衆議院

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第1号 平成31年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成三十一年二月二十二日(金曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      奥野 信亮君    坂本 哲志君

      野田 聖子君    平沢 勝栄君

      早稲田夕季君    奥野総一郎君

二月二十六日

 坂本哲志君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十一年二月二十七日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 坂本 哲志君

      小倉 將信君    奥野 信亮君

      門  博文君    高木  啓君

      津島  淳君    西田 昭二君

      野田 聖子君    平沢 勝栄君

      宮路 拓馬君    大河原雅子君

      松田  功君    早稲田夕季君

      奥野総一郎君    山岡 達丸君

      山井 和則君

   兼務 小林 史明君 兼務 藤井比早之君

   兼務 岡本あき子君 兼務 松平 浩一君

   兼務 森山 浩行君 兼務 太田 昌孝君

   兼務 浜地 雅一君 兼務 田村 貴昭君

   兼務 井上 英孝君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   復興副大臣        橘 慶一郎君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   総務副大臣        佐藤ゆかり君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   総務大臣政務官      古賀友一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  阪本 克彦君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        川合 靖洋君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 高橋 文昭君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         山野  謙君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        菱山  豊君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   武田 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           宮地  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           安藤 英作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 白岩  俊君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  吉田 眞人君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       巻口 英司君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            谷脇 康彦君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    千野 雅人君

   政府参考人

   (総務省サイバーセキュリティ統括官)       竹内 芳明君

   政府参考人

   (公害等調整委員会事務局長)           川淵 幹児君

   政府参考人

   (消防庁次長)      横田 真二君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 石岡 邦章君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  高嶋 智光君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           山北 幸泰君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  織田  央君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局次長)        鳩山 正仁君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 榊  真一君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松坂 千尋君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          小方 憲治君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          谷垣 邦夫君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  平沢 勝栄君     高木  啓君

  早稲田夕季君     西村智奈美君

  奥野総一郎君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     小倉 將信君

  西村智奈美君     山崎  誠君

  小宮山泰子君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     門  博文君

  山崎  誠君     松田  功君

  山井 和則君     山岡 達丸君

同日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     津島  淳君

  松田  功君     大河原雅子君

  山岡 達丸君     近藤 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     宮路 拓馬君

  大河原雅子君     初鹿 明博君

  近藤 和也君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     西田 昭二君

  初鹿 明博君     早稲田夕季君

同日

 辞任         補欠選任

  西田 昭二君     平沢 勝栄君

同日

 第一分科員森山浩行君、第四分科員太田昌孝君、浜地雅一君、第五分科員岡本あき子君、田村貴昭君、第六分科員藤井比早之君、第七分科員小林史明君、井上英孝君及び第八分科員松平浩一君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

坂本主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました坂本哲志でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管につきまして審査を行うことになっております。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算及び平成三十一年度政府関係機関予算中総務省所管につきまして審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。石田総務大臣。

石田国務大臣 おはようございます。

 平成三十一年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、現下の重要課題に的確に対応しつつ、経済再生と財政健全化の両立を実現するという政府方針のもと、総務省として、個性と活力ある地域経済と安定的な地方行財政運営の確保、ICTのアグレッシブな導入によるソサエティー五・〇の実現、暮らしやすく働きやすい社会の実現、防災・減災、復旧復興、国民にとって効率的で利便性の高い行政基盤の確立に特に力を入れて取り組むために編成したものであります。

 一般会計の予算額は、十六兆六千二百九十五億円であります。

 以下、事項等の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

坂本主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申出がありました総務省所管関係の予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

坂本主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木啓君。

高木(啓)分科員 おはようございます。自由民主党、東京比例代表選出の高木啓でございます。

 本日は、早朝から石田大臣始め皆様方には質問に御対応いただいておりまして、まことにありがとうございます。きょうはどうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、私から、最初に統計調査の問題についてお伺いをさせていただきたいと存じます。

 今般、この予算委員会を通じて、ずっと統計調査の問題について議論をされているわけでありますが、この調査の制度を所管をいたしている総務省として、この一連の議論の中で、ずっと統計調査に対する信頼性を始めとするさまざまな問題が提起をされてきたと思うんですが、このことについての所管庁としての問題意識というのをぜひお伺いさせていただきたいと思います。なぜこういうことが起こってしまったのかということが、ここに集約をされるんだろうと思いますが、総務省としての見解をお伺いしたいと思います。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 まず、現在、毎月勤労統計につきましては厚生労働省の特別監察委員会、そして、賃金構造基本統計につきましては総務省の行政評価局が事実関係等の調査を行っているところでありまして、どうして起こったのかということについては、その結論を待ちたいというふうに思っております。

 また、統計委員会におきまして、今回の事案、起こったことに基づきまして、新たに点検検証部会を設置をいたしました。そして、そこでは、基幹統計、一般統計全体を対象に、再発防止あるいは統計の品質向上といった観点から徹底した検証を行うことといたしております。

 これらの調査、検証の結果を踏まえまして、今後対応していきたいと思っております。

高木(啓)分科員 統計というのは、これもずっと言われてきたことですけれども、政策をつくる上での基礎資料であって、極めて大事なものである、そして、その信頼性がやはり担保されなければいけない、これはもう基本的な考え方だと思うんですね。

 それで、私は、今回の問題というのを見ておりますと、統計の大切さというか、そういうことがどこかにちょっと忘れ去られてしまっている部分がなきにしもあらずじゃないのかなという気がしてならないわけであります。

 統計調査には、かなり膨大な資料を集めなければいけないので、人手もかかります。ということは、やはり予算もしっかりと措置をしていかなければ統計調査の信頼性というのは多分担保されないんだろう、こう思うわけであります。

 したがいまして、正確な調査のできる体制を整えるということがまず大事であって、そこは、もう一度この機会に、本来的に、統計調査の重要性、統計調査をきちっとやっていくための予算措置、そして人員の体制、そういうものを一回見直していただいて、更に精度の高いものをつくり上げていただくといういい機会にぜひしていただければなと思うわけであります。

 そうした中で、私は地方議員をやってまいりまして、それで衆議院に参りました。国も自治体も同じだと思うんですけれども、調査をするときに、制度をつくるのは当然総務省なり自治体なりがいろんな制度をつくっていくんですが、実際に調査をするのは民間の方というところが非常に多いわけでありまして、民間に調査を頼り過ぎているのではないかという気がしてならないわけであります。

 例えば、今、各省庁でそれぞれ統計調査というのはいろんなものがあると思いますが、調査の信頼性や正確性を担保するためには、そうした各省庁でばらばらにやっている統計調査をできるだけ一元化をしていくということも大事なのかもしれません。また、民間の皆さんだけに頼っていって調査の資料を出していただくというようなことも、もう少し工夫の余地が、改善の余地があるのではないかなというふうに思っています。

 私は、そういう意味では、総務省自身が、統計調査の今後を展望した、こうあるべきだと、改革案も含めてお考えになった上で国会の議論に供するような、そうした動きもやはり必要なのではないかなと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

横田(信)政府参考人 今お尋ねのございました公的統計の品質確保、向上を図るためには、統計調査の体制を確保する上で必要な予算、人員の確保、民間委託を行う場合の委託方式の工夫、それから、ICTの導入による統計の作成の効率化などを進めていくことが重要であるというのが基本認識でございます。

 統計委員会からは、昨年七月、こうした取組につきまして、予算、人員などの統計リソースを重点的に配分する必要がある旨、建議をいただいており、公的統計の信頼性を確保するため、これらの取組を更に推し進めていく所存でございます。

 さらに、統計委員会におきましては、今般の統計をめぐる問題を受けて設置されました点検検証部会の初会合を開催したところでございます。基幹統計、一般統計調査について、統計の品質向上といった観点から徹底した検証を行うこととしております。

 こうした結果を踏まえつつ、今後の統計全体を考えていく中で、御指摘のような統計調査の今後を展望した改革案、こういったものを含めた総合的な対策を講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

高木(啓)分科員 ぜひお願いしたいと思います。

 それで、統計調査の中で最も重要かつ大がかりにやられるものというのは、やはり国勢調査だと思います。国勢調査は五年に一度ということで、ちょうど来年、二〇二〇年がその国勢調査の年に当たっているわけであります。

 私は、現在の国勢調査の手法というものに対して、これはやはり改善の余地はかなりあるなということを常々思ってまいりました。

 特に、国勢調査は民間の人にほぼ頼っているというところが多いのではないかと思っていまして、私の地元の事例を申し上げますと、町会、自治会の役員の方が統計調査の調査員として地域をお回りになって、大変御苦労されながらボランティアとして御協力をしているということがほとんどでございますので、非常に苦労しながらこの五年に一度の調査に協力をされているわけであります。

 町会、自治会のボランティアの方が資料を配付したり調査票を配付したりしておりますので、調査員に対する実費弁償というんでしょうか、報酬というんでしょうか、多少はそういうものも予算の中に入っているわけでありますが、しかし、本当に、例えば民間に調査を委託するという形になるか、そういう会社があるのかどうかわかりませんが、とするとするならば、一体どのぐらいの費用がかかるんだろうかというのは、多分、想像もつかないような金額になるんだろうと思います。

 ですから、今、当たり前のようにやられている国勢調査も、本来的には、もっと精度を上げたり、あるいは、もっときちんと対応していくということになれば、更に、予算措置も含めて、コスト意識というものをしっかり、だから、調査の精度や重要性に鑑みたときに、もっとしっかりとした予算措置をしていかなければいけないのではないかというふうに私は思うわけであります。

 もう一つ申し上げますと、五年に一度、国勢調査をするたびに、私は地元の調査員の方々からいろいろな御要望を聞く機会が多いわけでありますが、自治体からも要望が、こういうふうにしてほしいとか、調査のやり方を含めて、意見なども届いているんだと思います。

 ですから、この国勢調査に対してどういうふうに今総務省として認識を持たれているのかということをお伺いしたいと思います。

千野政府参考人 お答えいたします。

 国勢調査は、国の最も重要な統計調査であるというふうに考えております。法令に基づきまして、選挙区の画定、地方交付税の算定基準などに利用されております。このため、日本国内に住んでいる者につきまして、統計調査員によって住居や居住の実態の確認を丁寧に行って調査を実施しているところです。

 この調査は、全国の約五千三百万世帯を対象にしております。約七十万人の調査員によりまして全国一斉に実施しております。このような極めて大規模な調査ですので、この事務を受託することができるような事業者は、我々の承知する限り、存在いたしません。したがって、調査事務を民間委託した場合の見積額はございませんので、そのコストを算出するということは困難であるというふうに考えております。

 また、地方公共団体からの意見に関しましてですけれども、総務省統計局でいろいろな会議を開催しております。また、我々が出張して地方に出向くこともございます。そのような中で、鋭意意見聴取を行っております。

 その意見ですが、不在世帯やオートロックマンションへの対応ですとか、あるいは、高齢の調査員でも理解しやすい調査方法ですとかいったような、調査員事務の負担軽減に関する意見が多く寄せられております。

 精度の高い統計を作成するためには、調査員の活動が円滑かつ正確に行われるようにすることが極めて重要であるというふうに考えております。次回の国勢調査に向けましては、地方公共団体、それから調査員の理解を得ながら、調査を円滑かつ正確に実施することができるよう、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

高木(啓)分科員 前段のお答えの中で、民間委託を仮にするとすればということに対して、そういう会社がありませんよ、ほぼほぼ不可能ですよと。私もそのとおりだと思いますね。

 統計調査の中で、特に国勢調査はなぜそうなのかといえば、それはやはり、今の仕組みの中で、地域の顔見知りの方が顔見知りの方に調査票を届ける、このソフトのパワー、ソフトの力というんですかね、そういうものがないと正確な調査ができないからだというふうに思います。つまり、それは要するに、日々の地域の、町会活動なら町会活動の中で培われているいわゆるソフトの力だと思うんです。

 ですから、そういうものがないと、結局、調査票をお届けすることすらなかなか困難性が伴っているというのが今の現状だから、例えば、ドライに民間に委託をするなんということがなかなかできづらいですよ、私はそういうことだと思うんですね。

 ですから、そのことを考えると、今の仕組みの中で、どうやって精度を上げてしっかりとした、国の最も基本中の基本とも言ってもいいこの国勢調査を充実させていくのかということについては、やはり丁寧に自治体に総務省からお願いをすることもそうですし、自治体は自治体で、受けたその仕事をどうやって実際に展開をしていくのか、あるいは、精度の高い調査結果をどうやって出していくのかということに大変苦労をしているわけでありますから、そのことに対しては、きちんと意見交換をしながらよりよい制度をつくっていただきたいと思っています。

 特に、調査員の方々に対して直接自治体が調査員をお願いをするのではなくて、調査員をお願いするのは、地域の町会長さんとか、そういう地域の顔役の方がお願いをするわけですね。毎回毎回五年に一度の国勢調査でお話を聞いておりますと、調査員になってくれる方が年々少なくなっているというのは、これはもう事実だと思います。要は、それだけ調査というのは難しいということだと思いますし、手間がかかるということだと思います。

 そして、国勢調査の場合は、特に、調査員の方ができるだけ調査票をお持ちをして、回収をするという作業まであるわけで、今は郵送とかあるいはインターネットとかということも二十七年の国勢調査からは導入をされておりますが、だけれども、基本は、やはり調査票をお届けをして、そしてそれを回収をする、このことにとても労力が要る仕事なわけであります。

 ですから、そのことに対して、やはり国としても、協力をしていただいている方々に対してどうやって報いていくのか、あるいは地位や名誉というものをしっかりと担保していくのかということは、ぜひこれからも考えていただきたいと思います。

 これは、相応の対価ということだけではなくて、やはり、私は、国勢調査員を請け負う方というのは非常に使命感のある方だと思います。町に対して、あるいは地域に対して、そして国に対して貢献をしようと思っている方だと思いますから、そういう方々に対して、しっかりとした制度をつくって、そして、よくやっていただきましたねという感謝の気持ちをぜひ持っていただきたい。大臣、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 私は先ほどから予算の話もしているんですが、平成二十七年の国勢調査のときには約六百七十億余の予算が組まれております。この予算が多いか少ないかというのはなかなか比較のしようがないんですが、しかし、国勢調査というのは世界じゅうでやれるところはやられているわけでありまして、世界じゅうで国勢調査の結果というのは比較対照されているわけであります。ですから、主要な先進国の中ではほとんどやっているわけでありますが、先進国と比べて、それらの国々と比べて、我が国の国勢調査の人口一人当たりに対する経費というものが極めて低いのではないかということが言われておりますし、そういう話を私は聞いております。

 情報というのは、ただではないわけですね。ですから、例えば国勢調査の話を今しましたが、先ほど来というか、ずっとこの予算委員会でも議論になっている毎月勤労統計調査の問題もそうなんですけれども、これは民間の企業の方にお願いをするわけでありまして、それも、かなりの労力をかけて皆さん対応されているわけであります。

 ですから、正しい情報というのはただではないんだということをしっかり認識をしていただいて、正確な調査を実現をしていくということは極めて重要なことだし、大変なことなんだということをぜひ肝に銘じていただきたいと思います。

 ですから、要は、簡単に調査票を持っていけば書いてくれるんだとか、簡単にアンケートをお願いをすればそれを回収して国がまとめればいいんだというふうな意識を持っていただいているとするならば、調査は正確にはできないし、きちっとしたものはできないわけでありますから、そこの部分は、今回の統計調査問題を一つの契機にして、しっかりとした考え方をもう一度構築をして、そして、全ての政策の資料になる調査の充実ということに対してぜひこれからも努力をしていただきたい、私はこのように思います。

 御意見があればどうぞ。

石田国務大臣 今るる高木委員の方から御指摘をいただきまして、本当におっしゃるとおりでありまして、統計調査の重要性、そして、それにかかわる皆さんの労力、大変な御尽力をいただいているというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたけれども、今、この問題についてはそれぞれのところでいろいろと調査をしておりますけれども、そういうものが出そろった段階で、いろいろな御意見をいただいています、人員の確保の問題、研修の問題、あるいは調査項目の問題、ICT化の問題とか、いろいろ御指摘いただいている、そういうことも含めまして、今後の統計はいかにあるべきかということをしっかりと議論してまいりたいと思っております。

高木(啓)分科員 最後に統計の問題を一つだけ申し上げておきますが、例えば、IT化をする、あるいはオンライン化をするというようなことがありますと、それを進めていくと人を減らすことができるのではないかという議論がよくあります。だけれども、これは間違っていると私は思います。

 つまり、IT化をしたりオンライン化をすることによって、作業自体はどんどんどんどん効率化をしていくと思います。しかし、仕事というのは、効率化をすればするほど、精度を上げていかなければいけないという問題があります。

 更に言うと、便利になればなるほど、もっとやりたいことがたくさん出てくるわけでありまして、その意味では、オンライン化をしたりIT化をするということが、即、人が必要なくなるとか、予算が削減をされるとか、そういうふうに考えないで、もっと重要な、要するに、精度を上げていくことや仕事の成果としてそれが返ってくるということをぜひ考えていただきたいし、そういう方向に持っていっていただきたい。だから、予算もきちっと確保していただきたい、こういうことでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、次の質問に入ります。

 私は、平成三年から地方議員をさせていただいてまいりました。そして、地方議員の政策能力、あるいは政策調査を含めた能力の向上ということに対してずっと地方議員時代も取り組んできたつもりでございます。

 この問題は昨年の予算委員会の第二分科会でも議論をさせていただいたわけでありますが、地方議員の政策調査や政策立案能力の向上という意味では、今、一つは政務活動費という制度がございます。

 この政務活動費もいろいろと問題もある場面もあって、果たして政務活動費だけでいいのだろうかという気持ちを私は常々持ってまいりました。

 広域自治体あるいは基礎的自治体という違いですとか、自治体の規模や面積、人口、そういうものが違うことによって、それぞれの自治体が抱えている課題も違いますし、それぞれの自治体がどういう制度がいいかという選択も、それはそれで自由にやっていただいて構わないと思うんです。

 しかし、もう一つ議論を進めていくと、政務活動費以外で、地方議員の政策調査あるいは政策立案能力を強化する方法というのはないんだろうかというふうに思うわけであります。

 そのことについて、もし総務省で見解を持たれているとすれば、ほかの制度を含めてどういう制度があるのかということをぜひ教えていただきたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 地方議会の政策形成能力の強化に資する制度改正につきましては、委員御指摘の政務活動費制度のほかに、一つは、議案の審査又は当該地方公共団体の事務に関する調査のための議員派遣制度、これは平成十四年に制度化させていただきました。また、学識経験者等による専門的事項に係る調査制度、これは平成十八年に制度化させていただきました。順次、地方団体の声を聞きながら、地方自治法の規定を拡充しているところでございます。

 また、各地方公共団体におかれましては、例えば、執行機関側が質問者に対して質問の趣旨や質問者の考え方を問い返し、対案の提示を求める反問権を導入したり、あるいは、議会の本会議における議員と執行機関との質疑応答を一問一答方式とすることなどをその団体の議会基本条例により定めているところなど、さまざまな工夫と取組が行われているところでございます。

 各地方議会におきましてこうした制度などを適切に活用することで、政策形成能力を発揮することが考えられますし、期待もしております。また、私ども総務省としても、地方の意見を聞きながら、議会がその役割を十分果たすことができますよう、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

高木(啓)分科員 おっしゃっていることは大変よくわかるんですが、私は、自分が地方議員をやってきたから特に思うんですが、例えば、東京でいうと、衆議院選挙のいわゆる小選挙区のエリアよりも地方議員の選挙区の方が広いところというのは幾つもあるわけですよ。

 例えば、私の地元の東京都足立区なども、私は北区ですが、足立区の一部も東京十二区というところに入っているんですけれども、しかし、十三区の方は足立区の一部ですから、区議会議員の選挙区よりも小さい。もちろん、都議会議員の選挙区よりも小さい。そこから一名の衆議院議員が選出をされているわけであります。

 面積だけには限らないんですが、しかし、そういう状況を考えると、国会議員には三人のいわゆる公設の秘書がつくことになっています。政策秘書が一名、そして公設秘書が二名ということになっていますが、やはり地方議員にとっても、政策をつくる、あるいは調査をするというときに、どうしてもスタッフに頼らなければいけないということも出てくると思います。

 それは、例えば各議会の議会事務局であったりとか、今のところはそうなっているんですが、しかし、これを選択制というか、できるという規定でいいと思うんですけれども、そういう議員専属のスタッフを地方においてもつけることができるような自治法改正ということは、これは設けることは可能なのかどうかということをお伺いしたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 各議員が公設秘書を置くことができるように地方自治法に規定することにつきましては、一つには、公設秘書の役割をどう考えていくのか、また、それが議会事務局との関係でどう整理をしていくのか、また、二つには、公設秘書の人件費に係ります公費負担の範囲をどこまでと考えていくべきか、また、それは現行の政務活動費制度との関係でどう整理をすればよいのかといった論点が指摘をされておりまして、私どもも、これをどう考えていけばいいのか、慎重に検討する必要があるだろうと考えております。

 以上であります。

高木(啓)分科員 例えば、政務活動費と公設秘書を選択制にするとか、いろいろなやり方があるのではないかな。これからの研究課題でもあるのですが。

 しかしながら、法律を改正してそういうことが可能になるかどうかということが実は一番大事なところでありまして、法律の解釈からすれば、多分、法律改正をして、そういうできる規定というのを設けるということは私は可能なのではないかというふうに考えておりますが、もう一度聞きますけれども、その点はいかがですか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃられました政務活動費は、御存じのとおり、平成十二年、都道府県議会議長会などの要請を受けまして、議員立法によりまして、まずは政務調査費として創設され、平成二十四年に議員修正によりまして、今の政務活動費として、その充当可能範囲が拡大されるなど、議員からの御提案により、議員又は会派が住民意思を踏まえた活動を展開する上で必要なものとして制度構築を図ってまいったものでございます。

 こうした経緯に鑑みますと、今委員御提案なされました考え方も含めまして、政務活動費制度の見直しを図る場合には、各議長会等の意見なども踏まえ、また、各党各会派でその改正内容について十分に御議論いただくことが重要であると私どもも捉えているところでございます。

高木(啓)分科員 またこの問題についてはもう少し議論を深めていきたい、このように思います。

 ちょっと時間がなくなってしまったので、はしょって最後の質問に入りますが、地方税財源の偏在是正措置について最後にお伺いをしたいと思います。

 この間、ずっと地方の偏在是正については議論をされてきて、税制改正の中で、平成三十一年からは、新たな偏在是正措置として特別法人事業税及び同譲与税という制度がつくられたわけであります。

 私は東京選出でありますから、ありていに言うと、東京の財源がこの偏在是正措置によって国に納付をされる、こういう形になるわけでありますが、この間、偏在是正措置は平成二十年からずっとやってこられたわけであります。

 平成二十年からの偏在是正措置を見たときに、東京都だけでも約二兆円強のお金が国に行っているわけであります。この二兆円強のものに対して、では、その成果は何なんだということがなかなか見えにくいので、私のような都民というのは、やはり納得性に欠けるという部分があると思います。

 したがいまして、偏在是正措置、ある一定のところは、それはある意味で仕方がないことかもしれませんが、しかし、その成果というものはきちんと出していただく、それを見せていただくという努力をしていただきたいと思いますが、時間がありませんので最後の質問にしますが、そのことについてお伺いしたいと思います。

坂本主査 林崎自治財政局長、質問時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のように、平成二十年度税制改正で地方法人特別税・譲与税を創設した際には、地方再生対策費といったものを地方財政計画にも計上いたしまして交付税措置をした。また、二十六年度税制改正におきまして、法人住民税法人税割の交付税原資化を行った際にも、これも、地方創生に取り組むということで、まち・ひと・しごと創生事業費一兆円を計上いたしまして、そのための財源の一部として活用した。

 こういったことで地方一般財源の確保をしてきたわけでございますけれども、その上で、各地においては、さまざまな地域づくり、取組が行われてきていると承知しております。

 例えば、具体的には、都市部の人材を地方に誘致することによりまして中心市街地を再活性化させるといったような事業、詳しく申し上げるといろいろおもしろい取組になっているんですけれども、そういった取組でありますとか、あるいは、地域資源、木材などを有効活用して、エネルギーの利活用事業等を通じて地域経済の好循環を実現させるような事業、そういったようなものが展開されたりしてきておりまして、その他いろいろございますが、それも、やはり先ほど申し上げたような形での地方一般財源の確保といったものを通じまして、各地における取組が進められてきている、このように考えているところでございます。

高木(啓)分科員 ありがとうございました。終わります。

坂本主査 これにて高木啓さんの質疑は終了いたしました。

 次に、小林史明さん。

小林(史)分科員 おはようございます。自民党衆議院議員の小林史明でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 昨年一年間、政務官として総務省の皆さんには本当にお世話になりました。大変お力をいただいていろんな仕事ができたことに感謝申し上げたいと思いますし、これからもしっかりサポートをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、きょうの質問に至る問題意識を共有させていただいてから質問に入りたいと思いますが、今我が国は三つの大きな変化に直面をしていると考えています。一つは人口減少、二つ目は人生百年時代の到来、三つ目は圧倒的なテクノロジーの進展、これは間違いなく変えられない変化であります。だからこそ、この変化に前向きに臨んで、この国の発展の機会にすることが重要だというふうに思っています。

 その上で大前提になるのは、徹底的にテクノロジーを社会実装し、効率的な社会をつくっていく、さらには、生き方に問わず、全員がフェアに社会参画できる社会システムをつくっていくこと、それが重要だと思っています。私自身は、このテクノロジーというのは、人を自由にする、そしてもっとフェアな社会をつくることができる、そういう可能性があると信じています。

 これに対して、政府もずっとテクノロジーの利活用というのを進めていこうということで進んできているわけですが、やはり大きな壁があると思っています。地方分権と中央集権という二項対立の中でどこまで国が標準的にやれるのか、やはりここによって社会システムが分断されている、こういうことがたくさんあると思っているんですね。

 きょうはその具体的な事例も少し挙げて問題提起をさせていただいて、きょうは、大臣、政務官、聞いていただいていますから、聞いた点でこれはと思うのがあったら、ぜひ指示を出していただいて取り組んでいただきたい、そういう趣旨での質問をさせていただきたいと思います。

 まず大事なのは、ちょっと大臣に一番最初に整理をいただきたいのは、この地方分権と中央集権という二項対立、こことは別のところの概念で標準化というものを整理できるということをしっかり整理をしていただきたいという趣旨です。

 憲法においても地方自治の本旨が定められていまして、地方分権をしっかりやろうということが言われてきて、いろんな取組をやってきました。大臣も市長もお務めですから、まさにその現場をやってこられたということだと思っています。

 地方分権で地域に沿った政策を、これに対して、いろんな、自治体をまたがって、共通の仕事のやり方であったりとか、例えば情報システムであったり、標準的に整備をする、これは全く対立する概念ではないというふうに私は考えています。

 実際に、あの二〇四〇自治体ということで、二〇四〇年の自治体の戦略を描いた構想でもそういうふうに整理ができていると思っていますが、改めて石田大臣から、この概念が整理できるということを、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

石田国務大臣 私も、今、小林委員から御指摘のあった点についてはそのとおりだと思っておりまして、実は、一月、最初は一月でしたか、総務省の方で地域力強化戦略本部をつくりまして、そして、ソサエティー五・〇時代の地方というメールを、全国の知事さん、市町村長さん、区長さんに宛てて発信をさせていただきました。ホームページにも載せております。

 やはり今、このソサエティー五・〇時代という言葉で象徴されるようなさまざまな技術革新が起こっているわけでありまして、これは行政が携わったものもあれば民間のものもあると思いますけれども、そういうものを発信させていただいて、その情報の共有をする、その中でそれぞれの首長さんが選択をしていただいて、そして地域のさまざまな分野へ活用していただく、行政の効率化にも当然活用していただく、そういう趣旨で行わせていただいておりますものでありまして、これは地方分権とそごを来すということは全くない、独自の御判断は首長さんがしていただければいいと思っております。

 また、当然、これは双方向になっておりますけれども、そういう中で、自治体としての例えば課題が出てくる、あるいは御要望が出てくる、そういうものについて共通して対応をしていく。これは標準化ということにもなるかもわかりませんが、それはそれで、それぞれの首長さんが御判断をして、どういう対応をされるかということを考えていかれればいいと私は思っておりまして、決して二項対立というようなことではないというふうに思っております。

 ただ、気をつけなければいけないのは、首長さんの意に反して強制するというようなことはやはり十分慎まなければならない、そう考えております。

小林(史)分科員 そこで、ぜひ大臣に御検討いただきたいのは、二〇四〇自治体戦略の構想でも、この標準化というのは法整備も含めて検討すべきだというふうに言われています。ぜひ、全国の市長会、知事会なんかとも意見交換を積極的にやっていただいて、声を聞いていただきたいんですが、首長さんと話をすると、いや、正直、情報システムの調達は自分たち独自でやる必要はないという声が大半なんですね。

 ですから、ここはもう法整備をして、情報システムの調達は一括でやる、その上に何かアプリケーションを載っけるのは、もちろん御要望でそれぞれやっていいんじゃないの。これができると、全国の調達コスト、大体毎年五千億円かかっています、情報システムだけで。一括調達すると恐らく一千億浮くと言われていまして、これが自由に使えるお金として自治体に残ったら、これは物すごい地方の税財源を強化することに実はなるんですね。

 ですから、予算をいかに配分していくかだけではなくて、こういう標準化によってむしろ自由度を高めていく、こういう取組をお願いしたいと思いますので、ぜひ、この法制化を図るという方向で首長さんの皆さんと意見交換を図っていただきたいということをお願いしたいと思いますが、大臣、では、お願いします。

石田国務大臣 今御指摘の標準化の具体的な進め方については、現在、有識者や自治体を交えた研究会におきまして御議論いただいているところでございまして、スピード感を持って標準化を実現するためには、自治体やシステムベンダーを含む関係者が十分に関与した形で各行政分野のシステムの標準を設定してはどうかといった議論がなされていると聞いておりまして、同研究会では本年春ごろに取りまとめを予定されております。

 総務省としては、情報システムの標準化が進むよう、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

小林(史)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、ここは法整備でやるということをやっていただけるようにお願いをしたいと思います。

 さて、この標準化がなされていないことによって弊害が起きている一番の事例は、やはり災害なんですね。

 私の地元広島県福山市も、昨年、西日本豪雨災害に見舞われました。このときに、いろんな問題が起こったわけです。それについて少しここから触れていきたいと思いますが、とてもありがたいと思ったのは、総務省の仕組みで対口支援というのがありまして、A自治体が被災をしたときは、必ずB自治体の職員が行きますよという仕組みになっているので、スムーズに応援に来ていただけるわけですね。ただ、各地域を見てみますと、やはりお手伝いであって、メーンは被災自治体の職員が被災者を支援する、つまり、被災者が被災者を支援しているという状況になっているんです。

 これはなぜこうなるかというと、やはり根本から自治体ごとの業務に差があることによって、完全にはやはり移管することはできないので、お手伝いということになっています。さまざま、例えば罹災証明書の書式が違うとか、ちょっと業務のやり方が違うということで難しいことがあったというのはちらほら聞いているんですけれども、対口支援をやっている総務省としてどのように把握をされているか、教えていただきたいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、御指摘をいただきましたように、昨年から被災市区町村の応援職員確保システムを構築いたしまして、実際、昨年の災害で発動したわけでございます。

 その後、私どもでは、今後の災害対応に生かすために、平成三十年七月豪雨の対口支援団体ですとか被災県、関係団体等に対しまして、システム運用上の課題などについてアンケート調査を実施いたしますとともに、意見交換等を実施いたしております。

 その中では、例えば、複数の団体が合同で支援をするケースですとか応援の長期化によりまして、人員がどうしても交代しなければならないものですから、そういった場合の引継ぎの仕方ですとか情報共有などの問題提起がございました。

 一方で、具体的に各自治体で書式や業務のやり方が異なることによる、引継ぎが手間取ったといったこと自体は報告はされておりませんけれども、しかし、いずれにしても、応援職員の業務のマニュアル化ですとか円滑な引継ぎということは非常に重要な点でございまして、今後、私どもとしては充実させていきたいと考えております。

 また、例えば罹災証明書の交付についての被害認定の調査の様式ですとか諸手続、こういったものですとか、避難所運営についての手順、これにつきましては、内閣府防災において手引やガイドラインを作成いたしておりまして、この点についてやはり地方公共団体に対してさらなる周知を図っていく必要があると思ったものですから、この点は内閣府とともに一緒に取り組んでまいりたいと思っております。

小林(史)分科員 ぜひ、やっただけじゃなくて、後の情報をちゃんと収集して、改善につなげるというのはとても大事でありますので、政務の皆さんにもそのあたりはチェックをいただきたいと思います。

 ちょっと今話題に出たので質問の順番を変えますが、先ほど避難所の話がありました。避難所の運営も大変重要なんですね。熊本の地震のときですけれども、お亡くなりになられた方、大変残念なことですけれども、全体として約二百五十名。その中で、地震で直接亡くなられた方というのは約五十名で、その後の避難所暮らし等の生活で亡くなられた方が二百名なんですね。ですから、実はいかに避難所運営が重要か、いかに多くの命が救えるかということがここに集約をされています。実際に聞いてみると、一週間全然清掃をしていないとか、そういう避難所もあったりするわけです。

 先ほどおっしゃられたように、内閣府防災で避難所運営マニュアルというのをつくっているんです。でも、避難所運営訓練をやったことがありますかということなんですよ。これはぜひ地元で聞いていただきたいんですが、避難訓練をやったことがある人と聞いたら、ほぼ全員挙がります。避難所運営訓練をやったことがありますかといったら、ほとんど手が挙がらないんです。ああ、やらなきゃねとなるんですけれども。これは、誰かがやはり、やっていますかと追わなきゃいけないですし、やりましょうねと言っていかなきゃいけないですね。

 総務省として、避難所運営訓練がなされているかどうか、これはどのように確認されているか、教えてください。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 災害発生時におきまして、地域の住民の生命財産を守るためには、平時から災害対応の訓練を積み重ねていくことが重要だと考えております。

 今の避難所運営訓練の件でございますが、消防庁におきましては、地方公共団体が行う避難所運営訓練の実施状況までは把握しておりません。

 ですが、例えば、平成二十六年三月に取りまとめました実践的な防災訓練の普及に向けた事例調査報告書におきましては、埼玉県ふじみ野市、それから東京都目黒区、多摩市、和歌山県上富田町によります避難所の開設、運営に関する訓練などの取組事例を紹介しているところでございます。

小林(史)分科員 ありがとうございます。

 各自治体で少しずつ前向きに取り組んでいっているところがありますけれども、これは誰がちゃんと把握をしていくのか、そして推進していくのかということは整理をしていく必要があると思いますけれども、ぜひこれは前向きに推進を全国的にやっていくべきだということを提起したいと思います。

 同時に、被災をした者として強く問題意識を持ったのは、道路情報なんですね。

 やはり災害が起こった翌日、避難所に行かなきゃとか親戚は大丈夫かとみんな思うわけです。では、道路情報を探すと、県のホームページにいくと、実は県道しか載っていないんですね。国のホームページにいくと、国道と高速道路しか載っていない。市のホームページにいくとどうなっているかというと、何とか交差点と文字情報で書いているんですよ。そこで毎日街頭演説している政治家しか多分わからないだろうという情報なんです。

 ですから、これは、一元的にやはり見えないと、国民目線では使える情報にはならないと思います。

 それで、国交省さんに問うんですけれども、国交省さんに事前に確認をすると、通れるマップというのを提供していらっしゃるということで、そこには実は結構一元的に出ているんですが、ただ、災害の大きなところだけが提示されて、例えばこの間だと、広島県でも呉市は出ているんですけれども、うちの地元の福山市も出ないし、隣の三原とか、かなり大きな災害が起こったところが実は出ていないんですね。

 ですから、こういった情報というのは、実はビッグデータとして全部集めていらっしゃるので、それを、最後、民間のアプリケーション会社に吐き出してあげれば、グーグルマップであるとかヤフーさんのマップでもぱっと一気に見れるはずなんですね。

 ですから、こういう仕組みを整えれば、国交省としては情報を集めるだけ、あとは民間に提供して、見えやすいようにお任せする、こういうやり方ができるんだと思いますが、検討状況はいかがでしょうか。

榊政府参考人 大規模災害が発生した際に、道路の通行の可否についての情報提供は大変重要な課題であると考えております。

 このため、国土交通省では、平成二十九年五月より、ETC二・〇による通行実績データ等を活用し、道路の通行の可否をできるだけ速やかに把握いたしますとともに、道路管理者が現地調査を行って、通行できる道路と通行できない道路とをわかりやすく図面に落とした通れるマップを公表してきているところであります。

 現在、その対象でございますが、高速自動車国道、一般国道、主要地方道などの幹線道路に限られておりまして、また、その公表はPDFファイル形式で行われておりますが、市町村道も含む一元的な情報の提供や、民間においても活用可能なデータ形式での公表など、より使いやすい情報提供のあり方について検討してまいりたいと存じます。

小林(史)分科員 先ほどあったように、実は、自治体も自分たちの市道の情報って持っているんですけれども、上がっていないんですね。ですから、それも一元的に集約をして、あとは、提供の仕方はいろいろな工夫があると思いますので、ぜひ、いろいろな民間事業者とも話をしながら、データをうまく使ってやっていただきたいと思います。いずれにせよ、そういう情報で我々もとても助かりましたので、引き続き前向きに進めていただきたいと思います。

 もう一つ、災害に遭って、私、これはやってみなきゃいかぬなということで、ボランティアに参加をしました。三連休の中日で、いろいろな調整が終わったので参加をさせていただいたんですけれども、このボランティアも、受け付けの仕組み、これがまた自治体ごとにばらばらなんですね。

 受け付けの主体は、基本的には社会福祉協議会、各自治体にある社協が行うんです。うちの地元の場合は事前にファクスで受け付けと。でも、行くと、やはりテントの下で社協の職員さんがいつも管理をして、すごい大変そうなんですね。別の自治体のお話を聞くと、百人までですということで、当日並んで、百人を超えたら、済みません、きょうはお帰りくださいと。これはもったいないですね。ですから、ボランティアの受け付けの共通の仕組みというのをちゃんと国として提供して、それを社協が運用していけば、全国同じシステムです。

 更に言うと、一度登録した人には、今後も近くでボランティアがあったらお知らせしていいですかととっておけば、自然と、スマホのアプリケーションでぱんと、あしたボランティアがありますというお知らせが来るわけです。

 こういうのがあったらいいよなと思っていて、シーテックという展示会を回っていたら、何と、ラグビーワールドカップのボランティア管理システムというのが展示をされていて、もうでき上がっているんですね。数万人をそれで管理できる。ボランティアの配分までできて、顔写真も登録できてということで、大変効率的なものができ上がっています。

 このラグビーワールドカップで集めたボランティアのデータベースも、本来は、終わる前に、災害のボランティアがあったら今後お知らせしていいですかととっておくだけで、実はこれは災害ボランティアの予備軍になるわけですね。

 こういうデータの活用も考えると、やはり統一的な仕組みを国として用意することは重要なんじゃないかと思いますが、厚生労働省さんの検討状況をお聞きしたいと思います。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、昨年の、平成三十年七月豪雨等の際におきましては、社会福祉協議会が設置しました災害ボランティアセンターを介しまして多くの方々に被災地支援を行っていただいており、災害ボランティアセンターの円滑な設置、運営は重要なものと考えているところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、各地の社会福祉協議会職員が災害ボランティアセンターの運営に当たって必要となる知識、ノウハウを共有し、その円滑な設置、運営が行われるよう、全国社会福祉協議会が実施する研修事業に対して助成を行っているところでございます。

 先生御指摘のとおりで、受け付け業務をスムーズに行うことができますれば、ボランティアの方々により効果的に活躍いただくことができますため、全国社会福祉協議会において、システムの活用が可能かどうかも含め、業務の効率化について検討しているものと承知しているところでございます。

 厚生労働省といたしましても、引き続き、全国社会福祉協議会や内閣府と連携し、災害ボランティアセンターの円滑な設置、運営が行われるよう検討してまいりたいと思います。

小林(史)分科員 本当に社協の皆さんは頑張っているんですね。だから、少しでもそういう単純作業はなくしてさしあげて、被災者と向き合う時間を、そして御自身の余裕もつくっていただけるように協力をお願いしたいと思います。

 こういうふうに、実は、各論を掘っていくと、いろいろなものが標準化されなくて、やはり非効率になっているものってたくさんあるんですね。こういうものはしっかり政務の方で汗をかいていただいて、やはり一つ一つ潰すということと、もう一つは、総務省としてリーダーシップを図って、やはり分権を進めるためにも標準化はやらなきゃいかぬということで調整を図っていく必要があると思っています。

 そのあたり、ぜひ汗をかいていただきたいということで、今までの質疑を聞いて、古賀政務官の覚悟をお聞きしたいと思います。

古賀大臣政務官 小林委員には、前政務官のお立場から日ごろから御指導いただきまして、本当にありがとうございます。

 委員のいろいろな御指摘、かなり実践的な御提案もいただきまして、ありがとうございました。

 仕事のやり方を標準化するというのは、やはり使う方々の利便性だけじゃなくて、重複投資を避けるとか、いろいろな効果があろうかと思います。加えまして、これからのいわゆる人手不足の時代、今後とも自治体が住民生活に必要な行政サービスを提供し続けていくためにも、職員が、職員でなければならないこういった業務に注力するということは大変重要なテーマになってくるんだろう、このようにも思っております。

 そのために、仕事のやり方を標準化していく、あるいはAIやロボティクス等、ICTの活用、これが大変重要だ、このように認識しております。

 そういった一環でもございますが、先ほど石田大臣からも御答弁申し上げた地域力強化戦略本部の取組もございます。

 さらに、来年度、総務省といたしましても、自治体行政スマートプロジェクト、この事業を今、予算案に計上させていただいておるわけでございますが、これは例えば、住民基本台帳や税、あるいは福祉、こういった個別の業務プロセスを複数の自治体で比較をしながら、AI等の活用についての標準モデルを構築いたしまして、これを全国に展開していこう、こんな構想を持っております。

 総務省といたしましても、先ほど大臣からも標準化の研究会のお話がございましたけれども、こういった成果も踏まえながら、個別分野の標準かつ効率的な業務プロセスの構築に向けて検討を進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。どうぞよろしくお願いします。

小林(史)分科員 最後に、もう一つ標準化を図っていただきたい部分があって、それはやはり無線のシステムなんですね。

 PS―LTE、公共安全LTEという仕組みを先進諸国では取り入れ始めています。これは、例えば日本でいくと、消防、警察、国交省だと海上保安庁、それぞれ独自の電波塔を建てて無線システムをつくっているんですね。これは本当に非効率です。しかも、音声だけであるとやはり届けられる情報というのは限られていますから、できれば今だったらスマートフォン型のもので動画とか写真も送って、現場を管理したりとか、犯人を追うということができた方が本来効率的であります。

 そういう意味で、この公共安全LTEというのは、スマートフォン型で、全員が共通して使える、ただし、公共用であるがゆえにセキュリティーも高いということだと思っています。

 ですから、これをしっかり整備しようということを去年、方針としては決めてきたわけですが、実際にこれを進めようとすると、他省庁の団体を巻き込んでいかなきゃいけないですから、相当なエネルギーが要りますし、総務省の中でも、消防、さらには消防団もありますし、それ以外の仕組みもあるということですから、ここは相当なリーダーシップが必要だと思いますが、これをどのように進めていこうとされているか、答弁をお願いします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のPS―LTEでございますけれども、公共安全業務を担う機関が共同で利用する移動体通信ネットワークでございますけれども、我が国における導入につきましては、規制改革推進会議の平成二十九年の答申におきまして、「二〇二〇年までの実現可能性を含め、関係省庁・関係機関が参画した検討の場を総務省に設ける。」とされているところでございます。

 また、総務省で開催してまいりました電波有効利用成長戦略懇談会におきましても、基本的な要件や整備管理主体について、ニーズ等を把握しながら具体化していく必要があるという旨の提言を昨年の八月にいただいているところでございます。

 こうした中、総務省といたしましては、来年度予算案に、PS―LTEの実現に必要となる技術の検討を行うための経費三・一億円を盛り込んでおりまして、来年度から、関係省庁等が参画する検討の場も設置をいたしまして、その実現に向けまして、関連する国際的な技術動向なども踏まえながら、幅広い検討を進めていくこととしております。

 今後、このような取組を通じまして、関係省庁とも調整を進め、各種公共安全機関が無線システムの高度化を図るタイミングも踏まえながら、我が国におけるPS―LTEの導入に向けた検討を具体的に進めてまいりたいと考えているところでございます。

小林(史)分科員 谷脇さんなので安心して大丈夫だと思っておりますけれども、ぜひ政務からも、やはり他省庁を巻き込んでいくというのは結構パワーが要ります。特に、一回システムの更改のタイミングを逃しちゃうともう十年無理ですという話になってしまうので、そのタイミングを逃さないうちにしっかり巻き取って一緒に高度化をしていく。そうすると、予算も各省に残るわけですから、お互いにウイン・ウインになるという形でぜひ進めていただきたいと思いますし、その財源を、どこから最初、初期投資の財源を生み出してくるか、ここはやはり総務省、電波を扱って、財源も持っているわけですから、そのあたりも柔軟に使えるように検討を進めていただきたいと思います。

 最後に、昨年、ここにいる奥野前副大臣や野田前大臣にも協力をいただいて、三政務官、私、小倉さん、そしてということで、いろいろ前政務で協力をして総務省の働き方改革をやっていこうということで取り組んできました。

 改めて背景というか問題意識を共有すると、先ほど申し上げたような問題というのはやはり目の前にあるわけですね。ちょっと想像すると、もっと将来のことを考えれば、やらなきゃいけない仕事ってたくさんあるわけですが、私も政府に入ってみて本当に思ったのは、やはり官僚の皆さん、もう両手に仕事がいっぱいだ、この両手のどっちかを離さない限りは新しい仕事をつかむことはできないということを実感しました。

 そういう意味で、我々がある種リーダーとして政府側に行ったからには、リーダーの大事な仕事は、やはりやめることを決めてさしあげることだと思っています。だから、もうこれはやらなくていいよ、そのかわりこれは新しいことをやろうよということがとても大事なんだということを感じて、この働き方改革をやったんですね。

 ぜひ、これをまた政務の皆さんには引き続き応援をいただきたいという意味で、この観点だけ入れてちょっとやっていただきたいというお願いをして、最後、ちょっと取組状況を古賀政務官にお聞きするんですけれども、働き方改革を何のためにやっているかという意味でいくと、やはり今の仕事を離して新しい仕事をということと、もう一つは、政治がどうとか官僚がどうではなくて、やはり官僚の皆さんが全力を発揮して活躍できることは、最後は国民のためなんだというふうにしっかり整理をしていくことが大事だと思います。だから、国民のために自分たちが働き方を変えていこう。そしてもう一つは、国民の中には官僚一人一人も含まれている、だから、自分たちの人生をいかに充実させて、いいものにしていくか、これもこの働き方改革の意義なのであるということをぜひ共有した上で、全職員が全力を発揮できるような、そんな職場にしていただきたいと思っています。

 そういう意味で、もともと総務省でも働いていた古賀政務官ならその気持ちをわかっていただけると思いますので、古賀政務官から、この働き方改革の取組状況と、さらには意欲をお伺いして終わりたいと思います。お願いします。

古賀大臣政務官 私自身もかつて総務省で仕事をした人間でございます。そういう意味では、少し昔の仕事のやり方がしみついているかなという反省もこれはあるところでございますが、しかし、今、小林委員がおっしゃったように、仕事のパフォーマンスを上げるというのはまさに国民のため、そのためにやるんだという意識を持って、いわば仕事のスクラップ・アンド・ビルドをやっていくというのは大変重要な視点だろうと思います。そのきっかけを与えるのはやはり政務の仕事だろう、これは委員のおっしゃるとおりではないかな、このように思います。

 そういった観点から、委員におかれては、まさに昨年、当時の政務官の皆様方とともに大変御熱心な御指導をいただきまして、本当にありがとうございました。そういった働き方改革チームの提言を踏まえて、今、順次その取組を進めているという状況であります。

 例えば、幹部がみずからの働き方を部下に伝達して効率的な働き方を目指す働き方宣言、それから、管理職のマネジメント能力と組織パフォーマンスの向上を図る多面観察、それから、定時退庁に関する職員への訴求効果を高めるとともに幹部の意識の変化を促すための幹部による定時退庁日のアナウンス、こういったものをやっております。

 こういったものを進めながら、一方では昨年十一月に第二期のチーム、私ども政務官も加わりまして発足いたしております。

 引き続き、委員のおっしゃった、そういった理念をしっかりと念頭に置きながら、引き続き後を継いでいきたい、このように考えておりますので、御指導よろしくお願いいたします。

小林(史)分科員 ありがとうございました。

 質問を終了したいと思います。

坂本主査 これにて小林史明さんの質疑は終了いたしました。

 次に、森山浩行さん。

森山(浩)分科員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。

 きょうは、まずは国際貢献についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 今回の政府四演説の中で、外交演説、河野大臣が特に触れられた部分でございますけれども、日本から、国連の職員あるいは国際機関の職員、これを出していきたい、また、ハイレベルな部分についてもしっかりと応援をしていきたい、こういうお話でございました。

 私、学生の時代に、ちょうど湾岸戦争が起こった後、日本は金だけで血も汗も流さないという批判を国際的に受けているというような話を受けて、昭和五年組の先輩たち、もう故人になられた方もいらっしゃいますが、佐々淳行さん、小山内美江子さん、二谷英明さん、こういった先輩方が、血は流したくないけれども汗は流そうということで、学生たちを連れて汗を流しに内戦の後のカンボジアやあるいは湾岸地域に行くというような活動に参加をしていったのが、この社会活動のスタートでございました。

 当時は、金だけ出して人は出さないというような言い方をされたわけですけれども、むしろ、バブル以降はODAの額などがもうどんどんどんどん減ってきている、日本の長期的な経済の失速と合わせて額が減ってきているというのが現状でございます。

 そんな中で、日本の国際貢献、特に平和に対する貢献という部分につきましては、日本の中で数多くいる人材、これを日本が、国連の負担金あるいは日本の国力、これに合わせてもっともっと国際機関や国連機関で働いてもらうということは非常に大事なことだというふうに考えております。

 今回の外交演説におきましては、政府を挙げて取り組むというようなお話がございました。総務省としてはどのような形でやっておられるか、そして、大臣としての御決意もあわせてお聞きをしたいと思います。

石田国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 国際機関で活躍する日本人をふやすということは、国際的なルールづくりや国際貢献に積極的に関与するために極めて重要であると考えておりまして、これまでも、総務省の所管に関係する国際機関に日本人人材が採用されるよう、対象となるポストに応じ、公募等の情報を含め、関係者に情報共有を図るとともに、日本人が応募した場合には、その国際機関に対して採用に向けた働きかけを行っているところでございます。

 今、総務省関係の国際機関に勤務する日本人職員の状況として、二〇一九年二月現在ですけれども、国際電気通信連合、ITUに七名、それから経済協力開発機構、OECDに二名、アジア・太平洋電気通信共同体、APTに三名、それから万国郵便連合、UPUに四名、さらに、国連に、アジア太平洋統計研修所、統計部として二名が在籍をしておるところでございます。

 このほか、選挙で選ばれる役職についても取組を進めておりまして、昨年十一月に、国際電気通信連合の無線通信規則委員会の委員に日本人が当選をさせていただきました。

 また、現在、世界百九十二カ国が加盟する万国郵便連合の事務方トップである国際事務局長の候補として、日本人の目時さんを擁立をしておりまして、今現在、その当選に向けて政府を挙げて取り組んでいるところでございまして、今後とも、国際機関で多くの日本人が活躍できるように、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 大変頑張って取り組むというようなお話でございました。

 総務省の所管の中には、情報通信、放送、また自治体を含めまして、非常に幅広い分野の所管をされております。総務省の中だけということではなくて、各業界も含めまして。国連の職員さんというのは修士号が要るというようなポストが多いものでありますから、日本のように、四年間で大学が終わって、そのまま社会人になる人が多いという社会では、途中でもう一回大学院に行き直すなどというようなことも考えなければなりません。そんなことも含めて、しっかりと後押しをしていただくということでよろしくお願いをしたいというふうに思います。よろしいですね。

 それでは、続きまして、消防と消火栓の管理の実態についてということでお話をさせていただいておりますが、消防水利の整備促進、これの強化についての予算が今回もついております。この部分について御報告をお願いします。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 消防水利の整備の促進、強化の取組についてでございます。

 平成二十七年度に行いました消防水利に関する調査結果によりますと、消防水利の整備率は七三・五%ということになっておりまして、それに加えて、平成二十八年十二月に発生しました新潟県糸魚川市の大規模市街地火災によりまして、消防水利の重要性が改めて認識をされているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、消防庁では、消防水利の短期、中期、長期に分けまして、整備目標を設定をいたしておりまして、各消防本部に対しまして通知を発出をいたし、消防水利の計画的な整備を要請したところでございます。また、防火水槽の整備に当たっての財政措置についても拡充を行っているところでございます。

 今後とも、点検による機能維持とか改修による長寿命化等の取組を推進をいたしまして、消防水利の整備、充実強化に努めてまいりたいと考えております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 防火水槽、あるいは池や川、井戸、こういったものも使うというのも一つなんですが、消火栓、これが百九十一万というような整備数になっていると思いますけれども、消火栓を設置をする、あるいは管理をする、これの責任主体というのはどうなっておりますか。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がございましたように、消防水利には、消火栓、防火水槽などの人工水利と海、河川などの自然水利がございますけれども、御指摘の消火栓につきましては、水道の管理者におきまして設置、管理がなされているところでございます。

森山(浩)分科員 消防の使うものでありますけれども、水道で設置、管理をするというようなことでございます。

 ということは、消防が使うときに、チェックをするというのは、これは誰がやるということになりますか。

横田(真)政府参考人 消防水利、消火栓につきましては、消防水利の基準というのがございまして、ここでは、「消防水利は、常時使用しうるように管理されていなければならない。」というふうに定めております。

 具体的には、各消防本部におきまして、それぞれ頻度を定めて、管轄区域内の消防水利につきまして、目視とか機能確認などの点検を行っておりまして、消火栓について補修の必要がある場合には、水道の管理者と調整をいたしまして、修繕等の対応を行っているところでございます。

森山(浩)分科員 設置、管理は水道であるけれども、チェックについては消防でやっているんだということでございます。

 以前、消防庁にお聞きをしたときに、大体月一回ぐらい点検したらいいよというような御指導をされているということでしたけれども、それでよろしいですか。

横田(真)政府参考人 それぞれの消防本部において地域事情が異なりますので、我々としましては、各消防本部においてそれぞれ頻度を定めて点検をするようにということで申し上げておりまして、幾つかの消防本部にお聞きしますと、おっしゃられるように、年数回、それから、随時やっている、いろいろな消防本部の対応をお聞きをいたしております。

森山(浩)分科員 質問の趣旨は、消防庁さんが月一回ぐらいだよというようなことをおっしゃっているのかという部分です。

横田(真)政府参考人 申しわけございません。

 月一回以上というふうに申し上げているのか、ちょっと私承知いたしておりませんが……(森山(浩)分科員「以上じゃない、ぐらい」と呼ぶ)はい、申しわけございません、ぐらいは随時やっておるというふうに聞いております。

森山(浩)分科員 ちょっとおっしゃっていることが違いますね。

 月一回ぐらいという形でめどをおっしゃっているということでいいですね。

横田(真)政府参考人 申しわけございません。

 消防庁から正式にそういう形で通知が出ているかどうか、ちょっと確認をさせていただいて、御答弁申し上げたいと思います。

森山(浩)分科員 では後ほど、お待ちしていますね。

 それでは、このような形で、点検せいということになっておると。わかった、では、これはちょっと後に回しますね。

 それでは、去年が明治維新百五十年ということでございました。それまでの地方分権型の社会から中央集権型に移行して百五十年という中で、日本の社会が欧米に追いつけ追い越せというときには非常に機能した制度であったというふうに評価をしているところでございますが、経済的にもあるいは社会的にも先進国となって久しいという中においては、地方分権をどんどん進めていく、地方分権あるいは地域主権などという言い方をしますが、この進めていくということが非常に大事なことだと認識をしております。

