衆議院

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第5号 平成22年3月1日(月曜日)

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平成二十二年三月一日(月曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 岸本 周平君 理事 篠原  孝君

   理事 鈴木 克昌君 理事 高山 智司君

   理事 中塚 一宏君 理事 後藤田正純君

   理事 竹本 直一君 理事 石井 啓一君

      網屋 信介君    磯谷香代子君

      今井 雅人君    小野塚勝俊君

      大串 博志君    川口  浩君

      小林 興起君    小山 展弘君

      近藤 和也君    下条 みつ君

      菅川  洋君    空本 誠喜君

      橘  秀徳君    富岡 芳忠君

      中林美恵子君    野田 佳彦君

      橋本  勉君    福嶋健一郎君

      古本伸一郎君    山尾志桜里君

      渡辺浩一郎君    渡辺 義彦君

      田中 和徳君    竹下  亘君

      徳田  毅君    野田  毅君

      山本 幸三君    竹内  譲君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   財務大臣         菅  直人君

   国務大臣

   (金融担当)       亀井 静香君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   財務副大臣        峰崎 直樹君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    古谷 一之君

   政府参考人

   (国税庁次長)      岡本 佳郎君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     中林美恵子君

  岡田 康裕君     空本 誠喜君

  豊田潤多郎君     渡辺浩一郎君

  古本伸一郎君     磯谷香代子君

  和田 隆志君     川口  浩君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     古本伸一郎君

  川口  浩君     和田 隆志君

  空本 誠喜君     橘  秀徳君

  中林美恵子君     小野塚勝俊君

  渡辺浩一郎君     豊田潤多郎君

同日

 辞任         補欠選任

  橘  秀徳君     岡田 康裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第三号)

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省主税局長古谷一之君、国税庁次長岡本佳郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。

山本(幸)委員 おはようございます。自由民主党の山本幸三です。

 きょうは、日銀総裁、亀井大臣、急遽のお呼び立てにもかかわらず御出席になりまして、ありがとうございました。また、菅大臣は、先ほども分科会で、大変御苦労さまでございました。

 早速本題に入りたいと思いますけれども、日銀総裁に来ていただいたのは、要するに、日本の税収がどうして下がったかというのが大問題になっているわけですね。これは、この十五年間、デフレが続いて名目GDPがどんどん下がっちゃったから、税収が落ちちゃったわけです。だから、日本の財政の問題を考える、あるいは財政の健全化を考えるときには、当然歳出カット、増税もありますけれども、本来の税収がきちっと上がるという状況ができない限り、こんなものは何も進まないんですね。そこで、日銀の金融政策、デフレ解消策がきちっとしない限り、財政、税収の問題というのは議論できないというので来ていただいたわけであります。

 予算委員会でも私、総裁と大分議論をさせていただきました。その中で、私の言ったことに対して、何か私が間違っているようなことを言われたものですから、そういうことは許せないものですから、大分しつこいたちなんで、大変申しわけないんですけれども、その辺の決着をまずつけないと次に進めないということであります。

 総裁は、マスコミに対してもあるいは国会においても、日本の金利は一番低いんだとずっと言い続けたわけです。何もわかっていない新聞記者はそれで書いちゃいますけれども、私は、そうじゃないと。低いというのは名目金利であって、実際に企業や家計が消費行動を起こしたりあるいは投資行動を起こしたりするのは、実質金利の世界でやるんだ。もっと正確に言えば、実質資金調達コスト、これが高ければ、幾ら需要を出せと言ったって出ないわけですよ。需要が足りないというのは、私に言わせれば、それは実質資金調達コストが高いから需要が出ないんだ。需要不足、ここを下げない限り、需要というのは出ませんよ。

 そこで総裁にお伺いしますけれども、私とあなたとどっちが正しいんだ。まず、短期の政策金利、私は先週、各国の主要国のあれを最新のデータで全部調べた。政策金利、日本では〇・一〇、ぎりぎりだと〇・〇九六になるときもあるんだけれども、〇・一〇。アメリカはゼロから〇・二五。先週の二月二十二日のレートは〇・一二。英国は〇・五〇。ユーロ圏は一・〇。実際には、二月二十二日は〇・三四になっていますけれども。これが中央銀行がコントロールできる金利ですよ。

 だから、本来ならばここで、本当に世界一低いか高いかを決めなければいけない。これでいくと、日本は〇・一、〇・〇九六にしてもいいんだけれども〇・一でいきましょう。そして、最新の消費者物価上昇率はマイナスの一・三ですよ。その前、先月まではマイナス一・七だった。最新のものが出ましたから最新のものを使いましょう、マイナスの一・三。〇・一引くマイナスの一・三はプラスの一・四%ですね。これが日本の実質金利。

 アメリカ、〇・一二マイナスの最新の消費者物価上昇率二・六、これでいくとマイナスの二・五八じゃないですか。イギリス、〇・五〇マイナスの三・五%、マイナスの三%。EU、〇・三四マイナス〇・九、マイナスの〇・五六。

 主要国みんなマイナスですよ。日本だけがプラスの一・四だ。これじゃ世界一高いんじゃないですか、日本銀行総裁。

白川参考人 まず、お答えする前に、経済理論について先生と論争しているということではございません。私自身、予算委員会で申し上げましたとおり、いろいろな経済理論がありますので、私自身はある特定の理論にいわば臣従するということではなくて、いろいろな理論を使って現実の経済に対して何とか状況を改善していきたい、そういう思いでございます。そういう意味で、論争するということではございません。

 それから、金利でございます。山本先生御指摘のとおり、名目の金利ではなくて実質の金利、さらに正確に言うと実質的な調達コストを見ていく必要が大事だということは、私も全く同じ思いでございます。ここのところは予算委員会でも申し上げました。

 そう申し上げた上で、実質金利の動きでございます。先生御指摘のとおり、数字はまさにそのとおりでございます。名目金利はゼロ以下には下がり得ませんから、したがいまして、実質金利を下げていくということも、実は名目金利を低い水準にし、この水準を粘り強く維持する、あるいは資金を潤沢に供給するということを通じて物価に最終的には影響を与え、そのことを通じて実質金利を下げていくという努力の結果でございます。そういう意味で、私どもは世界で一番低い名目金利を維持することを通じて、最終的に実質金利の面でもこれを引き下げていくという努力を今重ねております。

 それから、もう一点だけ申し上げたいことは、まさに先生が御指摘のとおり、実は実質金利というよりか実質的な調達コストということが大事でございます。実質的な調達コストという意味は、今先生がおっしゃったインフレ率と、それからもう一つはいろいろな企業が資金調達するときに国債金利に上乗せされる金利、これはよく信用のスプレッドというふうに呼んでおりますけれども、この水準も非常に大事でございます。幾らマーケットの金利が低くても最終的に企業が調達するコストが高ければ、これはなかなか景気刺激効果が生まれてまいりません。実は、この信用スプレッドという面で見れば、これは日本の信用スプレッドが欧米に比べると断然低いということでございます。これは実は、日本銀行が潤沢に資金を供給する、いつでも資金供給をする用意があるというその姿勢がマーケットに浸透し、そのこともあって実は信用スプレッドが下がっております。こうしたことも含めて、いずれにせよ実質調達コストを下げていく努力を現在続けておるところでございます。

山本(幸)委員 聞かれた以外の余計なことは答えないで結構なんですよ。信用スプレッド、そんな話だって当然知っていますよ。だけれども、あなたは世界一低いと言って、私は世界一高いと言って、いかにも私が間違ったようなことを言ったんだから、まずこれを決着つけるんだ。

 それで、日銀がコントロールできる政策金利とか、私が言ったように実質金利は世界一高い、それは認められましたね。でも、あなたは最後に私が聞いたときに、うまいぐあいに逃げて、短期のことを言わないで長期のことだけ言ったんだ。予想インフレ率は計算するのが難しい、それはそのとおりだから私も便宜上、実際のもので言っているんだけれども、現実の長期金利を見てみますと、実質金利において日本だけが低いということでは必ずしもございませんと。あなたも大分混乱していたんだね。日本だけが高いと言うべきところを低いと言っているんだね。

 長期のところを比較してみましょうか。日本は、長期十年物国債一・三四五マイナス消費者物価上昇率のマイナス一・三、そうするとプラスの二・六四五だ。アメリカ、三・七九八マイナス二・六、プラスの一・一九八。イギリス、四・二三〇マイナス三・五、プラスの〇・七三〇。EU、三・二七〇マイナス〇・九、二・三七〇。日本は二・六四五ですから圧倒的に高い。ほかの国はマイナスにはなっていないことはそのとおりだけれども。

 長期だって、日本が一番高いんじゃないですか。それを確認してください。

白川参考人 短期の実質金利につきましては、これは足元の物価上昇率と、それから先行きの予想インフレ率はそれほど大きな違いがないということで比較的計算が簡単でございます。

 長期、例えば十年ですと、向こう十年間インフレ率がどのようになるかという予想は、必ずしも足元のインフレ率だけでは推測しにくいということでございます。そういう意味で、短期ほど明確に、実質長期金利、どっちが高いかということを断定的に言うことはなかなか難しゅうございます。

 私が申し上げましたのは、実は、長期金利の動きについて見ますと、これはインフレ率の差はもちろんございますけれども、しかし、長期の名目金利は下がります。したがって、短期と比べた場合と比べて少しイメージが違いますということを申し上げたわけでありまして、先生に対して何か反論するということで申し上げたわけではございません。

山本(幸)委員 私が間違っているわけじゃないということをはっきり確認されたので、ちょっと留飲を下げておきます。

 しかも、長期のところは、比較すること自体が妥当かどうかというのがあるわけですね。つまり、日本銀行はコントロールしていないんだから。それとも、あなたは長期金利をコントロールしていると言うんですか。どうですか。

白川参考人 これはもう釈迦に説法でございますけれども、長期金利は、先々、例えば十年間の予想成長率、それから予想インフレ率で決まってまいります。正確に申し上げますと、そうした二つの要素に加えて、この二つの要素が将来どういうふうになっていくのかというその不確実性もまた加味されてまいります。

