衆議院

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第7号 平成30年4月13日(金曜日)

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平成三十年四月十三日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 安藤  裕君 理事 神山 佐市君

   理事 亀岡 偉民君 理事 工藤 彰三君

   理事 鈴木 淳司君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大西 宏幸君    大見  正君

      小林 茂樹君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      高木  啓君    根本 幸典君

      馳   浩君    船田  元君

      古田 圭一君    松本 剛明君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      櫻井  周君    日吉 雄太君

      山本和嘉子君    源馬謙太郎君

      長島 昭久君    西岡 秀子君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      平野 博文君    畑野 君枝君

      串田 誠一君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   経済産業大臣政務官    大串 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  望月 明雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         稲山 文男君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局次長)         岡本 直之君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小澤 典明君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     大西 宏幸君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

四月十二日

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る十一日に終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党を代表して、著作権法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 現行著作権法は、権利制限の要件を個別具体的に列挙しています。しかし、改正案は、柔軟な権利制限規定を創設し、権利保護と著作物の利用とのバランスを確保してきたこれまでの法の枠組みを大きく変えるものです。

 柔軟な権利制限規定は、「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」などという抽象的なものでしかありません。これでは適法性の判断が困難になり、権利侵害や不公正な著作物の利用が助長されかねません。

 電子計算機による情報解析などの著作物の利用は、現行法では、統計的な解析に限って無許諾で著作物の記録が許されています。しかし、改正案では、統計的にとどまらず、幾何学的、代数的な解析も無許諾で可能となるなど、権利制限の範囲を拡大できることになります。

 権利者団体から、利用者が拡大解釈した権利侵害が横行し、いわゆる居直り侵害者の蔓延を招くなど、懸念の声が上がっています。

 法案は、著作物の利用について、「軽微」、「必要と認められる限度」、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」などの規定を設けていますが、その判断は結局、司法に委ねられることになります。積極的に訴訟を提起する土壌のない我が国では、権利侵害に泣き寝入りせざるを得ない著作権者がふえるだけではありませんか。

 今回の改正は、第四次産業革命を標榜する安倍政権のもとで、AI、IoT、ビッグデータを活用したイノベーションを創出しやすい環境の整備を求める産業界の都合を優先し、著作権者の権利を犠牲にするものにほかなりません。

 質疑でも明らかになったように、現行の権利制限規定のもとで訴訟が増加するといった法改正を必要とする具体的事実は認められません。にもかかわらず法改正を推し進めるのは、新たなイノベーション創出のため、ビッグデータなど著作物を含む大量の情報の利用に際し、その都度著作者の許諾が必要となるリスクを回避したい産業界の要請にほかなりません。

 権利保護と著作物の利用とのバランスを確保してきたこれまでの法の枠組みを、抽象的な権利制限規定で崩すことは許されません。

 なお、改正案には、マラケシュ条約締結に必要な規定の整備が含まれていますが、これは当然の措置です。

 以上、反対討論といたします。

冨岡委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、安藤裕君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。日吉雄太君。

日吉委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 著作権制度は我が国の文化創造の基盤となる仕組みであり、デジタル化・ネットワーク化が進展する新しい時代においても、権利の保護を図りつつ、多様な著作物を多様な形態でより多くの国内外の利用者に届けていくことは極めて重要である。著作権制度の意義に鑑み、今後も権利の保護と著作物の円滑な利用の促進とのバランスを考慮し、本法により整備される権利制限規定等の適切な運用に十分配慮すること。

 二 柔軟な権利制限規定の導入に当たっては、現行法において権利制限の対象として想定されていた行為については引き続き権利制限の対象とする立法趣旨を積極的に広報・周知するとともに、著作物の利用行為の適法性が不透明になり、かえって利用を萎縮する効果が生じることのないよう、ガイドラインの策定など、必要な対策を講ずること。

 三 環境変化に対応した著作物利用の円滑化を図るという立法趣旨を踏まえ、現在想定し得ない新たな技術等で、著作物の軽微利用を行う必要があるものが開発等されたときは、第四十七条の五第一項第三号に掲げる政令について、幅広い学識経験者、権利者、インターネット事業者、開発者等の意見のバランスも考慮しつつ速やかに定めるよう努めること。また、当該政令により、かえって新たな技術の開発及び提供等が制限されることがないように留意すること。

 四 本法により創設される「授業目的公衆送信補償金」について、教育現場での著作物の円滑かつ適法な利活用を促進する観点から、補償金額が妥当な水準に設定されることに加え、その確実な徴収と適正な配分の確保が担保されるよう必要な措置を講ずること。また、教育機関設置者が支払う補償金の負担が生徒等に転嫁される場合に、生徒等の負担が過度にならないよう、適切な運用に努めること。

 五 プログラミング教育をはじめとする教育のデジタル化が積極的に進められている中で、デジタル教材の増加や授業目的公衆送信補償金の徴収事務により、教職員の負担が増加し、政府が目指す働き方改革に逆行することとならないよう、安価かつ操作しやすいデジタル教材の普及や授業目的公衆送信補償金の徴収事務の簡素化について、速やかに必要な措置を講ずること。また、同措置を講ずるに当たっては、教育の質の向上及び地域格差の解消といった点にも十分留意すること。

 六 本法による改正後の著作権法第三十七条第三項に規定する視覚障害者等の読書の機会の充実を図るためには、本法と併せて、当該視覚障害者等のためのインターネット上も含めた図書館サービス等の提供体制の強化、アクセシブルな電子書籍の販売等の促進その他の環境整備も重要であることに鑑み、その推進の在り方について検討を加え、法制上の措置その他の必要な措置を講ずること。

 七 本法により、美術品等の紹介・解説のために電子機器やインターネット上において権利者の許諾なく当該著作物の複製物を利用できることとなるが、電子機器等の特性を踏まえ、著作物の画像等が不適切に拡散されることがないよう、必要な対策を講ずること。

 八 近年のデジタル化・ネットワーク化の進展に伴う著作物等の利用形態の多様化及び著作権制度に係る動向等に鑑み、著作物等の利用の一層の円滑化に向けて、著作権法の適切な見直しを進めること。

   特に、著作権制度の在り方をめぐり意見の相違が大きい重要課題については、国際的動向や関係団体・利用者等の意見を十分考慮するとともに、今後の急速な技術革新、著作物等の利用実態や社会の変化等への対応を踏まえた議論を進めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

冨岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林文部科学大臣。

林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

冨岡委員長 次に、文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官望月明雄君、内閣人事局内閣審議官稲山文男君、内閣府地方創生推進事務局次長岡本直之君、地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、知的財産戦略推進事務局長住田孝之君、文部科学省生涯学習政策局長常盤豊君、初等中等教育局長高橋道和君、高等教育局長義本博司君、高等教育局私学部長村田善則君、スポーツ庁次長今里讓君、文化庁次長中岡司君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長田中誠二君、農林水産省大臣官房審議官小川良介君及び資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小澤典明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古田圭一君。

古田委員 おはようございます。自由民主党、中国ブロック比例の古田圭一と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 学校法人の理事長をしておりますので、私学振興の立場からも幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず最初、林大臣にお伺いしたいと思います。

 私の地元は山口県の下関市でありまして、私の自宅から最も近い国会議員の御自宅が林大臣のところでございます。直線距離で四百メートルも離れておりません。

 林大臣は、小学校、中学校ともに下関市立の御卒業、そしてまた高校は山口県立ということ、大学は東京大学で国立ということでございまして、国公立ばかりで残念ながら私学には通われておられませんけれども、地元の早鞆学園の創設者、阿部ヤス先生というんですけれども、その方の除幕式のときに、昭和二年なんですけれども、林大臣のお父様の義郎先生が、まだ小さいときですけれども、幼い手でその除幕式の幕を引かれたという記録が残っております。

 そういうことで、まずは私立学校の存在意義と、果たしている役割、重要性についてどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 古田先生、御専門でいらっしゃいますので、釈迦に説法でございますし、私、小中高大は国公立でございましたが、幼稚園と大学院は私学へ行っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 私立学校は、独自の建学の精神に基づきまして、個性豊かな教育研究活動を展開しておりまして、在学者数が幼稚園で約八割、高校で約三割、大学で約七割を占めるなど、我が国の学校教育の発展に質量両面にわたって重要な役割を果たしております。

 この重要性に鑑みまして、文部科学省としては、大学等の経常的経費の補助や、高校以下の学校に経常的経費を支援する都道府県に対して補助を行っておるところでございます。

 一方で、私立学校の現状をめぐっては、教育等の一層の充実の必要性と同時に、少子化等の影響による経営困難校の顕在化など、諸課題が指摘されておるところでございます。

 文科省としては、引き続き、私学助成や税制等の幅広い側面から私立学校に対する支援策を推進し、私立学校の一層の振興に努めてまいりたいと思っております。

古田委員 どうもありがとうございます。

 私立学校の振興と充実というのは我が国の発展にとっても大変重要な課題ですので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、私立高等学校授業料無償化についてお伺いをいたします。

 平成二十二年度より、国の費用によりまして、公立、私立高校等の生徒の授業料に充てる高等学校等就学支援金制度が設けられました。さらに、平成二十六年度入学生より学年進行で制度改正が行われまして、世帯年収九百十万円程度以上の世帯は就学支援金支給の対象外となる一方、約五百九十万円未満までの世帯につきましては加算がふえて、私学に通うことがより身近になったとも言えます。

 また、自治体によっては独自に授業料等の減免措置を設けていますが、都道府県によって減免措置の対象世帯や減免する額に大きな差が生じているのも事実であります。

 そのような中、大臣所信で、二〇二〇年度までに、年収五百九十万円未満世帯を対象とした私立高等学校授業料の実質無償化を実現するというふうに述べられておられます。私学に通う人にとって、教育費の負担軽減の大きな前進というふうに考えております。

 二〇二〇年度までにということですけれども、年度進行で無償化が進んでいくのか、二〇二〇年度に一気に無償化になるのか、また、世帯年収五百九十万円以上の世帯についての支援金の額がどのようになるかなど、スケジュール、全体の制度等についてお伺いをいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私立高校授業料の実質無償化については、昨年十二月に閣議決定された新しい経済政策パッケージにおいて、消費税使途変更による、現行制度、予算の見直しにより活用が可能となる財源をまず確保する、その上で、消費税使途変更後の二〇二〇年度までに、現行制度の平年度化等に伴い確保される財源など、引き続き、政府全体として安定的な財源を確保しつつ、年収五百九十万円未満世帯を対象とした実質無償化を実現するとされております。

 これを踏まえ、私立高等学校等に通う生徒について、二〇二〇年度から、年収五百九十万円未満の世帯を対象に、高等学校等就学支援金の支給上限額を私立高校の平均授業料の水準を勘案した額まで引き上げることを想定しております。

 今後、閣議決定で示された方向性に沿って、私立高校授業料の実質無償化の実現に向けた検討をしっかりと進めてまいります。

古田委員 実現できるように、しっかりお願いをいたします。

 また、低所得世帯の授業料以外の教育費負担を軽減するための高校生等奨学給付金の充実についても取り組んでいただけるということですけれども、奨学給付金の給付対象や給付額の現状、今年度を含めて今後どのように充実されていくのか、お伺いをいたします。

高橋政府参考人 高校生等奨学給付金制度は、平成二十六年度に、生活保護受給世帯や非課税世帯について、教科書費や教材費など授業料以外の教育費負担を軽減するために創設した制度であります。

 平成二十七年度以降、補助対象費目の拡大や給付額の増額など制度の拡充を図ってきており、平成三十年度においても第一子の給付額の増額を行い、制度の充実を図ったところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも低所得世帯の教育費負担の軽減に努めてまいります。

古田委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、運動部活動についてお伺いをいたします。

 教員にとって、担当している部活動の競技経験がないにもかかわらず顧問となったり、指導時間の確保等、部活動の指導も教員の大変負担になっている面があります。また、生徒の側に立ってみれば、より専門の人に指導してもらった方が技術や能力の向上にも結びつきます。そのような観点からも、運動部活動の地域との連携を推進するための取組をしっかりと進めるべきというふうに考えます。

 また、このように地域と連携したチームが県大会とか全国大会等に参加できるようにするためには、現状は学校単位ということらしいんですけれども、今後、日本中学校体育連盟や全国高等学校体育連盟等に対して参加資格の見直しを求めていくべきと考えますけれども、御見解をお伺いいたします。

今里政府参考人 運動部活動と地域の連携でございますけれども、今般、スポーツ庁におきましては、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインというものを策定したところでございます。これは、生徒にとって望ましいスポーツ環境の構築の観点から取りまとめたものでございますが、この中で、先生がお尋ねの運動部活動と地域との連携、これを推進するなど、地域、学校等の状況に応じて多様で最適に運動部活動が実施される、これを目指しているというところでございます。

 また、県大会や全国大会への参加につきましてでございますけれども、このガイドラインにおきまして、日本中学校体育連盟等において、学校と連携した地域スポーツクラブの参加などの参加資格のあり方、大会の規模若しくは日程等のあり方などの見直しを速やかに行うこととしているところでございます。

 スポーツ庁におきましては、平成三十年度予算において、運動部活動と地域との連携を先進的に進める教育委員会等に対して経費を支援するとともに、日本中学校体育連盟等に対して必要な見直しを行うよう促してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

古田委員 ありがとうございます。

 連携を推進するための公的支援の一つとして今考えていますのが保険のことなんですけれども、今、学校管理下でのけが等であれば、日本スポーツ振興センターの保険に加入していればよいということなんですけれども、学校管理下でないスポーツ団体の場合、地域が主体で練習等をしている場合等、その場合は、学校管理下でないということで、別途、スポーツ安全協会などの保険に加入する必要があります。

 そういうことで、二重に保険に入らないといけないということですので、もし地域と連携するような場合に、保険に対して助成制度があれば地域との連携を推進することにもなりますので、今後、そのようなことも検討していただきたいということを要望しておきます。

 次に、東日本大震災からの復興につきまして大臣は、除染や廃炉に関する研究開発や人材育成を着実に進めますと所信で述べられておられます。

 具体的にどのように取り組まれるのかお伺いしたいと思いますが、原子力発電というのは、ベースロード電源として大変重要な役割を果たしております。日本は、世界に誇る技術、原子力に関する技術を持っているというふうに思っております。しかしながら、震災の後、脱原発の声が大きく上がっておりまして、原子力関係の技術者あるいは研究者を目指す若者がいなくなるのではないかというふうに危惧をしているところです。

 若者に原子力関係の技術者、研究者を目指してもらう取組も大変重要と考えておりますので、もし大臣のお考えがあれば、あわせてお伺いしたいというふうに思います。

林国務大臣 東京電力の福島第一原子力発電所の廃炉を始めといたしました原子力の安全確保、向上のためには、高いレベルの人材が必要だとされておるところでございます。

 そのため、文部科学省では、大学や高等専門学校等におきまして、福島第一原子力発電所の廃炉に資する基礎的、基盤的研究や、学生等を対象とした講義、研修等の実施、また原子力関連教育のカリキュラムや講座の高度化、国際化等を通じて、原子力分野の人材の育成を支援する取組を進めております。

 具体的に、ロボット製作等を通じて、例えば、学生に廃炉に関する興味を持たせるという観点から、廃炉創造ロボコン、こういうのを開催したりしておるということがあるわけでございます。

 文部科学省としては、引き続き、原子力の基盤と安全を支える幅広い分野における人材育成をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

古田委員 ありがとうございます。

 次は、またちょっと違うテーマですけれども、世の中は大変目まぐるしく変化をしております。急激な時代の変化に対応できる人材が求められている中、人づくりを担う教師の資質能力の向上を図るということが必要でありまして、教師の養成、採用、研修の一体改革を着実に進められるということですけれども、これまでの問題点、それから具体的に今後どのように改革をされるのかをお伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 教師の資質能力をめぐる課題の主要なものとしては、主体的、対話的で深い学びの実現など、新しい学習指導要領において示された教育課程、授業方法の改革にしっかりと対応できる教師を育成する必要があること、また、近年の教員の大量退職、大量採用の影響等により、先輩教師から若手教師への知識、技能の伝承に支障が生ずることが懸念されること、こういったことが挙げられます。

 こうした認識を背景として、平成二十七年十二月、中教審から、これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について答申が出されたところであり、この中では、養成、採用、研修の各段階を通じたさまざまな改革方策が提言をされております。

 その中でも、学び続ける教師を支えるための基盤となる体制の整備として提言された、主に教師の研修を担う教育委員会と主に教師の養成を担う大学との協議会を組織し、そこでの協議を踏まえ、校長及び教員としての資質の向上に関する指標を定め、そして、任命権者が指標を踏まえて教員研修計画を定める、こういった仕組みについて平成二十八年十一月の教育公務員特例法等の一部改正により具体化され、この仕組みが平成二十九年四月から施行されているところであります。

 こうした仕組みの中で、教師の採用につきましても、任命権者において指標を反映した見直しを図ることに加え、教師を志望する学生を対象に教育委員会が実施する教師養成塾など、採用段階における具体的な改革が進められることが期待をされます。

 文部科学省といたしましては、各地域において指標を中心とした教師の資質能力の向上が図れるよう、その支援に努めてまいります。

古田委員 しっかりとお願いをしたいと思います。

 次に、林大臣にお伺いをいたします。

 林大臣は、農水大臣のときに、農水産物の輸出で大変大きな実績を上げられたというふうに思っております。このたび、林大臣は、日本型教育の海外展開を推進するということを掲げておられますけれども、どのような日本型教育をどのような国に展開されるのか、また事業概要や背景、目的等についてお伺いをいたします。

林国務大臣 近年、人材育成を重視する諸外国から、知徳体のバランスのとれた力を育むことを目指す初等中等教育や、また、実験、実習を中心とした五年一貫の実践的な技術教育を行う高等専門学校、高専ですね、こういった日本型教育に大変強い関心が寄せられております。

 ベトナムのフック総理は、これは日越共同声明ですが、両首脳は、日本語教育の普及及び日本式教育の拡大に関し協力し、また、二国間の大学間交流を促進するとの意図を共有した、こういうふうになっておりますし、また、インドのモディ首相も、これは御発言ですが、日本の小中学校制度をモデルとして導入したい、また、エジプトのエルシーシー大統領も、日本の教育システムは最もすぐれており、道徳倫理観の高さを醸成するために日本式教育を取り入れたい、こういうようなことをおっしゃっていただいております。

 文部科学省においては、こうした諸外国で日本の教育機関や民間教育事業者が現地のニーズに合った日本型教育を展開するため、日本型教育の海外展開官民協働プラットフォーム、EDU―Portということで、エクスポートを少しかけて、エデュケーションとエクスポートでEDU―Portということですが、EDU―Portニッポンというプラットフォームを運営しておるところでございます。

 日本型教育の海外展開は、海外から日本に来て直接学んでもらうためのいわばきっかけともなるものでございまして、我が国の教育機関の国際化の促進を始め、我が国における教育政策推進の後押しともなることから、今後とも日本型教育の海外展開をしっかりと推進してまいりたいと思っております。

古田委員 日本のファンを海外にどんどんふやしていただきたいというふうに思います。

 次に、中央教育審議会が答申しております教育振興基本計画の中に、高等学校通信制課程の質の確保、向上というものが盛り込まれております。

 二年前に株式会社立の広域通信制高校の教育の問題がマスコミでも大きく取り上げられておりましたけれども、その後の改善に向けた取組、また今後、どのようにその質の確保、向上に取り組まれるのか、お伺いをいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘いただきましたように、一部の通信制高等学校において、民間教育施設との不適切な連携や学習指導要領に基づかない教育を行うなど、学校の管理運営に関しさまざま問題が明らかになったことを踏まえ、文部科学省では、平成二十八年九月に高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインを策定し、各都道府県等に対し周知を図ってまいりました。

 平成二十九年七月には、広域通信制高等学校の質の確保・向上のための調査研究協力者会議において、高等学校通信教育のさらなる質の確保、向上方策に係る提言が取りまとめられました。この提言を踏まえ、本年三月、学校における指導充実や所轄庁による指導監督等強化のため、ガイドラインの改定や、面接指導など実施施設を学則の記載事項とする学校教育法施行規則の改正など、施策を講じたところでございます。

 文部科学省では、平成三十年度までを広域通信制高校の質の確保、向上に向けた集中点検期間と位置づけ、所轄庁に全面的に協力しつつ、広域通信制高校に対する点検、調査を進めることとしているところであり、これらの施策等を通じて、引き続き、高等学校通信教育の質の確保、向上に努めてまいります。

古田委員 よろしくお願いをいたします。

 次に、定時制高校についてお伺いをいたします。

 私の地元では、今後、多部制、昼間部、夜間部というようなことですけれども、さらには、昼の部も、午前部、午後部といったような定時制高校がふえていくような見込みであります。

 全国的に、多部制の定時制高校設置の動向とか志願状況がもしわかれば教えていただきたいんですけれども、多部制高校では、昼も夜も通学すれば三年間で卒業できて、全日制と余り変わらないという思いでおります。その多部制の設置の目的や効果をどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 高等学校の定時制課程は、勤労青年の教育機会確保を目的として、昭和二十三年に制度化されました。今日では、不登校、中途退学経験者等への学び直しの機会提供など、困難を抱える生徒の自立支援等の面でも期待をされております。

 生徒数は、昭和二十八年が最も多く、約五十七万人が在籍しておりましたが、最新の平成二十九年では約八万九千人となっております。

 定時制課程は、学校教育法第四条において、「夜間その他特別の時間又は時期において授業を行う課程」と定められております。この規定に基づき、生徒の生活パターンに合わせた科目の履修を可能とするため、昼間に授業を実施する形態をとっているものがあり、平成二十九年度の学校基本調査によれば、百七十三校が昼間に授業を実施しております。