 総務省さんというのも、もちろんその地方分権を進めていくんだというスタンスでお仕事をされているかと思いますが、以前、一括交付金というような形で、余り国が口を出さぬと、地方でそれぞれ考えてお金を使った方がいいんじゃないかという制度を導入をしていたものが、現在廃止をされているというような形になっていると思います。これの理由、あるいは検討の状況についてお知らせください。

山野政府参考人 お答えいたします。

 地域自主戦略交付金につきましては、地域の自主的な選択に基づく事業の実施を目指しまして、各省庁の投資補助金の一部を一括化しまして、都道府県、指定都市を中心とした交付金として創設されたものと承知しております。

 この交付金につきましては、運用される中で、地方公共団体から、一つには、対象事業が従来の補助金事業に限定されているということ、それから、事業規模の年度間の変動ですとか地域間の偏在を考慮すると、交付対象団体を一般市町村まで拡大するのは困難であるということ、さらには、手続が煩雑であること等、こういった課題が指摘されたところでございまして、平成二十五年度に廃止されまして、各省庁の交付金に移行したところでございます。

森山(浩)分科員 制度設計の中で、煩雑になったり、あるいは計算がしにくい、そのような形で廃止をされたということですが、これはやはり、角を矯めて牛を殺すようなことにならないように。これは、自分たちで使える範囲というのをいかにふやしていくかというのが地方分権の、これは、人、物、金という中で、予算というのは非常に大事な部分ですので、一括的にできるものというのは何かないのかというのを探しながら、改めて検討していただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 済みません、では、消防の話に戻ります。

 消防の消火栓、これのチェックにつきまして、どのような頻度で、どういうような形で示唆をされているかという問いでございます。

横田(真)政府参考人 大変失礼をいたしました。

 消防庁が出している通知の中でそういうことをうたっているわけではございませんが、消防水利の基準の解説の中で、月一回以上行うことが望まれるということでお示しをいたしております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 月一回以上ということでございます。そこまで実際はできていないところもあるんだよというお話でありますけれども。

 これはやはり、消火をするというときに、実際やってみたら消火栓があかないなんというような現場の声も上がってきたりしております。そうすると、百五十メートル先の次の消火栓まで行ってあけるんだなんというような実態のことも考えると、やはりしっかりとチェックをするというのが大事かと思いますが、今回の十三・五億円というような消防防災設備の補助金、この中に、例えば、チェックをちゃんとやるような形でというような予算というのは含まれておりますか。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 十三・五億円の施設補助金につきましては、防火水槽等を整備するための補助金でございますので、具体的にチェックするためにかかる経費につきましては交付税措置で財政支援をしておりまして、消防水利につきましては、今後とも、適切な維持管理について、各消防本部に対し徹底をさせてまいりたいと考えております。

森山(浩)分科員 チェックをするというときに大体どのぐらいの時間がかかるのかということで、埋まっていてもう使い物にならないよ、あるいは、ぽきっと折れていて見た目ですぐわかるよというのであれば、二百メートルごとにチェックをしていっても、一日百カ所、二百カ所、一チームで行けるんでしょうけれども、あけてみるというようなことを考えて、では、一つについて十五分だ二十分だというような時間をかけていくと考えると、一組でせいぜい三十カ所というような話になってくるかと思います。

 そうすると、それにかかる人数というのは膨大なもの、百九十万でありますので、これは膨大なものになるというようなことを考えると、やはり、しっかり防火のときに使えるということを前提とするならば、このチェックに関しても予算をつけていくとか、あるいは、指導するならきちんとするとか、このような対策が必要かと思いますが、いかがでしょうか。

横田(真)政府参考人 今御指摘ありましたように、確かに、頻度が多くなりますと、当然、人手もかかりますし、時間もかかるということでございますので、その点も含めまして、きちっと、消防庁の方から各消防本部に対し、維持管理について徹底をしてまいりたいと考えております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 維持管理せいよと言うだけではなくて、きちんと人をつける、お金をつけるというような形で、自治体の方に過度な負担がかかることがないように、これは徹底をした上でお願いをしたいというふうに思います。いざというときのことですから、しっかりとお取組をお願いをいたしたいというふうに思います。

 さて、戻りまして、明治維新百五十年ということで、地方分権の話ですけれども、現在、政府関係機関の地方移転というものに取り組まれているかと思います。これについて、現状の取組をお知らせください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 政府関係機関の地方移転の取組は、東京一極集中を是正するために、地方の自主的な創意工夫を前提に、それぞれ地域資源や産業事情等を踏まえ、地域における仕事、人の好循環を促進することを目的として実施されてございます。

 具体的には、二〇一六年三月の政府関係機関移転基本方針、同年九月の政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組についてをまち・ひと・しごと創生本部において決定し、これに基づき取組を進めているところでございます。

 中央省庁につきましては、文化庁の京都移転は、遅くとも二〇二一年度中に目指すとされる本格移転に向けて取り組んでいるところです。消費者庁につきましては、同庁が徳島県に消費者行政新未来創造オフィスを開設し、消費者政策の分析、研究、実証実験等のプロジェクトを集中して実施しており、二〇一九年度を目途に検証、見直しを行うこととしております。総務省統計局については、昨年四月に和歌山市に統計データ利活用センターを置き、統計ミクロデータの提供業務を実施しております。

 また、研究機関、研修機関等については、対象の二十三機関、五十案件について、具体的展開を明確にした年次プランを国と地方の関係者の協力により策定いたしまして、二〇一七年四月に公表し、これに基づいた国と地方の関係者による取組が進められてございます。

 まずは現在行われている取組を着実に実施し、具体的な成果が出ることが重要であると考えておりまして、まち・ひと・しごと創生本部においても適切にフォローアップを実施してまいりたいと考えてございます。

 以上です。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 地方の振興のために、文化庁を京都、徳島に消費者庁、そして統計局は和歌山ということでございますけれども、そっちに移ったことで地元との連携ができて、何かいい話になっているよというようなことがありますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、消費者行政の新未来創造オフィスにつきましてでございますが、全国展開を見据えたモデルプロジェクトといたしまして、徳島県とも連携をして、若年者向けの消費者教育教材の活用であるとか、見守りネットワークの構築であるとか、倫理的消費の普及といったようなものに取り組んでおりまして、消費者教育、倫理的消費、人材育成の面で熱心な取組が見られたということを伺っております。

森山(浩)分科員 中央省庁でさまざまな知見あるいは人材、これを各地に展開をしていって、地方の活性化に資するというのは大変いいことだというふうに思います。

 が、しかし、十年、二十年前には首都移転というような形で随分国論が沸騰した時期がございましたけれども、いつの間にか、何か火が消えたようになっているのではないかなというふうに思います。お聞きをすると、もう課もなくなっているんだというようなことでありまして、ちょっと今の状況の中で地方分権を進めていくという中では、この首都機能をどうするかというような部分については改めて考えなきゃいけないのかな。

 というのも、きのうも、東北沖での地震が更にパーセントが上がりましたよという話がありました。首都直下地震についてはかなり高い確率で起こってくる。そして、去年までは、地震が起こったら次の災害までは時間があるものだということを前提に物事というのは進んでいたかと思いますが、例えば首都直下型が起きて、一カ月後に南海トラフが動いてという話になると、もう東京も名古屋も大阪も、もしかしたら都市機能として、全体のヘッドクオーターとしては動けないというようなことも予想されます。

 そういった中で東北もだという話になってくると、これは、首都機能というもの自体、国会を中心としたというような話であのときは議論をされていたかと思いますが、パックとして全体を動かしていく、あるいは、いざというときのバックアップ、町田だけというような形だけではもしかしたら対応できないかもしれないということも前提として、改めて、政府がどのような形で大きな災害に対してヘッドクオーターを置いていくのかという部分、これは考えていかなきゃいけないというふうにも思います。

 大臣、そうですね。ぜひ、これは政府全体、総務省だけでできる話ではありませんので、首都移転あるいは首都機能の移転、こういったレベルのものについてもしっかり考えていただきたいというふうに思います。この質問については、改めてまた議論をしていきたいというふうに思います。

 そして、最後、信教の自由という部分でございます。

 宗教法人というのは、戦前の反省に立って、政府が宗教を弾圧したり口出ししたり、こういうことをしてはいかぬということで定められた部分でございますけれども、だからこそ、文部科学省が所管というふうになっていますが、中身についてはほぼ口出しをすることがないというふうにお聞きをしています。

 ただ、宗教法人、これが活動する中において、それが宗教活動なのか、それともそのほかの活動なのかというような部分での線引きによって課税がされる、されないというような部分については、きちんとしているというふうにお伺いをしています。

 宗教法人の固定資産税の課税についてお知らせください。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人が専らその本来の用に供します境内建物及び境内地につきましては、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者を教化育成するという宗教活動の公益性に鑑み、非課税措置が講じられているところでございます。

 専らその本来の用、すなわち宗教本来の用に供しているかどうかにつきましては、宗教法人の各施設の利用の実態を見て、課税団体である各市町村において適正に判断されるべきものであると考えております。

森山(浩)分科員 例えば、政党のポスターを外向きに宗教施設に張るというのは、これは本来目的でしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案につきましては、実態を見ないと判断がなかなかしにくうございますのでお答えを差し控えたいと存じますけれども、やはり、利用の実態というのを客観的に確認をする必要があると考えておりまして、総務省といたしましては、固定資産税の非課税等特別措置の適用に当たっては、定期的に実地調査を行う等によりまして利用状況を的確に把握し、適正な認定を行うよう市町村に対しまして助言を行っているところでございます。

森山(浩)分科員 では、中で信者を集めて会合を毎週するというのはどうですか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、たまたま例外的に他の目的のために使用することがあった境内建物、これを非課税措置から排除するものではないということで、やはり、どのような使われ方をしているのかという実態を見ながら判断することが必要だと思っております。

森山(浩)分科員 毎週やっているということになると、これは抵触する可能性がありますね。

内藤政府参考人 どの程度の頻度でその境内建物が使われているかというようなことにもよりますので、そこはやはり実態を見ての判断ということなのかと存じます。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 グループで政党を持っているというある宗教団体のホームページですけれども、現実的な問題に対しても具現化を推し進めるために立党をしました、政教分離とは、国が特定の宗教団体を優遇したり不利に扱ったりしてはならないということであり、政治参加の自由は宗教団体の信者を含め全ての国民に保障されていますということで、宗教団体のグループで政党をつくってもいいんだというような主張をされたりもしております。

 しかしながら、やってもいいんだということと、非課税の宗教施設を他目的に利用していいんだということは違うんだということで、これについては、実態をきちんと調査をしていただいて、あるべき姿というような形で、まあ、宗教の内容に踏み込むわけではありませんので、そこはしっかりとしていただきたいというふうに思います。

 と申しますのも、かく政治をやるという中においては、企業もきちんと税金を払った上で献金をされたりする、これ自体にはいろいろ議論もありますが、個人も所得税を払った上で献金をするというような形で、皆、思いを持ってやっておられることでありまして、宗教活動をやるんだということで非課税にしてもらった上で、その上で政治活動にお金をつぎ込むというようなことがあってはならぬのではないかというふうに思います。

 特に、統一地方選挙や参議院選挙なども控えておる非常にことしは選挙の多い年でもあって、選挙も、大臣、担当されておるということでございますので、しっかりと各現場でチェックをしていただいて、その上で御判断をいただきたいというふうに思います。

 きょうの質問は以上で終了いたします。ありがとうございました。

坂本主査 これにて森山浩行さんの質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、奥野(信)主査代理着席〕

奥野(信)主査代理 それでは、次に、浜地雅一さん。

浜地分科員 公明党の浜地雅一でございます。

 きょうも、第二分科会で質問をさせていただく機会をいただきました。

 昨年も、この総務の所管でございます第二分科会で質問をさせていただきまして、そのときにも、郵便ネットワークの維持という点を御質問をさせていただきました。きょうも、郵便ネットワークの維持について何点か聞いてまいりたいというふうに思っております。

 昨年、私、特に簡易郵便局の皆様方とさまざま懇談をした話を質問にぶつけたわけでございますが、その中で、昨年も紹介しましたが、福岡県の簡易郵便局の青年部という方々が示されたデータをもとに質問をさせていただきました。

 基本的には、後継者不足が続いているということでございました。約四七%の簡易郵便局事業の受託者の方は六十代から八十代が多いということで、後継者がいないという方が五八%に上るというデータを示させていただきました。

 その原因という中で、やはり可処分所得が、なかなか、この簡易郵便局長の皆様方の所得が低いということも御紹介をさせていただきました。具体的には、大体、三十代の皆様、全国平均では四百八十一万円でございますが、この簡易郵便局の受託者の皆様方は三百四万円であった、また、働き盛りの五十代の皆様方、全国平均は五百六十八万円の可処分所得がございますけれども、この簡易郵便局の受託者は三百十四万しかないというようなお話をさせていただきました。

 その中で、さまざまな問題点として、後継者への業務の引継ぎまで時間がかかっている問題であるとか、また、コンビニとの競合の中で、コンビニエンスストアでは住民票がとれるのに、簡易郵便局等ではとれない問題、さまざま御質問をさせていただきましたが、なかなか一年たって改善はされていない状況でございます。これはまた追って、私、個人的に皆様方から状況をお聞きしたいと思っています。

 ただ、昨年から一つ大きく変わった点というのは、いわゆる郵便ネットワーク維持を目的とした交付金、拠出金の制度が議員立法によって成立をしたということでございます。

 これに対しては、簡易郵便局の皆様方、郵便ネットワークの維持という目的でございますので、この交付金、拠出金というものが一つの希望につながっているというふうにお聞きをしております。

 そこで、この郵便ネットワーク維持のための新しくできました交付金、拠出金制度のまず概要と、そして、平成三十一年度におけますこの交付金、拠出金について具体的にどのような検討がされているのか、御答弁をいただきたいと思います。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました交付金、拠出金制度につきましては、郵政事業のユニバーサルサービスの安定的な提供を確保するため、日本郵便株式会社に対して、不可欠な費用に充てるための交付金を交付するとともに、関連銀行及び関連保険会社から拠出金を徴収するというものでございます。

 平成三十一年度の交付金及び拠出金の額につきましては、制度の運用を担う独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が、日本郵便に対する交付金の額を約二千九百五十二億円、関連銀行からの拠出金の額を約二千三百七十八億円、関連保険会社からの拠出金の額を約五百七十六億円と算定したところでございます。

 同機構では、交付金及び拠出金について、本年四月から来年三月までの各月に、分割して交付、徴収することとしているところでございます。

 以上です。

浜地分科員 ありがとうございます。

 端的にお聞きしますが、この日本郵便に拠出される交付金は、簡易郵便局の皆様方に対する基本的な委託料や委託手数料の増額というものに反映されますか。ちょっと端的にお答えいただきたいと思います。

谷垣参考人 お答えいたします。

 交付金制度、今答弁がございましたように、全国の郵便局でユニバーサルサービスを利用できることを確保するための基礎的費用を賄うための制度でございまして、簡易郵便局につきましても、この基礎的費用が賄われるものでございます。

 したがいまして、この制度の導入によりまして、委託手数料の引上げに直接つながるわけではございません。けれども、簡易郵便局は、先生御案内のとおり、郵便局ネットワークの重要な一翼を担っていただいてございますので、委託手数料のあり方を含めまして、今後とも簡易郵便局を維持するために必要な措置を検討していきたいと考えているところでございます。

浜地分科員 この交付金は、いわゆる必要不可欠な、基礎的な費用を見積もっているという御答弁でございましたので、ここは逆に、私も、簡易郵便局長で、いつもお話ししている皆さんに、基本的にこれは制度的保障、いわゆるこういった郵便局の今現在のネットワークを支えるための最低限の保障をする、それが担保された制度だよということで説明をしていきたいと思っております。

 しかし、そうはいっても、先ほど申し上げましたとおり、なかなか、やはりこの簡易郵便局の受託者の皆様方の、所得も含めて、また業務がお忙しい中で、処遇改善がなければ後継者不足というのはこれからも続くんだろうと思っています。ですので、今回のこの交付金の制度が、制度的担保として一つ安心できる材料ではあるんですが、先ほどの御答弁の中では、委託手数料の大幅な引上げの財源には使えないという御答弁でございました。

 そうなりますと、やはりそうはいっても、今ある問題点というものを一つ一つ浮かび上がらせながら具体的に前に進めなければ、先ほどの郵便ネットワーク維持というものは恐らく崩壊を迎えてしまうんだろうというふうに私は思っております。

 そこで、昨年も御答弁いただきましたが、全国の簡易郵便局の受託者の代表者を集めて意見交換会や協議会を行われているというふうに聞いております。私、昨年質問をさせていただきましたけれども、それ以降、こういった意見交換会が行われて、具体的な課題はどういったところで、それをどのように検討していこうと思うのか、そういった前進というのはございましたでしょうか。そういったものがあれば、具体的に御答弁をいただきたいと思います。

谷垣参考人 お答えいたします。

 先生御案内のとおり、手数料の意見交換会、昨年十月に第一回目を開催いたしました。その際、全受託者の皆様に任意で御協力いただきましたアンケート調査の取りまとめ状況でございますとか、これまでの手数料水準につきまして情報の共有化を図りまして、今後の意見交換に当たってのポイントについて御説明をさせていただいたというところでございます。

 早速でございますけれども、第二回目を、来月、三月中旬に開催する予定にしてございまして、その際には、今度は受託者の代表の方々からいろいろなお考えやアイデア等をいただきたい、このようにお願いしてございまして、いよいよ具体的な提案について丁寧に対応してまいりたいと思っているところでございます。

浜地分科員 いよいよ来月からが本格的な、さまざまな課題が出てくるということでございますので、しっかりその声を聞いていただきたいというふうに思っております。

 私も、簡易郵便局の皆さんとおつき合いするようになって、一筋縄ではいかないんだなというのも経験をしております。

 一つには、やはり後継者不足で、日本郵政のOBの方が受託者となって、例えば、老後のために、しっかり本部で働いて、その後は地方に戻ってやっていこうという方もいらっしゃれば、もともとの簡易郵便局の成り立ちが、地元の有志の皆様方がいて、ほかに、当然、これは個人事業主でございますので、ほかの事業もやったり、大きな農家の方がいらっしゃったりということで、どうしてもそれぞれの皆様方の置かれた状況が違うんだなというふうなことも、私、学ばせていただいております。

 ただ、以前は地元の有志の方がやっていらっしゃっても、それが後継者の段階になって、二代目、三代目になったときに、やはりこの簡易郵便局のみで自分で生計を立てようというグループの方もいらっしゃいます。ですので、いろいろなバックグラウンドを持った方の意見を集約するというのは難しいとは思いますが、一番やはり困難に直面をしている、若い受託者の皆様方で、将来に不安を持っている、要は、土地をたくさん持ったり、日本郵政のOBの方の意見も大事だと思いますが、そういった、直面をしている、一番苦しい声を上げている皆様方にぜひ寄り添って、この意見交換会の意見を吸い上げていただきたいというふうに思っています。

 第二回目が行われますので、次にもし私が来年質問をしたときには、一つ何か前進しましたというようなことがあると、私も大変質問したかいがあったなというふうに思っております。

 もう一問質問させていただきますが、今、郵便局の店頭には、ガチャガチャ、いわゆるガチャというものが置かれているというふうに聞いております。私は小さいときに余りガチャガチャをやっていないんですが、これは外国人の方にも大変人気があって、何が出てくるかわからないので、非常に好評を博しているというふうに聞いております。成田空港に行きますと、もう空港には外国人の観光客目当てでガチャガチャのコーナーが十何メートルにも及んで今並んでいるところでございますが、その郵便局版が始まっているということでございます。

 一番最初、一日で四千個も売れたというふうに聞いておりますので、このガチャの設置を、現在は都内の郵便局七カ所で置かれているということなんですが、これをぜひ、可能な限り全国に展開をすることによって、全国を訪れる、日本人の観光客だけでなく、海外の観光客も郵便局に立ち寄ることになろうかと思っております。これが一つ業務拡大のヒントになるのではないかなとも思っておりますので、このガチャの店舗設置拡大について御答弁をいただきたいと思います。

谷垣参考人 お答えいたします。

 御提案、本当にありがとうございます。

 先生御指摘のとおり、これはカプセルに入ったおもちゃが出てくる機械で、これはカプセル自動販売機というらしいですけれども、それが、現在、都内七局に設置をしてございます。この自動販売機の設置につきましては、いわゆる郵便局のイベントスペースの活用をした、この一環として実施をしてございます。

 このカプセル自動販売機とは別に、全国の二千局の窓口で、簡単な什器を用いた、カプセルに入った郵便局のオリジナル商品みたいなものの販売も行っているところでございます。

 御提案のとおり、引き続きまして、収益の拡大を目的といたしまして、この設置局の拡大とか、郵便局のオリジナル商品の拡大につきまして検討してまいりたいと思ってございます。

浜地分科員 そうですね。今御答弁がありましたとおり、店頭でも、今、郵便局のオリジナル商品を発売されていると聞いています。

 店頭ですから、自分で、ガチャガチャの中に入っているんじゃなくて、選んで、中をあけると、どういった商品が入っているかは、その楽しみもあるんですが、やはり、いわゆるがちゃっと回して偶然で出てくるものが非常に子供たちやまた外国人から人気があるそうでございますので、ぜひこのガチャの拡大、スペースの問題もございますが、検討していただきたいというふうに思っております。

 まずは、郵便ネットワークの維持についてはここまででございますので、退室されて結構でございます。

奥野(信)主査代理 谷垣さんですね。(浜地分科員「ええ、そうですね、参考人」と呼ぶ)はい、どうぞお帰りください。

浜地分科員 ありがとうございました。

 次に、地域おこし協力隊について少々質問をさせていただきたいと思っています。

 私の友人家族が、実は地域おこし協力隊でございます。奥様が地域おこし協力隊で、御主人の方は私のもともと証券会社時代の同期ですが、田舎の生活に憧れて、約築三百年の今民家に住んで、やっています。余り、それ以上言うとちょっと本人が特定されますので難しいわけでございますが、当然、子供も二人連れて、自然の中で伸び伸び育っている状況です。

 ただ、この御家族も、地域おこし協力隊に赴任をされまして約二年半がたとうとしておりまして、そろそろ三年の任期が来るということで、私、久しぶりに電話で話をしましたら、次の、やはり、方向性といいますか、そういったものが決まっていなくて、落ちつきがないというような状況でございます。

 そこで、全体的なこととして、この地域おこし隊の皆様方が任期終了後にその地域に定住をした割合、また、実際に定住をするに当たって、何らかの仕事、就業をされているわけでございますが、その状況についてどのように総務省が把握をされているか、御答弁いただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年度に実施した調査ということになりますが、平成二十九年三月末までに任期を終了した隊員は、累計で二千二百三十人ということでございます。その六割である一千三百九十六人の隊員が、任期終了後も同じ地域に住み続けております。

 活動地と同じ市町村内に定住した方の約三割は、みずから起業するなど、地域で新しい仕事をつくり出している。また、約五割の方は、地元企業やNPO法人などに就業しているほか、約一割の方は、就農など、農業に携わっているということで、引き続き地域の担い手として活躍していただいているということでございます。

浜地分科員 今の御答弁では、約六〇%ぐらいの方々が同じ地域に定住をし、三割は起業までしているということで、非常に成果が出ているというふうに私どもは思っています。

 ただ、逆の意味でいうと、約四割の方が同じ地域に定住できなかったということでございますので、これは何らかの理由があるんだと思っています。

 先ほど私が紹介した私の友人家族は、地元の特産品のブランディング化を今やっています。ただ、これが、自分で、個人で起業してやるとなると、なかなか難しいと。そうなると、農業等につこうとも思うんですけれども、なかなか土地の問題も、ないということで、本当であれば、今、その地元の特産品をブランディング化している事業をもう少し続けさせてほしいというのが本音でございます。やはり、三年の中でなかなか成果を出すのは難しい現状があるようです。

 当然、新しい方が来て、その事業を引き継いで、結果的にその地域のブランディング化に成功すればいいんですが、やはり、少ない人数の中で本人が一からやっておりますので、新しい方にかわったからといって、なかなか引継ぎができるものではないということでございます。

 そこで、私の問題意識では、本来であれば、二〇二五年にこの地域おこし協力隊を八千人にするという目標もありますけれども、私の要望としては、三年後、任期終了後のフォローアップという制度もつくっていただきたいなというふうに思って、充実をさせていただきたいなと思っておるわけでございますが、では、現在における任期終了後のフォローアップ体制ではどのようなものがあるのか、御答弁をいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 地域おこし協力隊員を受け入れるに当たっては、隊員が任期終了後に定住したいのか、どのような仕事を抱いているのかなどについても地方自治体が定期的かつ具体的に確認し、その実現に向けて、活動体制や兼業の取扱いなど、一緒に検討していくことが重要であると考えております。

 このため、総務省では、そうした留意点等をまとめた手引を作成し、全国で十カ所で開催しているブロック研修会において、まずは地方自治体の担当者に対して周知徹底をお願いしているところでございます。

 また、任期終了後の出口もできる限り多様化したことがいいと思っておりますので、隊員の定住、定着を一層推進するために、今年度からは、隊員による事業承継も、起業というだけじゃなくて、既にある企業や事業を後継者として事業承継をしていくということも支援しており、任期終了後の一年間も含めて経費を特別交付税措置しているほか、各地の事業引継ぎ支援センターと連携し、後継者に悩む事業者と隊員の両者をマッチングする仕組みをモデル的に構築する取組を進めているところでございます。

 さらには、来年度から、隊員の起業に向けた金融面での支援を、日本政策投資銀行等を活用し、新たに実施し、起業支援を更に充実させていくこととしております。

 このほか、任期終了後に地域の集落支援員となり、任期中の経験や地域とのネットワークを生かして地域で幅広く活動している隊員も存在していらっしゃいます。

 定住を希望される一人でも多くの隊員が定住し、引き続き地域の担い手として活躍できる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

浜地分科員 丁寧に御答弁をいただきました。

 一つには、ただ起業だけではなくて、事業承継という形で、後継者がいないときに、地域おこし協力隊の皆さんが後継者になるときの支援をしよう、これは百万円上限というふうに聞いておりますし、また、政策金融公庫の金融支援もあるということで、そういう意味では、事業承継の分のメニューが一つ広がったというふうな御答弁であったと思っております。

 先ほどお話がございました集落支援員、これは、私、一つ注目をしております。

 先ほどの私の友人の例ではないですけれども、もう少し本当は事業を続けたい、起業や事業承継という新しい出口ではなく、今あるものをできれば続けたいと。しかし、当然、これは任期がある中でやっておりますので、長々と続けるわけにはいきませんが、この集落支援員というものが、特産品を生かした地域おこし等もメニューに入っておりますので、私は、これが一つ、集落支援員になっていただいて、引き続きそういった事業にも充てられるのかなというふうに期待もしておるところでございますが、もう一度、この集落支援員の内容について、また、待遇も大事でございます、やはりお給料がかなり減ってしまってはもう生活が成り立たなくなるわけでございますので、待遇の面も含めて、この集落支援員の活用についてもう少し詳しく御答弁をいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 近年、過疎地域などの集落においては、人口減少や高齢化の進行により、生活扶助機能の低下、身近な生活交通手段の不足等、さまざまな課題が出てきております。

 このような集落が直面する課題に対応するために、集落点検の実施や、集落のあり方に関する集落での話合いの促進等を通じて住民の生活を守る集落支援員の活動に要する経費については、平成二十年度から特別交付税による支援を行ってきております。

 専任の集落支援員につきましては、一人当たり三百五十万円を上限に特別交付税措置をしているところであり、平成二十九年度の専任の集落支援員の設置数は全国で千百九十五名となっております。

 集落支援員は、地域の実情に詳しく、集落対策に関するノウハウや知見を有する人材が地方公共団体から委嘱を受けて活動するものでありますが、この中には、地域おこし協力隊と連携して活動している例や、地域おこし協力隊員だった方が、任期中に培ったノウハウや経験、地域とのネットワークを生かして集落支援員として活動している例もあると承知しているところでございます。

 総務省としては、任期中に地域の課題に精通した地域おこし協力隊員が、任期を終了した後も集落の課題解決に向けて取り組んでいただけることは有意義だと考えており、引き続き支援してまいりたいと考えております。

浜地分科員 ぜひ、この集落支援員の仕組みを含めて、任期終了後、更に残りたい、しかし、なかなか起業までは及ばないという方もいらっしゃいます、非常に優秀な方も地域おこし協力隊に入っていらっしゃいますので、せっかくの知見が生かされるように、今後もさまざまなメニューを考えていただきたいというふうに思っております。

 最後の質問にしたいと思います、ちょっと時間調整の意味も込めまして。これは、最後、総務大臣にお聞きをしたいと思っております。

 幼児教育の無償化がことしの十月から始まることになっております。そこで、平成三十一年度の初年度は、地方の消費税の増収分はわずかでありますので、臨時交付金として子ども・子育て支援臨時交付金を創設しまして、全額国庫負担にするというふうに報告を受けております。

 私、先日、統一地方選もございますので、さまざま私の地元福岡を回っておりますと、ある首長さんと地方議員の方から、公立保育所、幼稚園について、基本的には、財源の負担割合は、それを設置した市町村が十分の十である、平成三十一年度は、先ほど私が紹介しました交付金で措置をされるけれども、三十二年度以降ですね、三十二年度だけでなく、三十二年度以降はどうなるんだろうか、もしかすると、これは潜在的ないわゆる待機児童の皆様方が出てきて、定員の増員もしなきゃいけないんじゃないかなと。そうなってくると、とても経費もかかってくるものですから、非常に心配をされておりました。

 そこで、この分科会において総務大臣の方から、三十二年度以降の公立も含む幼児教育の無償化について、どのような地方財政での措置がとられるのか、最後に御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

石田国務大臣 本年十月から実施される幼児教育の無償化における公立保育所、幼稚園に係る経費につきましては、議員御指摘のとおり、実施初年度分は、全額国費により措置されることになりますが、平成三十二年度以降は、子ども・子育て支援法の規定に基づき、全額を市町村が負担することとなるわけであります。

 この平成三十二年度以降の幼児教育の無償化に係る地方負担分につきましては、地方財政計画の歳出に全額計上し、一般財源総額を増額確保した上で、個別団体の地方交付税の算定に当たっても、基準財政需要額に全額算入することによりまして、必要な財源をしっかり確保してまいります。

 今般の幼児教育の無償化の実施に当たって、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、引き続き適切に対応してまいります。

浜地分科員 安心いたしました。ありがとうございます。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて浜地雅一さんの質疑は終了いたしました。

 次に、小倉將信君。

小倉分科員 どうもありがとうございます。自民党の小倉です。

 まず、統計の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 大臣、副大臣、若松町にある統計局の資料館に行かれたことはありますでしょうか。実は、この統計局の資料館は、明治百五十年を記念いたしまして、統計に関係のある偉人のさまざまなパネルを展示してございます。私が行ったときに目についたのは大隈重信先生でありまして、この大隈重信先生は、明治維新からわずか十三年後の一八八一年の五月三十日に統計院を設立いたしました。

 そのときの発言が非常に私は重要だと思っておりますので、あえて申し上げると、「現在ノ国勢ヲ詳明セザレバ政府則チ施政ノ便ヲ失フ 過去施政ノ結果ヲ鑑照セザレバ政府其政策ノ利弊ヲ知ルニ由ナシ」。つまり、国の情勢を明らかにしなければ、政府は政治をとり行うことはできないし、過去の施政の結果と比較をしてみなければ、政府はその政策のよしあしを知ることはできない。

 まさにそのために統計を一元化する統計院を創設したということでありまして、まさに、国が近代化をしてからわずか十三年後にそのことに気づいて、我が国は近代国家への道筋をたどることになり、ただ、そのデータを無視したがゆえに、あの悲惨な戦争へと突入をしてしまった。

 戦後は、民間企業を中心に、非常に、データドリブンといいますか、データを大切にして高品質な製品をつくり上げて、また戦後の復興を果たしたということでございますが、やはり、昨今、データの時代と言われている中になって、官だけではなく民も、本来ならばこうやってデータを、統計を大切にして発展をしてきたにもかかわらず、非常に、統計やデータに対する関心やあるいは予算が失われつつあるんじゃないかな、このように危惧をいたしております。

 そういった考えのもとで、山本幸三先生にもお世話になりながら、今から三年前、自民党の行政改革推進本部というところで、統計改革、EBPM推進の提言を出させてもらいました。それを踏まえて、政府で統計改革推進会議を立ち上げていただいて、まさに統計法の改正によりまして、統計委員会の充実強化を行いました。それによって、今回の厚労省の毎勤統計の不正調査も、十数年不正調査が続いたものについて、統計委員会でじっくりと議論されたことによって発覚をしたんだ、このように思っております。

 そういった中で、私はもう一度、二年前に出されました統計改革推進会議の最終取りまとめを拝見させていただきました。今回の統計不正調査を踏まえて、さまざまなところで有識者の方あるいは議員の方、政府の方がおっしゃっていることは、実は課題としてこの取りまとめに列挙をされていて、しかも、その方策まで明示をされております。

 私は、今回のような不正調査を防ぐ上で大切なものは二つあると思っておりまして、一つは、分権型の日本の統計行政システムの中で、やはりタコつぼに陥ってしまって、それぞれ所管をする省庁の統計の適否について外部からのチェックが働いていないというところにあると思います。やはり、統計委員会がしっかりとそれぞれの省庁の統計の適否についてチェックをしなければいけない。

 あるいは、省内においても、統計を実際に使うユーザーの部署と統計をつくる部署の間に深い溝があって、統計をつくっている部署がちゃんとその統計をつくっているかどうかの省内でのガバナンスがきいていないということであります。

 更に言えば、非常に統計のリソースが枯渇をしておりまして、適正な統計をする人材も予算も不足をしているというような話もございます。

 実際に、この観点に立って、この統計改革推進会議の提言では、まずは、統計委員会が、各省内におけます統計幹事と協力をしてそれぞれの統計をチェックするですとか、あるいは、個別の統計のチームを立ち上げて、それぞれの個別統計がきちんとつくられているかどうか調査をするですとか、あるいは、統計委員会自体が統計に関する人材や予算について物を申す権限を付与するですとか、あるいは、負担軽減という意味では、ICTの活用やオンライン調査の活用、あるいは重複するような調査票の内容を外したりですとか、非常に、今言われているようなICTやビッグデータを活用して、調査をする側もされる側も負担を軽減をするような、そういう方策をとるべしというようなことも、実はこの統計改革推進会議の取りまとめにしっかりと残っております。

 そういう意味では、今回のような本当に残念な統計の不正調査を今後二度と起こさないという意味でも、ここに書かれているような内容を、しっかりと総務省、統計委員会も含めて着実に実行に移していくということが非常に重要だというふうに思っておりますので、まずは最初の質問といたしまして、もうこの取りまとめが出て二年がたっております。その間、この取りまとめの提言を踏まえて、どういうことを総務省なり統計委員会なりでされてこられたかについて御質問させていただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 統計改革につきましては、今御指摘のございましたとおり、総務省を始めとして各省で今取り組んでいるというところでございます。

 総務省におきましては、統計改革推進会議の最終取りまとめを踏まえまして、今後の統計改革の工程表として昨年三月に閣議決定されました公的統計基本計画に基づき、報告者の負担軽減や統計作成の効率化、統計のユーザーニーズの把握等に取り組んでおるところでございます。

 具体的には、先ほどもございましたけれども、報告者の負担軽減ということ、それからあと統計作成の効率化、こういう観点から具体的に進めておることといたしまして、家計調査におけるオンライン家計簿の導入を含めましたオンライン調査の推進、それから、ビッグデータの相互利活用のための産官学の連携の取組などビッグデータの活用といったことで、ICTの進展を踏まえた取組を進めているというところでございます。

 また、ユーザーニーズを踏まえた公的統計の品質確保、向上を図る観点から、統計調査の報告者の声やあるいは統計ニーズを経常的に把握する仕組みの整備、それから、全ての基幹統計調査を対象に、統計の作成方法等の情報がどの程度公表されているかについて、共通の基準による見える化状況の検査、フォローアップといったことに取り組んでおるところでございます。

 総務省といたしましては、この統計改革の考え方に基づき、統計リソースの効率的、効果的な活用を引き続き図ってまいりたいと考えておるところでございます。

小倉分科員 どうもありがとうございました。

 統計は、公正性と、あとは正確性が担保されて初めて使えるようになりますので、今回のような不正調査、法にも違反をしておりますし、統計的な処理としても、例えば毎勤統計であれば、抽出調査に切りかえたにもかかわらず復元してこなかった、明らかに統計手法上の誤りでございますので、こういったことが二度とないように、しっかりと統計委員会には、総務省にも旗を振ってもらいたいと思いますし、統計は、こういう信頼性を確保するだけではなくて、あらゆるイノベーションのもとにもなっていると思うんですね。

 この統計改革推進会議の取りまとめには、さまざまな、政府が保有をいたします行政記録情報なり、そういったものを民間や学者の方に活用してもらって、それを研究開発なり新しいビジネスにつなげてもらう、そのための取組についても結構な分量を割かれてございます。そういった前向きな取組も、この総務省統計委員会におかれましては、着実に進めていただきたいなというふうに思います。

 ちょっと質問を二つほど飛ばさせてもらいまして、次は副大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 この統計の問題、統計自体の問題もさることながら、やはり役所全般のガバナンス、規律の問題でもあると私は思っております。そういう意味では、しっかりと政治がリーダーシップを発揮いたしましてガバナンスを改善するのも重要だと思いますけれども、ただ、役所で働いていらっしゃる方々、朝から夜遅くまで一生懸命働いていらっしゃる方を、また、ガバナンス、ガバナンス、コンプラ、コンプラというふうに言ってしまうと、どうしても疲弊をしてしまうと思います。

 行政機構を支えておりますのも行政職員であり、その行政職員も人であります。やはり、一人一人の行政職員が、その職務において矜持とそしてやりがいを持って働ける環境をつくっていくことこそが、役所全体の規律回復につながるのではないかなというふうに考えております。

 そういう意味では、一昨年でしたでしょうか、ここにいらっしゃる奥野先生が副大臣でございます、奥野副大臣にも御指導いただきながら、小林史明当時の政務官が発案をしてといいますか中心になって、私ども政務三役で、総務省内におきまして、働き方改革推進チームというものを立ち上げさせていただきました。非常に新しい取組でありまして、組織横断でございます。

 課長補佐以下の非常に若い職員が、それぞれの年次の壁ですとか、あるいはそれぞれの部署の壁を取っ払って、棚卸しをして、どうやったら総務省が働きやすい組織にするかということを話し合っていただいて、そして昨年、すばらしい御提言をいただいたと思います。

 大臣所信にも、これは総務委員会で質問できなかったところなんですけれども、今回の大臣所信で総務省の働き方改革に取り組むという一言を入れていただいたのは、大変ありがたいし、心強いというふうに思っております。今も続いているでありますでしょう、この統計改革推進チーム、これをもう一度、副大臣に、しっかりと政治のリーダーシップで、この火を消さないように、むしろ、この火を燃え上がらせるように頑張っていくというような意気込みを頂戴したいなというふうに思います。

鈴木(淳)副大臣 大変熱い思いがこもった質問をありがとうございました。

 委員御指摘のとおり、働き方改革は、行政の質を高める上でも極めて重要であると認識をいたしております。

 総務省におきます働き方改革につきましては、小倉委員を始めとして、当時の総務大臣政務官の方々から御指導を賜って、有志の若手職員による働き方改革チームを発足をいただきました。昨年六月には提言を取りまとめていただいたものでございますけれども、この提言を受けて、幹部がみずから働き方を部下に伝達する働き方宣言や、あるいは管理職のマネジメント能力と組織のパフォーマンスの向上を図る多面観察などを新たに実施をしてきたところでございます。

 若手による現場の経験に基づく省内の働き方改革を継続するために、昨年十一月には働き方改革第二期チームを発足いたしまして、テレワークのさらなる活用や、組織内における情報伝達の効率化などの働き方改革に向けて検討を進めていただいております。

 引き続き、行政の質や生産性の向上を図るとともに、有為な人材を確保する観点からも、職員一人一人が高い意欲を持って能力を発揮できますような職場環境づくりに取り組んでまいりたいと思います。

小倉分科員 鈴木副大臣、力強いお言葉、どうもありがとうございます。

 よく報道では、霞が関も非常に萎縮をしてしまっているですとか、あるいは若い人たちの離職が相次いでいる、学生がなかなか省庁の扉をたたいてくれなくなっている、そんな話はございましたが、実際に働き方改革チームに所属をしている若手職員と接すると、全く私の印象は違いました。それぞれ担当業務があって、非常に忙しいとは思うんですけれども、そういった中にあって、非常に前向きに今の業務を捉えて、しかも、積極的にそのチームに加わっていただいたということがございました。

 そういう意味では、若手職員の特にやる気と能力というのは感銘を受けましたし、そういった若手職員のやる気と能力を引き出すような取組を、この働き方改革チームだけじゃなくて、ぜひ大臣、副大臣のお力で仕掛けていただきたいなというふうに思います。

 この統計改革の話とセットで必ず言われるのがEBPMの推進です。私も、三年前、統計改革とEBPMの推進ということを申し上げさせていただいたんですが、このEBPMも最近人口に膾炙をした概念ですので、かえって百花繚乱状態になっている。EBPMという言葉を使っても、人によって全然その意図するところが違ってきてしまっているというふうな感覚を私は持っております。

 どちらが正しくてどちらがまずいと言うつもりはございませんけれども、例えば、公文書管理をきちんとしなきゃいけないですとか、データをしっかりととらなきゃいけない、これももちろんEBPMにとって重要なことですが、考えてみますと、そういった話というのは、何もEBPMに限らず、これまでの行政の推進において当たり前のことなんですね。

 よく、今、ヨーロッパやアメリカ等々で議論されている意味でのEBPMというのは、データにも強度、階層があるということであります。どういう強度、階層かというと、そのデータがきちんと施策と政策効果の間で因果関係を立証しているかどうか。このデータの強度を見ながら、より強度の高いデータを使って効果検証をしようというのが、実はEBPMの狭義の意味での私は考え方だというふうに思っております。

 例えば、企業だって、アイスクリーム屋さんが、去年に比べて、広告を打ったせいで、おかげで物すごいアイスクリームが売れたんだという話があったとしても、それは、広告を打ったからアイスクリームが売れたのか、あるいはたまたま夏が暑かったからアイスクリームが売れたのか、あるいはライバル店が倒産をして撤退をしたせいで、おかげでアイスクリームが売れるようになったのか、わかりません。企業も、そういったことを考えながら、本当に広告効果があったのかどうかということを厳密に考えて企業経営をされていると思います。

 実際に、やはり、政策をする上でもデータを見るというのも同じだと思っておりまして、ちゃんとこの因果関係を見なきゃいけないと思うんですね。定性情報と定量情報は違いますし、単なるデータの羅列と、回帰分析なり回帰デザインといいまして、そういうたまたま発生した事象を活用した、因果関係をもっとよりあらわせるような手法を使った立証の仕方では違いますし、RCTという、ランダム化比較実験と言われておりますけれども、あたかも自然科学の実験のような形で効果を検証するような、そういうやり方もございます。

 それぞれによって当然因果関係の強度は違うわけですけれども、もっとより強度の高いデータを集めるような工夫をしなければ、私はEBPMの徹底というのはできないと思うんですけれども、これについて、今、政府でどういうEBPMの取組をされているのかどうか、まずはお伺いしたいなというふうに思います。

阪本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のEBPMの取組は、まさに各府省におきましてまだ緒についたばかりでございまして、その浸透、定着に当たっては、まさにこのEBPMの基本的な考え方、すなわち、事実の詳細な把握と分析を行った上で、必要と考える施策のよって立つ論理や仮説を検討し、そして、これに即したデータ等の本拠を可能な限り求めながら不断に改善を図っていく、そういったことで政策の精度を高めていく、そういった考え方をまずは各府省に意識していただくとともに、具体的な政策実例を用いた取組など、各府省自身によるEBPMの自主的、実践的な取組を促していくことが重要でございます。

 他方、委員御指摘のように、まだ少数ではございますが、複数に分けたグループを比較実験することによりまして、政策と結果の因果関係を推論するランダム化比較試験、RCTの実施とか、あるいは、行動経済学の理論を活用いたしまして、人に望ましい行動を促すナッジの実施とか、そういった精度の高い政策立案に向けたEBPMの先進的な取組を意欲的に行う事例も見られるところでございます。

 政府におきましては、これまで、各府省のEBPMの取組を総括する政策立案総括審議官や、政府横断的な推進組織でございますEBPMの推進委員会を設けるとともに、外部有識者を各府省に派遣し、こういったEBPMの取組を支援するような、そういった仕組みを設けてまいりました。また、これらとあわせまして、各府省におきます必要な人材の確保、育成の方針や統計等データの利活用促進のためのルールづくり、そういうことを行ってきたところでございます。

 こういった体制や枠組みを活用しながら、各府省における取組の底上げ、そして、先進的な取組の促進、そして、そういった先進的な取組の横展開など、EBPMの実践の質、量、両面の補充に向けまして、多面的な取組を行ってまいります。

小倉分科員 どうもありがとうございました。

 行革本部も非常に手探りの中で一生懸命やっていただいていると思います。更に高みを目指してもらいたいと私は思っています。

 欧米の例ばかり挙げて大変恐縮なんですけれども、因果関係を立証するエビデンスも、役所の人は学者でもありませんから、なかなか、業務の片手間にそういうエビデンスを収集するというのは至難のわざだと思います。イギリスとかアメリカだと、ホワット・ワークス・センターとかエビデンスインスティテューションなんという言われ方をしていますけれども、そういう因果関係を立証するエビデンスを蓄積するような、そういう機関もつくってありますし、RCTをするにしても、教育とか医療の分野とか、果たして、自然科学と違いますから、人に対してそういう実験的な色彩の強いことがどこまでできるのか、こういう倫理ガイドラインもなければ、学者も行政もなかなかしづらいと思います。

 そういうガイドラインの策定も望まれることだと思いますし、実際に、この意味でのEBPMを徹底するためには、やはり予算上の措置とも組み合わせなきゃいけないんですね。諸外国では、ティアードグラント、ひもつき補助金なんて言われ方もしていますし、ペイ・フォー・サクセス、成功報酬型の予算配分なんというような訳され方もしていますけれども、こういうエビデンスの強度によって予算の配分を変えるような、そういうインセンティブづけも既に諸外国では実施をされております。

 一生懸命頑張ってはいらっしゃると思いますが、EBPMの今私が申し上げた観点でいえば、まだ日本は周回おくれですので、何とか追いつけるように、政府には頑張っていただきたいなと思います。

 それでは、統計の質問はここでおしまいにさせていただきまして、次に、消防関係の質問をさせてもらいたいと思います。

 総務委員会でも消防団の質問が幾つか出てございました。やはり常備消防力が日本にはしっかりとしたものがあるとはいえ、地域の防災力を支える根幹として消防団の皆様がいるのは事実でございまして、この消防団の方々というのは、消火活動とか災害時の避難誘導活動だけじゃなくて、例えば正月のどんど焼きにはしっかりと出てきて市民に安全を確保するですとか、お祭り、夏祭りの盆踊りのときも、いざというときのためにずっとお祭りの最中、待機をしているとか、やはり地域の活動に欠かせない、そういう組織が消防団だと思っております。

 そういう意味では、地域防災力という観点じゃなくて、地域コミュニティーの根幹としての消防団ということで捉え直した方がいいんじゃないかと私は思っています。

 その消防団が年々減っていっているということで、消防庁の皆さん方にもさまざまな施策をやっていただいていると思います。女性団員をふやしたりとか学生団員をふやしたりとか、産業構造の変化に合わせて、自営業だけじゃなくてサラリーマンも入りやすいような消防団にしていただいたりとかやっていただいていると思います。

 私は、これにもう一つ加えていただきたい視点としては、子供だと思っているんです。やはり我々が職業を目指す一番最初の原点は、子供のときの憧れだと思うんですね。だから、子供のときに、消防団って格好いいな、ああいう人たちに大人になったらなりたいなというふうに子供たちに思ってもらえば、その思いをもう一度想起をさせるような、そういう政策的な支援をすれば、この消防団に入ってくれる若い人がふえるんじゃないかなと思います。

 全国に少年消防クラブという存在があります。私も昨年、浦安の全国大会に行ってまいりました。我が地元の町田の消防団は全国三位に二年連続でなったんですけれども、地元の浦安消防団が優勝しました。非常に盛り上がっておりました。

 この少年消防クラブは、何と全国に四十万人以上いるんですね。五千クラブ近くあります。消防団が八十数万人ですから、その半分ぐらいの子供たちが少年消防団。言い方としては、むしろ時代に合わせて少年少女消防団と言った方がいいかもしれませんが、少年消防団で活動しているわけであります。

 私、これは非常にもったいないなと思っていまして、この少年消防団、少年消防クラブを中学なり高校で卒業した後、しっかりフォローしていけば、そういった経験を持つ人たちがもう一度消防団になってくれるんじゃないかなと思っていて、ここを、ぜひ、消防庁としててこ入れをしてもらいたいと率直に思っています。

 ぜひ、今の取組状況についてお伺いしたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 少年消防クラブでございますが、今御紹介ありましたとおり、平成三十年五月一日現在で、全国で四千六百四十七クラブ、約四十一万四千人が活躍をしております。

 具体的な活動といたしましては、防火、防災知識の普及とか、学校内の安全点検、それから防災マップづくりなどを行っておりまして、そのクラブ活動を通じまして、消防団員など将来の地域防災の担い手が育成されることを期待しているところでございます。

 消防庁としての取組でございますが、この少年消防クラブの育成、発展を図るということで、一つには、消防の実践的な活動を取り入れた訓練等を通じまして、ほかの地域のクラブ員と親交を深めるための少年消防クラブ交流会、これを平成二十四年以降、毎年開催をいたしております。

 また、優良な少年消防クラブ及びクラブ指導員に対しまして表彰を、昭和二十九年以降、毎年実施をいたしております。

 さらに、自主防災組織と地域の組織が連携する取組につきまして財政的な支援を行うモデル事業を実施しておりますが、この中で、少年消防クラブを育成する事業も選定をして支援をいたしております。

 また、地域に根差した団体等の防災に関するすぐれた取組等に対しまして表彰いたします防災まちづくり大賞、この中でも、少年消防クラブに対しても表彰状を授与するなどの取組を行っているところでございます。

 御指摘のように、少年消防クラブに所属している皆様が消防活動に興味を持たれて、将来、消防職団員となっていただけるように、消防庁としてもしっかり取り組んで、支援をしてまいりたいと思っております。

小倉分科員 どうも、次長から心強い御発言、ありがとうございました。

 消防団の知名度向上もあると思うんですが、さらに、少年消防団は、全国大会をやっていたりとか、地域でさまざまな活動をしたりしていることを知っている親御さんはまだまだ少ないと思います。ぜひ頑張っていただければと思います。

 消防の海外展開、これは要望にとどめますが、スプリンクラーとか火災報知器、あるいは消防ポンプ車含め、日本の消防機材は非常に質の高いものをつくっていると思います。

 例えば、東南アジアであれば、気候ですとか、あるいは木造密集地域が多いですとか、非常に日本と状況が似ているような国もございます。

 消防庁の皆さんのおかげで、ベトナムとハイレベルの覚書を交わしていただいたと聞いておりますけれども、それをベトナムにとどまらせず、あるいは覚書を交わすにとどまらせず、実際に、日本の良質で、しかもメンテナンスをしっかりしている消防機材を海外の方に使っていただける取組をぜひ進めていただきたいということを、御要望だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 せっかく内藤自治税務局長に来ていただいておりますので、この前、総務委員会で質問できなかったふるさと納税について、最後、質問をさせてもらいたいと思います。

 ふるさと納税、地方税法の審議でもございましたように、私は、行き過ぎた、本来のふるさと納税の趣旨を損なうような、そういう取組に関してはきちんと適正を図ってもらいたい、このように思っております。ただ一方で、こういう話をすると、そういう過度な、こういう返礼品競争をやっている自治体ばかり取り上げられてしまって、ふるさと納税でいいことをやっている自治体がその陰に隠れてしまっているというような思いも私は持っております。

 私、以前訪れた東京都の文京区なんかは、こども宅食ということで、子供に実際に食料を届けるような取組を、これはガバメントクラウドファンディングの仕組みを使ってやっております。返礼品は子供の笑顔ということで、返礼品なしでやっているにもかかわらず、目標を大幅に超える、初年度は八千万円以上、そして二年度目は五千万円以上と聞いておりますけれども、集めたと聞いています。

 そういう意味では、こういった返礼品に頼らずに、その施策自体で共感、人というのは、物だけじゃなくて、やはり共感も感じて、喜んで寄附するというのもございますので、そういった共感を感じさせられるような、そういう政策をやっている自治体をもうちょっと目立たせるような取組とか政策支援というのも私は重要なんじゃないかと思っておりますし、総務省でやっていただいていると思いますので、ぜひ、最後に御紹介をいただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝える制度でございますとともに、税の使い道を自分の意思で決めることができる制度でございまして、寄附文化の醸成にもつながるものであると考えてございます。

 最近では、委員が今御指摘いただきましたような事例ですとか、災害時の被災地支援としてふるさと納税を活用するなど、制度の本来の趣旨に沿ったよい事例が生まれてきていると考えております。

 総務省といたしましても、本来の趣旨にのっとって寄附を集めている地方団体のすぐれた取組を紹介し、支援するための取組が必要だと考えておりまして、これまでも、政務官でいらっしゃった議員の御指導をいただきながら、クラウドファンディング型のふるさと納税の活用に取り組む地方団体の支援ですとか、あるいは各地の好事例を取りまとめたふるさと納税活用事例集の公表等に取り組んできたところでございます。

 今後とも、ふるさと納税本来の趣旨にのっとった優良事例を横展開するなど、積極的に地方団体の取組を後押ししていきたいと考えております。

小倉分科員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

奥野(信)主査代理 これにて小倉將信君の質疑は終了しました。

 次に、松田功君。

松田分科員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの松田功でございます。

 総務委員会の方で本日質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、初めに日本郵政グループの問題について御質問をさせていただきたいと思います。

 日本郵政グループの業績が増収益となっております。また、一方で、日本郵政の郵便サービスについて見直しが検討されております。その方向性について御質問をさせていただきたいと思っております。

 現状、二月十四日に日本郵政グループの第三・四半期の決算が公表されました。今年度においては、グループ連結の通期業績予想を二度にわたって上方修正をされました。増益となっております。

 一方で、先日、総務省より、郵便サービスについての見直しが検討されているというお話もございます。日本郵政グループの今後の方針、方向性が非常に気になるところでございます。

 私も、地元の郵便局の方を訪ねて社員の皆さんといろいろ意見交換をする機会が多うございまして、昨今の物流が抱える労働力不足や再配達の課題など、大変厳しい状況であることはお話を聞いたりして把握はさせていただいております。

 その中で、働き方改革を推進しながら郵便サービスを維持していくためには、さまざまな柔軟な対応が必要と理解いたします。国民生活サービスへの影響も考え、心配な部分もあります。

 今後、日本郵政としてどういうところに力を入れていくのか、今後の方針をお聞かせをいただきたいと思います。

谷垣参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、昨今の通信手段の多様化等によりまして、郵便を取り巻く環境というのは大きく変化をしてございまして、郵便に求められているニーズにつきましても変化が生じているというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、こういうニーズの変化を踏まえまして、郵便サービスの内容についても見直す必要があると考えております。

 また、一方で、近年は、労働力不足によります長時間労働も問題となってございますし、働き方改革への対応も求められている。

 こういう状況の中で、安定した郵便サービスを提供していくために、また、労働環境の改善を図って働き方改善を進めるために、郵便のユニバーサルサービスの内容にも踏み込んだ抜本的な業務の見直しが必要と考えまして、昨年の十一月十六日に行われました総務省の情報通信審議会の郵便局活性化委員会におきまして、日本郵便から、郵便物の配達頻度の見直し等につきまして御要望を申し上げたものでございます。

