衆議院

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第14号 平成29年5月17日(水曜日)

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平成二十九年五月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 上川 陽子君 理事 亀岡 偉民君

   理事 前田 一男君 理事 宮川 典子君

   理事 山本ともひろ君 理事 菊田真紀子君

   理事 坂本祐之輔君 理事 富田 茂之君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      田野瀬太道君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    馳   浩君

      鳩山 二郎君    福井  照君

      船田  元君    古田 圭一君

      松本 剛明君    太田 和美君

      高木 義明君    玉木雄一郎君

      平野 博文君    牧  義夫君

      笠  浩史君    樋口 尚也君

      吉田 宣弘君    大平 喜信君

      畑野 君枝君    伊東 信久君

      吉川  元君    長島 昭久君

    …………………………………

   文部科学大臣       松野 博一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君

   内閣官房副長官      萩生田光一君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    田野瀬太道君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三角 育生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         加瀬 徳幸君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局次長)         川上 尚貴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策評価審議官)        中川 健朗君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            関  靖直君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    高橋 道和君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官付参事官)         小川 良介君

   参考人

   (元文部科学事務次官)  清水  潔君

   参考人

   (元文部科学事務次官)  山中 伸一君

   参考人

   (独立行政法人日本学生支援機構理事長代理)    高橋 宏治君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     小倉 將信君

  古田 圭一君     鳩山 二郎君

  笠  浩史君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     小林 史明君

  鳩山 二郎君     古田 圭一君

  玉木雄一郎君     笠  浩史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として元文部科学事務次官清水潔君、同山中伸一君及び独立行政法人日本学生支援機構理事長代理高橋宏治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官三角育生君、内閣人事局内閣審議官加瀬徳幸君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君、地方創生推進事務局次長川上尚貴君、文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策評価審議官中川健朗君、生涯学習政策局長有松育子君、初等中等教育局長藤原誠君、高等教育局長常盤豊君、研究振興局長関靖直君、スポーツ庁次長高橋道和君、文化庁次長中岡司君及び農林水産省政策統括官付参事官小川良介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林史明君。

小林(史)委員 おはようございます。自由民主党の小林史明でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、理事そして委員の皆様、本当にありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 きょうは遠隔教育の推進について質疑をさせていただきたいと思いますが、なぜこの話をきょう取り上げるかというと、プログラミングであったり言語の教育、かなり専門性が求められる教育がこれから学校教育では必要だと言われている、一方で、学校の先生方の負担というのは大変だ、こういう話になっておりまして、もう既に、部活動にも外部の専門分野の方をどんどん取り入れて学校の先生の負担を削減していこう、こういうことを我々も申し上げているところであります。

 そういう意味では、この遠隔教育も、大変専門性の高い分野であれば、その学校にはいないんだけれどもほかの地域から助けていただくという意味では、これは質の向上にもつながるし、その専門の先生がいないところで苦労している学校の先生方にとっては、負担を下げるという取り組みになるんだろう、こういうふうに私は思っています。

 それを進める上できょう質疑をしていくんですけれども、そういう観点で、遠隔教育の推進に関して、規制改革推進会議で四月二十五日に意見書が出されています。ここの意見書には、遠隔教育を推進するに当たって解決すべき課題というのが出されているんですけれども、この意見書に対して、やはり対面指導が人間教育にとっては重要だという批判であったりとか、教員の削減につながるんじゃないかという不安があって、大分、何か後ろ向きの意見が聞こえてくるというところがあります。

 これは、意見書の文面を見る限りでは、目的は、私も先ほど申し上げたとおり、教育の質の向上と教員の負担軽減であって、先ほど言ったような不安を助長するようなものではないというふうに私は認識をしていますが、まず、ここの不安を解消するために、内閣府からきょうお越しをいただいていますので、その目的、趣旨についてお伺いをしたいと思います。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 規制改革推進会議におきましては、委員から今お話ございましたように、本年の四月二十五日に「遠隔教育の推進に関する意見」というものを公表したところでございますが、この意見におきましては、今後その充実が期待されるプログラミング、英会話など、さまざまな分野において質の高い授業を提供する観点から、遠隔教育を活用することは効果的であり、遠隔教育の活用は教員の負担軽減に資するものであるとしております。

 規制改革推進会議の投資等ワーキング・グループの委員の間の協議におきましても、遠隔教育の推進の目的は、対面指導の軽視や教員削減ではなく、教育の質の向上及び教員の負担軽減であるとの認識で議論をしていただいていると承知をしております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 ということで、そういう懸念はないという前提を共有しながら話を進めたいと思いますし、その関係者にも、そのようにどんどん、しっかりお伝えをいただいて、不安なきよう議論を進めていただきたいと思っています。

 では、どれぐらいの質の向上と負担の軽減が図られるのかということで、現状把握の参考として挙げられるのは、免許外教科担任制度によって、その教科の免許は持っていないんだけれども臨時的にほかの教科も教えていいよということをやっていいという制度があります。

 これは昭和二十四年ですか、大分昔の法律で決められていて、それが当分の間ということになっているわけですけれども、今もそれで運用されているということで、実際、平成二十七年で、中学校では、この免許外で科目を教えているのが七千百七十一件、高校だと三千六百八十件。ですから、それぐらい、専門外のことを教えなきゃいけない状況が起こっているということです。

 それの対策の一つとしてこの遠隔教育というのは効くんだろうと思っていますけれども、実際、全国で今行われている遠隔教育というのは二十四件だけ、こういうことです。文科省、もうちょっと本格的に推進するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 小林先生にお答えをいたします。

 高等学校において、離島や過疎地における専門知識を有する教員による授業の実施や、より多様かつ高度な教育機会の確保等の観点から、平成二十七年四月より、一定の要件のもと、遠隔教育を制度化したところです。

 一方、これまでに遠隔教育を導入している学校においては、音声の聞き取りにくさ等の授業環境への対応が必要となること、授業の進行に当たり生徒の様子を確認することが困難であること等の課題も報告をされているところです。

 このため、文部科学省では、遠隔教育の効果的な実施に向けた実証研究に必要な予算を措置しており、今後、多くの高等学校が遠隔教育を実施するに当たって参考となるようなモデルを構築し、全国に展開していくこと等により、遠隔教育の普及拡大に努めてまいります。

小林(史)委員 ありがとうございます。大臣にはぜひ積極的に推進をいただきたいというふうに思います。

 ここからちょっと細かい議論に入っていきますが、遠隔教育を推進した方がいいよねということでは共通していると思うんですが、現場でそれをやっていくに当たって、わかりづらいところであったりとか、それを阻害するようなものがあるとなかなか前に進まないんだと思っています。

 その一つが、きょう皆さんに配付をしている、遠隔教育と著作権というものの類型でありまして、左から一、二、三、四、五とある。

 どういうときに著作権の侵害に当たるのか、それを補償しなきゃいけないのかということで、今類型別に分かれているものがあらわされているんですが、対面の教室というのはおいておいて、遠隔合同授業というのが二番にあります。これは、お互いに、科目の先生がいらっしゃって、それぞれ授業をやっている。ある地域が過疎地だとすると、子供の数が少ないので、二教室を結んで疑似的に大きな教室を実現するというのが、ある種の遠隔合同授業の目的なんだろうと思っています。

 このときには、何か著作物を配信しても、それは補償の対象にならない。例えば最新の音楽を鳴らして、この歌手の曲はどうですかという話をして音楽の授業で使ったとしても、これは著作権侵害には当たりません、こういうことになります。場合によっては、何か、きょう出た、例えば最新の直木賞作家の書籍をコピーして、遠隔にいる生徒に対して、iPadにそれをメールで、ぜひこれを読んでみてくださいということで学校の先生が配信をした、ではそれはどうなるかというと、著作権にはひっかからない、こういうことなんですね。

 でも、三番の同時双方向型の遠隔授業、こういうことになると、今度は、これは教室ごとをつないでいるわけなんですけれども、この類型に入った瞬間に、著作権侵害です、こういうことになって、許諾をとりなさいということに今なってしまっているわけですね。これは生徒側からしたら全く変わらない状況なんです、遠隔で授業を受けているという状況で、でも、配信されるコンテンツで、これは許諾が必要か必要じゃないかというのが分かれてしまっている。

 こういうことがあるというのは非常にわかりづらくなってしまうと思うんですが、これは文化庁さんだと思うんですけれども、何でこういう分け方をしているのか、ちょっと教えていただけますか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 遠隔の合同授業というものでございますけれども、これにつきましては、平成十五年の著作権法の改正によりまして、新たに権利制限の対象といたしました。このときは、従前に、対面授業におけます著作物の複製や演奏等は無許諾で行うことが認められていたことを前提といたしまして、無許諾で認められたことについては昭和四十六年から認められておりましたけれども、それを前提といたしまして、一方の教室内で無許諾で利用される著作物を合同授業を行う他方の教室でも円滑に利用できますように権利制限が行われたわけでございます。

 他方、一方に生徒がいないスタジオ等から教員が授業を配信して行う形態のものにつきましては、対面授業の延長線上のものとは言えないというふうに考えておりまして、現在もそういうことで、同時双方向の遠隔授業につきましては原則許諾が必要であるというような整理になっております。

 以上でございます。

小林(史)委員 これはすごい意地悪な言い方になっちゃうかもしれないんですけれども、二番と三番というのは、そこに生徒がいるかいないかだけなんですよ。なので、授業をやっている、それぞれに先生と生徒がいる。片方の教室から生徒は何かわけがあって退室をしてしまったといった瞬間に、三番の類型に入っちゃうんですね。これは非常に何か微妙な運用だなというふうに思うんですけれども、これは聞いちゃっていいですかね、もしそうなったら、許諾をそこからとれという話になるのか。

中岡政府参考人 現在の法的な整理ということにいたしましては、そのような状況になりましたら、許諾を得るということになります。

小林(史)委員 理事の方から笑みが漏れていますけれども、やはりちょっとおかしいんじゃないかということなんです。

 もう一個、最後、皆さんに見ていただきたくて、これは本当におかしいと思うんですけれども、一番の対面教室なんです。これは対面の教室で、本当に一対多数の教室で先生が授業をしている。そこで、もちろん、最新の音楽を鳴らしました、それは全く問題ないわけです。それで、けさの新聞記事がねということで、きょうも多分けさの新聞記事について質疑が後で行われるんだと思いますけれども、それを配るというふうにやると、それは学校の授業だから別に問題ないよ、こういうことになるわけですね。でも、今、学校の教室に例えばiPadが配られている部屋がある。そこに学校の先生が、その新聞記事をスキャンしたものをiPadで配信をした、これを見なさいと言った瞬間に、許諾をとれということの整理になっているんですね。これはやはりおかしいですよね。紙で配ったらオーケー、でも電子端末に配信したらエヌジー。今どき、紙で配られたら、小学生でもそれをスキャンして幾らでも何でもネット上に載せられる、こういう状況ですから、ここが違うのはやはりおかしいんだと思うんですね。

 これを今、改正してなるべく整理をしていこうということで文化庁さんは動いていらっしゃるんだと思うんですが、こういう原則の違いというか細かい運用の違いは、やはり現場でICTの導入を阻害するし、遠隔授業もやりづらいな、こういうことになっちゃうんじゃないか、こういうふうに思いますが、文科省としていかがお考えでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、こういった取り扱いの違いにつきましては、できるだけ簡素に運用できるようにしなきゃいけないということで、文化庁の著作権分科会におきましては、ICT活用教育を推進する観点から、現在、許諾が必要な部分、先ほど委員の方からるる御指摘がございましたけれども、そういった遠隔教育等における著作物の利用につきましては許諾を不要とすることの是非とか、あるいは、不要とする場合は著作権者に対しまして補償が必要であるというようなことにつきましての議論をしてまいったところでございます。

 こういった著作権分科会の議論を踏まえまして、今後、必要な制度改正に臨みたいと思っております。

 以上でございます。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 今配付させていただいている資料のオレンジのところが、もともと許諾が必要であるということで、今、許諾不要に検討していますということなんですけれども、今の検討状況だと、緑とオレンジの枠の違いは変わらないまま検討中ということなんですね。

 せっかく検討するんだったら、まずこの枠のあり方から検討するべきだと私は思うんですよ。許諾が不要になったとしても、さっきのiPadに配るかコピーを配るかという中で、コピーをiPadに配った瞬間からお金が発生します、これだけは残るわけですね。これはやはり、これを機に整理をしないと、現場でいろいろな権利者と意見交換をしながら調整をして、御苦労されているのは本当によくわかります。一歩一歩というのもわかるんですけれども、これまで一歩一歩の小出しをやってきた結果、この国の制度というのは前に進まないし、利活用が進まないまま終わってきているというのが、私は反省だと思うんですね。やれるときにはきっちりやり切って、しっかり整理をする。

 これは、文化庁としても、そして教育を実施する側の文科省としても課題は認識をしているわけですよね。意見交換をさせていただいてもそういう状況だったわけですから、やはりこれを機にしっかり、大臣、両方とも文科省の下にある組織ですから、リーダーシップをとっていただいて、ぜひ整理をしていただきたいと思います。

 そのときには、二つの整理の仕方があって、ここの、従来言われているように、全ての著作権に関しては必ず使用には対価を払っていくんだ、一方で、学校で使うんだから少し割り引いてね、こういう全部お金を払ってもらうという方式もあるし、アメリカ型のフェアユースという方式もあるんだと思います。

 何にせよ、細かい運用で区切る法律はもう改めて、全体を包括的にどう考えるか、こういう制度でぜひお考え直しをいただいて、これからの法制度に進んでいただきたい、これをお願いして、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 きょうは、最初に、組織的な天下りあっせんの再発防止策についてお尋ねしたいというふうに思います。

 文部科学省の組織的な天下りあっせんの再発防止策を話し合う有識者検討会が、五月十一日、違法な再就職がないかを監視する組織を省内に新設する方針を決めたとの報道がございます。監視組織は、外部有識者で構成し、会合を毎年四回程度開いて、職員やOBの再就職に違法性がないかをチェックするとのことであります。

 これは、先般出ました文部科学省における再就職問題に係る調査報告、最終まとめの中に、「硬直化した人事慣行や組織体制の見直し」という項目がありまして、その中に、「再就職等規制に違反する行為に対して監視・指摘する機能が十分に果たされなかったことを踏まえ、人事課から再就職等規制に関する業務を分離することが適当である。さらに、外部の有識者が参画する形で文部科学省のコンプライアンスを確保するための組織を設け、再就職等規制に関する業務が適正に行われているか定常的な調査を行うべきである。」という提言がございました。

