衆議院

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第2号 平成18年2月14日(火曜日)

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平成十八年二月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 岡下 信子君 理事 菅原 一秀君

   理事 谷川 弥一君 理事 松島みどり君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 小宮山洋子君

   理事 田嶋  要君 理事 富田 茂之君

      井脇ノブ子君    上野賢一郎君

      大塚 高司君    北川 知克君

      土屋 正忠君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    福岡 資麿君

      松本 洋平君    山内 康一君

      郡  和子君    田名部匡代君

      森本 哲生君    福島  豊君

      石井 郁子君    保坂 展人君

    …………………………………

   参考人

   (江戸川区長)      多田 正見君

   参考人

   (立正大学文学部社会学科助教授)         小宮 信夫君

   参考人

   (特定非営利活動法人子どもの危険回避研究所理事長)

   (港区教育委員会委員)  横矢 真理君

   参考人

   (エンパワメント・センター代表)         森田 ゆり君

   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十四日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     森本 哲生君

  横山 北斗君     田名部匡代君

同日

 辞任         補欠選任

  田名部匡代君     横山 北斗君

  森本 哲生君     泉  健太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件(子どもの安全対策について)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 青少年問題に関する件、特に子供の安全対策について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として江戸川区長多田正見君、立正大学文学部社会学科助教授小宮信夫君、特定非営利活動法人子どもの危険回避研究所理事長・港区教育委員会委員横矢真理君及びエンパワメント・センター代表森田ゆり君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっております。どうぞ御了承をお願いいたします。

 それでは、まず多田参考人にお願いいたします。

多田参考人 江戸川区長の多田正見でございます。

 このたび、このような機会をちょうだいいたしまして、まことに光栄に思っておるところでございます。よろしくお願いをいたします。

 レジュメが一応ございますけれども、このレジュメに沿いますが、事細かな説明というよりは、ちょっと考え方を述べさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 子供の安全ということについてどう対応していくかということについては、それぞれの地域によってその条件で考え方が違ってくるかなというふうに思うわけでございますが、一応、私ども江戸川区という地域における状況、考え方を御説明申し上げたいと思っております。

 昨今、子供に対する大変痛ましい事件が続発をしておりまして、そういうことに対してどう対応するかというような差し迫った問題もあるわけでありますが、もう少し広く見てまいりまして、万般、社会における子供の安全をどう考えていくかということについては、かなり広範な取り組みが必要になるのではないかというふうに思っておりますので、子供が被害を受けるということとあわせまして、また、その裏腹に、子供をどういうふうに非行から守っていくかという、非行あるいは犯罪少年にならないということについても、つまり健全育成でありますが、そういったことに対してどのように対応していくかということと総合的にやっていくべき課題であるというふうに考えているわけでございます。

 平成十五年に警視庁が初めて各自治体の犯罪状況を公表いたしまして、その際、私ども江戸川区は犯罪が一番多い、こういうことを言われました。大変区民的にもショックを受けておりまして、何とかしてこの汚名を返上したい、こういうことで、私どもも、区を挙げてこの運動を展開したいということで、安全・安心まちづくり大綱というものを定めまして、あらゆる団体に働きかけをいたしまして、この取り組みを始めたわけでございます。実に多くの団体、町会、自治会、健全育成諸団体を初め、さまざまな、PTAもそうでございますが、広範な取り組みをしてくださいました。これにつきましては、各地域でも同様のことがいろいろ行われてきたと思いますけれども、このことによりまして、三年間、考えてまいりますと、相当犯罪件数は抑え込むことができました。

 つまり、抑止をしていくということでございますので、防犯カメラ等、物理的なものもありますけれども、地域の総点検でありますとか、あるいはさまざまなパトロール活動というものを行いまして、今、地域の方々から、パトロールをするにはさまざまな小道具が要るということで、ステッカーなど、そういうものをちょっと持ってまいりました。これは地域の方々が要望いたしますもの、これは区の公用車などに張りつけておりますが、全公用車、全バイク、全自転車にいろいろこのようなステッカーをつけまして、私たち区職員もすべてが犯罪に対する目を持ちますよということで、こういうものは、各地域でこういうものをつくってほしいというものをいろいろつくりまして、これは新聞配達の人でありますとかPTAでありますとか、あるいはおそば屋さんでありますと配達、すべての方々が協力をしてくださる。商店街の方もそうでございます。

 これは区の経費でつくっておりまして、夜光性ですので一枚七百円ぐらいするのでございますが、二万五千枚ほど今これができております。こういう方々がそれぞれのものにつけましてパトロールを実施してくださる、こういうようなこともやっているわけでございます。

 この三年間で、犯罪減少件数としては、江戸川区は二十三区で一番の成果を上げることができました。ワーストワンの汚名も返上いたしまして、今のところ三位でございますが、この三位も早く返上しなければいけない、こういうふうに思っておりますが、人口、面積とも四番目に大きい区でありますので、どうしても犯罪数が多くなる条件があるかなと思うのでございます。

 そういうことを続けてまいりまして、最近は痛ましい事件がいろいろ起きましたので、またそれにプラスいたしましてさまざまなことが考えられておりますが、私どもの公用車についております防災用の無線で、すべて不審者情報を直ちに各所に、それぞれの車も含めまして、私の車にもついておりますけれども、これは無条件で情報が入ってまいります。

 この三年間の間に、三警察署がございますが、その警察署と連携をいたしまして、犯罪情報をお互いに共有するということで、こういうことはこの運動を始めて成立したことでございますが、警察さんは今まではなかなかその情報を出してくださいませんでしたけれども、逐一出してくださるようになりました。それを区の方にいただきまして、それをまた関係する地域に全部流していくということを日々やる、こういうことを徹底してまいりまして、この点は非常に成果が上がったような気がいたします。

 そういうことで、不審者があらわれれば、直ちに区の職員も現場に急行することができますし、パトカーも来るとか、そういう体制をとっているわけでございます。

 三年前から、区の道路監察車を三台ほどパトカーとそっくり同じように、これは警視庁の許可をいただきまして、色を塗りまして、ただ、警視庁と書いてあるところが江戸川区と書いてあるわけでございますが、赤いランプをつけてはいけないというので青いランプをつけて走っておりまして、何か警視庁のパトカーまがいを二十四時間各地域を走らせているわけでございます。夜間は警備員、つまり警備の会社にお願いをいたしまして、昼は職員が乗るわけでございますが、道路監察の仕事をいたします。これは、夜間の場合には、三警察署にそれぞれまず出向きまして、どの辺を重点的に回るかということを打ち合わせをいたしまして、そこを回ってきて、それを警察に報告して区役所に帰ってくる。こういうことを続けているわけで、これは毎日やっているわけでございます。

 そういうふうに、地域住民のこのような運動とあわせまして、区あるいは警察ぐるみでこういう活動を展開してきたわけでございます。

 この新しく起きておりますさまざまな対応につきましても、例えば、私ども、子供に対する安全教育というのはある程度必要でありますが、これはやり過ぎてはいけないという面がございまして、なかなか難しい問題でございます。人を見たら、話しかけられたら、すべてを悪い人だと思いなさいという教育はするわけにはまいりません。

 そういうことで、限界があると思いますが、ただ、地域の方々が子供の動きを本当によく知っているかということにつきましては、なかなかそうはいかないということがございます。保護者の方はよくわかっているわけでございますけれども、そうでない方々は、同じ町に住んでいても、この子供たちの通学路は一体どうなっているかということを承知していない人がほとんどであると思います。そういうことを、皆さん歩いて、そしてお互いにチェックをして、そしてその通学路に問題はないかどうかというようなことを共通認識することが大切だということで、新たにそういう運動を巻き起こしました。

 そして、御両親は仕事などで昼間地域におられない方が多々ありますので、地域にいつもおられる老人クラブの方々とか、あるいは商店街の方々に、大いに関心を持って子供たちに目を向けることを日常的にやっていただきたいということを働きかけいたしまして、今、老人クラブ、くすのきクラブと私たちは呼んでおりますが、二百十団体、二万数千人の人たちがいますが、この人たちが、かたい形ではなく、常に子供たちを見守るということをいたしましょう、そういうことの運動を今始めてくださっております。

 商店会も同様なことをやってくださっておりますが、そのようにして多くの目で子供たちを見ていく、そのことが一つの地域力になる、犯罪抑止力になる、こういうことをやっているわけでございます。

 その次に、私どもが、これはちょっと特徴があるかなと思いますが、つまり学校の放課後開放をやっておりまして、平成十五年、これはまた別の目的から始まったわけでございますが、江戸川区には七十三校の小学校がございますが、この全校で、すくすくスクールと呼びますが、放課後に学校に残っていいです、そしてそこでいろいろな活動をやってください、そのことのために地域の人に御協力をいただきます、そういうことで始めた事業でございます。小学生三万七千人がおりますが、今、そのうちの二万七千人、八〇%近くの子供がこれに参画をしております。

 今まで学童クラブというのが単独施設でいろいろございましたけれども、それを全部各学校に入れてしまいました。そして、すくすくスクールの子供たちと一緒に学童クラブの子供も過ごす。

 学童クラブとすくすくスクールの子供の違いは、やることは同じでありますけれども、親御さんが迎えに来られるまではお預かりをするというところで違う。その責任料は四千円いただきますが、すくすくスクールの子は無料でございまして、一応登録をしていただきますけれども、そういう多くの子供たちが今参画をしております。そこに参画をしない子供たちは、野球に行ったり、あるいはサッカーをやったり、塾に行ったりということになろうかと思います。

 地域の方々に御協力をいただいておりますので、マネジャーという人を一人お願いいたしまして、その人がすべてを仕切ってくださるわけでありますが、その人は常にその学校にいていただくということではありません。スタッフをいろいろ調整したり、そういう仕事をしていただいているということでございます。そこにサポーターというグループをつくりまして、そのサポーターが恒常的に出入りをしてくださいます。毎日ということではありません、交代制でもございます。

 そのほかにまた応援団がたくさんいまして、多い学校では百人を超える人たちが出入りをいたします。それから、少ない学校でも数十人ということになりますが、この人たちは、どういう人たちが来てくださるかといいますと、一つはお年寄りの方が来てくださいます。それから学校の先生のOBでありますとか、あるいは子育てを終わったお母さん方とか、あるいはいろいろな団体、例えば保護司会、更生保護女性会というような会がありますが、そういうところの皆さんが、これを一つの自分たちの事業として各地域の学校に参ります。そういうことでありましたり、あるいは大学生が来てくださる。

 そういうふうにいろいろな方が来てくださって、これは決まったメニューをかたく、教科のようにやっていくということではありません。遊びもいいし、スポーツもいいし、それから囲碁、将棋を教えていただく、英会話を教えていただく、さまざまなことをそこで教える。

 このねらいは、実を言うと、安全対策というよりは子供たちの豊かな人格形成のために、少子化の中で家庭と学校だけを往復する子供たちでは、つまり多くの人たちとの接点がない、おつき合いがない、こういうことでありますので、ここが今教育的な人格形成上の大変大きな問題になっているという指摘がございます。これを何としても解消したいということで、多くの人とのかかわりを持ってもらう場としてこれをつくった、こういうことでございます。

 私どもが始めてから、その後で、文部科学省が安全な居場所づくりということで同様な発想を出してまいりました。安全な居場所というのは当然のことでございまして、私どもはむしろ人格形成に寄与する事業として始めたわけでありますけれども、しかし、考えてみれば、大いにこれは安全な居場所に通じるわけでございまして、すくすくスクールに多くの地域の方々が入ってきますので、そういう中で子供たちは安全に放課後を過ごすことができる、こういうことになっているわけでございます。

 このために、六館ありました大型の児童館が、つまり子供たちに使われないようになりました。そこを今度は中高生の活動拠点といたしまして、これは自由に自分たちで考えて運営をしてください、私たちは応援をいたしますというようなことをいたしておるわけでございます。これはちょっと、地域ではなかなか珍しいことではないかなというふうに思っております。

 そんなことで、私どもも、子供の安全対策を、防犯カメラとかなんとかいろいろありますけれども、実はそういうことではない、地域のたくさんの目によって、あるいは心によって子供をどう守るかということをこの地域内に醸成していけば子供の安全はかなり高まる、そういうふうな確信のもとでこのようなことを進めております。

 時間がちょっと超過いたしまして申しわけありませんでした。以上でとりあえずの御説明といたします。どうもありがとうございます。(拍手)

近藤委員長 ありがとうございました。

 次に、小宮参考人にお願いいたします。

小宮参考人 皆さん、おはようございます。

 私は、犯罪社会学を研究していますので、その立場からお話しさせていただきます。

 こういった犯罪研究あるいは犯罪対策、実践ですけれども、大きく分けて二つあります。一つは、犯罪が起こる前、犯罪の予防と言っていますけれども、この分野と、それから犯罪が起こった後の分野、犯罪者の処遇という言葉を使っていますけれども、この二つがあります。

 日本はこれまで、後者、事件が起きた後どうしようか、犯罪者にどういう刑罰を科したらいいのかとか、あるいは犯罪者をどうすれば改善更生できるのか、そちらの方に関心を注いできたわけです。

 ところが、最近になって急速に、事件が起こる前、予防の方に社会的な関心が寄せられるようになってきた。ところが、この分野、研究も蓄積がありませんし、実践の蓄積もありません。なので、犯罪が起こった後の処遇で主流である犯罪者を中心にした考え方、これを犯罪原因論と呼んでいますけれども、この犯罪原因論をそのまま予防の方にも持ち込んでしまったわけです。ところが、犯罪はまだ起きていませんから、犯罪者はまだそこに存在しておりません。したがって、苦し紛れに不審者という言葉を編み出して、その不審者という言葉が今ひとり歩きしてしまっているというような状況であります。

 ですから、なかなかこれがうまくいかない。なぜならば、人を見ただけで、この人が不審者かどうかはわからないんですね。子供に、どういう人が不審者かと聞くと、一番多い答えは、マスクをしている人だと答えます。ですから、この時期はあちこち不審者だらけになってしまうんですね。あるいは、空き巣被害のチラシなんかつくると、大体は唐草模様のふろしきをしょって手ぬぐいでほおかぶりしている泥棒をかくんですけれども、今どきそんな泥棒はいないんですね。

 犯罪原因論は、どうしてもそうやって特定の犯罪者のイメージをつくりたがってしまうわけです。ところが、それではなかなかうまくいかない。私は、どうもこの予防の分野はボタンのかけ違いをしているように思えてなりません。

 欧米では、この予防の分野は、こういった犯罪原因論ではなくて犯罪機会論が主流であります。これは、犯罪者という人間ではなくて、犯罪が起こる場所に注目します。つまり、犯罪の機会が多い場所で犯罪は起こりやすい、逆に、犯罪の機会が少ない場所では犯罪が起こりにくいということです。

 この犯罪機会論、有名なものとしては、ニューヨークのジュリアーニ前市長が導入した割れ窓理論、あるいはイギリスのブレア労働党政権が制定した犯罪及び秩序違反法、こういうものが非常に有名ですけれども、それがよって立つ犯罪機会論、ここでいろいろな研究それから実践の蓄積によって、どういう場所で犯罪の機会が多いのか、犯罪が起こりやすいのかというのがわかってきました。

 それには二つの条件がありまして、一つは、入りやすい場所。だれでも簡単に入っていける場所というのは犯罪者も簡単に入っていける。したがって、ターゲットに近づいていってもわからない、怪しまれない。さらには、入りやすいというところは逃げやすいというところでもありますから、犯罪を実行した後、すぐにどこへでも逃げていける。これが一番目の条件です。

 もう一つは、見えにくい場所。周りから見えにくいところでは犯罪者が隠れていてもわかりません。待ち伏せしてもわからない。つまり、犯罪を実行しても発見されない。ですから、そういう場所を犯罪者は選んでくるわけですね。

 こういうような入りやすくて見えにくい場所が一番危険だ、そういったこと。

 例えば実例を挙げますと、きょう、皆さんのお手元にこういう写真のプリントを配付させていただいていますけれども、これをちょっとごらんください。

 まず、Aのところ、これは奈良の連れ去り殺害事件の現場です。幹線道路ですけれども、幹線道路は車を使った犯罪者からすると非常に入りやすい。さらに、両側にこのような遮へい板がありますし、さらに、ここの両側には一軒家がないんですね。マンションしかありません。マンションの一階は駐車場ですから、全く自然な視線が子供のところには流れないということであります。ですから、やはりここも入りやすくて見えにくい。

 Bの写真は栃木の今市の事件現場ですけれども、あの被害児童の女の子が歩いていたとされる近道、ここは家が一軒もないんですけれども、だれでも入っていけるような入りやすい場所。しかも、こういう雑木林で見えにくい。

 さらに、次にCの写真ですけれども、この近道を真っすぐ行くと、こういうように、開発を途中でやめてしまったので不法投棄の山です。自動車も捨てられていますし、パソコンも捨てられている。このようなごみの山になっています。

 それから、そこをずっと行くと、被害児童の女の子、その自宅に行くまでに地下道がありますけれども、そこには落書きがある。今市の山間部では落書きを発見することはまず不可能ですけれども、ここにはちゃんとこの落書きがあるんですね。

 その下のEの写真、これは広島の事件現場ですけれども、この周辺では、このような路地、路地は徒歩による犯罪者だと非常に使い勝手がいい。入りやすくて逃げやすい。しかも、両側にこのように塀や壁が高くて家の中から道路が見えない。やはり見えにくい状況でした。さらに、Fの写真ですけれども、死体遺棄現場にはこのように落書きがある。ごみも散乱しているようなところでした。

 Gの写真、Hの写真は宮崎勤の四番目の事件ですね。江東区の現場ですけれども、Gの写真の真ん中あたりに黒っぽいアパートの一階、ここから入っていくとHの写真になります。ここは昼間でもこのように暗いところで、しかも、入りやすくて逃げやすいというところです。この真ん中の写真、ガラスのところ、ここが保育園の玄関です。ここで宮崎勤は女の子に声をかけて、車に一緒に行こうというふうに話しているんですね。ですから、ここもやはり入りやすくて見えにくい場所でした。

 こういうように、ほとんどの犯罪は二つの条件を満たしたところで起きています。こういうことを教育に応用して、子供でも、あるいは地域住民でもこの犯罪機会論を実践できるような形で考え出したものが地域安全マップというものです。

 こういう場所が、どういう場所で犯罪が起こりやすいのかわかれば、まずそこには行かない。これが一番いい方法ですね。行くのであれば、一人では行かない。これが二番目の対策です。どうしても一人で行かなきゃならないという場合であっても、そこで犯罪が起こりやすいと自覚していれば、いつもよりも注意力をアップして、すきを見せないようにして、犯罪者には犯罪の機会を与えないようにして歩くことができるはずだと思います。これが三番目の対策。こういうように、場所によって対応を変えられるというような能力をつける、これが地域安全マップであります。

 ところが、日本は、先ほどお話ししたように、犯罪原因論という、不審者という人間に注目して予防をやっていますので、常に、不審者とか犯罪者が目の前に来ているというところから対策が出発してしまうんですね。

 ですから、防犯ブザーもそうですし、それから、防犯教室という名の護身術を教えているもの、これも、どちらも犯罪者が目の前にいるわけですね。ですから、ある意味、子供にとってはそもそもリスクの非常に大きい状況に置かれているわけです。

 もちろん、防犯ブザーも必要ですし、護身術も必要ですけれども、防犯ブザーを渡してこれで終わりというのではなくて、防犯ブザーを渡しながら、しかし、防犯ブザーを使わない方法を教える、防犯ブザーを要らないような状況に自分の身を置く方法を教える、こういうことも必要ではないでしょうか。それが地域安全マップというものです。

 私は、こういう理由から、この地域安全マップの方法を開発して提唱してきました。ところが、最近は間違ったマップというものがかなり出回っているような状況です。

 一番多いのは不審者マップというもので、ここに変な人がいました、ここに怪しい人がいました、こういうものですね。これが犯罪原因論の弊害ですけれども、本当にこれが犯罪者であれば、一歩手前の人間であればまだいいんですけれども、大体はそうではないんです。つまり、人を見て、この人が不審者かどうかわからないですから、明らかに外見上普通の人と違うという人を不審者扱いしてマップに落としているんですね。

 具体的にいえば、外国人、ホームレス、知的障害者です。私のところにも知的障害者の方からいろいろな相談が来るんですけれども、特に広島、栃木の事件の後は通報をしょっちゅうされてしまうので、もう散歩もできないというような状況に陥っているそうです。