 定時制課程の昼間部の設置について、文部科学省としては、設置者である都道府県等が地域の実情や生徒のニーズ等を踏まえ適切に判断するものと考えております。

古田委員 次は、高大接続改革についてお伺いをいたします。

 大学入試センター試験にかわりまして、大学入学共通テストが平成三十二年度より実施されるということです。高校の現場では、大学入試が大きく変わるということで、大変気になっていることではないかと思います。

 特に、今、英語は、読む、聞く、話す、書くの四技能を評価することとなりまして、先月、七つの英語の民間試験が認定されたということが公表されております。

 これら七つの試験のうち、どれを受検しても全ての大学の合否の判定に用いてもらえるのか、また、受検した試験の種類で有利、不利はないのかなど、お伺いしたいというふうに思います。

 また、検定料の保護者負担を軽減する取組とか、特定の民間試験に受検者が集中して、実施に問題が生じる可能性はないのかなどについてもお伺いをいたします。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、大学入学者選抜において、読む、聞く、書く、話すの四つの英語の技能を適切に評価するという観点から、大学入学共通テストにおきまして、一定の要件を満たす民間が行います英語の資格検定試験について認定するということを行っているところでございます。

 英語の資格検定試験の活用方法につきましては各大学の判断となりますけれども、文部科学省としましては、受験者の負担に考慮しまして、できるだけ多くの種類の認定試験を対象とするよう各大学に求めておりまして、例えば、国立大学協会では、参加する全ての試験を活用することをガイドラインとして決定しておるところでございます。

 また、文部科学省におきましては、各資格検定試験のスコアとともに、外国語の能力をはかる国際指標でございますCEFRの六段階の評価との対照表につきまして、文部科学省に置かれた作業部会で確認した上で公表したところでございます。成績の提供に当たりましては、各検定試験の比較に資するように、各試験のスコア等に加えて、CEFRの六段階の評価をあわせて各大学に提供する予定でございます。

 また、御指摘いただきましたように、検定料の保護者の負担の軽減ですとか、試験の円滑な実施ということにつきましては、四月以降に実施予定の全国の高校に対するニーズ調査、これを行いまして、その結果等に基づきまして、引き続き、各試験団体に対しまして、値下げの配慮ですとか、十分な試験会場の確保を求めてまいる予定でございます。

 また、このほか、昨年十二月に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきましても、低所得層に対する給付型奨学金の中で大学等の受験料が措置されるということになっているところでございます。

 文部科学省といたしましては、英語四技能の評価のための、引き続き、関係者の御意見を伺いながら、円滑な実施に向けて取り組んでまいりたいと存じます。

古田委員 受験者が戸惑わないように、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、ちょっとまた話題がかわりますけれども、公立高等学校の入学者選抜におきまして、県外募集をしている状況ということについてお伺いをいたします。

 また、県立学校が県外で入学試験を実施することについての御見解をお伺いいたします。

高橋政府参考人 公立高等学校入学者選抜における県外募集につきまして、平成二十九年度入学者選抜においては、県外からの生徒受入れにより学校や地域の活性化を図ることなどを目的とし、二十三道県の二百十八高校において県外募集が実施されたところであります。

 具体的な出願要件や募集定員につきましては、設置者である各都道府県教育委員会等において定められておりますが、例えば出願要件につきましては、県内の生徒と同様の出願要件とするものや、特定の学科に限定するものなど、募集定員につきましては、多くの道県で一定の人数に限定するなどとして実施をされております。

 なお、公立高等学校が当該都道府県以外での生徒募集を行う場合においては、その過程において、募集の意図、目的等について県民や関係団体等に対する十分な説明を行い、それらの意見を十分に踏まえた上でしっかりと議論していくことが必要であると考えます。

 また、募集対象地域における生徒の就学環境に影響を及ぼすことがないよう、十分な配慮を行う必要があるとも考えております。

古田委員 よろしくお願いいたします。

 次に、また話題がかわりますけれども、障害者雇用促進法では、事業主に対しまして、障害者雇用率に相当する人数の身体障害者、知的障害者の雇用を義務づけています。今後、義務づけられる雇用率も上がってまいります。

 障害者の雇用率が未達成であれば、障害者雇用納付金を徴収されることともなります。いわゆる従業員のほとんどが教員である学校現場では、なかなか障害者の採用が難しい面があります。

 そこで、障害者雇用の現状と今後の取組についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

高橋政府参考人 共生社会の実現に向けて、学校現場においても、障害のある方が教員として安心して働ける環境を整えることは大変重要であると認識をしております。

 学校を設置する地方公共団体などには、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づき、障害のある方が教員として働くことに関する社会的障壁の除去について、必要かつ合理的な配慮をすることが求められており、例えば、各種障害により通勤に支障のある教員については、自宅から近隣の学校や鉄道沿線の学校へ配置するなどの配慮を行っている事例、教員の障害の状態に応じ、配慮が必要な場合には、その負担を軽減するために非常勤講師を配置している事例、障害の状態等に応じた合理的配慮を行うための相談体制を整えている事例、こういったような取組が行われているものと承知をしております。

古田委員 ありがとうございます。

 あと二問準備していたんですけれども、時間がなくなりました。施設設備の関係の質問でありました。今後も、私学の施設設備の充実にもしっかり取り組んでいただきたいということを御要望しておきます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきます。

 私からは、大臣、冒頭、加計学園について質問をさせていただきます。

 報道によりますと、愛媛県の職員が、二〇一五年、当時の秘書官と面会をした際の文書、これがあるんじゃないか、こういう報道がなされております。そして、知事の方からは、文科省、農水省、そして内閣府、この三省、文書が渡っている可能性があるんじゃないか、こういう発言もあったと承知をしております。そして、けさの報道では、農水省の方から文書が確認されたのではないか、こういう報道もございました。

 また、昨日付の東京新聞ではこういう記事もございました。首相官邸側から文部科学省に、愛媛県、今治市、加計学園の関係者が近く首相官邸を訪問すると伝えていた、これが文科省の関係者への取材でわかった、こういう報道もございました。

 いずれも、政府の今までの答弁と食い違うものであるというふうに考えております。そして、今、多くの国民の皆様が大変疑念を持たれている、残念ながらこういう状況であるというふうに認識をしております。

 今、調査をしておられるというふうにお伺いをしておりますけれども、この事実関係につきまして、現段階でわかっていることにつきまして、大臣、まず答弁いただけますでしょうか。

林国務大臣 今御指摘のありました愛媛県の担当職員が備忘録として作成したとされる文書の有無については、現在、文部科学省において確認作業を進めているところでございます。

 具体的には、高等教育局を始めとする関係部局におきまして、共有ファイル及び共有フォルダを探索するとともに、関係者に対するヒアリングにより、個人ファイル等も含めて、当該文書の存否を確認しているところでございます。

 また、愛媛県等による官邸訪問が事前に文部科学省に伝えられたという報道について、これも現在、関係者に事実関係を確認しておるところでございます。

中野委員 現段階では、確認をしておられる、こういう状況だとお伺いをいたしました。しっかりと確認、調査をしていただくとともに、こうした文書、さまざまなものにつきまして、一旦なかったというふうに発表した後に、やはりありました、こういうことが何度も続いております。大変に国民の信頼を損ねているというふうに思います。

 大臣には、しっかりと調査をしていただくとともに、調査の結果をまた早急に、わかった段階、わかったものについてしっかりと報告をしていただきたいとお願い申し上げますし、また、こうした事態が続いていくことで、行政府全体に対して、また政権全体に対して非常に不信感というものが持たれているという状況を大変に私も残念に思っておりますし、与党の一員として非常に責任も感じている次第でございます。

 そしてまた、加計学園、特にこれにつきましては、国民の皆様の不信を招いているということに加えまして、岡山理科大の獣医学部、設置審でも既に開設を認めるということで答申も出ておりますし、既に開学もしておりますし、多くの方が受験をされて、そして一期生の方が大変将来への夢と希望を持って学ばれている、こういう状況でもございます。

 学生の皆様にとっても、しっかり安心をして学んでいただけるように、そしてまた国民の皆様が納得できるような形でしっかりと、大臣には、政府の一員として説明責任をやはり尽くしていく、こういう責任があると思います。大臣、ぜひ答弁をいただきたいと思います。

林国務大臣 大事な御指摘をいただいたと思っております。

 今回の加計学園の獣医学部の新設につきましては、これまで国家戦略特区を所管する内閣府を中心に、段階的にそのプロセスが進められてきたところでございまして、国家戦略特区の枠組みの中で、関係法令に基づき、関係省庁の合意のもとで適切に進められてきたものと理解をしております。このプロセスに関しては、これまでも丁寧に御説明してきたところでございます。またさらに、その後、今お触れいただいたように、設置審等のプロセスも踏んできたところでございます。

 加計学園の獣医学部新設に係る文書や報道の事実関係について、先ほど御答弁させていただきましたように、現在、確認作業を行っているところでありまして、速やかに結果をまとめて、丁寧に御説明をしなければならないと考えております。国民の文部科学行政に対する御意見、しっかり真摯に受けとめて、信頼回復のためにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

中野委員 国民の皆様が納得できる、そういう説明責任をぜひ果たしていただくように、林大臣にはその職責を尽くしていただけますよう、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 その上で、さまざま、やはりこの立法府にいる立場として、国民生活に密着する喫緊の課題、これは政策を進めていかなければなりません。さまざま地域でも教育行政に関していろいろな御意見もいただいておりますので、きょうはその他の話題についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 一点目は、医療的ケア児の問題についてでございます。

 何らかの医療的なケアが必要な児童というものは、医療技術の進展により非常にその人数がどんどんふえてきている、こういう状況でもございます。しかし、こうした医療的ケア児への支援、まだまだ十分ではないというふうな、やはり私の地元の兵庫県でもお伺いをいたしますし、また昼夜を問わない介護もございますし、また医療的なケアというものもありますし、また学校への付添い、御両親にとって育児の負担も非常に大きいものがあるということでさまざま伺ってまいりました。

 厚生労働省の方でも、障害福祉サービスの分野など、こうした医療的ケア児に対する受皿をつくっていく、支援をしていくというのはやっていただいておりますけれども、例えば文部科学省の分野におきましては、学校において看護師を配置していくなど、教育の分野からもこうした支援が充実をしていく必要があるというふうに思います。

 今年度において、この医療的ケア児に対する支援について、どのように行っていくのかということにつきまして、まず答弁いただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 医療的ケアを必要とする児童生徒等が学校教育を受ける機会を確保することは重要であると認識をしております。

 このため、今、委員から御指摘いただきましたように、文部科学省では、平成二十五年度から、医療的ケアを行う看護師の配置に必要な経費を補助してきたところであり、平成三十年度予算においては、対象となる看護師の人数を、平成二十九年度の一千二百人から一千五百人に拡充をしたところであります。

 また、人工呼吸器の管理など高度な医療的ケアを必要とする児童生徒等が増加し、多くの場合、保護者の付添いを求めているという状況を踏まえ、平成二十九年度から、学校における医療的ケアの実施体制のモデル事業を進めるとともに、有識者による検討会議を設置し、医療と連携した支援体制のあり方や、人工呼吸器を管理する際の留意事項等について検討を進めているところでございます。

中野委員 さまざま拡充の支援をしているという状況を御報告していただきました。

 特に、私の地元から御要望をいただいたのが、通学時の支援をもっと充実させてほしいということを御要望いただきました。

 確かに、看護師を実際に学校に配置をしていただいて、これに対して文科省の方から支援をするということでございますけれども、今まで、通学の際にこうした方を配置する、こういうことをしたいということがあっても、これは支援の対象にはならないというふうな制度であったというふうに伺っております。こうしたところについてもしっかり改善をしていくということで方針を伺っておりますけれども、具体的に今後どのようにしていくのかということにつきましても答弁いただきたいと思います。

高橋政府参考人 平成二十八年度の文部科学省の調査によりますと、公立特別支援学校に在籍する医療的ケアを必要とする通学生徒五千三百五十七人のうち約六五%、三千五百六人が登下校の際に保護者等が付添いを行っているという実態がございます。

 文部科学省といたしましては、各自治体に対し、医療的ケアを必要とする児童生徒等のスクールバス乗車の判断に当たっては、一律に保護者による送迎と判断するのではなく、個々の児童生徒等の状態に応じて、スクールバス乗車中における医療的ケアの実施の要否など、児童生徒等が安全に通学できるか否かについて、主治医等の意見を踏まえながら個別に対応可能性を検討し、判断することを示しております。

 また、今御指摘いただきましたが、平成三十年度から、補助事業により配置した看護師については、通学時においてスクールバス等の送迎車両に同乗することが可能であることを交付要綱に明記することといたしております。

 今後とも、医療的ケアを必要とする児童生徒等に対する支援の充実に努めてまいります。

中野委員 ありがとうございます。

 通知の方も、補助要綱に通学時もしっかり補助をするということで見直したということで御答弁もいただきましたので、しっかり地元とも連携しながら、こうした医療的ケア児への支援というものを充実させていきたいというふうに思っております。

 続きまして、大学改革、この関連について何点かお伺いをしたいと思います。

 特に、大学と地方創生との関係につきまして、今、二〇一八年問題というものが大学関係者の間では以前から言われておりますけれども、十八歳人口が本格的に減少していくということでございます。そうすると、大学自体の存在が危ぶまれる、こういう状況になってくる。

 最近、雑誌を見ましても、この大学は危ないんじゃないかですとか、大学の経営について言及をされるようなことも随分ふえてきたんじゃないかなというふうに感じております。私の地元の兵庫県におきましても、ここ数年、大学が実際に募集を停止しまして閉校するということも何件か続いておりまして、大変に危機感をこの点に関して持っております。

 特に、私立大学について定員割れするケースが多いというふうにも伺っておりまして、数字の方を少しお伺いしたところ、充足率が八〇%を切っている私立大学というのが約一五%近くあるというふうにもお伺いをしましたし、充足率が五〇%を切っている、こういう大学もある、数は少ないですけれども、そういう状況になっている大学もあるというふうにもお伺いをいたしました。

 これからどんどん少子化が進んでいく上で、特に地方部におきましては更に若い方の人口流出というのが非常に続く、こういう状況で、更に人数が少なくなるという状況でもございます。

 やはり、こうした大学につきまして、経営をどういうふうに再建していくのか、こういう観点が重要でございますし、こうしたことの支援をぜひする必要があるというふうに思いますけれども、文科省として今後どう取り組まれるのかというのをまずは答弁いただきたいと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘ございましたとおり、私立大学、全国の七割を超える学生の学びを支えるなど、大きな役割を果たしているところでございます。経営を取り巻く環境は、御指摘いただきましたように、大変厳しいものがございますけれども、私立大学等がみずから経営面も含めた改革に取り組んでいただき、社会や時代のニーズを踏まえた特色ある教育研究を進めていくということは、地方創生の観点からも大変重要と考えているところでございます。

 文部科学省におきましては、各地域での私立大学、それから自治体、産業界との連携に向けまして、平成二十九年度より、私立大学、自治体等が参画するプラットホーム等の形成などの体制支援への支援を実施してございます。小規模、中小規模の私立大学を含めて、地域発展に貢献する私立大学等の取組を推進しているところでございます。

 平成三十年度予算におきましては、大学間の連携を進めることなどを前提に、支援対象を二十から四十グループを目安に前年度から充実することといたしてございます。また一方で、総務省におきましても、地方自治体が大学と連携して行う雇用創出でございますとか若者定着の取組に対して財政支援措置を講じているところでございますけれども、この事業につきましても、その対象に新たに加えるということとなっているところでございます。

 こうした地域の実情に応じた私立大学等の取組に対して私どもとしても重点的に支援することによりまして、今後、自治体のニーズに対応した、地域の活性化に資する私立大学の取組が加速化をするということを期待しているところでございます。

中野委員 答弁ありがとうございます。

 現在、地方創生に向けて各自治体が、人口減少ということで、どうやったらこの人口減少がとまるのかというところをそれぞれの自治体でやはり計画を立てておりますので、真剣に取り組んでおります。やはり進学や就職の段階で人口がどんどん流出をしていくということが、恐らく多くの自治体で悩みの、悩まれているというか、ここを何とかしないといけないというふうに思っていると思います。

 そういう意味では、やはり高等教育機関がまず自治体にあるかないかということが、地方創生という、特に若い方の人口をどう減らさないかという点から見ても非常に重要な問題だと思いますので、先ほど答弁されたさまざまな施策を通じまして、地域の地方創生に資する大学というものをしっかりと支援していくということが非常に重要だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、専門職大学についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 高等教育機関、これを活用して雇用の創出あるいは若い方の人口流出に歯どめをかける、これをやっていきたい、ぜひしていきたいんだ、こういうことを思われている自治体の方というのは非常に多いと思います。

 現在そういう機関があるところもそうですし、あるいは、そういうところがないところにつきましても、何とかそういう形で誘致ができないか、あるいは連携ができないか、地元ならではの雇用の創出がしたい、こういうお声というのは、本当に私も多くの自治体で伺ってまいりました。特に私の地元の兵庫県でも、そうしたことをしたいというふうなこともお伺いをしております。

 そうした地元ならではの雇用の創出ということを考えますと、総合大学という形よりも、何か地元の得意分野に特化をして取組をしていった方がやはり現実的ではないか。例えば農業であるとかあるいは食であるとか観光であるとか、そういった地域の資源とも連携しながらという意味では、確かに、特色のある専門職大学を生かすということは、非常に地方創生という意味では意義が、そして効果があるのではないか、私もこのように感じております。

 こうした専門職大学を活用した地方の創生というものを文科省としてどのように進めて、また考えておられるのかについても、答弁いただければと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 専門職大学につきましては、昨年度に制度化いたしましたものでございますが、先生御指摘のとおり、地元の企業とかあるいは地域の資源を生かしながら緊密に連携して実践的な職業教育を行うということに特色がございまして、地元の産業の活性化ですとか地域で活躍する人材の育成など、地方創生に大きく資するものだと思っております。

 御指摘のとおり、兵庫県も含めまして、各自治体からいろいろな形での問合せ、御相談もございますし、分野としましては、先ほど御指摘いただきましたような、農業ですとか観光とか食あるいはIT、それぞれの地域の資源あるいは特色を生かした形での取組ができないかについての模索をいただいているものと理解しているところでございます。

 また、この制度におきましては、ほかの一般の大学とは違う特色がございまして、具体的には、専門職大学の設置基準におきまして、産業界及び地域社会と連携した教育課程を編成し実施するために、地域の事業者ですとか地方公共団体等から参画を得て構成する教育課程連携協議会というものの設置を義務づけておりまして、地域の声をカリキュラムに反映するというような仕組みを設けるですとか、あるいは、企業等での長期の臨地実務実習、いわゆるインターンシップでございますけれども、それを一定単位数求めるということなどをいたしまして、地域の産業界のニーズを踏まえた、専門職大学と地域との適切な連携が図れるような制度設計をしているところでございます。

 このような特色を生かしながら、この制度の周知を努めることによりまして、自治体あるいは地域でそういう大学が誕生するような形での支援を文科省としても取り組んでまいりたいと存じます。

中野委員 ありがとうございます。

 専門職大学、先ほどお話もございましたけれども、やはりそれぞれの地域資源を生かすという意味では、例えば食であるとかあるいは観光みたいな、地元でまさにやっていこうとする取組と非常に連携をしやすい分野かなとも思います。

 ですので、これから、新しい制度でございますので、どういう形で新しくできているものを認めていくのか、あるいは支援をしていくのか、まさにこれからスタートする分野であるというふうに思いますので、文部科学省としてぜひしっかりと応援をしていただければというふうに思いますので、重ねてお願いを申し上げます。

 続きまして、大学改革、少し総論的な部分になってしまうんですけれども、全体の方向性について、ぜひ大臣の方にお伺いをしたいというふうに思うんです。

 今、日本の大学の抱える課題というのは、いろいろな観点からさまざまな御意見がございまして、例えば、トップ層というか、日本の国際競争力ということから考えますと、今、中国ですとかアジアのさまざまな大学、世界のランキングで見ましても、論文、あるいはこうした数で見ましても、どんどんすごい勢いで伸びてきている。日本も頑張ってはいるんだけれども、しかし、横ばいというか、頑張ってはいるんだけれども、しかし、ほかの伸びについていけていない。そういう意味では、相対的に、こうした国際競争力という意味で、地位が低下をしているんじゃないのか、こういう御指摘もございます。

 もう一つは、先ほど私からお話をさせていただいたような、まさに少子化の中で、そもそも大学をどうやって存続させていくのか、こうした問題もあるかというふうに思います。

 私、もう一つ気になっておりますのが、今でも既に大学は、希望すればほぼ全員入れるというか、全入時代というふうにも言われておりますけれども、希望した方がほとんど入れるような状態の中で、教育の質というか大学の質を果たして担保していけるんだろうか、こういう問題意識も持っておりまして、ある程度倍率があるということでありますれば、そこの入学選抜ということで、入ってくる学生の質というものは保証はできるというふうに思いますし、今まで日本の大学というのはそういうことをしてきたんだというふうにも感じますけれども、しかし、少子化の時代になってきている。

 そして、今、高校、大学の接続改革というのも、ずっとそういう問題意識の中で進めておられるというふうには思いますけれども、少子化をしていく中で、そして、希望者がほとんど入れるという中でどうやって質を確保していくのか、これは非常に大きな課題ではないかなというふうに思います。

