衆議院

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第1号 平成28年2月25日(木曜日)

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本分科会は平成二十八年二月二十二日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      井上 貴博君    石原 宏高君

      竹下  亘君    古屋 圭司君

      井坂 信彦君    浮島 智子君

二月二十四日

 石原宏高君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十八年二月二十五日(木曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 石原 宏高君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      尾身 朝子君    神谷  昇君

      小松  裕君    竹下  亘君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      岡本 充功君    神山 洋介君

      坂本祐之輔君    田島 一成君

      長島 昭久君    初鹿 明博君

      浮島 智子君    岡本 三成君

      角田 秀穂君

   兼務 大串 正樹君 兼務 阿部 知子君

   兼務 中野 洋昌君 兼務 宮本 岳志君

   兼務 本村 伸子君 兼務 木下 智彦君

   兼務 椎木  保君 兼務 鈴木 義弘君

    …………………………………

   文部科学大臣       馳   浩君

   財務副大臣        岡田 直樹君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       加藤由起夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官)

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        中島  誠君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   森本 浩一君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  藤本 一郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          北崎 秀一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      山下  治君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       伊藤 洋一君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            小松 弥生君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            田中 正朗君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    高橋 道和君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      大村 哲臣君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     務台 俊介君

  井坂 信彦君     田島 一成君

  浮島 智子君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     石川 昭政君

  田島 一成君     神山 洋介君

  伊佐 進一君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     小松  裕君

  神山 洋介君     長島 昭久君

  上田  勇君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  小松  裕君     神谷  昇君

  長島 昭久君     小川 淳也君

  伊佐 進一君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     八木 哲也君

  小川 淳也君     岡本 充功君

  樋口 尚也君     岡本 三成君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     尾身 朝子君

  岡本 充功君     神山 洋介君

  岡本 三成君     浮島 智子君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     古屋 圭司君

  神山 洋介君     初鹿 明博君

  浮島 智子君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  初鹿 明博君     井坂 信彦君

  角田 秀穂君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  井坂 信彦君     坂本祐之輔君

  樋口 尚也君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本祐之輔君     岡本 充功君

  上田  勇君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     井坂 信彦君

  角田 秀穂君     浮島 智子君

同日

 第一分科員鈴木義弘君、第二分科員木下智彦君、第三分科員本村伸子君、第六分科員中野洋昌君、椎木保君、第七分科員大串正樹君、阿部知子君及び宮本岳志君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十八年度一般会計予算

 平成二十八年度特別会計予算

 平成二十八年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

石原主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました石原宏高です。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。馳文部科学大臣。

馳国務大臣 平成二十八年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十八年度予算の編成に当たっては、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術の振興についての施策を総合的に展開するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆三千二百十六億円、東日本大震災復興特別会計六百二十億円などとなっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

 以上です。

石原主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申し出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石原主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石原主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台分科員 ありがとうございます。長野二区の務台俊介でございます。

 文科省は、学術研究、科学技術、非常に幅広い分野を所管しておりますが、きょう、私は、その中で、特に北極に関する施策の展開についてお伺いしたいというふうに思います。

 北極については、これまで我が国では余り目を向ける向きが少なかったように承知しております。しかし、地球温暖化ということで欧州とアジアを結ぶ北極海航路を視野に入れると、戦略的な北極政策を今から進めておくことが必要ではないかというふうに考えられます。

 私は、北極のフロンティアについて考える議員連盟、いわゆる北極議連にメンバーとして参加させていただきまして、過日は立川市にございます国立極地研究所を訪問する機会もいただきました。大変意義のある視察となりましたが、実は、極地研究所が私の選挙区の乗鞍で寒冷地の訓練も行っているという話を伺いまして、少し親近感を得たという思いを持っております。

 過日、新聞で、文部科学省として北極研究の基本方針となる北極研究計画をまとめる、そういう記事に接しましたが、まずその内容についてお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 北極域は、近年、海氷が急激に減少するなど、気候変動の影響が最も顕著にあらわれておりまして、北極域における環境の急激な変化は地球全体の環境などに大きな影響を与えることが懸念されてございます。

 昨年十月、政府の総合海洋政策本部におきまして我が国初の北極政策が策定されまして、この中で、日本の強みである科学技術をグローバルな視点で最大限活用することとされております。

 これを受けまして、文部科学省におきましては、科学技術・学術審議会海洋分科会のもとに北極研究戦略委員会を設置いたしまして、今月二十二日に第一回委員会を開催したところでございます。

 今後、同委員会におきましては、北極研究に関する研究開発、観測、国内外の研究拠点、国際連携協力、人材育成、人文・社会科学分野と自然科学分野の連携、情報発信等に関して御議論をいただきまして、ことしの夏をめどに、文部科学省における北極研究のあり方について取りまとめていただく予定でございます。

 以上でございます。

務台分科員 ありがとうございます。

 端的にこれまでの文科省の北極政策の動きを御紹介いただきました。

 局長お話ありましたように、昨年十月には、我が国として初めての北極政策であります「我が国の北極政策」というのが総合海洋政策本部で決定されたということでございますが、その際に、本部長であられます安倍総理より、我が国は、日本の強みである科学技術をさらに推進し、主導的な役割を積極的に果たしていく、そういう御発言があったというふうに承知しております。

 政府の動きと並行して、北極議連でも、政府の動きをしっかりとバックアップしていきたいということで、昨年の十二月に改めて決議を行いまして、北極政策を戦略的に推進するとともに、その実現を果たすための予算を拡充し、体制を強化することを政府に要望してきております。

 本日は、その議連の決議を踏まえて幾つか御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、基本的なことをお伺いしますが、北極と南極、それぞれの研究で、研究の深化の度合いあるいは体制、そういうものについてどんな差異があるのか、文科省としての受けとめ方をお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、南極、北極による違いでございますけれども、南極地域は、国際的な枠組みとして、南極地域の平和的利用、科学的調査の自由、領土権主張の凍結などを主な内容とします南極条約が締結されておりまして、科学的活動を実施している国で共通の課題を議論する南極条約協議国会議等も開催されております。

 また、研究観測も、一九五七年の国際地球観測年以降、長年にわたって実施されているところでございます。

 一方、北極地域でございますが、基本的には、北極海を中心とする沿岸国の領土、領海においての研究観測となっております。

 科学的な枠組みも、一九九〇年に国際北極科学委員会、IASCが設立されるなど、近年、ようやく科学的な活動が可能となった状況にございます。

 このように、南極と北極とでは研究実施にかかわる環境が大きく異なっていると認識をしております。

 具体的な研究の体制でございますけれども、まず、南極につきましては、我が国は、昭和三十年の十一月に「南極地域観測への参加及び南極地域観測統合推進本部の設置について」を閣議決定いたしました。

 これに基づきまして、文部科学大臣が本部長である南極地域観測統合推進本部が置かれまして、文部科学省、総務省、気象庁、海上保安庁、国土地理院、防衛省などの関係省庁と連携して南極地域観測事業を実施しております。

 観測、昭和基地の運営などは、文部科学省、気象庁、海上保安庁との連携により、また、昭和基地への物資輸送は、防衛省の協力のもと、南極観測船「しらせ」によって実施しておりまして、平成二十八年度政府予算案には約七十七億円を計上しております。

 一方、北極につきましては、我が国は、一九九〇年の国際北極科学委員会、IASC設立直後の一九九一年に国立極地研究所がノルウェーに観測基地を設置するとともに、一九九二年にIASCに加盟するなど、活動を実施しているところでございまして、平成二十三年度からは、文部科学省におきまして、グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス事業を開始いたしまして、二十七年度からは、同事業を発展させ、北極域研究推進プロジェクト、ArCS事業を開始しているところでございます。

 国立極地研究所、海洋研究開発機構、北海道大学を中心に、全国の大学、研究機関等との共同研究としてオール・ジャパン体制で取り組んでおりまして、平成二十八年度政府予算案には、北極域研究に関する予算額として約九億二千万円を計上しているところでございます。

務台分科員 ありがとうございます。

 南極に関しては、南極条約という国際的な枠組みがしっかりしている、それで、日本も多額の予算を使っている。それに対して、北極は、ようやくスタートしたばかりで、予算規模も南極とは桁違いにまだまだ小さい、そういう前提のようでございます。

 しかし、文科省も北極についても対応に乗り出したということで、とても心強く思いますが、我が国は、北極圏に領土、領海を持たないために、なかなか、観測データの取得を初め、観測活動はおのずから制約があるというふうに思います。そういう意味で、国際協力というのがとても大事で、我が国単独では得られない観測データ、研究成果を共同して生み出すことがそれによってできるというふうに思います。

 一方で、我が国独自、あるいは我が国が主導して研究拠点を整備し、国際共同研究、若手研究者の人材育成を図る必要があるという認識も文科省ではお持ちではないかというふうに思っております。

 現時点で、観測拠点、研究拠点ということで具体的に想定しているところがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。

 そして、我が国の北極への取り組みを国際社会と共有し、プレゼンスを高めるべきだというふうに考えます。このため、北極研究の成果を積極的に国内外に発信することにより、北極に関する国際的な情報交流のプラットホームを形成するということが必要ではないかというふうに思います。

 どのような取り組みをしているのか、伺いたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました、平成二十七年度に開始をいたしました我が国の北極域研究推進プロジェクト、いわゆるArCSにおきましては、海外の研究拠点の整備や若手研究者の育成などに取り組むこととしております。

 研究拠点につきましては、ノルウェーのニーオルスン基地、カナダのCHARS観測拠点など、九カ所に我が国の拠点を整備するべく、相手国と連携をとりながら計画を進めているところでございます。

 これらの拠点におきましては、我が国独自の研究観測や国際共同研究を行うこととしておりまして、まずはこれらの計画を着実に進めてまいりたいと思っております。

 また、若手研究者につきましては、我が国が設置する拠点のほかにも派遣することとしておりまして、そうした取り組みなどを通じて、国際的な議論の場で活躍できる人材の育成を進めてまいりたいと考えております。

 さらに、これらの活動を通じて世界における日本のプレゼンスを高めるために、研究成果の情報発信の強化が重要でございます。国際会議、ホームページ、メールマガジン、公開講演会の開催などの取り組みを通じた研究成果の積極的な発信に既に着手しておりますけれども、今後ともさらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。

務台分科員 ありがとうございます。

 九カ所を今のところ想定して拠点づくりをする、ぜひそれを着実に進めるとともに、ふやせるのであれば、拠点はもうちょっとふやしていただきたいというふうに思います。

 我が国は、平成二十五年にオブザーバー資格を取得した北極評議会、AC、あるいは、その他の北極に関する国際的なフォーラム、国際海事機関、IMOといった国際的な議論の場を活用して、北極観測、北極研究により得られた科学的知見、高い技術等の我が国の強みを生かしつつ、国際的な議論、取り組み、ルールづくりに積極的に関与し、日本がイニシアチブをとっていくことが必要ではないかというふうに考えております。

 そのために国際的な水準で活躍できる人材を確保、育成することが大変重要でございますが、現時点でそうした対応が可能な人材はどの程度確保されているのか、先ほどもお答えいただきましたが、現時点の政府の認識と取り組みを伺いたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、政府といたしましては、昨年十月に「我が国の北極政策」を決定いたしまして、日本の強みでございます科学技術を基盤に、北極評議会や国際海事機関などにおいて、国際的な議論、取り組み、ルールづくりに主導的な役割を果たしていくことを明確にしたところでございます。

 これを受けまして、昨年十二月には、島尻海洋政策担当大臣が米国に出張いたしまして、北極評議会の議長国でございますアメリカのホルドレン大統領補佐官に、我が国として北極評議会への関与と貢献を拡大していきたい旨を表明いたしまして、アメリカ側から、日本の積極的な貢献を歓迎するとの好意的な反応があったところでございます。

 人材の確保、育成につきましては、これまでも北極評議会の作業部会及びタスクフォースに我が国の政府関係者及び専門家を派遣いたしまして、関係国から高く評価されているところでございます。

 また、国際海事機関で行われました、極海におけます船舶の安全や海洋環境の保護等の基準となります、いわゆるポーラーコードの検討に当たりましては、当時の事務局長の関水氏のもと、日本人の国際機関職員、政府関係者、専門家等が多大な貢献を行ってまいりました。

 さらに、文科省のArCS、北極域研究推進プロジェクトにおきましても、若手研究者の派遣を含む人材育成や北極関連会合への専門家派遣の取り組みが推進されているところでございます。

 今後とも、北極政策に基づきまして、関係府省と協力連携いたしまして、国際的な取り組みへの貢献、人材の確保、育成を進めてまいりたいと考えているところでございます。

務台分科員 ありがとうございます。

 北極に関する人材といっても、北極の専門家というのはなかなかそうは集まらないと思います。いろいろな技術、分野の専門家を北極に向けて糾合するという作業が必要かと思いますので、ぜひ、皆さんの関心がそちらに向くように、引き続き努力していただきたいと思います。

 今申し上げましたように、国内外のステークホルダーの意見を取り入れて北極に関する取り組みを推進する必要があると思いますが、このためには、自然科学系のみならず人文科学系を含む研究者、あるいは産業界、政策決定者などを結集して、産学政官の連携体制を強化することが必要だと思います。そのことにより北極に関するコミュニティーの拡大を図れるということだと思っております。

 過去には政策研究大学院大学でこうした取り組みがあったというふうに承知しておりますが、今後そういった北極コミュニティーの拡大を図ることについての政府の考え方を伺いたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 北極に関しますコミュニティーの拡大ということでございますが、御指摘の政策研究大学院大学におきましては、北極圏問題についての我が国の総合戦略研究会が開催されまして、自然科学系のみならず人文・社会科学系の研究者、あるいは関係府省、関係機関によって、北極圏の諸問題に関します議論、情報共有が行われたものと承知しているところでございます。

 また、北極海航路につきましては、国交省におきまして、海運事業者や荷主といった産業界並びに関係行政機関が集まりまして、情報の共有を図るための官民連携協議会を開催しているところでございます。

 さらに、外務省におきましても、北極圏視察団の派遣等により、北極における経済活動への日本企業の関与拡大に向けた取り組みを実施しているところでございます。

 今後とも、北極政策に基づきまして、御指摘いただきました北極に関するコミュニティーの拡大に向けた連携体制の強化につきまして検討してまいりたいと考えているところでございます。

務台分科員 ありがとうございます。

 政府の北極政策を議論するために、平成二十五年七月に北極海に係る諸課題に対する関係省庁連絡会議という課長級の会議が設置され、その議論をもとに政府の北極政策がつくられたというふうに承知しております。今この連絡会議はどのくらい機能しているのか、その意義の自己認識をお伺いしたいと思います。

 そして、昨年、総合海洋政策本部で決定された北極政策を今後さらに強力に推進するために、北極政策関係閣僚会議あるいは関係府省局長会議といったようなものを設置して政策推進の一層の強化を図ることも考えられると思いますが、政府の御見解を伺いたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、北極海をめぐります多岐にわたります課題に対しまして、関係省庁の情報共有と連携を進めるために、政府全体として総合的かつ戦略的な取り組みを図るために、平成二十五年七月に北極海に係る諸課題に対する関係省庁連絡会議を設置したところでございます。

 これまで、同会議は、計十回の開催を通じまして、北極に関する情報共有を図るとともに、我が国の北極政策について検討を行ってまいりました。

 この検討を経まして、昨年十月十六日、安倍内閣総理大臣を本部長として、全閣僚を構成員といたします総合海洋政策本部におきまして、我が国として初の包括的な北極政策を決定したところでございます。

 北極政策につきましては、全閣僚から成ります総合海洋政策本部で取り組んでいるところでございますが、今後の北極政策の進展を踏まえまして、御指摘の体制強化のあり方につきましては真摯に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

務台分科員 ありがとうございます。ぜひ、体制の強化をできるだけ図るように御努力いただきたいと思います。

 さて、北極政策を実現していくためには、必要な予算の拡充というのが何としても重要だと思います。中でも、先進的北極域観測技術の開発といったようなものが大事ではないかというふうに思います。

 「我が国の北極政策」においても、「自律型無人潜水機(AUV)等を用いた国際的な北極域観測計画への参画を可能とする機能や性能を有する、新たな北極域国際研究プラットフォームとしての北極域研究船の建造に向けた検討を行う。」というふうにされておられますが、ぜひこれは実現してほしいと思います。

 現時点で、この北極域研究船の構想の進捗状況についてお伺いしたいと思います。

馳国務大臣 我が国の北極政策の着実な推進のため、日本の強みである科学技術を基盤に国際的に主導的な役割を果たす必要があり、その中で先進的な北極域観測技術の開発を促進することは大変重要であります。

 文部科学省では、北極域の海氷下観測に係る技術開発を推進するため、海氷下でも長期にわたり正確に物理、化学、生物データを収集できるセンサー及び観測システムの研究開発のために、平成二十八年度予算案として、新規に約二億円計上したところであります。

 また、研究船を利用した北極域の観測については、海洋地球観測船「みらい」を活用し、平成十年以降延べ十三回、五百日以上の観測を実施しているところであります。

 これらの研究開発や観測実績の状況も踏まえつつ、北極域研究船の運用を含めた北極域の国際研究プラットホームのあり方についても、北極研究戦略委員会の中で検討してまいりたいと思います。

 この北極域研究船に係る検討項目の例として、一、観測すべき物理、化学、生物データの種類と場所、頻度、期間。二、適切な観測手段の選定。三、観測に必要な機材とその開発手法。四、観測及び観測機材の運用に必要な研究船のスペック及びその運航方法。五、国際的な共同観測体制との連携体制。六、諸外国における北極域研究船の運用状況。これらの検討項目を踏まえた上で対処したいと思います。

務台分科員 ありがとうございます。

 直ちに北極専用の研究船というものは難しいのかもしれませんが、象徴的な意味もありますので、ぜひ進めていっていただきたいと思います。

 これはちょっと地政学的な話になるんですが、我が国が北極政策に力を入れることについて国際社会の反応はどうかということを伺いたいと思います。

 日本の貢献についての、特に科学技術面での期待は大変大きいというふうに感じますが、ほかの面でいろいろな心配をする向きもあるのかもしれません。北極圏諸国及び重立った非北極圏諸国の見方、立場をお伺いできればというふうに思います。

水嶋政府参考人 北極をめぐる諸課題への国際的な取り組みに対しましては、我が国としても積極的に貢献をすべく、二〇一三年五月、我が国は北極評議会のオブザーバー資格を取得いたしました。以来、北極評議会の作業部会及びタスクフォースの活動への参加等を通じて、北極に関する学術研究で蓄積した知見を活用して、北極評議会の活動への協力を進めてきております。こうした我が国の取り組みが北極評議会のメンバー国、また他のオブザーバー国などからも高く評価をされていると認識をしております。

 また、昨年十月の「我が国の北極政策」の決定を踏まえまして、同月に、アイスランドで開催をされました第三回の北極サークル、また、アメリカ・ワシントンで開催をされましたブルッキングス研究所主催のセミナーにおきまして、「我が国の北極政策」を紹介いたしまして、その上で、我が国としてより一層積極的に北極をめぐる諸課題に取り組んでいくことを表明いたしました。アイスランドや米国を初めとして、各国の参加者から好意的な反応を得たところでございます。

 北極をめぐる諸課題に対処していく上では、国際協力の推進、また国際的なルールづくりというものが不可欠でございます。我が国は、引き続き、こうした取り組みに積極的に参画、貢献をしていく考えでございます。

務台分科員 ぜひ、南極と同じように、平和的に北極が利用できるような、そういう環境づくりに日本も貢献していただきたいというふうに思います。

 最後の質問なんですが、先ほど冒頭、国立極地研究所のお話をさせていただきました。非常に立派な研究をされており、教育機能もある研究機関だというふうに承知しております。

 ただ、私は行ってみて思ったんですが、こういう研究施設は、東京にあるよりも地方にあった方がいいかなというふうに感じました。国会答弁もそう必要ないでしょうし、そういう意味では、乗鞍で寒冷地訓練が行われているというふうに紹介しましたが、例えば松本市にこういうものがあってもいいんじゃないかななんて思ったもので。

 今政府の機関の移転の話が出ておりますが、直ちにというのはもちろん難しいと思いますが、例えば移転の可能性について、もちろん当事者に聞くと嫌だと言うのはよくわかり切っているんですが、将来に向けての可能性について、どのようにお考えでしょうか。

小松(弥)政府参考人 国立極地研究所は、極域科学分野の中核拠点といたしまして、国内外の多くの研究者と連携協力をいたしまして、南極、北極における観測研究を実施しております。

 研究機関の移転につきましては、その機関の研究能力の維持向上が見込まれるかどうかということ、それから地元自治体の支援体制、そして当該地域の他の研究機関や民間企業との連携の可能性など、こういったことを考慮に入れながら検討するものと考えております。

 極地研の移転についての具体的な御提案はこれまで承知しておりませんでしたけれども、まずは、地元自治体、そして研究所自身における十分な検討が必要であると考えております。

 以上でございます。

務台分科員 よく理屈はわかります。が、一方で、地方創生という観点もありますので、ぜひ、将来に向けての一つの課題だ、希望がある、そういうことだと御認識いただきたいと思います。

 北極議連、政府の北極政策をしっかりバックアップしていきますので、引き続きよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

石原主査 これにて務台俊介君の質疑は終了いたしました。

 次に、田島一成君。

田島(一)分科員 おはようございます。衆議院民主党の田島一成でございます。

 きょうは、三十分時間を頂戴いたしました。大臣、御無沙汰しております。お久しぶりです。

 心から尊敬をする閣僚の一人として、心を込めて、きょうは御専門領域でもあります公共スポーツの施設整備等についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 御承知のように、公共スポーツ施設の整備で、これまで社会体育施設整備費補助金が多くの地域の体育施設の整備に貢献をしてまいりましたが、二〇〇五年度をもちまして終了いたしました。

 社会体育施設整備費補助金、こちらの方を振り返ってみますと、一九八五年には七十七億九千万円だったのが、年々減少を続けて、二十年後の二〇〇五年にはわずか十億二千万円と、この二十年の間に約七分の一に下がってしまいました。

 そして、翌年度の二〇〇六年からは安全・安心な学校づくり交付金、さらには、二〇一一年からは学校施設環境改善交付金と、制度の名称を変えてきました。そのことによって、当初行われていた社会体育施設整備費補助金に該当するものは内数であるため、公共スポーツ施設整備のために予算がどれぐらいふえたのか減ったのかということが全く読み取れないのが現実でもございます。

 とりわけ、社会体育を所管していただいている文部科学省、そして外局であるスポーツ庁の方では、かつて行われていた社会体育施設整備費補助金に該当する予算を来年度はどれぐらい計上されているのか、まずお示しをいただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、地域のスポーツ施設の整備につきましては、学校施設環境改善交付金の中で、地域スポーツ施設の整備ということでとり行っておりまして、二十八年度の予算案においては、対前年度比八・二億円増となっておりますが、十八億六千万円を計上しているところでございます。

田島(一)分科員 前年よりは幾ばくか上がっているという話で、少し胸をなでおろしたいと言いたいんですけれども、かつての社会体育施設整備費補助金、一九八五年度の七十七億円から比べると、まだまだ十分でないとやはりお認めになられますか。

高橋政府参考人 今回、スポーツ庁の発足に伴いまして、スポーツ予算の拡充ということで文科省の中でも努力をいたしまして、今回は八億二千万円の増ということで、かなりの増額になったところでございます。

 ピーク時の社会体育施設補助金から比べるともちろんまだ少ない額でございますが、今後、スポーツ庁といたしましては、この予算も含めて、スポーツ予算の拡充にしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

田島(一)分科員 非常に強い意気込みであるというふうに受けとめさせていただきたいと思っておりますが、一方、国交省の方からの公共スポーツ施設整備補助制度も、これまで、都市公園事業費補助、まちづくり交付金、そして社会資本整備総合交付金と、制度が変遷を遂げてまいりました。文部科学省、スポーツ庁における社会体育施設整備と比較をすると、補助対象施設の範囲が、文科省で今行っていただいている学校施設環境改善交付金の補助率三分の一に対して、補助率が二分の一と非常に高いことが指摘されると思います。

 本来ならば、所管すべき文科省の補助率自体も三分の一ではなく二分の一にやはり引き上げていくことが望ましいと私は考えるわけでありますけれども、実際に、この三分の一と二分の一の違いが非常に、文科省の所管ではなく、だんだんと国交省の方にシフトをしていくのではないか、地方公共団体におかれても、その重心がどんどん違う方向へと進んでいってしまうのではないか、せっかくの所管省庁としての名折れになっていくのではないかというふうに心配をするわけでありますけれども、この補助率の違いについてどのような御認識をお持ちでいらっしゃいますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、学校施設環境改善交付金の補助率三分の一について御質問がございました。

 もちろん、補助率の引き上げについては自治体等からも御要望をいただいているところではございますけれども、現在、全国からは私どもの予算額を上回る御要望をいただいているところでございまして、もし補助率を引き上げるということになりますと、逆に支援できる対象施設が減少するということにもなりまして、慎重な検討が必要と考えているところでございます。

 スポーツ庁といたしましては、引き続き、地方公共団体からの要望も踏まえ、できる限り必要な予算を確保することに努めてまいりたいと考えております。

田島(一)分科員 希望が多いから、それをセーブするための補助率三分の一据え置きだというふうにもとれてしまうんですね。

 私は、それであるならば、国交省が今抱えている社会資本整備総合交付金を引っ剥がしてくればいいんじゃないかと思うんですね。何も文科省の中だけでの予算のやりくりではなくて、本来、社会体育施設を所管するのは文科省なわけでありますから、より専門的な知見を携えている省庁がしっかりとその要望を吟味して補助に当たっていくことが一番望ましいのではないか。

 国交省が社会資本整備総合交付金を抱えているにもかかわらず、そちらの方にばかり何か軸足がどんどん行ってしまうのではないかという懸念を持っているわけでありますが、そういうような発想というのはお持ちじゃないですか。

馳国務大臣 補助率が三分の一と二分の一とを比べたら、それはやはり二分の一の方が要望する側としては望むところであるというのは当然だと思います。

 恐らく、これまでの経緯の中で、教育目的の施設という部分と、その地域社会全体に必要な施設ということでの違いという切り分けがあったのではないかというふうには推察いたします。ところが、住民にとってみれば、やはり、地方財政が厳しい中において、補助率は二分の一の方がよいというふうな意識は首長も議会も持っておられると思います。

 今、一億総活躍社会ということで、私ども文科省としても、小学校、中学校の施設などは地域の拠点として重要な施設であり、生涯教育、生涯スポーツの観点からも重要な施設という位置づけをしております。

 もちろん、中核的に言えば、日々の子供たちの学校教育の場所であるということは言うまでもありません。しかし、一億総活躍、放課後とか土曜、日曜、祝日なども学校施設を有効に地域の皆さんにも活用いただいて、万が一の場合には災害の場合の拠点という位置づけもして、そして施設整備を要求している。こういう方針を今、大きな概念を取りまとめつつありますので、そういう観点からも、補助率が三分の一のままでよいのか、二分の一とする一つの根拠をやはり持つべきではないのか、この考え方は、一朝一夕にはいきませんけれども、議論は深める必要があると私は思っています。

田島(一)分科員 ぜひ、議論を深めるという言葉でごまかすんじゃなくて、前向きに、真剣にこの補助率の見直し、また、国交省と文科省との違いで、自治体が大変財政厳しい折でありますから、高い補助率の制度に寄ろうとするのは当たり前のことであります。そういった地方自治体が抱える悩みや問題、さらには、今必要とされている社会体育施設の整備という問題であるならば、なおのこと、文科省が実績と経験を全国の地方公共団体にしっかりと適切に予算とともに送っていくということに私はやはり軸足を置いていくべきだと思います。

 今、社会体育施設の多面的機能について大臣からも答弁がありました。もちろん、スポーツに興じるだけが目的ではない、非常にその機能が多面的にわたってきたことは私も承知をしておりますし、そのことを否定するつもりも毛頭ありません。

 しかし、それであるならば、社会体育施設という名前を変更するぐらいの、もっと違う視点がやはり必要になってまいります。社会体育施設としての利用価値や、また求められているものということを踏まえるならば、決して、所管する文科省がその第一線から退いて国交省にすがるようなことはやはりあってはならないと思うわけであります。

 社会体育施設の整備、これは実は本当にいろいろとまだまだ全国を見渡すと問題があります。

 一番問題があるのは、実は施設の延命措置の問題なんですね。もう少し丁寧に大切にメンテナンスをしっかり行っていけば、施設の老朽化であるとかは、維持はもっともっと図れたのではないかと思われる施設が全国各地に相当あります。

 もちろん、施設の中で激しい動きをする社会体育施設でありますから、他の一般の建物と比べると老朽の度合いが早くなるのは理解も承知もしています。しかし、残念ながら、維持や改修というものに対しては環境改善交付金は対象外というふうになっておりますし、補助基準単価自体も相当低いわけであります。

 こうした問題点も考えると、単に新設や改築だけを対象とするのではなく、維持、改修等々も今後対象にしていくことによって、学校施設や社会体育施設をより長く、いつまでも大切に扱っていただけるような生きたお金の使い方、施設の延命措置に十分に手厚い対応をしていくことの方が私は望まれるのではないかというふうに思うわけでありますが、こうした補助基準の単価の低さ、また、対象とされる改修等々が外れているという問題点を現状と照らし合わせてどのようにお考えか、これは通告していませんけれども、お考えをぜひお聞かせください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員からは、スポーツ施設の改修についての御指摘がございました。

 現在、競技施設の大規模な改修または改造事業に関しましては、スポーツ振興くじ、totoの助成金の方にその大規模改修のメニューがございまして、建築後二十年以上を経過した老朽化したスポーツ競技施設、そしてそれの競技の実施に直接必要なスペースや附帯施設の整備を含む全面的な改修または改造につきましては、工事費対象経費の三分の二を限度に助成をする制度がございます。

 現在、国の補助制度とこのtotoの助成制度を組み合わせる形で施設の整備をお願いしておりますので、改修については、このスポーツくじの方で現在担当しているという状況でございます。

馳国務大臣 二〇二〇年オリパラ大会を契機にスポーツを通じた社会変革を促していこうということで、スポーツ基本法も成立した中でいかに財源を確保していくかというのは、これは大きな課題であります。

 オリンピックとパラリンピックが終わったから施設整備や強化費やスポーツ振興の予算が減ってもいいんだ、こうなっては元も子もないわけでありまして、現在、政府の方におきましても、スポーツ産業、スポーツビジネス、また、アリーナあるいはスタジアムを通じた地域開発、こういったことに取り組むことによって税金を使って建てた、そしてまた、管理、補修も改修も税金を使って、あるいは公的資金を使ってやろうという考え方もありますが、指定管理者制度や、あるいは最近ではコンセッション方式といって、民間委託をしてスタジアムやアリーナを通じて収益事業を強化していこう、その得た収益をスポーツ振興に還元していこう、こういう考え方も欧米では当然でありまして、我が国でできないはずはないのではないか、それができるようにするにはどうしたらよいのだろうか、こういう検討を政府においても始めております。

 私は、税金とか公的資金で全て賄っていくという部分プラスアルファで、やはりスポーツ産業も振興して、地域の中心にスポーツがあり、アリーナやスタジアムに人が集う、そこにまた新たな広告もありますし、マーケティングもあるいは飲食も、数々の交流事業も検討されるわけでありますから、そこからさらにまたスポーツ振興に財源を振り向けていこうというこの考え方は極めて重要ではないかと思っています。

田島(一)分科員 私も重要だと思っています。であるならば、やはりスピード感を持って新しい窓口を開いていくことが何より肝要だと思うんですね。

 スポーツ施設、アリーナ等々のネーミングライツなど、非常に思い切った取り組みをやっている自治体も数多くあります。しかしながら、地方都市にあっては募集をしてもなかなか乗ってくれない、そういう現実の問題もあります。なぜならば、費用対効果、広告宣伝効果が地方都市にあってはなかなか得られないというような問題もあります。これがいわゆる同じようなスポーツ施設であっても、地方と都心部との違いがこのようなところにやはりあるわけであります。

 スポーツビジネス、民間レベルのさまざまな資金活用を期待する声も地方でもたくさんありますが、東京や大阪、愛知といったようなところとはなかなか同じように全国一律にいかない、そこを埋めていくのが私はやはり国の大きな責任ではないかというふうに思っております。

 スポーツ自体が、オリパラをもちろん視野に入れて、全国的にも随分注目を受けるようになりました。スポーツ庁も、発足のごたごたはありましたけれども、それでもようやくもう半年を迎えようとしておりますし、来年度の予算も一割以上増額されたその意気込みというものは一定評価をするものであります。

 しかしながら、頭だけが大きくなってしまって手足がどんどんどんどん先細っていくことは、スポーツの振興という点を捉えれば必ずしも望ましい形ではなかろうかと思います。しっかりとした全国各地のスポーツ施設を有効に、また健全に利活用する中で、それで二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの成功につなげ、さらにスポーツ文化、スポーツを通じてのスポーツ立国としての健全な姿を示していくこと、間違いなく大臣もそのように多分望んでいらっしゃるんだろうというふうに私は思います。

 それだけに、各地のスポーツ施設が老朽化をしていくことを指をくわえて見ているわけにはいかない。方策は国からだけではなく、民間の力を使えるならば、その使える方策を早く実現させていくことにエネルギーを注いでいただきたい、私はこのことを強く望んでおきたいと思います。

 各地の社会体育施設、これは必ずしも地域のスポーツに貢献するだけではありません。節目節目には非常に大きな全国大会、世界大会を開催する地方の組織もございます。

 とりわけ、毎年一回全国持ち回りで開催を続けてこられている国民体育大会、いわゆる国体は、大変大きな問題も抱えながら今日に至っております。抜本的な見直し、国体のあり方を見直し、改善を図っていくために、これまで国体委員会が策定をしてこられた「新しい国民体育大会を求めて 国体改革二〇〇三」というものが発表されております。これは、平成十年の八月、国体開催予定だった当時七つの県から日体協の会長と当時の文部大臣宛てに提出された、国体の簡素効率化に関する要望書に呼応するように策定されたものというふうに私は承知をしております。

 大会規模の適正化、開催地選定のあり方など、この七県の要望に一定応える形となった「国体改革二〇〇三」でありましたが、その十年後となる二〇一三年には、新たな国体像を示す「二十一世紀の国体像 国体ムーブメントの推進」におきましても、大会開催経費の負担軽減など、その課題につきましては引き続き検討事項ということで持ち越されたままとなっています。

 これまでも、恐らく文科省も、日体協や国体委員会とも協議を重ねてこられたというふうに思いますが、文科省としてどのような御見解をお持ちなのか。どうも国体の主催者の一翼を担っている割には、文科省がこの国体についてどのような位置づけで、今後、当初スタートをした戦後の復興の活力のきっかけとは大きく目的もまた狙いもさま変わりをしてきている今日にあって、文科大臣、とりわけスポーツに一番身近な大臣でもいらっしゃるわけでありますので、どのように国体像というものをお考えになっていらっしゃるのか、また、文科省として何らか国体像を描いていくお考えはあるのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

馳国務大臣 主体的に国体を開催していただくのは日体協でありますから、日体協の改革の方針を、まず自主的に、自発的に伺いながらも、せっかくスポーツ庁が設置されて、スポーツ政策のコントロールタワーとして国民のために尽くしていこうという姿勢なわけでありますから、我々文科省としても、積極的に国民のスポーツ意識の向上また普及、そして競技力の向上に向けて取り組んでいく必要があると思っています。

 今のところ伺っているのでは、大会の充実、活性化に向けて、ふるさと選手制度、ドーピング検査の導入などが言われておりますし、大会運営の簡素効率化については、夏季、秋季大会の一本化、大会規模の適正化などが言われております。

 つまり、余りにも巨大化、肥大化してしまうと、財政的な負担とともに、こういうことは余り思いたくないですけれども、例えば、福井県があれだけやったんだから、隣の滋賀県では負けちゃいられないぞなんというふうに議会から言われると、多分、首長や体協も、ちょっと困ったなということになりかねません。

 また、国体の果たしている役割は、やはり満遍なく各競技を楽しんでもらうための指導者の配置や、体育施設の整備また改修、新築などが地域の皆さんに期待されているところでありますから、スポーツに親しむ機会の環境整備をするためにも、国体の果たしている役割は極めて重要だと思っています。

 そのための取り組みについては、例えば、施設整備については、学校施設環境改善交付金やスポーツ振興くじ助成等によって、今後とも必要な支援を行ってまいりたいと思いますし、また、国民参加型ということを考えれば、ジュニアアスリートの参加からトップアスリートの参加まで、まさしく国民体育大会にふさわしい大会となるように、その方針を日体協からも伺いながら支援していくことが必要だと考えております。

田島(一)分科員 今触れてもいただきましたが、私の地元滋賀県も、七十九回の国体を開催する準備を今進めているところでもありまして、それこそ、前回の、一巡目のびわこ国体のときの施設をまだ今なお使っているところでありますが、耐震の問題であるとか、施設整備も、観客席を相当ふやさなければならないなどなど、かなりの財政的な課題を抱えているところでもあります。

 もちろん、この滋賀県の国体開催に向けた財政支援だけをお願いするためにきょうお話をしているわけでもありません。国体が回ってくることによって、改めて体育施設等々がしっかりと整備をされるきっかけになっていることを私も理解しておりますし、その必要性も認めているところでありますが、一気にその財政的なしわ寄せが他の分野、政策にものしかかってきているということは、やはりこれは大きな課題だと思います。

 大会開催後は、地域の社会体育施設として地域スポーツに貢献をしていく施設になるとは思いますが、一回の、一時的なものとはいえ、国民体育大会と名を冠するものは、やはりこれは国民的なイベント、国を挙げてのイベントの一つであります。オリンピック・パラリンピックに及ばない話かもしれませんけれども、国は全く知らない、どうぞ地元がおやりください、体協が頑張ってくださいだけでは、ちょっとやはりお寂しいと思うんですね。何のためにスポーツ庁をつくったのかなということも、やはり私たちはもう一度振り返らなければならないと思っておるところでもあります。

 莫大な負担となっているこの施設整備や開催経費、残念ながら、厳しい財政状況に置かれている自治体にとっては重くのしかかっているのが現状であり、そのことは恐らく認識を共有していただけるものと思っております。背に腹をかえられない自治体は非常に苦慮を重ねていますけれども、文科省の方から国体の開催県に対する支援、サポートは、残念ながら、分厚い、手厚いとはとても言いがたい薄さだと私は思っております。

 近年、totoの収益金等々も回されたりして、その厚みは微妙ながらふえているようにも思えるところでありますが、公共スポーツ施設等への補助については国体開催に特化した補助金も全くない中、今後、文科省の姿勢が大きく問われていくのではないかというふうにさえ思うところでもあります。

 加えて、今後国体を開催していくに当たって、さまざまな基準、ドーピングの問題であるとか、選手のふるさと出場の問題、また、全て開催地で全種目をやらなければならないというようなハードルも随分低く下げられたりして、昨年の和歌山国体では、滋賀県ででも、ある競技が開催をされるなど、非常に柔軟に対応されてはいるものの、各競技団体にあっては、開催地でぜひやりたい、そういう声をなかなか抑え切れずに、複数県にまたがっての開催がうまくいかない、近隣府県にある有効な施設を利活用するといった思い切りがなかなか理解を得られていない。こういう現状からすると、やはりこうした、仲介役ではありませんけれども、もう少し柔軟に、負担のかからない国体を開催するための手引きをしていくのが、私は、文科省であったり外局のスポーツ庁ではないかというふうに思っているわけであります。

 財政難というこの大きなハードルがあればこそ、国体開催が迷惑なイベントだというふうにレッテルを張られてしまえば、私は、スポーツ庁をつくった意味も、スポーツ基本法を成立させた意味も、また、文部科学省がスポーツ行政を担っていく意味も、どんどんどんどん薄れていくだろうと思います。こうしたことが、一番冒頭に申し上げた社会体育施設の補助率の低さ等々と相まって、文科省からスポーツ行政が離れていくのではないかということを懸念しているからであります。

 こうした、お金の面だけを特化させたような今回の質問になりましたけれども、さまざまな、国体への補助金であるとか、また施設整備に対する補助は、トータルで見ても、やはり文科省が率先して、他の省庁よりも補助率を上げていくであるとか、また、その基準や中身、例えば改修等々にも手厚く手を出していくんだというような姿勢を示すべきだと思いますが、最後に、どのような姿勢で今後お考えになられるか、ぜひお聞かせいただいて終わりたいと思います。

馳国務大臣 田島委員には、国民体育大会の意義、役割、また果たすべき機能、こういったことについて、包括的に応援をいただく意味での叱咤激励の質問というふうに受けとめました。

 当然、財政状況の厳しいことは皆さん御承知ではありますが、そうはいいながらも、適時適切に改修等を行いながら、同時に、五十年ぶりの開催というのがほとんどの都道府県の思いでありますから、過去に整備した体育施設等を適切に改修するための支援といったものはやはり必要だと思います。

 国土の均衡ある発展という観点からも国民体育大会の果たす役割は重要ですし、また最近は、スポーツには障害者スポーツの役割も期待されており、公的施設における障害者がスポーツを楽しむ機会の拡充と提供も重要な課題でありますので、そういう総合的な観点からも支援を拡充することができるように取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

田島(一)分科員 ありがとうございました。

 私も、ある競技を担っている一人でもございますが、残念なことに、施設だけではなく、パラリンピック、障害者の競技を実施しようと思うには、まだまださまざまな制約がございます。例えば自転車で公道を走るにあっても、視覚障害者はタンデムを使わなければなりませんが、タンデムは公道では走れないという制約がまだまだ各地で残っています。

 こうした規制等々についても、やはり一定ハードルをクリアしていくためには、文科省、スポーツ庁の力が非常に頼りになるんだろうと思います。期待をしております。ぜひ頑張ってください。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

石原主査 これにて田島一成君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串正樹君。

大串(正)分科員 自由民主党の大串正樹でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、昨年末に出されました中央教育審議会の三つの答申の中から二つ、「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」、そして「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」という内容に関して、幾つかお伺いしたいというふうに思っております。

 この答申を受けて、これからいろいろな施策に絞り込まれて実現をされるということになろうかと思いますが、その中で幾つかお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 初めに、「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」の答申についてお伺いいたします。

 チームとしての学校マネジメントという視点が盛り込まれているわけでございますけれども、学校マネジメント機能の強化ということが一つ大きくうたわれているところでございますが、この学校マネジメント機能の強化というのは一体どのようなものをイメージしているのか。ぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 学校マネジメント機能の強化等チーム学校ということが進められようといたします背景は、一つは、学校が近年、複雑化、多様化した課題を抱えている。その中で、それを解決し、教育活動を実施していくためには、三つほど大きな要素があると考えられております。

 一つは、校長先生のリーダーシップのもとに学校が展開していくこと。それからもう一つは、組織として教育活動に取り組む体制ということをつくり上げていくこと。そして、それを支えるために必要な指導体制。これは、先生方と校長先生だけではなくて、さまざまな特定の分野の専門家、例えばスクールカウンセラーとか、そういった方々を含めて連携、分担をする。この全体を通して学校の機能強化をしていくことが重要であるということでございます。

 ここで学校マネジメントということが重要になるわけでございますが、その際、先生方だけではない、専門スタッフの方々がかかわる、その職務内容、権限と責任を明確にすること、それから、さまざまな違いのある方々が一緒に活動するとなりますと、学校の目的を共有し、取り組みの方向をそろえること、そして、それがお互いに意思疎通ができること、こういったことが重要かと考えております。これを副校長先生や教頭先生等を含め、ミドルリーダー等も含めて、しっかりと組織化していく。

 これが現在私どもが考えております学校マネジメントのイメージということでございます。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 今お話しいただきましたとおり、学校マネジメント、特に今回はチームということが意識されていて、いろいろな専門スタッフが今度は学校の中で協力し合って体制をつくっていくというお話だったかと思います。

 チームとしての学校の中で、恐らく、心理職であるとか福祉職であるとか、いわゆる専門スタッフというふうに位置づけられておりますけれども、こういった方々と教員が連携をしていくということは、まさに多職種の人たちが連携をしていく、多職種連携のマネジメントというのが今度は必要になってくるかと思います。

 普通の教員だけのマネジメントと違って、職種が異なる人たち、多職種が連携するためのマネジメントというと、多分、今までやってきたこととは少し意識を変えて取り組まなければいけないのではないかなというふうに思っております。

 例えば、同じ課題に向かっても、学校の先生が見たときの課題の捉え方と、それから心理職が捉えたときの捉え方、あるいは福祉の側面から捉えたときの見方という、それぞれがバックグラウンドに違う専門性を持っているということは、恐らく、頭の中を構成している言葉の概念であるとか論理的な考え方の思考も全く違う文化をとる。それぞれの組織文化やそれぞれのコンテクストの中で自分たちは物を見ていくというわけですから、それらをしっかりと情報共有しながら、お互いの視点、多視点から物事を捉えて本質を見きわめるということが、本来はやらなければいけないんですけれども、そこに多職種連携のマネジメントの難しさがあると思います。

 そういった職種が違う人たちを、どういうふうに一緒に協働し合っていくかというところについての対応はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

小松(親)政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、学校の先生はもとより中心になって学校の教育指導や管理運営に当たらなければなりませんけれども、専門スタッフというべき方たちがたくさん入ってきますと、まず、それぞれの組織文化、こういったものが異なってまいります。そのそれぞれの組織文化は非常に重要であり、また有意義でもあって、多様な視点で子供を育てられるという利点はあるわけでございますけれども、他方で、御指摘のように、意識を変えていかないといろいろと難しいことも予想されるということでございます。

 そこで、この学校マネジメントがきちっとできますためには、やはり、専門スタッフの職務内容、それから権限と責任というものを明確にする必要があろうと考えます。それから次に、学校の持っております目的を共有して、そして取り組みの方向性をそろえるということ、いわば、一緒に一つの目的に向かって、特に学校教育の目的に向かって協働して活動するという、新しい意味での文化を育てる必要があると考えます。これは校長先生のリーダーシップに強くかかってくることでございます。

 そして、先ほど申し上げましたように、それが学校内でスムーズなコミュニケーションができないと、これは円滑に回らないと考えられます。そこで、それを、間に立って、管理職とそれから先生方、あるいは専門スタッフをつないで、文化を育てていくために重要な役割を果たしますものがミドルリーダーということになろうかと思います。このために、例えば主幹教諭とか指導教諭とか、そういったことも配置を進めていかなければならないと思いますし、また、事務職員もその役割が重視されてくると思います。

 こうした点につきまして中教審の答申は充実を求めておりまして、私どもは、その充実を図る方向で政策の推進に努めてまいりたいと考えております。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 目的をしっかりと共有して、新しい文化をつくっていくんだというところが本当に大事なんだろうなというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 次の質問なんですけれども、学校マネジメントの中で、特に、今回の答申の中にはカリキュラムマネジメントという言葉が出てきております。カリキュラムマネジメントというのが、この答申を見る限りでは、カリキュラムをしっかりと構成していくとか、PDCAを確立するとか、あるいは資源の活用、そういう側面から捉えられるというふうな記述があるんです。

 ただ、カリキュラムといいますと、やはり、学校で指導する上において、一つの単元に対してどんな指導方法をするのかとか、あるいは、先生によっては教材を工夫してどういう教え方をしたら子供たちの学びにすごく役に立つかとか、いろいろなノウハウを持っていると思うんですけれども、そもそも、カリキュラムマネジメントというものはどのようなものをイメージしているのかということについて、お聞かせいただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 お尋ねのカリキュラムマネジメントの基本的なイメージということでございますが、ただいま先生の方からも御指摘ございましたけれども、カリキュラムマネジメントということにつきましては、各学校において、これも整理をいたしますと三つほどの要素が挙げられると考えられます。

 一つは、教育目標を立てまして、それを実現するために必要な教育課程を編成すること。その次に、それに必要な資源、これは、人材などの人的な資源、それから施設や設備等環境などの物的資源を組み合わせてその課程を実施すること。そうして、先ほどPDCAというお話がございましたが、その実施の結果に基づいて改善を図っていくこと。これらを全体として組み合わせて、教育課程の編成から実施、改善まで回していくということがカリキュラムマネジメントのイメージというふうに考えます。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 カリキュラムは、もちろん学校で教育課程として編成されるという位置づけにあろうかと思います。

 ただ、編成する中で、教え方のレベルまで、要するに、ある決められた期間でこれだけのことを教えなければいけないという大きな目標があるわけですから、トップダウンで決めることももちろん大事なんですけれども、この部分はこう工夫すればこれだけ時間が短縮できるとか、この単元に関してはもう少し時間をかけてこういう教え方をした方が次の単元にも入りやすいとか、多分、教室レベルで教員一人一人がいろいろな知恵を持っていると思いますので、そういった教室レベルの知識をしっかりと生かせるような、PDCAの中でしっかりとトップダウンとボトムアップがうまく組み合わされるような、そういうマネジメントをぜひ実現していただければなというふうなイメージを持っておりますので、よろしくお願いいたします。

 その中で、一つ重要な役割の方が今回はいらっしゃるということで、それが、先ほどにもちょっと話題になりました主幹教諭という立場の方ですね。

 まず、そもそもこの主幹教諭という方はどのような仕事を想定しているのかということについてお聞かせいただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 お尋ねの主幹教諭の職務についてお答え申し上げます。

 主幹教諭は、法令上、通常の教員とは別の独立の職でございますけれども、この職の制度的な位置づけは、校長及び教頭を助ける、これは補助業務ということになります。それから、その命を受けて校務の一部を整理する、こういった意味では、いわば職務命令を発して仕事を進めるというのを部分的に担うことになります。そして、並びに児童の教育をつかさどるということで、いわば授業を持つ。この三つが主幹教諭の役割となっております。

 学校が組織として力を発揮できるようにするために、重要な職として、平成十九年の学校教育法の改正によりまして設けられたものでございます。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 恐らく今までの学校での教員の働き方のあり方と少し違う立場の方であるということは予想できるんですけれども、答申の中では、どうしても主任的な働き方になりがちであったりとか、なかなか、主幹教諭という新しい立場を本当にフルに発揮し切れていないような記述が幾つか見られておりますので、主幹教諭という新しい立場の人がこういうことをやってほしいということをしっかりと位置づけを明確にして、そういう立場の人にそういう意識を持っていただいて、もちろん主幹教諭を取り巻く教員の皆さん方にもこの人にはこういう立場でこういう仕事をしてもらうんだという周知をするところから、ぜひその能力を発揮していただきたいなというふうに思っております。

 同時に、この主幹教諭の立場が、恐らく校長とそして最前線にいる教員たちの間のミドルリーダーとしての働き方になってくるのではないかなというふうに思いますけれども、この主幹教諭というのがミドルリーダーとして位置づけられるのかという点については、そういう理解でよろしいでしょうか。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 主幹教諭につきましては、おっしゃられるとおり、ミドルリーダーとしての役割が期待されていると考えております。

 先ほど御指摘のございました、学校を一つのチームとして機能させるということになりますと、学校全体をマネジメントする管理職と日々授業等に従事をいたします教職員、あるいは特定の分野の専門性を生かす専門スタッフとの間に立って、共有されるべき学校のビジョンといったものの共有作業を図る、これはミドルリーダーとして非常に重要なことかと思います。

 まさしく、こうした点を主幹教諭に期待するというのがこの職の位置づけであるというふうに考えます。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 確かに、今お話しいただいたとおり、ミドルとしての本当に期待される役割なんだろうなというふうに思います。いろいろな方針を決めて、目標をしっかりと定めて、トップダウンでおりてきたものとそれから現場の知恵がボトムアップで上がってきたとき、そしていろいろな課題も下から上がってきたときに、いかにしてミドルリーダーがトップとボトムの間でうまく振る舞って、その中でいろいろな機能を発揮していくかというのが、多分、この学校マネジメントの肝になってくるんだろうなというふうに思っております。

 主幹教諭というのを、どうしても、答申を見るとまだまだ配置数が少ないということで、配置していくということに主眼が置かれているようなちょっと記述も見受けられましたので、まず、置くことではなくて、そういった人が必要であるということを強く現場に認識していただいて、ぜひともこういう人に来ていただきたい、こういう人にこういう仕事をしてもらいたいというニーズを掘り起こすような、そういう視点から、ぜひ数をふやしていって、そして能力を発揮していただければなというふうに思っております。

 もちろん、専門スタッフとの関係性をつくっていく上でも主幹教諭の働き方、ミドルとしての働き方というのは大変重要なんだろうなというふうに思いますが、あわせて、先ほどのカリキュラムマネジメントについても、現場の教員たちとの間に立って主幹教諭がつなぐ、どうしても教室単位で閉鎖的になりがちなところをこの主幹教諭がうまくつないでいくという機能も必要だと思うんです。

 ここでもう一方、指導教諭という方々がいらっしゃると思うんですけれども、この主幹教諭と指導教諭の関係性、あるいは連携のあり方について、どのように位置づけられているか、教えていただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、主幹教諭は、主として学校の管理運営に関して中心的な仕事を持つわけでございますけれども、指導教諭につきましては、主として、教育指導のいわばかなめとなって、教育指導の質の充実を図ることを牽引するというのが役目でございます。

 仕事の中身といたしましては、例えば、みずからすぐれた授業力を発揮して模範授業を展開して、それをもとに指導助言をするとか、それから、ほかの教員の授業を参観して、それに対して指導助言を与える、あるいは、学校内の教育指導に係る研修を企画したり実施したりする、こういったところが役目でございます。こちらも、学校のいわばメーンの活動である教育指導のまとまりや質を高めていく、そうして、先ほど来話題になっております学校の目標の中心というところをいわば共有化を図っていく、こういった役割を持っているものでございます。

 したがいまして、主幹教諭と指導教諭は、機能としてはそれぞれ違う特色を持っておりますと同時に、学校をまとめていく上で重要なミドルリーダーとしては共通の役割を持っております。それだけに、その両者がよく連携をして機能を総合的に発揮していくということが求められる、こういう関係にあるかと考えます。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、お互いに協力し合うことによって実現されることは多々あると思いますので、うまく連携をさせられるような、そういう位置づけが大切なのではないかなというふうに思います。

 そもそも、学校マネジメントとかカリキュラムマネジメントという、このマネジメントという考え方は、限られた資源をどういうふうに活用していこうかという視点なんだろうなと思います。

 組織によっては、例えば物をマネジメントしたり人をマネジメントしたりする中で、特にカリキュラムのマネジメントの視点に立てば、やはり指導の方法とかいろいろなノウハウ、そういったものをしっかりとマネジメントしていく必要があろうかなというふうに思います。

 その指導方法のプロフェッショナルである指導教諭の持っている知識と、そして、それ以外の専門スタッフたちとも関係性をしっかりと持ってまとめていこうとする、ミドルである主幹教諭がうまく組み合わさることによって、もっともっといい、新しい指導のあり方とか、そういう知恵がどんどん学校現場から生まれてくるのではないかなというふうに思っております。

 その創造性を高める意味で、学校現場というのが本当に新しい指導技術を生み出す最前線であるという位置づけにおいて、ミドルである主幹教諭と指導教諭の連携というのをしっかりとっていけるようなそういう後押し、あるいはそういう位置づけを明確に現場に伝えていくというのが大事ではないかなというふうに思っております。

 ぜひ、この主幹教諭の役割、我々も大いに期待をしておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、もう一つの答申についてのお伺いです。

 これは、「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」という答申の中で、特に、今話題になりまして、本当に切っても切れない関係のお話ですけれども、ミドルリーダーという方々をどうやって育成していくか。

