衆議院

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第19号 平成22年5月21日(金曜日)

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平成二十二年五月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 稲見 哲男君 理事 奥田  建君

   理事 黄川田 徹君 理事 古賀 敬章君

   理事 福田 昭夫君 理事 石田 真敏君

   理事 大野 功統君 理事 西  博義君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大谷  啓君    大西 孝典君

      奥野総一郎君    川口  博君

      京野 公子君    小室 寿明君

      階   猛君    高井 崇志君

      玉木雄一郎君    玉城デニー君

      中後  淳君    永江 孝子君

      野田 国義君    早川久美子君

      藤田 憲彦君    本多 平直君

      皆吉 稲生君    森岡洋一郎君

      森山 浩行君    湯原 俊二君

      吉川 政重君    若泉 征三君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      近藤三津枝君    佐藤  勉君

      坂本 哲志君    菅  義偉君

      橘 慶一郎君    山口 俊一君

      稲津  久君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    柿澤 未途君

    …………………………………

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         小丸 成洋君

   参考人

   (日本放送協会会長)   福地 茂雄君

   参考人

   (社団法人日本民間放送連盟会長)         広瀬 道貞君

   参考人

   (日本弁護士連合会人権擁護委員会第五部会部会長) 日隅 一雄君

   参考人

   (メディア評論家)    山本 博史君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  小川 淳也君     吉川 政重君

  逢坂 誠二君     玉城デニー君

  寺田  学君     川口  博君

  野木  実君     本多 平直君

  藤田 憲彦君     早川久美子君

  谷  公一君     近藤三津枝君

  森山  裕君     坂本 哲志君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  博君     京野 公子君

  玉城デニー君     森山 浩行君

  早川久美子君     藤田 憲彦君

  本多 平直君     森岡洋一郎君

  吉川 政重君     玉木雄一郎君

  近藤三津枝君     谷  公一君

  坂本 哲志君     森山  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  京野 公子君     寺田  学君

  玉木雄一郎君     小川 淳也君

  森岡洋一郎君     野木  実君

  森山 浩行君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

五月二十一日

 戦後強制抑留者に係る問題に関する特別措置法案(参議院提出、参法第九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、放送法等の一部を改正する法律案並びにこれに対する石田真敏君外二名提出の修正案及び西博義君提出の修正案並びに高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案の両案及び両修正案を議題といたします。

 本日は、両案及び両修正案審査のため、参考人として、日本放送協会経営委員会委員長小丸成洋君、日本放送協会会長福地茂雄君、社団法人日本民間放送連盟会長広瀬道貞君、日本弁護士連合会人権擁護委員会第五部会部会長日隅一雄君及びメディア評論家山本博史君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、各参考人の方々からそれぞれ十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、小丸参考人、お願いいたします。

小丸参考人 NHK経営委員会委員長の小丸でございます。

 本日は、経営委員会の委員長として意見陳述の場を与えていただき、まことにありがとうございます。

 NHKの経営委員は、国会の同意を得た上で、内閣総理大臣より任命される重職でございます。経営委員会は、公共放送であるNHKの最高意思決定機関であり、各経営委員はその職責の重要性、公共性を深く認識した上でNHKの経営に当たっているところでございます。

 さて、現在、国会で審議されております放送法改正案には、経営委員会の運営にかかわる項目が盛り込まれていると承知いたしております。以下、放送法改正案につきまして意見を述べさせていただきます。

 会長が経営委員会の構成員に加わるという改正点につきましては、経営委員会と執行部とがよく意思疎通を図り、連携することが重要であるからとの説明を受けておりますが、まず、経営委員会の運営状況について御説明したいと存じます。

 NHKのガバナンスにつきましては、平成二十年四月の放送法改正により、経営委員の一部常勤化や議決事項の見直し、監査委員会の設置や外部監査の導入など、経営委員会の監督権限が強化されました。また、経営委員会の透明性の確保のため、議事録の充実や視聴者のみなさまと語る会の開催などの責務が課されました。

 一方で、監督と執行の分離が明確になり、経営委員会は、法律等の定めがある場合を除き、番組の編集など業務の執行に関与できないことが明記されました。経営委員会と執行部は、放送法改正の趣旨を踏まえ、お互いの立場を尊重しながら、それぞれの職務を果たしております。

 また、経営委員会は、原則月二回、定例的に開催しておりますが、会議には会長以下全役員の出席を求め、建設的な意見交換を行っております。会長の人事や経営委員会委員の報酬などの案件を除き、会長にはできるだけ議論に参加していただいておりますが、私個人の意見といたしましては、今回の、会長が経営委員会の構成員に加わるという改正点は、経営委員会の運営において執行部との意思疎通がより一層図られ、非常によいことだと考えております。賛成でございます。

 当然、経営委員会は放送法に基づいて活動する組織であり、放送法が改正された場合には、その趣旨を踏まえて職務を執行してまいります。

 次に、欠格要件の緩和という改正点につきまして述べさせていただきます。

 経営委員、会長、副会長、理事の役員の欠格要件の緩和につきましては、人材を幅広く登用できるようにするための改正であるとの説明を受けております。人選に当たって、選択肢がふえるということは非常によいことであると考えており、賛成でございます。なお、当然のことではございますが、経営委員会として会長を任命する際には、欠格要件が緩和されましても、これまでの経緯を踏まえ、具体的な人選に当たっては、NHKの中立性、自主性について、国民・視聴者に誤解を与えないことを念頭に置きながら進めていく必要があると考えております。

 また、今回の放送法改正により、放送に関する法律の整備がなされますが、NHKを取り巻く環境は、完全デジタル化、放送と通信の融合の進展と急速に変化をしており、NHKが将来的にも公共放送としての使命を果たしていくためには、さまざまな側面で環境整備が必要になってくると思われます。こういった点についても早急に検討を進めていただくようお願い申し上げます。

 なお、今回の放送法改正案につきましては、既に国会審議が行われている段階であり、経営委員会としての意見の集約は特には行っておらず、私個人の意見を述べさせていただきました。この点をどうぞ御理解いただきたいと存じます。

 申し上げるまでもなく、経営委員会は、放送法に基づき活動する組織でございます。放送法改正の暁には、その趣旨を踏まえて、公共放送の発展のため、国民・視聴者の皆様に信頼され、御支持いただけるよう、NHKの経営改革に取り組んでまいる所存でございます。

 最後になりましたが、我が国の経済は、一昨年秋以来の世界同時不況の影響から抜け出せず、日本経済は依然として厳しい状況にあります。NHKを取り巻く環境も同様に厳しい状況にあり、平成二十一年度は、景気低迷の影響により、当初予算の受信料収入の達成ができませんでした。

 加えて、来年には地上デジタル放送への完全移行、衛星放送の二波化を控えており、これらが受信料収入にどの程度の影響を与えるのか、予想しがたいものがございます。

 しかしながら、どのような状況にあっても、NHK改革の歩みを緩めるわけにはまいりません。三カ年経営計画も二年目に入りましたが、今年度が正念場と考えております。経営目標の達成に向けて、経営委員会と執行部が今まで以上に意思疎通を図り、力を合わせて業務運営に当たっていく所存でございます。

 今後とも、委員の皆様方の格段の御指導をお願い申し上げます。

 以上でございます。(拍手)

近藤委員長 ありがとうございました。

 次に、福地参考人、お願いいたします。

福地参考人 NHK会長を仰せつかっております福地でございます。

 本日は、放送法等の一部を改正する法律案及びその修正案につきまして、このような発言の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。公共放送の実施を預かる立場から意見を述べさせていただきます。

 この法律案につきましては、放送と通信の融合が急速に進展していますことを踏まえ、伝送路ごとに異なる現行の縦割りの規制体系の見直しが必要ではないかという御議論がきっかけであったと認識をしております。法改正に向けた本格的な議論が始まり既に四年となりますが、その間も、私ども、日々環境の変化を実感しておりまして、公共放送も融合時代に対応して変わらなければ、早晩、視聴者の期待にこたえられなくなると心配もいたしております。

 そういう意味で、今回の法律案に放送関係の四本の法律を新放送法に統合することなどが織り込まれましたことは、新時代に向けた第一歩であると評価しておりまして、果敢にこの問題に取り組まれた関係者の皆様には、心より敬意を表したいと存じます。しかし同時に、これがゴールということではなく、さらに、今後の社会や技術の進歩におくれることなく、必要な制度整備を進めていただきたいと考えております。

 さて、政府案には、NHKの経営委員会のメンバーに会長が加わるという改正が盛り込まれました。この点につきまして、私はかねてから、アメリカ的な経営と執行の完全な分離が果たしてよいのかということは疑問に思っておりました。経営と執行は、相互のコミュニケーションを緊密に図ってこそ仕事がスムーズにいきますし、よい結果を生むというのがいわば私の持論でございました。

 NHKの会長になりまして、経営委員会に執行の責任者である会長が入っていないことを疑問に思っておりましたが、御案内のように、昭和三十四年までは、NHKにおいても会長は経営委員会のメンバーでございました。それが、意思決定をする機関と業務の執行機関との分担を明確にする趣旨から、昭和三十四年の法改正によりまして、会長を経営委員会のメンバーから除いたと聞き及んでおります。ただ、このときも、完全に分離をいたしますと、相互の意思の疎通を欠いて、円滑な業務執行に悪影響を及ぼすおそれがあるということから、会長は経営委員会に出席して意見を述べることができるという規定も設けられたということであります。昭和三十四年以前もそれ以降も、経営委員会と執行部相互のコミュニケーションを図る重要性は十分認識されていたというわけであります。

 ところが、最近になりまして、残念なことに、NHK職員による不祥事が相次ぎ、コンプライアンスの徹底を図るための体制が求められたことから、平成十九年の法改正では経営委員会の監督権限の強化が図られました。不祥事への対応という点で、この改正自体は当時大変重要なことであり、必要なことであったと思っております。

 ただ、その後のことを考えますと、このときの改正は、経営委員会と執行部の関係についてややバランスを欠いたのではないかという感じがいたしておりまして、事実、重要な経営課題が経営委員のみの会合で論議され、会長の私にもどのような意見交換かわからないまま物事が進められたこともございました。

 このため、私は、経営と執行はやはり十分に意思疎通を図る必要があるという持論を折に触れてお話をいたしました。具体的な法改正を要望したつもりはございませんが、経営委員会のメンバーに会長が加わる今回の改正は大変結構なことと受けとめております。

 会長の権限が強くなり過ぎるのではないかという御懸念もあるようでございますが、仮に経営委員会のメンバーになったといたしましても、議決権は十三分の一でございまして、経営委員会の機能も従来より格段に強化されておりますので、全くそうした懸念はないものと考えております。

 次に、規制体系の見直し等の点について述べたいと思います。

 冒頭、私は、今回の改正による放送・通信の法体系全体の見直しを評価すると申し上げましたが、私ども、実は、縦割りの法体系を横割りにして放送のハード、ソフトを分離するといった体系見直しには、放送機関としての懸念もございました。それは、ハード、ソフト一致のもとでは、事業者が設備の審査を経て放送局の免許を取得しますと、そのまま放送事業を行うことになるわけでございますが、ハードとソフトの手続が分離をされますと、ソフトの放送事業の資格は一体何をもって審査されるのか、行政が番組編集に関してよしあしを審査することにならないのかという心配でございました。

 この点につきまして、今回の法律案は、NHKのように、引き続きハード、ソフト一致で地上放送を行います場合には、従来と同様に放送局免許の手続だけでよいという仕組みになり、従来と基本的に変わらないこととなりました。これにより、私どもの当面の懸念は回避されたと考えております。

 一方、政府案には、電波監理審議会に、新たにみずから調査審議し、建議する役割を持たせるという改正が盛り込まれました。この点につきましては、番組編集への干渉のおそれがあるのではないかという指摘があるわけでございます。これに対し、この国会の場でも、改正の趣旨等につきまして、昨日も含めまして再三政府から答弁、説明が行われ、NHKとしても、この国会での御発言はもとより重いものと受けとめております。ただ、なお懸念が払拭されていないのであれば、表現の自由にかかわる事柄でもございますので、慎重に対応されてもよいのではないかと思っております。

 私どもといたしましては、最終的には、総務大臣が番組内容について、放送事業者に対しどんな権限を行使することになるのかということが重要なポイントであると考えております。現行法には、総務大臣が放送事業者に対して業務資料の提出を求めることができる旨の規定がございます。この資料提出は、過去の国会審議の経緯を踏まえて政令で定めまして、今日まで、番組内容に関することは除外されてきているところでございます。今回の法改正によりましても、引き続き、総務大臣が放送局に対し、番組内容について資料提出を求めるといったことがないようにしていただきたく、そのことが何より肝心であると考えております。

 いずれにいたしましても、放送への苦情や放送倫理上の問題につきましては、NHKと民放連が設立いたしました放送倫理・番組向上機構、いわゆるBPOでございますが、ここが独立した第三者の立場から対応しているところでございまして、あくまで、こうした自主的な取り組みにより対処していく考えでございます。

 最後に、新しい法体系でのNHKの位置づけにつきまして一言述べさせていただきたいと思います。

 今回の法改正の検討は、規制体系全体の見直しに主眼が置かれまして、特殊法人であるNHKの業務の内容などにつきましては、基本的には検討対象から外れております。しかし、冒頭にも申しましたように、放送・通信の融合は急速に進展しております。例えば、受信端末は放送・通信の融合により急速に多機能化しておりますし、視聴者の方々からは、なぜインターネットでNHKの番組が流れないのかといったお問い合わせを受けるようにもなりました。多様な公共放送番組を国民にあまねくお届けする私どもNHKの役割を十全に果たすためには、いや応なしに、インターネットを含むさまざまな伝送経路を積極活用していくことが不可欠となってきているわけでございます。それには制度整備を要するものも出てまいります。

 以上のような点も含め、NHKの業務につきましても速やかに必要な検討が行われますことを期待いたしまして、私の意見とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

近藤委員長 ありがとうございました。

 次に、広瀬参考人、お願いいたします。

広瀬参考人 民間放送連盟の広瀬でございます。

 日ごろ、各党の総務委員の方々には、私たち放送局が、温かく、時には大変厳しいこともありますけれども、御指導をいただいております。この席をおかりして心からお礼を申し上げたいと思います。

 私たちがここ十年取り組んでまいりましたテレビ放送のデジタル化は、いよいよ来年七月に完成いたします。アナログ放送は停波いたします。今回の放送法改正案で、デジタル時代の放送の大枠について、重要な点が決定されます。おおむね私たちもこの枠組みに賛成し、来年の七月までには施行されることを心から希望しております。

