衆議院

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第1号 平成31年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成三十一年二月二十二日(金曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      今村 雅弘君    竹本 直一君

      盛山 正仁君    本多 平直君

      西岡 秀子君    伊藤  渉君

二月二十六日

 伊藤渉君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十一年二月二十七日(水曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 伊藤  渉君

      泉田 裕彦君    今枝宗一郎君

      今村 雅弘君    加藤 鮎子君

      神山 佐市君    小寺 裕雄君

      田所 嘉徳君    竹本 直一君

      宮崎 政久君    盛山 正仁君

      伊藤 俊輔君    亀井亜紀子君

      本多 平直君    松平 浩一君

      青山 大人君    城井  崇君

      西岡 秀子君

   兼務 秋本 真利君 兼務 石川 香織君

   兼務 松田  功君 兼務 稲津  久君

   兼務 佐藤 英道君 兼務 中野 洋昌君

   兼務 穀田 恵二君 兼務 足立 康史君

   兼務 松原  仁君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   文部科学副大臣      永岡 桂子君

   農林水産副大臣      高鳥 修一君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   国土交通副大臣      塚田 一郎君

   内閣府大臣政務官     舞立 昇治君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   外務大臣政務官      鈴木 憲和君

   外務大臣政務官      山田 賢司君

   財務大臣政務官     渡辺美知太郎君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   国土交通大臣政務官    阿達 雅志君

   防衛大臣政務官      山田  宏君

   会計検査院事務総局第三局長            森   裕君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  二宮 清治君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室審議官)        石川 卓弥君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小平  卓君

   政府参考人

   (宮内庁管理部長)    坪田 眞明君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高田 陽介君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    露木 康浩君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 多田健一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 沖部  望君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   阪田  渉君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           松本 貴久君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  織田  央君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  神谷  崇君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  保科 正樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            麦島 健志君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        塚原 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  下司 弘之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     秡川 直也君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   政府参考人

   (気象庁地球環境・海洋部長)           田中 省吾君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    岩並 秀一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 松澤  裕君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         里見  晋君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     田所 嘉徳君

  竹本 直一君     小寺 裕雄君

  本多 平直君     亀井亜紀子君

  西岡 秀子君     関 健一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     神山 佐市君

  田所 嘉徳君     今枝宗一郎君

  亀井亜紀子君     伊藤 俊輔君

  関 健一郎君     岡本 充功君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     宮崎 政久君

  神山 佐市君     加藤 鮎子君

  伊藤 俊輔君     松平 浩一君

  岡本 充功君     日吉 雄太君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     泉田 裕彦君

  宮崎 政久君     今村 雅弘君

  松平 浩一君     本多 平直君

  日吉 雄太君     城井  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     竹本 直一君

  城井  崇君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 大人君     西岡 秀子君

同日

 第一分科員石川香織君、佐藤英道君、中野洋昌君、松原仁君、第二分科員松田功君、第四分科員秋本真利君、稲津久君、第六分科員穀田恵二君及び第七分科員足立康史君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

伊藤主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めます伊藤渉でございます。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算及び平成三十一年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。石井国土交通大臣。

石井国務大臣 国土交通省関係の平成三十一年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 一般会計予算の国費総額につきましては、六兆八千六百九億円です。

 また、復興庁の東日本大震災復興特別会計に一括計上されている国土交通省の関係予算は、東日本大震災からの復旧復興対策に係る経費四千六百三十二億円です。このほか、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 また、財政投融資計画につきましては、当省関係の独立行政法人等分として、二兆三千七百四十五億円を予定しております。

 次に、国土交通省関係の平成三十一年度予算の基本的な考え方を御説明申し上げます。

 気候変動の影響によりさらなる頻発・激甚化が懸念される気象災害や切迫する巨大地震等から国民の生命と財産を守ることは最重要の使命です。

 また、少子高齢化の制約を克服し、経済の好循環を拡大するとともに、アベノミクスの成果を全国津々浦々まで一層浸透させ、地域においても成長と好循環を実感できるようにする必要があります。

 こうした認識のもと、平成三十一年度予算におきましては、被災地の復旧復興、国民の安全、安心の確保、力強く持続的な経済成長の実現及び豊かな暮らしの礎となる地域づくりの四分野に重点化しつつ、臨時特別の措置も活用しながら、施策効果の早期発現を図ってまいります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元の印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

伊藤主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま石井国土交通大臣から申出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小寺裕雄さん。

小寺分科員 おはようございます。予算委員会第八分科会のトップバッターを務めさせていただきます滋賀第四選挙区の小寺裕雄でございます。

 それでは早速、通告に従いまして、主に私の地元の道路に関する諸課題につきまして質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 昨年の七月二十二日、私の地元の甲賀市において、名神名阪連絡道路の整備促進のためのシンポジウムが開催をされました。

 このシンポジウムには、二階俊博自由民主党幹事長を始め、滋賀県と三重県選出の国会議員、両県知事、県議会議員、沿線自治体の市町議会議員、国土交通省の職員、そして、全日本トラック協会坂本会長を始めとする関係団体の皆さんなどが来賓として出席をされ、一般参加の市民の皆さんを合わせると総勢約七百五十人も集まり、大盛況に終わりました。

 国土交通省からは、当時近畿地方整備局長であった現在の池田道路局長にも御来賓として出席をいただき、力強い応援の祝辞をいただいたところであります。本日こうして答弁者として来ていただいておりますので、何か非常に不思議な気がしております。

 そもそもこの名神名阪連絡道路は、かつて、旧甲賀町を境にびわこ空港自動車道と伊賀甲賀連絡道路として計画路線に指定されていたものが、二〇〇〇年十二月二十日に、統合の上、路線名が変更されたものであります。私の住んでおります東近江市の名神高速道路蒲生スマートインターチェンジから新名神高速道路甲賀土山インターチェンジを経て、名阪国道上柘植インターチェンジを南北に結ぶ約三十キロが今日まで調査区間に指定をされています。

 シンポジウムでは、滋賀県トラック協会の田中享会長から、名神名阪連絡道路で物流が変わるというテーマで事例を発表いただきました。

 その中で、昭和四十五年と平成二十九年を比較すると、車の数は五倍にふえたが死亡者数は五分の一に減っている、よい道路ができたことで運送事故が減った、交通安全の向上のためにもよい道路が必要である、運送業界にとって現在の長時間労働は深刻な問題であり、労働環境改善と生産性の向上の観点からも交通渋滞をなくさなければならない、滋賀県の東部には四百社の運送会社があり、日常的に大阪、奈良、和歌山に向かうには名阪、京奈和道を利用をするが、名阪に至る道路が生活道路と混在しており危険きわまりない、国道沿いには工業団地が点在をしているがアクセスが悪い、名神名阪連絡道路で道路アクセスがよくなれば沿線開発は更に進む、伊賀地域には観光資源がたくさんあるが、道路が整備をされておらず、近くて遠いところとなっている、名神名阪連絡道路で観光振興が図れる、七月豪雨などで多くの高速道路が通行どめとなった、滋賀県の主な道路は大津市の瀬田川近辺に集中をしており、いざというときは東西の交通が遮断をされてしまい大変危険である、リダンダンシーの観点から、災害時の代替道路として名神名阪連絡道路を整備してもらいたいなどというような意見を述べられました。

 その後に有識者を交えパネルディスカッションが行われ、閉会となりましたが、今回のシンポジウムは過去にない大変な盛り上がりを見せたことは先ほど申し上げました。

 今回の盛り上がりの最大の理由は、私自身は、重要物流道路という制度ができたからであるというふうに認識をしています。田中会長の事例発表の中でも、重要物流道路という言葉が幾度となく出てまいりました。

 そこで、まず重要物流道路制度についてお尋ねをいたします。

 この制度は、道路法の一部を改正し、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網を重要物流道路として指定をされるというふうに承知をしておりますが、重要物流道路の定義はどういうもので、そもそもどうしてこの制度が創設をされることになったのか、その背景と理由についてお尋ねをいたします。

池田政府参考人 物流需要が増加する一方でドライバー不足が進行する状況下におきまして、道路政策において、車両の大型化への対応など、物流の生産性を高めるための取組を強化する必要がございます。

 また、災害発生時における救助救援活動の支援や緊急支援物資などの安定的な輸送を速やかに確保するために、緊急輸送道路などの整備を進めていくことが重要と考えております。

 こういった背景や理由によりまして、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するために、昨年三月に道路法を改正いたしまして、重要物流道路の指定により、災害時の国の支援強化などを図る制度を創設したところでございます。

小寺分科員 ありがとうございます。

 平時と緊急時をしっかりと踏まえながら、そうした効率的な物流の創設をしていかなければならないというお話でございました。

 全国には大小さまざまな多くの道路があるわけですが、では、どのような道路が重要物流道路に指定をされるのでしょうか、お尋ねをいたします。

池田政府参考人 重要物流道路につきましては、主要な都市や空港、港湾などの物流における重要な拠点間を結ぶ基幹的な道路を指定することとしております。

 まずは、今年度末を目途に供用中の道路については指定を行う予定でございますけれども、計画中の道路の指定につきましては、来年度検討していく予定でございます。

 また、計画中の道路を含めた重要物流道路の指定に際しましては、地域や有識者などの御意見、沿道の利用状況などを踏まえながら検討を進めてまいります。

小寺分科員 ありがとうございます。

 最後にお尋ねするわけですけれども、名神名阪連絡道路の場合は、計画的な、そちらの方に入るわけでありまして、非常に期待が高まっているわけであります。

 一方で、同じく昨年の五月には、国土交通省道路局から、重要物流道路制度を契機とした新たな広域道路交通計画が発表されております。

 この計画によりますと、これまでの広域道路整備計画を確認しながら、これからの新たな広域道路整備の基本方針計画を都道府県や地方整備局のブロック単位で策定されるとのことでありますが、重要物流道路はこの中でどのように位置づけられることになっているのでしょうか。

池田政府参考人 現在、各都道府県や地方整備局のブロック単位におきまして、現在の高規格幹線道路や地域高規格道路のネットワーク、これを強化するための新たな広域道路交通計画の策定を進めております。重要物流道路につきましては、このブロック単位の広域道路交通計画で位置づけた路線の中から指定をする予定としております。

 引き続き、国と都道府県などが十分に連携しながら、広域道路交通計画の策定を進めてまいりたいと考えております。

小寺分科員 ありがとうございました。

 そういう意味で、実は本県でも、本県と申しますか、私の地元の滋賀県では、この計画について、この名神名阪連絡道路を位置づけてこれからもやっていこうということになっているわけであります。幾度となく国交省の方へ長年陳情に伺っておりますけれども、重要物流道路制度におきましては、特に、この名神名阪連絡道路を指定していただくということがまず整備の大前提になっているというふうに理解をしております。

 その上で、ぜひこれは私の方からお願いしたいのは、滋賀県は長年にわたってこの道路を整備をしようとしてきた。そして、わずかなところでありますけれども、三重県の伊賀地方と、実はこの道路は新名神高速道路といわゆる名阪国道をつなげる部分で、全く道路事情が非常に悪いところをつないでいかなければならない。そのあたりを実は連携してどうやっていくのかということが大変な大きな課題となっております。

 都道府県単位で計画をつくりながら、なおかつ広域的に連携していかなければならないというところにハードルの高さが一つあるのかなといったことは承知しております。

 重々、とりわけ滋賀県だけが熱くなって走るのではなく、三重県の方々と一緒になってということはよく御指導をいただいているところでありますけれども、引き続き三重県と滋賀県も連携をしながら計画をつくっていかなければならないというふうに承知しておりますので、そのあたり、私の方からもまた両県にもお伝えをさせていただきたいと思いますし、何より、今計画が、たしか私の理解では、都道府県単位でつくる、これを地方整備局単位で持ち寄って、広域的にそのあたりでどういうふうにネットワークをしていくのか、その中で重要物流道路をどうしていくのかといったことの道筋であるというふうに承知をしておりますので、ぜひそのあたりのことも今後しっかりと御対応いただければというふうに思います。

 先ほど少し、来年度以降にというふうなお話をいただきましたけれども、重要物流道路の指定は、まず今年度中に既存道路の方で指定をいただいた後に、新年度になってから新設を含んだ次の指定があるというふうに伺っておりますけれども、改めて、今後のスケジュールについてどのようになっているのか、お尋ねをさせていただきます。

池田政府参考人 重要物流道路につきましては、まず、今年度末を目途に、供用中の道路について指定を行う予定としております。計画中の道路につきましては、先ほど御答弁させていただきました各地域で策定を進めております広域道路交通計画、これを踏まえまして、来年度の指定を検討をしてまいりたいと考えております。

小寺分科員 もう重々、冒頭から名神名阪連絡道路と重要物流道路制度ということで質問をさせていただいておりましたので、明らかなことでありますけれども、かつてこの名神名阪連絡道路は、先ほど申し上げましたように、びわこ空港へのアクセス道路ということで計画したものが、二〇〇〇年に形を変えて現在に至っているわけですけれども、着工の運びは見せておりません。

 私が理解しているには、実は、両県も、それから各市町も御要望にそれぞれ上がっているわけでありますけれども、実態というか、ここまで来れば、まず滋賀県がいわゆる調査費を独自にしっかりつけさせていただいて、そうした予備調査みたいなことをいよいよしなければならない時期ではないかなというふうに認識をしておりますし、それをした上で、じゃ、実際これは誰が事業主体になってやるんだということになってくるのかなというふうに思います。

 そうした上で、冒頭お話をさせていただきましたように、私の地元の東近江市から甲賀市にかけて、この名神名阪連絡道路が地域高規格道路として計画をされているわけでありますけれども、この名神名阪連絡道路を、今し方ずっとお話あるいは御質問させていただいた重要物流道路に指定をいただきますと、我々の夢が実現につながってくるのではないかなという期待をしているところであります。

 そこで、ぜひこの名神名阪連絡道路を重要物流道路に御指定をいただいて、一日でも早く整備を進めていきたいというふうに考えているわけでありますけれども、国土交通省としてはいかがお考えでありますでしょうか。お尋ねをしたいと思います。

池田政府参考人 名神名阪連絡道路は、甲賀地域と伊賀地域を結びまして、名神高速道路、新名神高速道路及び名阪国道、この三路線を連絡する道路の計画でございます。したがいまして、これらの三つの規格の高い道路が相互に結ばれることから、災害時のネットワークの代替機能の向上には大きく寄与する道路であると認識をしております。

 さらに、この道路計画の沿線の地域は、近年、企業立地が大きく進展をしておりまして、生活道路を含む一般道路に大型貨物車が混在するなどの交通の課題がございます。また、物流効率化の観点からも極めて重要な道路であるというふうに認識をしております。

 重要物流道路の指定につきましては、名神名阪連絡道路などの計画中の道路は来年度に検討をしていく予定としております。

 また、名神名阪連絡道路の整備に関しましては、現在、滋賀県と三重県が連携して、地域の課題や交通の課題についての調査を進めております。

 引き続き、国としても必要な支援を実施してまいりたいと考えております。

小寺分科員 ありがとうございます。

 私からすれば、期待以上の前向きな御答弁をいただいたのかなというふうに理解をさせていただきました。

 今の質問に入らせていただく前に少し話がぐちゃぐちゃっとしてしまったんですけれども、先ほど申し上げましたように、費用対効果を見定めながら、誰が、具体的にどこを通って、そして、どういう形の道路をつくりながら、そのいわゆる原資をどういう形で捻出をしていくのかといったことを、具体的にそろそろ滋賀県も三重県も考えていかなければならない時期に私自身は来ているのではないかなというふうに思います。

 きょう、今し方局長からいただいた御答弁をしっかり私、滋賀県の方にも伝えさせていただいて、滋賀県自身も先頭に立って汗を流して、この道路の整備の実現に向けて取り組んでいただけるように、私からもしっかりと伝えさせていただければと思いますので、今後ともさまざまな観点でアドバイスをいただいて、一日も早く、この計画になってからもう既に二十年、それ以前からいたしますと二十数年かけて、空港自体が実は整備ができないことになってしまったがためにこういう形になったというふうに理解をしているわけですけれども、その当時と比較しても、今局長からいただいたように、この沿線の開発というのは非常に進んでおりまして、これからもポテンシャル高く、地方創生にもつながる重要な道路であるというふうに位置づけておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 それでは、更に小さな、細かな質問になって恐縮なんですが、実は、私の地元中の地元の東近江市には国道八号が南北に走っておりまして、町を分断しております。と申しますのも、一桁国道であるにもかかわらず、道路は片側一車線しかなく、他県から来られた方々などは、これが本当に国道八号ですかとびっくりしておられるような状況であります。

 朝夕の混雑は相当なもので、特に、市内を東西に移動するためには国道八号を必ず横断しなければならず、市道や県道からの信号待ちは、近隣の住民や通勤する人たちにとって大変なストレスとなっています。

 その中でも最も混雑が激しい東近江市の五個荘簗瀬交差点は、かつて太田国土交通大臣も現地視察までしていただいたところでもあります。道路拡幅などの抜本的な改良工事がすぐには見通せない中におきましては、一日も早い交差点改良が求められているところであります。

 そこで、現在の進捗状況と今後の見通しについてお尋ねをいたします。

池田政府参考人 滋賀県東近江地域の国道八号は二車線の道路でありまして、交通渋滞が慢性的に発生をしております。特に、簗瀬交差点及び西横関交差点は、右折レーンの延長不足による渋滞が原因の追突事故が多発しているなど、多くの交通の課題があると認識をしております。

 このため、簗瀬交差点につきましては平成二十九年度、西横関交差点につきましては平成三十年度に、右折レーンを延伸する交差点の改良事業を事業化したところでございます。

 いずれの事業も、現在、現地測量や関係機関との協議を実施をしております。

 引き続き、地元の皆様の御理解と御協力を得ながら、早期の完成に向けて事業を進めてまいりたいと考えております。

小寺分科員 ありがとうございます。本当に一日も早い整備が待たれておりますので、引き続きよろしくお願いします。

 また、今局長の方から言っていただきました西横関交差点も、実は、近くに三井アウトレットパークというのができて以来、大混雑を起こしておりまして、土日などは本当に数キロにわたるぐらいの混雑であります。また、沿線には、今ちょうど県で竜王工業団地を開発して、どんどんまた新たな誘致が進んでおりますので、更に輸送が混雑することが予想されておりますので、一日も早い整備をお願いするところであります。

 もう一点。次に、国道四百二十一号の整備についてお伺いします。

 この道路は三重県のいなべ市と滋賀県の近江八幡市をつなぐ国道でありますけれども、平成二十三年に国直轄事業で石榑峠をトンネルで抜いていただいて以来、交通量が激増しています。特に三重県の四日市港からエネルギー関係のタンクローリーなどの車両の通行がふえ、改良工事の整備が追いついていない永源寺ダム湖周辺のあたりでは、特に冬季に脱輪やスリップをきっかけとする事故が多発しており、危険きわまりない実情があります。

 平成二十六年には橋梁がかかり、現在ももう一つ大きな橋をかけている橋脚の工事が順次進められていることは、私の地元中の地元ですので、よく理解をしております。この工事そのものは滋賀県が主体となって行う工事であることは承知をしておりますが、予算面で国土交通省の御支援をいただかなければ整備が進まないのが実情であります。

 そこで、この国道四百二十一号、佐目バイパス工事の現在の進捗状況と今後の整備見通しについてお伺いをいたします。

池田政府参考人 国道四百二十一号は、三重県桑名市から滋賀県近江八幡市に至る道路でございまして、連続雨量九十ミリ以上で通行どめになるなど、通行の信頼性に課題があると認識しております。

 現在、滋賀県におきまして、佐目バイパス二・二キロの事業を進めておられますけれども、このうち、平成二十九年度までに約一・二キロが開通しております。残りの一キロにつきましては、橋梁の上部工と道路の改良工を実施しているところであり、今後、全線開通に向けて進めていく方針であると滋賀県より聞いております。

 国土交通省としましては、引き続き、滋賀県からの要望をお聞きして、必要な財政的な支援をしてまいりたいと考えております。

小寺分科員 ありがとうございました。

 本当にこの区間も、先ほど申し上げましたように、トンネル工事が終わって開通して以来、車が激増しておりまして、国道でありますけれども、地域の生活道路になっているところに大型車が混入して、今申し上げたように非常に事故が多発している区間でありますので、ぜひ今後ともよろしくお願い申し上げます。

 最後に、実は滋賀県では、琵琶湖を生かした観光政策の一つとして、サイクルツーリズムに力を入れております。誰が名づけたかはわかりませんが、自転車で琵琶湖を一周することをビワイチと呼び、しまなみ海道と並んで、サイクリストの聖地の一つになっています。

 滋賀県議会では平成二十八年二月に、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を議会提案で成立をさせ、その中で、自転車を利用した観光の推進を位置づけ、その安全対策として道路環境の整備を進めることとしているところであります。

 実は、私は滋賀県議会議員時代にこの条例の制定にかかわらせていただき、大変感慨深いものがあります。現在、滋賀県では、計画的に湖周道路の自転車通行空間整備などを進めさせていただいております。

 そこで、琵琶湖を活用したサイクルツーリズムを推進することについて国土交通省はどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。

池田政府参考人 琵琶湖を活用したサイクルツーリズムを推進するために、国、滋賀県、周辺の市町及び民間団体が協力して、自転車で琵琶湖を一周するビワイチのプロジェクトが進められております。

 具体的には、サイクリストが安全、安心にビワイチを楽しめるように、道路の路肩を拡幅することや路面の表示などを行いまして、自転車通行空間の整備に取り組んでいるところでございます。また、サイクリストに対するトイレや空気入れの貸出し、休憩所などを提供するサイクルサポートステーション、こういったものを設置をいたしまして、サイクリストの受入れ環境の整備にも取り組んでいるところでございます。

 国土交通省では、引き続き、防災・安全交付金などにより必要な支援を実施してまいりたいと考えております。

小寺分科員 ありがとうございました。

 実は、この湖周道路のいわゆるそうした自転車が通過するところが、なかなか簡単には、とはいいましても二百キロ以上にわたっておりますので、未整備の区間がたくさんございます。

 今後とも、今局長が言っていただいたように、御支援を賜れればというふうに思うところでありますし、聞き及びますと、局長は、うちの三日月知事と一緒に自転車に乗って琵琶湖を回っていただいたというふうにも承知しておりまして、現地確認が十分に進んでいると思いますので、ぜひ、危険箇所等の御確認をいただいたと思いますので、整備促進にお力を賜れればと思います。

 また、実はこのビワイチ、地方創生の加速化交付金をたくさんいただいていろいろな取組をさせていただいています。

 特に、実は、守山市という滋賀県にある町の宮本市長さんが国交省出身で、東京大学の自転車部の出身ということがあって、非常に自転車に理解があって、自転車を生かしたまちづくりをされていて、マリオットホテルに台湾のジャイアントという大きな自転車メーカーの直営ショップが出店をして、そこでレンタサイクル等をしながら、自転車を活用したビワイチというのが実はどんどんサイクリストの間では有名になっています。

 まだまだしまなみ海道には及びませんが、実はあちらの方で聞いても、私も県議会議員時代に、しまなみ海道、調査で一度乗らせていただいた経験もあるわけですけれども、割とビワイチには危機感を持っていただいて、ひょっとしたら琵琶湖に追いつかれるんちゃうかというふうに心配をいただいているぐらい、滋賀県もそのことを一つ、やはりいわゆるそうした地理的資産を生かした観光推進に努めているところでありますので、ぜひ今後とも御指導賜れればというふうに思いまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

伊藤主査 これにて小寺裕雄さんの質疑は終了いたしました。

 次に、田所嘉徳さん。

田所分科員 おはようございます。茨城一区の田所嘉徳でございます。

 国土強靱化につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 昨年は、集中豪雨、台風、地震、これが立て続けに襲来しまして、まさに、人知の及ばない、自然の営みの厳しさを見せつけられた、そんな感じがいたします。

 そのような背景にあって、今般、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策が打ち出されました。事業規模を七兆円として、最も基本的な国の安全を確保しようということですから、大変重要な政策であるというふうに思っております。

 天災は忘れたころにやってくるで有名な寺田寅彦は、戦争は回避できなくはないが、最後通牒も何もなしに突然襲来する天災は、国家を脅かす敵としてこれほど恐ろしい敵はない。悪い年回りはいつかは回ってくるので、十分なる用意が必要であり、少なくも一国の為政の枢機に参与する人々だけは、この健忘症になってはならないというようなことを言っておりまして、まさに、安全、安心の確保、重要な課題であります。

 そこで、この防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策の策定経緯、内容がどのようなものかについて舞立政務官にお伺いしたいと思います。

舞立大臣政務官 田所先生におかれましては、日ごろから、防災・減災、国土強靱化等災害対策の充実に御尽力いただいておりますことに、感謝、お礼申し上げたいと思います。

 昨年、西日本豪雨、北海道胆振東部地震など、大規模な災害が相次いで発生いたしました。近年、災害が激甚化する中、国民の生命や財産を守る国土強靱化の取組を進めることは喫緊の課題であると痛感しているところでございます。

 このため、昨年末、人命を守る、又は国民経済、国民生活を守るため、重要なインフラがあらゆる災害に際してその機能を維持できるよう、関係府省庁において、市町村を含む施設管理者等と連携をとりながら、全国で重要インフラの緊急点検を行わせていただきました。

 その結果などを踏まえまして、防災のための重要インフラ等の機能維持、そして、国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持の観点から、事業規模がおおむね七兆円程度の防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を取りまとめ、必要となる経費につきまして、今年度補正予算及び来年度予算案にも計上させていただいたところでございます。

 これにより、災害時にも重要なインフラがその機能を維持できるよう、ハードからソフトまででき得る限りの手を尽くし、三年間集中で着実かつ迅速に対策を実施し、災害に強い国づくり、国土強靱化を進めていくこととしているところでございます。

 以上です。

田所分科員 よくわかりました。私は、この防災、減災の技術というものを我が国はしっかりと高めていく必要があるんだろうというふうに思っております。

 環境技術が非常に我が国はすぐれておりますが、かつては、光化学スモッグやイタイイタイ病とか大気、さまざまな公害で悩まされましたが、それを克服して、世界に冠たる環境技術を持っているというふうに思っております。

 災害につきましても、まさに、世界には数少ないような、緊急地震速報であるとか、七十二時間以内に救出する技術であるとか、さらには、我が国は地震があっても、ほかの国のように建物が倒壊するようなことはありません。やはり新耐震基準、そういったものも守られておりますし、全体的にはそういった環境技術において、災害列島と言われておりますが、世界に発信できるような、御代がわりの新しい時代を迎えるわけでありますから、そういう意思決定というのは非常に重要だろうというふうに思っております。

 しかし、これを見て、私、聞いて今思いましたが、緊急点検、あるいは既往のものも若干ありますけれども、そういうものに対応した、言うならば応急的なものであります。そのほか、通常の分も国土強靱化はあるわけですが、七兆円を投じてなお応急的なものということですから、いかに国土強靱化というものは大変なことなのかなということをここで感じるわけであります。

 そこで、この対策について、どのような実施できる選択、どこでどんなふうなことをやるのか。緊急点検、あるいは、既に調べてあったものを対象としておりますけれども、これらが各自治体の意向等も反映したそういう形になっているのかどうか、その点を聞きたいと思います。

舞立大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘の三カ年緊急対策でございますが、重要インフラの緊急点検の結果のほか、ブロック塀、ため池等に関する既往点検の結果等を踏まえ、特に緊急に実施すべきハード・ソフト対策について、三年間で集中的に実施するものでございます。

 具体の実施箇所につきましては、関係府省庁におきまして、重要インフラの緊急点検等を通じて、地元市町村を含む施設管理者等から把握した実態等を踏まえながら適切に選定されているものと認識しておりますので、御理解いただければと思います。

田所分科員 これをつくるに当たって、緊急点検等についても、九月末から十一月末ですから二カ月ぐらいしかかけていませんので、十分なる、さらなる考察が必要かなというふうなことも感じるわけであります。

 この七兆円というのは全体事業の額でありまして、その半分ぐらいは国費を出すことになるんでしょうけれども、その残った半分は県とか市町村がこれは負担しなければなりません。この軽減ということも必要だと思いますし、財政的な配慮、これをすべきだと思うんですけれども、それをどんなふうにされるのか、その点についてお聞きしたいと思います。

沖部政府参考人 お答え申し上げます。

 国の防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に基づく国直轄・補助事業については、国民の生命財産を守るために緊急に実施が必要なものであり、地方自治体が平成三十二年度までの短期間に多額の事業を円滑に執行する必要がございます。

 このため、平成三十一年度及び平成三十二年度においては、本緊急対策に基づく国直轄・補助事業に係る地方負担につきまして、新たに創設する防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債を全額充当できることとし、その元利償還金の五〇%を交付税措置することとしております。

 また、平成三十年度第二次補正予算に計上された本緊急対策に基づく国直轄・補助事業に係る地方負担につきましては、補正予算債を全額充当できることとし、その元利償還金の五〇%を交付税措置することとしております。

田所分科員 充当率あるいは交付税措置ということでその負担軽減も図られて、それはよかったというふうに思っております。

 ただし、その負担をしてもらう以上は、やはり、しっかりと地域の実情に見合った有効な投資になるように、これは予算編成ごとに箇所づけというようなことで表明されていくんだろうと思いますけれども、配慮の上に進めてもらいたいというふうに思っております。

 そこで、近年は、地球温暖化である、地球温暖化だから、水蒸気がたくさん上がって降雨量もふえるんだというようなことが言われます。そういう中で集中豪雨も発生しやすくなっているということでありますけれども、この集中豪雨発生の近年の傾向について気象庁ではどんなふうに捉えているのか、その点、聞きたいと思います。

田中政府参考人 お答えします。

 近年、豪雨災害をもたらすような短時間強雨や大雨の発生回数には明瞭な増加傾向があらわれております。

 例えば気象庁の観測データでは、一時間当たり五十ミリ以上の非常に激しい雨の発生回数はこの三十年余りで約一・四倍、一日当たり二百ミリ以上の大雨の発生回数は二十世紀初めごろから約一・六倍に増加しております。

 このような増加傾向には、御指摘のように、地球温暖化が影響している可能性があるというふうに考えております。

 気象庁では、今後とも、気候変動の監視、予測と、豪雨災害の軽減に資する気象情報の充実強化に努めてまいります。

田所分科員 明瞭な増加傾向にあるということでありますから、やはり、それを踏まえた対策というものが必要だろうと思います。

 自然堤で済ませているような堤防もありますが、溢水してこれが被害を及ぼしたり、そういうこともありますので、ハイウオーターレベル、最大の高さを見直すとか、いろいろなその対応というものも迫られるし、更に河川等の整備が重要だということが言えるんだろうというふうに思っております。

 判例でも、自然公物は、人工公物はそうはいかないんですが、予算の抗弁もきくということでありますから、ゆっくりしてしまうというようなこともありますが、こういう状況を踏まえれば、しっかりと進めてもらいたいと思います。

 そこで、いろいろな全国の国の直轄で管理している河川の整備状況というものを見てみたいと思うんですが、これについてちょっと説明をしてもらいたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の一級河川の直轄管理区間におけます堤防の整備率につきましては、計画断面を確保している区間が、平成三十年三月末の時点で六七・七%になっております。

田所分科員 全部の中で平均すると六七・七%ということであります。大変進んでいるところもありますが、格差もございます。

 そういう中にあって、私はこの一覧表を見てちょっと愕然としたんですけれども、茨城の那珂川、久慈川はもう最低ラインで、三七%、二七%というような整備率であります。

 このような整備されている状況のその内容等を理解して今度の対策でもこの措置をしているのか、そういったこともお聞きしたいと思いますし、さらに、やはりこういった整備率が低いところはだんだんほかのものと平等原則からも合わせていくような、そういう整備の力強い推進が必要だと思っております。

 そこで、茨城県在住の石井大臣にその点についてお聞きしたいと思います。

石井国務大臣 那珂川におきましては、昭和六十一年に水戸市を中心に甚大な浸水被害が発生したことを受けまして、河川激甚災害対策特別緊急事業によりまして、無堤部対策等を短期集中的に実施してきたことに加えまして、洪水の流下のネックとなっておりました水府橋やJR水郡線のかけかえ及び堤防の整備等を平成二十九年度まで行ってまいりました。

 また、久慈川におきましては、これまでに堤防整備を鋭意進めるとともに、河口部を直線的に太平洋に注ぐつけかえ事業等を行ってまいりました。

 両河川におきましては、これらの大規模事業により多額の費用を要したことや、東日本大震災による広域地盤沈下の影響によりまして、もともと計画堤防高は確保していたものがそれを下回る区間が発生したことから、堤防整備率は、御指摘のとおり、那珂川で三七・五%、久慈川で二七・五%となっております。

 今後、先般公表いたしました防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を含めまして、河道掘削や堤防強化を進めるとともに、引き続き、無堤部における堤防整備等を進めながら、治水安全度の向上をしっかり推進してまいりたいと存じます。

田所分科員 積極的な整備促進をしてもらいたいというふうに思っております。

 そうですね、地盤沈下で計画高に及ばないという話もありましたが、それにあわせて雨量もそんなにふえているということですから、よく調査の上、進めてもらいたいというふうに思っております。

 次に、関東・東北豪雨では避難指示とか勧告というものが出されなかったところがあって、逃げおくれが四千三百人ということで、ヘリコプターで救助される映像が随分流されました。そういう中で、水防法も改正されまして、逃げおくれゼロを目指すということで進めてきたわけであります。

 この避難勧告とか指示は当該市町村の長がその責任において発令するわけでありますが、そんな深い知見とか情報があるわけではありませんので、そういう中で、内閣府では、避難勧告に関するガイドラインに基づく定量的な発令基準を作成することや、河川管理者とのホットライン等により市町村長の意思決定を補佐する体制づくりというようなこともそこで決められたわけであります。

 これが今回の一連の災害で履行されて、そして豪雨、台風災害で適切に機能したのかどうか。また、あわせて、この避難勧告、指示によって、どのような対象人口に出して、避難実施した人はどのくらい動いたというような記録があるのか。その点をお聞きしておきたいと思います。

舞立大臣政務官 お答えします。

 平成二十九年一月に改定した避難勧告等に関するガイドラインの内容につきましては、先生御指摘のとおりでございます。

 その上で、昨年の平成三十年七月豪雨で見てみますと、避難勧告等の対象人口が最大となった七月七日十一時三十分時点で百七十八市町村に避難勧告が発令されており、例えば倉敷市の小田川のケースでございますが、事前に水位等の定量的な発令基準を策定し、河川管理者からホットラインにより提供された河川の水位状況等をもとに、基準となる水位に到達後、速やかに避難勧告を発令しているところでございます。

 また、昨年の豪雨、台風時におきます避難勧告等の発令状況といたしまして、報告を受けたものといたしましては、平成三十年七月豪雨では最大約八百六十万人に、台風二十一号では最大約百二十万人に避難勧告等が発令されているところでございます。

 一方、避難行動には、近隣のより安全な場所への避難、屋内での安全確保といったものもあることから、実際に避難行動をとった人数を把握することは困難でございますが、避難所におられた方といたしましては、平成三十年七月豪雨におきましては、約八百六十万人に避難勧告等が発令されていた時点で約四万二千人、そして台風二十一号では、約百二十万人に避難勧告等が発令されていた時点で約一万四千人となっているところでございます。

 以上です。

田所分科員 そういったガイドライン等の効果もあって速やかに発令もされたということで、それはよかったなというふうに思います。

 ただ、それが本当に実効性のあるものだったのかということは、これからもっと考えていかなくてはならないというふうに思っております。

 これは、八百六十万人に出しても避難所に行った人は〇・五%ですよ。そして平成三十年台風二十一号では、百十九万人でも一・二%が避難所に行ったというだけであります。倒壊したうちとかかなりありますから、そういう人たちは行かざるを得ませんから、もうこれは、本当にこれによってどう救われたのかというのはなかなかわかりにくいというふうに思っております。

 発令されなかったことが非難されましたが、私は、しっかり発令したからもうこれで免責されるというものではないというふうに思うんです。やはり、より精緻な情報を局所的に出していって、本当に人々が信頼して、それを行動に移せるのかどうか。ほとんどの人は動かなかった人もいるわけでありますが、それでよかった人もいるわけなんですけれども、ここのところをどう受け手側と信頼があるように、そして、しっかりとそれを履行することが安全を確保することにつながるようにしなくてはならないというふうに思っております。

 そのためには、適切な情報がもたらされなければなりませんし、情報発信が重要であります。洪水情報のプッシュ型配信がされているというようなことも聞いておりますが、どのような工夫がされて行われているのか、お聞きしたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、携帯電話事業者の緊急速報メールサービスを活用いたしまして、洪水情報のプッシュ型配信に取り組んでおります。

 具体的には、河川の水位が氾濫のおそれがある水位に達した際に、その市町村内の住民や旅行者などに氾濫危険情報などを配信しております。

 この取組は、平成二十七年九月の関東・東北豪雨を踏まえまして、平成二十八年九月から、全国に先駆けて、鬼怒川流域の常総市等を対象に運用を開始したものでございまして、その後、平成三十年五月からは、全ての国管理河川百九水系で運用を実施しているところでございます。

 平成三十年七月豪雨における岡山県倉敷市真備町での二回の配信を始めといたしまして、これまでに全国でトータルで八十九回の配信を実施をしておりまして、直接、住民に洪水氾濫の危険性を周知しているところでございます。

田所分科員 プッシュ型配信で文字の情報をきっと送っているんだろうと思いますが、最近は映像も送れるんだそうです。私はもっと進んでいるのかと思って実は期待をしておりました。いつも言われている避難と指示の関係がありますので、我々、避難勧告とか避難指示と聞いても、本当は何をしたらいいのかわかりません。出たらすぐ動けばいいとは思っている人もいないんだろうし、非常にそこは定義も曖昧だというふうに思っております。

 そういう中で、本当に、小さいエリアに危険なところをしっかりと映像や何か臨場感を持って出せるような時代ですから、そういった工夫をして、情報発信からしっかりとした実効性のある避難が確保できるようなそういうあり方を考えてもらいたいというふうに思っております。

 それから、一つ飛ばしまして、マイ・タイムラインについて聞きたいというふうに思っております。

 避難情報等があってどうするのかということについても、非常にこのマイ・タイムラインというのは意味があるというふうに思っております。石井大臣も非常に評価されていることを私は知っておりますので、これをしっかりと進めてもらいたいというふうに思っております。

 これを作成する過程において、これは、ハザードマップを本当に見たり、うちにあるけれども見たことがないという人もいるようでありますから、また、避難所を確認したり、どこの道路を通っていけば浸水していない高いところを通っていけるのかとか、持ち出すものを整理してこうしておくとかというような準備ができるわけであります。

 本当に、それを人々が一人一人自分のことで考えていくということがこれは非常に大きな意味がありますので、積極的に推進をすべきである、防災意識の高揚にもつながるということだと思います。

 そういう中で、これをどのように進めようとしているのか、石井大臣にお尋ねをしたいと思います。

石井国務大臣 今委員から御紹介いただきましたように、住民みずからが洪水発生時の行動を事前に時系列的に整理をしておきますマイ・タイムラインは、住民による的確な避難を担保する上で有効と認識をしております。

 このマイ・タイムラインは、平成二十七年の関東・東北豪雨を契機に、鬼怒川・小貝川下流域で始まった取組であり、これまでに、小中学生向けの普及教材の開発、地域での普及などを目的とするマイ・タイムラインリーダー認定制度の導入などを進めてきております。

 防災に対する意識の高い他の地域の自治体におきましても、この鬼怒川領域での先駆的な取組を導入しようとする機運が高まっており、住民参加型のワークショップを開催するなど、住民と一体となったマイ・タイムラインの作成の取組が進められております。

 国土交通省といたしましては、大規模氾濫減災協議会等の場を通じまして、マイ・タイムラインの有効性や代表的な取組を、研修会や出前講座を活用して周知するなど、自治体等とも連携をいたしまして、全国への普及を更に積極的に進めてまいりたいと考えております。

田所分科員 そうです。マイ・タイムライン、これは本当に防災意識の高揚に非常につながりますし、私は、今までのものだけにとらわれることはないと思います。どんどんどんどん進化をさせて住民が参加をしていくというような安全確保が非常に重要だと思っています。

 公助には限界があります。人々のすぐ手前まで誰も公の力が行くというのはなかなか大変なことですので、自助、自立というようなそういう力を発揮してもらうためには非常にその意味がありますので、これから積極的に普及させてもらいたいと思っています。

 今始まりましたが、非常にまだ弱いんですよ。サークルでやったり、ちょっと気づいたところでやったりというようなそんなところもありますので、実はここはちょっとくぼ地で本当にこの地域は洪水や何かが危ないよというようなところはもう先行してつくっていくようなそういう運動をして、しっかりと備えるようなそういうことを進めてもらいたいというふうに思っております。

 そこで、ハザードマップにつきましてお聞きしたいと思います。

 私は、河川の災害であんなに津波を受けたみたいにうちが流されるようなシーンを見るとは思いませんでした。関東・東北豪雨災害の話であります。

 そういうことを見ると、まさに非常に、天井川なんて言われますけれども、高いところを水が流れていて危険なところもある。そういうものも一律にただ表現しただけでは、これはなかなか人々がちゃんと理解していけるとは限りませんので、そういう中でこのハザードマップもいろいろ工夫されているというふうに聞いております。

 これが、どんなふうに変えていこうとしているのか、変えているのかということと、あと、市町村でもほとんど配布をされますけれども、まだ随時更新するわけではないでしょうから、これも改定していかなくちゃならないはずでありますが、そういったものをどう実態に合ったものに早く合わせて、そして人々に到達するようにするのかというようなことについて考え方を聞いておきたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年の関東・東北豪雨災害におきまして、多数の住民が取り残され、救助されるといったことがございまして、平成二十八年四月に水害ハザードマップ作成の手引きを改定いたしました。

 改定のポイントといたしましては、平成二十七年水防法改正におきまして、想定される最大規模の降雨への対応ということを導入いたしました。この点を改定をしております。

 また、洪水時に家屋の流失、倒壊をもたらすおそれがある区域につきまして、早期の立退き避難が必要な区域というものを新たに設定することといたしました。

 また、災害時に緊急的に確認できる地図の面と、災害発生前にしっかり勉強するような情報・学習編ということでハザードマップを構成するようにいたしました。

 このように、避難に直結する住民目線のハザードマップになるよう充実を図ってきているところでございます。

 また、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策におきまして、この想定最大規模に対応したハザードマップの作成を促進してまいりますけれども、この作成に際しましては、大規模氾濫減災協議会を活用いたしまして、手引の改定のポイントを周知徹底するなど、避難の実効性が高いハザードマップになるように、引き続き支援をしてまいりたいというふうに考えております。

田所分科員 わかりました。理解しやすい、しっかりと実効性のあるものにしてもらいたいというふうに思います。その改定の支援についても行ってもらいたい。

 最後に、TEC―FORCEについてお聞きしたいと思います。

 緊急事態で市町村等も混乱しているという中で非常に大きな役割を果たしてきているということを聞いております。自衛隊とか消防団とか、頼れるところはそんなにないわけでありますが、新たな、頼りになる存在として非常に意味があります。

 これについてこれまでどのような活動をしてきたのかという実績を、災害が多かった中でお聞きしておきたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 TEC―FORCE、緊急災害対策派遣隊は、平成二十年に創設をいたしまして、これまで、全国の九十三の災害に対しまして延べ約八万人の隊員を派遣しております。被災状況の早期把握や道路の啓開、浸水解消に向けた緊急排水など、全力で被災自治体の支援に当たってまいりました。

 例えば東日本大震災につきましては、延べ一万八千人に及ぶ隊員を派遣いたしまして、くしの歯作戦による救助、救援ルートの確保であったり、津波で浸水した仙台空港の緊急排水などを実施をしております。

 また、熊本地震では、千百カ所以上の土砂災害危険箇所の点検を行ったり、あるいは、保有船舶を活用した被災者への給水活動などを実施をしております。

 さらに、平成三十年七月豪雨におきましては、東日本大震災に次ぐ延べ一万一千人を超える規模の派遣となりましたけれども、倉敷市真備町において緊急排水を実施し、千二百ヘクタールに及ぶ浸水を三日間でおおむね解消いたしました。また、市街地等に堆積した土砂や瓦れきの撤去を支援するなど、被災自治体を全面的に支援してまいったところでございます。

田所分科員 排水とか、あるいは道路の啓開なんというのは、早くしないと復旧が妨げられてしまいます。防災ヘリでの調査等も非常に大きな意味があると思いますので、積極的に進めてもらいたいと思っております。

 最近の市町村とか県の要望の中でも、何かあったときにはTEC―FORCEを派遣してもらいたいというようなことが明記されていることも大変多くなっているというふうに思っております。

 そういう中で、今後の充実強化についてお聞きしておきたいと思います。

伊藤主査 塚原水管理・国土保全局長、質疑時間が経過しております。答弁は簡潔にお願いいたします。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 TEC―FORCE隊員、地方整備局等の職員を中心に九千六百名以上を指名しておりまして、災害規模に応じて全国から被災地に派遣する体制をとっております。

 一方、南海トラフ巨大地震など、大規模な自然災害が今後も想定されますので、これに的確に対応するように、TEC―FORCEの体制、機能の充実強化を進めてまいりたいというふうに思っております。

 TEC―FORCEのマネジメントをする機能の強化であったり民間との連携の強化など、体制、機能の拡充強化に引き続き努めてまいりたいと思っております。

田所分科員 ありがとうございました。新しい時代を迎えるに、石井大臣を中心に、更に国土強靱化を推進してもらいたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて田所嘉徳さんの質疑は終了いたしました。

 次に、亀井亜紀子さん。

亀井分科員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 国土交通委員会では初めての質問になりますが、よろしくお願いいたします。

 まず初めの質問は、海上保安庁の巡視船についてです。この質問は、先日、竹島問題に関して質問主意書を出しまして、そのときにも触れたんですけれども、もう少し突っ込んで質問したいと思います。

 先月、一月の七日でしたけれども、隠岐の島町に北朝鮮の漁船が漂着し、四人が上陸するという事件がありました。これはかなり地元に衝撃を与えています。今まで船が漂着することはあっても、実際に人間が上陸したということはなかったので、たまたま四人発見されたからよかったですけれども、密入国になっていたかもしれない、そういう懸念はかなりあります。

 大和堆周辺海域は、北朝鮮の船と韓国の船と中国の船とそして日本の船と、非常に入り乱れて、なかなかあの海域で漁をするのは大変なんですけれども、大和堆周辺海域における北朝鮮漁船への対応として、大型巡視船二隻の予算、三十七・五億円が予算書を見ると計上されています。これは隠岐の島周辺海域への対応と理解してよいでしょうか。地元からは、巡視船を大型化してほしい、そういう要望が上がってきております。

 そしてもう一つ、巡視船の建設が始まったとしても、すぐにできるわけじゃないので、冬場の日本海が荒れている間、舞鶴の方から巡視船を回してもらえないだろうか、そういう要望も来ているんですけれども、そういう可能性はありますでしょうか。お伺いいたします。

石井国務大臣 海上保安庁では、尖閣の領海警備と他の海域での大規模事案に同時に対応できる体制を整備するために、海上保安体制強化に関する方針に基づき、巡視船の整備を推進をしているところであります。

 御質問のございました大型巡視船二隻につきましては、隠岐の島周辺海域における事案に対応するほか、原子力発電所等に対するテロ脅威等に適切に対応できるよう整備を進めているところでございます。

 また、隠岐の島周辺海域における大型巡視船の配備につきましては、隠岐の島に配備している巡視船のみならず、近隣部署の大型巡視船や航空機を効率的に運用することで監視体制の強化に努めているところでございます。

 今後とも、海上保安庁の体制強化を着実に進めまして、領土、領海の堅守、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

亀井分科員 確認ですけれども、尖閣の領海警備体制の方で大型巡視船四隻、七十九・五億円というのも書いてあるんですけれども、これと今の二隻というのは別のものなのか。今の大臣の御答弁ですと、同じ船が行ったり来たりして全体的にカバーするようにも聞こえるんですけれども、確認してよろしいでしょうか。

岩並政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の新たな二隻の大型巡視船につきましては、まずは日本海への配備を現在検討しておりますので、基本的には日本海での哨戒あるいは日本海での原発等の警備等に当たるほか、場合によっては全国各地での事案対応にも当たることを想定をしております。

亀井分科員 ありがとうございます。

 その巡視船が来るまでの間、実際に北朝鮮の人が上陸したわけですし、冬場の日本海が荒れている間、もう少し警備体制を強化していただきたく、重ねてお願いをいたします。

 それでは、次の質問に移ります。

 先月三十日に島根のカニかご漁船第六十八西野丸がロシア警備艇に拿捕され、まだ解放されておりません。

 違法操業を認めて、間もなく解放されると報道されております。この週末にも解放されるようなことが報道で出ていましたけれども、第六十八西野丸は、果たしてロシアの正当な排他的経済水域で操業していたんでしょうか。

 今ちょうど北方領土関連の領土交渉もしていますし、かなり意味のあるタイミングで拿捕されたと思いますけれども、グレーゾーンだったんじゃないだろうか、必ずしもロシアの排他的経済水域ではなかったのではないかと私たちは話しているんですけれども、それでも、違法操業を認めて保証金を払うということは、入っていましたと認めたということなのかもしれませんが。

 このあたりについて、また、今後の流れについて外務省にお尋ねいたします。

山田(賢)大臣政務官 亀井委員にお答え申し上げます。

 御指摘の事案につきましては、現在もロシア側で行政事件に関する手続が行われているところでございまして、事案の発生した地点を含め、詳細についてお答えすることは差し控えたいと考えております。

 その上で、政府といたしましては、ロシア側に対して、人道的観点からも、乗組員及び船体が早期に解放されるよう外交ルートを通じて働きかけを行うとともに、乗組員が可能な限り日常生活を維持できるよう、必要な水や食料の手配等について働きかけを行っているところでございます。

 御指摘の事案につきまして、今後の見通しを予断することは差し控えますが、政府といたしましては、人道的観点からも、乗組員、船体が早期に帰港できるよう、ロシア側に引き続き働きかけていく所存でございます。

亀井分科員 では、確認ですけれども、報道されているように今週末にも解放されるというのは、まだ確実ではないということでよろしいですか。

山田(賢)大臣政務官 現在のところ、重ねての答弁になりますけれども、今後の見通しを予断することは差し控えいたしますが、政府といたしましては、人道的観点から、早期に帰港できるよう、ロシア側に引き続き働きかけていくということでございます。

亀井分科員 一刻も早い解放に最大の努力をしていただきたく、お願いを申し上げます。

 このように、日本海での特に冬場の操業というのは大変でして、竹島問題というのも、領土問題であり、そして漁業問題です。暫定水域が設定されて、島根県民が、特に隠岐の島町の人たちが漁をできる海がどんどんどんどん狭くなっている、そして、韓国、北朝鮮の漁船が入り込んでくる、そういう問題があり、交渉してほしいという強い要望をしているわけなんですが、日本海で日本の漁船が安全に操業するための対策を強化していただきたいんですけれども、このあたりについてお尋ねいたします。これは国交省にお願いいたします。

高鳥副大臣 亀井委員にお答えをいたします。

 外国の漁業に関する管轄権が及ぶ水域に接する海域で操業する漁業者に対しましては、十分注意を払って操業するよう、業界団体を通じて指導してきたところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携し、具体的に申し上げますと、今回の件に関しましては日本海かにかご漁業協会でありますが、業界団体を通じて関係漁業者に対する指導を徹底し、操業の安全を確保してまいりたいと考えております。

亀井分科員 私が申し上げたいのは、先ほど海上保安庁の巡視船の話もしましたけれども、領海警備をきちんとするとともに、やはり漁船がその海域で漁をしているわけですから、その警備をきちんとしてほしい、そちらに力を入れてほしいということを申し上げたかったんです。

 ですから、私たち島根県民の声というのは、それこそ、イージス・アショアとか言う前に、足元の領海をきちんと警備してよ、そういうふうに思っておりまして、そこをもう少ししっかりしていただきたいんですけれども、もう一度御答弁いただけますか。

高鳥副大臣 お答えをいたします。

 今の委員の御指摘もしっかり踏まえさせていただいて、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

亀井分科員 ちょっと物足りない気もいたしますけれども、地元の漁業者に指導を徹底するだけじゃなくて、とにかく警備を強化していただきたく、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。整備新幹線についてです。

 最近、松江で、松江市長が、伯備線を新幹線にしてほしい、松江まで新幹線を引いてほしいと要望を始めました。まだこれは市民には広がっておりませんで、松江の市長が一生懸命なんです。それは、金沢に新幹線がつながった、それを見て、やはり山陰側、松江まで新幹線が必要だと思ったようで、要望しているんですけれども。

 そこで、私は質問です。

 整備新幹線というのは、北陸新幹線、北海道、九州など、現在進められているもので終了だと私は理解してきました。けれども、予算書を見ると、鉄道整備等基礎調査委託費というのがあります。これは、幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査と書いてあるんですけれども、新規の整備新幹線に道を開くものなのでしょうか。

 また、民主党政権時代、新規着工については基本五条件というのがありました。それは、安定財源の確保、採算性、時間短縮などの投資効果、JRの同意、並行在来線の経営分離に地元自治体が同意していること、こういう基準があったわけですけれども、この基本五条件というのはまだ有効でしょうか。特に、並行在来線の取扱いについて伺いたいと思います。

石井国務大臣 二問御質問をいただきました。

 まず、鉄道整備等基礎調査委託費の件でありますけれども、国におきましては、現在、昭和四十八年に整備計画が決定をされました整備新幹線であります北海道新幹線の新函館北斗―札幌間、北陸新幹線の金沢―敦賀間、九州新幹線の武雄温泉―長崎間の三区間の整備を政府・与党申合せに基づき順次進めております。また、北陸新幹線の敦賀―新大阪間の整備等も課題として残されております。

 新幹線につきましては、まず、整備計画路線の確実な整備にめどを立てることが最優先の課題と考えております。

 一方、近年の整備新幹線の整備の推進状況等を踏まえまして、各地域から、基本計画路線等の鉄道整備に関するさまざまな御要望をいただいております。

 このため、国土交通省におきましては、平成二十九年度より、鉄道整備等基礎調査委託費を活用いたしまして、基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査に取り組んでいるところであります。

 平成三十一年度予算案におきましても引き続き所要の調査費が盛り込まれておりまして、国土交通省としては、この調査に取り組みまして、我が国における今後の幹線鉄道ネットワーク等のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。

 続きまして、整備新幹線の新規着工に当たってのいわゆる基本五条件についてでありますが、整備新幹線の新たな区間の着工に当たっては、累次の政府・与党申合せにおきまして、安定的な財源の確保、収支採算性、投資効果、営業主体であるJRの同意、並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意のいわゆる着工五条件が整えられていることを確認することとされております。

 並行在来線につきましては、新幹線と並行在来線を同時に運営することがJRの経営に過度な負担とならないよう、沿線自治体の同意を得た上で並行在来線をJRから経営分離することとされております。着工に際しましては、並行在来線沿線の全ての道県や市町村から並行在来線の経営分離についての同意をいただいているところでございます。

亀井分科員 それでは、今後、幹線ネットワーク等のあり方について調査をして、そして、新たな幹線ネットワークとして新幹線がこの区間にあってもよいではないかというような議論になったときには、また計画ができる可能性というのは残されているということでよろしいんでしょうか。

 私の立場ですけれども、私は別に松江まで新幹線を引きたいと思っているわけではなくて、懐疑的です。ただ、そもそもそういうことがあり得るのかどうかということを伺っています。

石井国務大臣 幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査の中では、例えば、新幹線整備による社会経済に与える効果の検証ですとか、単線による新幹線整備を含む効果的、効率的な新幹線整備手法の研究等についても幅広く調査を行っております。

 まずはこの調査にしっかりと取り組みまして、基本計画路線を含む我が国における今後の幹線鉄道ネットワーク等のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。

亀井分科員 伯備線は単線で、すれ違うためにしばらくとまっていたりするような路線ですから、単線の新幹線ということであれば可能性はあるのかもしれないと今思いましたけれども、ただ、先ほどの御答弁でもあったように、在来線の方は経営を切り離すということですから、それを考えますとやはり、私は余りこの案には賛同しておりませんが、御答弁ありがとうございました。

 それでは、過疎地の在来線についての質問です。

 昨年、二〇一八年三月の末に、島根県の江津と広島の三次をつなぐ三江線が廃止されました。次にJR西日本が廃止する可能性がある路線は、今度は木次線と言われています。これは、松江から奥出雲町の方に向かって走る列車です。

 一般的に、高速道路など道路事情が改善すると在来線は廃止される傾向にあります。車社会ですから、島根にしても、一家に一台ではなくて、大人の人数だけ車があるようなそういう環境ですので、道路がよくなればなるほど、電車に乗る、在来線に乗る人は減ります。