 中央銀行の役割は、この予想インフレ率という面で安定的に推移させることを通じて、その部分を通じて長期金利には影響を与えるということもできますけれども、しかし、基本的には経済の成長率によって決まってくる、そういうものだというふうに考えております。

山本(幸)委員 そこのところはおっしゃるとおりなんですが、とりあえず、私の方が正しかったということだけは確認しておきますよ。

 それから、今おっしゃったように、長期の金利というのは、おっしゃったような条件で決まっていくんですが、長期金利というのは、そういう意味では、デフレ期待があるときは低くなるんだよね。だから日本が低いんですよ。それを威張っていて、それは日本銀行の政策の失敗のあらわれなんだから、威張れるような話じゃない。

 そこで、さっきあなたがおっしゃったように、実質成長率と予想インフレ率、それと、恐らくリスクプレミアムでしょうね。だけれども、それはぎりぎり考えていくとどうなるかというと、結局、短期のインフレ率プラス将来の成長率から引き出してくる現在価値なんだな。それをずっと重ねていけば、結局のところは日本銀行がコントロールしている短期の金利で将来的に決まってくるというのが今の経済理論でしょう。

 だから、一番大事なのは、短期の実質金利をいかに低くするかということなんですよ、実質的に。こんなに高くて景気がよくなるわけないじゃないですか、デフレがよくなるわけないじゃないですか。しかもあなたは、名目金利がゼロから下には行けないと言ったけれども、スウェーデンは去年の八月、マイナスの金利をやったんだよ。知っていますか。

白川参考人 スウェーデンがマイナスの金利を入れたということでございますけれども、これは、結論から申し上げますと、知っております。

 これは、先生は十分御存じのことではございますけれども、少し御説明いたしますと、スウェーデンの中央銀行に金融機関が預金を預けるとき、そのときの金利をマイナスにしたということでございます。ただ、実際には、これはややテクニカルな話になりますけれども、スウェーデンの中央銀行は、資金が余りますとマーケットから資金を吸収するという操作も行っております。したがいまして、実際に市場においてマイナスの金利がついているわけではございません。

 また、スウェーデンの中央銀行の総裁を初め幹部は、自分たちはいわゆるマイナス金利を導入したわけではないということを今一生懸命説明しておりまして、今先生がおっしゃったような意味でマイナス金利を導入したわけではないというのがスウェーデンの中央銀行の説明だと思っております。

山本(幸)委員 どの中央銀行も、実際にやっていることは違うんですと口だけは言うんですよ、いろいろ。あなたもそうだろう。まあいいや、金利の話は私の方が正しかったということが確認できたので、次に行きます。

 あなたは十八日、金融政策決定会合後の記者会見で、財政の持続可能性に関する市場の関心が世界的に高まっていると述べた。これは、新聞の解説によれば、財政の悪化が国債価格の下落につながるリスク、逆に言えば金利が高騰するリスクを警戒する構えを見せたというように新聞は解説をしておりますが、あなたがおっしゃったことの真意というのは、そういうことでいいんですか。

白川参考人 金融政策決定会合後での記者会見は、これは国際経済あるいは国際金融市場で現在どういうことが起きているのか、どういうことが国際会議での関心事項か、そういうふうな流れの中での質問でございました。

 先生御案内のとおり、今ギリシャ問題に代表されますように、財政の問題に対する関心が、これは必ずしも日本ということじゃなくて、世界的に高まっているということを御説明いたしました。そういう文脈の中で、財政の規律の重要性であるとか、あるいは金融政策に対する信認の重要性ということを申し上げました。これは、あくまでも世界的な文脈の中で申し上げました。それについて新聞がどのような見出しをつけるかというのは、これはもちろん新聞社の自由でございますけれども、私自身はそういうふうに申し上げました。

山本(幸)委員 それでは、日本のことじゃないということなんですか。そうしたら、日本で国債を日銀はもっと買えばいいじゃないかという議論についてはどうなんですか。

白川参考人 今、世界と申し上げましたが、もちろん世界の中には日本も入っておりますけれども、先ほど申し上げたことは、世界全体、国際金融市場でそういう問題意識が高まっているということで申し上げました。

 もちろん、先ほど申し上げた二つの原則、つまり、財政規律の重要性、それから金融政策に対する信認の重要性、これは日本についてももちろん当てはまります。日本の財政の状況が大変厳しい中で、財政規律、それから中央銀行の金融政策ともに重要であるということは、これは全く同じ認識でございます。

山本(幸)委員 ということは、日銀総裁は、今回の予算編成、この政権の財政規律については非常に問題がある、深刻な状況にあると言っていると書かれていますけれども、これは大変だ、もっとしっかり財政規律を確保するような方針が出なきゃだめだ、そういうことをおっしゃりたいんですか。

白川参考人 今私が申し上げましたことは、政策面についての基本的な考え方ということで申し上げたわけであります。

 現下の財政の状況についてどういうふうに行うのかというのは、さまざまな議論をした上で、これは政府それから国会の場で決めていく、そういう性格の話だというふうに思っております。

山本(幸)委員 国会に来ると、いかにも政府の財政を批判したんじゃないんですよというようなことを言いながら、記者会見では明らかに批判しているんですよ。だって、どの新聞を見たって、財政運営、財政規律について心配していると。下手に財政ファイナンスなんかやらされたら大変なことになりますよと言って、おどしまでかけているわけですよ。それはすなわち、日本の財政規律が今ない、心配すべき状況だと。それをほかのところでは言っているわけでしょう。国会に来たら、どうして、そんなものじゃありませんよと言うんですか。

白川参考人 私自身、記者会見の場とそれから国会の場で発言を適宜使い分ける、そういう不誠実なことは行っておりません。あくまでも、中央銀行の総裁という立場で、基本的な考え方について問いがあれば、それに対して基本的な考え方をお答えするということで、決して使い分けているわけではございません。

山本(幸)委員 使い分けているんですよ。

 それで、最初に申し上げたように、デフレが解消して名目経済成長率が高くならない限り、成長戦略の三%なんてあり得ないし、税収も上がらない。

 デフレを解消もできなくて、日本銀行は十分に緩和的な政策をやっています、日本銀行の今の政策が一番いいんですなんて発言をしているんだけれども、本当にそう思うんですか。

白川参考人 デフレから脱却する必要があるという点においては、山本先生と全く同じ認識でございます。

 いつも申し上げていることでございますけれども、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが最も重要な課題という認識を持って、金融政策を運営しております。

 多少、今の先生の御質問に対するお答えではない部分もあるかとも思いますけれども、私どもとして、デフレ脱却には二つの取り組みが必要であるというふうに思っております。

 一つは、デフレの根本的な原因であります大幅な需給ギャップを持続的な形で解消していくということであります。このため、日本銀行では、政策金利を名目ゼロ金利まで引き下げ、また、現在の低い、このゼロ金利状態を続けるということを明確にしております。また、金融市場に対して潤沢に資金を供給するという用意をつくっておりまして、現に潤沢に供給をしております。先行きも、このような極めて緩和的な金融環境を維持する方針を明確に示しまして、そのことを通じて、日本銀行として、この需給ギャップの解消に最大限の努力を続けております。

 それから、もう一つ、デフレ脱却のために重要なことは、人々の物価に対する見方が下振れしないようにすることであります。この点でも、日本銀行は、十二月に、中長期的な物価安定の理解という形で、消費者物価の前年比がプラスの状態を実現することが大事であるという姿勢を示しておりまして、デフレ脱却への決意を明確にしております。

 私としても、現在の状況からいち早く脱却したいという思いでは、これは先生と全く同じでございます。しかし、先ほど申し上げましたようなデフレの根本原因を考えてみますと、これは粘り強く努力を続けていくということでございます。

 私どもとしては、そうした姿勢を改めて申し上げたいというふうに思います。

山本(幸)委員 日銀の金融政策も、これは政治家もそうなんですが、結果責任なんですよ。あなたが一生懸命まじめにやっていますと、姿勢だけ、やっていますなんて言ったってだめなんだ。結果が出なきゃ、何もやっていないということと同じことなんですよ。私に言わせれば、デフレが解消しないというのは、日銀が何もしていないということなんですよ。

 そして、根本原因は、需給ギャップをなくさなきゃいけない。さっき申し上げたように、実質金利が高いから需要が出ないんですよ。そうでしょう。実質金利を下げていくようなことをやらない限り、需要なんか出ませんよ、需給ギャップなんか埋まりませんよ。根本原因は日銀の政策だよ。

 そして、国民が物価に対して下振れしないようにということで、プラスですよと。ゼロじゃないでプラスですと言ったら変わるんですか。この点は、予算委員会で私が言ったように、CPIというのは上方バイアスがあるから、それじゃだめなんだと。またぞろ、日銀は実質的にはマイナスかゼロのところをねらっているんだということになる。

 だから、もしやるなら、上方バイアスと、それから下振れリスクをなくして確実にするためには、最低一%、一から三ないし四、それぐらいの目標を持ってちゃんとやりますということがない限り、うまくはいかないんですよ。

 そこで、菅大臣にお伺いします。

 予算委員会の席で、菅大臣から、目標は政府、日銀で共通してあるんだ、手段は日銀の独立性ですよということで御理解いただいて、一%、個人的には一%よりもうちょっと上、一%強の目標を持って日銀にはしっかりやってもらわなきゃいかぬというように御答弁いただきましたけれども、そのことでよろしいですね、菅大臣。

菅国務大臣 前回に続いて、山本議員と総裁との議論を聞かせていただきました。

 私も、常にいろいろな問題がトレードオフの関係で、日銀総裁の政策決定会議以降の御発言の中で財政規律について触れられておりまして、政府としても、さきのといいましょうか、今審議をいただいている予算では、四十四兆円に国債発行を抑えながら、さらに、将来に向かっては税制の議論もきちんと始めようということで、きょう三月に入りましたが、三月に入って本格的な議論もする、そういうことを含めて、財政規律についての姿勢もしっかりしなければならない。

