衆議院

メインへスキップ



第2号 平成28年10月19日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十八年十月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 上川 陽子君 理事 亀岡 偉民君

   理事 前田 一男君 理事 宮川 典子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 長島 昭久君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    安藤  裕君

      池田 佳隆君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      谷川 とむ君    冨岡  勉君

      馳   浩君    福井  照君

      船田  元君    古田 圭一君

      松本 剛明君    宮路 拓馬君

      和田 義明君    太田 和美君

      坂本祐之輔君    高木 義明君

      平野 博文君    牧  義夫君

      笠  浩史君    樋口 尚也君

      吉田 宣弘君    大平 喜信君

      畑野 君枝君    伊東 信久君

      吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   財務副大臣        木原  稔君

   財務大臣政務官      三木  亨君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    田野瀬太道君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 奈良 俊哉君

   政府参考人

   (内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局総括調整統括官)   芦立  訓君

   政府参考人

   (内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官)  多田健一郎君

   政府参考人

   (内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局セキュリティ推進統括官)           石田 高久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 和田 昭夫君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     関  博之君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    高橋 道和君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     海堀 安喜君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十九日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     宮路 拓馬君

  馳   浩君     和田 義明君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     尾身 朝子君

  和田 義明君     馳   浩君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長奈良俊哉君、内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局総括調整統括官芦立訓君、企画・推進統括官多田健一郎君、セキュリティ推進統括官石田高久君、内閣府大臣官房審議官和田昭夫君、復興庁統括官関博之君、文部科学省生涯学習政策局長有松育子君、初等中等教育局長藤原誠君、高等教育局長常盤豊君、高等教育局私学部長村田善則君、スポーツ庁次長高橋道和君、文化庁次長中岡司君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、大臣官房審議官星野岳穂君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官海堀安喜君及び環境省大臣官房審議官早水輝好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀岡偉民君。

亀岡委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の亀岡偉民です。

 本日の委員会のトップバッターで質疑をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、松野大臣には、本当に思い入れを聞かせていただきました。ぜひ松野大臣には、教育行政をしっかりと担っていただいて、そして新たな日本のための教育体制をしっかりと立ち上げていただきたいと思います。

 まず、教育再生に関してお伺いさせていただきます。

 教育再生は安倍内閣の最重要課題の一つであり、教育再生なくして我が国の成長はあり得ません。私も、党の文部部会長として教育再生をしっかりと支えてまいります。

 先般、教育再生実行会議の新たなテーマが発表されました。そのテーマは、学校、家庭、地域の役割分担と家庭や地域の教育力の充実、及び子供たちの自己肯定感が低い現状を改善するための環境づくりの二つだと伺っております。

 改めて、教育再生を担当する大臣として、今回のテーマに込められた意味と今後の議論に向けた松野大臣の意気込みを伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

松野国務大臣 おはようございます。

 亀岡委員には、自民党の党の部会長としても御活躍をいただいておりまして、引き続き御指導、御鞭撻をいただければと思います。

 今御質問がありました教育再生実行会議の新たなテーマに関してでございますが、今般、教育再生実行会議においては、これまでの提言等を踏まえまして、教育を再生していく上で根本的な課題に取り組むべきとの考えから、二つのテーマについて御議論をいただくこととしております。

 具体的には、第一に、学校、家庭、地域の役割分担と教育力の充実についてであります。

 今日の教育現場に目を向けますと、学校教育の土台となる家庭や地域の教育力の低下が指摘をされる中で、学校での教育活動は教師の皆さんの長時間労働に支えられているという状況があります。

 こうした状況を変えるためにも、保護者と学校との意識のずれといった問題を踏まえつつ、家庭や地域の教育力の向上や教師の皆さんの働き方、業務のあり方について御議論をいただきたいと考えております。

 第二に、日本の子供たちの自己肯定感が低い現状を改善するための環境づくりについてであります。

 文部科学省では、これまでグローバル人材の育成などに取り組んできましたが、一方で、日本の子供たちの自己肯定感が諸外国に比べて低いとの指摘があります。

 このように、子供たちの自己肯定感が低く、自分に対して自信がないままでは、グローバル対応ですとか主体的な学びといっても、その実現は簡単ではありません。

 このため、日本の子供たちの自己肯定感を高め、自信を持って成長し、よりよい社会の担い手となるためにはどうすればよいのか、この点について、今後、さまざまな調査の分析等を進めつつ、客観的、多角的な御議論をいただくこととしております。

 教育再生は、亀岡委員からお話がありましたとおり、安倍内閣の最重要課題の一つであります。教育再生実行会議の有識者の皆さんのさまざまな御見識、御知見をいただきながら国民的な議論を深め、教育再生を担当する大臣として、こうした日本の教育現場を取り巻く根本的な課題への対応に全力で取り組んでまいります。

亀岡委員 ありがとうございました。

 まさに、子供たちの自己肯定感、これは国民の誇りにもつながるわけですから、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 そして、この自己肯定感というのをしっかり植えつけていくには、やはり学校の現場、教師の資質というのが非常に大事になってきます。この教員の資質の向上についてお聞きしたいと思います。

 教育再生、とりわけ学校教育の成否は教員の資質によるところが大きく、これからの時代に求められる学校教育を実現するためには、教育の直接の担い手である教員の資質の向上を図ることが極めて重要だと考えています。

 先日の松野大臣の挨拶の中でも、学校教育の現場力を担う教員の資質の向上を図ることが必要であり、教員養成、採用、研修の一体改革を実現するため、今国会で所要の法整備に向けた準備を進めると言及をされました。

 これを受けて、昨日、教育公務員特例法の一部を改正する法律案が国会に提出されたところと承知しております。

 その中で、私もちょっと目を通させていただきましたが、今、教員の質の世代間のバランスがうまくとれていない。要するに、団塊の世代が抜けて、若い世代がどっと入ってきて、教員の質を高めるために、先輩たちの申し送りもなかなかできないような状況であると聞いたことがあります。

 ぜひ、こういう中で、この改正の中できちんと研修を義務づける。そして、その研修の中で、十年の教員免許更新だけの研修ではなくて、世代を超えてしっかりとバランスがとれた、十年研修にこだわらない研修も位置づけるというお話が出ていましたが、それを都道府県または政令都市にしっかりと義務づけて研修をやらせるということがうたってありました。その中で、大臣の指針を入れて、それをもとにしっかりつくってもらうと書いてあります。

 一番大事なのは、大臣が考えて、教員の養成、採用、研修を通じた資質向上をしっかりとやっていく、その大臣の思いが一番大切になってくると思いますので、大臣の意気込みをお願いします。

松野国務大臣 現在検討を行っております新しい学習指導要領の内容に沿った新たな時代に必要となる資質、能力の獲得のための指導、これは、まずは、先生御指摘のとおり、現場の教師の皆さんの力を発揮していただくということが一番重要でありますが、新たな時代に必要となる資質、能力の獲得のための指導に対応できるよう、教員の資質の向上を図るための環境整備をするということが喫緊の課題であります。

 一方で、近年、学校現場においては、教員の大量退職、大量採用等の影響による年齢構成や経験年数の不均衡が生じ、先輩教員から若手教員への自然な知識、ノウハウの伝達が期待できなくなっていることは、委員から御指摘をいただいたとおりであります。

 こうした問題を解決するために、教員の養成、採用、研修を通じた教員の資質向上に向けた体制を構築する必要があり、昨日、教育公務員特例法等の一部を改正する法律案が閣議決定され、国会に提出をされたところです。

 本法案によりまして、大学と教育委員会等の連携、協働を強化しつつ、国、地方、学校現場がそれぞれの役割をしっかりと果たしながら、体系的、効率的な研修システムを構築することで、質の高い教員の確保、資質の向上を図ってまいりたいと考えております。

亀岡委員 ぜひ、大臣の思い入れがしっかりと伝わるように、この研修の指標をつくっていただきたい、こういうふうに思います。

 続いて、基礎研究の振興についてお聞きしたいと思います。

 大隅良典東京工業大学栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されたその事例を我々部会としても聞くということで、大隅先生からいろいろとお話を聞かせていただきました。すばらしい研究成果と、しっかりと研究ができたという体制に対する先生の思い入れを聞かせていただいたのですが、その中で一番気になったのが、これからの若手がこういう研究ができないんじゃないかということを大隅先生があちらこちらで言われておりました。大学の研究費、特に私学の研究費が横ばいで推移している現状を見ると、私も危機感を感じております。

 大隅先生に直接お尋ねしたんですね、若い研究者が大隅先生のように基礎研究をしっかりとできる環境をつくるにはどうしたらいいですかと言ったら、生活費をくれと。そうしたら、研究費のお金に生活費を入れたら、じっくり腰を据えてできるんじゃないかというお話があったんです。残念ながら、若手の研究者の方が、今だけに終わってしまって基礎研究に本当に没頭できないようなことがあるとすれば、将来、日本にとっては大変なことになりかねないという思いがあります。

 ぜひ、この基礎科学力の強化に力を入れるべきだと思いますし、若手研究者のために、しっかりと育成する環境が必要だと思いますので、松野大臣の所見をお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 このたびノーベル賞を受賞された大隅教授の研究について、一九八二年からほぼ切れ目なく科学研究費助成事業によって支援をしてきたように、我が国では、基礎研究を長期的に支援する仕組みが備わっております。

 我が国が持続的にイノベーションを創出していくためには、短期的には必ずしも成果の見込めない基礎研究への投資及び若手研究者がはつらつと研究に取り組める環境づくりが極めて重要であると考えております。

 文部科学省としては、科研費の改革を通して、挑戦性、創造性に富んだ研究を促進するとともに、卓越研究員制度等により、若手研究者が安定かつ自立して研究できる環境の整備に取り組んでまいります。

亀岡委員 ありがとうございます。

 ぜひ、若手研究者がじっくりと基礎研究ができるような環境もつくっていただきたいと思います。

 それから、ちょっと丸川大臣にお聞きしたいと思うんですが、実はきのうも、バッハ会長が来ていろいろお話をされました。そして、四者でしっかりと運営協議会を開けと。私は、ずっとそれでやってこられたのかと思っていたんですが、何かそうでもなかったように聞いております。

 特に、二〇二〇年東京オリンピック競技大会には、新たに追加された五競技十八種目に対しても新たな競技会場を選定することとなります。この競技会場の選定には、今度は問題が起きないように四者でしっかりと行うことが必要だと思いますが、それ以上に、いかに東京オリンピックとはいえ、国を挙げて招致するオリンピックであり、国を挙げてイベントを盛り上げる大会でありますから、もう少し国家としての責任をしっかりと明確に出すべきであろうと私は考えているんですね。

 ですから、東京オリンピックとはいえ、東京都が招致したとはいえ、これは国が一緒になって招致をしたわけですから、もう少しリーダーシップを国がとるべきだと思っているんですが、丸川大臣の考えをちょっとお聞きできればと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 被災地の復興ということを念頭に、オリンピックをいかに盛り上げていくかということについては、亀岡委員におかれましても、大変な御尽力を日々いただいておりまして、感謝を申し上げたいと存じます。

 その上で、安倍総理が何度も、国会の場においても、国としてしっかり役割を果たしていく旨、成功に導きたいということで御発言をいただいておりまして、とりわけ、安心、安全というのは国の一番の、日本のブランド力でもあり、また、このオリンピックを成功させる上で一番基盤となる部分でございますので、しっかりと国としての役割と責任を果たしてまいりたいと思っております。

 その上で、もう釈迦に説法ではございますけれども、競技会場地をどこに選定するかというのは、オリンピック憲章において、IOCに決定権があるということが書かれております。このIOCのもとに、NF、IFといったそれぞれの国際また国内の競技連盟があって、そうした競技連盟のそれぞれの意見を聞きながら、IOCが最終的に決定をされるわけでありますので、私どもは、東京都、組織委員会、そしてIOCがどのようにアスリートファーストの観点から競技会場を決定していくのかということをしっかりバックアップさせていただきたいと思っております。

亀岡委員 ありがとうございます。

 バックアップも大事なんですけれども、ぜひ、バッハ会長が四者でということを言っておりますので、積極的に発言をしていただいて、できる限り四者の合意を得られるような環境づくりに国がしっかりと寄与しているということを見せていただきたいと思うので、よろしくお願いします。

 ついでに、オリンピック会場の話が出ましたので、今、二〇一九年のラグビーワールドカップは釜石で開催するということが決まっています。または、サッカーは宮城県で開催されるなど、まさに被災地の復興のシンボルとしての会場選定がなされております。

 これは私、ぜひお願いしたいんですが、福島も、一番の被災地または被曝地、大変な事故があって大変な思いをしている中で、例えば野球とかソフトボールは福島に最適なスポーツではないかと。しかも、苦しんでこの五年間頑張ってきた県民、それから避難を余儀なくされた子供たちの夢と希望を実現させるためには、何としても、復興という、二〇二〇年、復興をなし遂げた、または風評被害を払拭できたということをしっかりと実現させるためには、何とか、この被災地のラグビーやサッカーのように野球やソフトボールも我々は福島と考えておるんですが、ぜひ丸川大臣の見解をお聞きできればと思うので、よろしくお願いいたします。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 東日本大震災のときも、亀岡委員におかれましては、まさに地元に根を張って、いち早く私どもの党本部の災害対策本部に情報を上げていただき、連携をして被災地に物資を送ったり、また人を派遣したりというようなことを協力してやらせていただいたことがきのうのことのように思い浮かびます。

 あれから被災地が、地域の皆様が努力をして今の姿まで到達をされたということは本当に誇るべきことであり、また、ぜひともこの被災地の皆様方に希望を持っていただきたいと思っております。

 その上で、世界のトップアスリートが被災地に足を運んで、その姿が放送を通じて数十億の世界の人々の目に触れるというのは、被災地の風評被害を払拭する上においてこの上ない機会であると私は思っております。もう私の心の中では被災地での競技開催というのはほぼ決まっておるわけでございますが、決めるのはIOCでございますので、私は吉報を待ちたいと思っております。

亀岡委員 ぜひ、先ほどからお願いしているとおり、四者会議で決めると言っておりますので、国の積極的な発言もお願いして、この被災地の開催を実現できるように御尽力をお願いしたいと思います。

 そしてもう一つ、松野大臣にお願いしたいんです。

 国が関与して発言ができる、発言力を高めるためにはどうしても、アスリートたちの強化、それを国がしっかりと支援する体制を明確にしていくことによって初めて、国の発言力も高まってくると思うんですね。アスリートたちは国の支援によって強化されて強くなっていく。そして、二〇二〇年のとき、オリンピックのメダルを、できれば今までにないオリンピックのメダルをとれるような環境をつくるためにも、このアスリートたちの強化のための施策をちょっと大臣にお聞きできればと思うので、よろしくお願いします。

松野国務大臣 リオデジャネイロ大会が終了し、いよいよ次は二〇二〇年の東京大会だということで、オリンピックに向けて文部科学省とスポーツ庁の主たる取り組みは競技力向上でございますので、我が国の国際競技力の向上に向けて取り組みを本格化させていきたいと考えております。

 今般、スポーツ庁において、競技力強化のための今後の支援方針を取りまとめました。本方針において、二〇二〇年東京大会で日本がすぐれた成績をおさめることができるよう支援するだけでなく、強力で持続可能な支援システムを構築し、継承することを念頭に各種取り組みを進めてまいります。

 国としては、この支援方針に基づきまして、今後とも、日本スポーツ振興センター、日本オリンピック委員会、日本パラリンピック委員会等の関係団体と一丸となりまして、競技力強化の支援に取り組んでまいります。

亀岡委員 ぜひ、松野大臣と丸川大臣、力を合わせて、発言力を高めていただいて、いろいろ実現をさせていただきたいと思います。

 さて、一つ、ちょっと質問はかわるんですが、東日本大震災から五年七カ月が経過しまして、福島では今もなお数多くの県民が避難生活を続けております。

 実は、不登校については、福島県は全国でも少ない方だったんですが、残念ながら、震災後はふえている現状があります。避難を繰り返したり、家庭環境が大きく変化したりしている中で、安定した環境の中で学習が厳しくなっている子供たちが多くて、基礎学力のみならず学習意欲までも損なっている現状があります。

 実は、先日、菅野村長とお会いしたとき、来年三月三十一日に解除するんですが、そのときにも、第一に掲げているのが学校再開、これがなくして村の再建はあり得ないということを言っておりました。復興に係る学校再開を支える教職員の配置は国の責任であります。

 五年と半年が過ぎてその体制が薄れないように、現在の制度を維持しながら、より以上の個々に応じた支援が被災地には必要だと思いますので、これからの避難解除に向けて、福島県の教職員の配置も含めた教育環境の整備をぜひ松野大臣にお願いしたいと思うので、その所見をお願いいたします。

永岡委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、松野大臣、手短にお願いいたします。

松野国務大臣 文部科学省としては、被災した児童生徒に対する学習支援や心のケア、学校再開に向けた指導体制の整備については、中長期的な継続した対応が必要だと考えております。

 平成二十九年度概算要求においても、前年と同数の千人の加配を計上しているところであります。

 今後とも、被災地からの要望を踏まえ、息の長い支援に努めてまいります。

亀岡委員 ありがとうございました。

 時間ですので終わりますが、もう一つ、私学の助成についてもお願いしたかったんですが、私学の助成費も、年々増加しない現状の中で、しっかりと取り組んでいただければと思いまして、次の質問にしたいと思います。

 きょうはこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

永岡委員長 次に、前田一男君。

前田委員 皆様、おはようございます。自民党の前田一男でございます。

 このたび当委員会の理事を務めさせていただくことになりました。言うまでもなく、教育は国の基であります。見識ある文科委員会の皆様とともに、これからの文科行政をともに考え、そして追求していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 先日、両大臣の所信を聞かせていただきまして、今まさに日本の教育が大きく動き出したなというふうに感じもしましたし、また、これから、四年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本の内政も外交もさらに一段高いところに飛躍していくのではないか、また、そうしていかなければいけない、そのような思いを強く持ったところでございます。

 そこで、きょうは、二つの論点について議論をしたいというふうに思っているのでありますけれども、まず一つ目は、これは小さい話かもしれませんが、しかし大事な問題だなというふうに思っています。コンビニ等での成人向け雑誌の陳列についてであります。

 コンビニに入った外国人は、日本のこの状況を見て、子供たちの目の届くところにさまざまな雑誌が広く陳列されている、それを見てびっくりするんだそうです。そう言われてみれば、私も外国に行っていろいろなお店に入りますけれども、そのような光景を余り目にすることはありませんでした。彼らの常識からすると、とんでもない光景なんだそうです。

 そこで伺いたいのですが、外国では、こういったポルノ雑誌、その陳列に対してどんな規制が行われているのか、また、日本ではどのような状況になっているのか、これについてお聞かせください。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、海外における規制の状況についてでございますが、委員御指摘のとおり、青少年に有害な図書等について、御指摘のフランス、ドイツなど法的な規制がなされている国があると承知しております。

 まず、フランスやドイツでは、法律で、青少年に有害な図書等について、青少年に販売すること、販売店で青少年の目に触れる状態で陳列することなどが禁止されていると承知しております。

 次に、アメリカでは、青少年に有害な図書等を青少年に販売することなどを州法で禁止している例があるというふうに承知しております。

 また、イギリスについてでございますけれども、法律でわいせつ図書等の販売等が禁止されているというふうに承知しております。

 次に、日本における規制の状況についてでございますけれども、四十六の都道府県におきまして、いわゆる青少年育成条例に有害図書類に対する規制が設けられております。その多くでは、コンビニエンスストアを含みます販売店における有害図書類の陳列方法に関する規定が設けられているというふうに承知しております。さらに、関係業界におきましても、成人向けコミック誌などの販売店における区分陳列、成人コーナーの設置などの自主的な取り組みが行われているというふうに承知しておるところでございます。

前田委員 私も、東京都の青少年健全育成条例を見させてもらいましたけれども、これは、成人向けの雑誌は、例えば、ビニールで包装すればいいとか、ひもで縛ればいいとか、中身が見られなければそれでいいのだというふうな考え方でありますから、先ほど御紹介いただいたフランスやドイツの考え方とは根本的に違うものだというふうに感じました。

 東京都内だけでも、コンビニ店は七千三百店、そして書店も千六百店あるそうです。なぜ日本だけがこんな何か甘い状況になっているのかなというふうに思うのでありますが、刑法の百七十五条、そういったわいせつに関する雑誌の公然陳列は犯罪ということになっていますけれども、日本国憲法で認められているところの二十一条の第一項、出版の自由、これが大手を振って歩いているような、そのような状況ではないかというふうに感じざるを得ません。

 どんな形でもいいと思うんです。法律でばしっと縛るのも一つの方法でしょうし、また、各自治体が行っている条例でもっときつい縛りをするということも一つの方法かもしれません。また、業界団体がもっときちんとした自主規制を行うということも一つの方法かもしれません。

 いずれにしろ、四年後の東京オリパラの開催に向けて、何らかの方法で、子供が目にするような場所からこういった雑誌は一掃するというふうなことをすべきではないかと思うのですが、所見を伺いたいと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 青少年を取り巻く有害環境への対応につきましては、国民の関心も非常に高く、また、今御指摘もございましたようなさまざまな議論があることも承知しております。

 有害図書類の陳列方法などの規制につきましては、現在は、今し方お答え申し上げましたとおり、都道府県のいわゆる青少年育成条例による規制に加え、関係する業界団体等による自主規制によって行われているところでございます。

 そこで、内閣府におきましては、こうした有害図書類の規制に関しては、青少年育成支援施策のホームページに、各都道府県の条例及び規則等の制定状況や有害図書類の指定状況を掲載いたしますとともに、都道府県・指定都市青少年行政主管課長等会議を主催するなどいたしまして、有害環境から青少年を守るための最新の情報について、都道府県間における情報共有を図っているところでございます。

 さらに、本年七月に内閣府が主催いたします青少年の非行・被害防止全国強調月間では、有害環境への適切な対応を重点課題の一つとして掲げまして、関係省庁及び地方公共団体が、協力団体、各種ボランティアの方々などの協力を得つつ、販売店等の事業者に対して、有害図書の区分陳列など、青少年育成条例に基づく対策の徹底を指導することといたしました。

 また、全国的なコンビニエンスストアの組織でございます社団法人日本フランチャイズチェーン協会などの協賛団体に対しましても、その効果的な推進が図られますよう、特段の配意と、傘下の事業者に対します周知、指導を依頼したところでございます。

 内閣府といたしましては、今後とも、引き続き関係省庁、地方公共団体、また有害環境対策に自主的に取り組んでいただいています関係業界団体、さらには各種ボランティアの方々と連携しながら、青少年を取り巻く有害環境への対応をしっかりと推進してまいりたい、かように考えているところでございます。

前田委員 東京オリンピック・パラリンピックでは、日本の観光地とかまたすぐれた点とか、それと一緒に、文化とかまたこういう風俗とか、そういったものも世界にどんどん宣伝されることになるというふうに思うんです。

 これまでも、日本人と性の意識、こういったことについて歪曲した喧伝がされる、またそのような勢力もあるわけですから、そういったことにも十分対処を考えながらこれからの検討を願いたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思います。次は、本当に必要な人への投資とは何なんだろうというふうなことであります。

 政治の場でも、人への投資ということがよく議論されるところであります。では、人にとって本当に千金の値になる人への投資とはどういうことなのか、そういうことを考えていたのでありますが、先日、リオデジャネイロのオリンピックの終了時に選手団長の橋本聖子団長がインタビューに答えたその言葉に、私はヒントを得たような気がしました。

 団長は、リオでの選手の活躍の理由は何ですかというふうに問われて、それは、ただ勝つとかまた技術を高めるとかそういうことじゃなくて、この四年間、人間力を高めるということについて一生懸命、指導者もそしてアスリートも取り組んできたというふうなことでありました。

 そこで、ちょっと調べてみたのでありますけれども、JOCのキャリアアカデミー事業、こういったものがありまして、そこには、人間力を高める教育研修を実施しているというふうな記載がありました。これは具体的にどんなことをしているのか、御紹介いただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 JOCでは、トップアスリートが人間力を高め、みずからのキャリアについてしっかり準備をすることができるように、平成二十年度から、御指摘のキャリアアカデミー事業を実施しております。

 具体的には、短時間で選手間の理解を深め、全体目標の共有と役割分担の重要性を学ぶチームビルディング研修でありますとか、取材時の適切な応対などを学ぶメディアトレーニング、このほか、キャリアカウンセリングや、アスリートと企業の就職マッチングをすることなど、それぞれの選手の年代に応じた研修プログラムを立てて実施をしております。

 また、参考までに、JOCではこのほか、中高生のアスリートを対象としたエリートアカデミー事業も実施しております。

 これは、ナショナルトレーニングセンターでの共同生活を通して、競技力の向上はもちろんですが、それにとどまらず、スポーツを通して社会の発展に貢献できるアスリートを目指すために、知的能力や生活力の育成などにも配慮をされていると伺っております。

前田委員 トップアスリートに対して行われているキャリア教育、これは学校教育の中でも非常に参考になる面があるのではないかというふうに思っています。

 人間力という言葉が最近いろいろな場で聞かれるようになりました。これまで使われていた言葉で言うならば、人格の陶冶とかまた人格形成と言いかえることができるのかもしれませんし、また、教育基本法の中にも、その目的として、人格の完成を目指すということがうたわれています。

 文科省としては、人間力という言葉については特に定義がないというようなことを以前聞いたことがあるのでありますが、この人間力という言葉を説明しようとすればどういう言葉で説明されるのか、また、そのような人間力を高めるということについて具体的な施策が展開されているとすれば、それはどういうものなのか、御紹介いただきたいと思います。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 人間力につきましては、平成十五年に内閣府の人間力戦略研究会がまとめました報告書において、「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と定義されております。

 また、改正教育基本法では、人格の完成を目指し、知徳体の調和がとれ、生涯にわたって自己実現を目指す自立した個人、公共の精神をたっとび、国家、社会の形成に主体的に参画する国民、我が国の伝統と文化を基盤として国際社会を生きる日本人を育成することとしておりまして、こうした理念と照らしましても、ただいま申し上げました人間力の育成は大変重要なことと考えております。

 文部科学省では、人間力を高めるための施策として、例えば、個別指導や習熟の程度に応じました指導などの個に応じた指導の推進を通じた確かな学力の育成、道徳教育や伝統文化等に関する教育の推進などを通じました豊かな心の育成、学校や地域における子供のスポーツの機会の充実などを通じた健やかな体の育成、これらを図っているところでございます。