 要望の実現には郵便法の改正が必要となりますことから、委員会での御審議を見守りながら、引き続き総務省等関係の方々と御相談を申し上げてまいるとともに、もし将来、郵便法の改正が実現した暁には、お客様に与える影響に鑑みまして、実施まで十分な期間をとるとともに、周知に万全を期してまいる所存でございます。

 以上でございます。

松田分科員 やはり、郵便局はユニバーサルサービスで、また、本当に市民の皆さんの身近な窓口というか、非常に重要な部分であります。その意味において、利用者の観点からも、この改正に対しては、どのようになっていくのかということで非常に不安になる部分もあります。

 そういったことを踏まえながら、今後、日本郵政として総務省の方にはどのような要望をこれからまた考えられているか、もう一度お聞かせいただければと思います。

谷垣参考人 お答え申し上げます。

 今、総務省の情報通信審議会の方に日本郵便から出させていただいています要望につきましては、郵便物の配達頻度の見直し、週六日以上を五日以上にする、それから、送達日数の見直し、原則三日以内というのを一日繰り下げるということについて要望を申し上げております。

 あわせまして、全国均一料金制の例外の見直しということで、一の郵便局において引受け及び配達を行う郵便局に係る特別料金の拡大ということについて要望を申し上げております。

 こういうことにつきまして、審議を見守りながら、法律改正その他も含めました御相談についてもまた相談を申し上げたいということでございます。

松田分科員 それでは、総務省の方にお伺いします。

 今、審議会が進められているかと思いますが、その今の状況についてお答えいただければと思います。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 日本郵便からの配達頻度見直し等の制度改正の要望につきましては、現在、情報通信審議会において、関係者の御意見をしっかり聞いていただいた上で、丁寧な議論をしていただいているというところでございます。

 今後、審議会としまして、論点整理案に対する意見公募を実施することとしておりまして、国民の幅広い意見を踏まえつつ、今後の意見集約に向けたさらなる御議論を進めていただきたいと考えております。

 総務省としましては、審議会の答申を踏まえて所要の措置を検討することとなるというふうに考えております。

 以上でございます。

松田分科員 郵政が民営化になって、数々な、いろいろな状況も昔とは変わってきているということで、また、メールなどの電子で、手紙というか、メールで送ったりすることもあって、利用の頻度も変わってくる。しかしながら、人口は減ってきている中でも世帯数がふえて、一戸一戸配達する戸数が逆にふえている地域もあるかという部分も想定をされます。そういった意味におきまして、非常に時代の分岐点に来ているところであるように思われます。

 ぜひ、利用者の立場の中から、郵便局のよさを失わないような形であっていただきたいと思っておりますし、はがき一枚六十二円で過疎地の方まで届けていただけるありがたみは、国民、市民の皆さんも十分理解はしているところであります。料金改定も含めてありますが、そういった思いの中でいるということをぜひ御理解をいただいた中、今後の発展に向けての努力をぜひ進めていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 市町村合併の国の支援について少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 平成の大合併が行われたこの近年の状況であります。

 平成の大合併によって市町村は減少して、一般市への集約が進みました。しかし、一般市から中核市及び政令指定都市への、より上位への市制変更が少なく、行政事務の効率化による行政基盤の確立には十分につながっていないようにも思われます。

 財政基盤の面で、二〇〇一年以降合併した市町村が受けている財政優遇措置の期限が二〇一六年以降へと延長後、合併後の財政基盤の確立が実現しているかなどについて、総務省の現時点の合併における御見解をお伺いいたしたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 平成の合併は、地方分権の担い手となります基礎自治体の行財政基盤の確立を目的といたしまして、平成十一年から約十年間にわたって進められました。平成十年度末時点で三千二百三十二団体ありました市町村数は、平成二十一年度末時点で千七百二十七団体に減少してございます。

 平成の合併につきましては、第三十次の地方制度調査会の答申におきまして、住民の声の行政への適切な反映などについて課題が生じている場合があると指摘される一方で、行財政基盤の強化でありますとか、専門職員の配置など住民サービス提供体制の充実強化、あるいは広域的なまちづくりの推進などの効果があったと指摘されているところでございます。

 とりわけ、委員御指摘のございました財政力の関係の数値の動きで見ますと、例えば、合併団体の平成十年決算と平成二十年決算を見比べてみますと、財政力は〇・一七の増、ふえている状態でございますが、非合併団体の方で十年、二十年の決算を比べてみますと〇・〇七の増加にとどまっているなど、財政力的には効果が見られるものであると考えてございます。

 以上でございます。

松田分科員 私も、町会議員から市会議員で市町村合併を経験してまいりました。合併するということは本当に大変なんですね。

 しかしながら、国の方での合併特例債や何だとかいろいろなことで、議員の定数削減や、そういった行政効率を踏まえた中、いろいろなことを乗り越えてやってまいりました。地域の村の文化がなくなるだとか、いろいろなこともありました。今も、現場でもまだまだ効果が出ているようにも思われない部分もあったりします。

 しかしながら、もう何年もたってきている中で、さらなる効果を、ただしただけではなくて、総務省としても今後のことも含めていかなければならないというふうに私は思っているところであります。

 そういった意味において、平成の大合併以降、市町村連携も、連携中枢都市圏のことも出て、合併ではなく、そういった市町村連携を含めることも平成二十六年の方から総務省の方で進められているかと思います。

 これについて、今の現状と言うべきか、意義として、地域において、相当規模の中核性を備える圏域において市町村が連携し、コンパクト化とネットワーク化により、人口減少、少子高齢化社会において一定の圏域人口を有し、活力のある社会経済を維持するための拠点を形成とあります。意義としてはそういうことになっています。

 この意義に対して、平成二十六年の方から進められておりますが、現在、その連携について、総務省としては、順調に進んでいるのか、まだまだ途中なのか、少しお聞かせをいただければと思っております。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 現在、全国で二十八の連携中枢都市圏が形成されているところでございます。

 例えば、具体の内容、どういうことに取り組んでいるか、御紹介をさせていただきますと、連携中枢都市圏では、圏域全体の経済成長を牽引するための取組としまして、圏域の中心市が圏域内の他の市町村とともに企業誘致を行うような取組をしているところがあったり、あるいは、圏域内の企業がマーケティングなどの相談ができる産業支援機関を設立して、圏域全体を通して運営する取組を行ったりしているところがございます。

 また、圏域全体として必要な生活機能等を確保する取組として、圏域内での保育士の離職の防止でありますとか復職の支援を、全体を見通す保育士・保育所支援センターを設置するような取組が行われているところでございます。

 これら具体的な取組によりまして、連携中枢都市圏は広域的な行政サービスの確保に一定の役割を果たしていると認識しております。

 今後ますます私ども後押しをしまして、より活用されるように努めてまいりたいと考えているところでございます。

松田分科員 それぞれでいろいろな工夫をしながら、市町村が連携をとってやって効率を上げているというふうに総務省の方からも見解があるかと思います。

 そこで、要は、一般市町村の間、もちろん政令市も含めてですが、市町村連携の中で、できることと、そうでなくて、できないことがいっぱい実はあって、合併をした方がよりレスポンスが高くなることということも事実あるわけなんですね。よりいろんな人材が交流ができたりとか。一番多いのが、やはり災害。災害のときに助け合うのがその市の中で全部行えることであるならば、一気に進みます。これが連携だと、そのレスポンスが大きな町と小さな町で非常に差がつく。

 そういったことも含めると、合併を、今後そういったまた支援を、平成の大合併のときのように特例債やいろんなことのさらなる支援をしながら、連携だけでなく、新たな元号の大合併になるかどうかわかりませんが、そういった部分を御検討されることも必要になるのかというふうに思います。

 これは、平成の大合併でした、更に本当はもっと隣の町ともしたかった、でも、それがうまく話がいかなかった、それぞれの諸事情になった。しかしながら、その二つの町が一緒になって、それがまた一つの町となったときに、また、その隣の町が、その町が魅力的であれば合併をするということもあり得る。前にはできなかったけれども、今ならできるかもしれない。そういったことも含めるならば、災害のことを考えると、一つの行政で進めることがレスポンスの高さはやはり生まれるというふうに思いますし、また、政令市や中核市の隣接市町村なんかは、その町だけでなく、やはりそういった政令市に対してのレスポンスの高さを横目で見ている部分があったりします。

 そういったことも含めるならば、また新たな合併措置の設立をしながら市町村合併を進めて、安全対策を、防災対策を進めるということも一つの考えもあるかと思いますが、その辺について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

石田国務大臣 平成の合併につきましては、議員御指摘のとおり、合併特例債、合併補助金など、強力な財政支援も行いながら国を挙げて推進をいたしました。

 その上で、平成二十一年六月の第二十九次地方制度調査会の答申におきまして、従来と同様の手法を続けていくことには限界があるとされたことなどを踏まえまして、平成二十一年度をもって一区切りとなっております。

 総務省としては、合併算定がえなど合併の円滑化に必要な措置は存置した上での自主的な合併を選択する市町村に対する支援、また、一方で、中核市や指定都市を中心とする連携中枢都市圏を始めとする市町村同士の連携、さらに、核となる都市から相当距離があるときなどには、市町村間の連携が困難な場合の都道府県による補完など、多様な手法の中から最も適したものをみずから選択できる施策を推進してきております。

 現在、圏域における市町村の協力関係、その他の必要な地方行政体制のあり方につきまして、地方制度調査会に諮問がなされているところでありまして、その中でどのような支援が必要かなど、同調査会においてしっかりと議論が行われることを期待いたしたいと思っております。

松田分科員 先ほどもお話ししましたが、そういった平成の大合併をした後にできた町が、またさらなる発展に向けていろいろ考える中で、合併に新たな財政支援が生まれるならば、更に向上することもありますので、ぜひそういったことも含めた中で協議をいろいろ進めていただければというふうに思っております。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 入管法改正に伴う外国人増加に対応するための地方自治体に対する具体的支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私の選挙区である愛知県の小牧市は外国人集住都市でございまして、そういったことで問題点をかねてから持っている町。そうでない町も、全部、全国含めた中で、今回、入管法改正に伴う外国人の受入れの体制を進めていかなければならないということで、私も法務委員会の方に所属をいたしておりますので、その問題点についてはずっとやっております。

 また、地方議員から上がってきている面もございまして、地方自治体の現場の問題点というものを非常に肌で感じてきております。その辺についてちょっとお話もさせていただきたいと思っております。

 外国人集住都市会議の方からも意見書もいただいて、円滑に進められるようにお願いをしたいという意見もいただいておりますので、ぜひそういったことも御理解をいただければというふうに思っております。

 特に、今回の法改正において、人材不足という状況の中からこの問題が出てきている。つまり、日本人もそうなんですが、都市は働く場所があって、また、町には魅力があるから、そこには人が行くんです。でも、実際は、日本の方の人材が不足しているところに外国人の方に行ってもらうという話になるわけなので、つまり、そうでない町に新たに行く形になると、そこの役所、役場等々も、初めて外国人の方をたくさん受け入れる可能性が出てきているということも想定されるわけなんですね。

 そういったことについて、総務省としても、そのような町を含めた中で、どういった形で具体的に進められるのか。もう四月一日からですから、現場では一番混乱をしているところでありますので、具体的にちょっとお聞かせをいただければと思います。

石田国務大臣 総務省では、それぞれの地域の実情に応じた多文化共生の取組を促進するため、多文化共生推進プランの提示や事例集の公表などを通じまして、自治体において計画的かつ総合的な取組を実施するようお願いをしてきているところであります。

 昨年末に、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策が法務省を中心とした関係閣僚会議において取りまとめられましたが、その内容を全国の自治体に情報提供するとともに、法務省等関係省庁とともに都道府県への説明会を開催をいたしました。

 総務省としては、多文化共生の取組を全国的に広く展開することが重要であるとの認識のもと、総合的対応策において、生活支援などの分野で先進的に取り組む自治体からの助言や情報共有を促進する多文化共生アドバイザーの創設や、自治体間で情報共有等を行うための多文化共生地域会議の開催等を行うことといたしております。

 また、自治体が外国人向けの一元的相談窓口を運営する場合の地方負担や、一元的相談窓口を設けない場合であっても、市町村が行う行政情報や生活情報の多言語化に要する経費につきましては、地方財政措置を講ずることといたしております。

 外国人との共生社会の実現に向けまして、関係府省とともに引き続きしっかりと対応してまいりたいと考えております。

松田分科員 大臣、いろいろお答えいただいてありがとうございます。

 現実的には、窓口業務というのは、本当に、地元の臨時職員の方とか、そこの本当の現場の部分というのが非常に混乱が起きやすい。役所というのは、実は、外国人の方じゃなくても結構混乱を来すことが多いんですね。だから、そういった意味において、人材不足でばあんと行って、新しい人が来て、また、職員の人も混乱して、日本の方でもたらい回しにされる例が結構あるものだから、そういったことがないようにしなきゃいけないということを十分お伝えしたいという部分もありましたので、もう日にちもありません、そういった意味において、しっかりと国の方からも援助してあげていただきたいというふうに思っております。

 引き続きまして、災害時の外国人の方への対応について、国の方として、今、現状、どのように進められているか、お聞かせをいただきたいと思います。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣からもお話のございました総合的対応策の取りまとめの中で、災害情報に関しましても関係省庁が連携して必要な取組を行うこととしてございます。

 具体的な例を申し上げますと、例えば、気象情報や地方公共団体が出す避難情報に用いる言葉につきまして、十一カ国語で整理をし、セーフティーチップスというアプリを用いまして外国人の方々にプッシュ型で発信できる環境を整備してございます。

 また、気象庁のホームページの多言語化を行うとともに、大雨や洪水等の危険度を地図上で示しました危険度分布の改善、気象情報を認識できるアラーム音の検討なども行っているところでございます。

 これらの取組の成果につきまして、地方入国管理官署や地方公共団体の各種窓口等を通じまして、外国人への周知を図ってまいります。

 引き続き、気象や避難に関する情報がさまざまな形で外国人まで届くよう、関係省庁と連携をして取り組んでまいります。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 消防庁におきましても、関係府省庁と連携しながら各種の取組を行っております。

 一つには、主要言語で三百六十五日二十四時間、迅速的確に外国人の方からの一一九番通報に対応するために、電話通訳センターを介しました三者間の同時通訳の体制整備を進めておるところでございます。

 また、外国人傷病者への救急対応を迅速に行うために、平成二十九年四月から、翻訳用アプリでございます救急ボイストラの提供を開始いたしまして、消防本部に対して利用促進を図っているところでございます。

 さらに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けまして、各消防本部に対し、多数の外国人観光客等の利用が想定されます駅、空港、競技場、旅館、ホテル等の施設への訓練指導等の機会を捉えまして、これらの施設におきまして、フリップボードなどを活用した避難誘導等の多言語化、視覚化や、易しい日本語によります避難誘導など、外国人観光客等に配慮した効果的な自衛消防体制の整備を促進していただくよう依頼をいたしております。

 今後とも、外国人に対する災害時の情報提供等を円滑に行える体制の整備に取り組んでまいります。

松田分科員 いろいろやっていただいている中で、アプリを使ってというのがいろいろあるんですね。それは、全部持っていないと情報が入らないということなんですね。それも全部自分で開いてということも含めると、例えば、緊急地震速報があると、テレビを見たら、ぴろんと出るじゃないですか、ああいうのを多言語化するとか、そういった考え、NHKの方もどういうふうに思われているか、お聞かせください。

木田参考人 お答えいたします。

 緊急地震速報は、揺れが来るまで数秒から数十秒の猶予しかないことから、通常の日本語での情報発信を妨げることなく多言語化するということは大変難しいと今考えております。

 日本を訪れる外国人の増加を踏まえて、災害時の外国人への情報発信には大変力を入れているところではありますが、緊急地震速報については、多言語化は今の技術水準では難しいと考えております。

松田分科員 地震ばかりではないので、いろんな災害、台風でもそうですけれども、津波や竜巻もそうですが、まあ、それは技術論だと思うので、今後ぜひ御検討いただければというふうに思っております。やはり情報は提供してあげることが最低ですから、技術論に関しては、日本の技術はすばらしいですから、ぜひそういったことを工夫していただければと思います。

 最後に、消防団に対する質問をさせていただきたいと思っております。

 消防団の皆さんは、消防操法など、各地で一生懸命頑張って、市民の安全に対して努めているところであります。そういった中で、災害が非常に多くなっている、その現場のレスポンスが一番あるのが消防団の方であります。

 そういった中で、災害のときに消防ポンプ車の頻度が増しているということもございまして、それの補助金が一括になってしまって、なくなってしまったように感じ取られている部分もありますので、今、それをまた新しく支援をしていただきたいという声も消防団の皆さんから上がってきておりますので、その辺についての御意見をいただきたいと思います。

奥野(信)主査代理 もう松田君の時間は終了していますので、簡単に答えてください。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、消防団向けの消防ポンプ自動車につきましては、かつては補助金がございましたが、三位一体の改革によりまして一般財源化されたところでございます。

 消防庁といたしましては、平成二十年度以降、補正予算等によりまして、救助用資機材等を搭載した消防ポンプ自動車を市町村に無償で貸し出すということをやってきておりまして、二十九年度補正予算までで九百七十五台を全国の市町村に貸与してきているところでございます。

 平成三十年度の第二次補正予算、それから三十一年度の当初予算案におきましても、今申し上げました貸出し事業をやるということで、予算の確保をお願いしているところでございます。

 今後とも、消防団の充実強化に取り組んでまいります。

松田分科員 ありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて松田功君の質疑は終了いたしました。

    〔奥野(信)主査代理退席、主査着席〕

坂本主査 次に、田村貴昭さん。

田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、東京圏一極集中の是正の問題について質問をします。

 石田総務大臣は所信表明の中で、さきの臨時国会において、私は、地方の疲弊は限界に達し、東京一極集中の是正が急務であるとの認識を申し上げましたが、直近の調査でも地方から東京圏への転出が続いていることはまことに残念でありますと述べられました。

 そこで、総務省にお伺いします。

 住民基本台帳人口移動報告の二〇一八年結果が一月末に発表されていますが、東京圏一極集中について、転入転出の状況についてはどうなっているでしょうか。二〇一三年以降の状況について簡単に説明をしていただけますか。

千野政府参考人 お答えいたします。

 住民基本台帳人口移動報告によりまして日本人移動者の動きを見ますと、東京圏では転入者数が転出者数より多いという転入超過の状況が続いております。

 まず、東京圏への転入者数ですが、二〇一三年の四十六万六千八百四十四人からおおむね増加傾向であります。二〇一八年は四十九万千三人となっております。

 次に、東京圏からの転出者数ですが、二〇一三年の三十七万三百二十人からおおむね減少傾向になっておりまして、二〇一八年には三十五万五千四百三人となっております。

 この結果、東京圏への転入超過数ですが、二〇一三年の九万六千五百二十四人からおおむね拡大傾向で推移しておりまして、二〇一八年には十三万五千六百人となりまして、これは前年に比べて一万五千八百二十一人の拡大となっております。

田村(貴)分科員 今答弁いただいたことをグラフにしたのがお配りしている資料であります。

 転入超過、歯どめがかかっていません。私、何で二〇一三年以降の数字を聞いたかといいますと、これは、石田大臣御存じのように、安倍政権が、二〇一三年から東京圏から地方への転出を年間四万人増加させて、地方から東京圏への転入を年間六万人減少させる、そして二〇二〇年時点で東京圏から地方への転出転入を均衡させると方針を掲げているからであります。これは閣議決定であります。まち・ひと・しごと創生総合戦略の基本中の基本方針であります。

 そこで、石田大臣、もはやこの来年の均衡の目標というのは達成できないのではありませんか。私は、過去何度か、この質問を委員会等で取り上げ、総理にも質問をさせていただいたんですけれども、そのときの答弁は、頑張るということ以外はありませんでした。この閣議決定、そして地方創生の一丁目一番地の方針についてどうされるんでしょうか。

石田国務大臣 今回の住民基本台帳移動報告の結果は、東京一極集中に歯どめがかかっていないということを改めて示すものでありまして、危機感を新たにするとともに、この状況を変えなければならないという思いを強くいたしました。

 こういう状況の中でありますけれども、私もいろいろと思う中で、就任以来、二つの明るい兆しがあるのではないかというふうに感じております。

 その一つは、やはり生活環境を変えたいという若い人たちの意識の変化でございまして、昨年、NPO法人のふるさと回帰支援センターへの移住相談件数、これはもう毎年一万人ずつぐらいふえてきていますけれども……(田村(貴)分科員「所信でお伺いしました」と呼ぶ)ええ、四万件になりました。そのうちで、年代別でいいますと二十代から三十代が五〇%を超え、そして四十代を含めると七〇%を超えている、すなわち働き盛りの人が移住を考えている、これは今までにない大きな変化だと思っておりますし、申し上げればほかにもその兆候がありますが、それは割愛をさせていただきたいと思います。

 もう一つは、ソサエティー五・〇を支える技術革新の着実な進展でございまして、既に実用化されている技術で地方を大きく変えるものがありますし、今後の進展の中で地方を更に大きく変えていくというふうに考えられます。

 今で申し上げれば、今は日本のどこにいても世界とつながって仕事ができる、あるいはどこにいてもさまざまな生活支援サービスを受けられる、こういう大きな変化が起こっておりまして、こうした変化を地方にとってのチャンスにしていく、そのことが私は非常に大事だというふうに思っております。

 そういう中で、若い人たちに地方に行っていただく、こうした流れをつくることが重要だというふうに思っておりまして、例えば企業にあってはサテライトオフィスあるいはテレワークなど、東京にだけ集中するのではなく、東京圏に置かなければいけない部門以外の部門の地方への機能移転、そういうこともしっかり、お願いもし、取り組んでもいかなければなりません。

 また、今回の調査でも明らかになりましたのは、東京圏の平成三十年度大学入学者数は二十五万六千九百九十四人でありまして、うち東京圏以外からは八万四千六百九十六人であることから、私は、地方大学を充実させる中でどうやっていくか、別の角度の検討も非常に重要になっていくと考えております。

 そういう中で、昨年……

坂本主査 大臣、簡潔にお願いいたします。

石田国務大臣 ええ。(田村(貴)分科員「質問と違うんですね、質問の答えじゃないんです」と呼ぶ)いやいや。

 といいますのは、これからこういう取組、各省とも連携して、スピード感を持って取り組むことによりまして、持続可能な地域社会の実現、それにつなげてまいりたいと思っております。

田村(貴)分科員 私がお伺いしたのは、二〇二〇年、来年度の目標は達成できないんじゃないですか、この政府の方針、閣議決定をどうされるんですかと聞いているんですよ。お答えになられませんでした。

 本腰を入れて東京圏一極集中の是正に取り組んでいただかなければ、それは大臣の地元の和歌山でも、私の住んでいる福岡・北九州でも、これは大変な転出超過、そして高齢化、それから地域によっては過疎化の進行で、苦労とそして悩んでおられるという状況が続くばかりなのであります。

 そこで、きょうは離島の、鹿児島県の種子島、西之表に帰属する馬毛島の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 防衛省は、二〇一一年以降、鹿児島県種子島沖十二キロに位置する馬毛島を、南西地域における防衛体制の充実のためとして、FCLP、米軍空母艦載機地上離着陸訓練を実施するために島を取得しようとして、地権者との交渉を今行っているところであります。

 馬毛島においては、この間、地権者がさまざまな開発行為を行ってまいりました。

 農林水産省にお伺いいたします。

 森林法において、一ヘクタール以上の開発行為を行う場合、どのような手続を踏まえなければならないんでしょうか。開発する場合、一ヘクタールを超える伐採届については抜根できない、林地として残っていることが必要ではないかと私は認識していますけれども、説明をしていただけますか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林法におきましては、保安林以外の民有林において、一ヘクタールを超える開発行為を行う場合は都道府県知事の許可を受けなければならないとされているところでございます。

 そして、その対象となる開発行為につきましては、土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為とされているところでございます。

 したがいまして、民有林において、一ヘクタールを超えて、例えば樹根の採掘等、土地の形質を変更する行為を行う場合は、市町村への伐採届出ではなくて、都道府県知事の許可が必要であるということでございます。

田村(貴)分科員 そうすると、馬毛島における当該開発行為というのは、これは違法になってまいります。

 資料3をごらんいただきたいと思います。

 鹿児島県が、馬毛島の所有者が西之表市に提出した伐採届の状況に林地開発許可地を重ね合わせた資料であります。非常にわかりやすいのでお配りをしていますけれども、資料3です。

 島の広範囲にわたって伐採届が出されています。グレーの部分のみが、今答弁ありましたように、県知事が与えた林地開発許可地であります。ほかの色のところは伐採届のみであります。伐採届は二〇〇二年七月から二〇〇七年四月の間までに十二件、百七十ヘクタール出されています。もちろん一ヘクタール以上であります。農水省の今の説明では、これは抜根できませんよね。林地として残っていることが必要ですよね。

 現状はどうなのか。戻って資料2をごらんいただきたいと思います。

 朝日新聞の二〇一一年八月十一日付記事です。三つの写真がありますけれども、森林がなくなっていく過程が見てとれます。

 それから、先ほどの3の右側のグーグルマップの図ですけれども、巨大な十字架状の地面があらわになっています。東西に走る滑走路をつくろうとしたんでしょうか。この地域の林地開発許可というのは一部だけであります。

 このように見ていきますと、明らかに違法行為であります。

 鹿児島県はどのように認識しているでしょうか。議会答弁で次のように述べておられます。昨今の報道による映像や同社会長の発言等を勘案すると、森林法に抵触しているおそれがあると考えていますと。

 これは過去の議会答弁でありますけれども、鹿児島県に確認しますと、今もそういう認識であるということでありました。

 鹿児島県が違法を認識しているだけではありません。

 公害等調整委員会の馬毛島における開発工事による漁業被害原因裁定申請事件の裁定書があります。この中で、裁定委員会が林地開発事業、立木伐採事業について述べたところを紹介していただけますか。所管は総務省だと伺っています。

川淵政府参考人 委員御指摘の事件でございますけれども、鹿児島県西之表市の漁業を営む住民十三人の方が、土地開発会社による馬毛島の開発行為により土砂が周辺海域に流れ込んで海洋汚染が生じたためにトコブシ等の漁獲量が減少したとして裁定の申請を行ったものでございます。

 公害等調整委員会の裁定委員会は、本件の審理の中で、被申請人である土地開発会社の行った林地開発事業及び立木伐採事業について、平成十七年ごろまでは、おおむね許可申請又は届出に沿った開発が行われていた、その後、平成二十年ころまでには、許可申請及び届出の範囲を超える開発及び伐採をしていたと推認されることから、平成十七年以降の開発行為については、降雨に伴って想定を上回る量の土砂流出が生じたことがうかがわれるとしております。

 当該申請につきましては、漁業被害を生じさせる程度までの海洋汚染があったと認めるに足りる証拠はないとして、申請を棄却しているところでございます。

田村(貴)分科員 公害等調整委員会も違法伐採であると事実認定しています。許可申請及び届出の範囲を超える開発及び伐採をしているものと認められる、こういう事実認定をしているわけであります。違法の土地を国有財産として取得していいのですかという疑義が発生します。

 そこで、きょうは防衛省原田副大臣にお越しいただいています。防衛省が地権者から買おうとしているこの土地は、林地の再生を行っていません。森林法に違反した開発を行っています。副大臣は、この事実を御承知でしたか。

原田副大臣 馬毛島につきましては、田村委員お示しのように、防衛省としましては、空母艦載機の着陸訓練、FCLPを実施するための候補地として今検討を進めさせていただいております。

 防衛省としては、現在、馬毛島の土地の大半を所有するタストン・エアポート社との間で売買契約を締結できるように引き続き協議をいたしておるところでございます。現時点におきまして、交渉の内容についてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、防衛省としては、FCLP施設の確保を安全保障上の重要課題と考えておりまして、早期に恒久的な施設を整備できるように引き続き取り組んでまいる所存でございます。

田村(貴)分科員 副大臣、私がお伺いしたのは、今、農水省から、それから総務省からお話があったように、森林法に違反した開発を行っているという事実認定もある、疑いがかかっている、そういう土地であるということを副大臣は認識されて、種子島に、鹿児島県に行かれたんですか。この事実を御存じないんですか。それだけ聞いているんです。イエスかノーかで答えてください。

原田副大臣 今委員お示しのことも含めて、私どもは交渉をいたしておるということでございます。

田村(貴)分科員 知っているんですね。

原田副大臣 私自身が知っているかどうかも含めて、今交渉中でありますので、答えは差し控えさせていただきたいと思います。

田村(貴)分科員 ここは大事なんですよ。取得しようとする土地で、そして価格を提示して地権者と交渉されているわけですよね。その結果も踏まえて、鹿児島県に行き、西之表市長とも会われたわけでしょう。副大臣は、買おうとしている土地ですよ、防衛省が買おうとしている土地が違法開発の疑いがかかっている、事実認定もされている、この事実を知っているんですか、知っていないんですか。

原田副大臣 私が西之表市の八板市長と面会をさせていただいたのは、馬毛島の調査、FCLPももちろんでありますけれども、自衛隊の基地として買収するにふさわしいかどうかということも含めて調査をいたしたいということで面会をさせていただいたところでございます。

田村(貴)分科員 お答えにならないので質問を変えますけれども、防衛省は、馬毛島で基礎的な資料を収集する、気象条件の調査をするとかそういったことで、二〇一八年度に二億四千五百万円の予算を支出しました。既にいろんな調査に当たられていると思うんですけれども、今私が申し上げた森林法違反、違法な伐採等々については確認していますか。調査をしていますか。地権者、県や農水省、総務省に対して事実確認を行っていますか。

 調査の中身についてお答えいただきたいと通告していますので、この中に、この違法伐採のことについては調査していますか。

原田副大臣 繰り返しでありますけれども、今交渉をしておる最中でございますので、その内容につきましては、答えは差し控えさせていただきたいと思います。

田村(貴)分科員 どうやらこうした大事な部分はすっ飛ばして、そして地権者と交渉しているというふうにとられても仕方がないですよ、お答えにならないんだったら。

 国土交通省にお伺いします。

 公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というのがあります。これは閣議決定です。その中では、「正常な取引価格をもつて補償する」とされています。国有財産として取得しようとする土地が違法開発など瑕疵ある物件だった場合、どういう対応をされてきましたか。また、されますか。

鳩山政府参考人 お答えさせていただきます。

 国土交通省の公共用地の取得は、先生御指摘の閣議決定でございます公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に準じて制定いたしました国土交通省の公共用地の取得に伴う損失補償基準に基づき行っております。

 ここでは、土地の正常な取引価格というものは、近傍類地の取引価格を基準としまして、これらの土地及び取得する土地について、土地価格形成上の諸要素を総合的に比較考量して算定することとなっております。

 なお、具体的に、その訓令の九条のところに、宅地、農地、林地等について、いろんな要素が例示されておるんですけれども、宅地が一番詳しくて、一、形状、地積等に並んで、土地の利用に関する公法上の規制の程度というものも入ってございます。林地については、直接はその文言はありませんけれども、何とか等ということで書いてございますので、その中に広く含められると思います。

 先生御質問の、瑕疵というか、この場合、先生御指摘の場合は今何か違法開発的なものが明らかであるということなので、ちょっと瑕疵というのは……(田村(貴)分科員「一般論でいいです」と呼ぶ)一般論ですね。

 ですから、一般論で言うと、そういうものも、土地価格形成上の諸要素として総合的に比較考量して算定することになるということでございます。

田村(貴)分科員 違法行為があったとすると、例えば土壌汚染があるとか、そうすると、法に基づいて原状に回復するとか補償額を減額するという措置はとられないんですか。

鳩山政府参考人 例えば、先生今御指摘の土壌汚染がある場合は、その汚染がない前提の評価額から、その汚染の除去費用等を減価要因として織り込む等により評価を行っております。

田村(貴)分科員 つまり、やはり瑕疵ある物件だったら、そこをもとに戻すということが一番大事なんですよ、公費を投じて国有財産にするんですから。

 副大臣、お伺いしたいんですけれども、地権者は、その森林法違反のことについて、是正する、原状に回復するというふうに交渉経過の中で述べているんですか。これはちゃんと明らかにしないと大変なことになりますよ。

 それから、瑕疵ある物件を国有財産として取得していいんですか。違法開発のおそれがあることも知らずに地権者と売買交渉をしていいんですか。これについてどうですか。

原田副大臣 繰り返しになりますけれども、現在、馬毛島の土地の大半を所有をいたしますタストン・エアポート社との間で売買契約を締結できるように、引き続き協議をしているところでございまして、現時点において、売買価格その他につきましてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

田村(貴)分科員 違法開発である土地を、地権者に対して、そして行政に対して、確かめもせずですよ、国が巨費を投じることなどあってはなりません。国が違法行為を追認して土地を取得しようということなどは絶対に認められないわけであります。売買交渉を直ちに中止して、私の質問に答えられるように、そしてそれを内外に明らかにしていただきたいと思います。

 質問を続けたいと思います。

 国土交通省に伺います。不動産鑑定評価額を大きく上回ったり下回ったりして国有財産を取得するようなことはあり得るんでしょうか。交渉に当たって相手方と価格が折り合わなくなった場合にはどうされていますか。

鳩山政府参考人 国土交通省の補償業務を直接担当する地方整備局等におきましては、地権者に補償金額を提示する際、近傍の取引事例のほか、土地や物件の現状などを詳細に調査しまして、関係情報をできる限り収集した上で、補償基準にのっとり補償額を算定しております。

 その際、別途不動産鑑定士に依頼した鑑定評価の価格との間に開差があることもあり得ますが、その場合は、鑑定評価額の決定理由を確認の上、地方整備局において評価した価格を再検討し、適正な評価額を求めるよう努めております。

 その上でですが、道路や河川などの公共用地を取得する際には、一定の取引価格が、一定の取引事例が存在するのが通例でございまして、このため、地方整備局等で算定した補償金額と不動産鑑定士から徴した鑑定価格とが著しく乖離していることというのは通常考えにくいところでございます。

 ただ、一般論として申し上げれば、取引事例が極端に少ないなどの条件のもとでは価格の評価が困難であり、評価に差が生じることも考えられるところでございます。

 地権者の方に提示する補償額は、できる限り十分な情報のもとに、補償基準にのっとって算定しており、その金額に御理解をいただけるよう丁寧な説明に努めておりますが、どうしても価格が折り合わない場合は、やむなく土地収用手続に移行するというような場合もございます。

田村(貴)分科員 不動産鑑定評価額と実際の売買金額が著しく乖離することというのは考えられない、基本的に考えられないということであります。

 報道等では、不動産鑑定評価額が四十五億円、交渉している価格が百六十億円。これがずっと流れているわけですよ。NHKも民放も新聞も全部こういう報道をされているんですよ。そのことについても何にもおっしゃらないんですよ。違法開発行為があった瑕疵ある物件であることも調査もしていない。このことも確かめずして売買交渉をやっている。これは大事な問題ですよ、重大ですよ。

 副大臣、冷静になってちょっと答えていただきたいんですけれども、馬毛島のどこが合法的に開発許可されたところで、どこが違法開発されたところか、これは今の段階ではわからないわけですよ。鹿児島県が調査に入ろうとしているんだけれども調査ができていない。そんな段階で、どうして公正な売買価格というのが算定できるんですか。どうして価格の提示ができるんですか。そのことについてお答えいただきたいと思います。

原田副大臣 防衛省から価格の提示をしたことはございません。その点だけは御理解をいただきたいと思います。

田村(貴)分科員 さらに、この土地は抵当権が設定されています。

 国土交通省にお伺いしますけれども、抵当権が設定されている場合には、当該権利を消滅させることを売買相手に求めるように示しているということですね。時間がないので、そういうことですよね。はい、確認しました。

 副大臣、取得対象の土地に抵当権が打たれていますけれども、これは当然抹消して取得するという防衛省の方針でよろしいんですね。

原田副大臣 原則といたしまして、行政財産として土地を取得する場合には、田村委員お示しのように、国有財産法の定めによることとなりますけれども、同法律には、行政財産にする目的で土地等を取得する場合には、抵当権等の所有権以外の権利が設定されている土地等の取得に係る制限規定はないために、合理的な理由と妥当性があれば、所有権以外の権利が設定をされている土地の取得もやむを得ないものと考えられます。

田村(貴)分科員 抵当権が設定されたままで土地の取得もあり得るということですか、防衛省。確認します。

原田副大臣 所有権以外に、権利が国にとって著しく不利とならないもの、そして、当該権利を考慮した適正な対価で取得できること、それから三番目としましては、緊急性、非代替性等が当該権利が設定されている土地の取得に優先するということが合理的な理由として考えられますので、取得することもあり得るということでございます。

田村(貴)分科員 非常に密室の中で、数十億、百数十億というお金を動かして国有財産にする、瑕疵ある物件を。これは大問題ですよ。予算が計上されないと私たちはわからないんだけれども、そんなことでいいんですか。

 資料四番目にお配りしているんですけれども、南西地域における陸上自衛隊部隊配備に伴う不動産鑑定評価額等、鑑定評価額と売買契約額は同一であります。そして、大体の国有財産というのは、そうした抵当権が打たれているものについては抹消する。これは土地の取得に当たっている国土交通省の一番基本的な考え方ですよね。それをやはり例外があるみたいな形でやっていくというのは、これは絶対に、島の人たち、鹿児島県の人たち、国民の理解は得られないと思います。

 馬毛島というのは、一九九八年、国有地でありました。その国有地である馬毛島を、国は農地の一部として払い下げた経過があります。その売却金額は千三百四十万円、広さは十三万六千八百八十平米でありますけれども、農水省、それでいいですね。はい。数字だけです。(山北政府参考人「面積が違います」と呼ぶ)面積を言ってください。

山北政府参考人 面積は十三万九千八百八十平方メートルでございます。

田村(貴)分科員 そうすると、一ヘクタール九十五万七千九百六十四円で当時払い下げたんです。

 今度は買い受ける番ですよね。払い下げたときの価格を、地権者の所有地、八百十二ヘクタールとしましょう、に乗じれば、馬毛島全体の価格は約七億八千万円ということになります。二十年たってもこの島は無人島であります。そして、加えて、違法開発が行われている物件であります。島の不動産価値が上がることはあり得ません。

 不動産鑑定が四十五億、そして、ちまたで伝えられている交渉価格が百六十億円、これは絶対理解できないんですけれども、まさかそういうお金を提示して交渉されているのではありませんよね。副大臣、いかがですか、百六十億円。

原田副大臣 額を提示して交渉に当たっておる事実はございません。

田村(貴)分科員 では、防衛省からお伺いしているんですけれども、お互い的な基本事項について文書で交わしたと言っているんですけれども、それは価格については合意をしていないということでよろしいんですか。

坂本主査 質問時間が終了しています。

原田副大臣 今委員お示しのとおりでございます。

田村(貴)分科員 時間が参りました。終わりますけれども、空母艦載機というのは、飛行場の滑走路を空母に見立てて離着陸を繰り返す実戦さながらの訓練であります。耐えがたい騒音、そして牛の乳が出なくなるのではないか、不安におびえる島の声がたくさん出されております。平穏な島の人たちの生活と環境を脅かす、こうした土地の取得は断じて認められません。

 そのことを指摘して、きょうの質問を終わります。

坂本主査 これにて田村貴昭さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則さん。

山井分科員 三十分の質問時間、ありがとうございます。

 石田大臣を中心に、この統計不正、アベノミクス偽装の問題について質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、きょうの配付資料十六ページにもございますが、統計委員会で西村清彦統計委員長はこういうふうに発言されているんですね。「統計委員会は、日本の統計全体に対して責任を負っているわけです。」と。これは、非常に崇高な使命を統計委員会は負っておられると思います。私は、西村委員長がこのような責任感のもとに懸命に職務を遂行しておられることに敬意を表したいと思います。

 ただ、昨年の名目、実質賃金の伸び率に関しては、前代未聞の上振れ、水増しが行われ、賃金偽装、アベノミクス偽装と言われる事態になっていること、これは国家的な危機であると思っております。正しい統計なくして正しい政策はつくれません。

 おまけに、衆議院の予算委員会において当初から、実質賃金、正しい実質賃金、つまり、共通事業所の参考値を公表するようにと言っておりますが、まだ公表されておりません。

 そのような中で、私、昨日も予算委員会で参考人質疑をさせていただきました。この配付資料にもございますが、昨年の六月、「名目賃金二十一年ぶり上昇率」。そして、このことについて、昨日、自民党の推薦された日本を代表する著名なエコノミストの方に、この二十一年ぶりの去年六月の名目賃金上昇率について、これは正しいと思われますかと聞いたら、そのエコノミストの方はこう答弁されたわけですね。この公表されている本系列の伸び率というのは相当割り引いて見ないといけないと。これは衝撃的な話です。政府が公表している伸び率を、自民党の参考人の、著名な日本を代表するエコノミストの方が、相当割り引いて見ないといけないと。まあ、私が勝手に解釈をつけ加えると、信用できないということですよね。

 おまけに、実質賃金、政府はプラス〇・二%と公表していますけれども、プラスだったと思われますか、マイナスだったと思われますか、昨年はと聞いたら、その自民党推薦の著名なエコノミストの方は、きのう私の質問に対して、お答えとしては、わからない。

 石田大臣、これは危機的な状況だと思われませんか。プラス〇・二%と政府は発表しているんですよ。でも、残念ながら、自民党推薦のエコノミストの人でさえ、プラス〇・二%が正しいと言えない。

 私、ここで石田大臣と余り政争の具にして争おうとは思っていないんです。冒頭に言ったように、これは与党も野党も関係なく、日本の国の信頼、正しい政策をつくるには、正しい統計を国民や国内外に知らせねばなりません。その中で最後の見張り役が統計委員会、総務省だと私は期待しております。

 もう少し言いますと、きょうの配付資料にもありますように、今公表されている値では、名目賃金は昨年一・四%プラス。しかし、統計委員会が重視すべきという共通事業所の年平均をエコノミストの方々が計算すると、プラス〇・八%ぐらいじゃないか。また、実質賃金についても、二十二日にプラス〇・二%と発表されたけれども、実際、統計委員会が主張する共通事業所系列の比較においてはマイナス〇・三%程度ではないかということを、これは野党だけではなく、エコノミストの方々や国内外のマスコミが指摘をしております。これは、正しい統計が明らかにならなかったら、政策議論ができないんです。

 そこで、総務省にお伺いしたいと思います。

 つまり、きょうの私の配付資料の二ページ目、三ページ目にも出ておりますが、総務委員会で、私の質問や稲富議員の質問に対して、昨年六月の景気指標としての賃金伸び率は何%ですか、本系列は二・八だけれども、共通事業所は一・四%ということで、どちらが正しいですかと聞いたら、景気指標としての賃金伸び率は一・四%ですということを稲富議員や私の質問に対して答弁をされています。石田大臣もうなずいておられますから、御理解されていると思います。

 改めてですけれども、ということは、昨年一年間の景気指標としての賃金伸び率は、景気指標として、賃金伸び率として重視すべき数値は、昨年一月から十二月まで、それぞれ何%でしたか。

横田(信)政府参考人 御質問の件につきましては、基本的には、毎月勤労統計を所管しております厚生労働省からお答えすべきものであるとは考えますけれども、公表数字でございますので、申し上げたいと思います。

 お尋ねの数字、これは共通事業所の賃金伸び率ということであろうかと思います。これは、数字が、申しますと、三十年一月ですと〇・三%、二月で〇・八%、三月で一・二%、四月で〇・四%、五月で〇・三%、六月で一・四%、七月で〇・七%、八月で〇・九%、九月で〇・一%、それから十月で〇・九%、十一月で一・〇%、十二月で二・〇%ということでございます。

山井分科員 その数字を単純に平均するとプラス〇・八%になります。景気指標としての昨年の名目賃金の賃金伸び率、今御回答いただきました、それを単純に機械的に平均するとプラス〇・八%です。

 にもかかわらず、このプラス〇・八%は全く政府からは公表されておりません。確報値として二月二十二日に発表されたのは、一・四%という本系列の名目賃金の伸び率しか公表されておりません。一・四%か〇・八%かというのは、これはかなり大きな違いです。

 そこで、石田大臣にお伺いしたいと思います。

 賃金水準を聞いているのではありません。石田大臣には念のため言います、賃金水準は問うておりません。景気指標としての賃金伸び率としては、昨年は、一・四%という数字と共通事業所の機械的な平均の〇・八%と、どちらを重視すべきと考えておられますか。

石田国務大臣 まず、この問題につきましては随分議論されておりますけれども、統計委員会の見解としては、毎月勤労統計調査の賃金系列については、昨年九月二十八日の統計委員会におきまして、労働者全体の賃金の水準についてはサンプルサイズが大きい本系列、それから、景気指標としての賃金変化率としてはサンプル入れかえの影響を回避できる共通事業所を重視していくことが重要との見解が示されたものと承知いたしております。

 ただし、共通事業所系列のメリット、デメリットも示されたと承知をいたしておりまして、本系列の再集計値と共通事業所系列については、メリット、デメリットを踏まえ、それぞれの数値の特性を理解した上で、利用者が目的に応じて判断されるべきであるという指摘になっているというふうに思っております。

山井分科員 ちょっと石田大臣、時間にも限りがあるんですから、誠実にお答えください。私は、今答弁されたことは全部知っていますよ、それは。当たり前の話じゃないですか。

 だからこそ、今、一・四%か共通事業所の機械的な平均の〇・八%か、どちらを重視すべきですかということをお聞きしているんです。お答えください。

石田国務大臣 それは、私は、御利用される皆さん方が目的に応じて判断されたらいいと思っております。

山井分科員 いや、ところが、この〇・八の共通事業所の年平均は、政府は公表していないんですよ。判断しようがないんです。政府が公表しているのは一・四%だけなんです。

石田国務大臣 その問題につきましては、厚労省の方で御判断して対応されると思います。

山井分科員 改めて石田大臣にお聞きします。統計の責任者ですからね、統計委員会を。

 じゃ、昨年の景気指標としての名目賃金の賃金伸び率は、石田大臣、何%だったんですか。

横田(信)政府参考人 共通事業所系列の数値につきましては、これは各月ごとに出しているものでございますので、一年を通じてというものはございません。

山井分科員 石田大臣、これは初歩的な質問ですよ。去年の名目賃金の景気指標としての賃金伸び率は何%だったんですか。すごく初歩的な質問ですよ。総務大臣、お答えください。

 総務大臣、初歩的な質問で、えっ、大臣、答えられないんですか、この質問に。ちょっと大臣、答えてくださいよ。基本的な質問じゃないですか。去年の名目賃金の景気指標としての賃金伸び率は何%だったんですか。

 いや、結構です、事務方は。そのために今、国会をやっているんですから。こんな初歩的な質問、大臣、答えられないはずないでしょう。それによって私たちは国の政策を議論するんだから。何%なんですか、総務大臣。

石田国務大臣 毎月勤労統計ということで、年内のことはありません。年の平均のことはありません。

山井分科員 ということは、昨年一年間の名目賃金の景気指標としての賃金伸び率のデータはないということですか。ないということでいいですか。

 いや、大臣、お答えください。

 ちょっと、議論されるんだったらとめてください、一回。ちょっととめてください、一瞬。一瞬でいいから。

坂本主査 じゃ、時計をとめてください。

    〔速記中止〕

坂本主査 再開してください。

 石田大臣。

石田国務大臣 名目については一・四でありまして、実質についてはありません。

山井分科員 これ、一・四というのは、統計委員会では、景気指標としての賃金伸び率は共通事業所を重視すべきと正式に見解を出しているんですよ。これは共通事業所じゃないんですよ、一・四%。

 ということは、本当に今の答弁でいいんですか。景気指標としての昨年の名目賃金の賃金上昇率は一・四%、本当にその答弁でいいんですか。確認します、石田大臣。いや、石田大臣。

横田(信)政府参考人 これは景気をどう捉えるかということでございます。その意味におきまして、今大臣の方から申し上げたのは、名目賃金の伸び率が一・四%ということを申し上げたということでございます。

 あくまでも、先ほど来申し上げていますように、どういう観点で数字を使うかというのは、それぞれのユーザーの方でお決めいただくということでございます。もともと、この本系列それから共通事業所系列……(山井分科員「いや、それはわかっています。結構です、それはもう、同じ話だから」と呼ぶ)よろしいですか。

山井分科員 石田大臣、改めてお聞きします。

 私はわざと、景気指標としての賃金伸び率は名目は昨年何%かと聞いているんですよ。これは重要な答弁ですよ。本当に一・四%でいいんですか。これは共通事業所じゃないですよ。調査方法も変わっていますよ。にもかかわらず、景気指標としての賃金上昇率、名目、去年一・四ということで本当にいいんですか。

石田国務大臣 私は、それを申し上げる立場にはないと思いますけれども、公表されているのは、名目賃金は一・四ということが公表されているということであります。

山井分科員 まさに今おっしゃいましたが、それを答弁する立場にない。つまり、景気指標としての昨年の名目賃金の伸び率はまだわからないんですよ。公表されていないんですよ。これは石田大臣、深刻な問題ですよ。共通事業所の方が、統計委員会が重視すべきといいながら、年は発表しない。だからこそ、国内外のエコノミストから、残念ながら、この統計は信用されない、実態とかけ離れている、うそだとさえ言われているんです。

 それで、こうなった最大の理由は、ベンチマーク更新の補正をしなかった。これは統計委員会に出された資料ですけれども、それによって〇・四%程度上振れしている。しかし、補正をしていない。だから、上振れしたままなんです。

 そこで、石田大臣にお聞きします。質問通告の七番目です。

 これは先日の予算委員会でも、西村統計委員長は、この〇・四%程度のベンチマーク更新の上振れの補正、これをするかどうかに関してはペンディングのままだったということをおっしゃっているんです。

 これは、石田大臣、質問通告もしていますが、いつ、これだけの上振れがあるのに、補正しないということを統計委員会としては承諾したんですか。昨年一月の調査方法の変更の前ですか、後ですか、お答えください。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 少し整理して申し上げますと、統計委員会におきましては、毎月勤労統計の改善に関する検討を……(山井分科員「ちょっと時間がないので、結論だけで結構です」と呼ぶ)いや、事情をやはり説明しないとわかりませんので。

 平成二十七年六月以降で、数年にわたって行ってきていると承知をしております。

 この間、統計委員会の新旧データ接続ワーキンググループでは、平成二十八年六月から八月にかけて、標本交代に伴う断層への対応について議論されました。

 一方で、平成二十七年十二月十一日の統計委員会基本計画部会では、未諮問基幹統計として毎月勤労統計を審議し、厚生労働省からベンチマーク更新時の補正方法の取扱いを含めた説明が行われました。平成二十八年三月の統計委員会基本計画部会では、ウエート更新によるものを含む断層の補正方法も検討されたと承知をいたしております。

 平成二十八年十一月から翌年一月にかけて行われた毎月勤労統計調査の調査計画の変更に係る諮問審議は、このような数年にわたる検討の一環として行われたものと理解をいたしております。

 なお、ウエート更新に伴う断層につきましては、補正を行わないという現在の方法については、平成三十年八月二十八日に開催された統計委員会において、標準的な対応として評価されているところであります。

山井分科員 確認します。私の質問に端的にお答えください。

 このベンチマーク更新の補正をしないことは事後承諾だったんですか、去年の一月以降の、今、八月二十八日とおっしゃったけれども。要は、行われてから統計委員会として承認、承諾したのか、事前に承認、承諾したのか、それを明確にお答えください。どっちなんですか。

石田国務大臣 これについては予算委員会でも御議論がございまして、厚労大臣と私、総務大臣との答弁が違うということで、統一見解を出せということの御指摘がございまして、そして、出させていただいた文書によりますと、これは、厚労省としては、今私が答弁で申し上げたような一連の動きの中で、このベンチマーク更新についてもお認めいただいていると理解をしていたということで、それで項目に含んで諮問したということであったわけでありますけれども、私の答弁は、それは明示的ではなかったということを申し上げました。

 しかし、その後の調整の中で、厚労大臣の、厚労省としての考え方について、我々総務省としては、事務方としては、そういう今までの議事録等を精査するとそういう動きがあったということについて、このいきさつについて説明をさせていただいた政府統一見解を出させていただいたということでございます。

 それで、三十年の八月に統計委員会では、三十年一月からの動きを改めて見る中で、断層について補正を行わないという現在の方式を評価したということであります。

山井分科員 もう一回だけ聞きます。事後承諾なんですか。事前に、去年の一月までに統計委員会は承認、承諾したんですか。どちらかだけお答えください。説明は結構です。どちらですか。

石田国務大臣 先ほど申し上げましたように、厚労省の……(山井分科員「いや、答えだけ答えてください。三回目ですから、この質問」と呼ぶ)いやいや、それはそういうふうに簡単にお答えできません。(山井分科員「二つに一つじゃないですか」と呼ぶ)いやいや、厚労省の方は、そういう理解のもとに申請手続をなされたということでございますし、その後、総務省としても、ある程度理解する中で統一見解をつくらせていただいて、いきさつについてですね、そして、統計委員会としては、正式には、申し上げた三十年の八月の会において評価をしたということであります。

山井分科員 まあ、事実上、事後承諾ということをお認めになりましたね。

 ここにも資料がありますように、結局、二〇一五年の九月十六日の厚生労働省の検討委員会のときには、賃金のベンチマーク更新はギャップ補正をするとなっていたのに、二〇一六年の八月三十一日の、先ほど大臣がおっしゃった、新旧のワーキンググループにおいては、賃金指数のベンチマーク補正については議論しないということがもう明記されているんですね。その結果、今、石田大臣もおっしゃったように、結果的に、承認をしたのは事後承諾、八月二十八日なんです。しかし、このベンチマーク補正の更新というのは、統計委員会の資料によると約四%上振れするんですよ。約四%もの上振れ、これによって、実質賃金がプラスかマイナスか、大きく変わるんですよ。それを補正するのかしないのか、事後承諾。

 では、お聞きします。事後承諾では済まないけれども、これは何月何日、どこの場でどういう議論をして、質問通告しています、八番目、何月何日に誰がどのような発言をし、議論をして了承したのか。この〇・四%程度もの大きな上振れ要因のベンチマーク更新の補正について誰が発言し、その中で賛成意見、反対意見は誰が発言し、どのような理由で結論に至ったか、具体的に詳細にお答えください。

石田国務大臣 先ほどの、ちょっとつけ加えさせていただきますと、ウエート更新に伴う断層の補正方法は、諮問答申における必要的付議事項ではないため、議論とならなかったものと考えております。

横田(信)政府参考人 お尋ねのことでございますけれども、まず全体的な流れは、先ほど大臣の方から申し上げたとおりでございます。

 まず、ウエート更新に伴う断層の補正方法について、平成二十八年十一月から翌年一月にかけて行われた毎月勤労統計の調査計画の変更に係る諮問審議においては、議論の記録が残っていないところでございますけれども、毎月勤労統計の改善に関する検討については、統計委員会においては、平成二十七年六月以降、議論が行われてきたということでございます。

 この後でございます。(山井分科員「いつ了承したのかと聞いているんです」と呼ぶ)これも先ほど大臣からもございましたように、明確にこの時点で了承したということではございませんで、大きな議論の流れの中でこういう方向になってきたと。

 さらに、最終的な確認が、先ほど申し上げましたように、平成三十年の八月二十八日に開催された統計委員会でということでございます。

 ちなみに、この八月二十八日に開催された統計委員会、これは資料をもって諮られておりますけれども、特段の異論なく、先ほど申し上げたような形で、標準的な対応として評価された、そういうことでございます。

山井分科員 私、総務省を責めているようで、本当に申しわけない。私の推測では、総務省は、このベンチマーク更新を補正しないことには大反対だったんだと思うんです。でも、もうしようがないということで、圧力に屈したんじゃないかと思います。

