衆議院

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第2号 平成30年2月26日(月曜日)

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平成三十年二月二十六日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 竹内  譲君

      今村 雅弘君    加藤 鮎子君

      竹本 直一君    細田 健一君

      盛山 正仁君    落合 貴之君

      稲富 修二君    白石 洋一君

   兼務 伊藤 俊輔君 兼務 広田  一君

   兼務 福田 昭夫君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   復興副大臣        土井  亨君

   国土交通副大臣      牧野たかお君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    渡邊  毅君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         田村  計君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         伊藤  治君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     加藤 鮎子君

  竹本 直一君     細田 健一君

  落合 貴之君     末松 義規君

  稲富 修二君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     今村 雅弘君

  細田 健一君     竹本 直一君

  末松 義規君     落合 貴之君

  浅野  哲君     白石 洋一君

同日

 辞任         補欠選任

  白石 洋一君     稲富 修二君

同日

 第二分科員広田一君、福田昭夫君及び第六分科員伊藤俊輔君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

竹内主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤鮎子君。

加藤(鮎)分科員 おはようございます。

 山形三区選出の、自由民主党の加藤鮎子でございます。

 お聞き苦しい声で大変恐縮ですが、マイクのボリュームを上げていただきながら、この声で続けさせていただきます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。国土交通分野を扱うこの第八分科会、インフラ整備、豪雪対策、港湾振興などにつき、地域の方々の気持ちに思いをはせながらしっかりと質問してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 この冬、十二月中旬から日本海側を襲った強い冬型の気圧配置と寒波の影響によりまして、私の地元、山形県大蔵村肘折では、二月十三日に、統計開始以降最も多い四メートル四十五センチの積雪深を記録をいたしました。

 このような中、高齢者の雪おろし中の転落事故などの人的被害は百四十五人に上るほか、山形県内各地で、空き家の倒壊など住家被害、農作物被害、国土交通機関の運休、欠航など、県民の生活に大きな影響が出ています。

 山形県の県及び市町村の除雪費は、一月末現在、既に百十億円を超えております。ほとんどの市町村でも予算が不足をし、補正予算により対応せざるを得ない状況にもあります。

 二月十六日に石井大臣より、臨時特例措置の検討に必要な降雪状況や除雪費の執行状況等を把握する調査を始めるとの発表がありましたが、現在の調査の状況と今後の見通しはいかがでしょうか。お願いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体が管理いたします道路の除雪費につきましては、積雪寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づきまして、年度当初に社会資本整備総合交付金を配分し、支援を行っているところでございます。

 また、各地域の降雪状況に応じ、三月には、この交付金とは別に、道府県、政令市を対象に、除雪費を補助金として配分をしております。

 さらに、全国的に積雪が著しい場合には、市町村に対し、臨時特例措置として、除雪費の補助金を追加で配分してきたところでございます。

 今年度の臨時特例措置につきましては、委員御指摘のように、二月十六日から支援の検討に必要な降雪状況や除雪費の執行状況等を把握する調査を開始したところでございます。その結果を踏まえまして、速やかに対応してまいります。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 雪国の皆さんは、日ごろから雪にはなれている地域ももちろんありますが、ですが、日ごろなれているから大丈夫ということではなくて、日ごろから大変な思いをして雪の克服に向き合っているということを、ぜひとも全国の皆様方に改めて知っていただけたらありがたいな、このように思っております。

 質問の二番目に移らせていただきます。

 ことしの冬は、雪の量に加え、大変厳しい寒さも続いております。平年よりも気温が低い日が続き、鶴岡市などでは過去最低気温を観測する地域も発生しています。

 現在、積雪のため一部分しか見えていませんけれども、記録的な低温に伴う道路の舗装面のひび割れなども目立ちます。今後、雪が解けてくる融雪期を迎えるに当たりまして、地面の隆起による道路舗装のひび割れ、それから沈下などで亀甲状のひび割れなど、凍上現象による災害が心配されています。

 現在、凍結指数などの集計中だとは思いますけれども、凍上災の採択の見通しはいかがでしょうか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 凍上災は、委員御存じのとおり、冬季の低温によりまして地面が凍結し隆起すること等によって、道路舗装のひび割れが路盤まで及び、道路に被害が発生する災害でございます。

 凍上災は、地方公共団体による被災状況の調査結果をもとに、発生している道路舗装のひび割れ等が十年に一度程度を超える異常な低温による被災と認められた場合は、関係機関と協議の上、災害復旧事業の対象としてきたところでございます。近年では、山形県内におきまして平成二十三年、二十四年に採択事例があり、本年においても、地方公共団体に対し、事業内容について周知をしたところです。

 今後、雪解けの状況を見ながら、地方公共団体が行う調査の結果とあわせて、関係機関と協議の上、災害復旧の対象となるか検討して、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございました。

 次に、質問三に移らせていただきます。

 私が毎週利用させていただいている庄内空港も、この冬は大変な大雪によりトラブルが続出をしております。欠航が続いたり、また、視界不良のために着陸ができず、羽田空港まで二度三度と旋回した後に引き返すということもしばしばございます。

 原因は、猛烈な勢いで降る大雪で除雪が間に合わないことですとか、あるいは、日本海側から吹きつけてくる強い風で雪が巻き上げられて、いわゆるホワイトアウトといいますけれども、視界が真っ白に遮られてしまうなど、さまざまございますけれども、山形県の庄内地方は、整備新幹線も通っておらず、またミッシングリンクも多く残しているため、飛行機が欠航するとたちまち陸の孤島と化してしまいます。

 雪や吹雪に悩まされるのは庄内空港だけではありませんけれども、国土交通省として、雪に強い空港をつくるためにどのような機能強化をお考えでいらっしゃいますでしょうか。お願いいたします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度、庄内空港におきまして、例年よりも特に大雪や強風による欠航が多く生じている状況であるということは承知いたしております。

 こうした欠航を解消するために、まずは地元におきまして、その原因、今先生も御指摘になりましたように、風によるものなのか、路面による状況によるものか、それに対する対応はどうなっているかといった状況をしっかり把握した上で、例えば気象監視体制の充実でありますとか除雪体制のさらなる強化といった、必要な対策を講じていくことが重要であると考えております。

 国土交通省といたしましても、こうした地元での体制の対応についての検討に際しまして、技術的に関する助言等をしっかり行い、御支援申し上げていきたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 地元の方でも、県の方としっかり連携をとりながら、オーバーランなどもいろいろと心配されておりますので、地域としても、港の整備、メンテナンスにしっかりと努めながら、利用客の皆さんにとって使いやすい空港であることを求めていきたいと思っております。

 質問四に移ります。

 次に、東北地方の公共事業の予算についてお伺いをいたします。

 平成二十九年度東北地方整備局の予算のうち、復興会計は約四七%となっております。平成三十二年までの復興期間内、復興庁がなくなってしまう平成三十二年までにしっかりと被災地の復興をやり遂げるとの意気込みで、国交省と復興庁とでインフラ整備の完成に向けて取り組んでいらっしゃると思われます。

 復興関連のインフラ整備事業の復興期間内での完了に向けた復興庁の御決意と、また復興期間後の復興政策のあり方についてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。土井復興副大臣にお伺いをいたします。

土井副大臣 先生にも大変御心配をいただいておりまして、改めて感謝を申し上げたいと存じます。

 地震、津波被災地域では、生活インフラの復旧がほぼ終了いたしておりまして、住まいの再建も今春までには九割が完成する見通しであるなど、復興は着実に進展をしていると認識をいたしております。復興庁といたしましても、地震、津波被災地域については、復興・創生期間内でのインフラ整備の完了を目指しまして、引き続き全力で、関係府省との連携をいたしながら取り組んでまいる決意でもございます。

 また一方で、福島の原子力災害被災地域の復興再生には中長期的な対応が必要であると考えており、国が前面に立って取り組むことが必要であります。復興・創生期間以降の取組につきましては、このような観点から、復興施策の進捗状況等も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。ぜひとも、その意気込みの中で、復興期間中の復興の事業の完了の方に向けて邁進を、お取組をいただきますようにお願いをいたします。

 一般会計では、震災前の平成二十二年度の五千八百三十億円から、平成二十九年度の五千三十九億円と、約八百億円が東北地方の方では減っております。そんな中、平成三十二年度の復興事業終了後に東北地方整備局の公共事業予算の方が震災前よりも減ってしまうのではないかということで、地元を含め、被災地では危惧をしております。山形県を含めた東北地方におきましては、まだまだ道路整備の必要性はたくさんございまして、予算の確保が重要と考えておりますので、今後とも引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 五つ目の質問に移らせていただきます。

 昨年十一月に東北中央自動車道の福島―米沢間が開通したことによりまして、山形県の高速道路の供用率は六六%となりましたが、東北八五%、また全国八四%と比べますとまだ低く、東北中央道の未事業化区間の早期事業化が求められております。事業中の区間の整備が着実に進んでいることは十分認識をさせていただいておりますけれども、一方で、東北中央道で、金山間のみが唯一の未事業化区間であります。ここ山形県による事業用地の先行取得によりまして、泉田道路の事業推進環境が整いつつあることから、東北中央自動車道最後の未事業化区間であるこの金山町区間につきましても、昨年も質問いたしましたけれども、そのときには重金属の調査中との回答をいただきましたが、今現在の状況や今後の見通しはいかがでしょうか。石井大臣にお伺いをいたします。

石井国務大臣 東北中央自動車道は、福島県、山形県、秋田県における広域的な連携強化とともに、積雪期の交通機能の改善や災害時のリダンダンシーの観点から重要な路線であると認識をしております。

 御指摘の秋田、山形県境付近の未事業化区間であります金山町区間につきましては、冬期速度の低下など現道の課題を踏まえ、平成二十七年の一月におおむねのルートを決定したところでございます。

 路線周辺の地質におきまして重金属が確認をされていたことから、事業実施に向けまして重金属に関する調査を実施しており、昨年末までの調査結果をもとにいたしまして、重金属の処理対策についてめどが立ちつつあるところであります。

 このような状況を踏まえまして、当該区間の事業化につきましても、できるだけ早く結論を出してまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 調査をされている中で、重金属の処理の対策のめどが整いつつあるということで、以前よりもかなり前に進んでいる状況を御回答いただきまして、地元の皆さんも喜ぶのではないかと思っております。引き続きお取組を御期待申し上げたい、このように思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。ありがとうございます。

 質問の六に移らせていただきます。

 縦軸の道路整備が着実に進んでいる中、あわせて横軸の整備も重要と考えております。地域高規格道路新庄酒田道路は、候補路線となっております石巻新庄道路とあわせて、東北中央部における日本海、太平洋地域を最短距離で結ぶウエストラインと呼ばれて、広域的な地域連携の強化や産業の振興などを担う非常に重要な路線でございます。

 来月、新庄酒田道路の中の余目酒田道路の部分が全線開通予定となっておりますが、関係の皆様方の御尽力に敬意を表して、謹んで感謝を申し上げたいと思います。

 これまでの部分開通や開通見通しの公表を受けて、新庄中核工業団地では立地企業数が増加をしておりますし、酒田港ではコンテナ貨物船が増加をしたり、また、外航クルーズ船の方の寄港増加などの効果があらわれてきております。地元の期待も大変大きくなっております。

 一方で、国道四十七号は、線形不良や幅員狭小、つまり、くねくねと狭く曲がっていたり、幅が狭くなっていて、大変通りづらい道路になっています。走行速度が低下して渋滞が起きたり、事前通行規制や冬期の雪害による通行どめなどが多く発生をしておりまして、特に平成二十五年七月の豪雨の際には、国道百十二号線と同時に通行不能となり、内陸と庄内地域が完全に分断されるなど、多くの課題が顕在化をしております。

 余目酒田道路の全線開通の効果を更に発揮するためには、その先の区間であります戸沢―立川間の早期事業化に向けた計画段階評価を実施いただくことが必要と考えますが、戸沢―立川間の事業化の方の見通しはいかがでしょうか。お願いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道四十七号新庄酒田道路、約五十キロございますが、この道路は、山形県内陸部と重要港湾酒田港を有する沿岸部を結び、山形県の産業、経済を支える重要な道路であると認識をしております。

 例えば、酒田港背後地におきましては、山形県内陸部からのリサイクル貨物輸送を担う関連企業の立地が増加傾向であることなどから、当該路線の重要性が増しているところでございます。

 新庄酒田道路のうち、余目酒田道路十二・七キロメートルにつきましては、現在五・九キロメートルが開通済みであり、委員御指摘のとおり、来月十八日には残る六・八キロメートルが開通し、全線開通する予定でございます。その他の事業中の区間につきましても、早期整備に向け、全力で取り組んでまいります。

 委員御指摘の余目酒田道路の先の区間でございます戸沢―立川間、約五キロございますが、これにつきましては、冬期の路面状況悪化等による速度低下や急カーブの箇所が存在し、交通課題があることは認識をしておるところでございます。

 このため、事業中の整備進捗状況や周辺の道路ネットワークの課題などを踏まえながら、必要な調査を進めてまいります。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。早期事業化に向けて、ぜひともよろしくお願いをいたします。

 次に、酒田港についての質問に移らせていただきます。

 近年、日本各地へのクルーズ船の寄港回数が増加を続けております。昨年も、クルーズ船の寄港回数は大幅に増加をしまして、酒田港におきましても、初めて外国籍のクルーズ船コスタ・ネオロマンチカが寄港するというよいニュースがありました。ことしは、コスタ・ネオロマンチカに加えまして、さらに、ダイヤモンド・プリンセスという更に大きな船も初寄港を予定をしております。

 ダイヤモンド・プリンセスは、日本を発着するクルーズ船ですが、日本人のお客様だけではなくて、外国人の乗客も多いと聞いておりまして、地元では官民の各団体が、どんなおもてなしをしようかということで、心待ちにしながら準備を進めております。

 クルーズ船の寄港回数の増加に伴いまして、訪日クルーズ旅客数も増加をしておりますけれども、政府が掲げる、訪日クルーズ旅客を二〇二〇年に五百万人という目標を実現するためには、残り三年で現在の二百五十三万人から約二倍の旅客を受け入れることが必要となってまいります。非常に高い目標になっていると思いますが、この目標の実現に向けて、国土交通省としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 近年、我が国の港湾へのクルーズ需要は急増しており、平成二十九年は、訪日クルーズ旅客数は前年比二七%増の二百五十三万人、また、クルーズ船の寄港回数は前年比三七%増の二千七百六十五回となり、いずれも過去最高を記録したところであります。

 政府が目標に掲げる、訪日クルーズ旅客を二〇二〇年に五百万人という目標に向けましては、この二倍のクルーズ旅客を受け入れる必要があり、平成三十年度以降もクルーズ船の受入れ環境の整備を加速してまいります。

 具体的には、昨年港湾法を改正し創設いたしましたクルーズ船社によるターミナルビル等への投資と岸壁の優先利用を柱とする新たな制度を活用し、国際クルーズ拠点の形成を推進してまいります。

