衆議院

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第17号 平成30年6月6日(水曜日)

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平成三十年六月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 安藤  裕君 理事 神山 佐市君

   理事 亀岡 偉民君 理事 工藤 彰三君

   理事 鈴木 淳司君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大見  正君    小林 茂樹君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      田野瀬太道君    高木  啓君

      根本 幸典君    馳   浩君

      船田  元君    古田 圭一君

      松本 剛明君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    櫻井  周君

      日吉 雄太君    山本和嘉子君

      西岡 秀子君    平野 博文君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      金子 恵美君    畑野 君枝君

      串田 誠一君    吉川  元君

      笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       鈴木 俊一君

   内閣府副大臣       あかま二郎君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  邦彰君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平垣内久隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  十時 憲司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  源新 英明君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 進藤 秀夫君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 長谷川 豊君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            磯谷 桂介君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小瀬 達之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 和田 信貴君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

六月五日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(長島昭久君紹介)(第一六七九号)

 同(金子恵美君紹介)(第一七八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、内閣審議官平垣内久隆君、内閣審議官十時憲司君、内閣審議官源新英明君、内閣府大臣官房審議官進藤秀夫君、地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、警察庁長官官房審議官長谷川豊君、文部科学省生涯学習政策局長常盤豊君、初等中等教育局長高橋道和君、高等教育局長義本博司君、高等教育局私学部長村田善則君、研究振興局長磯谷桂介君、スポーツ庁次長今里讓君、経済産業省大臣官房審議官小瀬達之君及び国土交通省道路局次長和田信貴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平野博文君。

平野委員 おはようございます。国民民主の平野博文でございます。

 きょうは、バッター順を変えていただいて、一番にさせていただいたことに感謝を申し上げます。ただ、一番というのはなかなか、きょうはAIをやろうと思っているんですが、自分の頭脳がまだ起きておりませんので、どうなるかわかりませんが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 さて、私も、四十年前に民間の研究機関にいたときに、その当時に、未来を開くセンサー技術という資料、レポートをまとめたことがございます。これからは、センサー技術によって我が国のあらゆるところに大きな影響を及ぼす、こういうことでまとめたのですが、今まさに我が国は、二〇一六年に策定をいたしております第五期の科学技術の基本計画においても、ソサエティー五・〇という概念を提唱して、人間中心のスマート社会の実現を挙げているわけであります。その実現のために、やはり中核的な基盤技術としてAI技術がある、こういうことを言っているわけでありまして、ぜひ私も、四十年前を思い出しながら、我が国の未来の技術というのはAIによって大きく変わってくるんだろう、こういう視点で質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、先日の科学技術・イノベーション特別委員会でも私少し提起をさせていただきましたけれども、AIの定義ということでございます。人工知能の定義について伺いたいわけでありますが、政府としては、AIについて定まった定義がないという、その特別委員会での答弁でございました。

 私もそれなりに調べてみましたけれども、各学者の皆さん方も、AIについていろいろなことを発信しておられるんですね。

 例えば、その一例を挙げますと、中島先生なんかは、人工的につくられた、知能を持つ実体、京都大学の西田先生は、知能を持つメカ、ないし心を持つメカである、ある先生は、人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステムであるとか、いろいろなことを研究者の皆さん方は言っておられるんですね。

 私、改めて、AIの定義、大臣、AIの定義について大臣はどう思っていますか。

林国務大臣 人工知能、AI、アーティフィシャルインテリジェンスの定義でございますが、今まさに委員から御紹介していただきましたように、人間の知能そのものを持つ機械とか心を持つとか、それから人間が知能を使って行うことを機械に代替させるという考え方など、さまざまな考え方が研究者の間でもございますので、明確な定義づけはやはり困難であろう、こういうふうに思っております。

 我々としても、サイバー空間とフィジカル空間、現実の世界を融合させることによって、人々に豊かさをもたらす未来社会であるソサエティー五・〇、これを実現するための技術として、AIですとかIoT、ロボット、そういう関連技術を幅広くやっていくことによってソサエティー五・〇を実現しようと。その中でも、AIと関連技術は大変大事なものであり、そういった幅広い捉え方をしておるところでございます。

 人工知能に加えて、IoTやビッグデータを解析する、それからサイバーセキュリティー等の技術を含めて、現在、AIPプロジェクトということで統合的に研究開発を進めておりまして、基礎研究から社会実装までの取組を、内閣府を始めとする関係府省と連携しながら、着実に実施してまいりたいというふうに思いますし、技術が進展いたしますと、もう少しAIについての考え方というのがあるいは収束する方向に行くのか、これはまだ技術の進展を見ないと、なかなか今の時点で、これが明確な定義ですと言うのは難しいのかな、こういうふうに思っております。

平野委員 まさに今、大臣から御答弁いただきましたが、研究者のレベルではいろいろ考えているわけでありますが、ただ、世の中には、AIということがどういうことかわからないにもかかわらず、AIという言葉があふれ返っているわけですよ。

 あふれ返るということは、何をもってAIと言っているんだということがベーシックなところでわからずに、これはAIなんだ、これはAIなんだ、こういうことを言い続けているわけでありますし、やはり政府としても、これは非常に大事だ、こういうことを認識しておられるわけですが、政府が認識するという前提となる政策については、政府が明確にやはり打ち出していかなければ、どっちを向いておるのかよくわからぬ、こういうことにもなりかねないと思いますので、今、大臣がおっしゃられたような、今まだ、広義の意味あるいは狭義の意味を含めて、これがAIなんだというところまで絞り込めていない、したがって、大きな投網を打っているんだ、こういう認識だというふうに理解をいたしました。

 しかし、一方では、世界の流れを見てみますと、私、本当に我が国のAIの研究というのは世界のレベルではどういうレベルに行っているんだ、こういう視点も大事だと思うんですね。

 これは、データで少しとってみましたら、イノベーションロードマップ二〇三〇、日本の革新力、こういうことがありまして、定義がわからないので何とも言えませんが、人工知能の国別論文数というデータがありまして、二〇〇〇年には日本は第三位でしたよ。アメリカ、英国に次いで第三位でしたよ。二〇二〇年、二〇三〇年、こういうところへ行きますと、随分日本が落ちまして、今、二〇二〇年ベースで見ましても、米国、中国、インド、英国、ドイツ、フランス、日本、こういう部分で米、中、インドが世界の三強になっている、いわゆる論文数という指標だけしかありませんが。

 そういう視点から見ますと、今、AIの研究開発の中心というのはやはりIT企業を中心としてやっておる、これが米国の実態であります。一方、今では中国も大きく存在感を示している、こういうことであります。

 二〇〇〇年にはやはり世界の第三位だったのがどんどんと落ちていっている、こういうことでありますが、今なお、世界のトップランナーにあるというふうに大臣は認識されていますか。論文数ではどんどん落ちていっていますが、現実、日本のAIに対する研究のレベル、これは二〇〇〇年代と同じ状態で維持しているというふうに認識されていますか。大臣の見解を求めます。

林国務大臣 論文数から見ると、この推移、我が国が、これは占有率でございますので、実際何本出て、特に論文の場合はどれぐらい引用されているか、このことが重要だと思いますので、この絶対数も見ていかなければならないと思いますが、今御指摘いただいたところから見受けられるのは、やはり中国の伸びといいますか、かなり政府もここに力を入れているという情報にも接しておりますし、そういう状況はしっかりと見ながら、我々もこれに対応していかなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。

 やはり、引用回数を見ても、同じようなデータでございますが、二〇一二年から一六年ですけれども、一位はマイクロソフト、五位がカーネギーメロン大学、七位がマサチューセッツ工科大学、八位がグーグルということで、それに比べますと、我が東京大学は六十四位、東工大が二百六十二位、NTTが二百六十九位、こういう順番になっておりますので、やはり少しキャッチアップをしなきゃいかぬフェーズだろう、こういうふうに思っておるところでございます。

平野委員 まさに今、大臣から認識を示していただきましたが、そういうふうになっていったこの背景というのは一元的には述べられないと思いますが、当初予算という視点から見ましても、やはり政府の予算で、大体、どうなんですか、一八年度ベースで七百七十億円、民間投資で大体六千億円以上、こういう集計が出ています。

 米国は政府の予算を幾ら使っているんだ、こういうふうに見てみますと、米国で五千億円ですよ。中国は、じゃ、幾ら使っているんだ、四千五百億円ですよ。政府がですよ。民間は、米国でいったら七兆円ですよ、中国は六千億円以上をこのAIに。官民投資のレベルでいくと、日本が圧倒的に政府の投資レベルが低い、こういうことに私はなっていると思います。

 したがって、今、大臣おっしゃったように、これからしっかり頑張らなきゃいけないと言いつつも、実態ベースで、やはり研究開発に投資している政府の部分でいくと七百七十億、単位が一桁違うものですから、これではなかなか追っついていかないんだろう、こういうふうに思います。

 ぜひ、そういう視点での、これからのあり方については、これは文科大臣のみならず、きょう、内閣府のあかま副大臣にもお越しをいただいていますが、政府としての科学技術のやはりヘッドクオーターですから、そこはしっかりこういうことを踏まえて対応してもらわなきゃいけないという背景にあるのが、やはり本格的な、今AIの定義というのは定まっていないと言いますけれども、汎用的な人工知能が開発できてきますと、最初にこれを開発した人というのは、必ず、この人工知能の持つ全ての利益を独占してしまう可能性があるんですね。

 先ほど大臣から答弁ありましたように、グーグルとかいろいろなところがこれを先駆的にやっていっています。したがって、AIの技術というのはこれからの国力をやはり左右する可能性が非常に高い、僕はこういうふうに思うものですから、逆に、そうすると、人類社会に大きな影響を及ぼす。こういうことで、トップレベルで常にいなければ、日本がAI開発についての国際ルールに乗りおくれていくのではないか、こういうふうに私は非常に危惧をいたしているところでございます。

 したがいまして、これは文科省も含めてでございますが、我が国の、そういう認識に私は立っていますが、きょう、内閣府の副大臣お越しでございますが、政府としてこういう状況に対してどういう認識でおられるのか、御答弁いただきたいと思います。

あかま副大臣 お答えさせていただきます。

 今、委員御指摘のとおり、AI研究開発分野にあって競争力というものを確保していく、そういった意味では、いわゆる先生がおっしゃるパイというもの、これを大きくしてまいらなければならないということは十分承知をしております。

 とはいえ、さまざまな制約等もございます。そんな中で、我が国としてどのように、こうした現状を捉えながら今戦略を打っていくんだということだと思っていますけれども、まず、そうした国際競争力というものを確保していくためには、例えばでございますけれども、我が国の強みとして長年培ってきた物づくり技術や現場のデータと人工知能を融合した研究開発等に戦略的に取り組むこと、こういったことも重要ではないかというふうに思っております。あわせて、世界に先駆けた研究開発等、そうしたものを通じて、諸外国が取り組んでいない技術等の確立に取り組むこと、こうしたことが重要であるというふうに思っております。

 こうしたことを踏まえながら、人工知能技術戦略会議などにおいて、我が国が強みとして有する基盤技術等、それらを本年半ばにも特定した上で、戦略的イノベーション創造プログラム等を活用して、産学官連携のもと、研究開発の取組を積極的に推進したいというふうに考えております。

 以上です。

平野委員 でも、今、副大臣からお答えいただきましたけれども、遅いわね、大体。政治というのは遅いんですけれども、科学技術というのは、昔、二番じゃだめなの、こういう言葉ではやりましたけれども、やはりトップでなきゃだめなんですよ。トップランナーでないと、やはり物事というのはリーダーシップをとれていけない。いろいろなルールづくりも、やはりトップ層が大体決めていくんですね。

 したがって、先ほどお示ししましたように、やはり政府のこれに対する投資金額も圧倒的に少ない。こういう状況で、今、副大臣御答弁いただきましたけれども、もっとこれは加速をしていただかなきゃいけない。

 経産省から見ますと、我が国でAIの研究者、エンジニアが不足する、二〇二〇年では四・八万人のAIの人材不足が見込めると言っているわけですよ。不足になると言っているんですよ。今、副大臣が御答弁されたように、これからどんどんやっていきますよと言っておるけれども、一方、経産省は、二〇二〇年には五万人弱のAIの技術者が不足するんだ、こういう予測まで立っているわけであります。

 したがって、世界的にも脚光を浴びているAIに人材がやはり集まってこない、この要因というのは一体何なのかということを私つらつら考えましたけれども、義務教育における理数教育の伸び悩み、データサイエンス、こういう関連学部・学科の大学における少なさ、あるいは企業における研究環境等々、問題点はたくさんあろうと思います。

 結局、このAIに対するキャリアパスがやはりきちっとしていない、したがって、ここに対して学生が、若い研究者がそこに集まっていこうとしない、こういうふうな原因だと思っているんです。そのことが、やはり企業へ就職するにしても、AI技術を見きわめた人間が特別なインセンティブが働かない等々のことがあるのではないかと思うんですが、私はやはりこの点、大学における研究者のポストの確保、あるいは企業に就職してもそういうキャリアパスが確立できていない、こういうことだと思いますけれども、大臣、どうですか。

林国務大臣 認識を一にするところでございまして、データ人材、将来的にこれぐらい必要になる、それに向けてしっかりと各段階においてやっていこうということを我々も取り組んでおるところでございます。

 山に例えますと、やはり裾野が広くならないと山は高くならない、こういうことでございますし、初等中等教育の段階でしっかりと、今、先生がおっしゃったように、数学、算数、そしてプログラミングというのも入ってまいりますし、それから、大学レベルではまだ一つか二つしか専門の学部はありませんけれども、データサイエンスあるいは統計、こういった分野をしっかりとやっていただくということは、山の高みでソサエティー五・〇を引っ張っていただくという人材をつくっていくと同時に、子供たちが社会に出たときに、もうそれなしでは社会を生き抜いていけない、多分こういう時代になるだろう、こういうことでございますので、何も山を高くするためだけに裾野を広くするのではなくて、スキルをしっかりと持って社会に出ていっていただく、こういうことが大事なことであろう、こういうふうに思っておるところでございます。

 それぞれの段階で、先ほど申し上げましたように、いろいろな施策はやっておるところでございますが、ソサエティー五・〇で、この間、私の懇談会のまとめを出させていただきましたけれども、ここにおいてもそういうことに触れるとともに、高等教育において、我々の時代はそうでしたけれども、大学受験が近づきますと文系と理系のクラスに分かれて、文系のクラスの方は余り理科系のものをやらない、数学も、私もそうでしたが、3とかいうのはやらなかったわけでございまして、そういうことではなくて、文理を超えてやっていただくし、大学の方も、工学部の改革を皮切りに、やはりメジャーとマイナーというものをやっていただくことによって、少なくともデータや基礎的な情報科学というものは全ての学生がしっかりと学んでもらう、こういうことを目指してまいらなければならないだろうというふうに考えておるところでございます。

平野委員 ぜひ、教育の養成機関においても、今、大臣がおっしゃったようなところにもっとやはり力を注いでいただきたい。そのことが、逆に言うと、そこで育っていく人材に大きく励みになってくるんだ、こういうふうに思います。

 もう一方、視点を変えて少し御質問したいんですが、米国では、十年、二十年後に、やはり雇用の半分が、いわゆる機械、システムあるいはAIに置きかえられるのではないか、こういうふうな分析が非常に光を浴びまして、日本でも、数十年のうちに日本の労働が、四九%がAIに代替される、こういう可能性が高いという分析が野村総研からされているわけであります。

 ただ、これは一つの分析にすぎませんが、AIが雇用にやはりかわっていく、こういうことはあると思うんですが、この点は、国としてはどういうふうに考えていますか。

林国務大臣 今触れていただきました野村総研、これは、実はオックスフォード大学のオズボーン教授と一緒になって研究をされて、日本と英国と米国でそれぞれ、人工知能やロボット等による代替可能性が高い労働人口の割合というのを出しております。

 日本と米国が四九、四七でほぼ半分、イギリスは、オックスフォードがやったからかもしれませんが、三五ということで少し低いわけでございますが、同時に、置きかわりやすい業務と残っていくだろうという業務もしっかりと例示をされておられるわけでございまして、実は、先ほど申し上げました大臣の有識者懇談会でも、テレビ会議のシステムを使いまして、オズボーン先生と一時間ぐらいディスカッションさせていただいたところでございます。

 そこで、こういうリサーチをしたということを踏まえていろいろな議論をしたわけでございますが、そこでもまた、AIの専門家等からもいろいろヒアリングをしてわかったことは、現在における人工知能と言われているものは、情報の意味というものを理解しているということではなくて、機械学習によってあくまでも確率論で答えを導き出しているということで、高度な判断や発想を要する仕事、例えば、残る業務の中で、修理や設備の現場監督者というのがございますが、こういう方は、働いている方がチームとしてしっかりやるように顔色を見ながらとか、きょうはちょっと疲れているから早く帰してあげようだとか、ちょっと疲れているから休憩をとるかとか、いろいろな判断を現場監督がされますと現場の生産性が非常に上がるということでございます。

 こういう、背景にある現実世界のことをしっかりと理解していろいろな判断をするというような仕事は、やはり今の段階のAIでは代替性が低い、こういうふうになっているということでございまして、まさに、逆に、そういうことが必要になる仕事というのが残っていくということであれば、そういうところにつけるスキルというのを教育現場でしっかりとつけてもらうようにしていかなければならない。

 こういう問題意識のもとで、この大臣懇では、今後取り組むべき施策の方向性として、個別に最適化された学びの実現ですとか基盤的な学力、特に読解力でございますが、それから、先ほど先生がおっしゃった情報活用力の習得、そして、先ほどちょっと申し上げた、大学等における文理分断からの脱却、こういう柱を立てて、それに向けて施策を行っていこう、こういうことにしたところでございます。

平野委員 今、大臣がそういう流れを説明いただきましたが、やはりこれを進めていく、これはもう明らかにそういう状態ですから、そうなったときに避けられないのは、雇用、仕事の中身の大きな変化だと思うんですね。

 日本というのは割合、ドラスチックに変えていくことに対して必ずしもオーケーというふうになっていかないものですから、そういう雇用環境の変化もしっかりと政府は対応策を考えていかなきゃいけない、こういうふうに実は思っておりますので、これはぜひ、そういうことについてはしっかり今からもう手を打っておかなきゃだめだよということは、私、警鐘を鳴らしておきたい、かように思います。

 さて、今、大臣からもありましたが、AIが働いて人間は創造的な活動を担う、あるいは労働から解放される、こういうバラ色の話というのは尽きてくる。マイナスの部分というのは余り言わないですよね。強い光が当たれば必ず強い影が出るんです。これはもう自明の理であります。

 したがって、私、民間企業も、AIを導入することによって確実に経済活動の中においての果実は得られていくと思うんですね。それをどのように分配していくのかということがやはり大事だというふうに思っています。

 この中にも、多分、大臣がおっしゃってくれたんだと思いますが、AIにおける恩恵とか利益を社会的にどうやって分配するのか、あるいはそのことによって経済的格差をどういうふうになくしていくのか、こういう論点もやはり大事だというふうに思っています。そういう中で、EUでも、ベーシックインカム、BIという概念が一つ実は出てきていることも事実であります。これは成功しているかどうかわかりません。

 したがって、私は、これからの時代、AIによって生まれた利益をどうやって分配するかというAIとBIのバランスシートなんだろうというふうに実は思っておりまして、やはり企業が、もうかった分は抱き締めるのではなくて、社会にどう貢献するか、こういう議論をしっかりとしておかなければいけないんだろうと思います。

 AIによって例えば五千億円もうかった、それは労働力を使わずしてAIでもうかったということであれば、それを社会にどう分配するか、国民にどうそれが供与されていくか、これが一つはBIという考え方なんだろうというふうに私は思っております。

 したがいまして、そういう視点での抜本的な再配分の機能を今からぜひお考えいただきたいと思いますし、我々としても、BIという考え方を持っておりまして、最低限国民に分配するものは何なのか、こういう議論も、AIを使ってやはり進めていく必要があるんだろうというふうに思っております。

 時間が来ておりますが、最後に、もう一回原点に戻りたいと思います。

 AIの、これも私わかりませんが、医療における病気の発見でありますとか、カメラ映像から不審者の感知、検知等々いろいろあるわけですが、人間が作業して発見できないスピード、精度で異常の検出をAIがしていくんだ、こういうことですが、AIの下す判断というのが一〇〇%正しいというふうに思わないんですね。

 この点、例えば、仮にAIが間違った判断をしたといたしましょう。そのとき、この判断というのは、現行法では誰が責任をとるんでしょうか。あかま副大臣、どうですか。

あかま副大臣 先生御指摘のとおり、AIの判断過程という課題でございますけれども、AIというものが技術的に進展している中で、その技術というものは多くがいわゆる深層学習の応用というふうには承知しておりますけれども、この深層学習は、入力データの結果がどのように導き出されたかということは判断が困難であるというふうに言われております。

 先生が今御指摘のとおり、例えば医療分野、そうした高い信頼が求められる分野にあって、現在の深層学習では対応できない判断過程というもの、これをどうするのか。説明可能なAI技術の開発というものも必要だというふうに考えておりまして、政府の司令塔でございます人工知能技術戦略会議において、ここも議論ということになっておりまして、現在のAI技術の限界、これをどう克服するんだということについて、基礎、基盤的な研究開発のあり方等々について、本年半ばまでに策定する人工知能技術戦略実行計画において明確化していきたいというふうに考えております。

平野委員 いや、ですから、明確化するというけれども、現行法ではこれは誰の責任になるんですか。ここが非常に私は問題がある、こういうふうに思います。

 昨今、車で自動運転というあれがありまして、レベル5までいろいろあるんですが、究極のところ、事故が起こったときにどこの責任なんだ。今レベルでは、やはりPL法で製造物責任みたいな負い方をせざるを得ないという模擬裁判みたいなものが出ておるようですけれども、究極のところ、これは誰が責任をとるんですか。判断過程がブラックボックスに入っているものですから、ここが解明されないと、なかなかやはり難しい。

 こういう大きな問題も抱えたAIの技術でありますから、ぜひしっかりと、特に開発と、利用していくためのルールづくりをしっかりとやっていただきたい。このことを強く御要望申し上げて、時間が来ましたので、終わりたいと思います。よろしくお願いします。

冨岡委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきます。

 まず冒頭、大臣にいつも質問をさせていただきます。それは、神戸市の教育委員会の事案についてでございます。私も地元が兵庫県でございますので、今週、神戸市の教育委員会が、大変残念なことに、いじめで自殺をされた中学生の方、これについて聞き取りのメモがあった、これを隠蔽するように指示をしていた、こういう報道がございました。私は、これは非常に残念ですし、極めて重大な問題だと思っております。

 そもそも、議員立法で五年前にいじめ防止対策推進法というものをつくりまして、私もその当時の制定の議論に参加をさせていただいておりましたのでよく覚えておりますけれども、いじめの大変残念な事案がございまして、また、いじめが起きた後の学校の対応というか教育委員会の対応等々に対して、非常に遺族の方も不信感を抱かれるようなケースがあった、いろいろなことがございまして、こういう法律をつくっていこうということだったと記憶をしております。

 早期にいじめを発見して、やはり未然に防いでいこうというのが一つの大きな考えでございますし、また、残念なことに重大な事案というものが起きてしまったときにしっかり対応できるように、こういう法律であるはずでございます。しかし、いまだにこうした、情報を隠すようなこういう話が出てくるというのは大変残念に思っております。

 確かに、プライバシーの問題ですとか非常にこうした情報の取扱いというのは難しい側面があるということは重々承知をしておりますけれども、果たして、この法律の趣旨というものが現場に本当に浸透しているのか、理解をされているのか、こういう疑念を抱くわけでございます。

 原因分析も含めて、これはやはりしっかり調査、対応をするべきだというふうに思っております。本件につきまして、国としてどういう対応をされるのかということをまず答弁いただきたいと思います。

林国務大臣 平成二十八年の十月に神戸市立中学三年生の女子生徒が自殺した件で、市教委の首席指導主事の指示に従って、校長が遺族に対して、自殺直後に同級生から聞き取った調査メモは存在しない旨を回答した、こういう報告書が取りまとめられたということで、これは神戸市教育委員会からの報告を受けて把握をしておるところでございます。

 この件は、やはり市教委の対応、極めて遺憾だと考えておりまして、昨日、文科省の職員を市教委に派遣いたしまして、市教委から直接詳細を聞き取り、今後の対応について指導を行ったところでございます。

 市教委に対しては、教育委員会及び学校におけるいじめ防止等の体制を見直すとともに再発防止策を講じること、取りまとめられた再発防止策については、市における研修等で活用するなどして全教職員に対する周知徹底を図ることなどを指導いたしまして、市教委からは、これに対して、指導事項を踏まえて適切に対応するという回答があったところでございます。

 文部科学省としても、二度とこうした同じようなことが起こらないように、今後、神戸市教育委員会のいじめ防止対策の改善のあり方について指導助言を行ってまいりたいと考えております。