 教員を育成するということは、恐らく今までのスキームで現場ではやられてきたと思いますけれども、今後こういった形で、先ほどの主幹教諭あるいは指導教諭といった方々は、恐らく、現場の教員たちがスキルアップをしていく中でそういう資質を身につけていっていただいて、新たなそういう役割を担っていく人を育てていかなければいけないと思うんですけれども、そもそもこのミドルリーダーの不足が大変問題視されているというところで、具体的に現場でどういうことが問題になっているかについてお伺いしたいと思います。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、学校現場では、近年の教員の大量退職、一方において大量採用ということを背景といたしまして、年齢や経験年数の不均衡化が生じております。まず、このこと自体によってさまざまな問題があるわけでございますけれども、とりわけミドルリーダーの層が不足をするということになります。そこで、学校内における知識、技能の伝達に支障が生じることが懸念されます。

 管理運営そのもの等につきましてもミドルリーダーは非常に重要な役割を果たしておりますから、そうした点についても十分意を用いなければならないのですけれども、ただいまの御質問の趣旨でございます教員の資質向上や育成という観点から見ましても、今申し上げましたような知識、技能の伝承、一緒に考えていく先輩たちというものが足りなくなってくるという問題になっております。

 ミドルリーダーは、若手教員の状況を理解しつつ、教科指導、それから教科以外の生徒指導、そして学級経営や校務分掌といった、それぞれの分野について適切な指導を行い、学校組織の中堅として、先ほど来御指摘の学校マネジメントを含め、学校全体を見渡して、チームとして支えることが期待されますので、この不足が大変懸念されるところでございます。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 本当に、答申の中でも触れられていますけれども、そういった教える知識であるとか技能というものをきちんと伝承していけるというのが多分組織の宝だと思いますし、それが途切れてしまうと、また一からやり直しになったり、同じ問題、同じ課題を抱えてしまう、同じ問題を繰り返してしまうようなことにもなりかねないので、やはりミドルが抜けてしまうというのは、これは学校に限らず、どの現場でも重要な課題であろうかというふうに思いますので、今いる若い人たちをしっかりとミドルに育てていくということが大切であろうかと思います。

 また同時に、冒頭で多職種連携の話をしましたけれども、同じ教員でも、経験の豊かな教員と経験の浅い教員では持っている経験のバックグラウンドがやはり大きく異なりますので、同じ、こういうことをした方がいいよと伝えてもなかなか伝わるものではないなというふうに思いますので、若い人を指導していくに当たっては、経験を積みながら一緒になって成長していく、そういうスタンスが大事なのではないかなというふうに思っております。

 また、次の質問なんですけれども、そのミドルリーダーの役割の中で、答申の中では、教員を指導し得るリーダーとしての記述があったりとか、あるいは専門性を備えたリーダーというのが期待されているというふうに見受けられるんですけれども、どちらに軸足を置いているのか。両方でも構わないんですけれども、教育的な指導ができる人なのか、あるいは特別なスキルを持った専門性を備えた人、どちらが期待されているのかということをお教えいただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 答申の中でもそうした見方が示されておりますけれども、ミドルリーダーの育成に当たっては、一つは、今ほど御指摘のありました、教育指導、生徒指導等全般にわたって、管理運営も含めた熟達した人を育てるということは一つでございます。このためには、例えば研修のような方法を用いていくこともございますし、あるいは人事の配置によって、その場合はさまざまな経験をさせるということになります。

 他方、おっしゃられましたように、これは学校段階等にもよろうかと思いますけれども、一定の分野に強いという特色を持った先生方、もちろん全人格的な学校教員としての資質は深めなければなりませんけれども、そういった点を期待するということもあろうかと考えます。

 これらは学校の先生方みずから研さんと修養に励む義務がございますので、その観点と、それから学校設置者がその状況をよく見ながら養成を行っていくということで、幾つかの可能性が同時にあるというふうに考えております。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 恐らく、スペシャリストもいて、ゼネラリストもいる、そして、そういう人たちがいろいろな機能を持ちながら、いろいろ連携をしていくというのが組織のあり方になっていくんだろうなというふうに思います。

 これはもちろん、学校に限らず、我々もそうですし、皆さん、行政の現場の人も、いろいろな経験を積みながら、いろいろな視点を持っていただくということが大切で、そうやってリーダーというのは育てられるのではないかなというふうに思っておりますけれども、ミドルリーダーを育成していくというのが多分現場では大変重要な課題になっていくのではないかなと。

 冒頭でも、学校マネジメントでは校長のリーダーシップが大事であるといいながら、リーダーシップというのはどういうふうにすれば身につくかというと、なかなかこれはきれいな答えがないと思うんですね。

 特に、リーダーを育成するという経験も、恐らく学校現場ではまだまだ少ないと思いますので、こういう研修を受ければリーダーになれるというものでもないと思うんですけれども、どういうふうにすればリーダーの育成ができるか、あるいはリーダー育成の課題というのは何なんだろうかということについて、もし御知見がありましたらお答えいただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 やや具体の手法にわたる御質問かと存じますけれども、答申等で提唱されているところを見ますと、主といたしまして、研修の手法を通じるものと、それから、いわば人事配置、キャリアの積み重ねということ、この二つの視点から物が申されているというふうに受けとめられます。

 最初の研修の方について申しますと、十年経験者、教職員になってから十年の経験を積んだ方々の研修がございます。この時期は非常に多忙性も増し、仕事の多角化も進みます。そういった意味で、研修がなかなか難しい、悩ましいということもございます。こうした点では、実施の時期の弾力化を図ること、あるいは内容的にも、免許の更新講習がございますが、これが時期的に近い時期に参ります。これにつきましては、免許の更新講習は最新の教育技術や知識に更新をするということ、それに対して、十年目はミドル研修に移すというような特色を設けること。あるいは、先ほどの人事で申し上げますと、主幹教諭等を、学校や地域の実情を踏まえて、できるだけ経験させる機会を設ける。

 こうした形でもって、そもそもの学生時代からの養成、それから採用とあわせて、職業生涯の開発ということに必要な措置を講ずる必要があり、答申では、法令改正も含めて制度改正が提唱されておりますので、ぜひとも、その点について、基盤整備を含めてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 このミドルリーダーの育成というのが、恐らくきょうお話をさせていただいている学校マネジメントをうまく成功させたり、カリキュラムマネジメントをうまく機能させる上では一番重要なことであろうし、また、そこをどういうふうに育成していくか、まだまだこれからいろいろな研究をしながらそういう育成方法というのを確立していかなければいけないと思いますので、ぜひそこはしっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 これで質問を終わります。ありがとうございます。

石原主査 これにて大串正樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村伸子君。

本村(伸)分科員 日本共産党の本村伸子でございます。

 障害を持った子供たちが通う特別支援学校の問題について質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 ことし四月から、障害者差別解消法が施行されます。関係者の皆さんの期待というのは大変大きいものがあるというふうに思いますけれども、この障害者差別解消法というのは、もともと、障害者権利条約を批准するためにつくられたものだというふうに思うわけです。

 まず最初に、外務省にお伺いをしたいというふうに思います。

 障害者権利条約の中には、障害を持った子供たちについて書かれている条文がありますけれども、それをお示しいただきたいというふうに思います。

水嶋政府参考人 障害者権利条約には、第七条に、「障害のある児童」ということで条文が規定をされてございます。

 読み上げさせていただきます。

 1 締約国は、障害のある児童が他の児童との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを確保するための全ての必要な措置をとる。

 2 障害のある児童に関する全ての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。

 3 締約国は、障害のある児童が、自己に影響を及ぼす全ての事項について自由に自己の意見を表明する権利並びにこの権利を実現するための障害及び年齢に適した支援を提供される権利を有することを確保する。この場合において、障害のある児童の意見は、他の児童との平等を基礎として、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。

 以上でございます。

本村(伸)分科員 ありがとうございます。

 日本は、この障害者権利条約は、二〇一四年一月、批准を国連から承認をされ、効力が発生したということです。

 馳大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、この障害者権利条約の、「全ての必要な措置をとる。」「児童の最善の利益が主として考慮される」、こういう観点で文部科学行政を進めるという決意を、まずお伺いしたいというふうに思います。

馳国務大臣 障害者の権利に関する条約第七条、また同条約の第二十四条で示されたインクルーシブ教育システムの理念を踏まえ、文部科学省としては、同じ場でともに学ぶことを追求するとともに、発達障害を含む障害のある子供の教育的ニーズに的確に応えることができるよう、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある多様な学びの場の整備が必要と考えております。

 国としては、これらを踏まえつつ、インクルーシブ教育システム構築に向けた取り組みを支援する事業や、児童生徒の日常生活上の介助や学習活動上のサポートを行う特別支援教育支援員の配置に係る地方財政措置等も実施しており、引き続きそれらの取り組みの充実に努めてまいりたいと思います。

本村(伸)分科員 そこで、特別支援学校の問題について具体的にお伺いをしたいと思います。

 文部科学省は、二〇〇八年三月五日、「特別支援学校の在籍児童生徒等の増加に伴う大規模化・狭隘化への対応について」という通知を出しております。

 四点確認をしたいんですけれども、まず一点目、何をもって大規模化だと判断をしているのか。二点目、大規模校の弊害をどのように考えているのか。三点目、なぜ大規模化しているのかという点。そして四点目ですけれども、この大規模な状況、教室が足りないという状況を解決すべきであるという認識は共有できるかということをお伺いしたいというふうに思います。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 四点ほどお尋ねがございました。

 まず、御指摘の平成二十年三月五日の通知で申しております大規模化とは、特別支援学校に在籍する幼児、児童、生徒の数の増加を意味しております。

 二つ目に、それからくる弊害ということについて、どのような状況にあるかということでございますけれども、これは、私ども、平成十九年に全都道府県に対してヒアリングを実施いたしました。普通教室、特別教室、あるいはトイレといった施設の不足が多く挙げられております。

 これとも関連をいたしまして、また教育指導面でも、例えばスペースが区切れないためにいろいろと干渉が起こるとか、ソフト面にも問題を生じている、管理運営面にも同じことが生じていると考えております。

 その理由でございますけれども、こうしたヒアリング等の実情を見ますと、特別支援学校に在籍する幼児、児童、生徒が増加している一方で、施設整備のための財源の確保が困難である、あるいは、計画的に整備をしようとするんですけれども、その推計がなかなかできていない、困難であるということ、それから、増築するための公地の余裕がないといったようなことが、課題として多くの都道府県から挙げられております。

 四点目でございますが、それらについて問題であるという認識かというお尋ねでございました。

 文部科学省といたしましても、以上のような大規模化による弊害が生じていることについては問題であると認識しております。

 このために、特別支援学校の教室不足については、毎年度調査を実施して、各自治体における教室不足解消のための計画の取り組みを促す通知を発出し、また、平成二十六年度からは新たな補助制度を創設するなどしておりますけれども、この問題の解消に取り組むために、施策の充実に努力をしてまいりたいという立場でございます。

本村(伸)分科員 私が住んでおります愛知県は、全国の中でも、障害を持った子供たちが通う特別支援学校が足りない、大規模だ、マンモスだというふうになっております。

 きょうお示しをしております資料は、特別支援学校を大規模順にまとめた表、第五十二回全国特別支援学校長研究大会研究協議会の資料ですけれども、お示しをしております。

 全国の中で一番児童数が多いのは広島特別支援学校で四百八十四人。二番目から五番目は全て愛知県ということで、二番目に多いのが半田特別支援学校で四百七十一名、三番目が春日台特別支援学校で四百五十八名、そして四番目は三好特別支援学校で四百二十七名、五番目は安城特別支援学校で四百二十五名という順になっております。

 私は、先日、愛知県の県立三好特別支援学校の方に行かせていただきましたけれども、先ほども述べましたように、マンモスで、全国でも四番目に多い児童数だというところです。

 この学校は、国立病院機構の東名古屋病院の施設内学級ですとか、あるいは市街地から離れた小原学園というところにも教職員の方が行って、子供たちの発達保障のために本当に頑張っている。教職員の先生方は本当に頑張っているというふうに思いますけれども、しかし、施設設備の老朽化は本当にひどい。教室が足りないということも本当にひどい。施設が足りないということも本当にひどい状況がございました。

 この三好特別支援学校というのは、小学部から高等部まであるわけですけれども、校舎は児童数がふえていく中で増設をしていて、現在、校舎は九棟ある。四百人以上子供さんがいるんですけれども、体育館は狭くて、バスケットコートが一面とれるだけの狭い体育館しかありません。体育館を使う時間割を組むのも大変御苦労されておられます。保健室も、小学部から高等部まであるのに、狭い保健室が一室しかない、常設のベッドも二つしかないという状況で、トイレも古くて数が足りない。

 小学部の校舎から体育館に着くのに、重複の学級の子供たちは、移動するのに十分とか十五分かかる。でも、休憩時間は五分しかない。では、どうするかというと、前の授業を早めに終わって移動するということになっておりまして、本来必要な授業時間を確保、保障することができない、授業に支障が出ているという現状になっております。

 教室が足りないために、音楽室の前に作業室というのもあるんですけれども、そこを潰して普通教室にしている。音楽室の目の前が普通教室ということで、ずっと音楽が聞こえた状況の中で学ばなければならないという子供さんもいらっしゃる。

 三好特別支援学校だけではなくて、愛知県立の春日台特別支援学校も教室が足りない状況があります。図書館の一区画を教室にしたり、あるいは食堂の一区画を教室にしたり。食堂も、食事が始まりますとガタガタ音がする、子供たちの落ちつきがなくなってしまうという現状がございます。本当に教室、場所が足りないものですから、文部科学省さんも、パニックを起こした子供さんがクールダウンする、落ちつく部屋が必要だというふうにお考えだと思いますけれども、そういう部屋さえとることができないという状況にあります。

 馳大臣にお伺いしたいんですけれども、こういう教育施設の現状、どういうふうにお感じになるでしょうか。お答えいただきたいと思います。

馳国務大臣 特別支援学校の教育環境の整備については、従来から、地方公共団体において取り組みが進められているところでありますが、近年の特別支援教育を必要とする児童生徒数の増加により、教室不足が生じている状況があると認識しております。

 これによると、教育上の支障として施設の狭隘化など教育環境の悪化が懸念されることを踏まえ、文部科学省では、地方公共団体において、潜在ニーズを含め児童生徒数を把握し、解消計画を策定、更新した上で、新設校の設置や校舎の増築、分校、分教室の設置など、適切に対応するよう求めております。

 また、平成二十六年度からは、地方公共団体が可能な限り取り組みを進めやすいように、新たに、廃校施設や余裕教室等の既存施設を活用した特別支援学校の建物の整備に係る補助制度を創設したところであります。平成二十八年度予算案においても、地方公共団体の事業計画を踏まえた経費を計上しております。

 今後とも、地域の実情に応じ、地方公共団体において計画的な整備が行われるよう要請してまいりたいと思います。

本村(伸)分科員 設置者に責任があるわけですけれども、しかし、ずっとずっとそういうことを言われていて、なかなか進まないということで、こうやって国会でも取り上げざるを得ないという状況にあるということは、ぜひ御理解をいただいて、劣悪な教育環境を緊急に改善していただきたいということを強調させていただきたいと思います。

 そして、具体的にちょっとお伺いをしたいんですけれども、重複、重度の認定についてなんです。

 重複、重度の障害を持った子供たちは、認定されれば、教員一人に対して子供さんが三人というふうになるわけですけれども、愛知県の中で、教室が足りない、だから認定されない状況があるというお話をお伺いしました。

 本来なら手厚い教育が手厚い体制で行われる子供たちが、教室が足りないとか、そういう理由のために認定されていない、そういうことが起きております。

 また、別の学校では、重複、重度の障害の認定はしても、やはり教室が足りないというために、二クラスで一つの教室を使っているという状況がございました。

 確認をしたいんですけれども、重複、重度の認定をするべき子供さんは、教室がどうかとかそういうことじゃなく、その子の状況を見て認定をして、その子にとって必要な手厚い教育を受けるのが当たり前だと思いますけれども、確認したいと思います。

小松(親)政府参考人 重複障害の認定をするかどうかというのは、その専門性において行われるべきことでございまして、教室不足かどうかということとは別の問題として取り扱われるべきものと考えます。

本村(伸)分科員 ありがとうございます。

 大規模校ということでもう一度戻りたいんですけれども、子供たちが広域から通っているという問題もあるというふうに思います。

 先ほど申し上げました三好特別支援学校というのは、スクールバスの時間は大体一時間ということなんですけれども、バス停に行くまでに遠い子はやはり十五分とか三十分とか余分にかかってしまうということで、一時間半ぐらいかかる子もいるのではないかというふうに思われるわけです。

 この三好特別支援学校というのは、豊田市、みよし市、日進市、豊明市、長久手市、そして東郷町の五市一町、そして刈谷市からもお一人は通学をされているんです。

 豊田市だけでも名古屋市の面積の二・八倍もある広大な土地、地域なんです。豊田市だけでも小学校は七十五校、日進市は九校と一分校、豊明市は九校、みよし市は八校、長久手市は六校、東郷町は六校。小学校が百十三校と一分校あるという広大な地域なんです。その広大な地域から特別支援学校に知的障害を持った子供たちが通う、その特別支援学校が一つしかない。広大な地域に一つしかないというのは、私は差別的な扱いじゃないかというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいというふうに思います。

馳国務大臣 愛知県みよし市に所在する県立三好特別支援学校について、御指摘のとおり、豊田市、みよし市、豊明市、日進市、東郷町、長久手市の五市一町が通学区域となっており、同学校において教室不足が課題となっていると承知しております。

 愛知県教育委員会によれば、平成二十六年三月に策定した特別支援教育推進計画において、教室不足を解消する観点から、複数校の特別支援学校を県内にバランスよく配置することを検討するとされており、現在、豊明市及び長久手市の近隣にそれぞれ、平成三十年度または三十一年度に知的障害特別支援学校を開設する方向で準備を進めているところであります。

 文部科学省としては、実際に特別支援学校が開設されることとなった場合には、必要な支援を検討してまいりたいと思います。

本村(伸)分科員 いろいろ計画はあるんですけれども、本当にスローペースなんですね。

 とにかく、愛知県というのは特別支援学校の数が足りなくて、大規模校でありました安城特別支援学校は、二〇〇九年に分かれて、七年前にみあい特別支援学校をつくったんです。しかし、この表を見ていただきますと、もう既に全国五番目の大規模になっている。安城特別支援学校が戻っている状況でございます。

 そして、大規模校でありました一宮東特別支援学校も、二〇一四年に分かれていなざわ特別支援学校ができたんですけれども、一年目、もう二教室足りない、二年目は六教室足りないという状況になっておりまして、このいなざわ特別支援学校は、定員が二百八十だったんですけれども、現在三百二名の子供さんが通っておられます。

 先ほども大臣がおっしゃられたように、大府市、瀬戸市に二〇一八年、一九年とつくられるわけですけれども、間尺に合わない状況がある。

 三好特別支援学校も、学校の先生にお伺いすると、すごくニーズがあるんだと。でも、二百人ぐらい受け入れることができない、地域の学校に通っている状況があるということもお伺いをいたしました。

 やはり、こういうスローペースでは間尺に合わないという現実がございます。こういう状況が放置されているというのは特別支援学校の設置基準がないからじゃないかということは、先生方からも全国で言われている問題でございます。

 学校教育法第三条では、学校を設置する者は、「設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。」というふうに定められておりまして、幼稚園、小中学校、高校、大学、各種学校まで、全て学校の設置基準が策定されております。学校教育法の施行規則の中で、特別支援学校の設置基準は、「別に定める。」というふうに書いてあるにもかかわらず、つくられていない。

 障害を持った子供さんの学校にだけ設置基準がないというのはやはりおかしいと思いますけれども、いかがでしょうか。

小松(親)政府参考人 設置基準についてのお尋ねでございます。

 法令の規定によりまして、ただいま御指摘のように、学校については設置基準を設けていくということも想定した規定が置かれているところでございます。

 ただ、特別支援学校につきましては、現状を鑑みますと、対象とする障害種に応じた多様な施設設備が必要とされるということから、各学校の状況に応じて柔軟な対応が必要であるという状況があることも事実でございます。こうしたことが可能となるように、設置に当たっての統一的な基準というものが設けられていない状況にございます。具体的な実情に照らしまして、設置者において、障害のある児童生徒の方々の状況、それから地域の実情等を考慮した上で、一つ一つ適切に判断をしていただくという状況であると考えております。

 その上で、今御指摘の特別支援学校の施設不足、教室不足等につきましては、今のような多様性ということは現時点では必要でございますけれども、問題であるというふうに私どもは考えておりますので、文部科学省においても、調査はもう毎年度行いまして、各自治体における教室不足の解消等のための計画的な取り組みを促す、あるいは補助制度等によってその整備を支援するということを行っている状況にございます。

 障害をお持ちのお子さんたちの教育の場として、特別支援教育に係る環境が改善されますように、まずは、引き続き、教室不足の解消に取り組んでいくことに全力を挙げたいというふうに考えております。

本村(伸)分科員 その設置基準に関しましては、対象となる障害の種類に応じた多様な施設整備が必要になるとか柔軟な対応が可能になるというようなことをずっと言っておりますけれども、各学校でそれができていない。そもそも、施設が足りない、余裕がない。そういう柔軟な対応ができない状況があるんですね。先生方も必死に頑張って、やりたくてもできない、そういう状況がある。

 これを国としてどうするつもりかというのが問われていると思うんですけれども、大臣、お願いいたします。

馳国務大臣 実は今、委員の質問を聞いていなかったわけではなくて、いただいた資料で、愛知県また名古屋市が、五十七のうち大体幾つ大規模な学校があるのかを実は数えておりまして、九つもありました。これは全国と比べても、正直、愛知県の教育委員会は今まで何をやってきたんだろうかと思わざるを得ません。

 各都道府県で、大規模な特別支援教育学校については適正化を図ってきたはずでありますから、なぜ愛知県だけがこんなに突出しているのかなということについては、大変申しわけありませんが、私は今その実情は申し合わせておりませんが、この議論というのは、子供たちの立場に立って考えた場合に、先ほどの重複認定もそうですが、教室が足りない、施設が足りない、設備が足りないという問題と、障害児に支援、教育が必要であるという議論は次元の違う話でありますから、やはり全国の状況も鑑みながら、愛知県の教育委員会にはちょっと頑張っていただかなければいけない、私も率直にそういうふうに思っております。

 障害者の権利条約、差別禁止、こういうふうに、我が国もようやくこの政策に対して刮目をする状況に入っているわけでありますから、もちろん財源の確保という問題もありますし、専門的に指導する教員の配置という問題もあります、障害者を取り巻く環境の整備には、まさしく教育の観点から、より一層取り組んでいかなければいけない、改めてそういうふうに思います。

本村(伸)分科員 ありがとうございます。ぜひ、特別支援学校の建設、施設改善の緊急計画を国と地方で作成して、実施をしていただきたいというふうに思います。

 もう一点、施設の老朽化、ぼろぼろだという問題についてもお伺いをしたいんです。

 私が伺いました三好特別支援学校では、暖房はあるんですけれども、老朽化しているということで、ききが悪い、外がマイナス五度だったら、教室の中は暖房をつけてもマイナス四度だ、こういう状況があります。それは春日台特別支援学校でも同じような状況がありまして、防寒着を着ながら授業を受けている、子供たちがそういう状況でございます。夏も四十度を超す。ですから、マイナス四度から四十度という劣悪な室温の中で子供たちが過ごしている。

 ちょっと時間がないので、まとめて質問させていただきますけれども、教室の適正な温度はどういうものかというのを後でお示しいただきたいというふうに思います。

 それと、資料の二として写真をつけさせていただきましたけれども、三好特別支援学校の状況です。写真の二枚目ですけれども、廊下も先生方が修繕をして、継ぎはぎだらけ。横の壁、天井の継ぎ目から雨漏りがする。先生方にお伺いをしたんですけれども、愛知県内の特別支援学校の古いところは雨漏りが普通にある、こういうふうにおっしゃっておりました。

 耐震化は進んでいるというふうに言いますけれども、耐震化は、建物が倒れないということを保証するだけでございまして、防災の観点からは、やはり老朽化を改善しなければならない。地震が起きたときに、天井が落ちたり壁が落ちたりとか、そういう、命にもかかわる問題ですので、やはり防災の観点からも、こういう現状を早急に改善していただきたいというふうに思います。

 マイナス四度の教室とか、廊下は継ぎはぎだらけとか、あるいは壁にはひびが入って雨漏りだ、こういう老朽化が著しい状況というのは、「児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」という障害者権利条約に反しているのではないかというふうに思いますけれども、大臣、認識をお伺いしたいと思います。

石原主査 先に小松局長。

 時間がないので、端的にお願いします。

小松(親)政府参考人 簡略にお答えいたします。

 温度についてのお尋ねがございました。

 法令や基準等によりまして、学校については、一棟当たりの延べ面積が八千平方メートル以上について規定されているものは、二十八度C以下というふうな定め方でございますけれども、八千平方メートルより小さい学校につきましては、一番下が十度C以上、一番上が三十度C以下ということが望ましい。各地域の実情に合わせるということはセットでございますけれども、そのように定めているところでございます。

馳国務大臣 何度も申し上げておりますが、当該地方自治体において、その実態に応じた、やはり、施設整備も含めた事業計画を立てていただくということ、それに対して我々文科省としても協力するということに尽きますが、ちょっとひどいですね。同時に、恐らくこの学校だけではないのではないかと思います。愛知県の大村知事は私もよく存じておりますが、一度私がこの学校を視察に参りまして、ちょっと知事に文句を言いたいと思います。

 やはり意識をこういったところに向けていただかないと、障害児、障害者に対する、首長としての、また議会の皆さんも恐らく頑張っておられるとは思いますが、改善がやはりなかなか遅々として進まないということにもなりますので。私は、愛知県がそんなに財政上厳しい厳しいと全国と比べても言えないと思いますが、ただ、実情は、まず地方公共団体として事業計画を立てていただくことが大前提でありますから、そのことを踏まえて対応し、視察にも行きたいと思いますから、私が視察に行くときには委員もぜひついてきてください。よろしくお願いいたします。

本村(伸)分科員 ありがとうございます。現地に行っていただけるということは大変心強いというふうに思います。ぜひ私も参加をさせていただきたいと思います。ぜひ、現地を見ていただいて、実態調査を進めて、改善を早急に図っていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石原主査 これにて本村伸子君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、井上(貴)主査代理着席〕

井上(貴)主査代理 次に、石川昭政君。

石川分科員 自由民主党茨城五区の石川昭政でございます。

 本日は、予算委員会の分科会で質問の機会をいただきまして、文科省が所管しております研究開発、とりわけ「もんじゅ」、それから核燃料サイクル、あわせまして、極低レベルの放射性廃棄物の処分の問題についてお伺いしたいというふうに考えております。

 東日本大震災を契機といたしまして、原子力規制委員会の発足、それからエネルギー基本計画の見直しを行いまして、我が国の核燃料サイクルを取り巻く環境がここ数年で大きく変化をしてきているわけでございます。しかし、世界に目を転じますと、次世代型の原子炉の研究開発というものは、各国ともエネルギー戦略の中でしっかりと位置づけて、長期的スパンを持って研究開発にしのぎを削っている状況でございます。

 そこで、今回は、我が国の核燃料サイクルの研究開発、それから世界の研究開発の状況等を踏まえて、「もんじゅ」の問題に入っていきたいというふうに考えておるところでございます。

 まず、お伺いをいたしますけれども、世界における高速増殖炉における研究開発状況というのはどのように把握していらっしゃるでしょうか、お伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 国際的には、フランスやロシア、インド、中国といった国々が高速炉の研究開発に積極的に取り組んでいると承知しております。

 特に、フランスは、実証炉でありますスーパーフェニックスを一九八五年から一九九八年まで運転しておりました。その後、二〇一〇年には、スーパーフェニックスを運転した経験を生かし、放射性廃棄物の有害度低減に特化した実証炉でございますASTRIDの開発計画を開始しておりまして、二〇二〇年代中の運転開始を目指しているところでございます。

 ASTRIDの開発につきましては、日仏両国で、「もんじゅ」の活用も含めた我が国との高速炉協力に関する取り決めを締結しているところでございます。

 また、ロシアや中国、インドといった国は、今後のエネルギー需要の増大を見込み、高速炉の研究開発に積極的に取り組んでおります。例えば、ロシアでは、一九八〇年から原型炉BN600の運転を行っておりまして、二〇一四年には実証炉BN800の初臨界を達成し、二〇一五年には発電を開始しております。また、中国では、二〇一〇年に実験炉CEFRの初臨界を達成し、二〇二五年ごろの実証炉の運転を目指しております。また、インドでは、一九八五年より実験炉FBTRの運転を行っておりまして、二〇一六年中に原型炉であるPFBRの運転の開始を予定していると承知しております。

石川分科員 やや付言をいたしますと、ロシア、インド、中国というのは、二〇三〇年代ごろには商業炉の導入を目指している。

 それから、先ほど御説明がありましたロシアでありますけれども、チェルノブイリ原発事故、それからソ連の崩壊、さまざまなトラブルがありましたけれども、現在では、先ほどお話があったとおり、昨年十二月ごろからもう稼働を開始しているわけですね。出力は「もんじゅ」の三倍ということでございます。これまで、ナトリウム漏れは何と二十七回あったそうです。それを克服して、今BN800というものが動いている。さらにこれが、BN1200というものを、もう既に次の設計を用意しているということでございます。

 それから、近年、私が目を見張るのが原子力分野で進展を遂げている中国なんです。これまで実用化は非常に困難だと言われてきました炉心溶融の可能性がない超高温原子炉、VHTRというのがあるんですが、ベリー・ハイ・テンパラチャー・リアクター、この商用炉が完成したという報道が先日専門誌に掲載をされて、私は大変驚きました。

 それに比べまして、この日本、再稼働も遅々として進まない現状においては、かなり大きく差を広げられているなと残念な思い、率直に言って危機感を持っております。

 天然資源の乏しい我が国は、無限のエネルギーを取り出せるFBR核燃料サイクル研究開発に取り組もうというのは、ある意味当然の帰結だというふうに考えております。

 現在、ウラン使用済み燃料から取り出されるプルトニウムというのは、やや過剰ぎみ、余剰ぎみだというふうに言われております。三・一一以降、この核燃料サイクルプロジェクトに変化があるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、エネルギー資源に乏しい我が国は、長期的なエネルギー安定供給の確保という課題の克服を目指しまして、原子力の研究開発を推進してきております。

 特に、増殖炉を含みます核燃料サイクルは、軽水炉で一回限りでウランを利用した場合と比べまして、限られたウラン資源の利用効率を三十倍、すなわち、ウラン資源、現時点では百年程度と言われておりますけれども、三千年というような形で、飛躍的に利用効率が向上する、そういう技術として、もともと、昭和三十年代、我が国が原子力研究開発を始めたその当初から推進してきたわけでございまして、その意義は今も変わっていないというふうに考えてございます。

 また、さらに、最近では、特に高速炉サイクルを活用することによりまして、軽水炉での使用済み燃料を直接処分した場合と比べまして、高レベル放射性廃棄物の大幅な減容化、例えば、体積であれば約七分の一、また、放射性物質の有害度の低減、天然ウランまで有害度を低減するという期間については十万年から約三百年程度ということが可能となるという、非常にすぐれた特徴を有していると考えてございます。

 そういう意味で、現在のエネルギー基本計画においても、核燃料サイクルの推進は変わっていないところでございまして、我が国としては、この計画に基づいて、米国やフランス等と国際協力を進めつつ、研究開発に取り組んでいくこととしているところでございます。

石川分科員 おっしゃるとおり、大きな意味では、役割は変化をしていない。さらに、三・一一以降、減容化あるいは核種変換、こういったものの新たな分野への応用が期待をされているということだというふうに考えております。

 茨城県には、「常陽」というんですが、同じように高速炉の実験炉というのがございます。「もんじゅ」に比べると、出力というのが十四万キロワット程度。ただし、これは発電設備はついておりません。もし仮に「もんじゅ」が長期的に停止をしている、あるいは廃止する、しかし、この「常陽」があるから、「もんじゅ」の代替になるから、高速炉の研究はできるのではないかというような意見もあるようですけれども、私は本当にそれでいいのかというふうに考えております。

 高速実験炉の「常陽」と比較して、高速増殖炉「もんじゅ」の必要性それから特殊性、こういった観点についてお伺いしたいというふうに考えております。

馳国務大臣 原型炉である「もんじゅ」は、実験炉である「常陽」と異なり、出力が大きく、ナトリウムから熱を交換して、蒸気で発電タービンを回すという発電システムを備えた、我が国唯一の実在プラントであります。

 平成二十五年に文部科学省が策定したもんじゅ研究計画においても、その運転、保守の経験を通じて、高速増殖炉の発電プラントの実用化に向けた技術の成立性の確認や、ナトリウム取り扱い技術の確立等を目指すこととされております。また、廃棄物の有害度低減、減容化等においても、実用化に向け、実際の「もんじゅ」の規模の炉心で燃焼させる研究開発を進める意義は大きいと考えております。

 文部科学省としては、可能な限り速やかに「もんじゅ」の課題を解決し、もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめていけるよう、今後とも努力してまいりたいと思います。

石川分科員 ありがとうございます。重大な決意を馳大臣からお伺いしたというふうに受けとめているところでございます。

 また、「もんじゅ」には、我々自民党のエネルギー問題に取り組む若手の議員で二回ほど現地に視察に行ってまいりました。そこで働いている若手の職員の皆様と意見交換をしまして、さまざまな問題についてヒアリングをしてまいりました。今回の勧告のような危機的な事態に至って、プロジェクトを一歩も前に進めることができない状況は本当に遺憾なことであり、現場の職員も、こうした状況から一日も早く脱するため、昼夜を問わず、それこそ心身を消耗させながら取り組んでいる、頑張っているところでございます。

 それを受けまして、二〇一五年十一月十三日に発出された勧告の法的根拠について、ここで確認したいというふうに思います。

 原子力規制委員会設置法第四条第二項において、原子力規制委員会は、安全の確保に関する事項については勧告を出すことができる、そして、その上で、とられた措置について報告を求めることができるというふうに書かれております。

 今回の勧告を読みますと、運転の主体の変更を求めるような重大な内容を含むこと、そして、半年というごく短期間の間で報告、回答を求めていることについて、文科大臣、どのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

馳国務大臣 「もんじゅ」については、昨年十一月に原子力規制委員会より、原子力機構にかわる新たな運営主体を特定するよう求める勧告が発出されました。私は、直接、原子力規制委員会委員長から勧告を受け取りましたが、この勧告が発出されたことを厳粛に受けとめております。

 本勧告に真摯に対応するため、昨年十二月に私のもとに「もんじゅ」の在り方に関する検討会を設けて、議論を進めているところであります。この勧告への対応をしっかりと検討してまいりたいと思います。

石川分科員 半年ということですので、ことしの六月ごろには一定の回答を出さなければならない。その意味で、昨年十二月中に有馬先生をトップとする検討会がスタートしたというのは、私は非常によかったのではないかなと。これからどんどん回数を重ねて、有識者の意見を取り入れて、いい回答を出していただきたいというふうに願っております。

 そして次に、再三にわたる指導や命令、そして今回の勧告を受けるに至ってしまった要因というものがあります。それをよく分析し、改善につなげなければならないというふうに考えています。

 まず、勧告で指摘されている第一点は、保守管理、品質マネジメント能力、つまり、安全確保能力が問われています。

 原子力規制委員会では、出力の規模からいって、「もんじゅ」に対して、軽水炉を運転するレベルでの保全計画を求めています。しかし、実際には、「もんじゅ」の保全計画は、商業用原子炉をベースにしまして、約二カ月間という、十分検討する時間がないまま導入した経緯がございます。そこでは、内容が合理的でなく不十分で過多であった、あるいは、その後、運転の実績を積みながら計画内容の変更をするつもりであったけれども、トラブル等が重なり、計画の見直しができなくなってしまったというふうに指摘をされております。

 それについて、研究者の中から、そもそも、軽水炉とは設計思想それからシステムも全く異なる、研究開発段階にあるFBR原型炉である「もんじゅ」に軽水炉向けの保全計画を適用するのが果たして適切なのかという疑問の声も出ているところでございます。

 さらに、勧告で問われておりますのが技術的能力。

 我が国にFBRの先行事例がないのは自明でございますし、電力事業者の中にも経験者は誰もいないわけでございます。そもそも、運転した上で、失敗、課題を解決して次の設計につなぐというのが「もんじゅ」の役目だと承知しております。さらに、核セキュリティーの枠組みの中では、FBR先行国の知見を十分に取り入れて応用できなかったという制約もあったのではないかなと私は考えております。

 監督官庁として、今回、一連の、「もんじゅ」が改善を求められている、その要因、原因はどこにあると分析をされていますでしょうか、お伺いします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、「もんじゅ」に関しまして原子力規制委員会から勧告を受けるに至りましたさまざまな要因がございますけれども、それに至る経緯を簡単に御紹介させていただきます。

 「もんじゅ」につきましては、もともと、平成二十四年十一月に約一万点の機器の保守管理不備が明らかになりまして、翌年五月に原子力規制委員会より、第一に、保守管理体制及び品質保証体制を再構築すること、第二に、点検時期が超過している未点検機器について早急に点検すること、第三に、これらが完了するまで運転再開準備を停止することという内容の保安措置命令が出されたところでございます。

 このことを踏まえまして、原子力機構は、平成二十五年十月から平成二十七年三月まで「もんじゅ」の集中改革に取り組み、その間、当初指摘を受けた未点検機器の解消などの改善にも取り組み、平成二十五年十一月に、原子力規制委員会に対して保安措置命令に対する報告書を提出いたしました。

 しかし、その後の保安検査の結果から、保安措置命令に対する原子力機構の対応が途上であるとの指摘を受けまして、保守管理体制及び品質保証体制の再構築に取り組み、平成二十六年十二月に、改めて報告書を原子力規制委員会に提出いたしました。

 しかしながら、その後も、原子力規制委員会より、繰り返し保守管理体制の再構築が不十分等との指摘を受けて、平成二十七年十一月に、原子力規制委員会から勧告を受けるに至ったところでございます。

 委員御指摘いただきましたような点についても、今まさに「もんじゅ」の在り方検討会における論点として上がっているところでございますので、よく精査をして検討していきたいと思っております。

石川分科員 今回の勧告では、そうした改善、いろいろ取り組んできましたけれども、それに対して、具体的成果を上げることなく推移したものと認められるであるとか、十分な改善が見られない、懸念が解消されない、こういったことを繰り返しこの勧告の中で書かれているわけでございます。

 これまで文科省あるいは機構が講じた改善策というものは、勧告が言っているとおり、本当に成果がなかったんでしょうか。その点について、認識をお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、「もんじゅ」については、平成二十四年に約一万点の機器の点検漏れが明らかになって以降、原子力機構において、「もんじゅ」集中改革等に取り組みまして、品質保証や保守管理体制の再構築には取り組んでまいりました。

 具体的には、理事長直轄で「もんじゅ」を運転及び保守に専念する組織に再編しました。また、点検期限をコンピューターで管理する保守管理業務支援システムを導入いたしました。さらには、電力会社等の技術者の追加支援や、原子力機構の他拠点からの異動による保守管理体制の強化などの改善策は実施してきたところでございます。

 また、さらに、昨年四月からは、民間出身の児玉理事長のもと、メーカーや電力会社など、民間の知恵を集結したオール・ジャパンの体制で、さらなる課題の洗い出しと対策の実施を進めているところでございます。

 そういった中では、先ほど御指摘のあったような点についてもできる限り改善を進めていく努力を進めているところでございます。

 また一方、文部科学省の方でございますけれども、文部科学省でも、文部科学副大臣を本部長とするもんじゅ改革推進本部を定期的に開催しておりまして、原子力機構の改善作業の進捗管理や指導を行いますとともに、さらには、現地に審議官級の職員であるもんじゅ改革監を駐在させ、直接現場の取り組みを指導してきているところでございます。

 いずれにしましても、原子力規制委員会から発出されました勧告にかかわらず、原子力機構は「もんじゅ」の適切な保守管理体制の構築に向けて改善努力を進める必要があるというふうに考えておりますので、文部科学省としても引き続き厳しく指導してまいりたいと思います。

石川分科員 馳大臣、今回の勧告をよくお読みになったと思いますけれども、一つに、その能力を有すると認められる者を具体的に特定すること、そして第二点に、特定が困難ならば、安全上のリスクを減少させるよう、「もんじゅ」のあり方を抜本的に見直すことが求められているところであります。

 今回の回答では、一と二両方満たすということではなく、一か二のどちらかで回答をしてくださいというように原子力規制委員会から求められていると思います。

 大臣、最後に、この勧告への回答はどのようになるか、決意を込めた御回答をお伺いします。

馳国務大臣 昨年十一月にいただきましたときに、私も、規制委員会の田中委員長とお話を少しさせていただきました。なかなかコミュニケーションのとりづらい組織だなということを実感いたしました。

 しかし、それは、規制委員会の置かれている立場を踏まえての今回の勧告でありますから、我々は、やはり重大なこととして受けとめるべきであるとまず思っております。

 そこで、三つの段階を私から指示いたしました。これまでどうだったのかということの総括をしっかりやろうじゃないか、これが一点目です。その上で、その総括を踏まえた上で、新たな運営主体というのはどうあるべきかというあるべき論、これを議論すべきではないか。最終的に、では、今の組織じゃだめだ、こういうふうに言われてしまったわけでありますから、具体的な運営主体をお示しするための作業をすべきである。

 この三つの段階を、おおむね半年を目途にと言われましたから、私としては、夏ごろというふうな時間感覚で考えております。

 ことしの夏ごろには運営主体をお示しできるように、まず努力をする。そのために、現在、検討会を行っておりますし、検討会の皆さんも、もちろん私も、現地にも視察に行ってまいりました。若手職員との意見交換もさせていただきました。また、メーカーの皆さん方からの意見も率直にいただきながら、検討会の皆さん、非常に精力的にやっていただいております。

 ましてや、この座長は、私からも、たってのお願いで、有馬先生にお願いをいたしました。やはり総括的な立場において、また専門性も御存じの、また、ちょっと御高齢ではありますけれども、十分な見識、経験をお持ちの有馬先生から、この三段階を踏まえた上での提言もいただけると思っておりますので、それを踏まえて新たな運営主体の設置に向けて努力すべきだと思っております。

 こういう方針で一生懸命取り組んで、成果を上げていきたいと思います。

石川分科員 ありがとうございます。

 「もんじゅ」の設置許可が出されたのは昭和五十八年、一九八三年としますと、ことしで三十三年目になるわけでございます。そういったところでの今回の勧告でございますので、しっかりと研究成果を出し切った形でやっていただきたいというふうに期待しております。

 最後の質問に移らせていただきます。

 原子力研究施設や原子力発電所の廃炉措置に伴い排出される廃棄物処分について、お伺いしたいと思います。

 平成十七年から、炉規制法の改正で、クリアランス制度が制定をされました。日本で初めて廃止措置がとられている日本原電の東海発電所、全廃棄物量は約二十万トンと言われております。そのうち四万一千トン、極低レベルの放射性廃棄物が出てくるという計算。全体の五分の一だそうです。これが今回、これからふえてくる廃炉措置に伴う廃棄物処理の前例となってくるわけでございます。

 クリアランス制度を本格的に運用する前に、社会的な理解を深める意味で、まずは業界内で再利用して実績を積むということを取り組んでまいりました。そこで、業界内では、その廃棄物、クリアランスを受けたものについては、ベンチやブロック、路盤材に再利用をしてきたところでございます。

 現在、全国で進められているこのクリアランス制度の施行、運用状況についてお伺いします。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 クリアランス制度の施行状況のお伺いということでございます。

 事業所等において用いられました資材等に含まれる放射性物質の放射能濃度が委員会規則で定める基準を超えない場合に、これを汚染されたものでないというふうにして、再生利用それから一般の廃棄物という扱いで処分することを可能とする制度でございます。

 原子力規制委員会は、原子炉等規制法に基づきまして、事業者による測定方法の認可、それから測定結果の確認というものを実施しております。これまでに、日本原子力発電株式会社東海発電所、中部電力浜岡原子力発電所五号機、それから日本原子力研究開発機構のJRR3、人形峠の環境技術センターで発生した金属やコンクリートについて、このクリアランスの確認を実施してございます。総重量では約四千三百二十三トンに達しているという状況でございます。

石川分科員 ありがとうございます。

 先ほど私が申し上げたとおり、現時点では、業界内での再利用に限られているということでございますけれども、これから、フリーリリースについて、このクリアランス制度が社会に定着したか否か、国が適切な時期に判断するというふうにされております。

 フリーリリースを判断する政府の主体というのはまずどこになるのかということが第一点と、国が適切な時期に判断するの適切な時期というのはいつごろになるんでしょうか、お伺いしたいと思います。

大村政府参考人 クリアランス制度の社会への定着についてのお尋ねでございますが、原子力規制委員会としましては、まず、先ほど申しましたように、原子炉等規制法に基づきまして、安全確保がしっかりできているかということにつきまして厳格に確認を行うというのが私どもの責務というふうに考えてございます。

 それから、法令に基づきまして認可や確認を行った際には、原子炉等規制法に基づきまして、廃棄物として処分されるという場合もございますので、環境大臣に連絡を行うというのが私どもの役割というふうになってございます。

 なお、私どもも、安全確保の活動、それからこの制度につきまして、やはり情報提供、情報発信をしっかりしていくということが重要だと考えてございまして、事業者からの申請それから確認証の交付等に係る情報につきましては、その都度、原子力規制委員会のホームページ等で公開をするとともに、これら確認等の実績につきましては年次報告等により公表をするということで取り組んでいるところでございます。

石川分科員 以上で私の質問を終わります。本日は、ありがとうございました。

井上(貴)主査代理 これにて石川昭政君の質疑は終了いたしました。

 次に、小松裕君。

小松分科員 自由民主党の小松裕でございます。

 本日は、このような質問の機会を与えていただきましたことに、まず感謝を申し上げます。

 スポーツは、国民の健康増進、子供たちの心と体の健全育成、地域の活性化、経済の活性化など、多様な価値を持っております。また、オリンピックが目指すのは平和な世界をつくることでもあり、スポーツを通じた国際交流、国際貢献の果たす役割も極めて大きいわけであります。

 私自身、かつてスポーツドクターとして、オリンピック・パラリンピック選手たち、いわゆるトップアスリートを支えながらスポーツの力を身近に感じ、そして、このスポーツの力を社会の力にしたいとの思いも政治を志すきっかけでありました。

 昨年の十月には、悲願であったスポーツ庁が設置され、まさに、スポーツの価値を高め、スポーツの力を社会の力にしていく、こういった体制が整いました。鈴木大地長官のもとスタートを切ったスポーツ庁をしっかりとお支えし、二〇二〇年オリパラに向けて、また、二〇二〇年後も引き続いてスポーツの力を社会の力にする、この目的を果たすことができるように私自身取り組んでいくことをまずお誓いしてから、質問に入らせていただきます。

 本日は、アンチドーピング活動の推進という点に絞って質問をさせていただきたいと思います。

 ドーピングという行為、これは薬物やその他の方法を使って不正に競技力向上を図ろうとする行為であります。これは、クリーンな選手たちの日ごろの努力を踏みにじり、スポーツを愛する人々を失望させるものであり、何よりスポーツの価値をおとしめるものであります。そこに、スポーツ界が毅然としてアンチドーピングに取り組む背景があるわけであります。

 しかし、昨年の十一月、世界ドーピング防止機構、WADAの独立調査委員会による報告で、ロンドン・オリパラ大会の陸上でのロシアの組織的なドーピング疑惑が大々的に報道されました。このような事実はロンドン大会の成功にも水を差すものであり、その成功に向けて努力した全ての人々の善意の行為を踏みにじることになってしまいました。

 我が国も、今後、二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックという大規模な国際大会を控えており、これからその成功に向けて、国を挙げて全力で準備作業を進めていこうとしているところであります。

 また、我が国は、過去のオリパラ大会において一人もドーピング違反者を出していない。その上に、国際的なアンチドーピング活動に積極的に貢献してきている。それらのことも高く評価されて、二〇二〇年東京オリパラ大会の招致の成功につながったと考えております。

 そのため、今後、東京オリパラ大会などに向けて準備を行っていくに際しても、今回のロシアのようなドーピング違反が生じないように、引き続き、ドーピング防止活動において国内外の体制を整えていく必要があり、二〇二〇年オリパラにおける検査体制の整備も重要な課題と認識しています。

 そこで、現在、文部科学省では、冨岡副大臣のもとで、ドーピング防止活動の推進に向けて、法的整備を含めて対応を検討していくこととしていると報道がされておりました。このような動きは、二〇二〇年東京オリパラ大会を成功させる上で非常に重要な土台であると考えています。

 今後、二〇二〇年東京オリパラ大会のホスト国として、文部科学省は、ドーピング防止活動における万全な体制整備に向けて、法的整備を含めてどのように対応していこうとしているのか、その取り組みの方向性、そして意気込みをお聞きしたいと思います。

馳国務大臣 小松委員には、スポーツドクターという専門性も踏まえ、高い見識でスポーツ行政の推進に大変御努力、また応援をいただいていることに、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。

 そこで、冨岡文部科学副大臣のもと、有識者を交えたタスクフォースを設置し、本年一月から専門的な議論を進めております。具体的には、一、世界ドーピング防止規程を遵守したドーピング検査体制の構築、専門的人材の育成、教育や研究活動の促進等による国内のアンチドーピング体制の強化、二、東京大会の開催国として、国際的なスポーツインテグリティーの確保へのさらなる支援、貢献に向けて、全ての課題を抽出し、法的整備の必要性を含め、必要な対応を検討しております。

 六月ごろまでに中間まとめを行い、その後、リオ・オリンピック・パラリンピック競技大会の状況等を踏まえて九月ごろに最終報告を行う予定であり、ドーピング防止に向けた万全の体制整備に努めてまいりたいと思います。

小松分科員 ありがとうございました。私も、その万全な体制整備に向けて力を尽くしていきたいというふうに思っています。

 このドーピング防止活動においては、一番重要でかつ効果的なのは、アスリートはもちろんのことでありますけれども、周りの人たち、コーチ、そしてそれを支える人たち、ひいては国民全体がドーピング防止活動の重要性に対する認識を深めるということであります。すなわち、教育啓発活動を推進していくということが大変重要であるというふうに考えています。

 日本は、ドーピング違反件数が極めて少ないという誇るべき事実があるわけであります。そして、その違反も、ほとんどが、筋肉増強剤などを意図的に使用するというのではなくて、いわゆるうっかりドーピング、風邪薬に入っている興奮剤を知らずに飲んでしまったりとか、そういったうっかりドーピングがほとんどであります。そこには、日本人の本来の心といいますか、武士道精神といいますか、ずるをして勝つというのはひきょうなことだ、こういう気持ちが根づいているということが一番大きなことだと思います。こういう気持ちを選手たちみんなが持っているということを感じています。

 しかし、このような当たり前の気持ち、日本人が持っている気持ちを将来にわたってしっかり持ち続けるようにする、こういう努力もやはりしていかなければいけないんだろうと思います。

 二〇〇五年ですけれども、今から十一年前、ユネスコのアンチドーピング条約を批准するに当たって、文部科学省の中に検討会が設置されました。私も学識経験者としてその検討会に参加させていただきました。

 その中の討議でも、さまざまな場面を思い出すわけでありますけれども、ドーピング防止に関して、まず、このユネスコの条約を批准するために短期的な課題を整理しよう、同時に、長期的な課題、長い目で見たアンチドーピングの仕組みをしっかりつくっていこう、そういった議論があったことを思い出します。だんだんあのころに比べてアンチドーピングの体制が整ってきた、こういうことを考えれば、今こそ長期的な課題をしっかりと考えていく時期であると思います。

 また、さまざまな場面を思い出すわけでありますが、その検討会でも、ある構成員の方が、ちょうど二〇〇五年ですからアテネ・オリンピックの翌年だったんですね。アテネ・オリンピックは、室伏広治選手が最初は銀メダルで表彰台二番目に登った、ところが、金メダルをとったアヌシュ選手がドーピング違反で、そして繰り上がりで金メダルになった、こういったことがあった翌年でありました。そのある委員が、あんなことをちゃんと小学校の教科書に載っければいいじゃないか、ずるをして勝ったのは、必ずそれが見つかるんだよ、ずるをして勝っちゃだめなんだよ、こういったことがアンチドーピング教育であると同時に道徳教育、ああいったことを子供たちに教えるという一番いい機会じゃないかというようなことを発言したことを思い出します。

 また、東京オリンピックでも、招致また開催に当たり、オリンピック教育として、小学生、中学生、高校生たちにアンチドーピングも含めて教育をしているということもお聞きしています。

 そこで、文部科学省では、今後、ドーピング防止に関する国内外の教育啓発活動の推進に向けてどのような取り組みを行おうと考えているのか、初等教育のことも含めてお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、従来より、アスリートを守り、ドーピングを未然に防ぐために、アンチドーピング教育を大切にしてまいりました。

 文部科学省においては、日本アンチ・ドーピング機構、JADAと協力しながら、アスリートやサポートスタッフに対する研修会などを実施してきております。また、平成二十五年度から実施されている高等学校学習指導要領にドーピングに関する記述を追加し、さらに、子供から大人まで広い世代にわかりやすくスポーツの価値を伝える教材の開発を行うなど、若い世代への教育も推進をしてきております。二〇二〇年東京大会に向けては、委員御指摘のように、アンチドーピング教育を含め、オリパラ教育も推進することといたしております。

 これらの我が国のアンチドーピング教育に関する取り組みは国際的にも高く評価されており、今後も、アンチドーピングの重要性を、若い世代を初め広く国民にしっかり発信してまいりたいと考えております。

 また、国際的には、二〇二〇年東京大会に向けて実施しているスポーツ・フォー・トゥモロー事業において、我が国で開発した教材や教育方法をパッケージ化し、アンチドーピング活動がおくれている国や地域へ導入していくなど、スポーツにおけるドーピングの撲滅に向けさらなる国際貢献を進めており、世界のスポーツインテグリティーの確保に向けた取り組みにしっかりと支援してまいりたいと思います。

小松分科員 ありがとうございました。

 今のお話、各国の取り組みをしっかり支援していく、本当にこれは、世界でアンチドーピング活動に取り組まなければいけないという意味において、日本の大事な果たすべき役割だと思います。ぜひともよろしくお願いいたします。

 教育ということに関して言えば、ドーピングというのはいけない行為なんだという教育啓発ももちろんそうですけれども、薬を出す側の教育啓発も極めて大事だというふうに考えています。このことは、三年前のこの分科会でも質問をさせていただきました。

 実際、ドーピング禁止薬物のコード、禁止薬物リストというのは毎年改正されるわけでありまして、それを毎年しっかりと知識を入れておかなきゃいけない。そうすると、この薬がドーピング禁止物質かどうかというのを確認するのが、選手の方はなかなか難しい、すぐ飲まなきゃいけないときに確認するのは難しいという実態があります。

 私は、スポーツの世界からこの政治の世界に入って三年以上経過するわけでありますけれども、いまだに、携帯に有名なオリンピック選手たちから電話がかかってきて、この薬は飲んでも大丈夫ですかという電話がかかってくることがあります。しかも、病院に行って、目の前にドクターがいる状況で電話をかけてきて、今から先生にかわりますからと。その先生と話して、この薬は出してもいいかどうか、それを私が答えるということがいまだにあるんです。

 こういった意味で、特に医学部や薬学部でのアンチドーピングの教育というのが重要である、このことを三年前にも指摘させていただきました。

 薬に関しては、JADA、日本アンチ・ドーピング機構で、さまざまな仕組みを使って選手たちに発信しているという事実も存じておりますし、また、スポーツファーマシスト制度、こんな制度も使って選手たちに応えよう、こういった努力をしているということは承知しているわけでありますが、やはり、一般のドクターにアンチドーピングの知識が極めて少ないという問題は依然として続いているのだと思います。