 また、地方公共団体等が実施をいたしますクルーズ旅客の利便性や安全性の向上を図る事業に対しまして国が補助する制度として、今年度、国際クルーズ旅客受入機能高度化事業を創設したところであります。今年度は、酒田港におけるクルーズ旅客の待合施設整備を始め、全国二十五港三十三地区における事業を支援しており、平成三十年度も引き続きこうした取組を支援してまいります。

 このほか、クルーズ船の誘致を希望する地方公共団体とクルーズ船社との商談会の開催や、クルーズ旅客へのおもてなし活動に取り組む民間団体等とクルーズ船社との意見交換の場をセットさせていただくなど、ソフト面の取組も進めてまいります。

 国土交通省といたしましては、こうした取組により、訪日クルーズ旅客五百万人時代に向けて、クルーズ船の受入れ環境の整備を積極的に推進してまいります。

加藤(鮎)分科員 御丁寧な御答弁をいただきまして、まことにありがとうございます。

 地元の地域も、クルーズ船のお客様の増加に伴って、おもてなしですとか、また魅力的な観光スポットの開発あるいは育成なども含めて、地域でしっかりと受入れ体制を整えていきながら、地域の活力へとつないでいきたい、このように思います。

 全国津々浦々に外国の方も含めたいろいろなお客様がいらっしゃることで、日本の魅力をお客様だけでなく世界にまで発信して、地方が生き生きとした、地方から元気な日本がつくられていくことを祈念をいたしながら、また、その一助となれるように頑張っていくことを私自身もお誓いをしながら、私からの質問を終わらせていただきます。

 御答弁いただきまして、まことにありがとうございました。

竹内主査 これにて加藤鮎子君の質疑は終了いたしました。

 次に、細田健一君。

細田(健)分科員 おはようございます。新潟二区の細田健一でございます。

 お時間をいただきましたことに、改めて心から御礼を申し上げます。また、主査の竹内先生を始め、本当に先生方、長丁場、お疲れさまでございます。きょうで分科会の質問、最終日と伺っておりますけれども、本当にお疲れさまでございました。

 本日は、地元の関心の高い、私の新潟二区内の国の直轄事業について質問をさせていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いをいたします。

 最初に、私の選挙区である新潟二区を紹介をさせていただきたいと思いますけれども、北から、佐渡島、これは日本最大の離島でございますが、佐渡島全域、それから、新潟市の南西部にある西蒲区、昔、西蒲原郡という場所でございましたけれども、東京から新潟の方に行きますと、長岡を抜けて、ずっと広い、いわゆる穀倉地帯といいますか、水田が広がっている場所がございます。そこの、新幹線の線路からほぼ西側の全域が私の選挙区でございまして、日本有数の穀倉地帯でございます。

 これは、昔は低湿地地帯、新潟という地名そのものが潟という名前がついているんですけれども、もともとは低湿地地帯でございまして、これをずっと長年にわたって干拓をして水田に変えていったという長い歴史がございます。

 また一方で、それは水との闘い、治水事業の歴史でもございまして、本州最大の人工河川が選挙区の中にございます。これについてはまた後で触れさせていただきたいと思っております。

 さらにそれに加えて、今は長岡市になっておりますが、旧三島郡という、里山と水田と農村が広がっている地域というのがございます。これは本当に日本の原風景が広がっている場所でございまして、例えば、昔、良寛和尚が庵を建てて住んでいたというようなところもございます。

 あるいは、長岡市の南部になりますけれども、越路、小国といった豪雪地帯、これも日本有数の豪雪地帯が含まれておりまして、これは昔、それこそ若き日の田中角栄先生が住民のために本当に走り回ったような場所であります。

 一番南に柏崎刈羽地区がございます。これは世界最大の原子力発電所がある場所でございまして、ここは、インフラについては、特に、原子力発電所の避難道路という観点からもそのニーズが非常に高い場所でございます。

 このような選挙区でございますけれども、今回は、地元の要望が強い直轄事業を中心に、地元の経済活性化の観点からも質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 なお、大臣、私、最後に大臣に一問だけ御質問させていただきますので、四十五分以降に質問に入りますけれども、それまでは本当にぜひ時間を有効にお使いいただければというふうに思っております。

 それでは最初に、まず国道一一六のバイパス、これは燕吉田バイパスについて質問をさせていただきたいと思います。

 これも、国交省の事務方の方はよく御存じだと思いますが、非常に長い長い経緯がございます。これは十年ほど前でしょうか、いわゆる都市計画決定を行うという方向で住民説明会をやるという直前になってそれが取り消されて、何といいますか、それ以降、動きがとまってしまったというような経緯がある事業でございます。

 これは、前の知事と国土交通省の見解、その道路整備に当たっての費用負担でありますとか、あるいは、その事業が完成した後のメンテナンスの役割分担に対するさまざまな考え方の違いから事業の進捗が実質的にとまったというふうに理解をしておりますけれども、昨年からいろいろな政治的な状況の変化というのがございまして、昨年から三者協議、これは、国、県、それから地元の燕市の三者で協議というのが開始をされました。

 これについては、本当に国土交通省の方から非常に積極的また前向きな御対応をいただいておりまして、改めて、国土交通省の皆様方に感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 まず、この三者協議のこれまでの動きと、また、今後の見通しについて御答弁いただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 燕市の広域交通を担う国道百十六号につきましては、市街地を通過するため、日中を通じて速度低下による渋滞や交通事故が発生するなど課題がある等を認識をしております。

 国道百十六号吉田バイパスにつきましては、平成十九年から二十年にかけまして、国土交通省北陸地方整備局が地元説明会等を開催し、都市計画決定等に向けた調査、手続を進めていたところでございます。

 しかしながら、国と地方の役割分担の見直しの議論によりまして、平成二十年十一月に、新潟県からの申出によりまして、国道百十六号については、新潟県に移管する方向で今後更に調整する路線として整理をされました。

 そのため、手続が進行中でございましたバイパス計画につきましては、その取扱いも含め、具体的な移管の方法や時期等に関する調整が必要である旨を、国、新潟県双方にて確認した上で手続の中断をしたところでございます。

 その後、当該バイパス計画の取扱いにつきましては、平成二十五年十二月に閣議決定されました事務・権限の移譲等に関する見直し方針に沿いまして新潟県と個別に協議を行い、平成二十七年三月に新潟県より、当面の間、移譲は求めず、その取扱いについては、バイパス等の整備後に議論するとの意向が示されました。

 これを受けまして、国道百十六号吉田バイパスの都市計画手続の再開に向けまして、平成二十八年二月より昨年の十二月までに、国、新潟県と燕市の実務者による打合せをこれまでに六回実施し、車線数や構造について一定の合意を得たところでございます。

 今後は、透明性、客観性の確保の観点から、事業の必要性や効果等の再確認及び概略ルートや構造の決定を行うため、有識者委員会で確認を行った上で、都市計画手続を再開できるよう、新潟県や燕市とも連携をして準備を進めてまいります。

細田(健)分科員 ありがとうございました。経緯を含めて非常に詳細な御答弁をいただきましてありがとうございました。

 今お話があったとおりでございまして、主として新潟県からの申出によって事業の進捗が結果としてもおくれてしまったということになるわけでございまして、一義的には当時の新潟県の判断というのが問われるべきだと思いますけれども、他方で、新たに三者協議が始まり、また、今後有識者会議が開催されるということで、非常に前向きな機運が出てきていると思います。繰り返しになりますが、改めて、国土交通省の皆様方の御協力に深く感謝をしたいというふうに思っております。

 その上で、地元にとってある意味、何といいますか、動きがなく、十年間ずっと待たされ続けたという経緯がございまして、また、地元の一般の方からすると、さまざまな新潟県と国土交通省の間の議論というのはあるわけでございますけれども、これは一般の方にとっては余り実感のないというか関係のない話でございまして、本当に普通の方の実感からすると、できるだけ早く事業化に向けたさまざまな動きを加速させてほしいということだろうというふうに思っております。

 そこで、今多少お話がございましたけれども、この事業については、可能な限り前倒しで事業化決定を行うべきであるということだろうと思います。これは本当に地元の長年にわたる悲願でありまして、少なくとも、これは当然県の権限になりますから、国土交通省さんが主体的に決定するということではないということは重々理解をしておりますけれども、ただ、国土交通省さんの方からも県の方に働きかけをしていただいて、少なくとも来年度中にはその都市計画決定を行っていただくような方向でまた三者の調整をぜひ進めていただきたいと思っておりますけれども、これについての国土交通省のお考えをお聞かせください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 当該バイパスは、都市計画決定手続の中断から約十年もの時間が経過しておりますことから、事業の必要性や効果等の再確認も行うことが必要でございます。

 そのため、都市計画決定手続再開に向けまして、概略ルートや構造を決定するため、まずは、有識者委員会開催に向けて準備を進めているところでございます。

 今後、都市計画決定権者の立場である新潟県や沿線の燕市ともしっかりと連携をして、都市計画決定の手続の再開に向け、鋭意検討を進めてまいります。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 私も私の立場で新潟県あるいは燕市に対して働きかけを行ってまいりたいと思いますし、また、できるだけ早期に都市計画決定、さらに事業化の正式な決定が行われるように、ぜひ国土交通省の方からも御協力をいただくようにお願いをしたいと思います。改めてこの点についてお願いをしておきます。

 それでは次に、大河津分水の改修事業について質問をさせていただきたいと思っております。

 これは、いわゆる、大正時代に開通をいたしました本州最大の人工河川と言ってもいいと思いますけれども、先ほど申し上げたように、新潟県、もう長年にわたる水との闘いがございました。明治二十九年に横田切れという、当時の信濃川が決壊をした非常に大きな被害が出た洪水がございまして、この反省を踏まえて、いわゆる、長岡市域から出てくる水を直接日本海にバイパスさせて流すという人工河川をつくったわけでございます。

 これは、大臣、もしお時間があればぜひごらんになっていただきたいと思いますけれども、大正時代に本当にこれだけの難工事をしたという、当時の明治、大正の方の志を感じる人工工作物でございまして、当時の国家予算の本当に数分の一を費やして建設したというような話をどこかで聞いたことがございますけれども、本当に、そういう昔の方のいわゆる国土づくり、国づくりにかける情熱というのを感じる構築物でございます。

 これについては一昨年から本格的な改修事業というのが始まっておりまして、当面のところ、平成四十四年までにその計画を終了させるということが公表されているという認識をしております。

 ただ、一方で地元としては、これは予算のその配分の関係等々もあると思いますけれども、できるだけ早くその事業を終了させてほしいという強い要望もありまして、平成の四十四年といいますとあと十五年後でございますから、私自身も七十近くになってしまうわけなんですけれども、地元の方も、最近の特に激しい気候変動のことなんかを考えますと、予算の配分の関係があるとしても、できるだけ早く事業を終結させるように、完工させるようにぜひ配意をしてほしいという声が強いんですけれども、この点について国土交通省のお考えをぜひよろしくお願いします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生からもお話がございましたように、大河津分水路につきましては、大正十一年に初めて通水をして以降、洪水を直接日本海に流すことで、治水安全度が向上し、越後平野の発展に大きく貢献してきたものでございます。

 しかしながら、最下流に位置します大河津分水路の流下能力が不足をしておりまして、平成二十三年七月洪水で計画高水位を超過した地点が分派点より上流部に生じるなど大変危険な状態となったこと等から、分水路の抜本的な改修が必要となっております。

 このため、平成二十七年度より、分水路を拡幅いたしまして更に安全度を向上させる事業に着手しておりまして、この事業におきましては、河口左岸部を拡幅するための山地掘削、それに伴い必要となる床固めの改築、橋梁のかけかえ等を実施することとしております。

 現在、地元の方々の御協力のもと用地取得を鋭意進めておりまして、あわせて、今後の本格的な掘削工事に向けた工事用道路の整備も進めているところでございます。

 また、河口左岸側の拡幅に伴いまして必要となる野積橋のかけかえについて、昨年七月に着手したところでございます。

 今後、本格的な山地掘削など大規模な工事が始まりますが、大河津分水路の改修は信濃川流域の治水上極めて重要な事業でございまして、地元から事業推進の強い要望もあることを踏まえて、平成四十四年度完成に向けまして、事業監理を徹底しながら、しっかりと事業の進捗を図っていきたいと考えているところでございます。

細田(健)分科員 ありがとうございます。

 平成四十四年の事業完工に向けてというお話でしたけれども、できるだけきちんと予算を配賦をしていただいてというふうに考えております。

 この工事について、特に地元の業者の方から、技術的に当然難しい部分についてはそういう技術を持った事業者の方にお願いをするということになるんですけれども、総額で千二百億円という、地元にとっては非常に大きな工費が投下される事業ということで、できるだけ地元経済の活性化につながるような措置をとっていただきたいというような要望が強く出されております。

 これは、地元にできるだけお金が落ちるような、あるいは地元の業者さんができるだけ活性化するような措置ということだろうと思いますけれども、私も累次、地元の商工会等々とまた河川事務所の方にもお願いに伺っているところでございますけれども、この点についてどのような御配意をいただけるのかということをぜひお答えいただければと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 現在までに発注をいたしました大河津分水路の工事用道路や橋梁かけかえ工事につきましては、できる限り地域企業を対象とする規模での発注に努めるとともに、地域要件の適切な設定等によりまして地域企業へ配慮してきたところでございます。

 今後予定されております大河津分水路の山地部掘削等の事業実施に当たりましても、工事の内容に応じまして、地域企業へ配慮した工事発注に努めてまいりたいと考えているところでございます。

細田(健)分科員 ありがとうございました。できるだけ御配意いただくようにぜひよろしくお願いしたいと思っています。

 大臣、やや余計なことでございますけれども、今問題提起をいたしました燕吉田バイパスでありますとか、あるいは大河津分水、これは燕市の地元でございまして、燕市というのは、御党の漆原先生の御出身の場所でございます。実は、私の燕の事務所と漆原先生の事務所というのは本当に三百メートルぐらいしか離れていなくて、そういう意味では御近所づき合いをさせていただいているんですけれども、こういうこともありますので、またお時間がありましたらぜひ現場を御視察いただきたいと思いますし、また、大臣にも特段の御配意をいただければというふうに思っております。

 それでは次に、国道八号の柏崎バイパスについて質問をさせていただきたいと思っております。

 これは、地元で柏崎刈羽の原子力発電所がございまして、この避難道路としてもやはりできるだけ早く、これはもう事業化の決定がなされて工事が始まっているわけでございますけれども、これについても、原発の避難道路としてできるだけ早く完工してほしいという強い要望がございます。

 これは、現地で見ていますと、遅々として工事が進んでいないんじゃないかというような御意見が一般の住民の方からは私のところに寄せられておりまして、これは、遺跡調査に時間を要するとか、あるいは、トンネルを掘るので、トンネルを掘っているときは外形的にはそれほど大きな形の変化というのはないので、一般の方から見ると本当にその事業が進んでいるかどうかわからないというふうなことだと思いますけれども、こういう観点、特に柏崎市長さんからは、原発の再稼働について原則賛成するという声が寄せられる一方で、やはり、実効的な避難あるいは避難計画の実施ということも強く求められておりまして、この実効的な避難の実施の要件の一つが、この国道八号バイパスの早期完成ということだと考えております。