 これは、石田大臣、〇・四%程度もの上振れをどうするか、こんな大きなことの、どこで誰がどう議論したのかわかりませんと。めちゃくちゃですよ。日本の勤労統計史上最大の汚点です。アベノミクス偽装そのものじゃないですか。いつ、〇・四%の上振れを補正しないか、これを補正しなかったら、上振れしたまま残るに決まっているじゃないですか。だから日本や世界のエコノミストから、去年の伸び率は信用できない、ぶれている、当てにならない、こんな恥ずかしいことになっているんです。

 私は、統計委員会の皆様、総務省の皆様の、今までの諸先輩も含めた、経緯も含めて申し上げたい。私は、総務省、統計委員会、すごく今までからすばらしいお仕事をしてくださったと思っています。尊敬しています。にもかかわらず、この決定だけは余りにもひどい。十年、二十年、三十年、昨年の賃金統計だけは全く使えない、上振れしている、偽装されている、世界じゅうの方々から、日本の統計はもう当てにならない、そういう烙印を押されるんです。

 石田大臣、お願いです。このまま、賃金統計が正しくないままでは、日本の総務省、統計委員会の本当にこれは恥になります、国家の危機になります。もう一度、統計委員会で、実態に近い共通事業所の名目賃金の昨年の伸び率、実質賃金の伸び率について検討し、実態に近い数値を、参考値でやってもいいです、公表する、その姿勢を示していただけませんか。大臣、いかがですか。大臣、大臣。

横田(信)政府参考人 事実関係等も含めて、少し補足も含めて、ちょっと申し上げさせていただきたいと思います。

 従来、このギャップがあるということは想定されていなかったという時点がございまして、これが三十年の一月の話でございます。この結果、ギャップが相当大きいということを認識したのはその時点でございます。そこで改めて統計委員会としても関心を持ったということでございまして、最終的に、三十年の八月、これも先ほど来申し上げていますように、そこで標準的なものであるということを評価した、そういうことでございまして、統計技術的におきましても、この三十年八月の時点におきましては、先ほど申し上げたとおりの結論になったということをちょっと補足させていただきます。

山井分科員 そのとおりなんだと思います。

 〇・四%も上振れするということを気づかなかったんだと思います。でも、やっちゃったら〇・四%も上振れした。そうしたら、補正しないとだめじゃないですか。だからこそ、統計委員会は、良心を持って、本系列だけでは上振れしていて不正確だから共通事業所を発表したんですよ、せめてもの良心で。にもかかわらず、名目賃金の一年間は、共通事業所の値を発表しない、実質賃金も共通事業所の値を発表しない。

 石田大臣、これでは国民や世界じゅうを、申しわけないけれども、日本の勤労統計はだましていることになりますよ。石田大臣、今の〇・四%程度の上振れ、こんなにぶれるとは思っていなかったけれどもぶれちゃった、後でそれを承認しちゃった、補正しないことをですけれども、それじゃ済まないんですよ。日本の歴史、日本の統計の歴史がかかっているんです。

 実際、内閣府の方は補正しているじゃないですか、上振れがあるといって。当たり前なんです。

 石田大臣、このまま、上振れしたままの名目一・四%、実質プラス〇・二%、はっきり言ってうそです、景気指標としての伸び率は。このうそのデータを放置するのはやめてください。お願いです。一番苦しまれるのは統計委員会の皆さんだと思います。日本の統計の信頼が地に落ちます。

 どうか石田大臣、共通事業所の数値、そして補正をするかどうかというベンチマーク更新の議論をもう一回統計委員会でやる、その答弁をお願いしたいと思います。

坂本主査 横田総括審議官、質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。

横田(信)政府参考人 統計委員会での御議論を紹介させていただきたいと思います。

 統計委員会におきましては、毎月勤労統計のウエート更新が六年ぶりであったということもございまして、その断層が大きく、ユーザーの利便性を損なった面があることから、二点指摘がございました。

 ウエート更新による断層を縮小するための、ウエートの統計精度の向上やウエート更新の早期化ということが一点。それから、ウエート更新を含め、断層に関する情報の提供の充実が二点目ということでございます。

 こういうことを図る必要があるといたしまして、そのような観点から議論しておりまして、厚生労働省に対してもしっかりとした取組をお願いしているという状況でございます。

 なお、統計委員会の、今後、どういう形で議論が進められるかということについては、また、これは統計委員会の方でお決めになる、そういうことになろうかと思います。

山井分科員 責任者は総務大臣なんですから、最後にお答えください。これは、統計委員会でもう一回議論しないと。

 繰り返し言います。日本の統計、賃金統計、もう永遠に信頼されなくなりますよ。大臣、お答えください。

坂本主査 質疑時間が終了しております。大臣、簡潔にお願いします。

石田国務大臣 今答弁させていただいたとおりでございまして、今、統計委員会では議論が継続しておりますし、その中で、統計技術的な観点から議論いただけるものと思っております。

山井分科員 質疑時間が終わりましたので終わりますが、私は、ちょっときついことを言ったかもしれませんけれども、総務省、統計委員会に期待しているんです。このままの間違った統計を放置したら、本当にこれは、旧ソ連も、うその経済データを発表して、それで国家が崩壊したんです。それぐらい、賃金統計、統計というのは大切なんです。それを守れるのは統計委員会しかないんです。ぜひともお願いしたいと思います。

 以上です。

坂本主査 これにて山井和則さんの質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

坂本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。太田昌孝さん。

太田(昌)分科員 公明党の太田昌孝でございます。

 午後一番でございますが、質疑をさせていただきます。どうかよろしくお願いをいたします。

 まず、デジタル活用共生社会実現ということで何点か質問をさせていただきたいと思います。

 近年、スマートフォンあるいはタブレット端末を始めとしましたこうしたICT機器は、生活の中に身近なものとなっておりまして、いよいよ本格的なIoT、AI時代を迎えたな、そのように思っているところでもございます。

 そんな中で、とりわけ取り残されがちなのが高齢者や障害者、そういう皆様方が、このICTの恩恵を享受するためだけでなく、例えば、近年の大震災始め災害等への事前の対応でありましたり、いろいろな避難指示等の伝達などをしっかりと受け取る、そんな、インフラ面だけでない、いわゆるデジタルデバイドと言われるそういう情報格差の解消がまずは喫緊の課題であろうかと思っております。

 この点、総務省の見解をお伺いをいたします。よろしくお願いいたします。

國重大臣政務官 お答えいたします。

 太田委員御指摘のとおり、IoT、AI等を活用した本格的なデジタル社会の到来が想定される中で、高齢者や障害のある方であったとしても、その便益を享受して豊かな人生を送っていただけるように、デジタルデバイドを解消して、それらの方々が取り残されないようにする必要があります。

 このような観点から、総務大臣政務官である私と新谷厚生労働大臣政務官との共宰で、昨年十一月に、デジタル活用共生社会実現会議を立ち上げさせていただきました。この会議には、目の見えない方、耳の聞こえない方、あるいは知的機能に障害のある方、さまざまな障害のある当事者の方にも御参加をいただきまして、ICTを活用した共生社会の実現推進に向けた方策、この具体化に向けて今検討を行っているところであります。

 この中では、高齢者等がICT機器の操作等について気軽に相談できる体制のあり方、また、地域でプログラミング等のICTスキルを学び合う地域ICTクラブの活用のあり方、あるいは、高齢者や障害者の日常生活に役立つ先端技術の開発の強化等について御議論をいただいているところであります。

 三月末に提言を取りまとめていただく予定でありますので、その結果を踏まえ、具体的な施策の展開に向けてしっかりと取り組んでまいります。

太田(昌)分科員 丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 本当に、ほかにも質問しようと思っていた、まさに当事者が入っているということがとても大事で、さすが、そういう視点を持っておられること、すばらしいことだというふうに思っております。

 そうした障害をお持ちの方々からもしっかりと意見を頂戴をしながら、とりわけ地域のICTクラブとか、これから、私の地元など、中山間地がたくさんあるものですから、そういうところの高齢者に使っていただかないと逆に生活が立ち行かないというようなこれからの時代が到来するというようなこともございます。どうか隅々まで行き渡るようなそうした支援策を、三月末に向けて御検討、取りまとめをぜひともお願いをしたいというふうに思います。

 また、そんな中で、技術開発の成果によって、音声読み上げは私もよく使うのですが、最近はパソコンのキーボードを使わずに、目線による入力などもできるというふうに伺っております。障害をお持ちの方の日常生活を支えるそうしたICT機能、既に幾つかはもう提供されているというふうにも伺っております。

 一方で、障害をお持ちの方々の御本人の移動であったりとか、娯楽なども含めた社会への積極的な参画を可能にするためには、IoT、AI等を活用した先端技術等の開発体制の強化にも取り組んでいかなければならないと思いますが、御見解をお願いをいたします。

國重大臣政務官 あらゆるものがインターネットでつながるIoT、また、そのIoTによって収集された大量のデータをAIによって分析する、このIoT、AI時代の到来によりまして、これまで以上に一人一人の異なるニーズに対応することができるようになってくるものと思われます。ICTは、障害者の豊かな生活の実現に極めて重要な役割を果たすことが期待されております。

 近年、障害者に対する支援機器につきましては、太田委員御指摘のこの事例のほかに、自動運転車椅子や、障害があって家の外に出ることがなかなか難しい場合に遠隔操作によって自分のかわりに仕事ができる分身ロボットなど、本格的なIoT、AIの活用によって、これまでできないと思われてきたような新たな技術開発も期待されているところであります。

 このような中で、総務省といたしましては、先ほど答弁申し上げましたデジタル活用共生社会実現会議におきまして、それぞれの障害者のニーズをしっかりと把握して、機器、サービスの開発の段階から障害当事者が参加できる開発の仕組みの実現や、テレワーク等を含んだICTを活用した障害者の就労機会の多様化等について今御議論いただいているところであります。

 まだまだ光の当たり方が十分でないところにしっかりと光を当てていく、この思いで、本年三月末に取りまとめていただく提言を踏まえまして、障害者支援に係る先端技術等の開発強化に向けた具体的な施策の展開に向けてしっかりと取り組んでまいります。

太田(昌)分科員 本当に頼もしく、期待をしております。ありがとうございます。

 さて、二〇二〇年から、学校教育現場におきましてプログラミングの授業が始まるというふうに承っております。こうしたIoT、AI時代を迎えるに当たって、近い将来、プログラミングというのは、まさに今で言うところの読み書きそろばんというぐらいの必要な、必須な、あるいは、社会の中で皆が当然のようにできるような社会になっていく可能性がこれから高いのかなというふうにも思っております。

 このため、そういう意味では、学校教育をサポートする体制、更に上のレベルを求める子供たちへの支援などが必要と考えますが、御見解をよろしくお願いをいたします。

國重大臣政務官 委員御指摘のとおり、今の小学生が社会の中心的な存在として活躍する二〇三〇年から二〇四〇年代ごろには、IoT、AIを活用してさまざまな社会課題等を解決する社会になっている、そこでの人間の仕事というのは、単純労働的なものというよりは、価値創造的なものや、人と人とのつながりが必要なものが中心になっていくだろうというふうに予想されるところであります。

 プログラミング教育は、このような未来の社会を担う子供たちに求められる、新しいものを生み出す創造力や、論理的思考力等を習得する手段としても期待されております。このようなことから、学校における取組とも連携いたしまして、社会全体としてサポートしていく体制が必要と考えております。

 このような観点から、総務省では、平成三十年度から、これは教育課程とは別に、地域で、ICT企業やNPO法人、大学生、住民等が中心となって、小学生等とプログラミングを学び合う地域ICTクラブの整備に取り組んでいるところであります。

 また、先ほど申し上げましたデジタル活用共生社会実現会議におきましては、この地域ICTクラブが、委員御指摘の上級レベルのスキルの習得のほか、社会人のリカレント教育や、またあるいは障害者の社会参画等にも資するとの議論が行われております。その中で、地域ICTクラブを地域の実情に合わせて設立、運営するためのガイドラインの作成についても今御検討いただいているところであります。

 本年三月末に取りまとめていただく提言を踏まえ、更に上のレベルを求める子供たちへの支援についてもしっかりと取り組んでまいります。

太田(昌)分科員 地域で、今おっしゃっていただいたとおり、スキルのある方も、あるいは子供も、あるいは高齢者も、障害者も、しっかりと学ぶということを楽しみにしております。しっかり現場現場でも私どももサポートをさせていただければと思いますので、どうか三月に向けて、國重政務官、指導力のもと、このデジタル活用共生社会実現会議が成功裏に終わりますこと、よろしくお願いをいたします。

 ありがとうございました。

 次に、これは地域の課題でございますけれども、いわゆる連携中枢都市圏について何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、ちょっと前段としまして、私の地元長野市で今まさに連携中枢都市圏を行っておりますが、どんなことをやっているかということだけ、ちょっと先にアピールだけさせていただきたいと思います。

 二十八年の年度末に、長野市を連携中枢都市として、近隣の八市町村と一対一の連携契約を締結し、長野地域連携中枢都市圏ビジョンを策定、公表をしながら、長野地域連携中枢都市圏を形成をしております。

 具体的な取組としては、本年度は五十の連携事業に取り組んでおります。図書館の広域利用でありましたりとか、バス共通のICカードの共通利用などの各種の生活関連機能サービス、大変に圏域住民の利便性向上につながっているかと思いますが、一方で、最大の問題である東京一極集中の是正のためのいわゆる経済成長の牽引に関しては、残念ながら、そうした周辺の都市と、産業フェアなどのイベントの周辺市町村の参加、その程度にとどまっておりまして、長野市が圏域全体の人口流出の防波堤となるような真の経済成長の牽引にはつながっていないというのが、ちょっとこれは大きな課題であろうかというふうに思っております。

 そうした課題に対応するために、底上げを目指しまして、外部から高度専門人材として民間大手企業の幹部クラスを新たに活用をさせていただいたり、そういう中で、産学金と連携した取組の企画、調整、実施等の統括などもこれから行っていきたいというふうにも思っております。

 そのほか、実は、長野県外在住の社会人経験者を対象として、大変に有為な、専門性を持っている方に、職員の採用を行ったら、大変な応募があった。さきの地方公聴会でも、ちょうど長野市が対象でしたので、長野市長からそのような報告もありましたが、そうした人材も確保しながら、今、新たな事業を拡大をし、更に連携の強化を図っている、こんなような現状の状況でございます。

 今申し上げましたとおり、連携中枢都市の圏域全体の将来性、これは、生活、産業、都市機能等、さまざまな視点からグランドデザインしていかなきゃいけませんし、それを実現できるような専門人材の育成や確保、それに向けた、十分で恒久的な人的、財政的な支援等が求められております。

 また、連携中枢都市圏構想推進のためには地方財政措置もしていただいているんですが、そうした外部人材活用に対する財政措置についても、一市町村当たり年間七百万円を上限に、これが三年度内の時限措置となっているわけでございまして、そういう意味では、圏域の基盤づくりの核となる産業育成、都市機能の集積、強化には、例えば住民サービスの向上と比べて、やはり短期間で成果を上げづらい取組である、キーパーソンによる持続的な取組がこうした事業は大変に重要であることから、これは十分かつ恒久的な財政的支援が必要であると思いますが、御所見をお伺いいたします。

北崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生がおっしゃられましたように、今後、人口減少が深刻化する中で、持続可能な形で市町村が連携して、協力して、力を合わせて行政サービスを提供し続けていくことが大切である、まさに私ども同じ考えでございます。

 そのためには、先生、産業の御例を出されました、私どもも、例えば、土木の専門職であるとか、あるいは福祉の専門職であるとか、そういった分野で専門性を持った職員を育成、確保することは大変重要だと考えてございます。

 また、連携中枢都市圏において、団体の垣根を越えて職員が能力を発揮できるよう、その圏域内での協力をするのを、今、長野の御例を挙げていただいて、ありがとうございました。

 ただ、先生おっしゃられましたように、外部人材の活用が大変重要な局面、もちろんあるわけでございますけれども、日本全国を見まして、私ども、先ほどの七百万、三年というような財源手当ては用意しておるわけではございますけれども、まだまだ、残念ながら、十分に活用していただいていないというのが私どもの実感でございまして、これをまず徹底して、何というんでしょうか、広域中枢連携圏域で使い倒してくださいというふうにまずは力を注ぎたいと思ってございます。

 ただ、恒久的な事業に必要なものとなりますと、やはり圏域で力を合わせてとなろうかと思います。まず、事業の導入でありますとか、あるいはいろいろな創意工夫でありますとか、そういうところには、まず三年集中してと思って今用意をしておりますので、そこら辺の宣伝と督励と応援を頑張っていきたいと思っております。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 やはり、こうした地方を活性化する事業、同じことを、各所視察に行って同じことを持ってきてもうまくいかないんですね。やはりそこにはキーパーソンがいて、その引っ張る方が情熱を持って事業に取り組むからこそうまく回っていくということ、これは実態のことであろうというふうに思います。

 ただ、まだ、恐らく長野市は使い倒していると思いますけれども、まだまだ使い切れていない分もあるのかと思いますので、しっかりまたこれからも御協議をさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、一つ言えるのは、どうしても地方の目線で見ますと、三年間というふうに言われてしまうと、その先どうなるのということでちょっと心配になって、手を出しづらいという部分も実際はやはりあったりするので、とりわけ、人を連れてくるという話になってきますと、専門的な、高度な方を連れてくるんだけれども、三年たったらどうなるかわからないよというような話はなかなかできないわけで、そこら辺の仕組みというか、あるいは、もしかしたら背中を押してあげるみたいなことも必要なのかもしれないということだけちょっと付言をさせていただきたいというふうに思います。

 もう一つの課題が、圏域行政の実効性を高めるためには、それぞれの市町村がこれまで独自に開発している既存の情報システムというのがあります、この環境を統合しなければ、同一の事業というのがなかなか浸透しません。

 現在、総務省では、地方自治体における業務プロセス・システムの標準化及びAI・ロボティクスの活用に関する研究会というところで議論がされ始めているというふうに伺っております。

 例えば、連携市町村に対して、連携中枢都市の情報システムに統合するための十分な財政的支援等を行うなど、これが、早期にこうした情報システム環境が整う、そのための手法を検討することが必要であると思いますが、御所見をお伺いいたします。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 自治体の情報システムにつきましては、これまで各自治体が独自に発展させてきた結果、システムの発注や維持管理や制度改正による改修の対応など、各自治体が個別に対応せざるを得なくなっておりまして、これが自治体の人的、財政的負担となってきたところでございます。

 この重複投資をやめて、システムに係るコストをできるだけ軽減する方法の一つに、自治体クラウドによる取組がございます。現在、複数自治体がシステムを統合するための団体間の調整などの経費に対しまして、特別交付税措置を私ども行わせていただいておるところでございます。

 また、現在、有識者や自治体を交えた私どもの研究会におきまして、システムの標準化について検討いたしておりまして、標準化が実現すれば、システム統合に当たっての自治体間の調整が容易になります。また、それとともに、コスト増の要因になるカスタマイズが抑制される、この可能性が出てまいりますので、この研究会では、本年春には取りまとめを予定しておりまして、総務省としては、システムの標準化によってシステム統合が行いやすくなるよう、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

 以上であります。

太田(昌)分科員 この春を目標にということで、今、開発をしていただいているということでございます。現実はそれぞれ進んでいるところでもございますので、早期に開発をしていただいて、また自治体に対しては御指導をよろしくお願いをいたします。

 さて、連携中枢都市圏のビジョンに基づく事業費に対する包括的な財政措置について、連携中枢都市が、普通交付税一億七千万程度、これは地元の話ですが、圏域人口に応じて算定されている、特別交付税の措置上限額が一億二千万程度、これは連携市町村の人口、面積等を勘案して上限が設定をされているということで、連携市町村が、特別交付税の上限措置が、一方で、これは千五百万ということになっています。連携中枢都市と連携市町村との特別交付税に係る財政措置の格差というのがやはりあるんです。

 取組のさらなる推進に向けては、これは余り格差があると支障となる可能性があることから、連携市町村に対する特別交付税の措置の上限額を引き上げることはできないかというふうに思うわけでございますが、この点、いかがでございましょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 連携中枢都市圏の連携事業につきましては、中心市が単独で実施するだけではございませんで、連携中枢都市圏を構成する連携市町村と一体的に実施することでその効果が高まるものでございます。

 こうした観点から、連携市町村に対する特別交付税措置も講じさせていただいてございます。事業そのものがまだまだ十分に行われている状況じゃないというのが正直私どもの実感でございまして、今、物すごい勢いで、この制度を使っていただきたい、そして、周りに中枢都市があるところはぜひそこに協力して、圏域としてまとまりを持って仕事に向かい、事業をやっていただきたいというふうにお願いをしておりますけれども、まだその措置額が上限にも達していない団体が結構多いというのが実際でございます。

 私どもも、より力を入れて宣伝をし、督励をし、応援をしてまいりたいと思ってございます。まずはしっかり活用されるよう、頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと先ほど来の話で、やはりそうはいっても、私の地元、若干は進んでいるのかもしれません。逆に言えば、そういう課題も見えてきた。

 やはり、例えば、医療に関しても、周辺の自治体にお住まいの方々が長野市にある病院に来られる、そのときに、例えばバスを利用する。バスは、旧というか、長野市内であれば、おでかけパスポートという制度がありまして、どこまで行っても百五十円なんです。それを圏域まで広げて、そういう方々も、病院に通うときにその制度が使えるようにしましょうと。ただ、その分の差額は誰が出すかというと、長野市民でいえば長野市が出す、周辺でいえば周辺の市町村が出す。

 さまざまな部分で、当然、今のは一例なんですけれども、さまざまな事業を共同してやりたいといったときに、長野市の制度に合わせると、周辺の自治体もやはりそういう支出がふえるわけです。そうすると、やはりある程度の上限が見えてきちゃうと、あれもやりたい、これもやりたいが、やはり取捨選択をせざるを得なくなってくるという部分もあって、そんな中で、そんなジレンマがあるようでございます。

 全体的にはまだまだ使い切れていないという話でございますので、ぜひともアピールもしていただき、あるいは、でも、先進事例でいえば、これから必ずそういう問題というのは生じるんだということも、では、あわせて今の段階で御指摘をさせていただきたいというふうに思いますので、御検討をよろしくお願いいたします。

 各都道府県には、振興局とか県民局とかいった現地機関というのが設置をされております。我が長野県では地域振興局というのがありますが、こうした機関がこれまでその管内の広域連携を推進してまいりました。

 今後、このような現地機関と連携中枢都市圏の協力支援体制が何かいまいち不明確、いわゆる広域連合とか言われるところとですね。都道府県の果たすべき役割について明確にすることが今後の地方行政においても肝要と考えますが、御所見をお伺いをいたします。

石田国務大臣 今後、人口減少が本格化する中、地方自治体が持続可能な形で住民サービスを提供し続けることは重要な課題でございまして、現在、地方制度調査会におきまして、高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年ごろの姿から逆算する形で、顕在化する諸課題とその対応策について御議論をいただいているところでございます。

 議員御指摘のとおり、市町村同士で広域的に連携を行った地域における都道府県との協力体制についても検討すべき事項であると考えております。今後、同調査会においてしっかりと議論が行われることを期待したいと思っております。

 総務省といたしましては、近隣市町村との連携を視野に入れて対応することが必要と考えておりまして、中核市や指定都市を中心とする連携中枢都市圏を始めとする市町村同士の連携、また、自主的な市町村合併とともに、さらに、核となる都市から相当距離があるときなどには、市町村間の連携が困難な場合の都道府県による補完など、多様な手法の中から最も適したものをみずから選択できる施策を推進してきたところでございまして、今後も引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

太田(昌)分科員 ありがとうございます。

 県と連携中枢都市圏と、別に相反するものではなくて、そこに住む人のためにということの共有の目的のために行っているわけでございますので、そのような中で、またぜひ総務省にも指導力を発揮いただければというふうに思います。

 さて、今まさに、人口減少、高齢化が深刻になる二〇四〇年という話がございましたけれども、複数の市町村で構成する圏域を行政主体として法制化し、連携して行政サービスを担うというような検討もなされているやにも承っております。

 圏域ということの考え方をちょっと少し教えていただきたいというふうに思うのですが、これまで質問してまいりました連携中枢都市圏、連携中枢都市圏というのは、対象人口が、想定されているのが二十万人。さまざま、昼間人口とか夜間人口はありますけれども、基本的には二十万人を、ざっくり言えば対象としている。さらに、対象人口を五万人、もうちょっと小さいところでは定住自立圏というのがございます。

 この定住自立圏、いずれも近隣市町村と協定を結び、医療や福祉、教育の生活機能の強化であったりとか、地域公共交通、道路等の交通インフラの整備など、その地域的な結びつき、ネットワークの強化など、そのエリアの圏域マネジメント能力の強化にそれぞれ取り組んでおり、さらには、これまでの私もデータを確認しましたが、やはり人口減少にも一定の十分な効果を見せているというふうにも承知をしております。

 しかし、こうした制度の要件に該当しない地域というのがあります。

 ちなみに、私の地元、これもやはり長野県の話で恐縮でございますが、いわゆる定住自立圏というのが六つございます。それから、長野市を中心とした連携中枢都市圏が一つございます。

 実は、全部で十広域あって、あと三つあるんですが、もう一つは松本というところで、今、中枢中核都市のいよいよ対象になろうかというところになっております。

 あとの二つが、実は、圏域が、どうしても、五万人はおろか三万人にも届かないエリアがございます。

 そのうちの一つ、木曽地域というところ、大変に広い地域、広大な地域なんですが、いわゆる市がないんですね。そんなような中で、町村のみで、県が支援をしながら木曽地域広域連携推進会議というのを設けて、何とか自分たちで、ちっちゃいもの同士が頑張って補完し合って、その地域の活力を上げていこうと頑張っている。

 あるいは、もう一つ、大北地域、大町北安曇地域というのがあって、これも北アルプス連携自立圏というのをつくって、こちらも、大町市も含めても、全体で人口二万八千人しかいません。やはり当たらないんですね。そんな中で、やはり県が独自に支援をしている。

 何を言いたいかというと、これから大きな連携中枢都市圏、これは私の住んでいるところなんかはこれが十分できておりますし、定住自立圏もできている、だけれども、これから更に市町村のやはり人口減少がもう大幅に進行すると見込まれていく中で、更にこの定住自立圏よりも小さな単位での支援策というものを考えていかなきゃいけない時期にもうなっているんじゃないかというふうに思うんです。

 どうかその部分で、さらなるそうした新たな、財政力の弱い地域における、要件を満たすことができない地域への支援について検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 平成の合併の後にも、小規模な市町村はなお相当数存在してございます。そうした地域においても持続可能な行政サービスを提供し続けていくことは大変重要な課題であると私ども認識しております。

 先生おっしゃられました、連携中枢都市圏やあるいは定住自立圏の中心市となる市がない地域におきましても、まさにそこの市町村間の連携が重要な課題であると私ども理解をしてございます。今後、地方制度調査会においても議論をしていただくことができますように、総務省としてもしっかりと対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

太田(昌)分科員 小さな地域に目線を向けていただくことをお願いをしまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

坂本主査 これにて太田昌孝さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山岡達丸さん。

山岡分科員 御質問の機会をいただきましてありがとうございます。山岡達丸と申します。

 きょうは、大変長い予算委員会の分科会という中で、総務大臣始め、幹部の皆様もそうですが、本当に皆様のさまざまな御対応に敬意を表しながら質疑をさせていただきます。

 私山岡は、北海道で議員活動をさせていただいているんですけれども、皆様の御記憶にあられるかと思いますが、昨年の九月六日、北海道の胆振東部地震、あの被災地を中心に私は今地域活動をさせていただいているという中で、今回、その被災地のこととともに、あわせて後ほど、新たに始まります地方公務員の会計年度任用職員制度についてお伺いしたいと思います。

 まず、昨年の九月六日に、御存じのとおり、震度七の地震がありまして、多くの犠牲者も出ました。間もなく半年、三月六日をもって間もなく半年ぐらいたつということになります。

 しばらく余震は続いていたんですが、それでも大きな地震が少なくなってまいりまして、状況は落ちついてきたかというふうに感じてきたやさき、先週の二月二十一日の夜にまた再び最大震度六弱という余震があって、さらにはけが人も出た。私も翌朝、被災中心地の三町に入って現場の状況を確認しましたけれども、例えば厚真町という町では水道管が壊れたり、むかわ町では住宅の煙突が倒れたり、九月六日の震災で弱っていたりあるいは応急処置をしていたり、そういうところが再び被害に遭ったということが特徴的であったなということを強く感じた、そんな現場でありました。

 地震というのは、そのとき起こるわけでありますけれども、余震等も含めたり、あるいはその後の防災等も含めると、やはり長い目で見て対応していかなければいけないということを感じるのがこの北海道の胆振東部地震、各地の地震もそうであろうと思いますが、私は特に、この被災地に住居を構える人間として、そのことを強く感じたところであります。

 そしてまた、その三町の周辺自治体も、これから非常にいろいろな役割を担っていく中で、自治体の役割というのが非常に大きいといいますか、今回の地震では、三町は、例えば、一つの町では職員さん百人ぐらいの規模で、それが三つの町で、それが力を合わせてこの震災の対応に当たったという状況でもありました。これからの状況にもそれは当たっていかなきゃいけない。

 この中で、やはり自治体を管轄されておられる、きょうは総務大臣にお伺いしたいんですけれども、財政的な今後のやはりしっかりとした面倒といいますか、しっかりとした心配りをしてくれるのかどうかというのは、まず共通の課題といいますか、心配事という表現を私はしますが、自治体の皆様はそういう表現はしませんけれども、やはりそこはすごく気にしているところでありまして、ぜひ、まず大臣にこの機会に、この震災復興にかかわる今後の課題解決も含めた財政的な支援について、私としては長い目を持って対応していただきたいというふうに思うわけでありますが、大臣から御見解をいただければと思います。

石田国務大臣 私も、大臣就任後、十一月でしたですか、北海道胆振東部地震の被災地ということで厚真町にお伺いをさせていただきまして、札幌市にもお伺いをさせていただきました。

 そういう中で、北海道胆振東部地震につきましては、まず、発災後速やかに、被災団体の当面の資金繰りを円滑にするため、二十六団体に対しまして百四十四億円の普通交付税の繰上げ交付を実施をいたしました。

 また、特別交付税の十二月交付におきましては、その時点で把握できた応急復旧対策の状況などを踏まえまして、例えば、厚真町への交付額を前年度比三十八億円増とするなど、前年度を大きく上回る交付をしたところでございます。

 さらに、特別交付税につきましては、第二次補正予算におきまして、今年度の全国の災害の状況を踏まえまして、七百億円増額をいたしております。現在、各団体の実情を丁寧にお伺いしながら、三月交付分の算定作業を進めているところでございます。

 今後とも、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じまして、被災団体の財政運営に支障が生じないように、適切に対応してまいりたいと思います。

山岡分科員 今、大臣より、支障が生じないようにというお話がございました。

 本当にこれまでのことは非常に感謝をまた地元もしている中でありまして、今後も、今のお言葉どおり、いろいろな課題に対してぜひ心配りいただければと思いますので、そのことは重ね重ねお願いを申し上げます。

 総務省の管轄の中で、震災における少し反省事も私なりには感じておりまして、そのことをちょっとこの際伺いたいと思いますが、震災のとき、全道停電というのがあったわけでありますが、全道停電になると携帯電話の充電ができないなんということが話題になったわけですが、そもそも携帯電話じゃなくて携帯の基地局そのものが停電をして、二十四時間の非常用電源が切れたころから、仮に携帯電話の充電が戻っても、基地局が電源がないばかりに通話ができない、通信ができないという状況が続きました。そして、全道停電という規模ですから、過去にない事例の中で、そうした基地局の立て直しが追いつかないという事態が発生しています。

 あわせて、電気が戻った後ですけれども、被災地においては、私が現場を回っていた限りにおいては、キャリアによっては、場所によってはですけれども、五日間ぐらい通信、通話ができないという状況で、住民生活はもちろんですけれども、被災復興の行政のさまざまな活動に、現場を見に行ったって連絡ができないとか、さまざま大きな影響を及ぼして、これは非常に大きな課題だと感じています。民間の通信キャリアが中心なわけでありますけれども、こうした対応も、例えば移動基地局の優先配備先とか、日ごろからの検討が十分じゃなかったんじゃないかなということを強く感じるわけです。

 この件について、これは総務省も把握しているはずでありますから、半年が過ぎた今、当時どのような状況だったと分析して、今どうしていくのか、そのことを伺わせてください。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月に発生をいたしました北海道胆振東部地震の際には、委員御指摘のとおり、広域それから長時間の停電が原因となりまして、広い範囲で通信サービスに支障が発生をしたところでございます。また、これも御指摘のとおり、被災地においては、役場周辺エリアを含めて、携帯電話が使えない状況が発生をいたしました。

 この災害を受けまして、総務省におきまして緊急点検を行った結果、被災直後、震源地付近の通信サービスの被害を正確に把握できていなかったことによりまして、役場におけるいわゆる移動型の携帯電話基地局の展開などの応急復旧におくれが生じておりました。

 このため、総務省におきましては、的確かつ迅速な初動対応のため、平素からの通信事業者との連携体制、これを昨年十月に構築をいたしまして、大規模な災害が発生した際には、被害が著しいと見込まれる地域の役場への迅速な訪問に取り組むなど、初動対応の手順等につきまして、改めて関係者間で認識の共有を図ったところでございます。

 また、緊急点検におきまして、車載型の携帯電話基地局などの増設が必要であると認められましたため、現在、携帯電話事業者において取組を進めていただいているところでございます。

 こうした取組を通じまして、今後は、災害時に重要な通信サービスについて、きめ細かな被害状況の把握と的確かつ迅速な応急復旧に努めてまいりたいと考えております。

山岡分科員 今、本当に総務省から、状況を当時正確に把握できなかったという率直なお話がありました。

 全道停電というかつてない規模だったわけでありますけれども、今お話しいただいたように、この事例をもって、やはりこういった規模の震災に対する通信のこの時代に対する対応というのを、今御検討も進めていただいている、対応も進めているということでありますけれども、これはぜひ、本当にどこかの段階できちんとまとめて、また、通信キャリア等もそうですけれども、我々に対しても、こうした体制をとっているということをお伝えいただきたいなということを思いますので、このこともぜひ要望させていただきたいと思います。

 大手キャリアが伝わらないこの通信で、情報伝達のあり方というのが非常に課題になった、これが当時の震災でありましたが、一方で、個別個別には大変頑張った、そうした事例もありました。そのことについて見解を伺いたいんです。

 例えば、ボランティアの方もたくさん来ましたから、ペーパーの手段で、投げ込みをして、被災地ではいろいろな方に町の情報もお伝えしたわけでありますけれども、この被災三町の中の一つの安平町という町では、「あびらチャンネル」という、町独自で、自分たちでテレビ局を持って、テレビ局というか、テレビを放送して、常日ごろから、テレビのあいたチャンネルを使って行政情報なり、いろいろな情報を流しているということをやっていました。

 この安平町という町が、震災の直後から、情報過疎になっている地域に、自分たちの住民に対して、町の毎朝の朝礼、この朝礼というのは各部署からいろいろな情報が上がってくるわけでありますけれども、そして町長の訓示もあったり、指揮、指令もあったりするわけですけれども、それを全て公開して、それを放送し続けたということをやりました。あわせて、例えば、お困り事があったらここの連絡先はこっちですよとかいうことをテレビで、電源が戻った後ですけれども伝え続けたということが、やはり地域の情報提供に非常に大きな役割を果たしたということを現場でも感じさせていただいているところであります。

 あわせて、同じ胆振に室蘭という町があるんですけれども、従業員六人ぐらいの「FMびゅー」というコミュニティーFMのラジオ局があるんですが、ここはその程度の、本当に小さな規模のラジオ局にもかかわらず、深夜、この震災後三十分後ぐらいにはもう放送を開始して、全道停電の中で六十時間も放送し続けた。停電情報とかも、北電さんに電話が通じないとかでみんなわからなかったわけですが、北電さんにわざわざ出かけていって、情報をとって、そして伝えたりとか、あるいは、デマが流れたときも、これはデマであるということを役場に確認して流したり、本当にきめ細やか、地域密着の情報を流してきて、そうした情報提供のあり方というのが役割が大きかったということを感じさせていただいているところであります。

 この地域の努力の重要性と、こうした事例に対してのそれぞれの評価というのを、この際、大臣よりお伺いしたく、ぜひ答弁をお願いいたします。

石田国務大臣 被災した場合の情報の重要性というのは、本当に、私も現地でいろいろとお話を聞かせていただきました。

 その中で、今御紹介のありました北海道安平町では、あびらチャンネルというエリア放送を行っておられまして、この北海道の胆振東部地震の際には、今御紹介もありましたけれども、町の災害対策本部会議をノーカットで放映するとともに、避難所の住所、収容人員等の情報や断水復旧状況、通行どめ道路といった生活関連情報を、データ放送機能を駆使して発信したと聞いております。非常に重要な情報を発信されたと思っております。

 また、室蘭市では「FMびゅー」という放送局がコミュニティー放送を行っておられますが、地震発生三十分後には、停電にもかかわらず、地震に関する臨時放送を開始し、停電や断水情報、それから避難場所情報、また、携帯電話の充電ができる施設の情報といった生活関連情報を放送されたと聞いております。

 どちらの対応につきましても、被災後に必要となる地域に密着したきめ細かな情報を住民の方々に使命感を持って発信をされ、住民からも感謝の声があったと聞いておりまして、すばらしい取組をされたと受けとめております。

山岡分科員 ありがとうございます。

 本当に、今、大臣からすばらしい取組だったというふうにお話しいただきましたが、ぜひ、総務省全体として、地域のそれぞれの努力による、大手はもちろん大事なんですけれども、それぞれの情報伝達の状況についても寄り添って、そしてまたその評価をしながら、必要な支援があればそれはしていただきたいという思いでありますので、そのことはまたお伝えをさせていただいて、あわせて、安平町だけじゃなくて、各町、本当に努力はしていたわけでありまして、特出しとしてそういう取組があったということを今回紹介させていただいたわけでありますけれども、各自治体の、あるいは各事業所のそういった取組にはぜひ気を配っていただきたい、その思いであります。

 そして、これからの話として、情報通信、伝達のあり方として、今、苫小牧という、いわゆる厚真町の、被災地のあった隣の町なんですけれども、苫小牧市というのは東西四十キロという非常に長いそうした市なんですけれども、ここには北側に、北西側といいますか、樽前山という火山のおそれがある山を抱えていまして、西側だけにいわゆる屋外の拡声機などを設置していたわけでありますが、今回の震災、東側で大きな震災があったとか、さまざまな時世の、時代の変化を受けて、全域に屋外放送を設置しよう、あるいは難聴地域に対しては防災ラジオを改めて配備しようという計画が議論されているところであります。

 その議論の中において、今、総務省が主導で進めているデジタル無線への切りかえという、国の手厚い支援が伴う緊急の起債制度が二〇二〇年度までということもあって、ぎりぎり二〇二〇年に間に合わせたいという意向の中でかなり急ピッチに議論をしているわけでありますけれども、現在の見通しでも二十億から三十億くらいの予算であるとして、起債制度の補助があっても、七割ぐらいを政府が見てくれても、ざっと十億近い負担がある。

 この緊急防災事業債は三・一一の震災をきっかけにつくられた制度であるというふうに聞いていますけれども、北海道としては、二〇一八年もこういう震災があったわけであります。これはまだまだニーズがあると思いまして、苫小牧も二〇二〇年までとなるから計画設計に無理が生じるおそれがある中で、これは二〇二〇年までじゃなくて、もっと更に延期するべきじゃないか、そのように考えますが、御見解を伺います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘ございましたいわゆる緊防債、緊急防災・減災事業債というものでございますけれども、お話があったように、東日本大震災を契機として平成二十三年度に創設したものでございまして、その趣旨としましては、防災施設、既存の施設の更新といったようなものは、これは計画的に取り組むべきものなわけでありますけれども、東日本をきっかけに、緊急に実施する必要性が高く即効性のあるもの、そういう防災・減災のための地方単独事業を対象として、名前のとおり緊急防災・減災事業債というわけでございます。今もお話があったように、非常に、ある意味、地方団体から見れば手厚い財源措置ということでございます。

 そして、これまでこの事業債につきましては事業期間を三回延長してきてまいりまして、自治体が引き続き防災・減災対策に取り組んでいけるように、これまでも現場の声を聞きながら拡充も行ってきたところでございます。平成二十七年には初期消火資機材を対象に加えるとか、あるいは二十八年には指定避難所の空調等も対象に加えるとか、そういったような拡充も御意見を伺いながら行ってきたところでございます。

 東日本大震災に係る復興・創生期間である平成三十二年度までを事業期間として、これで都合十年やっていくということになるわけであります。

 喫緊の課題である防災・減災対策に取り組む自治体におきましては、今申し上げたような本事業債の趣旨、緊急に実施するための財政措置であるということを踏まえて積極的に御活用いただきたいと考えているところでございます。

 ただ、三十二年の事業期間終了後の点につきましては、これはまた、もともとこの趣旨、今申し上げたように、緊急で早く事業を進めていただきたいということでこういう措置をやってきたものでございますが、その時点での自治体における防災・減災対策に関する取組状況でありますとか、あるいは課題なども勘案しまして、また判断をしてまいりたい、こう考えているところでございます。

山岡分科員 今、二〇二〇年の取組状況は情勢を踏まえて考えたいというお話でありましたが、お話にあったように、これまで本当に、言うなれば、自治体の話を聞きながら三回もいろいろな中身を変えていっていただいているわけでありまして、北海道の立場でいえば、二〇一八年にこうした震災があって、やはりまだまだニーズがあると思っていますから、このことをよく踏まえた中で、ことしは今二〇一九年ですから、二〇年の段階にならないとなかなか議論としては述べられないと思いますが、そのことを強く考えて検討いただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 残りの時間をもちまして、いわゆる、今の各自治体の臨時、非常勤職員の皆様、あるいは二〇二〇年から始まる会計年度任用職員制度についてのお話を、質疑をさせていただきたいと思いますが、まず、来年度の予算も含めての話になりますけれども、臨時職員、非常勤職員の各地方自治体の基本的な認識について伺いたいと思います。

 やはり、私も各地でいろいろそうした方からお話を聞いていても、率直に言えば、その収入の問題です。職務として似たようなことをやっていても処遇はそれに伴っていないのではないか、あるいは正職員との格差が開いているのではないかという声も聞こえてくるところであります。

 自治体としては、そこの業務を支える多くの部分に臨時職員、非常勤職員の方も、その役割の大きさのことを考えても、やはりその処遇の改善というのは図っていくべきものじゃないか、そのことを考えるわけでありますが、まず大臣の基本的な認識をお伺いさせていただきます。

石田国務大臣 現在、地方公務員の臨時、非常勤職員につきましては、一般職の非常勤職員制度が不明確な中、制度の趣旨に沿わない任用も見られるところであります。また、期末手当が支給できないといった、勤務条件上の課題もあると認識をいたしております。

 このため、平成二十九年の五月に地方公務員法等を改正しまして、一般職の会計年度任用職員制度を導入いたしました。平成三十二年四月から期末手当の支給を可能としたところであります。

 この法改正は、臨時、非常勤職員の処遇改善に資するものと考えております。

山岡分科員 お話の中で、二〇二〇年度以降の改善につながるのではないかというお話がありましたが、私は、基本的な認識をお伺いしたいという思いでお伝えしたんですけれども、ただ、その制度の導入の説明をもって、大臣としては、基本的な考えとして、やはりそれは処遇改善、今お話にもありましたけれども、制度の趣旨に合わない地方公務員のさまざまな、そうした業務の実態の趣旨に合わない処遇もあるようだというお話もありましたから、その話をもって大臣がそう考えておられるというふうに受けとめるわけでありますけれども。

 今お話にありました、いわゆる会計年度任用職員制度、もう成立した法律の中身について少し伺いたいと思います。

 この中で、職員に「期末手当を支給することができる。」ということが定められているわけであります。定められているということは今お話にもありましたけれども、できるということになりますと、職員の立場にしてみれば、できることを規定しただけであって、これは支払うか支払わないかの判断は自治体の判断に委ねられる。そうすると、こうした制度ができて、法律の中に、今まで支払われなかった期末手当、ボーナスですね、を支給することができると書いたところで、財政状況を鑑みれば、自治体はこの支給をしないんじゃないかということ、そういう不安を思うわけであります。

 まず、総務省に伺いますね。この法律の中の、「期末手当を支給することができる。」ということの文章の意図するところ、総務省の考え方、これはどのように考えるか、お伺いします。

大村政府参考人 お答えいたします。

 臨時、非常勤職員の給与につきましては、御指摘のように、今般の改正法により、非常勤職員である会計年度任用職員に対しまして期末手当を支給できることとしたところでございます。

 私ども総務省といたしましては、今般の改正法の趣旨ですとか、地方公務員法にそもそも定める均衡の原則、こういった給与決定原則を踏まえまして、各地方公共団体において期末手当を適切に支給すべきものというふうに事務処理のマニュアルを発出いたしておりまして、こういう中でも示しているところでございます。その旨、制度施行に向けて、引き続き助言を行ってまいりたいと考えております。

山岡分科員 ごめんなさい。その助言というのをもう一度確認なんですけれども、それはやはり自治体としては払うべきものであるということで、総務省としては、そうしたことが例えばされない事例があったときにどのようにお考えになられるか、そのことも伺わせてください。

大村政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、今申しましたように、会計年度任用職員としてまずは職を適切に分類して位置づけていただくということが必要でありまして、その作業を今各団体でやっていただいていると思うんですけれども、その上で、会計年度任用職員として位置づけて、やはり一定の期間任用するということになりますれば、これは期末手当を支給していただくのが適切であるというふうに考えておりますので、それに、かなり事務的に細かいことまでマニュアルには記載してございまして、適切にその点を助言しているというところでございます。

山岡分科員 つまり、私が伺いたいのは、するべきものであるという見解、総務省の見解というのがどの程度の職員の方に対しての安心の思いとしてつながるかということを伺いたいと思っているわけでありまして、仮に、総務省として、それが支払うべきものである、一般的に考えればそうだと、その一般的じゃないような事例というのが出てくる可能性も理屈の上ではあるのではないかと思うわけであります。そのときには総務省としてどのように考えを持つのか、そのことについてぜひお伺いしたいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 基本的には支給すべきものということは言っておりますけれども、これも最後は自治体の方の判断もありますけれども、非常に短い勤務の場合、例えば、週当たり十五時間半、要は二日未満の勤務というような方もいらっしゃるわけであります。そういったパートタイムの会計年度任用職員の中でも非常に短い時間の勤務というような場合において、これは国との、国の方にも期間業務職員という方はいらっしゃいますけれども、そういった方々との均衡ですとか、それから自治体の全体的な中でのバランス、均衡ということを考慮して支給しないということは、これはあり得ると思っておりますので、そういったことについては、ある程度、こういった具体的なことも入れて助言をしているというところでございます。

山岡分科員 いわゆる二日という事例の話をしているわけではなくて、一般に支払うべき人に支払うべきものであるということを考えているわけでありますけれども、一般に支払われるべき人たちに支払われないという事例が出てきたときに、それは総務省としてどう考えるのかというお話を伺わせてください。

大村政府参考人 お答えいたします。

 私どもとしては、ある意味繰り返しになりますけれども、会計年度任用職員の方に対して期末手当を適切に支給すべきものということは申し上げておりますので、それを踏まえて適切に判断いただきたいということで、自治体に対してそういう助言をしているということですので、その点は御理解をいただきたいと思います。

山岡分科員 わかりました。適切に運用されるものだということを強く繰り返し述べられましたけれども、そのことをもって、本当に、会計年度任用職員の方がこれから期末手当ももらえるということの期待を寄せられていますので、このことは強く踏まえて、またぜひ対応に当たっていただきたいと思います。

 職員側の見解としては、もし処遇の向上につながるのであれば、それは非常にありがたいことなわけでありますけれども、一方で、各自治体の立場にしてみれば、やはり財政の問題が出てくるわけであります。こうしますと、一般的に言えば、普通に考えれば、人件費がふえるというのが期末手当を支給するということなわけであります。その財政的な担保があるのかということについては、現在のところ、まだそうした具体的な地財計画などが発表されていないということもあって非常に戦々恐々としているというのが、私のいろいろ聞いた中の自治体の不安であるということを感じているところであります。

 総務省は、早ければ二月から三月、つまり今ごろ、この議会において、各自治体でこの新制度の条例を定めるということも想定していたわけでありますが、実際は数%程度の自治体にとどまっているというのが、これも総務省の調査で明らかになっていまして、現時点で条例も定まらない、財政的担保もわからない、そうすると会計年度任用職員の処遇も定まらない中で、一般公募も、職員の公募もされない。

 多くの自治体では九月議会を考えているわけでありますけれども、これは、夏の概算要求に合わせて出てくるであろう国の地財計画の総務省の考え方の中に、このいわゆる新制度の財政的な担保がどれぐらい書かれているのか、どれぐらいの書き方をされているのかということの様子を見ているというのが非常に大きいものだと感じています。

 総務大臣に明確にしていただきたいんですが、今お話ありましたけれども、国側の助言として、期末手当を新たに支給すべき人には支給すべきだということをおっしゃられるということになりますと、当たり前ですけれども、月額の給与を減らして期末手当をふやすなんということにはならないわけでありまして、当然自治体の負担はふえるわけであります。これらを踏まえた自治体の財政を担保する地財計画にする、そのことは安心して皆さん聞いてほしい、だから安心して計画を立ててほしいと、ぜひこの機会に総務大臣に見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

石田国務大臣 平成三十二年度から導入される会計年度任用職員制度に係る必要な財政措置につきましては、今後、移行準備状況の調査を行う予定でございまして、当該調査の結果などを踏まえて、しっかり検討してまいりたいと思います。

山岡分科員 移行調査というのは、当然、自治体としては、支払うのであればこれぐらいの財政がかかりますよということを言ってくるということであります。そのことを十分に踏まえるという意味でよろしいのか、もう一度御答弁お願いします。

石田国務大臣 そういうことでございます。しっかり、移行状況の調査を踏まえて、対応させていただくということでございます。

山岡分科員 ありがとうございます。

 地財計画、これから出てくるかと思いますが、今のお話を聞いて、各自治体のそうした動向をちゃんと踏まえるんだというお話、また、私も地元の各自治体にもお伝えしたいと思いますが、いわゆる会計年度の任用職員制度は、新たな期待と、新しい制度なので非常に不安も各関係者の間で渦巻いているものでありまして、ぜひ、適切な運用の中で、皆さんの処遇の改善と本当に働きがいのある職場をつくっていく制度になってほしいと思っておりますので、そのことをお伝えさせていただきますとともに、これは質問しませんが、大臣にまたお願いなんですけれども、大臣は九月六日の被災当時は大臣ではなくて、その後御就任されて、それでも被災地の厚真町と札幌市には行っていただいたということでありましたが、やはり厚真町、安平町、むかわ町という、被災三町の大きな力を合わせて取り組んでおり、周辺自治体もありまして、今回の震災は非常に自治体の力が大きく、これからも役割は大きいと思っていますので、できれば、直接お伺いする機会が、行く機会があれば行ってほしいと思いますし、ぜひ心配りをしていただきたい、そのことを最後にお願いさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本主査 これにて山岡達丸さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大河原雅子さん。

大河原分科員 立憲民主党の大河原雅子でございます。

 きょうは、総務省というのは地方自治にとっては大きな後ろ盾になってほしい役所でございます。私も、東京都議会に三期務めて、国政に送っていただきましたけれども、やはり国と自治体の対等の関係、そして地方自治においては、その地域で本当に必要なルールを決めていく、そこの議会の議決や首長、行政庁の意思を尊重していく、こういう国の形が目指されるべきだというふうに思ってまいりました。

 石田大臣にまず感想をお尋ねしたいんですが、今、子供たちの児童虐待の問題が本当にたくさん起こっております。ちょっと感想を聞かせていただけますでしょうか。

石田国務大臣 私も子供がおりますし、子育てもやってまいりまして、ちょっと私の感覚からいうと、今メディアで報道されているような状況というのは考えられないなというふうに思います。

 ただ、そういうことに至る根本的な原因とか要因は一体何なのかな、やはりこういうことをしっかり突き詰めていく中で対応していかないといけないし、また今話題になっております児童相談所を始め関係機関の対応の仕方、やはり本当に子供を守る、それ以外の方もおられますけれども、そういうものをしっかり守っていくという観点から対応できるような状況にしていかなければいけないなということを強く感じております。

大河原分科員 本当に、表に出てきた子供の虐待、そして多くの場合、その子供たちの親である母親が夫から暴力を受けているDVの問題がその背景にあるということが大変見過ごされてきたんじゃないかというふうにも思っております。

 全国で、このDV被害者、支援措置を受けている人がもう十二万人ということでございますので、非常に大きな社会問題だと思っています。

 配偶者からの暴力、ストーカー行為、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者というのは、申出によって住民票の写し等の交付を制限することができます。これがよりどころですね。暴力から逃げて安全を確保するというのは、まず第一にやらなきゃならないことです。しかし、DV被害者の転居先の住所、これが自治体から漏れてしまう、加害の方に伝わってしまう、こういうトラブルが絶えません。

 DV被害者に係る住民票の写しの交付について、きょうは伺っていきたいというふうに思っております。

 支援措置の改革や、安心して被害者が使える支援措置であってほしいわけですけれども、女性相談員とか婦人相談員などからは、実は安心して使えないんだというお声も聞いておりまして、それがどうしてなのか、安心できなければもちろん使われませんし、その安心できない理由を取り除いていく、これが政治、そして役所の大きな役割だろうというふうに思います。

 支援措置を受けないようにという助言をせざるを得ないのよとか情報提供をせざるを得ないのよというようなことは非常にマイナスになりますし、逃げているのに更に住民票を登録できない、こんな不安定なことがあってはならないと思うわけなんですけれども、再び大臣に、こういう事態があること、相談員の批判や悩みなどについて、実態を御存じでしょうか。

石田国務大臣 住民基本台帳事務においては、DV加害者が住民票の写しの交付等の制度を不当に利用して被害者の住所を探索することを防止するため、被害者の申出により、自己の住民票の写しが加害者へ交付等されないよう制限するDV等支援措置を設けているところでありますけれども、この支援措置は、被害者保護の観点から非常に重要な仕組みであります。しかし、一部の市町村において事務処理に誤りが発生しているということは、まことに残念でございます。

 総務省としては、事務処理を誤った市町村に対しまして、直接再発防止について助言するほか、全市町村に対し、事案を踏まえた累次の通知を行うとともに、さまざまな機会を通じてその周知に努めているところであります。

 引き続き、各市町村において住民基本台帳事務におけるDV等支援措置が適正に執行されるよう、助言してまいりたいと思っております。

大河原分科員 住民基本台帳のこの措置が非常に頼りになるものであってほしいと思いますし、窓口でのうっかりミスなどというものがあってはならない。加害者の求めというのは非常に執拗に、そして高度化するという言い方はおかしいんですが、非常に窓口では見分けがつかなくなってきているというようなことも起こっています。

 自治体の市民課などの職場で、交付に関して統一基準を求める声というのは、毎年のように全国協議会で上がってきております。こういう状況があるというのは、大臣、御認識ございますでしょうか。職員から全国協議会に統一基準が欲しいという声が上がっているんですけれども。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 毎年、私ども、先生がおっしゃられました全国協議会などといろんな議論をしてございます。いろんな意見がありまして、このDVにつきましても現場での声を伺わさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

大河原分科員 全国協議会であれほど声が上がってきているということですので、被害者の情報を加害者に漏らさないというその点について、対処策、対処方法というのが十分とは言えない、不十分なんじゃないか。連携も含めてですね。いつの間にか弁護士から加害者に市役所からの住所情報が漏れてしまって、またもう一回別の場所に逃げなきゃならないということが各地で実は起こっています。

 本当に困ったことだと思うんですが、昨年、加害者の弁護士は加害者と同視する、同じように見る、つまり加害者とみなして交付しないという総務省の通知が三月二十八日に出されました。そして、この通知を受けて、十一月三十日には最高裁判所の事務連絡が出て、最高裁事務連絡では、自治体の不交付によって現在の住所がわからなくても裁判所が対応する、裁判所も加害者に住所がわからないような適切な対応をするという支援措置に関しての画期的な事務連絡だと思います。これによって、現場の、被害者情報、住所情報の秘匿に責任を持つことができますし、加害者とされた方の裁判上の権利も確保されるということで、非常に歓迎をしております。