 そういう問題と、それからさらには、子供に、不審者に注意しましょうとか、不審者マップをつくりましょうとやっていますけれども、子供に、不審者に注意しましょうとはどういうことと聞くと、ああ、それは大人を無視しなさい、そういうことだよと答えます。大人を無視しなさい、大人を信用するな、人を見たら犯罪者と思え、こういう教育になってしまっているんですね。ところが、学校じゃ全く正反対の教育もしています。あいさつ運動とか、あるいは親切にしましょうと。親切にしましょうも、知らない人にも親切にしましょうと教えているんですよね。そうすると、子供にとっては、無視すべきなのか、親切にすべきなのかわからなくて混乱してしまうわけです。

 ところが、場所から入っていけば、そういう混乱は回避できます。犯罪が起こりやすい場所にいる大人、入りやすくて見えにくいところにいる大人、これは無視してもいいですと。栃木の事件のように、きれいな目をしたお兄さんが道を聞いてきても無視して歩き去ってもいいですよと。ところが、安全な場所にいる大人、これとは積極的に交流しましょう、あいさつもしましょう、困っている大人がいたら、むしろ、子供の方から近づいていって助けてあげましょう、そういう教育をすべきじゃないでしょうか。そのためには、人間から場所へと、まず発想の転換が必要だと思います。

 もう一つよく間違えられるのが、犯罪発生マップです。ここで起きました、あそこで起きましたですね。これは一見、場所に注目していそうですけれども、やはりこれも犯罪者に注目しています。なぜならば、犯罪発生場所というのは、犯罪者がそこにいたということですから、犯罪者に引っ張られているんですね。

 ところが、実際、次の犯罪も同じところで起こる保証はないですし、仮に、自分の学区の犯罪発生場所を丸暗記できたとしても、知らないところに行ったらお手上げ、応用力が全くつかない、こういうことになってしまいますから、どういう特徴のあるところで犯罪が起こりやすいのか、どういう特徴のある場所では気をつけなきゃいけないのかというように、未来志向の地図をつくらせる必要があります。そのためには、起きたところではなくて、起こりやすいところということですね。

 それから、これはまた別の問題も引き起こしています。つまり、犯罪発生場所を特定したいがために、子供に被害体験を聞いているところも多いんですね。被害体験は、子供にとって大きなトラウマです。心の傷です。これを広げてしまうようなことをやっているわけですね。

 ある自治体では、被害体験アンケートをすべての小学校と中学校でやってしまいました。その結果、被害児童の親がその地域の弁護士会に今人権侵犯救済の申し立てをしています。つまり、別の意味で今子供の安全が脅かされているというような状況になってくると思います。

 そういうところを注意して、不審者マップはつくらない、犯罪発生マップはつくらないというような形で地域安全マップをつくれば、急速に子供の、自分で被害に遭わない力が育ってきます。そういった被害防止能力、それだけではなくて、さらに子供同士のコミュニケーション能力、あるいは、地域の大人にインタビューしたりしますので、地域の大人とのコミュニケーション能力、あるいは地域への愛着心の向上、そういうことも期待できます。

 さらには、そういう子供たちが一生懸命地図をつくって地域の安全のためにやろうという姿を見て、大人も刺激をされて、よし、自分も少し子供のために何かしよう、そういうような機運の盛り上がりにもつながってきます。

 そういう意味で、それこそが地域ぐるみの子供の安全対策につながるものだというふうに思って、私は地域安全マップを進めているというような現状であります。

 以上で私の意見陳述を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

近藤委員長 ありがとうございました。

 次に、横矢参考人にお願いいたします。

横矢参考人 おはようございます。御紹介いただきました子どもの危険回避研究所の横矢でございます。

 私は、子供が今十九歳と十六歳になりましたけれども、下の子供が生まれたころから、自分の子供に役立って、それがなおかつもっと多くの子供たちに役立つようにということで、研究を始めました。

 具体的には、サバイバルウエア、大震災のときに逃げるサバイバルウエアの研究ですとか、上履き、なぜ学校があの一律の上履きを履かせるのかとか、そういったことの研究を始めました。それから、しばらく主婦をして研究を進めていたんですけれども、九年ほど前からファミリー向けのホームページをつくる仕事に携わるようになりまして、全国の保護者の方と、ネットを通じてなど、お話をする機会を得ることができました。

 そこで感じたことなんですけれども、子供たちを守るということについて自信のない親御さんが多かった。それから、子供を守るための情報が足りない、全然足りないというふうな御意見が多かったことです。実際にはたくさんの資料がありますのに、それがうまく届いていないということを感じましたので、ネットの仕事の傍ら、皆さんによい情報が届きやすいようなサイトを私たちがつくろうということで始めたのが、この子どもの危険回避研究所というホームページだったんです。

 七年前に、一九九九年につくりましたけれども、その当時、全国の千名近い保護者の方にアンケートをとりまして、実際どのような危険な目に遭っているのか、それからどういうことに不安を感じているのかを調査しました結果を分類しましたのが、このトップページにあります六分類図になります。

 大きく分けてありますけれども、この六つ、親は、身近な大人は、どれかの専門家である必要はないですけれども、全体的に、バランスよく子供を見守っていく必要がある。それから、できるだけ事前に危険を察知して、それを回避していく力をつけたいということで、研究を進めていきました。特に、犯罪は答えが出るのが難しいというか、事故であれば解答が出やすいんですけれども、犯罪は対策が練りにくい、犯罪者によって対応が違ってくる部分があるということがありましたので、特に力を入れて研究するようになりました。

 それで、この全体について言えますのが、私たち大人にできるのは何かということを考えたんですけれども、犯罪のことも特にそうなんですが、大きく分けて二つというふうに考えています。

 その一つが、子供の危険回避能力をアップさせるサポートをすることということです。もともと子供はそういう力を持っていますけれども、それをサポートするという気持ちが大事ではないか。それからもう一つが、子供が犯罪や事故に巻き込まれにくい環境づくりをするということです。それぞれ皆さん、いろいろなお立場をお持ちだと思います。お母様だったり地域の役員の方だったりPTAの方だったりと、いろいろな役割をお持ちですので、それぞれの立場で、お子さんに何をしていただけるかを考えていただくということがとても大事ではないかと思っております。

 今申し上げました二つの面について大変効果があるのが地域安全マップづくり、先ほど小宮先生から詳しい御説明がありましたけれども、それを、私たちも三年ほど前から、中学生向けのテキストを小宮先生に監修していただきまして作成いたしまして、防犯のテキストですけれども、危険回避能力をはぐくむテキストをつくりまして、それをPR、講演をしたりして歩いております。今は環境がそれから比べまして大変悪くなりましたので、全国各地を渡り鳥のように講演して歩いている、この一週間もほとんど自宅に帰る暇なく歩いておりました。

 ただ、それだけ御要望が多い、その御要望の内容なんですけれども、何を教えていいかわからないというようなことが多いんですね。ですので、できるだけ、基本的な部分では地域安全マップをつくりましょうというお話をするんですが、この講演資料、黄色いものを持ってまいります。それで、初めからどこかに偏らず、バランスを持ってほしいというお話と、続きまして、二ページ目を開いていただきたいんですけれども、地域安全マップをつくりましょうと。

 これは、学校とか大きな単位でつくるものというイメージが強かったんですが、私は、家庭でもできますよということを広げています。なかなか敷居が高くなってしまって、地図をつくるところまではちょっとねとか、いろいろ生の声を聞くものですから、では、家庭でつくってみましょう、もしマップまで行かなかったら歩くだけでもいいですよという形でお話をするようにしています。現在では、児童館などで土曜日の活動として取り組まれる例もふえてきました。いろいろな規模でマップづくり、町歩きというものに取り組んでいけるようにサポートしていきたいというふうに感じています。

 学校で実施する場合も、準備に時間がかかるという問題があるんですが、私立の学校でも今いろいろ取り組みが始まってきています。それぞれ手探りでやってきているという状況ですが、先日は東洋英和女学院の方で、マップづくり、中学二年生全員で実施されました。それぞれのクラスが家庭科の時間を使って、一週間、六本木、麻布十番の町を歩きまして、先ほどの、先生の御紹介がありました地域安全マップづくりをいたしました。

 そこでインタビューをして歩くものですから、町の方たちも、このあたりで犯罪が起こりそうで不安なところはありますかとか、子供にとって危ないところはどこですかというようなことをインタビューして歩きますので、地域の方たちの方から御意見をいただきまして、東洋英和が頑張ったおかげで改めて町の意識が高くなったよというふうにお褒めの声をいただきました。

 ただ、そこまで頑張るのに三年ぐらいかかったのは、学校の先生の意識をまず変えていただきたいということで、先生向けの講演をやりました。それから、サポート、やはり家庭が大事ですので、家庭にもお話をということでPTA向けにもやりました。それから中学生向け、また中一向けに、新しく通学を始める子供向けのお話をしたりしながら、道筋をつくって、ようやくそういうところにたどり着いたというような形です。警察OBのスクールサポーターの方とか地域の方にもお手伝いいただきましたが、基本的には、あいている時間の教師がみんなで見て一緒に町歩きをする、町歩きをする範囲も決めるというように、積極的な活動になりました。

 大きな単位で活動するのは時間もかかる面もあるということをお話ししましたが、港区では、私、教育委員もしておりますけれども、教育委員会からの緊急配信として、ネット上で、犯罪から子供を守るにはという動画配信をしております。その中でも、家庭でできるマップづくりを推奨して、冬休みの間にぜひ御家庭でということで提案させていただきました。

 その場合のコツとしては、親子だけではなくて、ちょっとお友達を連れて一緒に歩くと、子供たちが元気が出ます。それから、家庭の愛情を受けられない子供もおりますので、そういう子供たちも一緒に呼んで、ぜひ、自分の子供だけではなく、周りの子供たちを一緒に育てるという意識で頑張っていただきたいということをお話しさせていただきました。

 このように、防犯に対する意識が高まっている中、先ほども申しましたが、実際に子供に対してどう指導していけばいいかということについて検討している地域がふえています。

 私の場合は、考えるチャンスを持たせることが大事だと思っておりますが、この講演資料を一ページ開いていただいたところに、三年前につくったテキストから抜粋しました図がございます。「シーン1」の「道路で」という図がありますけれども、こういう図を見ながら、この道を歩くときにどんなことに気をつけないといけないと思う、どこが危ないと思うというようなことで、小学生などにも意見を求めます。それで、一たん考えて、子供たちがはいと言って元気よく手を挙げて答えてくれます。この車がとまっているので人が隠れやすいとか、車の前後は遊んではいけない、車が急に飛び出してくるかもしれないとか、交通事故や犯罪の面、さまざまな面が出てきますが、それを考えるチャンスというのが大事だと思っています。

 それから、低学年につきましては、危ない公園というのを教える。公園ってなじみが深いものですから、この「シーン2」の公園、危ない公園の方を、マグネット製の大きな黒板状のものをつくりました。それで、この樹木ですとか遊具ですとかをはがせるような、マグネット製で重ねて、はがせるようにしてありまして、それをはがすとクマちゃんが隠れているというような形のものをつくりました。それで、危険な公園をマグネットをいろいろはがしていくと、塀がフェンスになっていたり、それから遊具がきれいに撤去されていたりトイレの前の草むらがなくなったりすると、隠れる場所がなくなる。入りやすくて見えにくい場所がなくなって、きれいな公園になる、それで安全な公園になるんだよ、人が隠れられないところになるねということを教えるようにしています。

 そのようなことを、十一月から朝日小学生新聞と組んで、全国で安全教室ということで展開してきました。まず自分で考えて、それから、さまざまな人たちが交流しながらお話をするということがとても大事だというふうに感じています。

 マップをつくることによって、その後の展開ですけれども、例えば光ですけれども、明るいところは犯罪者が嫌うということがあると思うんですが、それについて、子供たちがこの道は夜暗いのじゃないかという判断をした道について、大人の方がその後検討して、自治会などに働きかけて町を改善していく。それから、個人でできることとしましては、自分のうちの明かりを、夜じゅう二十ワットぐらいの明かりをつけておくというようなことで、子供たちの安全を少しずつでも上げていくというような工夫をされているところも出てきています。

 人目をふやすためのパトロールや子供の見守りにしても、小さな工夫というのがとても大事でして、例えば、家の前を通る子供に、お花にお水をやりながらあいさつをしてあげてというようなことをお願いするわけですが、そのときも、子供が見えたら見えなくなるまで見送ってやってくださいというふうにお願いしている地域もございました。そうすると、子供を見守られる範囲がちょっと広くなるんですね。そういう小さな工夫を積み重ねることによって、子供たちの安全度は必ず上がっていくということになると思います。

 そして、みずからも、地域のメンバーである子供たち、想像以上に力を持っています。大人が守ってやるというよりも、すぐに、あちらに守られるんじゃないかというぐらい成長するものであります。小さな子供でも地域安全マップの理論はすぐに把握しますし、こういう部分を伸ばしてやりたい。子供たちが町のために、町をきれいにすることによって犯罪が起こりにくい町づくりをするというようなこともできますし、防災訓練などに中学生を参加させて、実際、救助活動というようなものを、学校では味わえない救助活動、地域の方たちと一緒に体験するというような機会をふやして子供たちの力を上げていき、大人が見本になって活動することを見せていきたいというふうに感じています。

 活動を通じて、今、課題というふうに考えておりますのは、教え方がわからないという声が多く、呼ばれることが多いんですけれども、身が足りないというか、私一人であちこちに行くわけにもいきませんし、小宮先生も今各地を回っておられますけれども、教える側がちょっとまだ足りないということを感じています。

 それから、幼児から老人まで一貫した安全教育、危機管理意識を持った生き方というものを教えることがとても大切だと思いますので、そういったカリキュラムを、さまざまなもの、規模的にも十五分でできるものから何日も、一年かけてやるものまで、さまざまなものを選択できるカリキュラムをつくるということ、それから、それを教える講師、指導員を養成することというのが今後の課題ではないかと思います。

 私の本の方ですけれども、このお配りしました「犯罪の危険から子どもを守る!」本では、全国を私が歩いて回ったところで受けた質問について、QアンドAにまとめてあります。実際、皆さんがどのような心配を持たれているのかという参考にしていただけるかと思い、お持ちしました。

 それから、「身近な危険から子どもを守る本」の方は、小学校中学年向けの本になっています。こちらは、子供自身が読むようにできています。一昨年の学校図書館選定図書に選ばれておりますけれども、このように、いろいろな媒体が必要だと思います。ネットも重要ですけれども、紙媒体で子供たちに直接訴えかけていく、子供たちに教えていくということも大事ですし、親のサポート、教えていく親を教えていくということも大切ですので、そのあたりを今後考えていただけたらと思います。

 以上で私の話は終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

近藤委員長 ありがとうございました。

 次に、森田参考人にお願いいたします。

森田参考人 皆さんのお手元にレジュメが渡っていると思います。「あらゆる暴力から子どもを守る視点を」というものと、それから「サクセスストーリー」、この二つが私の方が提出している資料です。

 あらゆる暴力から子供を守ろう、そういう仕事を私はアメリカと日本でしてきて、ことしでちょうど二十五年になります。子供に対する、女性に対するさまざまな暴力にどう対応するのか、それにかかわる人たちへの研修とカリキュラム開発、そういう仕事を二十五年間してきました。そういう者にとって、今、国会で衆議院の青少年特別委員会の方々が、子供の安全対策ということに時間を費やしてくださっていることを大変心強く思っています。

 そのレジュメのタイトルにありますように、私は、子供をめぐる安全対策というのは、あらゆる暴力を考えて総合的に取り組んでいっていただきたいなと思います。しかし、私たちみんな、マスコミの過熱報道の中で、非常に猟奇的な恐ろしい事件が起こると、その事件だけに圧倒されてしまう、そういう不安の伝染力に圧倒されるということを、大いに私たち一人一人が感じているのではないでしょうか。

 実は、子供をめぐる危険な状態というのは、必ずしも路上で起きているわけではありません。むしろ、性犯罪を伴う危険な事件、例えば昨年の広島や栃木で起きたような事件というのは、数としては非常に少ないです。

 子供に対する性犯罪は大変な数で起きています。しかし、その圧倒的な性犯罪者というのは、特に子供を対象にするのをペドファイルという言い方をしますけれども、ペドファイル、犯罪学のプロファイリングの方からいいますと、いろいろなタイプに分かれますけれども、圧倒的多数のペドファイルというのはいわゆる状況型というもので、例えば昨年の広島で起きた、あるいは宮崎勤、あるいは奈良で起きた小林薫、ああいった事件のあの方たちは、非常に珍しい加虐型、性癖型、そういうタイプのペドファイルです。

 もちろん、起きた事件は恐ろしいので、私たち一人一人がその不安の中に圧倒されていって、何しろ路上を、何しろ登下校を守ろうという形になっていきます。もちろん、そういう努力は大変すばらしいと思いますけれども、例えば性犯罪に関したら、圧倒的多くの性犯罪は路上では起きていないです。建物の中で起きています。圧倒的多くの加害者は性癖型ではないですから、子供に対して傷をつけたり殺したりということはしません。しませんけれども、性犯罪を繰り返ししていく。

 そういう非常に典型的な例が、もしかしたら皆さん新聞で読まれたかもしれませんけれども、つい最近逮捕された福岡での現職の警察官ですね。五年間にわたって子供たちを追い回し、性犯罪を行っていました。しかし、彼は決して傷つけるということはしませんでした。性犯罪者は普通はしないです、傷つけたら捕まってしまいますから。捕まらないで、子供たちをだましながら自分の性的な欲求の対象にしていくというのが彼らが最も望むことです。

 私は、こういうことでたくさん本を出しているので、今まで数回、刑務所から、性犯罪者から手紙をもらったことがあります。拘置所、留置所、刑務所からですね。その方たちの何人かが、こういうことを子供たちに教えてほしいというような形で書いてきた方がいます。そういう方の中でも、多くの性犯罪者というのは、子供にけがまでさせるということは考えていないんだ、でも、子供がいるところには必ずたくさんいるんだというようなことを、そのほかのたくさんのことも書いてくださった方がおられます。

 ですから、ぜひぜひ、不安に私たちが圧倒されているなと思ったときは、少し冷静に、もう少し鳥瞰的なところから考え直してみよう、もしかしたら何かタコつぼみたいなところで対応しようとしているんじゃないだろうか、そんなこともちょっと考えていただきたいと思います。

 例えば昨年、広島、栃木で起きたような事件は、決して今になって起きているわけではありません。一九六〇年代にも七〇年代にも八〇年代にも九〇年代にも、全く同じような性犯罪行為で子供が殺された、そういう事件は一年に一人、二人あるいは三人、そのくらいの程度で各年代を通して起きています。何も今に始まったことではないということも、ぜひ念頭に置いておいていただきたいなと思います。

 それともう一つ、先ほどのお話、どなたかもお話しされていましたけれども、子供の安全を脅かしているのは不審者だけではないですね。だから、不審者というのは一体だれなんだろうと。不審者対策、不審者情報、余りにも過熱しているために、私たちが子供の安全の教育をするために学校に行くと、特に教頭先生ですね、パソコンに次々と入ってくる不審者情報に物すごく振り回されています。親たちも、携帯メールに登録するとどんどんどんどん不審者メールが入ってきます。それですごく不安感を感じているし、そしてとても翻弄されています。

 対策というのは、もちろん、不審者情報は警察の方たちにとって大切な情報です。でも、では不審者が出たら、もしその場に出くわしたらどうするんだろうということに関しては伝えられていないですね。

 私は、そういった、もし万一、何かそういう場面に出くわしたらどんなことができるんだろうということを、決して怖がらせずに、そして、こうしなければならないということではなくて、こんなこともできるよという形で伝えていくこと、それが大変重要なことだと思います。それが伝えられないで、こういうことをしないように、こんなところに行くと怖いということだけ伝えられていくと、不安が増大するだけではなく、もし万一、そういうところに行ったために被害に遭ったとしたら、その子供は周りから責められます。何でそんなところに行ったの、知っていたでしょう、あそこは危ないと知っていたでしょうと。

 しかし、危ないところ、考えてみたら、先ほどの環境犯罪学の方から、こういうところを考えて建物をつくるとか町づくりをするということはとても重要だと思います。でも、被害者の側から危ないところというのは、どこでも危ないですよ。

 奈良の事件で小林に誘拐され殺された少女、あの少女が車に取り込まれたその場所は、非常に人通りの多い、車の交通量の多い道です。そして、あの事件を子供たちは見ていました。それを見ていた大人もいました。そういう場でも事件は起こる。十何年前の宮崎勤が四人の子供たちを、五人ですね、実際は、誘拐した。その中の一人の四歳の少女は家の目の前で連れ去られていきました。