 こういう声に応えて、できるだけ早期の完工というのを目指してまた予算の配分等もお願いしたいと思いますけれども、この点についての国土交通省の御見解をよろしくお願いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道八号柏崎バイパスは、柏崎市内の国道八号の混雑緩和を目的としたバイパス事業でございます。

 一方で、この路線が、原子力災害に備えた柏崎市の広域避難計画において主な避難経路に位置づけられていることも承知をしております。

 当該バイパス全体十一キロメートルのうち、これまで三・一キロメートルが暫定二車線で開通をしており、現在、残る七・九キロメートルの区間におきまして、用地買収、埋蔵文化財調査、工事を進めているところでございます。

 また、昨年十二月には、事業推進上大きな前進となります柏崎トンネルのうちの山岳トンネル工事、延長千百二十八メートルございますが、この工事の発注をしたところでございまして、現在、掘削工事に着手すべく準備を進めているところでございます。

 引き続き、地元の御協力を得て、早期整備に努めてまいります。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 原発の避難計画に主要な避難道路として位置づけられているという御認識もありまして、また特段の御配意をぜひよろしくお願いしたいと思います。局長、前向きな答弁をいただきまして本当にありがとうございました。

 それでは、最後に大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 ことしの雪、特に福井県での事例がいろいろと報道されておりましたけれども、新潟も本当に大変な雪でございました。これは、過去、昭和三十八年のいわゆる三八豪雪、あるいは平成十八年の豪雪といったことがあったわけでございますけれども、今回の豪雪、それこそ、三〇豪雪あるいは平成三十年豪雪というような名前をつけて記録、記憶に残すべきではないかという声もあるくらいでございまして、私の地元で申し上げますと、一月の末に佐渡でかなりの降雪がございまして、全戸二万四千軒のうち一万戸前後が断水するというような被害がありました。

 これは、地元の業者さんに迅速に御対応いただき、また、自衛隊から給水車を派遣していただくというような措置もとっていただいたわけでございますが、それ以降、二月に入りまして本当に記録的な雪が降ったわけでございます。

 先ほど申し上げたような山間部は、ある意味、豪雪になれていますのでそれなりの対応というのが可能なんですが、里雪といいますか、いわゆる平地の部分、私の地元だと、燕市でありますとかあるいは柏崎市といったようなむしろ平地で、例年であればそれほど雪は降らないといったところが相当対応に追われるといったような状況がございました。

 これは、各自治体にお伺いをしますと、例年の、計上された除雪費の二倍から三倍の除雪費用を既に消化したというような状況があるようでございます。これについては、政府の方でまた、特別地方交付税等々さまざまな措置をとっていただいたというふうに理解をしております。

 今、除雪は、大臣御存じのとおり、地元の業者さんに委託をして行うということになるわけなんですけれども、ただ、地場の建設業者さんというのは本当に今弱っておりまして、これは本当にさまざまな要因がございます。

 やはり大きいのは、ここ数十年来、公共事業の予算を削減してきたということで、一つは、事業量が相当程度削減しておりますので、そもそも仕事がないということ。あるいは人手不足の問題、これは本当に日本経済の成長のボトルネックが労働力にあるということを最近非常に強く痛感させられますけれども、特に、地域の建設産業といいますと、必ずしも人気職種であるかといいますと、いろいろな問題もあるわけでございます。

 そういうことからも人が集まってこないということで人手不足が恒常化しているということで、そういう状況にあるところに、それこそ要請があれば、本当に二十四時間休みなく出ていかなきゃならないというような状況にある意味追い込まれるわけでございまして、そうしますと、本当に涙ぐましいといいますか、これは私の知人の、小さな建設業界の経営者の方のブログでありますとかそういうものを見ていますと、三日間で六時間しか寝ていないとか、二時間休んで、出動要請があったのでまたすぐ出ていくというような、本当に涙ぐましい御努力の上に地域のインフラが成り立っているということがよく理解できるわけでございます。

 本当に地元の事業者さんからは、もう十年後は請け負わない、請け負えない、このような状況が続くと、仮に自治体からやってほしいと言われても、とてもその事業を請け負い続けるということはもうできないというような、本当に悲鳴に近いような声が上がっておりまして、その地元の建設業の活性化のために、例えば公共事業入札の際に、企業評価が点数制で行われるわけでございますが、この点数評価を行う際に除雪などの社会貢献のポイントを高くするでありますとか、あるいは、特に直轄工事については、先ほど個別の事業についていろいろ質問をさせていただいたわけでございますけれども、例えば地元の企業への受注の割合、これは金額の割合を明示するといったような方策が考えられるのではないかというふうに愚考するところでございますけれども、この点についての大臣の御見解をぜひ前向きにお答えいただきたいと思います。

石井国務大臣 今委員から御紹介いただいたように、地域の建設企業は、社会資本整備の担い手であると同時に、地域経済や雇用を支え、災害対応、除雪といった地域を維持する役割を担うなど、地域の守り手として重要な存在と認識をしております。

 このため、国土交通省におきましては、工事の内容に応じまして、分離分割発注の徹底、また、入札の参加要件におきまして、会社の本支店や営業所の所在地などの地理的条件を適切に設定をする、さらに、総合評価落札方式におけます災害時の活動実績等の加点評価等の措置によりまして、できる限り地域企業を対象とする工事発注に努めているところでございます。

 その結果、国土交通省の一般土木工事におけます地域企業向けの工事の割合は、大規模な震災復興工事の割合が大きい東北地方を除きますと、過去五年平均で、金額ベースで六割、件数ベースで九割を超えております。

 引き続き、地域企業の受注機会に配慮した工事の発注に努めてまいりたいと考えております。

細田(健)分科員 ありがとうございました。

 まさに大臣がおっしゃったとおり、本当に、地域インフラの担い手ということで社会的に非常に重要な役割を担っておられるということだと思っております。本当に、大臣を始め国土交通省の皆様方に対する建設業者、特に地元の建設業者の皆様の期待というのは非常に高いと思いますので、ぜひ引き続きさまざまな御配意をいただきますよう改めてお願いいたしまして、私の質問を終了させていただきます。

 本日は、お時間をいただきまして本当にありがとうございました。

竹内主査 これにて細田健一君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)分科員 民進党所属、無所属の会の福田昭夫でございます。

 今我が国は、御承知のとおり、大きな二つの危機の中にあります。その一つは、少子高齢化、人口減少問題。もう一つは、アベノミクスの異次元の金融緩和失敗による財政破綻の危機であります。そうした中で、やはり税金を生きた金として使うためには、時代の大きな流れの中で必要性が薄れたり、あるいは失敗が明らかである負の遺産となる可能性が高い公共事業は中止をすべきだと思っております。

 私は、公共事業そのものを否定するものではありません。公共事業は経済を下支えする一定の役割を果たすことを私もよく理解をいたしております。しかし、今申し上げたような観点から、大きく二点、特に栃木県にかかわる事業、思川開発事業とLRT事業について、何度も国の、国交省の考えをただしてまいりましたけれども、ここで改めて国交省の考えをただしてまいりたいと思いますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。

 まず、順序は、思川開発事業から行きたいと思います。

 一つ目は、必要性のないダムについてであります。思川開発事業の南摩ダムについては、必要とする水需要がまずありません。水需要面、治水面、両方からお伺いいたしますが、まず水需要がありません。

 暫定水利権で水道用水を取水している茨城県の古河市は四十六年間、小山市は二十二年、五霞町は二十一年、ダムがなくても取水することができております。ですから、すぐにでも法定水利権を与えるべきであります。新たに水利権を取得しようとしている栃木市、下野市、壬生町は、地下水で十分間に合っており、わざわざ地下水から六割も表流水にかえる必要はありません。

 したがって、人口減少時代を迎えて、もうダム開発をする必要が水需要の問題からもないと思われますが、大臣、いかがですか。

    〔主査退席、盛山主査代理着席〕

石井国務大臣 水需要の面ですね。治水の方はよろしいですか。(福田(昭)分科員「また、その後で聞きますから」と呼ぶ)その後。御質問はまとめて御質問いただいているんですけれども。(福田(昭)分科員「いえいえ、別々ということになっているんです」と呼ぶ)ああそうですか。

 それでは、水需要の方をお答えいたしますと、思川開発事業は、思川流域を始め、利根川沿川地域にとりまして、治水、利水上、重要な事業であると考えております。

 利水について申し上げれば、利根川では過去二十年間に五回の取水制限が実施をされ、思川流域では、平成十三年に渇水による減圧給水や稲の生育不良などの被害が生じていると承知をしております。

福田(昭)分科員 確かにそういうことはありましたけれども、全部無難に乗り切っているんですよね。それで本当に困ったということは実はなかったわけです。

 ですから、あくまでも、大臣御承知でしょうけれども、暫定水利権というのは、ダムができたら水を上げるよ、それまでは暫定だよということで、もしこのままダムを続行すると、五十年以上暫定水利権ということになるんですよ。五十年もダムがなくて取水できたものが、何でダムの必要性があるんですか。そういうことをしっかり把握して、これは大臣にしか決断できないんですよ、政務三役にしか。役人には決断できない。そういうことをぜひ考えてほしいと思っております。

 それから、二つ目、治水面ですけれども、治水面については、南摩ダムは集水面積が非常に小さくて、洪水対策を本当にやるなら、これは河川の護岸工事とか、あるいは土砂がたまった河床の土砂を取り去ってしっかり河川を流れるようにする、そういうふうにした方が非常に有効だと私は思っているんです。

 ですから、三年前でしたか、台風十八号で利根川が決壊したときがあります。あのときも、この南摩川も大変水が出ましたけれども、しかし、やはり護岸工事をやっていたり河川を掘削しておけば被害はほとんどなかったんじゃないか、こう地元から指摘されているんですよ、大臣。

 ですから、そっちの方がいかに有効かということを考えれば、治水面はダムよりもしっかりと河川を、河床をしっかり整備していくということが大事だというふうに思っているんですが、いかがですか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 この思川開発事業の治水面につきましても、第三者から成ります、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議におきまして取りまとめられた全国共通ルールに沿ってダム検証を行っております。

 その中で、複数の治水対策案の立案をいたしまして、その中から、このダム案が適当、適切であるというお答えをいただいているところでございます。

 今後とも、このダム検証の対応方針に沿いまして、引き続き着実に事業を進めてまいりたいと考えているところであります。

福田(昭)分科員 それは何度も指摘しているように、そのダムの見直しのシステムそのものがだめなんです。これは間違っている。その有識者もおかしい。だから、東京高等裁判所で、ちゃんと判決の中で言っているでしょう、栃木県が撤退すれば、このダム、必要性ないじゃないですかと。高等裁判所でそういうふうに指摘されているじゃないですか。ですから、この思川開発事業については全く無駄なダムだということは、実ははっきりしているんです。高等裁判所でさえ、それだけの指摘をしているんです。

 ですから、まあ、決定したダムをやりたいでしょう。国土交通省が中心になって見直しすれば、それぞれの関係の知事や市長や町長が参加した見直しの検討会で、反対だなんて言える勇気のある知事も市長も町長もおりませんよ。そのことをしっかり皆さんは認識すべきである。それだけ皆さんの権限はでかいということをしっかり認識すべきだと思います。

 それでは次に、二つ目、栃木市、下野市、壬生町の水道料金の高騰についてであります。

 これも二回に分けて伺いますけれども、ことし、県の企業局と三市町で県南広域水道事業供給計画を策定することになっておりますが、企業局が浄水場をつくり導水管で供給することになると、この三市町の水道料金がはね上がることが予想されておりますけれども、これに対して厚労省はどう考えておりますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 栃木県と県南地域の関係自治体では、水道用水供給事業の計画について協議を進めているところでございまして、今年度から、既存施設の活用を含めた施設整備計画等の検討が始められたと聞いているところでございます。

 具体的な施設整備計画が固まっていない段階でございますので、将来の水道料金の見通しについて言及することは困難でございますが、将来にわたって安全な水道水を安定的に供給するため、地域における水道のあり方について合意形成を図っていくことが重要と考えているところでございます。

福田(昭)分科員 厚労省、それはちょっと甘いですよ。既に国交省が、もし浄水場をつくって各市町に供給したときには、浄水場はこれぐらいお金がかかる、そういう試算を出していますよ。そういうものをしっかり確認をして、導水管、きちっと、栃木市、壬生町、下野市、どういうふうに持っていったらどれぐらいかかるんだということを試算してみなくちゃだめじゃないですか。

 壬生町も下野市も、思川に全く隣接していませんから。隣接しているのは栃木市だけですよ。思川からずっと離れているんですよ、遠くなんですよ。そこまで導水管で持っていかないと、水道水を供給できないんですよ。そこまできっちり試算をした上で、本当に、思川から六割表流水をとって水道水として供給したら幾ら水道料金が上がるのか、それをちゃんと試算しなくちゃだめじゃないですか。

 二つ目ですけれども、厚労省は、人口減少時代を迎えて、水道事業の広域化を推進しようとしているんじゃないんですか、水道事業の広域化を。仮に水道料金がはね上がったら、三市町の住民は水道水から井戸水に切りかえますよ。そうしたら、何のためのダム事業だったんだかわからなくなりますよ。いかがですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のような点もございますことから、既存施設の活用も含めた施設整備計画等の検討を始めているというようにお聞きしているところでございまして、現時点におきまして、料金の見通し等について私の方から申し述べることは困難でございます。御理解いただきたいと思います。

福田(昭)分科員 既存施設の活用といったって、思川に隣接していないんですよ。じゃ、浄水場をどこへつくるんですか。じゃ、それぞれの市や町の浄水場まで導水管でまず持っていって、そこで浄水して供給する、こういう話になるんですかね。だって、既存の浄水場を利用するんでしょう。なかなか難しい話だと思いますよ。これは指摘だけにしておきたいと思います。

 次に、二つ目は、宇都宮市のLRT事業の問題点について質問をしていきたいと思います。これは三つまとめて伺います。

 資料の一をごらんいただきたいと思います。これは宇都宮市のLRT問題連絡会がつくった資料です。

 一つ目は、いいかげんな需要予測。いまだに積算の根拠を宇都宮市は明らかにしておりません。しかも、利用者の九割が通勤通学者で、いいかげんな需要予測をどう考えているのか、改めて伺います。

 それから二つ目は、まやかしの上下分離方式です。整備は宇都宮市と芳賀町が、運営は、名ばかりの民間会社、宇都宮市が筆頭株主の第三セクターの宇都宮ライトレール株式会社がやることになっております。失敗すれば誰が責任をとるのか。宇都宮市と芳賀町ということになるんだと思いますが、国土交通省は、失敗することは考えておりませんという今までの答えでありましたが、これは必ず失敗するんですよね。そうなったときに、じゃ、誰が責任をとるのか。