前田委員 人間の人格形成は、大体十七歳から十八歳である程度決まってしまうのだというふうに言われているそうであります。ならば、初等中等教育の中で、こういった人間力ということに着眼した教育がこのJOCのキャリアアカデミーで行われているように、しつけとかまた作法とかそういったこと、えてして押しつけというふうに言われるのかもしれませんけれども、そこは押しつけではなくて、正しい、トップアスリートもやっている作法なのだということを、もっと胸を張ってやっていただいていいのではないかというふうに思ったところであります。

 一般社団法人の実践倫理宏正会という団体があります。全国で朝起き会ということを、これは八百会場で展開されておりまして、三百六十五日、朝五時から一時間、会友の方々がともに体験発表をし、そして倫理を学んでいる場であります。私も、毎日とは言いませんけれども、たまに出させていただいて、ともに勉強させていただいているのでありますが、本当にすがすがしい団体だというふうに思います。

 その団体をこの六月まで四十四年間率いてこられた方が上広栄治先生という方であられまして、その方が、教育について、「教育新興」という本を書かれています。書かれたのが十年前なので今とちょっと立脚が違うかもしれませんが、その中の文をちょっと紹介させていただきたいと思います。

 今日の教育が抱える最も大きな問題は、教育の目的が人格陶冶にはなく、産業や経済活動に奉仕する実学の習得にねじ曲げられているのではないか、しかし、教育の真の目的は人格陶冶であり、実用の役に立つ教育、いわゆる実学はその上で行われてこそ有効なのですということであります。

 教育再生実行会議では、子供たちの自己肯定感を高くするためのさまざまな分析そして検討を行うというふうなことが書かれています。メンバーを見ますと、一見実学の世界で生きてきた人が多いように見えますけれども、しかし、その中には、よく見ると、人間学ということに対して大変理解のある方が多いようにも感じています。

 自己肯定感を持てない児童生徒に必要とされているものは、英会話やコンピューターを操作するすぐに役立つ知識なのか、それとも、真の幸せを実現するためにきょう一日を強く、正しく、よりよく生きるということなのか、その答えこそが真の教育の目的なのだということを上広栄治先生が言っておられます。

 そこで、ここまで申し上げてきて感じたのが、行政や学校にこれを求めても無理なのかもしれないという感じもするのでありますけれども、しかし、人格の完成が教育の目的ということであれば、決してこれを諦めてはいけない、そのように思うのであります。

 人間力を高めていくということに正面から向かっていく、そういう文科省であっていただきたいと思うんですが、松野大臣の所見を伺いたいと思います。

松野国務大臣 前田委員御提言の人間力の養成、人間力の定義は総合的、多面的なものであろうかと思いますし、委員のお話のとおり、その養成の場は、学校だけに限らず、家庭、地域を含めた複線的な、総合的なものが必要なんだろうというふうに思います。

 そして、その人間力を構成する主要な要因の一つとして、先ほどお話を申し上げた自己肯定感ということがあるのかなと考えております。我が国の将来を担う子供たちが、自他のかけがえのない価値、これは自分も他人もということでありますが、その価値を認識しながら協働していく、さまざまな分野に積極的に挑戦をしていくということが、やはり教育の基本にあるんだろうというふうに考えております。

 一方で、今、日本の子供たちの意識が、自分が人並みの能力があるか、あると認識をする数値は諸外国に比べると一番低い数値でありますし、同時に、自分がだめな人間だと思うことがあるということは諸外国に比べて非常に高い数字が出ております。

 こういった問題点を教育再生実行会議のテーマとして取り上げていただいておりますので、有識者の皆様にもぜひ御議論をいただき、また文科省の省内においても、今タスクフォースを設置して分析を進めているところであります。

 私としては、これらの議論を踏まえながら、今後とも、前田委員御指摘の人間力の向上ということ、教育再生の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

前田委員 以上です。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 松野大臣、まず、御就任おめでとうございます。同じ千葉県で、自由民主党千葉県支部連合会の会長、私は公明党千葉県本部の代表で、ずっと一緒に戦ってきた経験もありますので、大臣の御就任、本当に心からお喜び申し上げます。

 大臣は、挨拶の中でこのように述べておられました。「我が国が成長、発展を持続するためには、一人一人の能力や可能性を最大限に引き出し、多様な個性を伸ばす教育が不可欠です。家庭の経済事情にかかわらず、誰もが希望する教育を受けられるよう、その突破口となる給付型奨学金の実現に向け、具体的な制度設計を早急に進めます。」また、「幼児教育無償化の段階的推進や奨学金事業等の充実を初め、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育費負担軽減を図ります。」とも述べられております。

 そういった意味で、奨学金の拡充について、きょうは質問をさせていただきたいというふうに思います。

 奨学金制度ができたのは昭和十八年です。このときに、奨学か育英か、あるいは給付か貸与か、どうしようかということが決まらなかった。実は、日本育英会制度をつくったのは、後に総理となられます大平正芳さん。大蔵省の主計局に戻られてこの担当をされたということで、大平先生の「私の履歴書」にそのあたりの経緯が書かれていました。

 ちょっと御紹介をさせていただきます。

 実を言うと、日本育英会創設の作業は難航をきわめたのである、その理由の一つは、まず同会を設立する目的がいま一つはっきりしていなかった点にある、つまり、千人に一人と言われる英才の育英を目標にするのか、それとも父兄の経済的負担の軽減を通して可及的多数の学生に進学の機会を与えることを狙いとするのか、この重要な出発点が曖昧だったというふうに大平先生は指摘されています。

 そして、その名の示すように英才の育成が目的だとすれば、当時既に各県、各藩や民間の篤志家の力で数多くの育英事業が行われており、目的の大半は既に達成されているように思われた、また私は、育英事業を国が行う以上、本来給費制にすべきだと考えたが、給費とするか貸費とするかという基本的な点についてさえ、方針が定まらぬままに作業が始められたのであるというふうに言われております。

 そして、どういうふうにされたか。

 やむなく私は、小学校六年生の全児童数の一割を国営育英事業の基礎員数として捉え、これに貧困率と死亡率を乗じた数から既存の育英事業で救える見込みのある員数を差し引いて、対象人員を算出することにした、また、私の試算によれば、対象人員を半分にすれば、貸費ではなく給費にできることも判明したので、給費制を柱に試案をまとめて提出したというふうに言われています。

 ただ、大平先生はこのように考えたんですが、当時、文科省だけではなくて大蔵省の首脳もこれに大反対した。その中で、植木さんという方が主計局長だったようですが、この植木さんも後に衆議院議員となられます。

 この方はやはり、自分はすごく貧しい家に生まれて、本来だったら高校、大学へ行けなかった。養子に入られて、一高、東大を卒業させてもらって、大蔵省の主計局長にまでなられた。名字を変えたわけですね。男子たるもの本当に大変な思いで名字を変えて、学校に行かせてもらった。そういう子たちが大勢いるんだから、できる限り多くの子供たちを救ってほしいというふうに言われて、大平先生も大変困ったようであります。

 これを聞いて、私も苦しかった学生時代を思い浮かべてすっかり参ってしまったと吐露されて、給費を貸費制度に改め、対象人員を相当ふやして国会に提出した、現在の日本育英会はこうして昭和十八年から発足したのであるというふうに「私の履歴書」に書かれています。

 この当時から、給付なのか貸与なのか、奨学なのか育英なのか、さまざまな考え方があって、やはり時代背景で、この当時の育英会制度が決まったと思うんですね。大臣は、この最初の創設時期のこういう大平先生の迷われた経緯を踏まえてできた奨学金制度について、どのように感じていらっしゃいますか。

松野国務大臣 富田委員には、地元千葉県の案件や教育政策でも長く一緒に仕事をさせていただいておりまして、引き続き御指導いただければと存じます。

 委員御指摘の日本育英会の設立の経過、経緯でございますけれども、日本育英会の奨学金は、お話があったとおり、昭和十八年という戦時下において、優秀な学生で経済的理由により進学を断念する者が増加したことを憂慮して、国民教育振興を図る議員連盟が中心となって、財団法人大日本育英会が創設をされ、奨学金事業が開始をされました。

 奨学金事業の創設に当たっては、貸与制とするか給付制とするかの問題、広く教育の機会均等の実現を図る奨学の観点と、学業にすぐれた人材の育成を図る育英の観点のどちらに重きを置くかについて議論があったことは承知をしております。制度が検討された当初は、貸与よりもむしろ給付にという意見もあったようでありますけれども、すぐれた人材の育成、すなわち育英という趣旨のもとで、制度としては、より多くの学生に必要額を融資できる奨学という観点から、貸与制が選択をされたものと承知をしております。

富田委員 この経緯を踏まえて、皆さんのお手元に資料を一枚配らせていただきました。「自公合意(平成十一年二月十八日)」というふうに記載されております。ちょっと古い資料ですのでコピーが余り鮮明ではありませんが、自由民主党当時の政務調査会長池田先生と、公明党・改革クラブ政審会長坂口先生の署名が入っております。

 実は、自自公連立政権はこの年の十月ですので、当時、私ども公明党は野党でした。平成十一年予算が審議されている最中に、自民党の皆様と、奨学金の拡充そして児童手当の拡充について協議をしようということで、自民党の先生方が野党の言い分をある程度聞いていただけるということでしたので、私もこの協議に参加をさせていただきました。

 初めて自民党の大ベテランの先生方といろいろ協議したんですが、一番最初に言われたことに私は本当にびっくりしました。公明党の皆さんは奨学金とか児童手当、子供たちのための予算の拡充に一生懸命頑張っているけれども、子供に予算をつけたって一票にもならないよ、こういうふうに当時言われたんですね。笑っていらっしゃる方がいるけれども、当時、自民党ではやはりそういう考え方が多分多かったんだと思うんです。

 でも、このとき、なぜ奨学金の拡充をしてもらいたいか、公明党が考えたのは、公明党は、当時から地方議員三千人おりました、私の事務所にもそうですが、私立に通う高校生とか大学生が、物すごい不況で、お父さんがリストラに遭った、中小企業を経営している方が会社が潰れちゃった、もうこのまま学校に行けない、進学も断念しなきゃならない、そういった相談が本当にたくさんありました。

 そのことを自民党の先生にお話ししたら、本当かと言われたんですが、たまたまその先生が土日に地元の事務所に帰られたら、私が言ったのと同じような相談が自分の事務所にも来た。公明党に行くのならまだわかるけれども、自民党にまでこういう相談が来るというのは、本当に現場は大変な状況なんだということを理解してくださって、この合意に、何回か協議をしてできるようになったんですね。

 有利子奨学金の方の対象人員を一挙に二十五万人までふやしていただきました。一番大事だったのは、有利子奨学金のところの三とありますが、学力基準で、勉学意欲のある者を広く対象とするよう緩和する。

 当時、有利子奨学金は、高校時代の平均成績が三・二以上じゃないと受給できませんでした。でも、勉強したいという意欲のある子ならいいじゃないかというふうに坂口先生が言われて、それを自民党の皆さんも、そして文科省も、当時の大蔵省も理解していただいて、こういう合意に至りました。

 本当に大変な家庭を救おうということで、緊急採用奨学金制度というのも創設していただきました。これは一万人規模で、大変な方たちに無利子と同じような形で支給できる、こういったことを当時の自民党の先生方にやっていただきました。

 この合意の結果また協議経過について、大臣はどのように認識されておりますか。

松野国務大臣 御指摘の自公合意については、奨学金を希望する多くの学生の需要に応えるため、国会審議の過程において、平成十一年二月十八日付で、貸与人員を増員することや学力基準を緩和することなどを内容とする合意がなされたものと承知をしております。

 この合意を受けて、平成十一年度より、きぼう21プラン奨学金として有利子奨学金の拡充が図られ、その成果として、先生からお話があったとおり、平成十年に貸与人員が十万六千二百九十人であったものが、平成十一年には二十四万四千四百四十人まで拡大をしたという結果になっておりますけれども、そういうような経過の中でこのきぼう21プラン奨学金が成立したものと認識をしております。

富田委員 この合意を得て、公明党は、自自公連立にその秋に入るようになりました。自民党の先生方が現場の声をきちんと受けとめていただけるようになったというふうに我々としては理解して、それ以来ずっと連立政権、また野党時代も一緒に行動してきたというふうに私自身は思っております。

 こういうふうに拡大された奨学金ですが、奨学金が拡充されるとともに延滞問題が発生してきました。

 貸与人員は、このときから比べてほぼ倍以上、平成二十五年には百四十四万人、平成二十八年度で百三十二万人というふうに拡充されましたけれども、卒業後の収入が不安定で返せないという方が大分ふえてきております。

 先日、十月八日付の読売新聞ですと、「奨学金を延滞している人は二〇一四年度で全体の一割弱、約三十三万人に上り、延滞額は九百億円に近い。」という報道もされておりました。

 学生支援機構の方の資料をいろいろ見ますと、三カ月以上延滞されている方は約十七万人、八百九十八億円ぐらい滞っているというふうな数字も出ておりましたが、実際、どのような延滞状況にあるのか、また、その延滞の原因はどこにあるというふうに文科省の方は認識されているんでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学生支援機構の奨学金の返還でございますけれども、二〇一四年度末時点における延滞者数は、当該年度中に返還を要する者の九・一%に当たる三十二万八千人でございまして、その延滞額は八百九十八億円ということになっております。

 なお、事業規模が拡大している中で、近年の延滞者数は減少傾向にございまして、特に、現在返還中の者のうち三カ月以上延滞している者の割合は、平成十七年度末には九・三%でございましたが、二十七年度末には四・二%と、この十年間で半分以下に減少しているという状況がございます。

 そして、延滞の主な原因でございますけれども、延滞者の延滞が継続している主な理由については、これも日本学生支援機構が実施している調査がございますが、そこで把握している状況によりますと、二十六年度の調査では、本人の低所得が最も多く、そのほか、奨学金の延滞額の増加、親の経済困難、本人の借入金の返済などが理由であると認識をしております。

富田委員 奨学金問題に一番詳しい東京大学の小林雅之先生がこんなふうに指摘されています。

 どんな立派な制度でも、利用する学生に趣旨が周知徹底できなければ意味がない。授業料減免や奨学金返済猶予の対象になるのに、制度を知らずに苦労している人の事例を幾つも見てきた。必要な人に正確な情報を届けるために、国や高校、大学が果たすべき責任は大きい。情報格差の解消も奨学金改革の大きな柱なのだというふうにインタビューに答えられていました。

 学生支援機構の方でも、インターネットでの申請の際に、返済の条件とか、こういうふうになっていくよというのを一つ一つ教えて、そこをクリアできないと先に進まないというようなこともやっているようですけれども、四割近くの学生が、申し込み時に返済のことを知らなかった、そういったところを考えると、やはりきちんと周知徹底するということに文科省としてもきちんと取り組んでいかなければいけないと思うんですが、そのあたりはどのように考えているんでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 生徒や学生、教員及び保護者に対しまして、奨学金制度について周知、広報を行うことは重要であると認識をしております。

 学生支援機構におきましても、今御質問の中にございましたが、例えば、地方公共団体が実施する説明会に職員を派遣したり、あるいは大学や民間奨学団体等が実施する奨学金事業について検索できるウエブサイトの提供など、情報提供の充実に努めてきたところでございます。

 一方で、返還期限猶予制度など、奨学金の貸与を受けて、返還していく上で必要な情報について認知していないという者がいることも承知をしております。このため、二十九年度の概算要求でございますけれども、高等学校の先生方向けの説明資料であるとか、あるいは資金計画の作成に係る補助機能を備えたウエブサイトの開設、ファイナンシャルプランナーと連携した周知、広報、こういう取り組みを充実させていくための経費も概算要求の中に盛り込ませていただいているということでございます。

富田委員 昨日、公明党の給付型奨学金推進プロジェクトチームで、国立大学、私立大学そして各種学校の代表の方たちからいろいろお話を伺いました。各種学校の代表の方は、それぞれ自分たち独自のパンフレットをつくって、きちんと返し方まで教えた上で奨学金の受給をしてもらっているというような指摘もされていましたので、ぜひそういったところと連携して、文科省の方としても今後も取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 もっと質問を幾つか用意していたんですが、ちょっと時間が来ますので、新所得連動返還型制度が今度導入されます。この導入に伴って、これまでの連帯保証制度というより機関保証が中心になるというふうに制度設計がなされています。

 機関保証が中心になっていくということで、この点について、実は、本年四月に都内の私立大学四年生から一つ提案をいただきました。給付型奨学金をつくってくれという提案で、いろいろお手紙には書かれていたんですが、その中で一点、こういう要望がございました。

 機関保証を利用する人は、身近に保証人や連帯保証人になり得る人がいないので、やむを得ず機関保証を利用しているのです。また、奨学金を借りるくらいなので、金銭的余裕が大きいとは言いがたいです。奨学金の額が少なく、嘆く人も少なくないでしょう。にもかかわらず、現行の機関保証の保証料は高く、その金額は毎月の奨学金から差し引かれます。私の場合、月額五万四千円の奨学金から毎月二千二百六十九円差し引かれています。たかが二千二百六十九円と感じるとは思いますが、学生が学生食堂で食事をすると考えた場合、一食三百二十円と仮定すると、約七食分の食事代を賄うことができます。このように、機関保証の利用者は、高過ぎる保証料によって学生生活が圧迫されてしまっているのです。機関保証の保証料の値下げを要望いたしますというふうに書かれていました。

 この学生さんは、おばあ様とお母様と三人で暮らしていて、お母さんは病気を抱えながら自分を一生懸命育ててくれている、何とか大学をしっかり卒業して親孝行していきたいというふうにも書かれていました。

 二千二百六十九円、まあそんなに大きな数字ではないですけれども、学生にとっては、学食七食分というのはやはり結構大きいなというふうに思います。自分の学生時代を考えたときに、私のときは、大学の授業料は月三千円でしたから、アルバイトと奨学金で何とかできましたけれども、今なかなかそういう状況でもない。

 そういったときに、やはり機関保証料について、今後、新しい制度導入に当たって、もっと下げて、学生の負担がなくなるような、そういう制度設計をしていくべきだというふうに思いますが、この要望にどんなふうに応えていただけますか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな所得連動返還型奨学金制度、平成二十九年度進学者からの実施に向けて準備を進めております。

 この制度においては、所得が低く返還期間が長期化した場合、人的保証ではなく、人的保証では連帯保証人の返還能力が確保されなくなるおそれがございますので、機関保証に移行することが望ましいということが有識者会議において示されております。その際、保証料の引き下げについてもあわせて検討すべきであるとされております。

 この会議の議論を受けまして、文部科学省といたしましても、関係機関と協議しつつ、保証料を引き下げる方向で鋭意検討していきたいと考えております。

富田委員 無利子奨学金の拡大、また給付型奨学金の制度設計についても御質問したかったんですが、時間が来ましたのでこれで終えますが、けさの朝日新聞に、給付型奨学金の財源として、十九歳から二十二歳の特定扶養控除の縮小という記事が突然出ておりました。

 自民党の先生方、また私ども公明党にもまだこういう説明はないというふうに聞いていますが、今後、財源をきちんと決めた上で給付型の設計をするということを、今、自民、公明それぞれ一緒に取り組んでおります。

 ぜひ、文科省を督励して、財務省としっかり調整した上で風穴をあけていきたいと思いますので、大臣にも、御協力よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 おはようございます。民進党の長島昭久です。

 松野大臣、丸川大臣、御就任おめでとうございます。また、木原副大臣、お帰りなさい。通常国会までは一緒に文科委員として御活躍をいただきました。

 今ちょうど富田先生が質問をされた、その何かフォローアップのような質問になりますが、ずばり給付型の奨学金について、松野大臣に質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 今、富田先生のお話を伺っていて、先輩の皆様方が、党派を超えて、学ぶ意欲のある学生たちに家庭の経済状況にかかわらず学ぶ機会を提供しようということで、本当に奨学金の充実、拡充に尽力されてきたんだなということを改めて感じました。本当に敬意を表したいというふうに思います。

 そこで、給付型の奨学金なんですけれども、これは別に張り合うわけではありませんが、政府として本格的にこの給付型の奨学金に取り組んだのは、私どもの政権時代で、民主党政権だったわけであります。

 後ほど詳しく触れたいと思いますが、ちょうど私の隣に座っておられる高木文部大臣のときに、給付型奨学金を創設しようということで、概算要求までいった経緯がございます。そのときはあえなく財務省に突っぱねられてしまったわけですけれども、その反省も込めて、これから質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、松野大臣、ずばり、今なぜ給付型奨学金制度の創設が必要なのか、その必要性について大臣がどうお考えなのか、披瀝していただけますでしょうか。

松野国務大臣 日本の特に高等教育に係る家計負担がOECD比較でも高い部類であるという事実がございます。

 また、加えて、日本の家庭をめぐる、特に経済環境が厳しい環境下にある家庭がふえているという状況にある中において、そういった家計収入を初めとする家庭環境にかかわらず、学ぶ意思、能力がある生徒がしっかりと高等教育の機会を得るべく、そういう環境づくりを進めるために給付型奨学金が必要である、そう考えております。

長島(昭)委員 確かに、日本の教育費の家計負担率というのは国際比較してみると歴然でありまして、逆に言うと、教育の公財政支出が低いということになるわけですね。GDP比で三・八%と言われていますけれども、OECDの平均が五・八%ですから、これはかなり低いと言わざるを得ないわけです。

 小中学校の義務教育は基本的には無償。もちろん、給食費であるとか教材費であるとか、そういう負担はかかってくるわけですけれども、ほぼ無償。私ども、高校の無償化にも取り組ませていただきましたけれども、まず、幼児教育は半分が家計の持ち出しになっていますね。それから、大学、専門学校は八割以上、家計の負担。

 こういう状況の中で、やはり高度情報社会、これからグローバリゼーションが激しくなる、競争が激しくなる、そういう中で、高等教育の重要性というのは、これはもう強調してし過ぎることはない。そういう高等教育を、なるべく多くの学びたいと思っている学生に、将来不安を持たずに、つまり、返済に追われるという不安を払拭する形で、そういう学びの機会を持ってもらう、これは本当に国策として大事だというふうに思うんですね。

 私も、もうこれで、かれこれ本会議を含めて、この給付型奨学金の質問を通常国会で何回かさせていただきましたけれども、第二次安倍政権になってから、この給付型奨学金制度に対する姿勢が、徐々に徐々にというか、この夏ぐらいから大きく実は前進をしているというふうに思うんですね。

 実際、政府の公式文書にもそれは明らかでありまして、ニッポン一億総活躍プラン、六月二日閣議決定、それから未来への投資を実現する経済対策、八月二日閣議決定、この二つを見ても、特に八月二日の閣議決定には、「給付型奨学金については、平成二十九年度予算編成過程を通じて制度内容について結論を得、実現する。」ここまで踏み込んでいるわけです。

 私は、これまでの政府の答弁を少しさかのぼってみたんですけれども、昨年の二月十八日の参議院の本会議の安倍総理の答弁は、正直言って余り意欲が感じられなかったんですね。「給付型奨学金については、財源の確保や対象者の選定など、導入するには更に検討が必要と考えております。」この程度だった。

 当時から熱心だったのは、きょうはいらっしゃいませんけれども、馳前大臣でありまして、既に昨年の十二月の本委員会の答弁で、「給付型奨学金については、将来的な導入を目指し、検討を進めているところ」という答弁をされています。

 ところが、木原副大臣、この間一貫して後ろ向きだったのが麻生財務大臣なんですね。こうおっしゃっている。日本で就職して一定の収入を得るというふうになった人でも返済を求めないことが、それで公平かと。ちょっと飛ばしまして、現行の奨学金事業というのは、今まで貸している人からの返済金を財源とすることでより多くの人に貸与できるというシステムになっているんだと思いますので、これは財源が減る。これは平成二十六年の三月三十一日の決算委員会。

 それから、最近でも、平成二十八年、ことしの一月二十一日の参議院の決算委員会。給付型奨学金というのは、返還金で新たな奨学金を貸与する今のシステムと全く異なりますから、したがいまして、単なる財政支出、新しい財政支出ということになりますでしょうと。ちょっと飛ばしまして、結果的には将来世代から借金して今の奨学金に充てるということと同じということになりかねませんので、財政当局を預かる私どもとしては適当でないと思っていますと。

 ここまでおっしゃっておられて、さすがの馳大臣も、途中ちょっとトーンダウンをされた時期もありましたが、先ほど来申し上げているとおり、この夏から大きく方針が転換して、一番直近の総理の答弁、九月二十七日の衆議院の本会議では、給付型奨学金について、「既に、ニッポン一億総活躍プランや未来への投資を実現する経済対策を踏まえ、具体的な検討を進めており、平成二十九年度予算編成過程を通じて、制度内容について結論を得、実現いたします。」とはっきり言っている。

 松野大臣、この間の変化、私はこれは喜ばしい変化だというふうに思っていますけれども、どのような政府内の議論、あるいは、文部科学省内におけるプロジェクトチームも立ち上がったというふうに認識しておりますけれども、どういう議論、もっと言えばどういうドラマが展開されてここまで総理を動かすことになったのか、御紹介いただければと思います。

松野国務大臣 給付型奨学金について、本年六月二日に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランにおいて、「世代内の公平性や財源などの課題を踏まえ創設に向けて検討を進め、本当に厳しい状況にある子供たちへの給付型支援の拡充を図る。」ということが盛り込まれました。

 一連の経過については委員からお話をいただいたことと重複をいたしますけれども、同プランの閣議決定に当たりましては、自民党及び公明党から給付型奨学金の創設等に関する決議が提出されるなど、制度創設に向けてさまざまな要請があったものと承知をしております。

 また、省内におきましては、奨学金制度の改善・充実に向けたプロジェクトチームを設置し、六月二日には中間的な論点整理をまとめております。

 さらに、本年八月二日に閣議決定をされた未来への投資を実現する経済対策において、これも委員からお話をいただきましたが、「平成二十九年度予算編成過程を通じて制度内容について結論を得、実現する。」との方針が盛り込まれたところであります。