中野委員 やはりいろいろな制度をつくっているわけでありますけれども、これが果たして現場でどういう運用になっているのか、これをしっかりと私は分析もする必要があると思いますし、また、必要があれば、では、どういう対応をすればいいのか、これはしっかりと、国としてぜひ対応していっていただきたい、このようにお願いを申し上げます。

 大臣、次の御予定があると伺っておりますので、もう御退席いただいて結構でございます。よろしくお願いします。

 いじめ防止対策推進法でございます。

 施行後五年を経過いたしまして、私は、これをつくったときに、いじめを早期に発見してしっかり対応していって、そして子供が安心をして学べる環境をつくっていく、これがやはり大きな目的であったというふうに思います。

 これに関連して少し質問をさせていただきたいんですけれども、ことし、総務省の方から、このいじめの問題に対して勧告が出ているというふうに承知をしております。例えば、私もこの法律をつくった後、実際に、いじめへの対応というのがどうなっているんだろうということで、いろいろな資料も拝見をさせていただきました。

 そうしますと、いじめを認知する件数、法律をつくったときに、やはり現場がいじめをいじめとして認知せずに、これを放置しているとどんどん事態が悪くなってしまうということで、どうしても学校現場からすると、いじめが何件ある、いじめが多くあるというふうな認知をして報告をすることが、どうしても学校現場からすると抵抗があるんじゃないかというふうに、当時、いろいろな議論もあったり、私もそういうことを感じたりしたものでございますから、やはり、それはそういうことではなくて、いじめの原因というか、いじめのそういう初期のときに早く認知をしてしっかり対応していくということが非常に大事なんだ、こういうことを議論した記憶がございます。

 しかし、いじめを何件認知しているかということが、かなり都道府県ごとによってまだばらつきが大きくあるというのが現状だということを拝見いたしました。

 認知の件数が、平成二十八年のデータで一番多いのが京都府でございまして、一番少ないのが香川県というふうなデータも見ましたけれども、数字で見ると、十九・四倍、この認知件数にばらつきがあるということで、データを見まして、やはりこれは、なるべく多くそういった初期のいじめというのを把握して対応するということが趣旨だったのに、このデータを見ると、やはりまだまだそうした法の趣旨というものが理解をされていないというところがかなりあるんじゃないか、こういうことを危惧したわけでございます。

 こういう現状だと、早期発見して早く芽を摘み取っていく、こういうことがなかなか趣旨が理解されていないのではないか、こういうふうな懸念もいたしました。

 この点について、文部科学省は今どのように考えているのかということを御答弁いただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 いじめは、大人が気づきにくい時間や場所で行われたり、ふざけ合いを装って行われたりすることが多く、こうしたいじめを発見するための取組状況や各教員のいじめの捉え方について、各地域や学校間で相当の差異が生じてしまっており、こうした差異が認知件数の多寡に影響しているものと考えております。

 文部科学省といたしましては、いじめの認知件数に都道府県間の大きな差があることは課題であると認識しており、職員が各教育委員会を訪問して、いじめの積極的な認知に向けた取組を行うことなどを指導する説明会を実施したり、また、いじめの認知に関する考え方を簡潔にまとめた教職員向けの資料を学校現場に向けて通知したりするなどの対応を行っているところであります。

 今後、引き続き、あらゆる機会を通じて、法の周知徹底といじめ対策への取組強化に努めてまいる所存でございます。

中野委員 あわせて、もう一つ質問なんですけれども、このときは認知件数にばらつきがあるということがあった上で、その原因として、やはり認知の仕方がそれぞれ都道府県によっていろいろな違いがあるんじゃないかとか、行政評価局の方から三月に勧告が幾つか出ているかというふうに承知をしております。

 この点について、現在どういう対応をされているかということもあわせて御答弁をいただきたいと思います。

高橋政府参考人 ただいま委員から御指摘いただきましたように、本年三月十六日、総務省によるいじめ防止対策の推進に関する調査の結果において、一部の学校で法律上のいじめの定義を限定的に解釈している事例が指摘されるとともに、文部科学省に対して、いじめの定義を限定解釈しないことについて周知徹底することを求める勧告が行われました。

 文部科学省では、この勧告を踏まえまして、三月二十六日に教育委員会等に通知を発出し、いじめの認知に当たっては、加害行為の継続性、集団性等の要素により、いじめの定義を限定して解釈しないようにすることなどを求めたところでございます。

 勧告の内容については、生徒指導担当者向けの会議や各教育委員会に職員を派遣して行う説明会等においても周知徹底することとしており、引き続き、さまざまな機会を捉えて、いじめの正確な認知を行うよう指導してまいります。

中野委員 こうした問題について、文部科学省も、国としてどういう状況にあるのか、あるいは何がこうしたばらつきの原因か等々も含めて、引き続き、しっかり調査分析を行っていただきたいというふうに思います。それに応じてやはり必要な対策をとっていかないといけない、このように思っている次第でございますので、よろしくお願いいたします。

 このいじめの事案に関連をいたしまして、相談体制を充実しないといけないということで、公明党として訴えさせていただいておりますのが、SNSなどを活用した相談体制の充実というものを訴えさせていただいております。昨年、長野県でこの取組がスタートいたしまして、やはり相談件数が非常に多いということであります。

 若い世代にとっては、電話をして直接連絡をとるというコミュニケーションの仕方よりも、LINEでありますとかSNSなどを使ってコミュニケーションをするというのが一般的だというふうなこともよく伺っております。

 ですので、相談するにしても、いきなり電話ダイヤルにかけるというのがそもそも非常にハードルが高いというか、ふだん、そういうSNSでしかやりとりをされない世代だということでありますので、こういう相談の窓口というのも、そうしたものがあった方がやはり取っかかりとしてはいろいろなものが認知できるんじゃないかということで、都道府県で取組がスタートをいたしまして、これをぜひ全国展開していこうということを訴えております。私の地元の兵庫県でも、SNSを活用したいじめ相談というものを今年度スタートしようということで準備をされているというふうに伺っております。

 この全国展開の状況について、現在の状況がどうなっているかということをお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 近年、若年層の多くがSNSを主なコミュニケーション手段として用いる中、文科省としては、平成二十九年度補正予算及び三十年度予算において、児童生徒を対象にいじめ等のさまざまな悩みを受け付けるSNS等を活用した相談体制の構築に必要な経費を計上したところでございます。

 現在、当該事業の補助を受けて二十七の自治体が事業を実施することとなっており、そのうち、五月末時点では六自治体が既に取組を開始している、こういった状況でございます。

中野委員 私がこのSNSの相談体制で視察に行きましたのが、実際に相談員の方を研修する現場に視察に行かせていただきました。

 相談員の方も、電話での相談というのはかなりなれておられるんですけれども、やはりSNSのやりとりとなりますと、電話とは少し勝手が違うというか、返事が返ってくるまでの間合いというかそういうものもございますし、やりとりのニュアンスというか、電話で相談を受けるというのとSNSでやりとりをするというのでかなりニュアンスが違ったり、あるいは、深刻な事案であれば、こうしたSNSのやりとりを入り口として、対面であるとか電話であるとかいろいろな形で実際には相談につないでいくことになるというふうにも伺ったんですけれども、そういう意味で、相談員をしっかり育成していくというのは一つの大きな課題だなというふうに感じたところでございます。

 また、もう一つ感じましたのが、厚生労働省の方でも自殺の相談ということはずっと従来からやっておられまして、これもSNSによる相談というのをやっていこうということで実証調査もやっている、これも厚労省もやっている、こういう状況でございます。

 これは、文科省、いじめの相談ということで非常に重要な取組だと思いますので、厚労省ともしっかり連携もして、あるいは相談員の育成のようなこうした取組もしっかり進めていただきまして、私は、やはり来年度以降もSNS等による相談体制をしっかりと広げていけるように、文科省としてしっかり取り組むことが非常に重要であるというふうに思いますので、今後の取組について答弁をいただきたいというふうに思います。

高橋政府参考人 文部科学省におきましては、事業の成果や課題等について、地方公共団体、民間団体、学識経験者等を交えた協議の枠組みを設けて共有しつつ、相談員の研修のあり方の研究等を通じて、相談体制の改善に努めてまいりたいと考えております。

 また、厚生労働省においては、広く若者一般を主な対象に、自殺につながる可能性がある悩みを受け付けるため、SNS等を活用した相談事業を実施していると承知しております。

 両省の連携について御指摘いただきました。既に、昨年度、文科省のSNS等を活用した相談に関する有識者会議に厚生労働省も参加しているほか、今年度、厚生労働省が行う実践研究に文科省も協力することといたしておりまして、引き続き、知見の共有を図るとともに、それぞれの相談窓口の役割を生かしつつ、効率的な執行に努めてまいります。

 文科省としては、厚生労働省とも連携を密にしながら、SNS等を活用した相談体制の構築を目指してまいります。

中野委員 しっかりとした取組をぜひお願いしたいと思います。

 最後に、通学路の安全確保についてもお伺いをしたいと思います。

 本年、新潟県で小学校の児童が殺害されるという大変痛ましい事案がございまして、やはり私の地元でも、こうした件を受けまして、通学路の安全対策の強化というのを国としてしっかりやってほしいというようなお話を御要望いただきました。

 特に、今、いろいろな自治体で、交通安全という面では定期的にチェックをほぼ全ての自治体で行っていただいているとは思います。しかし、今回、防犯の側面ということでございますので、この観点からも、しっかりチェック体制の強化というものが非常に大事だというふうに思います。

 現状について、どういうふうに現状を認識されているかということについて、まず文科省にお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 登下校時の防犯対策として、安全な登下校方策の策定、実施、児童生徒等の登下校を地域全体で見守る体制の整備等が重要であり、中でも、防犯意識を高め、維持することは非常に重要です。

 このため、文部科学省では、これまでも数次にわたって、通学路の安全点検を教職員や保護者が定期的に実施し、要注意箇所の把握、周知徹底を行うよう、都道府県教育委員会等に対して要請してきたところであり、防犯を含む生活安全の観点で通学路の安全点検を実施した小学校、平成二十七年度に行われたものは八九・一%に上っております。

 また、先日、登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議が開催され、官房長官から関係閣僚に対して、新潟市で発生した事件の被害状況を踏まえた再発防止、通学路の安全点検の徹底と不審者情報への迅速な対応、子供に対する安全対策の強化、こういった指示があったところでございます。

 文科省としては、この指示も踏まえ、関係省庁と連携しながら、通学路の安全点検を含む登下校時の児童生徒の安全確保策の強化に向けて取り組んでまいります。

中野委員 最後に、宮川政務官にお伺いをしたいんですけれども、この通学路の安全確保、やはり、閣僚会議を開催してさまざまな取組が更に行われると承知をしておりますけれども、通学路の見守り体制の強化というのが非常に大事だと思っているんです。

 しかし、恐らく、御地元を回られて感じられることもあるかと思いますけれども、この見守りというのが、今高齢化も進んでおりまして、なり手もどんどん不足をしているという状況もございまして、他方で教員の働き方改革ということで、こういうものはなるべく地域で一緒にやっていこうみたいな、方向性としてはそうなっているんですけれども、現状、なかなか地域の方でも受け切れないというふうな現状もございまして、スクールガード、スクールガードリーダー、あるいはモデル的な取組の支援等々、さまざま今支援をしていただいているんですけれども、やはり、担い手の確保を含めて支援をもっと強化していかないと、なかなかこれは苦しいことになっていくんじゃないかというのが率直な実感でございます。

 最後に、この通学路の見守りの強化の今後の取組ということにつきまして、ぜひ答弁をいただきたいと思います。

宮川大臣政務官 委員御指摘のとおり、先日の登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議において、官房長官から大変徹底した指示があったことは承知をしております。そしてまた、私たちもそれをしっかり実践しなければいけないと思っております。

 文部科学省では、児童生徒が登下校中に犯罪の被害に遭わないための見守り活動に資する取組として、スクールガード等の登下校時の児童生徒の見守り活動に対する支援、また、見守り活動の分担や、登下校時に児童が一人となる区間がございますので、そういうところを示した通学路一人区間マップの作成やそれに基づいた重点的なパトロールの実施など、全国のさまざまな好事例の発信、そして学校の危機管理マニュアルの作成の手引などの参考資料の配付などを行っております。

 学校だけでなく、警察や家庭、地域と連携した取組をこれからも推進してまいりたいと思っております。

 文部科学省としては、やはり関係の省庁横断的に、緊密に連携しながら、登下校時の児童生徒の安全確保について、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、上杉謙太郎君。

上杉委員 自民党の上杉謙太郎でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、委員長を始め理事の皆様、また委員の皆様、ありがとうございます。

 きょうは、質問が幾つか多岐にわたっておりまして、今、中野先生からちょうど子供たちの交通安全、ありましたから、ちょうど自分も質問しようと思っておりましたので、順番が逆になりますが、交通安全の方からお伺いしたいと思います。

 中野先生のお話に関連しますが、平成二十四年に、緊急合同点検ということで、二万ある小学校の各学区において、保護者、地域の方が協力して、危ない交差点ですとかそういうところを挙げてもらって、それを点検して改善したということを承知しております。

 この緊急合同点検とその進捗について、文科省にお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、国土交通省及び警察庁と連携して、平成二十四年度に、全国の学校、教育委員会、道路管理者、警察に対し、通学路の緊急合同点検を実施するよう指示をしたところでございます。

 この合同点検の結果、対策が必要とされた約七万四千カ所について、平成二十八年度末までに、その九五・八%に当たる約七万一千カ所が対策済みということになっております。

 このうち、通学路の変更やボランティアによる立ち番など、教育委員会、学校による対策が必要とされたのが二万九千五百八十八カ所で、これにつきましては、九九・九%に当たる二万九千五百六十八カ所が対策済みということになっております。

 また、平成二十五年度から、通学路の交通安全確保に向けた継続的な取組を推進するため、市町村ごとに、教育委員会、学校、警察、道路管理者等を構成員とし、通学路の合同点検や改善の取組などを行う交通安全の推進体制の構築を促しているところでもあります。

 引き続き、関係省庁とも密接に連携しながら、児童生徒の安全な通学を確保するための取組を促してまいりたいと考えております。

上杉委員 ありがとうございます。

 文科省さん主導で、教育委員会から上がってきて、警察署さんなり公安委員会さんなり、また国交省さんが道路を直したり等々されていると思うので、それぞれちょっと、警察庁さんと国交省さんからも進捗についてお伺いできますでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 警察におきましては、平成二十四年に、学校、道路管理者と合同で実施した緊急合同点検で取りまとめた対策必要箇所のうち、一万九千七百十五カ所において信号機や横断歩道の新設等の対策を実施することとしておりまして、平成二十八年度末までに、このうちの約九九%に当たる一万九千六百四十一カ所において対策が完了したところでございます。

 また、このほか、道路交通環境の変化、通学路の変更、交通事故の発生状況等を踏まえまして、学校や道路管理者と連携した合同点検を実施し、必要な対策を講じているところでございます。

 警察といたしましては、引き続き、文部科学省、国土交通省と連携を密にいたしまして、通学路の交通安全の確保に努めてまいる所存でございます。

和田政府参考人 道路管理者によります取組といたしましては、歩道の設置又は拡幅、バイパスの整備といった抜本的な対策はもとより、水路のふたかけによる歩行空間の確保や路肩のカラー舗装化など、即効性のある対策もあわせて推進しております。

 このような取組により、平成二十八年度末までに、道路管理者による対策箇所四万五千六十カ所のうち約九三%の対策が完了したところでございます。

 また、先ほど文部科学省さんからお答えのありました継続的な取組として、プログラム等により継続して取組を行う自治体に対して、防災・安全交付金の重点配分を行うなど支援もしてございます。

 国土交通省としましては、文部科学省、警察庁との連携を図りながら、通学路の交通安全対策の推進に努めてまいります。

上杉委員 ありがとうございます。

 子供の交通に関して、安全を図るために交通環境を整備するというのは非常に大事だと思います。

 うちも、私、小学校のPTAもやらせていただいています。この前、学区で、班ごとに分かれて危険箇所について上げてくださいと言って、班長に上げて校長先生に上げるというふうになっています。自分の子供の通学路についても二カ所ほど出させてもらいました。また、私、毎日、なるべく毎朝交差点に立ってつじ立ちというのをやらせていただいているんですが、子供たちが通学する交差点でも歩道が消えていたりとか、本当に危なくて、先ほどの見守り隊じゃないですけれども、見守り隊をする人もいなかったり、そういうところもありますので、ぜひ、交通環境を整備するということで、地域から上がってきた、ここの道路を直してほしい、横断歩道を設置してほしい、信号を立ててほしい、そういった要望は優先的に予算をつけて改善を引き続きしていただけたらありがたいと要望をいたします。

 また、子供たちの安全を守る上で、交通環境を整備するということと、また、ドライバーさんがちゃんと意識を持つことも大事でありますし、あとは、子供さんたちがしっかり交通社会の中で道路交通法のルールを知って、かつ、事故に遭ったら本当に危ないんだということをある意味体験学習的に知る必要があると思うんですね。

 ちなみに、高校生までのお子さんの交通事故死傷者数を見ると随分多かったりもします。今六月ですが、この四月から七月までの一学期というのが一番事故が多いですよね。それは何でかというと、特に小学校一年生、今まで幼稚園、保育園へ行っていて初めて自分一人で通学するようになった。急に交通社会に出されるわけです。なので、事故ってしまう。また、中学校一年生だったら、地域にもよりますが徒歩の通学でなくて自転車の通学になる、私の地域とかはそうですし、そうすると、初めて自転車で毎日通学するので車と事故に遭う確率が上がってしまう、そんなのがあると思います。

 きょうお手元に資料で、三枚目になりますが、「たいせつないのちとあんぜん」という資料をおつけしましたが、これが原本なんですけれども、これは文科省さんが学校で、特に小学校一年生でありますが、交通教育をするということでこういうのを配付して、子供たちの安全、そういうことをやってくださっています。非常にありがたく思っておるんですが、やはり、四月から七月までに事故があること、本当にこれはゼロにしていかないといけないというふうに思うんですね。

 特に、御提案なんですけれども、仮に四月五日が入学式であれば、四月一日から小学校一年生であるならば、入学式の前に来てもらってこういう交通教育をしておくですとか、難しければ、入学式の後、また六日、七日、二日目、三日目ぐらいまでにはそれをやっておいて、じゃないともう通学が始まるわけですから、最初集団登校をするにしても、そういうところをもっと踏み込んで、それを徹底して全国でやっていくことが必要だと思いますけれども、ちょっと御見解をお伺いできればと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒を交通事故から守ることは極めて重要であると認識してございまして、これまでも、児童生徒の交通事故を防止するため、学校や教育委員会、自治体、民間団体等と連携して、通学路における危険箇所の点検、改善や見守り活動、交通安全教育や広報、啓発等に取り組んできたところでございます。

 また、御指摘のとおり、入学後の新学期に事故に遭う場合が多いことから、例年この時期に春の全国交通安全運動を展開し、子供の交通事故防止に重点を置いた取組を進めているところでございます。

 さらに、入学前の対策におきましても、警察といたしましては、例えば、小学校入学前の幼児に対しまして、幼稚園や保育所等と連携し、紙芝居等を取り入れて基本的な交通ルールなどを習得するための安全教育を行っている事例のほか、中学入学前の小学校六年生の児童に対して、自転車の通行方法等の安全教育を行っている事例などもございます。

 今後とも、文部科学省、教育委員会を始め関係機関等と連携いたしまして、子供の事故防止対策を推進してまいりたいと考えてございます。

上杉委員 ありがとうございます。

 警察署さんは、よく地域から要望があると学校に来てくださって交通教室をやってくださったりですとか、あと、お祭りなんかにも来てくださってやってくださっていますので、ぜひ引き続きやっていただいて、今六月ですから、来年度、来年の四月には小学校一年生、中学校一年生、全部の学校で交通教育をやっていただくということを強くお願いさせていただきます。

 また、春の交通安全運動があると思いますが、この前議連でも申し上げましたが、春の交通安全のときというのは新学期の時期でありますから、特に、来年の交通期間はぜひ子供たちの死亡事故ゼロというのを目標に入れていただけたらありがたいと思いますので、ここも御提案をさせていただきます。

 続きまして、もともとの順番で最初の方の質問に戻りますが、私、初当選でありまして、実は、この文部科学委員会での質問も、参考人の質疑はありましたが、ある意味初めてであります。

 自分自身が文部科学委員会を希望したのは、やはり、この文部科学委員会というのは、今にあって未来をつくる委員会であるというふうに思っております。特に、教育を扱うわけでありますから、我々文部科学委員も、そして文科省の皆様も、二十年後、三十年後、五十年後の日本人をつくる、ではそのためにどういう教育をするのかということをやっているという意味で、非常に崇高であり、また責任の重い仕事をさせていただいているんだなというふうに思っております。そういった意味で、私はこの文部科学委員を希望いたしました。

 そこで、宮川政務官におかれましては、前は先生だったということもあって現場を熟知していらっしゃって、ぜひ、この文部科学行政にかけての熱い意気込みを御指導いただけたらありがたいと思います。

宮川大臣政務官 意気込みということでございますので、本当に私の私的な言葉になるかもしれませんが、私は、現場におりましたときに、先ほど中野委員からいじめの御質問がありましたが、いじめが原因ではないにせよ、生徒の二人を自殺で亡くしておったり、また、子供たちの変化ということを感じて教師生活を送っておりました。

 その中で感じたのは、子供たちが自分たちの選択肢というのを広く感じ取っていない、そして、社会全体が子供たちにとって具体的な希望があるものになっていないということを感じておりました。そのために、私も政治家になってそこを変えなければいけないと思ったわけでありますけれども、そういう意味では、大変、今、文部科学省の施策そして教育施策は岐路に立たされていると思っておりますので、それに向けてさまざまな取組をしていかなければいけないなと思っております。

上杉委員 政務官、ありがとうございました。

 現状ある課題をクリアしていくということと、また未来の日本人をつくっていくという、崇高な、何十年か先を目がけて今からいろいろやっていくということで、ぜひ私もその仲間の一人に加えていただけたらありがたいというふうに思います。

 未来の日本人をつくるという上で、文科省さんで新学習指導要領ができ上がって、小学校でいえば二年後から始まる。まさにこの新学習指導要領が、不透明な未来に生き残っていく日本人をつくっていくためにいろいろなことが盛り込まれていまして、非常にいいものだなというふうに、私は、僣越ではありますが思っております。

 そこで、この新学習指導要領について、いま一度そのポイントについて御教示いただけたらありがたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 グローバル社会やソサエティー五・〇など、変化の激しい社会の到来に向けて、子供たち一人一人がみずからの人生やこれからの社会を切り開いていくことができるよう、そのために必要な資質、能力を確実に育成することが極めて重要であります。

 このため、文部科学省では、昨年三月に小学校、中学校、ことし三月には高等学校の学習指導要領を改訂し、これからの時代に求められる資質、能力を明確にするとともに、主体的、対話的で深い学びの視点からの授業改善を通して子供たちの理解の質を高めることを目指しております。

 教育内容に関しては、例えば、外国語教育、理数教育、プログラミング教育や伝統文化に関する教育の充実などを盛り込んでおります。また、国語教育を充実するとともに、国語科をかなめとしつつ、全ての教科等において言語活動を充実し、言語能力の育成を図ることにもしております。

 文科省といたしましては、このような新しい学習指導要領の趣旨の着実な実現等を通して、これからの時代に必要な資質、能力が確実に育成されるよう努めてまいる所存であります。

上杉委員 ありがとうございました。

 新学習指導要領の中の一つのポイントは、開かれた学校をつくっていく。保護者もそうですし、地域も、また民間も交えてみんなで育てていこうというようなところもあろうかと思います。

 そうしますと、今、学校の先生たちは、校長先生を始め皆さん、新学習指導要領についてはもう熟知されていて、自分たちの学校でどうやってやっていくか、もう既に始まっているわけであります。うちの子供の通う小学校でもそうであります。

 ただ、保護者ですとか地域の人々は、この新しい新学習指導要領というのは多分全然知らないと思うんですよね。

 ということは、もうちょっと、地域を巻き込んでみんなで子供を育てていく、また親にも協力してもらわないといけない、行政にも協力してもらわないといけない、地域にも協力してもらわないといけない。ということは、もっと理解、認知していくのが課題だというふうに思いますので、そこら辺、どのようにお考えで、どんな対策をされていくのか、簡潔に御教示いただければと思います。

高橋政府参考人 新しい学習指導要領が目指す、社会に開かれた教育課程の実現のためには、改訂の理念が、学校現場だけでなく、地域社会等にも十分に理解されることが必要です。

 そのため、新しい学習指導要領の内容や狙いを周知するに当たっては、教職員だけでなく、保護者や地域の方々など、広く国民の方々にとってもわかりやすいように工夫することや、多くの方に知っていただくよう周知の機会を確保することなどが課題であると考えております。