 そこで、質問ですけれども、日本の国土計画というのは、高速道路、それから新幹線、これを整えて、在来線が廃止をされていく、ですので、高速道路と新幹線、それを補足するバス路線という方向に向かっているんでしょうか。特に、在来線を維持するのは民間会社であるJRの責任になっているので、採算が合わなければ廃線は仕方ないですねとなりがちですけれども、そういう方向に今国は行っているのでしょうか。基本的な考え方をお伺いいたします。

石井国務大臣 地域の公共交通につきましては、地域のニーズや課題を踏まえまして、地域の関係者が検討を行い、各交通機関の特性に応じ、その地域にとって最適な公共交通体系を構築していくことが重要と考えております。

 鉄道は、大量の旅客を高速で、かつ定時に輸送できるという特徴がある一方、多額の固定費用がかかるという特性を持っております。このため、利用者が少ない路線につきましては、バスなどの他の交通機関がそれぞれの特性を踏まえ適切に役割分担をすることで、必要かつ持続可能な公共交通サービスを効率的に提供していくことが重要と考えております。

 なお、鉄道事業の廃止につきましては、鉄道事業法上、事業者による事前届出制となっておりますけれども、鉄道事業の廃止の届出に当たりましては、地域に対して丁寧な説明を行い、その理解をいただきながら、廃止の届出が行われることが一般的であります。

 このため、国土交通省といたしましては、地域の関係者での十分な議論を促すべく、JRなどの鉄道事業者に対しまして、路線の廃止に際しては地域に丁寧な説明を行うよう、引き続き必要に応じて指導助言を行ってまいりたいと考えております。

亀井分科員 三江線の廃止のときにも地域でかなり話合いは繰り返されましたし、賛否両論あるわけで、通学にどのぐらい使われているかとか、いろいろたくさんの議論がありました。

 私たち、本当に人口減少がかなり急速に進んでいる地域におりますので、そういう意味で、どんどん在来線が廃止されていくのではないか、そういう心配をしています。

 それで、次の質問ですけれども、採算が合わないから廃止されるのは仮に仕方がないとしましょう、特に経営体が民間で。仕方がないとして、じゃ、バスで補充したとします。そのバス路線も過疎地なので赤字だった場合、このバス路線を維持することというのはやはり公共の責任じゃないですか。私たちは、国の責任ではないかなと思います。

 特に今、国が地方創生、地方創生と言うわけです、人口減少をとめろと。地方に住める公共交通のインフラがなかったら、人は減っていく一方ですけれども、地方創生の観点から、公共交通の必要性、考え方についてお伺いいたします。

石井国務大臣 地域の生活交通の維持及び確保は国としても重要な課題であり、特にバス交通は、地域にとって欠かせない移動手段と認識をしております。

 国土交通省では、地域公共交通活性化再生法に基づきまして、地方公共団体がバス路線の再編等の計画を策定をし、これによる路線維持の取組を行うことを促進をしております。

 国土交通省としましては、こうした地域の取組に対しまして、バスの運行に係る欠損の二分の一を補填する支援や、地方公共団体が計画を策定する際の人材、ノウハウ面の支援などを行っております。

 地域社会の基盤であります生活交通の維持及び確保につきましては、引き続き、国土交通省としましては積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 なお、御指摘のありました三江線の沿線地域におきましても、廃線後のネットワークをバス等で代替をいたします地域公共交通再編実施計画が策定をされておりまして、国といたしましても、この計画を平成三十年三月に認定をして、この計画に基づいたバスの確保、維持のために必要な支援を行うこととしております。

亀井分科員 私が感じていること、それから地元の人間が言っていることをちょっとお話をしますと、そもそも、JRが民営化されたときに、地元のいわゆる企業ですよね、バスを運営しているようなところは。JR路線がなくなっていく中でバスにかわっていった。それで、民間会社だけれども、公共の役割を持っているわけです。

 今、どんどんどんどん人口が減っていて、経営が苦しい。だけれども、路線を廃止するとその地域にかなり影響があります。でも、経営的に、そういう議論をして、それで地元の新聞に載りますよね、どこどこ路線が廃止になるかもしれないと。そうすると、途端に大変だといって、その会社がたたかれるわけですよ。だけれども、その会社はそもそも、県や市に頼まれて、昔、JRが撤退した部分を補っているわけで、そもそも民間がたたかれる話じゃないよねと言っているわけなんです。

 ですから、昔、JRを民営化したその影響が今地域に出てきて、最後のとりでのような在来線がなくなっていって、ではバスに代替しますよというのであれば、そのバスに対しては、地方自治体はお金がないわけですから、もうちょっと国が責任を持ってもいいんじゃないですかということを私は申し上げたいんですけれども、大臣、何か感じられることはありませんでしょうか。

    〔主査退席、盛山主査代理着席〕

石井国務大臣 重ねての御答弁でありますが、地域社会の基盤であります生活交通の維持、確保につきましては、引き続き、国土交通省として責任を持って積極的に取り組んでいきたいと考えています。

亀井分科員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたく、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、最後の質問です。

 宍道湖と中海をつなぐ大橋川の改修事業についてお伺いをいたします。

 この大橋川の改修事業というのは、斐伊川治水事業、宍道湖に流れ込む斐伊川という川の上流のダムと中流の放水路とセットで考えられてきた事業なんですけれども、松江市民は、この大橋川の改修というのはそもそも必要なのだろうかと懐疑的に思っています。

 そしてもう一つ、この川幅を拡幅しようとしている地域が、松江の一番伝統的な景観、旅館組合もその周辺にありますし、この景観を変えてしまうということで反対運動が根強くあるところです。

 そして、シンボル的な松江大橋をかけかえる計画が初めあったわけですけれども、これを残すべきだと。老朽化して耐震が問題だというのであれば、車が通らないように歩行者だけの橋にすれば、ほかに橋はあるのだから、それでいいではないか、そういう声があって、最終的には松江大橋は保存することになったと私は聞いております。

 そして、この橋は保存するけれども、川を拡幅するというような計画で進んでいるということなんですが、橋をかけかえないということは、そこの部分の川幅は変わらないので、一体どういう計画になっているのかと疑問に思っています。特に、宍道湖から大橋川に流れ込むあたりというのは、広げるというような話ですけれども、どの程度広げて、どういう計画になっているのか。

 そして、それは治水対策なのか、それとも、盛んに今、景観、景観と言うんですね、町並みとか、川沿いを歩けるように遊歩道がどうのこうのと言うんですけれども、観光の側面で川幅を広げようとしているのか、現在の計画も含めてお尋ねいたします。

石井国務大臣 斐伊川水系の治水対策につきましては、これまで斐伊川放水路の整備や尾原ダム、志津見ダムの建設等を進めてまいりましたが、今後残る大きなネック箇所であります大橋川の改修について本格的に事業を進めているところでございます。私も現地を視察をさせていただきました。

 昭和四十七年洪水を安全に流すことを目標としております河川整備計画に基づく大橋川の改修につきましては、宍道湖から大橋川に流れ込む付近などの川幅が狭い区間での最大約二十メートルの拡幅や堤防整備等を行うこととしております。この河川整備計画では、松江大橋につきましては、かけかえの必要はないとされております。

 大橋川の改修に当たりましては、周辺のまちづくりとのかかわりが大きいことや、貴重な観光資源として景観への配慮が重要であることなどから、引き続き、地域と連携を密に図りながら、治水安全度の向上を進めてまいりたいと考えております。

亀井分科員 時間ですので終わりますが、慎重に進めていただきたくお願いいたします。宍道湖の水が流れ込むところを、入り口をばっと広げたら、それだけ勢いよく流れ込むと思いますので、治水的にどうなのかということをしっかり検討して進めていただきたく、よろしくお願いいたします。

 以上です。終わります。

盛山主査代理 これにて亀井亜紀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、神山佐市君。

神山分科員 おはようございます。自由民主党の神山佐市でございます。

 質問の機会をいただきましたことに心より感謝申し上げる次第であります。

 まず八ツ場ダムについてですけれども、埼玉県議会で、民主党政権のときに八ツ場ダムを中止したということであるわけであります。そして、埼玉県の利水、災害対策をしっかりするということで、当時、埼玉県を挙げてその確認をし、そして、何で八ツ場ダムが必要なのかというふうなことをしてきたわけであります。

 きょうは、そういうようなことで、確認も含めて、そして、石井大臣には質問をしませんけれども、よろしくお願い申し上げる次第であります。

 JR宇都宮線、東武鉄道日光線の栗橋駅に近い閑静な住宅街で、青いテープが巻かれた電柱があります。その電柱の青色テープは、かつてカスリーン台風に襲われたときの実際の洪水の高さを示しているそうであります。ここの浸水高は二・四メートル。カスリーン台風では、利根川や荒川の堤防が決壊して、埼玉から東京にかけて大洪水を巻き起こしたわけであります。

 八ツ場ダムは、昭和二十七年の決定、そして、昭和二十二年のカスリーン台風による大被害を受け、利根川上流にダムを築いて洪水調整を行い、下流部の洪水被害の軽減を図るための治水事業の一環として計画されたわけであります。また、年々ふえ続ける首都圏の人口と、それに伴う水の使用量の増大を支えるための水資源開発も大きな目的でありました。

 カスリーン台風から約十年後の昭和三十三年、ようやく藤原ダムが完成し、さらに、利根川最上流部には矢木沢ダム、また、支流には相俣ダム、薗原ダム、下久保ダム、奈良俣ダムが次々と建設されていったわけであります。こうした背景には下流部のためにとうとい犠牲と土地を提供された多くの方々の苦悩があったということを、決して忘れてはいけないというふうに考えているわけであります。

 さて、完成するまでは、建設には時間がかかっていたため、八ツ場ダムと並んでだめダムだなどと言われたわけでありますけれども、宮ケ瀬ダムについてであります。

 このダムは、一九七一年に実施計画調査に着手し、二〇〇〇年に完成しました。ちょうど三十年。総事業費は三千九百九十三億円。当初事業費は千七百億円と見込まれておりましたので、倍以上に膨らんだわけであります。

 本格運用開始五年後の事業評価を見ると、年間百三十五万人の人がこのダムを訪れ、洪水調整、水道用水の供給、発電に十分な効果を発揮し、洪水調整の費用対効果は、事業費の増大にもかかわらず二・一となっており、発電は、七万三千四百メガワットアワーの計画発電量に対し、七万六千メガワットアワーという実績となっております。

 すなわち、ダムの完成により事業の目的は十分に果たされており、また、良好な環境を提供していることが入り込み客の増大からもうかがえるわけであります。そして、水没者の生活再建も問題なく行われているそうであります。

 本題に入りますけれども、平成三十一年度に完成とのことですが、現在の進捗状況及び運用開始後の治水環境の変化についてお尋ねいたします。よろしくお願いします。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 八ツ場ダムにつきましては、首都圏を氾濫区域として抱える利根川等の洪水防御、また、流水の正常な機能の維持、埼玉県を始めとした首都圏の水道用水の供給、工業用水や発電を目的といたしまして群馬県吾妻郡長野原町に建設中のダムでございます。

 現在、本体のコンクリート打設工事を進めておりまして、九割以上の打設が完了したところでございます。本体打設の完了後は、仮設備の撤去等を終えた後に試験湛水を開始をいたしまして、来年度中には事業を完了する予定でございます。

 引き続きまして、一日も早く完成させ、治水、利水面での事業効果を発現できるよう、着実に進めてまいりたいというふうに考えております。

神山分科員 八ツ場ダムについては、水没する住民の人たちが、長年にわたって反対そして賛成というふうなことであったわけであります。反対している人たちが賛成する、そして反対していたという人たちが賛成するということで入れかわって、その事業決定で非常に下流域のためにしていただいたわけであります。そういうふうな判断をしていただいたということで、自分たちの生活がコミュニティーを失ってでも下流域のために八ツ場ダムをつくるという決断をし、そして、その判断をしていただいたということであるわけであります。

 この長い間の経過の部分は、非常にその住民の方々に感謝するということが必要であるというふうに考えておるわけであります。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、平成三十年度新規着手の荒川第二、第三調節池事業についてお尋ねいたします。

 埼玉県は、河川面積の割合が日本一であります。ゆえに、河川の氾濫による被害もたびたび発生しており、水害対策は待ったなしの政策です。

 荒川の名は暴れ川を意味しているそうですが、上流においてはダムによる洪水調整を図り、二瀬ダムが本川に建設され、下流部に滝沢ダム、浦山ダム、有間ダム、合角ダムを建設し、洪水調整や上水道を確保し、笹目橋上流に荒川第一調節池を建設して、緊急時の洪水調整を行った経緯があります。

 先般、河川の氾濫対策に有用な荒川第二、第三調節池事業が平成三十年着手となりましたけれども、平成三十年度に予定している調査として、測量調査、排水経路調査、環境調査とありましたが、現在の進捗状況と各調節池の面積、治水容量と、整備後に想定される浸水域内人口の現状との比較、効果について詳細にお示ししてください。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の荒川第二、第三調節池につきましては、今年度整備に着手をしたところでございまして、事業の規模といたしましては、第二、第三調節池合わせまして、面積約七百六十ヘクタール、また、治水容量五千百万立方メートルというふうな施設になってございます。

 効果でございますけれども、荒川の堤防決壊を想定したシミュレーションにおきましては、荒川流域で過去に大きな災害をもたらしまして、現在、河川整備計画の目標となっております昭和二十二年のカスリーン台風、これと同規模の洪水が発生した場合に、この調節池の効果によりまして大幅に浸水面積を減少させることができると考えておりまして、浸水域内で影響を受ける人口を最大で約百五十六万人の想定から約五十七万人まで減少させる効果があるというふうに考えております。

 事業期間は二〇三〇年度まで十三年間を予定しておりまして、現在は、関係住民や自治体等に対して事業計画を丁寧に説明するとともに、現地の測量や土質、環境等の必要な調査を実施しているところでございます。

 引き続きまして、首都圏の甚大な被害の防止のため、荒川の治水安全度が向上するよう着実に事業を推進してまいりたいと思います。

神山分科員 ありがとうございます。

 荒川第二、第三調節池事業に関連する整備事業についてお尋ねをいたします。

 私の選挙区でもある川越市は、近郊農業、流通業、商工業、歴史と文化を資源とする観光など、埼玉県南西部に位置する中心都市であります。そして、市域を囲むように荒川、入間川などが流れており、流域住民の生命財産を守り、安全な生活環境を確保する治水対策は喫緊の課題となっております。

 平成二十七年九月の関東・東北豪雨では、鬼怒川におきまして堤防が決壊し、家屋の倒壊や流失及び長期間にわたる広範囲の浸水被害が発生したことが記憶に新しいと思います。このことから、川越市や周辺地域におきましても、気象変動により想定を上回る災害が発生する可能性は容易に想像できるわけであります。

 このような中、荒川にかかるJR川越線橋梁の堤防が未整備となっており、早急な対策が地域の要望であるわけであります。

 さて、先ほど質問いたしました荒川第二、第三調節池事業には、JR川越線橋梁のかけかえと橋梁部分の堤防かさ上げの整備も含むと聞いておりますが、この整備事業についての進捗状況についてお尋ねをいたします。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 JR川越線の橋梁部につきましては、橋梁の高さが低いということで、それに伴って荒川の堤防が約二メーター計画よりも低い状況にございます。これが洪水の安全な流下の阻害となっておりますので、荒川第二、第三調節池事業におきましては、堤防のかさ上げとあわせまして、このJR川越線橋梁のかけかえも行うこととしております。現在は、設計、施工に必要な現地の測量や地盤調査等を実施をしているところでございます。

 整備に当たりましては、新しい橋の構造や施工方法等につきまして、現在、施設管理者であるJR東日本との協議を行っているところでございます。

 引き続き、着実に事業を推進してまいりたいと思っております。

神山分科員 よろしくお願いします。

 川越の市民の皆さん方は、この洪水を対策するために、JRの橋梁を、そのかさ上げを早くして、そしてその土手のかさ上げを早くしていただければというふうに願っているわけでありますので、どうぞその願いを早く実現していただければというふうにお願い申し上げる次第であります。

 次の質問に移ります。

 今回、国土強靱化基本計画の見直しを踏まえ、平成三十年七月豪雨、平成三十年台風二十一号、北海道胆振東部地震を始めとする近年の自然災害からの教訓を踏まえ、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を集中し、実施することとなりました。

 総事業費の内訳を見ますと、堤防かさ上げなど防災・減災を目的とするインフラ整備に三兆六千億円で、全関係省庁でも多い六十七項目の緊急対策を担う国土交通省は、二次補正で緊急対策費に六千三百二十三億円を充てる予定であり、一九年度予算案に計上する国交省分を含めた政府全体の公共事業関係費は、従来の六兆円程度に緊急対策を中心とする特別枠分の一兆円程度が上積みされ、年度当初予算として、二〇〇九年度以来となる七兆円台に到達する見込みであるわけであります。

 主な対策を見ますと、二〇年度までに、国が全国にある約七十河川、都道府県と政令市が約五十河川で堤防のかさ上げなどの推進や、鉄道事業で、約五十カ所で河川鉄道橋梁の豪雨対策として補強などに取り組むとあります。

 災害時に緊急出動する地域建設業者は、必要な人員や重機を手当てするためにも、公共投資の増額と安定的な確保を求めてきた経緯もあるわけであります。被災地では緊急対応に伴う新たな建設事業が創出されるが、適切に執行されるよう、発注者側の配慮も不可欠だと思うわけであります。

 そこで、今後三年間は公共事業予算の大幅な増額が見込まれる中、現場での円滑、適正な施工を確保する対策についてお伺いいたします。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、これまでも、公共事業の円滑な施工を確保するため、市場の実勢を反映した設計労務単価の改定、建設工事における適切な工期設定、技術者を効率的に配置できるよう、地域の実情に応じた適切な規模での発注、債務負担行為の活用や、余裕期間の設定などによる施工時期の平準化や、各発注機関の発注見通しの統合、公表など、多岐にわたる施策を講じてまいりました。また、地方公共団体に対しても、総務省と連名で、円滑な施工確保の取組を要請してきたところでございます。

 加えて、平成三十年度第二次補正予算の成立にあわせて、より一層の対応として、調達環境の厳しい工種や建設資材における見積りを積極的に活用した予定価格の設定、柔軟な工期設定に向けた余裕期間制度の活用の原則化などの対策を講ずることとしたところでございます。

 今後とも、入札の状況や地域の実情を注視しつつ、公共工事の施工確保に万全を期してまいります。

神山分科員 ありがとうございます。

 建設業者の負担が起きないように、そして、その平準化で作業が受けられるようにしていただければというふうにお願い申し上げる次第であります。

 次に、我が国の木材価格についてでありますけれども、国産木材価格が外国産と比較して割高であるとの印象を持っております。立木価格自体は外国産の半分以下でありますが、その主なる原因は、運材コスト及び伐出コストにあるようであります。

 その解決策として、森林の経営管理を集積し、集約する区域等において、木材生産と森林管理を行うための路網整備が必要であると考えております。

 また、森林吸収量についても、国産材の需要をふやし、国産材を積極的に使うことによって、京都議定書目標達成のための有効な手段であると考えているわけでありますけれども、間伐、路網整備、再造林等を推進するための施策についてお伺いいたします。

織田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、林業の成長産業化、これを実現するためには、高性能林業機械の導入と路網の整備を進めて効率的な作業システムを構築し、木材生産コストの削減を図ることが極めて重要だというふうに認識してございます。

 農林水産省といたしましては、大型トラック等が通行する林道、林業専用道、それから林業機械が走行する森林作業道、こういったものをそれぞれの役割に応じて適切に組合せをして、地域の実情に応じた路網整備を推進しているというところでございまして、これらの路網整備に当たりましては森林整備事業等の予算を活用しておりまして、特に平成三十年度からは、大量の木材運搬等に対応できる幹線林道というものの整備を開始したところでございます。

 加えまして、平成三十一年度当初予算案におきましては、この路網整備というのを更に加速するために、効率的な路網設計や、森林の現況等をより正確に把握することが可能な航空レーザー計測というものをこの森林整備事業で行えるようにしているところでございます。

 農林水産省といたしましては、木材生産コストの削減とともに、御指摘がございました森林吸収源対策にも資する間伐等の森林整備を円滑に実施するために、林道等の路網整備をしっかり進めてまいりたいというふうに考えてございます。

神山分科員 ありがとうございます。

 日本の木材が使えるように、そして、流通コスト、路網整備をすることによって山から木が搬出できるように、しっかり取り組んでいただくことをお願い申し上げる次第であります。

 最後に、無電柱化事業についてお尋ねをいたします。

 無電柱化は、災害時に電柱の倒壊による道路閉鎖を防ぐとともに、電線類の被災の軽減や、電気、電話などのライフラインの安定供給を確保します。さらには、歩道内の電柱がなくなることによって、歩道はもちろん、ベビーカーや車椅子も移動しやすい歩行空間を確保し、良好な都市景観を創出してくれるわけであります。

 以上のことから大変重要な施策でありますが、コストが高く事業完了までに長期間を要することや、トランスの地上機器を設置するスペースの確保などの課題があるわけであります。

 私の地元川越でも地域の期待の高さを感じているわけでありますけれども、これらの課題にどう取り組むのか、よろしくお願いいたします。

池田政府参考人 無電柱化は、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成など、さまざまな観点から重要な施策であると考えております。

 無電柱化の実施に当たりましては、電線共同溝本体の工事に加えまして、ガス、上水道などの既設の地下埋設物の移設が必要になる場合があることなどによりまして、長期間を要することがございます。

 このため、管路を浅く埋める浅層埋設方式や小型ボックス活用埋設方式を採用いたしまして、道路の掘削の範囲を縮小いたしまして地下埋設物の移設を最小限にすることで、コストの削減及び整備期間の短縮に取り組んでいるところでございます。

 また、地上機器の設置場所の確保につきましては、地上機器を小型化すること及び沿道の民地や公園に設置することにつきまして、地元の方々の協力を得ながら進めることとしております。

 国土交通省としましては、これらの取組を進めることで、無電柱化のスピードアップとコスト削減に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

神山分科員 無電柱化の推進をするというために、事業者、地権者、そして歩行者の利便性もしっかり確保していかなければ無電柱化ができないということでありますけれども、どうぞ、石井国交大臣、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

盛山主査代理 これにて神山佐市君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの伊藤俊輔でございます。引き続き、質問させていただきたいと思います。

 まず、国営公園について質問をさせていただきたいと思います。

 国営公園は、都市公園法に基づいて国が設置する都市公園であり、平成四年を最後に二十年以上、新規で事業化をしておりません。新たな国営公園を設置することは困難な状況であるという見解もあるかと思いますけれども、現在の状況、見識をお伺いしたいのと、今、関東には管轄しているのが五個あるということで、私の地元に近いところでは、立川、昭島市にもある国営昭和記念公園があります。昭和天皇御在位の五十周年の記念事業として設置をされて、国内最大級の国営公園となっております。現在、年間の来園者数が約四百三十万人というふうにお聞きをしております。

 そもそもこの国営公園は採算性を求めるような事業ではないとは承知をしておりますけれども、まず、運営状況等々がわかれば参考までに教えていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 国営公園のお話と、それから、国営昭和記念公園につきまして御質問を頂戴いたしました。

 お話にございましたように、国営公園は都市公園法に基づきまして国が設置をしております都市公園でございまして、一の都府県の区域を超えるような広域の見地から設置するもの、それから、御指摘の、国家的な記念事業として、あるいは我が国固有のすぐれた文化的資産の保存、活用を図るために閣議決定を経て設置するもの、こういったものに分かれてございます。

 現在の状況でございますけれども、いわゆる一の区域を超えてということを申し上げましたけれども、これが十二公園、それから、記念事業と言われているもの、あるいは文化的資産の保存、活用を図るものと言われているものが五公園、こういった形になっているところでございます。

 それで、後者の五公園のうちの一つが立川、昭島市にあります国営昭和記念公園ということになるわけでございますけれども、この公園につきましては、昭和天皇御在位五十年記念事業の一環といたしまして、昭和五十四年十一月の閣議決定に基づきまして設置された国営公園でございます。

 五十八年十月に七十ヘクタール一部開園以降、整備を進めてございまして、現在、計画面積百八十ヘクタールのうち百六十九・四ヘクタールを開園をさせていただきまして、昨年度の数字で申し上げますと、約四百十四万人の入園者に御利用いただいているということでございます。

 それから、運営についてということでお話も頂戴したわけでございますけれども、公園の整備と、それから維持管理にかかっております歳出でございますが、これも昨年度ベースで申し上げますと、実績で約十七億四千万円という形になってございます。

 一方で、入園料等によります歳入がございます。この歳入の実績につきまして、同じく昨年度二十九年度で申し上げますと、約五億五千万という形になっております。

 なお、この入園料につきましては、国営公園という性格でございますので、公共施設として広く国民に御利用いただける低廉な金額として設定をさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 自分の肌感覚からすると、四百十八万ですか……(青木政府参考人「十四です」と呼ぶ)十四ですか、来園者がいて、入園料が四百五十円、団体が二百数十円というふうに聞いていますけれども、そんなに赤字になる状況じゃないんじゃないかという肌感覚だったんですけれども、お聞きをして、かなり採算性がとれていないんだなということも認識をさせていただいたところであります。

 歳入が五・五億円、歳出が十七・四億円ということですから、採算性がとれるような事業じゃないということは承知をしておりますけれども、時代とともに、やはりできるだけ採算性を考える、そしてまた、これは四百十八万人の方が実際に来られているわけですから、恐らく見えない経済効果もあるだろうと思いますし、地域につながっていることだろうと思いますけれども、できるだけこれからの可能性として、国営公園のあり方として、事業性とか、あるいは、地域によって採算が見込めるようなことを考えるような、時代とともにそんなことも考えていただかなきゃいけないんじゃないか、このことも思います。

 二十数年間、新規なものができていないということについて、一番の、それに値するものがなかったのかということでもありますが、二十年間できなかったということの理由をちょっと端的に教えていただきたい。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました、国営公園の新たな設置というお話でございますけれども、特に、この昭和記念公園もそうなんでありますが、国家的な記念事業ということで閣議決定を経て設置されるという公園の設置につきましては、従来から、政府全体で議論、検討がなされた上で決定されていくというような手続で進んでいるというふうなことでございますものですから、御指摘のように、今御指摘の期間、新規がない。これはおっしゃるとおりなんでありますけれども、そういったやり方で進めているということでございます。

 以上でございます。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 今まさに平成の年号が変わるそういうときでもありますし、戦後七十三年間のそういった平和をまた未来永劫につなげていくという意味を含めて、そういう機運のあるときなんじゃないかなということも思いながら、新たな記念公園を検討されるそういう余地があるのかどうかということを端的に教えていただきたいと思うんです。

青木政府参考人 繰り返しになって大変恐縮なんでございますけれども、申し上げましたように、特に国家的な記念事業として公園を整備するか否かということについては、これは政府全体で本当に議論、検討ということになってまいりますので、なかなかこの場で私の方からお見込みのようなことを申し上げることはちょっと差し控えさせていただくということを御理解賜りたいと思います。恐れ入ります。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 私ども、地元の東京町田市なんですが、町田市にも、立川、昭島のこの昭和記念公園よりも広大な自然な土地がありまして、地元でもいろいろな議論をさせていただいて、また、そういう機運があれば積極的に地元からも声を上げさせていただきたいと思います。

 地元のことでちょっと恐縮ですけれども、広大な公園構想というのも私の地元にありまして、東京町田市の小野路、小山田というところに三十万坪、四十万坪、九十万坪という広大な土地があります。真ん中の四十万坪は都の公園になっているんですが、三十万坪と九十万坪の約三分の一が、当時、遊休地を住宅政策だといって地元からいただいて国に買い上げていただいて、そしてまた、小泉内閣あたりで住宅が余る時代だということになって、もう一度地元で活用できないかということで地元で買い戻した土地で、穴食いですけれども、約三十万坪、四十万坪近く町田市が買い取って、そのときから、住宅政策ではなくて公園構想をやろうというのがあるんですけれども、それがなかなか計画的になっていないということがあります。

 そしてまた、今は多摩都市モノレールの延伸でそこがまた一つのルートになっていくところでもありますし、小田急線の延伸で初めてそこに駅ができるという、地元にとっては機運になっているところでもあります。

 この北部丘陵の広大な土地をどうするかというのは、地元でもこれから検討しなきゃいけないところになってくるかと思いますので、まさにこういう国の国営公園含めて、国と都と自治体と連携をした、首都圏最大の土地だと思いますので、そういった新たな公園構想のあり方もまた検討していただきたいな、このように思うところでもあります。

 また引き続きこの国営公園のことについては、次回また質問させていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 続いて、バリアフリー法についてお伺いをしたいと思います。

 昨年の五月に十年ぶりに改正されたバリアフリー法でありますけれども、まだまだ、障害者の方やあるいは高齢者の方々の切実な思いというものは反映されていないのではないかなという実感があります。

 十年ぶりの改正、そしてまた、これから先、新たにまた十年後みたいなことにならないように取り組んでいただきたいと思うんですけれども、大臣から、もしできましたらお願いします。

石井国務大臣 バリアフリー施策につきましては、高齢者、障害者等がみずから参画をし、その視点を踏まえて評価を行うとともに、その成果を具体の施策に反映させることが重要と考えております。

 このため、さきの通常国会におきましてバリアフリー法を改正をいたしまして、国として、高齢者、障害者等の参画のもとでバリアフリー化の状況を把握及び評価するための会議を設置することといたしました。

 あわせて、この会議における評価等を踏まえ、適切に検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずることを国の責務として定めたところであります。

 この評価会議を十分に活用することによりまして、高齢者、障害者等の声を丁寧に伺いながら、全国で一層のバリアフリー施策の発展を図ってまいりたいと考えております。

伊藤(俊)分科員 大臣、ありがとうございます。ぜひ、ぜひ、積極的によろしくお願いします。

 まさに今大臣からおっしゃっていただきましたけれども、昨年のバリアフリー法の改正で、移動等円滑化評価会議というものが設置をされました。定期的に移動等円滑化の進展状況を把握、評価することとなり、障害者の方々、団体の皆さんを含む、当事者を含む多くの団体が委員として参加をすることが可能となりました。

 このたび第一回の評価会議が、ちょうどきのう開催をされたと聞いております。その簡単な内容がどんな内容だったかと、あるいは、これから具体的なスケジュール、年間通して数十回なのかと思いますけれども、どんなスケジュール感で進んでいくのか、教えていただきたいと思います。

栗田政府参考人 今委員お触れいただきました移動等円滑化評価会議でございますが、昨日、第一回を開催させていただきました。

 昨日は第一回ということもありまして、座長の選任、あるいは会議運営規則の決定などを行いましたほか、バリアフリー法に基づきます基本方針に定める移動等円滑化の目標達成状況等、こういったことを私どもから御説明し、議論を行ったところでございます。

 今後、本省で行います昨日の移動等円滑化評価会議につきましては、差し当たり、年に二回程度の開催を考えております。

 ただ、地域における移動等円滑化の進展状況を把握、評価するために、地方運輸局の十の管轄区域ごとに地域分科会を設置すること、これも昨日の評価会議でお決めいただきました。これにつきましては、それぞれ年一回、差し当たり開催したいというように考えているところでございます。

伊藤(俊)分科員 この評価会議というのは非公開だと聞いております。念のため確認ですけれども、障害者の団体の皆さんや多くの皆さんの御意見を聞いて、いろいろな、多様な意見を出せる会議にしたいという趣旨をもとに非公開になっていると聞いておりますけれども、それで間違いないか、念のため確認。

栗田政府参考人 昨日の評価会議につきましては、自由闊達な議論を行っていただきますために会議は非公開とさせていただき、ただ、会議資料と議事録は速やかに公開するということとさせていただきました。

 委員の方から、実は忌憚のない自由闊達な議論を行いたいので会議運営には配慮してほしいというような御意見を、この検討過程、あるいは委員の委嘱を差し上げる過程で頂戴しております。そういう意味で、昨日、今回の会議は非公開とさせていただきました。

 会議運営のあり方につきましては、引き続き、委員の方々の御意見も踏まえて検討していきたいと考えております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 評価会議を重ねるにつれて、多くの皆さんから公開の方がいいという意見が出れば、また柔軟に検討し続けながら、この評価会議が形式的なことにならないように、ぜひ当事者の多くの皆さんの声を反映していただきたい。お願い申し上げたいと思います。

 そして、続いてホームドアの設置についてお聞きをさせていただきたいと思います。

 平成二十七年度におけるホームからの転落事故の件数は三千五百十八件、このうち視覚障害の方が九十四件、また、接触事故等々百九十八件というふうにお聞きをしております。

 現在の設置は七百二十五駅設置が完了していて、十万人以上利用されている駅が優先に進んでいるというふうに聞いておりますけれども、十万人以上利用している駅の設置が、完了がどのくらいになる見込みなのか。そしてまた、設置した七百二十五の駅のうち、十万人以上利用している駅は百五件と聞いています。思ったより少ないなという思いもありますし、十万人以下の駅が六百二十件、七百二十五駅完成しているうち六百二十件は十万人以下の駅だということですから、割と多いなというふうに思っております。

 十万人未満の利用の駅での設置がむしろ多く進んでいる現状、そしてまた、どういう計画性を持って進んでいるか。わかる範囲で構いませんので、教えていただきたい。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 ホームドアは、列車との接触、ホームからの転落防止のための設備として非常に効果が高く、その整備を推進していくことが重要であると認識しております。

 国土交通省では、平成二十八年十二月に、駅ホームにおける転落防止対策について取りまとめたところでございます。

 取りまとめにおきましては、転落、接触事故の約半数が利用者が一日十万人以上の駅で発生していること等を踏まえまして、利用者が一日十万人以上の駅を優先的に整備することとしております。

 具体的には、当該駅において車両の扉位置が一定であるなどの整備条件を満たしている場合、原則として、二〇二〇年度までにホームドアを整備することを目標としております。

 また、利用者数が十万人に満たない駅につきましても、転落事故の発生状況、視覚障害者の利用状況や整備要望、ホームの混雑状況等を勘案した上で優先的な整備の必要性を検討し、必要と認められる場合には整備を行うこととしております。

 国土交通省としては、引き続き鉄道事業者と連携しながら、駅ホームの安全確保に向けて取り組んでまいります。

 さらに、委員から、十万人未満の駅において整備が進んでいるということを御指摘いただきました。

 これは、ワンマン運転等を行う新交通やモノレールにおきましては、近年の新線建設時に全線でホームドアを設置する傾向にあること、また、公営地下鉄におきましては、全線でのホームドア整備を推進するという方針で取り組んでいること等から、十万人未満の駅のホームドア整備が行われているところでございます。

 一方、JRや大手民鉄では、利用者が一日十万人以上の駅を優先してホームドアの整備を着実に進めているところであり、国土交通省としては、引き続き、転落、接触事故の約半数が発生している、利用者が一日十万人以上の駅を優先的に整備してまいりたいと思っております。

 現在、二〇二〇年度までには百六十二駅で設置済みとなる予定でございますが、これは約六割ということでございますので、引き続き、十万人以上の駅のホームドア整備に取り組んでまいりたいと思っております。

 以上でございます。

伊藤(俊)分科員 詳細、いろいろ理由があるということだと思いますけれども、十万人以上の利用の駅が優先だということが多くの皆さんの認識だろうと思いますけれども、結果的になかなかそれ以外のところが多いという現状を見ると、本当にその計画性とかプロセスがしっかりしているのかどうかというのは、より慎重にこれからの事業においても見ていただきたい、そういうふうに思っております。

 細かい質問等々は控えたいと思いますけれども、設置駅の選定の基準とか、あるいは事業計画を明確にしてもらいたいということと、本来なら十万人以上の利用の駅が優先ということであれば、対象が二百七十五駅というのが十万人以上の利用の駅だと聞いておりますけれども、それの二百七十五個の駅の現状、例えばどの駅が設置ができる環境にあるのかないのかとか、恐らくそれはもう全て出ているだろうと思いますけれども、当初の計画からすれば、本当はそういうものを事業者なりにお願いをしてまずは全部検査をして、何駅がすぐに設置が可能なのかとか、ドアの関係、ここは工事が必要だとかということはあると思うので、全体把握をしていただいて、何駅可能なのか、あるいは計画的にそういうことをやらないと、あの駅はついて、なぜこの駅が後なんだとかそういったことにならないように、できれば計画的にこれからの事業に関してもやっていただきたいとお願い申し上げておきたいと思います。

 続いて、駅のホームの段差、すき間の解消についてお聞きをしたいと思います。

 私も毎日満員電車で国会まで通っておりますけれども、小田急線そして千代田線と乗りかえております。地元町田駅や鶴川駅でも、けさもそうですけれども、車椅子の方が駅員さんに介助をお願いをして、駅員さんも待機をして、そういった光景を日々身近なところでも見ているところでもあります。

 今、調べていただいたら、地元町田駅では、小田急線と横浜線がありますけれども、一日三十万人ぐらい利用している駅でもありまして、小田急線の町田駅だけでも、二〇一八年、車椅子の方の介助をお願いした件数が年間一万七千百八十件、一カ月にすると千四百三十一件、大体一日五十件弱という計算。これは横浜線も大体同じですという回答をいただいております。

 十万人以上利用している駅単位で大体月で千四百三十一件というと、印象よりもすごく多い。恐らく、駅員さん等々の介助の労力というものもかなり多いんじゃないか、このようにも想像するわけでありますけれども、まだまだこのすき間、段差の解消がされていないんだなという実感と、車椅子の方が介助なしに自分で目的地まで行くことができない現状がまだまだあるんだということも認識をしなきゃいけないところであると思います。

 段差、すき間の解消について、技術的に可能なところと、なかなかまだまだ難しい案件があるかと思いますが、時間がちょっと短いですけれども、端的にお答えいただいたらありがたい。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、国土交通省におきましては、鉄道駅におけるプラットホームと車両乗降口の段差・隙間に関する検討会を立ち上げまして、施設、車両の構造等の違いも踏まえつつ、車椅子利用者の単独乗降と列車の安全確保を両立し得る段差、すき間の数値化につきましての検討を進めているところでございます。

 本年度内にその検討結果を取りまとめまして、駅ホーム等の改良が進むように、鉄道事業者に対しまして必要な情報提供を行うことによりまして、車椅子利用者が単独で円滑に移動できるような環境の実現に向けまして引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。技術的に可能なところはできるだけ対応を切にお願いをして、またいずれ質問させていただきたいと思っております。

 バリアフリー化では、いろいろ飲食店だったりホテルだったり、あるいは交通もいろいろ課題があるかと思いますけれども、一つだけ、飲食店に対して質問させていただきたいと思います。

 今、国の基準では二千平米以上ということで、依然として飲食店のバリアフリー化が進んでいないという現状を日々実感をしております。よく言われる東京都では、百五十平米以下の飲食店が八六%という数字もいただいております。

 国が定めている基準は、これを見ると、現状に合っていないのかなということを思わざるを得ないんですけれども、飲食店のそういう基準を思い切って変更するのか、それとも、これはもうかなりハードルが高いんですけれども、二千平米というその基準を撤廃をして、なくして、各自治体で条例として進めていただく、決めていただくということも、これは、事実的には、各自治体が条例で定めていく方が、より障害者の皆さんや高齢者の方々を考えていただく機会にもなりますし、好ましいと思うわけであります。

 既に条例で定めている自治体が約三割近くあるということもお聞きしておりますので、より積極的に自治体でも条例で定めていただけるような方向性をとった方がいいのではないか。障害者の皆さんがよく言われるように、どこに入れるかということで決めているという現状を何とか変えたい、食べたいところに、飲食店に入れるという環境を、少しでも緩和したいという思いからであります。

 そういう社会を目指したいということ、そしてまた、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックもあり、多くの外国人の方々が日本に訪れるときに、オリンピックがあるからということではないというたてつけはわかりますけれども、こういうときに、できるだけ、少しでも早急に対応ができるように、踏み込んだ改革が必要かと思いますけれども、答弁をいただきたい。お願いします。

    〔盛山主査代理退席、主査着席〕

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のお話にありましたとおり、今のバリアフリー法におきましては、飲食店の場合、延べ面積が二千平米以上の建築を行う場合には、全国一律にバリアフリー基準への適合を義務づけております。

 一方、二千平米未満につきましては、地方公共団体が条例によりまして、義務づけの対象となる規模を引き下げることができる仕組みになっておりまして、今先生がおっしゃいましたけれども、例えば東京都におきましては五百平米、また、一部の区におきまして、二百平米まで引き下げている実態がございます。こういった条例の制定をより円滑に進めていくことが重要と思っております。

 このため、昨年のバリアフリー法の改正に合わせまして昨年十月に基本方針を改訂して、例えば、対象区域や対象用途を設定して義務づけ対象となる規模の引下げをすることは可能である、つまり、公共団体のエリアは一律でなくてもいいというようなことを明確に位置づけをさせていただきました。

 こういった基本方針の改正の内容や、今既に実施されております条例によります具体的な取組状況につきまして、公共団体に対して情報提供を行うことなどによりまして、こういった条例の制定をより一層進めていきたいと思っております。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 もう現状認識は皆さん一緒だと思いますし、問題意識も一緒だと思います。できるだけバリアフリー化が進むように努力をともにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして最後に、UR、公団の質問をさせていただきたいと思います。

 今回、修繕負担区分の見直しで大幅に修繕箇所が拡大したことに関しては、本当にありがたいことだと思っております。

 公団の性質は、民間に比べて長期間、長年、言ったら五十年以上住んでいるという方がもう一万世帯近くいるということですから、民間に比べれば長期間住まれている。その分、修繕に含めて、民間とは違う感覚で対応が必要なんだろうということも想像するわけでありますけれども、今回大幅に見直したという中身に対してと、そしてまた、五十年以上住まれている方だけ限定してでも、できるだけ住みやすい環境を整えていただく支援をしていただきたいと思います。

 そして、時間の関係上、二つあわせてちょっと質問させて、もう一点ありますが、エレベーターの設置についてもお聞きをしたいと思っています。

 もともと国の住宅政策としてやってきたこの公団の問題において、四十年以上がたって、今高齢化が進んで、年金のみという方が約五〇%になっているという現状、いろいろなことを考えれば、エレベーターの設置ということは、時代に合った、なければならないものだと思っております。

 エレベーターの設置で家賃が上がるということに、これはイコールではないんですけれども、家賃が上がるということになると、また負担があるということになるとなかなか設置が進まないという現状もありますし、また、URだけの負担ということになると、これはこれでまた事業形態が大変だと思います。

 これは、国家がやってきた政策としてエレベーターの設置はもっと早く本当はやらなきゃいけなかった問題だと思いますので、より一層、国の支援も積極的にしていただきたい。これは高齢者の方々だけじゃなくて、若い世代の皆さんも団地に住んでいただくことを考えないと、新しい団地のあり方ということも考えると、買物をして、バギーを持って子供を抱えて五階で住むかといったら、これはなかなか四階、五階は住めないわけで、ぜひそういった観点からも国からの支援を引き続きしていただきたいと思いますが、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

里見参考人 お答え申し上げます。

 UR賃貸住宅の修繕負担区分の見直しにつきましては、住まいの方々からの御要望もあり、居住者サービスの観点から、昨年十二月二十五日に公表し、本年一月末より適用をしております。

 具体的には、従前、借り主、居住者の方の負担としていました八十一項目のうち、畳床やふすまの縁、骨の交換、電気設備等のスイッチ、戸車の交換等の六十五項目につきまして、UR、大家負担と見直しました。残りの、畳表、ふすま紙、電球、パッキン等の交換等については、十一項目に整理し直しまして引き続き借り主負担としました結果、大部分の修繕を、貸し主、大家であるURが負担することにいたしました。

 なお、長期居住者の方の関係でございますが、今回、畳表、畳縁の取りかえや裏返し、ふすま紙等の張りかえは、借り主、居住者の方に負担といたしましたが、五十年以上お住まいの長期継続居住者の住戸につきましては、今回の修繕負担区分の見直しを契機といたしまして、順次、個別に御案内の上、傷みの状況を見させていただき、必要に応じて、畳の交換、ふすまの建具等の交換を行っていきたいと考えております。

 以上でございます。

伊藤(俊)分科員 ありがとうございます。

 家賃の減免、あるいは建てかえの問題、空室の問題、団地の問題はいろいろあります。また引き続き質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて伊藤俊輔さんの質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史さん。

足立分科員 日本維新の会の足立康史でございます。よろしくお願いします。

 きょうは、ふだん、常任委員会、国土交通委員会とかでは取り扱うまでもない、国会に余りふさわしくないテーマでありますので最近は控えているテーマでありますが、やはりけりはつけておかなあかんものですから、森友学園、野田中央公園、その他、不動産鑑定についてお伺いをしたいと思います。

 まず、森友学園について。大臣、もう端的に、大臣に伺うことでもない、誰でもいいですけれども、森友学園に国有地を払い下げようとした、あのときの不動産鑑定は、特に地中ごみの部分について、大阪航空局に積算をさせて、それをカプセルでぱかっとはめて出したわけです。大阪航空局というのは第三者じゃありませんから、不動産鑑定の趣旨に照らして、これはずさんと言わざるを得ない、こう思っていますが、現在の御認識はいかがですか。

野村政府参考人 委員御指摘の近畿財務局の依頼した鑑定評価では、不動産鑑定士は、まず鑑定評価額として九億五千六百万円を決定をしております。

 その上で、同鑑定士は、評価書本文の最終部分に、鑑定評価額とは別の付記意見として、鑑定評価の依頼者から提示のあった地下埋設物撤去費用等を加味した意見価額一億三千四百万円を示しているところでございます。

 一般に、鑑定評価とは別に、依頼者からのさまざまな依頼等に応じ、不動産の価額について不動産鑑定士としての意見を開陳することは実務上広く行われているところでありまして、こうしたことも不動産鑑定士の業務範囲に含まれているものと考えているところでございます。

足立分科員 依頼者というのは近財であり、その近財のもとには大阪航空局、国交省があるわけで、国交省、財務省、これは当事者ですよね。依頼者が、この部分は自分たちでやるから、不動産鑑定士さん、あなたはそこは空白にしておいてくれ、こういう発注になっているんですよ。これはおかしくないですかと言っているんですが、おかしくないんですね。

野村政府参考人 そこは鑑定士が、まさに先ほどお答えしたとおり、不動産鑑定士としての知見等に基づいて意見を開陳するということは実務上行われているところでございまして、直ちに不適当とは考えておりません。

足立分科員 いやいや、違う違う。依頼者である近財は、この部分、地中ごみの部分については鑑定士は鑑定するなと言っているわけですよ。そこは省いて、こっちでやるから、自分たちでやるから、そこは無視して、それ以外のところで見積もってくれという、それはもう指示しているわけですよ。不動産鑑定士に仕事を依頼するときにそうやっているわけですよ。

 だから、不動産鑑定士は言われたことをやっているんだから、それは、不動産鑑定士のやったことは間違いじゃないかもしれませんよ。でも、国交省、財務省、国が見積もった見積りの仕方は、一部を自分でやっているんだから、不適当じゃないですかと言っているんです。依頼を受けた不動産鑑定士だけの話じゃありません。その鑑定の全体について、国交省として不適当だという認識はないんですかと言っているんです。

野村政府参考人 先ほどお答えいたしましたとおり、まず、鑑定評価額としては、むしろ、その地下埋設物の存在を価格形成要因から除外をして、これは想定上の条件としておりますけれども、価格形成要因から除外してはおります。ですから、まずはそれを除外し、九億五千六百万円を鑑定評価額としては決定しています。

 その上でということで、先ほど私も申し上げたとおり、依頼者から提示のあった地下埋設物撤去費用等を加味して、意見価額として一億三千四百万円を提示しているということだと思っておりますので、鑑定評価額としては九億五千六百万円というものを示していると承知しております。

足立分科員 大臣、ごめんなさい、これはもう事務方でいいと思ったんですけれども、これは多分、局長の所管からいったら、ここまでしか言えないんです。大臣、お願いします。

石井国務大臣 不動産鑑定の依頼者は近畿財務局でございますので、国土交通省としてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

足立分科員 財務省、来ている。ひどいな、ちょっと。答えられないなら答えられないと言えよ。誰かちょっと。何で、答えられないなら、前日に答えられませんと言わないんだ。こら、真面目にやれよ、真面目に。答えられないなら答えられないと言えよ、前日に。

 副大臣、政務官、大臣を助けろよ、ちょっと。いいかげんにしろ、おまえら、ほんま。

野村政府参考人 私ども、鑑定評価制度を所管している立場として、不動産鑑定評価のあり方としてお答え申し上げておりますけれども、鑑定評価額としては九億五千六百万円を出しておりますので、その上で、提示のあった地下埋設物撤去費用等を加味した意見価額、先ほど言いましたように、意見価額としては、そういう実務上行われているものとして行ったものと承知しております。

足立分科員 ここは大臣、私がこの予算委で聞きたいことはわかっているでしょう、大臣も。いやいや、俺は知らぬと言うんですか、ここで。

 では、大臣は財務省に事前に聞かないんですか。だって、質問通告しているんですよ。それを、俺は所管じゃないよ、それが答えですか、大臣。

石井国務大臣 森友学園の地下埋設物の見積りを近畿財務局が大阪航空局に依頼をしたというのは、これまでも委員会の、国会の中で答弁をさせていただきましたが、非常に時間的に限られているという中にあって、民間の事業者に依頼をすると入札等で時間がかかる、大阪航空局は従来から地下埋設物等の調査を行ってきたという知見もありますし、そういう発注の手続も必要でないということから、近畿財務局から大阪航空局に依頼があったかと思っております。

 そういった意味で、ごみの見積りをさせていただいたところでありますけれども、その後、近畿財務局の方がどういうふうに鑑定をするかということは、当時の大阪航空局としては、それは詳細には承知はしていなかったかと思っております。

足立分科員 大臣は、一連の国会質疑において、予算委員会で、この話、ずっと同席されていました。だから、全て御存じですよね。それで私は申し上げているんです。大阪航空局も所管組織である、不動産鑑定士制度だって所管されている、その大臣として、この森友学園に関する評価は、少なくとも手続的には問題があった、私はずさんだと言っていますけれども、問題があった、課題があった、そう思っていないんですか。それをきょうは聞きたいんですよ、国交大臣の認識を。

 それは全く問題ないんだ、これからもああいうやり方は推奨するんだ、時間がないときは仕方ないんだ、時間がない、そう言いわけさえつければやっていいよということを、全国の不動産鑑定業界にというか、発注者にそう言うんですか、そんなこと。ちょっと明確に答えてください。

石井国務大臣 森友学園の問題につきましても、いろんな多岐にわたる案がありまして、不動産鑑定のことについては、正直言って、私は余りよくわかっておりません。それについては、主に財務委員会等で御議論されていたかと思いますが、そこについては私は出席しておりませんので、その点については必ずしもよく承知をしていないということであります。

足立分科員 わかりましたよ。もう国土交通省、わかりました。そういうことできょうのこの予算委員会分科会に臨まれるんであれば、私だって、これからちょっと本気でやりますからね。もう本当に腹が立ってきた。

 いや、ふだんこんな、政府に対してこういう口はききませんよ、私は。ほかの野党じゃないんだから。しかし、真面目にやらないと、これは。きょうは、だから確認しているだけじゃないですか。

 それで、森友学園の地中のごみはどういうふうに評価しているんですか、国交省は。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十一年一月三十一日に、設計業者から、本件土地に関して大阪航空局から行っておりました問合せについての回答書を受領しております。

 この回答書の中で、校舎建設を実施した工事事業者が、森友学園に係る敷地の地中ごみにつきまして、試掘報告書における試掘穴三番と試掘穴四番については、掘削深度やごみの層を記載した説明内容については誤りはない、三・八メートルの深度までごみが確認されたとされております試掘穴一番については、この試掘穴についてはミスはありませんなどと説明をしております。

 また、同報告書におきまして、試掘報告書を作成する際に、メジャーを当ててごみのある層を意識してはかり、ホワイトボードにも表記しました、再調査はしっかりと行われ、調査報告書の本文の説明のときに、実際に試掘を現認した社員によって書かれたものですなどと説明をされているというふうに承知をいたしております。

足立分科員 何を言っているかわからない。

 中道組がコンクリート殻等を撤去しました。これは明確にやりましたよ。でも、中道組が撤去したのはコンクリート殻等だけで、その後に産廃がたくさん残っている。残っている上にコンクリート殻を乗っけたものだから、もう全部まぜ返されて、今も森友学園の土地には産廃が幾らか埋まっているんだというのが藤原工業の藤原社長の証言です。これは国交省も承知しているし、その証言を受けとめているんですね。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 本件土地で行われました平成二十二年の地下構造物状況調査では、まず、地表三メートル以内を探査深度とするレーダー探査を行いまして、その後、レーダー探査で推定されました異常箇所であります六十八カ所において試掘を実施した結果、二十八カ所でごみがあることが確認されておりまして、本件土地の地中にごみがあるということは示されているところでございます。

 その後の有益費の工事において、平成二十七年七月から十二月にかけて、汚染土壌の除去工事と、主にコンクリート殻等を対象とした地下埋設物撤去工事が実施されたことを確認をいたしております。

 こうした経緯から、平成二十八年三月当時、大阪航空局では、本件土地にごみが残されていたということについて認識をしていたというところでございます。

足立分科員 改めて、だから、今も産廃が残っているという理解ですね。確認です。

蝦名政府参考人 ただいま御説明してきた経緯から、ごみがあるということでございます。

足立分科員 つい最近、何か野党が現地視察に行きました。その場で藤原社長は、いや、ごみはあるんだ、俺は見たんだと。実際に工事をやった当事者が言っているんだから、ごみは地中にあるんだと藤原社長は言っているのに、野党は、その藤原社長の証言だけ削って、ないない、ごみはないんだというふうに記者にデマを吹聴した、そういうことでいいですね。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような工事事業者と野党のやりとりの発言の部分は、詳細、私ども現場におりませんので承知しておりませんけれども、その上で申し上げますと、先ほど申しました今回の回答書において、以下のように述べております。

 同回答書では、試掘調査資料をいいかげんにつくった等と述べた報道について、これは私が説明した発言内容が正確に引用されておらず、発言の一部のみを引用し、都合よく発言内容を合体したため、全く異なる意味内容となっております、その事実の経過は一で、というのは前のところでございますが、設計事務所から具体的な指示を受けて作成した試掘結果調査資料は、ごみの層を意識し、作成したものです、そのナンバーワンの試掘孔についてはミスはありませんなどと記載されていると承知しております。

足立分科員 今のは藤原社長の言でしたっけ、藤原工業の証言ですよね。(蝦名政府参考人「はい」と呼ぶ)そういうことです。だから、そのまま国交省として受けとめている。

 だから、野党はデマを流しているんですよ、都合のいいデマ。だから、国会における森友学園に関する維新以外の、私以外の野党の追及は全部うそですから。私がやっているのが全部正しいんです。

 それで、ごみがあるので、そのごみの部分も含めて、建物もまだあります、建物に罪はありません、不動産それから建物一体的に早くまた払下げしてほしいというか、国民の財産ですから、早く有効活用するのがいいと思いますが、予定を教えてください。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 本件の土地につきましては、現に校舎が存置されておりまして、建物と土地の工事代金が未払いであることから、工事事業者が建物については所有権を、土地については留置権を主張し、本件土地を占有している一方で、国は、管財人及び工事事業者に対し本件土地の更地返還を求めておりまして、現在も森友学園の管財人との間で、土地や存置されている建物の取扱いも含めまして、さまざまな交渉を行っているという状況でございます。

 本件の土地をめぐりましては、このように、国と相手方の主張が対立している状況でございますので、本件土地の取扱いにつきましては、どのような対応が可能かにつきまして慎重に検討する必要がありまして、その上で、管財人や工事事業者と引き続き相談をしてまいりたいと考えております。

足立分科員 慎重もいいんだけれども、被害者もいるわけです。

 例えば、藤原工業は被害者ですよ。早く救済してあげた方がいいと思うので、大臣、一言、別にコミットできないと思いますけれども、できるだけ早く払下げ、要は、有効活用に向けて、できるだけ早く国交省としても頑張ると一言いただけないでしょうか。

石井国務大臣 本件土地をめぐりましては、国と相手方との主張が対立している状況にございますので、どういった対応が可能かについて、弁護士等も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。

足立分科員 まあそうだけれども、被害者がいるので、できるだけ早く救済する、努力するぐらいお願いします。

石井国務大臣 御指摘も踏まえまして、できるだけ適切に対応していきたいと考えています。

足立分科員 ありがとうございます。

 私は、今回の森友学園の本質は、不動産鑑定というのがずさんなんですよ、申しわけないけれども。ずさんだから、きょうみたいなことになるんですよ。昔は、だって、公共用地の問題については、それはいろいろあったわけですよ。だから、言い値も含めて、いろいろな形で公共事業というのは進めてきたわけで、ずさんなんです。

