性物質の放出があった場合に最も強く影響を受けることになります。

 したがって、原子力災害対策指針の考え方は、施設により近いPAZについては、予防的に全面緊急事態、つまり放出前に避難をしていただく。より遠いUPZにおきましては、まず屋内退避をして放射線からの防護をしていただくという考え方をとってございます。

 それから、安定沃素剤というのは、放射性沃素の吸入による内部被曝の影響を低減するというための防護措置でございますけれども、UPZで実施をする屋内退避で、放射性物質の吸入被曝の影響というのは相当程度低減をできます。例えば、一般的な木造建屋ではその七五%が低減できる、堅固なコンクリート建屋では九五%低減できるということがわかっております。

 したがいまして、委員が御指摘になられた安定沃素剤の緊急配布でございますけれども、これは、屋内退避をUPZで行っていて、その後、事故がさらに悪化をして放射性物質の放出があった場合に、まず屋内退避で防護していただいて、その後、緊急時モニタリングの結果で、エリアを特定をして一時的に避難をしていただく。そのときに、UPZの住民の方は屋外で行動することになりますので、追加的に、放射性沃素による吸入被曝の影響を低減するためにまずは安定沃素剤の配布を受けた上で避難を、一時移転をしていただく、こういう考え方を指針はとっているということでございます。

西村(智)分科員 承知いたしております。承知いたしている上で、しかしそれも、ドクターの面談を経てでないと配布ができないというふうにも聞いておりますので、そこのところは、本当に実務上実際にどういう人員体制で配るのか、配り切ることができるのかということはやはり大きな問題だというふうに思うんですね。

 それで、済みません、ちょっと時間が限られてきて、なくなってきちゃう、もう時間がなくなっちゃいました。

 安定沃素剤のこともそうなんですけれども、あるいは、避難するときのバスの運転手さんとか、あるいは、複合災害が起きたときに、道路が陥没したりするときに建設業者の人たちにそこを直してもらうということになると思うんですけれども、実際に、例えばこれは事業主、事業者、そういった、バスの会社の人がそんなところにうちの運転手はやらせられないとか、運転手の人たちが、私、そんなところに行きたくないわというふうに言ったときに、頼るのが実動組織だというふうにも伺いました。

 じゃ、実動組織の指揮命令系統はどうなっているんですかというふうに伺いましたら、法律でそれぞれ要請を出すことができる、指示することができるというふうになっていて、それ以上の答えは返ってこなかったんですけれども、やはりこれはきちんと法制度なり法整備なりが必要で、外から見えるような形で、こういう組織でいざというときには動けるんだというような形があらかじめ見えるようにしておくべきではないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

武部大臣政務官 緊急時における実動組織に対する指揮命令系統でございますけれども、万が一原発事故が起きまして、災害になるような事態が生じた場合、原子力災害対策特別措置法に基づいて、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣は、関係大臣、関係地方公共団体の長などに指示や要請を行うことができるとされています。

 それぞれの、自衛隊を始め海保、消防、警察の実動組織でありますけれども、この実動組織は、この指示や要請に基づいて必要な対応を実施することになります。

 なお、各実動組織においては、各実動組織の指揮命令系統に従って適切に対応が行われると認識しております。

西村(智)分科員 認識しておりますということは、テーブルの上ではそういうふうに認識できるんだけれども、実際に現場で、まさにその事態が発生したときにそういうふうにオペレートするかどうかというのとは全く別物だというふうに思います。

 私は、やはり、先ほどの住民意識、こういったものに沿った原子力防災体制でなければならないというふうに思いますし、それはまさに、机の上でつくった計画だけではなくて、本当にその実態に即したものでなければならないというふうに思います。

 いずれにいたしましても、私たち立憲民主党は、三月十一日までに、通称原発ゼロ法案を提出する予定でおります。こういった形で、住民の皆さんの気持ちに沿った政治をこれからもやっていきたいと思っておりますことを申し上げて、時間です。質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

橘主査 これにて西村智奈美君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫻井周君。

    〔主査退席、平井主査代理着席〕

櫻井分科員 それでは、私、櫻井周は、昨年の十月に初めて当選いたしまして、今回、予算委員会、分科会ではございますが、初めての予算委員会の質問ということで、ちょっと緊張しながら臨ませていただいております。

 国会議員になりまして、やはり、予算委員会を間近に見ておりますと、すごいなと。特に、NHKの生中継などがあって、多くの国民の皆さんがごらんになっている。私も、質問するわけではなくても、座っているだけでも、テレビに映っていたよというふうに声をかけていただくということで、本当に効果絶大だというふうにも感じたわけです。

 そこで、ああ、こういう場で選挙運動をやったらすごい効果があるだろうなというふうにも思ったんですが、しかし、そこはちゃんと法律で手当てをされていて、公職選挙法百五十一条の五に「選挙運動放送の制限」という規定がある、こういうふうにも私は理解をしているわけでございます。

 そこで、大臣にちょっとお尋ねをいたします。

 公職選挙法百五十一条の五では、「何人も、この法律に規定する場合を除く外、放送設備を使用して、選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない。」となっておりますが、一般論として、ここで言う放送には、NHKが行う国会の予算委員会の生中継も含まれていますでしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案につきましては、公職選挙法に違反するかどうかにつきまして個別の事案に即して判断されるべきものでございますので、具体例としてはお答えを差し控えさせていただきます。

 ただ、その上で、公職選挙法の規定、今御紹介ありましたとおり、百五十一条の五について、一般的に申し上げますと、放送設備を使用して、選挙運動のための放送をし又はさせることが禁止されているということなので、放送設備の定義に入ってくるということでございます。

櫻井分科員 今の部長の御答弁によりますと、NHKの生放送が予算委員会の中継、これも放送設備を利用しているということに該当するということで理解をさせていただきました。

 そうしますと、私が先ほど申し上げたように、ここで選挙運動をやったら効果絶大というのは、これはやってはならない、当たり前のことだと思います。予算委員会というのは予算審査をするところであって、選挙運動をするところではないというふうに思います。

 こういうことがあってはならないということで、改めて大臣にお尋ねしたいと思うんですが、大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。

野田国務大臣 今選挙部長が答弁しましたが、公職選挙法の規定について、一般論として申し上げると、何人も、政見放送等を除いて、放送設備を使用して、選挙運動のために放送すること等ができないとされています。

 いずれにしても、それぞれ個別事案、こうした要件に該当するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものであり、御質問については、総務大臣としてのお答えは控えさせていただきます。

櫻井分科員 次に、百五十一条の五というのは、実は百七十八条でも引用されておりまして、百七十八条においては、「何人も、選挙の期日後において、当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的をもつて次に掲げる行為をすることができない。」、その四号の方に、「百五十一条の五に掲げる放送設備を利用して放送すること。」というふうにあります。

 そこで、先ほど、百五十一条の五で言う放送設備、これはNHKの予算委員会の生中継も含まれるというお話でございました。そうすると、百七十八条についても同様に解釈するということでよろしいでしょうか。

大泉政府参考人 繰り返しになりますが、お尋ねの行為が公職選挙法に違反するかどうかについては、個別事案でございますので、それは個別事案に応じて判断されるべきものでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、公職選挙法の規定を申し上げますと、百七十八条においては、選挙の期日後において、当選又は落選に関し、百五十一条の五に掲げる放送設備、これは放送設備を利用して放送することが禁止されております。その番組が国会中継かどうかというのはちょっといろいろあると思いますけれども、放送設備としては当てはまる。

 ただ、いずれにせよ、その行為については、行為の態様、すなわち行為のなされる時期とか方法とか対象につき、総合的に勘案して決めていかなければならない、具体の事実に即して判断されなければならないというものでございますので、具体的なお答えは差し控えさせていただきます。

櫻井分科員 そうしますと、では、具体的に事案を申し上げますと、例えば二月十四日の予算委員会、これはNHKの国会の生中継が入っておりました。我が党の枝野代表も質問に立った日でございますが、その直前に質問されていた遠山清彦委員は、次のように発言をしております。

 去る二月四日、沖縄県名護市で市長選挙が行われまして、御承知のとおり、自民党、公明党そして日本維新の会が推薦をしました渡具知武豊氏が、相手候補である現職市長に三千四百五十八票の差をつけて初当選をいたしました、私も、公明党沖縄県方面本部長という立場で全力で応援させていただいた立場から、この場をかりて、御支援くださった皆様に心から御礼を申し上げたいと思っております、このように発言をされております。

 この場合、遠山清彦委員は、文字どおり、NHKの生中継という放送の場を使いまして、そして候補者名も特定し、選挙も特定し、そして、心から御礼を申し上げるということで御挨拶もされている。

 まさに、これは公職選挙法百七十八条四号に該当する事案だというふうに考えますが、いかがでしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省としては、具体的な事実関係を承知する立場にございません。

 また、テレビで中継されているというようなこと、あるいはインターネット中継でされているということでございますが、具体的に、ある行為が公職選挙法に禁止されるものかどうかについて当てはめというものをしなきゃいけないということでございますが、私ども、そういう権限を持っているところではございません。

 また、その行為の態様につきまして、総合的に勘案し、実際に即して判断されなければならないものでありまして、最終的には司法の判断ということに委ねられるものだと承知しております。

櫻井分科員 裁判所で判断されるべき、それは全くそのとおりだと思います。

 他方で、やはり立法府、国会として、余り何かお行儀の悪いといいますか、ルールにのっとらないということが頻繁に行われるということであってはいけないというふうに思います。

 この場合、普通、理事会にお願いしたいということで、主査にお願いして、理事会で既に議論されているかとは思いますけれども、本日の答弁も踏まえて、理事会で引き続き取り上げていただくよう、よろしくお願いいたします。

平井主査代理 私から予算委員長に申し伝えます。

櫻井分科員 ありがとうございます。

 引き続きまして、地方自治の諸問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 ちょっと激突型の質問はもうこれで終わりにいたしまして、私自身もこれまで地方議員をやっておりました。野田大臣も地方議員経験者ということで、地方自治に対する思いを共有できると思います。そうした観点から質問をさせていただきたいと思います。

 地方自治体、特に日本全国で人口減少ということが起きていて、これに対する対策ということが国家的な課題になっているというふうに認識をしております。こうしたところで、地方自治体に対しては、数年前、人口ビジョンをつくれ、そして、それを実現するために総合戦略をつくれ、そのような話もございました。地方創生の取組を進めているというところがございます。

 そして、それに関連して、地方創生の関連の予算というものもさまざまついております。地方創生加速化交付金、地方創生推進交付金、毎年名称が変わっているような、何かそんな印象もあるわけでございます。午前中の逢坂議員の質疑においても、結局は似たような事業が実施されているのではないのか、そんな指摘もございました。

 そこで、ちょっと確認をさせていただきますが、地方創生のこうした関連事業について、スタートしたときには内閣府で査定をされるというようなことがあったかと思います。交付金の対象事業の選別は、誰がどのような基準で選定しているのでしょうか。

田中副大臣 今御質問をいただいた件でありますが、全国の規模の地方創生に関係する交付金に関してでありますが、この部分に関しては、全てを精査して、全てがここで、内閣府でということにはなっておりません。

 細かい細部の目的に関して、また御通告いただければ、しっかりと確認をさせて御報告させていただきたいと思います。

櫻井分科員 国が交付金を決定している以上、誰も査定をしないということはきっとないと思うんです。そして、地方創生については内閣府が御担当されているので、多分、内閣府で査定を引き続きされているんだろうなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

田中副大臣 地方創生の関係する交付金でありますが、これは、地方公共団体の自主的そしてまた主体的な地方創生に効果のある事業、これを幅広く支援するというものであります。

 その中で、自立性ですとか官民協働、あるいは政策間の連携及び地方間の連携等、こうした観点から、事業の先導性等については適切に内閣府としては審査を行って、そしてその上で交付の対象事業というものを決定はしているところであります。

櫻井分科員 そうなんです。地方自治体は、あれこれ考えて、当初は本当に創意工夫をして申請をしてみたものの、通ったり通らなかったりということでさまざまあって、やはり結局は、中央で、霞が関のお役所の方々が査定するのかということで、使い勝手が悪いなと。

 そもそも、本当に必要な事業については、それまで地方自治体が既に一般財源でもって実施をしているんですね。ですから、それでやっていなかった新しいものとなると、やはり、実は優先順位が低いものが行われてきたというようなところがあります。

 また、結局、いろいろ創意工夫して上げてみたけれども、採択されたものもあればそうでないものもある、そうすると、地方の自治体の職員も、いろいろ考えて、やはり内閣府が考えているイメージは何だろうかとそんたくをするようになる、そうすると、だんだん似たような事業に収れんをしていく、そういうことになってしまっては、やはり、本当のあるべき、地方それぞれの特徴を生かした地方創生というのはできないんじゃないのかな。

 午前中の逢坂議員が質疑で言及していましたように、自分たちでじっくり考える、そうでないと本当の地方創生にならないというふうに考えるんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

野田国務大臣 私も地方議会に少しだけ在籍しまして、そこから今の私がいるわけですし、実は、委員のプロフィールを見たら、義を見てせざるは勇なきなりという、私も大好きな言葉で、ずっとそれを貫いてまいりました。ちょっと変わり者だと言われますけれども。

 そういう中にあって、もう既に地方は創生を一生懸命考えています。総務省も、常に地方に寄り添って、地域が考えてきたことに対してできる限り応えていこう、そういうことをやっています。

 新たにできた地方創生のやはり一番は、地方からの流出、それも東京一極集中と言われていますけれども、それを抑えようと。流出の一番の大きな部分というのは若い人たち、若い人たちが生まれ育ったところで定着して生きていけるようにしようというところで何をすべきかということ、今回あえて地方創生をうたったところはそこにあるのかなと思っています。

 私たち総務省としては、日々の、やはり地方が考えて次につないでいく地方創生というものの伴走をさせていただいているんだと思っています。

櫻井分科員 まさに今大臣のおっしゃった、地方にいる若者が大学進学又は就職の際に東京の方に出てくる、結果として東京一極集中になっているのではないか。

 ただ、私自身も大学を卒業して就職するときに東京に出てきたという経緯もありまして、それは、例えば私の場合ですと、グローバルな仕事をしたいと思ったときに、職場はほとんど東京にしかないということで、別に東京に住みたかったわけではないけれども、こんな仕事をしたいと思ったらやはり東京になっちゃったというようなところもあろうかと思います。自己正当化するわけではないんですけれども、こうした生き方もあろうかなというふうには思いますし、それを国の方で抑制するようなことというのは、それはそれでおかしいんじゃないかというふうにも思うんです。

 ただ、そういう場合にあっても、そうすると、地方からすると、子育ての一番お金のかかる時期、これを地方自治体で、地方で面倒を見て、ようやく納税者になってくれると思ったら東京に行っちゃった、東京で納税をしている。それだったら、地方としては育て損じゃないのか。

 また、中には、東京で定年まで働いて、それで、またふるさとに帰ってきたい。そうすると、老後の介護とか、そういったところはまた地方でお金がかかるというようなことになると、地方ばかりお金がかかっちゃって、東京は、一番おいしい、税金を納めてもらうというところばかりとるということになってしまうのではないか。

 こうしたことも含めて、やはり地方交付税制度というのがあるんだというふうに思っております。

 そうしたところで、やはり地方交付税制度をしっかりやっていかなきゃいけないと思う反面、こうした、地方から中央に出てくる、それを歯どめをしようということ、ないしは中央に出ていった人たちをまた地方に取り戻そうということで、シティープロモーションとかシティーセールスとか、いろいろな言い方をされていますけれども、そういったことも行われているんですが、ちょっと内情を個別具体的に見ると、結局、東京に行った人をまた地方に連れ戻すというのはなかなか大変なんですよね、難しい。

