衆議院

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第1号 平成28年11月21日(月曜日)

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本分科会は平成二十八年十一月十七日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

十一月十八日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      甘利  明君    加藤 鮎子君

      河村 建夫君    鈴木 馨祐君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      玄葉光一郎君    馬淵 澄夫君

      伊藤  渉君    宮本  徹君

十一月十八日

 伊藤渉君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十八年十一月二十一日(月曜日)

    午後一時三十分開議

 出席分科員

   主査 伊藤  渉君

      甘利  明君    大岡 敏孝君

      加藤 鮎子君    黄川田仁志君

      鈴木 隼人君    田中 英之君

      田畑 裕明君    豊田真由子君

      ふくだ峰之君    玄葉光一郎君

      宮崎 岳志君    鷲尾英一郎君

      宮本  徹君

   兼務 瀬戸 隆一君 兼務 吉田 宣弘君

   兼務 吉田 豊史君

    …………………………………

   法務大臣         金田 勝年君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      田中 良生君

   国土交通副大臣      末松 信介君

   国土交通大臣政務官    藤井比早之君

   国土交通大臣政務官    大野 泰正君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       佐藤 義雄君

   会計検査院事務総局第三局長            須藤  晋君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       甲斐 正彰君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 長谷川 豊君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   藤江 陽子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           田中 照久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           土田 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            藤井  健君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田村明比古君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

   決算行政監視委員会専門員 塚原 誠一君

    ―――――――――――――

分科員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     大岡 敏孝君

  鈴木 馨祐君     ふくだ峰之君

  馬淵 澄夫君     宮崎 岳志君

  宮本  徹君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     河村 建夫君

  ふくだ峰之君     豊田真由子君

  宮崎 岳志君     鷲尾英一郎君

  田村 貴昭君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  豊田真由子君     黄川田仁志君

  鷲尾英一郎君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     鈴木 隼人君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 隼人君     鈴木 馨祐君

同日

 第二分科員吉田宣弘君、第三分科員瀬戸隆一君及び吉田豊史君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十四年度政府関係機関決算書

 平成二十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十五年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十五年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十五年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十五年度政府関係機関決算書

 平成二十五年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十五年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (法務省及び国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

伊藤主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました伊藤渉でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省所管及び国土交通省所管についての審査を行うことになっております。

 なお、各省庁の審査に当たっては、その冒頭に決算概要説明、会計検査院の検査概要説明及び会計検査院の指摘に基づき講じた措置についての説明を聴取することといたします。

 平成二十四年度決算外二件及び平成二十五年度決算外二件中、法務省所管及び国土交通省所管について審査を行います。

 これより法務省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。金田法務大臣。

金田国務大臣 平成二十四年度法務省所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳入につきましては、歳入予算額は一千九十四億四千四百九十四万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は九百八十六億九千百三十四万円余であり、歳入予算額に比べますと百七億五千三百五十九万円余少なくなっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は七千三百五十四億九千四百八十二万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は六千九百五十四億千九百十六万円余であり、翌年度へ繰り越した額は二百五十四億五千九百三十一万円余であり、不用額は百四十六億一千六百三十四万円余であります。

 以上をもちまして、平成二十四年度決算の概要説明を終わります。

 引き続きまして、平成二十五年度法務省所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 歳入につきましては、歳入予算額は一千一億八千百二十二万円余であります。

 これに対しまして、収納済み歳入額は九百六十六億四千七百八万円余であり、歳入予算額に比べますと三十五億三千四百十四万円余少なくなっております。

 次に、歳出につきましては、歳出予算現額は七千二百四十六億三千五百三十二万円余であります。

 これに対しまして、支出済み歳出額は六千九百九十四億五千百四十五万円余であり、翌年度へ繰り越しました額は八十億三千三百九十二万円余であり、不用額は百七十一億四千九百九十四万円余であります。

 以上をもちまして、平成二十五年度決算の概要説明を終わります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。

伊藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院佐藤審議官。

佐藤会計検査院当局者 平成二十四年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、刑事施設等の整備に係る歳出予算及び国庫債務負担行為の執行が会計法令及び予算に違反していたもの、刑事施設等の常勤医師が、許可を受けて行うこととされている外部研修を行っておらず、正規の勤務時間中に勤務していなかったのに、勤務しなかった時間に係る給与を減額することなく支給していたものなど計五件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、刑事施設等における防災用移動式炊事機器の整備に関するもの、刑事施設等の整備に係る予算の執行等と執行段階における統制に関するものなど計三件を検査報告に掲記しております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、人権啓発活動の委託に当たり、研究員手当の時間単価の算出方法、従事実績に係る証拠書類の整備方法及び額の確定検査の手続を定めることにより、委託費の精算が適切に行われるよう改善させたものを検査報告に掲記しております。

 続きまして、平成二十五年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 まず、不当事項でございますが、刑事施設等の常勤医師が、許可を受けて行うこととされている外部研修を行っておらず、正規の勤務時間中に勤務していなかったのに、勤務しなかった時間に係る給与を減額することなく支給していたもの、在勤官署を離れた場所における超過勤務を命ぜられた警備指導官に対して、当該超過勤務が公務とは認められなかったり、現に勤務したことを証明できるものがなく超過勤務手当を支給する要件を欠いていたりしていたのに同手当を支給していたため、その支給が過大となっていたものなど計四件につきまして検査報告に掲記しております。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項でございますが、刑事施設における診療所管理運営業務委託費の支払いに関するものを検査報告に掲記しております。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項でございますが、本省が、刑事施設の被収容者に貸与する毛布を一括調達するに当たり、刑事施設が本省に報告する整備必要数について、具体的な根拠、実績値等に基づいた算定方法を定め、刑事施設に対して周知徹底することなどにより、調達数量が適切に算定されるよう改善させたもの、更生保護委託費のうち、毎月定額で支払われている福祉職員に係る委託事務費の中の人件費相当額について、更生保護法人等が同職員に実際に支給した人件費等を把握して、実際の人件費等が人件費相当額の年額を下回った場合には、差額の精算を行うよう改善させたものなど計三件を検査報告に掲記しております。

 以上をもって概要の説明を終わります。

伊藤主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。金田法務大臣。

金田国務大臣 法務省の平成二十四年度及び平成二十五年度の予算の執行に関し、会計検査院から各年度の決算検査報告において御指摘を受けましたことにつきましては、極めて遺憾であります。

 御指摘を受けました事項につきましては、真摯に受けとめ、是正に向けた措置を講じたところでありますが、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図り、予算の効率的かつ適正な執行に努めてまいる所存でございます。

伊藤主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

 これより質疑に入るのでありますが、その申し出がありませんので、法務省所管については終了いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより国土交通省所管について審査を行います。

 まず、概要説明を聴取いたします。石井国土交通大臣。

石井国務大臣 国土交通省所管の平成二十四年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計について申し上げます。

 収納済み歳入額は八百七十一億二千九百万円余であります。支出済み歳出額は七兆二百十三億四千三百万円余であります。

 次に、特別会計について申し上げます。

 まず、社会資本整備事業特別会計でありますが、治水、道路整備、港湾、空港整備及び業務の五勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は四兆一千七百二十八億七千三百万円余であります。支出済み歳出額は三兆六千八百九十八億五千五百万円余であります。

 このほか、自動車安全特別会計、財務省と共管の財政投融資特別会計及び各省各庁共管の東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました平成二十四年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。

 引き続き、国土交通省所管の平成二十五年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計について申し上げます。

 収納済み歳入額は五百三十六億五千万円余であります。支出済み歳出額は七兆七千六億九百万円余であります。

 次に、特別会計につきまして申し上げます。

 まず、社会資本整備事業特別会計でありますが、治水、道路整備、港湾、空港整備及び業務の五勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は五兆七千二百八十九億三千七百万円余であります。支出済み歳出額は四兆三千八百三億八千百万円余であります。

 このほか、自動車安全特別会計、財務省と共管の財政投融資特別会計及び各省各庁共管の東日本大震災復興特別会計がございますが、これら特別会計の決算の概要及び各事業の詳細につきましては、お手元に配付いたしました平成二十五年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

伊藤主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院須藤第三局長。

須藤会計検査院当局者 平成二十四年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項三十四件、意見を表示しまたは処置を要求した事項九件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号三七七号から三八八号までの十二件は、会計経理が適正を欠いていたもの。

 同三八九号は、施工が適切でなかったもの。

 同三九〇号は、設計が適切でなかったもの。

 同三九一号から四〇九号までの十九件は、補助事業の実施及び経理が不当なもの。

 同四一〇号は、国家賠償法に基づく賠償金の支払いが生じたものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、既設橋梁の耐震補強工事の設計に関して適宜の処置を要求し、及び是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その二は、国が管理する国道のトンネルの維持管理に関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その三は、国が管理する国道のトンネルに設置したジェットファンの有効活用に関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その四は、国有港湾施設の維持管理に関して意見を表示し、並びに適宜の処置を要求し、及び是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その五は、国管理空港の運営に関して意見を表示いたしたもの。

 その六は、巡視船艇に搭載する武器等の製造、定期整備に係る契約方法等に関して改善の処置を要求いたしたもの。

 その七は、橋梁の維持管理に関して改善の処置を要求いたしたもの。

 その八は、土砂災害情報相互通報システムの活用に関して改善の処置を要求いたしたもの。

 その九は、進入道路に係る維持管理費の負担に関して改善の処置を要求いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、船舶の整備に係る追加契約の予定価格の積算に関するもの。

 その二は、現場吹きつけのり枠工の枠内排水の設計に関するもの。

 その三は、国が基金法人に国庫補助金等を交付して設置造成させた基金に関するものであり、これら三件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 続きまして、平成二十五年度国土交通省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。

 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五十五件、意見を表示しまたは処置を要求した事項十二件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項四件であります。

 まず、不当事項について御説明いたします。

 検査報告番号三一一号は、施工が適切でなかったもの。

 同三一二号は、設計が適切でなかったもの。

 同三一三号は、契約額が割高となっていたもの。

 同三一四号から三六五号までの五十二件は、補助事業の実施及び経理が不当なものであります。

 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。

 その一は、車両管理業務委託契約における委託費の支払い等に関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その二は、船舶の航行安全に係る業務費に関して是正改善の処置を要求いたしたもの。

 その三は、住宅セーフティネット整備推進事業に関して是正改善の処置を要求し、及び意見を表示いたしたもの。

 その四は、浸水想定区域の指定等、洪水ハザードマップの作成等及び浸水想定区域図等の電子化の実施に関して適宜の処置を要求し、及び是正改善の処置を求め、並びに改善の処置を要求いたしたもの。

 その五は、国内広域から京浜、阪神両港へのコンテナ貨物の集約の促進に係る事業に関して意見を表示いたしたもの。

 その六は、電線共同溝における無電柱化の効果に関して意見を表示いたしたもの。

 その七は、東日本大震災の被災地における防災のための集団移転促進事業の実施に関して意見を表示いたしたもの。

 その八は、道路管理データベースシステムへの基本データの登録に関して改善の処置を要求いたしたもの。

 その九は、調節池等の維持管理に関して改善の処置を要求いたしたもの。

 その十は、ダムの維持管理に関して改善の処置を要求いたしたもの。

 その十一は、新直轄道路における料金所予定地等の有効利用等に関して改善の処置を要求いたしたもの。

 その十二は、地方航空局が締結する空港管理業務等に係る契約の競争性の確保に向けた取り組みに関して改善の処置を要求いたしたものであります。

 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。

 その一は、ノンステップバス購入に係る補助事業の実施に関するもの。

 その二は、下水道事業における終末処理場等の設計に関するもの。

 その三は、航空機等の特別整備契約の予定価格の積算に関するもの。

 その四は、国庫補助事業で実施する道路整備事業に伴う移転補償費の算定に関するものであり、これら四件について指摘したところ、それぞれ改善の処置がとられたものであります。

 以上をもって概要の説明を終わります。

伊藤主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。石井国土交通大臣。

石井国務大臣 平成二十四年度決算及び平成二十五年度決算における会計検査院の御指摘に対しまして、国土交通省のとった措置について御説明申し上げます。

 所管事業に係る予算につきましては、その適正な執行を図るよう常に努力しているところでありますが、平成二十四年度及び平成二十五年度の決算検査報告におきまして、不当事項等として御指摘を受ける事態を生じましたことは、まことに遺憾であります。

 御指摘を受けた事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであり、今後このような御指摘を受けることのないよう指導を一層徹底し、事業の適正かつ効率的な執行を図ってまいりたいと存じます。

伊藤主査 この際、お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田豊史君。

吉田(豊)分科員 日本維新の会の吉田豊史です。

 本日は、主に、電線の無電柱化に関する事業、そして観光庁の外国人旅行者の受け入れ環境整備に関する事業についてお伺いいたします。

 少子高齢化と人口減少の続く日本の成長戦略として、観光業を発展させ、外国人旅行者をさらにふやしていくことは極めて重要なことだと考えております。

 このための課題は数多くありますけれども、一つには、我が国の観光資源の価値を最大限に発揮するために、今後は、景観の維持や改善について、これまで以上の財政支出が必要な場合があると思われます。

 特に、電線の無電柱化を進めることは、景観の改善の観点からも、防災の観点からも、両方から必要なことであります。最近では、小池都知事が首都東京での無電柱化の推進を掲げており、国民的関心も高まっておるところでございます。

 また、外国人旅行者受け入れ環境の整備事業がどの程度の効果があるのか、これまで行われてきた事業について、スクラップ・アンド・ビルドも含めた精査、検討が必要だと考えます。

 以上のような観点から、以下質問させていただきます。

 まず、電線共同溝における無電柱化の効果について、会計検査院の意見とそれに対する当局の処置状況についてお伺いいたします。

 国土交通省は、安全かつ円滑な交通の確保を図ることなどを目的として、電線を入溝する管路、地下に埋設する専用の管ですけれども、これを道路の下に整備して無電柱化の推進を図る電線共同溝整備事業を行っています。

 国道事務所等が事業主体となる直轄事業のときも、また都道府県等が事業主体となる交付金事業のときもあります。事業主体となる国や自治体は、電線共同溝の整備完了後に、占用許可を申請した電力会社や通信会社の意見を聞いて、電線共同溝整備計画を策定できることになっております。これが仕組みです。そして、この整備計画を策定した場合には、計画に基づいて当然整備を行わなければなりません。

 しかし、会計検査院の平成二十五年度決算検査報告におきましては、電線共同溝の整備が完了してから長期間経過しているのに無電柱化が完了していなかったり、あるいは電線が入れられていない管路の割合が高かったりしているという、電線共同溝を整備した効果があらわれていないのではないかという事態が見られたとのことです。

 ここで質問いたします。

 まず、こうした事態が生じた原因について、国土交通省はどのように理解をしているか。また、会計検査院からはどのような対応をとるべきとの指摘がされたのか。これについてお伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年十月に会計検査院より二点指摘を受けておりまして、一点目は、電線共同溝の整備が完了した箇所において、電線、電柱を有する電力・通信事業者が行うべき撤去が行われていなかったということでございます。もう一点は、電力・通信事業者からの要請に応じて整備をした将来需要分の管路への入溝が進んでいないという指摘を受けたところでございます。

 申すまでもありませんけれども、電柱等の撤去は電柱等を有する電力・通信事業者が行うことになっておりますが、これが十分進んでいないということの原因は、電力・通信事業者と沿線住民との間で、電線の引き込みなど多岐にわたる調整に時間を要していたことが一つあります。例えば引き込み位置の調整が難航するとかです。切りかえ工事の実施時期の調整が難航する等、沿線住民との調整に時間を要してきたことがございます。

 もう一点は、共架線、電力やNTT以外の事業者との事業調整、それに時間を要しておったところがあると承知しております。例えばこの中に不法占用者というのがございます。そういうものの調整であるとか、あとは共架線の事業者と沿線住民との調整、こういう共架線や沿線住民との調整に時間を要してきたというところがございます。

 もう一点の、未入溝の問題でございます。

 こちらは、電線共同溝の整備に当たりましては、将来の無駄な掘り返しが発生しないよう、既存の地上の電線に加えまして、将来発生することが見込まれる電線も収容できるよう、電力・通信事業者の要請に応じて将来需要分の管路を整備しているところでございます。したがいまして、電線共同溝整備後、一定の期間は入溝されない管路が存在することはございます。

 しかしながら、将来需要に対応するという意味では無駄ではありませんけれども、電力・通信事業者に対して、将来需要分の管路の必要条数や入溝時期の考え方、これにはしっかり見直しをしていただく必要があるというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

吉田(豊)分科員 今ほどの答弁、また会計検査院の意見のポイントというのは、まず第一に、既に電線共同溝を整備した箇所において、電線及び電柱の撤去を電力会社や通信会社等の占用予定者等に一層働きかけていくという努力がまずは必要だということ。それから第二に、占用予定者の電柱の撤去予定時期についても、やはり進捗管理をより精度を高めて行うということ。それから第三に、地元関係者との実情を踏まえた整備計画の策定、見直しを行うという、これも同じことでございますけれども、第四に、将来の需要に応じて必要となる電線の数や入溝状況を把握していく。今ほど答弁なさった中身でございますが、これはやはり、より精度を高めて行っていくことの必要性が指摘されているというふうに理解しております。

 以下、このことについてもう少し詳しく質問させていただきます。

 まず、国土交通省は、事業主体に対して、二十六年の十一月に通達を発して、そして占用予定者等に対して電線等を撤去するよう要請をしたというふうにお聞きしております。この通達発出後の電線等の撤去の進捗状況について、現状を教えていただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 二十六年の十月に会計検査院の御指摘をいただいた後、抜柱に係る会議で事業者等に要請を行ってまいりまして、速やかな撤去、また、撤去予定時期の確認ということをさせていただいておりました。

 二十六年の十一月、委員御指摘のように、地方整備局、県、政令市等に通達文を発出いたしまして、電柱等が速やかに撤去されるよう電線管理者に要請。残置電柱等の撤去促進会議を毎年開催し、進捗管理の徹底を図る。昨年、二十七年の八月に、地方整備局、県、政令市等に通達文を発出したところでございます。

 進捗状況でございますけれども、例えば直轄国道におきましては、会計検査院からの指摘の箇所を含めまして、平成二十六年十月時点で電線共同溝事業が完了した箇所で残っていた電柱のうち、平成二十七年度末までの一年半の間に約四割の電柱の撤去が完了しているところでございます。

吉田(豊)分科員 続きまして、国土交通省は、二十七年の八月にまた通達を出し、整備計画に電柱の撤去予定時期を記載することとして、その進捗管理の徹底を図るよう周知したというふうにもお聞きしております。

 電柱の撤去予定時期の記載は全ての整備計画になされているかということ、国交省が把握している現状についてお聞きしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、二十七年の八月に通達文を発出いたしまして、その後の新規の整備計画には抜柱計画が明記されております。これは様式にもそのような形で抜柱時期を明示するようになっております。

 以上でございます。

吉田(豊)分科員 続いて、地元の関係者ということでございますが、地元関係者の実情を踏まえた整備計画の策定、または見直しをするなどして、計画的な無電柱化の推進を図るように周知したりする処置を講じたか、このことについてお聞きしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 関係者会議や通知等を受けまして、整備計画の中に抜柱時期を明示する、これは整備計画の変更の中で一番大きいことでございまして、これまでは、電線共同溝の事業の着手時期であるとか、共同溝事業自体の完了時期ということだけが明示されていたわけでございますが、整備効果の早期発現という観点から、この抜柱時期の明記、これは見直しという意味で一番大きな点ではないかと思います。

 それから、関係者との調整の中で、先ほどの事前の沿線との調整、そういうものもできるだけうまくいくようにお願いをしているというところでもございます。

吉田(豊)分科員 ここは関連いたしますけれども、特に地元関係者の実情を踏まえるということも当然必要なわけですけれども、こういうことによる整備計画の見直しが必要な場合というのは例えば具体的にどういうことが挙げられるか、改めて確認したいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 抜柱時期を設定していく中で、当然地元との調整が必要になりますが、それに際しまして、例えば、その構造であるとか、引き込み線の位置であるとか、トランスの位置とか、そういう、かなり現場の施工に結びついてくるところがあります。そういうものがやはりこういう見直しの対象になってくるんだろうと思います。

 以上でございます。

吉田(豊)分科員 そして、今度、具体的には管路を整備していくわけですけれども、整備する管路の必要条数について平成二十七年の一月から予定者との調整を開始する、そして四月には実施している電線の入溝状況についての調査結果を踏まえる、そうやって、整備する管路の必要条数の考え方を事業主体に周知する措置を行っていくということでございますけれども、整備する管路の必要数について、国交省は現在、どの程度と把握しているかということ、それとあわせて、今後、全国規模においては無電柱化をどのように進めていくのか、このことについてお聞きしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 未入溝の件は、先ほども申し上げましたように、将来需要と将来の無駄な掘り返し防止、その観点から予備管を入溝、入れているわけでございまして、当然のことながら、一定期間は入溝されない管路が存在する。そういう中で、今後の将来需要に対してどのように見込んでいくか、これを、電力・通信事業者に対して、必要条数や入溝時期の考え方について見直しを要請しているところでございまして、これはまだ調整の段階でございます。