 三年前に御質問させていただいたときには、一部の大学、薬学部、医学部ではそのようなアンチドーピングの教育も取り入れている、こういったお返事もいただいたわけでありますが、その後三年たって、特に薬を出す側の専門家に対する教育、この仕組みはどのようになっているのか、その点に関して、現状とこれからの取り組みをお聞かせいただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のアンチドーピングに関する教育でございますが、まず、薬学教育の分野でございます。

 前回の御質問の後の動きでございますけれども、薬学教育におきまして、薬学教育モデル・コアカリキュラムというものを策定しております。これは、薬学教育におきまして、卒業の時点までに学生が身につけておくべき必須の能力の到達目標を提示するという趣旨でつくっているものでございますけれども、その中で、薬剤師の活動ということで、アンチドーピング活動というものを新たに位置づけましたので、これを踏まえて、各大学での教育指導に取り組んでいただいているということだというふうに理解してございます。

 具体例はここでは省略をいたしますけれども、手元にも、幾つかの大学でのシラバス等の事例というものを把握しているところでございます。

 また、医学教育の分野でございます。

 これは、前回御説明をさせていただきましたけれども、医学教育もモデル・コア・カリキュラムというものがございます。その中では、的確な薬物療法を行うための基本的な考え方を学ぶという記述になってございます。

 その中で、さらにドーピングという観点からこの中身を充実していく必要があるという御指摘をいただきまして、前回の御指摘後でございますけれども、平成二十五年度以降、全国の医学部長あるいは病院長などが出席する会議におきまして、アンチドーピングに関する教育の充実について周知をしてきてございます。

 具体的には、スポーツに関するあらゆる活動を公正かつ適切に実施する観点から、医師、薬剤師がアンチドーピングに関する正しい知識を身につけるための教育の充実をお願いしたいということで、スポーツ基本法の中でのドーピング防止活動の推進、教育啓発などの内容も含めて、全国の医学部あるいは病院の責任者の方々に対する会議で周知をしてきたところでございます。

 こういう点をさらに今後も引き続きしっかりと要請してまいりたいというふうに思ってございます。

小松分科員 ありがとうございました。

 二〇一九年にはラグビーのワールドカップ、二〇二〇年にはオリンピック、そして、その前に、恐らく合宿などで世界じゅうからたくさんのアスリートが日本にやってくると思うんですね。そうすると、そこでやはりさまざまな医療機関にかかわることになる。そういった意味でも、特にドクターに対する知識の普及というのは早急にお願いしたいというふうに思いますし、また、長期的な目で見ても、一度大学のときに勉強しておけば全く違いますし、これは文部科学省とは所管が違うわけでありますけれども、例えば、医師国家試験にアンチドーピングの項目が入ってくる、そうなると学生は必ず勉強しますから、それだけでも多分全く違うと思うんですね。

 そんな点もぜひ厚生労働省なんかと連携して、アンチドーピングの教育、特に医療関係者に対する教育ということに力を入れていただきたいなというふうに思っています。

 そして、最後に、プロスポーツのアンチドーピング活動に関してお伺いいたします。

 スポーツの価値を守って公平性、公正性を確保するということは、プロスポーツにおいても必要なことであり、それはドーピング防止活動についても同様であります。

 私も、日本プロ野球機構、NPBの医事委員として、かつて、プロ野球のアンチドーピング活動の立ち上げのときからずっとそれにかかわってきたという経験をしてまいりました。実際にどういったルールにするかとか、二月の時期になると、それぞれのキャンプ地を回って、選手たちにアンチドーピングに関して講習をしたりとか、そしてドーピング検査を実際に係員としてやったりといったことをずっと続けていたわけであります。

 この経験で、野球がオリンピック種目であった時期もありまして、かなりのプロ野球選手たちもドーピング検査を受けていた。それから、アマチュアからプロに行った選手もたくさんいましたから、そういった経験があったという背景もありましたけれども、最初は、なぜプロなのにドーピング検査をしなきゃいけないんだといった率直な意見もありました。それから、プロ野球というのは春から秋までずっと毎日のように試合が続きますから、そこに、ドーピング検査がいつあるかわからない、縛られるというのは、ほかの競技と違うじゃないかというような意見もありました。そこを、なぜプロ野球でもドーピング防止の取り組みが大事なのかということを、選手や関係者にしっかりわかってもらうということがとても大事だなと感じてきたわけであります。

 つまり、なぜプロ野球でもプロスポーツでもアンチドーピングに取り組まなきゃいけないのかということを理解してもらうことが大事だと考えてきました。ちょうど、エピソードというか、NPBのドーピング検査は二〇〇六年から導入したんですけれども、その前に準備をしながら始めました。ちょうどその翌年、二〇〇七年に、ミッチェル・レポートというのが出たんですね。御存じの方はいらっしゃるかもしれませんが、アメリカのミッチェル元上院議員が、アメリカのメジャーリーグでの薬物使用リストを公表したんですね。

 そのときに、たしか、薬を使っていたという八十九人のリストが公表されて、その中に、日本のプロ野球に在籍していた選手、今いる選手が含まれていたんです。そのときに、マスコミやメジャーリーグから日本に関していろいろな問い合わせがあった。そのときに、日本は、日本のプロ野球はアンチドーピング活動をもうしっかりやっていますよ、去年から検査もやっているんですよ、その一言で全てが終わった。このときに、日本のプロ野球関係者は、やはりこれは大事なことなんだ、つまり、しっかり取り組むことによって自分たちのスポーツが守られたんだ、こういった意識が明らかに出ました。

 ですから、ドーピング検査に行っても、球団の職員の方や部屋を用意してもらったりとかいろいろなことが大変なんですけれども、その大変なことに誰も文句も言わずに協力してくれるようになったという事実があります。

 そんなことで、なぜやらなきゃいけないかというのをプロスポーツの世界でも理解してもらうということが私は一番大事だというふうに思っています。

 そこで、今後、文部科学省として、プロ野球や大相撲などのプロスポーツにおいて、どのようにドーピング防止活動を推進しようとしているのか、その取り組みの現状と方向性をお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 スポーツ基本法に規定しておりますように、スポーツにおいては、「スポーツを行う者に対し、不当に差別的取扱いをせず、また、スポーツに関するあらゆる活動を公正かつ適切に実施すること」が必要です。

 このような観点から、アンチドーピング活動は、アスリートの健康やスポーツの公正さを守るものであり、アマチュアスポーツ、プロスポーツの別を問わず、全てのスポーツにおいて推進することが重要であります。

 文部科学省としても、平成十九年に策定いたしましたスポーツにおけるドーピングの防止に関するガイドラインにおいて、各プロスポーツ団体は、ドーピング防止に関する適切な行動規範などを定め、ドーピング防止活動に努めるよう規定し、これまで、各プロスポーツ団体に対してドーピング防止活動の推進を指導してきております。

 今後とも、プロ野球や大相撲などの各プロスポーツ団体において、アンチドーピング教育を含むドーピング防止活動が一層推進されるよう、日本アンチ・ドーピング機構、JADAと協力しながら、各団体にしっかりと指導してまいりたいと考えております。

小松分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、プロ、アマの垣根というのはオリンピック自体はもうないわけですし、プロスポーツも含めて世界共通ルールでアンチドーピング活動を推進していく、この取り組みをぜひ後押ししていただきたいなというふうに思います。

 あと五分ぐらい時間がありますので、ちょっと話をさせていただきたいと思いますが、きのう、この質問をするに当たって昔の資料をいろいろ探していたら、平成九年、一九九七年に私が書いた論文が出てきました。

 「アンチドーピング海外調査(オーストラリア)に参加して」、これは、一九九六年の十二月にオーストラリアのアンチドーピング国内調整機関であるASDA、オーストラリアン・スポーツ・ドラッグ・エージェンシーを訪問したわけであります。これは、まだ日本アンチ・ドーピング機構ができていないころ、日本でドーピング調整機関をつくらなきゃいけない、そのための視察に、ありがたいことにお声をかけていただいて、そのころ一番最先端でやっていたオーストラリアを視察させていただきました。そのときの報告書をまとめたのがこれであります。

 これを読み直しながら、改めていろいろな場面がよみがえってきたわけであります。とにかく、もう二十年近く前ですけれども、オーストラリアのASDAの職員のアンチドーピング活動に対する意気込み、とにかく世界じゅうにこれを広げなきゃいけないんだ、この意気込みがすごく伝わってきた訪問でありました。

 このとき、一九九六年のオーストラリアのアンチドーピングにかかわる年間予算が約三億円。二十年前です。日本はほとんどなかった時代でありますけれども、ああ、すごいなというふうに思ったことを思い出します。ことしの日本の二十八年度予算が三億六千万程度ということで、だんだんそれに近づいてきたという感慨もあります。

 そこで話を聞いたのが、先ほどもお話ししましたけれども、学校を基盤とした教育計画をしっかり立てている、二十年前にそういったことのお話がありました。それから、国全体としてとにかくアンチドーピングに取り組むんだ、だから国もお金をかけているんだと。アンチドーピング活動がスポーツ界だけにとどまらないということを強調していました。つまり、安易に薬に手を出すとか、薬物乱用であるとか、覚醒剤であるとか、そういった教育のためにもアンチドーピング活動が大事なのである、こういった意気込みを聞きました。だから、国を挙げて、お金も投じて、これにしっかり取り組むんだ、このことを聞いてきたわけであります。

 この論文の最後にいろいろな報告が書いてあって、「おわりに」ということで、私がこのように書いております。

 アンチドーピング運動に積極的に取り組みしっかりとした体制をもつオーストラリアの視察は、大変有意義なものであった。そして彼らのアンチドーピングの国際化に対する熱意を肌で感じて、日本においても、より積極的なアンチドーピング活動を行っていく上での体制作りが急務であることを痛感した。将来、日本がオリンピックのメダル数だけでなくアンチドーピング運動においても世界をリードする存在になることが目標である。

十九年前に私が書いた文章であります。

 この初心を忘れずに、私も日本の、そして世界のアンチドーピング活動に取り組む、このことをお誓いして、私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

井上(貴)主査代理 これにて小松裕君の質疑は終了いたしました。

    〔井上(貴)主査代理退席、主査着席〕

石原主査 次に、神山洋介君。

神山(洋)分科員 おはようございます。神山洋介でございます。

 大臣、きょうは朝から終日の御答弁ということで、大変お疲れさまでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 いろいろな話題が次から次へと出てくるかと思いますが、きょうは大臣に、インフルエンザにかかわる、主にこれは小中学校ということになろうかと思いますが、出席停止に係る取り扱いについて、ぜひこれは前向きな改善をお願いしたい、具体的な提言を申し上げたいというふうに思っているところでございます。

 きのう、事務方といろいろやりとりをさせていただきまして、厚生労働省さんの方から今のインフルエンザの、学校にかかわらずですが、全国的な流行状況についての資料も頂戴をしております。これは大臣には資料をお配りしておりませんが、全国的な定点観測の中での発生数等々というところでいうと、今がまさにことしでいうピークに近い状態なのかなというところと、あと、ピークレベルでいうと、大体例年どおり大はやりという状況なのかなというふうにも思います。

 まず、ここは事務方の方で結構なんですが、学校で今どの程度インフルエンザが流行しているかという状況、どういう状況だというふうに今認識をされていますでしょうか。

 具体的に申し上げれば、これはわかればということで結構なんですが、児童で感染をして学校をお休みになっている数であるとか、出席停止に至っているとか、場合によっては学級閉鎖になっているということもあろうかと思うんですが、このあたりはどういうふうに実態をつかんでいらっしゃいますでしょうか。

小松(親)政府参考人 大変恐縮でございますけれども、その数値につきまして、私ども、御質問いただくお話をいただいておりませんでした。手元に持っておりませんでしたので、申しわけありません、ちょっとお答えができません。

神山(洋)分科員 細かい数字はインターネットで検索すれば出てくるので別にいいんですけれども、全国的なピークにあるということは、必然的に学校でも大はやりの状況になっております。

 非常に卑近な例で申し上げるとなんですが、恐らく先週とか先々週あたりが非常にピークに近いところにあったと思うんですが、私の家でいうと、妻と娘が二人おりまして、上の娘は中学生、下の娘は小学生なんですが、先々週、私以外の三人全員がインフルエンザになるという状況がありました。娘のうちの一人の学校は学級閉鎖になり、上の娘は出席停止で、もしかしたらテストが受けられないかもしれないということもありながら、ぎりぎり間に合ったという状況もありました。同世代の保護者の方々とお話をしていると、やはり市内であり地元の地域各地でそれだけ多くなっていて、学級閉鎖もたくさんあるという話も非常に多くありましたので、恐らく、全国の小中学校においても非常に大きな影響があったのではないかなということは想像されるわけです。

 その中で、やはり、いや大変だったのよという話は当然保護者同士でするわけですね。その中から出てきたことを実はきょう申し上げたいんです。

 まず、インフルエンザになったかなという高い発熱を最初発見したとき、朝起きたら息子さんが、娘さんが三十八度とか三十九度で真っ赤な顔をしてふうふう言っていた。まずここで一つ出てくるのが、そのふうふう言っている子供を無理に起こして、車に乗せて、病院に連れていくというのは何とも不合理だよねという話がまず出てくるわけです。

 おまけに、その下の子供さんがいらっしゃれば置いていくわけにいきませんから、結局、では、三十八度、九度のふうふう言っているお兄ちゃんもしくはお姉ちゃんを車に乗せ、その隣にまだ元気な、例えば幼稚園、保育園の子も乗せ、病院に行き、そこに行くと、何十人もずらっと並んでいて、みんなマスクをかけて、ゴホゴホやって、つらそうにしている。お母さんもそう、お父さんもそう、保護者の方もそうですし、兄弟もそうですけれども、これでは、元気な子でさえ、病院に来てインフルエンザになっちゃうよねと。

 加えて、ようやく元気になってきて、そろそろ学校に行けるなと思って、では、どうやって行かせるのかなとなると、お医者さんに行って、元気になりました、治りましたという証明をもらって、判こをついて、それを持って学校に来てください、それで出席停止が解除になりますという話になるわけです。

 それも、保護者の方から言わせれば、いや、病気になったときは仕事を休んで子供の面倒を見るのは当然だと思うけれども、五日もたてばもう元気になっちゃっていて、家でゲームをやっているのよ、学校は行けないけれどもと。そのためにわざわざまた仕事を休んで病院に行くというのも何とかならないものかねという話も出てくるわけです。

 こういうことを言い出したら切りがありませんが、実は、その中で、やはりもう少し改善できる点があるんじゃないかというところを、最後に大臣に御提言申し上げたいなというところです。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、まず、インフルエンザによる出席停止の取り扱いについての認識を事実確認させていただきたいと思うんです。根拠法は学校保健安全法。学校保健安全法に基づいて、学校長の判断によって出席停止にすることができるということ。加えて、インフルエンザの場合であれば、出席停止の期間は発症後の五日間と解熱後の二日ということになっているというふうに理解をしておりますが、事実関係、まずそれでよろしいでしょうか。

小松(親)政府参考人 そのとおりでございます。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 発症後五日、解熱後二日というふうになっているわけです。問題は、では、発症後五日、解熱後二日たってから、出席停止なのを、どうやって学校に行くかという、ここからが問題です。

 ちなみに、今からもう七年ほど前になりますが、新型インフルエンザが大流行した時期がありました。その時期にもこれは一旦問題になったんだと思いますが、そのときの事務連絡が今手元にありまして、ちょっとそれを読ませていただきます。

 部分的に読ませていただきますが、これは文科省から出ているものですね。「厚生労働省事務連絡においては、「地域の事業者等に対し、インフルエンザの軽症患者であれば、解熱後二日を経過すれば外出の自粛を終了することが可能であると考えられており、」ここからですが、「従事者等の再出勤に先立って医療機関を受診させ治癒証明書を取得させる意義はないことについて、周知する」ということがあって、その後段のところで児童について触れられています。「ついては、これを踏まえ、学校保健安全法」「の規定に基づく児童生徒等の出席停止を行った場合などでも再出席に先立って治癒証明書を取得させる意義はないと考えられますので、適切に対応くださるようお願いします。」と。

 要は、治癒証明書は要らないから、ちゃんと皆さんに周知徹底してくださいね、新型インフルのときはこういう形でやられているわけです。

 では、季節性の、今回も含めたインフルエンザについてということで、一点、これをまず文科省の方にお伺いをしますが、出席停止を解いて学校に行くということに際して、医師の診断は不可欠でしょうか。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 出席停止の状態を解除するときには、医師の診断書を義務づけているものではございません。

神山(洋)分科員 だから、医師の診断は要らないんですよね。法律上は、発症後五日、解熱後二日というこの条件は当然ありますけれども、法律的な規定の中で、医師の診断を受けて、もしくはお医者さんがいいよと言ったら学校に行っていいですよというものではないということでよろしいかと思うんです。

 同じ質問を、これは厚労省さんの方にも確認をさせていただきたいんですが、聞きたいことは同じなんです。もちろん、厚生労働省の観点からすれば、感染症対策というバックボーンも踏まえた中での御判断だろうかと思いますが、厚労省さんの方の御見解はいかがでしょうか。

樽見政府参考人 インフルエンザにつきましては、熱やせきなどの症状がおさまった後もウイルスは一定期間排出するということになっているわけでございまして、そういう、感染の拡大を防止する観点から、インフルエンザの症状が軽快してからも一定期間は外出を控えるなど、拡大予防策に努めることが望ましい。それが学校保健安全法での発症後五日かつ解熱後二日ということになっているということでございますので、元気であるということについて、何かお医者さんに証明してもらわないと元気であるということでは必ずしもないということだろうというふうに思っております。

神山(洋)分科員 もう一回念のため確認ですが、学校に行くことを再開するに当たって医師の判断が必須であるというふうには、医学的にも考えていないという理解でよろしいですか。

樽見政府参考人 それは、おっしゃるとおりでございます。

 ただ、まさに学校などの集団生活という観点から申し上げますと、元気だといって来ちゃうお子さんなんかがいるかもしれない。例えば、そういうことについてのほかのお子さん、あるいは親御さん方の御心配というものもあるということがあるとすれば、そういうことを防ぐという観点から、医療機関を再度受診して、インフルエンザが治癒したかどうかの診断を受けて来るということも有用なことではあろうかなというふうには思っております。

神山(洋)分科員 もちろん、有用なことではあろうかと思いますが、マストではないということで理解をさせていただきました。

 もう一点、ちょっと厚労省さんの方、若干これはそこも含めた、別の観点も含めての確認になるんですが、インフルエンザについて、治ったとか治らないという、その表現は一般的にはよくされます。これは、医師の判断によって合理的、客観的に、あなたはインフルエンザが治りました、いやいや、まだあなたはインフルエンザですということを判断するということはそもそも可能でしょうか。

樽見政府参考人 それはウイルスがあるということでインフルエンザの診断ができるわけでありまして、その急性症状がおさまって一定期間たって、感染の拡大、ウイルスを排出するという可能性がない、いわば、そういうことの症状がおさまってそういう状態になっているということについての医療的な判断というものはあろうというふうに思っております。

神山(洋)分科員 ただ、一般的には、今行われている、インフルエンザがそろそろよくなってきたなといって病院に行っているときは、大体お医者さんから問診があって、児童が答える場合もあるでしょうけれども、大体の場合は保護者が、何日ぐらいに熱がこういうふうに下がって、食欲はどうですか、こうです、熱はどうですか、何日ぐらい前からありません、そうですかといって、聴診器を当てたり若干のことがあって、では、もうこれでいいでしょうねというのが実態だと思うんですよ。その児童の、これは血液検査をするのか何の検査をするのかわかりませんけれども、ウイルス数が幾つから幾つに下がったからあなたはどうですということまでは、実態としてやられていませんね。

 そういう意味でいうと、確かにこれは、いろいろ意図的にその数字とか日付をずらすという、リスクとは言えないですが、可能性というものはあるのかもしれませんが、やはりそれは信頼ベースのことに基づいてやれば、そうそう変なことは起きないんじゃないのかなというふうにも思っています。

 そして、ここからが、ようやくではありますが、本論でございます。

 大臣、お手元にお配りをしているんですが、資料を一、二、三と、三枚配っております。これは、ネット検索をすれば幾らでも実は出てくるんですが、インフルエンザになった子供が出席停止になっていて、ついては、では、治ったから、もしくは、その五日とか二日という要件を満たしたので学校に行こうとする際に学校に提出をする書類です。もう本当に幾らでも出てくるということは、各校それぞれが独自につくっているのが、登校許可証という名前だったり、出席停止解除願という名前だったりというふうになるわけです。

 これは、三枚、きょうサンプルで大臣にお示しをしたのを、少しずつ確認をさせていただきたいんです。

 まず、この資料一です。

 ポイントは、真ん中のあたりに、医療機関名、医師名というアンダーラインの部分があって、お医者さんの判こをつく部分があります。

 つまりは、これは、治った暁には、その治ったと思われる子供を保護者の方が病院に連れていって、それでお医者さんにこれに書いてもらって、サインをしてもらって、翌朝、これを持って学校に行くというために使われている。

 つまりは、最初にインフルエンザの診断を受けるときは当然病院に行っていますし、治りましたよという証明を病院でもらってきてくださいということを意味している。二回病院に行かなきゃいけないということになります。

 続いて、次の資料二です。

 資料二は、これは一見しておわかりいただけるように、病院のお医者さんが判こをつく欄はありません。保護者の印は右下のところに、一枚目と同様にあります。上の方の文章を見ると、何月何日に医師の診断を受けました、その後に、何月何日まで欠席をさせていましたが医師の登校の許可が出ましたので御連絡をしますと。

 要は、これも、実態としては治ったということを確認するために病院に行ってくださいねと。ただ、お医者さんのサインとか判こまでもらう必要はありません、それは保護者の方がサインして持ってきてくださいと。お医者さんのサインは要らないけれども、実態としては、これは二回病院に行ってくださいという話だと思います。

 続いて、三枚目です。

 これは、わかりやすくするように、本当は空欄のものと記入例のものとあるんですけれども、記入例の方をちょっとお借りしてまいりました。

 上の方からいろいろ書いてありますが、二のところ。症状が出たのが一月の二十三日の夕方です、こういう症状がありました。それで、三番。その翌日、一月の二十四日の朝に病院に行ったらというところで、「医師からの指示事項」というところに内容が書いてあります。インフルエンザのA型ですと。その下に、発症した後五日を経過し、熱が下がって二日経過したら登校可能であるというふうにお医者さんが書いてくれました。イナビルを処方したので、きちんと吸入をして安静にしてくださいねと。その下のところに、これは一月二十四日の時点で書いてもらっているわけですが、一月の二十九日、つまりは五日後から登校が可能であると指示をされましたと。それで、サインはお医者さんのものはなくて、保護者の方のサインが右下にあるということです。

 つまりはこれは、最初のインフルエンザの診断を受けた一回の診療でよくて、二回目、治りましたということの確認でお医者さんに行かなくても別にいいですよということになります。

 非常にばらばらなんですよ。先ほど前段で確認をさせていただきましたとおり、法律上は、そこの最後の、お医者さんの治りました証明がマストですということにはなっていませんが、現実として、学校の現場では、これが非常にばらばらな形で行われている。

 いっぱい検索するといっぱい出てきて、それぞれ見ていたんですけれども、本当にいろいろあります。パーセントまでわかりませんが、サンプリングすると、最後の資料三番のような、一回でいいですというのは少ない気がします。一と二の形がやはり多いような気がいたします。

 事実、私の娘が云々という話も前段しましたが、娘の場合も二回、治りましたという確認に病院に行って、うちの場合は、保健手帳にお医者さんにサインして判こを押してもらうというスタイルでしたけれども、それを持って翌朝学校に行くという形でした。

 まず、こういう実態があるということを、文部科学省さんとしてはどの程度把握をされているかということを確認させていただけますでしょうか。

小松(親)政府参考人 出席停止をどのように行うか、あるいは解除するかということは、各学校長の個別の裁量になりますので、御指摘のように、各学校ごとにそれぞれの様式が定められているというふうに認識をいたしております。

 これを私どもの方で、例えば幾つかに機械的に分類をしてパーセンテージを調べるとか、そういった作業は行っておりませんので、御指摘のようにさまざまなものがあると考えておりまして、これ自身は、学校においてこれを定めます際に、学校としての意思、あるいはその地域や保護者の方々、そういったものの意向等もよく聞きながら定めていく必要があるものというふうに私ども認識しているところです。

神山(洋)分科員 個別の裁量であるというところは、まあわからなくはない。いや、でも、わからないですね。

 確かに、教育現場において、いろいろな意味での自主性、自律性というものが重要であるということは、私は前提として非常に大事だと思っております。

 ただし、インフルエンザになったことを踏まえて、学校に行くべきか行かざるべきか、または出席停止を解除する、むしろ教育を受ける権利からしたらいい方向に向かう部分について、そこに自主性が云々ということをかませる必要がどこまであるのかなと。

 何も、文科省の方から、こうじゃなきゃだめですという形で激烈に縛るべきだということを申し上げているわけではありません。しかし、教育現場をさまざまな形でバックアップする、場合によってはその保護者の方々も含めてバックアップをしていくということはやはりベースにあるべきであろうとしたときに、病院に二回行かなきゃいけないか、一回でいいかというところは、たかだか一回だと思われるかもしれませんが、しかし、個々の、インフルエンザになった息子さん、娘さん、お子さんを抱える保護者の立場からしてみたら、非常にこれは大きな、負荷とは言えませんが、やはり仕事になるわけです。本当に必要があるのであれば、それはやるべきだと思うんです。でも、なくていいんだというふうに言っているのであれば、なくていい方向にきちんと持っていくということは、私はあってしかるべきじゃないかなと思うわけです。

 折しも、子育てを応援しなきゃいけないということは、これはもう言わずもがなの大きな方向性、大命題になっているわけです。たかだかインフルエンザになったときの病院一回じゃないかという言い方もできるかもしれませんが、そのたかだか一回が積み重なって、日本全体でどれほどの数の方々が、仕事を休まざるを得なくなったり、いろいろな意味での負荷を抱えなければならないのか。

 子供の教育のために本当にかけなければならない負荷であれば、それはきちんと親として受けとめるべきだと思うんです。しかし、そうでないのであれば、それは単なるコストにしかならない可能性すら秘めているのではないか、私はそう考えているわけです。

 大臣にちょっと、あと幾つかお伺いをしたいんですが、調査をまずはするべきじゃないかと思います。もっと言えば、結論から申し上げれば、これは一回の方向でいいんじゃないかというふうに素朴に思います。全国の働く保護者の方々を応援するという意味においても、こういう形で、一回でいいんですよということを最低限もう一度きちんと通知するべきだと思いますし、それによって、今まで二回だったのが一回になったということは、そういう意味では子供を育てていく環境を大いにプッシュすることになると私は考えているわけですが、大臣、どんな御見解をお持ちでしょうか。

馳国務大臣 私、こう見えて、意外と慎重な性格、行動様式を持っておりまして、もし私が本当に校長という立場であるならば、自分の責任において、自分の学校の児童生徒を守るという観点、また学校教育法にも安全配慮義務というのもありますから、インフルエンザに対しては五日間お休みが必要ですよ、出席停止措置。しかし、お子さんによってはウイルスが体内に残っていて、実は、六日目に来たけれども、残念ながら十分に治り切っていなくてうつしてしまったと。

 学校には子供たちがたくさんおりますが、子供たちが下校したら、地域のいろいろなところに出入りをするものでありまして、そうしたときに学校がインフルエンザの感染源となってしまった場合に、管理者である学校長からすれば大変な負担を負うことになるわけでありますから、念には念を入れて、学校長が、単独じゃありませんよ、保護者の皆さんとも教職員とも学校医とも、こういう場合にどうしたらいいだろうかという合意を求める作業がやはり私は必要だと思います。

 念には念を入れて、また、保護者からも、何で確認しないで登校させたんですかと言われた場合に、また言いわけしなければいけなくなるというのも御理解いただけると思います。ちゃんとお医者さんに受診させてから登校させなさいよと言う保護者がいないとも限りませんので、ここはやはり、一律に文科省として、こうした方が、こうすべきとかいう通知を出すよりも、こういう理念に基づいて、学校長が責任のある立場で、合意を得た上で確認作業をとるということが必要だと思います。その確認作業の一つの表出がこの解除願の書類の様式にあらわれているんだろうと思います。

 私は、どれがいい悪いとは全く言いません。けれども、それぞれの校長が、やはり、保護者や教職員や学校医、また専門的な、教育委員会からの指導なども踏まえて、こういった願を作成しておられるんだなと。この一つ一つの書類を作成することも学校長が責任を負うことの証明でありますから、そういったことについて、裁量権のある学校長を乗り越えて、私の方から実態調査をしますとかいうことは言えません。

 むしろ、実態について、まさしく、毎年のように学校で管理をしておられる学校長の皆さん方、その情報を集約しておられる教育委員会の皆さん、いわゆる基礎自治体は教育委員会が必ずあるわけでありますから、そこから上がってくる情報に適切に対処しておられる教育委員会の皆さん方、また、その状況は議会においてもチェックされているわけでありますから、ここで十分に子供たちの安全配慮義務、子供たちの安全を守るための対応がなされているというふうに私は思っております。

神山(洋)分科員 非常によくわかります。私は実は地元でPTAの役員もやっておりまして、そういう意味でいうと、校長先生がどういうことを考えるだろうかとか、そこにどういうことが、保護者の方々からいろいろな御意見があるだろうかということは想像つきますよ。想像つくんですが、今、大臣がおっしゃった、個人差のことを考えれば、例えばウイルスが体内に残っている場合があり得る、恐らくそうだと思うんです。

 ただし、それは現状においても、先ほど厚労省の方にも確認をさせていただきましたが、ウイルスが体内に残っている可能性を医師の診断によってどこまで排除することができているかといえば、抑止の効果はゼロだとは申し上げません、ただし、それを、客観的、合理的な数字も含めた診断を行っているかといえば、ノーだと思うんです。

 それは、結局、今、大臣おっしゃっていただいたように、保護者の方々であり、学校長を含めた学校側であり、場合によっては教育委員会等も含めた中での地域の独自性ということの尊重を考えるのであれば、そこの中で合意をするというプロセスの中で、最終的にそれでもやはりお医者さんの判断が欲しいんだというところもあるかもしれませんし、いやいや、それは要らないんだったら、じゃ、やめた方がいいじゃんというところもあろうかと思うんです。

 少なくとも、そういう意味での現場で話をしている中で、私の周りはですけれども、だって、お医者さんに確認しないと学校に行っちゃいけないんでしょうとみんな思っているわけですよ。法律上それがマストでないということをわかっていながら、でも、小田原市は私たちがそうしたいからやっているんだとか、何々市はお医者さんの判断があった方がいいと思っているから、こういうふうに二回病院に行くようにしているんだというふうに考えてそれぞれの方式を決めているかというと、違うんじゃないかなという懸念を私は強く持つわけです。

 もちろん、おっしゃったように、上から、文科省の指示で、もうそんなものは一回でいいんだから一回にしろ、ばんとやる、それは無理なのはわかりますよ。ですし、いろいろなそういう地域性もあるでしょうから、いろいろな、ちょっと時間がかかるようなプロセスも必要だと思います。

 ただ、新型インフルエンザの際には、少なくとも、「治癒証明書を取得させる意義はないと考えられます」ということまで明確に言い切って、それぞれを全国に通知しているという事実もあったのだとすれば、それは、今回を含めた季節性インフルエンザにも一定程度は少なくとも準用できるんじゃないかというふうに考えるんですが、大臣、少し御検討いただけますか。今結論を下さいとは申し上げません。

馳国務大臣 PTAの役員を務めておられる委員も、ぜひ、国会でこういう議論をしたということを次のPTAの役員会でお示しいただいて、皆さんはどう思いますか、校長はどう思いますかというふうに議論していただくことも、私は非常に教育的な価値があると思います。

 私は、厚生労働省の方の判断というものももちろん十分に承知しておりますし、同時に、これは私も教員として現場におった立場からいえば、想像を絶する指摘をしてくる保護者がたくさんおられます。そういう方々にある程度クッションを持ちながら対応するのが、やはり学校の管理者の責任であります。法律に書いてあるんだから何言っているんですか、お父さんとは言えないんですね。

 そういうことを考えると、今、神山委員もおっしゃったように、合意を得ながらこういった書式についても整えられていくプロセスも教育活動であるというふうに私は申し上げたいと思います。

 また、検討しろということでありますから、この議論も、まさしく私ども文部科学省においても、これは学校保健課や初中局における課題でありますので、今後のためにも検討課題とさせていただきます。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 大臣のその前向きな御発言を大変うれしく思います。

 その結果、地域地域で、まずは、お医者さんに行かないと学校に行っちゃいけないのだということが必ずしも法律上決まっているわけではないのだということを知るということからスタートじゃないかなと思います。その上でもそれが必要なのだということは、それはやはり尊重すべきでしょう。ですし、そうだったの、じゃ、要らないんじゃないのということで、結果違う形になるのであれば、それもまた地域の自主性であり地域の判断だと思いますので、ぜひ、そのための材料の提供等々も含めた御対応を御検討いただければなということでお願いをいたします。どうもありがとうございます。

 まだ少し時間がありますので、少し周辺の話もさせていただきたいと思います。

 きょう、厚労省さんにも来ていただいているわけですが、学校における感染症、インフルエンザという観点で話をさせていただきました。ただ、これから東京オリンピック等も考えたときに、テロ対策等云々という中で、パンデミックということもあるでしょうし、場合によってはバイオテロということにも関係があるでしょうし、そういったことに対してのどういう行動様式が必要であるかということも、私は大事な論点ではないかなというふうに思っています。

 今のこの感染症、きょう一連の議論の中でも、インフルエンザという感染症になったかもしれないと思った瞬間に、本来は、感染症対策の原則からすれば、隔離といいますか、余り移動しないということが原則であるにもかかわらず、病院に行くことをいろいろな観点から強いているという側面がゼロではないというふうに思うわけです。一方で、本来あるべきことを考えれば、感染症になった際、もしくは疑われた際には、なるべく移動しないということが原則ではないかというふうに思います。

 では、この今のインフルエンザの対応も含めたときに、こういう形で、インフルエンザのときはすぐに病院へ行くことが原則になっているからということでやるのではなくて、やはり、総合的なことを考えれば、なるべく家にいるんだ、いても大丈夫なんだというスタイルで何らかの対応ができるような方策を考えてもいいんじゃないですか。例えばインフルエンザについて、家で検査できます、場合によっては市販薬で大丈夫かもしれませんということが多少できれば、感染症の拡大を防ぐという行動様式の一つの礎になると思うんですが、最後に、この点、いかがでしょうか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃいますように、インフルエンザの感染の拡大を防ぐということでいいますと、患者の方はできるだけ外出しないで安静にしていただくというのが感染の機会を減らすということになるわけでございます。

 ただ、熱が出た、インフルエンザかもしれないというときに、また周りにインフルエンザがはやっているといっても、熱が出た、これがインフルエンザじゃなくて別の重篤な疾患である可能性もございます。それから、特にインフルエンザの場合には、早期に抗インフルエンザ薬を投与することによって重症化を予防するということが可能でございます。

 ですので、うちで売薬を飲んでというよりは、やはり、インフルエンザが疑われるような場合には、医療機関を受診して、医師の診断のもとに適切な処置を行っていただくということが重要だというふうに考えております。

 ただ、いずれにしても、そのときにも、せきやくしゃみなどで周りの方へうつさないということは重要でございますので、例えばマスクを着用して医療機関を受診するといったようなことについて啓発を行っているところでございますし、ポスターで、「マメに手洗い マメにマスク」というのをごらんになったことがあるかもしれませんけれども、そういうことを含めて、これからも病気についての知識の普及ということについては努力をしてまいりたいというふうに考えております。

神山(洋)分科員 ありがとうございました。

 大臣、よろしくお願いします。

 以上で終わります。

石原主査 これにて神山洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島昭久君。

長島(昭)分科員 民主党の長島昭久です。

 大臣におかれましては、長時間御苦労さまです。午前中最後の質疑でございますので、しっかり御答弁いただければと思います。

 きょうは、給付型の奨学金について大臣と議論をさせていただきたい、こういうふうに思っています。

 今、私の手元に、ことしの一月三日付の東京新聞の記事があるんですけれども、この記事、タイトルは、「学ぶ代償「借金」一千万円」「社会に出る時 返還二十年の負担」。これは「新貧乏物語」という衝撃的なタイトルのシリーズの第一回目、「悲しき奨学金」、こういうサブタイトルがついています。

 中部地方の私立大学の経営学部三年生の佐藤寛太さんという方が、「あすのば」という、もう御案内の方もおられると思いますが、子供の貧困の問題に精力的に取り組んでいるNPOの学生のメンバーの一人として、このNPOは、学生が理事をやっているという非常にユニークなといいますか、やむにやまれぬ、奨学金の問題を含めて、子供たちの六人に一人が貧困の状態に置かれているというこの現状を何とか打開したいということで、師走の街頭に出て、給付型の奨学金を何とか国が公的に導入してほしい、そういう街頭活動をしている。そのことを報じているんですが、佐藤さんは、このままいくと、大学卒業時に最大で一千四十四万円の借金を背負い込むことになる。彼は、年率三%の上限利子がつく、つまり有利子の奨学金を受けている、こういうことであります。

 お父様を三歳のときに病気で亡くされて、お母様も、大病をなさって大手術をされた、そういう中で、パートの保育士として働きながら三人の兄弟を育ててこられた。佐藤さんというのはその末っ子であります。約九万円の月収を児童扶養手当や祖父母からの支援で何とかしのいで、ぎりぎり暮らしてこられた。

 したがって、佐藤さんも、自分も早く手に職をつけたい、つけるべきだということで、高校は工業科か商業科に進もうか、そう考えたそうです。大学なんかもう無理だというふうに思っていたそうですが、お母さんが、何とか大学まで行って、普通科で頑張ってほしいと。お母さんがこう言ったというんですね、将来のお給料が違ってくるからと。

 これは、高卒の若者と大卒の若者との間で生涯賃金が六千万違う、こういう統計結果もあります。お母さんとしては何とか大学へ行ってほしいということで、何とか励まされて四年間大学に行くことになったわけですけれども、学費が四年間で三百五十八万円、教科書代や定期代などが家計にのしかかってくる。佐藤さんは、自分もハンバーガー店でアルバイト、時給が八百三十円。しかも、このアルバイト代の半分は家計に渡している。そうしなければ進学ができない、そういう若者がいるんだということを何とかみんなに知ってほしいということで、やむにやまれぬ思いで街頭に立たれたということであります。

 彼のコメントが出ている。将来、一千万円の借金がある自分を企業の面接担当者はどう見るだろうか、結婚してくれる女性は本当にいるだろうか。こういう本当に切実な思いで、有利子の奨学金を受けながら、そして将来の返済、返還を心配しながら今大学に通っている、こういうことであります。

 本人の努力以前に、家庭の経済状況で大学の進学率も変わってくる。今、大体五割ぐらいが日本の大学進学率でありますが、一人親家庭は、これが二四%まで落ちる、それから低くなる。さらには、児童養護施設になると、これのさらに半分、一一・数%まで落ちる。こういうことで、やはり所得の格差が学歴の格差、学歴の格差が生涯所得の格差、結局、格差の再生産が起こっているじゃないか、こういう、今まさに世の中でも、また政府でも、子供の貧困の連鎖ということに対する認識というものが高まっている。これは大臣も御案内のとおりであります。

 国際比較がここにあるんですけれども、日本の場合は、貧困ということについて言えば、教育費に係る家計の負担が諸外国に比べて極めて高い。逆に言うと、教育への公財政支出がGDP比で日本は三・八%、こう言われております。OECD、先進国の平均が五・八%ですから、二ポイントも日本の場合は低い、こういう状況にあるわけです。そういう中で、全国の学生さんの二人に一人は、有利子、無利子、いろいろありますけれども、奨学金を受けている、こういう御時世でございます。

 したがって、今の佐藤君のように、借金の返済ということが先に立って、やはり自分は大学に行くのはやめておこう、親になかなか言い出せない、そして結局、大学に行くことを断念してしまう、こういう事例が今全国に広がっている、こういう状況であります。

 そこで、大臣にまず端的にお答えをいただきたいと思っていますが、こういう返済の心配の要らない給付型の奨学金は今公的に存在するかどうか、まず一言でお答えいただきたいと思います。

馳国務大臣 現在は、最初から返済しなくてもよいという給付型の奨学金はない、こういうふうに認識しております。

長島(昭)分科員 その上で、今ある奨学金というのは貸与型、貸し付けですね。貸し付けの奨学金は、今統計では、三分の二が有利子、そして三分の一が無利子、こういうふうになっているわけですけれども、考えてみれば、奨学金というのは給付がまず基本ですね。もし利子つきで貸し付けるとすれば、これは、別の言い方をすれば学生ローンのようなものですね。

 大臣は、この奨学金というもの、今、公的には全て、日本学生機構を通じた全てが貸し付け型の、貸与型の奨学金にとどまっていること、この現実についてどのようにお受けとめになっておられますか。

馳国務大臣 もちろん、免除制度や減免制度があるということは御承知の上でお尋ねだと思いますが、これは、日本学生支援機構としても、返していただいたお金でまた次に新たな学生に対して支援をしていこう、それも有利子から無利子を拡充していこうというふうな方針を示しておりますので、今後の国民からの期待も含めると、やはり事業として、この貸与型というのは私は当然必要な制度だ、こういうふうな認識は持っております。

長島(昭)分科員 きょうは、内閣府の子供の貧困担当の局長にも来ていただいております。

 子供の貧困対策、今、鋭意政府で進めていただいていると思いますが、私どももせんだって超党派の議員連盟を立ち上げたところでありますけれども、この対策の大綱を策定する過程で、有識者や学生団体、いろいろなNPOからヒアリングをされている、あるいはパブリックコメントを受けているというふうに思いますが、そのときに給付型奨学金を求める声が非常に高かった、しかし最終的に大綱には盛り込まれずに終わった、このように仄聞しております。

 そのときの、給付型の奨学金を何とか導入してほしい、創設してほしい、そういう声、どんな声が寄せられていたかということを国民の皆さんにぜひ御披露いただけますでしょうか。

中島政府参考人 委員には、子供の貧困に係る超党派の議連の呼びかけ人の一人になっていただきまして、ありがとうございます。今後、御指導いただければと思っております。

 御質問の件でございます。子供の貧困対策大綱につきましては、策定に当たりまして、有識者等から成る検討会というものを置いて、そこで御意見を整理させていただき、それをもとに大綱をつくらせていただいたということでございます。

 平成二十六年六月に意見の整理というものをまとめていただいたところでございますけれども、そこでは、御指摘の給付型奨学金に関しましては、給付型奨学金など各種の支援策の創設、拡充のため、財政的な基盤を整えていくことが重要だという形で意見の整理がなされているところでございます。

 また、子供の貧困対策大綱につきましては、同じ平成二十六年の六月に広くパブリックコメントを実施させていただきました。計四百七通の御意見をいただきましたけれども、その中には、給付型奨学金を創設してほしいという御意見も寄せられたところでございます。

長島(昭)分科員 今、財政基盤のお話がございました。きょうは岡田副大臣にもお見えいただいているんですが、その岡田副大臣に財務省の立場から伺う前に、もう一度、これは大臣でも結構ですし局長でも結構なんですが、もちろん給付型奨学金は極めて大事だと思っています、きょうはそのことをぜひ大臣に前向きな御答弁をいただきたいと思って質問しているんです。

 さっきちょっと大臣も授業料の減免の話に触れられましたけれども、学びたいと思っている学生の立場からすると、給付型の奨学金以外にもいろいろな制度が、例えば、返還の柔軟性を確保するとか、さっき大臣がお触れになった授業料の減免制度とか、大学院に行くと、業績によってもう奨学金は返還しなくてもいいよ、そういう仕組みがあると私も認識しておりますけれども、学生の立場に立ってどういう支援が今あるのか、その相互の関係性というのはどういうふうになっているのか。

 つまり、奨学金をとってあるいは授業料の減免も受けることができるのかどうかということも含めて、特に、きょうのテーマは子供の貧困の問題を中心に扱っておりますので、所得の低い世帯に対して、そして学ぶ意欲がある学生さんに対して、国がどういう支援のメニューを持っているかということをわかりやすく御説明いただけますか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 学生の経済的負担軽減策といたしましては、今委員から御指摘がございましたように、一つは、各大学が実施する授業料減免制度がございます。

 この大学の授業料等の減免制度でございますけれども、国立、私立大学において家計の状況等に応じた授業料減免を促すという観点から、国としても、大学に対する予算上の支援を年々充実しているというところでございます。

 また、今の授業料減免制度はまさに学費を減免するという仕組みでございますけれども、学費に加えまして、生活費も含めた学生の教育費負担軽減策という観点からは、大学等奨学金事業を実施しております。

 この事業につきましては、先ほど大臣からもお答え申し上げましたけれども、貸与型の事業ということでございます。その中で、有利子から無利子への流れを加速するという観点での無利子奨学金の拡充というものを進めているということがございます。

 そしてさらに、その貸与型の奨学金の返還ということがございますので、その点については、経済的に返還が困難な方に対して、従来から、毎月の返還額の減額であるとかあるいは返還期限の猶予、こういう対応を行ってきておりますし、また、より柔軟な所得連動返還型の奨学金の導入に向けまして、現在、有識者会議で検討し、制度設計を進めているというような状況でございます。

長島(昭)分科員 今るる御説明がありました、こういう多様な支援メニューがあってもなお、給付型の奨学金制度というものについて、大臣はかねてからかなり積極的な御発言もされておりますけれども、改めて、こういういろいろな多様な支援メニューが現在もあり、さらに有利子から無利子への流れもつくり、あるいは返還の柔軟性というものも確保する、そういうトレンドにはなっていますけれども、それでもなお給付型の奨学金というものが必要だというその意義について、大臣はどのような認識を持っておられるか。

馳国務大臣 学生の話をしておりますけれども、大体中学生ぐらいになると、自分がその能力において、大学に進学をしたら経済的な負担がどうなるのかということについて、当然理解をし始める時代なんですよ。いわゆる十四歳の自立というふうな教育的な効果も御存じだと思いますけれども、自分が社会に出て自立するに当たってどれだけお金がかかるのか、それは誰が負担をしてくれるのか、そういうことも含めて、自分も社会に貢献できる、そういう人材になりたいなと。これは、キャリア教育の、中学校教育においても重要な一つの理念であります。

 そうすると、例えば、児童養護施設に在籍していて、そこから中学校に通っている子供、残念ながら一人親のお子さん、また、五人、七人と多子世帯のお子さんは、将来のキャリアパスを考えた場合に、自分が大学に行けるか行けないか、行くとしたらどれだけ親に負担をかけるのか、行くとしたら奨学金でどれだけ自分が大学時代に支援を受けなければいけないのかということについては、ぼんやりとながらも、そして提供する情報があれば十分に理解をすることができて、その段階で諦めてしまうことになります。これが、児童養護施設からの高等教育、大学等への進学率がわずか二三%という実態にあらわれていると思います。

 この現実を我々は看過していいのかどうかというのが、そもそもの私の、給付型奨学金制度については十分検討すべきであるし、限定的でもやはり導入される必要があるのではないか。これは、一億総活躍社会という安倍政権の方針においても、やはり貧困の連鎖を生まないように、あるいは置かれている状況において高等教育を受ける機会を奪われないように、そのチャンス、挑戦するチャンスを与えることもやはり必要なのではないか、こういう問題意識からの私のこれまでの発言であります。

長島(昭)分科員 本当に大臣、私も全く、大臣の問題意識を共有させていただいております。本当にいい御答弁をいただいたと思います。

 岡田副大臣、今の御答弁も聞いていただいたと思いますが、先ほど財政基盤の話がありましたけれども、結局、財務省がその気になってもらわないと給付型の奨学金を創設することはできません。副大臣なりに、政治家岡田直樹さんとして、この給付型の奨学金の創設について、その意義について、どういうふうな御認識を持っておられますか。

岡田副大臣 給付型の奨学金につきましては、長島先生が先ほど御指摘になりましたとおり、大学を卒業いたしますと生涯賃金が高まる、そうした方からの返済も不要というのが給付型であると存じますけれども、そうした場合、どうしても大学に行かなかった方との間の不公平感というものが出てくるのではないかというふうに思っております。大学でもし給付型を受ける場合に、その負担というものは、大学に行かなかった、高等学校ですぐに就職をして稼いでいかれる方々も税としてそれを負担することになるわけでございまして、この点についてはなかなか困難であろうというふうに思っております。

 種々の減免制度あるいは無利子奨学金の拡大、こうした件については、委員よくよく御存じのとおりであろうと思いますし、現在、四十七万人に支給されている無利子奨学金は、二十年返済であり、その返済負担も相当軽減されております上に、卒業後の所得が三百万円以下の場合には返還が無期限で猶予をされる。これは既に相当の負担軽減策が図られていると考えておりまして、事実上の給付措置に近い形の制度になってきているというふうに思っております。

 また、これらの無利子奨学金の対象者は平成二十八年度予算でも拡充をしてきている、そういう経緯もございますので、財政当局としては、給付型というのはなかなか困難ではないか、このように思う次第でございます。

長島(昭)分科員 不公平感の話をされました、大学に行く人、行かない人がいると。行かない方のことについて言及がありましたけれども、これは、先ほど大臣の御答弁にあったように、将来を見通した結果として、本当は行きたいけれども行けない、こういう現象が見られるわけですよね。

 そういう意味においては、やはり、行きやすい、学びやすい、大学に進学しやすい。経済的な負担が原因となって大学に行くのを諦める、そういう状況を少しでも少なくしていくというのが国の責任だと私は思いますし、やはり、高等教育というのは、これだけ高度情報化社会になり、これから知的集約型の産業構造に日本も転換していく中で、高等教育というものを受けるか受けないかというのは、これは個人の問題というよりは、むしろ国家の将来がかかった問題だ、私はそういう認識をしていただきたいと思います。

 きょう、国会図書館で調べていただいたOECDの四分類、日本の場合は学費も高い上に支援も低い。この四つの分類、学費が安くて支援が高い、学費が高くて支援が高い、学費が高くて支援が低い、学費が安くて支援が低い。そういう四つの分類の中から、ある意味でいうと最も劣悪な環境に置かれているのが日本と韓国とチリだ。こういう非常に不名誉な分類、OECD、先進諸国の中で、日本とチリと韓国だけ。

 しかも、韓国の場合は、もう既に給付型の奨学金を生活保護受給者の世帯から始めている、こういうことでありまして、ここからだんだん抜け出そうとしている。他の国が実施できるのに、日本が実施できないという道理はない、こういうふうに私は思うんですね。

 実際、文科大臣、私ども民主党が政権を担わせていただいた時代に、実は概算要求を一回、給付型の奨学金でしています。これが百四十億円、概算要求をさせていただいておりますが、このときにどういう制度設計をされたのか、御答弁いただきたいと思います。

常盤政府参考人 平成二十四年度の概算要求の御指摘かと思います。その際には、対象人員約二万人、初年度事業費として約百四十三億円を給付型の奨学金事業として概算要求をしたということでございます。

 その対象者の考え方でございますけれども、平成二十四年度の無利子奨学金の採用者のうち経済的に困窮する世帯の学生、これは家計支持者の年収三百万円以下で成績が優秀な者、大学一年生の場合には、高校における評定平均値四・三以上、これを想定して概算要求をしたというふうに承知をしてございます。

長島(昭)分科員 これは、日本の国の将来を背負う若者をどう日本の国として育てていくかという、私は国の意思を示すものの一つだというふうに思っているんです。文科大臣、ぜひもう一回トライしてくださいよ。ことしの概算要求から、きちっとこの点、ぜひ取り組んでいただきたい。

 そこで、私、きょうは一つ提案を。

 先ほど児童養護施設のお話を大臣にしていただきましたが、世田谷区が、もうこれは国に任せておいてはだめだということで、独自の取り組みを始められましたね。御存じですか。

 区内の児童養護施設を退所した若者、あるいは里親が養育した若者、ただし親族からの支援を受けられない場合に限ってということでありますが、進学を支援するために給付型の奨学金制度を導入する。一人当たり年間最大三十六万円、決して十分だとは思いませんけれども、しかし、そこから始めようと、五千万円の基金をつくって、大体年間二十名程度の利用を見込んで、区民や区内の企業から寄附金を募って、大学、短大、専門学校、この授業料に充てる。こういうことであります。

 区長の話によると、親の虐待や経済的な理由から児童養護施設で育った子供には進学の上で大きなハードルがあるんだ、まずそこから手を差し伸べていこうじゃないかと。

 私、実は地元に至誠学園という、明治四十五年に創設ですからもう百年以上続いている、児童養護施設の先駆けともいうべき施設があるんです。そこの高橋利一名誉学園長さんと先日お話をいたしまして、給付型奨学金の話をさせていただいたんですけれども、こうおっしゃっていました。

 世間では、学歴が全てではない、こういうふうに言われているけれども、施設にいる子供たちにとっては、学歴というのは、社会に出たときに非常に大きな武器になるんだ。過去の連鎖によるいろいろな問題というものを断ち切るためには、大学の卒業証書というのは決定的なんだ。大学を卒業すれば、施設出身者ではなく、○○大学の卒業生ということで就職活動に臨めるんだ。これは、高卒で施設から直接就職するのとは天地の差があるんだ。こういうお話を涙ながらにされていました。

 この発言も受けとめていただいて、どこから始めるかというのは、先ほど岡田副大臣もおっしゃっていましたけれども、不公平感を持たせないように、一体どこからこの給付型奨学金を始めていくかというのは、これは非常に大事なポイントだと思うんですね。

 その意味で、この世田谷区の取り組みというのは私は示唆に富んでいると思うんですが、大臣、いかがですか。

馳国務大臣 きょうの長島委員の御指摘をちょっとおさらいしながら、私も考えておりました。

 奨学金制度は、やはり借りたものは返す、これは一つのモラルでありますから、これは一つ押さえなければいけません。返還していただいたお金で次の学生が経済的支援を受けるという循環型であるということも御理解いただかなければいけません、これが二点目。三点目は、公的資金の使われ方ということを考えると、同世代の方々との公平性ということは、財政の健全化を目指す上で十分に配慮されなければいけませんというこの三点の、一つの原則を貫きながらも、我々安倍政権において一億総活躍社会と国民にお示しをしている観点からもいえば、世田谷区の、これは恐らく保坂区長らしいなと私も思って拝聴しておりました。

 私も、十六年前から、保坂さんと一緒に児童虐待防止法の議員立法や改正案に長年取り組んできておりました。あの法の適用は十八歳までであります。したがって、児童養護施設は十八歳になったら出ざるを得ない。そして、その出た後どうなるのか。残念ながら、ほとんどやはり家庭に戻ることはできませんし、保証人すら選ぶことも大変であります。

 その子供たちの社会的自立はどう支援すべきかということについて、とりわけ塩崎厚生労働大臣は、長年、議員連盟の会長などを通じて取り組んでこられ、里親制度であったり、十八歳、十九歳からと未成年の段階で児童養護施設を出た後にいかに自立をしていくかということについて、いろいろな政策を提言してこられたのが塩崎厚生労働大臣でもあります。

 まさしく、やむを得ないと言うと言葉の表現は悪いかもしれませんが、必要としている児童生徒に対して、給付型の奨学金制度が我が国にはあるんだ、この安心感を持って、例えば所得の低い御家庭でも、中学生ぐらいになっても、自分も頑張れば大学に進学ができるんだ、そして勉強できるんだ、自立していくことは可能なんだという希望を与えるということは、私は政治の一つの責任だと思っています。

 したがって、三要素は、より一層議論すべきなのは、財源はどうしましょうか。これは、税の公平性からも、財政の健全化の観点からも、財源はどうしましょうかという議論はより深める必要がありますし、ぜひ政府の税調でも議論してほしいと思います。これが一点目。

 二点目は、対象をどうするのか。今、児童養護施設のお子さんや一人親家庭や多子世帯、こういうふうに検討の材料に上がっておりますけれども、財政の公平性からいっても、どういう方が必要なのかという議論がある。