 実際起きていることといえば、近隣市で住民の奪い合いをするようなことになっているのではないのかというふうにも感じるところがございます。結局、近隣市同士で住民の奪い合い、そのためにシティーセールスとかいっていろいろな広告を打っている。それだったら、余り意味がないんじゃないのか。住民を奪い合っても、日本全体で見たらプラス・マイナス・ゼロなわけです。そういったところにお金をつぎ込んでしまっている。何か、ある種悪い競争を国があおっているのではないか、こんな問題意識を持つんですが。

 金額的には、広告費ですからそんな大きいわけじゃないです。一つの自治体百万円とか、そういったところではありますけれども、当初の加速化交付金の時代には、それは国が一〇〇%つけている。国が一〇〇%持ってくれるんだったら、では、いいじゃないか、自分のところの一般財源は全然使わないんだからいいじゃないか、やると。今だったら五〇%ぐらいだと思います。半分国が見てくれる、それだったらちょっとやってみようか、周りの市もやっているから、うちも負けていられない、こんなふうになってしまうと、やはり国が悪い競争をあおってしまっているようなことになってはいけないなというふうに思うんですが、御所見をお伺いいたします。

田中副大臣 地方の人口の減少ですとか東京一極集中の是正、これはもう本当に大きな課題となっております。その中で、今お話にもありましたシティープロモーション事業でありますけれども、これはやはり一定の成果がある、意義のある事業だと思っております。

 具体的には、東京圏等から移住促進する。これに加えて、観光客などの交流人口の拡大ですとか、地域ブランド力の向上に伴う地元産品の販売の促進、さまざまな効果が期待されるところであります。

 また、各地域が知恵を出して、そして地域間で競い合うこと、これを通じて地方全体の活性化が促されている。単なる人の奪い合いにとどまらない、そういう効果があると期待されているところであります。

 そしてまた、このシティープロモーション事業を含めて地方創生関係の交付金事業でありますけれども、これは、地方公共団体が自主的そしてまた主体的に地方創生に効果のある事業を実施するということでありまして、この評価についても、しっかりと地方公共団体が適切なKPIを設定して、そしてまた外部有識者評価をもらって、最終的に内閣府に報告もしていただいているところであります。

 この事業の採択に当たっては、こうしたもの、また事業の先導性、こうしたものをしっかりと確認して、適切に評価、審査をしているところであります。それをまた、次年度の事業の採択に参考材料としているところであります。

 効果的なプロモーション事業、これを引き続き努力して支援を進めていきたい、そのように思っています。

櫻井分科員 確かに、いろいろな書類を見ますと、それは美しく書いてあるので、美しいストーリーで、東京の一極集中を是正するんだ、何かそんなストーリーで書いてあるわけですけれども、ただ、実際を見ると、また実際に起きていることを見ると、必ずしもそうでもないのかなというところが散見されます。特に、露骨にやっている自治体なんかも中にはあったりして、さすがにそれは周りの自治体の首長から批判されて、最近は大分おさまっているようなところもありますけれども。兵庫県内にはそういった自治体もあったりしていろいろ話題になったりはしているところなので。

 悪い競争をあおるのではなくて、本当に純粋に、例えば待機児童、都市部においては本当に深刻な問題です。待機児童解消を果たしたという自治体のところには、では、入れるんだったらそこに行こうということで、人口流入がどっと起きるというようなことで、そっちだったら別に広告費とか使わなくても自然と人が集まってくるわけですから、こういうよい競争、よい行政サービスのよい競争を促す、そうした方向で国も自治体に働きかけていただければなというふうに思っております。

 副大臣はこれで、ありがとうございました。

 続きまして、地方交付税の話は午前中も逢坂議員がされておりました。地方交付税、私も大変重要な財源だと思います。

 先ほども申し上げましたとおり、日本の場合には、人が自由に移動する、そういったときであっても、全ての地方自治体が最低限の行政サービスをしっかりと安心してできるようにする、こうした大変重要な仕組みだというふうに思っております。

 ところが、地方財政計画を見ますと、長らく財源不足ということが起きていて、ことしも六兆円以上の財源不足、うち、臨時財政対策債で四兆円近く発行するということになっております。

 臨時といいながらも二十年近くやっているということで、しかも、まだ臨時財政対策債の残高がふえている。すなわち、償還の部分についてはまた借りかえをしている。新規発行も、全体からすると大分減りましたけれども、まだ新規発行もやっているということで、この臨時財政対策債、残高がどんどんふえ続けている。

 この現状は大いに問題だと思いますが、大臣はどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

野田国務大臣 平成三十年度の地方財政対策においては、臨時財政対策債の発行額について、概算要求時点では対前年度〇・五兆円の増ということが見込まれていました。可能な限り抑制して、〇・一兆円減として四・〇兆円とするなど、一生懸命、地方財政の健全化には努めているところです。

 しかしながら、今委員御指摘のとおり、臨時財政対策債の発行残高というのは増加しておって、平成三十年度末には五十四兆円程度になる見通しになっています。

 本来的には、地方財政の健全な運営のためには、臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質というのを確立することが非常に重要ですけれども、このためには、歳入面で、地域経済の好循環、一層の好循環をやはり目指していくとともに、地方税収等の増収を図っていきたい。さらには歳出面では、何度も申し上げていますけれども、国の取組と基調を合わせて、めり張りをつけて歳出構造を見直すことで財務体質の強化を図っていく、こうやって堅実にやっていくしかないと思います。

 私もこの臨時財政対策債の発行額というのを平成十三年からずっと追っているんですけれども、やはりこれは、一生懸命努力して減らそうと思っても、何か起きるとどうしても税収が減ってしまう。例えばリーマン・ショックのときなんか、どんとふえるわけですよね。ですから、本当に、臨時といいながらも二十年続いてしまったのは、世界経済の中の日本にあって、そういう世界から発生した経済事情でも地方は影響を受けてしまう、そのときにはこういう形で発行をふやさざるを得なかったなという、さまざまな歴史をかいま見ているところで、でも、そうはいっても、やはり常に減らしていく、抑制していく努力というのをしていくことに尽きると思っています。

櫻井分科員 もう時間も迫ってまいりましたので次の項目に移りたいと思うんですが、今度は、地方交付税に関連をいたしまして考えていきたいのがふるさと納税制度でございます。

 これも、ふるさとにしっかりと納税をしたいということなんですけれども、先ほど申し上げたとおり、地方交付税という制度は、もともとそういったところも含めて手当てされているものではないのかというふうにも考えております。

 一方で、ふるさと納税制度について、二十一日、おとといの予算委員会の公聴会のときに、我が党の落合貴之委員が一橋大学の佐藤主光教授に、ふるさと納税制度について質問しております。ふるさと納税制度の趣旨については是だと思うと言いつつも、今の実態はと言われると、まさに返礼品競争に陥ってしまっている、これはやはり懸念するべきことでありますというふうに述べていらっしゃいます。

 金額で見ますと、これは平成二十七年度の数字でございますが、返礼品の調達に係る費用は六百三十三億円、返礼品の送付、郵送費ですね、四十三億円、合わせると大体六百七十六億円かかっている。二千円は納税者の自己負担の部分ですから、これは二千円、この寄附金の控除額の適用を受けた人が約百三十万人いますので、掛け算しますと、納税者、ふるさと納税を利用した人が負担した金額は約二十六億円ということになります。

 そうしますと、返礼品の購入それから送付でかかったお金六百七十六億円から、ふるさと納税利用者の負担分二十六億円、差引きしますと約六百五十億円、これだけお金がかかっている。これはある意味、本来であれば税収として入ってきて、さまざまな行政サービスに使われるべきものが返礼品になっちゃっている。これはやはりゆゆしき事態だというふうに私は思うんですが、大臣はどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

野田国務大臣 先ほども委員御指摘がありましたように、地方というのは、子供を育て、教育を授け、そして成長させて、そして東京に行ってしまってそのまま居残られると、育てた分の経費はそのままであって、結局、育てて、いざ納税者として還元する段になっても、全く関係ない大都市で税金を支払っている、地方というのは本当につらいよねというところがあるわけで、そんなことも踏まえて、ふるさと納税のそもそもというのは幾つかのメリットがあると思います。

 一つは、ふるさとで育てられた、そして功成り名を遂げた、でも、残念ながらふるさとに住めていない人たちが、せめてものふるさとへの思いを返そう、そういう寄附ができるということ。自分の住んでいるところにも当然納税はするけれども、やはり自分を育ててくれたところには納税できませんから、でも、恩返しという意味での、納税にかわって寄附をする、そういう橋渡しができるということ。

 二つ目は、日本人は余り寄附の精神がなくて、それをどんどん広げていこう。最終的には、NPOなんかがどんどんこれで、国民が寄附をする行為になじんでいただくと、そういうことを必要としているNPOなんかの成長を促すことができるんじゃないか。

 あと三つ目は、地方の自由。地方交付税はきちっと算定されて出ているわけだけれども、先進的なことをやりたいとか独自性なことをやりたいというときには、なかなかその財源が見つからないときに、そこで集めたお金を使う。

 そんなことがやはり本来のふるさと納税の趣旨ではなかろうかと思います。

 返礼品というのは全くそこに想定されていなくて、それはそれぞれの自治体の発意で始まったことだと私は理解しています。

 本来、ふるさと納税の返礼品というのは特産物、例えば、地元で業を起こして、そしてそれを返礼品がわりにして、生産することでそこに雇用、そして収入を得る、そういう好循環を本来ならばやっていただきたいし、地方なんかのいいもの、おいしいものというのはなかなか大都市に住んでいると届かない。販路がなかなかない、小さな農村では販路がないということで、すぐれた農産物も消費者に届かない中、ふるさと納税を使うことで、そういう隠れたるポテンシャルというのを大勢の人に見ていただいて、消費につながるというきっかけもあると思います。

 そこまででとどまっていればよかったんですけれども、私が大臣になる前の高市大臣のときに、今委員の御指摘があった過度な返礼品とかそういうことが生じていて、これはちょっと本来の趣旨と違っているよねというマスメディア、そして皆様方からの御批判があったわけですね。前大臣は、やはり、本来の目的がすごくいいことなのに、一部の逸脱した行為によって、ふるさと納税そのもののイメージがダウンしてしまう、むしろ本来やるべきことをもうやらない方がいいんじゃないかみたいなムーブメントができてしまうと、それは、熱心に、真面目に取り組んできた市町村にとっては非常に心を痛める話なわけですね。

 ですから、私としては、昨年四月に前の大臣が、これは地方自治ですから命令するわけにはいきませんけれども、それぞれの市町村の常識的な、前大臣は三割程度と言いました、やはりしっかりと地方でいただいた寄附の中でさまざまな仕事を運営するにはそこが試算した中で常識的ではないか、それをしっかり守っていただきたいという通知を出しておりますし、私も、大臣に就任してから、引き続きそれはしっかりやっていただきたいということを申し上げてきたところです。

 きょう、逆に、こうやって委員会で指摘をしていただいてありがたいのは、一部の突出した地方自治体のそういう高額な返礼品のやりとりによって、制度そのものが批判を受けることは絶対あってはならないと思うんです。この場をかりて、そういうそれぞれの地方公共団体には、良識を持ってふるさと納税と向き合っていただきたいと申し上げたいと思います。

櫻井分科員 時間ですのでこれで最後にいたしますが、確かに、国が地方に返礼品を出すなとかなんとかという、なかなかこれで罰則云々というのはちょっと難しい部分はありますけれども、他方で、先ほどの中央公聴会で佐藤委員も、この返礼品、おかしいんじゃないか、こういう御指摘もあります。また、前の高市大臣も、過度な高い還元率の返礼品、よくないでしょう、こういうことで、いろいろ調整もされているということです。

 あともう一つ、この返礼品、地方自治体に対して直接何かペナルティーを科すというわけではないんですが、例えば地方交付税の算定において、今現在は……

平井主査代理 時間が過ぎておりますので、短くお願いいたします。

櫻井分科員 はい。

 寄附金というのは基準財政収入額に算入されないということになっているからこそ、たくさんもらった方がいいということになるんですが、これが算入されるとなったら途端に意味がなくなってしまうわけで、本当にやり過ぎているところに対してはそういった方法もあるのではなかろうかということを御指摘させていただいて、よろしくお願いします。

野田国務大臣 最後に好事例をぜひ聞いていただきたいんですけれども、北海道の上士幌町というのは、いわゆる、俗に言う限界集落とか呼ばれて、今、人の話が出ていましたけれども、高齢化して子供もいなくてというところを、地元の製造したジェラートなんかを活用して、適正にふるさと納税によって収入を得て、地元のこども園の全員無償化を図ったことによって人口増加をV字回復させた、そういう好事例もあります。

 そういう好事例をどんどん皆さんにお伝えすることで、いい流れをつくっていけるよう頑張っていきたいと思います。

櫻井分科員 ありがとうございます。

平井主査代理 これにて櫻井周君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺孝一君。

渡辺(孝)分科員 自由民主党の渡辺孝一でございます。

 きょうは質問の時間をいただきまして、大変ありがとうございます。

 まず最初に、今般、北陸地方を中心に豪雪災害がございまして、本当に、災害に遭われ亡くなった方や、また御不幸に見舞われた方々に、お悔やみ、お見舞いを申し上げたいというふうに思います。一日も早く笑顔の生活を取り戻していただきたいな。

 なぜこんなことを言うかというと、私の地域も特別豪雪地帯の指定を受けておりまして、この雪の苦しみは十二分に理解しているところでございます。

 けさ、報告を総務省からいただきまして、実は特別交付税の三月分の繰上げ交付が決まりまして、それを早速地元の方に、まあ、正式には来週振り込むということでございますので、繰上げ振り込みがあるぞということだけお伝えしたんですが、三人の市長さんからは大変感謝申し上げるということで、電話ですから、泣いて喜んでいる姿は見えるわけじゃありませんけれども、非常に喜んでいたということを、大臣始め総務省の皆さんにお礼を申し上げたいというふうに思います。

 もちろん、その電話の中では、別にトータルの交付額がふえたわけじゃないんだ、繰上げなんだからなと言いながらも、やはり地方ではこの大雪のために、この三月に第一の定例会が控えております、予算議会でございます、しかしながら、こういう喫緊の場合は、本当にタイトなスケジュールの中でも、いわゆる雪災害の対策のために臨時議会を開いて、ない予算の中から補正を絞り出して対策を打っているわけでございまして、この繰上げというのは非常にありがたいということを、まず大臣始め総務省の皆さんにわかっていただきたい。

 究極的に何を言いたいかといいますと、私も市長を十年経験して思うんですけれども、どうも国というのは国の基準で物事をはかる嫌いが多いのではないか。もちろん、北から南まで、全国で千七百十八でしたかの市町村がありますから、国としてしっかりとした基準を持たなきゃいけないのは当然でございます。ただ、地方には、南から北、あるいは日本海側、太平洋側、それぞれ地域の実情がございます。時には、地域の目線に立った基準ということで物を考えていただければ、予算を別に多く使わなくても、ちょっとした配慮のことによって、大変地方自治体が喜ぶということをお伝えしたかったわけでございますので、総務省のみならず、各省におきましても、地方の目線というのをぜひ取り入れていただければありがたいなというふうに思います。

 それでは、ちょっと質問に入ります。

 さて、人口減少といえば、これは内閣府や厚生労働省が主に担当だとは思っておりますが、本当に、地方の市町村にとってみれば、今一番の悩みがこの人口減少の問題だというふうに思います。