 実は、この放送法改正につきまとった大変大きな影がございました。それは、ハードとソフトを完全に分離すべきである、分離することによって放送の競争が初めて展開されて、番組の内容がよくなるんだという説がずっと残ってきたからでございます。

 忘れもしませんけれども、いよいよデジタル中継局の建設が始まろうかという時期に、まだ時の内閣の中には融合論が強くて、お金をかけて中継局をつくるよりも通信回線を使ったらどうなのかという御意見も出ておりました。通信回線を使えば、空中を走る非常に貴重な電波をさらに有効活用できるんじゃなかろうかという御意見だったと思います。

 大都会の場合には、そうした通信との融合というのは双方にとって有利な点がございますけれども、ハードの事業者が、山間の僻地あるいは島の陰、そういう五十世帯、百世帯の居住者に対して通信回線を引いてくれるとはとても考えられません。そうした中で、私たち放送局は、NHKとともに、自力でもって中継局の建設を進めてまいりました。今回の改正法でこの問題に完全な決着がついたことを私たちは喜んでおります。

 すなわち、放送事業者の場合には、自分たちでそうしたハードを所有することも、あるいは一部、通信事業者を活用することも、それは放送事業者の選択に任せるという一点でございます。この点、私たちは安心して、この先一年間、まだ一千本以上の鉄塔を建てなければなりませんけれども、それに取り組んでいくことができます。

 二番目は、電波の活用が非常に柔軟になるということでございます。

 六メガヘルツという大変広範囲の電波を、各放送局は政府から借りております。この使い方がこれまでは大変厳しく制限されていたんですけれども、通信的な側面を含む利用もできるということで、これは私たちの業務の範囲を大いに広げてくれる。活用の仕方は私たち自身がこれから工夫してまいらねばなりませんけれども、その可能性が開けたということは言えるかと思います。

 三つ目は、これまで大変もめることが多かった、地上波放送局とケーブル事業者との間の摩擦の問題でございます。

 これまでは、いきなり大臣裁定ということになって、それも、おおむねケーブル事業者の言い分が通るような裁定結果になってきましたけれども、今回は、民民といいますか、地上波の放送事業者とケーブルの放送事業者が十分話し合って新しいガイドラインをつくり上げ、それに応じて紛争処理委員会もでき、ここで紛争処理、仲介等に当たる。大臣裁定は最後の段階だ、そういう大変現実的な処理の方法が明確にされております。これも、私たちは大変結構なことだというふうに思っております。

 この改正案のほとんどは、実は、骨子が発表されたり、さらに細かい点も含めて何回かにわたって中身が公表され、関係団体の意見、パブリックコメントが寄せられ、何度もそれに基づいて手が加えられ、最終的な案文ができたわけでございます。

 ところが、二つの点についてびっくりすることが起きました。一つは、電波監理審議会の機能を強化するという極めて重要な点でございますけれども、この点については、過去何年にもわたる法案のたたき台が示された中で一度も出てこなかった問題でございます。初めて今回出てきました。もう一つが、NHKの経営委員会に会長が加わるという点でございます。この二つの点につきまして、若干詳しく、私たちの立場を述べさせていただこうと思います。

 電波監理審議会の機能強化につきましては、政府側の答弁の中で、大変抑制的に考えられている。これは間違いありません。いわば行政の出過ぎに対して警告を発するとか、決して個々の番組に立ち入るものじゃなくて、むしろその逆のものだ、表現の自由を守っていくとりでの一環というふうな位置づけだという説明も聞いております。

 考えてみますと、確かに、これまでの放送行政というのは、ややこれは本道を離れているんじゃないかなと思わざるを得ないところがございました。端的には、行政指導が極めて頻繁に発出されたということでございます。

 そのほとんどは、放送番組に大きな瑕疵があり、その点を政府が注意した、再発防止策を出すように求めた、そういう性格のもので、番組に問題がなければそういうことはなかったはずだと言われればそれまででありますけれども、メディアにはそうした瑕疵はつきものだということを認めていただくならば、やや行政にも出過ぎがあったんじゃないかという気がいたします。毎年、平均して三、四件は行政指導があったと見ていいんじゃないかと思います。

 最後の行政指導は、昨年の総選挙に当たりまして、当確を急ぐな、間違った当打ちは絶対やめていただきたいという要請でございました。全国百二十七の放送局の社長に各ブロックごとに集まってもらって、総務省から伝達したという形もありました。私たちは、これには抗議いたしました。

 というのも、まず第一、間違った当を打ちたくて打っているところは一つもなくて、いろいろな条件の中でたまたま出てくるということですが、基本的に、開票の透明度を保障するのはメディアがたくさん開票所に行ってそれを見ているということで、そうしたおかげで、日本の選挙、投票、開票、集計、そうしたものには一点の疑惑も抱く必要がない形になっております。放送がそうしたことに貢献してきたということも、やはりお認めいただきたいわけでございます。

 民主党の政権になりまして、先ほど申しました行政指導というのは、今のところ一件もございません。では、番組の瑕疵がなくなったかといえば、そうじゃなくて、先ほど福地会長の話にもありましたように、BPOからは厳しく間違いを指摘され、厳しく訂正番組のあり方を指導され、対応してきているところでございます。

 今回の、電波監理審議会が建議ができるんだ、大臣の諮問がなくても意見が言えるんだというのは、見方によれば、そうした行政指導の乱発に対して、それは間違っているんじゃないかと大臣に確かめることもできるのかなという気はいたします。しかし一方、そういうときに何にも行政指導をしない大臣に対して、もうちょっとしっかりして国民の不安に対応したらどうか、そういう建議もできるのか、やることになるケースもあるんじゃないかという心配もせざるを得ません。

 私たちは、番組の問題についてはできるだけ政府、役所と離れたところで、放送法も自律を真っ先に挙げておりますけれども、放送事業者の自律、BPOはその自律の一角でございますけれども、そこにゆだねるのが正当ではないかということで、私どもは今回の電監審の機能強化については賛成できないという立場でございます。

 もう一つ、NHK会長と経営委員会の問題でございますが、これは簡単に述べます。

 日本の放送文化というのは、NHKと民放の二元体制が大変うまくいって、ある種のレベルを保ってきたということが言えるんじゃないかと思います。

 そうした二元体制という点から見ますと、ある時期、NHKが大変、肥大化路線を走ったといいますか、関連企業をふやし、チャンネル数をふやし、あるいはイベント事業などを拡張し、各地で民間放送の放送局といろいろな面で競合してしまったというケースがございます。そのころ、私たちは、NHKの肥大化というのはやはり何とか阻止しないと、二元体制はうまくいかないんじゃないかということを深刻に心配いたしました。

 先ほどのNHKのお二人の話にありましたように、大変不幸な経緯を経て、経営委員会が正面に立つ場面が出てまいりました。その中で肥大化にブレーキがかけられ、予算の縮減が図られ、二元体制にとっては非常にいい状況に戻ったという側面も見逃せません。

 しかし、そうした中で、では、いつまでもその体制がいいのかといいますと、NHKを代表して国民に呼びかけ、国民の皆さんの理解を得、そしてまた番組に責任を持っていくのはだれかといえば、やはり会長だろうというふうに思います。その会長がガバナンスの面で十分に力を発揮できないということになりますと、これは長い目で見れば、大変おかしな形ということは言わざるを得ません。やはり一番いいのは、経営委員会と執行部と、相当な緊張感を持ちつつ、放送の二元体制ということにも思いをはせて、NHKはNHKとして明確なメッセージを国民に発していくのがいいだろうという気がいたします。

 幸いなことに、経営委員会の委員のメンバーのあり方も改善が図られつつあります。二元体制を十分理解している方も新しい委員の候補に挙げられているようでございます。そうした中でいえば、今回、NHKの会長が経営委員会に加わるというのは賛成だ、私は民放連を代表して、そこまでいっていいんじゃないかというふうに考えております。

 マスメディアの問題、クロスメディアの問題等ございますが、これはまた質問があったら、それに対してお答えしたいと思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

近藤委員長 ありがとうございました。

 次に、日隅参考人、お願いいたします。

日隅参考人 私は、日本弁護士連合会の人権擁護委員会で、第五部会、表現の自由などの精神的自由を取り扱っております部会の部会長を務めております日隅と申します。本日は、貴重な機会を与えていただき、ありがとうございます。

 日弁連はこれまで、当部会を中心に、表現の自由についてさまざまな取り組みを行ってまいりました。昨年は、日弁連最大のイベントであります人権擁護大会で表現の自由をテーマに取り上げ、今回の放送法改正において問題となっている、放送・通信メディアを含むメディアの表現の自由の保障についても検討いたしました。

 今回の内閣提出の放送法改正案に関して、お手元に配付させていただきました日弁連会長声明を発出したのは、そのようなこれまでの取り組みを背景としたものであります。

 その会長声明の中で、日弁連として取り上げたポイントは一つです。

 現行法では、電波監理審議会は総務省の内部審議機関とされ、総務大臣からの諮問を受けて、利害関係人による意見聴取や勧告等の権限を有しているにすぎない、こういうふうになっていますけれども、改正法百八十条によれば、「放送の不偏不党、真実及び自律」等、法一条で目的として定められている重要事項について、電波監理審議会が「自ら調査審議し、必要と認められる事項を総務大臣に建議することができる。」こうなっている点であります。

 表面上、電監審に、総務省、総務大臣を監視する機能を持たせようとする規定だというふうに言うことができ、総務大臣も、放送局に対する総務省の規制、監督を監視する組織である、そういうところが番組内容などに不当な介入をすることを防ぐ役割を持たせるものである、こういうような趣旨の説明をされています。

 もし、法改正後の電監審が、大臣等が説明されたような機能を適切に果たすことができるのであれば、それは歓迎すべきことなのかもしれません。

 しかし、問題は、電監審は政府からの独立性が担保されている組織ではないということであります。その委員は、両議院の同意を得て、総務大臣が任命することとなっています。これでは身内が身内を監視するようなものです。この点について、今回の法制案では改善されていません。政府からの独立性については全く配慮がされていないわけです。もちろん、仮に独立性が担保されていないとしても、ないよりはましではないかというような考え方もあるかと思うんですけれども、日弁連としては、新しい電監審が、端的に言うと総務省の隠れみのになるのではないかというようなことを懸念しているわけです。

 いわゆる一般的な審議会というものが行政の隠れみのとなって、行政が直接は提案しにくい政策を提案し、それが実現されてきた、こういう批判をされることがあります。例えば、参議院議長をされている民主党の江田議員は、平成十四年の法務委員会で、審議会について、「行政が政策立案の客観性を装う隠れ蓑に使っているという批判が強かった。」というBSE問題に関する調査検討委員会の報告について、事実だと思う、このような指摘をされています。

 今回の法改正で、電監審が政府からの独立を担保された組織とならない以上、審議会の一部が隠れみのとして使われてきたのと同様に、電監審もまた隠れみのとして利用されるのではないかという懸念が残ります。

 原口大臣は、法改正によって、電監審に、放送事業者に資料の提出を求めたり、直接説明を求めたりするものではなく、総務大臣の権限が拡大するものでもない、このような説明をされているようです。しかし、いわゆる審議会一般について同じような説明をすることができるわけですが、それにもかかわらず、これまで審議会というものは隠れみのとして使われていた、あるいは、少なくとも隠れみのとして使われているという批判を受けてきた事実があるわけです。

 ここで重要なことは、表現の内容、放送の内容、報道の内容については、仮に何らかの圧力があったことによって内容が変えられてしまったとしても、圧力によって内容が変わったのかどうかということを後ほどになって検証することは相当困難だということです。先日、野中元官房長官が、内閣官房報償費、いわゆる機密費について、評論家などの言論人に配っていたというようなことを告白されましたが、機密費をもらったために、本来これこれと評論すべきだったところをしかじかと評論したということは、振り返って指摘したり批判したりすることはもうできない。取り返しがつかないわけです。

 だからこそ、そのような圧力による報道内容の変更ができるだけ発生しないような制度にすることが重要となるわけです。情報伝達の手段として極めて重要な役割を果たしている放送において、何らかの圧力によってその内容が変わるようなことがあれば、それは有権者の投票行為に不当な影響を与えかねません。

 同じ第二次大戦の敗戦国で、政府による国民に対するプロパガンダについて深く反省をしているドイツでは、放送を州ごとに管轄しているわけですけれども、公共放送の受信料の決定過程に州首相や州議会が政治的決定を下すことができる仕組みとなっていることについて、憲法違反だとする判決が下されたことがあります。この判決の中で、事後的審査は、法律の定めた手続において瑕疵を確認し、修正することが可能であることを前提とするけれども、目的から離れた影響というものは大抵発見することができず、法定の結果においても読み取ることはできないので、その影響は事後的にも修正され得ない、したがって、あらかじめ、危険の源泉から違法な権限行使の可能性というものをできるだけ排除する法的構造が準備されなければならない、このように指摘されています。

 この指摘から明らかなように、放送行政について最も重要なことの一つは、放送が政府によって利用されないような仕組み、制度にしなければならないということです。

 ヨーロッパでは、放送行政を政府から独立させるための仕組みというものが検討されてきており、既に共通した基準というものも一定程度設けられています。例えば、欧州評議会は二〇〇〇年十二月、放送行政における規制機関の独立性と機能に関する勧告というものを出しています。ここでいう規制機関というものは免許付与権限などを含むものですので、その勧告について、日本でいえば、総務省の放送行政を政府から独立させなければならない、こういうふうに勧告しているわけです。

 政権交代後、総務省は、放送・通信の分野における表現の自由を確保するための制度のあり方について、今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラムを開催して検討を行っていますが、このフォーラムでは、放送行政の所管の主体を政府から独立した機関に移すということも検討されているようです。ヨーロッパでスタンダードとされていることについて、日本は政権交代後ようやく取り組み始めたと、高く評価できるというふうに考えています。

 しかし、今回の法改正で、政府からの独立性が担保されていない電監審に総務大臣を監視させようとしているということは、このフォーラムの検討方向に明らかに反しているのではないでしょうか。今検討されるべきことは、放送行政をいかに政府から独立させるか、政治的に利用されないような仕組みをつくるかということです。例えば、イギリスで導入されている公職任命コミッショナー制度、これは独立行政法人などの経営陣を選任する際に、第三者的立場にある者が、選考基準の策定から面接、選考会議まで立ち会うことで、人選の公正さ、ベストの人材を選任しようという仕組みです。そういう制度の導入について検討するべきだと考えます。