 そして最後は、給付のあり方であります。どういう給付の仕方をするのか。さあどうぞと言っても、もし万が一中退されてしまった場合にどういうふうな取り扱いをするのか、渡し切りにするのか、最終的な返還免除型にするのか。これはやはり議論しないと、公的資金の使われ方についてのモラルというものは必ずついて回りますから。

 こういう検討を踏まえた上で、やはり、貧困対策、教育の格差解消、こういった観点からも検討されるべきでありますし、導入に向けてやはり前向きに議論することが必要だ、私はそう思っています。

長島(昭)分科員 非常に詳細な御答弁をいただいて本当に感謝しておりますし、私どもも大臣の思いをぜひ後押ししていきたいと思っていますし、子供の貧困問題でも、おっしゃった十八歳の壁というのは本当に深刻だと思っていますので、ここもその壁をぶち破るように頑張りたいと思っています。

 岡田副大臣、ぜひ麻生大臣にきょうの議論を持ち帰って御報告いただきたいと思います。やはり、大臣のリーダーシップでこの給付型の奨学金、今、公的には日本としてはゼロですから、一人でもいいですよ、一円でもいいから、これに風穴をあけるということの意義は非常に大きいと思いますので、ぜひそこをお願い申し上げて、私からの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

石原主査 これにて長島昭久君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

石原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木義弘君。

鈴木(義)分科員 お一人だけ拍手をいただきまして、ありがとうございます。

 改革結集の会、鈴木義弘です。予算委員会分科会ということで、予算を中心に御質問をさせていただきたいと思います。

 二十八年度の予算の中にも特別支援教育というのが計上されていると思います。昔はなかなかわからなかったことが、最近は科学技術がどんどん発達してきて、人間の生い立ちだとか、出産から、私もそうですけれども中年になって、どこかがぐあいが悪いとかいいとかという話が出てくるんですけれども、先天的なものもあったり後天的なものがあったり、遺伝子の解明がされていたり、その中で、やはり脳科学というのが一つのキーワードになってきているんだと思います。

 それで、ゼロ歳児から三歳児、それから三歳児から入学前までというのがあるんだと思うんですけれども、特別支援教育の中で一番欠落しているのが、小学校より前をどうするかということだと思うんです。これは教育で何とかなるものなのか、もしくは医療を施さなくちゃいけないのか、そこのところが問題になってくるんだと思うんです。

 きょうは文部科学省の所管ということでありますので、早期教育だとか専門教育、幼保の一体化もそうなんですけれども、この質問をすると必ず、厚生労働省と連携をとるというふうに話が出るんですね。これはもう何年も前からそういうふうに答弁されてきたんだと思うんですけれども、では、答弁してこられていながら、小学校入学前の発達障害児教育という現状をどう捉えて改善していくお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

馳国務大臣 よろしくお願いします。

 発達障害のある子供の自立と社会参加に向けて、就学前の段階からの早期支援が重要であり、発達障害のある子供を支える家族への支援という観点からも大きな意義があります。他方、幼児期の支援については、発達障害に起因するかどうかの見きわめが難しい場合もあり、幼稚園での支援体制の構築は課題であると認識しております。

 文部科学省においては、幼稚園教育要領において障害のある幼児の指導に当たっての留意事項等を記載するとともに、教育と医療、福祉、保健等の関係機関が連携し、早期からの教育相談や支援体制を構築するための事業の実施などを行っております。

 また、幼稚園における特別支援教育支援員の配置に係る地方財政措置についても年々拡充が図られているところであります。

 今後とも、就学前の段階からの早期支援の充実に努めてまいりたいと思います。

鈴木(義)分科員 やはり連携するという話なんですね。そうすると、つっかけもちになってしまって、どこが主体でやるのかがよくわからなくなってしまうということもあると思います。

 それと、iPS細胞を一生懸命支援して医療先進国を目指すんだということで、法律をつくったり、そこに膨大な予算を割いてそれを産業として育てていこうということもすばらしいことだと思うんです。でも、実際に世の中に生まれてきた子供をいかにサポートしながら、健常者にはなかなかなれないかもしれませんけれども、でも、健常者と同じような生活ができる、自分の人生を送っていくのに。それはやはり、ある意味では強制的に協力してもらうということをしていかない限り、なかなか。

 幼稚園教育からといっても、今幼稚園で何がスタートしているかといったら、二歳児から体験入園みたいなことを始めているわけですね、三歳からじゃなくて。ですから、もうちょっと、学校教育の考え方からいけば幼稚園に入園からということになるんでしょうけれども、それ以前に体験入園をしているということは、そこでどういう子供さんが幼稚園に来ているかというのはわかるはずなんです。

 だから、文科省が主体でやるのか厚生労働省が主体でやるのか、そこはもうそろそろ結論をきちっと出して、なおかつ、やはり、ゼロ歳から三歳をどう過ごしてもらいたいのかというのを、国が指針を出した方がいいと思うんですね。それと、脳科学にもう少し予算をつけて、教育を施すのか治療を施すのかも含めて、どういうサポートの仕方をしていったら、健常者に限りなく近くなって、親から自立して生活ができるようになるのか。

 やはり、ゼロ歳から二歳まで、特に発達障害児の専門の方の話を聞くと、二歳児までが勝負だというわけですね。でも、六カ月健診、十二カ月健診を受けても、ちょっとこの子、サポートしなくちゃだめだなというふうに行政側が思っていたとしても、なかなか一歩踏み出せていないんです。そこを一歩踏み出せば、その後、特別支援教育でサポートしますといって予算をどんどんつけていくわけですね。今もそうですよ。二十八年度の予算を見ても、今までも、手厚いように教員も配置する、ワーカーも入れますというふうにしているんですけれども、そうなる以前になぜその対策をとらないのか。

 確かに、親子関係であったり人間の尊厳のところに踏み出さなければならないことかもしれませんけれども、そこのところを再度、その対策をとることで発達障害児の二次障害というのを防ぐことができるんです。

 わかっているんだったらやるべきだと思うんですけれども、もう一度御答弁いただきたいと思います。

馳国務大臣 私は、二〇〇四年に発達障害者支援法を議員立法で作成したときに、そのチームのメンバーとして、自由民主党を代表して携わらせていただき、当時、自由民主党の中にも特別支援教育小委員会といったものをつくって取り組んできた経緯がございます。その経緯も踏まえて、また文部科学省の取り組みを少しお話しさせていただきたいと思います。

 教育という観点からいえば、確かに学校教育法の一条項に幼稚園は入ってございますが、就学前のお子様に対する養育と教育という観点から見れば、保育所においても、また幼稚園においても、最近は認定こども園においても、子供の状況に応じた支援が必要であることは言うまでもありません。

 したがって、幼稚園だけではなくて保育所においても、特に保育所におきましては、ゼロ歳児から預かっているところもございますし、また逆に、幼稚園においては放課後の預かり保育も行っておりますから、教育と養育と両面から、保育士や幼稚園教諭はお子さんの状況を把握することが極めて多い状況にあります。

 そして、現場の保育士さんからも承っておりますと、もう一歳を過ぎたぐらいから、視線を合わせることができない、あら、ちょっとおかしいんじゃないかしらということで、保護者とも情報の共有をしながら、このお子さんにはどういうふうな支援、対応の仕方をした方がよいのだろうかと。一方的に、保育士の方から、保育所や、あるいは三歳児以降、幼稚園側から提案するのではなくて、保護者と常に連携をしながら取り組んでいくことによって、そのお子さんの発達の度合いをやはりサポートしていく必要がある、こういうふうな認識を持たれていることは私も承知しております。

 したがって、文科省が主体とか厚労省が主体とか、認定こども園についていえば内閣府が主体という問題ではないと私は思っております。法律によって設置されている主体ということで幼稚園や保育所や認定こども園がありますので、であるならば、全ての設置者が主体的にやはり取り組んでいく必要がある、まずこのように考えております。

 と同時に、保育所、幼稚園、認定こども園から小学校への連携、これは、情報が共有されていないと、いわゆる小一ギャップといったことで、お子さんも保護者も戸惑ってしまいます。また、教職員も、受け皿となる小学校一年生の担任としても、大変情報が錯綜していると困ります。小学校から中学校、中学校から高校、高校から大学、そして社会人として自立の方向に向けての継続した支援が必要である、こういう認識で取り組むべきである、こういうふうに考えております。

鈴木(義)分科員 ぜひ医療もきちっと連携を図るような形をとって、一番はやはり、保護者の方にこういう状況じゃないですかというのを言える環境をつくるということだと思うんですね。なかなかやはり、人間関係ができていれば別ですけれども、人間関係ができていない中で、こういう状況じゃないですかというふうにダイレクトに伝えてしまうと、拒絶されると後のサポートの仕方がうまくいかないというのも現場からよく聞いておりますので、ぜひいい道筋を。どこが主体って、法律に基づいてやっているんだからと、では誰がその横串を刺すのかというところが問題だと思いますので、ぜひ引き続きの御支援をいただければなというふうに思います。

 時間が限られていますので、次に移りたいと思います。

 教育の充実は誰もが望むものと思われます。しかし、今の制度は、どんなに個人や税金、国費を投入して人を育てても、成人になっていざ稼いでもらって、海外に行って頑張るということを応援するんですけれども、グローバル社会だからそれに合わせた人材育成ということをうたって、ここ二十年ですか、その前からも海外留学のサポートをしたり海外に出ていく企業を応援したりしてきたんですけれども、結局そこで頑張っている日本人ほど戻ってきていないんですね、日本に。居心地が悪いのか居心地がいいのかわかりませんけれども。

 この状況を、海外に出ていった優秀な人材を国内に戻せるような仕組みをつくらないと、やはり、優秀な人たちは、きちっと自分のことを評価してくれるからそこの国に踏みとどまってしまうんだと思うんですね。そこで一生を終えてしまうというんじゃなくて、どこかの時点で日本に戻ってきて後進の指導をしてもらう。一回、二回、講演を一時間聞いただけで習得できれば、それに一番こしたことはないんでしょうけれども。

 それはなぜなのかといったときに、これは前に文部科学委員会でも質問したかもしれませんが、科学技術白書というところに、アメリカの工科系の大学でドクターの資格を取っている人が、日本人が約二百人ぐらい、余り変わっていないんです。これは平成二十四年ぐらいのデータだったと思います、それか平成二十二年ぐらいのデータだったと思います。その当時で、韓国の人が千四、五百人いたと思います、中国の人は四千人いるんです。これはアメリカの工科系の大学。日本は二百人なんです。三十年ぐらい変わっていない。

 それは何が一番問題になってくるのかといったら、人の数じゃないんです。結局、ネットワークです。

 日本人の私たちはみんな、科学技術立国日本だと思っているんです。でも、あと十年先、二十年先というのはどうなっているかはわからない。ノーベル賞、昨年も日本人で受賞された方が話題になっていますけれども、ここ十年ぐらいは日本人からノーベル賞を受賞する人が出てくるだろう、ただその先はわからないという話も聞いたことがあります。

 ぜひ海外に行った優秀な人を呼び戻せるような仕組みをつくらないといけないのではないかと思うんですけれども、そこについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

馳国務大臣 委員のおっしゃる問題意識、私も当然共有をしております。

 例えば、有名な、報道等で取り上げた方をちょっと紹介しますが、青色発光ダイオードの開発でノーベル物理学賞を受賞された中村修二教授、また、元東京大学の教授で現在アメリカのシカゴ大学の、がんペプチドワクチンの開発者である中村祐輔教授、また、がん遺伝子研究の世界的権威である、元京都大学教授で現在シンガポール国立大学の伊藤嘉明教授。私も、いずれも国家としての損失ではないか、こういう認識を持っております。

 そこで、この国会にも法案を、まだ閣議決定しておりませんので、提出する予定でありますが、国立大学を指定して、指定をされた国立大学においては、研究また科学技術政策について弾力的な経営方針で取り組んでもらうことができるような体制を整えていく、やはりこういうことがまず必要だと思っていますし、海外に出ていった今の先生方のお話を伺うと、こういうふうにおっしゃっておられます。

 中村修二先生の場合には、移籍の理由としては、博士号取得の結果、部下を指導監督する立場になり、一人で好きなだけ研究に打ち込める環境が会社にないと考えるようになったためとか、中村祐輔教授の場合には、シカゴ大学に自分の研究のチャンスを見出したこと以上に、日本における研究の体制や政府のサポート体制に対する無力感を挙げておられます。また、伊藤嘉明教授においては、日本では定年が近づくと、管理部門に移り研究を断念するか、私立大学に移って研究規模を縮小するしかないが、シンガポールではよい研究をすること以外条件がなかったから。こういうさまざまな意見を述べておられます。

 我々もやはり、せっかく日本の大学を出て、日本の研究機関において基礎研究や応用研究に取り組んでいただいて世界的な研究成果を上げるようになる、そういう方々や若手が海外の方がよいから海外の方に移籍をする、こうなってしまっては元も子もないのではないかと思っておりますので、できる限り国内の大学や研究機関で研究を継続することができるような環境整備に取り組みたいと思います。

鈴木(義)分科員 ありがとうございます。

 やはり、根本的に大学のあり方も、あと研究も含めて見直さなくちゃいけない時期に来ているんだと思います。

 昨年の文科委員会でも御提案させてもらったんですけれども、研究大学と教養大学ときっちりすみ分けをしていくという考え方です。

 やはり、今の考え方は、満遍なく、全ての大学とは言わなくても、広く薄く、誰からも不平不満が出ないような制度で科研費を分配したり学校運営費の補助を出しているんです。でも、そこに教職員でつかれている先生方が一年間に一本も論文を発表しないとか、そういった方も先生として認めているんですよ、日本の国は。だから、新陳代謝が図られない。

 なおかつ、そこの大学で、別に文系理系は関係なく、今、六十五歳できっちり定年で退職させろ、新陳代謝を図れというふうに文科省の方で指針を出して、厳格に守ってほしいということで、私立大学もそれを履行しているんだと思うんですけれども、六十五歳までずっといらっしゃるんです。個人差はあると思いますよ、でも、自分が幾つになったらどのポジションにいるのかというのは大体わかるはずなんです。本来だったら、五十五歳ぐらいでどのポジションに自分が、研究成果というのがあるのかというのはおわかりになっているにもかかわらず、後進に後を譲ろうという制度になっていない。

 やめろと言っているんじゃないんです。ちょっと脇にいて、後進の指導をしてもらって、違う形で研究なり教鞭をサポートしてほしい、そういう制度にしない限り、海外に出ていった先生方が戻ってくるようにはならないんじゃないかと私は思うんです。

 その辺は、大臣、どうお考えになっておられますか。

馳国務大臣 確かに、大学の先生、それから研究機関の先生方は、任期制をとられているところも多数ございますが、どちらかというと、終身雇用的な考え方でその場にとどまって、自分の座布団をしっかり守っておられる傾向が多いように見受けられます。

 したがって、やはり研究者である限りは、人文系とか理工系とか医学系とか関係なしに、常に新たな分野に挑戦する、分野横断的なチャレンジをする、そして成果を発表する、発表したものの評価をいただくという場に身をさらす必要があると私は思います。

 もし、我が国の大学や研究機関においてそういう意識が十分ではないのであるならば、まずやはりどんどん海外からの優秀な研究者を招聘したり連携した研究体制を組むという形で、そういう土壌をつくり上げていかないと、研究者や大学の先生が同じ場所にとどまって、一年間に一本も論文も書かないようなことがあっては意味がないのではないか、私はまさしくそう思います。

 やはり、そういう研究現場の積極的な取り組みを促していくような政策がこれからも必要であると考えています。

鈴木(義)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、時間があればもっと議論をさせていただきたいんですけれども、科研費に関してなんですね。

 企業も含めてなんでしょうけれども、七万を超える先生方がエントリーをされて、研究者の自由な発想に基づいて研究開発をしている、学校教育をされている先生方に科研費をお出ししましょうという制度があるんですけれども、この中で、課題選択の審査の精度が上がっているのかどうかということです。

 一番は目ききなんです。研究開発をするに当たって、これはもう文系でも理系でも同じなんです、目ききがきちっと育っていなければ、どこに重点を置いて、選択と集中をして予算を投入するとか人をそこに配置するとかといっても、重点化できないんだと思うんです。その課題選択の精度を上げていかないとだめなんだと思うんですね。

 これは、経済産業委員会でも昨年も質問させてもらったんですけれども、融資も同じなんです。ベンチャー企業の育成だとかといって、言葉はいいんですけれども、では、どの分野の何の技術がこれから伸びるのかというのは、誰が選定するんですかといったときに、その審査する人の目ききが育っていないんです。

 だから、科学技術の方も同じです。何日か前に、山中先生の、なぜiPS細胞が世に出たのかといった、利根川先生とのやりとりをしたときに、研究というのは一生涯同じ研究をしていった方がいいのかといったら、いや、そうじゃない、テーマをころころ変えてもいいんだというような、テレビの放映をちょっと目にしたんですけれども。

 今、大臣がおっしゃるのであれば、一度、大学がどういう状況になっているか、文科省として調査をして、やはりそれに対する対応を考えなくちゃ、もう時既に遅しになっているかなと思うんですけれども、そこのところはいかがでしょうか。

馳国務大臣 事実関係をお伝えしたいと思います。

 科研費の課題採択は、専門分野の近い複数の研究者による審査により行っております。

 近年は、年間十万件近い応募に対し、約六千八百人の審査委員が携わって、書面及び合議による厳正な審査を行い、約二万六千件を採択しております。

 平成十五年度には、審査業務を担っている独立行政法人日本学術振興会に学術システム研究センターを設置して、各分野におけるトップレベルの研究者約百三十名を配置し、審査委員の選任や評価を行うなど、審査の質を担保する仕組みを取り入れております。

 科研費は、我が国の独創的、先駆的な研究を支える重要な研究費であり、今後とも、審査システムの不断の改善を進めて、審査の精度の維持向上を図ってまいりたいと思います。

鈴木(義)分科員 ありがとうございます。

 いろいろやっておられるんでしょうけれども、でも、これを見ますと、採択の評価が、採択した後、予算をいただいた後に、研究者本人が一年ごとに自己評価するとか審査委員がいて評価をするとか、いろいろなっているんですけれども、結局、研究者本人による自己評価というのがあっても、公金を出しているわけですよ、どこかから自分で個人的に集めてきたんだったら別なんですけれども。

 失敗してもいいんですね、ノーベル賞をおとりになった方というのは、研究開発していて、失敗に再現性があった場合は理論が間違っているという考え方で、それでノーベル賞をもらうわけです。だから、研究開発をしていて、研究でパツイチの成果が出るというふうに限るわけじゃなくて、失敗したのは何でなのかというふうに立ち返って、ノーベル賞をおとりになっている先生もいらっしゃるんですね。だから、自分が公金をいただいたときに、きちっと論文は何がしかの形で出す。

 その論文も、レベルによって出す先が変わってきます。一番頂点にあると言われているのは、サイエンス、ネイチャーですけれども、そこに出すがために、国内の学会の論文の出点数が余り伸びていないんです。どちらかというと、ネイチャー、サイエンスを目指して先生方はみんな一生懸命研究開発していますから。そうすると、日本国内の学会のレベルが余り上がっていかないということなんです。そこのところもやはりきちっと手だてしていかなければならないと思うんですけれども、時間がないので、それが一点。

 それともう一つ。六十五歳になったときに、御自分で次を、第二の人生なのか第三の人生なのかはわかりませんけれども探されたり、いろいろなところにあっせんを受けたりするんでしょうけれども、第一人者で活躍していた人をもっと違う形で活用した方がいいんだと思うんです、特に技術系の研究開発をされてきた先生方に対しては。

 そこのところ、二点だけ、大臣に御答弁いただければと思います。

馳国務大臣 まず、研究成果の評価について申し上げます。

 科研費においては、全ての研究計画について、研究者本人による自己評価を毎年度実施しており、発表論文を含む研究実績や現在までの達成度等に関する報告を求め、ホームページ上で公開しております。各研究者は、こうした公開情報を介して、研究者コミュニティーの中での評価を受けることとなっております。

 また、比較的規模の大きな科研費については、自己評価に加えて、審査委員による現地調査やヒアリング等を実施しており、論文の実績についても必要に応じて参照されております。

 こうした評価の仕組みにより、科研費による十分な研究成果の創出を促してまいりたいと思います。

 二点目ですが、科研費助成事業の審査委員については、各分野の第一線の研究者八万人以上が登録されたデータベースに基づき、独立行政法人日本学術振興会が、所属機関や年齢構成のバランスも考慮しながら、各分野に精通し公正で十分な評価能力を有する人材を厳正に選任しております。

 こうして選ばれた審査委員約六千八百人のうち、六十五歳以上の方を含む幅広い年齢のすぐれた研究者が審査や評価に従事しております。

 ちなみに、評価に当たっては、六十代以上が全体の六六・四%おられます。やはり、こういった方々に、経験また人脈等も踏まえて、厳格な、そして前向きな評価をしていただきたい、こういうふうに思っております。

鈴木(義)分科員 時間がありませんけれども、情報公開を自分からするというのと学会に論文を投稿するというのは、全然意味が違いますから。学会に論文を投稿するというのは、そこで審査をされるということなんです。その学会誌に載せられるだけのレベルがあったのか、結果が出たのかということなんです。

 ですから、そこのところをきちっと義務化していかないと、ただ自分から公開したんだというだけでは意味のない論文になってしまうというのだけ御理解いただいて、ぜひ義務化できるように、鋭意検討してもらえればと思います。

 以上で終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

石原主査 これにて鈴木義弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、木下智彦君。

木下分科員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 本日は分科会ということで、大臣、それから委員長も含め、朝から晩までということで、お疲れさまでございます。また、この場にいらっしゃる方も、皆さん大変だと思いますが、よろしくお願いいたします。

 早速始めさせていただきますが、きょう私の方からお話をさせていただきたいことは、文部科学省で推進されている小中一貫教育、これについてちょっとお話を聞かせていただきたいんです。

 質問は質問なんですけれども、大臣を初め皆さんにちょっと御相談をさせていただきたいんです。というのは、私の選出、住んでいる大阪の豊中市の中で、また、私が住んでいる特定の地域、非常に狭いエリアなんですけれども、そこでいろいろ人口減少の問題、人口というのか、子供の数の減少であるとかそういった問題が生じていまして、このほど、小中一貫校をつくっていこう、そういうふうな取り組みの検討を始めているということなんです。

 その中で、たまたま、この間の土曜日、日曜日に地元で市役所が説明会をしまして、それに私もちょっと参加してきまして、いろいろ疑問に思ったことであるとか、どうするべきなのかなと、真剣に考えていかなければいけないという思いで、きょう、ちょっと質問させていただきたい。

 まず概略、概略というのか、その特定の地域というのは別にして、今、文部科学省で推進されようとしている小中一貫校、これはいろいろな思惑があると思うんですけれども、メリット、それからデメリットについて、総論で結構ですので、教えていただきたいんです。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 小中一貫教育、特に、四月から義務教育学校という法的な措置も始まるわけでございますけれども、これにつきましては、これまで運用上いろいろな取り組みが行われてきております。

 メリットについて、総論ということでございます。例えば、多様な異学年交流、これが足りなくなっております、これを通じての自己肯定感といったものの高まり。それから、地域の実情を踏まえてのことでございますが、九年を一まとまりとした取り組みということで、教育課程等も一体的に行えるというふうな充実。それから、いわゆる中一ギャップと言われるような大きな差をなくした連携、あるいは、小中学校の教職員間のそれぞれのよさを取り入れる改革。それから、指導内容の系統性やそれに対する教職員の理解、こういった点が実績としてはいろいろと上がってきております。

 他方、デメリットと申しますか課題というべきものは、ずっと同じ学校になりますので、児童生徒の人間関係が固定化しやすいということ、あるいは、小学校高学年になると、高学年としてのリーダーに一旦なりますが、これが途中になりますので、リーダー性を養う上で大丈夫だろうかというような問題、それから、教職員間が、数もふえますので、その調整や考え方のすり合わせといったところで負担感とかそういったものが課題であるということでございます。

 ただ、こうした課題につきまして取り組んでいるところは、解決していかなければいけないので、それに対する対応というのもそれなりに発達してきているというふうに見えます。

 具体的には、先ほどの人間関係の固定化の課題等については、異学年交流の計画を非常に多彩にするということによって多様な交流ができるとか、複数の教職員によって多面的な評価を行っていく、あるいは、リーダー性の育成というのは、それを意識させるようなその年齢での特別活動、儀式的行事といったようなものを開催することによって養っていく、それから、九年間の区切り方の工夫によってそういったものを克服するといったようなことがございます。

 それからまた、最後に申し上げました教職員の方々の負担感、多忙感というのは、これは逆に、校長先生が二人おられてすり合わせをするわけですけれども、これが一人になり、PTAとかそういったものも一体化しというようなことになりますと、逆に負担感が減るというようなことがあったり、それから学校事務職員の方が複数配置ができたり、いろいろなメリットがございます。

 こういったことで克服をしていくというような事例が注目されるところでございます。

木下分科員 ありがとうございます。

 私、質問の事前通告でなかった内容の話をさせていただきたいんですけれども。

 今のお話を聞いていると、私は、とてもいいな、いい取り組みになる可能性が高いなというふうに思ったんです。ただ、そうなったときに、今、普通の義務教育の中では小学校と中学校と分けてありますね、これはどうなっていくのかなというのが、質問になかったんですけれども、ちょっとお聞かせいただきたいんです。

 というのは、小学校と中学校、今の話を聞いている限りは、地域にもよると思うんですけれども、小学校と中学校が離れているところをどう集約するのかというところもあるかもしれませんけれども、総論で話を聞いていると、課題はあるけれどもその辺も克服できそうだし、非常にいい取り組みのように聞こえたんです。

 これは実際、この後どういうふうになっていくと思われるかというところ。まず文部科学省の方から、どう考えられているか。それから、もしできれば、大臣として、実際今のお話を聞いていてどう思われたかというところもちょっとお聞かせいただければと思います。

小松(親)政府参考人 どうなっていくかということにつきましては、二つの面を考えなければいけないと思います。

 一つは、質的な工夫や向上の面でございます。

 これについては、従来の六年、三年でうまくいっている、あるいは、ここで区切りがあった方がなじみもあってなれているからいいという地域も、今見ていろいろあるわけでございます。こうした点は、各地域によって、どういうバックグラウンドか、どういう特色があるかによって判断や取り組みが分かれてくると思います。ですから、一概に、全てがメリットばかりとか一切の課題が克服されるということは申し上げられないと思いますが、今までの実績にはそういうことがあるということでございます。

 それから、もう一つは量的な面でございます。

 実は今、運用によって事実上小中一貫という形で取り組んでいる公立の学校の割合が、小中学校で大ざっぱに言って一割ぐらいでございます。したがって、十校に一校ぐらいは、今そういったことを取り組み始めている。

 これはやはり、地域のさまざまな変化、例えば異年齢交流が少ないとか、大人の数も変化します、ましてや子供の数も変化する、切磋琢磨するものが必要だ、こういった地域の環境変化の中で選択されているものがそういうふうにございまして、これらのところから、このまま運用でやるというのも一つの方法ですし、制度化してそれをうまく使うというのも一つの方法。それを地域として選択できるような制度的な手当てが欲しいという声が随分上がってきた。こういうものに応えていこうということで、有識者会議などで検討したということでございます。

 したがいまして、量的には、これを多いと見るか少ないと見るかはともかく、現時点では、相当量の実態がさまざまな形で既に先行している。これは、きちっと応えていかなきゃいけないような推移になるであろうというふうに考えております。

馳国務大臣 私立の学校では、中高一貫というふうな形で、長らく、ブランド化がされたり、より丁寧な教育をしますということで、それを建学の精神にしたりして取り組んでこられたと思います。私もそれは高く評価したいと思います。

 ただ、公立ということを考えれば、設置者は、小中は基礎的自治体なんですよ。そう考えたら、私は、なぜもっと早く小中一貫校という取り組みを制度的に取り組んでこなかったのかな、そういう論点を常に持っておりました。

 なぜかというと、義務教育の段階は、小学校一年生から中学校三年生までの九年間を考えると、発達の度合いは心身において随分の差がございます。したがって、やはり小中一貫とした方が、六・三で区切るよりも四・五で区切った方がよいのではないかという選択肢を選ぶことができますし、当然、学習指導要領に基づいて教育課程の編成をよりきめ細かく行うことが可能となります。

 また、今、地教行法が改正されましたね。そうすると、首長と教育長が協力をして数名の総合教育会議を設置することができて、教育の専門家ばかりではない、福祉や医療や、あるいは法律等の専門家の地域の方々が集まって、義務教育の学校は小中九年間ではないか、この九年間をいかに有効に使っていこうかという論点を持てば、ふるさと教育を充実するための副教材の開発であったり、あるいは、我々は英語教育をしっかりやろうという場合に小学校に加配や専科の教員を配置したり、いやいや、心技体だ、体も頑張ってもらおうといって小学校の方に専科の体育の教員を配置したり、いやいや、科学技術の芽を育てようとなれば理科の教諭を専科教員として配置したり。

 こうして、首長と教育長が協力をして総合教育会議の中で大綱をつくり、地域の子供たちを自分たちでしっかり育てていこうという、学校外の目も入れていくことが可能となります。私は、こういう積極的な意味での義務教育学校の役割を評価しております。

 と同時に、もう一つ現実的な問題を言います。

 現在、首長にとって一番頭の痛い問題は、統廃合なんです。本音なら、したくありませんし、させたくありません。地域ごとにきめ細かく小学校を拠点として残したいんです。

 ところが、子供たちに聞いてみると、六年間クラスがえがないのは嫌だとか、あるいは、もっと競争できるようなボリュームのある友達がたくさん欲しいとか。特に、中心市街地などにおいては、子供たち本人が、やはりクラスがえがあった方がいいし、そういった中で、いじめの問題も、複数の目が入ることによってお互いに抑えていくというふうな教育的効果もあります。

 そう考えると、義務教育学校を設置していくということによって、残念ながらあいた校舎があるとするならば、それを地域のコミュニティーや福祉のためや、あるいは生涯学習や生涯スポーツのための施設として活用したり、あるいは、提案があれば、工場など、企業の皆さん方に提供することも、これは財産処分が必要ですけれども、可能となってきます。

 そういう意味での義務教育に対する子供たちのニーズを踏まえ、また、首長や教育長、そして議会も含めて、やはり自分たちの大事な将来を担う子供たちをどう教育していくかということについて、積極的にかかわり合いを持つことができるようになっていく。

 私は、そういう観点で、かつては統廃合という、何となく廃校というと嫌な言い方をしましたが、そうではなくて、適正化という観点で、子供たちの成長をサポートしやすい体制、環境整備をすることが重要でありますし、それによって教職員の質を向上させる、その配置についてもきめ細かく対応ができるようにするということは、これは我々の一つの責任だと思っています。

木下分科員 ありがとうございます。

 非常に、今聞いていて、またいいなと思ったんです。

 というのは、やはり、国としてはそれなりの環境を整えつつあると、今の話を聞いていて思ったんです。要は、基礎的自治体だとか地域だとか、そこがそのチャンスをどう生かしていくのかということでその地域の活性化がどうなるのかということが非常に左右されるんだなと。私もそういうふうな考えを持っていたので、その考え方を上塗りしていただいた、そういう思いで今聞いておりました。

 先ほどいろいろなキーワードが出ておりましたけれども、一つは、すごく個人的というのか、私の地域のことをお話しさせていただきますと、まさしく、今回、なぜそういうふうな、そこの地域が小中一貫校にしたかというと、大臣が先ほどおっしゃられていました、これは統廃合の問題なんです。統廃合の問題というよりも、子供のクラスが一学年一クラスしかないようなところがたくさんあるとか、そういったことで。

 実は、私どもの豊中市というところは、たった三十六キロ平米しかありません。三十六キロ平米、縦十一キロ、横六キロぐらいのところで、そこに四十万人が暮らしております。

 大体、私が豊中の選出なんですというふうに言うと、普通の人は、ああ、すごくいいところにお住まいですね、所得水準も高くて、すごく緑も多くてというような感じで言われるんです。でも、私の住んでいるところは、実は、余り大きな声で言えませんけれども、全くそういうところではないんです。豊中の大半の部分は、今のそういった私が言ったイメージ。ただ、私の住んでいる南部地域は、四キロ平米しかないんですけれども、そこに四万人ぐらい。ですから、全体的に見ても、一キロ平米に一万人も住んでいるようなところなんです。

 その地域だけがほかとのイメージのギャップがありまして、ちょっとお話しさせていただきますと、この地域は所得水準が極めて低いというふうに言われている。それで、人口の減少率も、この三十年間、市内の平均がマイナス一一・五%、減っているんですけれども、その地域だけ見るとマイナス二四・二%、倍以上ですね。五十年間で見てみると、平均が一四・四に対して、何と四〇・四%、そういう状態です。高齢化率も、ほかの地域の一・五倍。子供がどんどん減っている。

 何があるかというと、それもちゃんと公表がされていないところなのであれですが、犯罪の認知件数なんかも非常に高いというふうに言われております。

 例えば、おおさか維新の会ですから、大阪市内で党の会合はよくある。大体私は電車で帰るんですけれども、帰りにほかの同僚の国会議員が車で送ってくれたりするときがあるんですね、夜遅くなるとき。私の地域に入ってきた途端に、雰囲気が違うので、木下さん、ここはどういうところなのと。

 というのは、走っていると、パトカーがばんばんとまっているんです。ひったくり防止の、青バイというふうに言われているんですけれども、それが二列編隊で走っていて、信号でとまっていたら、すごい勢いで反対車線まで回ってくるんです。あ、とまってと僕は言うんですけれども、信号が青だから普通に走ろうとして。何かというと、夜中にひったくりを追いかけていたりとか。

 そういうところで、私はその中心の商店街の中に住んでいるんですけれども、夜中までもうずっとそういうパトカーの音だとか無線の音とかがすごく聞こえるような、そういうところなんです。もともとそうだったかどうかというのはあるんですけれども、どんどんそういうふうになってきた。

 そうなるとどういうことが起こっているかというと、やはり子供をそこで育てたいと思う人がどんどんいなくなって、外へ出ていってしまう、それで高齢化も進むという形の悪循環がどんどん進んでいってしまっているんですね。

 ここで、市がこの間説明したところの、その地域で抱える課題というふうな話があったんですけれども、一つは小規模校化の課題、先ほど言われた話。それから、そういったところでは子供たちが切磋琢磨しにくいであるとか、いろいろ言われていました。

 もう一つは、通学地域の課題というところがあって、そこはちょっと、説明するとあれなんですけれども、中学校になると、六校の学校から基本的には二校の中学校に上がる。だけれども、一部の人たちだけ、ちょっと違う地域の方に半分ぐらい行く。その調整するところで、分かれるときにどうしても、中学校へ行くときの精神的な問題であるとか、あとは、地域のつながりの、連携ができないであるとか、そういった話がある。この辺は大体わかるんです。

 三つ挙げていて、もう一つが、先ほど私が言っていた生活・学習課題。この三つを挙げているんです。生活・学習課題だけ、課題のイメージがもう全然違うんですね。何て書いているかというと、規則正しい生活習慣が整いにくく、学校に来られなくなる子供が見られる、進級、進学につれて学習内容が難しくなり、学習意欲が低下する子供が見られる、こういうことを言われている。

 私の一番コアになっている中学校なんかは、余り公表されていないあれですけれども、実は、大阪府下の中学校の中では、学力でいうと本当に最低レベルというふうになってしまう。それも、なぜそういうことが起こるかというと、環境がどんどん悪化することによって、子供たちをそこで育てたくないという形で出ていったりして、切磋琢磨も起きない、老齢化社会になる、犯罪の率も高くなる、こういう悪いスパイラルがある。

 これを何とかしなきゃいけない。そのために何があるのかなというところなんです。その一つが、これだけでは当然だめだと思いますけれども、それが今考えられている小中一貫校化、そういう話になっているんです。

 そこで聞きたいところなんです。今、大体説明されていたところは、全体的な学力であるとか指導の仕方がやりやすくなるであるとか、いろいろ言われていましたけれども、生活困窮の問題。もう一つ、学力の問題もそこにリンクしているんだと思いますけれども、こういった特定の課題に小中一貫校化で応えられるのかどうか、ここが私は一番大きな問題だと思っているんです。

 結局、なぜそこが聞きたいかというと、市はその説明の中でも明確に応えられていないんじゃないかなと。それを指摘するとかじゃなくて、これこそ一生懸命本気で考えていかなければ、どんどんそこの地域だけが孤立化していくということが起こると思っているので、何かのヒントがないかなと思いまして。

 その辺について、何かあれば御説明をいただけますか。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまのお話を伺いまして、私ども行政の立場といたしましては、常に、それぞれ地域の特色に応じてメリット、デメリットはさまざまな可能性があるということは申し上げなければならないわけですけれども。

 ヒントという観点から考えさせていただきますと、先ほど申し上げました、私どもが、この小中一貫教育を、制度としてではなくて実態として事実上取り組んでおられるというところに、何を目標にしているか、またメリットは何かということをお聞きしました中で、非常に高い比率で挙げられているのが、学習規律あるいは学習習慣というものを定着させる。ここが、六年生と三年生の間で切るのではなくて、九年間をかけてしっかり定着させていくような形にしたい。あるいは、教育課程を系統的に、そこを見通して組みたい。それから、共同学習のような科目を九年間分でつくって、トータルとして地域の生活と結びつけたい。こういったようなものが挙がってきております。

 そういったものについては、しっかりした目標を持ってやっていると思われるものについては成果が上がっているという報告の比率も非常に高いということが申せますので、お答えが十分かどうかわかりませんが、事実に即して申しますと、そういうことが言えるということを申し上げたいと思います。

馳国務大臣 委員のお話をるる伺っておりまして、吹田市、豊中市の隣ですね、吹田にジュニアレスリングクラブというのは御存じだと思います。実は、今は亡き押立さんという方が指導者で、小中学校の段階で地域の子供たちを集めて、三十年以上。レスリング技術はそんなには高くないんですけれども、まずレスリングが好きなのと、子供たちが大好きで、レスリングの指導ばかりではなく、年間を通じたいろいろな催し物とかイベントをしながら、そこにどんどん子供たちが通ってくるようになって、そこで育った子供たちは、全国の有名高校にスカウトされるほどになり、オリンピック選手に育つほどの実力を蓄えるようになっていきました。

 私は、今、学校教育を所管している立場からいえば、まさしく今本格的に進めようとしている義務教育学校において、やはり、年齢を超えて子供たちの切磋琢磨を支えることのできる教員配置であったり環境づくりといったものはもちろん必要ですし、また、コミュニティースクールを設置することによって、地域の皆さんに、学校活動、教育活動に参加していただく。それによって、やはり、子供たちを怒るばかりじゃなくて、褒めて、どんどんその気にさせて育てていただき、好きなことを思う存分やらせてあげるような、そういった体制をつくっていく上においても、小中一貫の義務教育学校の役割は、一つの選択肢として十分に可能性を秘めていると思っています。

 制度ばかりではなく、制度を動かしていく上での教育委員会の方々や、学校長を初め教職員の皆さん、また、そうしたスポーツクラブの指導者の皆さんが一体となって取り組んでいける、そういう環境づくりを目指して、みんなで自分たちの子供たちを、いい学校をつくっていこう、いい子供に、そして目も声もかけていこう、こういうふうな空気を醸成していくことがやはり必要であり、それを制度的に支えていくのが我々の役割だ、そういうふうに確信しております。

木下分科員 ありがとうございます。

 実は私、吹田のそのレスリングクラブの、同じ道場でやっている柔道道場に通っておりまして、私がやめた後ぐらいからそういうふうに強くなってきたんですけれども、非常に頑張ってやっておられるのを見て感銘を受けておりましたが、そういったやり方もあるんだなと。

 もう一つ、ちょっとだけ、最後、時間がある中で言いたいことがあります。そういう形で地域を何とか活性化していく、子供たちをもう一遍、再生というのか、もっと自信を持ってしっかり育てていくんだということは一つ重要だと思うんですけれども、もう一つ私が重要だと思っていること、これもその市の説明にもあったんですけれども、魅力ある学校をつくっていく。

 これはなぜかというと、結局、そこに今いる子供たちだけが統廃合されたところで、小中一貫校になってそこに通ったとしても、それまでなんだと思っているんです、その一人一人の子供たちは。そうではなくて、その学校にほかの地域からも引っ越してでも行って、そこの学校に通わせたいと思えるようなそういう学校をつくらないといけないんだというふうに思っているんです。

 その一つの解が、大臣おっしゃられたようなレスリングクラブであるとか地域のそういうことをやっていくとか、学校で英語教育を一生懸命やるであるとか学童保育と連携をするであるとか、いろいろなそういったことが私はとても重要だと思っているので、そういうことをちょっと考えながらこれから取り組んでいきたいなと思っているんです。

 もう一つ、最後にあったのが、大臣は、ふるさと教育というふうなことを言われていました。

 実は、この地域も、地元の歴史を学ぶことによって地元に愛着を持たせる、そういう側面はいいんだと私は思っているんですけれども、この地域は結構それが前面に出ちゃっているんですね。

 ただ、それでは外から人は来ないと私は思っているんです。それだけの魅力のある歴史教育自体がコンテンツであれば別だと思うんですけれども、だって、結局、どこだって同じように歴史教育をその地域でやる。それが、外から人が行きたいということにはならないんじゃないかなと思っているんですけれども、それだけちょっと、どう思われているか。結局、そういうことだけに力を入れているんじゃなくて、もっとほかのところに力を入れてねと私は地元の人たちに言いたいので、どう思っていらっしゃるか、大臣、ちょっとお聞かせください。

馳国務大臣 私は、小学生、中学生の段階において、思春期を迎えることもありますが、いわゆる、自分は何者かと自分の存在を確認する作業というのは、教育を通じて十分伝えることが可能だと思っております。生まれたこの地域は、もともとどういう地域だったのかとか、どういう産業があるのか。では、命をつないできて今日私があるとしたら、僕は将来何ができるのか。ふるさとを出ていく人もいるかもしれませんが、もしそういうときであったとしても、ふるさとに愛着を持って思いを寄せてもらえるような、そういう人間として育ってほしいなと私は思います。

 そういう観点から、ふるさと教育は、外から人を呼び込んでくるという以前に、そこで生まれ育った方々、また引っ越してきてそこに住んでいる人たちが、今そこにいるということの実感を、アイデンティティーを持つことができるような、そういった概念を持つことが教育の一つの役割だ、私はこういうふうに認識しています。

木下分科員 ありがとうございます。

 それが人を呼び込むことになるかどうかというところはまだ課題だと思いますが、どうもありがとうございました。

石原主査 これにて木下智彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)分科員 日本共産党の宮本岳志です。

 所得連動返還型奨学金制度について質問いたします。

 私は、文部科学委員の時代から、日本の奨学金制度は返済の必要のない給付型奨学金が一つもなく、異常な高学費のもとで、学生たちが卒業後、数百万円から一千万円にも及ぶ大きな借金を背負う、学生ローンと言うほかない制度となっていることを繰り返し指摘し、その抜本的な改善を求めてまいりました。

 二〇一三年四月一日、予算委員会での私の質問に、当時の下村文部科学大臣が、「真に困窮されている方に対して適切な対応を学生支援機構としても考える時期に来ているのではないか」、検討したいと答弁をされ、その三日後の四月四日、高等教育局長決定、「学生への経済的支援の在り方に関する検討会の開催について」が発出されたわけです。

 以来、検討会は、小林雅之東大教授を主査に、一年三カ月、十三回の会議を開き、二〇一四年八月二十九日、この「学生への経済的支援の在り方について」をまとめたわけですね。

 この報告書では、子どもの貧困対策法の趣旨を踏まえ、経済的困難にある学生への支援の重要性、高等教育の受益者は学生本人のみならず社会全体が受益者であるとの観点から、学生等の学びを社会全体で支えることが極めて重要、そう結論づけております。

 まず、文部科学大臣、これは間違いないですね。

馳国務大臣 間違いございません。

宮本(岳)分科員 この報告書は、「将来的に目指すべき方向性」として、国際人権A規約十三条2の(b)、(c)の留保撤回、高等教育についての無償教育の漸進的な導入にも触れて、給付型奨学金等の無償化施策をも提言するという画期的なものでありました。

 その上で、機構の貸与型奨学金のあり方について、無利子転換とともに、より柔軟な「所得連動返還型奨学金制度の設計や運用システムの構築を進めていくことが重要である。」というふうに提言をしております。

 この後に設置された所得連動返還型奨学金制度有識者会議というものは、この提言を受けて文科省内に設置されたものですね、文科大臣。

馳国務大臣 昨年九月に設置した有識者会議において検討を進めております。

宮本(岳)分科員 我が党は、さきの経済的支援の在り方に関する検討会報告書、これを非常に評価いたしました。その直後の二〇一四年十月七日に、「学生が安心して使える奨学金に」と題する政策提言を私も参加をしてまとめさせていただきました。これは、この報告書の中身を大いに評価しつつ、真の学生支援のためには今どのような改革が必要かということを提言したものであります。そこでは、「「年収三百万円以下は返済猶予」という現行を踏まえ、少ない所得から無理に返済させることのない制度にする」こと、「特定の学生に限るのではなく、貸与奨学金全体を対象にすべき」だ、こう我が党は提案をさせていただいた。

 ところが、去る二月十日付で学生・留学生課がパブリックコメントを募集した、有識者会議の新たな所得連動返還型奨学金制度の創設に関する第一次まとめ素案、これを見て私は驚いたんですね。十一ページには「年収〇円から返還開始」となっております。民主党政権時代に創設され、既に二〇一二年度から実施されている所得連動返還型無利子奨学金制度でも、年収三百万円に達するまでは返済を猶予しております。にもかかわらず、今回、新たなとかより柔軟なと銘打って、一層よりよい制度を制度設計するはずだった有識者会議が打ち出したこの素案には、そうなっているわけですよ。

 有識者会議がこのような改悪案を、私は改悪だと思うんですが、打ち出したのには、どのような議論があったんですか。

馳国務大臣 先般、有識者会議の第一次まとめの素案について、パブリックコメントが行われたところであります。素案においては、最低の返還月額は二千円から三千円の範囲で検討が行われております。

 素案においては、本人の収入がゼロ円の場合においても、「奨学金返還に対する意識を継続させるという観点や返還口座の維持・管理コストに鑑み、一定額の返還を求めることが望ましい。」とされております。

 現行制度においては、収入がない方に対しても通常の返還月額の返還を求めており、新制度で返還月額が二千円から三千円となれば、負担軽減は図られるものと考えております。

 なお、本人の年収が三百万円以下の場合については、申請により返還を猶予することが可能とする方向で検討が行われております。

 以上です。

宮本(岳)分科員 二〇一二年度から既に始まっている所得連動返還型奨学金制度、これは、返還を開始する最低年収は年収ゼロ円ではありません。本人が年収三百万円を得るようになった後、返還開始という制度になっているはずです。そうですね。

常盤政府参考人 現行の制度におきましては、今大臣から申しましたように、本人の年収が三百万円以下の場合については、申請により返還を猶予することが可能となっておりますが、その際に、今、委員の御指摘は、月額のお話と、幾らから幾らまでが猶予されるかというところが、整理させて申し上げさせていただきたいんですけれども、月額の問題で申しますと、現在は、例えば私立、自宅生ですと、ゼロ円であっても、返還月額は、月額五万四千円を四年間貸与した場合には、一万四千四百円を返還するという仕組みになっております。ただ、それが所得三百万円に行くまでの間は猶予されるという仕組みでございます。

宮本(岳)分科員 そうなんですよ。三百万円に達するまでは猶予されて、一円も返還しないという制度になっているわけですね。

 では、民主党政権時代につくられ、私も要求してやったんですが、既に始まっている所得連動返還型無利子奨学金制度の意義と目的というものについて改めて述べていただけますか。

常盤政府参考人 平成二十四年度から行っております現行の所得連動返還型制度でございますけれども、家計の厳しい世帯、家計支持者の年収が三百万円以下の場合の学生等に対しまして、無利子奨学金の貸与を受けた本人が卒業後に一定の収入を得るまでの間は、申請に基づき返還を猶予する所得連動返還型無利子奨学金制度ということで、導入をしているということでございます。

宮本(岳)分科員 それは制度の説明でありまして。

 ここに、JASSO、日本学生支援機構のホームページの所得連動返還型無利子奨学金制度、印刷して持ってまいりましたが、こう書いてあります。「学ぶ意欲と能力がありながら経済的理由により学業を断念することのないよう、家計状況の厳しい世帯の学生・生徒を対象として、無利子奨学金の貸与を受けた本人が、卒業後に一定の収入」、つまり年収三百万円に達するまでは何年でも「返還期限を猶予することで、将来の返還の不安を軽減し、安心して修学できるようにすることを目的とした制度です。」これがこの制度の意義と目的だと思うんですね。

 卒業後に一定の収入、つまり年収三百万円に達するまでは何年でも返還期限を猶予することで、将来の返還の不安を軽減する、安心して勉強できるようにすることを目的としているわけです。

 この制度はいいんですけれども、ただ、これを受けるためには、進学時に親の年収が三百万円以下という制約が実はあるんです。進学時の親の年収と卒業後の本人の年収との間には直接的な因果関係はありません。親に財力があれば親の支援もあるだろうというんですけれども、大学進学時に親の年収が三百万円を超えていたからといって、卒業後、奨学金の返還が始まったときに親がその経済状況を保っている保証もありません。これは少し不公平だ。そもそも、入学時の親の財力にかかわらず、奨学金の返還というものは、本人の所得に連動して返還する無理のない制度にすべきではないかという声ですね。

 あわせて、現在既に存在する所得連動返還型無利子奨学金制度は、年収三百万円に達するまでは返還が猶予されて返還額はゼロでありますけれども、年収三百万円に達した途端に満額の返還が求められるという制度であって、これも少し合理性に欠き、より柔軟な制度にしようではないか、こういうことで、この有識者会議で、新たな、より柔軟な制度設計をしてきた、こういうことですね、文科大臣。

馳国務大臣 改めて答弁いたしますが、有識者会議の素案では、新制度においても同様の要件を満たした場合は無期限に返還猶予を可能とすることがまず検討されております。

 一方、返還を開始する最低年収については、ゼロ円からとする場合と三百万円からとする場合とで試算を行い、後者の場合には回収金が著しく減少することが予測されております。

 こうした試算結果も踏まえ、有識者会議においては、奨学金制度全体を安定的に運用するために、返還額が確保された制度とする観点から、年収ゼロ円から返還を開始する方向で検討が行われているところであります。

宮本(岳)分科員 同じような制度にすると、試算してみたら返還金が失われる、こういう計算結果が出たという答弁ですね。

 これは高等教育局でいいですけれども、一体、どれぐらいマイナスが出るというシミュレーションになっているんですか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 所得連動返還型奨学金制度有識者会議で示された試算でございますが、年収三百万円から返還を開始する等の条件を設定しシミュレーションを行ったところでございますが、要返還額三千五百五十三億円に対しまして、約千二百三十億円の未回収金が生じるという試算結果でございます。

宮本(岳)分科員 千二百三十億円が回収不能になるということでした。この額が問題になっているわけですね。

 従来どおり返還猶予制度は残すということでありますけれども、返還猶予というのは従来五年間とされておったんです。これも私が随分繰り返し国会で取り上げて、二〇一四年度からやっと、二倍の十年返還猶予が受けられるというふうに延びました。その後、現行の所得連動返還型無利子奨学金制度においては、年収三百万円に達するまでは無期限に猶予されるという制度になっております。

 今回、新しい制度をつくるというんですから、当然それを踏襲するだろう、つまり、三百万円になるまでは無期限に返済は猶予されるとみんなが期待するのは当たり前でありますけれども、ところが、素案を見ますと、返還猶予の申請可能年数は通算十年(または十五年)、十年か十五年というふうにして、期間制限をつけてあります。

 これは現行の所得連動返還型無利子奨学金に比べても、明確な後退ということになるのではありませんか。大臣。

馳国務大臣 私は、その後退という考え方は、指摘はできるかもしれませんが、そもそも奨学金制度自体が、公的資金が使われており、そして、返還していただいたお金でまた次の方々に、より多くの学生に、経済負担を軽減するために奨学金をお貸しする。そして、さらに言えば、有利子から無利子へというふうな流れで、より多くの学生諸君にやはり経済的負担のないようにという方向性で議論しておるわけであります。

 したがって、やはり返還をしていただくという一つの財政的なモラルでもあると思っておりまして、ぜひこの制度の趣旨を理解した上で、より拡充されるような方向についての御理解もいただきたいと思っています。

宮本(岳)分科員 先ほど申し上げたように、現行の所得連動返還型無利子奨学金というものは、三百万円を超えるまでは無期限に猶予される。その制度を受けられるかどうかは、入学時の、つまり奨学金を借りるときの親の年収で、三百万で線を引かれるわけですね。

 しかし、先ほど申し上げたように、そのことは、やがて御当人が返済できるようになるかどうか、御当人が年収三百万にも達しない可能性とは、何の直接的な因果関係もないわけです。十年たてば、十五年たてば、やがて何とかなるという保証にもならないわけですね。

 片方でそういう方々が現にいるわけでありまして、今回、残念ながら、親御さんの年収が三百万円を超えていた人にも所得連動型でやろうという制度設計をするときに、こっちの方は期限を定める、つまり十年で諦めてくれ、その後は返してもらうぞと。これはいかにも不公平な話になると思うんですね。

 これがこうなったのには、これまたシミュレーションをやってみたという話を聞きました。高等教育局、シミュレーションはどうなっていますか。

常盤政府参考人 有識者会議におきましては、返還猶予期間に年数制限を設けないこととする条件と、十年または十五年を上限とする条件を設定いたしまして、それぞれ回収金の試算を行ったところでございます。

 その結果、年数制限を設けない条件では、十年または十五年を返還猶予期間の上限とする条件と比較いたしますと、回収割合が相当程度落ち込むということが予測されたところでございます。

 具体的には、ある条件を付してございますけれども、猶予期間の年数制限を設けない場合には約六百九十億円が未回収金の予測、十年を上限とする場合には約四十億円という予測試算ということになってございます。

宮本(岳)分科員 猶予の上限を設けなければ六百九十億円という額がマイナスになる、だから、これはふつり合いだけれども、この制度にはつけるんだという制度設計をしているわけですね。これは、まさにお金の問題がネックになっているわけですよ。

 きょうは財務副大臣にも来ていただいているわけですけれども、こういうものにきちんと予算措置をするというのは本当に当たり前だと思うんだけれども、副大臣、いかがですか。

岡田副大臣 ただいまお話が出ております所得連動返還型奨学金の制度設計につきましては、今御議論がありましたように、文部科学省の有識者会議で議論をされていると承知しております。

 それで、この制度が、平成二十九年度の進学者からの導入に向けて、その確実な実施を図るために、私どもも、平成二十七年度補正予算においてシステム改修に必要な経費を計上し、措置をしたところでございます。

 基本的な考え方としては、我々も、意欲と能力のある学生の学習機会というものを確保していくために、低所得者などへの十分な配慮を行っていくことが重要と考えておりますが、厳しい財政事情を踏まえながら、文科省とも御相談をしながら適切に予算を措置してまいりたいと思っております。

宮本(岳)分科員 私は今は財務金融委員会におりますから、岡田副大臣とこれからもこの議論を一層詰めていきたいと思っています。

 しかし、こういう学生の将来にかかわるところにしっかり予算措置をするというのは当たり前の話であって、我が国の未来にかかわる大事な問題だということは申し上げておきたいと思うんですね。

 もう一つ、制度設計を見て少し私が驚いたのは、返還者が被扶養者になった場合、扶養者のマイナンバーの提出を求めて、返還者と扶養者の収入の合計で返還額を決定するとしております。これは今回初めて入れるんですね。これは、あしき家族主義ではないかという批判が寄せられております。