 大臣は、就任前に一度、我が地元に来て、政経セミナーの講師として、特に人口減少について大熱弁を語っていただきまして、自治体の関係者等々、また聞いてくれた皆さんが野田当時先生の熱い思いに皆さん感銘を受けてお帰りになった。そして、地方の人口減少問題については、決して自治体だけの問題ではなく、住民全員が重く十字架のように背負っているということを私も再度認識させていただいたところでもございます。

 ぜひ、この問題には総務省のみならず全省で、国全体で当たっていかなければいけないのかと思っております。

 今、地方自治体の首長さんとお話ししますと、やはり地方創生等々で、確かに経済の再生や人口増加、このことはどの市町村長も目標に掲げて頑張っておりますが、なかなか歯車がかみ合わない、あるいは笛吹けど兵踊らずというところが現実なのかなというふうに思っております。

 国でも東京の一極集中の話が大きな話題になっておりますが、実は北海道でも札幌の一極集中が大きな問題になっております。例えば、五百六十万、全道民に対しまして、札幌には百九十五万、もう二百万人に行くだろうというように、三分の一の道民が札幌市一つに集中しております。そして、そのことが、道内の若者がどんどん札幌へ流れているというのは、東京の一極集中と同じ私は構図だと思っております。

 地方自治体では、それを食いとめるために、子育て環境やいろいろな各種整備を行っておりますし、何とか出生率を上げることをいろいろと、あの手この手を尽くしているんですが、なかなかうまくいっておりません。もちろん、総合的な対策が必要でございますので、総務省として、大臣として、この人口減少に関してどのように考えているか、ぜひ大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 かつて渡辺委員は、政治的にややこやしいときに私を招いていただいて、お話をする機会をつくっていただきました。そのときも人口減少の話をさせていただきました。

 ずっと、もう二十五年、人口減少の話をし続けています。ようやく今国会、少子化が国難であって、少子化が引き起こす人口減少というのがそもそも日本の内需、経済をそこそこ痛めつけるし、福祉も痛めつけるしということで、かつて少子化というと女性の問題というふうに切って捨てられたときもあったんですけれども、ようやく男女別なく大変大きな問題だという受けとめ方をしていただいていることを、何となく、ちょっと遅きに失したなと思いながらも、ようやくそこに来たんだなという思いを強くしています。

 ですから、総務省の大臣だからといってそれは関係ないということではなくて、むしろ地方、津々浦々、全国のやはりパートナーとして、それぞれが元気で頑張っていただくためのいろいろな要素の一つはやはりそこに人が生きていることだと思います。

 少し前に地方創生ということで、具体的に、東京一極集中で、東京へ転入している人の流れを変えて地方に人をということが大きな、国で掲げられて取り組んでいるんですけれども、総務省はもう少しデイリーベースというか、私自身からすると、これだけ人口減少、去年だけの自然減だけで四十万人ということは、どこかの小さな地方で何かをやって成功します、そうすると近隣の人たちが動いてくるかもしれません、でも、それは、先ほどちょっと別な議員から、奪い合い、プラス・マイナス・ゼロじゃないかと言うんだけれども、日本の人口の減少ぶりを見ると、奪い合いどころかプラス・マイナス・マイナスなんですね、今のところは。だから、何をやっても人口減少のもとでマイナスになるわけですから、そこにやはりしっかりと、現実、足をつけてやっていかなきゃいけないなと思っています。

 まず私たちが取り組むのは、やはり転入というのはなかなか、移住、定住というのはなかなか厳しい。簡単に、企業を移して、そこに企業を建てて、会社員を全員住まわせろと言っても、そこには家族がいて、子供たちには教育があって、せっかく友達ができたところを、国の都合で企業が移る、そして、自分たちのプライベートも、自分たちは大人だからともかく、子供たちが仲よくなった子供たちと離れなきゃいけないなんということも、そこまで考えてやはり制度というのはつくっていかなきゃいけない。一人一人が、さっき渡辺委員がおっしゃったように一人一人の問題なんですね。だから、まとめてがばっというようなものではないんだと思います。それぞれがやはり幸せに生きていくためにはどうしたらいいか。

 そこで、総務省としては、じわじわと、まず、いきなり定住とか移住、住み移るということが目標だけれども、その前提である、やはり地方を知ること、自分の住んでいないところを知ること、また、地方、自分が住んでいたところをもう一回振り返ること、それを、例えばふるさとの協力隊とか、あとはふるさと納税なんかを使って、そういうきずなづくりをしています。

 最終的には、やはりもう少し地方のメリットを、都市のメリットが先行しているのでしようがないという声があるけれども、そうじゃなくて、地方のメリットというのも考えていくべきじゃないかと思っているんですね。

 いろいろなメリットがあると思うんですけれども、例えば、私たち国会議員というのは、地方の選挙区であると、地方に自分の家があって、そして働き場であるここ東京に家を構えるわけですけれども、住居費一つを見たって相当すごい違いがあります。大概の国会議員は宿舎に入ってしまうのでお安く感じるかもしれないけれども、私は民間の賃貸住宅に入っているんですけれども、やはり住居費の差というのはもうびっくりするぐらい違います。

 そんなことを考えると、本当は、むしろ地方から選出されている国会議員がその違いをしっかりと、週末ごとに感じているわけですから、それをやはり集積させていって、総務省だけに頼らず、役所だけに頼らず、やはり国会議員全体で、自分たちの地方に住むメリットというのをリストアップしていくことも必要なんではないかなと思っています。

 いずれにしても、これからは都市の時代ではないと思います。働き方改革が進む中、今までのような働き方を否定するわけですから、残業とか、会社に、企業にコミットするということではなく、自分の人生を大切にしなさいというような、家族、子供を育てていくことをしっかりやりなさいというような働き方改革をする中で、今までは、都市に企業があるから、そこに通勤しなければならないという発想でしたから、やむを得ず、やはり働く人は都市部に集中するんですけれども、私たちの得意としている、総務省の得意としているテレワークを使えば、わざわざ札幌に行かなくたって地元から十分仕事ができるような環境もできています。それをやるかやらないかということで。先日も私は、大臣室から、このテレワークの効用ということで、北海道に住まわれている方と実際にやりとりをしました。全く問題ありません。

 そういうことをやはり果敢に地方は、これは都市の華やかなAIだ、IoTだ、テレワークだと言わず、これこそまさに地方に人がやはり生きていけるための道具だということで、積極果敢に取り組んでいただきたいなと願っている次第です。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 限界集落が大変目立ってきた地方の都市に関しまして、IoTの活用というのは、まさしく地方のためにある私はインフラだというふうに思っておりますので、今後、各自治体の首長さんには、その推進に私もハッパをかけたいと思っております。

 二番目の質問に移りますけれども、今本当に、各市町村、国の予算も見ながら、新年度の予算議会、第一回の定例会ですけれども、それに皆さん非常に汗を流しているようでございます。私も大変苦労した思い出がありますけれども。

 昨年の話になりますけれども、大臣が財務省と大立ち回りをした、新聞にはそんなことは書いておりませんでしたけれども、いわゆる地方の貯金と言われる財政調整基金、これに対して、必死になって守ってくれたということは、これは全道の首長さんたちが非常に感謝をしていたということをまず御報告を申し上げたいと思います。

 しかしながら、我が選挙区というのは実は三十二の市町村がございます。そして、細かい話になりますけれども、そのうち、実はもう十九市町村が一万人以下の町ということで、それでなければ、今の衆議院の、人口の四十万人に一人という選挙区にならないものですから、そんな状況になっているわけでございます。そういう小さな自治体にとってみれば、当然、総務省は一番のいわゆる救いの神の省庁でもございますし、地方交付税は本当に、ある意味、地方自治体にとってみれば打ち出の小づちになっております。

 まあまあ、そういう形にならないことが一番いいんでしょうけれども、残念なことに、少子化、高齢化等々、また基幹産業も、まだまだ一次産業にどうしても頼らざるを得ないということで、その一次産業も、だんだん高齢化や、またかかわる方も少なくなってきて非常に厳しい状況になっておりまして、実に、各自治体の予算の歳入を見ますと、もうほとんどが四〇%ぐらい交付税に頼っているという悲しい現状があるということをまず理解していただきたいと思います。

 そこで、算定に当たって、私も担当の課長さんからでしょうか、非常に分厚い資料で交付税のお話を聞きまして、ああ、大変だなというふうに思っておりまして、特に、地方に目をかけていただいてのいろいろな算定項目なんかもありまして、感謝はしておりますが、どうなんでしょう、やはり、人口の増減というのはこの交付税に対して非常に大きい影響があろうかと思います。

 それで、今現在、そのとおり人口の増減が大きく左右するのかどうかということと、また、小さな自治体に関しましては、まち・ひと・しごとなど、地方が頑張って取り組んでいる事業を更に応援していただきたいというお願いも含めての質問でございますけれども、省庁の方でも、ぜひ、お答え、考えをいただきたいというふうに思います。

小倉大臣政務官 渡辺委員には、先日も岩見沢市長と一緒に私のところに来ていただきまして、まさに先生の御地元は、雪との闘い、人口減少との闘い、大変厳しい中でまちづくりを一生懸命頑張っていらっしゃる様子を拝見をさせていただきました。

 交付税の算定における人口のファクターというものがございますので、当然、人口が減っていけばその分マイナスに寄与する部分もございますが、ただ、私ども総務省としては、それだけではなくて、先ほど分厚いとおっしゃっておりましたけれども、その分、地域の取組をきめ細かく交付税の算定の中でもつくっていこう、そういう姿勢でございます。

 実際には、地方団体が地域の実情に応じて、自主性、主体性を最大限発揮をして地方創生に取り組むことができますように、三十年度の地方財政計画におきましても、まち・ひと・しごと創生事業費、これは一兆円となっておりますけれども、計上いたしまして、財源を確保したところでございます。

 これに対応いたしまして、地方交付税におきましては、まず地域の元気創造事業費、これが四千億円でございますけれども、これにおきましては、地場産業の振興ですとか雇用の創出といった地域経済活性化に取り組むための財政需要を算定しておりますし、もう一つの人口減少等特別対策事業費、これは六千億円となっておりますけれども、ここにおきましては、結婚、出産、子育て支援の充実、あるいは移住の促進などの人口減少対策等に取り組むための財政需要を算定しております。例えば農業産出額でありましたり、女性活躍という意味では、女性の就業率もここにおいて算定の基礎といたしておるところでございます。

 いずれにしましても、今後とも、北海道の皆様も含めまして地方創生に積極的に取り組めるよう、地方交付税において地方団体の財政需要を適切に算定してまいりたい、このように思います。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 次の質問に移らせていただきますけれども、人口減少や高齢化を考えますと、やはり、社会保障の問題は日本の国にとっても大きな問題であるかと思います。もちろん、これは地方にとっても大きな問題でございまして、例えば、介護についてちょっと若干お話をさせていただきますけれども、これは本当は厚生労働省になるかもしれませんけれども、当然、高齢化に伴う介護の利用率というのはふえていくのは当たり前のことでございます。それと並行して当然保険料もふえてきます。

 地方自治体の皆さんとお話を申し上げますと、残念なことに、この保険料につきましては、当然、各市町村では特別会計という扱いで、どうしても受益者負担の考え方の中でこの保険料を決めていくというのが、これは正しいルールでございますけれども、正直申し上げまして、この保険料の高い低いというのは、住民の方々にとってみれば、高ければ市町村の努力が足りない、低ければ市町村長が褒められるという、何か相矛盾したようなこともよく起こる話でございまして、この保険料の算定がえのときには、結構、ほかの市町村の保険料はどのぐらいになるんだろうなんということが意外にも一番最初の気になる点になってくるところが、これまた我々首長経験としては恥ずかしい話になっていたのかなというふうに思います。

 ゆえに、一点目として申し上げますけれども、まず、介護保険と、絞ったら総務省の皆さんに申しわけないんですけれども、いろいろな意味で広域的に処理できるような事業というのはまだまだたくさんあるのではないかと思います。例を挙げました介護保険でございますけれども、こういうのを広域行政の一環として、例えば北海道一円として平準化になるように、総務省として口は出せるのか、あるいは協力できるのか、広域行政として。どうかお考えを聞かせていただきたいんですけれども。

谷内政府参考人 まず、介護保険制度の概要につきまして御説明申し上げます。

 議員御承知のとおり、介護保険は、介護サービスの地域性等を踏まえまして、国民に身近な行政単位であります市町村が保険者となっておりまして、市町村ごとに保険料が設定されているものでございます。

 議員お尋ねの、同じ都道府県の中で市町村ごとに介護保険が異なっているけれども、これについて平準化することができないのかという御質問でございますけれども、広域連合という仕組みがございまして、それを活用いたしまして、それに参加される全市町村の同意があれば保険料を平準化することは可能となっている制度はございます。

 ただ、広域連合の現状を見ておりますと、御地元の北海道でも幾つかございますけれども、小さな規模の市町村から成る、参加自治体も非常に少ない、一桁台のものである広域連合がほとんどでございます。ただ、規模の大きい広域連合も、福岡県と沖縄県で実は三十市町村ほどが参加している広域連合はあるんですけれども、その保険料を見ておりますと、水準は一本化されておりませんで、三段階の保険料が設定されているところでございます。

渡辺(孝)分科員 まあ、介護保険ですから、これは厚生労働省の管轄だというふうに思います。

 私としては、広域行政を後押しできるかということで、介護の話も当然そこに出てくるんじゃないかと思いますので、総務省としては、大きな森みたいな見る形で、今後、広域行政等々について考えていただきたいんですけれども、何か所見はございますか。

山崎政府参考人 平成の合併というのをやってきたわけでございますけれども、平成十一年から十年間、千七百十八の市町村になりました。一応、平成二十二年で平成の合併に一区切りをつけて、その後は、今先生御指摘のように、広域行政でいろいろなことに対処していこうとしております。

 一つは、まず定住自立圏。これは、人口五万人程度以上の都市を中心として圏域をつくって、ここで、一つ一つの市町村がフルセットではなくて、全部の市町村で役割分担しながら進めていこうというのを始めています。それから、中核市とか指定都市だと連携中枢都市圏というようになっていまして、私どもとしては、平成の合併は一区切りしたわけですが、それ以降、連携協約とか代替執行とかいろいろな制度を入れておりますので、できるだけいろいろなことを集約とネットワークという考え方で進めていきたいと思っています。

 おっしゃりましたような介護保険につきましては、それぞれ市町村単位でございますが、これからいろいろな工夫ができるんじゃないかと思います。頑張っていきたいと思います。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 まだまだ地方には、広域でやらなければいけないこと、やれること、私はたくさんあるかと思います。ぜひ総務省さんあたりが旗を上げていただきますと、非常に各省庁にも大きく影響が出て、いい形になるのではないかと思います。

 今ほど合併の話も出ましたけれども、あの当時、小泉総理が、三千二百数カ所ありました市町村に対しまして、ただ、千ぐらいにしたいというのが当時何かアドバルーンだったような気がします。現在、千七百十八ですか、まあ、千を目標にして千七百十八という数字がどういうものなのかというのは、いろいろと、平成の大合併が終わったときの検証の冊子を私も見させていただきましたけれども、まあ、これは最終的には地方自治体が考えることでございますので、どうのこうのここで語るべきではないと思いますけれども、究極の私は行財政改革の一つの手段かと思います。

 今、合併の制度もあると聞いておりますけれども、本当に、国の、あるいは地方のあり方がどうあるべきかということで、もしこの合併という手法が今後国にとっても地方にとってもいいということであれば、ぜひまたさらなる推進をお願いしたいというふうに思います。

 さて、もう最後になります。大臣にお願いしますとこれは言っていなかったんじゃなかったかと思いますけれども、最後ですからぜひ大臣にお答え、気持ちを聞かせていただきたいんですけれども。