 しかし同時に、一方で需給ギャップを考えますと、財政出動を余りシュリンクさせることは好ましくないという意味では、逆に言えば、財政の規模は余り小さくはすべきでないというところもありまして、そういう、政府としてのぎりぎり、デフレ脱却の努力は、政府は政府としてしっかりやりたいと思っておりますし、できることはやっているつもりなんですけれども、そういう中にあっても、一方で、日銀においても、同じ目標、つまり、デフレ脱却という目標について、しっかり取り組みをお願いしたい。

 この間やっていただいていることについては私たちも評価をしておりますし、ただ、山本議員からもお話がありましたように、結果として、いわゆる物価についてはまだ下落が続いているということで、政府としても努力を一層していきたいと思っておりますので、日銀においても、やり方についてはそれぞれ自立した、独立した判断があるのは当然でありますが、より努力をお願いしたいというのが率直な気持ちです。

山本(幸)委員 予算委員会のときには、一%、あるいはそれを上回るような目標でやってもらわなきゃ困るというように答弁されましたけれども、それでいいんですか。

菅国務大臣 これは既に、たしか十二月十八日でしたか、日銀の政策決定会議において、プラス〇から二%、そして、プラス一程度が目安というような表現を日銀御自身が使われております。

 私どもも、そういう意味では、プラス一ないしは、最近のいろいろな論文によれば、もっと高い目標でもいいのではないかという指摘もIMF等の関係者から出ておりますが、前回、上方バイアスという概念も山本議員から改めてお聞かせいただきましたので、そういうことも考えれば、プラス一ないしはもう少し高目の目標でいってもいいのではないか、そういう認識を持っております。

山本(幸)委員 その際に大事なのは、大体いつごろまでだというのがないと政策の見通しがつかないんですね。これについては、菅大臣、いかがですか。

菅国務大臣 私が昨年の十一月に、宣言という意味でもなかったんですが、よくマスコミではデフレ宣言という言い方をされますが、デフレ状況にあるということを申し上げました。その後、日銀の方でも先ほどのような行動をとっていただいております。

 デフレという、かなり、何といいましょうか、いろいろな経過の中で、長い経過の中で脱却が難しいわけですから、そう何カ月単位ですぐに回復ということまでは言えないと思いますが、やはり二、三年ではちょっと長いのかなと。欲を言えば、デフレ宣言をして、ことしいっぱいぐらいには何とかプラスに移行してもらいたいな、そんなふうに感じております。

山本(幸)委員 これは非常に大事な御答弁をいただいたと思います、ことしいっぱいにデフレ脱却、一%強を目標として、実現してもらわないかぬと。

 この点については亀井大臣にもお伺いしたいんですけれども、大臣がおつくりになられた金融円滑化法、あれがどういうぐあいになっているのかということでお伺いしたいんです。

 数字から見ると、銀行の貸し出しというのは十二月がちょっと減っちゃっているんですね。これは、あるいは銀行は、新規の貸し出しについては確実に返してもらうところしか行かないようになったのかなというふうに思わざるを得ないところもあります。したがって、そういう円滑化法の状況。

 本当に貸し付けをふやすためには、日銀がどんどん金を出して実質金利を減らして、デフレ脱却ということがない限り、これは進まないと思いますので、今の菅大臣の、ことしいっぱいには一%強にするという目標を持ってやるんだということについてのお考えと、それから、金融円滑化法の状況についてお話しいただければと思います。

亀井国務大臣 山本委員から金融円滑法の効果が出ているのかどうかという御意見がございましたが、私は、あの法律を審議しておる最中から申し上げておりました。金繰りをよくしていくことだけでは中小零細企業、商店のそうした現在の苦境から脱することにはならない、仕事を出していく、仕事が生まれてくる、またそれがもうかる形で出てくるという、マージャンに例えれば一気通貫でなければだめだということを、私は品がありませんからそういう例えをしておるわけでありますけれども。

 確かに、金融機関もこの法律の趣旨を踏まえて体制もとっていただき、今までとは違った金融マターになっておることは私はほぼ間違いないと思います。金融機関がいわばコンサルタント的な機能を果たしてくれ、今からの金融監督検査はそういう視点でやるんだということを今徹底しておりますから、それをやらない場合は人事考課にまでこれを影響してくれ、そこまで非常に突っ込んだことまでしております。

 ただ、問題は、委員御指摘のように、残念ながら、もう新しい資金を借りたいという意欲がなくなっちゃっているんですよ。借金も将来先延ばしするんなら、この際、倒産しちゃえ、店を閉じちゃえ、残念ながらそういう空気が今蔓延をしている。私は日本経済にとってゆゆしき事態だろうと思います。

 今、インフレターゲットの問題もありましたけれども、インフレターゲット、そういう数値目標も大事でしょう。しかし、要は、三十五兆円以上の需給ギャップが起きておる、この状態を変えないことにはどうしようもない。私は委員も恐らく賛成されると思うんですけれども、余り精緻な数値を基本にしての議論をやったって、しようがないとは言いませんけれども、しようがないに近いんですよ。

 アメリカは、御承知のように、日本から官民二百兆円以上の金を借りて、中国からも百兆円も借りて、国内でも大変な財政赤字を抱えている中で、七十兆円の緊急財政出動をしたでしょう。その七〇%は公共事業ですよね。また、中国も、こうした百年に一度の経済危機が世界に襲ってきたときに、大胆な六十兆を超える財政出動をやっちゃった。これもほとんど、日本では評判の悪い公共事業ですよ。数値の面での細かい議論をする前に、大局を踏まえて大胆なそうした対策を世界はとっているんですよ。私は、日本もそれをやるべきだということを言っておるんです。

 私は、日銀も今精いっぱいの努力をしていると思いますよ。しかし、日銀の金利政策、金融政策だけでデフレギャップを解消できるか、私はやはり無理だと思います。やはりそれは、政府が財政出動を含めて需給ギャップを解消していく努力をしなければ、日銀の責任だけで解決できる問題ではない。

 今度、福祉経済にうんと力を入れる、私はすばらしいと思うんです。私もおった党ですが、かつて自公はそういう面に必ずしも力を入れなかった。そういう面ではすばらしいと思うんだけれども、一方では産業活動を活発化していく、富を生産していくという努力を同時にやらなければ、福祉経済だけで、アメリカや中国がああいう手を打っているときに、本当に日本経済はデフレギャップから脱することができるかということになると、私は極めて疑問に思っております。まあ、党が違うから気楽なことを言っているのかもしれませんけれども。

 それと、私は、政府が大胆な財政出動をして、日銀も協力できる点があると思うんですよ。だって、財源といったら、残念ながら今から税収が三十七兆円を超えてどんどんふえるという見通しはないでしょう。では来年度、二十三年度予算はどうするかということ。財源としては何があるんですか。そうなると、国債と、特別会計をどう切り込んでいくしかないんです。これは赤ちゃんが考えてもわかる話なんだ、まあ赤ちゃんは別として。

 そうした場合、国債についてどうするかという場合に、私は、日銀が市中から買い入れをするということだけじゃなくて、直接日銀が国債を引き受けて財源をつくるということをやったらいいと思うんですよ。そういうことも今考えて菅大臣に思い切った財源を与えるということをしなければ、手足を縛って需給ギャップの対策を菅大臣にやれって、マジシャンじゃありませんから、そんなことできないんです。

 そういう意味では、日銀もそうした、ただ金利政策、金融政策だけじゃなくて、政府の財源についても責任を持って踏み込んでいく、ちょうどいらっしゃいますから申し上げるんだけれども、それぐらいな覚悟をされないとこの危機から脱することはできないと私は思っております。ちょっと長くなりましたけれども、そのように思っています。

山本(幸)委員 大変興味深い御指摘もいただきました。ただ、菅大臣が示された目標、期間、これは非常に大きな意味を持っているわけなんですね。まずそこからスタートしないと。それをやるために、それを本当にやるんだったら、それを実現するために、日銀国債引き受けでもやられたらいいんですよ。まずデフレから脱却しない限りは、税収なんて伸びないんですから。

 そのためには、やっています、やっていますということばかり聞いていて、結果が出ないのはやっていないことだというのが私の考えで、だから結果が出るようにしてもらわないかぬわけですよ。ところが、ずっと結果を出さないで、やっています、やっていますという責任逃れのことばかり言っているから私は許せないといって、では結果が出るようにしなきゃいけませんねというのが、目標ですよ、期間ですよ。

 だから、これはやはりすべてのスタート点になるので、その点について菅大臣がはっきり申し上げられたので、これは亀井大臣も同感されますかということなんです。どうですか。

亀井国務大臣 どの点ですか。もうちょっと明確に言ってください。

山本(幸)委員 要するに、物価上昇をまず早く一%強にしなきゃいかぬ、ことしいっぱいには何とかまずそれをやってもらう、そこからだということについてです。

亀井国務大臣 私は、委員に先ほど御答弁した中でも、あるいはある面で触れておると思うんですが、そうした数値目標を設けたところで、数値どおりに経済は動いてくれません。物価も動いてくれません。そのためのどういう政策を展開していくかということについて、さっき、ちょっと長くなりましたけれども私は申し上げたのであって、やはり目標を置くことは大事ですけれども、それを実現するために具体的に効果のある何をやるかということが私は大事だと思っているんです。

菅国務大臣 まず、先ほど山本委員の質問にお答えしたんですが、矛盾してはいけませんので、あえて補足の説明を若干させていただきますが、現在のところ、見通しという形で発表しているものでは、二十二年度の見通しとしては、残念ながらといいましょうか、消費者物価指数は〇・八マイナスということは、逆に言えばデフレ状況が続くという見通しになっております。

 それと、先ほど申し上げたのは、若干私の気持ちも含めて、プラスに転じてもらいたい。最終的な目標はもっと高いところが念頭にあるということは申し上げましたが、プラスに転じてもらいたいという期待を込めての答弁だということは、御理解をいただきたいと思います。