 それから三つ目、減価償却費が計上されていない。宇都宮市と芳賀町が一般会計で設備の修復や更新をするということでありますが、減価償却費を全く見込んでいないというこの種の事業は、大変異常なやり方となっていますが、それをどう考えているのか。

 全て宇都宮市の判断だと今まで答えているわけでありますが、そうやって国土交通省はいつも逃げているわけでありますが、しかし、事業費四百五十八億円のうち半分は国費が投入されるわけです。国の税金が投入されるわけです。それも無駄になったとき、国土交通省は全く責任もとらない、こういう話になるんですかね、これは。

 いかがですか。この三つ、まとめてお伺いをいたします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 まず、需要予測でございます。

 これにつきましては、国土交通省におきまして、宇都宮市が行った需要予測、この手法や前提条件の妥当性の確認を行っているところでございます。その結果、次の三点から、私ども、この需要予測は妥当なものであると判断をしております。

 まず一点目。これは、宇都宮市が、需要予測対象圏域の市民の動きを把握するために生活行動実態調査というのを実施していること。二つ目は、その調査の結果をもとに、鉄軌道の需要予測における一般的な手法、四段階推計法と申しますが、これを用いて予測を行っていること。さらには、将来の人口の見通し等について、将来の人口減少等も把握をしているということで、特段不合理な点は見受けられない。そういったことから、妥当であると判断をしているところでございます。

 次に、上下分離の関係でございます。

 これにつきましては、軌道高度化計画のもとで、軌道整備事業、いわゆる下物の整備事業でございますけれども、これは、地方公共団体である宇都宮市及び芳賀町が行っております。さらに、運送、上物事業でありますけれども、これは、官民が出資する第三セクターである宇都宮ライトレール株式会社が行っているということでございまして、この宇都宮ライトレール、これは、宇都宮市及び芳賀町から合わせて五一%の出資を受けておりますけれども、地方公共団体である両市町村とはあくまでも別の主体であるということを考えているということでございます。

 なお、国土交通省に提出された収支計画によれば、宇都宮ライトレール株式会社は、開業九年目に累積赤字を解消するということを前提としておるということでございますので、破綻というふうなことは起こらないという前提で軌道計画の認定を行っているということでございます。

 それからもう一つ、減価償却費の関係で御質問がございました。

 これは、このスキームで、特に下物の整備ということにつきましては、宇都宮市、芳賀町がみずからの財政の中からこれを拠出して、一般会計で公共事業として行うことにしていることから、減価償却費は計上していないという認識をしております。

福田(昭)分科員 いつもと同じ答えでありますけれども、しかし、皆さんもよく御承知のとおり、名古屋市と小牧市を結んでいた桃花台交通、新交通システムですが、これが十五年ぐらいで廃止になっております。これも最初から無理な計画であった。宇都宮市も全く無理な計画であって、国土交通省は、宇都宮市から、宇都宮市民が八割のんだと聞いていると答えておりますが、そんな話は全くありません。通勤通学者のための路面電車、LRT列車であります。

 そして、減価償却費を見込まないということは、宇都宮市や芳賀町の財政を圧迫することは明らかでありますので、つい最近でありますが、県に対して両町は、今までは県は利子補給に対して助成するという方針でありましたが、いや、もう建設費の段階から補助してくれということで、この間、県議会で知事が、じゃ、建設費の方で一部助成しますよなんて答えをしているぐらいでありますから、大変なことは明らかであります。

 そして、ここで、これは通告しておりませんが、ちょっと聞いておきたいと思いますが、総事業費四百八十億円ということでありますが、これには、都市計画道路の拡張費、それから市道のつけかえ道路など、まさに今回の工事施行の認可申請にかかわっていない事業は全て宇都宮市と芳賀町の負担だということでよろしいですか。

栗田政府参考人 一般的に、公共団体が市道なりを整備されるときには、当然ながら、我々、必要に応じまして補助する場合もございます。

 ただ、今御指摘の道路につきまして、今現在どういう意思決定をするかというのは、また、我々は今後の検討というように考えております。

福田(昭)分科員 そうじゃないでしょう。きっと、都市計画道路の拡張については、都市計画の方の補助制度が対象となるんでしょう。でも、市道のつけかえについては多分ならないんですよ、これはきっと。

栗田政府参考人 一般的に、都市計画道路、都市計画としまして街路事業として行われるときに、私ども、補助の仕組みを持っております。そういったことで補助の可能性ということはございますが、実際にするかどうかは今後の課題でございます。

 市道のつけかえについて、現時点で詳細に市からお伺いをしている現状にはございません。

福田(昭)分科員 では、それはまた、いずれ機会があったらお尋ねします。

 それから、資料の一の下半分には宇都宮市と富山市の比較が載っておりますけれども、休日の利用客は何と、富山市よりも宇都宮市の方が少ないんですよ、ごらんいただければよくわかるように。びっくりしましたけれどもね。平日の利用客は、これを見ればわかるように、富山市が四千七百九十六人、宇都宮市が、予測ですが、一万六千三百十八人。休日になると、富山市が三千五百七十七人、宇都宮市が二千八百四十六人。ですから、いかに通勤通学列車かということをこれははっきりあらわしているんですよ、実は。

 ですから、全くびっくりしてしまいますが、この問題も後でまた詳しくいきたいと思いますが、時間の関係で次の方へ行きたいと思います。

 三番目の、工事施行認可申請についてであります。これをやっているときっと時間がなくなっちゃうから、次に行きたいと思います。

 これは何が疑問点かというと、軌道法第五条、それから、地域公共交通の活性化、再生に関する法律第十条の軌道法の特例、この二つを読んでみますと、結局、上下分離方式だと言っていても、軌道経営者は両者になるんですよね。結局、工事を施行する宇都宮市、芳賀町と、それから、宇都宮ライトレール株式会社が軌道経営者になるわけですね。そうすると、上下分離できないんじゃないですか、基本的に。

 ですから、減価償却費を見ないということは、両者が一体の会社だということを考えると、見ないというのは、異常な、要するに会社法に違反するようなやり方なんですよ、減価償却費を見ないということは。これは、二者一つで一つの会社ということが考えられます。それを指摘だけしておきます。

 それから、次に、宇都宮市のLRT事業の工事施行認可の可否についてであります。これについては、三つまとめてお伺いいたします。

 まず、工事施行計画についてであります。

 宇都宮市は本年度内に着工して、二〇二二年、平成三十四年三月の開業を目指しているということであります。

 それから二つ目は、宇都宮市では、車両基地と鬼怒川の橋を先行して着手するということであります。これは、用地交渉がやりやすいところから始まる、反対している地権者のいるところはどちらかというと難しいので、先に既成事実を重ねて、地権者に圧力をかけるという非常に悪いやり方をしようとしているようであります。

 三つ目は、事業に伴う鬼怒川通りの車線数の減少についてであります。

 JR宇都宮駅東口の東側から国道四号手前までは六車線が四車線に、国道四号までの部分については四車線が二車線に、それから、新四号国道西側までが四車線が三車線に減線となるということでありますが、これでは大変な交通渋滞が今まで以上に実は心配になってくるんだなと思っていますが、この三点、簡潔にお答えください。

藤井政府参考人 開業予定時期の方について、お答えをいたします。

 これにつきましては、当初の三十一年十二月から三十四年三月に変更する旨、宇都宮市、芳賀町、ライトレール株式会社から、軌道運送高度化実施計画の変更認定申請が提出をされておりまして、それに基づいて変更の認定を行っているところでございます。

栗田政府参考人 先行の工事についてのお尋ね、二点目のお尋ねでございます。

 宇都宮市は、所要の手続を経て事業化した後は、工事に関する当面のスケジュールとして、車両基地及び鬼怒川橋梁について、早期の整備着手を目指すということを沿線の地区住民の皆さんに御説明されていると伺っております。

 その理由といたしまして、車両の基地は施設規模が大きいこと、また、鬼怒川橋梁は施工が可能な期間が渇水期に限られ、いずれも整備に時間を要するために早期の整備着手を目指すというような御説明をされているというように承知をしているところでございます。

 それから、宇都宮のLRT事業に伴いまして鬼怒通りの車線数が減少するという点について、三点目のお尋ねがございました。

 LRT事業に伴いまして、鬼怒通りのJR宇都宮駅東口から新四号国道西側付近までの約三・一キロについて、若干の区間におきまして六車線から四車線に、先ほど委員が御指摘になりましたけれども、差異がありますけれども、現況から車線数が減じられる計画となっているように承知しておるところでございます。

 これに伴います渋滞への懸念ということでございますけれども、都市計画決定主体であります宇都宮市及び芳賀町は、現況よりも交通渋滞が悪化しないということをさまざまなシミュレーションも含めまして確認し、これを道路管理者である栃木県等との協議を経て確認した上で、平成二十八年五月に都市計画決定を行われたというように承知をしております。

福田(昭)分科員 例えばでありますけれども、車両基地の用地は、どうも図面を見ると、あれは企業が持っているんですよ。その企業の社長が昨年逮捕されたことを御存じですか。しかも、建設業法という普通なら逮捕されることのないような案件で逮捕されております。まあ、何事もなかったようでありますけれども、しかし、そんなこともあったということでありますから、土地の買収としてはしやすい土地だということでありますけれども、その企業は、さくら市の方でも実は事件になった案件を担当していた業者であります。それだけお伝えしておきます。

 それから、次に、四つ目でありますが、四つ目は住民説明会についてであります。

 資料の二をごらんいただきたいと思いますが、宇都宮LRT問題連絡会が実施したシール投票の結果は、総数二千百九人のうち、千四百四十二人、六八・四%の人がいまだに反対です。にもかかわらず、沿線の五地区でしか説明をしないということになっておりますけれども、地権者の皆さんにだけ集まってもらう説明会も必要ではないかと思っております。

 時間の関係でこれはお答えは要りませんけれども、資料一にあるように、富山市では、市民への説明会、市長がした説明回数が百回以上もあったそうであります。宇都宮市では市長がどれだけ説明しているんでしょうか。全く、富山市は宇都宮市よりも本当に小さな事業でありましたが、市長が先頭に立って百回以上も住民に説明をして理解をしてもらっている。その後、これは市民の要望に基づいて始まったようでありますから、順調に推移しているようでありますが、しかし、宇都宮市は市民の要望なんかなかったんですね。そうした中でこんなことをやっているわけだから、どんどんどんどん反対運動が起きているということであります。

 そこで、石井大臣にお伺いいたしますが、工事施行認可の可否についてであります。

 石井大臣は、過日、宇都宮市で工事施行認可については春までに判断したいと言われたようでありますが、春までとは三月までですか、それとも四月ですか、五月ですか、教えていただきたいと思います。

石井国務大臣 現在、審査をしているところでございますので、判断を示す時期についてはまだ明確に申し上げられません。春ということでございます。

福田(昭)分科員 春というのは、暦の上で三、四、五なんですけれども、だから、三月もある、四月もある、五月もあるということでよろしいですか。

石井国務大臣 今審査をしている段階でありますので、明確に時期について申し上げられる段階ではございません。

福田(昭)分科員 それでは、これ以上の追及はいたしませんが。

 それでは、今まで申し上げてきたような状況で、本当に石井大臣は工事施行認可をおろしてもいいと、審査の段階だけれども、考えているんですか、いかがなんですか。

石井国務大臣 宇都宮のLRT事業は、JR宇都宮駅東口を起点といたしまして、芳賀・高根沢工業団地に至る十四・六キロの事業であり、平成二十九年八月に、軌道経営者であります宇都宮市、芳賀町、宇都宮ライトレール株式会社三者連名によりまして、工事施行認可の申請が栃木県知事宛てに提出をされ、平成二十九年十月十日付で国土交通大臣宛てに進達がなされております。

 工事施行認可に当たりましては、工事着手に先立ち、軌道建設規程や移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準等への適合性等につきまして、技術的な観点から審査を行うこととしております。

 国土交通省といたしましては、今回の工事施行認可につきまして、審査基準に従って所要の審査を適切に行ってまいりたいと考えております。

福田(昭)分科員 とても適切とは思えないんですね。これは本当に、失敗したときに誰が責任をとるのか。国土交通省も責任はとらない、宇都宮の首長も責任はとらない、芳賀町の首長も責任はとらない。そうすると、最終的には市民の負担になる、こういうことなんですね。

 それで、私の方からは、石井大臣は公明党出身。今主査はかわっていますけれども、公明党出身。公明党は行革の党と言っているんですよね。ぜひ、国土交通省の予算づけをやはり大きく変えて、生きたお金として税金が使えるように、ぜひ旗振り役をやってほしいと思うんですよね。

 私、この間、ダムの見直しで残事業費がどれぐらいあるんだか、ちょっと出してもらって計算してみたら、残事業費が何と一兆六千億円。多分、工事をやると二兆円ぐらいにはなっちゃうでしょう。このお金の使い方を変えたら、私は日本のさまざまな必要とされている事業が変わると思います。

 予算編成の方針は、御案内のとおり、財務省も、各省庁で、はい、一割切れ、二割切れ、三割切れ、その浮いたお金をどうするかというだけで、本当に大胆な変革はできておりません。よく言われる、局あって省なし。国土交通省全体で生きたお金にどう使うか、これは大事だと思います。

 もし、それこそ、もとダムをつくっていた竹村公太郎さんが言っているように、ダムで水力発電ができるような設備をつくったら日本を救うよ、こういう提案もあります。また、観光ビジョンをつくったり、国立公園満喫プロジェクトを環境省がやったりしています。

 ですから、本当に観光立国としてやっていく、あるいは国立公園にもお客さんにたくさん来てもらうということになったら、ダム事業をやはりやめて、もう必要のないダム事業をやめて、そのお金をそういうところへ振り向けたら、日本の経済はしっかりしてくるし、また地方創生もできるし、観光立国にもつながっていくし、国土交通省は私は責任重大だと思っています。たくさんの予算を持っているだけに、財務省だって切れないんだから、全部は。

 ですから、国土交通省みずからがお金の使い方を全体として変える、そして日本を変えていく、そういう役割をぜひ果たしてほしいと思っています。そういうお願いをして、私の質問を終わります。

盛山主査代理 これにて福田昭夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、広田一君。

広田分科員 無所属の会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 先ほどの福田先生の御質問とはトーンが違ってくるというふうに思いますけれども、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 まず、四国8の字のネットワークのミッシングリンクの解消についてお伺いをいたします。

 地方の思いといいますのは、単に不便だから高速道路をつくってくれ、整備してくれというふうに言っているわけではございません。台風シーズン、越波によって通行どめが発生をいたします。それだけではなくて、本当に何百キロという岩石が道路に打ち上げられまして、それによって救急車も通ることができない、救急救命にも支障が生じているような現状がございます。