 それについては、その前に、野田中央公園、これはずさんですね。野田中央公園をめぐる不動産鑑定、これはずさんだったと言えますね。

野村政府参考人 野田中央公園に関しまして、近畿財務局が依頼した鑑定評価と豊中市が依頼した鑑定評価との間に、評価額に差があることは承知をしております。

 鑑定評価の手順あるいは手法を定める不動産鑑定評価基準では、鑑定評価は、その不動産の効用が最高度に発揮される使用形態である最有効使用を前提として行うこととされていますけれども、この場合、どのような使用を最有効とするのかは、例えば、その土地を高層共同住宅としての利用とするか、あるいは低層共同住宅としての利用とするかなどさまざまな使用形態が考えられるために、どのような使用を最有効使用とするか等によって、不動産鑑定士によって判断が異なることがありまして、そして、そのため、評価の結果においても不動産鑑定士によって違いが生ずることはあり得ると承知しております。

足立分科員 不動産鑑定士制度というのは、今の局長の御答弁だと、私は、結局、世の中の裏の部分、表で処理できない部分も全部不動産鑑定士に丸投げして、不動産鑑定士制度というもので全てを吸収して、一定の説明責任を果たしてきたという日本の戦後の歴史があると思うんです。

 だから、不動産鑑定士に丸投げする形で、責任を不動産鑑定士に全部丸投げをしてきた、それに対して不動産鑑定士業界も、いいかげんにしろということで、昨年、平成三十年に、日本不動産鑑定士協会連合会が不動産鑑定契約のあり方に関するプロジェクト・チームというものを立ち上げて提言を出し、十二月六日には、大阪府の不動産鑑定士協会連合会が近財に改めて大阪府連合会の提言書を届けています。

 これは、森友学園がひどかったから、俺たちもうちょっとちゃんとやりたい、でも、国交省がむげにいろいろなことを俺たちに幅寄せしてくるから困っているんだ、俺たちはもうちょっとちゃんとプロとしての仕事をしたいんだという紙を出しています。認識していますね。

野村政府参考人 御指摘の件でございますけれども、まず、連合会においては、昨年五月二十二日に不動産鑑定契約のあり方に関する基本的見解を出されて、その中で、価格に重点を置いた競争による鑑定評価受任者選定が行われた場合に、鑑定評価の質の低下が生ずるなどの記述がございます。

 この御指摘の件につきまして、日本不動産鑑定士協会連合会に確認をしたところ、森友学園あるいは野田中央公園に係る鑑定評価を踏まえて何らかの記述をした箇所はないと私どもは聞いております。

足立分科員 大阪府連合会とも話をしましたか。

野村政府参考人 失礼申し上げました。

 大阪府の不動産鑑定士協会の提言書も承知はしております。

 これにつきましても、森友問題を発端としたものではなくて、したがいまして、それらの問題を踏まえて何らかの記述をした箇所はないということを、私どもは一応、聞き取りで確認をしております。

足立分科員 いや、森友学園に係る云々云々という記述がなくても、なぜ去年そういう提言をまとめて、大阪府の連合会がわざわざ近財始め関係各所に配ったか。それは森友学園を受けてに決まっているし、日経新聞は、森友学園を受けてそういう提言を近財に持っていったと報道していますよ。それでも国交省は、これは関係ないと言い切るんですか。

野村政府参考人 御指摘の日経新聞の件は、報道は承知をしております。

 ただ、先ほど、連合会に確認をした際に、では何が発端だったかということも確認しておりますけれども、同連合会によりますれば、地方公共団体等の発注する不動産鑑定評価業務について、一般競争入札等の価格競争により発注する動きがあって、それによる低価格での受注を問題視して検討を開始した、そういうことが発端だと聞いております。

足立分科員 建前ですから。まあいいですわ。本当は、国会ではもうちょっと本当の議論をしたいと思います。

 不動産鑑定士協会連合会、また私、直接足を運んで、本音をちょっと聞いてきて、またどこかの委員会でやりたいと思います。

 先ほどお話がちょっと途中で終わりましたが、野田中央公園。野田中央公園は、先ほどあった近財の委託を受けた不動産鑑定士と、豊中市の委託を受けた不動産鑑定士、それは不動産鑑定士ごとにいろいろありますよ。

 しかし、さっき、最有効利用でしたか、それは一定の基準の中でやっているのに、民主党政権下の二〇一〇年の一月に地下埋設物調査報告書が出た。二月に不動産鑑定が行われた。三月に国有地の払下げ、近財から豊中市に対して払下げが行われた。その両者の不動産鑑定書の最大の違いは、前の月に出た地下埋設物報告書をカウントした近財と、それをカウントしなかった豊中市の委託を受けた不動産鑑定士の違いなんです。

 これは許容できる違いですか。

野村政府参考人 まず、近畿財務局の鑑定評価では、最有効使用として高層共同住宅十一階建てを想定しており、それを想定した上で、地下埋設物について減価の対象としております。

 一方、豊中市の鑑定評価では、最有効使用として低層共同住宅三階建てを想定して、そのもとでの評価を行うに当たって、地下埋設物について減価の対象としておりません。

 これはまさに最有効使用をどう設定、どう考えるかということによるものが反映されているとも考えられまして、いわゆる最有効使用の置き方によって結果的に違いが生ずるということはあり得ると思っております。

足立分科員 低層だと地中ごみは無視できるということでいいんですね。

野村政府参考人 今ほど申し上げましたとおり、低層共同住宅三階建てということで、その際に地下埋設物を考慮するべきかどうかについては、例えば、構造によって建物の重量の軽重があるなど、おっしゃるとおり、共同住宅三階建てということをもって直ちに地下埋設物を考慮するべきかどうかということについて、一義的に定まるものではないと考えております。

足立分科員 だから、さっきも何か中途半端な答弁で、こんな答弁で逃げちゃだめですよ。

 もし本当に、地中ごみの評価はどっちにでも転び得るというのが不動産鑑定の制度なんだったら、こんなもの、先ほど私が申し上げたように、戦後の日本のこの分野の、国土交通分野のこういう説明責任というものは、結局、国交省は、ばっちいものは全部不動産鑑定士に委ねて、いや、それは不動産鑑定士だと。そして、全て闇の中に葬るというのは、僕は非常に残念だと思いますよ。

 最後にもう一つ伺っておきたいのは、私は、森友学園だけじゃないと言っているのは、だって、全国に、例えば公有地の払下げのときは、さまざまな住民訴訟が起こっています。公有地、国有地について、さまざまなずさんな払下げが全国で行われてきた。そのことは、先ほどの不動産鑑定士協会連合会のレポートにもたくさん紹介されています。それは事実ですね。

野村政府参考人 先ほど申し上げたとおり、連合会の取りまとめた意見書、検討の発端については、公共団体等の発注する不動産鑑定評価業務において一般競争入札等の価格競争が行われているということ、そして、低価格での受注を問題視したということは御指摘のとおりでございます。

足立分科員 御指摘のとおり。全国の国有地、公有地の払下げについてずさんな不動産鑑定が行われてしまった、背景にはいろいろな発注価格の問題とかもある、それについては今御指摘のとおりだとおっしゃっていただいた。

 だから、国民の皆様はよく理解してほしいんですよ。この分野はずさんなんです。日本じゅうの国有地、公有地の払下げがずさんなんです。森友学園の払下げと隣の野田中央公園の払下げ、どっちがずさんかといったら、私はずさんさの度合いは野田中央公園の方が大きいと言っているんですよ。それは国交省はそうだとは言わないと思うけれども、否定もできないと思うんですよ。

 だから、森友学園、あれだけ一年、二年引っ張ったけれども、ずさん。野田中央公園はもっとずさん。そして、あの野田地区だけじゃなくて、日本じゅうの国有地、公有地の払下げがずさんであった、こういう当たり前の事実、国交省はよく知っているはずだ。

 そういうものをしっかりと国会で開陳していただいて、しようもない野党の印象操作、レッテル張り、そういうものに国会が振り回されないように、また、石井大臣始め国交省の皆様には御尽力をいただきたいと申し上げて、質問を終わります。

 大変失礼な発言があったことをおわびするとともに、土砂についての質問ができなかったことをおわびしたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて足立康史さんの質疑は終了いたしました。

 次に、秋本真利さん。

秋本分科員 自民党の秋本真利です。

 まず初めに、沖縄県における自動二輪の走行方法についてお伺いをしたいと思います。

 私も少し前までこの事実を知らなかったんですけれども、沖縄には、本州、本土にはない独特のオートバイのルールがあって、それはどんなものかというと、ある特定の路線では一番左の車線を走りなさい、三車線あったとしても一番左を必ず走れと。これは、原付じゃないんですよ、話が。原付だけの話じゃなくて、ハーレーダビッドソンのような大きなオートバイも全部そう。一番左だけ走れと。それで、右折するときは、交差点の手前になったら第一区分帯から第三区分帯まで一気に車線変更をして右に曲がっていけという独特のルールが沖縄にはあるようであります。これは、私、非常に今の時代にはそぐわないんじゃないかなと思います。

 昭和四十年代のころに沖縄は突出して二輪車の事故が多かった。だから、こういう独特のルールを定めましょう、そういう趣旨で制度はスタートしたようでありますけれども、当時は、多分オートバイも小さかったでしょう、それで、今とは違う交通事情もあったんだろうと思いますが、あれからかなり、もう五十年前後たって、オートバイも大型化しているし、そして、沖縄は今、観光客がすごく多いわけですよ。そうすると、ある一定のローカルな、しかも、沖縄の中でもある一定の路線にしか適用されない特別なルールがあって、そこに行くと、突然ハーレーダビッドソンが左から右に一気に車線変更して右に曲がっていくというのは、私、もし車を運転していて突然ハーレーが左から右に車線変更していったら、びっくりしますよ。かえってこれは混乱するんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 時代ももうあれから半世紀たっているわけですし、この辺については、今の時代にそぐう形での見直しというものも含めて検討をしてもらいたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、沖縄県警察においては、国道五十八号、三百三十号等の合計五路線、約八十二キロの区間において、二輪車の通行を第一通行帯に限定する車両通行区分の交通規制を実施しております。

 この交通規制は昭和五十八年から順次実施しているものですが、これは、昭和五十六年、五十七年当時、沖縄県では、交通事故全体の死傷者に占める二輪車の交通事故の死傷者の割合が全国平均と比較して極めて高いこと、二輪車の交通事故の主な原因が、片側二車線以上の幹線道路において、停車中又は走行中の自動車の間を蛇行しながらすり抜けたり、無理な追越しや急な車線変更を行ったりすることによる他の車両との接触、衝突であったことから、このような事故を防止するために実施したものと聞いております。

 この交通規制の必要性については、沖縄県警察において判断すべきものと考えておりますが、いずれにしましても、交通規制が実態に合わなくなった場合は、必要に応じ見直しを行うよう指導してまいりたいと考えております。

秋本分科員 今の交通状況と照らし合わせてどうかということを含めて検討するということなので、それをお願いをして、警察の方はこれで退室してもらって結構ですので、どうぞ。

 主査、取り計らってくれますか。

伊藤主査 それでは、どうぞ退席してください。

秋本分科員 それでは、洋上風力の新法の方に移りたいというふうに思います。

 今、国土交通省、経産省、内閣府も入っているのか、都道府県から、うちの県の海域で洋上風力をやりたければ情報提供してくださいというものをやっていますよね、四月の中旬まで。このスケジュールが少しタイトじゃないかなという意見も私はちらほらと耳にします。

 それと、一回やったら、一応今何かペーパーで示されているものだと、一年開かれないんですよ。次はもう一年後ですというふうになってしまうと、そこに駆け込まないと、一年全部後ろ倒しになってしまうというのは結構酷なんじゃないかなと思います。

 特に、新法が制定されて初期の段階というのは、もう先に、この新法に頼らず、県の条例で事業の進捗を図ろうと思っていた事業者がかなりいます。その人たち、そうはいっても進捗状況には若干差があるわけですけれども、早いグループは滑り込みでいけるかもしれない。だけれども、同じように、一生懸命、法律がないころから県条例によって事業の進捗を図ろうと思っていた中でも、中団から後ろの方のグループは、そこに滑り込めなければ一年先というのは、これはファイナンス上も含めてちょっとかわいそうなんじゃないかなと。だから、新法が施行されて初期の、最初の段階ではもうちょっと柔軟に対応してあげてもいいのではないかなというふうに思うわけであります。

 そうすると、情報提供を開始した後に第三者委員会で促進区域の選定をしますよね。その後に事業者と促進区域の決定がありますよね。だから、この第三者委員会というのは少なくとも二回は開かれるわけだから、最初のところで促進区域の指定をして、その後に促進区域の案を決定する、この二回開かれる二回目の第三者委員会に次のグループの情報提供等を認めて、この委員会の開催をもうちょっと、年に一回じゃなくて、最初のころだけでも二回だとか複数回開催するということが望ましいのではないかと思いますけれども、どう考えますか。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今月二月八日に都道府県に対し、促進区域の候補地や協議会の取組体制に関する情報提供を依頼をしておるところでございます。

 これらの情報をもとに、今後、促進区域指定のための手続を進めてまいることになるわけでございますが、委員御指摘になりましたように、法施行後、早期の時期において混乱を避けるということは重要な観点だろうというふうに理解をしてございます。

 早期の促進区域の指定を行う必要がある地域においては、法施行後の一年間程度でございますが、その間について、都道府県の意向を伺いながら、必要に応じて、促進区域の指定のタイミングでありますとか回数について柔軟に対処してまいりたいと思います。

秋本分科員 今局長の方から柔軟に対応していこうという発言があったのは、非常にうれしく思います。私が先ほど述べた理由、そしてそれ以外の理由もあると思いますが、ぜひ柔軟に対応していただいて、この国でしっかりとこの新法を使って洋上風力というのが浸透していくように、設備容量がふえるように取り組んでもらいたいというふうに思います。

 次に、通告の二番と四番を一遍に聞きますけれども、促進区域をまず決めるという作業に約一年間、そして、決めた後に公募をかけて事業者を決めるのに更に一年間となると、これは一体いつ決まるんだよと。

 県条例でやろうとしていて準備をしていた事業者というのは、例えば、ことし着工できる、あるいは来年着工できるというスケジュールを持って進めていて、ファイナンスもそういうふうにして組んできて、地元の関係者ともそういう話をずっと積み重ねてきて、さあもういけるというところに、でも、新法が後ろからやってきて、県条例だと占用期間が短いから、新法で三十年とってもっと安定的に事業展開しよう、だから新法を使おうと思っているけれども、事業者選定まで二年かかりますと言われたんじゃ、これはちょっとそのスケジュール感がのんびり過ぎやしないか。もうちょっと国はしっかり早くやってよというふうに思われるのは仕方ないんじゃないかなと私は思います。

 ですから、公平性を担保する観点から、しっかり期間を設けて、そして、当然、先行事業者ありきではありませんから、そういう事業者とそれ以外の事業者がしっかりと競争するということは大事なんだろうと思いますが、その競争する土俵をつくるのは、事業者の持っているデータを一定程度の条件のもとで国が利用する、情報提供をお願いして出していただいて、そのかわり早く指定するよと。早く公募占用指針をつくって促進区域を指定して、そして事業者の選定も早くやります。ただし、一定の条件を設けた中で提出をしてもらうわけですけれども、それで必ずあなたたちに決まるわけじゃないよと。

 だけれども、例えば諸外国では、多少そこにげたを履かせて、一定程度のデータを出した事業者については、価格がもし高くて選考から漏れたとしても、一番安い価格を入れた事業者とあなたは同じ値段でできる。できると言うんだったら、データを出してあなたたち協力してくれたからあなたたちにするよというルールもあったりするんです。

 だから、一定のルールを提示した中で事業者になるべくデータを出してもらって、そのかわり、早くスキームを進めるからという中ではこういったこともしかるべきじゃないかなというふうに思うんですが、とにかくスキームを短くしてもらいたいということと、そのために事業者から情報提供をしてもらうということはあってしかるべきじゃないかなと思うんですけれども、この点についてはどのように考えていらっしゃいますか。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 選定に係る期間をできるだけ短縮できないかという観点からの御指摘でございます。

 促進区域の指定に当たりましては、都道府県からの情報収集でありますとか、国による、みずから現地の調査を実施する、あるいは、協議会を開催して選定作業を進めていくというような手続が必要になってまいります。これらの手続に要する期間の目安として、現時点ではおおむね十カ月程度必要ではないかと考えておりますが、この期間をできるだけ短縮するということでございます。

 地域によって、委員御指摘のとおり、もう先行事業者によって現地の調査がなされておって、それらのデータが活用できるといったような状況も想定されると考えております。また、協議会に要する時間も、関係する者の数、こういったものによって、地域によって必要な時間は当然違いが出てまいろうかと思いますので、促進区域の指定に要する時間が短縮できる場合には、その旨、鋭意努力をしたいと思います。

 また、委員お尋ねの中で、先行事業者がみずから取得したデータ、これを活用することによって手続期間が短縮できるのではないかという御指摘、そのとおりだと思います。

 なお、先行事業者が調査をして得たデータを活用する場合にありましては、留意点があろうかと思います。

 まず、データの公表について提供事業者が合意をしているということが大前提にあろうかと思います。加えまして、二点目といたしまして、先行事業者が調査して得たデータの精度でございます。確からしさという意味での精度でございますが、それについてはやはり国が確認をしてまいる必要があろうかと思いますので、こういった二点に十分配慮しながら、委員御指摘のとおり、手続期間の短縮については前向きに検討してまいりたいと考えております。

秋本分科員 また局長の方から、スキームの短縮というものについてはしっかり検討していきたいという発言がありましたので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 そして、今、先行事業者からデータという話もしましたけれども、先行事業者というのは、当然、新法があるから始めたわけじゃなくて、県条例でやろうと思って地元に入って、ステークホルダーといろいろと交渉して、そしていろいろなものを築き上げてきて、法律よりも先を走っているわけですよ。そうすると、先行事業者のそういった努力、あるいはそこにお金もかかっているわけですから、それも多分百万、二百万のお金じゃなくて、億単位のお金がそこに投入されている中で、全く新法で後から行って、全部イコールフッティングで、公平公正とは言いながら、それは幾ら何でもちょっと不公平なんじゃないのと。

 だから、やはりそこに入って一定程度の努力を払ってきた先行事業者というのは法律よりも先を行っていたわけですから、この事業者に対しては一定程度の何かしらの配慮があってもいいんじゃないかなという気がするんですけれども、この点についてはどのように考えていますか。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 促進区域を指定いたしますと、促進区域ごとに、経済産業大臣及び国土交通大臣が策定をいたします公募占用指針の中で事業者の評価基準を定めてまいることになります。

 この中で事業者をどう評価するかということが決まってまいるわけでございますが、公募占用指針の評価の基準におきましては、まずは、国民負担の抑制を図るという観点から、供給価格を最も重要な要素とする必要がございます。また、長期的かつ安定的な発電事業の実施の観点から、事業内容でありますとか資金計画、収支計画、関係行政機関の長などとの調整状況に関する事項、こういったものを記載いたしまして、総合的に事業者を評価してまいりたいと考えてございます。

 特に、委員お尋ねの、先行事業者の評価に関する部分につきましては、関係行政機関の長などとの調整に関する事項をこの評価基準の中で定めることによりまして、先行的に地元との調整を行っている事業者を評価してまいりたいと考えてございます。

秋本分科員 一定程度の配慮はしますよという答弁だったと思いますので、ぜひその辺を勘案して進めてもらいたいというふうに思います。

 次に、洋上風力をこの国に導入していこうとなれば、当然、その洋上風車をプレアセンブルして、岸壁に置いて、そこから天気のいいときにえいやで持っていかないと、コストがとんでもないことになるわけです。

 これは、SEP船なんかは一日の借り上げが数千万円かかるというようなことも言われています。だから、やはりぎりぎりのところに置いておいて、天気がいいとき、風がないときに一気にばっと持っていって立てるということをしなきゃいけないわけですよ。そのためには、なるべく近い港に物を寄せて、プレアセンブルして待っているという必要があるわけですけれども、風車は物すごく重いので、今の日本の岸壁では、置いたらぶっ壊れちゃうわけですよ。だから、きちっと耐地圧を上げて、そしてそれに耐え得る港にしなきゃならない。

 ただ、こういう港は日本じゅうに必要なわけではありません。SEP船というのは一定程度航続距離もありますし、あちこちにつくるものではないんじゃないかなとヨーロッパを見ていても思うわけです。ですから、やはり日本もしっかりとビジョンを持って、この国にどのくらいそういう港をつくっていくのかということを定めなければならないというふうに思っています。

 絶対にやらなければいけない作業で、私が去年国交省の政務官だったときに、今の下司さんの前任の菊地さんにお願いをして、一緒に二人で日本じゅうの可能性のある業者を呼んでヒアリングをして、基地港について考える会をつくってもらって、そこでいろいろと作業を進めてもらいましたが、そういったものも含めた中で、国交省さんとしても、今後どうしていこうかというビジョンを描いているんだと思いますけれども、それについてお聞かせを願いたいのと、もう一つ問題が出てくるのが、そういう公共バースをつくりますよね、公共岸壁を。でも、今の法体系では、そこを建設しようとしている風力事業者に長期間占用させることができません。

 このためには港湾法の改正が必要で、せっかく基地港をつくったけれども法律で占用させられないというんじゃ、これじゃもう全然おかしな話ですから、当然、港湾法を改正して、そういった基地港を、風力発電をしようという事業者に、建設しようという事業者に長期にわたって一定程度占用してもらうという必要がある中では法改正も必要なのではないかなと思いますが、この点についてもあわせてお伺いいたします。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、洋上風力発電の建設及びメンテナンスの基地となる港湾が必要となります。

 この基地となる港湾におきましては、重厚長大な資機材を取り扱うことが可能な埠頭を確保していくということ、それから、風力発電事業者が同埠頭を長期的に利用できるという、この二点が求められてまいります。

 今後とも、既存の港湾の施設を最大限活用しつつ、港湾区域が、広い範囲にわたり複数存在する促進区域の風力発電事業を効率的に実施できるよう、地域ごとに基地となる港湾の機能強化を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、委員お尋ねの、長期的、安定的に風力発電事業者が埠頭を利用できるような新たな制度という御指摘でございます。

 事業者や港湾管理者の意見もお聞きしながらではありますが、具体的な検討をできるだけ早く進めてまいりたいというふうに考えてございます。

秋本分科員 鋭意進めていただきたいというふうに思います。

 次に移りますけれども、自賠責。

 これは、自賠責でユーザーから取ったお金を、簡単に言うと、昔、一兆円以上一般会計に繰り入れて、財務省さんは借りていっているんですよね。やはり借りたものは返さなきゃいかぬなと思うわけですけれども、平成六年、七年に約一兆一千二百億円ぐらい借りておきながら、現在に至ってもいまだに六千億円以上戻ってきていないというのでは、これでは、このお金を使って交通事故の被害者の救済なんかもしているわけですから、事業の進捗に影響が出てきてしまいます。

 積立金をどんどんどんどん崩していくと、それによる運用益も得られなくなるし、それに、事業そのものも立ち行かなくなってしまうというのでは、これではおかしいですよね。やはり借りたものは返してもらわなきゃいかぬというふうに思います。去年、返しまっせと約束したので、今まで、年間、金利〇・四%だったのを〇・二〇五%、これも、金利もまけてよと言って、まけていますよね、国交省側は。そうしたら、ちゃんと借りたものは返しましょうよ。

 あと、大臣同士で約束をして、期間はあと、来年度はもう返ってくる金額が決まっていますから、そうすると残り三年ですよね。三年で六千億といったら、年間二千億円ずつ返してもらわないと返ってこないんですよ、約束どおりに。

 この点について、私は、返ってこないと国交省は困る、国交省が困るというか、自動車ユーザーが、みんなが、国民が困りますよね、これは。だから、やはり借りたものは返してもらわなきゃいかぬと思いますけれども、この点について、国交省側の見解と財務省側の見解をお伺いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 国交省では、自動車安全特会の積立金を財源といたしまして、交通事故被害者の救済事業を実施をいたしております。

 この積立金につきましては、先生から御紹介いただきましたけれども、自動車安全特会から一般会計に対しまして、平成六、七年度に一兆一千二百億円が繰り入れられており、約六千億円ほどがまだ繰り戻されていない状況でありますけれども、財務省と協議をいたしました結果、平成三十一年度予算において三十七・二億円の繰戻しが措置されることとなり、平成三十年度予算から十四億円を増額した上で、二年連続の繰戻しが行われることとなったところでございます。

 これによりまして、平成三十一年度の自動車安全特会の積立金の取崩し額は平成三十年度よりも縮減する見込みであることから、積立金の減少に一定程度の歯どめをかけるものであるというふうに考えております。

 一方、積立金の取崩しが毎年発生し、その残存額が減少している状況には変わりなく、被害者救済事業の継続性でありますとか安定性に対する交通事故被害者の皆様及びその家族の不安の声にお応えするため、平成三十二年度以降につきましても、引き続き、繰戻し額の増額と積立金の取崩し額の着実な縮減について、財務省と協議をしながら対応していきたいというふうに考えております。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十一年度予算案における一般会計から自動車安全特別会計の積立金への繰戻しについては、先ほどありましたように、三十七・二億円を繰り戻すこととしたところでございます。

 この繰戻し額については、一般会計の厳しい財政事情のもとにあっても、事故の被害者やその御家族の不安の声を踏まえ、被害者保護増進事業等が安定的、継続的に将来にわたって実施されるよう、積立金の取崩し額の減少を図ったものでございます。

 今後とも、大臣間合意に基づき、事故の被害者やその御家族の不安の声を踏まえ、被害者保護増進事業等が安定的、継続的に将来にわたって実施されるよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。

秋本分科員 引き続き努力ということですので、ちゃんと借りたものは返してもらいたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは次に進みますけれども、次、通告の四と五を一遍に聞きます。

 私、千葉県出身ですけれども、過日、千葉県の知事が石井大臣のところにお願いに上がって、アクアラインの通行料と、あと、第二湾岸と言われる道路の建設について、しっかり国交省お願いしますよということで要望に来たと思います。その中で、大臣の方から、検討会を立ち上げてしっかりと前に進めていきますという発言があったということが、私の地元の千葉日報では非常に大きく報じられました。

 そこでお伺いをしますけれども、その検討会は、いつ、どういうふうに、そして、どんなメンバーで立ち上がるのかということについてお伺いをします。

 これは私は、この中にぜひ池田局長だとかあるいは村山課長だとか本省の幹部がしっかり入って、千葉国道事務所はしっかり事務局としてやっていただくのはいいんですけれども、本省の人間が入ってしっかりやっていくぞというぐらいの姿勢を示してもらいたいということであります。

 それともう一つは、私の地元の国道五十一号線の北千葉拡幅についてお伺いをしますけれども、今、坂戸交差点地先のところで国交省が拡幅の工事をこれから始めようということで地元との協議に入っていますが、そこの地元というのが大型の商業施設なんですよ。こことの話というのは、今進捗はどうなっていて、どんな絵が描かれていくのか。どのくらいにどういう工事が行われてというタイムスケジュールとか交渉の進捗状況を教えてもらいたい。

 それともう一つは、北千葉拡幅というのは、成田の方からと千葉の方から行っているわけですけれども、私の地元の佐倉市地先だけ都市計画も打たれていなくて、四車化の計画が今立っていません。これは先々必ず、両側は四車になっているわけですから、この真ん中も四車にしてしっかりと接続する必要があるわけですけれども、これは、どういうふうな地元からのアクションというか、何かきっかけがあったら国交省としてもでは動きますよというのはどんなことが想定されるのかということについて、あわせてお伺いをいたします。

池田政府参考人 まず、第二湾岸道路の検討会でございます。

 平成二十五年度から、湾岸地域の渋滞解消のために、国や千葉県から成るワーキンググループをつくっておりましたけれども、規格の高い道路が必要だということが明らかになってまいりました。

 今後は、東京湾岸、東京湾の沿岸部における道路ネットワークの計画の具体化を図るための検討会を、関東地方整備局、千葉県、千葉市などのメンバーで、できるだけ早く設置をしていきたいと考えております。この検討会でルートや構造の考え方などについて取りまとめを行うことを予定しております。

 この検討会への本省の職員の参加については、今後、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

 次に、国道五十一号の北千葉拡幅のことでございます。

 今御指摘ありました、千葉県佐倉市の坂戸交差点付近での工事実施が予定されておりますけれども、御指摘ありました、沿線で予定されています開発事業との工事時期などの調整が重要であると考えております。

 既に国と開発事業者の間で調整の場を設けておりますけれども、今後とも引き続き十分な調整が図られるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 また、成田方面への延伸部の事業着手につきましては、整備の方針や整備の時期などについて、千葉県を含む検討の場を設置することが重要だと思っております。地元の要望を前提としながら議論を開始することが更に重要であると考えております。

秋本分科員 本省の職員が参加するかどうかは検討しますということでしたけれども、ぜひお願いします。やはり、そういう姿勢を見せてもらいたいな、国交省に強くリーダーシップを発揮して引っ張ってもらいたいという思いがあるので、私は、改めてお願いしますけれども、局長かあるいは課長、エース級の本省の職員をしっかり送ってもらって、検討会を速やかに立ち上げて引っ張っていってもらいたいと思いますので、よろしくお願いします。

 あと、五十一号線の佐倉地先の四車化については、千葉県を含んだ地元の合意形成ということですから、私も努力をさせていただいて、しっかりここの事業を早く進めたいというふうに思いますので、お力添え、よろしくお願いを申し上げます。

 最後に、北海道におけるレンタカーの乗り捨ての実態について、資料を配付しましたけれども、これを最後に質問をさせてください。

 今回、胆振東部地震が起きて、北海道の中でレンタカーを借りていた人がいますよね、当然。その人たちは、本州から行っていた方々は、早く戻りたいということで、北海道で借りていたレンタカーを使って、当然、公共交通機関も麻痺していますから、何とか車で、フェリーだとかを使って本州にたどり着いて、はあ一息とやっとほっとして、じゃ車を返さなきゃとなったときに、この各社がどういう対応をとったかということであります。

 大手の一社が、本州での乗り捨ては応じない、持って帰ってこいということを言って、実際に車を戻さなければならないという事態が発生しました。

 これは当然、もちろん会社の方からすれば、それはそうだろうということもあるかもしれませんが、超緊急時ですからね。胆振東部地震のときで、災害時ということを勘案すれば、見てください、ほかの大手はみんな認めているわけですよ。柔軟に対応しているわけですよ、当然。

 だけれども、ある一社だけが対応できなかったということで、これは私、政務官で自動車局も担当していたので、いろいろとお願いをして、レンタカー協会の方にちょっと言ってくれということを言っていましたが、その後要請したというのは聞いたんですけれども、要請した後どうなって、そしてその後、国交省としてはどうしていくのかということについてお伺いをしたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から資料を配付していただきました。そこにございますとおり、御指摘の、北海道内で借り受けたレンタカーの乗り捨てにつきまして大手四社にヒアリングを行ったところ、平時においては全ての事業者で北海道内での乗り捨てサービスを実施しておりますが、本州への乗り捨てサービスを実施している事業者は一社のみということであります。

 こうした中、御指摘の、昨年九月の北海道胆振東部地震発生直後には、利用者から本州での乗り捨ての希望がありまして、その際に、平時と同様に道内での返却を求めた事業者が一社ございました一方で、三社は要望に柔軟に対応したということでございます。これは先生からお話をいただいたとおりでございます。

 私ども、こうした地震直後の各事業者の対応につきまして、ことし一月に開催されました全国レンタカー協会の会議の場におきまして、全国から参加してきた各都道府県協会の会長、専務理事の方々に対しまして、こういった情報を提供いたしますとともに、災害時には可能な限り利用者の要望に柔軟に対応していただくよう要請をしたところでございます。

 私どもといたしましては、御指摘につきましては、今後とも機会を捉えまして、事業者に対し、災害時においては利用者のニーズに対応した柔軟な対応をしていただけるよう働きかけてまいりたいと思いますし、そういった事態が発生すれば、そのときの状況については把握をしてまいりたいというふうに考えております。

秋本分科員 終わります。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて秋本真利さんの質疑は終了いたしました。

 次に、石川香織さん。

石川(香)分科員 立憲民主党の石川香織でございます。

 けさは朝から本当に御苦労さまでございます。私も早速質問に入らせていただきます。

 まず、財政投融資についてお伺いをしたいと思います。

 国交省は、財政投融資一兆一千五百億円を活用いたしまして、関西国際空港の防災対策、そして高速道路の暫定二車線の対策など、機能強化をするということが既に決定をしております。

 この暫定二車線の対策という点でありますけれども、既に社会資本整備審議会道路分科会の平成二十九年の建議の中でも、「高速道路の安全・安心に係る賢い取組」という欄でこのような記載があります。「特に暫定二車線区間については、速度低下や事故防止の観点に加え、通行止めが多い区間等における信頼性の向上や災害時のリダンダンシー確保の観点からも、四車線化を推進すべきである。」というふうに書いてあります。

 つまり、渋滞ですとか事故が多発してしまう、通行どめが多い、それから災害時の脆弱性などという観点から、今二車線のところは四車線化にしていこうということが書いてあります。

 そして、この全国の高速道路の中でどの区間により緊急性があるかということでありますけれども、今回の財政投融資の中では、全国で百キロ、今回適用になるということでありました。道東道もその緊急性が非常に高いところでありまして、市町村の方々、また、商工会の皆様、関係団体の皆様方の切実な要請行動が続いているところであります。

 この道東道の存在がクローズアップされた出来事がありました。二年前、北海道に大型台風が次々と襲うということがありました。二〇一六年の九月三日にも石井大臣に現地を視察していただいたと思います。この大型台風の災害で、国道の二百七十四号線、国道三十八号線など幹線が寸断をされてしまいましたけれども、この一年三カ月の間、この間は道東道を無料という措置をいたしまして、代替道として非常に重要な機能を果たしました。道央と道東を結ぶ幹線ルートとして、生活、物流、救急という観点から、命の道路として非常に存在感を示したということであります。このことは、国土幹線道路部会基本方針の中にも、具体的に道東道の例を挙げて記載をされてあります。

 その一方で、一たび事故が発生してしまうと、非常に上下線とも通行どめになるケースが多いというのも特徴でありまして、全国の高速道路の通行どめランキング、これは二〇一六年でありますけれども、道東道占冠―トマム間は一位。ほか、ワーストテンに三区間もランクインをしてあります。二〇一八年の年末年始の通行どめに関しましては、前年の三倍増に当たる十八回も通行どめになってしまったというデータもあります。

 この道東道でありますけれども、一刻も早く四車線化が望まれると思いますけれども、優先度が高いという御認識があるかどうか、お伺いをしたいと思います。

石井国務大臣 道東自動車道は、千歳市から足寄町及び本別町を結ぶ延長約二百キロメートルの高速道路であります。

 道東自動車道は、全線暫定二車線であることや積雪地を通過することなどから、交通事故や雪などに起因した通行どめがたびたび発生していると承知をしております。

 我が国の高速道路のうち約四割が暫定二車線の区間となっておりますが、安全性や走行性に加え、通行どめが発生しやすいなどの課題がございます。

 全国にある暫定二車線区間につきましては、優先順位を定め、順次四車線化を進めることが必要と考えております。

石川(香)分科員 この財政投融資の百キロということでありますけれども、どの区間になるかということの決定をするのは大体いつになるのか、お答えいただきたいと思います。

池田政府参考人 財政投融資を活用して四車線化を実施する箇所につきましては、平成三十一年度から四車線化が実施できるように、現在、重要インフラの緊急点検により把握した土砂災害などの危険性の高い箇所のうち、おおむね百キロを、精査を現在しているところでございます。

石川(香)分科員 ありがとうございます。

 先ほどの大臣の答弁にもありました。北海道は非常に雪が多く降る地域でありまして、通行どめになってしまったり、また、災害で道路が寸断された場合、救急搬送という点でも、救える命も危険にさらされてしまうということもあるという可能性、また、北海道十勝は食料供給基地ということもありまして、物流の観点からも非常に重要な拠点であるということで、さまざまな観点からもこの道東道は四車線化が一刻も早く待たれる道路の一つでありますので、ぜひお力添えをよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、公共事業の予算、それから与党と野党の議員の数の関係性ということについてお伺いをしたいと思います。

 きょうは資料もお配りしておりますけれども、まず一般論といたしまして、公共事業の箇所づけ、道路、橋梁、それから港湾、空港整備など公共事業の箇所づけはどのような方法で定められているのか、教えてください。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 公共事業予算の配分は、地域の実情や地方公共団体等からの要望を踏まえ、当該予算によって行われる事業の必要性や緊急性に基づき決定しているところでございます。

石川(香)分科員 きょうは資料をお配りしております。

 この予算の配分と与党議員の数が関係あるのかということでありますけれども、十勝、私の選挙区のみならずだと思いますが、野党議員が多い地域ですとか野党議員しかいない地域は予算が削られているだとか減らされているということが非常にまことしやかにささやかれているということがありまして、非常に疑心暗鬼になっている人もいるようなので、全国の選挙区の与党議員の数、野党議員の数、そして選挙区の予算の配分の増減を、過去二回の選挙にわたって、当初予算でありますけれども、調べました。

 ちょっと算数の授業のようになってしまいますけれども、この表は、衆議院の翌年度の国土交通省関係予算による補助事業予算配分、当初予算の対前年度の増加率と、当該選挙の小選挙区当選与党議員数、これは比例代表の復活当選も含みますけれども、これを比較した資料であります。この対前年度増加率というのは、全国の平均のふえ幅よりも多いか少ないかということを示してあります。

 この資料を読み解きますと、例えば福岡県をごらんいただきたいと思います。福岡県は、平成二十四年の選挙では、この真ん中のグラフですけれども、与党議員が九一%でありました。平成二十六年の選挙で一〇〇%になりました。予算はどうかといいますと、平成二十七年度、二十六年の選挙を経ての予算でありますけれども、〇・九二五となっておりまして、この一番左側のグラフの一番下に平均が書いてあります、前年度比の全国平均は一・〇二二というのが全国平均のふえ幅であるそうですけれども、この福岡に関しましては、〇・九二五となっておりますので、全国平均よりも下回っているということがわかります。

 同様の方法で、与党議員の数の割合が増加し、かつ予算の増加率の低いものというのは、平成二十九年の選挙では千葉、兵庫、熊本ということになりまして、直近二回の選挙では四県ということになりました。

 次に山形県をごらんいただきたいと思います。平成二十四年の選挙では与党議員の数は六七%でした。二十六年の選挙では一〇〇%になりまして、与党議員の数の割合が増加をいたしました。そして予算の増加率はといいますと、平成二十六年の選挙では全国平均が前年度比一・〇二二でありますけれども、山形県は、一・〇四一ということで全国平均よりもふえ幅が大きいということで、同様に、与党議員の数がふえて予算の増加率が全国平均よりも多いというのは、平成二十九年の選挙では京都府、福島県、奈良県ということで、直近二回の選挙では四県ということになりました。

 このグラフからわかることといたしましては、過去二回の選挙の全ての選挙区の調査をしてみて明らかになった結果としまして、与党議員がふえて予算がふえている地域も、与党議員がふえて予算が逆に減っている地域も同数でありまして、そのうわさの根拠がないのではということがわかるかと思いますけれども、この結果を見て、大臣、どう受けとめられているか。お答えいただきたいと思います。

石井国務大臣 大変興味深い資料をおつくりいただいたなと率直に思いました。

 私、御指摘のうわさについては承知をしておりませんけれども、公共事業予算の配分は、先ほど官房長から申し上げましたとおり、地域の実情や地方公共団体等からの御要望を踏まえまして、事業の必要性や緊急性に基づき決定をしてございます。

 今後とも、こうした考え方に立ちまして、適切に対応してまいりたいと考えています。

石川(香)分科員 興味深いと言っていただいてありがとうございます。

 全て計算をいたしまして過去二回の選挙に関しましてはこういった結果が出たということでありますので、与党議員選出の地域、それから与党議員が多い地域では公共事業が多く配分されるといったことも導かれないのではないかと思います。そしてそれは、逆に、野党議員だから予算が削られるということの関係性も導けないと思います。(発言する者あり)それが言いたかったんです。

 続いて、IRについてお伺いをしたいと思います。観光という観点で石井大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 このIRでありますけれども、北海道も手を挙げている地域がございます。しかし、世論調査の結果は、北海道新聞の、昨年の十月二十六日から二十八日に行った全道調査で、IRの道内誘致について北海道民の六五%が反対という結果が出ております。今月一月二十八日に苫小牧で行われましたIRの地域の説明会では、候補地は貴重なヒグマの生息地であるということなども含めて、反対意見が噴出したということも新聞等などで記載をされておりました。

 北海道は、夏の旅行はもちろんでありますけれども、冬は、例えば流氷を見に来たり、それから、スキーですとかスケートですとか自然ですとか、あとは、豊かな食を楽しみに観光にいらっしゃる方が多い、人気の観光地であります。また、外国人の観光客も増加傾向にあるということもあります。

 このIRなんですけれども、IR目的で北海道は観光客がふえる若しくは経済効果があるということも私はにわかに信じられないというのが率直な感想であります。ギャンブル依存症対策も含めて、まだまだ不安が払拭されていないとも思います。

 私は、IRよりも、冬場に例えば子供ですとか観光客の方々が遊びに行けるようなテーマパークを誘致した方が、北海道に住む人にとっても、また、観光で北海道に訪れる方にとっても大きな魅力になるのではないかと思いますけれども、大臣のお考えを教えていただきたいと思います。

石井国務大臣 IRは、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と収益面等の原動力となるカジノ施設とが一体的に運営されまして、民間の活力と地域の創意工夫を生かして、これまでにないスケールとクオリティーを有する総合的なリゾート施設を整備するものでありまして、我が国を観光先進国へと引き上げる原動力となると考えております。

 また、IR整備法におきましては、都道府県等がIRを誘致するかどうかの判断を行い、民間事業者と共同して区域整備計画を作成した上で国の認定を申請する制度となっております。

 国がどこか特定の地域にお勧めをしたりということではありません。あくまでも、その地域がみずから御判断をして国に認定を申請するという制度でございます。

 いずれにいたしましても政府としては、今後できるだけ早期に日本型IRを実現できるよう、政省令の制定や基本方針の策定など、所要の準備作業を進めてまいりたいと考えております。

石川(香)分科員 まずは、その地域でどう考えているかということもしっかりまとめなくてはいけないということでありました。

 ただ、いろいろな世論調査の結果ですとか、やはり地元の方の声ということが第一だと思いますので、引き続き、こういった地元の声もぜひ御配慮いただきたいと思います。

 大臣にお伺いするのはこの問いが最後ですけれども、このまま引き続きよろしいでしょうか。

 次に、JR北海道についてお伺いをしたいと思います。

 JR北海道の石勝線夕張支線は、ことし四月一日に廃止となりました。そして、夕張市の交通体系再構築のためにJR北海道が七億五千万円を拠出するということも同時に決まりました。

 このことを夕張市長は攻めの廃線と語っておりましたけれども、国土交通省はどのように評価をしているのでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 夕張市においては、平成二十四年三月にまちづくりマスタープランを策定し、同年四月に設置された地域公共交通協議会において持続可能な公共交通体系の検討を開始し、翌二十五年三月に生活交通ネットワーク計画を策定するなど、持続可能な公共交通体系に関する議論を重ねてきたものと承知しております。

 その後、平成二十八年八月に、夕張市長は石勝線夕張支線の廃線を提案するとともに、JR北海道に交通政策への協力要請を行いました。また、同年九月に策定した交通体系再編基本方針を踏まえ、JR北海道との間で鉄道事業の廃止とその後の交通体系のあり方について協議を進めてきた結果、平成三十年三月に合意に至り、JR北海道より鉄道事業の廃止届出が同月二十六日に提出されたところでございます。

 このように夕張市においては、夕張支線の利用状況等を踏まえ、地域交通の今後のあり方の検討を積み重ねた上で路線廃止に合意されたものと受けとめております。

 以上でございます。

石川(香)分科員 いろいろな議論があったと思います。ただ、私はすごく残念な結論だったなというふうに感じています。路線はつながっているからこそ価値があります。

 北海道全体で各町村が連携をいたしまして、どうにか鉄道を維持しようとしている動きをしている中、今回の廃線には、ショックですとか、怒りという感情を持っている道民の方も多くいることと思います。

 ただ、その一方で、この夕張支線でありますけれども、沿線自治体は夕張市のみであるということでありまして、これも一つのアイデアであるという側面もあるかもしれませんけれども、したがって、逆に、複数の自治体がかかわるほかの路線には参考にならないのかなというふうに思っています。

 いずれにせよ、ほかの線路までが攻めの廃線という言葉を使って廃線にしてしまえば、北海道の鉄道はなくなってしまいます。

 鉄道は、乗る、見る、撮るなどたくさんの楽しみがありまして、それ自体が観光資源であります。鉄道の廃止後、バスに転換した場合、わざわざバスに乗りに来るという人は果たしているでしょうか。バスとこの鉄道は根本的に違うということが言えると思います。

 また、短期的にはバス転換で息がつけるということがあったとしても、人口減少でありましたり、みずから運転ができないという高齢者がふえた地域は立ち行かなくなるという懸念も示している方もたくさんいらっしゃるということもあわせて申し上げたいと思います。

 そして、このJR北海道の問題、続いてもお聞きしますけれども、大きな問題の一つといたしまして、北海道の対応が非常に遅かったという点も大きな問題だと思います。

 二〇一六年十一月のJR北海道の単独では維持困難な線区の発表に対しまして北海道の運輸交通審議会の鉄道ワーキングチームは、二〇一七年の二月に「将来を見据えた北海道の鉄道網のあり方について」という報告書を提出をいたしました。しかし、この報告の中には線区ごとの具体的な記述がありませんでした。二〇一八年二月のこのワーキングチームのフォローアップ会議の中で、「将来を見据えた鉄道網のあり方について」という報告書で、ようやく各線ごとの将来像に言及をしております。

 このように、各線に対する北海道の明確な方針の公表がJRの維持困難線区の公表から一年以上の時間を要してしまったということが、今なお持続可能な交通体系の議論が進まない要因の一つと私は考えているんですけれども、国はこの北海道の対応につきまして、助言の有無等含めましてどう認識をされているか、お答えをいただきたいと思います。

蒲生政府参考人 北海道庁は、平成二十八年十一月のJR北海道による単独では維持困難な線区の公表後、北海道運輸交通審議会に設置された鉄道ネットワーク・ワーキングチーム、同ワーキングチーム・フォローアップ会議、総合交通政策検討会議等における検討を踏まえ、昨年三月に北海道交通政策総合指針を策定し、その中で維持困難線区の線区ごとのあり方を整理したものと承知しております。

 その後、昨年四月以降は、JR北海道の事業範囲の見直しに係る関係者会議を主催する等、各沿線自治体等の関係者により組織された他線区の協議会にも参加し、各線区の今後の方向性に関する議論をリードするなど、持続可能な交通体系に関する議論における中心的な役割を果たしていただいていると認識しておるところでございます。

 国土交通省としては、道庁との連携をしっかりと今後も続けながら、地域の協議に参画するなど、関係者で十分な議論がなされるよう、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

石川(香)分科員 北海道に住む者としては、ちょっと認識が違うのかなというふうに感じました。北海道はJR北海道は経営努力が不足しているという批判を繰り返すだけで、具体的な対策などは何も示すことがなかったというふうに感じています。

 昨年の十二月に、国に対して要請していた地方財政措置も見送られましたけれども、一九年度からの二年間、単独では維持困難とされる八線区につきまして、北海道と自治体が自前の財源で支援するという方針も明らかになりました。自治体も財政状況が厳しい中、どうにかJR北海道を応援していこうということで決定をしたということでありますけれども、次に、国からJRへの財政措置についてもお伺いをしたいと思います。

 北海道は、国鉄分割・民営化の際に経営安定基金が置かれたということを考えましても、やはり、鉄道経営には非常に厳しい環境であると言えると思います。札幌への一極集中の構造、それから、面積も非常に広いですし、人口密度も低い、そして厳しい自然環境も踏まえまして、こういうのが全て鉄道経営を圧迫しているという現状があると思います。

 やはりこの北海道は、このような特殊事情を考慮いたしましても、北海道の鉄道経営は十分採算がとれるというふうには思えません。

 先ほど述べたような北海道の特殊事情を考慮した上でも、現在まで、このJR北海道に対する国の支援は果たして十分だったのかなということをお伺いしたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 北海道におきましては、地域の人口減少や高速道路等他の交通インフラ等の発達に伴い、鉄道の輸送人員が減少し、大量高速輸送という鉄道特性を生かすことのできない路線が増加していると認識しております。

 また、こうした厳しい状況を踏まえまして、国はこれまでJR北海道に対して、経営安定基金の運用益の下支え、経営安定基金の実質的な積み増し、設備投資に対する助成や無利子貸付けなど、累次にわたりまして可能な限りの支援を行ってきたところでございます。

 以上でございます。

石川(香)分科員 いろいろな支援もしていただいている中で、関係者が当事者意識を欠いて国ばかりに依存することは、そもそもやはり間違っていると思います。JRの経営努力は一番大切であります。

 しかし、JR北海道の社員の平均給与といいますと、道内の大半の自治体よりも低い、そして、ほかのJR各社の中でも残念ながら低いということも聞きました。さらに、資金不足によって車両の更新、修繕がなかなかできないということも重なっております。

 昨年の七月に政府は、JR北海道に対しまして経営再建の監督命令を発するとともに、二年間で四百億円の支援を決定をいたしました。それ以降の支援につきましては、JRと地域の取組の状況を検証するという条件をつけました。

 二年間でJRは結果を出すということが求められているわけでありますけれども、さまざまな厳しい経営環境という中で二年間ですぐに目に見える改善結果を出すということは、なかなかハードルが高いのではないかなと感じています。

 現にJR北海道の島田社長は、新聞社のインタビューで、二年間では、納車まで三年かかる新しい車両の発注ができないというふうに述べておりまして、三年以降の支援も示すように訴えたということでありますけれども、二年間の支援を終えてのそれ以降の支援につきまして、さまざまなハードルがあるかと思いますけれども、国交省はどう考えていらっしゃるでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 JR北海道に対する支援につきましては、国鉄清算事業団債務等処理法の規定に基づき、鉄道・運輸機構の特例業務勘定を通じて行われており、その支援の期限は、現行法上、二〇二〇年度末までとなっております。

 二〇二一年度以降につきましては、同法の規定に付された期限が到来することから、その時点におきまして、JR北海道及び地域の関係者の取組状況を検証し、着実な進展が確認されることを前提として、JR北海道の経営自立に向けた国の支援を継続するため、所要の法律案を国会に提出することを検討することとしております。

 現在、JR北海道におきましては、二〇一九年度及び二〇二〇年度の第一期集中改革期間におきまして、JR北海道と地域の関係者が一体となって、利用促進やコスト削減に取り組むことをまとめた事業計画、いわゆるアクションプランを作成しているところでございます。

 国としては、JR北海道及び地域の関係者が、当該計画に盛り込まれる取組を着実に実施することで十分な成果が上がることを期待しておるところでございます。

石川(香)分科員 この法律の改正も含めて、ぜひ検討していただきたいと思います。

 また、北海道は面積が広いというようなお話もありました。こういった特徴を踏まえて、その事情も盛り込んでいただくということもあわせて検討をしていただくということも約束していただいたということでありますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 この鉄道の存続のために、北海道でも多くの集会が行われております。要請行動も行われております。この利用の促進等はもちろんなんでありますけれども、地域社会の全体で鉄道を支えていく必要があるのではないかと感じています。

 鉄道が存続可能となるような地域社会の取組としてはどのようなものがあるか、お答えいただきたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の地方部の鉄道におきましては、利用者の減少などによりまして厳しい経営状況に置かれる中、鉄道事業者と地域の関係者が協力してさまざまな利用促進の取組等が行われているところでございます。

 具体的には、企画乗車券の販売や高齢者割引制度の導入、観光列車の導入やサイクルトレインの運行、アテンダントの乗車による接客サービスの向上、パーク・アンド・ライド駐車場の整備、地域イベントとの連携などが挙げられます。

 JR北海道におきましても、現在、JR北海道と地域の関係者が一体となって取り組むアクションプランを策定中でございますので、その中では、全国の取組事例を踏まえましてさまざまな利用促進等への取組を検討しているところと承知しております。

 いずれにいたしましても、アクションプランに盛り込まれる取組をJR北海道と地域の関係者が一体となって実施することで、利用促進等につながっていくことを期待しているところでございます。

 よろしくお願いします。

石川(香)分科員 今、観光列車の話も出ました。JR北海道は二十八年ぶりにこの運行をしていくということで、楽しみな話題の一つでもあります。

 JRの根室本線というものがありまして、台風災害でこれが不通になってしまいまして、この早期の復旧工事を進めてほしいということと、路線維持を求める集会ということがありました。

 そして、この中で、十勝の町村会の会長であります本別町長の方がお話をされていることを最後に御紹介して終わりにしたいと思います。

 十勝はふるさと銀河線というものがありましたけれども、この廃止を既に経験をいたしております。この後の状況をお話しされているのを読みたいと思います。

 ふるさと銀河線がなくなった後、本別で何が起きているか。地元の中学生が帯広市の高校に合格する。鉄道があったころは男子も女子もみんな鉄道で通った。鉄道がバス転換になって以降、通学時間が延びた。それでもまだ男子の場合はバスに長時間乗せて地元から通わせる親が多いが、女子の場合、通学時間が余りに長いと親が心配する。その結果、短時間で通学できる場所がいいと、家族が娘に合わせて帯広市の近くに引っ越しをして、父親だけが逆にそこから本別に通ってくるようになる。お年寄りも、病院が遠くなったからと帯広に引っ越す。鉄道がなくなった町は人の住めない町になる。だから今が頑張りどきだと思うということをお話をされております。

 やはりこれも、維持をしていくということは非常に大変なことでありますけれども、答えを見つけていくためにもお互い努力をしていくということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて石川香織さんの質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

伊藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松田功さん。

松田分科員 立憲民主党・無所属フォーラムの衆議院議員、松田功でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきたいと思います。

 公共事業の関係で、横浜港のコンテナターミナル工事が行われ、それの地盤の関係で、サンド・コンパクション・パイル工法で行われた工事についてお伺いをしたいと思います。

 この横浜港の工事、サンド・コンパクション・パイル、約千七百本打って、深いところだと六十五メートルぐらいまでということで、日本では一番深いところまで行っているのではないかというふうにお伺いをしているところであります。海外では七十メーターぐらいが最高の深さだというふうにお伺いをしている工事であります。

 日本は、南海トラフ地震も警戒しなければいけない部分もあります。地盤が弱いところでもしっかりとした工法で進めていかなければならないというふうに感じ取られておりますが、この工事についてこの手法でいこうというふうに発注をした横浜港の工事について、発注者を御確認をさせていただきたいと思います。

下司政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員より御質問のありました横浜港南本牧埠頭のコンテナターミナル整備事業でございますが、この埠頭の整備につきましては、関東地方整備局が発注者となって事業を推進してございます。また、この埠頭全体でいいますと、直轄工事以外にも、港湾管理者である横浜市も事業を実施しておるところでございます。

松田分科員 それでは、そのサンド・コンパクション・パイル工法でやりましょうというふうに決めたのはどちらになるんでしょうか。

下司政府参考人 お答えいたします。

 いずれも、各事業者がその事業を適切に効率的に実施する中で、最適な工法を選定して、どういう工法でやるかということを決めてございます。もちろん、関東地方整備局が発注した国直轄工事につきましては、関東地方整備局が適切に判断して、適切な改良工法を選定をいたしてございます。

松田分科員 ということは、関東整備局の方も発注したということになると思いますが。

 それでは、そのパイル方式で行った工事について、工事費用をお伺いしたいと思います。

下司政府参考人 お答えいたします。

 国が発注した工事についてお答え申し上げます。

 平成十九年からこの事業につきまして実施をしてございますが、事業採択されました平成十九年度から今年度までの間に、合計七件の工事におきましてこのサンド・コンパクション・パイル工法を含む工事を実施しておりますが、この七件の合計の契約金額につきましては約八十五億円になってございます。

松田分科員 これは、合計で出ましたが、それぞれの件数で、費用とか、あと、どれぐらいのメーターでとかという詳細は出すことは可能ですか。

下司政府参考人 もちろん、整理してございますので、必要でございましたら後ほど委員の方に御提出申し上げます。

松田分科員 それでは、提出の方をお願いしたいと思います。

 それで、それぞれこの工事に対して工期がどれぐらいかかったか、お答えいただけますか。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 七件全てについて申し上げますと、いずれも三百日以内、一年以内でございます。最も金額のかさみました、三十二億円かかった工事につきまして、最長となっておりまして、工事期間は三百四日でございます。

松田分科員 それでは、後でまた詳細に、本数と費用と日数と長さ等は詳細に、ぜひペーパーを出していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、引き続き次の質問に入らせていただきたいと思います。

 トラック運送関係の質問に移りたいと思います。

 昨年の六月に成立した働き方改革関連法、この四月から順次施行されますが、自動車運転業務は、一般則五年おくれで年九百六十時間を上限とする別基準が適用をされました。

 これに基づいて、自動車運転業務への適用開始までの五年間は何もしないということではないとは理解しておりますが、この五年間に行われる施策についてお聞かせをいただきたいと思います。

石井国務大臣 昨年六月に働き方改革関連法が成立をいたしまして、今委員から御紹介いただいたように、自動車運転業務につきましては、二〇二四年四月より、年九百六十時間以内の時間外労働の上限規制が適用されることとなりました。