 これを踏まえ、文部科学省では、保護者や地域の方々などに対して改訂の内容をわかりやすくまとめたパンフレットや解説動画を作成する、全国のPTA関係者への周知を図る、こういった各種の機会を捉えた積極的な広報に努め、広く社会一般に向けた周知を予定しております。

 また、各学校においても、新学習指導要領の内容や狙いについて、各学校から保護者や地域の方々へ周知いただけるよう、引き続きお願いをしてまいりたいと考えております。

 御指摘いただきましたように、多くの国民の方々に御理解をいただけるよう、新しい学習指導要領の内容や狙いの周知について引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

上杉委員 ありがとうございます。

 自分もPTAをやっていますので、来年度には、もう何度も何度も保護者と先生方が議論するような、そういうふうになっていったらありがたいなというふうに思います。

 その新学習指導要領をしっかりと子供たちに、小中高、教えていく、幼稚園も含めて教えていくために、先生方がもっと生徒さんと向き合う時間をつくる、また自己研さんをする時間をふやすということが非常に大事なんだろうなというふうに思います。

 今、学校の先生、非常に大変だということで、その負担軽減が議論になっておりますが、そこで、お配りしました資料の一枚目が、文科省さんの資料でありますが、学校の先生がやっている仕事一覧というようなものになっています。教員勤務実態調査ということです。生徒に直接かかわる業務もあれば、学校の運営に関するもの、また保護者始め外部対応等々、たくさんあろうかと思います。

 特に学校の先生、例えば部活動は、剣道部であれば剣道の有段者に、じゃ部活を見てもらうということで代替可能になってくるでしょうし、これから、英語、情報教育が始まって、情報教育であれば学校の先生が教えるのは難しいでしょうから、そうしたら、ITの民間の企業さんから来てもらって専門家に授業をしてもらう。どんどんいろいろ出てくると思います。

 そういった中で、先生が生徒にかかわる仕事の中で、例えばテストをつくる、きれいにワードですとかエクセルでつくるということですとかデータを整理する、又は資料ですね、生徒の人数分コピーする、そういったことは、ある意味、アシスタント的な人でもできるというふうに思うんですね。

 ぜひ、教職員アシスタント職というようなものをつくったらいいんじゃないかというのは前々から思っていまして、思っていましたら、文科省さんで既にサポート事業でやっていらっしゃるそうですので、そこを教えていただければと思います。

高橋政府参考人 中教審における審議の中間まとめなども踏まえまして、文部科学省におきましては、教員以外の専門スタッフ、外部人材を活用して先生の負担を減らしていく、これも大変重要だと考えております。

 平成三十年度の予算におきましては、新規の予算として、今御指摘いただきましたスクールサポートスタッフの配置、また中学校における部活動指導員の配置、こういった新規事業も盛り込んだところでございまして、今後とも、外部人材の活用を図りながら、先生の働き方改革、子供と向き合う時間の確保に努めてまいりたいと考えております。

上杉委員 ぜひ、教職員の人たちをサポートする職務を来年度以降徹底していただけたらありがたいと思います。

 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、高木啓君。

高木(啓)委員 自由民主党の高木啓でございます。

 私は東京比例代表選出の議員でございまして、きょうは、久しぶりといいますか、文科委員会では初めてなんですけれども、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会について、その進捗状況、また準備状況について、確認をしながら質疑をさせていただきたいと思っております。

 私、二月二十三日に予算委員会の第四分科会でオリンピックの問題を初めてこの衆議院で取り上げさせていただきまして、それから、文科委員会で次のオリンピックの質問がいつ回ってくるかなと思っていながら、既にもう百日ぐらいはたってしまったんだというふうに思っています。

 きょうは六月六日でございまして、オリンピック開催まで七百七十九日ということにきょうでなりまして、つまり、七百七十九日ということは、二年と一カ月ぐらいなのかなというふうに思っています。

 二月二十三日に質問して以来、百日もう既にたってしまったということでございますから、どんどんどんどん時間だけが経過をしていって、その意味では、きょうのこの機会というのは、オリンピックの準備が間に合うのかなということが極めて心配なものですから、大臣にぜひいろいろと御見解も聞きながら、オールジャパンでという言い方がよくありますが、本当に日本全体を挙げてこの東京オリンピック・パラリンピックをぜひ成功させていただきたい、そんな意味で質問をさせていただきたいと思うわけであります。

 先般、マラソンのコースが決定をされたというニュースがありました。マラソンのコースがこの時期に決定をされて、マラソンというのは大体二時間強ぐらいで走るわけですけれども、その二時間ぐらいの間、東京のこのマラソンコースの風景というのが全世界にずうっと放映をされるということになるわけですね。つまり、マラソン道路の沿道の風景というのは、東京の象徴的な風景ということで、全世界に二時間以上継続して放映をされるということになるものですから、マラソンのコースの風景がどうなっているのかというのは、東京のイメージ、日本のイメージにとってとても大事なんだろうと思っています。

 例えば、そういう意味では、沿道の街路樹をどうするのかというようなことも、本来的にはもっと突き詰めて、この地域はどういう街路樹を植えていこうかとか、どういう風景を演出していこうかとか、そう決めなきゃ本当はいけないんだと思うんですけれども、木を植えるというのは結構時間がかかりまして、あと二年ぐらいしかないということになると、これはなかなか難しいなというのが率直な感想でございます。

 ですから、私は、あと七百七十九日しかないというこの状況の中で最善の努力をぜひしていただければと、また私たちも一生懸命それを応援していかなきゃいけないと思うわけであります。

 きょうは、その意味で、ソフト面あるいはハード面、両面について、このオリンピックの準備状況をぜひ確認させていただきたいと思っています。

 まず、ハード面について伺うんですが、一番私たちが懸念をしておりますのは、やはり何といっても、選手村とメーン会場を結ぶ環状二号線の問題であります。

 環状二号線は、もう大臣御承知のとおりでありますが、築地市場が豊洲に移転を延期されたということによって、計画どおり整備をされることができないということにもう既になっております。

 この環状二号線問題は、当時立候補したときの立候補ファイルには、環状二号線は確実に整備をするということと同時に、通常のルートで行くと三十分ぐらいかかるかもしれないところを、環状二号線を整備することによって、選手村からメーン会場までおよそ十分で到着をすることができるということが書かれておりまして、これが実は、我が国あるいは東京とIOC、国際社会との約束だったわけでございます。

 ところが、環状二号線が、一つの政策の判断によって整備をすることができなくなったということで、暫定道路になるということも今聞いておりますけれども、環状二号線が建設をされないということによって、暫定道路だということになることによって、このことの計画変更をかけていかなきゃいけない、つまり輸送計画の全体を変更していかなきゃいけない、こういうことになるんですが、これを本当にIOCは認めてくれるのかどうかというのが、私は一つ非常に不安に思っております。

 当然、その道路計画が、これは今から言って、整備ができないわけですから、IOCはそれを認めざるを得ないというふうには思うんですが、しかし、認めるなら認めるなりの代替案を出さなきゃいけないだろう、こう思います。

 そこで、現在の段階で、環状二号線が建設が間に合わないということで、IOCとの協議はどのようになっているのかということをまず披瀝していただきたいと思います。そして、例えば輸送計画全体ができるということが一〇〇%だとすれば、今何%ぐらいのところにいるのかということも含めて、ぜひどのぐらいの状況にあるのかということを教えていただけますでしょうか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、環状二号線が建設できないことによって、二〇一二年の立候補ファイルでの想定から、輸送計画の根本的な変更が必要になっております。

 このため、IOC、国際オリンピック委員会でございますけれども、これに対しまして、IOC及び組織委員会の会議において、東京都から、大会時に環状二号線の地上部道路を使用することについて逐次説明を行い、御理解をいただいているというふうに承知してございます。また、組織委員会と東京都において、その前提のもと、新たな輸送計画を検討しております。

 今後についてでございますけれども、組織委員会において、今年度末を目途に、大会輸送計画の大枠でありますところの輸送運営計画バージョンツー案を取りまとめ、来年度にIOCの承認を得ていく予定となってございます。

 委員の御質問に何%ぐらいというのがありましたが、なかなか何%というのは、いわく言いがたいところでございますけれども、計画策定に向けて更に検討を進めていくというふうに承知しております。

 いずれにいたしましても、東京二〇二〇大会の成功のためには、輸送は極めて重要な課題であるというふうに思ってございます。国としても、計画策定に向けた検討が着実に進むよう、しっかりと連携協力してまいりたいと思っております。

高木(啓)委員 なかなか一〇〇%のうちの何%進んでいるのかと言いづらい話だと思いますが、しかし、そういう感覚を持って、一〇〇%にぜひ早く近づいてほしいということであります。

 環状二号線が建設をされないので、選手輸送を含めた輸送計画というのは根本的に変えなければいけない。そのときに、例えば選手輸送であれば首都高速道路を使うということが当然想定をされるんですが、首都高は、私は前も、二月の段階でも聞きましたけれども、専用レーンをつくるのかどうかという話をしたことがあります。最近では専用レーンは余り考えていないということのようでありますので、それはそれとして、将来的にどうなるかというのはわかりませんが、今のところは専用レーンはつくらないと。

 専用レーンはつくらないんだけれども、交通需要計画が今既にある一定披瀝をされておりますが、交通需要計画の基本方針というのを読んでみますと、極めて実効性に疑問が出てくると私は思います。つまり、本当にこれができるのかということであります。

 例えば、一つの例を挙げます。民間に対して、車を余り使わないでくださいというような要請をするということが書いてあるんですが、これはオリンピックの期間だけではなくて、その前後も含めて、休日も今度は入れるということで法律も決まりました。ですから、民間に対して、オリンピックの期間は混雑するから車を余り使わないでほしいと言ったときに、それだけで本当に済むのかなと思いますね。

 つまり、我が国経済全体の動きの問題もありますし、東京の物流だとかそういうものも含めて考えたときに、そういうことで本当に済むんだろうか。つまり、済むんだろうかということは、実効性があるのかどうかということと、そういうことをやったときに本当に経済的に大丈夫なのかという気がします。特に、例えば建設労働者のような方々、一日日当幾らと日払いのような形で働いている方に対して、車を使わないでほしい、仕事をしないでくださいとオリンピックの期間中に言ったときに、給料どうしてくれるんですかという話は確実に私、出ると思います。

 民間に要請をするということは、それはある一定はしようがないし、大きな団体、例えばトラック協会さんでありますとか、そういう輸送を担当する業界の団体に対してはできるだけ協力してくださいねというのは当然だと思いますが、実際、本当にこれは実効性があるんでしょうか。

 そして、交通の情報というものも、どういう形で民間の人たちは情報を入手して、ここは混んでいそうだから避けなきゃいけないねとか、ここは混んでいるからきょうは使わないで違うルートで行きましょうねとかということの情報発信について、極めて今民間の方からは疑問があるという声が出ておりますけれども、そのことに対していかがでございましょうか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 本年四月にTDM推進に向けた基本方針案が公表され、今後、TDM推進のための体制を、東京都、組織委員会及び内閣官房が事務局となって立ち上げていく予定でございます。

 委員御指摘のとおり、企業や市民の協力を得て交通需要の抑制、分散を進めていくためには、輸送に関する情報の適時適切な提供が大変重要であるというふうに認識しております。このため、本年四月に、組織委員会より、大会関係者及び観客の輸送ルート素案が示されたところであります。

 また、先般、先ほど委員御指摘がございましたけれども、マラソンのルートも発表されたところであります。今後さらに、競技のスケジュールの発表も行っていく予定でございます。

 今後とも、大会の準備が進められていく中で、組織委員会及び東京都から、更に具体的に、混雑が予想される箇所などの輸送に関する詳細な情報を適時適切に提供してまいります。

 また、いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、内閣官房としても、関係省庁の御協力のもと、組織委員会及び東京都とともに、経済界に対しまして、大会期間中の夏季休暇の計画的な取得やテレワークの導入などTDMの推進への具体的な協力をお願いするための働きかけを本格化するなど、一層の努力を行うことにより、大会時の円滑な輸送の実現と都市活動の両立を図ってまいります。

高木(啓)委員 ぜひお願いしたいのは、民間に協力をお願いするということは、それはそれで仕方ないし、やるべきだと思います。ただ、そのときに、民間の方も準備もありますし、計画をつくるようにお願いをするということですから、計画をつくるにしても、それもやはりコストのかかる話だと思います。ですから、何らかの補償をしてくれ、補償という言い方がいいかどうかわかりませんが、そういう話も出てくるのではないかなと思います。ですから、民間に協力をお願いするならするなりに、きちんとした体制を整備してほしい、このことは要望しておきたいと思います。

 民間に対して交通のことをお願いするとすれば、もう一つは、先ほども私ちょっと触れましたけれども、東京のオリンピックをやっている例えば会場周辺や東京全体の道路事情の道路状況は、誰が、どのような形で発信をしていただけるのか、どういうふうにすればその情報をとれるのかということが一番大事だと思うんですね。

 そのことは今まだ決まっていないというふうにも聞いているんですけれども、これはやはり第一義的に誰がやるのかということを早く決めて、ここにアクセスするときちんとした道路情報がとれますよ、わかりますよというところを決めてほしいんですけれども、そのことに対していかがでしょうか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、現在、どのように具体的にやっていくかということはまだ検討中でございます。

 一方、ロンドン大会の例などを参考にいたしまして、都、組織委員会が、企業、市民が混雑の状況を容易に確認できる手段を情報提供していくということで検討してまいりたい、こう思ってございます。

高木(啓)委員 ぜひ、早目に対策をとっていただきたいと思います。

 次に、ソフト面についてお伺いをしたいと思います。

 私は、衆議院議員になる前に都議会議員をやっておりましたので、二〇一六年のオリンピック招致に失敗をしたとき、そして二〇二〇年の招致に成功したとき、ずっと経験をしてきました。そして、二〇二〇年の招致に成功したときには、やはり、東京はもちろんですけれども、日本国じゅうが招致に沸いたと思うんですね。ところが、その高揚感というのが、招致を決定して以来、私は下がり続けているんではないかという危惧を持っているんです。

 何でかというと、私たち、肌感覚でわかるのは、きょう大臣もオリンピック・パラリンピックのバッジをしていただいていますけれども、バッジが欲しいと言った方が当時は物すごいたくさんいた。私たちも相当な数を皆さんにお配りをしてきたという経験がありますが、この一年、バッジが欲しいと言われたこと、多分私はないと思いますよ。もちろん、行き渡ってしまったのかもしれない。だけれども、私はそうじゃないような気がするんですね。

 ですから、この高揚感がなぜなくなってしまったのか。それは恐らく、いろいろな不安があって、大丈夫なのかという、私がきょう質問しているように、不安があって、何となく大丈夫なのかという気持ちがしているということが一つ私はあるんではないかというふうに思いますが、この点について、大臣、所感があればぜひお教えいただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 高木先生には、二〇二〇年東京大会招致の段階から大変に御尽力をいただいておりますし、その後も、ナショナルトレーニングセンターの拡充整備にもお力をいただいております。心から敬意を表しますとともに、今後、大会の成功に向けて、これからもさまざま御助言等を賜りたいと思っております。

 高揚感のお話が出たわけでありますが、私、昨年八月に大臣に就任をいたしまして、過去大会を開催いたしました都市、シドニー、ロンドン、リオデジャネイロ、平昌へ行ってまいりまして、大会関係者と話してまいりました。そのときに、その話の中で印象に残っておりますのは、招致決定直後はオリパラの開催に向けた高揚感に包まれるけれども、一方で、大会の準備が始まると、過去に経験したことがないような大きなプロジェクトであり、また準備期間が六年間という長きにわたるゆえに、必ず大きな課題、困難あるいは不安に直面するものである、しかし、この課題、困難を乗り越えた先に成功と感動があるということを多くの方から伺い、今、印象深く残っているところでございます。

 先生冒頭お話しのとおり、二〇二〇年東京大会の開会まで七百七十九日となりました。こうした不安、課題を着実に解決していくということが重要であると思っておりまして、これまでのことを申し上げますと、昨年、東京都、大会組織委員会、国、競技場が所在する自治体の四者で、大会の役割分担及び経費分担に関して大筋合意をしており、一定の方向性がまとまったところでありますし、大会のメーンスタジアムとなります新国立競技場については、来年十一月の竣工に向けて整備が順調に進んでいるところであります。

 しかし、一方において課題等もあるわけでありまして、例えば、テロ等の未然防止とサイバー攻撃によるものを含めた緊急事態への的確な対処、道路交通につきましては、平日の一五%程度交通量を減らし、大会輸送と一般交通とが適切に共存できるよう、経済界などと一体となって全国的な視野で検討すること、そして、大会が暑さの厳しい時期に開催されるわけでありますので、ハード、ソフト両面からの暑さ対策の推進を図ることなどが課題として残っていると思っております。

 こうした課題につきまして、今後、国民の皆様や経済界の方々に対し幅広く的確に御説明をしながら、大会を必ず成功させるという強い決意を持って、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

高木(啓)委員 時間が参りましたので、レガシーのことについて伺おうと思っていたんですが、それはまた次回にさせていただきます。

 大臣の強い決意でぜひ力強く成功に導いていただきたい、このことをお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十分開議

冨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山本和嘉子君。

山本(和)委員 立憲民主党・市民クラブの山本和嘉子でございます。

 休憩に引き続きまして、お食事後の少し眠い時間帯かもしれませんけれども、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 平成二十八年十月に神戸で起きました、いじめを苦に自殺をした中学三年生の女子生徒の件でございます。午前中の質疑にもございましたけれども、若干重複するかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。

 いじめに関与した生徒に聞き取り調査を行ったということでございまして、その内容が書かれたメモが、神戸市の教育委員会の首席指導主事によりまして、当時の校長にそのメモを隠すようにという指示があったということでございます。その後の事務処理の煩雑さを考慮したということでございますけれども、女子生徒の遺族としては、やはりこのメモによりまして、いじめの真実といいますか、重要な資料になるのではないかということでございまして、真実を知るということにとりまして、このメモが大変重要なことであったということでございます。

 文部科学省としては、この神戸市の教育委員会によるメモの隠蔽問題について、どのようにお感じになっておられるか、どう対応されているのかということ、それをお聞きしたいということと、また、いじめ防止対策推進法では、重大事態に対処し、事実関係を明確にするための調査と、いじめを受けた児童又は保護者に必要な情報を適切に提供するというふうにあります。この法律が果たして今浸透しているのか、また、文部科学省として今後どのように対応されるのかをお聞かせいただければと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年十月に神戸市立中学三年生の女子生徒が自殺した件で、市教委の首席指導主事の指示に従い、校長が遺族に対して、自殺直後に同級生から聞き取った調査メモは存在しない旨を回答したとの報告書が取りまとめられました。これにつきましては、神戸市教育委員会から報告を受けて把握しているところでございます。

 この件につきましては、市教委の対応は極めて遺憾と考えております。

 昨日、文部科学省の職員を市教委に派遣し、市教委から直接詳細を聞き取り、今後の対応について指導を行いました。市教委に対しましては、教育委員会及び学校におけるいじめ防止等の体制を見直すとともに再発防止策を講じること、取りまとめられた再発防止策については、市における研修等で活用するなどして全教職員に対する周知徹底を図ること、こういったことを指導いたしまして、市教委からは、指導事項を踏まえ適切に対応する旨の回答があったところでございます。

 文部科学省としても、二度と同じようなことが起こらないよう、今後、神戸市教育委員会のいじめ防止対策の改善のあり方について指導助言を行ってまいります。

山本(和)委員 私の方も大変遺憾に思いますし、いじめをなくすということに加えまして、またこういう重要な情報に関しまして隠蔽がないように徹底していただきたいと思います。

 引き続きまして、昨日、六月五日、安倍総理が行政文書の管理の在り方に関する閣僚会議というのを開かれたというふうに報道されております。森友学園の決裁文書や自衛隊の日報隠蔽の問題を受けまして、公文書管理のあり方、意識改革など、再発防止に努めるということでございます。

 この神戸の事例に関しましても、メモが公文書に当たるのではないかというふうに、それも調査をされているという報道もあります。

 文部科学省として、公文書の管理を徹底していただきたいと思いますし、特に、今回のように生命にかかわるような重要な案件に関しましては、省内だけでなくて、教育委員会や学校に対しましても、情報の隠蔽などが行われないように、いじめの原因究明につながるかもしれない公文書の管理も徹底していただきたいと思いますが、そのあたり、御所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 いじめの問題に対して学校が組織的に対応するためには、いじめについて学校等が把握した事実関係等を記録し、適切に保存する、これが重要であると認識しております。

 こうしたことを踏まえまして、昨年三月に制定したいじめの重大事態の調査に関するガイドラインにおきましても、調査により把握した情報の記録は、各地方公共団体の文書管理規則等に基づいて適切に保存することを求めているところでございます。

 この神戸市での事案も踏まえまして、改めて、いじめに関する記録の保存のあり方について、教育委員会の担当者等を集めた会議等を通じて周知徹底に努めてまいりたいと思っております。

山本(和)委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ周知徹底のほどよろしくお願いしたいと思います。

 引き続きまして、大学教育につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 日本の大学教育は今後どういう方向になっていくのかということが最近議論をされているところでございますけれども、一つには、少子化によって人口が減っていくということで、学ぶ人が急激に減っていくという課題、その中で、既に過剰となっている大学定員にどういうふうに対処していくのかもありますし、また、生涯教育、リカレント教育もありますけれども、実際は、日本ではそういった学び直しというのは諸外国に比べてまだおくれているのではないかということも議論されています。

 また、日本の大学ランキングというものの中、タイムズ・ハイアー・エデュケーション二〇一八の調査によりますと、世界のランキングベスト百位の中で、東京大学が四十六位、京都大学が七十四位の二校しか入っていない、アジアの中でも、ベスト百に入るのは東大の八位を始めとする十一校のみでありまして、シンガポール、中国、香港、韓国といったアジアの国々の躍進に対しまして、やや日本はおくれをとっているのではないかというふうにも言われております。

 一方で、日本の高等教育にかける予算というものは、OECDの加盟諸国に比べても、もともと低い水準であるということも事実でございます。予算の少ない中で十分な高等教育を維持していけるのか、それも今本当に議論になっているところでございます。

 さらには、昨今言われておりますが、大学における基礎研究にかける予算も少ない。

 日本の高等教育機関の現状と未来に関しては、ちょっとネガティブな要素がたくさんあるのではないかというふうに思います。

 こうした中で、日本の私立大学がどのような展望を描いて高等教育のあり方を見定めていくのか。国の助成のあり方も大きく問われるのが現状だと思いますけれども、私立大学の助成のあり方について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

林国務大臣 今、先生からお話がありましたように、OECDが公表するデータによっても、OECDの加盟国の平均に比べて、我が国の高等教育機関への教育支出、公財政支出の割合が低い、結果として私費負担の割合が高い、こういうデータが出ておるところでございます。

 第四次産業革命の進展や本格的な人口減少社会の到来の中で、一人一人の実りある生涯と我が国社会の持続的な成長、発展の実現のために、人材育成をして、そしてまたイノベーション創出の基盤でもある高等教育の役割は一層重要であると思っております。

 現在、中央教育審議会におきまして、二〇四〇年を見据えて、目指すべき高等教育のあり方やそれを実現するための制度改正の方向性など、高等教育の将来像について御議論いただいているところでございます。

 こうした中、我が国の約七割を超える学生の学びを支えるなど大きな役割を果たしている私立大学において、みずから改革に取り組み、社会や時代のニーズを踏まえて特色ある教育研究を進めていく、このことが重要だ、こういうふうに考えております。

 文部科学省としても、今後とも、私学の果たす役割を踏まえて、各大学が継続的、安定的に教育活動を実施できるよう、私学助成を確保するとともに、改革に取り組む私立大学等へのめり張りある支援に努めてまいりたいと思っております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 私学助成に対する大臣のお考えを頂戴したんですが、高等教育の質を高めていくこと、しっかりと進めていっていただきたい、そういうふうに思います。

 私立大学のこういう状態の中で、本当に今問題になっております岡山理科大学獣医学部の問題、先日からいろいろと言われております愛媛県の文書、総理との面会はうそでしたと学校から報告がありましたけれども、うその報告によって首相との、総理との緊密さをアピールしたと。アピールして学部認可に至ったのであれば、これは大変大きな問題なのではないかなと思います。仮に、うそというものもまたうそであって、総理の権限でこうした許認可が推し進められたのであれば、巨額の税を投入する大学政策の公正性という観点からも極めて重大な問題であるのではないかと思います。

 また、日大のアメフト部の危険タックル問題につきましても、理事であって学園に絶大な影響力を持つ元監督が引き起こした問題であります。日本大学には年間九十億円以上の助成金が結果として投入をされておりますけれども、税金を投じている以上、経営の透明性や、今回の問題に関しましてももっともっと明らかにしていく必要があると思います。

