衆議院

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第1号 平成24年3月5日(月曜日)

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本分科会は平成二十四年三月一日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

三月二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      馬淵 澄夫君    室井 秀子君

      湯原 俊二君    若井 康彦君

      馳   浩君    東  順治君

三月二日

 若井康彦君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十四年三月五日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 若井 康彦君

      石原洋三郎君    熊田 篤嗣君

      永江 孝子君    初鹿 明博君

      浜本  宏君    馬淵 澄夫君

      室井 秀子君    森山 浩行君

      湯原 俊二君    吉田 統彦君

      馳   浩君    赤松 正雄君

      東  順治君

   兼務 秋葉 賢也君 兼務 橘 慶一郎君

   兼務 穀田 恵二君 兼務 石田 三示君

   兼務 阿部 知子君 兼務 山内 康一君

    …………………………………

   文部科学大臣       平野 博文君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   文部科学副大臣      奥村 展三君

   文部科学副大臣      森 ゆうこ君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   経済産業副大臣      柳澤 光美君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   厚生労働大臣政務官    津田弥太郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      清木 孝悦君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       土屋 定之君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            戸谷 一夫君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (文化庁次長)      河村 潤子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小宮 義則君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          永塚 誠一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (特許庁審査業務部長)  橋本 正洋君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月五日

 辞任         補欠選任

  馬淵 澄夫君     玉置 公良君

  室井 秀子君     石原洋三郎君

  東  順治君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     森山 浩行君

  玉置 公良君     初鹿 明博君

  高木美智代君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  初鹿 明博君     熊田 篤嗣君

  森山 浩行君     室井 秀子君

  遠山 清彦君     赤松 正雄君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 篤嗣君     浜本  宏君

  赤松 正雄君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  浜本  宏君     永江 孝子君

  石田 祝稔君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  永江 孝子君     吉田 統彦君

  稲津  久君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 統彦君     馬淵 澄夫君

  大口 善徳君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  稲津  久君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  古屋 範子君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  江田 康幸君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  大口 善徳君     東  順治君

同日

 第二分科員阿部知子君、第五分科員橘慶一郎君、第六分科員石田三示君、第七分科員秋葉賢也君、穀田恵二君及び第八分科員山内康一君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

若井主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。平野文部科学大臣。

平野(博)国務大臣 おはようございます。

 平成二十四年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十四年度予算の編成に当たっては、東日本大震災からの復旧復興対策を初め、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術の振興についての施策を総合的に展開するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆四千百二十八億円、東日本大震災復興特別会計二千二百四十九億円、エネルギー対策特別会計一千二百四十五億円となっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでございますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

 以上でございます。

若井主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申し出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

若井主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

若井主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿分科員 おはようございます。

 トップバッターで質問をさせていただきます民主党の初鹿明博です。尊敬する平野大臣、奥村副大臣、森副大臣に質問する機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 ことしの四月から、武道が中学一年、二年で男女ともに必修化されることになります。武道の必修化によって、日本の伝統文化に親しみ、そして理解を深めるきっかけになると同時に、礼儀作法や他者への思いやりの心を養う、そういうことが期待されていて、その点は非常に評価するところなんです。ただ一方で、学校における柔道の事故が後を絶たないということが報道されることになって、保護者の皆さん、関係者の中で不安の声が非常に高まっているということも事実であります。

 そこで、学校現場において二度と悲惨な事故が起こらないようにしっかりと安全対策をとるという観点で、幾つか御質問をさせていただきます。

 先ほども申し上げましたが、事故の問題が報道でかなり取り上げられるようになりました。名古屋大学の内田准教授の調査によりますと、二十八年間で学校における柔道事故による死亡者は百十四名、そして障害が残った方は二十七年間で二百七十五名。平均すると、年に四人がお亡くなりになり、十人が大きな障害を負っているということになるわけです。もちろんこの数字は授業だけではなくてクラブ活動も入っているわけですが、学校管理下の事故ということですから、安全対策に不安の声が上がるのは当然のことだと思います。

 このような事態に私も危機感を持ちまして、中根康浩議員と二人で主催いたしまして、去年の十二月十六日、そしてことしの二月七日、国会内で勉強会を開催させていただきました。二月七日の日には、勉強会の後に、城井政務官のもとに全国柔道事故被害者の会の皆さんと一緒に、万全に安全対策をとるようにということで御要望をさせていただいたところであります。

 二回の勉強会を通じて感じたことは、これは柔道に限ったことではないと思うんですが、日本のスポーツ指導者の方々は指導する上で必要とされることを十分に学んでいないで指導者になっているということが多くあるのではないかと感じました。特に、医学的な知識というんでしょうか、脳しんとうを起こしたときの対処の仕方などについては、ほとんどの指導者が十分に勉強していない、知識がないというのが現状ではないかと思うんですね。

 海外に目を移してみますと、フランスなどは日本よりも柔道人口が多いわけですが、子供の柔道の事故で死亡や障害が残るというのはゼロだということです。フランスは、柔道の指導者になるには国家資格が必要だということで、三百時間ぐらいの研修をして、その中には解剖学とか、医学的な知識もきちんと学んでいるということですから、そこが日本との違いではないかというふうに思うんですね。

 当然、柔道で事故が起こることによって重大な結果を引き起こすのは、頭部や頸部に対して損傷が起こったときです。勉強会で来ていただいた、日本体育協会公認スポーツドクターで神奈川県立足柄上病院の脳神経外科部長の野地医師によりますと、急激な外力が頭にかかったときに、脳と頭蓋骨の橋渡しをしている架橋静脈というものが引っ張られて損傷を起こす、そのときに急性硬膜下血腫を起こして重大な事故になるということなんですね。この頭蓋骨と脳がずれることを加速損傷というらしいんですが、この加速損傷は、実は頭部をぶつけただけで起こるわけではなくて、急激に外力によって脳が、頭が強く速く揺さぶられることによって引き起こることが多いということなんです。必ずしも頭をぶつける必要はない。

 それと、野地先生がもう一つ指摘をされたのは、一回目の衝撃で大きな損傷はなくても、二回目にぶつかったりして衝撃があったときに重大な損傷になってしまうという、セカンド・インパクト・シンドロームということにも注意をしなければならないということなんですね。

 日本の場合、私が小さいころよくドラマなどを見ていると、ラグビーなどで脳しんとうを起こすと、やかんを持ってきて水をかけて、それで起こしてまたグラウンドに出すなんということをやっているのが記憶にあるんですけれども、これは野地先生に言わせると最もやってはいけないことで、通常だと、脳しんとうを起こしたら一週間ぐらいは練習に出させないようにしなければならないということなんです。

 仮に頭部を強く打ったりした場合、気を失っていなくても、頭痛や吐き気や目まい、また物忘れとか興奮などの症状がないかを確認して、しばらく休ませる。そして、必ず指導者が様子を見て、少しでも異常があれば直ちに脳神経外科を受診させるということを野地先生も強く訴えておられました。

 このような観点から考えますと、やはり教員に対してもしっかり医学的な知識を研修する機会というものを設ける必要があるのではないか、それによって結果が大きく変わるんじゃないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 今、初鹿議員からるるの御指摘ございました。

 確かに、先生御心配の点はあろうかと思っております。ただ、今回武道をなぜ必修にしたか、こういうことについては議員も十分御理解の上でそういう御指摘だ、こういうふうに思っております。

 まず、私は、武道を必修にするということは、我が国の固有の文化である、そういうことを学びながら、みずからを律して相手を尊重する、こういう態度をしっかり養うことが大事なんだ、そのことの一番の早道は武道を習うことによってその者が導かれる、こういう観点で、今回、二十四年度から中学一、二年生についての必修を考えてきたところであります。

 しかし、先生の御指摘のように、やはり何をおいても生徒の安全というのは非常に大事であります。その点を無視して進めていくことはできないわけでありますから、先生の御指摘のところについては重々万全の体制をしいていかなければならない、こういうふうに考えております。

 そういう中で重要なのは、指導者の問題であります。本当に指導者が指導者たり得るトレーニングを受けているのか、こういう点について、私どもはしっかりとチェックを進めていかなければならないと思っています。

 そういう中で、私どもは、警察官のOBでありますとか、あるいは講道館を含めて柔道をよく熟知した人にその部分を担っていただける、こういうことをぜひお願いしたい、こういうふうに考えているところでございます。また、学校の教員にもそういう経験者が当然いますから、さらに先生が御指摘のような視点でもっての研修の機会をつくっていきたい、また、それをやらなければそれを指導させない、こういうぐらいの考え方を求めていかなければならないと思っております。

 そういう意味で、先生が言われたところ、特に事故が起こったときの、万が一事故が起こったときには医学的な知見もやはり指導者には必要だろう、そういうことで知識を盛り込むように今お願いをいたしているところであります。

 これまで文科省としては、教育委員会、関係団体等、講習会を通じながら、熟練度の問題と、教えるための指導者の問題と、医学的な知識についての講習についても今詰めてきているところでございます。

 また、文科省としては、柔道の授業を行う上で学校自身がとるべき安全管理についてわかりやすい資料を示し、近日中に各学校に配付したい、特に頭部の損傷等々についての医学的な内容もそこにはしっかりと盛り込んだ仕組みにしてまいりたい、かように考えているところであります。

初鹿分科員 ありがとうございます。

 今大臣も若干触れましたけれども、やはり指導者の力量というものが非常に重要だと思うんですね。今回、いろいろな問題が発覚してきて、多く寄せられる不安の声は、一回も柔道をやったことがない先生が二日や三日の研修で果たして教えられるのかという不安の声なんですね。特に、これからは女子も必修化になるということになると、女性の体育教員の方も指導に当たるケースが出てくる。そうなったときに、全く今まで触れたことがない人たちが、学習指導要領ですと大外刈りとか体落としとかそういうものも含まれているわけですから、これを教えられるのか、教員も不安ではないかと思うんです。

 そこで、今大臣も若干触れましたが、やはり外部の柔道経験者、例えば警察のOBという例がありましたが、大学で教職課程をとっている、柔道の部活に入っている学生など、地域にはそういう指導者たり得る方はたくさんいると思いますので、そういう外部講師を積極的に導入できないかというふうに思うんですね。その点についてはいかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 議員御指摘のとおりでございます。私は、経験のない方についてはその指導に当たらせないということをしっかりと明示したものを出そうと思っております。

 加えて、私自身も警察庁なり講道館の方に行って、ぜひ、そういう経験者に御協力いただきたいと。また、地域の方々もたくさんおられるわけですから、そういう方々をしっかりと活用させていただきたいという要請を教育委員会もしっかりやってもらう。要は、経験のない人に指導させないということは徹底していきたい、このように考えています。

初鹿分科員 ぜひお願いいたします。

 あと、先ほども学習指導要領に投げわざで体落としだとか大外刈りとか入っているということを申し上げましたが、文科省の担当者と話をしますと、個々の発達段階に応じて指導をするんだということなんですね。そこまで技術が達していなければそのわざも教える必要はないということなんですが、どうもそこがいまいち徹底できていない部分もあるのかなというふうにも思うんですね。

 それで、名古屋などは、昨年の六月に死亡事故があったことも受けて、足わざや乱取りなどはやらないと決めたということなんですが、生徒の状況もそうですけれども、やはり教員の指導レベルに応じて指導内容というものも考えていくべきではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 さすが先生、いろいろな方々とお会いされていますからよく御存じだと思いますが、私も、役所の担当者に、どういう指導要領、どういうマニュアルをつくっているんだと、ちょっと見せてもらいました。

 そうすると、大外刈りというふうに文字では書いてあるんですが、大外刈りとはどういうものかがわかっていないのに、文字で書いて大外刈りはこうしなさいといったってだめだ。もっと徹底して、私も昔武道をしていましたから、普通、必ず型とかそういうものが移動として出てくるんですね、そういうものもしっかりと例示をして、それが難しければ教えなくていいというところまできちっと安全管理をするような仕組みの指導をしなさい、こういうことを要請いたしました。

初鹿分科員 この問題が出てから、地方自治体でもかなり関心が高くなりまして、それぞれ独自の取り組みをするところも多くなりました。二月七日の勉強会では、地方議員の方に呼びかけたところ、四十名近くの方が来ていただきまして、今ちょうど議会が始まっているところですので、その議会でかなり多くの方が取り上げていただいているんですね。

 そうした中で、各自治体、いろいろな安全対策に独自で取り組み始めています。例えば、岡山県は、ヘッドギアを県立の中学校に九十個ずつ配付したということなんですね。京都市は、畳の上にウレタンマットを敷いて、万が一頭を打っても衝撃が少なくなるようにということを始めたということです。

 こういう地方独自の取り組みをぜひ収集して、どうやって対策をすればいいかよくわからないなと悩んでいるような自治体にこれを広報して広めていくということも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 ありがとうございます。

 ぜひ、非常にうまくやっているなというところについては、こういうふうにやったらいいんじゃないか、そういう文科省のホームページとか、そういうことをやはりきちっと情報提供していきたい、かように思っております。

 また、確かに心配があるものですから、副大臣にも言っているんですが、一度私らも指導者に練習を受けに行こうか、こういうことも含めて、そのときは先生も御一緒に。やはり私は、現場を見て、本当に大丈夫か、こんなことを確認しなきゃ、ペーパー通知だけで本当にこれが解決できるかというふうに思っていますから、ぜひ私も現場を、モデルでやっているところが過去三年ぐらいございますから、そこに行って、ああ、これはいいことをやっているな、こんなことがあれば、やはりホームページにしっかり載せる、教育委員会なり各学校にこういうふうにしたらどうだということを提示していきたい、このように思っています。

初鹿分科員 どうもありがとうございます。

 ぜひ、学校での事故が二度と起こらないように、万全な安全対策をとっていただきたいと思います。

 私も、武道のすばらしさ、柔道のすばらしさは十分に理解しておりますし、我々と一緒に要請に行った全国柔道被害者の会の皆さんも、柔道が好きだから自分の子供たちが柔道を教わるようにした、柔道が好きだからこそ、その好きな柔道で死亡したり障害が残ったりというようなことになってはいけない、そういう思いがあってこのような活動をしてきているということですので、ぜひ、その点も踏まえて御対応のほどをよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移らせていただきます。次は、芸術文化に係る補助金の不正受給についてです。

 芸術文化の振興は私も非常に重要だと思いますし、特に伝統文化などは、やはり公的な補助金がないと、なかなか採算が合わなかったり、維持していくのが難しいものだというふうに思うんですね。そういう面では非常に重要な施策であると思うんですが、その重要なもので不正があるということはやはり許してはいけないんだと思うんです。

 昨年の八月、東京室内歌劇場と日本浪曲協会という二つの団体が国の支援金を不正受給していたということが公表されました。

 この報道によりますと、東京室内歌劇場は、十九年から二十二年度の十七事業で約二億二千万円、日本浪曲協会は、十九年から二十一年度の九事業で約一千二百万円が不正だったということです。東京室内歌劇場は、二重帳簿をつくったり、企業の印鑑を偽造して、その偽造した印鑑で領収書を偽造して、それで経費の水増しを請求していた。日本浪曲協会は、公演に出演した浪曲師に白紙の領収書を書かせて、実際には二千円しか出演料を払っていないのを七千円だとか五千円だとか、出演料を水増ししていたということがわかっております。

 このちょうど一年前にも、日本オペラ連盟という団体が約六千万円の不正受給をしたということが公表されています。この団体の場合は、元文化庁のOBの事務局長が、理事会の承認も得ずに、企画制作費という名目で四百二十万円も受け取っていたということも明らかになっています。

 それぞれのケース、どれを見ても、やはり意図的に補助金を多くもらえるように偽造していて、明らかに詐欺になるんじゃないかというふうに思うんですね。このような不正については、やはり厳正な処分と、不正受給した税金はしっかり取り戻していかなければならないと思うんです。

 しかし、この三つの団体は、見ていくと、それぞれ任意団体なんですね、法人格がないんですよ。となりますと、責任の所在というのが非常に不明確。万が一解散してしまったら、不正受給したお金を取り戻すことがなかなか難しいのではないかというふうに思います。任意団体だからこそ、やはり会計上の処理も適切に行われていなかった面もあるのではないかと思うんですね。

 このようなことを考えると、今後、公金を支出するわけですから、公金を受けとる、受給する団体については法人格を有することを要件とする必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

森副大臣 お答えいたします。

 今ほど御指摘がございました日本オペラ連盟、日本浪曲協会及び東京室内歌劇場の補助金等不正受給については、それぞれ不正受給額の返還を求めるとともに、既に確定したものについては芸術活動支援の補助金等への応募を五年間制限する措置をとるなど、厳正に対処しているところでございます。

 今先生御指摘ございました、確かに三団体とも任意団体でございます。そういう意味では、芸術団体の組織の脆弱性というものもございます。

 そこで、私どもは、二月二日から、不正防止に関する検討会、正式には、芸術文化に係る補助金等の不正防止に関する検討会を立ち上げまして、有識者において今検討をいただいております。補助金等の支給対象団体については、管理運営の適正化を図る観点から、一定の猶予期間を設けつつ、将来的には、特定非営利活動法人や公益法人など、法人格を有するものに限定することについても今議論が行われているところでございます。

 ただ一方、先ほど申し上げましたように、芸術団体の規模や活動実態はさまざまでございまして、補助金等の対象とする団体の管理運営の適正さの確保については、検討会での検討の結果を踏まえて適切に対応してまいりたい、現時点においてはこのように考えているところでございます。

初鹿分科員 確かに、地方の本当に小さな組織でその地域の伝統文化を守っているようなところに法人格を持たせるというのも、なかなか難しい面もあろうかと思います。その点は理解をするところですけれども、今、NPO法人、比較的法人格を取得しやすくなっておりますので、その点の、むしろ法人格を取る支援なども少し視野に入れていただけるとありがたいなというふうに思います。

 やはりきちんとした税金の使われ方を求めていくということが必要になっていくので、今後は、抜き打ちで会計のチェックに行ったりとか、あと、実際に公演をできるだけ見に行っていただきたいなと思うんですね。恐らく事業計画書を出すときに集客率とか書くと思うんですが、この集客率が果たして本当に適切なのかどうかということも、行かないとわからないと思うんですよ。団体によっては、こういう団体は余りないと思うんですけれども、補助金をもらったからそこで安心して、集客を一生懸命頑張らなくて、八〇%の集客率を見込んでおきながら半分も入っていないなんというところもあり得るんだと思うんですね。ですから、そういうことがないように、きちんとチェックをしていくようにしていただきたいと思います。

 先ほど処分のことについて少しお話がありましたが、返還額が確定したところは返還を求めている、今後五年間になるんでしょうか、申請ができなくなるということです。ただ、やはり、お金を返せばいいということでもないし、五年間申請ができなければいいということでもないと思うんですね。今回の事例を見ていくと、やはり悪質だと思うんですよ。こういうことを二度と起こさないためには、やはりより厳しい処分というのが必要ではないかと思います。

 浪曲協会について申し上げさせていただくと、実は私は浪曲師に友達がいまして、その友人から聞いたところによると、白紙の領収書を書くのは五年どころじゃないと言うんですよ。もっと前から領収書を書かされたと。その前はもっとひどくて、領収書を書いたことがなかったと言うわけですよ。そのころから国の補助金を受けていたわけですから、もっともっとさかのぼっていくと、まだまだ問題が出てくるんじゃないかというふうに思うんですね。

 ですから、こういうことが二度と起こらないためにも、やはり刑事処分も含めて厳正な対処をとるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 今、森副大臣の方から、今の状況、経過について述べていただきました。また、検討会を通じて、あるいは法人格を持っているところに限るべきではないか、こんな議論も含めて、より厳正にやっていかなきゃいけない。

 しかしながら、先ほど言いました、小さな団体であるとかそういう文化芸術、こういう流れの中での部分も十分に考慮しながらこれからも努めなきゃならない、こういうことでございます。

 実際、任意団体がどのぐらいあるのかということを私なりに把握しましたら、少し減っていますが、補助金を出している団体の約三〇%から四〇%ぐらいが任意でやっておられます。任意だからといって全部悪いということではありません。

 したがって、やはり今回のような案件については、先ほど先生御指摘ありましたように、事実関係が本当に悪質なのか、こんなことをしっかり把握した上で、刑事罰を含めてしっかり対処する。我々としても、こういう問題がありますということについては警察の方に通報したり、いろいろなことをしながら、関係省庁と十分に連携をとりながら、先生御指摘のそういう判断も加えて、これからも対処するように検討したい、このように思います。

初鹿分科員 ぜひ厳しい対処をお願いいたします。

 それと同時に、やはり文化芸術の振興は非常に重要なことだということは私も認識が一致しているところですので、真面目にやっているところにはきちんと適切な補助金を出して支援をしていくということはしっかりと行っていただきますようにお願いをいたしまして、私のきょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

若井主査 これにて初鹿明博君の質疑は終了いたしました。

 次に、秋葉賢也君。

秋葉分科員 おはようございます。自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、三十分という大変限られた時間でございますけれども、平野大臣に、年末に行われました自主的避難区域の規定のあり方、そして今後の見通しということに絞って御質問させていただきたいと思います。

 まず、その前に、震災からもう間もなく一年を迎えようとしているわけでございます。まだまだ被災地では大変な状況が続いております。どこの自治体でも、ことしを復興元年にして新年度から一気呵成に事業の実施をしていこうと張り切っていない自治体はないわけでありますけれども、先般、復興交付金の査定が行われ、配分が決定をいたしました。それぞれの自治体が約六千億の要求をしておる中で、今回配分が決まったのは三千億。本県の村井知事も、大変穏やかな人柄なんですけれども、顔を真っ赤にして怒りをあらわにしておりました。

 もっとも、この三月には新年度の分、二回目の配分が控えてはおりますけれども、私がまず申し上げたいのは、この一回目の要求額の六千億そのものもかなり絞り込んでいるということなんですね。かなり絞り込んで提出したのに六割である。幸い青森や岩手では九割方認められましたけれども、本県では五七%でございます。

 三月の第二回目の配分に向けて大変不安になってくるわけでありますけれども、文部科学省の実態といいますか、査定はどんな形だったのか、全体像、総括を伺っておきたいと思います。

平野(博)国務大臣 今委員御指摘の第一回目の配分額、こういうことにつきましては、配分総額では二千五百七十五億円、こういうことでございます。その内訳といたしましては、文科省の所管事業につきましては十二億円、こういう実績の数字でございます。

秋葉分科員 要するに、要求額が幾らで、査定でつけたのが幾らかということで、少し詳細にお答えいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 私の手元に今までの経過の部分についてはございますが、先ほど先生からの御質問を頂戴いたしたものですから、具体的数字について私の手元にまだないものですから、先生の質問の時間中に入ればお答えをしたいと思います。申しわけありません。

秋葉分科員 後日、御報告をいただきたいと思います。

 結局、復興庁はつくりましたけれども、それぞれの役所ごとに査定をしているのが実態でございますから、恐らく文科省でも要求額の六割に満たないような査定額であったのではないだろうか、こう思っております。

 特に、各自治体も事業を絞り込んでの六千億であるにもかかわらず、こういう状態がございます。新年度はこの三月のものが最終だというふうにも伺っておりますので、ぜひ大臣にも目配りをしていただいて、三月のときには満額回答をしていただくということが本当に大事なことだと思います。恐らく、文科省関係の予算も、原発問題に絡むこと、これからの復興に絡む予算で相当重要なものが含まれておると思いますので、よろしくお願いをしたいと思うわけでございます。

 そして、もう一つ、平野復興大臣の方も、厳しく査定しなさいというようなことで、地元の自治体からは、事務作業が大変膨大である、通常の補助金なんかの要綱の二倍ぐらいのボリュームがあると。

 復興交付金という制度自体初めてのことですから、どうしても、いろいろなことの見通しや具体的な箇所づけをどうするのか、やはりそういうものがないと政府側も予算づけが大変だということもおありになろうかと思いますけれども、そうした事務作業あるいは事務量の軽減ということにも、これは文部科学省だけではありませんけれども、全省庁的な問題ですが、もちろん、見切り発車で出してくる自治体はないわけで、みんなそれなりに積み上げてやってきているわけです。

 そして、その作業量が大変膨大になっているということのようでございますから、事業の内容によっては相当簡略化していく。例えば、集団移転事業のようなものは、ある程度の見通しが出た段階で予算をつけてもらわないと、用地の買収を含めて、次のステップが踏み出せないということにもなりますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。

平野(博)国務大臣 議員御指摘のところについては、当然、現場の自治体の皆さん方から見れば、要求しているけれどもなかなか執行してくれないじゃないか、こういうことになってはいけませんから、これは私の所掌の範囲を超えていきますが、政府としてはワンストップでしっかりと処理ができ得る体制を築いたものと私は思っております。

 そういう中におきまして、文科省の部分でいきますと、私は、一番の問題は、これだけの被災の中で、次の世代を担う子供さん、こういうことについての学びの環境というものはやはりしっかりと私どもとしては手当てをしていく、こういう決意でもございます。

 ただ、手当てするぞといっても、まちづくりの視点で、やはり受けの自治体が十分な計画がない中に出していくわけにいきませんから、十分に現地と連携をとらせていただきながら、先生の御指摘でないように手当てをしていきたい、このように思っております。

秋葉分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 さて、本題に入りたいと思うわけでございます。

 実は、先般、自主的避難区域の決め方について大いに疑義がある、納得できないということで、質問主意書を出させていただきました。三問出したうち、総括的な答弁でございまして、全く私の質問に答えようとしていない、納得のできない答弁でございました。先週の月曜日に全く同じ内容で再質問を出させていただいております。

 きょうは予算委員会の分科会があるということで、質問主意書を待たずに、大臣にその決め方の問題点、そして今後の改善の見通しを伺いたいと思うわけでございます。

 正直、私も、与党時代、政務官などは経験をさせていただきました。普通、質問主意書の場合には、政務官決裁、副大臣、大臣と上がっていくわけでありまして、私も、この質問者の意図を考えればこういう答弁では不十分じゃないかと随分と思うことがございました。

 やはり、文部科学行政の最高責任者は大臣であります。しかし、国民の意向を、いろいろと専門的な知見も反映させるためにさまざまな附属機関が置かれているのも事実です。しかし、附属機関というのはあくまでも行政を推進する上での一つの助言であり、アドバイスをいただくための機関ですから、最終的には、審査会の答申を尊重しながらも、大臣が決裁をしていく、これがあるべき姿だと思います。

 先般、平野大臣は福島県の白河市長にもお会いになりましたね。そこで、なぜ福島県で二十三市町村が示される中で漏れたのか、非常に納得ができないということに対して、区域をいわば見直す必要性は当面考えていないというような対応だというふうに新聞報道では伺っております。

 私の選挙区は仙台市でございますけれども、いわば宮城県。たまたま四十七都道府県の線引きというのはありますけれども、原発被害に関しては都道府県の枠組みというのは一切重要な意味をなさないことは周知のとおりでございます。特に、文科省のSPEEDIが生かされなかったことは非常に痛恨のきわみでございますけれども、北西の方に、飯舘村の方に、北の方に風が吹いていて、そして、雨や雪もあったので、それが下に落ちてああいう高い濃度ができているわけでございます。

 そういう中で、宮城県の南部の県民からいたしますと、具体的には伊具郡の丸森町、あるいは亘理郡の亘理町や山元町、あるいは白石市や七ケ宿、非常に飯舘村から近いところが年末の審査会では入らなかったわけですね。

 では、審査会はどういう基準で決めたんだろうというと、発電所からの距離や避難指示対象区域との近接性、あるいは政府などから公表された放射線量に対する情報、あるいは自主避難の状況などを総合的に勘案して決めた、こう言われているんですけれども、ぜひお手元に配付した地図をごらんいただきたいと思います。

 これは、黄色で書いてあるところが既に決まっていた避難指示区域でございます。そしてブルーで彩られているところが自主的避難の対象区域、二十三市町村でございます。ちょっと印刷の状況が不鮮明なところもありますが、大臣、これをよくごらんいただきたいと思います。

 放射能自体は北の方に強く流れているわけですね。これを見ますと、原発から六十キロ圏内の市町村は全て指定されているんです。原発から六十キロ圏内の市町村で唯一指定をされなかったのは、宮城県の伊具郡丸森町だけなんですね。

 では、丸森は原発から六十キロ以内だけれども放射線量が低いのかというと、むしろ、新地町や相馬市なんかよりは高い値が出ているんです。ですから、放射線量でいっても高い値が出ている。これらの四つの条件には全ていわば該当しているような現況があるにもかかわらず、どうも審査会の前提は福島県メーンにということを思わざるを得ない。

 もちろん、福島県内で漏れた白河市もいろいろな言い分が当然あろうかと思います。一定の基準を設けてやる必要性もあったと思います。しかし、私は宮城県民だから言うんじゃなくて、本当に一国民として客観的に見ても、特に丸森町は、六十キロ圏内にあるというだけじゃなくて、最南端はわずか、飯舘村からは三キロしか離れていない、原発からは四十五キロ圏ですよ。二十キロ圏内が、あるいは三十キロ圏内までが避難区域になっていて、そこからわずか、飯舘から五キロ、そして原発から最南端で四十五キロしか離れていない。ここが漏れるなんていうことは考えられないと思うんです。

 この決め方、やはりいろいろな、当然福島県内はもちろん、宮城県からも、これの決め方について、入れてくれということでの要望が相次ぎましたので、この間の審査会でも少し議題になったようでございますけれども、結果として、能見会長のように線量で区切るのがいいと言う人もいれば、あるいはほかの委員のように、線量だけじゃない、いろいろな意見がいまだに渦巻いている。委員の中には、基準そのものが決めようがないという意見まで出ているわけですね。

 ですから、審査会で出たことを尊重しながらも、最後は、これは大臣決裁だと思いますよ。ぜひ、丸森町あるいは宮城県の山元町、こういったところは今後加えていくべきだと思いますが、いかがですか。

平野(博)国務大臣 いろいろなお声、いろいろな御要望があることは事実でございます。しかしながら、やはり私どもの紛争審査会という会というのは、より客観的に、より公正に決めなければ、何のガイドラインも決めずにやっていくわけにいきません。したがって、そういう観点で、ガイドラインを指針という形で決めさせていただいたということであります。

 その決めさせていただいた指針に対して、今委員御指摘の御意見があることも重々承知でございますが、これは第三者の審査会が客観的に、公平に、一つの指針ということで決めておるものですから、これを政治的に、その指針はおかしいんじゃないかということについては、現時点で私は言うべきでない、こういうことで、この間、各首長さんが来られたときにも、指針を変更することは困難であるというお答えを申し上げました。

 しかし、これはあくまでもガイドラインであって、それ以外は一切認めない、こういうことではありません。因果関係が濃厚にあるということであれば、その限りにあらずということですから、それもその判断に含めていくんだということも、あえて指針の中にも書かせていただいておりますから。

 先生御指摘の、ここは入っていないからだめじゃないか、こういう判断は我々としてはしていない。あくまでも私の立場は、被災者の立場に立つということを基本前提に、私としても、これからも判断をしてまいりたいと思いますが、指針は指針として私は尊重する。その中で、外れたところについてもこんな問題があるじゃないか、このことについては指針の外だからそれを認めない、こういうことについては、私は言うつもりはございません。

秋葉分科員 一つの基準が必要だから、これを見直すつもりはないんだというのが大臣の答弁でございましたけれども、一旦、年末に指定はしてみたものの、世論の反響というものを受けて、特にやはりこの丸森町や新地町、先ほどのこの地図を本当によくごらんいただきたいんですよ。政府が示している、あるいはこの審査会で基準にした四つの基準、いずれも満たしているところなんですよ。それを、一旦指針を決めて、あとは追加するつもりがないんだ、個別にはやるからいいんだというのは、これは地元自治体からすると、やはり問題が進まないという答えと一緒なんですね。

 確かに、対象区域以外でも因果関係があれば補償対象になるとはいうんですけれども、個別具体的な事情に応じた因果関係を証明しなきゃいけないんですね。やはりここの対象に加えてもらっていないことによって一番のデメリットは、いろいろな補償の手続が自動化されないことなんですよ。

 だから、大臣は、いや、対象にならなくてもいろいろ言ってもらえればちゃんと個別に認めていく、こうおっしゃるけれども、このエリアに指定された人たちは、今回、いろいろな賠償金の中で、例えば妊婦や十八歳以下の方には六十万支給されると決まりましたね。こういうのは対象にならないんですよ、自動的に。個別に申請して、その状況を立証して、そして応じてもらえるかどうか、そういう手続が、幾重にもプロセスが入ってまいります。この対象エリアに、二十三市町村に加えてさえいただければ、被災した住民の皆さんがそういった不要な手続をしなくても自動的に対象にされる部分というのは非常に大きいんです。

 例えば東電からの賠償の問題についても、基本的に、福島県にお住まいの皆さんは、書類は東電から自動的に来ているんですね。ところが、宮城県にお住まいの人たちは、個別には応じてもらえることにはもちろんなっているんですが、みずから資料を請求して個別にやっていく。このことが、実際、現場ではどれだけ大変なことかということなんですよ。

 ですから、審査会の答申は尊重するにしても、やはり大臣のもとに設置している審査会なんですから、地域の実情、その後の世論を考えたときに、この二十三地域に、自主的避難区域に指定を追加して、本当に大変なところ、四つの項目が全て当てはまっているところはもう一度加えていこう、そういう取り組みが必要だと思いますが、いかがですか。

平野(博)国務大臣 先生、大きくは四つの判断はありますが、それに加えてコミュニティー単位であるとか、いろいろな市町村を考慮しての設定になっておりますから、ここのエリアについては外れていることはもう私自身も承知をいたしております。

 しかし、先生には御不満な答弁かもわかりませんが、外れているからしないとか、あるいは外れておったら立証しなきゃならない、こういうことについて、そういう民法上の問題で処理しなきゃならないというのが今回の原賠法の趣旨ではございませんので、一義的には、やはりこれは事業者である東電の責任において処理をするというところがあるわけでございますので、その関係さえはっきりすれば、私は、文科省としては、被害者の立場に立って物を申していくということだけはお約束をしておきたいと思います。

秋葉分科員 そういうことであれば、では、指定の指針の中のガイドラインには漏れた市町村があるけれども、政府として、漏れたけれども、まあ四基準に私も固執しているわけじゃありませんよ、総合的に勘案することが大事だし。しかし、いずれの指標、基準を参考にしても、丸森町が漏れているのは、誰が見ても明らかに不合理なわけです。だから、私に対する質問主意書の回答もああいう抽象的なものにしかならざるを得なかった。明確に反論できないわけですよ。

 今の丸森町の直近の現状を見たって、大体〇・二二マイクロシーベルト平均で今でも線量が出ておりまして、この数値というのは、お隣の相馬市や新地町よりも常に高いんですよ。それこそ能見会長が一番重視している議事録を拝見いたしますと、能見会長はこう言っているんですよ。決めるのは難しいけれども、最後はやはり線量だと。線量が一番説得力があると会長が言っているんですよ。その線量が福島の指定された二十三市町村よりも高いのに、漏れているということ自体がおかしいわけだから。

 大臣が、私が何度お願いしても、もう追加の予定がないんだと言うのであれば、せめて実態に応じて、では、丸森も東電にかけ合って六十万支給する、そういうことはできないんですか。

平野(博)国務大臣 だから、先ほども言いましたように、ガイドラインはガイドラインとして、そのガイドラインに基づいて処理をさせていただく。しかし、それ以外のところについても、委員御指摘のような、非常に困っておられるということであるならば、私は、文科省としては、東電に、これについてもこの対象じゃないかということについて働きかけることはやぶさかではありませんし、そういう被災者の立場に立って処理はしていくということだけは、ここで明確にしておきたいと思います。

秋葉分科員 もちろん、被災者の立場に立って対応するのは当たり前のことでありまして、そういう姿勢で取り組んだ結果としてどうなんだということを、大臣の一つの政治決断といいますか、踏み込んだ姿勢というものを打ち出していかないと、結局、言葉では、指定はされなくても個別にやるんだと言ったって、実態が進んでいないじゃないですか。実態がゼロなんですよ。

 もう一度、私がお配りしたこの資料を見てください。宮城県では、丸森町だけが突出して南側に食い込んでいるわけです。新地町や相馬市の一部は、丸森よりも北にあるんですね。生活圏は一緒です。この丸森町から相馬市の高校に通っている人もたくさんいらっしゃいます。日常的な買い物の場所にもなっているんです。

 ですから、丸森の南側、本当に最南端、筆甫地区や耕野地区やそういうところにお住まいの方は、我々は飯舘村に新地町や相馬市よりも近くて線量も高い、にもかかわらず、例えば東電からの見舞金も一切出ていません。生活圏が一緒ですから、お隣の新地町や相馬市民の人がとりあえず八万円もらった、こういうのがあった、すぐ情報が行き渡ります。そうすると、やはり丸森の人たちの立場になって考えれば、自分たちが住んでいる町の線量の方が高い、そして南にあるのに一切出ないんですね。それを、個別に対応しよう、被災者側に立って対応する、口ではそう言うけれども、実態が伴っていないじゃないですか。

 ですから、オートマティカルに対策を進めていくことが大事なんですよ。個別にやるとか、大臣が東電に要請したって、だってまだ支払っているのが三千億ちょっとでしょう。これから大変な作業になるわけですよ。これは、大臣が本当に責任者にお願いしても、やるかどうかさえ疑わしい、私はここまで思っているんですよ、言ってみれば。だから、政府が自主的避難区域だよと指定さえすれば、これはやらざるを得ないわけですよ。

 だから、私は四つの基準だけだというふうに申し上げるつもりはないんですよ。全ての見地、全ての勘案をしても、この丸森町あるいは山元町が漏れるのはおかしいんです、明らかに。客観的な理由があるんですよ。白河市も、多分、白河市なりのことがあるんだと思いますが、丸森町は証明できますよ。この審査会を訴えようかという話まで出ているんですよ。裁判になったら、負ける要素がありませんよ、この四つの基準を勘案してやったと言ったら。ただ、裁判に訴えても、結果が出るのも時間がかかる。

 だから、大臣に、審査会で一旦こういう指針を示して指定したけれども、やはり指定の中に入れないと東電の賠償がどうも進まないという観点から、加えていただくように次の審査会で申し入れしていただけませんか。

平野(博)国務大臣 私、今まで申し上げたことは申し上げたこととして、今議員からの強いそういう御要求でもございます。

 したがいまして、審査会という独立した機関での御議論でございますが、こういう地元の皆様方のお声もある、そのことも含めて、検討に値するのかどうかということも、私の立場で、結論は審査会に委ねますが、私としてはお伝えをしたい、このように思います。

秋葉分科員 できれば、私、大臣には一度、丸森町をぜひお訪ねいただきたいと思うんですね。

 特に線量の高い筆甫や耕野地区の皆さんは、細野原発大臣それから知事に、例えば耕野地区は二百五十世帯しか住んでいないんですけれども、全ての世帯が健康調査の手続を宮城県にも拡大してくれ、そして生涯にわたって継続してくれ。これについては我々も今議員立法を用意しているところでございますから、宮城県も対象にしていきたいと思っておりますけれども。

 それから、やはり何といっても、今ずっと私が一連申し上げてまいりました、国の原子力損害賠償の審査会が示した賠償指針を宮城県内にもぜひ適用してほしい、これが事実上、一番の希望なんですよ。

 今、丸森町で自主的避難をされている市民はどれぐらいいるか、大臣、御存じですか。

戸谷政府参考人 宮城県内における自主的避難の状況でございますが、これまで私どもで宮城県に問い合わせをさせていただいている限りにおきまして、まだ数字を頂戴していないという状況でございまして、申しわけございませんが、把握いたしておりません。

秋葉分科員 だから、大臣、いいですか、そういう状況だから、私が言っていることがすとんとのみ込んでいただけないんだと思うんですよ。

 私も、今回の震災で、例えば、避難所に指定されてあるところにどれぐらいの備蓄がどういう状況であって発電機がどれぐらい整備されていたのかと、とりあえず全省庁的な課題だから内閣府に取り上げたら、全然そういうのを把握していない、文科省は学校を所管しているから学校の状況だけはわかった、こういうことがありましたけれども、避難所になっているのは、何も学校だけじゃなくて、市民センター、いろいろなところがあるわけで、いろいろなことが掌握されていないんですよ。

 宮城県全体でも、今、まだまだ確認中です。少なくても丸森町でわかっているだけで六十五世帯あるわけですよ。その中には私の知り合いも含まれておりますから、これは本当に、実態としては六十五世帯よりも多いんじゃないかと思います。つまり、役場に一々届けませんから、田舎ですから、それぞれ地域の行政区というのがありまして、いわゆる町内会みたいな組織がございます。そうした町内会単位にどうもそうらしいというのを積み上げただけで六十五なわけだから、これを本格的に調べれば百を超えている可能性があるわけです。

 だから、これは丸森町だけじゃなくて、お隣の山元町やあるいは白石市でもそうだし、実は、私の仙台でも支援者の何人かは、仙台は百キロ離れているんですけれども、東京やあるいは大阪に、やはりお金に余裕のある人なんですけれども、子供が小さいので転校させたという人がいますよ。仙台市だってたくさんいるんですよ。

 ですから、どうですか、大臣、一度丸森を訪ねていただけませんか。

平野(博)国務大臣 委員の御指摘でもございますから、機会をつくって御訪問することは検討したいと思います。

秋葉分科員 保科さんといいます町長、保科町長のお住まいも、大内地区といいまして、筆甫地区同様、本当に丸森の県境のところなんですね。ですから、私、年末、審査会の決定を見たときに本当に耳を疑いました。

 これをもう一度見てください。最大で百キロ圏まで指定されているんですよ。これはなぜ百キロ圏まで指定されているかというと、やはり線量なんですよ。では、その一番西側の天栄村、ここの線量と丸森町の線量はどっちが高いんだといったら、ほぼ同じか、むしろ丸森の方が高いときがあるわけですよ。線量一つとったってそうなんですよ。

 だから、審査会が権威を持って決めたんだから大臣として踏み込めないということじゃなくて、白河市長だけじゃない、福島県内でもいろいろな疑義がある、それはそれで私は本当にそのとおりだと思うし、柔軟に。これは国が招いた災害ですよ。ある意味での人権侵害までいっているわけでございますから。だから、何度も言うように、個別具体に対応するというのは、言葉では簡単なんだけれども、実態が全く進まないんですよ。

 やはり、オートマティカリーにケアしていくということになると、住民も安心だし、例えば放射線の線量計だって、福島県内の子供たちには国が予算措置して配ることになったけれども、宮城県の南部の人たちは対象になっていない。唯一除染が対象にしていただきました。これはみんなもちろん喜んでいますけれども。やはり、本来は都道府県の線引きに何の意味もないんですから、放射能の被害というのは。実態を的確に、客観的に見て、指定をぜひ加えていただきたい。

 今度の審査会はいつ開かれるかわかりませんけれども、能見会長に対してぜひ諮問していただきたいと思うんですよ。とりあえず十二月に指定はしてみたものの、それぞれの自治体から不平不満がある、とりわけ丸森町に関しては誰が見てもおかしいだろう、明々白々ではないのか。

 もう一度、追加も含めて、見直しの指示を、丸森訪問とあわせて実現していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

若井主査 質問時間が来ておりますので、まとめて。

平野(博)国務大臣 今までの議論の経過を含めて、丸森を含めて訪問をする、さらには、議員御指摘のところについては、こういう強い地元の御意見があるということは審査会の方には私の立場で申し添える、こういうことだけは約束します。

秋葉分科員 よろしくお願いいたします。

若井主査 これにて秋葉賢也君の質疑は終了いたしました。

 次に、馳浩君。

馳分科員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。早速質問に入らせていただきます。

 今からおよそ三百六十年前に誕生した我が国色絵磁器の王者古九谷の産地が石川県加賀の九谷なのか、それとも佐賀県の有田なのかという古九谷伊万里論争について、昨年、文部科学委員会で質問させていただきました。

 一連の答弁の中で、九谷産説、有田産説の二つの説があるが、国としてはいずれかの説に圧力をかけたり、あるいは優位を持たせたりというようなことは一切考えていないと明言されました。それに間違いはありませんね。

河村政府参考人 お答え申し上げます。

 先回文部科学省から御答弁申し上げたとおり、間違いございません。

馳分科員 では、国立の博物館で古九谷を展示した場合、現在、その作品名称をどのように記載していますか。まさかまだ、古九谷の表示を伊万里焼だとか有田産だとか、一方的に断定して表示をしてはいませんでしょうね。

河村政府参考人 国立博物館において展示される文化財の表示については、国立文化財機構の責任と自主性において行われているものでございますけれども、現時点において国立博物館で古九谷を展示する際には、当時の肥前で焼かれたと考えられるものについては、産地を伊万里(有田)とし、分類を古九谷様式として表記するという考えと聞いております。

馳分科員 国の重要文化財に指定されている古九谷五件について、その指定名称の古九谷をまさか変更してはいませんよね。

河村政府参考人 御指摘の国の重要文化財に指定されている古九谷五件につきましては、その指定名称の変更は従前から行っておりません。

馳分科員 本来、古九谷産地論争が未決着状態なのに、また、遺跡の発掘で新事実がどんどん発見されているのに、古九谷はすべて有田産だと断定した表記がなされているとすれば、それはおかしいのではありませんか。

河村政府参考人 まず、古九谷の産地の論争については、これまで先生からもいろいろな御質問、御指摘等がございますけれども、学説等としてさまざまな意見がありますことについては、関係学会における学術研究に委ねるべき事柄であるというふうに考えておりまして、文部科学省からどちらというふうにお答えするべき立場にはないというふうに考えております。

 また、博物館の展示の表記につきましては、その博物館の責任において行われているというふうに考えている次第でございます。

馳分科員 国宝や重要文化財、こういった文化財を展示する場合、指定名称どおり表記することが常識ではありませんか。大臣所管の文化審議会から答申を頂戴した、その名称です。

 大臣、全国の博物館へ、指定文化財は指定名称を遵守して展示表記するように、通達を出すなり、御尽力を願えないでしょうか。その表示について、博物館の勝手でしょうというのがまかり通るのならば、国の文教政策の根幹を揺るがすことにつながりかねないと思いますが、いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 馳議員が今日までこの問題についていろいろ研究、論争をされているということについては敬意を表したいと思っています。

 今御指摘の、指定名称をしっかり守れ、こういうことについてですが、やはり展示会の展示の表記というのは、学術研究の成果をしっかり生かすということと、見に来られる方々にわかりやすく表示をする、こういう観点から、それぞれ博物館がわかりやすく表示をするということで、適切にやっているものと私は信じております。

 馳議員指摘の点も踏まえて、展示品の表記については、今申し上げたような視点で、作品の解説を含めて、十分慎重に対応してもらいたい、このように私は考えております。

馳分科員 先ほど河村次長が御答弁になりました、国立文化財機構の責任でと、そして肥前で焼かれたものについては、いわゆる伊万里様式という名称も括弧書きで入れている、こういうふうな御答弁でありました。これは間違いありませんね。

河村政府参考人 そのように表示された展覧会があったということを承知しております。

馳分科員 大臣、そういうことなんですよ。本来、国で決めた指定名称をそのとおりに使ってくださいね、ただし、現場に、私が主張していることは、論争がある場合には、断定的な表記の仕方を、国立の博物館にお任せしておくことがいいのか悪いのか、ここをちょっと私はほじくっているということなんですよね。

 この議論、このまま先に続けさせていただきます。

 佐賀県有田町に国指定史跡の登り窯跡の山辺田窯跡があります。この窯跡から古九谷に似た色絵破片が出土しました。これが決め手となって、古九谷有田産説が有力となりました。後に山辺田遺跡というところからも出土したそうです。しかし、窯跡の色絵破片は、当時の発掘調査員の証言によれば、表面採取だということですが、これは本当ですか。

河村政府参考人 国指定史跡山辺田窯跡は、昭和四十七年から昭和五十年にかけて、有田町教育委員会により発掘調査が実施をされております。その調査報告書によれば、この窯跡から発見された色絵の破片は、いずれも表面採集品であるというふうにされております。

 なお、この報告書では、この窯跡から出土した色絵破片について、古九谷様式と似ているけれども、表面採集品であることなどから、確実にこの窯跡で焼かれたものであるかは不明ということも記載しております。