 これを受けてこの検討会を設けたんだと思うんですが、外部有識者による監視組織を省内に設置する方向で検討は進んでいるんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の文部科学省における再就職等問題に係る調査報告の最終まとめにおいては、今委員御指摘のとおり、調査を通じて考え得る再発防止のあり方といたしまして、硬直化した人事慣行や組織体制の見直し、身内意識の組織風土の改革、職員の遵法意識の醸成、この三点が挙げられてございます。その中で、外部有識者により構成される再就職等規制に関するコンプライアンスを確保するための組織の必要性が指摘されているところでございます。

 これらを踏まえまして、文部科学省としては、先月より、法律やコンプライアンスの専門家などの外部有識者に参画をいただき、再就職等規制違反の再発防止策に関する有識者検討会における議論を開始したところでございます。

 この外部有識者により構成されます再就職等規制に関するコンプライアンスを確保するための組織につきましては、現在、有識者検討会において御議論いただいているところでございますが、その具体的なあり方については、引き続き議論を深める必要があると考えているところでございます。

富田委員 事務方の方にお聞きしましたら、この会議は非公開で、終わった後にマスコミに向けブリーフィングしているというようなことでした。

 今後、ずっとこのまま非公開でやるのか、そういったところをやはり国民は注視していると思うので、監視組織にどういう方向でどんな動きをしてもらいたいというふうに期待されているのか、文科省の意見をちょっとお聞かせください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 この外部有識者により構成されます再就職等規制に関するコンプライアンスを確保するための組織につきましては、最終まとめで、今回の事案におきまして、再就職等規制に違反する行為に対しての監視、指摘する機能が十分に果たされなかった、こういうことを踏まえて、その必要性が指摘されたものでございます。

 その具体的な役割は、開催頻度等については引き続き議論を深めていく必要があるものと考えてございますが、まさに、外部有識者によりまして客観的な立場から再就職等規制に関するコンプライアンスをチェックする、こうした体制を構築することにより、再就職等規制違反行為を監視、防止する組織的な機能をさらに高めていく、こういうことができるものと考えております。

 文部科学省といたしましては、この点も含めて、引き続き、有識者検討会における議論も踏まえまして、国民に御納得をいただけるような再発防止策の検討を進めてまいるという所存でございます。

富田委員 今のことにあわせて、省内の意見を集約する作業も進んでいるとの報道が一緒にありました。省内の意見集約というのは、どんな方向で行われているんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年三月三十一日に、今後目指すべき文部科学省のあり方を明確にし、そのために必要な改革方策に関する基本的な考え方を検討するために、副大臣のもと、各局の筆頭課長を構成員といたします、今後の文部科学省の在り方を考えるタスクフォースを設置いたしました。

 このタスクフォースは、これまで二回の会合を開催し、今後の文部科学省のあり方等に関する討議や外部有識者からのヒアリング等を実施しているところでございます。

 こちらにつきましては、その際の議論に資するために、省内の企画官級職員等との議論、あるいは各局ごとにおける若手職員からの意見聴取等を行うなど、省内において広く検討が進められているところでございます。

 今後は、これら省内職員の意見等も踏まえつつ、速やかに本タスクフォースとしての中間的な整理を行ってまいりたいと考えております。

富田委員 外部有識者を入れるべきだという我が党の提言を取り入れていただいて、大臣の方にもいろいろリーダーシップをとっていただいていますが、省内の皆さんの意見もきちんと吸い上げていただいて、きちんとした体制をぜひつくっていっていただきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと教育勅語の件がこれまで当委員会でも何度か問題になりましたので、その件に関して、関連した質疑をさせていただきたいと思います。

 まずは、大臣は、四月十四日の当委員会で、教育勅語に関し、次のような答弁をされました。

  三月三十一日に閣議決定された質問主意書への答弁では、学校において、教育勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切であるが、憲法や教育基本法等に反しないような形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されることではない等を答弁しております。

  学校における教育活動は、憲法、教育基本法や学校教育法などの法令に従って行う必要がありますが、教育勅語について言及された昭和二十三年六月の衆参両院の国会決議についても、同年の文部次官通達において、その趣旨を徹底し、遺憾のないよう万全を期すこととしていることから、それを踏まえることは重要であると考えております。

というふうな御答弁でした。

 さまざまな配慮をされた答弁だなと思うんですが、どうも、すとんと胸に落ちてこないというか、ちょっとどうかなと思う部分もありました。

 私は、五月四日の日に、国立公文書館で開催されていました平成二十九年春の特別展「誕生 日本国憲法」の展示を見学してきました。大変大勢の方が見学しておりまして、憲法への関心の高さに少々驚きを覚えました。

 展示品を解説している図録を購入しようとしましたら、売り切れで、後日送付していただけるよう申し込みをしてくれということで、五百円を払って申し込みをしてきたんです。それを後でいただきましたのが、この「誕生 日本国憲法」というかなりしっかりした冊子でして、机上に資料一の一から一の三までコピーして配付させていただきましたが、ぜひごらんをいただきたいんですけれども、新日本建設に関する詔書、昭和二十一年一月一日に関する説明文が資料一の二の上段に載っております。

  昭和二〇年一二月二四日、宮中に参内した幣原総理は、天皇から年頭の詔書の発表について示唆を受け、翌日、官邸において自ら英文で起草にあたったといわれています。その理由について幣原は後年「日本よりむしろ外国の人達に印象を与えたいという気持ちが強かった」と述べています。

  詔書案は学習院教授レジナルド・ブライスの進言を容れながら、文部大臣前田多門がまず草案を作成しました。後年、前田は教育勅語に代わる「国民の精神的支柱」となるものと想いながら草稿を練った

というふうにここにも書かれております。

 資料一の二、三の下段にこの詔書の原文が載っておりますが、その中にこんなふうな記載があります。「官民挙ゲテ平和主義ニ徹シ、教養豊カニ文化ヲ築キ、以テ民生ノ向上ヲ図リ、新日本ヲ建設スベシ。」「然リト雖モ、我国民ガ現在ノ試煉ニ直面シ、且徹頭徹尾文明ヲ平和ニ求ムルノ決意固ク、克ク其ノ結束ヲ全ウセバ、独リ我国ノミナラズ全人類ノ為ニ、輝カシキ前途ノ展開セラルルコトヲ疑ハズ。夫レ家ヲ愛スル心ト国ヲ愛スル心トハ我国ニ於テ特ニ熱烈ナルヲ見ル。今ヤ実ニ此ノ心ヲ拡充シ、人類愛ノ完成ニ向ヒ、献身的努力ヲ致スベキノ秋ナリ。」最後には、「斯ノ如キハ実ニ我国民ガ人類ノ福祉ト向上トノ為、絶大ナル貢献ヲ為ス所以ナルヲ疑ハザルナリ。」とまで述べておられます。

 以上、平和国家建設に向けた日本国民の精神的支柱になる文書ではないかなと、これを読みまして思いました。

 こういうものこそ学校現場の教材として扱うにふさわしい文書と思うんですが、大臣はどう思われますか。

松野国務大臣 富田先生にお答えをいたします。

 御指摘の新日本建設に関する詔書は、五カ条の御誓文を引きつつ、戦後の我が国が、平和主義に徹し、教養豊かな文化を築き、民主的な新日本を建設することを宣明した詔書であり、戦後の我が国の歴史的転換において重要な意味を持つと認識しております。

 実際に、小学校社会科や高等学校地理歴史科の教科書において、この詔書が、戦後日本の民主主義を発展させていこうと国民に発せられ、国民が自信と誇りを持って生活するよう奨励したことなどに言及している例もあるほか、その一部を掲載している資料集も見受けられるところです。

 もとより、教科書は、学習指導要領に基づき、教科書会社の創意工夫を生かして著作、編集されるものであり、教材については、学校教育法第三十四条第二項の規定に基づき、教育基本法等の趣旨に沿った有益適切なものである限り、校長や設置者の責任と判断で使用できるものであります。

 そのため、引き続き、各学校において、教育基本法や学習指導要領の趣旨を踏まえ、多様な資料を創意工夫しながら活用することにより、子供たちの学びを充実させることが重要であると考えております。

富田委員 もう一歩突っ込んで、やはりこういうものもあるんだということを、ぜひ文科省の方でも学校現場にいろいろサジェスチョンをしていっていただきたいなと思います。

 本当に大勢の方がこの展示会を見ていらっしゃって、特に若い方が大勢いらっしゃいました。原本がずっと展示されていましたので、食い入るように見ていらっしゃる若い人を見て、日本もまだ捨てたものじゃないなというふうに私は思いました。私自身もこういう文書に接してみて、こういったことをきちんといろいろな現場で言っていく必要があるなというふうに感じた次第です。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、ハイパフォーマンスサポート事業についてお尋ねをします。

 二〇〇八年度に始まった、オリンピックなど国際大会で代表選手らの強化を支える事業で、筋力トレーニングの指導や栄養管理、映像分析など各分野の専門家が雇用され、水泳、柔道、体操など十五競技種目を担当されております。

 スポーツ庁が日本スポーツ振興センターに業務委託をし、日本スポーツ振興センターが二〇一三年一月に定めた規程では、このサポートされる方たちは、契約は一年ごとで期間は四年、この後は、もう一度だけ四年間、オリンピックについては二大会のみかかわることができるが、その間、半年は空白の期間が必要になるというような雇用形態のようです。こういう規程があるため、昨年夏のリオ・オリンピックで日本選手を支えたスタッフ三十三人が三月三十一日付で契約を終えたとの報道がありました。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの強化に向けていろいろな作業をやっておりますが、この強化方針に、こういう形で契約を切ってしまうというのは矛盾しているんじゃないかと思うんですが、スポーツ庁、どうでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ハイパフォーマンスサポート事業は、次期オリンピック・パラリンピック競技大会においてメダル獲得が期待できるスポーツを対象に支援することを目的としておりまして、四年という雇用年限は、このようなオリンピックサイクルといったものに対応するという事業の趣旨を踏まえて、JSCが定めたものでございます。

 二〇二〇年東京大会において、我が国のトップアスリートがオリンピック・パラリンピックにおいて過去最高の金メダル数を獲得するなど優秀な成績をおさめることができるよう支援することは、極めて重要であります。ハイパフォーマンスサポート事業についても、二〇二〇年東京大会に向けて所要の支援をすべく、平成二十年度、事業が開始をされているところでございます。

 スポーツ庁としては、引き続き、競技団体等関係団体と緊密に連携を図りながら、本事業を含めた競技力強化にしっかりと対応してまいりたいと考えております。

富田委員 この新聞報道では、オリンピックは四年に一度のプロジェクトだから四年で契約を切るんだとか、五年以上雇うと、スタッフが望めば無期契約をしなければいけなくなる、確かに今、労働契約法ではそういうような形になっています。でも、こういう理由で契約を切るというのは、本来五年ルールを定めた趣旨に反しているんじゃないか。五年間一生懸命頑張ったら、無期契約を望む方にはそういう契約をしなきゃいけないというところを、オリンピックが四年に一度だからということで勝手に切ってしまうというのは、何のために強化をしているのかというところとも矛盾すると思いますし、二〇二〇年に向けてできるだけ多くの人材にメダル獲得に向けていろいろな形でサポートしていただくというのは本当に大事だと思うんですが、半年、間を置かなきゃならないということで、例えばJOCにちょっと行くとか、各競技団体の方で、このサポートをしてくださる方は本当に能力があるというふうに思った場合にはそれなりの、逆にその方たちをサポートするような体制をとる必要があると思うんですが、そのあたりはどうなんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 改正労働契約法の施行を受けて、現在、JSCとしても、同法の趣旨を踏まえた契約のあり方について検討しているものと認識をしております。

 スポーツ庁としても、今御指摘ございましたが、さまざまな状況を考慮しつつ、この事業スタッフの中でも能力を有する者、競技団体などからも評価されているような者が一律に契約を終了させられることにならないような工夫ができないか、そういった適切な取り扱いの検討について促してまいりたいと考えております。

富田委員 スポーツ庁の方も限られた予算の中でそういう支援体制を組むという必要がありますし、JSCはいわゆる独法ですから予算の制約もある。そういったところを、やはり二〇二〇年に向けて、我々各政党もしっかりバックアップしていきたいと思いますので、ぜひそういう有能なサポート人材をしっかりサポートできる体制を文科省、スポーツ庁でしっかりとっていただきたいということを希望しまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民進党の玉木雄一郎です。

 きょうは、いろいろ質問しようと思っていたんですが、加計学園が新設する獣医学部の問題について絞って質問させていただきたいと思います。

 けさ報道がありまして、その報道をお手元にお配りしていると思いますが、加計学園が今治市の国家戦略特区に新設しようとしている獣医学部について、文科省が、特区を担当する内閣府からこれは総理の意向だと聞いているなどと言われたことを記した文書を作成し、現在もその文書が文科省の幹部の間で共有されていると報じられています。

 こうした文書が現に存在するのかどうか、大臣、お答えください。

松野国務大臣 そのニュースに関しましては、けさほど、私も新聞で読みました。

 私自身は、実際にどの文書の何を指してお話しになっているのか、ちょっと承知をしておりませんが、文書自体に関して、具体的にどういった種の、こういった文書だ、こういった経緯のものだということがあれば、確認をさせていただきたいと思います。

玉木委員 この記事の中には、文科省関係者が昨年の九月から十月に作成したものであると認めたということで記述がありますけれども、こうしたことを文科省の関係者が認めた事実はございますか。

松野国務大臣 まず、その文科省の関係者というのがどなたなのかわかりませんが、そういったことも含めて、現状においては、その文書の存在も含め、私は確認をしていないということでございます。

玉木委員 私、手元にその文書を持っているんですが、かなりなことが書かれています。

 私は、実は、文科省は立派だと思っています。なぜかというと、非常に不当な規制改革の要望に対して、文部行政を預かる者として真っ当な反論をここでされています、あるいは懸念を表明されています。

 それに対して内閣府の側から、例えば、最短距離で規制改革を前提としたプロセスを踏んでいるので、設置の時期については、これは総理の意向だと聞いているということで、四の五の言わずにやりなさいというようなことが内閣府から回答が返ってきているんですね。