 今後、電線共同溝の整備に当たりましては、電力・通信事業者からの要請を厳しく精査した上で、必要最小限の管路を整備するよう進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

石井国務大臣 全国規模での無電柱化の進め方についてお答えをさせていただきます。

 無電柱化は、第一に道路の防災性向上、第二に安全性、快適性の確保、第三に良好な景観、この三つの観点から重要な施策であります。

 ロンドン、パリなどの欧米の都市は一〇〇%無電柱化をしておりますし、アジアの主要都市でも無電柱化が進展をしておりますが、我が国では、東京二十三区に限っても七%と、著しくおくれております。

 無電柱化が進まない主な原因は、コストが高いことが挙げられます。このため、国土交通省では、総務省、経済産業省、関係事業者と連携をいたしまして、ケーブルの直接埋設など低コストの無電柱化手法の導入に向けて取り組んでいるところであります。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えまして、国土交通省といたしましては、関係者と連携をいたしながら、さらなる無電柱化の推進に努めてまいりたいと存じます。

吉田(豊)分科員 今ほど大臣から答弁を頂戴しましたけれども、幾つか確認したいといえばいいか、考え方のところなのでございますが、全国規模での無電柱化ということをまずうたっているわけですね。そして、今答弁を確認しましたら、それぞれさまざまな障害となるものはあるけれども、一つ一つ、指摘を受けて、あるいは自主的にでもございましょうけれども、無電柱化を積極的に進めていく、この方針が打ち出されていると。

 その中にあって、特に東京オリンピックがあるということで、都市部を中心にイメージはされますけれども、全国どこでもというところ、それが観光という話と結びつく場合には、やはりどこに力点を置いて、この無電柱化について、それぞれの地域においてやはり理由づけというものが必要だと思うんですけれども、全体として、大臣に改めて、地域地域の特性ということに合わせた無電柱化の方針について確認させていただきたいと思います。

石井国務大臣 先ほど申し上げましたように、無電柱化は、防災性や安全性、良好な景観というのがございますので、例えば防災性であれば、特に災害時の避難路等に指定されている道路については重要性が高いと思いますし、また、景観という意味では、やはり地域地域で、良好な景観を保全しようという地域についてはその必要性は高いものと。それぞれの地域の実情に応じて全国的に進めていきたい、このように思っています。

吉田(豊)分科員 特に、既存の開発された地域についての無電柱化を促進していくということは、非常に難しい部分、さまざまな障害があるとは思うんですけれども、新しく例えば住宅地を開発するですとか、あるいは整備のしやすい環境の地域ということもあるわけで、そういうときに、ぜひ、より積極的に、今、将来を見据えたというような答弁を頂戴しました。そこをどう積算して、そして見積もるのか、見通すのかという、そこが非常に問われておる話じゃないかな、こう思いますので、ぜひ改めて、電線の無電柱化という状況についても、さまざまな指摘を受けたことを生かされて、今後の施策につなげていただきたい、こういうふうに思うところでございます。

 続きまして、外国人旅行者の受け入れ環境の整備ということの事業についてお伺いいたします。

 平成二十六年の七月、総務省行政評価局から国土交通省観光庁に対して、外国人旅行者の受入環境の整備に関する行政評価・監視結果に基づく勧告が出されており、これに基づいて改善措置状況も二回にわたりフォローアップがされている、この状況についてお伺いいたします。

 総務省は、まず、ビジット・ジャパン事業について、効果の把握と、高い効果が期待できる事業の実施を徹底すべきことをここでは勧告されています。当時の調査によれば、観光客誘致事業の評価指標である送客数、つまり、事業により造成、販売されたツアーで訪日した外国人旅行者数や宿泊数を把握していないものが全体の五割に上っている、二百三十四事業のうち百十九事業もあるということが指摘されております。

 まず初めに、この状況について観光庁はどう認識しているのか、これを確認させていただきます。

田村政府参考人 今御質問ありましたビジット・ジャパン事業に関する勧告におきましては、旅行会社招請等の事業の評価指標である送客数等が未把握のものが約五割となったということが指摘されております。

 原因といたしましては、その当時、仕様書等において、受託事業者に対して送客数の報告等を義務づけていなかったことや、年度を越えて事業効果が発現する場合について、事業を実施した次の年度に効果を把握する体制が確立していなかったこと等が挙げられます。

 この勧告の後、仕様書等において、送客数等の確認を明確化するとともに、JNTO、日本政府観光局や地方運輸局において、受託事業者からの事業効果の報告を確認することを徹底しているところでございます。

吉田(豊)分科員 今ほどの答弁にありましたが、この勧告に対する改善措置として、地方運輸局での事業効果の把握を徹底するということ、そして、受託事業者からの事業効果の報告を確認することや、仕様書等によって事業効果の把握を明確にするということですが、現在、この事業での送客数、先ほどの調査では半分しか把握されていなかったということでございますけれども、現時点で全ての事業で把握されているという非常に大きな改善があったかどうか、これについて確認させていただきます。

田村政府参考人 例えば、この勧告の後、二十六年度の事業ということでいいますと、ネットを通じて入力があったものが九一%まで上がってきています。これを一〇〇%にすべく、今フォローアップを行っているところでございます。

吉田(豊)分科員 非常に迅速な対応だと思うところでございますが、今ほどおっしゃったネットというもの、やはり、世の中全てがそういう意味ではネット社会になってきている。こういうところにきちっと数値を把握しやすくなる、それはビッグデータの解析とかそういうことがよく言われますけれども、そういう意味でも非常に大きな数の変動があって、それをきちっと把握して次に生かしていく、ぜひこれを強化していただきたい、こう思うところでございます。

 次に、国際観光ホテル制度についてお伺いいたします。

 国は、国際観光ホテル整備法という、昭和二十四年という戦後間もなくできた法律に基づいて、外国人観光客の宿泊に適するようにつくられたホテルまたは旅館を登録する制度を運用しているということですが、この法律によりますと、登録ホテル、旅館に対して、外客接遇主任者の選任、避難経路等の外国語標示などを義務づけているとのことです。

 ところが、総務省の調査結果によりますれば、登録ホテル、旅館の四割、五十五施設のうち二十二施設が課された義務を遵守していない。意見を聴取した四十一宿泊施設のうち、登録ホテル、旅館であることによる外国人旅行者の誘客に係るメリットがないとしているものが六五%にも上っており、明確にメリットがあるとした施設はないということです。これもあって、登録ホテル、旅館は減少傾向で、平成二十年に三千五十七から二十四年には二千六百二十四という数字をいただいておりますが、減ってきていると。

 それで、なぜこのような結果になっているのかということ、観光庁は原因をどう分析しているか。総務省は、国際観光ホテル登録制度自体の見直しを勧告しているということです。これに対する国交省が講じた改善措置状況、その現状分析も含めてお答えいただきたいと思います。

田村政府参考人 国際観光ホテル登録制度の見直しにつきましては、平成二十六年十月以降、社団法人日本旅館協会、それから、同じく一般社団法人の日本ホテル協会と意見交換を実施いたしまして、登録制度の役割、活用方策等について検討を行いまして、登録施設がみずから登録遵守状況についてチェックし、観光庁へ報告する仕組みを構築したところでございます。

 そして、特に必要があると思われる報告に対しましては、職員による立入検査を実施しておりまして、例えば、外国人客に接する従業員の登録状況や経営状況の報告を重視して実施しているところでございます。

 当然、この法律は、昭和二十年代にできている法律でもあります。そういう意味では、中身の改善というものが抜本的に求められている時期でもございます。

 他方で、この登録をしていないようなところについて、かなり受け入れ環境が整備されていないというような実態もございます。そういう意味では、どういうインセンティブを与えて、どういうふうに受け入れ環境を迅速に整備していくのかということについて、今後、速やかに検討を進めて、必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

吉田(豊)分科員 非常に重要なところだと思うんですけれども、その制度自身が非常に古いものになっている、それで、必要ない、効果がないというところがある一方で、いや、しかし、それはまだ今現時点においても必要だという、その両方が言えるわけですね。

 今ほど答弁いただきましたように、そういうふうになりますと、では、その制度自身をやはり改めて、今にふさわしいものとしてどう改善していくのか。特に、この観光の問題については地域地域に自主性を任せるという大きな方針が出てきているわけです。ですから、例えば自治体がこういうことについても役割を果たす、そういう権限として与える、そういうようなこともアイデアとすればあると思うんですけれども、このあたりはいかがでしょうか。

田村政府参考人 もちろん、いろいろな見直しの中で、どういうインセンティブを与え、どういう仕組みで受け入れ環境整備の促進を図っていくのかということについて、今の先生の御意見なども参考にさせていただきながら、総合的に検討してまいりたいと思います。

吉田(豊)分科員 特に、制度の検討そして改善ということに当たっては、私は今、自治体ということも申しましたけれども、やはり観光というこれは一つの業ですから、それに携わっている観光産業ということからすると、それにかかわる方々の自主性というものをいかに重んじるかということが非常に重要な、根本の考え方だと思いますし、また、そうなると、ルール自身が逆に規制になっていて、ある意味では負担になっている、そういうことも可能性とすれば考えられるわけですね。ですから、規制緩和という言葉がふさわしいかどうかちょっとわかりませんが、このことも含めて、改めて、やはり今、本当に観光に力を入れて実際に数字が出てきている、そうすると、一つ一つ指摘された個別のことについても迅速にそれに対応していくという必要性を感じますので、ぜひ、御検討いただいて、必要な改善をしていただきたいと思うところです。

 次に、通訳案内士という制度があるということですが、これについてお伺いいたします。

 制度の概要は、報酬を得て、そして通訳案内を行うためには資格が必要だという、通訳案内士という資格は、その資格があれば全国で活躍できて、地域限定通訳案内士という資格ならば、資格を得た都道府県で活動できる、こういう仕組みだということです。また一方で、通訳ということに関しては、無償で通訳案内を行う通訳ボランティアガイドという方々も当然活躍している、これが現状だと思うんです。

 総務省の調査結果によれば、通訳案内業で生計を立てている者は少数または皆無というのがほとんど全ての通訳案内士団体の回答だったということです。地域限定通訳案内士については、六道県のうち五道県が試験を休止しているということ、そして一方、通訳ボランティアガイドは積極的に活用されている現状がある。そして、これらの通訳ガイドのそれぞれの目標値や役割分担というものが現時点では不明確だというのが全体の理解だと思います。

 通訳士の制度について、有効活用されていないというのが現状だと思いますけれども、観光庁の認識はどうか、そして、これをどう分析して、これがどう変わっていくべきかということについてのお考えをお聞きしたいと思います。

田村政府参考人 通訳案内士制度につきましては、今御質問がございましたように、勧告において、今後、増加することが見込まれている訪日外国人旅行者の通訳案内のニーズに的確に対応するため、外国人旅行者のニーズや通訳案内士等の受注成績を踏まえ、通訳案内士等のそれぞれの役割分担や具体の活用方策を検討し、訪日外国人旅行者の受け入れ体制のあり方を再検討する必要があるとされたところでございます。

 この制度も、もとはといえば昭和二十年代にできた法律に基づいております。そのころの旅行の形態というのは、時間をかけて全国をめぐっていく、そこをフルアテンドするというような通訳案内士のニーズ、そういうものをベースにつくられている。そして、実際問題として、極めて難しい試験であるというようなこともあります。

 現実問題としては、英語の合格者が非常に多くて、そういう合格者たちの所在というのは大都市圏に集中をしている、他方で、最近ふえているアジアを中心とするようないろいろな言語につきましては必ずしも十分にその供給がふえていないというような状況がございます。

 こういったことも受けまして、観光庁では、通訳案内士制度のあり方検討会というものを平成二十六年十二月以降開催して、時代に対応した通訳案内士制度のあり方について、現在検討を行っているところでございます。

吉田(豊)分科員 今ほど答弁をいただきましたが、やはり現状にそぐわなくなっている。ただ、歴史的な経緯から考えると、やはり観光をなさる方々の形態が明らかに変わっているわけですよね。団体で動くものから個人で動くものになってきたということ。そして、今、日本で観光がこれだけ急速に発展しているというのは、実は、量よりも質を追求しているというところに全体像が移動しているんじゃないかな、こう思うわけです。ですから、お客様ですよね、観光者のニーズに合わせて、通訳という分野一つをとっても、どれだけのことを準備していくのか、そこが一番大事なところだと私は思うわけです。

 これをぜひ進めていただきたいと思いますが、大臣、今ほどのやりとりの中で、通訳業という一つの、資格といえばいいか、制度を国として用意した、だけれども、今にふさわしいものはやはり何かあるんじゃないか、そういうことも前向きに検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 通訳案内士制度につきましては、本年六月二日に閣議決定をされました規制改革実施計画におきまして、「通訳案内士の業務独占規制を廃止し、名称独占のみ存続する」とされております。これを踏まえまして、制度の見直しの検討を通訳案内士制度のあり方に関する検討会等の場で行ってまいりました。

 十月六日に検討会から国土交通省に提出をされました中間取りまとめにおきましては、通訳案内士が憧れの職業となるよう、名称を認定通訳案内士、仮称でございますが、とするなど、質の高いガイドであることを明確にすべきである、通訳案内士の質の維持向上を担保するため定期的な研修を義務づけるべきである、地域のガイドも、引き続き国による認定スキームを整備するなどにより質を確保すべきである等の内容が盛り込まれたところでございます。

 国土交通省といたしましては、この中間取りまとめを踏まえまして、制度設計を進め、次の通常国会に関連法案を提出する方向で検討を進めてまいりたいと考えております。

吉田(豊)分科員 改めて、やはり私が申しましたところは、結局は、質を追求していくという話になると、当然、それぞれ専門性というものがやはり出てくるわけです。それで、通訳のボランティアの方々のお力を得て、例えば、地域地域によって非常にそれを積極的にやっていることで、日本人のみならず、外国の方々の好評を得ているところも確実にある。

 ですけれども、例えば、もし通訳士という国が認定する制度をより深めていくことであれば、専門性をより追求していく、そのことによって、観光にも、目的はお客さんはいろいろあるわけです。シーナリー、景観を見るということであれば、御自身で感じることが多いでしょうけれども、例えば歴史の部分ですとか、それから食の部分ですとか、こういうところに行った場合は、うんちくということをきちっとどれだけ説明することができるか、それによって満足度に直結する話だと思うわけですね。

 ここをぜひ、改めて、今回の通訳士という話を契機に、全体として質をどう高めていくか、そしてそれにどう対応していくか、このことについて御検討いただければな、こういうふうに思うところでございます。

 少し早いけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございます。

伊藤主査 これにて吉田豊史君の質疑は終了いたしました。

 次に、田畑裕明君。

田畑(裕)分科員 自由民主党、田畑裕明と申します。

 きょうは、この決算行政監視委員会において、国土交通省所管分におきまして質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 また、何よりも、この決算行政監視委員会、決算の認定審査、大分滞っておると申しますか、二十四年、二十五年度の歳出歳入の決算の審査、また、政府系の特殊法人等の行政監視の審査をするこの委員会、こうして今動き出したことにも大変感慨を感じるわけであります。きょうは玄葉委員長もお座りでございますが、委員長のそうしたリーダーシップ、また、野党の先生方の御理解にも深く感謝を申し上げて、質問に入りたいと思う次第でございます。

 きょうは、主に道路整備について、そしてまた公共交通やまちづくりの進展について、何点か通告に従って質問をさせていただきたいと思います。

 まず一点目は、ちょっと地元の地域の国道の整備についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 国道八号線の豊田―新屋間の立体交差事業のことについて、まず一点、お聞きをさせていただきたいと思います。これは北陸地方整備局富山河川国道事務所管内の事業ということに相なるわけであります。

 全国にいわゆる地方整備局、ブロックごとにそれぞれ設置をされているわけであります。それぞれ、道路や河川、また港湾、空港などの整備、維持管理に、整備局の皆さん方、もちろん民間の方ともいろいろ協力をしながら日夜取り組んでいらっしゃり、社会資本整備を通じて、安全で安心で豊かな我々の生活を支えていただいているわけであります。

 そして、とりもなおさず各地の地域づくりを御支援されているということ、まずもって感謝を申し上げたいと思います。それぞれ管内においてもいろいろな、道路の清掃のことであったりですとか、地域と連携をしながらさまざま独自の取り組みをされていること、大変立派だと思っております。

 この週末も、北陸整備局管内では、国道百五十六号線管内で花壇の設置といいますか、うちは富山県なんですが、チューリップの球根の生産も盛んでありまして、そうした球根の植えつけ等を国道沿線のところで実施されているということも漏れ聞こえているところでございます。

 もちろん誰もが、住んでいるところがきれいで、そしてまた環境がいいということは何よりも求めることでなかろうかなと思いますが、官の皆さんがそうしたことを積極的に行うということ、大変立派だと思いますし、それに呼応して、地域が応えていきながらやりとりをしていくという姿、これからも頑張って取り組んでいただきたいなと思います。

 そしてまた、何よりも、災害が発生した折には、やはり国交省全体として、またそれぞれの各地方整備局が協力、連携をして災害の早期復旧についても迅速に対応されているということ、このことも国民の皆さんにもしっかり御認識をいただきたいと思いますし、そうした見えざるところでもいろいろ頑張っていることにもここの場で触れさせていただきたいと思います。

 また、そうは申せ、世の中的には、公共工事という事柄についてのイメージ論がややもすれば先行していたりですとか、公共工事の削減ということが何やら美徳というような考え方も一部ではあるようにも感じているわけでありますので、必要な工事は当然きっちりやっていく、そしてまたその効果をより国民の皆さんに知らしめていく、そうしたこともとても大事でなかろうかと思います。

 昨今は、公共工事の品質の管理、確保についても格段の進歩が進んでいるのではなかろうかと思いますし、当然、国民の皆さんのコストダウンを要求されるそういった要請の事柄、これもしっかり応えていただきたいと思いますし、IT化ですとか、ICTを使ったさまざまな工事の効率化といったことについても、いろいろ民間の皆さんのお力もおかりしながら、また活用しながら、そしてまた民の力を伸ばしていく、そうした観点で事業の推進にこれからも邁進をして取り組んでいただきたいと思います。

 また、私の地元の富山県も降雪、豪雪が降るところでございます。東北や北海道も含めてでありますが、そろそろ雪将軍、北海道においてはもう十一月初旬ぐらいから道路冠雪が記録をされているようでございますが、道路の除排雪につきましてもそろそろ現場では鋭意準備をなさっているところでございます。

 雪は余りなければいいに決まっておりますが、そうは申せ、翌春のいろいろな農作業も含めてでありますが、国土を守り、また循環するための、そうした資源としての雪解け水といったことももちろん大事でありますから、理想的に言えば、余り人家がない山間地のみに降って、そこでダム等を含めた取水の用に供する、そういう形の降雪が望まれるのではなかろうかとも思います。

 前置きが長くなりましたが、それでは、国道八号線の豊田―新屋間の立体交差事業について、これまで都市計画決定後、鋭意事業が進められていると認識をしているわけでありますが、平成二十六年度からは用地の測量や建物調査の段階に進んでいるとお聞きをしております。現状の進捗の状況また対応策について、これは相当期間を要する事業というような位置づけとも聞いているわけでありますが、現状を道路局長の方にお伺いをさせていただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道八号豊田新屋立体は、富山市内の国道八号の混雑緩和、交通事故の低減を目的とした交差点立体化事業でございます。

 沿道との協力が非常に大事でございますので、平成二十一年度に事業着手した後に、平成二十三年度より地域の各町内会に対して設計の説明をいたしまして、平成二十五年十月ごろまでに了解をいただいたところでございます。

 その後、委員御指摘のとおり、平成二十六年度より用地買収に着手いたしまして、十月末現在における用地買収の進捗率は三割となっております。

 今年度は、用地買収を推進するとともに、平成二十八年度補正予算によりまして新屋地区の橋梁下部工工事に着手する予定でございます。引き続き、地元の皆様方の御協力を得ながら、早期完成に向けて事業を推進してまいります。

田畑(裕)分科員 御答弁ありがとうございます。

 この国道は、関西から北陸、そしてまた新潟へ通じる幹線の動脈でございます。これは、今ちょうど富山の方は新幹線が開業したわけでありますが、新幹線の富山駅に、県の東部地区の方からそうした新幹線駅にスムーズなアクセスをするための位置づけの道路でもありますし、県内で一番の交通渋滞地域ということもございます。もちろん、地元地権者を含めた皆さん方の御協力というのは何よりも大切であろうかと思いますが、よりまたスピード感を持って取り組んでいただきたいと思いますし、いわゆる通過車両と一般の地域内の通過交通のさばきを、しっかり区分けをする意味でも大いに意義のある事業だと認識をしているところでありますので、地元を含めて、自治体関係の方を含めて待望久しい道路事業ということでありますので、その辺のことをまたお願いを申しつけさせていただきたいと思います。