 ところが、今回の法改正で導入されようとしている、政府が選任した機関が政府を監視するという仕組みは、かえって放送が政治的に利用される機会をふやすことになる可能性があると指摘せざるを得ません。

 そして、事は放送にとどまらないわけです。放送と通信の融合が技術的に進んでいる中、法的にもその融合が検討されているわけですけれども、放送について一たんこのような制度が導入されますと、将来の融合法制のもとにおいて、インターネットについても横滑りで同様の仕組みが採用される懸念というのが生まれてきます。

 インターネットは、市民が直接、多数の市民に情報を発信することを可能とした画期的な情報伝達手段です。今回、電監審が新しい権限を有することによって、この画期的な手段であるインターネットについても、将来、同様の仕組みによって政治的に利用される機会がふえることになりかねない、このように危惧しています。

 原口大臣であれば、電監審を政治的に利用することはないかもしれません。民主党の政権下でも大丈夫なのかもしれません。しかし、今後ある程度の間隔で政権交代が起きるということは、これは避けられないことだと思います。新しい政権が、もし、放送あるいはインターネットを政治的に利用してでも政権を維持しようと考えた場合、電監審の建議という建前で、放送やインターネットに対して圧力を加えたり、政治的に利用することを可能とする政策の導入を図るかもしれません。

 日弁連は、今回の法改正で、そのような危惧が残る制度を導入するべきではないと考えています。

 以上、電監審の問題に限定して意見を述べさせていただきました。会長声明に直接記載されていない事項については個人的見解ということで御理解をいただきたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

近藤委員長 ありがとうございました。

 次に、山本参考人、お願いいたします。

山本参考人 私は、メディア評論家で、二つの大学でメディアに関する諸問題につきまして非常勤講師をしております山本博史と申します。

 議題となっております案件のうち、放送法等の一部を改正する法律案について意見を述べさせていただきます。

 関係業界の方は総務省からいろいろ御説明を受けられる機会もあろうと思いますけれども、私のような一国民は、閣議決定後、総務省のホームページに載せられました法律案をダウンロードしてプリントアウトし、条文の文字だけを見て考えるわけでございますし、私たちになじみ深い有線テレビジョン放送とか有線ラジオ放送といった言葉もどうも見当たらないようなとても難しい法案でございますので、あるいはとんでもない誤解をしているのかもしれませんが、御容赦をいただきたいと存じます。

 私は、放送を享受いたします国民の立場から、この法律案によりまして今後の日本の放送はどのような方向に向かっていくのだろうか、ひょっとして放送に対する規制が強化されて、放送業界の方々が萎縮してしまい、大胆な問題提起を行ったり、鋭い疑問を投げかけるような情報・報道番組が減るなどということになって、放送番組の内容が乏しいものになりはしないか、そういうようなことが気にかかるものでございますから、そのような目線から考えまして心配になりましたことを三点、御説明させていただきたいと存じます。

 一点目は、各方面から心配の声が上がっております、新しい放送法第百八十条の、電波監理審議会がみずから調査審議し、総務大臣に対して建議を行うことができることとなっている件でございます。

 電波監理委員会が廃止され、電波監理審議会が設置されました昭和二十七年から、電波監理審議会は、必要的諮問事項のほか、放送の規律ということに関して大臣に勧告できることになっておりました。平成十三年に、中央省庁等改革関連法によりまして、電波監理審議会が大臣に勧告できる範囲が必要的諮問事項に限定されてしまいました。これは、いわゆる審議会行政批判にこたえて、審議会の削減と諮問事項の縮減が図られたものでございます。

 この点につきまして、元NHK理事の片岡俊夫氏が「新・放送概論」という御著書の中で、関係各方面の権限強化の要望等の経緯や電波、放送行政の特殊性について十分考慮されることなく関連条項整理が進められたように思われる、将来にわたって電波監理審議会の重要性を強調する必要があろうと書いておられます。

 また、電波監理審議会の委員の皆様は、国会の同意を得て任命されている識見、能力の高い方々で、毎月、複雑多岐で高度な内容の電波、放送に関する事案を取り扱われております。そのような中から、もっとこうしたら電波政策や放送政策がうまくいくのではないかという御意見をお持ちになったり、また、それを受けられまして、総務大臣の方でそうしたアドバイスを取り入れてよりよい施策づくりにつなげていきたいというふうにお考えになるのも至極もっともなことだと存じます。

 しかしながら、そのようなお気持ちがストレートに受け入れられるためには、二つのことが必要だと思われます。

 一つ目は、そのような建議が、あくまで電波政策、放送政策のためのものだということが条文の言葉の上でもはっきりわかるようにすることです。放送の規律ということについて勧告権限がありましたときも、個々の放送番組について干渉になるおそれのある勧告は予定されていないと解釈すべきであろうというふうにされておりました。番組規律のことは別のところで議論することがわかるようにしていただきたいと存じます。

 二つ目は、そのような建議が出てきたいきさつがだれの目から見ても納得できるようにわかることです。中央省庁等の改革の関連で審議会機能が整理縮減された際には、あわせて審議会の会議または議事録は公開することを原則とし、運営の透明性を確保することとされていましたが、なぜか電波監理審議会についてはそのような措置はとられませんでした。電波監理審議会の議事録を公表することを制度化すれば、なるほど、そういう経緯で建議されたのだなと、どなたからも理解されることになると存じます。

 心配の二点目は、新しい放送法の第百七十四条に書かれております、放送の業務の停止の条項でございます。

 これは、無線局の免許の停止、運用制限が定められている電波法の第七十六条第一項のハード、ソフト一致の場合に対応して、ハード、ソフト分離の場合の総務大臣の権限を定められたものだと存じます。

 電波法の七十六条につきましては、今回の改正法案のもととなりました昨年八月の情報通信審議会の答申の取りまとめに大変尽力されました、憲法学御専攻の長谷部恭男東京大学教授が、「テレビの憲法理論」という御著書の中で、「番組編集準則に違反したことを理由に、電波法七六条による運用停止や免許取消しは行いえないとするのが通説である。」と書かれておりますけれども、番組編集準則違反も放送法違反に含まれるというのが現在の総務省の御見解だと思います。

 法案の条文には立法意思があると思いますし、番組編集準則違反について明文で業務停止の対象としている有線テレビジョン放送法も含めて、放送関係の四つの法律を大ぐくり化したということでございますから、新しい放送法の百七十四条の放送法違反には番組編集準則違反も含まれているように見えます。この場合の放送法違反には番組編集準則違反は含まれていないというのが立法意思だということならば、一たんは安心いたします。一たんは安心いたしますけれども、現在のような条文の書き方ですと心配が残ります。

 放送法違反のように見えるけれどもやはり実は違う場合、真にやむを得ず緊急避難的に放送法違反になるような場合もあろうかと存じますが、将来におきまして、総務大臣が誤解から放送の業務の停止の命令を出されてもとめようがございません。

 放送の業務の停止というのは、国民への情報提供がとまるという重大なことですので、やはり一度第三者が受けとめて、慎重に事実関係などを踏まえてどのような措置が適切かの勧告を行い、それに基づいて沈着冷静に判断を下していただくのがよいというふうに存じます。現在でも電気通信役務利用放送法などは電波監理審議会への諮問は不要となっていて、同じ扱いにしたのだということかとは思いますけれども、大ぐくり化に当たりましては、より慎重な仕組みでお願いしたいと思うわけでございます。

 心配の三点目は、マスメディア集中排除原則違反の場合の取り扱いです。

 新しい放送法では、マスメディア集中排除原則の基本的な部分を法定化するなどの措置がとられているわけでございますけれども、一方で、その違反に対しましては、放送法では百四条の三号で認定について、電波法では七十六条四項五号で免許について、それぞれ取り消しもあり得るという厳しい態度で臨まれております。

 もう十年以上も前になりますけれども、いわゆるマードック旋風ということで、当時の全国朝日放送、現在のテレビ朝日が買収されかかったことがございます。最終的には朝日新聞社が株式を買い取って決着したわけですけれども、このことが株主の方から訴えられ、裁判になりました。

 大阪地方裁判所は、平成十一年五月二十六日、この裁判に対する判決の中で、マスメディア集中排除原則は、免許または再免許の申請の時点だけでなく、免許の有効期間中継続的に維持されることが望ましいとしながらも、電波法七条及びその委任に基づく開設基準は、開設時、すなわち免許または再免許の申請の時点で満たすべき要件を掲げたものであって、免許の有効期間中存続維持することを要する要件を定めたものではないと解するのが相当であるから、マスメディア集中排除原則を一時的に充足しない状態になったとしても、直ちに開設基準に反し、違法との評価を受けることはないというふうに判示しております。

 マスメディア集中排除原則違反の場合の取り扱いにつきましては、有識者の見解を聞いてから決められてもよかったのではないかと思っております。

 また、免許申請の必要事項等は省令の別表に記され、マスメディア集中排除原則の間接出資の計算方法などは審査基準に定められていると思いますけれども、これらは総務省のホームページには掲載されておりません。備え置き文書の閲覧ということになるかと思いますけれども、免許や認定の取り消しという、事業をやめなければならないという重大事につながることについての法制度の情報は、だれでもいつでも簡単に明確にわかるようにしていただきたいと思います。

 最後に、今度の新しい放送法は、四つの放送関係法律の大ぐくり化の結果、一般国民には極めて抽象的でわかりづらいものでございます。現在、プロバイダー責任制限法について逐条解説を総務省のホームページに載せられておりますけれども、この法案を国会でお認めになり、成立しましたならば、ぜひ新しい放送法の逐条解説も載せていただきたいと思います。

 以上でございます。

 本日は、私のような一国民の意見を国民の代表である皆様方に述べさせていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)

近藤委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

高井(崇)委員 民主党の高井崇志でございます。

 きょうは、参考人の皆さん、本当にお忙しいところをお越しくださいまして、また御意見の開陳をいただきまして、まことにありがとうございました。

 本来であればそれぞれ皆さんにお聞きしたいんですが、持ち時間二十分ということでございまして、特にきょうは、争点になっているのが電監審と経営委員会だと思うんですが、恐らくこの点は他党の皆さんも集中して聞かれるのではないかと。この法律は、それだけじゃなくて、もっと大事なことがたくさん盛り込まれております。そういう意味では、きょうはほかの観点を中心に、私の方からは、大変恐縮ですが、NHKの会長さんと民放連の会長さんにちょっとお聞きしたいというふうに思っております。

 通信・放送融合と言われて、もう十年以上がたちます。融合という言葉は余り放送関係者の方は好まれないようで、総務省も余り使わないようですけれども、一般的には融合と言われているのであえて使わせていただきますが、この通信・放送融合の先駆けとなりましたのは、二〇〇一年に、電気通信役務利用放送法というのがございます。実は、この法律を私は当時総務省で課長補佐として担当してつくった経緯がございまして、この法律が今回廃止をされるということになりますので、一抹の寂しさも感じるんですけれども、ただ、九本の法律が四本にまとめられたということは本当に高く評価したいと思います。

 きょうも、日経新聞の一面には、ソニーとグーグルの提携といってインターネットテレビをつくるということが出ておりましたけれども、まさにあらゆる場面でこの通信・放送融合が進んでいるわけでございますが、ただ、今回、NHKにつきましては、依然としてまだ放送法の中で放送ということに限定されているんじゃないか。

 一例を言いますと、インターネットラジオ、ラジコというのがあって、民放各社がこれを提供するということを発表しましたけれども、福地会長も、先日、ぜひやりたいけれども制度上まだ解決すべき課題があるというようなことをおっしゃっていました。

 今後、こういった通信分野への参入のお考え、そして、それに対してどのような障害があったり、現実にどういったサービスを提供されようとしているのかということをお伺いできたらと思います。

福地参考人 ラジコについてのお尋ねでございますが、実は私も、先般、実際に民放さんの放送をラジコで聞いてみました。期待しておりましたよりもずっと音質もよかったということでございまして、NHKのラジオ番組をネットで同時にお届けできるということになれば、視聴者の方々からも大変喜んでいただけるんじゃないか。

 ただ、そのためには、制度上クリアしなければならない問題もございます。我々としては、そういったことをやりたいということでいろいろな検討はいたしております。

 以上でございます。

高井(崇)委員 ありがとうございます。なかなかNHKさんの立場では言いにくいところもあると思うんですけれども、こういったまさにいろいろなサービスを国民の皆さんは望んでいるわけで、できるだけそういった制度、規制によってできないということはなくしていくべきじゃないかなと思っています。

 その関連になるんですけれども、NHKさんの番組というのは、大変すばらしい、質の高い番組がたくさん提供されておりますけれども、そういった番組をもっともっと国民の皆さんに還元すべきではないか。それは、具体的に言えば、インターネットでそれを提供することをもっと進めていったらいいんじゃないかなと思っています。

 もちろん、今、NHKオンデマンドということで、有料でインターネットでこれを見ることができるわけですけれども、しかし、利用が伸び悩んでいる。なぜこれだけいい番組が、視聴率の高い番組がネットになると見られないのかなと。やはりそこに課金の問題、有料であるということ、あるいはさまざまな仕組み上の問題などがまだハードルになっているんじゃないかというふうに思っています。

 NHKさんに聞きますと、これを無料にしたらどうなるかというと、アクセスが大変ふえてしまうと、今度はサーバー側の問題が出てきたりして、なかなか現実には難しいんですと。今、オンデマンドで有料化しても、ほとんど収支とんとんか赤字ぐらいで、全然もうかっているわけではないと。それをなかなかできないのは、やはり費用がかかるということであります。

 一方で、私は前回のNHK予算の審議のときにも質問いたしましたけれども、受信料は本来義務化すべきだと思います。私もかつて受信料の集金をやっていたという話をしましたけれども、払っている人と払っていない人がいるというのは明らかに不公平で、七五%近くに、努力はしていただいていると思いますけれども、義務化しているイギリスのBBCなどでは九五%近いということで、義務化だけじゃなくて、さまざまな政府の後押しとかいろいろ必要になりますけれども、そういったことも含めて、とにかく受信料を払っている人がばかを見ない仕組みをつくる必要があると思っています。

 ただ、そのときに、その義務化した分、受信料を還元しないといけない。二割減らせということを、今、前総務大臣、前々総務大臣、いらっしゃらなくなりましたけれども、前政権のときにはそういうことをおっしゃって、それに対してNHKさんとしても、そういうことであればなかなかすぐには難しいということだったと思うんです。