馳分科員 では、改めてお聞きをいたします。

 色絵は登り窯で焼けますか。

河村政府参考人 色絵は登り窯では焼けないと承知しております。

馳分科員 登り窯で焼けない色絵の破片が登り窯跡の表面採取で見つかり、それが重要な証拠、論拠となって有田産説が有力となっていった経緯が学会の評価となっております。

 近年、物質の元素分析の精度が随分高度化いたしました。皆さんも御存じの和歌山砒素入りカレー事件で、見事に砒素を分析解明して、容疑者を特定する検察側の有力な証拠となって有名になりました、兵庫県にある元素分析の大型の装置を備える大きな施設の名前は何と言いましたか。

吉田政府参考人 大型放射光施設SPring8というものでございます。

馳分科員 吉田さん、いつの間に文化庁の次長から人事異動したんですか。あなたは私のきょうのこの古九谷論争について答弁するかと思っておりましたが、所管がかわったんですね。コメントを求めたいところですが、先に移ります。

 そのSPring8で、石川県の金沢美大の元学長で九谷焼の作家として有名な北出不二雄先生所有の古九谷の色絵皿を分析してもらったところ、間違いなく九谷の陶土でつくったものだという結果が出ております。北出先生は古九谷研究の第一人者でもあります。分析したのは東京理科大学の中井泉教授です。確かに肥前有田産の素地を利用した古九谷もありますが、九谷産のものもちゃんとあるということでありました。

 素地は九谷産であれ、有田産であれ、中国産であれ、どこの磁器でもいいんです。白い磁器は、油絵でいうならキャンパスです。問題は色絵なんです。色絵づけなんです。色絵づけは九谷焼の命です。

 では、色絵は何という窯で焼きますか。

河村政府参考人 色絵は、一般的に、色絵窯と呼ばれる絵つけ専用の小型の窯で焼くというものでございます。

馳分科員 おっしゃるとおりですね。

 加賀の九谷町では、その色絵窯跡が七基発見されています。もちろん江戸前期のものです。同じ遺跡内から色絵片も多数出土しています。

 さらに、最近、九谷古窯跡の史跡整備に向けた発掘調査で、上絵づけの赤い顔料となる赤鉄鉱石、地元で言う朱石を砕いた作業場と考えられる場所が発見されたという地元の北国新聞の記事を読みました。うれしい発見です。過日、現地説明会もありました。ますます九谷における色絵技術の存在が動かしがたいものとなりました。

 九谷で色絵窯跡が、こういったものが発見される以前は、この点をつかれて、九谷には色絵はない、色絵の証拠がない、だから古九谷は九谷産ではないんだとされてきた経緯があります。

 では、有田の山辺田窯跡周辺の山辺田遺跡から色絵窯跡は発見されていますか。

河村政府参考人 山辺田遺跡では、有田町の教育委員会によれば、色絵窯跡を含め、窯跡は発見されていないと聞いております。

馳分科員 答弁をお伺いしておりまして、まだまだ未確認、未解明の部分が有田産説にも多いということが確認できました。

 だから、択一論で、古九谷は有田産だと断定する博物館の姿勢には、慎重さが足りないと申し上げているわけです。国の重要文化財指定の古九谷の表記を勝手に有田に変えてしまうという博物館の姿勢には、大いに疑問を感じております。

 大臣、いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 先ほども議員に御答弁を申し上げましたが、わかりやすくする、こういう観点で博物館が解説をするということについて、私はそうあるべきだと考えております。

 いわゆる学術論争、確かに先生の御指摘のところ、また、有田に行けば有田の指摘があるのかもしれません。やはり論争中のものについては、展示品の表記については作品の解説も含めて慎重に対応する、こういうことが私は大事だろうというふうに思っています。

 私も和歌山出身なんですね。伊都郡というところなんですよ。ちょっと話題をかえますが、同じような考え方でありますから。

 伊都国という昔からのあれが、我々和歌山にあるぞ、あるいは九州にあるぞ、こういう論争が学術的にいろいろ起こってくるわけですし、そういうところは、しっかり事実を断定していくという考え方と、もう一つは、論争することによって、いい方向へ議論、ロマンを膨らます、こういうことも私は悪い話ではないと思っています。

 そういう中で、近代的な、先ほどSPring8云々の話がございましたが、科学技術が進展することによって、より事実が判明をする、こういうことであれば、その時点ではっきりと結論を得ればいい、こういうことでございます。

 したがって、馳先生の今までのいろいろな文化庁との御議論を私、聞いておりますと、やはりわかりやすくするという視点で、いろいろな説があるときにはそのことをきちっと書いておくべきだ、こういう観点。したがって、先生御指摘のように、国の主催の云々については、そういうふうに変えているんじゃないかという姿勢に対して御指摘を受けましたが、私はそういうところは、先ほど言ったような視点で、慎重に対応してもらいたい、このように思います。

馳分科員 一言です。表記を変えたり追加するときには、事実の断定に基づいてやってくださいねということを申し上げたいだけであります。

 次に、これも地元の新聞などで知りましたが、中国景徳鎮市で、石川県の加賀市長が佐賀県の有田町長と古九谷産地論争をしたということです。

 中国景徳鎮といえば、色絵磁器の発祥の地です。九谷焼と有田焼にとっては、ともに母なるルーツの地です。その中国景徳鎮市で、日本の加賀、有田、瀬戸のほか、オランダ、イタリア、フランス、イギリス、韓国など、十カ国十二の陶磁器産地の首長が一堂に集まって、二〇一一年世界陶磁器産地市長サミットが開催されました。加賀市長は、九谷焼の名前とこの古九谷産地論争を世界にPRしました。したがって、この論争は世界的な話題でもあります。

 そこで、経済産業省にお伺いいたします。

 この世界陶磁器産地市長サミットなるものを中国景徳鎮市が開催したという動きについて御存じでしたか。把握しておられたでしょうか。

永塚政府参考人 お答えいたします。

 二〇一一年十月十九日に、中国の景徳鎮市におきまして、第一回世界陶磁器都市市長サミットが開催されたことにつきましては、愛知県の瀬戸市長を団長とする瀬戸市公式訪問団のメンバーである愛知県陶磁器工業協同組合から、参加をした旨の連絡が担当課にあったと承知をしております。

馳分科員 連絡があったのはいつですか。

永塚政府参考人 このサミットが開催された後、十一月だというふうに承知をしております。

馳分科員 後ではちょっと情報収集が遅いなと指摘します。

 景徳鎮は、人口百五十万人中、今も約三十万人が陶磁器にかかわって暮らしを立てています。職人の層は厚く、陶芸作家を育てる大学も一万五千人の学生を擁しています。

 景徳鎮市の人民政府は、毎年秋に中国景徳鎮国際陶磁博覧会を開催していますが、その時期にぶつけて、この世界陶磁器産地市長サミットを開催しました。そして、北京政府も巻き込んで、中国高嶺国際陶磁芸術コンテストも昨年初めて開催しました。産業と芸術が一緒になって、景徳鎮が世界の窯業界の中心になって大きな影響力を発しようとしています。これは、我が国にとりましても大きな脅威であると思っています。

 余りにそのできがよいために、京都の割烹などでも景徳鎮製の食器を使い出しているという話を伺いました。地元に京焼、清水がありながらです。高度な陶芸技術と圧倒的な物量生産、徹底した分業専門性、これに世界に通じる芸術性が加わり、景徳鎮製品のマーケットは中国の国内外に大きく広がっていることは明らかであります。

 翻って、我が国の陶磁器界の人材育成が不安でなりません。全国の陶芸の研修所や専門校、大学などの実情はどうなっているでしょうか。定員割れをしていないでしょうか。卒業生を受け入れる窯元や窯業会社への雇用支援はどうなっているでしょうか。若い陶芸家の卵たちが、卒業しても就職できない状況になっていないでしょうか。

 また、焼き物の伝統工芸士の方々や窯元の方々への支援はどうなっていますか。例えば、その中国に打って出るくらいの力を持っておられるでしょうか。もしそうならば、これを国としてバックアップする必要があるとも思いますが、いかがでしょうか。

河村政府参考人 陶芸を学ぶ場でございますけれども、例えば大学ですと、芸術系から教育系にわたる分野でそうした機会がございます。また、短大、専修学校、研究所など大変幅が広うございますので、定員充足の状況などを一律に今申し上げるのは難しいと存じます。

 その卒業した方々の進路ですけれども、例えば、ある大学の工芸科を見ますと、陶磁器や宝飾品の企業、それから教育研究機関、工業試験場などへの就職のほか、大学院に進学して高度な制作や研究を目指す例も多いというふうに聞いております。

 私ども、我が国の陶芸を含む伝統文化を次世代に継承させるためには、人材の育成は大変重要な課題であると認識をしております。こういう伝統文化継承の観点から、文化庁では、新進の制作者が海外で研さんを積む機会を提供しておりまして、例えば、今年度でも、陶芸家の方々が複数派遣をされております。

 また、我が国の工芸技術や芸能のうち、芸術上価値が高いものなどを重要無形文化財に指定いたしまして、その工芸技術を高度に体得している人を保持者、いわゆる人間国宝ですけれども、こういう人間国宝ですとか保持団体として認定する仕組みがございます。このように認定された陶芸等の保持者や保持団体が実施する伝承者養成事業等に対しましては、国庫補助を行っておりまして、工芸技術の継承を図っております。

 さらに、卓越した芸術作品の制作者をたたえるということでさまざまな顕彰の事業がございますが、例えば、日本芸術院が授与する日本芸術院賞で、平成元年以来二十二年度までの間で九人の陶芸家が受賞しておられます。

 今後も、伝統的な工芸技術の保存、継承、発展のために、人材育成の支援に、関係省とも連携しながら努めてまいりたいと存じます。

馳分科員 私は、伝統工芸の技術を継承していく人材育成の部分と、これを産業の観点から振興していく面と、両面でお伺いしたつもりですので、経済産業省のお考えもお聞きしたいと思います。

永塚政府参考人 お答えいたします。

 私ども、伝統的工芸品の産業の振興をしっかりと図っていく立場として、伝統工芸士の事業を現在行っているところでございます。伝統工芸士の方々を御支援するため、伝統工芸士の認定事業、あるいは伝統的工芸品産業功労者の褒賞事業、あるいは児童・生徒に対する伝統的工芸品教育事業などを行うとともに、産地指導といたしまして、産地のプロデューサーのマッチング事業、あるいは診断事業などを行っているところでございます。加えまして、普及促進事業、需要開拓事業、こうしたさまざまな取り組みを行っているところでございます。

若井主査 よろしいですか。

 では、馳浩君。

馳分科員 よろしくないんですよ、経済産業省。

 というのは、伝統工芸品といって国が保護、守り続けて、細々と、営々とつないでもらおうという話は、これはまさしく文部科学省の方で、競争政策でやって、人材育成をやっていただければいいんです。そうではなくて、経済産業省の観点からいえば、やはり、よりリーズナブルに、そしてより日常生活に密着したものとして伝統工芸の技術を製品化し、そして、それを展示会などを開き、また世界のマーケットに売り込んでいくという、この産業政策の面をサポートする必要があるんじゃないんですか。物づくりの技術を支える知恵は文部科学省にありますが、世界に売り込んでいく知恵は文部科学省にはそんなにありません。見てください、幹部の皆さん方。物を売り込むような、セールスマンのような人は余りいないように見えますよね。

 経済産業省として、我が国の伝統文化、工芸品、これをいかにやはり商品化して、展示会などを開き、またネットなどを通じ、あるいは仕掛けをして世界に売り込んでいくかということは、大きな産業政策としていかなければいけないんじゃないんでしょうか。なぜかといえば、我が国はやはり文化と歴史があり、それは間違いなくリアル・ジャパンとして売り物になるのではありませんか、こういう観点で申し上げているんですが、経済産業省のもう一段前向きな姿勢をお伺いしたいと思います。

永塚政府参考人 経済産業省といたしましては、伝統的工芸品産業の振興に関する法律、いわゆる伝産法という法律でございますけれども、この法律に基づきまして、伝統的工芸品の産業の振興を図るという事業を行ってございます。このことによりまして、国民の生活に豊かさと潤いを与えるとともに、地域経済の発展に寄与し、国民経済の健全な発展に資することを目的とする、こういう趣旨でございます。この法律に基づきまして、伝統的工芸品産業支援関連補助金など、所要の予算措置も講じているところでございます。

 加えまして、今御指摘のありました海外への展開、これも重要な施策として、需要開拓事業の一環として、引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。

馳分科員 そこを言ってほしかったんですが、伝産法の法律をつくったのは誰ですか。というか、所管しているのはどこですか。

永塚政府参考人 経済産業省商務情報政策局が今、所管をしてございます。

馳分科員 そこに我々は非常に期待をしているということであります。

 伝統工芸品を抱えている産地は全国にございます。そういった産地は、やはり技術をつなぐという、文化の継承という一面と、そして、やはり御商売をされていたりしますので、これはいかに現代風に、また、お国柄を超えて世界のマーケットに展開することができるか。しかし、皆さん、小規模協同組合のような形で細々とやっておられるので、こんなにいいリアル・ジャパンのものがあるんだから、やはりそれを紹介する手だては経済産業省がバックアップしてほしいということなんですね。

 ちなみに、これは蛇足になりますが、私の地元石川県は繊維産地でありまして、昭和四十五年、六年の流通自由化のときに大きな打撃を受けて落ち込みましたが、そこから競争力で生き残った産元は、何と今や、世界のルイ・ヴィトンやアルマーニとか、ああいったブランドに逆に糸を、売り込んでいるというよりも、引き合いが多くて困っているんです。あるいはユニクロの、最近はやりのある商品などはオール石川県の産地で受け持っている、そういう産元もあるんですね。

 したがって、ここをやはりいかにバージョンアップしていくかというのが、経済産業省の姿勢で私は期待したいところであり、そういった芽出しを、今年度の予算もそうですが、これからも応援していただきたい。その根拠が伝産法ということなので、改めて申し上げましたが、ちょっと局長の決意を伺っておきたいと思います。

    〔主査退席、湯原主査代理着席〕

永塚政府参考人 経済産業省といたしまして、伝統的工芸品産業の振興に向けまして、諸課題に取り組み、この振興をしっかりと図ってまいりたいと考えております。

馳分科員 このたび、文化審議会の答申において、我が石川県で、金沢市卯辰山麓と加賀市加賀東谷の二地区を重伝建、つまり、重要伝統的建造物群に選んでいただきました。まことにありがたく思っております。

 加賀東谷は国指定史跡の九谷磁器窯跡と同じ奥山地区にあるので、これの整備を進め、山中温泉と山代温泉をつなぐ新しい観光ルートも創設できるのではと戦略を練っております。

 典型的な山村である加賀東谷は、過疎化、高齢化が進み、無住の家屋もふえています。今後の課題は、これらをどう保存して未来につなぐかということです。こうした問題を解消するため、加賀市では、平成の魯山人育成作戦を考えております。

 御存じのとおり、偉大な芸術家、北大路魯山人は、器と料理の天才とうたわれております。その魯山人が初めて陶芸に触れたのが、加賀市の九谷焼の窯元だったんですね。また、漆芸、漆です、これも、加賀市の山中漆器に影響を受けて、漆器の器をつくりました。そこで、九谷焼や山中塗、加賀料理の若手作家や職人や料理人のアトリエとして、重伝建地区の空き家となった古民家を活用してもらえないかというアイデアも出ております。

 こうした伝建活用と人材育成の一石二鳥の若手育成作戦に国からの積極的な資金援助はできないものか、期待をしております。いかがでしょうか。質問をいたします。

河村政府参考人 重要伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物については、主として、外観上認められる特性についてはその周囲の環境とあわせて保存を図るとともに、積極的な公開、活用が図られることが望ましいものと考えております。

 このため、文化庁においては、平成二十三年度、今年度から、文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業を実施いたしまして、ハード面では、市町村が行う伝建群保存地区内の建造物の公開、活用に資する設備や附属施設の整備事業に対する補助を行っております。また、ソフト面といたしまして、この事業で同じように重要伝統的建造物群保存地区を活用するということなんですけれども、伝統工芸技術に関する人材育成について支援をすることも可能でございます。

 これらの支援を通じまして、伝建群保存地区内の古民家の積極的な活用ということもぜひ図られるように努めてまいりたいと存じます。

馳分科員 こういった地方独自の素材を生かした地域振興策、これに対しては、やはり文化庁としても積極的に後押し、相談に乗るお願いをしたいと思います。

 この問題で最後になりますが、吉田さん、私はあのときに申し上げました。吉田前文化庁次長が日曜陶芸教室に通った、でき上がった作品は百年後に国宝になっているかもしれませんねと言ったら、そうですねなんて、にこにこしていたじゃないですか。

 いいですか。つまり、そういう伝統や文化を次代につないでいくということは、それに関心を持った、やはり人とは違うなという特別な才能を持った人をいかに育成していくルートをつくっていくかということなんですね。それは文化でもあり、もう一つ、経済産業省にお願いしたように、産業としての振興も期待ができるし、それをやはり衣がえ、衣がえをしながら現代風にアレンジしていく、そういった作用も必要であるということを私は申し上げたつもりです。

 中国景徳鎮の製品に日本のマーケットを席巻され、日本には焼き物産地が、もしかしたら将来消滅するかもしれないという不安も、不安ではないかもしれない。

 というのは、前回、私もこれは質問したと思いますが、日本の知的財産、名称、ブランド品がどんどんどんどん中国などで商標登録をされている。これは抗議すべきだと。何か知的財産まで勝手に名前を、国が違って登録されれば、そっちの方が本物かのようになってしまう、物量作戦で。これはやはりだめですよ、リアル・ジャパンは日本こそが守っていくべきだ、こういう指摘もさせていただき、当時は特許庁だったかな、こういったところも当然ちゃんと対応しておりますということでもありましたし、そういった経済的な不利益も回復する、合理性のある対応が必要だということも申し上げたと思います。

 そこで、古九谷の伝統を唯一継承している九谷焼の技術は、景徳鎮の今の技術をもってしても再現不可能と伺いました。今、逆に、中国へ九谷焼を売り込む絶好のチャンスです。果敢に中国に進出しようとしている九谷焼の陶芸作家も少なからずいるようです。国や国につながる機関は、未決着の古九谷産地論争で、そういった彼らの足を引っ張ることをしてはいけないと思っています。

 国家としては、経産省と文科省はしっかりタッグを組んで、九谷焼や有田焼の文化財名称の中国での商標登録問題にけりをつけてあげなければいけないと思いますし、同時に強力な資金援助もしてあげなければ、日本の焼き物産地のあしたはないと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

平野(博)国務大臣 本当に議員が一生懸命、伝統工芸品の問題、さらには歴史ある文化財についての御見識に、心から私は敬意を表したいと思います。

 それを逆にビジネスチャンスとして打って出るべきである、その方法についてもっとしっかりやってもらいたい、特に中国についての、名称が勝手に使われている、こういう商標登録の問題を含めて、御懸念をいただいていることでございます。

 私どもとしては、経済産業省、特に特許庁に対しまして、引き続き、この二国間でしっかりその問題について防止をしてもらいたいということと同時に、中国当局についても、国内における審査プロセスがあるわけですから、そこでは厳正にやってもらいたい、こういうことを強く要求しているところでございます。

 中国ですから、どれだけ、どうなるかわかりませんが、我々としての意思として、やはりはっきり明確に申し上げるべきであると思っていますし、文科省としても引き続き、そういう考え方で臨んでまいりたい。

 また一方、そういう意味では、伝統的な陶芸をやはり振興していくんだ、こういうことについての人材の育成の支援、さらには、海外での展示を開催するについての外国に対する告知を、文科省としてはバックアップしていきたいと思っておりますので、先生におかれましては、これからもさらにそういう視点で御指摘をいただきながら、ともに陶芸品、さらには伝統ある芸術についての振興をよろしく御指導いただきたいと思います。

馳分科員 今、平野大臣は、中国だからどこまでどうなるかわからないという、聞きようによっては信用していないような発言をされたので、そうではないということを後で訂正してください。

 その前に、特許庁、そうなんですよ。大臣が発言するのではなくて私が発言するなら許されると思うんですが、中国だから大丈夫かなという、ここがポイントなんですよ。

 私も、中国は本当に我が国の商標権の問題、登録の問題で対応してくれるのかなと非常に心配しております。これはまさしく経済産業省の、特許庁の守備範囲の問題だと思いますので、ちょっと明確に、今現在の中国の対応と、我が国として今後求めていくべき筋道をお教えいただきたいと思います。

橋本政府参考人 商標問題についてお答えいたします。

 まず、有田焼、九谷焼、ともに中国で第三者により商標登録がされていることは確認されております。

 本件は、悪意により他人が著名な商標を登録したということを理由に、その登録を取り消す請求をすることが適切な事案だと考えております。その場合は、制度上、当事者が手続を行うということにされてございます。

 特許庁としては、今委員御指摘のように、中国政府とさまざまな議論をしております。昨年九月に中国において、商標を所管する国家工商行政管理総局、その幹部と会談した際に、この九谷焼の商標登録問題は、国会で取り上げられるなど、我が国において非常に関心の高い問題であるということをお伝えしました。こうした日本の地名、地域ブランドを含む商標について、厳格に審査を行うように要請をしたところでございます。

 これまで経済産業省では、中国における商標登録問題に関する法的対応策マニュアルの作成、配付等の支援策や、中国政府に対する働きかけなどを行ってまいりました。このような中国政府への働きかけの結果、中国側は日本の地名等について厳格に審査するということを約束するなど、この問題に対する姿勢が変わりつつあるというふうに認識しております。

 今後も、文部科学省を初めとする関係省庁と連携し、我が国の地名、地域ブランドが適切に保護されるよう、引き続き自治体等に対する情報提供、あるいは中国政府との意見交換を行ってまいる所存でございます。

平野(博)国務大臣 先ほど不適切な発言をしたかもしれません。そういうことを申し上げたわけではありませんが、いろいろな、この問題ではなくて類似の、ビジネス上によく起こっておる案件もありまして、特に一つは海賊版でありますとか、いろいろなことがあるということですから、ぜひそういうことのないように我々としてもお願いをするということで、先ほどがもし誤解であれば、訂正をしておきたいと思います。

馳分科員 商標登録また著作権、こういった知的財産については、厳格に、我が国として産業政策と文化政策の観点から守っていくという姿勢を政府としてお持ちいただきたい、このことを申し上げたわけであります。

 では、次の話題に移りたいと思います。

 小学校二年生の三十五人以下学級について質問をさせていただきます。

 布村局長、お待たせいたしました。

 小学校二年生の三十五人以下学級実施に当たり、なぜ義務標準法の改正を見送り、加配定数の改善で対応することにしたのか、お伺いをいたしたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 平成二十四年度予算案におきましては、小学校二年生の三十五人以下学級について、加配定数の改善により対処するということとしております。このことは、我が国の厳しい財政状況の中で、政府として震災復興に最優先で取り組む必要があること、あるいは、施策のさらなる効果検証や地方での取り組みの進捗なども十分に踏まえた対応が必要であることなどを踏まえたものでございます。

 平成二十四年度予算案では、小学校二年生の三十六人以上の学級を解消するために、必要な加配定数を改善することによりまして、実質的な三十五人以下学級の実現につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

馳分科員 制度の恒久的な実施を行う上で法改正が必要です。すなわち、政府の予算措置による対応では次年度以降の少人数学級が担保されないと考えられますが、大臣はどのように認識をしておられますか。

平野(博)国務大臣 三十五人学級の実施をしていく上においては恒久的な制度として法改正が基本的に必要だ、こういうことはもう委員御案内のとおりでございます。

 したがって、今後の中におきましては、実質的に教育の質が向上でき得る教職員の配置を適正に行う観点から、法改正をしてでもやっていくか、いろいろ加配をしてやっていくか、こういう御議論は絶対出てくるわけでありますが、我々としては、実質上でき上がるように努めてまいりたい、こういうふうに考えているところであります。

馳分科員 平成二十四年度のこの小学校二年生の三十五人学級の予算要求の検討プロセスにおいて、法改正の議論をしましたか、しませんでしたか。

布村政府参考人 平成二十四年度予算の概算要求の段階では、小学校二年生の三十五人以下学級につきまして、義務標準法の改正を前提として基礎算定定数の改善を図るという要求をさせていただいたところでございます。

馳分科員 予算編成のプロセスで、やはり制度論ですから、法改正をする必要があると検討したのは当然だと思います。なぜならば、平成二十三年度に法改正したんですから。あのときの議論を踏まえれば、平成二十四年度の予算編成においても、一年生から二年生に繰り上がるわけですから、その分の確保ということを考えたら、文部科学省としては法改正をするのが当然です。

 しかし、予算関連法案としてまだ提出されておりません。そして、先ほどの答弁では、実質的に予算措置をされればよいというふうな大臣答弁もございました。この間のプロセスについて、布村局長にお伺いしたいと思います。

布村政府参考人 平成二十四年度概算要求の段階におきましては、先ほど申し上げたとおり、義務標準法の改正も前提とした形で、四千百名という形で定数の改善の要望をさせていただいたところでございます。

 また、政府内における予算の調整の過程におきまして、今年度につきましては震災復興に最優先で取り組む必要があるということが一つ大きな論点となってございました。また、さらに政府・与党の政策の検証の過程におきましても、少人数学級を設定した場合の教育的な効果というものもしっかり確認した上で今後の進め方を検討すべしという御議論もあったところでございます。

 そのような中で、二十四年度予算案につきましては、小学校二年生の三十五人以下学級につきまして、加配定数、いわゆる法律改正ではない形で、これまで各都道府県で取り組まれた三十五人以下学級のお取り組みも前提とした形で、加配定数の改善により対応するということと、今、予算上はさせていただいているところでございます。

馳分科員 少人数学級の教育的効果の検証を今さら言うことではないと思います。今まで全くやってこなかったのでしょうか。実質的に、小学校における三十五人以下学級、今までも三十五人以下学級はたくさんあるではありませんか。

 どうして今さら検証が必要なんですか。今までの少人数学級の検証で十分ではないんでしょうか。いかがですか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 これまでも実態として少人数の学級というのは存在しておりましたし、先ほど申し上げたとおり、各都道府県におきまして独自の御判断で三十五人以下学級を実施されてきたところもございます。

 今回、国として、昨年度法律改正によりまして、小学校一年生について国の制度として三十五人学級ができたという経過をたどってございます。そして、この二十三年度に実施された一年間の状況を小学校の校長会などからお伺いしますと、子供たちが落ちついて勉強できる、あるいはきめ細やかな指導ができるというお話は伺ったところでございます。

 先生おっしゃるとおり、これまでも少人数指導という形で定数の改善をして、少人数のグループによる指導としての教育上の効果というものは確認できているところではございますけれども、学級として、国として初めて実施したということもございますので、その点は改めてしっかり検証し、その上で、二十五年度以降の予算についてもそれを前提に検討は重ねていきたいというふうに考えております。

馳分科員 実態のお話をされました。これまで、全国の小学校一年生から六年生までの学級数という分母の中で、三十五人以下学級という分子はどのぐらいの割合であったんですか。

布村政府参考人 今ちょっと正確な数字は持ってございませんけれども、全国の平均値で、小学校ですと恐らく一学級の平均人数は三十人の前半の数字だろうと思いますので、過半は三十五人以下学級であったのではないかというふうに思います。

馳分科員 平均とおっしゃいましたから、少なくとも五〇%以上、六〇%か七〇%ぐらいは三十五人以下学級だったのではありませんか。

布村政府参考人 正確なところは今申し上げようがございませんけれども、推測の上では、今馳先生がおっしゃられたような見方になるのではないかと思います。

馳分科員 それなのに、今さら政策効果の検証が必要だと言う。取ってつけたような言いわけを布村局長はおっしゃったようにしか私には受け取れないんですね。

 財務省に言わされているんじゃないですか、そうやって言えと。どうなんですか、そこは。

布村政府参考人 先ほどお尋ねがあった件でございますけれども、小学校で三十六人以上の学級は一八・六%ですので、三十五人以下学級は八割。中学校におきましては、三十六人以上の学級が四割でございますので、六割が三十五人以下学級という実態になってございます。

 そして、先ほどの小学校一年生の三十五人以下学級の制度改正につきましての教育的な効果あるいは政策的な効果という検証につきましては、継続的にやっていかなければいけない課題だというふうに認識しておりますので、今回改めて、制度化したことを踏まえて、しっかり見てまいりたいというふうに考えております。

馳分科員 とすると、平成二十五年度以降の取り扱いについては法改正も検討対象としているということでよろしいですね。

布村政府参考人 平成二十五年度以降の取り扱いにつきましては、効果検証を行いつつ、学校教育の状況でございますとか、国、地方の財政状況等を勘案して、教育の質の向上につながる教職員定数の配置の適正化を計画的に行うということなどを引き続き検討することにしたいと考えております。

 このことも踏まえまして、教育関係者などから成る教職員定数に係る有識者会議におきまして、今後の教職員定数改善のあり方に関する議論を行っていただいているところでございます。

 この有識者会議におきましては、少人数学級の推進の今後のあり方や方策に関しまして、法改正による制度化も含め、幅広く議論を行っていただいているところでございます。その議論も踏まえて、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。

馳分科員 政策効果の検証の中には、地方財政や国家財政に与える影響についても議論をされますか。

布村政府参考人 政策効果の中には、先ほど申し上げたような教育的な観点、あるいは当然財政的な観点も十分踏まえて検討をいただくものと思います。

馳分科員 財政的な観点も加えて検討するということを、文部科学省の局長が明言してよろしいんでしょうか。

布村政府参考人 教育関係者初め有識者の方々の会議でございますので、まずは幅広く御議論いただいた上で、財政的な観点は政府全体としてまた協議すべきテーマでもあろうかと思います。

馳分科員 今ちょっと局長と事務的なやりとりをさせていただいた上で、大臣にお伺いします。

 ここは、恒久的な制度の実施と言えるためには、法改正は不可欠ではないんでしょうか。いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 委員御指摘のとおり、恒久的なものにするためには、法改正は必要である、こういうふうに思います。

 先ほど局長の方が答弁をいたしましたが、その質的な部分については、財政的な観点という御指摘もありました。これについては文科省と財務省との間で、実質、そういう教員配置の適正化、このことについてはやりましょう、こういうことについての合意は、財務省と文科省との間で合意を、私どもとしてはいたしております。

 そういう観点で、先ほど局長が答弁されましたように、有識者会議でいろいろな総合的な検証をして、やはり法改正までやっていこう、こういうふうになるのか、いやいや、実質、もうちょっと今の現状でいくべきかどうか、これを有識者でしっかりと御議論いただきましょうというのが先ほどの答弁だと私は理解しております。

馳分科員 私は昨年の義務標準法の改正のときに、国会でもいろいろ質問させていただきました。そのときにどうしても腑に落ちなかった点が一点あった部分はここなんですよ。

 今、平野大臣がおっしゃったように、教員配置の適正化、見通しの立つ学校経営を小学校の校長に、教育委員会の教育長に判断させるためにも、定数改善計画の見通しを中学校三年生まで立ててあげ、それを段階的に実施してあげるべきではないですか、したがって、この定数改善計画はどうなっているんですかと。ところが、去年の質問の答弁は、この法案ができた後とか一応検討していますとか、現状を見ながらという、要領を得ない答弁だったんですね。

 ここの文部科学省としての決断は、むしろ、財政的な観点はありながらも、これは全く無視しろと私は言っていません、財政的な観点はありながらも、現場の学校長の権限、教育長の権限、県の教育委員会としての人事の差配の判断、あるわけですから、文部科学省としては定数改善計画を打ち出すべきでありますし、計画的に人員配置ができるように、この背景には、今五十代の教員がどんどんどんどんおやめになって、若い二十代の教員をなかなか採用できないといういびつな人口形態も背景にあります。これは御存じのはずです、文部科学省は。

 現場のこういった人員配置そして定数改善ということは、計画的に教員を採用、研修、育成し、人事をとり行うという責任も地方の教育委員会には授権されているはずですから、大もととなる定数改善計画はやはり明確に打ち出すべきではないんですか。

 これは、まず局長の実務的なお話をお伺いした後、やはり大臣の見解をお伺いしたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 教育行政における国と都道府県の役割という観点からしますと、一般論としては、国として、大きな基準の設定でありますとか、大綱的な基準の設定、あるいは計画の策定という形で、大きな方向性を示す。そのもとで、各都道府県が地域性を発揮されて、創意工夫を凝らした計画を実施につなげていただく。そういう役割分担になろうかと思います。

 そういう中で、平成二十二年でありましたが、その段階では、文部科学省としても、長期的な定数の改善計画という案を持っておったこともございますけれども、平成二十四年度予算の要求の段階では、一つ大きな見直しの流れになってきております。

 そしてまた、先ほど大臣からもお答えいただいたように、今回の予算編成の過程におきまして、財務省と文部科学省で確認をいたしたところでございますけれども、その流れとしては、今後の少人数学級の推進や個別の課題に対応するための教職員定数につきまして、効果検証を行いつつ、学校教育の状況や、国、地方の財政状況等を勘案し、教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うこと、その他の方策を引き続き検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということを確認したところでございますので、今後は、そこを踏まえながらしっかり検証し、できるだけ都道府県において見通しを持って施策の展開ができるような流れにつながるようなことも含めて、検討をしていきたいと考えております。

平野(博)国務大臣 局長が答弁したことに尽きるわけですが、私としては、文科省は場当たり的にやっているということではなくて、それなりの根拠に基づいて計画をつくっているわけです。

 特に、小学校、中学校を含めて、六年、九年の部分につきましては、例えば、これだけの文科省としてのコストがかかります、あるいは、地方負担分を考えますとこれだけのコストがかかります、こういうことに基づいて、まずはそういう計画があって、政府としての意思をどういうふうにしていくか、これが政治の判断だ、こういうふうに思います。

 今回につきましては、震災等々ございまして、重要な事業であるということは認識しつつ、まずは一年生については法定化をする。二年生については、残念ながら、震災等々いろいろな案件があった、しかし、教育の現場については実質、やれるようにする。

 こういうことでありますから、我々としては、考え方の整理としては、トータルを見詰めながら、順次、確実に、現実の姿として実行していく、こういうことでありますので、先生の、法定化が必要であるということはそのとおりでありますが、法定化と加配という両面を、当然、子供が減っていくとか、学校の教員が退職していくとか、あるいは地域自治体の運営のあり方とか、こういういろいろな要素がありますから、画一的にこれでいいということにはならないということも持ちながら、着実に進めてまいりたい、このように思っています。

馳分科員 論点のフォーカスをしますね。

 定数改善計画をつくるおつもりはありますか。

布村政府参考人 先ほど申し上げたとおりになりますけれども、教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うということも含めて、その他の方策につきましても含めて、引き続き検討をしていきたいというふうに考えております。

馳分科員 実は今、一番ここを、本当は大臣に答弁してほしかったんですよ。

 つまり、私はきょうはできるだけ文部科学省の考えや実情をお伺いしたいと思って質問しています。きょうの答弁を精査しながら、次回、文部科学委員会では、財務省の副大臣か政務官をお招きして、徹底的に財務省に、教育制度論についてどう考えているんですかということを突っ込んでいこうと思っているんです。

 だから、まずは大臣、定数改善計画、少人数学級の制度論としての三十五人以下学級を去年義務標準法の改正でされたんだから、端緒が開かれた以上は、中学校三年生までの定数改善計画はつくりますというのが大臣答弁として私は当たり前だと思っているんです。

 ただし、計画はつくったけれども、震災もございました。財政的な状況もあります。つまり、国の行革法の縛りもあります。行革法第五十五条だったと思います。子供が減る以上に学校の先生を減らしなさいよという、あの部分ですよね。

 したがって、そこは横にらみをしながらも、教育政策の根幹として、義務教育における少人数学級、三十五人以下学級については、制度論としては進めますよ、この太い太い大黒柱の部分については定数改善計画はつくりますと、まずここから始めるべきではないかと私は思って、伺ったんです。

 大臣の見解をお伺いします。

平野(博)国務大臣 委員の御指摘、当然そうだと私は思っています。そのことを含めて、今、有識者会議で、そういう方向性は文科省として示していきたいが、皆さん方はどうですかというところの検討をいただいていますから、局長の言うように、私もそうでありますが、その有識者会議の判断を待って対応したいと思っています。

 ただ、案としては、少なくとも、定数改善計画というのは文科省の中にはつくってあるわけですよ、平たく言えば。例えば教員を、そういう状態でいけば四万人ぐらい要りますなとか、あるいはこれだけだったら一千億ぐらい文科省としてはコストがかかりますなということでありますが、先ほど言った不確定要素がいろいろな部分として出てきますから、一概に、これをもってやっていくということは、なかなか今お示しすることは難しい。

 しかし、少人数学級については、私どもとしては最重要な事業である、こういう認識だけはしっかり持っておりますので、実現に向けて努力したい、こう思っております。

馳分科員 不確定要素があるので、現場の要望にできるだけ弾力的に対応することができるように加配でやった方がいいんじゃないんですかというのが昨年の我々自由民主党の主張だったんです。でも、最終的には我が党も、大げんかの末、党内で議論の末、全会一致で義務標準法に賛成したんですよ。

 この議論があったので、やはり文部科学省は、なるほどと、全党一致で義務標準法改正を応援したんだから、ことしも二年生の分は法改正で出してくるだろうなというふうに思い込んでいたらこういう結果になったので、この話の続きは財務副大臣か財務政務官を委員会の場にお招きして、並んでお話を伺いたいと思っているんです。そういうことなんです。

 次に、関連して進めます。

 自治体の独自の努力により既に三十五人以下学級を実施してきた地域にすれば、加配定数分を引き剥がされて、三十五人以下学級の取り組みがおくれている地域に集中的に配当されるということは、今までの努力が報われない不平等なやり方である、こういう指摘がございます。この点については、どのようにお考えでしょうか。

布村政府参考人 平成二十四年度予算案におきましては、小学校二年生の三十六人以上学級を解消するために必要な九百人のほか、特別支援教育や小学校専科指導のために必要な千九百人、そして震災対応のために必要な一千人、合計三千八百人の加配定数増が盛り込まれているところでございます。

 先生お尋ねの、小学校二年生の三十六人以上学級の解消のための加配定数は、少人数学級を先行的に実施している県に対しては、御指摘のとおり、措置がされないということになります。そういうことから、加配定数での増加分の配分につきましては、各都道府県の意向も参酌させていただいた上で、予算の範囲内で、児童生徒の実態等のほか、各都道府県間の均衡にも配慮して適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

 実質、既に三十五人以下学級をされている県とそうではない県とのバランス、あるいは全体としてのバランスなどにも十分きめ細やかに配慮をしながら加配定数の配分を行っていきたい、そういう考えで今後努めてまいりたいと考えております。

馳分科員 石川県は、小学校四年生まで、独自に少人数学級、三十五人以下学級をしていると思いますが、間違いありませんか。

布村政府参考人 済みません、今、手元に資料はございませんけれども、御指摘のとおりではないかと思います。

馳分科員 布村局長の御出身の富山県も、独自に、小学校一年生、二年生、またその上の学級においても、三十五人以下学級ないしは少人数指導などをされているのではありませんか。

布村政府参考人 はい、富山県につきましても、今回の小学校二年生は既に、多分、石川県と同様に、県独自の取り組みあるいは少人数指導ができるような配置はされてきておると承知しております。

馳分科員 三十五人以下学級の取り組みがおくれている都道府県はどこですか。

布村政府参考人 四十七都道府県のうち、今回、少人数配置の配分の対象になるところは、東京都ですとか、千葉県ですとか、福井県という点でございまして、もう一度、最初から具体的に申し上げます。

 北海道、青森県、宮城県、秋田県、山形県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、福井県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県の三十五都道府県でございます。

馳分科員 三十五都道府県が、どうなんですか。

布村政府参考人 失礼いたしました。

 小学校二年生の三十五人以下学級が未実施の都道府県について、先ほど申し上げた三十五都道府県が該当するということになります。

馳分科員 では、小学校三年生より上、三、四、五、六年生で三十五人以下学級を独自に実施をしている都道府県はどこですか。

布村政府参考人 申しわけございませんが、今、そこの該当する部分の資料を持ってございませんので、調べた上で御報告させていただきたいと思います。

馳分科員 先ほど、局長は、九百人の加配の分については都道府県でならすというふうなおっしゃい方をしたんですよ。ということは、今年度まで、平成二十三年度まで、独自に三、四、五、六年生の三十五人以下学級を加配の措置によってやっていたところの加配の分を、今まで二年生で三十五人以下学級をやっていなかったところの加配に振り分ける、つけかえるということになるんですよ。そういうことではありませんか。私の解釈が間違っていますか。

布村政府参考人 先ほど御説明させていただいたように、加配定数につきましては、全体で三千八百という数でございます。そのうち、一千人分は震災対応ということで、被災三県を中心に配分されるものでございます。また、三十六人以上学級を解消するために九百人がございますが、その一方で、別途千九百人という数字も加配定数として存在しているところでございます。

 そして、小学校二年生の三十六人以上学級の解消に必要な加配定数については、申請のあった都道府県に対して申請どおり配分するということといたしておりまして、そこの該当県への加配定数の増加割合は定数の上の三%という数字が出てまいります。

 そして、小学校二年生の三十六人以上学級の解消に必要な加配定数が配分されない都道府県も現に存在しておりますけれども、これらの配分されない都道府県に対しましては、同じく加配定数の増加割合がおよそ三%に相当する加配定数をまず優先的に配分させていただくということで、各都道府県間の均衡に全体として配慮した措置が可能となるような工夫をしながら、できるだけバランスがとれるような配分に努めていきたいと考えております。

馳分科員 ちょっと何となく苦しい答弁に聞こえるんですね。つまり、加配の実績は、今までの実績を勘案しながら、平成二十四年度、小学校二年生の三十五人以下学級の九百人に割り当てる部分を措置するということなんです。平成二十三年度までの実績を勘案しながら、加配の分で少人数学級のところに割り振るということなんです。

 私はなぜこのことをちょっとこだわるかというと、石川県の竹中教育長から、石川県は小学校四年生まで独自に加配をやっていたと。ところが、平成二十四年度から国が二年生の三十五人以下学級をする上において加配でやるということになっちゃって、石川県が今まで独自にやっていた加配の分のつけかえをされてしまうんだ。それで、よくよく文部科学省の担当者の方にお伺いをしたら、その行き先は東京などの大都市だ。何で、田舎で頑張って予算措置をして、小学校四年生まで独自に少人数学級の効果を高からしめるために努力してきたのに、平成二十四年度から、今度三年生、四年生の分も引き剥がされて、東京の方につけかえさせられなければいけないんだ。これはやはり都会と地方の格差を拡大させるような措置ではないか。極めて不満である。

 だったらば、馳さんの言うように、義務標準法の改正をした上で、その上で加配の分を枠をとってほしい。そして、その与えられた加配の中で石川県として独自の予算措置をする、教育効果を高めるために。こういう理屈があるんならばわかるんだけれども、去年は法律改正でやっておく、ことしは加配で対応する、田舎の加配の分を、実績の分を引き剥がして都会にくっつけてしまうというやり方は、余りにも地方に対して、やはり実情を見ない、格差を拡大させるやり方ではないか、こういう心配の声、お叱りの声を、石川県の竹中教育長から承ったものですから。

 最終的に加配を配分する権限は国のはずなんですよ。市町村は意見を出すことができる。これに都道府県が最大限配慮する。これは昨年の義務標準法の改正で取り組んだところです。しかし、最終的に配る、最終的にあなたのところにはどの分野に何人の加配をというふうな権限は文科省の方にあるはずです。間違いありませんよね。

 したがって、ここら辺の実情を配慮しなければいけないんじゃないんでしょうか。

 もう一度、実務的なことですから、局長にお伺いしたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生のおっしゃる面、都道府県の方から御意見もいただいているところでございますけれども、平成二十三年度予算、今年度の予算でございますけれども、今回、法律改正に伴って、法定定数を積み上げるために加配定数の振りかえが行われたところでございますけれども、平成二十四年度予算案におきましては、二十三年度予算において行った加配定数の振りかえというものは行っておりません。加配定数の増を行っていることとなりますので、いわゆる加配定数分を引き剥がして、取り組みがおくれている地域に集中的に配当するという御指摘は、今年度の場合には当たらないという形でございます。

 その上で、先ほど申し上げましたように、少人数学級を先行的に実施されている県に対しては、加配定数はその分は配分されませんけれども、それ以外の加配定数を三%分はまず優先的に配らせていただく、その上で、全体としての配分のバランスをとるということで、できるだけ、先行して実施された県に不利益にならないような点は十分配慮していきたいと思っております。

馳分科員 そうすると、配分される三%分で今までの実績をクリアできるのかというのが都道府県の教育長のやはり心配事になると思うんですね。その指摘は間違いありませんよね。

布村政府参考人 そのような都道府県、既に実施された県も含めて、各都道府県の御要望は十分賜った上で、加配定数の配分につなげていきたいというふうに考えております。

馳分科員 大臣、ここは別にひっかけ問題でもないですから、議論として、お互いにおさらいしたいと思うんです。

 義務標準法の中で加配定数という制度がスタートしたのはいつごろのことだったか、そしてそれはなぜなのかという政策的な経緯というのを御存じでしょうか。

平野(博)国務大臣 いつだったかということについては承知をいたしておりませんが、加配という考え方というのは、やはり弾力的に、そのときの情勢に応じて配置ができる。法定化というのはびしっと決めていくものですから。そういうことをベースにやってきた、歴史のある問題だと私は思っています。

 ところが、これは私の認識ですから、馳先生だから素直に言いますが、加配と言いながらも、実質、定数に、ベーシックな数字になっているんじゃないかなというような気もいたします。したがって、本当に教員の定数配分というのはどういうふうにあるべきなのかという議論からすると、本来は私はやはりきちっと法定化していくことが一番好ましいし、我々もそう願っております。

 しかし、現実、局長おっしゃるように、加配で云々ということで現実的対応をしていることも事実です。ただ、私が言えることは、一生懸命それぞれの自治体が頑張っているから、加配しませんよみたいな不公平感を起こすことは私は相ならぬ、こう思っています。一生懸命やればさらに上積みできるような制度設計にしていくことが、この本来の仕組みとして成り立っていくんだろうと思っております。

 いつから加配が起こっているか、ちょっと私、今承知していません。

布村政府参考人 お答えいたします。

 加配定数につきましては、昭和四十四年の義務標準法の改正で制度化されたという経過でございます。その当時は、産炭地域あるいは同和地区等の教育困難校への加配、あるいは長期研修者の代替教員という形でスタートをし、その後、チームティーチングによる指導、通級指導、日本語指導に係る加配定数などが順次、制度化されてきた流れを持ってございます。

馳分科員 昭和四十年代半ば、最初に加配が始まったときの計画では、何人ぐらいの加配措置でスタートしたでしょうか。その数字はわかりますか。

布村政府参考人 済みません、今、探してみておりますが、ちょっと数字が今まだ見当たっておりませんので、また改めてお伝えいたします。

馳分科員 多分、昭和四十年代半ばは千五百人前後だったかと存じます。ところが、平成二十四年度予算での加配対象となる人数は七万人近いと思われますが、私のこういった数字的な概算は間違っていますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 当初の時点では千七百八十七という数字になってございます。現時点では六万五百五という形で伸びてきております。

馳分科員 大臣、ここはやはり大臣と、野党第一党の自由民主党として、議論をざくっとしておくべきだと思うんですね。

 昭和四十年代半ば、千七百八十七名の加配というところからスタートして、一気に六万人台にふえたわけではありませんよね。なぜ、当初千八百人ほどの加配という制度が、今日、六万人にまでなってしまったのかというおさらいをした上で、今後どうすべきかというこの政策の方向性について、私自身はやはり大臣とともに問題意識を共有したいと思って、実はこういった数字を参考にしたんですよ。

 私の考えは、今後も加配はふえざるを得ない。なぜかというと、行革法第五十五条の問題なんですよ。子供の数は減っていく、クラス数も減っていく、教員の生首は簡単には切れない。したがって、どう有効に現場に張りつけていくかという議論の中で、それは確かに昨年は震災対応があったり、スクールカウンセラーの問題があったり、専科教員の配置であったり、中学校における教科指導であったりと、こういうふうになってきた。でも、その本音の部分を考えれば、やはり、子供の数が減るけれども先生の数は簡単に減らせないよね、したがって、適正に配置をしましょうね、その基準をつくり、対応していきましょうねと。