 そういう意味で、私たちは、安心、安全な命の道、これを一本でいいから通してほしい、そういう思いで要望をさせていただいているところでございます。

 東日本大震災の教訓がございます。これは、くしの歯作戦というものが実行をされたわけでございますけれども、一週間余りで十万人の自衛隊員を災害現場に派遣することができたのは、高速道路が使えたからでございます。そういったことを、今後三十年以内に八〇%の確率で発生するというふうに言われております南海トラフ地震にも、これは生かしていかなければならない、このように思うところでございます。

 ミッシングリンクの解消につきましては、四国だけではなくて、山形県や福井県など、十県の知事からもこの解消に向けての強い要望が出ているところでございますけれども、政府として、このミッシングリンクの解消の目的と効果についてどのように考えているのか、御所見をお伺いをいたします。

石井国務大臣 高規格幹線道路等のミッシングリンクの解消は、これによりまして、広域的なネットワークが形成をされ、企業の立地や観光交流が進むほか、リダンダンシーの確保により防災機能が強化されるといった多様なストック効果が発揮されるなど、我が国の国際競争力の強化、地域の活性化、安全、安心の確保等を図る上で重要な施策と考えております。

 全国の高規格幹線道路の整備率は現在約八割となっておりまして、国土交通省といたしましては、今後とも、重点化や効率化を図りつつ、ミッシングリンクの早期解消に向けまして、高速道路の整備を着実に進めてまいりたいと考えております。

広田分科員 今大臣から御答弁があったわけでありますけれども、効果、目的の一つに広域的ネットワークということがございました。これによって例えば観光振興というものも図れるわけでございますけれども、例えば、先ほど十県の中にあります福井県は恐竜博物館というものがあるんですけれども、平成二十八年は、平成二十五年と比較をいたしまして、来客数が五一%増の百十万人になったということでございます。

 そういったことからも、広域ネットワーク、これは言いかえれば道路はつながってこそ効果を発揮するということでございますし、特に四国の場合は、よく8の字というふうに私たちは言っているんですけれども、8の字を横に倒すと無限大になりますので、そういった可能性が広がるように今後も推進をしていただきたいと思います。

 こういった中で、先ほど大臣の方から、整備率については八〇%だというふうな御答弁がございました。一方で、ミッシングリンクの方はどうなっているのか。計画延長と未事業化区間、全国でそれぞれ何キロあるのか。これについて、先ほど御答弁もありましたけれども、全国平均と比較した整備率についてもお伺いをしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 高規格道路、一部の地域高規格道路を含めまして、全体として、現在、高規格道路は約八割が開通している中で、四国のいわゆる委員御指摘の8の字ルート、これにつきましては約七割が開通済みということでございまして、そのうち高知県につきましては約五割が開通という現状でございます。

広田分科員 御答弁がございましたように、全国に比べましても、四国に行けば行くほど、また高知も、非常に今低いわけでございます。こういった低い要因は、さまざま理由があろうかというふうに思いますけれども、まさしく道半ばでございますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。

 うちの高知もそうなんですけれども、おかげさまで着実にミッシングリンクの解消が進んでいるところでございますが、道路局の平成三十年度の関係予算決定概要、いわゆる白パンを見ましたら、大都市圏の環状道路等の整備加速の項目はございますけれども、残念ながらミッシングリンクの解消という項目はございません。

 そういう中で、やはり、平成三十年度の予算案で、このミッシングリンク全体の解消に向けて、予算措置を含めて具体的にどう取り組もうとしているのか、お伺いをしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 本年一月に公表をいたしました平成三十年度道路関係予算概要におきましては、被災地の復旧復興、国民の安全、安心の確保、生産性の向上と新需要の創出による成長力の強化、豊かで活力のある地域づくりの四分野に重点化し、施策効果の早期発現を図ることを基本方針としております。

 ミッシングリンクの解消は、これらの施策を実現する最も有効な手段の一つとして、その効果が横断的に波及するものであると考えております。

 国土交通省といたしましても、今後とも、ミッシングリンクの解消も含め、必要な道路整備を進めてまいります。

広田分科員 局長、確かに、今、横断的ということでありますけれども、先ほど来たびたび出しておりますけれども、四十七都道府県のうちの十県の知事が会議をつくって、この解消に取り組んでいるわけでございます。その横断的ということも含めて、やはり、ミッシングリンクという一つの切り口でどのように予算措置を今後していくのかということもわかりやすく示していただきたいというふうに思いますし、この観点に立って、来年度は具体的にどう取り組むのか、今手元に数字等があれば示していただければなというふうに思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、ミッシングリンクの解消は、これは非常に、各施策、多面的に効果が出るものでございまして、その中で、例えば改築系の事業箇所数で申しますと、直轄でございますけれども、高規格幹線道路及び地域高規格道路といった規格の高い道路につきましては、箇所数全体、約四割強でありますのに対し、予算としては約七割強を充てているというところでございます。これは平成二十九年当初予算ということでございまして、平成三十年度、来年度予算につきましても、予算成立後にしっかりと、ミッシングリンクの解消に向けて必要な予算の配分に努めてまいりたいと考えております。

広田分科員 これからも着実に進めていただきたいというふうに思いますし、先ほど言いましたように、ミッシングリンクのところは全体の平均より十ポイント低いわけでございますので、重点的に配分をしていただきますようによろしくお願いを申し上げます。

 そういった観点から、これは十県知事会からも要望されているように、ミッシングリンクの解消を計画的に進めるために、解消の目標年度を設定すべきではないか、このようにも思うんですけれども、この点についての御所見をお伺いをいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 ミッシングリンク解消の全体的な目標年次、これは、予算の推移もございます。また事業環境もございます。今、これについて明確にお答えすることはできませんが、できるだけ早くミッシングリンクの解消に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

広田分科員 局長、できるだけ早くということでございますけれども、それは計画的に進めるというふうな理解でよろしいんでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 事業中の箇所につきましては、地元の協力を得ながら、早期用地買収の概成、その後できるだけ早く開通の目標年次を示せるようにしていきたいと思っておりますし、未事業化区間につきましては、事業中の箇所の進捗状況であるとかを含めて、事業環境の整ったところから事業に着手していくという方針でございます。

広田分科員 ただいまそのような御答弁がございましたので、それでは、ちょっと具体的にお聞きをしていきたいというふうに思いますけれども、高知県を始めとしました四国の計画段階評価実施中区間の完了見通し、これはどういうふうになっているのかお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 四国8の字ルートの計画段階評価実施中の区間、これは、高知県内の例で申し上げますと、四国横断自動車道の宿毛―内海間、これは約二十九キロございますが、こちらの区間、並びに、阿南安芸自動車道の奈半利―安芸間、これは十三キロでございます。さらに、阿南安芸自動車道の野根―安倉間、約九キロでございます。これについて、おおむねのルート、構造の決定に向けて、今、計画段階評価ということで必要な調査を実施しているところでございます。

広田分科員 ありがとうございます。

 それに関連して、ちょっと更にお伺いをしたいんですけれども、まず、それぞれのルートにつきましては、計画段階評価を早期に完了していただくようによろしくお願いを申し上げます。

 そういった中で、例えば宿毛から愛媛県の内海間につきましては、ルート、構造の検討に当たっては、例えば、宿毛側は、防災拠点となる宿毛新港につながる海側のルート、そして愛媛県の愛南町側は、津波浸水区域を回避したルートを希望しているというふうにも承知をしております。

 また、住民にとりましては、インターチェンジがどこにつくのかというのも大変関心が高いわけでございますけれども、そういったところについては、やはり防災とか流通、医療、こういった面を、地元の思いも十分に配慮をして設置位置等を決めていただきたいというふうに思いますけれども、この点についての御所見があればお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の宿毛―内海間の計画段階評価でございますが、ことしの一月二十四日に比較ルート案を提示したところでございますけれども、今後、沿線地域や企業等へのヒアリング、アンケートを行います。それを踏まえまして、それぞれのルートについて絞り込みを行うという地方小委員会を行いまして、その後、概略ルート、構造というプロセスに進んでいきますので、地域の方々の意見も十分反映されるものと理解をしております。

広田分科員 そのように、地域の皆さんの思いも反映されるというふうに理解をしているということでございますので、そういう方向性でぜひとも進めていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、高知県を始めとしました四国の計画段階評価完了区間の早期の事業化の見通しについてお伺いをしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 計画段階評価完了後は、都市計画決定が必要であるもの、そうでないもの、ございますので、それぞれ熟度に応じて事業化はなされていくというものでございますが、高知県の関連で申しますと、計画段階評価が完了している区間といたしまして、四国横断自動車道の大方―四万十間、これは約六キロございます。猛禽類に関する環境調査を現在実施しておるところでございます。また、阿南安芸自動車道の牟岐―野根間、約二十四キロございますが、都市計画手続中など、事業化に向けての必要な準備を行っているところでございます。

広田分科員 それぞれ課題等々もあろうかというふうに思いますけれども、着実に進めていただきますようによろしくお願いを申し上げます。

 また、事業中の区間の早期開通というものも強く要望をしていきたいと思います。特に、窪川佐賀、そして芸西西―安芸西、安芸道路、こういった事業につきましては、これは実は、民主党政権時代、コンクリートから人へというふうに大変厳しい逆風の中にもかかわらず、事業化ができた区間でございますので、早期に開通見通しが公表できるよう、鋭意取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 開通見通しはできるだけ早く公表したいと考えておるところでございますが、一つは、現地での用地買収の進捗状況、もう一点は、工事に当たりましては、トンネルでありますとか、軟弱地盤処理でありますとか、なかなか工程が読みづらいもの、そういうものについて、工程を読み次第、開通の目標が示せるということになるわけでございます。

 引き続き、できるだけ早く開通の目標を示せますように、地元の御協力を得ながら事業の推進を図ってまいりたいと考えております。

広田分科員 ぜひとも、そういう方向性で進めていただければなというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、海岸、河川の南海トラフ地震、津波対策についてお伺いをいたします。

 南海トラフ地震は、先般、今後三十年以内の発生確率が七〇%から八〇%に上昇をいたしました。震度七と言われる強い揺れと巨大津波の脅威と切迫度は高まっているところでございます。

 このため、大規模な被害が想定されている地域におきましては、効果の高い地震、津波対策へ優先的に取り組むことこそが喫緊の課題であり、国政の使命だというふうに思っております。

 これについて、着実に整備を進めていただいていることは感謝をし、評価をする一方で、高知県の資料によりますと、県人口の約四五%が集中している県都高知市で、現状で南海トラフ地震が発生しますと、二千八百ヘクタールの広大な浸水、約一カ月半の長期浸水、さらに、十三万人もの方々が長期避難をしなければならない、こういった予想になっているわけであります。現在、国と県が進めております三重防護及び河川堤防などの耐震、かさ上げによる整備に対して、住民から大きな期待があるわけであります。

 その上でお伺いをしますけれども、この三重防護及び河川堤防などの耐震、かさ上げによる整備で、L1地震では、津波の浸入を防止し被害がゼロになる、そして、千年に一度と言われておりますL2地震におきましても、この長期浸水が十日余りで解消されるというふうにされておりますけれども、一方で、地元の県議さんによると、例えば二十代の男性の意見として、この浸水しないという説明がまだ信用することができないという率直な意見もあるそうでございます。

 そこでお伺いしたいんですけれども、この、L1の津波で浸水しない根拠と、L2の津波でも長期浸水が十日余りで解消されるとする根拠を、それぞれお尋ねしたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 切迫する南海トラフ地震、津波に対しまして、県都高知市の被害を最小化するということは極めて重要であると認識をしております。

 このため、国土交通省四国地方整備局と高知県が平成二十五年の六月に実施をいたしました津波数値シミュレーションに基づきまして、三つのラインで重層的に津波から防護する三重防護方式による対策をとることとしております。

 この三つのラインが果たす役割といたしましては、まず第一のラインにおきまして、第一線防波堤による津波エネルギーの減衰効果、第二ラインといたしまして、浦戸湾の外縁部と湾口部の防波堤及び防潮堤による津波の浸入の抑制の効果、第三ラインとして、浦戸湾内部護岸による背後浸水の防止効果、こういうふうになってございます。

 三重防護方式による事業効果といたしましては、先ほど委員もお話しされましたように、比較的頻度の高いレベル1津波において、第一ラインと第二ラインにより、浦戸湾の入り口で九メートルであった津波高が減衰をされまして、湾奥部において三メートル程度になるということで、この三メートルの高さに対する第三ラインでの護岸がこれを防ぐということによりまして、市街地での浸水被害はゼロとなるというふうに考えております。

 また、東日本大震災のような最大クラスのレベル2津波に対しましては、同様の効果によりまして浸水範囲及び浸水の深さを減少させることで、試算によれば、長期浸水の期間が約一カ月半から十日程度に短縮をするというふうに考えておるところであります。

広田分科員 そうすると、先ほど津波高のお話がありました、九メートル、三メートルというふうなことでございますけれども。これまでは定性的な御説明が地元等でもされていたわけでありますけれども、今回、一定、数字が出てきたわけでございますが、これは、そもそもの平成二十五年のシミュレーションのときからこういった数字は上がっていたというふうな理解でよろしいんでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 数値シミュレーションそのものは平成二十五年の六月に行いまして、その後、さまざまな方式の中から、どういった防護方式が最も適当なのかという検討のために、平成二十五年から、学識経験者また行政関係者で構成されます高知県における地震、津波防護の対策検討会議、こちらの方で議論をいただきまして、この中で三重防護の効果が推計をされまして、平成二十八年の六月に取りまとめて公表されたということでございます。

広田分科員 私は、国交省の整備効果の高さというものは実証済みだというふうに思っております。

 これは河川になるわけでございますけれども、例えば、石狩川の治水事業の効果、これは昭和三十七年と平成二十八年、大体同じぐらいの雨量、豪雨があったというふうにお聞きをしておりますけれども、結果として、浸水面積というのは百九十分の一になったというふうなこともあります。

 そういう意味で、着実に整備をするということによって、先ほど来答弁があったように、L1津波ではこれは浸水がゼロなる、こういったことはぜひ期待をしたいと思います。

 ただ、一方で、先ほど申し上げたように、なかなか住民の皆さんには不安がつきまとっているのも現実であります。

 高知市議会のこの南海トラフの特別委員会の委員長さんにもお聞きをしましても、まだまだ高知県、高知市民の皆さんに、この三重防護をやるということすら知らない方が多いというふうなことでございますので、これは県も市も努力をしていかなければならないことではありますけれども、ぜひ、周知徹底ということについても、国としても取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 そういった中で、現時点での三重防護等の完成時期と、必要な予算額は幾らというふうに試算をしているのか、お伺いしたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 高知港海岸につきましては、現時点で、二〇三一年度を完成時期といたしまして事業を推進しているところでございます。総事業費六百億円のうち、二〇一七年度までで約四十億円を措置したところでございまして、残事業費としては約五百六十億円となってございます。

広田分科員 ありがとうございます。

 まずは津波の入り口でとめることが大事だということで、外側を最初にやろうとしているというふうに理解しているわけでありますけれども、例えば、第一ライン、高知新港のあの沖合の防波堤の残工事というのはおおむねどれぐらいになっているんでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 ただいま具体の数字を持ち合わせておりませんので、後ほど委員の方に御回答させていただきたいと思います。