 こうした政府全体の方針の中で、学びたいという意欲を持つ全ての子供たちが進学できるよう、制度創設に向けて具体的な研究を早急に進めることが重要だと考えております。

長島(昭)委員 もうちょっと詳しく聞きたいと思っているんです。

 というのは、私がちょうど予算の分科会で馳大臣と当時の岡田財務副大臣と議論させていただいたときに、特にネガティブな意味で強調されていたのは、世代内で、進学する者と就職する者、この進学しない若者との公平性の確保、ここがネックだという話を当時の岡田財務副大臣は強調されていたんですね。そこをどう議論として乗り越えられたのか、ここは非常に重要なポイントだと思うので、松野大臣から御説明いただけますか。

松野国務大臣 給付型奨学金の具体的な設計に関しましては、省内のプロジェクトチームの出されました取りまとめに基づいて、今後予算編成の過程で議論をするということになっており、世代内の公平性の問題についても、その議論の中において検討するということになっております。

長島(昭)委員 木原副大臣に念のためお伺いしたいと思っているんですが、文部科学委員会でずっと一緒に活動させていただいておりましたので、給付型奨学金の重要性については御理解いただけていると思うんですが、前回私が伺ったときに岡田副大臣が強調されていた公平性の確保、ここは財務省としてどう乗り越えようとされているのか、あるいはまだ引き続きネックになっているのか、御説明いただけますか。

木原副大臣 長島委員にお答えいたします。

 委員とは通常国会においてともに理事としてこの文部科学委員会の運営をさせていただいたことを思い出しておりました。これまで、委員を初めそれぞれの先生方が給付型奨学金実現に向けて鋭意努力をされてこられましたことに、心から敬意を表する次第でございます。

 先ほどから話がありましたとおり、八月二日に閣議決定をいたしました未来への投資を実現する経済対策の中ではっきりと、「平成二十九年度予算編成過程を通じて制度内容について結論を得、実現する。」とされているところであることは、もう先ほど話があったとおりでございます。

 そういう中で、幾つか課題が残っている部分とすれば、対象者の選定、先ほど委員が言われた世代の中での公平性の確保の問題、そういった論点、さまざまな幾つか乗り越えなきゃいけないハードルを中心に、文部科学省を中心に具体的な検討をしているところであり、財務省としても、また連携をとりながらこの議論を前に進めてまいりたい、そのように思っております。

長島(昭)委員 非常に前向きな御答弁をいただいて、安心いたしました。

 松野大臣、この公平性の確保の観点、何かちょっと歯切れが悪いというか、まだ検討中なので、はっきりおっしゃらないんですか。もう一回答弁いただけませんか。

松野国務大臣 この公平性の確保の問題、これは対象の選定と深くかかわるものでありますけれども、私も、給付型奨学金制度を進めるということにおいては、これは全ての方を対象とできるわけではありませんから、当然、世代内においても、給付型奨学金の対象となる方、対象にならない方がいるということは、これは設計を進める上においては前提となることであろうかと思います。

 あとは、公平性の考え方によるかと思いますが、条件として、やはり家計収入の面から考えて厳しい状況にある方ということを対象にせざるを得ないというふうに思いますし、成績に対する評価についても今後基準を検討していくわけでありますが、一定程度、成績に対する基準も入ってくるんだろうというふうに思います。

 そういうことを総合的に踏まえて、その条件下において、進学を希望する方、能力のある方に関して支給をするという設計になっていくと思いますので、その範囲で、公平性に対する議論というのは大方共有できるのではないかなと、今、私個人としては考えておりますが、具体的な設計が今後ということでございますから、先ほど申し述べたとおりのお答えをしたということでございます。

長島(昭)委員 まだ制度設計中ということだと思いますが、一つ参考になると思うんですけれども、民主党時代に、先ほど紹介しましたけれども、平成二十四年度の概算要求の中で、初年度の事業費として百四十三億円計上いたしました。対象人員は約二万人。特に、その対象ですけれども、平成二十四年度の無利子奨学金採用者のうち経済的に困窮する世帯の学生、家計支持者の年収三百万円以下で成績優秀な者、大学一年生の場合には、高校における評定平均値が四・三以上、これはかなり高いと思いますけれども、四・三以上を想定対象者と当時はしたわけですね。

 最後に、決意も込めてお伺いしたいんですけれども、この制度設計をやる上では、対象者をどう絞り込むか、それから財源をどう捻出するか、そして給付のあり方をどうするか、この三つぐらいがポイントになるんだろうと思います。

 私の提案としては、やはり、社会的養護を必要としている方々、この方々は、里親であれ、児童養護施設の出身の若者であれ、社会において本当に頼る人がいないんですね、こういう方については重点的にぜひ給付型の対象としていただきたい。

 要望も込めて、最後に大臣から御決意のほどを伺いたいと思います。

松野国務大臣 給付型奨学金への思い、設計に対する基本的な考え方は、恐らく長島委員と私もほぼ考え方を共有するところではないかと思います。

 今委員の方から事例として挙げられた方々、これは、財源の規模をどうするかという問題、また一人一人に対する給付金額と対象規模の問題等の兼ね合いがありますので、どこまでを範囲とできるかということはこれから議論が必要なわけでありますけれども、委員の挙げられた方々に対する考え方、思いをしっかりと踏まえながら、今後の設計に当たりたいと考えております。

長島(昭)委員 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、丸川大臣にもお越しをいただいておりますので、オリンピック・パラリンピック東京大会の総経費の問題、総費用の問題。

 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の費用がどのくらいかかるんだ、どこがコントロールしているんだ、これは、私だけではなくて、本当に多くの国民がいら立ちというか心配をして見ているんだろうというふうに思いますし、前国会のオリパラ特措法の議論の中でも私は何度かここで質問をさせていただきました。

 オリパラ特措法は、新国立競技場の問題、聖火台のどたばた、あるいはエンブレムの問題、いろいろあったので、これはやはり国会のオーバーサイト、つまり監督、監視をきちっと強めていこうじゃないかというのが趣旨の一つだったというふうに思うんですけれども、私どもから、まず一つは、国として、総費用がどのぐらい一体かかるんだという、ここはきちっとコントロールしてほしい。それから、それとまさにコインの裏表ですけれども、ガバナンス体制をしっかりやってほしい。私は、プロジェクトマネジャーをきちっと置くべきだ、そういう提案もさせていただいたんですが、この二点、丸川大臣に主に伺いたいというふうに思います。

 まず、総費用の前提となる業務の洗い出し、これは今組織委員会が一生懸命やっているというふうに承知しているんですが、ことしの三月、四月の時点、この場所で、本委員会で遠藤前大臣がおっしゃっていたのは、夏ぐらいにはもうIOCと調整ができるように作業を進めていますよと言っていました。しかし、いまだに出てこない。ガバナンスについても、オリパラ大臣、それから東京都知事、組織委員長、この三者会合で情報共有をして緊密な連携に努めますよ。これは、二つとも何となく曖昧なまま今日まで来ているんですね。

 そこで飛び込んできたのが、小池新都知事、都政改革本部の調査チームの報告書が先月の二十九日に出されました。新聞の見出しに出ているように、「東京五輪費用三兆円超 試算膨張「組織体制に問題」」、こういう報道が躍って、国民はびっくり仰天したわけであります。

 まず最初に御質問申し上げたいのは、丸川大臣、この都政改革本部の報告書をお読みになりましたでしょうか。

丸川国務大臣 はい、読みました。

長島(昭)委員 この調査チームの分析をどう受けとめておられるか、御所見をいただけますでしょうか。

丸川国務大臣 ロンドン・オリンピックを参考に経費の積算をしておられるのですが、参考にした根っこの、根拠といいますか、そのあたりの理屈がいま一つよくわからない部分があります。

 さらに、その上に「(類推)」と書かれた項目等が載っておりまして、なぜこの類推がこの幅になるのかということも、正直、この資料だけを見ていてはよくわからないということで、我々のカウンターパートは東京都になりますので、東京都の事務方の方にうちの事務方からお伺いをさせていただいたんですけれども、都としてはまだこれはあくまで都の最終結論ではないのだという御説明をいただいたにとどまっております。

長島(昭)委員 この報告書をめぐっては予算委員会でもさんざん議論されました。国は、オリンピック成功に向けて担当大臣まで置いているんだから、しっかり把握すべきじゃないか、いや、東京大会の主催者は東京都ですから、IOCと協議して大会の準備や運営に責任を持つのは組織委員会です、こういう御答弁だったというふうに思っていますが、それに対しては、無責任じゃないか、大臣、どうなっているんだ、こういうことでありました。

 私も、手元に九十七ページの調査報告書を持ってきているんですけれども、やはり、総費用がどんどんどんどん膨らんでいくという状況については、好ましいと思っている人は一人もいないと思うんです。組織委員会の森会長もそう思っておられると思いますよ。国として、担当大臣として、どういう責任を果たしていこうとされているのか、果たしていけるのか、ここについては御答弁いただけますか。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 具体的な話をすれば、例えばセキュリティー、安心、安全の部分は、国は大きな責務を負っているというふうに私は認識をしております。

 これは、セキュリティーのコストということを考えますと、例えばロンドン大会あるいはリオのように、オリンピックパークという形で、一つの閉鎖された空間の中に幾つかの競技場があれば、警備のコストは当然圧縮をされるわけであります。会場が拡散しますと、その分だけ、それぞれの会場にイニシャルなコストがかかるわけでありまして、警備のコストは膨らんでいくわけです。

 ただ、アスリートファーストという観点が一番ベースであると開催都市の東京がおっしゃっていて、その観点からどのように競技場を配置するのかということをお考えになるときに、我々が、警備のコストは下げてほしいから一カ所にまとめてくれとだけを主張ができないわけであります。

 つまり、パーツ、パーツで議論をするとうまくかみ合わないということになりますので、ぜひ、トータルとして全体像を見ながら議論することを私どもとしてお願いをしたいということで、実は、きのうバッハ会長とお目にかかった際に、私の立場からは、パーツ、パーツの議論ではなくて、ぜひ、コストの全体像を示すために、IOCとしても組織委員会に対してのサポートをお願いしたいということを申し述べたところでございます。

長島(昭)委員 確かに、今大臣がおっしゃったように、皆さんのお手元に資料を配らせていただきましたけれども、立候補ファイルから四倍近くまで膨れ上がったということが今批判の対象になっているんですけれども、実際、ロンドン大会も、最初の立候補ファイルから三倍近くまで膨れ上がっているんですね。

 最初の立候補ファイルはどういうことが積算されていたかというと、これは組織委員会のステートメントに出ているんですけれども、立候補ファイルというのはIOCの基準にのっとって作成されるもので、大会開催に必要な経費の総額を示しているものではない、例えば施設なんかについても本体工事しか計上していない、したがって全体の六割程度しか数字になっていないんだ、こういうことでありまして、今大臣がお触れになったテロ対策を含めた警備費用みたいなものは、これは皆さんのお手元の二ページ目をごらんいただきたいと思うんですけれども、これから膨れ上がっていく可能性のある点線で囲っている部分については、これは特に警備とかあるいは暑さ対策とか、こういったことがかなり盛り込まれている、こういうことになるんだろう。

 したがって、世間の印象と実態とがちょっと乖離している。逆に、この辺のところをしっかりパブリックコミュニケーションでコントロールをしていかなければならないということだと思うんですね。

 大臣、この立候補ファイルの見積もりと実際にかかる費用との間の乖離について、大臣として、今後、どういう国民に対する説明努力をしていこうとされるんでしょうか。

丸川国務大臣 まず、先ほどからの話の続きで言いますと、大会の役割分担というのは、これは経費を積算する上においても役割分担がございまして、全ての競技場、今またセキュリティーの話をしますけれども、セキュリティーも、全ての競技会場が確定をした上で、その会場ごとの警備計画というのを立てます。

 そうすると、ここから先は、では、これはサイトの中なので組織委員会ですね、そうすると、民間の警備員ですと。警備機器はこのぐらいのものを投入すると、逆に言うと人件費はこのぐらい減らせますねという計算をした上で、では、その周辺に一体我々が、都としてあるいは国として警察の警備を配備するのか、こういう議論を詰めていくわけですが、そもそも、その競技会場がどういう形で配置されるのかということが見えてこないと、ざっくりとした感覚も正直言ってなかなか出てこないということになります。

 今施設整備の費用だけに注目が集まっておりますけれども、それも含めて全体で一体どういう姿になるのかというざっくりとした見通しというのが必要だという意味で、我々はフルピクチャーをということで、バッハ会長に申し上げたわけでございます。

 逆に言うと、立候補ファイルの姿と違う姿になっていく過程でどうなるのかというのは、まさに議論のプロセスをオープンにするという小池都知事がお取り組みのことは非常に重要なことだと思っておりまして、我々もぜひ、そうした形で、国民の皆様、都民の皆様に納得していただける形で、コストの全体像というものをできる限り早くお示しいただけるように、組織委員会と都にお願いを申し上げていきたいと思っております。

長島(昭)委員 確かに、私もセキュリティーの問題、警備の問題は非常に大事だと思っていますし、ロンドン大会を見ても、セキュリティーの対策費ががっと上がって大幅に膨らんで、経費の増大につながった、こういう経緯があるわけですね。サイバー対策だけでも、サイバー攻撃だけでも二億件あった、こういうふうに言われている。そういう中で、小池都知事が、ボート、カヌーの競技を宮城県に移す、まだ最終的に決まったわけじゃないですけれども、そういう動きをされている。そうすると、選手村は分散されるわけですね。

 これもロンドンの例で恐縮ですけれども、ロンドンの場合は、オリンピックパークをつくりました。そうすると、セキュリティーチェックはオリンピックパークに入るとき一回だけ、あとは、入れば自由に行動できる。選手村を二つつくる、あるいは三つつくる、複数つくるということは、それだけセキュリティーの焦点が分散するということになりますので、私は、素人的に考えれば、これはさらにコストがかかることになる。

 つまり、まさに大臣がおっしゃった、施設コストを抑えようということで分散開催を考えたけれども、分散させることによって結局セキュリティーコストが増大して、どっちが得だったのかわからなくなる、こういうことになりかねないと思うんです。

 特に、コンパクトオリンピックと最初に言っていた。会場から選手村まで八キロ圏内に全部おさめようと。このコンセプトは一体どうなったのかというのが一点。それから、セキュリティーコストと分散開催の関係について大臣としてどうお考えか、お答えいただけますでしょうか。

丸川国務大臣 きのうバッハ会長とお目にかかった際に、バッハ会長が小池都知事におっしゃったのと同じことを私にもおっしゃいました。

 それは、東京が幾つかの都市の中から選ばれたときのその選考のルール、そのときのルールというものを大切に考えてもらいたいということでございました。私はそれを、東京がなぜ幾つかの都市との競合を勝ち抜いたのかということの一つには、東京がこの大会をどんな大会にしたいかと挙げたコンセプトのことを指しておられるのだろうというふうに理解をしたわけでございます。

 一方で、オリンピックの招致というのはまさに都市が行い、そして、オリンピック憲章にあるように、その栄誉と責任は都市に委ねられると書かれているわけでございまして、我々は、セキュリティー、安心、安全の対策においては、最終的な責任はしっかり負っていきますが、一方で、その環境の最たるものである競技会場をどうするのかということを決める権限は、まさに東京都、組織委員会、JOCにあるわけでございます。

 我々は、しっかりと我々の立場から、このような課題を考える必要があるということを訴えながら、御検討いただく立場にあるという認識でございます。

長島(昭)委員 最後の質問になりますけれども、こう考えてくると、やはりガバナンスの問題というのは極めて大事だと思うんですね。

 都政改革本部の調査報告書を見ると、とにかく、オリンピック・パラリンピック東京大会はCEOもCFOもいない、こう酷評されているわけです。

 六者による調整会議というのがある。それから、きのう、バッハ会長から、四者協議をやりましょうと言われた。小池都知事は、それに対して六者でやりたい。そして、遠藤前大臣は三者協議、組織委員会の会長、東京都知事、そして担当大臣。とにかく、会議体が幾つも幾つも重なっている。

 これはちょっと、この東京都の報告書の抜粋ですけれども、とにかく現行の各組織持ち寄り方式では、これはもう費用が際限なく増大してしまうんだ。総額に上限を定めて、都庁か、もしくは国、あるいは都庁と国が、開催計画、予算、人員を一元管理すべきだ。調整会議では不十分。リーダーが不明、トップがいるわけじゃないですからね、横並びですから。リーダーが不明で、全体の予算管理者がいない。開かれる程度もまちまちで、議長もいない。組織委員会の収入は五千億円、残りは公的機関の負担、これじゃ司令塔にならないじゃないか。国は、IOC、JOC、都庁、組織委員会の都市協定に調印していないので、大会運営にはただ協力するだけ、バックアップするだけ。オリパラ基本方針も政府部内の努力表明でしかない。

 こういう指摘に対して大臣はどのように対応されますか。

丸川国務大臣 私も、まだこれは中間報告という形で都知事に報告をされたもので、判断材料であるという認識でございますが、なぜ調整会議がこの一番上に来ているのかというのはよくわからないのであります。

 オリンピック・パラリンピック基本方針には明確に、大会の計画、運営及び実行に責任を持つのは大会組織委員会だということが書いてありますし、東京都は、開催都市として、大会組織委員会の行う大会準備を全面的にバックアップするとともに、外国人受け入れ体制の整備、開催機運の醸成等に取り組むということが書いてあります。

 もとより、オリンピックというのはIOCとの民事上の契約に基づいて開催する大会でありまして、その契約の当事者というのは東京都とJOCでございます。ですので、さっきからバックアップ、バックアップと言っておりまして、たくさんの人がリーダーシップを発揮しようと努力したり、調整の機能を発揮しようとして努力するのは大事なことだとは思いますけれども、権限に基づいたリーダーシップをもとにしたガバナンスというのは非常に重要だと思っておりまして、決して、船頭多くして船山に登るということがないように気をつけたいと思っております。

長島(昭)委員 最終的に国が保証しているわけです、政府保証しているわけですから、先ほど亀岡先生もおっしゃいましたけれども、やはりもう少し国が前面に出てリーダーシップを発揮できる、できればプロジェクトマネジャーをきちっと決めてやる、そういう方向性をぜひ、今からでも遅くないと思いますので検討して、何よりも国民に安心してもらえるような、みんなが気持ちよくオリンピックを応援できるような、そういう機運をぜひ醸成していただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 民進党・無所属クラブの坂本祐之輔でございます。

 冒頭、このたび、東京工業大学栄誉教授大隅良典博士が本年のノーベル生理学・医学賞を受賞されることとなりました。お喜びを申し上げますとともに、引き続き科学技術の振興に皆様とともに力を注いでまいりたいと存じます。

 それでは、まず初めに、学校におけるオリンピアン、パラリンピアンとの交流事業についてお伺いをいたします。

 東京オリンピック・パラリンピックまで四年弱となりました。私は、子供たちがオリンピアン、パラリンピアンと全国の小中学校、高等学校において交流を行う取り組みについて委員会で提案をさせていただき、前向きに御検討いただけるという御答弁をいただきました。

 オリンピックやパラリンピックで活躍された方々は、みずからの目標に向かって苦難を乗り越え、常に諦めることなく夢に向かって邁進してきたアスリートであります。まさに成功された経験をお持ちでございます。そのみずから歩まれた人生を子供たちに話していただく、さらには持っているそのわざを子供たちに披露していただく、子供たちにとって大きな成長の糧になると考えます。ぜひ、全国全ての学校で、少しでも触れ合う機会をつくり、子供たちの将来にエールを送っていただきたいと考えております。

 子供たちは将来に向けて夢や希望を持っています。また、今自分の夢や希望を見出すことができなくても、いずれは自分の夢や希望を見出して、その実現に向かって歩んでいきます。壁にぶつかったとき、あるいは自信を持てなくなったときに、みずからを信じて成功された人生の先輩たちの言葉を思い浮かべるのではないかと思います。

 現在、我が国には、オリンピアンが日本オリンピアンズ協会に会員として約千百名、パラリンピアンがパラリンピアンズ協会に約二百名いらっしゃいます。ぜひこれらの活動に御協力をいただけたらと願っております。

 そこで、全国の小中学校におけるオリンピアン、パラリンピアンの交流の取り組みについて、大臣のお考えと文科省の取り組み状況をお伺いさせていただきます。

    〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕

松野国務大臣 オリンピアン、パラリンピアンは、アスリートとしてのパフォーマンスやこれまでの努力、オリンピック、パラリンピックでの体験など多様な経験を有しており、こうした経験を学校教育で活用することは極めて重要だと考えております。

 文部科学省といたしまして、オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業として、全国各地で、オリンピアン、パラリンピアンと子供たちの交流活動や、オリンピック・パラリンピック競技体験等を推進しているところであります。

 これまでの事例といたしましては、例えば京都府では、パラリンピアンにも御参加をいただき、特別支援学校と健常者の高校合同の水泳交流会を実施したところ、生徒から、障害のあるなしにかかわらず、スポーツへの熱意は変わらないことを知ったなどの感想があったと承知をしております。また、宮城県では、オリンピアンに御自身のオリンピックでの体験談や失敗談等を交えて講演をいただき、生徒に、オリンピアンにも苦労があり、目標や目的を持って努力を重ねることが成長につながることを感じさせることができたとの報告がありました。

 二〇二〇年の東京大会の成功のためには、このようなオリンピック・パラリンピック教育を全国的に広げることが重要と考えており、引き続き、学校や地域においてオリンピアン、パラリンピアンが活用されるように取り組んでまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 今大臣からお答えをいただきましたけれども、京都あるいは宮城でそれなりの成果を上げていらっしゃるということでございますので、そうであるならば、これは数カ所でまだとどまっていらっしゃると思います。ぜひこの展開を、私は、全国の子供たちにそういう経験を味わっていただきたい、そのように考えておりますので、推進を図っていただきたい、そのように願っております。

 以前、長野オリンピックでは、長野の地域の学校が、一校一国運動ということで、ある国の応援をされていたというふうにお伺いをいたしましたけれども、これが全国では三万五千も小中高とあるわけでございますけれども、その学校に、でき得るならばもちろん日本を応援していただく、そして、できることであれば、それぞれの学校が、あるいは一教室一国運動でもいいと思いますが、強制的ではなく、そういった海外での選手のありよう、そして参加をした経過、その国の様子、こういったことが大変に勉強になるのではないかと思いますので、こういった一校一国応援というような体制を推進することができるかどうか、御質問をさせていただきたいと存じます。

高橋政府参考人 東京大会は、政府のオリパラ基本方針において日本全体の祭典とすることとされておりまして、全国津々浦々にまで大会の効果を行き渡らせることで地域の活性化につなげるということがございます。

 このような観点から、文科省におきまして本年七月に取りまとめました、オリンピック・パラリンピック教育に関する有識者会議の最終報告におきましても、先ほど先生御指摘いただきましたように、長野市における一校一国運動の事例なども参考として取り上げながら、東京だけでなく、全国各地の学校現場において地域の特性に照らしたオリパラ教育を推進することが提言をされております。

 文科省といたしましては、先ほど大臣から御答弁申し上げました事業などにおいて、東京都やキャンプ地にかかわらず、全国各地でさまざまなオリパラ教育を支援できるように、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

坂本(祐)委員 前向きな御答弁をいただきました。

 全国には全ての地域に小中高等学校があります。そういった地域地域でこのたびのオリンピックムーブメントをしっかりと高めていただく、それがしっかりとした学習にもなるのではないかというふうに期待をいたしております。

 ここで、もう一つお伺いをさせていただきたいのは、やはり全国全ての小中高等学校に、例えば、冬季競技大会であれば羽生選手あるいは浅田選手、あるいは夏季競技大会であれば錦織選手や伊調選手など、子供たちが誰でも知っている選手、こういった選手のビデオメッセージあるいは短い講話を教材として作成、配付をしていただきたいと思います。そこから学ぶことも多いと思います。そればかりではなく、ただいま申し上げました日本全国で子供たちからまずオリンピックムーブメントを高めていただく、大きな効果があると考えますが、この件につきましても、お考えをお伺いさせていただきます。

    〔亀岡委員長代理退席、委員長着席〕

高橋政府参考人 今御指摘いただきましたように、オリンピック・パラリンピック教育を全国で展開するに当たりましては、オリンピアン、パラリンピアンとの交流に加えて、アスリートの映像教材も含めた、そういった教材の活用により、アスリートの経験をできるだけ多くの子供たちに伝えていくことが重要であると考えております。

 このため、文部科学省におきましては、昨年度から、オリンピアン、パラリンピアンのインタビュー映像や各競技の映像などを盛り込んだ映像教材の作成を進めております。これは、今年度中に完成させることとしておりまして、完成いたしましたら、全国全ての小中高等学校への配付を予定しておりまして、これもぜひ多くの学校で活用していただきたいと考えております。

坂本(祐)委員 非常に前向きな御答弁、もう既に計画もされていらっしゃるということでございますので、その実施を願っております。ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、次に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた強化費支援と選手の競技力強化についてお伺いをいたします。

 二〇二〇東京大会に向けまして、選手の競技力の向上は最重要課題でございます。競技力向上に向けた各NF、中央競技団体への支援につきましては、これまでJOCとJSCが別々に行っていた助成を、昨年度からは新たな仕組みで、JOCとJSCが一体となって、NF、各中央競技団体に支援をしていただくようになりました。

 そして、これまで助成割合は、JOCからは三分の二、そしてJSCからは四分の三が各NFに支援をされていたわけでございますけれども、昨年度から新たな仕組みの中で、コーチ力の強化事業やターゲットエイジ育成強化事業、あるいはコーチ設置事業におきましては、その助成割合を十分の十まで引き上げていただきました。

 二年ほど前に私もこのことに対して委員会で御指摘をさせていただいて、お願いをさせていただいたわけでございますけれども、この十分の十が実現はしてきたものの、しかし、海外遠征等にかかわる選手強化活動事業につきましては、いまだにこの助成割合が三分の二ということで、残りの三分の一はNFが負担をしなければならないということになっております。

 二〇二〇東京大会に向けた競技力向上を強力に推し進めていくためにも、この海外遠征にかかわる選手強化活動につきましても助成割合を十分の十にしていただきたいと思います。いかがでしょうか。

 それに続きまして、助成金は有効に利用されなければ意味がないものでございまして、NFより、助成金について、より使い勝手のよいものにしてほしいというような声もいただいております。助成金の利用につきましては、このNFの声、意見もよく聞いていただいて、より利用しやすいものにしていただきたいと思いますけれども、この点につきましてもお伺いをさせていただきます。

松野国務大臣 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会で日本人選手に活躍をしていただくためには、委員のお話のとおり、今後、選手の強化活動に対する支援を拡充していくことが重要であると考えております。