 専業主婦の場合も、夫がマイナンバーの提出を拒否する場合もあるでしょうし、たとえ夫が高所得だったとしても、さまざまな事情から別居をするという場合もあるでしょう。夫のDVで身を隠さざるを得ないということも、これは現実にはあると思うんですね。

 そのような場合、これはどうなるのか。これは局長でいいですが、答弁していただけますか。

常盤政府参考人 有識者会議の第一次まとめ素案に即してお話をさせていただきたいと思います。

 返還者が専業主婦等の被扶養者である場合、返還月額の決定に当たっては、その配偶者等の扶養者の収入を勘案して返還額を決定する仕組みとすることが適当とされております。

 一方、返還猶予の申請可能所得については、新制度においても、現行制度と同じく、返還者本人の年収が三百万円以下の場合には猶予が可能となる制度とする方向で検討が行われているという状況でございます。

宮本(岳)分科員 猶予の申請については家族主義をとらないということだと思うんですけれども、私はやはり、そもそもの場合でも、家庭というのはさまざまでありますから、この制度設計についてはさらなる改善の余地があるということを申し上げておきたいと思うんですね。

 さて、奨学金制度の改善という点では、馳大臣も冒頭おっしゃった、有利子奨学金の無利子転換、とりわけ、無利子奨学金を受ける資格があるのに、予算の不足から有利子奨学金を借りざるを得ない残存適格者という方々の一掃は急務だと思います。

 文部科学省に聞きますけれども、おわかりであれば大臣でもいいんですけれども、今年度予算が成立したとして、残存適格者はなお何人残るのか、また、あとどれだけの予算があれば残存適格者を一掃できるのか、お答えいただけますか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度の見込みの残存適格者でございますが、二万四千人というふうに考えてございます。

 平成二十六年度の無利子奨学金の平均貸与月額が五万六千円でございます。これを十二カ月貸与するということになりますので、二万四千人掛ける五万六千円掛ける十二カ月ということで、初年度は、単年度で約百六十一億円となるわけでございます。

 なお、長期的には、一定額を措置し、最終的には返還金で事業規模を維持するということが可能となるということになります。

宮本(岳)分科員 百六十一億円ですよ、財務副大臣。

 予算案の中には、例えば、私たちが反対しているF35という戦闘機、これは一機二百億近いんですね。それから、我が党は一切受け取ったことはありませんけれども、政党助成金というものが我が党以外の党に出ております。三百二十億円ですから、半額ですよ。三百二十億円の半額があればこれは一掃できるわけですね。

 事は、残存適格者というのは何かといったら、無利子奨学金を受ける資格がちゃんとある、適格で、しかし、予算措置がされていないから、無利子で受けられず有利子の奨学金になっているという、ひどい話なんですよ。

 何でこの百六十一億円が、財務省、出せないんですか。財務副大臣。

岡田副大臣 無利子奨学金の残存適格者を解消するためには、ただいまも答弁がございましたとおり、約百六十一億円が必要となる計算でございますけれども、これは、一年生のときから四年生のときまで通算して考えますと、大学四年で卒業するとしたら、その百六十一億円の四倍、そういう負担であると思います。

 また、返還金だけで賄えるようになるまでの中長期間は国費負担を続ける必要がありまして、これは厳しい財政状況を踏まえるとなかなか重い財政負担であるというふうに考えております。

宮本(岳)分科員 いやいや、返還金でまた貸与するわけですから、毎年毎年別に出ていくわけじゃないんですよ、それは。だから、ちゃんとそれだけの手当てをすれば残存適格者を一掃することができる。

 大体、そういうことを言っているから、どんどん少子化が進んで、大学まで行かせるのに経済的に負担だ、だから子供をつくるのに非常にちゅうちょしている人も多いわけですね。結局、人口が減っちゃえば、税金だって集まらなくなって、自分の首を絞めるということになるわけですから、ちゃんとそういうところにしっかり金を使うのは当たり前だと申し上げておきたいと思うんですね。

 ちなみに、これは有利子というんですけれども、今は財投の金利はわずか〇・一%ですよ。日銀は、御承知のとおり、マイナス金利政策というのをやりまして、今どんどん金利を下げる方向に政策が進んでいます。

 現状の有利子奨学金全てを仮に利子補給して、〇・一が上がったらまた変わりますけれども、今は〇・一ですから、今の有利子の奨学金を全て無利子にする、あるいは、せめて、先ほどの残存適格者二・四万人を利子補給で無利子にする場合、必要な金額は幾らになるか、文部科学省、お答えいただけますか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 経済情勢等によりまして返還利率等の条件は変動いたしますので、所要額を予測して計算することは困難であると考えてございます。

 その上で、文部科学省の試算ということではなく、委員御提示の計算方法に従って計算した結果を申し上げさせていただきますと、二万四千人に平均貸与額実績を乗じた数字に、さらに委員御提示の〇・一%を機械的に乗じると、その計算結果は約六億四千万円となります。また、利率固定方式の過去五年間の平均利率ですと、一%ですので、約六十四億円となります。

 なお、先ほどの計算と違いまして、事業規模を維持するためには、この額が毎年度継続的に、ずっと必要となるという経費となります。

宮本(岳)分科員 わずか六・四億ですね。ひとまず残存適格者に、資格があるのに申しわけないな、利子は〇・一%だからその分ぐらいは利子補給しようといってみたって、六億余りなんですよ、毎年かかるか知らぬけれども、とりあえず。

 大臣、新たな所得連動返還型奨学金制度の制度設計に当たっても、シミュレーションしてみて五百億足らぬ、一千億足りぬとなれば、たちまち、年収ゼロから返済を迫る、猶予年限も制限する。無利子転換ですら、わずか百六十一億円のお金が足りないばかりに、いまだに残存適格者、本来、無利子を受ける資格がありながら、利子つき奨学金に回されております。それでも、わずか六・四億円利子補給すれば、二種ではあるが無利子にできる。それもやらない。

 これでは、いつまでたっても、冒頭述べた、学生等の学びを社会全体で支えるというようなことにならないんじゃないですか、大臣。

馳国務大臣 利率固定方式の平均値をとれば、過去十年ほどで一%ということですから、六十四億円ということになりますので、六億円ちょっとという言い方はちょっと過ぎるのではないかと思いますが、いずれにせよ、やはり、学生諸君が経済的な負担を過度に与えられずに、意欲と能力に応じて高等教育を受ける機会を提供することは我々の責任である、このように考えております。

宮本(岳)分科員 日本共産党は、奨学金を全て無利子に、既卒者の奨学金返済の減免制度をつくり、返済猶予や減額期間の上限撤廃などの救済制度を充実することを求めます。また、保証料、保証人制度、延滞金の廃止など、借金取り立て最優先のような姿勢を改めることを強く要求します。そして、返済不要の給付制奨学金を直ちに導入することを提案して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

石原主査 これにて宮本岳志君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本充功君。

岡本(充)分科員 きょうは、教育行政について文部科学省にお尋ねをしていきたいと思います。

 まずは、医学部の大学院生に対するさまざまな課題というか、文科省側から取り組むべき課題について。

 私は、これまで何度か質問をしてまいったところであります。馳大臣も重々御承知おきのとおりのことでありますが、そういう意味では、時間が限られておりますので、まず前段は振りませんので、お尋ねをしたいと思います。

 大学病院における看護師の静脈注射実施の方針及び診療に従事する医科大学院生の雇用状況について、現状どうなっているか御報告いただきたいと思います。

常盤政府参考人 まず、大学病院における看護師静脈注射実施方針設定の状況でございます。

 平成二十四年十月に実施をいたしました調査では、大学病院における看護師が静脈注射を実施する方針を持つ部署、診療科の割合は、同年十月一日現在において、国公立大学病院は一〇〇%となっているものの、私立大学病院においては六大学の一部の診療科で達成されておらず、九八%強にとどまっている状況でございました。

 この六大学に現状を確認いたしましたところ、六大学とも平成二十四年十月一日時点のままであり、改善がなされていない状況でございます。

 また、診療に従事する医科大学院生の雇用状況についてでございます。

 平成二十四年十月に実施をいたしました調査では、同年十月一日現在において、医科大学院生の雇用一〇〇%達成を二十四年度末見込みとしていた大学が十三大学ございました。

 この十三大学の雇用状況を確認いたしましたところ、十大学は二十四年度末までに達成し、残りの三大学は二十五年四月一日に達成したことから、国公私立全七十九大学が雇用一〇〇%を達成している状況でございます。

岡本(充)分科員 時間が限られていたので、二十四年十月時点で静脈注射実施が一〇〇%でない大学にのみ、きのう聞いていただいたということでありますけれども、改めて、全大学がどのような状況になっているのか、確認、御報告を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

常盤政府参考人 各大学病院で取り組みは行ってきたところでございますが、今申しましたように、なお一層取り組みが必要と認識をしております。

 まず一つは、達成していない六大学に対して個別に改善を促してまいりたいと思いますし、また、各大学病院の取り組み状況をフォローアップするための調査を実施いたしまして、取り組みの改善を促してまいりたいと考えてございます。

岡本(充)分科員 それでもなお実施ができないところがあるとすれば、どのように対応する所存でしょうか。

常盤政府参考人 そこにつきましては、まずは、六大学の状況についてよく状況の把握をした上で、個別の改善を促すということで臨ませていただきたいと思ってございます。

岡本(充)分科員 まずと言いますけれども、これは何年やっていると局長は思われますか。

常盤政府参考人 経緯については、私もこれまでの経緯を調べさせていただきましたし、当時の議事録なども拝読をさせていただいております。

 長い期間かかっておりますので、六大学に対しては、しっかりと指導を図り、改善をお願いしたいと考えてございます。

岡本(充)分科員 これは前もお聞きしたことがあるから、大臣もおわかりだろうと思います。きのうきょうの話じゃないんですね。もうかれこれ十年ですよ。まずこれから状況を確認するなんという話じゃいけない話ですから、また来年この質問をしなきゃいけないというのは大変残念ですので、大臣、決意をお願いします。

馳国務大臣 私も、前回、副大臣のときに、岡本委員のこの質問に答弁をし、改善を促しますというふうに申し上げたはずでありまして、あれから十年、いまだにこの状況であるということ、残りの六大学を個別に、状況を踏まえて、やはり改善を促すように取り組むことがまず重要であると思います。

 残りの六大学の名前を挙げるわけにはいきませんが……(岡本(充)分科員「挙げてもいいんじゃないですか」と呼ぶ)ここで挙げるわけにはいきませんが、もうわかっているわけでありますから、個別に、なぜできないのか、ほかの大学は取り組んでいるわけでありますから、まさしく医科大学院生の身分のことにもかかわる問題でありますので、早急に取り組みますということを申し上げたいと思います。

岡本(充)分科員 早急にといって、次は馳文科大臣が総理になられるかもしれませんが、そのときにこんな話をするわけにもいきませんので、ことしじゅうには本当に必ず一〇〇%達成する、そういう決意でよろしいですか。

馳国務大臣 個別に改善を促してまいりますので、ことしじゅうにそうなるように、個別に改善を促してまいりたいと思います。

岡本(充)分科員 ぜひよろしくお願いします。それぞれの大学の事情はあるとはいえ、十年たっても、事情があって、ほかの医科大学はみんなやっているのに、やれないという話はないわけですから、そこはお願いします。

 では、続いて、スーパーサイエンスハイスクール、スーパーグローバルハイスクールについて、この予算についてお聞きをしたいと思います。

 まず、スーパーサイエンスハイスクール、もうこれも実施されて長くなるわけですけれども、実際にどういう成果が出ているのか、成果についてお話をいただきたい。それから、そもそも政策目標というのは一体どこにあるのか。長きにわたってやっているわけですから、そろそろ結果が出てもいいのではないかという意味で、御答弁を求めたいと思います。

伊藤政府参考人 スーパーサイエンスハイスクールにつきましての政策目的、あるいは評価、さらには成果についてお尋ねでございます。

 まず、本制度につきましては、将来の国際的な科学技術人材の育成を図ることをその主要な長期的な政策目的といたしまして、科学技術、理科、数学教育に関する研究開発を行う高等学校等をスーパーサイエンスハイスクールとして指定して、五年間にわたり、理科、数学に重点を置いたカリキュラム開発でございますとか、大学との連携による先進的な理数系教育を実施しているところでございます。

 また、事業の評価につきましては、当該事業を効果的に実施するために文部科学省に設置いたします、外部有識者を交えましたSSHの企画評価会議におきまして、指定三年目の学校の研究開発の進捗状況、これを書面並びにヒアリングを通じて、その内容を見直すような機会を各学校にも与えております。

 また、同時に、SSH事業全体の効果を把握するために、生徒や職員を対象といたしました、多肢選択式を基本とするアンケート方式、これらによって調査を実施しているところでございます。

 これらによってわかった成果でございますけれども、例えば、高度な研究開発に取り組む、課題研究に取り組むことで、単に知識の詰め込みではなく、課題の解決に向けて積極的に挑戦し、主体的に考え抜く力とか態度が身につく、そういった評価が得られております。

 また、科学技術に対して、学習意欲とか未知の事柄に対する興味向上、こういった効果も得られておりますし、卒業生の進路につきまして調査いたしましたところ、SSHの取り組みが進路や職業選択によい影響を与えている、こういったことがわかっているところでございます。

岡本(充)分科員 そのアンケートは大臣のお手元に資料として届いていますか。お渡しをしているペーパーのところの一枚目ですけれども、今、局長答弁の「未知の事柄への興味(好奇心)」、一番上ですよ。色がこの色でわかりづらいんですけれども、「大変向上した」というのが二〇%で、「やや向上した」と「効果がなかった」を合わせると六五%、六六%。三分の二の学生は効果がなかった、もしくはやや向上したのかなという程度の話であっては困ると私は思うんですよ。

 しかも、これは主観的なアンケートで、これで成果が出たというのは、スーパーサイエンスという割にはサイエンティフィックな評価じゃないんじゃないかという思いもいたします。

 そういう意味で、お金をかけてやる以上は、きちっとした評価をするべきです。そして目標をきちっと定めていかなければ、こういった政策目標自体が悪いとは言いませんけれども、その効果判断に問題があると私は思っているんですね。

 一枚めくっていただいて、裏側は、同様の、先生の方からのそうした思いを載せているものでありますが、これも同様に、残念ながら、教員から見ても、「やや向上した」もしくは「効果がなかった」が過半数を占めるという状況でありますから、これだけのお金を使うということが、本当に今の内容でいいのかということであります。

 発表会をされているそうです。一億七千万円の予算だそうですけれども、この中身について聞きたいと思います。一億七千万円の予算の中身は、生徒の旅費それから宿泊費、それ以外にどういったものに、どのように使っていますか。

伊藤政府参考人 まず成果について、今委員の方からアンケート結果についてもお示しいただいたところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、本事業の評価につきましては、アンケートのみならず、外部の専門家による三年目の中間評価といった評価も行っておりまして、この事業について、多面的にその成果の把握に努めているところでございます。

 それから、今お尋ねのございました生徒の研究発表会につきましては、二十七年度の予算では一億一千六百万となってございます。昨日は先生の方に資料をお出ししたかと思いますけれども、このうち、会場費が二千二百万。それから旅費、保険、それから、この研究発表会には、海外の先進的な理数教育の取り組みを行っております学生生徒の招聘も行ってございます、そういった経費が五千六百万等々となってございます。

 昨年の例で申し上げますと、二百三の指定校から約一千名の学生、並びに引率の先生が参加し、各学校からプレゼンテーションが行われたということでございます。

岡本(充)分科員 一億一千万余りのお金としても、残り四千万近くのお金は何に使っているんですか。

伊藤政府参考人 ちょっと細かくなりますけれども、二十七年度の予算は全体で二十三億ございます。このうち、いわゆる指定校、学校に配賦されるお金が十七億ございます。(岡本(充)分科員「違う。もう一回、ちょっと」と呼ぶ)

石原主査 一億一千万のうちの、最後の残り四千万。

伊藤政府参考人 三千九百万というのが運営費並びに事務経費でございまして、これにつきましては、各学校へのいろいろな備品の支給とかを行う経理の専門職員をJST、科学技術振興機構において雇ったり、それから、各高校の校長先生のOBの方々に嘱託となっていただきまして、本事業の指導並びに指定校に対する実地の調査等に行っていただく、そういった経費が含まれてございます。

岡本(充)分科員 大臣、これはそもそも、予算の規模を見ると、先ほどお話をしましたように、来年度予算は一億七千万円を計上しているんでしょう、このお金。発表会をやることを悪いと言っているんじゃないんです。その中で四千万円が間接経費なんですよ、はっきり言うと。JSTに流れているお金なんですよ。これはやはり、子供たちの発表会ということであればそこにお金がかかるというならわかるけれども、何でここのJSTにこのお金が流れるのかという意味で、きのう随分聞いたんだけれども、いや、間接経費はありません、こういう最初のレクだったよね。今、問取りに来ている人もいますけれどもね。

 私は、やはりJSTに流れているお金をしっかりもう一回見て、この予算の使い道で本当に効果が出るのか、大臣にも見てもらいたいと思います。

 もう一点、ちょっと御発言いただく前に。

 効果を見るときも、アンケート調査を見ると、要するに、SSH出身の者とSSH出身でない者とが、大学院に進学する意思がどちらが高かったかというアンケート調査です。しかし、これでは正確なものが見えない。つまり、どういうことかというと、同じ大学、同じ学部・学科の中でも、SSH出身、出身でない者との間で大学院への進学意欲が高いか低いかをやはり評価するべきであって、全部の大学を入れて評価をしたのでは、これは評価として不十分なんです。

 こういうデータに基づいてJSTが効果があったという話をしているところが私はどうかという話を今しているのでありまして、ぜひとも、その点も含めて、大臣、もう一度この事業を、私はやるなと言っているわけじゃなくて、よりよい事業にしていくためにリモデリングするべきじゃないかと思っています。

 なお、きのうの質問レクの中では、卒業生の所在がわからなくなっている事例もある、個人情報で追えていないという方もいるんですよね。一体何人ぐらい追えていないんでしたか。

伊藤政府参考人 SSHの事業におきましては、卒業生の追跡調査というのも行ってございます。

 その状況でございますけれども、例えば二十五年度に行いました調査におきましては、アンケートを卒業生約八千人にお配りし、回収率は一七%となってございます。ただ、その八千人につきましても、卒業生全てではございません。ここの点につきましては、各高校に、あるいは教育委員会等を通じて、協力、ボランタリーのお願いをしているところでございます。

 今、委員の御指摘のような点につきましては、我々も改善が必要だというふうに認識してございまして、回収率の向上等につきまして引き続き努力を図ってまいりたいと思います。

 それからもう一つ、卒業生の、一般の高校を出た方とSSH出身者の比較について、適切な方法ではないんじゃないかというような御指摘もいただきました。この点につきましては、なかなかSSH校と一般校での比較が容易ではございません。一般校出身者に、あなたはどこの高校出身ですかというような個人情報にかかわることをお伺いしないと正確な比較はできないわけでございますけれども、SSH事業の効果的な推進に向けまして、アンケートの調査の方法あるいは項目、こういった点につきましても、不断の改善を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

岡本(充)分科員 予算を何十億もかけているわけですよ。かけた結果、フォローできているのは一七%。それも、そもそも全員ではない母数で、八千人に送って一七%と。これで、この事業がうまくいっているどうのこうのという評価をするのは難しい。この事業は十年以上やっているんですよ。そろそろこれはやはり見直すべきときじゃないかと思うんです。評価の方法もそうです。それから、事業の内容もそうです、お金の使い方もそうです。

 大臣、これを見直すという決意をいただいた上で、私も協力することはやぶさかではありませんので、よりよい事業にしていこうと私は思うんですけれども、いかがですか。

馳国務大臣 もし河野太郎大臣に目をつけられたら大変なことになるんじゃないかと思いながら、私も今の答弁を聞いておりました。

 そして、委員もおっしゃるように、私も、効果がないと言っているわけではないんですよ。やる以上は、スーパーサイエンスハイスクールを継続する必要もありますし、大学院への進学率もよいようでありますし、そうした継続的なフォローアップをすることがスーパーサイエンスハイスクール事業をする意味になってくると思います。

 評価のあり方についても、確かに間接経費の必要性は私も否定するものではありませんが、それ以上に、高校生諸君、学生諸君にとっての意味のある発表会のあり方とか、現場の高校における事業の展開のあり方というのはあるはずでありますから、改めて、きょうの御指摘を踏まえまして、見直しはすることはお約束をいたしたいと思いますし、見直しの結果、よりよいものになるようにしていきたいと思っております。

岡本(充)分科員 見直しがまず先だったと思うんですが。

 一方で、本年度予算に十一億円のスーパーグローバルハイスクールという予算が積まれています。十一億円の中身は何なのかという話も聞きました。まず、政策目標と評価についてどうしていくのか、これについて、やはり同様にしっかりと考えていかなければ、この事業自体が私は先細りになるんじゃないかと。

 今回も新たに指定される学校が七校という予定だと聞きました。前は五十校以上一年に指定されていたのが七校と、大幅に絞られた。これはやはり、その政策目標と評価のあり方に大きな課題が残っているからじゃないか、それを財務当局に見られたんじゃないかと私は思っているんです。

 したがって、これもきちっと制度設計して、そして、短期ではあるけれども、まだ始まって間もないけれども、きちっと評価に足る評価方法で評価をして、ことしはこの予算だったけれども、来年度しっかりとまた指定校をふやせるという環境にしましたという話ができるようにするべきだと思うんですけれども、このSSHの話を聞いてみえたと思いますが、それを踏まえて、局長、どうでしょうか。

小松(親)政府参考人 スーパーグローバルハイスクールにつきましては、もちろん、スーパーサイエンスハイスクールが科学技術関係、スーパーグローバルハイスクールが国際交流や国際発展というような特色も片方でございますけれども、方法論としては非常に似ているところもございますので、これまでの推移等も踏まえて対応する必要があるという御指摘だと思いますが、そのような考え方で私どももやろうと思っています。

 短期の政策目標としては、要約して申し上げますれば、将来国際舞台で活躍できるような人材に資する先進的な教育課程とその実践方法の開発ということになります。

 中期、長期の目標ということになりますと、その開発、実践を全国的に普及させて、グローバル人材の養成の底上げを図るということを長期目標に据えたいと思ってやっているところでございます。

 これを効果的にやるためには、こちらも五年間の指定の事業中間報告等を行いますけれども、その指標等について、きちんとはかれるものをグローバルハイスクールの目的に沿って立てる必要があると思います。

 今現在は、出していただく高校の方から、目標設定のシートを構成して、ここを達成したいというようなことを出していただいて、その出されたものを有識者の委員会で選定していくという方法をとっております。

 これが中間審査なり全体審査の中でどのように客観的にはかれるか、またその指標でいいか、こういったものの改良を図っていくというような形でやっていく必要があるというふうに考えております。

岡本(充)分科員 大臣、これも現状どんなお金の使い方なのかと聞いてみたら、レクで聞かれたかもしれませんけれども、一校当たり一千万円お金が入って、今年度までは三〇%までが生徒の旅費ですか、来年から四〇%まで使えるそうですけれども、その多くの部分を旅費で海外に行かせてもらえる。そして、海外に行って何らか自分の調査研究に資する見学等をして帰ってくる。あと、外国人の講師等を呼ぶのに上限三百八十万ですか、お金が使える。それ以外に、事務費が百六十万円、それからコーディネーターの人が二百四十万円、これをそれぞれ上限にしてお金が使える、こういうふうになっているようです。

 生徒に対して使うのは海外への旅費が圧倒的に多くて、本当に短期の視察で語学の能力が向上し、なおかつ国際的なディスカッションができるような人材が育つのかといったら、十年待たなくても結果が見えているわけですよ。

 大臣、やはりこれも相当抜本的に見直さないと、せっかくいい着想だと私は思いますが、これは単なる高校生の海外第二修学旅行に化していたんじゃいけないと思いますから、そこを変える決意をちょっとお願いしたいと思います。

馳国務大臣 国際社会で活躍する人材の育成というふうな目標は、私はそれでよいと思いますが、お金の使い方だと思うんですね。別に海外に行かなくたって、隣のインターナショナルハイスクールと交流すれば、そういう機会は十分持つこともできますし。

 手を挙げてきてくださった高校側の実情に応じて、やはり他国の方々とお互いの文化を理解し合う、生活習慣を理解し合う、あるいは、ホームステイをするなどを通じて、いかにモチベーションを与えて、さらに、その事業を通じて、自分で勉強しようかというふうな方向に導くことが必要であります。

 私も、何校かスーパーグローバルハイスクールの学校に訪問したところ、大変よい効果が出ているというふうにお示しをいただきました。大臣が行けば、大体皆さんそうおっしゃるんだとは思いますが。

 本来求められている高校生諸君の、やはり海外の皆さんとも交流しよう、自分も海外で活躍をしよう、同時に、海外から日本に来られた外国人に対して優しく接しながら、その経験を自分の将来のキャリアに生かしていこうということのできるような、より総合的な取り組み、そのための事業展開が必要だと思いますので、そういう観点で改めて洗い直しをしながら、スーパーグローバルハイスクールの事業も私は充実していきたいと思います。

岡本(充)分科員 大臣、見に行くときは、役所の方がお勧めにならないところへ行かれた方がいいですよ。私も政務のとき、見に行くときには一覧表を出してもらって、役所の人は、ここはいいですよ、ここはいいですよ、こう言われるわけですけれども、いやいや、ちょっとここを見に行きたいと言って違うところを見に行くと、やはり違うものが見えたりしますので、ぜひ、SGHを次にまた見に行く機会があったら、そうでないところを見に行かれるといいのではないかと思います。

 では、次の質問に行きます。

 幼児教育の無償化に向けてということで、今回、予算が入っています。

 そもそも、政府における幼児教育の無償化とは、何をもって達成をするということになるんでしょうか。

小松(親)政府参考人 無償化という考え方の一番はっきりしているものにつきましては、今回、公立学校などでいたしております全額が無償になるということを目指したもの、それから、国公私立の特色によって考え方が少し違ってきますのは、学習指導要領、幼稚園でいえば幼稚園教育要領になりますが、それがきちっとできる部分について負担をきちっとやるというのが無償化という考え方。これらの組み合わせで、政府としては無償化に向けての政策を進めていこうというのが現在の姿勢でございます。

岡本(充)分科員 それでははっきりしないんです。ここまで行ったら無償化だ、一体無償化とは何を指すのか。幼稚園の教育の要領に含まれる部分のお金と言っていますけれども、今、現に保育料が物すごく高い幼稚園もあるわけですね。こういう幼稚園においては、一体どこまでが見るべきお金なのかというのがやはりはっきりしておかなければ、ゴールがなければ、これは走るのは大変ですよ、大臣。どこがゴールですか、はっきり言ってください。

馳国務大臣 これは、幼児教育をどう定義するかというところにあると思うんです。学校教育法上は一条校ですから、幼稚園という言い方をしておりますが、実は、自公民三党合意で、認定こども園制度をつくる、新しい制度設計の中で、そもそも幼児教育は、保育所においても、認定こども園においても、幼稚園においてもやはり必要なのではないかというふうな定義づけについて議論がされておりますし、与党の方でも、幼児教育振興法なる新たな立法も検討中というふうに仄聞をしております。

 したがって、段階的な幼児教育の無償化というふうな表現をしておりますけれども、本来身につけるべき子供たちにとっての教育と保育、この観点においてやはり定義づけを明確にしていかなければ、何をもって幼児教育で、何をもって無償化という議論には私はなかなか終わりが来ないのではないかというふうに思っております。

岡本(充)分科員 そんな中で、最後の資料、これは政府からもらった資料ですよ。幼児教育無償化に向けたという資料の右下に、三十万八千円の今回の一人親世帯等への補助単価引き上げで無償化と書いてあるんですね。これで無償化というのは、今の話でいえば、大臣、この資料は正しくないですよ。

 だから、そういう意味では、この資料で説明をすることは無償化に私は誤解を生じさせると。大臣、それをめくっていただいて一番最後です。その右下に、無償化と書いちゃっているんですよ。これで無償化じゃないんですよ。そういう意味では、この資料はもっと丁寧につくるべきじゃなかったですか。

 これを幼稚園関係者が手にして、お母さんたち、お父さんたちが手にして、無償化だと言われても、何だこれという話の地域や幼稚園もたくさんあるわけですから、やはり、きちっとまず無償化の定義を決めること。そして、それに向けてできたのであれば、それは無償化という話だということ。私は、それを大臣に指摘して、この資料を見直すべきだと思います。そういう意味で、改めて大臣の見解を問いたいと思います。

馳国務大臣 まず、施設におけることを考えれば、認定こども園と保育所と幼稚園というふうな三類型がありますし、幼稚園におきましても国公私立とございます。そんな中で、どれを無償化の定義とするかということは、まさしく委員御指摘のとおりだと思っておりますので、改めて、その指摘も踏まえて対応するようにしたいと思います。

岡本(充)分科員 ありがとうございました。終わります。

石原主査 これにて岡本充功君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、井上(貴)主査代理着席〕

井上(貴)主査代理 次に、岡本三成君。

岡本(三)分科員 公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。今し方まで質問をしていらっしゃいました岡本充功さんとはたった一字違いでございますので、よく間違われますけれども、新たな気持ちでやらせていただきたいと思います。

 きょうは、三十分間お時間をいただきましたけれども、学校給食に関する費用負担のあるべき姿についてお伺いをしたいと思います。

 まず、学校給食の重要性を確認する意味からも、子供の貧困について日本の現状を確認させていただきたいと思います。

 厚生労働省の国民生活基礎調査に基づくと、日本の子供の貧困率は、直近の数字ですと一六・三%。これは、民間の企業もいろいろと調査をしておりまして、民間企業の分析によりますと、過去二十年間で子供の貧困率は倍増しておりまして、県別に見ますと、沖縄では三七・五%、何と三人に一人以上貧困家庭に属していて、次が大阪で二一・八%、五つの御家庭のうち一つは、お子さんが残念ながら貧困家庭の状況にあるというふうに数字が出ております。

 この子供の貧困率は、OECD加盟先進国三十四カ国の中で、日本は十番目に高い、つまり悪い。十番目に悪い国が日本なんですね。ちなみに、一人親家庭だけを抜き出しますと、日本においての貧困率は五〇・八%、OECD加盟国中最悪の数字です。

 子供の貧困というのが学校の教育現場に大きな影を落としておりまして、当然、給食費の負担もそうですけれども、文房具、制服等々に関しましても親御さんの大変な負担をいただいている状況であります。

 文科省といたしまして、まず、この子供の貧困の状況に関しましてどういうふうに捉えていらっしゃるか、御答弁をいただければと思います。

馳国務大臣 近年、上昇傾向にあるということと、これは深刻な状況である、こういう認識を持っております。

岡本(三)分科員 このように、残念ながら子供の貧困が進んでいる現状の中で、学校給食の役割が、子供の健康維持促進にも大変重要な意味を持ってきております。

 さまざまなエピソードが紹介されていますけれども、例えば、夏休みになりましたら、学校で給食がないがゆえに、貧困の御家庭にあるお子さんの栄養の水準が悪くなるというような記事もたまたま見るようになってきてしまいました。

 仮に、日本の全ての小学校、中学校の学校給食を無料化した場合に、小学校、中学校それぞれ幾らの予算が必要となるか、お答えいただければと思います。

小松(親)政府参考人 お尋ねの件でございますけれども、いろいろ前提条件がございますので、これが公式の推計というやり方は難しいのでございますけれども、御趣旨に沿って考えてみますと、学校給食費につきましては、学校給食法の規定によりまして、学校の設置者が施設整備費や人件費、それから保護者が食材費をそれぞれ負担しておりますので、この保護者が負担している食材費につきまして、完全給食が実施されているところ、大部分はそうなっておりますので、その全ての公立小中学校について、直近の数字、平成二十六年度について見てみますと、学校給食の対象者数が、小学校で約六百五十万人、中学校で約二百六十万人。学校給食費の保護者負担額の一カ月当たりの平均額が、小学校で四千二百六十六円、中学校が四千八百八十二円。

 仮に、この児童生徒数に保護者負担額の年間分をそのまま掛けた数字というものを見ますと、小学校で約三千億円、中学校で約千四百億円。正確には、今の掛けた数字で申し上げれば、小学校で三千二十九億円、中学校で千四百十七億円、合計四千四百四十六億円という数字に相なります。

岡本(三)分科員 つまり、小学校で約三千億円、中学校で約千四百億円、合計四千四百億円の国費負担があれば、毎月の親御さんの負担はなくても回っていくということですよね。

 これは、特に貧困家庭の場合に、給食費が小学校で月約四千三百円、中学校で四千九百円、大変大きな数字なわけですけれども、この給食費に関しまして、今給食が行われておりますのが小学校で約九九%、中学校で八八%ですけれども、この中で、直近の数字で、学校給食費の滞納が何件あって、総額として幾らぐらいの金額が滞納されているかというのを教えてください。

小松(親)政府参考人 こちらも、仮に今の御趣旨を体した試みの計算になりますけれども、文部科学省が抽出で平成二十四年度に学校給食費の徴収状況に関する調査を行いました。その結果を申し上げますと、未納者の割合が約〇・九%、未納額の割合が約〇・五%となります。この抽出で得た数字を、この割合で全国的な額に掛けますと、その数字は約二十二億円というふうに計算されます。

岡本(三)分科員 これは何を意味しているかというと、初めに確認いたしましたように、子供の貧困率は大変上がっておりまして、残念ながら、一人親家庭の場合には、二人に一人が貧困の家庭に属しているということになっております。

 そして、そのそれぞれの御家庭が、小学生ですと月四千三百円、中学生ですと月四千九百円、大変大きな負担をしなければいけないにもかかわらず、実際に、件数として未納は〇・九%、一%以下、金額としては〇・五%。

 つまり、親御さんは、大変厳しい経済状況であるけれども、給食費まで払わないようなことになってしまうと、お子さんが学校において例えばいじめられるようなことがあってはいけないので、子供にだけは恥ずかしい思いをさせたくないという思いで優先的に給食費は払っていらっしゃるということの証左だというふうに思います。その親御さんの気持ちは、私も娘が二人いますので、当然よくわかるんですね。そういう状況でも、残念ながら給食費が払えないような御家庭もいらっしゃいます。

 実は、国がこういうところにしっかりと支援をすることができていませんので、各地方自治体において、先んじてここを支援していこうという動きが広がっています。この子供の貧困問題を解決して、地域において子育て支援の方策をしっかりと明確にしていきたいということで、給食を無料化している自治体が、NHKの調査によれば五十自治体を超えているというふうに報道されています。

 私は埼玉県に住んでおりまして、衆議院の北関東比例区というところで国会に送っていただいておりますけれども、私の選挙区の中でも、埼玉県の小鹿野町、栃木県の大田原市、茨城県の大子町、それぞれ、我が党の地方議員が先頭に立って、それぞれの自治体の首長と一緒になってこの予算を組んで、その地域においては公立の学校の給食費の無料化をかち取っております。

 こういう自治体が今どれぐらいあるのか、そして、この自治体が国に対してどういうことを要請しているのかというふうな実態調査というのは文科省の方でやっていらっしゃるんでしょうか。

小松(親)政府参考人 文部科学省では、学校給食費の無償化について全国的な調査を行っておりません。したがいまして、網羅的には把握いたしておりません。

 地方自治体の中にさまざまな取り組みがございますが、その中で、独自の取り組みとして学校給食費を無償化している自治体があることは承知をいたしているところでございます。

岡本(三)分科員 大臣、これはやはり調査させるべきじゃないですか。私は、日本の大学を出た後にイギリスの大学に行きまして、その後、アメリカで大学院にも行きました。働いている途中ではシンガポール、いろいろな国に住んできたんですけれども、日本ほど、子供に、教育にお金を使わない国はないのではないかなというふうに思っているんですね。例えば、我が国の当初予算、初めに組まれる予算はざっくり百兆円ですよね。その中で文科省の予算はたったの五兆円、五%です。

 国として考えると、政府と地方自治体が一緒に支出している公的な金額、一般政府総支出といいますけれども、国と自治体が年間に使うこのお金の中で、教育費が占めている割合がどれぐらいかというのをOECDが調査いたしております。その中で日本は、一年間に使う金額の中で教育費に使う割合が最下位、びりです。将来に対して最も明るい光をかざしていかなければいけない大人の役目が実際にできていないのが、残念ながら我が日本であり、圧倒的に子供にお金を使わない国なんですね。

 私は四年前までビジネスマンでしたので、今、安倍総理が、企業が設備投資をすることを非常に重要だとおっしゃっています、そのとおりだと思うんです。国にとって、子供に教育費をかけていくというのは、次元は違いますけれども、企業にとっての設備投資や研究開発費、未来に対する投資と一緒だと思うんです。そこの投資もせずに将来の豊かな国をつくろうなんというのは、種を植えていないわけですから、何の果実もなり得るわけがないというふうに私は思っています。

 基本的に、子供に対する教育の支援をどこまでやっていくかということが日本の将来を決めていくというふうに思っておりますので、私は、この給食費というのは、戦略的に無償化、四千四百億円、国が地方も含めて協力をしながら、全体として国で払っていくべき金額だというふうに思っています。

 こう聞くと、そんな大きな金額、できるわけないじゃないかと思われるかもしれませんけれども、例えば、今、小中学校の教科書は全部無料配付です。多分、私の娘たちは、昔、教科書が有料だった、買わなければいけなかった時代があったことさえも知らないと思います。そういうふうに給食も変えていかなきゃいけないと思うんですね。

 教科書は、ちなみに昭和三十八年から無料化の動きが出てきています。これは、昭和三十八年三月十三日、我が党の参議院議員柏原ヤスさんが、本会議で当時の池田勇人総理大臣に教科書無料配付の完全実施を迫り、決断していただきました。その日の夕刊各紙のトップ一面です。読売新聞は、三月十三日の夕刊にこう書いています。昭和四十一年度には教科書無料配付完全実施、首相、教科書無料配付で公明柏原議員に答弁。

 それから始まったことなんですね。ただ、今となっては教科書を買うなんという発想自体がおかしいんじゃないかとみんな思っているようなことが、つい五十数年前は行われていたわけです。給食も同じように将来変えていかなきゃいけないんじゃないかと思っているんです。

 この無料配付は、実は、いきなり昭和三十八年からできなくて、政府の対応がおくれたので、完全に小中学生全員に無料配付になったのは昭和四十四年です。その間までは何が行われたかというと、小学校一年生から三年生まで無料配付になったんですね。四年生以降は親御さんに買っていただかなければいけない状況が続きました。

 そのときに何が起こったかというと、地方自治体にそのすき間を埋めていただくような活動をしていただいたんですね。小学校四年生以上で急に教科書を買わなければいけなくなったということで、北海道の歌志内市という市があります、ここの市というのは、もともとは炭鉱ですごく栄えていた町なんですが、その炭鉱が廃鉱になりまして失業者が多くなって、生活水準が残念ながら悪くなっていきました。

 ここに我が党の一人の市会議員がいまして、小学校四年生から中学校三年生まで、国ができないのであれば、その間、市で教科書を配付していこうということを掲げて、市長とともに戦いまして、予算をかち取って、実際に、国が中学校三年生まで完全無償化するまでの間、足らない分を市で補填して配りました。

 そして、このことを、同じ公明党の地方議員らは、埼玉県の所沢市、川口市、大宮市と共有をいたしまして同じようにやって、昭和四十四年に国が全部教科書を無料配付したときに、全ての自治体がその役目を終えて国に責任を果たしてもらったという歴史であります。

 本当に今、昔は教科書を買っていたんだよと。この柏原ヤスという参議院議員は、議員になる前は小学校の先生だったんですね。大臣も教鞭をとられていらっしゃいます。この人が小学校の先生のときに、御両親の所得が低いからということで教科書が買えないようなお子さんが、涙ながらに教科書が欲しいと訴える姿を見て、そして、少ないお小遣いの中で自分では買えないのに、恥ずかしいから私は買いたいんだというふうに先生に訴える姿を見て、その気持ちを心にとめ置いて、参議院議員になった後に、そのことを一番初めの御自分の政策に掲げて実現をいたしました。

 私は、給食においても全く同じ気持ちなんです。どこかで本気で国が取り組んで、子供の未来にしっかりと支援をしていくという形で全額国がその費用を払っていく。四千四百億円というのは大変な数字です。ですから、文部科学省の五兆円の予算のつけかえだけでできるような数字ではないことはよくわかっています。ただ、我が国が一年間に使う予算から考えますと、〇・五%以下です。ほんの一%の何分の一の金額で、小学校一年生から中学校三年生までの将来に対して国は全面的に支援するというメッセージを送ることができるのであれば、大臣御自身が、総理や官房長官、財務大臣と交渉されて、大きく道を開くような御尽力をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

馳国務大臣 数々の御指摘をありがとうございます。

 また、公明党が教科書無償化に果たした歴史的経緯ということについては私もよく承知をしておりますし、大きな歴史的な使命を果たされたということも理解をしております。

 翻って給食費の問題でありますが、今現在、九九・九%の保護者はきちんと払っておるわけでありまして、残念ながら、そうではない保護者も〇・一%おられるという現状であります。

 私は、保護者の教育に対する責任という使命感の中で、子供の給食費をしっかりと支払うということも一つ重要な責任だ、こういう認識でおります。

 したがって、財政的な問題は財務省にもお聞きいただければよいと思いますが、私は、教育的な観点からも、保護者が我が子の給食費をしっかりと払うという、保護者、親としての責任はやはり果たしていただきたい、こういうふうに考えております。

岡本(三)分科員 大臣、憲法二十六条には、義務教育は無償とすべしというふうに規定されています。

 では、給食が教育に当たるのかどうかという点を次にお伺いしたいと思います。

 まず、幼稚園の給食費は、現在、課税の対象としては非課税です。これは、平成十八年までは消費税を払っていただいておりました。しかし、平成十九年から消費税が非課税になっています。その理由をお答えください。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 税法上の仕組みは、学校教育として行われる役務の提供という分類がございますけれども、これのうち、授業料や入学金等については、教育に必要な基礎的な費用として、消費税非課税という扱いになっております。

 その上で、幼稚園の給食に必要な経費、これを給食費と申し上げますと、これが、発達段階とか保育所とかそういったものとの関係も総合的に見てということになりますけれども、保育料と一体的に徴収をされているという場合には、消費税法の、学校教育として行われる役務の提供という中の授業料として非課税となっているということでございます。

岡本(三)分科員 大臣、ここは一番申し上げたいところなので、恐縮ですが、聞いていただければと思うんです。

 要は、教育であれば非課税なんです。これは、学校教育法上、教育は非課税、教育以外のサービスは課税なんです。平成十八年までは、給食は教育ではないサービスだということで課税対象でした。

 そのときに、平成十九年一月十七日に、文科省が国税庁に照会をしています。どういう照会かというと、この食育推進の観点から提供される給食というのは、当該幼稚園における教育活動であるため、給食にかかる経費については授業料と一体徴収することが実態に即しており、教育の実施に必要な経費であるため、つまり給食は教育であるため、授業料として徴収する場合には非課税が適切だと思いますというふうに国税庁に照会をして、国税庁から、給食は教育であるのであれば、授業料と一体徴収して、非課税が適切というふうに答えを得ています。

 局長、それで間違いありませんか。

小松(親)政府参考人 私どもが理解しているところでは、税法上の分類で、今おっしゃられている教育というのは、教育上の役務の提供というものに当たるということであればということでございます。

 幼稚園に関しては、例えば食材費と、いろいろな施設設備やつくることとかそういったこととが分かれておりませんので、そのことを指しているものと理解しております。

岡本(三)分科員 要は、ですから、教育は非課税で、教育以外のサービスは課税なわけです。よく理解できます。

 これは、学校給食、小中においてはどういうことかというと、小中学校の学校給食というのは、昭和二十九年に制定されました学校給食法が根拠法です。昭和二十九年ですから、当時の給食の目的は健康の保持促進でした、法律上の目的ですね。健康の保持促進であれば、当然、教育ではないというふうに考えられます。

 この学校給食法というのは、時代とともに何回も大きな改正が行われております。そして、平成二十年に、目的も含めまして大きな改正が行われています。そのとき、平成二十年以降、給食の目的は何となっているかというと、法の目的として、「学校における食育の推進」、つまり教育ということになっているんですね。

 平成二十年以降、法律によって、給食は教育であります。小中学校において給食が教育であれば、幼稚園でも同じように給食が教育とみなされるようになったから非課税なわけです。小中学校においても法律改正で教育という位置づけになったのに、幼稚園は非課税で、今、小学校、中学校の給食は消費税がかかっているんですね。同じように教育なのに、なぜ小中学校の給食には税金がかかっているんでしょうか。

小松(親)政府参考人 教育としての意義づけ、特に食育というものが社会変化の中で非常に概念としてもきちっと形成され、大きくなってきているということも含めての法改正というものが行われておりますので、そういった意味で、給食は、もともと教育的意義はありますけれども、位置づけが法的にもはっきりした、こういうこととまず理解しております。

 税法上の分類としては、それが役務の形になるか、それとも材料費のような形と分かれるかということで分類が行われているために、そこのところが分かれているということで、教育的意義とは直接にはそこは連動していない分類というふうに理解をしております。

岡本(三)分科員 全くわからないんですが、幼稚園の給食が非課税で、小学校、中学校の給食が消費税課税されている意味、違いを教えてください。

小松(親)政府参考人 税法上の分類として私どもが理解をしている、認識をしているところを申し上げますと、私どもの用語に置きかえますと、授業料というものとして一体的に役務の提供として認識をされているか、それとも、全体のサービスと食材費のようなものに分かれているかということで税法上分かれている、こういう分類になっているというふうに理解しております。

岡本(三)分科員 つまり、何とおっしゃっているかというと、幼稚園には月謝があります、月謝と一緒に徴収するから教育の一環なので給食費は非課税ですと。小学校、中学校は教育は無料です。ですから月謝はありません。月謝がないがゆえに、一緒に払えないんだったら給食費は課税対象、そういうことでしょうか。

小松(親)政府参考人 授業料という言葉で申し上げましたのは、確かにそういう誤解を招くといけないんですけれども、ポイントは役務の提供に当たるかどうかだというふうに考えられると思っております。

岡本(三)分科員 私も法律を読み直しましたけれども、要は、学校給食の目的が教育というふうに位置づけられるかどうかというのが一番ポイントだと私は理解をしております。そして、先ほど申し上げたように、平成二十年から、食育を前面に出して、給食の目的は教育だということをちゃんと言及されています。

 質問させてください。

 この平成二十年の改正の後に、国税庁か財務省に対して、これが課税対象なのかどうなのかということを照会されましたでしょうか。

小松(親)政府参考人 正式な形でそういう照会をしたことはございません。

岡本(三)分科員 照会してくださいよ。

 平成十九年の幼稚園のときだって、十九年一月十七日に照会されたからこそ、課税だったものがその次の年から非課税になっているわけじゃないですか。照会もしていないで、それが実際にどうかということをやらないのは、職務怠慢とは申し上げませんけれども、照会していただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 委員御指摘の教育的意義というものがますます深まっているということは、私どももそのように思っておりますし、それによって給食が充実し普及することについては、懸命に取り組みたいと思っております。

 今、御照会というお話がございましたけれども、私どもの理解しているところの役務の提供に当たるかどうかという部分については変わっていないので、税法上の体系にそのまま移すということはなかなか困難でございます。申しわけございません。

 ただ、給食ということにつきましては、今申し上げましたように、教育的意義も非常に深いものがあり、社会変化もある、また一方、大臣からも答弁がありましたけれども、考え方については、かなりさまざま、いろいろなものがございます。こういったものを含めて、税法上どういう位置づけができるか。今、税法もいろいろ変わってきておりますので、そういった中で税制当局ともよく相談をして、よりよい方向を目指すということについては、私どもとしても、税制当局としっかり連携をして、全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。

岡本(三)分科員 大臣、コメントをいただきたいんですけれども、学校給食法ができましたのが昭和二十九年です。当時の給食の目的と今の目的、時代背景が違うわけですから変わって当然だと思うんですね。

 普通の、一般国民の感覚からして、幼稚園の給食は非課税で、小学校、中学校の給食は課税だというのが肌感覚で理解できるかどうかというと、いろいろな御託を並べても、やはり理解しづらいんだと思うんです。

 それがゆえに、学校給食法は今まで何回も、目的も含めて大きな変革がなされて改正されてきたわけですけれども、大臣、今お聞きになって、平仄が余りにもそろっていないというふうにお感じになりませんでしょうか。

馳国務大臣 まず一点、先ほど、数字を〇・九%と言うべきところを〇・一%と言ってしまったので、おわびをして訂正させていただきます。

 そして、今現在の話ですが、まさしく税法上の議論になると思いますので、改めて検討させていただきたいと思います。

岡本(三)分科員 税金でさまざまな角度が絡み合って、なかなか線引きが難しいのはわかると思います。

 ただ、普通に考えていただいて、これほど子供の幼児教育に力を入れようと大目的を掲げている国が、幼稚園に関しては大きな前進を得て給食が非課税になったにもかかわらず、義務教育である小学校と中学校で、しかも給食が学校給食法の中で教育だというふうに位置づけられて、しかも、憲法では義務教育は無償でなければいけないというふうに定められているのに、給食代を取るのみならず、幼稚園では取っていない消費税まで取るというのは、どう考えても理解に苦しむ状況であります。

 現状が悪いからどうこうということではなくて、本当の法律の趣旨、これからどういうふうな光を子供たちに与えていきたいか、そういう大きな目的意識を持ちながら、近くは、少なくとも消費税に関しては幼稚園と同じように取らない、そして、中長期的には学校の給食というのは無償化をしていくということを真剣にお考えいただきたいと思います。

 済みません、最後に大臣、一言御決意をお願いいたします。

馳国務大臣 先ほどの答弁で申し上げたように、保護者にも教育の責任があるわけでありまして、材料費については保護者が支払うべきであると私は思っております。

岡本(三)分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

井上(貴)主査代理 これにて岡本三成君の質疑は終了いたしました。

 次に、神谷昇君。

神谷分科員 自民党の大阪の神谷でございます。

 本日は、質問の機会を賜りまして、心から感謝を申し上げます。

 馳大臣、就任以来、本当に御活躍を賜りまして、心から敬意を表し、また感謝を申し上げます。これからもそのすばらしいバイタリティーで頑張っていただきたいというふうに思っております。

 大臣の仲人の松浪健四郎さん、その方のお兄さんの松浪啓一さんと私は府会議員の同期でございまして、まだ私は国会議員になってから日も浅いですから、海外視察も行く時間はございませんけれども、府会議員のときは年間五、六回ぐらい行ってまいりまして、特に、ドイツそれからオランダ、あの辺の教育環境を勉強させていただきました。

 あるときのことであります。フランクフルトの郊外のキンダーランドでございましたが、生徒数が二十人ぐらいでびっくりしました。先生と生徒さんと話をしておりましたところ、ドアがあいたわけです、風か何かで。そうすると先生が、何々ちゃん、ドアを閉めてきてとかなんとか言っていました。それで、子供さんが行きまして、ドアのノブを両手で持って、静かに閉めたんですね。行儀が行き届いているなというふうにびっくりしました。ちょっと日本の行儀が負けたかなというふうにそのときは思ったんです。

 それからまたびっくりしたのは、教室を見せていただきました。日本と違って、教材がたくさんありますね。例えば、はめ込みのブロックとか、いろいろあるんですね。工夫すれば何ぼでも創造力がついてくる。日本は教材がほとんどない、向こうは教材がいっぱい。

 そして、教室を見ますと、世界の旗がずらっと並んでおりまして、先生いわく、この学校では、小学校の低学年のときから、世界観、そして宇宙観を教えていると。やはり日本の教育とはちょっと一味違うなというふうに思ったわけであります。

 しかしながら、日本では、伝統文化でございますお茶とかお花、これで心の豊かな子供たちを育むことができますし、また、書道、絵画、これでまた落ちつきや礼儀作法も教えることができますし、また感性を養うこともできるわけであります。こういうことを私も市長のときにいろいろと、出前講座をやってまいりました。

 日本の子供たちは行儀が悪い、悪いと言われておりますけれども、実際、教えていない子供たちに行儀がわかることがありません。しかし、ちゃんと正座させて、お茶を出して、おまんじゅうを食べてもらって、そして日本のおもてなしの心を教えることによって、自然と礼儀作法はついてくるわけであります。

 そしてまた、日本古来の伝統であります武道、空手とか剣道とか、柔道もそうですね、これを教えることによって、やはり相手をいたわる心、それが涵養されてくるわけでございます。そういう中で、やはり日本の子供たちをもう少しその辺でしっかりと教えていく必要があるのではないか。また、元気さを養うならばリズム体操、それもあるでしょうね。そういうことを常々思っているところでありますが、この点についての見解をお聞きしたいということです。

 もう一つ加えて、オランダの小学校、アンネ・フランク小学校というところへ行きました。そこは、校長先生が授業に出ておりまして、生徒も十数人でした、校長先生といろいろ話をしておりました。

 校長先生、校長先生が教えていて、教育委員会から電話なんかがかかって呼び出しを受けたらどうしますか。いやいや、私は、子供の方が大事ですから、そんなの行きません。えらい大した先生だなと思いました。

 そこで話をしておりますと、校長先生がある生徒に、何々君、将来は何になりたいんですか、こう言ったわけですね。はいと手を挙げて、私はお父さんと同じようにトラックの運転手になりたいんです。オランダとかドイツでは、小学校のころからそういう職業意識を教える教育をしているんですね。

 ところが、日本はどうかといいますと、近年ゆとり、あれで大失敗しましたけれども、小学校のときから、とにかく勉強させる。幼稚園、小学校低学年、勉強させる。何で勉強するんや。いやいや、もうとにかくええ学校へ入る。勉強して、ええ大学へ入った。ところが、何をするためということを教えていませんから、何をしていいかわからぬから、そこでニートになってしまうんですね。せっかくそれまで頑張ってきた生徒が、ごろごろとニートになっていくのが日本のある面ですね。

 その中でも、お受験、あるいは私学に対する中学受験。大臣、あのテストをごらんになったことがありますか。難関私立中学校の問題は、小学校のテストでオール百点をとっても解けない問題なんですよ。こんなことがもう何十年来、日本では許されているんですね。

 オランダ、ドイツ、この辺は先ほど申し上げました。フランクフルト郊外のキンダーランドでは、モンテッソーリ、そしてヴァルドルフ教育、理論に基づいた教育をして、小中一貫校の中でゆとり教育をできるんですが、日本ではそれができていないんですね。

 ですから、向こうのしつけ、ゆとり、職業教育に比べて、日本はその辺で大きく劣っているような気がするんですけれども、この辺の御見解をお尋ねしたいというふうに思います。

馳国務大臣 六十五歳で国会デビューされた神谷先輩、大変尊敬しておりますし、また、これまでの地方議会や首長としての経験をもとに国政で活躍をされることに敬意を表したいと思います。

 私は、日本には日本らしさの、子供たちに対する教育のあり方がやはりあるべきだと思っておりますし、茶道、華道などを通じた礼儀作法の習得、こういったものは各小学校でも取り組んでおりますし、また、中学校では武道必修化という形で、まさしく日本精神を学ぶ、そこから倫理観や他者を尊重する気持ちを学ぶということは日本らしいところであると思っております。

 世界に誇ることのできる日本式の教育のあり方、とりわけ義務教育、基礎教育には、私たちはもっと誇りと自信を持って展開していく必要がある、こういうふうにまず思っているということを申し上げたいと思います。

神谷分科員 それでは、質問を進めたいと思います。

 我が国では、企業数の約九八%以上が中小企業だと言われております。ところが、その企業のほとんどは人材不足で悩んでおりまして、後継者がいないためにやむなく廃業をするというようなことが続いていると聞いております。また、中小企業の減少にも歯どめがかかっていないのは、もう数字ではっきりとあらわれているところであります。