 大きな前進と思うんですが、実は、ことしも全国協議会では弁護士からの請求に関して質問が出ています。住基法には、裁判や裁判外の紛争の解決に当たって弁護士が請求をする場合、誰に依頼されたかを示す、そのことは必須項目になっていないんですね、書かなくていいんです。現場では誰に依頼されたのかがわからないわけですから、現場の窓口、市役所、役所では、三月二十八日の通知を実施したいと思ってもそれができない、一体どうしたらいいんだ、そういうことで混乱というか、当惑が起こっているわけです。

 総務省は利用目的を審査しろというふうにおっしゃっているわけなんですけれども、利用目的に損害賠償というふうに職務上の請求書として示された場合には、窓口の職員はもうそれ以上なかなか聞くことができません。それで、それをどうにか被害者に寄り添おうという自治体は、ある自治体では、誰に依頼されたか、もちろん最初に聞きます、答えなければ厳格な審査に応じないということで裁判所経由で請求してもらうしかないということで、裁判所経由で申請するという方法を自主的にとっているということなんです。しかし、こういう意思ある自治体ばかりではありませんので、総務省の通知で示されていないので独自には判断できない市町村が多いということが現実です。

 そこで伺いたいんですが、弁護士からの請求には、弁護士などの請求書について誰に依頼されたか聞くというような方法をはっきり通知でお示しになったらいかがかなというふうに思うんですけれども、このことはどうでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の平成三十年三月二十八日付の通知は、弁護士から加害者の代理人等として、住民票の写し、戸籍の付票の写し等の交付の申出があった場合には、加害者本人から当該申出があったものとみなし、申出を拒否する取扱いとすべき旨、お示しをしたものでございます。

 一方で、住民基本台帳法第十二条の三第二項においては、弁護士等からの申出があった場合には、市町村長は、当該申出が相当と認められるかを判断する必要がございます。よって、仮に、申出の対象がDV等の被害者の方であって、支援措置の対象となっている場合には、その申出が相当か判定するために、依頼人が加害者であるか否か確認する必要があります。

 このような対応をとるべきことは、もうまさに私どもが出させていただいた通知それから条文により明らかであると考えておりまして、こうした点についても、引き続き、住民基本台帳担当者向けの説明会や、あるいはいろいろな機会を捉えて周知徹底をしてまいりたいと考えております。

大河原分科員 これらの総務省の三月二十八日の通知、それから最高裁の事務連絡、これの大きな契機になったのが和歌山県の橋本事件だというふうに思いますけれども、これについてちょっと説明をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

北崎政府参考人 恐れ入ります。

 申しわけございません。具体には御通告をいただいておりません、申しわけございませんが。よろしくお願いいたします。

大河原分科員 橋本事件は、支援措置で、加害者とされた方の代理人弁護士が、戸籍の付票の写しを交付しないということで、和歌山県の橋本市長の処分に対して裁量権の逸脱である、濫用であるとして橋本市を訴えたということですね。そして、この訴訟は最高裁まで闘われて、市長の処分に裁量権の逸脱、濫用はないということで、大阪高裁等の確定判決が一八年の七月、昨年の七月に出たわけです。

 このことは非常に大きいと思うんです。市長さんがこの被害者を守るためになされた不交付という処分、このことについては、自治体の裁量権が認められたということで、今御説明をいただきました、一つ一つのケースが違うから、その必要性について判断をするということだ、表向き、もちろんそうだと思いますが、やはり、このことをもってして、なるべくわかりやすく加害の弁護士に対する対応というものを統一的に示されることが、より今の現状に合った、被害者を守る自治体の意思が尊重できる社会の意思となるんじゃないかというふうに思っています。

 住基法は開示を前提としているというふうに言われますけれども、もう一つの役割、これは大きな問題だと思います。

 それで、更に言えば、これから先もあると思いますが、表向き正当な請求権を持つ人が窓口に来るということも考えられます。しかも、加害をした人に指図されて請求に来るという場合があるんです。例えば、加害者の子供がDVで逃げているお母さんを探したいと、加害の夫から諭されるか利用されて請求に来たとする。戸籍の付票など、直系親族であれば請求できる権利があるわけですから、こういう場合、どういうふうに対処したらいいのか。事務処理要領や通知、質疑応答で対応策が書かれていないということが今指摘をされています。地方自治体の担当者から聞くことでございますけれども、総務省が指示している利用目的を審査しても、また心証を重ねてもわからないわけです。

 これに対して、またある自治体では、もう加害者のことを一番よく知っているのは被害者自身だということで、被害者に確認をするということを方法としてとっているという自治体も幾つかあると聞いています。加害情報を一番持っている被害者に確認すれば、その請求者が加害者の支配を受けている者であるのかどうか、加害者に伝わることはないのか、あるのか、簡単にわかるわけです。請求者にも被害者にも同意をとった上で交付する、しないという判断をすることは、個人情報の保護条例の上でも問題はないというふうに考えます。

 総務省が自治体の対応事例を支援措置を支える取組として全国に紹介したらどうかというふうに思うわけですけれども、これについてはいかがでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 住民票の写し等の交付の制度自体は、市長村長がその申出を相当と認めるときは住民票の写し等を交付する仕組みでございます。申出が相当と認められるかどうかについては、先ほど先生、橋本市の例もおっしゃられましたけれども、まさに市町村長が責任を持って判断するものでございます。したがって、住民御本人が交付の可否を判断するものではないというのが制度の大前提でございます。

 したがって、住民基本台帳法に基づき第三者から交付を受けたいという申出があった場合に、御本人に交付の可否を確認する制度というのは、設けることは困難であろうと考えてございます。

 以上であります。

大河原分科員 本人に可否を聞くのは困難だというふうに今おっしゃるんですけれども、実際に行われて、橋本の事件、橋本市のことも、自治体の裁量の中でやっていく。そういうことはもっと丁寧に、そしてそのことによって、結果、守ることができたということについては、やはり私は、広く自治体の職員の皆さん、そしてまた首長の皆さんが共有をして、そして全国に十二万人の支援措置を受けていらっしゃる方がいるんですから、ぜひ守り抜いていただきたいなというふうに申し上げておきます。

 なかなか、自治体の自治事務ということで、国からそういうことを言えないという姿勢もあるかもしれませんけれども、これだけ全国協議会で質疑される、疑問が出てくるということなので、総務省、地方自治を推進する立場からも検討をしていただけたらと重ねて申し上げたいと思います。

 そして、最近なんですけれども、家を買うときに夫婦共同名義とかでローンを組みますけれども、そのときに、DVが起こって妻の方が逃げた場合、銀行からの請求で裁判になると、両者に裁判の内容が送付されて、加害者に奥さんの、妻の住所がばれてしまうということがあります。最近多い事例だそうですけれども、不交付にして裁判所を通じた請求にする、こういうことなら応じられますし、その場合も加害者への秘匿をしっかり裁判所に依頼する自治体があるというふうに聞いています。

 最高裁の事務連絡で、ますますこれは対応が可能になったというふうに思いますけれども、加害者からの請求でない支援措置外のケースですけれども、支援措置を受けている被害者の住所が結果として加害者に漏れることがあってはならないというしっかりした認識を持っていれば起こらないケースかと思います。

 全国の自治体でそういう認識を持ってほしいと思いますけれども、夫婦で家のローンがあるなど、銀行の請求に応じる支援措置外のケース、しっかり対応すべき問題だと思いますけれども、どのような認識を持っておられますでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 金融機関がDV等の加害者と被害者の両方を被告として訴訟を提起する事例におきましては、先生おっしゃられましたように、金融機関に住民票の写しを交付しますと、結果として加害者に被害者の住所情報が伝わる可能性がございます。

 この事例については、金融機関の利用目的について厳格に審査した上で、訴訟の提起を目的とすることが確認できれば、平成三十年十二月に発出した通知を踏まえて、金融機関には交付せずに、裁判所からの依頼に対応する方法によることも可能であると考えてございます。

 DV被害者に係る住民票の写しの請求については、利用目的の厳格な審査を行うことがまず重要であります。個別具体の事案について交付に応じるかどうかは、各市町村において慎重に判断していただく必要があります。総務省としても、助言、情報提供に努めてまいりたいと考えております。

 以上であります。

大河原分科員 加害者に伝わってしまって、それが更に悲惨な事件を起こさないようにしてほしい、加害者に住所が漏れるようなことがないようにしっかり対応してほしいと思います。

 ところで、事務処理要領では、住民票の不交付の支援措置、この期間を一年というふうにしておりますね。支援措置の期間が経過をすると、延長の手続をしなければならないということなんですが、一年ごとの延長申請というのは自治体の事務としても大きな負担になると思いますし、大体、一年ぐらいでDV問題は解決いたしません。なので、被害者にとっては、毎年毎年その申請をしなければならないというのは、精神的な負担にもなっています。

 離婚届の不受理のように、申請して本人が取り下げるまで終了しないというふうにすべきじゃないかというふうに、実際に相談に当たっている相談員の方々からも、また、もちろん被害者、当事者からも上がっているわけですけれども、事人命にかかわることなので、ぜひ、被害者の精神的、物理的負担を軽減する支援措置期間を、例えば一年じゃなくて長くする、長期化する、あるいは自動更新として、更新しない旨の申出があるまで支援を継続する、終了の申出があったところでとめる、こういうことに切りかえてはいかがかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 DV等支援措置につきましては、被害者に係るDV等被害の状況がケースごとにさまざまに変化し得ますことから、期間を一年と定め、申出があれば状況を確認して延長することとしてございます。

 支援措置の期間については、DV等被害者の申出に基づき、住民基本台帳法で認められている住民票の写し等の交付制度の特例的な扱いを特に丁寧にやっているものでございますことから、一定の期間を区切って状況等を確認して、丁寧に、適切に対応していくことが大切なことであると考えておりまして、今後も引き続きこの取扱いとさせていただければと思っております。

大河原分科員 事務が自治体の負担になっていることも声が出ておりますので、ぜひ自治体からの要望にもしっかり受けとめをしていただきたいというふうに思います。

 大臣は、市長さんも二期されてこられました。その自治体の裁量権、そして、その自治体の住民の皆さんの安全、安心をしっかり守る、そういうところからも、このDVの支援措置問題、ぜひしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 ところで、大臣、官製ワーキングプアという言葉を御存じでいらっしゃいますか。官製ワーキングプア。次に会計年度任用職員制度についてちょっと伺いたいと思うんですが、公務員でありながらワーキングプアということで、非常に私は問題だと思っています。

 今、非正規の公務員の約七五%が女性です。非正規公務員の中には、定型的な、補助的な職務とは異なって、例えば、今のDVの相談員もそうですし、女性相談の相談員、学童指導員、それから消費生活相談員、家庭児童相談員、さまざまな、専門性が必要とされるそういうお仕事も非正規の方々が今担っておられます。今回の会計年度任用制度によって、その専門性の評価、継続性が損なわれるのではないかというふうに懸念が広がっています。

 特に、継続性、専門性が必要ということでいえば、一年ごとに契約をし直す、再任も、二年、二回ということでいえば、DVもそうですし、子供の虐待もそうですし、なかなか解決に結びつかない、非常に不安定な非正規公務員の形が合法化され、また固定化される、そういった、プラス面というよりは、ちょっとマイナス面の方が私には大きく見えるんです。

 この専門性のある方たちが支援に集中できるような安定雇用と待遇の引上げというのが必須だと思ってきましたので、現在雇用されている臨時、非常勤の方々が不利益をこうむることのないような財政措置が必要だと思いますが、この点、お答えいただけますでしょうか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正法でございますけれども、そもそも、臨時、非常勤職員の任用の適正化を図るということで、そういう観点で改正をいたしておりまして、一般職の会計年度の任用職員制度を創設して、任用や服務規律等の整備を図るといったような見直しを行っております。

 そもそもこの会計年度任用職員、会計年度で切っておりますけれども、実際には、客観的な能力が一緒というのもございますが、再度の任用は当然可能でございます。

 また、平成三十二年の四月の施行に向けまして、平成二十九年八月に発出をした我々のマニュアルにおきましても、民間労働法制の動きも踏まえながら、給与その他の勤務条件について、処遇の適正化の観点から助言しておりまして、このことは、職務に応じた処遇の改善にも資するというふうに考えております。

 特に、臨時、非常勤職員の給与につきましては、今般の改正法によりまして、非常勤職員である会計年度任用職員に対しまして、期末手当を支給できることとしたところでございまして、総務省といたしましては、今後も移行準備の状況等について調査を行う予定でございまして、地方財政措置についても、当該調査の結果などを踏まえて検討してまいりたいと考えております。

大河原分科員 この非常勤の公務員、七五%が女性ということについては、何かお考えがございますか。

大村政府参考人 お答えします。

 これは、各自治体においていろいろな業務がふえてくる中で、今非常に臨時、非常勤の方が重きをなしてきているということであると思っております。

 御指摘のように、教育、子育て、そういった増大化し多様化する行政需要の中で、そういった役割を果たしていただいていますので、どうしてそうなっているかということというのは、そういった形で、今現在、女性の方がかなりの割合を占めているということは、私も十分に認識をいたしております。

大河原分科員 大臣、どうお考えでしょうか。女性の非常勤の公務員が多い。しかも専門性が必要な場所なんですが、こういう方たちがなぜ今いるのか、ここになぜ男性の非常勤公務員がいないのか、そのことについては、お考えをお聞かせいただけますか。

石田国務大臣 私は、つまびらかにしておりませんので、なかなか適切なコメントはさせていただけないわけですけれども、最近、あらゆる場所で人手不足の問題も起こってきている中で、やはり女性の社会参加という形にもなってきている、そういう方にお手伝いいただいているという状況なのかなという感じはいたします。

大河原分科員 公務員改革をやっても、やはりその中に差別があります。ジェンダーの問題で、どうしても男性の公務員の優先的な議論になってしまっているということがあって、専門性を持ち、そして今、少子高齢化ということが進むということは、本当に、人が人をお世話をする、人と本当に実際に接していく専門性を持った、多く女性たちが担ってきた仕事、こういうことの再評価が必要だと思います。

 行革、聖域なき構造改革と言われて久しいわけですけれども、その中で、実は、本当に必要な公務サービスの予算も削られ、そして人員も減らされ、ふやすという方向が打ち出されなかった。これから先、この国の貧困問題に取り組む、そういったことでも、総務省がぜひ地方自治体への財政措置をしっかりととっていただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本主査 これにて大河原雅子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎さん。

奥野(総)分科員 委員長、早朝、朝からお疲れさまでございます。大臣も、連日お疲れさまでございます。

 国民民主党・無所属クラブの奥野でございます。

 それでは、短時間ですので、どんどんやっていきたいと思いますが、最初に、これはけさの共同が配信しているんですかね、賃金構造基本統計の不正問題、これは総務省が引き取って監査をしていると思いますが、新聞で流れています。三月上旬にもこの結果が出るというふうなことになっていまして、長年にわたる不正の継続は厚労省内に蔓延する事なかれ主義が根本的な原因と分析しているとか、担当職員は前任者からの引継ぎなどに従って漫然と業務を続け、問題を認識しても報告を怠っていたと見て、しかるべき組織的な対応をとらなかったと指摘すると。

 これは、きょう、毎勤統計の方も追加報告書が出てきましたけれども、読んでいると同じような話なんですね。みんな知っているけれども漫然と引き継いで、気がついたところで復元処理なんかはプログラムをさわればいいんですけれども、結局それが、事なかれ主義というんですかね、ずっと続いたままこんな大ごとになってしまったというふうに私もとっていますが、これは大臣、事実関係は正しいんでしょうか。

石田国務大臣 賃金構造基本統計問題については、総務省の行政評価局の検証プロジェクトチームで鋭意作業中でありまして、詳細についてはコメントは差し控えたいと思います。

奥野(総)分科員 そういうお答えだろうとは思っていましたが、ただ、見る限り、恐らくこういう内容なんだろうなというのは私もうなずけたんですが、ただ、このタイミングでここまで詳細に出るということは、誰か関係者が話をしたかリークをしたかということだと思うんですね。

 確かにこのとおりだと思うんですけれども、ちょっとタイミングがよ過ぎて、きょう厚労省の毎勤統計が出るこのタイミングでこういうのが出てくるというときに、事の問題はやはり厚労省の組織風土が問題なんだ、こう世の中に印象づけるような、それを補強するような記事だと私は思うわけであります。

 確かにそれもそうなんですが、厚労省のガバナンスをきちんとするというのも大事なんですが、今回我々がずっと言ってきたのは、もう一つ、いつも総理は、違う、別の問題ですよとおっしゃるんですけれども、統計の数値、かさ上げしようとするそんたくが働いたんじゃないか、きのうは否定されていましたけれども。ただ、いろいろなことを見ていくと、思うのは、官邸の意見があって、厚労省が四苦八苦しながら、ありとあらゆる手を使ってかさ上げしようとしているさまが見てとれるわけですよ。そこをやはりきちんと本来は明らかにしていかなきゃいけないんだ、それは国会の役目なんですけれども、この場ではないですが、というふうに私は思います。

 だから、気になるのは、なぜこのタイミングでこれが出てきたのかというのは、私は逆に少し勘ぐるところがあると指摘をしておきたいと思います。

 また、そういうことが、途中で漏れることが、こういうものは私は逆にあっちゃいけないと思うんですよ。これは全然違うのかもしれませんよ。でも、三月上旬になって出てくれば、これが正しいかどうかわかることでありますから、そういう意図的なリークは、私は、そういうことがあったとしたならばですけれども、よくないと思います。

 それから次は、行政書士の話をしていきたいと思います。

 町の法律家ということで、行政書士の皆さん、身近な法律相談とかいろいろなことで頑張っていただいているんですが、いろいろな要望があるので、きょうはそれをちょっと伺っていきたいんですが、行政書士が法人になることは認められているんですが、二人以上ということで、一人法人は認められていないんですね。たしか、社労士さん、社会保険労務士の皆さんは一人法人化が割と最近、改正で認められたと思うんですが、では、一人法人としちゃいけない特別な理由、これは改正をこれから、これは議員立法ですから、どこかのタイミングでお願いしていくということになるんですが、一人法人を認めることができないような積極的な理由はあるんでしょうかという問いです。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 行政書士の法人制度は、行政書士が共同して事務所を法人化することによりまして、一つには、業務の分業化、専門化が進み、利用者に質の高い行政サービスを供給することができること、二つには、担当者が疾病や事故により業務を行うことができなくなった場合に、他の社員が業務代行をすることにより、安定的なサービスを提供することができること、第三に、責任を負う社員が複数になることによりまして、賠償責任能力が強化されることを主たる目的として、各党会派での御議論を経て、平成十五年、議員立法で制定されたものでございます。

 一方で、弁護士及び社会保険労務士においては、一人でも法人を設立することが認められているところでございます。

 社員が一人の行政書士法人の設立が認められない積極的な理由はあるかとのお尋ねではありますが、先ほど申し上げましたような行政書士法人の制度創設時における各党各会派の議論も踏まえて、整理をしなければならない課題であると考えているところであります。

奥野(総)分科員 行政書士の皆さんからそういう御要望があるわけです。それを踏まえて、これも各議連がありますから、その中で、議員立法のタイミングでしっかり議論をしていきたいと思いますし、今、伺う限りは、立法者意思というか、議員立法ですから、各党各会派で話合いがつけばいいのかなというふうに受けとめさせていただきます。

 それから、行政書士の皆さんというのはやはりなかなか大変で、いろいろなアイデアを絞って、自分の専門性を深めて仕事をしておられるんですね。中古車の登録でありますとかあるいは入管業務、外国人の方のビザの更新とか受入れとか、そういうところでいろいろな知恵を絞って仕事をしておられるんです。

 そこで、ちょっと、最近の要望があるのは、外国人の受入れ、特定技能の受入れに伴って、登録支援機関制度というのができますが、では、その登録支援機関をやりたい、こういう声が行政書士の皆さん、非常に強いんですが、登録支援機関に行政書士はなることができるのかというのを、きょうは法務省ですか、伺いたいと思います。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 本年四月から開始する特定技能の在留資格に係る制度において、登録支援機関とは、受入れ機関との間の委託契約に基づき、特定技能外国人に対する支援の実施の委託を受けて、職業生活上、日常生活上、又は社会生活上の支援を実施するものでございます。

 改正入管法において、登録支援機関となるためには、一定の要件を満たす必要があることを定めております。具体的には、支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者や、出入国又は労働に関する法令の違反により刑事罰を科されたことがある者は登録支援機関となることができないものと定めております。その上で、支援体制として情報提供体制を確保していること等を省令で定めることを予定しております。

 登録支援機関となり得る主体につきましては、支援体制を備えた業界団体、行政書士、社会保険労務士、その他の士業者、民間法人等、幅広い主体を想定しておりまして、お尋ねの行政書士についても登録支援機関となることは可能でございます。

奥野(総)分科員 きのう、レクの際にいただいた資料を見ますと、こっちは登録の要件と書いてあるんですが、登録支援機関となろうとする個人又は団体が、二年以内に要するに業として外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること。

 これは、外国人の方をお客さんにして、ビザの更新とか、いわゆる入管業務の関係をやっておられる行政書士さんはこれに該当するという理解でよろしいんですかね。

石岡政府参考人 登録支援機関となろうとする個人又は団体が、二年以内の中長期在留者のこれは受入れ実績があることと定めておりますが、このほかに、登録支援機関となろうとする個人又は団体が、これらと同等程度に支援業務を適正に実施できると認められている場合は、登録支援機関となることができます。

奥野(総)分科員 要するに、受入れ実績がある場合というのは、例えば技能実習生の受入れ団体のようなものが想定されるんですが、行政書士の皆さんもそうやって、いわゆる外国人の方の代理としていろいろな手続をやっているわけですよね、相談業務ということですけれども。そういうのも読める方向で検討されているということで、確認ですけれども、いいですね。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 登録支援機関となることのできる個人又は団体については幾つかの要件を定めておりまして、先ほど申し上げたほかに、登録支援機関となろうとする個人又は団体が、二年以内に報酬を得る目的で業として外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有することということも定めております。

 いずれにしましても、行政書士の方が適切な形で業務を行われていたような場合、登録支援を行う体制がある場合は、登録支援機関として認め得るということでございます。

奥野(総)分科員 明確に御答弁いただきました。

 あとは、それは法人じゃなくても、一人、行政書士個人でも、個人と書いてありますから、確認ですけれども、個人で登録支援機関になることもできるということでよろしいですね。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 登録支援機関の登録の要件として、支援責任者及び支援担当者を選任することを要することとしているところでございますが、この支援責任者と支援担当者は兼務することを可能とする内容で省令を規定することを検討しておりまして、個人であっても、登録支援機関としての登録を受けること自体は可能でございます。

 しかしながら、登録支援機関が受入れ機関から委託を受けて支援を行う場合には、個々の特定技能外国人が行う在留申請におきまして、例えば、外国人が十分に理解することができる言語により情報を提供することなど、支援計画を適切に実施するための体制が整備されていることを確認することとなります。

 したがいまして、登録支援機関が実際に特定技能外国人の支援を行う場合には、支援を行う特定技能外国人の数や国籍の数等に応じた相応の支援体制を構築していただく必要があります。

 個人でもなることは可能でございますが、適切な体制を構築する必要があるということでございます。

奥野(総)分科員 明快な答弁でした。個人でもなることはできるが、当然ですね、やはりそこはきちんと支援業務をしなきゃいけないわけですから、そこが問われていくというふうに理解をいたしました。ありがとうございます。

 それから、行政書士法の、これは数年前に不服申立て代理権の改正を行わせていただきましたけれども、その次の改正というのをまた考えていかなきゃいけないんです、先ほどの一人法人なんかもそうなんですが。

 例えば、行政書士法の十八条ですが、これは日行連についての目的というところ、あるいは十五条、行政書士会の目的のところに、今、行政書士会の任務というか目的が、「指導及び連絡」ということで書かれているんですが、そこに監督を加えてくれないかと。個々の行政書士の皆さんを団体として監督ができないかということで、そういう要望があるんですが、これは制度的には可能なんでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 現在、行政書士法におきましては、都道府県知事に行政書士に対する懲戒の権限が認められていますとともに、日本行政書士会連合会及び行政書士会には、その目的として、会員等の指導及び連絡に関する業務を行うことが規定されているところであります。

 一方で、他士業、他の士業、例えば弁護士会でありますとか弁理士会、あるいは税理士会において、会員の監督に関する事務についても、会の目的として規定しているものがございます。

 行政書士法、おっしゃられました十八条及び十五条にあります「指導及び連絡」に監督を追加できるかにつきましては、他の士業団体における状況あるいは具体の事務の内容も参考にして、その法的効果や都道府県の権限との関係について整理をしなければならない、そういう課題があると考えております。

奥野(総)分科員 ほかの士業でも例があるということは、整理がついているということでしょうから、それに倣って整理をしていけばできなくはないと。

 いずれにしても、議員立法になるでしょうから、その中で、きちんと総務省の皆さんとも話をしながら整理をつけていくことだというふうに思います。要するに、できなくはないというふうに理解をしました。

 それから、これはずっと、行政書士の皆さんが最近おっしゃっているんですが、一条の目的の中に国民の権利の擁護と、要するに、行政書士の使命というのは、最終的には国民の権利の擁護を図ることというのを書いてほしいんだと。これはやはり士気が上がると思うんですね。一生懸命、町の法律家として頑張っておられるので、目的のところにこういう国民の権利の擁護を図ることということを書くと、全体として皆さんの士気が上がるということで要求をされているんだと思うんですが、このあたりはいかがでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 行政書士は、他人の依頼を受けて報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成する業務を行うこと、これは基本的な業務でございます。これに加えまして、平成二十六年の議員立法で行政書士法改正をいたしまして、不服申立ての手続の代理を行うことができる特定行政書士制度が誕生いたしました。行政手続の分野における専門家としてのさらなる活躍が期待されております。

 また、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律における民間紛争解決手続を業務として行う者として、平成三十一年二月現在に、十八の行政書士会が法務大臣の認証を受けて、裁判外紛争解決手続、ADRにおいて、和解の仲介業務を実施していると承知をしてございます。

 行政書士法の目的規定に国民の権利の擁護を加えられないかというお尋ねでございます。

 近年におけるこの行政書士の新たな活動の実績を通じて、行政書士の重要性を幅広く国民に御理解いただくことがまず大事であろうかと考えております。

 以上であります。

奥野(総)分科員 大臣、通告していませんが、所管の士業でありますから、ちょっと行政書士の皆さんにエールを送っていただきたいと思うんですが。

石田国務大臣 所管の問題でありますけれども、同時に、私、実は自民党の行政書士制度推進議員連盟の事務局長をしておりますので、この場では差し控えさせていただきます。

奥野(総)分科員 しっかり応援いただいているということで、私も野党の方の事務局をやっております。よろしくお願いしたいと思います。

 それからまた、次は公職選挙法のお話、これはちょっとレアケースなので取り上げてみたいと思うんです。

 私の知っている、というか、地元の千葉の市議会議員の方で、私道の前に御自宅があるんですね。私道を挟んで何十軒もおうちがあるんですが、これをもう市に移管したいと。事件があって、ある住人が、自分のところの前、うちの前を通るなといって、何か道路の真ん中に私道だといってくいを打って、車が通れなくなったりしたらしいんですよ。

 そういうこともあって、とにかくみんなで話合いをして、市に移管しよう、私道を市道に移管しようと。それで、話がほぼ調ったらしいんですが、じゃ、いざ土地を寄附しようという話になったときに、その方は市議会議員だったんですよ、自分の市に市議会議員は寄附することができるかというと、できないと。

 僕らもそうですよね、選挙区内で寄附は厳禁ですからできないんですけれども、どうもそれもちょっと何かおかしいんじゃないか。せっかく地域のためになる話ですけれども、それが寄附できないと全体がまとまらない、進まなくなるわけですよ。

 ちょっと聞いてほしいという話で、私も不合理だと思ったので伺うんですが、まず、公職選挙法における寄附というのはどういう定義なんでしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 公職選挙法第百七十九条の第二項におきまして、「この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のもの」と規定されております。

奥野(総)分科員 「その他債務の履行としてなされるもの以外」、要するに、債務の履行、物を例えば買う、スーパーへ行って、お金を払って物を買うのは寄附じゃないのでいいんだろう、そういう話だとか、党費、会費はいいんだということなんですけれども、じゃ、要するに、何か便益が得られればいいんだろうという理解をします、会費も党費もそうですけれども。

 といったときには、土地を提供すると道路の管理をちゃんと市がするようになって便利になる。例えば、舗装をするとか、道路事業、改良して便利になるという便益が発生する場合が多いと思うんですね。寄附することでそういう便益を得るんだということで、「債務の履行としてなされるもの」とここで読む、要するに寄附に当たらない、こういう解釈はできないんでしょうか。

大泉政府参考人 補足申し上げますと、先生がおっしゃるとおり、債務の履行に当たるかどうかというようなところがメルクマールになってまいると考えております。

 個別の事象でございましたけれども、総務省といたしましては、実質的調査権を有しておりませんで、具体的な事実関係を承知する立場ではございませんので、今のような、お答えは差し控えさせていただきたいということでございますが、その上で、一般論として申し上げますと、御指摘のような道路改良などにつきましては、例えば、任意で土地を提供する場合、あるいは逆に、事業の執行のために義務的に土地を出さなきゃいけないというような、求められる場合など、さまざまな実施方法などが考えられるところでございます。それを一個一個見ていってという判断になるとは思いますけれども、特に、さきに申しました任意で土地を提供するような場合であれば、公職選挙法上の寄附に該当するおそれはあると言わざるを得ないと考えております。

 いずれにしましても、具体的な事例が寄附に該当するかどうかにつきましては、個別の事案ごとに具体の事実に即して判断されるべきものでございます。

奥野(総)分科員 確かに、公選法上は、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならないと厳格な縛りがあって、確かに、緩めるといろんな限界事例が出てきて、勝手に解釈して尻抜けになるおそれがあるのはよくわかるんですけれども、それにしても、ちょっと今回の件は、レアケース、レアケースといっても何件かあったらしいんですけれども、どうかなと思うわけです。

 じゃ、そのためにこのただし書きのところに法律改正をするのかというと、ちょっとそれは何ぼ何でも厳しいだろうと思いますし、よく、公選法の話は僕らも気になるので、選管、場合によっては総務省に直接尋ねるんですが、なかなか答えてくれないんですよね。グレーだとかということで、きちんとそこを解釈をしてくれることは少ないんですよ。だから、せめて、こういう明らかに不合理と思われる事例については、解釈通達か何か出して、少し指針を地方の選管に示していただけると助かると。要望であります。

 大臣、今の、所管、こういうちょっと不合理なことがあるんですが、確かに公選法は厳格に運用しなければならないとは思いますが、しかし、明らかに不合理と思われるときは、少し総務省がリードして、きちんと通達で公定解釈を出してはいかがかと思いますが、どうですか。

石田国務大臣 先ほど来選挙部長から答弁させていただいているように、この公職選挙法上の寄附禁止というのは、いろいろな皆さん方の御議論の中で行われたものであって、そういうことの中でこういう法改正がなされてきたというふうに思っております。

 それだけに、どういう場合に適用するかしないのかというのはなかなか難しい問題がありますが、やはりこれは選挙制度にかかわることでもございますし、議員さんの政治活動にもかかわる問題であるので、やはり各党各会派で御議論いただくということがまず大事ではないかと思います。

奥野(総)分科員 確かに一般的にはそうなんですけれども、これはちょっと、各党各会派というのは少し違う気もするんですけれども、一応、意見という形で述べさせていただきました。

 最後に、ふるさと納税の話をさせていただきますけれども、私は、もともとは、ずっと言ってきたんですが、ふるさと納税反対なんですよね。ずっとこの間申し上げてきて、本来やはり税金はちゃんとその地域で使われるべきだと思いますし、それが物品に化けるというのはよくないということはずっと申し上げてきて、税法の改正もしたらどうかというのも数年前申し上げたことがあって、今回そういう形でやっていただけるのは非常にありがたいんです。

 その上で伺いたいんですけれども、まず、返礼品として認められる地場産品の定義ですよね、これはどこまで認めるんですか。これは一つ、大事なことになる、大事なポイントだと思いますが。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案におきましては、地場産品について、当該団体の「区域内において生産された物品又は提供される役務その他これらに類するものであつて、総務大臣が定める基準に適合するもの」と規定しているところでございます。

 これは、狭義の地場産品としては、「区域内において生産された物品又は提供される役務」としつつ、地場産品については、地域の実情に応じてさまざまな形態があることから、「その他これらに類するもの」についても地場産品の定義に含めるということにしたものでございます。

 この「類するもの」の範囲等につきましては、総務大臣が基準を定めるに当たりまして、地方団体の意見を参考とする必要がございますので、昨年末に、全国全ての地方団体に対して、地場産品と考えられる類型を示しつつ、意見照会を行ったところでございます。

 現在、その地方団体からの回答を参考といたしまして、その地域において相応の付加価値が生じているかどうか、当該地域経済の活性化につながっているかどうかといった観点も踏まえながら、基準案について検討を進めているところでございまして、引き続き、地域の実情や地方団体の考えもお聞きしながら、丁寧に検討を進めてまいりたいと考えます。

奥野(総)分科員 最終的には、個別に指定の段階で判断するということでよろしいですよね。そうしないと、類するものというと、どこまでというのは非常に大事で、広がってしまいます。

 それで、ちょっと、今、物品とおっしゃったんですけれども、地域通貨、私、この間、木更津のアクアコインというのを見てきたんですけれども、なかなかおもしろくて、いろいろなものが買えるんですね。コンビニでも買えるし、地域のものも買えるんですけれども、とにかく、その地域でしか使えないわけですから、その地域通貨を渡せば、そこに買物に来てくれるはずなんですよ。例えばこういう地域通貨のようなものを返礼品にできないかということなんです。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地域通貨と申しましても、その引きかえ可能な商品ですとか、サービスの範囲とか、利用可能な区域など、さまざまな形態が考えられますので、一律にお答えするのは大変難しいわけでございますし、あと、地場産品の基準の内容は、先ほど申し上げましたとおり、検討中でございますが、あくまで一般的な考え方として申し上げますと、返礼割合三割以下でございまして、かつ、地場産品とのみ引きかえできるような仕組みのもの、こういうものであれば、必ずしも制度の趣旨からは大きく外れないのではないかと考えられるところでございます。

 いずれにしましても、今後、具体的な問合せがあれば、その段階で判断してまいりたいと考えます。

奥野(総)分科員 いろいろなアイデアを絞って自治体はやっていますから、ぜひそういう取組にも応援してあげてほしいと思うんですね。

 ちょっと今の話で、地場産品は確かにそうなんですが、そこで買物するということも実は大事でして、例えばRIZAPとかアマゾンとかというと、全然その地域と関係ないところにお金が流れていってしまうわけですけれども、その地域で買物するということは、地場産品でなくてもそこにはお金は落ちるわけですから、ちょっとさっきの私の言っていることと矛盾するようですけれども、その地域に限定で使える地域通貨というのは少し広目に考えてあげてもいいんじゃないかというふうに思います。

 それから、募集の適正化の要件というのがあるんですが、これは一体どのようなものか。もう時間がなくなってきましたからまとめて聞きますが、大臣、この間、報道を見ましたけれども、例の泉佐野市でしたか、駆け込みセールのようなことをやっているところについては今後指定の対象から外す可能性を示唆された、こう報道に流れていますが、実際そういうことをお考えなのか。お考えだとして、例えば、募集の適正化の要件、要するに、過去にさかのぼって不適切なことをやったことまで指定の判断の材料にするのかということを伺いたいと思います。

石田国務大臣 新たな制度のもとでのふるさと納税の対象となる団体の指定は、法案成立後に基準を定めた上で行うものでございまして、当該基準の具体的な内容につきましては今後検討することとなりますが、総務大臣によるふるさと納税の対象となる地方団体の指定について、改正後の法律の規定に基づき、募集の適正な実施に係る基準に適合する地方団体として認められるかどうかをできる限り客観的な情報をもとに判断した上で行う必要があるものと考えております。

奥野(総)分科員 もう一声。やはりそういう駆け込みキャンペーンをこれからほかもやるかもしれないですよね。やはり厳しく臨まないといけないと思うんですが、どうですか。

内藤政府参考人 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、できる限り客観的な情報をもとに判断した上で行う必要があるということでございまして、他の寄附金税制等もございますので、そういう仕組みも参考にしながら検討してまいりたいと考えております。

奥野(総)分科員 厳しく当たるということでよろしいですよね。

 それで、最後、要は、僕は、さっきの地域おこし的な地域通貨の話とはやや矛盾しますけれども、もともとこういうのは反対で、野田大臣のときに、プロジェクトファイナンス方式と言っていましたけれども、それはぎりぎりいいのかなと。こういう事業にお金を下さいというのはいいと思うんですが、そういう形でもっと納税の対象を限定すべきだと思うんですが、いかがですか。最後、大臣。

石田国務大臣 今御指摘をいただいたクラウドファンディング、このようなものは非常に、総務省としても、優良事例として横展開をさせていただきたいなと思っておりますが、どういう形に絞るかというのは、今簡単に申し上げているのは、いわゆる三割以下、そして地場産品に類するものというような規定を考えておるところでございます。

奥野(総)分科員 時間が来ました。どうもありがとうございました。

坂本主査 これにて奥野総一郎さんの質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、奥野(信)主査代理着席〕

奥野(信)主査代理 それでは、次に、井上英孝君。

井上(英)分科員 日本維新の会の井上英孝です。

 きょうは、総務のこの分科会で質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。そしてまた、大臣、よろしくお願いをいたします。

 ちょっと順番を、通告はさせていただいたんですけれども、変えさせていただいて、まずは、先ほど奥野委員からもありましたけれども、ふるさと納税に関してまず質問させていただきたいと思います。

 今、泉佐野市とのやりとりが非常に話題といいますか、なっていますけれども、石田大臣も、もうほぼ、泉佐野でしたら隣町といいますか、本当に大阪と和歌山の府県沿いのエリアに当たります。泉佐野の千代松市長は、私も自民党時代に大阪市議をしているときに泉佐野の市議をしていて、自民党の府連の青年局でずっと一緒で、二十年来ぐらいの友人の一人でもあるんですけれども、また一方で、石田大臣にも大変御指導いただいていて、お世話になっていて、我々、若干、大阪のメンバーは板挟み感もあるんですけれども。

 でも、そういった中で、地域の自主性といいますか、知恵といいますか、そういったものも十分承知をしていただいた上で、このふるさと納税という考え方自体、我々は決して否定するものでもありませんし、最終的には、この六月までにもう予定されている法改正も含めて、いいものにどんどんなっていただきたい、そういうまた不断の努力というのを総務省にもお願いをしたいなというふうに思いますので、早速質疑に入らせていただきます。

 高額化するふるさと納税の返礼品というのをやはり問題視した総務省は、制度の趣旨に合わない返礼品の自粛というのを過去要請しておりまして、この六月以降からは、返礼品を寄附額の三〇%以下の地場産品に限定すると通達をしたというふうにお聞きをしています。

 全国で最もふるさと納税を集めている泉佐野、昨年で百三十五億ぐらいですかね、ことし、先般、市長の会見では、三百億を超える金額になっているというふうにもお聞きをしていますけれども、その泉佐野市では、泉佐野市ふるさと納税の取組を支持してくださった皆様へ感謝ということで、二月、三月限定でアマゾンギフト券をプレゼントという形になっています。百億円還元、閉店キャンペーンというのを実施しているというふうに聞いています。

 今回のキャンペーンは、企業が運営するふるさと納税サイトというのではなくて、市の直営サイトのみからの応募、応募といいますか、寄附を募集していることから、通常はそのポータルサイトの運営企業に払う手数料が不要となる、その分を、寄附を願い出ていただいた方に還元するという考え方で、これは一つの知恵なんじゃないかなと思うんですけれども、その経費相当分をギフト券として納税者に還元するという計画ですけれども、こういったさまざまな取組に関して、改めて総務大臣の率直な御意見をお聞かせいただけますでしょうか。

石田国務大臣 るる述べておりますけれども、もともとふるさと納税の趣旨、やはりこれは、ふるさと、あるいは、お世話になった自治体へ何か感謝の気持ちをあらわしたい、これは納税者側の意思であります。それからまた、自分の納めた税を、ある程度、一部分を思うような使い方をしたい、それは、例えば被災地への支援ということもあるわけでありますけれども、これも納税者側の意思ですね。

 そういうような状況の中で、例えば東京のような都会に地方からたくさんの方が見えてきている、そうしますと、そういう方のふるさとへの思い、そういうことについては、都会の自治体もある程度御理解をいただけるのではないか。そういう、地方と都会、そして納税者のそういう気持ち、そういうものが、お互いが理解できる範囲で健全に発展していっていただきたいな、それが私はふるさと納税の趣旨であろうと思うんですけれども、ある時期から、やはり返礼品について過度なことになってきた、あるいは宣伝、広告についても非常に派手になってきたということで批判が起こってきたということは、これは事実でございまして、こういうことで、今、先ほどの奥野議員のように、もともとこういうのはしない方がいいという方もおられますし、もっとやった方がいいんだという方もおられるわけであります。

 そういう中で、総務省としては、皆さん方の御意見をお聞きする中で、二十九年の四月でしたか、一回目の総務大臣の通知を出させていただいて、それによって応じていただいた自治体も随分あったわけであります。ところが、まだ依然としてそのままということであったので、野田大臣のときに二回目の通知を出させていただいた。それによって、随分と、ある一定の範囲内におさめていただいた自治体も多いんですけれども、いまだにそれに、一定のルールという御理解をいただけないというところもあるということで、今回の法改正につながったということであります。

 ぜひ、私たちは、いろいろな御意見の方がおられますから、その中で、これであれば大方の皆さん方の御理解をいただけるのではないか、そういうようないわゆる一定のルールの中で、健全にこの制度が発展をしていただきたい。

 現実に、これによって、その一定のルールの中ででも地域の振興に資していることがありますし、先ほどの奥野さんの御指摘ではありませんけれども、クラウドで、クラウドファンディングのような形で地域でそれを活用されているところもあるわけでございます。一定のルールの中で、地域の皆さんの御要望にも応えられるような健全な形で発展していただきたいというのが思いでございます。

井上(英)分科員 おっしゃっているとおり、ある程度、道義的、倫理的なラインというのは必然的なものかなというのはわかりますし、我々は、ふるさと納税自体やらぬでいいという議論は全く違うんじゃないかなと。やはり、先ほど言われたように、本当に、ふるさとから出てきて、例えば東京でお勤めの方が、自分のふるさとに納税したいなというようなときに非常にいい制度ですし。

 後ほど触れますけれども、それが寄附金扱いになって、控除を受けて、返礼品を受けて、またさらには、それで金券でとなってくると、ゆがんでいるというか、これはまた、今度、税との関係もいろいろ出てくるのではないかなとは思うんですけれども、あくまでも一般的に常識な範疇で運営していただくということは大事なんですけれども。

 ただ、一方で、その制度をつくるときに、そういう懸念があるということも指摘された上でこの制度をスタートさせている以上は、やはりそういう懸念が的中したという考え方も一方であるわけで、極端に言うと、これは先ほど大臣も答弁されたように、やはり、賛成される中で、徹底的に競争原理というのが、これは自治体のちょっと安売り的な競争ですけれども、そういう競争が激しくなるということも一定起きるのは必然かなという気もするんですね。

 ふるさと納税を集めるために、多くの自治体は、インターネットの、先ほども申し上げたポータルサイトを利用して告知をしている。その手数料は大体一〇%、一割に上るという報道もあって、泉佐野での還元キャンペーンというふうになりました。

 私もクラウドファンディングにちょっと触れたいんですけれども、このクラウドファンディング型のふるさと納税など、特定事業の実施に対する事業費を調達するといった取組というのも行われているというふうに聞いています。

 例えば、大臣も、多分、大阪のことなので御承知かもわかりませんけれども、御堂筋なんかは、今、御堂筋のなんばの駅前を緑地に変えていくという活動をやっているんですね。だから、例えば、大阪出身の方が、ああ、御堂筋、緑地になるんなら、その緑地のちょっと原資に自分の税金がなればいいなとか、多分、委員長も御堂筋だったらよく御存じだと思うんですけれども、そういうことを、本当に目的が明確になったような、そういう納税形式なんかも非常に大事かなというふうに思います。

 今回、返礼品やキャッシュバックを伴うようなことが起きていますけれども、そもそも、ふるさと納税額を、寄附となって、寄附控除の対象とすることが妥当なのかというところは疑問が残るところであります。個人的には、やはり単なる節税対策になっているんじゃないかというふうにも声がありますし、また、この控除対象とすることが妥当ならば、究極の形は今のようなやりとりというのが行われるということも必然じゃないかなというふうに考えるんですね。

 さらには、高額納税者ほどその恩恵を受けるという逆進性が非常に高いですし、ふるさと納税については、もちろん我々は賛成なんですけれども、さまざまなやはり幅広い意見が出てくるというふうに思います。

 納税者が寄附先を選択する、先ほど大臣がおっしゃったように、選択できるということでは、この納税意識というのを本当に改めて生んだということが非常に大きい成果の一つではないかなというふうに思っていますし、我々もそれは認めています。

 ただ、一方で、今回、泉佐野市のように、ちょっと聞く話では、今後、対象都市から外されるんじゃないかというような話も、今の経過からいくと懲罰的な話も聞こえてくるんですけれども、日本の法治国家で、ちょっと度が過ぎたところはゼロではないにしても、その対象都市から外すというのは、僕はちょっともってのほかだというふうに思うので、改めて大臣にも頭の片隅に入れておいていただけたらと思います。

 今回は、やはり国の制度も、先ほど言いましたように、そういう問題が起きるかもわからないよという懸念がされていた上で制度をスタートした、十年前ですね、その制度の不備というのもあるのではないか、そういう指摘も一方であります。

 さらには、その当時、元東京新聞の論説委員だった長谷川さんもその検討会のメンバーに入っていたかと思うんですけれども、その方が直近のテレビで、いやいや、これはもう競争自体は非常にいいんですよということで、競争すること自体は、自治体間競争をするということに対しては非常に好意的な、肯定的な意見をおっしゃっておられたというふうにも、私もその映像を見させていただきました。一方で、自治体の節度というのもある程度やはり問わないとだめなんじゃないかという御意見がほかの方からもありました。

 だから、いずれにしても、制度として、法改正もしますので、当然、徐々に徐々に健全で有意義なふるさと納税になるように変えていただきたいというふうには思うんですけれども、今後のふるさと納税のあり方、また、ふるさと納税の趣旨を踏まえた地域活性化を進めるというのであるならば、やはり高額返礼品等の制限ではなくて、自治体の創意工夫を徹底的に促すような取組というのも必要ですし、先ほど言いましたけれども、事業によって税収の使途というのがしっかりと見えるような、そういうことをしていくことによって、自治体が今後も寄附先として選ばれるような、制度の不断の努力での見直しというのが必要だと思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石田国務大臣 まず、十年前に制度ができたときにということで、制度の不備があったのではないかというお話でございました。

 こういうものというのは、最初にできたときにいろいろ考えても、想定外のことが出てくるわけでありまして、私はかかわったわけではありませんけれども、私も、これは自治体間の競争になるなということでありましたけれども。

 つまり、それは、その収入が、寄附をもっとしてもらうという意味の競争が起こるんだろうと思っていましたけれども、返礼品の方の競争になるというのは、私、不明で、思ってもみなかったんですが、そういうことが起こってきた。

 そういう中で御批判が出たので、総務大臣が二度にわたって通知を出させていただいて、持続可能なためには一定のルールを引きたい、だから守っていただきたいということを通知をした。これは、私は適切な対応であったと思いますし、それでおさまっていれば今回の法改正というのもあったかどうかわからないんですけれども、なかなかそうではないということの中で、やはり大きな御批判も出ていることは事実でありまして、そういう意味で、今回の法改正をお願いするということであります。

 それから、競争ということにつきましては、私は、一定のルールのもとでの競争というのは当然あっていいと思っておりまして、例えば、お話にあったクラウドファンディング、同じように財政的に非常に御苦労されている夕張市、ここでも、例えば夕張高校魅力化プロジェクトとしてやっておられるわけですね。

 だから、こういうようなことであれば、御理解をいただいて寄附される方も出てくるし、こういう制度は優良の事例としていいのではないかな、それも一定のルールの中でということでございますので、こういうようなさまざまな競争をしていただければありがたいなというふうに思っております。

井上(英)分科員 ぜひいい制度にやはりなってもらうというか、いい制度になるように、ぜひ大臣にもお願いしたいと思いますし、また、大臣も地方自治のことは、もう我々が申し上げることもなく、よく御存じだと思いますので、地方の気持ちというのも御理解をいただいた上で、本当にいい意味でのソフトランディングといいますかをぜひお願いしたいなというふうに思います。

 このふるさと納税ばかり議論できないので、ちょっと話題をかえさせていただいて、地方議員のなり手不足について質疑をさせていただきたいと思います。

 地方議員のなり手不足の理由の一つに、地方議員の年金を今復活させるというような動きがあるというふうに我々も思っていますけれども、我が党は地方議員の年金の復活というのはやはり反対と、我々は姿勢をとらせていただいています。

 大阪市もそうですし、大阪府もそうですし、複数の地方議会から反対意見というのが意見書として出されています、全体的には少ないというふうには聞いているんですけれども。一方で、厚生年金への地方議会議員の加入を求める意見書というのが、都道府県レベルで六八・一、市区町村計で五八・五と、ちょっと我々が調べたのであれですけれども、それぐらいの率になっているというふうにも聞いているんです。

 いっとき、私も、当時、大阪の市議をやっているときに地方議員の年金が廃止になりまして、そのときには議員特権というふうなことも言われて、共済なので、そんなに特権というか、その前に国会議員の年金がなくなったと思うんですけれども、国会議員の年金とはまたちょっと違って、共済の考え方だったんですけれども、当時は議員特権と批判されて、そしてまた平成の大合併もあって、市議の、市議会のやはり人数、構成員の数もたくさんふえて、そういった財政的な問題もあったように思うんですけれども、廃止を一度されているにもかかわらず、今回こういうふうになっているんです。

 私は、この賛成の意見書に関してはちょっと高いなと思っているんですけれども、私見的には、あくまでも意見書なので、意見書ぐらいは、それ、加入できるということで意見書を出しておけというような空気があったのではないかなと私は個人的にこの結果を思っているんですけれども、大臣として、この意見書に対してどのようなお考えがあるか、お聞かせいただけますでしょうか。

石田国務大臣 地方議員の年金のあり方については、さまざまな考え方があると承知をいたしております。

 私も大臣就任のときにこの問題にちょっと触れましたけれども、私ごとを申し上げてなんですけれども、私も、県議会で十一年、市長で八年、そして国会議員になってもう十七年目に入っている、十七年目だと思いますけれども、この間で、年金は市長時代の八年分だけでありまして、今いただいていませんけれども、通知だけを見ますと、年間に四十何万だそうでございます。

 こういうことを思いますと、私は、最初、三十歳、三十一歳ぐらいで県会議員に当選させていただいて、それからずっと続けていますけれども、その当時に自分の将来の年金なんて心配したわけでも何でもないんですけれども、この年になって、年金はこれかと思うと、あとは国民年金がありますけれども、そういうことの思いの中で、やはり若い人たちが、なり手不足云々よりも、例えば、会社へ勤めておられて厚生年金だ、そして議員になった途端に国民年金だけ、そしてまた議員をやめて会社へ行かれたらまた厚生年金とか、そういうことではなしに、ポータルペンションというんですか、どこへ行っても一定の年金が、厚生年金があって、共済ですか、年金があって、また厚生年金があって、そういうような、どこへ行っても一定の所得に応じた年金という形、それが一番素直ではないかという意味で、大臣就任のときに、年金をどう思いますかという話があったんだと思いますが、そういう答弁をさせていただいたわけでございまして、今後当選される若い議員さんが、将来その生活を心配することなく頑張っていただくためにも必要ではないかということで申し上げたわけでありますけれども。

 ただ、保険料の公費負担の問題とか、いろいろな課題があるのは事実でございます。また、地方議員さんの身分の根幹にかかわることですので、それはもう各党会派で御議論をいただくということだろうというふうに思っております。

井上(英)分科員 僕も、大臣のおっしゃるとおりだと思うんですね。大臣のおっしゃるとおりだと思うので、本当にそういうふうになれば一番いい、処遇の面でも。

 僕も、初めて大阪市議になったときは三十一だったんですけれども、当然、大臣がおっしゃるように、年金のことなんて考えずにこの世界に飛び込みましたけれども。

 本当に今大臣がおっしゃるのが理想なんですけれども、ただ、一方で、これはまた厚生労働省マターの社会保障の問題になるんですけれども、国民年金しかもらえずに高齢者として生活されている方が今現におられるということから考えると、国民年金だけで生活するのがしんどいとなると、根本的な社会保障をやはり見直していくことを考えないとだめですし、当然、今の国民年金を否定するような形でいくと、議員年金という別の年金というのも、また更に加算的にもらえるというのはやはり特権的扱いじゃないかという多分批判を受けてしまうのではないかなというふうに思うんですね。

 我々としては、年金の復活というよりも、特に、なり手不足の解消をしていくためには、地方ですね、大都市よりも更にまた地方を大事に考えていかないとだめだと。

 ただ、一方で、急激な少子高齢化社会における自治体運営というのは、人口減少とそれから財政悪化と向き合うことになって、さらには、水道とか下水とか、そういった公共インフラ、また公共施設等の老朽化したインフラというのをどんどんどんどん更新していかなければだめだ、水道管の、ライフラインだって、これからどんどんどんどん更新していかないとだめだというふうに言われています。

 そういう意味では、私は、将来的に、社会的要請として、新たな市町村合併なんかが行われていくんじゃないかなと。国交省が言うコンパクトシティーのような、やはり便利なところに多くの方がお住まいになって、一つのコミュニティーを大きくつくっていくという考え方が出てくるんじゃないかなというふうに思うんですね。たくさんお住まいになっているところから、また議員になっていただく方を、どんどんどんどん出ていくような考え方というような方向になっていくと私は思っているんですけれども。

 これをもって、統治機構の改革の一環として、結果的には、地方のあり方というものもあわせた議論というのが、地方議会のあり方だけではなくて、地方のあり方という議論が必要になってくるのではないかなと思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。

石田国務大臣 議員のなり手不足といいますか、今回の統一選挙でも無投票の選挙区が出てくるということでございまして、これは、この国会でもいろいろな部分でさまざまな議論をいただいているわけでございまして、今おっしゃられたようなことも非常に重要であります。

 これから、私は、地方の課題が多い中で、やはりこれは大問題だと思います。議員さんに、どうして皆さんに立候補していただくかということは非常に重要でありますし、今後の地方のあり方をしっかり議論していただかないといけない、そういう局面に来ているというふうに思っております。

 ただ、私が思うのに、例えば、都道府県議会、あるいは指定都市、中核市、それから一般市、町村とか、各級の議会によって状況は随分違うというふうに思います。恐らく、中核市以上のところであれば、無投票というのは余りないんじゃないかな、これは調べていませんけれども。

 そういう状況の中で、一方では、半分ぐらい無投票とかということでありますので、我々としては、三議長会の皆さんに対して、それぞれの議会が抱えている課題とか背景に応じたなり手不足への対応策について、それぞれの議会で、一度、実情に応じて御検討いただけませんかということの要請を総務省からさせていただいておりまして、そういうような皆さん方の声あるいは検討結果を踏まえて、このなり手不足の問題についてしっかり考えていかないといけないなというふうに思っております。