広田分科員 ぜひお願いを申し上げます。

 まず、第一ラインがしっかりしなければなりませんので、ぜひともよろしくお願いを申し上げます。数字の方は後ほどよろしくお願い申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、先般、南海トラフ地震は、今後三十年以内の発生確率が七〇%だったのが八〇%まで引き上げられたところでございます。先ほど御答弁があったように、二〇三一年度だと南海トラフ地震が発生している可能性は極めて高くなっております。

 高知市長も、高知市の下知地区というところでの市長と語る会で、地震に間に合わせないといけない旨の発言もされております。事業完了までに発生した場合、甚大な被害が出てまいります。三重防護でありますから、どこか穴があいていればそこから浸水が始まるわけでございますので、まさしく完了してこそ事業効果が発揮できるわけであります。

 無論、財政制約があることは理解をするところでございますけれども、しかし、これは時間との勝負でもあります。地震発生確率の引上げに伴い、一年でも早く三重防護などの完成時期を早められるよう取り組んでいただきたいと思いますが、この点については、石井大臣の方に御所見をお伺いをしたいと思います。

石井国務大臣 通告はございませんでしたけれども、お答えをさせていただきます。

 高知港海岸の整備につきましては、効果の早期発現の観点におきまして、津波越流量の低減効果が高いところから順次整備を進めております。また、コスト縮減を図るため、有識者の意見を聞きながら、設計や施工の検討も進めております。

 国土交通省といたしましては、南海トラフ地震等の大規模災害から生命と財産を守ることは重要な課題と考えておりまして、津波対策の早期効果の発現に向けまして、着実に整備を進めてまいりたいと考えております。

広田分科員 そういう総論の中で、大臣等も、できるだけ早くという思いだというふうに理解するところでありますが、二〇三一年度、平成に直せば四十三年度でございます。先ほど言いましたように、発生確率が八〇%に上がっているわけでございますので、地元といたしましては、これを一年でも前倒しをしていただきたい、こういう強い要望があるわけであって、これはやはり、政治主導というところも非常に大事な観点だろうというふうに思いますので、この点についての、いま一度の大臣の御所見をお伺いできればと思います。

石井国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、国土交通省としましては、津波対策の早期効果の発現に向けまして、着実に整備を進めていきたいと考えております。

広田分科員 着実な整備ということでございますので、これが一年でも前倒しになるように、これから自分たちも党派を超えて要望していきたいというふうに思っております。

 最後に、現状では、三重防護などにつきましては、国の直轄工事部分と県の工事部分とでは完成時期が異なってまいります。この点については、大臣も、重要な地域から、緊急性を要するところからというふうなお話があります。一方で、三十代の男性から言われたんですけれども、住む地域によって命の重さに差をつけられているような感じがしてならないといった御意見もあります。

 国と県との違い、緊急度の違いは理解しつつ、事業の平準化、完成時期の平準化についても十分留意して取り組んでいただきたいと思いますが、国としての御所見を最後にお伺いをいたします。

盛山主査代理 菊地港湾局長、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 高知港海岸の整備につきましては、国の直轄事業と高知県の事業との連携によりまして進めてまいります。

 今委員御指摘の点も踏まえまして、国といたしましては、高知県としっかり連携をとりながら、一日も早い完成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

広田分科員 どうもありがとうございました。

盛山主査代理 これにて広田一君の質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石分科員 希望の党の白石洋一です。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 今、所有者不明土地がふえてきております。先日の報道によりますと、九州と同じぐらいの面積が所在者あるいは所有者不明土地ということであります。これは田舎の方ほどそのような問題が深刻で、つまり、人口が都会に流出していく、そこでお年を召されて、あるいは引っ越しもして、わからなくなってくる。そして、今や相続がどんどん分割していく時代であります。家督相続ではありません。平等に相続される。そこで相続が分割して、所有権も分割されて、それがなお一層拍車をかけているということでございます。

 そのことによって、土地の有効活用やあるいは防災の面で弊害が大きく出てきていると思います。それも政府の方で認識されていると思いますけれども、当面の政府の対策としてどのようなことをされていますでしょうか、お願いします。

    〔盛山主査代理退席、主査着席〕

田村政府参考人 お答えいたします。

 所有者不明土地につきましては、公共事業用地の取得などさまざまな場面で、所有者の探索に膨大な時間、費用、労力を求められるという問題に直面をしておりまして、政府全体としても大きな課題であると受けとめております。

 このため、国土交通省といたしましては、所有者不明土地の公共的目的のための利用を円滑化するため、一つには、公共事業のために収用する場合の手続の合理化、それから、公園や広場など地域住民のための公共的事業に一定の期間の利用権の設定を可能とする制度の創設、さらに、所有者の探索を合理化する仕組みの構築などを内容とする法案を今国会に提出をしてまいりたいと考えております。

白石分科員 局長、その対策、まず第一歩としていいことだと思います。ただし、公共的な目的に今は限られているというところなんですね。ぜひそれを広げていただきたいんです。

 所有が不明であるということによる弊害というのは、例えば、一区画土地を持っているんだけれども、その中に土地があって、そこの土地がまあ墓地だったりする、だから所有者が別であるんだけれども、どこにその所有者が行っているかわからない、相続もされているようだけれども、もう探索のしようがない、でも、これを売りたい、あるいは有効利用したい、なのにそれができない。

 それは、隣地でも同じだと思います。隣地で草がぼうぼうになってきて、例えば、そこで動物とかが繁殖している、あるいは、崖崩れのおそれがあるので何とかそこへ柵をつくりたい、防護したい、でも、所有者が別だから、勝手に人の土地に何か工作物を置くことができない。こういったことがあります。

 あるいは、農地でも同じです。例えば、圃場整備という農地の区画整備であっても、所有権がわからない、所有者がわからないところは、全部横に寄せて後回しにされて、そこの部分だけがずっとほったらかしになっているわけですね。

 そこで、私も、提案ということで申し上げたいと思います。

 民間で公共性の高いというところに、ぜひ民間の利用も含めていただいて、そういった隣地所有者であるとか、あるいは、もう一つは底地の所有者がわからない。借地権でずっとそこを、例えば農地なり宅地なり利用しているんだけれども、底地の所有権者がわからない。固定資産税もずっと払っている。これをまた利用する、相続する、あるいは売却する、そのときに困るわけです。

 そういった状況において、利用権であるとか、あるいは所有権に通じる手続がもう必要になってきている時代になっているんじゃないかなと思うんです。その面について、政府の見解を伺います。

田村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の所有者不明土地を私的目的で利用することについては、個人の財産権の保護との関係に留意する必要があると考えておりますが、政府といたしましても、所有者不明土地の発生抑制や解消に向けた抜本的な対策も含めて、引き続き検討する必要があるものと認識をしております。

 こういった問題は、登記制度でありますとか土地所有権のあり方等と深く関連をするため、政府一体となって検討することが必要であると考えております。

 去る一月十九日に、所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議というのが設置、開催されましたけれども、その会議におきましても、土地所有権や登記制度のあり方など、財産権の基本的なあり方に立ち返って、土地に関する基本制度についての根本的な検討を行うということが確認をされております。

 国土交通省といたしましても、例えば登記制度を所管する法務省など関連の省庁と連携をしつつ、引き続き、土地所有に関する基本制度の見直しについて検討を深めてまいります。

白石分科員 ぜひその方向で検討、そして進めていただきたい。

 土地というものは公共的な色彩も強いものであります。さらに、今、技術も進んできております。マイナンバー制度というのが導入されている。個人や法人の番号システムを使って所有者をひもづけして、所有者というのは相続等によってどんどん枝分かれしていきます、それも追っていける、ひもづけがずっとつながっていくといった技術の利用も、ぜひその中に組み込んでいただきたいと思います。

 じゃ、一言、その面で。

田村政府参考人 先ほど申しました関係閣僚会議に提出された資料におきまして、所有者不明土地等の問題について、当面の工程表というものをつくっております。

 その中の一つの論点として、今御指摘のありました、土地所有者情報を円滑に把握する仕組みということにつきましても検討項目となっておりますので、そういった枠組みの中で引き続き検討させていただきたいと考えております。

白石分科員 ありがとうございます。

 次のテーマに移ります。

 愛媛県東予地域というのは、物づくりが盛んな産業集積地であります。加えて、先ほど広田委員もおっしゃっていましたけれども、四国、いずれ近いうちに南海トラフ大地震が襲ってくるだろう。そこで一旦地震に耐えたら、愛媛県の東予地域が救出、救援の拠点になります。そういった意味でも、インフラ、特に港湾というのは大事であります。

 中でも、三島川之江港というのは、今、チップやパルプの輸入、そして、輸出としては紙おむつを非常に盛んにそこから輸出している。さらに、金子地区国際物流ターミナルができました。そこに定期コンテナ船が多く寄港し、忙しくされています。

 そのことによって、近くを通ります国道十一号線、特に金子地区から大江地区まで、大型トラックが非常にここを頻繁に通ります。そして、交差点を右折、左折するわけですね。ですから、非常に渋滞が起こっておりまして、今は高齢化の時代、年配の方の運転もあります。非常に危険でもあります。

 そこで、提案、お願いなんですけれども、一つは、この渋滞の一つの理由になっている、そして、これは産業の発展にとっても大事なのはローロー船、つまり、フェリーのように乗り入れのための板を備えてトレーラーを収納する貨物船、これが着岸するところと、そして、その荷物の仮置き地が今違うんですね。そのことによって、一旦十一号を通って、そこまで、仮置き地まで持っていかないといけない。そのことが非常に渋滞のもとになっています。

 そういうこともあり、そして円滑な流通に資するという意味もあり、ぜひここでローロー船が着岸できる水深九メーターの岸壁を、船荷の仮置き地であります金子地区に必要であり、その整備をしていただきたい。

 加えてもう一つ、二つ目としましては、国道十一号線に並行する港湾のトラック往来のための、半ば専用の臨港道路、これがあれば、国道十一号線の渋滞緩和、生活道路でも使っている、混在している、そこの渋滞、そして危険度を緩和することができる。そのための事業化をぜひお願いしたいものでありますが、このローロー船の着岸九メーター岸壁と、それから臨港道路について、政府の見解をお願いします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 三島川之江港の位置する四国中央市は、紙、パルプ、紙加工品の全国有数の製造拠点でありまして、三島川之江港は地域産業を支える物流拠点として重要な役割を果たしていると認識をしております。

 こうした中、岸壁不足による船舶の沖待ち解消のため、金子地区におきまして、平成二十年に水深十四メートルの大水深岸壁を供用するなど、必要な港湾整備を行ってきておるところであります。

 三島川之江港における今後の港湾整備につきましては、委員、先ほどお話しされましたローロー船ターミナル、あるいは臨港道路の整備といった今後の港湾整備につきましては、具体的な需要の見通しあるいは事業効果等を踏まえて、今後検討していく必要があるかと考えております。

白石分科員 ありがとうございます。その需要の見通し、需要の経済性に加えて、先ほども申し上げました防災の観点ですね。これは、一つ隣のところでやっています東予港でも同じなんですけれども、一旦、南海トラフ大地震に耐えたら、そこが物流の拠点になるという、防災、減災、そして災害が起きた後の救援の拠点になるということもぜひ加味していただきたい。

 加えて、その観点から、フェリーの運航であるとか、あるいは造船事業に資するためにも、東予港の整備をさらに進めていただきたいと思います。その東予港の整備についても、政府の見解をよろしくお願いします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 東予港におきましては、現在、中央地区におきまして、フェリーの大型化に対応する複合一貫輸送ターミナル整備事業を直轄事業により実施中でございます。また、造船工場が立地をいたします西条地区におきましては、水深五・五メートルの泊地のしゅんせつ事業を平成二十九年度補正予算から着手することとしており、引き続きしっかりと進めてまいりたいと考えております。

白石分科員 ありがとうございます。

 それでは、次のテーマに移ります。地方の下水道整備であります。

 下水道の整備というのは、平成元年ぐらいから急速に進んで、そのころ、これは市町村の線引きで、地方も非常に広域の下水道網が整備されるということでずっと今まで来たと思います。

 しかし、その後の状況、財政的なものもあって、下水道が引かれるはずなんだけれども、なかなか下水道が来ない。それまで浄化槽で半ばしのいでいるという状況なんですけれども、一体いつ来るのかと、これは住んでいらっしゃる方の率直な疑問で、それはこれからの人生設計にとっても大事なことです。それを市、町に聞いてもどうもらちが明かない、これは財政状況にもよることであるから、国としてもどう考えているのか、そういった地域の声がございます。

 地方の今後の下水道整備の見通しについて、国としてどのように考えているのか、お願いします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、汚水処理の手法には、汚水を管渠で処理場に集めて処理する下水道や農業集落排水等の集合処理、それから各家庭で個別に処理する浄化槽がございます。

 地方公共団体は、各汚水処理施設の役割分担を都道府県構想として取りまとめ、この構想に基づきまして整備を推進してきておりまして、平成二十八年度末における汚水処理人口普及率は約九割となっているところでございます。

 国土交通省、農林水産省、環境省では、残る一割の未普及人口の早期解消に向けまして、都道府県構想の見直しを地方公共団体に要請し、平成三十年度末までに全ての都道府県で見直しが完了する見込みでございます。

 なお、見直しに当たりましては、下水道などの集合処理と浄化槽の経済性比較を基本としつつ、住民の方々の意見など地域の実情を考慮するよう、地方公共団体に助言をしているところでございます。

 国土交通省では、都道府県構想に基づいた下水道の整備が行われるよう、地方公共団体を支援してまいりたいと考えているところでございます。

白石分科員 局長、構想が来年度にはできて、それは見直しも含まれているというお話でありました。これは、地域に住んで、下水道を待っている人にとっては余り知られていないと思います。もしかしたら、来る来ると言われたんだけれども、その見直し、いわゆる構想ですね、構想という、そのエリアには自分たちの住んでいるところが含まれないかもしれないということであります。

 ぜひここは住民の意向を組み込む形で、その構想を、まだ来年度までということですから、でも、もう準備は進んでいるはずです。市、町レベルでは、随分もう計画の方は進んでいるんじゃないかと思います。そこで、ぜひ巻き込んで、そこで納得と。その納得の中には、済みませんでした、できませんでしたというだけじゃなくて、そうではない、下水道じゃなくて浄化槽でもうずっとやっていく、そのことによるメリットも十分説明して納得していただくということが大事じゃないかと思います。

 その辺、政府としてよろしくお願いします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 汚水処理事業を円滑に推進するためには、区域の見直しの段階から適宜適切な情報提供を行い、住民と認識を共有することが重要と考えております。

 このため、区域の見直しに際しまして、事前に地方公共団体が説明会を行うなどの住民の意向に努め、それを踏まえた区域の見直しが行われるよう、引き続き、公共団体に助言してまいりたいと考えているところでございます。