 私は、別に受信料の値下げをしなければいけないということではなくて、むしろこういった皆さんの放送番組を、国民の皆さん、視聴者の皆さん、受信料を払っている皆さんに還元していく。広く見てもらえるインターネットでも、たまたま仕事で大河ドラマを見られなかった人が後からインターネットで見られるというような仕組みをつくることこそが受信料の還元策としていいのではないか。

 来年度、やると言われている受信料の一〇%還元というのも、料金の値下げではなくて、オンデマンドの今やっているのを無料にするとか、あるいは、今、私、民主党の中で有志百十四名で情報通信議員連盟というのを立ち上げて、先般、情報通信八策というマニフェストの案をつくったわけですが、その中でも、一つはNHK放送番組をネットに全面開放するということを提言していますし、また、デジタル教科書、これからは学校の教科書を全部デジタルにしようということを、一〇〇%これをやろうということをうたっています。そのデジタル教科書の中にNHKさんの放送番組を、これも無償で提供していただく。歴史の授業の中で明治維新を習っている子供たちが、大河ドラマの「龍馬伝」の福山雅治を見て、より歴史に興味を持つというようなことになれば、まさに受信料で成り立っているNHKさんの公共放送としての役割を果たしていただけることになると思うんです。

 そういったネットへの全面開放、オンデマンドの無料化、そしてデジタル教科書への提供について、NHK会長の御意見をお聞かせください。

福地参考人 御指摘のとおり、受信料の大前提が公平負担の問題でございまして、もう一方で受益者負担という問題もございます。

 御承知のとおり、オンデマンドの問題については、放送法三十九条の中で、一般勘定と区別して特別な勘定を設けて処理するようにという規定がございます。そういった中で、NHKオンデマンドにつきましては、一番コストがかかるのは、御承知のとおり、権利処理の費用。これがかなりかかります。そのほかに配信費用がかかるわけですが、この負担をどうするか。これを受益者負担でやりなさいというのが放送法の趣旨であろうと思います。

 そういった中で、私たちの問題は、こういったオンデマンド事業が特定の受信者向けであるということ、それからもう一つは、先ほど民放連の広瀬会長からも御指摘がございました、民業圧迫はできるだけ避けたいというふうな問題も片一方でございます。それから、民間事業者との公正な競争といいますか、そういったものにも配慮しなければいけないだろうというふうに考えております。

 それと、御指摘の点はよくわかるのでございますが、もう一方では、まだスタートして一年少しだということで、この点につきましてはいろいろな御意見を十分お聞きしながら今後のあり方について十分検討していきたい、そういうふうに思っております、オンデマンドの問題につきましては。

 情報通信八策の件につきましては、篤と拝見をいたしました。あの中で、デジタル教科書の中にNHKの番組を織り込んだらどうかという御提案がございました。NHKの方も、文部科学省の学校教育の情報化に関する懇談会のメンバーとして参加をいたしておりまして、教育現場におけるデジタル教科書の利用をどう進めるかという議論にも参加しております。

 ただ、デジタル教科書にNHKが提供するということにつきましては、先ほどのオンデマンドと同様に、アーカイブスの教育利用を進める立場からどういうふうな取り組みが可能かということを現在検討しているところでございます。

 番組のネット配信につきましては、オンデマンドと一緒で、特定者向けのサービスということでありまして、それから、権利者に払う権料、配信費用が追加で発生する、そういう理由から受益者負担で実施をするということとなります。

 現在、NHKオンデマンドのサービスで、見逃し番組とか過去の番組の配信に取り組んでおるところでございます。そういった点を配慮しながら、こういった点を今後前向きに検討していきたいと考えております。

 以上でございます。

高井(崇)委員 ありがとうございます。

 いろいろ課題はあるんだろうと思います。特に著作権の問題は、今回、通信・放送融合といっても、この分野はまだまだ解決していないのかなというふうにも思っておりますし、民放さんとの関係というのもわかります。ただ、国民の皆さんが何を望んでいるかということを、やはり受信料で成り立っているということをよくお考えいただいて、ぜひ前向きに検討していただけたらと思います。

 それでは、続いて、民放連の会長さんにお伺いをいたします。

 地デジの問題でございます。

 あと残り一年ちょっとというところでございます。実は、私の地元は岡山でございます。岡山には五局ございまして、多い方なんですけれども、この五局の方と、NHKさんも入れて、今勉強会をさせていただいています。

 その中で、やはり現場の皆さんの声は大変悲痛な叫びというものがありまして、例えば、今まではずっとNHKさんと共同歩調で中継局を設置してきたけれども、ここから先はNHKさんの方がよりきめ細かく打つので、民放はそれと共同歩調がとれなくなって大変だとか、あるいは、これは余り知られていませんけれども、アナログ設備を撤去するというのは膨大な費用になりますし、また、番組の送信、中継、そして制作する機材のデジタル化対応というのもまだまだ進んでいなくて大変だ。本当にいろいろな面でローカル局は大変なわけでございます。

 今回、マスメディア集中排除原則の緩和ということになりますけれども、これによってローカル局を救っていく方策があるのかどうか。そして、よく言われますけれども、垂直統合、水平統合、どっちが垂直、水平か難しいんですけれども、キー局を中心に、例えば岡山だったら中国五県のキー局の系列が一社になるというような統合方式、あるいは、岡山には今五局ありますけれども、五局を三局にするとか、そういう統合方式などがあり得ると思うんですけれども、いずれ将来的にはそういったことも考えていかなければいけないのではないかと思っていますが、今回の法改正とあわせて、会長のお考えをお聞かせください。

広瀬参考人 今回の改正案の中にあります持ち株のところで、現在二〇%に抑えられているのを三分の一、つまり三三%までぐらいの間で決めていきたい、少しふやしていきたいというのが入っております。

 しかし、これはローカル局そのものにお金が入ってくるわけじゃなくて、ローカル局の出資者が、配当もないし、そろそろ売りたいというときに、それをどこかに買ってもらうときに、近くの同じ系列の基幹局が買ってあげましょう、今までは二〇%制限があったけれども多くなりますよと、そういう程度であって、本格的なローカル局の支援とはちょっと遠い感じがいたします。

 おっしゃるとおり、岡山の五局というのは大変厳しいわけです。三局あり、四局あり、五局ある。それで、端的に言うならば、三局地区というのは大変ハッピーなといいますか、年間にして四、五十億以上の収入、売り上げがございます。四局になりますと、特に東北地域の四局は売り上げで大体四十億円を超えるのがやっと。岡山の五局は経済的な基盤がいいので東北みたいなことはないですけれども、それでもやはり五局というのは大変だろうという気がいたします。

 そういう点は、今後、政府の置局政策にかかるわけで、もとはといえば、全部四局まではそろえて、NHKプラス四チャンネルは見えますよというのが一番いいサービスだと思うんですけれども、それが無理な場合には一局二波とか、あるいは、縦の統合だけでなく、横の若干の協力、一局で二波出してあげるとか、そういうことを含めた幅広い検討が必要だろうと思います。

 何しろデジタル化に向けて全力を挙げて進んできたものですから、そうした新しい置局政策のところまで私たちはまだ議論しておりません。しかし、そういうことを積極的にやる時期が来たなという気がしております。

高井(崇)委員 どうもありがとうございます。

 本当に地デジは大変な問題でございまして、もし万が一、来年の七月二十四日に地デジができなくて、アメリカなどのように延期をされるというようなことになると、実はこれは大変なことになるんですね。放送局は今アナログ対応の設備はぎりぎりのところで使っていますから、もし半年延びたら、その半年だけのためにアナログ設備をさらに更改しなきゃいけない。これは大変な費用負担になります。きょうは、そのあたりの思いも会長にお話しいただこうかなと、特に政治家の皆さんがそれをわかっているかというと、余りわかっていないと思うので言っていただきたかったんですが、ちょっと時間がないので、それはまたの機会にさせていただいて。

 最後の質問でございます。

 今回の改正で、割り当てられた電波が柔軟に使えると、先ほど会長からもお話がありました。これは一体どのような使い方を考えておられるのか、具体的なイメージがあったらちょっとお聞きしたい。

 それから、先ほどNHKにもお聞きしたことですけれども、ネットでの番組の提供をぜひ通信・放送融合時代の中で進めていただきたいと思っています。もちろん、収入をどう得るか、インターネットでなかなか広告は難しいと。ただ、ネット広告はどんどん伸びておりますし、工夫の余地があるんじゃないかと思います。ただ、その際に、先ほど福地会長からもありましたけれども、著作権の問題などが制度上まだまだクリアでないところがあるのであれば、そういった課題などもあわせてお聞かせいただけたらと思います。

広瀬参考人 まず、電波の柔軟な利活用でございますけれども、現在、既に実験的にやっているところもありまして、その一つは、街頭の電子看板。電子看板にニュースを出す、新幹線の座席の一番前にあるようなものを街頭に出していくというようなこと。それから、考えられているのが、午前三時ぐらいになりますと放送が終わりますので、その後、朝の放送が始まる四時半ぐらいまでの間の時間帯に、蓄積型の受像機、携帯電話なども将来考えられますが、そういうところに蓄積型の番組を送り込むとか、そういうことがあり得るのかなというふうに思っております。しかし、これは本格的に研究すれば、大変いい利用法もまだまだあるんじゃないかという気がいたします。

 それから、ネットの点は御指摘のとおりで、民放の場合には、やはり商売を重視しつつ、これはキー局はもうほとんどすべて始めておりますが、御想像のとおり大きな黒字を生んでいるということはまだございません。今後、いろいろな実験をして、広告収入だけではなかなか難しくなってきているということを踏まえまして、頑張っていきたいというふうに思います。

 それから、各局がデジタル投資で大変苦しんでいるというのは、高井委員のおっしゃったとおりで、どうぞ国会の中でも機会あるごとに発言なさってくれればありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

高井(崇)委員 もう時間も終わりだと思いますので、最後に一言だけ皆さんに申し上げたいと思うんです。

 私は、かつて、総務省に勤めておりました。十三年勤めていました。今でも、先輩、同僚、後輩とも話をしますけれども、今回、電監審の問題がいろいろクローズアップされていますけれども、官僚の皆さんは、放送番組に口を出そうなんという気持ちは、私が働いているときも、そして今も、毛頭ありません。原口大臣も、私も、何度もお話ししますけれども、事あるごとに、表現の自由を守る、言論のとりでということを必ずあいさつの最初に言うくらい大事にされていて、その思いを実現するために出した提案が今回の提案。その提案が、制度上ちょっと不備がある、問題があるということは、あるのかもしれませんけれども、その気持ちはゆめゆめ間違いはないということを私から最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、五人の参考人の皆さん、大変御多用の中お出ましをいただきまして、心より御礼と感謝を申し上げたいと存じます。

 御案内のように、我々も、二〇〇六年以降、通信・放送分野の関連法を体系的に見直して一体化しようという議論を進めてまいりました。そして、ようやく、去年の総選挙の時期でございましたけれども、審議会から答申をいただいて、いよいよ今回の法案提出という経過になってきたところでございます。

 ただ、私ども、野党になるというような変化がございましたけれども、昨年八月の答申になかった改正事項が大きく今回の法案に盛り込まれております。それは、NHKの経営委員会に会長も加わるということ、そしてもう一つは、この電波監理審議会の建議及び資料要求などの追加事項が加わって、いわゆる電監審の権限が大幅に強化された、こういった点が我々の検討を進めてきたプロセスの中になくて、突然、ことしの三月の閣議決定の後に公表された。十分な議論や審議の経過もなく突然示されたことに大変驚きを禁じ得ないわけでございまして、こうした点を私たちも重く受けとめて、今回、独自の四項目にわたる修正案を提出させていただいているところでございます。

 きょうは、限られた時間ではございますけれども、こうした四項目の修正案に沿って参考人の皆さんから御意見を伺っていきたいと存じます。

 まず初めに、経営委員会のメンバーに会長を加えるという点についてであります。

 福地会長、あるいは小丸委員長からは、いいことだというような御認識が示されました。また、民放連の広瀬会長からも、歓迎したいというようなお話がございました。私も、お仕事ぶりを拝見し、本当に福地会長のような方が経営委員会のメンバーに入るということであれば、それも活性化につながるのかなと思いますけれども、きょう、参考人の皆さんの御意見の中にもありましたけれども、なぜ昭和三十四年に法改正をして経営委員会のメンバーに会長が入らない措置になったのかといえば、やはり会長の権限が非常に強大である、そして、監督と執行を明確に分離してやっていった方がいいんじゃないかという、当時そういった事情があってこれを切り離したわけでございます。そして、現実に、今の経営委員会というのは、執行部、つまり、会長を初め理事の皆さんも出席をする形で進められているわけですから、運用で十分クリアできる問題ではないのかと私は思うんですね。

 今後も引き続き民間の方が会長になっていくということが前提であれば一つの答えかもしれませんけれども、しかし、これまでのようにプロパーの方が必ずしも、もちろん悪いわけではありませんけれども、組織内から会長が選出されて、その方が経営委員会のメンバーになるというのは大いに問題がある、こう思うわけでございますけれども、改めて小丸委員長、福地会長にその点をお伺いしたいと思います。

 その際に、例えば、経営委員会というのは、これは国会の同意人事になるわけですけれども、会長は今回含まれていないというのはちょっと整合性がとれないんじゃないかなという感じもしますが、その点についてもあわせて御認識をお示しいただきたいと存じます。

小丸参考人 ただいまの御質問に対しましてお答えをさせていただきたいと思います。

 冒頭、私もお話をしましたように、会長が経営委員会に入ることにつきましては、個人的には、会長が経営委員会に加わっていただければ、執行部との意思疎通はより一層スピード感を増していくというふうに御理解をしていただきたいと思います。

 そして、国会の同意とかということなんですけれども、現在十二人の経営委員がおりますので、会長がお一人入られても、それは十三分の一でございまして、委員が考えておられるような御心配はないかというふうに思っております。

 以上でございます。

福地参考人 御質問の件でございますが、冒頭申し上げましたとおり、執行と経営の緊密なコミュニケーションを維持するためにも、会長、執行部が経営の意思決定に加わるということは、私は自然なことではないかというふうに思っております。

 現在、仲が悪いのかというと、決してそうではございません。現在も極めて緊密でございますが、先ほどいろいろなお話もございましたように、経営課題、そして、経営委員、執行のメンバーというのは変わるものでございます。そういったことでございますので、これを制度としてやはり残しておく方が妥当ではないかというふうに考えております。