山本(幸)委員 それは結構ですよ。ことしじゅうにはぜひプラスに持っていってもらいたい。そして、目標は一ちょっと、これもそんなにまた二年も三年もたってもしようがないので、来年の中ごろか、大体一年半とか最長二年ですよ、どこの国も。それでやってもらう、それは結構だと思いますよ。

 そういうふうに、あとはどういう手段でやるかは、これは日銀が一生懸命考えてもらえばいいわけですね。まさにそこに独立性があるわけですからね。政府も大いに、公共投資をふやすなら公共投資をふやすのでもいいんですよ。日銀に国債引き受けをしてもらうということをやってもらったっていいんですよ。それをしっかりやって菅大臣が言うような目標に近づけてもらうということが一番大事なので、これをぜひこの内閣としてやってもらいたいし、やらない限り、結局、成長戦略なんてあり得ませんし、大体、名目成長率が上がらなければ税収はふえないし、必ず財政赤字は拡張する、破綻の方向に向かってしまうんですから。

 そういう意味で、非常に大事なところなので、最後に菅大臣にもう一度、その辺を含めた決意のほどをお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 先ほど来申し上げていますように、常に財政出動によってのデフレ脱却ということを一方の念頭に置きながら、一方で財政規律あるいはマーケットの信認ということも置かなければなりません。

 また、この間申し上げてきたことは、財政出動によって、直後のGDPの引き上げ効果ということももちろん重要ですけれども、中長期的にその財政投入したものが日本経済の構造的なところを押し上げるような、つまりは、私がよく出す例でいえば、かつて東京―大阪の新幹線は非常に中長期の経済効果があったけれども、最近の本州―四国などのようなものは必ずしも、工事による効果はあるけれども、できたインフラによる効果は余り出ていないということもあると思います。

 それからもう一つは、先ほど亀井大臣からもお話がありましたが、社会保障というものがこれまでは負担という形で認識をされておりましたけれども、これは一つのシェアであって、そのことによって、国民がどう費用をシェアするかということはいろいろ議論が必要ですけれども、少なくともその分野に何らかの財が投入されることは、雇用も生むし、新たなサービスという形の財も生み出す。そういう意味では、需要拡大の大きな分野としては、そうした社会保障の分野も私は大きな分野と考える必要があるのではないかと。

 いずれにしても、何としてもデフレ脱却の中から成長への路線に日本を引き戻すために、政府としても頑張っていきたいと思っております。

山本(幸)委員 菅大臣はよくそういう話をされるんですけれども、実は、公共投資というのは効果があるんですよ。あるんだけれども、それが相殺されちゃうんです。何で相殺されるかというと、日銀の金融政策がついていかないから、円高になっちゃって相殺されるんですよ。これはマンデル・フレミング理論というんだけれども、これはいずれ次の機会にじっくりやりますからね。

 だから、日銀がしっかりやりさえすれば、公共工事は大いに効果がある。それを今はサボっているんですよ、日銀が。そのことをよく認識して頑張っていただきたいと思います。

 質問を終わります。

玄葉委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 まず冒頭、チリ大地震で被害に遭われましたチリ国民並びにチリ政府の皆様方に、心から哀悼の意を表したいと思います。

 政府として、また財務大臣として、チリ大地震に対しての支援、これについて積極的に行われるという御意思をまずお伺いさせていただきたいと思いますが、菅大臣、いかがですか。

菅国務大臣 本当に、チリにおける地震については、私からも哀悼の意をあらわしたいと思います。

 昨日私も総理にお目にかかる機会がありましたが、既に報道もされておりますけれども、直接的な救援については、何かチリ政府の判断として、みずから行うので、そういう形の救援の支援ということはチリ政府として望んでいないという向こうからの報告があったそうで、それでは再建のための支援の準備をしようということで、担当者を早速現地に送られたということを、報道を含めて、総理からも聞いております。

 そういう形で、政府としても、まさに津波の余波もあったわけですが、幸い日本は今のところ被害ということは聞いておりませんが、何十年か前に津波で大勢の方が亡くなったことを私も記憶をしておりまして、そういうことも含めて、チリに対する復興の支援にやはり大きな力をかしていきたい、政府としてそのような対応でやっていきたいと思っております。

後藤田委員 よろしくお願いをいたします。

 まず冒頭、菅大臣、山田方谷の「理財論」というのをお読みになったことはございますか。山田方谷の「理財論」。読んだかどうか。

菅国務大臣 残念ながら、まだ読んではおりません。

後藤田委員 野田副大臣はよく御存じのようでございます。

 これは、財務大臣、財政当局としてはやはり必ず読んでいただきたいと思います。備中松山藩の、今で言う岡山県でございます、江戸から明治の時代に山田方谷は、今で言うと百億円の借金をプラス百億円に、まさに財政改革を八年でやった方でございます。

 この「理財論」を読むと、いろいろなことを書いています。歳出の問題、歳入の問題。しかしながら、ここの中のエキスは、昔の聖人、いわゆる君子というのは、義と利の分を明らかにする、これに努めることが重要だと書いているんですね。義というのは、天下の王道、道理道徳の道、これが義だ。利というのは目前の利益である。この両方をしっかりとやらなくてはいけないということでございます。

 その中で、国家の基本を統一し、法を正しくだれにでもわかるようにすることは義である、飢えて死ぬことから逃れようと願うことは利である、聖人はその道をはっきりさせるだけで、自分自身の利益を求めようとはしないものだ、ただ、国の基本を明確に示し法を正しくすることだけしか知らないと断言しています。

 やはり義がないと、利、つまり、我々政治家は、いろいろなことをやる前に、政治倫理、説明責任、そして財政規律、こういった大所高所のことを国民の皆様に訴えなくてはいけない。しかしながら、今の民主党政権を見ていますと、その説明責任、政治家がその義として、義というのはその人しかできないことだと思います、政治家しかできないこと、大臣しかできないこと、やはりそれは権限を持っていますから、それをやるということでございますが、それには必ず責任というものが伴うということでございます。

 そういう中で、まず冒頭に、このたびの鳩山総理、また小沢幹事長、まずこういった方々の政治倫理という義というものを皆様方が明確にしないと、今度の予算だとか税だとかさまざまなマニフェストだとか、こういうものはなかなか国民に理解をされない。だから、民主党政権の支持率もなかなか上がらない、我が方も人のことは言えませんが。まあ、お互いにそういうことはしっかりやっていかなきゃいけないのかなというふうに思っております。

 そこで、鳩山問題、小沢問題も、収束といいますか、忘れかけてしまうようなそういう流れを皆さん方もおつくりになりたいのかなというふうに思いますが、しかしながら、私もこの前、与謝野議員と一緒に税務署へ行きました。やはり納税者の皆様は、なぜ総理は許されて、また小沢さんはいろいろな土地をお持ちになる、またいろいろなお金の出どころが二転、三転、四転される、これはなかなか御説明がされない、こういう中で税金を払うというのはおかしいという意見もありました。一方で、そういう政治家もいるけれども、仕方ない、自分たちはしっかり払うという国民の皆様もいらっしゃいました。

 そこで、鳩山総理の税の問題、私は、生前贈与、知らなかったということで済んで本当にいいのか。実は、政治資金規正法の量的制限違反ではないか。量的制限違反であればお母様も捕まってしまいます。その判断は、どのように財政当局はされたのか。まずこの点について、国税庁、御意見をいただきたいと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 政治資金規正法の問題は所管外でございますので、私ども課税当局として、どういうふうに一般論として申し上げられるかということでございますが、個人からの提供を受けた資金に対する課税の関係につきましては、個々のケースごとにおいて、政治資金規正法のいかんにかかわらず、実態に即して判断していくことといたしております。

 いずれにしましても、個々の事実関係に基づきまして適正に取り扱ってまいりたいと思っております。

後藤田委員 そういう回答だと思っていました。

 小沢さんの問題も、本来、一般論で言えば、急に資産がふえたり急に多額のお買い物があれば、国税庁というのはすっ飛んでいって、その金はどこから出たんだという話で、まさに畳をひっくり返して調べるわけですね。

 この点について、小沢さんに対しての税務調査をされましたか、国税庁。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 個別にわたる事柄につきましては差し控えさせていただきます。

 一般論としてですけれども、国税当局といたしましては、有効な資料情報の収集に努め、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

後藤田委員 先ほど御紹介しましたように、国家の基本を統一し、法を正しくだれにでもわかるようにすることが義である。今のような一般論の話しかできないということも想定しておりましたけれども、ということは、国民の皆さんには、菅大臣、どのように説明をされますか。今のような役人答弁で本当に国民の皆さんは納得されるでしょうか。もしくは、国民は曲解して、ああ、では、総理が許されているんであれば我々も許されるね、小沢幹事長が許されるんであれば国民も許されるんだと。

 国税庁のいわゆる調査のあり方は、これから、我が党時代はしっかりやっていましたけれども、その義というものも含めて、国税庁の規律、こういったものは緩めるということで、大臣、よろしいでしょうか。

菅国務大臣 まず、政治というものが、よく言われる言葉を使えば、信なくば立たずという意味で、やはり国民の信頼がなければ成り立たないという、その点については私も同様な考えを持っております。

 そういう意味で、我が党、鳩山総理あるいは小沢幹事長の件について、それぞれの立場で国民の皆さんにいろいろな機会に説明するなり、あるいはいろいろな捜査もあったわけですので、それを通して明らかになるものは明らかになってきていると思っておりますが、その努力をさらにそれぞれお続けいただきたい、このように思っております。

 その上で、税については、これはもうよくよく御承知だと思いますが、いろいろな問題がいろいろな時期に、過去においても起きてきたわけですが、財務大臣が直接に、個別の案件についてこうしろああしろということを言うのは適切でない。さらに言えば、国税庁長官に対して一般的にも、おい、どうなっているというようなことを聞くのも控えた方がいいというのが過去からの慣例とも聞いておりますし、私もそのように思いますので、個別の案件については特に聞き取りを含めてやっておりません。

 しかし同時に、今の次長からの答弁もありましたように、国税当局は公平、適正に問題があれば当然のこととして調査をする、そういう姿勢はしっかりと保ってもらいたいということは、私も、そういう姿勢で税務当局に取り組んでもらいたいということは、直接ではありませんが、少なくともこういう場を通しても伝えているつもりであります。