 私も聞きますと、質を保つために、ある程度定員の数を、昔に比べてやはり下がってきているなというふうな感覚もございまして、高等教育というものを受けることによって学生が、では、ここの大学で多くのことを学んでいろいろな自分の実現したいことを実現していける、こういう環境をどうやって高めていけばいいのか。いろいろな大学がある中で、そして、これからまさに高等教育の無償化のような議論もございまして、そうした議論をする中で、では、どうやって質の保証というのを行っていくのかということが非常に難しい課題になってくるんじゃないかな、こういうことを常々感じております。

 少し大きな話になってしまいますけれども、今後の大学改革、これをどのように進めていかれるのかということにつきまして、ぜひ大臣から答弁いただきたいと思います。

林国務大臣 第四次産業革命が進展するソサエティー五・〇を目指す。一方で、本格的に人口が減少してくる。今、委員からお話のありましたように、二〇一八年問題、こういうふうに言われてきておる中で、全入時代と言われてきておるわけでございまして、こうした中で、やはり一人一人が実りある生涯を過ごしていただく、また、我が国全体としても、社会の持続的な成長、発展を実現していくためには、やはり人材を育成する、それからイノベーション創出の基盤である大学の役割というのは大変重要になる、こういうふうに思っております。

 推計によりますと、二〇一七年に百二十万人であった十八歳人口が、二〇三〇年には百三万人、二〇四〇年には八十八万人、こういう推計もあるわけでございますので、中教審においても、二〇四〇年を見据えて、目指すべき高等教育のあり方や、それを実現するための制度改正の方向性など、今、委員からも御議論いただきました高等教育の将来像について実は御議論いただいておるところでございます。

 この中で、例えば具体的に言いますと、今、質というお話がありましたが、やはり学習成果を可視化するということで、どの大学に行くかとか、今自分がいる大学の状況がなるべく見えるようにしていくということ、それから、教育課程の改善等全学的な教学マネジメントの構築、こういうことをしてやはり質をしっかりと向上してもらう、こういうことではないかというふうに思っております。

 倍率があった方が確かに人材が集まるということも我々経験してきておりますが、今後は、入ったときの潜在的能力というのもあると思いますが、入ってからいかにしっかりと勉強してもらってスキル等を身につけてもらうか、こういう考え方を持っていかなければならない、こういうふうに思っておりまして、そういった意味でも、現在、どれくらい勉強していますかという調査をしますと、ゼロという人が結構大学生はおられる。これでは、いかにいい授業をやってもなかなか難しいのかなと私も思ったりいたしますので、そういう意味でも、やはり今言ったようなことでしっかりと教育の質の向上を図っていくということがあるというふうに思っております。

 また、地域によってかなりいろいろな差がございますので、先ほど申し上げた十八歳人口、これを地域ごとに将来推計いたしまして、それをそれぞれの地域で踏まえていただいて、では、うちの地域では一体どうしていくんだということをしっかりと、いろいろな方、ステークホルダーに入っていただいて、地方公共団体とか企業とか、大学だけではなくて、皆さんと一緒に考えてもらうということが大事だ、こういうふうに思っております。

 そういうことを通じて、地域における質の高い高等教育機会を確保して、そのために、複数の大学の間でそれぞれの強みを生かした連携、統合、これをどうして進めていったらいいか、こういうことを実は検討していただいておりますので、中教審で専門的な議論を進めていただいて、その結論を踏まえて対応していきたいと思っております。

中野委員 大臣から、今後の方向性ということで大変に大事な御答弁をいただいたというふうに思っております。

 これからの日本の、本当に日本を支えていくというのは、やはりこういう教育で支えていくということだというふうに思いますので、高等教育の今後のあり方というのを引き続き私どももしっかりと考えていきたいというふうに思っております。

 最後に一点、奨学金についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 今年度から、我が党が強く訴えてまいりました給付型の奨学金、これが本格的に導入をされるということでございまして、やはり経済的な理由で学ぶことを諦めることがあってはいけない、こういう思いでさまざまな取組を今しておりますけれども、こうした取組も進んでいくということでございます。

 しかし、この給付型の奨学金というのも、現在、低所得の方に限るということでございますので、もちろん全員が受けられるわけではございませんし、二〇二〇年以降、この給付型奨学金等々を含めて支援を大きく拡充するという方針も決まっておりますけれども、やはり一定の所得のある方については、返還が必要な形の奨学金というものももちろん必要になってくるんじゃないかなというふうには思います。

 そして、よく最近言われておりますのが、若い世帯の所得というのが昔と比べてかなり下がっている環境にある。もちろん、これは経済の状況でありますとか、あるいは人口構造そのものの問題もございますけれども、結果的に、昔に比べて若い方の所得が低いということでございますので、既卒者の中でも、返還をしていくことに非常に困難を感じる、こうした負担が少子化の要因ともなっているんじゃないか、こういう指摘もございます。

 やはり、返還しやすい、返還に対する支援、こういうものをもっと強めていく必要があるというふうに思いますので、最後、文科省の方からこの方向性について答弁いただければと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 さまざまな事情によりまして、卒業後、厳しい経済状況に置かれて、奨学金の返還が困難な方がおられるというのは事実でございまして、そのような方に対してはきめ細かい対応が必要であると考えております。

 具体的には、返還困難者に対しまして、従来より、状況に応じて毎月の返還額を当初の二分の一又は三分の一に減額する、その上で、長期にかけて返還する減額返還制度を設けるですとか、あるいは、経済困窮による返還の困難な方については、返還期限について猶予制度を設けて対応するなど、これらの制度の充実を図ってきたところでございます。

 このような救済措置に加えまして、平成二十九年度から、卒業後の所得が返還月額に連動する、いわゆる所得連動返還型奨学金制度を無利子奨学金に導入しております。これによりまして、所得が低い状況でも毎月最低二千円からの無理のない返還が可能になり、返還負担の大幅な軽減を図っているところでございます。

 さらには、平成二十九年度より、大学等の進学のための資金計画につきまして、返還を含めた適切な奨学金の利用への理解を促進するスカラシップアドバイザーの派遣を新たに実施しているところでございます。

 さらに、今年度から、無利子奨学金及び有利子奨学金の貸与月額を複数新設いたしまして、スカラシップアドバイザーによる指導と組み合わせることによりまして、借り過ぎ防止の観点も含めて、適切な額での奨学金の受給を促してまいりたいと考えております。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・市民クラブの櫻井周です。

 水曜日に引き続きまして、質問させていただきます。

 まず第一に、デジタル教材について質問させていただきます。

 この一般質疑の後に、大臣から、デジタル教科書に関する学校教育法改正案の御説明をいただけるというふうに承知しておりますが、大臣の説明の前に、ちょっと先走って質問をさせていただきます。

 デジタル教科書は、教科書がタブレット端末などで視聴できるようになるだけのように今回の改正案は見受けられます。これですと、デジタルの優位性が十分生かせないのではないのか、このようにも懸念をしております。

 そもそも、このデジタル教材の優位性というものは、例えば動画やアニメーションなどでわかりやすく説明できる、英語などではリスニングの練習もできる、問題演習などでは習熟度に合わせて進められる、間違えた問題だけを繰り返して学べる、すぐに採点してもらえるので教員が採点業務から解放される、児童生徒の習熟度分析、これはもう端末の中ですぐデータが集計されますから、それを見ればすぐに、どれぐらいわかっているのかということもわかるわけです。

 先生からすると、授業でわかったような顔をして聞いているけれども実はわかっていなかったとか、そういったことも含めてすぐにわかるということで、一人一人の生徒児童に応じたきめ細やかな指導ができるということで、大変大きな可能性を持っているものと思っております。

 一方で、デジタル化しますと、さまざまなデメリットも懸念されているところでございまして、何よりも、タブレット端末、これは紙よりも高いという問題もございます。

 しかし、そうやってコストをかけてでもやるのであれば、せっかくデジタル化するのであれば、このようなデジタルの優位性を生かすような利用形態を進めていくべきだと考えます。今回のデジタル教科書では物足りないなというふうにも感じているところでございます。

 今回は小さな一歩であって、二歩目は大きく踏み出していただけるというふうにも期待しておるんですが、大臣の御所見、よろしくお願いいたします。

林国務大臣 学校教育法等の一部を改正する法律案におきましては、今委員からもお話しいただきましたように、教育課程の一部において、必要に応じて、紙の教科書にかえてデジタル教科書を使用することができるようにする、こういう措置を講ずることになっております。

 このメリットについてもお触れいただきましたが、デジタル教材との一体的な利用ということで、デジタル教材そのものの積極的な活用にこれがつながっていく、こういうことがあるというふうに認識をしております。

 一方で、今触れていただいたように、御心配する意見もあるということで、今回がらっと全部デジタルです、こうやると、なかなか、大丈夫かなという声があるので、後で御提案を正式にさせていただきますが、こういう形になっておるわけでございます。

 新しい学習指導要領においても、小学校においてプログラミング教育を必修化する、こういうふうになっておりますので、この情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力と位置づけるということになっておりますのと、それからもう一つ、学校においてICT環境を整えて、それを適切に活用した学習活動の充実を図ることに配慮する、こういうふうになっておりますので、教育の情報化を進めるということは指導要領上も進めさせていただくということになっておるわけでございます。

 これをやるために、昨年の十二月に学校のICT環境の整備方針、これを策定いたしまして、二〇一八から二〇二二年度の間に、単年度千八百五億円の地財措置を講じるということになっておりまして、最低限必要とされ、かつ優先的に整備すべきICT機器等について整理を行ったところでございます。

 特に、小学校のプログラミング教育については、官民共同で取り組んでおります未来の学びコンソーシアムというのがございますが、ここにおいて、デジタル教材の開発及び利用の促進につなげるべく、デジタル教材を活用した指導事例の発信、これをやっていこうということで努めておるところでございます。

 やはり現場が理解していただいて、これはいいなというふうになって導入してもらう、これが大事なことだ、こういうふうに思っておりますので、こうした取組をしっかりやって、デジタル教材の活用を含めた、教育の情報化の一層の推進に努めてまいりたいと思っております。

櫻井委員 大臣から御丁寧に答弁いただきました。ありがとうございます。大臣も、これからしっかり進めていかれるというお話でございましたので、大いに期待したいと思います。

 また、一方で、今回は教科書のみがデジタル化ということでございまして、それに付随する周辺的な学習教材については今回の法改正の対象になっていない。つまり、無償ではなくて、多分、教科書発行出版社の方では教材としては開発をされて、有料で提供されるということになるんでしょうから、そうしますと、利用できる子と利用できない子と、家庭環境によって差ができてしまうのではないのか、こんな心配もありますので、その点も踏まえて、早急なる対応をよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、二つ目の質問に移らせていただきます。

 先日来ずっと議論されております、この委員会でも議論されております、文部科学省による名古屋市の中学校への不当介入問題についてでございます。

 これまで、大臣は、やや誤解を招きかねない部分があった、こういうふうに答弁をされていますが、一方で、法令に基づいて教育委員会に対して必要な調査を行った、このようにも答弁されております。

 二月に電話で名古屋市教育委員会に問合せをし、それから、三月一日に十五項目にわたる質問状を送っている。三月五日にも十五項目に及ぶ質問状を送っている。十五足す十五で、合計三十項目の質問を送っております。

 私は、この三十項目の質問全てが本当に必要だったのかな、一回目の電話でもう済んでいるんじゃないのか、このようにも思っているんですけれども、お尋ねをいたします。

 三十項目の質問全てが、法令に基づいて教育委員会に対してする必要な調査だ、こういうことでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもといたしましては、一応、事実確認をするために、三十項目は必要なものであったと理解をしております。

 ただ、その質問状の表現ぶりにつきましては、大臣から、表現ぶり等について留意が必要であったというような注意を受けたところでございますので、その点は真摯に受けとめまして、今後、教育現場に対するより丁寧な対応に努めてまいりたいと考えているところでございます。

櫻井委員 私は、この三十項目一つ一つ、どれを見ても、こんな細かいことまで一々聞かなくてもよいのになというふうに思うわけでございます。

 これは、教育委員会に聞けば、学校現場に問合せが行く、教員の働き方改革ということで、学校現場の負担を軽減するという議論もされている中で、もちろん不当介入というそもそもの問題もありますし、それに加えて、学校現場の負担軽減ということを言っているのに、文部科学省の方でこのような、仕事をどんどんふやすような、余計な仕事、しなくていい仕事をふやしているのではないのか、そういうことも含めて考えると、必要のない質問状だったというふうに私は思っております。

 思っておりますが、今局長の答弁では、一つ一つの項目は必要だったとおっしゃるわけですから、一つ一つ確認をさせていただきたいところではございますが、ここでやっちゃうと時間がなくなってしまいますので、かわりに質問状を送らせていただきます。私からは、メールではなくて質問主意書という形で送らせていただきますので、答弁は具体的にかつ詳細に御教示いただきますようお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 次に、加計学園獣医学部の開設後の状況について質問させていただくということで、きのう通告をさせていただいておりましたが、きのうになりまして、例の愛媛県で作成をした首相案件と記された文書、これが農林水産省でも見つかったというふうに報道されております。このことについて、まず農林水産省にお尋ねしたいと思います。

 文書は、農林水産省のどこで発見されたんでしょうか、どのように保管されておりましたでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、愛媛県が作成した文書に関しての調査結果について御質問がございました。

 報道におきまして、愛媛県庁が作成し、農林水産省にも配った可能性があるという文書につきまして、事実関係の調査を行ってきたところでございます。その結果、課長補佐級の職員一名が文書を保有していることが判明をいたしまして、本日、大臣の記者会見において説明したところでございます。

 以上でございます。

櫻井委員 どこで発見されたのか、どのように保管されていたのかを質問させていただいたので、その点についてお答えをお願いします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま保有しておりました職員の個人ファイルの中に、書面、紙の文書として保存されておりました。

櫻井委員 その職員は、どこの部署の担当、どこの局のどこの課の所属の職員でしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 この当該職員は、いわゆる獣医師を担当するセクションの課長補佐でございました。

櫻井委員 獣医師の課長補佐ということでございますが、どこの局のどこの課でございますか。

冨岡委員長 小川大臣官房審議官。

 小川さん、それを答えに来ているんだから、所属と、名前は言わなくてもいいから、きちっと答えてください。

小川政府参考人 はい、申しわけありませんでした。

 済みません、事前に質問通告をいただいておりませんでしたので、一生懸命聞きながら答えさせていただいているところでございます。

 その職員は、農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課の所属の課長補佐でございます。

櫻井委員 確かに、昨晩の時点では通告できていなかったんですが、けさ急いで、通告というか連絡させていただいたので、もうちょっとよろしくお願いいたします。

 次に、入手の経緯についてお尋ねをいたします。

 愛媛県から、いつ、どのようにして文書を入手されましたでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 調査の結果、明らかになったことでございますけれども、この文書を保有しておりました職員は、この文書自体、報道では平成二十七年四月の作成の文書だったと思いますが、この職員は平成二十七年五月に獣医師法等の担当に異動になりました。この持っていた文書は、前任者から紙で受け取ったということでございます。

 私どもの調査で、当該職員の前任者にもヒアリングをしておりますが、この前任者につきましては、後任者が保有していた文書を見た記憶はなく、後任、すなわち保有していた者に渡した記憶もないということがヒアリングの結果でございましたので、入手の経路につきましては、申しわけありませんが、わかりませんでした。

 以上でございます。

櫻井委員 前任者は知らないと言い、後任者は前任者からもらったと言い、この間の予算委員会でも、どちらかがうそをついているということにしか思えないですけれども、それはともかく、そのことはここでは追及はいたしません。

 次に、愛媛県のこの文書、読んでいただいて、農林水産省として、加計学園獣医学部の新設、これについては首相案件、このような認識をしたんでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 この文書は、先ほど御説明申し上げたとおり、二十七年五月に異動してまいりました補佐一名のみが保有しておりまして、なおかつ組織として共有しておりませんので、役所の組織として、この案件が、この文書に書いてある云々といった情報は共有されていなかったところでございます。

櫻井委員 役所としては、この文書は共有されていなかった、回覧もされていなかった、こういうことなんですけれども、よそからも文書が来たら、普通、役所、役所に限らずですけれども、組織としては、課内、課長なんかに回覧をする、必要があれば更にその上にも回覧をすると思うんですが、そういうような回覧の形跡がなかった、こういう理解でよろしいんでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、この文書を保有していた職員も、これは後任にも引き継いでいないということはヒアリングで確認しております。

櫻井委員 ちょっと、前任は知らない、後任は前任からもらったということで、一体どういう経緯なのかわかりかねるところでございます。

 そもそも、愛媛県は、わざわざ、丁寧につくった文書を、先ほどの委員からの質問にもありましたとおり、農林水産省、内閣府それから文部科学省に送ったというふうな話になっているわけでございまして、これは、送るからには、いきなりどんと送りつけるような代物ではなくて、それまで何らかのやりとりがあったから送ったんだというふうにも思うんですが、これまで、この加計学園獣医学部の新設に関して、愛媛県と農林水産省、何らかのコンタクトがあったと思うんですけれども、どのようなコンタクトがあったか、わかりますでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、各県からいろいろな、例えば予算あるいは補助事業等についての要請といったことは受けることはございまして、そういったことでは愛媛県さんからもそういった要請を受けていることはございますが、この獣医学部の設置につきましては、要請を受けた記録はございません。

櫻井委員 最近は、役所で、何か記憶がないとか記録がないとか文書がないと言われても、にわかに信じられないのが今の状況でございまして、ほかの予算とかそういったことは毎年やっていることだから、改めて特に何かこうです、ああですという説明はないとは思いますけれども、獣医学部新設、しかも五十二年ぶりということになりますと、極めて特殊なものだと思いますので、何もなしにいきなり文書だけぼんと送りつけるというのは、普通、仕事のやり方としてはないだろうと思います。

 したがいまして、何らかのコンタクト、この四月二日の文書を送る前に何らかのコンタクト、電話でのやりとりとか、ないしは、そもそもこの問題について、案件についての協議等があったのではないかと思いますので、その点について再度調査いただけますでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど私、説明申し上げましたとおり、この入手の経路につきまして、前任から引き継いだということでございましたので、前任者につきましてもヒアリングを行ったところですが、その前任者に聞きましたところ、この文書を見た記憶はなく、後任に渡した記憶もないということでございました。

 ただ、実際に、現実に後任者が文書を持っているということであれば、異動に際してお渡しした資料の中に含まれていたのかもしれないといったことが判明した事実、以上でございます。

櫻井委員 これまで役所では、なかなか、記憶にないとか記録にないとか文書がないとか、いろいろ言われても、後から記憶がよみがえったりすることもあるようですので、継続して調べていただきたいと思います。

 それから、前任者の方、文書についての記憶はないということなんですが、加計学園の関係者に会った記憶はあるんでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の調査結果は、愛媛県が作成した文書があるかないかといったこと、その存否につきまして調査を行っておりまして、今御指摘いただいたような人間との面会についてはこの調査では調べておりませんので、今ここでお答えできる情報を持っておりません。

櫻井委員 そうしましたら、前任者の方が加計学園の関係者に会われたかどうか、今治市の職員と会われたかどうか、愛媛県庁の職員と会われたかどうか、この四月二日の文書の関係で会われたかどうかということについてお調べいただきたいと思いますが、よろしいですか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御懸念のとおり、我々も、調査におきまして、保有している職員がございましたので、その入手経路ということで、前任からもらったということでございましたので、前任にお聞きをしております。

 その過程においては、そういった接触あるいは文書をいただいたという記憶がないということで、確認できなかったところでございます。

櫻井委員 記憶はよみがえることがあるのが最近の中央省庁の傾向でございますので、ぜひお願いいたします。

 それから、文部科学省にもお尋ねをいたします。

 愛媛県は文部科学省にも送ったというような話が出てきておりますけれども、文部科学省においてこの文書は見つかりましたでしょうか。

林国務大臣 御指摘の面談記録の文書の有無については、現在、文部科学省において確認作業を進めておるところでございます。

 具体的には、高等教育局を始めとする関係部局において共有ファイル及び共有フォルダを探索するとともに、関係者に対するヒアリングにより、個人ファイル等含め、当該文書の存否をまだ確認しておるところでございます。

 まだ私のところに報告は上がってきておりません。

櫻井委員 この点については、さきの質問をされた委員からも要望がありましたので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、本来、ちょっと加計学園に関連していろいろ質問しようと思っていたことがなかなかする時間がなくなってきているんですが、次に、石破四条件のことについてお尋ねをいたします。

 これは二〇一五年の閣議決定のものですけれども、現在もこの内容は有効だ、こういう理解でよろしいでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 日本再興戦略改訂二〇一五で閣議決定しました四項目は、規制改革事項の実現という項目に位置づけられていることでも明らかなとおり、獣医学部新設という制度上の措置の検討のための項目でございます。

 制度上の措置は、十一月九日の特区諮問会議で規制改革事項の追加をすることにより決定するとともに、一月四日に制定した共同告示により制度設計は完了、一月二十日には特区諮問会議で加計学園を実施主体とする個別の事業計画についても認定され、この時点での特区プロセスは終了してございます。

 獣医学部新設の検討のための四項目は、現在及び将来において常に満たしていなければならないものとは考えてございませんが、他方で、先端ライフサイエンス研究の推進や地域の水際対策の強化など、四項目の充足を前提に認められた所期の構想や計画が着実に実現されているかどうかということは、特区事業の評価ということも含めて重要と考えてございまして、このため、この事業の評価につきましては、文部科学省とも適切に連携しつつ、今後の大学運営等を注視してまいりたいというふうに考えてございます。