井上(英)分科員 大臣、ありがとうございます。

 本当に、先日、大分に僕はちょっと行ったんですけれども、全体の選挙区が何ぼか確認するのをちょっと失念というか忘れていたのであれなんですけれども、無投票が十選挙区あると。前回の四年前は無投票が七の選挙区があって、今回十にふえるということは、全体の行政区画がどうなっているのか、選挙区画がどうなっているのかちょっとわからないので一概には言えないんですけれども、ただ、七だった無投票のところが十になったということは、それだけ立候補される方がやはり減っているということなので、大分の県議でさえもそういうふうな現状になっているということで、当然、それが市町村になると、先ほど大臣がおっしゃったような、もう本当に、なり手もそうなんですけれども、地域の、地方の本来のあり方というのを本当に今議論していく必要があるのかなというふうに思いますので、またその辺も、大臣、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 もう限られて、もう五分を切っているので、非常勤職員の処遇についてちょっと聞きたいなと思っていたんですけれども、これは政府参考人に答弁をお願いしていたんですけれども、結果的には、服務規定も含めて、非常に高いレベルを非常勤職員には求められている中で、やはり不安定さ、それからあと、よく言われる、余り僕はこの言葉は好きじゃないんですけれども、官製ワーキングプアとか、そういうふうな表現を使われるということになっているので、ぜひ抜本的な処遇改善というのをしていただきたいなと。

 来年度から、来年の四月からは会計年度任用職員という制度自体が立ち上がるということで、このこと自体はいいんですけれども、今までの非常勤職員も、特別職の非常勤職員で二十二万人いてるということ自体、ちょっと、特別職って本当に限られた人です、首長、議員、それから、私も大阪市でしたので、固定資産税評価員とか、そういうふうな方々の、それに携わる、また、ちゃんとした一般職員がおって、またさらに、非常勤職員となると、全国レベルで二十二万人というのはちょっと多いのかな。また、それに臨時的な任用職員だとか一般職の非常勤職員だとか、合わせて六十万人ぐらい。全体の公務員の数からというたら、それは議論としては、非常勤が適正なのかどうかというのは、これはまた違う議論になりますけれども、やはり多いのかなという気がするんですね。さらには、任期つきの職員なんかもいてますし。

 役所の場合は、大臣もよく御承知だと思うんですけれども、結果的に組織がだんだん肥大化していくのは、そういうところの大きい要因もあるんですね。やはり営利団体じゃありませんので、もうけがないと思って、この業務がなくなった分だけその人員を削減するというのは、これは民間は非常にドライにやっていきますけれども、役所の場合はどうしても、非常勤で採用して急を助けてもらったら、その後ずっとですね。

 その職員のために業務をつくるとまでは言わないですけれども、結果的に、適正数は、余り、僕も大阪市役所時代に聞きましたけれども、適正数は余り明確に出しませんし、何の業務に対して何人の職員がいてるんだということも明確に言わないので、それで非常勤だけどんどんどんどんふえていくと、必然的に、人件費も含めた、自治体が肥大化していって財政状況が悪くなるというような状況もありますので、そういった改善、一生懸命働いて頑張ってくれる職員にはしっかりと処遇をしていただきたいというふうに改めて要望しておきますし、単年度契約になりますから、長期でやはり人材を育成するという視点がどうしても難しそうに聞こえますので、そこは、ぜひ、いい意味の制度になるようにお願いしたい。

 最後に、NHKだけちょっと答弁をいただきたいのは、二%、据置きになるというふうにお聞きしていますけれども、今後、もっと料金を、受信料を下げられると思うんですけれども、いかがでしょうか。

奥野(信)主査代理 日本放送協会松坂理事、質問時間が終了していますので、なるべく短時間で答弁してください。

松坂参考人 はい。

 お答えいたします。

 受信料の値下げと四つの負担軽減策を全て実施した場合は、単年度で四百二十億円規模の還元となります。これは、今年度、二〇一八年度の受信料収入の見込みの六%相当となります。

 NHKが果たすべき公共の役割、中長期の事業計画や収支の見通しを検討した上で、収支相償の原則にのっとり、今できる最大限の値下げを決めたところであります。

 この値下げを含む還元策をしっかりと実行してまいりたいと考えております。

井上(英)分科員 済みません、どうもありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて井上英孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、門博文君。

門分科員 自由民主党の門博文でございます。よろしくお願いいたします。

 先ほど来ほかの先生方からも御質問があったかと思いますけれども、連日マスコミをにぎわしておりますけれども、ふるさと納税についてまずはお尋ねしてまいりたいと思います。

 直前の井上先生からもありましたように、私の選挙区は和歌山市でして、全く直近が今話題の泉佐野市ということで、今よく報道されております。

 きのうも驚きましたけれども、直近の納税額が三百六十億円に達したということで大変びっくりしておりまして、私も千代松市長とも交流がありますけれども、確かに、かつて財政健全化団体となったこともありまして、市の財政状況から考えますと、やむにやまれてこの制度を熱心に活用されていることだと思います。ただ、反面、昨今は返礼品の考え方などが過熱をしまして、今議論の対象になっているところでもあります。

 そのような中で、改めて、この制度のそもそもを少し違った角度から考えてみたいと思います。

 まずは、この制度の理念や概要について簡潔にお聞かせいただけますでしょうか。

古賀大臣政務官 ふるさと納税は、そもそも、ふるさとやあるいはお世話になった自治体への感謝の気持ちを伝えること、あるいは税の使い道を自分の意思で決めることを実現するため、個人住民税の一部を実質的に地方団体間で移転させる、そういう制度であるということでございます。

 具体的には、都道府県又は市区町村に対して寄附をいたしますと、寄附額のうち二千円を超える部分について、一定額を上限として、原則として所得税、個人住民税から全額が控除されるというわけであります。

 結果として、個人住民税が減収となる団体もあるというわけでありますけれども、この制度から、例えば災害時の被災地支援としての活用など、よい事例が生まれてきておりまして、また、人口減少が深刻化する中で、地域資源を最大限活用して地域経済を再生させていく上で重要な役割を果たしているもの、このように認識しているところでございます。

 以上です。

門分科員 ありがとうございました。

 今御説明いただきましたような趣旨、理念で行われてきたこの制度も、始まって十年が経過しております。返礼品が地元のものでなくなってきたり、金券のようなものまで登場して、また、返礼品の返礼率というんですか、そのようなものも一部ではどんどんどんどん比率が上がってきておりまして、問題になってきております。

 また、ふるさと納税返礼品を一同に知らせるような雑誌が出たりとか、それからネットのポータルサイトができたりとかして、本来の趣旨から少々逸脱しているのではないかというふうに思わざるを得ないのは私のみならずというところだと思います。

 そこで、この制度について私自身が感じている違和感について少し質問をさせていただきたいと思います。

 その点で、まず初めのポイントですけれども、ふるさと納税、流入、流出という言葉遣いがいいのかどうかわかりませんけれども、各自治体における流入、流出、その額の多さについて、上位の自治体の状況を総務省で把握されていると思いますので、その状況について説明をしていただきたいと思います。

 それと同時に、例えばどこかの一年間を区切ったときに、日本国全体でふるさと納税の額というのはどれだけ移動しているというか、動いているのかも教えてください。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、平成二十九年度におけますふるさと納税の受入額の大きい団体でございます。一番目が大阪府泉佐野市の約百三十五億円、二番目が宮崎県都農町の約七十九億円、三番目が宮崎県都城市の約七十五億円、四番目が佐賀県みやき町の約七十二億円、五番目が佐賀県上峰町の約六十七億円となっております。

 一方で、平成三十年度課税、これは住民税でございますので、平成二十九年一月から平成二十九年十二月の寄附金になるわけでございますけれども、これでふるさと納税に係ります住民税控除額の大きい団体を上から申しますと、一番目が神奈川県横浜市、約百四億円、二番目が愛知県名古屋市、約六十一億円、三番目が大阪府大阪市、約五十五億円、四番目が神奈川県川崎市、約四十二億円、五番目が東京都世田谷区、約四十一億円というふうになっております。

 それから、トータルの数字でございます。

 平成二十九年度におけますふるさと納税受入額の総額でございますけれども、約三千六百五十三億円となっております。また、平成三十年度課税におけますふるさと納税に係ります住民税控除額の総額でございますけれども、これは約二千四百四十八億円となっているところでございます。

門分科員 ありがとうございます。

 大変大きな額が、トップファイブと言ったらあれなんですけれども、ランキングされているところの額の大きさに非常に驚いております。

 ちなみに、流入というか、受入れの額の一番大きかった泉佐野市、ここは、逆に言ったら、出ていっている方の金額はわかりますでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 泉佐野市の平成三十年度課税におけますふるさと納税の住民税控除額でございますけれども、約一億三千万円でございます。

門分科員 ありがとうございます。

 率直に言って、入ってきたらうれしいし、出ていったら悲しい、そういう制度だと思います。

 それと、今、国全体でということで御説明いただきましたけれども、流出、流入合わせて大体三千六百億とか二千五百億というような金額ということですので、一年間を通じて、それぐらいの規模のお金の移動によって、自治体が、もらえた自治体はうれしいし、なくした自治体は大変やということで、これだけの悲喜こもごもみたいなものが発生しているということが、どこか私には、この制度の根幹の部分で少し疑問に思わざるを得ないと思います。

 行政区域の外の人には、どんどんどんどん自分のところの方へふるさと納税してくださいと言うにもかかわらず、自分のところの行政区域に住んでいる人たちには、できるだけ流出させないようにしてほしいということで、首長さんたちは当然ながら、流入を促進し、流出を抑制したい。

 例えば、泉佐野の市長さんの立場でも、できるだけ多くのふるさと納税を獲得はしたいけれども、地元の泉佐野市民の人には、済みませんけれども、泉佐野市にちゃんと納税しておいてくださいというふうに言わざるを得ないようなことになっているというふうにお察しします。

 私は、人には勧めるけれども自分はしないという、そういうポリシーみたいなところに少し違和感を感じておりまして、このことについては特に御答弁は求めませんけれども、私自身は、そういうことも含めて、これからいろいろな御検討をされる中でお考えをいただけたらなというふうに思います。

 続けて、同じふるさと納税についてもう一点御質問したいと思います。

 私自身は、民間会社で二十三年間仕事をしてきまして、その間、経営者の立場でも仕事をさせていただきました。経営者の観点からいうと、委員長も経営者の御経験がありますけれども、経営というのは安定が大切であるということを私は身にしみて体験をしてまいりました。急にもうかって利益が出て、まあこれは利益が出る方ですからいいんですけれども、逆に、急に業績が悪くなって赤字になれば困ります。

 こういう、言葉がいいかどうかわかりませんけれども、どかすかするような状況がないように経営を安定させていきたいということが経営者のみんなが持っている考え方だと思うんですけれども、その中で、会社や組織を経営したり運営していくという観点では、このようなどかすかしていく状況というのは必ずしもよくないことだと思います。

 そこで、ふるさと納税ですけれども、例えば、前年度は五億円受け入れられました、でも、逆に次の年度は二億円流出しましたということになると、都合七億円のギャップが生まれます。このようになれば安定した自治体運営ができないというふうに私は思うんですけれども、その点で、直近で増減のギャップが大きかった自治体の状況をお聞かせいただきたい。そして、増減額がその自治体の税収に占める割合、どれぐらいの割合のインパクトを持っていたのか、そのことについてもお話しいただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度受入額と平成二十八年度受入額を比較した場合の増減額が大きい上位五団体を申し上げますと、第一番が大阪府泉佐野市のプラス百億円、二番目が長野県伊那市のマイナス六十八億円、三番目が佐賀県みやき町の五十七億円のプラス、四番目が和歌山県湯浅町の四十億円のプラス、五番目が宮崎県都農町の二十九億円のプラスでございます。

 こうした増減の税収に対する割合についてでございますけれども、例えば、最も金額の大きい泉佐野市におきましては、増加額百億円は、平成二十八年度決算の税収二百十一億円に対する割合は約四八%となります。

門分科員 ありがとうございます。

 やはり、トップファイブということで随分大きな額、しかも、今回御報告いただいたのはたまたまプラスに振っている方が大きかったんですけれども、泉佐野市の話も伺いますと、税収に占める割合というのは、四八%というのは非常に大きなウエートで、これが安定して推移すればいいんですけれども、まさに、さっきから申し上げているように、どかすかするようなことがあれば、自治体の経営ということについてはなかなか難しいんじゃないかなと思います。

 自治体から見ればそういうことなんですけれども、今お示しいただいたように、財源として非常に不安定な部分をはらんでいます。総務省から見たときに、自治体の財政はやはり財政の安定というふうに、非常にそこは求められているところであると思いますけれども、その反面、こういう変容を来すような制度が片一方で税収の一つのよりどころとして行われている。

 このことについて、ちょっと矛盾することが起こっているように私は思えてならないんですけれども、このあたり、総務省の見解をお示しいただきたいと思います。

古賀大臣政務官 地方団体が予見可能性を持って安定的な行政運営を行うためには、歳入も安定的であることが望ましいということは、確かに委員御指摘のとおりだ、そのように思いますけれども、ふるさと納税は、納税者の意思による寄附が行われた場合に税の控除を行う、そういう仕組みでございますから、毎年度、一定程度の増減額が生じることはやむを得ないんだろう、このように考えているところでございます。

 ただ、実際には、先ほど局長からも御答弁申し上げたとおり、増減の大きな団体というのは、やはり過度な返礼品を送付することにしたとか、あるいは過度な返礼品を見直したとか、そういったことによることが大きいのではないかな、このように思われるところでございます。

 こうした点につきましては、今国会に提出している地方税法改正法案によりまして、地方団体が返礼品を送付する場合には、返礼割合三割以下、かつ地場産品とすることによって、相当程度の改善が図られるんだろう、こういうふうに期待をしているところでございます。

 以上です。

門分科員 ありがとうございました。

 さっきから申し上げましたように、ふるさと納税を獲得するのは、どんどんどんどん前向きにいろいろな工夫をやってやれるんですけれども、反面、流出していくことに対して抑制するということはなかなか難しいと思いますので、その点も留意をしていただきたいと思います。

 そこで、今の御答弁の中にもありましたけれども、今現在、総務省として、ふるさと納税について、いろいろな指針とか、法律を改正しようとかという取組をされているところもありますけれども、そのあたりも簡単に御説明いただけますでしょうか。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 返礼品の送付につきましては、地方団体間の返礼品競争が過熱しているといった指摘が行われるようになりました。

 総務省といたしましては、一昨年四月、昨年四月の二度にわたりまして総務大臣名での通知を発出するとともに、あらゆる機会を通じて必要な見直しを要請し、各地方団体の責任と良識ある対応をお願いしてきたところでございます。

 具体的には、平成二十九年四月の通知で、返礼割合を三割以下とすることですとか、金銭類似性の高いもの等を送付しないことですとかを要請したところでございます。その一年後、平成三十年四月の通知では、平成二十九年四月の通知を維持しつつ、特に、返礼割合を三割以下とすること、地場産品以外の返礼品を送付しないことを要請したところでございます。

 しかしながら、残念ながら、一部の団体におきまして過度な返礼品を送付する状況が継続をしておりまして、こうした過度な返礼品や過度な宣伝広報によって不適切な形で寄附金を集めることによりまして当該団体に寄附が集中し、これにより他の地方団体の大きな減収につながっている実態を是正する必要がある、こういうことで、改正法案におきまして、寄附金の募集を適正に行う地方団体をふるさと納税制度の対象とするよう制度の見直しを行うことといたしまして、返礼品を送付する場合には、返礼割合三割以下、かつ地場産品とする地方団体をふるさと納税制度の対象として指定することとしているところでございます。

門分科員 ありがとうございました。

 次の質問の御答弁は求めないんですけれども、私の勝手な意見だけ申し述べさせていただきたいと思います。

 今はもう、ふるさとでも何でもなくて、本当に返礼品目当てで制度が動いているように思えますし、多分皆さんもそういうふうに思われている方も多いんだと思います。

 こういうことを言うと本来の趣旨から離れてしまうと思うんですけれども、それならいっそ、住民税という通貨で一定の額まで買物ができる制度、寄附ではなくて、全国の産品を自由に買うことができるお買物と割り切れば、この制度は今問題になっているようなことはなくなるように、私は、飛躍している考え方というのはわかりながらですけれども、あえてそういうふうに思います。それでも地方は潤います。

 そうでないとすれば、今お話をいただいたように、やはりふるさとを愛する気持ちとか地域を思いやる心が伴わなければ、この制度を継続して運用していく意味がないと思いますので、その点もぜひ今後のいろいろな方向性の中でお示しをいただきたいと思います。

 それでは、続けて次の質問に移らせていただきます。部落差別の解消についてです。

 部落差別解消推進法は、去る平成二十八年の十二月に成立をいたしました。いわれのない部落差別の根絶を祈念して法律はできました。それから二年余りの時間が経過をしておりますけれども、これは法務省が所管の法律ということになりましたけれども、この点で、この法施行後、総務省としてお取組いただいたことについて簡潔に御説明をいただきたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 今委員からお話ございましたように、人権教育、これは法務省さんの方が御努力いただいているところだと思いますし、また、その中で、自治体支援も法務省さんの御努力があると思いますが、総務省といたしましても、地方団体が実施をする人権教育に要する経費につきましては、普通交付税措置を講じているところでございます。

 具体的には、その他の教育費という費目があるんですけれども、こちらの方で、道府県分、この道府県というのは人口百七十万人の標準団体というのを前提に、ベースで考えるんですけれども、こちらで四百三十一万一千円、それから、市町村、こちらの方にも同じその他の教育費というのがございまして、こちらの方で、人口十万人が標準団体でございますが、百六十九万円を措置しているところでございます。

門分科員 ありがとうございます。

 そうしたら、引き続きまして、きょうは法務省からもお越しいただいておりますので、法務省としては、所管省庁として、この法施行後どのような取組をされてきたのか、お願いしたいと思います。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 二十八年に施行されました部落差別解消法でございますが、全国の法務局、地方法務局に対しまして、法律の趣旨を踏まえた啓発及び人権相談等の施策の実施における適切な対応をすべきことを指示いたしました。

 また、地方自治体に対しても、同法の施行を周知するとともに、法務省の人権擁護機関と地方自治体の間で各種施策の実施について意見交換や情報共有を推進するなどの連携協力を依頼したところであります。

 また、部落差別解消に向けて、国民一人一人の理解を深めていくということが大事なことでございますので、講演会等の開催をしたり、啓発冊子等の配布、それから各種啓発活動を実施してきたところであります。

 加えまして、この法律では、六条において、部落差別の実態に係る調査をすることとされておりまして、同法に係る参議院法務委員会の附帯決議におきまして、この調査によって新たな差別を生むことがないように留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう慎重に検討することという指摘がございましたので、これを踏まえまして、有識者の会議において検討していただいた結果、四つの事項、すなわち、法務省の人権擁護機関が把握する差別事案、地方公共団体及び教育委員会が把握する差別事例の調査、インターネット上の部落差別の実態に関する調査、それから一般国民に対する意識調査を実施すべきこととされておりまして、この結果を踏まえまして、この四項目について、準備の整ったものから順次調査に着手しているところでございます。

 法務省の人権擁護機関としましては、この調査の結果等も踏まえつつ、部落差別等の同和問題に関する差別や偏見の解消にしっかりと努めてまいりたいと考えております。

門分科員 ありがとうございました。

 それぞれお取組はいただいております。しかし、なかなか実態としては、部落差別が解消するという動きがまだまだ進んでいないように思います。

 私自身は、その原因を考えた場合に、やはりこういうことを推進していく組織というか仕組みがもっと改善をしていかなければならないというふうにかねがね思っておりまして、例えば、今法務省から御説明がありましたように、一般的に、人権擁護の地方における窓口というのは地方法務局がありますけれども、地方法務局の存在そのものも、やはり、地域における市役所とか町役場とか、そういうものとはちょっと異種な存在でもありますし、なかなか拠点数や人員も少ないというようなことがありまして、そのあたり、もうちょっと連携がとれたらもっとこれが推進していけるんじゃないかなというふうに思っておりますけれども、この点で法務省から何か御意見がありましたら、お聞かせいただけますでしょうか。

高嶋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、各地に法務局がございますが、人員が潤沢にいるという状況ではございません。

 部落差別解消に関しましては、法務省の人権擁護機関だけではなく、都道府県、それから市町村等、多様な主体によってこれに取り組んでいるところでございますが、各地の実情に応じて取り組むことが大事だというふうに考えております。

 地方自治体における取組は、基本的にはその自治体の権限と責任において実施していくということになるんですけれども、しかし、部落差別等のさまざまな人権問題に関して、個別の地方自治体からその地域の法務局に問合せや要望というのがございます。

 こういう要望等がございましたときには、法務局から必要な情報提供、助言等の対応をしますとともに、法務省人権擁護局の方にも、必要に応じ、法務局から今度は中央の方に報告を受けるということによりまして、このような地方自治体からの要望等を把握し、各地の法務局を通じた施策に生かしてきているところでございます。

 さらに、もう一つございまして、人権啓発活動ネットワーク協議会というのがございます。

 法務省の人権擁護機関では、都道府県や市町村を含めた多様な人権啓発主体が連携協力するための横断的なネットワークを形成しまして、全国各地に人権啓発活動ネットワーク協議会と呼ばれる協議会をつくっております。これが法務局と地方自治体とのネットワークの一つになっておりますが、これを通じまして、地方自治体との間で、部落差別解消を含む各種啓発活動の実施について意見交換や情報共有を行って、連携協力を図っているところでございます。

 このように、法務省及び法務局におきましては、これまでも、部落差別等のさまざまな人権問題に関して、地方自治体との連携や必要な情報の共有、指導助言等を行ってきたところでございますが、この法律の趣旨を踏まえまして、引き続き、地方自治体と連携しまして、部落差別の解消に関する施策をしっかりと推進してまいりたいと考えております。

門分科員 わかりました。

 ちょっともう時間があれですので、最後の質問はもう御答弁を求めませんけれども、やはり、さっき申し上げましたように、法務省の組織とか陣容とかということから考えますと、なかなか、人権擁護局というか、その部署の手勢というのは潤沢ではありません。できるだけ、その地域に根を張って、そしてまた自治体に向けて特に強い影響力を持っていらっしゃる総務省も、この問題に対しては共有をしていただいてお取組をいただきたいと思います。

 さっき委員長も御指名のときにあれだったんですけれども、このことをお伺いしようと思ったら、財政の方の窓口しか実は総務省に今ありませんでした。ですから、そういう意味じゃなくて、地方自治ということで、そういうところと問題を共有しながら取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そうしたら、もう時間がなくなってきましたので、最後の点、選挙のことについて、少しはしょってしまいますけれども、お聞かせいただきたいと思います。

 選挙の中でも、投票所です。投票所というか、投票率。投票率の資料もいただこうと思っておったんですけれども、あえて投票所の話にさせていただいて、まとめて御答弁をいただけたらと思うんです。

 私たち選挙の洗礼を受ける身からすれば、もちろん自分の得票というのが一番の関心事項でありますけれども、自分のことも含めてですけれども、選挙の投票率がどうなったか、できるだけ高い投票率で選挙をやっていただきたいということはかねがね思っております。

 そのときに、よく自分の選挙区で有権者の方々から言われる、特に年配の方から言われるのは、昔はここにも投票所があったんやけれども、もう今なくなってしもうて、ちょっと大きな道路を渡らないかぬ。年配なんで、歩くのもぼつぼつしているんで、家の者から、おじいちゃん、もう選挙の投票に行くなと。危ないから。期日前投票所もできてきて、いろんなことがあるんですけれども、そこにも、車を乗れなくなったりとかということで、選挙に、投票に行こうという意思があるんですけれども、投票に行けない状況が起こっているというふうに我々に教えてもらえることがあります。

 当たり前のことなんですけれども、人口減少社会ですから、いろんなものの数を減らしていかないかぬということはもう当たり前のことだと思いますけれども、逆に、減らしていったりまとめていったがゆえに、また、人口減少社会、高齢化社会の中で、今申し上げたような投票所に対する利便性ということは、一部、年代的になくしていってしまっているような方々もいらっしゃいます。

 これはなかなかすぐ解決できるような問題ではないと思いますけれども、投票所の数の問題であったりとか、これから高齢化や人口減少社会が目の前に横たわっておる中で、投票所をどうするかとか、投票率をどう維持向上していくかということについて、申しわけないですけれども、まとめてお答えをいただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、投票率の推移でございますけれども、過去四回ほど、それぞれ衆参でございますけれども、平成二十一年執行の総選挙は六九・二八%、二十四年、五九・三二%、二十六年、五二・六六%、それで直近の二十九年の総選挙は五三・六八%というふうな推移となっております。

 また、投票所が減っているということでございますけれども、最大のときには五万三千カ所程度ございましたけれども、平成二十六年の衆議院選挙では四万八千六百十七カ所、平成二十九年の衆議院総選挙では四万七千七百四十一カ所というような、四万八千程度の投票所になっております。

 一方、期日前投票所は、平成二十六年で四千八百六十一カ所、二十九年の総選挙のときは五千三百八十四カ所というふうになっております。

 投票所につきましては、御指摘のとおり、過疎化による人口減少、あるいは市町村合併を契機としました投票区の見直しなどで減少してきているというふうに承知しております。

 選挙管理委員会が地域の実情などを踏まえて投票所の設置については決定すべきものでございますけれども、私どもの方では、地域の実情を踏まえて投票所を、あるいは、かつて投票所があったところに期日前投票所を置いていただく、あるいは、移動期日前投票所の取組、車などを使って行うものでございますとか、あるいは、移動困難者に対して車、バスとかで連れていっていただくというようなことも含めまして、執行経費基準法などで措置するということで投票機会の確保に努めているところでございます。

 また、国政選挙、統一地方選挙の都度、投票所の設置について積極的な措置をお願いしているところでございます。

 また、今国会に提出しております公職選挙法の改正案の中には、投票立会人の選任要件を緩和することによりまして、投票所の維持が困難になるというようなところをなるべく維持、確保のために一助となるものではないかと考えているところでございます。

門分科員 済みません、もう時間ですので、ありがとうございました。

 いずれにしましても、人口減少社会というか人口激減社会を迎えたときに、今までの価値観と違ったことを多方面でやっていかないかぬということは、選挙のことだけ、投票所のことだけじゃないと思いますので、ぜひ、総務省におかれましては、日本国の指針をさまざまな分野で示していっていただきたいと思います。

 以上、ありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて門博文君の質疑は終了いたしました。

 次に、松平浩一君。

松平分科員 立憲民主党の松平浩一です。きょうはよろしくお願いいたします。

 きょうは緊急医療について質問させていただきたいと思っています。

 さて、消防庁が出している「平成三十年版 救急・救助の現況」、そういう冊子がございますけれども、それによると、救急車の出動件数は六百三十四万五千五百十七件、搬送人員は五百七十三万六千八十六人というふうになっており、ともに過去最高を更新しています。これは、全国で五秒に一回の割合で救急車が出動しているということになり、非常に頻度が高いことがうかがえます。

 ただ、救急車が現場に到着するまでの時間については、平成十年ころに平均で六分であったのが、現在は八・六分と、二分程度長くなってしまっています。現場到着時間を短縮することは救命可能性を高める上で非常に重要なことだと思うのですが、このように救急車の現場到着時間が延びている原因は何でしょうか。また、病院に搬送する時間も延びていますが、あわせて御説明をいただければと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、平成二十九年中を見てみますと、救急車の現場到着時間が全国平均で八・六分ということでございまして、十年前に比べましても一・六分延びているということでございますし、病院への収容時間でございますが、これも全国平均で三十九・三分でございまして、十年前に比べましても五・九分延伸をいたしております。

 これらの時間が延びている主な要因でございますが、さまざまな事情はあろうかと思いますが、一つには、やはり、高齢化の進行などを背景といたしまして、救急出動件数が御指摘のようにかなり増加しているということが大きな要因の一つだろうと考えておるところでございます。

松平分科員 件数が多くなるということが到着時間に影響してしまうということなのかと思います。

 先ほど挙げさせていただきました平成三十年版の「救急・救助の現況」によると、一一九番通報から現場到着まで、私の地元の長崎県では八・九分というふうになっています。ただ、長崎県下には十の消防本部がございまして、消防本部ごとに救急車が配備されている状況です。

 そこで、ちょっと教えていただきたいのですが、国として、島原地域広域市町村圏組合消防本部、それから県央地域広域市町村圏組合消防本部、こちらについて一一九番通報から現場到着までの平均時間は把握されておりますでしょうか。把握していれば教えていただければと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 消防本部の救急車の現場到着時間につきましては、全国の消防本部全てを消防庁として把握しているわけではございませんが、お尋ねがございましたので、今御指摘の二つの消防本部については両本部に直接確認をいたしました。そうしましたところ、平成二十九年中でございますが、県央地域広域市町村圏組合消防本部、こちらが、現場到着時間、平均で九・〇分、それから、島原地域広域市町村圏組合消防本部、こちらが、現場到着時間、平均九・一分ということでございました。

松平分科員 今お話しいただきました数字ですけれども、これは直接確認して把握いただいたということのようです。つまり、今の二つの消防本部の平均到着時間について、先ほどちょっと挙げさせていただいた「救急・救助の現況」、こちらには書いていないということになっているようです。つまり、県の平均時間しか書いていない。

 ただ、さきにちょっと申し上げましたように、長崎県には十の消防本部がありまして、ほかの県でもそのくらいあります。救急車の配備というのは各消防本部ごとになされているんです。実際に、救急車というのは各消防本部から来ます。

 したがって、県の平均が書かれているんですが、そちらには余り意味がなくて、各消防本部から現場への到着時間、これが大事ですし、こちらの数字を消防庁の資料に載せるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 消防庁では、現在、今御指摘いただいたとおり、都道府県ごとに現場到着時間を集計して公表しているところでございます。

 これは、消防本部が行う救急業務の指導は、一義的には、地域の実情をよく把握している都道府県が担うべきものと考えられますことなどから、消防庁では現在そうしているところでございます。

 その上で、消防本部ごとに集計、公表することにつきましては、各消防本部の状況は地域の実情によってさまざまでありまして、横並びの公表になじむかどうかといった点もございますけれども、委員からの御指摘等も踏まえて、今後、その必要性などを含め検討してまいりたいと考えております。

松平分科員 どうもありがとうございます。本当に、そういうふうに前向きな御回答をいただいて、非常にうれしく思っています。

 やはり、見る人にとっては、これがあると、到着時間が自分の地域ではどうなんだということが実際のところわかりやすくなるということですので、ぜひともお願いできればなというふうに思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 先ほど教えていただきましたけれども、現場到着時間の長崎県の平均は全国平均よりも長くなっています。そして、県央地域広域市町村圏組合消防本部の現場到着時間も平均が九・〇分というふうになっています。現場到着時間がおくれると、救える命も救えなくなってしまうかもしれません。したがって、現場到着時間、ひいては病院に運べる時間というものを短くするというのは非常に重要なことなのかなというふうに思っています。

 この点、救急車の応答に関してですけれども、埼玉県で、AIのチャットボットによるAI救急相談自動応答システムというものがことしの七月に開始されるという報道がありました。

 私も興味があって詳しく見てみたんですけれども、このシステムは、スマートフォンからチャット形式でいつでも救急相談ができる自動応答サービスを提供してくれるというもののようです。このシステムの導入によって、県民に、手軽につながる救急相談が可能となる、そういうサービスが提供できるというふうになっています。これによって、救急電話相談員の対応業務の負荷の軽減というものも期待できますし、将来的には、音声入力であるとか外国語対応というものを支援したり、そういった形でシステムの強化をどんどん図っていくということも報じられています。

 私、この取組を聞いて、非常に意義のある取組だなというふうに思いました。急なけが、急な病気に遭ったとき、とりあえずの処置や受診すべき医療機関というものを聞きたい場合というのもあるものと思います。聴覚であるとか音声、言語機能に障害のある方、それから外国人の方、こういった方もチャットでAIに応答してもらって、必要だと判断されたならば専門的な対応ができる担当者につながれる。そうすることで、利用者や通報を受ける側の負担というものも軽減されて、より早く的確に対応できるようになるのではないかなというふうに思っています。

 こういった取組もある中で、国として、より早く的確に病院に運べるようにどういうふうな対応をされようとしているのか、大臣、御見解をお願いしてもよろしいでしょうか。

石田国務大臣 救急車の現場到着時間が延伸する要因として、救急出動件数の増加が挙げられておりまして、消防庁では、急な病気等の際に救急車を呼ぶべきか相談できる救急安心センター事業、シャープ七一一九の全国展開や、住民がみずから病気等の緊急度を判定できるスマホ用アプリ、Q助の無償提供を行うなど、救急車の適正利用を促す取組を推進しているところでございます。

 また、今年度、消防庁の検討会において、救急活動時間延伸の要因分析や短縮に向けた取組項目につきまして取りまとめを行っているところであり、今後、現場到着時間短縮の取組の参考となるよう、各消防本部に情報提供する予定であります。

 さらに、御指摘いただきました埼玉県の取組のほか、各地域において現場到着時間短縮に向けたさまざまな取組が行われていることから、こうした取組についても十分情報収集するとともに、消防本部に情報提供を行いながら、現場到着時間の短縮に取り組んでまいりたいと考えております。

松平分科員 どうもありがとうございます。ぜひ、救える命を救うために、どうぞそういった取組をよろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 救急車の現場到着時間の短縮への取組として、消防研究センターが救急搬送データを用いてリアルタイムに救急需要の予測というものを行うシステムを開発されると聞きました。そして、それも既にこれから実証実験を開始する段階にあるというふうにお聞きをしました。その詳細についてお聞きできればなというふうに思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 消防庁では、救急車が現場に到着するまでの時間の延伸防止を目的といたしまして、平成二十八年から五年間で、迅速な救急搬送を目指した救急隊運用最適化の研究開発というのを進めているところでございます。

 具体的には、今おっしゃっていただきましたけれども、過去の救急出動データを始めとして、気象データなどを入れまして、そこから求める管内エリアごとの救急需要予測を出します。一方で、これに伴って救急隊の最適配置をシステムで示すことについて研究開発を目指すものでございます。現在、名古屋市消防局の協力を得まして、実証実験を実施しているところでございます。

 今後、この実証実験の成果を踏まえて、実際の救急現場に導入することを目的としまして引き続き研究開発を行いまして、平成三十二年度末に実用化を目指して、今、研究を進めているところでございます。

松平分科員 どうもありがとうございます。平成三十二年末ということで、期待しております。

 今おっしゃった取組は、世界でもやっていない初めての試みというふうにお聞きしました。救急車の台数も限りがあるものです。必要なところに的確に走らせるというのは、多くの命を救うために非常に重要なことであるというふうに思います。こういった取組をぜひ応援させていただきたいなというふうに思っています。

 さて、救急車で搬送される際に、埼玉県の利根地域において、搬送される患者が「とねっと」というカードを持っていれば、アレルギーであるとか血液型ですとか、そういった緊急の措置の際に知っておかなければならない情報が救急隊員や病院に伝わるようになっているようなんです。正確には、埼玉利根保健医療圏地域医療ネットワークシステム、そういったものに加入している方が対象となっているようです。

 搬送される患者に意識がなかったり、誰かわからなかったり、そういった場合もあって、こういった情報が連携されれば非常に助かるというふうに思います。まさに的確な救急活動ができるようになるというふうに思います。

 今ちょっとお話しさせていただいた「とねっと」のような仕組みが広まっていくと、私、個人的にはいいというふうに思うんですが、国としてはどういうふうにお考えでございましょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 患者の同意を得た上で、医療機関の間におきまして、診療上必要な医療情報を電子的に共有、閲覧できる仕組みであります地域医療情報連携ネットワーク、これにつきまして、さまざまな地域で運営されているというふうに承知をいたしております。

 その中には、先ほど議員御指摘のような、埼玉県の利根保健医療圏で運営されております「とねっと」のように、救急時に患者の医療情報を救急隊や搬送先の病院が参照できる仕組みを構築している地域医療情報連携ネットワークもございまして、このような仕組みは地域医療情報連携ネットワークの機能として、議員御指摘のとおり有効であるというふうに考えております。

 なお、地域医療情報連携ネットワークの整備につきまして、都道府県が医療計画に位置づける場合につきましては、地域医療介護総合確保基金を活用することも可能でございまして、こうして構築されました地域医療情報連携ネットワークの中には、「とねっと」のように、救急時に医療情報が共有できる機能を備えたものもあると承知をいたしております。

 厚生労働省におきましては、地域医療介護総合確保基金による構築経費の補助でございますとか、ウエブサイトによる好事例の紹介等を通じまして、引き続き地域医療情報連携ネットワークの支援を行ってまいりたいと考えております。

松平分科員 どうもありがとうございます。

 私、いいものはぜひとも日本全国に広めていって多くの人が使えるようにしてもらえればなというふうに思っていますので、ぜひとも前向きに進めていただければと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 私の地元の島原半島には、三次医療機関、つまり救急救命センターですね、脳卒中であるとか心筋梗塞であるとか、重篤な患者に対応できる医療機関なんですけれども、それがないんです。島原半島から一番近い三次医療機関というのが、大村にある長崎医療センターになるんです。したがって、そこまで搬送しなければならないということになるんですけれども、そうなると、島原半島の多くは搬送時間が六十分以上かかってしまうということになるんです。大量出血などがあると、六十分を超えると致死率が一〇〇%になってしまうというふうに言われています。

 地元島原に島原道路というのがありまして、これが整備されることで諫早インターチェンジまでの所要時間が短縮されまして、半島の九割以上が諫早インターから三十分圏内となります。そうなると、私、実はきょうの予算委員会の第八分科会でも質問させていただいたんですけれども、島原道路の整備というものは非常に重要なわけなんです。とはいえ、現在はまだ整備ができていない状況なんです。

 そこで、御質問につなげていきたいと思うんですが、現状では救急車で間に合わない場合もあるということで、ドクターヘリを活用するという方策もあるというふうに聞いています。ドクターヘリは、救急医療に必要な機器であるとか医薬品を装備した専門のヘリコプターというふうに理解しているんですけれども、こういったヘリコプターなので、道なりではなくて、現場に直線で向かうことができる。すなわち、緊急の場合には大いに役立つ存在であるというふうに思います。

 そこで、まず、ドクターヘリの全国そして長崎県での配備状況、それから、こういったドクターヘリを導入するに関しての支援といったものについてお聞きできればと思います。いかがでしょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、ドクターヘリの全国における配備状況につきましては、平成三十年九月二十四日現在でございますが、四十三の都道府県に五十三機が導入されておりまして、議員御指摘の長崎県につきましては、国立病院機構の長崎医療センターに配備をされておるという状況でございます。

 平成三十一年度の予算案におきましては、ドクターヘリの安定的な運航体制の確保を図るという視点から、全国五十三機分のドクターヘリの運航に必要な経費、これはヘリコプターの貸借料でございますとか操縦士等の拘束料などなどが入っておるわけでございますけれども、そういったものにつきまして六十七・三億円を計上させていただいているということでございます。

松平分科員 御答弁どうもありがとうございます。

 今現在、つまり長崎県では一機ということですね。それから、四十三の道府県で五十三機ドクターヘリが配備されているということのようでございます。

 日本で唯一のドクターヘリに関するシンクタンクというものがございまして、これは認定NPO法人の救急ヘリ病院ネットワークというところなんですけれども、こちらの団体によると、山間僻地や離島などの医療過疎を考えると、理想的にはドクターヘリは八十機くらいが望ましいというふうにされているんです。先ほど六十七・三億円の財政措置をしていらっしゃるということのようなんですけれども、そういった先ほどの導入支援ですと、もしかすると全国一律の基準での支援になっているのかなというふうに思いました。

 ただ、日本全国を見ると、やはり地理的な特徴であるとか人口分布、また医療機関の充実度というのがそれぞれ違うということになっています。

 特に、長崎は山がちですし、五島列島、壱岐島、対馬など数々の島々があって、そして、四十七都道府県中最も島が多いということで知られています。あと、先ほどお話しさせていただきましたように、島原半島では三次医療機関まで車の搬送時間が現時点で六十分以上かかってしまう。そういった個々の地理的な状況にも配慮して配備の支援を検討する必要があるのではないかなというふうに私は強く思うんです。

 そういった地域の特性に応じた補助とするなど、もっと支援のあり方というものを考えてみてもいいのかなというふうに思うのですが、この点、いかがでしょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど都道府県と申し上げましたが、議員御指摘のとおり四十三道府県でございます。まことに申しわけございませんでした。

 それで、一律の支援というお話がございましたが、ドクターヘリ導入促進事業における一カ所当たりの補助基準額、これにつきましては、平成二十八年度から二千九百万円引き上げるなど、引き続き必要な予算の確保はさせていただきたいというふうに考えております。

 その上で、ドクターヘリによる搬送件数が、議員御指摘のとおり、さまざまな地域によってばらつきがあるといった現状等がございますので、そういったことを踏まえまして、各地域における運航実績、これは飛行時間等を配慮、考慮いたしました基準額の設定等につきまして、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

松平分科員 どうもありがとうございます。

 今おっしゃっていただいた運航実績などを考慮するということは、どの程度長い距離が必要かとか、やはり地域の特性に応じた補助となってくるものと思いますので、ぜひとも前向きに御検討の方をお願いできればなと思います。

 特に、中山間地域では、救急車の到着が遅くなって一命を落としてしまうという例もあるかもしれません。そういった方々が少しでも減るよう、地域の実情に寄り添った対応を検討いただければなというふうに思っております。

 さて、次の質問に移らせていただきます。

 今お話しさせていただいたドクターヘリと並んで、車内で医師による診察や治療ができる緊急車両として、ドクターカーと呼ばれるものがございます。ドクターカーは、同じ車ではあるんですが、救急車と違って、ドクターカーの中に医師が乗り込んでいらっしゃるので、いち早く医師の方が患者に接触できるという特性がございます。

 緊急医療体制の確保という観点からは、緊急の場合には、救急車ではなく、救急車もそうなんですが、ドクターカーをむしろ優先させるという仕組みがあってもいいのではないかなというふうに思います。

 このドクターカー導入への支援について、私が承知している限りでは、救急救命センターへのドクターカー購入の際の補助、こういったものがあるくらいですので、ドクターヘリの今おっしゃっていただいた支援と比べると見劣りがするのかなというふうに思います。

 こちらは日経新聞の記事なんですけれども、日本病院前救急診療医学会の調査によりますと、医療機関が保有するドクターカーの何と七割が休眠状態となっているということのようなんです。理由が、医師不足や運用コストが原因ということで、そちらの記事によると、国が補助金を出すなど、財政支援がないと普及はなかなか難しいというふうな記事が書かれておりました。

 私は、このドクターカーの有用性を考えると、もっと幅広い支援というものを国がしてもいいのかなというふうに思うんです。こちらについてお考えをお聞きしてもよろしいでしょうか。

迫井政府参考人 ドクターカーについてでございますけれども、救命救急センターにおけるドクターカー及び搭載する医療機器等の購入費、あるいは運転手の確保に要する経費につきまして、財政的な支援を行っているということでございます。

 現在、救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会という検討会におきまして、ドクターカーの地域における有用性を含めました救急医療の効率的な提供に関しまして、有識者の皆様方に御議論をいただいているところでございまして、こうした御議論も踏まえつつ、ドクターカーの活用方策等を含めたあり方について引き続き検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

松平分科員 どうもありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたような検討会で有識者の検討の結果を踏まえてというお話がございましたけれども、やはり、ドクターカーはいち早く医者が患者に接触できるという有用性を考えると、ぜひともこちらの導入への支援も積極的に検討いただければなというふうに思っております。ぜひとも力強い支援をよろしくお願いいたします。

 こちらで私からの質問を終わらせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて松平浩一君の質疑は終了いたしました。

 それでは、次に、岡本あき子君。

岡本(あ)分科員 よろしくお願いいたします。立憲民主党の岡本あき子でございます。

 私からは、地方財政対策と地域主権の推進について伺わせていただきますが、冒頭に、ちょっと通告をしておりませんので答えていただけるかどうかあれですけれども、統計委員長の文書のことについて一言言わせていただきたいと思います。

 一昨日、統計委員長、西村委員長にかかわる文書の話がございました。総務省の職員が委員長に無断で作成をし、野党に文書を示していたということが明らかになりました。

 きのう、大臣が記者会見でも触れておりましたので、もしお答えいただけるならお答えいただきたいと思いますが、私は二つ大きな問題があったと思います。

 やはり、文書、特に公文書を管理するべき総務省の中でこういう行為があったということが問題だと思います。

 それからもう一つ、きのう、大臣の会見の中で、職員が委員長とやりとりをする過程のものだという御説明がありました。文書の中に、非常勤の時間給のアルバイト公務員でしかなくという表現がございます。この言葉、どちらが使われたのかというところも大変な問題だと思っています。もし委員長がみずからこういう自覚で統計委員長をされていたということであれば大変遺憾ですし、一方、総務省の職員が委員長のことを非常勤の時間給のアルバイト公務員でしかないという形で統計委員長を見ていたとすれば、委員長の名誉を傷つける、大変失礼きわまりない問題だと思っています。

 改めて、やはりここの問題については総務大臣としてしっかりと、ここの問題はどういう状況だったのかということを改めて明確にし、そして正すべきところは正すべきだと思います。もしお答えいただけるのであれば、一言いただければと思います。

石田国務大臣 統計委員会の西村委員長は、実は、二十三日付で、御自身の名前の入ったペーパーを用意されました。それには、国政における国会審議の重要性は強く認識しております、しかし、同時に、私には研究教育等の本務があることを認識していただきたいと思います、そのもとで、研究教育等の本務に支障のない限りにおいて、国会には協力する所存ですと。

 また、下に、それ以前に出た文書についての委員長のコメントがあるわけでありますけれども、今御指摘いただきましたように、この二十三日付の西村委員長の文書の前に国会内に出回った文書、これは、私も記者会見でも申し上げましたけれども、総務省が西村委員長のもとにお伺いしてやりとりをする中で作成したメモでございまして、広く出回ることを想定したものではありませんでした。ところが、それが出回ってしまったということでございまして、まことに申しわけないことでございまして、西村委員長を始め関係の皆さんに大変御迷惑をおかけしたというふうに思っております。

 私が今聞いております、理解しておりますことは、以上のことでございます。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。済みません、コメントいただいてありがとうございます。

 やはり私は、この統計というのは、あらゆる政策を決めるベースになるものであって、これへの信頼が揺らいではいけないと思っています。

 統計委員長という職が、もし、どちら側がこの言葉を使ったのかわかりませんけれども、非常勤の時間給のアルバイト公務員でしかないという感覚をどちらかが持っていたかと思うと、非常に残念でなりません。この点は看過できないということを申し添えたいと思います。ありがとうございます。

 新年度予算の中身に移らせていただきたいと思います。

 石田大臣におかれましては、地方自治体のプロとして長年務めた経験もございますので、地域が元気になる政策を実現する意味でいくと、大変期待をさせていただきたいと思います。

 長年、地方自治体から要望が出ております臨時財政対策債について伺わせていただきたいと思います。

 これは、二〇〇一年度に三年間の時限的な特例措置として導入されて以来、三年ごとに特例措置の延長が繰り返されてまいりました。地方の財源不足について、税源移譲等の根本的解決策を講じることを先送りし、臨時財政対策債の発行によって補填し続けるということは、地方財政をも圧迫しかねないと思っております。

 この状況についてどう受けとめているのか、お答えいただきたいと思います。

石田国務大臣 地方財政につきましては、平成三十一年度におきましても四・四兆円の財源不足が生じております。地方財政の健全な運営のためには、本来的には、法定率の引上げ等により地方交付税を安定的に確保することが望ましい、そのように考えております。

 ただ、平成三十一年度の地方財政対策におきましては、国と地方ともに巨額の債務残高あるいは財源不足を抱えていること等から、法定率の見直しは行わずに、従前と同様の方式で財源不足額を補填することといたしたところでございます。

 しかし、一般財源総額を確保する中で、地方交付税を〇・二兆円増の十六・二兆円確保するとともに、臨時財政対策債を〇・七兆円減の三・三兆とすることができたところでございます。

 いずれにいたしましても、国、地方とも厳しい財政状況であることから、法定率の引上げは容易なものではないと考えておりますけれども、今後とも、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保について、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいりたいと思っております。

岡本(あ)分科員 資料一につけさせていただきました。地方自治体では通常債を縮小して財政健全化に取り組んできております。一方で、臨時財政対策債の占める割合、残高というのが年々ふえていっているということで自治体の財政評価につながってしまうのは、非常に心外と言わざるを得ません。

 この点はどのように受けとめていらっしゃいますか、お答えください。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のように、通常債については、ここのところずっと、投資的経費の抑制といったこともございまして、縮小してきている。他方で、この財源不足を賄うための臨時財政対策債、この発行額がふえてきている。その残高もふえてきている。こういう状況でございまして、先ほど大臣の方からも答弁がございましたけれども、本来は、こういった臨時財政対策債、特例債に頼るという形ではなくて、しっかりとした地方税、地方交付税という一般財源を確保すべきもの、そういったものでございますけれども、先ほどやはり大臣の方から申し上げた、国、地方の財政状況がある中で、今こういった形で進んできているところでございまして、これが本来の姿だというふうには思っていないところでございます。

岡本(あ)分科員 石田大臣、首長も経験をされていらっしゃると思いますので、地方の立場に立って、先ほどもおっしゃっていただきましたが、ぜひ、税源移譲、地方交付税の法定率の引上げなどの根本的な対策、改善を行うよう、関係部局に力強く働きかけていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。いたずらに将来世代に負担を先送りすることを重ねることなく、速やかに廃止をしていただきますようお願い申し上げます。

 続いて、資料二になりますが、まち・ひと・しごと創生関連事業に関して伺います。

 地方創生推進交付金が掲げられています。これは、内閣府の方が主体になって取り組んでいらっしゃるかもしれませんけれども、当初、計画策定の多くを首都圏のコンサルタントに依頼をして、交付金が結果とすると各地域の中で回らず、どうしても首都圏にあるコンサルタントのところにお金が集まってしまったという指摘がなされていたと思います。できるだけ早く、できるだけ国に気に入れられるものをつくって、できるだけ多くのお金を獲得する、その手段として首都圏の外注に頼ってしまったんではないかと思いますが、その点の反省、検証というのはどのようになっているのか、お聞かせください。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体におきまして、地方版総合戦略に必要な調査等の補助業務を、職員の事務量の軽減等のために、民間コンサルティング企業等に委託することは差し支えないという前提で、地方版総合戦略の策定をしていただきました。ただし、戦略の起草作業自体は、住民や産官学金労言の参画を得ながら、地方公共団体みずからが行っていただきたいということで要請をしておったところでございます。

 御指摘の点につきまして、過去にも地方版総合戦略の策定を民間コンサルタント会社に全面的に委託しているのではないかという指摘がございまして、これを受けて調査を行いましたけれども、地方版総合戦略の策定自体を全て委託したという団体はございませんでした。

岡本(あ)分科員 私は、各地方自治体、地域で、やはり、そういうノウハウも含めて、人が育つ、力が育つということが必要なんだと思います。一部といえども、結構全国では各自治体で集めたとなると、せっかく地方につけたお金が、結果とすると首都圏あるいは大都市圏の中に戻ってしまったということが反省として挙げられると思います。

 私、これがスタートした当時は仙台の市会議員だったんですが、最初、各自治体は総合計画というものを持っています、なので、当時は、この総合計画を提出して、自分たちはこういうプランを持っています、これにお金をつけてくださいというものになるのかなと期待をしたら、実は総合戦略という別なもの、リンクをしているところはあるんですけれども、結果からすると、残念ながら、二つの計画を同時並行で見ていくような形になってしまったという経験を持っております。

 今は、より一本化するような動きにはなっているかと思いますけれども、せっかく地域で地域の独自のアイデアを出し、そして、地域で人が育って、地域でお金が回る。その知恵をまずコンサルタントに頼るんじゃなくて、その知恵はみずから組み立てていく、そういう形でこの制度を使っていただきたいと思います。もう一度確認をさせてください。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地方創生を進めていく上で、地域内経済の循環を促す、地域でお金を回していくということは非常に大事な視点であると私どもも認識をしております。

 このため、地方創生推進交付金におきましては、地方における仕事創生、仕事づくりという観点から、ローカルベンチャーの起業あるいは創業の支援あるいは地域商社の設立支援といった地域経済活性化のための取組を広く支援しているところでございます。

 例えば議員御地元の宮城県におきましても、地方創生推進交付金を活用いたしまして、仕事づくり分野の案件といたしまして、これまで二十一件の案件を創出しておるところでございます。例えば、仙台市におけます地方創生に資する社会起業家の輩出支援あるいは丸森町におきます地域産品を活用した新商品の開発や販売を行う地域商社の設立といった取組を進めているところでございます。

 地方創生推進事務局といたしましては、このような取組を全国的に推進していきますとともに、委員御指摘の内容につきましては、有識者及び地方代表の参画を得て現在実施しております地方創生推進交付金のあり方に関する検討会においても議論を深めてまいりたいと考えておるところでございます。

岡本(あ)分科員 ぜひ、結果として地域が元気になり、そして長く底力がつく、そういう形での制度になることを期待したいと思います。

 この中で、ちょっと気になるところがございました。地方の担い手不足対策という言葉です。多分、本来の意味は違うんだろうと思いますけれども、ちょっとうがった見方をすると、農業の繁忙期に人手が足りなくなったりとか、地方の従来どおりの、残念ながら低賃金や余り人がやりたがらない仕事だから人手不足になっているんじゃないか、そういうところに手当てをするような形で使われるというのは大変心外に思っています。なので、本来の意味の徹底が求められると思います。

 そして、もう一つ。地方大学というところにも移らせていただきたいと思いますが、きらりと光る地方大学、世界じゅうから学生が集まるというところも期待はされるんですが、集まる前に、教授陣、研究者の方々が集まるような地方大学でなければ意味がありません。

 二〇一八年度の科学技術白書で、残念ながら、論文数の減少、論文の質の高さを示す指標の国際シェアの減少など、研究力に関する国際的地位が我が国は低下しているという言葉がございます。二〇〇四年度に国立大学が法人化されて、運営交付金が年々削減されてきております。運営交付金の削減と論文の減少というのが相関関係があるという研究の報告もありますし、大学の常勤雇用者と論文の数の相関関係というのも指摘をされています。このままでは、きらりと光るどころか、ぽろりと落下しかねません。

 先ほどの人手不足もそうですが、地方だから安く人を使う、そういうような発想では決してあってはならないと思います。

 大学に関しても、残念ながら、昨年の春に雇いどめという問題が非常に問題になっておりました。五年以上働き続けると無期雇用しなきゃいけない、その前に残念ながらやめていただくという問題が起きました。今は、大学では、最初から三年ないし五年だけの契約ということも見受けられています。

 地方で人材が活躍するためには、安定して長く続けられること、それから地方大学、きらりと光るのであれば、基礎研究も含めて、豊かな自然環境がある地方で長く安定して研究ができる、そういう環境があって初めて、きらりと光るんだと思いますが、この取組について、研究者の環境、それから担い手不足という、人に着目した地方創生、地方大学の創生という点では、どのように取り組まれるのか、お答えください。

菱山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員御指摘の地方大学・産業創生交付金の関係でございますけれども、これは、まさに首長のリーダーシップのもと、産官学連携によりまして、地域の中核的産業の振興や、まさに専門人材、研究者、そういった人材の育成などを行うすぐれた取組を重点的に支援をするということを狙ったものでございます。

 この交付金におきましては、地域における研究を含めた取組を安定的に、まさに安定的に、継続的に行っていただこうということでございまして、まず、交付金の申請に当たっては、原則五年間としている交付金による支援期間の終了後、その後約五年間の地域における自走期間の資金の見通しも含めて、おおむね十年間の計画を作成いただいております。

 また、交付金の審査に当たっては、有識者により構成される評価委員会というのをつくっておりまして、そこで、書面評価、そして現地評価、自立性等の評価基準を満たすすぐれた事業を採択するということになっておりまして、さらに、事業の採択の後も、評価委員会や事務局等によって地域の取組の進捗状況に応じた助言を行うなどの伴走支援というのも行うことになっておりまして、事業の質の向上を図るということにしております。

 こうしたさまざまな仕組みを通じまして、大学の研究者等の安定的な雇用の確保を含めまして、地域における取組が自立、そして自走できるように適切な支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