 例えば、きょうはいらっしゃっていませんけれども、義家副大臣に対して説明したレク資料、あるいは義家副大臣から御発言をしていただくもの、あるいは萩生田副長官から御発言をしてもらうような、そういった内容のものも用意をされています。こうしたやりとりについて、全くこれはないと言い切れますか、大臣。

松野国務大臣 今回の国家戦略特区に関して、それは文科省内でも当然検討をしているわけでありますから、その国家戦略特区に対する対応に向けた文書というのは、それは作成された可能性はあるというふうに思います。

玉木委員 その中に、平成三十年四月は早い、無理だと思うというようなことが記述されている部分もありますね。

 つまり、文科省としては、設置認可申請が来ても、やはり実際、教員が集まるのかどうかとか、言われるような教育ができるような施設がつくれるのかどうか、当然確認しなければなりませんね。ですから、やらないと言っているのではなくて、せめてもう一年、三十年の四月ではなくて、三十一年の四月ぐらいにできないかなということを提案しているわけです。そういうことを議論した経過はありますか。

 あるいは、大臣の指示として、この中にも、大臣の御指示事項ということで、松野文科大臣自身が、三十一年四月の開学を目指した対応とすべきではないかと指示をされているんですね。つまり、今言われているよりも一年後にやるべきではないかということが大臣の御指示事項の中に入っています。

 では、文書は、そのあるなしは今言えないとして、大臣として、この間の一連のプロセスの中で、三十年四月の開学はちょっと早過ぎるんじゃないか、三十一年の四月にした方がいいんじゃないかということを、内閣府等に対して文科省としてちゃんと確認しろ、そういったことは言った方がいいというような、そういう指示を出したことはありますか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 まず、この記事の中にある大臣の指示事項文書というのは、私、見たことがないものですから、これがあるのかないのか、どういった性格のものなのかに関しては承知をしておりません。

 その中において、今、玉木先生の方からお話をいただいた、今私が記憶していることでお話をさせていただきますと、まず、大学の設置認可というのは、当然のことながら、設置審議会において専門的な議論のもとに認可が進められるものであるので、国家戦略特区の中にあるものであっても、例えば、国家戦略特区が認められて大学設置に関する審議が審議会で始まったとしても、これは、そのケース、状況によっては、認められる場合も、認められない場合もある。そういう中にあって、設置の時期をあらかじめ書き込むというようなことというのは、これは設置審議会との関係においてどうなんだろうかという話をした記憶がございます。

玉木委員 それに対して、内閣府からはどういう答えが来ましたか。

松野国務大臣 今、ちょっと私の記憶に頼った答弁になるので、詳細にどこまで言えるかわかりませんが、要は、何年に開学を目指すとか設置をするとかというのは、これは設置審議会との関係において書き込めるものなのかという私の質問に対しては、それは従前も、戦略特区の中において、その目標として書き込んできたということがございますという答えが、これは、内閣府ではなく文科省の事務方の方から説明を受けた記憶がございます。

玉木委員 今回、やはりいろいろな形で、私は、通常ではない特別の計らい、特別の手続が行われているのではないかと思われます。

 特に、これは総理の御意向だと。私の手元にある資料でも、大臣御確認事項に対する内閣府の回答という中の一番上に、これは総理の御意向だと聞いているということが明示的に一番最初の丸に書かれていますね。

 やはり強い総理の意向を受けて、これは多少無理があってもやらなければいけないということで、大臣、やられた、あるいは苦渋の決断をされた。文科省としてはなかなかこれはイエスと言いがたいんだけれども、総理の意向なので仕方がなしに、三十年四月の開学で物事を進めようということを決められた。大臣自身、そういう思いがあったということでよろしいですか。

松野国務大臣 この国家戦略特区に対する私の、また文科省の立場というのは一貫をしております。

 国家戦略特区に対する取りまとめ、コンセプトに関しては、これは内閣府が主管するものである。そして、今まで獣医学部を文部科学省が抑制的にしておりましたのは、これは需給の関係においてということで抑制的にしておりましたので、この需給に対する考え方は、これは所管である農水省の方でなければ判断ができないということでございますから、この中で書かれていたのは、例えば先端的なライフサイエンスであるとか水際対策が書かれていたと記憶をしておりますけれども、そういった新たな獣医の需要に関して、その需給が認められるということであれば、文科省は大学の設置認可に関してしっかりと審議をしていきますというのは、私も文科省も一貫した姿勢でございます。

玉木委員 需給の話が出ましたね。では、需給の話にちょっと絞って聞きたいと思います。

 十月四日の義家副大臣のレクの概要という紙があわせて手元にありますが、私が萩生田副長官のところにちゃんと調整してくれと言いに行く、アポ取りをして正式に行こう、シナリオを書いてくれ、齋藤健農水副大臣に、農水省が需給の部分、ちゃんと責任を持ってくれないと困るよと話した際には、何も聞いていない、やばい話じゃないかという反応だったと。今大臣が手元で読まれたものです。それです。

 需給について、やはり相当心配しています。なぜかというと、これはもともと再興戦略改訂二〇一五の中に四条件というものがありまして、これは何度も私も委員会で取り上げていますが、基本的に獣医師の需給は満たされているということは何度も政府がお答えになっていますね。ただ、特区で認める際に、既存の獣医師の養成ではないということ、これが第一条件。第二条件に、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになること。三番目の条件で、既存の大学、学部では対応が困難な場合。四つ目に、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討ということで、需給のことを考えるということも含めて、この四条件がかかっていたわけですね。

 では、ちょっと整理のために改めて伺いましょう。

 現時点において、獣医師の数は足りていますよね。政府の公式見解を聞かせてください。特区ではなくて、現在の獣医師の数は、産業動物への偏在、地域的な偏在があるのは何度も答えていただきました。ただ、トータルとして獣医師の数は足りていますね。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、産業動物獣医師について地域の偏在というものはございますが、現状において、獣医師の数自体が全体的に不足している状況にはないという認識は変わっておりません。

玉木委員 獣医師は十分いるんですね。それなのに、今度新しい学校ができて獣医師を新たにつくるんですが、新しい分野だからとか何だかんだ言って、多分、既存の獣医とはバッティングしないから大丈夫だということで認めたんだと思うんですが、今度ふやそうとしている、加計学園が新設しようとする獣医学部、定員は何人を予定していますか。そして、現在の十六の国公立、私立の獣医学部の一年間の定員は幾らですか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区における獣医学部の新設でございますけれども、学校法人加計学園より本年三月三十一日付で設置認可申請がなされておりますが、入学定員は百六十名ということでございます。また、全国の現在の獣医学部の定員は九百三十名ということでございます。

玉木委員 今、十六大学、九百三十名の定員がありますね。この九百三十名で足りているという答弁でした。そこに百六十名を新たに加えていくということは、計算すると一七%ぐらい今よりふえるわけです。

 九百三十名で足りているというところに百六十名を加えていって、これが、先ほど言ったような需給をちゃんと満たし、しかも、きちんとその四条件を満たすということはクリアした上で特区での獣医学部を認めたんだと思いますが、百六十名の根拠を教えてください。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたように、学校法人加計学園から設置認可申請において入学定員百六十名とされているわけですが、今、玉木委員お話ございましたように、その前段で国家戦略特区のプロセスがございます。

 その中では、新設する獣医学部の入学定員を百六十名とすることについて、そのことを含む学校法人加計学園の構想につきまして、本年一月に、国家戦略特区の今治市分科会におきまして、内閣府を中心といたしまして、獣医療行政を所管する農林水産省も同席する中で確認をされたというふうに承知をしております。

玉木委員 百六十名の根拠、百六十名で、既存の獣医との需給を考えても大丈夫だということは、農林水産省が確認したんですか。農水省、ではお答えいただけますか。誰ですか、責任を持って答えられるのは。百六十名を新たにふやしても、それが既存の獣医の需給等に関して問題がない、先ほど申し上げた「日本再興戦略」改訂二〇一五における四条件を満たしたと確認したのは、政府の中で誰ですか、どこですか。

常盤政府参考人 繰り返しの御答弁になると思いますが、新設する獣医学部の入学定員百六十名ということを含めまして、この学校法人加計学園の構想につきましては、本年一月に、国家戦略特区の今治市分科会が開かれました。その今治市分科会におきまして、これは国家戦略特区を所管いたします内閣府を中心といたしまして、また同時に、獣医療行政を所管いたします農林水産省も同席をする中で、有識者の方の御議論も含めて確認をされたというふうに承知をしてございます。

玉木委員 内閣府、農水省はどのように確認しましたか。九百三十名のところに一七%もふえる百六十人をふやして、それが既存の獣医の需給に影響を与えないというのは、どのような証明をされましたか。農水省、内閣府、それぞれお答えください。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省は、獣医師及び獣医療に関する事務をつかさどっておりますが、獣医学部など大学の設置に関する事務はつかさどっておりません。新設される獣医学部の定員の妥当性については、所管省庁において適切に判断されるべきものと考えております。

 今回の獣医学部の新設は、先ほど委員からも言及がございましたが、先端ライフサイエンス研究の推進など、獣医師を含む獣医学部卒の知見を有する者が新たに取り組むべき分野における需要を勘案して設定されるものと承知しており、かつ、学部の設置は一校に限られるということでございますので、獣医師全体の需給に対し大きな影響を与えるものではないと考えております。

川上政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な入学定員につきましては、先ほど御答弁ございましたとおり、今後、所管省庁において精査されていくものと承知をしてございます。

 内閣府の審査といたしましては、獣医学部の新設は認めないとする従来の規制を改革する観点から、事業者の計画内容がライフサイエンス研究の推進や地域での水際対策に必要な人材の養成ニーズに対応するものであるか等について審査を行い、事業の具体的実現性を確認しているものでございます。

 本件につきましては、内閣府として、入学定員を含めた提案書の全体から事業の具体的実現性があると判断したというところでございます。

玉木委員 全く答えになっていませんね。全体から判断したとか、あと、自分のところは大学設置の責任はありませんというような答え。誰が責任を持っているんですか、これは。

 今、皆さん、答えが出るかなと思ってあえて言わなかったんですが、私の手元に、岡山理科大学獣医学科の入学定員等について、二月二十八日火曜日、愛媛県畜産課経由で加計学園より回答がありましたのでお知らせしますという、平成二十九年三月一日付の文書があります。皆さん、お持ちですか。

 そこに何と書いてあるかというと、百六十名の定員の根拠について問い合わせしているんですね。それに対してどういう計算をしたかというと、二十六年度の獣医師法第二十二条の届け出では、就業獣医師の総数は三万九千九十八人。この人数を維持するため、獣医師が生涯で三十五年働くとして、年間千百十七人、これは三万九千九十八人を三十五年で割っているだけですが、の新規獣医師が必要。現在ある全国の獣医師学科の定員は、年当たり九百三十人。このため、年間百八十七名、つまり、一千百十七人引く九百三十人イコール百八十人が不足していると試算。これで入学定員約百六十名にしているんです。

 これは、すごく矛盾するのは何かというと、必要な獣医師数、ライフサイエンスとかじゃなくて、今の免許の獣医師数が千百十七人必要なんだけれども、今十六大学の定員が九百三十人なので、単に引いて、不足が百八十七名出るから百六十名にしているんです。不足しているから百六十名を要求しているんですね。でも、ずっと説明があるのは、不足はないない、ないないと言うんですよ、農水省も文科省も内閣府も。でも、加計学園が、これは後で必要なら出しますが、百八十七名足りないから、百六十名の定員にしますというふうに計算しているんですよ。こういうことをきちんと調べておられますか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話しいただいたのは、全体としての獣医師の需給のお話、全国的な需給のお話だと思いますので、私どもといたしましては、獣医療行政を担当いたします農水省さんの方でお答えをいただくべきことかなというふうに思ってございます。

玉木委員 では、農水省、お願いします。

小川政府参考人 今委員から説明がございましたその三月一日付の文書というものについては、私ども承知しておりません。

 その計算の中にございました、三万九千人を母体として引き算をするものでございますが、現実に、獣医師は、人間のお医者さんのように、医師の資格を持っている方がほとんど医療に携わるという構造でございませんで、獣医師の場合には、この三万九千人の方がおられましても、獣医事以外の分野に相当数の方がつかれているといったことで、その数だけを母数にして引き算、割り算というものは余り需給を想定するのに適当ではないと考えております。

玉木委員 適当でないんです。確かに、うちの弟もそうなんですが、獣医師免許を持っているんですが、やっていないんですよね。そういう人も入れて本当の需給ということをきちんと調べてやるのが、農水省の役割だったんじゃないんですか。

 今、まさに答えがありましたよ。そんなことで計算しちゃだめだということで計算して、百六十名の定員で今この特区の学校が申請されているんですよ。

 では、なぜ百六十名で適当なんですか。今、農水省はおかしいと言いました。この計算で正しいと判断したのは誰ですか。

川上政府参考人 本年の今治市分科会における内閣府としての審査の観点について申し上げます。

 これにつきましては、獣医学部の設置認可とは異なりまして、獣医学部自体の設置や定員百六十名を認めるものではなく、あくまでも規制の特例措置を適用して設置認可申請を行える主体であるかということを私ども審査いたしました。

 具体的には、公募要項で示されたとおり、昨年十一月九日の諮問会議取りまとめの適合性、あるいは平成三十年の開設の確実性について確認したところでございます。

玉木委員 確認したというのは、今の計算だと、既存の獣医が足りないからといって、不足があるからふやしましょうと言っているんでしょう。そうではなくて、新規分野で、既存の需給には影響を与えないということが確認されたから認めたんじゃないんですか。そのことをどこでどうやって確認されたか。

 今私が持っている、既存の獣医が足りないから引き算してというのだと、特区を認める根拠にならないんですね。

永岡委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。

玉木委員 はい。次の平野先生から多少、うちの会派内の枠でいただくことになっていますので。

 もう一度答えていただけますか、それだけ。

川上政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました確認作業でございますけれども、入学定員百六十名自体の適否を直接審査したものではございませんが、その入学定員が、諮問会議取りまとめにある、獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応するための人材を養成するものであるということを確認するとともに、平成三十年の開設の確実性の審査の一環として、入学定員が学校の施設や教員の予定規模に比して著しくバランスを欠くものではないかという概略的な確認はしたところでございます。

玉木委員 概略的確認とは何ですか。閣議決定で四条件をきちんと決めて、石破大臣のときもこれをしっかり守るということを明言しているのに、その確認もせずに、どんどんどんどん手続だけ進めているんじゃないですか。