櫻井委員 閣議決定して、設置認可の瞬間、その瞬間だけ満たしたら、あとは知らないよというのでは、これはある種、何か詐欺に遭ったようなもののような気がいたします。これはちゃんと、石破四条件をずっと満たしていないとおかしいんじゃないでしょうか。

 もっとも、獣医師の需要動向について、三十年後、五十年後もこれを満たしていないといかぬと言われると、そこは確かに難しいかもしれませんけれども、一年で需要動向が大きく変わるわけでもないのですから、これは二〇一五年の話ですし、認可されたのは去年の十一月ですから、そこから大きく変わるということはあり得ないので、ちゃんとこの四条件、満たしているかどうか、今後ちゃんとチェックをさせていただきます。

 あと、最後にもう一つ。四国につくることについて、四国での獣医師不足への対応ということがうたわれておりました。今回新たに入学されたわけですけれども、一学年定員百四十名のうち、四国入学枠というのを大学独自に設定しておりまして、五年、四国四県内で獣医師として勤務をした場合、奨学金返済免除、一年百万円掛ける六年ですから六百万円、かなり多額の金額ですけれども……

冨岡委員長 櫻井君、時間が過ぎております。

櫻井委員 わかりました。では、これで最後にいたします。

 四国入学枠、何名でしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 岡山理科大学獣医学部におきましては、四国において活躍する獣医師の供給を目的として、入学選抜において四国入学枠を設定しまして、最大二十名を対象に授業料減額補助を行う制度を設けているところでございます。

 入学者については、今年度は四名と承知しております。

櫻井委員 時間になりましたので、これで終わります。

 今のお答えですと、四国の獣医師不足に対応していないように見受けられますので、引き続き、この点についても質問させていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主党・市民クラブの日吉雄太です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。

 先日の委員会で、前川前事務次官の公立中学校での講演に係る調査に関しまして、文書管理規則に基づいた、調査の経緯も含めた意思決定に至る過程を合理的に跡づけ、又は検証することができる文書の作成について質問をさせていただきました。

 四月十日付で本日お配りしました文書を文科省より御提出いただきました。ありがとうございました。

 それではまず、質問をいたします。

 配付資料の一ページをごらんください。

 二月十七日土曜日ですが、官房長が、赤池議員よりショートメールにて、国家公務員法違反者が教壇に立てるのですか、確認お願いしますという確認依頼を受けています。十九日月曜日に、官房長は、赤池議員からの指摘事項について、初等中等教育局に確認依頼をしています。

 念のため確認いたします。十九日までに、林大臣は、官房長より赤池議員からの確認依頼について何らかの報告、こういったものを受けていませんか。

林国務大臣 一連の経緯において、ここにも書かれておりますように、私に報告をいただいたのは、これは一連の経緯でございますから、この一連の経緯の後、向こうに質問を出してから報告を受けたというふうに、あらかじめもう示しているとおりでございまして、この時点では報告を受けておりません。

日吉委員 ありがとうございます。

 二月十九日に池田議員より新聞記事の提供を受けていますが、その際に、池田議員より何らかのコメントはありませんでしたか。二月十七日をごらんいただきますと、赤池議員は、池田議員から問題提起を受けたことから、官房長に確認依頼を行っています。

 池田議員の問題意識は、本人なり官房長から説明はなかったのですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、二月十九日に、前教育課程課長から池田議員に対して、当該新聞記事の提供を求めて、新聞の記事の提供を受けております。このときは、極めて短時間のやりとりであって、池田議員から特に具体的な話はなかったと聞いております。

日吉委員 ありがとうございます。

 そうしますと、三ページの三月一日をごらんください。池田議員に質問状を見せています。二十二日には、それでは、またわかったら教えてほしいと言われました。このわかったらというのは質問の回答を入手したらという意味ですが、質問状自体を事前に見せています。また、その日の夕方には局長が池田議員の事務所を訪問しています。まるで事前に質問状を添削してもらっているかのようです。

 局長は、質問状に対する池田議員のコメントを聞くために池田議員の事務所を訪問したのですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 二十二日の池田議員のコメント、結果を教えてくれという趣旨、これは、このとおり、調査結果がわかったらということでありまして、質問を事前に見せてくれということではございませんでした。それから、そういうようなこともありましたが、初中局の判断で、事前に参考情報としてお届けをしたというものでございます。

 それから、当日私は、たまたま会館をいろいろと回っております中で、池田議員の事務所にも、特にアポをとったわけじゃなくて立ち寄りまして、そこでたまたま議員がいらっしゃいまして、そんな話になったということでございます。

日吉委員 そもそも、単に新聞記事を提供しただけで、特段自分の問題意識を事前に文科省に説明したわけでもない池田議員に、質問状を教育委員会に送る前にわざわざ見せることに大きな違和感を覚えます。

 今回の調査の質問事項は、二月二十八日に、名古屋教育委員会からの提供資料、天下り問題に関する事実関係、過去の報道内容に基づき、教育課程課長が教育課程課長補佐に対し具体的な指示を出し、教育課程課長補佐が作成して、課長の承認を得たものとなっています。

 しかし、実は池田議員より事前に質問事項を指示されていた、こういったことはなかったのでしょうか。だからこそ、質問状を送る前に池田議員に事前に見せたのではないのでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 池田議員から事前に質問事項について指示なり指摘があったということは、ございません。

日吉委員 次に、質問状の内容について伺います。

 今回の調査の最初の質問状の中に、天下り問題により停職相当となった前川氏を道徳教育が行われる学校の場にどのような判断で依頼されたのかという項目があります。また、二回目の質問状でも、道徳教育を行う学校において授業を行ったことについて、改めて校長の見解を具体的に御教示くださいと重ねて尋ねています。

 道徳教育、これが一つのキーワードになっています。

 それでは、お伺いいたします。

 天下り問題で停職相当となった人は道徳的ではない人、こういうことになりますか。

高橋政府参考人 本人の非違行為により停職相当になった方を学校に外部講師として招くことが、学校が行う道徳教育の観点に照らし、直ちに不適当であるとは考えておりません。

 一般的に、各学校においてどのような方を外部講師として招くかは、その授業の全体計画や、年間指導計画における位置づけ、当該講師を招く狙いや内容、その方が講師としてふさわしいか否かなどに配慮しながら、各学校において適切に判断いただくものであり、文科省として、どのような人物を講師として招いてはいけないといった基準を設けているものではございません。

日吉委員 おっしゃるとおり、道徳的ではない人、こういったことを決めつけることはできないわけでございます。

 そうしましたら、もし仮に、今回の講演で、前川氏が道徳教育を否定するような発言をしていたとしたら、そのことをもって、文科省は指導ないし助言の対象とされたでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 個々具体の事例、内容に照らしてそこは判断すべきでありますので、大変恐縮でございますが、ちょっと仮定の御質問ということであれば、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

日吉委員 そうしましたら、ちょっと質問の仕方を変えさせていただきます。

 今回の調査において、道徳教育が行われる学校の場で、学習指導要領に合致しない、道徳教育を否定するような発言が前川氏からありましたか、こういった質問がこの質問状の中に含まれておりませんでしたが、このような直接的な質問は、今回の調査において必要はなかったのでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、質問状の中で、今回の授業の内容についていろいろと問合せをしておりますので、その内容を教えていただくことによって、その点は私どもの方で判断ができると考えたものでございます。

日吉委員 そうしますと、今回の調査で講演録や録音データの提供を求めていますが、これは、学習指導要領を逸脱した発言がないかどうか、あるいは道徳教育を否定するような発言がないかどうか、こういったことをチェックする趣旨でこういった資料を求めていたのでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 道徳教育ということではなくて、授業内容全体について把握するためにその資料を求めたものでございます。

日吉委員 今回、こういった講演録や録音データ、これを求めたわけでございますが、まさか、名古屋市からの回答が疑われるので録音データで確認をしたかったから、こういったことでしょうか。前川前事務次官を名古屋市の公立中学校が呼んで講演を行ったことに対する教育委員会の報告にうそがあるのではないか、こういったことを感じたからこの録音データの提供を求めたとしか思われないのですが、御答弁をお願いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 そのようなことはございません。一回目の質問状においては、確かに講演記録とか録音データなどがあればということをお願いいたしましたが、それについては提出ができないということでございましたので、再質問では、その点については再度は聞いてございません。

 私どもとしては、授業内容に関する一定の資料あるいは御回答がいただけましたので、それによって授業内容については把握できたと考えておるところでございます。

日吉委員 今、再度聞いていないと御答弁いただきましたけれども、なぜ提供できないのかというような質問が二回目にもあったように記憶しておりますが、もう一度御確認いただけないでしょうか。

高橋政府参考人 二回目の質問状では、再度録音データを出してほしいということではなくて、このような質問をしております。

 本授業は、マスコミなどでも全て公開で開催されるものと理解しており、録画記録を外部に提出することについて、本人の許可が必要とされる理由を御教示ください、また、まとめたものについては御提供いただけないでしょうか、こういう形で、まとめたものについてはお願いをしておるところでございます。

日吉委員 同じような感じがするんですけれども、ちょっと次に行かせていただきます。

 文部科学省は、今回の調査におきまして、停職相当は道徳的ではない、出会い系バーは道徳的ではない、こういった一定の価値観を示したのではないかという印象を持っております。

 確かに、道徳的ではないと明示はしていませんが、停職相当、出会い系バーについて繰り返し質問をすることで、暗黙のうちに価値観を押しつけているように感じますが、この点について御答弁をお願いいたします。

高橋政府参考人 今回の調査におきましては、あくまで事実関係について内容を確認したものでありまして、私どもといたしましては、道徳的な価値観を示すような記述はない、御指摘は当たらないと考えております。

日吉委員 今回の調査の質問状の追加質問の一において、このような事実関係、すなわち、いわゆる天下り問題について、非違行為を理由として停職相当とされたという事実関係を前提とした場合、このような責任を問われた方が、道徳教育を行う学校において授業を行ったことについて、改めて校長の見解を具体的に御教示くださいとありますが、これに対して、校長は、今回の授業は道徳の授業ではありません、このように回答しています。

 つまり、平たく言いますと、道徳教育を行う学校で停職相当者が授業を行うことはけしからぬ、このように言われたのに対し、校長は、いやいや、これは道徳の授業ではないですから、こう答えているわけでございます。

 少なくとも、校長は、停職相当者は道徳の授業を行うことには問題がある、こういったメッセージを文科省から受け取ったものとここでは認識されます。言いかえますと、文科省はそのようなメッセージを発したということになると思うんですけれども、この点について、お伺いいたします。

高橋政府参考人 恐れ入ります。

 名古屋市教育委員会、あるいは校長先生の受けとめについては、ちょっと私どもが直接コメントする立場にありませんが、私どもはあくまで事実関係について内容を確認したものでありまして、何か道徳的な価値観を一定示したというようなものではないと考えております。

日吉委員 中学校学習指導要領解説、これによりますと、「道徳科の授業では、教師が特定の価値観を生徒に押し付けたり、指示通りに主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない。多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、人間としてよりよく生きるために道徳的価値に向き合い、いかに生きるべきかを自ら考え続ける姿勢こそ道徳教育が求めるものである。」とあります。

 例えば、うそをついてはいけない、これは一面ではそのとおりです。しかし、相手を思いやる優しいうそ、こういったこともあるでしょう。

 今回の質問状のやりとりは、文部科学省は実質的に、停職相当は道徳的ではない、出会い系バーは道徳的ではないと主張するのに対して、校長は、必ずしも道徳的ではないというわけではないと応戦しているわけです。ある種そこには、多様な価値観の、時に対立する場合において、教育とはどうあるべきかという価値観の対立を見てとることができます。

 私たちは、いま一度、道徳教育と真剣に向き合う必要があるでしょう。文部科学省は、明示的であれ暗黙的であれ、道徳的価値観を押しつけてはなりません。

 今回の調査は、決して、やや誤解、表現ぶりの問題ではなく、まさに道徳的価値観の押しつけではないでしょうか。

高橋政府参考人 大変、繰り返しになって恐縮でございますけれども、今回の調査、私どもとしては、あくまで事実関係についての内容の確認であって、一定の道徳的な価値観を示した、あるいはそれを押しつけたといったようなものではないと理解をしております。

日吉委員 繰り返しになりますけれども、受け取った校長は、この質問に対して、圧力を受けた、このように感じていると思うわけです。受け取った側がどのように感じたのか、これが重要だと思います。

 繰り返しになりますが、もう一度、御答弁をお願いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと通告がなかった部分で、ちょっと今手元に資料がございませんが、名古屋市の教育委員会や校長先生が記者会見をされておりますが、その中では、文科省からの圧力に感じたといったような発言はなかったのではないかと記憶をしております。

日吉委員 この点につきまして、林大臣の御見解もお伺いしたいと思います。お願いいたします。

林国務大臣 今局長が答弁したとおりだと思います。

日吉委員 そうしたら、質問をかえさせていただきます。

 今回の前川氏の講演について、局長は先日の委員会にて、現時点で法令や学習指導要領に反する事実は確認できないと答弁されましたが、局長は、前川氏の講師としての適格性をどのように今評価されておりますか。

高橋政府参考人 一般的に、各学校においてどのような方を外部講師として招くかについては、その授業の全体計画や年間指導計画における位置づけ、当該講師を招く狙い、その方が講師としてふさわしいか否かなどに配慮しながら、各学校において適切に判断していただくことが基本でございますので、私がそれを適切とか不適切だと言う立場にはないと考えております。

日吉委員 そうしますと、今回の停職相当、出会い系バー、これについては適切か適切ではないか、どのようにお考えでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも何度か答弁をさせていただいておりますが、今回、停職相当の処分であったから授業をしてはいけないとか、あるいは出会い系バーに関する報道があったから授業をしてはいけないということを私どもとしては考えておりません。

 ただ、そういったことについて、発達途上にある中学生に対する授業でございますので、そういった点についてはもう少し事情を調べていただいて、教育的な配慮が行われたかどうか、そういったことについて事実関係を今回確認した、そのようなものの位置づけでございます。

日吉委員 しかしながら、繰り返し繰り返し、停職相当、出会い系バー、この質問をすることによって、相手は圧力と受けとめたり、価値観の押しつけだと受けとめられたりするわけでございます。

 そういった点も含めた場合に、価値観の押しつけ、こういったことが実質的に行われたのではないか、このように考えますが、いま一度、御答弁をお願いいたします。

高橋政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたが、名古屋市教育委員会や校長先生が行った記者会見の中で、何か文部科学省から一定の道徳の価値観を押しつけられたとか、圧力を感じたといった発言はなかったのではないかと記憶しておりますが、これは再度確認をいたしたいと思います。

 ただ、今回のこの二度にわたる質問状につきましては、その表現ぶり等について十分な留意が必要であったということは注意を受けたところでございます。その点については、私どもとしては、真摯に受けとめて、今後、学校現場あるいは教育委員会に対する対応については、より丁寧な対応に努めていく、そういうことを考えているところでございます。

日吉委員 先ほども申し上げましたけれども、停職相当について問われたときに、校長は、これは道徳の授業ではない、このように回答したわけでございます。それは、停職相当という人が中学校の授業において講師をしたということは道徳ではだめだろう、このように感じたからでございます。それは、やはり文科省が暗黙のうちに校長にそのような印象を与えているわけでございます。これが価値観の押しつけだ、そういうふうになるというふうに思っているわけですけれども、大臣はこれについてどのようにお考えになるでしょうか。

林国務大臣 今局長が答弁いたしましたように、私もちょっと記憶が鮮明ではございませんが、教育長さんと校長さんが並んで会見をされておったのを何か読んだ記憶がございますので、そういうふうな受けとめをしておらないというような趣旨の御発言があったのではないかというふうに記憶をしております。

 それから、今回、我々から回答させていただきました。長島委員の御指摘も踏まえて、私から注意があったことも含めて、先方に回答いたしたわけでございまして、このことを受けて、四月三日に名古屋市教育長が報道に向けてコメントを出したということを承知しておるわけでございます。

 内容としては、今回の授業については、ちょっと中略ですが、法令に違反するようなものではないとの回答をいただきました、外部講師の選定についてはもう少し慎重な検討が必要ではなかったかとの御指摘をいただきましたが、引き続き、外部講師の選定に当たっては事実関係を十分に調査するなど適切に対応してまいりますというものをいただいておりますので、おおむね私どもの回答を受けとめていただいているというふうに考えております。

日吉委員 仮に教育委員会の方が、こういう価値観の押しつけがあった、このように受けとめられたとしたら、文科省としては、そういった価値観の押しつけをした、このように認識をされるのでしょうか。

林国務大臣 済みません。今、その当時の文書がございましたので、三月十六日に名古屋市教育委員会教育長コメントとして報道提供された文書がございます。その中にいろいろ書いてございますが、単なる問合せやお願いと捉えられており、介入と認識していない、こういう御発言でございました。

日吉委員 その続きがありまして、このような詳細な調査はちょっと異例だ、このようなコメントはなかったでしょうか。

林国務大臣 このような問合せは今まで聞いたことがない話である、文科省にはどのような意図で問合せをしてきたのか改めて聞きたいということでお問合せをいただいて、先ほど申し上げたようなお答えをして、その後コメントが出ておる、こういうことでございます。

日吉委員 確かに、問合せがありまして、その後コメントをされてはいるんですけれども、きょう、いろいろ申し上げさせていただきました、価値観の押しつけということを申し上げたんですけれども、全体として、本当に、この表現ぶり、誤解程度の話であったのか、本当にもう一度御検討、確認をしていただきたいと思います。

 時間になりましたが、最後に一つだけ。

 今回、助言を行いましたが、これによりまして、今回の調査、終わったということでよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 名古屋市教育長に対する助言も既に行っているところでありまして、今後特段の事情変更がない限りは、現時点で今後何か追加で質問すべきようなことは考えてございません。

日吉委員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、城井崇君。

城井委員 希望の党の城井崇でございます。

 引き続き、質問を申し上げたいと思いますが、私からも加計学園の問題について、残念ながら触れざるを得ません。

 先ほどより質疑のやりとりがございましたけれども、二〇一五年の四月の二日、首相官邸における柳瀬元総理秘書官、藤原元内閣府次長と、愛媛県の地域政策課長、今治市企画課長、加計学園事務局長らの面談記録の文書についてであります。内閣府、文部科学省、そして農林水産省に配付されているという報道がございました。愛媛県知事もこの文書作成の事実を認めているということで、大変重い発表があったというふうに思っております。

 まず、本日の報道ということで先ほどからございましたが、私からも何点か、確認とお願いをさせていただきたいと思います。

 農林水産省、きょうは副大臣にお越しをいただきました。朝早くからの御連絡で恐縮でしたけれども、よろしくお願いします。

 まず、先ほど、閣議後の記者会見で、齋藤農水大臣から、この文書に関する発表、公表があったというふうに伺いました。先ほど農林水産省の事務方の方からも、この発表した内容について詳細を伺ったところでございますが、その点についても何点か確認をというふうに思います。

 まず、これまでにも文書を入手あるいは確認したメディア、例えば朝日新聞、毎日新聞、読売新聞などから全文の掲載の報道がありましたけれども、これまでの報道のあった全文と同一の内容だったということでよろしかったでしょうか。

礒崎副大臣 先ほど、農林水産大臣の記者会見で、農林水産省において、愛媛県庁が作成して各省に配付したと言われている文書について、発見をした旨を報告させていただいたところでございます。

 御質問については、それが従来報道されているものと同じかという御質問だと承りましたが、重大な違いが二点ございまして、これまで出されている文書は平成二十七年四月十三日付でありましたけれども、農林水産省で保存していた文書は平成二十七年四月三日のものでございました。

 それから、若干のてにをはの訂正もありますが、大きい二番が大きく変わっておりまして、二番、ちょっと読み上げますと、ついては、県としては、国家戦略特区申請のための提案書(案)について、今治市の意向を踏まえて、加計学園とも協議をしながら連携して作成を進め、内閣府と相談させていただきたいという内容になっておるところでございます。

 以上です。

城井委員 もう一点、この公表文書について内容の確認をさせてください。

 今ほど御紹介いただいた全二枚のメモのうちの二枚目でございますが、この中に、本件は首相案件との記載があるということでよろしいでしょうか。

礒崎副大臣 お答えいたします。

 先ほど御答弁申し上げたように、先ほど私が申し上げた点以外は報道されている文書と同じものではございますので、首相案件という記載はあります。

城井委員 ありがとうございます。

 もう一点、先ほどからの質疑のやりとりで、農水省から審議官さんにお越しをいただいた質疑が先ほどございました。その中で、この農水省からの説明にもございますけれども、実際に、職員一名、課長補佐級の方が持っていたということだったんですけれども、その持っていた方は前任者からこの資料を引き継いだというお話でございました。しかし、その前任者は引き継いだ記憶がない。こういう話になっておりまして、どっちなんだ、どっちが本当なんだということでありまして、どちらかが真実ではないことを言っているのではないかという部分。

 この入手やそして資料の共有、保管の経緯について、改めて農林水産省として調査をいただきたい、政務三役として、これは調査を指示していただきたいというふうに思いますけれども、この点、調査いただけますか。

礒崎副大臣 事実は、まず担当課長補佐がそういう文書があったことの記憶がないと言っておるわけでありまして、その担当補佐の後を継いだ担当補佐は引継ぎというか文書として引き継いだ記憶があると言っておるわけで、別に矛盾はないと思います。記憶があるかどうかの問題だけで、最初にこの文書が来たときの担当補佐は、そんな文書があったことも、それを後任に引き継いだ記憶がないと言っているだけでありまして、後任の人は、その文書を引き継いだ記憶があると言っていることで、記憶の問題だけでありまして、何も矛盾があるとは考えておりませんので、その調査は私は必要ないと考えております。