岡本(あ)分科員 先ほど、五年、五年で十年はということでした。やはり、契約の中で、三年、五年で、じゃ御家族も連れて地方に移住してまで研究をできる環境にあるのかどうか、そういうところも問われてくるんだろうと思います。

 三年単位で次々と評価が加えられて、いつリストラに遭うかわからない、そういう環境の中では安定した研究に没頭するということもできないと思いますので、ぜひ長期的な、しかも、研究者、いい研究者が集まれば学生も集まってくる、そういう発想に立った、きらりと光る地方大学に努めていただきたいと思います。

 続きまして、震災復興特別交付税の確保、私たち東北被災地の中では、やはり地域が元気になるためには、復興を何としてもなし遂げなければならないと考えています。

 東日本大震災は、被災をきっかけとして、急激な人口減少並びに高齢化の加速の真っただ中にいます。地方創生という点でいきますと、東北が世の中の先取りをしている、そういうような地域なんだと思います。東北の復興なくして日本の再生はないと思っています。

 資料三に、今回、復興期間終了に向けて、事業がどういう課題があるのかという整理を今されていると伺っております。私たちは、やはり長年続く事業はどう考えてもあり得る、福島もそうですし、子供たちのケアも含めて、地域が元気になるためには、復興期間を超えてなお事業が続くものという思いでおります。

 改めて、この課題の整理、どういう状況になっているのか、お聞かせください。

橘副大臣 今委員お話がございました、資料をおつけいただいたとおり、昨年末に、復興・創生期間後も対応が必要と考えられる課題の整理を、自治体の皆さんのいろいろな御意見を聴取して行ったところであります。

 今、これを踏まえまして、三月には、「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針、これを見直しまして、その中で復興・創生期間後の復興の基本的方向性を取りまとめるべく検討を行っている段階にございます。

 復興・創生期間後の課題でございますが、地震、津波被災地域においては、委員御指摘のように、心のケア等の被災者支援、また被災した子供に対する支援などについて、この期間後も一定期間対応することについて検討が必要であると考えてございます。

 また、原子力災害被災地域におきましては、帰還促進のための環境整備、福島イノベーション・コースト構想を軸とした産業の集積、事業者、農林漁業者の再建、風評払拭・リスクコミュニケーションなどについて、期間後も対応することについて検討が必要である、このように整理をし、更に取りまとめに向けて努力をしているところであります。

岡本(あ)分科員 事業とすれば、期間中に終わるもの、それから、期間を、本来だったら終わるはずのものがどうしても超えてしまうもの、それから、明らかに最初から長期にわたるものというのは見えていると思います。

 私は、それぞれの課題に対応するときに、期間が終わったところで通常の各省庁の業務の中に加えていただくのではなく、やはり復興をなし遂げるまでしっかり管理をし、そして責任を負える、そういう組織が必要だと思います。

 改めて、この課題を整理した後の組織のあり方、どのように取り組まれるのか、お聞かせください。

橘副大臣 先ほども申し上げましたように、三月にこの基本方針を見直しまして、この中で、今委員御指摘の後継組織のあり方も含めて、復興・創生期間後の復興の基本的方向性を取りまとめようとしているところであります。

 そこで、その後継組織の現在の検討状況でありますけれども、被災自治体の御意見をお伺いしたり、また関係省庁とも十分に協議を続けているところでございまして、今後の議論に予断を与えてもいけないので、申し上げることは現状では差し控えさせていただきたいわけであります。

 いずれにいたしましても、東日本大震災からの復興は内閣の最重要課題でありますので、復興をなし遂げることができるよう、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)分科員 予断を与えることは控えるとおっしゃいましたけれども、やはり復興庁としての思いは伝えていただきたいなと思っております。先ほども申し上げたとおり、しっかり復興をなし遂げるまで責任を持って、進捗管理も含めてできる組織は欠かせないということを重ねて申し上げたいと思います。

 そして、最後のテーマになりますが、地方自治、そして地方創生に関しては、やはり私は地方格差の是正に向けた施策が必要だと考えています。距離の克服と働く環境の格差の是正という二つの点が必要だと思っています。

 距離を克服するためには、デジタル化、ICTの活用というのは不可欠です。リスクの分散やBCP、離れても仕事ができる環境整備のために、地方だからこそ、高度で高速な通信環境、いつでもどこでもアクセスできる環境というのが必要になると思います。

 改めて、デジタル化を見据えた地方格差の是正の取組をお聞かせください。

佐藤(ゆ)副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地方格差の是正には、ICTの基盤が整備されていることが重要であるというふうに考えているところでございます。

 中でも、二〇二〇年の商用化が期待されております第五世代移動通信システム、いわゆる5Gと言われているものでございますが、こちらの方は、高速道路や新幹線と同様に、地域の活性化や活力の向上を図るために不可欠な二十一世紀の基幹インフラというふうに考えているところでございます。

 5Gの展開につきましては、本年一月に告示をしましたが、5Gの電波の割当て方針を示すいわゆる開設指針におきまして、地方を含む全国各地で早期に利用開始ができるように促す項目を盛り込んでいるところでございます。

 具体的には、二年以内に全都道府県でサービスを開始することなどを、通信事業者が電波の割当てを受けるに当たって最低限満たすべき基準として設けておりまして、これらの基準に従って、現在予定されております四月十日の割当てを目指して、目下、5Gの電波の割当て審査を行っているというところでございます。

 また、実際に電波の割当てを受けました通信事業者に対して、電波の割当て後も四半期ごとに計画の進捗状況について報告することを義務づけておりまして、総務省として、基地局の開設状況等についてしっかりと確認をしていく所存でございます。

 さらに、5G基地局の展開に必要な光ファイバーの整備につきましては、まずはこれは通信事業者みずからが整備していただくのが基本と考えてはおりますけれども、しかしながら、整備がおくれがちな過疎地等の条件不利地域については、光ファイバー設置費用の一部を補助する事業というものを予算案に計上しているところでございます。

 総務省といたしましては、地方を含む全国各地で早期に5Gや光ファイバーのような高度なICTの基盤が整備され、その特徴を生かした高度かつ多様なサービスが実現することを期待しているところでございます。

岡本(あ)分科員 ぜひ促進をしていただきたいと思います。

 改めて、私は、やはり条件不利な地域こそ、こういうデジタル化、通信環境を率先して進めて、残念ながら、民間企業にお願いしていると、稼げるところからしか準備がいかないものですから、逆に、その格差を是正する意味でいくと、先ほど御説明いただいたとおり、条件不利地域に対してしっかり誘導していく、どこの地域でも活躍ができる環境を整えていただきたいと思います。

 もう一つ、距離が離れていても克服できる働き方としては、今、テレワークという働き方が非常に注目をされています。ただ、企業からすると、まだ戸惑いも大変多くあります。リスク分散や新たな働き方として、やはり、この距離を超えてのテレワークという働き方、率先して力を入れていただきたいと思います。お伺いいたします。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。

 テレワークにつきましても、ICTを利用しまして、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方でございまして、就業者みずから住みたい地域に住みながら、みずからが選ぶ時間や空間で働ける環境を実現する、まさに働き方改革の切り札と考えているところでございます。

 従来よりテレワークを推進してまいりましたけれども、全国的なデジタル環境の整備、さまざまなICT機器、ツールが発達している今こそ、このテレワークが大きく拡大することと期待をしているところでございます。

 このような認識のもとで、総務省では、テレワークにより地方でも都市部と同じように働ける環境を実現するため、ふるさとテレワークなど、地域でのサテライトオフィス環境の整備を推進しております。これによりまして、都市部から地方への新たな人や仕事の流れをつくり出すということとともに、今後は、地域雇用の創出に資するよう、地域全体でのテレワークも推進してまいりたいというふうに思っております。

 さらに、テレワークという働き方を広く全国へ展開するために、私が議長を務めておりますが、テレワーク関係府省連絡会議を開催しまして、厚生労働省、経済産業省などの関係府省と連携をして、多くの企業、団体にテレワーク導入の意識を持っていただけるよう、さまざまな施策に取り組んでおります。

 例えば、テレワークの全国一斉実施を国民運動的に呼びかけておりますテレワークデーズの実施を行っております。三年目となりますことしは規模を拡大いたしまして、七月二十二日から九月六日までの約一カ月間、これを実施する予定でございます。

 また、北海道から沖縄まで全国各地でのテレワーク導入のためのセミナーの開催などにも取り組んでおりまして、総務省といたしましては、引き続き、地方を含む全国各地でテレワークの導入が進むように、関係府省と連携の上、各種施策に積極的に取り組んでいきたいと考えております。

岡本(あ)分科員 ありがとうございます。

奥野(信)主査代理 岡本さんの時間は終了しました。

岡本(あ)分科員 はい、済みません。

 最後に、大臣、一言いただきたいと思いますが……

奥野(信)主査代理 もう時間を終わっていますから。

岡本(あ)分科員 はい。

 大臣の所信表明でも、東京一極集中の是正が急務だとおっしゃっておりましたので、今申し上げた部分、積極的に取り組んでいただきたいというところで、一言だけいただいて、終わらせていただきたいと思います。

奥野(信)主査代理 一言、どうぞ。

石田国務大臣 頑張ります。

岡本(あ)分科員 ありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて岡本あき子君の質疑は終了いたしました。

    〔奥野(信)主査代理退席、主査着席〕

坂本主査 次に、津島淳さん。

津島分科員 自民党の津島淳でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 坂本主査、また石田大臣、古賀政務官には、分科会は長丁場でございます、大変お疲れさまでございます。真摯に議論させていただきたいと思っておりますので、どうか三十分、よろしくお願いいたします。

 大きく七問、質問通告をさせていただいておりますが、残念ながら時間切れとなった場合、あらかじめお断りしておきます、御容赦いただきたいと存じます。

 さて、私の地元は青森ということで、旧国名でいうと津軽というところが主な選挙区でございます。この津軽というところは雪が多いということで知られておりまして、手前みその話、太宰治は私の祖父なんですが、彼の著書の中で、津軽には七つの雪があると、そんなことを申しまして、七雪というのは「こな雪」「つぶ雪」「わた雪」「みず雪」「かた雪」「ざらめ雪」「こおり雪」などというわけですね。

 これは大臣、もし地元からの陳情団が来たときに、津軽には七雪があるんだってねなんて言うと非常に場が和やかになるかもしれませんので、使っていただければと思うんです、ちょっと蛇足、脱線しましたが。

 雪というものも、余り降り過ぎると、これは人も悩ませる、誰かが除雪をしなければいけない、雪を片づけなきゃいけないという、これは宿命でございます。

 そこで、まず第一問は、この冬の除排雪経費に係る財政措置、平成三十年度特別交付税について、総務省にお伺いしたいと思っております。

 今申し上げましたように、青森県は豪雪地帯ということでございます。豪雪地帯特措法の特別豪雪地帯には、県都青森市を含めた六市五町二村、豪雪地帯には四市十七町六村が指定されております。青森県内、四十市町村がございますので、全部足し込んでいくと、これは結果、青森県内全ての自治体が豪雪地帯以上の指定を受けているということでございます。

 そして、今冬の降雪状況でございます。昨年十二月上旬から積もり始めて以降、ことしの二月十一日時点の累計で、青森市では四百二十三センチ、下北半島の北部、むつ市においては二百三十一センチと、これは過去五年の平均を上回る降雪となっております。

 一方で、除排雪関連経費については、建設業の深刻な人手不足と労務単価の引上げによる労務費の増、出動回数の増加による経費増などの要因によって高どまりしている状況でございます。

 こうした状況により、これまでに県内の十市十六町村が除排雪関連経費について補正予算を策定し、さらに三市十三町村が策定予定という状況でございます。

 青森県では、極めて厳しい歳入環境の中、行財政改革に努めながらぎりぎりの財政運営を行っているところであります。総務省におかれましては、こうした青森県の実情を御賢察の上、今後の交付税の配分、県分及び市町村分に係る平成三十年度の配分について御配慮いただきたいということでございます。御見解を伺いたいと思います。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 津島先生からは、先日も青森の特殊財政事情についてはお伺いしたところでございました。

 地方団体の除排雪経費につきましては、普通交付税の算定におきまして、標準的な所要額を措置いたしますとともに、実際の所要見込み額が普通交付税の措置額を超える場合には、この三月分の特別交付税で措置をしているという状況であります。

 今年度は、今のところは全国的に降雪量が少ない状況ではございますけれども、青森県では所によって平年を上回る地域もある、このように承知いたしております。

 総務省といたしましては、この地方団体の除排雪経費の実態をよくお伺いをして、しっかりと対応していきたい、このように考えております。

 以上です。

津島分科員 ありがとうございます。実情をよく把握していただいて、適切な御配慮をいただけるよう、重ねてお願いを申し上げます。ありがとうございます。

 それでは次に、平成三十年十二月十三日付、風しんに関する追加的対策骨子の内容と、対策の対象となる人数及び所要の経費の見積りについて、まず厚生労働省にお伺いしたいと思います。

 風疹というのは、風疹ウイルスを原因として、発熱や発疹、そしてリンパ節の腫れを主症状とする感染症であります。これは、妊婦の方が感染いたしますと、おなかの中の胎児に先天性風疹症を発症する可能性が高くなると言われております。

 昨今、風疹が流行している状況もあり、これは実効ある感染防止策が急務であると考えます。

 そこで、厚生労働省にお伺いするわけでございますが、先ほど申し上げた平成三十年十二月十三日の風しんに関する追加的対策骨子を発出するに至った背景と対策の内容、対策の対象となる方とおおよその人数、予算の見積額について教えてください。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員にもお触れいただきましたけれども、風疹につきましては、妊娠中の女性が感染いたしますと、目や耳などに障害を持つ先天性風疹症候群の子供が生まれる可能性がございまして、風疹の感染防止対策のために速やかに対応することが国民生活の安心にとって極めて重要であると考えてございます。

 これまでの風疹の患者の状況を見ますと、三十代から五十代の男性が全体の三分の二を占めているところでございます。これは、これまでに公的な予防接種を受ける機会がなかった現在三十九歳から五十六歳の男性の抗体保有率が約八〇%と、他の世代に比べて低いことが一因であると指摘されているところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、昨年十二月に風しんに関する追加的対策を取りまとめまして、この世代の男性を対象といたしまして、三年間、全国で抗体検査と予防接種法に基づく定期接種を実施することを決定したものでございます。

 二〇二〇年三月末までに、対象世代の男性のうち約三百三十万人が抗体検査を受け、約七十万人が予防接種を受けていただけるように、地方自治体や医療機関と連携して取組を進めているところでございます。

 このために必要な費用といたしましては、抗体検査につきましては、国負担二分の一、市町村負担二分の一、事業費ベースで約六十億円を措置しているところでございます。

 予防接種につきましては、実施主体の市町村におきまして約七十億円の事業費が必要と見込んでおります。この費用の九割につきましては、地方交付税措置がなされる予定でございます。

津島分科員 よくわかりました。

 主に三十九歳から五十六歳の成人男性を対象に、向こう三年間、無料で抗体検査と抗体のない方に対する予防接種を実施する。対策に係る経費は、抗体検査が国二分の一、市区町村が二分の一で、事業費ベースで六十億。そして、定期接種については、費用の十分の九を普通交付税措置をして、これに係る費用が事業費で七十億円。対象となる人が、抗体検査でおよそ三百三十万、そして予防接種が七十万、そういうことでございました。

 問題は、費用負担割合なんですね。この費用負担割合について、先般、青森県市長会始め全国市長会も同様の趣旨で、国の財政措置の充実を求める要望がございました。普通交付税措置は、これは交付税総額がふえるわけではないので、自治体側とすれば、実質、自治体がほぼ全てと言ってもいい負担になる、そういう問題が所在します。

 一方、風疹の対策は、風疹感染によるリスクを極小化するため、大変重要かつ緊急を要するものであり、国挙げて全力で取り組んで、政策効果を最大化しなければならないものと考えます。

 そのためにも、国としてより十分な財政措置を講ずるべきかと思いますが、いかがお考えでしょうか。厚生労働省さん、お願いします。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の風しんに関する追加的対策につきましては、緊急措置といたしまして、これまで対象としたことのない世代の男性に抗体検査や予防接種を受けていただくものでございます。

 さらに、対象の方々に予防接種などを受けていただきやすくするように、例えば、職場における健診の機会を活用した抗体検査の受検、夜間、休日の予防接種、抗体検査を受けることを可能とするなどの取組を行うこととしておりますが、これらは、これまでの風疹対策にはない初めての取組ということになってございます。

 そうした意味も含めまして、東北市長会あるいは全国市長会からの御要望にもありますように、実施主体でございます実施市町村には御負担をおかけするというものではございます。

 厚生労働省といたしましては、市町村の負担を可能な限り軽減できるように、先ほど御答弁申し上げましたとおり、抗体検査につきまして新たに補助事業を創設する、また、予防接種につきましては、定期接種の対象とすることによりまして、費用の九割を地方交付税措置するというような形で取り組んでいるところでございますし、また、財政措置以外につきましても、地方自治体向けの詳細な手引を新たに作成し、発出するなど、最大限努力に努めているところでございます。

 引き続き、市町村などの関係者の意見も十分に伺いながら、取組を進めてまいりたいと考えてございます。

津島分科員 ありがとうございます。

 あくまで政策効果を最大化するという観点で、自治体とよく連携といいますか、実情をお伺いして進めていただければ、そのように考えます。

 それでは次に、原子力施設立地自治体の財政状況についてお伺いをいたします。

 青森県むつ市、東通村、大間町、六ケ所村は、原子力施設の立地自治体でございます。青森を含めた全国の原子力関連施設が立地する自治体では、今の原子力規制委員会による審査の長期化に伴い、稼働、再稼働のおくれが生じ、自治体にとっては、固定資産税収の減少が財政状況の悪化を招いているということでございます。そのことは、実質公債費率などの指数でも明らかであると思います。

 各施設の稼働、再稼働がなされるのはまだ当面先行きが見通せない状況でございます。その稼働、再稼働がなされるまで、従来の財政措置のスキームを生かしつつ、更に財政支援を強化する必要があると考えます。

 この点について、エネルギー政策を所管する資源エネルギー庁、きょうは小澤さんにおいでいただいておりますが、資源エネルギー庁さんと、そして自治体財政を所管する総務省さん、それぞれにお伺いをします。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 津島先生御指摘のように、原子力施設の長期停止、あるいは稼働や竣工のおくれ、あるいは廃炉といった環境変化のもと、原子力立地地域の皆様には大きな負担をおかけしてございます。

 こうした中で、立地地域への影響を極力緩和するため、できる限り地域の実情に応じた対応を図りたいと取り組んでいるところでございます。

 具体的には、まず、電源立地対策交付金につきまして、所要の規模の確保に努め、その柔軟で効果的な活用を図っております。

 これに加えまして、平成二十六年度からは、地元の特色を生かした商品の販路開拓、あるいは観光誘致に取り組む地場企業へのきめ細やかな支援などに取り組んでございます。この成果として、立地地域の地場産品を使った新商品の開発や、新たなイベントの開催といった動きが出てきているところでございます。

 さらに、平成二十八年度からは、再生可能エネルギーを活用した地域振興策など原子力立地地域のエネルギー構造の高度化のための支援、これにも取り組んでございまして、来年度には更に予算規模を拡大する案としているところでございます。

 こうした取組を通じながら、今後とも、原子力立地地域の皆様のさまざまな御意見あるいは御要望に丁寧に耳を傾けまして、立地地域の望ましい将来像、これを一緒に考えながら、しっかり取り組んでまいります。

古賀大臣政務官 総務省からということでございますけれども、原子力関連施設が立地する地方団体の財政状況につきましては、団体によりましてその財政状況はどうやらまちまちのようである、このように私も認識をいたしております。

 ただ、いずれにいたしましても、当該団体の基準財政需要額が基準財政収入額を超えるような状況になった場合には普通交付税が交付されるというわけでございますので、いずれの団体におきましても、一定水準の行政を確保するための財源は保障されている、このように思います。

 その上で、御指摘の件につきましては、今資源エネルギー庁の方から御答弁がありましたけれども、一義的には制度を所管する経産省において取り組んでいただけるものと認識しておりますけれども、私どもといたしましても、地方団体の財政運営に支障が生じることがないように、経産省とも連携をしながら適切に対応していきたい、このように考えております。

 以上です。

津島分科員 ありがとうございます。

 資源エネルギー庁小澤さんの方からお答えいただきまして、きょうですか、東通村には原子力立地交付金の特例ということで、特例を適用したということも知らせがありましたので、そうしたスキーム、今あるスキームの特例を活用することによって財政を支援するということなど、それから、同じ省で、中小企業庁所管のいろいろな補助金等で、立地地域として、やはり原子力だけではいけない、プラスワン、プラスツー、何らかの産業をつくっておかないといけないということは当然あろうかと思っております。

 そういったことで、水産業が盛んな地域であっても、例えば加工業支援のためには、これは中小企業庁さんの所管の予算を使えるものと思いますので、こうしたものを活用して地域の活性化につなげていくということが大事だろうと思っております。

 また、古賀政務官から、資源エネ庁さんと連携して今後の動向を注視していきたい、そして、万が一財政が厳しい状況には適切に対応してまいりたいという趣旨のお答えをいただきました。

 財政ももちろんなんですが、総務省さんには、やはり財政が厳しい自治体というのは、これは原子力立地自治体に限ったことではないと思いますが、全国的にやはり人が足らない。後ほど人の話もさせていただくんですが、人が足らないという状況があって、そういった中で、今申し上げたように、地域として原子力プラスワンなりプラスツーの産業を育てるという部分で、新しい計画づくりのノウハウを持った人のマンパワーの支援ということですね、既に取り組まれておりますけれども、こういった点でも御支援いただけるとありがたいなと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、圏域行政構想、これは、平成三十年七月、自治体戦略二〇四〇構想研究会第二次報告というもので示されたものでございますが、これについて総務省さんにお伺いをします。

 この構想は、人口減少が進む地域の住民サービスを維持するため、新たな広域連携として、複数の市町村でつくる圏域が行政を運営する構想でございます。

 これについて、先ごろ共同通信社が全国自治体アンケートを行い、今月二十三日に結果を公表いたしました。

 それによりますと、圏域が行政を運営する構想に全国の自治体の計三四%が反対である。この反対の中には、どちらかといえば反対という、そういう選択肢も含まれての反対。計三〇%が賛成ということであります。

 一方、我が青森県では、県とそれから全四十市町村のうち、賛成が計十八市町村、反対が計十二市町村、その他が県と十市町村となっております。その他というのは、まだこの構想の中身がよくわからないので判断できないという意味の回答であるというのが大宗であったようでございます。

 また、このアンケートで、現行の広域連携制度である連携中枢都市圏、定住自立圏について、それに参加していると答えた市町村に、地域活性につながっているかを尋ねています。そうしたところ、計七三%の自治体が地域活性化につながっていると前向きに評価をしています。

 一方、青森県内では、参加している三十五市町村のうち、二十六市町村が前向きな評価をしております。

 人口減少下の地方行政のあり方について、私もこの第二次報告の中身を読ませていただきましたけれども、今後のあり方を検討することは極めて重要であると思いますし、また、今総務省さんで鋭意検討されているんだと承知しておりますが、新たな圏域行政構想の今後の扱いをどのように総務省さんでお考えになっているのかお聞きします。

 また、現行の広域連携制度は、今申し上げたように、一定の評価というものを地方自治体からいただいておりますが、参加している自治体が新たな圏域行政構想が始まることでいわばはしごを外されるような、そういうことになってはいけないと思うわけであります。

 現行の広域連携制度についてどう総務省さんとしては自己評価をされておりますでしょうか。また、これからどのように進めていかれるでしょうか。あわせてお伺いいたします。

北崎政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、連携中枢都市圏、全国で二十八圏、また、定住自立圏、百二十三圏ございます。

 連携中枢都市圏では、圏域全体の経済成長を牽引するための取組として、圏域の中心市が圏域内の他の市町村とともに企業誘致を行う取組でありますとか、あるいは圏域内の企業がマーケティングなどの相談ができる産業支援機関を設立、運営する取組などが行われております。

 また、定住自立圏では、圏域全体として必要な生活機能等を確保する取組として、県域を越えたコミュニティーバス路線の運行でありますとか、そういった取組が進められている例がございます。

 これらの具体的な取組によって、連携中枢都市圏と定住自立圏は、広域的な行政サービスの確保に一定の役割を果たしていると認識をしてございます。

 その上で、今後ますます人口減が進むと見込まれますことから、都市機能の集約化など、合意形成は容易ではないけれども、圏域単位で対応が必要となる深刻な行政課題に取り組んでいく必要があるんだと思っております。

 現在、地方制度調査会において、高齢者人口がピークを迎えます二〇四〇年ごろの姿から逆算する形で、顕在化する諸課題とその対応策について御議論をいただいているところでございます。

 総務省といたしましては、これまでの連携中枢都市圏や定住自立圏の取組も踏まえ、地方の意見を聞きながら議論を深めていく必要があると考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

津島分科員 ありがとうございます。

 今後の地方制度調査会における議論についても私も注目をしておりますし、二〇四〇年に地方自治がどのように行われるべきかということを私なりに勉強も深めてまいりたいと思っております。ありがとうございます。

 次に、地方自治体の組織と人材育成のあり方について、都市政策と地方公共交通政策を例にお伺いをいたします。

 我が国では、国土交通省が、コンパクト・プラス・ネットワークをキーワードに、まちづくり、これは都市政策ですね、と地域公共交通政策とをシームレスに進めることで、コンパクトで利便性の高い町をつくり、地域内の交流の活性化を図ることとしております。

 この政策によるメリットを地方自治体の側から見れば、生活機能が効率的に配置されることで住みよさが向上する、そのことによる人口集積効果の発現、行政区域がコンパクトになることで、それに係るコストの増加を抑えられることなどが挙げられます。

 欧米では、既にこのコンセプトのまちづくりと公共交通政策が進んでおり、また、欧米の地方自治体では、二つの政策を一体的に企画、立案、実行している部署があり、そこに専門性を有する人材をある程度固定的に配する組織づくりを行っていると承知をしております。

 一方、日本の地方自治体の組織は必ずしもそのようにはなっていないように思われます。

 そうした中で、地方自治体が政策課題に的確に対応し、地域振興を進めていくためには、自治体職員の育成に力を入れていく必要があると考えます。また、職員のやる気を引き出せる人事システムを工夫する必要があると考えますが、御見解を伺います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 地域振興に取り組んでいく上では、議員御指摘のように、地方公共団体において、地域の課題についてみずから考え、解決していく政策形成能力や、高度化、多様化する住民ニーズに的確に対応できる能力を持った職員の育成が不可欠であると考えております。

 そこで、人材育成という観点から、総務省としては、従来から各地方公共団体に対して、人材育成基本方針ですとか研修に関する基本的な方針の策定と積極的な取組を促してきたところでございます。

 こうしたことも踏まえて、地方公共団体においては、それぞれの団体における研修の充実を図るとともに、総務省でいけば自治大学校などの各種の全国的な研修機関、こうしたところで地域振興等各種の政策課題に関する研修も行っておりますので、こうしたことも利用していただくなど、自主的、積極的に職員の資質向上に努めていただくことが重要と考えております。

 また、地方公務員法に基づく人事評価制度は、これは地方公務員法を改正いたしまして平成二十八年度から導入しておりますけれども、職員の能力や業績を的確に評価することによりまして、職員一人一人のモチベーション、やる気の維持向上や人材育成を図ることを狙いとしております。

 総務省としても、人事評価の人材育成への活用に係る好事例につきまして、できるだけ周知を図っているところでございまして、今後とも、各団体において人事評価の制度が人材育成に十分に活用されるように、必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。

 こうした地方公共団体における基本方針の策定、それから各種の研修の充実、さらに、適切な人事評価の実施といったことを通じて、地方公共団体の人材の育成を更に推進してまいりたいと考えております。

津島分科員 ありがとうございます。

 法改正も行い、地方公務員の皆さんのやる気を引き出すような改正もなされ、さらには、さまざまな研修等を通じてのスキルアップに努められているという回答でございました。

 専門性をしっかりと有した人材が、ある程度長い期間でもって政策課題を企画、立案し、実行する、都市政策というのはまさにその代表だと私は思っております。これは、はっきり言えば、首長さんがたとえかわろうが、都市政策というのは本当に切れ目なく、そして変わることなく、やはり進めるべきは進めるものなんだ、私はそういう考え方に立っているので、そのように申し上げるんです。

 国として地方自治体のあり方についていろいろ言うというのは、これは地方自治の本旨に照らして見た場合、なかなか難しい部分はあるかと思います。しかし、今お答えがあったような形で自治体の職員のやる気を引き出し、さらなる職員の募集ということ、応募ということにつなげて、人材を確保、育成していくということは、国としてできる範囲で行っていただきたい、そう思うところでございます。

 質疑時間が残り少なくなってまいりました。最後の質問に参ります。

 次に、地方自治体の基金のあり方と税源の偏在是正についてお伺いをいたします。

 地方自治体の財政は、扶助費の増加であるとか、消防事務の負担増など、依然厳しい状況にあります。加えて、頻発化、激甚化する災害の復興が財政を逼迫させております。

 このような現状を鑑みた場合、地方の一般財源総額を確保することが極めて重要であると考えますが、まずこの点、いかがでしょうか。

 そしてまた、都市と地方の税源が偏在している傾向が近年顕在化しております。地方税は地方自治体にとって貴重な自主財源であり、偏在是正は全国の多くの自治体の望みであります。

 この点について、現状と、それから、今審議されている来年度の税制改正で講ずる措置と見込まれる効果について、あわせてお伺いをいたします。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 私の方からは、地方一般財源につきましてお答えしたいと思います。

 御承知のとおり、平成三十一年度の地方財政対策におきましては、幼児教育の無償化を始めとした社会保障関係費の増加等をしっかり踏まえまして、適切に歳出としてまず計上した上で、一般財源総額、これを前年度から〇・六兆円増の六十二・七兆円確保したところでございます。

 また、激甚化する災害という御指摘がございましたけれども、災害対応につきまして、今年度、平成三十年度の二次補正予算におきまして、今年度の状況を踏まえまして、特別交付税を七百億円増額したところでございますし、また、来年度、三十一年度におきましては、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に基づく事業に係る地方負担について、しっかり地方財政措置を講じる。あわせて、防災インフラの整備に係る地方単独事業につきましても、新たに緊急自然災害防止対策事業費を地方財政計画に〇・三兆円計上いたしまして、地方財政措置を講じることにしているところでございます。

 御指摘のように、一般財源総額の確保というのは非常に大事なことでございまして、今後とも、社会保障関係費や防災・減災対応に係る経費、また、地方創生にも対応できるような形で、必要な一般財源をしっかり確保してまいりたいと考えているところでございます。

内藤政府参考人 偏在是正につきましてお答え申し上げます。

 御指摘のとおり、地方税には税源の偏在がございまして、現状を申しますと、地方税全体では二・四倍、偏在度の高い地方法人課税では六倍ございます。

 また、大都市部への企業の本店等の集中ですとか、インターネット取引の拡大といった経済社会構造の変化等を背景といたしまして、大都市部には、企業の事業活動の実態以上に税収が集中する状況にあると考えております。

 具体的に申しますと、地方法人課税の税収と、地域における事業活動により生ずる付加価値の総計でございます県内総生産の分布状況について、人口一人当たりで見てみますと、地方法人課税では先ほど申し上げましたように約六倍であるのに対しまして、県内総生産では約三倍となっているわけでございます。

 今回の新たな偏在是正措置は、このような状況を踏まえまして、構造的な課題に対処するため、措置を講ずるものでございます。この措置によりまして、地方法人課税における税収の格差は約三倍となりまして、県内総生産の分布とおおむね合致することとなるところでございます。

 今回の措置によりまして生じます財源でございますけれども、平成三十一年度の与党の税制改正大綱で、この偏在是正措置により生じる財源は、地方が偏在是正の効果を実感できるよう、必要な歳出を地財計画に計上するなど、その全額を地方のために活用するとされておりまして、具体的な効果が発現いたします平成三十二年度に向けまして、検討を進めてまいりたいと考えております。

津島分科員 ありがとうございます。

 終わります。

坂本主査 これにて津島淳さんの質疑は終了いたしました。

 次に、宮路拓馬さん。

宮路分科員 自由民主党の宮路拓馬でございます。本日は、質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 私は、本日は二点お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず一点目は、地方財政の問題であります。そして、後半部、二点目については、光ファイバーの整備についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 では、早速、一点目、地方財政についてでありますけれども、今ほど津島先生の方からも御質問が最後ございました偏在是正の件でございます。

 昨年末、与党税制調査会の場においてもかんかんがくがくの議論がありまして、東京選出の先生方のいろいろな御意見もありながらも、最終的に税調の場で決定をしたその内容が、今般、税制改正の法案として審議をされ、来年度からということになろうかと思います。

 その今回の特別法人事業税による偏在是正、当時、年末では、報道によれば九千億とも言われていた額が東京から地方の方へという話でございます。その効果額を今後いかに地方財政計画に反映させていくかというのが、地方税財源の確保という点から大変重要だと思います。その点についてお伺いをしたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありました地方法人課税の新たな偏在是正により生じる財源、これにつきましては、平成三十一年度与党税制改正大綱におきまして、「地方が偏在是正の効果を実感できるよう、必要な歳出を地方財政計画に計上するなど、その全額を地方のために活用する。」とされているところでございます。

 従前の例を申し上げますと、平成二十年度に地方法人課税の偏在是正措置がありまして、ここでは、その措置で生じる財源を地方のために活用するということで、地方財政計画に四千億円の地方再生対策費を計上しまして、財政状況の厳しい地域に重点的に交付をした、こういう従前の例もあるわけでございます。

 今般の偏在是正につきまして、偏在是正措置による税収の影響、これは平成三十二年度から生じるということでございますので、そこに向けて、大綱に沿って、地方団体の意見も伺いながら、今後、検討を進めてまいりたいと考えております。

宮路分科員 ありがとうございます。

 地方は、今後、人口減少が進む中で、高齢化に伴う医療、介護等の社会保障費の増嵩、あるいはまた少子化対策、これも打っていかなければなりません。子ども・子育て、今回、保育の無償化というのも議論をされております。来年度から始まるということでございますけれども、そうしたものに係る経費がまた増嵩してくる。それだけではなく、先ほど来ありますとおり、防災、減災、国土強靱化の取組も必要となってくる。そのほか、残念なことに児童虐待の問題が後を絶ちませんが、そうした児童養護に係る措置というのも、これは自治体が主となって行っていくものであります。

 あるいはまた、障害施策の推進というのも、私は今、障害福祉の分野に力を入れて取り組んでおりますが、その主体となってくるのもまた、都道府県あるいは市町村、自治体になってくるわけでありまして、市町村、都道府県、自治体の今後求められる役割というのはますます高まっていくという中にあって、やはり、偏在是正によって歳入がふえたとしても、それを適切に歳出に反映させる、つまり、歳出をふやさなければ、税収が伸びたとしても、その分、地方交付税が減ってしまい、結果的に地方にとっては増収にならない、結局、意味がないということになってしまうのではないかという懸念も上がっているところであります。

 先ほど御説明いただいたとおり、平成二十年度、これはリーマン・ショック後の状況を踏まえてということもあったんだろうと思いますが、地方再生対策費としてしっかり歳出に積んでいただいたということでありますが、自治体はこれからまさに知恵と工夫を凝らしてその経営を行っていかないといけない、それをしっかり後押しするような歳出をしっかりと計上していただくようにお願いをさせていただきたいと思います。

 続いて、地方財政に関しまして、今ほどマクロの話について質問させていただきましたが、次はミクロの話について質問させていただきたいと思います。

 私の地元に、三島村という村がございます。人口は四百人にも足りません。そして、三つの有人離島によって構成をされております。そして、三島村、その財政力指数は、たしか全国最下位、〇・〇五だったと記憶しております。

 あわせてまた、同じく地元に、十島村という村もございます。こちらの方も、財政力指数、たしか全国最下位から三番目という状況。同じく、七つの有人国境離島から成る村でありまして、人口は七百人に足らない、六百人台だということであります。

 大変厳しい環境に置かれている三島村あるいは十島村を始めとする離島等の条件不利地域でありますが、こうした団体においては、交付税が大変重要な財源になっております。

 ちなみに、三島村の平成三十年度一般会計当初予算でありますが、二十三億七千万。そのうち、地方交付税、これは普通交付税と特別交付税合わせてですが、八億二千五百万。実に三分の一以上を地方交付税が占めるということになっております。

 そして、村税、これはいわば自主財源ですが、三千五百万。自主財源は、よく二割自治、三割自治と言われますが、一割の自主財源で運営されている三島村でありますが、その交付税額、最近の推移を見てみますと、平成二十四年度、これはピークになろうかと思いますが、普通交付税でありますが、九億六千三百万あったものが、翌年度、平成二十五年度、八億七千九百万、平成二十六年度、八億四百万、平成二十七年度、七億八千九百万、平成二十八年度、七億四千三百万、平成二十九年度、六億九千万、そして平成三十年度、六億四千万。かなり急激に減ってきている状況にあります。

 これについては、先ほど、マクロの話の中で地方再生対策費というお話もありましたが、リーマン・ショック後の状況の中、歳出特別枠というのが設けられて、その点では地方財政に大変配慮された地方財政計画がつくられてきたと思いますが、それが段階的に減少、廃止されていく影響を、小規模であるがゆえに、全国最下位ですから、財政力指数、その影響をある意味もろに受けて、交付税額が減少していっているという状況であろうかと思います。

 この離島の厳しい財政状況を踏まえて、今後、どのようにきめ細かな算定を行い、そして、地方交付税で十分に財源を確保するかということが、今後の、我々、地方の立場に立つ身としては、これが一番重要になってくると考えております。この点について御見解をお伺いしたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税は、全国どのような地域であっても、一定水準の行政を確保するために必要な財源を保障するという仕組みでございます。

 その中で、今お話があった離島、これはなかなかやはり大変な状況がございまして、人が往来する場合、物資を輸送する場合、費用がほかの地域と比べて多額となるわけでございます。

 ごみ、あるいはし尿の収集運搬経費や学校給食の経費、建設事業費、役場の旅費、通信運搬費などの経費、これも割高にならざるを得ないという実態があると承知しておりますので、普通交付税の算定におきましては、このような事情を踏まえまして、地域振興費という費目におきまして、遠隔地補正といったものを適用することにしております。

 これによりまして、役場の所在地から県庁所在地までの距離とか、あるいは離島市町村内における交通事情などを勘案して、需要額の割増しを行っているところであります。

 離島団体における遠隔地補正による増加需要額、これは、平成三十年度で、全国で二百六十一億円ほどの金額になっておるわけでありますが、私どもとしてもこういった工夫をしてきているというところでございます。

 今申し上げたような隔遠地補正ですけれども、隔遠地補正につきましては、離島におきまして、経費の実態等を踏まえまして、これまでも実は適宜見直しを行って拡充してきたという経緯があるわけでございますが、今後も、離島団体の財政運営に支障が生じないように、実情などもお聞きしながら適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

宮路分科員 御答弁ありがとうございます。

 昨年、私は、三島村を訪問させていただきました。三島村は、先ほど申し上げたとおり、三つの離島から成る村であります。そして、人口四百人足らずと申し上げましたけれども、そんな中でも、いかにしてその中で生き残っていくか、住民の皆さんは当然いるわけですし、それに加えて、いかに外から人を呼び込むか、知恵を凝らしております。

 昨年私が訪れたのは黒島という島になりますが、そこに焼酎の、これは村営になります、村営の工場ができた。その竣工祝いでお伺いをさせていただいたわけであります。本当に小さな島ですから、なかなか特産品というのも正直ございません。そんな中で、その風土、あるいは、置かれた地理的状況を、これを物語にして、地元の酒造メーカーの協力を得て、これまで、特産品として、三島村のサツマイモ、地元ではカライモと言いますが、カライモを使った焼酎をつくってきました。

 そして、それを今度は全て自前で、村営の工場で、村の芋を使い、そしてまた村の水を使い、つくっていくんだと。実は、その三島村の焼酎、大変人気があります。やはり、その物語に人は引きつけられるんだろうと思います。即完売というふうにうれしい話も聞いておりますが、そうした努力を行っている。

 あるいはまた、三島村、実は、今回、東京オリンピック・パラリンピック、そのホストタウンになっています。人口四百人に満たない島が、東京オリンピック・パラリンピックのホストタウン、ギニアのホストタウンになります。

 そこにもまた歴史がありまして、ジャンベという世界で最も普及していると言われている楽器であります。ジャンベの世界的な奏者がギニア出身、その方が、世界にジャンベを普及させたい、そうしたときに目をつけたのが三島村だった。ふるさとギニアの村のようなところがどこにあるか、そこで出会ったのが三島村だった。今、三島村は、東アジアにおいて、ジャンベの普及の拠点となっております。そして、三島村においてジャンベを学ぶために、多くの若者も訪れている。

 ありとあらゆる知恵と工夫を凝らして、三島村の村民の皆さん、村長を始めとして頑張っていらっしゃる。ただ、先ほど御答弁いただいたとおり、条件は極めて厳しい。

 ちなみに、日本で三自治体、その自治体内に庁舎がない自治体があります。一つが三島村であり、二つが十島村であり、もう一つは沖縄の竹富町。ただ、竹富町に関しては、役場を町内に移す動きがあるやに聞いております。とすれば、残された二つというのが三島村、十島村になってしまう。

 庁舎が自分の自治体内にないということによるかかり増し経費というか、そうしたものがしっかり交付税制度の中で見られているのか。

 人口四百人にも足らない村ですが、しかし、それでも三つの有人離島にそれぞれ住んでいる。私も三島村を訪問した際は、フェリーで最初の島にたどり着きましたけれども、竹島です。しかし、その後の移動は漁船でした。漁船を使って、竹島から硫黄島へ、そしてまた硫黄島から黒島へ。そうした環境において生活が営まれている、村民のために行政運営が行われている、そのことにしっかり思いをいたして、今後の地方交付税制度、まだまだ見直す点は多々あろうかと思います。ぜひ検討をお願いしたいと思います。

 続いて、光ファイバーの件について御質問をさせていただきます。

 これについては、大変、政府の御尽力もありまして、明るい話が出てきているんだろうと思います。来年度予算に計上されております高度無線環境整備推進事業、いわゆる民設の光ファイバーに対して、その整備事業に補助をするという、ある意味、画期的な制度だというふうに私は考えております。

 しかし、この画期的な民設への補助制度でありますが、今、その制度を使って光ファイバーを整備していこうという動きが鹿児島でも至るところで出ております。

 ちなみに鹿児島の光ファイバーの敷設率、これは大変恥ずかしい話でありますが、全国最下位です。全国九九%以上の普及率がある中で、鹿児島の普及率はわずか八六・七%。最下位から二番目が高知県の九四・七%ですから、著しく光ファイバーの整備がおくれている状況にあります。

 そんな鹿児島でも、今回こうした事業ができたことによって、光ファイバー、これも、電気、ガス、水道と同様、本当に生活の基礎インフラ、それがないともはや暮らしていけないとも言われるようなものであります。その整備に弾みがつくんだ、そういう喜びの声が聞かれたところでありました。

 が、しかし、実際、話を聞いてみますと、例えば鹿児島の長島町、この間、町長がお見えになられて、お話をお聞きする機会がありましたが、補助金のスケジュールに合わせようとする場合、もちろん補助制度ですので、交付決定という手続があります。その交付決定の時期が、年度始まってすぐにはなかなかできないと。それが年度途中になる影響で工期が短くなってしまう。そうすると、結局短い期間で工事をしなければならないということになりますから、人繰りの問題等もあって整備費用がかさんでしまう。その結果、今回の補助制度の補助率等を考えると、地方単独事業で、単独で行った方がかえって地方負担は少なくて済む。これは本末転倒というか、そういうことになってしまうのではないかという声も聞かれております。

 そこで、これはやはり、制度の運用に当たって、執行の工夫というのが必要になってくるんであろうと思います。例えば複数年度の継続事業を認めるなど、運用面での工夫をぜひしていただきたいと考えておりますが、この点について御見解をお伺いいたします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、補助事業のスケジュールに合わせて工期を短縮しようとした結果、整備費用がかさんでしまう例があるということについては、私どもも承知をしているところでございます。総務省といたしましても、補助事業のスケジュールに合わせた結果として全体の整備費用がかさんでしまうということは決して望ましいことではないと考えております。

 その上で、高度無線環境整備推進事業でございますけれども、あくまで単年度の予算ということでございますので、原則として年度内に事業を実施していただく必要があるということでございます。ただ、総務省といたしましては、地方公共団体等が十分な工期が確保できるように、二月から本事業の公募を開始するなど、可能な限り早期の事業執行が可能となるよう努めているところでございます。

 また、本事業は二〇二〇年度以降も継続して実施をしていきたいと考えておりますが、その際、例えば、ある地域の整備事業を複数年度に分割をして単年度ごとに補助申請をする、こういったことを可能にするなど、地方公共団体の皆様にとって利用しやすいように、運用面での工夫ということに努めてまいりたいというふうに考えてございます。

宮路分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、総務省としても、事業者と十分に話をしていただき、あるいはまた、今御答弁いただいたとおり、自治体側の工夫も必要になってくるということであろうと思います。自治体側にも十分な説明あるいは助言等を、ぜひプッシュ型でしていただきたいというふうに考えております。

 先ほど申し上げたとおり、光ファイバーは本当に、今後、生活の基礎インフラです。今、石田大臣のもと、石田イニシアチブと申せばよろしいのでしょうか、来るべき5Gの整備に向けて、これまでの人口カバー率だけではなく、より地方からそうしたICTの恩恵が及ぶようにという考えのもと、5Gの展開について今検討がなされているというふうにお聞きをしております。

 5Gが今後普及されていけばこそ、その前提となる光ファイバーの整備はますます重要になってまいります。ただ、申し上げたとおり、鹿児島県の整備率というのはいまだ九割にも満たない状況。これを整備するには、今ほど御答弁いただいたとおり、事業を分割して複数年度にわたってやっていく必要もあるということからすれば、とてもとても、一年、二年あるいは三年で事業が完了する、全国的に必要な整備がなされていくというわけにはいかないというふうに考えているところであります。

 そこで、伺います。

 この高度無線環境整備推進事業について、少なくとも、各自治体からのニーズがある限り、そのニーズに応えられるように、しっかりと事業を五年、十年と継続していく必要があると考えておりますが、その点について御見解をお伺いいたします。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。

 高度無線環境整備推進事業につきましては、既に多くの地方公共団体や通信事業者から関心や要望をいただいているところでございます。

 また、本事業により支援を行います光ファイバーですけれども、こちらは5Gの基地局の中継回線としても利用される通信インフラでございまして、ソサエティー五・〇の実現に向けて、都市と地方との情報格差を解消するために重要な役割を果たすということが期待をされているわけでございます。

 総務省といたしましては、二〇二〇年度以降も継続して本事業を実施していく考えでございまして、地方公共団体からの要望も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

宮路分科員 佐藤副大臣におかれては、先般、地元の鹿児島県議会議員の皆さん方と、この事業について、お礼と、そしてより使いやすい制度にしてほしいというお願いに上がらせていただいたところでありますが、大変心強い御回答をいただき、地元の皆さんも大変喜んでおりました。ぜひその期待に応えていただけるように、重ねてお願いをしたいと思います。ありがとうございます。

 最後にお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほど三島村について延々とお話をさせていただきました。

 この三島村、ありとあらゆる工夫をする中で、実は、麻生政権時の緊急経済対策であったと記憶しております、私も当時総務省内におってその任に当たっていたわけでありますが、その一環として設けられた補助制度を使って、当時、公設公営で光ファイバーを敷設したのが三島村でありました。おかげをもちまして、三島村は既に光ファイバーが整備をされております。その結果として、島外から若い方々も移住してきている、大きな成果が出ていると思います。

 ところが、毎年度かかる維持管理費、あるいはもう既に整備がされてから七年、八年がたとうとしており、やがて更新を迎えるという時期がやってまいります。その負担が自治体にとって大変大きなものになるという話を聞いておるところであります。

 そんな中、このように整備した施設、公設で整備したものを、やはり、その負担の軽減の観点から、あるいはより効率化の観点から民間事業者に譲渡したい、つまり、民間移設したいというニーズも聞いているところであります。もちろん、単なる譲渡ではなく、一定の負担をした上での譲渡ということを考えているんだろうと思いますが、いずれにせよ、そうした状況にある中で、今後とも、整備したはいいけれども、その維持管理にはやはりコストがかかってまいります。そして、それが今後また増嵩していく傾向にあるというふうにも伺っております。

 ぜひ、そうした財政需要に応えられるような制度を今後また整備していただきたいと考えておりますが、最後にこの点、お伺いをさせていただきます。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がございましたように、過去に光ファイバーを整備した地方公共団体におきまして、後年度の維持管理費の負担あるいは老朽化による更新費の捻出ということが大きな課題になっているというふうに承知をしております。

 そのため、地方公共団体の中には通信事業者に施設の譲渡を希望する事例もあると承知しておりますけれども、譲渡に当たっての条件などは地方公共団体によってさまざまであって、通信事業者から費用負担を求められる場合もあると認識をしております。

 地方公共団体が抱える施設の維持管理費等や施設譲渡に係る費用負担の問題は、地域の住民の皆さんが継続的に通信サービスの提供を受けるために極めて重要な課題であると認識をしておりまして、総務省としてどのような支援策が講じられるのか、今後私どもとしても検討してまいりたいと考えております。

宮路分科員 繰り返しになりますが、光ファイバーは、電気、ガス、水道と同じく、あるいはそれ以上に重要なインフラとなってきます。その整備、そして整備した後の維持管理あるいは更新、特に小規模自治体においてそれが最も求められる、いわば、民間ベースではなかなか立ち行かないところもある中での整備、維持管理です。そうしたところに十分目の行き届いた仕組みとしていただくようにお願いをして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本主査 これにて宮路拓馬さんの質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、奥野(信)主査代理着席〕

奥野(信)主査代理 次に、早稲田夕季君。

早稲田分科員 御質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 それでは、順次質問をしてまいります。

 今国会では、大変、統計不正の問題に明け、そしてまたずっとこれを引きずってきている国会だということでございます。そしてまた、きょうは、この不正統計問題、毎月勤労統計問題で、特別監察委員会が更に今までどおりの調査結果を重ねて出したということに、私は大変残念な思いがしております。

 昨日の中央公聴会の方でも、識者の上西先生、それから明石先生の方からも、大変的確な、適切な、明快な資料を国会に出すということ、それから、参考人を呼んで与野党を超えて審議を十分に尽くすということが国会の根幹であり、これがない中で、また、私たちが求めている実質賃金の数値等々も出ないような状況で予算審議をするということはあり得ないことだろうという厳しい御意見もいただいたところでございます。

 その中で、政府が自分たちに都合のよいような数字だけを使っているのではないか、そういうことを重んじて使っているのではないかと思わざるを得ないような状況も多々見受けられるという、その視点で私も伺ってまいりたいと思います。

 子供の相対的貧困率ということであります。

 資料の方にもお配りをさせていただいておりますが、総理の施政方針演説の方では、一月二十八日でございましたけれども、「悪化を続けてきた子どもの相対的貧困率も、初めて減少に転じ、大幅に改善しました。」と。これは安倍政権になってということだと思います。ここでは数値は書かれておりませんが、いろいろな本会議等の答弁で総理がおっしゃっているのは、九・九%の相対的貧困率が七・九に、二ポイントも改善したという数値を使われます。

 そして、皆様御存じのとおり、この子供の貧困率におきましては、総務省が調べている数値、総務省の方は全国消費実態調査、それから厚生労働省がその前から調べている国民生活基礎調査によるもの、この二つのデータがありまして、これについては今までの国会でも大分議論がされてきたのを私も拝見をさせていただいております。

 その中で、総理があえて数値の低い総務省の方の数字だけを、データだけを使っていらっしゃるということが非常に違和感を覚えるわけなんですけれども、二〇一四年に総務省が子供の貧困率を出した、厚労省のデータがあるにもかかわらず更に出したというその理由について、お尋ねをまずいたします。

千野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現在、政府の二つの調査で子供の相対的貧困率を算出しておりますが、両調査で数値の水準に違いが見られることから、どちらの相対的貧困率が正しいのか、あるいは、どちらを重視するのかといった質問がされることがございます。

 二〇一五年の予算委員会でも同様な議論がございました。このため、同年三月に、内閣府、総務省及び厚生労働省の三府省が共同いたしまして、両調査の相対的貧困率に関する調査分析を進めることといたしました。その結果、同年十二月に、三府省連名で、相対的貧困率等に関する調査分析結果についてを公表いたしました。

 この調査分析結果におきましては、両調査の数値が異なるのは、調査方法等の違いなど統計技術的な点によるものでございまして、どちらが正しいとか、どちらを重視するというのではなく、両調査の数値について推移の傾向を見ることが重要であると指摘されております。

 子供の相対的貧困率につきましても同様であることから、両調査の傾向を見ることができるよう、二〇一六年に、全国消費実態調査においても子供の相対的貧困率を集計して、相対的貧困率とあわせて公表したということでございます。

早稲田分科員 今、内閣府、それから総務省、厚労省、この三府省で、どの数字が正しいということではない、両方を使って方向性を見ていくんだというお話でございましたが、それでは、あえて一つだけ、総理がこの七・九という数字だけをお使いになると、OECDで比べられている厚生労働省の数値と倍ぐらいの乖離がありますので、非常にこれはわかりにくいのではないかと思います。

 その中で、厚生労働省に伺いますが、もともとこの子供の貧困率を出すに至った経緯をお知らせください。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇九年十月に、当時は長妻厚生労働大臣の指示によりまして、国民生活基礎調査の一九九七年、二〇〇〇年、二〇〇三年、二〇〇六年の相対的貧困率と子供の貧困率を算出し、初めて公表したところでございます。以後、三年ごとの大規模調査年のデータにつきまして公表を続けているということでございます。

早稲田分科員 それでは厚生労働省に伺いますが、これは三年ごとにやっていらっしゃいます。それで、OECDはどちらの数字を使っているんでしょうか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 OECDに対しましては、総務省の全国消費実態調査と厚生労働省の国民生活基礎調査の両方の数値を提供しておりまして、国民生活基礎調査は、一九九四年データ以降分を一九九八年から提供しております。

 なお、OECDのデータベースには、国民生活基礎調査の相対的貧困率の数値のみが掲載されていると承知しております。

早稲田分科員 なぜ、のみが、厚生労働省の国民生活基礎調査の方をOECDが使っているのか。ほかの国と比べるのにこれが適当ということで使っているのではないかと思われますが、いかがですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 国民生活基礎調査の調査頻度が高いということが理由ではないかというふうに思っております。

早稲田分科員 そうですね。まず、それは三年と五年ごとの違い、これは大きいと思います。その間のことはありますけれども、三年で、しかも長くやっているという調査でありますから、さかのぼって調査をされたということですから。

 それでは、この厚生労働省の方の調査データで、貧困率が、安倍内閣云々ではなくて、その前にも下がっているところがあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 国民生活基礎調査におきましては、子供の貧困率につきまして、一九八五年以降、三年ごとの数値を公表しているところでございますけれども、直近のものを含めまして、これまで四回低下しております。

早稲田分科員 総務省に伺います。

 五年ごとの調査でありますが、この総務省の数字も、グラフを見ていただきますと、二〇〇九年の九・九%、そして二〇一四年の、五年後のこの七・九%という数値ですけれども、では、この間の各一年ごとの数値というのはわかるんでしょうか。

千野政府参考人 お答えいたします。

 総務省の全国消費実態調査は五年ごとに実施しておりますので、その間の変動を明らかにすることはできません。

早稲田分科員 そうすると、その間の各年の減少幅ということはわからないということですよね。はい、確認をさせていただきました。

 そういたしますと、この二〇〇九年は、民主党政権の三年もありました、二〇〇九年からその後ですね。そうすると、安倍内閣で初めて減少に転じたということが私は正確ではないと思いますが、見解はいかがですか。

千野政府参考人 お答えいたします。

 総務省の全国消費実態調査は五年に一度ですが、厚生労働省の国民生活基礎調査は三年に一度でございます。国民生活基礎調査の方で子供の相対的貧困率を見ますと、二〇一二年から二〇一五年にかけて低下しております。