 このため、平成二十七年度から日本スポーツ振興センターで実施している競技力向上事業において、助成割合を原則三分の二としつつも、財政状況の厳しい競技団体やパラリンピック競技団体などに対しては助成割合を高くする措置を講じております。

 また、委員からお話がありましたとおり、各競技団体の御意見をよくお聞きして、事務手続等の負担軽減も含め、現場の実態を十分に把握した上で対応してまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 原則三分の二を、財政力の厳しいNFが多い中でございますから、そういったところ、あるいはパラリンピック競技のNF等に、その助成の額を上げていくということでございますので、これはぜひそのように実施をしていただければと願っております。

 やはり海外への遠征費用というのは個人の負担も生じますし、いろいろな支援事業がありますけれども、NFがそれぞれの事業をよいと思って行うにしても、三分の一の自分たちから出さなければならないお金が必要となるということになりますと、特に資金の弱い競技団体というのは、海外遠征等、選手に対する支援も諦めてしまうということにもなりかねません。

 この間のリオ・オリンピックを拝見しておりますと、そういった意味では、我が国の特に若い選手たちが苦境を乗り越えて、厳しい状況下で逆転で勝利をおさめるというケースも多く見られたと思います。

 私は、そういった選手たちが海外に遠征に行く、以前は海外に遠征に行く費用が余りありませんでしたけれども、最近は積極的に海外のコーチを雇い入れて、それも御支援をいただいている一つではありますけれども、みずからも海外に行って練習を積み重ねていく、そういったところから試合やステージで最高のパフォーマンスを発揮できるようなエネルギーが生まれてくるのだというふうに考えておりますので、引き続いて御支援を賜りますようにお願いを申し上げます。

 それでは、続きまして、平昌オリンピックに向けた取り組みと課題についてお伺いをいたします。

 リオ・オリンピック・パラリンピック夏季競技大会も終了いたしました。一年半後には平昌冬季競技大会が開催をされます。関係競技団体は、もう既にその準備にもちろん入っております。

 このところ、我が国で開催される東京オリンピックの話題がメディアでも大きく取り上げられている中ではございますけれども、この平昌冬季オリンピック競技大会はまさにその前哨戦となるオリンピックだというふうに考えております。このことは、鈴木プランにも、平昌大会をステップとするというふうに明記をされています。

 この平昌冬季大会を迎えるに当たって、政府の取り組みについて御説明をいただきたいと存じます。

松野国務大臣 リオデジャネイロ大会が終わり、次は、委員のお話のとおり、二〇一八年の平昌大会でございます。

 先般、平昌におきまして日中韓スポーツ大臣会合が行われまして、私も参加をして会場視察等を行わせていただきましたし、三カ国でオリンピックの運営のノウハウの共有化等を進めていこうということも決定をさせていただきました。

 二〇一八年の平昌大会を弾みとしつつ、二〇二〇年の東京大会に向けて我が国の国際競技力を向上させていくという必要は御指摘のとおりであります。

 スポーツ庁において、競技力強化のための今後の支援方針を取りまとめました。これは、夏季、冬季競技共通のものとして作成されております。二〇一八年の平昌大会及び二〇二〇年東京大会で日本がすぐれた成績をおさめるよう支援するだけではなく、強力で持続可能な支援システムを構築し、継承することを念頭に、各種の取り組みを進めてまいります。

 二〇二〇年の後は、今度、二〇二二年、北京での冬季オリンピックもございます。国としては、この支援方針に基づき、今後とも、日本スポーツ振興センター、日本オリンピック委員会、日本パラリンピック委員会等の関係団体と一丸となりまして、競技力強化に夏季、冬季を通じて取り組んでまいります。

坂本(祐)委員 まずは平昌があって、そして我が国の東京があります。特に、東京を目指す中での平昌をステップとしながらも、二〇二〇年の一つの大きなレガシーとして残していただきたいのは、競技力強化のために、しっかりとNF、中央競技団体に対しての支援体制を続けていただきたい。そこからまた、新たなる日本のスポーツの進展、発展につなげていただきたいと願っております。

 そしてまた、いずれの日か、冬季大会も我が国で開催をしていただける都市が手を挙げていただくことを、私は、個人的ではありますけれども、願っているところであります。

 それでは、続いて、幼児期におけるスポーツの推進についてお伺いをさせていただきます。

 二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック・ムーブメントが、このように徐々に徐々に高まっております。まさに、我が国はスポーツの広がりが期待をされているところであります。

 特に、幼児期にスポーツに親しむことは、将来にわたってスポーツを愛好するきっかけになります。スポーツを行うことは、強い体をつくっていくということばかりでなく、強い精神力やあるいは相手に対する思いやりや仲間との信頼、そしてまたコーチ、監督等に対する尊敬の念、そして友人との友情、自分を信じる力、こういった、人生をたくましく生き抜いていく力をスポーツによって培うことができるんだと思います。

 そして、幼児期からスポーツに親しむことによって、そのスポーツが自分に合う、自分がそのスポーツを好きになっていけば、そこから競技者として新たなるまたスタートを行うことができると思います。

 まさに、スポーツの普及振興、競技力の向上を目指すのであれば、富士山の頂が高ければ高いように、裾野も広くなければならないと常々私は考えております。こういった、幼いころからスポーツに親しんで健康的な人生を構築する上でも、できるだけ多くの子供たちにスポーツを味わって、経験をしていただきたいと願っております。

 幼児期のスポーツを広げていくことに対しての大臣のお考えをお伺いさせていただきたいと存じます。

松野国務大臣 幼児期からスポーツや運動に親しむことの重要性は、坂本委員から今御指摘をいただいたとおりであると考えております。

 文部科学省としての具体的な取り組みに関しましては、平成二十四年三月に、幼児期に習得しておくことが望ましい基本動作などを示した幼児期運動指針や、それに基づく指導参考資料を作成しております。また、全国の幼稚園、保育園にその資料を配付することで、幼児期の運動の普及啓発に努めているところであります。

 平成二十九年度概算要求において、幼稚園等において子供が多様な運動を身につけ、体を動かす楽しさを体感できる環境の整備を行うことができるよう、所要の経費を計上しております。

 文部科学省においては、今後とも、子供が幼児期から運動やスポーツに親しみ、生涯にわたりスポーツを楽しむことができる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 私も、小さいころは、思い起こすと、石蹴りとか缶蹴りとか隠れんぼうとか、お寺の周りを一周してリレーをしたり、そういったスポーツと、一つは、競技ではありませんけれども、体を動かす喜び、相撲も、アスファルトではありませんでしたから、泥の上に足で丸を描いて、そこで近所の子供たちと相撲をしていた、そういった時代が、わずかではありますけれども思い起こされます。

 そういった体を動かす喜び、あるいは多様な運動を味わっていくということは非常に大切なことで、そこからスポーツにみずからが身を置くということにもなっていくと思いますので、ぜひ幼児期のスポーツを推進していただきたい。

 日本体育協会等では、アクティブ・チャイルド・プログラム運動みたいなものが冊子として、幼児教育の大切性を今全国で講演等を通じて活動を展開をされています。そういったところにも御支援をいただいて、将来、みずからの夢や希望を持って、真っすぐにその夢や希望に向かっていく子供たちが、しっかりと体を鍛えて、強い精神力を持って向かえるように御支援をいただきたいと存じます。

 続きまして、学校部活動のあり方について御質問させていただきます。

 部活は学校教育の一環として定められておりまして、特に運動部活動は、我が国のスポーツの振興を考える中でも、また、生徒が積極的にスポーツにかかわる機会が生まれますので、生涯を通して心身ともに健やかに、健康的に生きていく上でも大きな役割を果たすものだと考えております。まさに海外からも日本の学校の部活動のあり方が見直されている、そのような話もお伺いをいたします。

 しかしながら、地元の教員にお伺いをいたしますと、学校現場での現状は、部活の担当となって負担がふえて、授業が始まる前、あるいは放課後、夜遅くまで、そしてまた土曜日、日曜日、子供たちと一緒になって試合に出かけるということになって、肝心のクラスの子供たちと向き合う時間がない、そしてまた、みずから予習を行う時間がないというようなことをおっしゃっておられました。また、家庭で自分の子供たちと過ごす時間も余りないんだということをおっしゃっておられました。

 この教員と部活動のあり方についてお伺いをさせていただきたいと存じます。また、今後の学校の運動部活動のあり方等についてもお考えがあればお答えをいただきたいと存じます。

松野国務大臣 学校教育の一環として行われる部活動は、生徒にとって、スポーツ、文化も含め親しむとともに、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資する重要な場であることは、坂本委員からお話をいただいたとおりであると考えております。

 しかしながら、部活動の行き過ぎた活動により、教員、生徒ともにさまざまな無理や弊害が生じていると指摘をされております。

 文部科学省では、本年四月に、次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォースを設置し、運動部活動の適正化など、教員の長時間労働の改善について検討を行い、六月にその報告をまとめました。

 文部科学省としては、本報告を踏まえ、運動部活動に関する総合的な実態調査の実施、スポーツ医科学の観点も取り入れた練習時間や休養日の設定に関する調査研究の実施、これらの実態調査等を踏まえた部活動のガイドラインの策定など、所要の経費について概算要求を行っているところであり、今後とも、望ましい運動部活動のあり方に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 ここで一つ、先日の事故について申し上げさせていただきますけれども、石川県七尾市におきまして、野球部のバスが衝突をして、お二方がお亡くなりになり、そして十七人が重軽傷を負うという痛ましい事故が起こってしまいました。

 学校の部活動の遠征時に保護者が子供たちを乗せて運転するということはしばしば見受けられるわけでございますけれども、このような事案が発生してしまった中で、今後の部活動における交通手段、そして保護者とのかかわり等について、文部科学省が何らかの見解を示すべきではないかというふうに考えております。

 もちろん、公共交通手段がない地域もあるわけでございまして、何らかの形で子供たちをそこに連れていかなければならないということでございますけれども、こういった痛ましい事故が起きないためにも、部活動の遠征や試合等に向かうことについてお考えがあればお伺いをいたしたいと存じます。

高橋政府参考人 今回の交通事故で生徒二名がお亡くなりになったことはまことに残念であり、まずは、生徒の御冥福をお祈りするとともに、負傷した方々の一刻も早い御回復をお祈りいたしたいと思います。

 私ども、報道では、バスを保護者が運転したとのことを承知しておりますが、事故原因については、現在、石川県警で調査中と伺っております。その調査結果を受けて、文科省として対応すべきことがあれば対応をしてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 バスを運転して目的地に向かうということでありますけれども、保護者の方たちは、子供たちのためであればということで御労苦をいただいているのだと思います。

 一つの町の中の運動場に出かけるときに、子供と同じ仲間の子供をお母さんが乗せていく、お父さんが乗せていくということもしばしばあるわけでございますけれども、遠隔地に行くようなときには費用がかかってしまいますので、これは保護者負担も大変なこととは思いますけれども、こういったことを一つのあってはならない教訓として捉えていかなければならないのだというふうに思います。

 部活動としては、全体の休日の部活動のあり方や、あるいは教師がそれにかかわる時間、そして遠征等に対する保護者とのかかわり、費用の問題等あると思いますので、このことにつきましては、また改めて部活動のあり方について私からも議論をさせていただきたいと存じます。

 続きまして、学校の授業における武道についてでございますけれども、中学校において、平成二十四年度から武道とダンスが必修となりました。これは、一、二年生が必修で、三年生は選択になっております。

 武道は、礼に始まり礼に終わるといった、人としての素養を高めるだけでなく、日本古来からの精神や魂を理解することもできるわけでございます。

 しかしながら、柔道のように、相手と組み合って投げわざを使うというような競技でありますので、スポーツでありますので、ややもすれば、けがをしてしまうこともある。そのけががよく見受けられるということを私も地元の柔道指導者からお伺いしておりますので、この件についてお伺いをさせていただきたいわけでございます。

 先般の、九月二十四日の朝日新聞によりますと、柔道の部活において、昨年からことしにかけて、三人の方がお亡くなりになって、三人の方が重体だということで、これは入部間もない初心者がけがをする傾向があるということが書かれておりました。

 そうであるならばなおさらのこと、専門の技術を持った指導者がいない学校の授業の現場におきましては大けがが発生する可能性もあるのではないか、本来であれば、しっかりとした指導者のもとに柔道を指導するというのが本来の形だと思います。

 この必修化された柔道の授業の現況等について御報告をいただきたいと存じます。

高橋政府参考人 平成二十四年度に中学校で武道が必修とされて、現在、四年半が経過しております。

 平成二十六年度に公立中学校の体育の授業における武道の実施状況を調べましたところ、二十六年度で、実施した種目としては、柔道を実施している学校が六四・四%、剣道が三五・七%、相撲が四・三%、空手が二・三%等となっております。複数実施しているのがありますので、合計が少し一〇〇を超えるような状況になっております。

 それから、年間の授業時数、これは必修の一、二年生で見ますと、年間百五授業時間のうち約九・四時間、一割弱ぐらいが武道に使われているという状況でございます。

 先ほど、先生から部活における死亡事故の御指摘がございました。現在に至るまで、体育の授業においては、この四年半、今のところ重大な事故は報告されていない状況でございます。

 文部科学省では、武道が必修となったということを踏まえまして、これまで、武道の授業が安全かつ円滑に実施されるよう、指導通知の発出、指導資料の作成、研修会の実施などに取り組んできたところであります。

 先月末にも、体育活動中の事故状況について各教育委員会等に情報提供を行いまして、改めて事故防止の対策を求める通知を発出したところでありますが、今後も、都道府県教育委員会に再発防止につながる情報提供を行うなど、部活動、授業を通じて、学校体育活動中の事故防止の徹底に取り組んでまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 私も、空手あるいは柔道を学生のときに経験をさせていただいております。確かに、競技をしていれば当然けがはつきものでございますけれども、学校の授業ということで、初心者の方たちに、生徒たちに教えるということでございますので、その点に十分に留意をしていただく。

 例えば、ビデオ等を使って、指導参考資料として配付もされていらっしゃるということをお伺いいたしましたので、これらにつきましても、全ての学校でしっかりと子供たちに見ていただく、武道のすばらしさ、柔道のすばらしさ、剣道のすばらしさという、精神論からしっかりと理解をしていただく、その中での適切な指導のもとに、けがのない必修授業として指導していただければというふうに思います。九時間、十時間という実習の中でございますので、慎重に行っていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、学校における体罰の現状と根絶に向けた取り組みについてお伺いいたします。

 体罰は、学校教育法の十一条に違反するのみならず、児童生徒の人権を傷つけて、心身に深刻な悪影響を与え、いじめや暴力行為などに結びついていくおそれがあります。いかなる場合でも許されるものではありません。この件につきましても、以前質問をさせていただきまして、根絶に向けていかなければならないと答弁をいただいております。

 文部科学省の体罰の実態把握調査によると、平成二十四年度は六千七百二十一件、二十五年度は四千百七十五件、二十六年度は一千百二十六件と減少傾向にはなりましたけれども、依然として根絶はしておりません。

 この数年間のこれらの件数の推移と今後の取り組み状況についてお伺いをさせていただきます。

松野国務大臣 体罰が学校教育法第十一条で禁止されていることは、委員から御指摘をいただいたとおりであります。

 平成二十四年十二月に、大阪市立桜宮高等学校において、部活動中の体罰を背景とした生徒の自殺事案が発生したことを受け、文部科学省では、体罰の実態調査の実施、懲戒と体罰の区別、体罰防止に関する取り組みについて通知を発出しております。また、運動部活動での指導のガイドラインの策定などの取り組みを実施してまいりました。

 委員から御指摘をいただいたとおり、段階的に体罰の事案は減ってはきておりますけれども、まだ平成二十六年度の発生件数として千百二十六件ということであり、学校現場において今なお体罰が発生していることは遺憾であります。

 今後とも、教育委員会や学校における研修の促進、好事例の周知等、体罰の根絶に向けた取り組みを実施してまいります。

坂本(祐)委員 ぜひこれからも根絶に向けた取り組みをしっかりと行っていただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 おはようございます。質問の時間をお与えいただいて、ありがとうございます。

 また、両大臣におかれましては、御就任おめでとうございます。

 とりわけ、松野大臣におかれては、先国会では議運の理事としてお互い対峙をしてまいりましたが、物理的な距離が少しありますけれども、こうしてまた向き合って仕事をさせていただくことになりましたことを、この上ない喜びに感じております。どうか頑張っていただきたいと思います。

 さて、時間もございませんので、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、オリンピックの方から入らせていただきたいと思うんですけれども、復興五輪というふうに銘打たれておりますよね。安倍政権というのは、一億総活躍ですとか、あるいは全ての女性が輝く社会ですとか、何かかけ声が好きな内閣だなというふうに思うんですけれども、ともすると、かけ声倒れに終わってしまうんじゃないかという懸念もさまざまな場面で私は持っております。

 その意味で、復興五輪というのも言葉だけで終わってしまってはいけないと私は思うので、ただ言葉をもてあそんで終わってはいけない。そういった意味で、この復興五輪の復興と五輪がどういうふうに一体結びつくのか、その辺を、まず大臣の考えをお聞かせいただきたいと思うんですね。

 例えば、何かイベントをやって、チャリティーイベントなんかだと、その興行収入ですとかそういったものを例えばチャリティーに充てるとか、そういう関連というのはわかりやすいんですけれども、復興五輪といっても、別にオリンピックで収益を上げて、それを被災地にあてがうというような話ではもちろんないわけで、一体何が復興と五輪を結びつけるのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 私も、前職、環境大臣として、特に福島の復興にかかわる立場にございました。復興がかけ声だけに終わってはならないというのは、東日本大震災から五年を経て、ますます強く思うところでございます。

 そして、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会と復興がどのように結びつくのかという話でございますが、世界じゅうからトップアスリートが、東京五輪そしてパラリンピックを目指してやってくるわけでございます。そして、その競技の映像は、数十億の方々が放送を通じてごらんになると言われております、延べではございますけれども。海外メディアに広く報道され、注目されるわけです。

 このような機会に、例えば、被災地において競技が行われ、トップアスリートが被災地に実際にいる映像が世界じゅうの数十億の方々の目に触れるというのは、私どもがこの五年をかけて地域の皆様方と手をとり合って復興を進めてきたその姿を実際に見ていただく上で、またとない、この上ない機会だと思います。

 と同時に、今、とりわけ福島を中心に、まだまだ風評被害に苦しんでおられます。その風評被害を払拭する上において、目の当たりにしていただく、目で見ていただくというのは一番効果が高いと私は感じておりまして、そのような機会をオリンピック・パラリンピックを通じて得られるというのはすばらしいことだと思います。

 ぜひとも、復興と五輪ということはこうした意味で強く結びついているという思いで、しっかりと、競技を通じて、またその前の、復興を目指している各地域がオリンピックにかかわることでどんな取り組みをしているかという放送を通じて、世界の方々にごらんいただきたいと思っております。

牧委員 大臣の所信の中にも今のようなお話がございましたので、私はあえて聞いたわけですけれども、あえて質問しましたが、所信に書いてあることの域からは出ていないなと。もう少し突っ込んだお答えをいただければと思ったんですけれども。

 まず、見ていただきと、それはよくわかります。全く今の大臣のお話に異論はございませんけれども、見ていただく部分だけでいいのかというと、そうではないわけで、実を伴わなければ何にもならない。被災者の方たちに寄り添った言い方をすれば、ただ世界の人たちに、ああ、こんな立派にインフラも整備されたと見ていただくだけじゃなくて、本当の意味で、被災者の皆さんがもとの生活に戻れる、満足がいく、そのために我々は復興五輪を成功させるんだというその連関というか関連がいま一つよくわかってこなかった。

 そしてもう一つは、今、福島については風評被害とおっしゃいましたけれども、果たして風評だけなのか。私は風評よりも実害の方がよっぽど怖いと思っていますから、この実害があるのかないのかということもやはりきちっとさせなければ、復興五輪の意味をなさないと私は思います。

 そこでまず、ちょっと、復興の概況について所管の省庁からお願いしたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 発災から五年七カ月が経過しまして、これまでの取り組みの結果、福島県の一部を除きまして、インフラの復旧はおおむね終了しております。

 避難者数は、当初の四十七万人から十四万人程度まで減少しました。そのうちプレハブ仮設にお住まいの方も十二万人から四・六万人まで減少しているという状況でございまして、現在、私ども、避難の長期化による被災者の皆さんの心身のケアに力を入れている状況にございます。

 また、住まいにつきましては、来年春までに、災害公営住宅で、計画戸数三万戸の八六%に当たります二万五千戸程度が完成する見込みです。また、高台移転も、計画戸数二万戸の七割で工事が完了する見込みとなっております。

 さらに、現在、産業、なりわいの再生や福島の復興再生に全力で取り組んでいるところでございまして、引き続き、復興を加速化させてまいりたいと考えております。

牧委員 ちょっともう一度お願いしたいんですけれども、十四万人の方がまだ避難生活で、その中の四万数千人の方が仮設住宅に住まわれているというお話ですよね。その方たちが二〇二〇年までにはもとの生活に戻れるという見込みなんでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 二〇二〇年、その時期までにほとんどの方々が、固定されたといいましょうか、決められたお住まいでお暮らしいただいてオリンピックが見られるように、我々も今努力をしているところでございます。

牧委員 もう一つは、先ほど丸川大臣が風評被害とおっしゃいましたけれども、帰還困難区域ですとか居住制限区域、避難指示解除準備区域等々の現状についても、その除染の状況についてまずお聞かせをいただきたいのと、その区域の指定がいつ解除されるのか、その見込みについてもお知らせをいただきたいと思います。

早水政府参考人 除染についてお答えいたします。

 福島県内の除染につきましては、現在、放射性物質汚染対処特措法に基づき計画を策定いたしまして、国が居住制限区域それから避難指示解除準備区域等におきまして、また市町村が汚染状況重点調査地域において、それぞれ進めております。

 国が直轄で行う除染につきましては、現在、対象の十一市町村のうち七市町村で完了しております。また、市町村が行う除染につきましては、住宅についてはほぼ終了しており、農地、牧草地、公共施設等において約九割、それから道路と生活圏の森林において約六割の進捗率となっております。国直轄除染、市町村除染のいずれにつきましても、平成二十八年度中に計画に基づく除染を完了できるよう引き続き尽力してまいります。

 また、帰還困難区域の取り扱いにつきましては、八月三十一日に政府方針が示されましたので、この方針に従いまして、今後、政府全体で具体的な対応について検討してまいります。

 避難指示の解除につきましては、タッチいたします。

星野政府参考人 福島の避難指示の解除の状況についてお答え申し上げます。

 福島県におきましては、国による避難指示により、今なお約五万七千人の方々がふるさとからの避難を余儀なくされている状況であります。

 避難指示解除につきましては、これまでに既に田村市、楢葉町、葛尾村、川内村、南相馬市が避難指示を解除しておりまして、飯舘村も来年三月の解除を既に決定してございます。また、川俣町、富岡町、浪江町の三町におきましては、解除に向けた準備宿泊を実施中、あるいは実施を予定している状況でございます。

 私ども政府といたしましては、居住制限区域、避難指示解除準備区域につきまして、来年の三月までに避難指示を解除しまして、ふるさとに戻りたいとお考えの住民の方々の帰還を可能にしていけますよう、除染、インフラ整備等の環境整備に引き続き全力で取り組んでまいる所存でございます。

牧委員 まだまだ前途多難だなという感じがいたしますし、今経産省からもお話がありました解除になったところでも、まだ必ずしも皆さんが、みずから帰還を選ばれないという方もまだまだ大勢いらっしゃるということもあわせて申し上げておきたいと思います。

 あと、汚染水の問題も、凍土壁の手法がもう破綻しているんじゃないかというような一部学者のお話もありますし、その辺の実情というのはどうなっているんでしょうか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原発の汚染水対策についての御質問でございます。これにつきましては、汚染水を近づけない、それから漏らさない、そして汚染を取り除くという三つの基本方針に基づきまして、安全かつ着実にこの対策を取り進めているところでございます。

 そのうちの漏らさない対策といたしましては、昨年十月に海側の遮水壁というものが完成いたしまして、港湾内の周辺海域につきましても放射性物質濃度が顕著に低下するなど、取り組みは着実に進展しているところでございます。

 さらに、港湾外の放射性物質濃度については、法令で定める告示濃度限度に比べて十分低いまま、これが推移しているところでございまして、汚染水の影響については、引き続き福島第一原発の港湾内にブロックされているという認識でございます。

 さらに、御質問の中で言及のありました凍土壁といったような、近づけない対策というところに関しましては、本年三月末から凍土壁の凍結を開始したところでございます。そのうち海側の工事が先行しているわけでございましたけれども、地中の全ての地点でゼロ度以下になったということで、地中の凍結が完了した旨、これを去る十三日に発表させていただいたところでございます。

 引き続き、原子力規制委員会の認可もいただきまして、山側の凍結、これまでも含めて完了するべくしっかりと作業を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 こうした取り組みに加えまして、サブドレーンと申します建屋周辺からの井戸の地下水のくみ上げの能力の強化といったようなことなど、汚染水問題の解決に向けまして、引き続き予防的かつ重層的に対策を実施してまいる所存でございます。

牧委員 この件についてこれ以上余り言うと、おまえはまた風評をあおるのかというようにも言われかねませんので、これ以上申し上げません。

 ただ、忘れてならないのは、この二〇二〇東京が決まったときの最後のプレゼンテーション、安倍総理が、もう完全にアンダーコントロールだ、そして港湾内で完全にブロックされているんだというようなお話があったわけで、それは先ほど、東京オリンピックが決まったのは我々のコンセプトが認められたんだというお話がありましたけれども、それだけじゃなくて、やはりきちっと日本における環境の安全も担保されているんだということが大前提になっているということを私は忘れてはいけないと思います。

 そういった意味で、丸川大臣の、元環境大臣として、あるいは原子力防災の担当大臣だったわけでもありますので、御見解をお聞かせいただきたいと思います。これをしっかりしないと、世界に向けて安倍さんはうそをついたということになってしまいますので、そこをきちっとお答えいただきたいと思います。

丸川国務大臣 今、福島県産のもので、魚介類も含めまして農産物、水産物は、市場に出ているものは全て基準をクリアしたものでございます。しかも、それは時々飛び出たり入ったりということではなくて、安定的に基準値を下回っていることが確認をされたものが市場に出回っているわけです。