 これは、さらにもう一つのポイントは、加配の定数を、どの県にどれだけ最終的に人数を配分するかという権限はどこにあるんですかということなんです。

 大臣、先ほど局長もおっしゃいましたけれども、加配の定数を最終的に配分する権限はどこにあるんですか。

平野(博)国務大臣 これは、先ほど局長が言ったかもわかりません、文科省だと思っています。

馳分科員 だから私は、ここを大臣とともに議論し、問題意識を共有したいと思っているんです。

 加配の配分の権限は最終的に文部科学省、文部科学大臣にあります。

 であるならば、国の教育政策を進めていく上において、義務教育の学校の設置者は市町村長ですから、いかに市町村の、特に学校長の求めに応じて、より安定的に手厚く優秀な教員を配置していくか、その一つの差配権を文部科学省が持っているということの認識を、私たち与野党ともに共有すべきであると思っているんですが、私の考えに間違いはありますか。

平野(博)国務大臣 基本的にはそのとおりだと思っています。

馳分科員 すると、ここで私はやはり一つのことを、現場の声をお伝えしたいと思います。

 一人でもいいから級外がいると助かるというのが小学校、中学校の先生方の概括的なお声でした。それは何でやと私もお伺いしました。級外というのは、クラスを担当しない方々です。

 なぜですか、こう聞いたら、事務処理の問題。まず一つに、学校として提出しなければいけない業務がありますから、そういった事務処理の問題が一つ。こういった問題は事務職員だけでは十分対応できないという意味から、フォローが欲しい。二つ目、保護者対応、警察や弁護士や司法関係者などとの渉外担当。当然その中に、三つ目、地域活動への担当。

 大臣も御存じのように、地元の小中学校に社会体育大会とかで行きますと、必ず地元の小学校の校長か教頭が出てこられますよね。土日の行事にはほとんど、校長、教頭は参加せざるを得ないわけですよ。したがって、これも渉外活動の一つです。あるいは、スクールガードリーダー、登下校のときの低学年の子供たちの安全を守る。

 あらゆる場面において、教職員は何でも屋です。そういったときに、担任を持っていて、あるいは中学校の場合に、専門的な教科を持っていて、プラス部活動もあって、校務分掌もあって、さらにそういった渉外活動ということになってくるから、やはり教職員のうつ病がふえてくる一つの要因はそこなんですね。

 今回の問題でいうと、級外が一人でもいると、学校の活動に渉外担当として、企業でいえば総務部長みたいなものですね。何でも屋というと言葉が悪いので、コーディネーターという言い方でも結構です。物すごく助かるんですよ。

 したがって、加配の教員を配置する、その理由というのをずらずらずらと並べてありますが、そこは、事細かく書くという部分と同時に、こういった渉外担当に、大規模校などは特に、配置がされると、現場はとても助かるんですね。

 こういった声について、大臣、現状で、私は今急にこの話を持ち出しましたので、大臣としてのお考えをいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 これも政治家同士の議論として、やはり、今そういう時代の大きな変化とともに、いろいろな、教員の果たす役割というのは、従前から考えておられたこととは違って、馳先生が今御指摘あるようなものがふえている、逆に負担になっている、こういうことですから、そんなことを踏まえて、教員の数というのは、基礎定数とプラス加配が適切にバランスがとれることが大事なんだろうと私は思っております。

 したがいまして、時代の大きな変化の中で、そういうものをしっかりと踏まえた加配なり基礎定数というものを考えた配置を、文科省、また当該の自治体と十分連携をとりながらしていかなきゃならない、このように思っています。

馳分科員 実務的なこともありますので、局長からも御答弁があれば、お願いします。

布村政府参考人 先ほど加配定数の総数につきまして平成二十二年度の数字を申し上げましたけれども、平成二十四年度予算の段階では六万二千六百五という数字になってきてございます。

 また、加配定数につきましては、先生からも御指摘がありましたとおり、少人数指導などの指導方法の工夫改善ということ、あるいは、いじめ、不登校、問題行動への対応という児童生徒支援という側面、あるいは特別支援教育に関する加配という形で、現代的な大きな教育上の課題を解決すべく、この加配制度が設けられているところでございます。

 それとともに、小学校の例でいきますと、教員の数は三十三万人という全体数になりますけれども、そのうち学級担任が二十七万人、学級担任外が六万人という形で、学校数に照らしてこの学級担任外の六万人という数字が学校現場の実態を十分踏まえて対応できるものかどうかというのは、今後また十分検討していくべき課題かと認識いたしました。

馳分科員 ありがとうございます。そういった数字をいただくと、よりわかりやすくなります。

 特に、困難校と言うと言葉は語弊があるかもしれませんが、大規模校は間違いなく、多様な保護者への対応というのが必要です。また、これもちょっと語弊があるかもしれませんが、市営住宅とか県営住宅など、いわゆる生活困難者の方々がお住まいの地域の担当小学校は、まさしく本当にいろいろな意味での事務処理が大変なんですね。

 こういったことも踏まえたきめ細かい対応という観点から、地域への対応、渉外担当の中でも地域社会の担当、この必要性は、やはり災害のときに避難場所が小学校になっているということを考えたら、どう考えても、学校の中に、町会、公民館、商店街、病院、警察との連携を常にとれる人がいるにこしたことはないわけですね。

 それを、本当に担任を持っている教員だけに任せていいのか、校長だけに任せておいてよいのか。確かに主幹教員というふうな形もありますけれども、やはりこういった地域担当、防災担当、安全担当、いろいろな意味での渉外担当ということは私はぜひ検討いただきたいし、大規模校においては特に考えていただきたいということを申し上げております。この議論は、また引き続き委員会でさせていただきます。

 私、質問通告をした後に、実は昨日、金沢大学の中村学長の求めに応じて現場の悲痛な声を伺ってまいりましたので、確認の意味でちょっとお伺いしたいと思います。

 一点目。与野党で話し合いがついたようですが、国家公務員の給与削減法案、マイナス七・八%の問題ですね。これは与野党で確認ができましたので、おいおい法案が提出されて処理されると思います。そうすると、中村学長の方から、国立大学運営費交付金、これにマイナス七・八%を適用しなければいけないんですか、する必要があるんですか、そういう圧力が文部科学省から来るんですか、国大協の学長同士で本当にけんけんがくがく、先週から心配で心配でならないんだと。

 さらに、本音を言います。被災地の復興財源として協力しろと言われれば否定するものではありませんし、すべきだと思います。ただし、だったら二年間の時限でやってもらうのが筋じゃないんですか。

 今後の長い長い研究、特に基礎研究を担う国立大学法人という立場から、この数字のひとり歩きが怖い、御示唆をいただきたい、いや、御示唆どころかどうしたらいいのか教えてほしいという切実な声があったので、私も急遽昨日、日曜日ですが、お会いしてお話を伺ったんですね。

 いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 今、特に国家公務員の七・八%カットに伴って国立大学の教員並びに職員の方も自動的にカットされるんじゃないか、されるんだったらどういうふうにされていくんだ、こういう御懸念の部分だと思っております。

 今、私のこの立場で申し上げますと、国立大学法人等の役職員の給与について、昨年の十月に閣議決定で、法人の業務や運営のあり方等に鑑みて、それぞれ自主的にそれぞれの労使関係の中で、国家公務員の給与の見直しの動向を見て必要な措置を講じてくださいねというのが一応そのときの閣議決定でございます。

 したがって、今回の臨時特例、これについて、国立大学の法人等に伴う交付金に関して、今後具体的に定められていくと思いますが、政府としては、それを踏まえて適切に、今先生が御指摘を言われたところも踏まえて対応していきたいというふうに思います。

 願わくば、そういう流れ、動きをしていますから、御理解をいただいて自主的にお考えいただきたいね、これから外すぞ、こういうことは文科省としては考えないけれども、趣旨は十分御理解いただきたいね、こういうのが私自身の今持っている気持ちでございます。

馳分科員 私は、あえて私自身の考え方として、被災地のことを考えればせめて二年間ぐらいは協力すべきではありませんか、こういうふうに申し上げました。私の提案をどういうふうに受けとめられますか。

平野(博)国務大臣 心情的にはすごく理解をしますし、私どもも国会議員としても同じ気持ちでございます。したがって、そういう思いは私としては持っておりますが、これはやはり組織としての部分でございますから、今後の対応はしっかり政府内できちっと詰めて対応したい、こういうふうに思います。

馳分科員 つまり、組織のことをおっしゃったので組織の話をすると、国立大学も法人という形をとっておりますから、法人として、学長は、経営方針に対して、理事の皆さん方にやはり方針を示し、理解を求めるという作業があるわけですよね。そのときに、国の方針はどうなんだろうかという、限られた情報と揣摩臆測の中で不安を感じておられる。だから、私はあえて、国が二年間と言っている以上は、まずは二年間というものは、七・八%というものは現実的な対応ではないでしょうかと。私は野党だから言いやすいんですよ。こういうふうに申し上げたんですね。

 大臣、やはり大臣の一言一言は、全国の国立大学の学長の方々にとって非常に重い一言であり、示唆に富むわけでありまして、恐らく大臣からの命令という形はできないと思いますから、それを踏まえて、もう一度御答弁をお願いします。

平野(博)国務大臣 少なくとも、もう少し具体的にいきますと、今回の臨時特別措置については平成二十六年三月三十一日までとする、こういうことはもう明確になってございます。

 その上で、先ほど私、申し上げましたが、法人の自律的な、自主的な労使関係の中で、国家公務員の給与の動向を見つつ必要な措置を講じてくださいということを要請する、これが正確な言葉だと私は思います。

馳分科員 そうすると、本当はここで岡田副総理に来てもらわなければいけないんですが、臨時特例措置は二年間で終わっていいんですか、消費税の増税の議論をし、財政規律の話をしているところなんだから、今後どうするか、こういうふうに予算委員会で岡田副総理も攻め込まれて、それはまたそのときにというふうな御答弁をしておられました。

 被災地復興支援の財源としての考え方ですから、臨時特例です。今我々は、消費税の増税について、私も含め、自由民主党の中はほぼ賛成です。しかしながら、まずその前にやるべきことは、国会議員の定数削減、国家公務員の人件費削減と来れば、当然、地方公務員の定数削減や独法の人件費の削減ということもやはり視野に入ってくる。ここはやはり共有しておかなければいけないんです。

 そうすると、国立大学法人からすれば、基礎研究を担っている人材の人件費、理工系ばかりではありません、人文系もいるとすれば、人材の海外への流出という不安も抱えているわけですよね。

 また、国立大学附属病院の先生方は教授として教育を担っておりますけれども、これはやっていられないよといって、私学やあるいは民間病院から引き抜きがどんどん来ているんですよ。そんな相談を、私は大学病院の先生からたくさんもらっています。私は、そんなことを言わないで、頼む、地域の医療のためにも、そして人材を育成していくためにもぜひとも残ってほしい、こういうふうな話をし、私の知っている銀行関係や企業の皆さん方に、できるだけ大学としての自主資金を確保できるように応援したりもしているわけですよ。これが地方の国立大学を取り巻く人件費の実態なんですね。

 それを踏まえて、大臣には、こういったことの配慮もいただきながら、地方の国立大学法人の人件費の問題について配慮してほしいんですね。本当はこの隣にやはり財務副大臣がいてほしいぐらいなんですけれども、いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 いつの世にも、あるいは物事を変えようとするときには、必ず先生御指摘の点が起こります。特に、国立大学の持っている使命については先生も重々承知で御発言されていると思っていますが、果たす役割は大きいということでございます。一方、臨時でやらなきゃならない、これは我が国の国民的な、国家的損失でありますから、国民の多くの皆さんに、全国民に御協力をいただいて対処しなきゃいけない震災対応だ、こういうふうに認識をいたしております。

 したがって、私の役割としては、もし国立大学法人について言いますならば、先ほど申し上げたようなことで対処していただきたいと同時に、貴重な人材がこのことによって外へ流出するということのないように、我々としてもそのリスクをいかに小さいように対応する、これは文科省としても、知恵を出しながら対応していかなきゃいけない、こういうふうに思います。

馳分科員 そうすると、また、反対の側面から私はアプローチしたいと思うのは、学位の評価。高等教育機関としての教育と研究の成果に対する評価、この外部評価というものをやはり厳格にやってほしい。

 大学は義務教育ではありません。厳しく厳しく学位評価をする、それも外部評価をするということ、私はこの方針で高等教育局長にも取り組んでいただきたいと思っておりますし、現状には私は、残念ながら満足しておりません。余りにも甘過ぎると言わざるを得ません。このことについては、また日を改めて、私はお伺いしたいと思います。

 それから二点目の問題。

 動物実験、実験動物の取り扱いについて、この心配は、きょうは環境省の方は来ておられるのかな。呼んでいないですね。では、そこは横にらみにしながらですね。

 実は、動物の保護及び管理に関する法律というのを、今から十年以上前に、私どもは議員立法として、超党派で改正をいたしました。動物愛護法となりました。その十三年ほど前から、動物愛護団体の皆さんや海外の愛護団体の皆さんから言われていたのは、日本の動物実験、実験動物の取り扱いが余りにもぞんざいではありませんか、ちゃんとチェックするようにしてくださいということが言われて、いきなり一のものを百という規制強化はできませんので、その思いを受けとめながらも、動物愛護法というふうな法改正にそういった一文も盛り込みながら、しかし現場のガイドライン、指針にお任せするような形で、信頼をしてやってきていただいておりますが、今また、この動物愛護法、これは五年ごとに見直しをすることにしてあるんです。

 これは毎回、議員立法でやってきているんですよ。議員立法の意味は、平野大臣も御存じのように、与野党の超党派の専門家が意見を集約し、官僚の皆さんや関係団体や大学の先生などから御意見を承って、取りまとめに入っているというのが実情なんです。

 そのときに、余りにも厳しい規制で、査察が入ったりとか、あるいは登録制度にしろ、そうなってくると、いわゆる企業秘密、研究の成果といった現場の知的財産までもオープンにせざるを得ない、ガイドラインに従って現場がやっているということをもうちょっと信用してほしいんだけれども、こんな声でありました。

 そこで、大臣なのか高等教育局長なのかにお伺いいたしますが、国立大学において、実験動物の取り扱いについてどのように対応しておられますか、お伺いします。

吉田政府参考人 先生御指摘のように、動物実験というのは、生物の生命活動を科学的に理解をするという上で非常に必要な手段でございます。その上で、人の健康あるいは医療の向上といったものに対しまして貢献が期待されているわけでございます。ただ、動物実験を進める際には、科学的な観点とあわせまして、動物愛護の観点、これも踏まえながら、適切に行われる必要があるというふうに考えております。

 平成十七年に動物の愛護及び管理に関する法律が改正をされまして、その四十一条のところで、動物実験における動物の苦痛の軽減、あるいは利用数の削減、あるいは代替法の利用という、いわゆる三Rが定められたところでございます。

 文部科学省では、これを受けまして、研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針、これを平成十八年六月一日付で策定いたしまして、研究機関にこれを発出し、研究機関におきましては、この指針を踏まえて、それぞれの研究機関内における必要な規程の制定あるいは動物実験委員会の設置など、法令等を踏まえた適切な動物実験が行われるよう努めてきたところでございます。

 文部科学省としては、やはりその研究の特性ということに配慮をした取り扱いが必要であろうというふうに考えておりまして、今後とも、この指針の周知及び遵守の徹底を図りまして、動物実験の適切な実施を促進してまいりたいというふうに考えております。

馳分科員 文部科学省として、この指針の周知徹底を図ってまいりたいというところで終わってしまっているのは現行動愛法の限界なんですよ。

 なぜかというと、文科省として、実験動物を取り扱っている施設に対して、多分所管しているといえば国立大学法人ですよね。私学もそうですよね。それから国立の研究所もそうですよね。大きく分けて、この三つの分野があるんですよ。そうすると、この三つの分野ともに、先ほどの指針にありますように、ピアレビュー、ちゃんとした確認作業がとられているんですか。それを確認するすべが、吉田局長、徹底させられるんですか。

 恐らく、これが始まったのは二〇〇九年とおっしゃいましたよね。二〇〇九年だったはずなんですよ。まだ三、四年しかたっていないはずなんですね、こういった指針が出て、スタートをして対応しているのは。

 だけれども、議員立法である動愛法の改正は目前に迫っていて、この実験動物の取り扱いについてどうするんだと、私たちも動物愛護団体の皆さん方から御意見を聴取している段階なんですよ。

 政府として、今進んでいますと胸を張って言えるような状況ではありません。足並みがそろっていないんです。国立大学と私学とまた国立の研究所、やはりこういったガバナンスが違いますので、十分に文部科学省としての目配りがきいていない、こういうふうに伺っているんです。改めてお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 先ほども申し上げました指針の関係では、その後、私どもの方でもちょっとフォローアップをさせていただいております。それぞれの研究機関内における規程の策定ですとか、あるいは動物実験委員会の設置ですとか、それからその機関の長によります実験計画の承認プロセスですとか、そういった、この指針が定めております基本的な措置というのを、私どもの所管する全ての研究機関において実施されているということを昨年十一月までに確認しております。

 なお、先ほど先生がおっしゃいましたように、今、この部分につきまして、見直しの議論が起こっているところでございます。この関係につきましては、国公私の大学などからも、私どももいろいろな意見をお伺いしながら、今、対処方針を検討しているところでございます。

馳分科員 ライフイノベーション、政府の経済成長戦略の大きな柱のはずです。iPS細胞バンク、これはやはり我が国家としても設置していくべきだ。山中先生初め、全国、佐賀大学とかいろいろありますけれども、応援していこうという中で、この実験動物の取り扱いが意外なブレーキになると同時に、逆に、より高いレベルの研究成果を得るためには、実験動物の飼養、管理、ちゃんとしなきゃ。そこら辺のブリーダーに任せてもらってきたような実験動物を使っていては、実験の精度が高くなるはずがないんです。

 だからこそ、一定のレベルの報告とそれに対する確認作業というのがどこかでできるようになっておく必要がありますよねというのが、今、議員立法の議論をしている現場の私たちの、実は悩ましいところでもあるんですよ。

 なぜかというと、これは政治家である大臣ならわかると思います。愛護団体の皆さん方が今実験施設に忍び込んで資料を盗み出したり盗撮をしたりすること、それを全世界にばらまいて、日本はこんな劣悪な環境で動物を虐待しているんだというふうに攻め込まれますと、本来の趣旨とは違ったところの議論が深まってきて、ちょっと論点がずれてしまいますよということになるんです。

 この辺を踏まえた対応が必要だと私は思っております。大臣、いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 私も何年か前、五、六年前でしょうか、大学病院における動物実験のことについて、愛護団体という考え方を七割ぐらいお持ちの方で、しかし必要性もあるね、こういうお考えの方が私のところへ来られたときに、私に申されたことは、何をどうしているかというのがわからないから、先生おっしゃるように、きちっと管理と、ある意味の情報を公開してください、できないものもあるでしょうということです。

 そういう意味の、愛護団体から見たときの、動物を虐待しているということだけじゃなくて、この社会に大きく、ある意味貢献をしてもらっているところもあるわけですから、そういうことで、管理と情報公開ということは、私もこれから、私の今の立場で、前向きに管理ができるように、情報公開ができるように要請をしてまいりたい、このように思います。

馳分科員 議員立法です。五年後の見直しがあります。だからといって、法改正ありきではいけないというのが私の主張です。

 大臣が今おっしゃったように、管理の実情の確認、そして情報公開のあり方について、全ての現場が同じレベルに、ガイドラインに従っているのか、この確認を今、文部科学省にしておいてほしいんですよ。現状も把握しないままに、立法府が議員立法だからといって法改正を、議員立法ということで、言葉は悪いですけれども、先走りしてはいけないと私は思っているんです。

 この二点、実情確認と情報公開のあり方について現場が対応できるかどうかの確認、この二点だけ大臣にお約束いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 先生の趣旨を踏まえて、現場にその確認がまずできるかということと、できないならば、できるように知恵を出せ、こういう指示をいたします。

馳分科員 最後に、これも週末の新聞報道で、私もあれっと思って心配いたしました問題をお伺いします。

 土曜日の報道に、これは共同通信の配信だと思いますが、「文科相「公表できない」 SPEEDI拡散予測 福島原発事故直後 省内文書に記載」されていた。つまり、文科省がSPEEDIの情報を持っていたのに隠蔽したのではないかと受け取られかねない報道がなされました。

 三月十五日の、多分、政務三役も入った、関係部局長も入った省議ではないかなと私は思いましたが、内部文書の情報公開によってこれが出てきたと。いや、こんな情報は外に出すべきではないという、その部分だけ切り取られて報道されています。

 まさか文部科学省が、手持ちの公開すべき情報を隠して、国民に報告すべきことを報告しないということがあってはならないと思いますが、この報道ぶりだけでは、文科相ら公表できない、こういう見出しでありまして、まず事実確認をしたいと思います。大臣、お願いします。

平野(博)国務大臣 今の先生の御指摘で、報道できないとか云々ということではありません。先生、どの新聞のペーパーかわかりませんが……(馳分科員「東京新聞です」と呼ぶ)東京新聞ですか。この点について、まず何点か、少し事実と違うところがございます。

 まず、この中にございますが、十六日の三役会議という表現がありますが、三役会議はやっておりません。文科省の事務方がつくったメモでありますが、ある意味、このメモについては、皆さんがオーケーという確認をとったわけではありませんから、極めてひとり歩きしているメモでもある、こういうこと。三月十九日付で、政務三役らが出席した、こういうことですが、これは、政務三役及び役所の幹部の方々が集まった省議でもないと思います。そういう会議の中での話であります。

 したがいまして、新聞報道でありますが、SPEEDIによる計算結果の取り扱いに関する検討経緯が記載された文書を文科省から公開をいたしております。その記事は、そのときの資料をもとに作成されたものと私は思っております。したがって、今何点か申し上げましたが、不正確な記述も含まれている部分もございます。そういうペーパーを政府の事故調の方に出してあるものですから、その中間報告にそういう記載があった、こういうことでございます。

 文部科学省としては、今、先生の御指摘もあるわけでありますが、今、政務官のもとに省内の検証チームをつくりまして、東日本の震災から復旧復興に関する取り組みの検証を進めてございます。したがって、私としては、SPEEDIに関する対応についてもこの検証の中で明らかにしたい、こういうことでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。

馳分科員 終わります。ありがとうございました。

湯原主査代理 これにて馳浩君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

若井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。赤松正雄君。

赤松(正)分科員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、まず大学改革の問題、それからその後は、理化学研究所が神戸とまた西播磨に持つ播磨科学公園都市、この二つの世界に誇るべき施設の利用方について、政府の考え方、取り組み姿勢、そしてこちらの御要望、地元のさまざまな要望を聞いてまいりましたので、もう既に御存じのことかと思いますけれども、改めて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、大学改革であります。

 この大学改革は、随分昔から、いろいろな角度で、日本の大学のありようということをめぐって議論がされてまいりました。このところ、東京大学の秋入学云々についての先鞭をつける話から始まって、急速にまた、そういう大学のありようという話が巷間いろいろな角度で論議をされているということがあります。

 私、きょう、地元の問題というよりも、世界に冠たる理化学研究所が持つ施設の話をする前段として、大学の現状というものについて、まず冒頭触れたいと思います。

 大学については、ありとあらゆる人がいろいろな発言をしておられるわけですけれども、まず、日本の大学はもはや限界に来ている、大学自体が旧態依然としたカリキュラムを墨守している、そういうところに原因がある、そんなふうな指摘もありますけれども、大臣は、この日本の大学改革というものに対してどのように取り組む決意を持っておられるか、これを冒頭お聞きしたいと思います。

平野(博)国務大臣 先生の問題意識は、ある意味では全く共有していると思っていますが、改めて、この大学改革、まさにしなきゃならない大きな背景というのは、やはり、日本の社会がグローバル化してきております。加えて、少子高齢という人口構造の大きな変化、我が国の経済社会をめぐる環境が大きく変化しているわけであります。

 そういう意味で、この日本を支えてもらう、また社会で活躍してもらう人材の育成、あるいは科学技術を通じたイノベーション等々、知の拠点としての大学が我が国に果たす役割というのは極めて大きい。こういう中にあって、先生御指摘の大学改革、いろいろなことを言われている、こういうことでございます。

 文科省としては、これまで、国立大学の法人化という改革、大学で外部評価を導入する、いわゆる認証評価をしていくという新たな視点での導入計画、あるいは競争的な財政支援を通じた教育の改善の促進など、今日まで進めてまいりました。

 それがどういう意味において評価されていくかということはこれからでございますが、一方、私どもの党内、与党の中からも、日本の大学が国際競争力において低下しているんじゃないか、社会のニーズに対応がしっかりできていないのではないか、こういう御指摘も頂戴いたしたわけであります。

 このため、私どもとしては、二十四年度の予算案におきましては、グローバル人材の育成あるいは国立大学の改革など、改革の推進のための所要の予算を計上させていただいているところであります。スピード感を持って進めていくために、省内に大学改革のタスクフォースを今設置し、努めているところでございます。

 折しも、そういう中にあって、東京大学におきましては、改革の一つの方法だと思っておりますが、九月の秋入学という考え方を導入する、こういう声もあるわけでありまして、改めて私どもは、我が国の持続的発展のために、必ずこれは大学改革をすればきっと社会改革にもつながっていく、こういう視点で進めていかなければならない、こういう認識に立っております。

赤松(正)分科員 そういう総論的な姿勢としては全く異論がないわけですけれども、今おっしゃったようなことは、かなり前から文科大臣がいろいろ言を駆使しながら言っておられるわけで、しかし、実態はなかなか進んでいない。もちろん、昔とは違った大学のありようというものがまた今展開しているということはあるにせよ、文科省のリード、さまざまな角度でのサポート、こういうものが必要だと思うんですね。

 そこで、単位互換が鍵。そのためには、カリキュラムにインターナショナルコードをつける必要がある、またセメスター制度がとられていないとうまくいかない。さらにはUMAP、アジア太平洋大学交流機構の単位互換スキームが大事で云々。

 これは、実は私、学問上の師匠というか大変お世話になっているのは、現秋田国際教養大学長の中嶋嶺雄先生とずっと、いろいろな角度で、今も隔月で学者また一部の政治家との勉強会等をやっているんですが、その都度さまざまな御意見を聞かせていただきます。先般も秋田国際教養大学に行ってまいりました。

 そういう点で、ある種小さい大学の秋田国際教養大学が先鞭的に先駆している、そして巨大な東京大学がそれに伴走しているというか、まあ伴走まではいかないんでしょう、その後を継ごうとしているのかな、そういう印象を受けるんです。

 まず、大臣にお聞きしたいのは、文科省は、先ほど来おっしゃったようなこと、また私が申し上げたことに対して、文科省としてバックアップ、支援すると言っておられるんだけれども、現実は一向に進んできていない、このことについて、どうしてかと思われますか。

平野(博)国務大臣 文科省としては、そういう考え方に立たなきゃいけないということで進めているわけですが、今先生おっしゃったセメスター制とか授業のナンバリング、これでやはりしっかりと具体的に実績として押さえていく、こういうことは非常に大事でございます。

 それ以前に、以上にと言った方がいいかわかりません、やはり教員の意識改革をしっかりしてもらわなきゃいけない、こういうふうに思っております。

 したがって、大学の設置基準の中に、学部や学科などに人材育成の目的を明確に掲げてもらう、また、教育内容や方法の改善を組織的、教員の意識改革のもとにあるわけですから、そういう研修の中に取り込んでもらいたい、こういうことでございます。いわゆる授業計画と成績評価基準をあらかじめ明示することによって、より客観性が出てくるわけですから、そういうことを各大学の改革の中に取り込んでもらいたい、こういうことを申し上げているわけであります。

 しかし、我々としてはそう申し上げておりますが、先生が御指摘のように、遅々として進んでいないじゃないか、何でなんだということでございますが、やはり、教育の活動というのが、それぞれの教授と言った方がいいのか助教授と言った方がいいのかわかりませんが、そこの個人のところに余りにも委ねられているというところですから、組織全体として取り組む意識をもっともっと持ってもらわなきゃならない。

 すなわち、よく言われる話ですが、教授の私的な持ち物みたいに研究室がなってしまっている。これを打破しなきゃいけないということで、私としては、この問題点を最重要視しながら、そこをやはり改革してまいりたい、こういうふうに思っております。

赤松(正)分科員 今の大臣の御意見に全く私も共感を覚えます。

 ちょっと聞いてみますが、中嶋嶺雄先生と会われたり、あるいは秋田国際教養大学に行かれたことはありますか。

平野(博)国務大臣 お名前は聞いたことがございますが、まだお伺いしたことはございません。

赤松(正)分科員 名前を聞かれた程度では困ります。

 この人は、もともとは中国論の第一人者で、日本じゅうが中国文化大革命を礼賛していたときに、たった一人と言ってもいいんですが、中国文化大革命を厳しく批判した、そういう人物で、大変骨のある人だと思います。

 大学改革についても非常にユニークな、そして、秋田国際教養大学の中では日本語は使わない、英語を使う、だから来いと言われて、なかなか私もちゅうちょした経験がありますけれども、非常におもしろい大学経営。ぜひ会われることをお勧めしますし、あっちの方へ行かれることがあったら、秋田国際教養大学に行かれることをお勧めします。

 さて、先ほど大臣が言われた、教授、教員、こういう人たちの保守性というか後進性、これは誰彼の教授を言っているわけじゃないので、大学の教授全体を指して言うのでありますけれども、私も教授陣の保守的体質が大きいと思います。

 というのは、理化学研究所、私の地元の播磨科学公園都市あるいは神戸、こういったところに行きますと、誰彼のことを批判するわけじゃないんですが、皆さんおっしゃるのは、やはりこの理化学研究所に対しても大学教授陣の抵抗というか、さまざまな指摘がいろいろな角度であります。

 例えば、一番わかりやすいのは、オール・ジャパンとしての取り組みをぜひお願いしたいというかやりたいと思っているんですということを、理化学研究所の皆さんの話を聞いていて思うのは、裏返すとオール・ジャパンにならない、やはりかなり個別のそういう動きというものが足を引っ張る、そういう側面があるのかなという感じがいたします。

 そういう点で、基礎研究や応用研究の充実に向けて、それを担う科学者やあるいはまた研究者が元気に活躍できる環境、予算の充実が大事だと思うんです。

 そこで、今申し上げた、一般的に大学の先生たちの保守性というのもあるんですが、同時に、これは苦言を呈したいんですが、民主党政権の科学技術全般に対する取り組み姿勢のずさんさ。発足当初、例の事業仕分けの段階でまさに民主党の演じられた姿というのは、本当に嘆かわしい姿だったと思うんですね。右往左往された結果、今ようやくこの姿勢が上向きになってきているということは認めますけれども、民主党政権は極めて基礎研究に対して冷たいじゃないか、こういう御指摘に対して、大臣、どう総括されますか。

平野(博)国務大臣 多分、蓮舫大臣の仕分けの中での業績、成果に対する考え方を、まず何を優先すべきかという短期的な視点での申し方であったんだろうとは思っていますが、私自身も民間でいたときに研究所におりました。そういう中で、研究、企画管理の部門にいましたから、評価というところを非常にシビアに見る。予算をつけるところにいたものですから、どういう評価をしていくのか、こういうことが非常に大事な視点であります。

 まして、国の枠組みでやるわけですから、貴重な税金を投入して研究開発、科学技術のイノベーションをしていくわけですから、そういう意味におきまして、無駄なところはやはり排除していかなきゃならないという視点に立ちながら、私は、科学技術、まさに我が国が世界に冠たる日本として、またグローバル化した社会に我が国が対応していくために、やはり科学技術というのは極めて大事である、こういう認識に立っております。

 ましてや、「京」というスーパーコンピューターの部分におきまして、私は科学技術というのは二番ではだめだと思っております。常に先頭を走ってこそ評価が高まり、またそれに伴って派生してくる技術が生まれてくる、それが新たなマーケットなりビジネスモードになっていくものと考えておりますから、私としては、科学技術こそまさに日本の将来の礎である、こういう視点でこれからも対応してまいりたい、かように思っておるところでございます。

赤松(正)分科員 大臣が言われたこと、大事なことであります。ぜひとも一番を目指して、あらゆる分野でしっかりとバックアップしていただきたいと思います。

 ところで、先ほど来申し上げております理化学研究所の神戸におけるスーパーコンピューター「京」、これは紛れもなく今世界一ということであろうと思います。

 また、播磨科学公園都市の八GeVSRの放射光施設に、プラス今度は放射線のエックス線自由電子レーザーSACLAというのがこの間スタートして、私も行ってまいりましたけれども、この二つの施設の世界一というのは現時点において紛れもないと思いますが、日本全体を見て、こうした位置づけ、今大臣も言われたその一番と言うに値するものは、ほかにどういうものがあるんでしょうか。

吉田政府参考人 今、赤松委員御指摘のSACLAあるいは「京」はまさに世界一だというふうに考えておりますけれども、それ以外でも、SPring8も世界トップクラスでございますし、そのほか、例えば再生医療という関係でいきますと、iPS細胞ですとか、そういったものを使った医療研究の進展もトップクラスになっている、こういうふうに思います。

赤松(正)分科員 事前に、どういうものがありますかとは質問通告を出していなかったのであれですけれども、今、全体的に、日本沈没と言われたり、あるいは日本崩壊と言われたり、さまざまなことが指摘されて、特に科学技術の分野でも、これはちょっと直接関係ないかもしれませんが、東大の位置が低くなったり、あるいはスイス国際経営開発研究所が出した国際競争ランキングですか、これが、かつて一位だったのが二〇一〇年には二十七位にまで転落したとか、そういうさまざまなニュースがある中で、私はもっともっと、この理化学研究所の神戸、そして播磨科学公園都市のエックス線自由電子レーザーSACLAなどというものを宣伝する、大きく力を入れて日本国民に伝えていくということは必要だと思います。

 もうここで詳しく述べませんが、SACLAなんていうのも何となく新幹線の鹿児島まで行くのと同じ名前じゃないかと言う人もいたりして、何かとんちんかんなこともあるんですけれども、そういうことが結局伝わっていないということがあると思うんですね。

 そういう点で、研究交流の場というものと、いわゆる産業への応用、こういうものについてしっかりと力添えしていく必要があると思いますが、まず、応用研究の成果を医療機関や産業界に移転するためのバトンゾーンの充実、そのための研究交流の場と技術移転に必要な予算というものをどのように拡充するかという点について、どのように考えておられるでしょうか。

平野(博)国務大臣 今委員、非常に大事な視点を指摘されました。

 特に、「京」というスーパーコンピューターにおいても、コンピューター本体は一番でも、やはり次のビジネスを起こしていくためのプラットホームが、いかに効率的に各研究所なりあるいはイノベーションしていくところに接合できるかというところが非常に大事な視点だと私は思っております。

 今何が問題かといいますと、私もつい先日、理化学研究所の研究テーマをずっと見てまいりました。あの理化学研究所というのは昔から歴史ある理化学研究所でございますが、研究開発をしますと、何らかのビジネスに必ずつなげていっているんですね。そういう仕組みを、私は、今、日本の科学技術というのは基礎研究だけやればいいんだと、そこから次のところへ橋渡しをする、いわゆる技術分野でいうと死の谷とよく言いますが、ここのところにどれだけ力を割いて橋渡しをしているかが一番大事だと思いますし、そこが先生御指摘の、そういうことをどれだけやっているんだということだと思っております。

 したがいまして、私どもとしては、今まさにグリーンイノベーションあるいはライフイノベーション、こういうことで、橋渡しをしっかり、時間軸を切って決めて成果が出せるようなトータルとしての制度設計を考える、そのための予算を国家戦略としてつけていきたい、こういうふうに政府としては考えているところでございます。

赤松(正)分科員 その点、そうした予算拡充について強く御要望しておきたいと思います。

 あわせて、産業利用に配慮した利用環境を構築するために、セキュリティーを確保した利用者の作業用個室をアクセスポイントとして設置するに当たって、きょう三月五日まで、二月十三日からずっと文科省は公募をしたようでありますけれども、このアクセスポイントについて公募をした結果、きょう三月五日が締め切りですから、まだ最終的なあれはまとまっていないかもしれませんけれども、どのような状況だったでしょうか。

吉田政府参考人 「京」を中核といたします革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ、いわゆるHPCIの運営に当たりまして、産業界の研究開発に係る機密保持に配慮した利用環境を整えるということは大変重要でございます。

 そこで、赤松委員御指摘のような、いわゆる作業用個室、アクセスポイントを今、関東と関西などに二拠点以上を設置し運用する、こういう予定にしております。

 この事業は、国からの委託を受けました事業者によって実施するということを予定しておりまして、本年の二月十三日からこの事業実施主体の公募を開始しておりまして、御指摘のように本日三月五日がその公募締め切りというふうになっております。今後、提出されました企画提案書につきまして三月中に審査を行いまして、事業実施主体を選定し、予算成立後、四月以降に契約を締結していきたい、こういうふうに考えております。

 また、産業競争力強化のためには、産業界に「京」を中核としたこのHPCIを活用していただくことが重要であるというふうに認識をしております。そういう意味では、このアクセスポイントの設置のほか、産業界に配慮した基準の設定ですとか、あるいは事前相談、さらに技術支援などなど、「京」の産業利用促進策について積極的に講じてまいりたいというふうに考えております。

赤松(正)分科員 今、吉田局長が言われましたようなことも含めて、この「京」については、防災、減災に資する研究とか、あるいは医療の分野、さまざまなこういった分野についての研究成果を社会や生活に還元する、そういう仕組みの構築というものが非常に大事であるというふうに思います。

 さっき、世界一というのはどういうものがあるかとお聞きしました。あのとき私は優しく、別に事前に届け出なかったからと言いましたけれども、ぜひ局長、世界に誇るべき日本の技術、そういう施設はどことどこで、そこに及ぶものはどれなんだというようなことを常に念頭に置いていただいて、事前に言わなくてもわかるようにしておいていただきたい。ちょっとおくればせながらの御忠告ですが、そういうふうに思うわけであります。

 もう一つの大事な、大型放射光施設SPring8とエックス線自由電子レーザーSACLAの利用促進という問題でありますけれども、これもまさに文字どおり、今、世界一。もちろん、さまざまな国が急速な勢いでこの分野に参入しておりますので、追い抜かれることも起こり得るわけですが、ぜひここにしっかりとした支援の手を差し伸べる。大型放射光施設の産業利用に向けた支援の充実とか、あるいは、このエックス線自由電子レーザーSACLAの利用促進について、やはり特段の支援策が必要だろう、こう思うんですね。

 そういう点で、エックス線自由電子レーザーSACLAの利用促進についてどのような取り組みをするのか、簡単にお願いします。

吉田政府参考人 明後日、三月の七日に供用開始を予定しておりますエックス線自由電子レーザー施設SACLA、これは、革新的な光源を用いまして、これまで見ることのできなかった原子、分子レベルの超高速の動きを分析することができる、まさに今世界最先端の研究施設ということでございます。

 私どもとしては、まず早期にこの画期的な成果を創出することによりまして、国内外のユーザーを引きつけ、さらなる成果の創出を図るというところを目指してまいりたいと考えております。

 このため、文部科学省におきましては、重点的に研究を推進し早期に成果を創出すべく重点戦略分野を定めておりますが、その分野における利用研究を推進するため、平成二十四年度予算案の中には十億円を計上させていただいているところでございます。

 なお、本件につきましては、本年二月より研究課題の公募を開始しておりまして、予算成立後、五月中旬にもそれぞれの研究課題を開始し、先ほど委員も触れられましたけれども、革新的な治療薬あるいは新規の材料の開発などのさまざまな課題につなげてまいりたいというふうに考えております。

 私どもとしては、今後とも、世界に誇る我が国のSACLAを最大限活用いたしまして、さまざまな研究者に画期的な成果を創出していただき、我が国の国際競争力の強化につながるよう努めてまいりたいと考えております。

赤松(正)分科員 先ほど来申し上げております京速コンピューター「京」とエックス線自由電子レーザーSACLA、世界一のこの二つを、神戸と姫路のこの二つを結ぶ高速ネットワークの整備が非常に大事だ、こういう指摘があるわけで、兵庫県もあるいは神戸市も強くそのことを要望しているわけです。

 両施設を高速大容量の専用回線で結ぶネットワークの構築について、どのような取り組みをされるのか。

吉田政府参考人 赤松委員御指摘のように、まさに世界一の両方の施設を結んで、新たな成果を出していくということは大事でございます。そういう意味で、今まさに、超高速で両施設を結ぶ通信網の整備、これを同時に行っているところでございます。

赤松(正)分科員 先ほど来申し上げてきております、今元気がいまいち出ないと言われている日本にあって、本当に大きな、世界に誇るべきものがあるこの兵庫の二つの施設について、あらゆる角度での支援が必要だということを先ほど来申し上げているつもりなんですが、播磨科学公園都市、大臣、行ったことはありますか。

平野(博)国務大臣 ございます。

赤松(正)分科員 当然、長い年数がたっているので、行かれたと思います。

 この播磨科学公園都市は、実は、できたとき、すばらしき新世界がそこにできる、そういうふれ込みで、まさに私たちも期待を持ったし、多くの関係者もそういう期待を持ったんですが、行かれて感じられたと思いますが、極めて、何となく寂しい。もちろん、そういう巨大な施設が立派な仕事をしているわけですけれども、存在している地域全体が非常に、ある種閑散としているという側面があります。文科省の人たちと議論したときも、正直、行ったときにそういう感じを受けましたということを言っております。

 実は、なかなか企業が来ない。ちょうどバブルが崩壊した時期と重なり合っているということもあるわけですけれども、いわゆる後背地、そうした播磨科学公園都市、SACLAやSPring8を支える研究環境あるいはまた学者の皆さんの住環境、こういったものが極めて不安定であるということについて、大臣はどういう御認識と、どういう対応策を考えておられますか。

平野(博)国務大臣 先生ありがとうございます。

 私も、地元で関西学研都市構想という構想がございまして、関西の科学技術の、東の筑波、西の関西学研都市構想ということで、鳴り物入りでつくっていったわけであります。しかし、現実にはなかなか、経済状況が変動する中で寂しい部分がございます。

 今委員指摘されましたように、今回は、特に播磨科学公園都市ということで、科学技術の拠点と同時に住環境もしっかり整えた、こういう制度設計でやらなきゃ、いい研究者、技術者も来ません。そういうところも踏まえながら、物づくりの産業がやはりそこに、研究、物づくり、そういうものがしっかり集積したまちづくりを目指さなきゃならない。

 そういう意味では、先ほど来御議論いただいていますが、SPring8、SACLA、そういう世界に冠たる研究施設があるということを踏まえながら、今回、播磨科学公園都市構想を含む関西圏において、こういうイノベーション特区をそこに指定いたしまして、今までそういうふうにやってきたけれども、失敗事例も十分踏まえながら、大きな拠点として発展するように文科省としても応援をしてまいりたい、私はこのように思っております。

赤松(正)分科員 今のお話、非常に大事です。今までは、どちらかというと、そういう住環境というような部分は兵庫県任せにしていた傾向が強いと思うんです。そうじゃなくて、しっかり国を挙げてバックアップする姿勢を持ってもらいたいということを強く強調いたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

若井主査 これにて赤松正雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)分科員 それでは質問させていただきますが、万葉集を詠んで質問するということにしておりますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは、だんだん春が近づいてくるということで、冬と春の間のような歌でありますが、雪が消え残ったのが、桃の花なんだろうか、雪なんだろうかという歌を詠んで始めさせていただきます。

 万葉集巻十九、四千百四十番。

  我が園の李の花か庭に落りしはだれのいまだ残りたるかも

 それでは、よろしくお願いいたします。(拍手)

 まずは、教育の質の向上についてということであります。

 今回の文部科学省さんの予算の中では、教職員定数の改善によりまして、小学校二年生まで三十五人以下学級の実現を図られたわけであります。それはそれで大事なことでありますが、こういった一連のことに取り組まれる際に、最初は条件不利地域の小中学校の複式学級の解消ということも念頭に置いておられたわけでありますが、そこには至らなかった。このあたりの背景、経緯をまずお伺いいたします。

布村政府参考人 お答えいたします。

 平成二十二年八月に文部科学省が策定いたしました教職員定数改善計画の案におきましては、小規模校における教育課題改善の観点から、中学校の複式学級の解消などを盛り込んでおりましたけれども、平成二十三年度の予算編成過程におきまして、小学校一年生の三十五人以下学級は平成二十三年度から実施するものの、その他の計画案は実現に至らなかったという経過をたどっております。

 その後、文部科学省では、今後の学級規模や教職員配置の適正化につきまして検討するために、昨年の六月、教育関係者などから成る有識者会議を設置し、検討を続けてきたところでございます。昨年の九月、その会議における中間取りまとめにおきましては、小学校二年生の三十五人以下学級の実施を最優先に取り組むこと、また、特別支援教育や東日本大震災により被災された児童生徒への支援などのための加配定数措置が必要であることという形で明記をいただいたところでございます。

 小規模な学校における教育上の課題の解消などにつきましては、今年度、二十四年度予算においてもまだ実現に至っておりませんけれども、今後さらに検討が必要な事項として整理をいただいたという経過でございます。

橘(慶)分科員 ありがとうございました。

 流れはこういうことでありますけれども、そういった小学校二年生、それから特別支援学校、また東日本大震災、大変大事なことであります。そういうことに対して、教職員定数は、自然減を踏まえて三千八百人の定数改善で措置されたわけであります。これは、予算額で見ますと、しかし全体の教職員の数は減るものですから、七十億円の減というような形に仕上がっているわけであります。

 二十二年度の文部科学省の「新・公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(案)」、最初の案によりますと、複式学級の解消にどれくらいの教職員の方の人数が要るかといえば、小学校一千人、中学校四百人、国費ベース三十億円、これが二年前のデータなわけでありますけれども、現状も大体これくらいであるか、確認をいたします。

布村政府参考人 ただいま先生から、平成二十二年度の段階の案に基づいた数値をおっしゃっていただきましたけれども、御指摘の内容を今年度、二十三年度の児童生徒数に基づき試算した場合においては、小学校で約一千人、中学校で約四百人の定数改善が必要となり、これに係る義務教育費国庫負担金の予算としては約三十億ということで、二十二年と基本的に同じ数値になってございます。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。先ほど申し上げたように、七十億円の減に対して、あと三十億円だったかな、あと中学校だけなら四百人だったかな、こういう思いがあるわけであります。

 それで、平野大臣に、私の思いも含めてお答えいただきたいわけですけれども、私もいろいろなところを見てまいりますと、条件不利地域の中には、通学距離とか時間の関係でどうしても学校統合がなじまない、スクールバスで通ったら何時間もかかっちゃうとか、谷を一つ越えなきゃいけないとか、そういうところでは、できるところは小中学校を一緒にしてみたりいろいろな工夫もされているわけであります。

 そういう努力もしている中で、中学校も二年、三年ともなると、技術・家庭科とか美術とか、科目もだんだん専門化してまいります。中三の子になると、高校に行くときの受験ということも控えております。何とかここを、中学校の複式学級の解消というのは早い段階でテーブルにのせてもらいたいなという思いがあるんですが、平野大臣、いかがでありましょうか。

平野(博)国務大臣 先生御指摘の点、私は非常に大事な御指摘だと思っております。特に、やはり過疎地域の学校特有の課題というのがありますから、それ以外のところと余り比較することはよろしくないと私は思っています。

 そういう意味で、教育指導上の課題というのはやはりしっかり解消する、こういうことで、私も今、先生の御指摘を受けまして、教職員の定数のあり方、特にこういう点を留意してやるようにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

橘(慶)分科員 どうもありがとうございます。

 それで、先ほど布村局長からお話のありました検討会議というのが、去年は九月に中間報告でしたが、二月からまた再開されたやに聞いております。今の大臣の御答弁も含めまして、今後の複式学級の解消に向けた、そういったことを含めた進め方についてお伺いいたします。

布村政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、今後の少人数学級の推進や、先生御指摘の中学校の複式学級の解消などの個別の課題に対応するための教職員定数について検討を行うため、この有識者会議を先月二十日に再開させていただいたところでございます。