後藤田委員 しかしながら、皆様方は、過去のいろいろな自民党の問題を指摘しながら政権交代をされて、政治主導だということをおっしゃったわけですね。しかし、今の菅大臣の答弁で本当に国民は納得するんでしょうか。その点について明らかにするのが政治家の役割なんじゃないでしょうか。そのおつもりはないでしょうか、大臣。

 国民は迷うんですね、その事実がどうなっているのか。払わなくていいのか、払わなきゃいけないのかというのは今まだわからないんですよ、お二人の御説明がないから。やはり、政治家として国民の皆様に、こういう指針で公平にやっている、こういうことを説明する責任はあるんじゃないでしょうか。

菅国務大臣 政権というものと例えば検察のあり方、あるいは国税庁のあり方というものとの関係というのは、いろいろな時期に議論され、特にこの一連の経緯の中では相当議論になってきているわけです。

 ですから、もちろん、内閣制度の憲法的な位置づけからすれば、そういったものに対しても、今政治主導という表現をされましたけれども、つまりは内閣が最終的な責任を持つ、あるいは総理が最終的な責任、権限を持つという意味では、財務大臣にもその中においての一つの権限が与えられ、ということは、同時に責任を持っている、そういう認識は持っております。

 ただ、それも含めて、先ほど申し上げたように、一政治家としてということであればまた表現の仕方が変わるかもしれませんが、財務大臣という立場で個別の案件について、もっとこうしなければいけないんではないかと言うことはやはり控えた方がいい、そういう認識で行動しております。

後藤田委員 それでは、今いみじくもおっしゃった一政治家としてはいかがですか。

菅国務大臣 これも先ほど申し上げましたように、総理はいろいろな機会に、国会でもいろいろ質問を受け答弁をされております。また、幹事長も記者会見等ではかなり詳細に答えられていて、また、検察当局も相当の調査の上での結論を出しております。

 ですから、それがパーフェクトに十分であるかないかということは、国民の皆さんから見てまだまだ不十分だということは、総理に対して、さらにそれぞれの立場で国民の皆さんに説明する、そういう努力はしていただきたいなというふうには思っております。

後藤田委員 せっかく政権交代して、国民も大きな期待があったと思いますが、私も先日予算委員会でも申し上げましたけれども、我が党のときは、権力にまじめかどうかというのは別にして、権力に抑制的だったと思うんですよ。証人喚問も全部応じてきた、参考人招致もやってきた、政治倫理審査会も開いてきたんですよ。これは、菅大臣が今野党の立場だったら、多分ぎゃんぎゃん言っていたと思いますね。

 だから、僕は、いつの時代でも、政党や政治家がその場しのぎというか都合のいい発言、答弁をしないために憲法だとか法律というのがあると思うんですよ。やはり為政者を戒めるのは、憲法であったり法律であったり倫理だと思うんですね。

 私がお手元に配りました、予算委員会でも配りましたけれども、政治倫理綱領というのを、菅大臣、これはどうお考えですか。これは昭和六十年の六月二十五日に議決しているんですよ。このときの議院運営委員長はたしか小沢一郎さんだったんではないでしょうか。

 ここに五項目ありますが、二項目めに、我々の言動のすべてが常に国民の注視のもとにあることを銘記しなきゃいけないということ、四項目めに、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明すると書いてあるんです。先ほど来の税の説明責任にしても、このようなみずから説明を果たすということ、何かすべて民主党さんになって後退していっているような気がするんですね。

 この政治倫理綱領というものは大事だと思いますか、大臣。これは議決しているんですね。これについては余り認識が政治家も政府もないような気がするんです。何のために議決したんだろうなと。何だったら、国会手帳に載せなくていいんですよ。これももう意味がないと大臣はお考えでしょうか。

 みずからということをよく問いただすと、記者会見で説明しましたと。それが本当にみずからの真摯な態度をもっての疑惑解明だと思われますか。その点について、御意見を政治家としてお聞かせください。

菅国務大臣 実は、私は、ロッキード選挙と呼ばれた昭和五十一年の選挙に無所属で初めて立候補いたしまして、そのときの私の気持ちは、後藤田さんが今言われたこととも共通するかもしれませんが、やはり政治においてそうした信頼をきちんと持たなければ成り立たないということの立場で立候補したことは、今でも鮮明に自分の中に残っております。

 そういった意味で、この政治倫理綱領も含めて、みずから政治家あるいは国会議員が一つのルールをつくって、そうしたことに対して国民のまさに信頼が得られるような行動をとるということは大変重要なことだと思っております。

 それも含めて、さらに言えば、そうした姿勢を見て、また国民の皆さんは、それぞれの政治家、それぞれの政党に対する一つの判断をされる。私は、最初の選挙は落選をいたしましたけれども、しかし、多くの皆さんがある程度の評価をしていただいたおかげで、七万票余りの票をいただきまして、その後の政治活動に結果においてつながった。そういうことの経験も含めて、こういったことが重要であることは私なりには認識しているつもりであります。

後藤田委員 もし菅さんが今野党だったら、今の答弁で納得しますか。どうぞ。

菅国務大臣 いろいろからめ手で聞かれるのであれですが、先ほども申し上げたように、一人一人の政治家としての姿勢ということ、余り区別してはいけないかもしれませんが、財務大臣あるいは内閣のメンバーであるということにおけるいろいろな仕組みをもって、それをどのように、これは権力そのものですから、行使するしないを含めてどうするかということは若干、同じ政治主導といっても、そこにはおのずからの一つの区分があるだろう。逆の立場で納得するかしないかは別として、その区分については理解してもらえるのではないかと思っています。

後藤田委員 ぜひ、せっかく政権交代したんですから、やはりレベルアップしたいんですね。後退するようなことがあってはいけないと私は思うんですよ。より厳しくならなきゃいけない。

 そこで、私も与党時代は自民党の中では反主流でしたよ。麻生さんけしからぬと言ったり、安倍さんけしからぬと言ったり、竹中けしからぬと。しかし、今の民主主義というのは、与党じゃないと権力を抑制できないんですね。安倍さんが国家主義に傾いたら、ちょっと違うよと。私は、右翼でも左翼でもなく、仲よくですけれどもね。例えば、竹中さんや小泉さんが規制緩和に行き過ぎたら、規律だということを申し上げた。麻生さんが変な発言したら、何やっているんだと。やはり、与党の中でそういうものを律していただきたい。

 そういう中で、このたび事業仕分けというので、これも民主党さんの花形の部局だと思いますが、これもちょっと私不思議なのは、枝野さん立派な方だと思います。あれだけ補佐官として、そしてまた蓮舫さんなんかも立法府の中で御活躍をされた。結構なことだと思います。あれでいいじゃないですか。何でわざわざ大臣につくんでしょうか。

 松野官房副長官いらっしゃっているけれども、いや、質問はしないです、松野さんは私大好きですけれども。内閣官房というのは、内閣官房副長官室だとかいろいろな組織が重層化されていますね。何か、そこでもうちょっと働く場というのはあって、わざわざ大臣にする必要があるのかな。もちろん、これは政治的な意図があろうかと思いますよ。でも、聞くと、部下は、国家戦略も刷新も二、三十人ですか。古川さん、どうですか。三けたはいかないですよね。ほかの大臣は何千人と部下がいるんですよ。わざわざ天皇陛下に認証してもらって、SPをつけて車を出す必要があるのか。それこそ仕分けしてもらいたいですよ。

 同時に、平野官房長官も政権交代後、各大臣に対して、要求大臣と同時に査定大臣になってもらいたいと言っているんですね。これは正しいと思いますよ。

 私が言いたいのは、イチローも、いつも試合前にはバットを磨いて靴を磨いてグローブを磨いて出るんですよ。それで、いいプレーをするんですよ。でも、いいプレーができなかったからといって、グローブのせいだとかバットのせいだとか言わないんですね。料理人も一緒です。まないたを磨いて包丁を研いで、しかし、いい料理ができなかったらまないたのせいだ、包丁のせいだということは言わないと思います。常日ごろ、不断の努力として各大臣が、国家戦略も考えていなきゃいけない、仕分けも無駄遣いも考えていなきゃいけないんです。各大臣というのは何やっているんでしょうか。私はそう思います。

 その中で官房長官、副長官がしっかりお取りまとめになればいいのに、なぜ事業仕分け大臣、国家戦略大臣というのをわざわざおつくりになったのかなと。まさに政治の膨張なんですね。官の肥大化、膨張。私は、そこはもっとコンパクトにやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。ちょっと、古川さんですが、松野さん、お答えになりたければ、どうぞ。

松野内閣官房副長官 後藤田理事とは、まさにこの第十五委員室で、財務金融委員会、お互い理事として二年間御一緒いたしました。

 その中で、後藤田理事が本当に、与党でありながら正しいことは正しいという、当時の与党の筆頭理事が困った顔をしてでもはっきり言い切っている姿勢というのは、私は非常に共感をしておりますし、今回私も与党になりましたが、同じ姿勢でこのことは臨んでまいりたいというふうに思っております。

 そういう中で、今御質問いただきました件、私も以前同じ野党の立場で、郵政民営化担当大臣、いわゆる竹中大臣が内閣法第二条に基づく無任所大臣というのに任命をされました。当時は、総務大臣が本当は郵政事業を所掌する大臣なのに、なぜ竹中大臣をそういう形で置いたのか。そしてまた同等に、郵政民営化準備室というのを内閣官房の中に置きました。それを委員会で私も指摘をさせていただいた経験があるんです。

 そういう中で、やはり内閣の重要政策に対する企画立案、総合調整というのが内閣官房の仕事でございまして、特に、十七名という大臣の枠の中で、その内閣が何に重点を置いてやるのかということをするためには、国家戦略担当大臣そしてまた行政刷新担当大臣、これが鳩山内閣としての重要政策の位置づけであるということをすることではないかというふうに私も思っているところでございます。