 もう時間がないからきょうはやめますが、大臣確認事項に対する内閣府の回答の三つ目なんかは、平成三十年四月の開学に向け、十一月上下旬には本件を諮問会議にかける必要がありと、もう全部逆算でやろうとしているんですね。しかも、官邸から、内閣としてやろうとしていることを党の部会で議論するなと怒られたと、自民党内での議論に対しても口を出しているんですよ。内閣でやることを党で四の五の文句を言うなと。これは、大臣御確認事項に対する内閣府の回答の中に書いているんですよ。

 しかも、もう一つ、先ほど、齋藤健副大臣に需給のことをちゃんとやってくれないと困るよと言って、やばい話じゃないかという反応があって、しかも、萩生田官房副長官にちゃんと調整してくれとお願いして、萩生田副長官の発言要領というのがありますけれども、さっきの四条件にもかかわりますが、既存の大学がうちの大学でもできますよと言われると困難になるとか、平成三十年四月は早い、無理だと思うと。要するに、加計学園が誰も文句が言えないよい提案ができるかどうかだなと。あるいは、学校ありきでやっているという誤解を招くので、無理をしない方がいいとか、あと、すごいのは、福岡六区補欠選挙、十月二十三日が終わってからではないかと。何でかというと、蔵内日本獣医師会の会長の息子が補選に出ましたね、鳩山さんと争って、負けることになるんですけれども、そういうのも見守った方がいいんじゃないかという、親切丁寧に、こういうことまで全部考慮しながら進めてきたということで、これは大変疑惑が深まったと言わざるを得ないと思いますよ。

 もう一つ、最後に言いますが、大臣の御指示事項ということの二ポツにも、少なくとも衆院福岡六区補選を終えた後に動くべきではないかと。しかも、注書きまで書いてあって、鳩山二郎氏と蔵内謙氏、日本獣医師会会長長男、林芳正前農相秘書が候補者とまで大臣御指示事項に書いております。

 ちょっとどうかなと思いますし、義家副大臣レク概要にも、閣内不一致、括弧、麻生財務大臣反対をどうにかしてくれないと文科省が悪者になってしまうと、文科省への悪影響も心配する詳細な分析ペーパーもあります。

 公式にこういったことについてきちんと提出をいただいて、その上で、この間の加計学園をめぐる獣医学部設置の不透明なところに対してやはりきちんと説明をいただきたいと思います。

 私、冒頭申し上げたように、文科省は文科省の立場で頑張っていると思いますよ、おかしな方向で文科行政がねじ曲げられないように。麻生大臣も心配していましたが、ロースクールの例を挙げて、やたらめったら獣医師を乱造してしまうと、需給を超えて供給過多になってしまうと、結局、困るのは獣医師だし、それを利用する利用者の方々だということで心配されていますから、今まさに審査過程にあると思いますけれども、もう一度この間の過程をきちんとレビューして、必要な資料を全部出していただいて、しっかりとした説明責任を果たしていただくことを強くお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

永岡委員長 次に、平野博文君。

平野委員 民進党の平野博文です。

 先ほど我が党の玉木議員の質問を聞いておりまして、これは大変なことが出てきたと。

 本来、私も通告はいたしておりません、けさの朝日新聞を見ての部分でありますから承知をしておりませんが、要は、今、全国十六の大学で、九百三十名の獣医学部の定員枠で獣医師の養成をしている、こういう流れの中で、今回加計が百六十名の定員枠での設置申請をしている、これは先ほどの議論でした。

 今、大学で獣医学部は十六あるんですが、最大の定員枠を持っている大学というのは、どれだけの定員枠を持っているんでしょうか。これは、大臣、通告していませんから申しわけないんですが、非常に大事なところだと思いますので、あえて質問をいたします。

松野国務大臣 定員としては、百二十名が一番大きいわけでございます。

平野委員 ということは、今までも、これは医学部の例でございますが、規模によっては大体百から百二十五ぐらいまでだったと思います。医者が足りないといったときには、私のときも含めて、定員枠を少しずつふやしてその需給調整をしてきた経過があるんですが、改めて、初めて申請するところで百六十名の枠をとるということは、それだけの教員とかそういうものが本当に確保できて、やれる環境にあるのか、私は極めて心配をしています。

 私のときにもこの獣医学部の新設の要請がありました。だけれども、先ほど玉木議員が御指摘のように、需給という関係においては、足りない、不足しているという環境に十分にないものですから、ずっと歴代これを抑制してきたんですね。

 もともと、私、当委員会でも申し上げました、特区という名のもとに教育行政を動かしますと、決していい効果は出てこない、よっぽど例外的な事項でない限りこれはやるべきでないということですが、この新聞、総理の意向だ、こういうところが出てまいりました。

 したがって、改めて、百六十を出してきた根拠、それだけの教員、要請が本当にあるんでしょうか。その辺は、大臣、どうなんですか。

松野国務大臣 平野先生にお答えをいたします。

 先ほどの政府委員の方からの説明の繰り返しになって恐縮でございますけれども、新設する獣医学部の入学定員を百六十名とすることを含む学校法人加計学園の構想につきましては、本年一月に、国家戦略特区の今治市分科会において、内閣府を中心に、獣医行政を所管する農林水産省も同席をして確認されたものと承知をしております。

平野委員 大臣、大変申しわけない、通告しておりませんから。

 農水の方はいますかね。いませんね。

 改めて、先ほど玉木委員の方からもありましたが、経過についてしっかりこれはたださなきゃならない。まして、多分、これは文科省の内部の文書なんでしょう。ここまで書いていますから、まさか誰かが捏造してつくった文書ではないと私は思います。

 したがって、理事会で、ぜひ、この一連の経過、内部での文書についての取り扱い、さらには、当委員会に提出をしていただくよう、委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。

永岡委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

平野委員 私の持ち時間がなくなりますが、本来の私がきょう質問させていただこうというところに入ります。

 参考人として来ていただきました各皆さんに、若干時間がないので、十分に御質問できるかどうかわかりませんが、御理解をいただきたいと思います。

 まず、当委員会で、天下りというところで、私、以前にも、生命保険会社への顧問ポストということで、どういう方々が行っているんだということで質問をいたしました。そのときの資料で見ますと、ほとんどが真っ黒けにされておって、誰がどこへ行ったかというのがよくわからない、こういう文書でございました。したがって、改めて、きょうここで確認をしたいと思います。

 まず、各生保の、保険会社等の顧問の履歴を整理した資料がございました。このリストにある会社名、氏名、特に年収等々、これについてはどうなんでしょうか。さらには、この部分については、これに対象で、天下っている人、そこのところに再就職している人はノンキャリなのかキャリアなのか、これについてもお答えをいただきたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の資料は、四月四日に委員に提出した、生命保険会社等の顧問に関する資料でございます。

 これにつきましては氏名、生年月日等の特定の個人を識別することができる情報が含まれてございまして、この資料の御提出に当たりましては、個人情報の保護の観点から、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく運用を参考として、個人に関する情報や法人の利益を害するおそれがある情報はマスキングをいたしました。

 具体的に申しましては、今回の最終まとめにおきまして公にされました個人に関する情報のほか、内閣人事局が公表している国家公務員法等に基づく再就職状況、これにおいて公とされている個人に関する情報を除き、個人情報をマスキングしたところでございます。

 なお、委員御指摘のところでございまして、この全体の中で、文部科学省OBが顧問として就任していた、この資料によれば平成二十八年八月一日現在のものでございますが、生命保険会社等は八社ございます。また、顧問の人数は十二名ということでございます。

平野委員 今、わかりにくい御説明でしたが、これはずっと、何年前から、永続的に続いている再就職のポストなのか。さらには、どの部署から文科省が出ていっているのか。これは言えるでしょう、個人の名前ではないんですから。これは答えてもらえますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明しましたとおり、全体については、個人情報の保護の観点からマスキングしたという観点でチェックをしたものでございますが、今、委員御指摘のところで、たくさんのデータがございましたので、私どもチェックをさせていただきましたが、人事記録等により確認をしましたところ、ここにお名前が出ておられる、記録のない二名を除きまして、そもそも文部科学省の職員かどうかも確認をしないとわかりませんでしたが、その記録のない二名を除きましては、たくさんの名前がございますが、その方々は文部科学省の元職員であったということは確認できました。

平野委員 いやいや、もっとはっきり言ったらどうだね。

 要は、私が一番ここで心配しているのは、今回の天下りというのは、法令違反になっているかなっていないかというよりも、ここでも言いました、要は、人事なり、第三者が、介在人が別にいなくても、自動的に各生命保険会社に指定ポストとして再就職をする、このことについて私は今一番指摘しているわけなんですね。したがって、私どもは、これは内閣全体の姿勢にもかかわる問題だと思っています。

 文科省は、こういうことで黒塗りでありますけれども、こういうところに行っております、先ほど言いました、八社、十二名が行っています、これが必ず、ずっと永続的に多分続いているんでしょう、固有名詞は別にして。これは、各霞が関の役所は全部同じような体系にあると私は思っています。

 今まで、天下りという概念は、外形的には今の状態は違法ではない。しかし、法を潜脱する行為になっているのではないか。逆に言うと、これは実質的にあっせんとして評価されてもいたし方ないんじゃないでしょうか。この指摘を私はまずしておきたいと思うんですね。

 我々の政権のときには、十年前にありました国家公務員法の改正において、こうした指定ポスト化しているケースは、直接あっせんはないけれども、常に適法であるということは言いがたし、実質的に役所によるあっせんがあると解される場合、役所と企業、団体との関係の再就職についての経過についてはしっかりと精査をしなきゃならない、こういう趣旨で私ども閣議決定をしておったわけです。

 安倍政権になって、この閣議決定の趣旨は覆されているのでしょうか。きょうは、副長官、萩生田さんに来ていただいていますから、その点はどうなんでしょうか。

萩生田内閣官房副長官 先生方の政権のときに決められた基本方針を基本的に全部覆してということを前提として、今、現行の制度が行われているとは認識をしておりません。

平野委員 ということは、覆したということですね。今の答弁は、我々の政権のときに決めた考え方の閣議決定については覆した、こういうことですか。

萩生田内閣官房副長官 済みません。閣議決定を覆したという意識はございません。

平野委員 では、そういう考え方に基づいて、そういうものについては問題がある、こういう認識だと私は理解をいたします。

 特に、これは副長官、内閣人事局も担当だというふうに理解をいたしますので、文科省はこういうことで出てまいりました、今私が申し上げたような部分について、各霞が関の役所における実態を、副長官、出ておられるわけですから、改めてこれは精査をしてもらいたい、こういうふうに私は思うのですが、ぜひお考えを述べていただきたいと思います。

萩生田内閣官房副長官 既に、今回の事案が発生してから、全庁調査というものを行っております。それは、今、平野先生が御指摘になられたように、上っ面の調査書を送って、その文書への回答をうのみにするような甘い調査ではなくて、約六千四百人のOBに対して、必要があれば対面調査もし、また、再就職の場所ともとの役職とのかかわりもきちんと精査をして、そういった誤解が将来において発生しないように、文科省のみならず、今厳しく調査をしているところでございます。

 できるだけ早く調査結果を公表したいと思いますし、また、誤解を恐れず申し上げれば、疑わしきものがあれば監視委員会の方にちゅうちょなく送る、そういうシステムできちんと今精査をしておりますので、もうしばらくお時間をいただきたいと思います。

平野委員 力強い決意を述べていただきましたので、これは全省庁における、特に、私、この生命保険というところ、間違いなく行っていると思います。したがって、想像で言っちゃいけませんが、副長官の決意を含めた答弁をいただきましたので、ぜひ速やかに、早くお出しをいただきたい、公表していただきたい、このことだけを申し上げまして、副長官、忙しいですから、結構です。

 さて、この生命保険の問題、これはちょっとまだ、余りオープンにされませんので問題はあると思いますが、これ以上やっておれば時間がなくなります。

 きょうは、次官の経験者であります清水次官と山中次官にわざわざお越しをいただきました。お久しぶりでございます。大変御苦労だと思いますが、改めて、余す時間だけ聞かせていただきたいと思います。

 特に、あっせんの仕組みということで、幹部の関与ということがよく言われておったわけであります。

 ちょうど、平成二十一年七月、法改正の施行に基づいて、平成二十年末までに駆け込みで役所があっせんした再就職も一段落をした、こういう中で、今後どのようにこの再就職を処理していくかということは、人事にかかわる方々にとっては大変なことだったんだろうと今私は想定をいたしております。

 したがって、その当時、多分、清水さんは次官だったんだろうと思いますが、清水さんにとったら、今までの仕組みが大きく変わって、これからこういう方々についてはどういうふうにしようかと。だから、私、言葉を選ばずに言うと、清水さんがこういう組織的な流れの一番最初の次官だったんだろうと思って、清水さんが、諸悪の根源とは言いませんが、一番悩みはった次官だろうと思いますが、その点、清水さん、どうなんでしょうか。

清水参考人 私は、平成二十二年七月三十日から二十四年一月六日まで事務次官に在籍しておりました。

 まず、その前に、文部科学省における再就職規制違反問題で、規制導入の、まさに御指摘いただきましたように、当初の事務次官として是正、防止すべきであったことに関して重大な責任があったと認定され、文部科学行政に関する不信感、信頼感の喪失を招いたことに関しまして、おわびを申し上げたいというふうに思っております。

 今、お尋ねでございますけれども、再就職規制が導入されたのは、私が文部科学審議官に就任するちょうど七カ月前であったかというふうに思っております。再就職規制でこれまで二つ、例えば、営利企業等ではなく、学校法人等についても再就職規制がかかる、そしてそれは行為規制という形であるということで、一つは官民交流センターの機能の仕方の問題等々、いろいろ思いと悩みは深かったことは記憶いたしております。

 ただ、このことについて、いろいろな形での期待される、例えば、民間の会社でありますとか、官民交流センターにおける暫定的な各省庁の運用でありますとか、いろいろなことがあり得たのかもしれませんけれども、そういう中で、機能するか、それをどうするのか非常に関心はございましたが、基本的に、再就職規制が導入されるということで、ともかくは、あとはこれでいくしかないという思いでございました。