 こうした中、両大学についての私学助成の減額に関しまして、今後検討がなされるのか、それとももう既に検討されているのか、そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 私立学校振興助成法におきましては、学校法人の設置する大学等の教育条件又は管理運営に適正を欠くなどの場合について、国は、私学助成の減額又は不交付とすることができる、こういうふうにされております。

 過去に管理運営の不適正により不交付、減額となった事例の中には、役員の詐欺及び業務上横領による逮捕、理事会と教学側の対立による管理運営不適正、違法な廃棄物処理の継続による法人職員の逮捕、設置認可申請書類の虚偽記載、こういったものがあるわけでございます。

 岡山理科大学獣医学部については、国家戦略特区として認定されたことを踏まえて、獣医学部設置の申請を受け付け、大学設置・学校法人審議会で専門的、学問的な観点から審査を行い、法令に基づき適正に設置を認可したものと認識をしております。

 また、日本大学の事案に関しては、まずは事実関係について明らかにすべきと考えておりまして、その上で、学校法人としての管理運営不適正に当たるのか等を踏まえて対処をしてまいる考えでございます。

 いずれにしても、私立大学等経常費補助金取扱要領における補助金の減額又は不交付の事由に該当するかどうかは、法令等に照らして個別に判断をされるものでございまして、過去の事例も踏まえながら、適切に対処してまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 しっかりとそのあたりの調査をしていただきまして、透明性のある私学助成をぜひお願いしたいところでございます。

 引き続きまして、学校におけるいろいろな、さまざまな事故やけがの件につきまして質問をさせていただきます。

 以前、独立行政法人日本スポーツ振興センターの情報提供につきまして質問をさせていただきました。今回も引き続きそちらの件でお聞きをしますが、文部科学省が出しております平成二十四年の、「学校における体育活動中の事故防止について」という報告書がございます。その中には、中学校と高等学校での事故内容、件数、検証事例など細かく記されております。

 しかしながら、こちらのデータは、スポーツ振興センターが実施している災害共済給付金の実績でもって傾向を把握しているというふうに理解をしております。ということは、今後こういったデータを集める場合、この災害共済を通じての方法ということになるのか。申請をしないけがなども含めると、もっとけがや事故の件数がふえる可能性もあると思いますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の管理下における事故については、独立行政法人日本スポーツ振興センターが行う災害共済給付制度に基づき、医療費や死亡、障害に係る見舞金の給付が行われており、当該給付を通じて、学校の管理下の事故事例の蓄積がなされているところでございます。したがいまして、委員御指摘のとおり、災害共済給付の申請がなされていない事故等の件数については把握されておらず、学校における実際の事故等の発生件数は災害共済給付制度における事故等の発生件数より多くなるものと考えられます。

 しかしながら、この制度は、まず、児童生徒等の約九六%が加入していること、それから医療費については療養に要する費用の総額が五千円以上のものから給付されること、さらに、医療保険の被保険者等の自己負担額三割分のほかに通院費等を想定した一割分が追加で給付されるなど手厚い給付内容となっていること、こういったことから、学校管理下で発生した医療機関を受診するに至る負傷、疾病のうち、多くのものについてはこの災害共済給付の申請をいただいているのではないかと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたことの中では、大体、おおよその児童生徒が共済給付金の申請というか登録をしているということでございますけれども、報告書を見ておりますと、事故件数は年々減っているという傾向でございます。文科省として、学校での子供の安全を保つために、けがの報告を学校でまとめて教育委員会に報告する、そうすることによって、国としてのデータを集めて、それをもっと地域に反映させられるのではないかというふうにも考えたので、ちょっとこの質問をさせていただいたところなんです。

 平成二十八年に、死亡事故や三十日以上の治療を要するけがなどに対処するため、学校事故対応に関する指針というのが通達されたそうなんですが、その実行状況はどうか、教えてください。

高橋政府参考人 平成二十八年三月に取りまとめられた学校事故対応に関する指針は、学校や学校の設置者等に対し、事故等の未然防止及び事故後の適切な対応を促すものであり、四点ほどのことを求めております。

 まず、保護者や地域、関係機関等との連携、協働体制の整備、学校内や学校設置者から学校への事故事例の共有、学校の管理下で発生した死亡事故及び重篤な事故についての学校から設置者等への報告、そして学校設置者による死亡事故についての検証、分析、こういったことを求めております。

 また、委員御指摘の文部科学省による事故事例の収集、分析につきましては、本指針では、学校の設置者に対し、学校の管理下で発生した死亡事故について文部科学省に一報するとともに、詳細調査を行った場合には報告書を提出することを求めております。今後、詳細調査の報告書をもとに情報を一定程度蓄積した後、教訓とすべき点を整理した上で周知し、類似事故の発生防止に役立てていただく予定としております。

 現在、文部科学省といたしましては、さまざまな機会を通じてこの指針の周知を徹底しているところであります。引き続き、各学校、学校の設置者等において、本指針に基づき適切な対応がなされるよう促すとともに、学校における児童生徒等の安全確保に向けてしっかりと取り組んでまいります。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 死亡を含む重大事故やけがに関しましては、地域の連携も含めてきめ細やかな対応をお願いしたいところでございます。再発防止のためにも、情報の蓄積など大切だと思いますので、引き続きお願いしたいところでございます。

 続きまして、部活動指導につきましてお聞きをしたいと思います。

 平成二十五年のガイドラインによりますと、学校教育の一環として、スポーツに興味と関心を持つ生徒の自主的、自発的な参加であるというふうに定義されております。その実施に関しては、個々の特色を生かして適切に、効果的に行うということでございます。よって、ほとんど規定は存在しないということでございまして、そのためにさまざまな問題が、課題が生じているのではないかというふうに思います。

 昨年、部活動指導員が制度化されたということではございますけれども、現状は、学校の施設も教員などの指導者もまだまだ不足しているというふうにもあります。指導に当たる教員も、当該競技の経験がない顧問の先生もいらっしゃるということでございますので、そのあたりも徹底していただきたいところではあるんですけれども、そんな中、昨年十二月二十日、群馬県の中学校で、陸上競技用のハンマーがサッカー部の男子生徒の頭に直撃してしまって死亡したという事故がありました。事故当時、陸上部の顧問は帰宅して、もう学校にはいなかったということも明らかになっております。

 部活動の用具の扱い、安全管理上問題がなかったのか。先ほど紹介した「学校における体育活動中の事故防止について」の報告書には、事故防止に対する取組をすべきであるということや応急処置の方法などはしっかりと述べられてはあるんですけれども、今後どういった対策をするか、具体的なことが、もう少し踏み込んだことが報告書の中にあってもいいのではないかなと思います。

 部活運営に関しての安全基準は、競技ごとに作成する必要もあるのではないかなと思います。ハンマー投げややり投げ、そして砲丸投げ、器械体操などは、本当に安全性に課題の大きい競技であると思います。施設の安全指導など、基準を設けて点検するだけでなく、それをクリアしなければ活動を見合わせるぐらいの厳しい規定を設けてもいいのではないかなと思いますが、そのあたり、教えていただけますでしょうか。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、運動部活動に当たりましては、生徒が事故のないように安全にスポーツに親しむ、こういったことができるように、学校として万全の体制で取り組むことが必要でございます。

 具体的な取組といたしましては、学校における事故防止の取組充実に資するために、平成二十五年度から、運動部活動の顧問や体育の教師などを対象といたしまして、例えば、柔道の大外刈りによる事故の防止ですとか、ラグビーのタックルによる事故防止ですとか、あるいはサッカーゴールの転倒予防ですとか、競技ごとの観点も踏まえた事故防止のセミナーを委託事業として開催しているところでございます。

 また、都道府県教育委員会等に対しましては、「学校における体育活動中の事故防止等について」等の通知、これは、今、先生御指摘のございましたハンマー投げの事故のときにも、そのときの事柄ですとか、あるいは学校体育活動中の死亡事故の例など、こういったものがあるので注意をするようにというようなことで、学校体育活動における重大な事故事例の共有、これによって事故防止に努めるような注意喚起を行っているところでございます。

 さらに、本年三月に策定いたしました運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン、ここでは、校長及び運動部の顧問が事故防止を徹底すること、それから、中央競技団体が競技特性を踏まえた練習メニューですとか安全面の注意事項を内容としたわかりやすい部活動の指導手引を競技ごとに策定する、そしてそれを学校において活用するということを示しているところでございます。

 スポーツ庁といたしましては、スポーツ団体等とも連携を図り、運動部活動における事故防止に取り組んでまいりたいと思います。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 済みません、余り時間がなくなってまいったんですが、引き続きまして、大学の部活のあり方についてお聞きをしたいと思います。

 五月三十日にスポーツ基本法の一部を改正する法律案が可決されまして、体育をスポーツとするということでございましたが、日本スポーツ協会の名称変更趣意書にあるように、東京オリンピック・パラリンピック開催の前に、日本のスポーツが世界の中でも恥ずかしくないようという思いや今後のスポーツのあり方がしっかりと記されたものであるというふうに思いました。

 しかしながら、日本大学アメフト部の危険タックルの問題や、事故発生から一カ月たっても根本の原因がまだ不明なまま、第三者委員会がようやく立ち上がったとはいいますけれども、今後の検証が注目されるところではございます、日大アメフト部や女子レスリングのように、日本のスポーツ界には、パワハラ的な指導が現在も行われている。特に日大アメフト部では、監督による特定の選手への暴言や暴力、そしていじめなどもあったというふうに聞いております。こうした状況は一刻も早く改善していかなくてはならないと思います。

 今、大学スポーツのあり方が問われる中、日本版NCAAについて多くの報道がなされております。こうした組織によって状態が改善されていくというふうには思いますけれども、今後の具体的な取組と、この事案への対策方法を教えていただければと思います。

今里政府参考人 スポーツ庁におきましては、大学スポーツの振興に向けまして、現在の大学スポーツが抱える課題を解決するための、今御指摘のございました、いわゆる日本版NCAAの今年度中の創設を目指しているところでございます。

 この組織によりまして、学生の学業環境の充実ですとか、安全、安心の確保を目指しているところでございます。これらの機能が果たされることによって、各大学や各競技団体が単独では取り組むことが困難な課題に対応できる組織を目指してまいりたいと考えているところでございます。

 その中で、今御指摘のございました、例えば暴力等に対する相談対応体制の構築ですとか指導者の意識の向上、こういったことも当初から日本版NCAAにおいて取り組むべき課題として取り上げているところでございまして、ことしの夏ごろには準備委員会を発足させまして、日本版NCAAのより具体的な姿の検討を加速化させてまいりたいと思います。

 以上でございます。

山本(和)委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主党・市民クラブの日吉雄太でございます。

 本日は、質問の機会を下さいまして、ありがとうございます。余り時間がございませんので、早速質問に入らせていただきます。

 本日は、加計学園の問題についてお伺いさせていただきたいと思います。

 まず初めに、建設費について確認をさせてください。

 加計学園の獣医学部新設に巨額の建設費が投じられておりますが、その金額の妥当性、また研究施設としての設備の十分性、これに疑問視をする声が上がっております。

 先般の本委員会において、建物の図面、仕様書、見積書等の御提出をお願いしたところですが、公にすることで法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、開示していないとの御回答をいただきました。しかし、学校法人の公共性や、補助金という公金が投入されている現状を鑑みますと、学校法人は、自身を取り巻く利害関係者に対して説明責任を果たしていかなければなりません。

 先般の本委員会で、校舎の建設費や建設業者の決定につきましては、加計学園において必要に応じ丁寧な説明が望ましいとの答弁をした旨加計学園に伝えたところでございますとの御答弁をいただきました。その際、加計学園のどのような職責の方と、いつ、どのようなやりとりがあり、加計学園側からはどのような回答があったのか、教えてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘がございました、昨年十二月一日の文部科学委員会におきます先生からの御質問を受けまして、週明けの十二月の四日月曜日に、文部科学省の担当官より加計学園の総合企画局総合企画室長に対しまして、国会において、校舎の建築費や建築業者の決定についてお尋ねがあったこと、加計学園において必要に応じて丁寧な説明がなされることが望ましい旨の答弁をしたことをお伝えしてございます。その際に、加計学園の担当者からは、承ったという旨の回答があったところでございます。

 さらに、本年の二月二十三日でございますけれども、同じく、文部科学省の担当官より加計学園の御担当者に対して、その後の説明の状況について電話で問合せをいたしたところでございます。その結果、補助金についての議案が議会に近く提出予定であり、また、先日まで第三者機関による検証が行われていた状況であったことから、現時点では、今治市に対する必要な説明、情報提供を中心に対応を行っている旨の回答があったところでございます。

日吉委員 ありがとうございます。

 ただ、これまで加計学園側から、建設費や建設業者決定の経緯について、とても十分な説明がなされたとは思えない状況でございます。法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれから資料の開示もなされていない状況では、このままでは利害関係者にとって、建設費の妥当性や研究施設の設備の十分性について判断するすべがございません。

 ですので、学校法人の公共性や補助金の支出の観点から、文部科学省より加計学園に対して、改めて説明責任を果たしていただくよう御指導いただけませんでしょうか。いかがでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、基本的に、文部科学省としての認識、答弁を伝えて、その上で、どのような形で具体的な説明責任、丁寧な説明ということをされるかというのは、基本的には当該法人の責任において判断がなされるべきだというふうに考えているところでございます。

 文部科学省としては、こうしたことを踏まえて、大学、学校法人において適切な説明がなされることを期待しているところでございます。

日吉委員 今申し上げましたように、十分な説明が行われていないと思いますので、ぜひとも改めて御指導のほどをお願いしたいと思います。

 続きまして、加計学園問題の利害関係について改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず初めに、現状認識についてお伺いいたします。

 加計学園の獣医学部新設について、これまで長時間にわたって議論が行われてきましたが、この問題の本質というのは、獣医学部新設の認可のプロセスが適切であったかどうかにまずは一つあると思います。つまり、加計学園は総理のお友達なので優遇されたのではないかと疑われているわけです。

 そこで、林大臣にお伺いいたします。

 各種世論調査におきましてもかなり高い割合で、加計学園問題について、疑惑は晴れていない、首相説明は信用できないとされていますが、多くの国民から疑問を持たれているという現実がある、この認識は間違いないでしょうか。

林国務大臣 今、委員がお触れになったように、いろいろなこの件に関する世論調査、私も報道で承知をしておりますので、その数字はしっかりと受けとめて、更に必要な説明が求められればしてまいらなければならない、こういうふうに思っております。

日吉委員 ありがとうございます。

 それでは、この疑惑の原因が何かについて伺います。

 先ほども申し上げましたが、加計学園は総理のお友達だから優遇されたのではないか、このような思いを持っている方が多数いらっしゃいます。つまり、総理と加計学園との間で何らかの深い関係があるのではないか、だから加計学園が優遇されたのではないかと疑われているわけです。

 この関係、こういった現状認識、これには間違いないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

村上政府参考人 特区諮問会議の運営に関する事項という観点から、まず私の方からお答え申し上げます。

 もう委員御承知のとおり、特区の諮問会議では、直接の利害関係者については参加をさせないことができるという規定がございまして、これについては、みずから経営又は役員をしている場合ということを想定して運用してございます。

 当時、加計学園の公開されている役員等々のリストを見ましても、その中には諮問会議の関係者の名前は入っていない、このように承知をしてございます。

日吉委員 今私がお伺いしたのは、加計学園が優遇されたのではないかと疑われている、こういった、何か深い関係があったのではないかという疑いが持たれている、ここに原因があるのではないかというふうにちょっとお伺いしたところなんですけれども、ちょっと改めて伺いませんが、要は、総理と加計学園との間に何らかの利害関係の存在が疑われ、その結果、加計学園の獣医学部新設の認可プロセスが不適切であったのかもしれない、このように疑われている、これが現実だと思います。

 今御答弁いただきましたように、運営規則の第四条四項で、「会議は、その決定するところにより、会議に付議される事項について直接の利害関係を有する議員を、審議及び議決に参加させないことができる。」、このように定めてありますが、改めてお伺いしますが、この規定の設けられた趣旨を教えてください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 このような規定を設けましたのは、特に制度改革を議論する場合につきましては、いずれにせよ、その果実は全ての事業者の方が御利用いただけるという意味で使われる場合は少ないかと思いますけれども、個別の事業者の認定にかかわるような議決をする場合につきましては、中立性、公平性の観点から配慮する必要がある場合があるだろうということで置かれた規定でございますけれども、その運用につきましては、先ほど御説明させていただいたような形で運用させていただいている、このように承知をしてございます。

日吉委員 まさにそのとおりで、諮問会議の中立性、公正性を確保するための規定ということです。諮問会議のメンバーが、私的な利益の実現を図ることで議論を誘導したり利益相反行為に当たる発言を行うこと、こういったことを防止する目的でこのような規定が設けられているというふうに理解しております。

 それでは、伺います。

 諮問会議のメンバーがもしも諮問会議の場で私的な利益を図る行為を行ったら、それこそ大問題ですが、そもそもこの規定は、会議の中立性、公正性を疑われること自体を回避するためのものであって、利害関係者をあらかじめ会議に参加させないことで事前に問題発生を防ぐ目的で設けられている、このように理解しておりますが、よろしいでしょうか。

村上政府参考人 お答えを申し上げます。

 会議自体につきましては、直接の利害関係人を参加させることができる、できないも含めまして、その内容も含めて会議全体で、議事の内容も含めて、できれば全員一致ということで議決をするという性格の運用をさせていただいてございます。

 これまでの特区諮問会議の運用におきましても、一件、みずから直接の利害関係人に該当するおそれがあるとして議決に参加されなかった議員がいらっしゃったケースがございますが、いずれにしましても、その他の議案については全て出席者全員の合意で決議をされてございます。

 事前にとおっしゃられたところの趣旨が、必ずしも私よくわかっていないところもございますけれども、いずれにせよ、その特定の者の意向による運営がなされないような仕組みを担保するという意味で、参加させる、させないも、議案の内容を議決するかどうかも含めて、委員の皆さんに会議の場で適切に御判断をいただく、このような形で運営をしているというふうに理解をしてございます。

日吉委員 今お話ありましたように、やはり会議の中立性、公正性を疑われること自体を回避する目的で、そのために利害関係者をあらかじめ会議に参加させない、ないしは会議の中でそういった利害関係のある人を議決に参加させないことを検討する、こういった趣旨であるということと理解いたしました。

 今の現状に鑑みまして、今、国民の皆様の間で大きな疑惑が広がっているわけでございます。総理と加計学園との間に何らかの利害関係が疑われているわけです。

 そうであれば、本来、この運営規則の四条四項の規定によって、総理を諮問会議の審議、議決に参加させてはいけなかったのか。結果として、大きく疑惑がある、疑われているという状況になっている。これは今、林大臣もそのような認識をされているというふうに理解いたしましたけれども、そういう結果が出ているということは、今、さかのぼって考えますと、この四条四項の規定によって、総理を諮問会議の議決に参加させるべきではなかったのではないか、このように理解しておりますが、いかがでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 当時、直接の利害関係に該当するかどうかも含めて会議の皆さんで御判断をいただき、手続を経て適法に合意をされているものというふうに承知をしてございます。

 先ほども申し上げたとおり、例えば直接の利害関係がある、ないということを、現状の運用でございます、みずからが経営していたり役員となっている会社が特区の事業認定を受ける場合という基準に照らしまして、加計学園の関係者の役員等のリストを見ても関係者は該当しないということで、当時適切に委員の皆さんに御判断をいただいたものということでございます。

 それ以外の仮定の話については、大変恐縮でございますが、お答えを差し控えさせていただきます。

日吉委員 直接の利害関係という言葉が出てきますけれども、この意味するところ、加計学園の役員等になっていないかどうかというふうなお話がございましたけれども、直接の利害関係、この意味するところは明文化されているのでしょうか。

村上政府参考人 お答えを申し上げます。

 各それぞれ、政府にもいろいろな会議体があろうかと思いますが、その構成員の活動につきましては、例えば、株式の保有数でございますとか、法人経営の企画立案の会議に参加をして謝金をもらっているかどうかでありますとか、研究費の配分の有無でありますとか、それぞれの会議体の性格に即しましていろいろなルールが設定されている。その中で、特区諮問会議としては、先ほど申し上げたような、みずからが経営したり役員となっている会社が特区の事業認定を受ける場合を想定してということで運用させていただいてございます。

 ただ、明文上の規定があるかどうかというお尋ねにつきまして言えば、運営規則上、明文で規定されているのは、直接の利害関係を有するか否かということでございますけれども、これを明文で詳細の解釈をしておりませんのは、やはり特区はある意味、全分野、全省庁のさまざまな所掌分野の事業についてお尋ねをいただくことが多いものですから、必ずしも一概には決め切れないだろうということもございまして、これにつきましては個別具体的に判断すべきものということで、それ以上の明文化は現状しておらないというふうに私ども理解してございます。

日吉委員 今、個別具体的に判断するというお話がございました。ということは、必ずしも加計学園の役員等になっているかどうかだけで決めるわけではなくて、結果として疑われないように判断をする、このように理解しております。

 今、直接の利害関係というふうに、この範囲は、単に諮問会議メンバーを認定対象の役員であるか否かではなく、もっと広い概念であると私は考えます。

 例えば、獣医学部が新設されることで学生がふえ、たまたま近所で、諮問会議のメンバーの人が新しくできる学校の近くで定食屋さんか何かをやっていて、売上げがふえてもうかったとか、こういった関係が間接的な利害関係なんじゃないかなということで、こういったケースでは多分、利害関係には当たらないのかなとは思うんですけれども、総理夫人が、加計学園の運営するこども園の名誉園長をしていた。そして、獣医学部が認定されれば、もしかしたら見返りに報酬を引き上げてもらえるような環境にあるわけで、環境にあるだけですよ、そうしたかどうかは別として、そういう環境にあるわけで、それはまさに安倍家の家計収入の増大につながっていくわけですから、直接の利害関係に当たるのではないか、このように考えますが、この直接の利害関係についてのお考えを教えてください。

村上政府参考人 大きく二点に分けて御回答させていただければと思います。

 まず一つ、直接の利害関係という解釈が、委員御指摘のように、広いか狭いかという議論があるのではないかということを御指摘いただいているんだと思いますけれども、現状は、先ほど申し上げたようなルールの運用で、かつ、その議事の内容も含めて総合的に、委員の間で諮問会議として御判断をいただいている。

 ただ、実績で申し上げれば、先ほども申し上げましたとおり、基本的には委員全員の同意ということで、特定の者の意向が強く反映できるような運用の実態にはなってございません。そういう意味でも、今の現状の運用をベースとしつつ、引き続き個別事案に応じて判断していくべきもの、最終的には、これも、会議自身を運営しておられる委員の皆さんにお決めをいただくというものかなというふうに思ってございます。

 続きまして、御夫人が加計学園の関係の教育児童施設に関係をしておられたかどうかということでございますが、まず、政府としては、質問主意書等でもお答えをしているとおり、夫人の私的な行為に関するものについては承知をしてございませんので、詳細についてコメントできる立場にはございません。

 その上で、念のため、いずれにしろ、御夫人の問題とは関係なく、御影インターナショナルこども園ということでもし御指摘をいただいているとすれば、それが学校法人加計学園の設置した認可外保育施設であるということは同法人の事業報告書から確認をしてございますけれども、我々の認識しているところ、当該認可外保育施設は、同学園の事業としても下部の組織でございまして、いずれにせよ、同学園全体の経営判断に何らかかわるような立場のある事業部ではないのではないか、こういうふうにその事業部自身については理解をしてございます。

日吉委員 個別の判断というお話でございますけれども、具体的に、例えば諮問会議のメンバーの方々から利害関係はありませんという宣誓書なり、こういったものを入手されたりしている、こういった調査というのはされているんでしょうか。

村上政府参考人 お答えを申し上げます。

 会議の運用上、手続として、一つ一つの事案につき一人一人の委員から必ず、あなたはこれは関係ありますか、関係ありませんかということを書面上で確認するような手続はとってございません。

 ですが、これは当然、会議の運用上も、御自身が発意されるだけでなく、ほかの委員が御指摘をいただくというようなことも可能性としてございますし、この諮問会議の委員になられるような方々の場合、ここで言う役員でありますとかそういった立場になれば、当然公開された書類の中に出てきているケースがほとんどだと思いますが、こういったところの中で気づくようなケースがある場合は事務局からも問題提起はさせていただくような運用にしてございますし、現に、一席事案があったケースにつきましても、我々の方からも大丈夫ですかということをお問合せした上で、最終的に委員の皆さん同士で決めていただき、議決のその場でも、それが適切であろうという御判断を現場でいただいた。

 こういったような形で、御指摘のような手続が一つ一つ丁寧にあるわけではございませんが、御本人の申出以外にもいろいろな角度から、そういった御指摘があればきちっと反映できるような仕組みという中で会議を運営している、このように承知をしてございます。