 にもかかわらず、残念ながら、市場ではそのことがきちんと価格なりあるいは流通なりに、評価をされているとは言えない状況がございます。これがまさに風評だと思っております。

 この風評を払拭しないことには、福島県のなりわいが取り戻せていけません。これは非常に重要なことでございまして、なりわいを取り戻して皆様方が生活をまた福島で送っていくためにも、風評被害の払拭というのは極めて重要でございます。

 その意味で、復興と五輪というのは、改めて申し上げますが、非常に大きな結びつきを持っていると思いますし、実のある話だと私は思っております。

 ぜひとも、安倍総理が世界に向かって申し上げた、私どもの安心、安全ということは政府がしっかりと守っていくということを改めて意思を確認申し上げたいと存じますし、また、被災地は福島だけではございませんで、宮城、岩手、また茨城、千葉等にも被災された皆様はいらっしゃるわけでございますが、被災地を駆け抜ける聖火リレー、あるいは被災地での大会イベントの開催や事前のキャンプの実施、そして、被災地の子供たちを大会に御招待申し上げたりしたいというようなことも頭に入れて今計画を進めているところでございますので、今後とも復興庁とよく連携をしてまいりたいと思います。

牧委員 ぜひ、鉄道やら、高規格の道路やら、防潮壁やら、そういう目に見えるインフラだけじゃなくて、きちっとその対策も政府一丸となってやっていただけますように、改めてお願いを申し上げておきたいと思います。

 先ほど長島委員からの質問にもありましたけれども、開催にかかる費用は一体どこまで膨れていくんだろうかと。本当に、多分ここでお聞きしても、正確なお答えは出てこないと思います。そしてまた、開催そのものにかかる費用と、開催そのものにかかる費用の中にもそのままレガシーとして残すものやらいろいろ内訳もあろうかと思いますし、それ以外に、都市整備にかかる費用ですとか、あるいは、さっきお話があったように、テロ対策等々を考えると、今の時点で、どこに聞いても全く見当がつかないというのが実は実情じゃないかなと私は思っております。

 ただ、もう一つ、この復興と絡めて申し上げると、私は、オリンピック特需という言葉がふさわしいかどうかわかりませんが、オリンピック特需とこの復興、それからアベノミクスの一環でもある国土強靱化、こういったことが全て相まって本当に著しい人手不足に陥って、そのことが人件費の高騰を招いて、オリンピックはいいんですけれども、このことが逆にかえって復興の妨げになっているんじゃないかなということを非常に懸念するんですね。

 その意味で、例えば人件費ですとかあるいは建築資材、このところの推移、三・一一以降の推移というものを、もしお聞かせいただければお願いいたしたいと思います。

海堀政府参考人 お答えさせていただきます。

 東日本大震災に伴う復興事業につきましては、その円滑な施工を確保するため、市場の実勢を反映させる形での公共工事の設計労務単価を四度にわたり引き上げるとともに、需給の逼迫が懸念される地域においては、公共生コンプラントの設置など、現場の実情に応じてその都度必要な対策を講じてきたところでございます。

 その結果、今日においては入札不調については総じて落ちついておりまして、一度不調になった工事についても、二度目以降の発注でほぼ契約に至っているという現状になっております。

 また、足元の状況では、全国的に技能労働者の需給についても均衡しておりまして、資材価格も安定的に推移しているなど、人手不足、資材高騰により復興事業が進まないという状況には現在至っていないという状況でございます。

 今後予想されますオリンピック、パラリンピックに関連する工事の増加につきましては、全国や東京の建設投資規模に比べますと大きな規模ではなく、現状を踏まえると労働力は十分確保できると考えておりますが、円滑な施工が図られるよう、引き続き、労働力、資材の需給動向について注視をしてまいりたいというふうに考えております。

牧委員 今の言葉を信じてまいりたいと思うんですけれども、いずれにしても、いっとき、いろいろな公共事業で不調が相次いだというのは一方で事実であります。これはやはり、聞いてみると、人手不足に起因するものが大半だったということであります。

 安倍総理は、今、四十七都道府県で有効求人倍率が一を超えたと言って胸を張っておられますけれども、実際、働き手が少ないというのが実情なんですよね。その裏返しが今回のいろいろな不調に結びついているという事実もあると思います。

 ぜひとも、このことに注意をしながら、オリンピックの準備が逆に復興の妨げにならないように、これからも注意を払っていただければというふうに思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 丸川大臣、どうぞ、もう結構でございます。ありがとうございました。

 引き続いて、松野大臣にお聞かせをいただきたいと思います。

 TPPの議論が始まっております。農水大臣の発言等もあって、これから少し荒れ模様なのかなという気もいたしますけれども、このTPPの議論、自由貿易ですとか投資、労働、環境、農業、あらゆる分野にわたっておりますけれども、その中で、知的財産の扱いをめぐる各国の利害調整というのも、この中での一つの大きなイシューだと思います。

 この中で、これまで知財の推進とか保護をやはり先進的に進めてきた米国にとって、権利者と利用者間の利益調整において権利者側に立つというのは、私は態度としては当然だと思います。いろいろセンシティブ品目だ何だと言いますけれども、この知的財産に限って言えば、そういうものに先進的に取り組んできたところが権利者側に立つという、非常にわかりやすい構図じゃないかなというふうに私は思います。例えば医薬品のデータの保護期間ですとか、そういうことでも露骨に利害関係が露呈されるわけですね。

 そういった意味で、今回、TPP協定の実施に伴って著作権法の改正というのも、やはりどうしてもそういった権利者側の利益に何か引っ張られるような形で、例えば保護期間の延長ですとか、あるいは著作権等侵害罪の非親告罪化等々、どうしても権利者側、利用者側じゃなくて権利者側の立場に立つような改正になっているとしか私には思えないんですけれども。

 これは明らかに、権利者が得をすれば利用者が損をする、利用者が得をすれば権利者が損をする、こういうある意味ゼロサムゲーム的なところもありますので、そういった意味で、これから、利用者の損になる、利益相反で利用者にとって非常に不利な状況になってしまうような懸念が私にはございますけれども、大臣は、このTPP協定に従って我々がそれを受け入れることによって、この方向性でいいんだというふうにお考えになるのか、そしてまた、いいんだと言うのであれば、その理由もお聞かせをいただきたいと思います。

松野国務大臣 まず、文教政策や議運等を通じて長く御指導、おつき合いをいただいている牧先生から激励をいただきまして、ありがとうございます。しっかりと取り組んでまいります。

 質問の著作権法改正の方向についてでございますが、今回の改正は、TPPの実施に伴い、国際調和の観点から、著作物等の保護期間の延長、著作権等侵害罪の一部非親告罪化等の措置を講ずるものであります。

 保護期間が延長され、長期間にわたり収益が得られることにより、新たな創作活動やアーティストの発掘、育成が可能になること、著作権等の一部非親告罪化により海賊版対策の実効性を上げることが期待されるなど、国内における著作物の適切な保護に資することが期待をされております。

 また、TPP協定の締結国において、我が国の著作物等の保護がより適切に行われるようになり、我が国のコンテンツ輸出の拡大や著作権料収入の増加が期待をされます。

 一方、牧委員御指摘の、TPP協定により権利保護が強化をされることに加え、これは著作物の利用円滑化を図ることも重要な観点であります。

 文部科学省としては、保護期間の延長に伴って増加が予想される権利者不明著作物等の利用のための裁定制度の改善、権利処理コスト低減のための権利情報の集約化、社会ニーズに対応した権利制限の見直し等、著作物の利用円滑化のために必要な措置を講じていきたいと考えております。

牧委員 ありがとうございます。

 基本的には私も理解できる範囲内だと思いますけれども、国内における利用者の特にフェアユース、どういう部分がきちっとフェアユースとして認められるのかというところは、やはり我が国として今後はっきりさせていっていただかないといけないということもあわせ申し上げておきたいと思います。

 そこで、その著作権を扱う文化庁ですけれども、文化庁が京都に移転をするというお話がございます。省庁移転については所管が違うと思いますので、まず、文化庁も含む省庁移転の意味について、ちょっと簡単に教えてください。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 今般の政府関係機関の地方移転の取り組みは、地方の自主的な創意工夫を前提に、それぞれの地域資源や産業事情等を踏まえ、地方における仕事と人の好循環の促進を目的とするものでございます。

 特に、中央省庁の地方移転につきましては、地方移転が移転先の地域を含め我が国の地方創生に資することになるかどうかといった地方創生の視点、あるいは国の機関としての機能確保の視点、さらに移転費用等の視点等から検討を進めまして、まち・ひと・しごと創生本部におきまして、文化庁の京都への全面的移転等を含めて、本年三月に政府関係機関移転基本方針を決定したものでございます。

 今後とも、政府といたしましては、基本方針に基づき、具体的な取り組みを着実に実施し、東京一極集中の是正に向け、地方創生の実を上げるべく取り組んでまいりたいと考えてございます。

牧委員 東京一極集中を是正するという趣旨はよくわかりますが、なぜ京都なのかということは、ちょっと私には、にわかには理解できません。

 著作権という、一つの知財の中でも大きな意味を持つものを扱っている文化庁ですから、もうちょっときちっと戦略的に考えていくべきだと思いますけれども、松野大臣は、知財戦略本部の中におけるこの著作権、文科省、文化庁のポジションというか役割についてどんな御認識をお持ちでしょうか。

松野国務大臣 文部科学省は、著作権制度やイノベーションを生み出す産学連携など、知的財産の創造、保護及び活用に係る広範な政策を所管しております。

 そのため、文部科学大臣は、内閣に設置された知的財産戦略本部の副本部長として、所管分野はもとより、政府全体の政策が効果的に推進できるように、知的財産推進計画の策定に尽力することが大事な役割と認識をしております。

 知的財産推進計画二〇一六においては、著作権制度の見直しや、オープンイノベーションを加速するための産学連携機能強化、小学校から大学院にわたる知財教育を通じた人材育成などが盛り込まれております。

 今後とも、我が国の国際協力の強化や豊かな文化の創造に向けて、推進計画に基づき、関係省庁と連携をしながら施策を推進してまいります。

牧委員 これ以上言っても、時間もございませんので申し上げませんが、ただ、私の意見として申し上げさせていただければ、今大臣がおっしゃったように非常に重要な役割を持っているわけで、知財戦略の中でのポジションというのがあるわけで、文化庁の仕事もいろいろあると思います。宗務もあれば、あるいは文化財の保護もある。こういったものについては私は京都に移すのは構わないと思うんですけれども、今の知財戦略の中における文化庁が果たしてきた役割というのは、やはり文化庁全面移転じゃなくて、きちっとこちらに私は残すべきだということを一人の人間の意見として申し上げさせていただきたいと思います。

 時間がございませんので、次に進みます。

 先ほど、ノーベル賞のお話も出ました。大臣の所信にもあったように、ノーベル賞三年連続の受賞というのは、我々にとって非常に大きな誇りと励みになるものであるということは全く私も同じ意見であります。

 ただ、いろいろ研究者の皆さんのお話を聞いていると、やはりそういった研究の成果が自分たちの、例えば大学の今後の研究にどのように還元されるのか、あるいは、今大学の運営費交付金もどんどん削られておりますけれども、こういった運営に何らかの自分たちが生み出した知財が貢献できないのか、そういったような声も聞きますけれども、この辺についてどのようなお考えを持っているか、お聞かせください。簡単にお願いします。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 国立大学法人が、地域や社会の高い期待に応える教育研究活動を展開していく上で、法人としての経営力を強化するということは重要であると考えてございます。

 今御指摘の大学が保有する知的財産の活用ということでございますが、一つは、民間企業に対して、大学が保有する特許権の実施許諾を行う、あるいは特許権を譲渡する、こういうことによって収入を得ることということがございます。もう一点は、民間企業が高い価値を認める大学の特許に基づきまして、民間企業との共同研究、受託研究などを進めていく、そういう二つの側面などがございます。

 こういうことを通して民間資金の獲得ということが図られると考えておりますので、文部科学省におきましては、国立大学改革の一環といたしまして、提案型の共同研究、あるいは組織的な産学連携の推進を図るということに努めているところでございます。

牧委員 今のお話は、私も全く同感であります。これをさらにきちっと進めていただければ、もっともっと研究者の皆さんが後顧の憂いなく研究に打ち込める、そういう環境がこれからもつくられていくというふうに確信をいたしておりますが、一つだけ申し上げておきたいのは、大学が持っている知財というのは、果たしてそういった特許権、理科系、自然科学系のものだけなんだろうかということを常々私は疑問に思ってまいりました。

 例えばの話、大学が毎年入学試験を実施するわけで、私学も国公立もそうですけれども、それぞれの大学の、やはり、こういう学生が欲しいんだ、そういうアドミッションポリシーがありますから、それぞれの学校において、まずほとんどが多分問題を作成していると思います。

 こういった問題がその後どういう変遷をたどるのかということに私はちょっと興味を持っているものですから申し上げると、例えば、民間の矢野経済研究所というところが調査した結果、二〇一五年度の教育産業全体市場というのが二兆五千億円だそうです。そのうち、学習塾とか予備校市場というのが九千五百七十億円、約一兆円ですよね。ただ、そこには、例えば市販の参考書ですとか問題集などの出版物やら学校で購入する教材などは含まれておりませんから、もう一兆円をはるかに超える市場がそういう受験産業にはあるんだと思います。そのもとをつくっているのが、各大学で一生懸命入試問題をつくっている先生です。

 この先生からも、せんだって、私、地元の名古屋の名古屋大学のある教授とお話ししたときもそういうお話を聞いたんですけれども、本当に、自分の本来の研究をする時間がもっととれればありがたいんだけれども、やはりこれも大事な仕事だから一生懸命問題をつくるんだ。ただ、その問題が参考書だとかそういうところに無断で転用されたりという二次使用の実態というのが、多分、今までその先生も気づかれていなかったのかもしれないですけれども、私が申し上げたら、それはそうだな、何か自分に、自分にというか学校に報われる方法がないものだろうか、そういうお話をいただきました。

 この件については、文科省としてそういった実態を認識しているのかしていないのか、あるいは、認識しているけれどもなかなか取りづらいというお話なのか。この大学の著作権物の二次使用についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 教材会社等が大学入学試験の問題を集めて問題集を作成する場合についてのお尋ねでございます。

 その場合には、一つは、問題の中に掲載されている原著作物といいましょうか、著作物の著作権者、それからもう一つは、それを引用しながら問題を作成した大学の双方から原則として許諾を受ける必要があるという、ケース・バイ・ケースでございますけれども、それが基本構造でございます。

 そして、大学における著作権処理や使用料の取り扱いについては、各大学の判断において処理されるべきものと考えておりますので、文部科学省としてこれらの実態について十分把握しているわけではございませんが、御質問がございましたので幾つかの大学に伺ってみたところ、大学としては、みずからの作成した大学入学試験問題を広く社会に示す必要があると考えて、試験問題を公表したり、あるいは、教材会社等が入試問題集を出版するに当たって、使用料の支払いは求めてきていないというような事例を把握しているというのが現時点での把握状況でございます。

牧委員 おっしゃるとおり、許諾料を求めている大学は、私の認識では一つもないと思います。ただ、これはやはり宝の持ち腐れで、一兆円以上の受験産業、これを……

永岡委員長 申し合わせの時間が来ております。手短にお願いいたします。

牧委員 はい。しっかりと認識する中で、大学にいかに還元されるかということをしっかり取り組んでいただきますようにお願いを申し上げて、質問を終わります。

永岡委員長 次に、平野博文君。

平野委員 民進党の平野博文です。きょうは質問の時間を頂戴しました。大変うれしく思っています。

 松野大臣、大臣就任おめでとうございます。

 文科省のサポーターの一人として心から応援をしたいと思っていますが、サポーターゆえに少し厳しいところがあるかもしれませんが、よろしく御理解をいただきたいと思います。

 きょう、通告をいたしておりませんが、本当は、所信に対する質疑、こういうことでありますので、基本的な、大臣がお考えになっていることを含めて質問すべきだと思いますが、文科大臣に御就任されて、いろいろやりたいことはいっぱいあるんだろうとは思いますが、何を優先して、大臣就任中にはこれをしたいというところがあれば、政治家としてお答えいただいたら結構かと思いますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 文部科学大臣の先輩として、平野先生の方から今後も広範な御指導をいただければとお願いを申し上げる次第であります。

 大臣任期中に何をやりたいかということでございますが、これは教育再生会議のテーマとしても取り上げていただいておりますけれども、学校教育の充実はもちろんでありますけれども、やはり教育は、家庭の教育と地域の教育と相まって、その結果、効力を、結果を出していくものというふうに認識をしております。

 これは決して、学校が抱えているものを、今抱え過ぎだから切り離そうというようなことでは全くありません。その役割分担を明確にすることによって、それぞれ補い合うべきところを明確にしていく。そして、それぞれの役割が決まれば、おのずとそれに必要な、予算の面、人材の面、出てくると思いますので、これはもう与野党を通じて、先生方の御協力を得て、その環境整備を進めていきたい。

 このことをぜひ実行したいと思いますし、あわせて、これも教育再生実行会議の議題として取り上げていただいておりますが、日本の子供たち、生徒児童は、学力の面からいえば、実質的に世界のトップクラスであります。スポーツの能力も高い、また規律意識も高い日本の子供たちが、自己に対する評価が低いということがあります。

 こういった中で、伸び伸びと自分の可能性を追求していくことは難しいんだろうと思いますので、この問題も、ぜひ有識者の方々に参加をいただき、また、文部科学委員会においても、委員の先生方の御議論をいただきながら、解決策を見出していきたいと思います。

 もう一つは、当然のことながら、科学技術の分野も所管をしております。この中の課題として、先ほど牧先生の質問の中にもありましたけれども、オープンイノベーション、産学連携のあり方をどう機能的に回していくかということは重要な課題であるかと思います。

 産学連携については、長くこの言葉も言われておりまして、日本においても一定の成果を上げていると認識をしておりますが、例えば投資額を海外の事例と比較したところ、相当の開きがあるというのも事実であります。

 今、この日本におけるオープンイノベーションが海外ほどの効果を発揮していない。この事例の阻害要因も分析をしながら、円滑に活用できるような環境づくりを進めてまいりたいと考えております。

平野委員 丁寧なる決意を述べていただきまして、ありがとうございます。

 では、本論に入りたいと思います。

 余り私はこういうことは好きではありませんが、少し気になる点がありますので、これはほっておくわけにいかない、こういうことで、少し御質問をしたいと思います。

 その大きな視点はどういうことかというと、構造改革特区における学校設置会社による学校設置事業、この問題に私は少しテーマを絞って質問をさせていただきたいと思っています。特に、構造改革特区においての特例措置として、平成十五年に創設された部分であります。

 先生方は皆さん御案内だと思っておりますが、地方自治体が、地域の特性を生かした教育などの特別なニーズに応ずるため、株式会社によることが効果的と認めて、内閣総理大臣に申請し、特区に認定された場合、特区区域内に限り、設置基準に従って、所管庁、大学は文科大臣、高校は認定自治体の長による認可を経て、株式会社による学校設置を認めるもの、これはもう全て御案内のとおりだと私は思っております。

 それに伴いまして、現状、今どういう状態になっているかということでありますが、これまでに、三十六校でき上がって、設置されているわけです。小学校、中学校、大部分は高等学校でありますが、高等学校二十六校のうち、通信制学校が二十五校設置されました。時間を経て、これらのうちに学校法人立となった学校が十校ございます。廃校した大学が一校ある。現在、株式会社立学校として存続しているものは二十五校あるわけであります。

 この特区に伴う株式会社立の学校というのは、本当に私は、文科省の職員からすれば、大臣もそうかもしれませんが、やはり学校法人で、本来、収益性を求めていく株式会社がやるべきことではない。教育の普遍性、利潤を追求するところではない。こういう視点からいくと、私、個人的には、極めて好ましくない学校だと思います。

 しかし、これだけ社会が大きく変革をしていく中で、多様な社会をこれから構成していく、また構成している、そういう中で、特徴ある教育をしていくという一つの考え方にも私は理解は示したいと思います。

 しかし、特区というのは、先ほど申し述べましたような考え方のもとに認可、設置されるわけですが、あくまでも特例事項として認知されるわけであります。したがって、その特例が本当に、本来の趣旨に沿った学校運営をされているかということがしっかりシステムの上においてチェックがされ、責任監督庁がしっかりとやれる、このことを十分踏まえて認可をしていくのが本来だと私は思っています。

 そういう中で、本院でも一部取り上げられたというふうに私は記憶していますが、ウィッツ青山学園という学校がございます。特に就学支援金の不正受給、こういうことで捜査が入ったということで、とりわけいろいろな問題が出てきたわけであります。バスツアーで遊園地に行き、数学や社会などの単位を認定するとか、サポート校が、就学支援金を得る目的で、授業を受ける意欲もない低所得者を集めて。

 こういう事案が出てくるというのは、私は、先ほど申し述べましたような崇高な理念と、特別に許可をする、こういう概念からいくと極めて逸脱をしている行為だと思えてなりません。したがって、きょう改めて、少しこの点について触れてみたいと思うんです。

 当該のウィッツ青山学園高校及び基礎自治体、これは三重県の伊賀市でございます。議員の先生方でその選挙区でおられると大変恐縮なことでございますが、あえて、教育、子供のためにということで私は申し上げたいと思います。

 この半年間、文科省、いろいろ手だては打っているように聞いています。しかし、手だてを打つ前に、認可するときになぜそういうチェックができていないのか、このことの方が大事であります。行政が後追いで追っていくということよりも、認可するときに十分な備えをして、本当にすばらしい特徴ある結果が出るならば、私はよしとしていくんですけれども、例外的に認めていくということは何が起こるかわからない、こういうことですから、そこはしっかり押さえてもらわなければならないと思うんです。

 したがって、私は、今回起こした問題というのは、特に就学支援金の制度自身を悪用している、この点がやはり大きな問題だと思います。

 もう一つは、広域通信制高等学校の教育内容の質が本当に確保されているのか。また、特区を使った株式会社である。こういうことで、なぜ伊賀市にこういう制度設計が、この地域の基礎自治体の伊賀だからこそでき得る教育内容になった特区の株式会社でないのか、このことが非常に疑問に思えてなりません。

 これは氷山の一角なんだろうと私は思っています。したがって、委員長、文科省は、指導はしているとかいうことを言っておるけれども、なかなか、直接うまくやれないんだろうというふうに私は思います。

 したがって、この文科委員会がしっかりとこのことについてチェックをする、こういう視点から、ウィッツ青山学園の経営者並びに特区を申請した伊賀市長、伊賀市の責任者を参考人として呼んで、ぜひ一度、この株式会社立のあり方について、いいものはいいとやはり認めていかなきゃいけませんし、この問題というのはやはり絶対に看過できない問題だと思うので、ぜひ参考人としてお呼びをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

永岡委員長 ただいまの件につきましては、理事会で後ほど協議をさせていただきます。

平野委員 ありがとうございます。

 ぜひこれは、野党の我々の要求ということじゃなくて、教育を子供のためにやるということで、与野党しっかりとこの問題については見据えていかないといけないと思っていますので、大臣、その点、いかがでしょうか。

松野国務大臣 委員会の運営に関しては、もちろん、委員会の先生方、理事の方、もちろん委員長を中心に御議論をし、お進めいただければと思います。

 御指摘をいただいております株式会社立学校制度につきましては、学校の経営や教育活動、認定自治体の助言指導体制に問題が見られたということは、先生の御指摘のとおりでございます。

 平成二十四年に、構造改革特区推進本部として是正の方針を決定するとともに、特区制度を所管する内閣府と連携し、認定自治体に通知を発出するなど指導を行ってまいりましたが、そうした中で、ウィッツ青山学園高校のような事態が発生したことは重く受けとめております。

 このため、文部科学省といたしましては、広域通信制高校のあり方について、本年九月、高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインを策定するとともに、昨日、特区認定自治体を対象とした会議を開催し、指導監督体制の強化やガイドラインに沿った適切な学校への指導監督を行うように求めたところであります。

 さらに、文部科学省では、今後、広域通信制高校を対象に、所管庁とともに点検、調査を進めることとしていますが、株式会社立学校制度の適正化に向けて、内閣府とも連携し、必要な対応を検討してまいります。

平野委員 遅きに失していると私は思います。

 私が大臣在任中にもこのような問題が出てまいりました。そのときに私は気になったのですが、教育の地方分権化ということで、余り、中央省庁がそれぞれの自治体に情報収集をするとか、意見具申をするとか、そういうことをその当時の政府は自粛する、もっと規制緩和をする、こういう名のもとに放置しておった結果が、こういう結果を招いているように思えてなりません。これは、その結果として、学んでいる学生にとってどうなのかという視点が私は抜けておるように思います。

 特に、私が在任をしておりましたころ、いじめの問題が起こりました。大津の事案でありました。そのときに、何で文科省にその情報が素早く上がってこないのかと言ったときに、役人の諸君からは、こういうふうに地方分権、教育分権の観点から、中央省庁が余り情報収集をする、提出を求めるということについてはやらない、こういうことが私のところに来たんです。子供の命を守らずして文科省はあるのかということをあのとき私は激怒しました。

 したがって、重要なことについては、どういう理屈があろうが、文科省の存在が問われていることになるわけですから、いろいろ理屈はあっても、子供のためになる、子供の命を守る、教育を守っていく、こういう視点では、ぜひもっと文科省がリーダーシップをとってもらいたい、こういうふうに思っています。

 そういう視点で、就学支援金制度が悪用された、こういうことですから、この問題については、極めて私は問題は大きいと思います。では、この人が就学支援金を受給できる資格があるのかどうかという、このチェックというのは文科省はできるんですか、大臣。

松野国務大臣 そのチェック体制につきましては、今県が行っておりまして、直接的に文科省は携わっておりません。

平野委員 県がやっていますが、このお金は国が出しているんじゃないでしょうか。

松野国務大臣 この財源は、お金に関しましては、全額国の方で出しております。

平野委員 したがって、では、県が適切にチェックしているかということについての報告は文科省はもらっているんですか。

松野国務大臣 県から文科省に関して報告をいただいて運用しているという形になっております。

平野委員 いや、県からもし出てきているのであれば、不正受給という形態はないのではないですか。県もはっきりと、この方が不正受給をしているということのチェックシステムが県にないから、こういう問題が起こっているのではないんですか。