 国と地方自治体、あるいは総務省と自治体の関係といいますと、私は、自分の反省も含めまして思うには、まだまだ国に対しての依存度というのが市町村には高いというふうに思っております。今回、地方創生の話に関しましても、国が何をやってくれるんだ、やはりそこのところに視点が行っています。

 ですから、地方にまだアベノミクスの矢が届いていない届いていないとよく聞きますけれども、私は、返す刀だと言っているのは、何を言っているんだ、矢が飛んでくる、金が飛んでくるなんていう単純な考え方であなたの地域がよくなるわけないんだ、むしろうちらが、官邸や総理に、国に、矢を撃とうじゃないか、それには、私たちの地域はどうしたらいいんだということを正々堂々と国に対して陳情、要望する、そして、予算がつくような事業があるないじゃなくて、むしろこちらから提案して新しい事業をつくるようなことも提案したらどうだ、そんな金太郎あめみたいなまちづくり、どの地区もやっていたら、いずれみんなで自滅してしまうよということを言っているんですが、結構、首長の中には私に対して批判の声もちらほらあるみたいでございます。

 そこで、大臣、今後の広域行政について所見等々ありましたら、ぜひお聞かせいただきたいな。

野田国務大臣 委員も地方の市長さんをなさって、私も少しの間地方の議会におりましたから、多分、反骨精神というのがあると思うんです。私は、やはり国会を目指した最初の理由というのは、余りに地方が軽視されている。当時の霞が関ですね、具体的に言うと、当時の建設省、本当に、地方住民のためにいろいろな社会インフラを整備しなきゃいけない、だけれども、いろいろな、地方の経済は脆弱な上に自前のお金がないというときに、頭を下げに行かなきゃいけないというのはどうかと。

 二十五年前に国会議員になったときには、地方分権をしていこうということで、本当に多くの仲間たちが、地方分権推進法ということで、実をとろうと、地方が二割自治、三割自治とやゆされるのではない、頭を下げに行くのではなく、みずからの力で、みずからのアイデアで、みずからの財源で、それぞれの地方の個性を次世代につないでいこうということで、相当盛り上がったときもありました。ただ、若干最近はおとなしくなったのかな。今は静かな感じがいたします。

 でも、引き続き、東京一極集中ということで、今は大都市対小さな地方ということで構図をつくっていろいろやっていますけれども、将来的にはやはり人口減少は大都市でも地方でも大きな影響を及ぼすことになるので、今からそれぞれ、北海道であれ岐阜であれ、やはり自立して、そして、自分たちの個性を生かせる地方づくり、そもそも地方ありきで国があるんだと思っています。その魅力づくりのためにそれぞれ切磋琢磨できるような、そういう舞台づくりを総務省というのはしていかなきゃいけないと、改めて肝に銘じて取り組んでいきたいと思っています。

渡辺(孝)分科員 どうもありがとうございました。

平井主査代理 これにて渡辺孝一君の質疑は終了いたしました。

 次に、国光あやの君。

    〔平井主査代理退席、主査着席〕

国光分科員 茨城六区選出の国光あやのでございます。

 本日は朝から、大臣、大変お疲れさまでございます。先ほど渡辺委員からの御質問にもございました人口減少社会、その中で、私は、郵政事業、非常に野田大臣におかれてはお詳しいお話だと思いますけれども、郵政事業、消防活動について、ぜひお伺いをさせていただきたいと思います。

 私、昨年の秋の衆議院選挙で初当選をさせていただきました。実は、もともとは元厚生大臣の丹羽雄哉先生の御地盤を、そのままバトンを引き継いで出馬させていただいたわけなんですけれども、実は丹羽先生から初めに言われましたのが、ぜひ、地方を知るには郵便局を回れということだったんですね。

 私、そのとおり、茨城県の中で四百六十五郵便局があるんですが、かなりの部分の郵便局にお伺いをさせていただきました。茨城県自体は人口三百万ほどもおりますし、まだまだ比較的人口増になっている地域もあり、恵まれている方かもしれませんが、やはり県内のいろいろな格差は激しい。人口減少社会の中で、金融機関がなくなる、公的機関もなくなる、商店も閉鎖される、だけれども郵便局だけはあるという地域が非常に多いということを本当に目の当たりにさせていただきました。

 もう郵政民営化から十年になるわけでございます。でも、十年たっても郵便局の数は余り減っていない、ほとんど変わらない。それは、ひとえに、郵便局の皆さんのネットワークが本当に血のにじむような御努力で何とか堅持されていらっしゃるという、本当に御努力だと思います。

 その中で、郵便局のあり方、もともと、言うまでもなく、郵便局、郵便とそれから貯金と保険の三事業、ユニバーサルサービスを提供されているわけですけれども、近年は、人口減少社会の中で、もう郵便局しか頼る窓口がありませんというふうな社会の中で、どのように地域貢献をしていくか、地方創生の中での、人口減少社会の中での郵便局のあり方というのが非常に大きな意味を占めているのではないかと思います。

 ちょうど、二月十四日のバレンタインデーの日に、郵政政策部会の下に郵便局の活性化の委員会がつくられまして、そこで、郵便局の今後のあり方、人口減少社会や、それからあとICTの活用によって、また郵便局自体の都市部と地方においての役割の違いというのも出てくるのかもしれません、そういう検討の場を設けられたと伺っております。

 茨城の、実は一つ非常に強みといいますか、いい例がありまして、茨城県の大子町という茨城の北部の町があるんですが、かなり前から高齢者のみまもりサービスをやっておられます。先行地域として取り組まれ、それが昨年の秋から全国に広がるようになり、ちょうど直近の数字で全国で三千件ほど、三千人の御登録があって、郵便局員の方が高齢者の方の見守りに定期的にお伺いをする。これは、社会福祉協議会だとか市町村だとかがなかなかできない部分をしっかりと郵便局が補っていらっしゃる一つの非常にすばらしい例なのかなと思います。

 今後、総務省におかれて、例えばこの郵政活性化の委員会において、どのような議論を期待され、郵便局の役割はどう位置づけて、いろいろな関係者、福祉もある、地域それぞれの生活支援サービスもあると思います、それぞれのいわゆる関係者とどういうふうに連携をして、どのように郵便局の取組を進めていくのか、そのあたりをぜひお伺いさせていただければと思います。

巻口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、人口減少、少子高齢化、あるいはICTの進展など社会環境が大きく変化していく中で、郵便局の役割に対する期待はますます高まっているというふうに考えております。

 このため、情報通信審議会の郵政政策部会に対しまして、社会環境が変化していく中で郵便局に期待される役割あるいは取組の方向性を議論していただいて、本年六月ごろにお取りまとめいただけるようにということで大臣からお願いしたところでございます。その郵政政策部会のもとに、先ほど御指摘のありました郵便局活性化委員会というのを設けまして、そこで議論を開始していただいているところでございます。

 郵便局は、委員からも御言及ありましたとおり、公益性、地域性というものを発揮しまして、郵便局のみまもりサービスといった取組を始めとしまして、地域における生活を支える役割というものを引き続き果たしているところでございます。

 郵便局の強みといいますのは、やはり、金融機関の窓口なども減っている中で、全国津々浦々にある二万四千の郵便局のネットワークであるというふうに認識しておりまして、郵便局が、利用者目線で、そのポテンシャルを十分に発揮して、国民生活の安心、安全の拠点としての魅力を一層高めていただけるよう、関係各方面とも連携をしながら検討を進めていただきたいというふうに思っているところでございます。

国光分科員 ありがとうございます。

 非常に大きく、この委員会の役割、期待をしております。ぜひ、郵便局の実情、郵便局の皆さんの御意見をしっかり踏まえていただいた上で、本当にやって意味のある委員会にしていただけるように心からお願いを申し上げます。

 そして、もう一つ、これはお願いでございます。

 ユニバーサルサービス自体、貯金と郵便と保険でございます、ユニバーサルサービス自体もやはり国民生活に不可欠なものでございます。全国どこでもこのサービスを受けられねば、なかなか人としての生活は難しいということもあろうかと思います。

 ちょうど議員立法が、大臣御存じのとおり、今検討されておりまして、今国会でも提出されるということも議論されております。この中では、今まで郵便局の窓口業務が民対民の契約であったものを、より法律的な担保を持って安定的にユニバーサルサービスのコスト負担のあり方も確保するということがございます。

 ぜひ、総務省とされても、しっかり、この議員立法、そしてまたコスト負担のあり方もきめ細かくサポートしていただいて、郵便局のユニバーサルサービスも堅持いただけるように、御支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

橘主査 答弁を求めますか。

国光分科員 よろしいですか。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 自民党の郵政事業に関する特命委員会におきまして、郵政事業のユニバーサルサービスを安定的、継続的に確保するための方策について議論が行われていることにつきましては、大変有意義なものであるというふうに考えているところでございます。本件につきましては、引き続き党の方で御議論がなされるものと考えておりまして、総務省としてはその動向を見守ってまいりたいと思います。

 いずれにしましても、国民にとって、郵政事業のユニバーサルサービスが確保されるということは大変重要であるというふうに思っております。総務省としましては、将来にわたってもユニバーサルサービスが安定的に提供されるよう注視していくとともに、利用者の目線に立った、さらなる利便性向上のための取組が日本郵政グループ各社によって行われることを期待しているところでございます。

国光分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、野田大臣、郵政大臣そして総務大臣も御経験なさった野田大臣でございますので、しっかりと、郵便局の皆様は大きく期待なさっていると思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、消防団、消防活動の御質問に移らせていただきたいと思います。

 先ほど郵便局のお話も申し上げましたが、もう一つ、私、本当に地域の底力として重要なのは、消防団、半分ボランティアの組織であり、非常勤の地方公務員のお立場でもございます。消防団のお力は、非常にやはり大きいと思います。

 消防団は、もともと地域のもちろん防災、それから防火、それから救助活動などなどを主の業務となさっていらっしゃるわけですが、実際の消防団活動、恐らく各大臣の御地元や委員長の御地元もそうかもしれませんが、消防団の皆様が大体もう一生懸命、地域の活動、清掃活動や地域の祭り、伝統行事をサポートされていらっしゃるお姿を、それは全国どこも変わらぬお姿なのではないかと思います。

 ただ、この消防団、非常に消防団員になる数が減ってきて、平成一桁台は百万人おられましたが、今は約八十万人ということで、私の地元の茨城県でも、戦後最高は八万人いらっしゃったんですけれども、今は二万人ということで、四分の一になりました。

 こちら、消防団員を全国で百万人、何とか回復したら百万人に届くようにということで目標を位置づけながら取り組んでいらっしゃると思いますが、実際、この消防団員の確保、やはり近年の雇用形態が、被雇用者が、サラリーマンの方などなどもふえてこられたり、また、なかなか平均年齢も高くなったり、非常に厳しい部分もあるかと思います。どのように、地域の消防活動、防災活動、そして地域活動全体を盛り上げていくために、消防団員の確保に努められるのか、ぜひ御所見をお伺いできればと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 消防団に対しまして力強いお言葉をありがとうございます。

 消防団につきましては、地域におきます消防防災体制の中核的存在といたしまして、地域住民の安心、安全確保のために大きな役割を果たしておりますけれども、御指摘のとおり、一方で、消防団員数は年々減少を続けてきております。

 そこで、今般、あらゆる災害に対応いたしまして、消防団の中心となってきます基本団員の確保に加えまして、大規模災害時に新たに業務が発生をしたり、人手不足となっていく場合に限り出動いたします大規模災害団員の導入促進に取り組むことにいたしております。

 消防団員の裾野を広げていきます取組といたしましては、女性や学生、地方公務員などの入団促進、また事業所等との連携などを推進をいたしてきております。具体的には、平成三十年度予算におきましても、そのための事業を計上するとともに、学生の消防団活動を市町村が認証していきます学生消防団活動認証制度の普及も推進を図ってきております。

 さらに、団員の約七割が被雇用者であります今日、企業の協力も重要となってまいりますので、消防団活動に協力していただきます事業所を顕彰する消防団協力事業所表示制度の普及なども推進を図ってきております。

 こういったふうな取組の結果、例えば、火災予防啓発とか救命の講習、また広報活動などを行います、学生だけで構成をします機能別の消防団員制度を導入していった事例があったりとか、また、市民に対しましてAEDの使用方法や応急手当てなどの指導を行います女性消防団員を新たに任用した事例などもございます。また、消防団歴五年以上のOB団員が、平日の昼間の時間帯に限定しまして消火活動などを行います機能別消防団員制度を導入した事例なども見られるようになってきております。

 こういったふうな消防団員の確保等に係ります取組を推進していくといった観点で、先月は大臣の方から都道府県知事、市町村長及び経済団体宛てに書簡を出していただきまして、その推進を依頼していただきました。

 今後とも、さまざまな機会を捉えまして地方公共団体など関係方面に働きかけを行っていきまして、引き続き消防団の充実確保に努力していきたいと思っております。

国光分科員 ありがとうございます。力強い御答弁、非常に心から感謝を申し上げます。

 消防団を取り巻く状況は、平成二十五年でしたでしょうか、議員立法でも消防団の強化の法律ができました。さまざま、国から各市に対する、自治体に対する御支援の強化も取り組んで、そして書簡も出していただいた。非常に、各市からは力強いという答えをいただいているところでございます。しっかりとその取組を今後も続けていただいて、より消防団員の確保が進むようにぜひお願いを申し上げます。

 もう一つ、消防団員の確保の中で、よく実は地元の隊員の方から伺う、非常に身近な切なるお声の一つで、やはり手当、それから労災の補償の関係がございます。

 恐らく、大臣や委員長の御地元でもそういう声をお聞きになっていらっしゃることもあろうかと思いますが、現在、出動手当が、国の中で一回当たり七千円を地方交付税単価として定めておられるということであると思います。消防庁の予算もなかなか厳しい折かもしれませんが、ぜひ予算の確保にも努めていただきまして、また、今実際の交付は、国が財源確保するとともに、各市でそれぞれ出動手当を、基礎を決められて交付されているわけですが、また、各市によっても、もちろん市の実情はあるんですが、かなり単価の差異が大きいという状況もございます。

 また、その手当の、金目の話だけではなくて、補償の範囲自体も非常にばらつきも多くて、とある市では、例えば出動されて、もちろんけがだとかそういうことは公務災害補償されるわけですけれども、実際に、火事だ、またあるいは何か防火活動に行かれると、例えば持っていらっしゃった時計が壊れたとか、あと、あるいは携帯電話などが壊れたとか、そういう話は実は結構よくある話で、非常にささいなことですが、半分義侠心で行っていただいている消防団員の方にとっては、やはりそのあたりの不安感というのも、若干意欲をそぐ部分もあるようには、正直なところ、承っております。

 なかなか、地方分権の中で、国がどうこうという話ではないかもしれませんが、そのあたりの予算の確保や公務災害の補償の範囲などをどのように取り組まれるかということを、ぜひ御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 消防団につきましては、災害時、地域で即時に対応いたしまして、厳しい状況の中で長時間にわたり災害対応に当たることになってまいります。

 そういったふうな消防団に対しまして、今御指摘もございましたけれども、年額の報酬で三万六千五百円、一回当たりの出動手当が七千円というのが地方交付税の単価というふうに定まっておりまして、実際の支給状況につきましては、御指摘もございましたけれども、相当の団体におきましてその水準に達していないといった状況がございます。

 このため、各地方公共団体におきましては、十分な額の年額報酬とか出動手当をお支払いいただきますように、今回の大臣からの書簡におきましても依頼をさせていただきまして、また別途、私どもも機会あるごとに働きかけを行ってきております。