日吉委員 今度は文部科学省にちょっとお伺いいたしますが、大学設置審におけるメンバー、委員の利害関係に関する規制があると思うんですけれども、それについてちょっと御説明いただけますでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 大学設置・学校法人審議会の運営規則、正確に名前を申し上げますと大学設置・学校法人審議会令、その十条でございますけれども、審議会の委員は、自己、配偶者若しくは三等親以内の親族の一身上に関する事件又は自己の関係する学校若しくは学校法人に関する事件について、議事の議決に加わることができないと定められております。

 それでいきますと、配偶者につきましての一身上に関する事件ということについてでございますが、配偶者が直接関係しております設置認可の審査案件を除外するというものでございますので、直接かかわっておられる審査案件については、その委員は議決に加わることはできないというふうな形にしております。

日吉委員 今度は内閣府にお尋ねいたしますけれども、設置審の規定では、配偶者がかかわっている案件にはその委員は参加することができないというような規定になっているわけですけれども、「直接の利害関係」という諮問会議の運営規則にある四条四項の規定、これはやはり、設置審の配偶者を除外する規定、これと平仄を合わせるべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 若干原則的なお話になって大変恐縮でございますけれども、委員先刻御承知のとおり、国家戦略特区のプロセスは制度を改革するためのプロセスでございます。本件につきましては、獣医学部の新設申請自身が禁じられてきた告示を改正するものでございまして、そこに至るまでの制度改革上の判断と、実際に申請を受けた後の設置審上の審議の判断は、それぞれ独立して行っているものというふうに承知をしてございます。

 個々別々に判断をすべきと、諮問会議の運営の中でも個別事例に即してと申し上げているという意味では、さまざまな御見解はあろうかとは思いますが、基本的にはそれぞれは独立したルールと会議体の中で運営しているものであって、本件につきましても、諮問会議の会議の皆さんに、制度改革、その入り口の規制を緩和するという問題の中で適切に御判断をいただくべきという中で結論を出していただいているものというふうに理解しております。

日吉委員 確かに、別々の規定の中で運用はされているんですけれども、最終的に獣医学部の認可を文部科学省でされているわけでございます。その過程では、やはり認可の公正性、中立性、こういったものが担保されていなければならない。

 そのために、文部科学省としても、国家戦略特区諮問会議においても、そのような透明性また中立性が確保されている必要があるということで、この設置審の規定に照らして、今回、戦略特区諮問会議においても、やはり配偶者の規定、これを利害関係として考えるべきではなかったかと思うんですけれども、その点につきまして、林大臣の御見解をいただきたいと思います。

林国務大臣 今、内閣府から答弁をいたしましたように、それぞれの制度、それぞれの目的に基づいて、先生が今お問い合わせのように、利害関係者との関係をどう整理するのかというのはそれぞれの制度で定まっているということで、我々が所管しております設置審の運営については先ほど局長から答弁したとおりでございますが、国家戦略特別区域の諮問会議、これは内閣府において所管をされておられますので、文部科学省としてその中身についてお答えする立場にはないということでございます。

日吉委員 しかし、最終的に文部科学省で認可をしているわけですから、そのプロセスにおいては、やはり文部科学省の設置審のレベルに合ったプロセスで検討がされていなければいけなかったのではないかというふうに思っております。

 そして、内閣府での利害関係の検討、これは実質的には行われていないのではないかというふうに考えております。確かに、加計学園の役員等に該当していないかどうか、そういったことはもしかしたら確認されているのかとは思いますけれども、具体的にどのような手続で、先ほども申し上げましたように、宣誓書をもらっていないということもありますし、例えば委員で、加計学園からお金をもらっているかもらっていないか、こういった調査も本来するべきであったと思います。

 そういった手続がしっかり行われていたのかどうか、もう一度御答弁いただけますでしょうか。

村上政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、設置審との関係につきましては、やはり設置審は設置審で厳しく見ていただく、我々は我々のルールで律する。逆に、設置審のルールがあるから我々のルールが変わるというものでも、逆に、我々のルールがこうだから設置審の方にこうしてくれというものでもないというふうに思ってございます。そういう意味では、諮問会議は諮問会議でみずからを律するべきと考えてございます。

 その上で、どの程度細かく一つ一つチェックをするべきかということでございます。

 当時も、他の案件、多くございますけれども、それと同様に、一般的なチェックは行っていたものというふうに理解をしてございます。

 今後、もし、一つ一つ、一件一件について諮問会議の委員の手続書類上、確認を書面上とるべきではないかとかいったような御意見を賜ったということであるとすれば、それにつきましては、諮問会議の委員の皆様にも、国会でそういう御指摘をいただいたということで御意見を御紹介させていただければ、事務局としてそのように思います。

日吉委員 今後、やり方を検討するというのはもちろんですけれども、今回の件で、結果として大きな疑惑が出ているということであれば、そこに手続の不備があった、こういうふうに国民の皆様は考えているんだというふうに思っております。

 もう一つ確認をさせていただきたいのですが、安倍総理の御夫人が加計学園の設置するこども園の名誉園長をしていたわけでございますが、これが特区の諮問会議の議長である安倍総理の利害関係に当たらないということでよろしいかどうか、改めて確認をさせていただきます。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しとなる部分は回避させていただきますが、特区諮問会議での利害関係は、先ほど申し上げました直接の利害関係、これは、みずからが会社を経営したり役員をしていたりという場合を想定して運用しているというものでございます。

 この基準に照らし合わせますと、当該案件については該当していないというふうに理解をしております。

日吉委員 済みません、くどくて申しわけないですけれども、もう一度確認なんですけれども、何らかの利害関係はあるということでよろしいんでしょうか。その規定に照らしたとしても、先ほど、ケース・バイ・ケースだということで、一概にその規定を当てはめることはできないというふうに解釈しております。ですので、何らかの利害関係はあるということだと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 特区制度の運用上、私ども事務局としてもサポートし、見ておりますのは、諮問会議が念頭に置いております直接の利害関係でございます。

 直接の利害関係が、今の特区諮問会議の運用上、これの個別な事案に関してどうかかわるかということにつきましては先ほど御答弁をさせていただいたとおりでございますが、それ以外の一般的な利害関係の有無については、私ども判断する立場にございませんので、特段それについて、あるとかないとかということについてのコメントは、特区運営事務局としては控えさせていただきたいと思います。

日吉委員 時間が来ましたので終わりますけれども、今おっしゃられたように、それ以外の利害関係があるかないかということを判断する立場にはないといいましても、そこで多額のお金をもらっていたりしたら大きな問題になるわけですから、それは立場ではなくて、多分そういったことも含めて判断しなければいけなかったと思います。

 それを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、奨学金についてお聞きをしたいというふうに思います。

 最初に、今年度から本格実施された給付型奨学金の実施状況についてお聞きいたします。

 昨年の採用枠は二千八百人、それに加え、今年度、新規に二万人が採用枠として設定をされました。給付型奨学金の今年度の最終的な採用候補者数、それから、わかれば、採用人数、何人だったのか教えてください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 今年度につきましては、非課税世帯を更に対象にして本格的に実施するということでございますけれども、二〇一八年度進学者に対する採用候補者数は二千百三十九人でございまして、その人数を採用候補者として扱っているところでございます。

吉川(元)委員 候補者数ではなく、採用人数はまだわからないということですか。

義本政府参考人 失礼いたしました。

 今年度の進学者における採用候補者数については、失礼しました、二万一千百三十九人であったと承知しております。

吉川(元)委員 それはそうだと思いますが、もう一つ聞いた、採用人数というのはもうわかっているのかどうかというのは。

義本政府参考人 お答えいたします。

 六月中旬ごろに日本学生支援機構におきまして決定しまして、その後速やかに採用数について公表する予定でございます。

吉川(元)委員 そうしますと、六月中旬ということでございますので、わかり次第また、大学、短大、専門学校の学校種別の内訳、あるいは国立、公立、私立の比率についてお教えいただければというふうに思います。

 次に、給付型奨学金の対象人数、一学年二万人ということでありますが、これは、住民税非課税世帯などの採用基準を満たす生徒が約十六万人いる、そのうち大学への進学希望者が六・一万人と推計をされて、さらに、給付型奨学金を受けるための基準をクリアできる子供が多分二万人という、そういう推計に推計を重ねて二万人ということになったというような記憶をしております。

 低所得世帯でも大学進学したい、そういう希望を持った生徒の数と給付型奨学金の採用数がマッチしているかどうか、これは今後一番大切な検討事項だというふうに思います。

 そこでお聞きしますが、高校に対して給付型奨学金の推薦を申請した生徒の数、総計で何人だったんでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 各高等学校等に対しまして割り振られた推薦枠数の範囲内で候補者を推薦するということが求められております。

 したがいまして、推薦者の数は把握しておりますけれども、生徒からの申込状況については把握しておりません。

吉川(元)委員 先ほど言ったとおり、この二万人という枠は、文科省がいろいろ推測をして、このぐらいだろうと。だけれども、それは決して、実態を反映しているかどうかというのはわからないわけであります。

 そういう面でいいますと、高校から上がってきた数が二万一千何がしという数だったけれども、実際に高校に、自分は給付型奨学金をもらいたいと希望した数がわからないと、実態と乖離しているのか、あるいはマッチしているのかわからないというふうに思いますが、その点はいかがですか。どう考えておられますか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 給付型奨学生に対する支援につきましては、高校において作成いたします採用基準への適格性を判断して、その上でJASSO、日本学生支援機構に推薦いただいているところでございます。

 したがいまして、高校から推薦があった者が適格者であるということから、機構における選考においては、生徒から高校に対する申込者数について把握するということについては、事務の遂行上必要ないというふうに考えております。

吉川(元)委員 この制度の趣旨というのは一体何なんですか。家の、世帯の収入が低くて大学に行けない、そういう子供たちをなくしていくんだという意味でこの制度はつくられたわけですよね。

 最初の枠を二万人に設定した、先ほど言いましたとおり、それはいろいろな推計をしながら二万人という設定をしたわけですけれども、実態としてはもっといるかもわからないし、その実態がどうなっているのかということを把握しないと、今後この枠を広げていくべきなのかどうなのかの議論ができないじゃないですか。

 最初から二万人と枠をつけているんですから、当然その枠の中しか上がってきませんよ、その上は。だけれども、事実、実態がどうなっているのかというのは、これは調査の必要があるんじゃないんですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 この給付型奨学金制度につきましては、委員御指摘のとおり、一定の成績基準を満たす非課税世帯それから社会的養護の世帯という形での一応の整理、枠を仕切りまして、その中においての事務を運用しているということでございますので、今申し上げましたように、この制度を運用する、あるいは中においての申込者数の把握ということについては、先ほど申し上げたとおり、その事務の遂行上必要がないという形に整理しておりますけれども、その問題とは別に、いわゆる所得が低い家庭についての子供さんたちの進学の状況につきましては、御案内のとおり、昨年、政策パッケージをつくりまして、新しいいわゆる給付型奨学金と授業料減免の仕組みということを考えているところでございます。

 そういう中で、現行の制度とはまた別の観点から考えるべき問題だと思っております。

吉川(元)委員 いや、その新しい政策パッケージ、後ほど聞かせていただきますけれども、給付型奨学金というものがスタートした。我々は、給付型奨学金がスタートしたこと自体については評価をしております。ただ、その枠が果たしてこの数で足りているのかどうなのか、足りていないとすれば、それは当然ふやしていかなければいけないわけです。

 実際に、高校の推薦枠、あなたのところはこれだけですよというふうにやられていて、そこに、その数倍とまでは言いませんけれども、それを超えるような希望者がいたとしたら、高校の段階でその人たちは落ちているわけです。落として、候補者として上げていくわけです。

 だとするならば、いつまでたっても実態がわからない。少なくとも、この実態、どのぐらいの人が希望しているのかということを調べるべきだと思いますが、大臣、いかがお考えですか。

林国務大臣 今局長が答弁いたしましたように、今、制度の運用としてはそういうことになっておりますが、委員おっしゃるように、高校で実際にどういうことになっているのかというのは、やはり、今局長からも答弁いたしましたように、せっかく新しいパッケージをつくってやっていこうということですので、そういう問題意識もしっかり持って、この政策パッケージに掲げた、望む方がしっかりと意識を持って進学しようということを支えていこうというのがパッケージの目的でもございますので、先ほど局長から答弁があったように、これはもう去年の閣議決定で今からやっていこうということでございますので、その中でしっかりと検討していきたいというふうに思っております。

吉川(元)委員 高校段階では、ある意味で、推薦枠の範囲の中で上がってくるのであれば問題ないですけれども、恐らくそれを超えて希望されている数があったかもわかりません。その中で、高校段階で、ある意味では泣く泣く基準を設けて、この基準をクリアする子はこっちの子だということでやっている可能性が、蓋然性が高いわけです。

 だとするならば、スタートした瞬間はそれでいいかもわからない、最初はそれしかなかったかもわかりませんけれども、しっかりその実態把握ができるような、事務の遂行上問題がないだとかそういう言い方をしていると、この趣旨をしっかり、最初にこの目的は何なのかということを押さえた上でいろいろな事務をやってもらわないと、これだといつまでたっても制度はよくなっていかない、そういうことを言わせていただきたいと思います。

 それで、あわせまして、今回の給付型奨学金が創設されたということですけれども、民間の機関と全国PTA連合会が昨年調査したところでは、この新しい制度について、給付型奨学金制度が創設されたということについてそれを知っていたと答えた方は、保護者でいいますと三一・九%、高校生に至っては一七・四%、大変低い認知度であります。

 この給付型奨学金制度の存在を広く知ってもらうために、この間、文科省としてはどのような対応をされてきたんでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 給付型奨学金を含め奨学金事業につきましては、生徒や保護者、教員等にしっかり周知を図ることが委員御指摘のとおり大変重要だというふうに認識しております。

 二〇一七年度から導入いたしました給付型奨学金につきましては、文部科学省と日本学生支援機構におきまして、教育委員会や高校、大学等を通じまして生徒等へ周知を依頼するとともに、生徒や保護者向けのチラシを配布する、あるいはJASSOのホームページでその内容を周知する、あるいは各学校、団体に対しての説明会、さらには政府広報等においていわゆるチラシ、ポスター、あるいはいろいろな形の番組を通じまして、連携して周知を図っているところでございます。

 さらに、加えまして、ファイナンシャルプランナーと連携し、進学を検討している生徒、保護者に対しまして奨学金制度の活用を含めた進学費用の準備のための資金計画の説明、助言を行います、いわゆるスカラシップアドバイザーというのを養成しまして各学校に派遣する取組を通じても周知を実際上やっているところでございます。

吉川(元)委員 努力されているということはわかりましたが、ただ、実際の認知度というのは、先ほど言ったとおりの大変低い数字に終わっています。こういう制度があれば行ったのにという、そういう子供が後から出てくるというのはこれは本当に不幸なことでありますから、引き続き、この認知度を引き上げるための努力をお願いしたいというふうに思います。

 給付奨学生の推薦枠、これについては、全ての高校にまず一人を割り振った上で、残りの推薦枠を各学校から申請された奨学金貸与者人数のうち非課税世帯の人数をもとに配分をしたというふうに承知をしております。全体として配分した枠に対して未消化の枠、どの程度あったのでしょうか。学生数とあわせてお答えください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年度進学者推薦枠につきましては、給付規模が二万人になるよう、これは、委員御指摘のとおり、追加配分も含めまして合計で二万四千五百八十五人分の枠を各高校等に割り振ったところでございます。

 その結果、採用候補者数について残りまして、未消化枠については四千五十二枠、未消化の学校数での実態で換算しますと二千六百十二校であったと承知しております。

吉川(元)委員 大体、五分の一、六分の一ぐらいが未消化になっているということでありますが、この未消化の枠というのは今後どのように扱われていくんでしょうか。

義本政府参考人 学校によりましては、推薦の対象となる生徒が割り振られた推薦枠よりも少ない場合も可能性として考えられるところでございまして、そのため、委員先ほど御説明がありましたように、原則二万人を給付対象とすることとしておりますけれども、その枠の割り振りにつきましては、対象者が不在となるような可能性も考慮しまして、二万人を超える枠を割り振っております。

 ただし、推薦者数が二万人を下回る場合には、推薦枠を使い切っている学校を対象にしまして、必要に応じて追加推薦を行うということを考えておるところでございます。

吉川(元)委員 現在の段階で、その候補者数、上がってきたものが二万一千百三十九あるということであります。ここからふえることはないわけで、実際に、大学に行こうと思ったけれども諸般の事情で行くことを諦めた子供たちもいるかもわからない。そういう意味でいいますと、最初に二万四千を超える枠を配分しているとすれば、仮に推薦枠を、今二万一千ですけれども、二万を超えた場合にはこれはどういう扱いになるんでしょうか。実際にクリアしているというのが二万を超えた場合、それは認められるということでよろしいんですね。

義本政府参考人 お答えいたします。

 予算の範囲内でやっておりますけれども、今申し上げましたように、推薦候補者を決定しまして、その枠、二万を超えるケースも対応するということで考えているところでございます。

吉川(元)委員 先ほどの質問でもいたしましたが、希望しても高校から推薦されなかったという子供たちも必ずいると思います。そういう意味でいいますと、できれば、この枠分ぐらいは、未消化であったとすれば、二次募集をかけるぐらいのことをされてはいかがかということを提案させていただきたいと思います。

 次に、昨年十月からことし初めにかけて各高校が日本学生支援機構に提出しなければならない推薦基準、これは給付奨学生の推薦者を選考するに際しての各学校の基準ということになりますけれども、この提出がかなりおくれたというような報道が目につきました。

 今年度分については昨年七月が推薦基準の提出期限だったにもかかわらず、提出できたのは七割の高校にとどまり、年末時点でも一割が未提出だったというふうに報道されております。

 まず、確認ですけれども、推薦基準の提出が全体的にかなりおくれていた、こう報じられておりますが、これは事実なんでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 経年で少し数字を挙げさせていただきますと、平成二十九年八月二十三日時点で把握しておりましたけれども、その時点においては、未提出校が千七百七十六校、三〇・五%でございます。委員御指摘の平成二十九年十二月十五日現在においては、六百五十校、一一・一%でございます。さらに、それ以降、各高校に対しまして推薦基準の提出を求めているところでございますが、直近でございますけれども、平成三十年六月四日時点でございますが、七十七校、率にしますと一・三%という形になっております。

吉川(元)委員 まだ提出されていない高校があるということでありますが、文科省として、大分数字が上がってきて、一〇〇%に近づいてはおりますけれども、当初考えていたよりもこの提出がおくれた原因というのはどこにあるというふうに考えているでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 推薦の対象となる生徒等が不在である学校におきましては、推薦基準の策定が不要であるというふうな認識があったものと承知しているところでございます。このため、提出期限後に、日本学生支援機構からの要請に応じておくれて提出がなされてきているものと考えているところでございます。この点につきましては、引き続き、未提出の学校に対しましての要請をしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 関連してお聞きしますが、昨年の十二月段階でまだ一割程度残っていた、推薦基準を出していないところがあったということですけれども、報道によりますと、推薦基準を提出しない高校には次回以降の推薦枠を割り当てない方針というふうな文言が報道でされておりました。このような方針というのは、制度の創設時点で決められていたのでしょうか。

 確かに当該年度は今言われたとおり対象者がいないかもわからない。だけれども、次年度には対象者が出てくるかもしれない可能性もあるわけです。これは、ペナルティーということで、翌年はもう割り当てないというようなことを言うということ自体、非常に大きな私は問題だと思いますし、これは、実際に割り当てられなくて、翌年この奨学金の対象になる子供がいたとすると、そのペナルティーは、学校にかかるのではなくて、その生徒にかかっていくわけであります。

 何の瑕疵もない生徒にペナルティーを与えるようなこういうやり方、これは絶対にやめるべきだというふうに考えますし、そもそもこういうことは文科省として承知をしていたのか、その点も含めて答弁を願います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 来年度、二〇一九年度の推薦枠の割り振りにつきましては、給付型奨学金の推薦基準が未提出であったりとか、内容の不備が解消されていない学校に対しても制度上割り振りは行っているところでございます。ただ、具体的に、生徒の、奨学生の推薦につきましては、各学校が定めます基準にのっとって行うということがされておりますので、推薦基準の提出がされていない場合においては、適正な推薦が行われていることが確認できず、各学校から推薦候補者を推薦いただいても、機構による選考ができないという事態が発生するところでございます。

 文科省としましては、委員御指摘のとおり、奨学金の利用を希望する生徒に確実に利用機会を提供するということは非常に大事でございますので、各学校においては、推薦基準をしっかり整備いただくように重ねて指導していきたいと思っておるところでございます。

吉川(元)委員 半分は答えていただいたんですが、先ほど言った基準を提出しないところは翌年割り振らない、こういうことは文科省の中で決められたことなんですか。

義本政府参考人 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、来年度の推薦基準の割り振りにつきましては、推薦基準が未提出であったり、内容の不備が解消されない学校においても割り振りを行っているところでございます。先ほど申し上げましたように、基準が作成されない学校においては選考ができないということでございますので、その点をお答えさせていただきました。

吉川(元)委員 いや、ですから、私が聞いているのは、報道されているところによると、出さなければ翌年の枠はもう渡さないよ、そういう非常に上から目線のこのやり方というのは文科省は承知をしていたのか、あるいは、こういうことが実際に支援機構の方から話がされていたのかどうなのか、その事実確認をしているんです。

義本政府参考人 私どもとしましては、そういう形で報道されるのは非常に間違った情報を伝える話でございますので、その点については非常に遺憾だと思っております。学生支援機構と連携しながら、しっかり適切な情報を伝えるように努力してまいりたいと存じます。

吉川(元)委員 どうも私の聞いたことにお答えいただけないんですが、報道されているこれは事実なのかどうか、それだけ教えてください。こういうことを実際に、こういう発言があったのかなかったのか、そのことだけお答えください。

義本政府参考人 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、基準が未提出であったり不備であっても割り振りをするということは事実でございます。そういう認識のもとに文科省あるいは日本学生支援機構が説明しておりますので、そのような報道あるいはその事実について、私どもとしては承知しておりません。

吉川(元)委員 事実として承知をされていないということですから、あったのかなかったのかも含めて文科省としてはわからないということ。

 私は、この間、学生支援機構については、以前も当委員会で質問させていただいた際に、非常に上から目線といいますか、自己破産の問題も含めまして、非常に上から目線の発言が責任ある方から繰り返し行われていたというようなことも指摘させていただきました。学生支援機構というのは、学生を支援する機構なんです。金を貸して、利息を含めて回収するのが仕事じゃないんです。学生をどうやって支援していくかという。今回これが報道されていて事実かどうかわからないということでありますけれども、私が読んだときには、さもあらんというふうに感じました。

 ちょっと、質問の時間がもう終わってしまいましたので、最後に一点だけ確認させてください。

 今回、新しい政策パッケージで授業料の減免が行われていくことになります。その際に、給付型奨学金、今、現行の制度でいいますと、自宅からの場合はゼロになり、自宅外は二万円、国立大学の場合はというふうになりますが、これはこのまま、この制度は続くんでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現行の給付型奨学金におきましては、国立大学の授業料等で授業料の全額免除を受ける場合については給付月額を減額しているという制度になっております。

 一方、新しい政策パッケージに基づきまして、高等教育の無償化については、これは新しい考え方において、授業料の減免措置の拡充とあわせて給付型奨学金の支給を大幅にふやしていくということを明記しておりまして、授業料減免に加えて給付型奨学金を支給するということでありますので、現行におけるような免除措置に関連した給付額の減額を行わない方向で検討しております。

吉川(元)委員 もう終わりますが、昨日、仮称ということでありますが、原案で骨太が出てまいりました。そこでも、奨学金については、学生生活を送るのに必要な生活費を賄えるような措置を講ずることというふうになっております。ぜひ、新しい制度でそうするのは結構ですけれども、既になっている、既に大学に通っている子供もさかのぼって適用されるようにお願いをして、質問を終わります。

冨岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 まず、私学助成について林芳正文部科学大臣に伺います。

 お手元の資料にも配付しておりますが、五月九日付の教育学術新聞に、ことし三月に実施された二〇一七年度の私立大学等経常費補助金交付において、唐突に定員未充足大学の特別補助が圧縮率をもって大幅に減額されたことが報じられました。安直、唐突な特別補助、圧縮率と厳しく批判されております。

 この報道の内容をまず確認するとともに、現場からどのような声が寄せられているか、伺います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の記事が教育学術新聞に掲載されたことは承知をいたしてございます。

 経緯、事実関係を申しますと、今年三月の平成二十九年度の私立大学等経常費補助金の特別補助の交付におきまして、各大学からの申請によりまして、財務大臣の承認を経て、文部科学大臣から交付決定をしたものに関する記事でございます。

 実際に幾つかの大学から、この調整措置についての事前周知が十分ではなかったということに対してお叱りあるいは戸惑いの声が寄せられたことは、私どもも承知をしているところでございます。

 補助金の交付事務を担当する私学部といたしましても、事前の周知が必ずしも十分ではなかったということを認識してございまして、今後の対応に生かしてまいりたいと考えているところでございます。