 この会議におきましては、過疎地域の学校など小規模な学校における教育指導上の課題の解消などの、学級規模の点や教職員配置のあり方についても検討を行っていただくということとしておりまして、引き続き、小規模学校の教育環境の向上の観点からこれらの課題を検討いただき、それを踏まえて、文部科学省としてもしっかりと検討を重ねてまいりたいと考えております。

橘(慶)分科員 このことをどうかよろしくお願いいたします。

 なおまた、事務方の皆様方には、こういったことについて今までいろいろと教えてもいただきまして、いろいろと御配慮もいただいていることは、まずお礼を申し上げたいと思います。

 続きまして、これは今教職員の、人のお話をしましたが、今度は学校の建屋のお話であります。

 公立学校の耐震化、この二十四年度予算で、今までの補正等の積み上げも含めまして、いよいよ耐震化率九〇%に到達するというのは大変喜ばしいことだと思っております。二十七年度に一〇〇%を目指す上での今後の進め方、また、東日本大震災を踏まえて、地域の避難拠点としての役割に対応した整備の方針を伺います。

清木政府参考人 先生御指摘のとおり、二十四年度予算案に基づく事業を進めますと、公立小中学校の耐震化率は約九〇%になる見通しでございます。また、御指摘のとおり、耐震化につきましては、文部科学省といたしましては、平成二十七年度までのできるだけ早い時期に完了させるということを目標としております。

 したがいまして、今後とも必要な予算を確保しますとともに、耐震化率が低い地方公共団体につきましては、さらに耐震化の取り組みを進めてもらうよう個別に働きかけることも含めまして、耐震化の完了に向けた取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。

 また、東日本大震災におきましては、多くの学校施設が避難拠点としても機能いたしましたことから、地域の避難拠点としての整備も大事であるというふうに考えております。

 このため、平成二十四年度予算案におきましては、備蓄倉庫や自家発電装置の導入などを補助対象といたします防災機能強化事業を創設することといたしておりまして、これらを通じまして、防災機能の強化も推進してまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 そしてまた、学校の建物でありますけれども、私も自分の人生を振り返ってみますと、小学校と高校は木造で、中学校は鉄筋コンクリートだったわけです。やはり木造というものについては、非常に温かみもあります。また、国産材の使用拡大を図るという観点もございます。

 私は、栃木県茂木町の茂木中学校というのを見せていただいたんですが、町有林を利用して、地元の材でできるだけ学校施設を木造化したという取り組みを見せていただいたこともあります。やはりこういったことについて可能な限り推進していってはいかがかと思うわけであります。

 あわせて、省電力、エコ対応の取り組み状況についてもお伺いさせていただきます。

清木政府参考人 先生御指摘のとおり、学校施設に木材を使用することにつきましては、やわらかで温かみのある感触を与えられることによる子供たちに対する心理的効果、また、空気中の水分を放出し吸収する機能、調湿作用による快適な学習環境の形成などの点で、豊かな教育環境づくりを進める上で大きな効果があると考えております。

 また、地域の木材を活用することは、地域経済の活性化や地場産業の振興につながりますし、また、それらを題材とした学習にも貢献するというふうに考えております。

 一方で、木造建築物につきましては、建築基準法に基づく建物の規模や階数に伴う制限等がございます。

 このため、文部科学省といたしましては、農林水産省とも連携いたしまして、木材利用に関する事例集の作成や講習会の実施を行うとともに、木材を利用した学校施設の整備に係る国庫補助を行うなどの支援を行っているところでございます。

 また、省電力やエコ対応といたしまして、文部科学省では、環境を考慮した学校施設、エコスクールの整備に取り組んでおりまして、その整備に係ります国庫補助や、関係省庁と連携してのエコスクールパイロットモデル事業などを実施しているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携いたしながら、学校施設の木材利用やエコスクールの整備を推進してまいりたいと考えております。

橘(慶)分科員 自然に優しい学校は人に優しい学校だと思います。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、高等教育の、大学教育の方のお話を幾つかさせていただきたいと思います。

 国立大学法人の予算につきまして、ことしは少し取り組みがありまして、運営交付金自体は百五億円減額になったわけでありますけれども、新規に改革強化推進事業ということで百三十八億円が設けられたわけであります。内容的には、大学の枠を超えた連携の推進、教育研究組織の大規模な再編成、また個性、特色の明確化、こういったことを促すということになってございます。

 私ども地方にいる人間にとっては、やはり地方大学というのは地域の知の拠点であり、そこに学ぶ学生さんたちというのはある意味で地域の活力の一つの源でもあります。ですから、地方の大学とその地域との連携ということは、地域づくり、地方の活性化において非常に大きい役割を果たすものと思っております。

 そこで、そういった観点を含めて、この改革強化推進事業で目指す方向につきまして、平野大臣にお伺いいたします。

平野(博)国務大臣 今まさに御議論いただいておりますが、大学改革、こういうことを進めようということでございます。

 これは、かなり前から言い尽くされておりますが、もう待ったなしの状態になっている、こういう認識のもとに、文科省としては、具体的に、改革強化推進事業ということで百三十八億円を計上させていただきました。特に、大学の枠を超えて連携する、あるいは教育機関の再編、こういうところがあるわけでありますが、そういう中に、個性とか、あるいは議員御指摘のそれぞれの地域の特性をしっかりつかんで改革を進めていく、特に地方大学における改革もやはり特徴を持ってやってもらわなきゃならない、こういう思いで、スピード感を持って対応するために予算を計上したところでございます。

 したがいまして、文科省としては、地方の国立大学において、地域の知の拠点として、また地域社会の発展を担う人材を育成する、こういう観点、また地域産業の振興にやはり役立ってもらう、こんなことにも対応していただくために、積極的にこの部分で大学改革が、そういう趣旨のもとに進められることを文科省としては期待いたしております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。ぜひ、そういうことで地方の後押しもお願いしたいと思います。

 それで、改革途上にあります国立大学法人ということでありますが、改革を進める手だてに、こういう御時世でありまして、どうしても評価ということがついて回るわけであります。しかし、この評価というのはなかなか難しいものでありまして、評価をして、結局、最後に何が変わったかよくわからなかったり、評価の都合上、全部AとかBとかつけてみたとか、やはり評価にかかる労力とアウトプットとのいわゆるつり合い、この辺は非常に難しいものがあると思います。

 以前お伺いしていまして、やはり二十二年度あたりから少し見直しもかけるということに聞いていたわけでありますが、その後、効率化、重点化ということについてどのような改善が図られているのか、一度確認をさせてください。

板東政府参考人 ただいまお尋ねの評価でございますけれども、平成二十二年度から第二期の中期目標期間がスタートしておりますけれども、この新しい中期目標期間から、大幅に評価の効率化、重点化を図らせていただいているところでございます。しっかり評価するとともに、合理的に評価システムを改めるということに取り組ませていただいております。

 今後も、大学改革の検討の状況に応じまして、必要な見直しを加えながら充実をしていきたい、改善に取り組んでいきたいというふうに思っております。

橘(慶)分科員 評議員をやったこともあるものですから、こんな分厚い評価書ということで、量ではなくて、何を変えたかが大事なんだろう。そこは、ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 そこで、そういった評価にも絡むんですけれども、法科大学院の問題であります。法務委員会ではかなり議論させていただいているんですが、司法試験の三振制ということもありまして、一応、法曹教育ということで始まっている法科大学院なんですが、なかなか法曹の道にたどり着かない、諦めざるを得ない修了生というのが実は半分以上という状態になりつつあるんだと思うんですね。

 確かにそれは自己責任といえば自己責任ですが、しかし、法科大学院も、法曹教育だ、あなたも弁護士になれるんですということで、中には、社会人からあえて志してという方もいらっしゃるということであれば、どういうことになっているのか、修了生の進路ぐらいはやはり把握していくことが非常に大事じゃないか。今、そういったことでお願いをしているんですけれども、どういう形になってきているか、わかる範囲でお願いしたいと思います。

板東政府参考人 ただいまお尋ねの法科大学院の修了者の進路につきましては、ただいま文部科学省といたしましても、各法科大学院の方に、その把握状況を調査させていただいております。今精査中でございますので、きょう時点で全体の詳細な状況を御報告できないところでございますけれども、近くまた公表させていただきたいと思っております。

 ちょっと例を申し上げさせていただきますと、傾向といたしまして、平成二十年度修了者を取り上げてみますと、四割強、五割弱でございますけれども、これが司法試験に合格している。一割弱が就職、前職への復帰ということも含めてでございますけれども、ほかの職へ就職している。それから、二割弱が司法試験の受験勉強中ということでございます。約三割については大学の方も把握できていないという状況でございます。

 こういったところの把握も含めまして努力をしていく必要があると思っておりますので、先ほどの把握状況につきましては、早急に取りまとめをいたしまして、また発表させていただきたいと思っております。

橘(慶)分科員 せんだってから給費制でいろいろお話があったのは、この四割強の受かった方々の話。実は、五割強の方々は受かっていない話。そして、その中で特に三割の方は、それは今ちゃんと自活されていますということなのか、ひょっとしてドロップアウトじゃないですよねという、この辺ですよね。

 今少子高齢化という中で、やはり人材というのは非常に大事でありますので、そこをどうしていくのか、そして、そのために私たちはどうしていかなきゃいけないのか。そのためにはデータがないと始まらないので、ぜひお取り組みをよろしくお願いしたいと思います。

 今、弁護士それから会計士、そういったところはみんな士業ということで、ビッグバンをした後の後始末みたいな話で非常に困っているという状況にあります。

 その中で、私は、これは取り越し苦労の心配ですけれども、例の研修医制度が始まってからお医者さん不足ということになって、お医者さんについても今定数を、十九年度の七千六百二十五人から八千九百九十一人ということで、毎年一千三百六十六人余計にお医者さんを養成いただいているわけであります。それは地域のためにはいいことなんですが、これもまたある意味で車は急にとまれないで、本当に、五、六年たって、十年たってどうなるんだと。

 ここはやはり、今申し上げた他の士業のことは他山の石とされるのであれば、今始めたことですから間違いのないランディングをしていただきたいと思うんですが、お取り組みの状況、現状認識について確認いたします。

板東政府参考人 ただいま先生の方から御紹介をいただきましたように、現在、八千九百九十一人までということで、平成十九年度と比較いたしますと千三百六十六人増加をしたということでございます。

 その増員のうち八百二十二人は、時限つき、臨時定員増ということでございまして、時限以降の取り扱いにつきましては、その時点の医師の養成とか医療体制の状況といったことを見ていく必要があるということであろうかと思います。

 今後の医学部の入学定員のあり方につきましては、厚生労働省初め関係省庁ともしっかり連携をさせていただきながら、医師の偏在解消の対策を全体として推進しながら、今後の医療提供体制の検討、地域の実情を踏まえながら、適切に対応していきたいというふうに思っているところでございます。

橘(慶)分科員 弁護士さんのこともそうなんですが、こういうのは大体、改革をしてから、物事を変えて十年ぐらいしてからいろいろなことが顕在化してくるわけであります。ですから、その道筋で一歩一歩、そのたびそのたびにしっかり入念にチェックをいただきたい、このように思うわけであります。

 最後の項に参ります。

 科学技術、宇宙への取り組みについてということで用意をしてこの部屋に入ってまいりますと、いきなり「京」とSACLAの話をされてしまったので、困ったなと思いながらも、少し観点が違えばいいなと思いながら、最初は、まず、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラであります。

 この「京」がことし、いよいよ本格的運用を開始するわけですが、私が尋ねてみようと思っていたのは、ユーザーニーズの具体化状況ということで、どんな分野に使われるんだろうと。赤松先生と多少違えばいいなと思いながら、ちょっとお尋ねをしてみます。よろしくお願いします。

吉田政府参考人 委員御指摘の「京」につきましてでございますけれども、これは、「京」を中核といたしまして国内のさまざまなスパコンをネットワークで結んで、より多くのユーザーが利用できる革新的な計算基盤ということで、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ、HPCI、この秋の共用開始を目指して整備しているところでございます。

 それで、このHPCIの構築に当たりましては、やはり利用者視点を重視いたしまして、スパコンを利用する研究者や産業界を代表するユーザー機関など、幅広い関係者から成るコンソーシアムをまず形成していただきまして、このコンソーシアムを通じてさまざまな利用者ニーズをくみ上げてまいりたいというふうに考えております。

 また、具体的には、HPCIを構成する「京」や大学のスパコンにつきまして、オンラインでの利用申し込みを考えたときに窓口の一元化ですとか、あるいは、スパコンの計算に関係する大量のデータを共有したりそれを活用したりする環境ですとか、それから、先ほどもちょっと触れましたけれども、産業利用の促進という観点からは、利用されます企業などに対する講習会の開催、あるいはセキュリティーの高いアクセスポイントの設置、そういった支援策を充実することとしております。

 このHPCIを用いましたシミュレーションにつきましては、まず五分野を重点的な分野として、戦略分野として設定させていただいておりまして、生命科学、物質、防災・減災、物づくり、そして物質と宇宙の起源、こういった五つの戦略分野において新たな知見が創出されること、さらにまた、一般的な利用の中からそれ以外のさまざまな知見が創出されることを期待しております。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 気候のシミュレーションであったり、宇宙がどうしてできたんだろうとか、そういうことをいろいろやるためには結構データをたくさん使ってやる、あるいは、ナノテクとかそういったところ、先ほどSACLAとの連携というお話もございましたので、ぜひここは有効に使っていただきたいと思います。

 そして、三月七日のSACLAの供用開始ということでありまして、このことも先ほどお話がありまして、私も材料や生化学への研究成果の展開ということでお伺いしようと思ったんですが、大体お話が出ていましたのでこれ一問だけにさせていただいて、最後の宇宙の話にかえさせていただきたいと思います。

 「はやぶさ」の帰還ということがありまして、宇宙分野について、国民、若い方々を含めて、全世代的に大変関心が高まっていると思います。

 さて、二十四年度、ことしの宇宙分野研究開発利用の骨子についてお伺いいたします。

戸谷政府参考人 ただいまお尋ねの宇宙関係の概要でございます。

 平成二十四年度の予算案といたしましては、千七百三十九億円を計上させていただいているところでございます。

 その主な内訳といたしましては、陸域観測技術衛星「だいち」の後継機の開発といったようなことを初めとしました、人工衛星による災害状況の把握や地球環境監視を行うことなどを通じまして国民の生活の向上や産業の成長等に貢献する分野ということで三百五十二億円、国際宇宙ステーション計画への参画それからアジアへの地域協力等々を初めといたしました宇宙分野の国際協力の観点から三百九十九億円程度、それから、今先生が御指摘されました小惑星探査機「はやぶさ2」の開発など、最先端の宇宙科学あるいは宇宙探査に関するプロジェクト等々、宇宙活動を支えるための基盤的な技術の高度化も含めまして六百四十三億円、それぞれ計上させていただいているというところでございます。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 今お話のあった中から多分柱が出てくるんですが、一つは、ISS、国際宇宙ステーションにおける日本の役割ということで、スペースシャトルが退役した中で、私ども日本の実験棟「きぼう」に物資輸送するH2Bロケット、これが、言ってみれば、そういう物資輸送を主力で担当していくということになると思います。この辺で日本の役割は大きいと思うんですが、今後の展開について伺います。

戸谷政府参考人 宇宙ステーションへの物資輸送の問題でございます。

 スペースシャトルが退役いたしまして、大型の機器をどうやって運ぶのかということが今重要な課題になっているというところでございます。

 今先生が御指摘されましたH2Bロケットを用いまして、宇宙ステーションの補給機の、いわゆる「こうのとり」という名前をつけさせていただいておりますけれども、H2Bを開発いたしまして、ISSの運用に必要な物資あるいは日本の実験棟「きぼう」の運用、利用に必要な物資を補給するということで、我が国初の国産の無人補給機として今活躍させていただいているというところでございます。

 この特色といたしましては、ステーションの暴露部に設置している船外機のような大型のものをそのまま宇宙に運ぶことができる、あるいは、大型のハッチを有しておりまして、大型の船内装置も輸送ができるということで、ロシア等々も、あるいはヨーロッパも一部補給機はございますけれども、日本はそういう特色を有した輸送機ということで、ISSの運用に不可欠なものということでございます。

 これまで二回ミッションに成功いたしておりまして、今後も年一回程度は必ず補給が必要になるということでございまして、着実に打ち上げを図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 やはりロケットというのは、過去、それこそ最初に「おおすみ」という人工衛星が日本で初めて上がったときも何回も何回も失敗があって御苦労されたんですけれども、そこからいろいろな、徹底的に失敗をチェックして克服したことが技術開発につながっている。日本のロケットにつきましても非常に成功率を上げてまいりまして、今や外国の人工衛星も打ち上げるところまで来ている。そして、関連産業におけるいろいろな機器の海外輸出、こういうことにもつながる、やはり裾野も広がっていくわけであります。

 「はやぶさ」の事例にも学ぶとすれば、やはりここは粘り強く頑張っていく、もちろん無駄なことはできないんですけれども、しっかり失敗を克服して頑張っていく、そこにこそ日本のあすがあるというような思いがあるわけです。ここで、最後に平野大臣の御見解を伺いたいと思います。

平野(博)国務大臣 先生、法科大学院の課題、科学技術の重要性、さらには無限大の可能性がある宇宙の問題についてもるる御指摘をいただきました。

 今の御質問につきまして、私どもも、過去の開発過程で失敗もありました。これにめげずに何とか頑張り、今現在では、H2Aロケットの六号機の打ち上げ失敗をいろいろな意味で分析して、成功率が九五%、こういうことになっておるわけでありますし、また、韓国の多目的実用衛星については打ち上げの受注として成功いたしているところでございます。

 また、人工衛星という観点から見ましても、環境観測技術衛星「みどり2」が運用開始後短期間で運用停止になった、こういう失敗の事例もございます。これについては、しっかりその事例を踏まえて、人工衛星の運用実績を今日まで積み上げてまいりました。現在、海外の衛星では、シンガポールの通信衛星、あるいはトルコの通信衛星、こういうことで受注いたしているところでございます。

 このように、いろいろな技術課題を克服する中で、我が国の宇宙技術は着実に成果を生み出し始めた、こういう認識でございます。文部科学省としては、我が国の宇宙技術の一層の高度化に向けて、宇宙分野の研究開発をさらに進めてまいりたい、このように思っております。

橘(慶)分科員 ありがとうございました。

 やはり失敗は成功の母といいますし、ぜひここは頑張っていただきたい。そして、平野元官房長官ですから、余り内閣府に負担を与えずに、文部科学省として頑張っていただきたいというのは同じ思いだと思いますので、よろしくお願いいたします。

若井主査 これにて橘慶一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田分科員 平野大臣、私は、きょうは文化財の問題について質問したいと思います。

 文化財保護法の策定の契機は、一九四九年の法隆寺の金堂の焼失にありました。重要文化財建造物を火災から守らなければならないということで、この焼失の日に当たる一月二十六日に、毎年、文化庁、消防庁、また地方自治体の消防や消防団とも協力して、文化財防災デーとして訓練が行われています。

 阪神・淡路大震災や東日本大震災を受けて、地震を含めた災害から文化財を守るための取り組みの抜本的強化が必要と私は考えます。その点についての基本的なお考えを大臣にお伺いしたいと思います。

平野(博)国務大臣 文化財を災害から守るための取り組み、この強化については私も異論のないところでございます。国民の貴重な財産であります国宝、重要文化財の建造物等を災害から守っていくためには、一つには、やはり自動火災報知機、消火設備等々の防災施設の整備を図っていくということと同時に、建物の耐震診断の実施、耐震化などを進めていかなければならないと考えています。

 文科省としては、文化財の所有者との御相談ということも当然あるわけですが、所有者等が実施をする防災施設の整備等の事業を補助していく、こういう経費を計上しておるところでございまして、平成二十四年度予算案におきましては、前年度六億円をふやし、二十四億円を計上しているところでございます。したがいまして、国宝、重要文化財等の適切な防災対策を図っていくように努めてまいりたいと思っています。

穀田分科員 二〇〇八年の中央防災会議において、中部圏、近畿圏の内陸地震による文化遺産の被災の可能性について報告されております。それを受けて、重要文化財建造物及び周辺地域の総合防災対策について、検討会が重ねられました。

 近畿圏にある重要文化財建造物は千六百六十四棟、全国の約四割を占めています。国宝は百九十二棟で、全国の七四・七%と、近畿に集中しています。その中で、重要文化財建造物の九一%に当たる千五百十三棟が木造です。また、かつては市街地から離れ、郊外に位置していたけれども、今では周りまで市街地が隣接し、しかも木造住宅に囲まれるようになっています。

 そのことを踏まえ、今大臣からも若干お話ありましたが、検討会では三つのことが指摘され、確認されています。一つは防災設備の耐震改修、二つは重要文化財の耐震診断及び耐震改修の必要性、そして第三に、さらに周辺も含めた総合的な防災計画ということになっています。

 そこで、防災設備の耐震改修で指摘されている耐震性貯水槽について聞きます。

 近畿の重要文化財建造物のうち、木造のものへの耐震性貯水槽は幾つ整備したか。二〇一〇年度より実施した緊急防災施設耐震改修事業の対象は幾つで、実施件数は幾らか。御報告されたい。

河村政府参考人 お答え申し上げます。

 重要文化財建造物、御指摘のようにほとんどが木造でありまして、火災に対して脆弱でございます。こういうことから、もともとは昭和二十五年から、国庫補助事業として、自動火災報知設備、放水銃や貯水槽等の消火設備の設置などの整備に補助を行ってまいりました。

 近畿地方、六府県でございますけれども、近畿地方にあります重要文化財建造物で消火設備の設置が必要とされておりますものが五百四十五カ所あるのでございますけれども、この中で建物自体が木造というものが五百三十一カ所でございます。その約八割には、これまでの文化庁の補助事業により消火設備が設置されておりますけれども、この中で、貯水槽があり、かつ、地下にあるので耐震性が高いというふうに判断されるものは二百七十七カ所、つまり、木造の建造物の中で五割強ございます。

 ただ一方、近畿六府県の国宝、重要文化財の建造物におきましては、消火設備の経年化が進んでおります。設置後三十年以上経過した貯水槽を含む消火設備等の件数がおおむね百件程度あるものというふうに認識しております。

 平成二十二年度から、これらの経年をしておりますものの耐震改修を行う緊急防災施設耐震改修事業を実施しておりまして、これまで九カ所において行ってまいりました。

穀田分科員 今、報告ありましたように、三十年を経過した施設設備、そういうところでいうと、その改修事業というのは百カ所対象としているけれども、やられているのは九カ所。もちろん、先ほどありましたように、地下にあるものが二百七十七なのはわかっているんですけれども、ただ、そういうものを通じて二〇〇八年にいろいろなことが行われ、そして二〇一〇年から具体的に実行されたものでは、百のうちまだ九しかないということは、これは一割しか実行されていないということで極めて少な過ぎるし、問題だと私は思うんです。

 そこで、次に、先ほど述べた重要文化財建造物本体の耐震診断と耐震改修の進捗についてはいかがかということです。お聞きします。

河村政府参考人 重要文化財建造物の耐震対策の考え方でございますけれども、まず耐震性に関する基礎的な情報を得る必要があるというふうに考えております。

 このため、文化庁では、平成二十年度から、一部の小規模なものを除き、所有者の御同意が得られた全ての木造の重要文化財建造物を対象とした予備的な耐震診断を実施しております。平成二十二年度までに二十四の都府県で千八百三十四棟で実施をし、平成二十五年度までに全ての都道府県で実施する予定でございます。

 これまで、平成二十二年度までに実施しました予備的な耐震診断の結果、さらに対策を行うことが必要であると判明したのが約六割ございます。これらについて、逐次専門的な知見に基づく耐震診断及び耐震補強を実施しておりまして、平成二十二年度までに百八十二棟で実施し、なお現在六十六棟で実施中という状況でございます。

 引き続き、これら耐震診断と耐震補強について推進していく必要があると存じます。

穀田分科員 今、予備調査を行って耐震診断を行う必要性があるというようなものは、簡単に言うと、今までに行ったところで、二十四都府県でやったものでいくと千八百強だ、そのうち大体六割が耐震診断を行う必要がある、こういうことですよね。

 となりますと、大臣、全国で、その総数でいうと大体四千棟近くある、それが仮に全部終えたとしても六割が診断を行う必要がある、大体こういうことになりますわな、理論的数値としては、推計としては。そうしますと、二千四百近くのものが必要になるということになりますよね。単純に言ってですよ。若干の上下はありますけれども。

 そうすると、今百八十二でしか行われていないとなりますと、これはやはり極めて少ないということになると思うんですね。簡単に言うと、四千近くあって、そのうち仮に六割として二千四百。二千四百のうち、大体二百近くしかないということになりますわな。

 そこで、阪神・淡路大震災では、建造物が地震で倒壊をして、なおかつ、同時多発的に火災が発生した。検討会では、近畿では今、地震発生の切迫性が高まっていると指摘しています。今、私は、二つの点の問題について指摘しましたけれども、対策が二つともおくれているというのははっきりしていると思うんですね。このおくれている原因を大臣はどのように認識しておられるか、お聞きしたいと思います。

平野(博)国務大臣 今議員御指摘のところは、私も同じ認識でございます。

 特に、建物の耐震改修については、保存修理を行う際に、必要な耐震性の向上をするために耐震補強をやはりやってきました。平成二十一年度から、修理を伴わない耐震補強を行う、いわゆる緊急防災性能強化事業、こういうことで予算案に約五千万円を計上したところでございます。少ないとおっしゃるかもわかりませんが、五千万円計上しました。

 また、貯水槽を含む消火設備等の耐震改修については、二十二年度から近畿を中心に実施をしてきましたが、平成二十四年度の予算案におきましては九億円ということで、対象エリアを近畿から全国にやはり拡大をしよう、こういうことで取り組んでいこうとしているところでございます。

 しかし、委員指摘のように、これだけのパイがあるのにえらい少ないじゃないか、こういう御指摘に対しては、やはり我々としても非常に大事であるという認識はしておりますので、今後とも、より拡大を目指して取り組みを進めてまいりたいと思っております。

穀田分科員 認識は共通し共有していると。まあ、お金が少ないということだけは、大臣はお笑いになって言っていましたけれども、本当に、少ないというのは率直に思いますよね。

 そこで、宗教法人や財団、地方公共団体、それから個人という重要文化財の所有者は、その保護に責任感を持って、必要な対策へも心を砕いておられます。それで、私は、文化財の保護の重要性、あわせて、今日の防災の発展性といいますか重要性といいますか、その認識を共有して、所有者の日常の努力に応えるべきだと考えているんです。

 京都の清水寺は、防災の先進としても全国で有名です。ハード面での国内最大級の耐震性貯水槽の整備や、ソフト面では、一九四八年一月以来、一日も休むことなく継続されている文化財レスキューの活動などを行っています。

 清水寺の森さん、法務・庶務部長に私どもはお話を伺ってまいりました。国の文化財保護のための防災面での補助金は二分の一、最大でも八五%であり、残りが所有者の自己負担となる、重要文化財を抱えて、地震に対する備えなど防災対策が必要だと思いながら十分な対応をできずにいる社寺があるのではないか、必要な対応ができるところは一割にも満たないのではないでしょうかと危惧されています。私は、そのとおりだと思うんですね。

 ですから、私は、この機会に、耐震性貯水槽の整備と重要文化財建造物の耐震改修を全部完了させるにはどうすればよいか。それは第一に、完了の目標と計画を持つこと、それから二つ目に、所有者とよく相談をし、事業の理解を相互に深め、その意向を尊重して事に当たること、三つ目に、先ほど大臣もお話あったように、やはり少ない予算をさらに上積みする、そういうことが必要じゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 そういう御指摘は受けとめておきたい、こういうふうに思います。

 ただ、一方で、一つだけ言いたいことは、やはり個人の所有者があるということですから、個人の所有者とも十分相談をしなきゃならない、こういうことと、財政の問題、我々の役割としては、予算をしっかりとりながら何とかカバーをしていかなきゃいけない、こういうふうに思っております。

穀田分科員 ですから、私、所有者自身が例えば認識を深めていただく、国の方もそういう認識をお互い深めていただくということを言ったわけですよ。

 次に、重要文化財民家の支援の問題について聞きます。

 これは相続税の減免支援のことなんです。

 現在、重要文化財民家は四百二十三件で、そのうち個人所有は二百三十二件です。文化財保存のために、財政面も含めて大変な苦労をされています。この間、重文民家を個人で維持できずに、所有者を公有化する事例がふえています。この間、聞きますと、百二十五件とのことだと思います。随分ふえています。

 私は公有化そのものを否定するつもりはありません。しかし、長い間、重文民家を守り続けてきたNPOの全国重文民家の集いの皆さんは、重文民家は、愛着の思いで見守る家族とともにあることが望ましいというふうに訴えています。これは、文化財を守る上でとても大切な観点だと私は考えています。

 一九八五年、国は、重文民家通達を出して、固定資産税や相続税を減免する制度をつくりました。所有者が居住している民家への配慮を行ったものです。二〇〇〇年五月に、私は、国指定の文化財建造物、民家に対する質問主意書で、当時六〇%だった減免率のさらなる増率を求めました。二〇〇四年一月には、減免率が七〇%に上がりました。

 しかし、それではまだ実態に合わず、不十分だと私は考えるんです。さきに紹介した重文民家の集いも、要望書で、個人所有者の相続税の減免率の一層の増率をと、その後も毎年要望しています。

 個人所有の場合、相続税の減免率の増率が必要だと思うんですが、その点の御所見をお伺いしたいと思います。

平野(博)国務大臣 重文民家の相続税の減免に関しての御指摘でございます。

 委員からのこういう御要望もあり、百分の六十から七十に上げていただいた、またその改正をしてきたところでございます。

 民家の相続税についてさらなる税制上の軽減措置が必要かどうか、必要だという先生の御指摘でございますが、どうかについては、文化財の保護に当たっての規制をしている今のあり方も含めて、慎重に検討していかなきゃならない課題であると思っております。

穀田分科員 規制のあり方の問題というふうにいつも言われるんですよね。

 そこで、私は、私権の制限がどの程度されているかという議論をしているんですね。それが七割だというのが言い分で、だから七割減免している、こういうふうに言うんですけれども、なぜ七割なのかという根拠は余りないんですよね。大体こんなものだろうというのは、こう言っては悪いけれども、はっきり言って、では数理的根拠はあるのかというと、なかなかないんですね。

 私、京都の二条陣屋のお話を聞いてみますと、小川さんは、個人で住んでいても、個人分は一〇%、あとの九割は国にかわって管理している、そういうつもりだとおっしゃっていました。それから、奈良屋記念杉本住宅の杉本さんは、文化財とは、日本の過去のものではなく、日本のアイデンティティーであり、希望だ、このようにおっしゃっています。

 ですから、財政が厳しかったり、規制の問題がいろいろあるというふうには思うんだけれども、重文民家のうち個人所有というのは、先ほど言ったように二百三十二件なんですね。毎年相続が発生するわけじゃないんですよ。年度にすればわずかなものであって、しかも、私は一定の額を増率したらどうかと言っているわけですから、無理を言っているわけじゃなくて、これはやはり検討の価値があるんじゃないかと思うんですね。

 一言、いかがでしょうか。

平野(博)国務大臣 先ほども答弁しましたが、検討しないとは言っておりません。慎重に検討します。

穀田分科員 慎重にというのは、なぜ七割なのか、所有者の方々の思い、それから、それを負担する側は何も自分のものとして所有しているんじゃなくて、なおかつ未来へのものとしてやっていこうとする、その気持ちを、思いを尊重してほしいなと思っています。

 大きな三つ目に、民俗文化財について聞きます。

 国は、有形、無形民俗文化財のうち、特に重要なものを重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財に指定し、その保存と継承を図っていると考えますが、間違いございませんね。

河村政府参考人 文化財保護法では、我が国民の生活の推移の理解のために欠くことができない衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術の無形の文化財のうち特に重要なものを文部科学大臣が重要無形民俗文化財に指定するとともに、これら衣食住、生業等の民俗文化財に用いられる衣服、器具、家屋等の有形の民俗文化財のうち特に重要なものをやはり大臣が重要有形民俗文化財に指定して、保存、継承に努めております。

 また、その所有者等が行う重要有形民俗文化財の修理や防災設備の設置に対する補助を行いますとともに、保護団体等が行う重要無形民俗文化財に指定されている行事等に用いられる用具の修理、新調、あるいは伝承者養成等に関する補助を行っている、こういう体系でございます。

穀田分科員 体系はそうなんですけれども、簡単に言うと、問題は文化財保護という考え方の哲学ですね。そこには、国の任務として、歴史、文化等の正しい理解は欠くことのできないものなんだという位置づけと、したがって、その保存が適切に行われるよう努めなくてはならぬ、こういう任務がある、この関係をやはり踏まえなきゃならぬと思うんです。

 そこで、祇園祭に関係して聞きます。

 祇園祭は、重要有形民俗文化財である山鉾や装飾品を使って、重要無形民俗文化財である行事、山鉾巡行を行っています。そのため、重要有形民俗文化財である山鉾などのいわゆる道具、用具の劣化は避けられないわけです。

 そこで現在、装飾品は、新調、政府の言葉で言うと新しくつくり直す新調という言葉を使って、私ども地元で言うところのレプリカ、これを作製することが認められている。これ自身、相当な価値があり、技術で完成されたものというのは私ども認識しています。

 問題はそこです。重要有形民俗文化財の保護、そして、オリジナルと、私が言うレプリカの活用に当たって二つの問題点があります。一つは、装飾のもともとの文化財、オリジナルが劣化しなければレプリカの作製の許可がおりない。二つ目に、レプリカが作製されると、オリジナルが重要有形民俗文化財の指定を外され、保護されなくなるという点なんですね。

 祇園祭の関係者は、貴重な歴史的文化財であるオリジナルを保護するためにも、劣化する前にレプリカを作製する許可を与えてほしいと言っています。そして、あわせて、新しく新調されたレプリカも大事だけれども、オリジナルも、それは当然使われなくなるわけですから、そのオリジナルも引き続き重要有形民俗文化財として保護すべきではないかという要望をしておられるんですが、いかがでしょうか。

河村政府参考人 重要有形民俗文化財については、通常は、文化財そのものの劣化の進行を食いとめるというために保護する必要がありますことから、修理事業に対して支援をして保護、継承するわけですけれども、祭礼行事での現実の使用を伴う、今先生がおっしゃっております山、鉾、屋台については、その性質上、劣化の防止が困難ですので、修理だけではなくて、必要な場合は新調事業をお認めして、国が支援をしているということでございます。

 このように、山、鉾、屋台の新調を行う場合は、これまでに使用されていた用具と同等の価値を有するように製作をしていることから、新調されたものを重要有形民俗文化財として取り扱うことといたしておりますが、それぞれの、山、鉾、屋台の劣化の状況に応じて、少しでも早く新調が行えるように努めてまいりたいというふうに存じます。

 また、かつて使用していた用具の件でございますけれども、それが大変大事なものであるということは私どもも認識をしておりますけれども、新調の際にはある程度劣化が進んでいるものでございますので、その文化財が、歴史上または芸術上価値が高いということで民俗文化財とは別の類型の重要文化財に指定されている場合を除きましては、特段、国がもとの方の用具についての保護のために規制と補助を行うべき対象になるとは考えていないものでございます。

穀田分科員 大臣、わかりましたか、今の話。

 どんなものかというので、きょうは少し持ってきました、報告書を。これがそれなんですね。こういうとてもすばらしい装飾品なんですね。これは、本当に、外国から来ているものもあれば、それから京都の古いところでつくられたものもある。それが、今お話あったように、劣化を避けるために新調するということになって、同等のというのまではわかるんです。だけれども、これ自身が歴史的価値があるわけですよね。これを例えば、少し劣化をした、新しいものを新調した。そうしたら、こっちに価値があって、これの価値がなくなるのか。価値がなくなるとお思いですか。

平野(博)国務大臣 個々のところは承知いたしておりませんが、そもそも、祇園祭のトータルとしての価値として認めておる。その中に当然パーツがあるわけですから、パーツについて補修する。こういうトータルで動かすための部分を認めて、パーツについても当然あるわけですから、パーツについて補修することについては認めておる、こういうことですよね。

 今、穀田先生がおっしゃったのは、そのパーツというのは、もともとトータルで価値があるんだから、パーツも価値があるから、それを新調してもそれは認めなさいよ、こういう話なんだろうというふうに思いますが、私は、取りかえたところについては、新調であろうがトータルとして認めますから、それはオーケーですよということでありますから、その中でも、特にまた世界的に価値があるということについてはその限りではありません、こういうくくりで処理をしておるんだろうと思っていますが。

穀田分科員 これは、単に祇園祭だけじゃないんですよ。屋台の関係というのは日本で五つありまして、日立の風流物だとか、秩父のものや、高岡、高山、祇園祭を含めて五つあるわけですよね。

 それで、トータルでと言っているんですけれども、それはそのとおりなんです。でも、一つ一つの部品が大きな価値があるということは、みんな、この報告書も含めて、これがどれほど大きな価値があるかということについて、新調したり、新しいものにつくりかえるたびに新聞紙上をにぎわわせます。

 先ほど次長からありましたように、私どもの新しい問題提起は若干御理解をいただいたと思うんですね。つまり、劣化してからやるというのでは間に合わないんですよ。一刻も早くやっていただきたい。それは、連合会だとか、それから実際に保存しておられる方々の御意見も聞いて、タイミングをしっかり逸せずにやらなくちゃならないということが一つなんです。

 もう一つは、では、その一つ一つに価値がないか。そんなことはないんですよ。トータルとして山鉾は価値があるけれども、一つ一つについて、ペルシャから来た、イラクから来た、それからエジプトから来た、または日本の古来のものだ、それぞれにそれ自身やはり価値があるんですよ。それを、一旦新調してしまったら、これは全く価値がないというわけにはいかない。

 だって、皆さん、途中で、価値があるものを直すために、先ほど大臣は補修と言いましたけれども、補修と新調は違うんですよ。新調するまでにどれだけ補修しているか。大事に大事に扱ってやっているんです。それを、新しいものがレプリカとして新調された途端に、これの価値がなくなるということはあり得ないんです。これは歴史的価値はあるんです。

 文化的価値はあるんです、新しい、新調したもの、レプリカは。ですから、これについて保護したいという気持ちは、誰だって思うわけなんですね。皆さんに供するために、新調は要る。だけれども、もともとのものも大事だ。この思いをしっかりと行政が支援してやる必要があるんじゃないかということを言っているわけです。いかがですか。

平野(博)国務大臣 考え方は、私、そう違わないと思いますよ。

 同じような考え方で、ただ、その中でも、本当に重要なものについてのレベルの問題を論じておるような気がいたしますから、そういう視点では、本当に価値がある、私も専門家ではありませんからその価値の評価については語れませんが、そういう判断で、やはり我々としても、必要なものについては保存している、継承していく、こういう判断に立っていると思います。

穀田分科員 先ほど次長もおっしゃったように、重要文化財に上げてしまう、そういうことはことで、例えば全部が重要文化財になるんじゃないんです。もともと無形、有形文化財として使われていたものを大事にしようと。それは、例えば市なり府なり含めて、地方自治体や、また連合会を含めて、大事にしているお気持ちを尊重して、しかも歴史的価値はあるということはお互いに認めているわけですから、それをどうしたら保存できるかということに対する支援は、やはりやる必要があるんだと。

 確かに、金がないとか、いろいろあるでしょう。だけれども、金にはかえられない価値があるというのが文化財なんですね。そうすると、その基盤を支えるということについていえば、保護法にある任務を果たさなければならない、努めなければならない、この根本によるんじゃないかということを申し上げて、終わります。

若井主査 これにて穀田恵二君の質疑は終了いたしました。

 次に、熊田篤嗣君。

熊田分科員 民主党の熊田篤嗣です。

 きょうは、貴重な機会をいただいて本当にありがとうございます。予算委員会分科会は初めてですので、緊張しながらの質問になりますが、よろしくお願いいたします。

 早速ですが、限られた時間ですので、質問の方に。

 昨年のあの悲惨な東日本大震災に伴う福島原発事故を経験して、私たちは、エネルギー、特に電気エネルギーの重要性とその供給基盤の脆弱性を改めて認識したのだと思っています。そこで、本日は、これからの日本の、いや、世界のエネルギーを担い得る核融合というものについて質問をさせていただけたらと思います。

 まず、核融合ですが、御存じのこととは思いますが、これは太陽の中で起きている反応で、太陽の中では、陽子が融合する核融合で輝いています。これは地球上に人工太陽をつくろうというものでございます。

 地上の太陽、核融合は、資料にもつけさせていただいておりますが、重水素と三重水素の融合反応からエネルギーを取り出して、発電につなげるものです。この原料は海水からとることができますので、海に囲まれた日本は、実質的には無尽蔵の燃料資源を手に入れることができるようになります。これは、ひいては資源争奪戦をめぐる国際関係のパワーバランスも転換させ、日本及び世界の外交、安保、こういったものの根幹にも影響を与える、このように認識をしています。

 また、同じく資料につけさせていただきましたが、四枚目にありますが、放射性廃棄物も、百年後の時点で見ると原発と比べて約百万分の一となり、百年という人類で管理できる時間軸の中で、実質的に無害化できるレベルだと言われています。

 また、原子力発電所は、昨年の事故にもありましたように、何かあると暴走してしまうわけですが、核融合の場合は逆に反応が停止をしてしまうので、核的な暴走が起こらないとも言われております。

 こうした形で大変夢の膨らんでいる研究ですが、五十年余りの歴史を刻みながら、その間、二、三十年後にはできるできるといっても、常に逃げ水のようにどんどん遠くへ行ってしまっていました。こういった夢と現実の間に立ちながら研究は今も進んでおりますが、まずその前提として、今、政府としては、この核融合の実現性についてどのような認識を持っていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。

戸谷政府参考人 核融合の特徴については、今、先生からお話があったとおりでございます。これにつきましては、燃料となる重水素、さらに、燃料として使えます三重水素のもとになりますリチウム、これが海水中に豊富に存在をしているということから、資源量の点から非常にすぐれている。

 それからさらに、先生が御指摘のとおり資源の偏在性がないということでございますので、特に海に面している我が国として、資源量の点から見て大変すぐれているということでございます。

 それから、今お話がございましたように高い安全性があるといったようなこと、それから、発電の過程におきまして、地球温暖化や酸性雨などの地球環境問題の原因物質となります二酸化炭素あるいは窒素酸化物、そういったようなものが排出をしないというすぐれた環境適合性、さらには、原子力発電所に伴う高レベル放射性廃棄物のような問題もないということでございます。

 そういったことから、環境問題とエネルギー問題を同時に解決する、将来の、ある意味では恒久的な人類のエネルギー源となり得るものである。ただし、今先生が御指摘になられましたように、その実現に向けて、科学あるいは技術、両方の面で極めて高いハードル、技術的な困難性もあるということでございます。

 そういったものにそれぞれ着目をいたしまして、国際協力も含めまして、核融合の実現に向けまして、今、着実に進めているということでございます。

熊田分科員 今、ハードルはあるけれども実現に向け進んでいるということだったと思いますが、そういった中での研究で、今、方式としては、トカマク、ヘリカルという磁場方式、それからレーザー方式、大きく分けてこの二つの方式の三つの型が研究として進んでおると思います。

 特に我が国においては、国際共同開発としてトカマク型のITERに参加をしていると思いますが、これを契機に、まず体制のことで少しお聞きをしたいのですが、各大学、研究機関で行われていた核融合研究が、私の認識ですと、日本原子力研究所、原研と、核融合科学研究所、核融合研、それからレーザーエネルギー学研究センター、レーザー研、この三拠点に集約されたと聞いています。

 そういった意味で、原研がトカマクで、JT60SAですか、それと核融合研がヘリカル、レーザー研がレーザー方式、こういった認識だと思いますが、この間、この拠点が三つに集約されていった経緯を少し教えていただいてもよろしいでしょうか。

戸谷政府参考人 今先生が御指摘のように、核融合につきましては、大きく二つに分けまして、磁場閉じ込めと慣性閉じ込めの二つの方式があるわけでございます。

 慣性閉じ込めにつきましては、レーザーを用いるということで、これは長らく阪大が独自の研究開発として、レーザー技術の向上とともに核融合技術の成果を上げてきたというところでございます。

 それから、ただ一方、磁場閉じ込めにつきましては、実は、今先生が御指摘のトカマクとヘリカルだけではなく、例えば球状トーラスとかミラー型とか逆磁場ピンチとか、いろいろな手法が各大学において研究開発をなされてきたというのが事実でございます。

 ただ、特に磁場閉じ込め方式につきましては、世界の動向、それから日本の各大学の分野で行われてきました研究開発の実情等々を総合的に判断いたしまして、平成十五年に科学技術・学術審議会におきまして、今後の我が国の核融合研究のあり方についてという議論を行いまして、その中で、これまでの開発の状況から見て、トカマク、ヘリカル、レーザー、そういった三つの方式に重点化をしていこうという方針が決められたということでございます。

 さらに、この考え方につきましては、それから二年後の平成十七年十月に、今度は原子力委員会の方の核融合専門部会でございますが、ここの中で、今後の核融合研究開発の推進方策についてということで改めてまた議論が行われまして、この三つの方式につきまして、まずトカマク方式につきましては、核融合エネルギーの実現を目指したある意味では開発研究ということで、先ほど先生がお触れになりましたITER計画のような実験炉をつくるという一つのフェーズを目指した開発研究として進めるということが決められました。

 それからさらに、ヘリカルあるいはレーザーにつきましては、今後、トカマク一本やりということではなく、核融合エネルギーの可能性あるいは選択肢の幅を広げるものということで、それぞれ学術研究としてその科学的な基盤を目指すもの、そういう位置づけがなされたということでございまして、今、我が国におきまして、その三つの方式につきまして、それぞれのフェーズは若干異なりますけれども、着実に進めているというところでございます。

熊田分科員 ありがとうございます。

 今、それぞれにということで、トカマクを先行しながら実現性がある中で進めているということでございました。今、原研、核融合研、レーザー研という三施設があると聞いておりますが、予算という面で見たときに、原研には原研で予算がついている、核融合研に予算がついて、レーザー研は、そこの核融合研から京大、阪大、九大、筑波大という四つの並びの中で予算が来るということになっているように聞いています。ということは、三拠点といいながら、実質的にレーザー式がそういう意味でかなり不利に置かれているのじゃないか。

 資料に一枚物でつけさせていただいたんですが、米国との比較ということで、日本とアメリカを比べたときに、かなり日本のレーザー方式に対して厳しい状況が起こっている。世界的にも、これでは実質的に何をやっているかわからないという状況ではないかと思います。ちなみに、今アメリカは国防予算から出ていますので、単純に比較はできないと思いますが。

 そういった意味で、レーザー研というものの位置づけが、三拠点といいながら、実はそうでないのではないかと私は認識をしていますが、それで間違いないでしょうか。短くお願いします。

戸谷政府参考人 先生に配付していただいた資料につきまして、数字の詳細についてはちょっと今の時点で直ちに確認はできませんが、大きな傾向としてはまさに先生の御指摘のとおりで、アメリカにつきましては、これは同じエネルギー省でございますけれども、国家安全保障局といいますか、安全保障絡みの予算で大分、レーザー核融合についての研究開発が進められているというのは事実でございます。

 日本におきましては、今、阪大のレーザー研におきましては、現行の計画の進捗状況につきまして、来年度、再来年度、レビューがあるということでございまして、そういったものも踏まえまして、今後どういう活動をしていくのかということを議論していくことになろうかというふうに思っております。

熊田分科員 これからの時代、これからのエネルギーを担うという意味におきますと、ここもしっかりと開発を進めていただきたいと思っております。

 それで、私自身いろいろと調べさせていただいている中で、このレーザー方式というもの、非常におもしろいなというのを一つその中の特徴として聞いてきたんですが、単に発電ということではなくて、中性子がここから出てまいります。

 今、可能性ということで言われているんですが、中性子が出てくるものを例えばセシウム137にぶつけると、それによってセシウム136に変わります。これは何かというと、137は半減期三十年、136になると十三日間、こういったことによって、今、福島原発で除染ということが大変大きな問題となっていますが、実質的に今やっている除染というのは移染、移すだけだと思います。ただ、この場合は、中性子を使ってそういった元素の構成自体を変えてしまうわけですから、本当の意味での除染というものが可能になる可能性が非常にあるのではないか、こういったことなども言われております。