 こういったふうな動きの中で、年額報酬の引上げにつきましても、近年の推移を見ておりますと、少しずつ上がってきている部分もございまして、出動手当の充実を行っている事例も見られているところではございます。

 それから、公務災害補償のお尋ねの関係でございますが、消防団員が公務によりまして負傷等した場合につきましては、市町村につきまして、消防組織法の二十四条の一項の規定に基づきまして、その消防団員又はその者の遺族が受ける損害を補償しなければいけないということになっております。現在、仕組みとしましては、療養補償であったりとか障害補償、遺族補償、こういったふうな項目で補償が行われてきております。

 私物の話がございました。

 私物への補償というのも一つの考え方だというふうに理解いたしておりますけれども、この現在の公務災害補償の仕組みの中では対象にはなっていないところでございます。

 実態を見ていきますと、市町村によりましては、独自に要綱とか規程等を設けて、私物損壊に対しまして補償を行っている事例がございます。市町村を細かに見ていきましても、範囲が異なっていたり、金額が違ったりいたしておりますけれども、幾つかそういった事例が見受けられる、そういったふうな実態がございます。

 こういったような中で、全般的に、消防庁といたしましては、引き続き、消防団員の処遇の改善に全力で取り組んでいきたいと考えております。

国光分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、総務省さんとされても、市の取組、自治体の取組をしっかり御支援いただいて、消防団員の確保が進むように取り組んでいただければと思います。

 最後に一つ、御質問ではないんですが、御要望がございます。

 実は私、もともと医療現場で働いていた内科医でございます。非常に感謝を申し上げているのが、救命士さんの活動です。

 数年前に救命士さんの医療処置が拡大されました。今は救急搬送のときに気管挿管もできます。そして、アドレナリンやエピネフリンといった昇圧剤も投与できます。そしてまた、リンゲル液というような、何かショックになって体の中に水を入れなきゃいけないときに、点滴もできるようになりました。

 私も、かつて医療現場でいましたときに、救命センターに運ばれてこられるときに、やはりもう少し救急車の中で医療行為ができていたらこの高齢者の方は助かったのになという方を随分見ておりまして、この恐らく十年間ぐらいですか、非常に議論が進んで、これは総務省さんだけではなくて厚労省さんの御担当でもあるかもしれません。これが非常に救命率の向上に寄与しておられると思います。

 現場の救命士さんも非常にやりがいを持って取り組んでおられます。私も地元で、この一年間で三回、四回ほどですか、たまたま倒れられた患者さんを一緒に搬送して、その中で救命士さんと医療処置をさせていただいたりしたんですが、非常に今、救命士さんの皆さん、やる気を持って取り組んでおられる姿を本当に心強く思います。

 ぜひ、患者さんのために、今後も救命士の皆さんの活動が、更に支援の輪が、位置づけが広がるように御尽力をお願いできればと思いまして、私の質問とさせていただきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

橘主査 これにて国光あやの君の質疑は終了いたしました。

 次に、本田太郎君。

本田分科員 自由民主党の本田太郎でございます。

 質問の機会を頂戴しまして、まことにありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず私も、郵便局に関する質問からさせていただきたいと思います。

 私は、京都五区、いわゆる日本海側に面した、田舎と言われるような地域に住んでおります。私の住んでおります市には、実はコンビニエンスストアは三軒ほどありますけれども、ファストフードは一軒、マクドナルドのみがあるというような地域に住んでおりまして、少子高齢化が進む現在、その地域が郵便局をどれだけ必要としているかということを身にしみてよくわかっているつもりでおります。

 少子高齢化が進む現在におきましては、撤退する郵便局の支所業務の受託や、また地域経済の活性化への貢献など、特に過疎化の進む地方の郵便局に対しましては、その住民の方の期待はますます大きくなっているものと感じております。

 郵便局の強みは、地域における老舗のブランド力と、そして長年培ってきたネットワーク、そしてまた地元に関する知見でございます。郵便局の役割は、そのネットワークを維持発展させて、全国津々浦々までサービスを提供することでありますけれども、最近では、地域社会の発展への寄与を掲げまして、さまざまな地域貢献の活動を展開されているとお聞きをしております。

 こうした地域活性化に貢献しておられます具体例をまずはお尋ねをしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 日本郵便におきましては、これまでも、全国にあまねく設置された郵便局のネットワークを活用しながら、住民票の写しの交付などの証明書交付事務、マイナンバーカードを活用し、各種証明書を発行することができるキオスク端末の郵便局への設置、また高齢者の安否確認などを行う郵便局のみまもりサービスの全国展開などを実施してきているところでございます。

 今申し上げましたような具体的な取組のように、郵便局は、その公益性、地域性を発揮して、地域における生活インフラとしての機能を果たしており、その維持強化を図っていくことが地方創生の推進に寄与するものと考えております。

本田分科員 ただいま、郵便局による地域貢献の具体例をお示しいただきました。

 郵便局が地域のまちづくりの中核機関としてその機能を一層発揮していけるように、ぜひとも、郵便局ネットワークを活用した、地方を元気づけるような施策の実施をお願いしたいと思います。

 先ほどは今現在行われております具体例をお聞きしたわけでございますけれども、それでは、今後どのような取組をされるおつもりかについてもあわせましてお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

野田国務大臣 本田委員には、初当選されて、大変新鮮なまなざしで日本の政治を見詰めていただいており、その中で郵便局の新たな姿を模索されていることに対して大変うれしく思います。

 郵政民営化して十年と言われるんですけれども、かつて国営であったときは、非常にこの国会でも郵便局のあり方について関心を持つ議員が多く、いろいろな議論ができたんですけれども、やはり一たび民営化となると、なかなか国会の中でそういう前向きな議論ができなくて、ちょっと寂しいなと思っていたので、これからの日本を考えたときに、また新たな郵便局の役割についてそういう問題提起をしていただけることは大変うれしいことだと思っています。

 まず、オーソドックスに言えば、郵政民営化の基本理念というのがあります。そこには、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上、これをどう果たしていくかというのがこれからの郵便局の使命だと思っています。

 ちなみに、これからの日本はどうなっていくかというと、人口減少、高齢化、少子化ということで、正直、元気がなくなるような材料がいっぱいある中で、確かに地方は、地方に行けば行くほどもう既にそれが起きています、高齢化もピークになっていたり。でも、そこにはやはり人生があります。しっかりとそういう人たちに寄り添える、民間になったとはいえ、全国津々浦々にあるネットワークという公共性をしっかり生かしていける強みを発揮してもらいたいと思います。

 かつては、郵便局というのは、国営のころは民業圧迫と言われて、いろいろ規制、今もそのまま規制というか、抑えつけられているところがあるんですけれども、地方はもう民業がいなくなっちゃっているわけですね、さっきお話があったように。であればこそ、逆に、その当時言われたことがなくなった今、民がいなくなった地方で、しっかりとその人たちの人生を支えていく役割というのを担っていかなきゃならない、担っていただきたいなと思うところであります。

 あともう一つ、心配事としては、郵便局そのものの存立、例えば、年賀はがきも売上げが落ちていたという話がありました。

 事ほどさように、これだけICTが進む中で、やはりかつての信書というのは総体的に減っていきます。そこに足踏みするのではなく、果敢にICTを活用することで、地方こそICTの利便性を享受しなきゃいけないところで、そこのゲートウエーになる、入り口になるような取組もしていかなければならないと思っています。

本田分科員 ありがとうございます。

 今、大変心強い御答弁をいただきました。私が日々感じている悩みですとか、地域における郵便局のあり方というものに非常に感銘を受ける御答弁をいただいたと思っております。うれしく思っております。ありがとうございます。

 次に、郵便局に関連するんですけれども、ゆうちょ銀行につきまして質問をさせていただきます。

 現在、ゆうちょ銀行の預金の預け入れ限度額は一千三百万円でありますが、郵便局以外に近くに金融機関のないような、そのような地域におきましては、限度額一千三百万円では余りに不便であるとの声が聞かれますし、また、退職金などのまとまったお金が入るときには一千三百万円を超過しそうになる、そのたびに引き出しをしなければならない、そのような声もございます。また他方、郵便局の側からしましても、預金額が一千三百万円を超えないか確認するような事務の負担も大きくなっているという声も聞いております。

 こうしたことから、もちろん民間の金融機関への圧迫とならないことを前提にはしておりますけれども、預け入れ限度額一千三百万円の見直しに向けてどのような考え方で今後進めていかれるのか、所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

野田国務大臣 まず、現在の動きを申し上げると、郵政民営化委員会において、郵政民営化の進捗に関する三年ごとの総合的な検証が進められています。ゆうちょ銀行の預入限度額についても、その検証項目の一つとされていると承知しています。

 預入限度額のさらなる見直しに当たっては、先ほど申し上げました利用者利便等を考慮することも重要と認識しており、郵政民営化委員会における議論も踏まえながら、金融庁とも連携しつつ、郵政民営化法にのっとって適切に判断してまいりたいと考えています。

 限度額一千三百万というのは、先ほどの民業圧迫にならないような縛りなんですけれども、その後、さっき申し上げたように、どんどん地方が人口減少等と高齢化でいろいろ、民間金融機関が撤退する中、やはり高齢者にとっての利便性、そして地方にとっての、例えば、高齢者はインターネットをそうそう使えませんので、若い人だとインターネットを使っていろいろなバンキングができるんですけれども、七十代、八十代の方たちにそれをやれというのも難しいことでもありますし、やはりそこに住む人たちにとっての利便というのは、年代、性別、さまざま、地方、都市、違うと思うんですね。そういうものにしっかり応えていけるようになるといいと思います。

本田分科員 ありがとうございます。

 大変示唆になるお言葉でございました。

 次に、サイバーセキュリティーについて質問をさせていただきます。

 近年、あらゆるものがネットワークに接続され、一たびサイバー攻撃を受けると、その被害が拡大し、社会に与える影響も大きくなってきています。

 例えば、公衆無線LANは、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて普及が進んでおり、観光や防災の見地から非常に有用でありますが、その分、サイバー攻撃によって被害を受ける範囲も広くなってきています。

 今後、ソサエティー五・〇を見据えるとき、その脅威は更に深刻化してくると思われます。

 つまり、これまでの情報社会、いわゆるソサエティー四・〇では、サイバー空間と呼ばれる仮想空間にある多くの情報から、フィジカル空間と呼ばれる、人間が必要な情報を見つけてみずから分析する作業が人間にとっての負担となったり、また、年齢や障害などによる労働や行動範囲に制約がありました。

 しかし、今後我々が目指すソサエティー五・〇の社会では、IoTで全ての人と物がつながり、フィジカル空間にあるあらゆる情報がセンサーを通じてサイバー空間に集積され、これを人間の能力を超えたAIが解析をして、その結果がフィジカル空間にいる人間にさまざまな形でフィードバックされます。したがって、人間による情報の分析作業や、年齢や障害による労働や行動の制約が除かれ、これまでにできなかった新たな価値が産業や社会にもたらされることになります。

 その一方、全ての人と物がIoTでつながりますので、サイバー攻撃による脅威は格段に大きなものになると予想がされます。

 そこで、まずは、世界におけるサイバー攻撃にはどのような例があるのか、そして、そうした脅威に対して我が国ではどのような取組や体制が用意されているのか、お尋ねをいたします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 IoTの進展は、委員御指摘のとおり、非常に大きなメリット、具体的には、データを活用した社会の課題の解決などに使われていくことが期待されているわけでございますけれども、他方、IoT機器を対象としたサイバー攻撃の危険性というものも高まってきております。

 一例を挙げますと、二〇一六年の十月、ミライと呼ばれるマルウエアに感染した十万台を超えるIoT機器が米国のダイン社のサーバーに対して大規模なサイバー攻撃、いわゆるDDoS攻撃を行いまして、SNSやオンラインショッピングなどのサービスが利用できなくなるなどの障害が発生をいたしました。

 このミライに感染したIoT機器につきましては、ID、パスワードを例えば初期設定から変更しないで利用しているなど、設定されていたID、パスワードが非常に簡単な機器が多かったというふうに認識をしております。

 今後、このような簡単なID、パスワードが設定されていることによる脆弱性を有するIoT機器への対策につきまして、我が国においても積極的に推進していく必要があるというふうに考えております。

本田分科員 ただいま、IoT機器の脆弱性についての答弁をいただきましたが、この脆弱性の調査というのは今後具体的にはどのように行っていかれるのか、お尋ねをいたします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたように、IoT機器の普及に伴いまして、IoT機器を狙ったサイバー攻撃が我が国においても急増をしている状況でございます。

 例えば、情報通信研究機構、NICTの持っておりますサイバー攻撃観測網、nicterと呼んでおりますが、ここで観測をいたします攻撃の回数でございますが、全体でいいますと、二〇一五年から一六年の一年間に二・四倍という増加でございますけれども、その中で、IoT機器に絞って見てみますと五・八倍という増加でございます。また、二〇一六年、一年間で、全体のサイバー攻撃のうちの六四%がIoT機器を狙った攻撃になっております。

 そこで、今年度、総務省におきましては、サイバーセキュリティーに関するさまざまな知見を有しております通信事業者等をメンバーとする一般社団法人であるICT―ISACや、また、脆弱なIoT機器の調査について先進的な技術あるいはノウハウを有しております横浜国立大学と連携をいたしまして、国民生活、社会生活に直接影響を及ぼす可能性の高いIoT機器を中心といたしまして、昨年の九月からIoT機器の脆弱性調査を実施をしているところでございます。

 具体的には、サイバー攻撃観測網、nicterや、脆弱性を探索するさまざまな手法を活用いたしましてインターネットに接続された機器を調査をいたしまして、適切なアクセス制御設定がなされていない、例えば認証機能がない、こうしたものの脆弱なIoT機器が発見された場合には、所有者等に対して注意喚起を行っているところでございます。

 総務省といたしましては、こうした脆弱性調査のさらなる体制強化を含め、関係省庁と連携しながら、IoT機器を含むサイバーセキュリティーの確保に取り組んでまいりたいと考えております。

本田分科員 今のようなIoT機器の脆弱性についていろいろ調査等々されておるわけでございますけれども、そうすると、かなりの人材というものが必要になってくると思われます。

 そうした中で、聞き及びますところによると、セキュリティーに関する人材が圧倒的に不足しているという声をお聞きしております。そのような人材の育成ということが必要になってくるかと思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、そして、その実績、これまでどんな実績があるのか、お聞かせいただければ幸いでございます。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、サイバーセキュリティー人材の現状でございますけれども、二〇一五年の九月に閣議決定をいたしましたサイバーセキュリティ戦略の中では、現在、サイバーセキュリティーに携わっている人材が二十六・五万人でございます。そのうち十六万人は、残念ながら、一定の水準に達していないという評価にとどまっております。また、絶対数でいいましても八万人が足りないということでございまして、このサイバーセキュリティー、サイバー空間の脅威が高まる中、人材の不足は非常に深刻な問題でございます。

 そうした中、総務省におきましては、これまで、行政機関や民間企業などに対するサイバー攻撃への対処方法を実際に体験する実践的なサイバー防御演習の取組を行ってきております。

 平成二十九年四月には、先ほど申し上げました情報通信機構、NICTの中にナショナルサイバートレーニングセンターを組織をいたしまして、セキュリティー人材の育成の取組を更に強化するということを行ってきております。

 具体的には、国の行政機関、地方公共団体、あるいは重要インフラ事業者などに対する実践的なサイバー防御演習、CYDERと呼んでおります。また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが開催をされますけれども、これに向けたセキュリティー人材を育成するサイバーコロッセオという取組、また、二十五歳以下の若手のセキュリティーイノベーターを育成するSecHack365というプロジェクトの三つの事業に取り組んでおります。