畑野委員 周知の問題じゃないんですよね。

 この新聞記事では、大学によっては六割もの減額があった、全国からこれについての批判、戸惑いの声が多数寄せられた、ある地方大学の事務局長は、苦労して獲得したのに、定員充足大学と未充足大学とで差をつけられる根拠が理解できない、悔しくてならないなどの大学関係者の悲痛な声が寄せられております。

 なぜ、定員未充足という理由で私立大学の特別補助を二〇一七年度に削減したんですか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年六月に閣議決定された骨太の方針のほか、財務省によります予算執行調査及び財政審、財政制度審議会建議等におきまして、定員未充足の大学に対する特別補助のあり方を含めて、私学助成の配分方法の見直しの必要性について提言がされているところでございます。

 文部科学省といたしましては、やはり継続的、安定的な学校運営に向けた経営改善のための各大学の取組をより促進するという観点、こうした趣旨も踏まえつつ、平成二十九年度の特別補助の配分によって、定員充足率に応じて調整措置を講じるといたしたものでございます。

畑野委員 全く説明にならないんですよね。

 資料の二枚目をごらんください。

 反映状況票、財務省のものですよね。財務省の予算執行状況調査を受けて、文部科学省は私学助成の特別補助についてどのようにするとしておりましたか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生からお尋ねがございました、財務省の予算執行調査を受けた翌年度予算への反映状況につきましてでございますけれども、特別補助につきましては、一つは、継続的に定員割れとなっている大学について、特別補助を減額する措置を平成三十年度に先行導入、平成三十一年度から導入する。それから、定員割れ私立大学に対する補助額増加等の要因である各事業について、平成三十年度から、改革総合支援事業は、自己採点方式から審査方式へ移行するとともに、採択における調査項目の見直しを行う。それから、産学連携、地方連携、国際展開の各事業は、平成三十年度から、実効性ある客観的な指標を導入した上で、政策効果が見込まれる大学に重点化し、支援を実施する。経営強化集中支援事業は、入学者の増加、収支状況の改善、組織体制の強化等に係る成果指標、KPIを盛り込んだ経営改善計画について事業委員会で審査、選定する方式に見直し、経営改善が認められない大学を対象外とするなど、支援対象を重点化するとされているところでございます。

畑野委員 資料の二枚目の右側の反映の内容等の二、特別補助についてという、その冒頭、継続的に定員割れとなっている大学について、特別補助を減額する措置を平成三十年度に先行導入、平成三十一年度から導入すると。このこと自身が私は問題であり認められないということをまず言った上で、ここで言っているのは、二〇一八年度に先行導入、二〇一九年度に導入すると書いているんですよ。しかし、今回のは、先ほどの御説明にもあったように、それよりも前ですよ、二〇一七年度。そこで定員未充足という理由を特別補助の削減理由として入れてきた。二〇一八年度が先行導入、二〇一七年度は先行導入のまた先行と。

 しかも、先ほど説明が不十分だったと言うけれども、大学が聞いたのはことしの三月ですよ。二〇一七年度の年度末。もう大学は予算を決めて、これぐらい圧縮率が掛けられるかもしれない、平均的にそういうふうになってきた。今回、特別に、未充足大学だということで、本当に少ない特別補助の中で更に六割も減らされて、四割しか残らないと。全部終わった最後の三月にですよ、そういう、特別補助が削減された、大幅に削減された。ですから、三月の交付を受けたときに初めて知ったと、これは私大協会も私大連盟の皆さんもそうおっしゃっております。先行導入の更に先行、前倒し、寝耳に水、まるでだまし討ちだと言わざるを得ません。

 林大臣、ちょっとこういう経過は余りにもひどいんじゃないかと思うんですが、どのようにお考えになりますか。質問で別に振っておりませんけれども、大臣の担当ですから。

林国務大臣 今やりとりしていただいたように、国民の皆様からいただいた税金でございますので、やはりしっかりとこの使い道というのは不断に検証されなければならないという中で、今のような運用をやってきたということではないか、こういうふうに思っておるところでございますが、先生からございましたし、新聞記事も見せていただきましたけれども、これは一般的に申し上げて、いろいろな政策を遂行する上においては、関係者に必要な説明をして、できれば納得の上でやるということは望ましいと思いますが、そこは、先ほど私学部長から答弁したとおり、足らざる部分があった、こういうことでございますので、今後も、こういう厳しい時代でございますから、なおさら関係者の納得を得る努力というのは不断に続けてまいらなければならないと思っております。

畑野委員 私、委員長にお願いがあるんですけれども、この経緯をきちっと文部科学省から、大学関係者の方は本当に知らなかったと言っているので、ちゃんと説明を報告していただくように、お願いしたいと思います。

冨岡委員長 ただいまの件につきましては、政府でしっかり経過等について詳しく説明をするようにお願いしたいと思います。

畑野委員 委員長、ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。

 先ほども声がかかりましたけれども、財務省の言うことについて、唯々諾々として、しかもそこで、反映状況票に書かれていない更に前倒しをする、こういうのをそんたくというんじゃありませんか。

 財務省にも私はまた別の機会に申し上げたいと思いますけれども、そういう点では本当に林大臣に頑張っていただきたい。党派を超えて、この私学助成の増額に向けてやろうというふうに国会で決めてきたわけですから、ぜひそのことを求めておきたいと思います。

 しかも、昨年十一月二十九日に発表された財政制度等審議会の平成三十年度予算の編成等に関する建議では、「継続的に大幅な定員割れの大学は、学生に選ばれないという意味で、教育の質や魅力に乏しく、社会から評価されていない大学とも考えられる。」として、継続的に大幅な定員割れの大学が問題視されているんですね。これ自身が、実態を見ない、私は暴論だと言わなくてはならないと思うんです。

 しかし、財務省がことし一月ごろに公表したと聞いておりますが、先ほどの資料二の反映状況票には、「継続的に定員割れとなっている大学」と言って、建議で言っていた「大幅な」という文言すら消えているんです。

 一口に定員割れと言っても、大学ごとにその程度はまちまちで、一〇〇%に対して九五%とか、いろいろあるわけですね。この建議というのは、また今回の反映状況票というのは、まるでほんのわずかでも定員割れしている私立大学は特別補助削減の対象にすると言わんばかりじゃありませんか。

 文部科学省は定員割れしていることのみをもって問題だ、私学助成の削減対象だと認識していらっしゃるんでしょうか。そうじゃないと思いますが、いかがですか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 私立大学等は、全国の約七割を超える学生の学びを支えるなど、我が国の高等教育に大きな役割を果たしており、私立大学等が社会や時代、地域のニーズを踏まえた特色ある教育研究を行うことは、全国的な観点のみならず、地域における高等教育の進学機会の確保や、地域の知の拠点としての役割からも重要と考えております。こうした私立大学等の役割を踏まえれば、定員充足の状況のみが私立大学等の教育の質をあらわすものではないと考えております。

 ただ、一方では、私立大学の収入の大宗は授業料収入によって支えられております。そういう意味で、安定的、継続的な学校運営という観点からも一つの重要な指標である、そのことはあわせて申し上げさせていただきたいと存じます。

畑野委員 そこで、授業料の話も出たので伺いますが、私立大学の定員割れの原因はさまざまあると思うんです。

 林大臣は、具体的にその原因をどのように考えておられるのでしょうか。また、定員割れの原因の一つに私立大学の高学費の問題があると思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 私立大学は、今、私学部長から答弁いたしましたように、全国の約七割を超える学生の学びを支えるなど、我が国の高等教育に大きな役割を果たしておりまして、地域においても高等教育の進学機会を確保したり、地域の知の拠点を確保する、こういうことからも重要だと考えております。

 一方で、十八歳人口が減少する、いわゆる二〇一八年問題や、各私立大学が建学の精神に基づく特色、強み、規模、立地、これはさまざまであるということを考えますと、学生の確保に最大限の取組を行ってもなお定員を充足できない場合があるというふうに考えております。

 先生今お話しになりましたように授業料でございますが、これまでも、私立大学に通う学生が経済的な理由で修学を断念することがないように、経済的に修学困難な学生に対する授業料減免等の支援を実施してきておりまして、平成三十年度予算では対前年度二十八億円増の百三十億円を計上して、対象者数を対前年度一・三万人増の七・一万人とするなど、負担の軽減に努めてきております。

 また、先ほどやりとりさせていただきましたように、昨年十二月に閣議決定された新しい経済政策パッケージに基づいて、高等教育の負担軽減について、低所得者世帯について授業料の減免措置と給付型奨学金の拡充を行っていこうというふうにしております。

 我々としては、今後とも授業料減免支援や地域の発展に貢献する地方大学への支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

畑野委員 大臣が最後に言われたことに一言私の意見を申し上げておきますと、低所得者の皆さんにとって重い負担となる消費税、その増税で学生の皆さん、また保護者の皆さんがまた負担になっていく、そういうような財政のあり方というのは私は問題だというふうに指摘しておきたいと思います。そしてさらに、枠を広げていくということが強く求められていることも申し添えておきたいと思います。

 この間、私立大学を公立大学化する例が出てきています。林大臣の地元もその一つだと思います。

 公立化前と後で比較すると、例えば、二〇〇九年、高知工科大学は、公立化前年度に二・〇一倍の志願倍数が、公立化一年目は十九・五五倍に上昇しています。公立鳥取環境大学は、二〇一一年に設立されましたが、公立化前年度に二・七三倍の志願倍率が、公立化一年目は十四・五四倍に上昇しています。

 これらの大学の初年度納付金は、公立化前と後ではどのようになっていますか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から今御指摘がございました私立大学から公立大学となった大学は、平成三十年度からの二大学を含めて、現在、十大学でございます。

 今お尋ねございました高知工科大学につきましては、授業料が八十四万円から五十三万五千八百円に、それから入学金については三十万円から十五万円になってございます。

 それから、鳥取環境大学でございますと、入学料が二十五万円から十八万八千円になっているという状況でございます。

 以上でございます。(畑野委員「授業料は」と呼ぶ)

 失礼いたしました。授業料につきましては、鳥取環境大学でございますけれども、公立化前は七十二万五千円、それから公立化後は五十三万五千八百円でございます。

畑野委員 加えて、施設整備費等が、高知工科大学では二十五万円がゼロ円、鳥取環境大学は四十二万五千円がゼロ円となっているんですね。ですから、初年度納付金でいいますと、高知工科大学は百三十九万円が公立化後は六十八万五千八百円、鳥取環境大学は同様に百四十万円が七十二万三千八百円になっているというふうに伺っております。

 実は、高知工科大学は、募集人員が公立化前は二百二十五人だったのが、公立化一年後は二百五十人にふえているんですね。それから、鳥取環境大学も、公立化前が百三十人の募集だったのが、公立化一年後は百五十二人にふえているんです。つまり、募集人員をふやしながらも、しかし、倍率もふえている。

 これは本当に、初年度納付金がこれだけ大きく引き下がるというのは、学生や保護者にとっても本当に大きなものだというふうに言えますし、学費の負担の軽減が大学志願者をふやすことにつながっているということは明瞭だというふうに思います。

 私、ここで先ほどの話に戻したいんですけれども、つまり、定員割れの大学の私学助成を削減することは、学費の高騰に拍車をかけることにつながりかねないし、これは、定員割れを解決するどころか、ますます学生が入学しづらい悪循環をつくることになるんだということなんですね。

 私は、私学助成の根拠法である私立学校振興助成法は、私立学校の経営の健全化を高め、私立学校の健全な発達に資することとともに、学校教育における私立学校の果たす重要な役割を踏まえて、在学する児童生徒、学生の修学上の経済的負担の軽減を図ることをその目的としているわけですから、この目的に照らせば、文部科学省がやらなくてはならないのは、定員割れ大学に対する私学助成を削減することではなくて、私学助成を大幅にふやすことではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、私立大学等は、高等教育段階に在籍する学生のうち、約七割を超える者の学びを支えるということで、我が国の高等教育において大きな役割を果たしております。

 こうした私立大学等がみずから改革に取り組んで、社会や時代のニーズを踏まえた特色ある教育研究を進めていく、これが一番重要なことだと考えておりまして、文科省としても、今後とも、私学の果たすこうした役割を踏まえて、各大学が継続的、安定的に教育活動を実施できるよう、私学助成を確保するとともに、改革に取り組む私立大学等への支援に努めてまいりたいと思っております。

畑野委員 私立学校振興助成法の七条では、補助金の増額の規定として特別補助が定められているんですね。これをこうやって減らしていくこと自身が問題ですし、また、一般補助についても今後減らしていこうという話が先ほどの中でありましたけれども、これもやめるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 都市部の定員を絞るということでは効果は出ないと皆さんおっしゃっているんです。今大事なのは、地方大学に積極的な支援を行う。そういう点で、私は、資料の三に、都道府県別大学進学者収容力というのを文科省からいただきましたので、つけておきました。各県の大学入学定員を各県の大学進学者数で割って、それに百を掛けたものがパーセントとして出ております。一〇〇%というのは満ちているという基準になりますが、表を見ますと、多くが足りていない。進学したくても、その地域に大学がないというのが地方の実態だということでございますので、ここへの底上げ、そして私学助成の抜本的拡充を全国含めて行うことを求めたいと思います。

 次に、放送大学による非常勤職員の雇いどめ問題について伺います。

 放送大学の果たしている役割について伺います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 放送大学学園は、放送大学学園法に基づく学校法人が設置、運営する大学といたしまして、国民の多様な要請に応えて、豊かな教養を培うとともに、実生活に即した専門的学習を深められるように、テレビ、ラジオ、インターネットによりまして、現在、三百八十五科目を開設いたしますとともに、全国五十七の学習センター等において年間三千以上の面接授業を実施するなど、幅広い学問分野に関する学習機会を提供しております。

 今後も、何歳になっても学び直しが可能となるリカレント教育の抜本的な拡充が図られる中で、放送大学についても、その特性を生かしまして、オンライン授業科目の拡充、あるいは、産業界や大学等との連携強化等を通じまして、より一層、高度で効率的な学び直しの機会を全国に提供することを期待しているところでございます。

畑野委員 ホームページを見ても、本当にいい内容でやっていらっしゃるんですよね。入学に当たって、まず学習センターに電話をして、個別相談をして、そして、担当の方が詳しく教えてくださったので不安はなかった、一人では続けられないと思うけれども続けられたということなんです。

 大臣、ここで、無期雇用転換逃れと言われるような非常勤職員の大量雇いどめ問題が発生しております。その結果、時間雇用職員、週三十時間について、一年ごとに契約更新してきたのを五年で雇いどめするということが一方的に決定されて、ことしの三月、六十七人の時間雇用職員が雇いどめされ、一方で、四月一日付で六十二人の時間雇用職員を新たに雇用しているという実態が生まれております。兵庫学習センター、徳島学習センターに十年以上勤務されてきた時間雇用職員の方たちからもお話を伺ってまいりました。五月三十一日の参議院総務委員会で我が党の山下芳生参議院議員がこの問題を取り上げまして、野田聖子総務大臣の御答弁もいただいております。

 林文部科学大臣としてしっかりと対応していただきたいんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 放送大学学園におきましては、同学園の自主性、自律性のもとに業務運営が行われることが基本でございまして、その職員の雇用形態についても、労働関係法令に基づき同学園が適切に定めるべきものであると考えております。

 文部科学省としては、放送大学学園に対して引き続き、労働関係法令を所管する厚生労働省、同学園を共同で所管する総務省と連携しながら、労働関係法令に基づき適切な対応がなされるよう伝えてまいりたいと考えております。

畑野委員 学生に対する学習環境を悪化させる事態になっている。相談しても、新人になってしまって今はわかる人がいないという事態です。しっかりとやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 本日は、私から、高大接続改革、特に新しい大学入試共通テストについて、きょうも林大臣に集中してということでお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、英語の民間試験の利用についてお伺いをいたします。

 使うとされております民間試験は、ケンブリッジ英語検定、TOEFLiBTテスト、IELTS、TOEIC、GTEC、TEAP、TEAPCBT、そして四技能に対応するという前提での英検、この八種類であります。

 この利用について、まず、知らない人が多いという状況であります。知っている人に聞きますと、心配、懸念が尽きないという状況であります。文科省の担当職員などが全国に説明に回っているようでございますが、それを聞いた教職員など関係者から不安の声が後を絶たない状況です。

 以下、具体的に質問をいたします。

 平成三十五年までに、英語において、民間のこの資格検定試験とこれまでのマークシート式の共通テストが併存することから、その間、受験生は、双方の準備が必要となり学習上の負担がふえる、こうしたおそれがございます。

 この負担についてまず、大臣、どうお考えでしょうか。せんだっての質疑でお答えいただけなかったと思うので、改めてお伺いしたいと思います。

林国務大臣 グローバル化が急速に進展する中で、英語によるコミュニケーション能力の向上が課題となっておりまして、高等学校の学習指導要領でも、英語四技能を総合的に育成することが求められております。

 これを踏まえまして、二〇二〇年度からは、聞く、読む、話す、書くの四技能の総合的な能力を適切に評価するため、共通テストの枠組みにおいて、既に大学入学者選抜でも活用されている資格検定試験の結果を、大学入試センターが一元的に集約し各大学に提供することにより、その活用を一層促進することとしております。

 一方で、高校関係者等の意見や、制度の大幅な変更による関係者への影響を考慮しまして、大学入学共通テストの英語試験についても、今お話がありましたように、二〇二三年度までは並行して実施することとしております。

 二〇二〇年度以降の大学入学共通テストにおける英語の方は、この四技能の民間試験が活用される方針を踏まえまして、例えば発音ですとかアクセント、語句整序の問題、こういうものは出題をしないという形式での試行調査、プレテストを実施するなど、資格検定試験と一定の役割分担を行うということも検討しておりまして、必ずしも、学習面において大きな追加の負担が生ずることとはならないというふうに考えております。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

城井委員 これからまた、逐一御指摘を申し上げたいと思いますが、今回の大変更で、特に受験生に対する負担や不公平というものがかなり生ずるという状況になるので、この点をぜひお考えいただきたいということできょうは御質問を申し上げたいと思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。

 続いて、民間試験の出題の内容についてお伺いいたします。

 この民間試験の出題には高校の学習指導要領の範囲の外の部分があるということを、先日、三月三十日の質疑でお伺いをいたしました。内容が高校の学習実態と異なるからというのが私自身の認識です。大臣からは、学習指導要領は最低限の大綱的基準であるとか、より高度な内容を学習することが多く行われているとか、高い英語能力を習得した生徒を評価する仕組みを用意しておくことが必要、こうした答弁でございました。

 一方で、平成三十年三月二十七日の大学入学希望者学力評価テスト(仮称)検討・準備グループ第十二回、これは政府内での会合でありますが、この中では、文部科学省の担当者は民間試験と学習指導要領との整合性はあるというふうに答えているということでございます。

 私が心配をしておりますのは、より高度なことを学んだ人を評価する仕組みはあったとしても、おのおのの民間の試験の中での範囲外のところで、整合性がない部分で異なる部分が相当ある、この部分をどう見るかということを大変心配いたしております。そうした状況で、今回の英語の民間試験利用で正当に比較をして評価をすることができるか。

 そもそも、この成績比較で問題があるというふうに思っています。本来ですと、高水準で標準化をしておかなければなりませんが、今回の今とろうとしている手だてではこの高水準の標準化は難しいというふうに見ております。おのおのの英語の民間試験の難易度や目的などが異なるために、英語の民間試験の成績を正確かつ公平に比較できる体制を整備する必要があります。

 しかし、今回示されておりますのは、入試で使うには裏づけが乏しい対照表が示されているだけです。この対照表はCEFRと略されますが、外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠というのが正式名称だそうであります。この対照表はたびたび書きかえられております。また、厳密な第二言語の指標としては使えないというのが専門家からの意見であります。このように、入試での利用を想定していないこの対照表を目的外使用しようとしていると言って差し支えないというふうに思っています。

 今のままでは、大臣、同じ生徒でも受ける試験次第によっては成績評価が違ってしまう、変わってしまうということが起こり得るのであります。この点も、文部科学省の担当者がこれまでの検討会議や、あるいは全国の説明会で認めているところであります。この成績の評価が変わり得るというのは全く不公平だというふうに考えます。

 大臣、厳密な比較というのには今の仕組みですと無理があります。不公平が生ずるのは明らかです。ここが乗り越えられないから、例えば東京大学が、民間試験の結果を不採用にしようとか、やっぱり使おうと、現場の教授からあれは根本的にだめだから考えろという意見が上がったりということが起こっております。西日本新聞によると、九州の大学十九の大学に伺いましたら、この新テストの採用をすると明言したところはございませんでした。

 現場は混乱しております。このまま進むんでしょうか。この比較の精度を上げること、そして仕組みの整備について、大臣、いかがお考えでしょうか。

林国務大臣 大学入学者選抜におけます英語の資格検定試験の活用やその方法については、まずアドミッションポリシーにおいて各大学が判断をすることになりまして、実際に、大学独自で比較表を設けて活用している例もあるということでございます。

 一方、入試センターでは、各資格検定試験の結果の比較に資するように、各試験のスコア等に加えて、外国語の能力をはかる国際的指標である、今お話しいただきました、CEFRの六段階評価をあわせて各大学に提供する予定にしております。

 そのため、各資格検定試験の実施団体におきまして、欧州評議会の定めるルールにのっとりまして、試験のスコアとCEFRとの対応関係について専門家による検証を実施するということ、それに加えまして、その検証体制、検証方法等についてホームページにおいて公表する、さらに、その上で、文部科学省に専門家も参加した作業部会を設けて、これら全体のプロセスが適切であるということについて専門的見地から確認をし、公表したところでございます。

 文科省としては、このCEFR、対照表の更新を必要に応じて行っていくとともに、英語四技能の評価のため、資格検定試験の活用促進に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

城井委員 そもそもが、今回使われる民間試験は目的が違います。TOEICはビジネス英語でありますし、TOEFLは北米の大学や大学院の留学、IELTSは英語圏への留学や移住といったぐあいであります。

 目的が異なる上に、高校の学習実態を踏まえていない。日本生まれの英検やGTECですら同じ状況であります。この点は、ぜひ踏まえていただきたいというふうに思います。

 また、高校の授業が、今のままですと、民間試験対策に偏るおそれも大きいというふうに思っています。対策のための教材が教科書より有効とされかねません。こうした本末転倒とならないように、しっかり見ていただきたいと思います。

 もう一点、御指摘を申し上げます。

 費用負担の問題です。

 経済的格差が受験生を直撃します。英語の民間試験の受検料負担が新たに加わることによりまして、受検料のみならず、事前学習の段階から受験生の経済的負担が増大することになります。このことを先日の質疑でも私から指摘しました。

 大臣からの答弁では、試験機会を二回に絞る、低所得世帯の検定料は各試験団体において配慮を検討、そして、実施会場の追加や検定料値下げ等の配慮を求めたいということでございましたが、民間試験業者への依頼内容ばかりであります。

 実際には、大臣、受検料は何と二団体がその後値上げをいたしました。値下げ団体はありません。民間業者が会場をふやすかなと思って見ておりますが、ごくごく限られた状況であります。

 一方、国の取組がまだ見えていない。唯一、大臣から触れられましたのは、大学入試全体の受験料負担について、その軽減について、調整中としながらでしたが、先ほどから議論のありました新しい経済政策パッケージにおいて、低所得者に対する給付型奨学金の中で、大学等の受験料が措置されるという御答弁でした。

 この大学の受験料以外で、民間試験のこうした受検料、どこまでサポートされるのかということを具体的に御説明いただけますでしょうか。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

林国務大臣 今回の大学入試英語成績提供システムに参加することとなる資格検定試験は、英語四技能を総合的に評価するものとして社会的に認知されて、一定の評価が定着しているとともに、現在でも高等学校教育や大学の初年次教育の場でも活用が進んでいる民間の試験ということでございますので、練習のための受検回数を制限する、これはなかなか難しいかなというふうに思っております。

 四技能は、これまでも学習指導要領に定められてきましたので、高等学校の授業により身につけることができるようにすることが重要である、こういうふうに考えておりますが、今回の提供システムでは、高校関係者等の意見も踏まえて、受検者の負担を少しでも軽減する観点から、共通テストの枠組みで入試そのものとして活用する資格検定試験については、受検回数を二回に限るということを原則としておるところでございます。

 また、大学入学共通テストの枠組みにおける英語の資格検定試験の活用に当たっては、受検者の実施場所とか検定料の負担に配慮するために、受検時期、回数を高校三年の四月から十二月までの事前に登録された二回に限るということにしております。

 また、低所得世帯の受験生の検定料につきましては、各試験団体において配慮することを検討すると聞いておりますし、文部科学省としても、現在、全国の高校に対して実施している受検ニーズの調査等を踏まえて、実施会場の追加や検定料値下げ等の配慮を引き続き求めていきたいと考えております。