 今回、およそそういう意味でいえば、国公法の規定に対する理解も甘かったなとつくづく痛感しておるところでございます。

平野委員 時間が来ましたが、次官、清水さん、これは、だから、違法だと思っているけれども、やむを得なかったというふうに思いますか。最後にお答えください。

清水参考人 一つは、嶋貫氏を中心とする組織的な潜脱という問題でございます。ここに関しましては、全体として、国公法の解釈につきまして非常に認識と理解が甘かったなと今にして痛感いたしております。

 その時点におきましては、例えば、OBとOBの間は許されるのであろうというぐらいのあれで、職員とOBの情報の交換でありますとか、そのあたりについては深く思いを及ぼすことがなかったし、詰めることもなかったということでございます。

 その時点におきまして、それが違法であるということの認識は残念ながらなかったということでございます。

平野委員 時間が参りましたので終わりますが、あと、きょう、教員の勤務時間の問題を基本的にやりたかったんですが、できませんでしたので、次回にやりたいと思います。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。

 私からも、けさの朝日新聞の報道について若干お伺いをしたいと思います。

 この間、加計学園の認可にかかわって、安倍首相の関与がうわさをされてきました。けさの朝日新聞の報道は、この事実を報道したものとなりました。

 改めて大臣にお伺いします。けさ報道されている内容は事実でしょうか。

松野国務大臣 どの部分を委員の方で指されて、事実確認をされているか定かではございませんけれども、いずれにいたしましても、朝日新聞で取り上げられている文書、内容が、私はその文書自体をよく見たことがございませんので、それも答えかねるところがございますが、文書の恐らく趣旨として、報道によりますと、官邸、総理から直接の指示があったのかということであれば、指示は全くございませんし、内閣府を通して、それが、官邸等の意向があるというようなことが、私に報告があったということもございません。

大平委員 けさの報道では、大臣御確認事項に対する内閣府の回答というこの文書、文科省の内部資料として朝日新聞は報道をしております。

 文科省として、この資料の有無を当委員会に報告し、直ちに、あるとすれば、この資料そのものを正式に当委員会に提出することを求めたいと思いますけれども、大臣の御意向を伺います。

松野国務大臣 先ほどの繰り返しになって恐縮でございますが、私自身がその文書、まず、どの文書を指して、どういった文書を今先生の方から指摘をされているのかちょっと理解が私の方でできませんので、答えかねるところもございますが、実際に、この文書だというものを御提示いただいて、そしてそれがこういった種、性格、経過のものだということをお示しいただければ、省の方として確認をさせていただきたいと思います。

大平委員 これは事実であれば極めて重大であります。

 この間、この問題でのさまざまな議論もあるわけですから、当委員会においても真相究明の徹底審議が必要だということも求めておきたいというふうに思います。

 さて、きょうは、文部科学省の再就職等規制違反、いわゆる天下り問題について私からもお伺いをしたいと思います。

 きょうは、参考人として、清水潔、山中伸一両元文部科学事務次官にお越しをいただきました。私からも質問をしたいというふうに思います。

 清水、山中両参考人は、事務次官として文部科学省の事務方の最高職位にありながら、再就職あっせんにみずからもかかわり、停職相当の処分となりました。文部科学省再就職等問題調査班が行った三月三十日付の最終まとめ、そして処分概要によれば、文科省職員及び文科省OBに営利企業等への再就職の意向を確認したこと、あるいはまた、営利企業等に対して文科省職員の再就職情報の提供を行っていたことが国家公務員法違反だと認定をされています。

 お二人に確認ですけれども、みずから率先して文科省職員及び文科省OBに再就職の意向を確認し、営利企業へ再就職情報の提供をしたという事実は間違いありませんか。清水さん。

清水参考人 お答え申し上げます。

 再就職に関する調査報告書、最終報告書におきまして、私が、意向の確認という形で、それを契機として、それぞれ、学校法人でございますけれども、再就職の調整が進んだことに鑑みると、法律、国公法百六条の二に違反する違法であったというふうに認定されておりますし、私もそれを受けとめております。

山中参考人 元事務次官の山中でございます。

 本日、先生の御質問にお答えする前に、まず、今回の再就職に関する問題によりまして、文部科学行政に対する非常に深い不信を招くような事態になりましたことについて、文部科学省における責任ある立場にあった者として深く反省しているところでございます。

 また、基本的な認識でございますけれども、現役の職員がOBの再就職等について関与するということはいけないんだというのが今の国家公務員法の規定でございますので、私としても、現役の職員が直接にこういうOBの再就職に関与するということはあってはならないことだというふうに考えていたところでございます。

 一方、今回の報告によりまして、山中文部科学審議官あるいは山中事務次官ということで、私に関しまして法第百六条の二第一項に規定する違反行為があったということが認定されているところでございます。

 私といたしましては、直接そういう情報の提供等をやったというところについて幾つか、幾つかといいますか四点、この報告書で指摘されているところでございます。時期が古いということで記憶もないところもございますし、そのあたりについては、言った言わないの話というようなものについて私としてどうこうということはございません。このような認定を受けたということは非常に深刻に受けとめておりますし、そういう認定だったということを受けとめております。

 また、個々の行為というよりは、組織の責任ある立場にある者として、文部科学大臣からも、特に、文部科学審議官、文部科学事務次官として、文部科学省が組織的に再就職の規則を逸脱するような行為、脱法的な行為、こういうもの、そういう構造の構築を防止すべきであったにもかかわらず、それを放置して、またその構築、運用にかかわってきたというふうに、客観的に見ればそう見られるということで、厳しい責任を問われたわけでございます。

 私といたしましても、再就職の問題についての認識、また組織の責任ある立場にあった者として、それへの対応というものについて非常に欠けていたし、その点が違法であるとみなされたというふうに考え、深く深刻に受けとめ、反省し、また、そのようなことによって文部科学行政全体に対する皆様の不信を招くという事態に至りましたことについて、非常に申しわけなく思っているところでございます。

大平委員 山中参考人からは今ありましたけれども、前提としての認識について清水参考人にお伺いしたいと思います。

 当時、現職職員による再就職あっせんは全面禁止だというこの法改正の内容を理解していたでしょうか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 現職の職員の営利企業等に対する再就職あっせんは禁止されていた、そういう認識でございました。OBの関与によるそれは禁止されてはいないという認識でもございました。

大平委員 お二人が直接、文科省職員あるいはOBに再就職の意向を確認したこと、あるいは営利企業に対して再就職情報の提供を行っていたこと、この問題において、そうした法改正の内容を理解していたといいながら、人事課から皆様へ報告があった時点で、文科省が組織として再就職あっせんをしているということになる、こういう御認識はなかったのか。ましてや、みずから連絡をとること自体、再就職あっせんにかかわる、こういうことになるという御認識はお持ちじゃなかったんでしょうか。それぞれお答えください。

清水参考人 指摘された事案は、私の場合は二つでございますが、一つは、職員に対して、職員の再就職にかかわる、そういう気持ちが、意向があるかないかということについてでございます。もう一つは、OBに対して、そういう意向があるかどうかということの確認でございます。

 私は、職員とOBの間の一連の全てのやりとり、例えば職員とOBという部分については、そこは必ずしも規制されていないという誤解に基づいていたというふうに今の時点で理解しております。

山中参考人 基本的な認識は先ほど申し上げたところでございまして、OBの再就職について、現役の職員がこれにかかわるということは違法だ、非常に単純にそう考えていたところでございます。

 一方で、嶋貫氏を軸としたOBの再就職の仕組みというものがあって、そこで、OBのネットワークとして、OBの間で、OBの世界でそういう再就職の仕組みというものがあるということで、そちらの方が、そちらの方といいますか、OBのネットワークの世界の中で再就職の情報のやりとりというものがあるということを認識していたところでございます。

 私に関しましては、ここの報告書で四点について、山中文部科学審議官あるいは山中文部次官ということでの違法行為が認定されているところでございますけれども、基本的な認識として、まず、私としては、私のところに具体的なOBの話が持ち込まれるということはほとんどありませんでしたし、仮にあったとしても、そういうものは現役はかかわれないのだという認識でございました。

 私につきまして、本人に対して、本人というのは、再就職をこれからするという本人に対して、その連絡をしたのではないかということがここで指摘されているところでございます。その三件につきましても、ちょっと時期が若干古いということもございますけれども、私が具体的に御本人に対して連絡を直接したというところの記憶ははっきりはないというところでございます。それは、この報告書に記されているとおりでございます。

 ただ、私につきましては、いずれにしても、そういう時期にそういう情報があったとしたら、私のところに言われたら、それは、組織の責任ある立場にある者として、そんなことをするべきではない、あるいはそういうことを私に言うべきではないということを明確に、人事課の職員なり部下の職員に対してしっかりと対応していれば、こういう事態を招くということはなかっただろう。

 このことは監視委の方の方からも言われたところでございますけれども、私がしっかりとそのときに対応していれば、こういう事態はなく、あるいはそういうものはなくなっていたはずだ、そこのところを漫然と放置していたという責任というのは非常に重いというところを強く指摘されたところでございます。

 また、大臣の方からも、そういう最高職位という非常に重い立場にありながら、適正な形に是正する機会を放置し、運用を継続させた、この責任は極めて重いんだということ、また、この委員会の報告の方からも、処分とかそういうものを考えるに当たっては、上位にある者ほど重く処分すべきである、そういう基本的な考えであったというふうに思っております。そういうものを深く深刻に受けとめるところでございます。

大平委員 みずから再就職あっせんの関与にかかわって当事者に連絡をしていたことも、法の内容について誤解をしていたからだと。こういう、何といいますか、答弁というか、こういう意識が本当に許されるのか。やめるべきだというふうに対応する立場にあったが、それを放置してきた、そういう御答弁もありました。

 改めて大臣にお伺いしたいと思うんですが、最終まとめには、問題発生の原因として、「国家公務員法の再就職等規制の内容について理解が十分浸透しておらず、職員一人一人の遵法意識が希薄であったこと」としておりますが、法改正後に着任をされた文部科学省の事務方の最高職位のこのお二人がこうした認識で、現職時代にみずからも率先して再就職あっせんに関与していたというこの事実を、一人一人の遵法意識の希薄さという分析で本当に終わらせていいのか。

 どうやって法をくぐるか、潜脱する、こういうお話もありました。まさに組織的、確信的な、明確な意図があったのではないか。このあたりの点をもっと掘り下げて分析し、対策を講じるべきだというふうに考えますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 まず、清水参考人、そして山中参考人に関しまして、今お話があったとおり、個々、それぞれの行為、また文科省の事務方のトップとしての責任ということもあわせて、これは大変重い責任があるということで、停職相当ということで、私の方から大臣室においてそれを手交したものでございます。お二人の責任も大変重いものと認識をしております。

 あわせて、大平先生の方のお尋ねでございますけれども、今回の文部科学省における再就職等問題に係る調査報告の最終まとめにおきまして、再発防止のあり方として、硬直化した人事慣行や組織体制の見直し、身内意識の組織風土の改革、職員の遵法意識の醸成の三点が挙げられております。

 これらを踏まえまして、文部科学省としては、先月より、法律やコンプライアンスの専門家など外部有識者に参画をいただきまして、再就職等規制違反の再発防止策に関する有識者検討会における議論を開始したところでございまして、検討会における議論も踏まえ、国民に納得をいただける再発防止策を進めてまいりたいと考えております。

大平委員 一つ御紹介したいと思います。

 中学校の学習指導要領、道徳、遵法精神、公徳心、何と書いてあるか。「法やきまりの意義を理解し、それらを進んで守るとともに、そのよりよい在り方について考え、自他の権利を大切にし、義務を果たして、規律ある安定した社会の実現に努めること。」と、中学生たちに道徳の教育の中で教えております。まさに誰よりも文部科学省自身にこのことが教育されなければならないということを私ははっきりと申し上げておきたいというふうに思います。

 具体的にお伺いしていきたいと思います。

 清水参考人は、最終まとめによれば、嶋貫氏を介した再就職あっせんの継続に関して、一般財団法人教職員生涯福祉財団の顧問弁護士の立場で文部科学省人事課に問い合わせをしていたとされておりますが、これは間違いありませんか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 私は、退職後、平成二十五年四月から教職員生涯福祉財団の顧問弁護士をいたしておりました。九月ごろでございますけれども、私に人事課から相談があり、嶋貫氏の再就職支援業務を、教職員生涯福祉財団から文教協会を通じて嶋貫氏に業務委託することについて相談があったわけでございます。その際、私の方からは、再就職支援は財団の本来の業務ではなく、業務委託になじまない旨人事課に回答し、また理事長の意向に沿うものでなかったため、実現はされておりません。

 ただ、今にして思えば、私として、嶋貫氏が行う活動の環境整備を人事課が行うことについて、OBではございますけれども、厳しく注意し、そのような人事課のかかわりはとめるべく意見すべきであった。また、その詳しい内容について問い合わせたのが、そして、それに対する回答が再就職支援のペーパーでございますが、まさにそういう問い合わせをしたこと自体が国公法の解釈、運用に照らして適切ではなかったというふうに思い、深く反省しているところでございます。

大平委員 最終まとめによれば、清水参考人の問い合わせに答える形で、人事課から清水参考人にメールで送信をされた、人事課作成の資料「再就職支援業務について」は、理事長の意向に沿うものではなかったため、このままの形では実現されなかったとあります。

 しかし、結果としては、違う形ではあるものの、嶋貫氏を介した再就職あっせんが継続される仕組みが構築された、これは紛れもない事実であり、今参考人もお認めになったことかと。まさに、結果として嶋貫氏の行う再就職あっせんの環境整備に加担をした、手助けしたということになったと言わざるを得ないというふうに思います。

 さらに伺いますが、この間、文教フォーラムの設立などで嶋貫氏が財団を退職した後の再就職あっせんの構造が構築されていく過程で、こうしたメールの問い合わせにというお話もありましたが、清水参考人はどのようにかかわっていたのか。人事課など文部科学省の現役職員とその後もやりとりをしていたんでしょうか、あるいは、他の文部科学省OBとも相談をしていたことはあったんでしょうか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 人事課からの相談に対しまして回答をいたしました。このことに関しまして、一切、その後がどうなったかということについては私は承知いたしておりません。