白石分科員 ぜひ住民の意向を組み込んでください。水洗トイレが全国で九割普及したとおっしゃっていましたけれども、地方はまだそこまでいっていません。そこの意向を酌むということと同時に、この下水道網が整備されて、平均すれば大体三十年ぐらい、平成元年から急速に整備されて三十年。そして、その下水道の管というのは大体耐用年数が五十年ぐらいということです。であるならば、あと二十年後にこれまで投資した金額に近いぐらいのまた投資をしなければならない。

 確かに、管を入れかえるということですから、工事費というのは八割で済むというふうに言われていますけれども、地価も高くなっているところもあるでしょうから、では、どこからどうやってやっていくのか。それがおくれてしまったら水漏れがする。大変なことになりかねません。

 これから来る、改築と専門用語で言われていますけれども、要するに管の入れかえを、メンテナンス、更新、どのようにするつもりなのか、国としての見解をお願いします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 全国の下水道管路延長約四十七万キロのうち、標準的な耐用年数五十年を超えたものは、平成二十七年度末現在で約一・三万キロでございますが、十年後には約五・三万キロ、二十年後には約十三万キロに増加するなど、老朽化が進行する見込みであり、適切な対策を講じていく必要がございます。

 このため、平成二十七年に下水道法を改正いたしまして維持修繕基準を創設し、下水道施設の適切な点検や、その結果に基づく改築等の措置を義務づけたところでございます。

 さらに、地方公共団体における計画的な点検ですとかあるいは改築、これは防災・安全交付金等により支援をしているところでございます。

 国土交通省といたしましては、計画的な点検等の適切な維持管理により、施設の延命化や改築事業等の低減を図るストックマネジメントの取組が進むよう、地方公共団体を支援してまいりたいと考えておるところでございます。

白石分科員 ぜひ、普及が進んだときの投資と同じような更新の投資はもう無理でありますから、それをなるべく平準化する。そして、大事なことは、それを住んでいらっしゃる方にちゃんと理解しておいていただくということをお願いしたいと思います。

 次のテーマに進みます。

 クロス・ラミネーテッド・ティンバー、略称CLTですね。これは、国民の皆さんも見ていらっしゃる方もおられますから、ちょっと説明させていただきますけれども、短い木を幾つか合体させて強度を持たせて丈夫な長い材料に加工するものであります。そのことによって、長いけれども耐久性があって、しかも、多少反りがあったりして、端材あるいはB材と言われているものも使える。そして、余り太くなくても、これは集成していきますので使えるということで、国産の木材が使える、里山とかでとれる木、あるいは間伐の木も、このCLTには使えるというものであります。

 これは非常に環境保全にもメリットがある。山も荒れている、一番最初の話もありますけれども、ほったらかしになっている山がたくさんあって、もったいない、そこの木も使える。これは一旦CLTをつくったら、非常に扱いが容易です。ですから、それを使った木造建築物、工期も短いというメリットもあります。

 しかしながら、今の課題は、そのCLTの材についての建築士さんへの周知が不足しているのか、まだまだ普及していない、普及のスピードもまだ芳しくないというところが現状であります。

 そこで、政府にお尋ねします。

 CLTの周知そして普及のための取組について、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 CLT、いわゆる直交集成板は、中高層建築物等にも利用可能な新たな木質部材でありまして、本格的な利用期を迎えた我が国の森林資源の利用先として大いに期待されております。

 国土交通省におきましては、CLTを利用した建築物を建築しやすくするよう建築基準の整備を進めておりまして、平成二十八年三月及び四月に、CLT工法について個別の大臣認定を受けなくても建築できるよう、建築基準法に基づく基準強度や一般的設計方法の告示を定めたほか、平成二十九年九月に枠組み壁工法の床及び屋根にCLTを使用するための基準の整備も行っております。

 また、CLTの基準強度の告示において、床や屋根に用いるCLTについては、今、五層のもののみが位置づけられておりますが、更に三層のもの、より薄いものを追加して位置づける改正について、一月九日から二月七日までパブリックコメントを行ったところでございまして、早急に基準を改正すべく取り組んでいるところであります。

 さらに、CLTを利用した建築物の建築を促進するため、民間事業者等が行う建築物の先導的な木造化、木質化を図るプロジェクトを公募し、支援も行っております。

 さて、御指摘の建築士等の方々への情報提供でございますが、まず、国土交通省といたしましては、関係団体によるCLT工法の基準に関する解説書の作成や講習会の開催等に積極的に協力して、基準の普及を図っています。

 また、先導的な技術を導入したCLT工法等による木造建築物について、ホームページ等で事例を取りまとめて公開するとともに、事例発表を行うシンポジウムを開催し、さらには、林野庁とも連携いたしまして、設計、施工関係の団体を構成員とするCLT活用連絡会議を開催いたしまして、CLTに関する施策等の状況について情報提供を行っているところであります。

 引き続き、林野庁を始めとする関係省庁と連携しながら、こうした建築士等への情報提供を含め、積極的にCLTの普及促進を図ってまいりたいと考えております。

白石分科員 ありがとうございます。

 建築基準そして建築士さんへの周知ということに加えて、これはやはり日本の森林を守るという意味からも重要であります。林野庁さんとしてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 CLTにつきましては、先生今御指摘のとおり、非常に重要な部材として我々も考えております。

 実は、CLTにつきましては、昨年十二月に閣議決定をされましたまち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、地方創生ということで、林業の成長産業化なんかについても言及がなされているんですけれども、その中に、CLTの普及に向けた取組を総合的に推進するというふうなことも記述をされております。

 新たなロードマップに沿いまして、平成三十二年度までに年間十万立方メートル、平成三十六年度までに年間五十万立方メートルの生産体制を構築するという目標を立てているところでございます。そういう目標が立っておりますんですが、平成二十九年度期首におきましては、中間目標である年間六万立方メートルの生産体制となっておりますが、CLTの需要見込みは二万立方メートルしかないということで、大きな需給ギャップがあるので、需要の掘り起こし、生産コストの削減が重要な課題というふうに考えているところでございます。

 このため、需要面の対策といたしましては、CLT関係省庁連絡会議というものを開催いたしまして、各省庁の公共建築物等におけるCLT需要の掘り起こしを政府全体で行っているわけでございますが、その上で、CLT建築物の設計者等の育成、CLT建築物の設計段階での専門家の派遣、CLTを用いた先駆的な建築に係る費用への支援というようなものに取り組んでございます。

 また、生産面の対策といたしましては、CLTを効率的に製造する施設の整備に対する支援を行うとともに、CLTの耐火性能の向上やCLTの低コスト生産のための技術開発の推進といったことに取り組んでいるところでございまして、今後とも、関係省庁と連携をして、CLTの利用、普及に向けた取組を行ってまいりたいと考えております。

白石分科員 ぜひ、その普及、いろいろなメニューがあって、あの手この手ということだと思いますけれども、てこになる、レバレッジのところはやはり公共建築物だと思います。やはり公のところで使われて、それが、いろいろな人が集うところで見てもらうということによって民間の住宅にも普及するということだと思いますので、ぜひそこに力を入れていただきたいと思います。

 これにて質問を終わります。ありがとうございました。

竹内主査 これにて白石洋一君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)分科員 希望の党の伊藤俊輔でございます。

 きょうは、公団住宅、URの現状と今後の課題について質問させていただきたいと思います。

 日本は、急速な少子高齢化を迎えて、今、日本全体の世帯数は五千二百万戸、そして、それに対して住宅の戸数は六千六十三万戸、約八百二十万戸の住宅が余る、そんな時代に背景的にはなってまいりました。住宅政策も転換を図ってきたと思いますけれども、全国各地の公団住宅、私どもの地元には多摩ニュータウンもございますけれども、千里ニュータウンや千葉ニュータウンなど、時代の大きな役割を担ってまいりました。

 日本のニュータウンは、イギリスのハワード田園都市論など、ニュータウンの計画をモデルにしたと言われておりますけれども、イギリスの場合は、人口構成やバランスのとれた社会階層など、バランスをとれて入居をしたために、今住宅もよくなっていると聞いていますけれども、日本の場合は、当時の同世代、三十代、四十代の中堅勤労者が一気に入居したために、一気に高齢化になっている。七十代、八十代中心の高齢者住宅になっている現状だと思います。多摩ニュータウン等も、地元では小中学校が十二校統廃合ということもあります。

 新たなまちづくりの上でも、人口構成などを十分考慮して、引き続き公団住宅の役割を果たしていくべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

石井国務大臣 我が国は、高度成長を経験する中で、都市圏への急速な人口流入と住宅不足に直面をいたしました。URの前身であります日本住宅公団は、これに対応いたしまして、中堅勤労者向けの共同住宅の大量供給を行う役割を担うとともに、住宅団地という形で、地域のまちづくりにも貢献をしてまいりました。

 現在、少子高齢化が進展する中で、URの賃貸住宅は、これまで以上に、高齢者や子育て世帯など民間市場では制約を受けがちな弱い立場の方の受皿といたしまして、住宅セーフティーネットの役割を果たすことが求められております。また、UR団地におきましても、賃貸住宅ストックの老朽化や居住者の高齢化が進行するなどの課題を抱えております。

 これを踏まえまして、UR団地におきましては、子供や若者、高齢者などの多様な世代が暮らしやすいコミュニティーを実現していくことが重要と考えております。

 また、まちづくりの観点からも、UR団地への医療福祉施設や子育て施設の誘致などによりまして、地域の医療福祉拠点化を進めております。住生活基本計画に掲げられた平成三十七年度までに百五十団地程度の地域医療福祉拠点化を図る目標の達成に向け、着実に推進をしております。

 今後とも、UR賃貸住宅が公共賃貸住宅の役割を踏まえ、社会の要請に応えられるよう取り組んでまいりたいと考えております。

伊藤(俊)分科員 四十年がたって、高齢者の多くの皆さんや、また時代を支えてきた方々だと思います。本当にこの公団住宅の役割を考える上で、これまで住んでこられた方々の大切なセーフティーネットとしてはもちろんのことですが、これからの公団住宅の多様な役割についても幾つかまた確認をさせていただきたいとも思います。

 通告していないんですが、今、日本の住宅の建てかえの平均年数がどのくらいか、もしわかればお聞きしたいと思いますが。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 手元に資料を持っておりませんが、戸建て住宅を含めて、いわゆる今壊されている住宅が何年前に建ったものかというものにつきましては、大体三十年ぐらいということであります。

 ただし、これは戸建て住宅もそれから共同住宅も含めての話でございますので、それぞれによって全く違うということだというふうに考えております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 大体三十年、二十七年から二十八年というふうに私も考えておりますけれども、この公団住宅も四十年が過ぎて、建てかえの時期に差しかかっているのではないか、そのようにも思います。住宅は、子育ての大切な教育の現場でもありますし、人生の最も大切な家族との時間を過ごす福祉の場でもあります。日本の国力を世界のトップクラスまで押し上げてこられた大切な人生の大半を公団で過ごして、そこで生まれて、子供たちのかけがえのないふるさとにもなっております。

 政府が経営する公団に住み、公団に育ったことを誇りに持てるような、そんな団地であってほしいと思いますが、今、URの経営状況も、現在約十四兆ほど赤字になっている、まだ抱えているという状況だと思います。

 今後の建てかえを含めた取組について、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 UR団地は、先ほど大臣からも御答弁させていただきましたとおり、高度成長期以降、都市に流入する人口の受皿の役割を果たしてきましたが、その結果、現在、UR団地は、賃貸住宅ストックの老朽化や居住者の高齢化が進行するといった課題を抱えております。

 このような課題に対しまして、老朽化した賃貸住宅の建てかえ等を進めながら、子供や高齢者などの多様な世代が暮らしやすいコミュニティーを実現するための団地再生に取り組んでいるところであります。

 具体的には、多様な住戸規模、タイプによる住宅の整備、高齢者等に配慮した住宅のバリアフリー化や子育て世帯の居住スタイルに対応した住宅改修、民間活力を活用したUR団地への医療福祉施設や子育て施設の誘致、それから若年、子育て世帯等への入居支援制度などを行っているところであります。

 今後とも、多様な世代が安心して住み続けられる環境を整備していくため、UR団地の再生に取り組んでまいりたいと考えております。

伊藤(俊)分科員 ぜひ、建てかえとともに、また新たな公団の役割、そしてまちづくりのビジョンを計画していただいて、また、建てかえの際には、きょうは、時間の都合上、質問はまた後日にと思いますが、今はもう脱原発時代に入っておりますので、環境問題も考えながら、太陽光や再エネ、省エネ、自家発電など、積極的な活用も検討していただいて、新たな公団住宅の役割を担っていただきたいと思っております。

 そして、今、団地は、経営状況、約十四兆円のまだ赤字を抱えている公団のこれからの経営もそうですけれども、一つは、空室の状態を解消していく、少しでも収入をふやしていく、こういうことが大事な観点かと思いますけれども、多摩ニュータウンが四十年を過ぎて、今空室が、私も実感としてあるんですけれども、多くなっているという現状、その実態はどうなっているか、お聞きさせていただきたいと思います。

伊藤参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度末時点、当機構が管理をしております賃貸住宅のうち、入居いただくお客様を募集中の状況にあります空き家住宅は四・六%、戸数にしますと約三万四千戸でございます。

 これは、一年前の平成二十七年度末時点で申し上げますと、率にして五・四%、戸数にして四万戸でございますので、平成二十八年度にはこれを減少させることができたところでございます。

 以上です。

伊藤(俊)分科員 私も地域を歩かせていただきながら、特に多摩ニュータウンや地元を歩かせていただいていますが、URの空室のところにはポストに鍵がかけられていて、かなり多く鍵がかけられているような印象を持っております。

 例えば、地元でいうと、鶴川団地においては、千六百八十二戸世帯のうち四百三十四戸が空室と、二六%が空室になっている。そして、同じく町田市の藤の台団地では、二千二百二十七戸中五百六十戸、約二五%が空室。山崎団地も、三千三百のうち六百五十が空室、二〇%。多摩ニュータウンでいえば、貝取団地は、四百五十二戸のうち百三、二三%の空室。あと、永山団地は、三千九のうち五百二十三ですから一七・四%。いずれも二、三割空室になっているような私は実感があります。

 そのことで団地の商店街のシャッター通りの要因になっているのではないか、その一因になっているのではないかとも思いますけれども、民間の経営感覚でいえば、二、三割を空室にしておくことが本当にいいのかという観点も含めて、そして、どのように公団がこの空室対策に取り組んでいただいているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

伊藤参考人 お答えいたします。

 恐らく、御指摘の団地の多くは、耐震改修でございますとか団地再生事業の実施を控えておりますとか、そういった個別の事情がございまして意識的に募集を行っていない団地を含んでの数字かと認識をしておりまして、そうはいいましても、非常に空き家が多い状況は、お住まいの皆様に御不安、御心配をおかけすることと思いますので、極力空室が少なくなるようには努めてまいりたいと思っております。