 責任の所在は県ですか。

松野国務大臣 一般的には県の管理下において運用されているわけでありますけれども、今回のウィッツ青山学園の当該事案に関しましては、所管庁が伊賀市になっております。これは、大きな問題の一つは、伊賀市は、過去、高校経営の経験がないということで、高校の適切な運営に関しての指導助言に対する能力がなかったということは言えるかと思います。

 今回の就学支援金の悪用に関しては、就学支援金を搾取した疑いで起訴されたことや、違法、不適切な学校運営が放置されたということはまことに遺憾でございますが、これは、まず、関係者が悪意を持って就学支援金を搾取しようとしたことや、就学支援金制度の趣旨、目的の理解の周知が不徹底であったということ、また、特区制度に基づき学校設置会社を所管する立場であった、今のお話の場合は伊賀市でございますが、認定地方公共団体の指導監督体制が十分でなかった等、複合的な要因によって生じたことであります。

 いずれにしろ、学校の管理運営がずさんであったということでありますし、文科省としても大変遺憾に思っているところであります。

平野委員 これは、就学支援金というのは学校が代理受領するようになっているんですね。だから、伊賀市とか県が幾ら言っても、学校が代理受領するんですよ。学校にそういう意図があったら、明らかに悪意があれば、幾らでもでき得る制度設計になるんですよ。したがって、そのことをしっかり見据えてチェックをする仕組みをやはりつくっておかなければいけないんだろうというふうに私は思うんです。

 今大臣がおっしゃったように、伊賀市に、学校を運営した経験、そういう知見がないにもかかわらず特区の申請をしてきたときに、それを認めて認可する最高責任者は内閣総理大臣なんですよ。これは内閣府が構造特区のことについてやってきたんですが、本当にこの自治体が、能力もあり、特徴のある教育をやるということであれば私はいいと思うんです。が、そのことをしっかり認めるときに、この事案については、内閣府は、これで十分でき得るというふうに認識をして認可したんですか。

松本副大臣 お答えをいたします。

 平野先生よくよく御存じのことと思いますが、特区計画の認定手続につきましては、法令に基づきまして行われております。そして、その認可手続に関しては適切に行われたものと考えているところであります。しかしながら、今御指摘のとおり、問題が発覚するまで状況が把握できなかったことを踏まえれば、伊賀市、文部科学省との連携を通じて、認定後の状況の把握について、必ずしも十分なものではなかったというふうに考えております。

 だからこそ、先ほど文科大臣の方からも御答弁いただきましたように、さまざまな、文科省と一体となってのそうした対応でありますとか、また、我々といたしましても、適時、市からの報告聴取や文部科学省との情報共有、二回にわたる地方創生推進事務局長名での通達の発出、さらには、特区法に基づく伊賀市への措置要求等を通じて、状況の把握及び学校の管理運営の改善に全力を尽くしてきたところであります。

 いずれにいたしましても、今般のような事案が起きないように、これから対応していきたいと思います。

平野委員 措置要求でありますとか命令でありますとか云々言って、では、これは動いているんですか。最終結論は、伊賀市の方ももう運営主体をかえたいとか、こういう話があるように聞いていますよ。だけれども、どうするんですか、これは。そこに学んでいる子供はどうなるんですか。

 だから、私が一番言いたいのは、運営主体がどうであろうとかはいいんですよ、子供さえ守れれば。そこに入っている生徒さえ守れればいいんですよ、最低限。生徒は置き去りじゃないですか。

 したがって、特区という名のもとに始める、余りにも形式主義で、形式さえ整っておれば認可をしていく、許可をする、このことを教育の中に持ち込むこと自身が私は最大の問題だと思うんです。株式会社にして、もうからなかったら廃校します、これで本当に普遍的な教育が成り得るのか。

 特に、私は、株式会社立についてはだめだという立場ですから、ちょっと強く物を申し上げておりますが、私のときにも、生徒さんのことを考えると問題があるけれども学校法人に移行させるように、そういう指導を、少なくとも、私は当時、文科省の職員には言ってきたつもりであります。でも、相変わらずこういう問題がまた出てきた。加えて、就学支援金という、本来、子供さんのために就学支援金を国民の税金から出そうとした、それを悪用する、このことについては徹底的に厳しくやらなければ国民の理解は得られない、私はこういうふうに実は思っています。

 通信教育があと十九校もあるんですね。なぜ通信教育になっているんだ。本来、通信教育であろうが、特区の中で、最低限必要なことはやってもらわなきゃならない決め事があるんです。それを、先ほど申し上げましたように、遊園地に行ったら単位が取れるとか、あるいは、受けていなくても卒業証書が授与されるとか、こんな事案が起こっているわけですよ。これは教育の崩壊につながりますよ。

 したがって、私はあえて、松野大臣が就任されているんですから、もっとよいしょな質問をしたかったんです、本当は。だけれども、あと、この通信教育を見てくださいよ。このウィッツ青山というのは、全国四十カ所にチャンネルを張って、一千六百人ぐらい最初は生徒がいたんですかね、今は少なくなっているようですが。そんな運営が、本当に内閣府が目指した構造改革特区に伴う学校運営をそういうところにやってもらいたいとしてやったわけじゃないでしょう。

 もう一つ、ちょっとよくわからぬのですが、見ていると、特区における株式会社立の趣旨は地域の特性を生かした教育や地域の人材育成、この伊賀市から出てきた申請の中に、伊賀市の特性が生きているんですか、これ。

 加えて、伊賀市から提案があった教育特区の内容を見ると、意育という言葉があります。その意味合いは、生徒個々の能力、意志、意欲を引き出す指導を行い、自分の存在に自信の持てる人材を育成、よくわからへんですわ、私。そういうことを言って申請しているんですよ。それを内閣府は認めているんですよ。どういう特徴があるんですか。

松本副大臣 この構造改革特区の制度を利用いたしました学校設置会社による学校設置事業に関してでありますけれども、今回、こういう事案が起きたことは大変遺憾なことと考えているところであります。

 しかしながら、これまで、この学校設置会社による学校設置事業につきましては、構造改革特区推進本部評価・調査委員会におきましても評価をしていただいているところでもありますけれども、これによりまして、英語教育や情報通信技術の活用、不登校の受け入れなど教育の多様化や、生徒の地域行事への参加や世代間交流による地域活性化など、そうした効果というものも認められているところであります。

 また、そんな中で、今回の事案が本当に特区の趣旨と合っているのかということでありますけれども、もちろん、それが合っていないからこそ、今回、このように問題として顕在化をしたものというふうに考えているところであります。

 そうした観点から、我々といたしましても、文部科学省やまた伊賀市としっかりと意見を調整した上で対応というものを考えてまいりたいと考えております。

平野委員 今、問題が起こったところはここなんだ、こういうことですが、では、この特区で株式会社立の学校を運営して非常によかった、成功している学校はどこがありますか。

松本副大臣 幾つか紹介をさせていただきたいと思いますけれども、例えば、神奈川県相模原市にあるLCA国際小学校などにおきましては、実践的な英語力や国際的なコミュニケーション能力を身につけるカリキュラムなど、よりレベルの高い教育のニーズへの対応ということで御評価をいただいているというふうに理解をしております。また、地域との連携という観点からでいきますと、東京都八王子市にありますデジタルハリウッド大学におきましては、廃校となった小学校を大学として活用することで、地域の活性化、また、地域に体育館等を無料開放し、地域の生きがいづくり、健康づくりに貢献するなどという形で御評価をいただいているものと考えております。

平野委員 時間が来ましたから終えたいと思いますが、今、評価を受けているというんじゃないんですよ。学校の建物を再利用してできているから地域はいいということで、教育について評価が高いところはどこですかという質問なんです。

 これはもう一度しっかりやりたいと思いますが、松野大臣、この問題は根が深いと思っていますから、ぜひよろしくお願いし、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。

永岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

永岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 ノーベル医学・生理学賞を受賞された東京工業大学大隅良典栄誉教授は、日本でも社会全体が大学を支えるという認識が広がらないと科学者は育たない、今、学生は貧しくなっていて、支援なしに研究に邁進することは難しい、このように語られ、御自身のノーベル賞の賞金を若い研究者の支援に活用する、そのように述べられました。長年、日本の学問研究の第一線で御活躍されてこられた方の深い実感がこもったそういう言葉とその行動を、私たちは深く受けとめなければなりません。

 大学の研究を支える運営費交付金などの充実、増額が求められているとともに、学生たちの学ぶ権利をしっかり保障するための支援の抜本的強化が求められております。

 高い学費と生活費を賄うために、今、学生の二人に一人が奨学金を利用し、その多くが有利子であり、その平均利用額は三百万円に上る。卒業後には重い借金となってのしかかってきます。そんな中で、少なくない若者たちが、進学を諦めるか、あるいはバイト漬け、借金漬けで進学するかという大変苦しい選択が迫られています。

 この間、多くの新聞やテレビもこうした実態を取り上げ、今や大きな社会問題にもなっております。そして、教育費の負担軽減、奨学金制度の改善充実を求める署名が全国から大規模に寄せられる中、政府も、給付型奨学金制度の創設に向けて具体化を始めました。

 きょうは、政治が若者たちの学ぶ権利を保障し、未来を支えるという点でまさに喫緊の課題となっている大学の学費・奨学金問題について質問をしたいと思います。

 まずは、従来からある貸与の奨学金制度についてお尋ねをいたします。

 安倍総理は、所信表明演説の中で、「本年採用する進学予定者から、その成績にかかわらず、必要とする全ての学生が無利子の奨学金を受けられるようにします。」と述べられました。先日の大臣の挨拶を私はお聞きしまして、この点については具体的には触れられませんでしたので、改めて、大臣に二つのことを確認したいと思います。

 一つは、貸与条件を満たしているにもかかわらず、予算が足りないために無利子奨学金を受けることができないでいる、いわゆる残存適格者の問題であります。二万四千人がいまだ残っておりますが、これは、所信表明を読めば、来年度でもって完全に解消するということで、大臣、間違いありませんか。

松野国務大臣 無利子奨学金については、有利子から無利子への流れを加速するために、これまでも、毎年度、貸与人員の増員を図っており、平成二十四年度予算では三十七万八千人であったところ、平成二十八年度予算では四十七万四千人へ九万六千人増員してきたところであります。これにより、残存適格者数は、平成二十四年度の十万五千人から、平成二十八年度は二万四千人まで段階的に減少してきております。

 平成二十九年度概算要求においても、残存適格者の解消に向けて無利子奨学金の貸与人員の増員を要求しているところであります。今後、予算編成過程において必要な予算を措置し、意欲と能力のある学生たちが進学等を断念することがないよう、大学等奨学金の充実に努めてまいりたいと考えております。

大平委員 概算要求でも要求しているとの御答弁でした。ぜひとも、要求どおり必ず実現のために頑張っていただきたいというふうに思います。

 もう一点は、成績基準の問題です。

 現行の制度は、成績が三・五以上ないと無利子奨学金は受けられないとされております。これも、大臣、所信表明を読めば、基準は撤廃するということで間違いないかと思ったんですが、このたびの文科省の概算要求を見ておりますと、そこには、成績基準の緩和というふうになっているんですね。

 大臣、これは、撤廃、成績基準はなくすということで間違いありませんか。お答えください。

松野国務大臣 低所得世帯の成績基準については、未来への投資を実現する経済対策において「低所得世帯の子供たちに係る成績基準を平成二十九年度進学者から実質的に撤廃し、」との内容が閣議決定をされております。これを踏まえ、文部科学省としては、低所得世帯の子供たちに係る無利子奨学金については、平成二十九年度進学者から成績基準を実質的に撤廃するための事項要求を行っているところであります。

 今後、予算編成過程において、意欲と能力のある学生が進学等を断念することがないよう、大学等奨学金の充実に努めてまいります。

大平委員 撤廃という事項要求をしているとの答弁でした。撤廃を確認いたしました。

 きょうは、財務省、大臣政務官にもお越しいただいております。

 同じ質問なんですけれども、所信表明でも述べられたとおり、この残存適格者二万四千人の解消、成績基準の撤廃を来年度予算で行うということで間違いないかどうか、御確認ください。

三木大臣政務官 大平委員からの質問にお答えしたいと思います。

 今大臣から答弁ございましたように、奨学金制度につきましては、一億総活躍プランにおきまして、安定財源を確保しつつ、奨学金制度の拡充を図るとされております。

 また、無利子の奨学金につきましては、未来への投資を実現する経済対策において、速やかに残存適格者を解消するとされたところでもございます。

 こうした政府の方針に基づきまして、財務省といたしましても、今後、厳しい財政事情も踏まえつつ、予算編成過程において具体的な対応を検討してまいりたいと思います。

大平委員 成績基準の撤廃はどうですか。

三木大臣政務官 大平委員の質問にお答えしたいと思います。

 無利子の奨学金につきましても、一億総活躍プランにおいて、低所得者世帯の子供に係る成績基準を大幅に緩和するとされたところでございます。

 また、今回の経済対策におきましても、低所得者世帯の子供たちに係る成績基準を平成二十九年度、二〇一七年度、つまり来年からでございますけれども、この進学者から実質的に撤廃をし、必要とする全ての子供たちが受給できるようにするとされているところでございます。

 財務省といたしましても、これらを踏まえまして、具体的な内容を検討しているところでございます。

大平委員 成績基準は撤廃ということでしたが、残存適格者の解消の方は何だか曖昧な答弁だったように思います。

 私たちも、残存適格者の解消は一刻も早く実現すべきだということで、この間、何度も求め続けてきました。文部科学省も概算要求でそのことは求めてきたというふうに思いますが、やはり財務省の壁に阻まれて、この間、近年で一番多い年でも八千六百人にとどまる、そしていまだに解消できていないということになっております。

 所信表明に加えて、安倍首相は、予算委員会の答弁でも、残存適格者を解消するとともに、このようにはっきり答弁をしておりますので、必ず、来年度、二万四千人の解消を実現してもらうように強く求めたいというふうに思います。

 政務官、もうこれで質問を終わりますので、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 続いて、給付の奨学金についてお尋ねしたいと思います。

 安倍総理の所信表明では、「給付型の奨学金も、来年度予算編成の中で実現いたします。」と述べられております。今、文科省内につくられた検討チームで制度設計の議論が行われ、八月三十一日には、「給付型奨学金制度の設計について これまでの議論の整理」、こういう文書が示されました。

 そこではどういう内容が今検討をされているのか。

 まず、給付の対象範囲についてですが、この「議論の整理」の中にある「対象者の選定について」では、どういう世帯の人たちを給付型奨学金の支給対象と考えているとされているか、その学生数とあわせて御説明ください。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 ことしの八月三十一日に公表いたしました、文部科学省給付型奨学金制度検討チームの「給付型奨学金制度の設計について これまでの議論の整理」という資料がございます。そこでは、給付型奨学金の対象者については、「例えば、児童養護施設退所者、生活保護世帯、住民税非課税世帯などが考えられる。」としているところでございます。

 また、今申し上げました、それぞれの世帯区分における高等学校一学年当たりの人数の概算でございますが、児童養護施設退所者、里親出身者は約二千人、生活保護世帯は約一・五万人、住民税非課税世帯は約十四・二万人というふうに、「議論の整理」において記しているところでございます。

大平委員 低所得者世帯ということで、児童養護施設の退所者、生活保護世帯、住民税非課税世帯などが考えられており、おおよそ、人数にして、先ほどの局長の答弁を合計すると約十六万人ということでした。

 確かに、こうした世帯の皆さんは、経済的負担が大変重くのしかかり、意欲や能力があるにもかかわらず苦しい選択を迫られている。少なくない子供たちが進学の夢を諦めさせられております。

 私も、この間、さまざまなお話を聞いてまいりました。広島に住むある生活保護世帯のケースですが、両親と三人の子供という御家族です。お母さんは病気で長いこと働けず、お父さんはその看病と子供たちの育児をしながらパートをして働いている。

 一番上のお兄ちゃんは、大学三年生、県外の国立大学の夜間コースに通い、仕送りはなく、月三万円の無利子奨学金とバイト代で生活をしている。三年後期からはバイトも減らさなければならないということで、この奨学金の利用額を月五万円にふやしたということでした。

 二番目のお姉ちゃんは、短大の一年生で、やはり県外の公立短大に通っている。無利子、有利子、それぞれ月五万円の奨学金を借りている。

 さらに、三番目の次女、中学三年生で、来年度は定時制高校への進学を目指しているというお話でした。

 お父さんにお話を聞きますと、彼らの就職もどうなるかわからない中で、卒業後に多額の奨学金を返していけるのか不安、本当にかわいそうで申しわけない、せめて給付制の奨学金があれば少しは楽になるのにとおっしゃっておられました。私も、大変胸が締めつけられる思いで聞きました。

 こういう人たちの進学や修学の後押しをするものが今度の制度だ、こういうことだと思いますが、私は、むしろ遅過ぎると言わなければならないと思います。また同時に、問題は、果たして本当にこの規模でいいのか、政府自身が言っている、希望する誰もが進学できる制度というのが果たしてこの規模でいいのか、このことが問われているというふうに思います。

 大臣にお聞きしたいと思うんですが、先ほど答弁があったとおり、今検討がされている給付対象は、一学年で約十六万人です。進学率を例えば七割で試算しても、給付対象者数は全学生数の約一二%、進学率五割なら八・五%。

 大臣、給付対象者は全体の一割にいくかどうか、こういう程度で考えられているということでしょうか。

松野国務大臣 給付対象の規模につきましては、対象者の現状等を踏まえ、制度設計の中で検討しているところであり、全学生に占める割合については、現時点で明確にお答えすることはできません。

大平委員 大臣、ここは極めて大事な論点だと私は思っています。この給付型奨学金に期待をしてこの議論に注目されている皆さんは、どういう規模で、あるいは自分自身がその対象になるのかどうか、このことに注目をしていると思うんですね。ぜひ、答弁を避けずに答えていただきたいと思うんです。

 私の試算は、文科省が現時点で示している数字に基づいて計算をしております。それで計算すれば、一割にいくかどうか、そういう程度にとどまるんじゃないかというふうに聞いております。そのことをお認めになるのか、ならないのであればどういう規模の検討がされているのか、もう一度お答えいただけますか。

松野国務大臣 現在給付対象者として検討している対象の数は先ほど政府参考人が説明申し上げたとおりでありますけれども、給付対象の規模は、一つの要因としては一人当たりの給付額の問題がございます。それも含めて総合的に検討し、対象規模の範囲を決定していくという作業が必要になります。

 できるだけ多くの方にという思いは、それは委員と私も共通するところだと思います。しかし、これは財源の問題もございますから、先ほど申し上げた内容も含めて、今後、予算編成の過程で設計を進めるということでございます。

大平委員 今、額は問題にしていないんです。どういう規模、どういう範囲で支給対象となるのかということをまず一点目の論点として明らかにしたいということ。

 できるだけ多くのというお話も、大臣、ありました。ぜひ大臣に聞いていただきたいのは、こういう今検討されている規模で、学生たち、保護者らの切実な思いに応えるものになるのかどうか、これを見ていきたいというふうに思うんですね。また、あと財源の問題も議論していきたいというふうに思います。

 日本学生支援機構が二年ごとに行っている学生生活調査に、家庭からの給付程度別、アルバイト従事者の全学生に対する割合という設問があります。アルバイトをしている学生たちが実家からどれくらいの仕送りを受けているのかを示したものであります。最新の二〇一四年度の大学昼間部の平均の数字を説明していただけますか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学生支援機構の平成二十六年度学生生活調査によりますと、大学昼間部の学生アルバイト従事者のうち、四つの類型に分かれますけれども、一番目として、家庭からの給付のみで修学可能な学生は三八・三%、二番目に、家庭からの給付のみでは修学に不自由な学生は一四・一%、三番目に、家庭からの給付のみでは修学継続困難な学生は一三・四%、四番目に、家庭から給付がない学生は七・五%、このようになっております。

大平委員 今局長から答弁があったものについて、委員の皆さんにお配りしています資料の一枚目につけております。グラフにしております。

 実家からの仕送りはない、だからバイトをしているという学生が七・五%。実家からの仕送りだけでは修学継続が困難だ、だからバイトをしているという学生が一三・四%。合わせて二〇・九%の学生が、大学を続けるためにバイトをしていると答えています。さらに、バイトをしなければ修学に不自由を来すという学生も入れれば、さらにその数はふえるということになります。少なくともこういう規模で客観的に給付奨学金を求めている学生たちがいるということが、この学生支援機構の調査でも示されているというふうに私は思います。

 さらに、配付資料の二枚目をごらんいただきたいと思います。

 先日、京都のある学生の方のお話を聞く機会がありました。生きやすい京都をつくる全世代行動、LDA―KYOTOという団体を立ち上げ、京都市内のほぼ全ての大学門前でアンケートを行い、五百五十人を超える方の声を集めたと。きょう、冊子もいただいて持っているんですけれども、さまざま切実な声がたくさん寄せられておりました。

 資料につけましたのは、バイトの目的を聞いた回答では、学費、生活費のためと答えた人が五七%、断トツの多さでした。さらに、ひとり暮らしの学生のうち、実家からの仕送りがゼロと答えたのが二八%。月三万円以下を含めると四一%の学生が、親からの仕送りをほとんど受けずに生活しているということでした。先ほどの学生生活調査のデータとおよそ一致しているというふうに言えると思います。

 また、アンケートに寄せられた声の一部をそこに抜粋いたしました。十八歳の学生、週五日バイトして、月九万円稼ぎ、生活費に充てている、さらに奨学金を月六万円借りて、学費に充てている。二十四歳の学生、週三十一から七十八時間バイトし、年間百五十万円の学費を自分で稼いでいる。二十二歳の学生、ひとり暮らしで仕送りはない、週三十時間、時給九百円でバイトをかけ持ちし、支援機構から有利子奨学金を借りて生活している、バイトのかけ持ちで体力的につらい、十三時間で八連勤など無理なシフトを組まれ、労働時間が長い、誰にも相談していない。こもごも悲痛の叫びが寄せられております。

 大臣、生活保護世帯や住民税非課税世帯などはもちろん最優先で支えなければなりません。しかし、そうでない世帯も、実家からの仕送りがなかったり、あっても少額だったり、そして二つも三つもかけ持ちでバイトをし、もちろん奨学金も借りて、必死になって何とか修学しているという状況です。

 さらに言えば、学費や生活費を賄うためにはどうしても働き続けなければならないという学生たちのこうした事情につけ込んで、セクハラやパワハラ、むちゃなシフトや長時間労働など、いわゆるブラックバイト、会社の無法行為が横行している。こういう現状を私は一刻も放置するわけにはいかないと思います。

 大臣、こうした実態を聞いてどのようにお感じになられるでしょうか。文科省や検討チームでこうした実態がきちんと議論に反映されているのかどうか、お答えいただきたいと思います。

松野国務大臣 学生のうち約七割がアルバイトに従事をしており、学修するためにはアルバイトに頼らざるを得ない学生がいることは認識をしております。その中には、家庭からの給付のみでは学業に支障があると回答したものが含まれていると認識をしております。

大平委員 そうであるならば、今検討されているこの支給の規模で果たしてそれに応えたものになっているのかということが、やはり大きく問われなければならないというふうに思います。この規模がふさわしいものなのかどうか、また、さらに別の角度として、世界各国に目を向けていきたいというふうに思うんですね。

 各国の給付奨学金制度が一体どうなっているか。アメリカ、ドイツ、フランス、韓国の給付奨学金制度の人数と全学生数に占める割合、また給付金額について御説明ください。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 給付型奨学金につきまして、文部科学省内で、義家副大臣をトップとする有識者も参画をいたします検討チームを設置いたしまして、八月末に議論の整理をし、公表したところでございます。「これまでの議論の整理」において、各国の給付型奨学金制度の人数、割合、年間給付額、こういうものについても資料として示しているところでございます。

 今御指摘のありました四カ国について、御指摘の項目について申し上げたいと思います。

 第一はアメリカでございます。アメリカのペル奨学金につきましては、給付人数が約八百二十万人、給付割合が約三五%、給付金額は平均で四十三万円。

 ドイツの連邦奨学金でございますが、給付人数が約六十七万人、給付割合が約二七%、給付金額が、親と同居の場合で約五十二万円。これについては、半額給付、半額貸与というふうに伺っております。

 それから、フランスの国立大学における高等教育一般給与奨学金でございますが、給付人数が約四十七万人、給付割合が約三五%、給付金額が最大で四十八万円でございます。

 最後に、四つ目、韓国でございますが、韓国の国家奨学金1でございますが、給付人数が約百三十万人、給付割合が約三六%、給付金額、これは約七万円から約五十六万円まで幅があるということで、これは各国のウエブサイトなども参考にして整理をしております。

大平委員 先ほどの局長の答弁を三枚目の資料につけました。これは文部科学省から提供されたそのものの資料です。先ほど御答弁があったとおりです。

 いずれも、全学生数の二割後半から三割、そういう規模で支給がされている。額も、月額三万円から四万五千円というものでした。ドイツやフランスなどは、授業料が無料であるにもかかわらず、給付奨学金がこうした規模で支給をされているというわけです。

 今、文科省で検討されている案と比べても、その違いは一目瞭然だと言わなければなりません。希望すれば誰もが進学できる制度にというのであれば、こうした各国の規模も参考にして行うべきだということも訴えたいと思います。

 大臣、改めて、一人でも多くの学生たちの進学、修学の後押しをするために、給付奨学金を、一割いくかどうかという規模から思い切って拡大していくことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 給付型奨学金の対象者の選定につきましては、経済的理由により進学を断念せざるを得ない者の進学を後押しする観点や、進学に向けた学生たちの努力を促すといった観点から検討を進めてきたところであります。

 給付型奨学金制度検討チームの「これまでの議論の整理」においては、例えば、生活保護世帯等の低所得者世帯を対象としつつ、一定の成績基準を設定することを検討すべきとされております。また、すぐれた成果をおさめた生徒については学校推薦等の方法により対象とすることも検討課題としているところであり、経済的負担を軽減し、進学を後押しするという制度創設の目的に照らし、適当な対象者の規模を検討してまいりたいと考えております。