 それから、事実、こういった形は恐らくNHKだけじゃないかと。だけというのは言い過ぎかもわかりませんが、極めてまれです。実は、日銀の政策委員九名の中に執行責任者が三名入っておりますし、中央競馬会も経営委員会七名の中に理事長、執行部が一名入っております。イオンが九名の中に三名、ソニーが十五名の中に三名。多いところでは、大和証券グループは十四名の中に執行部が六人入っております。ゼロもあるのでございましょうけれども、気のついたところではございませんで、私の前職の場合も、むしろ意思決定の中に入っているのは執行の方が多い、もちろん両方入っておりますが、そんなケースもございまして、今、NHKの経営委員会十二名の中に執行がゼロというのはいかがなものかなというふうに考えております。

 それから、国会の同意人事になるんじゃないかという御指摘でございますけれども、実は、会長の任命につきましては、基本的に私がコメントする立場にはございませんけれども、今の仕組みの中で経営委員会が会長を任命することになっているのは、やはり、NHKという報道機関の執行の責任者の任命に際して政府や国会が直接関与することは適当でないという判断からだろうと思います。私は、この点は極めて重要だろうというふうに思っております。

 以上でございます。

秋葉委員 本当に、福地会長のような方が経営委員に入るということを前提に考えれば、よりコミュニケーションも密になっていいのかなという感じはしますけれども、これまでの歴史を振り返れば、会長が強大な権限を持って独走してきたということで、その見直しを図ろうという観点で分離してきたことを考えますと、慎重にしていただきたいと思いますし、むしろ運用の中で、今の経営委員会も、執行部側も入ってやっているわけですから、そういう運用の工夫で十分対応できるんじゃないのかということを御指摘させていただきたいと思います。

 それから、先ほど小丸委員長のお話の中でもあったんですけれども、経営委員会に何ら打診がなかった、意見の集約がなかったことは遺憾だという御指摘がありました。私もそう思います。

 実際、経営委員会の小林委員であるとか大滝委員も、会長が加わるのはある意味では方向性としては正しいかもしれないという前提を踏まえながらではありますけれども、執行権において会長の権限が突出しているという、看過できない点を手当てすることなく構成員とすることは、会長の権限の強化につながり、NHKのガバナンス上も適切ではないという意見を述べられております。

 まず、総務省あるいは審議会が経営委員会の意見を一切聞かずに決めたということに関しては、どのような認識をお持ちですか、小丸委員長。

小丸参考人 ただいまの御質問に対してお答えしたいと思います。

 委員によってはさまざまな受けとめ方があると思いますが、経営委員会として法律に基づいて職務を遂行するのみでありますので、特にコメントは控えさせていただきたいというふうに思います。

秋葉委員 会長の議決権は、会長の任命、選出を初め、幾つか制約がされておりますけれども、そういった問題点を指摘しておきたいと存じます。

 また、広瀬会長は、基本的にはウエルカムだというような御認識の御開示がありましたが、しかし、二元的なチェック機関としての分離ということのいい面もあるというお答えがございました。そういう意味で、結果的には会長を加えるのは悪くはないけれども、分離することのメリットもあるというお話だったものですから、どちらに力点を置いた方がいいのか、確認をしたいと思います。

広瀬参考人 ある時期、NHKの会長の力が大変に強くて、それを背景にNHKが予算をふやし、次々と関連会社をふやしていったという時期がございました。あの時期、別段、会長が経営委員会の中に席を置いておったわけじゃないんだけれども、やはり経営委員会を引っ張るだけの力を持っていたんだと思いますね。例の不幸な事件を契機に委員会が独自な発言をするようになってきて、執行部と経営委員会と緊張関係が続いたわけですけれども、その時期に予算の縮減だとか関連企業の整理だとか、そっちの方向が出てきた。

 そこは私は非常によかったと思うんですが、しかし、対立したままいつまでもいけるわけじゃなくて、やはりNHKというのは一体として国民に責任を持つべきで、経営委員会が予算を切ったから番組はこういうふうになりましたというのは、何のいいわけにもならない。そこはやはり会長が経営委員会にもちゃんと出て、発言もし、議論に加わって、合意を得ていくべき性格のものじゃないかなというふうに思います。

秋葉委員 二十分と時間が限られておりますので、まことに恐縮ですが、参考人の皆さんには簡潔に御答弁をいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、日隅参考人、山本参考人からは、会長が経営委員に加わることについての言及がございませんでした。どう認識されているか、簡単にお聞かせをいただきたいと思います。

日隅参考人 その点については、日弁連としては検討はしていないんですけれども、私見ということで言わせていただきますと、本来、経営委員の選任方法についてまず検討するべきであって、それをしないまま経営委員と会長の関係を検討するというのは、ちょっと順番が違うのではないかなというふうに考えています。

山本参考人 お答えいたします。

 私は、受信料を支払う立場から、今回の法案には、その点につきましては賛成いたしかねます。

 理由は、会長の権限というのはほかの機関に比べて強大だというお話がございましたけれども、日本銀行の場合は、理事の任命は財務大臣でございまして、執行機関の中でパワーバランスが図られております。それから、日本中央競馬会の場合は、経営委員会に加わっておられますけれども、そこでもし理事長のお話ばかりが通ったといたしましても、最後には農林水産大臣の一般監督権限がございまして、ちゃんと防壁が設けられております。

 これに対しまして、NHKの組織というのは、組織的にすべてが会長に集中しておりまして、言ってみれば、言葉が強過ぎるかもしれませんけれども、制度的に独裁的な体制が認められている仕組みでございます。したがいまして、意思決定と執行機関の分離というのは、そこがまさに防御線でございまして、そこを乗り越えられてしまったら、後は何も防御線がございません。

 したがいまして、十三分の一とおっしゃいましたけれども、経営委員の皆様が、会長が言っているんだからそうだろうなというようなことになってしまいましたらば、執行機関においても会長の意見が通り、すべてが会長一人の意向で運営されていくことになってしまいます。そういうことは、受信料を皆が支払いましてNHKを支えるというような制度の趣旨に全く反することになると私は思います。ということで、反対でございます。

秋葉委員 今、お二人から明快な反対の意見、そしてその根拠のお披瀝がありました。

 やはり、一定の議論を経てこうした一つの結論が出たということであれば、我々もそのメリット、デメリットということになるわけでございますけれども、オープンな場で全く議論が行われないままに結論だけが示されたということに抗議を込めて、私もその問題点を指摘しておきたいと思うわけでございます。

 時間がなくなってまいりました。

 もう一つの大きな論点は、やはり電監審の権限強化という問題であろうかと思います。

 きょう、五名の参考人の皆さんのお話を伺っておりますと、運用の中で期待をしたい、恣意的な利用が行われないように期待をしたいけれども、しかし、法律を純粋に読めば大きな懸念があるというのは、五人の皆さん、共通認識ではないのかなというふうに思います。

 その中で、特に日隅参考人、山本参考人のお二人からは、単に議論が拙速なだけではなくて、まさにもっと時間をかけて慎重に議論を進めるべきだという危機的な認識が示されたところでございます。

 日弁連の宇都宮会長名での声明を見ましても、やはり本来こうした機関というのは政府から独立して設置するべきだという明快な御指摘がございます。また、実は民主党も、昨年の選挙のときの公約では、いわゆる日本版FCCをつくって、通信・放送行政を総務省から完全に切り離して独立性の高い行政委員会とするんだ、これが公約だったわけでありますけれども、またお得意の公約違反だと思いますけれども、むしろ電監審の権限を強化するという、逆の方向にかじを切ったのではないかと私も同様の問題意識を持っております。

 特に、日隅参考人からは、ドイツやイギリスの具体的な事例を中心に、ヨーロッパでの先進的な取り組みのお披瀝がありました。改めて、今回の改正による権限の機能強化という問題点について御認識をお聞かせいただきたいと存じます。

日隅参考人 その点につきましては、先ほど時間をいただきましてじっくりとお話をしましたので、繰り返しになりますとあれですけれども、独立性という点について言えば、人選と経済的な部分、財政部分、この二つをいかに政府から独立させるか、あるいは、政府以外の機関あるいはスポンサー、そういうところから独立させるかというところを十分に検討していかなければならないと思うんですね。

 その部分を検討しないままで、私の方から見ると、何か総務省の上にそれを監視するようなものを乗せることで、独立性について、もうこの件は終わっていますよというふうな形で終息をさせられるのではないかなということを非常に懸念しておりまして、先ほど言いましたフォーラムの方で検討しているところですので、そちらで十分に検討をしていただいてから、どういう制度にするかということについて決めていっていただければというふうに思っております。

秋葉委員 山本参考人にも、同じ質問で、電監審の権限強化の問題点について改めて御認識をお披瀝いただきたいと思います。

山本参考人 お答えいたします。

 総務大臣のお気持ちは、先ほど申したような電波監理審議会のアドバイスを有効に生かしていこうということだと思いますけれども、条文上、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保することに関する重要事項」というふうに入っておりましたらば、だれが見ましても、放送の内容に関することがここで扱われるんだなと思うのが自然だというふうに思うわけでございます。したがいまして、このような条項が入っていることには、やはり反対でございます。

 以上でございます。

秋葉委員 あっという間に二十分がたちまして、まだまだ参考人の皆様にはお伺いしたいことがたくさんあったんですけれども、やはり後段の問題につきましては、運用者がだれになるのか、具体的に言えば、総務大臣はだれが任命されて務めるのか、あるいは時の政権がどうなのかというような御指摘がありましたけれども、だれがそういう立場になっても、わかりやすくて中立的なものであるということが前提に今後議論が進められなければならないということを強く申し上げまして、私の質問にさせていただきたいと思います。

 きょうは本当にお忙しい中、御臨席をいただきまして、改めて御礼と感謝を申し上げます。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 五人の参考人の皆さん方、本当にきょうは、比較的短期間でのお呼びかけで、御都合もそれぞれおありだったと思いますが、お集まりをいただきましたこと、心より感謝を申し上げたいと思います。

 二十分ということですので、早速質問をさせていただきます。

 初めに、小丸委員長にお伺いをしたいと思います。

 経営委員会の委員長として、今、月に二回程度と、大変御熱心な御議論をいただいているようです。私、NHKのホームページから経営委員会のことをちょっと勉強させていただきますと、出席者という欄がございまして、もちろん十二人の経営委員会の皆さん、御熱心に参加をしていただいているんですが、その下に、福地会長初め理事さんまで、ほとんど同数に近いほどの皆さんのお名前が挙がっております。

 もちろん議決権はないというのが今の現状ですから、そのことはよく存じ上げているんですが、この経営委員会そのものは、十二人の経営委員の皆さんと同数に近い皆さん方が一緒に参加して議論をされているというふうに私は想像しているんですが、議決の場合は、多分退席されているのかどうか、その辺も含めて、経営委員会の議論の様子について、状況について初めにお伺いをしておきたいと思います。

小丸参考人 ただいまの御質問に対してお答えをしたいと思います。

 まず、経営委員会は十二名から構成されております。当然、委員のおっしゃるとおり、会長を含めて執行部の方々も御同席をしていただいております。その場で議決を、経営委員の中で議決をし、それが議題として可決されるわけでございまして、経営委員すべての者がそれに対していろいろと、執行部に対しては質問しながら、相互にコミュニケーションを深めております。

 そういったところでございます。

西委員 ありがとうございます。

 議決の際はどういうふうになさっていますか。

小丸参考人 議決の際は、経営委員会十二名の、それぞれの賛同を得て議決をしております。

西委員 会長、補足的に何かございましたら、この様子について、経営委員会の状況について。

福地参考人 経営委員会の進め方について、私はコメントをする立場にございませんけれども、現状のコミュニケーションは円滑に図られているというふうに考えております。

 私が申し上げておりますのは、先ほども申しましたが、経営課題と経営委員会のメンバー、執行部のメンバーというものは変更する場合がかなりあります。そういった中で、現状がいいからということではなくて、これはやはり制度としてきっちりと決めておく方がいいんじゃないかという持論からでございます。

 以上でございます。

西委員 今、制度としてというふうにおっしゃいましたが、まさしくそのとおりだと思います。今がいいとか、今がぎくしゃくしているとかいうことではなくて、今後、一つのルールとしてこの問題をどう取り扱うかということが大事だと思います。

 御存じのように、経営委員会が会長を選任される。その選任された会長が、今度は十三人目として、経営委員会の議決権を持った一員として参加をされる。同時に、会長は、理事さん初め経営陣の任命をされる。こういうことでもって、会長がお一人経営委員会に入る、十三分の一というには、この一人の動向が大変大きい影響を持っているということと同時に、将来、十三人目として迎え入れる人を、経営委員会が受け入れるということを前提に会長を任命されるということも、その会長選任に、この十二人の皆さんのお気持ちが全く映らないわけではないというふうに思うんですね。全く議決権のない他人さんではないということも含めて、一人が入るということだけではなくて、やはり非常に大きな一名であるということを認識しなければいけないと私自身は思っております。

 同時に、今回、一名プラスということで十三分の一というのは大臣もおっしゃっておられるんですが、その中身について、私は、余りにも拙速で、そして、どういう考え方でもってこの一名を入れるのかということが残念ながら、依然としてまだ本委員会でもはっきりと認識できないという状況にございます。その点について、これからさらにまた委員会でも詰めていきたいと思いますが、そういう状況であるということをお知らせしておきたいと思います。

 小丸委員長は、監督と執行の分離という今までの前例よりも、この方が、お互いが意思の疎通が図れていいというふうに先ほど結論づけられましたけれども、そのことについてはお考えは変わりませんでしょうか。

小丸参考人 今も十分、福地会長は、民間の力として数多くの経験を持たれて、私どもに対しても御回答いただいております。

 しかしながら、月二回という決められた時間内での議論でございますので、いろいろな臨時にやる経営委員会も含めて、もっともっと密接にコミュニケーションが図れることが、経営のスピードにより一層効果が出るのではないかなというふうに感じております。

西委員 このことに関して、日弁連の日隅参考人は、先ほどちょっと、そういうお考えとは逆のお考えをおっしゃっておられたように思うんですが、今の委員長の御答弁に対して、何か御意見がございましたらお願いしたいと思います。

日隅参考人 その点については、具体的にその関係がどうなっているかについてもちょっとわからないものですから、あれなんですけれども。

 先ほど述べたのは、選任方法の話をしたと思うんです。経営委員のメンバーに本当に適切な方が選ばれている、現状のように適切な方が選ばれている場合であれば構わないと思うんですけれども、経営委員にどのようなメンバーが選ばれるかによって、会長が権限を行使する、その行使の度合いというものは随分変わってくると思いますので、経営委員会の委員をどのように選ぶかということを、適切な人材を適切な方法で、透明度の高い方法で選ぶようなことをぜひ検討していただきたいというふうに思います。