城井委員 副大臣、今回のこの公表いただいた文書の入手の経緯が明らかになっておりませんで、ここの部分をお調べいただきたいとお願いしておりまして、この入手の経緯のところをぜひお調べいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

礒崎副大臣 その点でありますれば、もちろん調査はいたしますけれども、さきおととしのことでございまして、そのときの、文書を受けたであろうと思われる担当課長補佐も、この文書に全く記憶がないと言っているわけでありまして、だから、誰が持ってきたのかよくわからない。

 ただ、経緯とすれば、これは愛媛県の地域政策課というクレジットが、愛媛県とは書いてないんですけれども、地域政策課というクレジットが書いたものを持ってきて、かつ、これが、外形上は愛媛県の文書のようにも思えますので、愛媛県庁の職員が持ってきたのではないかという推定はできます。

 記憶がないというのは、我々ももちろんきちんと聞いているわけでありますけれども、なかなか呼び起こすのは難しいかなと思いますけれども、御指摘もありますので、もう少し、記憶が呼び覚ませるものかどうか、努力はしてみたいと思います。

城井委員 副大臣からも今お話がありましたが、愛媛県の職員さんが持って回ったんだろうということでありますけれども、その愛媛県の方に、では、どちらのどの方に持っていきましたかねということを確認することも含めて調査いただければ、真実は、事実ははっきりするというふうに思いますので、この入手の経緯について調査をぜひお願いいたします。やっていただけますよね。

礒崎副大臣 愛媛県の方には確認をしてみたいと思います。

城井委員 では、調査、よろしくお願いいたします。

 この文書でありますが、先ほど申しましたように、内閣府と文部科学省にも配付されている、こういう報道でございました。

 文部科学省であります。大臣、きょうまで見つかっていないんですよね。

林国務大臣 先ほどの答弁に重なりまして恐縮でございますが、御指摘の面談記録の文書の有無について、現在、文科省において確認作業を進めておるところでございます。

 具体的には、高等教育局を始めとする関係部局において、共有ファイル及び共有フォルダを探索するとともに、関係者に対するヒアリングによりまして、個人ファイル等を含めて、当該文書の存否を確認しているところでございます。

 まだ私のところに報告は上がってきていないところでございます。

城井委員 文部科学省内での調査の対象となり得る方ですけれども、担当課を含めて、そんなに人数は多くないというふうに思うんですね。

 実際に、今回の対象者、今、調査対象の人数はどれぐらいになっていますか。

林国務大臣 ちょっと人数は、今すぐ手持ちがございませんが、共有ファイル等探索範囲は、専門教育課、高等教育企画課、私学行政課、総務課行政改革推進室、また、聞き取り調査の対象者は、平成二十七年四月以降の高等局長、審議官の高等教育担当、私学部長、高等教育企画課長、専門教育課長、私学行政課長、総務課行政改革推進室長等となっておりますので、かなりの範囲に及ぶものというふうに承知をしております。

城井委員 本日の理事会では約五十名という報告でございました。この五十名ですが、確認済みの、現時点の状況、どのぐらいの割合まで今調査が進んでおりますか。

林国務大臣 申しわけございません。まだ、今、その詳細な報告は受けておらないところでございます。

城井委員 これはいつまでに国会に対して御報告をいただけますでしょうか、大臣。

林国務大臣 これはなるべく早く行いたいというふうに思っております。

城井委員 行政の信頼性にかかわる重要な部分だというふうに思っておりまして、この点をクリアしないと、なかなか次の国会審議、前へ進んでいくことが難しいというふうに私どもも考えておりますので、ぜひ、一日も早くということで、時期のめどを一言はっきりとおっしゃっていただけないでしょうか。

林国務大臣 理事会で御説明をしたようでございますが、懸命に今調査をして確認中でございます。調査対象者は五十人ぐらいおるということで、中には在外の者もおる、こういうことでございますので、なるべく早く確認したいと思っておりまして、今のところ、来週の早い段階で報告したいというふうに申し上げておるところでございます。

城井委員 一日も早い報告、ぜひお願いしたいというふうに思います。

 この件でもう一点だけ確認をさせてください。

 二〇一八年の四月十二日、私が見たのは東京新聞の報道でございましたが、二〇一七年の三月に官邸側から文部科学省に、近く今治市などが官邸訪問するとの連絡があったと報道されております。これは文部科学省関係者への取材だというふうにこの記事ではなっております。

 先ほど大臣は、この件は事実関係を確認中ということでございましたけれども、この報道自体の内容は事実でしょうか、誤報でしょうか。ここを端的にお答えいただけますか。

林国務大臣 今御指摘のあった報道については、まさに今現在関係者に事実関係を確認しておりますので、その確認ができませんと、報道が正しいかどうかというのは申し上げにくいことだと思います。

城井委員 では、その中身のところで一点だけ確認をしたいというふうに思います。

 官邸サイドから文部科学省に連絡をしたのは内閣官房に出向していた文部科学省の幹部だという報道でございました。このときに内閣官房に出向していた職員の方はどなたで、当時の役職は何だったでしょうか。

林国務大臣 ちょっと御通告がなかったものですから、手元に資料がございませんが、そのことも含めて今事実確認をしておるところでございます。

城井委員 調査の上で御報告をぜひあわせてお願いしたいというふうに思います。

 それでは、続いて、北海道経済産業局によるニセコ高校への授業内容への不当介入事案についてお伺いしたいというふうに思います。

 まず、文部科学省に確認を一点させてください。

 これは、経済産業省の資源エネルギー庁の関係で、エネルギー教育モデル校認定に伴う授業の一環として行われたエネルギー教育特別講演会ということでございました。これはニセコ高校における正規の授業の一環だったかどうか。学校の設定科目や現代社会の範囲で行われたというふうに聞いておりますが、この点の事実を具体的にお示しいただけますか。

高橋政府参考人 この件については、現在、設置者である教育委員会を通じて確認をしているところでございますが、確認できている範囲で申し上げますと、御指摘の講演は、昨年十月十六日の五時限目、六時限目に、当該高校の一年生から三年生の全校生徒を対象に、教育課程に位置づけられた授業として行われたものと報告を受けております。

 具体的には、これは全学年でございますので、一年生は農業と環境という授業に、二年生の場合は、ちょっとコースによって違うんですが、農業科学コースの生徒は作物、生活園芸という科目、二年生のうち観光リゾートコースの生徒は観光の2という科目、それから三年生の農業科学コースの生徒はグリーンライフという科目、そして観光リゾートコースの三年生の生徒は現代社会にそれぞれ位置づけて行われたものと伺っております。

 このうち、学校設定教科、科目に該当しますのは生活園芸と観光2ということになります。

城井委員 ありがとうございます。

 教育課程の一環、学校の授業の一環ということで確認をさせていただきました。そういたしますと、今回の、北海道経済産業局がニセコ高校の正規の教育課程に基づく授業の内容に口を出した、こういう話になります。

 ここで、経済産業省、きょうは政務官にお越しいただきました。ありがとうございます。

 この北海道経済産業局のニセコ高校の正規の授業内容への修正は教育委員会や文部科学省を介して行われたものかどうかということを経済産業省に確認したいと思います。

大串大臣政務官 お答えいたします。

 資源エネルギー庁では、小中高校生を対象に、多様なエネルギー源のメリットやデメリット、エネルギーに関する課題の解決策を学び、考えることに取り組む意欲的な学校を支援する委託事業として、エネルギー教育モデル校事業を平成二十六年度以降実施しております。

 お尋ねの、昨年十月十六日にニセコ高校が本委託事業の一環で開催される講演について、北海道経済産業局の職員が講演資料を事前に入手いたしまして、講師の方を直接訪問し、国の支援事業の趣旨をお伝えするとともに、原子力の論点だけを取り上げて言及したものでございます。

城井委員 北海道経済産業局が直接、今回の授業の外部講師の方に会って修正を要求した、やりとりした、こういうことでよろしいですね。

大串大臣政務官 さようでございます。

城井委員 政務官、そうなりますと、ちょっとやはり問題があります。

 これまでにも、名古屋市の中学校での事案もございましたけれども、今回の、この北海道経済産業局が学校現場の講師に直接修正要求を行ったということでありますと、教育基本法の十六条などに規定をされております、教育に対する不当な支配でありますとか教育現場に対する不当な介入ということに当たります。ゆゆしき事態です。違法行為であります。

 この違法行為の認識、そして、この違法行為の責任は誰にあるか、あわせて、そこを踏まえて、今後の対応をきちんとお示しいただきたいというふうに思いますが、政務官、お願いします。

大串大臣政務官 今回の資料に対する指摘は、本事業の目的に照らし、エネルギー源のメリットやデメリットが生徒に公平かつ正確に伝わるようになるよう行ったものでありまして、教育への介入をいたしたものではございません。

 ただし、北海道経済産業局の職員が講師の方を直接訪問し、原子力の論点だけを取り上げて言及をしたことは、エネルギー広報事業のあり方としては、あたかも授業内容に介入しているかのような誤解や懸念を招きかねない行為であったと考えております。

 この点は大変遺憾でありまして、慎重さを欠いていたことを真摯に反省しなければならないと考えております。

 今後の対策でございますが、今後、このような誤解や懸念を二度と生じさせないように、今回の事案の対象でありますエネルギー教育モデル校事業については、平成三十年度の新規募集は行わず、来年度以降は事業全体を廃止することにしております。

 一方で、エネルギー教育を担っていただく先生方を支援することはやはり引き続き重要であるために、資源エネルギー庁のホームページ上での学生向けのわかりやすいエネルギー教育コンテンツの充実、エネルギー教育に意欲的に取り組む教員や教育関係者への教育コンテンツの情報提供などの取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

城井委員 修正内容の価値判断は、きょう、今の私の質問では横に置かせてもらっています。

 何を問題にしているかといいますと、その授業へのかかわり方を、教育委員会や、そして文部科学省を入り口にして教育委員会に聞いていただくといった、ルートが違ったから今回はだめなんですよということを申し上げておりまして、そこを御理解いただけないと、今後また同じことを繰り返してしまうおそれがあります。

 先生方を応援いただく分はいいんです。正しい理解につながるように、さまざまな情報に触れていただくことも必要でしょう。ただ、そこを、学校現場にかかわる講師の方に直接というのがまずかった。

 今後、こうした教育現場へのかかわりについて、きちんと、当該の教育委員会ですとか文部科学省に相談しながら、教育委員会とどのように相談しようかということも含めて、懇切丁寧にやっていただけるということを確認したいんですけれども、政務官、お願いいたします。

大串大臣政務官 繰り返しになりますけれども、資料に対する指摘は事業の趣旨を伝えるためのもので、教育への介入をいたしたものではございません。

 いずれにいたしましても、今回、原子力の論点だけを取り上げて言及をしたことというのが、エネルギー広報事業のあり方として、あたかも授業内容に介入しているかのような誤解や懸念を招きかねない行為であったというふうに考えております。この辺は、先ほども申しましたとおり、大変遺憾でございまして、慎重さを欠いていたことを真摯に反省しなければならないと考えております。

城井委員 政務官、内容の是非じゃなくて、ルートがまずかった、当たり方がまずかった。教育委員会や文部科学省を通じての相談でしたら、あり得た話だったんじゃないかと。

 直接というところがまずかったという点をぜひ御理解いただいて、今後、教育現場とかかわるときに、文部科学省や教育委員会と相談しながら進めましょうということで一言おっしゃっていただきたいわけでございますが、この点、ルートをきちんと確認しながらやりますということでおっしゃっていただけませんか。

大串大臣政務官 御指摘の点でございますが、今回まだ調査中でもございますが、この件に関しましては、今後のことも含めまして、文科省としっかりと相談をして対応してまいりたいと考えております。

城井委員 教育に対する不当な支配と間違われないように、ルートを間違えないようにしてほしいということを申し上げておりまして、この点を確認したいんです。

 教育現場に直接これからも当たるんですか。そこは違ったということを、直接当たったことが間違ったということだけは認めていただかないと、またやるんじゃないかという邪推を呼んでしまいます。そうならないように、ここではっきりさせておきたいんです。政務官、もう一回お願いします。

大串大臣政務官 御指摘の訪ねるというルートの件も含めまして、文部科学省としっかりと協議をして対応してまいりたいと思います。

城井委員 今回の件は当たり方とルートが違った、間違っていた、この点を確認したいんです。

 間違っていましたよね。政務官、もう一回お願いします。

大串大臣政務官 御指摘のとおり、直接講師に当たったというところが、確かに我々としても、いささか行き過ぎたところがあったのではないかなというふうに考えております。

 これも含めまして、こういった点を踏まえまして、今後、ルートも含めてしっかりと協議をして、これからこういうことがないように対応してまいりたいというふうに思います。

城井委員 やや行き過ぎたという表現だったですね。もう一回、そこのところをはっきりお願いします。

 政務官、もう一回お願いします。

大串大臣政務官 現実にこのような誤解や懸念を招いていること自体が、やはりこれは適切ではなかったというふうに考えておりますので、これからは気をつけてまいりたいと思います。

城井委員 政務官、ありがとうございます。

 文部科学委員会での議論でいつも我々も本当に心がけているのは、教育現場での創意工夫や努力をしっかりと生かしていく環境づくりを国としても後押ししていこうということをいつもいつも申し上げております。その意味で、先ほどからのお話をぜひ十二分に御理解いただいて、今後、取組をお願いしたいというふうに思います。

 質疑時間が参りましたので、これでおしまいにいたします。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 希望の党の源馬謙太郎でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、先日も著作権法の質疑の際に少し触れさせていただいた海賊版サイトについて、少しお伺いをしたいと思います。やはり、日本のコンテンツ産業を守っていくという観点から、この大事な問題について、御所見それから対応策などを伺っていきたいと思います。

 実は、この数日間で、海賊版サイトの一つである漫画村というサイトをめぐってさまざまな動きがありました。

 私がちょうど著作権法の質問をさせていただいた十一日の午前中に、質疑の際にも触れましたけれども、この漫画村というサイトが突然アクセスができなくなったという状況がありました。そして、その日の午後に菅官房長官が、海賊版サイトについて会見でコメントをされております。

 この海賊版サイトに関しては、この前も触れましたけれども、出版者ですとか、それから創作者、漫画の作家ですね、こういった方たちが大きな被害を今受けております。

 さかのぼること昨年の九月には、無断でコピーされた漫画や書籍の海賊版サイトにインターネットの利用者を誘導する、いわゆるリーチサイトの運営者が、著作権法違反容疑で逮捕されたということがございました。

 リーチサイトというのは、御存じだと思いますけれども、漫画を不適切に、海賊版サイトがたくさんあって、そこへのURLを張っていて、見たい人はこちらへというようないわゆるサイトでございます。作品が直接そこに掲載されているわけではないけれども、これは著作権法違反という容疑がかけられるということでございます。

 きょう、資料をお配りさせていただいていますが、漫画家たちの皆さんの協会、「あしたのジョー」で有名なちばてつやさんが理事長を務める公益社団法人日本漫画家協会が、こうした海賊版サイトについての見解というのを出されています。

 これはお読みいただければと思うんですけれども、つくり手と作品を利用する皆さんがきちんとした輪の中でつながっていることが大事なんだけれども、残念ながら、最近、私たちつくり手がその輪の外に追いやられてしまうことがふえている、そのかわりに、全く創作の努力に加わっていない海賊版サイトなどが利益をむさぼっている現実がある、悲痛な叫びをあらわされております。

 そこでまず、大臣に伺いたいんですが、こうした漫画家がせっかく生み出した作品、それが、全く創作にかかわっていない海賊版サイトによって不当に利益を害されてしまっているという現状について、大臣の基本的なお考えを伺いたいと思います。

林国務大臣 御指摘がありました海賊版サイトを始め、インターネット上における著作物の違法流通による権利者の被害、これは深刻な状況にありまして、大変ゆゆしき問題であるというふうに認識をしておるところでございます。

 実は、この点につきましては、本日、けさ開催をされました知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議におきまして、政府として、インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策というのを決定したところでございます。

 文部科学省としては、この決定を踏まえまして、必要な検討等を進めてまいりたいと思っております。

源馬委員 済みません、けさのことなので通告していないんですが、その緊急対策の具体的な中身というのを教えていただくことはできるでしょうか。

林国務大臣 簡単に御説明いたしますが、まず、背景としては、今まさに申し上げたように、運営管理者の特定が困難であって、侵害コンテンツの削除要請すらできない海賊版サイト、例えば漫画村、アニチューブですか、それからミオミオ等のサイトが出現し、著作権者等の権利が著しく損なわれている事態となっているということでございます。

 考え方の整理としては、こういう悪質な海賊版サイトのブロッキングに関する考え方の整理ということで、ブロッキングは、通信の秘密を形式的に侵害する可能性があるが、仮にそうだとしても、侵害コンテンツの量、削除や検挙など他の方法による権利の保護が不可能であることなどの事情に照らし、刑法第三十七条に言います緊急避難の要件を満たす場合には、違法性が阻却されるものと考えるということで、当面の対応として、法制度整備が行われるまでの間の臨時的かつ緊急的な措置として、民間事業者による自主的な取組として、漫画村、アニチューブ、ミオミオの三サイト及びこれと同一とみなされるサイトに限定してブロッキングを行うことが適当と考えられる、サイトブロッキング対象ドメインの考え方に沿って、適切な管理体制のもとブロッキングの実施がなされるよう、知財本部のもとに関係事業者、有識者を交えた協議体を設置し、早急に必要とされる体制整備を行うということで、あわせて、海賊版対策の著作権教育の重要性についても決めたところでございます。

源馬委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただいた緊急対策の中身、特にサイトブロッキングについてはまたちょっと後ほど触れさせていただきたいと思います。

 その前に、こうした海賊版サイトが、いかに漫画家ですとか創作者の利益を害するのみならずやる気までそぐことになってしまっているか、こういうことについて少しお話をさせていただきます。

 実は、私の身近に漫画家の方がいらっしゃいまして、その方に少し御意見を伺ってみました。この方は、私の地元の浜松の、昨年、NHKの大河ドラマで「おんな城主直虎」というのをやっていたんですけれども、この直虎の漫画も描かれて、地元では非常に有名な方なんですが、その方に伺ったら、やはり海賊版サイトというのは漫画家にとって本当に死活問題だ、早く取り締まる法律をつくってもらいたい、このままでは漫画家が生きていけない、作品がつくれない、漫画文化の危機そのものだ、こういうふうにおっしゃっておりました。

 先ほどちょっとお話ししましたが、先日アクセスできなくなった漫画村、これについても少し調べてみましたら、実は、いろいろな人気コミック、最新版の人気コミックだけではなくて、さっきもありました「あしたのジョー」ですとか、昔懐かしの非常に有名な作品、それから、漫画だけではなくて村上春樹さんの小説なんかも読むことができるということになっておりました。

 トップページは、きょうお配りさせていただいた資料がございます、二枚刷りの資料ですけれども、その一枚目にあるような感じでトップページが出てきます。これは、閉鎖される寸前にうちのスタッフがたまたまとっておいてくれたものですから、よかったんですが、こういうふうに、漫画村とはというふうになっていて、漫画村を見るのは違法じゃないのというQアンドAみたいなのがありまして、違法ではありません、詳しくはというところをクリックすると、二ページ目、これは文化庁のページに飛んでいます。

 やはりこれは、文化庁お墨つきのような誤解を与えるというふうに思いますが、まず、この文化庁のサイトがリンクされているということを把握していたのか、今、違法か違法じゃないのかということも議論になっていますけれども、文化庁としてその辺の認識を伺いたい、また、もし知っていたんだとしたら、何らかの対策はとられたのかどうか、伺いたいと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の漫画村のお話でございますけれども、漫画村につきましては、いわゆる著作権者の許諾の得ていない著作物を蔵置しているということにつきましては著作権法違反という疑いがあるということを認識しておりますけれども、御指摘の漫画村のホームページにおきまして、文化庁のホームページのURLが記載されていたことは承知しておりますけれども、特段抗議は行っておりません。

 漫画村を始めといたします違法サイトは、侵害者や運営者が特定できず、権利行使や削除要請が困難であるということ等を踏まえましてこのたびの緊急対策になったわけでございますけれども、文化庁といたしましては、こういった緊急対策を踏まえてしっかりと対応したいと考えております。

源馬委員 今の御答弁の中で、漫画村のような違法サイトがという文言があったと思いますが、文化庁としても、これは違法サイト、違法であると、つまり、漫画村のトップページにある違法ではありませんということには反対というか、合法としてはもちろん認めていないということでよろしいんでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 漫画村の実態が、全て私ども把握しておるわけではございませんけれども、仮に、著作権者の許諾を得ずに著作物を蔵置してそれをネットに流通させるというような行為を行っているものとすれば、それにつきましては違法の疑いがあるということでございます。

源馬委員 非常に難しいところだとも思います。ダウンロードして読んだりするわけではなくて、そのサイト上で読むということなので、非常に難しいというところはあると思いますが、やはりこれはしっかりと、こういった著作権者の利益を不当に侵害しているということで、違法であるというふうに認識をしていただきたいというふうに思います。

 こうした中で、先ほども申し上げましたけれども、十一日の午前中に、急にこの漫画村にアクセスができなくなりました。先日、質疑の中で中岡次長に、政府がもう本当にその日に検討を始めたと発表したサイトブロッキングを既に行ったことなのかと伺いましたら、もちろんそうではなくて、それはまだ検討中と理解している、そういう御答弁であったと思います。