大平委員 調整したというお話でしたけれども、嶋貫氏を介して文部科学省が組織として再就職あっせんを行うことは、法に照らして問題がある行為に間違いありません。

 そもそも、清水さん、退職した後とはいえども、やはりきっぱりやめさせるべきではなかったでしょうか。御認識を伺いたいと思います。

清水参考人 お答え申し上げます。

 私は、現役を退いた後は、私自身のスタンスとして、後輩がさまざまな状況の中でいろいろ苦労している政策について、基本的には口を挟まないということではございました。口を挟まないというスタンスで、そういう意味で、大学にポストを得、弁護士として活動するようになって、文科省との関係でいえば、例えば、異動の挨拶とか、あるいはそういう意味での政策についての説明とか、そういうものはなかったというふうに思っております。

 そういうかかわり方がよかったのか悪かったのかという、まさに大平委員のお尋ねでございますが、今となって、私としては、きちんと言うべきときに、言うべきことを言うべきであったのではないかということについて反省しているということでございます。

大平委員 大臣に伺いたいと思います。

 この一連の清水参考人の行為は、文部科学省の退職後のことで、今回の処分理由には入っておりませんが、結果として御自身も、御答弁ありましたように、嶋貫氏の行う再就職あっせんの環境整備に手をかした、極めて重大な責任があったと私は言わざるを得ないというふうに思いますが、大臣のこの点での御所見をお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 大平先生の方からお話をいただいたとおり、再就職等規制違反は現職の職員に対する規制でございます。

 その上で、今御指摘があった清水氏の行為につきましては、文部科学省を退官した後に行われた部分に関しましてはコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、最終まとめにおいて指摘をされている、例えば、強い身内意識でありますとか、職員OBに必要以上に気配りをする組織風土でありますとか、そういったことが一連のこういった行為の中にも見られるのではないかというふうに考えております。

大平委員 続いて、同じ時期に事務次官として職責に当たられていた山中参考人にお伺いしたいと思います。

 山中参考人は、処分理由で、嶋貫氏の一般財団教職員生涯福祉財団退職が問題となった時期から文教フォーラムの設立の時期については、人事課長を含めた職員を指揮監督する事務方の最高職位という立場にありながら、適法な形に是正する契機を放置し、運用を継続させたという極めて重大な責任があったと、厳しく指摘をされております。

 この嶋貫氏を介した再就職あっせんの継続について、財団の退職が問題となった時期から文教フォーラムの設立までの間、事務次官としてどのようにかかわってこられたのか。人事課からの報告や相談などやりとりをし、みずからも意見を述べてきたのか、あるいは文部科学省OBとも相談をしていたのか、お答えいただきたいと思います。

山中参考人 報告におきまして、再就職支援業務について、嶋貫氏を介した再就職あっせんの構造解明ということで指摘されているところでございますけれども、この内容について、私の方に人事課の方から報告があったということが認められているところでございます。

 私といたしましては、基本的な考え方として、OBの世界の中で、OB同士が、嶋貫氏のところを軸として、OBの就職に関する情報の交換をするということ、それ自体が違法であるかということについては、ここに指摘されておりますように、文部科学省としての組織的な関与があったというところが、まさに法を逸脱する、あるいは脱法的な行為であるということが認定されているところでございますけれども、この仕組みにつきましても、OBの中の調整と申しますか、そういう中で嶋貫氏についてどういう形で処遇をしていくかという話し合いが行われていた、そういうこととして受けとめておりました。

 人事課の方からこのペーパーにあることのポイントが報告されたということがございますけれども、私の記憶しているところでは、嶋貫氏が、教職員生涯福祉財団という形の中で、こういう業務をボランティア的な形でやっていくということについては、財団の性格からしても非常に不適切であるという考え方があったので、これを、違う形での仕組みというものについてOBの間で話が行われている、ポイントはそういう点であったというふうに考えております。

 そういうことが、人事課の方からポイントについて報告がありましたときに、一体、それに文部科学省というのがどうかかわっているのか、人事課がどうかかわっているのか、そういうことについてしっかりと明確にして、正すべきところがあれば正す、そういう職責が私にあったものというふうに考えております。

 そういうことについて、報告に指摘されておりますように、適法な形に是正する契機を放置したという責任があって、また、それについて、組織的な関与の中でその後もこの形が継続したわけでございますけれども、それを漫然とそのまま存続させてきたということについて、事務次官として、あるいは組織の責任ある立場にある者として、そういう責任というものが非常に重大であるということが認定されたところでございます。

 私としても、こういう放置したということについての責任というものは非常に重大であるというふうに考えているところでございます。

大平委員 結局、繰り返しおっしゃられるわけですけれども、この規制対象外である職員のOBであれば、再就職あっせんを行うことは問題がない、違法ではないという御認識を、事務次官をされていたお二人とも当時考えていた、ここに本当に問題があったと言わざるを得ないというふうに思います。

 この法改正によって、各府省等による再就職あっせんを全面的に禁止することで天下り規制を抜本的に強化するというふうにしながら、きょうるるありましたけれども、当事者である職員は再就職あっせんは必要だと思っているわけですから、こんな仕組みまで構築してやってきたというのが今回発覚したということだったと思います。

 職員OBによる再就職あっせんを禁止するのはもちろん、現在は、文部科学省ホームページにも書いてありましたが、「当省の許認可や財政支出の対象となっている大学、研究機関等の関係機関への再就職について、疑惑が払しょくできるようになるまでの間、自粛をお願いすることといたします。」としておりますが、私は、やはり抜本的には、天下りは原則禁止、そして公務員の皆さんが定年までしっかり働けるようにすることなど、こういう抜本的な改革が必要であり、着手すべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 今回の文部科学省における再就職等規制違反は、そもそも法令に違反する行為であって、二度と起こってはならないことであると考えており、私としては、まずは、文部科学省が引き起こした再就職等問題の再発防止策の具体化と着実な実行に全力を尽くしてまいります。

 国家公務員の再就職等規制につきましては、政府全体の対策がとられる場合には、国家公務員制度を所管する山本大臣を初め、関係閣僚に協力をしてまいりたいと考えております。

 また、御指摘の、定年まで働ける環境の整備につきましては、大変重要であると考えております。中高年期の職員が長年培った知識や経験を生かしていけるよう、専門スタッフ職制度の活用など、政府方針に基づき、職員の多様な分野への積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。

大平委員 今国会、私たち野党三党は国家公務員法の改正法案も提出しておりますので、速やかに審議に入り、成立させることを求めたいと思います。

 最後に、委員長に一言申し上げます。

 冒頭に取り上げた、けさの朝日新聞による文科省の文書について、当委員会として、委員長から文部科学省に資料の提出を要求していただきたい。そして、この問題についての集中審議を当委員会で行うことを求めたいと思います。

 いかがでしょうか。

永岡委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をさせていただきます。

大平委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久です。よろしくお願いいたします。

 まず、理事会にて田野瀬政務官からもう既に御説明をいただいたんですけれども、松野文科大臣、丸川オリパラ大臣、ゴールデンウイーク中に海外の方に出張され、視察されていたということなんですけれども、ちょっと中身に関して、せっかくですから、この委員会でも共有できるところがありますので、詳細をお聞きしたいと思うんです。

 松野文科大臣におかれましては、ゴールデンウイークの期間中の四月三十日から五月四日まで、タイ、シンガポールに出張され、複数の政府要人、関係者と会談を行ってこられたそうです。

 タイでは、二〇二五年国際博覧会の大阪府誘致について支持要請をしていただき、きょうもバッジをつけているんですけれども、できれば大臣も、この丸いバッジ、きょうはたまたまつけておられないだけだと思うんですが、つけていただければありがたいかなと思うんですけれども、前向きな反応をタイでも得たと報告を受けています。

 私も、地元枚方市、交野市、大阪府なんですけれども、大阪府選挙区の国会議員としてぜひ大阪国際博覧会の誘致をかち取りたいと思っていますので、そのあたり、よろしくお願いいたします。

 タイでのお話なんですけれども、アチャカー科学技術大臣とも会談をされたようです。どういった分野でお話しされたかをお聞きしたいんですけれども、特に感染症研究国際展開戦略プログラム、J―GRIDというんですが、これは、例えば、インフルエンザであったり、今、日本でも問題になっているデング熱、そしてMRSAを初めとする、いわゆる抗生物質が効かない薬剤耐性菌、ノロウイルスであったりO157であったりするような、ウイルスとバクテリアと両方あるんですけれども、下痢症の感染症、この四つを研究対象にし、アジア、アフリカに整備した海外研究拠点を利用して、感染症の病原体に対する疫学の研究とか診断、治療などの基礎的研究から、感染症の予防や新しい技術の開発、人材の育成へとつなげていくプログラムだと承知しているんですけれども、この研究基盤の強化という意味では非常に重要な制度だと思うんです。

 タイと両国間の協力や発展に向けてどのような具体的な話し合いをされてきたのかということを、まずは松野文科大臣に教えていただければと思います。

松野国務大臣 伊東先生にお答えをいたします。

 私は、四月三十日から五月四日までタイ及びシンガポールに出張し、タイにおきまして、五月一日にタイ科学技術省のアチャカー大臣と会談を行いました。会談では、両国間のさまざまな科学技術協力のプロジェクトの発展について意見交換を行い、今後の協力、発展に向け尽力していくことで一致をいたしました。

 委員より御指摘がありましたJ―GRIDにつきましては、会談においてアチャカー大臣より、感染症対策の重要性に鑑み、今後も協力を推進していきたい旨の提案がありました。これに対し、私からは、同プログラムが成果を上げている点に賛同しつつ、今後の共同研究の発展に期待している旨を述べたところであります。

 このプログラムでは、大阪大学がタイ保健省からの協力を受け、タイ国立予防衛生研究所内に拠点を整備しており、デング熱やノロウイルスの診断、治療薬等に関する共同研究を実施していると承知をしております。

 今後とも、診断手法や治療薬の開発、さらには研究者の人材育成につながるよう、現地で蔓延するこれらの感染症の共同研究を引き続き着実に推進してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 今、大阪大学のお話を述べていただきましたけれども、私、大阪大学の招聘教授でもありまして、ただ、そこでの分野は医学と工学の連携で、私がやっている椎間板ヘルニアのレーザー治療に関することなんですが、大阪市立大学の大学院時代は、実は、研究で感染症、神経ウイルス学をやっていまして、仲間がインフルエンザであったりノロウイルスであったりをしていまして、今大臣がおっしゃっていた大阪大学の研究機関、大阪大学の微生物研究所、微研だと思うんですけれども、微研の先生にもいろいろ御指導いただいていたので、こういった御質問をさせていただきました。

 感染に関して、ウイルスもバクテリアも本当に人類の課題でありますので、しっかりとお願いできればと思います。

 続きまして、丸川大臣にも御質問させていただきたいと思うんです。

 丸川大臣もイスラエルの方に出張されていたそうで、その中でも、イスラエルではマタニア国家サイバー局長官と会談されたそうですけれども、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けて非常に大事な対談だと思います。

 情報セキュリティーに関しては、対策が非常に難しい。先ほどは人間の感染症のウイルスで、今回はコンピューターのウイルスについて、ちょっとでき過ぎた質問になっているんですけれども、積極的にウイルスなどのサイバー攻撃に対して対策を講じている姿勢を支援していく姿勢が必要だと思います。

 サイバーセキュリティー分野に関して豊富な経験を有するイスラエルのマタニア国家サイバー局長官との会談はとても有意義だったと思いますけれども、この内容、もしくはイスラエルでの御出張で特筆すべきことがあれば、まずは共有させていただければと思います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 イスラエルとの間では、既に二〇一四年と二〇一六年に、お互い、東京、テルアビブで一回ずつ、日・イスラエル・サイバー協議というものをやっておりまして、この間、両国でサイバーの分野で連携をしていきましょうということをやってきたんですが、今回は、より具体的に踏み込んでやっていきましょうということで、経済産業省の方でも経済産業大臣が行かれて、サイバーセキュリティーに関する協力の覚書をあちらの経済省とこちらの経済産業省で結びました。

 これは、サイバー人材の育成の分野で特に力を入れてやっていきましょうということなんですが、マタニア局長から御提案いただいて、我々も早速という思いで今検討しているのが、オリンピック・パラリンピックというのは継続性の確保が重要である、残された時間は三年であるという点なんです。

 重要インフラが継続性を確保するために必要なサイバー人材は特にどの分野にどれぐらい必要なのかということ、それから、それらのトレーニングとして特に何が必要なのかということに焦点を絞るべきだという御提案をいただいておりまして、全くそのとおりだと思っております。

 重要な点は、継続性の確保はサイバーのみによってもたらされるわけではなくて、物理的なセキュリティー、あるいは物理的な継続性の確保と対をなしているということです。サイバーで落ちたものを、では物理的にどういう代替手段を用意しておくかということと常に対で考えなければならない。

 イスラエルという国は、物理的なセキュリティーにおいても大変知識と経験の豊富な国でございまして、そういう意味で、連携することに非常に意味があるという受けとめを私はしております。

 向こうから、政府機関やオリパラに関する機関とのワークショップを御提案いただいておりますので、我々も、重要インフラ分野において、どういう人材をいつまでにということとあわせて、ぜひイスラエルとこれからも協力関係を引き続き深化させていきたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 実際に聞いてみなくちゃわからないということで、質問させていただいた意義がありまして、確かにコンピューターの範囲に関しまして、代替というのは非常に重要なものになります。インフラがストップした場合、実際に機能がとまってしまえば本当にかなりの被害が予想されると思いますので、そういったところをしっかりとお話をしていただいた。

 加えて、継続的なところで、代替のこともあるんですけれども、この三年の間にいかに人材を確保していくかということも重要だと思います。こういったところは、やはり年々進化していっている技術的なところもあるかと思います。そういったところで、これから質問させていただく内容も、詳細にわたって、テクニカルにわたってしまうことも御容赦いただいて、ちょっと重要なテーマですので。

 五月十五日に、世界じゅうで二十万件以上の被害が報告されているいわゆるランサムウエア、コンピューターウイルスなんですけれども、ランサムというのは身の代金という意味なんですけれども、それで乗っ取るというハッカー攻撃で国内でも被害を受けていると菅官房長官が記者会見で報告されました。

 今回のランサムウエアを使用したサイバー攻撃は、いわゆるマイクロソフトのソフトウエアの脆弱性をついたものでございまして、日本の役所の中でもウィンドウズのシステムを利用していることが多いと承知しています。

 実際、議員会館のオフィスに支給されているPCもウィンドウズですし、本当に基本的なことかもしれませんが、ランサムウエアに有効なITシステムの運用ポリシー、特にセキュリティー関連のポリシー、対策について、先ほど人材の話もしていただいたんですけれども、指示すべきかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

