衆議院

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第8号 平成30年4月25日(水曜日)

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平成三十年四月二十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 安藤  裕君 理事 神山 佐市君

   理事 亀岡 偉民君 理事 工藤 彰三君

   理事 鈴木 淳司君 理事 浮島 智子君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大見  正君    小林 茂樹君

      高村 正大君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    田野瀬太道君

      高木  啓君    根本 幸典君

      馳   浩君    船田  元君

      古田 圭一君    松本 剛明君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      串田 誠一君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     高村 正大君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     上杉謙太郎君

    ―――――――――――――

四月十九日

 私立幼稚園の充実と発展に関する請願(西岡秀子君紹介)(第九三七号)

 同(川内博史君紹介)(第九七九号)

 同(山本和嘉子君紹介)(第九九六号)

 同(長島昭久君紹介)(第一〇八七号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(宮本岳志君紹介)(第九三八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇三八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇三九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇四〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇四一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇四二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇四三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇四四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一〇四五号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇四六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇四七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇四八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇四九号)

 同(小川淳也君紹介)(第一〇六四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇七五号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(高井崇志君紹介)(第九三九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九四〇号)

 同(高橋ひなこ君紹介)(第九六三号)

 同(藤野保史君紹介)(第九九四号)

 同(泉田裕彦君紹介)(第一〇二二号)

 同(池田佳隆君紹介)(第一〇八二号)

 同(大西健介君紹介)(第一〇八三号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一〇八四号)

 同(関健一郎君紹介)(第一〇八五号)

 障害児学校の設置基準策定に関する請願(宮本岳志君紹介)(第九四一号)

 同(藤野保史君紹介)(第九九五号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善に関する請願(高井崇志君紹介)(第九四二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇六五号)

 学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(泉健太君紹介)(第九四三号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第一〇八六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員に出席を要請いたしましたが、出席が得られません。

 再度理事をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度出席を要請いたさせましたが、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員の出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省生涯学習政策局長常盤豊君、初等中等教育局長高橋道和君及び文化庁次長中岡司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木啓君。

高木(啓)委員 おはようございます。自由民主党の高木啓でございます。

 きょうは、文科委員会の質疑のお時間を頂戴いたしまして、まことにありがとうございました。

 私は、昨年の十月の衆議院選挙で初当選ということになりまして、それまでは東京都議会議員をさせていただいておりました。ということで、文科委員会で初めての質問ということで、デビュー戦でございますので、ひとつどうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 私は、地元は東京都北区というところでございまして、北区の区議会議員を務め、東京都議会議員を務めということで、ずっと東京都北区というところで政治活動を続けてきたわけであります。

 今回、学校教育法の一部改正の教科書の問題の質疑をきょうはさせていただくんですが、私の地元は有力な教科書会社が二社ございまして、さらに、きょう資料としてもお配りをさせていただきましたが、東書文庫という教科書の図書館が実はあるところであるわけであります。

 この東書文庫というのは、実は、明治以来の教科書及び関連資料を集めたユニークな図書館でございまして、ここには、文化庁が指定をする国の重要文化財が七万六千四百二十点収蔵されております。一カ所にそれだけの文化財があるところというのはほかには多分ないんだろうと思っておりまして、国立国会図書館にもない大変貴重な資料が所蔵されていたりする日本一の教科書図書館というふうに私たちは思っているわけであります。

 大変お忙しいと思いますが、林大臣におかれましても、もしお近くまで来られたら、ちょっと寄っていただいたらよろしいのではないかなと思っておりまして、ぜひ頭の片隅にとめておいていただければと思うわけであります。

 きょうの質疑は、私たちは、教科書の町と地元は思っておりまして、その教科書の町から出てきた議員が教科書の質疑をさせていただくというこの思いをぜひ受けとめていただきまして、我が国の教育が更に充実をされていくように、実りあるものにさせていただきたい、このように思っているわけであります。

 さて、我が国の教育の現状というのは、これも資料でお配りをいたしましたが、OECD諸国の中でトップクラスの成果を上げているわけであります。これは、教育の仕組みや教員の力量、あるいは文科省や各地区教育委員会の努力ということもさることながら、実は、質の高い教科書が学力の向上の下支えをしているという面も私はあると思っております。

 その意味で、今回の法改正というのは、我が国の教育の一層のレベルアップに資するものでなければならないというふうに思っているわけであります。

 そこで、質問に入らせていただきたいと思いますが、まず、デジタル教科書を導入するという考え方、ここに至った経緯というのを、改めてもう一度大臣からお示しいただきたいと思います。

林国務大臣 まず、高木先生のデビュー戦に立ち会うことができて大変うれしく思っております。東書文庫等教科書の町ということでございますので、頭の片隅ではなくて真ん中の方にしっかりと置いて、お寄りさせていただく機会を探りたいというふうに思っております。

 お尋ねのデジタル教科書につきましては、平成二十七年度から平成二十八年度にかけて、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議、こういうものを開催いたしてまいりました。そしてさらに、平成二十九年十月に中央教育審議会の初等中等教育分科会において審議をいただきまして、制度化するということになったところでございます。

 こういった審議においては、デジタル教科書については、その使用がプラスとマイナスの両面の効果、影響を持ち得ることなどから、やはり段階的にこの導入を進めていくことが適当である、こういうふうにされたところでございます。

 したがって、これを踏まえまして、この法案では、紙の教科書を主として使用し、必要に応じて、紙の教科書にかえてデジタル教科書を使用することができる、こういうふうにしたところでございます。

 この法案によりましてデジタル教科書が制度化されることにより、主体的、対話的で深い学びの視点からの授業改善や、障害のある児童生徒等の学習上の困難の低減に資する、こういうことを期待しているところでございます。

高木(啓)委員 ありがとうございました。

 それでは、デジタル教科書というものについて順次伺っていきたいと思うんですが、まず、デジタル教科書とは何かというその定義をお示しいただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案においては、デジタル教科書について、教科用図書の内容を文部科学大臣の定めるところにより記録した電磁的記録である教材と規定をしております。したがいまして、紙の教科書とデジタル教科書は同一の内容となります。

 その結果、例えば動画やアニメーションなどの紙の教科書の内容以外の内容については、これはデジタル教科書には該当せず、これまでのデジタル教材と同様に補助教材として取り扱われる、そういうことになります。

高木(啓)委員 非常にここが微妙で難しいところだと思うんですが、紙の教科書をそのままPDFのようなファイルで移したものがデジタル教科書になるのか、今の答弁ですと恐らくそういう解釈になるんだろうとは思うんですが、しかし、必ずしもそうではないというところにこのデジタルの難しさというのがあるんだなと、私は、この問題を考え始めて、調査をし始めて非常に強く思いました。

 つまり、デジタル教科書は、デジタル教材というものとセットで恐らく販売をされるような、そういうことになってくるわけで、教科書は教科書だけで、まさに検定教科書がデジタルになったということになるんだろうと思いますが、しかし、教材をセットにすることによって、教材を買うと、例えば、歴史の教科書の中に写真があって、そこに教材を買うことによってビデオのマークがついてきたりとか、あるいは、写真をクリックすることによって違う写真が見られるとか、そういうことまで実はデジタル教科書というのはできるようになるわけであります。

 ですから、必ずしも紙の教科書が一〇〇%デジタル化をされるということではないんだろうと思うんですが、しかし、法律の規定ではまだまだその部分がちょっと曖昧になっているのではないかなというふうに思っておりまして、許されるレベルというのがあるのかないのかというところが、実は教科書発行会社の方は非常に悩んでいるというのが現状でございます。

 私は、ずっと議員を務めてくる中で、調査なくして発言なしというふうに思っておりましたから、この問題をずっと、質疑をするということになってから、調査をさせていただいてまいりました。先ほど言ったように、私の地元には二つの教科書会社がありますので、直接聞きに行ってまいりましたし、現状はどうなっているんだということも聞いてまいりました。