 これまでの成果でございますけれども、まず最初のCYDERにつきましては、平成二十九年度、昨年度の約二倍となります三千名が全国百カ所でこの訓練、研修を受講していただいておりまして、来年度、平成三十年度につきましても同程度の受講者数を予定をしているところでございます。

 また、サイバーコロッセオ、東京オリンピック・パラリンピック関係でございますけれども、これは、今年度、六十名の組織委員会のセキュリティー担当者の育成を予定しております。最終的には、本番となります二〇二〇年の段階で二百二十名の育成を予定しております。

 また、若手のセキュリティーイノベーターを育成するSecHack365でございますけれども、これは、平成二十九年度、今年度から開始をしておりまして、現在、四十七名の若手ICT人材を選定をいたしまして、一年間のカリキュラムで人材を育成しております。来年度も同程度の規模で実施をしたいというふうに考えております。

 総務省といたしましては、今後とも、こうしたセキュリティー人材の育成に向けて、関係省庁と連携しながら、さらなる取組を進めてまいりたいと考えております。

本田分科員 ありがとうございます。

 また、サイバーセキュリティーに関しましては、人材もしかりですけれども、そもそも国境という概念が該当しない世界だと思います。そういった中では、まさに日本だけでやっているわけにはいかず、さまざまな国際的な連携を深めていかなければ実効的なサイバー攻撃を防ぐということができないというふうに思いますが、サイバーセキュリティーに関する国際連携についてはどのような状況であるか、お聞かせいただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、サイバー空間は国境がございませんので、サイバーセキュリティーを強化していくためには、日本国内のみならず、国際的な連携が必要不可欠というふうに私どもも認識をしているところでございます。

 そのため、例えば、G7におきましては、サイバー空間上の脅威の情報共有を含む建設的な協力活動を促進するということとされているところでございます。

 また、総務省といたしましても、政府レベルの取組といたしまして、米国を始めとする十三カ国との間で開催をしておりますサイバー協議を通じまして、サイバー攻撃の手法を含む情報の共有、あるいは演習等の取組の国際連携を強化をしております。

 また、民間レベルでの国際的な情報共有を強化するため、サイバーセキュリティーに関する情報収集、調査、分析を行いますISACという組織がございます。この組織の国際連携のためのワークショップも開催をし、例えば、脆弱性に関する情報、あるいはインシデント情報の共有など、具体的な連携を日本のISACとアメリカのISACとの間で進めているところでございます。

 総務省といたしましては、今後とも、こうした国際連携の取組をなお一層強化し、サイバーセキュリティー対策を積極的に推進してまいりたいと考えております。

本田分科員 ありがとうございます。

 我々の今後の未来の世界におきまして、豊かな世界を手に入れるためには、サイバーからの攻撃をしっかりと守っていかなければならないと思いますので、どうぞこれからもたゆまぬ御努力をよろしくお願い申し上げます。

 次に、消防団について質問をさせていただきます。

 消防団の皆様には、消防出初め式、日々の訓練、操法大会に向けての準備、年末警戒など、御家族との時間を犠牲にしてまで地域のために献身的に働いていただいております。また、火災時の消火活動のみならず、地震や水害など、あらゆる災害の際に、援助、救助活動を始め、さまざまな活動によって地域住民の皆様の安全確保に御尽力をいただいているところであります。

 このように、地域の安心、安全には欠かすことのできない消防団でありますが、少子高齢化、そしていわゆるサラリーマン化が進み、年々団員の数が減少してきており、平成二年には百万人を割り込みまして、平成二十九年四月現在、約八十五万人にまで減少をしてきました。

 さらに、団員の平均年齢も、平成の初めは三十五歳程度であったものが、平成二十九年四月現在では四十・八歳と高齢化も進んできております。私の住む町におきましても、若い人がなかなか新規で入団してくれないため、五十歳になってもやめられないと嘆いていらっしゃる方も数多く知っております。

 こうした団員数の減少や高齢化は地域防災力の低下に直結する重大な問題だと考えますが、総務省としましてどのような対策を講じておられるのか、お尋ねをいたします。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 消防団、今御指摘のございましたとおり、地域住民の安心、安全のために大きな役割を果たしております。その一方で、団員の数は年々減少しているといった実態がございます。

 今般、消防団の中心となっていきます基本団員の確保に加えまして、大規模災害時に限り出動いたします大規模災害団員の導入促進に取り組むことにいたしました。

 また、消防団員の裾野を広げていく取組といたしまして、女性、学生などの入団促進や事業所等との連携などを推進してきており、学生の消防団活動を市町村が認証する学生消防団活動認証制度の普及などを進めてきております。

 さらに、団員の約七割が被雇用者である今日、企業の協力も重要であるために、消防団活動に協力していただいております事業所を顕彰いたします消防団協力事業所表示制度の普及に取り組みまして、企業とか経済団体に対しまして消防団への協力の働きかけを進めてきております。

 こういった主な内容につきましては、先月、大臣の方からも、都道府県知事、市町村長、それから経済団体に対しまして書簡を出していただきまして、消防団員の確保等に係ります取組の推進を依頼していただきました。

 今後とも、消防団員の加入促進とか消防団の充実強化に全力で取り組んでまいります。

本田分科員 ありがとうございます。

 ただいま、消防団の充実強化に向けましたさまざまな方策、例えば学生消防団活動認定制度ですとか、消防団協力事業所表示制度だと思います、こういったものにつきまして御答弁をいただきました。

 実際にこういった制度によってどのような成果があったのか、また、最後になりますけれども、地域における消防防災の中核的存在であります消防団の今後の活性化に向けまして、意気込みをお聞かせいただければありがたく思います。よろしくお願いします。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 学生消防団活動認証制度でございますが、平成二十九年四月一日時点で、前年度の約二・七倍の百八十九団体で導入済みというふうになってまいりまして、学生消防団員の数は年々増加をいたしまして、平成二十九年には約四千人になっていたところでございます。

 この結果、例えば、福祉医療系の大学生から成る機能別分団を設置いたしまして、大規模災害時の応急救護所の運営などを担う事例とか、運動部の大学生を中心に入団をいたしまして、予防啓発活動や大規模災害時の避難所支援活動を担う事例なども出てきております。

 消防団協力事業所表示制度でございますが、平成二十九年四月一日時点で、一千二百八十三団体で導入済みとなっておりまして、市町村協力事業所数も一万四千三百九十四事業所と、着実に導入が進んできておりまして、社内通達で消防団への入団を呼びかける事例とか、消防団の分団を事業所に設置いたしまして、就業時間中に災害が発生した際に出動することにしている事例なども見られるようになってきております。

 さらに、一部の自治体におきましては、消防団協力事業所に対します法人事業税の減税とか、入札におきます加点などの取組も行われておりまして、こういった取組を進めていただきますように、各自治体に対しまして働きかけも行ってきております。

 今後とも、さまざまな機会を捉えまして、地方公共団体や経済団体、事業者など、関係方面に働きかけを行っていく考えでございまして、引き続き消防団の充実強化に全力で取り組んでまいります。

本田分科員 力強いお言葉をありがとうございます。

 消防団の皆様がまさにボランティア精神と地域愛でもって日々頑張っておられるわけでありますから、政治の側面からも団員の皆様のやる気を鼓舞しまして、皆様がより働きやすい環境づくりをより一層進めてまいりたいと思いますので、私も頑張ってまいります。

 最後に、一点だけ申し上げたい点がございます。

 消防団員の皆様に対する報酬、また出勤手当についてでございます。

 先ほど来あったかもしれませんけれども、団員一人当たりの報酬年額三万六千五百円、そして出勤手当一日七千円が地方交付税算定の単価とされております。それにもかかわらず、これよりも相当低い額しか団員の皆様に支給がされていないという市町村もございます。

 報酬と出勤手当は、まさに団員の皆様の日々の御労苦に報いる趣旨で用意されているものであります。ですから、ぜひとも適正に支給がなされますように改めて指導等をしていただきますよう私からも要望をいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橘主査 これにて本田太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、黄川田仁志君。

黄川田分科員 きのうも総務委員会がございまして、きょうは分科会ということで、大臣におきましては大変お疲れになっておると思いますが、あと、私を含めて二人でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、我が国の統治機構のあり方として、より地方分権を進めていかなければならないというふうに考えております。そのために、国会議員としてしっかりとこの点について問題意識を持って今後とも取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

 地方分権で大切なのは、地方団体が自立心と誇りを持って自分たちの地域づくりを力強く進めていくことが大切であると考えております。そのためには、地方団体の財源がしっかりと確保されていかなければならないと考えております。しかしながら、今日の地方団体は、財源不足に対する不安を持っております。その不安要素の一つとして、臨時財政対策債があります。

 そこで、まず初めに、この臨時財政対策債についてお聞きしたく思っております。

 私の選挙区は、中核市であります越谷市と特例市の草加市でございますが、地元の市役所や市議会議員から、臨時財政対策債による財源不足の補填措置について不安や不満の声を多くいただいております。臨時財政対策債の振りかえ額を減らしてほしいとか、臨時財政対策債の制度そのものを廃止してほしいというお願いもございます。

 野田総務大臣の御地元でもございます中核市、岐阜市の市長や市議会議員の先生方からも同様の声を伺うこともあると思いますが、この臨時財政対策債に対する大臣のお考えをお聞かせいただきたく、お願いを申し上げます。

野田国務大臣 まず初めに、私たちが取り組みました平成三十年度の地方財政対策、これにおいては、臨時財政対策債の発行額について、概算要求時点では対前年度〇・五兆円の増という見込みがございました。そこから可能な限り抑制して、〇・一兆円減ということで四・〇兆円にいたしまして、地方財政の健全化には一生懸命努めております。

 しかしながら、臨時財政対策債の発行残高というのは増加しており、平成三十年度末には五十四兆円程度になる見通しになっています。

 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質を確立することが重要であることは、もう委員に言うまでもないことだと思いますが、このため、今後とも、歳入面では、さまざまな取組で地域経済の好循環を一層拡大することで地方税そのものの増収を図るとともに、歳出面では、国の取組と基調を合わせて、めり張りをつけて歳出構造をしっかり見直すことで、財務体質の強化というのを図っていきたいと思います。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 当初の予定より平成三十年は〇・一兆円減ということで、大変、総務省の方も、臨時財政対策債について圧縮したということで、努力をしているということでございますが、近年の臨時財政対策債の発行も、ある年には新規を発行しないような形で努力しているということもお伺いをしておりますが、おっしゃるとおり、まだまだ返済用の借りかえ分が残っておりますので、地方団体の不安が、減らしていく努力をしていると言っても、全て解消されていくわけではないということだと思います。

 地方団体の関係者の中には、本来国が借金すべきものを地方が肩がわりさせられているというふうに思っている人も少なからずいらっしゃいます。

 そこで、地方団体の財源不足を補う際、国と地方が折半で補填をする、ルールがなぜこのようになったのか、経緯と理由を教えていただきたく、お願いを申し上げます。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方の財源不足につきましては、従来から、国と地方の両者が責任を持つという意味で、国と地方が折半して補填する、これを基本としておりました。

 それで、平成十二年度までは、交付税特別会計借入金により対応し、その償還金を折半して負担することとしておりました。ただ、この特別会計の借入金による方式につきましては、一つは、地方団体が負担すべき借入金、借金の実態がわかりにくいという問題点、それから、これは特別会計の一般論でございますが、国が抱える債務の実態もわかりにくい、それからもう一点が、財投改革等に伴いまして、特別会計の借入れにおける資金調達面においての制約が高まってきたこと等の課題がございました。

 こういうことを踏まえまして、平成十三年度からは、国と地方の責任分担をより明確化するとともに、国と地方を通じた財政の透明化等の観点から、国は一般会計からの地方交付税の特例加算、地方は臨時財政対策債の発行によりまして、折半して対処することとしてきたものでございます。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 私的に今おっしゃったことを簡単に理解いたしますと、平成十二年までは、特別会計借入金という形にするとなかなか国も地方も借金の実態がわからないということで、見える化するために、平成十三年、臨時財政対策債の制度を創設したということで、基本的に、地方が借りている借金というものに対しては変わりはないけれども、臨時財政対策債ということで出すことによって、国も意識できるし地方も意識することができる、その意識することで、両者の財政が逼迫している中、お互いに努力していくインセンティブをとっていこうという理解でよろしいでしょうか。

黒田政府参考人 今御指摘いただいたとおりでございます。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 そういう理解をちゃんと、地元の議員として、市議会議員また役所に対しても、両者見える化して努力していくんだということで理解を進めていくことも大切だと思いますので、総務省だけじゃなくて地元の国会議員としてもしっかりと努力をしてまいりたいと思います。

 また、もう一つ、臨時財政対策債に対する不安や不満を招いている大きな原因は、この制度の複雑性にあるとも思っております。

 財源不足のうち地方負担分は臨時財政対策債により補填措置を講ずることになっておりまして、臨時財政対策債の元利償還金相当額は、その全額を後年度の地方交付税基準財政需要額に算入することが法律で定められております。法律に定められているにもかかわらず、国がはしごを外して、臨時財政対策債の償還を地方に将来肩がわりさせるのではないかと心配する声も多く聞いております。知事や市町村長の中にもこのように発言される人がいると聞いております。

 そのようなことは決してないということを、改めて、明確にわかりやすく御説明いただきたいと思います。

小倉大臣政務官 お答えをいたします。

 臨時財政対策債の償還につきましては、まず、マクロの枠組みといたしまして、地方財政計画において、元利償還金の全額を歳出の公債費に計上することによりまして、所要の財源を地方全体として確保します。その上で、続きまして、ミクロの枠組みといたしまして、地方交付税の算定におきまして、個別の団体における臨時財政対策債の元利償還金について、委員御指摘のとおり、その全額を、後年度、基準財政需要額の公債費のうち臨時財政対策債償還費に算入をすることによりまして、各地方団体が確実に償還できるよう財源保障をしてまいります。

 今後とも、地方財政計画の策定、地方交付税の算定を通じまして確実に対応してまいりますと同時に、首長の皆様方にも正確にこの制度の中身を理解をしていただけるように努めてまいりたいと思います。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 しっかりと法律で定められているので借金を踏み倒していくということは国としてあり得ないということを、やはりしっかりと総務省並びに国会議員も説明していく必要があると思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 少し話題をかえていきたいと思います。

 地方の安定的な財政運営に必要な一般財源の確保に向けた取組について御質問させていただきたいと思っております。

 国民のナショナルミニマムに対する意識や求められている行政サービスが多様化する中、各地方団体は、苦心して、そのニーズに対応しようと努力しているところでございます。そのために、地方団体がみずからの意思で自由に使うことのできる一般財源の確保は、地方団体が財政見通しを考える上で生命線と言っても過言ではございません。

 地方団体の一般財源確保の見通しが不透明でありますと、地方団体に漠然とした不安が蔓延すると思います。漠然とした不安は、臨時財政対策債のような複雑な財政制度への不安や不満につながりまして、昨今報道でも取り上げられている基金への積立てに向かわせてしまう面もあるのではないかと思っております。

 このことによって、地方財政は硬直化し、多様な国民ニーズに応えることに消極的にもなり、何もしないことが一番よい行財政運営であるという誤解を地方団体に与えかねません。

 このような事態になってしまったとき、大きな被害といいますか、大きな不利益を得るのは国民であると思っております。とられるべき行政サービス、これがスムーズに行えないということになると思います。

 総務省には、地方団体の最後のとりでとして、引き続き、地方の一般財源の確保に向けた取組に最大限努力していただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 そしてなお、臨時財政対策債も含めた現行の地方交付税制度は、国の財政再建と地方団体の一般財源の確保を両立させるために編み出された苦肉の策であると考えております。