 今お触れいただいたように、大学入試全体の受験料負担の軽減としては、具体的内容は最終調整中ですが、経済政策パッケージにおいて、低所得者層に対する給付型奨学金の中で、大学等の受験料が措置されるということでございますので、居住地、どこに住んでいるかとか家庭の経済状況にかかわらず大学進学ができるために、しっかりと引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

城井委員 民間試験の受検料は、先ほど申し上げたように、大臣、値上がりをいたしております。更に言えば、事前の家庭学習を含めた部分での費用もかかってくるということになってくるということを踏まえての対応をぜひお考えいただきたいということを改めて申し上げたいと思いますが、この事前学習の機会でも大きな格差が生じてくるという部分について、大臣、この点を解消するためにお取り組みいただけますでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、事前学習の機会で大きな格差ということ、練習のための受検、こういうことというお問合せだというふうに思いますけれども、先ほど申し上げましたように、今度参加することになる資格検定試験は、社会に認知をされまして、一定の評価が定着をしております。また、高等学校教育とか大学初年次の教育の場でも、また留学される方、いろいろな用途で使われておる民間の試験でございますので、練習のための受検回数を制限するということは困難であろう、こういうふうに思っておりますが、入試そのものとして活用する資格検定試験は受検回数を二回に限るというのは、先ほど御答弁したとおりでございます。

城井委員 大臣、一定の認知というのは少々言葉が過ぎていると思っています。

 理由は、公開テストをやっていないけれども、今回の民間試験導入から公開テストをやりますという試験が幾つもあります。ぜひ御確認をいただきたいというふうに思います。その意味では、実績というふうなところで足りないけれども、ルールを操作することで越えさせた部分が今回の試験に幾つもあるということはぜひ確認をいただきたいというふうに思います。

 さらに、もう一点申し上げますと、地域間の格差が影響してきそうだということを指摘せねばなりません。

 自宅と英語の民間試験の会場との距離などによって受検機会に格差が生ずるおそれが極めて大きいと思っています。例えば、首都圏では選択肢が多い状況になりますし、地方ですと、受検場所が少ない上に追加負担、交通費なんかも含めて大きい状況になる、これも不公平だというふうに思います。例えばでありますが、九州地方を見たときに、全種類の試験が実施されるのは福岡県のみであります。

 こうした地理的な要件による不公平が生ずるという状況になりますけれども、大臣、この点はどうされますか。

林国務大臣 大学入学共通テストにおいて活用される民間の英語資格検定試験については、大学入試センターが構築するシステムへの参加に当たり、以下の要件を満たしていることが確認をされております。原則として、毎年度全都道府県で実施をする、検定料について、経済的に困難な受検生に配慮するということでございます。

 文科省としても、全国の高校に対して実施している受検ニーズの調査等を踏まえて、実施会場の追加ですとか検定料値下げ等の配慮を引き続き求めていきたいと考えております。

 さらに、大学入試全体の受験料負担、これは先ほど御答弁申し上げましたように、新しい経済政策パッケージにおいて大学の受験料が措置されるということになっておりますので、こうした取組を通じて、どこに住んでいるか、また家庭の経済状況にかかわらずしっかりと進学ができるように、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

城井委員 続きまして、大学入試の英語成績提供システムに参加申込みをしている実施主体についてお伺いいたします。

 この実施主体が正確かつ公平な運営を行うことをどのように担保するかが極めて重要だと思っています。これまでですと、民間試験はただの能力診断だったかもしれませんが、今回のものは入学試験でありまして、その人その人、生徒生徒の人生が大きくかかわってくるという重大な中身になってきます。

 大臣も御承知かと思いますが、今回の八種類の試験の実施主体は、それぞれの英語の民間試験のその裏には、特定の企業があり、運営に当たっています。一部民間企業の影響力が極端に大きくならないようにするための国の取組が欠かせないと思っています。この点、大臣、どのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 英語の資格検定試験の実施主体につきましては、継続性のある組織や経営体制、試験の実施体制等に関する第三者を含めた自己評価等を参加要件として、大学入試センターにおいて確認が行われた結果、本年三月に、七団体、二十三試験の参加が公表されたところでございます。

 各参加試験につきましては、今後、センターが毎年度の実施状況を確認するとともに、万が一、参加要件及び協定書等で約する内容を満たしていない可能性があると認める場合には、改善案及び改善状況の提出を求めることとしております。

 さらに、改善を求めた事項につきまして、一定の期間内に改善される見込みがない等の場合には、当該試験の参加を取り消すというふうになっております。

 文部科学省としては、大学入試センターと協力いたしまして、これらの確認を通じて、資格検定試験の実施主体による正確かつ公平な運営の担保に努めてまいりたいと考えております。

城井委員 続きまして、記述式の問題の導入についてお伺いいたしたいと思います。この点についても大きな懸念がございます。

 採点に当たって、多くの受験生の答案を正確かつ公平に短期間で採点できる体制を整備する必要があります。しかし、この採点者の質の担保など、かなりハードルが高いというふうに思っています。

 整備ができるでしょうか。大臣、お考えをお聞かせください。

林国務大臣 大学入学共通テストにおいては、受験生の思考力ですとか判断力、表現力、これを適切に評価するために、これまでのマークシート式問題に加えて記述式問題を導入する予定としております。

 この記述式問題の採点につきましては、採点者に対する研修の実施などに加えて、受験者一人の答案を複数の採点者が採点いたしまして、それらの採点が不一致であった場合、上位者が判断することで採点ミスを防ぐ、いわば多層的な採点を行うなど、その処理能力や信頼性、実績を有する民間事業者を活用するとともに、大学入試センターにおいても必要なチェックを行う予定にしております。

 また、昨年大学入試センターが実施をいたしました二〇一七年度の試行調査、いわゆるプレテストでございますが、ここにおきましては、国語で約六・五万人、数学におきまして約五・五万人の答案を約千人の採点者で採点いたしましたところ、当初十五日と予定していた最初の採点は十日で終了するという結果を得たところでございます。

 この結果を踏まえながら、改めて本年十一月には十万人規模の試行調査を行う予定でございますので、引き続き、大学入学共通テストの円滑な実施に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

城井委員 もう一点お伺いいたします。

 この記述式問題の難易度が高過ぎる場合ですが、一部の優秀な受験生しか得点できなくなることから、大学入試共通テストの選抜性そのものを低下させるおそれがあるというふうに考えています。

 例えば、記述式の結果がせんだっての試行テストでは何と正答率〇・七%というようなこともありまして、これでは一体何を選んでいるのかということになります。

 この点について、国の見解をお聞かせください。

林国務大臣 大事な問題だ、こういうふうに思います。

 二〇二〇年度からの共通テストでございますが、記述式問題を導入して、解答を選択肢の中から選ぶだけではなくて、みずからの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述をする、こういった思考力、判断力、表現力を評価する予定にしております。

 今お話のあった記述式問題の難易度についてでございますが、大学入試センターが二〇一七年度に実施した試行調査の結果を踏まえて、例えば国語については、記述式問題三問の難易度のバランスに配慮しつつ、最も難易度の高い問題で正答率が三から四割程度になるように作問を行って、その問題でこの十一月に行う試行調査を実施して検証をしていく予定、こういうふうに聞いております。

 受験生、今御指摘があったように、やはり基礎的な学力を適切に評価するものでございますので、そのために質の高い問題が作成されることが重要であると考えておりまして、二〇二〇年度の大学入学共通テストの実施に向けて、引き続き大学入試センターを支援してまいる考えでございます。

城井委員 第二回の試行テストについて一点お伺いさせてください。参加校の選定はどのようにされているかという点であります。

 学校現場や予備校の関係者からお話を伺いますと、参加校リストの中では、参加校の選定基準が地域でばらばらになっているんじゃないか、ある地域では成績上位校で選抜チームを組んで試験を受けさせる、ある地域ではそうした配慮がなく選定されている、こうした状況が見受けられるというのが学校現場からの意見でありました。

 アンバランスな上に抽出になっていないという意味では、試行にすらなっていないのではないかというふうに思います。今後、試行テスト等があるならば、この点を踏まえての対応がもちろん必要であるというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 昨年十一月の試行調査におきます協力校の募集に当たっては、大学入試センター試験への各高等学校の志願者数をもとにセンターが基準をつくりまして、各教育委員会に募集人員を提示したところでございます。

 この基準の作成に当たっては、センター試験の志願者数を踏まえながら、特定の学力層に偏らないよう募集人員の上限を設定するなど、多様な学力層となるよう努めたほか、試行調査は地域的な傾向を把握するためのものではありませんけれども、各都道府県、少なくとも一校ずつは対象となるように配慮した、こういうふうに聞いております。

 各教育委員会では、この募集人員をもとに高等学校を選出した上で、大学入試センターにおいて人数を調整して、最終的に協力校を選定したところでございます。

 なお、今回の試行調査では、解答に必要な場面や条件の設定として、どの程度までの複雑さが可能かを検証できるように作問を行ったところであり、その結果、先ほど委員からもお話がありました、国語の記述式の正答率が〇・七%、極めて低い問題も出てきたところでございますので、これを踏まえて、本年度行うこととしている試行調査では、記述式の問題も含めて、先ほど申し上げましたように、適切な難易度となるように十分考慮することとしておるところでございます。

城井委員 続いて、新テスト導入に伴う調査書についてお伺いしたいと思います。

 この導入に伴って調査書の仕組みも変わることになるというふうに聞きました。行動記録をタブレットなどで入力する仕組みだというふうに聞きました。システムは個人負担を求める、都道府県教育委員会単位での生徒の個人負担であります。地域によって、仕組み、名前のつけ方は異なるというふうに伺いましたが、クラッシーという民間企業の仕組みを用いるというふうに聞いています。

 大臣、これは何で一社独占ということになっているんでしょうか。民間企業から学校側に、使わないとだめですよということで利用をせかされているというふうにも学校現場から聞きました。情報流用も心配であります。

 こうした点について、大臣、いかがお考えでしょうか。

林国務大臣 この調査書でございますが、高等学校の校長の責任で作成をし、大学に紙媒体で提出されているものでございまして、受験生の主体性などをより適切に評価するため、二〇二〇年度大学入学者選抜から、記述内容がより具体的になるよう項目を整理する等の改善を予定しております。

 さらに、現在、文部科学省では、個別選抜において主体性などをより適切に評価できますように、生徒の学習成果を電子データでやりとりすることを可能とする仕組みの構築のための調査研究を大学に委託し、民間企業の参画も得つつ、生徒の学びに関するデータであるポートフォリオと大学ネット出願システムとを統合したジャパンeポートフォリオの開発を行っておるところでございます。

 一方で、高等学校では、生徒が学びを振り返ること等による教育の質の確保や向上の取組も見られておるところでございまして、学校によっては、ICTを活用したさまざまな民間サービス、この中には、今、委員からお話のあったクラッシーも含まれるわけでございますが、さまざまな民間サービスを利用しているところもございますが、開発を今しておりますジャパンeポートフォリオでは、これらさまざまな民間サービスの利用の有無にかかわらず、希望する全ての高等学校が活用できるシステムになっておるところでございます。

 また、ジャパンeポートフォリオにおいては、全てのデータを暗号化しておりまして、開発に参加している民間企業においても、情報セキュリティーマネジメントシステムに関する国際認証規格、ISOの27001番、ISMS及びプライバシーマークを取得しているなど、情報を適切に管理、運用しているもの、こういうふうに考えております。

城井委員 ジャパンeポートフォリオについてはまた改めて別の機会にと思いますが、一点だけ大臣に確認をと思います。大学入試の浪人生に対する対応であります。

 大学浪人生には、今回のこの記録は作成されないのではないかというふうに聞きました。浪人生対応をしないというふうに文部科学省の官僚が明言しているというふうに学校現場から聞きました。大学の受験機会について不公平が生ずることになると考えます。

 公平な受験機会を保障するためには、当然、このジャパンeポートフォリオを含めた調査書についても浪人生対応をすべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 この調査書は、浪人生の分も含めまして、高等学校の校長の責任で作成をし大学に提出されるものでございますので、特に不公平を生じるとは考えておらないところでございます。

 今お話にもありましたジャパンeポートフォリオについては現在開発中でございますけれども、ジャパンeポートフォリオを大学入学者選抜に活用する大学におきましては、浪人生や参加していない高等学校の受験生など、その利用の有無にかかわらず公平公正に入学者選抜が実施されることが重要であると考えておりまして、ジャパンeポートフォリオを利用していない受験生が不利益をこうむらないよう、各大学に対してその旨指導してまいりたいと思っております。

城井委員 以上の私からの質問を踏まえてですが、新テストについては大幅な見直しがかなり必要だというふうに考えます。高大接続システム改革会議の場でこの議論はされてきたと思いますが、私が取り上げたようなこうした部分の実質的な議論は残念ながらありませんでした。公開の場からインナーに移ってから仕込んだものが相当数ございました。大臣、ぜひ御確認をいただきたいと思います。

 新テストの最初の受験者の高校生活が始まったばかりであります。二〇二四年からの全面的な民間試験利用を考えますと、国として立ちどまって見直せるぎりぎりのタイミングだというふうに考えます。

 私からは、以下の提案を申し上げたいと思います。

 一つは、英語の民間試験利用に関して、高校の学習実態を踏まえること。そして、民間試験のハードルを低くし、ウエートを小さくすること。三つ目には、公平な受検機会を確保すること。四つ目には、民間試験の実施活用の事後検証を速やかに行うこと。そして五つ目には、将来的に試験を一本化することも視野に入れながらですが、英語四技能をはかる試験開発を、センター試験英語のノウハウも生かしながら、国、地方で行うこと。

 特にこの五つ目は、韓国では一回やろうとして失敗しているそうでありますので、よくその失敗を踏まえてやっていただきたいと思いますけれども、この五つを私から提案を申し上げたいと思います。

 見直しを含めて、大臣、ぜひお取組をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 質疑を通して、また最後にも貴重な提言を賜りましたので、先生の御意見も踏まえながらしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

城井委員 終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 前回、私は当委員会で、インクルーシブ教育を含めました特別支援教育について、そしてまた障害のある方々のスポーツについても質問させていただきましたが、きょうは、障害のある人たちの文化芸術の推進についてお伺いしたいというふうに思います。

 先週の金曜日、六月の一日でありますが、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律案が当委員会で可決いたしました。

 私は、実は週末に、地元福島県の猪苗代町にありますはじまりの美術館に行ってまいりました。

 このはじまりの美術館といいますのは、障害のある方々のライフステージに応じた支援を行っている社会福祉法人安積愛育園が運営しているものでございまして、企画、テーマに合わせ、障害のある方々を中心としているアールブリュットや現代アートなど、多様な作品の展示を行っています。

 アールブリュットの作品は、本当に生きるためのエネルギーを表現しているということでありますし、障害のある皆様の作品からは、命の重さについての訴えと、そして、生きることへの強い意思というものを感じました。どの作品も本当にすばらしいものでしたが、やはり感じたことは、作者の方々の感性とすばらしい作品の芸術的価値を受けとめる環境をつくり上げなくてはいけないということだというふうに思いました。

 そこで、今回改めてお伺いしたいと思いますが、国もこれまで予算を投じてきていただいておりまして、障害のある方々の文化芸術の推進ということは行ってきたと。ちょっと気になるのは、実は、文科省あるいは文化庁の予算よりも、厚生労働省の予算の方が潤沢に出ているということであります。やはり福祉の切り口で障害のある方々の文化芸術というものを推進しようとしているんだろうなというふうに思いますが、今回、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案が成立いたしましたら、この法律は厚労省、文科省の共管ということになりますので、その縦割りの部分というのは変えていけるというふうに思うんです。

 壁というものは乗り越えながら、そしてしっかりと連携をとって、本当に一括した形で障害のある方々も含めたアールブリュットの推進というものもできるのではないかというふうに思っているんですが、例えば厚生労働省の予算を見ると、平成三十年度の障害者の文化芸術活動の予算は、障害者芸術文化活動普及支援事業二億一千二百五十万円、これが多いか少ないかということでありますけれども、そしてまた、全国障害者芸術・文化祭の開催というのが毎年ありますけれども、これは七千五十万円計上されている。

 それ以外に、障害者芸術・文化祭のサテライト開催事業ということで、これは四十二億円の内数となっておりますので中身についてはちょっとわかりにくいんですけれども、文化庁の予算を見ますと、例えば戦略的芸術文化創造推進事業、十二・五億円の内数、障害者を含むあらゆる人々が文化芸術活動に参加、接する機会を提供しますと言っている。文化芸術による子供の育成事業、五十二・七億円の内数ということでございまして、こちらの方は特別支援学校の子供たちに対する文化芸術の鑑賞、体験機会の提供等があるということで、どうも隠れたところに文化庁の予算があるということですので、この機会に、文科省がどれだけ、あるいは文化庁がどれだけ障害のある方々の文化芸術の推進というのをこれまでされてきたかということを改めてお伺いしたいというふうに思っています。

 三月の六日には、閣議決定されました文化芸術推進基本計画というものもあります。その中には、目標の三つ目でありますけれども、「心豊かで多様性のある社会」というところに、あらゆる人々が文化芸術を通して社会に参画し相互理解が広がり、多様な価値観が尊重され、心豊かな社会が形成されているということであったり、また、次のような記述があります。「文化芸術基本法では、」「「国民がその年齢、障害の有無、経済的な状況又は居住する地域にかかわらず等しく」文化芸術の機会を享受することが基本理念としてうたわれている。」ということであります。

 障害のある人たちの文化芸術へのアクセス、また、障害のある方々の文化芸術活動の支援等、どのように進めてこられましたか。そしてまた、今後はどのように取組を進めるのか、考えをお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 平成二十九年の六月の文化芸術基本法の改正によりまして、障害の有無等にかかわらず、国民がひとしく文化芸術の鑑賞等ができる環境を整備し、共生社会を実現する、このことが新たに基本理念として掲げられたところでございます。

 文部科学省としても、この基本法の趣旨に沿って、これまでも、障害者によるすぐれた文化芸術活動の国内外での公演、展示の実施及びその支援、また映画作品のバリアフリー字幕とか音声ガイド制作への支援、さらには、特別支援学校の子供たちに対する文化芸術の鑑賞、体験機会の提供など、障害者による文化芸術活動の充実に向けた支援に取り組んできたところでございます。

 文部科学省としては、厚生労働省など関係省庁と連携しながら、障害者による文化芸術活動の推進に向けた取組をこれまで以上に進めてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 厚生労働省と連携をとりながらということであれば、ぜひ、文科省が中心となっていくということだというふうに思いますけれども、しっかりと、障害の有無にかかわらずの文化芸術推進をお願いしたいというふうに思うんです。

 その上でですが、やはり人材を育てていくということ、「障害者等が行う自由な表現活動が活発に行われるような環境を整備するとともに、文化芸術を創造し、支える人材の育成・充実を図る。」という文言が、実は、文化芸術推進基本計画の「戦略一 文化芸術の創造・発展・継承と豊かな文化芸術教育の充実」の中にあります。ということであれば、このような形でしっかりと支えていく、人材の育成、充実を図るということをこれは定めているわけですから、どのようにそれを進めていくのかということのお考えがあるというふうに思います。

 改めて、先ほど私も申し上げましたはじまりの美術館では、学芸員の方が障害というものの特性をしっかりと御理解くださって、そしてその上で、作品について丁寧に御説明をしてくださっておられました。そういうことも含めまして、どのように人を育てるのかということについて、そしてまた、人をどういうふうに確保していくかということについてお伺いしたいと思います。

林国務大臣 文部科学省におきましては、障害者によるすぐれた文化芸術活動の公演、展示の実施及び支援、障害者などの鑑賞機会の充実に資する取組など、障害者による文化芸術活動の充実に向けた支援そのものだけではなくて、平成三十年度から、障害者等に対応して高度な、例えばバリアフリー対策を行った劇場や音楽ホール等に対して固定資産税等を減免する特例の創設、これは三分の一減額でございますが、こういった施策などによって、障害の有無にかかわらず、ともに文化芸術活動を行うことができるような環境の醸成に取り組んでいるところでございます。

 また、人材の育成も大変大事でございまして、劇場や音楽堂等の職員に向けた障害者の芸術活動を支えるための研修会ですとか、障害者の芸術活動を支える新進芸術家の育成に対する支援、こういったことなど、障害者の自由な表現活動を支える人材の育成、確保にも取り組んでおります。先生から今お話のあった学芸員というのはその好例ではないかというふうに思っております。

 文部科学省としては、引き続き、これらの取組を通じまして、障害の有無にかかわらず、全ての人が芸術文化に親しんで、才能を生かして活躍できる環境、これを整備してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 今回の法律、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の十七条においては、九条の関係、そして十条の関係、また十二条の一項の関係で、九条には文化芸術を鑑賞する機会の拡大というのがありまして、そして十条には文化芸術の創造の機会の拡大、そして十二条は芸術上価値が高い作品等の評価ということなんですけれども、それぞれにかかわる、今申し上げました内容についての人材育成というのをしっかりとやっていこうということをこの法律の十七条では言っているわけです。その上で、研修の実施の推進、そして大学等における当該育成に資する教育の推進その他の必要な施策を講ずるものとしています。

 大変細かいことまで法律に盛り込まれていて、私は、これはしっかりと実効性のあるものにしていかなくてはいけないということでございますが、成立後は、しっかりとこれを進めていくために、当然のことながら、法律にもありますけれども、基本計画というものもつくり上げていかなくてはいけないということだというふうに思います。

 その基本計画をつくり上げる上でも、やはり、先ほど来申し上げておりますけれども、まずは心のバリアフリーというものについてのしっかりとした理解を持っている人材の育成ということと、そしてまた、それぞれの障害の特性、これは本当に、それぞれの皆さんが個性豊かであります。それぞれの障害が違っています。ですので、そのことについても、やはり専門性を持った人材をしっかりと育てる環境というのも必要になってくるというふうに思います。

 ぜひ、このことについて、具体的にどのように取り組んでいくのかということをしっかりと、法律が成立した後になるというふうには思いますけれども、御検討いただきたいというふうに思います。

 そこで、今申し上げました障害者による文化芸術活動の推進に関する法律、成立すれば、先ほど申し上げましたように、文科省、厚労省の共管ということになって、そして、法律の七条には、文部科学大臣と厚生労働大臣は、「障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画を定めなければならない。」というふうにあるわけです。

 そこで、さきに申し上げました文化芸術推進基本計画とはどのような関係になってくるのか、そして、どのように連携していくのか、まずお伺いしたいと思います。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 昨年の六月に改正されました文化芸術基本法におきましては、国民がその年齢、障害の有無等にかかわらずひとしく、文化芸術を鑑賞、参加、創造することができるような環境の整備が図られなければならない旨が新たに規定されました。本法律に基づきまして、本年三月に文化芸術推進基本計画が策定されたところでございます。

 そこで、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案は、文化芸術基本法の基本的な理念にのっとり、障害者による文化芸術活動の推進を図るために立案されたものと承知しており、この文化芸術基本計画と適切に関連づけていく必要があると考えております。

 文部科学省といたしましては、これらのことをしっかり、厚生労働省を始め関係省庁と連携をしつつ、障害者の文化芸術の振興に資する計画の策定に努めてまいりたいと思っています。

金子(恵)委員 文部科学大臣、林大臣にお伺いしますが、先日の当委員会でのこの法律案の審議等を参考に、この法律成立後に、どのように障害者の文化芸術活動を進めていくのか、大臣としてどのような姿勢で法律に基づく基本計画を定めていくのか、お伺いしたいと思います。

林国務大臣 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律案が成立をいたしますと、文化芸術基本法及び本法案の趣旨に沿って、障害者の方々がより一層自由に文化芸術を鑑賞し、参加し、創造することができる、そのような環境の整備を図る、これが必要であるというふうに考えております。

 文部科学省としては、障害者の文化芸術活動の推進に資する計画の策定に当たりましては、障害者による文化芸術活動を支援する団体、また、文化芸術活動を行う障害者本人を含む有識者等の意見も幅広くお聞きしながら、厚生労働省など関係省庁と連携しながらこの計画の策定を進めてまいりたいというふうに考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 法律が成立した後の、障害のある方々の文化芸術の推進というものはしっかりとお願いしたいということで、私も大変期待をしているところでもありますし、でも、繰り返しになりますけれども、やはり大きなゴールというものは、ともに生きていく、その社会の中での文化芸術の推進ということだというふうに思いますので、繰り返し申し上げますけれども、バリアをとにかくなくしていく、その中での活動の中で改めてすばらしい作品等が生まれていくということだというふうに思っています。

 それを、障害の有無にかかわらず、しっかりとともに進めていければ、そういう環境づくりというのはやはり国の責務でもあるというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、きょうは図書館のことについても御質問させていただきたいと思います。

 公立図書館の振興、発展のための施策についてお伺いしたいというふうに思います。

 まずは、公立図書館というのは、図書館法第二条の「定義」では、「「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを目的とする施設で、地方公共団体、日本赤十字社又は一般社団法人若しくは一般財団法人が設置するものをいう。」ということです。