 そこで、先ほど申し上げた、デジタル教科書が必ずしも一〇〇%PDFファイルのような形で移行するわけではないという前提の中で聞くんですが、紙も実は同じルールでやっているんですけれども、準拠教材といういわゆるセットで販売をされるような教材は、紙の教科書以外にもっとその幅が広がりますので、ここの部分に対して、文科省は、今回の法律改正でどこまで関与をするのか、あるいは関与ができるのか、あるいはしないのか、そのことをぜひ教えていただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、デジタル教材と一体的に使用できることがデジタル教科書のメリットであるという御指摘をいただきましたが、それは私どももそのように考えております。

 具体的には、例えばでございますが、教科書に掲載された写真をクリックすると、デジタル教材である動画や音声が再生されるようにすること、あるいは、教科書の問題に対応して、デジタル教材であるドリルを関連づけて表示させる、こういった工夫が、今後、教科書発行者の創意工夫により考えられるところでございます。

 本法案では、デジタル教科書において教科用図書の内容をどのように記録するかに関しては、省令等で具体的に定めることとしておりまして、この委員会における審議や、今後また関係者の意見も踏まえて検討してまいりたいと思っております。

 それから、今、デジタル教材の内容についての御質問がございました。

 このデジタル教材を含めて、学校において使用される教材は、法律に基づき、校長や設置者の責任と判断により、有益適切なものに限り使用されるものでございます。

 文科省としては、これまで、教材の使用に当たっての留意点として、教育基本法や学習指導要領等の趣旨に従っていること、その使用される学年の児童生徒の心身の発達の段階に即していること、特定の見方や考え方に偏った取扱いとならないことなどを示して、校長や設置者が適切に取り扱うよう指導してまいりました。

 こうした考え方を踏まえまして、今回の法改正に当たっては、デジタル教科書と一体的に販売されるデジタル教材についても、学校において不適切に使用されることがないよう、文科省において今後策定を予定しているデジタル教科書に関するガイドラインを通じて、従来の留意点を含め、その適切な扱いについて教育委員会等に対して指導をしてまいりたいと考えております。

 また、デジタル教科書の発行者に対しても、学校における補助教材の適切な取扱いの趣旨については周知徹底をしてまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 ありがとうございました。

 少し見えてきた気もしているんですが、つまり、教科書と教材は違うんですよということ、そして、私が言いたいことは、紙の教科書以上に、デジタル教科書になったときにはデジタル教材の充実というものが欠かせない、マストアイテムであるということと同時に、幅が広がりますので、どこまでやっていいのか、どこまでつくっていいのかというのは、やはり慎重に検討すべきことだなというふうに思います。

 もちろん、当該の教育委員会や学校、校長先生や使用する教員の方、そういう方々の考え方というのも大事なんだろうと思いますので、より学習のレベルが上がるように、そして、今までもいろいろ教材の問題というのがあったと思うんですが、例えば、極度に反日的な宣伝をするようなチラシをつくって子供に教え込んだというような先生がいたりとか、そういうこともありましたので、そういうことにぜひ注意をしていただいて、適切に、デジタル教材が教科書と同じようにつくられるように文科省として努力をしていただきたい、このように思うわけであります。

 さて、教科書は検定という作業があるんですが、教科書検定は四年に一度であります。検定教科書と同じものをデジタルにするということになると、デジタル教科書も四年に一度の検定ということで、検定でなければ内容を変えることができないのか。毎年毎年少しずつ変えるということは当然今までもやってきているんですけれども、デジタル教科書においても同じように、全体を改正するのは四年に一度の検定になるのかどうかということを教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 先ほども申し上げましたように、本法案においては、デジタル教科書について、教科用図書の内容を文部科学大臣の定めるところにより記録した電磁的な記録である教材と規定しており、紙の教科書と同一の内容となることから、改めて検定を経る必要はないということにしております。

 このため、紙の教科書の内容に変更があった場合に、デジタル教科書にも随時その変更を反映させることが必要となる一方で、デジタル教科書の内容のみを変更することは、紙の教科書との同一性が担保できないことから認められておりません。

 紙の教科書の内容については、先ほど御指摘いただきましたように、四年ごとに検定を経て改訂されるとともに、その内容の適切性が保たれるよう、随時、客観的事情の変更に伴う訂正や統計資料の更新等の訂正を行うことについて、教科用図書検定規則に定められており、デジタル教科書の内容についても、これに合わせて対応することが必要となります。

 また、デジタル教材と一体的に使用することができることがデジタル教科書のメリットの一つであると考えており、デジタル教材部分として最新の情報を取り入れることも考えられるところでございます。

高木(啓)委員 そこもなかなかわかりづらいところなんですが、紙の教科書は四年に一度の検定で大改訂をするんですけれども、逐次、今おっしゃられたような、統計資料が変わったりとか、そういうことはやられている、それは結構だと思います。デジタルも同じようにやります、それも結構です。

 ところが、紙の教科書は一年に一遍ぐらいリニューアルを少しずつされるとしても、最新の情報とか、例えば、きのう夜、ノーベル賞の発表がありました、ことしは日本人でこの方がノーベル賞をとられましたみたいな話は、本来はリアルタイムで教科書に載った方がいい情報ですよね。あるいは、仮定の話ですけれども、何か新しい大きな大発見があった、科学的にもそれが確立をされた、例えば円周率が解明されましたよみたいな話、疑う余地のない話が、一年たたなければ教科書に載らないのかというのは、紙だったらこれはしようがないな、私はそう思います。しかし、デジタルの場合は一夜にして変えることというのができるわけですね、技術的には。ですから、その部分はこれからどうするのかなということが、非常に懸念というか、疑問を実は持っています。

 ですから、デジタルのよさというのは、ある意味でのリアルタイムですとか、変えることが簡単だとかということもありますので、その特徴をどう生かすかということは、今後の研究をぜひしていただきたい。きょうは結論を出さないでいて結構ですので、ぜひ研究をしていただいて、これは教科書発行会社も懸念をしていることですから、よく相談をしながらやっていただいたらどうかなというふうに思っています。

 さて、きょうは資料もお配りをしましたが、紙の教科書というのは大体このぐらいの値段でできていますよというのをこの資料の中に入れさせていただきました。これは教科書協会が発行している資料でございますけれども、平成二十八年度の教科書、これは紙の教科書の定価でありますが、大体このぐらい、平均値はこのぐらいですよということでお出しをさせていただきました。

 さて、デジタル教科書をつくるときに、この値段ぐらいでつくれるのかどうか、どのぐらいの費用がかかるのかというのが非常に興味深いところでありまして、文科省としては、デジタル教科書を幾らでつくれるのかと聞かれたら、どう答えられるでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル教科書の価格につきましては、その販売形態や使用状況を踏まえて発行者において決定されるため、なかなか文科省としてお答えすることは現時点では困難であると考えております。

 なお、現在販売されているいわゆるデジタル教科書に関しては、例えば中学校の国語や英語について見ますと、学年ごとにいろいろな条件がございますけれども、一人当たりおおむね数百円から千円程度で販売されていると承知をしております。

 委員からお配りいただいたこの二十八年度ですと、英語ですと約三百円程度、国語ですと約八百円程度となっておりますが、これに比べて、一人当たり、現状はおおむね数百円から千円程度ということでございます。

高木(啓)委員 これも、今後の検討をぜひしていただいて、できるだけ安価につくれるようにしていただければと思っています。

 続いて、デジタル教科書の問題で私が一番気にしているのは、特別支援学校の教科書の問題であります。

 私の地元は、先ほど教科書の町と言いましたけれども、もう一つは障害者の町でもありまして、特別支援学校が三つ存在をいたしております。

 私たちのこの特別支援のデジタル教科書、これは、いわゆる教育バリアフリー法が平成二十年に法案として決定をされて、特別支援のいわゆる弱視の方に対する教科書というのは、拡大教科書を教科書発行会社がつくってくださいと、努力義務としてそれが規定をされたわけでありまして、きょうは、その拡大教科書の一つなんですけれども、これは小学校五年生の理科の教科書をちょっとお持ちさせていただきました。