早稲田分科員 ですから、そちらの数字を使われて言うならわかります。でも、総務省の七・九、九・九という数字を使っておられるわけですから、そこで初めてという言葉は行き過ぎではないかと思いますが、いかがですか。

千野政府参考人 全国消費実態調査では、直近の数字が低下いたしました。これは初めてのことでございます。国民生活基礎調査の方では過去にも低下していることがございますが、両調査ともに低下したというのは今回が初めてということでございます。

早稲田分科員 いえ、安倍内閣でということが正確ですかと伺っています。

千野政府参考人 全国消費実態調査の方では、五年ごとですので、若干違う期間が含まれます。

早稲田分科員 今、若干違う期間が含まれますとおっしゃいました。要するに、この総務省のデータではそこまでは言えないということでよろしいですね。はい、うなずいていただきましたので、そのように確認をさせていただきました。

 私が申し上げたいのは、このように、まあ、現在が下がっているのはもちろんわかります、私たちの、旧民主党政権のときよりも下がっているのもわかります。ただ、これを自画自賛するように、必ず新年の施政方針演説でおっしゃる、この二ポイントがとても効果を上げているのはアベノミクスの成果だというふうにおっしゃるわけですけれども、私は、そういう言い方でこの貧困率というものを使うこと自体に大変違和感を覚えます。

 限りなくゼロに近づけていかなければならないはずですし、二ポイント下がったとしても、六人に一人の貧困だったのが七人に一人になるとか、そういう程度の話です。もっと国民のお一人お一人に寄り添うつもりなら、そこを自画自賛するような、成果だというようなものに使うには余りにも数字が、私は、いい数字だけを使っていらっしゃるというふうに思わざるを得ません。

 でしたら、当然ながら厚生労働省の数字もあって、これも二ポイント以上下がっているわけですから、それを使われてはっきりとおっしゃるべきです。でも、これは一〇%以下の数字ではないからいかにも使いたくないみたいな、そのような思惑が透けて見えるというところが、私は総理の発言としてどうなのかと思います。

 それからまた、三省が決めて、いろいろな数字、それぞれとり方があるから違ってくるんだということもおっしゃっているわけですから、一つだけを総理が使われるのも疑問が湧くところです。

 それでは、このように長く、そしてまた頻度も高い、OECDに数字としても使われているこの厚生労働省の数字をあえて総理がお使いにならないことについて、総務大臣、どのように感想をお持ちでしょうか。

石田国務大臣 先ほど来、るる統計局長から答弁させていただいたとおりでございます。決して都合のよい数字を総務省が出しているということではございませんので、御了解いただきたいと思います。

早稲田分科員 いえ、総務省が都合のいい数字を出しているのではないですかとは私伺っておりません。なぜ、厚生労働省の長いスパンの数字ではなくて、そしてまた頻度も高く、OECD諸国とも比べやすい、今現在でもまだOECD諸国で非常に貧困率が高い、七番目という数字も出ています。こうやって各国と比べられなかったら、データというのは、どうなんでしょうか、意味があるものなんでしょうか。

 今回の統計の不正問題もそうですけれども、やはり国民にしっかりとした、そして各国とも比べられるような数字をつまびらかにして、そして、その中でみんなで考えていくという姿勢が私は必要なのではないかということを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。

 大変、今報道等でも不安視されている問題がございまして、一つは、その問題の、総務省のIoT機器、これに対するアクセスの調査ということがもう二十日から、今月、始まりました。そして、発表されたのは二月の一日と、非常に期間が短いわけですね。その中で、本当にこれは不正アクセスではないのか、個人のデータが流出しないのか、そういう疑問が国民の間に広がっております。

 それでは、まず、時間もございますので端的にお答えいただきたいのですが、一般の家庭あるいは中小企業等々の会社にあるような機器、どのようなものが主に対象になるんでしょうか。それから、それは国内に、通告をしておりませんが、データをお持ちでしたら、何台ぐらいある、それを何台を目標に調査をされようとしているんでしょうか。

竹内政府参考人 今回の調査の対象となります機器は、グローバルIPアドレスによりインターネット上で外部から直接アクセスできる機器であり、具体的には、ルーター、ウエブカメラ、センサーなどと想定しております。

 委員お尋ねのスマートフォンにつきましては、基本的に、携帯事業者が自社のネットワーク内で固有のIPアドレスを付与しておりますので、今回の対象とはなりません。

 また、あわせてお尋ねのありました対象機器の数でございますが、先ほど申しましたように、グローバルIPアドレスの付与されている数は、日本国内で約二億ございます。そのうちで、ネットワーク上から直接アクセスが可能であって、ID、パスワードを入力することによってログインができる、そういった機器の数ということになりますが、これは調査をする過程で、実際にそういった形でログインの動作ができるかどうか、できない機器もたくさんございますので、これは調査の中で出てくるかと思います。

 実際の機器の数につきましては、この調査の過程で判明してくる、最大二億でございますけれども。多くの機器は、ポートといいますけれども、接続するためのポートが常時あいているということではございませんので、恐らく数としては、全体の例えば一%ですとか、それを切るぐらいの数字になるのではないかというふうに考えております。

早稲田分科員 二億台のうちの一%ということでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 二億台ということではございませんで、振られているアドレスが二億ございます。その二億に対して、ポートがあいているかどうかということを確認いたします。その中で、実際にポートがあいていてログインの動作ができる、できない機種が分かれてまいりますので、おおよそそういった形で、調査の対象となってくる機器というのが一%に達するか一%未満、そういった数字になるのではないかと見込んでいるところでございます。実際の数は調査の中で判明すると考えております。

早稲田分科員 数は調査の中でということですけれども、これは五年間に限定して法改正をしたわけです。

 それで、今おっしゃった中で、グローバルIPアドレスとかあるんですけれども、要は、ネットに通じれば、個人のお宅のパソコンも、そのルーターは対象になるわけですよね。あとはまた防犯カメラ、大変ちまたにあふれておりますけれども。

 その中で、いろいろ御説明もここにも書かれておりますが、資料を見させていただきますと、そこにアクセスして、これが初期設定のようなパスワードだと、すぐにアクセスされて、そしてサイバー攻撃の対象になる、なり得る可能性もあるから、これを防ぐために、まずは、その初期設定のようなもの、弱いパスワードのものについては警告を発信する、これが国の仕事として、今、NOTICEという取組でやられると承知はしておりますけれども、仮にアクセスしただけで、その中に入らない、絶対に入れないんだ、中のものについては見ることができないということを確約できるんでしょうか。

竹内政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のNOTICEにおける調査におきましては、先ほど申しましたように、ネットワーク上からID、パスワードを投入することによってログインできるかどうか及びその対象機種がどういった種類の機種であるかといったことのみを調査をいたしますので、その機器の中に入っております中身の情報でございますとか、どの第三者とどういう通信を交わしたでございますとか、いわゆる憲法上で保護すべきとされている通信の秘密あるいは電気通信事業法上で言うところの通信の秘密、こういったものを侵害することはないように、実施計画をNICTにおいて定め、これを総務大臣が認可をするということで、その担保措置を講じているわけでございます。

 仮にそういったものが守られないということがございましたら、罰則の規定がございますし、また、実際にどういう調査をしたかということは全てログで保存をとっておりますので、極めて厳格な情報管理のもとで、通信の秘密には触れないという形での調査を実施できるように、私どもとして、認可の手続を通じて担保しているところでございます。

早稲田分科員 丁寧に御説明いただきましたが、NICT、国立研究開発法人情報通信研究機構、これの機構法を改正をしてやられたということですから、そこに罰則もつけて、中に入れないように。

 そうすると、ログインしてすぐにログアウトするというようなことが瞬時にできる、そういうイメージでよろしいんですか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねになりましたとおり、ID、パスワードを入れてログインできたか、できないかという情報が返ってきますので、それを受け取ったところで切断をするという形で、これはソフトウエアでそういった試験手続を構成して、調査をするということでございます。

早稲田分科員 こうやって一つ一つ伺っていかないとなかなか、いろいろなホームページを見させていただいても、一般の、私みたいにITに強くない人間にとりましては、非常にわかりにくいものだと思います。

 仮に、今、国民の方がまだ不安を覚えていらっしゃる、その中で、私の家にはアクセスしないでほしい、自分の責任でやるから結構ですということが申せるのか、申し出ることができるのか。

 それからまた、機構法は改正をされましたけれども、その改正で、不正アクセス禁止法との関連、位置づけ、これはどのようになるのでしょうか。

竹内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、利用者の方がみずから責任を持って対応するから調査しなくてよいというお申出については、今回、そういったことは予定してございません。(早稲田分科員「できないということですか」と呼ぶ)できません。

 これまでも、IoT機器に関するパスワード変更について留意するようにという呼びかけは、これまで累次、関係機関、関係省庁において、呼びかけは随分以前から行ってきたところでございます。

 実際に、今回調査におきましても、きちんとパスワードを変更されたユーザーについては、仮に調査の対象となったとしてもログインできませんので、何ら不利益をこうむることはないというふうに考えてございます。

 それから、不正アクセス禁止法との関係についてでございますけれども、これは、昨年の通常国会におきまして、情報通信研究機構法の改正案をお諮りしました際に、今回の調査につきましては不正アクセス行為から除外するということが、附則に規定をするという形で審議をいただいておりますので、今回の調査については不正アクセス禁止法の対象とならないという形で、昨年、法案審議の中でお諮りしたところでございます。

早稲田分科員 でも、初期設定のままとか、やりやすいアドレスとかパスワードとか、そういうものでやっている方がほとんどなんですよね。多いと思います、調べられればわかると思いますけれども。まだそのくらいの認識で、非常に危機意識が薄いということは、今回の調査で皆さん、国民の方にわかっていただけるようにするのはいいことだと大変思います。

 ただし、やはりこれだけ関係機関から情報が流出している、それからまた公文書の改ざんであるとかデータの偽装であるとか、そういうこともこの国会で言われている中で、非常にまだ国民の中には、じゃ、それをやろう、私も絶対やりたいというふうに思う方の方が少ないのではないかなと心配をするところです。

 二十日からもう始まっておりますが、このNOTICEという、その広告、今、私、手元にお持ちいたしましたが、これを見て果たして国民のどのくらいの方がおわかりになるんでしょうか。まず、NOTICEというのは何でしょうか。つくられた言葉だ、造語だと伺いましたが、どうしてこういう片仮名言葉でやるんでしょうかね。国がアクセス調査しますよ、そして皆さんのセキュリティーが弱いか強いかきちんと見ます、それがサイバー攻撃に耐え得るための日本の基盤の調査なんですというような、誰にでもわかるようなことをおっしゃればいいのにと思いますが、なぜ隠すような、こういうNOTICEという造語をつくられなければ皆さんに周知ができないんでしょうか。もう少し平たく、わかりやすくやっていただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答え申し上げます。

 周知、広報のツールとしてどういうものがよいのかということは我々も中でいろいろ議論をして、結果として今委員お持ちのポスターにより今広報をさせていただいております。やはり幅広い世代の方々にきちんとまず認知をしていただいて、その上で中身を理解して協力をいただきたいということで、当初、いろいろ文字で丁寧に書くということも議論したのでございますけれども、文字ばかりのポスターは基本的に余り立ちどまって見ていただけないという御意見もかなり多くございましたので、文字できちんと書くということにつきましては、新聞広告でございますとか私どものウエブページの方できちんと正確に表現をさせていただくということでやらせていただきました。

 NOTICEは、なぜNOTICEという命名にしたかということでありますけれども、これは正確に言いますと、IoT脆弱性調査及び利用者に対する注意喚起ということになりますので、これもまた正確に日本語で書きますと非常に長くてむしろわかりにくいということで、利用者の方々に注意をしていただいて、注意喚起をする、気づきを与えたいということで、NOTICEというその言葉の意味。

 それから、実際にNOTICEの略でございますけれども、ナショナル・オペレーション・トゥワーズ・IoT・クリーン・エンバイロンメント、まさにIoT環境をサイバーのリスクから守っていく、そういう環境をつくることによって、利用者一台一台の機器が乗っ取られますと、これが攻撃側に移ってしまう、利用者御本人が被害を受けるだけではなくて、他の方に対する攻撃する機器に変身してしまう、こういう環境をできるだけ早く、早急に除去したい、そういう思いを込めたネーミングでございまして、一般の単語としても意味が通じる名称ではないかということで、今回、NOTICEという形で周知をさせていただいております。

早稲田分科員 大変見識の高い皆様が、官僚の皆様がおつくりになる言葉だから的確なんだろうとは思いますが、国民には伝わりません、残念ながら。

 ここに、二月よりサイバー攻撃に悪用されるおそれのあるIoT機器の調査、注意喚起を行います、そして国がアクセス調査をしますということをなぜお書きにならないんでしょうか。

 これは、不正アクセスという言葉が非常に横行していますし、それから先ほどの不正アクセス法に、もちろんそれは除外規定なんですと、除外を今度はされたんですよね。でも、やっている行為としては不正アクセスと変わりない。もちろん、中に入らないんですから、ハッキングとまでは言いませんけれども、そういうことの内容だと思うんですね。

 それを除外をして、国民のIoT機器関連で、大変、サイバー攻撃を受けるといけないからやるんですということをおっしゃるのはいいし、だけれども、アクセスをするんだということをやはりきちんと伝えていかないと、一日に発表して、二十日からもう始まっている、既に。私のも始まっているでしょう。皆さんのも始まっている。

 でも、そういうことも、国から、この機構がアクセスしてきてもわからないと伺いました。アクセスしたかどうかもですね。わからないって、調べれば、九十六種類のパスワードがあって、アドレスがあって、そこから、アクセスしてくるのを見れば、国のホームページと照らし合わせればわかるかもしれないというようなお話でしたけれども、非常に、わかりにくいものをやると、かえって隠しているのではないかというふうに疑いを持たれる。大変、逆効果だと思いますね。

 ですから、いいことをやって、これから五年間、本当にサイバー攻撃に耐え得る、そういうIoTの機器にこの日本全国のものをしていくという強い御決意があるなら、もっとわかりやすく、そして、国民の皆さんが不安を覚えないような形でぜひやっていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて早稲田夕季君の質疑は終了いたしました。

 次に、西田昭二君。

西田分科員 皆さん、御苦労さまでございます。自由民主党石川三区の西田昭二でございます。

 本日は質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。総務省所管の質問については私で二十人目ということでありますので、もうしばらくよろしくお願いしたいと思っております。

 本日は、私の地元石川県の能登地域の事例も交えながら質問させていただきたいと思っております。

 まずは、ふるさと納税制度について質問させていただきたいと思います。

 多くの人々が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育などさまざまな住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っております。その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育ったふるさとの自治体には税収が入りません。

 そこで、今は都会に住んでいても、自分を育んでくれたふるさとに、自分の意思で、幾らかでも納税できる制度があってもよいのではないか、そんな問題提起から始まり、数多くの議論や討論を経て生まれたのがふるさと納税制度であると思っております。

 納税者と自治体がお互いの成長を高める新しい関係を築いていくこと。自治体は納税者の志に応えられる施策の向上を、一方で、納税者は地方行政への関心と参加意識を高める、いわば自治体と納税者の両者がともに高め合う関係であります。一人一人の貢献が地方を変え、そして、よりよい未来をつくる。全国のさまざまな地域に活力が生まれることを期待をしているところであります。

 ただ、一方で、ふるさと納税に係る返礼品について、通知に従わず、返礼割合がはるかに三割を超えている地方団体や、地場産品以外の返礼品を送付している地方団体をめぐる問題があるわけでございます。昨今の大阪のとある自治体の件においても、報道等で大きく取り上げられておりました。

 そこで、お尋ねをいたしますが、返礼品の割合を三割とした理由について改めて伺いたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 返礼割合につきましては、平成二十九年四月の総務大臣通知を発出する際に検討いたしまして、ふるさと納税の募集に際しまして、過度な返礼品を送付せず平均的な取組を行っていると考えられる地方団体における返礼割合がおおむね三割であったこと等を踏まえまして、少なくとも三割以下という基準を設定をいたしました。

 その後、累次にわたりまして、返礼割合を三割以下とするよう、地方団体に対しまして良識のある対応を要請してきた結果、現在、ほとんどの団体の返礼割合が三割以下となっているところでございます。

 また、それに加えまして、地域を応援したいという納税者の思いに応えるためには、寄附金のうちの少なくとも半分以上が寄附先の地域の活性化のために活用されるべきと考えておりまして、返礼品の調達以外の送付料あるいは広告料等の費用が平均で二割程度であることを踏まえますと、返礼割合三割以下という基準が妥当ではないかと考えているところでございます。

西田分科員 今御説明いただいたとおりに、広告料とかその他の諸経費が二割ということ、そしてまた、品物が大体三割程度ということが平均だということをお伺いをさせていただきました。

 また、私どもも地元の自治体で多くの返礼品そしてまた特産品を使いながら対応させていただいているところでありますが、私どもの石川県については多くの特産品を使わせていただいているところでございます。

 しかしながら、その時々で相場が変動する地場産品そしてまた特産品を返礼品として自治体が定めた場合に、品物や時期により三割を少し超えてしまうことがどうしてもあります。そんなときの対応として、これから総務省としてどういう指導を行っていくのか、その辺についてもお答えをいただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 返礼割合の三割のいわゆる分子に当たります返礼品の調達費用につきまして、今国会に提出させていただいております地方税法改正案におきましては、個別の寄附金の受領に伴い提供する返礼品等の調達に要する費用の額と書いてございまして、そういう意味では、個別の返礼品に対して地方団体が支出した額ということになります。

 したがいまして、平均でということにはならないわけでございますけれども、具体的な返礼品の調達につきまして、各地方団体の判断により行われるものではございますけれども、一例といたしまして、例えば、一定の数量をまとめて調達することで調達に要する経費を安定させるとか、あるいは、価格変動により数量や内容に変更があり得る旨をあらかじめ寄附者の方々に周知をしているというようなことで取り組んでいる地方団体もあると聞いているところでございます。

西田分科員 私どもの自治体については、本当に真面目に、そしてまた地域のPRを主にさせていただいているところでもありますし、真摯に取り組んでいるところでもあると思いますので、そういった自治体に対しては、少なからず足が出た場合とか、そういったところも大きく見ていただき、そしてまた懐の深いような対応をぜひともお願いしたいなと思っております。

 次に、地場産品の定義についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 地場産品については、豊富な特産品を持つ自治体とそうでない自治体の格差が生じる懸念があるという意見もございます。私の地元石川県では多くの地場産品や特産品がありますが、そのおかげで、ふるさと納税は比較的好調だと伺っているところでございます。

 返礼品の中で、特に加工品について、全国的に小さな自治体では心配している事案があると聞いております。

 その一つの例として、原材料はその自治体で生産しているところでございますが、加工する工場がその自治体にはなく、隣接する自治体や、そしてまた少し離れた自治体にある工場で加工し、商品となるというような品物は地場産品として認めてもらえるのか、そういう心配がございます。また、それが認められない場合において何らかの対応策があるのか、その辺についてお伺いをさせていただきたいなと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案におきましては、地場産品について、当該団体の区域内において生産された物品又は提供される役務その他これらに類するものであって、総務大臣が定める基準に適合するものと規定しております。

 今お尋ねがございましたケースは、これらに類するものに当たるかどうかということになってくるかと存じます。

 この範囲等につきましては、総務大臣が基準を定めるに当たりまして地方団体の御意見を参考とする必要があると考えておりまして、昨年末に全国全ての地方団体に対しまして、地場産品と考えられる類型を示しつつ意見照会を行いました。

 現在、照会に対して寄せられた地方団体からの回答を参考としつつ、その地域において相応の付加価値が生じているかどうか、あるいは当該地域の経済の活性化につながっているかどうかといった観点を踏まえながら基準案について検討を進めているところでございまして、引き続き、地域の実情や地方団体の考えもお聞きしながら丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。

 なお、お尋ねの、原材料は地元産品だけれども加工場が別の団体にあるような産品につきましては、さまざまなケースが考えられ、また基準の内容を検討中でございますが、あくまでも一般的な考え方として申し上げますと、地元において原材料の主要な部分を生産しておりまして、当該地域の経済の活性化につながっているようなものであれば、地場産品に該当し得る場合があるものと考えております。

西田分科員 どこかでやはり線引きをしなければいけない、そのことについては重々承知をしているところでございます。しかしながら、スタートして、多少なりとも全国的にふぐあいがあるとか、そしてまた、地方の思いが少し国の方で酌み取っていただけないな、そんなところがあれば、しっかりまた変更や配慮もしていただきたいと思いますし、まだまだいろいろな事例があろうかと思いますので、ふるさと納税を真面目に真摯に取り組んで頑張っている自治体へぜひとも支援をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、地方及び過疎地域における医療についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 私の地元石川県の能登地域においても、医療提供体制の確保については大変重要な課題であると思っております。全国的にも、人口規模が小さい自治体ほど、人口減少、そしてまた高齢化が進んでいるところでございます。

 そうした中、地方では、身近な場所で分娩ができる施設はほとんど公立病院が整えているわけでございますし、安心して子供を産み育てることができる環境の確保に向けて、公立病院が果たす役割はますます重要になってきていると思います。

 公立病院を運営する多くの自治体は、新公立病院改革プランに取り組みながら、使命感と危機感を持って産科、小児科の維持に努力を続けていると聞いておりますが、一方で、赤字である公立病院の割合は平成二十二年以降増加傾向であり、平成二十九年度では六〇・三%となっているところでございます。

 私の地元の石川県能登地域の一部の公立病院では、交付税により赤字が解消されず、経営に影響を及ぼしていると聞いております。

 地方創生で活力ある元気なふるさとを応援するためにも、交付税を拡充し、公立病院で産科、小児科の維持に真摯に努力している自治体にさらなる支援をお願いしたいと思っておりますが、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員おっしゃったとおり、公立病院は、産科や小児科、救急などの不採算部門、あるいは民間病院の立地が困難な僻地の医療などを提供する大変重要な役割を担っているもの、このように認識をいたしております。

 先ほど六割の病院が赤字という話がありました。大変厳しい状態でございまして、引き続きこうした役割を担っていただくためにも、平成二十七年三月に総務省がお示しいたしましたガイドラインに基づきまして、全ての公立病院が昨年末までに新公立病院改革プランを策定をいたしまして、現在、経営改革に集中的に取り組んでいただいているところでございます。

 総務省といたしましては、これまでも周産期や小児医療の提供に要する経費に交付税措置を講じてきておりますけれども、こうした厳しい経営状況も踏まえまして、引き続き適切に措置を講じるとともに、厚生労働省とも連携をいたしまして、産科や小児科の医師の確保を支援していきたい、このように考えております。

 以上です。

西田分科員 これまでの支援に本当に感謝を申し上げるところであります。でも、過疎地域の公立病院というのは、本当に脆弱な予算の中でやりくりをして何とか運営をしているというところでもありますので、過疎地域の医療の格差が広がらないということで、これからも支援、また応援をよろしくお願いしたいと思っております。

 次に、医師の確保についてであります。

 先ほど申し上げましたように、かねてより地方では産科、小児科の維持と医師の確保が大きな問題になっております。

 先般、厚労省は医師の偏在指数を公表し、今後、都道府県は医師確保計画を策定し、医師偏在の解消に取り組むこととなっております。

 その方策の一つに、地域医療に従事した医師を国が認定し、地域医療支援病院の管理者要件とすることとありますが、案では、地域医療の従事期間は六カ月間と短く、また、管理者要件も地域医療支援病院に限るため大きなインセンティブが働かないなど、その実効性に疑問を抱かざるを得ない状況にあります。医師確保対策に当たり、地域医療に携わる現場の声を聞き、実効性のある取組を期待をしておるところでございます。

 昨年成立しました医療法及び医師法の一部を改正する法律の、より地方の医療の充実を期待しております。もちろん、医師の働き方改革についてもしっかりと取り組んだ上でのことでありますが、総務省としても、自治体による医療の充実、医師の確保にさらなる支援をお願いしたいと思っておりますが、その点について伺いたいと思います。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど、公立病院の六割が赤字という話で、その主な要因の一つはやはり医師不足というふうに認識をいたしております。したがいまして、産科、小児科医を始めとした医師の確保は大変重要な課題である、このように認識をいたしております。

 このため、総務省といたしましては、こうした医師不足に対応できるよう、これまでも地域医療総合確保基金を活用した事業に地方財政措置等を講じてきたところでございますけれども、さらに、来年度からは、公立病院への医師派遣、そして遠隔医療を促進するための地方財政措置も新たに創設をすることといたしているところでございます。

 今後とも、厚生労働省とも連携をいたしまして、医療法等の改正に基づく都道府県による医師確保計画の取組等を適切に支援申し上げまして、地域医療の確保に努めてまいりたい、このように考えております。

 以上です。

西田分科員 この支援について本当に感謝をしたいなと思っておりますし、私どもの能登地域というのは医師の偏在指数は県平均からやはり下回るというところでもありますし、全国の過疎地域も同様なところもあろうかと思いますので、過疎地域における医療の充実、そしてまた医師の確保について、引き続き御支援、そしてまた応援をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、防災関連についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 昨今の異常気象による大規模災害は、毎年各地で発生をしております。例えば、昨年の広島での豪雨災害、北海道、大阪での大規模地震災害なども非常に大きな被害がございました。

 東日本大震災以来、総務省は、緊急防災・減災事業債の積極的な活用による消防防災体制の充実を訴え、各地方自治体は消防防災体制の充実を進めていると聞いているところでございますが、一方で、財政基盤の脆弱な市町村は、人口減少、少子高齢化対策などに財源をとられ、なかなか防災対策が進まない状況にあると聞いております。

 私は、この緊急防災・減災事業債という制度は、国民の命を守る、郷土を守る国土の強靱化対策として大変重要で、すばらしいものだと思っております。このような観点からも、ぜひさらなる期間の延長をお願いしたいと思っておりますが、この点について伺いたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 緊急防災・減災事業債は、今御指摘ありましたように、緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災のための地方単独事業を対象とするということで創設された事業債でございます。期限といたしましては、東日本大震災に係る復興・創生期間であります平成三十二年度までを事業期間としているところでございます。

 喫緊の課題である防災・減災対策に取り組む自治体におきましては、本事業が緊急に実施するための財政措置であるということを踏まえて積極的に御活用いただきたいということで、これまでも働きかけをしてきたところでございます。

 今お話がございました事業期間終了後の本事業のあり方につきましては、今申し上げたような趣旨でこれまで行ってきているところでございますけれども、期間終了時の自治体における防災・減災対策に関する取組状況でありますとか、あるいは課題等を勘案いたしまして判断をすべきものというふうに考えているところでございます。

西田分科員 ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思っております。

 また、このようなすばらしい制度であるにもかかわらず、この制度の利用が六割にとどまっているというのは大変残念な結果でございます。市町村からは、制度の申請が複雑で難しい、既設のものの更新や強化には使えないということを聞いております。

 申請の複雑さと周知の不足が原因の一つだと考えておりますが、この制度の申請の簡略化と各市町村へのさらなる周知をお願いしたいと思っておりますが、この点について伺いたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 緊急防災・減災事業債でございますけれども、今お話ございましたように六割ということで、今年度、平成三十年度地方債計画におきましては五千億円を計上しているところでございますが、この二月時点で地方債発行のために必要な手続が行われた同意等の額は三千百三十五億円にとどまっているという状況でございます。

 地方債の手続につきましては、平成二十四年度から、国などへの届出のみにより地方債を発行できる届出制といったものを導入しておりますし、また、二十八年度から届出対象の拡大を図るなど、簡素化も図ってきているところでございます。

 また、自治体が引き続き防災・減災対策に取り組んでいけるよう、これまでも、現場の声を聞きながら、対象事業につきましてさまざまな拡充を図ってきているところでございます。

 広報の問題でございますが、あわせまして、市町村職員向けの説明会などにおきまして、本事業債の積極的な活用について説明を重ねて努力してきているところでもございます。

 今後とも、自治体の御意見を丁寧に伺いながら、防災・減災対策に積極的に取り組んでいただけるように、さまざまな機会を通じて更に周知を図るとともに、自治体の具体的なニーズなどを踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

西田分科員 本当に毎年のように大変な大規模災害が多発しているところでもありますし、制度の周知と手続の簡素化は私はやはり喫緊の課題だと思っておりますので、これからもぜひともいろいろな手を使っていただいて、周知やそういう拡充をお願いしたいと思っております。

 最後に、地域の消防団の強化についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 昨今の消防団の活動は、火災の発生に加え、全国各地で地震や風水害などの大規模災害が発生した際に、災害防御や住民の避難支援、被災者の救出、救助などの活動を行い、大きな成果を上げており、地域住民からも高い期待が寄せられているところでございます。

 一方で、消防団員数は年々減少しており、平成三十年四月一日現在で、昨年に比べ六千六百六十四人減少し、八十四万三千六百六十七人となっているところでございます。

 消防団は地域の消防体制の中核的な存在であり、地域住民の安心、安全の確保のために消防団が果たすべく役割は大変大きく、消防団員の確保は重要な課題だと考えているところでございます。

 地域の消防団も団員の確保に対して努力をしておりますし、消防庁としても、消防団等充実強化法にのっとり、消防団加入促進、消防団員の処遇改善、消防団の装備、教育訓練の充実に取り組んでいただいておりますが、現状では、消防団員の確保は大変厳しい、難しい状況にあるところでございます。

 全国的なアンケートによりますと、団員の数の不足により活動に支障が出ていると回答したのは全体の一七%にとどまるとのことでありますが、大規模災害の対応において団員の数の不足を訴える回答は全体の七〇%に上ると聞いているところでございます。

 消防庁として、小規模団体はもとより、消防団員の確保、充実のために、さらなるアイデア、対策、御支援をお願いしたいと思いますが、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 消防団は、地域における消防防災体制の中核的な存在として、地域住民の安心、安全確保のために大きな役割を果たしておるところでございます。

 その一方で、御指摘のように、消防団員数は年々減少傾向にございます。各市町村におきましては、知恵を絞り、工夫を凝らして団員確保に今努力をいただいているところでございます。

 消防庁といたしましては、今後とも、まずは、あらゆる災害に対応し、消防団の中心となります基本団員の確保にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

 具体的には、基本団員数の減少を計画的に抑制できますよう、市町村に対しまして、休団制度の活用、それから、転居や本業の多忙に伴う退団等への対策を講じるなどの要請を行いますとともに、市町村への個別の働きかけなどを行うことといたしております。

 あわせて、消防団員の裾野を広げる取組といたしまして、あらゆる機会を捉えて女性や若者の消防団への加入促進を積極的に要請いたしますとともに、地方公共団体が企業や大学等と連携して女性や若者等の入団促進に向けて取り組む先進的な取組に対して支援をしてまいりたいと考えております。

 また、学生の消防団活動を支援するために、学生消防団活動認証制度、これを普及させていきたいと思っておりますし、女性や大学生などの入団促進に係りますポスターとかリーフレット、これを市町村等に配付するなどの取組を行っていくことといたしております。

 これらの取組を通じまして、消防団の加入促進に取り組んでおります市町村や消防団をより一層支援してまいりたいと考えております。

西田分科員 さまざまな手だてを取り組んでいただいている、そしてまた女性団員、そしてまた学生団員の加入も含めての御配慮をいただいているということで、ありがとうございます。

 しかしながら、私どもの能登地域については、ほとんどがこの一七%に属しているところでもあるのかなと思いますし、年齢を引き上げて、本当ならば退団しているような方々が頑張って団員に入っているということもありますし、ぎりぎりのところで消防団を応援している方々がたくさんいますので、そういったところも御配慮いただければなと思っております。

 そしてまた、例えば、日ごろから消防団は地域と連携しており、自主防災組織を整えている地域も数多くあるわけでございます。大規模災害時には積極的に活用する仕組みを考えてはどうかと思いますが、その辺についての考え方をお伺いをさせていただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 地域防災力の向上のためには、消防団だけではなくて、御指摘の自主防災組織が果たす役割は大きいものと考えておりまして、消防団と自主防災組織との役割分担、連携強化、これが不可欠であろうと思っております。

 こうした考え方に基づいて、消防庁では、昨年一月から、自主防災組織において防災活動を中心的に担う方を始め、事業所等の従業員、学生などが大規模な災害時に限定して消防団員として出動する仕組み、大規模災害団員となることを可能とする枠組みを市町村において導入していただくよう要請しているところでございます。

 今後とも、あらゆる災害に対応し、消防団の中心となる基本団員の確保に引き続き取り組みますとともに、その一方で大規模災害団員制度の普及を進めまして、消防団を中核とした地域防災力の向上につなげてまいる所存でございます。

西田分科員 ぜひとも大規模災害団員の普及啓発に全力で取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、消防団の運営についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 消防団員の確保については、過疎地域における小規模団体は大変苦労しておりますが、消防団の運営費についても同じように苦労している現状があると聞いております。

 例えば、小さいことではありますけれども、消防団が行う夜警のパトロールのライトの電池など、また、自家用車を使用してパトロールしているについても、団員がそれぞれ持ち出しをしているということを伺っているところでございます。

 日本全国それぞれの地域によって、必要なさまざまな防災対策、要望が多々あることだと想像をいたします。消防庁としても、地域の消防団を支えるためにも、それぞれの地域の特性に合わせた支援の拡充に取り組んでいただきたいと考えますが、その点について最後にお伺いをさせていただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 御指摘のように、消防団のあり方といいますか、それぞれの地域において特徴がございますので、消防団の果たす役割、その運営の仕方といいますか、そういうものも含めて、その地域地域において違いがあろうかと思っております。

 これまでも、それぞれの地域の要望をお聞きしながら、消防団員の確保や活動環境の整備に向けた施策を消防庁では進めてきたところでございます。

 今後、議員御指摘のような点も含めまして、地域の実情をよく踏まえつつ、地域防災力の中核的役割を担う消防団の充実強化を図ってまいりたいと考えております。

西田分科員 これからも、消防団の拡充対策、そしてまた住民の安心、安全を守るために、防災対策の強化として今後とも消防団をしっかりと支援していただきますよう最後にお願いを申し上げ、私の質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

奥野(信)主査代理 これにて西田昭二君の質疑は終了いたしました。

    〔奥野(信)主査代理退席、主査着席〕

坂本主査 次に、藤井比早之さん。

藤井分科員 ありがとうございます。藤井比早之でございます。

 まず、石田総務大臣におかれましては、総務行政発展のために、予算委員会、そして総務委員会、予算委員会分科会と連日連夜御尽力賜っておりますことを心から感謝申し上げたいと思います。

 私は通告させていただいておりませんので、もし御退席されるのであればと思っております。

坂本主査 ということですので、御退室していただいて結構でございます。

藤井分科員 それでは、改めまして質問させていただきたいと思います。

 昨年六月一日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律案が全会一致で可決、成立し、六月八日に同法が公布され、郵便局ネットワーク維持のための交付金、拠出金制度が創設されるということになりました。

 関係者の皆様にとって、これほど感慨深いことはないでしょう。郵政民営化に当たりましては、採算のとれない過疎地や中山間地の郵便局は切り捨てられるのではないかという懸念、切実な要望が寄せられてきたところです。一方、金融のリスク遮断をせなあかんということで、郵貯、簡保を分社化しないといけない、さあ、どうするということで創設されたのが、郵貯、簡保からの、貯金、保険、金融二社さんからの委託手数料でした。ただ、この委託手数料に消費税がかかる。分社化だけでもつらいのに、こんなつらいことはないんじゃないか、どうにかならないかという切望を共通して持っておられたと思います。

 このたび、郵便局ネットワークの維持のための交付金、拠出金制度が創設され、郵政事業のユニバーサルサービス提供の安定的な確保を図る法的な担保が明らかにされました。

 そこで、郵便局ネットワーク維持のための交付金、拠出金制度の意義、目的と、制度開始に当たっての現状の取組についてお伺いいたします。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の交付金、拠出金制度は、郵政事業のユニバーサルサービスの安定的な提供を確保するため、日本郵便株式会社に対し、不可欠な費用に充てるための交付金を交付するとともに、関連銀行及び関連保険会社から拠出金を徴収するものでございます。

 平成三十一年度の交付金及び拠出金の額は、制度の運用を担う独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が、日本郵便に対する交付金の額を約二千九百五十二億円、関連銀行からの拠出金の額を約二千三百七十八億円、関連保険会社からの拠出金の額を約五百七十六億円と算定したところでございます。

 同機構では、交付金及び拠出金について、本年四月から来年三月までの各月に、分割して交付、徴収することとしています。

 以上でございます。

藤井分科員 ありがとうございます。本年四月からということでございます。

 これも、柘植芳文先生、徳茂雅之先生、郵活連、何よりも郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟の先生方始め、多くの皆様方の御尽力のたまものでございます。心から感謝を申し上げたいと思います。

 また、次に、長年の懸案事項であったゆうちょ銀行の限度額の見直しについてお伺いいたします。

 昨年十二月二十六日、郵政民営化委員会において、ゆうちょ銀行の限度額見直しについて一歩踏み込んだ意見を表明していただいたところです。現在の準備状況、取組についてお伺いさせていただきたいと思います。

 また、あわせまして、かんぽ生命につきましては、引受基準緩和型商品及び先進医療特約の引受けの新規業務について認可がなされるということを伺っておりますけれども、こちらの準備状況についてもお伺いさせていただきます。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 ゆうちょ銀行の限度額につきましては、昨年十二月に取りまとめられました郵政民営化委員会の意見におきまして、通常貯金と定期性貯金の限度額を別個に設定し、それぞれ千三百万円ずつとするとされたところでございます。これは、総務省として主張してまいりました利用者利便の重要性や、これまで資金シフトが起きていないというエビデンスを考慮いただいた結果だと考えております。

 総務省としましては、郵政民営化委員会の意見を踏まえ、現在、制度改正に取り組んでいるところであり、利用者の皆様が四月から新たな限度額でゆうちょ銀行を御利用いただけるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 また、かんぽ生命保険の新規業務である引受基準緩和型商品及び先進医療特約につきましては、昨年十月十六日付で金融庁及び総務省に対して郵政民営化法に基づく認可申請があり、郵政民営化委員会の意見を踏まえ、昨年十二月二十五日に認可をしたところでございます。

 現在、かんぽ生命において、本年四月一日のサービス開始に向けて準備を進めているところと聞いておりまして、新たなサービス開始により利用者の利便性が向上することを期待しております。

 以上でございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 限度額、ゆうちょにつきましては、通常と定期性貯金の限度額を別個に設定する、それぞれ千三百万ということでございますから、合計で二千六百万ということでございます。いずれも本年四月から実施ということでございますので、着実な実施に向けて準備方よろしくお願い申し上げたいと思います。

 こうした長年の懸案事項につきましては、関係者の皆様に心から感謝を申し上げるところでございます。

 さて、先立つものといたしましては、やはり日本郵政グループの経営状況、これが重要でございます。グループの成長と企業価値向上の取組についてお伺いさせていただきます。

小方参考人 お答えいたします。

 現在、日本郵政グループにおきましては、昨年五月に策定いたしました中期経営計画に基づきまして、トータル生活サポート企業を目指して、安定的な利益を確保するとともに、持続的な成長を図ることといたしております。

 足元の状況といたしましては、日本郵便における荷物分野の収益の拡大基調が続いていることなどを踏まえまして、去る二月十四日に今年度の業績予想を連結当期純利益四千三百億円に上方修正するなど、業績は順調に推移しているところでございます。

 しかしながら、インターネット普及等による郵便物減少の継続、労働力確保難、人件費単価上昇、それから超低金利環境長期化による資金収支の減少、こういったことによりまして、当グループを取り巻く経営環境は極めて厳しいものであるというふうに認識いたしております。

 こうした厳しい経営環境のもと、日本郵便におきましては、荷物拡大に対応したサービス基盤の強化、それから、地域ニーズに応じた個性、多様性ある郵便局展開によるネットワークの維持強化、あるいはトールの経営改善、国内コントラクトロジスティクスの展開、また、ゆうちょ銀行におきましては、運用の高度化、多様化による中長期的で安定的な収益の確保、投資信託の拡大や決済サービスの充実などによる非金利収益の拡大、そして、かんぽ生命におきましては、保障重視の商品販売の強化、あるいは、募集品質向上による保有契約の反転、成長、こういったことを進めておりまして、利益の確保に努めているところでございます。

 これらに加えまして、幅広い分野で資本提携それからMアンドAを検討いたしておりまして、昨年の十二月には、アフラック・インコーポレーテッドへの出資を伴う戦略提携について公表し、また、不動産事業におきましても投資を加速させるなど、成長投資を進めさせていただいているところでございます。

 今後とも、グループ企業価値の向上と持続的成長に向けまして、グループ一体となって取り組んでまいりたいと存じます。

 以上でございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 日本郵便における荷物分野の収益の拡大基調ということで業績を上方修正された、非常にありがたいことだと思っております。ただ、確かに、おっしゃるとおり、経営環境ということがありますので、これからも成長投資含めてよろしくお願い申し上げたいと思います。

 二〇二一年に、まさしく栄光の郵政事業、創業百五十年を迎えられるわけでございますので、日本郵政グループの成長と企業価値の向上を御期待申し上げるところでございます。

 そしてまた、これによりまして、このたび創設されました、郵便局ネットワークの維持のための交付金、拠出金制度の創設と相まちまして、郵便局ネットワークの維持、郵政事業のユニバーサルサービス提供の安定的な確保、地域の維持発展につながりますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、携帯電話料金の値下げについてお伺いさせていただきます。

 総務省の家計調査によると、各世帯の移動電話通信料の支出は、十年前に比べて約一・四倍、また、国際比較を見ても、欧米諸国に比べて高どまりしているという状況にあります。

 菅官房長官は、昨年八月以降、携帯電話料金について四割程度下げられる余地があり、そのためには競争がしっかりと働く仕組みづくりが重要と発言されています。

 そこで、まず、誤解のないように、議論の前提として、携帯電話料金に関する規制の概要についてお伺いさせていただきます。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話料金につきましては、公正な競争環境下での市場競争に委ねることとしておりまして、電気通信事業法の枠組みにおきまして、事前規制は撤廃されております。

藤井分科員 国が直接料金を決めるとか、そんなわけじゃないということなんだと思います。

 ですから、では、どうして下げられるのかということが問題になってくると思います。実際に値下げを実現するためには、競争を活性化させ、携帯電話料金に競争圧力がかかるようにすることが必要だと思いますけれども、そのためにどのように取り組むのか、実際に携帯電話料金は値下げされるのか、お伺いさせていただきます。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話市場につきましては、寡占的な市場でございまして、競争が十分に働いていないとの指摘もございます。低廉でわかりやすい料金、サービスの実現のためには、事業者間の競争がしっかりと働く環境を整備することが極めて重要であると考えております。

 この競争促進のための具体的な方策につきましては、本年一月、総務省の有識者会議において緊急提言を取りまとめていただいたところでございます。

 具体的には、まず、事実上一体化が進んでいる通信料金と端末代金を完全に分離をいたしまして、利用者が通信料金のみで携帯電話事業者を比較、選択できるようにすること、また、行き過ぎた囲い込みを是正し、利用者が携帯電話事業者を容易に変更できるようにすること等を求める内容となっております。

 総務省におきましては、この緊急提言の内容を踏まえまして、今国会に電気通信事業法の改正法案を提出する予定としております。

 こうした競争環境の整備を通じまして、携帯電話市場の競争を活発なものとし、低廉でわかりやすい料金、サービスを可能な限り早期に実現してまいりたいと考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 実際は新規参入があるというところが大きいんだと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、携帯電話料金が大幅に値下げされるというのは家計にとって本当にありがたいことでございます。御紹介のありました緊急提言、そして、このたびの法改正につきましては時宜を得たものと考えておりますので、競争促進を通じて携帯電話料金の大幅値下げが実現するよう、よろしくお願い申し上げます。

 次に、サイバーセキュリティーについてお伺いいたします。

 いよいよ来年、我が国で、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが開催される。夢や期待が膨らむ一方で、いろいろなリスクが想定される。中でも、サイバーセキュリティーの確保は重要な課題の一つです。

 そこで、東京オリンピック・パラリンピック競技大会でのサイバーセキュリティーの確保について、政府全体として具体的にどのような取組、対策を講じていくのか、お伺いします。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大会全体、これは物理的なものを含みますセキュリティー全般に関しましては、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会府省庁連絡会議のもとに、セキュリティ幹事会を設けております。ここの中で、平成二十九年三月に基本戦略を決定しております。

 それから、サイバーセキュリティーにつきましては、サイバーセキュリティ基本法に基づきまして、サイバーセキュリティ戦略を平成三十年七月に閣議決定をいたしました。

 この二つの戦略に基づきまして、大会の開催、運営に影響を与える可能性のあります電力、通信、この重要なサービス二十二分野の事業者等を対象といたしましたリスク評価に基づく対策の促進、それから関係機関との情報共有を行いますサイバーセキュリティ対処調整センターの整備を今行っているところでございます。

 リスク評価に関しましては、事業者みずからが実施するものを大会までに計六回、さらに、特に重要なサービスを提供すると判断をした事業者につきましては別途計三回、サイバーセキュリティセンターによって実施をする予定でございます。

 サイバーセキュリティ対処調整センターに関しましては、今年度、平成三十年度末を目途に構築をいたします。訓練、演習を行いつつ、来年度、二〇一九年度に予定をされておりますG20のサミット、ラグビーのワールドカップ、このような国家的な行事において実践的な経験を積みまして、大会に備える予定でございます。

 大会まで一年半を切りました。最新の脅威動向を踏まえたリスクの評価、そして実践の訓練、演習を繰り返すことによって、大会におけるサイバーセキュリティーの確保に万全を期してまいる所存でございます。

 以上でございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 お答えにありましたように、ことしはG20もあります。ラグビーワールドカップ二〇一九もあります。縦割りにならないように、また、民間も入ってきますので、そういった点で、国を挙げての対策をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、今、世界的にIoT機器が急増しております。その一方で、IoT機器のセキュリティー対策が十分ではなく、そうした機器を悪用したサイバー攻撃がふえているというふうに伺っております。

 IoT機器のセキュリティー確保対策をどのように講じていくのか伺います。また、身近なIoT機器がサイバー攻撃を受け得ると考えている方は結構少ないんじゃないかと思いますので、こういった被害を防ぐためのお一人お一人のセキュリティー意識の向上の必要性について、あわせてお伺いします。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 近年、IoT化の進展に伴いまして、ネットワークに接続される機器がサイバー攻撃に悪用されることで、通信ネットワーク等への甚大な被害がもたらされるおそれが高まっております。

 このため、総務省では、今後製造される機器への対策として、技術基準によりIoT機器にセキュリティー対策を義務づけるとともに、現在使用されている機器への対策として、パスワード設定に不備などがあるIoT機器を調査するという二つのアプローチで対応することとしております。

 まず、技術基準につきましては、審議会で御審議をいただいた上で、IoT機器に初期設定のパスワード変更を促す機能等を追加する省令改正を行い、来年四月以降製品化されるIoT機器への対策を講じます。

 また、IoT機器の調査につきましては、今月、二月二十日から国立研究開発法人情報通信研究機構が、パスワード設定等に不備のあるIoT機器を調査し、インターネットプロバイダーを通じて利用者に注意喚起を行う取組としてNOTICEを開始したところです。

 昨年七月に閣議決定されたサイバーセキュリティ戦略においても、サイバー攻撃による被害を防ぐために全員参加による協働が求められておるところでありまして、利用者一人一人のサイバーセキュリティーに対する意識向上は必要不可欠でございます。

 総務省としては、これらの取組を通じ、IoT機器の適切なパスワード設定等、国民のセキュリティー意識の向上を図り、我が国のサイバーセキュリティーの確保に尽力してまいります。

藤井分科員 ありがとうございます。

 まさか自分がサイバー攻撃を受けると思っている方は本当に少ないと思いますので、意識向上も含めて、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 やはり、サイバーセキュリティー対策、アメリカ合衆国や中華人民共和国だと軍、サイバー軍なんですよね。国家を挙げてそれに対応しているというところでございます。そう考えていったときに、サイバー空間の活用、サイバーセキュリティー対策、サイバーセキュリティー人材の育成という点では、日本はまだまだなのではないかというふうに考えるわけです。

 ですから、サイバー攻撃への対処には、政府機関、地方自治体、重要インフラ事業者等それぞれにおいて、迅速かつ適切な対応を行うことができるような人材の育成が急務でございます。サイバーセキュリティー対策を講じ得る人材の育成、確保についての取組をお伺いさせていただきます。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 サイバー攻撃が巧妙化、深刻化している中、サイバーセキュリティー人材は、御指摘のとおり、質的、量的に不足しております。セキュリティー人材の育成は非常に重要な課題と認識しております。

 政府としては、サイバーセキュリティ二〇一八に基づきまして、各府省でサイバーセキュリティー人材育成のための施策に取り組むこととしており、総務省では、NICTを通じて取組を実施しているところでございます。

 具体的には、NICT内にナショナルサイバートレーニングセンターを組織し、三つの人材育成事業に取り組んでおります。

 まず、国の行政機関、地方公共団体、重要インフラ事業者等に対する実践的なサイバー防御演習、CYDERとして、年間約三千人の育成を行っております。

 また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の組織委員会のセキュリティー担当者を対象とした演習、サイバーコロッセオとして、本年度は約百五十人の育成を実施いたします。

 そして、二十五歳以下の若手ICT人材を対象とした若手セキュリティーイノベーターの育成として、SecHack365という事業によりまして、年間約五十人の育成を実施いたします。

 総務省としては、今後とも関係府省と連携しつつ、我が国のサイバーセキュリティー人材の育成に尽力してまいります。

藤井分科員 先ほど各府省でという話もありました。本当は国を挙げてやらないといけない。また、百五十人や五十人、これは多分、桁が大分違うと思うんです、よそと比べたら。

 やはり、人材育成には給与体系の見直しというのも必要なのじゃないかな。一生懸命育てても、高い給料でヘッドハンティングされてしまったら意味がないというところがありますので、そういった取組も含めまして、また、平時だけだったら要らぬということになっても、有事に要るという世界でございますので、そういった点も含めまして、国を挙げての取組をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、キャッシュレス決済につきましてお伺いさせていただきたいと思います。

 我が国のキャッシュレス、非現金による決済比率は非常に低いと理解しておりますけれども、そうした国際比較と、日本におけるキャッシュレス決済比率の低さの原因、要因は何だと考えるのか、また、普及させるための壁は何なのか、お伺いします。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 二〇一五年の日本のキャッシュレス決済比率は一八・四%となってございます。これは、他の欧米やアジアの主要国と比較しましても、低い水準でございます。

 この要因といたしましては、例えば、社会的な要因といたしまして、治安がよく現金を持ち運ぶリスクが小さいことや、あるいは現金に対する高い信頼などが挙げられております。また、文化的あるいは心理的な要因といたしましては、浪費に対する不安感といったものが挙げられてございます。

 こういったもののほかに、これが多分一番重要かと思っておりますけれども、キャッシュレス決済が利用できない店舗がまだ随分多く存在しておりまして、利便性を感じづらいという要因などが考えられてございます。

 今後、日本でキャッシュレス決済を普及させていくためには、このキャッシュレス決済を利用できる店舗等の裾野を広げていくことが重要だと考えてございます。そのためには、店舗の負担する端末代やあるいは決済手数料のコストなどが壁になると考えております。

藤井分科員 先ほど店舗が少ないという話がありました。消費税のポイント還元というのも、これは本当に不公平感があるんじゃないか。地方だったら、やはりSuica、PASMOとか交通系を持っていない方が多いので、そしてまたクレジットカードということになると、海外に行った方とか若い方とかに限られる、こうした不公平感というのが問題になってくるのではないかなと思っております。

 一方で、お伺いをするんですけれども、訪日外国人の皆さんの間では、バーコードを読み取るQRコードの決済が普及している。このQRコード決済のサービス提供事業者というのは海外の企業なんですね。そういったサービス提供事業者は、いつ、どこで、誰が、何を決済したのか、まさしく何を購入したのかという貴重なかけがえのないデータを握るということになるわけです。

 当然、個人情報保護の観点からも、どうするべきなのか、このビッグデータの活用をどうするのかという話も出てくるんですけれども、そもそも、こうした非常に貴重なデータを外国企業に握られるということについて、どのようなふうに考えておられるのか。その点についてお伺いさせていただきます。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 現時点におきましては、海外のQRコード決済事業者は日本の金融機関と連携しておりませんで、日本に居住をしております日本人向けのサービスを提供しているわけではないと聞いております。

 しかしながら、仮に、今後、海外のQRコード決済事業者が日本人向けのサービスの提供を開始した場合には、日本人の決済データが海外に流出してしまうおそれなどの懸念がやはり払拭できないということだろうと存じます。御案内のとおり、決済データは非常に機微性の高いデータでございますので、さまざまなレベルで留意が必要だろうと認識しております。

 総務省といたしましては、日本人の決済データの安全性が確保されるような決済サービスが広く早く普及するように努力をしていきたいと考えてございます。

藤井分科員 先ほど、本当に、キャッシュレス決済で店舗の対応が進んでいないということなんですけれども、店舗の方で海外の企業のやつを全部張っていっておって、それが普及しておったら、もうそれを使った方がいいんじゃないかということになるんじゃないか。結局、便利だから、安く済むからといってそちらの決済が進んでしまうと、まさしく日本の国としてどうなのかという話になってくるんだと思います。

 そういった地域経済に対する、これは決済が進むことは、店舗が導入しやすいという点ではメリットはあるんですけれども、そういったQRコード決済自体のメリットと、そしてまた地域にとってのメリット、そしてまた一方で、QRコード決済の、国内についてはサービス提供事業者がいろいろあってちょっとよくわからぬ、乱立しているというところがありますので、こういったサービス提供事業者のQRコード決済の標準化といいますか、そういったところができないかどうか、そういった点についてお伺いさせていただきます。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 QRコード決済は、先行しておりますクレジットカードやあるいは交通系のICカード等の電子マネーに比べまして、手数料が比較的安く、また導入のコストや手間も小さいというメリットがございます。このため、小規模店舗においても比較的簡単に導入することが可能と考えております。

 民間のシンクタンクの推計でございますけれども、現在、ATMの設置等の現金決済インフラの直接費用が一兆円を超えている、また、店舗にとりまして最も負担の重いのが、これは人件費等でございますけれども、レジの現金残高の確認ということが挙げられてございます。

 こうしたことを考えますと、都市部に比べましても、地方部においてこのQRコード決済のメリットが大きくなるのではないかと考えてございます。

 さらに、QRコード決済の標準化によりまして、従来は異なるQRコードを複数掲示する必要があったところ、統一QRコードを一つ提示するだけで複数の決済サービスの導入が可能になりまして、店舗側の負担が大きく軽減され、また、消費者の利便性も向上することが期待されます。

 総務省といたしましては、現在、モバイル決済モデル推進事業を準備しておりまして、自治体や商工会議所等の地域の関係者と連携をいたしまして、標準化されたQRコード決済を地域の小規模店舗にも受け入れやすい条件で、県単位で広く導入する取組を行うこととしております。

 こういう取組を通じまして、経済産業省や、あるいは民間の団体でございますキャッシュレス推進協議会、あるいは日本商工会議所等の関係者とも連携しながら、標準化されたキャッシュレス化を推進してまいりたいと考えてございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 安い金額で導入しやすいという点では、本当に地域において、地方においてQRコード決済を導入していくというのは非常にやりやすいことなんだと思います。

 やはり標準化しないと、いろいろな業者がいるからということであるのと、やはりこの決済データというのは非常に貴重なものでございますので、そこのいわば管理といったところをしっかりと国としてお願いを申し上げたいなと思います。

 日本人が現金志向が強いのは、やはりそういった個人情報保護というところもありますし、結果的にはセキュリティーを考えたらデジタル化よりもアナログの方がよかったということであってはこれは問題であろうかというふうに思いますので、そういったところ、今ちょうど、いよいよ本格化しようとしているところですから、ゆめゆめ標準化でよそにとられないように、どうか、この場をかりまして、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、ここで質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日は、まことにありがとうございました。

坂本主査 これにて藤井比早之さんの質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時四十一分散会


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