 政府は声高に、GDP六百兆円を目標に掲げているわけでございますけれども、足元がこれでは、とてもおぼつく話ではございません。

 物づくりでこれまで発展をしてきて、また物づくり立国を目指しております日本、中小企業の技術力で支えられているこの日本にしては、まことに寂しい話でございまして、もはや赤信号がともっていると言っても過言ではないというふうに思っておりまして、けさの日本経済再生会議におきましても、やはり根本は人材教育やなというようなことを声高に言っておられた先生もおられまして、私も同感だというふうに思っているところであります。

 しかしながら、そうした学校教育の中で、私も国会議員になってびっくりしましたことは、高等専門学校はよいよいと聞いておったんですが、そのよさに私はびっくりしたわけであります。中学校卒業後、五年間で本科卒業、そしてまた専科七年、この卒業生は非常に就職率も高くなってきているということでございまして、そしてまた、例えば、高専の中では、海外に展開して、そして海外に技術移転をして、国際貢献までしようというところが出ておりまして、これは本当に誇るべき事実であります。

 ところが、全国での高専の定員数を見ておりますと、昭和四十年代後半からほとんど伸びておりません。と申しますのも、全国的に一巡したということが言えるかと思うんですけれども、そこでもう完全に定員増は停滞をしております。

 ところが、一方、三年制の工業高校を見ておりますと、昭和四十八年、四百三十八校をピークに減少して、何と平成二十七年には二百七十三校にまで減ってきたということであります。

 これは、今申し上げました高等専門学校の場合はニーズがあって、本科生の就職率が約十七倍、専科で四十倍、こんなむちゃくちゃ企業が欲しがっている人材を育てているんですね。

 ところが、この三年制の工業高校を見ておりますと、これは社会ニーズに応えられていないのではないか、それと授業内容について興味が湧かないのではないかというふうに思うところであります。

 先日も中小企業の社長さんと会って話をしまして、工業高校の電気科の卒業生を雇ったんだけれども、電気のことは何もわからなくて、実際したら、何も間に合わぬと。それで、先生と、業界が電気業界ですから、話をしたらしいんです。そうしたら、先生は、そうなんですかと。何も業界の実態も知らずして教えているんですね。これでは、企業が欲しがる話ではないわけであります。

 ところが、高専はこれだけすばらしい。片方で三年制がこれだけ縮小してきた。このギャップをこれからどうしていくのか。今、日本は、いろいろな形の中で、言うたら産業技術のいろいろなイノベーションをいろいろしておる中で、やはり人材が大事ですよ。この中で聞きたいのは、この高専の人数をどうしてふやしていくかということを尋ねたいわけでございます。

 今は、一年間の国立高専に対する運営費交付金は約六百二十億です。一校当たり十億余りでございます。ところが、先ほどの先生のお話にもございましたように、日本の教育費は非常に低いわけですね。二〇一二年のOECD統計では、教育機関全般に対する公財政支出の対GDP比は、OECD加盟国三十四カ国中十八位という寂しい数字であります。

 今申し上げました、三年制の工業高校がどんどん減っていくわけですから、例えば大阪府と国が連携をして、その工業高校の一つを府と国でしっかりと、いわば資本投下をして、五年制にしていく。そして、企業は、十七倍とか四十倍とか、欲しがっているんですから、企業が欲しがる人材を輩出していく、これが今求められているのではないかというふうに思うわけであります。

 それと、大臣、大阪は八百八十四万人おられます。ところが、国立高専はないんですね、府立高専一つ。例えば、全国的に展開していくのは、それはすばらしいことでありまして、百万人程度のところにはあるわけです。大阪は、八百八十四万人おって、中小企業の町といいながら、国立高専はないんですね。

 この辺のところをお聞かせ願いたいと思います。

馳国務大臣 国立高専は、高専制度が昭和三十七年に設けられた後、地方公共団体からの誘致を受けて、ほぼ昭和四十年代までの間に設置されました。

 大阪については、国立高専が設置されなかった事情は把握できておりません。高専制度の発足当時の昭和三十七年に私立の大阪工業高専が設置され、昭和三十八年には公立の大阪府立工業高専が設置されたところであり、その後、私立の高専が大学に移行し、現在は府立高専の一校が存在しているというふうに承知をしております。

 都道府県において、既存の工業高校をリニューアルして高専に格上げすることは、地域産業を支える人材の養成を担う高等教育機関として、地方創生に貢献し得ると考えております。

 地方公共団体などからのニーズを踏まえつつ、具体的な相談に基づき、適切に対応することが必要であります。文部科学省に置かれている調査研究協力者会議において、地方創生における高専の役割について検討しているところであります。

 ぜひ御地元大阪においても検討いただければと思います。

神谷分科員 大臣、ありがとうございます。

 先日も、大阪府の教育長、府会議員のときから心安いものでしたから、電話を差し上げました、大阪は国立高専ないなと。しかし、国で全て土地を買って、また新しくつくる、これは大変なことです。ですから、今の三年制の工業高校を活用しながら、そこに府とそして国とが資本を投下して、五年制の高専を、一つあるわけですから、北と南に一校ずつ、せめて三つぐらいはつくってくれという要望を既にしております。

 ところが、人材、教員の確保が今なかなか難しいわけでございますけれども、我々団塊の世代でございますけれども、団塊の世代ではかなりの優秀な人材がもうリタイアしたわけでありますから、それもたくさんいわば宙に浮いているような状態でございますから、いろいろな方を確保していただいて、大阪府と協力しながら、大阪に高専を共同の中でおつくりをいただけますよう、要望を申し上げたいと存じます。

 ドイツでは、科学技術イノベーションの典型といたしまして、インダストリー四・〇というものを掲げております。インターネットや生産の自動化技術を駆使して、工場内外の物やサービスと連携することで、今までにない価値や新しいビジネスモデルの創出を狙った次世代製造業のコンセプトのようなものでございまして、これが形成されていくと第四次産業革命が起こるのではないかというふうに言われているところであります。第三次産業革命、IT革命で日本がおくれをとったわけでございますから、今、日本としては頑張っていただきたいというふうに思っているところでございます。

 日本でも、第五期科学技術基本計画というものをことし作成されまして、その中で、超スマート社会としてのソサエティー五・〇という概念を標榜しているわけであります。私も、いろいろと説明を聞いて、また資料を読んだりしますと、やろうとしている方向性は十分理解できるわけでございますけれども、このソサエティー五・〇における、先ほどからお願い申し上げております、特に高校、高専、そのぐらいの年代についての人材育成をどのように位置づけられているのか、そしてまた、どのような方向性があるのか、お示しを賜りたいと思います。

小松(弥)政府参考人 第五期科学技術基本計画におきましては、先生御指摘のように、ソサエティー五・〇、超スマート社会の構築のために、IoTなどを有効活用できる研究開発人材や、新しい価値やサービスを創出する人材の育成を行うこととされておりまして、文部科学省では、これを踏まえて取り組んでいくこととしております。

 具体的には、高校教育におきましては、先進的な取り組みを行う専門高校を指定いたしまして調査研究を行うスーパープロフェッショナルハイスクール事業等を通じた、社会の第一線で活躍できる専門的職業人の育成、そして、高等専門学校に関しましては、情報セキュリティー人材の育成、国際的に活躍できる技術者の育成など、社会や地域のニーズに即した実践的、創造的技術者の養成を推進していくこととしております。

 さらに、平成二十八年度から、革新的な人工知能の研究開発拠点を理化学研究所に設けることとしておりまして、その中で、人工知能等に関する研究者の育成やサイバーセキュリティー人材等、新たな時代の要請に応える人材を育成してまいりたいと考えております。

神谷分科員 ありがとうございました。

 第三次で負けたわけですから、今度は第四次産業革命に勝てるように、精いっぱい頑張っていただきたいというふうに思っております。

 先日、百年前のアインシュタインの一般相対性理論を証明する重力波の測定がされました。聞くところによりますと、アメリカのLIGOによって観測されたということであります。ちょっと日本は負けたなということでございますけれども、梶田先生が東大宇宙研で頑張っておられまして、その日本でも観測施設の大型低温重力波望遠鏡KAGRAが近く完成するんですね。非常に楽しみであります。

 このように、東大宇宙研、理化学研究所、そしてまた、今、JAXA、打ち上げれば成功ということで、最近はもう一〇〇%、打率十割でございまして、こういうふうな、世界と対等に渡り合える、そしてまた世界をリードする研究機関があるわけでありまして、この研究をさらに応援していくことが日本の国力にとって極めて重要なことだというふうに認識しておりまして、それを私も、議員である以上、一生懸命応援させていただきたいというふうに思っております。

 そういう研究機関でどんどん頑張っていただいて、そして、中核的な研究機関と地方の研究機関、地方の大学、それらをどうコラボしていくかということが、これもまた極めて重要なものであります。

 今、地方創生と言われておりますけれども、その世界の最先端研究所を中心として日本のネットワークをして、そして、地域創生の中で、地方が活性することによって日本が活性して、日本を取り戻すことをスピードアップしていく、こういうことにつながってくるだろうというふうに思っております。

 その辺の認識は十分されていると思いますけれども、できましたら、どうしていくのか、ここで決意を述べていただきたいのです。

 それと、地方大学、研究機関の予算をずっと見せていただきました。ちょっとこれは寂しいなというふうに思うんですね。その辺の見解をお尋ねしたいと思います。

伊藤政府参考人 委員御指摘のように、地方大学とか、すぐれた研究成果を上げる能力を持っております国立の研究開発機関、あるいは地方の公設試験場、民間企業などなどの異なる組織間のネットワーク、この構築を進めていくことによりまして、地方大学や国立研究開発機関の持つ技術を地場の産業につないでイノベーションを創出していく、こういったことは大変重要であるというふうに認識してございます。

 このような認識のもと、文部科学省におきましても、例えば、関係省庁と協力いたしまして、地域のイノベーション戦略に基づく産学官金、金融も含めたネットワーク、こういったものを支援する戦略プログラムでございますとか、理化学研究所のように世界的な成果、研究能力を有する研究機関、これと大学、企業が集積する地域、こういったところにおいて、先進的な研究とその事業化から人材育成までを一体的に行うリサーチコンプレックスプログラム、こういった取り組みをしているところでございます。

 また、二十八年度からは、現在検討しているところでございますけれども、地域の大学において、新事業の創出機能を強化するようなプログラムを開始することを検討しているところでございます。

 いずれにせよ、さまざまな組織間、機関間のネットワークを構築することによって、地方創生を進めていくという考えでございます。

 あわせて、地方において力強くイノベーションを進めていく上での予算についての御質問がございました。

 現政権におきましては、強い経済の実現のために、今申し上げましたような科学技術イノベーションによる生産性革命でございますとか、市場創出に向けた取り組みをしているところでございます。

 こうした科学技術の重要性に鑑みまして、先般閣議決定されました第五期の科学技術基本計画におきましては、向こう五年間の政府の研究開発目標といたしまして、対GDP比一%、総額二十六兆円というのを掲げてございます。

 地方創生に果たす科学技術イノベーションの重要性という観点からも、この目標に向けて、文部科学省といたしましても、総合科学技術・イノベーション会議のもとで、関係府省と連携しながら、科学技術関係予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

神谷分科員 ありがとうございます。

 地域によりまして、技術もいろいろと角度が変わってくるんですね。例えば大阪でしたら、我々のところは繊維産業でありますとか、いろいろ地域によってそれぞれちょっと変わってきますので、それにきめ細かく対応できることをひとつお願いしたいと思います。

 私も、ちょうど府会議員のときですが、一人で口角泡を飛ばしまして、工学部の建てかえを、六十億でしたが完成させていただきました。私が別にお金を出したわけではないんですが。それによって、JSTの研究採択、平成二十三年度、一番になりまして、二十四年が二番で、二十五年にまた一番になって、ちょっと最近は聞いていないんですけれども。そういうことがありますから、やり方によっては物すごく研究が活性化する。ですから、今のお話を聞いたら非常に心強いわけでございまして、ひとつ地域性も加味して、精いっぱい頑張っていただきたいというふうに思っております。

 大臣、きょうはどうもありがとうございました。

 最近の日本人は泣かなくなった。どういうことかといいますと、我々はそうですね、大臣もスポーツをやって勝ったとなればばあっと涙が出てくる、感激をしなくなった。本来は、農耕民族でございますから、優しい心でございまして、そうそう人を殺すというのはなかったわけですが、最近の傾向を見ていますと、夫婦で殺し合う、親子で殺し合う、そしてまた友達で、簡単に、わずかな金で殺し合う、そういうことが毎日のように出てくるわけであります。それできょうは冒頭で質問させていただきました。

 日本、農耕民族の生来の優しい心根をどう復活させていくか。それは、私は、日本の伝統文化を小さいころから提供して、そしてそれを学ばす。まさに日本は、三つ子の魂百までという言葉がありますから、その幼児教育をしっかりとすることによって、心の優しい、相手をいたわることのできる子供を育てていって、社会をもう少しよくしていく、そういうふうに思って、きょうは質問をさせていただきました。

 そして、職業高校とかそれの充実によって、日本の産業の、いわば人材育成ということをお願いしました。人を中心としてきょうは質問させていただきました。

 大臣も、いろいろな経験をお持ちで、学校の先生もやっておられて、我々が言うのはちょっと恥ずかしい思いでございますけれども、これからもいろいろと我々の話を聞いていただいて、そしてまた文部科学行政に頑張っていただきますことを心からお願い申し上げまして、きょうの質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

井上(貴)主査代理 これにて神谷昇君の質疑は終了いたしました。

    〔井上(貴)主査代理退席、主査着席〕

石原主査 次に、椎木保君。

椎木分科員 おおさか維新の会の椎木保です。

 質問に入る前に、冒頭、二月十八日の予算委員会で、私が、高校生等への就学支援についてということで質問させていただきました。馳大臣に答弁いただきまして。私の地元では大変好評といいますか、教員経験の質問者に対してさらに教員経験の大臣が答弁されて、それがやはり、まさしく、大阪に限らず日本全体のこれからの教育行政を所管する大臣としては非常に心強い答弁というようなお話をたくさんいただいております。

 文部科学行政については、何度も申し上げていますけれども、与野党の垣根はないと私は思っています。ですから、厳しい議論を交わすこともありますけれども、日本の将来をしょって立つ子供たちのために建設的に議論をしていきたいと思いますので、引き続き今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず初めに、教員免許のうっかり失効について質問させていただきます。

 これは、私も新聞で読んだときに大変驚いた、衝撃的な内容だったんですけれども、二月十二日、読売新聞掲載記事の内容なんです。二〇〇九年度に導入された教員免許更新制、二〇一二年から一四年度に免許を更新せずに失効し、その後、再交付を受けた全国の幼稚園と小中高校の教員が計七十四人に上ることが文科省の調査でわかったと。

 更新制でうっかり失効。簡単に言えば、無免許のまま教壇に立っていたと言っているのと同じなんですけれども、この内容については事実なのかどうか、これについてお聞きいたします。

馳国務大臣 二月十二日の読売新聞において、平成二十四年度から二十六年度までの三年間で、七十四人の教員が免許状を更新せずに失効した後、再交付を受けた、失効者の多くが更新に必要な講習を受け忘れるなどのうっかり失効と見られる、こういう記事があったことは承知をしております。

 教員免許更新制においては、更新講習を受講、修了しないまま修了確認期限を経過した場合、免許は失効することとなっております。いわゆるうっかり失効の中には、更新講習の履修不足や更新手続の不備等によるものが含まれると思われます。

 このため、文科省としては、都道府県教育委員会及び知事部局等に対して、更新制度の趣旨や更新講習の受講手続及び失効事例等について周知徹底を行っているところであります。こうした取り組みにより、免許状の失効件数は近年減少傾向にありますが、文科省としては、引き続き教員免許更新制について必要な周知を行ってまいりたいと思います。

椎木分科員 私も、小学校、中学校、高校、それぞれ教員免許を持っています。教師というのは天職だというふうに思って、私の時代は、少なくとも、教職課程を経て、大学四年間、通常の履修科目よりも多く頑張ってきた。教員免許というのは何より誇りにも思うものですし。それを、現職の教員が教壇に立っていながら、更新制が導入されているにもかかわらず更新していないというのは、これは極めて遺憾。私は、こういう者にはもう二度と教壇になんか立たせる資格がないと思っている、そのぐらい本当に強く怒りを覚えています。

 ただ、今の大臣の答弁のように、都道府県、知事、教育委員会で今後ともしっかりと指導もということなので、これについては承知しました。

 この教員免許更新制の趣旨と目的について、改めてお聞きしたいと思います。

小松(親)政府参考人 教員免許更新制につきましては、その時々に教員として必要な資質、能力が確実に保持されるよう、定期的に最新の知識、技能を身につけること、これにより、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得るようにするということを目的に、平成二十一年度に導入されたものでございます。

椎木分科員 これは、簡単に言うと、知識の保持と知識の更新ですよ。だから、この制度ができたというのは、私は非常に、教員の緊張感というのも保てますし、大学を卒業して免許を取ったからといって、きちっとこういった知識の保持とか知識の更新というのをすることによって、これはやはり子供たちの学力向上にもつながりますし、教員のスキルアップにもなると思うんですね。

 ただ、何か物すごくやすやすと、やすやすとですよ、うっかり失効でも免許はもうないわけですから、それを何か非常に、特段の配慮でもう一度再交付をして教壇に立たせるというのは、ちょっといかがなものかなと私は思うんですけれども。

 今後、できるだけ、教育行政を所管する文部科学省として、これは大臣じゃなくても局長の方で、しっかりと厳しく。やはり子を持つ親、保護者は、子供のために頑張って日々働いているわけですから。どんなにつらいこと、苦しいことがあっても、子供のために頑張るんですよ。その子供を指導する立場の教師がこんなていたらくなことをやっていて、保護者の皆様は、自分の命と同じ価値のある、それ以上の子供をこんな人に預けるなんというのはできないと思いますよ。だから、本当にこれは厳しく、これからは情状酌量なくやっていただきたいと思います。これは本当に強くお願い申し上げますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 次に、これも非常に私は納得しないといいますか、きょうはここを強くお聞きしたかったんですけれども、授業のやり直しをやったケースがある。あるいは、ないケースもあるんですかね、これは。要するに、これは誰が何を基準にして授業のやり直しをするのかしないのか。これがきちっと法制化されての判断なのか、主観的要素なのか。これは大事な問題なんです。免許がない人が教壇に立って授業をやった、それをやり直すのか、やり直さないで、まあいいやなのかということですから、誰が何を基準にして判断したか、これについて答弁をお願いします。

小松(親)政府参考人 まず、誰が何を基準にということの誰がでございますけれども、学校教育法上、校長先生が学校運営の責任者で、校務をつかさどるということの全責任を持っております。教諭の実施した授業や、授与した、例えば単位とかこういったものにつきましての有効性につきましても、最終的には校長先生が判断することになります。どこまででそれを与えるかということでございます。

 次に、もう一点のお話でございますが、何を基準に判断をしたかということになりますけれども、校長先生が授業のやり直しの要否について判断するに当たりましては、やや一般論になって恐縮ですが、授業の実施状況、これは当然確認しなければなりません。授業回数とか、それから対象になる生徒さんの出席日数とか、こういったものはきちっと確認しなければなりません。それから、児童生徒への評価の記録、例えば、定期試験とか、外へ出ていらっしゃれば指導要録とか、そういったものの確認でございます。

 こういったものを見て、学習指導要領の目的や内容に照らして適切なものであったかどうかというのを確認して、その時点で補習の必要性を判断するというのが制度でございます。

 なお、一点だけ、今おっしゃられました、まあいいやにならないようにしなきゃいけないという点で、一つ難しい点がございます。

 これは、例えば卒業生の場合でございますけれども、かなり昔に卒業したというようなことである場合には、これは学年の進級とかも同じでございますけれども、当該教諭が有効な免許状を所持していないということを知っていて悪意があってそれを受けていってしまったという場合は別といたしまして、普通に見て、生徒さんがそれを知り得る立場にないという場合におきましては、単位や卒業の認定を取り消すということと、それから今の全体を見たときの生徒さんの利益とのバランスを見て、それを取り消して全てやるというようなことになりますと利益を著しく侵害するということになりますので、基本的に既存の事実をもって認められるというのが、これはこの件に限りませんけれども、行政あるいは学校という公の場での法的な扱いになっております。この組み合わせということになります。

椎木分科員 一点確認させてください。

 今の答弁だと、これは法制度化されているということなんですか。私が調べたところ、法令では定めていないんですね。ただ、今の答弁だと、法制度に基づいて学校長が判断するという答弁だったと思うんですけれども、確認させてください。

小松(親)政府参考人 整理させていただきます。

 まず、学校教育法においては、校長は、校務をつかさどり所属職員を監督いたします。したがいまして、その組織の一員として、学校としての行為についての監督、それから校務全般については、まず校長が行います。

 これによってその包括的な権限はあるわけでございますが、学校教育法の施行規則におきまして、「各学年の課程の修了又は卒業を認めるに当たつては、児童の平素の成績を評価して、これを定めなければならない。」というふうになっていて、これが先ほど私が申し上げました、確認するべき部分でございます。校長先生がやるにしてもそういうふうになるわけでございます。

 これらを、仕組みとしては、校長先生が最終的に責任を持ってその部分を判定するという仕組みとしているわけでございます。

椎木分科員 多分、私の質問の趣旨が悪いんでしょう、今の答弁を聞く限りは。

 要するに、教員免許の更新制の中で、こういったうっかり失効をしたときに、法令で何か縛りがあるのかということを私はお尋ねしたんです。今の局長の答弁は、学校長の裁量の話であって、学校の管理規則的な話なんですよ。

 要は、ないんですよ、結論だけ申し上げますと。これは私も文科でちゃんと確認しているんです。その上でお尋ねしている。

 これは、私が聞いたところ、行政実例QアンドAの中で、学校長が判断すると。ということは、馳校長だったらやり直し、椎木校長だったらやり直さなくていいという、非常に主観的な、曖昧な判断になっちゃうんです。だから、それを厳罰に処するという意味で、法制化されていなければきちっとしてくれという意味で私は質問をしている。

小松(親)政府参考人 大変恐縮でございました。質問を私の方で誤解したと思います。

 私の方は、失効した先生が行った授業の効力についての御質問だというふうに思いましたので、そういうふうに。

椎木分科員 ということは、法制化されていないということですね。結論はそういうことですね。

 それについて私はとがめようとしているんじゃないんですよ。要するに、されていないのなら、今後きちっと法制化しましょうということを申し上げたくて質問させてもらっているんですけれども。認識が違うんでしょうか。

馳国務大臣 まさかそんな先生はいるまいという意味で想定をしていなかったということは、恐らく椎木委員も御理解いただけていると思います。しかし、実態としてこういう抜かりがあった、これはまさしく法の趣旨から照らし合わせても、あるべきではないという議論のやりとりであったと私は思います。

 これを、今後法改正をするかどうかを含めて、ちょっと引き取らせていただきます。

椎木分科員 決して、文科省を責めるとかそういう意味ではありませんから。法制化されているんだったら厳罰に処してほしいという見直し、されていなければこれから法制化しましょうよということを提案したい、そういう趣旨ですので。いいです、ここでちょっと時間がかかり過ぎてもあれですので。

 次の質問に入らせていただきます。

 これは、私、下村文科前大臣のときからもう盛んに何度も繰り返し質問させてもらっているんですけれども、臨時免許状。これは、要するに三年間有効ですよね。私が言いたいのは、大学四年間あるいは短大で教職課程をとって教員免許を取った者は、免許の更新制があるんですよ。臨時免許状というのは、専門教科を教える教職課程を経ていないわけですよ。それなのに更新制がない。これについて、私は非常に大きな問題だと思っている。

 さらに加えて言うならば、免許外教科担任制。これは一年ですね。これは許可制なんですよ。学校長がその教員に対して、私は社会ですけれども、数学を持ちなさいと言われたら数学を持たされるわけですよ。社会科の教員であって、社会科を教えながら持つんじゃないんですよ。社会科の免許を持っていて社会科を教えちゃだめよ、数学をおまえが教えろと。

 私が言いたいのは、普通免許は更新制があって、臨時免許はない。免外申請、要するに免許外の教科担任制もない。要は、どこで専門性を担保しているんですかということを申し上げたい。だから、この臨時免許状と免許外教科担任制が、本当に専門性が担保された上で先生が教壇に立って子供たちに授業を教授しているんですかということを私は申し上げたい。

 そういう趣旨では、この免許の更新制は私は肯定します。ただ、こういった臨時免許とか免許外教科担任制にも当然そういった更新制に準じた制度があるべきではないんでしょうかということが、私のこの質問の趣旨なんですね。これについては大臣に見解を問うということですけれども、どちらか答弁いただければ結構です。

馳国務大臣 まず、事実関係から申し上げたいと思います。

 臨時免許状は有効期間が原則として三年間の免許状であるということ、免許外教科担任は、各学校の実情によりますので、一年に限り許可する制度であるということから、免許更新制度の法律においてはそもそも更新講習の対象としていないという制度上のすみ分けは、まず御理解いただけると思います。

 しかしながら、教壇に立つ者の資格として研修に努める義務が課されておりますので、任命権者等により研修を受ける機会が与えられなければならない、こういうふうになっております。教育公務員特例法で「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。」と第二十二条に明記されておりますので、これを根拠に、やはり校長の判断、あるいは教育現場の判断によって適切に研修の機会が与えられるべきものであり、また教員の側からも申し出ることが必要だ、こういうふうに思っております。

椎木分科員 先ほどの件とあわせて、信頼ある馳大臣にお引き取りいただいて、何らかの暫定的な対応といいますか、措置もちょっと考えてもらいたいですね。

 この教員免許の更新制が片やあって、これはライセンスがある人が受けるんですから。片や、臨時免許状も免許だと言われれば免許ですけれども、私から言わせれば無資格ですよ。だって、専門教科を経ていないんですから。ただ、そういう人が何の研修なりその更新も受けないで教壇に立つというのは、これは保護者の皆様から見たら非常に不安なと言いますか、失礼だと思いますよ。やはり人様の子を預かって教授するわけですからね。ここは本当にできるだけ差のないようにしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 このうっかり失効と同様な事態が今月二十二日に山形県で起きました。これも、大臣初め文科省の皆さんは御承知だと思いますけれども、その県立高校の保健体育を担当していた女性教諭、五十五歳、何で年齢まで言うかというと、これも意味があるんですけれども、採用から無免許で指導していたことがわかった。この事実関係について、手短にちょっと答弁いただきたいんですけれども。

 これはちょっと大問題ですね。三十二年間、無免許で教壇に立っていた。これは、事実関係は事実なんでしょうけれども、これについての文科の認識と、とにかく再発防止に向けた対応策といいますか、これについてちょっと答弁をお願いいたします。

小松(親)政府参考人 簡潔にということでございますのでちょっと短くさせていただきますけれども、まず、この件につきましては、山形県教育委員会から受けております報告によりますと、免許状を有しない教諭が、昭和五十九年の採用以来、約三十二年間にわたり、山形県内の高等学校において保健体育の授業を担当していたということでございます。

 この教諭は、大学を卒業して免許状の授与を受けるための所要資格を得ていたけれども、免許状の授与申請を行わなかったということで、その有さない状態のまま採用に至り、そして、その後の人事等のチェックにおいて、これがチェックされることなくここまで来た。更新制によって更新期限が近づいたことによって、出さなければいけない書類の中で出せなかったために判明した、こういうことでございます。

 この点につきましては、学校教育は、御指摘のとおり、適切な免許状を有する者により行われるということが前提でございますので、免許状を持たないまま長きにわたって授業等が行われていたということはまことに遺憾であるというのが私どもの立場でございます。

 再発防止のために、もちろん、山形県教育委員会そのものにつきましても、きちっと対応していただくように私どもも整理して求めてまいりますけれども、全国の都道府県に対しましても、この点の徹底、それから特に、制度があってもチェックが働かなければこういうことは起こりますので、その徹底等を含めてしっかりやってまいりたいというふうに考えます。

椎木分科員 時間がないので、ちょっと次に行かせてもらいます。

 一番問題なのは、またここなんですよ。その女性教諭がこれまで四校で指導した生徒の数が七千七百人、補習の必要はないということなんですよ、私がちょっと調べたところ。要するに、ライセンス、教員免許がない人が授業をして、それが判明した。その授業を受けた生徒が七千七百もいる。それで、女性の授業を受けた生徒の単位は、校長が、授業内容は適切と判断して認定されたということなんですね。この法的根拠とか基準というのはあるんですか。免許がない人が教えているんですよ、三十二年間も。

小松(親)政府参考人 先ほど私が、椎木先生の御質問について、御質問の趣旨を誤解したのはこの点でございます。うっかりのように、持っていない人が生徒に授業したときにどうなるかということ、やり直しということをお尋ねになったのかなと思いまして、大変失礼をいたしました。

 それで、この件でございますけれども、これも県の方から聞き取ったところでございますけれども、既に卒業した方の単位、卒業の認定につきましては、卒業の認定権はあくまでも校長先生でございますので校長先生がやらなきゃいけないんですけれども、この件に関しましては、当時の方々がすごく古くてできないものもございました。

 これにつきまして、先ほど私ちょっと一部説明を、この件ではないということで、御説明をしてしまいましたけれども、その法的な安定性の観点から、一応蓋然性を見て、当時の同僚とか、その学校が判定のときにどういう仕組みをとっていたかということを確認して、これはそのまま認めるということになったと聞いております。この点は、最近のことは調べられますけれども、前のことについては大変残念な形で、法的安定性の確保という観点から対応しなければならなくなったということだと受けとめております。

椎木分科員 本当に、極めて残念ですね。怒りを超えて残念ですよ。また、補習をせずに授業の単位を認めたというその校長の理由の中に、勤務態度は真面目だったと。わからないですよ、これは新聞報道ですから。こんなの当たり前の話ですよ。今さら三十二年間遡及して単位を補習でとか、そういうのが多分物理的に無理なんでしょう。恐らく記録もないんでしょうし。

 ただ、教育ですよ。これは本当に子供たちのためなんです。私も教員をやっていた経験上、やはりどうしてもこういうのは看過できない。だから、卒業しちゃったからとか、そういう一言で済ませないように、先ほど局長から再発防止のお話もいただきましたけれども、これについては本当に今後厳しく取り組んでもらいたいと思います。

 時間的に多分最後の質問になってしまうと思うんですけれども。この女性教諭、保健体育ですね。私は、中学校で保健体育の授業を受け持ったことがあるんですよ。免外申請でやったんですけれどもね。全く保健体育の教員免許はないんですけれども。そのときに、特に武道の授業、柔道です、やはりどうしてもけが人が出ちゃう。幾ら安全管理を徹底して、先輩、上司の先生からいろいろなアドバイスを受けながらやるんです、これはやはりけがをさせちゃいけないですから。それでもやはり、わざをかけたときに鎖骨を折ったとか、いろいろ教育委員会からお叱りを受けたこともありますよ。

 そういう意味では、この三十二年間で、保健体育の授業で、やはり相当数のけが人や、あるいは事故が起こっていたんじゃないかなと私は思うんですけれども、これについては調査をしているのかどうか。

小松(親)政府参考人 御指摘の点、山形県教育委員会に確認をしてみました。

 まず一つは、この教諭につきましては、あってはならないことでございますけれども、この免許は、所要資格は得ていたまま、申請しないでそのまま就職してしまったということなんですけれども、この人の所要資格を得たときの分野は保健体育であったということなんです。だから手続はいいだろうというところが最大の問題でございまして、非常にまずいわけですけれども、今の教える技術とか知識とかに関しましては、そのままずっと保健体育の先生としてやってきましたので、ごく普通のイメージで見られていたということでございます。

 それで、山形県教育委員会が、まず、記録が残っておりますのが平成二十四年度から今回わかったところまでの期間でございますが、この間の授業においては、児童生徒がけがをしたというようなことや事故の記録は確認されなかったと。平成二十四年度からでございます。それ以前につきましては、記録等がないのでわからないわけですけれども、本件を受けて山形県教育委員会が本人確認等をした範囲では、そういった特段の事故というようなものは確認できないと。保健体育でございますので、授業中に、例えば突き指をしたとかそういうことがなかったかどうかと言われると、それはなかったとかというふうに言い切ることはできないけれども、一応そういう形で過ごしてきたと推定されるというふうなお答えをいただいております。

椎木分科員 幸い、大きな事故やけががなかったという答弁ですから、一安心している部分もありますよ。

 ただ、やはり管理体制のずさんさといいますか、二十四年度以降この事件が発覚するまでの記録しかないとか、ちょっと私には考えられないんです。だって子供たちの指導記録ですよ、これは。そういうものが何か、あえて二十四年度前のものを隠蔽しているようにも思いますし。別にそこを私は問題視しているわけじゃないんですけれども、やはりもっと、本当に教師としての自覚、本当に人様のお子様を預かるという責任といいますか、これをもう一回、更新制の機会なり研修の機会を通して、やはり教師の資質の向上につながると私は思いますので、ここは本当に徹底してもらいたいと思います。心よりお願い申し上げますので。

 質疑時間が終了しましたということなので、今後も文部科学委員会でいろいろと質問の機会をいただけたときには、ちょっと厳しいやりとりになるときもありますけれども、冒頭、大臣にお話ししたように、建設的に、私はこの文部科学行政は与野党の垣根はないと確信していますので、もしそれに反対する政党があっても、我が党はしっかり、こういう問題については本当に大臣を支えながらやっていきたいと思いますので、引き続き、お互いに一生懸命やらせていただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

石原主査 これにて椎木保君の質疑は終了いたしました。

 次に、初鹿明博君。

初鹿分科員 維新の党の初鹿明博です。

 まず、馳大臣、きのうは超党派の議連で組み体操についての申し入れをさせていただきましたが、お忙しいところお時間をとっていただきまして本当にありがとうございました。

 馳大臣の最近の発言を聞いていて、なるほどだなと思うことが非常に多くあるんですけれども、やはり大臣は、プロレスやレスリングというかなり危険を伴う競技を行ってきた、そういう選手であったからこそ、どこまでが大丈夫で、それ以上やったらなかなか安全を守れないなということを、本当に肌で実感しているんだなというのを感じているところです。

 大臣にまだ言ったことはないんですけれども、私は結構プロレスが好きで、子供のころからよくプロレスを見ていたんですね。大学生のころは、一月四日の東京ドームに毎年のように行っていました。たしか九二年だったと思いますが、今参議院議員のアントニオ猪木さんと戦った試合だとか、あと、武藤・馳組対スタイナー・ブラザーズの試合なども生で見させていただいておりまして、当時からいい選手だなと思っておりましたので、こういう政治の場に来て一緒に仕事できることを大変うれしく思っています。

 そうした中で、きのう申し入れをさせていただいたわけですが、非常に反響が大きくて、マスコミでも各社報道をしていただいております。また、自治体の中でも、馳大臣の発言を受けてということだと思いますが、きょうも、千葉県の野田市が全面的に廃止をする、また、流山や柏市も廃止をするというような流れができてきております。

 多くの人は賛同していただいているんですが、その一方で、いや、危険だから一律にやめるというのはどうなんだという御意見が出ているのも事実であります。ただ、その御意見の方々の話をよくよく聞いてみると、やはりちょっと誤解があるのかなと思うんですね。

 私も大臣も、恐らく、危険だからやめる、そうなったら何のスポーツでも危険なことはあるわけだからやめなきゃならない、そんなことを言っているわけじゃなくて、どう考えても安全をきちんと配慮するのが難しいし、これをやることによって得られる効果とそれに伴うリスクを比較したときに、余りにもリスクの方が大きいからやめた方がいい、そういう判断をされているのだ、私もそうですし、大臣もそうだというふうに思います。

 先日ちょっといろいろネットで調べておりまして、組み体操をずっと進めてきた先生の動画を見たんですね。いろいろなわざを動画で紹介しているんです。こうやってやるとうまくできますよというのを紹介している先生がいるんですけれども、その先生はかなりこの一律禁止のことを批判しているんです。

 その一方で、あるわざの動画を見ていたら、おもしろいことを言っているんですよ。このわざは、メンバーのレベルがそろっていて、相当高くないとできません、体力や集中力のないメンバーは段数を低くするなどしてくれ、この動画を見てすぐにまねをしようとしても危ないからやめてくれとか、あと、できる集団かを判断してやるかやらないかを決めてくれと。非常に真っ当なことを言っているんですが、それを裏を返して言えば、なかなか指導できる教員は少ないだろうということにつながってくるんだと思うんですよ。

 それで、実際に公立の小学校、中学校の全学年でやるとなると、レベルをそろえるというのは基本的に難しいだろうと思うので、高い段数のものとか危険を伴うようなものを実施するのはやはりなかなか難しいんだろうなということをかえって感じるような中身でありました。

 きょうちょっと気になったのは、ある新聞の社説で「一律禁止いかがなものか」、そこまでタイトルをつけて、一律禁止はするなという主張をされている社説がありました。

 この社説でも、「明らかな危険を伴う演技の強制が許されないのは当然だ。」と言いながら、「ピラミッドで四〜五段、タワーで三段といった高さ制限の目安を自治体などで設けて各学校の判断基準とする必要はあるだろう。」段数制限のことを言っているんです、ただ、その後ろに、「もっとも、低層のピラミッドでも負傷することはある。」そう言いながら、「だから一律禁止というのでは、何もできなくなりはしないか。」というふうに言っているんですね。

 さらに加えると、「徒競走でも、転べばけがをする。泳げば溺れる可能性がある。相撲や柔道などの格闘技はもちろん、野球やサッカーなどの球技でも負傷のリスクは常にある。 極論をいえば、全てのスポーツは何らかの危険を伴う。」と言っていて、要は、そういうスポーツも禁止をするのか、そうじゃないでしょうみたいな主張なんです。

 ここでやはり、この書いている方が誤解しているなと思うのは、リスクの軽減に知恵を絞るのが大人の務めだという言い方をして締めくくっているんですが、その軽減がもうできないぐらいなわざがあるんですよ、だからそこは考えましょうねというのが我々の申し入れであって、恐らく大臣もそういうふうに受けとめていただいていると思うんです。

 ただ、こうやって誤解をしている方が相当いるので、この人たちにもきちんと、組み体操の現状や、なぜここまで文科省が口を出していくことになったのかということを丁寧に説明する必要があると思うんですね。その上できちんと方針を出して、やはり、国民の皆さんに、ああ、なるほどなとわかってもらうということが重要だと思います。

 ですので、その点も配慮して方針を出していただきたいと思いますが、大臣、御意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

馳国務大臣 私は、危険だから全面中止、禁止、こういう表現をしたことは一度もありません。これが一点目です。

 二つ目は、学習指導要領に書かれておりません。学校長の裁量による自主的な教育活動であります。そのことに対して、当該都道府県の教育委員会の頭越しにやめろとかどんどんやれ、そういうことを言う立場でもありませんし、まず、そういうことを言うつもりも全くありません。

 ということをお伝えした上で、私も動画を拝見して、十段のピラミッドがどのように崩れていったのかということを拝見しました。瞬間的に非常に危ないと思いましたし、下にいた子供たちはどうなったのかな、上から転げ落ちた子供は誰にも受けとめてもらえず、どういうけがをしたのかなということにすぐ想像が及び、こういうことをしていいのかなというふうに思いました。

 こういうことをしていいのかなというのを裏返して言いますと、するのであるならば、適切な理解、そして指導、それにたえることのできる成果が上がった上で、運動会の場において表現されるべきものであろうと思いますし、危険予知性と私も今まで何度も申し上げておりますが、こうしたらこうなるだろうなと、先の先を読んだ危険を予知する能力は、やはり学校の教職員たるもの、私は持つべきだと思います。

 そういう観点から、学習指導要領に書かれていない教育活動について、慎重には慎重を期して取り組む必要があるということを繰り返し申し上げてまいりました。初鹿委員とのやりとりにおいても、そういう全体的なやりとりをさせていただいたと思っております。

 その上で、昨日も、超党派の議連から、いわゆる学校における事故防止のためにどういうふうに取り組むかという観点で、今回の組み体操の問題を取り上げていただき、四点にわたる提言をいただきました。

 とりわけ四点目の課題は、私は十分に傾聴に値する。つまり、死亡事故あるいはそれに匹敵するような事故が起きた場合に、そのことを国に報告しなくてよいんですね、今。これについて、全国的な実情を踏まえて、再発防止のためにも、あるいは警鐘を鳴らすためにも、私は、これはやはり報告はあってしかるべきだと思っておりますが、ただ、これは内閣の閣議決定による方針というふうに聞いておりますので、内閣、政府全体の課題として、こういう事案を報告するということについて、そうなるように手続を丁寧に進めたいと思います。

 また、これも議論になっておりますが、では、組み体操の教育的効果は何なのかということの議論についても、私はさらに皆さんにしていただきたいと思いますし、同時に、私は、体育を指導される体育学学会のような方々や、都道府県、市町村の教育委員会、学校長会議、教職員の組合の皆さん方それぞれからも、この組み体操の問題に刮目をしていただいた上で御意見もいただきたいと思います。

 そういう作業を積み重ねた上で、三月中、年度内には、具体的な、明確な方針といったものはやはりお示しをする必要があると思っています。なぜならば、児童生徒に責任はないからであります。そのことを、教育者たるもの皆さん心にとどめておくべき必要がある、私はそう思っています。

初鹿分科員 大臣、非常に丁寧な答弁をありがとうございます。

 大臣も今例に出しましたけれども、四項目め、私もこれは非常に重要だと思っています。八千件も医療の給付がされていながら、なぜずっと続いてきたのか、誰も疑問に思わなかったのか。

 その最大の理由は、どういう事故が起こっているのかということを現場の先生たちが恐らく知らなかったのではないかなと思うんですよ。これがきちんと文科省に報告があって、死亡事故や障害が残るような事故の事例が各学校にフィードバックされていくことによって、私は、再発の防止が進むし、場合によっては、危ないものについてはやはりうちの学校もやめようねということになっていくんだろうと思いますので、これは本当にいい機会だと思いますので、ぜひ前向きな見直しをお願いしたいと思います。

 では、組み体操については以上にいたしまして、次の問題に行きます。

 次は、教科書の問題です。

 教科書会社が教科書の検定中に、その検定中の教科書を教員や教育委員会の関係者に閲覧をさせて、その謝礼ということで金品を配っていた、その数が何と四千人にも上るという驚くべき事実が明らかになったわけであります。

 まず、この件について、文科省としてのこれまでの対応と、大臣、この件についてどのように感じているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 まず先に、この件につきましての今お尋ねの経過を申し上げます。

 この件につきましては、まず、最初は、教科書発行者三省堂が平成二十六年八月に開催した編集会議で、関係者以外の閲覧を禁止している検定申請本の内容を参加者である教員等に閲覧させていたことがわかったというものでございます。このために、平成二十六年十月に教科用図書検定調査審議会における審議を停止するという事態になりまして、十一月に三省堂に対して指導を行い、検定申請本の厳重な管理を要請いたしました。

 その後、三省堂からは、過去の事例等について、編集手当として五万円を支払ったこと、過去にも同様の形態で編集会議を開催していたことについて、報告がなかったんですけれども、そのことがさらにまたわかった。かつ、これらについては意図的に報告していなかったということが三省堂から報告がありましたので、公文書により指導を行うとともに、教科書の重要性に鑑みまして、教科書協会の行動基準が定められました平成十九年以降について、三省堂と同様ないしは類似の行為を行ったことがあるかどうかについて、一月二十日までに自己点検、検証を行うよう、義務教育諸学校用の教科書を発行する全ての教科書発行者に対して求め、一月二十二日に報告をいただきました。

 その結果を受けまして、これは相手方のあることでございますので、その中身につきまして、各都道府県教育委員会に対して情報提供を行い、各採択地区学校における教科書採択が公正に行われたかについて、事実関係等を現在調査を依頼しているところでございます。

馳国務大臣 経緯については、今ほど局長がお答えしたとおりでありますけれども、詳しく申し上げさせていただきます。

 行政処分である教科書検定の対象となる検定申請本については、厳しい情報管理が求められており、その内容を教科書の著作・編集者等以外の外部の者に閲覧、流出させる行為は厳に禁じられるべきものであります。

 さらに、今般の事案においては、教科書発行者が教員等に検定途中の検定申請本を閲覧させただけではなく、教員等に対して、意見聴取の対価として金品を支払っていたことが明らかになっております。この行為自体が、採択の勧誘を目的としていたと受けとめられかねないなど、教科書採択の公正性、透明性に疑念を生じさせかねない不適切な行為であったと考えております。

 一方で、教科書発行者においては、自己点検、検証を支社または営業所等の別にかかわらず全社的に行い、その結果を正直に報告するとともに、文部科学省の指導に応じ、あるいは関係の教育委員会等による調査に誠実に協力するなど、信頼回復に向けて真摯に対応しているものと認識をしております。

 私としては、教科書発行者が今回の反省を踏まえて、襟を正して新たなルールのもとでのスタートを切ろうとしているその姿勢を信じたいと考えております。直ちに教科書発行者の指定の取り消しという、そこまでのことは今は考えておりません。

 ただし、金品の支払いを伴う等、採択に強い疑念を生じさせる事案について、教科書発行者が意図的に報告を怠っていた、あるいは隠蔽を行っていたケースが新たに発覚したような場合には、法令に基づく厳しい処分も検討せざるを得ないと考えており、この考えについて、昨日、教科書発行者の社長の皆様方に直接お伝えをしたところであります。

初鹿分科員 今のところ指定取り消しのようなことは考えていないということですが、今のところということですから、今後調査が進んでいく中で、これは非常に賄賂性が高いということになればそのときは厳しい処分をする、そういう御発言だったと思います。

 これは意見聴取という言いわけをしているんですけれども、検定に出した後の教科書というのは基本的に内容が変わらないわけですよね、意見を聞こうが聞くまいが。ですので、検定に出す前の段階で、作成段階で意見を聞く、それに謝礼を払うというのは、私はこれはある行為だと思うんですよ。しかし、検定に出した後に、意見聴取だという口実で金品の提供をしているということは、私は基本的に、その裏には採択を期待しての行為だ、それ以外には考えられないと思うんです。

 全都道府県で起こっているんですが、新聞の記事とかを見ると、大都市部に集中をしているということですね。この都市部に集中しているということ自体を見ても明らかだと思うんですよ。何で都市部かといったら、都市部の方が人口が多いわけですから、そこで採択をされればたくさんの教科書が売れるということですね、簡単に言えば。それをやはり期待してのことだというふうに思います。

 ですので、これは実態が明らかになった段階で厳しい処分をしていかないと、やはりモラルハザードに陥るんじゃないかと私は思いますので、その点、ぜひ御配慮いただきたいと思います。

 加えて、もらった方の側にも私は非常に問題があると思います。

 今、各教育委員会に対してまだ調査中だということですが、人によっては五万円ももらっているということであって、意見聴取でもらう謝礼としてはいささか高いのではないかとも思いますし、少なからず、検定にかかわっている人間が教科書会社から金品を受け取るということは、誰がどう考えても、疑念を生ずる行為であって、許されるべきものではないと思います。

 仮に公共事業で考えたときに、入札を請け負う職員が建設会社からお金を受け取ったといったら、これだけでも大ニュースになるような問題なわけですね。ですので、この教員や教育委員会の関係者に対しても、私はきちんと厳しい処分をするべきだと思います。

 まず、総務省さん、来られているんですよね。地方公務員法でいえば、例えば、編集に当たったということで対価を受け取ることは、この地方公務員法上は認められる行為なんですか、認められない行為なんですか。編集だということで、編集で意見を聴取したということで謝礼を受け取るという行為についてはどうなんですか、そのことだけでいえば。

北崎政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども総務省の立場といたしましては、公務員法の中で懲戒の関係の手続をつくっております。

 ただ、現実の行為を私どもは調べたり、あるいは私どもが聞いてこれが当たるんだ、当たらないんだという、現実にこれを処分すべきかどうかという立場には立っておらないところでございますので、ここは先生、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。

 以上であります。

初鹿分科員 そうはいっても、実際にこういう行為が行われている事実はあるわけで、これは地方公務員法でいえば、三十三条に信用失墜行為というのがありますね。明らかにこれは信用失墜行為ですよ。

 教科書を採択する立場の人間が教科書会社から毎年のようにお中元やお歳暮をもらっていたり、金品をもらっていたり、この行為だけで、やはり疑念が生ずると思うんですね。結果として、その会社の教科書を採択していなかったとしても、非常に疑義が生じる行為でありますから、これだけでも私は信用失墜行為につながると思いますが、御見解をお伺いいたします。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 信用失墜行為の禁止を定めました地方公務員法第三十三条は、「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」と規定しており、これに違反した場合は懲戒処分の対象となります。

 職員の服務規律については、任命権者が確保すべきものでありまして、違反行為に対し懲戒処分を行うかについては、任命権者がそれぞれの事案に即して適切に判断すべきものであります。

 今回の事案については、任命権者の判断により、職員に対し懲戒処分を実施した教育委員会もあると承知をしておるところでございます。

 いずれにしましても、今回の事案の場合ですと、各地の教育委員会において、地域住民から疑念を抱かれることのないよう、また、行政に対する信頼を損ねることのないよう、適切に対応することが肝要であると考えております。

 以上であります。

初鹿分科員 もう既に、このニュースが流れた時点で信頼は失われていますよ、はっきり言って。教科書採択について、決める人間が教科書会社からお金をもらっていたんだという事実が明らかになっているわけですから。

 ですから、私は、これは各教育委員会が判断をする、自治体が判断することになると思いますが、厳しい処分をしないと、この教科書採択という制度自体の根本的な信頼が損なわれる事態になっているから、本当に厳しく処分をするべきだということをまず主張させていただきたいと思います。

 大臣の立場からそうしろとは言えないと思いますのであえて聞きませんが、気持ちは一緒だというふうに思います。

 なぜこのような問題が生じているのかということを私もいろいろ経緯を調べていってわかったんですが、こういう教科書をめぐる不祥事というのはもうずっと前から繰り返されているわけですね。二〇〇三年には、三重県の尾鷲市の教育長が教科書会社の担当者から現金を受け取って逮捕されているという事件があったわけです。

 にもかかわらず、公正取引委員会が、それまで教科書会社については独禁法の特殊指定をしていたのを、六年に廃止をしちゃっているんですね。その廃止をした結果、新しいルールのもとで教科書会社が競争をするようになっているということなんですが、これがもしかしたら間違っていたのではないかなということを私は感じているんです。

 お客さんが限られていて、しかも、法律で何を選ぶかも決められている中での選択をされるわけでありますから、やはり一定の配慮が必要だったものを、これを自由に競争しろということになって、それで教科書会社は自分のシェアを伸ばすために必死な営業活動を行って、ルール違反まで踏み込んでしまったのではないかというふうに思うんですね。

 文科省からこれをやれということが言えるのかどうか私もわかりませんけれども、これをもう一度特殊指定に指定をし直す必要があるんじゃないかということを、文科省から公正取引委員会に提案をするなりが必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

小松(親)政府参考人 ただいまの件につきまして、どういうルールにするかということについて、今私どもが考えますには、文部科学省としては、直接の因果関係があってこうだということがないままにそれを言うというのはなかなか難しいと思いますが、その前に、今おっしゃっておられますことは、私ども理解いたしますところでは、結局、編集という行為があって、よりよい教科書をつくろう、そのために先生方の知恵をかりるというお話と、それから、営業という側面が会社ですからございますけれども、この二つをしっかり分けないと、恐らく、そのあたりを動かしましても、余りうまくいかない可能性もございます。隠してしまえばわからないということもありますから。

 したがいまして、ここは先ほど大臣からもお話ありましたけれども、業界全体としても各会社としても、教科書会社の方としてどのようにそうした点を改めていくか。このときに、編集として先生方のお知恵をおかりする部分と、営業の部分をきっちり説明ができて分けられるような、こういう形をむしろ進めていくことが先決あるいは喫緊ではないかと私ども思っております。

 先生の御指摘は大変よくわかります。市場とかそういうものが厳し過ぎると、紛れ込んできておかしなことになる。このあたりは、よく意思疎通を我々も図らせていただきまして、教科書会社がしっかりした形で、その辺の不透明なことが起こらないように、まずは全力を挙げて努力してまいりたいと思っております。

初鹿分科員 編集と営業が、どっちなんだ、クロスオーバーしている部分があるんじゃないか、確かに私もいろいろ調べていてそうなのかなと思う部分もあるんですけれども、ただ、これは、期間を見たら明らかなわけですよ。

 編集というのは、編集作業が必要なのは、教科書が完成するまでの間だと思うんですね。つまり、検定に申請をするまでの間は編集活動があると思うんですね、教科書の中身をそこで決めていくわけですから。精査をしてできたものを、これでどうなのか意見を聞く行為というのはあり得ると思うんですよ。

 ただ、検定に出しちゃった後は、基本変わらないわけですね。場合によっては、社会情勢のために変わることもあるという説明も受けましたけれども、それはもうごくごく一部のことで、現代社会の教科書だとか歴史ではあるかもしれませんけれども、数学や算数、また家庭科でそういうことはあり得ないと思いますから、そこは期間できちんと見きわめる必要があるのかなと。

 やはり、検定に出した以降は、これは営業行為ですよ。ここで意見を聴取して変わるということはないわけですから、もうその時点で営業なんだというふうに私は考えていいと思うんですね。

 そう考えると、やはり、今回の件は非常に不適切でありますし、こういう行為をきちんと禁止していかないと、教科書検定と教科書採択の信頼性というのは取り戻せないと思いますので、その辺をしっかり考えて、制度を少し改正していかないと、再発の防止というのはなかなか難しいと思いますので、新しい制度を考えていただきたいと思います。

 最後に、大臣、御所見をお伺いしたいと思います。

石原主査 質疑時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

馳国務大臣 いざとなれば、指定取り消しをすることは可能であります。

 そのことを言う前に、私なりに、きのう、不適切な対応をした十一社の社長全員に先ほどのことを申し上げてありますし、四月以降、改めて教科書発行会社全社をお招きしてこの方針をお示ししたいと思っておりますので、それを見ながら対応したいと思います。

初鹿分科員 よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

石原主査 これにて初鹿明博君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部分科員 民主党の阿部知子です。

 初めて馳大臣に御質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 私は、きょうは、小中高校の外国語教育並びに大学における外国人講師のあり方についての質問をさせていただこうと思っております。

 まず、小中高におけるアシスタント・ランゲージ・ティーチャー、補助的な、言語教育のための、主にネーティブな人を活用した教育でありますが、今般、政府にあっても、特に二〇二〇年のオリンピックを控えて、小学校においても、二〇一八年からは、五年生、六年生の英語の教科化、あるいは、三年生からの英語に親しむ授業、そして、二〇二〇年にはそれらがほぼ完全に実施されるようにという大きな流れの中にあると理解しています。

 その中で、このALTは、外国の方、ネーティブな方を活用した小中高の教育ですが、実は、大きく分けると、同じALTと言われている身分の方の中にも四つの区分がございます。

 もともとはJETと言われまして、ザ・ジャパン・エクスチェンジ・アンド・ティーチング・プログラムという、これはいろいろな国際協力の仕組みをつくりながら、そういう外国語のすぐれた教師というか、アシスタントをしてくださる方を任命してお願いをする仕組み、二つ目は、自治体がそれ相応な方を直接雇用してやっていただく仕組み、三つ目は、地方自治体が派遣契約によって、そうした能力をお持ちの方を派遣として使っていく仕組み、四点目は請負、この部分を全部、例えば、この場面を演じていただくべくお願いをいたしますと請け負ってやっていただく請負形態という、現在、四つがございます。

 特に、大臣に、まず一点目ですが、私が先ほど申しました、小学校においてこれから新たに英語教育が開始されるときに、先ほど来問題になっております、小学校の先生は教員免状というものをお持ちで、それがない場合は大変に問題になるわけで、小学校の教育においては、このALTの皆さんを活用あるいはお助けいただくとしても、必ず教育場面には担任なり教員免許をお持ちの方がおられるということは前提かどうかです。