 小学校五年生の理科の教科書、これは拡大ではなくて、これが普通の教科書であります。ちょっと見えないかもしれませんけれども、厚さもこのぐらいであります。これを拡大版の二十六ポイントという教科書にいたしますと、実はこの大きさになりまして、四冊版になるんですね。拡大ですから、当然大きくなるのは当たり前なんですが、こういう教科書を別につくらなければいけないということになるんです。

 これは、デジタル教科書にした場合にどういうふうにするのかなというのが非常にわからないというか、どういうふうにされるかなと。方針として、文部科学省として、拡大教科書に対する考え方、これをどう考えていらっしゃるのか、あるいは幾らぐらいでつくれるのか、そういうことも含めてちょっと教えていただけますでしょうか。

高橋政府参考人 本法案の趣旨の一つとして、デジタル教科書により、障害のある児童生徒等の学習上の困難の低減に資することがございます。

 これについては、教科書発行者に対してもしっかりと説明し、例えばデジタル教科書の作成に当たっては、文字の拡大やそれに伴って画面に表示される行数や配置を変更する、リフロー機能と申しますが、さらに音声読み上げ等の機能、こういったことに留意するように働きかけてまいりたいと考えております。

 また、文部科学省といたしましては、デジタル教科書が円滑に作成、供給されるよう、本法案において、著作権法の一部を改正し、著作権者の権利を制限する規定を設けるとともに、教科書発行者とDAISY教材等を作成するボランティア団体との意見交換の場を設け、ノウハウの伝達を促すなど、障害のある児童生徒等の学習上の困難の低減に資するようなデジタル教科書を教科書発行者が作成しやすい環境を整えてまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 価格についてはお答えにならなかったんですが、それもわからないということになるんでしょうけれども、実は、今の紙の教科書は、拡大にすると、ワンセット、これでいうと四冊なんですが、大体四万円ぐらいするんですよ。これは注文販売になりますから、物すごいコストがかかっているんです。

 それで、私は何を言いたいかというと、デジタルにしたときに、ではそのコストはどう見てくれるのかということがまず一つ。それともう一つは、ただ普通の教科書を大きく拡大ができればいいという話じゃないんですね、実は。どうも誤解があるようなんですが、タブレットにすれば、あるいはデジタルにすれば、拡大とか縮小とかが自由だからこれでいいじゃないかという議論があるんですけれども、全然そういうことじゃないんです。

 なぜかというと、弱視の方々は特徴として、図面というか写真とかを先に見た方が理解をしやすいんですよ。普通の教科書は、写真があって、下に解説があるんです。ところが、もう一つのこちらをお出ししますが、これは逆ですよね。写真があって、上に解説があるんです。こういう工夫をされているんですよ、この教科書は。それで、基本的に教える内容は同じですが、どう教えるかというところに、教科書自体に工夫を凝らされている。だから、教科書を拡大すればいいという考え方はやめてほしいと思うんですね。そうじゃなくて、もっと工夫が必要なんですよ。

 ですから、特別支援の子供たちというのは、もちろん弱視だけではありませんけれども、これから少子化の時代にあっても、特別に支援を必要とする子供たちはふえ続けていくというのが今の一つの傾向であります。ですから、この拡大教科書の問題はおろそかにせずに、もう少しきちっと考えていただきたい、ぜひお願いをしておきたいと思います。値段の問題も含めてですけれども、ぜひ考えていただきたいと思います。

 さて、時間もありませんので、デジタル教科書導入に向けてのさまざまな課題の中で、私が地元の教育委員会等にもヒアリングをいたしましたが、一番の課題はやはり教員のスキルアップだというふうに言われています。

 つまり、紙の教科書というのが既に百五十年の歴史がありまして、教育法も、どうやって教えたらいいのかということも、ほぼ今の段階では確立をされていると言っても過言ではないと思います。しかし、デジタル教科書というのはこれから始まるものでありまして、まだまだ手探りの状態であります。ですから、教員の、教える側のスキルアップというものが極めて大事。そのためには研修等が必要になってくるわけであります。

 ところが、今、教員の皆さんは忙し過ぎちゃって、研修に割く時間がないというふうに言われております。では、研修に割く時間をどうつくるのかということは大変重要な課題でありまして、一つは働き方改革であります。もう一つは、学校事務全体の教員の負担を軽減してあげる、つまり学校事務のいわゆる負担軽減だと思います。

 いずれにしても、業務の効率化をしたり外部人材の活用をしたり、あるいは教員の加配ということが最終的には必要になってくるんですが、ここについての文科省としての見解をぜひお示しいただきたいというのがまず第一点。

 もう一つ、一緒に質問します。

 もう一つは、学校事務の効率化の一つとして、今、学校サイドあるいは地域の教育委員会で一番望まれているのは何かというと、学校徴収金というものを廃止してほしいということなんです。

 この学校徴収金問題というのは、何でこんなことを学校にやらせているのかということだと思います。つまり、学校徴収金とは何かというと、給食費とか修学旅行費、あるいは教材費、これをそれぞれの学校がそれぞれの先生方とPTAが一緒になって徴収しているんですよ。これを学校に全部負わせていて、学校の先生が忙しい忙しいと言っているのを放置してはいけないと思いますよ。

 なぜ、学校徴収金のようないわゆる給食費とかこういうものを公金化しないか、あるいは公会計に入れることができないのかということが私には逆に疑問でありまして、このことはぜひ文部科学省から指導すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、学校における働き方改革についてでございますが、昨年十二月に取りまとめられました中教審の中間まとめを踏まえ、文部科学省において、学校や教師の業務の役割分担や適正化を着実に実行するための方策などを盛り込んだ緊急対策を取りまとめました。学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底とあわせて、本年二月に各教育委員会へ通知を発出したところでございます。

 また、学校指導、運営体制の効果的な強化充実や、教師以外の専門スタッフ、外部人材の配置など、学校における働き方改革を推進するために、教職員の定数改善を含め、必要な経費を平成三十年度予算に盛り込んだところでございます。

 それから、今もう一つ御指摘いただきました学校給食費、教材費、修学旅行費等の学校徴収金の徴収、管理業務については、教員の負担軽減の観点から、学校ではなく地方公共団体が担っていくことが重要であると考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、地方公共団体による学校給食費の公会計処理が円滑に行われるよう、本年度、調査研究の上、学校給食費の徴収、管理業務に関するガイドラインを作成することとしております。これにより、地方公共団体に対して学校給食費の公会計化を促してまいりたいと思います。

 また、学校給食費以外の学校徴収金についても、先進的な地方公共団体と協力し、公会計化に向けた好事例を提示してまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 ありがとうございました。

 今、非常に前向きに取り組んでいただけるということなので、学校給食費を公会計化していくためにはシステムをつくらなければいけないと思います。ほかのこともそうだと思います。ですから、システムをつくるためには経費がかかりますから、経費も見ていただいた上でちゃんとできるようにするということをぜひお約束していただきたいと思うんです。答弁は後で求めますので、よろしくお願いします。

 文科省の皆さんは御存じかどうかわかりませんけれども、では、給食費が仮に一つの学校で徴収ができなかった、欠損が出たということが大きくなってきたときにどういう対処をしているか御存じですか。お答えください。

高橋政府参考人 現在、学校給食費の徴収、管理について公会計で処理している自治体が約四割、私会計のものが六割程度ということになっておりますので、公会計の場合には、自治体の予算の方で処理をされているのではないかと考えております。(高木(啓)委員「私費会計は」と呼ぶ)済みません。私会計の場合には、ちょっと今手元に資料がないので、実態は申し上げられません。恐縮でございます。

高木(啓)委員 いろいろなパターンがあると思いますが、私が聞いている中では、食材の質を落としているという話を聞いていますよ。こんなことがあっていいんでしょうか。だからこそ、これは公会計化をすべきなんですよ。ですから、文科省は、その辺のことをもっときちんと調査した上で、しっかりと対策をとっていただきたいと思います。

 先ほど、公会計をするには予算が必要だというお話もしました。それから、先ほど申し上げたように、事務の効率化やあるいは教員の加配の問題も申し上げました。そういうことをするためには、いずれにしても、地方の教育委員会に対する財政支援というのは不可欠だと思います。