 危険なところはあると思います。でも、ここは危険だよと言われていないところでも、もしかしたら何かに出会うかもしれない、もし怖い思いになったら何ができるだろうか、そのことを私はぜひとも子供たちに伝えていく必要があるだろうと思います。

 もう一つ、今とても過熱状態になっているのが、ハードを整備しようと。防犯ベル、学校にはさすまた、そして警備員の配置、監視カメラ、いずれもハードです。私は、安心は外には求められないと思います。なぜなら、危機管理ということ、あらゆる意味での危機管理です。例えば、病院で介護ミス、医療ミスを起こさないという意味での危機管理でも、あるいは子供たちを犯罪から守ろうという危機管理でも、すべての危機管理の基本はコミュニケーションです。コミュニケーションがないハードだけの危機管理体制は実効力を持たないです。両方通行のコミュニケーションですよ。一方的な、こちらからあちらに、こうしなさい、ああしなさい、そういうコミュニケーションではなくて、両方通行です。

 広島の昨年の事件、あの事件が起きる一週間前に、あの周辺で全く似たような出来事に遭っていた子供たちが二人いました。もちろん、身体的な被害は受けませんでしたけれども、性的な被害を受けています。非常に似たような事件が起きているんです。でも、その子たちは、あの事件が発覚して大人たちが大騒ぎするまでそのことをだれにも言わなかったです。初めて、あの事件が起きて親に言った。そのとき、親が、どうして言わなかったのよ、どうしてもっと早く言わないのと怒りました。その子供は何と答えたと思いますか、そのどうしてに。怒られると思ったから。それが多くの子供たちの気持ちです。普通の子供たちが何かあったときに、ちょっと寄り道しちゃってあそこに変な人がいるのを見たから、それを言っちゃったら怒られるから、そういう思いの中で、言いません。

 パトロールの方たちも、私も民生委員の方や保護司の方たちの研修を頻繁にやっていますので、今、民生委員の方たちや保護司の方たちはとても一生懸命パトロールをしていってくださっているので、私がすごく今強調していることは、傾聴してくださいと。聞いてください、子供の話をと。子供にああしろ、こうしろ、こうしろと言う前に、ぜひ聞くという姿勢を見せてください、それができたら子供たちの方から語ってきますよと。

 子供に、あなた、こんなことあったのと言うことは、先ほどおっしゃったように、それを問いただすということはいいことではありません。しかし、本当に被害を受けた子供は、それをだれかに安心した環境の中で語らなければ、そのトラウマはいやされません。だれかに批判されたり、だめでしょう、そんなところに行って、早く帰ってこないからそういうことになったのよ、そういうようなことなしに、ただ聞いてもらう。聞いてもらうことによって、怖さや泣きたかった思いや、あるいは性的なことをされた何か嫌な気持ち悪い感覚や、そういったことが言葉にして、あるいは涙にして出てくる、それが子供にとっての心の応急手当てです。そういうことがされることによって、それは実は、その後トラウマにならないで済むんですね。でも逆に、どんなことがあったの、うん、それで、あんなところに行ったからいけないんでしょう、あなたという形でコミュニケーションがされると、それは大きなトラウマになっていきます。ぜひ、聞くということをしていっていただきたいなと思います。

 ハードの中で、防犯ブザーということ、全国の子供たちに少なくとも貸与はされているかなというふうに思います。しかし、私ははっきりと言ってしまいます、防犯ブザーは役に立ちません。防犯ブザーは、役に立つとしたら、その瞬間に手に持っていなかったら役に立たないです。

 では、すぐに手に持てるように、かばんの中に入っていたのではもちろん使えないですよね、それでは首にかけさせようと、それだけは絶対に言わないでください。絶対にさせないでください。大変に危険な武器です、相手にとって。首に何かがかかっていることは、がっとつかめます。ここにぶらぶらかかっていることも、それでがっとつかまえられるんですね。わざわざ武器を提供しているようなものですよ。防犯ブザーを提供することをそんなに私は勧めませんけれども、どうしてもやらないでほしいことは、首からかけさせるというようなことは絶対に言わないでください。それだったら、かばんの中に入っている方がまだましだなと私は思います。

 既にこんなに大きな恐怖を日本じゅうに広げた広島の事件でも、そして栃木の今市の事件でも、どちらもその子たちは防犯ブザーを持っていました。しかし、電池が入っていなかった、家に置いてきた。物に頼ってしまうとそういうことが起きてくると思います。

 これから一分でお話ししようと思っているCAPというプログラム、日本では十年間実践してきました。このプログラムは、アメリカで一九七八年に、昨年起きたような恐ろしい事件の結果、生まれていったプログラムです。プログラムとしては、世界じゅうに広がって、二十八年の歴史があり、日本では十年間の歴史を持っています。この十年間の中で、日本じゅう、すべての都道府県にCAPのプログラムが広がりました。十年間で約二百十六万人の大人と子供たちがプログラムを受けました。

 このプログラムは、一つずつのクラスに授業の時間をもらって入っていくという大変難しい、入っていくのが難しいプログラムです。講堂にたくさんの子供を集めてやるというのではなく、一つずつのクラスに入っていって、そして子供たちに、参加型で、いろいろな意見を、そしてロールプレーをしながら、あらゆる暴力、子供同士のいじめにも、そして今のような誘拐の場合にも、そして知っている人からの性的な被害にも同じ方法で対応していきます。

 そのプログラム、いろいろなことを教えますけれども、一つ、防犯ブザーにかわるものとして、特別な叫び声というのを教えます。特別な叫び声です。これを実際に一度練習します。私は、自分自身が三十年前にこの特別な叫び声を物にして、あの恐ろしいアメリカで怖いと思ったことはないです。私は、自分の中に武器を持っているといつも感じています。これは、身体の敏捷性と、それから、私は大切、そんなことをしないでよという、これはいわゆる人権意識です。この二つさえあれば、いつでもどこでも、そして何年たっても、大人になっても使えるものです。

 身体の敏捷性というのはどこで生まれてくるのかといったら、一度でいいから安全な場でやってみるということです。子供たちが警察のプログラムに行ったら、大声を出しなさいと言われた。お母さんもいつも大声を出しなさいと言っている。でも、大声ってどういう声なの。知らなかったけれども、CAPのプログラムを受けたら、ああ、こういう声なんだ、ああ、こんなふうに出せばいいんだというのが初めてわかった。やってみる。大声を出しなさいというメッセージは広まっていても、では、親や先生が一緒にその声を出してみる。そして、出してどうするの、出して逃げるんです。そういった、実際にやってみる、そういう子供の視点に立った、そして、力を従来は持たないために被害者になりがちな、そういう人たちの視点に立った対応をぜひ皆さんも検討していただきたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

近藤委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚高司君。

大塚(高)委員 自由民主党の大塚高司でございます。

 参考人の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本当に貴重な御意見を賜り、まことにありがとうございます。心より感謝と御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 それでは、私の方から質問をさせていただきます。

 子供の登下校時をねらった犯罪や学習塾内での犯行など、子供の日常生活を取り巻く環境は多様な危険にさらされており、極めて深刻な状況にあります。民間企業による子供の安全に関するアンケートで、我が子が危険な目に遭ったことがあると回答した保護者が一二・七%に上り、子供にとって危険な場所には四一・一%の保護者が下校時の通学路を挙げ、大半が現状の防犯対策に不安を抱いております。平成十六年の犯罪統計によれば、未遂を含めて十三歳未満の子供が被害に遭った件数は、殺人事件が百十一件、強姦事件七十四件、強制わいせつ事件千六百七十九件とあります。

 このような犯罪を二度と起こさせないために、我々自由民主党は、「犯罪から子どもを守る」緊急対策本部を立ち上げ、緊急提言をいたしたわけでございます。これを受け、政府は、「犯罪から子どもを守るための対策」を昨年十二月二十日決定をいたしました。

 そこで、小宮参考人に質問をさせていただきます。

 「犯罪から子どもを守るための対策」の一つでもあります全通学路の安全点検は、どのような対策を講じたら効果があるとお考えでしょうか。それも先ほど安全マップという話もお聞きしましたけれども、そういった観点から、またお尋ねをしていきたいというふうに思っております。よろしくお願い申し上げます。

小宮参考人 今の委員御指摘の点ですけれども、先ほど御説明させていただきましたように、通学路の点検ですけれども、犯罪が起こりやすい場所の二つの条件に、入りやすい場所と見えにくい、こういう基準でもって点検していくことが非常に重要であります。これは、都心部あるいは郊外、さまざまな地域の事情がありますけれども、いずれも、入りやすくて見えにくいというところが犯罪が起こりやすい。

 例えば、都心部でいえば、ビルとビルのすき間とか、あるいはマンションの踊り場とか、そういうだれでも入っていけるけれども見えにくくなるようなところ、あるいは駐車場であっても、きちんとフェンスで入りにくくしているかどうかとか、あるいは空き地があっても、空き地がきちんとロープをして入りにくくしているかとか、そういう点が重要ですし、あるいはまた郊外に行けば、一見見晴らしがよくて田んぼが続く、畑が続くというようなところで、安全そうに見えるけれども、しかし、やはりそこに人の目がなければ見えにくいという状況ですし、あるいは郊外に行くと、例えば不法投棄がかなり積まれているようなところもあります。そういうところは人々の関心がないという意味でも見えにくいですから、そういう形で点検していくことが重要だと思います。

大塚(高)委員 ありがとうございます。そういったことも踏まえまして、地域のいろいろな住民にそういったことも知らせていくということも、私としても大事であるというふうに思っておりますので、また今後ともよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、森田参考人に質問させていただきます。

 十三歳未満を対象にした暴力的性犯罪の再犯率の割合は、大体四人に一人が再犯者で、性犯罪者の再犯防止対策に力を入れていかなければならないというふうに我々は思っておるわけでございます。その中で、警察庁はデータベース化して再犯防止と捜査に活用していくというふうに言っておりますが、まだまだ多くの問題があるというふうに私は思っております。その点についてどのようなお考えでしょうか。よろしくお願いします。

森田参考人 警察庁の動きに対して私自身がどういう意見を持っているかということは、私はアメリカで長年、性虐待の、性暴力の問題にかかわってきましたために、再犯者をどうするのかということに関しては大変ペシミスティックです。

 さまざまなことが行われてきました。いろいろなことが本当にこの三十年間試みられてきたにもかかわらず、例えばミーガン法など皆さん御存じだと思います、それでもそれをすり抜けて、大変多くの数で性犯罪が起きています。

 私は、もっとそれ以前の、防止、予防に力を注いでほしいなと思います。それは警察の仕事ではないかもしれません。しかし、例えば平成十五年に十四歳以下の強制わいせつ事件、警察に捕まっているのは六千二百三十三人、強姦は千百四十三人。かなりの数ですね。でも、恐らくこの何十倍もの件数が起きているはずです。国際的な調査では、こういう子供を対象に性被害を行っていくペドファイル、この人たちの約五〇%が十代でその行為を始めている。そして、その一生に、平均ですよ、平均約三百人の子供を被害に陥れていく。すなわち、十代のときに、その行為が始まりそうなときに、もし一人私たちがその子を変えることができたら、三百人の子供たちの被害を防ぐことができる。

 そして、特に男子の場合は、性被害を受けて、それに対しての適切な治療や、あるいはさっきちょっと言ったような、それをだれかに語ることができる、そして語って気持ちを洗い流すことができるということがなければ、しばしばその行動をアクトアウトしていく。自分が被害者としてされたそういう性的な加害行動を他者に対してしていく傾向、それは男子の方が女子よりも強いです。

 ですから、犯罪者を一番最初からストップさせるために最も効果的なときは、ティーンエージャーです。そして、そのティーンエージャーの中に、私は日夜、そういう子供たちの相談を電話や講演会場や研修会場で受けています。例えば、十五歳の少年、下着泥棒をしてしまった。養護施設の子供ですけれども、その子の部屋に入ったら、ロッカーにいっぱい下着が入っていた。その子はすごく反省している。でも、このままでいいんだろうか。だめじゃないか、そんなことしちゃ、それだけでいいんだろうか。よくないです。それだけでは、その子は続けていって、そして恐らく、そのまま何の介入もなければ、一人の性犯罪者になっていきます。もしかしたら、一生に三百人の子供にかかわっていくかもしれない。だから、そこの時点で十分に介入することができます。でも、性犯罪をもう繰り返してきた大人たちに介入するというのは、本当にペシミスティックです。

 だから、ティーンエージャーに対してのプログラムを提供していく、それも、ただ、やめなさい、だめですということでは変われないんです。そういう効果的な対応策をいろんな研修でしていったりとか、学校でやっていく。性的なことに関心を持ったら、その関心をどうしたらいいのか。当然関心を持つわけでしょう。体がむずむずしてきた、ポルノ雑誌を見たい、どうしてポルノ雑誌を見ちゃいけないのか、すごく真っ当な質問です。そういったことに答えていかれるようなプログラムをティーンエージャーに対して集中的にしていくことが、とても大きな効果を長期的に発揮していくというふうに思います。

大塚(高)委員 ありがとうございます。そういった対策にも十分に配慮していかなければならないというふうに思っております。

 続きまして、横矢参考人に質問をさせていただきます。

 横矢参考人におかれましては、私は大阪でございまして、先般、大阪の教育大附属池田小学校での事件は、皆さん方も記憶に新しいというふうに思っておるわけでございます。その中で、私の多くの友人の子供が被害に遭い、そのうちの一人が最悪の結果となったということ、本当に私も許すことのできない事件でありました。

 その事件を踏まえまして、先般、PTAで講演をしていただき、身近なこと、何だと、気づきそうで気づかないことを話してくださったと皆さんが本当に喜んでおりましたということも申し添えておきたいというふうに思っております。

 それでは、質問させていただきます。

 子供たちに、被害に遭わないための教育ということは本当に大切でありますが、もし万が一のときに、実践的な対処法を身につけさせるための防犯訓練、防犯教室を繰り返ししなければならないというふうに考えておりますが、そのとき、どういう点に重点を置いたらよいとお考えでしょうか。よろしくお願いします。

横矢参考人 それが難しい部分ではあると思います。先ほど、小宮先生からお話がありましたように、そのときにどう対処するか、このケースではどう対処するかというようなマニュアル的な対処法の教え方では、子供たちが育つ部分が育ちにくいということになりますので、まずやりたいことは、事前に危険を察知する力をつけること、場所に注目することということで考えた方がいいのではないかと思います。

 ただ、保護者の方からの要望として、やはりせっかく貸与された防犯ブザーを上手に使いたい、それから、いざというとき逃げるための護身術、最低限のものでも教えてほしいという意見もございますので、そういったもの。先ほどお話がありましたように、絶対首からかけないようにとか、携帯電話で話しながら歩かないようになどの盲点を時々確認するというような教え方をしていくべきではないかと思います。子供たちは、それによって、本当にいざというときではありますけれども、立ち向かえるという勇気をつけるということができると思います。

 ほうっておくと、事件があって少したつとやはり意識が薄れてしまいますので、年に一度の研究というよりは、十分でもいいので、例えば学校のホームルームの時間とかそういったところを使って、虐待のニュースやいろいろなニュースがあります、災害のニュースなどありますけれども、そういったときに、みんなだったらどうすればいいかというようなことを話し合うようなチャンスを持つ、それをいろいろ繰り返していくことで子供たちに危機管理意識を育てる教育になっていくと思います。

 ちょっと返事になったかならないかわかりませんけれども、これでお願いいたします。

大塚(高)委員 ありがとうございます。我々も、今いろいろな話があったわけでございますけれども、携帯電話等のITも活用したような、そんな施策もこれから打ち出していかなければならないというふうに考えておる一人でございます。

 そしてまた、何といいましても、子育て中の保護者の積極的な参加も呼びかけていかなければならないというふうに思っております。ありがとうございます。

 続きまして、多田参考人に御質問をさせていただきます。

 地域での防犯活動として、先ほど来お話ありましたように、青パト、そして子供安全見守り隊、PTA等、防犯ボランティアは全国に約一万四千団体あり、日々頑張っていただいておるわけでございます。しかし、その反面、共働きの家庭やパートに出る主婦の増加、余暇の時間を趣味に費やして、地域のボランティアに参加する意欲のない個人主義な考えの保護者もたくさんいるわけでございます。それに最近、私思いますのは、家庭の役割がどんどんと低下しているような気がするわけでございます。

 こんな現場を、いろいろな現場を見てこられまして、どんなお考えでしょうか。率直なお気持ちをお聞きしたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

多田参考人 今御指摘になったようなことが確かにあると思いますが、それがどの程度かということは私も定かにはわかりません。健全な御家庭もたくさんあるはずでございます。しかし、それが地域全体の中でどういう姿を見せているかということに私たちは大変関心を持つわけでございます。

 私たちの地域は、江戸川区でございますが、東京二十三区の中では一番平均年齢が若い、子供の一番多い区であります。そういう中で非常に活力ある活動が行われているということを私は大変心強く思っているわけでありますが、そういう地域の中ではやはり非常に活動が活発でありまして、そういう中で今おっしゃったようなことはそんなに多くはないというふうに、私思っているわけでございます。

 特に江戸川区は、戦後新しい学制が始まりまして、当時、小中合わせて公立は三十二校でございましたけれども、現在、百六校ということでございます。この六十年間で三倍の学校をつくってきたわけでございます。これは大変なエネルギーを要します。一校につきおよそ一ヘクタールの土地を生み出して、全地域にこれを建設していくということは大変なことでございまして、ここには地域の皆さんの相当な情熱が働いているわけでございまして、こういったことも江戸川区の一つの伝統でありまして、学校を大事にする、子供を大事にするということについて大変すばらしい体質を持っているというふうに私は見ております。

 そのことは、転勤をしてこられる校長先生あるいは一般の教員の方々がよくおっしゃってくださることでございまして、つまり、子供に対する愛情や、あるいはこの地域の方々の思いというものがすこぶる強い地域だというふうに評価をしてくださって、これは私はそうだと思います。そういうことの中では、私は今御指摘のようなことを余り憂えてはおりません。

大塚(高)委員 ありがとうございます。私も、そういったふうにこれから皆さん方が、いろいろな地域の方々が支え合っていける、そういう社会づくりを、本当に懸命に努力をしておられるという区長のそういう御意見に、これからももっともっと頑張っていただきたいというふうに思う一人でございます。よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、小宮参考人に質問させていただきます。

 安全確保の観点から、路線バスを登校時、下校時にスクールバスとして活用する方策が今検討されておるわけでございますが、私の地域では、バスをおりてからまた距離があり過ぎて、本当に難しいというような意見もよく耳にするわけでございますけれども、参考人のまた御意見もちょうだいしたいというふうに思っています。

小宮参考人 実は私、昨日、高知県の夜須町で、小学校に行きまして地域安全マップづくりを指導してきたんですけれども、そこの女の子に聞いてみましたら、自転車で二十五分間かかって通学しているというんですね。ですから、これは六、七キロはあると思うんですけれども、こういうところではやはりスクールバスの導入をすべきだというふうに私は思っております。

 ちなみに、イギリスはこういうことはきちんと決まっておりまして、七歳までは三キロ以内は徒歩、それ以上になった場合には必ずスクールバスを提供しなきゃならない。八歳以上の場合には、五キロまでは徒歩圏内ですけれども、五キロ以上であれば必ずスクールバスを提供するということになっています。

 それで、日本でもそういった、特に郊外、山間部とか、今現在、子供が少なくなって統廃合されて、かつては自分の集落の中に学校があったけれども、別の集落まで通学しなきゃならない、そういう状況であれば、その集落と集落との間は少なくともバスの導入は考えるべきだと思います。

 ただ、注意しなきゃならないと思っていますのは、例えばアメリカにしろイギリスにしろ、スクールバスは導入されておりますけれども、そうはいっても、子供は必ずやがて一人で自立する必要があります。一人で歩かなきゃならないときが来ます。そのときに、余りにもスクールバスとか大人が守り過ぎていると、今度は、その能力が育っていませんから、一人になったときに被害に遭ってしまう。

 ですから、アメリカにしろイギリスにしろ、先ほどCAPの紹介にあったように、きちんと自己主張できる能力をつけるとか、あるいはボランティア活動をやらせたり体験学習をやらせたり、そういう地域学習をやらせたりとか、あるいは、最近はやっていますのは、アドベンチャー・ベースト・エデュケーションという形でわざと冒険的なことをやらせるとか、そうやって子供の力もつけながら、しかし自立するまでは大人が守るというやり方ですね。