 国土交通省といたしましては、上限規制の円滑な導入に向けまして、適用までの約五年間を有効に活用しまして、長時間労働の是正を着実に進めることが重要と考えております。

 このため、自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議におきまして昨年五月に策定をされました自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画に基づきまして、関係省庁と連携をし、労働生産性の向上、多様な人材の確保、育成、取引環境の適正化等の長時間労働の是正に向けた環境整備に取り組んでいるところであります。

 また、上限規制の適用開始に向けた準備を促進をするため、昨年三月には、トラック等の各事業者団体におきまして、数値目標を盛り込んだアクションプランを策定をいただいたところであります。

 国土交通省といたしましては、これらの取組を引き続き着実に進めるとともに、施策のさらなる充実強化に努めてまいりたいと考えております。

松田分科員 非常に運送事業者の皆さんは過労死が多い部分であることは御存じかと思われます。

 そんな中で、五年後ということでありますので、今大臣の方からも、アクションプランやいろいろなことで進めているところもあるかと思いますが、そういったことも含めまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 この働き方関連法の法案審議の中で、加藤厚労大臣から、自動車運転業務、時間外の労働の上限規制を、年九百六十時間は拘束時間ベースでは三千三百時間以内という答弁をいただいておると思います。

 改善基準告示を見直すに当たって、ベースとして、その三千三百時間以内であるという理解でよろしいでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 ただいま、自動車運転業務の改善基準告示の見直しに当たっての考え方につきましての御質問をいただきました。

 改善基準告示の見直しに当たりましては、有識者や関係する業界の労使の方々にお集まりいただき、勤務の実態等を踏まえた丁寧な議論を経て、合意形成を図りながら過去進めてきた経緯というものがございます。

 今回の法改正を踏まえた改善基準告示の見直しについては、現在、労使においてさまざまな意見があると承知をしており、まずは、業所管省庁の国土交通省と事務レベルで相談を行っているところでございます。

 このような状況であることから、厚生労働省として、改善基準告示の今後の規制水準について現時点で特定の見直し案は持ち合わせていないところですが、年九百六十時間の上限規制と整合する改善基準告示の見直しについて、国土交通省と連携しながら取り組んでいく考えでございます。

松田分科員 それでは、拘束時間の上限の話に行きます。

 上限ぎりぎりのダイヤ設定において、改善基準告示を守れない要因の一つでもあります。そもそも、トラック輸送の取引環境・労働時間改善協議会は、時間外労働の六十時間超えの割増し率五〇%の中小への適用猶予を廃止するために、改正労働基準法案、いわゆる二〇一五年法案の閣議決定を受けて、改正法成立後に対策を始めたのでは法施行に対応が間に合わないということで始まったというふうに承知をいたしております。そこでの時間外労働短縮の到達目標は六十時間というふうに念頭に置かせていただいております。

 そこで、総拘束時間についても、時間外労働の短縮に向けた業界の目標値、行政処分の対象となる改善基準告示を下回るマージンとしてダイヤ設定上の目安を官労使で設定することも有効と考えますが、いかがでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 長時間労働抑制のための改善基準告示を下回るマージンというようなダイヤ設定の御質問をいただいたところでございます。

 委員御指摘の現行の改善基準告示の内容は平成九年に定めたものでありますけれども、平成二十九年時点、労働基準監督機関における監督指導状況を見ますと、自動車運転者を使用する五千四百三十六事業場を監督指導したところ、六割を超える三千五百十六事業場において改善基準告示違反が認められたというような状況でございます。

 厚生労働省としては、このような状況を踏まえ、長時間労働の是正に向けて、労働基準監督署等において、改善基準告示等を遵守していただくため、地方運輸機関との合同監督、監査や相互通報等、国土交通省と緊密に連携し、実効ある取組を進めていきたい、このように考えているところでございます。

 委員御指摘の改善基準告示より更に進んだ労働時間短縮の方策については、このような改善基準告示の遵守状況や、また、運行ダイヤという技術的な内容が含まれることを踏まえると、厚生労働省が労働時間規制として取り組んでいくというよりは、各事業場の勤務の実態等を踏まえ、労使において自主的に取り組んでいただくことが望ましいのではないかと考えております。

 いずれにいたしましても、長時間労働の是正に向けまして、国土交通省と連携し、改善基準告示を遵守していただくための取組を進めていきたい、このように考えているところでございます。

松田分科員 労使の方でということもありますが、やはりここは国の方も入って決めないと、なかなか難しい部分というのが出てくると思うんです。

 このダイヤの設定が、ある程度余裕を持って決めるということで、例えば、渋滞をするとか事故等々で遅くなることというのはよくある話なんです。そういったことで時間が大きくオーバーしていくということになります。また、繁忙期になればなるほど実はそういうことが多くなるということなんです。そうすると、また長時間働かなければいけないという状況は変わらないまま進むということになりますので、そういった意味においては、国の方も入った中での適正なダイヤ設定が必要であるというふうに思われますが、いかがでしょうか。

奥田政府参考人 御質問の件、国交省からもお答えさせていただきます。

 私ども国土交通省といたしましては、過労運転による交通事故防止や将来の担い手確保といった観点から、トラック等の自動車運送事業における長時間労働の是正は重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 このような観点から、昨年六月に自動車運送事業に関します省令を改正いたしまして、事業者が睡眠不足の乗務員を乗務させてはならないこと等を明確化したほか、昨年七月からは、通達を改正しまして、過労運転防止関連違反に対する行政処分の処分量定を引き上げることとするなどの対策を講じてまいりました。

 御指摘の点につきましては、国交省といたしましても、自動車運送事業を所管する立場から、改善基準告示を前提とした労働実態を踏まえながら、長時間労働の是正が進むよう、厚労省とも緊密に連携しながら、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。

松田分科員 適用が五年後になった業種でありますので、これは多分、労使のいろいろな、会社側の考えもあってということかとも思われます。しかしながら、現状としてやはり過労死が多いということは事実なんです。また、運送業の方も、働きたいという思いの中であるということのはざまに立っているかもしれません。

 しかしながら、事故が起きれば、全て悲しい思いをする。被害者だけでなく、加害者の子供も家族も非常につらい思いをする。そういうことは考えられますので、ここはやはり、労使だけでなく国の方も入って、働き方改革を進めていくという意味では、大きな業界としての岐路に立ってきているというふうに思われますので、ぜひその辺についてはしっかりとお考えをいただきたいし、仲を取り持って、ぜひしっかりと進めていっていただきたいと思います。

 引き続いて、続けさせていただきます。

 自動車運送事業の働き方改革実現に向けて、政府の行動計画についてお伺いをしたいと思います。

 昨年五月に策定された自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画は、ドライバーの労働環境の改善に資するものとして期待をいたしております。

 一方で、長時間労働の是正により賃金水準が低下したのでは、ドライバーの生活が維持ができなくなります。この間の行政や業界労使、また、徐々にではありますが荷主からの理解もあり、業界全体とはいかないものの、運賃改善の効果でドライバーの賃金も若干上向きつつあるようにも見受けられます。

 しかしながら、長時間ありきの給与形態の見直しは広がりを見せておりません。このままでは、ドライバーの賃金が少し上がっても、時短が進まず、景気が悪くなればもとどおりとなりかねません。

 そこで、他産業並みに労働時間を短縮しても生活ができる賃金の確保に向けて、長時間ありきの賃金制度の改善が必要と考えますが、御意見をいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、自動車運転者の賃金の改善を図るため、自動車運送事業において適正な運賃収受を図ることが重要だというふうに考えております。

 このため、例えばトラック運送業につきましては、平成二十八年七月にトラック運送業の適正運賃・料金検討会というものを立ち上げまして、トラック事業者が適正な水準の運賃・料金を収受できる環境を整えるための具体的な方策について検討を進めてまいりました。

 トラック運送業は、これまでの商慣習によりまして、積込み、取卸し作業、荷主都合により生じた待機時間、倉庫での棚入れ等の附帯作業などに係るコスト負担の扱いが不明確となっている面がございます。

 このような状況を改善し、サービスに見合った対価を収受できる環境を整えるため、運賃と料金の範囲の明確化等を内容とする標準貨物自動車運送約款の改正を平成二十九年十一月に施行いたしました。

 現在、約款改正の趣旨について荷主の理解が進むよう、関係省庁とも連携しながら、積極的に周知活動に取り組んでおります。

 また、昨年十二月に議員立法として成立をいたしました貨物自動車運送事業法の改正におきまして、トラック運送業が法令を遵守して運営を行っていく際の参考となる運賃を示すため、平成三十五年度末までの時限措置として、標準的な運賃の告示制度が設けられたところであり、国交省といたしましては、関係者の意見も聞きながら、条文の趣旨に沿うことができるよう、適切に対応してまいります。

 これらに加えまして、貸切りバスにおきましても、運送引受書への運賃の上限、下限額の記載でありますとか、取引書面の取り交わしの徹底を進めるなど、運賃・料金の下限割れ防止対策を実施をいたしております。

 これらの取組を引き続き着実に実施していくことによりまして、自動車運送事業におけます適正な運賃収受が進むよう、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

松田分科員 この産業の時代的な背景、男性の方が体力ある限り走るという部分のところから始まっている。その中で、どうしても、歩合制だったりとかいろいろな形態がまだ残っていたりとかいうこともあって、それが、だんだんだんだん物流が変わってきて、費用、コスト面ということで安全管理がおろそかになったりとか、そういうことで、安くなれば何でもいいみたいな形の構図も出てきている。そこは多分国の方でも、是正しなければいけないということは重々わかって今の話も出ていますけれども、そういった取組を進めていただければというふうに思っております。

 やはり、歩合制中心では、収入の変動が大きくなったり、また、時間管理もなされないというような状況である場合、そういうことにおいては、やはり厳格に適正化の指導、行政の監視項目にそういったことをきっちり盛り込んでいただいて進めていただくことが重要であると思います。ぜひ、国の方でもきちっと進めていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 ドライバーの確保に向けての人材確保というのが今喫緊の課題となっております。

 今、国としても人材不足で、入管法を改正して外国人を入れて人材不足を補おうというような動きになっておりますので、この運送業でもそうでございます。その意味においては、多様な人材の確保、育成は重要であります。また、とりわけ若年ドライバーの入職は最大の課題でもあります。

 運転免許証の改正によって、一昨年三月に準中型免許が創設されて、およそ二年が経過をいたしております。この間の新規運転免許の取得者数はどのようになっておりますでしょうか。また、限定なし普通免許、ミッション車の運転が可、また、オートマ限定普通免許、準中型免許、準中型限定解除別にお示しをいただければと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年中に運転免許試験に合格した者の数は、普通免許が百二十一万五千七十七人、準中型免許が七万百五十一人、中型免許が十八万九千六百八十一人、大型免許が六万千七百四十九人となってございます。

 この中で、平成二十九年の普通免許取得者百二十一万五千七十七人のうち、AT限定の免許合格者は七十三万八千二十四人で、約六一%というふうになってございます。

松田分科員 もう普通免許の半分以上がオートマ免許になってきているということで、これがこれからの運送業に一つのまた目安にもなってくるということになります。

 つまり、若い人たちがどんどんオートマで取って免許を持っているということも含めていますので、そういったことからすると、特にまた免許を取るのは、女性もいますので、オートマだと運転しやすいということがあります。若い人だけじゃなくて、女性もこれから働き手として運送業にもどんどん参入をしていっていただかないと人手不足は解消できないということもありますので、その意味において、やはりこのオートマ限定普通免許保持者、潜在的な働き手としては、本当に期待ができる位置であります。

 一方で、職業ドライバーとしてのキャリアアップにしては、準中型免許の時点でミッションの操作の習得が必要となっております。

 そこで、貨物自動車のオートマ車も普及しつつある中で、多様な人材確保、育成に関する施策として、オートマ車での運転者の確保、分母の拡大に資する施策として、準中型免許以上の免許に対するオートマ限定免許の創設も有効と考えますが、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、普通免許の運転免許試験の合格者に占めるAT限定免許の割合は、平成十九年が約四四%、二十四年が約五五%、二十九年が約六一%というふうに増加傾向にございます。

 このように、現在、AT限定免許の保有者が増加し、普通自動車以外の車両にもAT車両が見られる中、関係業界から、普通免許以外にもAT限定免許を導入することについての御意見もあるところです。

 一方で、普通免許以外にもAT限定免許を導入するには、都道府県警察の運転免許試験場や指定自動車教習所がAT車両を導入する必要があり、費用負担などの課題があるところでございます。

 警察庁といたしましては、こうした課題などについて、関係者からの御意見も伺いつつ、必要な検討を行ってまいりたいと考えてございます。

松田分科員 そのオートマ車の試験や何かでいろいろ使う機材というかが予算として必要だという部分かと思われます、今の話。

 これは、もしその予算的な措置ができて、順次そのことが切りかえができていくということであれば、その創設に関しては進めることが可能なのかどうか。お願いいたします。

高田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま、課題の一つとして、予算の、費用負担の問題があるということを申し上げたところでございますが、それ以外にも課題の整理は必要であると考えておりますので、そうしたさまざまな課題について検討をしてまいりたい、関係者の御意見も伺いながら検討してまいりたいというふうに考えてございます。

松田分科員 現段階で、その費用以外で何か課題たるものが、もしお伝えいただけるものがあるならお聞きしたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました費用負担の課題、こういったところが一番大きい課題なのではないかというふうに認識はしているところでございますが、そうした制度をつくるに当たっては、どれぐらいのニーズがあるのかとか、あるいは、さまざまな課題があると考えておりますので、ちょっとそこで具体的にこういう課題があるということを申し上げることは持ち合わせておりませんけれども、一番大きいところはそういう費用負担の課題ということかとは認識しておりますが、いずれにしましても、さまざまな課題について検討してまいりたいというふうに考えてございます。

松田分科員 本当に、人材不足というものが非常に大きい部分であります。そのことも含めた中で、新たな人材の部分で、これだけ、オートマ車の免許を持った人が半分以上いるということも含めると、そこの部分はやはり視野に入れて進めていかなければならない課題の一つでありますし、人材不足解消に向けても大きな一歩となると思いますので、ぜひまた御検討いただければというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 質問、以上で終わります。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて松田功さんの質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇さん。

城井分科員 国民民主党の衆議院議員、城井崇でございます。

 本日は、予算委員会の分科会での質疑の機会をいただきました。ありがとうございます。

 本日は、地元北九州市の国への要望を踏まえまして、それをお伝えをし、そして、改善をしていく政策提案をさせていただきながら、国土交通大臣、そして、きょうは各省の政務官の皆様にもお越しをいただいておりますけれども、それぞれに質問させていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。

 それではまず、北九州空港の機能の拡充、そして利用の促進に向けての質問をさせていただきます。

 これは昨年の分科会でも石井大臣に御質問申し上げて、ぜひお取組をということでお願いした案件でありますが、特に、この北九州空港の滑走路が短いために、ビジネスチャンスを北九州空港自体が引き続き逃し続けているという件について質問させていただきます。

 この北九州空港は、九州で唯一の、二十四時間運用可能な空港であります。本州と九州をつなぐ陸と海の交通の結節点、そして、九州最大規模の自動車、電子機器などの産業集積地に位置をしています。この地理的優位性から、航空貨物拠点化を目指して、貨物の路線誘致に今一生懸命に取り組んでいるというのが実情であります。

 しかし、滑走路の長さは二千五百メートルと制約があります。本来誘致ができたはずの大型貨物機の就航機会を逃してしまっています。

 直近、平成三十年度も、八件の引き合いのうち四件を逃しています。うち二つは、滑走路の長さが足りないからほかの空港へ移らざるを得なかった、こうした状況です。

 これはこの平成三十年度に限ってではありませんで、この十年以上、こうした状況がいまだに続いているという実情を、昨年来、大臣にもお伝えしてきたところであります。

 これまでに、例えば、大型貨物機、アントノフ級ですと、地元市会議員によりますと、六十回も飛来するはずだったんですけれども、この機会も逃してしまっているというのが実情でございます。

 地元自治体も手をこまねいているわけではありませんで、十便ほどの新規路線の誘致をするなど努力を続けてきているにもかかわらず、地域経済発展の制約条件をいまだに相変わらず抱えたままだという状況になっているわけであります。

 今後、南トラフ地震などの防災上の観点からも、災害拠点の空港としての役割も北九州空港が果たしていかねばならぬということも頭に置きながらでありますけれども、あと五百メートル滑走路を延ばして、そして、果たしてもらえる役割をしっかり北九州空港に果たしてもらうべきだ、この取組を国として加速すべきだというふうに考えております。

 これまでも、この滑走路の延伸可能部分については、民主党政権時にその当該部分の土壌改良工事を既に終えているという状況でもあります。あれから何年たっているかということであります。そして、そうした状況でありますので、あとはアスファルトを張るだけ。延伸には幾らかかるかということを考えますと、十分取り返せる金額であるというふうに考えます。

 こうした理由から、北九州空港の滑走路について、大型貨物機の就航に制限がなくなる三千メートルへの延伸を早期に実現すべきだと考えます。大臣、お考えをお聞かせください。

石井国務大臣 北九州空港におきましては、既に、航空貨物便の誘致活動や航空貨物に対する重量助成など、地元の北九州市、福岡県が利用促進活動に取り組んでいると承知をしております。

 大型貨物専用機が、貨物を満載をし、長距離運航に必要な燃料を積載して離陸するためには三千メートル級の滑走路が必要でありますが、滑走路延伸に関しましては、大型貨物機就航のニーズ、費用対効果、周辺環境への影響等について十分な検討を行うことが必要と認識をしております。

 今後の需要の見通しを明らかにする観点からも、まずは、地域と物流会社、航空会社といった関係者との連携による利用促進の取組を引き続きしっかりと進めていただくことが重要と考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 需要がどうかということでありますけれども、今、航空各社が就航を検討するときに、北九州空港の資料を見ますと、滑走路二千五百メートルというふうに書いてあります。つまり、実際に、荷物の多い少ないがありますけれども、就航しようと思ったときに、関係者との協議に入れるかどうかというときに、この二千五百メートルという数字を見たときに既に交渉に入ることを諦めるケース、潜在的な需要というのが相当数あるということをぜひ大臣にも御認識をいただきたいというふうに思うんです。

 貨物を呼び込むときにも、その最初のハードルが高くなっているがために、これ以上広げていくのになかなかに苦しいというのが地元からの声であります。ぜひ関係者の声にもいま一たび耳を傾けていただいて、残り五百メートルの延伸について、ぜひ国として本格検討いただきたいというふうに思います。

 五百メートル延ばすことで、もう一つ、北九州空港の利活用、そして、我が国が進める国策に合致するメリットがあるということを、これからもう一つ御質問申し上げたいというふうに思います。

 観光立国日本という国策に基づいた訪日客六千万人を達成するためには、三大都市圏以外での大規模な訪日客の受入れが必要になってきます。そのためには、二千八百メートルの滑走路で延長がこれ以上は不可能な福岡空港を補完できる、地理的にも近接した北九州空港もフル活用して、北九州空港と福岡空港とで一体的な訪日客の取り込みを進めるということが先ほどの大きな目標達成には欠かせないというふうに考えています。

 現在、国の訪日誘客支援空港の後押しを受けて、北九州空港の国際線は、地方空港では鹿児島空港に肉薄する状況で上位に上り詰めてきております。

 この取組では、国は、各路線に対して、新規の就航から三年間、国際線の着陸料を割引してくれたり、そして、航空機のハンドリング経費の一部を負担をしてくれたりしています。二〇二〇年に訪日外国人を四千万人、そしてその先の六千万人に向けた観光立国の実現に向けた政策と、これは合致するものだというふうに考えています。

 しかし、この制度は二〇二〇年度で終了の予定であります。成果が出ていて伸び代がある政策ですので、ぜひ継続してはどうかというふうに考えます。また、訪日誘客支援空港に認定した空港で実績が出ているところは補助期間を三年から延長してはどうかというふうに考えますけれども、大臣の見解をお聞かせください。

石井国務大臣 明日の日本を支える観光ビジョンで定めております訪日外国人旅行者数二〇二〇年四千万人等の目標達成に向けましては、地方創生の観点からも、国際線就航によりまして、地方にまず訪日していただいて、また、地方から外国に戻っていただく、地方イン、地方アウトの誘客促進が大変重要となります。

 このため、平成二十九年の七月に、北九州空港を含む全国二十七の地方空港を訪日誘客支援空港に認定をいたしまして、着陸料軽減等の新規就航、増便への支援や搭乗橋の整備等の、旅客の受入れ環境整備への支援を行っているところであります。

 このうち、着陸料軽減等につきましては、需要の安定しない就航当初について航空会社の費用負担の軽減を図ることで新規就航、増便を促進しているものでありまして、就航から最大三年間を支援対象としております。

 本支援措置は、平成二十九年九月から国際旅客便への支援を開始をしておりまして、まずは、最大三年間、確実に支援ができるよう予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

城井分科員 大臣からもお話がありましたように、平成三十二年度というところまでが取組かというふうに思いますので、その間の動きをぜひ見ていただきながらで、地方の空港、北九州空港を含めての実績が出てきているところについての応援の手段について、ぜひ今後も御検討を続けていただきたいというふうに思います。

 次に参ります。

 北九州空港の平成二十九年度の国際線の旅客数は二十八万人強ということになっています。これだけ外国人の旅行客が参りますと、その受入れの体制についても地元で議論になります。ビジネスチャンスを広げる観点からも、地元自治体からは、税関や入管、防疫などのいわゆるCIQの常駐化が望まれています。常駐化していないのは、今や、同じ規模の空港では北九州空港くらいのものであります。

 お手元に国土交通省提供の配付資料がありますので、ごらんいただけたらと思います。

 一つは、国際線の利用状況の人数、貨物、そしてCIQの施設の有無であります。もう一つは、国管理空港におけるCIQ職員の常駐状況であります。これを照らしますと、仙台や広島、高松、鹿児島などの各空港と同等の規模の出入国者数がある国内空港という意味では、この北九州だけが、税関、入管、防疫等のCIQの常駐化が実現されていないという状況が一目で見てとれるというふうに思います。なぜ北九州空港でこの常駐化ができないのか。

 北九州空港にCIQの常駐が必要だと考える理由は幾つかあります。

 まず、そもそも北九州空港が二十四時間空港であるということであります。このCIQ官庁の業務は二十四時間発生する可能性があるという点で、全国の地方空港とは性質が異なります。突発的な遅延などにも対応せねばなりません。

 お手元の資料をごらんください。

 平成三十一年四月からの定期国際路線の一覧でございます。この業務の主に発生する時間帯を確認をしてまいりますと、結果として、早朝から深夜まで切れ目なく業務は発生する状況でございまして、近隣の拠点があります門司港などからの移動には約一時間程度を要する環境であります。現在は出張対応を続けていただいている状況でありますけれども、これが現実的かということをしっかりチェックをしたいというふうに思っています。

 これに加えまして、航空貨物の国際チャーターの引き合いは増加をいたしております。その都度就航時間の調整が必要ですが、貨物機は、相手空港の状況や天候によって一時間から二時間程度の幅で早く着いたり、そして遅延したりということがありまして、現場もそれに備えるという状況であります。

 また、常駐化について、CIQ官庁からせんだって聞き取りをいたしました。そうすると、常駐化について明確な基準は特にないというお答えでありました。これは明確化すべきではないかというふうに考えます。

 北九州空港最寄りの北九州港や下関港へのクルーズ船の寄港が今ふえておりまして、現場のCIQ官庁の業務は増大をしています。来る三月一日には、クイーン・メリー号という大型クルーズ船がひびきコンテナターミナルに寄港する予定であります。このような大型クルーズ船ともなりますと、数千人を入国させるという突発的な業務の増大があり、こうしたものにも現場のCIQ官庁の職員は今頑張って対応いただいているという状況であります。

 これまでに、管制空港化に向けては就航機数の目安が示されました。同じようにしてこのCIQにかかわる職員の常駐化についても、各省で目安を示すべきだというふうに考えます。

 まず、CIQの関連官庁である法務省、財務省、厚生労働省、農林水産省の各政務官の皆様にきょうはお越しをいただきました。それぞれに、CIQ官庁の職員の常駐化の目安を示すべきだという点についてお答えいただければと思います。

門山大臣政務官 お答えいたします。

 地方入国管理官署における地方空港の職員の常駐化の目安につきましては、地方空港を管轄する官署ごとに状況が異なることから、一律に基準を設けることは困難でございます。

 空港で勤務する職員については、就航便や旅客数の状況に加え、当該官署が所管する在留審査その他の業務の状況も踏まえつつ、常駐という方法も含め、適切な配置に努めてまいりたいと考えております。

渡辺大臣政務官 税関では、地方空港においても迅速な通関と厳格な水際取締りの両立を実現するため、取締り検査機器の活用を図りながら、所要の人員を配置しております。

 地方空港における職員の配置につきましては、行政需要に加え、近隣官署の規模や距離などを総合的に勘案し、効率的な配置となるように決定をしております。また、就航便の状況等も踏まえながら、随時見直しを行ってきております。

 常駐化を行うかどうかの基準につきましては、空港ごとに状況が異なりますので一概に申し上げることは難しいのですが、今後とも、行政需要に適切に対応できるよう、北九州空港も含め、地方空港における税関の体制整備に努めてまいります。

上野大臣政務官 お答えいたします。

 検疫所は、国内に常在しない感染症の侵入を防止するための水際対策を担っており、全ての国際便に対して検疫を実施をしています。

 職員を常駐させる基準は一概には申し上げられませんけれども、業務の効率的な実施の観点から、最寄りの検疫所からの距離、職員の数、国際便の数等を総合的に判断をし、必要であれば職員を常駐させることとしております。

 厚生労働省としては、今後の訪日外国人の増大等に適切に対応できるよう、関係省庁とも連携を図りながら、必要な検疫体制の確保に努めてまいります。

濱村大臣政務官 お答えいたします。

 動植物検疫は、輸入検査の申請があれば、輸入に支障がないよう検査を行うことを原則としております。職員の常駐していない空港等では近隣官署から出張して対応しているところでございまして、その常駐化については、輸入検査件数や近隣官署の職員数、距離等を総合的に勘案して適切に判断してまいりたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございました。

 なぜここまでCIQの常駐化にこだわっているかという点をもう一つ申し上げたいというふうに思います。それは、北九州空港が、先ほど申した路線の誘致をするときに支障が出ているからであります。

 エアライン誘致に当たっては、CIQ官庁が常駐しているかどうかということが旅客便にしても貨物便にしても最も重要で、先ほどのお話にもございました出張対応、つまり、就航路線発生主義に立った対応よりも、特に、入管が常駐しているという条件があると交渉が有利に進められるというふうに現場から聞いております。

 北九州市と現場のCIQの職員とは頻繁に意見交換を行っていると聞いています。このCIQの職員からは、国際線の就航時刻に合わせて職員を出張対応させる業務の多忙化に悲痛な声が上がっている、北九州市としても、この深刻な声を受けとめ、必要な対応をとりたいと考えているというふうに聞きました。

 二十四時間空港である北九州空港は、時間の制約がなく、就航希望が来ています。その特徴を生かした深夜時間帯への就航希望が多いというのが実情なんです。しかし、出張で業務に当たる現場のCIQの職員の数や、そして業務量には限りがあるというふうに思っています。誘致が進む中で無理をしている職員の現状をこのまま放置できないというのが今回の質問の趣旨なんです。

 以上を踏まえて、北九州空港へのCIQ職員の常駐化について、ぜひ実現すべきと考えますが、まず、CIQ官庁である法務省、財務省、厚生労働省、農林水産省の各政務官の皆様から北九州空港の常駐化について御答弁をいただきまして、その後、国土交通大臣に、空港振興の基盤整備への働きかけをぜひ各省へお願いするという趣旨で、このCIQの常駐化へ各省に働きかけをお願いしたいという点についても御答弁いただきたいと思いますので、順番にお願いできたらと思います。

門山大臣政務官 北九州空港につきましては、福岡入国管理局北九州出張所が管轄しているところでございますが、現状においては、定期便の離発着に際し常時職員四、五名を配置しており、業務量に応じ必要な体制をとっているものと考えているところでございます。

 引き続き、就航便や旅客数の状況に加え、在留審査その他の業務の状況を踏まえつつ、職員の適正な配置に努めてまいりたいと考えております。

渡辺大臣政務官 現在、北九州空港には、北九州市に所在する門司税関本関から職員を派遣して出入国旅客の通関に対応しているところでありますが、北九州空港の近年の入国旅客数全体の増加に伴いまして、今後の入国旅客数の動向に注視してまいりたいと思います。

上野大臣政務官 北九州空港の現状についてまず御説明を申し上げます。

 北九州空港における国際便の検疫については、国際便の到着時間に合わせて門司検疫所支所の職員が出張して対応しております。具体的には、二交代制勤務で、早朝便から最終便の検疫が終了するまで、終日勤務をしております。

 委員御指摘のとおり、北九州空港の国際便数が増加をしている状況については承知をいたしております。今後の国際便や業務量の状況を踏まえながら、常駐化の要否も含め、適正な人員配置を検討してまいります。

濱村大臣政務官 北九州空港を含めて、九州北部におきましては、空路での訪日客の増加に加えましてクルーズ船の就航数も増加しておりまして、動植物検疫業務が増加していると承知しております。

 ただ一方で、北九州空港における動植物検疫は、現在、門司の植物検疫所など、近隣官署からの出張により対応しているところでございまして、これらの官署の職員を増員しておるところでございますが、輸入に特段の支障は生じていないと認識しております。

 今後は、同空港における業務の状況を考慮しながら、常駐の要否を検討することと考えております。

石井国務大臣 北九州空港につきましては、委員から御紹介いただいたように、国際線の航空需要が伸びている状況にございます。

 現段階では、ただいま各CIQ官庁から答弁がありましたとおり、国際線の発着に合わせて職員を出張、派遣することにより対応していただいているものと承知をしておりますが、CIQ職員の常駐化につきましては、航空需要の動向も踏まえつつ、各CIQ官庁において必要な検討がなされるものと考えておりますが、国土交通省といたしましても、増大する国際線の航空需要に適切に対応ができるよう、環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございました。

 国土交通大臣におかれても、環境整備という観点で、先ほど御説明申し上げたような状況でありますので、ぜひ注視をいただきながら、必要な働きかけをお願いしたいというように思います。

 そして、関係各省におかれましても、現場の職員、そして地元自治体とのコミュニケーションを密にしながらで、常時の対応をいただけるというところは最小限として、先ほど申したように、常駐化が誘致に向けての一つの条件づけとして大きな足がかりになるということを御認識いただきながら対応に努めていただければということを御要望申し上げたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 政務官の皆様、ありがとうございました。ここまでで結構でございます。御退席、お願いします。

伊藤主査 それでは、政務官の皆様、御退席ください。

城井分科員 続いて、貨物エリアの整備について大臣にお伺いします。

 北九州空港には、二つの大型貨物用のエプロンがあります。貨物拠点化には必須の施設であります。大きな特徴にもなっています。

 しかし、荷役作業スペースの不足から、貨物専用機を二機同時にそこには駐機する環境がありません。そして、超大型貨物機アントノフ124級が飛来した場合には、その場所では荷役作業ができません。やむなく複数の旅客スポットを潰す形で長時間使うということになります。

 この貨物機の二機同時駐機の対応やアントノフ124級の機材駐機を可能にするような形で、この貨物スポットを更に有効活用できるように環境整備をぜひ国としてすべきだというふうに考えますが、大臣いかがでしょうか。

石井国務大臣 北九州空港につきましては、大型貨物専用機の受入れに対応するため、平成二十八年度に貨物用エプロンを整備したところであります。

 このスポットにつきましては、昼間の時間帯にあきがあることから、既設スポットの有効活用に取り組んでいただくとともに、さらなる整備につきましては、貨物便の増便への取組など、利活用の促進が重要であると考えております。

城井分科員 昼間時間帯の呼び込みも含めて、地元自治体や経済界もこれから更に努力をしていくというふうに思いますので、現況をしっかり注視をいただきながらで、早目の対応での整備、協力をお願いしたいというふうに思います。

 続いて、一問飛ばさせていただきまして、北九州空港の空港島の非常時の避難ルートの確保について大臣に御質問申し上げたいと思います。

 現在、北九州空港のアクセスは、連絡橋による道路アクセスに限られております。鉄軌道の導入がなかなか難しい状況が続く中で、昨年九月には、関西国際空港で利用者が空港島に閉じ込められる、こうした事案が発生をするなど、今、利用者の安全確保や避難ルートの確保の必要性が高まっております。

 この連絡橋経由以外の避難ルートの確保をどのようにするか、大臣、お考えをお聞かせください。

石井国務大臣 国土交通省では、昨年九月の台風二十一号発生時の関西国際空港の浸水被害等を踏まえまして、有識者委員会を設置をいたしまして既往の災害対策や重要インフラの緊急点検結果等について議論を行い、昨年十二月に主要空港における今後の大規模自然災害対策に関する中間取りまとめを公表いたしました。

 海上空港の避難ルートにつきましては、関西国際空港において船舶による代替輸送を実施した実績を勘案しつつ、現在、北九州空港において連絡橋が通行できない場合の対応計画の策定を行っているところであります。

 今後、海上空港における連絡橋代替の有力な選択肢の一つとして、船舶を活用した非常時の旅客の輸送について、関係者との調整を進めてまいりたいと考えています。

城井分科員 今大臣の御答弁にもありましたが、船舶の活用という点について、提案を含めて一点御質問申し上げたいと思います。

 北九州空港の空港島の北側にあります新門司の長距離フェリーターミナルに停泊するフェリー、大きな会社が三社ございますけれども、これを空港島に接岸できるようにして、非常時の避難ルートを別途確保してはどうかということを御提案申し上げたいというふうに思っています。

 せんだっても、フェリー会社の関係者とお話をしていたときに、今のままだと、そのままでは接岸が難しいけれども、フェリーが接岸できる施設の整備が最小限あるならば対応可能な部分もあるというふうなことで現場の声も伺っています。

 このフェリーの活用などを含めての整備を、先ほど船舶の活用も視野にということでありましたけれども、今検討いただいている中でこうした部分もぜひ検討いただきたいというふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。

石井国務大臣 きょうは政府参考人がいないものですから、済みません、恐縮ですが、詳細な検討状況はちょっと今私も承知をしておりませんけれども、今委員からいただいた御提案も含めて検討させていただきたいと思います。

城井分科員 ありがとうございました。ぜひ前向きに検討をと思います。ちなみに、通告はしておりましたので、大臣、よろしくお願いします。

 続きまして、下水道施設の改築への国費負担の継続について大臣にお伺いをいたします。

 平成二十九年度財政制度等審議会におきまして、下水道事業は、受益者負担の観点から、汚水に係る下水道施設の改築について、排出者が負担すべきとの考え方が示されました。

 大臣御承知のとおり、下水道は極めて公共性の高い社会資本でありますし、水質汚濁防止法でも国の責務が明示されています。また、その国費負担は、地方財政法上、国が義務的に支出する負担金として整理されております。

 下水道法では、施設の設置に加えて改築も国庫補助の対象とされています。この現行の国庫補助制度を前提として運営してきているのが下水道事業でありますので、改築への国庫負担がなくなりますと、その使用料の引上げや、あるいは一般会計の負担も増加するということが地元の自治体で懸念をされております。

 もし、引上げや、そして一般会計の負担の増加が行えない場合には、施設の改築が滞って、社会経済活動や市民生活に重大な影響が及ぶおそれがあります。

 この下水道の公共的役割を考えて、国の責務として、新設時も改築時も変わるものではないということを踏まえて、下水道施設の改築に対する国費負担を確実に継続すべきだと考えますけれども、大臣、国費負担を継続するぞとはっきりおっしゃっていただけますでしょうか。

石井国務大臣 下水道は、浸水の防除、公衆衛生の向上、公共用水域の水質保全等、不特定多数に便益が及ぶ公共的役割の高いインフラと認識をしております。

 このような下水道の役割を踏まえまして、今後十年程度での汚水処理施設整備の概成を図るための未普及対策事業、浸水被害の防止、軽減を図るための雨水対策事業などを社会資本整備総合交付金等により重点的に支援をしているところであります。

 一方、今後、下水道施設の老朽化の進行が見込まれることから、計画的な点検等の適切な維持管理により、改築更新に係る事業費の平準化や低減の取組を推進するとともに、地方公共団体からの御要望も踏まえ、引き続き社会資本整備総合交付金等により適切に支援をしてまいりたいと考えております。

城井分科員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて城井崇さんの質疑は終了いたしました。

 次に、松平浩一さん。

松平分科員 立憲民主党、松平浩一です。どうぞよろしくお願いします。

 きょうは九州新幹線の西九州ルートについてお伺いしたいと思います。

 私の地元諫早市でも新幹線用の駅舎の建設が進んでいます。住民は心待ちにしていますし、人の流れ、物流、観光といった経済効果も大いに期待できるところです。

 ところで、この西九州ルートについて、当初予定していたフリーゲージトレインが投入断念されました。それによって、現在の予定では、武雄温泉駅で特急と同じホームで乗りかえるという対面リレー方式での暫定開業という形となっています。

 この対面リレー方式による暫定開業は、今のところ予定どおり二〇二二年に行われるという理解でいいのか、ちょっと確認させてください。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 九州新幹線武雄温泉―長崎間につきましては、平成二十四年六月に着工し、二十七年一月の政府・与党申合せにおきまして、完成、開業時期を「三十四年度から可能な限り前倒しする。」とされているところを踏まえまして、現在、工事を着実に進めているところでございます。

 現在、高架橋等の土木工事は最盛期を迎えており、土木工事を終えたところから順次、軌道、電気等の設備工事に着手しているところでございます。

 また、駅の建築工事につきましては、昨年六月の諫早駅を皮切りに、今月十五日に長崎駅に着手したことにより、全ての駅について工事が進められているところでございます。

 現時点ではおおむね予定どおり工事が進捗している状況であり、予定された時期における完成、開業の実現に向けて、引き続き着実に工事を進めてまいります。

松平分科員 予定どおりということで安心いたしました。

 現在、特急「かもめ」を利用した場合、博多から長崎まで最短で一時間四十八分で移動できるんです。

 それでは、この対面リレー方式の場合、それから、今後導入を検討しているフル規格とミニ新幹線の場合とで、それぞれ博多から長崎までどのくらい時間がかかるのか、これについてちょっと教えてもらってもいいですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 九州新幹線西九州ルートにつきましては、昨年三月、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会におきまして、国土交通省より、整備方式に係ります比較検討結果を報告しております。

 この報告における長崎―博多間の所要時間は、対面乗りかえ方式の場合が約一時間二十二分、ミニ新幹線のうち、在来線の線路の一方の線路のみをミニ新幹線が走行できるようにする、いわゆる単線並列の場合が約一時間二十分、ミニ新幹線のうち、在来線の線路をミニ新幹線が上下線とも走行できるようにする複線三線軌の場合が約一時間十四分、フル規格の場合が約五十一分となっております。

 また、現行の在来線特急「かもめ」号の同区間における所要時間は、最速一時間四十八分となっているところでございます。

 以上でございます。

松平分科員 ありがとうございました。時間に関して今お聞きしました。

 それでは、二〇一八年三月に国交省さんが、フル規格というものが費用対効果が最も高いという試算を出されていらっしゃるようです。この費用対効果、利用者の便益であるとか事業者の収益を建設費という総費用で割った数値でして、一を上回れば投資に見合うとされている数値です。

 こちらを見たところ、フル規格が三・三、これが最も高いんです。ミニ新幹線で上下線を改良する場合は二・六という数字、それから片側のみの改良、これは三・一という数字になっています。

 また、JR九州にとっては、フル規格なら年平均八十八億円の収支改善効果がある、そういった試算もされているようです。

 これは念のためお聞きしたいんですが、これらの今話させていただいた費用対効果の試算について、これは昨年の三月の試算ですので、現在まで、新たな試算であるとか計画の変更などによって、何か数字の変化はございますか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年三月に与党のプロジェクトチームへ報告した以降につきましては、新たな試算は行っておりません。

松平分科員 ということは、その数字を前提にしますと、先ほどお伺いいたしましたように、時間で見るとフル規格が圧倒的に速い。それでいて費用対効果も、フル規格が三・三という最も高い数字だということで、しかも、長崎県民も大半はフル規格の新幹線の整備を要望しているという事情もあります。あと、事業者であるJR九州さんもフル規格での整備を要望されています。

 加えて言いますと、ミニ新幹線は在来線の線路を利用しますので、改修中の期間のダイヤの乱れがあるかもしれない、土砂災害であるとか豪雨災害もあった場合、そのときの運休であるとか復旧の長期化もあるかもしれないという、インフラの弱さというところも懸念されるところです。

 こういったことからすると、やはり、最善の選択肢としてはフル規格による整備なのではないかなと私は思うところなんですけれども、国交省さんとして、フル規格で整備するメリット、デメリットであるとか、どう把握されているか。把握されているところを教えていただければと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 九州新幹線西九州ルートにつきましては、昨年三月の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおきまして、国交省より整備方式に係ります比較検討結果を報告しておりますが、その報告におきまして、ミニ新幹線及びフル規格の双方ともに一定程度の投資効果が見込まれておりますが、さらに、ミニ新幹線で比較した場合のフル規格の特徴を申し上げれば、一つ、時間短縮効果や収支改善効果が高いことということが挙げられます。一方で、建設費が高く、並行在来線の取扱いが課題となることということが挙げられておりました。

 以上でございます。

松平分科員 どうもありがとうございます。

 今、メリットについては同じようなメリットをおっしゃっていただきました。一方で、建設費が大きいというデメリットもあるというお話でした。

 私も、おっしゃるように、フル規格の導入には、建設費、負担されるところにある佐賀県の負担も重いというふうに認識しておりますが、そういった問題、この問題は非常に大きなものだなというふうに思っております。

 しかし、この部分についてこの経緯といったものを考えますと、もともと国がフリーゲージトレインの開発を進めてきて、その導入が困難になったという事情があると思っています。

 したがって、もともと国庫負担割合というものは当然あるということを前提にしても、そういったもともとの、国が開発しても導入が困難になったという事情を考慮した上での、何か負担軽減のための制度というものを考えてもいいのではないかなというふうに思っているんです。

 そういった点について、大臣、ちょっとお考えをお聞かせいただければ大変助かります。

石井国務大臣 九州新幹線西九州ルートの整備のあり方につきましては、昨年の七月、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会において中間取りまとめが行われまして、八月の与党プロジェクトチームにおいても、その内容が了承されたところであります。

 中間取りまとめでは、基本的な考え方といたしまして、西九州ルートは新大阪まで直通することを前提として整備が進められてきたところであり、武雄温泉駅での対面乗りかえが恒久化することはあってはならないということを確認した上で、フリーゲージトレインについて、新大阪までの直通を前提とする西九州ルートへの導入は断念せざるを得ないこと、フリーゲージトレインの導入を断念せざるを得ないことは遺憾であり、国においては、これまでの経緯を踏まえ、今後の対応に当たるべきこと、新大阪駅まで直通可能な方式であるフル規格及びミニ新幹線の二つの整備方式の得失を総合的に検討した上でいずれかを選択する必要があるとされたものと承知をしております。

 今後、この中間取りまとめを踏まえ、検討委員会において、引き続き関係者の意向を十分に踏まえつつ、西九州ルートの整備等のあり方について検討が進められるものと承知をしております。

 また、検討に際しては、整備に係る費用を始めといたしまして、委員御指摘の佐賀県の負担を軽減するために最大限努力する考えであると承知をしております。

 国土交通省といたしましては、こうした状況を踏まえまして、与党における検討作業に適切に対応してまいりたいと考えております。

松平分科員 大臣、ありがとうございます。最大限努力していただけると言っていただきましたことは大変うれしく思います。ぜひとも前向きに御検討いただければなというふうに思っております。

 さて、今回、武雄温泉から長崎までの区間、フル規格で新幹線整備されます。そうなると、それまで特急が走っていた在来線、つまり肥前山口から諫早の区間、その路線についても影響が出るのではないかなというふうに予想されます。

 ただ、今までの在来線についても、住民の足としてやはり必要性があります。この新幹線が開通したことによる収益の悪化で廃線とかしてしまうのではないかという危惧もございます。その点、どういうふうに担保なされるか。お考えがあったらお聞かせください。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 長崎本線肥前山口―諫早間の取扱いにつきましては、平成二十八年三月に「九州新幹線(西九州ルート)の開業のあり方に係る合意」がなされているところでございます。

 この中では、JR九州は経営分離せず、二〇二二年度の新幹線開業時点で上下分離し、JR九州は当該開業時点から三年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、二十三年間運行を維持することとされております。

 以上でございます。

松平分科員 どうもありがとうございます。二十三年間運行を維持するということで、とりあえずのところは安心いたしました。

 今、ちょっと廃線という言葉を出させていただきましたけれども、全国の鉄道を見てみると、多くのところで収益不足で廃線となっている路線、非常に多うございます。

 ここでちょっとお聞きしたいんですが、この十年ぐらいで廃線となった鉄軌道路線、何本ぐらいあるんでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十年度以降に全国で廃止された鉄軌道路線は、合計で十二路線になります。

松平分科員 十二路線ということは、一年で一路線よりもちょっと多いぐらいということになります。

 私の地元にも、諫早市から島原外港までを結ぶ島原鉄道というローカル線がございます。この島原鉄道も、残念ながら二〇〇八年に、島原外港から南の南島原方面約三十五キロについて廃線となってしまいました。それ以来、この廃線部分はバス路線で代替されています。今、島原鉄道は、経営難もあって、長崎自動車株式会社というバス会社の傘下に入ってございます。

 鉄軌道事業だけでは、全国のほとんどの鉄道会社は赤字になるということのようなんです。赤字の部分は、多くは不動産業など周辺事業で填補しまして、鉄道事業の方はほとんど地域のためのボランティアでやっているといった声も多く聞かれます。もはや地方の鉄道会社は、何とか維持したいと思っても、会社の努力、自治体の努力だけではどうしようもない部分があるということなのかもしれません。

 こういった赤字路線への国の補助としては、現状としてどういった支援策があるのでしょうか。教えてください。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 地域鉄道の維持、活性化に向けまして、国土交通省におきましては、レール、枕木などの安全性向上に必要な施設整備等に対する補助、新駅の設置やICカードの導入など利用者の利便性の向上に資する施設整備に対する補助といった支援を行っているところでございます。

松平分科員 ありがとうございます。

 まだ利用者がいる、鉄道があったら使いたい人がいる、しかし収支が合わない、それだけの理由で廃線にするというのはなるべく避けるべきだと私は思っています。

 なぜかというと、鉄道はバス路線と違って、一度廃線にしてしまうと簡単には復活できないものだからです。

 御存じのとおり、鉄道は非常に重要な公共交通機関です。高齢者や子供、障害者、そして、運転免許を持たない人も利用できます。住民の生活、移動に欠かせないインフラとなっています。観光資源にもなります。インバウンド需要が高まってきている今、廃線にならなければ需要が見込めたという路線もあったと思います。

 鉄道という、輸送量があって、定時運行そして定期運行できるインフラを廃止してしまって、一方で地方創生だと声高に叫ぶ。地方創生と言っておきながら、なぜ地方の鉄道をどんどん廃線にしていくのかというふうに思ってしまうところであります。

 これ以上の廃線を防ぐために、今まで以上の、やはり本腰を入れた措置を講じなければならないと私は思っておりますけれども、大臣、この点いかがでしょうか。

石井国務大臣 鉄道は、大量の旅客を高速で、かつ定時に輸送できるという特徴を持っている一方で、多額の固定費用がかかるという特性がございます。

 このため、利用者が少ない路線については、バスなどの他の交通機関が、それぞれの特性を踏まえ、適切に役割分担をすることで、必要かつ持続可能な公共交通サービスを効率的に提供していくことが重要と考えております。

 鉄道の特性が発揮できず不採算となる鉄道路線について国がその赤字を補填することは行っておりませんが、鉄道事業者と地方公共団体が連携をしまして、自治体が鉄道施設を保有する上下分離方式などの事業構造の変更を行って路線の維持を図る場合には、一定の条件のもと、安全性向上に必要な施設整備等に係る補助率のかさ上げなどの措置を講じております。

 国土交通省といたしましては、地域鉄道の維持については、地域において十分御議論していただくことが重要と考えておりまして、安全性向上に必要な施設整備に係る補助制度を活用しつつ、鉄道の維持も含めた持続可能な地域公共交通のあり方について地域の関係者で十分な議論がなされるよう、必要な対応を行ってまいりたいと存じます。

松平分科員 どうもありがとうございます。

 私は、鉄道については、やはり廃線となった場合の地方へ与えるインパクトはなかなか強いものだというふうに思っておりますので、できればもうちょっと踏み込んだ御回答をいただけたらうれしかったんですけれども。

 次の質問に移らせていただきます。

 災害で不通になった道路や橋が復旧されないことというのは、今では余り考えられません。しかし、こういった災害が鉄道の廃線のきっかけとなっているということもあります。

 私、先ほどちょっと言及しました島原鉄道もですけれども、一部廃線となりましたが、経営不振に陥った大きな要因というのが、二十六年前の雲仙・普賢岳の災害でした。ほかにも、豪雨災害を受けた岩泉線、高千穂鉄道であるとか、東日本大震災で被災した大船渡線、気仙沼線、そういった路線では、復旧工事に手がつけられないまま廃線になったり、バスへの転換が地元に提案されているところです。

 日本は、昨今、各地で地震、豪雨、土砂災害等に見舞われております。もちろん、今でも鉄道の災害復旧補助制度というものはあると承知しているんですけれども、それだけでは災害からの復旧は難しかったりするところもございます。今のままでは不採算路線の鉄道事業は、災害が起きた途端に廃線となってしまうかもしれない。

 そう考えると私は、この点についてはもっと積極的な支援が必要なのかなというふうに思っています。より強く国が主体となって復旧を行う仕組みというものが今必要ではないかというふうに考えております。

 この点については、大臣、お考えをお聞かせください。

石井国務大臣 鉄道事業は、営利を目的とする鉄道事業者により営まれるものでございますので、鉄道施設が災害により被害を受けた場合には、鉄道事業者がみずからの判断のもと、みずからの資力により復旧することを基本としております。

 しかしながら、経営が厳しく、鉄道事業者の資力のみでは復旧することが著しく困難な場合には、復旧について鉄道事業者と地方公共団体との間において合意がなされることを前提といたしました、鉄道軌道整備法に基づく支援制度がございます。

 この支援制度につきましては、昨年の通常国会におきまして議員立法により改正をされまして、黒字の鉄道事業者でありましても、一定の要件を満たせば補助することが可能となるとともに、特に必要と認める場合には、補助率を四分の一から三分の一に引き上げることが可能となりました。

 また、昨年七月の豪雨の際には、鉄道事業者と国土交通省関係部局から成る連絡調整会議を設置をいたしまして、道路や河川などの関連事業と連携、調整することにより、円滑な鉄道の復旧を進める仕組みを構築をしたところでございます。

 国土交通省といたしましては、被災した鉄道が早期に復旧されるよう、鉄道軌道整備法による制度などとともに、他事業との連携も含め、必要な支援を行ってまいりたいと存じます。

松平分科員 ありがとうございます。補助率を引上げ可能とするなど、そういった仕組みがなされていることは理解いたしました。

 ただ、先ほど、営利をもって営んでいる私企業という側面があるという、そこを基本にしているというふうな御回答もございましたけれども、やはり私としては、地方の足という公共性を持った側面、こちらも重視していただきたいなというふうには思っております。

 次の質問に移らせていただきます。次の質問として、島原道路についてお聞きさせていただきたいと思います。

 現在の島原道路の整備状況、それから開通見込みについて、最近の状況を教えていただければと思います。

池田政府参考人 島原道路は、南島原市と諫早市を結びまして、島原半島と長崎県央地域の連携を強化する延長約五十キロの地域高規格道路でございまして、これまでに、約四割に当たる約十八キロの区間が開通をしております。

 現在は、国と長崎県で分担をしまして、森山拡幅事業など五区間の約二十二キロメートルについて、用地買収や工事を鋭意進めておりまして、早期の完成を目指しているところでございます。

 引き続き、地域の御協力をいただきながら整備を推進するとともに、長崎県が整備を進める事業については、要望を踏まえまして、必要な財政的な支援もしてまいりたいと考えております。

松平分科員 ありがとうございます。状況を理解いたしました。

 この後、第二分科会の方でも質問させていただく予定になっているんですけれども、今、島原半島には三次医療機関という、救急救命センターです、つまり、脳卒中であるとか心筋梗塞であるとか、重篤な患者に対応できる医療機関というものがないんです。島原半島から一番近い三次医療機関というのが、大村にある長崎医療センターなんです。したがって、そこまで搬送をしなければならないんです。

 島原道路が整備されていないと、半島の多くはそこまで六十分以上かかってしまうんです。大量出血すると、六十分を超えると致死率が一〇〇%になってしまうと言われています。島原道路が整備されることで諫早インターチェンジまでの所要時間が短縮されて、半島の九割以上が諫早インターチェンジの三十分圏内というふうになるんです。

 この島原道路は、その地域の人たちにとってまさに命の道でもあるんです。島原道路の整備にはそういった大切な意味もございます。

 ぜひとも早く開通いただけるように着実に事業を進めるようお願いしたいところでございますけれども、ちょっと大臣、この点に関しても御所見をお願いできればと思います。

    〔主査退席、盛山主査代理着席〕

石井国務大臣 島原道路は、島原半島全体の活性化につながる重要な道路と認識をしております。

 島原道路の整備によりまして所要時間の短縮や定時性の確保が図られることで、島原半島で生産される農産物等の物流の効率化、豊富な観光資源を有します島原地域の観光の活性化、また、第三次医療施設へのアクセス向上などの効果が期待をされるところであります。

 引き続き、地域の御協力をいただきながら、国と長崎県で連携をいたしまして着実な整備に努めてまいりたいと存じます。

松平分科員 ありがとうございます。ぜひお願いします。

 今ちょっと私がお話しした医療施設への搬送だけでなく、企業立地や観光振興が進む、農産品の販路が拡大する、防災機能が強化される、全てが必要なことです。可能な限りの御支援をお願いできればというふうに思っております。

 それから、最後の質問とさせていただきます。

 島原天草長島連絡道路という構想がございます。これについては、昭和六十三年に、熊本、長崎、鹿児島の三県などが主体となって協議会が設立されてございます。それ以来、実現に向けてさまざまな取組が実施されてまいりましたが、平成二十年度以降はプロジェクトの調査検討が凍結されたままになっているというふうに聞いております。

 島原天草長島連絡道路の計画というものは、今現在、どういう状況となっているのでしょうか。調査検討の再開というのはいつになるのでしょうか。ちょっとお聞かせいただければと思います。

池田政府参考人 島原天草長島連絡道路は、長崎県、熊本県、鹿児島県にまたがる、九州西岸地域を結びまして地域間の連携強化に資する、構想中の道路でございます。

 現在は、長崎県、熊本県及び鹿児島県の三県が連携をいたしまして、風の観測や地震の観測などの基礎調査を行っているところでございます。

 国土交通省としましても、引き続き、これらの調査状況を把握をしてまいりたいと考えております。

松平分科員 ありがとうございます。

 島原半島から天草、そして長島に至る九州西岸地域は、歴史的にも古くから深い交流がございます。また、この地域、観光も含め豊かな資源に恵まれておりますため、インバウンド需要もあります。この地域の一体的な発展を図るということは、九州地方全体の活性化にもつながることだというふうに思っています。

 ぜひ実現させていただきたいので、国交省の方々にはお力添えをいただきたく思っております。

 これにて私の質問を終わりたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

盛山主査代理 これにて松平浩一君の質疑は終了いたしました。

 次に、青山大人君。

青山(大)分科員 国民民主党の青山大人でございます。

 きょうは分科会ということですので、私の地元、石井国土交通大臣も同じですね、茨城の県南地域のインフラ整備、地元からも特段御要望も多く、そしてとても大切な課題について幾つか質問をさせていただきますので、ぜひ、地元の声ということで、具体的な、前向きな御答弁をお願いしたいというふうに思っております。

 まず一点目、首都圏中央連絡自動車道、通称圏央道について幾つかお伺いをさせていただきます。

 圏央道、茨城県内の全線開通から間もなく二年が経過をいたします。開通の効果は非常に大きく、企業立地の促進ですとか観光客の増加など、開通によるさまざまないい効果が出ております。

 ただし、大臣も御存じのように、圏央道、久喜白岡ジャンクションから大栄ジャンクションの間、約九十二キロメートルは、現在、暫定の二車線、つまり片側が一車線となっております。大臣の本当に大きな御尽力によって、二〇二四年度までには全線四車線化となる見込みとも聞いておりますが、とはいっても、まだ五年以上も先のことでございます。

 現在、道幅も狭く、中央分離帯が設置されておらず、中央分離帯を仕切っているのはゴム製のポールでございます。実際、対向車線への逸脱事故が多く、過去には死亡事故も起きております。