 そこで、大臣に最後に質問をいたしますが、地方に対する財政支援、不可欠であると私が申し上げているこの財政支援に対して、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 初等中等教育というのは我が国の基盤であるということも踏まえまして、公立の小中学校の教職員の給与の三分の一は国が負担するなど、国が責任を持って地方を支えることは大変重要だと考えております。

 平成三十年度予算においても、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革に向けて、学校の指導、事務体制の効果的な強化や、学校や教師の業務の役割分担や適正化による業務負担の軽減のための必要な予算を盛り込んでおります。

 文科省としては、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革等、また委員から今お話があったようなことを通じまして、初等中等教育に取り組む地方を支援しつつ、次なる時代を切り開く人づくりの推進にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

高木(啓)委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。

 終わります。

冨岡委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 本日は、学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして質問させていただきます。

 今さまざま課題がございまして、与党としましてその対応をしっかりとしていかなければならないと思いますが、その一方で、国民生活にかかわること、また子供たちの教育にかかわることについてもしっかりと審議を前に進めていかなければならないと思いますので、本日は、そういった意味からも、本法についてしっかりと質問をさせていただきたいと思いますので、最後までどうぞよろしくお願い申し上げます。

 子供たちの最大の教育環境は教師でありまして、その教師は、教科書をもとに子供たちのために授業を行ってまいります。

 今回の法改正は、教育環境の中で大きな役割を果たしております教科書にかかわる重要なものであると認識をしております。また、教科書といいますと、先ほども高木委員からお話がございましたが、私たち公明党も大変に思い入れがございまして、昭和三十八年から段階的に始まった義務教育の教科書無償配付ですが、これは、その当時の柏原ヤス参議院議員が国会で取り上げまして、尽力をして実現したものでございます。柏原議員は学校の先生をされておりまして、小学校五年生の教え子がお金がなくて教科書が買えない、そういった切実な声を受けまして、議員になられてから義務教育の教科書無償配付に取り組まれた、そういったことでございました。

 子供たちの学びが、親の経済状況であったり、また住む地域によったり、また学校の環境や教師の能力によって影響されることがあってはなりませんし、子供たちのための教育環境の整備を進めていくことが大変に重要な課題になってくるかと思います。

 義務教育の教科書無償配付から約五十五年がたちまして、教育現場もさまざま大きく変わってまいりました。そういった中で、最近では内閣府が、ソサエティー五・〇、科学技術が開く新たな社会、こういったものを提唱しております。我が党としましても党内に、浮島委員を座長といたしまして、Society5.0社会に対応した教育の在り方検討PTを立ち上げまして、これまで十二回にわたって、勉強会、また視察等を重ねてまいりました。

 私たちも、このソサエティー五・〇、これは一体何なんだろうかというところからスタートいたしまして、さまざまな専門分野の方からお話を伺ってまいりました。その中で、どんなに技術革新が進んだとしても、最終的には人が重要であって、さらには、人をつくる教育が大事なんだというところに行き着いたと思っております。そして、その教育とは、子供たち一人一人の個性を生かすものでもありまして、また一人一人が輝けるということ、それを目指すことも大事かと思いますし、そのためにも、その人に合った、個人個人に合った多様な学び方が求められていることも実感をいたしました。

 そこでまず、林大臣にお伺いしたいと思いますが、林大臣御自身もこのソサエティー五・〇に大変に御関心を持たれていると伺っておりますので、ソサエティー五・〇社会に対応した教育のあり方について、まず大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 技術革新が一層進展をしまして、社会や生活を大きく変えていくソサエティー五・〇の到来など、予測困難な変化の激しい社会においては、やはり他者と協働し、人間ならではの感性や創造性を発揮しつつ、みずから問いを立てて、その解決を目指して新しい価値を創造する力を育成する、これが重要になってくる、こういうふうに思っております。

 一方で、マニュアルどおりにやる仕事というのは、人工知能、IoTロボットというものに代替される可能性が高いのではないか、こういうことがオックスフォードのオズボーン先生などの研究でも出ておるところでございますので、したがって、今申し上げたような力を、初等中等教育から高等教育まで一貫した教育によって育成するために、小学校からのプログラミング教育を必修化するなど、既に、新しい時代に求められる資質、能力の育成を目指す新学習指導要領の実施、それから高大接続改革ということに取り組んでいるところでございます。

 さらに、もう少し先を見ますと、現状からの延長ということではなくて、今まさに委員がお話しされたように、一体、ソサエティー五・〇、言葉はできましたけれども、具体的にはどういう社会になっていくのかということをもう少し掘り下げて、まだ具体的というわけには行き着かないかもしれませんが、そういうことに進展していく中で、広く国民にどういう能力が必要になってくるのか、また、更に言えば、そういう社会をみずからリードして、創造し、つくっていくという人材はどういう人が必要なのかということを、しっかりと掘り下げた議論をするために、私のもとにソサエティー五・〇に向けた人材育成に係る大臣懇談会を設けまして、技術の専門家に加えて、経済学者、首長、アーティストの方にも参画していただいて、議論を昨年の秋から行っておるところでございます。

 このメンバーの中には、先ほど御紹介いただいた公明党の研究会にもお呼びいただいた委員がたくさんおるというふうにも承知をしているところでございます。

 実は、その有識者の下と言ったら失礼かもしれませんが、一緒に、課長級職員等で構成する新たな時代を豊かに生きる力の育成に関する省内タスクフォースということで、課長級職員、できる限りはこの懇談会にも陪席をしていただいて、議論を少し共有した上で、この懇談会での議論を受けて、今後講ずべき施策について、より詳細、具体的な議論を行っておるところでございます。

 今後、こうした会議や先ほど御紹介いただいた御党における議論も踏まえまして、誰もが、それぞれの能力を最大限伸ばして、夢と志を持ってさまざまな分野で活躍できるようにする、このことは、AI、ロボットが発展しますと、チャンスでもあり、うまくこれを教育等で対応しませんと逆になるリスクもあるということで、大変大事な分野でございますので、まさに、未来への先行投資である教育再生にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今、驚くほど技術革新が進む中で、また人口減少、そういった大きな課題も抱えております。そういったことから、一人一人の、子供たち含めて、私たちの役割が大きくなってくる中で、しっかりとこの時代に合った教育を進めていく中で、一人一人が輝ける、個性を生かせるような社会づくりということで、繰り返しになりますが、教育が大きな役割を果たしていくかと思います。

 ぜひとも、そういったことから、まだ結論はもちろん出ておりませんけれども、しっかりと皆さんからいろいろ御意見をいただく中で、そういったすばらしい社会というか世の中が実現できるように、引き続き私たちも取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、具体的に法案の方に入らせていただきたいと思いますが、まず初めに、学校教育法の法改正の経緯について確認をさせていただきたいと思っております。

 現在、小学校、中学校、高等学校の授業では、紙の教科書を使用しなければならないとされております。本改正で、小学校、中学校、高等学校において、検定済み教科書の内容を電磁的に記録した教材がある場合には、教育課程の一部において、教科書の使用義務にかかわらず、通常の紙の教科書にかえてデジタル教科書を使用できることとするとあります。

 ICTを日常的に活用することが当たり前となっている現在において、少し遅いのではないかという感もございますが、改めて、本法案の改正の提出の経緯についてお伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 デジタル教科書については、平成二十七年度から平成二十八年度にかけて開催された「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議で御審議をいただき、さらに、平成二十九年十月には中教審の初中分科会においても御審議いただいた上で制度化することといたしました。これらの審議においては、デジタル教科書については、その使用がプラス、マイナス両面の効果、影響を持ち得ることなどから、段階的にその導入を進めていくことが適当であるとされたところでございます。

 これを踏まえ、本法案では、紙の教科書を主として使用し、必要に応じて紙の教科書にかえてデジタル教科書を使用することができる、こういった内容にさせていただいております。