 そういったことなども含めて、今、単に阪大の施設としてあるわけですが、例えば名古屋大学のプラズマ研究所が核融合研に発展的に行ったように、福島で、レーザーの発電と同時に除染の研究も含めて、本当の意味での三拠点となるような形で将来的に整備をしていくことはできないものか。

 これは本当に私の私見でございますが、原子力大綱等々の関係もあるので軽々に判断をということは難しいとは思いますが、私としては、これからの国を担う研究としてぜひ御検討を賜りたいと思っておりますので、そのあたりに対して、もしよろしければ大臣の所見をいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 今、熊田委員から、いろいろ経過について、また御指摘をいただきました。

 まず一点の、これも私自身も非常に興味を持っているところでございますが、これだけの原子力における事故が起こり、放射性物質が出た、非常に半減期が長い物質がたくさんある、これをやはり半減期をいかに短くするか、この研究というのは非常に大事な研究だと思っております。

 学術的には、その物質が持っているエネルギー以上のエネルギーを与えていくことによってそれがより加速される、こういうことは学術的な文献にはあると思います。しかし、これを具体的に実用していくためのエリアというのは大変なエネルギーだと私は思っていますが、しかし、熊田さんが御指摘のことは私は研究に値する、こういうふうに実は思っております。

 そういう視点で、先ほど来局長から御答弁させていただいていますが、次へのエネルギー問題を語っていく上においては、やはり核融合というのは非常に大きなテーマであることは事実であります。永遠のエネルギー源だと私は思っていますし、太陽光そのものが核融合だと私は思っていますから、そういう意味で、いろいろな方式があることも事実でございます。

 先ほど局長から、ミラー方式とか、昔アメリカでやっていた方式、今アメリカはレーザー、これはちょっと軍事的要素を含んでいるんだろうとは思っておりますけれども、そういう意味で大きくは三つの要素になっている。

 今、政府としては、ITERの方に大きくかじを切っているということではありません。その方向の方がより少し前へ進んでいるのではないか、こういうことで、三つのテーマをもう少しよく、それぞれが研究いただいていますから、様子を見ながら、政府としては、どれが一番ベストなのか、ベターなのかということを決めていく時期が来ようかと思っております。

 熊田さんは、地元に大阪大学がありますから、特にレーザーのことについては詳しい情報が入っていると思いますが、私どもとしては、大阪大学のレーザーについてはちょっと後ろ向きに置いているということではありません。もう少し今の研究の状況を見据えながら判断をしていきたい。三つの大きな種であることには間違いない、こういうふうに認識しております。

熊田分科員 ありがとうございます。

 私も三つの柱だと思っております。そういった意味で、レーザーに特化をするという思いではなく、レーザーも含めて、ITERや、いわゆるトカマク、ヘリカルも力を抜くことなく、加えてここもしっかりとやっていかなければならないんじゃないか。複線的にやっていくことで初めて相互作用の中で早まることもあるでしょうし、レーザーならではのこともあるのではないかということで、申し上げさせていただいたわけです。

 そういった中で、磁場方式というものが今先行しているように私も感じております。その磁場方式のことで次は少しまた質問させていただきたいと思うんですが、これも資料につけさせていただいていますが、ロードマップというものをつけております。

 これは、文部科学省の審議会の研究計画・評価分科会の中の、原子力分野の研究開発に関する委員会核融合研究作業部会のもとでのITER・BA技術推進委員会のロードマップワーキンググループということで、ちょっとここまで探すのに、ああ、いろいろな組織があるものだなと思いながら探させていただいたんですが、ここでできたロードマップがITER、原型炉、そして幅広いアプローチ、BA、ブロードアプローチと言われるものですが、ここに書いてあるものでございます。

 このITER計画は、七カ国・地域での共同開発であると聞いております。日本、EU、アメリカ、インド、中国、韓国、ロシア、こういった地域となります。BA、これは、フランスにITERがつくられたことを受けて、日本とEUでの協議で、幅広いアプローチとして日本につくられたものだと聞いています。

 こういった形で、今、ITERと中のJT60SA、これによって相互に補完をしながら開発が進んでいくわけですが、こういった国際開発というのはとかくおくれがちになるものです。このITERも、実は、一九八五年にレーガンとゴルバチョフの合意から始まって、工事が始まったのは二〇〇〇年代になってからです。そういった意味でいうと、常に後々になってしまう。一方のBAも、今、トロイダルコイルの関係で少々おくれが出ているやに聞いております。

 まず、BAの方から少しお伺いしたいんですが、この協定はたしか十年間だというように聞いておったんですが、総額が決まっているこの十年間は大丈夫だと思いますが、これが終わった後、おくれていた場合、実際、研究はどうなってしまうのか。

 私が聞いた範囲ですと、拠点施設として二分の一、BAの施設として二分の一。十の予算のうち、五は拠点施設として、五はBAとして出ている。BAとして出ているうちの、さらに半分がEU負担で、半分が日本負担だ。ということは、十年を過ぎてしまえばEU負担分がなくなってしまうのか、あるいは日本分も含めて五がなくなってしまうのか。

 そうなると、研究を進める上で大変大きなハードルになるのではないかという危惧をしておるんですが、予算措置的な意味も含めて、ここは、十年という期間が経過した後どういったようになっていくのか、少し教えていただきたいと思います。

戸谷政府参考人 幅広い活動、BA、いわゆるブロードアプローチでございますけれども、これにつきましては、当初十年間というお約束で研究を進めるということでございます。ただ、昨今、種々の状況の中で、場合によっては少し見直すかどうかということも検討しているということでございます。

 これは研究開発ということでございますので、本当に十年間で全部そのまま自動的にぴしゃっと終わるかどうかということにつきましては、今後の成果の動向を見据えながらまた考えていくようなタイミングがあろうかというふうに思っております。

 ただ、現行規定上におきましては自動延長できるような規定もございますので、そういったようなものも含めながら、今後のあり方を検討していくということで考えておる次第でございます。

熊田分科員 それは当然、相手のあることですので、EUともしっかりと協議をしながら進めていくということで認識させていただいてよろしいでしょうか。

戸谷政府参考人 はい。これは、日本とEUが、そもそも核融合の実用化をできるだけ早くやるために、ITER計画と並行して原型炉に向けた研究開発をやろうということでございまして、当然、日本とEUとよく相談しながらその計画については進めていくということでございます。

熊田分科員 ぜひ、このITER及びBA、しっかりと進めていただきたいと思っております。

 その先に原型炉というものが出てくると思いますが、これ自体は、今申し上げましたように、国際開発には、一緒にやれるメリット、相手から技術を学べるメリットがある反面、期間がおくれるとか予算的に見えなくなるというデメリットがあると思いますが、こういったことを考えたときに、今後の研究開発計画を踏まえれば、原型炉に関してはやはり日本独自開発というものを視野に置いていっていただきたいなというように私は思っております。

 これは単に時間的なことだけではなく、日本が先行してきちんと開発することができれば、今、私たちも成長戦略の一環として原発を海外になんということを言っておりましたが、この次として、成長戦略の一つとして日本製核融合などを出していくなどということも含めて、夢が広がっていく部分があるのではないかなと思っております。

 こういった検討というのは今後に委ねられるとは思いますが、ぜひ一つの課題として考えていただきたいなと思っております。もしよろしければ、現時点での大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 いろいろな意味で、特に、熊田さんも御案内のとおりだと思いますが、我が国の今置かれている状況から見ますと、やはり日本はここ二十年、沈下していっているわけであります。それぞれの国々が台頭してくる中で、我が国として、置き去りにされている、こういう認識を私はいたしております。

 そういう意味では、より世界に冠たる日本としていくためには、ある意味、研究開発というのは必須の部分だと私は思っていますし、それなくば日本が成長していかない。こういう中に、今委員御指摘のITERを含めて、次世代の部分というのはやっていかなきゃならない、こういうふうに私は思っております。

 ただ、私も、野党のときでございましたが、文教委員会で、ITERの我が国への誘致に対して、時の政府に何をやっておるんだということを強く求めてきたときがございました。もう十年ほど前の話でございますが、今、私自身がそのことをしっかりやる立場にありまして、委員御指摘のことを踏まえながら、ITERにかかわらず、日本の次の活力を持っていくためには、エネルギー問題、これをやはりある意味安定的に供給していくということが日本の産業をより惹起していくわけでございますので、このことを忘れずにしっかりと踏まえながら、研究開発、基礎研究、しっかりやっていきたい、このように思っております。

熊田分科員 ぜひしっかりと進めていただきたいと思います。

 その上で、私から一つ、お願いというのか考え方として聞かせていただきたいのですが、またロードマップを少し見ていただきたいと思います。

 少し見にくい図になっておるかもしれませんが、ITERというところを見ると、DD、DTといって赤色になっている部分があると思います。ここと下の原型炉というのが矢印で結びつきながら製造設計や建設というものが始まっていくことになっておりますが、DDというのは重水素同士、DTというのは重水素と三重水素、いわゆる本格運転ということで、このDTという核融合としての本格運転をして、その結果、経過を見ながら次の原型炉の設計が始まるというように今の段階では聞いています。

 しかし、研究者の方々等とお話をしていますと、大事なのは、炉ができた後、ファーストプラズマ、最初のプラズマができた瞬間にプラズマの顔を見れば大体わかると言われていまして、このDD運転の段階で大体、ITERというものが成功するのかそうでないのかという見分けがつくんじゃないかと言われています。

 そうであれば、同じ予算を使って同じ研究をするのであれば、DTを待つのではなく、DDの段階に前倒しをして原型炉を始めていくことによって、世界にさらに先んじていくことができるのではないか、また、日本としての基礎研究をしっかりと行っていくことができるのではないかと私は考えておりまして、同じ予算を使うのであれば、世界に対して意味のある、タイムリーな使い方をぜひしていただきたいという思いがございます。

 そのあたりに関しても、よろしければ大臣の御所見もいただけたらと思います。

戸谷政府参考人 このロードマップにつきましては、科学技術・学術審議会というよりも、核融合フォーラムといいますか、そういったところが中心となって、恐らく、最適な理想的なパスということで、当時はそれなりに考えてつくったということかなというふうには思っております。

 ただ、実際原型炉をつくる段階におきましては、やはり材料の中性子に対する問題等々まだいろいろな課題がございまして、それからあと、原型炉で想定しておりますのは、これはもう実際に発電までをする。ITERの段階では熱出力五十万キロワット相当ということでございますけれども、ITERでは発電はせずに、原型炉になりましたらもう発電をしないと、原型炉としての意味がないということでございます。

 そういたしますと、炉周りの部分も含めた工学的な総合的なアプローチも必要になってくるということでございまして、この時点で果たしてそういったものがどこまでいくのか、今後の技術の動向を見据えながら最適な方法を検討してまいりたいということかというふうに思っております。

熊田分科員 ぜひ慎重、かつ、しかし大胆な部分も持ちながら、世界に先んじられるように進めていただきたいと思っております。

 少し大きな話ばかりに行って時間がとられてしまいましたが、一方で、今、日々地道な研究を頑張ってやっていらっしゃる大学の方々がいらっしゃると思います。そういった中で、例えば大学それぞれ聞いていると、予算のつけ方、先ほども、核融合研からおりてきたり、あるいは東大などは独自ですが科研費でやりくりをしたりとか、大変厳しい状態。プリンストン大学やマサチューセッツ工科大学が数十億円レベルで予算がついているのに、東大は数千万円レベルやにも聞いております。

 こういったところ、なかなか厳しい財政状況ではあると思いますが、何とか前向きな御配慮もいただけたらと思っておりますので、そのことをお願いしながら、あわせて、何かございましたら、いただけたらと思います。

平野(博)国務大臣 これは、一文科省という概念を超えて、我が国の国家戦略としてどうしていくか、こういうことは今、科学技術イノベーションを含めて政府としては議論をいたしております。したがいまして、それが大学のどの研究部門に、これは、そのかわり計画でアウトプットまでしっかりと見据えてやってくださいというところについては先行投資をする、こういうことは今、官邸の国家戦略の考え方で、政府としてはやろうということでございます。

 一方、そういう観点から、文科省としても、めり張りのついた科研費のあり方については、しっかり大学改革を含める中でやはり対処していきたいということでございますから、そういう意味では、認識は熊田議員と同じ認識の中で対処したい、こういうふうに思っています。しかし、限りある原資でございますので、そういうことも踏まえながら対処したいと思います。

熊田分科員 ありがとうございます。

 時間が大分迫ってきたようでございます。具体的なというよりも大きな枠組みの話がきょうは多くなってしまいましたが、ともかく、この核融合というもの、私は、これからの日本のエネルギー問題を解決し、また世界を救っていくと言っても過言でない、そういったものであると思います。

 また、我が国は、今、例えばホルムズ海峡、イランのところで封鎖されればエネルギーがどうなる、大変危機的な状況に陥るんじゃないかと言われるように、エネルギーというものが外交、安保上も生命線、アキレス腱でございました。この核融合が実現をすれば、日本の外交、安保というものも含めて、本質的に変わってくるものではないかと思います。

 そういった意味で、大変重要なものであるという位置づけを持ちながら、これからもぜひ進めていただきますことをお願いいたしまして、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

若井主査 これにて熊田篤嗣君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、湯原主査代理着席〕

湯原主査代理 次に、石原洋三郎君。

石原(洋)分科員 民主党の石原洋三郎でございます。質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 今回の原発事故により、福島では、放射能被害を払拭することにいまだに全力で取り組まれております。被害をこうむった学校においても、放射能対策などが行政の支援によって行われておりますが、公立、私立によって大きく差が開いております。

 このような災害時には、災害をこうむった点では同じでありますので、教育という視点に立ち、その被害軽減を支援するために、公立、私立にかかわらず国が責任を持つべきでありますが、御見解をお伺いいたします。

久保政府参考人 放射能対策に関する件でございます。

 基本方針といたしまして、文部科学省では、昨年八月二十六日付の通知におきまして、私立学校を含めた方針といたしまして、学校の校舎、校庭において児童生徒等が受ける線量を原則年間一ミリシーベルト以下とすること、これを達成するために、校庭、園庭の空間線量率が毎時一マイクロシーベルト以上の場合には除染等の速やかな対策が望ましいこと、局所的に線量が高い場所の把握と除染を行うことなどを示したところでございます。

 また、校庭、園庭の土壌に関する線量低減策への財政的支援につきましては、線量が毎時一マイクロシーベルト以上の私立学校に対しまして、原則二分の一の災害復旧費補助に加えまして、経常費助成に対する補助を行うことによりまして、実質的な設置者負担分が公立学校と同等程度となるよう支援を行っているところでございます。

 さらに、モニタリング、エアコン設置及び文科省が実施いたしましたリフレッシュキャンプにおきましては、公立、私立の区別なく支援を行っているところでございます。

 今後とも、子供たちの安全、安心の確保のために、学校を含めた放射能対策に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

石原(洋)分科員 年間一ミリシーベルトを目指すということは当然であるんですけれども、補助の基準を一・〇マイクロシーベルトというところにしているということがちょっと違うのではないかなと。基本的には、もともと自然放射線量というのは〇・〇四マイクロシーベルトでありますので、親御さんからすれば、一・〇もあったら幼稚園に通わせない状況であります。ですので、基本的にゼロにするということを今後とも目指していただきたいと思っております。

 実際に、公立の方が私立より優遇されていると感じます。公立は行政のバックアップが当然ありますけれども、私立幼稚園や私立学校にお聞きしますと、去年かかった除染費用がことしもまだ入ってきておりません。私立学校の方が、資金繰りなど経営上の問題もありますので、すぐ除染のためにかかった費用、資金が入らなければやっていけない状況であります。

 行政の補助による、私立幼稚園や私立学校に行った除染費用の支払い状況をお伺いいたします。

小松政府参考人 お答えいたします。

 まず、除染に対する補助金の支出状況でございますけれども、福島県の私立学校の校庭、幼稚園ですと園庭でございますけれども、この除染に対する国の補助金の対象は、三月二日時点で四十二校ございます。これらの学校につきましては、二月二十四日に交付内定が全て済みまして、このうち三十二校については交付決定まで済んでおります。

 これらの補助金の支出につきましては、福島県から事業完了確認の報告書が出次第、可及的速やかに支払い手続を行うということにしております。現時点で、最終的にそういった報告書が出ましたのが二校ございますが、これらについては支払いを完了しておりまして、県に伺いますと、大体三月九日ぐらいに県から学校設置者に手交されるという予定で進めていると聞いております。これ以外の学校につきましても、事業完了確認に伴う報告書が私どもの方へ提出されてまいりますれば、速やかに支払い手続を行うということにさせていただきたいと思っております。

石原(洋)分科員 いろいろと手続があるということは承知の上ではあるんですけれども、実際、去年の例えば六月、七月に除染を行って、学校からすれば、すぐ業者に支払いをしなくてはなりません。そうすると、半年以上もそのかかった費用が不足している。経営上、本当に厳しい状況でありますので、速やかにその支払いはお願いしたい。今後もさまざまな支払い状況があるかと思いますけれども、できる限り国の責任で速やかにお願いいたします。

 私立幼稚園や私立学校は、実際、放射能が原因で悩まされているわけであります。父兄が幼稚園を選択する際にまず確認をすることは、今までであれば、子供が、どういう幼稚園であればその教育方針に合うのかどうかを確認し、入園させておりました。しかし、今は違います。まず確認することは、園の放射能の数値であります。放射能の数値が高ければ、その園は避けます。福島では入園希望がどんどん減っております。新しく幼稚園に入る子供がゼロというところもあります。このまま来年、再来年と続けば、営業損害が大きく、経営が成り立たないところが相次ぎます。

 私立幼稚園や学校に対して東電の補償はいつまで続くのか、政府として補償してくれるのか、伺います。

糟谷政府参考人 東京電力の賠償の終期についてのお尋ねがございました。

 風評被害の終期につきまして、原子力損害賠償紛争審査会の中間指針では、少なくとも現時点において一律に示すことは困難である、個々の実情に応じて合理的に判定することが適当であるというふうに明記されているわけでありまして、政府といたしましては、今般の事故による風評被害が続く限り賠償をすべきものと考えております。

 東京電力に対しましては、被害者の皆様の実情を踏まえた上で、風評被害が解消されるまで、迅速かつ適切に賠償がなされるように指導を行ってまいります。

石原(洋)分科員 風評被害がなくなるときまで、確実に補償をお願いいたします。

 昨年までは、福島市でいろいろ、幼稚園の方たちがセミナーなどを行いますと、七百人ぐらい集まっていたそうなんですけれども、昨年は百七十人程度ということでありまして、大きく激減しているわけであります。ぜひよろしくお願いいたします。

 本来は、補償に頼らなくても済むように、除染は進めていき、安全、安心を確保しなければなりませんが、福島の数値が低くなったとしても、果たして子供が戻ってくるのか、見通しがつかない状況であります。残っている方が福島で安心して産み育て、教育を受けられる政策、避難した方が安心して戻ってきて教育を受けられるという政策を進めなければなりませんが、その点についてお伺いをいたします。

平野(博)国務大臣 まさに委員御指摘のとおりだと思っております。

 特に、福島における教育施策、この方針につきましては、大臣就任後に私は福島の現地に行きました。改めて、この大震災並びに原発事故の影響の大きさを感じたところでございます。同時に、私は、もっとあれかなと思いましたが、厳しい環境の中でも元気に子供さんが学んでいる姿もこの目でかいま見ました。一生懸命やっておられる姿に、私は心強い思いもしたところであります。

 したがって、委員御指摘のように、子供たちの元気が本当に福島の元気につながるように、私どもとしてはしっかりそれをサポートすると同時に、当該の自治体と十分に連携をとってやらなきゃいけないと思いますし、そのことが逆に、福島から出られた方であっても、ああ、戻ってもいいなと言える環境整備、これが私は一番大事な視点だと思っておりますので、そういう希望を持って勉学ができ得る環境を早くつくれるように私どもとしても頑張りたい、このように思っております。

石原(洋)分科員 福島から避難された方たち、あるいは今福島に残っている方たちが、本当に除染が完了しても戻ってくるのか、安心して通えるのか、本当に難しい課題であると思っております。

 なぜ福島の人たちが不安に思うのか、その最大の原因というのは、政府が行う政策に対して信頼がなくなったということであります。直ちに健康に影響はないという発言は、いずれ自分たちの健康に影響が出るんじゃないかという不安をあおりまして、また、SPEEDIを公表しなかったということは、政府が国民に対し情報を隠したということを意味しております。

 仮にSPEEDIを公表できない事情があったとしても、避難指示二十キロメートルというのが適切であったのかということであります。SPEEDIを公表しない分、避難指示区域を五十キロとか六十キロ、七十キロとする、そういう選択もあったかと思います。また、計画的避難区域のような、一カ月たってから、やはり避難するべきレベルでした、避難してください、そういった後手の対応が、市民の方々に対して大きく不安を与えたところであります。

 県民が今思うことは、十年たったときに誰かが健康を害するかもしれない、そのことを政府は隠しているんじゃないか、あるいは、県民をモルモットにしているんじゃないか、いや、後になって本来は避難するべきレベルでしたと言うのではないかといったことをさまざまおっしゃって、政府を信用できない状況となっております。

 ですので、この信頼を回復していくということが大切であると思いますし、地方任せでよいという話ではないと思います。国は責任を持ってこの事態に対処し、信頼回復に努めていただきますようお願い申し上げますし、文部科学省としても万全の対応を期していただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 議員御指摘のとおり、私は、文科省の担当という立場を超えて、政府の一員として、やはり野田総理も、福島の復興なくしては日本の再生はないんだ、こういう強い決意のもとに今施策を進めているところでございます。特に文科省の立場で、委員御指摘のとおり、私どもは、行政の施策に信頼を置かれていないんじゃないか、こういうことですから、やはり信頼を得ていくというのが一番大事なことだと思っています。

 その上において、放射線量については、これぐらいで大丈夫ですよと言っても、本当に安心なのか、こういう不安があるわけですから、特に文科省としては、そういう安全、安心の確保をそれぞれの施策で実現していかなければならない、こういうふうに思っております。

 特に子供さんの部分でいきますと、リフレッシュのキャンプをしてもらって心のリフレッシュをしてもらう、大丈夫だなとみんなで共有してもらう、そういう部分でありますとか、学校の施設についても、やはり早く復旧させなければ、仮設のところで、教育環境の悪い中で一生懸命頑張っていただいているわけでありますから、学校だけぽつっとつくってもだめであります。

 したがって、まちづくりという概念の中に学校というものもセンターに位置づけて、しっかりと行政施策と一緒に学校をつくっていくということが、逆に、子供さんが戻ってこられても、きちっとしたインフラが整っている、これも一つの安心、こういうことだと私は思っています。

 また、被災をしたために他のところとの間に格差がつく、やはりこういうことについてはだめだと私は思っております。被災したためにいろいろな悪条件になったということのないように、私は、就学支援、さらには奨学金を拡充する、こういう施策はやはり打っていきたいと思いますし、特にそういう子供さんについては、職員の加配を含めて定数をふやして、より丁寧なケアを進めていく、こういうことが私どもとして今推進してきているところでありますし、それを進めようとしております。

 一方、食という概念でいきますと、特に学校においては給食であります。食する部分については、当然、政府としては出荷時点でチェックをかけておりますけれども、口に入る前に給食においてはしっかりと検査をして、より安心、安全な食材をもって給食事業に当たれるようにチェック体制をより強化している、こういうことによって安心してもらう、そういうことを含めて努力をいたしております。

 それは、十分か十分でないかという御議論はありますが、我々としては、この震災から、あるいは放射線から子供を守る、このことを肝に銘じて諸施策を遂行していきたいと思っていますから、議員におかれては、今後、いろいろな課題についてどうぞ遠慮なく御指摘をいただきたい、よろしくお願いをしたいと思います。

石原(洋)分科員 ぜひどうぞよろしくお願いいたします。

 三次補正予算で被災私立学校等復興特別補助・交付金が組まれましたが、実際に各幼稚園、私立学校にいつ支援されるのか、お伺いをいたします。

小松政府参考人 三次補正の執行等についてのお尋ねでございます。お答えいたします。

 まず、今お話しの私立幼稚園の園児等の減少といったことに対しまして、御指摘のとおり、第三次補正で、学納金の減収分等を考慮した被災私立学校等の復興特別補助金を新たに措置いたしておりまして、特例的な支援をするという仕組みになっております。この措置は、具体的には、福島県等被災三県に対しまして、私立学校の復興特別交付金を交付いたしまして支援をするということでございますが、平成二十六年度までの四カ年を現在措置して、基金方式で出すことにいたしております。

 現在、二月二十四日に、手続のお話が重なって恐縮でございますが、直前の交付決定が終わりまして、三月二日に全て私どもからの支払い手続を終えたところでございます。これから県の手続に入られるわけでございますけれども、各幼稚園、あるいはそれ以外の私立学校も含めまして、極力速やかに交付する予定で臨むと伺っておりまして、私どもとしても、今後のことがございますので、三県とよく連携を図りまして、できる限り速やかに各園、学校に交付が行われるように、一緒に努力してまいりたいというふうに考えます。

石原(洋)分科員 福島の場合ですと、地震、津波、原発事故とあったわけなんですけれども、さらに今も放射能災害ということで災害が進行中でありますので、速やかにお願いをいたしたいと思います。

 次に移らせていただきますが、福島は安全なのか、それとも危ないのか、それを正確に発信することは、科学技術の開発研究に携わってきた文部科学省の責任でもあると思います。

 世界の都市でいいますと、福島の放射線レベルの高さはどの程度の都市と一緒なのでしょうか。よくブラジルのガラパリが年間十ミリシーベルトという話も聞くんですが、世界の都市レベルと比較して福島はどの程度なのか、御説明をお願いいたします。

土屋政府参考人 先生御指摘のブラジルのガラパリでございますが、世界的にも放射線量の高い地域と知られておるのは承知しております。

 年間空間線量は十ミリシーベルトというふうに言われておりますが、このブラジルのガラパリにおける宇宙から来る放射線と大地からの放射線を合わせた自然放射線、これの空間線量率につきましては、原子放射線の影響に関する国連科学委員会、UNSCEARと呼ばれる委員会がございますが、この一九八二年報告によれば、時間当たり一ないし二マイクロシーベルトと報告されてございます。

 同時に、その報告書におきまして、その他の国における空間線量率の平均値を言われております。いろいろばらばらでございますが、旧東ドイツにおきましては毎時〇・〇九四、イタリアにおいては〇・〇五七、インドで〇・〇四二、米国が〇・〇四六、スイスが〇・〇八七、日本が〇・〇四九ということで、いろいろまちまちでございます。

 これに対しまして、福島県内に現在置かれております可搬型モニタリングポストの測定結果で、かつ警戒区域等以外のエリアにおける本日十二時のデータでございますが、福島市のあづま総合運動公園が〇・一六二マイクロシーベルト、郡山市役所が〇・四一三マイクロシーベルト、白河市総合運動公園が〇・二四マイクロシーベルト、会津若松市役所が〇・一一三マイクロシーベルトでございます。

 また、このほか、福島市に設置しております固定型モニタリングポストの結果でございますが、三月の一日から二日が最新データでございますが、これによりますと毎時一マイクロシーベルトというように、場所によって相当違いが出てございます。

 以上でございます。

石原(洋)分科員 次に移らせていただきます。

 三つ子の魂百までといいます。特に、幼児期に今回のような原発事故を受けた子供たちは大きな衝撃を受けております。教育は国家百年の計と大臣も所信表明演説をされましたが、福島の子供たちへの大臣の心強いメッセージをお願いいたします。

平野(博)国務大臣 先般の所信のところでも申し上げました。福島を創造的に再生していく、こういう観点で見たときには、やはり次の世代を担う子供さんというのは福島の宝でありますし、日本の宝でもあります。私は、そういう方々にぜひ頑張ってほしいという思いと、福島でやっておられたことに大きく感動したことがございます。

 昨年の八月に、福島総合文化祭でしたか、そこでの創作劇で言われた言葉で私は非常に感動して、私も担当としてしっかりやらなくちゃならない、こういうふうに思ったことがございます。高校生が発した言葉でございますが、福島に生まれて、福島で育って、福島で働いて、福島で結婚をして、福島で子供を産んで、福島で子供を育てて、福島で孫を見て、ひ孫を見て、最期を福島で過ごす、この言葉に私は感銘をいたしました。

 改めて、私は、今、原発で大変厳しい環境でございますが、文部科学省としても、百年の大計、これはやはり人材なんだ、子供さんなんだ、そこからしっかりと見詰めていかなきゃいけないんだ、そんな思いのもとに、この福島の子供たちの願いを私の責任においてやはり実現させていかなきゃいけない、こう決意をいたしているところでございますので、先生におかれても、同じ福島、こういう立場でぜひ御理解と御協力をお願いしたい、このように思います。

石原(洋)分科員 大変ありがとうございます。

 大臣におかれましては、もちろん行政のトップという立場もございますけれども、ぜひ福島の子供たちの視点に立っていただき、それを反映していただきたいと願うところであります。

 次に移らせていただきます。

 原子力損害賠償紛争審査会の議論の経過についてお伺いをいたします。

 精神的苦痛の損害というものを昨年の十二月六日に中間指針に追加されたわけでありますが、なぜ福島県全域ではなかったのか、その点について、経過についてお伺いをいたします。

戸谷政府参考人 今回追加になりましたのは、いわゆる自主的避難等の区域の方々に対する賠償の考え方ということでございます。

 その基本的な考え方といたしまして、今回、警戒区域あるいは計画的避難区域から住民の方々が実際に政府指示に基づいて避難したということがあったわけでございますが、そういった政府指示によらずに、放射線被曝への恐怖あるいは不安といったものをそれぞれお感じになって自主的に避難をされた方々が現実にいらした、そういったことに対しまして、その恐怖感等に対する精神的な損害といったものに対しまして賠償しなければならないということでございます。

 ただ、自主的な避難の事情につきましては個別にいろいろな事情があるということでございまして、それについては、可能な限り広く、かつ早期に賠償するということから、指針におきまして、一定の区域に居住する方々に共通して生じた損害ということで、幾つかの考え方をその中に織りまぜながら、今回、自主的な避難区域の方々に対する賠償の考え方を決めたということでございます。

 そういった中で、今先生御指摘の原子力損害賠償紛争審査会でございますが、法律家あるいは原子力の有識者が集まりまして、発電所からの距離といった問題、それから、先ほど申し上げました政府指示によりまして避難をした対象区域とどれだけ近接性があるかといったようなこと、それから、政府等から公表された放射線量に関する状況がどうであったのか、実際に自主的避難をされた方々についての状況がどうであったのか、あとそれから、今回対象となった区域につきましては、市町村、県から沃素剤が配備されているといったような状況もかなり多く見受けられておりまして、そういったことから、実際の放射線量の多寡のみならず、当時のある種の切迫性といいますか、そういったことからの精神的な損害といったものも認めるということでございまして、そういった観点から総合的に判断をいたしまして、二十三市町村につきまして自主的避難区域の対象場所ということで設定させていただいたわけでございます。

 ただ、これにつきましては、これ以外の区域の方々がその賠償の対象とならないということではございませんで、この指針の対象区域というのは、一律に認められるということでこの区域を設定したということでございます。この区域外の方々におきましても、個別の事情に応じまして、当然、事故との因果関係というのが出てまいりますので、そういった際には賠償となり得るということは中間指針の考え方としてあらかじめ明記されておりますし、そのことについては、東電にも認めていただきたいということで私どもの方からも働きかけを行っているところでございます。

石原(洋)分科員 放射能災害の怖いところというのは、県民の心を引き裂くということであり、分断するということであると思います。

 福島ということで、県民全員が精神的苦痛を受けたわけでありますし、実際に観光客が来ないとかそういう風評被害もあって、そういうことを感じるだけでも苦痛を受けるわけでありますので、心を一つにして復興に向かって取り組んでいくためにも、ぜひ御考慮いただきたいと意見を申し上げさせていただきます。

 最後に質問させていただきます。除染費用に関しましてお伺いをいたします。

 政府は、除染に大胆な予算を組んでいただいております。しかしながら、個人や企業が行った除染費用について支援がなされておりません。少なくとも、原子力損害賠償紛争審査会で精神的苦痛を認定したエリアについて、個人が行った除染について、個人の除染を認めるべきであると考えますが、中間指針に追加はしないのでしょうか。紛争審査会の議論の経過についてお伺いをいたします。

 また、そうでなければ、政府が、個人に対して、個人が先駆けて行った除染に対しても支援を行うべきでありますが、御見解をお伺いいたします。

湯原主査代理 時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。

鷺坂政府参考人 お答えします。

 福島県内で個人の方が行った除染費用についてということでございます。

 現在、内閣府、環境省と、あるいは関係者間で検討しておりますけれども、遡及的に、個人が行った費用を助成することも含めて、今鋭意検討しております。なるべく早く結論を得られるよう努めてまいりたいと思います。

石原(洋)分科員 まことにありがとうございました。

湯原主査代理 これにて石原洋三郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜本宏君。

浜本分科員 民主党の浜本宏でございます。

 大臣、長期にわたって、きょうはお疲れでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは三月五日。忘れてはならない三月十一日まで本当に一週間を切りました。私は神戸の出身でございまして、私にとっては、一月十七日と三月十一日というものが非常に私の人生の中で重い重い忘れてはならない日となりました。きょうは、直接的な質問ではございませんが、被災地の皆さん、被災地の復旧復興、そして元気な日本、この祈りの中で質問をさせていただきたいと思っております。

 文部科学省におかれましては、小学校一学年の三十五人学級制、あるいは公立高校の無償化、あるいは私学の高校の補助、その他、さまざまな形で非常に積極的に頑張っておられますこと、心から敬意を表したいと思います。私は外務委員会に本来は所属をしておりますけれども、本当に文部科学関係の皆さんの頑張りに心から敬意を表したいと思っております。

 それで、まず私が質問を申し上げたいことは、きょうは、大臣、何か胸にバッジがついておりますけれども、それは何のバッジでしょうか。

平野(博)国務大臣 これは、二〇二〇年のオリンピックの招致で、国を挙げて、日本に、東京に招致をしよう、こういう意欲をあらわすバッジでございます。議員にもお渡ししたいと思います。

浜本分科員 私も実は議連に入っておりまして、それをいただいたんですが、きょうはちょっとこの質問の方に頭が行っておりまして、忘れてまいりましたけれども、ありがとうございます。

 それではまず、私、オリンピックのことについてお話をちょっと伺いたいんですが、先般、「ALWAYS 三丁目の夕日64」という、ちょうど東京オリンピックの始まるところから、開会が終わって閉会式になった、この年のところの映画をやっておりました。私も見てまいりました。当時、私は小学校の六年生でございましたので、授業が中断してもテレビを見に行きました。そういう思いの中で、私は最初から最後までずっと泣いておったんです。

 でも、今から振り返ってみますと、あのオリンピックのインパクトというのは非常に、私自身にとっても大きかったですが、やはり日本国という国にとって、例えばゼロ系の新幹線ができた、あるいは直接関係がおありかわかりませんが、テレビがカラーテレビになって、私は初めてある企業のカラーテレビを見に行きまして、開会式をカラーテレビで見て、なるほど、カラーテレビとはこういうものか、では、僕も家に帰ってモノクロのテレビにちょっとガラスを張って絵の具でも塗ったらカラーテレビになるんじゃないか、そう思ったこともありますけれども、いずれにしても、オリンピックの私たちに与えた影響というのは非常に大きかった。

 この間、東京都知事あるいはJOCが東京オリンピック二〇二〇のアプリカントシティーということで手を挙げられて、これはこの間の東京都の広報ですけれども、二月十三日にIOCに対して申請ファイルを提出した、こういうことがございました。

 東京オリンピック二〇二〇、これの意義、そして、この窓口は私は文科省とお聞きしておりますけれども、その文科省の二〇二〇東京オリンピックに対しての心意気というものをまずお聞かせいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 議員、本当にオリンピックに対する御理解をいただいて、ありがとうございます。

 先ほど、カラーテレビ云々含めて、議員とはそんなに年齢が違わないから、同じような時期にあったと思います。私も、モノクロのテレビから、ちょうどテレビの画面の前にカラーのフィルターみたいなものをつけて見ておったようなときも過ごしました。

 さて、二〇二〇年についての意義でございますが、やはり何をおいても、昨年の震災に対して世界の国々の方が多くの心ある支援を我が国に、被災地にいただきました。そういう意味で、今一生懸命我が国としては復旧復興に元気で努めているところでありますし、世界の国の方のおかげをもって日本は再生しました、こういうメッセージを私は示すことが世界の皆さんに感謝することにつながる。そういう意味では、スポーツの祭典ということで、我が国にオリンピックの招致をお願いして、そういう場面ができれば最大のそういう機会に資するものだ、こういうふうに思っておりまして、文科省としても、国会決議をいただきました。したがって、東京都も、そういうことを含めて、IOC含めて、あるいはJOC含めて、私は、強力に進めていきたいと思っていますし、文科省でもその対策本部、招致本部をつくって進めているところでございます。

浜本分科員 ありがとうございました。

 非常に力強い決意をお聞かせいただいて、私たち議連のメンバーといたしましても、力いっぱい頑張っていきたいと思っております。

 さて、そのオリンピックに関連しまして、気になるWHOとIOC、国際オリンピック委員会の合意というものが、実は二〇一〇年の七月二十一日にローザンヌでございました。

 お手元に配付しております資料の最初の一ページをごらんいただきたいと思うんです。

 これは、非感染性の病気等に闘っていこうという合意でありますけれども、その中で二行目にありますように、たばこのないオリンピックを実現する、あるいは、一番下から四行、たばこ使用、健康的でない食習慣、運動不足などをなくすることで予防できるということです。毎年、生活習慣病で三千五百万人の命が奪われておるわけであります。たばこは、WHOの発表では年間約五百四十万人、あるいは六百万人という数もありますけれども、そういったものに対して、WHOとIOCが手を組んでやっていくんだ、したがって、オリンピックもたばこフリーでなければいけない、こういう合意であると私は理解しておるんです。

 大臣は、この合意の存在を御存じでございましたでしょうか。

平野(博)国務大臣 これは私、文科省としては、そういう取り交わしをされたということについては聞いておりました。

 特にこの覚書が目指している、健康的なライフスタイル、こういうことと、それを含めて草の根スポーツに広げていきたい、こういうことでありますし、この意義はある意味、理解はします。ただ、私、実家がたばこ屋なものですから、このことについては、多少、ここまでしなくてもいいのにな、分煙でいいんじゃないのという気はいたしますが、意義深いことだと思っております。

浜本分科員 たばこ屋さんであったとは存じ上げませんでしたけれども、しかしながら、きょうは非常に煙たいお話になるかもわかりません。

 実は、きょうお手元に配付しておる次の資料を見ていただきましたらわかりますが、昨今、受動喫煙、もちろん直接たばこを吸われる方の健康の問題も言われておるんですが、さらに深刻なのは受動喫煙で起きる病気ということで、これは日本禁煙学会のファクトシートからコピーをさせていただきましたが、特に微小粉じんPM二・五。実は、きょう中国で開かれている全国人民代表大会、全人代でも、PM二・五が話題になっております。これは、特にディーゼル関係の車から出る排気ガスに多いということで、今、北京も上海も大変なことになっている。そこで、全人代も、これはもうやらざるを得ないということで、きょうやっているみたいです。

 実は、たばこの煙の中にこのPM二・五が非常にあって、三枚目を見ていただきますとわかりますように、もう一々たばこの害については申し上げませんけれども、極めて危険な状況に受動喫煙の煙が役割を果たしている、果たしていると言うのはおかしいんですけれども、そういう状況にある。何としてもやはりこれと闘わないと、死ななくてもいい人たちがたくさん亡くなっている。吸っている人は、自分で吸われているんですからそれは仕方がないとしても、吸わない人まで巻き込んでしまうという状況の中で、今、世界で、これは大変だと。あるいは、肺がんとかCOPDとかいう病気になって、これに医療費が大変かかってくる。

 例えばブータンですけれども、先般お越しになられましたが、ブータンなんかはもともと医療費がただであったために、どんどん肺がん患者がふえて、医療費がたくさんかかってきた。そこで、肺がんになる人さえ少なくすればいいじゃないかということで、結局禁煙にしてしまった。一部ちょっと例外はあるんですけれども。

 そういう形で、今、世界がこのたばこ問題については非常に、もう嗜好品であるとかそういった状況ではなくなってしまっているというのが現実だということを、ぜひおわかりをいただきたいと思っておるわけであります。

 したがって、この合意がございますから、東京都が手を挙げても、今の日本の状況、受動喫煙にいたしましても、例えばこの国会でさえも、私も昨年の予算委員会の分科会で国会内の食堂等のことについても触れましたけれども、国会でさえも受動喫煙の状況。先ほど分煙とおっしゃったんですが、実は、世界レベルでは、たばこ規制枠組み条約というのができておりますけれども、もう分煙は過去の問題であって、今は完全に禁煙にするかということが問われているのが現状であります。しかしながら、国会の状況もおくれておる。

 それから、さらに五枚目を見ていただきますと、例えば私たちがよく利用する新幹線でございますけれども、私たちが特に乗っております、日本にはいろいろなのがあるんですが、JR東海を見ますと、例えば十号車、これは喫煙ができるブースがついておるわけです。しかしながら、実はそれでも、その前後の車両、禁煙になっておっても、そこではやはりたばこの煙が漏れていて危険な状態が発生しているということであります。

 JR東日本等は非常に進んでおりまして、今や禁煙化率は一〇〇%に来ておる。東北新幹線、上越新幹線、長野新幹線はそういうふうになっております。しかしながら、やはり基幹の新幹線であるJR東海の新幹線が、まだまだ残念ながらその辺がおくれてしまっている。

 こういう状況で、手を挙げて東京へいらっしゃい、東京へ来てくださいと言っても、これはなかなか、もしこのことが、IOCなりWHOとの間で、東京が、あるいは日本がこの状況だということは、努力をしても非常に難しいのではないのか。

 先ほど大臣おっしゃったように、何としてもこの東京オリンピック二〇二〇は、被災地あるいは元気な日本を見てもらうためにもやらなければいけない。そういう意味では、絶対にこの障害はクリアをしていってやっていくべきだ、こう思うんです。

 こういうあたりの観点から、文科省はぜひ関係省庁、例えば今度でき上がった、これも文科省に御努力いただいた、議員立法でありますが、スポーツ基本法があります。あの中で省庁会議というものが規定をされておりますけれども、ああいうところで、例えば国土交通省に対して、駅の今の受動喫煙の状況、新幹線のこういう状況、オリンピックをやっていくためにはどうしても必要だというようなことをやはり強く求めていく必要があるのではないか、こう思うんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

平野(博)国務大臣 私の個人のところはちょっと横へ置きまして、今議員指摘のように、IOCとWHOとの間でそういう覚書がある、こういうことですから、そのことはやはりきちっと踏まえて、これから関係省庁並びにJOC、あるいは東京都を含めて、こういうことがある、このことを前提として、これがうまくいかなければ招致できないということのないように、しっかり対応をしていかなきゃならないと思っております。

 私も、先生のように鋭い質問をされますとたばこの本数がふえるものですから、これから禁煙にできるだけなるように努力したいと思います。

浜本分科員 ありがとうございます。

 ぜひ何とか頑張っていただいて、大臣も、文科の一番トップでございますから、ひとつ御努力いただいて、もし必要であればまたお医者さん等も御紹介させていただきますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 それから、オリンピックの件につきましてはそれまでといたしまして、最近、受動喫煙ということで、屋内でできるだけ吸わないでくださいということで、外で吸っていただくという形もあるんですが、ただ、外で吸っても、実は、きょうお示ししておる資料に、このグラフの一番下がWHOの基準ですけれども、十七メーター離れておってもこういう状況でございます。これは、四枚目のカラー、私のはちょっとモノクロですけれども、四枚目のところにあります。

 それで、きょう申し上げたいのは、実は、外で吸われて、公園、特に児童公園で吸われる方が最近よく目につく。この間も、あるアンケートで、吸ってほしくない場所ということの中に、一番が路上でした。公園が三番目に来ておりましたけれども、特に児童公園というところは、子供さんが当然集まってくるわけでございまして、たばこを吸ってもみんな始末をちゃんとしてくれればいいんですが、例えば砂場に捨てているとか、あるいは、そこで吸っていて、子供が遊んでいて、目の高さにたばこが行ったりするという非常に危険なことも起こり得るということで、児童公園をぜひ禁煙化してほしいという御要望、あるいは、先日、学会等での発表もございました。

 もちろん、公園は文科省の所掌ではないことはわかっておりますけれども、やはり、先ほどのオリンピックとの関連でいいましても、外国の皆さんが来られて、歩いていたら、児童公園でたばこを誰かが吸っていた、これは非常にまずいのではないかと思いますし、そういった観点からも、これもぜひ関係省庁会議等において、善処をするように大臣の方からお願いをできないか、こういう気持ちで質問をさせていただきます。御所見を頂戴できれば幸いです。

久保政府参考人 健康増進法第二十五条では、学校や官公庁施設その他多数の者が利用する施設を管理する者は、利用者の受動喫煙を防止するために必要な措置をとるという努力義務が課されているところでございます。

 厚生労働省は、平成二十二年、一昨年二月二十五日に、受動喫煙防止に関する通知を発出いたしまして、都道府県、関係省庁等に対しまして、適切な受動喫煙防止が講じられるよう、理解と協力を求めているところでございます。

 この通知を受けまして、文部科学省では、二十二年三月十二日に、学校、社会教育施設、社会体育施設、文化施設等における受動喫煙防止対策及び児童生徒等に対する喫煙防止教育について一層の推進を図るよう、都道府県教育委員会等に通知を発出し、子供たちの受動喫煙防止対策を推進しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、学校や教育施設等の受動喫煙防止について、今後も一層の推進を図りますとともに、児童生徒等が休日等に利用する公共施設におきましても同様の取り組みを期待しているところでございまして、その点につきましては関係省庁とも連携して取り組んでまいる必要があると考えているところでございます。

浜本分科員 ありがとうございます。ぜひ、この分野も、特に子供の命を守るという意味からもよろしくお願いをしたいと思います。

 この四枚目のところに、神戸大学医学部で、敷地内禁煙であり、かつ患者の皆さんには健康上よくないということで、たばこを吸うのをやめなさいと言っている医学部の中で、実は喫煙室が設けられて、そして、それを指摘されて、あるいは兵庫県の条例が制定をされるということで、急遽、閉鎖になった、こういう報道がございました。

 こういうことから見ますと、これは報道ですけれども、兵庫県の条例ができそうだから閉鎖するんだ、こういうことでございまして、文部科学省から言われたからどうこうじゃなくて、例えばこれは、二〇〇三年に健康増進法の施行を受けて、〇四年に敷地内を禁煙にした、こうあるんですけれども、医学研究科も〇八年、つまり、もう四年間、そういうほったらかしの状態があったということでありますね。

 こういう意味でも、一生懸命、文科省の方もやっていただいていると思うんですけれども、特に医学部というところでこういう状況があるということは非常に困ったことでございます。人を指導する立場、健康を守っていくお医者さんのところでこういうことが許されておる。しかも、国民の税金を使ってやっているのではないか。部屋を設けて、そしてそれがわずか一年で閉鎖ということは、これは税金の観点からいきましても、大変無駄なことをやっているのではないかと思いますので、こういったことがないように、ぜひ御指導の方をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 以上、オリンピックにつきましてはそこまでとさせていただきます。

 次に、武道の必修化。いよいよ四月から武道の必修化がございますが、その中にさまざま、柔道とか剣道とか空手道とかダンスとか、それはそれぞれの地域の特性によって行われるようであります。神戸市は、六校で剣道がされるということであります。

 実は私も、司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」を読んで感銘して、四十から剣道を始めて、今は剣道四段で、時々衆議院の剣道道場で口だけの剣道をしておりますけれども、この剣道の問題点は、その他の武道と違いまして、やはり防具が必要だというのがずっと長い間大きな問題でありました。この防具がどうしても高価になってしまう。