 続きまして、ちょっと交通安全対策についてお聞きをさせていただきたいと思います。

 交通安全は、警察庁の所管の分野もあろうかと思いますが、ここでは国土交通省所管の交通安全対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、交通安全対策基本法にのっとって、るるそうした交通安全の対策が各地でもちろん丁寧に行われていると思っておるところでありますが、いわゆる幹線道路と言われるところにおける交通安全の対策であったり、一般の生活道路、これは市町村道が中心かと思いますが、そうした生活道路における交通安全の対策、また、その中でも特に通学路と言われる区域の安全確保といったことについてはしっかりやってほしいし、当然やるべきだということは論をまたないのではなかろうかなと思っています。

 特に通学路に関しましては、安全確保において、国交省さんのみならず、文科省や警察庁や、もちろん地域の自治体であったりですとか、関係機関、皆さんが協力をして推進していかなければなりません。

 そうは申せ、時に悲しい、そうした通学路における、子供さんが被害に遭う、そうした事故の報に接するわけでありまして、もちろん全て撲滅をするということが理想的でありますが、そこに、少しでもそうしたことで悲しむ方がいらっしゃらないように、全員で協力してぜひ取り組んでいっていただきたいと思います。

 昨今は、特に高齢ドライバーの、一概には、いろいろな要因があるんだとは思いますが、運転操作ミスによる痛ましい事故や、いわゆる自損の事故といったようなことも多く報道されるわけであります。運転免許の自主返納といったようなことであったりですとか各種対策がとられ、そうは申せ、運転者の運転を何か制限するといったことはいろいろ憲法上も含めて難しい面もあるのではなかろうかと思うわけであります。

 この後、いろいろ、車両の自動運転化のことであったりですとか、将来そう遠くないのかもしれませんが、未来を見越して、そうした交通安全、交通事故撲滅のさまざまな研究を含めて、国交省さんの方にしっかり取り組んでもいただきたいなと思うわけであります。

 もちろん、道路の利用というのは、いわゆる車両等のみならず、歩行者の方、車両に入りますが自転車ということの交通の利便性を果たして道路の整備ということも行っていかなければいけないと思いますし、車椅子やいわゆる聴覚や視覚の障害の方々、そうした方々がまた安全に通行できる、そうした取り組みもしっかり行ってもいただきたいと思います。

 そうは申せ、そこにおいて、当然、手をこまねいていることに対して忠告をするわけではありませんが、歩車道のしっかりとした区分であったりですとか歩道の段差といったようなこと、これも各地では大分解消の動きもあるというふうにも感じておりますし、速度の低下を促すための道路に凹凸をつけるといったようなことやカラー舗装といったようなこと、こんなこともいろいろ行われているというふうにも認識をしております。

 そこで、通告では、自転車ですとか歩行者の交通事故の削減等についてちょっとお聞きをしていたかと思いますが、自転車や歩行者が安全で快適に通行できるため、昨今は、ビッグデータですとかICTを活用した、そのようなデータ分析の中で交通事故発生ポイントみたいなことのあぶり出しも大分進んでいるやにお聞きをしているわけでありますが、そうした歩行者の移動支援について、近年どのような取り組みを進められていらっしゃるのかをお聞きをさせていただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 歩行者、自転車の事故対策ということでございますが、平成二十七年の交通事故死者数四千百十七人のうち、歩行中、自転車乗車中が半数を占めておりまして、そのうち半数が自宅から五百メートル以内で発生するということになっておりまして、歩行者、自転車乗車中等の安全確保のためには、身近な生活道路の対策が喫緊の課題となっております。

 このため、幹線道路の整備によりまして安全性の高い幹線道路へ車の通行を転換させるとともに、生活道路において歩行者等が安全に利用できる空間を確保する必要がございます。

 国土交通省といたしましては、委員御指摘のとおり、ビッグデータを活用し、これによりまして、事故のヒヤリ・ハット箇所というのも特定できます。このような方法を通じまして、効率的な事故対策の実施によりまして、生活道路を歩行者、自転車中心の空間への転換を目指してまいりたいと考えております。

 具体的には、面的な速度規制と連携をいたしまして、生活道路や通学路の急所を事前に特定いたしまして、PTA、教育委員会、警察等と連携をいたしまして、ハンプ、それから狭窄部、狭い部分等の通過交通の進入抑制と速度低減を図る対策の実施などを効果的、効率的に推進してまいります。

 国土交通省といたしましては、歩道等の交通安全対策については、防災・安全交付金により支援をしているところでございます。

田畑(裕)分科員 御答弁ありがとうございます。

 御答弁にありましたように、やはり、交通事故の発生でも、自宅から五百メートル以内というより身近なところで発生の率が高いということ、確かに、通過しなれたところであるがゆえに、少し、緊張感の欠如であったりですとか、まさか自分の近くでそんなことが起きることがないというような油断的なこともあるのではなかろうかなと思います。

 それぞれ区域区域で異なりますが、いろいろ御説明でお聞きしておりますと、一定の生活道路区域は、例えば速度制限を、ゾーニングをして、その辺の通過の速度を全体的に落とすという啓蒙活動的な取り組みもやっていらっしゃるともお聞きをしているところであります。特に、誰もが被害者、加害者になるかわからないこうした交通事故の関連について、これからもしっかり、またきっちり行っていただきたいなと思います。

 一問、質問ではありませんが、大臣にまた聞いていただきたいなと思って、ちょっとお話ししたいと思います。

 最近、住宅地を含めて、いわゆる青空パーキングと言われるようなものが非常にふえてきているわけであります。昨今、私もいろいろなところを回っていて感じるのは、その中でも、いろいろな使われ方がありますが、いわゆるレンタカー型のカーシェアリングが、いわゆるコインパーキングの駐車場にレンタカー型のカーシェアの車を置いて業というものが広がっていると感じております。

 資料をちょっといただいたところ、位置づけはレンタカー型カーシェアリングというふうな位置づけということで、通常のレンタカーと同類というくくりの中とはお聞きをしております。

 そこから切り出した中で、そうした青空駐車等でのレンタカー、シェアリングの事業でありますが、二十七年の三月現在で、事業者数が三百四事業者、そこで貸し出しをしている車両数が一万六千百六十八台、貸し渡しの拠点は、今言った、主にはいわゆるそうしたパーキングの駐車場ということが言えるのではなかろうかと思いますが、九千八百九十七カ所ということでありまして、ここ五年ぐらいの数字の変化を見ますと、事業者数で約六倍、車両数や貸し渡しの拠点で約七倍というふうに伸びているということであります。

 これはもちろん、法令にのっとって事業登録をされ、民間の事業ということですから、それなりに広がっていくことは、利用者もいて、双方バランスが整っていることでなかろうかなというふうには理解をしているわけでありますが、ややもすれば、これは誰でも借りられて、大多数は何かクレジットカード決済ということで、大体店舗型ではなくてネットでやりとりをしながら、所定の時間そこから離れたら自動的に課金がされて、戻った時間帯等で、レンタカーと一緒ですかね、六時間とか八時間での課金制度というふうに今はなっているやに感じているところであります。

 現行、何かそこで不測の事態や課題等があるのかということも事前にちょっと国交省さんにお聞きしたところ、特別なくて、推移を見守っているんだよというようなこともお聞きをしたところでございますが、まれにといいますか、やはり通学路であったりとか、本当の生活路線の中のパーキングにそうしたシェアリングが非常にふえてきていて、場合によっては、悪意なことを考えれば、偽造のクレジットカードを使ってそうしたことを行うようなやからもいるかもしれないわけでありまして、何らかの監視の目であったりですとか、事業者数の伸びと、それに必ずしも善意の事業者ばかりではないのかもしれないという視点も持って注視をしていただければ大変ありがたいなとも思うわけであります。

 自家用車を所有する意思が少なくなってきているというような傾向もあって、いわゆるシェアリング、レンタカーということがそこにうまくはまっているのではなかろうかなとも思うわけでありますが、ちょっと一端ということで、御報告を兼ねて紹介をさせていただきました。

 それでは次は、総合政策局を中心に、公共交通の進展の事柄についてちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 特に、地方を含めて、まちづくりとそうした公共交通を連動した取り組み、これは国として、国土のグランドデザインやいわゆるコンパクトシティー・プラス・ネットワークということで、大変大きな旗印を掲げて今鋭意進められているというふうには認識をしております。

 それに、その施策を後押しするといった意味からも、平成二十六年度に、いわゆる公共交通の再生法であったりですとか都市再生特別措置法の改正がなされて、鋭意こちらは進展が今なされているということであろうかと思います。

 手前みそでありますけれども、私は富山市の選出でありますが、我が富山市は、そうしたコンパクトシティー化については、全国の先鞭というような位置づけでこれまでも鋭意施策に取り組んでき、もちろん、そこには、国交省さんを初め関係の皆さんの御協力をいただきながら進めてきたという現状があります。むしろ、今ももちろんトップランナーで走らせていただいておりまして、その取り組みがうまく全国の横展開をしていくような形になればというふうに思いながら、質問をさせていただきたいと思います。

 もともと、地方の都市としては、やはり中心市街地の活性化、経済の活性化といったようなことも、まちづくりと非常に連携、連動してきた歴史がございます。富山市ももちろん、まずは産業的な、そうした商業の集積や商業の活性化、特に大きな郊外型のショッピングセンターの造成というのがここ二十年スパンぐらいの中で非常に伸びてきた歴史があり、いわゆる中心市街地が空洞化してきたというのは、全国のどこの小規模を含めた都市においても課題でなかったのかなと思っています。

 その中で、中心市街地の活性化の切り口として、公共交通を充実させることによって、人の往来をより都市部に誘導しようというのがもともとの根底の考えであろうかと思います。

 そうは申せ、やはり現実的には、自分の意思で、自由に移動できる自家用車ですね。車での移動というのは、何よりも、我々も含めた欲求を満たしてもらう、現在にとってももちろんナンバーワンということになろうかと思いますが、先ほど、高齢ドライバーの不用意な運転による事故というようなお話もちょっとさせていただきましたが、これから高齢化が進んでいく中で、車に乗りづらい交通弱者がふえるであろうという要因も考えられるわけであります。

 やみくもに都市機能が郊外に拡散していくことによる、さまざまな整備にかかるコストの維持管理を誰が担っていくのかといったこと、よくよくいろいろ切り分けて考えていく中で、中心街にいろいろ都市機能を集積させたり、そしてまた教育を含めた総合、トータルの都市機能や社会資本整備を合致させていくこと、これはとても大事なことでなかろうかなと思っております。

 そうした中で、LRTですとかバス交通ですとか、はたまた駐車場の整備や、そうしたいろいろな取り組みを組み合わせて進化した形がコンパクトシティー・プラス・ネットワークということになるのではなかろうかなと思っております。

 これまで、先ほど申したとおり、法改正をしながら、いろいろな施策を国として取り組んできているわけであります。現在は、そうした二十六年の改正を受けて、面的に、公共交通のネットワークの再構築のための地域公共交通網形成計画の策定というのが、全国の自治体を中心に今進められているというふうにお聞きをしております。本年十月末で百九十二件の計画が国交大臣の方に送付されているともお聞きをしているわけであります。

 まず、法改正を踏まえて、そうした交通ネットワーク網の構築に向けて、全国の実態であったりですとか、現状における評価的なことをお聞きをさせていただきたいと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の地域公共交通網形成計画でございますけれども、平成二十六年に改正されました地域公共交通活性化再生法において創設されたものでございます。

 背景でございますけれども、近年、多くの地域で、利用者の減少等によりまして、地域公共交通が十分なサービスを提供できなくなっている事例が見られておりまして、その対応が課題となっております。また、御指摘のとおり、地域のまちづくりの中で、公共交通の果たす役割にも大きな期待が寄せられております。

 こうした状況を踏まえまして、地域の公共交通を網羅的に見直し、まちづくりなどと連携しながら、面的に地域の公共交通を再構築することで、利用しやすく、持続可能な公共交通ネットワークの形成を図ろうということでこの制度が設けられたものでございます。

 この策定市町村は順調に伸びておりまして、ただいま御紹介がありましたとおり、本年十月末で全国で百九十二件の地域公共交通網形成計画が作成されております。

 国土交通省としましては、引き続き、これらの計画の策定あるいは実施を促進するために、計画策定に要する経費の支援、あるいは地方公共団体への助言、人材育成の協力、こういったことを行ってまいりたいと考えております。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 法的なたてつけでも、交通網の形成計画をそれぞれ自治体でつくっていただき、あくまでもそれは国の認定ということではなくて、それを国の方にはお伝えをいただくということだそうでありますが、それにのっとっていわゆる再編の実施計画を、これは国土交通大臣の認定ということで、それによって、また恩典もつけながら整備の促進をしていくというふうにお聞きをしています。

 本省の方でもしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、出先であります運輸局であったりですとか整備局、こちらの方でも、聞き取りの窓口やフォローアップ体制や、現実的な対応を現場でもできる、そうした態様で進んでいるともお聞きをしています。そこはまた、縦割りにならないようにも含めて、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 特に、地方部における交通事業者自身の人材の確保のことであったりですとか、それぞれ、やはり地方地方では公共交通の空白地帯のむらがあったり、むらというかいろいろな濃淡があったりですとか、場所によっては、県行政、市行政の連携をよりうまくしなければいけないところ、うまくいっているところ、それぞれあるのではなかろうかと思いますが、そこも横断的にしっかり対応をしていただきたいとも思います。

 特に、富山市の事例でいえば、早くから市レベルで公共交通の担当セクションをしっかりつくってきたというのは非常に意義深かったのではなかろうかなと私は思っております。そして、県行政、広域行政としっかり連携をした中で、事業者や関係の皆さんとのしっかりとした体制を、市がみずから動くということ、これが何よりも大事でなかろうかなと思っています。

 改めて、この交通再編実施計画の作成のメリットであったりですとか、認定を受けることによっての国の後押しについてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

藤田政府参考人 地域公共交通再編実施計画、これは先ほど申し上げた地域公共交通網形成計画において、バス路線の抜本的な見直しなどネットワークを具体的に再編することが必要とされた場合に作成されるものでございます。国土交通大臣が計画を認定して実現を後押しすることになっております。現在、十三の認定計画がございます。

 具体的なメリットでございますけれども、この計画に位置づけられているバス路線等につきましては、例えば欠損補助の要件を緩和するなど、重点的な支援を行っております。それから、この計画の認定によりまして、それぞれの事業法に基づき必要となる手続が行われたこととみなす、いわゆる手続のワンストップ化も適用されております。

 こうした措置を通じまして、持続可能な地域公共交通ネットワークの形成を図ってまいりたいと考えております。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 公共交通、移動手段としての確保、これはもう本当にしっかり光を当てていただきたいと思いますし、そうした分野に公金、公費を投入する、そうした意識がえというものも徐々に広がっているのではなかろうかと思いますので、鋭意取り組んでいただきたいと思います。

 コンパクト・プラス・ネットワークの中では、そうした公共交通の再編といわゆる都市機能を充実させる立地計画をしっかりあわせ持って両輪で行っていくということが当然肝要であり、法的にもそれが整っているわけであります。いろいろ、昨今は子育て機能であったりですとか、介護も含めてでありますが、生活の質の向上、そのための区域の中心街を含めた集積というのが非常に大事なことでなかろうかなと思っております。

 いわゆる都市再生特別措置法に伴うそうした立地適正化計画についての取り組みの現状であったりですとか、そうした目指すところ的なことをぜひお聞かせいただきたいと思います。

藤井大臣政務官 お答えさせていただきます。

 平成二十六年に立地適正化計画制度を創設いたしまして、コンパクトシティーにつきましては、予算、税制等のインセンティブ策を講じながら、町中や公共交通沿線への生活サービス機能や居住の立地誘導を進めていくこととしております。

 現在、二百八十九市町村において立地適正化計画に関する具体的な検討が進められております。これまで四市が計画を作成、公表しておりまして、今年度中に百都市以上が計画の作成、公表を予定しております。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 これも今、仕掛かり中ということでありますので、それぞれ独自の地方創生施策も絡めて、そうした認定についてもしっかりバックアップもしていただきたいと思います。

 富山の事例ばかりで申しわけないですけれども、コンパクト・プラス・ネットワークの中で、より集積の機能として、例えば環境面のことであったりですとか、より健康的な要素をそこの立地適正化にしっかり加味させるということ、そうして地方自治体としての、その住んでいる地域のポテンシャル全体を底上げしていくということ、これが非常に大切なことでなかろうかと思いますし、そんな機能をより付加していく、そうした展開をぜひサポートしていただきたいと思います。

 そうしたことについての御答弁は別にないですよね。通告はしてございませんね。

 では、改めてちょっとお聞きしたいと思います。

藤井大臣政務官 コンパクトシティーについてお答えさせていただきたいと思います。

 先ほど来より田畑委員が御指摘のように、コンパクトシティーに先行的に取り組んでいる事例といたしまして、まさにコンパクトシティーのトップリーダーといたしまして、富山市が挙げられると思います。先生の地元でございます。

 富山市におきましては、市長の一貫した強力なリーダーシップのもと、利用者の減少が続いていたJR富山港線の活用等により、実質的な市の負担を抑えてLRTを整備し、乗り継ぎ環境の向上も含めて公共交通の整備を実施しております。また、このような公共交通の整備と連携いたしまして、沿線に居住を誘導する地区を設定し、住宅建設費の一部を補助したり運賃割引制度を設けるなど、市独自の取り組みを行っております。

 これらの取り組みの結果、富山市におきましては、中心市街地及び公共交通の沿線地区の人口の割合が増加し地価の維持効果が見られる、また、中心市街地の歩行者が増加し空き店舗が減少しているなど、コンパクトシティーの形成が進んでいるものというふうに評価いたしております。

 コンパクトシティーの取り組みは都市構造の転換を図るものであり、中長期的な視点で取り組む必要がありますが、それを通じて、例えば、訪問介護の生産性向上を通じた介護サービスの充実、町中での消費拡大による中心市街地の再興など、地域が抱えるさまざまな政策課題に対して着実に成果を上げていくことが重要であると考えております。

 このように、コンパクトシティーの取り組みは幅広い政策分野にわたるため、国土交通省、総務省、厚生労働省、経済産業省等から成るコンパクトシティ形成支援チームを設置し、省庁横断的に市町村の取り組みを支援してまいります。

 引き続き、関係省庁と連携して、地域の取り組みを強力に支援してまいります。

田畑(裕)分科員 ありがとうございます。

 特に最後に言われた形成支援チーム、これは非常に期待をいたしております。ぜひ成果を上げていただきたいと思います。御丁寧な答弁ありがとうございました。

 終わります。

伊藤主査 これにて田畑裕明君の質疑は終了いたしました。

 次に、瀬戸隆一君。

瀬戸分科員 香川県の瀬戸隆一でございます。

 きょうは、地方活性化においてどういったことが必要になるのか、また地方でどういったことが求められているのかという観点から質問させていただきたい、そのように思っております。

 まず最初に、四国における新幹線についてお話しさせていただきたいというふうに思っております。

 先日、ちょうど、北陸新幹線が開通した金沢を、一年がたってしばらくしていましたけれども、訪問させていただきました。これは、四国四県の知事、そして自民党の四国の国会議員、そしてまた四国の経済界の方々と視察に行ってくるということでありました。ちょうど三連休というときでもありました。金沢の駅が、本当にまるで京都と見まがうほどのにぎわいだということにびっくりしたところであります。

 石川県の方々、そしてまた金沢市の方々からもお話を頂戴したところでありますけれども、北陸新幹線の開通で、東京から金沢までの時間も一時間二十分短縮された、また、鉄道を使っての観光客数は新幹線開通によって三倍になったということであります。

 香川県の人口は大体百万人を切るぐらいなんですけれども、石川の人口が大体百十万人ぐらいで少し多いということなんですが、ほとんど変わらないと考えると、このにぎわいというのは、金沢ブランドはもちろんあるんですけれども、やはり新幹線開通による利便性向上の効果が非常に大きいんじゃないかと思っているところでございます。

 私は、やはり地方創生には、地域の魅力をアップすることと同時に、交通アクセスを便利にすること、これがまた必要なんじゃないかというふうに考えるところであります。

 北海道にも新幹線は開通しました。また、九州にも鹿児島までつながったところであります。今新幹線が通っていない地域は、ある意味、四国だけと言っても過言ではないんじゃないかというふうに思っております。

 日本の将来の発展のためには、国土の均衡ある発展がやはり重要ではないかと思っております。地方の交通の利便性を向上することが、地方への社会的人口流入にもつながり、地方経済を活性化するのは明らかではないかと思っております。

 また、一説には、フル新幹線が通る都市だけが人口が増加しているという話もあるようであります。

 そういった中、今現在、四国の四県知事と、そしてその国会議員、また経済界の方々で、四国新幹線の実現を目指すための活動をしているところであります。

 リニアモーターカーもこれからまた延伸、できるという話になっております。もはや、新幹線を今までほど特別な交通機関と見るべきではないのではないかというふうに思うところであります。

 そういった中、御質問させていただきたいと思いますけれども、現在計画されている以外の新たな新幹線の整備が地方活性化と均衡ある国土の発展にとって重要とも考えますが、いかがでしょうか。副大臣、お願いします。