 私も当然、圏央道を利用していますが、片側一車線の対面通行、道幅も狭く、照明もなく暗い圏央道で、私自身、冷やっとする場面に遭ったことや、事故渋滞に巻き込まれたこともございます。

 実際、平成二十六年度、会計検査院の調査では、交通量の見込みから暫定的に二車線で開通した高速道路、いわゆる暫定二車線道路では、対向車線への逸脱事故や死傷事故が多発している、そんな結果も出ております。

 国交省の調査でも、暫定二車線道路の死亡事故の発生確率は四車線以上の高速道路に比べ二倍近い数値となっていることから、二〇一八年六月、暫定二車線区間において道路中央部へのワイヤロープ試験設置区間を大幅にふやすとの方針を示したと聞いております。実際、道路中央部にワイヤロープ方式の防護柵を設けた場合、対向車線への交通事故が激減したとの効果も明らかになったと聞いております。

 ハンドル操作の誤りによる人為的ミスが逸脱事故の主な原因とのことですから、見やすく、かつしっかりとした防護柵があれば、相当程度事故が防げるのではと考えます。

 圏央道の四車線化までの間の安全対策について、まずはお伺いいたします。

池田政府参考人 高速道路の暫定二車線区間につきましては、対向車線への飛び出しによります正面衝突事故など、安全性に課題があるものと認識をしております。

 委員御指摘のワイヤロープについては、飛び出し防止性能の信頼性も高く、現在、高速道路会社の管理区間について、おおむね三年で設置を完了する予定としております。

 一方、圏央道の茨城県区間については、抜本的な安全対策として、先ほど御指摘のありました、平成三十年度に財政投融資を活用して四車線事業に着手をいたしました。この四車線事業については、二〇二二年度から順次開通をして、二〇二四年度までの全線開通を目指して、今後、鋭意事業を推進してまいります。

 また、従来より、安全な通行が確保されるように日常的なパトロールや点検を行っておりますけれども、今後とも十分な管理を行いまして、必要がありましたら、追加的な対策についても検討して実施をしてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 今の御答弁を聞いていますと、四車線化までは安全対策はしないというような認識でよろしいでしょうか。何か、必要があればしますということは、つまり、事故がないとそういう対策はしない、そういった認識でよろしいでしょうか。

池田政府参考人 完成までの間につきましても、安全な通行の確保が不十分な場所につきましては、追加的な対策について実施をしていきたいと考えております。

青山(大)分科員 ちょっと今大臣がおトイレで離席されていますけれども、ぜひ大臣に聞いてほしかったと思うんです。

 繰り返します。事故がなければやらないということなんですね。そういうふうに、私、地元で言いますよ。私ももとは県会議員を八年やっていまして、本当に国交省さんも一緒に頑張ってくれて圏央道が開通して、みんな喜んでいるんですよ。ただ、危ないという現状がある中で、事故が起きるまでやりません、そう明言しちゃうんですか。

池田政府参考人 四車線化の完成までの期間につきましても、事故があるなしにかかわらず、必要な安全対策については順次進めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 私、ちゃんとこれは事前にきちっと担当の方とも相談して話していますし、きょう、分科会で、大臣、政務三役もずっと大変だと思うので、私は、むしろ今回は具体的な答弁を欲しいということで、政府参考人の方にあえて答弁を求めたわけでございますよ。

 日常的な対策、ただパトロールするだけですか。

池田政府参考人 二車線区間の逸脱防止の安全対策につきましては、車線の両側の区画線と言われるものがございまして、そういったものの塗料の工夫ですとか凹凸をつけるとか、そういったことで逸脱を防止する効果がある事業がございます。こういったものにつきまして、必要な箇所から、四車線化の完成までの間につきましても進めていきたいと考えております。

青山(大)分科員 今言ったような具体的な逸脱対策をしていくというような認識でよろしいですね。わかりました。ありがとうございます。ぜひこれは、大臣、ちょっとまだトイレ、戻ってきませんか。

 続いて、また圏央道に関係して、圏央道、茨城県内の区間は、照明がなく非常に暗い状態でもございます。雨の日とか悪天候のとき、暗くなると本当に更に運転がしにくい状態となっております。

 今言ったように、対向車線の防止と含めて、私は、安全確保のためにも、照明の設置、まだどうしても暫定なので、照明をつけちゃうと大変という話も聞いていますので、照明とまではいかなくとも、それに準ずるもの、要は、高速道路を明るくするようなそんな対策、工夫をすべきじゃないか、そのように思いますが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 高速道路の照明は、市街地の区間では一定間隔で連続的な照明をすることとしておりまして、郊外部では、インターチェンジや道路の幅員構成や線形が急激に変化する場所などについて、局部的な照明をすることとしております。

 このほかに、先ほど申し上げました、ドライバーの視線誘導の観点から、反射率の大きな塗料を使用した区画線の利用ですとか、中央帯につきまして、反射材つきのラバーポールの設置、こういったものの設置を進めております。

 日ごろより、日常的なパトロールや点検の中で安全通行の確保については十分チェックをしておりますけれども、今後とも、そういうことを徹底いたしまして、必要な対策を、追加的な対策を進めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 本当に、大きな事故が起きてからでは遅いので、先ほどの話とあわせて、ぜひ、四車線化も進めることも当然ですけれども、同時に、あと五年ぐらいあるんですから、今の現状の対策の方もきちっとよろしくお願いいたします。

 またちょっと圏央道絡みなんですけれども、大臣、なかなか遅いですね。(発言する者あり)

盛山主査代理 いやいや、先ほどちょっと御了解を得てやっておりますから。

青山(大)分科員 私も、大臣、御地元なので、ぜひその声を聞いてほしいなというのもあって、していますので。

 わかりました。じゃあ行きますね。

 次、圏央道茨城県内区間で、今大臣もトイレ休憩ですけれども、唯一トイレ休憩できるのが江戸崎パーキングエリアだけでございまして、その江戸崎パーキングエリアから一番近くでトイレ休憩できるのが埼玉県の久喜市の菖蒲パーキングエリア。その間何と七十六キロも離れています。給油所、間隔でいえば、それ以上に離れております。先ほどの菖蒲パーキングエリアと、その次、酒々井パーキングエリアまで百十四キロも離れています。

 私も先日、自分の一歳ちょっとの息子を連れて神奈川へ家族で旅行に行ったとき、帰りに、ちょっと首都高を混むので回避しようと思って、八王子から圏央道を通ってぐるっと来ました。小さな子供連れ、妻も今二人目を妊娠中なので、やはりこんなに休憩所が離れていて、正直ちょっと大変な思いもいたしました。おむつ交換も必要ですし。

 その中で、当然地元からも、早急に休憩所の設置が必要という要望も出ております。そういった中で、江戸崎パーキングエリアと菖蒲パーキングエリアのほぼ中間、坂東市内に坂東パーキングエリアを整備するような計画があるということも伺っていますけれども、今後の整備見通しについて具体的にお伺いいたします。

池田政府参考人 圏央道の茨城県区間の休憩施設につきましては、既存の江戸崎パーキングエリアと隣にございます埼玉県の菖蒲パーキングエリアまでの間隔が約七十六キロメートルと離れており、利用者へのサービス確保の観点からは課題があるというふうに認識をしております。

 このため、常総インターチェンジと坂東インターチェンジの間に新しいパーキングエリアを設置することにしております。

 この設置に当たりまして、昨年十一月に、国とNEXCO東日本、茨城県、坂東市が入りました調整会議を立ち上げまして、整備計画の取りまとめを進めているところでございます。

 今後とも、利用者へのサービス向上に努めてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 今までの経過はよくわかりました。

 私が質問したのは、それで今後どういったようなスケジュール、具体的にいつぐらいにそれが利用できるようになるのかを質問したわけでございます。

 重ねてお伺いします。

池田政府参考人 新しく建設する予定のパーキングエリアにつきましては、完成時期については、先ほど申しました整備計画取りまとめの後、用地買収がございます。また、工事がございますので、現時点でいつごろということを申し上げるのは難しい状況でありますけれども、いずれにしても、一日も早く完成できるように推進してまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 これ、答弁者はやはり大臣とか政務三役にした方がいいんですかね。やはりその方がいいんですね。

 いいんですか、済みませんけれども。

石井国務大臣 一般論で申し上げますと、道路の場合は、開通目標というのは非常に慎重に出しているんです。通常、用地を取得する場合は、大体、用地取得が八割ぐらい済まないと開通目標は出せないという状況にありまして、今回のパーキングエリアでも、これから新たに用地を買収するということでありますので、具体的な時期はまだお出しができない。

 いずれにしろ、一日も早く取り組んでいくということかと存じます。

青山(大)分科員 わかりました。

 石井大臣、ちょっとさっきおトイレに行っている間に、圏央道の今片側通行のところの逸脱防止対策と、あと、照明がちょっと暗くて危険だということでいろいろと質問させていただきました。前向きな御答弁もいただいたのでちょっと後で確認していただいて、石井大臣も多分何度も圏央道を通られてその危険性とか今の状況もよく把握していると思いますので、ぜひ、そちらの方も重ねて御要望をさせていただきます。

 圏央道関係、最後です。

 二〇一七年の七月に、圏央道常総インターチェンジとつくば中央インターチェンジの間に、仮称つくばスマートインターチェンジが新規事業化いただきました。地元からも大きな期待がある中で、こちらもあわせて開通までの具体的な今後の整備見通しについて質問させていただきます。

池田政府参考人 つくばスマートインターチェンジは、常総インターチェンジとつくば中央インターチェンジの間に設置されるETC車専用のインターチェンジでございます。

 このスマートインターチェンジは、平成二十九年度に事業化をいたしまして、現在、東日本高速株式会社が詳細設計を実施しております。また、つくば市の方で、用地買収とアクセス道路となる市道の整備を行っておるところでございます。

 国交省としては、引き続き、つくば市、東日本高速道路株式会社に対しまして財政的支援など必要な支援を行いまして、一日も早い完成に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 それでは、次の質問に移ります。

 二〇〇五年につくば―東京・秋葉原間を結ぶつくばエクスプレスが開通して、もう十四年になろうとしています。このつくばエクスプレスの運営会社、首都圏新都市鉄道、当初は、黒字化するのに二十年とか三十年かかるというふうにも言われていましたが、二〇〇九年度から単年度黒字になって、そこから九期連続で黒字を続けているということでございます。つまり、順調ということだと思います。

 言うまでもなく、つくばエクスプレスが開通するまでにはさまざまな、いろいろな歴史があったというわけで、とりわけ特徴的なのが、国も積極的に関与して、鉄道建設と宅地開発を一体的に進めたことではないかというふうに思います。

 現在も沿線開発も比較的順調で、利用者もふえ、現在はつくばエクスプレスの乗車率が三〇〇%を超える瞬間もあり、大変な混雑になっております。私もたまに、私は常磐線とつくばエクスプレスを両方利用しているんですけれども、本当に、エクスプレスで国会に来るときなんか、朝はすごい超満員でございます。

 そういった中で、運営会社の方も、ラッシュのときの電車の本数を一時間当たり三本増発するなどの対策を講じるとも聞いていますけれども、利用客の増加が今後も続く中で、混雑緩和につながるかどうかについては不透明なところもございます。

 つくばエクスプレスの各沿線自治体は、人口増加のピークを迎えるのは二〇二五年以降である区や市が多い中で、今後、乗車率の緩和が喫緊の課題でもございます。

 先般、首都圏新都市鉄道の株主でもございます、つくばエクスプレス沿線の九つの区や市の首長たちは、首都圏新都市鉄道に対し、つくばエクスプレスの車両編成に対して、混雑の緩和のため、現在の六両から八両化にすべきではないか、八両化に関して詳細な考えを求める旨の質問状を提出をされました。

 その質問状の中身を拝見しますと、八両化に関する首都圏新都市鉄道の考え、八両化着手への検討期間、そもそも実施するのかどうかの判断をする時期、事業着手から運行開始の時期など、具体的な質問でございます。

 国土交通省としても、沿線自治体と首都圏新都市鉄道だけの問題と捉えるのでなく、混雑時の状況、沿線自治体の地元の皆様の声も踏まえ、この問題にしっかりとかかわっていくべきと考えますが、御見解を伺います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 快適な通勤通学により豊かな国民生活を実現するためにも、また、遅延発生の防止のためにも、車内における混雑緩和は重要な課題であると認識しております。

 車内の混雑率につきましては、各鉄道事業者が、各車両ごとに測定員を配置するなどして実地調査を行っております。つくばエクスプレスの混雑状況は、国土交通省が把握しているところでは、平成二十四年度より徐々に増加傾向にありまして、二十九年度の最混雑区間、青井―北千住間、この朝のピーク一時間の平均の混雑率は一六五%となっているところでございます。これは平均でございます。

 いずれにいたしましても、車内の混雑緩和は重要な課題であり、同社の混雑緩和の取組といたしましては、平成二十九年度よりボックスシート車両のロングシート化を進めており、また、先ほどお話がありましたが、三十一年度末には、車両を五編成増備し、現在の最混雑区間の運転本数を一時間当たり二十二本から二十五本に三本増加させるとした輸送力増強に取り組むとしておるところでございます。

 また、委員の御指摘のとおり、現在、つくばエクスプレスは六両編成で運行しており、これを八両編成化すればさらなる混雑の緩和が可能となりますが、その一方、ホームの延伸や車両基地の拡充、車両の増備など多額の設備投資が必要となると聞いております。

 同社からは、八両編成化につきまして、混雑の状況、沿線開発等に伴う今後の輸送需要の動向、事業費、収支採算性など、多面的な検討を精力的に進めているところであり、できるだけ早期に実施の適否の判断を行いたいと考えていると聞いているところでございます。

 国土交通省といたしましては、混雑の状況について引き続き注視するとともに、つくばエクスプレスにおける検討状況を踏まえつつ、必要に応じ、同社に対して助言等を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

青山(大)分科員 詳細な御答弁、ありがとうございました。

 最後、今御答弁の中で、必要な際には適宜助言を行っていくような御答弁がございましたけれども、国土交通省として、助言する中で、支援策というのはちょっと言葉が適切じゃないと思うんですけれども、具体的に、仮にですよ、首都圏新都市鉄道の方で、じゃ八両化にしますという判断を行った後に、何かしら支援、支えるような、応援できるような、そういった制度というか方策というのは何かあるんでしょうか。

蒲生政府参考人 現在、都市鉄道におきまして、いわゆるホームの延伸や車両基地の拡充等に関しましての整備の制度はございますけれども、現実には他の事業者において使われております。

 一方で、つくばエクスプレスにおきましては、やはり技術的な面での知見が足りない部分もあろうかと我々は考えておりますので、鉄道・運輸機構などを通じて、例えばそういった技術面での支援をするということは可能だと思っているところでございます。

青山(大)分科員 御承知のように、TX、全部高架になっているので、そういった工事をするに当たっても、通常とは違うような手間がかかるとか聞いています。そういった中で、技術的なことも含めてさまざまな御助言や支援をしていってほしいなというふうに思っていますし、むしろ、首都圏新都市鉄道さんが八両化するかどうか、判断の段階においても、そういった意味で、地元の声としては八両化してほしいという思いですので、そういうふうな、運営会社が判断をできるような、国交省としてぜひ後押しをしてほしいな、これは要望にとどめさせていただきます。ありがとうございました。

 最後の質問でございます。

 国道六号千代田石岡バイパスについてお伺いいたします。

 国道六号千代田石岡バイパスの中で、事業中の区間でもございます、かすみがうら市市川から石岡市東大橋までの区間五・八キロメートルに関しては、平成十年度に事業が着手され、平成十五年度より用地買収に着手しておりますが、現段階の用地買収率が九一%とのことでございます。一部、買収の見込みが立っていない土地があるとのことでございますが、そんな中で、昨年の十一月に、国や県や関係自治体が連携して何とか解決しようということで、国道六号千代田石岡バイパス事業進捗に関する会議というものが設置されたというふうに伺っております。

 まずはこの会議の役割についてお伺いするとともに、地元自治体と状況についてしっかりと共有を図りながら、地元自治体へ用地交渉等の協力を仰いで、国交省として必要な財源措置をしながら、決して強制執行などするようなことなくこの事業を進めてほしいと私は考えていますが、改めて御見解を伺います。

池田政府参考人 国道六号の千代田石岡バイパスでございますけれども、現在、埋蔵文化財調査、用地買収、改良工事を実施しております。

 今御指摘のとおり、用地買収について、一部の買収が非常に難航している状況でございまして、先ほど御指摘いただきました、昨年十一月に会議を設立して、今後進めていくこととしております。

 この会議では、これまで地権者の方と交渉してまいりましたけれども、その際に地権者の方からいただいている要望内容などにつきまして、用地交渉の現状全体について国と沿線市の方で十分に共有を改めて図りまして、また、今後の交渉の進め方について、国と関係者の間で改めて綿密な協議を行うことを目的にして進めておるところでございます。

 今後とも、地元の、特に沿線市の協力をいただきながら、早期の開通を目指して努力をしてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 言うまでもなく、やはり地元のある意味状況とか人間関係とか過去の歴史とか、地元の自治体の方が一番よくわかっておりますので、そういった方たちにきちんと御協力をお願いして、当然、国交省としても、財源含めて応援しながら進めていってほしいなと思います。

 また、重ねて、千代田石岡バイパスのまだ事業化されていない区間、千代田区間について、早期に事業化決定をしてほしいと思いますけれども、その辺の新規事業化の見通しについてお伺いさせていただきます。

池田政府参考人 現在事業を行っております六号の千代田石岡バイパスの南側の区間でありますけれども、二車線の道路でありまして、約二万九千台の車両が通行しておることから、四カ所の交差点を中心に朝夕の渋滞が発生をしており、交通上の課題が大きいというふうに認識をしております。

 引き続きまして、千代田石岡バイパスなど事業中区間の進捗状況を踏まえながら、この区間の整備について検討してまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 ぜひ、事業推進に向けて重ねて御要望し、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

盛山主査代理 これにて青山大人君の質疑は終了いたしました。

 次に、西岡秀子君。

西岡分科員 国民民主党、西岡秀子でございます。

 きょうは、国交大臣、石井大臣に初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は長崎一区選出でございます。去る二月九日から十日まで、石井大臣には長崎、対馬を、インフラ整備の状況を視察ということでお越しをいただきました。

 長崎におきましては、まちづくりの状態や世界遺産、そして長崎駅の周辺、また、国道三十四号線新日見トンネル、そして三菱長崎造船所などを御視察いただいたと聞いております。また、我が国にとって大変重要な国境離島である対馬にもお越しをいただきまして、万関瀬戸航路の視察、また、対馬海上保安部への職員への激励をいただいたと聞いております。

 大臣には長崎を視察いただいて、すぐにこのように質問の機会をいただきましたことを大変ありがたく存じております。

 先ほども議論がありました、まず、私の地元長崎県において大変重要な課題であります三点について、大臣に、視察を踏まえた上でのことも含めまして御質問をさせていただきます。

 まず、長崎県にとって、長年にわたって大変重要な課題でございます九州新幹線西九州ルートについて質問をさせていただきます。

 大変個人的なことでございますけれども、私の亡き父西岡武夫が、国会議員として、この新幹線整備、当初から深くかかわっておりまして、当初からフル規格でこの新幹線をつくるべきだということで長年取り組んでまいりました。

 現在、大臣も御承知のように、武雄温泉―長崎間は、二〇二二年開業へ向けて、昨年十二月、西九州ルートで建設予定のトンネル三十一本のうち、最長の長崎トンネルの貫通式が無事行われました。また、諫早駅の新築工事も始まって、順調に工事が進んでいる状況でございます。

 ただ、近年の工事費、人件費の高騰などによって新たな財源負担が生じまして、工事の停滞が大変心配されたわけでございますけれども、昨年、国による財政措置の英断が示されまして、平成三十一年度予算に計上されました。また、長崎県の負担については一定の軽減措置がとられましたことは、地元としても心より感謝を申し上げたいと思っております。

 一方、フリーゲージトレインの実用化のおくれということから、博多から在来線の特急で行って武雄温泉で乗りかえる、暫定の、フリーゲージ実用化までの対面リレー方式ということで二〇二二年開業が予定されておりましたけれども、最終的には、国交省が開発を進めておりましたフリーゲージトレインの技術的な問題や速度の問題、そして安全性の問題で断念という結論となりました。

 少し現在からは時間がさかのぼる話になりますけれども、経緯についてちょっとはっきりさせておきたいという中で、私自身の疑問としてこれまでもあったことでございますけれども、そもそもフリーゲージトレインが在来線とフル規格の軌道を行き来できるという前提で採用されたわけでございますけれども、当初から山陽新幹線への乗り入れということが可能であったのか、合意が得られていたものであったのか、この一点、確認をさせていただきたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 フリーゲージトレインにつきましては、昨年七月の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会の中間取りまとめにおきまして、「最高速度が二百七十キロにとどまり、高速化の進む山陽新幹線への乗り入れが困難であることから、新大阪までの直通を前提とする西九州ルートへの導入は断念せざるを得ない。」とされたところでございます。

 フリーゲージトレインの技術開発につきましては、平成二十三年十月の軌間可変技術評価委員会におきまして、基本的な走行性能に関する技術は確立したと評価されました。その後、平成二十四年四月の交通政策審議会整備新幹線小委員会におきまして、九州新幹線西九州ルートにつきましては、乗りかえの利便性を向上させるため、既に基本的な走行性能が確認されているフリーゲージトレインを積極的に活用することが効果的であると取りまとめられました。さらに、この取りまとめの中では、西九州と中国、関西との間にも一定程度の流動性が見込まれており、フリーゲージトレインが山陽新幹線に乗り入れることによって一層の利便性の向上が図られるとされました。

 フリーゲージトレインは目標最高速度二百七十キロで技術開発が進められておりましたが、一方で、平成二十四年当時の山陽新幹線では、最高速度三百キロメートルの列車が約六割、三百キロ未満の列車が約四割を占めており、その中には、二百三十キロや二百七十キロ、二百八十五キロの速度のものも含まれていたところでございます。

 その後、フリーゲージトレインの技術開発を進める一方で、山陽新幹線では高速化が進み、現在は約九割の列車が最高速度三百キロで走行している状況となっており、それ以外の列車も最高速度二百八十五キロとなっております。

 このような経緯から、フリーゲージトレインの山陽新幹線乗り入れにつきましては、中間取りまとめで示されたように、山陽新幹線の高速化に伴いまして困難になったものと考えているところでございます。

西岡分科員 ありがとうございます。

 それでは、今のお話から、フリーゲージトレインが当初採用されたときには乗り入れが可能だったけれども、その後、高速化、さまざまな時代の変化によってフリーゲージトレインの導入が難しくなったという理解でよろしいでしょうか。

 よろしいですか。はい、ありがとうございます。

 それでは、今、暫定の対面リレー方式ということで、これはあくまでも暫定的な措置であるというふうに理解をしておりますけれども、これが恒久化するのではないかという心配を長崎県としては大変持っております。

 このことは絶対恒久化するものではないということについて、大臣の方からお話をいただきたいというふうに思います。お願いいたします。

石井国務大臣 九州新幹線西九州ルートの整備のあり方につきましては、昨年七月、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会において中間取りまとめが行われまして、八月の与党プロジェクトチームにおいても、その内容が了承されたところであります。

 中間取りまとめでは、基本的な考え方として、西九州ルートは新大阪まで直通することを前提として整備が進められてきたところであり、武雄温泉駅での対面乗りかえが恒久化することがあってはならないということが確認をされております。国土交通省としてもそういう理解でございます。

西岡分科員 今大臣からはっきりと御答弁いただきまして、安心をいたしました。

 ただ、今、現実的な問題といたしまして、新鳥栖―武雄温泉間の整備のあり方について結論が出ていない状況にございます。当然、沿線自治体の佐賀県の意向というものは大変大切なものでございますし、重要なものだというふうに認識をいたしております。

 ただ、何より、終着地である武雄温泉―長崎間がフル規格で今整備をされているということを考えますと、投資効果、収支改善効果、そして時間短縮効果、いずれの面をとっても、この選択としてはフル規格以外にはないのではないかというふうに考えておりますけれども、国交大臣の御所見を伺いたいと思います。

石井国務大臣 先ほど答弁申し上げました昨年の与党の中間取りまとめにおきましては、フリーゲージトレインについて、新大阪までの直通を前提とする西九州ルートへの導入は断念せざるを得ないこと、フリーゲージトレインの導入を断念せざるを得ないことは遺憾であり、国においては、これまでの経緯を踏まえ、今後の対応に当たるべきこと、そして、新大阪駅まで直通可能な方式であるフル規格及びミニ新幹線の二つの整備方式の得失を総合的に検討した上でいずれかを選択する必要があることとされたものと承知をしております。

 今後、この中間取りまとめを踏まえまして、検討委員会において、引き続き、関係者の意向を十分に踏まえつつ、西九州ルートの整備のあり方について検討が進められるものと承知をしております。

 国土交通省といたしましては、こうした状況を踏まえまして、与党における検討作業に適切に対応してまいりたいと考えております。

西岡分科員 フリーゲージトレイン導入に関しまして、大変長い時間を要したということもございますし、長崎県としても財政的な投資をしておりました。今後、ミニ新幹線又はフル規格、どちらでそこを運用するかということについては、できるだけ早い結論をいただきたいという思いと、私自身はフル規格でぜひ進めていただきたいという強い思いを持っております。

 ただ、この区間の沿線である佐賀県の御判断というものは大変重いものがあると思っております。ことし初めに佐賀県知事と長崎県知事の会談が初めてこの件で行われまして、国として開発を進めたフリーゲージトレインの実用化が三年間にわたりおくれ、うまくいかなかったことが今の状況になっているということについては認識をしていただいて、しっかりと国として今後の方針を示していただきたいということが、佐賀県、長崎県の間で、意見交換の中で共通意識として確認をされました。

 このことについて、大臣の、会談を踏まえた御所見をいただければというふうに思います。

 済みません、このことはちょっと通告をいたしておりませんので、お答えいただければ、大臣でなくても……。

石井国務大臣 通告はいただいてはおりませんけれども、先ほども申し上げたとおり、与党の中間取りまとめでは、フリーゲージトレインの導入を断念せざるを得ないことは遺憾であり、国においては、これまでの経緯を踏まえ、今後の対応に当たるべきこと、こういう御指摘もいただいているところでありまして、与党の検討委員会の検討に際しては、整備に係る費用を始めとして、佐賀県の負担を軽減するために最大限努力する考えであると承知をしているところでございます。

西岡分科員 申しわけございませんでした。

 やはり、今までのフリーゲージトレイン断念の経緯というものをぜひ踏まえていただいて、今後、国として、このことを解決することにぜひリーダーシップを持って取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 私は、この九州新幹線西日本ルートにつきましては、単に長崎、佐賀の問題ではなくて、西九州地域の産業の振興や交流人口の拡大に大きく寄与するものだと思っております。関西圏との経済的な交流についても大変有効でございますし、現政権が進めていらっしゃるインバウンド政策の面からも大きく寄与するものだと思っております。また、リニア中央新幹線が今整備をされる方向で、巨大都市圏との連結による効果というものも大変大きなものがあるというふうに思います。

 そのためにも、やはり長崎から関西圏までが一本の路線でつながるということは、日本列島がつながり、そこから更に、例えば港又は空港から海外へつながっていくとのグローバルな視点で、ぜひこの九州新幹線を捉えていただきたいというふうに思っております。

 今後の取組については、先ほど大臣から方針についてのお答えをいただきましたので、ぜひなるべく早く結論を出していただき、私としても、再度申し上げますけれども、フル規格としての整備をぜひお願いしたいと思っております。

 また、この新幹線の導入に際しまして、その導入後の開業後、やはり長崎県としても、新幹線とのアクセスも含めた地域の公共交通のあり方、その整備も大変重要な視点であると認識をしておりますので、長崎県としても、このことにさまざまな知見を持って取り組んでいきたいというふうに思っております。

 続いて、次の質問に移らせていただきます。

 これも、大臣が今回の視察で視察をしていただきました三菱造船所において、建造中のLNG船を視察していただいたと聞いております。

 長崎県は、特にその中でも長崎市は、三菱重工、造船業で大変栄えた町でございます。また、造船業は、長崎のみならず日本にとって、あらゆる意味で大変重要な産業であるというふうに認識をいたしております。

 我が国の造船業の重要性について大臣の御所見をいただきたいと思います。

石井国務大臣 我が国は、四面を海に囲まれた海洋立国であり、貿易量の九九・六%を海上輸送に依存しております。海運業や、海運業に良質な船舶を安定的に供給する造船業は、我が国経済や国民生活を支える産業であります。

 特に我が国の造船業は、約九割の船舶を地方で生産をしておりまして、また、約九割の部品を国内で調達しているということで、地域の経済と雇用を支える重要な産業となっております。

 国土交通省といたしましては、これまでも造船業を中心とする海事産業の成長を主要施策として位置づけておりまして、海事生産性革命などの施策を推進をしております。

 今後ますます激化する国際競争の中、海事産業が成長することで経済再生や地方創生に貢献をし、海洋立国日本を前進させていくよう、国策として更に力強く取り組んでまいりたいと考えております。

西岡分科員 ありがとうございます。大臣から力強いお言葉をいただきました。

 今回の予算にも、i―Shippingということで、造船、海運の技術革新や海洋開発等の推進として百六十三億円が計上をされております。

 このことはもう既に御承知のことと思いますけれども、二〇一五年以降、大変受注の低迷が続いておりますし、近年、国の全面的な支援を受けている韓国、中国の台頭によりまして、価格競争も含めて競争が激化をいたしております。

 我が国の造船業振興のための具体的なお取組について教えていただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、世界の新造船受注量は二〇一七年に回復基調に転じたものの、我が国造船業は、まだ厳しい競争環境に置かれておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、我が国造船業の新造船建造シェアが二〇二五年に世界の三〇%となることを目指しまして、海事生産性革命、i―Shippingを強力に推進しているところでございます。

 具体的には、船舶の開発、設計、建造から運航に至る全てのフェーズでの生産性向上を目指して、造船現場の生産性向上のための技術開発支援や、IoT、AIなどを活用した先進船舶の開発、導入支援などに積極的に取り組んでいるところでございます。

 また、我が国造船業が国際市場での競争に勝ち抜いていくためには、公正な競争環境を確保する必要があると考えております。我が国としては、韓国政府による自国造船業への公的助成がWTOの補助金協定に違反し、市場を歪曲しているとの認識を持っているところでございます。

 このため、昨年十一月に、WTO協定に基づく紛争解決手続を開始したところでございまして、他国の政府による市場歪曲的な措置の是正に向けて取り組んでいるところでございます。

 今後とも、こういった取組を通じまして、日本の造船業の振興に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

西岡分科員 ありがとうございます。

 しっかりとした取組をぜひ今後とも進めていただきたいというふうに思っております。特に、中小型造船業の対策というものも大変重要だというふうに思っておりますので、このことも含めてぜひ推進していただきたいというふうに思います。

 先ほど御説明があったように、大変厳しい状況の中でございますけれども、日本のすぐれた技術力というものは、世界で本当に類いまれなすばらしい技術を持っております。特に、造船業が持っている技術というものは、大変幅広い、さまざまな分野で生かせる技術であると聞いております。

 このすぐれた技術をこれから次世代に伝えていく人材育成が大変重要であるというふうに思っておりますけれども、少子高齢化、人口減少の中で、人材不足、担い手不足というものが大変深刻なものとなっているというふうに思います。特に、学校教育の中で、専門高校と言われる、例えば機械科ですとか造船科を持つ工業高校への支援、また、大学での造船教育の教育内容の充実というものが大変重要であるというふうに私は思っております。

 この人材不足の中で、今春、高校卒業の就職内定の割合が二十五年ぶりに九〇%となったという新聞報道がございました。中でも、学科別では、特に工業が九六%、商業が九三%、水産、農業と続きますけれども、やはりこの専門高校の生徒、子供たちが、今後の大変優秀な次世代の基幹産業、造船業を担う人材として育っていくということが大変重要だというふうに思っております。

 今、国交省として、この教育内容の充実についてさまざまお取り組みいただいているというふうに思いますけれども、そのことについて教えていただければと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、日本全体において人口減少、少子高齢化が進んでおります状況の中で、造船業におきましても人材の確保は重要な課題となっている状況でございます。このような状況に対処するため、私ども、さまざま取組を進めさせていただいているところでございます。

 まず、国内人材の確保、育成に関しましては、工業高校における造船工学教材の作成やインターンシップ実施ガイダンスの作成などに取り組んできたところでございます。こういった取組の成果もございまして、造船専門教育を実施する高校の数は、一時期、全国で三校までに減少していたところでございますけれども、現在は五校にまで増加をしておりまして、来年度、更に一校増加する見込みというふうに承知しておるところでございます。

 一方で、外国人材の活用についてもさまざまな取組を進めておるところでございまして、こういった施策を通じまして、引き続き、人材の確保、育成について積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

西岡分科員 ありがとうございます。

 さまざまなお取組をいただいておりますけれども、やはり大変専門的な分野でございますので、引き続きお力をいただきたいというふうに思います。

 ある例では、地方自治体と造船会社が共同で、その造船会社の中に機械科の子供たちが学ぶ施設をつくるという動きもありまして、やはりこういう子供たちが、特に地元で、基幹産業である造船業、製造業の担い手としてこれから活躍をしていくということを念頭に置きながら、さまざまな施策をぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 今、外国人労働者の問題もございましたけれども、また、新たな在留資格ができますけれども、ぜひその折には、造船業者の皆様の現場の意見というものを十分踏まえて、反映した中での運用をしていただきたいということをお願いさせていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、これも大臣が視察をしていただいたというふうに思いますけれども、長崎港のツーバース化について大臣にお尋ねをいたします。

 長崎港は近年、クルーズ船の寄港が大変急増をいたしておりまして、全国で三位の寄港数となっております。ただ、岸壁が大変不足をいたしておりまして、昨年は二百八十八隻をお断りしているという状況がございます。

 大臣も長崎の町をごらんいただいたというふうに思いますけれども、長崎は二つの世界遺産を持っております。そして、港から市街地へ歩いて行けるという、大変寄港地としての地形的なメリットを持っておりますし、観光資源も豊富に持っております。

 その中で、今、国の直轄事業としての長崎港のツーバース化というものを県として要望をさせていただいておりますけれども、訪日外国人の旅行者数をふやすという目標で政府も取り組んでおられますけれども、この意味も含めまして、大臣、視察をしていただいて、今後このことについての取組について、大臣の所見をいただきたいというふうに思います。

石井国務大臣 長崎港は、今委員から御紹介いただいたように、クルーズ船の寄港回数が、昨年、博多港、那覇港に次いで全国三位を記録するなど、クルーズ船の重要な受入れ拠点であると認識をしております。

 私も現地を視察をいたしまして、クルーズ岸壁と市街地が非常に近いところにある。おっしゃるとおり、世界遺産までクルーズの岸壁から歩いて行けるという近さにあるということもありますし、それから、長崎港自体の景観もすばらしい景観であるということで、非常に魅力的な港だということを再認識をいたしました。

 長崎港において主にクルーズ船を受け入れております松が枝地区におきましては、十六万トン級の大型クルーズ船に対応する岸壁の改良が完了いたしまして、昨年の十月に供用したところでございます。

 この松が枝地区の二バース目については、まずは、隣接する常盤、出島地区等の既存岸壁の有効活用をしていただくとともに、長崎港に寄港するクルーズ船の需要動向等を見きわめた上で検討を行ってまいりたいと考えております。

西岡分科員 大臣、ありがとうございます。

 地元の新聞に、大臣が前向きであるという記事が大きく載っておりましたけれども、このツーバースにつきまして、大臣の視察をしていただいた上で、ぜひ強力に国の直轄事業としてお進めをいただきたいということをお願いを申し上げたいというふうに思います。

 先ほどの人材育成と関連をいたしますけれども、海洋立国日本として、海洋教育の推進と海のスペシャリストを養成するという後継者の育成というものは、大変重要なものであるというふうに思っております。

 今、小中学生を対象にしまして、海ですとか船ですとか造船に対する興味を持っていただく取組が、さまざまな、例えば進水式に子供たちを招くですとか、そういう取組が行われているようにお聞きをしておりますけれども、この具体的なお取組についてお聞かせいただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 海洋国家である我が国にとりまして、海事産業は国民生活を維持する上で必要不可欠でございまして、この海事産業に将来就業していただけるように、次世代を担う子供たちが、海事産業やそこに従事する人々に対する理解を深めて職業観の醸成を図っていく、そういった取組を進めていくことも大変重要であるというふうに認識をしているところでございます。

 このため、具体的に幾つかの施策に取り組んでおるところでございまして、国民の祝日である海の日や海の月間などの機会を通じまして、国民に海に親しんでいただく機会となる海フェスタという行事を開催したりでございますとか、帆船などの練習船の一般公開あるいは体験乗船の実施などを行っておりますほか、海事関係者による出前講座を実施するなど、関係者の皆様と協力し、さまざまな取組を全国的に展開しているところでございます。

 さらに、二〇一七年の三月に小中学校の学習指導要領が改訂をされておりまして、海洋、海事の重要性についての記述が充実されたということを踏まえまして、指導例を記載した海洋教育プログラムを作成いたしまして、海洋教育の推進にも努めているところでございます。

 国交省といたしましては、将来の進路としても、海事産業や、そういった分野への進路を選択肢として考えてもらえるように、子供たちを対象とする海洋教育に関するさまざまな取組を、関係者と力を合わせて推進してまいりたいと考えておるところでございます。

西岡分科員 ありがとうございます。

 海洋プログラムについて、具体的に国交省としてどのようなお取組をというのは、これからのことでございましょうか。これからのお取組ということでございましょうか。

盛山主査代理 水嶋海事局長、質疑時間が経過しておりますので簡潔にお願いいたします。

水嶋政府参考人 学習指導要領の改訂を踏まえまして、現在、先生方に、実際にどのような授業の内容にしていくかということについて、そのガイダンスを作成しているということでございます。

西岡分科員 ありがとうございます。

 ありがとうございました。

盛山主査代理 これにて西岡秀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、松原仁君。

松原分科員 きょうは幾つかお伺いします。

 今国会、質問二九号で、羽田空港新飛行経路案、いわゆる低空飛行ルート計画について質問主意書を提出しました。この二九号に対する答弁も踏まえ、関連事項の質問をさせていただきます。

 今国会のこの二九号二の1及び2を踏まえて、私が国際機能強化と現行の飛行ルートを両立できるという羽田、成田の一体的活用という松原案というものを出したわけでありますが、大臣、これに関しての御所見をお伺いします。

石井国務大臣 委員御提案の、羽田空港における国際線増便と現行の飛行ルートを両立できる、羽田空港と成田空港を一体的に活用する案につきましては、羽田空港に就航している国内線を成田空港へ移すことにより、都心上空を通過する飛行航路を設定することなく、羽田空港における国際線を増便する案として認識をしております。

 他方、この御提案につきましては、ビジネス、観光等の需要の高い羽田空港の国内線の減便を含むことから、羽田空港からの国内線が就航している地域や当該路線の利用者からの理解を得ることが困難と考えております。

松原分科員 これは非常にてんびんにかけるのが難しい議論でありますが、要するに、このことによって、渋谷あたりから始まりまして、五反田、大井町あたりは上空三百メートルという大変に至近距離で飛行機が飛ぶ。いわゆる落下物、騒音、そして地価下落の三点セットというふうに我々は言っているわけでありますが、日本人というのは物すごく完璧主義者ですから、実はかなり地価が僕は現実に影響を受けるのではないかと。米国は、一デシベルの騒音の上昇は地価下落一・二%とか、何かそういうデータもあるようですが、非常にそれを心配しているわけであります。

 他方、私の案は、今大臣御指摘があったように、従来どおりの航路でやる、それで、三十便の国際便をふやす分を、国内便は三十便成田へ持っていく、こういう議論であります。でも、これによる損失といいますか問題は、今おっしゃったような、利用客の利便性の問題に尽きるわけであります。

 成田と東京は高速列車を使うと三十六分とか三十八分という時間でありまして、おっしゃるとおり、羽田の方が利便性が高いという議論はわかりますが、これは、私は一定そこは乗り越えられるレベルかなという認識を持っております。

 他方において、一番問題なのは、羽田空港でトランジットをする人間、国内便から国内便、これがどういう影響を受けるかということでありますが、今トランジットは、この間、国交省に試算していただきましたら、一日三千七百人ぐらい。五百便の国内便のうちの三十便ですから、これを掛け算をいたしますと、成田から羽田、羽田から成田へという形のトランジットの旅客の数は、一日百七十人ぐらいかなと思っているんです。

 この辺の、どちらがそのことに関してのダメージのトータルが大きいかという議論になったときに、私は、今言ったように、国内便の一部を成田に持っていくということが、さっき言った地価下落、騒音、そして落下物の危険性除去という点から重要であって、必要であるというふうに考えております。

 したがって、その松原案に関しては、今大臣がおっしゃったような指摘はあるものの、ぜひとも御採用いただきたいと、冒頭、まず申し上げます。

 その上で、関係者の懸念ということは、今大臣がおっしゃったように、利用関係者、こういうことでよろしいですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 議員の御提案につきましては、ビジネス、観光等の需要の高い羽田空港の国内線の減便を含んでおりますけれども、都心に近く国内線の基幹空港であります羽田空港は、国内線が就航している地域や利用者からの地方路線の維持拡充を求める要望も強いことから、そうした関係者等の理解を得ることが困難である、こういうふうに考えております。

松原分科員 しからば、この新航路に関しては、地域住民が圧倒的な内面の反対をしているわけであります。

 実際、私も歩いてみると、賛成するなんていう人は誰一人いないわけであります。許容できるかできないかという議論の中で、落下物がおっこちてきた場合や人命の部分で大きな影響を受けるから許しがたいと。この辺はどんなふうに聞いていますか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 羽田空港における新飛行経路案につきましては、関係地域の地方公共団体及び住民の方々から、航空機からの落下物、騒音等を懸念する声があることは認識をいたしております。

松原分科員 もうちょっと詳しく言ってもらいたいんですが、今言った三点セットに対する批判というのは多い。これは、数がやはり十万、二十万単位であります。

 私は、その利便性の問題の議論というのは、非常に議論があります。地方自治体の首長さんなんかの理解も得る必要がありますが、これは乗り越えられる議論だろうと。物理的な、時間的に長くなるとか、こういうことであります。

 一方においては、落下物があれば、人命にこれは大きな損傷を与える。恒常的に騒音のイメージがある。まあ三時から七時という時間でありますが。その上で、この不動産価値の下落。

 今既に、この航路になったときには訴訟を起こすという地主さんも、またマンション所有者もたくさんいるということでありますが、この辺について理解をどのように持っているかお伺いしたい。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘にございましたような、まず落下物に関係してでございますけれども、落下物の対策に関しましては、昨年三月に落下物対策総合パッケージを策定させていただきまして、世界に類を見ない落下物防止対策基準の策定、あらゆるチャネルを通じた未然防止策の徹底、空港管理者による駐機中の機体チェック等の強化等に取り組んで、落下物ゼロということを目指して取り組んでまいりたいと考えております。

 また、騒音対策に関しましては、飛行高度の引上げや騒音の要素も組み合わせた着陸料金への見直しによる低騒音機の導入促進、さらには、学校や病院等の防音工事の助成制度の拡充等に取り組むこととしております。

 なお、不動産価値につきましては、交通利便性や周辺の開発状況等さまざまな要因により変動いたしますことから、羽田空港における飛行経路の見直しが直ちに不動産価値を低下させることとは一概には言えないというふうに考えておりますが、このような声に対して、今申し上げましたような対策を講じて取り組んでまいりたいと考えております。

松原分科員 どっちもどっちで、いろいろなダメージがあるわけであります。

 ダメージをどういうふうに分析するかというのは、これは価値観も含めての議論になりますが、一方は、利便性が幾ばくか落ちるという議論であります。一方は、利便性というよりは、やはり、今対策はおっしゃいましたが、リスクというのは極めて残っている。しかも、この部分に関しては騒音の問題も。今おっしゃいましたけれども、騒音に関しては、大井町上空は騒音対策の対象になっていないということはもう既に御案内のとおりであります。

 こういう全体を見たときに、私は、一旦地元の理解を得られたように見えても、しかし現実にはみんな反対をしているということが事実であって、心からどうぞ来てくださいという話ではないということを踏まえて、安直にかなえの軽重を問うべき議論ではないと思っております。

 じゃ次の質問に行きますが、五番目の方に移ります。

 新飛行経路が正式採用された場合、実際いつごろまでがこの準備期間として必要なのか、デッドラインはいつごろか、お伺いします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 羽田空港におけます新飛行経路の運用開始に当たりましては、飛行検査の実施や制限表面の告示等の手続を行う必要がございます。

 国土交通省といたしましては、今後も引き続き関係地域の地方公共団体及び住民の方々への丁寧な情報提供を行い、幅広い理解を得た上で、必要な手続を行いつつ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会までに新経路案を運用できるよう準備を進めてまいりたいと思っております。

松原分科員 地元でもよく言われるんですが、このことを踏まえ、試験飛行といいますか、実際飛ばしてみてくれと。非常にそのためにはさまざまなハードルがあるのは承知しておりますが、これだけの大東京の上空で、今飛んでいない状況が何十年も続いている中でやるということになれば、まず実際飛ばしてみてくれと。そのときのダメージとイメージを踏まえて、地域としても理解を得るかどうかという判断になろうかというふうに思っております。

 極めてこれは重要な地元からの要請でもあるし、これでやってみたら、この程度だったらというふうになるのか、いや、これはちょっとというふうになるのかということはありますが、大臣、御答弁お願いいたします。

石井国務大臣 お尋ねの試験飛行につきましては、航空保安施設の整備や飛行検査の実施等が終了しなければ実施ができないため、試験飛行の要否につきましては、当該整備の状況、飛行検査の時期及び地方公共団体等からの要望等を勘案をいたしまして、慎重に判断をしたいと考えております。

    〔盛山主査代理退席、主査着席〕

松原分科員 慎重に判断したいということでありましたが、それは当然、やることも排除しないというふうな理解でまいりたいと思っておりますが、いかがですか。

石井国務大臣 重ねての答弁になりますが、航空保安施設の整備の状況、飛行検査の時期等を勘案して慎重に判断をしたいと考えております。

松原分科員 慎重に判断するわけですが、ぜひとも前向きに判断をしていただきたいと思っております。

 この私の文書質問に対しての答弁で、町会、自治会、企業の経路変更に関する問題意識を酌み上げる、幅広い理解を地元で得る、こういうふうに言っているわけでありますが、この幅広い理解を得たというふうな判断は何をもってするのか、お伺いします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、これまで、新経路下となります地域を中心に、延べ九十七会場、百六十三日間にわたりまして住民説明会を五巡開催をいたしまして、約二万七千九百人を超える方々に御参加をいただくなど、丁寧な情報提供を行い、御意見を伺ってまいりました。

 また、国土交通省のホームページや新聞広告、折り込みチラシ、各区の区報など、さまざまな手法により周知、広報を行うとともに、専用のコールセンターを設置するなど、引き続き御意見の収集に努めているところでございます。

 地域の幅広い御理解を得ていくということは、そうした説明を丁寧に続けながら、今後、地方公共団体を始めとする関係者とも御相談しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

松原分科員 やはり、幅広い理解を得たかどうかというのは、ある種、世論調査、アンケートというものも必要になってくると思います、これだけの文明社会ですから。これはやはりやる必要があると思いますが、いかがですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御説明いたしましたように、住民説明会を五巡にわたって開催をし、また、さまざまな手段によって周知、広報や、コールセンターなどの設置によって意見の聴取を行っているところでございます。

 現時点において世論調査を行う予定はございませんけれども、どのような形で地方公共団体から理解を得たと判断するかにつきましては、今後、地方公共団体を始めとする関係者からの御意見を参考に検討してまいりたいと考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、丁寧な情報提供を行いつつ、地方公共団体と連携して御要望の把握に努めてまいりたいと考えております。

松原分科員 地方公共団体の理解というのは二義的であって、その地域の住民の理解というのが第一義的なんですよ。そのためには世論調査やアンケートが必要ではないか、こう言っているんですよ。やはり検討するべきだと思いますが、大臣、御所見を一言お願いできますか。

石井国務大臣 現時点ではその世論調査等を行う予定はございませんけれども、先ほど局長から答弁をいたしましたとおり、引き続き、丁寧な情報提供を行いつつ、地方公共団体等と連携をいたしまして御要望の把握に努めてまいりたいと考えております。

松原分科員 今はなくても、ぜひともそれは、要望の把握という中では、それをやっていただきたいと思います。

 次に、今国会、質問三二号で、日本に駐留するアメリカ合衆国軍隊の飛行機が皇居に墜落した場合という質問主意書をいたしました。

 このことに関して、まず、皇居敷地に米軍機が墜落する事態は全くないと言い切れるか、お伺いします。

坪田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、航空機が皇居内に墜落することが全く起こり得ないとは言えないと考えております。

松原分科員 皇居敷地に民間航空機が墜落した場合、機体の捜索、差押え、検証などを管轄する機関はどの機関になりますか。

露木政府参考人 お答えをいたします。

 一般論としてのお答えになりますけれども、皇居等の施設における犯罪、事故の発生があれば皇宮警察において捜査を行うこととなりますが、個別具体的な事案の状況に応じて、警視庁とも連携して対応に当たることも想定されるところでございます。

松原分科員 それでは、米軍機が皇居敷地に墜落した場合はどうなるか、お伺いします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 日米地位協定第十七条によりまして、米軍が施設・区域の外部で必要な警察権を行使することを日本側当局との連絡を前提として一般として認めた上で、その際に従うべき条件、すなわち、そのような米軍による警察権の行使の範囲を当局間の取決めによって絞り込むことを規定しております。

 そのような当局間の取決めとして、日米地位協定第十七条の10の(a)及び10の(b)に関する合意議事録におきまして、米軍機の機体のような米軍財産は、原則として米軍がこれを取り扱うとしつつ、米軍の同意があれば日本側によっても行い得る旨を定めているところでございます。

 実際に事故が起こった場合にどのような対応をするかは、個別の事案でございますので仮定の質問にお答えすることは困難でございますが、いずれにせよ、協力して行ってまいるところでございます。

松原分科員 ということは、警察は、米軍の同意がなければ、米軍に先立って米軍機の機体捜索、検証などは行うことができないということでよろしいかどうか、簡潔にお答えください。

露木政府参考人 お答えいたします。

 ただいま外務省から答弁がございましたとおり、地位協定十七条に関する合意議事録において、日本国の当局は、通常、「所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について、捜索、差押え又は検証を行なう権利を行使しない。ただし、合衆国軍隊の権限のある当局が、日本国の当局によるこれらの捜索、差押え又は検証に同意した場合は、この限りでない。」とされておるものと承知をいたしております。

 警察といたしましては、ただいま申し上げたような日米地位協定合意議事録その他の関連文書、あるいはそれらを反映した刑事特別法等の国内諸法令の規定に基づいて、個別事案の具体的な状況に応じて、米軍当局を含む関係機関から必要な協力を得ながら捜査を行うべき立場にあるというふうに承知をいたしております。

松原分科員 結論的に言えば、日本全国がそうであるように、当然、それは沖縄もそうであるし、岩国もそうであるし、どこでもそうであります。皇居敷地内においても日米地位協定は同じように適用される、こういう認識でよろしいですか。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機事故に当たっての調査につきましては、先ほど申し上げましたとおり、日米地位協定十七条の10(a)及び(b)に関する合意議事録で、米軍機の機体のような米軍財産は、原則として米側がこれを取り扱うとしつつ、米軍の同意があれば日本当局によっても行える旨定めております。これはどこであっても変わりございません。

松原分科員 つまり、日本全国そうであるように、皇居でも同じであるということでありますから、一義的には、同意がなければ、これは米軍が専権的にその捜索等は扱うということになるわけであります。

 私は、地位協定というものは、日本の安全を守るというふうな議論もあるわけですが、やはり、日本が対米従属の姿を戦後ずっと続けてきているという点では、その姿をもう少し変えていく必要があるだろうというふうに考えております。

 とりわけ、地位協定が、日本全国そうであるように、また、日本人の最も敬慕の念のある象徴天皇のいるこの皇居においても同じように日米地位協定が適用される。それは、例えば米軍機が、米軍のヘリコプターが墜落した場合には、その中において、日本の警察が行っても入れないということがあったりする。この現象と同じ現象が皇居内においても適用されるということは、私は極めて日本人として違和感を感じているわけであります。

 これは直接の所管ではありませんが、内閣の一員として、大臣はどのようにこのことをお考えでしょうか。

石井国務大臣 所管外でございますので、答弁は控えさせていただきます。

松原分科員 これは、そうすると、答えられる人はいませんね。

 じゃお願いします。

鈴木(憲)大臣政務官 先ほど政府参考人からも答弁があったとおりでありますが、個別の事案に応じて日米が緊密に連絡をとりながら協力して適切に対応してまいりますが、いずれにしても、事故の場所いかんにかかわらず、主権国家として適切に対応してまいりたいというふうに思います。

松原分科員 次に、デジタル人格権ということでいきたいと思います。

 私は、過去二回、デジタル・レーニン主義について批判する質問主意書を提出しました。

 ドイツの政治学者セバスチャン・ハイルマンが、中国のデジタル技術を統治に活用している手法を表し、デジタル・レーニン主義として表現いたしました。

 私は、政府として、デジタル人格権という基本的人権を明確に保護する姿勢を明示するべきと考えます。

 私が考えるデジタル人格権は、一つ、個々人のデジタル情報をコントロールする権利、二つ、個々人がデジタル世界において自己の表現活動を実現する権利、三つ、個々人がデジタル世界において自己の名誉に対し不当に毀損されない権利など、人格的利益を侵害されることなくデジタル生活を送ることができるために必要な権利を包括するものと考えております。

 デジタル社会が深化する中で、デジタル世界において、中国など旧社会主義国がデジタル上の人格権を軽視して国民監視を強めるような人権問題、人格権問題が発生していると思います。

 米国のように、基本的人権の尊重、民主主義の尊重、法の支配といった価値観を日本と共有する国々を中心に、デジタル上の人格権が尊重される枠組みを国境を越え構築するよう取り組む必要があると考えますが、政府としての御所見をお伺いします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のデジタル人格権につきましては、その御趣旨を十分に、正確に踏まえているかどうかわかりませんけれども、政府の個人情報保護及びインターネットにおける人権の擁護に係る取組につきまして御説明を申し上げたいと思います。

 まず、情報通信技術等の発達に伴いまして、個人情報を大量に収集、利用する大規模事業者が登場していると承知をしてございます。我が国では、民間事業者によります個人情報の取扱いは個人情報保護法によって規律をされておりまして、同法に照らして問題があれば、適切に対応をしているところでございます。

 また、政府といたしましては、名誉毀損やプライバシー侵害等のインターネット上の人格侵害は重大な問題であるというふうに考えてございまして、人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、事案に応じた適切な措置を講じているところでございます。

 いずれにいたしましても、我が国経済のさらなる発展を図っていくためには、デジタル技術の活用は不可欠でございます。

 今後、政府として、社会全体のデジタル化を推進するに当たりまして、個人情報の保護や人権の擁護に最大限努めてまいる所存でございます。

松原分科員 このデジタル人格権というのは、ちょっとこれから一つのテーマ出しとして議論していきたいと思っております。米国のファーウェイに対するさまざまな規制もこういった部分が本質にあるだろうという認識を持った上で、これからも議論していきたいと思います。

 最後に、小笠原のサンゴ密漁ということでありますが、時間がないので簡潔にお伺いします。

 私の小笠原島民の関係者から、先月というか今月に入って、近いうちに大量の中国の船がやってくるという情報が入ったということであります。平成二十六年も同じように二月にそこの情報源から話が来て、九月に、そのことに関して、実際に大挙して二百そうを超える中国の漁船団がやってきてサンゴを荒らしたということがあります。

 海上保安庁においてはそうした問合せが入っているかどうか、お伺いします。

岩並政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、平素から、小笠原村を始め地元関係機関と情報交換を行うなど、緊密に連携をしておりまして、その中には中国サンゴ漁船の動向に関する話も含まれております。

松原分科員 つまり、そういうふうな情報が来たということを、私もきのう、レクで確認しております。この情報がそのとおりになるかどうかわからないが、こういうものが来る場合に、それを来させないように未然に防がなければ、現場においてはおのずから限界があるということであります。

 質問をちょっと飛ばしますが、政府は、中国漁船の密漁に関し、中国政府に対し、このサンゴ問題を含め、過去にどのような抗議や取決めを行ってきたのか。特に、その中で、この皆様からいただいた文書を見ると、中国は必要な措置をとっているというふうに王毅外務部長も言っているし、また、関係当局間での連携を強化したいという旨もあると。具体的にこれはどういうことが行われているか、お伺いします。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、二〇一四年に小笠原諸島周辺海域等における中国サンゴ船の違法操業問題が発生した際には、我が国近海における中国サンゴ船の違法操業は遺憾であり、認められないとの観点から、外務省では、関係省庁と密接に連携しつつ、中国側に対し、累次にわたり、東京及び北京において、さまざまなレベルで中国国内における取締りの強化や再発防止を強く申し入れました。