 そして、今までは、私たちの高校のときもそうでしたけれども、恐らく、大臣や皆さんの時代も高校とかで体育の時間に柔道とか剣道をされた方はいらっしゃると思いますが、他人あるいは先輩が使った、二十年も三十年も使い古された、汗のにおいがしみついた面あるいは小手を、においがしながら、臭いなと言いながら、それでもこれが剣道やと言いながらつけたのを覚えているんです。

 これは、昔の時代、恐らく「ALWAYS64」の時代だったら許されたかもわかりません。しかし、今日、感染症がどうのこうのとか言われる時代に果たしてそれでやっていけるのかということが、実は、ある神戸市の剣道連盟の幹部の方から、どうもそれは無理だろう、やはり面と小手、まあ小手は仕方がないとしても、面だけは自分の面を欲しい、買いたいという親が出てくるのではないか、そういうときに何らかの補助でもできるようなことを考えないと、明らかに差がついてしまうと。

 これは文科省も、もう既に地方に税金を投入しておられるのはわかるんですけれども、そういった面での配慮を、やはり、地方自治体、学校の設置者ともお話をする機会も必要なのではないか。スポーツ基本法の十六条、十八条等にも、そういうような補助とか用具の開発とか、こういうことが規定されております。

 したがって、その補助が難しいのであるならば、例えば、もう何百年も続いてきた剣道の面でありますけれども、例えば、鉄があるために水で洗えないのだったら、カーボンの面をつくるとか、あるいはポリエステルのをつくるとか、こういった開発をやはり文科省として提言していく、こういうことをしてもいいのではないか。

 これはもうスポーツ基本法の十六条、十八条にそういうような内容が書かれてあるわけですから、この点について関係者の御所見をお伺いしたいと思います。

久保政府参考人 二十四年度からの中学校での武道の必修化に向けまして、施設整備、指導者の養成、用具等の整備につきましては、課題として捉えて条件整備を進めてきたところでございますし、各設置者が条件整備を進めていただくようにお願いをしているところでございます。

 このうち、先生がおっしゃられましたけれども、剣道の防具等の用具につきましては、平成二十一年度から地方交付税措置をいたしまして、地方自治体での整備をお願いしてきたところでございます。

 また、用具の開発につきまして、今おっしゃられたような点につきましては、武道という我が国の伝統文化を学ぶ種目においては、伝統と文化がこれまで重視されてきたところでございますが、それに加えて、安全面や衛生面にも配慮したものが開発されることは、武道普及の一助となるものであると考えているところでございます。

 各学校や教育委員会におきましては、地方財政措置を活用しつつ、安全に、円滑に武道の授業が実施できるよう、各学校、各教育委員会の御判断で用具の整備を進めていただくようにいろいろな機会にお願いしているところでございますけれども、一層その取り組みが進みますように、文部科学省としても今後ともお願いしていきたいと考えているところでございます。

浜本分科員 ふたをあけてみたら、防具が原因で剣道をとる人が少なかった、もちろん、ある程度のアンバランスがあっても仕方がないんですが、そういうことがないように、スポーツ基本法の精神にのっとっても、できるだけたくさんの皆さんがそういう機会を持つことができるようにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、常時啓発事業のあり方研究会というのが総務省にございまして、先般一月に、シチズンシップ教育、いわゆる古い言葉でいえば公民教育、あるいは政治教育、こういうものの重要性を次の指導要領にやはり載せるべきであるという提言をしておられます。

 これにつきまして、大臣は御存じでいらっしゃいましょうか。

平野(博)国務大臣 総務省の常時啓発事業のあり方研究会にそういうふうにあることについては承知をいたしております。

浜本分科員 釈迦に説法かと思いますが、やはり我々見ておりまして、特に私は教師をしておりましたからわかるんですが、非常に今、若者の、我々も昔はそうだったかもわかりませんが、やはり政治的リテラシーというのか、政治について、長い間、戦後、教育基本法では政治も宗教も大事だといいながら、しかし特定の宗教、特定の政党を応援してはならないと、しかし以降ばかりが強調されて、中立であるということが無関心をつくってきたのではないか。それはそうじゃなくて、中立と政治的リテラシーを持つということは決して矛盾することではない。

 やはり、もっと若者に、特に、憲法の今改正の、先日も憲法審査会が衆議院でありましたけれども、十八歳年齢の、恐らくほとんどの御意見が十八歳がいいだろうということになってきておりますけれども、こういう面では、いわゆるシチズンシップ教育の学校における導入、さらに強化が必要と思うんですが、大臣はどうお考えでしょうか。

平野(博)国務大臣 議員御指摘のように、教育基本法、学校教育法におきましては、主体的に社会の形成に参画する、その発展に寄与する態度を養う、こういうことを一つの教育の目的ともしているわけであります。

 そうした目的を達成するためには、平成二十三年度から順次に、新しい学習指導要領に、小中高の社会科公民、この学習の中で、政治参加や選挙の意義、こういうことについて理解をしていただく、こういうことで、さらに議論を深めてもらいましょうということを考えているところでございます。

 また、学校において行われる学級活動、さらには生徒会活動などにおいても、生徒が直面する諸課題をみずから自主的に解決していく、こういう能力、集団や社会の一員としてよりよい社会をつくっていくために参画をしていく、こういうことを目標としており、このことは逆に将来の政治参加を促していく、こういうことになると思っております。

 したがいまして、文科省としても、総務省と連携をとりながら、政治参加に関する学習を、先ほど議員が指摘したようなことのないようにしながら、促していきたい、こういうふうに考えております。

浜本分科員 時間が来ております。

 では、最後に、いわゆる連合国と連合国民の著作権保護期間の戦時加算問題について、これは実は、二〇〇六年に当時の自民党にまず、各団体からこの問題について解決してほしい、あるいはその後、公明党、そして年が明けて二〇〇七年には、当時の野党であります民主党等に対して要請がございました。

 そして、二〇〇七年にベルギーのブリュッセルで、この戦時加算問題について、その権利を持っている国がこれを行使しないでおこうという決議がありました。もちろん、当然、そこには著作権を死後七十年にするんだという条件がついておるわけでありますけれども。

 これについて、文化庁あるいは関係の方の御意見、私はもう、世界が七十年、EUも七十年、アメリカも七十年という時代に、いつまでも日本が五十年にこだわっておってはだめではないか、こう思っております。当時の外務省の政府委員の方の言葉もきょうは資料として持ってきましたが、やはり世界のスタンダードを守っておかないと、こういうふうなしっぺ返しが来てしまったのではないかという反省の弁が出ておりますけれども、この件について御所見をお伺いしたいと思います。

湯原主査代理 時間が超過しておりますので、簡潔に。

河村政府参考人 議員御指摘の戦時加算問題は、文部科学省、文化庁としても、重要な課題であるというふうに認識をしております。

 戦時加算について、議員からお話ありましたように、著作権協会国際連合、CISACの総会で決議があることも存じておりますが、サンフランシスコ平和条約との関係など、政府全体としては、その取り扱いにはやや慎重な検討が必要と存じております。

 この問題については、御指摘のとおり、著作権の保護期間の延長に関する課題と関連が深いものでございますので、保護期間の延長に関する検討とあわせて、課題の検討をしっかり行ってまいりたいと存じます。

浜本分科員 ありがとうございました。

 あと、動物の飼育等についても質問したかったんですが、時間が来てしまいましたので、また後日によろしくお願いします。

 きょうはありがとうございました。

湯原主査代理 これにて浜本宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、石田三示君。

石田(三)分科員 新党きづなの石田三示でございます。

 大臣には、大変長時間にわたって御苦労さまでございます。ひとつ三十分間おつき合いをいただきたいというふうに思います。

 私、代議士になる前に、千葉の鴨川で、大山千枚田という棚田のある地区で農業体験を含め自然体験活動を進めてきた者でございます。そういった中で、食の大切さですとか自然の豊かさ、また自然の怖さ、そういったものを子供たちに伝えてきたつもりでございます。自然体験の重要さというものを認識している一人だというふうに思っております。

 また、今回、私たちは東日本大震災を経験しまして、その重要さというものを非常に強く感じてまいりました。突然自然から襲いかかる脅威に対して自分で身を守れる、守る方策を自分でとれる、そういった能力を身につけるというのが、やはり私は自然体験活動が持つ一つの大きな役割、効果だというふうに思っております。そういった自然体験活動を、国、地方自治体、あるいはまた民間団体も含めて全体で取り組むべきだろうというふうに思っております。

 そこで、自然体験活動が法律や学校の教育課程の中でどういう位置づけになっておるのか。あるいは、今回、被災地で被災された子供たちの心のケア等の取り組みもございました。また、現在、私も参加をしているんですが、超党派の議員連盟で自然体験活動推進法について議論しているところでございますので、その辺について御質問させていただきたいというふうに思います。

 それでは、最初に、先ほどちょっと申し上げましたけれども、今の子供たちというのは、大変少子化も進む中で、なかなか外で遊ばない、テレビゲームですとかインターネットの普及によって、家にこもり、野外での活動あるいは自然に触れる活動が少なくなってきていると言われておりますけれども、現在の子供たちの自然体験の参加状況をどう捉えておられるのか、お伺いしたいと思います。また、自然体験活動は教育上あるいは法律上でどのような位置づけになっているか、お伺いをしたいと思います。

久保政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、実態、状況でございますけれども、国立青少年教育振興機構の調査によりますれば、例えば、海や川で泳いだことがほとんどない子供の割合が十年前と比較して三倍になるなど、自然体験活動を行う子供たちは減少してきております。

 一方で、子供のころに自然体験活動を多く行った子供は、大人になってから意欲、関心や規範意識が高い人が多いという調査結果もございまして、子供の自然体験活動は今後さらに推進していく必要があると考えているところでございます。

 そこで、法律上の位置づけでございますけれども、自然体験活動につきましては、平成十三年に、小学校などにおきまして教育指導を行うに当たり、子供の自然体験活動その他の体験活動の充実に努めることが盛り込まれたところでございます。同時に、社会教育法におきましても、教育委員会の事務として、自然体験活動等の機会を提供する事業の実施等に関することが盛り込まれたところでございます。

 また、平成十九年には、教育基本法改正を受けまして学校教育法を改正いたしまして、義務教育の目標として、「学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。」が新たに規定されたところでございます。

布村政府参考人 続きまして、学校教育上の位置づけや効果について御説明をさせていただきます。

 学校教育における自然体験活動につきましては、新しい学習指導要領におきまして、児童生徒の社会性や豊かな人間性を育むため、発達の段階に応じまして、集団宿泊活動、自然体験活動、あるいは職場体験活動などを推進すること、そして、体験活動の充実を図るという観点から改訂がなされており、例えば総合的な学習の時間におきましては、自然体験活動を積極的に取り入れるとするなど、自然体験活動の重要性を明確にさせていただいたところでございます。

 そして、平成二十二年の七月に行いました調査の結果におきましても、自然体験活動を行った児童生徒が、行う前より周囲の事象に興味や好奇心を持ち、学ぶことの意義を感じるなどして、授業により積極的に取り組むようになったり、進んで清掃や係の仕事をするようになるなどの教育効果が見られたというデータを学校現場からいただいているところでございます。

 今後とも、少子化、あるいは地域社会における人間関係の希薄化が進む中でございますので、児童生徒が、発達の段階に応じて、自然体験活動が学校において、あるいは家庭、地域において行えるようにしていくよう努めてまいることが重要であると認識しております。

石田(三)分科員 今伺いましたが、自然体験活動の重要さというのは共通の認識を持っているというふうに思いますが、民間の施設等々がだんだん減ってきている中で、学校教育の中で進めていくことが大変重要になってきたのかなということは一つ言えるんだろうというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 では、続きまして、今回の東日本大震災で被災した子供たちが、震災からのストレス等々から心身への影響が大変心配されているところであります。心のケアが喫緊の課題だというふうに言われておりますけれども、特に福島では、放射線の影響を心配して、野外で伸び伸びと活動できないといった状況もございます。こういったストレスを抱えた子供たちが野外で伸び伸びと活動することに大きな意義があるというふうに考えますが、文科省の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

 また、国だけではなくて、数多くの民間団体が、被災した子供たちに野外で伸び伸びと活動してもらう自然体験活動を実施してきております。例えば自然体験活動推進協議会、CONEでも、被災した子供たちに野外での体験活動を支援しております。その一方、被災地も含め、全国で自然体験活動を実施している団体あるいは活動の現場が経済的な事情で閉鎖し、体験の場が減少していることも、子供たちへの体験のチャンスを奪っているというふうに考えております。

 そんな活動を進めている民間団体への支援というのも、私は国の大きな役割だというふうに思っていますが、文科省のお考えを伺いたいと思います。

平野(博)国務大臣 委員も先ほどみずから語られましたが、やはり自然体験の大切さを非常におっしゃっておりますし、私自身も、その考え方については同感でございます。

 そういう中で、今回、特に被災された福島県の子供たちに対してどうなっているんだ、こういうことでございますが、文科省としては、昨年の夏休み中には、子供たちの心身の健全な育成あるいはリフレッシュを図っていくために、文科省と国立青少年教育振興機構の共催ということになりますけれども、同県に所在する二つの教育施設、すなわち国立青少年教育施設を活用させてもらいまして自然体験の活動を行う、こういういわゆるリフレッシュキャンプを実施してまいりました。今後も、そういう機会にやっていきたいと思っております。

 特に、参加をしていただきました皆さんからとったアンケートによりますと、無気力感というものが改善をされた、こういうことやら、自然体験をすることによって心身の健全育成に大きく寄与した、こういうことがアンケートの中でも明らかでございます。

 したがいまして、これらの成果を踏まえながら、機構が引き続き秋冬にも子供たちを対象に同様の事業を実施していきたいと思いますし、文科省としても、来年も引き続き実施をしていきたいと思います。

 また、先生御指摘のCONE等を含めて、いろいろな民間団体が実施をしているわけでございます。そういう体験活動については、機構が行っております子どもゆめ基金の事業の助成により、引き続き支援をできるように行ってまいりたい、かように考えています。

石田(三)分科員 子どもゆめ基金も、一時、事業仕分けでちょっと危ない状況になったんですが、正直、私もかかわっている関係もございまして、継続されたことは大変ありがたいなというふうに思っております。国の役割もあり、また民間団体の役割があるんだろうというふうに思っていますが、民間で頑張っておられるところへの支援もひとつよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、次に、国の役割についてお伺いをしたいと思うんです。

 ことし一月に、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針ということで閣議決定をされました。国立青少年教育施設を自治体や民間に移管することに積極的に取り組むということにしておりますけれども、公立の青少年教育施設は、先ほど申し上げましたけれども、自治体の財政難等で、最近の五年間で全体の二割の約二百施設が減少するという厳しい状況であります。民間に委託をしていくという方向で、多分、施設のある自治体に希望というか調査をされていると思うんですが、なかなか思うようにはいかなかったというふうに伺っております。

 全国に二十七ある国立青少年交流の家、自然の家は、子供たちの体験活動の本当に中心的な位置づけとなっております。先ほどの、福島の子供たちを預かったリフレッシュキャンプの実施ですとか、体験活動を進める上で本当にキーになるさまざまなプログラムの開発や安全で指導能力のある指導者養成、これは非常に大事なんですが、指導者養成を行っております。そういった中の、自然体験活動推進の本当に中核的な存在であります。プログラムのよしあしですとか指導者の質の高さによって、その体験の効果はやはり何倍にもなるんだろうというふうに思っております。

 その役割を果たしてきた国立の施設を自治体に移管するのではなくて、二十七でございますので、やはり国が責任を持ってそういった役割を果たしていくべきだというふうに私は考えておるんですが、文科省のお考えを伺いたいと思います。

平野(博)国務大臣 委員御指摘の、国立青少年交流の家、自然の家の移管に関しての御質問でございます。

 私は、国立青少年交流の家、自然の家は、青少年教育のやはりナショナルセンターなんだ、こういう思いのもとに今日まで運営をしてきたところでございます。したがって、体験活動する指導者の皆さんの研修の事業でありますとか、国の施策の喫緊の青少年教育の課題に対応した事業を実施してきたところであります。

 現在、議員指摘のとおり、自治体の財政難等々を含めて、過日の平成二十四年一月二十日、閣議決定で、独立行政法人の制度見直しの基本方針というところに掲げられておりまして、ただ、国がやっているからずるずるやっていいんですよということではなくて、成果を出してもらう、こういう法人に変えていこうよ、こういうことでもございます。

 したがって、私どもとしましては、この施設のあり方について、やはり、自治体と、さらには自然体験の活動をしている指導者に主体的にその役割を果たしてもらうためのことを、十分に思いを持ちながら、改めて中教審の中で今後どうあるべきかということについて御議論をいただこう、こういうふうに思っていますし、その検討を行ってまいりたい、かように思っております。特に、中教審の中では、青少年の体験活動の推進の在り方に関する部会というところで議論をいただこうと思っています。

 なお、二十一年の十一月の事業仕分けでもいろいろな御議論はいただきましたが、そのときに確認しましたが、移管を受け入れると言われた自治体がゼロであったということでもございます。

 したがって、この施設の持っている意義、さらには閣議決定の成果目標を達成する法人にすべく、中教審の検討を進めてまいりたい、かように思っております。

石田(三)分科員 国立であれ、地方自治体が運営し、あるいは民間であろうとも、所期の目的、新しいプログラムの開発ですとか指導者養成がしっかりできる、そういったことであれば私は全く問題ないだろうというふうに思うんですが、今までそういった役割を国が果たしてきたということがあるわけでございますので、その辺は、例えば、引き継いだ上でもそういったことをしっかりやっていただけるように、どんな団体に渡すのかということもしっかり見きわめながら、進めていただきたい。

 これは、国の財政も逼迫している中で、いろいろな状況の中で検討されているわけでございますので、成果目標達成法人とかそういった部分も必要になるんだろうというふうに思います。そういったことを十分踏まえた上でやっていただきたいというふうに思います。

 それでは、続いて、先ほど申し上げましたけれども、私も今事務局長として参加をさせていただいているんですが、超党派の自然体験活動推進議連というのがございまして、そこでは、自然体験活動を実施したものの実績等々を評価する、あるいは指導者養成の資質向上のための養成システムの開発等、自然体験活動推進のための総合的な施策を盛り込んだ自然体験活動推進法、この立法化に向けて今協議をしているところでございます。党派を超えてぜひ成案としていきたいというふうに考えております。

 文科省として、この自然体験活動推進法の立法化についてどうお考えかをお伺いしたいというふうに思います。

平野(博)国務大臣 議員が、事務局長として、立法化に向けて御議論をいただいているということについては承知をいたしております。青少年教育を推進するという観点から、議連の検討状況を十分関心を持って文科省としては見守っていきたいと思っております。

 なお、一方、先ほど私申し上げましたように、中教審の中でも、青少年の活動の推進のあり方に対する部会において、これからどういう方向がいいのか、こういう議論も進められておりますので、同様の法律の必要性に関してもその中での議論も必要である、こういう議論も指摘されているところでございますので、議連の動き等々を含めて注視していきたい、かように思っております。

石田(三)分科員 大変力強いお言葉をいただきまして、私どももしっかり議論をして、いいものを仕上げていきたいと思っていますので、どうか御支援の方よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、ちょっとかえて、学校給食についてお伺いをしたいと思います。

 学校給食での国産食材の使用、これについてお伺いしたいわけでございますけれども、今、食文化が非常に多様化をしてきております。しかしながら、日本食のすばらしさを次の代に伝えていかなきゃいけない、そういったことというのは、調理法だけではなくて、やはり地域の食材にこだわることも必要だろうというふうに思います。

 私は、地元で体験を子供たちにするときに、朝、体験の場所に来たときに子供たちにまず真っ先に聞くのは、朝御飯を食べてきましたかと聞くんですね。そうすると、大体四割強の子はパンです。五割強が御飯を食べてくるという状況です。ですから、それだけ朝食にパンというのが日本の生活の中で普及をしてきているということであります。

 この影響は、また後でも言いますが、大変大きな、多分、戦後アメリカから小麦が来て、私たち、学校の給食では必ずパンと脱脂粉乳で生活をしたわけでございますから、その人たちがお母さんになり、また仕事を持ちながら、本当に簡単に食べられるというか、食器も洗わなくていいですし、そういった食生活になっていったんだというふうに私は認識をしているわけです。そういった観点からも、子供たちの味覚をどうつくっていくのかというのは私は非常に大事なことだなというふうに思っています。

 政府は、自給率、平成三十二年までに五〇%に上げましょうと。これは生産だけではないですね。需要と供給、需要がなければなかなか伸びないわけでございますので、そういった方面からも、やはり子供たちの食育というのは長い間に非常に大きな意味を持ってくるだろうというふうに私は思っています。

 そういった中で、「米飯給食の推進について」ということで平成二十一年に文科省として通知を出しているわけですけれども、これは、私は、米飯だけではなくて、米粉パンあるいは国産小麦を使ったパンということでやっていく必要があるんだろうというふうに思っているんですが、そういった、文科省としてのそれに向けた取り組みについてお伺いをしたいというふうに思います。

久保政府参考人 学校給食におけます食育ということでございまして、学校給食の目標といたしまして、我が国や各地のすぐれた伝統的な食文化についての理解を深めることも目的として掲げられております。

 このため、文部科学省といたしましては、食に関する指導の手引を小中学校等に配付いたしまして、その中で、指導の内容として、例えば「日常の食事は、地域の農林水産物と関連していること。」あるいは「地域の伝統や気候風土と深く結びつき、先人によって培われてきた多様な食文化があること。」などを示しております。

 また、栄養教諭を中核とした食育推進事業におきまして、学校給食への地場産物や郷土料理の活用などを通じて、地域の食文化の理解につながる事業を行っているところでございます。

 これらの事業を米飯給食の推進とあわせまして進めながら、引き続き、子供が日本食や伝統的な食事などについて理解を深めるように取り組んできているところでございます。

石田(三)分科員 きょうの朝日新聞に、北海道で国産の小麦、パンに大変向いた小麦がつくられて、今パンを試験的につくっているということでございました。これは多分一般に回っているんでしょうけれども、こういったものからぜひ学校給食の中で優先的に取り入れていただいて、国産の小麦のパンを子供たちの味覚にしっかり植えつけていく。こういった活動、私は、長い間に日本の食文化はやはりつくられていくということだろうというふうに思っています。そういったことにぜひお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 また、日本食を文化遺産として申請していこうという取り組みを今しているわけであります。その中で、確かに文化遺産になりました、でも国民はほとんど洋食をみんな食べていますというのでは、私はこれは全くおかしな話だなというふうに思います。

 私たちの持っているすばらしい日本食の文化というのは守っていかなきゃいけないだろうということの中で、子供たちにしっかり、地域の食材を使い、日本の食の本当の豊かさを伝えていくということを着々としていかない限り、私は、十年後、二十年後に、その子供たちがまたお母さんになり子供に食事を与えていくわけなので、これをやはり今私たちがやっておかないとなかなか大変なことになるなというふうに思っていますので、どうかその辺しっかりお含みおきをいただいて、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 生涯食育社会の構築を目指すというようなことで、子供だけではなくて社会全体で目指していくんだということでございますので、これだけではないんですが、子供を含め、私たちの世代を含め、あるいはお年寄りの世代を含め、そういったことを広く、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 一応、予定した質問が終わりましたので、少し早いんですが、以上で終わります。

湯原主査代理 これにて石田三示君の質疑は終了いたしました。

 次に、永江孝子君。

永江分科員 民主党の永江孝子でございます。

 きょうは、質問の機会を頂戴いたしましたこと、まず感謝を申し上げます。

 間もなく三月十一日、東日本大震災から一年を迎えようとしております。震災では、岩手、宮城、福島の被災三県でおよそ三十万人を超える児童生徒が被災いたしまして、いまだに多くの子供たちが心の傷を抱えたまま生活しております。

 災害という非常時におきましては、やはり弱者である子供たちの声は小さくてかき消されがちでありますので、民主党の衆議院、参議院の女性一期生議員二十七人が集まりまして、子どもたちの未来を守る女性議員ネットワークというものを立ち上げまして、被災地の子供支援に取り組んでまいりました。岩手、宮城、福島で子供復興会議を開きまして、子供たちのニーズやあるいは願いを直接聞く一方、保護者や、被災地で子供支援に当たっているNPOや関係各団体あるいは専門家の方々からヒアリングを行ってきて、それを提言にまとめまして、前中川文部科学大臣にもお渡しさせていただきました。

 その中でも、子供たちの心のケア、これには重点を置かせていただきまして、文部科学省ではスクールカウンセラーを発災後間もなくから被災地に送り、力を注いできたことというのは高く評価をしておりますが、一方で、深刻なのは被災地の教職員のストレスだと思っています。

 去年十一月、文部科学委員会から福島県の南相馬市大甕小学校に視察に行った際に校長先生にもお伺いしたんですけれども、やはり現場の教職員の皆さんのストレスは大変なもの、積もり積もっておりますので、ぎりぎりの状態であるというふうにお伺いいたしました。

 宮城県の教育復興懇話会が公表いたしました「東日本大震災からの教育の復興に向けての提言」、この中でも、通常、児童生徒に対する心のケアが注目されがちだが、教職員の不安定な精神状態に留意しながら、教職員に対しても、継続的な手厚い心のケアが必要であるというふうに述べられています。

 また、大変心配なのは、被災地宮城県の新聞、河北新報では、去年十一月の記事なんですが、震災のストレスから宮城県内の小中学校の教職員のおよそ三割の先生方がうつ状態であるという報道がされています。

 被災地の教職員の皆さんのストレスというのは、日数がたつからどんどん楽になっていって今後対処しなくていいというような問題では決してありませんし、福島はとりわけそうでございます。被災地の教職員のメンタルケア、今後どのようにやっていこうと対策を立てておいででしょうか。

布村政府参考人 ただいま先生から、被災地における児童生徒の心のケアのみならず、それを指導しておられる先生方の心のケアについてお話がございました。子供たちが健全に学校生活を送る上でも、指導する教員の精神面がきちっと健全であるということが大前提かと思っております。

 今回、文部科学省におきましては、被災地における児童生徒あるいは教員の方々の相談に乗れるようにということで、緊急スクールカウンセラー等派遣事業という事業を実施させていただいております。福島県、宮城県、岩手県からの御要望を踏まえて、現在、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーという方々の御要望に全てお応えすべく対応してきているところでございます。

 そういった面での取り組みは、今年度に限らず、来年度予算においても継続してその事業を展開し、被災地の教職員の方また児童生徒のケアにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

永江分科員 教師、先生というのは、ふだん、子供を支えることが仕事であります。介助者という役割が仕事なものですから、ついつい、スクールカウンセラーというのは子供のために送られたものであるという考えがどうしても頭に浮かぶんだと思うんですね。その使命感から、やはり自分のことを相談するのはついつい後回し、おくれおくれになってしまうということが容易に考えられます。ですから、先生への予防的介入というのがすごく大切だというふうに伺っておりますので、例えば、学級担任を二人にするとか、それが無理ならば二クラスで三人体制にするとか、特段の対応をお願いしたいというふうに思います。

 それから、教職員のメンタルケアの必要性というのは被災地に限ったことではありません。全国の教育公務員の病気休職者等の状況調査というのを見ますと、病気休職者の数は、この十年ふえ続けておりまして、平成二十二年度で八千六百六十人に上っています。うち精神疾患による休職者の数の割合、これがまた深刻でありまして、平成十三年度は四八・一%だったのが、ふえておりまして、平成十八年度には六一・一%、平成二十一年度には六三・三%となっておりまして、極めて深刻な問題です。これは、人材的損失であると同時に、先生の場合は多分休職一年目には八割ぐらいの給与が保障されると思うんですけれども、そういった意味から財政的にもやはりかなりな損失であろうというふうに思います。

 日本産業カウンセラー協会というところがありまして、この日本産業カウンセラー協会の広島支部では共済組合と契約をしておりまして、電話で相談を受ける、あるいは専門家による面談の相談という、段階に応じて教職員のカウンセリングを受けております。平成十六年から始めたといいますので、かなり早い取り組みだと思うんですが、平成二十二年では、年間八百七十件の相談を受けている中で、教員からの相談が二百十件に上っておりますので、およそ四分の一。協会の方も、先生は多いなというふうに感じているそうです。特徴としましては、四十歳代の働き盛りの先生からの相談が多いそうです。

 本来、産業カウンセラーというのは、職場でうつ病になってしまう前の予防効果というのが期待されているものなんですが、教員、先生方は重症化してから来られることが多くて、早目に来てくれれば早く回復できるのに、ぎりぎりまで先生は頑張ってしまうから、それは非常に残念だということをおっしゃっております。

 ですので、教職員のメンタルケア、早期に手が打てるように、予防的対策を強化する必要があると思うんですが、対策はどのようにお考えでしょうか。

布村政府参考人 お答え申し上げます。

 今、教員の精神疾患のお答えをさせていただく前に、相前後いたしますけれども、先ほどお尋ねがございました、今回の大震災の被災地には、教員につきまして一千人の特別加配という形で、被災地の教育の環境が極めて厳しいという状況にお応えするよう対応しているところでございます。

 それから、教員につきましての精神疾患は、先生先ほど御紹介いただきましたとおりでございますけれども、文科省で行った調査結果によりますと、平成二十二年度の公立学校の教育職員の精神疾患による休職者数は五千四百七名という実態で、平成十三年度の二千五百三名から、十年間で二千九百四名、二・二倍という形で増加しており、深刻な状況にございます。このような教員の実態につきまして、文部科学省としても深刻な課題として捉えておりまして、平成二十四年度から、教員メンタルヘルス調査研究事業という事業を展開したいと思っております。

 そのための前提として、昨年十二月より、外部の心理あるいは教育相談などの専門家の方々にお集まりいただいた教職員のメンタルヘルス対策検討会議を設置いたしまして、検討を開始したところでございます。昨日の日曜日も二回目を開かせていただきました。

 先生お話しのとおり、今回は、病院の精神科医の方々、それから民間企業の産業医のベテランの方々からお話をいただきました。特に、民間企業の方からは、産業医が常駐していらっしゃる、あるいは日ごろから職員のアンケートを行って早期発見に努めている、それから体制として産業医の方々がカウンセリングをして速やかな解決につなげる、そういう取り組みをされている事例を御紹介いただきつつ、学校の場合、どうしても先生方はすぐに相談するという体制がとれていない面と、また意識的になかなかお医者さんに御相談に行く機会も少ない、そういうことも伺っております。

 一般の民間企業の方々に比べると、学校現場の精神疾患に対する早期発見、早期対応という面は十分ではないという認識を、この検討会議の先生方のお話を聞いて一段と認識したところでございますので、教職員のメンタルヘルス対策検討会議での幅広い御助言をいただきながら、来年度から開始する教員のメンタルヘルス調査研究事業を通じまして、学校現場においても、できるだけ精神疾患の早期発見につなげ、また速やかなる対応につなげて、教員の方々の御負担が少しでも減るようにという取り組みにつながるように、今後検討を重ねてまいりたいと考えております。

永江分科員 国が教員メンタルヘルスの調査に乗り出すというのは、本当に一歩前進だというふうに、歓迎したいなというふうに思っています。

 それで、例えば、いろいろな調査をして、いい取り組みをしている例があった場合、どういうふうに活用していこうとお考えでしょうか。例えば、モデル事業として予算をつけていこうとか、そういったところをお聞かせください。

布村政府参考人 今先生に御提案いただいたことにつきましては、先ほど申し上げました教職員のメンタルヘルス対策検討会議の専門家の方々のアドバイスもいただきながら、学校現場あるいは民間の企業におかれてのいい実践例、取り組みについては、事例集として教育委員会を通じて学校現場に御紹介申し上げたり、先生御提案のモデル事業という形で地域の専門の機関あるいは医療機関と学校が日常的に連携を組む、そういう体制につながるようなモデル事業も一つのいい方策かと思いますので、幅広く専門的なお知恵をいただきながら検討し、実践につなげていきたいと考えております。

永江分科員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 特に被災地ではそうだと思いますが、被災地に限らず全国的に、子供を守るには、やはり今は、子供の学校生活に支障を来すような家族関係その他の問題の解決に取り組むソーシャルワーカーをぜひ学校に配置するような取り組みが必要だというふうに思っています。

 資料をお配りさせていただきました。ちょっとごらんいただきたいと思います。

 これは、阪神大震災の後、子供たちの心のケアを必要とする要因をグラフにあらわしたものであります。発災直後は、やはりその要因として高いのは地震そのものの恐怖ですね、トラウマですとか、あるいは住環境という割合が高いんですけれども、何年かたつに従ってかえってふえてくるのが、黄色の線のところ、家族の死亡あるいは両親の離婚ですとか友人の死亡です。あるいは、水色の線でありますと、家庭の経済、要は貧困の問題であったりとか家庭の経済的な事情であったり、そういったところでの心のケアが必要だというふうなことが読み取れると思います。つまり、やはり家庭支援が必要だということです。

 仕事もなくしてしまって、住まいもこれからどうしようか、あるいは、御年配の方を抱えてその介護をどうしようか、その支援をどこにどう頼っていいかも専門的なことはよくわからないしというふうに、家族あるいは両親が精神的に不安定な中で、子供がやはり安定できるわけがありません。ですから、子供を救うには家族を救う必要があります。そして、これはスクールカウンセラーではなくてソーシャルワーカーの出番だと思います。

 アメリカでは、校医のいる学校は少ないんだけれども、ソーシャルワーカーはほとんどの学校に配置されていると聞いたこともあります。日本では、その種の仕事というのは、担任の先生であったりあるいは養護の先生の努力と熱意に頼っているというのが現状ですが、残念ながら専門家ではありません。年々、子供たちを取り巻く家族、家庭の問題というのは複雑化しております。貧困だったり虐待というように幾つもの重なった問題を抱えている家庭の問題に対応して子供たちを守るためには、やはり専門教育を受けたソーシャルワーカーを学校に配置していただきたいというふうに思います。

 それは、先生にとっても、先生が一人で子供を支えるのではなくて、心のケアはカウンセラー、聞き出すのはカウンセラーの仕事で、そこから後のいろいろな社会的な問題解決はソーシャルワーカーの仕事というふうに、チームで取り組む形をつくった方が負担も軽くなるというふうに思います。

 文部科学省としては、ソーシャルワーカーの学校への配置について、どのように評価して、今後の対応をどのようにお考えでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生から、阪神・淡路大震災の後のスクールソーシャルワーカーの方々の取り組み状況の御説明もございました。今回の東日本大震災に関連したスクールソーシャルワーカーの活用の支援ということも重要な課題として受けとめてございます。

 今回、緊急スクールカウンセラー等派遣事業の中に、スクールソーシャルワーカーの被災地への派遣も含めてございます。スクールソーシャルワーカーなどの教育や福祉に関する知識や活動経験を有する方々を教育委員会や学校の要請に応じて派遣するということを、国として、全額国庫負担で実施してきているところでございます。今回は、被災三県からの御要望に全てお応えするという形で取り組みを進めているところでございます。

 それとともに、全国的なスクールソーシャルワーカーの学校への派遣の取り組みでございますけれども、平成二十年度から、スクールソーシャルワーカーを配置する地方公共団体の経費を補助するという事業に国として取り組んでいるところでございます。平成二十四年度予算におきましては、これまでの地方の教育委員会あるいは学校の実績を踏まえて、百八の都道府県、指定都市、中核市に一千百十三名のスクールソーシャルワーカーが配置できるよう補助事業を行うこととしてございます。

 この補助事業の補助率が三分の一という実態でございますので、地方の財政的に厳しいところではなかなか手が挙げにくい、そういう面はお伺いしておりますけれども、今後とも、子供たちの悩みをいち早く聞き取り、それを迅速に解決につなげていく、そういう面では、社会福祉あるいは教育の分野での専門性、活動実績の高いスクールソーシャルワーカーの方々のお手伝いは学校においても重要なことと受けとめておりますので、こういう形でスクールソーシャルワーカーあるいはスクールカウンセラーの方々の御協力をいただきながら、学校における子供たちの教育相談体制の整備につなげていくよう努力をさせていただきたいと考えております。

永江分科員 これは、ある介護福祉士の方からお聞きしたんですけれども、実は、お年寄りの介護の相談に行ったはずなのに、いろいろな問題がぐっと固まっていて、貧困の問題であったり、子供の虐待であったり不登校であったり、一つ足を踏み入れたら、ずるずると問題が出てきたというふうなことを聞いております。

 ぜひ、先ほど御紹介ありましたように、二十四年度で千百十三人の派遣ということですが、前の年度から比べると十五人しかふえていないんですよね。やはり、補助率を含めて、もっと自治体が活用しやすい手だてというのをこれからぜひお願いしたいと思います。

 それでは、耐震化のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 学校は、子供たちが一日の大半を過ごす、命を預かる場であるだけでなくて、災害時には避難場所となりまして、地域の防災拠点としても重要な役割を果たすところであります。その重要性から、二十四年度の予算でも耐震化・防災対策費として千二百四十六億円が計上されておりまして、計画どおり実施されれば、耐震化率はおよそ九〇%になるということが見込まれております。

 一方、気になるのが私学の耐震化であります。地元でもいろいろお話をお聞きしておりますと、少子化の影響あるいは長引く不景気の影響などで、私学経営は大変厳しい状況にあるとお聞きしております。ですが、子供の命はどこに通おうと同じであります。公立の学校に通っていようが、私立の学校に通っていようが、ひとしく子供の命は守らねばならないと思っています。

 私学の耐震化を進めるための対策はどのように立てておられますか。

小松政府参考人 私学の耐震化関係のお尋ねでございます。

 まず、私立学校、幼稚園から高校まで合わせて申し上げますが、現時点での、正確には二十三年四月現在で、耐震化率が七二・五%でございます。学校設置者の法人が施設整備を行うということが制度的には基本ではございますが、今お話のございましたように、特に耐震化等につきましては、児童生徒等の安全確保の上で非常に緊急な対応が求められるということで、私ども文部科学省の従来からの構えといたしましては、これについては、耐震補強のために国庫補助を行って、かつ、補助率も物によりましては二分の一というような形で、そういう構えをとってきております。ここ数年で見ますと、その推移といたしましては、おおむね二%から三%程度ずつ上がってきているということでございます。

 ただ、今回の大震災等で、改めて今御指摘の問題が非常に大きく浮かび上がってきたところというふうに私ども認識をしております。

 その対策といたしまして、平成二十三年度、今私の方で御説明申し上げましたような構えから、耐震化の促進に関しましては、五十二億円の予算規模で措置をしておりました。この私立学校の措置というのは、耐震補強の工事と、それから建てかえ等をいたします場合には利子を助成するという形の二本立てで行ってきております。

 これを、まず第三次補正予算におきまして、大幅な集中的な投資をするということで、耐震補強工事、それから、建てかえにつきましては従来以上の長期低利融資制度を新しくつくるということにいたしまして、百五十億円の投資をすることで計上させていただきました。

 来年度の当初予算につきましては、百二十五億円を現在予算案に計上いたしておりまして、昨年度のべースと比べますと二・四倍となっております。それから、第三次補正でお認めをいただきました新しい建てかえ用の長期低利融資も、補正だけではなくて、これに引き継がせていただくという形で今後もさせていただきたいと思っております。

 この措置ができましたことをもとにいたしまして、一月に担当の城井崇大臣政務官の名義で通知を出させていただきまして、私どもとしての集中耐震化支援プランを私立学校について打つことにいたしまして、各学校法人あるいは都道府県知事宛てに通知をさせていただきました。

 これらの措置を通じまして、今御指摘の耐震化等につきましては、全力を挙げてその支援に努め、成果を上げてまいりたいというふうに考えております。

永江分科員 ぜひ、私学も耐震化率九〇%、そして公私ともにいずれ一〇〇%ということを実現できるようによろしくお願いをいたします。

 それでは、給付型の奨学金制度の創設についてお伺いをしたいと思います。

 今回、能力と意欲がありながら家庭の経済的な事情で高校や大学への進学が困難な子供たちのために、奨学金事業について、所得連動返済型の無利子奨学金制度というものが新設されたことは、一歩前進だと大変心強く受けとめています。

 ただ、残念なのは、給付型の奨学金制度の創設がかなわなかったということであります。とりわけ東日本大震災で被災した学生や子供たちの就学機会の確保をするためには、やはり必要不可欠な制度だと思います。たとえ無利子であっても、奨学金を受けた学生は、卒業と同時に多額の借金を抱えることになります。所得連動返済といっても、借金を抱えるということに変わりはありません。

 今節、若年層に非正規雇用が本当にふえています、それから不安定で低賃金の雇用が増加しておりますので、貸与型の奨学金ではやはり手を出しづらいです。ちゅうちょするということであろうと思います。それに、OECD加盟国三十カ国のうち二十八カ国が給付型の奨学金制度を整備しております。うち十五カ国は大学の授業料が無償であります。

 意欲と能力のある若者が安心して高校や大学に通えるように、希望の灯として、給付型の奨学金制度をぜひ創設していただきたく思っております。多分、平野大臣も同じ思いではないかと思いますが、日本の未来を築く大きな力になると信じております。ぜひ、大臣の思いをお聞かせくださいませ。

平野(博)国務大臣 先ほど来の先生の御指摘、私は大変感謝を申し上げたいと思います。

 この御質問に答える前に、まず、ソーシャルワーカーの件で、標準装備という表現は正しい表現ではありませんが、なかなか顕在化していなかったことが、この間の大きな変化に物すごく顕在化してきた。スクールカウンセラー、まさに子供に対する指導をする先生がある意味では病んでいる、こういうことは大問題であります。したがいまして、そういうことを含めて、文科省としてもしっかり調査をし、対応しなきゃならない、こういう認識に立っております。本当に御指摘ありがとうございました。

 さて、その中で、本当に学びたい、頑張りたい、こういう学生について、経済的な理由でその機会を失うということはやはりあってはいけない、私はこういう観点に立っておりまして、経済的支援の充実を図るということは非常に重要でございます。そういう意味で、平成二十四年の概算要求では給付型奨学金の要求をした、こういう経過でもございます。

 今回、なかなかそういう結論に至りませんでしたけれども、実質、そういう経済的な理由で学べないという学生さんを排除しない、しっかりそれは受けとめられることとして、長ったらしいわけでありますが所得連動返済型の無利子奨学金制度をつくったということで、何としてもその枠を広げていこう、こういうことでございます。

 私は、そういう意味におきましては、高校生にもそんな思いの部分で対応できるように改正をさせていただきました。高校におきましては、都道府県の基金を使い勝手のいいようにやっていきましょう、こういうことでございます。

 今回の所得連動返済型の奨学金ということで、給付型の奨学金については諦めたのか、先生、こういう御指摘あるかもしれません。しかし、一歩前へ進めていく一里塚、二里塚なんだ、こういうことで御理解をいただきたいと思いますし、文科省としても、その方向に向けて、何としても所期の理念、目的を実現するように全力で努力をしてまいりたい、このように思っております。

永江分科員 大変心強く、うれしく思っています。御一緒に頑張らせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

湯原主査代理 これにて永江孝子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

    〔湯原主査代理退席、主査着席〕

山内分科員 みんなの党の山内康一です。

 最初に、大臣に、済みませんが、事前通告していない質問から入らせていただきたいと思います。通告していませんので、私からの意見というか、提案について聞いていただくだけでも構いませんし、感想を聞かせていただければ幸いです。

 きょう午前中、厚生労働省に質問しておりました。何を聞いたかというと、障害者の雇用促進法について厚労省に聞きました。すると、教育委員会での障害者の雇用が実は余り進んでいないということを厚労省はおっしゃっていました。それは、文科省の主管だからというようなことを担当の方は言っていたんですけれども。

 教育委員会などでは、障害者の雇用促進法で二%の法定雇用率が決まっているんですけれども、全国平均で一・七五%。少し足りません。しかも、その内訳を見ると、教職員の場合は一・四九%、事務職員の場合は四・二八。事務職員については法定よりも大分たくさん障害者の方を雇用しているんですけれども、学校の先生については法定に全く届いていないという状況があるようです。

 厚労省の方に聞いたら、それは文科省の話ということだったので、この機会にぜひ文科省の方で、教育委員会あるいは教職員の障害者の雇用の拡大に向けて努力をしていただきたいと思っております。

 特に、障害のある先生が教育現場にいるということは、私、子供の教育にもプラスだと思うんですね。

 昔、新聞で読んだ覚えがあるんですが、車椅子に乗った高校の数学の先生がいらっしゃったんですけれども、その方は、子供たちは非常に自分によくしてくれる、車椅子で移動が大変なときは生徒たちが助けてくれると。そういった意味では、数学を習っている関係がありますから、先生のことを尊敬しつつも、先生に対して優しく接してくれる子供たちがいる、それはすばらしいことだと私は思います。

 また、私の個人的に知っている中学校の元先生は目が見えない方で、中学校の先生をやっていたんですけれども、この方は、パラリンピックの選手として水泳でメダルを幾つもとってきている。本にも映画にもなった方なんですけれども、子供たちとも非常にいい関係を築いている。子供たちも先生のことを尊敬もしているし、目が見えなくても頑張れば非常にいい結果が出せるし、目が見えないという障害があるにもかかわらず明るく元気にやっている、そういう先生が身近にいるということは、子供たちにとっても非常にいい影響を与えると思っております。

 そういった意味では、学校の先生にもっと障害を持った方を雇ってほしいと思うのが一つです。

 それと、二つ目は、厚労省が言うことには、障害のある先生を雇いたい学校は多い、ただ、実際、教員免許を持っている障害者の方が少ないと言っておりました。何が問題かというと、大学の教員養成の課程で、障害のある方が余り入学していらっしゃらない、だから教員免許を持っている障害者の人は少ないという状況があるようです。

 ぜひ、障害のある方が教員養成の課程に進みやすいような条件整備をやっていただきたい。

 この二点についてお伺いします。

平野(博)国務大臣 今、非常に重要な指摘をいただきました。

 これは、私、個人的持論でもございますけれども、私はいつも言っているんですが、私の育った家庭は、私が三十三ぐらいまで、全盲のおじいさんと暮らしておりました。したがいまして、社会におきましては、家庭生活はもちろん、障害を持っている方々と一緒に生活することが当たり前の社会生活を三十過ぎまでいたしました。そういう視点で、法律で云々ということもあるわけですが、やはり、ともに支え合う、ともに学び合う、こういう姿勢が私にとっては重要な視点でもございました。

 そういう意味で、教育界において障害者の就労者が少ない、こういう先生の御指摘については、私はもっと改善をしていかなければならないというふうに思っております。具体的なところについては手元にございませんが、先生の御指摘を重く受けとめて、そういう対策をしていかなければいけない、かように私は思っております。

 教員の養成課程においての部分でありますが、その指摘を重く受けとめて、対応できるように指示をいたしたい、かように思っております。

山内分科員 急に振ったにもかかわらず、大変真摯な、前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 続きまして、大学生の奨学金について質問させていただきます。

 先ほど来、奨学金の話題がいろいろ出たと思うんですけれども、私は、最近、予算委員会を聞いていますと、大学の授業料無償化の議論がたくさん出てきますけれども、ちょっと大学の授業料無償化は難しいだろうなと率直に思います。その前にやるべきことは、奨学金制度をよりよいものにしていくということだと思うんですね。

 最近、国会図書館がつくった資料を読んでいると、オーストラリアの奨学金制度というのは、学部によって返済の額が違ったりということがあるようです。何かというと、社会的にニーズの高い学部に関しては、奨学金も有利にして返済額を少なくする。逆に、オーストラリアの場合は、法学部に行くと、その後弁護士さんになって、将来所得が高い人が多いそうなんですね。ですから、将来稼ぎのいい学部に関しては、奨学金をちょっと多目に、多目にというか実額に近いぐらい返してもらう。分野によって、フィールドによって奨学金の優先順位づけをやるということをやっているそうです。

 社会的なニーズに合った奨学金制度というか、例えば、看護婦さんが不足しているということであれば、看護学部に行く学生には特に重点的に奨学金を出すとか、あるいは、今後、給付型をつくるとするならば、私は、何学部でも給付型でやる必要はないと思っています。将来、外資系の投資銀行に行ってばりばり稼ぎそうな人は返してくれればいいと思いますが、看護婦さんとか、あるいは僻地で医療をやりたい、そういう志の高い、社会にとって役に立つ人材に対しては、給付の学生をどんどんふやしていってもいいと思っているんですね。