 ですから、スクールバスの導入だけ、そこだけ突出してしまうと、また誤った教育になってしまうというふうに思っております。

大塚(高)委員 ありがとうございます。本当に今の時代、大変な時代だというふうに思っております。

 私は、学校の帰りしな、友達と皆さんで道草を食いながらいろいろな畑なりを歩いたという思いがするわけでございますけれども、今やこうやって安全面に対しても配慮しなければならないという、本当に残念な時代になっているということ、それを我々大人がやはりいろいろな形で守っていかなければならない、そういったことにも力を入れていかなければならないというふうに思っております。またよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、多田参考人に質問をさせていただきます。

 犯罪の発生を防ぐためには、警察の強化等だけではなく、幅広い地域住民の自主防犯活動に積極的に取り組んでもらうことが本当に大切であるというふうに思っております。よく旗を目にする子ども一一〇番の家があるわけでございますけれども、全国に百五十万カ所以上あるというふうに言われております。また、今ガソリンスタンドやコンビニエンスストアにもポスターを張ってくださったり従業員の教育をしてくださったりということで、いろいろな地域の方が今活躍をしてくださっております。

 こういったことがどういった防犯の対策をもたらしていくんだろうかということ、率直なお気持ちをまたお聞きしたいというふうに思っております。

多田参考人 先ほどもちょっとお話をしたところでございますが、地域ぐるみでこうした問題に関心を持って子供たちの状況というものに対して深く何か注視をしていく、そういう地域全体の共通認識をつくっていくことだと思っております。そのために、警察、消防、もちろん区もそうでございますが、いろいろな公的機関もありますが、民間の諸団体、これがつまり常に一つの何か情報を共有して、同じ情報を共有して、そのことのためにそれぞれがどうするかということを進めていく、こういうことだと思います。そのことのためにいろいろ努力をしているわけでございます。

 もう一つ、犯罪をどう防ぐかということに、どうしても今この課題が重点的に考えられているように思いますが、子供たちを非行に走らせないということのためにどうするかということも大変重要な課題でございます。

 今、東京全体では、刑法犯罪のうちの二五%は少年犯罪だと言われております。その少年犯罪の九九%は、その地域に住んでいる子供たちが犯している犯罪だと言われております。街頭における犯罪の四〇%は地域の少年によって行われているという現実もございます。

 そのことを私たちは直視いたしまして、普通の犯罪は他から入ってきて被害に遭うということも多いかと思いますが、少なくとも少年犯罪は、地域の中の健全育成活動で十分抑え込んでいける条件にあるというふうに思っておりますので、それを力強くやっていくことも、将来、総体的な犯罪を減らしていく有効な手だてだというふうに思っております。

 防犯ということは、つまり、一つは一般的な犯罪抑止、もう一つは青少年の健全育成をしっかりやることだというふうに考えております。

大塚(高)委員 ありがとうございます。そういった方面にもまた力を入れていかなければならないというふうに思っております。よろしくお願いします。

 時間もそろそろ参りました。それでは、最後に、横矢参考人に質問をさせていただきます。

 横矢参考人は、先ほどいろいろなお話ありましたように、全国を講演に回られておる、いろいろな形で回られておるというお話をお聞きしましたが、そのいろいろなところ、地域を回られても、いろいろな温度差があるというふうに思うわけでございます。安全対策も、その地域によりいろいろな格差があるというふうに思っているわけでございます。

 そこで、安全教育、そして被害防止対策では、我々大人が見本になって積極的に取り組んでいかなければならないというふうに思っておりますが、特に講演をされてどの部分に力をいつも入れておられるか、率直な御意見をまたちょうだいしたいと思います。

横矢参考人 まず自分で考えるということが大切だということ、それから、それを持ち寄って相談する、それで力を合わせて大きくすることができるということを子供たちに伝えていきたいというふうに思っています。先ほどもお話ししましたけれども、自分たちが町を守れる立場であるというふうに気づかせるということが大事だと思っています。

 また、ハードとソフトの問題がありますけれども、どうしてもハード寄りの部分が注目される部分がありますので、ハードとソフトのバランスをとること、それから、ハード、いろいろな物には裏側に危険性が隠れている、それをどのように発見して対策をとるのかというようなことを大人が見本になって伝えていく、そのことを重要視していきたいと思います。

 先ほどお話しいただきましたが、附属池田小学校の方ですけれども、先週の金曜日にも研修会の方に伺ってきました。学校安全研修という場で発表もさせていただいたんですが、そこの場でもその話が出ていましたけれども、まずハードに注目されてしまう、今池田小学校はこれだけハードが整っているよということで注目されるけれども、人の目がないと何にもならないのだというようなこと、人の目が一番大切なんだということをPRしたいというふうにおっしゃっておりました。

 そのような面で、ハードももちろん大切なんですが、それを動かす人間の力、それは大人が見本になって見せていく。いいものはうまく取り入れて、生活をよりよくしていくということの大切さを伝えていきたいと思っております。

大塚(高)委員 大変ありがとうございます。

 私は、今こういう豊かな時代の中で、やはり人の輪、社会のきずなというのを本当にこれからも大切にしていかなければならないという時代に来ております。そういった面におきましても、参考人の皆さん方には、これからもまたいろいろな地域の発展のために御尽力いただきますように、よろしくお願い申し上げます。

 以上、終わらせていただきます。

近藤委員長 次に、山内康一君。

山内委員 自由民主党の山内康一でございます。

 きょうは、参考人の皆様、大変貴重な御意見ありがとうございました。

 まず最初に、参考人の小宮先生にお尋ねしたいと思います。

 質問に入る前に一点、過日、川崎市で行われました防犯ネットワークのフォーラムにおいて講演いただきまして、大変ありがとうございました。川崎市の御父兄の皆さんに大変評判がよかったことを、この場をおかりして御報告申し上げます。

 まず、小宮先生に質問ですが、子供の安全対策、もちろん地域安全マップといった、私思うに非常に費用対効果の高い手段もありますが、安全対策を考えるに当たってさまざまな手段があるかと思います。例えば、街灯を設置したりあるいは監視カメラを設置したりあるいは警備員を配置したり、さまざまな手段がある中で、そういったさまざまな防犯手法に関してどの手法が一番費用対効果が高いかとか、あるいはさまざまな手法を比較検討する中からどのようにプライオリティーをつけていけばいいか、そういった研究がもし日本なり海外なりであれば、その結果について御報告いただければと思います。

小宮参考人 実は、その質問をいただいたのはきのうでしたので、全部調べ切れませんでしたけれども、日本では残念ながらそういう研究はほとんどありません。

 ところが、欧米では非常にこれは活発に行われています。防犯カメラを設置するとどのくらい犯罪が減るのかとか、街灯をつけた場合にはどのくらい犯罪が減るのかというもの、あるいは、犯罪が起きた場合に、例えばこういう罪種の犯罪であれば社会的なコストをどのくらい後から費用を負担しなきゃならないのかとか、そういうようなものがきちんとできております。

 そういう意味では、非常に日本はある意味おくれているような状況で、そういう費用対効果をきちんと調査する前に、そもそもどのくらい犯罪が起きているかさえも日本は押さえていない。日本では警察統計が基本で、そこで議論が土台になっていますけれども、あくまでもあれは、警察に届けられて、警察が認知して処理した件数にすぎませんから、実態がイコールということはまずあり得ないんですね。

 そのために、欧米では、必ず被害者調査をしまして、どのぐらい実数があるか、それによって、警察統計はこれぐらいだけれども実際の数はこれぐらいであるというふうに、罪種ごとに掛ける何倍ぐらいが実態だろうというような、そこからそもそも出発しているわけですね。そういうことは日本でほとんど行われていませんので、そういうところから出発する必要もあるというふうに思っております。

山内委員 再び小宮先生にもう一点お伺いしたいと思いますが、先生はイギリスの防犯事情に大変お詳しいようですが、私ども、地域の御父兄の皆さんとお話ししていると、監視カメラ、防犯カメラをもっと設置してほしい、そういった御要望を受けるんですが、そういう防犯カメラの先進国イギリスでありますと、どのように防犯カメラが実際に犯罪の抑止に役に立っているか。あるいは、先ほど、同じ質問になってきますが、費用対効果はどのように評価され、また防犯カメラ設置に伴う問題点、例えば人権の問題、個人情報の問題、そういったことも含めてどのような議論がなされていて、もし日本に同じように、イギリスのように防犯カメラをたくさん設置していくといった政策をとっていく場合、どのような問題点が考えられるかということについてお尋ねいたします。

小宮参考人 防犯カメラにつきましては、最近のイギリス内務省の出した報告書、内務省といっても向こうはきちんと、役所といえども中立的な立場をとっていますので、研究者に丸投げして研究者の報告書をそのまま出している、そういうものですけれども、それによると、たしか、私の記憶がもし正しければ、防犯カメラの犯罪抑止効果は三%か四%ぐらいだと思いますね。ただし、駐車場に設置した場合にはそれは四〇%犯罪を防げるということがわかっているようです。

 それの分析はそこの研究者がしていまして、駐車場の場合には特定の罪種に絞ってカメラをつけている、例えば車上荒らしを防止するとかですね。だからこそ効果がある。街頭につけた場合において、ではどういう犯罪をこのカメラによって抑止しているのかというのが不明であると。さらには、駐車場の場合には、先ほどの、入りにくくするようなフェンスをつける、ゲートをつけるとか遮断機をつけるとか、そういうような対策とか、あるいは明るさも、外灯をつけるだけではなく、例えば白いペンキで周りを塗る、こういうことをすると光の反射率が一番高いんですね、白の場合には。それでより明るくなるとか、そういう総合的なことをやって初めて犯罪を減らしている、そういうふうに分析をしております。

 ですから、カメラをつければただそれで犯罪が減るというものではなくて、問題はカメラをつけた後、それをどういうふうに、それはあくまでもメニューの一つであって、それにどうやって人間の力でもって、あるいはほかのメニューともって総合的にやっていくか、そういうことがほぼ方向づけられていると思います。

 あと、カメラについてのイギリスの議論ですけれども、設置そのものがいろいろな問題があるということは、まずイギリスでは議論されておりません。むしろそれよりも、つけた後、その画像をどう管理しているか、ここに議論が集中しています。つまり、映されているという、要するにこれも、イギリスの場合は犯罪機会論ですから、特定の人間を映すというのではなくて場所を映しているだけなんですよね。ところが、その撮ったデータを勝手に使われれば、ここで初めてプライバシーの問題が発生する。ですから、絶対にその目的以外にはその画像は開示しない、あるいはその後見ることさえもできない、その辺の非常に厳しい縛りをかけております。それによってプライバシーを担保している、これがイギリスの現状であります。

山内委員 それでは、参考人の多田区長と、また同じく小宮先生のお二人にお伺いしたいと思います。

 私の地元でやはり防犯対策に取り組んでいるNPOの方々がいらっしゃいまして、皆さんとお話ししていると、NPOと行政、行政の中でも警察、学校、それから地域のもともとある町会であったり消防団、そういったいろいろな組織の連携がなかなかうまくいかない。縦割りであったり、あるいは予算年度の関係、あるいは担当者の、あるいはその部門の責任者の方の前任者と後任者の引き継ぎがうまくいかない。さまざまな問題があって、なかなかうまく連携がとれていない。

 子供の安全という一つの課題をめぐっていろいろな行政機関が動いていて、あるいは民間のNPO、あるいは地域に貢献したいという企業があって、そういったさまざまなアクターを、一緒になって子供の安全を守っていく、連携していくというためにはどのような措置が必要か、どのような工夫が必要か。あるいは、それを推進していくために、もし国のレベルでできることがあれば、国のレベルで何か法整備なり予算なりでこういったことがあればいいんじゃないかなというような御提案がありましたら、お二人からお伺いできればと思います。

多田参考人 これもさっきちょっと申し上げたことでございますが、私どもが犯罪抑止のための安全まちづくりの運動に入りまして、それまで警察と区というのは、道路管理者としての立場でありますとか交通安全でありますとか、そういうことでは十分連携をとっておりましたけれども、事犯罪については何もありませんでした。そういうことを話し合うセクションもありませんでした。しかし、そのことをきっかけに非常に緊密な連携がとれるようになりました。先ほど申し上げたような情報交換を初めとして、さまざまなことが展開をされているわけであります。

 私の持論は、つまり犯罪抑止は地域力そのものに尽きる、こういうふうに考えているわけでありまして、そのことを地域住民と一緒に、どう大きな一つの運動として盛り上げていくかということになると思います。

 それを盛り上げる盛り上げ役として、私ども行政は大いに努力をしなければなりませんが、しかし、それをしていけば必ずそのことに対して大変な成果が得られるということを、この三年間で実感をしているわけであります。そこに大きな地域力というものをお互い認識すれば、それをもっともっと広げていこうという機運につながると思っております。決してできないことではないと思っておりまして、それを今着々と実践しているというふうに御理解をいただきたいと思います。

小宮参考人 私が、委員あるいはこの委員会でぜひ御検討いただきたいのは、イギリスの少年犯罪チームの日本版をぜひつくっていただきたいと、国の政策として。

 これは、イギリスでは、先ほど御紹介しましたブレア政権がつくった法律ですけれども、犯罪及び秩序違反法でもって、各地方自治体には一つ必ず少年犯罪チームをつくりなさいという規定があります。この少年犯罪チームには、警察官、保護観察官、自治体のソーシャルワーカー、教育委員会代表者、それから保健関係者ですね。そういった、要するに子供にまつわる関係機関がすべてそこのチームに入るようなことが義務づけられています。しかも、重要なのは、その方たちがいつも同じ屋根の下で日々仕事をしているんですね。こういうことをすると、子供に関係する被害防止だけではなくて、非行防止まで含めた形での非常に有効な対策が講じられます。

 実は、日本でも、それに似たようなものとしてはサポートチームというのがあります。これは警察庁がつくっているラインと、それから文部科学省がつくっているラインとあるわけですけれども、しかし、これはいずれも、問題少年がいるぞというときになって結成されて、しかも問題がなくなったというと解散してしまうんですね。アドホックなものです。ですから、これではなかなかノウハウも蓄積しませんし、結局、自分の組織に仕事を持ち帰りたくないという傾向が出てしまって、時々集まっては意見交換して、では頑張りましょうぐらいで終わってしまうんですね。

 ところが、イギリスの場合には、同じ屋根の下にいつもいますから、これは人間関係ができてきますから、むしろ積極的に、ではそれはうちでやりましょうよというふうな話に発展していくと思います。

 それから、より重要なのは、結局、チームといっても、関係機関の人数は限界がありますから、やはり地域の人材を活用して、その方たちもうまく巻き込んでいかないとうまくいかない。特に非行少年の場合には受け入れ先、成功する例を見ると、例えばどこかの会社が、ではこの元非行少年を受け入れてきちんと教育しましょうということで受け入れてくれる、そういうところでうまく成功しているんですね。

 ところが、そういう人たちは、なかなか埋もれていますから、それを発掘して、どんどん育成していかなきゃならない。そのためには、日本のような、アドホックに時々集まっているような組織ではなかなかそこまでは手が回りませんから、イギリスのように、同じ屋根の下にいつもいれば、余裕のあるときには地域へ出ていって、そういう人材を見つけて、教育して、養成して、そういう人を巻き込んでいけば、より有効なきめの細かい非行防止対策にもつながってくる。ですから、そういうイギリスの少年犯罪チームをぜひ日本でも実現していただければと思っております。

山内委員 今のイギリスの少年犯罪チームのお話、大変興味深く聞かせていただきました。こういった委員会の場でもこれから議論できればいいなというふうに考えております。

 次に、地域のボランティアの問題について、今度は横矢参考人にお尋ねしたいと思います。

 地域にいろいろな方々、退職した高齢者の皆さん、さまざまな方々、子供たちのために役に立ちたいという思いは非常にあって、善意で、いろいろ校区に立って見回ってくださったりしている方もたくさんいらっしゃるんですけれども、見たところ、余り効果的じゃない活動をしている方がいっぱいいるなと。

 せっかく善意はある、やる気はあるのに、それが余り効率的に回っていないようなボランティア団体、あるいはそういう自発的なグループという人たちがいるんですけれども、そういった人たちに、より効果的に活動していただくためには、どのような対策というか、例えば行政の観点から、例えば学校の側からどういった働きかけをしていけば、本当にそういうボランティアの人たちに、より効果的に動いていただけるというような方法があれば、いろいろ教えていただければと思います。

横矢参考人 各地域の中でさまざまな立場の方々が動いていらっしゃるというのは、いいことでもあるとは思うんですけれども、まとまった場で意見交換ができるところがないといけないなというふうに感じています。

 よくボランティアの方に言われますのは、私は頑張ってやっているのに肝心の親がパトロールに出てこない、それで非常にむっとするというようなことがよく出てくるんですけれども、そういうパトロールになってはほしくないなというふうに、とても思います。

 親の方は、自分も親ですからわかりますけれども、小さい子がいるような時期は非常に外に出にくい。パトロールというのは出にくいものなのでなかなか参加できませんけれども、感謝の気持ちは持っているんですが、顔を知らないとあいさつができない、そのことによって意識のずれが出てきているようなことが多くあります。

 なので、やはり地域で、中学校区とかそのくらいのレベルのところで、保護者の方とか、それからボランティアの活動をされている方、学校、警察などが集まって、どんな活動をされているかお互いに報告し合って、補完できる部分を、では、うちがこれだけやりましょうと、シルバー人材の方にやっていただくとか、そういう割り振りが区町村などのレベルでリーダーシップをとっていただいてできれば、一番いいのではないかなというふうには感じています。

山内委員 それでは今度は、また再び多田参考人にお伺いしたいと思いますが、行政の立場に立って、限りある予算を使って安全対策を考えていくということで、先ほど小宮先生にお伺いした内容とちょっと似てくるんですけれども、限られた予算をどういうふうに割りつけていくと考えるに当たって、国からどのような補助がこれからこういう分野でふえてほしいか、あるいは、こういう分野でもう少し予算的な裏づけがあればもっとこういうことができて、もっと安全を向上できるんじゃないかといったような、国から助けてほしい分野とか、そういったものがあれば教えていただければと思います。

多田参考人 なかなか、これといってお答えのしにくい問題かなと思うのでございますが、特にお金の面でどうかと言われますと、さまざまにあるかと思いますが、それを今、ここら辺だということを絞っていくことはなかなかできにくいことかなと思っております。

 ちょっと参考になるお話をさせていただきますが、つまり、地域のボランティアその他、連携でいろいろ子供を見守るということは当面大切なことであると思いますが、一九九七年に神戸で酒鬼薔薇事件というのが起きまして、大変残忍な事件でございました。かなりセンセーショナルなことでございまして、あの事件について、あの子の生育経歴とか、あるいは性格的なものでありますとか、親の教育とか学校教育とか、いろいろその子にまつわる論議がなされたわけでございますが、当時、兵庫県は、そういうことで再発を防止するということはどうなのかということで、ちょっと違った立場をとりました。それで出しましたのが、中学校の二年生全員に五日間の職場体験をやってもらおう、こういう中で、いろいろな人とかかわり合って、つまり、あのような事件が起きる前提を子供たちの中からなくしていこうという努力をしたわけでございます。

 最近、私どももそのことを始めました。昨年の四月から、中学二年生全員、四千五百人いますけれども、これが五日間、全部職場体験をやる。これには非常に地域企業の協力が必要でございます。これは大変な協力がないとできないわけでございますが、これは、ボランティアとかあるいは見守りとは少し違いまして、現実、生の何か子供たちに対する人格的な影響を与えようとする努力でありまして、兵庫県は大変な成果を上げたということでございますが、私どもも、この一年見てまいりますと、大変いろいろな意味でいい影響が出てきていると思っているわけでございます。

 私は、地域の中で本当に犯罪をなくしていく、また痛ましい事故をなくしていくということ、子供の時代からどのようにしてそれを防止していくかということは、大変な国家的課題であると思います。そういうふうな地域力というものをいろいろな局面で出していく。私が先ほど申し上げましたすくすくスクールも、これは小学生版でありますが、いろいろな形の対応がとれるのではないか、ただただ犯罪抑止のために当面のことをするということ以前に、もっと前提となる大きな仕事を自治体はやらなければいけないのではないかというふうに私は思っているわけでございます。

 これにはかなりお金がかかります。そういう仕組みと、やはりそれを可能にする地域の力、これを組み合わせるために必要なお金、これはもちろん自治体も出しますが、こういうことについて国もいろいろお考えをいただければいいのではないか、そんなことを答えとさせていただきます。

山内委員 では次に、森田参考人にお尋ねいたします。

 先ほどちょっと時間が短くて、もう少しお話しになりたいことがあったのかなという気もいたしますが、これまで常識的に、一般的にとらえられてきた子供の犯罪に対する考え方とちょっと異なる視点が多かったのかなと思いまして、大変勉強になりました。もう少しCAPのプログラムについて具体的にお教えいただきたいのと、先ほど、叫び声ですか、大声の話がありましたが、よろしければ一度実演していただければと思います。