 地方交付税法第一条には、「この法律は、地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能をそこなわずに、その財源の均衡化を図り、及び地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することによつて、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」と明記されております。また、総務省の資料によれば、地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を確保するためのもので、地方固有の財源と明言をされております。

 この地方交付税の精神、目的を継続するためには、更に同法の第六条の三第二項に定めるような法定税率の変更も必要かと考えておりますが、総務省の考えをお聞かせいただきたいと思います。

小倉大臣政務官 お答えを申し上げます。

 黄川田委員がおっしゃったように、何もしないことが一番いい行財政運営であるというような誤った理解が広まるのが地方創生の最大の敵なんじゃないかというふうに思っております。

 その点、来年度の地方財政計画におきましても、まち・ひと・しごと創生事業費として一兆円用意をさせていただいております。この枠の中で、例えば子育て支援ですとか地方移住、産業振興ですとか女性活躍、こういった施策を積極的にやっていただいているところを応援させていただこう、そういうふうに思っているところであります。

 そして、地方交付税の法定率について、引上げが必要なのではないか、そのような御指摘がございました。私どももそのように思っておりまして、地方交付税は、まずは、地方団体間の財源の不均衡を調整をし、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するためのものでありまして、このような財政調整機能につきましては、黄川田委員に御指摘をいただきましたように、今後とも堅持をすることが必要であると考えております。

 他方、これも委員御指摘のとおり、地方財政は、来年度におきましても六・二兆円の財源不足が生じておりまして、地方財政の健全な運営のためには、本来的には法定率の引上げ等によりまして地方交付税を安定的に確保することが望ましいと私どもも考えております。

黄川田分科員 ありがとうございます。

 この法定税率の引上げのためには、総務省そして国会議員として力を合わせてやっていかなければならないと思いますので、私も、微力ながら、その方向に向けて一緒に頑張っていきたいというふうに思っております。

 そして、地方団体の一般財源の確保の大きな根拠となっておりますのが、二〇一五年に閣議決定されました骨太の方針の地方一般財源総額実質同水準ルールでございます。この骨太の方針、閣議決定が二〇一五年にされたものが来年度で期限切れを迎える予定となっております。このことは、全国の地方団体に財政運用上の大きな不安を与えております。

 この夏に策定が見込まれる新しい骨太方針の中でも地方の一般財源を確保することが明記されるよう、総務大臣には十二分に努めていただきたいと思っております。

 その意気込みについて、大臣から答弁、よろしくお願いいたします。

野田国務大臣 政府において、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、本年の骨太方針において、プライマリーバランスの黒字化達成時期及びその裏づけとなる具体的な計画を示すこととしており、二〇一九年度以降の地方の一般財源総額のあり方についてもこの中で議論されるものと考えています。

 その際には、地方団体が予見可能性を持ちながら、必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営を行っていけるよう、地方が自由に使える一般財源総額をしっかり確保すべく最大限の努力をしてまいります。

 あわせて、ぜひ委員にも、私はずっと経済・財政諮問会議に出ていて、地方財政については二つの懸念がございました。一つは基金のあり方、あるんだからよこせみたいな、そういう乱暴な議論が何度かございましたし、やはり、今まさに指摘されたことも、三十年度までは担保されているけれども、次がまだきちっとしたものがない中、地方をしっかりと支えている地元の国会議員として力強い御支援を私たち総務省にも寄せていただければと願っています。

黄川田分科員 ありがとうございます。しっかりと私自身も頑張ってまいりたいと思います。

 もう一度答弁いただきたいんですが、この夏策定が見込まれます新しい骨太の方針の中に、しっかりと地方の一般財源を確保するということを明記してもらえるように頑張るということでよろしいですか。

野田国務大臣 そのとおりです。

黄川田分科員 力強い答弁、どうもありがとうございます。

 冒頭申したように、地方がみずから考え、みずからの力で地域をよくしていく、この取組は大切でございます。また、そのために、地方も自分たちの徴税を、どうやって集めていくか、その増収に向けての努力はもちろん大切ではございますが、やはりそうはいっても、全体的な地域地域をしっかりと見て、東京一極集中と叫ばれる中、地方の均衡も保つためにも、国がしっかりと地方と協力して、財政的な支援といいますか協力に今後ともしっかりと努めていくことが大切だと思っておりますので、今後とも、大臣を筆頭に、総務省、頑張ってもらいたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終了いたしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

橘主査 これにて黄川田仁志君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊分科員 希望の党の小熊慎司です。

 まず冒頭、この分科会ではありませんが、ほかの分科会で与党議員が、これまでの野党議員の質疑に対して誹謗中傷クラスという言葉を使ったことは、私も予算委員の一人として、これは遺憾であるということをまず表明させていただいて、質問に入らせていただきます。

 大臣も地方議員経験者であり、地方議員の今の状況については、全国各地、非常に厳しい状況にあるというのは御承知のとおりだと思いますし、そもそも選挙にならない、欠員のままになっているとかというところも多数生じているところも実態であります。

 選挙になったとしても、なってはみたもののみたいな感じのところがありますし、これはやはり、なりやすい環境をつくっていかなきゃいけないんですけれども。

 ただ、この間、あれ、大臣のあれは間違った発言じゃないのかなと思ったのは、二月十五日の本会議での与党の金子議員への答弁で、最後に、「引き続き、各地方議会における自主的な取組とあわせ、総務省としても議員のなり手の確保に努めてまいります。」という言葉なんですけれども、総務省が議員のなり手の確保なんか、何でそんな主体的に、えっと。これは、多分、答弁書を書いたのは役人さんですけれども、大臣もそれをスルーしちゃったのはあれあれと思ったんですが、これは間違いですよね、この表現ぶりは。書いた方がまず。

山崎政府参考人 まず、事務方から御説明させていただきますが、小規模な市町村における議員のなり手不足の問題は非常に深刻でありまして、私どもの方にも随分いろいろなところから御要請もございます。当事者意識を持って取り組むべき課題だと受けとめておることでございまして、そういう表現をちょっととらせていただいたところでございます。

 実は、各地方議会において自主的な取組を進めていただく、これはもちろんなんですが、制度的なこととか、そういうところが必要になっているんじゃないか、それから、優良な事例も横展開していかなくちゃいけないんじゃないか、いろいろなことを広めていくんじゃないかということを思いまして、少しそういう表現をさせていただくことを事務方としてしました。よろしくお願いいたします。

野田国務大臣 今局長からお話があったように、地方議会制度を所管する総務省として、地方に押しつけるのでもなく、ともに当事者意識を持って取り組みたいという意欲が、ちょっとこういう踏み込んだ表現になったと思います。

 私たちは、やはり静観はできない、皆さんの御苦労をしっかりと受けとめて、一緒に解決に当たっていきたいという思いでありますので、御理解いただければと思います。

小熊分科員 惻隠の情で、思いが行き過ぎてこういうところがあったという。でも、これは、地方議員出身者だと、えっ何で、関係ないじゃん、総務省にそんな言われたくないよ。地域の人もですよ。側面的な支援というか、その環境整備はしていかなきゃいけないけれども、総務省に雇われて地方議員をやるわけじゃないという矜持もありますから、地域の人に選ばれてなるというところですから、そういうところはぜひ今後は注意をしていただきたい。

 今、これはいろいろな会議で検討しているということですが、もう既にわかっていることは、これは我々も前身の党のときに、若手の方々と政治参加の促進というのをちょっと議論したんですけれども、大学生の方からは、供託金を低くしてほしいとかというのがありましたが、町村議員はそもそも供託金はないし、そういうことじゃないでしょうという話をして、私の自分の経験、また周りのいろいろな仲間とのつき合いの中で、なり手がいないというのは、やはり経済的な余裕があった時代はなり手は各地方でも多かった。経済的に非常に冷え込んできたということで本業の方で、議員はやらないということがある。

 あと、この際、マスコミも含め、ちょっと議論がちゃんと整理されていないのは、よくテレビなんかを見ていると、海外の例を出して、日曜議会だの夜間議会だの言いますけれども、私も地元で地方議員をやっているときに、休日議会とかをやったときに、これはお金がかかるんですよね、職員の皆さんに手当をやらなきゃいけないから。

 そもそも、海外の事例と比べるときに、これは総合行政じゃない場合が多いんですよ、ボランティアでやっていたり。特にアメリカは、州の中でも統一されていない、まさに地方分権から立ち上がった国ですから、いろいろな類型がありますけれども。

 総合行政をやって報酬をいただいてというのがほとんどの国で、総合行政じゃない場合は、確かにボランティア型だったり、まさにPTA活動をやるみたいに、仕事の後にやっているという話ですから、ちゃんとマスコミに向けた、これは国民的な理解も必要ですし、国民的議論も必要なので、しっかりと、ほかの国とどう制度が違うんだというところからやはり情報発信をしてもらわないと議論ができていかないし、全くそういう知識がなくてなろうとする人も、何だ、こんなかよとなっちゃうので、まず、そういう議会制度の仕組みみたいなもの、有権者教育というんですか、主権者教育というか、これはまだまだ足りていないんじゃないかなというふうに思っています。そういったところから地道にやっていかなきゃいけないなと思っています。

 そこで、結局、私は、議員のなり手がいないのは選挙のリスクだと思っています。ここをどう軽減できるかです。それを報酬でやるとか議員年金でやるというのは、私はまた二番手、三番手の話で、選挙そのもののリスクを減らさなければ、報酬を上げようが何しようがだめだと思っています。

 実際、地方議会で、これは何年か前の民間放送でしたけれども、たしか群馬県で、定数を減らして確保しようとした村と、逆に、定数はそのままで報酬を上げて確保しようとした村、選挙の前に。どうなったか。どっちも定数のままで立候補者が出て、選挙なく終わった。結局そういうことなんですよ。

 だから、議員を確保するために議員年金という発想がありましたけれども、それをやったところでだと私は思います。やはり選挙のリスクをどう下げるかです。その議論を今後の、総務省の中で今地方議会の検討をしていますけれども、これもしっかりアジェンダにしていただいて議論していただきたいと思いますが、大臣の、選挙のリスクも含め……。では、まず先に。

山崎政府参考人 今先生御指摘がありましたように、私どもで研究会をしておりますが、小規模な市町村ほど無投票当選がふえているという傾向がありまして、そこがやはり端的にいろいろなものを物語っているんだろうと思うんです。

 それで、今回は直接的には高知県の大川村というところで、もう議員が確保できない、町村総会という全有権者で集まってやるやり方はどうだという話があって、ここまで来ましたので、私どもとして本格的に議論をする必要があるというふうに考えたわけでございます。

 その中で、やはり、どうなりにくいのか、どういうふうに参画しにくいのか、特に女性だとか若者だとか、そういう方々にも参画してもらいたい、そういうことで、今、議論としては、今のままでやることももちろん必要なんですが、新しいタイプの制度づくりみたいなことも必要ではないかという話が出ております。

 一つは、今先生がおっしゃいましたような、多数の人間が出てきて、専業的じゃなくてやるような、やはりタウンミーティングに近いような会。もう一つは、やはり、これはおっしゃったように総合行政で、統治団体ですから、ごく専門的な方々がたくさん活動して、それに伴って、普通の、女性の方とか若者とかに議会に参画してもらうというやり方は何かないかとか、こんなことを今中心に議論しておりまして、まだ報告書がまとまる段階になっておりませんけれども、何か新しい手だてができないかということを考えてございます。

 それから、議員年金の点は、今、各党会派で御議論いただいているというふうに思っております。

小熊分科員 これは、この際、だから、今言われたとおり、行政のあり方そのものももう一回見直した方がいいと思います。

 だって、これは定数を減らしていって、でも、減らせばいいという話じゃないですよね。十人とかという議会も地方にはありますけれども、委員会が成立しないみたいな話になってきちゃうので。やはり市町村、都道府県、国という、このタイプを見直すというか、そこまで議論していかなきゃいけない時代に来たんじゃないかなというふうに思っています。それをあわせてやはり議論を、今後の地方議員のあり方というのを含めてやらないと、取ってつけた改革案しか出てこないし、支援策をやったところで、結局、やはり欠員が出た、選挙にならない、定数だけで終わっちゃったというふうになってくるというふうに思います。

 そもそも、若者とか女性の参加をもっと促進させなきゃいけないんですけれども、今やPTAのなり手さえいないというのが現状の中で、まして議員になるなんて、先生と言われるほどばかじゃないみたいな川柳がありますけれども、もうそのぐらいの時代ですから、そんな簡単じゃないですけれども、ただ、大事な民主主義の根幹にかかわるところなので、市町村制度どうあるべしというところまで踏み込んで議論をしていただきたいなというふうに思います。

 そういう場合は、大臣そのものが旗を振るわけにはいかないと思うので、誰かを使って、地方議員経験者の国会議員で、超党派でこの件についてはちょっと議論をする会をぜひつくって、やはり経験をもとに話さないと、やっていない人が、なってくださいと言ったって、こうやったらなれるんじゃないですかと話したってしようがない話ですから。なってみた者こそ、選挙のリスクとかのところがわかるので、これはぜひ大臣、ちょっと御検討いただきたいと思います。

野田国務大臣 いつも小熊委員には本当に刺激的なチャレンジをしていただいて、感謝しています。

 自分自身も、三十二年政治活動をしていて、選挙、何回やったでしょう、十一回で、幾つかリスクがあって、ヘッジできませんでした、失敗しました。私はなぜかやってこれたんですけれども、やはり多くの、例えば女性の議員は一回そういういろいろなリスクを、一番のリスクは落選ですよね、してしまうと次がないというのをずっと見ていて、一度倒れても、リスクがあってもどうにかまた続けられるようなことができないかなというのをおぼろげに考えていた。

 特に地方は、国会よりも人間関係が密というか、密度が濃いので、毎日やはり有権者と顔を隣近所で合わせているので、非常に、正直、少ない票だから勝ちやすいだろうと、割と選挙にかかわっていない人はおっしゃるんだけれども、地方の、私も県会議員の選挙が一番しんどかったような記憶がございます。

 やはり今改めて思い起こされることも多々あるので、そういう議員の先生方の、ぜひ小熊先生がトップに立ってそういう研究会をしていただいて、我々総務省に、そういうファクト、リアルみたいなのを伝えていただく中で、でも、やはり、さっき大川村のお話を私も一緒に聞いていたんですけれども、今現状では、人手がないという人手というのは男なんですよね。片や、盛岡の方のどこか、ちょっと名前がにわかに出てこないんですけれども、そこは、報酬が少なくて男のなり手がないということで女性の割合がふえたということもあるんです。だから、まだまだいろいろなことを検討していかなきゃいけないな。

 簡単にこうすればいいという話じゃなくて、まだポテンシャルがあって、それをどうしていくかという一つに、やはり選挙のリスクというのは、私自身も痛い思いをしましたので、しっかり研究の一つとしていきたいと思っています。

小熊分科員 大臣、まさに、女性が活躍をまだされていない、議会においては特におくれているというのは、私も、そこはもっとふやせる、地方においてでも。なり手がいないというけれども、女性はいるんじゃないのというのがあって、女性の方が能力あるのにみたいのがあるんですけれども、そこはもっとやっていくべきだと思う。

 ただ、これは御承知のとおり、地方の方はいろいろ、大臣自身も苦労されたと思いますけれども、女性であるがゆえのいろいろな御苦労があったと思います、残念ながら日本の社会は。