末松副大臣 瀬戸先生御指摘のとおりかとは存じます。今、先生、四国新幹線のお話を出されまして、北陸新幹線につきましては私も何度か乗りまして、金沢の町のにぎわいも見てまいりました。大きな影響が出ていると思います。いい影響が出ていると思います。

 それで、四国新幹線、四国横断新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、昭和四十八年に基本計画路線として位置づけられた路線であります。

 現在、同法に基づきまして、昭和四十八年に整備計画が決定された整備新幹線であります北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線西九州ルートの三区間の整備を、政府・与党申し合わせに基づきまして順次進めているところであります。また、北陸新幹線敦賀―大阪の整備も課題として残されていることは先生御承知のとおりであります。

 新幹線につきましては、まず、これらの整備計画路線の確実な整備にめどを立てることが最優先の課題と考えております。

 一方、整備新幹線の整備の推進状況を踏まえ、各地域から鉄道整備に関するさまざまな御要望もいただいております。基本計画の沿線の知事も何度かお見えになっておられます。複数お見えになっておられます。

 国土交通省におきましては、平成二十九年度の概算要求におきまして、基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等のあり方の検討に必要となる、我が国の交通ネットワークの現状や効率的な整備手法のさまざまな課題について調査する経費を要求しているところでありまして、この調査にしっかり取り組んでまいりたいと思ってございます。

 先生御指摘の四国新幹線に関するBバイCにつきましては、四国の鉄道高速化連絡会によりまして四国圏における将来的な鉄道整備に係る基礎調査が行われていること、また、四国において鉄道の抜本的高速化が中長期的な検討課題になっていることについては、事務方からもよく聞いてございます。

 いずれにしましても、本日の先生の御質問が将来的な四国新幹線の整備の礎となりますことを願っております。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 もし、四国新幹線、そういうことが実現すれば、これは四国の経済圏とやはり関西の経済圏、これを結ぶことになるんだと思っています。そうすると、西日本の経済が大きくまた発展する基礎になるのではないかと思っているところであります。

 地元の方でも最初の方は、四国の新幹線の話を二年ぐらい前とか一年前にお話しすると、自分の生きている間に新幹線ができるかどうかわからぬのに、そんなものどうするんやみたいな話は最初はあったんですが、だんだん、最近は、知事も一生懸命そういう話をし始めますと、次の世代のためにやはり必要なんじゃないか、そういったことを地元の方々も言い始めた、そんな状況であります。

 先ほど御質問された田畑先生からも、富山の方も今にぎわっているという話もいただいたところであります。まさに、本当に地方にとっても非常に大切なんだというふうに思っております。

 ちょうどことしの四国圏広域地方計画にも四国における新幹線というのは言及されたということでございますし、また、平成二十八年度、二十九年度の鉄道整備等基礎調査委託費もついているということでございます。

 先ほど末松副大臣の方からお話しいただきましたけれども、運輸政策研究機構の試算によると、四国新幹線、BバイCが、一・〇三だったかと思います、一を超えているということでございます。そういうことでありますと、国としても調査をする価値が十分あるのではないかというふうに思いますが、さらにもし何か答弁がありましたら、よろしくお願いします。

末松副大臣 先生に今御指摘いただきましたことでありますけれども、今、全国の、昭和四十七年、四十八年に基本計画に盛り込まれているわけですけれども、その路線、あらゆる日本における路線も全て一度調査をしてみて、きちっとした結論、中間地点になりますけれども、結論を得ていきたいということを思ってございます。そのための調査費を今要求しているところでございます。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、また前に少しでも進んでいければというふうに思っていますので、よろしくお願いしたい、そのように思っておるところでございます。

 次に、地方の活性化をしていくに当たって、先ほどの、交通アクセスの利便性を向上させるのはもちろんなんですが、やはり地方が魅力的にならなきゃならないというのも、その魅力を発信することも必要だということなんだと思います。

 そういったことで、四国八十八カ所お遍路の世界遺産登録について質問したいというふうに思っています。

 安倍政権の方も、インバウンドの目標値を二千万人から二〇二〇年に四千万人に変更したということであります。外国人観光客をふやすことが日本経済の発展にもつながりますが、これは地方においても本当に大きいことであります。

 高松空港を利用する外国人の方は、この五年間で約十倍になりました。平成二十七年には約十一万人になったということでございます。これらの外国人の中には、四国八十八カ所のお遍路さんをする、そういった方々もふえております。

 今ちょうど、中国人の方の爆買いから、体験型旅行がふえているという話もあります。そういった傾向を考えますと、今後、四国八十八カ所のお遍路がまた一つの人気になる可能性も高いんじゃないかと思っているところであります。

 また、スペインの巡礼路がありますけれども、サンティアゴ・デ・コンポステーラというものがありまして、この巡礼路は世界遺産に登録されているということであります。

 そしてまた、このお遍路さん、御存じのように、今なお巡礼路として多くの巡礼者が来ておりますし、また、四国に住む私たちには、お接待という、お迎えする文化ということでも現在に今なお生きているというところでございます。まさに世界遺産にふさわしい巡礼路ではないかというふうに私は思っているところでございます。

 ただ、現時点で、四国八十八カ所霊場、遍路道、これは世界遺産の暫定リストに入っていないところであります。この四国八十八カ所を世界遺産に登録するためには何が必要であるということなのか、お答え願えたらと思います。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員御指摘のように、文化財を保護するとともに活用するということで観光振興あるいは地域振興に役立てていくということは非常に大切なことでございまして、文化庁としてもその方向でしっかり取り組んでいるところでございます。

 お尋ねの四国八十八カ所霊場と遍路道についてでございますが、御質問にもございましたように、今の我が国の暫定一覧表にはいまだ九件掲載されているということでございまして、文化遺産の審査が年に一件に限られているという現状でございまして、まずはこれらの世界遺産登録の着実な推進に注力することが重要であるというふうに考えております。

 また、御指摘の四国八十八カ所霊場と遍路道につきましても、平成二十年に文化審議会から、世界史的な、国際的な観点から、霊場巡礼の代表例、典型例として顕著な普遍的価値を持つことを確実に証明することですとか、資産の特質が回遊巡礼にあることを踏まえ、巡礼路をできる限り資産の範囲に含めることができるよう、適用すべき文化財の類型ですとか保存管理手法等について検討すること、あるいは、構成資産の大半がまだ文化財として保護されていない状況にあるということでございますので、今後の保護施策を着実に進めることといった課題が提示されているところでございまして、地元において、課題解決に向けた検討が現在なされているものと承知しております。

 以上でございます。

瀬戸分科員 文化財としてなかなか指定されている箇所が少ないというお話をいただきました。

 ただ、四国八十八カ所、四国全体にわたっていまして、お寺八十八カ所ももちろんですし、道全部を文化財に指定するというのは相当大変なことなんだと思います。事実上、現実的には不可能に近いのではないか。今、四県がそれに向かって取り組んでいるということは承知していますけれども、なかなか難しいんじゃないかというふうに思っているところでございます。そこのところは今後また一つの検討材料としてお考えいただけたらというふうに思っております。

 もう一つですけれども、暫定リストに入っていないということなんですが、平成十八年に暫定リストが公募されてから、もう十年近くになります。今後、その暫定リストの見直しも必要じゃないかというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。

藤江政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、いまだ九件が暫定リストとして掲載されているところでございまして、まずはそこに注力ということを考えておりますが、記載の案件がある程度減少した時点で見直しを行う必要があるということを考えております。その際には、文化審議会等の専門的、学術的な意見等を踏まえて検討してまいりたいというふうに思っております。

 また、この一覧表に掲載されているものに限らず、登録に向けて取り組んでおられる地方公共団体の皆様方に対しましても、御相談を受けながら、文化庁としても専門的見地からの指導助言を行ってまいりたいというふうに考えております。

瀬戸分科員 先ほども申させていただきましたように、やはり広い範囲にわたるお遍路道ですので、ここはまたちょっと今までの世界遺産の審査とは違う観点が必要なのかというふうに思っています。四国四県もしっかりそこのところを考えてまいりますけれども、また文化庁としましても、お知恵を拝借できれば、また寄り添って申請に向けて、また暫定リスト入りに向けて御指導いただけたらというふうに思っているところでございます。

 それでは、続きまして、今度は、地方の活性化にとって空港が大切だということは言わずもがなだというふうに思っています。先ほど、高松空港にはこの五年間で十倍の外国人観光客が来るようになった、今、十一万人ということでございます。その空港についてでございます。

 ただ、その高松空港、山の上にあるということもあるのかもしれませんが、なかなか霧で発着できないということが間々あります。結構、私も帰るときに、条件つきということではらはらしながら帰ることが多いということでありまして、そこで、これに対する対策をとることも大切なのではないかと思っています。

 といいますのは、特に高松空港は、南海トラフ地震がこれから来るとも言われております、今後三十年の間に七〇%という話もありますけれども、そういった中で、四国の空港のうち唯一津波の被害を受けない空港というふうに言われております。そういった空港が霧で使えないということは、もし南海トラフが来たときに、多分、物資を入れたりするのは高松空港から物資を入れる、そしてまた、徳島、高知に運んでいくということになるんだと思います。そういった中で、霧で使えないということがあっては、なかなかそれは、非常に大変なことなんだと思うんです。

 そういった意味で、CAT3の整備が必要なのではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、航空利用者の利便性の観点から、空港の就航率向上や定時運航の確保は重要な課題であると認識をしております。

 これまでも、濃霧等により欠航や遅延が頻繁に発生する空港におきましては、視程、これは見通しがきく距離のことでございますけれども、視程が悪いときでも航空機の着陸を可能とする高カテゴリーの計器着陸装置、ILSを整備してきたところであります。

 高松空港におきまして高カテゴリーILSの整備を進めるに当たりましては、空港周辺に急峻な谷があるという地形的な特性上、ILS自体を設置する用地の確保や、航空機の飛行高度を計測するための用地の確保等に工夫が必要となっております。

 国土交通省といたしましては、今申し上げましたような課題の解決に向けまして、地元の香川県ともよく相談をしつつ、費用対効果を勘案の上、引き続き、高カテゴリーILS整備に係る検討を進めてまいりたいと考えております。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 急峻な山の上にあるというお話をいただきましたけれども、まさにそういうところにあるんですけれども、今、ちょうど香川県も、先ほどの、観光客をこれからも入れていきたいということで、大型の旅客機を香川県、高松空港に就航できないかとも考えております。そうなってくると、五百人乗りの大型旅客機とかに高松空港に来てもらいたいということになりますと、二千五百メートルの滑走路が必要だということだそうであります。

 ただ、今ある状況でCAT3を整備してしまうと、山を切り開いた空港ということもあるので、どうしても滑走路に近いところにCAT3を建てざるを得なくなってしまって、二千五百メートルとれなくなるんじゃないか、そうなると大型の飛行機が入ってこれなくなるんじゃないかという話を県も危惧しているようであります。

 やはり今後のことを考えると、二千五百メートルの滑走路は欲しいというところは香川県としてもあるところであります。そういった中、いろいろ、これから、観光客もふえてきております、BバイCのBの方もまた上がってくるのではないかというふうに思うところでございますけれども、また、そういった、先ほどお話しさせていただきました南海トラフ地震のときの高松空港の有用性、これまたBバイCには出てこない重要性ですけれども、そういったことを勘案しますと、この二千五百メートルの滑走路長を維持することも視野に入れた中でCAT3の整備を検討していただくことも必要なのではないかというふうに思いますが、もし御答弁がありましたら、お願いします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、高松空港におきましては、空港周辺に急峻な谷があるという地形的な特性上、ILS自体を設置する用地確保等に工夫が必要となっております。委員御指摘の滑走路の運用上の長さ、これにつきましては、この工夫の一つであるというふうに考えております。

 しかしながら、いろいろな工夫がほかにもあるということでございますので、国土交通省といたしましては、今申し上げましたような課題の解決に向けまして、地元香川県ともよく相談をして、費用対効果を勘案の上、引き続き、高カテゴリーILS整備に係る検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

瀬戸分科員 ありがとうございます。ぜひ、またこれからお知恵を出していただきながら、県ともお話をしていただけたらというふうに思っているところでございます。

 続きまして、地方の活性化ということで、特に中山間においての質問をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 特に山間部においては、今ちょうど、ジビエ料理を振興するということも、非常にやりたいという方も出てきているところであります。そういった中、私も、ちょうど先週末ですけれども、香川県の中に多和という、四国八十八カ所の最後の八十八番札所がある、山の相当奥なんですけれども、そこに行ってまいりましたところ、イノシシの肉でバーベキューをやっているということがありました。全く臭みのない、おいしいお肉でありました。

 多和というところは、既にどぶろくの販売とかそういうこともやっておりますけれども、イノシシ料理におけるジビエ料理とかも、またこれから町おこしに使っていけるんじゃないかということも考えているようであります。また、東京でもジビエ料理が今はやってきているということを聞いております。

 その一方、地方で農家の方が一番困っているのは、イノシシや鹿に作物が荒らされるということが今一番困っているということであります。そういったお話も聞くものですから、私も、ことしですけれども、何らかのお役に立てたらということで、わなの免許を取ったところでありますけれども、これを何とか解決しなきゃならないなと思っているところであります。

 ちょうど最近、トヨタがイノシシや鹿の移動式解体処理車をつくったという話があります。この実証実験が行われているということでございますけれども、この移動式解体処理車の話をすると、結構、農家の方はみんな、ぜひそれを導入してほしいというお話が聞かれるところであります。やはり香川県にも、まだイノシシとかの解体処理場がないんです、一個も。この処理車を導入したりとか、そうすることがあったらいいなと思っているんです。

 そこで御質問ですが、ジビエ料理の振興とか農家の鳥獣被害対策として、移動式解体処理車ができるだけ早く全国の被害に苦しむ地域に配備される必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 現在、先生御指摘のとおり、農家に対して、野生鳥獣による農作物の被害額というのが毎年二百億円内外ということで、非常に多額に上っております。これは非常に深刻な問題でございます。

 これに対して、我々農水省といたしましても、有害捕獲を促進しておりまして、二十六年度の推計値でいきますと、鹿が四十万頭、イノシシが三十四万頭という形の捕獲を実施してきております。

 ただ、問題は、捕獲したものは大部分は埋設したり焼却しているというのが実態でございます。先生御指摘のとおり、これを資源として食肉化していくということで活用できれば非常にこれは望ましいことであるというふうに我々も考えておりますし、さらにはこれ自身が地域産業の創出というものにもつながるということ、ひいては地域振興にも資するというふうなことを我々は考えておりまして、農水省といたしましても、積極的にジビエの振興というものを推進しているところでございます。

 それで、先生御指摘いただきました解体自動車でございますけれども、捕獲した鹿とかイノシシを食肉化するためには、迅速に、それから衛生的に解体処理していくということが必要なわけでございます。したがって、とったところから食肉処理場まで持っていく時間がかかりますと、これは意味がないということでございます。

 したがいまして、この解体処理車というものを活用して、とったところまで出かけてとりに行くということを考えて、これは、関係者の方々、それから、先ほど先生御指摘ありましたトヨタ自動車の方々含めて共同で、本年七月に試作車が開発されたというところでございます。これは、きちっと長野の運輸支局で車検も通っております。

 それで、今現在、全国五カ所をこの車を巡回させながら、実証実験を行っているという状況でございます。このような実証実験につきましても、我々農水省の鳥獣被害防止総合対策交付金から実証実験に係る費用を補助していくという形になっております。

 できれば、今進めている実証実験の成果を踏まえて、これが普及できるような車体だとか、衛生的な問題点とか、課題をクリアしていただきまして、できれば、来年度を含めて早目に普及できるような車両を、トヨタさんを含めて関係者できちっとつくっていただくという形を期待しております。

 これに対しまして、我々農水省といたしましても支援をいたしていきたいというふうに考えているところでございます。

瀬戸分科員 ぜひ実証実験をうまくやっていただいて、いいものにしていただけたらというふうに思っているところであります。一度香川県にも来ていただけるという話もあるようですので、ぜひ見せていただけたらというふうに思っております。

 最後になりますけれども、これは金沢に行ったときに思ったんですけれども、工芸品がいっぱい展示されている、それがやはり金沢駅の魅力にもつながっていたと思います。伝統工芸士について、ちょっとお話をお伺いしたいなというふうに思っているところでございます。

 香川県にも工芸品がいろいろあるんですけれども、庵治石というものがあります。高級墓石として有名な石なんですけれども、牟礼町とか庵治町という町が高松市の中にあるんですが、石材加工が町の主な産業となっているという地域があります。

 庵治石を工芸品に仕上げる技術者の方々がまだまだいらっしゃるんですけれども、悩みは、この技術の伝承をどうやってしていくのか、若い人たちに技術をどうやって伝えていくのか、それが悩みだということであります。

 お墓をつくることというのはもちろん多いんですけれども、灯籠をつくったりとか、新たな工芸品にも挑んでおります。今、国立競技場にも庵治石をぜひ使ってほしいという運動をしておりますけれども、そういった中で、古くから伝わる技術を伝承するすぐれた技術者にとっても、伝統工芸士に認定されることは励みになるんだと思います。また、世界や日本に工芸品の販路を広げることにもつながるというふうに考えております。

 そういった中で、そういった庵治石の技術者など新たな分野についても経産省の方が前向きに掘り起こしをぜひしていただいて、さらに伝統工芸品の認定を積極的にしていくべきというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

土田政府参考人 地域の創生のためにも、伝統工芸品やその産業を振興していくということは、経済産業省としても非常に重要なことだというふうに思っております。

 国として、伝産法に基づきまして伝統的工芸品の新規指定を行う場合には、一定規模の産地形成が行われている工芸品につきまして、製造技術、技法が百年以上の歴史を有すること、伝統的な材料を主として使用していること、製造過程の主要部分が手工業的であることなどが要件とされております。

 経済産業省といたしましては、伝統工芸品の新規指定に向けまして、自治体や産地と連携し、指定に向けた申請等の実務や将来的な事業展開の方向性について、その相談に対応してきているところでございます。

 委員の御指摘の庵治石につきましても、産地の組合から御相談を受けているところでございまして、引き続き、香川県や産地の組合と連絡を密にいたしまして、きめ細かく丹念にサポートしてまいりたいというふうに思っております。

瀬戸分科員 ありがとうございます。

 ちょうど地元の組合の方も今悩んでいるのが、例えば百年たっているという証明が必要だというお話がありましたけれども、そういった書類をつくる人とか、なかなかそういう事務ができる人がおらぬのやというところで今ストップしているところです。ぜひ、そういったところにも経産省の方に本当に寄り添っていただいて、いろいろ指導していただけたらというふうに思っているところでございます。

 時間が来ました。地方の再生についてきょうは質問をさせていただきました。どうもありがとうございました。

伊藤主査 これにて瀬戸隆一君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうは、住宅事業についてお聞きいたします。

 ことし三月に閣議決定されました住生活基本計画では、住宅確保要配慮者の増加に対応するため、住宅セーフティーネット機能を強化するとされ、この間、新たな住宅セーフティネット検討小委員会が立ち上げられました。

 住宅セーフティーネット機能の強化がなぜ今必要なのか、大臣の基本的な認識をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 低額所得者、高齢者、子育て世帯など、住宅の確保に特に配慮を要する方々が安全で適正な規模の賃貸住宅に安心して居住することができるよう、住宅セーフティーネットを構築することは重要と考えております。

 これまで、国土交通省におきましては、住宅セーフティーネット法の理念のもと、公営住宅を初めとする公的賃貸住宅やサービスつき高齢者向け住宅等の供給に対する支援を行うほか、居住支援協議会による民間賃貸住宅の入居の円滑化のための活動の強化等に取り組んできたところであります。

 今後は、人口減少や厳しい行財政事情のもと、公営住宅の大幅な増加は見込めない状況にある一方で、民間の空き家、空き室が増加していることから、住宅確保要配慮者の増加に対応するため、空き家の活用を促進するとともに、民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みの構築等により、住宅セーフティーネット機能を強化する必要があると考えております。このことが、本年三月に閣議決定いたしました住生活基本計画において位置づけられたところでございます。

宮本(徹)分科員 国民誰もが安心して住み続けられる住宅の確保というのは、政治の最重要課題の一つだと思います。

 新たな住宅セーフティネット検討小委員会の中間とりまとめを見ましたが、高齢者世帯や子育て世帯の現状は詳しく述べられておりますが、若者の現状の記述というのは極めて弱いんですね。

 大臣は、住宅をめぐる若者の状況についてどのように認識しているのか、住宅に困窮する若者の数はつかんでいるのか、お伺いしたいと思います。

石井国務大臣 若年単身世帯について申し上げれば、例えば三十歳未満の勤労男性の平均消費支出に占める住居費の割合は、平成元年から二十一年までの二十年間で一一・八%から二一・六%になっておりまして、住居費の負担が増加をしております。

 低所得の若者については、民間賃貸住宅に入居しようといたしましても、費用負担が大きいため親から独立できないことや、家賃滞納等のおそれから大家に入居の拒否感があることなどの問題があると認識をしております。