森田参考人 CAPのプログラムについては、皆さんのお手元に「サクセスストーリー」という資料がありまして、その一番最初を見ていただきますと、トップですけれども、これは、朝日新聞の全国版に、あれら一連の事件が起きて間もなく、十二月十四日に出た投稿です。この高校生の子供は、小学校三年生のときといいますから、もう何年も、六、七年前にCAPのプログラムを受けていた。それ以来は受けていなかったんだけれども、そのときに習った幾つかの事柄を、高校生になって襲われて、そのときにぱっと思い出してやったことによって逃げることができた、そういうことをお母さんが投稿されています。

 そのほかにも、中をあけていただきますと、たくさんの、ここに出ているのは幾つか選んだものだけですけれども、十年間このCAPのプログラムを全国各地、二十何万人の方たちに提供する中で、CAPセンター・JAPANは次々と、こんなことをこんなふうに使いました、こういうふうに使ったために逃げることができました、そういうのを私たちはサクセスストーリーと呼んでいますが、そういう報告をたくさん受けています。その中の幾つかを次のページにも載せてありますので、ぜひ見てください。

 子供たちは、教わったいろいろなことを使っていきます。その中でも一番目立つのは、特別な叫び声だと思います。それをぜひ皆さんと一緒に練習したいと思いますけれども、ちょっと待ってくださいね、その前に一つだけ。

 ここのところ、ずっとやはり防犯の過熱状況が続いています。やはり、CAPをやっている実践者、その方たちのスーパーバイズもしているわけですけれども、いろいろな状況を聞きますと、余りにも過熱状況になっていくと子供たちは恐くなるばかりです。不審者情報が次々と出てくる。私の子供の学校でも、毎日不審者情報が渡されてきます。でも、その不審者というのは、ほとんど露出狂です。子供にちょっと声をかけた、そして露出をしている。実は、私たちが子供のころからしょっちゅういた人たちです。男性は知りませんけれども、女性だったらいっぱい露出狂に遭っているはずです。

 ですから、そんなに状況が物すごい恐い状態になったんだというふうには私は見ていません。でも、みんなの反応だけはすごいわけです、不審者が次々と出ていると。それがもたらす問題性。例えば奈良の方では、余りにも過剰になったために、子供にちょっと安全のために声をかけた一人の方が警察に冤罪で捕まっています。今まだ解決していません。大変な問題なんですけれども、今まだちょっと微妙なところなので、こういうところでお話しできないんですけれども、過熱状況がもたらした。携帯ですぐに警察に連絡してしまった、そういうことです。

 子供たちの内に力を、内に安心をというのがこのCAPプログラムの方法です。外に安心を求めるよりも、もちろん外、一番大切なのは、子供にとって安全に最も重要なのは、実は話を聞いてくれる大人です。それが最も重要な武器です。でも、それと同時に何かできることもあるよ。例えば道端だったら、二つの手を伸ばしただけの距離をとっておこうね、だれかから声をかけられたらこれだけの距離をとっておこうねと、こう見せます。子供たちも出てきてもらって、やってもらいます。でも、距離をとっても、さらにやってきたら、怖くなったらどうするの。そうしたら特別な叫び声をしようと。これは単なる大声じゃないんです。特別な叫び声だよ。道具なんですよ。ブザーと同じです。道具なんです。

 こんなふうに教えます。二つの意味があるんだよ。この特別な叫び声には二つの意味がある。一つは、私は強いんだから変なことしないでよという意味なんです。それを相手に言っているんです。もう一つは、だれか気がついて。この二つの意味です。この二つの意味を込めて言うんですと。

 では、皆さん、ぜひ立ってください。はい、立ってください。そうしたら、まず手を上に上げます。しっかりと握りこぶし。この握りこぶしの中に、今まで四十五分間ずうっと子供たちと考えてきた、みんな一人一人とても大切な人。安心して、自分に自信を持って、そして自分で選んでいく自由の権利をこの中にしっかり握り締めているんだよ。手放しちゃだめだよ。安心、自信、自由な権利、しっかり握ってね。これをここに、おなかのこのあたり、みぞおちの少し下のあたりに置いてください。この特別な声はここから出るんです、ここから。のどからじゃないの。のどから出すと(発声あり)という声になっちゃうでしょう。お腹から出ます。そして、さっき言ったこと、二つの意味、私は強いから変なことしないで、だれか気がついて、そういう思いで声を出しましょう。

 まず私がやってみますね。こんな声です。(発声あり)と言って、すぐに走ります、逃げるように。走ったらどうするの。逃げるんだよ。走りながら言ってもいいよ。(動作、発声あり)そんな声です。では、一、二、三でやりますので、一、二、三と言ったら、隣の部屋で一体何事をしているんだろうと、来られましたよ、警察の方が。そのぐらい大きな声でやってください。一、二、三。(発声あり)

 どうもありがとうございました。

山内委員 どうもありがとうございました。

 声の大きい先生方がおそろいなので必要なかったかもしれませんが、以上で私の質問は終わります。参考人の皆様、本当にありがとうございました。

近藤委員長 次に、小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。

 参考人の皆様には、本当に、子供たちを守るための示唆に富んだお話をいただきまして、ありがとうございました。この委員会は、御承知のように、国会の中で子供のことだけを審議するのはここだけでございますので、ぜひ子供の安全のことをしっかり取り組んでいきたいと思いまして、閉会中にも政府からのいろいろな聞き取りをしたんですけれども、ぜひ皆様方から、私たちに何ができるのかを教えていただきたいということで、きょうの設定になりまして、本当にありがとうございます。

 今、もう大分いろいろな論点を話し合ったと思うんですけれども、一つは、やはり皆様がおっしゃったようなプログラム、取り組みをするために指導者が足りない。それで、先ほどのお話でも、三年かけていろいろつくってやったというふうなお話があるので、今すぐにやはりそういうことをやっていかなきゃいけないと思うんですが、その指導者をつくるということはどのようにしたらいいのかを、まず小宮参考人と横矢参考人に伺いたいと思います。

小宮参考人 地域安全マップづくりに限ってお話ししますと、今一番指導者養成が進んでいますのは、沖縄県、広島県、東京都です。

 最初は沖縄県でやったんですけれども、沖縄県は緊急雇用対策のプログラム、あのお金を使いまして、つまり、教員免許は持っているけれども教職についていないフリーター、こういう人を集めて、その方たちにマップづくりのノウハウを教えました。それで、その方たちが、ノウハウを学んだ後に沖縄県下のほとんどすべての小学校に行って、正しいつくり方で地域安全マップがもう既にできております。

 ただ、残念ながら、このプログラムは一年限りですので、その指導員も当然、優秀な学生とか若い人たちなので、どんどん教職についていますので、そうするとなかなかうまく今は回っていないというような現状であります。

 東京都は、昨年から地域安全マップ専科という、この地域安全マップづくりの指導者を養成する講座を立ち上げました。ここには、各自治体の、区市町村の防犯担当の職員、それから教育委員会や学校の先生方、それから警視庁OBの方、あるいは地域のボランティアの方、そういう人を集めて、やはり地域安全マップづくりのノウハウを教えている。もちろん、町へ出して実際に自分で地図をつくってもらうんですけれども、そういう講座を立ち上げまして、もう既に何百人という指導者が養成されています。

 東京都は、その中で、実際にほかのところに行って指導してもいいよという人を登録させておりまして、例えば都内のある小学校から、地域安全マップをつくりたい、指導者がいないという場合であれば、東京都に依頼すれば、東京都からその登録している指導員を派遣して、東京都の費用で指導員を派遣して、そこでマップづくりを指導する、こういうことができるようになっております。

 それから、広島県はちょっとまた違うやり方なんですけれども、こちらもやはり指導者養成が必要だということで、地元の大学生を養成して、四つ、五つの大学から、こういうことをやってみてもいいという大学生ボランティアを集めて、その方たちにやはり地域安全マップのつくり方、ノウハウをきちんと指導して、今はその方たちが各広島県下の小学校やあるいは町内会、自治会に行って、そこでマップづくりを指導しております。

横矢参考人 今小宮先生がお話ししてくださったとおりなんですけれども、そこでまた問題になるのが、指導員一人で行って、例えば百人とかの単位のマップづくりなり防犯訓練などを指導するというのがなかなか難しく、マップづくりの場合は、特にサポーターという形で何人か、一つのチームにちょっと二人とかついて教えるようなことがありますので、そういったレベルの人たちも養成していかなければいけない。そういうところで、子育てを少し終えた主婦の人たち、それで前に資格を持っている方とか、そういう方がいらっしゃると思いますので、そういう方たちにお話を広げていきたい、指導者として立っていただきたいなということを考えておりますけれども、それを実現することが今できないで困っているというようなところです。

 ぜひ、そういうシステムをつくっていただけたらと思います。

小宮山(洋)委員 森田参考人にいっぱい伺いたいことがあるんですけれども、一つは、大人の聞く姿勢ということを再三おっしゃいましたけれども、大人にその聞く姿勢を持たせるためのまた指導をしなければいけないんじゃないかと思うんですが、プログラムの中ではそういうこともやっていらっしゃれば御紹介いただければと思います。

森田参考人 私は、今実際に私自身がCAPをしていないで、そのCAPをする指導者の方たちを養成することにもかかわっています。ただ、聞く大人というのはあらゆるところに必要だと思いますので、CAPにかかわらず、保護司さんや補導員の方たちや民生委員や学校の教師や、そういうところでの研修で、必ず傾聴、皆さんが何か言いたいことがあっても、まずちょっとジッパーを閉じて聞くということから始めましょうという、ちょっとロールプレーをしながら研修をしたりしています。

 私は、ぜひとも、全国のパトロールをされて頑張っておられる年配の方たち、その思い、とてもすばらしいと思います。ただ、民生委員の方たちの研修に行くと、ついこの間聞いたことは、子供たちがパトロールのおじさんが怖いと言うんですよと。それは女性の民生委員の方が言われたんですね。それで、ではどうしたんですかと言ったら、いや、ちょっと悪くて言えませんでしたと。だから、恐らく雰囲気が怖いのかもしれませんね。あるいは、何か殺伐とした感じで、みんな黄色いシャツを着て、何か犯罪が起きたのかしら、それが怖いのかもしれない。でも、聞く姿勢を持っていると、怖いというふうには感じないです。何を聞くということじゃなくて、聞きましょう、子供の話を聞きましょうということです。

 私は、見守りか監視か、見守りが監視になってしまうのか、あるいはそうはならないのかというのは、子供に聞く姿勢を持っているかどうかということになると思います。

 CAPのプログラムは、子供のワークショップ、子供たちに直接届ける前に必ず親と教師にワークショップをする、それがないとやりません。なぜかといったら、プログラムの中で、教える方法の最も重要な、そして最終的な方法はテルなんです。だれか信頼できる人にこのことを言おうね、多くの子供は言わないんですよ。だから、いいよ、言おうね、言ったら、いや、聞いてくれないよ、怒られちゃうよ。では別の人に言おうよと。聞いてくれる人はきっといるから、それだけはやって。特別な叫び声ができなくてもいいよ、怖かったら。でも、言うのだけはやってというふうに伝え続けます。だとしたら、聞いてくれる大人をつくっておかなければしようがないです。

 だから、このプログラムは、必ず大人たちに向かって、このプログラムの本質は何なのか、どんなことを子供たちに教えているか、どういう概念、安心、自信、自由って何なんだろう、それを子供たちと復習してください、そして聞いてください。聞くためのノウハウ、とても簡単なノウハウがあります。それを、ロールプレーをしたりして、親たち、教師たちに教えます。

 もしかしたら、このサクセスストーリー集の中に入っているかもしれませんけれども、親たちからの、ああ、ああやって聞けばいいんだというのを知っておいてよかった。子供がマンションのエレベーターの中で知らない人にパンツを脱がされそうになった。走ってうちに帰ってきた。うちに帰ってきた子供に、CAPで習ったからそのときその子供に、何でエレベーターに乗ったの、一人で乗っちゃだめでしょうと言わないで済んだ。CAPで、そういうふうに言わないでください、こういうふうに言ってください、よく話してくれたねと。子供が言ってきたら、何で五時までに帰ってこないのよ、何でエレベーターに乗っちゃったの、何でその道を通ったのよじゃなくて、よくそんなことを話してくれたね、そこから出発してください。そういう聞き方です。

小宮山(洋)委員 ありがとうございます。

 ずっといろいろ性犯罪のことなんかをやってこられて、児童虐待防止のときにもたくさんお知恵をおかりした、そういう経験からそういうお話が伺えるんだと思うんです。

 もう一つ、やはり小学生の子供が殺害される事件などは性犯罪者によることが多いわけですけれども、先ほど再犯防止にはペシミスティックと言われたので、今いろいろ私たちも検討しているんですけれども、ペシミスティックであると言われても、何か方法が、今の刑務所の中というのは、労働で、ほとんど教育をしていないというような実情もございますね。そこで何かできることがあるのかということと、先ほどやはりティーンエージャーへのプログラムが重要だとおっしゃいましたけれども、今一方で、変な形で性教育をしてはいけないというような逆のバックラッシュが起こってしまっていて、そこでやはり子供たち自身に自分たちの性への関心とかをお互いに話し合わせる、ピア、仲間同士で話し合わせるような性教育を実践されているところもあったりして、そういうことがきちんと充実していくことも必要かと思うんですが、その二点、伺えればと思います。

森田参考人 大人の既に捕まっている性犯罪者に対して、刑務所の中でどんな取り組みができるだろうか。私の場合はアメリカしか十分な細かいことは知りませんけれども、いろいろなプログラムはされています。その効果がどのくらいあるのかというと、やはりちょっとペシミスティックなんですけれども、何もしないよりはいいということだったら、既にあるノウハウを大いに取り入れてやっていっていただきたいなと思います。

 性犯罪者、先ほど言いましたように、プロファイリングの中でいろいろなタイプがあります。そのタイプに合わせてしていかなければなりません。例えば、小林のような奈良の事件や広島のこの間の事件を起こしたような、あの方たちは性癖型のペドファイルですから、単なるロリコンがあんなふうに何かあってなったということではないです。非常に深い、例えば行動障害みたいなものを抱えている人がああいうことをしていくので、そこの治療からしていかなければならないと思います。逆に、状況型といって、ポルノの影響を受けてそういうことをしたというタイプの人たちに対しては、もっと教育的なプログラムというのができると思います。

 そういったことを刑務所の方でしっかり研究して、既にある程度のノウハウは、国外には国際学会などでいっぱい結果も報告されていますから、使っていっていただきたいと思います。

 今、日本で、自立支援施設で、性犯罪で自立支援施設に入っている子供たちに治療的な取り組みをしようということは、本当に実験的で始まったばかりですけれども、関西の方でやっています。それと同時に、私はそれも、その治療的な、既にそういうことをしてしまった子供たち、必要だと思います。それもぜひ精神医療の分野の方たちが力を注いでやっていっていただきたいです。でも、それ以上に、さっき言いましたように、そこまでには至っていない子供たち、その子たちにも広く、学校教育の場やそういった場を使って教えていっていただきたい、話し合っていただきたい。そういう意味で、性教育というのはとてもいい場だと思います。

 CAPのプログラムも、中学生、高校生に向かって、そういうロールプレーを使いながら、いわゆるデートレイプですね、友人同士の、恋人同士の間で、一方がセックスは嫌と思っているのに、一方がそれを強制する、この場面、どうしたらいいの、どういうことが起きているの、どうすることが二人の健康な関係になるの、そういうことを話し合っていきます。それは、CAPのプログラムは中学生、高校生、中学生も三年生以上ですけれども、それ以外に、性教育でしたら、あらゆるクラス、あらゆる学校で性教育はやっています。ですから、その性教育の時間を使って、そういった性に対する思春期の子供たちの関心に健康な形で答えるということは、もう本当に重要ですよ。

 皆さん、チャイルドラインって御存じでしょう。チャイルドラインで物すごい高い率で日本で電話をかけてくるのは、ティーンエージャーの子供たちの男の子の性に関する質問です。何か胸が大きくなってきたんだけれども、これはどうなっちゃうのとか、僕は女の子なのかなとか、そういうことに始まって、性器だとか夢精だとか、あるいは、ポルノ見たい、それはいけないことなのとか、そういったことに対してもっと健康な形でオープンに答え、話し合いをしていくということは、その子たちにとってとても重要です。

 そういうことをしていくことによって、子供たち、自分の中にあるいろいろな性的な感情を抑圧して、それがほかの子供に、小さな子供に性被害をしていく。長崎の少年、十二歳の少年が、近くの子供たち、五歳、六歳の子供たちにずっと性被害をしていました。そして、その最後に駐車場から突き落として殺してしまった。あれは意図的に殺したわけではないですけれども、あの子は、あの事件がなければずっとあの周辺の子供たちにやり続けていって、恐らく大人になったら性犯罪者になっていくと思います。でも、あの子、もし学校でそのときの気持ちとか話せたら、そういうアクセスがあったら、私は大きく変わっていると思うんですね。

 なぜなら、多分もう時間がないと思うんですけれども、全く同じようなケースが、長崎の事件が起きてすぐ後に、CAPのプログラムに子供が相談に来ました。児童養護施設で小さな子供たちに性的な被害をしている十二歳の、全く同じ年齢の子供です。その子が、僕、悪いことしているんだと言いに来たんですね。そのときに、えっ、何、どういうこと、悪いことと、CAPの人たちは訓練を受けているので、そういうことは言わないんです。そういうふうに聞きません。実はCAPの人たちは、その子がどういう背景を持っているかは、学校の先生から聞いていましたから知っていました。なぜなら、学校の先生はその子のためにCAPを呼んだんです、どうしていいかわからないから。

 児童養護施設で、ほかの子供に性被害をどんどんどんどんやってしまう。それは児童養護施設で頻繁に起きていますけれどもね、あちこちの。それで呼んで、そして案の定やってきたわけですね、子供は。それで、えっ、そうなんだ、悪いことしていると思っているんだというのが聞き方です。最初の言葉はそれです。そうなんだ、悪いことしていると思っているんだ。うん、悪いことしているんだ。それを三回繰り返しました。そうなんだ、本当に悪いことしていると思っているんだ。三回聞いた上で初めて、じゃあさ、そのことを私に話したいの。いや、話したくない。ああ、じゃ、だれか話したい人がいるの。いや、だれもいない。ふうん、でも、学校に話せるような先生がいるの。ううん、どうかな。そういう会話で終わりました。

 しかし、その後、その子は学校の先生にそのことを話しに行ったんです。何で自分がそういうことをしちゃうのか、本当は嫌なんだけれども、やめたいんだと。そういうことがあった後、その子の行動がとまりました。これが聞くということの大変なパワーですよ。本当にパワーを持っています。

 そういった形で、その子はその後、いろいろな自分の中の性的な欲求を行動でほかの子供に出していってしまうことは、ある程度減少していったということは私たちは知っていますので、ほかのそういった子供たちにもっともっと多くの大人たちが対応してくれたら、随分状況は変わっていくんじゃないかなと思っています。

小宮山(洋)委員 多田参考人に伺いたいんですが、先ほど、どんな支援が必要かすぐには言えないと言われましたけれども、先ほどちょっとおっしゃりかけた、地域の力を引き出すための仕組みをつくったりすることにはお金もかかるんだ、そのあたりをもう少し教えていただきたいというふうに思います。今、何かを支援ができないかということで私たちはいろいろ審議をしているものですから。

多田参考人 私も、そういうことについて余り深く考えたことがありませんので、これだと言うことはなかなか難しいお話になります。

 今、子供の健全育成あるいは犯罪防止のために、子供ではないところに、ある体制づくりをしていこう、こういう動きがあるかと思います。しかし、私ども、肝心なところは、子供に対して、健全育成なんですが、どういう影響力を地域として、あるいは社会として与えていけるのかというところを、もうちょっと重点的に考えていくべきではないかというふうに思っています。

 例えば、子供に使うお金は、手当もありますし、保育所もありますし、いろいろございます。しかしながら、それらは、どちらかといえば親に対しての経済支援ということになっているわけであります。私たちは、もっと子供に直接影響のあるところにお金を使えないかということを考えております。

 ですから、例えばすくすくスクールをやるとします。今、すくすくスクールは全体で十九億円かかっております。二万七千人の子供たちが来ておりますが、この中に学童クラブが入っております。十九億円のうちの約十五億円は、従来からかけておりました学童クラブ経費でございます、合体いたしましたので。そうしますと、すくすくスクールだけでは、子供の数はうんと多いんですが、大体四億円で済んでいる、こういうことでございます。