 本法案によってデジタル教科書が制度化されることにより、主体的、対話的で深い学びの視点からの授業改善や、障害のある児童生徒等の学習上の困難の低減に資することを期待しております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 先ほどもちょっとお話がございましたが、ここで言いますデジタル教科書の定義について改めて確認をさせていただきたいと思います。国民の皆様もなかなかイメージが湧かないのではないかと思いますので、デジタル教科書の定義についてお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 この法案におきまして、デジタル教科書については、教科用図書の内容を文部科学大臣の定めるところにより記録した電磁的記録である教材、このように規定をしております。したがって、デジタル教科書は紙の教科書と同一の内容ということになります。

 先ほどの御審議でもございましたが、一方で、デジタル教科書にあわせていろいろな付加的な教材が整備される場合に、例えば動画やアニメーションなど、紙の教科書の内容以外の内容につきましては、これはデジタル教科書には該当せず、これまでのデジタル教材と同様に補助教材として扱われる、このような整理になります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 そうしますと、このデジタル教科書の導入によりまして期待されるメリットについて、この点についてもお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 デジタル教科書が導入されることによるメリットでございますが、例えば、デジタル教科書にハイライトや書き込みを繰り返し行うことにより、試行錯誤しつつグループで話し合い、考えたことを電子黒板に転送して共有し、ほかの意見と比較しながらみずからの考えを一層深めることや、あるいは、デジタル教材である動画などと一緒に一体的に活用して、学習した内容の実社会の活用場面を想定しながら学習しやすくなる、こういった利点が考えられます。

 また、特に障害のある児童生徒等については、例えば、視覚障害や発達障害のある児童生徒が文字の拡大、色の変更、音声読み上げ等の機能を使用することにより教科書の内容を理解できやすくなること、さらに、肢体不自由の児童生徒がページ送り等の機能を使用することによって次のページを見やすくなること、こういった効果も期待されるところでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 全国の学校におきまして、これまでも補助教材として電磁的記録であるデジタル教材を活用した授業が展開されておりますけれども、これまでの活用事例とその効果についてお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 文科省といたしましては、今回の法改正の検討に当たりまして、現在は補助教材の位置づけとして使用されている学習者用のいわゆるデジタル教科書を使用している学校を視察したり、各学校の状況について御意見を伺ったりしてまいりました。

 その中では、例えば、紙の教科書よりデジタルの方が書き込みを繰り返しやすく、書き込んだ内容をもとに議論しやすくなるため、児童生徒が積極的に議論に参加できるようになった、こういった御意見があったり、あるいはデジタル教科書では、教科書のページ全体でなくて、ある特定の範囲を限定して拡大して表示することができるので、子供を授業内容に集中させるような効果もある、こういったような声をいただいているところでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 これまで、デジタル教科書の定義、また期待されるメリット、そしてデジタル教材の活用事例、効果などを伺ってまいりました。この法案によりまして、デジタル教科書というものがまず定義づけられます。そして、このデジタル教科書の活用によって今伺ったようなことが期待をされるわけでございますが、よりよいデジタル教科書、また、現場のニーズに合ったデジタル教科書が作成されるようにしていかなければ意味がないと思っております。

 これも先ほどもお話がございましたが、特に障害のあるお子さんたちに対しまして、障害に応じて、また個人個人に応じて活用できるような、そういったことが進みますと、大変充実した教育に結びつけることができると思っております。

 例えば、発達障害の方でございますが、御存じの方も多いかと思いますが、物の見方、聞こえ方がそれぞれ違いますので、私たちが何も感じないようなことでありましても、その人から見ると、例えば文字が飛び出してきて見えるように感じたり、またそれによって恐怖を感じてしまったりとか、本当に個々によって同じものを見ても感じ方が違う、そういった方がいらっしゃいます。

 障害によって、また個人個人によって全く変わってきますので、教科書を個人個人に合わせて活用できる、そういったことが進みますと、学習意欲の向上にもつながりますし、学びの充実にもつながると思っております。

 今後、各教科書会社が教科書を作成する際に、障害者を始め利用する人の声をしっかりと反映したものにつくり上げていくことが求められていると思いますが、御見解と対応をお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 今回の法改正の趣旨の一つとして、デジタル教科書により、障害のある児童生徒等の学習上の困難の低減に資するということがございます。これについては、文科省としても、教科書発行者に対してしっかりと今後説明をしてまいりたいと思っております。

 また、文科省といたしましては、デジタル教科書が円滑に作成、供給されるように、本法案において著作権法の一部を改正し、著作権者の権利を制限する規定を設けるとともに、今御指摘いただきましたように、さまざまな利用者の声を反映するというような観点からは、既にそういったことについて一定の知見を有する、例えばDAISY教材などを作成するボランティア団体、こういう団体と教科書発行者との意見交換の場を設けるなど、教科書発行者が障害のある児童生徒の学習上の困難の低減に資するようなデジタル教科書を作成するように、しっかりとそこを促してまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 障害があることによって情報の格差があってはならないと思いますし、また、学ぶ機会、内容が減ってしまうようなことがあってはならないと思っております。

 特に、障害のある方、またその家族の方の声が反映されたものになるということで、繰り返しになりますが、文科省としましても、教科書会社等への働きかけ、しっかりと対応していただきたいと思いますので、再度要望させていただきたいと思っております。

 次に、教員のICT活用指導力の現状と今後の取組についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 学校の先生のICT活用指導力について、平成二十九年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査、これによりますと、授業中にICTを活用して指導する能力が七五%ということでございました。これは先生方が御自身で申告しているものだと思いますけれども、こういった現状であるということがわかっております。

 今後、このデジタル教科書を活用した授業を行うに当たりまして、適切にしっかりと使いこなせていけるかどうか、活用指導能力があるかということが大変に重要になってくるかと思います。

 子供たちの充実した教育を実現するためにも、教員の指導力向上に向けた支援、取組が必要と思いますけれども、見解と取組をお伺いしたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル教科書の活用を含めまして、学校における教育の情報化を進めていくためには、先生御指摘のとおり、教師のICT活用指導力を向上させるということが重要でございます。

 授業中にICTを活用して指導できる教員の割合につきましては、今御指摘ございました七五%、これは年々ふえてきているという状況にはございます。ただ、これで必ずしも十分であるというふうに考えてございませんので、文部科学省としての取組を御説明させていただきたいというふうに思います。

 まず、ICTを効果的に活用した指導方法につきまして、実践事例集の作成、提供というようなことをしてございます。

 また、指導力の向上に当たりましては、各学校での校内研修ということも重要になってまいりますので、そのリーダーとしての役割を担う人材を養成するための手引というようなものを作成して配付するというようなことを行っております。

 さらに、独立行政法人の教職員支援機構におきまして、各地域でのICT活用に関する教職員研修の企画、運営を行います、いわば地域でのリーダーとなる指導者の養成研修ということを実施しております。

 また、今回の学習指導要領の改訂におきましては、情報教育の充実が盛り込まれておりますので、その趣旨、内容の周知を図りますとともに、これを機に、各教育委員会や学校が実施する教員研修の充実を更に進めまして、ICT活用指導力の向上ということに努めてまいりたいというふうに考えてございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今おっしゃっていただきましたけれども、さまざま取組をしていく中で、教員の皆様の指導力向上は大変に重要になってくると思いますし、一方で、教員の過度な負担にならないように、そういったサポート、支援も必要になってくるかと思っております。

 現在、授業などにおけるICT活用を円滑にするため進める環境づくりとしまして、ICT支援員というサポート制度があると伺っております。改めまして、ICT支援員の具体的な業務内容と配置状況についてお伺いしたいと思います。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 ICT支援員でございますけれども、学校における教師のICT活用をサポートする役割を担っております。

 その業務内容は、自治体により違いがございますけれども、具体的には、授業で用いるICT機器の設定や操作の説明、ソフトウエアやデジタル教材等を先生方に紹介したり、あるいは授業で活用する際の相談支援などの業務を行っております。

 平成二十九年三月現在、ICT支援員は、全国の教育委員会におきまして約二千五百人が配置されているという状況でございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今、ICT支援員の業務内容を伺いましたけれども、多岐にわたっているなということが感想としてございまして、あと、全国で二千五百名ということですので、まだまだ少ないなというのが率直な感想でもございます。