 その結果、同年、すなわち二〇一四年ですけれども、十二月十八日に開催された日中漁業共同委員会におきまして、中国サンゴ船の不法採捕を根絶するため、日中両国が、継続して断固とした取締りを行い、違反者への厳しい処罰などあらゆる措置を強化することで一致するとともに、中国国内において、密漁者や密漁に関与している者の調査、処分の強化などの措置を総合的に講じること、さらには、両国関係部局間の連絡体制、ホットラインの構築、密漁サンゴの流通ルートの解明など、両国で連携協力して取り組むことで一致しております。

 委員御指摘のございました関係当局間の連携におきましては、このホットラインの構築で一致して以降、日本側が視認した中国サンゴ船について、中国側に適時通報を行っているものと承知しております。

 今後とも、政府が一体となりまして現場海域の取締りの強化に取り組むとともに、我が国近海における中国サンゴ船の違法操業の根絶に向け、引き続き必要と思われるあらゆる手だてを講じてまいりたい、このように考えております。

松原分科員 もう時間がないので、具体的に今おっしゃったことで本当に連携しているかどうか、また、この委員会の質問が終わって、別の機会にきちっと説明をしていただきたいと思います。

 最後になりますが、私たちの日本は、海洋国家として極めて大きな排他的経済水域を持っております。その地域監視体制というのは、それはやはり、画像解析能力を極めて増したさまざまな宇宙衛星等、また、AI等を使ってするべきだと思いますが、こうした早期監視体制の構築について最後に質問いたします。

岩並政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁におきましては、平素から、我が国排他的経済水域において、巡視船艇、航空機により、不審な行動をとる船舶の監視、警戒に努めております。

 また、平成二十八年十二月、関係閣僚会議で決定しました海上保安体制強化に関する方針に基づき、海洋監視体制の強化の一環としまして、民間衛星によって撮影された画像を活用することとしております。

 海上保安庁におきましては、これら衛星画像の活用や、巡視船艇、航空機による哨戒を的確に実施することなどにより、海洋監視体制の強化を図り、我が国の海洋権益の確保に努めてまいります。

松原分科員 もう質問は終わりますが、本当に細かいところまで、人間の顔まで写し出すぐらいの分析力のあるAIを使った監視体制を、この排他的経済水域内、なかなかできないかもしれないが、そこまで、アメリカまでいかないまでも、そういった水準をぜひともつくって、日本の海洋国家としての矜持を示していただきたいというふうに思います。

 これはぜひとも大臣にもそういった取組をしていただきたいと思っております。

 終わります。

伊藤主査 これにて松原仁さんの質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤英道さん。

佐藤(英)分科員 公明党の佐藤英道でございます。

 先週木曜日、二月の二十一日でありますけれども、夜の二十一時二十二分、北海道の胆振中東部で震度六弱の地震が発生をいたしました。

 昨年九月六日の胆振東部地震と関連する地震であると考えますが、あの地震でお亡くなりになられた方々に改めて心から哀悼の意を表しますとともに、御家族、また、けがをされた方々、また、現在も避難生活を余儀なくされておられる皆様方に、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、昨年九月の胆振東部地震におきましては、石井国土交通大臣、陣頭指揮で、それこそ、TEC―FORCEの方々、リエゾンを始め多くの国土交通省の職員の皆様方に御支援をいただき、復旧復興が進められておりますことに、まず、この場をおかりいたしまして心から感謝を申し上げたいと思います。

 さて、国土交通省に課せられた胆振東部地震の大きな課題の一つが、札幌市清田区の里塚地区における液状化による宅地被害への対策であります。一日も早い対応が求められているところでありますが、現状の取組と今後の見通しについてまずお伺いさせていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 札幌市では、九月六日の地震発生以来、里塚地区の被害につきまして、専任チームを設置されまして、原因の究明と対策の検討を進めてきておられます。

 これまでに四回の住民説明会を開催され、被害原因についての調査結果、あるいは対策工法のほか、個人がみずからの負担で行います住宅宅地の復旧に対する支援策等の説明をしてこられました。

 現在の状況でございますけれども、工事の実施について住民の同意を確認しているところというふうに伺っておりまして、来年度早々には工事に着手する予定、こういうふうに伺っております。

 国土交通省といたしましては、地震発生直後より、職員の派遣、それから、研究者による助言等によりまして札幌市の調査等の支援をしてまいりましたほか、平成三十年度の第二次補正予算におきまして、交付金事業の国費率をかさ上げいたしますとともに、必要な予算を配分をさせていただいたところでございます。

 今後も里塚地区の復興が円滑に進みますよう、引き続き札幌市と連携して支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

佐藤(英)分科員 昨年九月六日の地震は深夜未明の発生でありましたけれども、先週の地震は夜の九時半ごろでありました。このため、JRや地下鉄も点検のためにとめられたために、札幌では、帰宅の足が直撃をされるという事態になりました。

 バスによる代替輸送を行うべく、札幌市も三つのバス会社と災害協定を締結しておりましたが、今回は残念なことに、十分に機能はしませんでした。

 その原因は人手不足であります。バスの運転手さんにつきましては、全業種の有効求人倍率と比べても約一・五倍も高く、平時からの人手不足も問題となっているところであります。

 これらの状況を踏まえまして、災害時の代替輸送の確保について御検討をぜひともしていただきたいとお願いします。御見解を伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 バス事業は、我が国の日常生活や経済活動を支える重要な公共交通機関としての役割を担っているのみならず、災害時における代替輸送においても重要な役割を担っておりまして、その担い手の確保は非常に重要であるというふうに認識をいたしております。

 しかしながら、先生御指摘のとおり、バス運転者におけます有効求人倍率は平成二十九年度で二・〇九と、全職業平均一・三五に比べまして一・五倍以上となっておりまして、人手不足が顕在化している状況にございます。

 このような現状におきまして必要な運転者を確保するためには、労働生産性を向上させるとともに、多様な人材の確保、育成を図る取組が重要でございます。

 このため、バスを含みます自動車運送事業につきまして省庁横断的に対策の検討を行います自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議を設置をいたしまして、昨年五月三十日に政府行動計画を策定いたしました。

 具体的には、労働生産性を向上させる取組として、貨客混載の促進でありますとか、貸切りバスサポートドライバーの実証実験などを行いますとともに、女性が働きやすい環境整備でありますとか二種免許の取得支援など、関係省庁と連携して取り組んでいくことといたしております。

 また、日本バス協会におきましても、昨年三月にバス事業における働き方改革の実現に向けたアクションプランを策定いたしまして、バス事業における働き方改革の実現に向けて、業界として取り組む事項や時間外労働の削減に関する数値目標などを定め、積極的に取り組むことといたしております。

 先生の御指摘やこれまでの災害時の経験などを踏まえまして、平時のみならず、災害時におけるバスによる代替輸送の確保の観点からも、官民連携により、バス運転手の確保に向けた取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(英)分科員 これは北海道の札幌に限った問題じゃないと思います。ぜひ、平時から災害時の代替輸送について御検討をお願いしたいと思います。

 胆振東部地震を通して、高速道路、高規格幹線道路がいかに重要であるかということを改めて痛感をいたしました。あれほどの大きな揺れを伴う地震でありましたが、道東道は点検後すぐに開通しました。また、豪雨災害でも、日勝峠などは通行どめが何日も続きましたが、道央道はわずか二日で復旧し、走れるようになりました。

 北海道は他の地域と比べて高速道路の整備率が格段に低く、旭川紋別道の端野―高野間、紋別―上湧別間、横断道の尾幌―糸魚沢間、さらに、帯広広尾道、旭川十勝道、日高道の静内より先の箇所など、多くの路線で地元の方々から熱い要望をいただいているところであります。

 また、私が道議会議員時代からお願いし続けてまいりました国道五号線・創成川通の渋滞解消のためのアンビシャスロード、石井大臣にも御視察をいただいた箇所でございますけれども、実現に向けて着々と準備を進められていらっしゃいます。本日の北海道建設新聞にはその模様が紹介されておりましたが、札幌新道の渋滞緩和についても鋭意検討が進められており、大変に期待を持って注視をしているところであります。

 こうした、北海道全体における高規格幹線道路ネットワークを整備することの重要性について、御見解をいただきたいと存じます。

阿達大臣政務官 高規格幹線道路は、その整備がされることにより企業立地、観光交流が進むほか、地震等にも強いことから、災害時の緊急物資輸送において大きな力が発揮されます。

 佐藤先生御指摘のとおり、平成三十年九月に発生した北海道胆振東部地震では、被災がなかった道東自動車道等を使って震源地に近い厚真町へ避難物資等が輸送され、被災地の支援活動に寄与しました。

 一方で北海道の高規格幹線道路の整備率は、現在約六割となっております。

 国土交通省としましては、今後とも引き続き、北海道を始めとして、高規格幹線道路の整備を着実に進めてまいります。

佐藤(英)分科員 本当に、石井大臣も御就任以来、何度も北海道に御来道していただいております。そのたびに、高規格道路、さまざまな分野で前進をしています。大臣、また副大臣におかれましても、北海道へぜひお越しいただいて、きょう私がお話ししている現場を見ていただきたいと存じます。

 特に北海道の高速道路に関しましては、暫定二車線区間の区間が多く存在しております。暫定二車線は、地震や豪雨などでのり面の土砂崩れや盛土の崩落などが発生すると、もう一方の片側一車線を復旧に使うために、結局通行どめになってしまいます。復旧の期間は、せっかく整備された高速道路が、効果が半減どころか、ゼロになってしまうわけです。

 そうした事情もあって、この四車線化についても、十勝を始め、非常に多くの地域から大変に強い要請を受けており、早期の取組を求めたいと思います。

 現在の取組状況、また、今後の見通しについてお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 我が国の高速道路のうち約四割が暫定二車線区間となっておりますけれども、安全性や走行性に加え、大規模災害時の復旧などに課題があります。早期に四車化を進めることが必要と考えております。

 例えば、昨年の七月豪雨におきましても四国の高知道で上り線の橋梁が流出する大規模災害が発生しましたが、被災のなかった下り線を対面通行させることで早期に通行を再開することができました。

 こういったことを踏まえまして、昨年末の重要インフラ緊急点検により把握した土砂災害等の危険性の高い箇所のうち、おおむね百キロにつきまして、平成三十一年度から財政投融資を活用して四車線化を実施する予定であります。現在、具体的な箇所を精査しているところでございます。

 また、残る暫定二車線区間につきましても、防災上の観点、また、速度低下や交通事故等の課題を踏まえまして、優先的に整備する区間を精査して計画的に実施をしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 暫定二車線のこの解消というのは、やはり災害の視点からも急がれるべき問題であると思いますので、ぜひとも御検討をお願いしたいと思います。

 次に、国土交通省では、現在、建設業の働き方改革を推し進めておりまして、特に、週休二日制を導入しようという取組が官民挙げて進められている中であります。一方で、公共事業は施設等の早期供用が重要であり、場合によっては、土曜、日曜、祝日も現場を動かさざるを得ないこともあります。

 先週、設計労務単価が更に引き上げられましたが、夜間就労については歩掛かりを見てもらえるのに対し、土日祝日は、設計労務単価の算定根拠となる基準額に別途計算されておりません。

 北海道は、冬になると連日大雪に見舞われます。十月からの半年間は、連日の除雪が欠かせないというような状況もございます。除排雪という道路の維持管理を担う建設業の方々には土日祝日は関係なく、曜日を選んで働くこともできません。

 こうした貴重な人材を確保していく上でも、土日祝日の就労について何らかの私はインセンティブがあってもいいのではないかと考えているところでございますけれども、御見解をいただければと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 建設業の将来の担い手を確保する観点から、週休二日の確保など、働き方改革は喫緊の課題であり、国土交通省では、直轄工事から率先して週休二日対象工事に取り組んでいるところでございます。

 しかし、御指摘のとおり、除雪など維持管理においては、土日祝日を問わず働かざるを得ない状況があるわけでございます。

 国土交通省におきましては、維持管理における発注者のあり方を検討するため、昨年十二月に、発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会のもとに、新たに維持管理部会を設置したところでございます。

 御指摘の、除雪を始めとする維持管理など土日祝日に働かざるを得ない工事においても、働き方改革を推進するため、交代制により休日確保に取り組む工事の積算のあり方、降雪や人材確保の状況から、予定していた休日に働かざるを得ない場合の経費の計上方策などについて、維持管理部会を中心に検討してまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 ありがとうございます。人材を確保するという観点からも、インセンティブをぜひとも見つけていただくように強く要望させていただきたいと思います。

 次に、JR北海道の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 JR北海道の経営再建は、一鉄道会社の経営上の問題にとどまらず、北海道全体の経済と道民の生活にかかわる重要な問題であります。

 これまでも、大臣を始めさまざまに、国土交通省の皆様方、いろいろと御心配をいただきながら検討していただいたのも事実でありますけれども、先ごろ、全国のJR各社が積極的に観光列車を展開し成功をおさめている中、JR北海道においても観光列車の展開は、年々増加する来日外国人観光客などのインバウンドを確実に北海道に取り込むことができる重要なコンテンツであり、大いに期待をしているところであります。

 この観光列車の取組について、現状と今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 観光列車は、有力な観光コンテンツとして地域活性化に資するとともに、鉄道利用促進にもつながることから、多様な観点から意義のあるものと認識しており、昨年七月には、国土交通大臣からJR北海道に対して発出した監督命令におきましても、観光列車の充実を経営改善策の一つに位置づけているところでございます。

 現在、JR北海道におきましては、SL冬の湿原号などの北海道の雄大な自然を生かした観光列車を運行しており、今後、観光列車のさらなる充実のため、JR東日本や東急電鉄の協力を得て、JR北海道が期間限定で観光列車を運行させること、JR北海道において、観光列車やイベント列車に活用できる新たな車両を導入することを予定していると承知しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、JR北海道においてこれらの取組が着実に進むよう、また、取組を実現していく過程で地域の方々と一緒になって北海道の活性化を図るよう、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

佐藤(英)分科員 JR北海道のこの観光列車の展開について、蒲生局長からるるお話がありましたけれども、ぜひ、成功に向けていろいろと御支援をいただければと思っているところでございます。

 次に、第二青函トンネルの構想に関してお伺いさせていただきます。

 北海道の鉄道は、道民の足としての重要性に加えまして、物流や、特に農水産物の輸送にとって決して欠かすことができない重要なインフラであります。タマネギ列車など、北海道の農産品は本州を越え、広く九州まで運ばれ、文字どおり、日本の食を支えております。北海道が日本の食を支えることができているのは貨物列車が機能しているからであり、北海道の主要産業である農業は、鉄路の維持なしには語れないとも言えます。

 このことを前提に、北海道の経済界を中心に、第二青函トンネル構想が盛り上がりを見せております。

 現在の青函トンネルは新幹線と貨物がともに走る形態をとっており、東京―新函館北斗間の四時間の壁に象徴されるとおり、貨物列車を別に通すためのトンネルが、もう一本、あるいは二本あれば、大きな効果が期待されるという構想であります。

 第二青函トンネルの鉄道輸送にかかわる有効性についてどのような見解をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、青函トンネルを含む新幹線と貨物列車が共用走行する区間では、新幹線と貨物列車のすれ違い時の安全を確保するため、新幹線の走行速度を落として運行しておるところでございます。

 このような中、一般論として申し上げれば、現在の青函トンネルとは別にもう一本の海底トンネルを建設した場合、北海道新幹線の高速化や鉄道貨物輸送の確保といった観点から、効果が期待されるものと考えられます。

 一方で、新たな海底トンネルの建設を検討する場合には、膨大な建設コストや長大な海底トンネル特有の維持管理に係る課題などにつきまして、慎重な検討が必要になるものと考えておるところでございます。

 以上でございます。

佐藤(英)分科員 今、局長から、第二青函トンネルの鉄道輸送に係る有効性について御答弁をいただきました。貨物輸送の安定性に有効であるということと同時に、新幹線の高速走行がより容易になり、鉄道による観光需要の喚起にもつながる夢の構想でもあるとも考えます。

 現在、三つの民間団体で立案をされております。一つは日本プロジェクト産業協議会、もう一つは日本建設業団体連合会鉄道工事委員会、もう一つは第二青函多用途トンネル構想研究会でございますけれども、ぜひ、こうした民間団体の情報も共有をされながら、こうした取組についていろいろと知見を広めていっていただければと思っているところでございます。

 さて、北海道新幹線の札幌延伸は、北海道民期待の大事業であります。ちょうど時期を一にして、札幌冬季五輪・パラリンピックが誘致される可能性もあります。そして札幌市には、新千歳から直接アクセスできる新都市高速が、国道五号線、現在の創成川通に整備され、さらに、札幌駅周辺に点在する高速バス乗り場を集約する札幌バスタの開設も、昨年から、札幌市を中心に官民での勉強会がスタートしたところであります。

 北海道内への来日外国人の観光客は年々増加の一途をたどっており、観光の北海道が、今後ますます日の目を浴びていくことと確信をしております。

 そうした明るい未来を前に、本年、倶知安でG20観光大臣会合が開催されます。北海道の観光業界のエポックをなす会合にしていただきたいと強く念願しておりますが、会合に臨むに当たっての石井大臣の御決意を伺いたいと思います。

石井国務大臣 本年十月に、北海道倶知安町におきましてG20観光大臣会合を開催をいたします。北海道へ来訪する外国人延べ宿泊者数は過去五年で三・八倍となっております。今後もますます観光の発展が期待される北海道において大臣会合を行うことは、大変意義深いと考えております。

 この会合におきましては、世界的に成長が続く観光分野に関する各国共通の課題について、我が国が議長国として議論をリードするとともに、我が国の観光政策を発信をしてまいります。

 また、各国からの代表団やジャーナリストを含めまして、海外から多くの方が北海道を訪れる機会になります。訪日旅行の魅力を効果的に発信するとともに、地元自治体と協力をしながら、開催地北海道の魅力を世界に十分に発信する所存であります。

佐藤(英)分科員 石井大臣のみなぎる決意、また、この会合に対する深い思いが感じられる御答弁をいただきましたけれども、ぜひ大臣、下見と言ったらなんでありますけれども、やはり全世界の観光大臣をお招きするわけでありますから、機会がありましたらぜひとも、北海道の倶知安を始めこの地域、お越しをいただいて、どのようにおもてなしをすることが、北海道の、またやはり日本の観光振興につながるのか、ぜひ御検討いただければと思いますし、先ほど冒頭から北海道胆振東部地震の話をさせていただきましたけれども、こうした時期に大臣が北海道に見えられることが北海道の観光振興にもつながると感じますので、ぜひともお願いを申し上げたいと思います。

 最後に、インフラのレジリエンス強化について、特に下水道についてお伺いしたいと思います。

 下水道は、汚水処理とともに、内水氾濫を未然に防いでいるという点で、極めて重要な防災・減災のためのインフラであると思います。

 十年後、老朽化率が急速に上がり、その改築更新が避けて通れない課題となることは明らかであります。下水道施設の防災・減災対策について、三カ年緊急対策の対象とし先行的に取り組むという英断を生かすため、今後もしっかりと取り組んでいかなければならないと思います。

 しかし、一部で下水道施設の改築更新について、現在、交付金による整備を行っているものを利用者負担で補うべきだという考え方があるようであります。

 私、先ほども申し上げたとおり、下水道は内水氾濫を未然に防ぐ重要な防災インフラでありますし、防災インフラがもたらす利益は広く国民全体が享受しますので、利用者負担という考えに立つのであれば、現行の交付金によって支える仕組みは非常に合理性があると思います。

 私は今後も交付金で補っていくべきであると考えますが、改めて大臣の御見解をいただきたいと存じます。

石井国務大臣 まず下水道施設の防災・減災対策についてでありますが、下水道は、浸水の防除、公衆衛生の向上、公共用水域の水質保全等、不特定多数に便益が及ぶ、公共的役割の高いインフラであると認識をしております。

 昨年の一連の災害を踏まえまして、重要インフラの緊急点検を実施をいたしまして、下水道施設におきましても、雨水排水施設の整備や管路の耐震化、内水ハザードマップの作成等について、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策として取りまとめまして、必要となる経費を今年度の補正予算及び来年度予算にも計上したところであります。

 国土交通省といたしましては、ハード、ソフト両面から三年間集中で対策をしっかりと実施をいたしまして、下水道施設の防災・減災対策に取り組んでまいります。

 続いて、下水道施設の改築更新に関してでありますが、現在、社会資本整備総合交付金等により未普及対策や雨水対策などを重点的に支援をしているところでありますが、今後、下水道施設の老朽化が進行し、現在の維持管理・更新費約〇・八兆円に対して二〇二八年度は約一・二兆円から一・三兆円になるものと推計をしており、適切な老朽化対策を講じていく必要があります。

 国土交通省といたしましては、計画的な点検等の適切な維持管理により改築更新にかかる事業費の平準化や低減の取組を推進するとともに、地方公共団体からの御要望も踏まえまして、引き続き、社会資本整備総合交付金等により適切に支援をしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)分科員 力強い御答弁、本当にありがとうございます。

 これで終わります。

伊藤主査 これにて佐藤英道さんの質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二さん。

穀田分科員 日本共産党の穀田恵二です。

 まず、国土交通省にお聞きします。

 二〇一六年三月に策定された明日の日本を支える観光ビジョンで訪日外国人旅行者数の目標をどう掲げているか。二〇二〇年、二〇三〇年の目標についてお尋ねします。

田端政府参考人 お答えいたします。

 明日の日本を支える観光ビジョンにおきましては、当時のインバウンド市場の趨勢や世界の旅行市場の動向等を踏まえるとともに、さらなる政策的な努力を上乗せし、一層の高みを目指すための目標を定めております。

 具体的な目標といたしましては、訪日外国人旅行者数につきましては、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人を目指すということにしております。

穀田分科員 政府は、従来目標だった二〇二〇年二千万人、二〇三〇年三千万人の目標設定を大幅に前倒しをするとして、今お話しあったように、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人、それまでの二倍の目標を再設定し、新たな目標に向かって進むと決めました。

 政府の観光ビジョンでは、観光はまさにGDP六百兆円の達成の成長戦略の柱、国を挙げて観光を我が国の基幹産業へと成長させ、新たな挑戦に踏み切る覚悟と書いています。

 しかし、こうした過度に大きな目標設定を行い、これをしゃにむに進めることが、三大都市圏を中心に観光公害とまち壊しを加速させている。もともとの観光立国推進基本法、観光政策審議会答申では、観光の目的、理念として、豊かな国民生活の実現、つまり、「住んでよし、訪れてよし」の実現がうたわれていました。

 今、無秩序に観光バブルを呼び込むことで、住民生活が脅かされ、結局、地域住民が観光客を迷惑だと感じる不幸な状況、また、観光客にとっても、観光の魅力、すなわち満足度が低下する状況が生まれています。これは、もともとの観光立国戦略の理念であった「住んでよし、訪れてよし」にも逆行するのではないかと思うんですが、石井国交大臣の見解をお聞きしたいと思います。

石井国務大臣 本格的な人口減少時代を迎えた我が国にとりまして、観光は成長戦略の柱であり、地方創生の切り札であります。また、観光は我が国の基幹産業となることが期待をされております。

 他方で、特に京都市を含む三大都市圏における主要観光地におきましては、外国人旅行者の急増も一因といたしまして、混雑やマナー違反等に伴うさまざまな課題が意識されるようになっております。

 観光ビジョンに掲げる観光先進国の実現に向けましては、こうした課題に適切に対処し、地域住民の理解と協力を得ながら、持続的に観光の発展を図ることが必要であります。

 国土交通省では、こうした観点から、観光庁に持続可能な観光推進本部を設置をいたしまして、京都市を始めとする地方自治体から、課題の実態や先進対策事例の把握に努めているところでありまして、その結果を踏まえ、所要の対策を講じてまいりたいと考えております。

穀田分科員 今ありましたけれども、観光公害といいますか、オーバーツーリズムといいますか、そういうものを調査するということがいよいよ大事になってきていると思うんです。

 私は、東京、京都、大阪を結ぶゴールデンルートに外国人観光客が集中することで、オーバーツーリズム、この弊害が日本を代表する大都市地域全体に広がることを強く懸念しています。現状でも観光客が飽和状態の上、これを放置したまま、東京オリンピック・パラリンピックに向けた過度な目標を掲げた誘客政策をとれば、京都を始め大都市部の混雑は一層深刻化し、住民生活は一層脅かされる。こうした事態は私は放置できないと思っています。

 そこで、今お話しありました京都市、私が住まいする京都市について少し踏み込んで聞きたいと思います。

 私ども日本共産党は、京都市内で数回、京都のまち壊しをテーマにシンポジウムを開催し、住民の皆さんの切実な声をお聞きしてまいりました。問題は深刻であります。

 日本を代表する和装伝統産業の中心地、西陣地域の参加者は次のように語っています。町家が次々と民泊に変わり、大きなスーツケースを引いた外国人が町にあふれている。路地ごと中国資本に土地が買われる。大げさでなく、今の状態は応仁の乱以来のまち壊しが進行していると発言されました。

 さらに、明治維新の後、当時の住民自治組織であった番組を単位として京町衆の手によって建てられた番組小学校の跡地が、今、京都市によって大手のホテル業者に提供されています。地元の不動産業者からは、幾ら何でもやり過ぎだろうの声が上がっているほどであります。地元紙はこうした状況を観光公害とまで表現し、連載記事まで今書かれています。

 京都市内のお年寄りにとってみますと、バスは通院や買物など重要な生活手段であるが、大型のスーツケースを持った観光客で飽和状態となり、特に金閣寺、清水寺など観光地周辺では、住民はバスにも乗れない。まさに公共交通から排除される事態が起こっています。

 京都の町衆は、今のまち壊しの状態を、京都のまち全体が焼け野原となった、先ほど述べましたが、応仁の乱以来のまち壊し、京都が京都でなくなると言っていますが、これを大げさなことと思うか、ここに私は政府の観光戦略の弊害が集中的にあらわれていると考えるわけですが、その辺の認識を大臣にお聞きしたい。

石井国務大臣 古民家等は、日本文化や伝統を継承する貴重な歴史的資源であり、その保全とともに、観光への活用を図ることが重要と考えております。

 そのため、各地域で古民家等を再生、活用する取組を支援するとともに、京町家等を民泊に活用する場合においては、昨年から施行されております住宅宿泊事業法により、騒音やごみ出しなどによる近隣トラブルへの対応を求めるなど、地域社会との共生を図るための一定のルールを定めております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁や関係自治体などと協力をいたしまして、持続可能な観光地づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

穀田分科員 京都の実態は、持続可能でない事態に陥っているというところが大事でして、民泊新法などというものについて言うならば、ほんまにこれ、私、当時質疑して覚えていますけれども、絶対地下に隠れる、表に出すさかいにこれをつくったと。出てしませんで、全部潜ってますがな。

 そこで、京都のまち壊しは今、二つの問題に端的にあらわれています。

 永岡文科副大臣に聞きますが、一つは、観光客の増加に対応するために、ホテルの建設ラッシュによって、異常な地価の高騰。いま一つは、京都市による高さ規制の緩和の動きであります。

 地価の高騰はバブル期を上回る勢いで、京都市では、下京区で前年比二〇・八%も高騰しているのを始め、全行政区で異常な高騰ぶりになっています。

 ホテル建設ラッシュの影響は、今、京都の重要文化的景観にも及んでいます。

 京都岡崎地域は、国が文化財保護法による重要文化的景観として認証している地域で、平安神宮から南禅寺、南禅寺水路橋の一帯であります。独立行政法人国立文化財機構が発行している「文化的景観全覧図」、これなんですけれども、これによりますと、京都岡崎の文化的景観全覧図として鳥瞰図が載っているんです。

 この鳥瞰図でもわかるんですが、ようできていますわ、これ、ほんまに。それで、私が問題にしているのは、同じ文化財保護法で国が名勝と指定している無鄰菴があります。空き地が隣にあるんですけれども、高さ四階建ての十三・九メートルのホテル建設の計画が持ち上がっています。

 無鄰菴は、もともと明治、大正の元老山県有朋の別荘であって、配付した資料、皆さんにお配りしているわけです、写真にあるように、無鄰菴庭園からの眺望をホテルが一部遮る形になります。これがそうなんですけれども、今お渡ししている、一番左端がホテルで、中央部が無鄰菴の建物で、視点AからFが無鄰菴庭園からの眺望であります。全ての地点からホテルが見える。配付しているのが、このカラーのものですけれども、これが一番遠い視点、Eからの眺望であります。

 現在、事業者からは建築の許可申請が提出されており、地域住民は、京都市眺望景観創生条例第七条に基づいて、無鄰菴庭園からの眺望景観保全を求める提案書を提出しています。

 国が重要文化的景観と認定している地域でホテル建設が行われる、これでは国が指定した文化的景観、眺望景観が台なしになるわけですが、副大臣はどうお考えになりますか。お聞きしたい。

永岡副大臣 御質問ありがとうございます。

 文部科学省といたしましては、重要文化的景観の保護につきましては、文化財保護法ですとか、また、当該自治体によりまして作成されました保存計画等に基づいて適切に保護されるように対応してまいりたいと考えております。

穀田分科員 いやいや、適切でないから聞いているわけで、適切になってへんけれども、どない思わはりますか、こう言っているわけですよ。

 見たらわかるように、これが眺望ですねん。ここが無鄰菴の一番高いところで、ここにこう出ちゃうわけですやんか。これが全部のところから見える。これは端っこの方だからまだええけれども、一番手前の方へ行くと、もう全部見えるわけですやんか。眺望が台なしだと。

 そこで、京都市眺望景観創生条例、この条例の趣旨は、今、京都市と協力してと言ってはりますから、京都市景観計画によると、「眺望景観は、「公共の財産」であるということを認識し、市民や事業者等の意識啓発に努めるとともに、市民等からの提案を受けて積極的に眺望景観の保全、創出を図る。」とあるんです。まさに、事態を心配する市民の提案を受け入れてこそ、条例の趣旨が生かされるんではないですか。

 そこで、この点は指摘しておきたいと思うんですが、問題は、京都市の問題、地方の問題にとどまらないで、これが、国が関与している点が多々あるということなんですよ。

 お聞きしますけれども、まず、京都岡崎地域は、先ほどありましたように、文化財保護法及び重要文化的景観に係る選定及び届出等に関する規則、これに基づいて、京都市の申出を受け、文科大臣が選定しているわけですよ。その際、京都市から、この選定申出書を出すに当たって、どういう保存のための保護や保存の努力を行うということが記されているか、お答えいただきたいと思います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 京都岡崎の文化的景観の重要文化的景観の選定において、京都市から提出されました選定申出書には、京都岡崎の文化的景観保存計画を踏まえ、重要文化的景観の対象を琵琶湖疏水・白川沿岸エリア、南禅寺・別邸群エリア、岡崎公園エリアの三エリアで構成するとして、その各エリアの価値等を踏まえた今後の保存方策の方向性について記載されております。

 保護の手法ということでは、三つ類型が定められておりまして、一つ目は、核となる文化遺産の保護として、重要文化的景観の範囲内の南禅寺や平安神宮等の文化財を重要な構成要素に特定し保護すること、二つ目は、京都市都市計画マスタープランの中に文化的景観を位置づけ、文化的景観の継承に向けた規制、誘導を図ること、三つ目は、地域住民への価値の周知やまちづくりの働きかけ、来訪者へのガイダンス施設の、サインの整備、関連部局との連携等に取り組むことが記載されております。

穀田分科員 今ありますように、そういうエリアを、核となる文化遺産の保護、そして景観の継承に向けた規制、誘導、それで住民の協力、こうなるわけですよね、副大臣。ホテル建設によってこういう核となる文化遺産、文化的景観が壊される事態は許されないということなんですよ。

 そこで、文科大臣は、京都市が提出した選定申出書の約束を了として選定しているわけです。だから、選定権者である文科大臣は、その約束を果たさせるべきではないか、これは当たり前のことなんです。

 しかも、京都市は、申出書で京都岡崎を重要文化的景観に指定する意義をどう語っているか、そこをちょっと言ってみましょう。「文化的景観価値を将来にわたって継承することを目的としたものであると同時に、将来的な京都全体の文化的景観の継承に向けた取組の橋頭保とする」とまで言っているわけですよ。

 つまり、ここの景観は大事で、将来にわたって維持するというだけじゃなくて、これが一つの見本であり、今後の重要ないわばスタートになるものだ、こう言っているわけですよ。

 そうしますと、国としては、選定申出書に基づく履行をきちんと求めるべきじゃないのか。だから、一般論を聞いているんじゃなくて、そういう意味でいいますと、そういう受渡しはそれでやっているというんじゃなくて、そのことがどういうことなのかということを聞いているわけです。

永岡副大臣 御質問にお答えいたします。

 重要文化的景観の保護の仕組みにつきましては、都道府県、市町村、今回は京都市になろうかと思いますが、文化財保護法などの法令に基づきまして、当該自治体で議論を重ねて保存計画を策定をいたしまして、その選定を国へ申し出る制度でございます。

 こうしたことから、具体の課題などが生じれば、一般的に申し上げれば、申しわけないんですが、まずは当該自治体がその対応について判断をし、そして、法令上の課題があれば、必要に応じて国に相談、協議等があるものと考えております。

 先生のおっしゃるように、御指摘のような具体の建物の計画については、まずは、今お話ししましたように、条例等に基づきます権限を持つ京都市におきまして適切に判断されるものと考えているわけでございますけれども、京都市から相談があれば、文部科学省としても、文化財保護法にのっとりまして適切に対応をしてまいる考えでございます。

穀田分科員 選定しているわけですやんか。申出に基づいて選定している、こういう仕掛けなんですよ。だから、京都市が困ったらどうやこうやと言っているんじゃなくて、選定を受けるに当たっての申出が確実にやられているかということについて、注意し、目を光らせるということが必要だ、そういうことをしているのかということを言っているわけですよ。

 もう一つ、国の関与として重要な問題は、じゃ言いましょう、文科省が所管している文化的景観保護推進事業国庫補助というのがあるということなんです。その対象は、一、調査事業、二、保存計画策定事業、三、整備事業、四、普及啓発事業となっていて、国として文化的景観保護のための施策を講じているわけですよ。この補助事業は既に十年間続けられており、昨年度は二億六千三百万円の補助金を出しています。

 そこで聞きますけれども、重要文化的景観と指定された京都岡崎地域では、現在、京都市において補助事業のための整備計画を策定中と聞くけれども、間違いありませんか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおりでございます。

穀田分科員 政治家として、改めて聞きますけれども、要するに、こういうふうに、今お話ししたように、申出書があり、それを認定する制度がある、もう一つは、補助事業があって金を出す、こういう仕掛けになっている。だから、国の関与というのは、認定すると同時にそれを保存するためのさまざまな施策について援助する、こういう仕掛けになっているんですよ。それはわかりますよね。

 そうしますと、この補助事業の趣旨は、文化的景観の保存を図るための事業に要する経費を補助するとある。したがって、今お話しありましたように、そういう計画をされている、補助の申請をする計画を策定中だとしますと、京都市において作成しているものについて、補助事業者として、こういう趣旨が生かされているかどうかということについて対応すべきだと思うんですが、いかがですか。

永岡副大臣 お答えいたします。

 京都市におきまして、そこのところの先生がおっしゃるような問題があるという認識に立ち、相談があれば、しっかりと相談に応じさせていただく所存でございます。

穀田分科員 申出がある、認定したと。認定権者なんですよ。認定している方は、この申出のとおりやっているのかということを確かめなかったら、日本の将来にわたって文化財を保護するというようなことについて言っているわけでしょう。だから、あっちが何か言ってきたらじゃないんですよ。もともとそういう約束で指定しているのやから、大丈夫かと見るのが当たり前じゃないですか。

 しかも、次に補助事業の申請があるわけですやんか。あるんでしょう、用意されているのやから。そういう内容が、今、金を出すに当たって、きちんとやっているかということについて見るのは当たり前と違うかということ、それが国のいわばこの問題にかかわる二つのかかわり方の起点ではないのかということを言っているんです。それはいいんですね。

永岡副大臣 例えば、国指定の文化財そのものに影響が生じるなどといったような事態があれば、文化財保護法の規定に基づきまして、直ちに対応がとられるところでございます。これは必要に応じまして国が指導に入ることも考えられます。

 このような仕組みによりまして、重要文化的景観の保護が図られるというところでございますので、文部科学省といたしましても、文化財保護法にのっとって適切に対応をしてまいりたいと考えております。

穀田分科員 何かというと適切に対応するって、適切に対応したためしがないから言っているんですよ。だあんと放りっ放して、そんなもの、ばんばんホテルは建つわ眺望は見えなくなるわ、そういうことについて、例えば、先ほど言いましたけれども、無鄰菴もそうですけれども、隣にある瓢亭というのは、四百年の歴史を持つ、朝がゆの料理屋さんですよ。四百年前の図絵にも描いているんですよ。四百年、営々として守ってきたわけですよ。今後四百年、また守らんならぬわけですよ。そういうことのために今そういう開発だとか許してええのか、たまたまの金もうけのためにという話を今しているわけですよ、私は。

 それで、じゃ田中大臣政務官に、関係して、京都の方でもいらっしゃいますから、ようわかるやろうと思って、眺望景観について聞きたいと思います。

 都市計画法の中には美観地区という制度がありましたが、二〇〇四年にできた景観法では、位置づけを高めて景観地区を指定し、景観の維持だけでなく、今後の景観形成のための誘導を図るとしています。例えば、鴨川の河川敷から京都東山の山並みを見るように、ビューポイント、視点場と言ってもいいんですけれども、と視対象を決め規制する、すなわち、大切な山並みや文化財の景観が遮られないように建物を規制する。制度は大きく前進しました。

 京都の世界遺産は十七カ所の文化財を中心に登録されているが、これら個々に世界遺産になっているわけじゃないんです。東山、西山、北山、京都の三山の山並みも含めた古都京都の文化財がまとめて世界遺産と認定されているわけですよ。

 私も実際に見てきました。無鄰菴では、この眺望という点を強く意識した庭園づくりが行われています。

 無鄰菴の作庭にかかわったのは七代目小川治兵衛さんです。ひ孫に当たる十一代目の小川治兵衛さんの記した「植治の庭」によりますと、自然の摂理、法則を大切にして庭園をつくりました、つくられた庭の中に自然ができ上がり、そこに導入部分をつくったとき、初めて周りの山は呼び込まれて同化していきます、借景といいますけれども、景色は借りるんやないんです、山が自然に向こうから入ってきはるんですと無鄰菴の作庭の考えを述べています。そして、眺望のさまざまな工夫を凝らしたことを語っています。

 今回のホテル建設は、無鄰菴及び庭園の文化財としての価値を著しく破壊する行為であり、景観法に言うところの景観形成の誘導どころか、これに真っ向から反するものではないのか、先人の守り育ててきた京都の文化的景観を台なしにする所業ではないかと私は思うんですが、認識はいかがでしょうか。

    〔主査退席、盛山主査代理着席〕

田中大臣政務官 お答えいたします。

 景観法において、良好な景観は、各地方公共団体が地域の特性に応じて多様な形成を図ることとされております。

 具体的には、各地方公共団体におきまして、景観法に基づく景観計画の策定等を通じて良好な景観の形成に取り組むこととされております。

 京都市におきましても、良好な景観の形成のため建築物等の制限を行う区域において景観計画を策定し、風致地区も含めた都市計画規制等も活用して、各地域の特性に応じた制限を行っているところであります。

 御指摘の無鄰菴及びその近隣地域については、京都市風致地区条例に基づく風致地区に指定されており、良好な景観の保全のために必要な規制が行われていると承知いたしております。

穀田分科員 そういう風致地区によってやっているという、やっていないから意見を述べているという話、さっきしましたやんか。京都市眺望景観創生条例ではこう書いている、そういう問題を提起しているやないかという話、聞いてへんのやったらそれでよろしいで。聞いているのやったら、それとの関係、物を言わへんなんだら、そんな、京都市の代弁者では困りまっせ。それはあきまへんで。

 和食がユネスコの無形文化遺産に指定されましたが、京都を代表する、先ほど言いました瓢亭の御主人は、和食料理として初めて京都府指定無形文化財に指定されています。実はこの瓢亭がホテル建設地に隣接していて、ホテルが建てば瓢亭は上から見おろされ、大きな打撃を受けることになります。

 私は、瓢亭を始め、関係者の意見を聞いてきました。ホテル建設の施工業者も設計業者も東京資本であり、地域住民は、東京のディベロッパー、東京の人は京都の景観を破壊しても心が痛まないと痛烈に批判していました。そして、具体的な要望としては、ここからです、周りは低層の建造物だ、自然や景観、文化財、私ども近隣と調和がとれるよう、少なくとも高さをもっと引き下げてほしい、そういう話合いをしたいのだが、東京の方は、書面上は問題ありませんのでと全く聞く耳を持たないと怒っておられる。

 先ほど触れましたけれども、無鄰菴の庭園からの眺望景観保全を求める住民の提案書では、背景に建物が突出して観望できる事態を避け得る範囲で建物の高さを規制する、このことを求めているんです。しかもそれは、先ほど言いましたように、そういう条例もあるのやから、そっちの方も含めてきちんとやったらどうやということなんですよ。

 だから、文化財と文化的景観の維持、保全のために、せめてこの程度のイニシアチブを発揮すべきではないですか、政務官。

田中大臣政務官 お答えいたしたいと思います。

 高さのことに関しましてでありますが、風致の五種、十五メーターという高さ、それ以内でおさめているというふうに聞いておりますので、そういった意味では京都市が適正に対応していると思っております。

穀田分科員 何回も言いますけれども、京都市眺望景観創生条例というのがありまして、それでやればもうちょっとやれるんですよ。そういう問題を含めて、きちんとした話合いを持ったらどうやというのが趣旨ですやんか。

 お互いに京都に住んでいる者として、あの京都が、嵐山も含めて、京都の景観が台なしになる、将来。我々、四百年は生きているわけじゃないんだけれども、四百年後にこんなことになったら、これはえらいことですやんか。だから、今我々としては言っている。

 だから、先人が言っている、先ほど言いましたように、景観を破壊してしまっては大きな禍根を残すことになる。観光立国の考え方にも反する。しかも、景観法に基づく景観行政を担う部署との連携が不可欠だということで文化庁は言っているわけです。その景観法を所管するそういうところが、もうちょっと両方力を合わせて京都の景観を守ろうやないかということで御努力なさることが私は肝要だと思います。

 そういう立場で今後とも私は努力する、皆さん方もそういう努力をしてほしいということを述べて、終わります。

盛山主査代理 これにて穀田恵二君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津分科員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。

 まず、国道の強靱化対策ということで、北海道の国道二百三十一号線並びに二百三十二号線の強靱化の促進についてお伺いをさせていただきます。

 北海道の北部、日本海側、これは留萌管内と言いますけれども、ここは全市町村が日本海沿岸に位置をしておりまして、海のしけによる越波、それから冬期間の吹雪、また大雨時には、のり面の崩壊などで生ずる交通障害、このことによって、住民の生活はもとよりですけれども、医療、産業、物流など、大変大きな影響を与えているということで、そこで、この沿岸を縦断する主要道路である国道の二百三十一号線及び二百三十二号線の強靱化が求められております。

 私も、昨年になりますけれども、二〇一八年の七月六日、これは大変な全国的な大雨被害があったんですけれども、この折に、大雨で土砂崩れで、国道二百三十二号線の小平町というところののり面崩壊による現場を視察させていただきました。このときは大量の土砂が流入して、一時、十・二キロの区間が通行どめになる、こうなっておりまして、幸いにも直ちに片側の交互通行が可能になったということで、地域住民の方は胸をなでおろす、こういうことでした。

 ちなみに、この国道二百三十二号線は、これまでも幾たびか通行どめがございまして、その折に地域の方々からの大変強い強靱化の要請がたびたび寄せられております。

 深川留萌自動車道、これがいよいよ本年供用開始ということで、全線開通です。このことも含めて、これらの道路網の強化がされてくるという期待からも、ここの日本海側の国道の強靱化、これが求められておりまして、現状と整備の促進についてお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 国道二百三十一号及び国道二百三十二号は、北海道の札幌市から留萌、稚内市を結ぶ路線でございまして、御指摘のとおり、通常時の物流や災害時の緊急物資の輸送ルートとして重要な役割を担っております。

 しかしながら、北海道の留萌地域と石狩地域におきまして、国道二百三十一号、国道二百三十二号、この路線は、大雨によるのり面の崩壊や越波による通行どめがたびたび発生するということで、緊急時における通行に大きな支障が生じているというふうに認識しております。

 このような状況の中で、昨年十二月に作成されました防災・減災、国土強靱化のための三カ年の緊急対策におきまして、のり面対策、越波対策などを集中的に実施することとしております。

 具体的には、平成三十年度の第二次補正予算を活用しまして、国道二百三十一号の石狩地域の越波対策及び今御指摘のありました国道二百三十二号の留萌郡の小平町の地先ののり面対策を、第二次補正予算を活用して実施することを予定しております。

 平成三十一年度以降につきましても、引き続き残りの対策を進めて、国道二百三十一号及び国道二百三十二号の強靱化に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

稲津分科員 ぜひ、今お答えいただいたお取組を進めていただきたい、このことを重ねてお願いをさせていただきます。

 次の質問に移ります。

 次は、JR北海道の経営改善ということで数点お伺いしてまいりますけれども、JR北海道、大変厳しい経営状況に置かれておりまして、平成二十八年の十一月に、JR北海道単独では維持困難な線区、これを公表いたしまして、これまで、国、北海道、市町村と協議を実施をしてまいりました。

 JR北海道は、今後二年間の事業計画、それから五年先を見据えた中期経営計画、これを立てて、北海道新幹線札幌開業の平成四十三年度の経営の自立ということを目指すとして、現在、経営ビジョンを作成するという段階に入ってまいりました。

 国は、昨年の七月二十七日に、「JR北海道の経営改善について」、これを公表をいたしまして、JR北海道の取組を後押しすべく、関係者による支援、協力を発表して、二年間で総額四百億円の助成等の措置を決められました。

 このことは、石井国土交通大臣に、この間も幾たびか要請をさせていただき、また、北海道を始め関係団体からも直接の御要請があり、そうしたことに対して、大臣始め関係者の方々の御決断をいただいてこうした措置がとられた。大変、関係者からも感謝の意と、それから高い評価をいただいているところでございます。

 こうしたことを踏まえて、以下、順次伺ってまいりますけれども、まず最初に、北海道の地域特性を踏まえた対応などについてということでお伺いしたいと思います。

 このJR北海道の事業範囲の見直しをめぐる問題について、北海道の主催によって関係者が一堂に会する会議、これが昨年五回開催をされました。さまざまな議論がなされました。中でも、JR北海道の経営立て直しに向けて、地域が果たすべき役割に関する法的根拠について、これを明らかにするよう地域の代表者から繰り返し指摘があった、このように承知をしております。

 これまで国は、地方公共交通活性化再生法、また、この法律に基づく基本方針、これを根拠とされまして、市町村が主体的に地域公共交通の活性化及び再生に取り組むよう努めなければならず、この考え方に基づいて、収支の悪化が進んでいる鉄道路線の存続を図るためには自治体が一定の支援を行っている、こうした事例が全国にある、このようにしております。

 しかし、北海道の沿線地域からは、国の強い監督下にあるJR北海道の経営問題の解決のために地域に財政的な負担を求めることに抵抗感がある、こういったことも声として出されています。

 そもそも、JR北海道の長大な鉄道ネットワーク、このことが地方公共交通活性化再生法で言う地域の公共交通なのか、二十二の県が入るくらいの広大な面積を有する北海道を一くくりにして一つの地方の地域交通の問題として捉えることが適当なのか、こうした声や、他府県とは大きく異なる北海道における鉄道路線の維持に向けた国と地方の役割分担、関与のあり方、まずはしっかり議論をすべき、このような意見も出されました。

 私は、JR北海道の問題の解決に向けては、他府県と異なって広大で、かつ積雪寒冷などの地域特性を踏まえた現実的な対応が必要ではないか、このように考えておりますが、見解をお伺いします。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年七月二十七日、国土交通省よりJR北海道に対しまして、経営改善に向けた取組を着実に進めるよう監督命令を発出するとともに、JR北海道によります徹底した経営努力を前提として、国による支援を行うことを公表いたしました。

 この支援の中では、北海道が貨物列車走行線区の割合が高いことや、新幹線と貨物列車が共用走行し、複雑な構造を有する青函トンネルがあることなど、JR北海道が抱える特有の事情を踏まえまして、貨物列車走行線区における貨物列車の運行に必要な設備投資及び修繕等や、青函トンネルの維持管理に対する支援を行うこととしておるところでございます。

 国としては、JR北海道の徹底した自助努力を前提としまして、経営自立に向けた必要な支援、協力を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

稲津分科員 ありがとうございました。

 今、局長から御答弁をいただきましたが、いわゆる青函トンネル、それから貨物列車の走行比率の話がありまして、こうしたことが、いわゆる特性として、これまでも、このことを踏まえた上での設備投資などの支援を講じてきた、このようにありまして、私は、こうしたことをやはりしっかり受けとめていただいて、今後、北海道におけるJR北海道の列車の運行、ここにぜひ視点を当てた考え方が必要ではないのかな、このことを私の意見として重ねてお話し申し上げておきたいと思います。

 次の質問ですけれども、次は、全国的な視点を踏まえた対応についてということで、これはぜひ大臣に御答弁いただければなと思います。

 国鉄民営化の際に、経営安定基金の活用によってJR北海道の経営安定を図るとした支援スキームが用意をされました。私は、これまでこのスキームによって、一定の役割をこのスキームが果たしてきたということを、率直にそのように思っております。しかしながら、経済環境が大きく変わってきて、当初見込んでいた基金の運用益の確保が難しくなっていることなどから、本来期待をされていたそうした機能が十分に果たせたのかどうか、このことも考えるところです。

 もちろん、このことについて何か改めて議論する、そういうことではありませんけれども、そうしたことを踏まえた上で、国はこれまで、鉄道・運輸機構の特例業務勘定、これを活用しながら追加の支援を行ってまいりました。JR北海道だけではなくて、同じように厳しい経営環境に置かれているJR四国を含め、いわゆるこの二島会社においては経営安定までに至っていない状況にある、このように考えています。

 特に、昨今、全国的な問題としては、やはり人口減少による影響というのが各あらゆる方面に出てきたということで、特に北海道は、この人口減少ということが府県に比べて先駆けて進んできた、そういう実態にあります。

 そういう意味で、この一点をとると、先行的にJR北海道の経営問題もこういうふうに顕在化してきている、このようにも考えています。

 全国的に人口減少が進んでいく中で、国として、今後、地域における鉄道路線を維持していくために、このJR北海道の問題を契機とした、例えば全国的な問題として捉えるなど、JR北海道の抜本的な対策が必要と考えますが、見解をお伺いします。

石井国務大臣 地域の人口減少や高速道路を始めとする他の交通インフラ等の発達に伴いまして輸送人数が減少し、大量高速輸送という鉄道の特性を生かすことができない路線が全国的に増加をしており、特に北海道においては顕著であると認識をしております。

 こうした状況の中、各地域において将来にわたって持続可能な交通体系を構築するためには、あるべき交通体系について、地域の関係者で十分に議論をしていただく必要がございます。

 昨年七月、国土交通省がJR北海道に対して発出をいたしました監督命令では、二〇一九年度及び二〇二〇年度を第一期集中改革期間とし、JR北海道と地域の関係者が一体となって利用促進やコスト削減などに取り組み、持続的な鉄道網の確立に向け、二次交通も含めたあるべき交通体系について徹底的に検討を行っていただくこととしております。

 国がJR北海道への対策を講じるに当たりましては、JR北海道及び地域が一体となってこのような取組を徹底していくことが重要であり、こういった取組は、他の地域においても参考になるものと考えております。

稲津分科員 ありがとうございました。

 それでは、このことに関連して、法改正についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。これも石井大臣にお答えいただければと思います。

 鉄道・運輸機構の特例業務勘定を活用したJR北海道に対する財政支援は、これは国鉄清算事業団債務等処理法の規定に基づいて、支援の期限が二〇二〇年度までとなっているということ、ただ、それ以降も支援を継続するためには期限を延長する等の法律改正が必要になってくる、このように承知をしています。

 このために、北海道からは、維持困難線区を持続的に維持していくための仕組み等について検討を行う場を設置し、国などの協力を得ながら、二〇二一年の法改正も視野に検討、協議を行う、こうした提案も出されております。

 この法が期限切れとなるタイミングに合わせて、二〇二一年度以降のJR北海道に対する地域支援のあり方、北海道における鉄道路線の役割について、私はしっかりと議論をすべきだろう、このように考えています。

 先ほども少し触れましたけれども、国土の二二%を占める北海道、国内でほかに例を見ない広域分散型の地域構造となっておりまして、その中で、鉄道は、道内各地域を結ぶ道民の移動手段としてその役割を果たすことはもとよりですけれども、近年では、インバウンドを始めとした観光客を呼び込んで周遊してもらうための重要なツールとして、我が国の観光産業の発展にも大いに貢献をしてきているというふうに思っております。

 また、北海道で産出する農産物などの輸送を通じて、日本国民の食を支える重要な社会的基盤としての役割をしっかり果たしていくためにも、JR北海道の問題をぜひ国全体の問題としても捉えていただきたい、このように考えています。

 法改正については、これまでの内容をただ延長するということだけではなくて、今も私が申し上げましたような地域の実情や、また、その可能性を踏まえた鉄道路線の維持に向けて、国の必要な支援や地域との役割分担、こうしたことも明らかにするといった方向で私は議論すべきと考えますが、御見解を伺います。

石井国務大臣 JR北海道に対する支援につきましては、国鉄清算事業団債務等処理法の規定に基づきまして、鉄道・運輸機構の特例業務勘定を通じて行われており、その支援の期限は、現行法上、二〇二〇年度までとなっております。このため、JR北海道に対する支援を二〇二一年度以降も継続するためには、同法の改正が必要となります。

 支援を継続するためには、JR北海道が、昨年七月に発出された監督命令に基づく取組を着実に実施することが必要でありまして、来年度からの二年間でJR北海道と地域の方々が一緒になって利用促進やコスト削減などの取組を行い、経営改善に資する成果を上げることが重要であると考えております。

 国土交通省におきましては、こうしたJR北海道及び地域の関係者の取組状況を検証し、着実な進展が確認されることを前提といたしまして、所要の法律案を国会に提出することを検討してまいりたいと考えております。

稲津分科員 ありがとうございました。

 今、大臣からの御答弁の中でも、この二年間の北海道また自治体の取組状況をしっかり検証して法改正に向けての検討を重ねていきたい、こういうお話がありまして、ぜひ、そうした方向でしっかりとした御議論をいただきたいと思っています。

 先般、JR北海道から、二〇一九年度以降の新たな観光列車の取組が紹介をされました。これは、東急電鉄の協力などをいただきながらクルーズトレイン型の列車を走らせるですとか、通常は定期列車ですけれども、観光イベントの臨時列車にも使用されるような地域活性化策を図る方策も出されまして、これまで、言うならば、ありとあらゆるものを切り詰めて、そして、なかなか道民、国民の期待に沿えるような次の一手を打つということがなかったJR北海道かもしれませんが、こうしたことに対する期待も寄せられておりますし、また、貨物については、これも御存じのとおり、北海道から本州に向かう上りの輸送、これは大変農産物が多い。それから、東海、あるいは関西、また九州、こういう方面、いわゆる北海道から見ると距離が長くなるところ、ここは当然、鉄道貨物の依存が高くなっているということもありまして、ぜひこうした地域の実情、可能性に着目をした御配慮をいただければなというふうに思っているところでございます。

 次に移ります。

 次は、JR北海道の中期経営計画などについてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 地域がJR北海道に行う財政支援に対するいわゆる地財措置については、残念ながら、来年度は見送られることになりました。

 昨年十二月に開催された関係者会議では、北海道知事から、JR北海道の極めて厳しい経営状況を踏まえ、二〇一九年度及び二〇二〇年度において、維持困難線区における定時性や利便性、快適性の向上などの利用促進に資する緊急的かつ臨時的な支援を行う旨の提案がなされ、関係者の間で合意を得たところでございます。

 現在、関係市町村に対してこの合意内容などを説明をして、その支援対象経費ですとか各地域の負担額等について地域内で協議はされている、このように承知をしています。

 ただ、道内の自治体は極めて厳しい財政状況を抱えているところが多くて、中長期的なJRの経営計画やあるいは支援スキームなどがまだ見えない中で、地財措置がないにもかかわらず、地域の足を守るための決断としてこれが評価できるか、こうしたことも実はあるわけで、ただ一方、臨時的、緊急的な支援として、財政状況が極めて厳しい市町村が財政支出を行う前提として、JR北海道が現在作業中である二年間の事業計画、それから、五年先を見据えた中期経営計画、さらに、新幹線札幌開業までの経営自立を目指す経営ビジョンの作成、これを地元と協議をしながら、また、道や市町村の理解を得ながら進めていく必要がある、このように思っております。