西委員 続きまして、福地会長に、先ほど電監審のことについての表明がございました。慎重に対応されたらいいんじゃないかという趣旨の意見陳述がございましたけれども、先ほどからさまざまな御意見がございました。

 私は、今回の電監審における建議の件につきましては、事前の十分な皆さん方への説明もなかったようでございますし、やはり拙速ではないか。一方では、総務省、大臣を中心とした議論がまだ続いている。国民の権利保障の在り方を考えるフォーラムというものの議論が続いている最中にこういうことでお出しになるということは、やや議論が生煮えではないかというふうに思っております。

 この件について、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

福地参考人 先刻も私は申し上げましたけれども、NHKと民放連が共同で組織をつくりましたBPOがございます。BPOの中でこれまでも、番組その他、放送のあり方については極めて適切に検証されてこられたというふうに私も感じ取っております。

 そういった自主的な検証の組織がありますだけに、改めて電監審でそういった権限強化が必要かどうかということについては、もっと慎重に検討されたらいかがかなというふうに考えております。

 以上でございます。

西委員 BPOとの関係について、もう少し十分な検討が必要であるという御意見があったように思います。

 次に、広瀬参考人にお願いをいたします。

 民放連盟会長として、さまざま事に当たっておられると思うんです。今回、来年のデジタル化に向けてさまざまな施策を、国も、もちろん皆さん方もNHKさんも全力で、この期日に間に合わせて、順調にデジタル化に移行できるようにという御努力をなさっているんですが、一方で、ラジオのことについて私は若干気になっております。

 もちろん、このことが来年の七月までに完全にデジタル化というような流れの中にはございません。しかし一方で、これがどういうふうに今後役割を果たしていくのか、さらに、その目的に向かって、どういうふうに流れていくのかというのがなかなか見えない状態にあるというふうに私自身は考えております。

 このことについて、きょうのこととは若干関係ないと言えばそうなのかもしれませんが、お伺いをしておきたいと思います。

広瀬参考人 御承知のとおり、ラジオは、テレビに比べまして非常に早い時期からコマーシャルが少なくなってきまして、赤字経営のところが圧倒的にふえております。これは、当初、FMはまだいいということでしたけれども、FM事業もまた同様の事態に直面しております。

 素人考えだと、テレビに比べて、ラジオのデジタル化というのは経費もかからないんじゃないかという気がするんですけれども、実は、ラジオ用の波というのは大変広い敷地を要しましたし、衛星を使えばまた別の話になってきますけれども、テレビどころでないお金の使い方が必要だとされております。

 先ほど話がありましたように、インターネットを通じたラジオというのはございます。しかし、ラジオの最大の特徴は、自動車の中で動きながら聞いていくとか、あるいは床屋さん、台所で働く主婦の方とか、何かをやりながら聞くというのに一番適したメディアでございまして、やはりこれの継続的なサービスというのはどうしても必要だろうと思います。

 デジタル化をどういうふうに進めるか、相当何度も案が練られ、コストが計算され、とても無理だということでまた次の検討に入る、そういう状況で現在進めております。早く結論を出し、必要ならば政府にもお願いして、ラジオサービスが継続できるようにやっていきたいというふうに考えております。

西委員 放送・通信分野は日進月歩で、今も、放送と通信が融合していく、そういう大きな流れの中にあって、ラジオというのは比較的地味な存在だと思うんですが、その必要性も先ほどおっしゃられましたけれども、災害時にまた緊急放送を流して、停電しても役に立つとか、そういうこともあろうかと思うんです。その目的と、これの存続、発展をやはり真剣に考えていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。

 次に、日隅参考人にお伺いをさせていただきます。

 先ほどから、この会長声明をお伺いいたしました。その上で、先日来の当委員会でのさまざまな議論がございますが、電監審の建議に対する我々の懸念に、大臣の最終の御答弁は、放送法第三条の「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」この文言が非常に大きな意味を持っていると。

 もちろん、そのことは私らも当然そうだと思うんですが、ゆえに、皆さん方が御懸念されるような、放送事業者に対しての自主的な建議とかそういうものはあり得ないんだ、こういうのが再三の質問に対する結論だというふうに私は受けとめているんですが、このことについての御見解をお願いしたいと思います。

日隅参考人 お答えいたします。

 今の点につきましては、実は、私はNHKを相手に訴訟を起こした事件の代理人をしたことがありまして、あのETVの番組改編事件で、原告側の代理人をしたことがあるんです。

 あの事件の中で、かなり多数の国会議員の皆さんに対してNHKの職員の方が予算の説明等に行かれているというようなことが明らかになって、そのことは、恐らくその段階ではほとんどの国民が知らされていなかったことなんだろうなと思うんです。当然、当時もその三条なるものはあったわけで、そういうものがあっても、実態としてはそういうことが行われていた。だからこそ、直接的に総務省、行政が放送行政にかかわるのではなく、独立したものとならなければならないということははっきりしているわけです。

 ですから、三条があるからどうということではなく、三条があることによって何がしか歯どめになるということは、それは全く担保にはならないんだというふうに考えています。

西委員 今、日隅参考人からの御答弁がございましたが、やはりこの問題は表現の自由をつかさどる大変重要な項目ですので、確かに大臣がおっしゃるように今の法体系、今、それでも、実際の行動はそうではないんじゃないかという御指摘がございましたけれども、今後、決められた法律の範囲の中でという、今はたとえそうであったとしてもこれがまず決められて、しかる後に法律をというのは、毎回毎回改正を繰り返すものですから、懸念のあることはやはり削除をしておくということが順番として、我々の根本的な立場、問題として大事じゃないかなというふうに思っておりますが、その点について、もうちょっと補足をお願いできればと思います。

日隅参考人 先ほどちょっと明確でなかったかもしれませんけれども、やはり、放送あるいは表現の自由を制約する方向で働き得る余地があるものについては、それがわかったのであれば、それについては、そういう条項を設けないということはきちっと考えていかなければならないというふうに思っております。

西委員 最後に、山本参考人にお願いをいたします。

 同様に、電監審の建議についての御見解、先ほど他の委員からもいただいたんですが、簡略にお願いできればと思います。

山本参考人 お答えをいたします。

 今お話を伺っておりまして、私は若干奇異に思いました。

 といいますのは、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と書いてございますけれども、放送法自体の中にも、まさにこの「法律に定める権限に基く場合」として定めてあることがたくさんございます。したがいまして、まさに逆で、例外としての「法律に定める権限」に当たるのではないかというふうに私は考えます。

 以上でございます。

西委員 懇切丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。

近藤委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 五人の参考人の皆様には、それぞれのお立場から貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。

 電波監理審議会の権限強化の問題や、また、NHK会長が経営委員会の構成員となり議決権を持つ、この問題については同僚委員からそれぞれ質問もあり、皆さんのお立場を伺わせていただきました。これは、この法案の入り口のような話でありまして、実際の、本体の方で少しお聞かせいただきたいんですけれども、お尋ねしたいのは、いわゆるハード、ソフト分離の問題のところでございます。

 最初に、広瀬参考人にお尋ねをいたします。

 このハード、ソフト分離の問題につきましては、放送局への監督権限を持つ総務大臣が、放送番組の編集を行う事業者を直接審査、認定することになるのは、行政による放送の自由への介入の余地を生むのではないのか、こういう懸念の声が上がっているわけですけれども、これは、研究会の報告が出されたとき、二〇〇七年の段階で民放連としても意見を出されておられます。

 そこにおきましては、これまでの「電波法に基づく放送局免許は施設免許であり、番組内容に対する行政の直接的な審査・関与を防ぐことで、放送の自由を制度的かつ厳格に保障してきた」、このように指摘をして、この「法体系をレイヤー型に転換することには」「番組内容に行政が直接的に介在することを認めるものであり、反対である。」と述べておられたわけであります。

 実際に法案が出されました。この法案を受けて、広瀬参考人のこの問題についてのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

広瀬参考人 放送法の一条と三条で、表現の自由、放送番組編集の自由ということが保障されております。これは放送法本法の一番基本的なところです。一方、電波法七十六条で、電波法というのはいわばハード面に対するいろいろな規制、安全措置というようなことが中心になるわけですけれども、その電波法の方で、いきなり放送事業の免許の停止、一時的停止だとか、期間を決めた停止だとか、そういうのができる。そこに三条の二違反も入ってくるような読み方になってしまった。そこに私たちは危惧を表明してきたわけでございます。

 今回、その部分は大きな変化がないまま書かれておりますけれども、我々の解釈は、そういう規定はあるものの、これは、立法の際に、最後の最後になって電波法に挿入したものであって、これまで当局側から、放送法の三条の二関係に係るもので放送事業の免許停止をすることはあり得ない、法制上もなかなか難しいんだという説明を受けてまいりました。

 今回、確かに大きな改正の時期だから、その点についても何らかの、もっとわかりやすい、だれが読んでも三条の二違反で免許の停止はそう簡単にはできないわという、そこを求めたい気持ちはあったんですけれども、また大変な時間もかかるしということもあって、当面は、これまでの経緯を踏まえて認めてきたということでございます。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

塩川委員 今までの施設免許、電波法上の免許に当たりましても、実際には、番組準則に沿うような中身について、免許の段階でさまざまな資料の提出というのは現行も求められてきた。私は、それ自身が、それでいいのかという問題があると思っております。

 それが、今回は放送事業者という形で、直接、放送の編集を行う事業者に対しての認定ということになると、いわばむき出しの形で出ることになるんじゃないのか。ですから、民放連の皆さんにとってみれば、ハード、ソフト一致、免許も電波法の免許でいいという改正があればそれでよしということではなくて、認定を受ける新規の参入者、そういう事業者にとって懸念があるという問題は残されているんじゃないかなと思うんですが、その点でのお考えはいかがでしょうか。

広瀬参考人 極めてありがたい御指摘でございますけれども、私たちの主たる関心事は、ハード、ソフトの一体といいますか、一体も認める、分離もよし、そういうところに大きな結論が出たということで、この改正をウエルカムということになりました。

 ハードの方とソフトの方の審査が別々になって、今度はソフトの分野が厳しくなるんじゃないかという点については、私たちはそういうことはないものと考えております。大臣の答弁でそこを聞いたという経緯はまだございませんけれども、それは、これまでどおりというふうに受けとめております。

塩川委員 わかりました。私自身は、その点での懸念を持っておるわけでございます。

 続きまして、この点につきまして、日隅参考人と山本参考人にもお伺いしたいと思っているんですけれども、ハード、ソフト分離に置かれる中で、放送局への監督権限を持つ総務大臣が、放送番組の編集を行う事業者を直接審査、認定するということになるのは、行政による放送の自由への介入の余地を生むのではないのかという懸念をやはりぬぐえないと私は思いますが、日隅参考人のお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

日隅参考人 その点については、まさに御指摘のとおりだというふうに考えます。

 民放労連の方も、その点につきましてたしか意見を出していたかと思うんですけれども、番組の内容等に直接影響を与え得る制度になり得るのではないかというふうに思っております。

 以上です。

塩川委員 山本参考人に伺います。

 冒頭の意見陳述で、百七十四条の話もございました。私は、ハード、ソフト分離の問題とも兼ね合わせて、放送番組の編集を行う事業者を直接審査、認定する立場にある総務大臣が業務停止命令をできる権限を持つということが、放送の自由を侵害することにもつながるのではないのか。今回の認定制度の持つ問題点、あわせて、この業務停止命令との関係について、お考えのところをお聞かせいただけないでしょうか。

山本参考人 お答えいたします。

 百七十四条は、現在の電気通信役務利用放送法などと同じような形で書かれておりますけれども、このような放送の業務の停止などということに関しましては、やはり具体的に限定をして、どういう場合ならば業務停止になるのかということははっきりさせていただきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

塩川委員 ありがとうございます。

 続いて、放送の定義の問題について、日隅参考人と山本参考人にお伺いをいたします。

 放送法の第二条で、「「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信をいう。」という形で、「無線」から「電気」通信という形に変わるわけであります。

 その際に、インターネットコンテンツが放送の対象となるのかどうかということが随分ネット上でも話題となっておりましたし、大臣は繰り返し、そんなことはないんだということでありますけれども、法文上で見た限り、どういう違いがあるのかというのがなかなかよくわからない。

 当委員会での議論におきましても、では、こういうインターネット上の動画サイト、ニコニコ動画とかあるいはユーチューブとか、こういうのとどう違うんだという話をすると、ユーチューブやニコニコ動画などは、画面を開いたからその動画をすぐ見られるものじゃない、ボタンを押さなければ、その求めに応じてでなければできないんだという説明なんですけれども、ボタンを押すという点でいいますと、テレビもボタンを押すのは同じなので、そういう点でも、もう少しきちっとした説明がないと納得が得られないというのが多くの皆さんの声ではないかなと思っておるわけです。

 ですから、これで本当にそういうことが言えるのかということについて私は若干心配をしておりまして、日隅参考人、山本参考人、それぞれお考えがございましたらお聞かせいただけないでしょうか。

日隅参考人 今、放送の定義の話なんですけれども、連休前に、あるインターネットの番組の中で私自身が、インターネットも含まれるのではないかという趣旨の発言をしたこともありまして、私自身、あの法文を読んで、「直接」という部分についてどのように理解するのか、その法文上だけの解釈では、インターネットのコンテンツが除外されているということが必ずしも明確にはなっていないのだと思います。

 もちろん、これまでそのような運用がされてきているし、実際に今後もインターネットは含まないということで運用されるんだろうというふうには思うんですけれども、やはり法律というものは条文の解釈が客観的に明らかになるようにしていただかなければならないというふうに考えておりますので、もう一工夫して、その点がはっきりわかるようにしていただければ、私みたいに間違える者が出なくて済むし、変な憶測を生むこともなかったのではないかと思っております。

山本参考人 お答えいたします。

 日隅参考人の御意見でほぼ尽くされていると私は思いますけれども、放送法上、「公衆によつて直接受信されることを目的とする」という部分と、ここは電気通信事業法が引いてありますので、先ほどのような説明では、IPTVなども含めまして、はっきりするのかしないのか、どうもいま一つわかりかねているところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 次に、番組基準の問題について、広瀬参考人にお伺いしたいんです。