 そういう意味では、奨学金を学問分野、学部別に差別化して、よりニーズの高いところに優秀な学生が集まるような仕組みをつくっていく、こういう仕組みは工夫できないものでしょうか。

平野(博)国務大臣 委員御指摘の、過去にはそういうところで部分的にはあったかもしれませんが、現在、奨学金については、日本学生支援機構の発足、こういうことに今それを担当いただいておりますが、奨学金の事業というのは、教育の機会の均等の確保ということでありまして、意欲と能力のある人材を幅広く育成する、こういうことで奨学金を貸与している。

 こういう観点から、特定の分野の学生に優遇をするということについては、公平性という観点からは難しいなというふうに私は思っておりまして、そういう視点で御理解をいただきたいと思います。

 ただ、過去にはございました、特定の分野、こういうことはありましたが、現在はそういう考え方のもとにやっておるものですから、今委員御指摘のところについては難しいなというふうに私は理解をしております。

山内分科員 機会均等は機会均等で大事だと思うんですけれども、国として見たときに、社会的なニーズを満たすということも大事だと思っていますので、今の原則にプラスアルファで、社会的ニーズの高い分野の学生はより優遇するというのはあってもいいんじゃないかと思います。

 戦前でいうと、陸軍士官学校とか師範学校とか、先生とか兵隊さんになる人は優遇するというのは当たり前のようにやっていたわけです。戦前がいいとは言いませんけれども、考え方としては、社会に必要とされている分野の学生を養成するためには、多少、温度差というか、優遇度合いが違ってもいいんじゃないかと思います。機会均等を絶対視する必要は全くないと思いますので、ぜひひとつ考え方として御検討をいただきたいと思います。

 続きまして、大学の質の保証ということについて質問したいと思います。

 予算委員会で大学無償化の議論を聞くたびに思っていたんですけれども、仮に大学を無償化するんだったら、大学の質の保証というのが重要じゃないかと思います。

 あらゆる学生の学費を無料にするということは、場合によっては、余り勉強しない学生まで無料になってしまう。レジャーランドというようにやゆされるような状況もある中で、そこまで税金で負担するのが本当に国のためになるのかということを思います。

 あるいは、大学無償化している国というのは何となく共通点がありまして、いわゆる税金も、負担も大きいけれども福祉も手厚いという大きな政府の国は大学無償化している国が多いわけです。あるいは、人口の余り多くない割合が大学に行っている、同世代人口の一〇パーとか一五%とか、余り大勢大学に行かないところでは比較的大学を無償化しやすいということがあります。

 しかし、日本の場合、大学進学率が五割です。それから、日本は決して大きな政府ではありません。そういった状況で大学を無償化してしまうと、恐ろしく財政負担が高まって、かつ、本当に大学教育と言えるのかというぐらい授業にまともに出ていないような人まで無償化してしまうおそれがあるわけですね。

 よく、大ざっぱに言うと、アメリカの大学は、入るのはたやすいけれども出るのは難しいと言われます。日本は逆に、入るのは難しいけれども出るのは簡単と言われていました。しかし、今は、大学全入時代で、入るのも簡単になってしまっていますから、入るのも簡単、出るのも簡単で、四年間大して授業にも出ずに何となく過ごして、それで大学が終わってしまう学生も、実際問題、多いと思います。そこまで税金で賄うのは本当に社会的にいいことなのか、それは公平なのかという気がしなくもありません。

 そもそも、大卒とそれ以外の方の生涯所得を比べると、明らかに大卒の方が平均が高いわけですね。ですから、大学の無償化ということを考えるときには、場合によってはですけれども、所得の逆の移転的な側面がどうしても出てきてしまいます。

 ちょっとわかりにくいので、例え話で言うと、イギリスでは、有名な、著名な大学にお金持ちの子供が行く可能性が、貧しい家庭の子供が行く可能性より五十五倍と言われています。要するに、お金持ちの子供ほどいい大学に入る、五十五倍の確率で。そのときに全大学を無償化すると、金持ちの子供の学費ほど優遇され、金持ちの家庭ほど補助金を受けやすくて、貧しい家庭の子供ほど補助金を受けにくい、そういう補助金になってしまうわけです。

 所得の全ての人から取る税金で金持ちの子供ほど優遇されるというのは、これは余り社会的公正という点から望ましいとも思えません。そういった意味では、万が一、大学の授業料を無償化する方向に行くんだったら、その前提条件は学士号の質の保証だと私は思っております。

 そういった意味で、大学の学士号の質の保証をどうやって進めていくのか。私もちょっとインターネットで調べてみましたけれども、余りそういう問題意識というのは、日本ではないように感じます。今後は、そういう学士号の質の保証、きちんと勉強してきちんと知識とスキルを身につけた四年生には、私は場合によっては大学の無償化をしてもいいと思います。そうじゃない学生には、申しわけないけれども、税金をそこまで投入することが正しい判断とは思いません。

 そういった意味で、学士号の質の保証をこれからどう考えるか。文科省としてのお考えをお聞きします。

平野(博)国務大臣 今、無償化というお考えと質を高めるというお考えがございました。現時点で、私は、大学の無償化というのはまだ我が国においてはなじまない、こういうふうに思っております。

 ただ、委員御指摘のとおり、質、クオリティーを高めるということは非常に大事な視点だと思っています。

 といいますのは、大学は出たけれども自立はできない、こんなことはあってはいけないわけでありますから、少なくとも大学は質の高い教育を提供する。そのことは、卒業後、自立に不可欠な知識、技能を学生に習得させる、このことが、委員御指摘のように、出たけれどもみんな出ているから一緒だみたいなことになっちゃって、そういう観点では大学という機能を果たしていると思いません。

 したがいまして、学士号の質の保証という観点から、大学卒業時点で学生にどういう能力とどういう知識を身につけさせるのか、はっきりと目標を設定させる、こういうことがまず一つ大事なんだろうというふうに思います。そういう意味で、目標を達成するためにどんなカリキュラムが必要なんだということをしっかり体系的に整備する、こういうことだと思っております。

 また、もう一つは、それを言いますと、私は学生時代どうだったんだという自己反省になりますけれども、やはり、厳格な成績評価、卒業認定をしていくことだというふうに思っています。いわゆるトータルな教学システムが確立されていないんだろう、こういうふうに思いますので、そういうことが必要であろうと思っています。

 したがいまして、文部科学省としては、各大学の質の向上に向け、また特色のあるそういう取り組みを支援する、こういうことで、教育活動に関する、先生御指摘の、何をやっているかよくわからぬということのないように、情報公開の推進や評価を行っていきたい、こういうことでございます。

 また、省内におきましては、そういう大学を目指すという改革を進めていくために、中教審の検討を踏まえながら、タスクフォース等々を含めて、私が今申し上げましたような教学システムの改革を、確立を進めてまいりたい、かように考えているところでございます。

 結果的には、世界水準の質保証の仕組みの整備、こういうことで、クオリティーを高めていきたい、こういうふうに思っています。

山内分科員 大学ということでいうと、日本ほど浪人というのが多い国というのは、先進国で多分ないと思います。入るときはやたら難しくて、一年間ずっと受験勉強ばかりやるようなことがあるのに、入ったら安心して勉強しない。これでは教育の効果というものは、非常にもったいないと思います。そういった意味では、先ほど大臣がおっしゃった厳格な成績評価というのは、ぜひやっていただきたいと思います。

 そして、学生が、企業の採用試験のときに成績を提出するなんてことは実は余りないと思います。正直言って、日本の企業はほとんど大学の成績なんか見ていないと思います。本来はそれではいけないと思います。四年間ちゃんと勉強して、その成績を企業も評価するようになれば、ひたすら就活だけやって、面接の受け方だけうまくて、エントリーシートの書き方だけうまいみたいな、そういう就活ではなくて、ちゃんと学校で勉強していればそれを企業が評価する、そういうきっちりした成績評価のシステムというのをつくっていくことが、今の労働市場をよくしていくためにも必要ではないかと思います。

 ぜひ、厳格な成績評価、学士号の質の評価、保証、これをやっていただきたいと思います。

 次に、海外の大学の日本校ということについて質問したいと思います。

 かつて、九〇年代前後、バブルの前後には海外の大学の日本校がたくさんできましたが、ほとんど撤退しております。大学の経営努力がなっていないというところもあったかもしれませんが、同時に、いろいろな規制あるいは法人格の問題があって海外の大学の日本校は撤退してしまったという側面もあります。あるいは、卒業しても日本の学士号が取れないということも理由に挙げられております。あるいは、通学定期もとれなかったとか、営利企業として運営していたので法人税を払わないといけないとか、そういういろいろな不利益があって、海外の大学の日本校というのは余り振るいませんでした。

 ところが、今、最近の世界の潮流を見ると、シンガポールとか、カタールとか、湾岸のお金持ちの国というのは、物すごいお金を投入して海外の一流大学を呼んでいます。アメリカの名門大学、ヨーロッパの名門大学を補助金を出すような形でシンガポールやアラブ首長国、カタール、こういう国は招いているわけです。

 そういった一流の大学を自分の国に誘致するということに関して、シンガポールや湾岸諸国が頑張っている。日本もそれぐらい本当はやってもいいんじゃないかと思います。少なくとも参入障壁を低くする、誘致まではいかなくても、規制を緩和して進出しやすくする、そういう政策はこれからの日本のグローバル化のために必要だと思うんですけれども、文科省のお考えをお聞きします。

平野(博)国務大臣 基本的に、議員の御指摘、私は同じ感覚でおります。

 現在も、別に決して障壁になっているというふうには思っておりません。ただ、やはり、大学の質を担保しなきゃいけない、こういう考え方はあります。

 したがって、議員が御指摘されるように、世界の冠たる大学が日本で学校をつくりたいということについては何ら私は問題ないと思っていますし、いろいろな、国際的に多様な教育の選択肢として、平成十六年に外国大学日本校の指定制度をつくっておるわけでありまして、私は大きく窓口は開いているというふうに思います。

 ただ、一方、学校法人という考え方、公益性、公益法人等の法人格を取得されれば税制上の優遇性、こういうことも受けることは可能でございますから、そういうことをしっかりと私どもとしてPRしていくことによって日本に来られるということであるならば、我々としてももっとPRをしていかなきゃならないというふうに思っておりますが、文科省としては、今委員御指摘のところ、我々は決して日本校をつくっていくことについて障壁にしているつもりは全くございませんので、これからもそういう思いのもとに受け入れをしてまいりたいと思っています。

山内分科員 先ほど大臣がおっしゃった外国の大学の日本校についての法案というのは、恐らくテンプル大学のことを指していると思うんですけれども、それでもまだまだ差別があると彼らは認識しています。例えば科研費に申し込めないとか、それから、やはり新規で大学をつくるときに学校法人の認定基準が非常に厳しい。

 ある例だと、アメリカの非常に有名な、料理学校だけれども学士号を出すという世界に数少ない超名門の学校がカリフォルニアにあるんですけれども、シンガポールと日本、どっちに進出しようかというときに、日本が余りにもつれなかったのでシンガポールに行っているそうです。

 そういう一旦検討して日本への進出を考えたけれども、やはり日本の基準が厳しいということで諦めた大学もあるわけですから、今おっしゃった大臣の認識はちょっと余りにも甘いというか、実際には厳しい規制になっているということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 ところで、大臣、グローバルフォーという言葉をお聞きになったことがありますでしょうか。ちょっとお聞きします。

平野(博)国務大臣 聞いたことはありますが、どういう中身でどういうふうになっているかということについては承知をいたしておりません。

 言葉は聞いたことがございます。

山内分科員 実は私も最近聞いたばかりなので、余り人のことは言えないんですけれども、このグローバルフォーというのは、立命館アジア太平洋大学、秋田にあります国際教養大学、早稲田大学の国際教養学部、それと国際基督教大学、この国際的な教育、英語教育に力を入れている四つの大学のことをグローバルフォーというそうです。

 これが、外資系の企業を含めて、就職戦線で非常に高い評価を受けているということで、グローバルフォーと言っているそうなんですけれども、私が注目しているのは、立命館アジア大学は大分にあります。国際教養大学は秋田にあります。地方にあっても、特色のあるユニークな国際的な教育をやっていたら、学生にも人気があるし、企業にも評価されるんですね。

 ですから、大学というと、どうしても東京とか京都とか大都市に集まりがちでしたけれども、中身がある大学教育をちゃんとやれば、秋田にあっても、大分にあっても、非常に、学生の質も高いし、教育のレベルも高いし、それから企業の評価も高い、そういう大学をつくれるんですね。

 ですから、何が言いたいかというと、そういう国際的な大学という意味では、先ほど来話をしております海外の大学の日本校というのは、それに当たるかもしれません。あるいは、今震災で大変な東北の三県、こういったところに特色のある大学を誘致することができれば、その地域の復興の起爆剤になって、それから、被災地の若い人たち、中学生や高校生たちにとって将来の夢にもなるかもしれません。

 そういった意味では、教育特区的なものを、例えば被災地でも結構ですけれども、つくって、国際的な教育をやってくれる海外の大学を誘致していく、あるいは日本の大学でも構いませんけれども、そういう地方の振興の観点から大学を誘致していくといったことについて、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

平野(博)国務大臣 先ほど少し委員が御指摘されましたが、外国大学の日本校については、科研費等々が受けられない、こういうことを申されましたが、私は、科研費というのは大学だけではなくて研究機関にも出しているものですから、これは少し議員の認識と違うところがございますから、決して受け入れられないということではございません。

 今御指摘の、これは一つの、委員自身がおっしゃるように見識だと思っております。したがって、特区でもして、そういう海外の大学を日本に持ってこよう、あるいは被災地に持ってこよう、こういう意欲がもしその被災地の中にありますならば、我々としても支援をしていくという考え方については、何ら私はちゅうちょするものではありません。

 ただ、そういう中にあって、その地域の大学との関係とかいろいろなことはあるでしょうけれども、委員の崇高なそういう考え方に徹するならば、私は必ずこれは実現されてくるものだと思っておりますし、相談には乗っていきたいと思いますし、それでは委員は満足しないんだろうと思います。もっと積極的にそういうことを文科省がやるべきではないかという御提起なんだろうと思いますので、私としては、そういうことも含めた考え方で、そういう機会に接すれば対処したい、こういうふうに思っています。

山内分科員 なかなか文科省が主導でというのは難しいかもしれませんが、こういう制度がありますよ、こういう補助金とか構造改革特区的なものができますよというようなメニューをつくっていただければ、もしかしたら、この東日本大震災、世界じゅうの注目を集めていますので、この機会に、復興をサポートするためにも進出したいという大学がアメリカやヨーロッパにもあるかもしれませんから、もし海外の大学が出てきたいときに、先ほど話しましたように、日本に進出しようかと思って検討したけれどもやめちゃった大学がありましたから、そういう大学が万が一あったときには、ぜひ前向きに、温かく、排除せずに、できることなら、インフラ整備に関してはある程度補助をするといった形でサポートしていただきたいと思います。

 ちょっと時間が中途半端なので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

若井主査 これにて山内康一君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部分科員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 平野大臣には、長時間多様なテーマでお疲れさまですが、よろしくお願い申し上げます。

 私は、文部科学省並びにその担当大臣というのは、最も大事な、日本における未来の人材をお育てになるという分野でのお仕事でございますので、多くの期待が寄せられていると思います。ぜひ頑張ってお取り組みもいただきたいのですが、まず、大臣のお手元に示させていただいた、きょう私が冒頭取り上げますのは、小学生や中学生並びに高校生等、最も未来を期待される子供たちの自殺の多さでございます。

 上の段に、警察庁が集計しております自殺の数でございますが、高校生までを入れますと、平成二十二年で二百八十七人となっております。下は、ちなみに、文部科学省が学校から報告を受けた自殺者数となりますと百五十六人。これはちょっとギャップがございますけれども、厚生労働省の人口統計上とっております数値もこの上の警察庁の数値とほぼ近いものでございますので、実態としては三百人前後の子供たちがみずから死を選んでいるということがございます。

 開いて二ページ目をごらんいただきたいと思いますが、年齢別で見てみますと、一番上、十から十四歳というところでの死因を並べてみますと、一番目は悪性新生物、がんなどであります。それから二番目が不慮の事故、そして第三番目には自殺が出てくるということで、ここでもまた、十から十四というと、ちょうど小学校の高学年から中学生でも自殺というのが第三位。

 がんなどはやむを得ないとして、不慮の事故も、減らせる限り減らす。でも、みずから死を選んでいく子供たちの多さというのは、これはちょっと、日本の未来が閉ざされているというふうに、私は小児科医でもありますので、大変せつなく見ております。

 また、十五歳以上の年齢になってきますと、しばらく、思春期、青年は自殺が一位になるわけですが、それ以前の、十五以前の子供における自殺の多発という問題を平野大臣はまずどうごらんになりますでしょうか。

平野(博)国務大臣 阿部先生には、本当にいろいろな意味で御指導いただいておりますことに感謝申し上げます。

 子供の自殺ということについては、本当につらい思いをいたします。また、これは子供だけではなくて、要は、世の中に生をうけて、みずから命を絶つ、こういう自殺はまだ年間約三万人を超えているということについて、政府としても、自殺対策ということで、私、官邸で少しやってきたところもございます。

 加えて、今、阿部先生御指摘の二百八十七人という警察庁の統計ということであります。文科省としては百五十六名というふうになっておりまして、調査が悪いのか、こういうことになるかもしれませんが、文科省の宿命とも言える、各教育委員会を経由して確認しているところでございます。やはり家庭の思いも、それを乗り越えてやっていくというわけにいきませんから、そういう家庭環境の中で、知らせたくないというところについては、あえて私どもとしてはその部分についてはここに出していない、こういうことで、この数値の差については御理解をいただきたいと思います。

 したがいまして、私は、何としてもこの自殺対策はしなきゃならない。病気でお亡くなりになっている方等々ありますが、少なくとも、みずから命を絶つということについては何としても防がなきゃならない、こういう気持ちでいっぱいでございます。

阿部分科員 実は、政権交代をいたしましてからも、平成二十一年の十一月二十七日には自殺対策百日プラン、そして二十二年の二月五日には、いのちを守る自殺対策緊急プランとして、民主党政権、民主党を中心とする政権のもと、自殺を減らしていこうというお取り組みはあるのですが、もう一歩具体性というか踏み込んでいただきたいと思って、きょうの私の質問をいたすわけです。

 ここにも、実は、平成二十二年の三月にレポートされた、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議というのがございまして、ここの中では、今、平野大臣の御答弁の、文部科学省が警察とは違って例えば捜査権を持っておらないとか、御家庭がプライバシーもあってお話しになりたくないというような要因以上に、やはり御家族としては、子供をめぐって本当に何があったのか、自分たちも大きな意味で大事なものを失った喪失感と、あるいは世に言われるいじめのようなことがあったのかもしれないしと、多様な要因があって、真実を知りたいという思いの方が、実際に亡くなられたお子さんを抱えた親御さんには強いようには思います。

 政府でやられた協力者会議ですから、後ほどでもお目通しをいただきまして、とにかく、警察庁に報告される数との間の差をまず埋めていく、背景を探っていくということは、お取り組みをいただきたいと思います。

 その中でも特に触れられておりますのは、例えば第三者機関的なもの、学校では教育委員会を初めとして隠すつもりでなくても、親御さんたちとして見れば、学校で起こったことで学校サイドが本当に真実を言ってくれているんだろうかといろいろ思われるというのもむべなるかなと思いまして、第三者機関の必要性なども述べられておりますが、またこれも一概にそうそう簡単ではないと思います。

 そこで、私の提案として二つございます。

 一つは、子供のオンブズパーソンというのがございまして、これは、一九九八年に兵庫県の川西市で取り入れられた仕組みで、子供が学校で感ずる、あるいは家庭生活で感ずるいろいろな悩みや自分の息苦しさを相談できる機関をオンブズパーソンとして置いている第三者機関なわけです。

 ここは、熱中症でお子さんが学校で体育の最中に亡くなられたようなケースについても川西市のオンブズパーソンは調査をされて、学校の教育的に改善すべき点、あるいは、子供の健康管理上注意すべき点なども助言をしておられる。市長のもとに置かれるオンブズパーソンで、教育委員会でもなく、御家庭ともある種の距離はお持ちだというので、このオンブズパーソンという子供のための駆け込み機関というのは、常時そこにあれば、多様な問題にも対処していけると思うのです。

 これは大臣じゃなくて担当者で結構ですが、一体、日本に子供のオンブズパーソンの窓口はどのくらいあるか、御答弁があればお答えください。御無理でしたら、私が。今急に振りましたので。

平野(博)国務大臣 済みません。私自身も詳しく承知していませんし、政府委員の登録がされていませんので担当が参っておりません。改めて、もし必要であれば。

阿部分科員 急に聞いて申しわけありません。設置している市町村というのは恐らく十くらいなんですね。北海道札幌市、東京の目黒、豊島、川崎、岐阜の多治見、十よりちょっとありましょうか、川西市も含めて。でも、これは実は網羅的な確認はしておらず、インターネット等の情報から確認したものに限るというお話でありました。

 きょうの私の大臣へのお願いは、私は大変いい仕組みだと思いますし、川西市にもお尋ねしたことがありまして、これが、政府から補助が出ているものではないですし、今は事業の中にも入っておりませんが、一体どんなふうに運営されていて、どんなよい点を持っておるかというようなことを含めて、文部科学省としても調査研究をしていただけまいかと思いますが、いかがでしょう。

平野(博)国務大臣 ぜひ、私、先ほど申し上げましたように、これは大変な課題だと思っていますので、一度、調査研究はしてみたいと思っております。

阿部分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 もう一つは、先ほど永江さんがお取り上げになりましたスクールソーシャルワーカーでございます。

 実は、このスクールソーシャルワーカーというのは、五年ほど前に私がここの分科会で取り上げさせていただいて、当時、大臣は伊吹先生であったと思うのですが、スクールカウンセラーの方は最近認知度が大変に高まっておりますが、スクールソーシャルワーカーというのは、文科省もお取り組みではあるんですけれども、まだまだ認知度が低いように思います。

 単純な質問で恐縮ですが、大臣にあっては、このスクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーと一体何がどう違うのか、イメージで結構ですので、ちょっとコメントをいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 イメージというより、役割の違いで申し上げてもよろしゅうございますか。(阿部分科員「はい、結構です」と呼ぶ)

 そういう意味では、例えば人ということで見ますと、カウンセラーで考えますと、臨床心理に関して専門的な知識、体験を持っておられる人。ワーカーについて申し上げますならば、教育分野に関する知識プラス社会福祉等の専門的な知識や経験を有する方だ。これが人の違いという。

 資格という観点で申し上げますと、臨床心理士、精神科医等がカウンセラー。ワーカーにつきましていいますと、社会福祉士、精神保健福祉士、こういうことであります。

 どこに配置するかというのは、これは同じ教育委員会とか学校、こういうことですから、大体、イメージ的に言うとそういう役割の違いなのかな、こういうふうに認識いたします。

阿部分科員 先んじてこうした分野が取り入れられたのが医療界でございまして、医療では、心理のカウンセラーとメディカルソーシャルワーカーというと、全くと言っていいほど役割は違うわけです。

 簡単に言えば、メディカルソーシャルワーカーの方は、退院後のいろいろな福祉的なもの、財産というか福祉的なものをどう使うかということであったり、地域に戻って暮らすためには何が必要であるか、あるいは転院をどうするかなどで、病院でも先進的なところは必ず配置をして、患者さんの転院やあるいは在宅を支えるための、なくてはならない人材であります。一方、臨床心理士の方は、主には精神科の先生とペアを組んでカウンセリングをしていただいて、その方の個人の内面的なものも含めて支える。

 ソーシャルワーカーの方は、社会的な福祉のさまざまな財産を使えるようにその方をサポートしてさしあげるということで、医療の分野では大分定着しましたし、おのおの専門性も、今大臣がお答えいただいたように、異なるものであります。

 ところが、学校分野におきましては、先ほど申しましたように、スクールカウンセラー、個人に着目したものの方が多く先に配置されまして、しかしながら、例えば今お子さんが何か問題行動を起こされる、あるいは、そうでなくても、非常に自分に閉じこもってしまわれたときに、では御家庭の状況はどうであろうか、あるいは経済も含めてです。

 先ほど永江さんがいいグラフを出してくださいましたけれども、家庭の困窮や、あるいは親御さんが御病気であるとか、いろいろな状況を抱えたお子さんがふえていて、それにはやはりソーシャルワーカーの方が入って、その方が学校の先生も、いわば御自身が全部お子さんを抱えるということは大変ですから、学校の先生自身の本来の教育業務へのかかわりも強くなれるということで、スクールソーシャルワーカーというのが必要性がクローズアップされてきたのですが、しかし、やはりまだ、スクールカウンセラーに準ずるとか、そういう枠の扱いしか文部科学省の予算ではないと思います。

 先ほど、これも永江さんが御質問で、例えば被災地にスクールカウンセラーを配置する。大事なことです、肉親の死や友達の死や、大きな災害に遭った子供たちを支えるために。しかし、同時に、家庭が困窮していたり、お父さんの仕事がなかったりという場合は、カウンセラーだけでなくてソーシャルワークが必要であります。しかし、これは、先ほど申しましたように、準ずるという資格扱いでしか表現されておりません。

 これもまた大臣にお願いですが、今、スクールソーシャルワーカー千百十三人、今度予算づけされましたが、そのおのおのの特性と、そして今後、やはり今の社会の格差の広がりやいろいろなものに関係して必要になる分野と思いますので、研究というか、独自の役割というものの意味付与をもう少し強めていただけるような御検討をしていただけまいかと思いますが、いかがでしょう。

平野(博)国務大臣 現実的な対応として、やっとそういう方向性が出てきて、文科省としても千人強の配置をして、始めました。

 したがいまして、これから進める上において、今委員御指摘のことも含めて受けとめていかなければ、また検討していかなければいけないと思っておりますので、ありがたい御指摘だと思っております。

阿部分科員 これも永江さんの御質問のときの答弁を聞きながら思ったのですが、実は、平成二十年度からモデル事業で行われまして、例えば、北海道では四十八人配置、あるいは京都では二十三人配置というのをモデル事業でやりました。

 翌年には、モデル事業ではなくて、国が三分の一の補助をして、あと県が出すか政令市が出すか、中核市などにも今年度広がりますが、そういう配置になってきて、広がらない理由が、県が財政負担ができる、できないというところもあるのではないかという御答弁があったのですけれども、それも一因であろうかと思いますが、私は、その特殊な役割というか、役割の意味付与と、そこでその方が本当にやれる仕事として定着していくための位置づけというものがちょっと弱いのだと思います。

 ちなみに、例を挙げさせていただきますと、京都府などでは、平成二十年のモデル事業が二十三人で、翌二十一年は、これは国が三分の一補助、県が三分の二となるわけですが、二十八人にふえ、さらに、平成二十二年には三十一人にふえました。これはふえた方であります。

 大阪府は、平野大臣のお地元ですが、とんとんです。最初、モデル事業が三十四、次の年が三十、次が二十九となっておりますが、これが、がくんと減ってしまっていくようなところも実はあるわけです。私の神奈川などは、モデル事業で十五やって、後、例年七、七と。

 しかしながら、やりようと、その位置が確定されればもっと活用されるという声を強く聞きますので、これは資料をお渡ししないで失礼でしたが、先ほど大臣が前向きな御答弁をしてくださいましたので、やはり専門職として、ソーシャルワーカーの資格をお持ちの方の採用をふやしていく。

 というのは、今本当に、非常に家庭というものが機能を低下させておりますので、福祉的なつながりを持っていただくということが大事でございますので、今はリタイアされた学校の先生でも構いませんし、いろいろな人材、多様なことはいいのですが、しかし、ソーシャルワーカーという、医療分野でのメディカルソーシャルワーカーは、必ずソーシャルワーカーでないとメディカルソーシャルワーカーにもなれないというふうに厳密にしてございますけれども、そうやって、より資格性を高めていくということも御検討いただきたいですが、いかがでしょう。

平野(博)国務大臣 特にこのソーシャルワーカー、現状では、今委員御指摘のように教員をリタイアした方々とか、こうなっているんですが、社会福祉士ということを言った方がいいのかもわかりませんが、そういう資格を持つ専門職の採用、こういうことを先生は御指摘されているんだろうと思っております。

 この点につきましては、文科省としては、問題を抱えている児童生徒の環境にしっかり働きかけてもらう、こういう方でありますから、教育の相談体制を整備する中で、今御指摘の資格を持った専門性の方を配置するかどうか、こういうことでございます。

 なかなか、これはぶっちゃけた話、そういう専門家の方々がそこで勤めていただくための環境整備もやはりしっかりしないと、いい人材が来てもらえない。したがって、今、非常勤で、そういうOBのボランティア的な役割を含めて、必要であるから来てもらっている、こういうところから脱出しておりません。

 しかし、委員御指摘のように、非常に大事なことだと思っておりますので、ぜひ、都道府県それぞれ、政令市を含めて財政的なところはありますが、文科省としては、これは非常に大事なことなんだということを含めて、そういう方向に一歩でも二歩でも近づいていけるように努力はしてまいりたいと思っています。

阿部分科員 ありがとうございます。地域にいろいろな人材がいるのをつなげていくためにもソーシャルワークスキルは必要ですので、ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、同じく学校問題で、給食の問題に移らせていただきます。

 大臣とは先般の予算委員会におきまして、文部科学省が長年、太平洋でたくさんの核実験が行われておりましたころから、こういう放射性物質の影響をフォローするために日常食の検査というものをなさっていらして、それは長い目で見てトレンドがわかりまして、当初高かったものがだんだん落ちてきて、非常に落ちてきて、今回の福島事故でまた一番高かった時代くらいに上がってしまっているということで親御さんの不安も強いわけですが、でも逆に、そうやってモニターしてきたからこそ、ああ、このときくらいだわね、あのときのビキニの実験くらいだねと、ある程度、人は、安心とまではいかなくても、そういう感覚を持つことができる。もちろん、それは望ましい値ではないけれども、かつてあって、そしてだんだん軽減させていったということにもなるわけです。

 今、やはり、お子さんをお持ちのお母さんたちが大変御心配なのは学校の給食の問題であり、また一方で、貧困化が際立ってまいりますと、学校給食しかちゃんとしたものを食べないという子もおられますので、給食というのは極めて重要だと思います。

 それで、この放射性物質というのは、今、何ベクレル・パー・キログラムといいますが、例えば三十だ、五十だ、百だ、それを一回食べることが問題なのではなくて、ずっとある値が高く続けば、それが体に影響をするだろうということでございます。

 この測定におきましても、以前から文部科学省がやっておられた陰膳方式といって、実際に食べられたものを、簡単に言えばミキサーにかけて、何食分か集めて、そしてはかってみる、これを経年変化を見ていくというのは私は非常に知恵のある方式だったと思うのですが、前も申しましたが、二〇〇八年で中断をしておるわけです。

 これから厚生労働省が、マーケットバスケット方式といって、とってきて、それではかってみるか、あるいは陰膳方式にするかを考えて、十都道府県をやるというのが第三次補正で一応通っているのですが、実は、学校給食に不安をお持ちの都道府県はこの十にとどまりませんで、多くの地域で、子供たちの学校給食がどうだろうかという声が上がっております。

 私は、一回一回の、一つの食品の何ベクレルではなくて、実際に体に入ったものを経時的にフォローしていくという文科省のお取り組みがこれからぜひあってほしいと思いますが、大臣のお考えを伺います。

平野(博)国務大臣 この前、阿部先生とは、今日までの経過で、途中でやめましたということは申し上げました。今回は、給食における陰膳調査をやはりやるべきではないか、こういう御指摘、質問でございます。

 まず、先生も今御指摘されましたが、学校給食の提供前の食材の検査について、平成二十三年度三次補正につきましては、東日本の十七都県を対象に検査機器の整備に補助をしてまいりました。

 さらに、福島県に限って申し上げますならば、福島県の基金により、東日本大震災復旧・復興予備費を活用して、県内の全ての学校給食調理場、共同調理場、また学校において検査体制を整えることができるように、必要な検査機器の整備に要する経費を措置いたしました。

 これに加えて、先生の今お尋ねの学校給食の一食全体についての提供後における放射性物質の検査、いわゆる陰膳検査につきましては、二十四年度の予算の中に学校給食モニタリング事業として所要の経費を計上いたしました。全国を対象として継続的に行いたい、かように思っております。

阿部分科員 これも前向きな御答弁で、ありがとうございます。

 最後の資料、ちょっとだけお目通しください。

 これは、グリーンピース・ジャパンというところが測定している、スーパーなどで食材を抜き打ち的にとってきてはかっているものの値でございますが、産地と買った場所とを書いてございます。一つ一つはさして高くはありませんが、例えばスケソウダラなども、愛知の名古屋でのものも比較的高く出ます。魚は自由に泳ぎ回りますので、それによって御家庭が不安を持たれるといけないというのと、正しい教育のためにも、とったものをきちんとはかっていけば大丈夫なんだということで、安心をぜひ伝えてさしあげていただきたく、よろしくお取り組みをお願い申し上げます。

 終わらせていただきます。

若井主査 これにて阿部知子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、森山浩行君。

森山(浩)分科員 民主党・無所属クラブの森山浩行でございます。

 チルドレンファーストというのが我が民主党政権の非常に重要な約束の一つ、柱であったと思っています。これまで日本の中では、教育にかける、あるいは子育てにかける、こういう部分についてほかの先進国に比べて見劣りがする予算のつけ方であったという部分、ここを変えていきたい、次世代にしっかりと投資をしていきたいというところが核となって、私たちが政権交代で未来を託された一つだと思っています。

 そのまず最初でありますけれども、義務教育費の国庫負担金についてというところでございます。

 教員の定員、これは、民主党政権になって、マニフェストをやっていないとか達していないとかいろいろな話がありますが、これについては非常に前向きに進んできた話かと私は認識をしておりますが、実際のところ、政権交代後何人ふえたのか、また、政権交代前との比較で示していただければありがたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 教職員定数につきましては、まず来年度、平成二十四年度政府予算案において、小学校一年生に引き続き、切れ目なく二年生でも三十五人以下学級を実質的に全国で実現するために必要な加配定数、基礎となる法律の定数に上乗せする加配定数になりますけれども、三十五人以下学級で九百名のほか、小学校専科教員、専科指導あるいは特別支援教育の充実などで千九百人、東日本大震災への対応としての一千人、これら必要な加配定数の増、全体で三千八百人の教職員定数の改善を計上しているところでございます。

 来年度のものを含め、大変厳しい財政状況のもとではございますけれども、民主党政権になってからの三年間で一万人を超える定数改善、実質一万三百人になりますけれども、その数に至っており、教員が子供としっかり向き合える教育環境の充実が図られてきているという状況であると認識しているところでございます。

 先ほど、この三年間で一万人を超えるというふうに申し上げましたけれども、例えば平成二十年ですと一千人、平成二十一年度ですと八百人という実態でございます。

森山(浩)分科員 桁が変わるぐらいの形でふやしていただいたということかと思います。

 ただふやせばいいというものではありませんで、効果がそれで上がっているのかということは当然問われるかと思います。教員の方の話だけではなくて、保護者の皆さんなんかも含めた効果についてのアンケートなり、あるいは御意見を伺っているというようなことはございますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 平成二十二年度からの三年間の教職員定数改善におきましては、小学校一年生での三十五人以下学級の実施、また少人数指導の充実、特別支援教育への対応などに取り組んできたところでございます。これらによりまして、子供と触れ合う時間の増加、あるいは小学校における専科指導の取り組みの拡充という形で教育環境の改善につながっており、子供たちに対しましてきめ細やかで質の高い教育を行うための体制整備が進んできているところと認識しております。

 先生お尋ねのアンケート調査でございますけれども、小学校校長会の御協力をいただいてとられたものでございますけれども、小学校一年生の三十五人以下学級の実施については、学校現場の教職員の方々から、子供たちの学習意欲の向上や、きめ細やかな指導に効果があったという先生方の御意見をいただいており、また、保護者の方々からも、子供が勉強好きになった、あるいは先生はきめ細やかに対応してくれるという保護者の方々からの声もいただいているところでございます。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 提供する側からの論理だけではなくて、保護者の皆さんからも声を聞いていただいているということ、今後も、子供たちがどうかということなども含めまして、状況を見ていっていただければありがたいなと思います。

 今、少人数学級の話がありました。少人数、三十五人であればいいのか、もっと少なければいいのか、いろいろな議論があるかと思いますが、私、LD、学習障害の子供たちと市議会議員時代からおつき合いをしております。養護学級に行く、あるいは養護学校に行く、今は特別支援という枠になっていますけれども、一般の子供たち、養護対象ではない、特別支援対象ではない子供たちとの間の友情が芽生えるということが少ないということを気にしています。

 大阪では、私が子供のころから通級指導というのが非常に充実をしておりました。今でも町を歩いていると同級生に会って、よっと声をかけられる。これがもし、例えば特別支援学級にのみ在籍をしていて、そして今四十歳になって会ったとしても、よっではなくて、こんにちはという話になるのではないかと思います。

 これは、健常児にとっても、また障害を持つ人たちにとっても非常に大きな財産であると考えていますが、普通学級で学ぶ障害を持つ子供たちへの支援、これについては文部科学省としてはどのようにお考えでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 特別支援教育を推進していく上で、通常の学級で学ぶ障害のある子供に対する支援は極めて重要な課題であると認識してございます。特に、健常のお子さんと障害を持ったお子さんがともに学ぶという環境を進めていく面でも重要な課題であると認識しております。

 このため、文部科学省におきましては、通常の学級で学ぶ障害のある子供の状態に照らして、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な教育を行うことができるように、一つ目として、通常学級で学ぶ障害のある子供の通級による指導、先ほど先生も御指摘いただきました通級による指導の充実などのための教職員の定数改善を図ってきているところでございます。

 また、二点目として、食事などの日常生活上の介助、学習支援等の支援を行う特別支援教育支援員の配置の拡充にも努めております。

 また、三点目として、早期からの教育相談、校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名などの幼稚園、小学校、中学校、高等学校における特別支援教育体制の整備にも努めることとしております。

 また、四点目といたしまして、独立行政法人になりますが、国立特別支援教育総合研究所における研修を通じて、全国の特別支援教育に携わっている先生方の専門性の向上にも取り組んでいるところでございます。

 今幾つか申し上げましたけれども、今後とも、これらの取り組みを通じまして、通常学級で学ぶ障害のある子供への支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 本当にいろいろな形で取り組みを開始していただいているということで、私が、十三年前ですか、堺市議会でこの取り組みを始めたときに、予算がないんだということで、LDの子供たちのための冊子を親と教育委員会の担当者の人と一緒につくって、コピー、輪転機を回してみんなに配ったという経験があります。

 やはり当事者としては非常にいろいろなことを学んでいくんだけれども、その他の周りの子たちにすれば、ちょっとどんくさい子であるとか、ちょっと勉強ができない子、あるいは空気が読めない子、こんな形でいじめの対象になったりすることも非常に多い。こういうことをしっかりとフォローしていくためには、特に義務教育というのは憲法で保障されたものであり、全ての子供たちがきめ細か、また質の高い教育を受けられるようにするということが大切であると思っています。

 少人数教育、また複数担任制度、こういったようなもので、単に先生の数をふやすということにとどまらず、専門性を高めていただく。また、一人の先生のところに何担当というのを十も二十もつけて、結局忙しくて何もできないんだというような現場の声になってしまわないように、専門的な知識を持った人も配置をしていただく。こういうことを取り組んでいただきたいと思いますが、今後はいかがでしょうか。

布村政府参考人 今先生にお尋ねいただいたとおり、少人数学級の推進につきましては、教員の数をふやすとともに、その教員の数をふやしたことを通じてきめ細やかな指導につなげる、あるいは習熟度に応じた、発達段階に応じた指導に努める、そういう現場の実践、取り組みにつながるように、そういった面を十分また対応していく必要があると思います。

 そのためには、現場のニーズを十分行政の立場としても把握させていただいて、現場の声をしっかり施策に反映させる、そういう努力を重ねていきながら、子供たちのよりきめ細やかな指導ができる学校の体制の整備へとつなげていければと存じております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 去年の予算の分科会におきましても、私、学校の寺子屋化というようなことで提言をさせていただいております。

 ハードについては、昔、学校で使っていたけれども子供が減って空き教室になったところ、余裕教室を、例えば老人ホームにする、例えば保育所にする。昔は補助金返せという話であったものが、今は補助金は返さなくてもいい、十年たったものはそのままでいいんだというお話もいただきました。ハードの面はどんどんどんどん乗り越えようとしている。

 ただ一方で、小学校であるいは中学校で、これをどんどんよくするためにはどうするかという意見の中には、どんどん競争させればいいという考え方があります。

 また、私が言っているように、地域としっかり密接につながっていただいて、昔の、江戸時代の寺子屋というのは、学校の役割、勉強もする、また子守もする、老人ホームの役割もするし、村の寄り合いもやる、またお祭りの実行委員会でもあって、地域会館でもある。

 このような形で大人がどんどんどんどん学校に集まってくるということが、恐らく、子供の教育にとっても、学校でいろいろな経験ができるし、また、女の先生一人と子供が三十五人というところに刃物を持った男が入ってくる、こんなときに誰が取り押さえるんだというような意味でも、物理的にもソフトの面でも非常に大事なことではないかと思っています。

 どうか、外部人材の活用というような形でちょっと予算をつけていただいて、方向を切っていただいておりますけれども、もう一歩、またしっかりと地域の中に開いていき、いろいろな人材が入ってきていただけるようにしてほしいなと思っています。外部人材の登用について。

布村政府参考人 お答えいたします。

 学校教育の質の向上あるいは学びを豊かにするという観点から、地域にいらっしゃるさまざまな経験を積んだ方あるいは専門性を持った方々などの、外部、学校の外の人材を積極的に学校教育に御協力をいただくということは、子供たちの学びの支援であったり、また、学校内で教員や保護者以外の大人と接する機会、よく斜めの関係ということも言われておりますけれども、そういう場を設定することが子供たちの育ちにとって大変重要なことと認識しております。

 文部科学省といたしましても、地域の人材の方々が学習支援やあるいは部活動支援、また自然体験活動などの御支援など、学校の教育活動を支援する学校支援地域本部、その設置を促進するための予算を設けて、学校と地域の連携が円滑に行われるような環境の整備にも努めているところでございます。

 また、それとともに、大臣あるいはまた先生の御地元である大阪府の学校支援人材バンクということを初め、民間企業の経営者の方、スポーツ指導者あるいは退職教職員を初め、すぐれた知識や経験を有する方々の人材バンクを教育委員会が設定するという先進的な取り組みもいただいているところでございます。

 今後とも、学校のニーズに応じた多様な外部人材の方々が学校教育に参加し、協力をいただける、そういう取り組みの普及に、文科省としても、都道府県の教育委員会を初め教育委員会と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。ぜひ、学校の寺子屋化、よろしくお願いをいたします。

 同じく、義務教育費の国庫負担の件ですけれども、都道府県と政令指定都市の都道府県費負担職員制度、これの見直しについてお伺いをしたいと思います。

 平成十五年、経済財政運営と構造改革に関する基本方針、これは閣議決定ですけれども、「県と政令市間の県費負担教職員制度の見直し、学級編制の基準の設定権限の移譲については、関係道府県及び政令市等関係方面の理解を得つつ、平成十五年度内に意見を集約し、その結果を踏まえ、実現を図る。」

 また、平成二十年、これは地方分権改革推進本部の決定でありますが、「既に人事権が移譲されている政令指定都市と中核市において人事権者と給与負担者が一致する方向で検討し、小規模市町村を含めた関係者の理解を得て、計画の策定までに結論を得る。」というような方針が出されております。

 採用から人事からそして退職まで、全てを政令指定都市がやっているのに、負担だけが道府県がやっているという現状について、この方針というのはまだ生きているというふうに考えてよろしいんでしょうか。

布村政府参考人 先生が先ほど読み上げていただきました、平成十五年の閣議決定である経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、そして、平成二十年六月の地方分権改革推進要綱、第一次のものでございますが、これらはいずれも現在も生きているという実態でございます。

 これを踏まえまして、県が負担しております政令市の公立小中学校教職員の給与費につきまして、政令市に負担を移管するということに当たりましては、政令市に対しまして安定的かつ確実な財源保障が行えるよう、道府県と政令市の間で財源調整の仕組みが必要ということになります。

 この実現に当たりましては、財源保障の方策や政令市に保障すべき財源の水準等について、県、府と政令市の一定の合意が必要であると考えており、文部科学省といたしましても、先ほどの閣議決定などを踏まえて、これまでも県と政令市の話し合いに参画をさせていただくなどを通じて具体的な検討を促してきたというところでございます。

 引き続き、文科省といたしましても、各府県あるいは政令市の実情を伺いながら、また意見交換をさせていただきながら、財源保障方策等についての検討を支援させていただきたいと考えております。

森山(浩)分科員 この件につきましては、道府県からも、また政令指定都市からも、個別にいろいろな陳情が来ていると聞いています。ところが、文科省は何もやってくれないんじゃないか、こんな話もお聞きをするわけなんです。

 文科省がリーダーシップをとってやるというようなことを今までやられていないのかなという印象を受けていますが、具体的には、今、動きがあるというふうにおっしゃいましたけれども、動きがある部分というのはどういうことがありますでしょうか。

布村政府参考人 平成二十四年度の予算に関する要望として、指定都市の教育委員・教育長協議会という場からの御要望はいただいているところでございます。

 また、具体的な検討に参加したという例としては、かつて神奈川県での御検討に文部科学省も参画をさせていただきましたけれども、この神奈川県の例では、財源保障方策などについて県と市で合意に至ることができず、成案までは至っていない状況でございますけれども、政令市などの御要望を踏まえて、検討を支援していきたいと考えております。

森山(浩)分科員 これ自体は制度がおかしいわけですよね。お金を払う人とそのメリットを受ける人、また管理している人が違うということですから、これはちょっとやはり文科省としてリーダーシップを持って呼びかけをしていただきたいなと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

平野(博)国務大臣 今の御指摘、局長答弁、私は聞いておりましたが、私どもとしては、改革を進めていきますから、いわゆる学校のガバナンスの改革を含めて進めていかなきゃいかぬと思っていますから、今後の大きなテーマとして捉まえたいと思っております。

森山(浩)分科員 よろしくお願いをいたします。

 それでは次に、公立学校の施設整備費の部分です。

 東日本大震災から間もなく一年となります。東海だけではなくて、首都直下、あるいは東南海、南海といった地震がいつ起こるかわからないと言われているような状況でありますが、学校耐震化の進捗につきまして、平成二十七年度までの早い時期に一〇〇%を目指すというふうにあります。

 大臣と私の地元でございます大阪府では、全国平均の八〇%を下回る七四・九%という耐震化率だと思いますが、二十七年度までの早い時期に一〇〇%、これはこれでよろしいかということと、それまでの中間目標というのはあるんでしょうか。

清木政府参考人 ただいま先生おっしゃいましたとおり、文部科学省としましては、公立の小中学校の耐震化、平成二十七年度までのできるだけ早い時期に完了させるという目標を示しております。

 耐震化の現状を申し上げますと、昨年の四月現在で八〇・三%でございますが、平成二十三年度の第三次補正、それから平成二十四年度予算案合わせまして、全国の五千二百棟分の耐震化を図ることとしておりまして、この事業が完了しましたならば、公立小中学校施設の耐震化率は約九〇%まで向上する見込みでございます。

 さらに、文部科学省としましては、必要な予算を確保いたしますとともに、特にこの耐震化の取り組みがおくれているというふうな市町村などに対しましては、個別に要請を行うなども含めまして、目標の実現に向けまして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 来年度中に九〇%という数字だということでございますが、大臣、せっかく手を挙げていただきましたので。

平野(博)国務大臣 これは非常に大事な重要施策でございます。私、手を挙げたのは、森山議員の地元堺も、平均を上回るように我々としてもやりたいと思っていますから、地元におかれてはそういう御要求含めてやっていただきますようにお願いしたいと思います。

 特に、先ほど議員が、寺子屋という表現で触れられましたけれども、私、これからは、学校というのは地域社会の拠点でなければいけない、こういうふうに思っていますから、いかなるときにもやはり防災の拠点であってもらいたい、こう思っております。