 学童クラブには正規の指導員がいました。これは公務員です。この部分は、これから非常勤化をしていくという方針をとっております。一日いていただく必要はないということになります。したがって、これをそれに順次切りかえていきます。そうしますと、約五億円で済むことになります。学童クラブとすくすくを合わせまして、恐らく十億円ぐらいでできることになるかなというふうに思っています。

 これに対して、例えばすくすくスクールは、文部科学省が安全な居場所づくりということで予算化をいたしました。それで、その予算化されたものを、私ども、そのお金はいただこうということでいただいておりますが、三千万円でございます。その三千万円は、直接、児童に対する経費というよりは、つまり、運営委員会をつくってください、その運営委員会に対する助成としてそれを提供します、こういうことでございますので、子供にかかわる直接経費、さまざまな経費が必要になります。ボランティアでも、有償のボランティアをお願いしなければならない場合もございます。それから、いろいろな調度品、小道具、スポーツ用具、さまざまに要ります。こういったことにお金も使わなければなりません。

 そういうことになりますと、これは全部自治体の負担でやれればやっていいんですけれども、全国的に考えれば、それはなかなかの負担だというところも多々出てくるのではないかと思いますので、そういう子供に対する直接経費というもの、こういったものをもう少しお考えいただけたらいいのかな、そういうふうに思っております。

小宮山(洋)委員 ありがとうございます。

 最後に一言だけ。今の学童のことはこの委員会でやってきたんですけれども、一緒になることによって、学童の子供たちはずっとやはりそこで暮らしを見なきゃいけない、そこが非常勤化されたりすることによって質がどうなるかということを保護者の方がまた非常に心配されていますので、そうしたことも全体考えながら、子供に対してどういうことをしていけるのかを、またこの委員会でも考えていければと思っております。

 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆様方、大変貴重な御意見を伺わせていただきまして、ありがとうございます。また、日ごろ、子供たちの安全のために御尽力いただいておりますことに、本当に感謝を申し上げます。

 私も、きのうの朝、街頭に立ちましたときに、子供たちがランドセルを背負って学校へ向かう途中、地域のお年寄りの方々が、黄色い腕章、防犯パトロール隊という腕章をつけて回っておられました。地域の方々の子供たちに対する温かい目というのを改めて感じたところですけれども、先ほど多田参考人は、行政が主体的になって大変成果を上げられたというお話をされていました。この安全パトロール隊というもの、地域の皆さんたち、押しなべて皆さんが参加できるような、そういうふうなシステムですといいんですけれども、なかなかそうはまいりません。ある方々に集中してしまって、継続が難しいという点もあろうかと思うんですけれども、これに対してはどのような対策をとっておられるのか、お話しいただければうれしく思います。

多田参考人 こういう運動を永続していくということの中では、今できる人がそれをやっていく、そして、そのことによって恩恵を受ける人がいます。働いているお父さんやお母さんはそういうことになかなか参画できない、しかしながらお世話にはなっている、それを自分がまたできる世代になったときにはお返ししていくということ、そういうことをやはり地域の中に、その地域の考え方として定着していくことかと思います。

 やはり、それを動機づけるために、行政もいろいろな意味で、そのキャンペーンを張らなければなりません。私も、ある地域に出かけるときは、その腕章を必ずはめます。私自身がはめて、この地域に来て私がはめていないというわけにはいきませんということを皆さんに申し上げるわけでありますが、いろいろな形でそれはやっていけることになるんだろうと思います。それがもし低調になれば、それを巻き返していく努力を、これは行政を中心にしてとことんやっていく、そういう努力の積み重ねをしていかなければならない。その地域にそういう土壌を養っていく、こういうことに努力する、こういうことかと思っております。

郡委員 ありがとうございます。

 次に、小宮参考人に質問させていただきます。

 地域安全マップづくり、これは私の地元でも大変学校で取り組んでいて、進んでいるんですけれども、中心市街地と地方においてこのマップづくりに手法の違いがあるのかどうか、その点、お教えいただきたいと思うんです。

小宮参考人 手法は同じです。ただ、地域によって事情が違うので、結果としてでき上がってくる地図は違ってきますけれども、やはり入りやすい、見えにくいという、そのキーワードは同じですので、先ほどお話ししたように、昨日は、高知県の夜須町という、本当に地方も地方、典型的なところですけれども、そこでも十分にそれはつくれますので。子供の力をつけようということが一番重要ですからね。具体的なポイントを探すというよりも、どういう特徴のある場所が危ないのか、これをわからせることが目的ですから、どこでも通用すると思います。

郡委員 子供たちの、自分たちの力をはぐくむためのツールであるというお話でした。

 これは、森田参考人のお話にもあるCAPプログラムにも通じるものがあろうかと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

小宮参考人 先ほど申しましたように、まずは一番、犯罪が起こりやすい場所には行かないというのが最善の方策ですね。行くのであれば、一人では行かない。ほとんどの子供をねらった犯罪は子供が一人になったときにねらわれていますから、一人にならない。そういう危険な場所には一人では行かない。でも、どうしても、一人でそういう危険な場所を歩かなきゃならない。行かなきゃならない。ここでやはり、そういった自分で自分の身を守る、要するに直前に犯罪者があらわれたらどうしましょうかというところで、あのCAPのプログラムは有効だと思います。

 例えば、この前、高崎で、自分の家に連れ込んで殺害した犯罪者が、少し社会貢献しろというふうに弁護士から諭されて、どうすれば被害に遭わないかというのを書いたものがあるんです。そこでいろいろな指摘があるんですけれども、やはり我々は場所を選んでいるということを言っております。それから、一人になっているときに必ず襲うんだと。でも、一人になった子供がたくさんいても、一人の子供にめぐり会ったとしても、非常にすきのない子であれば、やはり襲わないと言っているんですね。ですから、そういうのは複合的なプログラムで、やはりCAPも十分に有効な方法だというふうに思います。

郡委員 ありがとうございます。

 関連して、横矢参考人にお話を伺いたいんですけれども、「犯罪から子どもを守るための対策」というのを政府は昨年末に策定いたしました。そして、ことしの三月末までに安全マップをすべての学校でつくるように、そういうふうにして活用するようにということなんですけれども、これに対してはどのような評価をなさっているか、お聞かせいただきたいと思います。

横矢参考人 とてもよいことだと思っております。私たちもお手伝いできる部分があればというふうに感じております。

 ただ、つくったところで終わりになりがち、できましたということで、成果がそこでとまってしまうことを懸念されている場所もあります。その後をフォローしていく、マップをつくった後で再度、途中で危険なポイントを身につけていくことを怠らないようにするというようなことも重要なのではないかと思っております。

郡委員 そうですよね。最後はやはり、子供たちが自分自身でどう自分を守っていくかということが大変重要になってくるんだろうと思われます。

 そこで、大変興味深い取り組みをもう既に日本においては十年もやっていらっしゃる、私の地元の宮城でもCAPみやぎの皆さんたちが大変頑張っておられます、森田参考人にお話を伺いたいんです。

 実際にCAPプログラムを実行される方々の養成の実施状況なんですけれども、これをちょっと詳しくお教えいただけませんでしょうか。どのぐらいの割合でふえてきているのか、その点、ちょっとお教えいただきたいと思います。

森田参考人 CAPを実施する人たちは、CAPスペシャリストと私たちは呼びまして、兵庫県西宮にあるCAPセンター・JAPANがその研修の権限を持っています。そこが、年間さまざまな研修を提供しています。

 一番最初に、その資格を取るためには、全部でたしか、ちょっと正確ではないかもしれませんが、四十五時間ぐらいの研修を受けなければなりません。その研修で、一応基礎的なことは全部学んでいただきます。その上でさらに、それぞれのグループに参加していただきます。これは、CAPというのは一人ではできないんです。グループをつくって、地域としっかりとつながって、そして、最低三人じゃないとクラスルームに入っていくことができません。ですから、しっかりと練習をして、そして地域とのコミュニケーションをつくり、そして一番の難関が、子供たち全員を体育館に集めてやってください、学校にしたらそれは簡単なんですね。でも、そういうふうにはできないんです。各クラスごとに入っていきます。

 就学前、四歳からのプログラムは三日間かかります。二十分ずつ、三日間です。小学生のプログラムは四十五分で、一回で終わります。中学生のプログラムは九十分、二時限分が二日間。とても時間がかかります。そこで、なかなか時間を提供してもらえないということがありますけれども、それだけ子供たちに、目の前で、いろいろな子供たちが出してくる質問にもきっちりと答えていく、そういう形でしていくために研修を徹底させるということをやっています。CAPセンター・JAPANという全体の組織から提供する地域でのさまざまな研修もありますし、それぞれのグループが自主的にも研修をしています。

 人数がどのくらい数としてふえていっているかということに関しては、資料の方にはちょっと、スペシャリストの人数は書いていないかもしれません。今、このスペシャリストの権限を持って活動している人たちは、千七百人以上だったと思います。

 それから、資料を見ていただきますと、二ページ目、三ページ目ぐらいに、全国各地で二〇〇四年度委託事業としてどんな形でやっているのか、委託してくるところですね。多くが教育委員会です。学校でやるという限定がありますので、多くが教育委員会。あるいは、福祉、行政、そういったところからの依頼でやっています。

郡委員 ありがとうございます。いただいた資料を拝見いたしますと、全国各地で、さまざまなところでCAPプログラムが実施されているのだということがわかりました。

 学校に入っていって、小さなグループでやっていかなくちゃいけないんだ、そしてまた、それに対しては、一人ではなくて、複数の人数で対応されるんだというふうなお話がございました。

 これを見ますと、教師に対してのプログラムもあるようで、教職員を対象にした実施というのも何件かこちらに御報告があるようなんですが、これは、教員養成課程でこのプログラムを取り入れていくといったようなことはお考えになっていらっしゃるのか、また、そのようなことを働きかけるおつもりはあるのかどうか、その点はいかがでしょうか。

森田参考人 教員養成課程で講演会として、CAPプログラムというのはどんな考え方を持ってというような、そういう研修ですか、そういうのは今までしたことがあります。しかし、これを先生たちに教えて、先生たちがやっていくというのは、CAPのプログラムのやり方ではないんですね。

 この考え方は、子供たちを守るのは、学校の教職員、地域の親たち、そして、地域にいて、教師でもない、でも地域にいる子供のことをとても気にしている暴力防止のスペシャリスト、その人たち、この三角形で子供は守っていこう、そういう考え方なんですね。だから、学校の先生がCAPのスペシャリストにたくさんいますけれども、その方たちは自分の学校ではできないんです。

 なぜかというと、先ほどちょっと、僕、悪いことしているんだと言った子供がいますでしょう。あの子が、もし学校の先生が聞く相手だったら、最初には言わないです。学校という中では、いい先生たちもすばらしい先生たちも、どうしても子供との間に利害関係がある。時には力関係もある。そういう力関係の中で、子供たちが言えないという関係性もあるかもしれない。だから、外から入っていって、そして先生たちにそれを、もっともっと話すことが必要な子はつないでいく。

 まずは外の、子供にとって何の利害関係もない、でも地域にいて子供のことをこんなに考えている人たちがやってきた、その人たちと一緒にワークショップを受け、その人たちに、そのワークショップの中ですごくいろいろなことを感じたりして、話したいこと、あるいは打ち明けたいこと、親からの虐待を打ち明けてくる子供たちもいます。そういうことをしていくということで、学校の外にスペシャリストをつくる。学校の先生もスペシャリストですけれども、自分の学校には行かない。ほかの学校に行く。そういう形をとっているので、教員養成の中で教員たちがそこで学んで、そして学校に配置されたらそれぞれやっていく、そういう方法はとっていないですね。

 教員養成の中で、この考え方、どうやって先生たちはフォローしていってもらえるのか、それはしっかりと伝えていきたいなと思っています。

郡委員 わかりました。なるほど、それぞれの上下関係なり力関係というものも子供たちに大きく影響するのだろうしということもわかりました。

 先ほど何度か質問も、ほかの委員からもさせていただいているかと思うんですけれども、森田参考人が先ほど、十代に対する集中的、効果的な対応こそがこの問題の解決に大きな力になるというようなことをおっしゃられました。

 加害者に対する法務省の性犯罪者処遇プログラム、これが策定されて、来年度から実施されることになっていますが、それについてもコメントをされておりましたけれども、この両方の面に、国としてなかなか予算もつきにくく、また法整備もなかなか追いつかないというようなこともあるんですけれども、これを効果的に予算をつけていくというような点、具体的に、こういうところにしっかりと力を入れてもらえればということがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

森田参考人 国レベルの対応ですか。(郡委員「はい」と呼ぶ)その法務省の対応の仕方というのは、私は具体的には細かく知らないんですね。

 ただ、例えばCAPのプログラム、法務省の研究所の方たちから、少年院でぜひやりたい、だから少年院でできるような形でちょっとつくり直してもらえないだろうかという依頼なども受けています。そういうときに一番問題になるのが、やはり予算なんですね。一つのカリキュラムを作成する、そのためには、すごくたくさんの時間とたくさんの専門家の人たちの意見と、それをどんどん進めていく委員たち、そういう予算がなかなかNPOの団体ではありません。カリキュラムを開発していく、そういう予算、出たらいいなと思っています。

 ティーンエージャーの性被害、性加害者になってしまうティーンエージャーに対しての予防的なプログラムで最も効果があるのは、グループです。グループで、五人、十人、せいぜい十人です。十人以内の、今までそういう事件を起こした、下着泥棒をしたとか小さな子供に性的な加害をしたとか、そういう子供たち、五人、十人ぐらいを定期的に集めて、そして、例えば半年、一年間、毎週会っていく、そういうプログラム、とても効果的です。

 ただ、大変難しいのは、これは一つの、例えば少年院の中、児童養護施設の中、それから自立支援施設の中、生活の場でやっていくのは難しいんですね。みんな日常生活の中で、そのグループの中でしたことが漏れていってしまう。グループの中で、安心な関係の中で本音を出し合っていくということが彼らの解決になっていくわけです。でも、その本音が、日常生活をしている場の子供たち同士でやっていきますと、おまえ、ああいうことを、おまえ、こうなんだろうみたいな形で、日常生活に差しさわりが起きてきます。

 ですから、先ほどちょっと言った、大阪で今、自立支援施設でやって、本当に試みです、三人の子供にやっているだけですから。それも全部守秘でやっています。ひそかにやっています、だれにも知られないという形で。でも、そうじゃなくて、どこか外で、大きなところから子供たちが集まってきて、またいろいろなところに広がっていく、そういう無名性を保証できるところでやっていかなければならない、そういう実施の困難性などもあるんですね。

 でも、国がすごく重要な課題として、性犯罪を本当に本質的なところから取り組もうとしたら、私は、ティーンエージャーの子供たちの教育プログラムということだと思いますので、そこにしっかりと予算をつけ、委員会をつけ、研究者を集め、やっていただけたら、とてもすばらしいなと思っています。

郡委員 ありがとうございます。

 私どもの地元のCAPみやぎの方々にお話を伺いましたところ、最近の事件の報道で子供たちがとても敏感に反応している部分があって、不審者という言葉を幼稚園や保育園の子供たちでも知っている。何だかわからないけれども、すごく恐ろしいものだというとらえ方で、この不審者という言葉を知っている。反面、大人がいろいろなことに手を出し過ぎまして、子供たちを守っているのではなくて、かえって無防備になっているのではないか、そういうような御指摘もあった。大人がいなかったらば、自分たち子供たちは一体何をしていいのかわからない、そういうような面も見られるというようなことを伝えてくださいました。

 CAPのプログラム、大変注目を浴びていますけれども、まだまだ外側の安全対策、ハードの面の安全対策に目が行きがちですけれども、子供の自分自身の中にある力を引き出していく、子供自身の心を育てていくということにもっと大きな関心を持って、そして、こういったことにも予算化をしていくべきだろうというふうに私は思うんです。

 これまでも行政の支援を受けて、保育園、幼稚園、学校などでプログラムを実施されてこられていますけれども、もう一回最後に、今後のこのプログラムを展開するに当たっての行政に対する御要望、あるいは国に対する御要望があれば、お聞かせください。

森田参考人 まず、子供たちの安全対策、皆さんがこの委員会でされていること、子供の安全を守るというのは通学路だけではないですね。通学路の危険、今私たちはそれにすごく目を奪われていますけれども、子供たちが安全を脅かされるのは決して通学路だけではないということを常に思い出していただきたいと思います。

 実際に、もし皆さんのお子さんが、お孫さんが通学路で殺傷されるということに遭うとしたら、最も可能性が高いのは交通事故です。交通事故で、例えば平成十三年、二百七十人の子供たちが死んでいます。平成十三年には五千八百人の子供たちが交通事故によって重傷を負っています。交通事故も、子供たちの安全の大変恐ろしいものです。

 今、国がどんなことをしていかれるだろうかということを言ってくださったんですけれども、すべての暴力から子供たちを守ろう、そのためにはどうしたらいいんだろう、ぜひ国もその視点で取り組んでいただきたいなと思います。

 さらに、特にCAPのプログラムの場合は、やはり文科省が大変大きな力を発揮していただけます。既に文科省も随分応援してくださっています。防犯対策だけではなくて、人権教育の具体的な方法としても、文科省の方で取り入れてくださっています。でも、文科省の方から地域の教育委員会に、CAPのプログラムをもうちょっと取り入れましょうよという声があると、大分やりやすいかなと思います。

 現場は、先生たち、教育委員会は、時間がない、CAPは授業を使わなきゃならないと。放課後、子供たちをばっと集めて一気にできたらいいんだけれども、クラスルームに一つずつ入ってくる、それだけの時間はとれないとか、それから、一クラス大体二万円から三万円です。その予算、例えば武蔵野市でしたら、全小学校に入るために必要な経費は、CAPでしたら六百万円です。ある程度の予算が必要です。

 予算がないので警察のプログラムを使いましょうということがあって、警察のプログラムも一緒にやっていったらいいと思うんですけれども、最近は、先ほどお話がありましたように、時々警察のプログラムというのはすごく怖がらせちゃうんですね。余りちゃんと、ずっといろいろ練っていないのか、こんな怖いんだから、だから大声出しなさい、だから警察にすぐ言いなさいと。すごく子供は怖がります。

 ですから、CAPのプログラムがその後に入っていくと、もしつかまれたらどうすると言ったら、最近は、子供たちから返ってくる答えは、殺されるです。以前は、どうすると聞いたら、逃げるとか走るとか、そういうようないろいろな答えが、こちらから何の答えも出していなくても、子供たちから出てくるわけです。それが最近は、殺されるなんですね。それじゃ、殺されちゃ困るからどうするのと言ったら、防犯ブザー、もうそれしか返ってこないんですよ。防犯ブザーしか返ってこないんです。防犯ブザーがなかったらどうするの、わからない。何か、怖がらせると、子供たちというのは無力感になってしまうんですね。決して怖がらせない、そこで上手にいろいろなプログラムが共存していけたらいいなと。

 そういうとき、やはり子供たちを怖がらせずに、子供たちの内にある力をどうしたら私たちは発揮させていってあげられるだろうか。その基本は、聞くということだと思います。

郡委員 ありがとうございました。

 大変貴重な御意見を皆様方からいただきました。皆様方の御意見を政策に反映させるべく、これから私たち、一生懸命頑張ってまいります。きょうはどうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 四人の参考人の先生、本当に貴重な御意見ありがとうございました。

 特に森田参考人におきましては、六年前の児童虐待防止法改正をこの委員会で行いましたときに、参考人として本当に貴重な御意見をいただいて、当時の参考人の皆さんの意見で、実は六年前、児童虐待防止法をこの委員会でつくることができました。当時はまだ厚生省ですかね、厚生省のお役人さんはそんな法律は要らないと言われていたんですが、参考人の皆さんから絶対必要だというような御意見が出て、各党の理事、委員がまとまりまして、法律案としてまとめることができた経験がございますので、きょうの四人の参考人の先生方の意見をぜひまた国政の方に反映していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 まず、多田参考人にお伺いしたいんですが、先ほど、最初の意見陳述の際に、二百十団体、二万数千人の地域の老人クラブの方、また商店街の皆さん、大勢の方が子供たちを守る活動に参加してくれているというお話がありました。その中で、かたい形ではないけれども、常に子供たちを見守る、そして多くの目で子供を見守るんだというふうに御指摘がありました。これがきっと大事なんだろうなと。そういった思いの中で、すくすくスクールというのもつくってこられたと思うんですが、いろいろな資料を拝見しますと、このすくすくスクールというのは、地域の財産である学校を利用して、かつての路地裏を再現しようというような試みなんだというように担当の方が新聞社の方に話していました。