 今回の法改正の部分で、番組調和原則について、時間、種別などについての公表ということもございます。この問題について、民放連としてどのように受けとめておられるのか。法律においてそもそも規定するべきものなのかどうなのか、こういう点についての疑念も持っておるわけですけれども、広瀬参考人、また民放連としてのお考えがございましたらお聞かせください。

広瀬参考人 基幹放送の場合に、総合編成というのが条件になっております。

 総合編成とは何かということを一言で言うならば、報道もドラマもバラエティーもスポーツも教育、教養も、バランスのとれたものにしてもらいたいということだろうと思うんです。では、どの番組がそのうちのどれに入るのか、せめてそれは世間にも公表して、なるほど総合的な編成になっているなというような同意を得るようにしたいというのが今回の公表を求めるゆえんじゃないかと思います。

 といいますのも、例えばショッピング番組の位置づけが大変問題になってきまして、あのショッピング番組というのはCMそのものじゃないのか、つまり広告そのものじゃないかというのと、いやいや、そうじゃなくて、重要な生活情報を含めたものもあるので、一概に広告とは言えませんというような議論をしてまいりました。

 何をどの分野に入れるかというのは放送局が自主的に決めておりますけれども、今回、それが外にもちゃんと、きちんと公表されることによって、一体これが教養番組に入るのかどうかとか大いに議論されれば、それはそれで我々の総合編成の役に立つだろうというふうに思っております。

 ただ、教養番組が何%なければならないとか、報道は何%だ、バラエティーは何%以下だというような規制は一切我々は受けるべきじゃありませんし、課すべきでもないというふうに考えております。

塩川委員 やはり何よりも真ん中に置かれなければいけないのは視聴者・国民の利益でございますから、視聴者・国民から見てどうなのかという点で、事業者として、その点についての自己規律、何よりも公表、公開するという原則そのものは必要だと思っておるわけです。

 そういう点についてのお考えと、あわせて、NHKとしてこの問題をどういうふうに考えるのか、福地会長と広瀬参考人に。

黄川田委員長代理 広瀬参考人、前段の部分を御答弁いただけますか。(広瀬参考人「済みません、どの点でしょう」と呼ぶ)

塩川委員 自主基準を設けるですとか、そういう点のお考えはどうでしょうか。

広瀬参考人 民放連の中にも放送基準審議会というのがありまして、この問題を議論しておりますけれども、やはり基本的には各放送局の自主的な判断で、ショッピング番組をどういうふうに位置づけるかというのは、各放送局によりまして、ショッピング番組そのものの内容にも大きな差があるものですから、全体的に規制を設けるということはできないだろうというふうに思っております。

福地参考人 放送番組の種目別の公表については、現在、新しい免許を取得するときにやっているというふうなことなんですが、この規制強化自体に反対するものではありませんけれども、この頻度がふえるということは、現場にはかなりの負担がかかってきます。その辺については御配慮をいただきたいというふうに考えております。

 以上です。

塩川委員 最後に、日隅参考人にお尋ねしたいのが、先ほど裁判のお話もございましたけれども、NHKとの関係での裁判を通じて、政治家の関与の問題ということについてのお話もございました。当委員会でも、「ETV二〇〇一」の問題についても随分議論になったわけであります。

 そういう点でも、やはり政治家が大臣として治める独任制の行政機関が放送行政を担うのではなくて、独立した行政委員会が担うという方向だと思うんですけれども、そういう点について、ヨーロッパのお話もございました。大きな流れになっているところだと思うんですが、そういう点で、今の段階における鳩山政権、原口大臣の対応方についてどのように受けとめておられるのか、お聞かせいただけないでしょうか。

日隅参考人 その点について、民主党が中心となってだと思いますけれども、先ほど述べましたフォーラムの方で検討をされているというふうに聞いております。ですので、そこで十分な議論をされるのであればいいのだろうと思うんです。

 ただ、今回出てきた法案とそのフォーラムの中での議論との関係というのが少し見えにくいんだと思います。大臣は、それは関係ないんだ、別途きちんとフォーラムの中で検討していくんだというふうに言われてはいるんですけれども、では、なぜこれだけ批判のあるものについて強引に押し切ろうとされているのかということについては、少しわからないところがあります。

塩川委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 参考人の皆さんにおかれましては、大変お忙しい中、時間を割いて本委員会に御出席をいただき、本当にありがとうございます。感謝を申し上げます。

 そこで、早速質問に入ります。

 まず、今回の放送法改正案、百八十条、電監審の建議が入っているわけでありますが、この点について、先ほどもございましたが、私も、放送内容への介入につながるものではないかという疑問と懸念を持っているわけであります。また、そういう意見がいろいろな立場の方々からも示されている。

 そこで、福地参考人と広瀬参考人、放送を担っておられる立場からこの点をどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

福地参考人 私どもNHKは、公共放送として不偏不党、公正中立ということを貫いて編集方針に当たっております。その一方で、やはり編集権の自律ということもございます。この検証機関として、先ほど申し上げましたが、BPOという自主的な組織も持っております。それだけに、電監審の権限強化のあり方については、これまでも十分議論されておるようでございますが、この議論を尽くしていただきたいというふうに思っております。あくまでも、私どもは、やはり自主的な判断の中でやっていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

広瀬参考人 放送番組編集の自由というのは、放送事業者に便利がいいようにということから規定されているんじゃなくて、まさに民主政治の土台だからみんなで守っていこうよということだろうと思います。

 放送事業者としては、できるだけ放送被害を出さないようにしなくちゃならない。そう努めつつも、出てくるのがまさにそうした傷のある番組ということで、その際には、できるだけ早く訂正し、迷惑をかけたところにはきちんとおわびをし、なおかつ再発防止策を自分たちでつくっていくというのが筋だろうと思います。

 確かに、民主党政権は、原口大臣の就任直後に自由のとりでフォーラムというのを立ち上げました。憲法、法律で守られているだけでは不十分で、なおかつ、今必要な、そうした表現の自由を守っていくためには何をすればいいか、みんなで考えようということから出たフォーラムでございます。私たち放送事業者もそれに参加しておりますけれども、そうしたやさきに、一方で電監審の機能をもって行政を牽制するというのはどうだろうと民主党は考えたと思うんですけれども、その点はやはりもろ刃の剣だということを自覚していただくべきだろうと思います。

 フォーラムでは十分に議論も進んでおりますし、それを待っていろいろまた新しい工夫をされたらどうかというのが私の心境でございます。

重野委員 法律専門家の立場から、日隅参考人はこの点についてはどのようにお考えでしょうか。

日隅参考人 今の点につきましては全く同じでして、せっかくフォーラムの方で議論をされているわけですから、フォーラムでの結論をもって、しかも、フォーラムの結論というのは何年後も先ということにはなっておりませんで、年内に一定の結論を出すというようなスケジュールにもなっていると思いますので、十分に待てるのではないかというふうに考えております。

重野委員 山本参考人にお伺いいたしますが、今の点について御意見をお聞かせください。

 加えて、現行法でも五十二条の二十四で同様の文言があります。改正案百七十四条の業務停止の条項、これについてはどうとらえておられるか。

山本参考人 お答えいたします。

 前段につきましては、広瀬参考人がおっしゃったとおりだと私は思っております。

 ある雑誌のインタビュー記事で、総務大臣は、言論の自由のとりでを築いていくことに関しまして、統治機構が電波法や放送法をもって放送事業者らに対して問題を起こしたときに免許取り消しなどの制裁を直接的に行う仕組みがいいのか、それとも中立的な機関が精査するといった別の形態があるのではないかということです、その形態についても考えていただきたいのです、こういうふうにおっしゃっておられるわけですけれども、私が懸念を三点申し上げましたけれども、何かもう既に放送法の中で先取りがされているような印象を受けてしまいますということでございます。

 それから、現在の放送法の五十二条の二十四につきましても、先ほど御紹介いたしました東京大学教授の長谷部先生も、この点については番組編集準則違反は含まれないものと解釈されております。それと同様でございます。

 以上でございます。

重野委員 日隅参考人に再度お伺いいたします。

 インターネットなどの新しいメディアが登場いたしました。現状は、過去とは比較できないほど市民が多種多様な情報を得ることができる、あるいは逆に発信したりするようになっている。こうした新しい環境のもとでの放送体系のあり方、また、そのあり方を決めるプロセス、それについてどのように考えておられるのか、お聞かせください。

日隅参考人 その点につきましては、結局、現状の放送法、あるいは放送と行政のかかわり方等について十分な議論がされてこなかったのではないかなというふうに思うわけです。それは、国民的な議論という意味でされていなかったのではないかと思います。

 例えば、FCC等であれば、クロスオーナーシップの問題を変更するに当たって、何万人規模の集会というものが全国各地で行われて、その結果、どういう形での制度にするかということが議論されるわけですけれども、そういうことが行われていないままインターネットについてもこれまでと同じような形で規制がされていくということについては非常に懸念を抱いておりまして、せっかくの機会ですから、フォーラムで十分に諸外国の制度もあわせて検討していっていただければなというふうに願っております。

重野委員 次に、広瀬参考人にお尋ねします。

 景気の悪化ですね、以前から地方局の経営は本当に厳しい状況にあるということは御案内のとおり。この問題について、民放連としてどのように考えておられるかということが一つ。

 また、多様な情報、地域に密着した報道、これは地域にとっては不可欠なものです。昨日の委員会でも質問したんですが、地方局の番組制作の割合は一四%程度なんですね。あとは全部東京から配信されている。この点について、一四%程度というこの数字についてどのような見解を持っておられるのかということが一つ。

 さらに、たびたび問題になってきたわけですが、番組制作における下請の問題です。聞いてみると、極めて劣悪な条件のもとで番組がつくられている。そのことは即番組の質の問題にもつながっていくんだろう、このように思うんですが、民放連としてどういうふうな認識を持って、どうしようと考えておられるか。

 その三点についてお伺いします。

広瀬参考人 まず、百二十七社あります民放テレビの経営状況でございますけれども、確かに、リーマン・ショックとデジタル投資の二つの大きな問題が重なりまして、地方局では大変決算が苦しくなっております。間もなく二〇〇九年度の全体の数字が出てまいりますけれども、二〇〇九年度の前期は、半数近くがやはり赤字に転落いたしました。幸いなことに、テレビ局で、放送局で倒産した例はございません。倒産しなければいいのかといいますと、そうではなくて、やはりきっちり地域番組をつくり、放送し、地域の人々の必要な情報を伝えていくという大きな役割を放棄するようでは、これは失格と言わざるを得ません。

 先ほどの一四%という数字でございますけれども、実は、これは諸外国の地方放送局に比べますと、大変いい数字なんです。といいますのも、一日二十時間以上放送がございます。その大半は、キー局もそうなんですけれども、ドラマだとかバラエティーだとか、全国共通のものを出しております。報道、地域情報の時間が、いわば各キー局と各局とで一緒でやってみたり違ったりするわけですけれども、その地域情報の数字全体でも、大体、時間的には二〇%あるかないか。そのうちの一四%は地域でつくっていくということになりますと、これはかなりのいい数字というふうに思います。

 つまり、三時間近く地域の情報、これはニュースだけではなくて、いろいろな、リポートものもあると思いますけれども、相当の数字で、私はむしろ、これがもっと低い局もある、平均で一四と思いますが、非常に低い局もあったりするのを心配しております。

 最後に、ローカル局だけでなくて、プロダクションも大変なんじゃないかという御指摘ですが、まさにそのとおりで、放送局からの番組制作の予算が削られるために、プロダクションでは放送局に輪をかけたきつい状況になっております。では、どういうふうにやれば現在の状況が好転できるかということになりますと、私たちは、放送事業者について言うならば、まずは、早くデジタル一本やり、アナログ停波を無事にやり遂げること、これが一つでございます。それから、不景気をまともに受ける体質から、少しずつ多方面への業域を広げていく努力も必要だろう。さっき、きょうは通信への進出というのがしばしば出てきましたけれども、それも一つでございます。

 ともかく、地方の放送局にはやはり独自の取材活動を通じて地域の皆さんに満足してもらえる放送文化を提供しなければならないわけで、ただただ生き延びたというだけではしようがない。私たちもその辺は十分自覚しております。

重野委員 同様にNHKの方にも聞いておきたいんですが、いわゆるローカル番組の比率というのは徐々に上がっていっておるのか、そうでないのか。これはやはり大事なことなんですね。地域に密着したNHKというふうになれば、例えば私のところでは大分放送局ですが、大分放送局が自主番組をつくって、地域の人々が参加できるんですね。そういう点についてはどうなんですか。

福地参考人 NHKでは、昨年度を初年度、ことしは二年目とする中期経営計画をつくりまして、その中期経営計画は「いつでも、どこでも、もっと身近にNHK」というスローガンのもとにつくったわけですが、その九つの方針の中の一つに、「放送局のちから」、五十三の放送局が各地域の力になろうということがございます。これは各放送局長がホームページで公開をいたしております。

 その中で、どういうふうな形で地域の力になるか。一つはローカル放送の強化でございますが、ローカル放送の強化について各放送局長に意見を聞きました。放送時間を延ばすことが必ずしも地域の力というふうには考えておりません、放送時間についてはほぼ今が適切だろうというふうに考えております、これは放送局長の声が。ただ、ローカルをローカルに流すだけではなくて、ローカル放送のしかるべきものを全国発信してほしいと。

 実は、私は、先々月でございましたか、関西に行きまして、某県知事と会いましたときに、神戸放送局長も一緒に行きまして、あなたのところの地元のニュースを世界に発信したらどうですか、今、NHKには国際放送もあります、地域の元気を国際的に発信していくお手伝いもできますよと。これは放送局長に、英語の堪能な記者もいないといけませんが、その放送局にはたまたまそういった記者もいる、それで英語で取材をして、実際に国際放送で流したことがございます。そういったものを国際的に流すあるいは全国に流す。そして、地域の元気を、それは観光情報もあります、環境状況もありますし、いろいろな各地域の元気を流していく。その方が、時間よりも、内容の質的なものを各放送局長は求めているようでございます。

 以上でございます。

重野委員 時間が来ましたので、以上で終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、放送法の改正案で今与野党の修正協議が始まっております、その内容に照らして少し参考人の皆さんの御見解を伺っていきたいというふうに思っております。

 まず、電監審の機能強化にかかわる条文でありますけれども、この件については、自民党さん、公明党さんから、電監審の機能強化の改正は行わないという内容の修正案が今提出をされております。こうした状況でありますので、各参考人にお伺いをしたいんですけれども、山本参考人から順番にお伺いをしていきたいというふうに思います。