大平委員 なかなか、一割いくかどうかという規模から思い切って拡大することを求めるという、そのことに応える答弁じゃなかったなというふうに感じます。

 日本共産党は、まずは月三万円、七十万人、これは現在の奨学金利用者の約半分ですが、ここに給付をするところから始めようという提案をしています。今こそ学生たち、保護者たちの願いに応えて、日本の奨学金制度を、きょう午前中、公明党の富田先生からもありましたが、この導入のときに給付か貸与かという議論もあったというのもありました。この日本の奨学金制度を、いわゆる教育ローンから本当の意味での奨学金へ、本物の奨学金へと転換していく。給付奨学金こそが基本となるような、そういう画期的な出発点にしようではないかということも私は強く訴えたいというふうに思います。

 さらに、給付のあり方についてお尋ねしたいというふうに思います。

 支給の具体的な方法については、今どういう方法が検討されているでしょうか。御説明ください。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省内での検討チームの「これまでの議論の整理」の資料から申し上げたいと思いますが、給付の方式といたしましては、学業の状況を確認して支給を確定させる方法である返還免除型と呼ばれる方法がございまして、このメリットといたしましては、学修状況を確認した上で免除することで、しっかりと学業を修めた者への給付となるということなどがございます。一方で、デメリットといたしましては、給付を受けられるかどうかが入学前に確定せず、学生にとって不安感があるということなどがございます。

 また、対象者と認定されたことをもって当該年度は支給を確定し、翌年度への継続の可否を当該年度の学業の状況によって確認する事前給付型と呼ばれる方法もございます。このメリットにつきましては、学修状況にかかわらず給付されることにより、学生にとっては安心感が得られることがございます。一方、デメリットについては、学修がおろそかな者にも給付される可能性があることということが報告書の中に記載されてございます。

大平委員 文科省自身も、制度創設の基本的な趣旨である進学を後押しするためには、みずからが対象となるのかどうかについて入学前の時点で予見可能とすることが重要だと述べておられます。

 返還免除型では、今局長の答弁にあったとおり、これがなかなか予見できないわけですよね。進学をちゅうちょする学生たちの背中を押すものにならないというふうに私は思います。

 学修状況の確認は、先ほどもあったとおり、事前給付型でも可能だということは文科省も認めておられることだというふうに私、理解をしております。

 給付というなら、当然、この渡し方、給付のあり方は渡し切り、事前給付型にすべきだというふうに思いますが、大臣、はっきり言明していただけないでしょうか。

松野国務大臣 給付方法それぞれにおけるメリット、デメリットにつきましては、ただいま政府参考人から説明を申し上げたとおりであります。

 いずれにしても、給付を受ける学生がしっかりと学修をしていることを確認しつつ、安心して学生が学べる給付方法になるよう、今後の予算編成過程においてその設計を進めたいと考えております。

    〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕

大平委員 返還免除型というのは、文科省が出してある資料の中にもはっきり書いてあるとおり、これは貸与なんですよね。そして、予見可能性が極めて乏しい、極めて乏しいというか、ないわけですよね。だから、給付というのであれば、大臣、これは当然事前給付型にすべきだということを私ははっきり申し上げておきたいというふうに思います。

 さらに、学費について伺いたいというふうに思います。

 家庭の経済事情で進学を断念せざるを得ない最大の原因は、国立大学で年額約五十三万円、私立大学平均で約八十六万円という、世界的に見ても高い学費、授業料にあります。

 そもそも、大臣にお伺いしたいと思うんですが、今の日本の学費、授業料は高いと思っておられるでしょうか。あるいは適正、またあるいは安いというふうに思っておられるでしょうか。現状の認識についてお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 授業料の設定や教育費負担軽減のための方策等については、各国でさまざまな制度があり、一概に比較をすることは困難であると考えております。

 なお、OECDが公表しているデータでは、諸外国と比較をし、日本は授業料が高いグループに分類をされているところであります。

大平委員 大臣の御認識も、高いということでよろしいですか。

松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、各国によって教育費負担軽減の方策等に違いがございます。そういったことをあわせて総合的に比較検討する必要があるということでございまして、ただ、OECDが出しているデータにおいては、日本は授業料が高いグループに分類をされているということだと認識をしております。

大平委員 私が尋ねましたのは、大臣、各国との比較で高いか安いかというふうに聞いているわけではなくて、今の日本の学生たちやあるいは保護者の皆さんの家計状況や生活環境の中での負担感も含めた、今の学費が高いのか、適正なのかということをお尋ねしたわけです。

 私、大臣にぜひ聞いていただきたいというふうに思うんですが、ここに、東京私大教連が行った、私立大学新入生の家計負担調査という冊子を持ってまいりました。二〇一五年度版ということで、最新の冊子であります。

 この中身を見てみますと、入学の年にかかる費用という設問がありまして、自宅外通学者で二百九十五万円、自宅通学者でも百五十三万円となっており、入学費用の負担感は、九割を超える家庭で重いと感じているというふうに回答がされています。

 自由記述欄にも、例えば、母子家庭で、児童扶養手当も全額送金している、食費を含めた生活費を切り詰めて生活、食事は御飯とふりかけ程度、私立大学生二人を抱えており、生きた心地のしない、眠れない毎日だ、自分たちの老後も心配ですが、バイトに疲れて勉強できない状態にもしたくありません。親御さんの悲痛の叫びがこもごもつづられております。

 私たち日本共産党は、こうした声に応えて、運営費交付金や私学助成の増額などを進めながら、学費を十年かけて半額にする、こういう提案もしています。

 大臣、奨学金制度の充実とともに、こうした高過ぎる学費を値下げしていく方向に踏み出すべきだと考えますが、御所見いかがでしょうか。

松野国務大臣 意欲と能力のある学生が家庭の経済状況にかかわらず大学教育を受けられるようにすることは、重要なことだと考えております。

 国立大学の授業料については、最近の十年間は値上げをしておらず、さらに、平成二十八年度は、国立大学法人運営費交付金を対前年度同額とし、授業料標準額の引き上げも行わないこととしております。また、授業料減免について、対象者を二千人増員したところです。

 私立大学の授業料については、設置者である学校法人の責任において定めるものでありますが、国としては、平成二十八年度は、私立大学等経常費補助の中で、授業料減免の対象者を六千人増員したところです。

 御指摘の大学の授業料の引き下げについては、必要な財源の確保などの観点から慎重な検討が必要だと考えています。一方、大学等奨学金事業や授業料減免の充実に今後ともしっかり取り組み、大学段階における教育費負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

大平委員 授業料の値下げを私は求めたわけですが、財源等の問題でなかなか難しい、そんなお答えだったと思います。

 文科省は、二言目には、この授業料の問題を伺いますと、授業料免除枠を拡大してきた、こんなふうにおっしゃるわけです。

 そこで聞きますが、今度の概算要求では、国立、私立それぞれの授業料の免除枠はどういう規模になっているでしょうか。それは学生全体のどのぐらいの割合になっているかもあわせて御説明ください。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 国立大学の授業料減免等につきましては、平成二十九年度概算要求におきまして、対前年度十三億円増の三百三十三億円を要求してございます。授業料免除枠対象人数を対前年度二千人増の六・一万人、これは学部、修士ですと一一・三%、博士ですと一二・五%となりますけれども、この数、額を要求しているところでございます。

 また、私立大学の授業料減免等につきましては、同じく平成二十九年度概算要求におきまして、対前年度二十六億円増の百十二億円を要求しております。授業料減免等対象人数を、対前年度一万二千人増の六万人、これは全私立学生に占める割合としては二・七%となりますけれども、この数、額を要求しているところでございます。

大平委員 免除枠を拡大してきたといっても、国立大学で一〇%ちょっと、私立大学でいえば二・七%だという御答弁でした。とりわけ私学は本当に深刻だというふうに思います。

 ことし三月に発表された文科省の委託事業であるいわゆる中途退学調査、ここでは学生からの経済的支援の相談状況を調査していますが、その特徴について、局長、部長になるんでしょうか、御説明いただきたいと思います。

常盤政府参考人 平成二十七年度に文部科学省からの委託調査によりまして実施をいたしました、御指摘の中退に関する調査、正式の名称は長いので中退に関する調査とさせていただきますけれども、この報告書によりますと、学生から大学への経済的支援の相談状況について、その特徴として、一つは、相談件数が増加傾向にあること、二つ目に、各種奨学金制度に関する内容が最も多くなっていることという特徴がございます。

 また、国公立では授業料減免制度について、私立では授業料の延納についてが、奨学金制度に並ぶ相談件数となっており、設置形態での相違が見られるということが特徴として挙げられております。

大平委員 相談件数がふえていること、そして、国立大学はその相談の内容として、奨学金制度の問題とともに授業料減免の制度が学生課の方からも説明をされるわけですけれども、私立大学では授業料の延納が多く寄せられたということでした。

 このような国立大学と私立大学の相違は、授業料減免制度が制度化されているかそうでないかがあるというふうに分析もされている。まさに私立大学では、授業料減免制度が二・七%しかないから、学生たちからの相談に対しても授業料の延納や分納でしか応えられないということが数字でもはっきり出ているということが明らかだと思います。

 大臣、もちろん国立も十分だとは言えませんが、緊急的な対応として、大学数で七割、学生数で八割という私立大学の授業料減免制度を国の責任で抜本的に充実、拡充するべきじゃないでしょうか。お答えいただきたいと思います。

松野国務大臣 意欲と能力のある学生等が家庭の経済状況にかかわらず大学教育を受けられるようにすることは、教育の機会均等を図る上で極めて重要なことだと考えております。

 文部科学省においても、大学段階における学費負担の軽減に努めております。これまで、私立大学が家計の状況等に応じて授業料減免等を行う場合の予算上の支援を年々充実しており、平成二十八年度予算においては、約四万八千人を対象として八十六億円を確保しているところです。

 さらに、平成二十九年度概算要求においても、引き続き支援の充実を図るとともに、特に低所得者層に対する補助率のかさ上げを行うため、対前年度二十六億円増の百十二億円を要求しており、引き続き、私立大学に通う学生が安心して学ぶことのできる環境整備に努めてまいります。

大平委員 低所得者層に対する補助率のかさ上げという御答弁がありました。

 ただでさえ国の私学助成は、大臣もよく御認識されていると思いますが、この間一貫して右肩下がりというふうになっています。経常経費の二分の一は国が補助をするというふうに私立学校振興助成法でも定められているにもかかわらず、今や一割を切るような深刻な状況になっている。

 私は、補助率のかさ上げなど小さいことを言わずに、授業料の減免ぐらいは国が責任を持って全額負担するという、このぐらいの充実を図るべきだということもあわせて訴えておきたいというふうに思います。

 きょうの質疑でも明らかになったと思いますが、若者たちを苦しめるその実態の切実さからも、そしてまた世界の水準からも、さらにはまた、日本が批准した国際人権A規約十三条二項、中等、高等教育の無償教育の漸進的導入との約束の実現の点で見ても、奨学金制度の抜本的な改善充実、そして高過ぎる学費の値下げは待ったなしの課題だと言わなければなりません。

 最後に伺いたいのは、財源問題を含めて、この問題の議論を文科省内の予算のやりくりという枠組みにとどめずに、教育予算そのものを抜本的にふやしていく中で実現していくべきだということを訴えたい。

 条約上、日本が払う義務のない米軍への思いやり予算を削ることや、大企業優遇の不公平税逃れを正していくことなどしながら、教育予算をせめてOECD諸国の平均水準まで引き上げるだけでも相当なことができる。大臣、今こそ、若者たちの願いに応えた、そういう政治の決断をするべきじゃないでしょうか。

亀岡委員長代理 松野文部科学大臣、手短にお願いします。

松野国務大臣 教育再生は安倍内閣の最重要課題の一つであり、我が国が成長、発展を持続するためには、一人一人の能力や可能性を最大限に引き出し、多様な個性を伸ばす教育が重要であり、教育投資の充実が必要不可欠であります。

 教育再生はもとより、その他、文部科学省が担う科学技術イノベーション、スポーツや文化の振興は未来への先行投資そのものであり、教育投資を初め文部科学省予算全体の充実に向けて全力を尽くしてまいります。

大平委員 若者たち一人一人のかけがえのない夢を応援する、そのために政治が責任を果たす、そのことを求め、日本共産党もそのために全力を挙げる決意を申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

亀岡委員長代理 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 松野文部科学大臣が大臣所信の中で、二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、国際競技力を図るとともに、ドーピング対策を加速させると述べられました。

 折しも、先日、馳前文部科学大臣が事務局長を務められている、超党派でありますスポーツ議連の中で、このラグビーのワールドカップそして東京オリパラ大会に備えて、アンチドーピングのワーキンググループというのが立ち上がりました。不肖私もメンバーの一人となっておりますし、国会議員になる前に、ドーピングコントロールの検査の検査員であるドーピング・コントロール・オフィサーというのをやっておりました。

 続けて、そのドーピング・コントロール・オフィサー、DCOを指導する立場のシニアDCOという立場にもいましたので、多少テクニカルな感じ、細かくならないように気をつけて質疑をさせていただきますけれども、非常に日本の国にとって大事なことでもありますので、アンチドーピングに関して御質問させていただきたいと思います。

 さて、公平な競技の中で、トップレベルの選手というのは非常に日々ハードなトレーニングをやっていまして、ハードなトレーニングであれば、残念ながら、身を粉にするというわけじゃないですけれども、健康を害してしまうところも否めないんですね。だから、トップレベルの選手の方々に、ドーピングというのは体に悪いんですよということを説明しても、なかなか実感がわからないようなんです。ただ、なぜ今これだけドーピングが注目されているかというのが非常に大事なことでございます。

 そこで、まず最初に大臣に、そもそもなぜドーピングがいけないかということに関して、松野文部科学大臣の御認識をお伺いいたします。

    〔亀岡委員長代理退席、委員長着席〕

松野国務大臣 ドーピングは不正そのものであります。アスリートの健康を害するだけでなく、スポーツの価値を損ない、公平かつクリーンなスポーツを愛する人々を失望させるものであり、絶対に許される行為ではありません。特に、アスリートの意図に反してドーピングが行われるようなことはあってはならないと考えております。

 我が国においても、二〇一九年のラグビーワールドカップ及び二〇二〇年東京大会をドーピングのないクリーンな大会にする必要があり、このことはIOCや世界ドーピング防止機構から強い期待が寄せられているところであります。

 これまで我が国のアンチドーピング活動は国際的にも高く評価をされておりますが、今後とも、アンチドーピングの重要性をアスリートのみならず広く国民に発信をしていくとともに、万全のドーピング検査体制を構築していくために、組織委員会、東京都、関係省庁及び関係機関と協力をしながら取り組んでまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 プレートゥルー、プレーの公平性ということをおっしゃっていただきました。同時に、選手の健康のお話もしていただきまして、大臣、非常に大事なことをおっしゃっていただきまして、つまりは、ドーピングをどこかで強いるようなことがあってはいけない。

 疑惑のレベルなのか、まだ詳しい報告を私は受けていないんですけれども、ロシアが国ぐるみでドーピングをしていたという、そういった疑義もありまして、次の二〇二〇の東京のオリパラに向けてこういった対策をしていかなければいけないんですけれども、私は、やはりちょっと、医者の立場として、何よりも選手の皆さんの健康、生命、こういったところに観点を置きたいと思います。

 ここは学術集会ではないので、もう本当に簡単に、私に一、二分いただいて、なぜドーピングがいけないかということを資料で説明させていただきたいんですけれども、ここにアラキドン酸カスケードと書いていますけれども、これは、人間というのは生物なので、細胞でして、細胞にリン脂質というのが表面についていまして、ホスホリパーゼという酵素でアラキドン酸というのができて、アラキドン酸からいろいろなものに分かれる。下にいっぱいPGとかLTと書いていますけれども、いろいろな物質ができるんですね。

 その中に、痛みとか熱とか炎症に関する物質が出るから、ホスホリパーゼを抑えるステロイドとかホルモンを使うと抑えられるから、万能薬としてステロイドは使われるんですが、同時にたくさんのものが得られるから、例えば骨をつくる物質、例えば胃の粘膜を守る物質、いろいろなものが得られるから、治療としてのステロイドはコントロールされていますけれども、ドーピング目的でステロイドが使われると、ややもすれば、人間の体にとって必要な物質が、それを与えられることによって損なわれるというのが一つ。

 もう一つは、ステロイドとかホルモンの特徴で、ネガティブフィードバックというのがあるんです。これは、赤が一生懸命人間の体に頑張りなさいよと言っている命令なんですけれども、例えば、男性ホルモンを摂取して筋肉をつけたい、それで男性ホルモンを投与するドーピングというのがあるんですけれども、そうすると、人間の体というのは、ホルモンが過剰にあると、それを察知して今度は出さないようにする、抑制する機能が働いて、これがネガティブフィードバックです。

 つまり、男性ホルモンをたくさん与えていると、今度は、あるところでネガティブフィードバックがかかって、男性ホルモンが極端に減少します。筋肉でむきむきなのに女性の胸になっている男性とかいう話がよくドーピングの副作用で問題になっているわけなんですけれども、このネガティブフィードバックがあるということで、ドーピングに使われる薬剤を投与すれば、投与した弊害が出る、プラス今度はそれが足らなくなる、両方の弊害が出る。

 こうしていって、例えば、体は筋肉質なのにすぐ骨折しやすい、心臓に負担がかかる、血がなかなかとまらない、そういったことで、アスリートの引退した後の人生にもかかわる問題なので、私は本当に強く、このドーピング問題に関しては、松野大臣、オリパラに向けていろいろ対策を立てていっていただきたいと思うんです。

 二〇二〇年のオリパラに向けて、丸川大臣が、国として必要なことは、いわゆる動線であったりとか輸送であったりとか、テロも含めてのそういった対策とおっしゃっていただきました。

 ドーピングに絡めて、私自身がちょっと日ごろ危惧していることなんですけれども、プレーヤーが試合会場で試合をします、試合をした後にドーピング検査を行うんですけれども、それ以外に、抜き打ち検査といいまして、OOCTという抜き打ち検査というのがあります。

 我々検査員はどのようにして抜き打ち検査を行うかというと、大体、トップアスリートの選手、オリンピックの出場選手であったり世界レベルの選手は、ADAMSというコンピューターソフトに自分の居場所を、一日一時間必ずここにいますよという、そういった登録をします。例えば、私自身、朝の五時に、多分寝ておられるから朝の五時にされたんだと思いますけれども、五時から六時の間は自宅にいますよということで、行きましてピンポンと押しましたら、出てこられました。それで、そのまま検査ができたんですね。

 これは何で朝の五時にピンポンを押してすぐ出てこられたかというと、その時間にいなければドーピング違反になるわけなんですね。つまり、ドーピングにひっかかったのと同じような扱いを受けるから、居どころをADAMSによってきっちり操作できるわけです。

 さて、二〇二〇年オリパラが開催されますと、もちろん、選手村もありますけれども、キャンプ地も含めてたくさんの海外のトップアスリート、日本のトップアスリートがこの日本にいます。その中で、もしOOCT、抜き打ち検査をするのであれば、このADAMSを使えば、それぞれの選手の選手村以外での居どころがわかってしまうことになるんですね。これというのは、もちろんプライバシーの保護という観点もあるんですけれども、それ以上に、やはり情報が漏れたりすれば選手たちが非常に危険な目に遭う可能性もあります。

 テロの対策という上で非常に高度な情報管理が必要だと思いますけれども、その点に関して丸川大臣の御見識をお伺いいたします。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 WADAのADAMSがサイバー攻撃を受けて選手の個人情報、内部情報が流出したということについては私どもも承知しておりまして、まさに先生御指摘のとおり、いついつどこにいるということが明らかになるのがADAMSのシステムですから、これは高度なセキュリティー、サイバーセキュリティーが要請されるものであると思っております。

 一方でまた、選手が例えばTUEを付与されたということについての情報が漏れるか漏れないかというところは競技の公平性にも関係してくることでございまして、あらゆる観点から、WADAまたJADAに対して、セキュリティー、とりわけサイバーのセキュリティーを意識していただくことは大変重要だと思っています。

 今、私たちはオリンピックに向かって、オリパラCSIRTという、関係事業者の皆様方に、最新の攻撃情報を共有して、皆さん、こういう攻撃が今ある、ここで起きているので備えてくださいという注意喚起をして、同時に、予防的措置を促すような中核的な組織というのを構築しつつあるところです。

 既に、伊勢志摩サミットやリオ大会で、国境を越える形でも御協力するというのはどういうことかということで試験運用をやったところですので、こうしたリスクをきちんと視野に入れて、今後、こうしたオリパラCSIRTの構築、またどういう連携がさらに必要になってくるのかということについて議論を深めていきたいと思います。

 大変重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 実は、ADAMSの話だけで今回TUEの話をしていなかったわけなんですけれども、TUEというのは何かといいますと、もともとぜんそくを持っておられる患者さんが、その治療薬、ステロイドを含めて使っていればドーピング検査にひっかかってしまうおそれがあるので、TUEという情報を医師の診断書を添えて出すわけですね。そうなると、そのアスリートは、いわゆる持病を持っているとか、そういった医療情報も流出してしまうというわけなんですね。

 医療情報に関して、ADAMSとはちょっと関係ないんですけれども、今回のリオ・オリンピックにおきましても、ハッカーがいわゆる医療データをサイバー攻撃しまして、日本の五輪参加選手の医療データが流出した事件というのがありまして、例えば、柔道の松本選手や海老沼選手、卓球の福原愛選手もその流出被害に遭われました。

 こういった事例というのは、丸川大臣、御存じでしたか。

丸川国務大臣 はい。そうしたプレスリリースがJADAから出されておりまして、私ども確認をしております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 逆に、私自身はもう既に、国会議員とともに、DCOの資格を失っております。それは、つまりは、二カ月に一遍、少なくともいわゆるドーピングの検査をしなければ、例外は認められず、このDCOの資格を失うわけなんですね。それと同時に、私自身のIDとパスワードも返還しましたので、今現在、私はADAMSのデータを見ることはできません。

 しかしながら、本当に、サイバーテロに関する、いわゆる技術のイタチごっこになるわけなんですけれども、例えば、指紋認証の生体確認、ワンタイムパスワードなど、日本におけるデータ管理というのは非常に強固なものにしていただきたい。そうなると、やはり財源が必要になってきますし、それは国の仕事になってきますので、本当に、今後、ワーキンググループも含めて、この文科委員会でもしそのような議論をする機会があればと思います。

 丸川大臣、ありがとうございます。もう大丈夫ですので。

 何度も委員会質疑において、ドーピング検査に関するアスリートのプライバシー、検査の動線というのを質問させていただいているんですけれども、本当に現状はどうなっているか、それを確認したいと思っています。

 現在、小池知事が東京大会の会場を見直すと表明されています。新国立競技場の設計基準にドーピング検査施設の充実等も考慮していただきたいと思うんですけれども、現在の、国立競技場におけるドーピング検査施設の充実に関して、今の状態を教えていただければと思います。

松野国務大臣 新国立競技場におけるドーピング検査諸室について、現時点の設計案では、作業室十室、トイレ五カ所、シャワー二カ所等を備えたドーピングコントロール室と、これに隣接をしたドーピング待合室を整備することとされております。あわせて、日本アンチ・ドーピング機構や組織委員会の意見を踏まえ、ドーピング諸室の位置を見直すなど、使いやすさの面でも改善を行っております。

 この整備内容は、近年の大規模国際大会が行われたスタジアムと同程度であり、必要な機能が備わっているとJADAから確認をいただいています。

 今後とも、JADA等の関係団体と連携しつつ、大会時に新国立競技場において円滑なドーピング検査が行えるよう、機能の充実に努めてまいります。

伊東(信)委員 ドーピング検査というのは、簡単に言いますと、尿検査か血液検査なんですね。私自身は医師でして、昔はメディカル・ドーピング・コントロール・オフィサーという資格があったんですけれども、なくなりまして、いわゆるトレーナーの方、コーチの方、協会の方を含めて、全てドーピング検査の委員として、DCO、ドーピング・コントロール・オフィサーとなっておるんです。医師でなければ、医師免許がなければ採血とかできませんので、DCOは何をするかというと、尿検査に立ち会うわけなんですね。

 尿検査というのは、簡単に言いますと、そのアスリートから、その選手から、確実にその方の尿で、おしっこでなければいけないというその確証が必要なので、競技のシャツを胸の上までまくって、ズボンと下着を膝の下まで下げて、それを我々DCOが、出てくるところを確認します。男性は男性、女性は女性、もちろん同性のDCOが確認するわけなんですけれども、そうやって確認いたします。

 加えて、もし自分の意図することなく、何かしら食事であったり飲み物であったり、もしくは内服薬、サプリがひっかかってはいけないということで、かなりアスリートはナーバス、センシティブになっておりまして、普通、グラウンドドクター、チームドクターというのは、先生、お疲れさまですと好かれるんですけれども、DCOは本当に、顔を見た瞬間というか、DCOの札を見た瞬間、嫌な顔をされます。

 そんな状況で検査をいたしますので、長時間拘束するわけなので、つまり、暑いさなか、リオでもそうですけれども、汗をかいた後、なかなかおしっこというのは出ないんですね。その間ずっと待っていただかなければいけません。その中で、シャワーが浴びられるような施設をつくったり、十分に選手の体調、リズムを崩さないように配慮することも必要でして、かつ、マスコミからのシャットアウトも必要なわけです。

 恐らく松野大臣もそういったことも御存じだと思うんですけれども、もう一度本当にお聞きしたいんですけれども、広い施設、そして今までの事例とかもあるんですけれども、こういった私が御指摘したところも含めて、新国立競技場の東京都の連携も、そしてそれをつくる設計者とかも含めて、今までに何回か打ち合わせというのは、松野大臣、やられましたでしょうか。

松野国務大臣 スポーツ庁の担当部署の人間が対応しておりまして、私自身がその会議に出席をしたということはございません。

高橋政府参考人 補足をさせていただきます。

 まず、先ほど大臣から、ドーピング検査諸室についてその構成を申し上げましたが、ちなみに面積は、作業室などのドーピングコントロールで、現在の設計で百八十二平米、それから、隣接したドーピングの待合室、待機いただくところは三百八十六平米ということで、十分な面積は確保できているのではないかと思います。

 また、こういった面積の確保も含めて、この新国立競技場の実施主体であるJSCが、事業者、JADA、組織委員会、それから実際このスタジアムを使う日本陸連等の競技団体が参画するアンチドーピングワークショップを開催いたしまして、こういった諸室の構成、部屋数、使いやすさ、そして動線などについても確認をいただいて、現在の設計になっております。