 そもそも、このスクールを多田参考人の方で考えられて、今はもう全小学校でやられているようですけれども、こういうようなものを開設したそもそもの経緯。また、先ほど、文科省が安全な居場所ということで予算をつけてくれているんだけれども、もともとは違った意味でやっていたんだというふうに言われました。開設の経緯と、このスクールの目指すものがどういったものなのかをちょっと教えていただければと思います。

多田参考人 多くの教育者や識者から、今の子供の中で人格形成上欠けているものは、違った世代のあらゆる人たちとの接点をどうつくるかということだということでありました。それが非常に希薄であるために、家庭と学校を往復して、そこの人間関係しか持っていない。兄弟も少ないから、兄弟が持っている友達関係とのおつき合いも少ない。核家族になれば、おじいちゃんやおばあちゃんの友達との関係も少ない。そういうものがかつてはたくさんあって、その中で子供たちが豊かなバランス感覚を養った、こういうことがございまして、それを何とかしなければ、今子供たちが抱えているさまざまな問題というのは、決していい方向には向かわないということを承知しておりました。

 そこで、何とかそれを実現したい。その場をどこに求めるかということでありますが、それは学校しかない、こういうふうに思い立ったわけでございます。私ども、学校というのは、これは区立の学校でありまして、地域の皆さんの努力によってできた貴重な財産でございます。それを有効活用するということでは、これはもうこれにかわる場所はないわけでございまして、そこを使ってやろう、こういうことになったわけでございます。

 一方で、学童クラブの問題がございました。江戸川区は、子供が多いために空き教室が出てまいりません。そうしますと、別のところに学童クラブをつくる。これは大変でございまして、どんどんどんどん追っかけても待機児が出る。小学校三年生までで勘弁してくださいといっても、三年生も入れないというような状況が出てくる。そういうことに対して、この子がかぎっ子になるということは非常にせつないことだ、そういうこともございまして、これを合体しようというふうに考えたわけでございます。

 その合体する上での問題は、やはり、文部科学省の管轄である学校と厚生労働省の管轄である学童クラブというものが一つになるということについて、学校側では、これは必ずしもすんなりと了解されたということではありません。

 平成十四年に、ある学校に対してテストでやってくれということを頼みました。物わかりのいい校長先生でしたのでお願いをして、これは立派にやってくださったわけでございます。その年にできたので、次の年、では七十三校中三十九校やりますと言ってくれたので、それをやりましょう、そういうことで、次の年に全校やった、こういうことでございます。

 校長先生たちに、やってくださいということをいろいろ申し上げましたけれども、これはとにかく、積極的な先生もいれば、いや、学校でそういうことはというようなこと、つまり、学童クラブを受け入れるということは、どうも学校管理上できないというような消極的意見の方々もおられました。

 そこで、つまり、これはできるところからやってくれということではだめだということで、私は宣言をいたしました。議会で、これは一斉にやります、何年度に全部やりますということを申し上げまして、言ったからやってくれ、こういうことに持ってまいりました。

 そこで、まあ、不承不承かどうかわかりませんが、全校で取り組んでくれましたが、これは先生にお願いするわけではございません。地域の方にお願いをするということでございますので、このやり手はどんどん出てきてくださいました。私は、そこの大いなる地域力に感動いたしましたけれども、やはり私は、これは地域の中では、学校とかあるいは学童クラブとかは同じ行政体がやっているわけでありますから、つまり、やろうとすればできることなんですね。

 国の方々に申しわけない言い方かもわかりませんが、もし文部科学省と厚生労働省が縦割りの考え方で取り組んでいれば、なかなかこれは合体できないということかと思います。それは地域だからできた、私は地方自治体だからできたというふうに思っているわけでございまして、その後、文部科学省がその案をお出しになったのは平成十六年ではなかったかと思いますが、十五年だったかもわかりませんが、ちょっとねらいの違いはございました。私どもは豊かな人格形成、文部省は安全な居場所というタイトルで出してこられました。

 しかし、安全な居場所ということでは物足りない、私としては。これは、将来子供たちの、つまり、立派な大人として成長していく過程の中で、多くの人たちとのかかわりをふんだんに持つということが大切だということを実現して、そのことのために子供たちが立派に成長していくということをこれからも期待しているわけでありますが、これは地域力によって大いに支えられたということで、大変うれしく思っているところでございます。

富田委員 ありがとうございました。多田参考人の決断を国政の方でも同じようにやれるように頑張っていきたいと思います。

 もう一つお伺いしたんですが、先ほどの意見陳述の中で、すくすくスクールの運営に当たって地域の方の協力が不可欠だと。マネジャーに仕切ってもらう、マネジャーをまたサポートする方がいると。新聞報道だと、サポートセンターというのをつくっているというふうに書いてありましたが、先ほどの参考人のお話ですと、そのサポーターをまた応援する方たちがいるという、幾重にもきちんと組織化されているようなんですが、安全の方のパトロールも同じだと思うんですけれども、こういうボランティアの方たちの組織化というのは、結構難しいと思うんですね。組織化できたとしても、それを継続していく、事件が起きますと、事件が起きた学校では、登校時安全にしようということでパトロールのボランティアができますけれども、なかなか一カ月以上やるのは難しいというふうな報道もされています。

 そういった意味で、このすくすくスクール、また住民による安全・安心パトロール隊というのがきちんと組織化されて継続しているというのは、なかなか大変なことだと思うんですけれども、この組織化と、継続するに当たって、そのポイントとなるものは何だというふうにお考えになりますか。

多田参考人 これは、一朝一夕でなかなかできるものではないなということを思います。

 江戸川区は、先ほど申し上げましたように、戦後開発された地域でございまして、さまざまな町づくりをやってまいりました。区画整理も千ヘクタールをやってまいりました。こういうことの中では、自分たちが自分たちの町をよくしていこうという、そのことのために連携と連帯の力を発揮していこうという風土がどうやらでき上がっている。学校についても、学校をたくさんつくってきた、そういう中で、学校を大事にする、子供を大事にするという長年の風土というものがあって、その上で、こういうことが容易に達成されるという条件を持っていたのかなというふうに私は思っております。そこにまた、下町的な温かい地域性が私はあると思っております。そういうことの中で、何かこういうことが比較的労せずしてできてきているのではないか。

 ただ、これを将来ともにどうやって維持していくかということはありますが、今、すくすくスクールという名前を知らない区民は恐らくいないと思います。非常に評価されておりまして、学童クラブも合体したことで、今まで隔離していた子供たちが、隔離されるのではなくして、すくすくスクールの子と、仲のいい友達と縦も横もつき合えるということで、御父兄の方も大変喜んでくださっておりますし、そういう成果が見えれば、これは協力者はどんどん出てくる、そういうふうに思っております。

富田委員 ありがとうございました。

 小宮参考人にお尋ねしたいんですが、この委員会が開催されるということになったときに、「毎日フォーラム 日本の選択」という雑誌がたまたま議員会館の部屋の方に届けられまして、子供の安全というテーマで四ページぐらいあったんですが、その中に、当然、先生が今御主張された地域安全マップのことも書かれていまして、ちょっと気になったのは、こういう記載がありました。通学路の危険箇所がわかるマップをつくろうとしたら全域が危険地帯になってしまったという例があるということで、東京都八王子市、JR八王子駅の北口近くのある小学校ということで出ていたんです。確かに、駅に近くて繁華街があるというところを子供たちがお母さんや皆さんと回ってみると、みんな危険だ、それでマップづくりをあきらめてしまったというふうな例が出ていたんですが、こういった場所は多分あるんだと思うんですね。

 そういったときに、きょう先生が説明してくださった安全マップというものを子供たちにどうだというふうに言っていくと、お母さんたちから見たら、これはもうだめじゃないかと思うと思うんですが、こういったときにはどういうふうな対処をしていったらよろしいんでしょうか。

小宮参考人 基本的にそのやり方だと、具体的な場所を探そう、特定しようという、そもそもそこでボタンのかけ違えをしているわけですね。大事なのは、どういう特徴のところで犯罪が起こりやすいかということを学ぶので、都心部だろうが郊外だろうが、どこでもできるという、先ほどお話ししたとおりなんですね。

 実際、例えば、じゃ、どういうことが言えるかというと、一〇〇%ここでは絶対に犯罪が起きるという場所はありません。逆に、一〇〇%絶対にここでは犯罪は起きませんという場所もありません。要は、可能性の大きい小さいの問題で、犯罪の発生の可能性が高いところと低いところがあるというだけなんですね。ところが、そういうことがわかれば、より一%でも低いところにできるだけ行くようにすれば、犯罪に遭う確率も一%下がるわけですから。結局、犯罪対策は、子供の安全だけではないですけれども、そうやって、できるだけ一つ一つの積み重ねでパーセンテージでも減らしていくしかないんですね。その一つのメニューがこの地域安全マップということなので、できるだけ可能性の低いところに行きましょう、そういう場所はどこなのかということを探すものなんですね。

 と同時に、恐らくその記事を書かれた方はよく理解されていないと思うのは、例えば、そのマップづくりをして危ない場所がわかったら、子供がつくればそこまでですけれども、そこから先にどんどん発展していくわけですね。

 例えば、私がなぜ日本でなかなか導入されないか不思議なのは、ハードでいえば、カメラとかそういう話にすぐ行っちゃいますけれども、欧米でやっているのは、例えば公園のそばとか学校のそばでは、ハンプですね、こういうこぶをつくって、車やオートバイが進入できにくく、これが一つの入りにくさなんですね。そういうことをきちんとやったり、そういうことまで配慮しながら道路つくったり公園つくったりしているわけですね。だから、そういうところまでつなげていくのが地域安全マップづくりですし、それからソフト面であれば、地域ぐるみ、いろいろな大人を巻き込んでいく。

 たまたまきょうは寝屋川の事件から一年ですけれども、おととい寝屋川市では市民集会がありまして、そこで地域安全マップづくりをした小学校の教頭先生が発表していましたけれども、非常にすばらしい発表で、最初は子供がつくって学校内で発表会をしたんですけれども、その話を聞いた地域の住民が自分たちもそのマップを見せてほしいということで、地域の住民を集めて発表会をやったんですね。そうしたら、そうなのか、そういうところが危ないのかということで、じゃ、地域の住民と子供が一緒になって町歩きをしてマップづくりをしようというところで、今度は大人と子供が一緒になってマップづくりをしました。その結果、例えば落書きがあるところがあれば子供と大人が一緒に行って消したり、そういうところまで活動が続いているんですね。

 そこまで発展させていくのが地域安全マップづくりですから、あくまで丸暗記させるのがマップではないという、そこは非常に重要な点だというふうに思います。

富田委員 もう一点、ちょっと小宮参考人にお尋ねしたいんですが、小宮参考人がある新聞に、子供の安全確保に真剣に取り組んでいる自治体は全体の一割ぐらいだというふうに発言されたのを見たんですが、今おっしゃったように、なぜもっとこれが広がらないんだという思いがあると思うんですが、何があったらもう少し日本全国、これは本当にいい発想だと思いますし、子供たちがいろいろな能力を身につけていくという意味でも大変有意義なことだと思うんですね。どこがちょっと越えられたらもう少し広がると思われますか。

小宮参考人 大変難しい質問なんですけれども、きょう一番最初にお話しした、意見陳述させていただいたときに、要するにボタンのかけ違えをしていて、予防の分野であるのにかかわらず、不審者とか犯罪者と、人間に注目しているところでボタンのかけ違えをしているんですね。そういう発想の転換をしない限りは、なかなか前に進んでいかない。

 これは本当に地道に、例えば学校で、例えば教職課程にこういう安全教育も必修、義務化するとか、あるいは国交省の分野であればそういったハンプをつくるとか、あるいは警察庁なり文科省なり、そういうところで、さまざまなところで、できるところで、しかし、予防の分野は場所に注目するんだというところから出発しないと、なかなか前に進んでいかないというふうに思います。

富田委員 森田参考人にお尋ねしますが、CAP活動をされてちょうど十年ということで、児童虐待防止法の、どうやってつくっていこうかというときには、まだ始めてちょうど三年か四年で、CAPも広がり始めていて、ちょうどそれから六年たって、いろいろな地域でCAPの皆さんがいろいろ活動されているというのはどんどん入ってきます。御自身で、今の活動状況、全国展開してきたと言われても、資料によりますと大人が九十万人、子供が九十万人受講した、先ほどのお話ですと二百十六万人の方が受講したと。もっともっと大勢のお母さんや子供さんが受講する機会があればいいと思うんですね。

 特に森田さんが言われていた中に、「連載 エンパワメントと人権」という中に奈良の事件のことを書かれて、実はその被害に遭った子が通っていた小学校は、過去五年間、毎年三年生以上にCAPプログラムを提供していた、ただ一年生には提供していなかった、被害児童は一年生で、一緒にいた子も一年生だった、この子たちがもし受講していたらという記事を見まして、本当にこのとおりだな、もっと機会が広がれば防げた、防げる事件もあるかもしれないということを考えると、まだまだ少ないと思うんですね。

 先ほど来の御説明で、やはり受講するにも小さな集合体で時間もかかる、費用もかかるということになると、わっと広めるというのは難しいと思うんですが、この十年やってきて、どういうふうにしていったら、もっと大勢の皆さんがこのプログラムを受講して、先ほどやっていただいたように、被害に遭わない、遭ったときにどういうふうに対応すればいいかという経験をしてもらえるようになるというふうにお考えでしょうか。それをお聞かせいただければと思います。

森田参考人 予算はかかるんですけれども、かなり安い予算だと思いますよ。大体一人頭平均したら、子供一人につき七百円ぐらいですね。そして、防犯ブザーなんですけれども、あれは一個三百五十円です。大阪府は、市も一個それぞれ渡して、府は九万個四月から渡すという予算計上したので、二個渡ることになってどうしようかというところなんですね。二個渡ると、防犯ブザー二個で七百円ですからね。CAPが一人の子供に渡るのと同じ値段です。

 ちなみに、皆さん興味があられたら、ぜひ大阪府警のホームページ見てください。大阪府警の方で、小学生に対する性犯罪をした人たち十六人に聞き取り調査をしています。何が犯罪をストップさせたかという聞き取り調査です。圧倒的に多いのは、大きな声を出されたから。十六人中の十四人が大きな声を出されたから。防犯ブザーもあります、でも一件なんですね。やはり子供たちがどんなところでも、防犯ブザーは、もし使えたらいいと思うんですけれども、でも、持っていないということがすごく多いと思います。

 もっともっと入っていってもらいたいと思っているCAPなんですけれども、ただ、こういう事件が次々と起きますと、例えば栃木のあの今市市、この三月から一年生に入ります。京都では、ああいう事件が続いたこともあって、先生たち、校長先生、教頭先生への研修をずっとここのところ毎年やっています。広島も、あの事件があった安芸区の学校は、教職員ワークはしてきたんですね。でも、子供ワークするお金がない。

 ですから、どこででもいいから、皆さん、そういう学校の先生たちも、学んだらぜひとも子供たちに伝えていく。CAPのプログラムも必ず大人、教師に研修をしてからという前提は、ただ一回行って終わりでは効果を持ち得ないです。非常にそれをもっともっと大きな効果にするためには、学校の先生たちが、親たちが家庭の中でその概念を使っていってほしい、一緒に練習してほしい。その練習した成果がこの「サクセスストーリー」の、朝日新聞に載っているこれです。これは親が練習したんですね、終わった後に。

 そういうことが必要なので、もしワークショップを受けられなかったら、親たちがその内容を伝えていくということもできると思います。こんな絵本も、「あなたが守る あなたの心・あなたのからだ」というのは、CAPの内容を絵本にしたものです。産経児童文化賞をもらった本なんですけれども、こういうのを復習に使ったりとか、あるいは、なかなかCAPさんが来てくれないということだったら、ぜひ児童館でとか、学校でも先生たちが読むという形で、来てくるのを待つということはできると思います。

 予算化のこと、予算の問題と、それからやはり、重要なんだから授業の時間を使ってやってほしいという教育委員会に対する提言というのがどうしても必要かなと思っています。

 あと、子供たちをCAPしていて、いろいろな感想が上がってくる中で、今登下校はパトロールの方たちがおられる。それで、子供たちとかお母さんたちに、一たん家に帰ってからはどうするんですかと。家に帰ってから、今度、子供たちが道草ですよね、遊びに行くわけですね。それはどうするんですかということを伺うと、最近は、この一、二カ月は行かないというんですね。怖いから行かないと。親の方は、だから、うちにいてビデオゲームばかりやっているんですよと。そういうことにならないような、やはり不安だけを増大させていくと子供たちがすごく無力化になって、やはり怖いから外行くのはやめよう、私は最悪な状態であると思います。

 私は、道草ができる防犯対策が必要だと思います。子供たちは、やはり大人から二十四時間見られるというのは、私は子供にとって健康な状況ではないと思います。子供は一人になる時間も必要です。みんな、私たち一人一人が、大人の目をどこかでちょっと、ちらちらっと盗みながら、そういうところで一気に自主性というか、自分で考えたり自分で感じたり、そういうようなこともしながら生きてきました。そして成長してきたと思います。それを今、私たちが防犯というこの不安に圧倒されて、子供たちを二十四時間見守るんだというのは、ちょっと行き過ぎじゃないかしら。子供にとってそれが本当に健全育成な環境なんだろうか。見守りは大切だけれども、では、それが監視にならないためには、もっともっと子供の話を聞いていこう。子供を信頼できたら監視にならないですよね。

 あいさつ運動、とてもすばらしいです。私も、朝、みんなが来て、学校で先生とあいさつを交わすのはすばらしいと思います。パトロールの方たちもされています。そのときでも、パトロールの方たちに、ぜひ研修でも何でもされてください。あいさつは、元気な子供にはとてもすばらしいです。元気な子供に言ったら、大きな声であいさつが返ってくるでしょう。でも、元気じゃない子も学校に来ています。そういう元気じゃない子に、あいさつがばあんと来て、それで答えがないので、おまえ何だ、あいさつぐらいちゃんとしろと言うのは、とてもきついです。それだけで学校へ行く足取りがだんだん重くなってしまいます。ぜひ、そのことも念頭に置いておいてください。

 そういうことが、子供の視点に立って防犯を考える、子供の視点に立って子供を暴力やさまざまな危険から守るということだと思います。

富田委員 どうもありがとうございました。これで終わります。

近藤委員長 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 あと、もう一人いらっしゃいますけれども、大変長時間にわたりましてきょうの参考人質疑が続いておりますが、参考人の皆様、それぞれの角度で、実践を積みながら、子供の安全のためにいろいろな研究、また蓄積をしていらっしゃるということで、きょうは大変興味深くお話を伺わせていただきました。

 それで、まず小宮参考人、横矢参考人、ともに、地域安全マップづくりということが強調され、既にいろいろな各地の取り組みが始まっているということでございましたけれども、私はこの話を伺いまして、そういえば学校で、私たちの小学校時代も、こういうことではなかったけれども、似たような形でフィールドワークというのをやりましたよね。今だんだん少なくなっているんですね、学校では。随分、やはり地域をそういう意味で先生や大人と一緒に歩いたなということを何か思い出しているんですけれども、そういうこととも関連して、この実践というのは、子供たちみずからが歩く、そして地図をつくる、発表する、お互いに議論もし合うということで、一定かなり時間のかかる作業だと思うんですね。

 小宮参考人に伺いますけれども、このような取り組みをしている学校、今どのぐらい、どのように広がっているのかということと、それを進めるに当たって、学校では、文科省のサイドで私言いますと、授業時間が少ないんだ、足りない足りないという話が聞こえてくるわけですから、これは相当学校内で教職員の皆さんとの合議が必要になるだろうと思うんですね。その辺の何か御苦労とかありましたら、ちょっとお聞かせください。

小宮参考人 私たちが進めています地域安全マップづくりを実際にしている小学校というのは、全部調べたわけではないんですけれども、感覚的に申し上げるのであれば、せいぜい二割ぐらいじゃないでしょうかね。あとは、つくっていると言っているところも、間違ったつくり方、間違ったというのは二つ意味がありまして、一つは防犯効果がないもの、もう一つは逆に別の問題ですね、大人の不信感を増長したり、あるいはトラウマを悪化させたり、あるいは先ほど委員から御指摘ありましたように、全部危ないんじゃないかという形で、ですから、私たちは、あえて、地域を安全にするためのマップと言っています。

 一部のところでは犯罪危険マップなんて呼んでいるところもありますけれども、そうじゃなくて、実は地域って安全なんだ、自分を守ってくれる地域の方たち、おじさん、おばさんもたくさんいるんだよということを子供に気がつかせるというのが目的ですから、そういう意味でやっているところということで言うのであれば、せいぜい二割ぐらいじゃないかと思います。