 たとえ、先生方がデジタル教科書を使いこなせたとしましても、例えば基本的なことで、ICT機器の故障であったりトラブル、授業を始めようと思ったら、先生、ちょっと動きませんとか、そういったことがきっかけで授業が進まないとか、そういったことも想定されるわけでございますので、そういった基本的なことからしっかりとサポートしてもらえる、そういった体制をしっかり整えていくことも大事かと思っておりますが、今伺ったように、全国で二千五百人ということで、まだまだ人員も足りないかと思いますので、しっかりと教員の皆様のサポートを進めていく上で、また学校のICT環境を整備する上からも、このICT支援員の増員、これが必要になってくるかと思います。この点につきまして、御見解と今後のお取組をお伺いしたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 各学校が、デジタル教科書を含めまして、ICTを活用した教育を実施する上で、教師のICT活用指導力の向上ということがまず基本にございますけれども、先生方のICT活用をサポートするICT支援員の配置ということを進めることが重要であると考えております。

 このため、ICT支援員の配置に係る所要の経費につきましては地方財政措置が講じられているところでございます。その配置が更に促進されますように、各自治体に対して、その意義を周知いたしますとともに、地方財政措置の積極的な活用ということを現在も促しているところでございますけれども、さらに、この点は強力に指導をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、今回の学習指導要領の改訂では、情報教育の充実が盛り込まれたところでございまして、今後の学習活動において積極的にICTを活用していくことが想定をされますので、ICT支援員の必要性や役割をより明確な形で自治体に情報提供することによりまして、必要な配置がなされるように促してまいりたいというふうに考えてございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 先ほども、地方への財政支援が必要だ、重要だというお話もございました。あわせて、こういったICT支援員の増加ということで、地方財政措置、しっかりと促す取組も、引き続き文科省としても強力に推進していただきまして、先生方の過度な負担とならない、そういったサポートもしっかりと取り組んでいただきたいということで、これも再度要望させていただきたいと思います。

 次に、学校現場のICT環境の整備推進について質問させていただきたいと思います。

 このICT環境の整備状況は、学校によって、また地域によってさまざまでございます。大変に地域差が出てきているのではないかということで、そういった感想も持っておりますけれども、しかし、こういったICT環境の整備の差が、子供たち、児童の学習環境の格差によって教育の格差につながってはいけないと思いますので、そういったことからも、ICT環境の整備状況、これをしっかりと推進していかなければならないと思っております。

 そこで、このICT環境の整備状況と環境整備の推進のための取組についてお伺いをしたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 新学習指導要領において、今後の学習活動において、より積極的なICTの活用ということが求められていくということになるわけでございます。そのために、学校のICT環境の整備ということで取組を進めてございます。

 具体的に申しますと、一つは、新学習指導要領の実施を見据えまして、学校において最低限必要とされ優先的に整備すべきICT環境についての整備方針の策定と、全ての教育委員会にその内容の通知をしているということがございます。

 その上で、それを踏まえて、環境整備五カ年計画というもの、これは二〇一八年から二二年度まででございますけれども、この五カ年計画に基づきまして確保いたしました、単年度で千八百五億円の地方財政措置がございますので、その積極的な活用に向けた周知をしているところでございます。

 また、御指摘のように、自治体によって整備状況に差がございますので、学校ICT環境整備状況のデータについて、市区町村単位ごとの公表によりましてICT環境整備状況の見える化をしていくということ、そして、自治体のニーズに応じて学校ICT環境の整備に必要な助言を行います、ICT活用教育アドバイザーというものを派遣するというような取組を行っております。

 こうした取組を通じて、各自治体において、学校ICT環境整備の重要性を十分に認識していただいて、適切な整備が進められるように取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 このICT環境によって子供たちの教育の格差につながらないようにということで、繰り返しになりますが、本当に、地域によって余りにも差があるなというのを私も今回感じましたので、活用事例も紹介しながら、各地域におきましてぜひとも推進が進むように働きかけを再度お願いしたいと思っております。

 それでは、時間になってまいりましたので、最後、大臣に質問をして終わらせていただきたいと思います。

 今もお話しさせていただきましたが、ICT環境の推進が図られることによりまして期待されることも大変に大きいと思います。一方で、さまざま情報もあふれてきますし、その中で、選別をして、また物事を展開させたり、また判断していく、そういった力が衰えていくのではないか、そういった懸念があったり、また読解力の低下、そういったことも心配される声も出てきております。

 また、あとは本当に基本的なことなんですが、漢字が書けなくなる、文章は読めるんだけれども、漢字は読めるんだけれども漢字が書けなくなるといった、私たち大人もそうなんですが、そういったこともございますし、冒頭も申し上げましたが、今さまざま技術革新が進んでおります。しかし、最終的には、人が重要であり、また国づくりの基本も人づくりであり、また子供たちが重要であるということで、しっかりとこれから、さらに、子供たち一人一人のための、個性を生かせる、そういった多様な学び方が求められてくると思いますけれども、そういった大きな変化の中で、課題がある中で、今後どのような教育を目指していけばいいのか、ちょっと少し大きな話になりますが、最後、大臣に、御見解とまたそれに取り組む決意をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。

 漢字を読めても書けないというのは私も耳が痛い話でございますし、多分電話番号もそうなんだろうなというふうに思っております。

 また、読解力のお話は、たしか、有識者懇で新井紀子先生から我々も聞いたことがございます。やはり、影響の一つには、SNS等で非常に短い文章でやりとりするということが続きますと、複文、また重文、係り受けというところに対する理解が弱くなるのではないか、こういうことも言われておりますので、そういうところを総合的に見ていくことが必要であり、また、この活用をしっかりとプラスの部分でしていく、あわせてやっていかなければならないというふうに思っております。

 ICT活用ということでいうと、授業がわかりやすくなる、拡大をしたり、それから動きがあるものを動画でやる、こういうことができるようになります。

 また、主体的で深い学びということでは、私も奈良の市立の高校のよのなか科というのに参加いたしたことがあるんですが、皆さんが持っている端末から、スマホでもいいんですが、自分の意見をまず匿名でやると、それが学校の黒板にだっと出て、これはいい意見ですね、誰か、もしよろしければ手を挙げてください、こういう形で非常に対話が進んでいくという活用の例を見せていただきました。

 それから、個に応じた指導ということで、自分で次のところへどんどんどんどん進んでいける、こういうようなこともあるわけでございます。

 新学習指導要領でも、プログラミング教育が小学校から必修化、こういうこともありますし、学校においてICT環境を整える、こういうことも書かせていただきました。

 小学校へ入ったお子様が大学まで行かれると十六年、ストレートでもかかるわけですから、それぐらいのスパンでもってしっかりと、どういう資質が必要になるかということを、大変変化の激しい予測困難な時代ではありますが、そういうところにしっかりと問題意識を持って、教育の情報化の一層の推進を図ってまいりたいと思っております。

鰐淵委員 以上で終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 まず最初に一言申し上げたいのは、昨日の厚生労働委員会におきましても、野党提案の生活保護法の一部の改正法律案、これに対する参考人が三名、委員会に出席をしていただきました。そのうちの一人も、大阪市長の吉村市長でございますけれども、大阪では生活保護の受給者が日本で一番多いということで、その法案に対する参考意見ということで、よりよい法律をつくっていただこうということでやってきましたところ、法案の提出者がいないということで、その法案を提出することがどういう趣旨だったのだろうかというようなことを述べられていたわけでございます。

 今回の法案に関しましても、学校教育法の一部を改正するということで、障害者が教科書をよりよく利用できるようにという法案で、これは一刻も早く成立をさせたいと私も思っています。

 ただ、いろいろな問題というところもございまして、先ほど高木委員の方から、支援学校の教科書は拡大するだけではいけないんだというような御指摘がありまして、聞いてみてなるほどなと思った次第でございますし、あと鰐淵委員からも、発達障害の子供にとっては、デジタル教科書が、それだけでいいというわけではない、非常にきめ細かな施策をしていかなきゃいけないという御指摘もありました。