伊東(信)委員 大臣もスポーツ庁の方もありがとうございます。

 大臣、これは見ていないからいけないですよと言っているんじゃないんですね。ぜひとも、日本の国のために、選手のために、やはり国ぐるみで、本当に、ロシアだけじゃないかもしれませんし、いろいろな意味で、こういったドーピングがはびこると、どうしても選手というのはより速く、より強く、よりうまくと思ってしまうので、ついついこれはドーピングだとわからずにそれに手を染めてしまうと、二年間の出場停止も含めて、メダルの剥奪も含めて、非常にいろいろな関係各位、国を挙げての困ったことになりますので、ぜひとも、日本はドーピングの施設に関して充実させるように、常にスポーツ庁と意見交換していただければ、もしできれば、一度そういった国立を見られる機会があったら、そういったドーピングの施設に関してもちょっと気にとめていただきたいなと思います。

 このドーピング防止活動というのは、二〇一一年に制定されましたスポーツ基本法の第二十九条におきまして、二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年の東京五輪を目前にした今、でき上がっているわけなんですけれども、日本というのは、実は、そもそもドーピングの防止規則違反というのは〇・一%しかないわけで、世界一なんですね。世界一低いわけで、非常に今現在、コントロールされているわけなんですけれども、私、例えば医療におけるゼロ神話、何でも、例えばバクテリアもゼロにしなければいけないというのは理想ですけれども、不可能というのを十分承知して、科学的数値に基づいてお話ししているつもりなんですけれども、このドーピング防止に関しては、やはりゼロは目指さないけないと思うんですね。というか、ゼロにしてもらわなければ困るわけなんです。

 ドーピングゼロを目指すに当たり、今度は、質の問題ではなくて、やはり、ドーピング・コントロール・オフィサー、DCOの数も、そして、例えば選手を、こっちに来てくださいとマスコミから隠して誘導したりとか説明したりするシャペロンという役目の方もいます。

 三枚目の資料の中に、二〇二〇年オリパラに向けたドーピング検査体制について書いていますけれども、必要な人員というところで、ドーピング検査の責任者百五十名、シャペロンリーダー百五十名、あと検査員二十名、インターナショナルな検査員百八十名とか書いていますけれども、今、人材の育成の計画とか、ここに書いてある必要人員の根拠というのはどのようになっているのか。ドーピング検査の恐らく件数の予測もついていると思うので、今のこの必要人員の根拠と、この必要人員に従って人材の育成というのはできているんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から配付いただきました資料は、文部科学省に置かれました、アンチ・ドーピング体制の構築・強化に向けたタスクフォースの中間報告を本日配付いただいていると承知しております。

 この中にもありますように、現在、例えばこの五年間ですと、日本国内における検査件数というのは年間大体五千件から七千件ぐらい、六千件前後というのが今の状況でございます。これが、二〇二〇年になりますと、オリパラ大会が行われる期間だけでほぼそれと同数程度かそれ以上の検査を行わなければいけないということが、ロンドン大会から推察をされます。それがこの真ん中の図に書いてあることでございます。

 さらに言いますと、その検査についても、通常であれば、検体を受領した検査機関は十日以内に結果を出すんですが、オリパラの場合には、それが二十四時間以内という迅速性も求められます。そうしますと、これは相当な体制を整えなければいけないということになります。

 そして、きょうここに必要人員という表を、これも配付いただいておりますが、実は、私どもがこの中間報告に載せました表というのは、まだとりあえずの暫定でございまして、現在、組織委員会がJADAなどとも相談しながら、この体制を決めるための人員などについて今計画をつくっております。

 ただ、これはあくまでロンドン大会を参考にしたということ、それから、仮にフルタイムで働ける方であればこのくらいの人員ということですから、実際にパートタイムでしか対応できない方がいれば、その分ふえなくてはいけませんし、これは大会の会場とか日程とかにも左右されるということで、あくまで現時点の試算のものを組織委員会からいただいたものと御承知いただきたいと思います。

 ただ、相当の人数が必要になるということでございますので、現在、文科副大臣のもとに設置されているタスクフォースにおきましては、どのような形で国内のアンチドーピング体制を構築、強化するかということを検討しておりまして、そのために、特に大規模な国際競技大会に対応できる語学力を有し、かつ十分な経験で現場を仕切ることができる検査員の育成が大変重要であるということが中間報告にも指摘されております。

 現在、来年度の概算要求におきましてこういった人材育成の予算の大幅な増額も要求しているところでございますが、今後、関係機関とも相談しながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 恐らく今頑張っておられるんだとは思うんですけれども、先ほど、フルタイムではなくパートタイムとおっしゃっていただいたんですけれども、私も開業医でして、DCOに関してはパートタイムなんですよね。私が検査に行かせていただいて、関西の実情を言いますと、もう全てのDCOの顔がわかります。それだけの人数しかいなくて、かつ、フルタイムでDCOをなりわいとされている方はおられなかったわけですよ。だから、今後そのような体制でいけるのかどうかということが一つ。

 それで、二〇二〇年にそういった体制を間に合わすというのはよくわかる話なんですけれども、私、ここにラグビーワールドカップ成功議連事務局次長としてバッジを置いていますけれども、二〇一九にはラグビーワールドカップもございますので、本当に間に合うのでしょうか。先ほど、ロシアなどの国ぐるみのドーピングに関して言いますと、本当に高度なDCOでなければ、毅然とした態度で検査はできないと思います。

 そのあたりの、質問を整理します、二〇二〇に間に合わすのはいいんですけれども、二〇一九年も間に合うのでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一九年のラグビーワールドカップでのアンチドーピングというものをしっかり守るということは大変重要な課題でございます。

 ラグビーワールドカップの場合は、全国十二会場で開催されるということが一つの特色としてありますので、それぞれの十二会場で、先ほど委員から御指摘のあった各会場のドーピング検査室などをしっかり対応するということがまず一つ課題でありまして、これは現在、各主催地において対応がなされているものと考えております。

 それから人員につきましても、これは地方においても人員を確保するという、また二〇二〇年大会とは別の側面がございます。そういったところにつきましては、これから十分組織委員会とも意見交換をして、ただ、二〇一九、二〇二〇に向けて全体的な要員をしっかり確保する、あるいはその質を高めていくという課題は共通でございますので、予算面の対応も含めてしっかりと対応したいと考えております。

伊東(信)委員 DCOの資格を得るだけでも、二年間の実務経験がなければだめだったんですね。今、二〇一六年で、今から二年間の実務経験をしたら二〇一八年になるわけなんですよ。それでやっと免許が取れるレベル、資格が得られるレベルなので、本当に早急に対策をお願いしたい。ただし、やはり質を落とすことはよくないので、そういったことも御考慮いただきたい。

 加えて、スポーツ庁にもう一つ質問したいのは、これは検尿だけじゃなくて採血も必要なんですね。採血となると、医療機関、我々医師にこういったドーピング、DCOの資格を持たすことになると思うんですけれども、残念ながら、関西におきましても、関東におきましても、ラグビー関係者の医師ばかりなんですけれども、本当に数名しかこの自覚はないんですけれども、こういった採血者であるBCO、この確保というのは、医師会も含めて何か連携とかされていますでしょうか。

高橋政府参考人 採血を行うためには、医師ですとか看護師ですとか、やはり一定の資格を持った方に協力をいただくことが必要になります。

 現時点では、この二百名といったとりあえずの数字がございますが、こういった要員がまだ確保できておりませんので、これにつきましても、しっかりと組織委員会などともこれから対応を検討していきたいと考えております。

伊東(信)委員 言うたら私もかつて身内だったので、いじめる気はないんですね。ぜひとも本当に、我々も協力できるところは協力してやっていきたいわけなんですけれども、そういった観点で考えますと、先ほど言いかけましたけれども、このドーピングに関する防止活動というのは、二〇一一年に制定されたスポーツ基本法二十九条において、国が公益法人のJADAに対して支援を行うということなんですけれども、オリンピックを、二〇二〇年の東京五輪を目前とした場合、これだけではやはりちょっと不十分ではないのかというのは私の指摘でわかっていただけたらいいのではないかと思います。

 医療機関も、スポーツ庁も、国も、東京都も、いろいろな連携がなければ、これはなかなかうまいことはいかないのではないかと思いますので、これは……

永岡委員長 申し合わせの時間が来ております。手短にお願いいたします。

伊東(信)委員 はい。確実にアンチドーピングの活動を進めていくために法的措置も必要だと思いますので、またワーキンググループでそういった議論も出るかと思いますので、そういったことも含めてよろしくお願いしますということを含めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

永岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 まず最初に、義務教育の教職員定数改善についてお伺いしたいと思います。

 文科省は、来年度予算案の概算要求において、二〇一七年度から二〇二六年度までの十カ年計画として、「次世代の学校」指導体制実現構想を打ち出しました。十年間で二万九千七百六十人、教職員定数を義務標準法の改正で改善するというもので、来年度については三千六十人の改善の要求となっております。

 最初に、この十カ年計画の根幹をなす考え方について、大臣からお聞かせください。

松野国務大臣 我が国の学校教育は、教員が教科指導や生徒指導、部活動指導などを一体的に行っており、国際的にも高く評価をされているものと考えています。

 一方、今後の学校教育においては、将来の予測が難しい社会の中でも広い視野を持ち、志高く未来をつくり出していくために必要な資質、能力を子供たちに育むことが必要になると考えます。

 また、特別支援教育の対象となる児童生徒の増加や子供の貧困など、学校の抱える課題も、複雑化、困難化しております。

 こうした状況を踏まえ、次世代の学校においては、今まで以上に子供たちに向き合う時間を確保し、質の高い授業等により子供たちの学力を保障していくこと、多様な子供たち一人一人の状況に応じ、それぞれが持つ能力を最大限に伸ばす教育を目指しており、指導体制もそれにふさわしいものにすることが必要だと考えております。

吉川(元)委員 第七次の教職員定数改善計画、これは二〇〇一年から二〇〇五年までですか、以来十年以上、義務標準法の改正を伴う基礎定数の改善はされておりません。

 毎年度の予算措置によって決まる加配定数では安定的、計画的な教職員の採用や配置ができない、当然だと思いますけれども、そういう声が地方からも上がっており、基礎定数の改善を求める要望も提出されていると承知をしております。

 また、TALISの調査結果などに明確に示されているように、学校現場の多忙化を解消するためにも、計画的な定数改善というのは、私も、待ったなしだというふうに思います。

 そこで、今回文科省が策定した十カ年計画の中身について少しお聞きしたいと思います。

 この十カ年計画のもととなった「次世代の学校指導体制の在り方について」の最終まとめ、これは七月の二十九日に出されておりますけれども、その中にはこのような一文があります。今も大臣が少し答弁されましたが、「複雑化・困難化する課題に対応できる「次世代の学校」を構築し、教員が今まで以上に、一人一人の子供に向き合う時間を確保し、丁寧に関わりながら、質の高い授業や個に応じた学習指導を実現できるようにすることにより、子供たちの学力を保障していくことも必要である。」この指摘については、私も、全く同感、共感できるものであります。

 ただ、この指摘を具体化するとすれば、どうしてもこれは少人数学級を推進する必要があるというふうに思います。

 先ほど、一人一人の子供と向き合うと言いましたけれども、これはやはり、いわゆる少人数学級でなければ、四十人学級、今のままであれば、とてもじゃないですけれども、一人一人と向き合うようなことはできない。とすれば、当然、少人数学級の実現、これが必要になろうかと思います。

 ところが、今回の十カ年計画の初年度に当たる来年度予算の概算要求を見ますと、少人数学級の推進という項目が見当たりません。ちょっと過去を調べますと、二〇一四年度までは、三年前までは少人数学級ということが項目として挙がっておりましたが、それ以降、少人数学級が出てきていなくなっております。

 そこで、新たな十カ年計画の中で少人数学級がどのように位置づけられているのか、お答えください。

松野国務大臣 少人数学級は、よりきめ細やかな指導が可能になることから、学校現場などからも要望が多く、有効な施策であると考えています。

 一方で、現在も各自治体で指導方法についてさまざまな取り組みが行われており、少人数学級以外の指導形態にも効果が見られることから、学校の実情を踏まえ、各自治体の判断で、少人数学級やチームティーチング、習熟度別少人数指導などを選択的に行うことが効果的であると考えております。

 このため、今回の概算要求において、喫緊の課題である、発達障害等の児童生徒に対する通級による指導や、外国人児童生徒等教育などを中心に、多様な子供たち一人一人の状況に応じた教育の充実のために必要な定数改善を要求しているところであります。

吉川(元)委員 いろいろ地方において工夫されているというのは、もちろんだと思います。それは、何でそういうふうに工夫が必要かというと、いわゆる教職員定数の改善が行われていないという現実の中で、懸命に各地方が努力をしているのは事実であります。

 だけれども、まさに、まとめの中に書いてある、一人一人の子供に向き合う時間を確保するということになれば、一番の王道、本筋というのは、少人数学級じゃないんですか。文科省はそういうことはもう考えないというふうな答弁なんですか、今のは。

松野国務大臣 小学校二年生以降の三十五人学級については、現在、加配定数を活用することにより全ての小学校二年生の学級において実現されている現状や、少人数学級の効果の検証等を踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 効果を検証しながらというのは、まるで財務省のような答弁としか思えないんですけれども。

 少人数学級というのは効果があるというのが文科省の基本的姿勢じゃないんですか。

松野国務大臣 先ほど答弁をさせていただきましたけれども、少人数学級に対しては、地方からの要望も多く、少人数学級は効果が上がっているものと認識をしております。一方で、さまざまなその他の取り組みについても効果を上げている事実があるということも、先ほど申し述べたとおりであります。

 全体的な予算の中において、最も効率的な配分を考えるに当たって、個々の事業について検証しつつ事業を推進していくということでございます。

吉川(元)委員 余り時間がありませんので次の質問に移りますけれども、やはり少人数学級という旗は絶対おろしてはいけないというふうに思います。その中で子供一人一人と向き合う時間というのが確保できるんだというその基本姿勢は揺るがしてはならないということを指摘させていただきたいと思います。

 次に、財務省の財政制度審議会、今年度予算の策定に当たって、昨年の十月、分科会で、現在の教育環境を継続させるとしても、少子化の進展によって、二〇二四年度までに三万七千人の教職員が削減できるというとんでもない案を示しておりました。その後、年末の財政審の建議でも、「感覚的に教育関係予算の額を増大させることに着目するのは正しい政策判断とは言えず、仮に効果の現れない施策を行えば、結局、その子ども達に借金という形でつけを回すことになる。」と、教育予算をふやすことがあたかも財政赤字を生み出すがごとくの記述がされております。

 私も、本委員会で三月に取り上げまして、その際には、きょうもいらっしゃる馳当時の大臣から、こういうのを上から目線というのだと。私もまさにそういうふうに感じます。

 このやりとりで、前大臣は、教育への投資の充実が経済を安定させる、国民一人一人にプラスになるともおっしゃっておられました。経済を安定させるために教育をするということではないですけれども、教育がしっかりしていけば、おのずと経済も安定していくということだというふうに私自身も感じておりますし、その点では同感であります。

 そこでお聞きしますけれども、ことし五月に、財政審が経済・財政再生計画に関する建議を行っていますが、その中で義務教育関係予算に触れて、二〇一五年の骨太方針の工程表に沿って、予算の裏づけのある教職員定数の中長期的な見通しを策定、公表するよう改めて求めているわけです。この予算の裏づけのある定数というのは、基礎定数化するというふうに明言しているわけであります。

 そうしますと、今回文科省が示した十カ年計画が諮問会議や財政審が求めた中長期的な見通しだとすれば、この計画、当然財務省はのむというふうに文科省は考えているのかどうか。

 それからまた、十カ年計画を今回見ますと、定数改善二万九千七百六十人、自然減が四万五千四百人で、差し引き一万五千六百四十人の減。一方、財務省が昨年主張したのが、三万七千人、先ほども述べましたけれども、削減するというふうになっております。かなり大きな開きがあります。これをもって財務省が定数改善の数が多過ぎると主張してきた際には、どのような姿勢で臨まれるおつもりなのか、大臣の見解をお聞かせください。

松野国務大臣 今後の教職員定数については、少子化の進展のみで機械的に削減するのではなく、学校を取り巻く課題や自治体の政策ニーズ、実証研究等も踏まえて対応する必要があると考えております。

 今回お示しした次世代学校指導体制実現構想は、教職員定数をいかにふやすかという定数増ありきの考え方ではなく、我が国における学校の現状を踏まえ、さらなる対応が必要な課題を考慮し、次世代学校の指導体制を実現するために真に必要性の高い事項に限定して、教職員定数の充実を図ることとしたものです。

 また、障害のある児童生徒に対する通級による指導や、外国人児童生徒等に対する教育に必要な教員については、現在、加配定数により措置をしておりますけれども、義務標準法の改正によってこれを基礎定数化することを求めております。これによって、地方自治体の安定的、計画的な教職員の採用、配置に資するものと考えております。

 文部科学省として財務省も認めると考えているかという点に関しては、文部科学省としては、概算要求が認められるように、学校を取り巻く課題や自治体の政策ニーズ、具体的な成果、エビデンス等を用いながら丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 財務省とはぜひ頑張って戦っていただいて、何としても獲得していただきたいと思います。

 もう一つ、ちょっと確認なんですけれども、つまり、今回の十カ年計画というものが、文科省が考える中長期的な見通しというふうに認識をしてよろしいんでしょうか。

松野国務大臣 中長期的な見通しという御理解で結構でございます。

吉川(元)委員 過去の改善計画、毎年のように案として出されて毎年のように消えていく、翌年また新たに十カ年計画、七年計画というのが出てくる、これでは全く、この間、中長期的な視点に立った定数の改善計画は実は結果的には実現をされていないと言わざるを得ないところであります。ぜひ中長期の視点に立った改善計画の実現をお願いしたいというふうに思います。

 次に、少し話はかわりますけれども、独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令の改正について、九月七日の通知に関連して質問いたしたいと思います。

 この通知によって、四月一日から、いじめや体罰など本人の責めに帰することができない事由を背景とする高校生等の故意の死亡等について災害共済給付を行うことができるようになりました。これにより、高校生であっても、学校管理下で起きたいじめあるいは体罰との因果関係が認められれば、自殺した場所が学校管理下でなくても災害給付の対象となります。そういう意味でいうと、今回の施行令の改正というのは、私自身は前向きに受けとめております。

 また、私が立法過程に加わらせていただきましたいじめ防止対策推進法においても、その対象に高校生が含まれております。また、いじめ防止その他で必要な財政措置を講じることや、いじめを受けた子供の保護者に対する支援も推進法では国の責務というふうにされておりますから、施行令の改正は理にかなったものだと思います。

 最初に、今回施行令を改正するに至った理由を簡潔にお答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、災害共済給付制度におきましては、高校生の自殺等につきまして、原則として災害共済給付の対象外でございましたが、当該高校生が精神疾患を有していたなど、その死亡等に係る故意が否定できる場合に限り給付対象としてきたことは、委員御指摘のとおりでございます。

 文部科学省といたしましては、遺族からの要望、国会での御議論、あるいは政府の自殺対策大綱や、いじめ、体罰問題に係る対策の趣旨などを踏まえまして、検討を重ねてきた結果、このたび、本件政令改正を行うこととしたものでございます。

 具体的には、この政令改正によりまして、これまで災害共済給付の対象外でありました高校生の自殺等のうち、学校の管理下で生じたいじめ、体罰など本人の責めに帰することができない事由を背景とした高校生の自殺等が、新たに災害共済給付の対象となったところでございます。

吉川(元)委員 今回の改正で、四月一日以降に生じた事案についてということでありますけれども、それに先立つ三月十五日に、高校生の自死について二件、災害給付の対象ということが認められておりますが、その理由についてお聞かせ願えますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の二件につきましては、独立行政法人日本スポーツ振興センターに確認いたしましたところ、いずれも個人情報を含むところでありますので事案の詳細については申し上げることはできませんけれども、まず第一に、災害共済給付の給付要件である、学校の管理下において発生した事件に起因する死亡に該当し、かつ、第二に、給付が制限される要件である故意、すなわち、行為またはその結果に対する認識がある場合には該当しないと認められたところから、死亡見舞金の支給を決定したということでございます。

 すなわち、いずれの事案につきましても、このたびの政令改正前の制度のもとで給付可能と判断されたところでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、ちょっと別のことをお聞きしたいんですけれども、ことし三月に内閣府が公表しました昨年一年間の自殺の状況、高校生の自殺者数は二百四十一人となっております。このうち、いじめや体罰などを原因として本人の責めに帰すことのできないケースというのはどの程度の割合か、わかればお答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省が現在把握しております昨年度に発生した高校生の自殺事案のうち、いじめの問題やあるいは教職員による指導が背景にあったとして現在事実関係を調査中のものが五件でございます。

吉川(元)委員 法施行は、四月一日であるということであります。もちろん施行されてからということになるんですけれども、実際には、施行前にも、もし仮にこの施行が行われていれば対象となった案件というのも幾つかあろうかというふうに思います。

 昔にさかのぼるということでありますけれども、例えば、民法の短期時効消滅期間を念頭に、施行日の四月一日から二年間さかのぼってまた給付の対象とするというようなことは考えられないのか、その点についてはいかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正につきましては、本年四月一日よりその前にさかのぼらないことにつきましては、災害共済給付制度が年度単位での契約に基づくものでございまして、前年度以前の契約は当該年度内で終了している以上、前年度以前の災害に新たな制度に基づく給付基準を適用することは困難であるというふうに考えたからでございます。

 そのため、今回の改正による災害共済給付は、本年四月一日以降に生じた災害に対して請求し得るものでありまして、本年四月一日より前は、そもそも権利が発生していない以上、権利の消滅時効も観念できないということから、遡及適用することは困難であると私どもとしては認識しております。

吉川(元)委員 わかりました。

 次に、東京オリンピック・パラリンピックに関連してお聞きをします。

 九月二十九日に、これは既に他の委員会や他の委員からも指摘があったと思いますけれども、総費用が三兆円を超える可能性があると東京都が調査報告書を公表いたしました。

 大変驚きましたし、同時に、やっぱりなという感がいたします。やっぱりなというのは、立候補ファイルの時点では七千三百四十億円とされた開催費用、昨年七月には、森組織委員長が最終的に二兆円を超えるかもしれないと言及し、十月には、当時の舛添知事がこのままでは三兆円になるだろうと既におっしゃっていたからであります。

 新国立競技場の建設費用をめぐって大きな混乱が生じたというのは、記憶に新しいところです。しかし、当初見込みの額だけを比べれば、開催費用の膨れ上がり度というのは新国立競技場の比ではないというふうにも感じます。

 最初に、この三兆円という額についてどのような印象を持たれているのか、率直なところをお聞かせください。

丸川国務大臣 今のままでは開催総費用は三兆円を超える可能性があるとして都政改革本部から公表された金額は、過去の大会を参考に調査チームが推計をされたものと認識をしております。

 その類推であったり推計の根拠がどういうものかというのは、必ずしも全ての項目において明らかにされておりませんで、私どもの立場でいうと、大会経費を的確に把握するためには、まず、開催都市である東京都と大会運営に責任を担う組織委員会が、大会の開催に直接資する業務を洗い出していただいて、これを積算していく必要があると考えております。

 昨日、IOCのバッハ会長と私も面会をさせていただきました。納税者の理解を得ながらコストカットの議論をしていくというのは重要だというのは、お互い当然一致したわけでございますが、パーツ、パーツではなくてコストの全体像を示しながら議論することが必要だということでも、バッハ会長と私どもは完全に一致をいたしました。

 ぜひとも、この大会のコストの全体像をお示しいただくということを、組織委員会の方にもぜひバッハ会長からサポートしていただきたいというお願いを申し上げましたし、また、都にも、組織委員会と連携をしながらその全体像をお示しいただきたいと思いますし、それを踏まえた上で、お互いに、こういうことができる、ああいうことができるという議論をぜひ重ねさせていただきたいと思っております。

吉川(元)委員 洗い出しということですけれども、それは誰がやるんですか。

丸川国務大臣 組織委員会が現在洗い出しの作業を行っていただいていると承知をしております。

吉川(元)委員 それは組織委員会がやるということでよろしいんですね。

丸川国務大臣 もうよく御承知かと思いますけれども、昨年十一月にオリパラ基本方針というものが閣議決定されました。当然、閣議決定をする前に、この中に書かれている役割分担については、東京都と組織委員会とそして国とで議論したわけでございますが、そこに、大会の責任、運営の責任は組織委員会ということが書かれておりまして、一義的には、まず組織委員会で作業を、積算できるような形で洗い出しをしていただくということがなければ、本当の意味でのコストというのは把握できないということになります。

吉川(元)委員 組織委員会はそれをいつまでにやるつもりなんですか。ことしの常会の場なんかでも、同様の質問が出た際に、当時の遠藤大臣は、八月までには、リオがあるから、それが終わり次第洗い出しが完了するだろうという話をされていましたけれども、今全く何も出ていないんですけれども、それはいつまでに出るんですか。

丸川国務大臣 私どもも、遠藤大臣の時代に、組織委員会に遠藤大臣がお聞きになったところ、夏ごろまでにという話で聞いたというふうに伺っております。

 その後、私どもも、いかがでございましょうかということは申し上げておりますけれども、さまざまな状況を考えますと、できれば年内の早いうちに出していただきたいなという希望を我々は持っているというところでございます。

吉川(元)委員 それはつまり、洗い出しをして積算をしていく、そこから今度、削り始めるということですか。

丸川国務大臣 私どもの担当の話でいいますと、我々、セキュリティーの部分は特に国が大きな責任を負っております。安心、安全の部分です。

 これは、どこに会場を置くか、会場がコンパクトにまとまっておりますと、それだけコストダウンができます。会場がばらけておりますと、それだけ、それぞれの会場のイニシャルコストがかかります。それから、輸送する場合にどういう経路を通すのかということにおいては、その経路を確実に決めていただかないと、どのぐらいの警備が必要になるのか、あるいはどれぐらいの流入制限なり機器が必要になるのかということが詰められないということになります。これを、まさに今組織委員会の方で詰めていただいているというふうに私どもは理解をしております。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、これはいつまでたってもできないですよ、このままいったら。もう四年切っているんですよ。年内に全体の洗い出しをしてもらうなんといって、本当に、このままいくと開催できない可能性だって出てしまいますし、司令塔不在、これは時間がありませんので聞きませんけれども、そういうことも含めて、これからもまた当委員会でただしていきたいと思います。

 以上で終わります。

永岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.