 そういう意味では、皆さんが集まってくる館、社が危ないということでは元も子もないわけでありますので、この耐震化については何としても早く完了したい、私はこういうふうに思っております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。力強い御答弁をいただきました。

 寺子屋化をする、そうやって地域の人がたくさん使うようでなければ、今の子供の数で今の学校の数が要るのか、学校を半分にしてしまえというような論が恐らく強力になってくるであろうと思います。そうではなくて、地域の核として、今の学校を中心として地域社会を立て直していくということが大事だと思います。

 最後に、不登校対策について。

 これも、去年ちょっと取り上げさせていただきました。

 もちろん、学校内、また公的機関での対応をしっかりとしていっていただくということが大事なんですけれども、それに加えまして、どうしてもそこになじめないという子供たちに対してフリースクールというようなものをつくられている場合がございます。

 ところが、フリースクールはフリーであるからフリースクールなのであって、こういうものがフリースクールであるというような法律をつくってがんじがらめにするようなわけにはいきません。これは行政的には、あるいは予算を使っていくには非常に大変な課題ではあるのですが、では、フリースクールあるいはフリースクール的なものに対して、困っている子供たちあるいは保護者の皆さんに情報提供をするような何か策はないですかねというようなお話をさせていただきました。

 その後の進捗はいかがでしょうか。

布村政府参考人 先生御指摘のとおり、不登校児童生徒への支援という面では、フリースクールなど学校外の民間施設あるいはNPOの団体の方々がさまざまな創意工夫を凝らして、お取り組みをいただいてございます。そして、教育委員会、学校は、これらのフリースクール等の取り組みあるいは成果を踏まえて、一日でも早く学校に復帰できるように連携しながら取り組みを進めているところでございます。

 そういった観点で、文部科学省におきましては、今年度、特定非営利活動法人NPOサポートセンターに委託をいたしまして、教育関係NPOのすぐれた取り組みを紹介する事例集を作成いたしたところでございます。その中で、フリースクールなどのNPO法人による不登校児童生徒等に対する支援の活動を取り上げさせていただき、都道府県、指定都市、中核市の教育委員会に、ことしの一月十六日に発送をさせていただきました。

 また、関係行政機関や民間団体が連携して子供を見守り育てる取り組みの推進を図る、子どもを見守り育てるネットワーク推進会議におかれましても、フリースクールなどと教育委員会の協働を含めて、地域における連携の取り組みを紹介する事例集を作成いただき、子どもを見守り育てる取組事例集というものでございますけれども、これも文部科学省のホームページに掲載をさせていただいております。

 今後とも、フリースクールなどの創意ある活動との連携を図りながら、子供たちが学校に戻ってこられるように努力をしてまいりたいと思います。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。事例集をつくっていただいたということで感謝をいたしたいと思います。

 というのは、フリースクールに行きたい、何か探したいと思っても、情報がない、あるいは、本人たちがやっているホームページしかないというようなことで、たまたま出会ったところにわらをもすがるような気持ちで行く、そこでだめになったときに、もう次がない、こんな形で非常に困っている皆さんもいらっしゃいます。ですので、いろいろな事例があるんだよ、いろいろなところから選んでいいんだよというようなメッセージにもなるかと思います。

 また、ぜひこれは都道府県あるいは市町村の教育委員会にもお伝えを、徹底をしていただきたいんですが、小学校ぐらい、中学校ぐらい卒業しないとろくな大人になれぬよ、我慢して行きなさいというようなことに一番傷ついている時期の面談で、そのような形で無理やり学校に行かせるというようなことで、二次被害というか、さらに心が傷ついているというような事例も見受けられます。

 どうかそのあたりのところ、現場まで、しんどいときには別の手段もある、また帰ってきたらいい、こんな形での接し方、しんどいときには違うところへ行ってもいいんだよと、決して、ライバルで、生徒をとられる、商売がたきでというようなことではないんだよということを現場の皆さんにも徹底をしていただきますようにお願いをいたしまして、きょうの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

若井主査 これにて森山浩行君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田統彦君。

吉田(統)分科員 民主党の吉田統彦でございます。

 大臣の御前にまかり越しました貴重な時間でございますので、早速質問に入りたいと思います。

 まず、東京電力福島第一原子力発電所におきまして、現在もその収束に向けて多くの作業員の方々が不惜身命、事情はいろいろなものがあると思いますが、全力でお努めになられている中で、私は本当に心から敬意を払うものであります。であればこそ、その健康管理は、東京電力そして国家がその全責任を担うべきであると私は考えております。

 そこで、平成二十三年の十一月から二十四年一月までは、一月に外部被曝が五十ミリシーベルトを超えるような作業員の方々はいません。しかしながら、今まで二十四年の一月までのデータを全て見ると、二万人を超える方々、二万百十五人ですか、東電社員そして協力企業の方々が作業に従事されております。その中では、最大六百七十八・八〇ミリシーベルト被曝された方々を筆頭に、二百五十ミリシーベルト以上の被曝をした方々が六人、二百から二百五十ミリシーベルトの被曝、これは内部被曝、外部被曝ともに合算した数でありますが、三人、百五十から二百ミリシーベルト被曝された方々が二十四人もいらっしゃいます。

 百ミリシーベルトを超えるとがんのリスクが当然上がってまいりますし、五百ミリシーベルト上がるとリンパ球、顆粒球などが減ってまいります。

 こういった方々の長期にわたる健康管理に関して、データベースの整備と運用管理が行われていると私も知っておりますが、これは作業員の方々の健康だけでなく、こういったデータは、人類に対する我々日本国の責任という意味でも極めて重要なものであります。その現状を、どんなものか少し御紹介いただきたい。そして、その中で放医研、そして東京大学や福島県立医科大学のような医療機関が果たしていく役割はいかがなものか。

 私個人としましては、データの集積という意味でも、余り多くの場所で健診を行うのではなく、集中、集積した方がいいと思いますが、そういった点、いかがお考えか、厚生労働省と文部科学省にお答えをお願いいたします。

津田大臣政務官 吉田委員にお答えを申し上げます。

 吉田議員はかねてから、白内障の問題について、より効果的に被曝の状況がわかるのではないかという御指摘をいただき、厚生労働省としても、その御指摘については一定の理解を示しつつも、さまざまな課題があるということで、研究をしていこうというような形で今取り組んでおりますことをまずもってお知らせ申し上げたいというふうに思います。

 同時に、緊急作業に従事した全ての作業員が、離職した後も含めて、みずからの健康状態を継続的に把握し、必要な健康相談や保健指導を受けられるようにする、これが重要でありまして、ことしの一月の十日から、実は被曝線量の照会対応業務を開始いたしております。つまり、名前を打ち込めば、あなたがどれだけ被曝線量を受けたか、線量が直ちに出るということで、お問い合わせをしていただければすぐお知らせをすることができるようになる。ようやくデータベースがそういう形で完成をしたわけでございます。さらに、今月中に、データベースの情報に基づいた健康相談を開始する。

 来年度からは、一定の被曝した方に対する無料の健康診断を実施するということにいたしているわけであります。これは全ての緊急作業従事者に実施をする。あるいは、五十ミリシーベルトを超える緊急作業従事者につきましては、白内障に関する目の検査を実施する。さらに、御指摘があったように、百ミリシーベルトを超える緊急作業従事者に対しましては、前回の白内障等々に加えて、甲状腺の検査、それからがん検診、これは胃、肺、大腸等でございますけれども、これらを実施するということにいたしているわけでございます。

 引き続き、作業に従事された方々の健康管理に万全を期していきたい、そのように思っております。

吉田政府参考人 私どもの所管でございます放射線医学総合研究所のかかわりにつきまして御説明をさせていただきたいと存じます。

 放射線医学総合研究所は、放射線と人の健康にかかわる総合的な研究開発を行っている機関でございます。

 先ほどお話のございました、厚生労働省が実施されます東電第一原発の緊急作業員の健康管理を行うためのデータベースの構築ですとか、あるいは福島県が実施されます福島県民健康管理調査に対しまして、放射線医学総合研究所がこれまで培ってまいりました専門的な知見の提供や技術的な支援を行う、こういう役割になっておりまして、それぞれの検討会あるいは検討委員会の中にも放射線医学総合研究所の理事が入っておりますし、また、国立大学の中では広島大学ですとか福島県立医科大学、そういった方々もこの検討委員会のメンバーとして入っていただいておりまして、そういった意味でサポートさせていただくという形になっております。

吉田(統)分科員 ありがとうございます。

 津田政務官が閣内にいらっしゃる間は、御尽力していただいているので、大変安心をしております。

 先ほど白内障のことまで御紹介いただきまして、私、しゃべることが余りなくなるんですけれども、五十ミリシーベルトを超える作業従事者の方に白内障の検査、目の検査をするということがうたわれているんですが、まさに私の専門分野でありますが、実は、普通の細隙灯というものを用いた検査では加齢によるものと被曝によるものというのが区別がつかないんです。

 ただ、今いろいろな技術が導入される中で、DLSデバイスというものがございます。これはNASAとNIHが開発されたものでありますが、アルファクリスタリンという水晶体の中の物質をはかることによって、今何も変化がなくても、将来白内障になるということがわかる機械なんです。

 つまり、これを使うと何がメリットがあるかというと、将来その方が原発の作業が原因で白内障になることがわかるだけでなく、目に対するダメージというのは全身に対するダメージと相関するのは当たり前であります。そういうことを調べることによって、今現在変化がない被曝による生体の変化がわかってくるということなんです。

 これはあくまで一例ですが、こういった先端の技術、いろいろな技術がありますが、作業員のためという視点、そして人類に対する責任という観点からも、積極的に東京電力に取り入れるべきだと私は考えますが、この点に関して、ぜひ監督官庁の経済産業省と厚生労働省にお答えを賜れればと思います。

牧野副大臣 ただいま委員から御指摘のありましたDLSにつきましては、最先端の医療技術であり、東京電力に確認したところ、現時点においては導入していないということでありましたが、いずれにいたしましても、同原子力発電所の医療体制につきましては、より充実した体制を目指し随時改善していくべきものであり、経済産業省といたしましても、関係省庁と連携しつつ、しっかりと東京電力を指導してまいりたい、そのように思っています。

津田大臣政務官 既に、昨年の五月十九日に、御指摘のDLSシステムの聞き取りを実施させていただいたわけでございます。

 この点については、今吉田議員もおっしゃいましたように、日本人の基準値等が定まっていない、あるいは若い人と高齢の方で、要は、若い人はいいんですけれども、高齢の方の場合に果たして白内障が何によって起きたのかという、これはもちろん被曝によっても起きるわけでございますけれども、ほかの事情もあり得るということで、その辺の精査をどうするのかということが結構課題になったというふうに聞いているわけでございます。

 その辺をさらに見分けられる装置、機械等が順次開発をされているということもお聞きをいたしているわけでありまして、こういう点についてさらに文科省ともしっかり相談をしながら、後々のためにも大変大事なことでございますので、進めてまいりたいというふうに考えております。

吉田(統)分科員 ありがとうございます。

 私の聞くところでは、各大学でも、DLS、日本人の正常値を調べていると伺っておりますので、またぜひ時が来たら導入をしていただければと思います。

 最後に、経済産業省におかれましては、例えば、余りひどい事実が発覚すると訴訟の際に不利になるとか、新規技術の導入をすることによって今まで明らかでないものがわかって企業にとって不利益になるというような、そういった視点でこういった技術の導入を拒否したり、健康診断をしっかりしないというようなことはよもやないとは思いますが、ぜひそういうところを監督官庁として責任を持った対応をお願いしたいと思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 武道の必修化がいよいよ参ります。礼節をたっとぶという意味でも、日本古来の武道が入ってくることは若い方々にとって本当に大変なメリットがあると思います。私、大賛成でありますが、ただ、それは学生の安全の確保というのが前提であります。

 以前も質問させていただいたんですが、一番危ないのはやはり柔道だと思います。柔道の時間、十数時間しか授業時間がないと承っております。その中で、やはり基礎的な、受け身などそういったものに終始するということで、もちろん柔道の例えば体落としや大外刈りの型の稽古が行われるとも伺っておりますが、よもやとは思いますが、乱取り形式のような、試合形式の授業は絶対にないと思っております。特に大外刈りは、遠心力の関係から非常に脳や静脈にダメージを与えることによって、もう一生もとに戻らない障害を得ることが多々あります。

 例えば、一九八三年から二〇〇九年の間、中学三十七人、高校七十三人、合計百十人もの方々が死亡しています。年間四人です。これは異常な量であります。そして、脊椎損傷による半身不随なども含めたら、大きな後遺症を持たれてしまって、その方の将来に禍根を残したような事例が多々あります。どれだけの数になるかはかり知れません。

 そこで、絶対にこういった試合形式の授業は行わないとはっきりとしたお答えをいただいて、柔道の関係者、そして国民、保護者の皆様に安心をしていただけるようにお答えをください。

久保政府参考人 武道は、先生おっしゃられましたように、我が国固有の文化であって、我が国の伝統や文化を尊重するとともに、みずからを律し、相手を尊重する態度などを養うことが期待されておりまして、二十四年度からの必修化に当たりましては、生徒の安全確保は最重要課題と考えているところでございます。

 これまでも、安全指導の通知の発出、各種会議における注意喚起等を行って、安全確保の上での留意点について周知してきたところでありますし、関係団体とも連携して、安全指導のための研修会の開催、あるいは実践校を指定しての外部指導者を活用した指導の普及等を進めてきたところでございます。

 さらに、今年度、体育活動中の事故防止に関する調査研究を実施しておりまして、これまでの体育活動中の事故の分析、あるいは防止対策等について検討を進めてきております。特に、現在不安の声が上がる柔道について取り上げまして、検討を進めていただいております。

 文部科学省といたしましては、この検討を踏まえまして、できるだけわかりやすい資料を作成し、全ての中学校に近日中にお送りしたいと考えております。この中で、今御指摘ございましたようなもの、全員について必ず行わなければいけないものではない、あるいは生徒の適性、習熟度に応じてやればいいというようなことも盛り込むことが必要だと思っているところでございます。

 教育委員会におかれましても、指導者講習会の開催、地域のスポーツ指導者の活用など、各種の取り組みを実施していただいていると認識いたしておりますけれども、文部科学省といたしましては、武道必修化の安全な実施に向けて、さらに万全を尽くしてまいりたいと考えております。

吉田(統)分科員 できるだけ簡潔にお願いします。

 私が聞きたいのは、試合形式で稽古をしないか。その一個を明確にお答えください。

久保政府参考人 一応、学習指導要領の中には、試合形式というか、簡単な組み合いとか、記述はなされておりますが、これを一般的な柔道の乱取りと誤解されて、何でもありで組んでしまうと大変なことになりますので、そのあたりは十分に踏まえた説明を解説書の中でする必要はあると思っているところでございます。

吉田(統)分科員 では、型の稽古だけと理解しますが、それでいいですね。

 では、次に行かせていただきます。

 教育する側のことも考えなければいけません。外部からの柔道教育の専門家などの登用も含めて、本当にこれはしっかりした対応をしてください。ほかの武道ももちろん同様です。例えば、剣道で眼球を突いた眼障害などもありますので、やはりここははっきりと、試合はさせない、型の稽古だけで十分だと思います。それだけでも美しい柔道の、武道の心は十分に得ることができると思いますので、ここは最後にお願いをしておきます。少し時間がなくなってしまったので、答弁は結構です。

 次に参りたいと思います。

 現在の学校においての健康診断では、学校保健安全法第十三条で、身長、体重、座高を含めて十二項目の健康診断が行われております。そして、今、今後の健康診断のあり方に関する調査研究というものがされていると聞き及んでおります。

 私は、ぜひこの際、現代に即した健康診断のあり方を確立していただきたいと思っております。例えば、核家族化が進む中で、ネグレクトの問題や児童虐待の問題、深刻の度合いはますます増してございます。その中で、本来なら一〇〇%の信頼を寄せている親に虐待をされ、あまつさえ命を奪われてしまう子供がいる現状もございます。

 そこで、私はぜひ提言をしたいんですが、第百七十七国会ではスポーツ基本法というものができ、スポーツ大国日本に向けて、皆で手に手を携え進んでいくんだと私は思っております。その中で、スポーツを健全に楽しむ、やはり子供の体は非常にデリケートですので、健全な発育を促す。そして、関節や四肢を丹念に検診で見ると、児童虐待の跡が簡単に見つかるんです。

 ですので、私は、仮称で運動器検診と申せばよろしいんでしょうか、体躯や四肢をしっかりと見て、運動、健全なスポーツを楽しむのに適した発育をしているかどうか、そして児童虐待のような事実がないかどうか、こういったことをできる検診をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。特に、児童虐待からのSOSを見逃さないためにぜひ御考慮いただきたいんですが、ぜひ大臣のお答えを賜りたいと思います。

平野(博)国務大臣 先ほど来から、吉田議員の専門の領域も含めて御示唆をいただきまして、ありがとうございます。

 特に健診のあり方が、もっとそういう広い意味で使うべきである、こういうことなんだろうと思っていますし、特に運動器の検診ということで導入すれば、児童虐待とかいろいろなそういうものも早期にチェックできるのではないかということでございます。

 したがいまして、今後の健康診断のあり方について、いま一度私は検討をすることが大事であろうと思っておりますので、そういう調査研究に対するものとして重く受けとめておきたいと思っております。

吉田(統)分科員 大臣、本当にありがとうございます。ぜひ、本当によりよいものになるようによろしくお願いいたします。

 続けて、児童の健康に関することで質問させていただきたいと思います。

 五月二十一日の月曜日、九州の南部から関東地方まで帯状に金環日食を見ることができます。この金環日食というのは非常に珍しいものでありまして、まさに理科離れが言われている学生に天文学的なことに興味を持っていただき、そして天体、月、太陽、地球の動きをじかに感じることができる、非常にミステリアスで重要な科学的な現象だと私は思っております。ぜひ多くの学生、児童さんに、日食について勉強して、見ていただきたいなと思います。

 しかしながら、太陽の光線というのは非常に強くて、日食の観察というのは実は危険が伴います。眼科の教科書には日食網膜症というのが書かれているぐらいなんです。これは、日食を見ることによって網膜症、失明することもございます。そうすると、私は、危険の少ない観察方法というのは、一つはピンホール効果の原理で投影された太陽を見る、もしくは、直接見たいのであれば、日食用のちゃんとしたグラスをかける、そういった必要があると考えております。

 そして、私も日食の時間を調べたんですが、六時半ぐらいから九時前後ぐらいだったと思っています。特にリング状に見える瞬間というのは短いものでございまして、これが七時ごろか七時半ごろだと記憶しております。これはまさに通学の時間に当たるものでございまして、しっかりと指導しないと、見とれて車にひかれてしまったり、また、本当に知識がないまま見ると、目に障害を及ぼすなどということがある可能性があります。

 ぜひ、こういったことに十分留意していただいて、安全に観察できる環境を文部科学省でお整えいただきたいと思っておりますが、文部科学省の現在の準備段階はいかがでございますでしょうか。

戸谷政府参考人 金環日食の事実関係につきましては、今先生の御指摘のとおりでございます。特に、児童が通学の時期に一番美しい金環日食が見られる可能性がある、しかもそれが、今回、関東地域の方まで含めまして広範なところで見られるということで、そのための対策を十分整える必要があるということにつきましては、御指摘のとおりでございます。

 本年の二月三日に、このための対応ということで、文部科学省といたしまして、各都道府県の教育委員会、あるいは知事部局の私立学校も含めまして、全ての学校に対しまして、注意が行き届くようにということでの連絡文書を既に出させていただいております。

 その際、日本天文協議会、日本眼科学会、それから日本眼科医会の三者によりまして、「日食を安全に観察するために」ということで、大変すばらしい学校向けの資料をつくっていただいておりますので、それも添付した上で各学校に通知をするということでございます。

 さらに、それに加えまして、例えば学校保健ポータルサイト等への通知掲載だとか、あるいは、徐々に近づくにつれまして、国立天文台の方を中心といたしました各種注意喚起等々、万全の対策を整えてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

吉田(統)分科員 万全の体制をお整えいただいているようで、本当に安心いたしました。一人としてこういったかわいそうなことが、本当にかわいそうなことになってしまいますので、ないように、ぜひお力を注いでいただければと思います。

 では、時間もなくなってまいりましたので、独法改革のお話を少しさせていただきたいと思います。

 日本というのは非常に資源の少ない国でございます。その中で、日本の成長力の源泉は、やはり昔も今も科学技術であると私は確信をいたしております。特に、イノベーションの面で国際的な競争がかなり激化しております。それを勝ち抜くためには、やはり研究開発法人がその成果を発揮し、世界水準の結果を生み出すことが非常に重要だと私は考えております。

 しかしながら、現状の独法制度の中では、必ずしも国際水準の研究評価ができておりませんし、問題なのは、国際的な頭脳循環、ブレーンサーキュレーションへの対応が困難であります。これは、ある意味、外国生まれで外国育ちの方でも、日本で研究成果を出していただければ日本の財産になります。そういう観点ではぜひ大事にしたいこと。そして、予算の繰り越しなど、研究成果の最大化を図るための制度運用が困難といった、さまざまな問題がございます。

 特に、国際的な頭脳循環に関しては、先般も、内閣官房医療イノベーション推進室長であった中村祐輔東大教授が、その職を離れ、東大から移ることとなりました。このとき、私、非常に心に響いた言葉がございます。藤村官房長官の言葉でございます。一般論で言うと、給与の問題などがあるのであろうが、海外に負けない方向で考えていく必要があるとおっしゃっていただきました。まさにこのブレーンサーキュレーションの重要性を示唆した御発言だと私は確信しております。本当に、日本の成長を何とかこのまま持続させるためには、世界トップレベルの国際的な競争力を保てるような制度設計が重要だと思います。

 そして先般、一月の二十日に閣議決定されました独立行政法人の制度及び組織の見直しにおいては、研究開発成果の最大化を重要な政策目的とする法人類型として、研究開発型が設けられました。また、この閣議決定においては、制度の仕組みや運用について、世界の第一線と戦う研究開発の特性に応じ、法人の業務に応じた適切な内容となるよう、法定化も含め必要な対応を行うとされております。

 そこで、新たな独立行政法人制度の立案担当である内閣官房行政改革推進室にお尋ねしたく存じます。もし時間がありましたら、文部科学大臣からもぜひ一言お願いしたいんですが。

 この研究開発法人に関しましては、国際水準にも即した適切な目標設定、評価、国際的頭脳循環の促進、調達の基準やルールの構築、自己収入の扱いなどの事項は、優秀な研究者を我が国に確保し、科学技術の水準の向上及びイノベーションの創出を推進するために重要な項目です。これらを含め、閣議決定に盛り込まれた事項に関しては、新たな独立行政法人通則法に網羅的に規定し、実際の制度運用までを含め、現場の研究者が思い切って活動できるような制度となるべきであると私は考えます。

 ですので、繰り返しになりますが、通則法の立案担当部局である内閣官房として、これらの閣議決定に盛り込まれた事項を法案に規定するか否か、明確な回答、そして、日本の全研究者を勇気づけるようなお言葉をぜひ賜りたいと思います。文部科学大臣からも、お時間があればぜひお願いいたします。

中塚副大臣 今般の独立行政法人の制度、組織見直しの基本方針策定に当たりましては、吉田委員にも党の行政改革調査会の方で大変に御指導いただきまして、本当にありがとうございました。

 私どもは、研究開発型ということで新しく法人を位置づけるわけなんでありますが、ぜひ本当に頑張っていただきたい、そう思っておるんです。ただ、ガバナンスは、やはりいろいろな類型があって、それぞれに適したものがいいであろうというふうに考えておりまして、その意味で、先ほどお話のあったようなことについても御示唆をいただき、閣議決定案文に盛り込んだということでございます。

 それで、今、法案化作業を行っております。内閣府の中にも科学技術イノベーション担当もございます。また、関係部局とも相談をしております。五百八十本以上の法律を改正するということで、これはなかなか大変な作業なんでありますけれども、いずれにいたしましても、閣議決定にせっかく盛り込んだわけでありますから、研究開発型法人にふさわしいガバナンスの構築ということにつきましては、改正案の位置づけ等、法定化を含めて最大限努力をしていきたい、そう思っております。

平野(博)国務大臣 いい御指摘をいただきました。

 現場を所掌する文科省としては、まさに今、この独法化されている研究機関がグローバル化した社会の中で世界に冠たる研究を進めていくためには、まずガバナンスとしてどうあるべきなのか、その上で人材がどうあるべきなのか、こういうことを考えていかなきゃいけない。

 そういう中で、通常の独法の考え方、制度設計で、横並び的に、ガバナンスを変えるだけで本当に済むものなのか。特に研究開発というのは、単年度ではなかなか処理できない。やはり複数年度にわたって、基金を積んででも処理をしていかなきゃいけないもの、そうしなければ優秀な研究者が入ってこない等々があります。

 したがいまして、これからの日本を支えていく研究機関、機能としては、しっかりとそういうガバナンスのところにおいて、研究開発型のガバナンスとして明確に法定化をする、こういうことによって安心してそこで頑張ってもらえる機能を、ぜひ、私担当大臣としては官邸の方に、また、きょう副大臣がおられますが、しっかりとそういうことを含めて対処してもらいたい、こういうことでございます。それが先生の求められることにつながっていくと私は思っていますから、全力で頑張りたいと思っております。

吉田(統)分科員 大臣にも副大臣にも本当にすばらしい御答弁をいただきまして、きっと、私の思いと平野大臣の思い、そして中塚副大臣の思いは全く同じベクトルを向いて、同じ結果を生み出すんだろうと私は確信をいたしました。ぜひ通則法の中に、こういったことが実現されやすいように、でき得る限り盛り込んでいただくような内容になることを心から祈念させていただきます。

 最後に、時間がないんですが、質問通告をさせていただいたので、簡潔にお尋ねをいたします。

 今、NICU、周産期医療の発展によって未熟児医療は本当に進みました。しかし、それは同時に、極小未熟児が育つことによって、それによるいわゆる障害を持った子供がふえてしまう可能性もあるということなんです。これは表裏一体の事実です。ですので、それに対しての備えを必ずしていかなければいけません。

 その中で、実は、未熟児網膜症という怖い病気があります。これは、一日の治療のおくれで失明をしてしまう恐ろしい病気であります。一日レーザー光線を当てるのがおくれて失明してしまう。実際、アメリカでは多くの訴訟が起こっている中で、この人材確保や、治療するためのハードの整備が非常におくれていると私は現場で痛感をしております。

 ぜひ、このハード、ソフト面での今後の方針を、文部科学省、厚生労働省から現状のお考えと今後の見通しをお答え賜れればと思います。

若井主査 質疑時間が終了いたしました。簡潔にお答えください。

藤田大臣政務官 未熟児網膜症への対応については、診断基準であるとか医師の確保であるとか、今、関係学会でもお取り組みがなされてきていると承知をいたしております。厚生労働省としても、医師確保を進める観点から、必要に応じた学会との協力などもこれから図っていきたいと思っております。

 また、未熟児網膜症の治療法であるとかリハビリテーション法の改善、その標準化に関する研究については、厚生労働科学研究において実施をされているところでございます。

 さらに、独立行政法人国立成育医療研究センターでは、未熟児網膜症の早期診断を可能にする遠隔診断システムの開発をする研究を現在行っておりまして、引き続き必要な対応を図ってまいりたいと思います。

板東政府参考人 それでは、簡潔にお答えをさせていただきます。

 今、NICUの整備を計画に基づきまして進めておりますけれども、その中で、先生の御指摘がございました未熟児網膜症の治療にも資するようなハード面の整備というのも少しずつ進められてきているところでございます。

 さらに、先ほど御答弁がございました遠隔診断システムとか、そのあたりの有効性につきましても調査研究していきたいというふうに思っているところでございます。

若井主査 これにて吉田統彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、室井秀子君。

室井分科員 最後の質問者となりました。民主党の室井秀子でございます。

 質問に先立ちまして、天皇陛下の御退院、心よりお喜び申し上げます。一日も早い御平癒を心より祈念申し上げます。

 質問に入らせていただきます。

 さて、東日本大震災から間もなく一年を迎えようとしております。その間、児童生徒に向き合ってこられました教員の皆様初め、関係者の皆様に心より敬意を表する次第です。

 私は十七年前に阪神・淡路大震災を体験した者として、東日本大震災から間もなく一年がたとうとしている今こそ、子供たちの心のケアが重要だと思っております。民主党の中でも、私たち、子どもたちの未来を守る女性議員ネットワークで被災地の子供たちを支援し、また男性の方でも、ここにいらっしゃる湯原先生、花咲先生、稲富先生も、子供たちのことを一生懸命考えて支援していただいております。

 メディアを初め、周りの大人たちが、震災から一年を口にすることが多くなっています。心が不安定になり、ふさぎ込んだり、時には泣き出してしまったりする子供があると聞きます。節目の時期には記憶がよみがえる記念日反応と言われるものです。現場の先生方は、この記念日反応の対応を心配されているとお聞きいたしております。

 そこで、文部科学省として、東日本大震災から一年を迎える今、子供たちへの対応、教員への対応をどのようにしているのか、お聞きいたします。

布村政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生から、東日本大震災で、児童生徒あるいは教職員の方々、大きな震災の中で心のケアが重要であるという御指摘をいただいたところでございます。

 文部科学省としても、児童生徒あるいは教職員の心のケアにつきましては、中長期的に継続して取り組んでいくことが重要な課題であると認識いたしております。

 具体的には、平成二十三年度の第一次補正予算そして第三次補正予算におきまして、被災地の学校などにスクールカウンセラーを派遣するために必要な経費として、緊急スクールカウンセラー等派遣事業、約三十四億円となりますけれども、また全額国庫負担で実施する予算を措置したところでございます。岩手県、宮城県、福島県の御要望を踏まえて、三県に対しまして、全国から延べで二千二百六十四名のスクールカウンセラーの派遣をいただいたところでございます。

 そしてさらに、切れ目のない支援に取り組むため、平成二十四年度予算案につきましても同じ事業を計上させていただいております。

 また、昨年十一月に被災三県の教育委員会などに対しまして副大臣通知を発出いたしまして、教員に対しまして休暇取得の促進でありますとか心のケアに対する配慮を通じまして、教職員のメンタルヘルス保持に向けた一層の取り組みをお願いしたところでございます。今後とも、各都道府県などにおきましての教職員のメンタルヘルスの保持に向けた取り組みを継続的に支援させていただきたいと考えております。

室井分科員 メンタルケアに対してはいろいろ措置をしていただいていると思います。

 実は、御存じのように、あと六日で三月十一日を迎えます。きのうテレビをつけますと、メディア等を見ますと、本当にニュース等で次から次に映像が入ってくるわけです。特番も組まれておりました。ドラマ仕立てもありました。いろいろなものがありました。

 私自身、今回の東日本大震災とは本当に比べ物にならないと思いますけれども、阪神・淡路大震災のとき、私の家は半壊でした。隣の家は全壊でした。いろいろなところで、アパートやいろいろなものが潰れている現象を見ました。その当時、私の子供は、一番上が十一歳、二番目が五歳、一番下が二歳でした。震災が起きた途端に、子供たちは全員私から離れませんでした。目から入ってきたものというのは、忘れることができないんです。映像はフラッシュバックしてくるんです。何かに頼っていなければならないんです。

 今回、一年目を迎えるその記念日ですけれども、子供さんたちが、児童生徒がどういう反応を示すか、私は本当にそのことが心配です。そういう意味で、学校の先生方も同じように被災された方がたくさんいらっしゃると思いますので、そのあたりを文部科学省としてもしっかり捉えていただいて、これから十分にしていただきたいと思います。

 ぜひ、子供たちが元気で喜んでいる姿、子供が笑う顔が少しでもふえてくるように、引き続き、子供たちに寄り添い、安心感、安定感を与えていただきたく思いまして、私はきょう、この質問をさせていただきました。

 心の問題は、決してすぐには出てきません。後になって出てくるんです。言葉に出せるようになったときには随分回復しているんです。言葉に出さないときが一番大変だと思いますので、これからもぜひ、心をお願いいたします。目に見えるハード面、道路や建物が復興していくものは目に見えますけれども、実際は、目に見えないソフト面というのは後になって表面化するというのを、くれぐれも心にとめていてほしいと思います。

 次に、公立学校の耐震化と津波対策に関してお伺いいたします。

 平成二十三年度文部科学省当初予算、第一次補正予算及び第三次補正予算において、合わせて二千七百七十二億円が措置され、来年度の予算に学校施設の耐震化、防災機能の強化の予算が千百七十七億円計上されております。本年度の予算で計画どおり実施された場合、耐震化率が約九〇%になると見込まれています。

 施設整備基本方針では、公立学校施設の耐震化について、平成二十七年度末までのできるだけ早い時期に完了させるという目標を打ち出しておられますが、間違いありませんか。

清木政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、文部科学省といたしましては、平成二十七年度までのできるだけ早い時期に耐震化を完了させるという目標を示しております。

 また、平成二十四年度におきましては、平成二十三年度第三次補正予算と平成二十四年度予算案を合わせまして、五千二百棟分の耐震化を図ることとしておりまして、これらの事業が完了いたしましたならば、公立小中学校施設の耐震化率は約九〇%に達するという見通しでございます。

室井分科員 目標は達成できるまで頑張るというふうに答弁していただいたので、心強く思っております。

 しかし、私の地元、兵庫県尼崎市の公立学校耐震化率は、昨年の四月一日現在三六・五%と、中核都市としてはワーストワンという不名誉な状況であります。今年度も国の達成率は八〇・三%とお聞きしておりますが、このかけ離れた数字、びっくりするぐらいの数字なんです。しかし、公立小中学校の耐震改修状況については、地方公共団体の財政的な要因や耐震化への認識の差などにより、耐震化への取り組みがおくれているところも見られます。私の住んでいるところです。

 このような、地方自治体として開きがある中、施設整備基本方針にある目標を本当に達成できるのか、疑問が残ります。

 また、地元の話で恐縮ですが、東日本大震災を受け、昨年、兵庫県が、東日本大震災と同規模のマグニチュード九に備えるため、暫定的に津波を二倍に引き上げ、浸水想定区域の見直しをしたところ、尼崎市で八二%が浸水するという暫定結果が出されました。

 先ほどもお話ししましたが、地方自治により対応に格差があり、耐震化も進まない、津波対策もできない中、学習、生活の場であるだけでなく、災害時には地域住民の応急避難場所であります学校施設の耐震化、津波対策をどのように進めようとされているのか、目標も含め、文部科学省としてのお考えをお聞かせください。

清木政府参考人 先生御指摘のとおり、耐震化の状況につきましては、地方公共団体の間で差があるというのが実情でございます。

 このため、文部科学省といたしましては、従来から、特に取り組みのおくれている地方公共団体に対しまして、個別に、例えば、学校耐震化が進んでいる地方公共団体の取り組み事例を紹介したり、コスト削減が図られる工法などのさまざまな情報提供を行うなどの個別の要請も行ってきたところでございます。

 予算の確保とあわせまして、これらの個別の要請の取り組みも含めまして、地方公共団体からの要望を踏まえて必要な支援を図りまして、耐震化の目標達成に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 また、津波に関してのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、学校施設は子供の安全を確保するということと同時に、東日本大震災では多くの学校施設が地域の避難拠点としても機能いたしましたことから、防災機能の強化が大変大事であるというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、平成二十四年度予算案におきまして、防災機能強化事業という事業を創設いたしまして、裏山などへの避難経路の整備や屋上へ避難するための外階段の設置、また、避難場所になるケースもございますことから、備蓄倉庫の整備や自家発電設備の導入などを補助対象といたしまして、学校が津波の際の安全性を確保するとともに応急避難所としての役割も十分に果たせるよう、防災機能の強化を図ることとしております。

 これらの取り組みを通じまして、必要な支援を図りまして、防災機能の強化についても推進してまいりたいというふうに考えております。

室井分科員 御説明はいただきました。しかし、外階段をつけようとも何をしようとも、耐震化ができていなかったら何にもならないんですよ。

 そして、私の住んでいる尼崎市というのは、ゼロメーター地帯がほとんどなんです。一度水が入ってしまうと、水は流れないんです。実は山もありません。逃げるのは高い建物以外にはないんです。四十九平方キロメートルに四十六万人が住んでいる、そういう町なんです。

 だから、学校の耐震化をしなければならないのは、市役所も市の職員もみんなわかります。ただ、財政力がないんです。お金がないからできない、命も守れないのか、そういう思いがしておりますけれども、これは地方自治体の問題ですので、これ以上言うわけにもまいりませんので、ここで終わらせていただきますけれども、もう一つお尋ねします。

 昨年、会計検査院の指摘で、学校耐震化予算の地方への交付金五十二億円が別事業に流用されたという報道があったんです。これは、その後どうなりましたでしょうか。

清木政府参考人 恐縮でございます、通告をいただいておりませんでしたので、ただいま資料を持ち合わせてございません。申しわけございません。

室井分科員 済みません、通告しておりません。

 これは解決したということを聞いておりますので、こういうお金を流用するようなことがないように実はお願いしたいと思っておりますので、要望としてよろしくお願いいたします。

 次に、防災教育についてお尋ねいたします。

 私にとりましては、地元も、津波からどう逃げるか、これが一番の問題ですので、よろしくお願いします。

 釜石の奇跡と言われますけれども、釜石市において防災教育の成果が、悲しいことですが、今回検証できました。学校管理下にいらっしゃらなかった五人を省いて、約三千人が全員無事だったということを聞きました。釜石東中学校の生徒が鵜住居小学校の児童も引き連れ、地域の方もみんな一緒になって高台に逃げました。

 私は、昨年十月七日に民主党予算委員の視察として、現在は小佐野小学校で学んでいる鵜住居小学校五年生の児童とお会いいたしました。とても明るくて元気にしておりましたが、心までは見えませんので何とも言えません。でも、命があったということはすばらしいことだったと思います。

 この防災教育を指導された群馬大学の大学院教授の片田先生が、釜石の奇跡と言われるが、私は、奇跡というよりも、自分自身で命を守り抜くという姿勢を示してくれた子供たちを褒めてやりたいと思う、そして彼らの姿勢や行動は今の日本の防災現場においても強く求められるものだと感じていると話されていました。

 そこで、平野文部科学大臣にお伺いいたします。

 文部科学省として、防災教育、減災教育の取り組みに関しまして、お聞かせください。

平野(博)国務大臣 室井先生、先ほど来御示唆に富んだ指摘をいただいております。

 耐震化をせずして何が防災なんだ、こういう御指摘だと思いますし、地元での部分については、文科省としても可能な限り早く進めるように要請をしたりチェックをしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そういう中で、今議員がまさに言われた、児童生徒が本当に災害時にみずから危険を予知する、安全な行動ができる、こういう判断力をつけさせる、これが防災教育だと私は思っております。そういう教育を実践するために重点を置いていくんだ、こういうことでありますし、また、学校での防災教育と同時に、地域の防災教育とやはりしっかり連動させなきゃいけない、こういう思いで取り組んでいくことが大事だと思っております。

 そういう意味で、今回、東日本の震災の教訓を受けて有識者会議の議論を踏まえた中で、二十四年度の予算案におきまして、全国で、児童生徒みずから命を守り抜くための、みずから守り抜く、主体的に行動する態度を育成する授業、さらには、被災地の方々へのボランティア活動を通じてより安全な地域づくりに貢献をするという意識、こういうものを高める教育手法を開発し普及をさせていく、これが防災教育の充実を図っていくということにつながると思います。

 また、学校の防災マニュアル、危険等発生時における対処要領や避難訓練に対するチェック、助言を行う外部の有識者を学校に派遣して、具体的に地域との連携を十分構築することを、私どもとしては進めているところでございます。

 私ども文部科学省としては、この東日本の教訓を踏まえ、今年度中に地震、津波に対する対応マニュアルを作成してしっかりと配付する、こういうことを通じて、より一層防災教育の充実に努めてまいりたい、このように考えています。

室井分科員 平野大臣、ありがとうございます。

 本当に、私自身も、地域と学校が一体となった防災教育が重要だと思っております。地震はいつ起こるかわかりませんが、津波からは身を守ることができます。命を守ることができます。逃げる場所さえあれば大丈夫なんです。岩手県釜石市の釜石東中学校では、学校が地域に配付した安否札で家族間の避難状況が伝わり、結果的に津波の到達前に避難できたとのことです。ぜひ地域を巻き込んだ防災教育、減災教育をお願いいたします。

 次に、秋入学についてお尋ねいたします。

 東京大学が、従来の四月入学を全廃し、海外で主流である秋入学への全面移行を求める素案を公表し、早ければ五年後に導入したい、また、早稲田大学は、海外の留学生を受け入れやすい独自の四期制を導入するとの報道です。

 総理も、一月二十五日の国家戦略会議で、東京大学が秋入学への全面移行を打ち出したことについて、グローバルな人材育成という観点から大変評価できる動きだ、官民挙げて議論をしたいと述べられています。

 私の住んでいる兵庫県内の四年制大学に、三十九ありますけれども、神戸新聞がアンケートをとりました。七大学が賛成、十三大学が反対、半数近くが態度を保留していました。高校卒業から大学入学までの間、ギャップタームをどう扱うのか。

 そしてまた、三月二日の報道では、秋入学への移行を検討している東大の浜田学長が二日に古川元久国家戦略担当と内閣府で会談し、医師など国家試験の時期変更や秋入学移行に伴う費用を国が負担するなど要請したという記事もありました。つまり、国家試験も全部変更しなければならないわけですよね。

 私自身は、決して秋入学に反対しているというわけではないんですよ。ただ、私は、受験生を持つ保護者の皆さんは大きな戸惑いを抱いているんじゃないかなと思います。つまり、この大学の流れは、例えば、海外で主流であるとか、海外の留学生を受け入れやすいなど、海外という言葉が前に出てきているんですよ。日本の受験生や学生の視点が欠けているように見えます。

 そこで平野文部科学大臣にお伺いしますが、政府としてこのような大学改革をどのように捉えているのか、また、どのような対応を文部科学省として検討しているのか、お聞かせください。

平野(博)国務大臣 大学を改革していく社会改革の視点として、一つには、秋入学という考え方、これは、一つは、グローバルな国際社会の中でしっかり対応していく、こういう視点での軸としては一つあろうと思っております。したがって、世界で活躍するグローバルな人材を輩出する、こういう意味での観点からは私はメリットがある、こういうふうに思います。一方、室井先生がいみじくも指摘されましたが、学生の立場で見たときにはどうなんだ、こういう視点も必ずしておかなければならないと思っています。一方、そういう状況のもとで、社会の受け皿がそれを容認するか、こういう軸もあろうと思っています。

 したがって、私は、一面的なメリット、しかし、これを進めていくことによってデメリットになる方、今の社会の構造をどう変えていくかという、この三つのトライアングルをしっかり踏まえてやっていかなきゃいけない、こういうことでございます。

 したがいまして、文科省としては、大学の自主性ということを基本的に尊重いたしておりますけれども、一つには、保護者、受験生、学生、こういうところを十分に、どうあるべきなのか、こういうところの不便さがあるよということも踏まえなきゃいけません。したがって、省内で整備を今進めているところでございます。

 では、どういうところを具体的にやっているのかということですが、一つの事例で御理解いただきたいと思います。

 学生が卒業するまでの期間どうするのか。学生という身分で置いておくのか、社会という中途半端な状態になるわけですから、この辺をどうするのか。いま一つは、やはり、そういう観点でいきますと、修業期限の弾力的な判断をどうしていくかということであります。また、それに伴って経済面、生活面をどういうふうにバックアップしていくのか。また、教員養成の大学があります。この教員養成の大学についてはどういうふうな人材育成をしていくのか。移行期に伴いまして、今度は大学自身の負担をどうしていくのか等々、課題が山積をしております。

 しかし、一歩一歩この課題を乗り越えないと大きな展望がないということですから、室井先生の御指摘を踏まえて、特に学生、保護者の見方も見る、社会の受け皿として、先ほどありましたように、資格というところはどうなんだというところも含めて、総合的にしっかり我々としては検討したい、こういうふうに思っております。

室井分科員 平野大臣、ぜひ、推移を見守りまして、混乱がないようにお願いいたしまして、この質問は終わらせていただきまして、最後の質問をさせていただきます。

 授業料の減免についてちょっとお尋ねしたいんですけれども、文部科学省の、私立大学の平成二十二年度入学者に係る学生納付金等調査結果によると、系統別では、文科系学部が百十五万五千円、理科系学部が百五十万二千円、医歯系学部が約四百八十九万三千円となっています。理科系、とりわけ医歯系が多いのは仕方がないことですが、文科系でも百十五万円を超えて、理科系と三十五万円ほどしか差がないというのは、我々が学生時代にはちょっと考えられなかったことなんですね。

 しかも、初年度にかかる費用はこれだけじゃないんですよ。実験実習費もあれば書籍代もあり、通学定期代、あるいは下宿代など、さまざまな費用がかかるということは言うまでもありません。

 短大なら安いかというと、そんなことないんですよ。初年度納付金に限っても約百十三万一千円。入学の年にかかる負担としては、四年制に比べても格段安いとはとても言えない金額です。

 そこで、文部科学省にお伺いいたしますが、民主党政権になってから、国立大学と私立大学の授業料減免などをどのように充実させてきたのか、お伺いいたします。

板東政府参考人 比較でお答えをさせていただきたいと思いますけれども、授業料減免に関しましては、平成二十一年度予算と比較いたしますと、国立大学につきましては、七十三億円増の二百五十四億円、対象人員で約一・四万人増の約四・八万人分が授業料減免をされております。

 それから、私立大学につきましては、平成二十一年度の予算と比べますと三十五億円増の五十五億円、それから対象人員で約〇・八万人増の約三・五万人分を予算で計上させていただいているのが二十四年度予算案ということでございます。

室井分科員 すごく金額が少ないなと思いながら実は聞いていたんですけれども、御存じのように、我が国の高等教育機関の中で私立大学は約八割です。今、国立大学で二百五十四億円で四・八万人分、私立大学で五十五億円で三・五万人。ということは、私立大学は八割あるわけです。そう比べると、いかに少ないかがわかるんです。

 そしてまた、私立大学の授業料減免の事業費の支援は、実は二分の一以内となっているんです。全額ではありません、二分の一以内です。そうなると、国が予算計上しても、大学の持ち出し分があるわけです。そうなってくると、私立学校自体に体力があるところは実施しますが、実際には授業料減免事業の枠が少ない私立大学があるのが現状なんですよ。そのことについてはどうお考えになりますでしょうか。

板東政府参考人 御指摘のように、まだ全体から見ると小さいという御指摘だと思いますけれども、毎年充実をさせていただいているということで、前進を見ているということを御理解いただければというふうに思っております。

室井分科員 わかりました。

 親の経済力によって高等教育が受けられない、未来ある子供たちの夢を失わせないようにしたいと思うんです。

 私、一つお尋ねしたいことがあるんですね。大学へ行きたいけれども経済的に断念した高校生のデータがありますかとお尋ねしましたところ、データがないと言われたんです。行きたいけれども行けなかった人のデータはありますか。

 というのは、私たちは、給付型奨学金をふやしてやりたいな、無利子の奨学金の充実をしたいなと思っているんですけれども、データがなかった。一体どれくらいの人が必要なのかという元データが必要だと思ったんですね。

 そこで、昨年十二月に実施されました、あしなが育英会の奨学金を受け、高校卒業後に就職を希望した高校生のうち、三九・七%が経済的理由から進学をあきらめたという報道があったんです。

 これを見まして、だったら、平成二十三年度学校基本調査で、高等学校の卒業生は百六万千五百六十四人がいます、その中で就職した人が十七万二千三百二十三人、一時的な就職についた者が一万四千九百九十四人ですので、全部合わせますと十八万七千三百十七人が就職したことになり、単純には比較できませんが、これから推測すると、七万四千九百二十七人が進学を断念したことになります。

 そのことから考えて、貧困と経済的な格差が深刻になる中、今年度延期になりました給付型奨学金や無利子の奨学金の充実を求める学生や父母の願いは切実なんですよ。だから、次年度以降、負担軽減の充実を要望し、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

若井主査 これにて室井秀子さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時三十二分散会


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