 現に住宅に困窮する若者の数を把握することは困難でございますけれども、新たな住宅セーフティーネット制度におきましては、低所得の若年単身世帯も対象といたしまして、住宅の確保に資する制度となるよう検討を進めているところでございます。

宮本(徹)分科員 支出に占める住居費の割合が大きく上がっているというお話がありましたが、東京でいえば、二割どころじゃなく、三割、四割というぐらい消費支出に占める住居費の割合というのはあります。余りに高い家賃の中で、脱法ハウスなんかも蔓延する状況にあります。

 先ほど大臣おっしゃられましたように、親元からなかなか自立できない若者も増加しております。ある調査では、年収二百万円ぐらいの世帯では、親との同居が若者でも七割から八割ということで、住居費の高さからなかなか自立できない状況というのがあります。

 お伺いしたいんですけれども、国交省は、月収に占める住居費の負担はどの程度までが適切だというふうにお考えなんでしょうか。

石井国務大臣 総務省の家計調査によりますと、民営の借家の居住世帯の住居費の支出割合は、平成二十七年で平均一三・六%となっておりますが、この負担についてどの程度までが適切かということは、個人のライフスタイルにもかかわる話でございまして、一律に決められる性格のものではないと考えております。

 収入等の世帯の状況に応じまして、必要とする質、広さの住宅に居住できる環境を整備することは重要であります。若年世帯も含め、全ての世帯が安心して暮らせる住生活の実現に取り組んでまいりたいと存じます。

宮本(徹)分科員 当然、世帯のニーズによってどれぐらいというのは差が出てくるとは思いますが、しかし、どれぐらいの目安まで超えたらこれはもう大変だというのを、やはり基準を設けて対策を打っていかなければならないというふうに思います。

 この住宅セーフティネット検討小委員会に出されました資料を見ましたら、平均の家賃負担率三七・三%以上を高家賃世帯というふうに言っておりまして、年収百万から二百万円の世帯を見ますと、この高家賃世帯が四割を占めている、年収百万円未満では、高家賃世帯が七九%を占めているという資料も国交省の方でつくられております。

 こうした方々がみんなが救われるという新たな住宅セーフティーネットになっていかなければならないというふうに思いますが、今この検討小委員会で考えている制度設計というのは、こういう低所得者で困っている人は全員を支援しよう、こういう制度設計になっているんでしょうか。

石井国務大臣 新たな住宅セーフティネット検討小委員会の中間とりまとめを踏まえまして、現在進めております新たな制度におきましては、多様な住宅確保要配慮者を対象といたしまして、現在十分に活用されていない空き家、空き室とのマッチングを進めていくことを考えております。

 これまでも実施をしてまいりました公営住宅やUR賃貸住宅等の既存の制度に加え、新たな制度に取り組むことによりまして、より重層的な住宅セーフティーネットが構築されるものと考えております。

宮本(徹)分科員 ですから、より重層にするのは当然なんですけれども、重層にすることによって、例えば、公営住宅入居基準を満たす人は全員がそのセーフティーネットとして救われるのか、そういう制度設計をやはり私はしていかなきゃいけないと思うんですよね。

 国交省は、来年度の概算要求で、民間賃貸住宅を活用した新たな住宅セーフティーネット制度を創設するとしておりますが、これは一体どういうものなのか、この制度のための予算はどういう規模なのか、そして、どのくらいの世帯が今度のこの制度で補助が受けられるようになるのか、お答えください。

藤井大臣政務官 新たな住宅セーフティーネット制度として、平成二十九年度に空き家等を活用した住宅確保要配慮者向け住宅の登録制度を創設させていただくことを検討しております。

 これに関連いたします平成二十九年度予算概算要求として、住宅確保要配慮者向けの住宅の改修費への支援、住宅確保要配慮者向けの住宅の家賃対策の支援、居住支援協議会による居住支援活動等への支援などを要求しております。

 要求額といたしましては、改修費への支援は社会資本整備総合交付金等の内数として要求されておりまして額の特定はできませんけれども、家賃対策の支援は約三億円、居住支援活動等への支援は約四億円を要求させていただいております。

 補助対象となる世帯のボリュームにつきましては、補助要件等の具体的な制度内容により変わってくるため、現時点では定量的な数字はまだ設定できておりませんけれども、住宅確保要配慮者に資する制度となるよう検討を進めてまいります。

宮本(徹)分科員 今、家賃低廉化については約三億円というお話がありました。これは私は大変少ないんじゃないかと思うんですね。

 制度設計によりけりでどれぐらいの世帯というような話が算出されるんだと思いますが、例えば、月一・五万円家賃を低廉化するという計算でこの三億円を割りますと、一千六百六十六戸ということになるわけですよね。ですから、これで果たして多くの皆さんの期待に応えられる制度になるのかというふうに思います。やはり抜本的な増額、三億じゃなくもっと積み増す必要があるのははっきりしていると思います。

 それと同時に、新たな住宅セーフティーネット制度は、概算要求の資料を見ましたら、子育て世帯、高齢者世帯、障害者世帯等向けの住宅というふうに書いてあるんですけれども、これは、先ほどの大臣の初めの答弁では若者にもするんだというお話がありましたが、このペーパーでは若者という言葉が入っていないんですけれども、この制度は当然若者も対象になるという理解でよろしいんですね。

藤井大臣政務官 等の中に含まれるということでございます。

宮本(徹)分科員 では、等に含まれるということですので、若者に対しても思い切った支援をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 そして、この制度は、基本的には事業者、家主の側が自治体に申請をして、認定を受けて、事業者、家主に補助が出るという仕組みになっております。ですから、どれくらいの事業者が実際に手を挙げるのか、あるいは自治体の側で施策に対応する体制がとれるのかなど、さまざまな問題点も各方面から指摘をされております。

 結局、家主への補助を通じて入居者の家賃を低廉化するという方法では、予算の規模とあわせて、家主が手を挙げる規模にとどまってしまうというのがあります。

 私は、住居に困っている人を本当に助けるためには、入居者への直接の家賃助成、家賃補助、これが必要だというふうに考えております。

 自治体では家賃助成に取り組んでいるところもあります。多治見市では、公営住宅入居基準を満たす人には月一・五万円家賃補助を行っている、ただ、予算規模は大変小さいですけれども。こういうことに先行的に取り組んでいる自治体もあります。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり全国的に直接の家賃助成が行われますように、全国的な家賃助成制度をしっかりつくっていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 本年七月に取りまとめられました新たな住宅セーフティネット検討小委員会の中間とりまとめにおきまして、「地域の住宅政策において特に配慮が必要な住宅確保要配慮者が入居するセーフティネット住宅については、財政状況にも留意しつつ、低廉な家賃等とするための持続可能な支援を行うこと」とされてございます。

 一般的に、国の制度として入居者に対する家賃助成を行うことにつきましては、まず第一には、財政負担が際限なく増大するのではないか、二番目には、市場家賃の上昇を招く懸念があるのではないか、三番目には、適正な運営のための大規模な事務処理体制が必要ではないかなどの課題がございますため、慎重に検討していく必要があると考えております。

 このため、今回検討しております新たな住宅セーフティーネット制度では、特に低所得の世帯が入居する場合に家賃を下げる家主に対して、地方公共団体が補助を行うときに国が支援する方向で検討しているところでございます。

宮本(徹)分科員 さっきの答弁ですと、直接の入居支援では財政規模がどんどん膨らんでいくという話でした。逆に、今度の制度は家主に対してやるという話で、これだと広がらないんだと逆に言っているような説明になっているというふうに思うんですよね。

 やはり必要な人がしっかり住宅の支援が受けられるようにするためには、私は、大家さん任せということになる制度ではなくて、しっかり財政を確保する。多くの住民の皆さんが反対しているような道路もたくさんあるわけですから、道路予算は削って住宅予算にしっかり回すということで考える必要があるというふうに思います。

 そして、検討小委員会の中間とりまとめでも、新たな住宅セーフティーネット制度は公営住宅を補完するものだというふうに言っております。住宅セーフティーネットという点では、大もとである公営住宅の役割というのは非常に大事だと思います。今、公営住宅の応募倍率は、二〇一四年の数字で、全国で五・八倍、私の東京では二十二・八倍という状況です。そして、東京では、新規供給は途絶えて久しい状況にあります。

 公営住宅法では、公営住宅の供給、整備は国と自治体の責務ということになっております。住宅セーフティーネットというなら、やはり公営住宅の大量供給のために国はもっと積極的な対策を講じる必要があると思いますが、この点は、大臣、いかがでしょうか。

石井国務大臣 公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者等の居住の安定を確保する住宅セーフティーネットの根幹をなす施策でございます。その供給は大変重要であると考えております。

 地方公共団体におきましては、厳しい行財政事情のもと、老朽化した公営住宅のストックの改修や建てかえを鋭意進めているところでございまして、国としても社会資本整備総合交付金等によりましてしっかりと支援を行っているところでございます。

 しかしながら、今後加速化する人口減少や厳しい行財政事情のもと、公営住宅の大幅な増加は見込めない状況にございます。したがいまして、これまでの既存の施策に加えて、既存の民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みを創設することによりまして、住宅セーフティーネット機能の強化を図ろうと考えているところでございます。

宮本(徹)分科員 ですから、既存の民間賃貸住宅を活用して、借り上げ公営だとかみなし公営みたいな形ででも、公営住宅をしっかり広げる必要があると私は思います。

 そして、きょうもう一つお話ししたいのは、URの問題です。

 国が責任を持っている公的住宅があります。都市再生機構、URの賃貸住宅です。私は、これを思い切って住宅セーフティーネットとして生かすべきだというふうに思います。

 きょう配付資料として、全国の公団自治協の皆さんが取り組んだ生活実態調査、一番初めに空き家調査がありますが、その次のページから生活実態調査がついております。これをぜひ大臣もごらんいただければというふうに思います。自治協の皆さんが、大変プライバシーにかかわる問題ですから、慎重な形で、収入の状況、家庭生活の状況、家賃の状況というのを調べたものになっております。

 例えば清瀬の旭が丘では、男性、ひとり暮らし、月収八万五千二百八十五円で、家賃は四万六千九百円、先々を考えて都営住宅に申し込んでいますが、ひとり暮らしが入居できる空き家は年四回のうち一、二件で落選続き、入居四十年、住みなれた旭が丘で生活することは無理なのでしょうかという声があります。

 さらに、次のページ、七番のところに滝山というのがあります。七十八歳、女性、一人、年収九十万円、月額七万一千八百四十六円、二DK、家賃五万九千七十円、家賃を差し引くと残りわずかです、電気、ガス、水道、食費も困難です。

 その下、十一番、ひばりが丘というところもあります。七十九歳、女性、ひとり暮らし、月収十五万七千六百十五円、二DK、家賃五万八千六百円、戻り入居で減額措置を受けているのでありがたいと思っています、安心できるほどの貯金はありません、節約人生を送っています。

 もともと、公団に入られた皆さんは、現役世代で公団住宅、今のUR住宅に入られたわけですが、もう四十年、五十年たって、多くの皆さんが年金生活者になられている状況なわけですね。高齢化と所得の低下は大変深刻ですが、こうした実態について国交省はどう認識されているでしょうか。

藤井大臣政務官 URにおきましては、五年に一度、UR賃貸住宅居住者定期調査を実施させていただいております。

 この調査によりますと、世帯主が六十五歳以上の世帯は、平成十七年で約二九%に対し、平成二十七年で約四七%と上昇しており、平均世帯収入は、平成十七年で約五百五万円に対し、平成二十七年で約四百五十三万円と減少しております。

 こうしたことから、国土交通省といたしましては、UR賃貸住宅の居住者につきましては、高齢化が進み、所得の低い方がふえてきておるという認識はいたしております。

宮本(徹)分科員 先ほど紹介した声でも、現役世代のときは家賃は払えた、しかし、年金生活者になって、夫婦のときは頑張って払ってきた、しかし、どちらかお一人、御主人だったり奥さんだったり、亡くなったら、もう家賃が年金ではとても払って生活できない状況になるわけですね。貯金を取り崩しながら都営住宅に当たるのを待っている。しかし、もう七十後半になりあるいは八十になって、住みなれたコミュニティーから知らないところに行くというのも大変私は酷な話だと思いますし、そういう高齢での引っ越しというのは引っ越し死というのもよく起きていることであります。

 ですから、私は、今のURの高齢化してきている実態というのは、住んでいる人の実態に合わせて、URの位置づけを抜本的に変える必要があると思っています。いわば国営の公営住宅にすべきではないか、そして、公営住宅入居基準を満たす人は少なくとも公営住宅並みの家賃に減額する必要があるんじゃないかと思います。

 都市再生機構法の二十五条の四に減免の規定があります。機構は、居住者が高齢者その他の特に居住の安定を図る必要がある者で家賃を支払うことが困難であると認められるものである場合は、家賃を減免することができる、私はこれを活用する必要があると思うんですね。居住者が高齢者で家賃を支払うことが困難である場合というのは、具体的にどういう場合で、これは今まで何件活用されたんでしょうか。

藤井大臣政務官 お答えいたします。

 都市再生機構法では、UR賃貸住宅の家賃は、近傍同種の住宅の家賃を基準として定める近傍同種家賃とされております。

 この原則に対しまして、委員御指摘のとおり、法第二十五条第四項では、家賃を減免することができる規定を定めております。

 具体的には、高齢者向け優良賃貸住宅として供給された住戸に居住する高齢者世帯であって、公営住宅の入居基準、収入分位二五%以下に該当する世帯、建てかえ等により移転した高齢者世帯、母子、父子世帯、障害者世帯、子育て世帯、生活保護世帯であって、公営住宅の入居基準に該当する世帯等について、同項により家賃の減免が行われております。

 家賃減免の対象となった世帯は、平成二十三年度から平成二十七年度までの過去五年間の累積で、約三十六万八千世帯となっております。

宮本(徹)分科員 今の高齢者の世帯の話でいえば、高優賃はもう初めからそういう制度ですから、減免されるのは当たり前なわけですよね。

 私がお伺いしているのは、建てかえによる戻り入居とかそういうことではなくて、例えば、夫婦二人で年金生活者で払ってきたのに一人になっちゃった、年金収入ががくっと下がっちゃった、こういう場合にこの二十五条の四を適用しているケースというのはないんじゃないんですか。ありますか。

藤井大臣政務官 先ほどお答えいたしましたように、法二十五条第四項におきましては、「居住者が高齢者、身体障害者その他の特に居住の安定を図る必要がある者でこれらの規定による家賃を支払うことが困難であると認められるものである場合又は賃貸住宅に災害その他の特別の事由が生じた場合においては、家賃を減免することができる。」としております。

 先ほどお答えしたとおり、高齢者世帯であって、公営住宅の入居基準、収入分位二五%以下に該当する世帯、建てかえ等により移転した高齢者世帯、母子、父子世帯、障害者世帯、子育て世帯、生活保護世帯であって、公営住宅の入居基準に該当する世帯等について、家賃の減免が行われているというところでございます。

宮本(徹)分科員 ですから、非常にいろいろな、今ある制度については減免されているわけですけれども、私がこうやって先ほど来紹介している生活実態調査にあるようなケースというのは、どれもこれも公営住宅入居基準を満たしている方々ですよね。そういう方が多いですよね。

 先ほどの月収八万五千円のケース、年収九十万円のケース、月収十五万七千六百十五円のケースなどなど、これは全部、公営住宅入居基準を満たしているわけですよ。ですけれども、機構法二十五条四の活用がこういう方々にはされていない。都営住宅が当たるのをずっと待ちながら、貯金がなくなっていくのを本当に心細い思いで通帳を眺めながら、節約に節約を重ねた生活を送られているわけですよね。

 大臣、これは今のURの現状を考えたら、やはり私は、これまでのこの二十五条の四の活用を一歩踏み込むものにする必要があると思いますよ。どうですか。

石井国務大臣 UR賃貸住宅につきましては、住宅セーフティーネットの確保に重要な役割を担っているものと認識をしております。

 これまでもUR賃貸住宅において、例えば、高齢者向け優良賃貸住宅として供給された住戸に居住する高齢者世帯であって、公営住宅の入居基準に該当する世帯等を対象に家賃の減免を行ってきているところでございます。

 平成二十八年度からは、新たに、手すりの設置等の簡易な改修のみを行った住戸に居住する高齢者世帯であって、公営住宅の入居基準に該当する世帯につきましても、家賃減免措置の対象としたところでございます。

 今後とも、機構法第二十五条第四項の趣旨にのっとりまして、適切な家賃減免措置を講じてまいりたいと存じます。

宮本(徹)分科員 もう一度お伺いしますけれども、今後とも適切にやっていくということですけれども、月収八万五千二百八十五円、家賃四万六千九百円、都営住宅を申し込んでいる、こういう人に二十五条四を適用することが適切な運用だと思うんですが、これは、こういう方々に二十五条の四を活用するというのは適切じゃないということなんですか、大臣。

石井国務大臣 個別の事案についてはなかなか申し上げにくいところがございますが、今後とも適切な家賃減免措置を講じていきたいと考えております。

宮本(徹)分科員 きょうこういう実態調査も大臣に見ていただきましたので、ぜひ省内で、さらにこの二十五条四、本当の意味でこの減免できるという規定を生かして住宅のセーフティーネットの役割をUR住宅に果たしてもらう、どうする必要があるのかというのを検討していただきたいというふうに思います。

 そして、あと、この資料の前のページに戻っていただきたいんですけれども、大変URは空き家がふえております。新しく建てかえしたところでも、家賃の高さから相当な空き家も出ております。

 住宅セーフティーネットとして民間の空き家の活用ということを言われますが、それならばこのURの空き家こそ大いに活用していく必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、どうでしょう。

石井国務大臣 今委員に配付していただいた資料でありますけれども、例えば四番目の三鷹駅前団地を見てみますと、空き家率が五一・三%、非常に高い率になっておりますが、これは建てかえを予定しているところでございまして、あえて入居をさせていないというところでございます。また、規模の大きな団地で見てみますと、二十七番の永山団地、二十八番の鶴川団地、これはそれぞれ、一六・八%、二六・六%の空き家率になっていますが、永山団地については耐震改修を予定している、鶴川団地については建てかえを予定しているということで、その結果、空き家の入居を促していないという状況でございます。

 こういった特殊な事例を除きますと、UR賃貸住宅の空き家については、これまでも市場のニーズに見合った住宅への改修等により有効活用を図ってきておりまして、UR賃貸住宅の空き家率については、民間賃貸住宅と比較して高い状況にはございません。

 例えば、財団法人日本賃貸住宅管理協会の賃貸住宅市場景況感調査二〇一四年度下期において、民間の空き家率は八・一%でございますが、UR賃貸住宅の空き家率は、平成二十七年度末現在で五・四%という状況でございます。

 今後とも、UR賃貸住宅が公営住宅とともに公的賃貸住宅として住宅セーフティーネットの機能が果たせるよう、空き家の有効活用に努めてまいりたいと存じます。

宮本(徹)分科員 大臣は特殊な例のところだけこうやってピックアップして説明をされましたけれども、例えば六番の武蔵野緑町、あるいは七番のサンヴァリエ桜堤、一一・一%や一七・一%、これは全部建てかえした新しいところですよ。私もよく知っている団地ですけれども、一七%あいているというのは家賃が高いからですよね。武蔵野ですよ、どちらも。住所からいえばみんなが住みたいと思う町であっても、家賃が高過ぎて入っていない、そういう例がぞろりと並んでいますので、特殊な、建てかえのところで空き家率が高いんだ、そういう説明でごまかすのはやめていただきたいというふうに思います。

 いずれにしましても、ちょっと質問時間が来てしまいましたので、住まいは福祉であり人権であります。国民の願いに応える住宅政策をしっかりやっていただくことを重ねて求めまして、私の質問を終わります。

伊藤主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、田畑(裕)主査代理着席〕

田畑(裕)主査代理 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)分科員 民進党の宮崎岳志でございます。

 本日は、第四分科会にて国土交通関係の質問をさせていただきます。

 まず第一点でございますが、金精峠の通年開通についてであります。

 私は、落選をしておりますが、その前の一期目の当選のときに、一度この関係の質問をしたことがございます。

 群馬県の沼田市や片品村と栃木県日光市をつなぐ国道百二十号線の金精峠は、いわば東北自動車道と関越道をつなぐ連絡路ともなる、地域の幹線道路であります。

 特に、栃木側にある世界遺産日光東照宮には、海外の方も含め、冬期も多くの観光客が訪れます。一方、群馬側には多くの良質なスキー場があり、群馬県西部の富岡製糸場も世界遺産に登録をされたところであります。

 しかし、この両県にまたがる県境部の金精峠を中心とした十七・六キロメートルは、十二月の下旬から四月の下旬まで四カ月にわたり、雪のため冬期通行どめとなっております。

 しかし、両側に良質な観光地を抱え、とりわけスキー観光が盛んなこの地域では、観光面から見れば、冬期こそ通行が望まれるところであります。スキーシーズンは国道百二十号というのは本当に混雑をいたしまして、私自身も、何か用がなければ、なるべく土日にこの地域を通るのを避けようかなと思うような場所であります。そういったことも含めて、ぜひこの通年開通が望まれるということであります。