三角政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもNISCの方から、本件の事案が発生したのがちょうど土曜日でございました。その晩に、まずSNSを使いまして注意喚起を発しまして、その翌日には、また重要インフラ、政府内にも注意喚起を発する。

 加えて、IPA、これは独立行政法人情報処理推進機構というところでございますが、そこはセキュリティーについて詳しいところでございます、そこからも記者会見をして注意喚起を行う。

 それから、JPCERT/CCというところが、これもやはり国際的に情報交換をする民間の団体でございますが、そこもその日のうちに注意喚起を行う。

 そして、十五日月曜日になりまして、改めてまたプッシュ式に私どもも注意喚起を行う。そういったような形でやってきたところでございます。

 それで、加えて、さらに情報収集を強化するために、同日、十五日に、今度は官邸の方に情報連絡室を設置いたしまして、関係省庁会議も行いながら対策を強化してきたということでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 メディアでの報道を見ていると、本当に初歩的なことしか言うてませんで、よくわからないスパムメールは開かないとか、メールが来てもファイルを開かないとか、本当に昔から言われていたことしか言わないわけですけれども、万が一被害に遭ってしまった場合、ランサムウエアの有効な対策としては、テロリストと同じで、そもそも交渉に応じないという基本姿勢を確認しておくべきかと思います。そのためには、バックアップがきちっとないと交渉もできなくなってしまうんです。

 現行システムでは、自動的に隔離されたオフラインバックアップをとるようになっているのか。隔離バックアップがない場合、二〇二〇年までにそのシステムの改修が間に合うのか。それでも被害に遭った場合、ランサム、つまり、身の代金の支払いに関するガイドラインはあるのか。あるいは、ある場合は、末端まで通達され、浸透されているのかを御説明願えればと思います。

三角政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、バックアップというのは非常に重要でございます。これは、実際には、使っている方々のやり方によるところがございますが、例えば、外づけのハードディスクにデータのバックアップをとり、そして切り離しておくとか、そういうことも含めて対策を行うことが重要でございます。

 この点につきましては、例えば、国民一人一人には、ランサムウエア対策、こういったマルウエア対策、不正プログラム対策、これをどういうふうに伝えるかでございますが、私ども、普及啓発のためのガイドブックというのを無償でつくっておりまして、これを、例えばことし二月には、普及啓発の月間キャンペーンがございまして、キャンペーンを行って、そこで配布する、さらに無償でダウンロードできる、そういったようなことをしまして、できるだけ広く国民の方々にわかっていただくということに今取り組んでいるところでございます。

伊東(信)委員 バックアップに関しては、先ほど丸川大臣がおっしゃっていた物理的な代替というよりも、中身に関しての代替ということなんですけれども、こういった感じで、やはり新しくいろいろ、攻撃している側も技術的な革新がありますので、その部分での人材の確保、システムの構築、そして、海外からの情報収集というのは非常に大事なものだと認識しております。

 ここで丸川大臣への御質問は終わりですので、もし何か補足されるところとかございましたら。

丸川国務大臣 今般のランサムウエアによる攻撃が、マイクロソフトウィンドウズというのは非常に国民の間で幅広く使用されているソフトウエア、脆弱性をついたものであるということから、報道を受けて、できるだけ早く、対応についてあるいは内容について発信をしてもらいたいということで、私の方からもNISCの方にお願いをして、ツイッター、フェイスブック等で発信をお願いいたしました。

 御指摘のとおり、実は、対策というのは基本のキで、簡単なことしかなかなか出てこないということなんですが、まさにその簡単なことがきちんとできているかどうかということだと思いますし、また、企業においては、マイクロソフトウィンドウズに乗っているアプリケーションまでがきちんとその更新に応じて機能するかどうかまでをチェックしなければいけないということで、時期的に難しい時期に差しかかってしまっている企業などは大変手間がかかるかもしれませんけれども、やはり基本のキであるということを踏まえて御対応いただけるように、これから私たちも意識啓発等を図っていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 基本のキとおっしゃっていただいたように、新しいことが来たからといってばたばたして、テクニカルなこと、奇をてらったような対策をする必要はなく、本当に基本姿勢に基づいて、または代替機能、そういった場合のシミュレーションができていればと思いますので、丸川大臣への御質問はこれで終わりですので、お忙しいところ、ありがとうございます。

 さて、それでは、残された時間、天下りについて質問をさせていただきたいと思います。

 我々日本維新の会というのは、一つ一つの行為について、これはオーケーとか、これはだめだと判断するのではなく、議員立法でも提出しているんですけれども、退職後の一定の期間、全ての営利企業への再就職を大阪の事例に見習いまして原則規制しようと、再就職規制法案を提出しております。

 文部科学省の再就職問題の全容解明と再発防止という観点から、再就職等規制違反事案にかかわっている参考人に、当時の法の遵守意識について、これまでの委員会で質問をしてきました。清水参考人、山中参考人におかれましては、海外におられたという理由でそのとき直接伺う機会がございませんでしたので、ここでちょっと改めて質問させていただきたいと思います。

 当時の認識として、職員や職員OBに関する情報や、地位に関する情報を提供したり、地位につかせるよう要求することが法に違反している、つまり、私自身は、やはり法に違反しているかしていないか、まずここをきちっと線引きすることが大事だと思うので、そういった御理解というか、周知されていたかということをちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、清水参考人、山中参考人の順番でお聞きします。

清水参考人 お尋ねの、国家公務員法の規定についての理解という側面でございますけれども、私の記憶では、当時、その百六条の二第一項の規定が何を意味するのか、何を規制しているのかということについての理解は必ずしも十分でなかったというふうに思っております。

 と申しますのは、職員OB間のというのは、これにはまらないということは、法文上、これは明らかでございます。問題は、職員とOBの間でございます。職員とOBの間で、例えば、目的、行為規制でございますけれども、職員とOBが単なる、例えば、あなたどうしていますかという情報、今どうしているという情報でありますが、その情報の交換の段階から、情報の共有の段階、そして情報をいわば共有しながら一定の何がしかの共同的、あるいは、共同というか、いわば一種の共同でやっているというようなさまざまなプロセス、段階があり得るだろうというふうに今にして思うわけでございますけれども、そこのことについて考えが及ばず、職員とOBの関係については、基本的にそこのところは余りないんだろうというふうな理解でございました。

 平成二十五年の三月に、国交省の事案で、職員と職員OBとの間の例えば情報のやりとりが再就職規制目的と明確に認定されるとき、違法になるという認定が初めてそこのところで出たというふうに私としては理解しております。

 ただ、そういうことについて詰めなかった、あるいは、そのことに思いが及ばなくて、検討ないしは規制担当監察官のところに問い合わせる等の措置をとらせなかったということが、及ばなかったのが、結果として、基本的には職員と職員OBの間の再就職にかかわるような情報のやりとりは全て規制されるんだというのが解釈に今なっているというふうに思います。

 すなわち、OBの情報、再就職の要求、依頼がなくても情報を提供するだけでも、職員とOBの間では、それは全部国公法に抵触するということでありますし、例えば、誰をということではなくて、誰かをということで、誰かが就職するかもしれないという情報のやりとりでも、それは規制されるんだということだろうと思います。

 当時そのことに関して、今にして思えば、思いが至らなかった。それによって、例えば再就職規制の潜脱とか、あるいは、私自身の行為についてこのような事態となったことについて深く反省しているところでございます。

 以上でございます。

山中参考人 法改正による再就職規制についての認識でございますけれども、私は、基本的には、OBの再就職、これに関しては現員の職員は関与しない、これが、非常に単純といいますか、そういう法規制であるというふうに受けとめておりました。

 また、再就職の規制につきましては、再就職の規制委員会の方からも、こういう仕組みになっているということで、非常に明快といいますか、わかりやすい資料も配付されておりまして、それが周知されておりましたので、そういう意識というものは職員も持っているというふうに考えていたところでございます。

伊東(信)委員 それこそ事務次官をやられていたお二人、やはりちょっと残念ながらという表現にはなってしまうんですけれども、法の理解が十分でなかったということですね。これは本当に、どこに原因があるのかというのは、やはりしっかりと今後に向けて考えていかなければならないと思います。

 やはり大事なことは、これから、文部科学省のいわゆる名誉の回復というところで、しっかりと法律自体の整備も、法自体に問題があるんだったら、そういったところも検討していくのが委員会であり議会でありますし、役所は役所で意識的なところは徹底的にしていただきたいと思うんですね。

 そういった中で、人事課出身のOB嶋貫さんのことなんですけれども、嶋貫さんをその当時、御存じであったかどうか、そして、御存じであったならば、どういった経緯で知り合われたかということを、これはほかの参考人の方にもお聞きしたことなんですけれども、清水参考人、山中参考人の順番で教えてください。

清水参考人 嶋貫氏とは、私が役所で働くようになって以来の同僚であったり、あるいは、いろいろな仕事のかかわりで存じ上げております。

 文部科学事務次官在任中でございますけれども、その当時、嶋貫氏がどこで何をしているかということについては私は承知しておりませんでしたし、あるいは、嶋貫氏が私のところを訪ねてきたというようなことはございません。

 ただ、そういう意味で、平成二十二年当時でございますが、任用計画官、課長補佐段階での引き継ぎという資料で嶋貫氏がそういう形の役割を果たされていることを最終報告書で知ったというのが事実でございます。

山中参考人 嶋貫氏につきましては、私も、文部省あるいは文部科学省の職員として、同僚として、あるいは、人事課の方に長くおられましたので、そのかかわりの中で、嶋貫氏が文部科学省におられ、そういう中で嶋貫氏を存じ上げて、知っておりました。

 また、嶋貫氏を軸としましたOBの再就職の仕組みというものについて、そういうものがOBの間で、OBの再就職についての情報交換のネットワークとして機能しているというふうに考えていたところでございます。

 それが、今回、この報告によりまして脱法的な行為であるということの認定を受けて、そこについて、それを放置していたということについての責任を問われ、その責任については非常に厳しく受けとめているところでございます。脱法的というような運用があったことについて、非常に深く反省しているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 山中参考人は、先ほど、それが脱法行為であったということをおっしゃっていただいたわけなんですけれども、事例が発生した当時、お二人は現職の国家公務員であられたわけでしたので、清水参考人、山中参考人、法律に基づいて処罰を受けられたわけなんですけれども、一方で、嶋貫さんはそのときにはもう既にOBだったために処罰対象ではありませんでした。天下り先の法人等も処罰対象ではありませんでした。重ねて申し上げますけれども、このことは法に基づいております。

 ただ、ここで、いわゆる不公平感、理不尽感というのはやはりあったと思われるのでしょうか。これもほかの参考人にもお聞きしたんですけれども、決して意地悪な意味ではなく、今後の法改正の参考にもさせていただきたいと思いますので、そのあたりの本音をお聞かせいただければと思います。

 監督責任として再就職規制法に違反したとして処罰を受けた経験から、やはり後輩の皆さんへの再発防止のために有効なアドバイスも含めて、なかなか理不尽だとは言えないと思いますけれども、公務員は処罰され、OBは処罰されない、このことがあるのであれば、いっそのこと大阪のように、営利企業等への就職を原則規制という方法も一つかなと思うんですけれども、そういったことも踏まえ、清水参考人、山中参考人にお答えください。

清水参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の不公平感というようなものは私にはございません。私は、私の職にあるときにすべきことをできなかったのか、なぜできなかった、なぜしなかったのか、そこをずっとあの調査以来、自分なりに問い続けてきたつもりでございます。それは、やはりその結論は、先ほど申し上げたように、詰めるべきときに詰めることをしなかった、そしてそれを行動としてあらわせなかったということでございます。

永岡委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、手短に御答弁をお願いいたします。

山中参考人 不公平感というようなことは感じていないところでございます。特に、報告において、職員が再就職規制違反を起こさないよう率先して取り組むべき、職位がより上位にある職員の職責を重く見るべきであるというこの指摘、これに基づいて、大臣の方で、こういう形での停職相当ということを下された、判断されたというふうに思っております。重く受けとめているところでございます。

伊東(信)委員 私もルールを守ります。時間が来たので、終わります。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 私もけさの朝日新聞を見て大変驚きましたし、ますますこれは疑惑が深まったなというふうに感じております。

 そこで、ちょっと通告にはないんですけれども、この点について何点か、確認あるいは答弁を求めたいというふうに思います。

 まず、きょうは別な形で政府参考人として初等中等局長、高等教育局長においでいただいておりますが、お二人は、ここに書かれている文書、その内容について御存じだったのでしょうか。それぞれ伺います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の件につきましては、私は全く存じませんでした。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 新聞に記載されている内容でございますけれども、これについては、私はこういう文書を見たという記憶はございません。

吉川(元)委員 藤原参考人の方は全く知らなかったということでありましたので、常盤参考人にちょっと伺いますが、文書があったかなかったか、それは知らないということですけれども、では、その内容について、こういうやりとりの内容があったんだということについては承知をしていたということでしょうか。

常盤政府参考人 内容については、先ほど大臣からお答え申し上げましたけれども、私もこの記事をけさ見たものですから、この内容については、今事実関係を確認させていただいているということでございます。

吉川(元)委員 いやいや、事実を確認じゃなくて、知っていたのか、知らなかったのか。今、知らないのかということだけを聞いているんです、内容について。

常盤政府参考人 ここに記載されているようなことについて、私は承知をしておりません。

吉川(元)委員 では、確認させていただきますが、高等教育局長も、この記事を読みますと、文書の内容は同省の一部の幹部らで共有されていたというふうに書かれていますけれども、この同省の幹部の中には高等教育局長は入っていない、いわゆるここに書かれている内容を共有はしていないということでよろしいんですね。もう一回確認します。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 ここに書いている、この中身について私は承知しているわけではございませんけれども、どこまでの事柄でお答え申し上げるかという、いろいろなレベルがあろうかと思います。

 私どもの方で国家戦略特区のこの議論をずっとしてきているわけでございますので、内閣府あるいは農水省と例えば会議の場などでも一緒になる機会があるわけでございます。その中で、例えば内閣府でございますと、国家戦略特区における規制改革事項について、これは当然、この獣医学部の問題もそうですけれども、そういうものの早期の実現を図りたいというような考えを持っていて、そういうことについていろいろな局面でやりとりがあるということはもちろん承知をしております。