後藤田委員 おっしゃりたいことはよくわかるんですね。

 ただ、この前も、私が政府専用機の話をしたときも松野大臣らしからぬ御答弁、過去もやっていたではないかみたいな、私はそういう言葉は残念ながら聞きたくなかったです。政権交代して事業仕分けやってこれから変わるんだという話ですね。今のお話も、竹中さんやっていたよねということですけれども、私はやはり、本当に事業仕分けをやるんであれば、さっきの冒頭の山田方谷じゃないですけれども、政治家が義という、そこを示さなければいかぬのじゃないかなと。

 政府専用機の問題も、僕も余り触れたくなかったですよ、同じ地元の方だったしね。ただ、税金はびた一文使わないといいながら、あれ一泊三日で七千万ですよ。僕はその後、苫小牧のある方から、いや、年間の苫小牧の除雪費ですよと言われた。こういうことをやっていたら、せっかくいいことをやっている事業仕分けもやはりわかってくれないんじゃないかなということで、戒めの意味に申し上げたわけなんですね。何か御答弁ありますか。

松野内閣官房副長官 前回、予算委員会でも政府専用機の御質問をいただきました。

 私どもも、こういう御質問をいただくことは大変ありがたいことなんです。といいますのは、税金の無駄遣いを一円でも許さないということを私も野党の中でやってまいりましたし、議会のチェック機能として発言をしてまいりました。後藤田委員からそういう御質問をいただくことは大変ありがたいことだというふうに思っておりますし、私も内閣の中で、本当に専用機で行く必要があるのか、そしてそのコストが果たして適正なものなのかということを実は厳しく指摘しているところでございます。

 以前に、このダボス会議に大田弘子大臣が御出席をなさるということで、同じ日程のセッションに政府専用機を使わなかったがために出られなかったということがあるんですね。そしてまた、私も同じような指摘をしてきた経験から、本当にこれは、総理が乗らないで政府専用機を運航している例というのが過去にあるのか、そしてまた、それだけの重要な会議であるのかということを厳しく内閣官房の中で問わせていただきました。

 その結果、若干、今回は六千四百万。これは決して麻生さんが使ったからどうこうというわけではないんですけれども、去年では七千六百万。総理が飛ぶときには二機伴走いたしますので、それを合わせると九千八百四十万という金額でございました。そして、この六千四百万というのも、まだ精算が二カ月後ぐらいでございますので、ここからまだどれだけ、本当にこれが必要なのかということを今まさに精査をして、最終的にはさらに安い金額というものを算定するべく今努力をしているところでございます。

 ぜひ今後とも、このような御指摘をどんどんいただくことを期待申し上げているところでございます。

後藤田委員 非常に誠実な御答弁ありがとうございます。

 僕はなぜこういうことを言うかというと、亡くなった中川昭一大臣が、御党の川内議員にこの問題で、それも民間チャーター機問題でさんざんやられたんですよ。だから、今後そういう不毛な、さっき申し上げました、お互い交代したんだから、よりレベルアップしましょう、こういう議論を今後するのはもうやめましょうと。何か決まりなり、何かお互いに決めるような前向きな話を私はしたいと思いますが、どうでしょうか。

松野内閣官房副長官 今ちょうど竹本筆頭がいらっしゃらないんですけれども、たしか私も、中川大臣がチャーター機で行かれたとき、四千六百万という説明を聞いております。

 ただあのとき、この財金のまさに理事会の中で、チャーター機について、日本国の財務大臣として、そして国会日程が許される本当にタイトな日程という中で、チャーター機を使って行くべきだということを、当時野党でしたけれども、私も申し上げた記憶がございます。もし竹本筆頭がお戻りならば、そのときの記憶をいただけるのではないかと思いますけれども。

 私は、必要なお金は当然必要なお金で使うべきだと思いますし、本当に無駄なものは無駄なものとして一円たりとも許さない、このような姿勢で臨むことが必要なことではないかというふうに思ってございます。

後藤田委員 ありがとうございます。

 松野官房副長官が余りに誠実なので、時間をとられ過ぎました。済みません。

 それでは、また別の話に行きます。

 先般、毎日新聞でもありましたけれども、天下りに十二兆円という、我が党の同僚議員の谷議員が質問主意書を出させていただきました。質問主意書は、菅大臣が昔から著書でも、国会議員にとっては最大の武器の一つだとおっしゃっていましたね。鳩山さんは昨年五月二十七日の党首討論で、四千五百の天下り団体に二万五千人が天下り、国の予算十二兆一千億円が流れていると断言しました。信じられない天下り天国だと政府を批判したんですね。

 自民党はそれに対して、意図的なプロパガンダだと公開質問状を出しました。そうしたら、鳩山さんは次回の六月十七日の党首討論でも、数字は決して間違っていない、質問状は無礼だと言い切っているんですよ。

 今度、谷議員の答弁書を拝見すると、そこには、調査に膨大な作業を要することから、お答えするのは困難であると書かれている。これはどういうことですか。

 これはどなたに聞いていいかわかりませんが、朝のワイドショーでも有名な司会者の方が十二兆十二兆と言っていますよ。我々もさんざんそれで痛めつけられましたよ、はっきり言いまして。これも、はっきりとした共通のデータのもとにやりましょうよ。もちろん、無駄なところもいっぱいあると思いますよ、私は。だから、こういう言葉がこのままひとり歩きするというのはよからぬことだと私は思っておりますので、泉さん、お忙しいようですから、答弁したらお帰りください。どうぞ。

泉大臣政務官 後藤田委員、ありがとうございます。

 先ほどの十二兆ですとか四千五百四団体というものですけれども、これは平成二十一年、昨年の五月二十一日に、当時野党であった民主党が長妻昭君外百十一名で、衆議院の方で、院の方で予備的調査を行っていただいた結果ということで出てきているものでして、これは政府定義による天下りに該当する者の数という谷先生の質問とは中身が違いまして、あらゆるすべての調査対象法人における国家公務員の再就職者数、そして国家公務員再就職者がいる調査法人に対して行った金銭の交付の合計金額ということでありますので、実は谷先生からあった質問主意書というのは、「政府の定義による」というものが入っているものですから、これは改めて調査をしなきゃいけない、そうなると、すべての公益法人、これはまた調査には相当日数がかかるということで、現在のところ、政府ではその調査については行っていない。

 しかし一方で、かつて民主党がやったように、院の方でまさに予備的調査を行っていくことというものも可能ではあるのかなというふうには現在思っているところであります。

後藤田委員 ただ、鳩山さんは断言しているんですよ、数字は間違っていないといって。これに対して、どうですかね。再就職という前提だったらすぐ出るんですね。では、純粋に再就職した人、あっせんであろうがなかろうが、それはすぐ出るんですね。

泉大臣政務官 まさに、昨年の五月二十一日に衆議院の予備的調査の中で出てきた数字というものは、十二兆を超える合計金額が交付した金銭の合計金額としてあり、そして国家公務員の再就職者がいる調査対象法人は四千五百四というのは、予備的調査の結果としては間違いではありません。

後藤田委員 では、天下りに十二兆円だという今までの鳩山さんのいわゆる野党時代の発言について、中身について、いつ出てくるんですか。現状はわかりましたけれども、それが全部天下りに関係しているのかどうかという、すべて不要なのかどうかという問題については、いつまでにその調査結果が出ますか。それをやらないと事業仕分けもできませんよね。

 ですから、この問題で無駄がどこまであるかというのはいつまでにやられるんですか、この十二兆の問題について。どの独法がおかしくて、どの公益法人がおかしくて、どこが天下りの問題があってという問題は、いつまでに皆様方は国民の皆様、我々野党にもお示しになるんですかと言っているんです。

泉大臣政務官 何がおかしいかというのは、いろいろとまず前提条件を考えていかなきゃいけないことだと思うんですね。それは当然だと思います。事業全部がおかしいかどうかということを……(後藤田委員「いつまでにと聞いているんです」と呼ぶ)まさに、いつまでにというのは、全く今そういう年限ですとか期日を決めてやっているものではありません。

後藤田委員 今の答弁も本当に残念ですね。もっと本当に、交代して、レベルアップして、もっとそんなものは早くやってもらいたい。

 最後の質問になります。今のは公務員改革、無駄の問題ですけれども、最後に財政です。ちょっと時間がなくなりましたけれども、きょうは古川さんに来ていただいています。

 やはり遅いんですよ、今の話も。みんな無駄だ無駄だと言ってきたけれども、いざ政権とって、半年たってまだ調べていないという話だよね、今のは。財政のこれからの中期展望についても、もう半年たっているんですよ、おたくら政権は。いまだに財政の中期展望も示さずに、シーリングもよろしくないと菅大臣が言った、しかしながら結局は、全部組み替えだといいながら、国交省と厚生省以外は比率は変わっていないんですよ、前の政府と。言っていることが全く言行不一致。

 お手元にお配りしました経済財政の中長期試算、古川さん、これを示しております、いろいろな有識者の意見を聞いて。平たく言えば、このまま四年間消費税を上げないということになると財政は発散する、大変なことになりますよということが三ページのところでも、いろいろなシナリオをもとに書かれております。五ページ目のところでも、七%引き上げの場合とそうじゃない場合、五%引き上げの場合、それにそのときの公債等の残高についての発散ぐあい。

 皆様方は、時間をかけて六月までにやるとまた悠長なことを言っているけれども、まずこの資料について、古川さん、これは間違っているんですか。これは去年の六月に与謝野大臣のもとでつくっているんですよ。峰崎さんなんかは、よく財政規律の発言を僕は聞いていて立派だと思っていますけれども、こういう資料をみんなもうお読みになった上で、政治家として勉強された上で峰崎さんもそういう発言をされていると思いますが、古川さん、このデータが正しいのであれば、この半年間で中期展望なんかすぐできたじゃないですか。これは間違っているんですか、今いる内閣がつくられたデータについて。それを一言だけで答えてください。間違っているか合っているか。