 そこで、今後、これらの計画やビジョンについて、国が中心となって内容を精査するとともに、北海道や市町村への説明責任を果たしながら、この計画等がしっかり実行されるようJR北海道を指導すべき、このように考えますが、国としてどのように対応しようとしているのか、お伺いいたします。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の監督命令におきましては、三つの計画をつくることをお願いしております。長期経営ビジョンと中期経営計画と、あとは毎年のアクションプランということでございますが、その中でも一つの核になりますものが、中期経営計画だと思っております。

 この中期経営計画に関しましては、JR北海道が今年度中に策定いたしますが、将来の経営自立を見据えて、来年度から二〇二三年度までの五年間で行うべき具体的方策について取りまとめるものでございます。

 JR北海道が中期経営計画に盛り込んだ取組につきましては、数値目標の達成状況を迅速に検証できるよう、部門別の収支管理体制を整備させた上で、四半期ごとに、鉄道局とともに、JR北海道とともに検証を行うこととしております。また、JR北海道に対しまして、その検証の結果を公表させることとしております。

 国土交通省としては、中期経営計画に盛り込んだ取組が着実に実施されることでJR北海道の経営改善が図られるよう、適切に指導監督してまいりたいと考えているところでございます。

稲津分科員 ぜひ、この中期経営計画などについて、しっかりとした指導性を持って臨んでいただきたい、このことを再度お話を申し上げておきたいと思います。

 最後に、これに関連して、国が行う評価、検証についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 昨年七月に国が示した「JR北海道の経営改善について」では、二〇一九年、二〇二〇年度の二年間のJR北海道及び地域の関係者の取組状況を検証し、着実な進展が確認されることを前提として、JR北海道に対する支援の枠組みを構築する、そして、国の支援を継続するために所要の法律案を国会に提出することを別途検討、このことを表明されました。ここは、先ほどの大臣の御答弁でも、このことは明かしていただいております。

 北海道では、現在、沿線ごとに、JR北海道と沿線自治体が連携しながら事業計画の作成に取り組むとともに、いわゆるオール北海道による鉄道の利用促進に向けた北海道鉄道活性化協議会、これを立ち上げまして、来年度からはさまざまな取組を展開する、このようにしておりますが、この二年間という短い期間に目に見える成果を出していくことは、私はそう簡単ではないというふうに思っています。

 地域等が行う二年間の取組に対する国の評価、検証に当たっては、どのような考えのもとに何を目的として行うのか、地域などに対して事前に具体性を持って示さなければ、地域が目先のことに拘泥する、こだわってしまう、そうした一過性の取組にとどまってしまうことを私は非常に懸念をしています。

 単なる利用者の数ですとか売上げの伸びといった指標だけではなくて、持続的な鉄路の維持確保に向けたJR北海道と地域のいわゆる共同の取組、そうしたものの具体例など、地域にとってわかりやすい、ある意味、その物差しになるような、そうしたものを示していただくことも必要じゃないのかな、このように考えていますが、見解をお伺いしたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省は、昨年七月二十七日にJR北海道に対して発出した監督命令におきまして、利用が少なく、鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区について、二〇一九年度及び二〇二〇年度を第一期集中期間とし、JR北海道と地域の関係者が一体となって、利用促進やコスト削減などに取り組むことをまとめた事業計画、アクションプランを策定するよう求めております。このアクションプランに関しましては、JR北海道が地域の関係者とともに、取組の結果を毎年度ごとに検証することとしております。

 検証の具体的手法につきましては、現在、JR北海道と地域の関係者で検討しているところでございますが、国としても、この検証の場などに随時参画いたしまして、実効性のある取組、実効性のある検証ができるように、適切な指導助言を行ってまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、今回のアクションプランの策定を通じまして、JR北海道と地域の関係者が一体となって一つのことに取り組む、そういった環境ができたということは、我々にとりまして非常に大きなことだと思っております。

 そういう環境の中で、一緒にこのアクションプランを実行し、更に検証していく、それに関しましては我々としても関係していく、参画していく、そういう形で、この計画をしっかりこの二年間進めたいと思っております。

稲津分科員 ありがとうございました。

 きょうは、JR北海道の経営改善、昨年の七月二十七日に公表された国土交通省からのこの取組について、これをもとにいろいろと議論をさせていただきました。

 向こう二年間も非常に短いですけれども、その後に法改正というものがだんだん見えてくる。ですから、沿線の自治体も、どうも財政状況は極めて厳しいですけれども、ここはぜひ持っている力を振り絞って、国としっかり協議を進めながら取り組んでいくという決意は十分あるというふうに私は思っていますので、これからも必要な支援等、また、積極的なかかわりを持っていただくことを強く要請いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

盛山主査代理 これにて稲津久君の質疑は終了いたしました。

 次に、今枝宗一郎君。

今枝分科員 自民党の今枝宗一郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてまことにありがとうございます。また、御対応いただいた多くの皆様にも心から感謝を申し上げます。

 さて、それでは早速質問に入ってまいります。

 昨年は自然災害が非常に多く頻発をいたしました。亡くなられた方にお悔やみを申し上げますし、また、被災をされた方にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 やはり国土強靱化、待ったなしであります。

 中でも、私が財務大臣政務官時に視察に伺った岡山県倉敷市の真備地区では、小田川が決壊をし、大洪水により大きな被害を受けました。一昨年の九州の水害でもそうでありましたけれども、地方自治体管理の河川が洪水を引き起こしたところは数多く存在をいたします。

 私は、整備予算の制約を受けやすい地方自治体管理の河川も、国として国民の安心、安全を守る観点から、国が積極的にかかわっていくべきと考えます。このような考えから、新年度予算におきましては、河川に対して個別補助事業が新規に加わりました。

 しかし、この予算事業も、例えば都道府県として、国の個別補助事業を受ける河川を決めた後に国に申請をすることになっております。しかし、それでは結局、都道府県として負担をする県費を考えて、河川整備を慎重に考えてしまうということもあり得ます。国として国民の安心、安全を守るとは言えない状況が発生をしてしまう、そういった可能性もあるのではないでしょうか。

 一つ、事例を挙げます。

 音羽川は豊川市西部を流れる川ですが、旧東海道、国道一号線、東海道新幹線、そしてJR東海道線、また名鉄名古屋本線など、こういった非常に重要なインフラのすぐそばを流れておりまして、同時に、住宅密集地域が数多く存在をいたします。実際、昭和五十七年の洪水では大きな被害を出してしまいました。

 整備計画では、二〇三三年ごろに九・二キロを整備するとなっておりますけれども、本年度の改修区間はたった五十五メートルです。今後五年でも三百メートルしか進みません。このままのペースでは、とても計画どおりにはいかないのではないでしょうか。国としても、支援を行い、整備を加速するべきではないでしょうか。

 御見解をお聞かせいただきたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 豊川市を流れます音羽川につきましては、二〇〇四年五月に河川整備計画を策定しておりまして、河川管理者である愛知県におきまして、河道断面を拡大する河川改修を進めているところというふうに聞いております。

 これまで河口から約二・四キロメートルまでの整備が完了しておりまして、現在は、地先名で申しますと、下橋から為当橋までの区間を二〇二三年度に完了させることを目指しているというふうに県からは聞いております。

 この音羽川などの河川改修につきましては、国土交通省といたしましても、災害発生状況や事業執行上の課題などを愛知県から丁寧にお聞きしながら、可能な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。ぜひとも、国民の命を守る国として、県と協力をしながら十分な対応を行っていただきたいというふうに思います。

 続いて、災害時の道路ネットワークについて質問いたします。

 私は、東日本大震災の数日後には東北に向かい、福島第一原発から約三十キロ、避難区域まさにぎりぎりのところにございます福島県いわき市で、避難所を回ってボランティア診療を行っておりました。そのとき、輸送路が確保できず支援物資が入ってこない、まさに兵糧攻めとも言えるような状況を経験をいたしました。

 話を聞きますと、県単位では支援物資はかなり集まってきていたものの、そこからどこの地方に運ぶのかというときに、運送関係者の方も、道路がしっかりしたところには入っていきやすいわけでありますし、道がどうなっているかわからない、道路整備がされていないところについてはなかなか入りづらいということでありました。

 混乱をしている時期でもあります。そういったときに、やはり一本しっかりした道があったとしても、災害で通行どめとなってしまえば、それでもう支援物資が全然入れなくなってしまう。こういった事態も容易に想像できますし、実際に起こってしまっていたわけであります。

 それで、私は、緊急輸送道路の確保、リダンダンシーの確保にはとりわけ強い思いがございます。ですから、三カ年、七兆円の緊急対策にも、緊急輸送道路の確保、ミッシングリンクの解消などを入れるべきと思っております。今回は入っていないと思いますが、今後の特別な対策にはぜひとも盛り込んでいただきたいというふうに考えております。

 一方、国土強靱化基本計画では、緊急輸送道路の重要性に触れ、「平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、物流上重要な道路網を「重要物流道路」として指定して、機能強化や重点支援を行う」としております。

 これは非常によい取組であるというふうに考えておりますが、どのような道路を具体的に重要物流道路として、どのような重点支援を考えていらっしゃるのでしょうか。御答弁ください。

池田政府参考人 物流需要が増加する一方でドライバー不足が進行しておりまして、道路政策においても、車両の大型化への対応など、取組の強化が求められていると考えております。

 また、災害発生時における救助救援活動の支援、緊急支援物資などの安定的な輸送を確保するために、緊急輸送道路などの整備の必要性も高まっていると考えております。

 こういった状況を踏まえまして、平常時と災害時、両方において安定的な輸送を確保するための、物流においての基幹的な役割を担っている高規格幹線道路などにつきまして、重要物流道路として指定をする予定としております。

 この重要物流道路に指定されれば、地方公共団体への重点的な支援ができる個別補助制度の対象とすることや、災害の際に、道路の啓開や災害復旧を国が代行することなどの取組を進めていく予定としております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 今お触れをいただきました個別補助、また、災害時の、国が代行をしてその復旧をしていくという点にもお触れをいただきました。

 こういった部分とあわせて、重点支援というところでありまして、具体的には、もっともっと細かい中身については現在検討中だというふうにお聞きをしております。

 ですので、私が一つここで強く申し上げたいのは、供用中の道路というのは、もちろん今おっしゃっていただいたようなことに加えて、例えばのり面を、落ちてきそうな、崩落しそうなところがあればしっかりと固めていくとか、やはりそういったことも必要でありますし、また同時に、整備中の道路についても、これは整備促進をとにかく一日でも早く、一刻も早く進めていくのだということで、重要な道路として、そういった意味での整備での重点支援というものにもぜひともこれを御活用いただいたり、整備中の道路も含めてこれは入れていくということもぜひともお願いをしたいというふうに思います。

 うなずいていただいておりますので、質問にはせず、次に入らせていただきたいと思います。

 それでは、具体的な各論に入ってまいりたいというふうに思います。

 東海・東南海・南海三連動地震が三十年で七、八割の確率で発生すると言われる中で、当該地域の国土強靱化は特に重要であります。

 工藤政務官、お見えでありますけれども、工藤政務官も本当に、愛知県の名古屋港周辺をお地元とされておられまして、一生懸命この強靱化にも取り組んでおられて、本当に敬意を申し上げるものでありますけれども、やはり、この地域に集中をして投資をしていくというのは非常に重要ではないかなというふうに思っております。

 そこで、国道二十三号線蒲郡バイパスは、発災直後の物資輸送において、くしの歯作戦を行う上で幹となる非常に重要な幹線道路であり、既に、国土強靱化基本計画には県の計画に位置づけていただいております。国の計画は特に個別の路線を指定をするということはしておりませんので、県にしっかりと位置づけていただいているのは大変ありがたいことかなというふうに思っております。

 緊急輸送道路として重要物流道路に指定するレベルの非常に重要な道路と考えますけれども、いかがでしょうか。国交省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

石井国務大臣 国道二十三号蒲郡バイパス等により構成されます名豊道路は、災害時の緊急輸送道路であるほか、自動車産業の集積地である三河地域から三河港へのアクセス道路となっており、物流の観点から重要な道路であると考えております。

 さらに、名豊道路は、おおむね内陸部を通過することから、津波にも強い道路であると考えております。

 重要物流道路の指定につきましては、今年度末をめどに、供用中の道路について指定を行う予定であります。

 ただ、蒲郡バイパスを始めといたしまして、事業中や計画中の道路の指定につきましては、来年度に検討していく予定であります。

 引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、一日も早い開通を目指し、蒲郡バイパスの整備を進めてまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げた点にも大臣お触れいただきまして、この国道二十三号線蒲郡バイパス、名豊道路、しっかりとお答えをいただきました。心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 しかし、今現状、この整備がどのような状況になっているかといいますと、九・一キロがミッシングリンク化していることで、緊急輸送道路としての機能を今の状況では十分に発揮ができないという状況になっております。

 さらに、周辺の渋滞は本当にひどいことになっておりまして、渋滞を避けるために、通学路や高齢者が歩く生活道路に大型トラックなどが入ってきておりまして、二〇一四年の蒲郡インター完成時から既に約五年も危険な状態が続いてしまっております。

 本当に私は地元の皆様のそういった危険な状況を考えるに、また、そういった状況も、私もこの目で子供さんたちが歩いているところに大型が入っていくそういった光景を見ますと、本当に涙が出る思いであります。一日も早い全線開通、四車線化がこれは絶対に求められると思います。

 現在、用地買収が難航している箇所が一部あるものの、土地取得率は九八%まで上がってきておりまして、工事可能な場所は数多くございます。工事可能な場所の全てで先に工事を行いまして、道路がどんどんどんどん次々とできていく、こういった光景を見ていただくことで買収難航箇所の地権者の方々にも理解が進む可能性もございます。

 工事の順番を入れかえるなどしてでも、買収済みの土地全てで工事を最速でどんどん次々行っていっていただくということが非常に重要かというふうに思いますが、御答弁いただきたいと思います。

池田政府参考人 蒲郡バイパスの未開通区間の九・一キロにつきましては、現在、用地買収とトンネル工事などを進めているところでございます。

 用地買収につきましては、御指摘のとおり、進捗率は九八%に達しておりますけれども、一部の未買収地につきまして用地交渉が難航しておりまして、現在、地権者の理解を得るように取り組んでいるところでございます。

 工事につきましては、現在、用地買収が終了した箇所から順次ペースを上げて進めてまいる予定としております。

 このような用地買収、工事進捗の両面からの取組を進めまして、一日も早い早期完成を目指して取り組んでいきたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 今、ペースを上げてというふうに言っていただきました。ぜひとも、やれるところは全部やる、前倒しでやれる工事は全部やるということでどんどんと工事を促進をしていただいて、一日も早い全線開通、四車線化を実現いただきますように、心からお願いを申し上げたいと思います。

 ただいま、東西軸の国道二十三号線については質問いたしましたが、もう一つ、やはり南北軸も重要であります。国道百五十一号線一宮バイパスについて質問させていただきたいと思います。

 先ほど言ったような東海・東南海・南海三連動地震のときに、新東名は超長距離輸送の最重要道路になってまいります。東三河も新城インターから物資が入ってくるというふうに考えられますが、国道百五十一号線一宮バイパスが、七・九キロ、これもまたミッシングリンク化をしておりまして、十分な輸送ができません。また、新城北設楽郡地域は医療過疎地でありまして、救急車は多くがこの国道百五十一号線を通り、隣の豊川市に搬送されております。

 こういった状況の中で、二〇一六年の私の質疑では重点的に整備推進を行うというふうにお答えをいただきましたけれども、その後、予算は重点配分されたのでしょうか。また、今後も重点配分していただけるのでしょうか。御答弁ください。

池田政府参考人 国道百五十一号の一宮バイパスは、新東名高速道路の新城インターチェンジと東名高速道路の豊川インターチェンジを結ぶ路線の一部になっておりまして、延長七・九キロメートルのバイパスであります。現在、愛知県において整備が進められております。

 国土交通省といたしましては、このバイパス事業を社会資本整備総合交付金の重点配分を行う事業に位置づけまして、計画的かつ集中的にこれまでも支援をしてきたところでございます。

 今後とも、愛知県からの要望を踏まえまして、早期整備に向けまして、重点的に引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 今お話しいただきましたように、この事業は交付金事業で愛知県の所管となっているわけでありますけれども、防災、医療の観点のみならず、今御指摘いただきましたように、新城インターと東名高速の豊川インターの間の高速道路間のネットワークでありますので、国家的視点での整備というのが必要となる道路であります。

 そういった意味で、重点箇所というふうに私の質問も受けていただきながら実現をいただきまして、そしてこれからもやっていただけるということで、心からそれは感謝を申し上げたいというふうに思います。

 そして、やはり国としても、早期整備を進めていく中で、現在、この一宮バイパスの一工区、この三・六キロを整備をしていただいております。

 しかし、全線開通を早期に実現をするためには、一工区をどんどんどんどん整備を進めていって一日も早く開通をさせていくということも重要でありますし、それと同時に、この進捗を踏まえて、四・三キロの二工区、ここにつきましても、円滑な用地取得に向けて地域との話合いを先行実施するなど、さまざまな方策がこの早期整備、全線開通のためには考えられるわけでございます。

 国土交通省の見解をお教えいただきたいと思います。

池田政府参考人 道路事業が早期に進捗をすることにつきましては、用地買収が早期に完了することが重要なポイントになると考えております。

 この国道百五十一号一宮バイパスにおきましても、事業者の愛知県によってできるだけ早い段階から地域との話合いを実施いたしまして、早期の用地買収につなげることが重要だというふうに考えております。

 国土交通省としては、今後も、愛知県からの要望を踏まえ、早期整備に向けて必要な支援を引き続きしてまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。県と協力もいただいて、ぜひとも早期全線開通にお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、続きまして、港湾について質問してまいります。

 現在の港湾政策の中で地方創生の切り札とでもいうべき非常に重要な政策として、クルーズ船振興が挙げられるかと思います。

 これは観光政策でもあるわけでございますけれども、人口減少に悩む地方において、交流人口の増加というのは非常に重要であります。この交流人口の増加となる観光、中でも、このクルーズ船のような高付加価値の、やはり、単価のより高い観光というものを推進することが非常に重要ではないかなというふうに考えております。

 我が地元蒲郡におきましても、温泉ですとか、また、ラグーナテンボスといういわゆるアトラクション施設ですね、そういったものなど、中部地方屈指の港町の観光地となっておりまして、クルーズ船振興にも力を入れております。

 そして、ことしの三月二十七日にはダイヤモンド・プリンセスが初めて寄港していただきます。実際にこのダイヤモンド・プリンセスが寄港をしたり、そのほかの大型のクルーズ船が寄港をするのは、蒲郡港、水深十一メートルの岸壁なんですけれども、現在、三百五十メートルまで完成をしております。この長さというのは、ダイヤモンド・プリンセスが一応入れる、こういう長さであります。しかし、例えば更に大型のクアンタム・オブ・ザ・シーズなど大型化をしておりますクルーズ船、こういったものには対応ができません。

 今、世界のクルーズ船というのは、一個の船会社さんであっても、本当に二年とか三年ぐらいでどんどんどんどん大型化をしておりますし、それが幾つもの船会社さんがありますから、とにかくもう毎年のようにどんどん大型化をしているというのが現状かと思います。

 こういった状況に対応して、蒲郡港水深十一メートル岸壁をやはりもっと延伸をする、例えば三百八十メートル以上にまずは延伸をしていくということが、非常に早期にやらないとこういった大型化についていけないということがございますので、こういったものが必要だというふうに考えますけれども、国交省の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘もございましたが、三河港蒲郡地区は、背後にラグーナテンボスなどの観光資源を有し、また、来月にはダイヤモンド・プリンセスが初寄港するなど、クルーズ船の寄港地としてのポテンシャルは高いものというふうに考えてございます。

 当地区におきましては、現在、愛知県により水深十一メートル岸壁の整備が推進されており、来年の三月には延長三百五十メートルが完成となる予定でございます。

 委員御指摘の岸壁のさらなる延長につきましては、港湾管理者である愛知県を中心としまして、大型クルーズ船の需要動向でありますとか、大型クルーズ船が安全に航行できる航路幅についての技術的な検討を行う必要があると認識してございます。

 国土交通省といたしましては、さらなるクルーズ船の寄港実現に向けて、地元の誘致活動と一体となって取り組んでいくとともに、愛知県の御意向を伺いつつ、必要なハード面での対策について検討を進めてまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 整備促進をしていく上で、同時に、航路幅というような新しいテーマも今いただきました。こういった課題も解決をしながら、ぜひとも、まずは三百八十メートル以上を目指しながら、整備促進をどんどんと進めていただければありがたいというふうに思っております。

 更に今後クルーズ船が増加をしてまいりますと、蒲郡港の場合は、自動車運搬船、いわゆるPCC船が非常に多くございまして、輸出港として大きな力を発揮していただいているわけであります。そうすると、このPCC船とクルーズ船が同時に入港してくる、こういうことも考えられるわけでございます。

 回数がそこまで多くなかったとしても、クルーズ船の誘致には、このクルーズ船の船会社が希望した日にまさに港の停泊が確実にできませんと、ほかの港に移っていってしまいまして、ああ、あの港はなかなかあかないんだからなかなか行きにくいよみたいな話が出てしまうと、その後のクルーズ船の寄港の話が進みにくい、こういうようなリスクも考えられてしまうわけであります。

 このようなことを確実になくしていく必要があるわけでございますので、PCC船、こういったものが停泊をしていても、更にクルーズ船が停泊をできるような岸壁というのがどうしても必要になってくるのではないのかなというふうに思っております。

 この水深十一メートル岸壁でありますけれども、もともとの港湾計画では五百七十メートルを整備するというお話になっておりまして、この五百七十メートルがきちんと整備を完成することができれば、今言ったような、PCC船とクルーズ船、両方停泊がどのような状況でもできるということがございます。

 ですので、この五百七十メートル整備、完成というのをやはり最終的には目指しまして、これをできるだけ早く実現をしていくことが非常に重要かというふうに考えられますけれども、国交省さんの御意見をお聞かせいただきたいと思います。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘もございましたように、三河港蒲郡地区は、クルーズ船の受入れに加えて、完成自動車の輸出など、地域の基幹産業を支える重要な役割を担っていると認識をしてございます。

 当地区におきましては、愛知県等によるこれまでのハード整備に加えて、利用促進の取組により、完成自動車の輸出台数が平成二十六年には六・七万台でございましたが、二十九年、三年後には十二・五万台とほぼ倍増をしてございます。

 こうした需要を背景に、岸壁延長五百七十メートル完成に向けた整備についての御質問でございますが、まずは、既存ストックを十分に有効活用していただくことが大事でございます。愛知県を中心に、今後の完成自動車の輸出の需要動向でありますとかクルーズ船の寄港需要を適切に把握していくことが必要であるという認識でございます。

 国土交通省としては、愛知県の御意向を伺いつつ、必要な対策について検討してまいりたいと考えてございます。

今枝分科員 ありがとうございます。県とも協力をしていただきながら、連携をとっていただきながらしっかりと御尽力をいただきたいというふうに思います。

 ただ、先ほども申し上げましたが、PCC船とクルーズ船、両方入ってくる。PCC船が泊まってしまっていてクルーズ船が入れないということは、これは絶対にないようにしていただきたい。それを考えて整備促進を進めていただきたいというふうに思います。先ほども申し上げましたが、それが一回泊まれないという話になってしまえば、泊まりにくいみたいなイメージがついてしまいますので、絶対そういうイメージを蒲郡港につけないように、その観点でぜひ御努力をいただきたいというふうに思います。

 さて、続きまして、三河港臨港道路についてお聞きをいたします。

 昨年四月に御津一区に新岸壁が完成をいたしました。しかし、この御津一区のすぐ隣にございます御津二区は、距離的に非常に近いのでありますけれども、この二つを結ぶ道路がないために、大回りをしなくてはいけないというのが今の現状であります。

 また、この一区と二区をつなぐ道路がございますれば、御津二区側から東名高速の音羽蒲郡インターに非常に行きやすくなりまして、名古屋や大阪方面へのアクセスが飛躍的に改善をいたします。

 さらに、この御津二区から豊橋の神野地区や明海地区、こういったところを結ぶことで、三河港が一体となって、ストック効果を大きく発揮することができると思います。

 ただ、もちろん、この御津二区と神野地区との間にはアサリの生産日本一の六条干潟がございまして、ここの環境を守るということは非常に重要ですので、十分な対策を行うことは私は必要だというふうに考えております。

 しかし、災害時に津波からの避難などを考えますと、現状のように道が一本だけというのは、リダンダンシーの観点からも非常に危険と考えますので、これを解決するには三河港臨港道路が必要だと思います。

 重要港湾である三河港をつなぐ道路でありますし、ストック効果も大きいことから、国の直轄で整備促進を進めるのも一つの方策だと思います。

 国として、重点的に、早期に整備促進をしていくべきと考えますが、どのようにお考えになられますでしょうか。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 臨港道路東三河臨海線でございますが、企業立地が進展しております御津地区とコンテナターミナル等の国際物流ターミナルが多数稼働している神野地区、この二地区を結ぶものでございます。既に三河港港湾計画に位置づけられた、重要な機能を有する臨港道路であると認識してございます。

 臨港道路の事業化に当たりましては、十分な港湾関連の交通需要が見込まれることが必要となってまいります。東三河臨海線の一部となる御津一区と二区との間の交通需要動向も非常に重要でございます。御津一区における平成三十年四月の岸壁の供用でありますとか、工業用地の分譲の進捗に伴う需要の増加をしっかりと把握をしていきたいと考えてございます。

 引き続き、港湾管理者である愛知県の意向も伺いつつ、港湾関連の交通需要動向等を踏まえ、国土交通省として必要な検討を進めてまいりたいと考えてございます。

今枝分科員 ありがとうございます。国の直轄ということについても、今後も、県とお話をしていただきながら、ぜひとも御検討を前向きにしていただきたいなというふうに思います。

 最後に、この三河港全体のお話であります。

 現在、新たな港湾計画や、二十年、三十年先を見据えての長期構想を考える時期に入っております。

 現在の港湾計画は、平成二十三年に一番新しいものを、改訂をされたわけでございますけれども、ここでは、今までの議論が非常に積み重ねられて、さまざまなことが書かれておりますけれども、やはり今後の蒲郡港や御津港の将来性につきまして、先ほど言った長期構想でありますから、非常に長い先まで、二十年、三十年先まで含めて、夢のある話もしながら考えていかなくてはいけないのかなというふうに思っております。

 いろいろな議論が今なされつつあるところでございますけれども、例えば、先ほどクルーズ船のお話をいろいろ質疑をさせていただきましたが、やはり観光の一大拠点にしていくべきではないだろうか。

 これは、クルーズ船の寄港ももちろんでありますけれども、ある意味、横浜の山下公園のような話ですとか、神戸のようなイメージですとか、港町で歩けるような、そんな観光の環境を整えていただきながら、いわゆるマリンアクティビティーというんでしょうか、水上さまざまなレジャーというものもいろいろ連携していくということもございます。

 また、この蒲郡港からずっと行った先、渥美半島の沖にはメタンハイドレートの非常に集積地域がございまして、今、このメタンハイドレートの実験をする、ある意味、基地となる事務所をこの蒲郡港につくっていただいております。これからメタンハイドレートの採掘が本格化をしていく時期がございます。そうすると、この採掘の基地港として蒲郡港を使っていくというのも一つだと思います。

 また、コンテナ港湾、非常にふえておりますし、そのほかにも、ドローンですとか空飛ぶ車、こういったものの開発、実証実験の拠点としても海が非常に、下に人がいないということで可能性として考えられておりますけれども、こういったさまざまな御意見があるわけでありますが、国として、今後の構想につきましていかがお考えになるのか。お答えいただきたいと思います。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の三河港の港湾計画は、平成三十年代前半を目標年次といたしまして平成二十三年四月に策定されたものでございます。同計画に基づき、港湾機能の強化等を努めてまいったところでございます。

 三河港においては、背後の道路ネットワークの充実でありますとか、ただいま委員御指摘もありました、クルーズを始めとしたにぎわいの需要の増加、こういった問題が発生してございますので、港湾を取り巻く状況が大きく変化しておりますことから、議員御指摘のありました三河港の活用、発展に係るさまざまな御意見、御提案も含めて、臨海部の特性を生かした将来の蒲郡地区あるいは御津地区のあり方について、まずは地元においてしっかりと検討していただきたいと考えてございます。

 国土交通省といたしましても、こうした地元の意向をしっかりと把握した上で、長期構想あるいは港湾計画の検討に係る技術的助言をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 なお、クルーズの一問目の御質問の際に、蒲郡地区の十一メートル岸壁の三百五十メートル化の完成時期について、私、先ほど、来年三月と間違って申し上げてしまいました。本年三月でございます。訂正するとともに、おわび申し上げます。

今枝分科員 ありがとうございました。

 最後のつけ加えといいますか、訂正も安心をいたしました。

 最後に感謝だけ申し上げたいと思います。豚コレラが岐阜ですとか愛知県で発生をし、殺処分等で地域の土木建設業者の方々に本当に御尽力をいただいておりますし、また、国交省の方々にもいろいろと御配慮をいただいておることに、心から感謝を申し上げたいと思います。

 質問の時間が終わってしまいましたのでこれで終わりますけれども、一日も早い終息、十分な補償を強くお願いを申し上げながら、質問を終わらせていただきたいと思います。

 まことにありがとうございました。

盛山主査代理 これにて今枝宗一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野分科員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、私の方から御質問をしたいのが、レオパレス21、このレオパレスにおける施工不良問題、これに対してどのように対応していくのかということでございます。

 私、これは大変に大きな問題だというふうに思っておりまして、特に、共同住宅で多くの方が住まわれているような、こうしたところで界壁の不備という事案がございまして、本当にこれだけかということで、しっかり対応をしていくという中で、じゃ、全ての建物をしっかり調査をしていこう、こういう流れになっているわけでございますけれども、新しい不備が確認をされた、こういう報告があったわけでございまして、これも大変に数も多いということで、千三百二十四棟不備がある、こういう大変な問題であります。

 耐火性など安全に直接かかわる部分、こういうものについても不備があるということでございますので、これは早急に対応していく必要がございますけれども、実際にここに住んでいる住民の皆様への対応、こういうこともございます。改修をする間は、ほかのところに移っていただくような方針だというふうにも聞いておりますけれども、住民の皆様に安心をしていただく、しっかり対応をしていく、こういう対応がまずは一つ必要だというふうに思っております。

 もう一つは、そもそもなぜこのような大規模な施工不良というか基準への不適合、こういうものが起こってしまったのか。これを、原因究明をしっかりしていく。

 実際に検査についてはどうだったのかであるとか、再発防止を含めてしっかりと対策をこれは講じていかないと、もう建物、建築物全体に対する、やはり国民の皆様が不安に思ってしまう。今建っている、あるいは今住んでいる自分の家というのは本当に安全が大丈夫なんだろうか、こういう信頼を大きく揺るがす。大変に何というか、私は、もう国土交通省を挙げて、やはりこれはしっかり信頼の回復という意味で対応していかないといけない事案だというふうに思っております。

 こうした住民対応も含め、あるいは原因究明、再発防止、こういうところも含め、全力でまずは対応していただきたい、このように思いますけれども、今後の方針について答弁をいただければというふうに思います。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 株式会社レオパレス21が施工した賃貸共同住宅に関しまして、昨年明らかになった界壁の防火上の不備に加えまして、今般、界壁の遮音上や外壁及び天井の防火上の不備が明らかになったことは、まことに遺憾であります。

 国土交通省といたしましては、まずは賃貸共同住宅入居者等の安全、安心の確保を図り、その上で、徹底した原因究明をもとに、適切な再発防止策を講じていくことが大変重要であると認識をしております。

 このうち、一点目の賃貸共同住宅入居者等の安全、安心の確保に向けましては、基準への不適合が明らかになった物件の所有者、居住者への丁寧な対応を通じ、混乱を回避するとともに、調査や改修を加速させるよう、レオパレスに求めたところであります。

 次に、二点目といたしまして、徹底した原因究明につきましては、外部の有識者委員会の委員の意見を踏まえまして整理した調査事項をレオパレス側に提示して、本年三月十八日までに原因究明の結果の報告を今求めているところでございます。

 最終に、三点目の再発防止策につきましては、外部有識者委員会にて、原因究明結果を検証した上で、可能な限り早期に再発防止策を取りまとめていただくこととしており、国土交通省といたしましても、いただいた提言を踏まえ、必要な対策を講じてまいります。

中野分科員 三点につきまして御答弁いただきました。

 原因究明をまず報告を受けるというその中で、やはり原因がわからないと再発が防止できないということであろうと思いますので、しっかりとこの件につきまして再発を防止をして、そして、もう一度この建築物というものについてやはり安心を取り戻していただくということをぜひやっていただければということで、お願いを申し上げる次第でございます。

 続きまして、私の地元のことで少しお話をさせていただければと思うんです。

 前回も予算委員会の分科会で取り上げたこともあるんですけれども、私の地元の兵庫県尼崎市というところで、今度お城をつくるという動きがございます。

 これは、国というか市がつくったわけではございませんでして、地元の方が寄附をされるということで、お城を、昔、尼崎は尼崎城というお城があったんですけれども、取り壊されて今はないという状況になっております。これをもう一度再建しようじゃないかということで、地元の方が寄附をされまして、もうすぐ、来月でありますけれども、三月にこれがオープンするという流れになっております。

 最近、地方創生ということで、お城を活用してということで、よく事案も聞いております。いろいろな地域、それぞれの地域の中でそれぞれの歴史がありまして、やはりお城というのはそれぞれの地域の歴史にも大きく根差しておりますし、尼崎市としましても、単に城をつくる、再建をするというだけではなくて、市民の方にもこの地元の歴史というものもしっかりと触れていただく、あるいは、これを活用しましてしっかりまちづくりをしていこう、町の活性化をしていこうということで、今いろいろな取組をしておるわけでございます。

 昨年来、こうした尼崎城を活用したまちづくりということで、国もしっかり応援をぜひいただければということで、お願いもしてきたところでございます。三月にオープンをするということでございますので、こうしたまちづくりに対してさらなる支援というものをぜひお願いしたいと思いますけれども、国交省の方から答弁をいただきたいというふうに思います。

青木政府参考人 お答えを申し上げます。

 議員の方からお話ございました尼崎におきましては、市民の寄附で再建された尼崎城が寄贈されまして、三月末から一般公開というふうに私どもも伺っているところであります。この尼崎城を中心とした地区におきまして、平成二十八年度から都市再生整備計画事業が実施をされているところでございます。

 少し具体的に申し上げますと、尼崎城を取り囲む城址公園の再整備、それから、ここに廃校舎があるんですけれども、廃校を生かした歴史館の整備、それから、遊歩道の整備などによりまして町中の周遊性を高めるとともに、阪神尼崎駅前のところに交流と学びの拠点を創出しよう、こういった事業でございます。

 国土交通省といたしましては、昨年の三月に内閣府の方と連携をいたしまして、官民連携あるいは地域資源の活用によりまして地域づくりに積極的に取り組もうとする都市を地方再生モデル都市ということで選定をしてございまして、尼崎市も選定をさせていただいたところでございます。

 したがいまして、尼崎市に対しましては、このモデル都市といたしまして、社会資本整備総合交付金と、それから各種支援メニューを組み合わせまして、今後とも、総合的かつ集中的な支援に努めてまいるということでございます。

 以上でございます。

中野分科員 ありがとうございます。

 官民連携のモデル都市にも選んでいただいたということで、確かにこれは民間の寄附ということで、また、お城の関係で、やはり市民の方からかなりいろいろな寄附をしたいということで集まっているところでもございます。こうしたいろいろな資源を活用してまちづくりをやっていくということで、また引き続き支援を、応援していただければということでお願いを申し上げる次第でございます。

 もう一つ、今度は河川の対策についてお伺いをいたします。

 昨年の七月豪雨等ございましたけれども、やはり非常に災害が激甚化をしている、雨の降り方も激しくなってきている。こういう中で、インフラの緊急点検もいたしまして、これに対する三カ年計画というものも策定をしていただいたところでありますけれども、例えば私の地元の猪名川あるいは藻川、こういう区域におきましても、河川の中に樹木がかなりありまして、これが本当に、これだけ河川の中にいろいろなものがあると、やはり、流量が雨が降ったときに確保できないのではないのか、こういういろいろな指摘もあったところでございまして、こうした伐採につきましても対応してほしい、こういう声もありました。

 しかし、公共事業費、全体でなかなか頭打ちになっていく中で、こうしたところに関連をする予算というのはなかなか確保するのが難しいということも従来伺っておりまして、そういう意味では、地元の住民としては不安の声があるんだけれども、なかなか予算の制約もあって進まない、こういうことでもございました。

 しかし、これから、インフラ整備の三カ年計画というのも策定をして、しっかり防災・減災ということで力を入れていこう、こういう大きな流れでございますので、こうした樹木の伐採等についてもしっかりと進めていっていただきたい、このように思いますけれども、今後の方針についてお伺いをしたいというふうに思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 河川内の樹木につきましては、洪水の流れの阻害となる場合があるなど、その対策は非常に重要な課題であるというふうに認識をしております。

 国が管理する河川におきましては、通常、河川ごとに維持管理計画を定めまして、これに基づき、河川内の状況を河川巡視や点検等により把握をしながら、河川管理上の支障の有無を勘案した上で、必要な伐採を行うということとしております。

 そのような中で、平成三十年七月豪雨等を踏まえまして、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策といたしまして、洪水氾濫による著しい被害が発生するおそれのある河川につきまして、樹木伐採、土砂掘削等を実施することといたしております。

 この中で、猪名川、藻川におきましても、三カ年間で約十キロの区間におきまして樹木伐採等を集中的に実施することとしております。

中野分科員 ありがとうございます。

 しっかり集中的に実施をするということで、やはり洪水を防ぐためには、そういう意味では、堤防ですとかそうしたところでしっかり対応できればそれにこしたことはないんですけれども、なかなか地域によってはそうした対策をとるのも難しい、そういうところもあります。

 私の尼崎市内の猪名川、藻川の流れている範囲ということであると、河川に挟まれて、何か水害があったときにどうしても逃げ場がないというか、そういう地域もございまして、とれる対策をしっかりと講じていただきたい、こういう御要望も日々いただいているところでございますので、先ほど、しっかり計画的に進めていくということで答弁もいただきましたので、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、建設業の働き方改革につきましてお伺いをしたいというふうに思います。

 現場では、建設業の関係で働き方改革をするんだ、さまざまなお声をいただきます。特に今、人手不足ということもありまして、やはり働き方を改革をしていかないと必要な人手も集まらないだろうということで、例えば週休二日を進めていくということでありますとか、あるいはしっかりと賃金を支払って、我々公明党も、新三Kということで、休暇があるK、そして希望があるK、そして給料があるということで、この新三Kをぜひ目指してやっていこうということで、先日、大臣の方にも提言を提出をさせていただいたところでございます。

 やはり、専門工事業というか下請の現場ですと、非常に厳しいというお声もさまざまいただきます。きょう、大臣もいらっしゃいますので、ぜひ知っていただきたい。大臣はさまざま現場もごらんになっているかと思うんですけれども、例えば私の地元ですと、専門工事業で土間業という業種の方々がございまして、コンクリートの打設というか、一番基礎のところの、そこをやる。関東でいうと左官業とかがやられて、それの下請を受けているというふうな、そういう業種の方が私の地元に結構いらっしゃいます。

 やはりコンクリート打設という現場を聞きますと、固まるまでに作業を全部終わらせないといけないという当然時間的な制約もございますので、なかなか労務時間の管理ですとかそうしたものも、工期の関係もありますと非常に難しいですとか、実際にさまざまな専門工事業、下請、それぞれの業種ごとに、働き方改革に対応していくというのは、それぞれの難しさが恐らくあるんじゃないかなというふうに思います。

 なかなか働き方改革に対応していけないんだというふうなお声もいただいているところでございまして、やはり最初の元請のところから、どういう工期でどのようにやっていくか、どういうふうに下請と契約をしていくか、そういうところまで含めて、これはやはり上流から下流まで含めてしっかり対策を全体的にできるようにというふうな取組を進めていかないと、建設業の働き方改革というのはなかなか進んでいかないというのを改めて痛感した次第でございます。

 提言も出させていただきましたけれども、こうした働き方改革への対応、今後の取組ということで答弁をいただきたいというふうに思います。

    〔盛山主査代理退席、主査着席〕

野村政府参考人 お答えいたします。

 昨年の働き方改革関連法の成立に伴って、建設業では、二〇二四年四月より時間外労働の上限規制が適用されることとなりました。

 そこに向けて、発注者の理解と協力を得ながら、まさに適正な工期設定を図るなど、建設業の働き方改革を進めていくことが喫緊の課題と認識してございます。

 このため、国土交通省におきましては、まず、直轄工事で他の発注者の参考となる取組を率先して進める観点から、今委員からも御指摘ありましたけれども、週休二日工事の適用拡大などに取り組んでいるところでございます。そしてこれを地方公共団体に対しても、その浸透を図っていきたいと考えております。

 また、政府全体においては、建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインを策定しているところでございます。

 このガイドラインの中では、下請契約においても、週休二日の確保等を考慮した適正な工期を設定すること、さらには、全体工期のしわ寄せがないよう配慮することなどを定めております。これを、民間発注者も含めて、さらには受注者側の建設業団体も始め、さまざまな関係機関に対して周知徹底を図っているところでございます。

 それから、これはまさに公明党からも御提言いただいたところでございますけれども、公共工事設計労務単価、これを七年連続で先般引き上げたところでございます。

 国交省といたしましては、建設業の将来の担い手確保に向けて、建設業の働き方改革の促進や建設現場の生産性の向上などを内容とした建設業法等の改正法案を本通常国会に提出する予定としておりますけれども、引き続き、例えば土間業も始めとして下請業者さんも含めて、建設業の働き方改革に積極的に取り組んでいき、まさに未来に向けて、新三K産業に生まれ変われるように頑張ってまいりたいと思っております。

中野分科員 ありがとうございます、局長から力強い答弁をいただきまして。やはり、工期の適正な設定というのは非常に大きな課題だというふうに思います。

 先ほどガイドラインのお話もあり、また、建設業法の改正を検討というふうなお話もある中で、やはり工期の後ろの方の作業が迫ってくれば迫るほど、どうしても労務時間をちゃんと管理するというのが難しくなる。例えば土木の工事でも、最後のアスファルトの舗装のところだと、どうしても工期が後ろの方になって、なかなかこれを仕上げるのが大変なんですとか、いろいろな御要望をいただくところでございます。

 公共工事、整備局で今しっかり力を入れていただいていまして、これを地方公共団体に広げていく、あるいは民間の工事、これがなかなか、非常に難しい課題ではありますけれども、こうしたものも含めて対応するためには、やはり建設業法の改正というのもどうしても必要だというふうに私も思っておりますので、しっかりと対応をぜひこれからもしていっていただければ、このようにお願いを申し上げます。

 続きまして、また道路に関連するお話でございますけれども、道路の舗装工事を進めてほしいというお話でございます。

 確かに、道路というのも、新しい路線を整備するというのは非常に、予算もつくというか、こういうところが光が当たるわけでございますけれども、どちらかというと維持管理に近いこうした舗装というかこういうものについて、そういうものに比べると、公共事業の予算がやはり頭打ちになる中で、なかなか進まない。しかし、現場では、事故などにも直結をするために、早く進めてほしい、こういうお声もあるわけでございます。

 例えば私の地元のすぐ近くでございますと、伊丹市内でこうした要望を何点かいただきました。例えば、尼崎池田線の伊丹消防署前から伊丹四丁目、鋳物師三丁目から市境のところまで、あるいは寺本伊丹線の昆陽六丁目から千僧の六丁目、あるいは伊丹停車場線、これを全線舗装工事をしたい。

 やはり、なかなか、予算の制約がありまして思うように進まないというのが現状だというふうに伺っておりますけれども、何とかこれが進んでいくようにしっかり推進をしていただきたいというふうに思っております。

 現状の取組についてお伺いができればというふうに思います。

池田政府参考人 地方公共団体で管理されている道路の舗装の修繕への支援につきましては、現在、地方公共団体からの要望を踏まえ、防災・安全交付金により支援をしているところでございます。

 また、舗装修繕のうち、舗装の表層の補修及び簡易アスファルト舗装に係る補修につきましては、防災・安全交付金のほかに、地方単独事業に対する地方財政措置がございます。この防災・安全交付金及び地方財政措置につきましては、引き続きしっかりと規模の確保もしていきたいと思っております。

 伊丹市内の今御指摘の地方公共団体管理の道路補修につきましても、これらの制度を活用して、国として必要な支援をしてまいりたいと考えております。

中野分科員 ありがとうございます。

 やはり安全に直結をするということで、ぜひお願いができればというふうに思っております。

 続きまして、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というものがございまして、私の地元も、伊丹空港がすぐ近くにあるということもございますので、こうしたいわゆる空港の騒音問題対策というか、こういう関連のさまざまな助成制度というものもございます。

 確かに、非常に空港に近い、あるいは飛行機の経路に近いところでございますと、騒音もかなりの大きさでございまして、私も、市内を動いておりましても、外に出ると意外と飛行機の音が非常に大きくて、やはり、近いと騒音というものがかなり大きいなというふうに日々実感をするところでもございます。

 そうしたこともございますので、エアコンの例えば設置の工事、こういうものについても助成がございます。この制度につきましては、更新につきましても助成をしているということでございまして、三回目の更新の工事というものもやっているということであります。大体十年ごとぐらいに更新だというふうにも聞いておりまして、三回目の更新工事というのも始まって、十年というのもある程度見えてきたという状況にもございます。

 地元の方からは、やはり制度の拡充、例えば、今、二回目の更新工事を終えた後、三回目の更新工事は一人世帯に対してはやらないというふうなことがありましたり、四回目につきましては、特に今何も決まっていないというふうなこともございまして、いろいろな拡充の御要望もいただいているというふうな状況でもございます。

 大阪国際空港、伊丹空港の近隣のさまざまな市からこういう要望もあるというふうに承知をしておりまして、また、こうした声もさまざま受けとめながら、今後もこの制度のあり方について国交省としてしっかり検討していっていただく必要がある、このように思いますけれども、答弁いただきたいというふうに思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 空調機の更新工事につきましては、自治体等からの強い御要望を踏まえまして、国土交通省におきまして、平成二十二年度から更新三度目の制度というのを創設をいたしまして、現在それを進めているところでございます。

 ただ、その制度の創設に際しましては、空調機のいろいろな普及状況などを始めといたしまして、社会経済情勢の変化に伴い、その必要性も含めて大変厳しい御指摘などもあり、その際の大幅な見直しを求められたところでございます。

 その結果、やむを得ないこととなりましたけれども、対象の一人世帯の縮減であるとか、あるいは、全体の補助率の低減といったような経緯もございます。

 今後更に四度目も含めました更新制度のあり方につきましては、そうした経緯あるいは関係者の皆様の御意見、それぞれ幅広く伺いながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

中野分科員 さまざまな経緯も含めて御説明もいただきました。しっかりいろいろな声も受けとめながら検討ということで、ぜひお願いをしていきたいというふうに思います。

 最後に、ことしの一月にも大臣のところにも兵庫県の関係の事業ということで要望にも行かせていただきました、尼崎市内の街路の整備につきましてお伺いをしたいというふうに思います。

 街路の事業というのは町の活性化に非常に重要な事業でもございますけれども、この街路事業というのが、進めていくに当たって、町中の道路をつくっていくということで、非常に事業費もかかるところもございまして、なかなか進まないという現状もございます。

 そして、例えば尼崎市内であれば、園田西武庫線、今、御園の工区、藻川の工区、それぞれで進めておりますし、あるいは尼崎宝塚線の阪急立体工区、あるいは尼崎伊丹線の阪神尼崎のところの工区、この三カ所につきまして、今街路の整備をしているところでございます。

 これもしっかり進んでいくようにぜひお願いをしたいというふうに思いますけれども、その進捗状況につきましてお伺いをしたいというふうに思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 尼崎市内におきましては、兵庫県が事業主体となりまして、都市計画道路園田西武庫線、尼崎宝塚線、それから尼崎伊丹線の事業が推進されているところでございます。

 まず、園田西武庫線につきましては、これは大阪府境から西に延びる幹線道路ということで、周辺道路の慢性的な渋滞解消を目的に整備を進めていただいているというふうに伺っております。

 用地買収も順調に進んでございまして、現在、鉄道交差部、それから藻川の橋梁などの本体工事を実施している、こういう状況にございます。

 次に、尼崎宝塚線につきましては、尼崎市内を南北に通過をいたします幹線道路でございまして、災害時の避難、救助、それから物資供給のための緊急輸送道路に位置づけられておりますと同時に、通学路指定もされているというような路線でございます。

 尼崎市内の状況でございますが、お話しございました阪急立体工区につきましては、鉄道をまたぐ橋梁の前後の擁壁工事に今後着手という段階まで来ているという状況にございます。

 それから、三点目でございます尼崎伊丹線についてでございますが、これは国道二号と四十三号を南北に結ぶ幹線道路ということでございまして、これも、緊急輸送道路に位置づけられると同時に通学路指定もされているという路線でございまして、この路線につきましては、今年度から事業着手ということで、測量調査等を実施していただいている、こういう状況でございます。

 今申し上げましたこれらの路線の整備によりまして、都市内交通の円滑化、それから、緊急輸送道路、避難路などの機能強化、そして、歩行者、自転車の安全性向上に寄与するものというふうに考えてございまして、国土交通省といたしましては、社会資本整備交付金あるいは防災・安全交付金によりまして支援してきたところでございます。

 今後も、事業が着実に進捗をいたしましてさまざまなストック効果が早期に発現されるよう、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

中野分科員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて中野洋昌さんの質疑は終了いたしました。

 次に、加藤鮎子さん。

加藤(鮎)分科員 自由民主党山形三区の加藤鮎子でございます。

 質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 早速でございますけれども、地方創生や国土強靱化に欠かせない高速交通網、インフラの整備につきまして、また、クルーズ船につきまして、私の地元山形三区にかかわるところを重点的に質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、高速道路のミッシングリンクの早期解消についてであります。

 これにつきましては、これまでも、早期解消、整備促進の重要性につきまして継続的に訴えてまいりました。そのたびに、重要であるとの政府の見解も頂戴をしてまいりました。

 中でも、日本海沿岸東北自動車道の全線早期開通は私の地元住民の悲願でございまして、災害対策、緊急医療支援、物流効率化、地域間交流と観光振興、地方創生等々の効果が期待されている重要な路線でもございます。

 この日沿道のミッシングリンクの早期解消に向けまして、ますますの整備促進を図るべきだと考えておりますが、整備の状況の方はいかがでしょうか。特に、新潟県境部分につきまして、山形県側の方は残りわずかな距離となっているのでありますが、地形の隆起も激しい難所となっているので、このあたり、詳しくお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

池田政府参考人 日本海沿岸東北自動車道、全体で約三百二十キロメートルでございますけれども、新潟県、山形県、秋田県の日本海沿岸をつなぎまして、広域的な交流、連携の推進及び災害時のリダンダンシー確保の観点から重要な路線と認識をしております。

 これまでに全体の約七割、約二百四十キロが開通をいたしておりまして、現在は、残りの全区間、六区間で約八十キロにおきまして事業を推進しているところでございます。

 その中で、朝日温海道路の四十・八キロメートルの区間につきましては、新潟県と山形県の全区間で用地買収を推進しております。

 また、工事につきましては、山形県内の六・七キロ区間について、あつみ温泉インターチェンジのすぐ南側に近接いたします大岩川トンネル、一キロメートルのトンネルですけれども、掘削に着手をしたところであります。

 さらに、残る四つのトンネル工事についても順次着手をしていく予定にしております。また、改良工事や橋梁工事につきましても展開をしていく予定にしております。

 なお、山形県と秋田県の県境部につきましても、酒田みなとから遊佐、遊佐象潟道路の二区間約三十キロメートルにつきまして、全区間において用地買収、改良工事、橋梁工事を推進しているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御協力を得ながら、早期の完成に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 詳しく状況をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 引き続き、私の方も、地元の協力を得られることを呼びかけながら、ともに進んでいけることを期待申し上げたいと思います。

 次に、ウエストラインと呼ばれております国道四十七号線につきましての質問でございます。

 昨年の庄内、最上地方の豪雨によりまして、国道四十七号は、土砂崩れ等によりまして、複数箇所で、しかも数回にわたって通行どめが発生をいたしました。また、ことしに入ってからも、大雪により三時間の通行どめが発生いたしました。内陸部と庄内を結ぶ大動脈が寸断されてしまい、渋滞も発生し、流通や周辺の住民生活にも大きく影響が及びました。

 東北大震災の折には、被災地へと物品を運ぶ重要な命綱ともなりました幹線道路であります。さらに、酒田港から内陸部への物流の効率化による産業振興や、酒田港に寄港するクルーズ船のツアーエリアの拡大による観光振興等の効果も大きく期待されております。

 一日も早い全線開通が期待されるところでありますが、地域高規格道路の酒田石巻道路の整備状況の方はいかがでしょうか。

池田政府参考人 国道四十七号の新庄酒田道路、約五十キロメートルの区間でございますけれども、山形県の内陸部と酒田港を有する沿岸部を結んで、山形県の経済、社会を支える重要な路線であると認識をしております。

 これまでに全体の約四割、二十キロメートルが開通しまして、現在、新庄古口道路、高屋道路の二区間約九キロメートルにおいて事業を推進しております。

 そのうち新庄古口道路につきましては、昨年七月十五日に二・二キロが部分開通いたしました。残る六キロ区間についても、現在、改良工事、橋梁工事を推進しており、間もなく新庄市と戸沢村にまたがります岩清水トンネル約九百メーターの掘削に着手をする予定にしております。

 引き続き、早期の完成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 新庄古口道路の推進を進めていただきまして、感謝を申し上げます。また、トンネルの掘削に着手することによって、地元の方々にも目に見えて進捗が見えて、非常に安心感があるんじゃないかなと思っております。

 そのウエストライン、国道四十七号の中で、新庄古口道路より少し西側の戸沢―立川間の調査についてお伺いをいたしたいと思います。

 戸沢―立川間は、急峻な斜面と最上川に挟まれた場所にありますため、土砂崩れの冠水被害のリスクに加えて、交通事故も多発しております。冬の期間は、北側の斜面で路面凍結や地吹雪などが発生しまして、交通障害のリスクもございます。しかし、現時点では計画段階評価にも入っておらず、地域の方々は、国はしっかり進めてくれるのだろうかと心配をしております。

 戸沢―立川間の調査についての現状をお聞かせください。

石井国務大臣 新庄酒田道路につきましては、戸沢村から庄内町の間で約二十キロが未事業化区間となっております。

 このうち戸沢―立川間の約五キロにつきましては、急カーブの箇所も多く存在をし、交通上の課題が多い区間であることから、速やかに概略ルートや構造の検討に着手してまいりたいと考えております。

 残る区間につきましても、事業を実施している区間の工事の進捗状況を踏まえながら、今後の整備方針について調査を進めてまいりたいと存じます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 概略ルートのことや、また、構造の方を決めるのを進めていくために調査の方を速やかに着手していきたいという大変前向きな御答弁をいただきましたことを、心から感謝申し上げます。ぜひよろしくお願いいたします。

 この地域は、昨年二度にわたる水害からの復興を今まさに乗り越えようとしている地域でありまして、その地域住民の皆様のためにも、力強く推し進めていただきますことをお願いいたしたいと思います。

 また、これは質問というよりも意見、要望となりますけれども、高屋道路の東端と新庄古口道路の西端の間、ここで先日、大雨による通行どめが発生いたしました。この区間も戸沢―立川間と同じく未調査区間でありますが、こちらはまだ区間の名前すらもついていない状況でございます。

 将来的にどのようなルートになるかの概略も決まらないうちは、災害復旧で、近くでこの間壊れたばかりの橋を直すこともなかなか容易でないということで、県も事を進めにくい状況にあるようですので、まず立川―戸沢間が先であるということは承知の上で、ぜひともこちらも推進していただきますことをあわせてお願いを申し上げたいと思います。

 さて、日沿道やウエストラインは、これまで述べてきましたように、産業の振興等を担う非常に重要な路線でございます。特にウエストラインは、酒田港における国際海上コンテナ貨物取扱量の過去四年間の大幅な増加に伴い、通行するコンテナもふえておりますし、また、東日本大震災の際には、先ほど申し上げたとおり、災害緊急時の救援活動にも貢献した路線であります。また、日沿道も、縦軸として新潟県の商圏と庄内地域を結ぶ、非常に重要な物流機能を担っております。

 これらの重要性を踏まえまして、日沿道及びウエストラインは重要物流道路の指定を受けるべきと考えますけれども、国土交通省の御見解の方をお願いいたします。

池田政府参考人 平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するために、昨年三月に道路法を改正いたしまして、重要物流道路の指定により、災害時の国の支援強化などを図る制度を創設をいたしました。