 これは、学校によると、確かにかなりの時間を費やしまして、先ほどのCAPと同じように、いや、もうカリキュラムが決まっていて押し込められない、いろいろなやはりそういうふうな反発もあります。

 ただ、これはもう恐らく学校全体の役割、これからの現代の学校の役割と関連してくると思うんですけれども、そういう知識を上から大人が伝えるとか教えるとか、もうそういう時代じゃないと思うんですよね。情報化社会ですから、子供の周りのメディアというのは物すごい発達していて、恐らく先生方も把握していないぐらいのメディアの種類。もちろんインターネットはそうですし、雑誌もそうですしね。

 ですから、学校がかつてのように、知識を伝達する、あるいは情報を発信する、そういう場という役割はもうどんどん失われつつあって、むしろ、そういう実体験をさせるとか経験を積ませるとか、あるいは、ちょっと社会に行く前にいろいろな失敗をさせて勉強させて、社会に行って自立できるような、そういう人間を養成する、そういう場として役割を変えていかなきゃならないと思うんですね。

 そういう意味で、これもいろいろな欧米の取り組みでは、今プロジェクト・ベースト・エデュケーションと呼ばれていますけれども、プロジェクトを基盤にした教育ですね。プロジェクトがいろいろなこういうものを盛り込んできますから、何か楽しくて夢中になってやりながら、最後はいろいろな知識ももちろん身につきますし、いわゆる生きる力も育ってくる。そういうようなプログラムの一環としてプロジェクトも位置づけていますので、これだけではなくて、そういうプロジェクトを主体にした教育というのはこれから必要になってくると思います。

石井(郁)委員 なかなか、教育の実践の一つとして、それは大変興味深い点なんですよね。私も、子供がみずからやはり動いて、みずからやはり発見をして、そして考えながら学んでいく、こういうことが必要だという点では共感をいたします。

 もう一点、小宮参考人に、これは自治体での防犯モデルづくりも考えなきゃいけないという御主張をあるところで見たんですが、例えば、自治体が公園をつくるときも、見通しがよくて犯罪者が近寄りにくい構造とすることが求められる、そういうことですね。だから、子供の安全という問題は、やはり単なる通学路だけの問題ではない。まさに町づくり、子供にとって安全な町、安全な地域というような観点からも大きくとらえなきゃいけないと思うんですね。

 そういう点でいいますと、自治体が防犯対策も含めた町づくりとして何か取り組み出している、そういうようなところというのは、日本ではどのようなケースがございますでしょうか。

小宮参考人 委員御指摘のとおり、全くそのとおりでありまして、実際、安全・安心まちづくり条例をつくっているところもかなりふえましたけれども、やっていることは、住民がパトロールをいっぱいしなさいという、結局、住民に全部押しつけているようなところがほとんどなんですね。文言的には、犯罪の起こりにくい公園をつくるとか犯罪の起こりにくい道路をつくると書いてありますけれども、それはあくまでも言葉だけで、実際にそういうふうに動いているかというと、ほとんど動いていないというのが実態です。

石井(郁)委員 ありがとうございました。

 森田参考人に一点伺わせていただきますが、子供への性犯罪ということで、過剰な反応をしちゃいけないんじゃないかという、特異な例と普遍的な例といろいろ区別しなきゃいけないとレジュメにございました。

 性犯罪のことで、話せば本当はたくさん背景等々があるかもしれませんが、やはり、近年、日本社会で起きている一連の問題というのは、どういう傾向として見たらいいのか。これは、社会的な背景だとかあるいは子供の生育過程だとか、いろいろなことが絡まっているかもしれませんけれども、何かその辺での御示唆がありましたら伺いたいということ。

 それから、性犯罪では、やはり被害者の実態がつかめないということも出されたと思うんですよね。だから、なかなか子供が言わない、こういうことがあったということを言わないことがわかりにくくさせているということがあるので、よく子供から聞ける関係、子供が言える関係をつくるべきだというお話は、私は大変大事だというふうに思いましたけれども、ちょっとその性犯罪の日本の最近の何か傾向というか問題点というか、そういうことで教えていただければと思います。

森田参考人 子供に対する性的な被害、本当にいろいろなタイプがあります。でも、統計的にも圧倒的に多いのは、加害者は子供のよく知っている人です。知らない人ではなくて、子供が知っている人です。例えば、クラブの先生であるとか、それは時には学校の先生であることもあるし、スポーツクラブのコーチであることもあるし、近所のおじさんであることもあるし、圧倒的に子供が知っている人です。知っているといっても、非常によく知っているかどうかは、それはまたさまざまです。時にはそれは兄弟であったり、親戚の人であったり、それが一番多いです。ただ、そういうケースのほとんどは、殺傷事件にはなっていないです。

 では、殺傷事件にならないから、その子たちは大したことないのかといったら、そんなことはないです。一生、なぜ殺してくれなかったのかと思って、大変な障害を抱えて生きていく人たち、私は、そんな人たち、たくさんの人たちに出会ってきていますので、決して殺傷があったから重大だということはないと思います。

 昨今の傾向ということですけれども、私は、こういうことは今に始まったことではないと思います。十年前も二十年前も五十年前も百年前も、子供に対する性的な被害は起きていたと思います。では、今特に多いのか、それを数値的に示すものはないです。

 なぜなら、子供に対する性的な被害が問題であるというふうに日本で認識されるようになったのは、本当に平成元年からです。それ以前は、問題というふうにはみなされていなかったです。ドメスティック・バイオレンスが女性たちに対しての暴力であるという認識がつい最近までなかったのと全く同じです。ですから、数値がないので、ほら、見てください、こうでしょうということが言えないのがとても残念です。

 加えて、日本では、性被害に関しての疫学的な研究が非常におくれています。もうこの問題に関して日本で十五年ぐらい取り組んできているにもかかわらず、すぐれた疫学研究がないんです。そういう中でも、例えば、実態調査として、日本では女性の一五・六%が小学生までに性的な暴行を受けたと答えている、そういう調査はあります。ただ、調査というのは、それに対しての批判的な論文が闘わされた上で引用したいものなので、それにはちょっとたえ得ない調査かなと思っています。

 国際的には、国際的な学会レベルでは、大体三人から四人に一人の女子、そして六人に一人の男子が性的な被害を受けている。その被害はさまざまですけれども、身体的な性的な被害です。わいせつな言葉をかけられた、そういうものだけではないです。そういうことはわかっています。

 私は、恐らく百年前も、もしその当時そういう意識があって統計がとられたら、同じ数値が出たかどうかはしれませんけれども、そんなに大きな変化はなかったと思います。それは、なぜそう思うのかといったら、なぜこういう問題が起きるかというその本質的なところを見ると、別に今そういう社会状況があるわけではないからです。

 また同時に、子供時代にこういう性的な被害を受けて苦しんでいる人たち、そういう方たちのカウンセリング、セラピーを私は日本でずっとこの十五年間やってきています。そういう方たちに、八十歳の方もおられます。そういう関係の本をたくさん出しているために、多分四千通ぐらいの読者からの手紙を私はもらっています。この十五年間です。

 その手紙の多くが、同じ言葉で始まっています。今までだれにも言えなかったんだけれどというまくら言葉で始まります。その方たちの年齢は、九十歳の方もおられました。今初めてこのことを紙に書いてだれか特定の人に送ったことで、私の中で何かが流れていきました、これで安心して死んでいけますと言われた方もおられます。そして今、十六歳の子供も手紙をくれます。

 九十歳の方がそういう性被害を受けた。それは、子供時代ですから、今から何十年も前です。決して今に始まったことではないと思います。過去、例えば一九六〇年代ぐらいからの子供に対する性犯罪の殺人未遂、殺人が伴ったものなど、それは見ていくことができます。それを見ても、特に今ふえていません。

 ちなみに、子供に対する殺人事件及び殺人未遂、特に今ふえていません。これは、統計自体が平成元年からしかとっていません。平成元年からそんなに今急増しているわけでは決してない。そういうことで、性被害に関して、何か今社会的な背景があってというふうに私は考えていません。

石井(郁)委員 どうもありがとうございました。森田参考人は、本当にこういう問題での長年の取り組みがありまして、いろいろお話、もっともっと伺いたいところでございますけれども、参考にしたいと思います。

 もう時間ですが、最後に一点、多田参考人に伺いたいと思います、短くで結構でございますけれども。

 大変、江戸川区では、住民が参加をして、いろいろな団体、商店街、そしてもういろいろな方々が本当にかかわって、子供の防犯、安全ということで取り組みをしていらっしゃるということですけれども、教職員の話がちょっとなかったものですから、教職員はこの中でどういう役割を果たして、どういう位置づけになっているのかなということを、一点伺わせていただこうと思います。

多田参考人 当然ですけれども、教職員も大変関心を持っておりまして、非常に地域の諸団体、PTA、あるいは子供会やその他青少年の健全育成団体ありますが、今いろいろ地域との連携の組織が学校自体にできておりますので、そういうところを起点といたしまして、その運動を広げるということで大変努力をしてくださっております。

石井(郁)委員 どうもありがとうございました。終わります。

近藤委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 きょう、まず多田参考人に伺いたいんですが、学校で事件が起きると、とかく学校は外部の人を締め出すという方策をとりがちで、そうではないんだ、むしろ地域の方にどんどん入ってきてもらってということで、むしろそこに力を入れる、私はとても共感をいたします。

 すくすくスクールの関連で、児童館を中高生の居場所にということで取り組まれているということなんですが、児童館はかつて小学生の出入りする場所だったと思うんですね。私の見てきた子供たちの中には、中高生も出入りする児童館で、今やなかなか珍しい異年齢集団が形成されて、例えば、児童館祭りなどでお兄さんにいろいろ教わりながらという関係があった児童館が結構ありまして、その辺のところはどういうふうにお考えでしょうか。

多田参考人 児童館はかつて、小学生が主体になっておりまして、中高生は余り寄りつきませんでした。かわりに、子供たちが学校に行っている間は、お母さんでありますとか、あるいは熟年者の方々が、つまり、あいている部分の活用ということでいろいろな活動を行っておりました。

 ところで、このすくすくスクールができましてから、やはり継続してその学校にとどまっていられるということがありまして、児童館に来る子供たちが激減をするという状態になることが予想されたわけですが、そのとおりになったと思います。

 それで、中高生の居場所というのがこれまでなかったということがございまして、中高生の活動拠点として、六館ありますけれども、かなり大型であります。そういうところを使って自由にひとつ企画をしてやってくれということで、施設改修もしますからということで、みんな施設改修要望を出してくださいということで、六館のうち三館はもう行いました。かなりお金をかけましたけれども、皆さんの言うとおりと少し違うところもありますが、まあまあ大人のアドバイスも入れまして、そういうことをしたわけでございます。

 これから、相変わらず、つまり、自分でお子さんを育てておられるお母さんたちの、小さいお子さんを連れてきて、公園デビューではありませんけれども、そういうところを活用していただいてお互いの交流を図っていただく、こういうことももちろんやっていただきたい。それから、子供たち、つまり小中高生が来ればそれもいい、そういうことも含めて、中高生を中心に多くの世代の交わりをつくってください、こういうことを中高生にも言っているわけでございます。

 ですから、幅広い世代の人たちがその中で、中高生を中心にしながら、ある一つのしんを持った活動ができればいい、こういうふうに考えております。

保坂(展)委員 次に、小宮参考人に伺いたいと思うんですが、不審者マップが差別を引き起こしかねない、まさにそのとおりだと思ってお聞きしました。

 ちょっとお話をお聞きしながら、私、多分今から三、四年前に酒鬼薔薇事件の起きた町を訪ねるという機会がありました。自治会長さんが迎えていただいて、保坂さん、では今から案内しますが、このビデオを見てくださいとビデオを見せられたんですね。そのビデオは、NHKの「ご近所の底力」というビデオだったんですね。これはその事件と何の関係もないんですね。むしろ空き巣のない町ということで取り上げられていたんですね。要するに、地域が声をかけ合って非常に高緊密につながっているというビデオで、事件現場を全部案内してもらいましたけれども、行く先々でいろいろなボランティアの方とか、いろいろな方たちがお互いあいさつをする、声をかけ合うというのは、なかなか見事にできていましたし、地域に事件以前にはなかった交番ができていて、これは交番といっても自治会交番で、そこに近所の方が詰めているということは、これは事件後にあったそうなんですね。

 さて、そこでなんですが、あの事件があって大騒ぎになったからこうなったんですかと言うと、そうじゃないと言うんですね。もともとこの町はこういう町だったんだと。いわば、非常にコミュニティーが緊密だというところでああいう事件が起きたというあたりのことを、どういうふうに考えますか。

小宮参考人 もしかしたら見解の相違があるかもしれませんけれども、あの事件も私も現地でいろいろ調べましたけれども、最初に三月に起きた山下彩花ちゃん事件のとき、あそこは竜が台地区、竜が台地区は非常に入れかわりが激しいようなところで、ほとんど何もその地域のことをやっていなかったんですね。ところが、事件が起きたために、結びつけ合おうということで、いろいろな場所を犯罪に強くする取り組みをやりました。

 ところが、そちらの竜が台地区で山下彩花ちゃんの事件を受けてやっていたときに、隣の北須磨地区ですね、そこでほとんど何も動きがありませんでした。確かにここは地域のきずなが非常に強い、むしろ竜が台地区よりもともと強いところでした。ところが、あれは隣の地区のことだからうちは関係ないということで、残念ながら何もしていなかったというのが、私から見る実態です。ですけれども、今度は自分のところで起きたので、また動き始めましたけれどもね。

 ですから、もし望ましかったのはということで言うのであれば、竜が台地区で起きたときに、その地域にもともとあった力を利用して同じような対策をしていれば、もしかしたら防げたかもしれないというのが私の見解です。

保坂(展)委員 次に、横矢参考人に伺いたいんですが、いろいろな形で、子供の安全ということでいろいろな声に対応していらっしゃる。そういう中で、私、この議論の中で大切なのは、やはり子供たち自身が、例えば強い仲間意識とか、あるいは友達を守るとか、だれが見えなくなったからどこへ行っちゃったんだろうというような横の連帯感ですね。これというのは、かなり希薄になってきていると思うんです。

 なぜ希薄になってきているかというと、実際、室内で何人か集まって遊ぶことはあったにしても、外で遊ぶということが今ほとんど難しいですね。難しいだけじゃなくて、去年以降のいろいろな子供の事件続発でますますしにくくなった。でも、反面、子供たちが大きな声を出したり、それこそ興奮したり、叫んだりしながら楽しく遊ぶということは、やはりお互いの横のつながりと子供たち自身の力をつくることになると思うんですが、その辺の遊びと子供の安全について、相反する面もありますが、どう考えていらっしゃいますか。

横矢参考人 先ほど、幼児のころから教育していったらいいという話をしましたけれども、最初は遊びの形で入っていけるといいなと思っています。鬼ごっこですとか、それから、だるまさんが転んだとか、そういったものでもいいですし、ゲームをしながら、体を動かしながら危険について学んでいく、対策を考えることが苦じゃなくなるというような形にしていきたいというふうに思っています。

 それで、現在の子供たちですけれども、放課後児童育成事業、あの場に、学校という一応きちんとほかと比べて安全度が高いところに放課後たくさんの他学年の子供たちが集まって一緒に遊べる、いろいろ学べるという機会を持っていただいていますので、そういう場所でしっかり体を動かして学べばいいのではないかと思っています。

保坂(展)委員 東京都世田谷区では、プレーパークといって、親たちが責任を持って運営をして、そこにお兄さん、お姉さん役が子供たちの間に入って、プレーリーダーというんですが、子供たちを見守りながら一緒に遊ぶ、こういうような試みがあることも紹介しておきたいと思います。

 最後に森田参考人に伺いたいんですが、きょう印象的だったのは、特別な声なんですね。時折、国会というところでも与野党激突の折には特別な声を出すこともあるんですが、ですから結構皆さん方大きな声を出されたかもしれないんですが、以前に、超党派でやっておりますチャイルド・ライン議員連盟というところでトレーニングをやってもらったりして、その後文部大臣になられた河村先生なども子供になって、土井たか子さんなども演じたということが随分前にございました。

 国会の中でこうした議論ができたというのはとてもよかったなというふうに思うんですが、国に対して、行政に対してという声は出たんですけれども、児童虐待防止法も生み出したこの委員会の場で、最後に国会に対して、立法府に対して求めたいことが何かございましたら、まとめて言っていただきたいと思います。

森田参考人 随分難しい課題をいただきましたけれども、私は、子供の防犯とか子供の安全対策の最も重要なことは人権感覚だと思います。子供自身が人権の感覚を持つ。

 ただ、この人権という言葉なんですけれども、大分汗まみれ、泥まみれていて、いろいろな反発を感じる言葉であるかもしれません。人権三K論などというのもありまして、人権は暗い、何か、ちょっと思い出せないんですけれども、私は、人権ということをもっともっと当たり前に考えたらいいと思うんです。

 人権とは、私はとても大切な人で尊重されるに値する、同じように、あなたもとても大切な人だよと。私を大切にしない恐ろしいことをする人がいたら、たとえその人が校長先生に似たようなちゃんとしたスーツを着ている人でも、私は嫌だと言いたい。いいよ、言っても。言えないかもしれない。そしたら言えなくてもいい、でも言ってもいいんだよと。そして、あなたもだから自分のことを大切にしていってよ、これが人権意識ですよ。安全のすべての根底だと思います。ですから、児童虐待防止法にも連なるところだと思います。

 その子供たち自身がそういう気持ちを自分の中に育てていくということが、CAPのプログラムの中では、概念的に、安心、自信、自由だよといろいろな手を使ってやって、それを具体例を見せながら、あれ、今どんな気持ち、こんな事件があったらどんな気持ち。安心じゃないね、自分に自信感じられないね、だってもう何にもできないと思っちゃうもん。それで、自分で選べないよと。自由って、自分で選べないということですからね。いじめで、おまえかばん持て、金よこせ。よこすしかない、自分で選べない。この三つの気持ち、安心じゃなくて、自信じゃなくて、自分で選べないという状態だったら、大変なんだから。ぴんと赤信号立っているよ、それは、あなたの奪われてならない人権が今脅かされようとしているから。できることがあるよと、そこはすごく重要ですね。多くの場合、プログラムは、そうだよと終わってしまう。そうすると無力感ですよ。でも、いや、できることがあるんだよ、できることって何だろうと。それを一言で言ったら、ノー、ゴー、テルなんですね。最後に最も重要なのは、だれか信頼できる人に話すんだと。大人が戦略の一端を担っています。

 そういう意味で、人権ということ、子供の人権を大人も尊重していくということが子供の安全対策の基本ではないかなと思います。子供自身が自分を大切に思い、大人たちも、子供の声をちゃんと聞いていこう、尊重していこう、子供の気持ちも尊重していこうと。そのためには、先ほど、自分で考えること、自分で行動していくこと、何回か発言があったんですけれども、私はそれだけでは十分じゃないと思います。一番最初に最も重要なことは、自分で感じるということですね。怖い、嫌だ、腹が立った、頭にきた、うらやましいな、ねたましいな、どんな感情もいけない感情なんかないです。その感情に自分で気がついているということが出発点だと思います。人は、考えるためには感じなければ考えられないですよ。感じないで考えているということは、だれかが言ったことをそのまま自分の頭に入れていることです。

 でも、私は、日本の学校教育、特に中学校以上では、感じることは勧められていないですよ。自分で感じることは勧められていないですよ。このように感じなさいと。自分で感じることを発言していくと、すごく周りから抑えつけられていってしまう。もっと気持ちということを尊重していっていいんじゃないのかな。その気持ちは、幸せ、うれしい、元気という気持ちだけじゃなくて、腹立った、そういう気持ちもとても重要ですよ。悲しいという気持ちも重要です。それをだれかが聞いてくれる、尊重してくれたときに初めて、そういう不快な感情が全部流れ出していきます。

 だから、児童養護施設の子供たちは、しっかりと聞くことによって、それがなされない前はばんばんガラスを割り、壁に穴をあけていたのに、聞いてもらえるだけでそれをしないで済むという大きな変化を子供たちには期待することができると思います。

保坂(展)委員 ありがとうございました。

 気がついてみれば、国会というところは、千人を超える子供たちが毎日、多分きょうも列をなして来ているので、森田さんにも教わりながら、子供から直接、自分たちの安全ってどう彼ら、彼女らが考えているのか、ぜひ聞いてみたい。そしてまた、先生方にも参加していただいて議論していきたいと思います。終わります。

近藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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