馳国務大臣 原則ですので、申し上げます。

 学校の各教科の指導計画の作成や授業の実施について、教員免許を持つ教員が行うことが必要であり、教員がいない場でALTが単独で授業を行うことはできないと考えております。

 一方、学校の授業において教員以外の人材を活用することは可能であり、教員が作成した指導計画に基づき、教員の行う授業の補助をALTが行うことは、問題がないと考えております。

阿部分科員 今の大臣の御答弁の後段は、いわゆるチームティーチングといって、何人かの方が教育計画を立て、主には担任の先生がそれをいろいろコーディネートしながら、ALTの皆さんも活用をするということなんだと思います。

 ここでまた確認ですが、今後、文部科学省としては、子供たちの教育にあって、このチームティーチングを大変重要な方向性と認識しておられるかどうかです。お願いします。

馳国務大臣 まず、チームティーチングというのは重要な政策であるということは、基本的に認識をしております。

阿部分科員 二つの確認をさせていただきまして、一つは必ず先生がおられること、そして、チームとしてALTを活用していくことは推進していきたいということでございます。

 先ほど、私が四つの区分というか身分の違いがありますと申し上げたのは、実は、こうした四つの区分があることで、学校現場でいろいろ、例えば、当然ながらチームティーチングは、先生がALTの方にいろいろな指導をしながらでしか成り立ちませんで、逆に、請負とかいう形でそこに入ってきた方を先生が指導されると、それは偽装請負になってしまうという事態が生じて、そういうことに対する注意喚起が、平成十七年ごろから文科省から通知として発出されております。

 特に、平成十七年通知は、基本的には請負ではなくて、そういう事態が生じれば、派遣ないしはすぐれた人は直接雇用にしてください、平成二十一年の方は、そこにさらにチームティーチングという言葉を使って、派遣という形態でしか、請負ではチームティーチングはできませんということに通知上なってございますが、これは今でもそのようなお考えでしょうか。

馳国務大臣 平成二十一年通知は、一、担当教員がALTに対して、指導内容や授業の進め方に係る具体的な指示等を行う場合は、請負契約で実施することができないこと、二、このことを参照の上、現在の契約内容について疑義がある場合は、都道府県労働局に適宜相談するなどして適切な対応をとることなどを示したものでありまして、特定の雇用形態を推奨するようなものではありません。

阿部分科員 もちろん、特定の雇用形態を推奨するものではございませんが、今大臣がお読みいただいたものの中に、請負では実施できないという文言がございますので、そこは、文科省の考え方として、指揮命令が生じますので当然できないことというふうに理解しております。

 さて、大臣のお手元に資料で、平成二十一年度と二十二年度の、外国語の指導助手、ALTの雇用あるいは契約形態に関する調査結果というものがございます。

 ざっと見ていただきますと、二十一年においても二十二年においても、実は、業務委託すなわち請負という形態をとる特に市町村、自治体が多くございまして、これはちょうど文科省が通知を出した年とその翌年ということで実態をお調べになったのかなと思いますけれども、実際はこれだけ多くの業務形態としての請負ということがございますと、果たして、今お示しいただいたチームティーチングと、実際には請負の方が多いということが、並列というか実現可能かどうかということが非常に問題になってくるんだと思います。

 この点について、文部科学省の方で何らかの実態調査をなさったことがあるのか。特に懸念いたしますのは、二十一年も、請負という形態で見直しの予定がありますかと聞くと、ほとんどの自治体が見直しはないと言っているので、二十一年も二十二年も続いておる。そして一方で、チームティーチングはどんどんもっと進めていこうというかじを切るわけですから、当然、そこにおいて、実態において、本当に請負という形の方が派遣同様の働き方をしていることがあってはならないし、また、そのようなチェックが行われたのかどうかについて、御答弁をお願いします。

馳国務大臣 御指摘の調査は、平成二十一年の通知を受けて、ALTの雇用、契約形態、及び、請負契約によるALTの雇用形態を見直す予定の有無について、自治体に調査を行ったものであります。

 この調査の結果、請負契約によるALTを活用している自治体のうち、約七割の自治体が見直しの予定はないと回答いたしました。

 文科省としては、この結果を受け、これまで必要に応じ、法解釈の明確化やその周知徹底に努めてきているところであります。

 また、教育委員会と、ALTの派遣業者、請負業者との個々の契約や、これに基づく教育内容の決定については、学校の設置者である地方公共団体が、地域の実情に応じて、その適切な判断により行われるべきものと考えております。

 今後とも、従来からの通知等を通じて、各契約について法律にのっとった適正な運用を求めてまいりたいと思います。

阿部分科員 そのような御答弁にはなろうかと思うのですが、大臣に次をお開きいただきたい。資料二です。

 これは、繰り返しになりますが、小学校の外国語における指導者のイメージということで、一番下にチームティーチングのことが出ております。担任が年間の指導計画を立てて、ALTと協力して教材等を準備、授業を進行し、児童のつまずきに気づいたら、児童が自信を持って英語に立ち臨んでいけるようにということで、きめ細やかにサポートする。

 当然そこには、ALTと教師の側の意見交換とか、進捗状況を見るとか、繰り返すとか、いろいろなことが出てきて、そして、ここで特に大事なのは、児童にみずから英語で発言するように働きかけることをALTにも要求しているということで、こうなると、先ほど申しました請負という形態ではこれらを双方向で走らせていくことはなかなかできないのではないか。私の繰り返します疑念はそこにございます。

 次のページをお開きいただきますと、文科省が行われました平成二十一年と二十二年の調査の後に、果たして小学校におけるALTの雇用形態はどうであろうかという図がございます。

 もちろんALTそのものの人数はふえておりますが、一目してわかるのは、やはり請負契約の数が、二十三より二十四、二十四より二十五とふえております。一方で、文部科学省としてはチームティーチングを推進するとなると、果たして現場は混乱をするのではないかと、非常にここは懸念をされるわけであります。

 そして、下に小学校外国語活動の成果と課題というふうに書いてございますけれども、例えば、ALTの指導力向上のための研修等の充実と書いてあって、こうなると、請負の人の研修を充実するということはできません、派遣という形態ならばまだしも。

 ですから、文科省のとろうとしている方針は、どう見ても請負ではできないだろうというようなことを要請し、でも一方で、現場では請負がふえておるということで、ここに大きなそごが生じるのではないかと私は強く懸念をするわけです。

 そこで、これが現状ですので、大臣にはお願いがあります。

 実際の授業現場で、例えばこれが請負でやられている、これが派遣を利用している、でも、チームティーチングであれば派遣しかできないわけで、その幾つかのシチュエーションを見ていただいて、私は、雇用契約上の違法かどうかではなくて、本当に充実した授業にするために何が必要かということを文部科学省に調査していただきたいし、大臣にもごらんになっていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。

馳国務大臣 英語教育を推進していくに当たってやはり一番望ましいのは、JETプログラムの人材を活用していただくことは当然でありますし、次には直接雇用でありますし、そして派遣というふうになっていきます。

 そうではあるものの、自治体には、こうして数字にもあらわれておりますように、請負契約の人材がふえてきつつあるということについて、正直、私どもは懸念をしております。

 実態調査をしろということでありますが、基本的には、これは採用する地方自治体の一つの判断、恐らく財政状況も踏まえてやむを得ない。そして、文科省は、英語教育を頑張ってください、ネーティブスピーカーを活用して、子供たちにも、より生の英語に触れることによって語学力を高め、読む、聞く、話す、こういった基礎的な能力を高めてほしいという意味で推進しているのでありますが、なかなかその人材を確保することができない地方自治体独自の一つの策がこの請負契約に集約されているのではないかと思っています。

 改めて、地方自治体の実態の取り組みではありますが、こういう御指摘を踏まえて、話はしっかりとまず聞いてみたいと思いますし、チームティーチングを活用するという、これまでも推進している政策と、さはさりながら、雇用形態のあり方の仕切りをちゃんとしないと、地方自治体自体が困りますし、学校教育現場自体が困ることになりますし、何よりも、こういうことで子供たちの英語教育を受ける機会が減ってもまた困ります。

 これは、教育現場の実際に免許を持って取り組んでいる教員の資質向上、そのための研修とともに、こういう活用すべき人材の活用のあり方について、より適切にできるように今後ともしていきたいと思います。

阿部分科員 大臣の大変見識ある御答弁で、実は、私のお示しした資料の三にも、地域間の格差ということが課題として出ておりまして、やはり、おっしゃったように、地方が経済難あるいは人材難で、そうはいってもなかなか獲得できない、そのことが、ひいては子供たちの教育格差になってしまいかねないということがもう既に、新たな取り組みを始めるときでありますから、生じているんだと思うんです。

 やはり、しっかり自治体側の意見も聞いていただき、なお、ちなみに、例えば直接雇用の場合と業務契約の場合は、年間で約百万円くらいの費用が違ってくるということもあって、もしも費用的な問題が大きいのであれば、これは大臣に頑張っていただいて、教育の補助としてやっていただく。

 とにかく、英語は単にスキルじゃなくてコミュニケーション、子供が自分を表現する手段として受けとめてくれなくては困るし、小さいころから始めてかえって英語が嫌いになったり表面的なものになると、これはやはり国際化の時代に望ましくないと思うんですね。丁寧に、子供たちが自己表現できるためのものとしてここはぜひ力を入れていただきたいので、財政的な地方状況もあわせてちょっと念頭に置いていただいて、いろいろ調査、実態をつかまえていただきたいと思います。

 あわせて、厚生労働省の方にも伺いたいと思います。

 実は、文部科学省から厚生労働省にいろいろ問い合わせて、結果、平成二十六年の八月二十七日に、文科省から平成二十六年通知というのが発出をされております。

 この通知の発出の中に、外国語会話の実演ということが、そこだけぽこっと出てくるんですけれども、文部科学省がこのように書かれる背景には、例えばそれは、文部科学省から厚生労働省に対して、こういうのは請負でもできるだろうかというようなことでのお問い合わせの結果なのか、それとも、その前、平成二十一年から二十二年にかけて偽装請負やさまざまな事案が、東海、千葉、大阪などで労働基準監督署の指導を受けておりますので、そういうものを鑑みて、文科省のお尋ねに対して厚生労働省として何らかのお答えをされたものか、お願いをします。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 このALTの問題につきましては、今議員御指摘のように、文部科学省と厚生労働省でこれまでも連携をとりながらいろいろ取り組んできたところでございます。

 その中で、今議員からお尋ねございましたようなALTの関係での二十六年八月末の問題につきましては、文部科学省の方から、ALTが外国語会話の実演を行うことの可否についてということで御照会がございましたので、それにつきましての見解ということで御回答を申し上げさせていただいたというものでございます。

阿部分科員 そうなんですけれども、急にここに、外国語会話の実演という具体的なことが出てくるんですね。だから、文科省側からの、こういう場合はどうですかという何らかのお尋ねがあったのか。これは例えばですから、わざわざそこを一つ絞り込んでいったところの何か背景とかがあるんでしょうか。省庁間のいろいろな、やはり違法派遣はあっちゃいけないし、よりよくしなきゃいけないと思う厚生労働省側と、文科省の方としては、請負もふえている中で、はっきり言ってぎりぎりどこまでできますかねみたいなこともなくはないと思うんですね、そこで出てきたのか。

 理由は、正直言って、私自身が、特に小学校低学年で請負でどんなものができるのかというのは、想像がなかなかつかないんですね。どうしても指揮命令がそこに入ると思うんです。というのは、子供の側の反応が、やはり小さい子ほどいろいろ、予定どおりには授業は一方的に進みませんから。

 そこで、なぜここで実演ということになったのかというのをもし御答弁可能ならばお願いしたいですし、あともう一点、現状においてはこれだけ、先ほどお示ししたように、平成二十二年当時よりさらに請負はふえておるわけです。それらがいわゆる労働法制上適切にとり行われているということをどのようにして担保なさっているでしょう。

坂口政府参考人 二点お尋ねいただきました。

 一点目の二十六年八月の通知に際しましてのやりとりにつきましては、当時、先ほど申し上げましたように、両省連携をとっておりますので、やりとりはあったかと思いますけれども、詳細なやりとりについては私どもも今の段階では承知はしておりません。私どもとしますと、文部科学省さんの方に教育委員会の方からいろいろ問い合わせがあったということを受けまして、八月の末に厚生労働省の方にこういう形での御照会があったということで、先ほど申し上げましたように、それに対しての御回答をさせていただいたということでございます。

 それから、二点目につきましては、もう先ほど来委員おっしゃっていますように、適正な契約の形で、派遣ということであれば派遣、請負ということであれば請負ということでしっかりと契約を締結し、そして、実態もそれに即した形でということで私どもとしても考えておりますので、私どもとしましては、各種、教育委員会からのお問い合わせがあったり、あるいは個々の労働者の方からの御相談等があれば、しっかりそういった御相談にも対応し、いわゆる偽装請負というような状態になっているということで労働局が把握したときには、しっかりと検査を行い、適切な指導監督を行ってまいりたいということでございます。

阿部分科員 私が申し上げたいのは、実態がここまでふえてくると、本当に受け身でよいのか。やはり、どういう場面でどういうことなのだろうというものを、立入調査といえばオーバーですが、きちんと見ていただきたい。事は子供の教育にかかわる問題ですから。

 私、さっき馳大臣にも、では実際御自身でごらんになっていただいて、ああ、こういうのなら請負でいけるでしょう、いや、子供がいろいろ混乱したらすぐ対応しなきゃいけないから、せいぜい、よくて派遣だななどの内容が出てくると思うんですね。

 どうも、この間省庁と、特にきょう文科、厚労とやりとりしていると、全部、教育委員会がこう言っているというふうになって、では、教育委員会と派遣の相手、あるいは請負の相手とどんな契約が結ばれていますか、見せてくださいと言っても、一度たりとも資料をいただけません。そうすると、実態がどう把握されているのかというのは大変懸念をされますので、私はこれは、教育委員会に問い合わせなきゃいけないんだったら時間を待ちますから、ぜひ、重要なことですから、やっていただきたいと思います。

 大臣にお願いしたいですが、どういうのが請負でやられている業務委託で、どういうのが派遣をお願いしているのか、せめて教育委員会側からそこをつぶさに私は聞き取っていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

馳国務大臣 聞き取りたいと思います。

阿部分科員 ありがとうございます。

 続いて、時間との関係でちょっと急ぎ足になりますが、資料四には、これもまた先ほど小中高に分けた請負か派遣かの図でありますが、小学校ほど請負が多いので、私が懸念するのは、やはり、低学年の子たちへの丁寧な教育がどうだろうかという意味で、この資料をつけさせていただいたということです。

 それから、次の資料です。先ほど大臣がお答えいただきましたが、実はこれは、関東弁護士会が調査した、いわゆるJETと直接雇用と業務委託と派遣の人の賃金の、幾つかのケースの聞き取り調査であります。

 簡単に言うと、JETが二十八万から三十万、直雇用も同じくらい。だけれども、業務委託とか派遣だと二十四万とか二十二万とか、賃金は低い。そして、社会保険がない方が多いということで、これは、大臣にもこういう点も把握していただきたいと思いますので、ぜひ調査等もよろしくお願いしたいと思います。

 最後に一問、大学における外国人講師の問題をお尋ねさせていただきますが、大学にあっては、これも、学長に任命された教育関係者が単位をその学生に授与するということで、外国人講師そのものが単位の授与等々にはかかわっていない。これは当然なのですが、現状、いろいろな大学において、例えば、一人の教授が五つくらい教室を持っていて、そして、そこで外国人講師が来ていらしていて、この担任というか一番の大もとになる教授はそこまで実際の場面にかかわれないような授業計画が立てられていることが多くあります。

 これも、最後に大臣にお願いしたいのですが、やはり、大学教育において単位をどう出すかということが非常に重要ですから、ぜひ実態を把握していただきたい。私は主意書で既にこれは出してございますので、本日、大臣へのお願いは、実態の把握について、幾つかの大学にわたっておりますので、どういう形で単位が出されているか、それが適切かということの把握をお願いしたいのですが、先ほどの賃金問題とあわせて二つ、実態把握についてお願いをいたします。

馳国務大臣 賃金等については、全国という調査になるとちょっと膨大でありますので。しかしながら、ちょっと確認をさせていただきます。

 二点目ですが、御指摘のような、各大学において請負契約等により授業が実施されている実態などについて、現時点で詳細は承知しておりませんが、今後、全国の大学を対象とした会議などを通じて、各大学における教育活動の実態の把握に努めるとともに、必要に応じて、教育活動の適正な実施を求める通知の発出をすることなどについても検討してまいりたいと思います。

阿部分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、子供たちの教育のために御尽力いただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

石原主査 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、井上(貴)主査代理着席〕

井上(貴)主査代理 次に、中野洋昌君。

中野分科員 公明党の中野洋昌でございます。

 本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まさに、この三月から来年度の就職活動が始まる、そういう時期でございます。きょうは、冒頭まず、就職活動についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 まさに来年度の就活が始まるということで、今、就職活動に取り組まれている皆様の御健闘を、まず冒頭、心からお祈りするものでございます。就職活動の時期につきましては、安倍政権下におきまして、学生がしっかり学業に専念をした方がいいだろう、また、海外の留学をしている方が、就活の時期によって留学をやめた方がいいんじゃないかとか、そういうふうに思われる方もいらっしゃるということで、留学を促進するという意味でも時期を後ろにした方がいいんじゃないか、こういう議論がございまして、経済界にも要請をするという形で、就職活動の時期の後ろ倒しという取り組みを進めてきたわけでございます。

 私は個人的には大変残念だなと思っているんですけれども、経済界の皆様も含めて、就職活動の時期というものを再度見直ししたい、こういうお話が昨年ありまして、いろいろな意見交換もさせていただいたんです。

 就職活動の時期というのは、今までは、三月に説明を開始して、実際の面接、採用活動は八月から、こういう時期でいっておりましたけれども、八月からというよりはもっと早くから採用活動を始められる企業も去年かなり多かったということで、結果的に、学生の皆さんにとっても就活が長期化してしまった、こういう結果でございまして、六月から、こういうお話でございます。

 平成二十七年度の就活というのも、まだ二月でございますので、今まだ活動をされている方ももちろんいらっしゃるわけでございます。全部が終わったというわけではないんですけれども、この後ろ倒しということをした二十七年度の就職活動について、現段階で、就職活動の状況自体も今どうなっているのかということもございますし、また、政府としてもどのような評価を今年度に関してはされているのか、まず冒頭、これについて文部科学省に伺いたいと思います。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 今、御質問がございましたが、就職・採用活動の時期について、現段階で二十七年度の状況についてどのように評価をしているかというお尋ねでございます。

 昨年から後ろ倒しが実施をされまして、私どもの把握している調査結果におきましては、三年生が落ちついて勉強できたであるとか、あるいは、安心して留学に行きやすくなったなどの意見を聞いております。そういう点では、後ろ倒しの目的でございます学生の学修時間の確保や留学の促進に対して、一定の成果が上がったと考えてございます。

 ただ、一方で、採用選考活動を八月より早く行う企業も多かったという状況もございましたことから、結果といたしまして、学生さんの就職活動期間が長期化したということなどの問題もあったというふうに認識をしてございます。

 学生の学修環境を確保するとともに、公正公平な就職・採用活動が行われますように、企業、大学関係者と一層連携をして取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

中野分科員 先ほどの御説明でございますと、恐らく今までですと、大学三年生のかなり早い段階から就職活動が始まったようなときもございましたので、余り早いとさすがに勉強に集中できない、こういうことで、しっかり学修の期間を確保するというものについては一定の効果があったのではないか、こういう御評価であったというふうに受けとめました。そういう意味では、三月から開始ということについては、一定の効果はやはりあったのではないかというふうに私は思っております。

 ただ、なかなか難しいのが、実際八月に、ではいざ採用といっても、企業の側が八月まで待っていると採用ができるかというと、なかなかそうもいかないということで、早く始められる方が出てしまった、こういうことなのかなというふうに思うんです。

 そういう意味では、経済界も、結局長くなってしまったというふうな声が学生からあったといういろいろな御意見、私は理解はしているつもりではあるんです。ただ、他方で、就職活動の時期をことし変えて、また来年度も変える、こういうことに対しては、ちょっと幾つか懸念をしていることもあるんです。

 それは何かと申しますと、例えば、来年度の予定をもう決めている方もいらっしゃると思います。典型的には、留学に行かれた方とかはそうだと思うんですけれども、政府があれだけ後押しをして、就職活動の時期もずらすからしっかり海外で勉強してきてくださいと言ったからには、それは三年で留学しても大丈夫だろうと思って行かれた方も恐らくいらっしゃるんだと思います。そういう方にとっては、せっかくそういうことで政府として後押しをしてもらったと思ったから行ったのに、何か実際は就職活動の時期がまた変わってしまって、これは予定と違うじゃないか、こういうことになると非常に困るわけでございます。

 例えば、今回の時期だと教職課程の教育実習とも重なる時期なのではないかとか、来年度の平成二十八年度の予定を既に決めていた方にとっては、また急に変えられてもちょっと困る、こういうケースも出てくるのではないかという懸念がございます。

 あるいは、去年の例を見ても、結局、みんなで決めたけれども余り守られなかったという現実があるわけでございまして、そうすると、守られなかったから実態により近づけてください、こういう見直しをしたとしても、これは本当にまた守られるのか。結局、どんどん早くなっていって、例えば学修時間をしっかり確保するであるとか、こういう目的自体がどんどん形骸化していってしまうのではないかという懸念もございます。

 あるいは、こういうことが何年度にもわたって続きますと、採用される側の学生としても、去年はこうだったけれども、ことしはこう変わるらしい、来年はまたこう変わるらしい、こういうことになると、毎回毎回予想ができない。予見可能性というのが非常に少なくなってきて、ことしの先輩はこういうふうに活動したけれども、その話を聞いても来年のスケジュールでは全然役に立たないですとか、採用される側から見ても非常に混乱を来すような可能性もあるんじゃないかというふうに懸念をしていることが何点もございます。

 そういう意味では、昨年も、例えば早目に内定を出してそのまま囲い込もうとする企業がいるので、やはり余りこういうことはよくないということで、これは就活を終わらせるというハラスメント、オワハラだ、こういうのはやらないようにしよう、こういう要請も政府の方からもしていただいたわけでございますけれども、私、何点か懸念がございますので、馳大臣もこうした懸念を共有していただきまして、就職活動というものが混乱を来さないように、ぜひしっかり対策を行っていただきたいと思うんです。

 学生にとっては、自分の卒業のときの就職活動というのは皆さん基本的には一回しかやらないものでございますので、たまたま年度の切りかわりのタイミングでいろいろ混乱をしてしまったということであると非常にかわいそうだというふうに思いますので、ぜひしっかりとした対策を講じていただきたいと思いますけれども、大臣から御答弁いただければと思います。

馳国務大臣 来年度卒業・修了予定者、現在の大学三年生、修士一年生ということでありますが、この就職・採用活動時期の変更は、学生の学修時間の確保など、就職・採用活動時期の後ろ倒しの趣旨をさらに進めるためのものであります。しかし一方で、日程を変更することは、それ自体が学生の就職活動に混乱を引き起こしかねないことから、頻繁な日程変更は好ましくないと考えております。

 このため、三月の広報活動開始、六月の採用選考開始という時期を定着させていくことが重要であり、そのためにも、一、企業における活動時期の遵守、二、授業等の学事日程、教育実習、留学等に配慮した採用活動の実施が求められると考えております。

 文部科学省としても、学生の学修環境を確保するとともに、公正公平な就職・採用活動が円滑に行われるよう、企業への要請や配慮事項の周知徹底など、必要な取り組みを進めてまいりたいと思います。

 私も、昨年末、経済団体と大学側の就職問題懇談会の間に入りまして、いろいろお互いの事情をお伺いしながら調整の立場に入った者として、ちょっと申し上げさせていただきたいと思います。

 本来、これは安倍政権におきましても、そもそも何のために大学へ行くのか、学修時間を十分に確保した上で就職活動をすべきものではないか、政府を挙げて留学を推進している中で、留学から帰ってくるときにほかの人がもうとっくに就職活動が終わってということになっては、政府の方針と一致しないのではないか、こういう観点から、三月の広報開始、八月の面接開始、こういうふうなルールがとられたものであります。

 ところが、実際に昨年実施してみたときに、企業側の抜け駆け、また外資系、そして公然と反旗を翻す経済団体などもありまして、混乱をしてしまったということが一つの事実としてあります。

 同時に、八月開始となったら、実は、私も当時、大学のレスリング部の監督をしておりまして、学生の就職活動の相談に乗っておりましたが、本来八月にすべき卒業論文ができない。先輩から聞いてきたけれども、八月、九月、十月と卒論をしようと思っていたのに、その時期が全くとれなくて、監督、どうしましょうという相談がありました。

 また、先ほど申したように、この指針に従わない企業、特に中小企業が多かったんですが、これは先に内定を出したら、八月以降の本格的な面接で大手に決まったら、中小の企業の皆さんがどんどん内定を断られて、本来、ちょっと景気が回復して人手不足を埋めようと思っていたのに、十一月、十二月までたっても、その人材すら確保できないということで、あちこちから混乱の報告をいただきましたので、三者、私は一応、政府側というよりも仲介の立場として調整に入ったものであります。

 したがって、まず留学の問題、これはもう政府として推進している以上は、この別枠は確保してもらわなければいけませんよ。教育実習の問題、これも配慮をしていただきたいというのが二点目。三点目は、地方から東京や大阪や名古屋や仙台、福岡という大都市に就職活動に行く学生もいるので、そう考えたら、夕方以降、土曜、日曜、祝日を活用した面接をやはり採用していただきたい。

 さらに、もう一つ申し上げたかったのは、そもそも就職活動は、学生の履修履歴、成績証明書、こういうものをしっかりと取り寄せて、把握した上で就職に当たっていただきたい。

 ともすると、何か課外活動を過大に評価したり、インターンしていれば先に採ってもらえるのじゃないかという期待を抱かせたりして、本来の就職活動、面接を行うことの趣旨を逸脱しているような事例も見受けられますので、何のために学生は大学へ行って勉強するのか、やはり本来の、学生としての本分を踏まえた上で、そこをまず評価する姿勢を経済団体にもお示しをいただきたい、このことも明記をいただいております。

 きょう改めて御質問いただいて本当にありがたく思っておりますが、これは正直者がばかを見ることのないように、大学側にも経済団体側にも、あるいは外資系の皆さんに対しても、やはりこれは我が国の就職文化なんだ、これによって若者の失業率を食いとめて、また、いわゆる失業給付金も低く抑えておる、こういう日本独特の就職文化といったものも御理解をいただくことが必要なのではないか、私はこういうふうに思っております。

中野分科員 大臣、ありがとうございます。

 就職活動というのはなかなか、歴史をひもといても結構難しくて、紳士協定みたいなものから、いつの時期にしても何かの問題は出るということで、確かに正解はない世界だとは思うんです。しかし、学生がしっかり学業に専念をできるように、留学に行けるように、政府がこういう目的を持ってやはり推進をしていることでございますので、混乱が生じないような形でまたぜひお願いをしていきたい、こういうことでございますので、また御協力、大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

 少し時間があれしてまいりましたので、手短に何点かお伺いします。

 この就職の関係ですと、インターンシップの充実というのが非常に大事だ、こういうことを訴えております。

 しかし、他方で、実施率自体は上がってきているんですけれども、民間のデータなどで実態を見ますと、どうしても一日だけのインターンというのが非常に多い。これはお話を伺うと、どうもインターンシップというよりは、ほとんど説明会のような、実質的には就職活動に近いようなものもあるんじゃないか、こういうふうに思いまして、一日だけのワンデーインターンというか、こういうものがふえていくというのが果たして本当にキャリア教育で目指しているものなんだろうか、私はこういうふうな懸念を持っております。

 この一日だけのインターンシップというものがふえていることについて、国としてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

常盤政府参考人 大学等におけるインターンシップでございますが、大学等での学修と社会での経験を結びつけることで、学生の学修の深化や新たな学習意欲の喚起につながるということ、また、学生が自己の職業適性や将来設計について考える機会となり、主体的な職業選択、あるいは高い職業意識の育成というものが図られる、教育効果を高める取り組みであると考えております。

 こうした趣旨からいたしますと、一日のみの就業体験であるワンデーインターンシップは、運用次第では、企業の広報活動や採用選考活動としての性格が強くなり、今申し上げましたような教育効果を上げられず、本来のインターンシップの趣旨が損なわれるおそれがあるというふうに考えられるものでございます。

 文部科学省としては、インターンシップについて、大学等が教育の一環として位置づけて積極的に関与することが必要であると考えておりますので、サポート体制の構築など、教育効果を高めていただきたいと一方で考えてございますし、また、この点に関しましては、ちょうど先週になりますけれども、私どもと内閣府さん、それから厚生労働省さん、経済産業省さん、この四者で主要団体等に通知をいたしまして、ただいまお話がございました採用選考活動の時期の遵守の問題とあわせて、このインターンシップについても、インターンシップと称して就職・採用活動開始時期前に就職・採用活動そのものが行われることによって、インターンシップ全体に対する信頼を失わせることにならないように、それぞれ留意すべきという点を改めてまた要請をさせていただいた、そういう状況でございます。

中野分科員 ありがとうございました。

 少し就職活動から話題をかえまして、いじめの問題について一問お伺いをしたいというふうに思います。

 私も、当選をして、文部科学委員会に所属をいたしまして、初めて議員立法として取り組んだのが、このいじめ防止対策でございまして、いじめ防止対策推進法というものをつくらせていただきました。子供がみずから命を絶つ、こういう悲劇は繰り返してはいけない、こういう思いを、恐らく皆さんが共有をして、前に進めていったものだというふうに思っております。

 これは施行から二年少し経過をいたしまして、しかし、大変残念なことに、いじめによる自殺が疑われる事案、こういうものが発生をしておるわけでございます。やはり、法律というのは、制度をつくることも大事でございますけれども、運用をしっかりチェックする、これが本当に大事だというふうに思います。

 実際に、いじめ防止対策の基本方針というものを、恐らく各県の教育委員会も市町村もつくって、学校ごとにもそれぞれいろいろなものをつくっているわけでありますけれども、こうしたものを実際に運用させていく、こういう部分で、本当にちゃんと機能しているのか、しっかりとチェックしていく必要があるというふうに思います。

 ですので、きょうは、いじめ防止対策推進法の施行後の状況というのを少しお伺いして、さらなる取り組みの方向性についてもお話を聞かせていただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 法の施行状況について、現状をお答え申し上げます。

 まず、文部科学省では、法に基づきまして基本方針を策定するというような、法に定められたことと、それからさらに、教育委員会の担当者や校長先生等に対する研修の推進といったような形で、それが普及するように求めてきたわけでございます。

 法で義務づけられているもの、学校いじめ防止基本方針の策定、あるいは、学校におけるいじめの防止等の対策のための組織の設置については、昨年の秋、十月の時点でほぼ全ての学校で措置済みでございますが、九九・九%というようなことでございますから、その残りにつきましては、早期に必ず一〇〇%にするように指導中でございまして、今現在のところでは、全校で今年度中には設置を終えるということになっております。

 しかしながら、実際には、いじめによると疑われる児童生徒の自殺事案が、なおいろいろと発生いたしておりまして、法に基づく取り組みが、徹底という面で足りないところがあるのではないかという指摘も受けております。

 この点は重く受けとめまして、文部科学省といたしましては、研修や働きかけ等について一層充実するということと、それから、今行われているその取り組みが、実質を伴ったものとして徹底されているかということについて、確認、検証して、共通認識を持って進めていくことが大事だと思います。そういう観点でしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

馳国務大臣 中野委員には、もう三年前になりますが、いじめ防止対策推進法を議員立法でまとめ上げるとき、私は当時、座長を務めさせていただいておりましたが、公明党の新進気鋭の委員として、さまざまな議論に参加をしていただいて、よりよいものをということで立法に御貢献をいただいたことは、改めて感謝申し上げたいと思います。

 私も、こうして大臣を拝命して、法の施行に責任を持つ立場となって思うのでありますが、やはり、実態を踏まえて対応すべきだと思っております。

 今ほど局長から申し上げたのはそのとおりであって、体制は大変充実してきておりますし、各学校においてのいじめ防止の委員会をつくったり、その基本方針を確認したり、そういった作業、そして子供たちを見る目も、やはりそれぞれ学校において養われていると思っておりますし、そう信じておりますけれども、あのとき一番議論したのは何だったのか。定義であります。被害者の立場に立って定義を設定すべきであるということで、この議論だけで何十時間もやったというふうに私も記憶しております。

 そのことを踏まえれば、三年後の見直し規定もございますが、この間も、いじめによる自殺は残念ながら起こっておりますし、重大事案も起こっております。そう考えると、法の見直しも当然ではありますが、実態を踏まえて、改めて、体制整備、そして、いじめ問題対策連絡協議会というのを設置することになって、もうできておるわけでありますから、ここが実質的に機能するように働きかけていくということがやはり重要な課題だ、私はそのように認識をしております。

中野分科員 ありがとうございます。

 同じ認識をやはりみんなで共有して、仕組みはできたけれども、内実を伴わせる、ここをさらに力を入れていくべきなんだと大臣からも力強い御答弁をいただきましたので、それぞれの現場でこの取り組みが進むように、しっかりと私も頑張ってまいりたい、こういう決意でございます。

 少し時間があれですので、済みません、内閣府に来ていただいているんですが、一問飛ばさせていただきまして、最後に、奨学金についてお伺いをしたいというふうに思います。

 予算委員会でもさまざまな議論がなされてきたところでございますけれども、やはり、私も、子供や若い人たちへの投資というのは日本の未来に対する投資であるというふうに思います。もちろん、政府でも、教育再生実行会議などで、高等教育に対する支援をもっとしていくべきである、こういう議論もなされているところでございまして、この四年間、第二次安倍政権下で、私は、無利子奨学金の充実、あるいは授業料免除等々を含めて、かなりの充実をすることができたのではないかというふうに思っておるんです。ですので、この方向性というのを、もっともっと力を強くしていかないといけないな、こういう思いでございます。

 所得に連動して返還をするタイプの奨学金も導入をする予定でございますけれども、しかし、まだ実現していないのが大学生に向けての給付型の奨学金でございます。これにつきましても何とか私としても実現をしていただきたい、こういう思いでございますけれども、政府としてどうお考えなのか、御答弁いただきたいと思います。

常盤政府参考人 給付型奨学金についてのお尋ねでございます。

 意欲と能力のある学生等が経済的理由により進学等を断念することがないように、経済的負担の軽減に引き続き取り組んでいくことは重要であるということがございます。

 このため、授業料減免であるとか、あるいは、今お話がございましたが、奨学金貸与事業においても有利子から無利子への流れを加速するということで、この数年、非常に増加の方向で政策を進めていただいているところでございます。

 また、今お話がございましたように、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度を二十九年度進学者から適用することを目指して、制度設計及びシステム開発を行っているというところでございます。

 その上で、給付型奨学金につきましては、財源の確保や対象者の選定あるいは給付のあり方など、導入するにはさらに検討が必要と考えておりまして、今、大臣の御指導のもとで、省内でいろいろ議論させていただいているところでございます。

馳国務大臣 既に何度も答弁してきておりますけれども、実際に、今の授業料減免制度とか、あるいは返還免除タイプ、こういったことは、ある意味では、もう給付型奨学金の類型と言っても私は差し支えないと思います。

 もとより、借りたものは返す、そして返していただいたものが新たな奨学金の原資になって多くの学生諸君に役に立っている、そして、同世代の若者と同様に公的資金の使われ方を検討しなければいけないという原則論を踏まえた上でも、では、財源をどうしようか、対象となる方をどういうふうに限定しようか、そして給付のあり方もどうしようかという制度設計を考えながら、私は、一億総活躍社会という政府の大きな方針のもとで、まさしく給付型奨学金制度が高等教育にも必要ではないか、この道を開いていくことが安倍政権にとっても大きな責任ではないか、このように考えております。

中野分科員 ありがとうございました。

 時間がありませんのでもう質問はこれで終わりにいたしますけれども、奨学金の関係ですと、私、もう一つ本当はお願いをしたかったのが、現在、既に返還をされている方についても、二十代、三十代、四十代ぐらいの、いろいろな若い方の所得自体が減っていることもありまして、かなり返還に困難を持っている方もいらっしゃいます。こういう対策も、やはり一億総活躍という意味ではあわせて進めていくべきではないかなというふうに思います。これはもう時間がありませんので、それをお伝えだけさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井上(貴)主査代理 これにて中野洋昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、角田秀穂君。

角田分科員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、第四分科会で質疑の時間をいただきまして、感謝申し上げます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 初めに、特別支援学校についてお伺いをしたいと思います。

 全国的には少子化が進行しているものの、特別支援教育への理解の浸透、特別支援学校の専門性の評価や期待の高まり等も手伝いまして、例えば公立の小学校、中学校は子供の減少で統廃合が進み、学校数も減少傾向にある中で、特別支援学校に在籍する児童生徒数は右肩上がりで増加を続けており、このため学校数も増加をしております。この傾向は今後も続くものと予想されております。

 ちなみに、私の地元の市でも、特別支援学校の児童生徒数は、平成十三年までは百人未満で推移しておりましたけれども、昨年は三百人を超えております。三倍以上にふえている。それに加えて、特別支援学校以外でも、特別支援学級の児童生徒数も急増している、そういう状況がございます。

 初めに、まずお伺いしたいのは、特別支援学校の全国的な児童生徒数、学校数の最近の推移についてお示しをいただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 学校数につきましては、最新の状況で、平成二十七年度、千百十四校でございます。十年間で約一割ふえております。

 それから、お子様の数でございますけれども、現在、手元にあります最新の数字で、十三万五千六百十七人という数字になっております。

角田分科員 ありがとうございます。

 全国的に見ても学校数もふえているということですけれども、特にこうした傾向は都市部を中心に顕著になっていると思います。

 そもそも、特別支援学校の設置、これは学校教育法八十条によって都道府県に設置義務が課せられておりますが、これも歴史的な背景などによって、市が設置主体となってこうした特別支援学校を開設しているという事例も現状数多く存在をしております。こうした市立の特別支援学校は、児童生徒数の増加に対応して校舎の増築を迫られているというところも少なくありません。

 私の地元にも市立の特別支援学校がありますが、児童生徒の増加で、一時、廊下まで机を置かなければならない状況になりまして、このため、児童数の減少で統廃合した小学校の校舎に特別支援学校の小学部を移して、過密状態が解消されたかと思ったのもこれつかの間でして、さらにその後、児童生徒が増加をして増築をせざるを得ないという状況に立ち至っております。

 特別支援学校の校舎増築の場合の補助率は、本来設置すべき都道府県の特別支援学校の補助率と現状同一となっております。全国的に見ても、小中学校の数が減っている中で、特別支援学校は新設、増設を迫られている。こうしたことに対して、国としても財政的な支援を今後さらに充実させていくべきではないかと考えます。

 特に、市立などの特別支援学校は、本来、都道府県が設置すべきものを、事情はさまざまあると思いますけれども、みずから設置して財政的な負担を負っているということを考え合わせて、手厚い支援をぜひとも望むものですけれども、この点について御見解をお伺いいたします。

山下政府参考人 特別支援学校につきましては、障害のある児童生徒等が支障なく学校生活を送ることができるよう配慮することが求められることから、その施設整備に対する国庫補助を行ってございます。

 また、平成二十六年度には、特別支援学校における近年の児童生徒数の増加に対応するため、廃校施設や余裕教室等の既存施設等を改修して活用する特別支援学校の建物の整備に係る補助制度を創設したところでもございます。平成二十八年度予算案においても、地方公共団体の事業計画を踏まえた経費を計上しているところでございます。

 ただいま御指摘のございました手厚い補助ということにつきまして、まず一つは、国庫補助率の関係がございますが、現在、極めて厳しい財政状況の中、耐震やトイレ、空調などさまざまな需要も抱える中で、現時点でその補助率を引き上げることは困難と考えてございまして、まずは、地方公共団体における計画や要望を踏まえて、現行制度に基づき特別支援学校の施設整備への支援を図ってまいりたいと考えております。

 また、もう一つ、本来であれば県が設置するということにつきましても、市については現在単独事業で行っていると聞いておりまして、そういったことについてもなかなか難しい問題だと考えてございます。

 なお、文部科学省におきましては、特別支援学校の児童生徒数の増加に対応する施設整備については特別に配慮をしておりまして、近年、地方公共団体の要望全てに対して国庫補助を行っているところでございまして、現在、教室不足数は年々減少しつつあるということで頑張らせていただいております。

 以上でございます。

角田分科員 そうした特別支援教育の環境充実のためにこれまでもかなり手厚く対応されているということは承知をいたしておりますけれども、今後もさらなる増加が見込まれているこうした特別支援学校に在籍する児童生徒、そうした増加に対していかに対応するかということが喫緊の大きな課題であると思います。

 こうした子供たちの良好な教育環境が確保されるよう、きめ細かな対応をぜひとも図っていただきたいというふうに要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 特別支援学校とも関連のある質問ですけれども、障害を持っている子供の通学の支援ということに関して質問をさせていただきたいと思います。

 現在、通学を支援するということについて、法律上特段の定めはないというふうに理解をしております。ただ、一方で、通学費、学用品等の必要な経費については、特別支援教育就学奨励費として各自治体において給付をしており、それに対して国は国庫補助を行っている。通学については特別支援教育奨励費の一つのメニューとして必要な経費が給付をされているということです。

 ただ、この給付についても、所得によって給付される割合が異なっておりまして、必ずしもその経費の全額が給付をされているというわけではありません。その上、路線バスの定期代であるとか、自家用車を使って送迎する場合のガソリン代であるとか、給付の対象経費もかなり限定をされております。

 例えば、特別支援学校に通学するために、スクールバスを配備して運行しているということがありますけれども、このスクールバス自体については奨励費の対象にならないというふうに伺っておりまして、これは都道府県などの判断で配備がなされている状況で、現実には配備されていないところもあります。こうした通学支援は、地域によってもかなり大きな違いが現状あるようであります。

 仮にスクールバスが配備をされているところにおいても、特に医療的なケアが必要とされる障害児についてはスクールバスの利用が認められないというケースも多く、この場合には保護者が学校まで送迎をしなければなりません。その分、他の児童生徒の保護者と比べても過重な負担を強いられているという現状があるかと思います。

 こうしたことに対して、通学の支援の充実を求める声は以前から強いものがあったわけですけれども、特に近年、特別支援学校等に在籍する児童生徒数の増加、その中で医療的なケアを必要としている児童生徒の増加ということもあって、地元の行政に対するこうした要望はさらに高まっている状況がございます。

 こうした要望に対しまして、福祉の側からは、障害児の通学等の通年かつ長期にわたる外出に係る支援というものは、教育と福祉の間での役割分担が未整理、不十分であったことから、給付の対象外となっておりましたけれども、新たにこれを対象に追加して、通学支援を前進させようとしている自治体もあらわれてきております。

 具体的には、市町村で裁量的経費としての地域生活支援事業の中で、通年かつ長期にわたる利用の一部であります通学への移動支援を認めているというところがあらわれてきているわけでございますけれども、これもまだまだ自治体によって対応はまちまちというのが実情で、通学の移動支援を認めている自治体でも、教育と福祉の間のどこに線を引くのか、そうした線引きをめぐっても悩んでいるというのが現状であります。

 この際、福祉の側からの移動支援の利用条件として、他の送迎手段や付き添いが得られない場合に限る。社会的理由に当たるものに限ってサービスの利用を認める。すなわち、保護者の疾病であるとか利用者の兄弟の公的な行事であるとか、そうした場合に限って、保護者のかわりに通学の支援が必要な場合のみに限るという整理がされているようでありますけれども、義務教育学校の通学、そもそもこれは教育機会の保障の前提となるわけですから、第一には、やはり教育の側が責任を持つべきものだと考えております。

 障害児の通学の支援については、国においても教育、福祉の間でどのような整理をされてきているのか、また、教育の側からどのような支援の充実を今後図っていくお考えなのかということについて、お伺いをしたいと思います。

小松(親)政府参考人 障害のあるお子さんの移動の支援、とりわけ通学の支援に関しましては、御指摘のような状況でございます。すなわち、それぞれの地方公共団体によってかなり状況が違っております。

 特に、いわば医療的ケアを必要とする状態でのお子さん方の通学手段ということにつきましては、基本的にはスクールバスというのが一番考えられるわけでございますけれども、スクールバスによる通学については、お子さんの安全確保第一という上で、各設置者においてそれぞれ適切に判断をするという状況になっているわけでございます。

 他方、お子さんの方が必要とする医療的ケアの内容等によっては危険も伴うということもありますので、文部科学省としては、この点の整理は、平成二十三年に通知を出しまして、スクールバスの送迎においては、乗車中に喀たん吸引が必要になる場合というようなことを考えますと、日常とは異なる場所での対応となるため、移動中の対応に危険性も伴うという可能性が高いことから、看護師等による対応が必要である、そして、看護師等が対応する場合であっても慎重に対応することというふうな方針を示したところでございます。

 文部科学省では、平成二十八年度予算の要求におきまして、学校における看護師の配置に関する補助事業、これを大幅に増額を要求したわけでございますけれども、この点については、大変厳しい財政事情の中で、財政当局からは非常に御理解をいただきまして、今年度、平成二十七年度では、国の予算としては三百三十人体制でございましたけれども、これを一千人体制に配置拡充を予定することになったところでございます。

 このような状況からいたしますと、今後もこうした医療的ケアの必要性等をよく見まして、それが必要な児童生徒の通学支援についてしっかり取り組んでまいりたいと思いますが、その際に、今御指摘の福祉部局あるいは厚生労働省ともさらに連携を図って取り進めてまいりたいというふうに考えております。

角田分科員 福祉部局との連携を図っての推進ということ、ぜひともこれは力を入れて加速をしていただきたいと思います。

 通学の手段としては、やはり、スクールバスで通える子供さんもいますけれども、そうでない、医療的ケアを必要としている子供さんも中にはいらっしゃる、そうした幅広い通学の手段に対する支援というものをぜひとも積極的に進めていただきたいことを要望させていただきたいと思います。

 続きまして、学校の健康診断の中で行われている、子供の視力検査、目の健康ということに関して質問をさせていただきたいと思います。

 学校における視力検査は、児童生徒の健康診断マニュアルでは、学習に支障のない見え方であるかどうかの検査である、視力は学習にも影響を与えるものであり、重要な検査であると思います。

 まず、学校における視力検査の目的について確認しておきたいと思うんです。

 現状行われている視力検査というのは、これはもう昔からランドルト環というものを用いて、〇・三、〇・七、一・〇の三視標によって判定をするとしており、児童生徒では、視力検査で左右どちらか片方でも一・〇未満である者、すなわち、AからDまでの四段階のうちB以下の児童生徒については、眼科受診のお勧めという学校からの便りを保護者にお渡しして、診断の結果をまた報告するように求めております。この場合、眼科を受診して眼科医に報告書に記入してもらうためには、文書料を取られるという場合もあります。

 子供の視力の発達の段階で特に早期発見、早期治療が必要なものに、弱視というものがあると思いますけれども、これはあくまでも小学校に上がる前、視力の発達が完成する以前に発見をして、治療を進めることが必要ということで、こうした早期発見の取り組みはこれまでも既に行われてきておりまして、学校に上がっている段階では、そうした治療の必要な弱視の子供さんについての矯正とかそうしたものというのは、多くの場合、既に進められているのではないかと思います。

 学校に上がった後に行っているこの視力検査というものは、学習に支障のない見え方であるかどうか、この検査であるとするならば、一・〇未満で一律に眼科医に受診をしてもらって、さらにその結果の報告を求めるということの必要性が本当にあるのかというふうにも思います。

 この辺の考え方について、まずお伺いをしておきたいと思います。

小松(親)政府参考人 学校に上がってからの健康診断における視力の検査、これは御指摘のとおりでございます。正確に申しますと、学校生活に支障のない見え方であるかどうかということを検査するという目的でございます。したがいまして、弱視とかの早期発見とかというのとはまた少し目的が違います。

 この観点から、先ほど御指摘のありました視力、一・〇にかかわるような、そういった形で示しておりまして、この受診についてはもとより強制ではないわけですけれども、今後の学校生活、それから今後の心身の成長、発達にかかわるという意味においては、マニュアルとしては受診を勧めるという形で、私どもお勧めをする、そういう立場で対応しております。

角田分科員 ありがとうございます。

 視力検査の目的であります学習に支障があるかどうかを、長い間、これは明治時代からほぼ同じ考え方だろうと思いますけれども、教室のどこからでも黒板の文字が読めるかどうかで判断をされてきたと思います。

 すなわち、今の視力検査、五メートル離れたところから見えるのかどうか、これを遠見視力検査というんだそうですけれども、遠くのものを見る視力を検査しているというのが現状であるわけですけれども、例えば黒板の文字を読み取ってそれをノートに書き写す際の視力、三十センチ程度の距離のものを見る近見視力の把握というものは、現状行われておりません。

 近年、子供の老眼、黒板など遠くは見えるけれども教科書やノートの文字は見えづらいという若い人が、子供を含めてふえてきていると言われております。そうした子供さんが黒板の文字をノートに書く場合に、漢字の横棒が一本抜けていたり、突き抜けるはずのところが突き抜けていなかったりと間違いが目立つ子供は、実は、近くのものが見えづらい、こうした近見視力の異常が原因となっている場合もあるというふうに指摘をされております。

 それで、この問題については、十年以上前に、日本学校保健会の健康診断調査研究小委員会報告書においても、情報化時代に伴う近見作業の増加や、不適切な眼鏡、コンタクトレンズの使用により近くが見えにくい児童生徒がいるため、近見視力の測定を今後検討することが必要と指摘をされております。

 また、平成二十五年の今後の健康診断の在り方等に関する検討会においても、眼科専門領域の代表者から、子供の目に関する問題点として、色覚検査、コンタクトレンズとともに、近見視力が指摘をされております。

 こうしたことも踏まえて、一点、まず確認をしたいんですけれども、近見視力の実態について、文科省としては現状を把握されているのかどうか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 学校保健統計調査におきまして、視力測定の大まかな分類に沿ったものは把握をするようにいたしておりますけれども、ただいまのお話の中での、各学校の近距離それから遠距離等の細かい分類等については、把握はいたしておりません。

角田分科員 最近は小学校でも一人一台のコンピューターの導入が進められるなど、近くのものを見ることが主体の学習形態に変わってきつつあります。また、これは従来からでしょうけれども、家庭での学習ではむしろこの近見視力というものが重要になってくる。

 近くのものが見えづらいといった場合、これは遠視系の屈折異常によるものが多いと言われております。現状の遠見視力検査、今、学校等で行われている視力検査では、遠見視力が不良な場合、一・〇以上出ないという場合は眼科医で近見視力の異常も把握されることもあるかもしれませんけれども、そうした学校で行われている現状の遠見視力の検査では、正常な子供の場合は、近見視力に仮に異常があったとしても、そこですぐにすくい上げるということはできないと思います。

 遠くのものを見る遠見視力は正常でも、近見視力が不良な子供は五%いるとの研究もあります。このような子供は、現状では、視力の不良が発見されずに、能力がない、集中力がない、努力が足りないなど、本人が悪いのだと思われてしまっているのではないかと危惧されます。

 学校での学習が、黒板中心の学習から、電子黒板やタブレット端末等のICTを活用した学習形態へと変化している中で、国もこうした情報化の流れを推し進めようとしていることもあわせて、このことは学習においても近くのものを見る近見視力が正常であるかどうかを把握する必要性というものがますます高まっているのではないかと思います。

 こうしたことも踏まえまして、学校における視力検査のあり方も改めていく必要があるのではないかと思いますけれども、この点に関しての御見解をお伺いしたいと思います。

小松(親)政府参考人 まず、先ほどの近視のことも含めまして、この近視の件につきましては、おっしゃられるように、教室のどこからでも黒板が見えるようにというのは、これは昔からの考え方で、しかしながら、最近の健康診断では、仮にお医者様の受診を勧めるといたしましても、健康診断の結果に基づいて適切な事後措置をとるということは法令上も決まっておりますので、例えば席の場所とか、そういったところについてまず配慮するといったようなきめ細かい措置をとること。

 それから、目を使っての情報の交流という意味では、ICT化も進む中で、先ほど申し上げました、非常な詳細な検査を学校で全てやるということは現時点ではなかなか難しいかもしれませんけれども、先ほどの大まかな分類、あるいは、本人からの見えにくいといったようなことについてよく観察いたしまして、この点につきましても、必要に応じて受診を勧めるということが求められていると考えます。

 このため、文部科学省としては、マニュアルの監修を行いまして、先ほど御指摘の学校保健会のマニュアルにおきまして、こうした点を記載したものを昨年発行したところでございます。

 これらの普及やそれらを含めた研修等に努めまして、従来からの視力に関するもの、それから、最近の情報機器に関する視力のものなどを含めまして、学校としてできる健康診断とそれに基づく事後措置の充実改善を図っていくという形で、積極的に対応してまいりたいというふうに考えます。

角田分科員 ありがとうございます。

 ただいま申し上げました、近くのものがしっかりとはっきりと見えているのかどうか、そういう能力があるかどうか、近見視力の把握ということについては、当然、この検査の必要性についても検討していただきたいと思いますけれども、当面は、日常の学校生活の中で、教師とかそういう方々が十分に注意をして、そして、そういう疑いがある場合には、やはりこれは専門医の受診を勧めるなど、そういう対応というのがしばらく中心になるのかなというふうに思います。

 その上で、こうした問題があるんだ、遠くのものがはっきりと見えていても近くのものを見ることが非常に難しい、実はそれで苦労している子供がいるんだということを、まず現場で理解してもらうということが非常に大事な取り組みになってくると思います。

 実際に、学校で近見視力の検査を行った研究によりますと、近見視力のみ不良で受診を勧告しても、保護者自身もそうした問題についての理解がないために、未受診のまま、専門医を受診しないままというケースが多いという報告もあります。

 まず、現場の理解を深める、そのためにも、実態はどうなのかということに関する把握、こうした努力もぜひ不可欠であると思いますので、積極的に検討されることを要望いたしたいと思います。

 時間がちょうどなくなってしまいましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

井上(貴)主査代理 これにて角田秀穂君の質疑は終了いたしました。

 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)分科員 民主・維新・無所属クラブの坂本祐之輔です。

 冒頭、馳文部科学大臣には、日本体育協会が行っております、全国のスポーツマンに対して、フェアプレー宣言を行ってスポーツ立国を目指していこう、そのキャンペーンにみずから応じていただきました。大臣という大変にお忙しい職の中にありながら、フェアプレー宣言を行っていただきましたことに心から感謝を申し上げます。これからも、日本のスポーツの発展のために、大臣に御指導いただきながら、ともに一歩一歩歩ませていただきたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 教職員定数の改善と三十五人学級のさらなる推進についてお伺いをいたします。

 児童生徒に対する教育の質の向上は大変に重要な課題だと考えております。先日、地元の小学校の先生方と意見交換をする機会がありましたが、そこで、三十五人学級をもっと推進するべきだという意見をいただきました。現場の先生方からすると、四十人と三十五人では大変な違いがあると。

 子供たちの学力向上や人間力の向上のためには、一人一人の子供にいかに向き合って教育を行っていくかということが大切だと思います。多様性のある子供たちのニーズに応えたい、そして、一人一人の子供に向き合う時間が必要なんだというふうに教員の皆さんがおっしゃっておられました。

 そこで、現在は、小学校一年生は義務標準法で、小学校二年生は加配で、三十五人学級が全国で実施をされております。小学校三年生以上でも、この三十五人学級を推進するべきだと考えておりますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