古川副大臣 これは一つの試算の結果だというふうに認識をいたしております。

後藤田委員 であれば、この試算は一つのデータだというけれども、これは正しいかどうか精査はすぐできますね。いかがですか。

古川副大臣 試算が正しいかどうかというのは、これは委員もわかっていて御質問されておられるんだと思いますが、それぞれの前提の中で、計算式で計算をすればこういう試算になるであろうということについては、私ども認識をいたしております。

後藤田委員 では、この試算のもとに発散するということを考えたときに、本当に消費税を上げなくて済むんですかということを申し上げたい。

 私どもはこれから、野党ですよ、野党として財政責任法というのを出そうと思っているんですよ。これはあり得ないですよ、野党が出すというのは。アメリカは、民主党オバマがやろうと言ったら、共和党が反対だと言ったんですよ。

 御承知のとおり、憲法にも第七章は財政のことを書いていますが、主には財政法定主義と単年度予算のことぐらいしか書いていませんよね。しかし、本当は憲法に書いたっておかしくない。ドイツは今そういう動きがありますね、財政規律だとか将来に借金を残さないとか、政治家のやるべきことはそういうことだと。

 でも、憲法を読むと、そういうことを書いていないんだけれども、もっと憲法を探してみると、やはり憲法第二十五条なんですよね。健康で文化的な最低限度の生活、そして公衆衛生と社会保障の増進に政治家は努めなきゃいけないと書いてある。これがやはり、その裏返しが財政規律であり、将来に借金を残さないことだと思います。

 私どもは、これから財政責任法というものをつくって、逃げずにやっていきたいと思いますが、菅大臣、それに対して同調してくださいますか。野党が言っているんですよ。選挙で消費税、私は去年の選挙は消費税で戦いましたよ、私と与謝野さん一緒のポスターで。民主党さんには、あいつは増税派だと批判されながら選挙を戦いました。しかし、政治家というのは、次の選挙を考えるのは政治屋であって、次の世代を考えるのが本当の政治家だと僕は思います。

 菅大臣、あなたは政治家ですか。この我々の、野党が今出そうとしている財政責任法について同調してくださいますか。

玄葉委員長 菅財務大臣、時間の関係上、簡潔に御答弁ください。

菅国務大臣 一つは、財政責任法という考え方は大変興味深いと思っておりますが、中身がまだ十分に煮詰まった形では御提示いただいていないので、まずはそれを見せていただきたいと思っております。

 と同時に、我が党の考え方、あるいは三党の連立政権の考え方として、所得税、法人税、消費税等の議論をした中で、もし大きな税制改正が必要な場合は、きちんと国民に信を問うた上でやるということも決めておりますので、そういった意味では、まさに今の日本の財政が大変な状況にあるという認識は共通だと思いますけれども、それに対して何らかの形の対応をするときには、それがもしそうした税の大きな変更ということを伴うとすれば、国民の皆さんにきちんと信を問うという形でやっていく、そのことは申し上げておきたいと思います。

後藤田委員 きょうもお手元に配りましたけれども、我々は、内容がどうかという前に、もう既に附則の百四条に書いてあるんですよ。中長期にわたっての財政に対して責任を持つということを書いてある。これを皆様方は変えずに、今回法律を出してきましたね。本当だったらこの百四条を削除しなきゃいけないんですよ、あなた方は。それをせずにやっているということは、我々の考え方にも同調してくださるということでございますので、この中身について、またこれから詳しく法律を出しますので、ぜひ、政治家として毅然とした態度をおとりいただきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

玄葉委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 前回に続いて、子ども手当と控除の縮小、廃止の関係についてお聞きしたいと思います。

 控除を減らすことによって、所得税、住民税がふえたり、あるいは課税最低限を超え新たな納税者となるような場合、保育料とかほかのさまざまな制度の負担にはね返る、こういう影響が出てくると思います。この影響が出てくる、予想される数はどの程度あるのか、菅大臣、お答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、鈴木(克)委員長代理着席〕

菅国務大臣 数そのものを、今幾つという言い方はちょっと用意しておりませんが、こういうことについては、税調にPTを設けまして精査をする、そういう準備には入っております。

佐々木(憲)委員 この負担について、二月二十三日の本会議で菅大臣は、税制改正大綱において、こういった措置が負担増とならないようなことを念頭に置いて適切な措置を講ずること、今後、各府省により、こうした形での措置が講じられるものと考えております、こう答弁をされています。つまり、負担増が逆に生まれるようなことのないような措置をとるんだということですから、どんな形でも負担増には一切ならないということでよろしいですね。

菅国務大臣 考え方としてはそういうことです。

 ただ、おわかりのように、控除をなくした場合は、どちらかというと比較的高額所得者のところの税が、簡単に言えば、控除があったときに比べては上がりますので、そういう所得税全般の議論も、今後所得税をどうするかという議論がありますから、そういう重なり合った中ではいろいろなケースが出ると思います。

 ただ、もともと、佐々木議員が言われるように、どちらかといえば、所得の低い層を含めて、そういう人たちのところに二重の負担が上がっていく、それが子ども手当を超えて上がっていくということはないようにしたい、こう思っております。

佐々木(憲)委員 例えば保育料の場合、確かに厚労省の保育料の基準というのがあって、それが、これに伴って変更されるかもしれない。しかし、自治体が決める保育料の基準表というのは、これは必ずしも政府に従って自動的に変更されるものじゃないんです。実際に、定率減税廃止のときも、幾つかの自治体は国の基準の改正に従わなかったところもあります。したがって、子ども手当が支給されるすべての家庭で、これは絶対に負担増にならないとは約束できないんじゃありませんか。

菅国務大臣 ですから、そういうことも含めて、まさにPTをつくり、あるいは各省庁の関係者によく精査をしてもらっている。方向性としては、先ほど申し上げたように、子ども手当を出すことによって逆に子供がいる家庭で負担が増大するということにはならないようにするという方向で、いろいろなものを精査しております。ですから、今議員の言われたような問題があるとすれば、そこも、どうすればそういう逆転現象が起きないかを検討していきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 控除から手当へという政策のもとで行われているというわけですが、長妻厚労大臣が二月二十三日の本会議で、これは、相対的に高所得者に有利な考えから、相対的に支援の必要な人に有利な手当へ切りかえる、こう説明をされております。

 しかし、試算をしてみますと、仮に月額二万六千円の支給を行ったとしても、低所得者の家庭と高所得者の家庭の支援額というのはそれほど変わらないんじゃないか。

 お配りした試算の資料、四ページをあけていただきたいんですが、これはサラリーマン片働きで子供が三歳未満のケースであります。年収三百万の家庭では、差し引きで十三万七千円の支援。一方、年収二千五百万円の家庭では、十二万七千円の支援となる。一万円の差でしかないんです。月額で見ればわずか八百三十三円、こういう計算になります。年収五百万円なら差し引き十二万二千円でありますので、年収二千五百万円の人よりは低いわけですね。これは、相対的に支援の必要な人に有利とは必ずしも言えないんじゃありませんか。

古谷政府参考人 数字について、私の方からコメントをさせていただきます。

 この試算は、子ども手当が満額支給されることを前提に、あとは現在予定をしております所得税、住民税におきます年少扶養控除の廃止ということで試算をしてございます。

 低所得、所得の相対的に低い方には、現在児童手当が支給をされておりますので、それを加味して差し引き計算をいたしますと、こういう数字が可能かと存じます。

佐々木(憲)委員 要するに、その児童手当を廃止してこういう形にするから、こうなるんですね。つまり、児童手当と子ども手当、それから所得税、住民税の扶養控除には、それぞれ独自の理由があるわけですよ。それをごちゃまぜにして、こっちを廃止して中に組み込むような、そういうやり方をするものですから、こういう事態が生まれるわけですね。この点も、ベースとなる児童手当というものをそう簡単にやめてしまうというような考え方自体に問題があると私は思っております。

 それからもう一点は、早生まれの子供の問題なんです。

 資料の五ページの表を見ていただきたいんですが、子供が高校一年生のときと高校卒業年に問題が発生するんですが、とりわけ扶養控除が廃止されるため、高校一年生の子供が早生まれの場合は全く所得控除が受けられなくなる。同学年で十二月末までに誕生日を迎える子供は、特定扶養控除の上乗せ部分が廃止されるために所得税で三十八万円に減額はされるが、扶養控除を受けることはできる。つまり、早生まれの高校生だけが、子ども手当も扶養控除も受けることができない。これはおかしいんじゃないでしょうか。同じ高校一年生でこういう差別が発生する理由を説明していただきたい。

古谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 扶養控除につきましては、現在、年少扶養控除の場合、ゼロ歳から十五歳までのお子さんをお持ちの方に控除が認められているわけですが、これにつきましては、年齢の判定を、所得税は一月から十二月の暦年課税でございますので、十二月三十一日時点で判定をしております。このため、学年でいいますと同じ学年でも、早生まれ、一月から三月までのお子さんについては、四月から十二月の遅生まれのお子さんよりは一年おくれで年齢の判定が行われることになっておりまして、中学を卒業されて高校一年生になられた年に十五歳という判定を受けますので、一年おくれるということでございます。

 他方で、子ども手当につきましては、現在の児童手当と同様に、その支給期間が、中学校修了までの子育ての支援ということで、三月の卒業時までの支給ということで制度設計をされております。このため、二十二年の四月には問題は生じませんが、二十三年四月以降に高校一年生となる早生まれのお子さんにつきましては、一年生になった時点で十五歳ということでございますので、その年に年少扶養控除が適用されずに、一方で子ども手当については三月までで支給が終わるということで、四月以降、子ども手当の支給がないということではございますけれども、一方で、高校に入学をされますと、高校の実質無償化による経済的利益を受けることも考慮いたしますと、必ずしも高校に入学されたときに負担がふえるかどうかは、急に負担がふえるということではないというふうに思われます。

 さらに、二十三年四月以降ということでございますので、二十二年の子ども手当がそのまま続く前提で考えるとそういったことになるということで、二十三年以降の子ども手当の問題については今後検討されるということになっておると承知しております。