 需要の面でも、どうしても、最寄り駅からバス便の団地、しかも大規模な団地等ではやはり需要圧が弱くなっておるところも認識をしておるところでございます。

 そのような住宅につきましては、先ほど国交省からも御答弁ございましたけれども、若年世帯の方々あるいは子育て世帯の方々の入居を促進できるようなさまざまな商品企画を設けるとか、あるいは間取りの改善、設備水準の向上等を図る、さまざまな対策を打ちまして、空き家の解消には引き続き努めてまいりたいと思っております。

伊藤(俊)分科員 個別の事情があることは十分承知をしております。耐震改修を含めて、例えば、先ほど空室で言った鶴川団地あるいは永山団地などは、改修あるいは建てかえというために一時的に入居者を抑えて、空室が多くなっているということも認識をしておりますけれども、例えば、山崎団地、藤の台団地、貝取団地、それぞれ本当にそういう状況で何かとめているのかということも、ちょっと私は承知していなかったものですから、もし現状がわかれば。通告していないのですけれども。

 あともう一点。鶴川団地一つとっても、過去に同じような質問をされている委員もいらっしゃったと思いますが、建てかえの関係で入居者をとめている、しかしながら、その年数が例えば七年とか八年とかかなり長期にわたって入居者を抑えているというこういう現状もあれば、私は、民間であれば、やはり半年、一年の間に決断をして、建てかえをするのか、あるいは修繕をするのかとかという決断をするかと思うんですが、かなり年数的に長くかけられて入居者をとめられているのではないかなという印象もあります。

 商店街の皆さんの意見を聞いても、やはり、お客さんがかなり減っていく。それはそれだけの理由ではないかもしれませんけれども、少なくとも、入居者をとめて、三割あるいは四割近く、そこの近隣だけでもとめられているということに関しては商店への影響があるということだと私は認識しておりますけれども、もし何かあればお願いします。

伊藤参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、必ずしも事業上の要請のみならず、需要が弱まっていることによって空き家がふえている団地もあろうと認識しています。御指摘の藤の台団地もその一つであろうというふうに思っております。

 それから、鶴川団地の件につきましても御指摘をいただきました。鶴川団地の一部の住棟におきまして建物の耐震性確保が必要だったという事情から、お客様の募集をとめた上で、調査、試験施工を実施しながら、この間検討を進めてまいりました。

 ただ、いかんせん、時間がかかり過ぎだという御指摘はそのとおりだと認識をしておりまして、反省をしております。検討の過程におきまして、お住まいの方々あるいは商店街の方々への影響等をかなり緻密に精査をしまして、最善の方法を検討しておりましたが、結果的に長時間を要し過ぎたということを謙虚に受けとめたいと思っております。

 なお、検討の結果、改修を断念した上で、平成二十六年度からは建てかえに向けた検討を始めました。平成二十九年度に入り、その方針が固まりましたので、先生御案内かと思いますけれども、自治会の皆様あるいは店舗会の皆様にお伝えをして、建てかえに向けたお話合いをしておりますところでございます。

 引き続き、自治会の方々、店舗会の皆様と丁寧な話合いを行い、理解を得ながら進めてまいりたいと思っております。

 以上です。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 鶴川団地の建てかえの問題は、これもまちづくりとして、また別の機会に質問させていただきたいと思いますが、空室対策でいろいろ取組をされてきたことも承知をしております。

 例えば、子育て世代の皆さんにはママ割とか、あるいはU35割、三十五歳以下の方に家賃の優遇をしたりとか、あるいは学校法人や専門学校などに三年間一〇%の家賃を割引する制度などなどもあることも承知をしております。

 一つお聞きしたいんですが、日本語学校、要は外国人の留学生なども対象になっているかどうか、お聞きしたいんですけれども。

伊藤参考人 お答えいたします。

 年齢要件で定期借家を使って割引をいたしますU35割は、当然学生の方も対象でございます。

 それから、留学生の方あるいは日本人学生の方を問わず、大学等が法人として機構と賃貸借契約を結んでいただくことによりまして学生の方々が御入居いただく、こういう制度も用意してございます。

伊藤(俊)分科員 そうすると、日本語学校もその対象になっているということでよろしいでしょうか。

伊藤参考人 そのとおりでございます。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 これは通告していないのであれですけれども、もしできたら大臣にも御所見をお聞きしたいと思っております。

 私も、学生時代やあるいは社会人になってからも、アメリカや中国の北京大学に留学をしたり、海外で生活した、そんな経験もあります。海外に行って一番まず大変なのは、住むところ、住宅なんです。

 その上で、日本は留学生の受入れなども余り積極的に国家戦略としてできていないのではないかという私の実感があります。例えば、他国で、中国なんかも教材や人材など無償で提供している、中国語の普及に国家戦略で取り組まれていると思います。日本語を学びたいという留学生は日本にとっては宝だと思います。そしてまた、そういう方々が、日本で働く環境ももちろんですけれども、自国に帰られた後に日本との友好的な関係が築ける、そういう方々になっていっていただくような、私たちの国を挙げて、国家戦略としてこういうことも取り組まなきゃいけないと思っております。

 これは、国土交通大臣も政府の重要なお一方だと思います。URの空室対策の一つとして、外国人の留学生に対して思い切った割引制度などを検討してはいかがかと。これはUR側の負担ということだけではなくて、国が財源的にも支えるような、そんな制度設計の中で、これは単純な住宅政策だけではなくて国家戦略として、もし御所見があれば、お聞きをさせていただきたいと思っております。

石井国務大臣 留学生の政策自体は文科省の所管でありますので、私、コメントは控えたいと思いますが、留学生を始めとする外国人については、賃貸住宅への入居に当たり、言語や生活習慣の違いなどの問題があり、その入居の円滑化を図る必要があると考えております。

 また、民間賃貸住宅への円滑な入居や、入居中のトラブル防止等に向けまして、賃貸借契約に当たっての配慮事項や賃貸住宅標準契約書の外国語訳、入居中の生活ルールなどの注意点を取りまとめました外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドラインを作成をいたしまして、不動産業者に対する普及啓発に努めているところであります。

 また、昨年十月に施行されました新たな住宅セーフティーネット制度におきましては、外国人を住宅確保要配慮者として位置づけまして、その入居を拒まない賃貸住宅の登録や情報提供等を行うこととしておりまして、この際、居住支援協議会が外国人の居住支援を行っている例もございます。

 国土交通省におきましては、引き続き、こういった取組によりまして外国人の居住の安定の確保を図ってまいりたいと考えております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 国家戦略として、ぜひ外国人の留学生の方々を積極的に受入れをしていただいて、日本とまた自国に帰られた後も友好的な関係が築けるような一つの戦略として対応していただきたいと思います。

 そして、これもまた国土交通委員会で質問させていただきたいと思いますが、出国税等々の財源の使い道の一つとしても検討してはどうか。これは質問はまた後日にしたいと思いますが、そういったことも御検討いただきたいと思います。

 引き続き、住まれている公団住宅の家賃のことについてお聞きをさせていただきたいと思います。

 東京多摩公団住宅自治会協議会の二〇一七年九月に実施された住まいアンケートの結果を見ると、これは三十団地一万五千九百八十二戸の調査に基づいてですが、公団住宅にこれからも住み続けたいという方々が八二%、そして家賃負担が重いと答えた方が同じく八二%。その内訳を見ても、年金受給世帯が約七割、うち年金受給のみの方々が五割近いという結果があります。年収でいっても、二百四十二万円未満の世帯が四三%、二百万円未満が三〇%を占める、こういう背景の中で、多くの方々がこの家賃負担に関して不安を抱えている現状だと思います。

 今、機構は近傍同種家賃と開差をなくすという考え方のようですけれども、近傍同種家賃とはどんなイメージなのか。つまり、民間の同じような同種の建物と比べて同額に近づけるという認識でよろしいでしょうか。

伊藤参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございまして、近隣の民間の物件、できるだけ同一性の高いものをサンプルとして採用いたしました。ただ、それでもいろいろ条件の異なるところがございますので、それは鑑定機関、専門機関として一定の補正をしていただきまして、当該家賃として妥当な水準を算定しておるということでございます。

 以上です。

伊藤(俊)分科員 私も民間で会社を経営してまいりましたので、民間の感覚から申し上げれば、民間の賃貸のさまざまな建物、住宅も、四十年以上たてば徐々に家賃が下がっていく、価値が下がっていくというのが現実的だろうと思っております。

 もっと言えば、四十年以上たった建物も、家賃がむしろ上がっていくということになれば空室がふえるということにもつながるんではないか。そんな中で、今後少なくとも家賃は上げるべきではないというふうに思いますし、空室対策は公団さんもいろいろとやっていただいていることと思いますけれども、家賃を下げられてしっかりと入居されている団地もあるとお聞きをしています。

 例えば府中団地や新川団地などがその例だと認識しておりますけれども、むしろ家賃を多少下げても空室を埋めるということの方がプラスになると思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

伊藤参考人 お答えいたします。

 少々古い話になりまして恐縮でございますけれども、UR賃貸住宅の家賃につきましては、平成十一年に、先ほどお話のありました、近傍同種の民間賃貸住宅並みの家賃の水準とするということが法定されました。

 住宅によりましては、それまで、原価家賃という、建設に要した費用を回収するという考え方の家賃で持っておりましたので、市場家賃化を図った際に、実は大きな乖離が生じたことがございました。

 その乖離を解消いたしますために、家賃の引上げを平成十二年から順次行っております。その実施に際しては、居住の安定確保のために、一度にではなく段階的に引上げを行ってまいりました。

 また、低所得、高齢者世帯の方々に対しましては、家賃引上げ後も原則として支払い額を据置きにさせていただけるような特別措置を講じておりまして、居住者の方々の居住の安定確保には努めておるところでございます。

 そんな中、経年で古くなっている住宅に、しかしながら、もとのギャップの追いつきがまだだという理由で家賃改定が引き続き今年度も行われておること、お客様の心情からすると、少し御理解をいただきにくい面もあるかと思います。そこは、よく丁寧な御説明、あるいは、御指摘にありました、修繕等で手落ちがないように気をつけながら丁寧な管理ということをしてまいりたいと思います。

 それから、家賃を下げても収入の確保の方が大事だろうという御指摘も、これもそのとおりだと思っております。

 御指摘のありました団地につきましては、家賃の引下げだけではございませんで、たまたまその時期に外壁の修繕が行われましたとか、あるいは設備水準の向上もしました。先ほど申し上げたような、定期借家の導入等の商品企画を含めた営業対策をしました。いろいろな要因があって空き家が顕著に減ったというふうに思っておりますけれども、引き続き、家賃の見直しにつきましても、近傍同種家賃と均衡を失しない範囲で適切に運用してまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

伊藤(俊)分科員 先ほどの自治協さんのアンケートの中には私たち地元の藤の台団地のアンケートも含まれておりまして、多くの切実な、やはり家賃等々の御意見があります。

 一つだけ御紹介をすれば、四十年以上住み、配偶者が亡くなって、今は家賃の支払いが厳しくなったとき、URの皆さんにおいては、都営団地とか、転居を勧められる。しかし、なかなか都営には入れず、不安な毎日を過ごしていると。

 そしてまた、高齢者になってから転居した場合の環境への変化などなども、不安でたくさん寄せられています。

 これから多くの方が年金だけの生活者の中で、家賃の不安を抱えてこられることと思いますけれども、家賃の減免を定めた、これもいろいろな委員から質問がありますけれども、機構法二十五条四項の適用をされていないケースにおいて、適用範囲も、今後時代とともに考えるべきではないか。公団のセーフティーネットの役割を考えれば、多少この考え方は、範囲をもう少し拡大をしていくべきではないかと思いますけれども、御意見をいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 UR賃貸住宅については、住宅セーフティーネットの確保に重要な役割を担っているものと認識しております。

 都市再生機構法第二十五条第一項では、御指摘のとおり、UR賃貸住宅の家賃は近傍同種の住宅の家賃を基準として定めるというふうにされておりますけれども、この原則に対しまして、同条第四項では、居住者が高齢者、障害者等で通常の家賃を支払うことが困難であると認められる場合等に家賃を減免することができることとされております。

 これに基づきまして、UR賃貸住宅におきましては、低所得の高齢者世帯等の居住の安定を図る観点から、高齢者向け優良賃貸住宅に居住する住宅への家賃減額措置や、建てかえ時や家賃改定時における家賃減額措置などを講じてきているところでございます。

 今後とも、UR賃貸住宅が住宅セーフティーネットの役割を果たせるよう、法第二十五条第四項の趣旨にのっとり、適切な家賃減額措置を図ってまいりたいというふうに考えております。

伊藤(俊)分科員 ぜひ、機構法の二十五条四項、適用されていないケースの方々もまだまだ多くいらっしゃると思いますし、あるいは、現実的に家賃の負担で、当初は払えていたけれども、収入の激減だったり、あるいは高齢者になって支払いができないという方々もこれから多く出てくる世代もいらっしゃると思いますので、改めて、この機構法の二十五条四項の適用のケースにおいて十分に考慮していただきたい、検討していただきたいと思っております。

 そして、きょうは、団地のバリアフリーの関係あるいは商店街等々の取組についてもお聞きをしたいと思っておりますけれども、時間が限られておりますので、一つだけ質問させていただきたいと思います。

 今、団地の五階の、エレベーター等もついていないところもまだまだ多いと思いますけれども、お年寄りや女性に優しい政治をとよく言われますけれども、国が運営をする公団は、ほとんどノーバリアフリーになっている。重い買物を下げてお年寄りの方が四階、五階に毎日上りおりされている、私もよく見ますけれども、若いお母さん方も、これは高齢者の方だけではなくて、左手にベビーカーを持って買物をして、子供を抱えて三階、四階、五階に上がっていく。これは、お年寄りや女性に優しい政策とは私はなかなか言えないのではないかと思っております。

 都営団地などは、おかげさまで、ほとんど建てかえが始まり、エレベーターつきになってきていると思いますけれども、国の取組においてはおくれているのではないかと私は思っております。エレベーターがあるのが当たり前の時代になってきた中で、空室を埋める、そんなことの考慮を考えても必要と考えますが、その上で、これは家賃が上がるとなると、なかなか合意に至らないケースが多くある。

 これは、時代とともに国の住宅の政策で建てられて経営をされてきたものに対して、時代とともにエレベーターが必要だ、こういう観点の中で、できる限り、エレベーターを設置をしても、四十年たった団地の家賃を上げずにできる、そんな御検討をいただきたいと思っております。御所見があれば。

竹内主査 時間が終了しておりますので、伊藤理事におかれましては、簡潔にお答え願えますか。

伊藤参考人 お答えいたします。

 エレベーターの設置につきましては、平成二十八年度末時点、UR賃貸住宅ストックの約五五%の設置率ということでございます。

 御案内のとおり、中層の五階建てのいわゆる階段室型といいますタイプの住宅には、効率が悪いということもありまして、なかなか設置が進んでいないという状況でございます。引き続き、努力して設置に努めてまいりたいと思っております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございました。

竹内主査 これにて伊藤俊輔君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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