 この電監審の機能強化、そもそも行うべきなのか行うべきでないのか、そして、今すぐに行うべきことであるかどうか、この三つについてどのお考えをとられるかということを、端的に、簡潔に、結論だけで結構ですので、おっしゃっていただければと思います。

山本参考人 お答えいたします。

 私は、すぐにそういうような措置をとるべきではないというふうに考えます。

日隅参考人 私も、行うべきではないし、すぐに行うべきでもないと考えております。

広瀬参考人 あす行うべきではないという意見です。

福地参考人 表現の自由にかかわる問題でもございますので、もっと慎重に審議を進められたらいかがかというふうに思っております。

小丸参考人 私も、この件につきましては、慎重に審議をしていただきたいというふうに考えております。

柿澤委員 きょうお招きをいたしました参考人の皆様方は、各政党の推薦によってお集まりになられた、いろいろな立場を持った方々だと思います。そして、共通に、放送というものにかかわられ、見識を持たれている方々。そうした方々が、全員そろって、今回の電監審の機能強化の法改正を行うべきでない、あるいは慎重な議論をするべきであって今すぐに行うべきではない、こういう御意見をお持ちであるということが今明らかになったと思います。この点はしっかり踏まえて、これから修正案の協議をしていかなければいけないなというふうに感じているところでございます。

 NHK会長の経営委員会入りの部分についても、いろいろと修正案の議論の対象になっております。先ほど福地会長から、御自身からおっしゃっておられましたけれども、かつてはNHKの会長も経営委員会に入っておられた。昭和三十四年までというから、相当さかのぼった昔の話でありますけれども、経営委員会のメンバーであった時代もあった。それが変わって、経営委員会と執行部は分けられた、こういう状況になってきたわけです。

 福地会長の参考人としての陳述において、平成十九年の放送法改正からややバランスを欠いてきたという表現をされ、また、重要な案件が知らないところで議論をされてしまう、こういうようなことが見られるようになってきた、アメリカ的な経営と執行の分離というやり方でNHKのガバナンスをしていくことがいいのかということも、冒頭に疑義を呈されていたと思います。

 ここの部分について、福地会長の基本的な考えをまずお伺いしたいと思います。

福地参考人 私は、NHKの会長に就任する前から、ガバナンスのあり方について、経営と執行はある程度乗り入れをしている方がいいというのが私の持論でございまして、事実、先ほど申し上げましたけれども、最も先進的な経営をしておられる、例えばソニーをとりましても、十五名のうちの三人が入っております。三菱電機も十二名のうちの三名、大和証券グループも十四名のうちの六人、これは申し上げましたけれども、そういうふうにやはり必ず執行部門が入っている。

 そして、NHKの会長がプロパー出身の場合は、会長のあり方というものについて終始見ておりますから、会長というのは執行部門の長だということをずっと見ておりますからいいんですが、外部から、私も外部からでございます、外部から就任したときには、極めて違和感を感じます。

 外部から来る場合には、多分、ほとんどCEOを経験した方ばかりだと思います。私もCEOを四年経験しておりまして、NHKの会長になりますと、そういったところは全く権限としてない。これはやはり、NHKに限らず、ガバナンスのあり方としておかしいんじゃないか。とりわけ、ゼロというのは余りにも行き過ぎではないかというふうにかねがね思っています。

 以上でございます。

柿澤委員 今のお考えを、これまで総務大臣あるいは総務省の政務三役、そして総務省の事務方でも結構です、そうした方々にお伝えをしたことはありますか。

福地参考人 今回の放送法の改正と関連して申し上げたことはございません。私は、この持論で、いろいろな立場で総務省の方にもお話ししたことはございますが、放送法の改正と絡めてお話をしたことはございません。

 以上でございます。

柿澤委員 意見として伝えたことはあるということをおっしゃったんだと思います。

 今回のこのNHKの会長が経営委員会入りするという条項については、突然入ってきた、こういう言い方をされますけれども、一部の憶測で、これは福地会長が大変強く御希望されて条文化をされたかのようなことも言われております。そういう部分について、過去の経過がかなり影響しているのではないかというふうに思うんです。

 ここまで、特に平成十九年の法改正以来、経営委員会がかなり経営の重要事項について関与を強めてきたというのは客観的に見てもわかる。二〇〇八年の十月には、経営委員会が、執行部の皆さんがまとめられた次期経営計画案の承認を拒否するというようなことがあり、また、受信料の一〇%引き下げについて、その方向性を経営計画に盛り込むべきだというかなり強い主張を経営委員会側としてされて、執行部、会長を初めとする皆さんの側とかなり厳しい議論が闘わされたという経過がありました。

 そういう経過を踏まえて今回の法改正がなされることとなったかのようにも見えますけれども、この間、平成十九年以来の経営委員会とNHK執行部との関係について、福地会長はどのようにお考えになられているでしょうか。

福地参考人 通常の任期のうち、あと半年残し、二年半たったわけですが、二年半の経営委員会との交渉の中で、おおむねコミュニケーションはうまくいっていたと思います。

 しかし、やはり経営の根幹にかかわる、例えば今お話がございました受信料一〇%の還元、これについてはかなり話をしておりましたけれども、やはり執行部の意見とは全く反対の意見になってしまいました。もちろん、私が経営委員会に入っておりましても、十三分の一の議決権でございますから、それはやはり否決されたかもわかりませんけれども、しかし、議決権を持ってその審議に臨むかどうかということは、単に意見を聴取することと全く違うというふうに思っております。

 以上です。

柿澤委員 今、受信料の値下げ、一〇%還元については、執行部の意見と全く正反対の結論になってしまった、こういう率直な感懐を吐露されておられました。

 小丸委員長にお伺いをしたいと思います。

 去年の五月、経営委員長に就任されたときの新聞のインタビューで、この受信料の一〇%値下げは何としても経営委員長として実現をしたいということをおっしゃっておりますけれども、この点については今も御見解は変わりませんか。

小丸参考人 実は、私は、十六年の六月から経営委員に加わりました。十六年七月二十日に、初めにNHKの不祥事が発覚したわけであります。それから会長もいろいろかわられましたけれども、現在は福地会長のもと、経営委員会と執行部とは適度な緊張感を持っておりますし、いろいろと議論を通じた中では、やはりNHKが従来の体制に戻ってはいけないというような意思を踏まえて、一〇%、当時の経営委員の皆さん方もいろいろ議論をして結果として生まれたわけでありますし、基本的には、今現在も透明性をつけて、会長とともに、執行部とともに、前に向かっていくほかないというふうに考えております。

柿澤委員 ただ、これは客観的にというか第三者的に見ると、これまで法改正以降の経営委員会がNHKの執行部の経営方針にいろんな関与を強めてきた歴史を踏まえて、経営委員会が執行部の力の及ばないところでいわば勝手にNHKの経営の大方針を決めてしまうということについて、これではよくないんじゃないかという考え方に基づいて今回会長が経営委員会入りをする、一議席というか一ポストを得るということになった。第三者的に見ると、そういうふうに見えます。そういう意味では、平成十九年から三年間の経営委員会の、NHKの執行体制、経営に関する関与のあり方というものが必ずしもよくなかったんじゃないか。

 こういう前提があって今回の法改正の提案に至ったように思われますけれども、小丸委員長も、ずっとこの間、経営委員、経営委員長としてお務めになられてきた立場としていろんな思いがあるんじゃないかと思いますが、その点、お伺いをしたいと思います。

小丸参考人 委員が御心配されているようなことは全くございませんで、常に福地会長とはよくコミュニケーションをとっておりまして、その議論に対してはよく御理解をしていただいておるものと考えております。

柿澤委員 では、経営委員会そのものについて一つお伺いをさせていただきます。

 かつて、古森委員長が経営委員長に御就任をされたときに、安倍総理の勉強会のメンバーだということが言われまして、何か時の政権がNHKに対して送り込んだトロイの木馬だ、こういう表現をされる向きがいろいろなジャーナリズムの世界等々でもありました。そういう中で、今申し上げたような経営委員会の執行部に対するいろいろな問題提起というか、さまざまな議論が繰り広げられたわけであります。

 今回、政府がこのたび任期に当たって提示をしている経営委員会の顔ぶれの中にも、今回は政権交代が実現をしましたので、例えば倉田真由美さんだとか竹中ナミさんだとか、今まで民主党さんといろいろとおつき合いがあったり、あるいは民主党の個別の議員とかなり親しい関係を持っていたり、こういう方が経営委員としてリストアップをされております。

 もちろん、政府が人事をして、それが国会の同意を得る、こういう形で選ばれるわけですので、時の政府の恣意でこうしたことが行われるわけでは必ずしもないということは理解をしているところでありますけれども、こういう人事を一つ一つ見ていくと、やはり時の政権の意向というものが、それが何政権であろうと、経営委員会に影響を及ぼしていくんだ。それが間接的に、まあ、直接的にかもしれません、NHKの業務体制、経営方針、こういうものに影響を及ぼすんだ、こういう構造になっていることは見てとれる部分があるのではないかと思います。

 こうしたことについて、経営委員長としてはどのように考えておられるか。そして、その点について会長の御見解もお伺いをしたいと思います。

小丸参考人 お答えをします。

 私は選任される方の立場でございますので、コメントは控えさせていただきたいと思いますが、やはり公平公正、不偏不党ということで、経営委員会としてちゃんとした目的を持ってやらなきゃいけないというふうに思っております。

福地参考人 御指摘の経営委員の任命についてコメントする立場にはございませんが、とりわけ個々の経営委員のあり方について私は事実を存じ上げませんし、私たちは、どなたが経営委員であろうと執行部としての責任を着実に果たしていく、それが私たちに課せられたミッションだというふうに考えております。

 以上です。

柿澤委員 この法案とは直接関係ありませんけれども、経営委員の報酬についてです。

 よく見ると、非常勤で委員が年収五百万ももらえるということになっていて、これはえらい高いんじゃないかというふうに思うんですよ。常勤の経営委員長は、大変申しわけありませんけれども、これは三千万ぐらいもらっているんですかね。こういう報酬の体系について、去年のインタビューで、高い、引き下げたいということを小丸委員長はおっしゃっています。この件について御見解をお願いします。

小丸参考人 以前にもこういった件につきましてはいろいろと御質問があるんですけれども、経営委員の中には仕事上非常に大変な方もいらっしゃいました。海外へ出られたときに現地の放送局などを訪問されたり、いろいろな角度でいろいろなお仕事をされております。今後、将来は別としまして、やはり今の現状はこれが適当ではないかというように私は考えております。

 しかしながら、一方、経済情勢が非常に厳しいときでございます。委員のおっしゃる気持ちもよく理解をしております。

柿澤委員 ありがとうございました。

 先ほど塩川委員からもお話がありました放送の定義について、日隅弁護士にお伺いをしたいと思います。

 先ほどこの総務委員会でもこの放送の定義について、インターネットのニコニコ動画とか、ああいうものも繰り込まれてしまうんじゃないか、こういう懸念が出たということについて、先日、総務委員会の質疑で私が触れさせていただいたんですけれども、きょう、実は私、深夜二十三時からニコニコ動画のニコ生中継に出演をさせていただくことになっておりまして、このニコニコ生中継を見ている人は、これが通信であるか放送であるかということを意識して見ているわけではないと思うんです。クリックをして見るから放送には当たらないんだという内藤副大臣や総務省の見解というのは、先ほど塩川さんもおっしゃっていましたけれども、では、リモコンのスイッチを押してテレビを見るのとどう違うのだといえば、それは必ずしも明確ではない。

 そういう意味では、放送の外延が総務省の省令によって広げられることができる。答弁ではいろいろな歯どめを今かけています、私たちも質問してかけていますけれども、しかし、明文上はそういうことになって、総務省の一存でと言ったらなんですけれども、こうしたニコニコ生中継等も放送のコンテンツ規律にかかるということになりかねない条文立てになっている。

 要は、きょう十一時から私がニコニコ生中継で何か言えば、ニコニコ動画、ニワンゴですか、あの会社がいきなり放送停止命令を受けるということに、これは総務省の一存として条文上はなるということになっているわけです。

 この点について、日隅先生の御見解をお伺いしたいというのが一点。この点、いろいろ議論が出ていますので、どういうふうに変えていったらいいか、もしお考えとしてあれば、ひとつ……。

 もう一つは、山本先生が「放送文化」でクロスメディア規制について少し言及をされておられます。このクロスメディア所有規制について山本先生のお考えがあればお伺いをして、時間を超過していますので、この二問に答えをいただいて、終わりにしたいと思います。

日隅参考人 放送の定義につきましては、先ほども述べたとおり、やはりはっきりしていないということは明確で、これを普通の方が普通に読んで、放送と通信ときちんと区分けができているかというと、そうではない。だからこそ、この間、インターネットで騒ぎになったんだろうと思います。

 では、具体的にどのような形で定義をしたらいいか、それはとても難しいことだとは思いますけれども、ただ、一方的に流れてくるものを、不特定多数に対して流れてくるものをどういう形で受信するのか、その受信の方法について、一定程度、定義の仕方というのがあるのではないか。ちょっと私自身が具体的にどうしたらいいということを考えていなかったものですからわからないんですが、何かしらあると思いますので、明確に区別できるような定義をしていただければと思います。

山本参考人 お答えをいたします。

 放送というものは、その国その国によりまして、歴史的発展過程が放送のあり方というものに大変大きな影響を与えているものだと私は思います。日本の場合は、一九五〇年に放送法ができまして、そのとき以来、併存体制というものができているわけですけれども、戦後の復興のときから新聞社が民間放送の経営というものに大変尽力をされまして、それでただいま今日のような放送の発展があるのだと思っております。

 具体的な問題があれば別でございますけれども、いきなり附則のような形で問題提起をされるのは少し重た過ぎるのではないか、そういうふうに印象を受けております。

 以上でございます。

柿澤委員 時間が経過しておりますけれども、日隅先生が、放送の定義についてははっきりしていないということは明確だと。これはちょっとわかりにくい表現というか、何とも言えない表現ですけれども、この点については、やはり総務省令で放送の定義を決められるかのような条文になっている、このこと自体を変えなきゃいけないと思うんです。公明党さんの案にこの省令への委任ということを削除する提案がなされておりますので、こうしたことも一つの考え方かというふうに思っております。

 今出ている修正案の内容に従って御質問させていただきました。五人の参考人の皆さん、大変ありがとうございました。

近藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 次回は、来る二十五日火曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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