 では、なぜアクセスできなくなったのかということを少し調べてみますと、デジタルミレニアム著作権法というのがありまして、それに基づくクレームに対してグーグルが対応した、そのことによってアクセスができなくなったのではないかということがありました。カナダにあるハーレクイン・エンタープライズという会社によるデジタルミレニアム法に基づく著作権侵害の申立てが反映されたというような記載がありました。

 今は、ですから、漫画村と検索すると、米国のデジタルミレニアム著作権法に基づいたクレームに応じ、このページから一件の検索結果を除外しましたというようなコメントが出てきて、過去、この漫画村に対して削除を求めてきた団体というのがわかるようになっています。

 それを見ると、昨年の十月二日に小学館からの訴えを始めとして、先日までに三百六十四件の申立てが確認をされています。小学館ですとか講談社、集英社を始め出版社から、また「北斗の拳」の作者でもあります原哲夫先生等の漫画家の皆さんも申立てをしているということでございます。

 こうした漫画家の皆さんみずから、そして、あるいは出版社が、なかなか政府の対応が間に合っていなくて、立法もなかなか間に合っていないことから、自分から行動を起こすしかないというような現状があって、その現状にのっとって今回もこうしてグーグルに申立てをしているということがありますが、この件、今のこの現状に関して大臣の御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 著作権は私人の財産的権利ということでございますので、その侵害に対する権利の行使、これは権利者自身によって行われるものであるというたてつけになっております。

 米国のデジタルミレニアム著作権法というのがございまして、これに基づく削除申請をされるということも、そうした権利者自身による権利行使の一環としてなされるもの、こういうふうに理解をしております。

 文科省としては、内閣府を始めとする関係省庁等と連携しながら、政府全体として効果的な海賊版対策を講じることが重要である、先ほど説明した、けさのことですが、そういう一環であると考えておりまして、権利者による権利行使の実効性、これを高める措置を講ずること等の検討も含めて、関係府省庁と連携しながらしっかり取り組んでいきたいと思っております。

源馬委員 ありがとうございます。

 ただ、日本の誇る漫画文化の著作権者の皆さんが米国法に頼らなきゃいけないというのはやはり少し寂しいことだと思いますので、何とか日本の法律、立法の中で守っていけるような対策もぜひ検討していただきたいなというふうに思います。

 引き続き、海賊版サイトについて伺いますが、やはり、この海賊版サイトの存在だけの理由ではないと思いますけれども、一月にあった日経新聞には、二〇一七年の出版市場、前年比七%減、さらに、出版市場の中でも唯一堅調であると言われていた漫画の単行本の販売も一三%減だったというような報道もありました。これだけやはり売上げも下がっている。

 これはもちろん、さっきも言いましたが、海賊版サイトだけの影響でもないと思いますし、海賊版サイトの影響で幾ら実際に売上げが減ったのかということも、これはなかなかはかれないというふうには思います。ただ、やはりこうした現状もあるので、一方で、海賊版サイトへのアクセスはどんどんどんどん高まっているという現状もございます。

 そこで、先ほど大臣の御答弁の中でもありましたが、このサイトブロッキング、先月十九日の記者会見で菅官房長官が触れられて、そして、先ほど大臣から御紹介がありました。けさ、きょうニュースにもなっていましたけれども、三サイトについてサイトブロッキングを行うというようなことがございました。

 私は、日本のコンテンツ産業を守るというのは本当に大事なんですが、サイトブロッキングはやはりちょっと気をつけていかないといけないのではないかという認識を持っています。

 さっき大臣も御指摘いただきましたが、憲法二十一条の通信の秘密に触れるのではないかということであったりとか、あとは、さっき緊急避難のお話がありましたけれども、例えば児童ポルノの場合ですと、この緊急避難の原則として、現在危機が差し迫っている状況があって、さらに、その危機を避けるためにやむを得ない場合であって、さらに、生じた害が避けようとした害を超えない場合という三つの原則があると思うんです。

 児童ポルノの場合は、確かに、被害児童の人権が侵害を現にされていて、ほかの方法では十分保護されることができない、また、三つ目の原則についても、正当な表現を不当に侵害するものではないというこの三原則に沿っているから緊急避難は理解ができたわけですけれども、私は、この漫画家の皆さんの権利は守っていきたいという立場ですが、残念ながら、この緊急避難という要件にはすぐには当たらないのではないかなというふうに思います。つまり、経済的不利益はこうむっていますけれども、現在危機が差し迫っている状況であり、その危機を避けるためのやむを得ない場合という、ここの部分は非常にこの緊急避難では読みにくいのではないかというふうに考えています。

 このあたりについて、恐らく内閣府の参考人の方だと思いますが、御見解を伺いたいと思います。

住田政府参考人 御指摘の点でございますけれども、このサイトブロッキングにつきましては、二〇一六年ぐらいから知的財産戦略本部のもとで継続して検討してきたところでございます。

 御指摘の三要件のような点につきましては、今回の、先ほど御指摘のございました緊急対策の中でも、特に悪質な海賊版サイトに関するブロッキングについての法的整理というものを示しておりまして、その中で、緊急避難の構成要件の検証というものが行われております。

 まさに御指摘のございましたとおり、現在の危難が生じているかどうか、そして、補充性、ほかの方法でとめられないのかどうかという点と、法益権衡、この三点についても検討の末、今回の緊急対策の決定に至ったということでございます。

源馬委員 さらに、もう一点、ちょっと懸念をお伺いしたいんですが、緊急対策の中身では、このサイトブロッキングも民間のプロバイダーに自主判断でやってもらうというような報道もされています。

 自主判断でやるといっても、もし仮に、プロバイダーがこうしたサイトをサイトブロッキングして、それが司法の場に訴えられたとすると、憲法違反の疑いもあるという現状の中で、違憲であったりとか違法の判決が出る可能性もあると思うんですね。それを考えるとちゅうちょしてしまうということもあると思うんですが、このあたりについてはいかがでしょうか。

住田政府参考人 御指摘のとおり、個別の事案についての実際の判断というのは、これは司法に委ねられるということになりますので、裁判といったような形で生じた場合には、その具体的な御判断は司法に委ねられるという点は御指摘のとおりでございます。

 そうした中で、今回の緊急対策というのは、このサイトブロッキング、特に悪質なサイトに関するサイトブロッキングについての考え方の整理を示したことによりまして、事業者の方たちがそれを踏まえた行動をとりやすくするということで考えておるものでございます。

源馬委員 悪質なサイトと言われましたけれども、誰がこれを判断するんですか、悪質なサイトと。更に言えば、この三つのきょう出てきたサイトは、誰がどういう根拠で悪質なサイトというふうに認定したんでしょうか。

住田政府参考人 お答えいたします。

 今回の緊急対策におきましては、この著作権侵害サイトのブロッキングの対象のドメインに関しまして、一つには、その開設目的がどのようなものであるか、また二つ目には、侵害コンテンツの数量がどの程度であるか、そして、発信者の同一性、ドメイン内に複数のサイトがあるような場合でございますけれども、発信者の同一性があるかどうか、そして、他の実効的な代替手段があるかどうか、こういった点から判断を、今回の三つのサイトというもの及びこれと同一とみなされるサイトというのが特に被害が厳しい状況であるというふうなことで整理をされたものでございます。

源馬委員 それは政府がされたということでよろしいですか。

住田政府参考人 この緊急対策を取りまとめました知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議合同会議の決定といたしまして、この三つのサイト及びこれと同一とみなされるサイトに限定をしてブロッキングを行うことが適当と考えたものでございます。

源馬委員 ありがとうございます。

 私は、重ねますが、やはり日本の誇るこのコンテンツ産業は必ず守っていかなきゃいけないというふうに思います。そのために、海賊版サイトというのは絶対何らかの方法で取り締まっていかなくてはいけないという立場です。

 ただ一方、先ほど御答弁いただいたように、政府がこれは不適切と判断したものがこれからもブロッキングできるとなると、やはりこれは、憲法の観点もそうですが、むしろ私は、表現の自由であったりとか、例えば都合の悪い情報については政府がブロッキングができるということになってしまうと、中国のようになりかねないなという懸念を持っています。

 なので、サイトブロッキングは、緊急対策ならまだわかりますけれども、今後、それがこの海賊版サイトの取締りの主要なやり方になっていくのは控えるべきだというふうに思っております。なので、違うやり方で、サイトブロッキングではないやり方でどうやってこの日本のコンテンツ産業を守っていけるか。特に、やはりこれは立法措置だったりとかがこれから必要になってくるというふうに思いますので、ぜひ、政府が恣意的にブロッキングできるサイトブロッキングに頼ることなく、違うやり方でこの日本のコンテンツ産業を守っていただきたいというふうに思いますが、最後に、その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 今後の進め方としては、ブロッキングや、リーチサイトを通じた侵害コンテンツへの誘導行為への対応に関して、速やかに法制度の整備に向けてちゃんと検討しようということになっております。

 今、委員がおっしゃった緊急対策は、こういうことでいろいろ論点を詰めてやったというふうに今説明があったとおりでございますが、しっかりとした法制度を、今御指摘のあったようなところも踏まえてやっていこうということも同時に確認をされたところでございます。

 もとより、ソフトやコンテンツを守るということは大変大事なことである、こういうふうに思っておりますし、前回ですか、平野委員ともやりとりさせていただいたところですが、それと表現の自由とのバランスをどうとっていくかというのが一番大事なところだ、我々もそう思っておりますので、文科省としても、本日の決定を踏まえて必要な検討を進めてまいりたいと思っております。

源馬委員 ありがとうございました。

 以上です。終わります。

冨岡委員長 次に、平野博文君。

平野委員 無所属の会の平野博文でございます。

 短い時間ですので、簡潔に質問もしたいと思っていますが、御答弁も簡潔にお願いしたいと思います。

 私、きょう、隣の厚生労働委員会と行ったり来たりをいたしておりますが、向こうでは、この国会、やはり働き方改革だ、こういう目玉で、裁量労働制でありますとか過労死でありますとか、いろいろな働き方の問題についていろいろなところで議論をされている。これはもう皆さん方御案内のとおりだと思っています。

 そういう意味で、きょう、文部科学委員会ですから、教員の働き方の問題について、大臣とは課題と背景については共有し合いながら、何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 特に、教員の過重労働についての問題や教員定数のあり方等々については、今に始まったわけでなく、常にこの委員会でも議論となり問題となってきたわけであります。

 今、国会で特に過労死、長時間労働が問題視される中で、文科省としても、教員の勤務実態調査の結果、さらには労働団体であります連合等々の労働者側の調査において、教員の現場での労働時間というのは深刻な問題にある、こういうことが改めて昨年明らかになってきたところであります。

 したがいまして、教員の長時間労働の是正、働き方改革等々について問題になってきたわけでありますので、この点について少し踏み込んで質問をしたいと思います。

 今、教員の公務災害、過労死が認定されている件数というのは、大体年に十件ぐらいございます。この十件が多いか少ないかという議論は別にしまして、六十万人を超える小中学校の大半の教員が過労死ラインにある、こういう現状に照らしてみて、この数字、文科省はどのように認識をしておられるか、まず聞かせてもらいたいと思います。大臣でなくて結構ですよ。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、文部科学省の教育政策に関する実証研究の委託事業として、公立の小中学校各四百校に勤務するフルタイムの教員全員を対象者として、平成二十八年十月から十一月にかけての連続する七日間、勤務実態調査をいたしました。この速報値では、一時間当たりの平均勤務時間は、小学校教諭で五十七時間二十五分、中学校教諭で六十三時間十八分という結果になっており、十年前と比較してそれぞれ、小学校で四時間九分、中学校で五時間十二分増加をしております。

 時間外勤務八十時間以上に該当する一般教員の割合は、小学校で三三・五%、中学校で五七・七%、そういう厳しい状況にあるという認識でおります。

平野委員 それに加えて、学校の先生の在職中の死亡者というのは年間約五百件ですね。また、病気休職者は大体八千人に達する、こういうことも言われているんですね。

 認定された過労死が少ない要因というのはどういうことかと私考えますと、そもそも教員に、勤務時間を掌握する、立証することが非常に難しい現場の働き方になっているんじゃないか、こういうふうに実は私思っているんですね。

 そういうことを考えますと、ここでまず一つ、これは大臣にお答えいただきたいと思うんですが、教師、教員は、シンプルな質問ですよ、労働者であるか労働者でないか、こういう目で見たときに、大臣、どうですか。労働者と思うでしょう。

林国務大臣 教員は、労働法制上において労働者として扱われるものだというふうに認識をしております。

平野委員 一方、明治以来、教師というのは聖職者なんだ、こういう言い方も今日までしてまいりました。それが教員の労働性を否定する何らかの根拠に、大臣、なると思いますかね。聖職者という、明治以来言ってきて、これは労働者でないよ、こういうことを否定する、聖職者というのはいわゆる労働性でないということに対する大臣の見解はどうですか。

林国務大臣 私も子供のころ、そういう聖職者というのは何度か聞いたことがあると思いますが、多分、教育基本法第九条一項で、「教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」こういうことがございまして、私もそういう先生に何度かお出会いしましたけれども、人格的な触れ合いを通じて児童生徒の人格形成にかかわるという極めて重要な職務を担う、こういうことが書いてございますので、こういうことを捉えてそういう表現ぶりということはあり得るのかなと思いますが、労働法制上において労働者として扱われることがそれによって変わることではないというふうに考えております。

平野委員 そこも大臣と同じ認識に立ちます。

 聖職者というのを一遍引いてみたんですね。どういうことか。これは、本来はもう宗教者ですよね、この定義の理屈からいくと。

 したがって、かつて教師を聖職者になぞらえたというのは、人を教え導く教師に対する敬意としての表現だったんだろう。今、教師に聖職者であることを求める人間は、自己犠牲を強いるために、それを要求していくための免罪符にしているんじゃないか、こういうふうに私は思えてならないんです。

 ただ、大臣は今、労働者である、こういう認識でございますから、そういう視点でぜひ働き方改革を議論する、こういう上においては、勤務の当然特殊性ということも考慮する、こういう点もあってもいいと思うんですが、純粋なやはり労働者である、こういう視点に立っての議論がまず出発点なんだろう、かように思っております。

 したがって、あと十分ほどしかありませんから、飛ばして飛ばして、教員のそういう過重労働に対しての解消のためにまず何を行うべきか、こういう視点で質問いたします。

 文科省は、現場や教育委員会等に対して、学校で行うべき業務についての仕分けや、業務改善等々、現場の負担を減らしなさいと。長時間勤務抑制につなげることを、十二月の中教審あるいは大臣の決定で、学校における働き方改革に関する緊急対策、こういうことで、また二月の文部次官通知、それぞれによって、一つ一つの内容は負担軽減のための当然の指示をされている。こういうことについては、ある一面、私、評価はしています。ただ、発出しているだけで、現場がどうなっているか、こういうところがまだまだ不十分だろう、こういうふうに実は思っております。

 したがって、今、大臣の部分、あるいは次官の通達等々を含めて、この取組が、本当に教員の過重労働、違法労働が解消に向かう、私はこういうふうに思えないんですが、大臣並びに政府参考人、どう思っていますか。

高橋政府参考人 今、委員から御指摘いただきましたように、二月の通知では、教育委員会において、学校や教師の業務の役割分担等を着実に実行するため、学校や地域等の実情に応じ、順次適切に必要な取組を進めるよう促しているところでございます。

 ただ、通知の出しっ放しということになってはいけないという御指摘でございました。

 文科省としては、各教育委員会における学校の業務改善のための取組状況について定期的にフォローアップをすることとしており、今般の通知を踏まえた取組について、進捗状況を把握し、さらに、業務改善の優良事例を収集、周知するなどして必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

平野委員 今、局長、そういう通知を発出して、大体どういう、私は、できるだけ早くこの実態を、あるいはその効果がどういうふうにあらわれているかということを知らなきゃいけないと思っているので、どんなタイムスケジュールでその状態を把握しようとしていますか。

高橋政府参考人 先ほど申し上げました教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査でございますが、一応、ことしの四月一日を基準日といたしまして、五月末ごろまでに回答の締切りを設定して、ことしの夏ごろまでに公表をしたい、今、そんな大まかなスケジュールを考えているところでございます。

平野委員 先ほど言いましたように、教員の労働時間の問題というのは、やはり労働者の視点で見れば、全くこれは、そういう改善云々、こういう視点でのレベルでは私はないんだろうというふうに思っているんですね。過労死レベルの無給のサービス残業を強いる権利なんというのは、労働者の視点から見れば、私は誰にもないと思っているんです。

 にもかかわらず、学校現場には子供がいるんだよ、こういうことで、こんな大義名分のために、労働者、あえて労働者と言いますよ、一方的に犠牲を強いることがよしとされている現実はどうなんですか。

 今、少なくとも、局長は、四月の一日、五月の末、夏ごろまでにと、こんなタイミングでそんなことが許される環境に、労働者として見たら、これは一発でアウトですよ。労働省からいえば、入りますよ、これ、是正勧告か指導に。だけれども、それが許されているという現実は、大臣、どうなんでしょうか。

林国務大臣 逆に、現場の調査が余り負担にならないようにしなきゃいけないという観点もあると思いますが、今、局長から答弁した大まかなラインでしっかり把握をしたいと思っております。

 私、この問題をずっと聞いておりまして、先ほど委員からお話のあった、どこまでが先生がやることかと。

 これは特に欧州なんかと比べますと、教職員のうちの職員と教員の割合がほぼ一対一というのが欧州で、釈迦に説法でございますが、それは、では、日本が、先生がいろいろなことをやっているのが果たして全部悪いことなのかといえば、やはりいろいろな活動を通じながら人格的な指導を受けたという私もいい記憶がございますので、日本のよさを維持しながら、しっかりとそこはやっていかなきゃいけないということが一つあるのと、それから、いわゆる労働法制上、使用者から強いられてということはこういう対策でやっていけると思いますが、みずから先生が進んで子供のためにと、先ほどの教育法上の趣旨も体してやっていただいているということになりますと、そういうことをどういうふうに考えるのかという視点も忘れてはならない、こういうふうに思っております。

 そういう意味でも、まずは実態把握をしなければなりませんが、この結果を見るときには、そういう目をしっかり持って、生き目のいくというか、実効性のある対策をつくっていかなければいけないんじゃないかなと思っております。

平野委員 現実的には、子供を犠牲にできないから教職員には働いてちょうだい、こういうことなんだろうというふうには思いますけれども、財政的な問題も一面あるんだろうけれども、国民が、子供がいるんだから、こういうことで、違法であって、教員が働いても賃金が払われない、こういう視点は私はやはり許されませんよ。民間では許されない、こう言っているわけですよ。公務員だから、学校の教員は公務員だから、こういう視点で許されるのか。

 私はさっきも、何回も言いますが、労働者なんですよと。この共有認識のもとにいきますと、今の法治国家として見たとき、この現実はやはりおかしいということを、やはり一日も早くこの問題について対処しなきゃいけない、こういうふうに今思っております。

 しかし一方、大臣、先ほど御答弁されましたが、じゃあ、どうするんだよ、こういうことになるんだと思うんですね。したがって、やはり法令遵守の視点から見れば、超勤の四業務以外の違法な超過勤務、これは直ちに私はなくすべきだ、こういうふうに実は思っています。

 しかし、学校現場は子供がいますから、単純には整理できない、こういうことであるならば、私は、教育委員会なり行政当局がその負担をやはりやるべきだと思いますし、教員にはやはり割増し賃金をしっかり払う、こういう感覚に立つべきだと思うんですが、どうですか。

 大臣、少なくとも、何が本当に教員としての本来業務なのかという区分けをしっかりして、それを誰が担うんだ、こういうところも含めた考え方、僕はあるべきだと思うんですが、どうでしょうか。

高橋政府参考人 まず最初に、大変恐縮でございますが、一番最初の答弁で、私、一週間当たりと言うべきところを一時間当たりとちょっと答弁を間違えましたので、訂正をさせていただきたいと思います。恐縮でございます。

 それから、御指摘の点につきましては、現在は給特法の規定によりまして、教師には時間外勤務手当を支給しないかわりに教職調整額を支給することとされております。教師を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合はいわゆる超勤四項目に従事する場合であって、臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限られております。

 また、時間外勤務を命じる場合であっても、健康及び福祉を害しないように考慮するということはされておるところでございます。

 したがって、超勤四項目に該当しない業務について時間外勤務を命じることはできませんが、正規の勤務時間を超えて自主的、自発的な判断により勤務を行っている場合があることは、これは承知をしておりまして、先ほど申し上げましたような勤務実態調査の速報値では、教師の長時間勤務の実態が明らかになったところでございます。

 文科省としては、引き続き教師の業務の適正化を図っていくとともに、給特法のあり方も含む教職員の勤務時間等に関する制度のあり方について、これは現在、中央教育審議会で御審議いただいているところでありますので、その議論も踏まえつつ、慎重に検討してまいりたいと考えているところでございます。

平野委員 結論的に、一つのキーワード、出てきました。給特法という概念、これが本当に、給特法があるために、教員の働いている時間の把握もしない。教育には現場に子供がいますから、子供のために、こんな思いのもとに、時間外であっても教育の充実を図っていくためには時間を超えてやっているというのが教員の実態なんですよ。

 したがって、私が一番言いたいのは、給特法なんて本当に今の時代に合っている法律なのか。この給特法というのはいつできたか。これは多分、田中角栄さんのときじゃなかったかなという気はします。したがって、先ほど言いましたように、労働者なんだ、教育を預かる、現場を預かる教育者なんだということと同時に、働いている労働者なんだ、こういう視点から見たら、給特法なんというのはもう全く意味のない、害こそあれ意味のない法律だと私は実は思うのであります。