 やはり、そういう意味では、これは反対する人もいますけれども、私は、クオータ制みたいなものはしっかりやらないと、自然発生的に女性がふえる、制度を変えたからふえるという国じゃないと思っています。そこは、悪い意味で保守的な部分が田舎は特に色濃く残っているので、まさにこれをきっかけとして、クオータ制みたいなものを入れていくというのは必要だと思いますし、それは女性ということだけじゃなくて、例えば障害者枠をつけるとか、二十代枠をつけるとかみたいなのも含めて議論すればいいと思います。

 では、ぜひ地方議員の皆さんと、経験者とちょっと勉強会を催したいと思いますので、その際は、そこで出た意見はぜひ真摯にお聞きいただきたいと思います。

 これまでも議論してきた、次の話題であります選挙権の話ですが、結局、とどのつまりは、これは、私は憲法上も問題があると思っているんですよ、剥奪して。

 だって、これを整理しますと、有権者の名簿は市町村でつくって一つなんですけれども、憲法上は我々は国民の代表なんですね、地域要件はないんです。もちろん、現実世界として、選挙区の中の人とつながりが強くなるというのはあります。でも、憲法上は我々は国民の代表であって、どこかの一部地域代表じゃないんです、今の憲法上。ただ、地方の長や議員は地域要件が絡むというのは憲法にもあるんですけれども。

 ただ、選挙人名簿は一つにしてしまっているので、国政選挙でも、地域に住んでいないということで剥奪されている。剥奪されているのが私の選挙で何千もいるのに、大臣のところはゼロです。そういう理由で調べていないから。

 だから、これはどうなんだという話で、まず、憲法上問題がある。よっぽどの理由がない限り、選挙権を取ってしまうというのは問題がある。まして、この根拠にしている昭和二十九年の最高裁の大法廷のやつは、引っ越した先でもらえなかったんですよ、住民票も移しているのに、大学生だから、下宿に住んでいるからと。でも、それは、ちゃんと居住実態があるから権利がありますよという逆のパターンですよ。そういう判決でしたから。

 まず、憲法上問題があるということに関して総務省見解はありますか。

大泉政府参考人 問題が多岐にわたりますのでうまく答えられるか。済みませんが。

 現在の選挙権につきましては公職選挙法で規定がございまして、国政選挙については日本国民であること、それから地方選挙につきましては三カ月居住要件が必要でございます。

 ただ、憲法の中に、四十四条の規定で選挙権を法律で定めるとあるんですが、四十七条というものがございまして、「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」とまた同じように書いてございまして、この一つの形態として、憲法の本などには、選挙人名簿は憲法から委任を受けた法律の決め方というふうになっていると考えられます。

 その中で、選挙人名簿ですが、現在、永久選挙人名簿制度ということで、地方の選挙人とそれから国政の選挙人を合わせて、一つの選挙人名簿としてやっているところでございます。

 これは、地方選挙の選挙権が住所要件が三カ月ということと、それから、多数の選挙人によって行われる各種の選挙を混乱なく適正に能率的に執行するためには、国政選挙、地方選挙を通じて一つの名簿にするということについては、実務的なことも踏まえて適切であるというようなこと、それから、選挙人名簿の正確性を期すためには事実確認等に一定の時間を要するということで、現在、一本の名簿になっているわけでございます。

 それは技術的要請でございますが、先ほど申しましたとおり、選挙人の正確な把握、不公正な行使の防止という観点から、選挙の公正の確保に欠かすことのできないということでございまして、この辺については、裁判例も、それは合理性があるので選挙権の制約になっているということを認めているというような状況にあるということでございます。

小熊分科員 最後のところの見解が違う、私は。

 まさに最初に言ったとおり、合理性、二重投票を防ぐということですから。二重投票を防ぐということが大事なんですよ、不正を防ぐ。住民票でもう事足りるんですよ。逆に、居住実態ということをやることによって実態とかけ離れるんですね。わかりますよね。やる町村、やらない町村。やる町村でも実態の調査が違う。やらない町村がほとんど、九五%以上ですかね、九十何%だ、九七、八%やっていないんですから。

 親元から離れて暮らしている大学生は、ある調査によれば六割、六割ですよ。親元から離れている大学生六割が住民票を移していない。総務省の正論、これも、六割は移していないのであれば選挙権をもらえないはず。そうですよね。

 でも、そんなことを言ったら、では我々はどうなるの。総務省の人たちだって、ではどこかの県庁に出向して、そのとき住民票を移していない人がいたら、もしいたらですよ、投票券が東京で来ちゃったらどうするのという話だし、家族はどうするのという話だし、どうなっているんだという話ですよ、そこまでいったら。

 では、サラリーマンの人だって単身赴任する。総務省の人とこれを去年やりとりしていたら、ここはどうなんだと言ったら、いや、一カ月に一遍帰ればいいんですと。定量的にやるの、一カ月一遍、二遍と言ったら、それは町村によって違いますという言葉を安易に言っちゃうんですよ、職員が。そんなのありかよ、ないでしょう、それは。町村によって、一カ月一遍帰ればオーケーのところもあれば、二回帰ればオーケーしているところもあれば、盆暮れ、正月帰っていればオーケーしているところもあるなんていうのが、それは市町村の判断ですと言わせているのがおかしいんだ。では、盆暮れ、正月帰っていればいいのであれば、大学生を認めてくれという話。

 何をもって居住実態かなんて今はかれない。大事なのは、国民の権利をちゃんと行使すること、それによって不正がない、二重投票を防ぐ。住民票で十分です。

 では、調べるのであれば、全市町村調べさせてくださいよ。目の前にいるんですよ。それは移さない人が悪いというのは正論だけれども、移さなくてものうのうとしている有権者だらけですよ、この東京にも、全国にも。そこに、何、ノータッチなんですか。それは言っていますと言うけれども、それで聞きますかという話。

 確かに、いろいろな市町村のあれで、住民票を移さないとだめですよと書いてあるけれども、それよりも、実はこんな国民の大事な権利なのに、成人式の案内が来なくなるから移さない、そういう時代です。そうですよ。昔は中学校がOB名簿を上げていたから出していたけれども、今、個人情報保護法で、住民票どおりにしか成人式の案内を出せないんですよ。今は変わりましたけれども、数年前までは保険証が一家一枚だったから、この問題もあった。あと、今、年金の問題も、免除規定はあるけれども、やはり親と一緒に住民票を置いておいた方が年金も処理しやすい。そんな理由なんですよ。実は若者の政治参加するより成人式の方がバリューがあるんですよ、残念ながら。

 でも、やはりこれは大事な権利をそんな簡単に剥奪して、では、ルールどおりやっていなくて剥奪されていないというこの不合理、不条理、どう解決します。ほとんどが調べていないんですよ。調べていないということについてはどうするの。

大泉政府参考人 委員御指摘のとおり、どのように各市町村で住所を調べているか、それと選挙人名簿に登録をするのかどうかというのを、昨年十二月に調査票を出しまして今調べている。個別に、どのような、独自に居住実態を調査しているところがどのぐらいあるかということを今調査をしているところでございます。

 ただ、そういう観点から、住民基本台帳法上はやはり住所を移すということが正しいことなので、それを曲げて住民票のあるところで投票できていいかというような、また別な議論が出てくると思います。そうしますと、住民票だけでいいという先ほど御議論ありましたけれども、そうすると、居住実態と違ったところで選挙ができる。したがって、どこでも選んだ選挙区をできるということに道がつながるのではないかというようなこともございまして、住民基本台帳法上、きちっと住所を移してもらって、そこに居住実態があるというところに選挙人名簿があるというようなことを正面から崩すわけにはなかなかいかないことでございます。

 この辺については、最近、十年ほど前の裁判例でも、ほかの団体は実態調査をしていなくても、当該訴えられた団体が調査をして選挙人名簿から落としたということはむしろ合理的な取扱いである、そういう判決がございますので、そういう意味じゃなかなか、どのような解決をしていくかというのは、今考えていく、調査を踏まえて考えていくということでございます。

小熊分科員 そもそも、実態調査してくれという私の言葉には耳もかさなかった、そういうのはできませんと言ったんですよ。去年の特別国会で我が党の津村議員が言ったからやるとなっただけであって、そもそもやる気がなかったのにやってくれと言っていたんですよ。それは市町村に任せているから、我々はその任にはないですと言っていた。国会で言えばやる。その実態の問題、そこ自体もだから、この問題に関して当事者意識がないと思っているんです。

 結局、調べた後で、これはやっていない町村がほとんどですよ、だから九十何%ですよ。やっている方があほらしいんだもの。だって、お金かけてやるんですよ。お金ないからやらないと言っている市町村もあるんですよ。僕、本当は、地元に戻って、やっているところが半分ぐらいなので、やめた方がいいよ、そこで職員を使うのをやめた方がいいよ、郵券代もかかるしと。委員会でも御紹介したとおり、ある町なんかは、わざわざ職員が、アンケート用紙が返ってこない家にまで行ってやっているんですよ。そんな暇じゃないですよ。それだったらほかのところをやってくださいと。

 実際、この平成の市町村合併によって、やっていた町村が合併したことでやめた町村もあるわけです、エリアもある。総理のところの長門市の、ある合併した町はそうです。やっていたけれども、長門市になってやめた。あと、この間、別の話で出た高知県の黒潮町もやめた。あと、この問題が明らかになって、例えば北海道の中ですけれども、北海道新聞に取り上げられたときに、じゃ、うちの町やめたと。だって、何の罰則もないもの。ないですよね。ないんだよ。やっている方がばかばかしくなる。で、大事な権利が失われる。

 確かに、ある組織団体ががさっと住民票を移すなんということもやろうと思えばできるけれども、そっちを意識して、大事な権利の剥奪が先というのが何なのというのと、これだけ全国で、だから多分何十か、百か二百ぐらいなのかもしれないけれども、やっているところがばかばかしいですよ。この不条理に関してはどう思うの。

 正論でいうなら、全部の市町村にやってもらわなきゃいけないですよ。そんなの、非現実的だと思いません、それ。政令指定都市や東京は人口をいっぱい抱えているから、送ったところで返ってくるのがほとんどあるかどうかだ。返ってこないと後追い調査のばらつきが出る。実態を把握できないんですよ、実際、一〇〇%。そのとおりやってくださいというなら、そのとおりやる制度をつくらなきゃいけない。やっている方がばかばかしいんだったらやめさせる、私は。何の罰則もない。

 何千人ですよ、私の地元だけで。何千人もですよ、住民票を移さないことによって。それで若者の政治参加だ何だといったって、そんなの無理だよ。実際実施できないですよ、移してくれというのは。全国の市町村に、ちゃんと住民票を移してくださいと徹底なんかできません、現実論、できませんよ。

大泉政府参考人 現在の法律でありますと、住所は各人の生活の本拠ということでございますので、そこに基づいて行政的にも対応していくということが基本でございますので、そこは押さえておかなければいけないということでございます。

 そういう意味では、この前の衆議院選挙のときに、選挙人名簿でのそういう扱いと、住民基本台帳部局、住民課の方での住所の二つ名簿があるわけでございますけれども、それのそごがあるところがあるのではないかというふうなことでございましたので、この前の衆議院選挙のところから、住所は一つでございますので、そこはきちっとやってくださいというのは通知を出しているところでございます。

 それから、もう一つは、やはり住民票をきちっと移してくださいという各種の啓発は一生懸命やっていかなきゃいけないというようなことでやっていきたいと思います。

小熊分科員 だから、その生活の実態というのは何。定量的にはかれないんですよ。市町村の判断になっちゃっているんだもの。どうなの。学生はあれだけれども。どうなっているんですか。

 うちの地元でも、高校生から下宿生活しているような地域もあります。そこの村長さんに聞いたら、高校生にはちゃんと振り出す、土日は帰ってきているというふうにみなしてやると言っていたけれども、いやいやいやいや、きょうびの高校生、部活やっていたら我々より忙しいですからね。うちも息子、高校生がいますけれども、俺より忙しい。もう全然休みなく部活やっていますから帰っていないよ。

 実態というのは何。では、我々の実態はどこ。どこですか。誰がそれをはかるの。わかる。答えられる。

山崎政府参考人 住民基本台帳を所管しておりますので申し上げますと、まず、生活の本拠というのは一カ所だというふうに実は判例上もずっと出ております。それは、一年を継続して居住する意思と、それから客観的な居住の実態があるというところまでが導き出されております。

 実は、その客観的な居住の実態のところが一番難しゅうございまして、例えば国会議員の先生方についてはいろいろ議論があります、もちろん。ですが、地元、その選挙区で居住する意思がおありになって定期的にお帰りになっておる、そういったことについて、一応私どもの方としては、先生方の住所は地元にあるというふうに考えているところでございます。

小熊分科員 それは正論だけれども、この際、申し上げます。はっきり言う。

 我々同僚議員の中に、東京に娘や息子がいる、でも調べていなければ、住民票は地元に置いてあるから、自分のおやじ、おふくろのために投票する。もし自分の息子がそうなっても、会津若松市は調べているから無理だ。国会議員といったって、国会議員、同僚議員がこういう実態ですよ、自分たちの息子、娘に関しては。これが実態なんですね、大臣。

 どうやったって、これは正論を言っているけれども、正論どおりに全国の市町村が貫けないんですよ。現にやっちゃっているところで何千ですよ、私の地元だけですよ。全国でいったら何万ですよ。大事な権利。それは確かに言っているのは正論だけれども、そのとおりにみんながやっていて、これだけやっていなければ、それは移さない人のせいだと言えるけれども。

 もらっちゃっている人に対してはどういう見解ですか、逆に。失っている人には移せという、それは正論ですが、もらっちゃっている人はどうなの、それは。

橘主査 質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。

山崎政府参考人 済みません。実は私、住民基本台帳の課長もしておりました。そのとき、実はいろいろ問題が起こりまして、ここに住所があることになっているのに行方不明になっていて、お子さんがいらっしゃらないとか、不幸な事件が起こっているとかというのが起こりまして、消えた住所問題というのが起こりまして、そのときにやはり、あのとき民主党政権でございましたけれども、私も御指示を受けまして、居住の実態を把握すべきであると全国の市町村に通知しました。

 やはり不幸な事件も起こっている。住民票だけを信じてそこを放置しておくと、教育部局も福祉部局も連携できない。住民基本台帳はやはり客観的な居住の実態に即しておくべきだといういろいろな世論もありまして、私ども、大分調査するようにお願いしたんです。

 ただ、恐らく、先生おっしゃるように、それぞれの市町村で調査の度合いに差がございますので、そこはあると思いますが、私どもとしては、やはり客観的な居住の実態という建前は恐らく崩すことはできないと思っております。

橘主査 簡潔にお願いします。

小熊分科員 これも引き続き議論しますけれども、別に居住実態を調べるのはいいけれども、投票権は住民票、これでやっていただかなければおかしいということを、ぜひ大臣、これはちょっと、いろいろ検証してみてください。不条理ですから、これは。

野田国務大臣 津村委員、そしてきょう小熊委員からずっとお話を聞いていて、私自身も知らないことがございました。例えば、うちの選挙区では調査をしていないというので、最初、何をおっしゃっているか、よく意味がわからなかったと思います。ただ、こちらで言っていることも正論なんですね。住んでいるところに住民票を置くというのはルールだと思っていますので、それをやっていないことは問題だよねというこちらの正義もあります。

 ちなみに、うちの夫と私は住民票が違います。私は居住を岐阜でいる、そして夫は東京に置くということで、私に一度も投票してもらったことがない。きちっとやればそうなるんだろうなと。ちょっと悲しいですけれども。そこら辺は、実情と正義と、やはり何十年もたってきた中で、いい兼ね合いが見つけられないか、今調査をしてくれていると思うので、その結果を見ながらも、前向きな方向性を模索してみたいなと思います。

小熊分科員 ありがとうございました。

橘主査 これにて小熊慎司君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十六日月曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十三分散会


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