佐々木(憲)委員 要するに、一月から三月の部分というのは、谷間のようなものなんですね。運が悪いから我慢しろと言われても、これは四分の一を占める方々ですから、量としては大変多いんですよ。それを、制度上谷間ができるからしようがないんだというわけにはいかないんじゃないでしょうか。

 やはり、何らこの所得控除も受けられない、あるいは子ども手当が支給されない、これは控除から手当へじゃなくて控除からゼロへ、こういう話になりますので、これはほかの国ではどうなっているんでしょうね、こういうものは。同じようなことが発生している事例はあるんでしょうか。

古谷政府参考人 大変恐縮ですけれども、ほかの国の事例は、私どもは今手元に持っておりません。

 ただ、若干先ほどの説明に補足をいたしますと、早生まれの場合に年齢の判定が一年おくれるということではございますけれども、扶養控除ということで、扶養されている限りは一年おくれで適用されるということでございますので、扶養控除という観点から、生まれ年によって不公平が生じているということではないというふうに承知をしてございます。

佐々木(憲)委員 この早生まれの問題というのは、前政権、自民党政権のもとでもずっと放置されてきた問題で、これまでも、例えば高校の授業料減免制度が対象になるとかならないとか、そういう問題がありました。例えば、夫婦子供二人、高校生、中学生の子供を持つ家庭では、給与所得者の場合、給与三百二十五万円が課税最低限となるわけです。それ以下であれば所得税は非課税のために授業料の減免制度の対象になる。高校生が早生まれの一年生で扶養控除となれば、課税最低限は三百万円に下がる。つまり、給与三百二十五万から三百万円までの人は、授業料減免制度の対象から外れるわけです。母子家庭でも、課税最低限は二百六十一万六千円から二百三十六万六千円に下げられて、同じ問題が発生していたんです。

 ともかく、こういう問題は、仕組みがそうだからというわけにはなかなかいかない。こういう手当や税金の問題というのは国民の権利にかかわる非常に重要な問題でありますので、菅大臣にまとめてお伺いしたいんですが、いろいろなこういう問題がある、当然、こういうものも含めて全体として国民が平等に支援を受けられるようにする、そういう発想で検討するということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

    〔鈴木(克)委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 いろいろ私たちが必ずしも気がつかなかったことを含めて御指摘をいただいたと思っております。

 まさに、佐々木議員がおっしゃったように、私たちも、こういうことで一部の人に不利益な扱いにならないようにどうすればいいのか、ちょっといろいろ工夫が必要かもしれませんが、PT等で真摯に検討していきたい、こう思っております。

佐々木(憲)委員 次に、子ども手当を支給する場合に、高校の無償化もそうですし、父子家庭に支給される児童扶養手当もそうなんですけれども、国税、地方税の滞納した方の差し押さえというものを禁止する措置を税制改正大綱では導入しておりますが、その理由を、基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。

 菅大臣、あるいは主税局長でも結構です。

古谷政府参考人 子ども手当法案の方で、差し押さえ禁止規定が今回設けられておりますけれども、現在の児童手当についても同じ規定が設けられておりますけれども、子供の養育支援ということで、確実にそれが支給されるということを期待してこの差し押さえ禁止規定が今回も設けられているというふうに承知をしております。

佐々木(憲)委員 子ども手当法案は、十四条で担保、差し押さえ等の禁止を規定しておりまして、例えば第二条で「子ども手当の支給を受けた者は、前条の支給の趣旨にかんがみ、これをその趣旨に従って用いなければならない。」こういう規定がある。これは児童手当の法律と同じ規定なんですね。

 しかし、実態として児童手当が差し押さえられて目的どおり使えなくなったという例があるんですよ。

 私は、この財務金融委員会でも紹介したことがありますが、鳥取県で不動産業を営むAさんと仮にしますと、この方は、病弱な妻と認知症の父親、それに子供五人、八人家族なんですね。事業が非常に経営難で、夜間の警備の仕事をして、収入は月に十五万円に満たない、大変厳しい生活状態にありました。

 一昨年の六月にこのAさんの銀行口座に児童手当十三万円が振り込まれた。ところが、この手当が県税事務所に差し押さえられてしまったのです。入金後わずか九分以内の出来事です。何で情報がそういうところに、市から県に行ったのか、この問題もあります。Aさんからいただいた預金通帳のコピーを私は以前配付したこともありますけれども、残金は七十三円しかなかったんですよ。そこに十三万円の児童手当が振り込まれた。ところが、九分以内に十三万七十三円、全部ごっそりと県税事務所が引き出した。残金ゼロ、こういう状況になったんですね。

 児童手当法には、児童手当の支給を受ける権利は差し押さえることができないと定めております。Aさんは、この児童手当で、滞納している給食費だとか教材費とか子供のための費用に充てようとしていたんですけれども、それができなくなった。

 これは法の趣旨に反するんじゃないかと思って、私は、与謝野財務大臣のときに、同じことを与謝野さんに対して質問したんです。そうしたら、与謝野さんは、児童手当は子供の養育に使うという目的に達せられるべきものだ、その上で、権利の差し押さえは、受給者が差し押さえによって児童手当を使用できなくする、こういうことを禁止するように解釈するのが正しい。つまり、児童手当はちゃんと児童の養育のために使うものであるから、差し押さえてはならない、児童の養育のために使えるようにしてやるのが本来の筋だと。私は、真っ当な答弁だと大変感心してお聞きしました。

 政権がかわりまして、藤井大臣にも私は同じことを聞きました。藤井大臣は、「与謝野さんの言われたことは正しいと思います。」こうお答えになったんです。菅大臣も同じお考えかどうか確認をしたいと思います。

菅国務大臣 結論的には、与謝野大臣あるいは藤井前大臣と同じ認識を持っております。

 ただ、若干のことを申し上げますと、法律上、児童手当の受給権は差し押さえが禁止されている、先ほど言われたとおりで、これからの子ども手当も同じことになっておりますが、今までの扱いでは、児童手当が振り込まれた預金については差し押さえが禁止されていないという扱いになっているようであります。

 もっとも、その差し押さえに当たっては法令を厳格に適用するだけでなく、滞納者個々の実情に即して相当性があるかどうかを判断する必要があると認識しています。

 したがって、例えば、預金残高のない口座に児童手当が振り込まれるのを待って、これをねらい撃ち的に差し押さえるようなことは、差し控えるべきと考えております。

 いずれにしても、国税の滞納整理に当たっては、滞納者個々の実情に即して法令の規定に基づき適切に対応しているものと承知しておりますが、先ほどの指摘は、現金で受け取られればそれは差し押さえの対象にならなかったんでしょうけれども、実質上、ほとんど残高のない口座に振り込まれたものまで、まさにねらい撃ち的に差し押さえるというのは法の趣旨に反する、そういう意味では、前大臣、前々大臣と同じ認識を持っております。

佐々木(憲)委員 これは児童手当だけではなくて、例えば年金の問題もあるんですよ。これは、年金の差し押さえというのも全国で起こっていまして、我々に随分相談が来るんですね。

 例えば、一つの例ですけれども、千歳市。過去の滞納整理として、国税庁に競売にかけられたマンションの固定資産税の滞納処分として、七十九歳の男性の年金が差し押さえられるという事態が起こっております。このケースは、競売によってもまだ滞納が残ったんですけれども、国税庁の判断は、この男性にはもう支払い能力はないということで判断をして、徴収法百五十三条の適用で、残りの滞納分については処分の停止、つまり、もう払わなくても結構です、こういうふうにしたんです。

 ところが、その後なんです。千歳市がこれを差し押さえちゃったんです。問題なのは、差し押さえ通知をして、千歳市に対してこの方が苦情を訴えた、差し押さえされたものですから。そうしたら、今度は逆に、生活実態調査の調査票を送ってきたというんですよ。これは逆なんですね。

 皆さんにお配りした資料の最後の方を見ていただきたいんですが、差し押さえ調書というのは後ろから二枚目、六ページのところにあります。この日付は一月十五日になっていますね。これはことしであります。

 次のページを見ていただきますと、最後のページですが、これは、生活の状況を確認するためということで、実態を教えてくださいというのを二月五日に送っているんですね。本当はこれは逆なんです。本来なら、この生活の実態をよく把握して、その上で差し押さえ可能なものなのかどうか、相手の生活実態はどうなのか、そういうものをよく把握するというのが前提にならなければならない。それなのに、差し押さえた後でこれを送ってくる。これは非常に重大な問題だと思うんです。

 これは、実態調査もせずに年金を差し押さえて生活を困難に陥れるというのはやってはならない。こういうものは、本当に私も、果たしてこんなことをやっていいのかなと思うんですが、大臣はどうお感じでしょうか、感想をお聞かせください。

菅国務大臣 それぞれの自治体がいろいろな判断をしているのだとは思いますけれども、おっしゃったように、先ほど来の議論で、やはり生活実態を把握した上で、年金の場合の扱いが法律的にどうなっているか、私は詳細には知りませんが、場合によっては、そういう支払い能力がないような方について、生活実態を調査した上で判断すべきで、当然ながら、逆になっているということであれば、それは自治体の判断ではありますけれども、本来なら逆でなければならないと思います。

佐々木(憲)委員 私は、政権がかわったんですから、今まで当たり前だと思ってやられていたようなことも、もう一度検討をし直すというのは非常に大事なことだと思うんです。子ども手当にしても、これは差し押さえていいんだみたいなことになりますと非常に重大でありますから、やはり生活が成り立つ、最低限の生活が保障される、そういう状況をどうつくるのかというのが非常に大事だというふうに思います。

 これは、自治体の問題がいろいろ絡みますので、総務省も当然絡んでまいりますので、総務大臣も参加する政府税調で、ぜひこういう問題も含めて総合的に検討していただきたいと思います。

 最後に、菅大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 今、税調では、納税環境の問題等も含めて、全般にわたっての議論をスタートさせております。

 おっしゃるように、総務大臣も税制調査会の会長代行ということで主要メンバーでありますので、しっかりとこういった問題も取り扱っていきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

玄葉委員長 次回は、明二日火曜日正午理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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