 新庄酒田道路及び石巻新庄道路は、日沿道を始めとする四つの南北軸の高速道路を連絡し、酒田港と石巻港を結ぶ物流上重要な路線であるというふうに認識をしております。

 また、この新庄酒田道路などは、四つの南北軸の高速道路を連絡することになりますので、災害時においては、ネットワークの代替機能の向上に大きく寄与すると認識をしております。

 重要物流道路の指定でございますけれども、今年度末を目途に供用中の道路について指定をする予定でございます。日沿道や新庄酒田道路及び石巻新庄道路などの事業中や計画中の路線の指定につきましては、来年度に検討をしていく予定としております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 供用がされているところと事業中のところ、未事業化のところ、さまざまむらがあるのが今の国道四十七号でございますけれども、供用されているところから順次決まっていくことによりまして、この地域におけるこの路線の物流上の重要度を国が認めてくれているということを地域の方々も知ることができて安心感もありますし、また、少しでも使い勝手がよくなっていくということはありがたいことでもございます。

 段階的ではありながらも、ぜひとも最終的には全部が指定になるように、ぜひお力添えを、特段の御高配をいただくようにお願いをしながら、次の質問に移りたいと思います。

 なお、先ほどちょっと日沿道のことで質問した際に、最後、つけ加えて御要望を申し添えたかったのが、特に日沿道の県境部分、新潟県境の部分におきましては、たくさん距離の残っている新潟県側の整備の方も、私は山形県選出でございますけれども、こちらも、つながってこその道路ということでありますので、何とぞ御高配賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。

 重要物流道路におきまして、日沿道の方は、一応通告の中にちょびっとは入っていたと思うんですけれども、日沿道の見通しの方はお聞かせいただけますでしょうか。

池田政府参考人 重要物流道路の指定でございますけれども、日沿道の方も、新庄酒田道路と同様に事業中でございますので、来年度の検討の範疇に入る予定で考えております。

加藤(鮎)分科員 わかりました。

 では、割と細かくぶつ切りというよりも、結構大くくりで、その中に未事業中のところがある場合は来年度に行く場合が多いという認識で、その中に日沿道も含まれると認識をさせていただきました。ありがとうございます。

 次に、今度は空港の方の質問に移らせていただきたいと思います。

 庄内空港の機能強化についてお伺いいたします。

 私の地元にございます庄内空港におきまして、国際チャーター便等の就航促進を図るため、また、冬の期間の滑走路の凍結や悪天候のもとでの強風の中であっても安全に離着陸を行えるようにして就航率を上げるためにも、滑走路の延伸が必要だと地元の方々からの強い要望がございます。

 チャーター便等就航促進のため、あるいは、就航率を上げて機能を強化し、使い勝手のいい空港とするために、滑走路の延伸に今後どのように取り組むべきか、国交省の見解の方をお聞かせください。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 明日の日本を支える観光ビジョンが定めます訪日外国人旅行者数二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人の目標達成に向けましては、地方の空港におけるインバウンド受入れ機能向上による誘致促進が重要であると認識しております。

 その上で、滑走路の延伸の実現に向けましては、事業の必要性、費用対効果、周辺環境への影響などについて十分な検討を行うとともに、関係者間の合意形成が重要であると認識しております。

 また、庄内空港では、とりわけ昨年度、例年よりも大雪や強風による欠航が多く生じたということは認識をいたしております。

 こうした欠航を解消するため、まずは地元におきましてその原因をしっかりと把握し、例えば、気象監視体制の充実や除雪体制の強化など、必要な対策を講じることが有効と考えております。

 設置管理者であります山形県におかれましても、滑走路の延伸に向けた検討を始めようとされているということは承知をいたしております。

 国土交通省といたしましても、地元での検討に対しまして、技術面に関する助言等の支援、協力を行ってまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 庄内空港につきましては、二〇一二年の冬にオーバーランという大変背筋が凍るような事故もございまして、地域の方々は大変心配をしております。

 そして、除雪体制等々も、比較的東北のエリアでは機材の方も設備をして、県の方も努力をして、除雪の体制もかなり強化をされておりますが、それにおきましても、やはり滑走路の凍結等や、あと、強風にやはり庄内は大変見舞われることがあります。

 着いたはいいけれども、上空を二周、三周回ってトライをするんだけれども、着陸できず、また上がって、そして、あげくの果て東京にまた戻り、三時間何だったんだろうということが起こるという、これが頻発するのが庄内空港の悲しいところでございまして、少しでも着陸しやすい空港としていただきたいなということもあわせてお願いをしながら、次の質問に移りたいと思います。

 羽田の発着枠の検討についての質問でございます。

 昨今、庄内空港へのLCCの就航が現実のものとなりつつございまして、地域の方々は利便性の向上に大きな期待を寄せております。この新たな路線は庄内―成田間を就航すると見込まれておりますし、また、羽田空港に関しては発着枠というものがあって、既にそれがいっぱいで、成田空港の方がより庄内空港との新規就航等には希望が持てるということは伺っているところでございます。

 しかし、地域の方々からも、ぜひ羽田もLCCで行けるようにしてほしい、あるいは、現在就航している庄内―羽田便、これも引き続きぜひLCCが入った後も維持をしてほしい等の声がございます。

 最終的には各航空会社の経営判断によるところであるのは存じておりますけれども、羽田空港の発着枠のあり方について今後検討される予定があるのかということ、また、その検討の際には地方路線の重要性をぜひ加味していただきたいと考えておりますが、そのあたりの国交省としての御見解についてお聞かせください。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、我が国の国際競争力を強化する観点で、訪日外国人旅行者数の目標値の達成、あるいは東京オリンピック・パラリンピック大会の円滑な開催等の観点から、首都圏空港の機能強化に取り組んでおります。

 羽田空港につきましては、飛行経路の見直しなどによりまして、二〇二〇年までに年間四万回、一日当たり約五十便の発着枠を拡大いたしまして国際線に活用することで、羽田空港の利用増加を図ってまいりたいと考えております。

 他方で、国内線の発着枠の配分のあり方につきましては、先月三十日に羽田発着枠配分基準検討小委員会というのを設けまして、専門的、技術的見地からの検討を始めたところでございまして、本年夏ごろの取りまとめを予定をいたしております。

 国土交通省といたしましても、国内の地方航空ネットワークの維持拡充は、地域活性化や地方創生の観点からも重要であると考えておりまして、先生御指摘のとおり、地方路線の重要性も踏まえながら、羽田空港の発着枠の配分のあり方を検討してまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 地方路線の重要性を加味しながらの御検討というお声を聞かせていただきまして、大変心強く思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、クルーズ船につきましての質問に移らせていただきたいと思います。

 クルーズ船の寄港が徐々に我が国に定着をしてきております。

 私の地元の酒田港でも、昨年度はコスタ・ネオロマンチカ、今年度はダイヤモンド・プリンセス、そして来年度はMSCスプレンディダと大型のクルーズ船が続々と寄港する予定で、寄港数も年々ふえてございます。

 これらの船は、いずれも日本を発着するクルーズ船でございまして、日本人のクルーズ旅客に加えまして、欧米などから一旦日本の国土にフライトでいらっしゃって、そこからクルーズで出発するという訪日旅客の方、そういった方々が主な客層となっております。

 昨年は、中国マーケットが一時的な調整局面に入って、日本全体としては数が伸び悩んでおりましたけれども、こうした中にあっても、日本を出発して日本に到着する日本発着のクルーズは着実に成長しているというふうに聞いております。

 酒田港のように、例えば北九州の博多港などと比べて地理的に中国から離れた港湾へのクルーズ船の寄港は、こうした日本人や欧米人を対象とした日本発着クルーズがメーンでありまして、クルーズ船の寄港による地方創生効果を全国津々浦々に波及させる観点からは果たす役割が大変大きいのではないかと考えておりますが、この点につきまして、国交省の方ではどのように評価をいただいているところでしょうか。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のありました日本発着クルーズでございますが、近年、外国船社の相次ぐ市場参入により増加をしてございます。昨年の寄港回数は、対前年度比一一%増ということで五百三十七回を記録し、過去最高となりました。

 一航海当たり我が国の港にどのぐらい寄港するかという観点で比較をいたしますと、東アジア発着クルーズの場合、日本の港には大体一港ないし三港程度寄港をいたします。これに対しまして日本発着クルーズの場合は、四港ないし七港と数多くの日本の港に寄港するということになりますので、委員御指摘のとおり、地方への波及効果が非常に大きいと言えるかと存じます。

 また、一回の航海で日本各地の祭りをめぐるクルーズでありますとか、世界遺産を含め、日本の景勝地をめぐるクルーズ、あるいは日本の文化に深くなじんでいただくようなクルーズなど、いろいろなクルーズサービスを展開することができる可能性が高いのがこの日本発着クルーズでございます。

 また、加えまして、日本発着クルーズは、委員の御指摘にもありましたが、フライ・アンド・クルーズということで、外国人が日本に飛行機でやってきてクルーズ船に乗るまでの前後の観光事業も期待できる。あるいは、クルーズ船に対して、発着港でございますので、船用品の供給などによる幅広い経済効果も期待できるということで、国土交通省といたしましても、日本発着クルーズの拡大に大変期待を寄せておるところでございます。

 引き続き、港湾管理者などと連携しながら、ハード、ソフト一体となった受入れ環境整備を積極的に推進することで、日本発着クルーズを伸ばしてまいりたいというふうに考えてございます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 まさに日本発着クルーズは、非常に地方創生にも資する、また、経済効果も期待できるクルーズだと思いますので、ぜひ進めていただきたいというふうに思っております。

 そして、日本発着クルーズにまつわって、こう思います。

 昨今では、訪日外国人の急増と旅行形態の変化によって、以前のように団体で電気製品や医療品を爆買いするというような観光のスタイルよりも、より日本に対する興味、日本らしいものに対する関心が移ってきておりまして、多様化の方も進んでおります。

 その中において日本発着クルーズ船は、今おっしゃられたとおり、国内の港を数多くめぐることから、それぞれの地域ならではの特色を比較することもでき、より特色ある体験を提供することができるということで、まさにうってつけのツールではないかというふうに思っております。

 例えば私の地元の酒田港では、城下町あるいは北前船の寄港地としての歴史文化、鳥海山を望む勇壮な景色、米やサクランボなどの自然の恵み等、地元ならではのすばらしいコンテンツがそろっておりまして、海外からのお客様にも喜んでいただけるものだと確信しております。

 せっかくお越しいただいたクルーズ旅客の皆様に、こうした地域ごとに違いのある独自性あふれたコンテンツに直接触れるような体験を提供することによって、各寄港地や日本発着クルーズへの評価が高まって、観光の消費も拡大をして、経済効果が高まっていくことを期待をしたいと思っております。

 この経済効果をより高めていくための、地域の経済効果を高めていくために、国交省として、更に踏み込んだ取組といったもの、講じるべき策として今どのようなことに取り組まれているか、お聞かせください。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 旅客のニーズの変化に応じて寄港地観光プログラムをしっかり需要に対応したものに変えていく、あるいは創意工夫をしていく、あるいはニーズの多様化に応じて上質化させていく、こういう取組が、訪日クルーズ旅客の満足度を向上し、継続的なクルーズ船の寄港実現でありますとか地元への経済効果の拡大につなげるために非常に重要であるというふうに認識をしてございます。

 このため、国土交通省では、上質で多様な寄港地観光プログラムを造成することを目的といたしまして、クルーズ船社と各寄港地の意見交換会を開催してございます。これを受け、委員御地元の酒田港を含め、幾つかの港で新たなプログラムの具体化が現在進んでおると承知をしてございます。

 こうした取組に加えまして、待合施設でありますとか無料WiFiの環境、あるいは案内板の多言語化等でありますとか、受入れ環境の整備を推進してまいりたいと考えてございます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 需要と供給のマッチングのところにも手を差し伸べていただきまして、大変ありがたいなと思ってございます。

 ぜひ、特に地方の方では、海外の方々の心に刺さるような旅行商品をつくっていくに当たって、地元だけではなかなかできないところも、さまざまな人脈やマッチングをいただいたことで話が進んでいく、また、より魅力的な商品をつくり上げていくということが可能になると思いますので、引き続きの御支援をいただきたく、よろしくお願いをいたします。

 本日は、道路関係や空港関係、日本発着クルーズ船関連と、多岐にわたっての質問をさせていただきましたが、いずれも地元の皆さん方の関心の高い項目ばかりでございますので、今後も注意深く見守って、注視してまいりたいと思います。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて加藤鮎子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、宮崎政久さん。

宮崎分科員 自由民主党の宮崎政久です。

 朝の八時から始まりました分科会の質疑、最後の一時間となりました。大臣始め、また御関係の皆さん、本当にありがとうございます。

 私は昨年の十一月にこの衆議院議員に復活をさせていただきました。改めてこの予算委員会の分科会で質疑に立たせていただくこと、本当に光栄に思っております。支えていただいている地元の皆様への感謝の気持ちを改めて胸にいたしまして、きょうは、私の地元沖縄の課題解決のためにこの質疑の時間を全て使わせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは沖縄西海岸道路についてお尋ねをいたします。

 この西海岸道路は、沖縄本島中南部の交通渋滞の緩和に大変有意義な道路計画であります。車社会である沖縄では、交通渋滞の緩和は、生活の利便性を高めるだけではなく、物流事業の効率化、また、産業的には沖縄の観光振興に大きく寄与をしております。

 この西海岸道路計画の北側の最終は読谷村になっております。先週末も、プロ野球のキャンプであるとか、年に一回のやちむん市という、焼き物、陶器ですね、やちむん市というものが開催されまして、多くの人出でにぎわいました。私も、東京の議員会館で使う湯飲みをやちむん市で購入するというのが毎年やっておることですから、ここに行ってまいった次第でございます。

 しかし、観光で沖縄に来て読谷に宿泊をされる皆さんが那覇空港から帰るに当たって、渋滞に巻き込まれて飛行機に乗りおくれたら大変だということで、実に、朝早くから那覇空港のある那覇市に向かって移動を始める、こういう現実があります。読谷のホテルではレンタカーのお客様には、二時間半から三時間くらい前には出発をしてくださいというアドバイスをすることも多いのが現実なんです。

 そうすると、実はお昼過ぎのフライトであったとしても、飲食店や土産物店がお店を開く前にもう読谷を出てしまうということになってしまって、地元で買物もしていただくことが難しいという現実があります。

 そういったこともありまして、この西海岸道路に対しては、地元の期待は大変大きい状況にあります。

 昨年の三月十八日、この沖縄西海岸道路の一部であります浦添北道路と臨港道路浦添線が開通をしました。浦添市では、国道五十八号線の渋滞解消は、もうこれは目をみはるものがあります。

 それまで、例えば朝の通勤時間帯は、国道五十八号の渋滞を避ける車両が生活道路にも入ってきまして、例えば、子供たちの通学の時間帯にも抜け道の車両がこの生活道路の中にも入ってくるという状況でありましたが、この道路開通によって、ぱたっと生活道路への進入はなくなりました。地元では、もう大いに感謝をしているところであります。

 私も何か感謝の気持ちをあらわそうと思って、地元浦添市のうらそえ織のネクタイをきょうはしてまいった次第でありまして、地元の思いというのは、本当に大変感謝をしているところであります。

 しかし、まだちょっと足りないところがある。この浦添北道路というのは、計画では六車線なんです。これを現在は暫定二車線で開通をしていただいておりまして、片側一車線であるということもありまして、現在はもう既に朝夕渋滞が激しくなってきているという状況です。

 そして、更に新しい事情が発生します。ことしの夏、この浦添市の西海岸部分に県内最大のショッピングセンターが開業いたします。店舗面積は六万平方メートル、駐車台数は三千八百台という広大な駐車場がもう建っております。これは全て県内最大です。新しい交通需要が発生するという事態になっております。

 当然、そのさばきをしないといけないわけでありますけれども、この西海岸道路は抜け道がありません。前は海、後ろはまだ返還されていないキャンプ・キンザーであり、抜ける道がないわけです。海岸に面していますので、防災の観点からも、十分な交通量の確保が必要になります。

 そこで、この暫定二車線の浦添北道路の、本来計画化されている六車線化に向けて急がれるところでありますが、まず、この浦添北道路について、現状でも既に渋滞をしているんだ、こういうことを御理解いただけているかどうか、そして、今後、沖縄西海岸道路全体の整備計画についてどのように進めるお考えか、石井国土交通大臣からお考えを聞きたいと思います。

石井国務大臣 沖縄西海岸道路は、西海岸地域の交通渋滞の緩和、物流の効率化及び観光振興などを目的といたしまして、読谷村から糸満市に至る約五十キロの地域高規格道路であり、現在までに約十五キロが開通をし、八・二キロが事業中であります。

 事業中である那覇北道路につきましては、通過する那覇港の管理者と移転物件等の協議を行っております。また、読谷道路は、用地買収及び橋梁の上下部工事を実施をしているところであります。

 さらに、暫定二車線で供用しております浦添北道路につきましては、現在、朝夕ピーク時を中心に時速二十キロ以下となるなど、速度低下が発生をしております。

 今後更に多くの交通需要が予想されており、渋滞の悪化が懸念されるため、六車線化につきまして、周辺開発状況や交通状況等を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。

 引き続き、地元の御意見を踏まえまして、御協力をいただきながら、沖縄西海岸道路の整備を推進してまいりたいと存じます。

宮崎分科員 ありがとうございます。

 やはり道路整備は、その需要が必要であることはもちろんであります。今、石井大臣みずから、この開通をしていただいた浦添北道路に関しては既に渋滞の事実があるということを御認識いただいているということを御答弁いただきました。

 地元では、それも踏まえてこの沖縄西海岸道路全体の整備について大変強い要望がございますので、私もこれから一緒になってこの整備を進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、今の浦添北道路と同じく、昨年平成三十年の三月に開通をいたしました臨港道路浦添線の渋滞についてお尋ねをさせていただきます。

 臨港道路の開通もありまして、先ほど申し上げたような、国道五十八号線の渋滞緩和が大きく進んだということは事実であります。

 ただ、この臨港道路につきましては、実は開通当初から渋滞が発生をしておりまして、宜野湾、浦添方面から那覇向けに、これは南行きといいますけれども、南行きに進行しますと、ちょうど出口に当たる部分のところが、なうら橋交差点というのがありまして、その先に曙交差点というものがございます。この二つの交差点の形状が、実は、この新しく開通をした車量の需要にちょっと合っていないというふうに地元では認識をしています。

 最初のなうら橋交差点は、右折レーンが短いんです。この右折レーンが短いことが原因で渋滞が生じてしまう。次の曙交差点は、進行方向二車線で行くんですけれども、右側車線が交差点になると右折レーンになってしまいます。そういう事情がありまして、交差点が近づくと、合流をしないといけないものですから、この合流が原因で渋滞が発生する。

 こういったことになっておりまして、これは既存道路であったわけであります。そこに今の臨港道路浦添線が開通をして接続をしたということになるものですから、地元の方では、大きな交通需要が新たにできたので、交差点改良をぜひしてもらいまして、この渋滞への対応をしてもらいたいと考えております。

 そのためには、交通量の確認というものを当然速やかに着手していただかないといけないわけであります。せっかく開通をしましたこの沖縄西海岸道路が機能を十分に果たせるように、交差点改良に向けて具体的な取組をしてもらいたいと思っておりますけれども、港湾局のお考えを聞きたいと思います。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありましたなうら橋交差点及び曙交差点は臨港道路一号線にある交差点でございますが、那覇港の物流や人流を支える重要な路線がこの臨港道路一号線でございます。

 両交差点につきまして、平成三十年四月、開通直後でございますが、交通量調査を行ったところ、ともに二百五十メートル程度の渋滞延長を確認をいたしました。

 この結果を受けまして那覇港管理組合と沖縄県警が協議を行いまして、平成三十年八月に曙交差点の信号表示のサイクルを変更をいたしました。南北方向に長くする変更でございます。この変更によりまして曙交差点の渋滞は減少をいたしましたが、いまだに両交差点における渋滞は残っておる状況でございます。

 こうしたことから、本年八月までに曙交差点以北の交差点につきまして交通信号感知器を設置をいたしまして、渋滞延長に応じて信号表示のサイクルを自動的に変化させることで渋滞の緩和を図りたいということから、那覇港管理組合と沖縄県警とで連携をして現在対応を進めておるところでございます。

 加えまして、国土交通省といたしましては、委員の御指摘にもございましたが、この交通信号感知器の効果も確認しながらではございますが、右折レーンの延長、拡幅、こうした交差点改良を抜本的に行っていく必要があると認識してございますので、必要な対策を検討してまいりたいと思います。

宮崎分科員 ありがとうございます。

 今の御答弁は地元としても大変ありがたいことであります。今、お話では、本年八月をめどとして信号感知器を御設置いただけるという、そこで信号サイクルをしっかり見ていただくということになるんだと思います。

 もちろん、交差点の要するに形状改良というのは、当然それなりに時間も要するところであります。予算措置も必要になってくる。まずはできるところからやっていただけるという意味では地元としても非常にありがたいわけでありますし、また、そのサイクルを変更することによって、この渋滞の量は大きく緩和に向けていろいろな手がとれると私たちも思います。こういったことを今御説明いただいたことは感謝を申し上げます。

 そして、今、下司局長の御答弁にもありましたけれども、その先の本質的な変更についてもぜひ御検討賜りたいというふうに思っております。この交差点形状を変えればうまくいくであろうということも地元で大きく声が上がっているところであります。

 私も、この点もしっかり、一緒になって地元の皆さんの利便性の向上のために頑張ってまいりたいと思っております。

 次は、那覇港港湾計画の浦添埠頭のいわゆる西海岸開発についてお尋ねをいたします。

 那覇港湾のうち浦添埠頭地区につきましては、沖縄の基地負担軽減の関係から、那覇軍港の浦添移設と密接に関連しながら、港湾計画の変更を含めて事業を進める必要がございます。実際、これがなかなか進んでいないという実情があります。

 ことしに入りまして浦添市の松本哲治市長と沖縄県の玉城知事が会談をしまして、これからのスタートラインの確認というものをしました。これは報道にも出ております。

 これは三点ありまして、建設される施設は新基地ではなくて代替施設であるということ、この作業が那覇港湾区域内の移動であること、そして三つ目ですけれども、埋立行為は自然破壊を伴うけれども、経済波及効果や産業振興の将来性を考慮すればやむを得ないものであること、この三点を確認をするということでありました。

 具体的な計画をどうするかということをやる前にスタートラインを基本合意するということは、非常に、後でスムーズに進めるためにも重要でありますので、この手続、那覇市も加えて三者合意まで進んでいくと思います。しっかりやっていく必要があるわけですが、問題は、私はその先だと思っております。

 地元では早期に事業化を求める声が大変大きいわけでありまして、具体的なところをどうやってつくっていくかというところを考えないといけません。沖縄全体の基地負担のために那覇軍港の代替施設を浦添で受け入れるということについては、二年前の浦添市長選挙でも市民の皆様の御理解をいただいたところであります。

 受入れ側の浦添市はいわゆる南側案というものを求めておりますけれども、形状の確定などは、受入れ側の意向を踏まえていただくことはもちろんですけれども、細かいところもありますので、専門家の協議を十分活用することが早期の事業化のためには有益であると私は考えています。

 そのためには、実は那覇港管理組合には長期構想検討委員会というものがありまして、ここが担うということもあり得るんじゃないかと私は思っていますが、ちょっとまずこの長期構想検討委員会、現状どうなっているのか、御説明いただきたいと思います。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 那覇港長期構想検討委員会につきましては、那覇港の新たな港湾計画の内容を議論するため、港湾管理者である那覇港管理組合が設置をいたしました。

 平成二十五年二月に第一回が開催されましたが、その後、平成二十八年三月に第四回が行われました。それ以降開催されていないと承知してございます。

宮崎分科員 この長期構想委員会、ちょっと設置要綱というものを読んでみたんですけれども、この設置要綱によりますと、「港湾利用を計画的、効率的に推進するための」、途中略して、「長期構想案の策定を目的とする。」というふうに書いてあります。そうしますと、西海岸の開発に当たって、埠頭の形状やスケールなどを専門的な視点で長期構想委員会から意見を述べてもらうのは十分可能じゃないかなと思うわけであります。

 もちろん、前提として、沖縄県、那覇市及び浦添市が三者一致して、長期構想検討委員会で検討して回答するようにということで委託することが必要だと思いますけれども、長期構想検討委員会というのは、港湾計画の変更などを含めて速やかに検討して、答申という形で具体的なこと、例えば形状とかスケールなど、一定の専門的知見から見解を明らかにするという作業を担ってもらうことが可能なのかどうか。御説明いただければと思います。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の那覇港の港湾計画でございますが、平成十五年二月に作成されまして、同計画に基づいて、現在、那覇港の港湾機能の強化を図っておるところでございますが、那覇港を取り巻く環境は大きく変化をしてございます。

 外内貿を中心として貨物量の増加でありますとか、クルーズ船の急激な増加、こういった課題に対応する将来の那覇港のあり方を検討する必要があると考えておりますので、早急に港湾計画の改定をしていく必要があると認識してございます。

 この港湾計画の改定に当たって、長期的な那覇港のあり方を議論する、まとめていくのが、この那覇港長期構想検討委員会の役割と認識してございます。

 したがいまして、那覇港の長期構想についての議論が進むということは、国土交通省としても非常に重要な問題であるというふうに認識をしてございます。委員御提案の方法は、現在膠着状態にある議論を前に進めるための有効な選択肢の一つではないかというふうに考えます。

 国土交通省といたしましては、地元の意向を確認しつつ、那覇港長期構想検討委員会の実施主体でございます那覇港管理組合に対し、技術的助言を行うなど、必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。

宮崎分科員 ありがとうございます。

 地元の意向は非常に強くて、この西海岸開発、やはり進めていこうと。いろいろな意味があるんですけれども、やはり沖縄の将来づくりという意味では、例えば基地負担の軽減を進めていくということもそうでありますけれども、例えば浦添市であれば、ここに例えば西向きのビーチをしっかりつくって、多くの皆さんにここに集っていただく。空港からわずか五分、十分の距離で、大きな自然もたくさん残っている。イノウといって、浅瀬に生き物がたくさんいる、非常にすばらしい海があります。

 こういうものを活用していきながら、自然環境にも十分配慮をした形でこの西海岸整備を進めることは可能でありますので、どうかこのような方法も含めて、西海岸開発を進めるということが今一番重要なキーワードだと私は思っておりますので、地元の皆さんと一緒になって進める西海岸開発ということで頑張っていきたいと思っているところでありますので、どうぞまた専門的な御支援も賜りますように、改めてお願いを申し上げます。

 次に、沖縄自動車道の特別割引制度の延長という問題について伺いたいと思います。

 鉄道のない沖縄県におきましては、沖縄自動車道は唯一の高速移動手段でありまして、沖縄本島を南北につないで、県民や観光客の皆さんの移動の便益を提供して、また、産業という面では、物流においても重要な役割を果たしております。

 沖縄自動車道では、道路整備特別措置法に基づく国土交通大臣のNEXCO西日本に対する事業許可によって、平成十一年度から全線で三五%の特別割引措置が行われて、これが継続させていただいております。

 これは、沖縄自動車道の利用を活性化して、観光、物流を始め、県経済の活性化を図るほか、山原と言われる沖縄本島北部地域の振興にも寄与する、こういう効能もございまして、確かに、その割引制度が始まる以前と比較すると、沖縄自動車道の利用は確実にふえました。この制度によって所期の目的は実現できているというふうに言えると思います。

 そこで、平成三十年度末に期限を迎えるこの措置を継続して、さまざまな意味で沖縄振興をお支えいただきたいというふうに考えての質問であります。

 現在の沖縄自動車道の利用がこの割引措置によって定着をしておりますので、この特別措置の延長がなければ自動的に料金は三五%上がるということになりますので、そうすると、平成十一年以前に戻って利用者は少なくなっちゃうわけです。前は本当に少なかったです。非常に少なくなってしまうということが予想される。

 そうなると、沖縄本島中南部では一般道の渋滞が更に激しくなる、また、北部地域では車両が流入減少していくということで、沖縄の中では本島の南北格差なんという言い方をするんですけれども、この拡大も懸念されるところだと思います。

 この件、要請をさせていただいております。まずは、今週月曜日、二月二十五日に、自由民主党の県選出国会議員としまして、私と國場幸之助衆議院議員とで大塚副大臣のもとに要請に伺わせていただきました。昨日は、火曜日でありますけれども、沖縄県の経済三団体の皆さんが石井国土交通大臣のもとに要請に伺わせていただいております。また、きょう水曜日は、沖縄県の富川副知事も要請に出向いていると聞いております。

 改めてでありますけれども、この予算委員会の分科会で、沖縄自動車道の特別割引制度の意義、また、沖縄振興に果たしている役割を御説明をさせていただきました。その上でこの制度の継続をお願いしたいというものであります。

 もちろん、これは国費の投入ではありませんので、事業許可によって継続をお願いするものでございます。

 本日は、二日前に要請をさせていただきました大塚副大臣に御出席いただいておりますので、副大臣から力強い政府のお考えをお聞かせいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 名護市から那覇市を結ぶ延長約五十七キロメートルの沖縄自動車道は、沖縄本島を南北に縦貫し、沖縄の経済活動や暮らしを支える基幹的な道路であります。

 沖縄自動車道の通行料金につきましては、現在、ETC車、現金車を問わず、全車種約三・五割引としております。

 例えば、普通車が全線を利用した場合、千五百八十円の料金が千二百二十円に割引をされております。(宮崎分科員「千二十円」と呼ぶ)千二十円に割引をされております。

 この特別割引は、高速道路会社の負担のもと措置としております。平成三十一年三月末が期限となっております。

 先ほどお話にございました特別割引の継続につきましては、御要望の趣旨を重く受けとめ、今後、割引を実施する高速道路会社の意向も確認をしながら、検討してまいりたいと考えております。

宮崎分科員 大塚副大臣、ありがとうございます。

 もちろん、先ほど質問する際にも申し上げました、これは国費の投入ではないということは十分地元も理解しているところでございますが、三五%上げるというふうにやはり県民は受けとめると思うんです。

 今、この沖縄の振興のために沖縄自動車道が果たしている役割は非常に大きいものがございます。副大臣の、今、重く受けとめていただくというお言葉をいただきましたので、私ども、そのことをしっかり受けとめて、地元でもまたお願いに上がるなどのことを続けてまいりたいと思っておりますので、どうぞ御高配のほど、お願い申し上げるものでございます。

 それでは最後の質問をさせていただきたいと思います。最後は、普天間飛行場の危険性除去に関連する質問をさせていただきたいと思います。

 最近、私ども沖縄県内では、ちょっと何か誤った情報というか誤った言説が流布されていて、我々も困惑をしております。

 どういうことかというと、稲田防衛大臣が、辺野古に代替施設が完成しても、アメリカ側との協議、調整が調わなければ、返還条件が整わず、普天間は返還されないと言った。だから、辺野古ができても普天間は返されないと言ったんだというような趣旨のことを伝え聞いたというようなことを言う発言がよくある。これは全く誤った情報であり、間違っている言説であります。

 どういうことなのかということで調べてみました。調べてみますと、平成二十九年六月の参議院外交防衛委員会で、当時の稲田防衛大臣が、野党議員の普天間飛行場の返還条件についての質問に対して次のように答弁をされておられます。

 「仮に、この点について」、「この点について」というのは、その返還条件の一つのことを言っているわけでありますけれども、「仮に、この点について今後米側との具体的な協議やその内容に基づく調整が整わない、このようなことがあれば、返還条件が整わず、普天間飛行場の返還がなされないということになりますけれども、防衛省としては、そのようなことがないよう、返還条件が満たされ、普天間飛行場の返還の実現の支障とならないように対応をしていく考えでございます。」答弁をしていただいております。これは当然のことでありまして、私が読んでみても、何の問題もないと考えています。

 つまり、普天間飛行場は、嘉手納以南の他の施設・区域と同様に、平成二十五年四月の日米両政府で合意をされた統合計画に基づいて具体的な作業を進めて、最終的に返還されることになります。統合計画では、返還に当たり返還条件というものが日米間で合意をされていて、この条件を実現していくのが返還に向けた作業ということになるわけです。

 例えば、普天間飛行場につきましては、八つの、八個の返還条件があります。その一つ目にありますのが、「海兵隊飛行場関連施設等のキャンプ・シュワブへの移設。」というものでありまして、今、辺野古で埋立てを進めているのは、移設をする代替施設をつくるために、つまり、普天間飛行場を返還するための条件を実現するためにその作業をしているということです。

 八つの条件の中には、例えば、「KC―130飛行隊による岩国飛行場の本拠地化。」というものもあります。これは、実はもう既に実現をしておりまして、普天間にいましたKC130飛行隊十五機全てが、平成二十六年の八月には山口県の岩国飛行場に移駐を完了しております。

 このように、返還条件というのは、時期を追って順次実現していくことになりますから、例えば、先ほど指摘のあった稲田防衛大臣の質疑の対象になった条件、これは正式に言いますと、「普天間飛行場代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善。」という条件であります。

 これも、代替施設が完成をして、その供用が迫るまでには、代替施設の滑走路というのは千六百メートルでありますから、緊急時の長い滑走路の必要に対応することを明確にする必要がありますので、そのときまでには日米両政府で合意をして、返還条件を達成させることになると私は考えています。

 つまり、返還条件というのは、順次実現をしていく。そのための作業を時期に応じて一つ一つ現在も行っている。複数の条件が成就をして、最終的に普天間飛行場の返還が実現する。よって、辺野古に代替施設ができても、米側との協議が調わないから普天間は返ってこないなどということはもう全く想定されないと考えておりますけれども、このような理解でよいか、政府の見解を求めます。

山田(宏)大臣政務官 今御指摘いただきましたように、平成二十五年、日米両政府で作成、公表いたしました沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画において、海兵隊の飛行場関連施設等キャンプ・シュワブへの移設のほか、御指摘の「普天間飛行場代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善。」を含む八項目が普天間飛行場の返還条件として記載されております。

 日米両政府は、普天間飛行場の早期返還に向けて、これら返還条件の実現に精力的に御指摘いただいたように取り組んでおりまして、KC130空中給油機については、御指摘いただきましたように、十五機全機岩国飛行場への移駐を実現しておりますし、航空自衛隊新田原基地及び築城基地の緊急時使用のための施設整備については、昨年十月にその内容について日米間で合意をしております。

 そのように一つ一つ成果を積み重ねておりまして、その上で、今の御指摘の「普天間飛行場代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善。」の返還条件につきましては、現在、日米間での協議を進めているところですが、これまでの協議において、この返還条件の達成を困難にするような特段の問題は生じておりません。

 政府としては、この条件を含めた返還条件について米側と引き続き協議を進め、代替施設の完成、供用開始の段階で普天間飛行場の返還が実現するよう取り組んでおり、代替施設が完成、供用されるにもかかわらず、この条件が問題となって普天間飛行場が返還されないという事態は全く想定しておりません。

 以上でございます。

宮崎分科員 ありがとうございました。

 今の答弁が真実であります。地元の皆様にもぜひこのことはしっかりと御理解をいただきたいと思っております。

 私も、これからも地元ふるさと沖縄のために全力で政治に取り組んでいくことをお約束をいたしまして、質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

伊藤主査 これにて宮崎政久さんの質疑は終了いたしました。

 次に、泉田裕彦さん。

泉田分科員 自由民主党の泉田裕彦でございます。

 皆さん、大変お疲れさまです。本日、最後の質問者として質問の機会をいただきましたこと、深く感謝を申し上げます。

 まず、私ごとですけれども、私、初めて選挙に出させていただいたのが約十五年前ということになります。二〇〇四年でございました。そして、新潟県知事選挙であったわけですが、前任者が金曜日の夕方、花束をもらって退庁された後、私の就任予定時間は月曜日の午前零時の予定ということでございました。

 そして、その二〇〇四年の就任直前の土曜日の午後五時五十六分、突如、新潟県中越を襲った地震、これに見舞われたわけでございます。就任して最初の仕事が地震対応ということになりました。

 これは、阪神・淡路大震災、震度七の地震というものが、震度が記録されているんですけれども、それ以来、震度七が記録をされた地震、新潟県中越地震ということになります。

 その被害は、道路が寸断をされ、通信も途絶をし、山が動いたというふうに言っていいような状況でございました。そのため、土砂ダム、いわゆる河道閉塞でございます、が生じて、民家が水没をしていく。家を持っておられる方々、放送の中で我が家がどんどん沈んでいくのが見えるというような状況に追い込まれたわけであります。

 また、地場産業で、牛それからニシキゴイ、この産地であったわけですが、これは本当に全村避難、山古志村ですけれども、ということになり、この全村避難の決断、大変重かったと思います。

 というのは、全村避難するということは、牛に誰が餌をやるのか、ニシキゴイへの空気は誰が入れるのか、親ゴイを失うということは全財産を失うということに等しいということになるわけでございます。それがゆえに、牛はヘリコプターで救助し、ニシキゴイも救出に向かい、さらに、初めてなんですが、動物救護本部というのも設置をいたしました。

 やはり、ペットと一緒に帰ってきて、避難所にたどり着いて初めて、ああよかった、じゃ次どうしようかという気持ちに。人の気持ちを助けるためにも、ペットの救護本部というのは重要というふうに考えております。

 また、小さな男の子が道路の土砂崩れ現場から救出される。東京消防庁ハイパーレスキュー隊の皆さんにも大変お世話になりました。また、国土交通省の皆さんにも、余震が続いている中で、土木研究所の職員を派遣していただき、いつならば助けられるのか、救助に行けるのかという御指導もいただきました。この場をおかりして、改めて深く感謝と御礼を申し上げたいと思います。また、全国の皆さんからも大変厚い支援をいただきました。

 恐らく、私の一生の記憶の中に、大変インパクトを持って記憶される出来事であったということだと思います。

 このとき実感をしたのは、ハードとソフト両面でしっかりとした体制を整えていなければ、国民の皆さんの生命、安全、財産を守ることはできないということであります。

 私、知事会で危機管理・防災特別委員長も拝命をいたしておりました。直近であれば、熊本地震にも、これは支援する側として行ってまいりましたけれども、このとき、文科省所管の防災科学研究所、この予測というのが大変役に立ちました。地震発災直後、もう翌日には、どの程度の被害が発生をして、そしてどの程度の規模の被害額になるのか、人数になるのか、見込みが立ちました。知事会が被災者生活再建支援法の給付事務を担っているものですから、体制整備もできたということでございました。

 ソフトとハードの両面、特にきょうは国土交通でございますので、ハードの面を含めて皆さん方に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、二〇〇四年の地震の後、実はインド洋で大きな津波が発生をし、そして翌年の八月にはアメリカをハリケーン・カトリーナが襲うという出来事が生じました。このハリケーン・カトリーナは大変大きな高波を引き起こして、もうちょっと整備をしておけばこんなに大きな被害が出なかったのではないかと、かなり研究された災害であったというふうに承知をいたしております。

 そこで、国土交通省にお尋ねしますが、このハリケーン・カトリーナでの被害額、死者数、それからハリケーン襲来時の堤防対策事業等の状況についての認識をお話しいただければと思います。また、あわせて、予算の制約から堤防工事のおくれ等があったことが指摘されておりますが、この辺の国土交通省の認識をお尋ねしたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 ハリケーン・カトリーナについてでございますけれども、アメリカ海洋大気庁、NOAAの報告書によりますと、被害額は約一千二百五十億ドル、死者数は約一千八百名というふうにされております。

 また、米国土木学会が調査をしておりますけれども、その報告書によりますと、災害発生時には、堤防が一連として完成していない区間や、高さが不足している区間があったとされておりまして、また、被害が拡大した一因として、連邦政府の予算不足により、堤防整備等のプロジェクトの実施がしばしば延期され、規模が縮小されたということが挙げられております。

 国土交通省といたしましては、このハリケーン・カトリーナの事例も踏まえて、計画的に事前防災に取り組んでいくことが重要であるというふうに認識をしております。

泉田分科員 ありがとうございます。的確な御答弁、ありがとうございました。

 日本円に直すと約十四兆円強の被害、そして、あと二千二百億円あって工事をしていれば、この被害が免れたのではないかと。すなわち、二千二百億円で十四兆のお金とそれから二千名弱の人命が救われた可能性があるということでございます。

 近年、日本ではさまざまな災害が発生しておりますけれども、特に昨年の自然災害では、日本国内、どういう状況だったのか、これは国土交通省の認識をお伺いしたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年は、一月の草津白根山の噴火に始まりまして、一月から二月にかけての日本海側を中心とした大雪、六月の大阪府北部での地震、七月の西日本を中心とした豪雨、九月の台風二十一号やそれに引き続く北海道の地震など、大規模な自然災害が相次いだところでございます。

 特に、七月豪雨におきましては、西日本を中心に河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、死者・行方不明者二百四十五名などの人的被害のほか、全壊六千七百六十七棟、床上浸水七千百七十三棟などの住家被害が発生したところでございます。水害、土砂災害として、一つの災害で死者・行方不明者が二百人を超えたのは、昭和五十七年以来ということでございます。

 さらに、台風二十一号が各地に大きな被害をもたらしてから間もない九月六日、平成三十年北海道胆振東部地震が発生し、最大震度七を観測いたしました。この地震に伴います土砂災害や液状化等によりまして、厚真町や安平町、むかわ町、札幌市を中心に、死者四十二名などの人的被害のほか、多数の住家被害が発生しております。また、北海道全域に及びます大規模停電、いわゆるブラックアウトが発生したこともあり、住民生活のほか、物流等の企業活動、観光業等に大きな影響をもたらしたところでございます。

泉田分科員 ありがとうございました。

 このように、日本は、災害列島と言われるように、いつどこで何が起きてもわからないような状況ということでございます。

 そういった中で、新年度の予算、それから本年度第二次補正予算で防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策事業、これは大いに期待をするところでございます。国民の生命、安全、財産を守るためには、そしてまた、財政にも優しい運営をしていくというためには、防災の、予防ということを視野に入れて取組を進めていくということが極めて重要であるというふうに考えております。

 一方で、この対策だけで、近未来に発生する可能性が指摘されている災害に対応できるのかという不安もないわけではありません。地球温暖化が進んでいくと、地球シミュレータで計算すると、かなり強力な台風、スーパータイフーンと呼ばれるような台風がひょっとすると首都圏直撃をするかもしれない。また、首都直下地震も、近未来に起きる確率、今後三十年以内、七割から八割ということだと思いますけれども、これに的確に対応できるのかという問題もあるわけでございます。不安を感じている国民の皆さんも大変多いと思います。

 そこで、国土交通省にお伺いしたいんですが、現時点における防災対策に必要な総投資額、見込み額について、土木学会等専門的知見を有する機関がどのように認識をしているのかについて、把握の状況をお聞きしたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました防災対策に必要な総投資額に関しましては、土木学会が昨年の六月に、国難をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書というものを公表しております。

 その中では、例えば南海トラフ地震に向けた対策としては投資額が三十八兆円以上、首都直下地震に向けた対策としては十兆円以上、また、東京荒川などの巨大洪水に向けた対策としては九兆円等の事業費が推計されているところでございます。

泉田分科員 ありがとうございました。

 投資額、それぞれ数兆円から十数兆円規模ということなんですけれども、これによって避けることのできる被害額は桁が違います。三百兆、四百兆の災害を軽減できるということですから、日本全体で見れば、かなり効率的な投資になるということだと思います。

 ぜひ、石井大臣始め国土交通省の皆様方には、事前防災ということで、この緊急三カ年計画に限らず、予算確保に全力を挙げていただきたいとお願い申し上げたいと思います。

 そして、インフラについては、新規の防災に加えて、老朽化の問題も指摘されております。二〇三三年には、道路橋の約六三%、それから、河川管理施設の六二%が建設後五十年を経過をするということになります。高度経済成長期に日本が豊かになる過程で整備をしてきたインフラの老朽化、これが集中的に起きてくるということになります。

 一方、長寿命化を推進しようにも、小規模な自治体には体制も十分整っていないという現実もあるわけでございます。また、額的にも、日本の公共事業投資は十分なのかと疑問を投げかける向きもあるわけでございます。

 今後どのように老朽化対策に取り組んでいかれるのか、国土交通省にお伺いをいたしたいと思います。

栗田政府参考人 インフラの老朽化についてのお尋ねでございます。

 高度経済成長期以降に整備したインフラの老朽化が進んでおります。道路橋では、十五年後には建設後五十年以上経過したものが六割を超える、これは委員御指摘のとおりでございます。

 昨年十一月、国土交通省が所管するインフラを対象として、今後三十年後までの維持管理・更新費の推計を実施しました。

 インフラにふぐあいが生じてから対策を行ういわゆる事後保全の場合、一年当たりの費用は、三十年後には、二〇一八年度の約二・四倍となる見込みとなりました。一方、ふぐあいが生じる前に対策を行う予防保全を行った場合には、一年当たりの費用は、三十年後には、事後保全の場合と比べまして約五割減少、二〇一八年度の約一・三倍というように抑えられる見込みとなりました。

 このため、予防保全の取組や新技術の開発導入等によるトータルコストの縮減、平準化を図りながら、インフラの機能を適切に維持することが大変重要であると認識しております。

 また、自治体への支援の観点も委員にお触れいただきました。

 インフラの大部分を管理している地方公共団体に対しましては、ドローン等を活用した効率的な点検、診断のための新技術の開発、現場実装を促進するなどの技術的支援、あるいは防災・安全交付金などの財政的支援を進めているところでございます。

 老朽化対策は喫緊の課題でございます。必要な予算の確保に努めつつ、全力で取り組んでまいります。

泉田分科員 ありがとうございました。

 事前予防のための措置、これは政治のリーダーシップも必要な部分だろうというふうにも思います。我々も、自分の責任ということを心に銘じながら、日々の議員活動に取り組んでまいりたいと思います。国土交通省においても、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、国土軸の観点でございますが、特に首都直下型地震、それから南海トラフ三連動地震等が起きた場合は、これは、太平洋側の機能がかなり甚大な影響を受けるということになるわけでございます。日本海側国土軸、それから日本海側とのアクセス、これは、東日本大震災でも、いかに日本海側の機能を活用するかというのが大変重要な論点になったわけでございます。

 首都直下型地震ということになりますと、万が一津波が発生すれば、首都圏近郊の港の使用が不可能になるということが想定されるわけでございます。その場合に、日本海側との交通確保、港とのやりとりというのも重要になるわけですが、残念ながら、例えば首都圏と新潟県をつなぐ国道十七号線、トンネルの中には、大型の海コンが通れない、すれ違いができないトンネルがまだまだ散見をしているというような状況になっております。確かに、関越トンネル、関越自動車道はあるんですが、緊急的な措置を除けば、危険自動車の通行禁止という区間でもございます。

 これは、複眼的な交通確保をするためにもインフラの維持というのは大変重要だというふうに考えておりますが、災害時の重要道路の確保についての国土交通省の考え方をお聞かせください。

池田政府参考人 災害時における幹線道路の通行の確保は、救急救命活動や災害の復旧活動の観点から重要であると認識をしております。

 このため、昨年末行いました重要インフラの緊急点検の結果を踏まえて、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を策定しまして、道路については、のり面対策や橋梁の耐震補強などを集中的に実施することにしております。

 また、高速道路のミッシングリンクの解消や、御指摘の国道十七号の新三国トンネルの整備などを進めまして、道路ネットワークを多重化をすることについて引き続き推進をしてまいりたいと考えております。

泉田分科員 ありがとうございました。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 そこで、大臣にお伺いをしたいんですけれども、今ほど質疑をさせていただいたとおり、人の命と暮らし、これを守るということは極めて重要で、インフラの整備が大事であるというふうに私自身も感じております。

 人の命と暮らしが脅威にさらされて財政が成りましたということでは、やはり本末転倒ではないかなというふうに感じております。減災・防災、国土の強靱化、これに取り組む大臣の決意をお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いします。

石井国務大臣 国土強靱化の取組は、国民の命と暮らしを守るとともに、持続的な経済成長のほか、地方創生を推進するものでもあり、最重要の課題の一つと考えております。

 また、委員御指摘いただいていますように、事前の防災対策が、人命を始めとする被害の軽減につながるとともに、被災後の復旧や生活、経済の再建に係る負担を減らすものとして重要と認識をしております。

 国では、国土強靱化基本計画を策定いたしまして、その内容を踏まえた施策の重点化、優先順位づけや、ハード、ソフト対策を適切に組み合わせながら、計画の具体化に向けた取組を推進しているところであります。

 また、昨年十二月には、政府全体で七兆円規模の防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策も取りまとめられたところでございます。

 今後も、ハード、ソフトの施策を総動員いたしまして、事前防災及び減災、インフラの老朽化対策といった国土強靱化の取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

泉田分科員 大臣、大変ありがとうございました。よろしくお願いを申し上げます。

 次に、私の生まれ故郷、選挙区、新潟県でございまして、豪雪地帯でございます。地球温暖化の影響の可能性というのも指摘されているわけでありますが、近年特に、冬場においても気候の変動が荒くなっているように感じております。

 ゲリラ豪雪とも言われるような、一気に雪が降るという場所があったり、小雪の場所があったり、まだら模様で、しかしながら、急激な変化というものが随所に見られるような状況でございます。

 昨年は、ふだん余り雪の降らない福井県で、国道八号線で多くの車が閉じ込められるという事態が生じました。そしてまた、新潟県でも、長岡と三条の間に走っていたJRの列車が閉じ込められて、高校生が立ったまま徹夜を強いられるという事態も生じてしまったわけでございます。

 そういう状況ですので、除雪の体制を維持するために、事業者は、降っても降らなくても待機しなければいけないという立場に置かれているわけでございます。多大なる負担が現場にかかっているという現状があるわけです。

 まず気象庁にお伺いしたいんですが、降雪、積雪の状況をどのように認識しているか、お話しください。

橋田政府参考人 お答え申し上げます。

 北日本や東日本の日本海側などの積雪、雪が積もったその状況の傾向でございますけれども、気象台などのデータでは、過去五十年余りで平均的には減少する傾向にあります。地球温暖化の進行に伴いまして、この積雪は将来更に減少すると予想しているところでございます。

 一方で、積雪の深さにつきましては、年による変動が非常に大きいということと、また、昨年二月の北陸地方を中心とした大雪のように、集中的、記録的な降雪となる場合もございます。

 温暖化が進行する中で、二十一世紀末、今世紀末の降雪の状況を予測したシミュレーション結果では、平均としては、二十世紀末、前世紀末と比較して降雪が減少するという状況でございますけれども、一方で、二十世紀末、前世紀末と同程度又はそれを上回る降雪がある、そういう場合もあると予想しておりまして、今後とも大雪に対する注意が必要である、このように考えております。

泉田分科員 ありがとうございました。

 多くの人が感じている実感に合うような御説明だったかなというふうに思います。すなわち、これは今まで持っていた制度のまま対応できるかというと、毎年同じ時期に同じ雪が降るということではなく、突然降るかもしれないけれども、待機して体制をつくっておかなければいけないというような状況の変化が生じているということかと思います。

 そこで、昨年の状況、これは雪国には衝撃が走ったんですけれども、一つお話をさせていただきたいと思います。

 国道八号線が、多くの車が閉じ込められて除雪費がかさんだということで、福井市が職員の給与カットを実施をしたということがございました。

 除雪をすると、これは費用が大きいように見えるんですけれども、例えば新潟県の場合、GDPが九兆円です。三百六十五で割ると、一日当たり、機能がとまると何が起きるのか。除雪費なんというのは、それに比べると微々たるものということになるわけです。

 地域の機能を一日とめるよりは、除雪費でちゃんと回した方が日本経済にもプラスということだと思いますけれども、この除雪という公共サービス、雪国で生活するためには不可欠な公共サービスになっております。にもかかわらず、職員の給与カットをしないとやっていけないというのは、支援制度が必ずしも十分になっていないのではないかというふうに考えられますが、総務省と国土交通省の認識をお伺いしたいと思います。

多田政府参考人 お答えをいたします。

 地方団体の除排雪経費につきましては、普通交付税の算定におきまして標準的な所要額を措置いたしますとともに、実際の所要見込み額が普通交付税の措置額を超えているような場合には、三月分の特別交付税によって措置をいたしております。

 具体的には、所要見込み額が普通交付税措置額を上回る額の五〇%又は所要見込み額の七五%から普通交付税措置額を控除した額のいずれか大きな額を特別交付税措置をいたしております。

 今後とも、総務省として、地方団体の除排雪経費の実態をよくお伺いをしながら、適切な算定に努めてまいります。

 以上でございます。

池田政府参考人 国土交通省で行っております地方公共団体が実施する道路の除雪や除雪機械の支援につきましては、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法、いわゆる雪寒法に基づきまして、社会資本整備総合交付金と補助金の両制度により支援を行っております。

 具体的には、年度当初に社会資本整備総合交付金で支援を行いまして、第四・四半期に各地の降雪状況に応じて補助金として除雪予算の支援を行っているところでございます。

泉田分科員 ありがとうございました。

 特別交付税は率で交付されるものですから、本当は、豪雪地帯、自分たちが持っているバックホー等で除雪をして、定額でもらったものに対して効率的にする方法もあるかと思うんですけれども、どうしても、率でいくと結局は地元の持ち出しが生じてしまうということなので、もう少しいい制度を考えられないかなという思いは強くございます。検討していただけるとありがたいなというふうに思います。

 そして、豪雪地帯を守っていただいているのが建設業ということになります。特に雪国の建設業者、大変困っております。

 どういうことかといいますと、予算がこうやって審議決まるのが三末か四月の頭、それから箇所づけをして配分をして自治体に行って、補助金ないし交付金が届くということになります。そこから公告、入札手続をとって事業をはい始めますよと決まるのが秋以降になるというのが多い。そうすると雪が降っちゃうんです、次に。十月末あたりに発注されて、三月三十一日までに工事を完成させろと言われても、雪が降って、特に特別豪雪地帯は全く作業できないということになります。一方で、三月三十一日を過ぎて四月一日になると、今度は暇なんです。人手が余っているのに仕事がないという状況になる。

 何とかこれを平準化できないか。そうすると、除雪の体制も維持できるし、平準化することによる人件費のバランスもとれるようにやって、苦しみが相当程度軽減するということになるんですけれども、自治体が幾ら頑張っても、繰越事務を簡素化しても、事業の平準化が実現しないという現実があります。

 これは、一旦、年度内に発注したものは三月三十一日までに完成させなさいという契約を結ばないといけないということになっているので、そうすると、やってくださいという話になるし、繰越しの手続といっても、業者の負担は減らないという現実があるわけです。

 そこでお願いなんですが、例えば特別豪雪地帯における公共事業、交付金、補助金事業につきまして、施工の平準化のための国庫債務負担行為の活用をもっと進めていただけないか、そして、現場が使えるように周知徹底をしていただけないかと思うんですが、財務省、国交省の見解をお伺いしたいと思います。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 国庫債務負担行為は、予算単年度主義の例外として、次年度以降にも効力が継続する債務を負担するものでございますが、御指摘の、豪雪に対応するための地方自治体が行う公共事業に対する国庫債務負担行為の活用については、国土交通省ともよく調整してまいりたいと思います。

藤井政府参考人 国交省からお答えいたします。

 施工時期の平準化のための国庫債務負担行為の活用につきましては、適切な工期の確保、あるいは除雪期等の前に工事を完了させるため、さらには建設現場の生産性の向上や建設業の働き方改革のために、有効な手段だと考えております。

 社会資本整備総合交付金や個別補助金による事業における施工時期の平準化を目的とした国庫債務負担行為の設定につきましては、事業の実施主体となる地方公共団体からの具体的な要望に基づきまして、国土交通省として予算要求の要否を判断することとなります。

 平成三十一年度の予算案におきましては、地方公共団体からの具体的な要望がございませんでしたので、施工時期の平準化を目的とした国庫債務負担の設定は行っておりませんが、御指摘も踏まえまして、今後、地方公共団体の御意見、御要望も十分把握した上で、財務省ともよく調整をし、適切に対応してまいりたいと考えております。

泉田分科員 雪国は秋に発注されても、冬、作業はできません。ぜひ、できれば六月末までに仕事を終えればいいというような環境をつくっていただければと切にお願いを申し上げたいと思います。

 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。

 現在の気候の状況、将来の気候の状況、さまざまな形で制度面で対応、予算面で対応していただいておりますこと、深く感謝を申し上げます。

 一方で、待機料を増額をしようとすると、オペレーションフィーを下げられたりとかというケースがあるのも事実です。待機料をふやしたけれども、今度は豪雪のときはマイナスになってしまうというようなことであっては困るということだと思います。

 除雪に係る費用の国支援について、ぜひ必要総額を確保していただきたい。大臣の決意をお伺いさせていただければと思います。

石井国務大臣 国による道路除雪に係る費用の支援につきましては、補助金と社会資本整備総合交付金を活用して実施をしております。

 また、全国的な大雪となり、除雪費の支援要請が地方公共団体から出された場合におきましては、臨時の特例として予備費等を充当し、除雪予算の追加も実施をしております。

 大雪時の除雪費の支援につきましては、降雪状況や地方の要望など実態を踏まえつつ、必要となる予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

泉田分科員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

伊藤主査 これにて泉田裕彦さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 各分科員の皆様の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時二分散会


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