 地元の土木事務所によると、交通量は平日二千五百台、休日が昼間で五千五百台ということであります。また、平成十七年の交通センサスによりますと、休日の自動車交通量は一日七千台、二十四時間ですけれども七千台を超えておりまして、休日混雑度も一を上回るということであります。

 そして、両県を通年で結ぶことで、特に海外からの観光客の誘致など、高い経済効果が期待されるところであります。アジア圏からのスキー観光が盛んになっている今、東京に最も近いスキーリゾートの一つである国道百二十号沿線の秘める可能性はまことに大であります。

 このたび、群馬、栃木双方の地元の村または市の参加によって期成同盟も立ち上がったところであります。

 国交省や観光庁の進める観光立国の観点からも、通年開通のため、国道百二十号金精峠の道路整備を行うべきであるというふうに考えておりまして、実際には都道府県の仕事ということになりますけれども、国による予算面の支援もお願いしたいところでございまして、国交省の御見解をぜひ大臣にお伺いしたいということであります。

石井国務大臣 国道百二十号は、栃木県日光市から群馬県沼田市に至る、栃木県と群馬県が管理する道路であり、世界遺産である日光の社寺や中禅寺湖、尾瀬国立公園などの日本を代表する観光地やスキー場、温泉地を沿線に有する道路でございます。

 県境に位置する金精峠の約十八キロメートル区間については、今委員が御紹介いただいたように、冬期における積雪及び凍結により安全な通行を確保することが困難であることから、例年、十二月下旬から四月下旬まで通行どめとなっております。

 栃木、群馬両県からは、冬期通行どめの解消に向け、今後、現地調査等、必要な調査検討を行っていくと聞いております。

 国土交通省といたしましても、両県の要望を踏まえまして、必要な支援を検討してまいりたいと存じます。

    〔田畑(裕)主査代理退席、主査着席〕

宮崎(岳)分科員 国道百二十号は、手前の群馬県側の椎坂峠というところのトンネルが完成をいたしまして、非常に東京圏から近くなっているところであります。

 そういった意味も含めてぜひ御支援をお願いしたいということと、ここは大変標高の高いところでありまして、恐らく、トンネル部分で千八百メートルぐらい標高があるんじゃないかというところです。雪も五メートルとかそういうレベルで降るものですから、とにかくトンネルを恐らく掘らないと、雪崩が大変多くて危険な地域だという問題、いろいろな問題もあるんですが、ぜひ今後、群馬、栃木両県の方で事業化に向けた計画が具体化した場合には積極的に取り入れていただき、地元のみならず日本の観光の振興に、インバウンドの振興を期すようにしていただきたいということでお願いを申し上げます。

 二点目でございます。

 高齢運転者による交通事故について質問させていただきます。

 皆さんも御存じのとおり、近年、先月以降と言ってもいいと思いますが、高齢運転者による交通事故、この問題が大変クローズアップをされております。

 特に、先月二十八日、横浜市で八十代の高齢者が運転する軽トラックが小学生の列に突っ込んで七人が死傷するという事故が起こりました。また、今月の十二日には、やはり八十代の女性が運転する乗用車が暴走して二人が死亡したということでありますが、こういった事故を含めて、軽微なものまで含めれば、ほとんど毎日のように高齢運転者による自動車事故が報道されております。

 そこで、高齢運転者による交通事故の現状、それから取り締まりや認知症機能検査などを端緒とする運転免許の取り消しや停止処分、そういったものの現状をお示し願いたいということであります。

 また、事故防止のために、健康面や技術面で不安がある方には運転を控えていただくということが最も有効だと思いますが、運転免許の自主返納の最新の状況、これについてもお示しを願いたいと思います。警察庁の方からお願いいたします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年中におけます七十五歳以上の運転者による死亡事故につきましては、全体の死亡事故の約一二・八%を占めておりまして、十年前と比較いたしますと、全体の死亡事故が年々減少しております中、七十五歳以上の運転者による死亡事故の割合は、七十五歳以上の運転免許保有者の増加を背景といたしまして、増加傾向にあるという状況でございます。

 また、平成二十七年中におけます認知症による運転免許の取り消し及び停止処分の件数は千四百七十二件となっておりまして、その件数も年々増加傾向にございます。

 さらに、平成二十七年中の運転免許の申請取り消し、いわゆる自主返納についてでございますけれども、この件数は二十八万五千五百十四件でございまして、十年前と比較いたしますと全体で約十五倍となっておりまして、年々増加傾向にあるというところでございます。

 なお、ことしに入りましてから八月末までにおけます運転免許の申請取り消し、いわゆる自主返納の件数につきましては二十万七千百三十二件でございまして、前年における八月までの件数と比較して約九・六%増加しております。

宮崎(岳)分科員 ちょっと最後の数字をもう一度確認させていただきたいんですが、八月末現在で免許の自主返納が二十万七千件余りということで、昨年に比べて八%程度ふえている、これはちょっと、恐らく初めて出た数字だと思いますので、もう一度確認していただけますか。

長谷川政府参考人 もう一度申し上げます。

 ことしに入りまして、つまり平成二十八年の八月末までにおけます運転免許の申請取り消し件数は二十万七千百三十二件でございますけれども、前年における平成二十七年の八月末までの件数と、同じ時期で比較いたしまして、約九・六%増加をしているという状況でございます。

宮崎(岳)分科員 わかりました。二十万七千件余り、前年同期と比べて九・六%、およそ一〇%の増加ということで、増加率としても大変高い、人口増加率を上回るような返納にはなっているということかと思います。高齢人口の増加率に比べても、さらに高い返納率になっているということだと思います。

 さて、地方の高齢者にとって、免許の返納は生活の足を失うということにつながります。私の地元の群馬県も、公共交通が貧弱なことで知られておりまして、車がなければ生活できないという方が非常に多い。とはいえ、例えば八十歳を過ぎても、日々の生活のためにみずから毎日のように車を運転しなければならないということがよいのかどうか、これは本当に考えなければならないことだというふうに思っております。

 この免許の返納というのを行っていただくには、やはり何らかのインセンティブがないと、なかなか手放そうということにはならないのではないかというふうに思います。

 そこで私は、例えばタクシー等のそういった乗用車にかわる足となるもの、こういったものをやはり安く使えるということが重要ではないか。自家用車を持つには、もちろんガソリン代はかかりますけれども、そのほかにも車検、整備、保険あるいは税金など、かなりのコストがかかります。例えば、御高齢の八十代の方が週に一回病院と買い物に行くということであれば、必ずしも自家用車を持たなくても、タクシー等に振りかえることも場合によっては可能ではないか。ただ、なかなかバス停まで歩いていくのは大変だとか、そういったことももちろんあると思いますけれども、何らかの手だてがあるんじゃないかというふうに思います。

 そこで、自治体によっては、返納者にタクシーの無料券や割引券を配付するというような取り組みが足の確保の観点から行われているということだと思います。もちろん、ただ手放すだけというと、感覚的にはただ損をするだけという話になりますが、手放した場合に何らかの優遇が受けられるということであれば、そっちの方がいいというふうに思ってもらえるんじゃないか。

 このような返納者への支援の取り組みを、国として推進されるというお考えはありますでしょうか。また、こういった支援は各自治体ごとに導入されていることだと思うんですが、これについて具体的にどのような状況にあるか、教えていただけますでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 申請によります運転免許の取り消し制度、いわゆる自主返納につきましては、あくまでも運転者の方々の自主性を尊重するものであるということでございますけれども、警察といたしましては、加齢等で運転に不安のある方が免許証を自主返納しやすい環境の整備を推進することが重要であると認識しているところでございます。

 このため、自治体や関係機関等に働きかけをいたしまして、免許証を自主返納した方に対する公共交通機関の運賃割引等の支援措置の充実に努めているところでございまして、引き続きこうした取り組みを推進してまいりたいと考えております。

 また、返納者への支援の状況についてでございますけれども、本年八月末の時点で、自治体や民間事業者等の御協力により、全ての都道府県において、タクシーですとかバスとかの利用をする際の運賃割引等の支援が行われているものと承知しております。

 なお、タクシーについてでございますけれども、こちらについては、四十四都道府県において、タクシーを利用する際の運賃割引等の支援が行われているものと承知してございます。

宮崎(岳)分科員 何らかの支援が全都道府県の中で行われている、また、タクシーについても四十四都道府県で行われているという内容でございました。

 ただ、これは例えば同じ一つの県の中でも自治体によってやっているところがあったり、やっていないところがあったりということかと思います。そういった面も含めて、より一層このような取り組みを広げていただきたいというふうに思うところであります。

 また、これは第一義的には自治体が行うところでございますので、これは警察庁に限らず国土交通省の方でもぜひそのような取り組みを、まあ、自治体にお願いするとか要請するとかいうベースのことになるかもしれませんが、ぜひお取り組みをいただきたいということを改めてお願い申し上げます。

 それでは、三番目の質問に参ります。

 これも交通事故の関係なんですが、運転中にスマートフォンゲーム、ポケモンGOを操作したことによる交通事故ということが注目をされております。十月の二十六日、愛知県で、ポケモンGOをプレーしながら運転していた男性のトラックが小学生の男児をはねて死亡させてしまうという大変痛ましい事故が発生いたしました。

 そういったことがほかにも何件か発生しているかと思うんですが、運転中のポケモンGOの操作による交通死亡事故の件数、死者数、また、それを含むポケモンGOに関連する人身事故の総数、重軽傷者数などの現況を示していただきたいというふうに思います。

 加えて、スマートフォンで遊ぶゲームというのはポケモンだけでもありませんし、また、メールその他の操作というものもあるわけでありますが、スマートフォンの画面操作や注視ということによる交通違反というものが現況どうなっているのかということをお示し願いたいということであります。あわせて、これらの事故や違反を抑制するための対策というのをお示しいただきますようにお願いいたします。

長谷川政府参考人 お答えを申し上げます。

 七月二十二日の配信日から、昨日、十一月二十日までの間に警察庁が把握しておりますポケモンGOが関連する人身交通事故の発生件数、あるいは重軽傷者も含めた死傷者数につきましては、死亡事故三件、三人を含めまして、二十六件、二十九人の方々というふうに承知してございます。

 また、ポケモンGOに限らず、車両を運転中に携帯電話を使用したり注視したりすることは大変危険でございますので、警察といたしましては、毎年百万件を超えます携帯電話使用等に対する取り締まりを行ってございますけれども、引き続き取り締まりや広報啓発を行ってまいりたいと考えております。

宮崎(岳)分科員 七月二十二日に日本国内でリリースされまして、それ以降で事故だけでも二十六件、二十九人の死傷者が発生をしている。そのうち三件は死亡事故であり、三人の方がお亡くなりになっているという状況かと思います。

 もちろん、ゲームというのは一つだけではありません。ただ、ポケモンGOがとりわけ売れたということが大きな要因だと思うんですが、これも踏まえまして、今後の事故防止の取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 もう一点、これに関連しまして、国土交通大臣にお伺いしたいと思います。

 先月、バスの運転手が運転中にポケモンGOを操作している動画というのがインターネットのサイトに投稿されまして、大きく報道をされました。一般のドライバーではなくて、運転を職業としてお客を乗せている運転手という立場の方の行為だったということで、社会に大きな衝撃が走ったわけであります。

 この件では、国交省の近畿運輸局が事業者を文書警告処分としたというような報道もございますが、本年度、国土交通省の方で、ゲームなど運転中のスマートフォン操作、こういったものに関して、例えば立入調査ですとか警告ですとかそういったことを行った件数、またそれへの対策をお示しいただきたいというふうに思います。

石井国務大臣 バス運転者が乗務中にスマートフォンを操作する事案、これはゲームのみならずメールの確認等も含めまして、スマートフォンを操作する事案が今年度九件発生していることを把握してございます。

 運転中のスマートフォンの操作は事故につながりかねない危険な行為でございますし、また、軽井沢スキーバス事故を受けまして全国のバス事業者に対して安全確保の徹底について繰り返し指導している最中にこういった事態が発生していることは、まことに遺憾と思っております。

 国土交通省では、このうち三件の事案について監査を実施し、運転者に対する指導監督に不足があったとしまして、事業者に対し文書で警告を行ってきているところであります。

 問題となる事案が連続して発生していることを重く受けとめ、今後、運転者が乗務中にスマートフォンを操作したことが判明した場合は、原則として、全てについて監査を行った上で、厳格な処分または指導を行うことといたしたいと存じます。

 また、このような事案の再発を防止するため、十一月七日に、自動車運送関係の業界団体に対して、乗務中の携帯電話等の使用禁止について文書で徹底をしたところでございます。

 国土交通省といたしましては、各種講習等あらゆる機会を通じ、このような危険な行為の撲滅を徹底してまいりたいと存じます。

宮崎(岳)分科員 今の九件ということが、本年度、スマートフォン操作が確認されている、これはバスに限ってということなんでしょうか。(石井国務大臣「バスです」と呼ぶ)バスですね。

 九件発生をしていて、そのうち三件については監査を行い、文書による警告を行った、こういうことでございますが、これは大臣じゃなくて自動車局長なりで構わないんですけれども、この九件の、例えばどういった事案だったとか、どういうことで判明したとかそういったことについて、もしもう少し細かい状況がお示し願えるのであれば、お聞かせ願えますでしょうか。

藤井(直)政府参考人 お答えいたします。

 三件のうち二件は、いわゆるポケモンGOの操作をしていたということでございまして、これは、そういった画像がネットにアップをされた、そういったことで発覚をしております。

 あと一件につきましては、運転者が運転中に、自分が座っている股の間にスマートフォンを置いて、一時、信号などでとまりますけれども、そういったときに操作をしていたということが発覚をした、そういった事案でございました。

宮崎(岳)分科員 残りの六件等は、例えばどんなものなんでしょうか。なぜ、三件は監査で警告ということになり、残りはまた違うと。多少内部の事情の違いはあるんだと思うんですが、個別、全部ということじゃなくて結構ですが、どのような例があったか、典型的なもの等がわかれば。

藤井(直)政府参考人 お答えいたします。

 残りのもの、例えばでございますけれども、チャットを繰り返しているであるとか、いわゆる画面を見る行為を繰り返していた、そういったものでございました。

 率直に申し上げて、先ほど申し上げたものとの間に、そういった、これは監査をする、監査をしないという差が余り明確に認められないと思っておりまして、監査権限はそれぞれ各運輸局にございますので、今回、先ほど大臣から申し上げたように、こういった乗車中にスマートフォンを使用したということが認められた場合には、原則監査に行って処分を行う、警告を行う、そういったことに省としても方針を出すということにしたことでございます。

宮崎(岳)分科員 今の話でいうと、済みません、ちょっとわからなかったんですが、九件発生をしているのは把握をしていて、三件は監査になって文書警告になっている。そのうち二件はポケモンGOで、これは社会的な反響が大きかったというのも一つの理由なのかなというふうに私は感じるところなんですけれども、今の自動車局長のお話ですと、原則はこれはみんな監査をしていくべきである、そういう話であったかと思うんですが、これは、これまで余り行われていなかったのを特段今後は厳しくしようということでやるということなのか、これまでも当然行うべきなのが行われていないということなのか。ちょっとそこら辺の具体のことがわからなかったんですが、どのような趣旨なんでしょうか。

藤井(直)政府参考人 大臣が申し上げましたように、そういった行為自体はまさに事故につながりかねない危険な行為だという意味では、そういったことを行うべきものであったというふうに思っております。まだそれが徹底をされていませんでしたので、今回それを徹底しよう、そういった趣旨でございます。

宮崎(岳)分科員 そうすると、何か改めて文書か何かを出して、各運輸局なりにそういう指示を行ったということなんでしょうか。もし具体的にそういうことを行ったということであれば、どういうことを行ったのか、いつ行ったのか、教えていただけますでしょうか。

藤井(直)政府参考人 本日付で、先ほど申し上げた、乗車中にスマートフォンを操作した場合というのは監査をすべしということを文書で各運輸局に徹底することをしていくことでございます。

宮崎(岳)分科員 では、本日そのような文書を各運輸局に、この時間ですから既に出した、こういうことでよろしいんでしょうか。そういうことですか。

藤井(直)政府参考人 委員おっしゃるとおりでございます。

宮崎(岳)分科員 わかりました。

 この問題は大変難しい問題で、やはりどうしても、何か急にメールが来たとか電話がかかってきたとか、とってしまう人も中にはいると思うんですよね。ただ、毎日運転をしている、そしてそれをなりわいとして、かつ人を乗せたりとかそういう形で生計を立てている方というのはまた一般のドライバーとは違ったところもあろうかと思います。そういった意味では、こういう会社等への指導は厳しく行っていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、福岡市の道路の陥没事故についてお伺いをしたいと思います。

 福岡市博多区のJR博多駅近くで、十一月八日、道路の大規模な陥没事故が発生しました。穴は深さ最大十五メートル、幅二十七メートル、長さ三十メートルに拡大し、電気、ガス等のライフラインも断絶し、市民生活に大きな影響が出たと伺っております。

 その後、不眠不休の御奮闘で、たった一週間で復旧をされ、通行どめも解除となり、工事関係者の御努力には心から敬意を表するところでございますが、一方で、とにかく復旧ということで、穴のあいた状態での十分な原因究明をする時間がないままであったのではないかというふうに推察をしております。そして、一回既に埋めてしまっているので、掘り戻すということも当然難しいということだと思います。

 そこで、福岡市の陥没事故の原因の究明について、既に埋めてしまった状態の中で、今後どのような手法によって調査を進めていくのかということを具体的にお示しいただきたいと思います。

石井国務大臣 福岡市交通局七隈線の延伸工事現場における道路陥没事故につきましては、福岡市からの要請を踏まえまして、国土交通省所管の土木研究所において原因究明や再発防止策検討のための委員会を設置することとしたところでございます。

 委員会の開催につきましては、先日、福岡市の担当者から具体的な考え方、御要望について説明を受けました。委員のメンバーを早急に確定して、委員間のスケジュール調整等を行って、できるだけ早期の開催に向け、福岡市と調整をしていきたいと考えております。

 原因究明に向けた調査の手法でございますけれども、一般的に考えられる手法はございますが、今後設置される委員会での御議論を踏まえて具体的に進めていきたい、このように考えてございます。

宮崎(岳)分科員 ボーリングとか、内部の、地下鉄の工事の坑内に入るとか、そういったことが必要になってくるんだと思いますが、いずれにせよ、原因究明についてもおろそかにせずに取り組んでいただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので急いでまいりますが、ドローンの姫路城への衝突について伺いたいと思います。

 十一月十七日の昼過ぎに、姫路市の世界遺産、国宝姫路城で、大天守に小型無人機、ドローンが衝突して落下するという事故が発生しました。

 複数の外国人グループがドローンを飛ばそうとして警備員から注意を受けていたという情報もありますが、容疑者特定には至っていないと聞いております。

 私が、昨年、国土交通委員会在籍時に成立をいたしました航空法の改正案で、ドローンの飛行が人口密集地については規制されましたが、こういう地域であったというふうに伺っております。また、姫路市も条例に基づいてドローンの飛行を禁止している地域だということで聞いております。しかし、外国人がかかわっているということであれば、日本の法律について詳しくないということも十分想定できるというふうに思います。

 以上を踏まえて、国土交通大臣より、事件の概要や、その後の捜査の状況、今後の対策等、お示しをいただきたいというふうに思います。

石井国務大臣 お尋ねの事案につきましては、十一月十七日午後零時四十五分ごろ、姫路城の大天守に無人航空機、ドローンが衝突したというものであります。

 無人航空機につきましては、昨年、航空法を改正いたしまして、飛行する空域や飛行方法について基本的なルールを定めました。このルールによれば、姫路城周辺は人口集中地区に該当いたしまして、無人航空機を飛行させるためには国土交通大臣の許可が必要でございます。

 現在のところ、飛行させた者が特定されておらないということで、警察において捜査中でございますが、飛行させた者が許可を受けずに飛行させていた場合には航空法違反に該当いたします。

 国土交通省といたしましては、本件に関する警察による捜査の状況等も踏まえつつ、引き続き、無人航空機に係るルールの周知徹底を図っていくなど、無人航空機の飛行に係る安全確保に努めてまいりたいと存じます。

宮崎(岳)分科員 最後でございます。

 今の関連で、文化庁にも同様のことをお伺いしたいんですが、姫路城には昨年もドローンが衝突をして、飛ばした会社員の方が文化財保護法違反容疑で書類送検をされたというふうに聞いております。

 今回の事件も、国宝であり世界遺産である姫路城の撮影目的で飛ばした可能性が高いのではないかというふうに想定されているわけであります。

 文化財の場合は、さまざまな場所にありますので、例えば航空法が禁じている人口密集地にあるとは限りませんし、また、必ずしも地元の条例で禁止されているとも限らない。そうしますと、撮影目的のドローンによるトラブル、事故、こういったものがふえていく可能性があると思います。