馳国務大臣 三十五人以下学級は、よりきめ細かな指導が可能となることから、学校現場などから要望も多く、有効な施策の一つであると考えております。

 一方で、限られた財源のもと、障害のある児童生徒や、いじめ、不登校への対応、家庭環境などによる教育格差の解消など、今後も増加が見込まれる喫緊の課題に対し的確に対応する必要性や、時代の変化に対応した新しい教育への取り組みなど、授業の質向上に向けた多様な取り組みを進めていく必要性についても総合的に判断し、戦略的に定数改善を図っていくことが必要との観点から、平成二十八年度予算案においては、五百二十五人の加配定数の改善を計上しております。

 今後の指導体制の改善のあり方については、新学習指導要領の実施や貧困による教育格差など、学校を取り巻く環境は著しく変化を遂げつつある中で、安倍内閣が掲げる教育再生を実行するため、スピード感を持って検討を進めてまいりたいと思います。

坂本(祐)分科員 今の学校職員は一・八人ということでございまして、教頭先生や校長先生も入っていらっしゃいますから、大臣がおっしゃられたような特別支援教育の教員等もそこで受け持ちということになりますと、総体的に教員の数が少なくなってしまうということにもなろうかと思います。

 おっしゃいました平成二十八年度の予算案につきましては、教職員定数が少子化に伴い削減をされました。文科省よりその予算案の説明でいただいている資料を見ますと、教職員定数の項目において、三十五人学級の推進にかかわる記述が見当たりません。

 文科省としては、三十五人学級のさらなる推進という趣旨で、ここで平成二十八年度の予算として要求をされたのかどうかを質問させていただきたいと存じます。

小松(親)政府参考人 文部科学省の立場といたしましては、三十五人学級を取り進めるということについては、基本的な方向は従来からそのような方向をとっております。

 これは二十七年度も同じでございますけれども、二十八年度に限って申し上げますれば、それとはまた別途、少人数指導あるいはチームティーチングといったようなさまざまな少人数教育の方法がございます。

 各自治体からは、片方で学級規模の少人数化の強い希望があると同時に、片方でさまざまなニーズに応じて当面は加配等で緊急のものに対応したいという要望もございます。

 これらを勘案いたしまして、私どもといたしましては、今回は加配を中心に予算の要求を組むという形をとったところでございます。

坂本(祐)分科員 ということは、平成二十八年度の予算として要求をされていらっしゃらなかったということでよろしいんですか。

小松(親)政府参考人 三十五人学級分の計算ということで要求はいたしておりません。

坂本(祐)分科員 少人数学級そしてチームティーチング等、私も市長在職十六年間の中で独自に教員を加配した経験がございますけれども、やはり、障害のある子供たちが教室に入ってくると、それにかかわる介助員も必要ですし、先生も必要となりますので、どうしても地方自治体の予算というのはふえていきます。

 そこで、こういった予算を要求されるあり方として、児童生徒への細やかな対応をしていくためにも、私は、三十五人学級の実現の予算要望をするべきではなかったかというふうに思います。

 文科省からも出されております、平成二十七年度における国の標準を下回る学級編制の実施状況についてという資料を拝見いたしますと、小学校三年生以上でも多くの県で三十五人学級が実際には実現をされているわけです。

 文科省は、教職員の定数の重要性を訴える際に、この三十五人学級や少人数学級のメリットを挙げておりますけれども、なぜ三十五人学級の拡充を前面に出して予算要求をしなかったのかという疑問を持っております。ということは、教育の質よりも教員の数ありきというような考え方があるのではないかというふうに感じてしまいますけれども、それはなぜなんでしょうか。

小松(親)政府参考人 先ほど申し上げましたように、トータルといたしましては、私どもといたしまして、従来から三十五人学級という方向性について変更したということではございません。これは、前下村大臣の要求の際にも、要求の前後においても、そうしたことは対外的に御説明しているとおりでございます。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、現在の状況といたしまして、例えば、小学校における専科指導の充実としてどうするか、あるいは、今御指摘がありましたのは、アクティブラーニングのような、今後のいわば立体的な授業をするために少人数教育が必要だ、そういったこともございます。

 そういった意味では、実際の形として、必要に応じて少人数教育がまず実現できるようにということから、それに態様が近いもの、これには、今アクティブラーニングのようなものも申し上げましたけれども、お話の中では、問題行動とか貧困対策とか、そういったものがさまざまございます。それらにどう対応するかということから、加配を中心にしたものでございます。

 御指摘のありましたように、数ありきということではなくて、各自治体の現在抱えている問題にそれぞれ対応したいといったときに、直ちに対応しやすい機動的なものを優先したということでございます。

坂本(祐)分科員 そうであるならば、教員の数がもっともっとふえていかないのはおかしいというふうに私は考えているんですが、三十五人学級の実現を、国では一年生、そして都道府県では二年生ということですが、現場の教員の声では、やはりそれを三年生、六年生まで続けて、中学生まで続けていってほしいというふうに子供たちのために考えているわけでございます。

 そうであるならば、三十五人学級のさらなる実現のためにも、これは大臣にお伺いをさせていただきたいと存じますけれども、義務標準法を改正して、三十五人学級を法のもとにしっかりと実現するという方法もあろうかと思いますが、この件についてはいかがお考えでしょうか。

馳国務大臣 先ほどから局長が苦しい思いで答弁をしておりましたが、私から一言言えば、背に腹はかえられないというところであります。

 私どもも政府の一員である以上は、財政状況が厳しい中で、少人数学級か少人数教育か、選択を迫られるところもあるわけでありまして、そうすると、やはり、個別のと申しておりますけれども、小学校における専科教員の配置であったり、英語教育を推進していくに当たっての人の配置、あるいは日本語教育も、最近は地方においても求められることが多うございまして、そういう機動的な加配措置を優先させざるを得ないということは、まず御理解いただきたいと思います。

 とはいいながらも、山口県のように県単費で三十五人学級を実現しているところもございますので、全国的な実態を踏まえて対応していくべきと思っております。

 もう一つの義務標準法の見直しについては、今現在、昨年末にいただいた中教審の答申も踏まえて、チーム学校の考え方、学校と地域の協働という考え方、あるいは教職員の資質の向上という考え方において、根本的に、義務標準法のあり方について、きちんとしたデータに基づいた議論を踏まえ、現場のニーズも踏まえた上で、必要とあらば見直しも辞さないという姿勢で臨んでいく必要があると思っています。

 昨年、財務省との間で教職員の定数の問題でやりとりがございましたけれども、やはり、現場のニーズとはいいつつも、三十五人、四十人、多いクラスであっても、十分に指導能力のある教員もいるのは事実であります。同時に、相対的に、やはり一つのクラスの人数が少ない方が、よりきめ細かい指導ができる、そして教職員の多忙化を解消することができる、これもまた事実でありますから、こういったエビデンスなどを活用しながら、現場の声も踏まえながら適切に対応していくという意味で、義務標準の見直しも視野に入れながら取り組んでいきたいと思います。

坂本(祐)分科員 前向きな御答弁をいただいたと存じますけれども、この義務標準法を一つ変えていくことによって、教員が少しでも満ちていく、そこで個別の対応も支援も子供たちに対してしっかり行っていく、この両建てが必要なのではないかと考えております。

 文部科学省がそのような要求をしないことを責めているということではなくて、これも一つ、これも一つという全体的なエビデンスの中で、これからも、できるだけ子供に向き合える教員がふえていくように、しっかりとした学校教育を行っていただきたいというふうに考えております。

 それでは、続きまして、ICT教育の推進についてお伺いをさせていただきます。

 情報化が急速に進む中で、ICT教育の重要性は増していると考えております。特に、情報が氾濫をして有害情報や危険が多く潜む中で、子供たちがいかにICTにかかわっていくかということは大切な問題です。子供たちがICTを学習に活用するだけでなくて、ICTの中に潜んでいるさまざまなリスクについても教えていくことが必要だと思います。

 しかしながら、私も、これは地元の教員の皆さんにお伺いしたことでありますけれども、市町村によってICTの充実度、整備度が全く違う、しっかりと整備をされているところもあれば、まだまだ整備がされていないところもある、さらには、ICTの発展によって、情報社会の発展によって、担当している教員が追いつかない、なかなか指導することができないというような声もございました。

 来年度予算の中にもICT教育関連予算が計上されておりますけれども、全体で約七億円程度ということでは、全体の計画の中では大変に不十分だというふうに感じております。

 昨今の子供とICTのかかわりを考えますと、早急にICTの教育の充実が必要と考えます。市町村ごとの格差を是正するとともに、教育現場がICTの発展についていけるような取り組みをどのようにされようとしているのか、お答えいただきたいと思います。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御質問の一つ、学校におけるICT環境の整備につきまして地方間で格差がある問題についてでございます。

 教育の情報化につきましては、第二期教育振興基本計画に定めました目標水準がございます。この水準を達成するために、平成二十六年度から二十九年度まで、単年度で申しますと千六百七十八億円、四年間の総額で六千七百十二億円の地方財政措置が講じられているところでございます。

 しかしながら、これは地方財政措置でございますので、地方公共団体の中には、教育の情報化の意義とか効果とかそうしたことについての御認識が場合によっては十分でないといったような場合や、あるいは、情報化の環境整備の意欲はあるものの、その機器の整備に関する知見とかノウハウが不足しているといったような場合なども見受けられまして、こうしたことで、先生御指摘のとおり、地域間の格差が生じているところでございます。

 こうした格差を少なくしていくために、文部科学省といたしましては、都道府県や指定都市教育委員会に向けまして、教育の情報化の推進に対応した教育環境の整備充実のための地方財政措置があることなどの通知を発出いたしまして、積極的な活用を促しているところでございます。それとともに、都道府県及び市町村別のICT環境の整備状況につきまして公表をするなどして、各自治体における環境整備の取り組みを促しているところでございます。

 また、先ほど知見やノウハウが不足している場合があると申し上げましたけれども、今年度の新しい取り組みとして、ICT環境の整備を図ろうとする自治体のニーズに応じまして、必要な助言、つまり、ICT教育の計画を策定したり整備を進めたりする際の助言を行うためのICT活用教育アドバイザーを全国に派遣しておりまして、二十七年度が三十カ所でございますが、二十八年度には箇所数を拡充したい、そのことを予算案に盛り込んだところでございます。

 さらに、もう一つの御質問が、先生がなかなかICT教育についていくのが難しいという御質問でございました。

 先生の問題につきましては、私ども文部科学省で、ICT活用指導力といたしまして調査をしておりますけれども、ICTを活用して指導することができるかどうかということについては、この能力、先生方の中で年々増加はしてきているんですけれども、二十六年度、最新の数値で、これが七割にとどまっているというのが実情でございます。

 文部科学省におきましては、このことを改善するために、情報教育の指導的立場に立つ教員を対象とした研修ですとか、校内研修の手引書を作成したり、あるいは授業事例の映像の資料を作成して周知したりといったことはしていることでございますけれども、またさらに、これも今年度から、教員養成課程を有する大学と連携をいたしまして、ICT活用能力、先生方のICT活用指導力向上のための研修プログラムを策定するといったことに新たに取り組んでいるところでございます。

 これらの施策を通じまして、情報活用能力育成の充実ですとか教員の指導力の向上に努めてまいりたいと考えております。

坂本(祐)分科員 先生の研修をこれからも深めていくということでございますから、ぜひそれは行っていただきたいと存じます。しかし、研修が多くなればなるほど、また教員の方々の時間的な負担も多くなるというジレンマもあろうかと思います。

 しかしながら、ICTは、今の情報化時代にとって、いずれ子供たちが自然にそれを学ぶことも多くあると思いますので、しっかりとした計画性を持った普及。そして、地方自治体においては、交付税算入等をいずれされるということにあっても、当初に出すお金というものがございますから、どうしても財政力のあるところとないところの差が出てきてしまうということがあります。それはアドバイザー等を自治体等にも派遣されるということだと思いますので、そういった意味では、教育を受ける機会の格差が生じないように御努力をいただきたいというふうに考えております。

 続きまして、学校現場における児童生徒のいじめ、暴力についてお伺いをさせていただきます。

 文科省の平成二十六年度の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと、全国の小学校で二十六年度に認知されたいじめは、過去最多の十二万二千七百二十一件。小中学校、高校、特別支援学校全体では十八万八千五十七件で、前年度比二千二百五十四件の増になっています。平成二十二年度と二十六年度を比べると、一年生が五・八倍にふえています。いじめは高学年からと考えておりましたけれども、いじめが低学年から起こっているということに驚きを隠し得ないところでございます。

 また、小学生の暴力について。この暴力もふえてきておりまして、文科省の同じ調査によりますと、小学校、中学校、高校で起きた平成二十六年度の暴力行為は五万四千二百四十三件に及びます。件数は学年が進むほどふえるものの、ふえた率は低学年ほど高くなっています。十八年度に比べると、一年生が五倍、二年生が四・三倍に上がっています。しかも、子供の間だけでなく、教師に対する暴力や、子供が学校に通学をする途中、通行人にも暴行を加えるといったような報告もなされています。

 来年度予算の中で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが大幅に拡充されておりまして、子供たちのさまざまな問題に対してしっかりとした対応が求められていると思います。そこで私は、子供がいじめや暴力行為などを起こす原因をしっかりと把握することが問題解決のために必要だと思います。また、原因を分析して対策を講じることで、重大な事案の発生を未然に防ぐことができるものではないかと思います。

 そこで、お伺いいたしますけれども、実際に原因を分析していらっしゃるかどうか、しているのであれば、どのような問題が起きているのかということを御報告いただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 この問題につきましては、原因が突きとめられているわけではございません。

 二つの方面から私ども捉えておりますけれども、一つは、こうした調査を通じまして教育委員会や学校現場から上がってくる意見でございます。これには、家庭や地域のさまざまな問題、それからいじめなどに関しましては、むしろ隠されていたものが認知の中に入ってくる。定義などにつきましても、それをなるべく積極的に認知していこう、いじめは誰にでもどこでも起こる問題として考えていこう、いじめ対策法の定義などもそのようになってきておりますので、こうした点が、総合的にふえているという原因であろうというふうに考えられております。

 他方、二方面と申しましたもう一つは、私どもは、脳科学や成長、発達に関する科学の中で、一体どういった問題行動や成長、発達の阻害要因になるかといったことについては委託研究等を行っております。これらについては、やや長期のプロジェクトになるので、現在、それを取り進めている最中で、まだ軽々に結論めいたことが申せない状態でございます。

坂本(祐)分科員 いじめや暴力が小学校の低学年から起きている、その実態はどういったところから出てきているのか、その原因はどこから出てきているのか。さまざまな社会的な現象が考えられると思いますけれども、将来、みずからの夢や希望に向かって生きていかなければならない、生きていってほしい、そして、我々がそれを支援していきたい子供たち、その低学年からいじめや暴力が起きてしまっているということについて、大臣はどのようにお考えになられるでしょうか。

馳国務大臣 いじめ防止対策推進法を議員立法として成立いただいたときに、やはり定義の問題が大きな課題となりました。

 そして、被害児童の立場に立って、まずこの法律を構成する必要がある、こういうふうな議論が一致したところであります。

 自分がされて嫌なことは人にしないという配慮あるいは思いやり、それを実践に移していくことのできるクラスの中における合意事項、万が一何かあったときに、それはやはり先生だけではなくて子供同士でも、傍観者にはならない、いじめっ子にはならない、いじめられている子供がいたらみんなで声をかけてあげる、こういう取り組みは、日常生活において、学校生活だけでなく、声がけ運動などをすることによって気づきを高めていく、そういった中から、いじめをなくしていくというふうな機運を高めていくものだと思っております。

 同時に、当然、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置も促進しておりますが、何よりも教職員の情報の共有であります。一人の教員が抱え込まないで、保護者との連携のためにも、複数の教職員がかかわり、当然、主幹教諭や副校長や校長のやはり指導やアドバイスなどもいただきながら、一つ一つの事案にすぐに対処していく。

 また、クラスの中で、ホームルームなどを通じて、いじめはどういうことか、されて嫌か、どうしてしてはいけないのか、みずから子供たちに考えてもらう、やはりこういう取り組みも積極的に進めていくことが必要だと思っております。

 頭ごなしに、いじめはだめだと言っても、子供たちは、ぺろっと舌を出して、はいと言って、それで終わりです。

 そういうものではなくて、本当に相手のことを配慮し、自分のこととして考えるような人間教育に取り組んでいく必要があると思っています。

坂本(祐)分科員 いじめや暴力が行われている現状というものにつきましては、例えば、原因は一様ではないと思います。親の貧困もあると思います。あるいは、離婚をされてしまった御家庭もあると思いますし、親の虐待やネグレクトだとか、そういった問題が介在をして、これは社会問題や社会のひずみから生まれてきているものだというふうに思います。

 子供の人権を守っていくということと同時に、思いやりを持つ学校教育を進めること、これは道徳にも通じるわけでございますけれども、そういった教育をしっかりと行うことによって、お互いに人権を守り、お互いに尊重して、思いやりにあふれる社会、そういうことになれば、障害を持つ方もそうでない方も、生きていく上で苦労をされている全ての方たちも幸せに築ける社会というのが実現できるのではないかというふうに思います。

 一省庁でいじめや暴力をなくすということは難しいと思います。今申し上げましたように、社会のひずみや社会問題からこういったことが出てきていると思いますので、ぜひ、大臣におかれましては、文部科学省を初めといたしまして政府を挙げて、こういった暴力やいじめが起こらない社会を実現していただきたい、そのことを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井上(貴)主査代理 これにて坂本祐之輔君の質疑は終了いたしました。

 次に、八木哲也君。

八木分科員 自民党の八木哲也でございます。

 きょうは、長時間にわたり御苦労さまでございますけれども、私と、あと一人でございますので、大臣の方もしっかりお答えいただければありがたい、このように思います。また、質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げたいと思います。

 本日は、ちょっと持ち込み資料を用意いたしましたので、お許しいただきたい、こういうふうに思っております。

 さて、高等専門学校の今後のあり方について質問をさせていただきますけれども、質問に入る前に、大臣に質問をしたいと思います。この質問は、最終的には高専の質問と根源的な共通点があると考えますので、改めて質問するわけでございます。

 先日、NHKテレビで「プロフェッショナル」という番組を偶然見ておりました。それは、青森老夫婦、命をかけた技術継承という番組でありました。漆の木から漆を採取する漆かき道具、すなわち漆かんなを製作する、日本で最後の鍛冶屋のドキュメントであります。

 その内容について若干申し上げますと、漆というのは日本古来のものでありまして、漆を使った国宝、重文、いろいろあるわけでございますが、その修復等には日本の漆でなければ国宝にならないわけであります。ところが、今、日本の漆自体は一〇%を切るような生産高であります。中国とかベトナムの製品などで修復しても、今度、国宝に該当しなくなってしまう。そういうことからして、漆をとるということは大事な仕事であります。

 その漆かんなを日本で唯一つくれるのが、青森県の田子町の鍛冶屋、中畑文利夫婦でございます。四十年来、夫婦二人三脚で鍛冶屋を営んできたということであります。

 彼は、八年前から慢性の骨髄性白血病を患い、目には緑内障があり、視野が狭くなり、細かな作業も難しくなってきたということであります。しかし、テレビの中で彼の言うのには、漆の業界の中で自分が一番下の道具づくりですよ、小さかろうがどうだろうが、その一個の歯車であると思うし、それを自分がどこまで自分なりに全うするかですよね、その縁の下の力持ちみたいに、陰にいてもせっせと自分の置かれたその仕事に精を出すのもまた、一つかなと思いますよね、こういうふうに語っておられました。

 そして、そこに一人の若者が弟子に入るわけでございますけれども、一つ一つ丁寧に教えるわけではなく、黙々と老夫婦で作業をしている姿を見せているだけでありました。その黙々と作業をしている姿が、私にとっては、何か神々しく見えてきたわけでございます。まさに、職業に貴賤はない、仕事に向かう姿こそがとうといのだ、こういうふうに思いました。

 そう思いましたときに、私は、ふるさとの豊田で生まれた鈴木正三という人を思い出しました。鈴木正三は、江戸初期に、日本で初めて職業倫理を説いた禅僧であります。「萬民徳用」という本を著しました。きょうお持ちしましたこの本が「萬民徳用」であります。これは、鈴木正三顕彰会で復刻したものであります。鈴木正三は、ほかにもたくさんの本を執筆いたしました。鈴木正三は、江戸時代の三大禅僧と言われるほどの偉大な人物である、こう評されております。私もその鈴木正三顕彰会のメンバーの一人で、勉強させていただいております。

 さて、現在に目を転じてみますと、少子化、若者の労働不足が生じております。その上、高学歴化で、高等教育を受けている比率が八〇%もある、若年労働力不足の一面があるわけでございます。しかも、就職しても、三年間で約三分の一の方が離職をしている現実があるわけであります。

 高学歴化、教育の機会均等を拒むものではありませんけれども、学歴偏重、貨幣価値優先になりがちな社会通念化から、中卒でも高卒でも真面目に仕事に向き合うことに価値があるという社会であることも私は大事なことだ、こういうふうに思います。

 そのためには、職業倫理を小学校、中学校、高校で教えることが大切と考えておりますけれども、職業倫理教育の必要性について、大臣のお考えをまず聞いておきたいと思います。

馳国務大臣 小学校、中学校、高校と、児童生徒の発達段階はそれぞれだと思いますが、やはりそれぞれの段階において職業倫理教育は極めて重要である、こういうふうに考えております。

 特に、自分は何者であって、どこからやってきてどこへ行くのか、こういう哲学的な論争というのは、自問自答は、やはり、自我が目覚めてくる小学校の中学年、高学年ぐらいから常に子供たちは思うものでありまして、その子供たち自身の自問自答に適切に答えていく、あるいは導いていくための書物を紹介したり、お話をしてあげたり、あるいは、ともに接する中でいろいろな職業人を紹介してあげたり、また職業体験の機会を与えたりしながら、何のために働くのか、働くことの喜びは何か、また、大きくなって家庭を持つようになれば、得られる報酬によって家族を養うことになる、みずからの満足感も得る。

 やはり、こういうことについて、一つ一つ丁寧に、かみ砕いて実感させることのできるような学校教育のあり方は、私は極めて重要だと思っています。

八木分科員 ありがとうございました。

 この職業倫理教育、まさに私はここに根幹があるのではないか、こういうふうに思っておるんです。

 高等専門学校のあり方という、ちょっと職業倫理と違うようなテーマかもわかりませんが、私は、高専の教育自体にも、その職業倫理という部分において若干評価するところを持っておるわけであります。そういうことから、この質問をさせていただきました。

 まさに、職業倫理をしっかり教育するということは、私は先ほど漆の話で言いましたけれども、やはり日本文化が守られていくことであるというふうに思っております。ややもすると、先ほど申し上げましたように学歴偏重の中で、そういう職人さんたちがだんだんいなくなっていく、寂しい思いをしているわけでございます。

 例えば、漆かんなをつくる職人にしましても、そういうものがなくなると日本文化は衰退していく。また、寺社仏閣をつくることも、京都の舞妓さんの文化にしても、多くの職人の手によって成り立っているわけでありますので、そういう観点からも、職業倫理教育というものは必要だ、こういうふうに思うわけです。

 ドイツではマイスター制度というのがあります。これもやはり職業教育の一環であると思いますし、やはり、マイスターを出た人たちはそれなりの身分が保障される、そういう世の中にしていかなければいけないのではないか、こんな思いがしております。そういう中にあって、私は、高等専門学校というものを取り上げてみました。

 さて、高等専門学校の質問に入りますけれども、高等専門学校は、昭和三十七年、実践的技術者を育成することをミッションとして設立されました。日本の高度成長に合致した教育機関、教育方法であったと思います。

 しかし、高校生の大学進学がふえるに従って、高専卒業生も大学へ進学する傾向にあり、昭和五十三年、高専卒業生の受け皿として技術科学大学が設置されました。その後も高専卒業生の進学率は増加傾向にあり、その受け皿として、平成四年に、高専に専攻科を設置いたしました。学位が取れるようになったわけであります。さらに、現在では、高専卒業生の約四〇%が進学をしているわけであります。進学率の高い高専では、約七〇%が進学しているということであります。設立当初と現在の状況を見たとき、今の高専の抱えている課題が見えてくるような気がいたします。

 しかし、高専卒業生の六〇%が就職をしているのも事実であります。企業からの求人倍率は十七倍と高い状況にありまして、高専の五年間の教育が、企業が求めている即戦力的技術者の育成に役割を果たしている証左でもあると思います。

 自民党内で高等専門学校を考える議員連盟というものをつくりました。また、文部科学部会の中においては、プロジェクトチームで高専のあり方を研究してまいりました。

 今回の質問は、時間が十分ございませんので、高専本科の教育が、社会の求めるニーズに合わせて質の向上を図るためにどうあるべきかという観点で質問をさせていただきます。

 ほかにも、学位授与のあり方、専攻科、また、技術科学大学、国立高等専門学校機構等の課題については、別途まとめて提言していきたいと思いますので、その折にはよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、高専本科の質的向上についてであります。

 スーパーグローバル高専、また、スーパーサイエンス高専など、重点支援を行う高専を設けたり、学生の起業マインドを育成するため、例えば、世界的ロボットコンテストなどに参加する自発的研究心の醸成を促したり、技術科学大学や地元工科系大学との連携を図るなど、本科の教育の質的充実を図る積極的支援策についてお伺いいたします。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 高等専門学校の設立からの経緯も含めて広範な御質問をいただきましたので、少々お答えが長くなろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。

 高等専門学校でございますけれども、今お話しいただきましたように、中学校卒業後の十五歳の学生を受け入れまして、実験、実習を中心とした五年一貫の実践的技術者教育を行う高等教育機関ということで、昭和三十七年に創設をされたわけでございます。

 特に、当初は、中堅技術者の養成ということを目的といたしまして、例えば大企業においては工場長など製造現場の指導監督的な立場の技術者の育成、あるいは中小企業においては企業の中心的な技術者、技術の責任者の育成というようなことで教育をし、また卒業生が社会の中で活躍をしてきているわけでございます。また、特に近年では、研究開発に従事する技術者としての活躍ということも期待をされている状況でございます。

 こうした中で、現在の卒業後の進路について申しますと、六割が就職、四割が進学という状況でございます。六割が就職ということでございますけれども、求人倍率にいたしますと約二十倍、そして就職率はほぼ一〇〇%ということで、大変社会的にも評価をいただいているという状況があるわけでございます。

 そういう高等専門学校でございますが、やはり、本科卒業生、四割は進学するとはいえ、六割が就職をするということでございますので、社会構造あるいは産業構造の変化というものを踏まえた教育の中身の改善、改革というものを進めていかなければいけないという状況になっているわけでございます。

 まず、一つはやはり、今、第四次産業革命とも言われておりますような、産業構造、就業構造の変化に対応していくということが重要だというふうに考えてございます。高等専門学校の機構の中でもいろいろな検討が行われております。

 こうした社会ニーズを踏まえた新分野あるいは新領域の教育の展開ということで、例えば今非常に大きな課題となっております情報セキュリティー分野の人材の育成であるとか、あるいは海洋人材、航空技術者、ロボットというような、こういう社会のニーズを踏まえた新分野、新領域の教育をどういうふうに進めていくのかというような問題意識も持っております。

 また、グローバルなエンジニアの育成ということで、特に中小企業でも、現在、東南アジアを含めた海外での展開ということがあるわけでございますので、そういう点でのグローバルなエンジニアの育成ということ。

 それから、本科の教育ということでの御質問でございましたけれども、その手法としては、アクティブラーニングの導入ということがございます。これは、小中学校、高等学校でも課題になっておりますし、また大学でも課題になっておりますが、高等専門学校は、まさに実践的な教育をするという立場から、課題解決学習、PBLというようなものも導入しております。

 また、これも御指摘ございましたけれども、二つの技術科学大学との連携ということで、教員の教育能力の向上、あるいは学生に対する学術的な学びの機会を与えるというようなことで、現在の社会構造の変革に即した中で高専の強みを発揮し、また、技術科学大学との連携の中でさらにより高度な教育を行うという点で、今いろいろな検討を重ねております。

 その中で、八木先生には、議員連盟あるいは自民党の文部科学部会の中でも中心的なお立場で御指導いただいているわけでございますけれども、私どもそういう御指導をいただきながら、また、文部科学省の中でも今、調査研究協力者会議を設けておりますので、ぜひこの機会に高等専門学校教育のさらなる充実を図ってまいりたいと考えておりますので、御指導いただければと存じております。

八木分科員 やはり、高等専門学校というもの、今答弁がございましたように、しっかり支援をしていかなければいけない、考えていかなければいけない、また、いろいろな課題もまだまだほかにあるわけでございますけれども、しっかり我々としても考えていきたいと思います。

 次の質問に入りますけれども、現在、地方創生の施策が着実に展開されているわけでございます。そういう中にあって、この観点から、高専のあり方について質問したいと考えております。

 高知高専では、ファインバブルの研究で地元農業や水産養殖業の分野で生産性向上に寄与している事実がございます。このように、地域のニーズを酌み取り、産学官共同で研究して地域活性化に寄与することは、重要な観点であると思います。

 また、高専卒業生が地域企業への就職を促すインセンティブ施策が必要であると考えております。そのためには、地域企業へのインターンシップカリキュラムも必要であると思います。また、地域に工業高校がある場合、工業高校との連携により高校の質の向上を図ることも、ひいては地域に還元できることであります。

 地方創生における高専の役割についての御見解をお伺いしておきたいと思います。

常盤政府参考人 今御指摘がございましたとおり、高等専門学校は、国立五十一校、公立三校、私立三校、そして、特に国立高等専門学校は全国に展開をしているわけでございます。

 こうした中、それぞれの高等専門学校が地域と密着した実践的な技術相談、共同研究、共同教育など、産学連携による教育研究の推進を通じまして地域の産業界に貢献をしているという状況がございます。

 例えば、今、八木委員からもお話がございましたけれども、高知の高等専門学校におきましては、高知県の支援のもとで、ファインバブル技術の産業クラスター形成に向けて取り組みを進めております。

 このファインバブル技術におきましては、例えば、地域の農産物の出荷増のためには、農産物の洗浄において節水が必要になるというような課題があるわけでございます。また、養殖した魚を出荷増していくためには養殖中の酸欠を回避したいというような課題があるわけでございます。

 こういう地域の課題を解決するために、高知の高等専門学校においては、ファインバブルという微細な気泡を活用してこういう課題に対応できないかということで取り組みを進めておりまして、企業にも御参画をいただき、商品化、販売という方向での取り組みを進めております。

 こうした技術を中心として、産業クラスターの形成、そして高知高専を中心とした共同研究体制の関連企業の集積、産業化の取り組みということが進められているというような状況が、これは例でございますけれども、あるわけでございます。

 今後とも、各高等専門学校と地域がその連携を強めていく中で、地域の課題を題材とした課題解決型の実践教育の推進であるとか、あるいは地域の企業でのインターンシップの充実、さらには地方創生枠の奨学金等の活用によりまして卒業生の地元定着の促進、こうした取り組みが考えられるわけでございます。

 また、工業高校とのお話もございましたけれども、例えば、都道府県において既存の工業高校をリニューアルして、高専としてさらに充実をしていく、そういう中で、地域産業を支える人材の養成を担う高等教育機関として地方創生に貢献するというような御議論もあるわけでございまして、こういう点でも、地方公共団体などからのニーズを踏まえながら、具体的に相談に乗っていくというようなことも必要かというふうに考えてございます。

 こういう取り組みを通じて、高等専門学校が地方創生により大きな役割を果たしていくことが期待されているところでございますので、今、こういう点についても文部科学省に置かれました会議で議論していただいております。

 ぜひ、こういうきっかけで前に進めていければと思っておりますので、御指導いただければと存じております。

八木分科員 ありがとうございました。

 御答弁がありましたように、地域における高専の果たす役割、期待は大きいと思います。しかし、全国に国立高専、私立も含めるともっとあるのですけれども、五十一校あります。しかし、埼玉県、神奈川県、山梨県、滋賀県、佐賀県の五県には高専がありません。自民党内での高専に関する会議の中で、全県必置の考え方、意見もあることを申し添えておきたいと思います。

 次の質問に入りたいと思います。

 高専が実践的技術者を育成してきた評価は高いと思います。それは、現在、高大接続の議論をされておりますけれども、高専は高大接続ではなく五年間の高大一貫教育であります。その成果は、高大接続以上に大きいと私は思っております。

 また、在学中のアクティブラーニングやインターンシップにも力を入れた教育がいかに重要であるかという証明でもあります。同時に、現場を体験することにより、おのずと職業倫理観が身についてくると思います。

 この高専システムは、海外でも評価が高いようであります。とりわけ、発展過程にある国、例えばモンゴルやトルコ、ベトナムなど、高専のシステムに期待をしている国々があります。モンゴルでは、トップが仙台高専出身でございまして、日本の高専システムが今のモンゴルには大変必要だ、こういうことで協力要請が来ているようでございます。

 それらの国々に対して、積極的海外展開をすべきであると私は思います。その考え方及び展開の仕方、そしてそれに伴う予算についてお聞きしたい、こういうふうに思います。そのことは、日本の高専のグローバル化につながっていくと思うからであります。御回答をお願いしたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、高等専門学校の教育制度は、開発途上国を含みます海外から高く評価をされておりまして、今お話ございましたモンゴルあるいはベトナムのように、その制度をいわば輸入したいとする国もあるわけでございます。

 例えば、今お話がございましたモンゴルですと、一昨年になりますか、モンゴルの大学の中で高専の方式での教育を実施したいということで、そういうコースを設立して教育を充実していきたいというようなお話がございまして、そこでの技術協力という点で、モンゴルの教育庁、そこに、今お話ございましたように、仙台高専で学習された方が現在モンゴル政府の中で教育関係の高い地位にいらっしゃるということがございまして、留学生の交流も含めてぜひ進めていきたいというようなお話があるわけでございます。今後も、カリキュラム、教材の提供とか教員研修等についてもさらに協力をしていくということがあるわけでございます。

 こうした状況を受けまして、文部科学省におきましては、それぞれの国によって当然ニーズも異なるわけでございますし教育制度も異なるわけでございます、そうした個別の状況を踏まえて戦略を構築いたしまして、高等専門学校の持つ人的、知的資源を展開するべく、独立行政法人国立高等専門学校機構に、必要な体制を整備するために、平成二十八年度の予算案で所要の経費を計上しているところでございます。

 その中で、海外から高い評価を得ている高等専門学校制度を、ハード面、ソフト面のパッケージで戦略的に、いわば輸出していくというような考え方で協力を進められないかというふうなことで、国立高等専門学校機構の中に必要な体制の整備をしたいということで、現在取り組みを進めているところでございます。

 また、高専教育の海外展開に当たりましては、外務省を初め、独立行政法人国際協力機構あるいは独立行政法人日本貿易振興機構、こういう関係機関や日本企業の海外現地法人との連携した取り組みということが必要であると考えておりますので、適切な連携のもとで、高等専門学校の海外展開に努めてまいりたいというふうに考えております。

八木分科員 日本の高度成長を支えた高専の教育のやり方であります。このことは、現在、発展、成長途上にある国々にとっては有効な教育システムであると思います。

 教育外交は平和外交であると思います。積極的役割を果たしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

井上(貴)主査代理 これにて八木哲也君の質疑は終了いたしました。

    〔井上(貴)主査代理退席、主査着席〕

石原主査 次に、尾身朝子君。

尾身分科員 自由民主党群馬県連所属、北関東比例ブロック選出の尾身朝子でございます。

 本日は、科学技術イノベーションの取り組みについて質問させていただきます。馳文部科学大臣初め、文部科学省、内閣府の皆様方に御出席いただいております。ありがとうございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 初めに、第五期科学技術基本計画についてお伺いします。

 第五期科学技術基本計画が閣議決定され、この春、平成二十八年度からスタートします。この基本計画は、サイバー空間と現実社会が高度に融合した超スマート社会、ソサエティー五・〇をテーマの一つに掲げていますが、斬新なアイデアによる未来の産業創造、価値創出に大いに期待しています。

 与党自民党の提言を踏まえて、五年間の投資総額目標二十六兆円が数字として盛り込まれたことを高く評価いたします。この投資目標を確実に実行していくことが必要です。

 まずは、一九九五年、科学技術基本法を制定したときの理念に立ち返り、これから百年先、さらにその先の将来を見据えて、政治の強いリーダーシップにより、政府の科学技術予算を抜本的に拡充していくべきだと思います。

 そのために、政府研究開発投資の総額約二十六兆円の達成に向けて、毎年度約八%増、三から四千億円の増額を確実に実現していく必要があります。

 政府は、予算を最大限活用するプランをどのように立てているのか、具体的にお聞かせください。また、対前年ベースの予算枠にこだわることなく、すぐれた施策があれば、必要なときに必要な額を手当てするという柔軟な対応が大事だと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきました第五期科学技術基本計画に掲げられました政府の研究開発投資二十六兆円を達成するため、毎年度の予算編成のプロセスにおきまして、科学技術関係予算の充実と確保に向け、関係省庁と一緒に一体的に取り組んでまいりたいと考えております。

 具体的には、超スマート社会の実現、それから基盤的な力の強化、それからオープンイノベーションの推進などに向け、科学技術イノベーション政策の全体像を俯瞰した上で、基本計画を具体化するための総合戦略を毎年度策定いたしまして、限られた予算を必要な分野、施策に重点的に配分していくためのPDCAサイクルを回していきたいというふうに考えております。

 あわせまして、SIPやImPACTの資金配分におきまして、情勢の変化に対応して機動的な配分を行うことや、それから、予算戦略会議を活用して各省庁の施策を政策誘導するなどを通じまして、研究力と研究成果の最大化を図り、そして、一層効果的、効率的な資金の活用を目指してまいります。

 政府の研究開発投資は、未来への先行投資として、長期的な視点に立った研究開発やリスクの高い研究開発を支えるとともに、民間投資の呼び水ともなるものでございます。その目標達成に向け、関係省庁とも協力して、予算の量と質の両面で充実を図っていきたいというふうに考えております。

尾身分科員 大変心強い御答弁、ありがとうございます。

 次に、総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能についてお伺いいたします。

 総合科学技術・イノベーション会議、CSTIは、多くの府省にまたがる科学技術イノベーション政策を総合的かつ戦略的に推進する非常に重要な役割が期待されています。健康、医療やIT、海洋、宇宙など、科学技術に関連するさまざまな本部が次々と分離独立されていく中で、CSTIは科学技術イノベーション政策の司令塔の役割をどのように果たしていくのでしょうか。

 このような状況にあって、CSTIが果たして我が国の科学技術イノベーション政策において司令塔として機能しているのか、私は大いに懸念しています。米国のように、大統領直轄の科学技術アドバイザーを設ける方法などもある中で、司令塔機能の強化に向けた政府の方針をお聞かせください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 総合科学技術・イノベーション会議は、総理のリーダーシップを支えるために、すぐれた産学官の知恵を結集することで、我が国の科学技術・イノベーション政策を強力に推進することを目指しております。

 そのため、有識者議員の幅広い見識や経験を遺憾なく発揮していただくことはもとより、そのもとに専門調査会や戦略協議会などを設置いたしまして、産業界や学界から多様かつ専門的な人材を結集することによって、先を見通すことが困難な大変革時代に対応した政策の推進を図っていくこととしております。

 また、科学技術・イノベーションにより新たな価値やサービスを次々に創出していくためには、異なるアイデアの融合やシステム化による連携、協調がこれまで以上に重要となってまいります。

 このため、総合科学技術・イノベーション会議では、政策全体を俯瞰しつつ、各分野の司令塔との間で日常的な情報共有を密にしていくとともに、専門委員の相互乗り入れなどを通じまして相互の連携を深め、相乗効果を上げていきたいというふうに考えております。

 総理が掲げられる、世界で最もイノベーションに適した国をつくり上げるために、諸外国の動向も踏まえながら、関係府省や公的シンクタンクなどの協力を得つつ、必要な体制の強化を図ってまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございます。

 次に、特定国立研究開発法人についてお伺いいたします。

 現在、政府では、国立研究開発法人の中で世界トップレベルの研究水準を誇る法人を特定国立研究開発法人、特定研発法人に認定する法案が検討されています。

 政府は、特定研発法人の国家戦略に基づく研究開発の推進に向けて、CSTIの関与を強化すると聞いています。例えば、各機関の研究開発の基本方針について、CSTIの意見を聞くことや閣議決定を義務づける、成果が見込まれない場合、文部科学大臣など所管大臣が理事長の解任権を持つという制度をつくるなどです。

 そこで質問です。

 世界最高水準の研究開発成果の創出に向けて、CSTIが特定研発法人に関与していくという仕組みは十分に機能するのでしょうか。むしろ、特定研発法人に自由に研究できる環境を整えた方がよいのではないかと思いますが、現在の政府の検討状況をお聞かせください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 特定国立研究開発法人が科学技術・イノベーションの基盤となる世界最高水準の研究開発等を実施して成果を創出していくためには、分野やセクターを超えた取り組みが不可欠でございます。

 このため、それぞれの法人の特徴や強みは最大限に尊重しながら、総合科学技術・イノベーション会議が、我が国全体の見地から府省横断的に方針を示していくということが重要ではないかと考えております。

 この方針のもとに、特定国立研究開発法人の活動が科学技術基本計画や日本再興戦略などの国家戦略との連動性をより高めて、オール・ジャパンで人材、知、資金の好循環を生み出すシステムを構築して、我が国全体の成長、競争力を向上させていくべく、現在法案の国会提出に向けた準備を進めているところでございます。

尾身分科員 ありがとうございます。

 次に、長期的視野に立った基礎研究支援についてお伺いいたします。

 昨年、大村智先生がノーベル医学・生理学賞、梶田隆章先生がノーベル物理学賞を受賞されました。今世紀の我が国のノーベル賞受賞者数は米国に次いで世界第二位となるなど、日本国民として大変喜ばしいことだと思っております。

 他方で、こうしたノーベル賞受賞者の受賞理由となった研究成果は、二十年、三十年前の先行投資が実ったものであり、科学技術予算が停滞し、若手のポストが不足しているなどの我が国の科学技術を取り巻く現状を鑑みると、将来に不安を抱かざるを得ません。

 質の高い研究論文の数も、ここ十年間で、中国は八位から二位に躍進する一方、我が国は四位から八位に転落し、逆転を許しています。このままでは、インドやASEAN諸国にも抜かれてしまう危惧さえあります。今先行投資をしないと、将来のノーベル賞は生まれません。

 国は短期的な成果だけを追い求めるだけではなく、長期的な視野に立ち、基礎研究や学術研究に対する支援を強化していくべきではないでしょうか。それが未来のイノベーションにつながり、ノーベル賞の種ともなり得ます。科研費の伸び悩みなども指摘されていますが、この点はぜひ大臣の御見解をお聞かせください。

馳国務大臣 基礎研究や学術研究は、イノベーションの源泉となる多様で卓越した知を創出する基盤として極めて重要なものと認識をしております。

 このため、文部科学省においては、研究者の独創的な発想に基づく学術研究を幅広く支援する科研費、出口を見据えた基礎研究を進める戦略的創造研究推進事業等により、学術研究と基礎研究の推進を図っております。

 御指摘の科研費については、厳しい財政事情のもとでありますが、我が国の学術研究の推進に果たしている極めて大きな役割を踏まえ、審査システムの見直しを初めとする改革強化を図りつつ、予算額の確保に最善を尽くしております。

 今後とも、これらを通じた基礎研究と学術研究の推進により、多様で卓越した知の基盤の強化に努めてまいりたいと存じます。

尾身分科員 ありがとうございます。

 これからも基礎研究の支援をぜひともお願いし、私たちの子供たちの時代、孫の時代にも、ノーベル賞受賞者が日本から続々と出ることを期待しております。

 梶田隆章先生を初め、多くのノーベル賞受賞者の方たちがおっしゃっておられるように、若手や女性の研究者に対して安定的なポスト、正規雇用を与えて、安心して自由に研究活動ができるような環境を整えることが大変重要だというふうに考えております。

 若手人材や女性研究者の育成に関する政府の取り組みをお知らせください。

馳国務大臣 多様な人材の育成、確保は重要であります。

 御指摘のとおり、近年、若手研究者が挑戦できる安定的なポストが減少しており、自立的に研究を行う環境も十分に整備されていないと指摘されております。また、女性研究者の割合は、増加傾向にはあるものの、諸外国と比較すると依然として低い状況にございます。

 このため、創造性豊かな若手研究者の育成、確保に向けては、平成二十八年度に新たに卓越研究員制度を創設することとしております。これにより、すぐれた若手研究者が、産学官の研究機関において、安定かつ自立した研究環境のもとで挑戦的な研究を推進できるよう支援を行うこととしております。

 また、女性研究者の活躍促進に向けては、研究と出産、育児、介護等との両立や女性研究者の研究力向上の取り組みを行う大学等を支援しております。

 文部科学省としては、これらの取り組みを通じて、若手や女性を初めとする科学技術イノベーションを担う多様な人材のさらなる活躍促進を図ってまいりたいと思います。

尾身分科員 ありがとうございます。

 次の質問です。

 国立大学の国際競争力やイノベーション創出力を大幅に高めるため、数校の国立大学を選定、支援する指定国立大学制度を導入するという検討が進められています。指定された場合、規制緩和、柔軟な給与設定、子会社設立などの優遇措置を受けられると伺っています。

 今後もこのような取り組みを通じて、国立大学の国際競争力を強化していくべきだと考えておりますが、政府のお考えをお聞かせください。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年六月に閣議決定をされました日本再興戦略におきまして、高い経営力と自由度を有し、国の内外のさまざまなリソースを呼び込むことによりグローバル競争力を高める、こういう国立大学を形成する方向性が示されました。

 このことを受けまして、その詳細な制度設計について、有識者会議を開催して検討を行ってきたところでございます。

 本年一月の有識者会議の取りまとめでは、この指定国立大学法人につきまして、優秀な人材を引きつけ、さらなる研究力の強化を図り、その成果が社会に創出されることで社会から適切な評価、支援を得る、こうした好循環を実現させることが期待をされているところでございます。

 あわせて、国に対しましては、指定国立大学法人による取り組みを後押しするため、出資対象事業の拡大、寄附金等の運用対象範囲の拡大、不動産の効率的活用等の規制緩和を行うことが提案をされているところでございます。

 文部科学省といたしましては、有識者会議の取りまとめを踏まえまして、これらの規制緩和も含めた必要な制度改正等を速やかに行いまして、高い国際競争力を有する研究・人材育成拠点となる国立大学の形成を図ってまいりたいと考えております。

尾身分科員 ありがとうございました。

 続いて、産学官連携の強化についてお伺いいたします。

 科学技術に基づくすぐれた研究成果を社会変革をもたらすようなイノベーションに結びつけていくためには、大学や国の研究機関、企業などとの連携を一層促進していくことが不可欠です。一方で、産学官連携の現状を見ると、大学と企業との共同研究の金額は少額にとどまり、また、企業と大学の間の人材交流もほとんど進んでいないなど、課題がたくさんあります。

 大学や国立研究開発法人における基礎研究等に対して企業が研究費をより多く支出することを促進するなど、本格的な産学官連携の推進に向けた取り組みを強化しなければいけないと考えています。

 欧米に比べて民間企業の大学への投資が余りに少ない現状を打破するための政策を何かお考えでしょうか。政府のお考えをお聞かせください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 大きな社会変革をもたらすようなイノベーション創出のためには、将来の産業構造の変化において想定されますさまざまな課題に対しまして、産業界と大学が一層密に連携していく必要があるというふうに考えてございます。

 文部科学省では、従来からの産学のいわゆる分担型の共同研究をさらに深化させ、産学が一つ屋根の下で研究開発を行うようなセンター・オブ・イノベーション・プログラム、こういったプログラムを推進するなど、産学官連携は着実に深化、進展しているものと認識してございます。

 しかしながら、議員御指摘のとおり、我が国では、欧米に比べまして企業からの大学や研究機関への投資は小規模なものにとどまってございます。例えば、共同研究に伴う研究費は平均で約二百万円であり、また、百万円以下の少額が半数を占めるという現状にございます。

 このため、文部科学省におきましては、大学等における基礎研究に対しまして企業からの積極的な投資を促進し、その中で人材育成も行っていただくような新しい産学共同研究事業を二十八年度政府予算案に計上しているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、民間企業からの大学等に対する資金、人材の呼び込みの本格的な産学連携に向けて、さらに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

尾身分科員 どうもありがとうございます。

 民間の力をしっかりと大学との協同連携という形で行っていくことによって、産学官連携をより推進していただければというふうに考えております。

 次の質問です。科学技術による地方創生についてお伺いいたします。

 私の地元の群馬県では、父、尾身幸次が、群馬産学官金連携推進会議を創設し、毎年夏に丸一日かけて、群馬の大学や地元の中小企業、金融機関などを一堂に集めて連携を考える機会を設け、大学等が持つすぐれた研究成果の事業化や産業化を促進する取り組みを行っております。この会議は、ことしで第十二回を迎えます。

 このような取り組みもあって、群馬では、ウエアラブル端末や半導体分野などで世界を相手に戦う企業がふえてきています。機械、電気、化学、サービス、農業などさまざまな分野で、多くの地場産業が新たなビジネス機会を模索しています。

 群馬県の例のように、大学などが持つすぐれた技術シーズを全国の中小企業などのニーズに結びつけ、地域発のイノベーションを起こしていく支援を強化すべきだと考えています。

 一方、産学官のマッチングがうまくいっていないと言われていますが、実態として、国を挙げてのマッチング制度の整備が急務だというふうに考えています。シーズとニーズのマッチング、これがミスマッチであることが、地域におけるイノベーションが起きていないことの一因になっていると私は考えております。

 政府が促進する地方創生、一億総活躍社会の達成にも大きく貢献すると思いますが、このような取り組みにつきましての大臣の見解をお聞かせください。

馳国務大臣 群馬県で毎年開催されております群馬産学官金連携推進会議は、大学と地域企業とのマッチングの場として大変よい取り組みであると伺っております。

 また、先日、石川県で開催されました地域しごと創生会議に出席した際、北陸先端科学技術大学院大学が中心となって、全国の大学の技術と北陸地域の企業とのマッチングのイベントを開催し、地域全体の活性化に取り組んでいるお話を伺い、大変感銘を受けました。

 文科省としても、地域発のイノベーションを実現していくためには、こうした群馬県や石川県の事例のように、地域の産学官金のさまざまなプレーヤーが連携する仕組みを構築することが重要と認識しております。

 このため、文科省は、今年度より、目きき人材を地域に派遣し、地元企業の技術的課題を全国の大学等の技術によって解決する取り組みを開始しました。また、来年度より新たに、イノベーションの創出に向けて、地域の大学を核に産学官金が連携して、新産業、新事業の創出までつなげていく取り組みを支援する予定であります。

 これらの取り組みを通じて、地域創生及び一億総活躍社会の達成に貢献してまいりたいと思います。

尾身分科員 今大臣がおっしゃいましたとおり、各地においてこのような取り組みが行われていると認識しておりますけれども、まだまだ実態としては、シーズとニーズのマッチングがうまくいっていないというふうに思います。来年からのさまざまな取り組みを通じまして、本当の意味でマッチングを行い、地域創生そして地域のイノベーションがより多く発展することを心より期待しております。また、このような成功事例の水平展開ということもぜひとも御検討いただければと、改めて要望させていただきます。

 次に、沖縄科学技術大学院大学についてお伺いいたします。

 二〇一一年に創立された沖縄科学技術大学院大学、OISTは、世界じゅうから一流の研究者を招聘し、すぐれた研究環境のもとで、世界トップクラスの研究を行っている大学院大学です。設立わずか四年余りのまだ若い大学であるにもかかわらず、OISTは、二〇一五年夏に行われた著名な専門家から成る国際的な外部評価委員会報告で、アウトスタンディング、傑出した成果を上げており、今後とも成長が維持されれば世界最高水準の大学となるだろうと評価されました。その報告の中では、世界最高水準を目指した継続的な発展のためには日本政府による支援が必須であるとも述べられています。第五期基本計画にも、OISTのさらなる発展を支援することが言及されており、政府として積極的に支援をしていくべき大学院大学であると私は考えております。

 一方で、近年、他の大学と一律の予算縮減の圧力を受けていることを私は非常に懸念しています。OISTは、教員の数を、二〇一四年の五十名から、十年後の二〇二三年には百名にふやすことを計画しています。OISTの予算が、沖縄県と政府の関係に影響されるようなことは絶対にあってはなりません。国として、OIST関連予算を確保する、優秀な研究者の数を着実に伸ばしていくなど、確固たる方針でOISTのさらなる発展を後押ししていただきたいと思っております。

 このように、国際的にも非常に高く評価され、これからますます発展することが期待されているOISTに対しまして、政府が確実かつ手厚い予算措置をしていくべきと考えます。また、他の大学と同様に、運営費交付金を削減したり、外部研究資金獲得の目標を課すような運用は見直していただきたいと考えております。

 これらの点について、政府の見解をお聞かせください。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 沖縄科学技術大学院大学、OISTにつきましては、沖縄の振興と世界の科学技術の発展への寄与を目的に設立されました。現在、開学四年目に入った段階ですが、御指摘のありましたように、昨年夏に国際的な外部評価レビューが実施されまして、その中において、主要な基準において高い評価が得られております。

 このような設置の趣旨に照らしまして、OISTは、沖縄振興政策の重要な柱の一つとして、内閣府において財政支援を行うこととしており、その設立目的を実現するためには、国が責任を持って長期的な観点から財政支援を行うことが不可欠であると、内閣府として考えております。

 その一方で、沖縄科学技術大学院大学学園法の附則において、法施行後十年を目途として、学園に対する国の財政支援のあり方等について検討を加えるということが記載されております。現状においては、OISTの運営費のほとんどを政府からの補助金が占めているという状況でございますけれども、OISTが将来の自立的な財政基盤を構築していくためには、外部資金獲得の努力を重ねる必要があります。昨年の外部評価においても、競争的外部資金獲得に向けた努力の必要性が指摘されているところです。

 このような外部資金の獲得に向けたOISTの努力とあわせて、内閣府としましては、沖縄振興のための重要な施策の一つであるOISTについて、今後とも必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

尾身分科員 どうもありがとうございました。

 冒頭申し上げましたように、来年度からいよいよ科学技術基本計画第五期がスタートいたします。ソサエティー五・〇、本当に楽しみにしています。また、長期的な基礎研究支援などの御答弁も大変心強いものを頂戴いたしました。これからも日本の未来が、ノーベル賞の受賞などの明るいニュースで輝くことを期待したいと思います。

 若手や女性研究者に対します施策など、それから、司令塔機能としてのCSTIの強化など、また、特定国立研究開発法人の設立などに向けて、さまざまな施策を通じまして、日本がもっともっと科学技術イノベーションのしっかりと地に足のついた施策を取り込んでいただけることを心より期待しております。

 資源に乏しい我が国が、国際社会の中で重要な役割を果たし、将来的にも発展や繁栄を続けていくためには、科学技術の力、イノベーションの力、そして人材の力が最も重要です。科学技術イノベーションの推進こそが、我が国の国力の源泉であり、未来への希望であると思います。

 政府におかれましては、さまざまな施策を通して、科学技術イノベーション立国実現のため、科学技術イノベーション政策を国家戦略として明確に位置づけてくださることを、改めて強く要望いたします。

 こうした政策の推進において、特に重要な役割を担う文部科学省では、馳文部科学大臣のリーダーシップのもと、より一層強力に、幅広い科学技術イノベーションの取り組みを展開していただくことを大いに期待申し上げております。

 本日は、さまざまな力強いお言葉、本当にありがとうございました。私も引き続き、科学技術イノベーション立国創出を期待しつつ、頑張ってまいりたいというふうに思います。御答弁いただきました皆様方に心より感謝申し上げまして、そして、明るい日本の科学技術イノベーションの未来を信じて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

石原主査 これにて尾身朝子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時五十八分散会


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