 きょうは労働省に来ていただいていますか。労働省、ちょっと聞きますよ。

 我が国の時間外労働の規制の原則は、労働時間にキャップをかけないかわりに、割増し賃金の支払い義務によって間接的に労働時間を抑制しようというのが本来の趣旨だと思うんですが、それでもそうなっていない。今私が申し上げたことが本来の趣旨だと思いますが、確認ですが、どうですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、労働基準法におきましては、法定労働時間として一週四十時間、八時間、これが大原則でございまして、それを超える時間外労働というのはあくまで例外でございます。労使協定の締結などによりまして例外的に時間外労働が設けられておりまして、それが現在、罰則では上限が決められていないというのは先生がおっしゃるとおりでございます。

 また、行われた時間外労働に関しましては、その対価として割増し賃金を含む賃金をしっかり払っていただくというものが現在の労働基準法の規定となっております。

平野委員 時間が来ましたからこれでもう終わりますが、要は、言いたいことは、業務量とマンパワーが全く合っていない、こういうことで、学校現場の根本的な問題なんだ、だから、時間外手当を支払うとしても、時間外労働を抑制していかぬといかぬということでありますから、マンパワーを確保していくことがやはり大事なんだというふうに思っております。

 したがって、これを確保するためには、教員定数の改善というのは、私は、現場のことを考えますと必須なんだ、こういうふうに実は思っておりまして、最後に、大臣、そうだなという答弁をお聞きして、質問を終えたいと思います。

林国務大臣 委員を始め歴代の大臣が大変努力を重ねてきてここまで来ておるのはよく承知をしておりますので、私もその伝統にもとらないようにしっかり頑張っていきたいと思っております。

平野委員 終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

冨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 加計学園の獣医学部新設に関しまして、この間、二〇一五年四月二日の愛媛県作成の面会記録という報道がございました。この間の報道についての事実関係の説明を含めて、この間、林文部科学大臣に伺ってきたところであります。

 午前中の委員会でも議論になりましたように、本日、齋藤農水大臣が、愛媛県が作成した文書に関する調査結果を報告いたしまして、同じようなものが農水省で見つかったということが公表されました。

 林大臣も既にごらんになっていらっしゃると思いますが、どのようにお読みになりましたか。

林国務大臣 先ほど農水省の副大臣から御答弁がありましたが、何カ所か何か変わっているところがあるというふうに、農水省にあったものと報道であったものが少し変わっていたということでしたので、多分、私が参考資料でいただいたものは農水省で見つかったベースということで見ておりましたが、今、愛媛県作成の面会記録ということでございましたので、農水省で見つかったということでございますから、先ほど来やりとりしていただいたように、農水省の方で愛媛県にも確認してみるという御答弁もあったようでございます。この信憑性について、その確認を通じてしっかりと検証がなされるということではないか。

 我々の方も、この面会記録の有無については現在確認作業を進めておるところでございまして、具体的には、高等教育を始めとする関係部局において共有ファイル及び共有フォルダを探索するとともに、関係者に対するヒアリングにより、個人ファイル等を含め当該文書の存否を確認しているところでございます。

畑野委員 今まで愛媛県のものだというふうに言ってきたんですが、これは政府としても、農水省としてあったと。私も見比べましたけれども、報道ときょうの農水大臣が公表された農水省の文書と、ほとんど同じですよね。日にちがちょっと違うという説明、それから一番最後のところがちょっと違うということで、具体的に言っている中身というのは全く同じものでありました。

 私は、ですから、これは林大臣に急いで、とりわけ加計学園の獣医学部新設については林大臣が認可をされたわけです。林大臣の責任になるんですよと、私、昨年の十一月十五日、大臣が十一月十四日に認可をされたときに、その翌日に、これは待ったをした方がいいというふうに、質問も当委員会で行ってまいりました。

 ですから、文科相の責任というのは、林大臣の責任というのは本当に全く大きいという事態になってくるということですから、これは一刻も早く文科省から報告をしていただくように、大臣の方からも強めていただきたいと思います。

 先ほどもありましたが、一刻も早くという点では、いつまでに公表していただけますか。確認していただけますか。

林国務大臣 午前中に御答弁をいたしましたように、来週早々ということで、作業を一生懸命やっているところでございます。

畑野委員 農水省であるわけですから、これは文科省にも必ずある。農水省では個人のファイルだった、公文書というふうにはしていなかったけれども、しかし、引き継いだ者が個人ファイルに入れていたということですから、そういうことを含めてしっかりとやっていただきたいと思います。

 それで、加計学園の獣医学部の新設について伺います。

 この四月に開学をしたわけですけれども、各学科の募集人員と入学人員、どのようになっているでしょうか。そして、獣医学科ですが、今後どのようにその履修状況を見ていくのか。林大臣に伺います。

林国務大臣 岡山理科大学獣医学部におきまして、まず獣医学科でございますが、入学定員百四十名に対しまして百四十七名、獣医保健看護学科では、入学定員六十名に対して三十九名が入学したというふうに聞いております。

 学部等が開設された場合には、開設年度に入学した学生が卒業する年度、完成年度と言っておりますが、その年度までの間、大学設置・学校法人審議会において設置計画の履行状況調査をしております。しっかりとこの調査をやってまいりたいと思っております。

畑野委員 私は、先ほど紹介した昨年の十一月十五日の当委員会で、加計学園の獣医学部新設に当たって、大学設置・学校法人審議会から第一次審査意見で異例な警告を受けていたということを取り上げ、そしてそれは、認可されたときの留意事項まで含めて共通して指摘されてきた。その一つが総合参加型実習なんですね。そこでは、外来患畜数を確実に確保するということが指摘されているんです。

 きょう見た、農水省で公表されたこの獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長、柳瀬首相秘書官との面談結果について、この中では、そういった中身を含めて、既存の獣医学部と異なる特徴、大臣は国際的なというふうに当時御答弁されたと思いますけれども、そういったことが既に打合せの中で言われていたということであります。

 柳瀬首相秘書官の主な発言、総理官邸十五時という中には、本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい、文科省についても、いい大学をつくるのであれば反対しないはず、既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなどを明らかにする、加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなく、けしからぬと言っているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ、今後策定する国家戦略特区の提案書とあわせて課題への取組状況を整理して文科省に説明するのがいいとの助言があったということなんですね。まさに文科省にかかわってくることです。

 そういう経過が改めて今回指摘されているもとで、本当に履行状況がどうなっているのかということです。

 国際水準の獣医学教育を進めるならば、臨床実習の充実は欠かせないカリキュラムなんですね。獣医師を目指して入学してきた多くの学生の夢を傷つけるようなことがあってはならないと思うんです。既にマスコミから取材された獣医学部の学生は、泣きながら、本当に、そっとしておいてほしい、そういう思いですよ。大臣が設置を認可した、こういう責任がこれから更に問われているというふうに思うんです。

 こういう点で、履行状況を含めて、この間私たちが委員会で議論してきたことをしっかりと進めていただきたい。

 そして、もう一点、私は、審議会を含めて、また、文科省で今調べていただいているこうした愛媛県の文書との関係を含めて、更にしっかりと吟味をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 設置を認可した、この認可に当たっての留意事項、今委員からお話がありましたように、総合参加型臨床実習につきましては、外来患畜数を確実に確保するということが求められておるところでございます。

 この実習は五年生で開講される予定というふうになっておりますが、実習の成果が上げられるように、今後行われる設置計画の履行状況調査において、この患畜数の確保についても確認をしてまいりたいと思っております。

畑野委員 患畜数だけでなく、この間指摘されたことも本当にもう一回洗い直して、しっかりと対応していただきたいと思います。愛媛県民は怒っている。きょうも電話で伺いましたけれども、現地からの声もお伝えしたいと思います。

 さて、昨年、この加計問題で行政がゆがめられたと告発されたのが、前川喜平前文部科学事務次官でした。今、国民の中では、前川さんが言っていたことがやはり正しかったではないか、そういう声が上がっております。当時前川氏には、いろいろな攻撃、また、激しい人格攻撃と言われるような攻撃まで行われ、それに対して前川氏は、反論を丁寧に行っておりました。

 こうした中で、四月四日の当委員会で、文部科学省による名古屋市教育委員会への教育への不当介入があったのではないかということを、私、質問もしてまいりました。前川氏が名古屋市立中学校で授業を行ったということに対する、異常で執拗な文部科学省の調査の問題です。そしてそこでは、林大臣が御報告されたように、国会議員二人がかかわっていたということも明らかになりました。

 私、四月四日の当委員会で、政治家と職員の接触に関して、国家公務員制度改革基本法第五条第三項について質問いたしましたが、法に基づいて具体的なルールを定めるのは各省庁の責任だということでございますが、文科省は、基本法を所管していないからといって、具体的な答弁を避けました。ですから、きょうは内閣官房にお越しいただきました。

 国家公務員制度改革基本法第五条第三項は、政府提出法案の中にはありませんでした。議院修正によって加えられたと伺っております。その修正の中心点と提案者の答弁について伺います。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年に政府から提出いたしました国家公務員制度改革基本法案におきましては、各府省に、国会議員への政策の説明その他の政務に関し、大臣を補佐する政務専門官を置くこと、政務専門官以外の職員による国会議員への接触については大臣の指示を必要とするなど、大臣の指揮監督をより効果的なものとするための規律を設けることが規定されていたところでございます。

 その後、国会における御議論を経て、修正がなされてございます。政府案における政務専門官を置く旨の規定及びその他の職員の国会議員への接触制限に関する規定が削除されますとともに、かわりまして、職員が国会議員と接触した場合における記録の作成、保存その他の管理をし、その情報を適切に公開するために必要な措置を講ずること、その接触が個別の事務事業の決定又は執行に係るものであるときは、接触記録の適正な管理やその情報の公開の徹底に特に留意すること等、現行の国家公務員制度改革基本法第五条三項の規定が設けられたところでございます。

 これらの修正に関しまして、当時の衆議院内閣委員会における審議の中で、修正案の提案者の方から、政官接触を厳しく規制することについて、議員活動への影響等さまざまな問題が提起された、接触自体が問題なのではなく、お互い議論していくことは効率的な政策立案に資するものである、大事なことは大臣の意に反した官の行動や口ききと言われるような政の官に対する圧力等を排除することである、一方、政と官の接触の記録をすることによって事務をいたずらに膨大化させることは避けなければならないといった旨の御説明がなされているものと承知してございます。

畑野委員 提案者の答弁で大事なことは、今言いました、大臣の意に反した官の行動、また口ききと言われるような政の官に対する圧力、これを排するというふうに言っているわけです。

 それで、続けて伺いますけれども、「政・官の在り方」の法的な性格、それと国家公務員制度改革基本法との関係及び公文書管理法との関係について、簡潔にお答えください。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、「政・官の在り方」についての法的性格でございますが、平成二十四年十二月二十六日、第二次安倍政権が発足したときでございますけれども、閣僚懇談会におきまして申合せという形でとり行われたものでございます。

 国家公務員制度改革基本法との関係でございますけれども、先ほど基本法の基本的な内容につきまして御説明がありましたが、その法の趣旨を踏まえまして、「政・官の在り方」が具体的な措置として閣僚懇で申合せをなされたものというふうに理解をしてございます。

 また、公文書管理法との関係でございますけれども、「政・官の在り方」の中で二の対応方針というものがございまして、その中で、公文書管理法等に基づき、官が政と接触した場合における記録の作成、保存その他の管理及びその情報の適切な公開について、大臣等の指揮監督のもとに適切に対処するとされているところでございます。

畑野委員 要するに、大臣の責任が問われるんですよね。

 赤池議員、池田議員と文部科学省の接触に関して、国家公務員制度改革基本法第五条第三項、「政・官の在り方」、そして公文書管理法に基づく文科省としての対応について、大臣に伺います。

林国務大臣 今御説明があったような制度でございますので、文科省では文書管理規則というのを定めておりまして、同規則第十条では、ちょっと前の方は略しますが、「文部科学省における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに文部科学省の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない。」こういう規定があるわけでございます。

 文科省においては、これらの規定に基づきまして、御指摘があったような国会議員との接触も含めて、文書の作成等を行っておるところでございます。

畑野委員 今回の件は軽微じゃないですよね、これだけ大問題になっているわけですから。そして、大臣の意に反した官の行動を排すると言っているわけですから。

 これは、大臣は、赤池議員、池田議員と文部科学省の接触というのは大臣の意に沿った官の行動だったのか、それとも大臣の意に沿わない官の行動だったのか、そのことが問われてくるわけですね。その点、どうですか。

林国務大臣 これは累次の会見やこの場でも御答弁をしてきたところでございますが、まず法令、その法令の令の方にはこういうルールも入るわけでございますが、それに反しているというわけではないけれども、ホウレンソウという言葉がございますが、報告、連絡、相談というのは常に必要であるという観点から、この件に関しては特に与党の先生方からいろいろなアドバイスというかコメントがあったということでございましたので、そういう場合には、やはり、法令上の決まりではないけれども、きちっと政務三役等に報告、連絡、相談をするということを念頭に置いてやってほしいという趣旨の注意をしたところでございます。

畑野委員 まあ、大臣の意に反していたということですよね。

 法令云々言いますけれども、これはやはりきちっと文科省内で、今度の件を教訓に、大臣の責任でもっと改善する必要が私はあると思います。

 最後に、日吉議員からも質問がありましたけれども、十日の経緯等について、ここだけ聞いて終わります。

 二月二十二日、初中局審議官、教育課程課長、課長補佐から池田議員へ状況の御説明とあります。資料につけてあります。何時何分入室し、それぞれがどのような発言をし、何時何分までいたのか、詳しく説明をしていただきたいと思います。

 この点については引き続き、委員長には徹底した審議、真相解明を求めたいと思いますが、その答弁を聞いて終わります。

高橋政府参考人 お尋ねの、二月二十二日の池田議員の状況の説明でございます。

 今御指摘ありました三名が議員会館の池田議員の部屋を訪問して行われたものと承知しております。

 ちょっと今、正確な時刻についてはまだ承知をしておりません。

 説明の内容といたしましては、十九日に初中局が名古屋市教育委員会から提供を受けていた情報に基づいて、主に、前川氏の授業が総合的な学習の時間で行われていたこと、また、学習指導要領に定める総合的な学習の時間そのものについての説明、さらに、前川氏が授業の中で話したとされる内容、例えば、前川氏が中学時代に興味のあったことや、正解のない世の中で自分が考えることの重要さなど、こういったようなことを説明したと承知をしています。

畑野委員 全く詳しいものではないので、原文含めて報告をするように求めて、終わります。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 きょうは、国家賠償法と学校内の事故についてお聞きをしたいと思います。

 この前、先月ですか、ここの衆議院議員会館の中で勉強会がありまして、私も詳しくなかったんですが、ちょっと参加をさせていただいた中で、公立学校の指導の中でけがをするという事案の部分で、国家賠償法とのかかわり合いについて説明があったもので、それをよくよく聞いてみると、やはりこれは相当ひどいこともあるんだなというような感想も持ったわけなんです。

 この中で二つ事案が紹介されておりましたが、大分県の竹田高校と横浜市の奈良中学校ですか、簡単で結構なので、どんなような事案だったか、説明をしていただきたいと思います。

今里政府参考人 お答えいたします。

 国家賠償法勉強会で取り上げられました、委員御指摘の、まず大分県立の竹田高等学校の事案でございますけれども、これは剣道部における事故でございました。生徒が練習中に熱中症で倒れ亡くなられたという件でございます。そして、熱射病を疑うべき事態であったにもかかわらず、顧問の教員は、竹刀を落としたことに気づかず、構えをとるなどした生徒の行動を演技と認識し、更に暴行して症状が悪化したという件であるというふうに伺っております。

 もう一つ、横浜市立奈良中学校柔道部の件でございますが、これは、やはり生徒が練習中に意識を失い倒れて、障害が残ったという件でございますが、顧問の教員との乱取りの練習中に絞めわざをかけられて、生徒がいわゆる半落ちになった。ただ、その後も乱取りを続けていた中で意識を完全に失って、病院に緊急搬送、手術するものの、脳機能障害が残ってしまったという件であるというふうに承知してございます。

串田委員 国家賠償法というのは、御存じのように、教師あるいは顧問が行ったけがに対する損害賠償を国が支払うということで、第一義的なその実行行為を行った者に対しての賠償責任というのは基本的には課せられない。故意又は重大な過失があるときには国又は公共団体が求償することができるという規定の中で、このような、子供を亡くした御両親あるいは重大な障害を負った御両親からすると、お金の問題じゃない、お金を回収できたからいいという問題じゃなくて、やはり、そういうようなことを行った教師というものが一般の私立学校と比べて守られるというのはおかしなことじゃないか、特に賠償が、被害者の方も含めた国民の税金で加害者の分を負担していくという規定というのはおかしいんじゃないか、こんなようなことを思っていらっしゃるわけでございます。

 そういう意味で、基本的に、国家賠償法があるから、顧問だとか教師だとかが、そういう意味で自分に責任が負わないというようなことで、普通の私立学校と比べると、そういう意味での意識というものが欠けているんじゃないかというようなことが指摘されているんですけれども、現場においてはどのような感想でしょうか。

林国務大臣 運動部活動や学校の体育活動中の事故に遭われた生徒や御家族におかれまして、そうしたお気持ちの方がいらっしゃるということは承知をしておるところでございます。

 議員が御出席なさった勉強会でもそういうお話があったのではないかというふうに聞いておりますが、やはり、今委員がおっしゃったように、生徒の安全確保を図るべき注意義務に関して、教師に、この条文であるように故意又は重大な過失があったと考える場合であっても、公立学校の設置者である地方公共団体が賠償を行った上で、もし当該教師に求償されないということがありますと、教師の責任が問われていないのではないか、そういうお考えになる、そういうことが御不満の理由ではないかというふうに考えております。

串田委員 今大臣が整理をしていただいたとおりでございます。

 国家賠償法の規定の趣旨というのは、基本的には、その賠償を行うところが国又は公共団体ということで、支払いに対して心配が要らない、そういう責任というものをしっかりと明記するということとともに、もう一つは、公務員が消極的にならないようにというようなことでつくられた法律でございます。

 例えば、一番わかりやすい例としては、消防隊員が放水をするに当たって、ちょっと手元が狂ってしまって、全く燃えていない家に放水をしてしまって何らかの損害を与えてしまったときに、消防隊員が責任を問われるということになると、非常にそういう意味では萎縮した消火活動ということになって、鎮火というもの、そういう成果が達成できないというようなこともありますから、そういう意味では、公務員がそういうことで消極的にならないようにというのはわかるんですけれども、これが学校の、特に今回二つの例は剣道と柔道という、これは非常に境が難しいと思うんですね。

 一つは熱血指導という、非常に美的な表現というのもあるとは思うんですけれども、一方では体罰的指導、ここの差が非常にわかりづらい。

 特に柔道の部分は、最初に、私、専門じゃないのでわからないんですけれども、絞めわざというようなことで、かなり意識がもうろうとしている中で次から次へとわざをかけ続けていく、そんなようなことを行っていたわけで、大きな障害をこうむった両親からすれば、これはもう指導ではなくて犯罪行為ではないかというふうに思うのも仕方がないんじゃないかなと思うんですね。

 国家賠償法の公務員の、消防隊員の部分と、学校の先生が行う部分というものの区別というものをどう考えたらいいんでしょうか。ちょっと通告はないんですけれども、大臣の今の率直な所感、お聞かせいただけるとありがたいです。

林国務大臣 大変難しい問題ではないかというふうに思っております。

 その前に、国家賠償法の制度のあり方は法務省の所管でございますので、あくまでその前提でということでございますが、まず、この規定では、地方公共団体が賠償する責任は、故意又は過失なんですね。地方公務員の先生がやったらそうなる。

 その中で、故意又は重大な過失が本人にあったときということですから、じゃ、重大というメルクマールをどこで線を引くか、それが委員の問題意識ではないか、こういうふうに思っておりまして、そこは、法務省所管ということでありますし、司法の場で最終的には決着をするということではないか、こういうふうに思いますが、まさに今委員がおっしゃっていただいたように、消防士もそうですが、学校の現場においても、余りこれは厳しくやり過ぎると、じゃ、もう何にも指導しないというふうに萎縮をする。そういうメリットとデメリットの間でどうバランスをとるか、こういうことでございますので、やはり一義的には、この求償権を行使するか否かというのは、個別の事案に応じて、それぞれの地方公共団体の責任において判断をするべきものではないか、そういうふうに考えております。

串田委員 今、私もこういう話をしながら、大臣はどうお考えになるのかなと思って、通告もせずちょっとお聞きをしてしまったんですが、本当に難しい話です。

 例えば野球の場合には、バッティングをしてボールを拾うというような状況の中で、落球したら校庭三周というようなことが、これが体罰的なのかあるいは熱血指導なのかというのは本当に難しい中で、一つ、今回の剣道の場合は、夏に行われていて、水も飲ませないでずっとやっていたことによる熱中症という、それまでも相当無理をした指導の中で熱中症というようなことというのは、これはやはり教育的な配慮というのが余りにも欠けているんじゃないか。判例でも重大な過失というのが認められたというのは、その熱中症というようなことなんだと思うんですね。

 そういう意味では、今度、二〇二〇年東京オリンピックのところでは、夏に行われるという意味で、いろいろな学校あるいはアスリートが夏対策ということで無理をするというようなことが十分考えられるわけなんですが、そのときに、水を飲まないで練習をするというのがオリンピックの対策になってしまってはいけないんじゃないかなというふうなことがあると思うんです。