 今、観光立国の取り組みを進める中で、外国人観光客もどんどんふえているという中で、このようなトラブルもさらに増大することが懸念され、文化財の破損が懸念されるところでありますが、文化財を守るという観点から、文化庁は今回の事件をどのように受けとめているのか、また、どういう対策を今後とっていくのかについて、最後の質問としてお伺いをさせていただきたいと思います。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、姫路城につきましては世界遺産に登録され、また、大天守は国宝に指定されているということで、我が国の貴重な文化遺産でございまして、確実に次世代に継承していく必要があると思っておりまして、先ほど御説明ありましたように、十一月十七日にドローンが姫路城大天守に衝突したという事件は極めて遺憾であるというふうに考えております。

 我が国の貴重な文化遺産は、観光資源としても極めて高い価値を有しているため、国内外から多くの観光客が訪れることが期待されておりますが、その一方で、委員御指摘のように、撮影目的のものも含めまして、今後もこのような事件が発生するおそれも考えられることから、文化庁といたしましては、関係機関と十分連携しながら、文化財所有者等に注意喚起を行い、再発防止に努めてまいりたいと考えております。

宮崎(岳)分科員 時間となりましたので、終わります。

 皆様、ありがとうございました。

伊藤主査 これにて宮崎岳志君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)分科員 公明党の吉田宣弘でございます。

 本日は、決算委員会第四分科会でこのように質問の機会を賜りましたこと、決算委員会関係各位の皆様に心から感謝を申し上げます。

 また、決算委員会ということで、私も初めてこのような質問の機会をいただいたわけでございますが、この委員会において感じるところ、それはやはり過去の歳出というものについてしっかり検討を加え、未来の支出、こういったものについて生かしていくという趣旨かというふうに考えております。

 私自身、議員になる前でございましたが、さまざまな国の支出というものについて勉強する機会もございました。また、さまざまな現象も見てまいりました。必要な事業についてはきちっとやらなければいけないというふうに思っております。ただ一方で、国民の血税を扱うという国政において、無駄な支出である、そういったものはやはり排していかなければならないとも思います。

 数年前でした、私は地元福岡に住んでおりますけれども、福岡で進捗をしていた道路が、突然工事が中断するというふうなこともありました。さまざまな事情がございましたけれども、やはり私は、必要なものについてはきちっとやり上げていく、このことが大切だと思いますし、本日の私の質問については、後半の部分で、そのような思いから質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 また、本日もこのように石井国土交通大臣に質問をさせていただきます。昨日も終日、私は石井国土交通大臣と同行をさせていただき、博多駅前の陥没事故、また北九州のさまざまな施策について、大臣の仕事の模様というものを目の当たりにさせていただきました。ハードスケジュールの中、大臣が大変精力的に仕事をこなしているその姿に大変感銘を受けた次第でございます。

 では、質問に入らせていただきます。

 まず冒頭、先ほど宮崎先生からの御質問もありましたけれども、博多駅前の陥没事故について質問をさせていただきます。

 昨日も、石井大臣、現地に視察に行っていただきましたが、私が十一月の十六日に国土交通委員会でこの件について質問をさせていただきました。そのときの答弁に、国土交通省所管の土木研究所において原因究明の委員会を開催するなど、福岡市に全面的に協力することといたしまして、詳細については、今後、福岡市と調整してまいりたい、今回の事案に対する原因究明や再発防止対策の検討を通じまして、地下鉄工事における安全確保の充実に努めてまいりたいというふうな御答弁がありました。

 また、繰り返しですけれども、昨日は、その陥没現場において、地元福岡市の高島市長から、国の知見をもって原因を究明してほしいというふうな要請に対しても、全力で支援をすると改めて強い協力姿勢を示していただきました。石井国土交通大臣のこのような御対応に心から感謝を申し上げる次第でございます。

 私は、このような対応というものはぜひ今後に生かしていっていただきたい、そのように強く思うところです。原因究明やその分析というものは、今般の事故が起きた福岡市交通局七隈線の地下鉄延伸工事については当然のこと、この工事において二度とこのような事故は起こしてはならないわけでございますけれども、それだけに限らずに、全ての地下鉄工事、また今ある地下鉄の維持管理のためにもぜひこの経験というものを生かしていっていただきたい、そのように考えます。

 国土交通省の今後の姿勢について、国土交通大臣のお受けとめをお聞かせいただきたいと思います。

石井国務大臣 福岡市交通局七隈線の延伸工事で発生をいたしました博多駅前の道路陥没事故につきましては、二十四時間体制で復旧作業が行われ、十三日までにはライフラインが仮復旧し、十五日の朝五時には道路も開放され、避難勧告も解除をされました。

 御紹介いただきましたように、私も昨日この陥没事故の現場を視察いたしまして、復旧の状況を確認させていただいたところでございます。

 今後は、本格的な原因究明や再発防止策の検討等が行われることとなります。本来、このような原因究明等は当事者により行われるものでございますけれども、当事者による実施が技術的な理由等により難しい場合は、国土交通省としても協力する場合がございます。

 福岡市交通局七隈線につきましては、これまでにも二回の道路陥没を発生させており、地形、地質が複雑であるということがございます。また、福岡市自身が原因究明することについて市民の納得を得ることはできないのではないかという懸念をお持ちだということで、第三者による原因究明を国土交通省にお願いしたいとの意向が市長より直接国土交通省に示されたところでございます。

 これを受けまして、国土交通省所管の土木研究所において、原因究明や再発防止策検討のための委員会を設置することといたしました。できるだけ早い時期に開催をいたしたいと考えております。

 今回の道路陥没と同様の事象を防止するためには、委員御指摘のように、原因究明や再発防止対策の検討を徹底的に行うとともに、これによって得られた知見を今後の他の地下鉄工事等に生かしていく必要がございます。

 現在、国内では、例えば神奈川東部方面線の整備事業や京浜急行電鉄の連続立体交差事業などで地下工事が行われております。これら工事実施中の事業者や今後工事を予定している事業者など、関係する事業者にもしっかりと情報提供いたしまして、同様の事象の防止が図られ、安全かつ確実な施工が行われるよう、国土交通省としても適切に対応してまいりたいと存じます。

吉田(宣)分科員 このような事故は二度と起こしてはならないと思います。一歩間違えば国民が命を落とす危険もあったかというふうに思います。幸いなことに、今回の事故においては人命を落とす方はおられなかった、また、けが人すら一人も出なかったという意味においては不幸中の幸いであったろうかとは思いますけれども、やはりその危険が厳然と生じたということにおいては、再発防止に全力を挙げていただきたいというふうに思います。

 次に、熊本地震に関連をしまして、熊本の国道五十七号線、これはマスコミ報道でも盛んに取り上げられましたけれども、阿蘇大橋がばっと落ちてしまうというふうな、非常に大規模な事故といったらいいでしょうか、そこで命を落とされた青年もおられたという意味では、非常に心を痛めることでございます。

 これは熊本市と阿蘇をつなぐ大切な道路なんですけれども、その復旧についてもぜひ頑張っていただきたいと思いますが、今の進捗と今後の復旧スケジュールについてお聞かせください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道五十七号、被災をしたわけでございますが、その迂回路として県道三百三十九号、通称ミルクロードというものを今御活用いただいているわけですが、実はそこに接続する町道、これは地震前に比べて交通量が大きく増加して、特に大型車の増加に伴って舗装に傷みが生じまして、地域住民の方々から騒音、振動等の対策についても要望もされております。

 こういうことも踏まえまして、阿蘇地域の四ルートの復興についてお手伝いをする、また直轄で行うということに加えまして、町道等につきましても、十月には国、県、町が一体となって住民との意見交換会の開催や路面状況の現地調査等を実施して、その対策について検討を進めてきたところでございます。

 現在、県道だけではなく町道につきましても、国と熊本県の役割分担を取り決めて、騒音、振動対策として舗装修繕工事の準備を進めておりまして、準備が整い次第、また対策工事に着手をしていくというふうに考えております。

 以上でございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 今答弁ございました町道の件ですけれども、これは熊本県の大津町というところの件でございます。この大津町に、国道五十七号線を通行することができない車両というものが、町の町道、それから先ほども答弁のございましたミルクロードというところにたくさんたくさん入ってきているということから、住民の方に非常に迷惑がかかっているというふうなお話なんです。

 この件につきましては、先ほどの答弁もございましたけれども、私の方でも非常に住民から悲鳴にも似たようなお声をいただいたところでございます。やはり町道でございますので、本来国道を走るはずの車がどんどん入ってくると、当然路面も傷んでまいります。それから、脆弱な分、振動も起きる。熊本地震のその後でございますから、振動が起きると、地元の住民の方はまた余震が来たんじゃないかというふうなことでびっくりして飛び起きたり、そういったことにつながるし、やはり騒音も非常に問題になるわけです。五十七号線がきちっと通っていれば、この町道には入り込んでくることはなかったわけです。

 もう少し、ちょっと加えて地元の状況をお話しすると、五十七号線が通らないから町道を通るわけですが、やはりさまざま渋滞をするわけですね。その渋滞を避けるので、通行の時間帯も、例えば明け方、朝早くであったりとか夜中であったりとか、そういった時間帯になってくるということで、やはり大型トラックが通行するときの振動であったり、また騒音であったりというものは、地域住民の非常に悩みでございました。

 この問題についても、私は地元の県会議員と連携して取り組みをさせていただいたところでございますけれども、我が党はこういった、地方議員と国会議員が連携を密に一つの問題についても取り組むということにたけた政党であろうかというふうに思っております。そういったところから、私も一生懸命国土交通省にお願いをしてまいりましたが、国土交通省においても、お願いを本当によく聞いていただいたというふうに思っております。

 その中身については、やはり町道でございますから、またミルクロードは県道です、いわゆる国の道路でないところに国の関与をお願いする。私自身、非常に難しいことをお願いしていることは百も承知でございましたが、そういったところで地域住民の皆様の立場に立って取り組んでいただいた、しかも国と県がきちっと連携をとってやっていただいた、そのことについて心から感謝を申し上げたいと思います。

 工事についてはこれからだということでございますが、一刻も早く地域住民の皆様が安心していただけるような状況をつくっていきたい。そのためには、私もこれからも一生懸命頑張っていきたいというふうに思っております。

 次に、通告では、先日、石井国交大臣と一緒に視察をさせていただいた北九州市の黒崎バイパスの質問と、それから、視察には入っておりませんが戸畑枝光線という道路についての計画を質問する予定でございましたけれども、これについては少し時間の関係で割愛をさせていただきます。御容赦ください。

 ただ、十一月十六日の国土交通委員会において、下関北九州道路の、私はあえて凍結が解けたというふうな言葉を使わせていただきますが、ゼロベースということではありますけれども、いわゆる動き出したというふうな認識をさせていただいております。

 この道路ができた暁には、北九州市と下関市の人流、物流が促進をされ、この地域に多大な経済効果がもたらされると予想もされておりますし、また、行き来がやりやすくなりますので、さまざまな面で、例えば救急医療の場面でも、また防災の面でも、さまざまな効果が得られるというふうに思っております。

 その上で、この北九州下関道路というものと、先ほど申し上げた黒崎バイパス、これも地元から強い要望がございますけれども、このバイパスと戸畑枝光線という道路が機能を十分に発揮すれば、さらにその相乗効果というのははかり知れないものがあるというふうに私は確信をしておりますし、ここでは、黒崎バイパスと戸畑枝光線について、その加速化をお願いしておくということにとどめさせていただきたいと思います。

 次に、東九州自動車道についてお話をお伺いしたいと思います。

 この東九州自動車道、北九州市はもちろんのこと、福岡の京築地域、また大分県、宮崎県が待ち望んだ道路でございました。国土交通省の皆様の御努力により、晴れて北九州市と宮崎市が通じたということでございます。国土交通省の皆様の御努力に本当に心から感謝を申し上げたい思いでいっぱいでございます。

 この東九州自動車道は、さまざまな経済効果を発揮してくれている。また、緊急医療体制においても、これまで救えなかった命も恐らく救われているのではなかろうかというふうな思いがございます。また、今般の熊本地震においても、熊本市から阿蘇に抜ける道路は全て寸断をされて行けなかった。この緊急対応においては、この東九州自動車道を通って大分から阿蘇地域に入って、皆様を助ける役割を果たした。そういうふうな重要な機能も果たすことができた、そのように認識をしております。

 地元としては、この東九州自動車道を、さらにその機能を充実させて、さらなる地元経済の発展と防災・減災、緊急医療体制の充実につなげていきたい。そのためにも、私は福岡県民でございますけれども、この東九州自動車道の四車線化、これをぜひ強く要望しておきたいと思います。

 ここでは、東九州自動車道の残りの部分、宮崎市以南と、もう一つ、東九州自動車道ではございませんけれども、南九州西回り自動車道の進捗状況と今後のスケジュールについて、当局から確認をさせていただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 東九州自動車道につきましては、全線約四百三十六キロメートルのうち、これまでに、委員御指摘のとおり、北九州市から宮崎までの区間が全線開通するなど、約三百五十二キロが開通しているところでございます。

 事業中区間の進捗状況と今後の見通しでございますけれども、清武南―北郷間、これは早期開通に向けて、芳ノ元トンネル工事等を推進しているところでございます。それから北郷―日南間、これは平成二十九年度開通に向けて工事を推進しているところでございます。志布志―末吉財部間、一部開通をしておりますが、残りの区間につきましては用地買収、工事を進めているところでございます。日南―志布志間につきましては、このうちの約六・九キロメートルについて、今年度より事業化をいたしまして、路線測量を進めているところでございます。

 委員御指摘の四車線化につきましては、北九州から宮崎まで開通したところですが、今後の交通状況等を踏まえながら、既開通区間の四車線化の必要性を検討してまいりたいと考えております。

 もう一つの道路、南九州西回り自動車道でございます。

 南九州西回り自動車道につきましては、全線約百四十キロメートルのうち、熊本県内で三十七キロ、鹿児島県内で五十四キロが開通をして、全体の約七割、九十一キロメートルがつながったところでございます。

 全線にわたり事業化をしたところでございますけれども、事業中の区間の進捗状況と今後の見通しでございます。

 芦北出水道路につきましては、事業中の区間のうち、津奈木インターから水俣インター間は、平成三十年度開通に向けて事業を進めているというところでございます。出水阿久根道路につきましては、事業中の区間について、平成二十九年度までの開通に向けて工事を推進しているところでございます。阿久根川内道路、これは延長二十二・四キロございますが、調査設計を推進しているというところでございます。

 東九州自動車道、南九州西回り自動車道ともに、引き続き、地域の皆さん方の協力を得ながら整備に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(宣)分科員 今すぐにというわけにはならないことは当然わかるわけでございますが、この二つの区間、区間と言うとちょっと語弊があるかもしれません、今答弁があった間、この道路が完成をすれば、九州を周遊する道路が完成をするということでございます。

 九州には観光地がたくさんございますけれども、各地に点在する観光地が周遊という形で連結をすることができれば、九州の観光地というのが相乗的にその価値を高めることができるというふうに私は思っております。九州では、熊本なら熊本県民、福岡なら福岡県民というふうな、各県民に九州は一つという思いが非常に強く、一体感があります。その思いというものは、さきの熊本地震を契機にも強まったというふうに私は思っております。

 したがって、九州全体で、九州を周遊する、経済的にいえば循環をするこの道路を、九州の国民みんなで待ち望んでいるというふうに言っても過言ではなかろうというふうに私は思ってございます。

 今御説明をいただいた道路についてはぜひ加速化もしていっていただきたいと思っておりますし、私自身、また質問の機会を賜ることがありますれば、この道路について取り上げていきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次に質問を移りますが、今は九州をぐるっと回るという道路の話をさせていただきましたが、今度は、九州を横に貫く道路のお話をさせていただきたいと思います。

 一つは九州横断自動車道延岡線というもの、もう一つは中九州横断道路というもの、これは熊本市と延岡市をつなぐ高速道路、後者は熊本市と大分市をつなぐ道路ということでございますが、この九州横断自動車道延岡線と中九州横断道路について、それぞれ、今の進捗状況と今後のスケジュール感についてお聞かせいただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 九州横断自動車道延岡線でございますけれども、全線約九十六キロのうち、これまでに、熊本県側では九州縦貫道から小池高山インターチェンジまで、宮崎県側では東九州道から蔵田インターチェンジまでの計十五キロが開通をしております。

 未開通区間の進捗状況でございますが、小池高山インターチェンジから北中島インターチェンジまで、平成三十年度の開通に向けて工事を進めているところでございます。また、北中島インターチェンジから矢部インターチェンジ及び高千穂日之影道路につきましては、早期開通に向け、用地買収、工事を進めているところでございます。また、県境、蘇陽―高千穂間につきましては、計画段階評価を実施しているところでございます。

 また、もう一つの中九州横断道路でございます。全線約百二十キロのうち、これまでに大分県側の犬飼インターチェンジから朝地インターチェンジまでの約十九キロが開通をしております。

 未開通区間の進捗状況でございますが、大野竹田道路につきまして、平成三十年度の開通に向けて、用地買収、工事を進めているところでございます。また、滝室坂道路につきましては、用地買収に向けた調査設計を進めているところでございます。熊本市から大津町の間は、概略ルート、構造を決定するための計画段階評価を実施中でございます。また、竹田―阿蘇間につきましては、計画段階評価着手に向けて準備を進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、この九州横断自動車道延岡線、中九州道路、この二つの道路について、引き続き、地域の皆様方の御協力を得ながら整備に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(宣)分科員 ありがとうございました。

 先ほどの東九州自動車道、それから九州自動車道の西回りルート、今御説明いただきました九州横断自動車道延岡線、また中九州横断道路、それぞれ事業名に細かい名前がついておりますけれども、これからしっかり私も、その一つ一つの事業について、見定めてというと変ですけれども、地域住民のお声をしっかりお受けして一つ一つ検討もさせていただき、国土交通省とまた一緒になって、この取り組みを進めていっていただきたい。結論から言えば、加速をしていっていただきたいということでございます。

 今御説明をいただいたこの二つの道路というのは、その意義は大変に九州にとっても大きいことだというふうに承知をしております。なぜなれば、政令都市となった熊本市と宮崎で二番目に人口が多い延岡市というのは、これまで基本的にかかわり合うことが、インフラがなかったがゆえに、なかった地域なんです。

 政令市である熊本市と延岡市が高速交通網でつながるということは、今まで熊本市と延岡市とのいわゆる連携のもと、何らかの経済的な発展であったりさまざまな効果であったりというものが生まれないという状況が、これは生まれるようになってくるということなんですね。いささか抽象的な話をしておるかもしれませんけれども、そういったところについて、これからしっかり私も勉強して、地元と連携をして、主張もしていきたいとも思っております。

 また、同じ理屈は、熊本と大分市についてもやはりあります。一般道という形で、今、熊本から大分まで、実は先日、私は、大分市から熊本空港まで、夜間バスというか、バスで二時間ぐらいかかってしまう、今、特に事故も起きていますからもっとかかったということで、やはり遠いなという感は否めないんですね。大分県の県都である大分市と政令都市である熊本市が近づくことによって、さまざまな効果が生み出されてくるものだというふうに私は思っております。

 以上、私は、この九州を、観光の側面からは周遊、経済的な側面からは循環、また、熊本市と延岡市、大分市をつなぐ横断が実現することができれば、九州のポテンシャルというものを最大限発揮していくことができる、そのように確信をしております。

 九州経済が発展することによる税収の増加というものも見込めるじゃないか。また、防災機能も強化されるから、いざ何か災害が起きたときに、損害も必ず少なくて済む。また、災害対応を早めることができますから、その復旧であったり復興であったりといった対策費も必ず抑えることができる。そういった効果が必ずありますし、これまで救うことができなかった、今までというか今もですが、救うことができないかもしれない、そういったとうとい人命も救うことができようかというふうに思います。

 これからも、私は、九州は一つという思いで、きょう質問をさせていただいた道路に触れさせていただきましたが、また機会がございましたら、この話についてもぜひ質問をさせていただきたいと思っております。

 本日は、貴重な機会を賜りましたこと、改めてでございますが、心から感謝申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて吉田宣弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾分科員 民進党の鷲尾でございます。

 きょうは決算行政監視委員会の第四分科会ということで、質問の機会をいただきました。

 早速ですが、三十分という限られた時間でございますので、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、大臣に、これはちょっと質疑通告していないところもあるんですけれども、常識論としてお答えいただけたらなというふうに思っております。

 先月、新潟県で県知事選挙が行われまして、それで、野党系の知事が誕生したわけであります。

 私、地元を回っていて随分言われるのは、県知事がかわって野党系になって、予算が、与党系の知事じゃないから、何か大分新潟は厳しいんじゃないか、こんなことを半分冗談、半分本気で、かなり声として聞いているところがあるんですね。

 これは、与党系、野党系にかかわらず、県民の民意が出たわけですから、どちらにせよしっかりと、時の政権とはちょっと違うスタンスの知事であっても、まさか予算配分に何がしかの心ぐあいがあってはならぬというふうに思うんですが、大臣、そこは常識的にいかがなんでしょうか。