 そういう中で、今回の法律の運用に当たっても大変有用な意見が二人の委員から出たわけでございますので、もしも野党委員が全員この法案に関して質疑をすれば、もっといい法案に、あるいはその運営ができたのではないだろうかということを大変残念に思っているわけでございます。

 私は野党の一員として理事会にも出席をさせていただいておりますが、強行というようなことを報じるところもございますけれども、私から見ても、何度も何度も呼出しをし、そして、今回欠席を、午後全く無駄になった分を更に金曜日にまた設けるというような、非常にそういう意味で丁寧な対応をされているということを私自身実感しておりますので、強行という言葉にはほど遠い運営をされているということで、私としても、この点については野党の一員として説明をさせていただきたいと思います。

 そしてまた、今回、野党の委員が出席をしていない中で、法案の重要性ということに鑑みまして、今回の委員会を開催していただいた委員長には感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、今回の法案について私の方から質問をさせていただきます。

 私自身、デジタルで教科書が渡されたら果たして勉強できたんだろうかという大変不安を感じているわけでございますが、ただ、私自身もスマホで本を読むということも非常に多くなってまいりました。一つは本を持ち歩かなくていいということと、従前読んだ本がスマホの中に、これはクラウドの中に入っているんでしょうけれども、そのまま持ち歩かずにずっと参照できる、そういう有用性もあるということで使っているわけでございますが。

 通告はないんですけれども、林大臣、林大臣はデジタルのものに対してどのような親和性を持っていらっしゃるのか、日ごろの利用状況などをもしお聞かせいただければと思います。

林国務大臣 私は、ガラ携からスマホに変わったのが去年の一月でございますので、まだビギナーではないかと自分では認識をしておりますが、今委員がおっしゃったように、非常にいろいろな機能を持っているということでございますし、例えば今、本の話がございましたが、私はまだ紙の本を実は読んでいるんでございますが、何度かデジタルで購入できるというのを試してみたんですが、例えば、自分が今読みかけの本、五、六冊大体あるんでございますが、その中でやはり二、三冊はどこにもないというような状況でございまして、恐らくは、これが全部いつもそろうようになれば、今委員がおっしゃったように、移動中には本を五冊持っていくということではなくてその機器を一つ持っていく、あるいはスマホで読むということになればもっと便利になるのかな、こういうふうに思っております。

 例えば、体重を毎日つけるとか、どういう食事をしたかというのをつけるというような非常に便利なものがありますし、本についても、実は、自分が読んだ本を全部このビブリオというような形で登録しておける、読みたい本も登録しておける、ずっと、これがないときは読んだ本を本棚に並べておったんですが、そういう意味では、これを見れば一覧性があるということで、非常に、何といいますか、物すごくハイテクというところではないかもしれませんが、いろいろなところで工夫が進んで、スマホを開発したところではないところがいろいろなアプリケーションの開発をどんどんしていくということで、プラットホームの上にそういうアプリケーションが載っていくというような形で、非常にうまい仕組みになっているんではなかろうか、こういうふうに思っておりますので、しっかりとこういうことに、先んじるというところまでいかないかもしれませんが、取り残されないようにしっかりと頑張っておるところでございます。

串田委員 まさに、取り残されないように私もしたいとは思っておるんですけれども、デジタルを教科書としてあるいは教材として利用するという過渡期というか、今は転換期なんじゃないかなとは思うんですけれども、先ほど鰐淵委員からもお話がありましたが、生徒の中には、デジタル教材が自分には向いていないというようなこともあるでしょうし、非常にデジタルでよかったという生徒もいると思うんです。

 ですから、同じ教室の中でもデジタル教材だとかにすぐに溶け込める生徒とそうでない生徒がいる中で、学校の教室の中でこのデジタル教材というものを使い分けることが許されるのかどうか、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

高橋政府参考人 今回の法案は、あくまで紙の教科書を基本として、必要に応じてデジタル教科書を使うということでございますので、実際には、その学校現場の実態に応じて必要に応じた使い分けということはできることになります。

串田委員 先ほど、高木委員の方からも、教材費が出たわけでございます。そういう意味では教材費はかかるわけでございますので、例えば、どちらかを利用するというときに、生徒は、教科書代とデジタル代というようなものというような形で、二重に負担をしていくということになるのかどうかという点については、この点はどうなんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル教科書を導入するかどうか、また、導入した場合に費用負担をどうするか等については、基本的には校長や設置者において御判断いただくことになります。

 なお、デジタル教科書を使用するために必要なタブレット端末については、基本的には学校所有の教具として整備されたものを用いることが想定をされます。

 これにつきましては、公立学校のICT環境整備について、現在、三クラスに一クラス分程度の学習者用コンピューターの整備に必要な経費も含めて、今後五年間にわたって、単年度で一千八百五億円の地財措置を講じているところでございます。

 このような現状を踏まえますと、先ほど申し上げましたように、基本的には校長や設置者の判断になりますが、タブレットに入れるデジタル教科書の費用についても、設置者が負担して、基本的には学校所有の教具として整備されたものを用いるということが想定をされるところでございます。

串田委員 生徒もそうなんですが、むしろ、教える先生というのは、どちらかというと、もちろん年齢も上でしょうし、デジタルに子供よりはなじまない先生もいるのではないかなと思います。そういう意味で、先ほど鰐淵委員からも質問がございましたが、先生に対する研修というのも非常に重要だということでございました。

 その中で、先生としても、研修を受けてもどうしても自分はなじまないというような先生もいるのではないかなと思うんですが、学校の中でデジタル教材を決めるというのはどなたなのか、そして、例えば学校のクラス、例えば五クラスあった中で、二クラスは教科書でそのまま、あるいは紙ベースで教えたい、あとの三クラスは、私はデジタルの方が教えやすい、こういうようなこともあるかと思うんですが、こういうように、学校の中で、紙ベースの教え方とデジタルベースの教え方というものが分けることができるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案では、あくまで、デジタル教科書については使用を義務づけるものではなくて、必要に応じて紙の教科書にかえて使用することができるということでございます。実際には、よりよい教育を充実するためにどういう場面で使うかということは各学校において判断されることになると思いますので、その限りにおいてはさまざまな利用が想定されるところでございます。

串田委員 そういうことだとは思うんですが、結構現場では混乱を来すのかなという、ちょっとそんな感じがするんです。

 というのは、子供というのは、学年が上がっていく中で担任もかわっていくというようなことがあるわけですけれども、その中で、自分は紙で教える方が得意だという先生が何年か教えた上で、真ん中でまた今度はデジタルで教わり、またその上の学年になると今度はまた紙ベースに戻るとか、そういうようなことになると、ある程度、学校の勉強をするというペースというものもあるかと思うので、そういう意味で、何か統一性というものがやはり生徒に関してはあった方がいいのかなと。

 ただ、そうすると、今度は組がえとか非常に難しい部分もあるので、一応、そういう意味では、デジタル教材というものを導入するということは私としても非常にそういう意味では使いやすいというところもあるんですが、現場サイドでは、ちょっと学校の子供に余り混乱を来さないような運営をしていただきたいなと思います。

 また、費用に関しても、そういう意味で、使ったり使わなかったりというようなことになって、費用が二重もかかるというようなことは、これはやはり避けなければならないし、先ほど高木委員からも質問がありましたが、デジタル費用というのは紙ベースよりも本来は安くなってなきゃいけないんだと思うんですよね、印刷をしないで済むわけですから。

 そういう意味で、今、音楽に関しても、CDよりはダウンロードをした方が安いわけですので、そこら辺の部分もきっちりと、非常に教科書を作成する業者というのは限られてくるわけなので、業者ベースにならずに、こちらとしては、紙で印刷をしなくて済むというような非常にコストダウンが図れるということも、非常にそういう意味では強調して、なるべく安価に提供していただきたいと思っているわけです。

 今、ちょっとお話がありました、学校ベースで選別できるということなので、デジタルだとどうしてもなじめないというようなことがあった場合には途中で変更するということもこれは可能であるという理解でよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案においても、紙の教科書については、義務教育については無償で全員に配付するということは継続することにしております。