 もう一点、前の文科委員会のときに、元アスリートを学校の部外者として採用したらいいんじゃないか、部外者がやらないから学校の教育に関して無理があるんじゃないかと思ったんですが、この横浜市の学校の顧問というのはどういう経歴なのか、おわかりになる範囲で御説明いただければと思います。

今里政府参考人 先生、前の委員会でも、部活動指導員というような形でアスリートを、今おっしゃいましたように、指導の現場で活用したらどうかというお話がございました。

 ということは、今まで教員ではなかった方ということだったと思いますけれども、この横浜市の事例につきましては、顧問は正規の教員でございました。

串田委員 それとともに、ちょっとお聞きしているところによると、この柔道の顧問というのは、日本の著名な大会で優勝したことのあるアスリートだとお伺いしているわけでございます。

 私自身それによってちょっとショックを受けたのは、要するに、専門外の人が指導することによって事故が起きるのかなと思ったら実はアスリートであったというようなことなんです。

 それでちょっと、そういう意味で考えてみたところ、名選手、名監督にあらずというようなことがありまして、自分ができるから人もできるというような、むしろそういうようなマイナス面で活用してしまうんじゃないかというような心配もあるんですけれども、指導に当たっての顧問、まあ正規の職員というようなことでございましたが、そこら辺の指導関係というのはどんなような配慮をされていらっしゃるんでしょうか。

今里政府参考人 先生御指摘のように、専門の競技をしていた方が指導者になるという場合に、特に学校の部活動であるとかあるいは体育の授業といったところでの指導をする場合にはいろいろとまた異なるべき配慮をする点がございます。

 例えば、子供がまだ発達段階にございますので、その中で自分の限界であるとか、どこまでできる、そういったことを必ずしも把握できていないような状況もございますし、そのほか、子供の今の体の状況でありますとか発達の状況、それから安全については、やはり、教員を目指してそもそもしていた方ではない場合もございますので、そういったことについての配慮をするようにということが重要になってくると考えます。

串田委員 かつてはそういうスポーツ部ではウサギ跳びというのをよくやらされたわけですけれども、昨今ではウサギ跳びというのは体を壊すというようなこともありまして、専門外の人間が何か一生懸命やるととんでもないことが起きるというようなことがあって、元アスリートとかがいいのかなと私自身も提案させていただいた中で、今回の事案がそういう元アスリートだということを聞いて、私もちょっとショックを受けたわけでございます。

 そういう意味では、非常に指導というのは難しいなと思いながら、一番大事なのは、今後このようなことが起きないということが大事だと思うんですけれども、この剣道部の場合に、兄を亡くした弟が新聞に投稿している中で、これが事実かどうかということはともかくとして、かなり、以前からちょっと感情的な先生だったというようなことも書いてあるということが、これが一つの解決の方法なのかなと。

 何かシグナルがあったときに、そこの部分で大きな事故が起きないようにということを察知するというようなことが学校の仕組みの中にできていれば避けられたのかなと思うんですけれども、そういう意味での配慮というか、こういう事故を経てどのようなことを対策として考えているんでしょうか。

今里政府参考人 運動部活動の指導に当たりましては、先ほど申し上げましたように、いろいろと計画的な活動をするときに、その段階で子供の心身の発達の状況を踏まえることはもちろんでございますけれども、練習中におきましても声をかけて生徒の反応を見たり、疲労状況や精神状況を把握する、こういった形でのコミュニケーションをとりながら進めるということが重要でございまして、これは、私どもの方の運動部の部活動の指導におけるガイドラインというところでも指摘をしているところでございますので、この趣旨を一層周知していくように努めてまいりたいと思います。

串田委員 それと、勉強会の中で、そういう子供を亡くした御両親だとか、重大な事故になった方、御両親の方が一番やはり望んでいるのは、そういうことを起こした先生に対しても損害賠償というような部分についてはしっかりと責任をとっていくという姿勢。先ほどちょっと大臣からの説明もありましたが、求償権を行使するというのが余りにも少な過ぎるんじゃないかというようなことがあるんですけれども、これについては文科省としてはどのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、故意又は重大な過失があった場合は求償権を有する、こういうふうになっておりますので、実際に求償権を行使するか否かについては、個別の事案に応じてそれぞれの地方公共団体の責任において判断すべきもの、こういうふうに考えております。

 まさに、個別の事案に応じてそれぞれの地方公共団体の責任で判断するということでございますので、我々の方でこのケースはとかこのケースはというような指導ということは考えておらないところでございます。

串田委員 今大臣の御説明のとおりに、文科省が地方公共団体等、そういうところにいろいろな指導をするというのは、これはまた難しいところがあるのかなと。

 ただ、そういう勉強会で、何とかこういう学校の事故が起きないようにする。両親や保護者の方からしてみると、本当に無念な思いでいるんだと思うんです。そういう意味では、何とかしてくれないだろうかという思いの中で来られて、勉強会というようなものを開催していたというようなこともありますので、先ほどのシグナルというようなことも申し上げましたけれども、学校教育の中で何かつかみ取っていく、それが生徒同士だったらいじめなのかもしれないですけれども、学校の先生がちょっと異常な行動を起こすような傾向があるというようなことを察知するシステムみたいなものも、もう少し配慮してつくり上げていくというようなことを望みたいと思います。

 今後、こういうようなことが起きない、先ほどの消極的にならないようにというようなことの中の兼ね合いの中で、非常に難しいとは思いますけれども、学校教育の課程の中で子供に事故が起きないように、そういったところの配慮をお願いして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 前回、法案審議の際に、ニセコ高校の問題について質問させていただきました。その際、要領を得ない答弁等々ございましたので、先ほど他の委員からも質問ありましたけれども、私からも改めて尋ねたいというふうに思います。

 前回、本来であれば、本日、まさにこのニセコ高校の公開授業に関して、北海道大学の助教授の研究室を訪れた経産省の北海道経産局資源エネルギー環境部長、ぜひこの委員会に来ていただいて、本人ですから、一番話がわかる話ですからということで参考人を要求いたしましたが、理事会の場では、きょうは資源エネルギー庁の方が代表して答弁をするということでありますので、きのうからきょうにかけてしっかり話を聞いたというふうに思いますので、質問にしっかり答えていただければというふうに思います。

 それで、まず、前回尋ねて要領を得なかったのは、新聞報道等では、この北海道大学の助教授の研究室を訪れて、原発の事故の写真あるいは原発のコストについて、印象操作ではないか、特定の見方に偏っている、リスクはどのエネルギーにもあると説明してほしいという発言があったということ、それから、原発を進めるという国の方針があるから指摘しているという趣旨の発言があったというふうに報じられております。

 恐らく新聞の方は見ておられると思いますので、これは、こういうふうな発言があったのか、あるいはこれに類する発言があったのか、どういった表現でこうしたことは言われたのかを答弁をお願いします。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 北海道経済産業局の八木資源エネルギー環境部長及び同部の職員に電話で確認をいたしました。そうしたところ、半年前のことであるので一言一句の発言内容までは思い出せないものの、八木部長は、講師の方に対して、講演会は経済産業省の支援事業の一環であり、この支援事業は、学生を対象に、多様なエネルギー源のメリット、デメリットなどエネルギーに関する課題や解決策を学ぶ趣旨であること、これをお伝えした上で、原発の発電コストはモデルを用いて客観的に試算されたものである、あるいは発電コストが上振れする可能性を指摘している根拠は書籍の引用であるとの点を記載するよう指摘をいたしてございます。

 また、福島第一原発事故の写真のみを掲載すれば、原発だけが危険との印象を与えかねないと指摘した上で、原子力だけでなく、化石燃料、再生可能エネルギーなどについても、公平にその安全上のリスクを記載するよう指摘を行ったとの報告を受けてございます。

吉川(元)委員 もう一点、ここの研究室を訪れた際に、原発を進めるという国の方針があるから指摘をしているという旨の、これは旨ですから、このとおりの言い方をしているかどうかわかりませんけれども、旨の発言があったというふうにありましたけれども、これについてはいかがですか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 原発を進めるという国の方針があるから指摘しているとの発言は行っていないとの報告を受けてございます。

吉川(元)委員 それは、今私がしゃべったのをそのまま言っただけであって、これに類する、あるいはこれに関連する、あるいはこういうふうにとられかねないような発言はなかったんですか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 八木部長がその講師の方に申し上げましたのは先ほど言った三点が中心でございますので、例えば先ほどのものでございます、原発だけが危険との印象を与えかねないので、その他のエネルギーについても安全上のリスクを記載するように行ったということ、こういったものが場合によってはそういった趣旨に当たるかもしれませんけれども、先ほども申し上げましたが、原発を進めるという国の方針があるから指摘しているとの発言は行っていないとのことでございます。

吉川(元)委員 ほかのエネルギーもリスクがあるということと、原発を進めるという国の方針があるからというのと、これはどう聞いても、そういうふうにはとられないというふうに思います。

 そういう旨の発言ということですから、今答弁された言葉というのは、私が新聞の中に書いてある言葉をそのまま抜いて、それをそのまま言っているだけなので、例えば表現がいろいろ、若干違うかもわかりませんけれども、趣旨としては、国の方針と、それからこの指摘との間に関連性のあるような発言があったのかなかったのかというのを、もう一回確認します。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたものが電話で確認した内容でございますので、現時点でそういった発言があったかどうかは確認ができておりません。

吉川(元)委員 昨日もそうですし、きょうの理事会の場でも言われたのは、本人にかわってエネ庁の方からきちんと答弁をするということで、それであれば、その答弁をまず聞きましょうということで、本日の、先ほど名前が出ましたけれども、八木部長については参考人としてはここに来ていただけなくても、きょうはこれで議論させていただきますということで了承いたしましたけれども、今のお話ですと、それについてはよくわからないということなのであれば、やはりこの場に来ていただいて、御本人から直接この問題について、非常にこれは重要な問題ですから、お話を伺いたいと思いますが、委員長、また理事会の場でお諮りいただければと思います。

冨岡委員長 理事会で諮ります。

吉川(元)委員 次に、前回、その存否を含めて質問した際に、今現在調査中であるということで御回答がありましたが、いわゆるこの問題について、研究室を訪れて、部長の判断で行かれたということですけれども、そこで、行くこと、それから行った後を含めて、行政文書の存否というのは明らかになったんでしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の行政文書につきましては、その存否も含め、現在確認をしてございます。

 スケジュール、こういったことについては確たることは申し上げられませんけれども、できる限り早く調べを進めたいというように考えてございます。

吉川(元)委員 資源エネルギー庁を代表して行っているわけですから、それは当然、何らかの文書として、ただ単にお茶を飲みに行きましたとか、ふらっと遊びに行きましたという話じゃないわけで、ある行政的な目的を持って行かれているわけですから、当然、こうした場合には行政文書が存在するというふうに思いますが、その点はいかがですか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、現在、確認作業を進めている状況でございます。

吉川(元)委員 では、例えば、この問題について、資源エネルギー庁の方に何らかの、報告なりなんなりというのはありましたか。

小澤政府参考人 これはちょっと、経緯になりますので長くなりますけれども、本件については、北海道経済産業局の職員が、ニセコ高校での講演会のお話をお伺いし、それで、十月十二日に講師の方に、エネルギー源のメリット、デメリットを公平に伝える観点から、原子力に関する論点について御指摘をしたということでございます。

 十月十二日のうちにその旨が北海道経済産業局から事業の事務局に伝えられ、翌十月十三日に事務局から資源エネルギー庁の担当職員に連絡が入ったということでございますので、その時点で報告があったということでございます。

吉川(元)委員 だとすれば、当然、行政文書はありますね。直ちに捜して、当委員会に提出を求めます。委員長、よろしくお願いいたします。

冨岡委員長 理事会に諮ります。

吉川(元)委員 それと、これも前回ちょっとうやむやのままになっていたんですが、今回の、研究室に行って、授業といいますか講演の内容について、こういうふうにしてほしいああいうふうにしてくれという話をされていますけれども、法的根拠はないということでよろしいですね。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 地方経済産業局でございますけれども、これは経済産業省設置法第十条によりまして、経済産業省の所掌事務、これを分掌してございます。分掌事務の中には、例えば電気の安定的かつ効率的な供給の確保、こういったことに関することなど、各種エネルギー政策に関する事務も含まれてございます。

 これらの事務の遂行のために、各エネルギー源の特性等について国民の皆様に正確な理解がなされるよう、広報に関する業務も行ってございます。

 また、エネルギー政策基本法がございまして、この第十四条では、「国は、広く国民があらゆる機会を通じてエネルギーに対する理解と関心を深めることができるよう、」「エネルギーの適切な利用に関する啓発及びエネルギーに関する知識の普及に必要な措置を講ずるように努めるものとする。」というふうにされてございます。

 したがいまして、今回、北海道経済産業局が資料内容について指摘を行ったというものは、この経済産業省設置法に基づく分掌事務の一環として、またエネルギー政策基本法の規定の趣旨を踏まえて、エネルギー源のメリット、デメリットを公平に伝える観点から行ったものというように認識してございます。

吉川(元)委員 これは授業なんですよ、学校の授業なんです。経産省にとっては、これは広報なんですか。今、広報だと言われましたけれども、学校の授業を使って、国の政策、経済産業省、エネルギー庁が進める政策について広報を行った、そういうことの答弁でよろしいですね。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 法的根拠ということでございますので、経済産業省設置法、それからエネルギー政策基本法に基づいて、エネルギー政策に関する広報、普及啓発、こういったものを行っているということを申し上げたことでございます。

 今回のものは、資源エネ庁の事業として行っている部分もございますけれども、その法的根拠はどこかということであれば、エネルギーに関するそういった広報、普及啓発、こういったものがその根っこにあるということだというように認識してございます。

吉川(元)委員 明らかにこれは、いわゆる教育課程に対して介入をしている。しかも、その授業をエネ庁の広報として扱おうとしている。これは明らかに違法な行為であり、無法な行為だと言わざるを得ません。

 文科省に聞きますが、文科省はこの事実をいつ知りましたか、そして、どう対応されていますか。

高橋政府参考人 お尋ねの件につきましては、四月の五日に初等中等教育局の担当課に対して報道機関からの問合せがあり、四月六日に同課から北海道教育委員会に対して電話にて問合せを行いました。その際、北海道教育委員会からは、直接、町教育委員会に対して問合せをして構わない旨のお話があり、四月九日の、今週の月曜日でございますけれども、町教育委員会に対して電話にて問合せを行い、事実関係を現在確認しているところでございます。

 これまでに文科省において把握できている内容といたしましては、当該高校で行われた講演は資源エネルギー庁の委託事業であるエネルギー教育モデル校事業として行われたものであること、昨年十月十六日に実施された講演は当該高校の教育課程に位置づけられたものであること、昨年九月六日に北海道経済産業局から当該高校に対して講演会の日程と内容について情報提供の依頼があり、昨年十月十二日に当該学校から北海道経産局に対して講演資料を事前に送付したこと、そして、昨年十月十二日に、当該講演を実施する外部講師を訪問した北海道経産局の職員から、外部講師に対して同資料について指摘があったこと、こういったことを現在までに把握しておりまして、今、更に詳細な事実確認を行っているところでございます。

吉川(元)委員 正規の教育課程として行われているものの中に、経産省がみずから進めていく行政の広報を行った、それが法的な根拠だというふうに先ほど役人の方から答弁がありました。これがもし事実だとしたら大問題なんじゃないですか。初中局長、どうですか。

高橋政府参考人 先ほども申し上げましたが、現在、当該講演、これは外部講師の方の授業でございますが、そういった授業の教育課程上の位置づけの詳細、例えば年間指導計画においてどうなるか、こういったようなことについて今さらなる事実確認を行っているところでございますので、現時点においては私からのコメントは差し控えさせていただきたいと考えております。

吉川(元)委員 大臣、いかがですか。仮に、教育課程の中で、行政機関の進める政策についての広報、これをするために授業が行われているというようなことがあればこれは大問題だと思いますし、仮にそうであるとすれば、文科省として、経済産業省に対して何らかの抗議なりなんなりをする必要があるというふうに考えますが、この点についてはいかがですか、大臣。

林国務大臣 ちょっと今聞いておっただけでございますので、経産省からは、この設置法上の根拠として、広報、普及啓発というふうに答弁があったというふうに聞いておりました。

 教育課程の編成や学習指導の実施など学校が行う教育活動は、一義的には、学校の設置者である教育委員会若しくは学校の権限と責任において適切に行われるべきものであると考えております。

 この基本的な考え方を前提としつつも、まず、文部科学大臣は、各学校における教育活動等について、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十八条の規定に基づき、教育に関する事務の適正な処理を図るために必要な指導、助言等を行うことができるとされておることは大分議論をいたしましたので、そういうことでございます。

 また、国の行政機関一般でございます。これは、おのおのの所掌事務の範囲内で、その行政目的を達成するために、例えば、学校からの任意の申請を前提としつつ、学校が一定の教育を行うことに対して、その実施に係る経費の支援を行う委託事業などにおいては、当該事業の目的を遂行する立場から、その経費の支出対象となる教育内容にかかわることは考えられることである、こういうふうに思っております。

 ただし、それらの場合であっても、一義的には、学校の教育内容は学校の判断と責任において決定されるべきものであることが前提となるものでありますので、個々具体の事例について行政機関の教育内容へのかかわりが妥当であるかどうかにつきましては、それぞれのケースの実情に応じて個別具体に判断すべきものと考えております。

吉川(元)委員 今経緯も含めて調査中であると、文科省としては、ということであります。

 今、きょう伺っている、先ほどの政務官の話とかなり違うような答弁の内容だったんですけれども、経産省、エネルギー庁としてそういう考え方なのであればこれは明らかにおかしいというふうに思いますし、きちんと事実を調べて、その上で、経産省に対して厳しく、それこそストーカーのように前川さんを追いかける暇があるのであれば、本来の文部科学省の責任において教育行政を進めていただかなければならないというふうに思っております。

 それで、もう時間がほとんど残っておりませんが、あと一点だけ。

 その後、昨日、またこれは新聞で出ております。資料にも出ておりますが、経産局が、同じ講師の方、北海道の助教の方が倶知安町で行おうとした再生エネルギーの講習、その際に、講師の変更について提案をしたというような報道が報じられております。

 事実経過を簡単に説明をお願いします。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 倶知安町の案件でございますけれども、今回の事実関係といたしましては、倶知安町が国の補助を受けて、平成三十年二月十五日に再エネ関係のセミナーを開催してございます。その際、倶知安町の方から北海道経済産業局に対しまして、セミナーにおける講演者の候補者として、木質バイオマスの現場に詳しい有識者の紹介依頼がございました。町からの依頼を受けまして、北海道局は、南富良野町の先進的な木質バイオ事業に取り組みます森林組合の方を紹介したものでございます。

 倶知安町によりますと、その講師、今回話に出ております山形助教と並行して研究者でない現場サイドの講演者を探していたこと、研究者の方の講演がほかも考えられましたので、二つの題目が続けて研究者からの講演になってしまうこと、先進地での取組や現場の声も今後の町の取組として重要であることといったことを踏まえて、倶知安町の判断として、現場に詳しい有識者にセミナーの講演者をお願いすることになったというふうに聞いてございます。

 北海道局は、倶知安町からの依頼に基づきまして、有識者の紹介を行ったものであるというように認識してございます。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、報道によれば、倶知安町の方は、委託会社を通じて、もう名前が出ましたが、山形助教に対して依頼をして、内諾を得て、その後に、町は山形助教も含めた三人の講師陣をおおむね決めた段階で経産局に伝えたところ、別の方を紹介されたと。

 明らかにそれは、今の説明は事実と違うのではないんですか。まるで倶知安町の方から、かえたいから誰かいないかというような話ですけれども、普通、自治体、あるいは国もそうだと思いますが、内諾まで得た、相手方に来てくださいというお話をしている講師を自分たちの都合でかえることというのは、常識的に考えられませんし、明らかにこれは礼儀にも反している。よっぽどの事情がない限り、こうしたことは起こらない。ニセコの高校の問題も含めまして、明らかにこれは地方自治やあるいは教育行政に対して、教育そのものに対して、経産省、エネ庁が介入をしていると言わざるを得ません。

 この問題については、きょうはもう時間が来たので終わりますけれども、引き続き当委員会で質疑をしていきたいと思います。

 以上で終わります。

     ――――◇―――――

冨岡委員長 次に、内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。林文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 学校教育法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 このたび政府から提出いたしました学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現在、小学校、中学校、高等学校等においては、文部科学大臣の検定を経た教科書用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教材用図書を使用しなければならないこととなっています。

 この法律案は、情報通信技術の進展等に鑑み、児童生徒の教育の充実を図るため必要があると認められる教育課程の一部において、これらの教科書用図書にかえてその内容を記録した電磁的記録である教材を使用することができることとする等の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、教科用図書の内容を文部科学大臣の定めるところにより記録した電磁的記録である教材がある場合には、文部科学大臣の定めるところにより、児童生徒の教育の充実を図るため必要があると認められる教育課程の一部において、教科用図書にかえて当該教材を使用することができることとしております。また、障害のある児童生徒等の学習上の困難の程度を低減させる必要があると認められるときは、教育課程の全部又は一部において、教科用図書にかえて当該教材を使用することができることとしております。

 第二に、文部科学省著作教科書の出版権等に関する法律の規定を、文部科学省が著作の名義を有する第一の教材にも準用することとしております。

 第三に、教科用図書に掲載された著作物を権利者の許諾を得ずに第一の教材に掲載し、及び必要な利用を行うことができることとするとともに、当該著作物の掲載に係る補償金の支払い等について規定するものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

冨岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五分散会


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