石井国務大臣 私ども国土交通省所管のさまざまな事業がございますが、それぞれの事業ごとの重要性、必要性等に応じて予算配分をしていきたいと考えております。

鷲尾分科員 それは、ということは、野党系の知事であっても、何ら気にすることはないぞ、心配することはないぞ、こういうことでよろしかったですか。

石井国務大臣 先ほど答弁したとおりでございます。

鷲尾分科員 それでは、早速、これからは質問通告しているものに入りたいと思うんです。

 私の地元の燕市でも、国交省から大事業を行っていただいておりまして、一番大きいのは、大河津分水の下流域の拡幅工事、これは着々と準備、調査が進められていまして、非常にこれはありがたいと、地元でも、最近のゲリラ豪雨の状況を見ますと、流量がふえるというのは大変ありがたい、こんなふうにあるわけでありますけれども、質問としてきょう通告させていただきましたのは、その燕市の国道百十六号線の吉田バイパスの件でございます。

 これは実は、地方分権の関係で、いろいろ、とまっているというか進捗が大分おくれている状況でございます。というのは、百十六号線のスタートとエンドがともに新潟県内にあるものですから、地方分権の関係があったときに、これは時の知事の意向もあって、県の方に移管するというような話が一時ございました。その後、二〇一三年に地方分権の事務・権限の移譲等に関する見直し方針というのが出て以降、今どうなっているのかという状況を確認させていただきたいのと、地元としては、早くやっていただきたいともう熱望している状況でございまして、この点の進捗につきましてお聞かせをいただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、この吉田バイパス、環境アセスメント及び都市計画決定に向けた調査、手続を進めていたところに、二十年の十一月に、県からのお申し出により、百十六号については新潟県に移管する方向で今後さらに調整する路線として整理をされました。

 その後、当該バイパスの扱いについて、平成二十五年の十二月に閣議決定をされました事務・権限の移譲等に関する見直し方針に沿って、新潟県と個別に協議を行った結果、平成二十七年三月に、新潟県より、当面の間、移譲は求めず、その扱いについてはバイパス等の整備後に議論するとの意向が示されたわけでございます。

 これを受けまして、都市計画決定権者の立場でもある新潟県の呼びかけによりまして、都市計画の手続再開に向けて、現在、国、新潟県と沿線の燕市の実務者による打ち合わせを実施しているところでございまして、国としても引き続き必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

鷲尾分科員 これは当局が一番よくわかっていますけれども、前知事の地方分権に関するかなり強い意向が働いた、これが事実だというふうに思っておりますが、先ほど申し上げたように、知事が新しくかわりまして、これはもうまるっきり違う形で進めていける環境にあるんじゃないか、こういうふうに思っております。

 ですから、新しい知事のもとで事業がしっかりと連携してうまくいくようにぜひお願いしたいので、その点、新しい県知事にかわりましたので、当局と連携してやっていくんだということを、確認のためにもう一度ちょっと答弁をしていただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど説明をさせていただきましたように、平成二十八年の二月から、国、県、燕市の実務者の打ち合わせの場を設置しまして、ことしの四月、八月と三回開いて調整を行ってきたわけでございます。

 知事選後、まだ新潟県から具体的なお話を聞いておりませんので、新潟県から具体的なお話を聞いてまた進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

鷲尾分科員 かなり環境が変わってくると思いますので、ぜひ前向きにお願いしたいな、こういうふうに思うところであります。

 それから、同じく燕市の話といきたいところでありますが、この百十六号線が柏崎の方に入りますと、国道八号線という形に変わってまいります。柏崎というのは、つい先日、市長選挙がございまして、新しい市長がまた選ばれたわけであります。この国道八号バイパス、これも以前も私は質問申し上げたところでもありますけれども、原発の避難道路としても当然重要な役割を担いますし、この整備がおくれているというのは、柏崎市内にこの八号バイパスができていないと、かなりいろいろな面で、渋滞も生じているわけですけれども、さらに、原発の避難計画という面から見てもしっかりとした整備がなされないといけないんじゃないか、こういうふうに思っております。

 ですので、今の進捗状況につきまして、これは原発の避難路という意味でも整備促進をしていかなきゃいけないという立場で質問をさせていただきたいわけですけれども、進捗の状況につきましてお聞かせいただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道八号柏崎バイパスは、柏崎市内の国道八号の交通混雑の緩和を目的としたバイパス整備事業でございます。

 全体延長十一キロメートルのうち、柏崎市茨目から城東間の二・六キロメートルにつきましては平成十四年度に、柏崎市東原町の〇・五キロメートルにつきましては平成十七年度に暫定二車線で開通をしております。

 残った延長七・九キロメートルでございますけれども、現在、用地買収、埋蔵文化財調査、改良工事等を実施しているところでございます。

 引き続き、早期開通に向けて事業を推進してまいります。

鷲尾分科員 ちょっと前に質問した答弁と変わっていないというところがせつないところでございますね。そこからどう進んだのかというところを質問したかったわけでありますけれども、今の答弁の状況ですと、二〇一四年に質問したのと全く状況が変わっていないということになるんじゃないかと思っているんですが、もう一度申し上げますが、原発の避難路としても、また、計画としてもかなり前からの計画であります。できる限りこの促進につきましては御配慮をお願いしたいというふうに思います。では、これはこれぐらいにとどめておきます。

 もう一つあるんです。

 国道三百五十二号線というのがあるんです。これも原子力発電所から柏崎市内に入ってくる国道なんですけれども、これも避難路として極めて重要でございまして、この三百五十二号線については、きょう、私は初めて質問します。この整備促進、ぜひお願いしたいということなんですけれども、今の進捗状況につきましてお聞かせいただけないでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 新潟県柏崎市を通過します国道三百五十二号線は、新潟県が管理をする国道でございまして、地域の産業や経済を支える重要な路線でございます。

 現在、市内一カ所において、交差点部の右折レーン設置や歩道を拡幅する松波道路事業を行っておるところでございます。これまで〇・六キロメートルで整備が完了いたしまして、残りの区間についても引き続き現道の課題解消に向けた整備を推進しているところと聞いております。

 国土交通省といたしましても、新潟県からの要望を踏まえまして、今後も、防災・安全交付金で引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

鷲尾分科員 調べていただいてわかっていると思うんですけれども、原子力発電所に隣接しておりまして、しかし、かなり道路の幅が狭い状況でありまして、しかも、小学校があるんですけれども、歩道がないという、そんな道路にもなっていまして、これはもう安全確保としてはぜひとも緊急にやっていただきたいというふうに思っております。今、県からの要望も踏まえてというお話がございましたので、ぜひとも迅速なる整備促進をお願いしたい、御配慮をお願いしたいということでございます。

 それから、ちょっと矢継ぎ早で行きますけれども、まずは社会資本整備交付金の話もしたいんですが、その前に、今度は佐渡の方にも話を移したいというふうに思います。

 佐渡の方では、道路局だとわからないと思うんですけれども、今、世界遺産、金銀山の登録を目指して全力を挙げておりまして、観光振興とかを考えたときに、やはりある程度インフラがないとお客様を呼べないだろうということで、国道三百五十号線の整備促進をお願いしているわけであります。

 国道百十六号線や国道八号線というのは、原子力防災という意味合いも非常に強いわけでありますけれども、離島である佐渡の観光振興という意味合いもありまして、国道三百五十号線の整備促進、なお、主要地方道であります佐渡一周線の整備促進もお願いしているところであります。

 この点につきましての進捗状況もお聞かせいただけたらと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道三百五十号線、佐渡一周線、ともに新潟県が管理し、整備している道路でございますが、島内への観光、物流を支える上で重要な道路でございます。一方、観光バスがすれ違えないといったところもまだ残されているわけでございます。

 まず、国道三百五十号線につきましては、二カ所で事業を実施しておりまして、両津バイパス、これは早期開通に向けて橋梁の上部工事を進めているところでございます。また、国仲バイパス、これについては一部開通をしておりますが、残る区間について改良工事を進めているというところでございます。

 佐渡一周線につきましては、まだ各所に急勾配や急カーブ、幅員の狭い箇所が残っております。先ほど申し上げました大型車のすれ違いが困難な区間がまだ二十七キロ残っております。このため、新潟県において、先ほどの三百五十号線と同様、社会資本整備総合交付金、また、こちらの佐渡一周線につきましては、さらに防災・安全交付金を活用しまして、佐渡一周線は十二キロの区間で線形改良等の事業を実施しているところでございます。

 このうち、佐渡一周線の中の佐渡市岩谷口にて事業中の跳坂トンネルでございますが、平成二十八年度中に開通をする予定でございます。また、佐渡市多田―莚場において事業中の竹ケ鼻バイパス、これにつきましては、早期の全線開通を目指して、トンネル工事及び改良工事を推進しております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、新潟県からの要望を踏まえて支援をしてまいりたいと考えております。

鷲尾分科員 今ほど御答弁いただいたとおりでありまして、観光振興と島民の安全確保という部分で、この国道三百五十号線というのはおもしろくて、これは大臣、海の国道なんですよ。海上も国道三百五十号線になっています。新潟市から海上を三百五十号線に入りまして、両津側から今度は小木の方まで行きまして、そこから直江津の方まで、これが三百五十号線なんですね。海の国道というものなんですけれども、島民の生活道路であるという意識が反映されているんだろう、先人たちの知恵ですね、国道という形になっています。

 これは、海が生活の道路であるというところもこれあり、先般、国境離島の特措法というのをつくらせていただきまして、それで、今度は離島航路についての一定程度の助成がなされると。これは内閣府の方でやっていただくということになっております。今、離島は人口減少で定住人口がどんどんどんどん減少している。これは本土よりも著しいわけでありまして、そうすると、国境離島というのは大変なことになる、そういう意味がありまして、今般、議員立法で国境離島の特別措置法というのを成立させたわけであります。

 また、そんな海の国道という部分で、離島の住民のためにも国道の整備、非常に重要なんだというところも大臣にぜひお含みをいただけるとありがたいな、このように思っております。

 今ほど答弁に出てきた社会資本整備交付金でありますけれども、ちょっと燕市の例に戻らせていただきましょうか、都市整備計画でやっているところがありまして、これも質問で通告しているところではあるんですけれども、先ほど来申し上げました燕市でやっている大河津分水の拡幅の大事業、特に最近のゲリラ豪雨を含めて、水害が非常に多いんです。

 新潟は、私がことしは本当によかったなと思っているのは台風が余り来なくて、数年ごとに新潟県のどこかの堤防が切れてしまうというような状況が続いているものですから、特に最近は雨量が本当に甚大になっているというところもありまして、防災の観点から信濃川流域の市町村からはいろいろな公共資本の整備をお願いしたいという要望があるわけです。

 燕地区の都市再生整備計画というのがありまして、水害に対して脆弱な地域がどうしてもあるというところで、これをしっかりと社会資本整備交付金に基づいて事業を行っていただきたい。ただ、この進捗が、なかなか予算がつかなくて厳しいという声があります。この点について、状況と今後の展望についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

栗田政府参考人 都市再生整備計画を活用しましての市街地の防災性の向上ということかと思います。

 具体的に私ども承知しておりますのは、燕三条駅周辺の市街地、ここは豪雨による浸水被害を経験しておるところでございますが、その被害を軽減するために、井土巻交差点付近におきまして、今御指摘のとおりのことでございますが、都市再生整備計画に沿って社会資本整備総合交付金を活用して、事業主体は燕市さんでありますけれども、三カ所におきまして、地下式の調整池の整備が進められていると承知しております。

 事業主体である燕市からは、この整備につきまして、平成二十五年度に着手がされておりますけれども、今年度内に全て完成する予定というように承知しておるところでございます。

鷲尾分科員 それを聞いて安心をいたしたところでありまして、もともと計画が今年度内なので何とか今年度中にしっかりと整備が終わっていただきたいな、このように思っているところでありますが、引き続き、これは御注力をいただけたらありがたいなというふうに思っております。

 最後に、港湾整備の話もさせていただきたいと思います。

 佐渡の話になりますけれども、両津港、小木港の港湾計画、特に最近、この後の質問にもつながる話なんですが、外国人観光客をどう寄せるかと。そうすると、岸壁をある程度補修して、かつクルーズ船なんかが泊まれるようにしておかないとお客さんが来ないという状況もあるわけであります。もちろん風浪とか、冬場は特にそうですけれども、日本海の荒波が激しいものですから、いざ暴風ということになりますと、本当に堤防が、これも数年ごとに壊れるような状況になってまいります。耐震強化岸壁整備でありますとか、クルーズ船の寄港回数がふえたらいいな、そんな要望もありまして、施設整備をお願いしているところでございます。

 この点につきまして何とか御配慮いただきたいというふうに思っておりますが、今の状況そして今後の展望につきましてお聞かせをいただけたらと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 両津港それから小木港でございますが、佐渡と本州とを結ぶ離島航路が開設されておりまして、人流、物流の拠点として佐渡の島民の皆様の生活と経済活動を支える大変重要な港湾であると認識しております。

 また、委員御指摘のとおり、最近では、豊富な観光資源を背景にいたしまして、クルーズ船の寄港も増加しております。地域の活性化にも大いに寄与しているというふうに認識をしております。

 両津港でございますが、港湾管理者である新潟県におきまして、社会資本整備総合交付金を活用いたしまして、岸壁の老朽化対策などが進められております。また、今年度より耐震強化岸壁の整備に向けた調査、設計に着手をされたところであります。

 小木港につきましては、これも社会資本整備総合交付金を活用いたしまして、今年度より、クルーズ船の寄港にも対応できるような耐震強化岸壁の整備に向けた調査、設計に同じく着手をしたところでございます。

 国土交通省といたしましては、両港の着実な整備促進に向けまして、引き続き必要な支援を行ってまいります。

石川政府参考人 佐渡一周線のことで一カ所訂正を申し上げさせていただきます。

 バイパスや線形改良等の事業を十二区間で進めているわけで、十二キロではございませんので、申しわけありません。おわびして訂正させていただきます。

鷲尾分科員 ということで、大臣に、最後、ちょっとお言葉をいただきたいと思っておりますが、どれもこれも、今当局から御答弁いただいたように、極めて必要性の高い事業で、予算もついているという状況でございます。新しい知事のもと、新潟県もまた新たな連携を当局同士しっかりと結びながらやっていくつもりでありますので、大臣に、しっかりと予算づけを配慮するよと前向きな御答弁を最後にお聞かせいただきたいと思いますが、最後じゃないですね、国交省への質問という部分では最後でありますけれども、お聞かせをいただきたいと思います。

石井国務大臣 ただいま御質問いただいた道路あるいは港湾等々につきまして、今後ともしっかりと整備促進をしてまいりたいと存じます。

鷲尾分科員 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、ちょっときょうは観光庁にも来ていただいておりますけれども、インバウンドはふえておりまして、史上空前の外国人観光客だというふうに聞いておりますけれども、実際、この外国人観光客がどれだけお金を落としていってくれているのかなと。最近は、爆買いについても、中国の方の税金の体系が変わったということで、若干落ちついているという話も聞いております。

 特に、日本でどれだけお金を使っているかというところの中で、かなり大きな、団体さんなのか、外国人観光客が来ます。来るときに、当然、国内の旅行代理店さんもいろいろな努力をしながら外国人観光客の誘致に努めているということだと思うんです。その外国人観光客が来るに当たって、例えば、国内の旅行代理店さんというのは、それによってどれぐらいのメリットを受けている状況なのかということについて、お聞かせをいただきたいと思います。

田村政府参考人 観光庁が実施しております訪日外国人消費動向調査におきまして、昨年二〇一五年の訪日外国人旅行消費額は、前年に比べて七一・五%増の三兆四千七百七十一億円となりました。

 また、本年一月から九月期の同じ消費額、さらに、前年同期比一〇%増の二兆八千五百五十六億円ということで、拡大をしているところでございます。

 その内訳として、かなり大きな部分が買い物、それから宿泊、そして飲食というところに使われているわけでありまして、そういう意味では、いろいろな産業にお金が落ちているわけでございます。

 それで、今のお尋ねの我が国の旅行業者ということでありますけれども、もともと彼らのビジネスモデルというのが、日本人相手の海外旅行及び国内旅行中心に稼いできたということではございます。そういう意味では、まだまだインバウンドに関しての売上高というのは限定的でございますけれども、例えば、昨年、主要旅行業者のインバウンドの取扱額というのは千七百四十二億円でございまして、前年比四五%増ということになっております。

 そういう意味で、まだまだ一部の企業を除くと十分ではありませんけれども、着実に売り上げを伸ばしているということではございます。

鷲尾分科員 おっしゃるとおりで、日本人相手に基本的にはやってきた、それを海外の観光客に対してどう対応していくか。

 もちろん、こちらとして、国内の業者が積極的に対応していかなきゃいけないというのはあると思うんですけれども、海外の代理店さんというよりも、むしろ国内の代理店さんがうまくもうかる仕組みというのも何かつくっていくといいんだろうな。主に買い物であり宿泊であり飲食であるんだけれども、旅行業者も潤うような、そういう仕掛けというか、これは知恵の出し方一つなのかなというふうに思っておりまして、ちょっとそういう視点も踏まえて、いい政策を打っていただけたら、こういうふうに思っているところであります。その方向性についてはいかがでしょうか。

田村政府参考人 御指摘のとおりでありまして、日本の旅行業界もインバウンドでも稼げる体質にしていかなきゃいけない。そのためには、やはり、着地型の旅行商品というものをしっかりと訪日外国人の方々にも売っていくということが大事でありまして、そのための支援というもの、これは地域と一緒にやっていかなきゃいけないことではございますけれども、これからもやってまいりたいというふうに思っております。

鷲尾分科員 いい御答弁をいただいたなというふうに思っておりますが、その着地型ということ、そしてまた地域を含めてというところなんですけれども、先ほど少し御紹介をしました国境離島について、新しく議員立法を成立させまして、新たに交付金事業をこれから行っていくよということになっております。

 外国人観光客を呼ぶに当たっても、離島というのは非常に起爆剤としてはいいんだろうなというふうに思っているんですけれども、なかなか、知恵がないというか、アイデアが限られているというか、やるにしても、従来型といいましょうか、日本全国でやることを離島でも同じようにやってしまうと、どうしても、もちろん離島に魅力を感じる方もたくさんいらっしゃると思うんですが、やはり、新しく、ちょっと違ったやり方で、外国人観光客を離島が独自で誘致する、そういうことを、着地型ということも含めて、あるいはその地域の人たちを巻き込んだ形でやっていけたらいいな。そういうことに新たに設立する交付金事業というのが使われるべきだろう、それが離島観光の起爆剤になるべきだろう、こういうふうに思っています。

 そこで、現状、今の離島への誘致策はあるんですけれども、今後の方向性について、私はそういう思い入れを持っているものですから、その点につきまして、どうお考えになっているかということについて御答弁をお願いしたいと思います。

甲斐政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる有人国境離島法は、我が国の領海などの保全などに関する活動の拠点としての機能の維持などを目的に、御案内のとおり、本年四月に議員立法で成立したところでございます。

 現在、継続的な居住環境の整備を図るといったことが特に必要となる特定有人国境離島地域、佐渡も入っておりますけれども、その地域社会の維持に関しまして、地方公共団体が実施する離島住民向けの航路、航空路の運賃の低廉化、それから物資の輸送費用の軽減、それから先生が今おっしゃった滞在型観光の促進といったこと、それから雇用機会の拡充などの取り組みに対しまして、必要な経費の一部を交付する、新たな内閣府の交付金といったものを創設しております。また、このほか、関係府省と連携して各種の予算要求を行っているところでございます。

 いずれにしましても、来年の四月からの施行に向けまして、今、本来の法の目的が果たせるような予算の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

鷲尾分科員 最後にちょっとこれだけ。もう時間が来ていますので終わりにしたいと思いますけれども、新しい交付金ですから、新しいやり方で離島が外国人観光客を誘致しようと。これについては、できるだけ幅広に、そのアイデアのよさというのを踏まえて、よし、これはいいぞということでお認めいただくとありがたいな。その点についてちょっと最後に。みんないろいろなアイデアを持ち込むと思うんですよ。だけれども、これはだめ、あれはだめと余りにもやり過ぎると、離島もまたやる気をなくしちゃいますから、いいなというアイデアは取り上げるんだ、このやる気をちょっと見せていただきたいなと思うんです。

甲斐政府参考人 観光関連産業というのは特定有人国境離島地域における重要な産業の一つだというふうに考えておりますので、これがふえれば雇用の確保にも資するということで、観光交流の促進を中心として、この場合は、一定期間以上島に滞在していただくような方々に対して旅行商品の開発や普及、滞在型観光の人材の確保、育成を図る取り組みに対して支援を行うという方向で検討しております。

 ちなみに、国内旅行者向けとの限定を行っておりませんので、外国人旅行者向けにも十分にこれは配慮してまいりたいと思います。

鷲尾分科員 質問を終わります。ありがとうございました。

伊藤主査 これにて鷲尾英一郎君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国土交通省所管の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時二十六分散会


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