 したがいまして、全ての子供が紙の教科書は持っておりますので、デジタル教科書を使っていても、いろいろな事情で紙の教科書を使うということは当然可能でございます。

串田委員 前回ちょっと、著作権のそういう法律がありましたが、デジタル教科書とか教材を生徒に配付するときには、その配付方法というのはどのように考えているのでしょうか。

高橋政府参考人 現在、教科書以外の教材につきましては、学校や設置者の判断により、有益適切なものを利用することができるということになっておりますので、その学校の判断として配付をされるということになります。

串田委員 前回の質問の中で、複製をするときには、紙ベースであれば無償である、デジタルの場合には、通常のインターネットでメールで送る場合には著作権的には有償になるという話でしたが、例えば、学校の中で先生がDVDというものを複製して生徒に渡す、あるいは、イントラネットで学校内における中でデジタル的な教材を生徒に配信をするということであれば、これは無償であるというような、前回の質問の延長線上で、理解でよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 今回の改正におきましては、あわせて著作権法を改正して、デジタル教科書への著作物の掲載、デジタル教科書の供給、利用等の際に必要となる著作物の利用行為、これらについては権利者の許諾なく行えるようにするものでございますので、こういったことについては権利者の許諾がなくてできるということになります。

串田委員 今、権利者の許諾ということではなくて、著作権料が配付の仕方によって変わるというようなことが前回の委員会であったと思うんですが、学校の先生が、あるいは学校全体がデジタル的な教材をインターネットのメールで通信をするときには、著作権というか、補償金がかかるということでございましたが、それを、DVDだとかそういったような媒体、あるいはUSBで配付をするというときには無償になる、あるいは、学校内でのイントラネットにおいては、デジタル教材でも著作権料について補償金を支払う必要がないというようなまとめ方でよろしいでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 この間の著作権法の審議の中で、いわゆる紙ベースの教材につきましては、従来どおり無償で、いわゆる権利制限がかかるということでございますけれども、ITも利用して、例えば、今お話しいただきましたように、イントラネットで生徒さんの方に見せているというようなことにつきましては、機材をどこに置いているかといったところがそのとき論点だったと思いますけれども、例えば、イントラネットの仕組み自体が、サーバー自体が例えば学校内にあるというようなことを前提にそういったことが行われるということであれば、前回御答弁申し上げましたように、利用できるというようなことでございます。

串田委員 日本維新の会は、教育費無償という観点から、学校における著作権物の利用に関してはなるべく無償であるべきではないかというような視点の中で、ただ、著作権を拡大して利用するという点からは補償金というものもやむなしという部分について私たちも賛成をしたわけですが、その一つの理由としては、今後このようなデジタル教材というのが非常に利用されるようになり、デジタル教材が利用されるということは、学校内でデジタルが閲覧できる、教材を閲覧できる機材を生徒が持っているということが前提になるわけでございます。

 そうなりますと、学校内で生徒がデジタル教材を持っているわけですから、そのデジタル教材に対して、学校内でイントラネットを利用すれば情報を配信することができる。

 その配信をするときには、著作権法上、補償金が要らない、イントラネットやあるいはサーバーを学校に置いている場合には要らないということであるならば、将来的には著作権に補償金を支払うという機会が限りなくなくなるという意味で、日本維新の会は、著作権に関して、教育現場に補償金というものを払う必要がないという時代が来るのではないかという部分も含めまして、前回の著作権法に賛成をさせていただいたわけでございます。

 今の回答によりましても、学校内における著作物の配付に関しましては無償である、それは紙であろうとデジタルであろうと変わらないというようなことでありますので、デジタルの文化が進めば、やはり、学校教育においては非常に著作権物も許諾なく利用しやすくなるという意味では、私はそれは正しい方向になるのではないかと思っております。

 そういう意味で、タブレットやパソコン、要するにデジタル教材を閲覧する機材の管理というのは、生徒に任されているのか、あるいは学校内でそれを管理するということになるのか、この点はいかがでしょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 現状について申し上げますと、現在でのICTの環境整備ということでコンピューターを配置、整備をしている現状で申しますと、個々の、個人所有の学用品ということではなくて、学校で備付けの教具という形で整備をしてございますので、基本的には設置者側での負担において整備をするということで進めているというのが現状でございます。

串田委員 私の質問とちょっと違うのは、一般的に、教科書ですと、ランドセルに入れたりとかして、家から学校に教科書を忘れたとかいって先生に怒られた記憶もあるんですが、教科書を家に持ち帰って宿題をやったりとかそういうようなことなんですが、デジタル教材が、閲覧できるのがパソコンであって、それを学校に設置するということになると、そのデジタル教材というのを家に持ち帰ったりするとき、あるいはパソコンが必ず家にあればいいんですけれども、ない家庭もあると思うんですが、そういったところの問題というのは発生しないんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 学校が教具として備え付けるタブレットを自宅に持ち帰るかどうかというのは、これは基本的には学校や設置者の判断によるところになろうかと思います。

 一人一台の整備がまだできていなくて、例えば一クラス四十台分を各クラスが交代で使うような、当面そういう状況にあっては、なかなか自宅への持ち帰りということは難しいかと思いますが、今、先進的な一部の自治体では、一人一台のタブレットを配付して、自宅への持ち帰りで予習、復習などに、現在ではまだデジタル教材ですが、そういったものを利用できるようにしている、そういった例があるということは承知をしております。

串田委員 教科書のかわりにデジタル教材を使って、より子供のためにというような方向の法律でございますので、教科書を使っているよりも不便になる、例えば持ち帰れないとか、そこの使い回しというのもいいんですけれども、教材を自分が見たいときにも順番が回ってこないとか、そんなようなことがあると非常に困るわけでございますので、これからの運用ということになるんでしょうけれども、現場の混乱を来さないということと、余り先走って、デジタルだからいいんだというようなことの中で、学校の子供がそれに対して支障を来すというようなことがないようにということはお願いしておきたいと思います。

 今回、この法案によって、障害を持たれている子供に対して、非常にそういう意味では便利になるというか、学習がしやすくなるというようなことは、どのようなところからそういうことが言えることになるんでしょうか。

高橋政府参考人 今御指摘いただきましたデジタル教科書の使用により、障害のある児童生徒が利用する場合には、例えば視覚障害や発達障害のある児童生徒が、文字の拡大、色の変更、音声読み上げ等の機能を使用することにより教科書の内容を理解できやすくなる、あるいは、肢体不自由の児童生徒が、ページ送りなどの機能を使用することにより次のページを見やすくなる、こういった効果が期待されております。

 このため、本法案においては、基本的には段階的に導入するということで、教育課程の一部において使用できるというのが基本でございますが、障害のある児童生徒等について、必要がある場合には教育課程の全部においてデジタル教科書を使用できる、こういった規定を置かせていただいているところでございます。

串田委員 今のお話ですと、本当に障害を持たれている子供にとっては非常に便利なことであると思います。

 こういったようなことで、最後に大臣、手短に、今後のデジタルに関する方向性など、もし所感があればお話をいただきたいと思います。

林国務大臣 多角的に御質問をいただいて、現場目線でいろいろな御指摘をいただいたと思っております。

 まさに、なぜ導入することになったかという定義のところで、やはりプラス、マイナス両面の効果、影響があり得るということでございますので、まずは併用制で入れてみて、まさに今委員がおっしゃったようなことも含めて、どういう効果、影響が出るのかということを、やってみないとわからないところもあると思いますので、しっかりと把握して、検証して、それを踏まえて、更にあり方について検討してまいりたいと思っておりまして、今は、申し上げたように併用ということですが、どちらか選択をする、選択制の仕組みの導入については、まさに、こういった影響等々、それから教育上の効果、さらには健康面への影響、こういうものも調査研究をやっておりますので、そういう結果等を踏まえることが必要でございますので、やはりさまざまな、ICT環境そのものの整備状況も見ながら、一定の期間を経た後に改めて検討を行ってまいりたいと思っております。

串田委員 時間になりました。法案の重要性に鑑みまして、今回の委員会の開催を決断いただきました委員長に重ねて感謝をいたしまして、終わりにいたします。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十二分散会


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