 ただ、私は、この文書の内容を知っているかというと、それは承知していないということでございます。

吉川(元)委員 さまざまなやりとりは、この文書があったかなかったかは別にしても、行われていたと。

 だとすると、ここで言われているような、例えば、官邸の最高レベルが言っているだとか、あるいは総理の意向だといったような話は、例えば内閣府とのやりとりの中で聞いたことはあるんでしょうか。

常盤政府参考人 承知をしておりません。

吉川(元)委員 では、次に、ちょっと大臣にも伺いたいと思います。

 先ほど玉木委員からの質問で、いわゆる大臣御指示事項というものについて質問があった際に、大臣は、審議会でやるものでスケジュールありきというのはいかがなものかというようなことは言った記憶があるというふうにお話をされました。

 記事を見ますと、教員確保や施設設備等の設置認可に必要な準備が整わないのではないか、来年の、この時点では再来年になるんですかね、来年の二〇一八年四月開学というのはというようなことを言われた記憶はないということでしょうか。

松野国務大臣 先ほど答弁をさせていただいたとおりでございますが、まず、その大臣指示文書というのが存在しているかどうか、私は指示文書を見たことがないものですから、そのことに関してはコメントはできません。

 今先生から、その旨の発言をしたかということも、今の私の記憶をさかのぼりますと、要は、最終的な大学の設置認可に関しては、これは設置審において専門的な議論の上にされるものであるので、今先生の方から例示をされた、例えば教職員の問題であるとか施設等も含めて、そういったことも設置審議会で判断されるものであるから、何年にというようなことを当初より設定するのは可能なのかという趣旨の発言をした記憶がございます。

 それに対して、これはもちろん、設置審議会が厳正な審査をして、これは認められないということであれば認められないということであるし、認めるということであれば認めるということでございますが、その中において、この場合の国家戦略特区としての目標の書きぶりとして、何年の設置を目指すというような書きぶりは過去の事例の中にもあるということで説明を受けたという記憶がございます。

吉川(元)委員 だとすると、例えば、記事にあるような、教員確保や施設整備等の設置認可に必要な準備が整わない、早過ぎるんじゃないか、二〇一八年四月開学というのは、これは準備が整わないんじゃないのというようなお話はされていないということですか。

松野国務大臣 もう半年以上前の話でありますから、詳細語尾まで正確に再現をできているかどうかわかりませんが、要は、趣旨として、そこに目標の年次を書き込むということは、当然、今期の、四月の時点の設置審での審議になるということでございます。これはスケジュールは公表されておりますけれども。それを考えたときに、その時点で可能なのかという趣旨であったかと思います。

 可能かどうかに関しては、これは申請側が準備をすることでございますが、この四月の審議ということに関して、今先生の方から例示をいただいた内容に関して、準備ということが整うのかということの意見だったと思います。

吉川(元)委員 大臣が、そうした文書があるかないか、私は見たことがないと、それは当然だと思います。大臣がしゃべったことを役人の皆さんがメモにして、こういう御指示があったというふうにしてやるわけですから、それをまた一々大臣のところに見せるというのは普通余り考えられないので、見たことがないというのは、その可能性はあろうかというふうに思います。

 審議会で、許可するかどうかを決めるという話であります。開学までにもう時間はあと一年を切っている状況。普通であれば、これはとてもじゃないけれども間に合わない。先ほどからの答弁等々を聞いておりますと、最大の獣医学部、これまでにある獣医学部の中でも最大規模の獣医学部をわずか一年ちょっとの間に準備をするというのは、普通に考えて簡単ではないと、文部科学行政に携わっている人間であれば常識としてわかる話だろうというふうに思います。

 そこで、審議会の方で、昨日か一昨日か、ちょっと正確ではないんですが、報告がまとめられたというふうに聞いておりますけれども、この報告の中で、いろいろな報告があると思いますが、この加計学園の獣医学部の新設について、どういった指摘や懸念が出されているのか、答弁をお願いします。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねがございました岡山理科大学獣医学部の設置認可でございますけれども、本年の三月三十一日付で学校法人加計学園から申請がございまして、四月十日に大学設置・学校法人審議会に諮問をし、審査が行われているところでございます。

 現時点では、審査の途中でございますので、報告を取りまとめたという事実はございません。

 以上でございます。

吉川(元)委員 いや、報道等を見ますと、百六十人という定員が設備に対して非常に多いのではないかという指摘でありますとか、それから、来年四月に向けて今、教員確保ということでありますけれども、その教員の多くが、大学を、大学院かわかりませんが、出たばかりの若手と、それから六十五歳以上、つまり、ほかの大学等々を退官された人ばかりであって懸念されるというような、そういう内容のことが報じられておりますが、これはそういうことでよろしいんでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げましたように、四月十日に諮問を行いまして、審査が行われているところでございます。

 この大学設置・学校法人審議会における設置の審査につきましては、公平公正な審査環境を確保するという観点から、専門委員の構成であるとか会議の開催状況、審査状況は全て非公開としてございます。申請の具体的内容であるとか、どのような指摘がなされているかということにつきましては、審査の終了後に公表されるということとなってございます。

吉川(元)委員 答えられないという話ですが、そうした報道が出ております。これは恐らく、誰が見ても同じような懸念を持つのは当然だろうというふうにも思います。

 この点については、先ほど他の委員からもありましたけれども、ぜひ関係の文書を当委員会に提出していただきたいと思いますし、また、この問題についての集中審議をしていただきたいということを委員長にお願いしたいというふうに思います。

永岡委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

吉川(元)委員 それでは、通告をしておりました質問に入っていきたいというふうに思います。

 ちょっと時間の都合もありますので、少し順番を変えさせていただいて、まず奨学金の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。

 日本学生支援機構が、四月十九日、学校ごとの貸与及び返還に関する情報の公開についてとして、個別学校ごとに、奨学金返還の滞納三カ月以上の者の数、あるいは過去五年間の貸与終了者に占める各年度末時点で三カ月以上滞納している者の比率などを検索できるサイトをホームページに設置いたしました。

 私、非常に驚いておりますが、こうしたことを行うべきではないということを三月二十二日の委員会の質疑でもやらせていただきましたし、また、奨学金の参考人のお話でも、すべきではないというような意見が出されておりました。

 なぜこうしたものを公開したのか、まず、その理由を教えていただけますか。

高橋参考人 お答え申し上げます。

 私ども日本学生支援機構の奨学金には多額の公的資金が投入されておりまして、また、貸与を受けた方からの返還金とあわせまして、次の世代に奨学金を貸与するための資金として活用され、多くの学生を支えております。

 次の世代の学生にしっかりと奨学金をつないでいくためにも、各学校と私ども日本学生支援機構が連携協力し、奨学金を受けている学生に対しまして、返還意識の涵養でありますとか、返還が困難になった際の救済措置に対する理解の促進など、在学中の指導を徹底することが何よりも大事なことであると考えてございます。

 このため、各学校に対しましてこうした取り組みを促すべく、延滞率のみならず、学生に対する指導の好事例も含めまして、広く学校ごとの貸与及び返還に関する情報を公開したというところでございます。

吉川(元)委員 大学に協力を求めるというのは、それは結構なお話だろうと思います。だけれども、なぜ数字を出さなければいけないのか。延滞率の数字を出さなければ、大学側が返還の何らかの責務を負っているということなんですか。

高橋参考人 お答え申し上げます。

 奨学金の関係につきまして、まず第一義的には、私ども日本学生支援機構が事業の実施主体として責任があるというところでございますけれども、一方で、奨学金につきましては、その申し込みから返還に至るまで、事業を円滑に実施するためには、機構だけではなかなか困難な面もございまして、学校の取り組みや協力が不可欠なものでございます。

 このため、従来より、各学校と機構が連携協力して奨学金事業を運営してきたところでございますけれども、このたび、その取り組みの成果を広く社会に明らかにすることを通じまして、納税者たる国民の皆様への説明責任を果たしますとともに、各学校における学生への指導等の取り組みを支援するため、各学校関係団体とも協議の上、学校ごとの貸与及び返還に関する情報を公開することとしたものでございます。

吉川(元)委員 いやいや、一義的にというか、事業をやるのは支援機構でしょう。なぜ大学に順番づけが可能な、検索だから一個ずつしか出ないといいますけれども、ちょっとやれば、出てくる大学を全部ランキングすることは可能ですよ。なぜそんなことをする必要があるのか。これは大学に対する圧力ですか。

高橋参考人 お答え申し上げます。

 私どもはあくまでランキングのような形では公開はしてございませんけれども、そのような懸念もあるということでございましたので、今回の公表に当たりましては、事前に十分に各学校関係団体とも協議をさせていただいた上で、今回のような形で公表することにしたというものでございます。

吉川(元)委員 質問に答えてください。

 これは大学側に対する圧力なんですか。あなたの大学は返還率が悪いから何とかしろと、それを世間にさらした上で、何とかしろという、そういう圧力をかけているということですか。

高橋参考人 決してそのような意図は持ってございません。

 先ほども御説明申し上げましたとおり、今回の件につきましては、あくまで、各学校における奨学金に係る取り組みを支援するための一環として公表させていただいたというものでございます。

吉川(元)委員 支援と各学校ごとの滞納率を世間に公表することと、どう関係するんですか。何にも関係ないじゃないですか。お願いする立場でしょう、支援機構は。大学の皆さん、理解していただいて、学生の皆さんに周知してください、ぜひお願いしますという立場の人間が、なぜそれを、簡単にですよ、実際に経済誌の中にはランクづけして順位をつけているところがありますよ。なぜこんなことをするのか。

 それで、圧力ではないというふうに言いますけれども、ある経済誌で遠藤理事長のインタビュー記事が出ております。この中で何というふうに言っているかというと、とんでもないことをいっぱい言っているんですよね。こんな方が奨学金をつかさどる機構のトップにあるというのが私は信じられないんですけれども、その中でこういうふうに言っています。

 私が理事長になってから、大分大学への圧力は強まっている、延滞率の公表によって大学にも自覚をしてもらう、こういうことを理事長は言っているんですよ。まさに圧力じゃないですか。

高橋参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、決して、先生おっしゃるような意図でもって公開をしたものではなく、あくまで、学校における取り組みを支援するという観点から行ったものでございます。

吉川(元)委員 理事長を呼ばなきゃというお話がありましたので、次回はぜひ理事長に来ていただいて、この真意をはっきりしゃべってもらわないと困ります。

 これは本当に、自慢げに、私が理事長になってから大学への圧力が強まっているという、こういうことを言われますし、金融の格言に、貸すも親切、貸さぬも親切、こんな発言もしております。それから、さらに驚くのは、大学さえ出ればハッピーだと思う傾向がある、こんなことを思っている学生さんがどこにいますか。今、大学を出たってまともな就職がなかなか見つからないという中で、非正規の雇用で苦しんで、その結果として、奨学金をなかなか返還しようにも返還できないというのが実態なわけです。

 そういう事実を全く無視して、この方は、経歴を見ますと、日本銀行、日銀から来られている、途中ほかにも行っていますけれども、こういう方が奨学金の支援機構のトップをやっているというのは、私は非常に、改めて今回の問題を見て調べたら、こういうのが出てきまして、愕然といたしました。

 ぜひ次の機会で理事長に来ていただいて、この真意をしっかりと答弁していただきたいというふうに思います。

 次に、教員の長時間労働について伺います。

 四月二十八日に、教員勤務実態調査の結果が速報値で公表されました。こうなるだろうなというふうに思っておりましたけれども、一週間当たりの労働時間が、十年前に比べても、小学校で四時間ふえて五十七時間二十五分、中学校の教員は同じく五時間ふえて六十三時間十八分。過労死ラインとされる月八十時間以上の残業が想定される教員の割合、中学校では五七・七、小学校で三三・五。非常に驚くべき数字が出ております。

 この調査結果について、大臣、どのように受けとめていらっしゃるでしょうか。

松野国務大臣 吉川先生にお答えをいたします。

 御指摘の調査結果の速報値では、いずれの職種においても、御指摘があったとおり、十年前に実施した調査の結果と比較して、勤務時間が増加をしているなどの結果が示されているところであります。業務内容別に見ますと、平日については、小中学校ともに、授業、授業準備など授業に関連する時間が、土日につきましては、中学校において、部活動の時間が特に増加をしております。

 これまでも、教育の質の向上やさまざまな教育課題への対応が求められる中、教員の長時間労働に支えられている状況はもう既に限界に来ていると認識をしていましたが、今回の調査結果の速報値において、改めて、看過できない大変深刻な実態が客観的なエビデンスとして裏づけられたものと考えております。

吉川(元)委員 私も全く看過できない。これは本当に、過労死が大量に生まれてくる土壌が学校現場でずっと継続して存在する。私の知り合いの方でも、脳疾患で次々と倒れられている方、過去、事例を伺ったことがありますけれども、この長時間労働をとにかく是正しなければいけないというふうに私自身も思います。

 その際に、やはり一つ問題になるのが、給特法の問題だというふうに思います。文科省、過去、松野大臣もそうですし、前の大臣も含めて、この教員の長時間労働について何とかしようといろいろ言われるんですけれども、結果として、馬耳東風といいますか、のれんに腕押しといいますか、実態としては、十年前に比べてさらに労働時間が延びちゃっているわけです。その根源にあるのが、やはり私は、一つは給特法の問題だろう。

 結局、学校の中において労働時間管理がしっかりと行われない。もちろん、部活動の問題だとかさまざま、それぞれありますけれども、この労働時間管理が行われない教員の現場、普通の民間企業であれば、当然、コスト管理としても労働時間管理を行うわけですけれども、それが行われないのがこの給特法だというふうに思います。

 この給特法について見直しをする必要があると思いますけれども、大臣の意見を伺います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 今般の調査結果を受け、教員の業務負担の軽減に向けてスピード感を持って対処しなければならないと考えております。

 教員の勤務時間の短縮に向けた具体的かつ実効性のある取り組みを早急に進めるため、中教審において、教員の働き方改革に資する方策について総合的な検討をお願いし、結論の出たものから逐次実行段階に移してまいりたいと考えております。

 中教審における審議の過程におきまして給特法についても議論が必要ということになれば、そのあり方についても検討してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 ぜひ、この給特法の見直し、これはやはり根幹部分だというふうに思います。これがある限り幾らでも仕事がふえていくという実態ですので、ぜひ、見直しに向けて検討をお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

永岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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