 二項には、「前項の図書館のうち、地方公共団体の設置する図書館を公立図書館といい、日本赤十字社又は一般社団法人若しくは一般財団法人の設置する図書館を私立図書館という。」ということであります。

 地方公共団体が設置する公立図書館のあり方でありますけれども、歴史的に見ても、第二次世界大戦後、みずから考える市民を育てる場として誕生したのが日本の公立図書館だというふうに伺っています。

 ちょうど公益社団法人日本図書館協会の森茜理事長が、昨年の夏のジャフマジャーナルという雑誌がありますけれども、そこで、特別インタビューでこのように述べられています。

 日本の公立図書館についてですけれども、市民のために税金でサービスをすることが原点というふうにおっしゃっています。またさらには、近年は、教育的な側面だけではなく、格差や差別解消、そういう概念を重視するようになった、公立図書館は、基本的な差別をなくすための公共施設としての役割を持っているというふうにも述べられています。

 改めて、公立図書館がどのような役割を担っているのか、お伺いします。

丹羽副大臣 図書館は、社会教育のための機関として、平成二十七年十月現在、全国の図書館三千三百三十一館のうちほとんどが公立図書館でございます。

 公立図書館は、地域住民に最も身近な学習拠点といたしましての大きな役割を果たしてきたと考えられます。

 さらに今後、幅広い年齢層にわたる住民に読書と調査研究の機会を提供する役割が一層求められるとともに、新学習指導要領にも明記されております、社会に開かれた教育課程の実現に向けた学校との連携強化や、商工労働部局等とも連携した、地域課題の解決に向けたレファレンスの機能の充実など、地域のニーズに対応できる情報拠点としての役割が求められていると考えております。

金子(恵)委員 重要な役割を担っているということでありますけれども、先日、林大臣のところにも、公立図書館の振興を求める要望書というものが図書館友の会全国連絡会の皆様から提出されたというふうに承知しております。

 一言で言うと、公立図書館の運営というものがだんだん厳しくなっているということでありまして、地方公共団体が本当に財政が厳しいために資料費なども削減されている、また、指定管理者制度導入はサービス低下をもたらして、公立図書館は疲弊しているというような内容であります。

 今おっしゃっていただきましたように、全国各地の約三千三百の公立図書館があるわけですけれども、三十年前の実はこれは二倍になっているということで、重要な役目を担っていて、そして恐らく、住民の方々のニーズにもしっかりと対応しよう、そういう公共施設であるわけでありますけれども、予算が削減されているということであったり、あるいは、それによって専任の職員の数も減っている、専門職である司書の非正規職員化の問題も顕在化しているということであったり、今ほど申し上げました指定管理者制度導入というものがあって、なかなか、これは賛否両論あるというふうには思いますけれども、この指定管理者制度が合わない地域ではやはり失敗というものが見られている、これによってサービスの低下というものが見られるという状況であります。

 このような実情をいかに把握されていて、そしてまた、どのように改善されようとしていらっしゃるか、御認識をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 図書館の運営に係る経費につきましては、ここ十年間で横ばいの状況にあるわけでございます。また、専門的職員である司書については、十年前と比較しますと、全体としてその数はふえておりますが、自治体が直接運営する図書館における常勤職員の数は減少傾向にあるということでございます。

 公立図書館における指定管理者制度の導入率については一五・六%ということですが、指定管理者制度を導入した図書館への評価としては、御指摘のように、サービス低下の懸念がある一方で、住民の利用度や満足度の向上が見られた例もある、こういうふうに認識をしております。

 文部科学省では、図書館法に基づきまして、図書館の設置及び運営上の望ましい基準、これを定めておりますが、その中でも、充実した図書館サービスを実施する上で必要となる十分な量の図書館資料の計画的な整備、それから、専門的なサービスを実施するために必要な数の司書等の確保、それに加えて、指定管理者制度を導入する際の留意点等を示しまして、地方公共団体に対して周知を行っておるところでございます。

 また、図書購入費ですとか専任職員に係る経費を含めた公立図書館の運営に要する費用につきましては、地方財政措置が講じられておるところでございます。このため、指定管理者制度の導入を含めた公立図書館の運営については、先ほど申し上げました図書館法に基づく基準、これを踏まえながら、設置者である各地方公共団体により適切に対応いただくべきものである、こういうふうに考えております。

金子(恵)委員 地方財政措置がなされているんですけれども、自治体が本当に財政的に厳しいということで、必要なところに予算というものが充てられていないという可能性が出てきているということでもあります。

 そして、図書館法第二十条には、「国は、図書館を設置する地方公共団体に対し、予算の範囲内において、図書館の施設、設備に要する経費その他必要な経費の一部を補助することができる。」ということが書かれているわけなんですけれども、この補助制度をしっかりと使えないだろうかということが、先ほど申し上げました図書館友の会全国連絡会の皆様方からも一つの要望として上げられているものでありますけれども、御所見を伺いたいと思います。

丹羽副大臣 公立図書館につきましては、図書館法に基づく社会教育施設でございます。地域住民に最も身近な学習拠点ということは、先ほどお話しさせていただいたとおりでございます。

 この公立図書館の施設整備等に係る費用につきましては、以前は、図書館法第二十条、委員がおっしゃった第二十条に基づく補助が行われておりましたが、国と地方の役割分担の観点から、地方分権改革の一環といたしまして、平成九年度限りで公立図書館の施設の整備等にかかわる国の補助金が廃止されたことに伴いまして、現在は地方財政措置が講じられております。このため、図書館の施設の整備等につきましては、設置者であります各地方公共団体により適切に対応いただくべきものであると考えております。

 なお、公立図書館を含む社会教育施設に今後求められる役割やその役割を果たすための具体的な方策を含めた、人口減少社会の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策につきまして、諮問を本年三月に中央教育審議会の方に対して行いまして、現在、中央教育審議会で精力的に審議をいただいております。

 こういった審議も踏まえまして、文部科学省といたしましても、公立図書館を含めた社会教育施設の一層の活性化に向けて、今後も取り組んでいきたいと考えております。

金子(恵)委員 学校図書館についても質問したかったんですが、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。

 先ほど申し上げました、市民のために税金でサービスすることが原点である、そういう公立図書館であってほしいということで、ぜひしっかりとバックアップをしていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

冨岡委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・市民クラブの櫻井周です。

 本日も質問機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず最初に、大学教育の質の評価についてお尋ねをいたします。

 大学生への奨学金の拡充、さらには大学教育の無償化というのが議論されているところです。税金投入にふさわしい質の高い教育はできているのかということが、一方でこれはまた検証されるべきという議論もございます。ただ、大学教育は多岐にわたっておりますので、網羅的な評価というのはなかなか簡単ではございません。

 ただ、五月二十三日の文部科学委員会で私、法科大学院のことについて取り上げさせていただきました。例えば、法科大学院であれば、司法試験を受けるというのがほぼ前提となっているようなところがありますので、その合格実績等で、ある程度評価することができるのではないのか、それが全てではございませんが、必要最低限の部分というのはそこではかれるのではないのか、このようにも考えるところです。

 同様に、資格試験の受験が前提となっているような学部、例えば医学部、歯学部、薬学部、獣医学部、こういった学部についても同様に、資格試験の合格状況によってこの教育の状況の一端が明らかになるのではないのか、このようにも考えるわけです。

 例えば薬学部につきましては、厚生労働省が薬剤師試験の新卒合格率を公表しております。お配りしております資料がこれでございますが、この表の一番左側の新卒合格率というところがそれに当たります。

 ただ、この新卒合格率というのは、分母が卒業生、分子が新卒の学生ということになりますので、必ずしも実態が明らかになっているわけではない。すなわち、留年とかそういった形で、ちょっと合格しそうにない学生を卒業させないということになりますと、この合格率を高目に見せることができるということがございます。

 実際、この表を見てまいりますと、例えば一番右下の九州保健福祉大学、新卒合格率は九六・〇%と非常に高い数字になっておりますが、ストレート卒業率、つまり六年間で卒業できたというところを見ますと四六・四%、半分足らずの学生しか六年で卒業できていないという状況になっています。さらに、ストレート合格率、六年で勉強を終えてちゃんと卒業し、そして薬剤師試験を受ける、その結果で合格した人、つまり、分母は六年前の入学者、そして、分子が六年後に卒業して試験に合格した人になりますと四五・七%ということで、半分に満たないということになります。

 私立大学の場合、薬学部になりますと、六年間で約一千万円の授業料を払うということになります。また、生活費等も含めれば非常に大きなお金がかかっているわけでございますが、一方で、新卒合格率だけを見ていて、九六・〇%、八割、九割という合格率を見ると、真面目にやっていれば普通にみんな卒業するのかなというふうに思うと、実は、実態は必ずしもそうではないということになります。

 したがって、こうした実態がわかるような指標もしっかりと公表していくべきではないのか、このように考えるわけですが、例えば、表の真ん中の上から五番目、千葉科学大学というのがございます。ここは、新卒合格率八五・七%、ストレート卒業率三六・四%ということになっておりますが、ストレート合格率、これは公表していないということになっています。

 文部科学省の検討会やワーキンググループの中では、ストレート合格率などの状況を公表する必要がある、このように提言はしているんですが、必ずしも徹底はされていないようでございます。

 そこで、大臣にお尋ねします。

 薬剤師試験のストレート合格率など、各大学の薬学教育の状況を的確に公表して、受験生が的確に判断できるようにするべきというふうに考えますが、大臣の御所見、よろしくお願いします。

林国務大臣 各大学の教育の質の評価に当たりましては、適切な学修成果が得られているかを評価する際の指標の一つとして、今、委員からお話のありましたように、国家試験の合格率を用いる、これも考えられるというふうに思っております。

 受験者数に占める合格者数の割合として算出した、大学別の国家試験合格率については、医師、歯科医師及び薬剤師については厚生労働省が、獣医師については農林水産省が、国家資格の所管省として、それぞれ公表しているものと承知をしております。

 その上で、文部科学省としても、入学者数に占める修業年限内での卒業者数や、今の表でいうとストレート卒業者率でしょうか、国家試験合格者数の割合が低い一部の大学に見られる歯学部及び薬学部については、これらの学部を設置する各大学に対しまして、入学者数に占める標準修業年限内の卒業者数及び国家試験合格者の割合等をホームページで公表することを求めるなど、情報公開も含めた適切な対応を求めているところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じて、各大学における教育の質の向上に向けた取組を促してまいりたいと思っております。

櫻井委員 多くの大学は、例えば薬学部についてはストレート合格率を公表しているわけですが、そうでない学校もあるわけですから、ここはしっかりと、みんな平等に公表していただく。そして、受験生が的確に判断できるようにしていただくということで、ぜひよろしくお願いいたします。

 特に、入学者に対する割合ということになってきますと、これは、厚生労働省とか農林水産省といった現業部門の役所の担当ではなく、やはり大学教育を所管している文部科学省が責任を持ってそのように求めていくということになろうかと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、ちょっと通告の順番を入れかえまして、学校教育における連帯責任ということについて質問させていただきます。

 実は、山形県教育委員会の発行しております体罰等の根絶と児童生徒理解に基づく指導のガイドラインというものがございまして、その中で、不適切な行為の例ということで幾つか挙がっております。

 その中で、児童生徒が不利益をこうむる行為の例として連帯責任というのが挙げられておりまして、例えば、授業中に私語が多く、何度注意しても聞かない生徒がいた、連帯責任として、当該生徒が所属する班の生徒全員に対して学習プリントを配らなかったというものですとか、例えば、授業に漫画を持ち込んで読んでいた生徒がいた、連帯責任として、当該生徒が所属する部活動を一週間停止にした、こうした連帯責任を負わせるような指導が学校で行われることがないように、こうしたガイドラインがございます。

 これの説明書きとしまして、注意しても改善が見られない児童生徒に対して、指導するつもりで行った行為が、実は他の真面目な児童生徒にとって納得のいかない指導になってしまうことがあります、このような説明もございます。

 また、実際のところとしましては、例えばこれは兵庫県での事例でございますが、二年前の話でございます。三年生で宿題ができていなかった男子一人のために、連帯責任で、クラス、学級全員三十人に廊下の雑巾がけを命令した、その後、同男子に、クラスのみんなに謝罪するよう指示、男子は土下座の姿勢で何度も頭を下げた、こうしたことが起こっていたという報道もございました。

 そこで、大臣にお伺いいたします。

 文部科学省として、連帯責任、どのように認識されていますでしょうか。指導方法として適切だとお考えでしょうか。

林国務大臣 一般に生徒指導においては集団指導と個別指導がございまして、そのお互いの相互作用によって児童生徒の力を伸ばすことができる、こういうふうにされておりまして、集団指導を行う場合、集団内の児童生徒一人一人に考慮を払う、これが重要であると考えております。

 こうしたことを踏まえれば、連帯責任を負わせるような指導については、各学校においてそれぞれの状況に応じて適切に判断すべきところでございますが、例えば今お示しいただいたように、特定の児童生徒に課題があることで当該集団の目標が達成されない場合に、合理的な理由なく他の児童生徒を厳しく叱責する等々の指導は、やはり適切でないと考えられるところでございます。

 文部科学省としては、各学校において適切な集団指導及び個別指導がバランスよく実施をされるように、必要に応じて指導助言を行ってまいりたいと考えております。

櫻井委員 ちょっと今の御答弁ですと、心もとないといいますか、といいますのも、やはり、連帯責任というふうになりますと、先ほども山形県教育委員会の例にありましたとおり、真面目な児童生徒が損をする理不尽さがつきまとうわけです。そうなってくると、失敗を許さないということで、相互監視のような社会になり、さらには異質なものを排除するというようなことにもなりかねません。

 また、現実には、先ほど金子委員が御質問されていた特別支援教育ということもございますけれども、特別支援教育が必要というまではいかないけれども、ちょっとそういった、なかなか頑張ってもうまくいかないというような生徒も中にはいるわけでございます。

 そういった生徒がグループにいるというふうになると、あの生徒がいるから、いつもうちのグループは、罰を受けるなり、悪いところになって、そうした何か罰といいますか、そういったものを受けてしまうということになると、その子が悪いんだということになって、その子に対してある種の恨みとか憎しみとかそういったものになってしまって、さらにはいじめに発展しかねない、そういうものがございます。

 現実に学校現場でもこうしたことが起きているということを私も保護者の方から聞いておりまして、いや、これはおかしいな、学校の先生からすると、確かに生徒を相互監視させるということなので短期的には結構効果が上がるかもしれない、でも、ある種麻薬のような指導方法ではないのかと。こんなことをやっていたら、本当に生徒の心、特に中学校ぐらいになってきますと思春期で、なかなか心のバランスというのもとりにくい時期にこうしたことをやってしまうと、本当に陰湿ないじめとか、心がゆがんでしまうようなことが起きるのではないのかというふうに考えるんです。

 そこで、やはり、さっき大臣もおっしゃいましたけれども、時と場合によってはまずいんだというようなお話もございました。ですので、まず最低限、こうした形での連帯責任というような指導方法は、これはさすがにだめですよというものをちゃんと類型化していただいて、そして、学校教育の現場で、こういうのはさすがにだめですよということをしっかり示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、集団指導と個人指導というのは、何も別々のものではなくて、両方相まって児童生徒の力を最大限に伸ばせるというふうに考えておりますし、それは指導要領にも書いてあるところでございます。

 例えば、集団において人と異なる意見を持っていても、自由に自分の意見を述べて、お互いに相手がどういう意見を持っているかと理解して尊重し合う、こういうことは集団の中でしか学べないことでございますので、先ほど申し上げましたように、集団指導といっても、その集団全体、グループとしてしか見ないということでは必ずしもなくて、児童生徒一人一人についても考慮を払う、先ほど申し上げたとおりでございますので、そういった指導要領を踏まえて、先ほど山形県の例をお示しいただきましたけれども、その現場現場で事情事情に応じてしっかりと示していただければ、こういうふうに考えておるところでございます。

櫻井委員 これはちゃんと、例えば山形県の場合、ガイドラインで示しているわけですね。こうした山形県教育委員会のように、やはり文部科学省としてきちっと、法律である必要は全くないと思いますが、ガイドラインとして幾つか例を示しながら、きちっと示していく必要があるのではないのか。学校現場では、実際あちこちで多分起きているんだと思います。私もたまたま幾つか例を聞きました。

 また、一昔前ですけれども、例えば部活動、高校生とかの部活動で誰かが不祥事、例えば部活動とは関係ないようなところでたばこを吸ったとか、何かそういう不祥事があって、それが理由で出場を辞退するというようなこと、それは、たばこを吸った生徒はそれは余りよろしくないんですけれども、それを全然知らない人たちまで全員巻き込まれて、例えば夏の大会に向けて一生懸命練習していたのに、それが全てパアになるというような、こうした連帯責任の例は過去にも幾つか耳にしたところでございます。

 また、今回の日本大学のアメリカンフットボール部、これも話題になっております。これは連帯責任かどうかというのはちょっと微妙なケースだと思いますけれども、普通に真面目に練習していた生徒も対外試合ができないということになると、やはり全然ある種責任がない生徒まで巻き添えを食らってしまうということになりますから、それはそれで問題だと思うんですね。

 他方で、この日本大学のアメリカンフットボール部の場合には、監督又は競技の体制が、ちゃんとフェアにできる体制が整っていないから相手側が試合はしたくない、こういう話ですので、必ずしも連帯責任とは言えないと思いますけれども、ただ、教育の観点からすると、一生懸命頑張っている子、真面目な子が、何か自分のコントロールできないところで罰を受けるというようなことがあってはならないと考えるんですね。

 そういったことをしっかりと示して、真面目にやっていればきっと報われるんだ、こういう社会でなければならないですし、特に若いうちには、こういったことがわかる、そうなんだということを、社会もなかなかいいものだと思えるような学校教育であるべきだという考えなんですが、そうしたことを踏まえて、一歩踏み込んで、やはりちゃんとガイドラインなどで示していくんだということで、大臣、お願いできないでしょうか。

林国務大臣 先ほどちょっと紹介をさせていただきましたが、生徒指導提要という、指導要領ではなくて生徒指導提要というものを出しておりまして、そこに集団指導と個別指導の意義ですとかバランス、そして先ほどちょっと引用させていただきましたけれども、個の育成、教員の児童生徒理解、教員による共通理解と、かなり実は詳しくここに書いてあるわけでございますので、これに基づいてしっかりと指導をしていくというのが我々の立場でございます。

 それに基づいて、先ほどの山形県の例のように、それぞれの状況において、県なり設置者なり各学校なりで、状況に応じて適切に判断をしていただかなければならないと思いますが、ちょっと繰り返しになりますけれども、我々としても、合理的な理由なく他の児童生徒を厳しく叱責する、こういう指導は適切でないということでございます。

 なお、委員も分けて議論されておられますが、教育現場における指導と、それからスポーツとかそういう大会における責任というのはなかなか全く同じところに並べて議論するのは難しいのかなというふうに思っておりますが、教育でそういうことをやることによってそういう考え方がしっかりと根づいていくということが大事なことではないかというふうに考えております。

櫻井委員 既にそういうものがあるんだと今大臣おっしゃいましたけれども、ただ、現実にそれが学校現場できちっと浸透している、周知徹底しているわけではないようです。少なくとも私の地元ではそういった問題が起きているというふうに、実際、保護者の方から聞いております。

 ですので、まず、ちょっと本当にどうなのかという実態を調査していただけないでしょうか。そして、きちっとこの考え方が現場に浸透しているかどうか、文部科学省として把握していただけないでしょうか。

林国務大臣 児童生徒に連帯責任を負わせるような指導につきましては、先ほど申し上げましたように、各学校において、それぞれの状況に応じて適切に判断されているものと承知をしておるところでございますが、調査でございますけれども、今、教員の働き方改革というのが一つの大きな課題になっておりますので、現時点では、文科省として実態調査を行うということまでは考えていないところでございます。

櫻井委員 確かに、何かあるとすぐ実態調査ということで学校現場が混乱するというのは、これもまた一つの事実ですので、何かの機会にあわせて、例えば、これはいじめの問題と密接に関連する問題だと思いますので、そうしたところであわせてやっていただくなど、実態把握に努めていただきたい、そして不適切な指導が行われているようでしたらそれをしっかりと正していただきたいというふうにお願い申し上げまして、次の質問項目に移らせていただきます。

 次に、学びの個別化について質問させていただきます。

 これまで、この文部科学委員会で、私、一斉授業と集団行動重視の教育から、個別指導、個性重視の教育に切りかえていかなきゃいけない、切りかえていくべきだということを申し上げてまいりました。

 特に、これまで、高度経済成長時代の画一商品の大量生産の時代には画一的な労働者が多数必要であったかもしれませんが、今はそうした業務はコンピューターやロボットが担っている。人間は創造性をどんどん発揮していって、また、個人と個人の創造性をうまくつなぎ合わせていく、新しい価値を生み出していくような、そうしたコミュニケーション能力、そういったことがむしろ必要になっているのではないかという問題意識から申し上げてきたわけでございます。

 そして、昨日発表されました「ソサエティー五・〇に向けた人材育成」というところを早速読ませていただいて、私がこれまで申し上げてきたことがしっかり盛り込まれているということで、大変ありがとうございます。

 ただ、これはすばらしい内容になっているかと思いますが、ただ一点、一つ大きな課題としては、これはどうやって実現していくのか。特に今、小学校、中学校、高校といった部分について、どうやって実現していくのか。すなわち、従来型の一クラス四十人というような学級の中では、なかなか学びを個別化していくというような、個別最適化された学びというのを実現していくのは難しいのではないのか。やはり、こうした取組、北欧を中心に、オランダとかではこうしたやり方は既に導入されているかと思いますけれども、そういったところではやはり一クラス二十人程度の学級が一般的でございます。

 そうしたことを踏まえて、これをどうやって実現していくのか、大臣の御所見をお聞かせください。

林国務大臣 早速お読みいただきまして、ありがとうございました。

 今まさに委員がおっしゃられたように、変化が激しくて予測困難な時代でも通用する、そういう確かなスキル、学力を身につけるために、自分のよさ、可能性、こういったものを認識して、個性を生かしつつ、多様な他者を価値のある存在として尊重して、お互い協働してさまざまな課題を解決していく、こういうことを新しい学習指導要領でも重視をしておるところでございます。

 こうした資質、能力を育んでいくためにも、昨日取りまとめましたこの報告書「ソサエティー五・〇に向けた人材育成」において、これまでの一斉一律授業のみならず、個人の進度や能力等に応じた学びの場となること、同一学年集団の学習に加えて異年齢、異学年集団での協働学習が拡大していくことなど、学びのあり方の変革を打ち出しております。

 また、学びのあり方の変革に向けて、公正に個別最適化された学びを実現すべく、異年齢、異学年などの多様な協働学習のためにパイロット事業をやろう、それからスタディーログ等を蓄積した学びのポートフォリオを活用しよう、それからエドテックやビッグデータを活用した教育の質の向上、こういった施策を提言しておるところでございます。

 定員についてもお話がございましたけれども、今、小学校一年で三十五人、小学校二年から四十人、中学校三年までですね。この国の標準のもとで、国の加配等も活用しながら、それぞれの地域や子供たちの状況を踏まえて、都道府県独自の少人数学級ですとか、算数などの特定教科における少人数指導、チームティーチングなどに取り組んでおるところでございまして、実際の指導における一学級当たりの児童生徒数が、小学校で二十七・三、それから中学校で三十二・三、こういうふうになっておりますので、こうした条件のもとで、地域や学校の実情、子供たちの状況などを踏まえて、きめ細かな教育を今までもやってきておるところでございますが、先ほど申し上げました「ソサエティー五・〇に向けた人材育成」に当たっては、公正に個別最適化された学びを実施しながら、基礎的読解力とか数学的思考力、こういった基盤的な学力の確実な定着を更に図る必要がある、こういうふうに考えております。

櫻井委員 ちょっと、もう時間になりましたので、最後の質問にさせていただきます。

 あと、もう一つ気になる点が、文理分断からの脱却ということも書いてございます。文系の学生が統計学とか数学とかそういったものを余りやらない傾向にあるのではないのか、そういった問題意識だと思うんですが、もっと踏み込んで、例えば、林大臣が昔学ばれていたハーバード大学では、アンダーグラデュエートの生徒は、リベラルアーツということで、文系、理系とか関係なく、数学も勉強すれば哲学も歴史も文学もいろいろ勉強するというような形で幅広くやって、思考力を全般的に鍛えていくということが英米社会では一般的に行われているように理解します。

 まさにそうした思考力こそが、知識を断片的に仕入れる教育ではなくて、まさに変化の激しい時代に必要なんだと思いますが、この点についても御説明いただけますでしょうか。

林国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、社会を牽引する人材を育成するためには、高校や大学の段階で文系、理系に分かれてしまって、特定の教科や分野について十分に学習しない、みずからの反省も含めてですが、文理両方を学ぶ人材を育成する必要があると思っております。そういう意味で、文理分断からの脱却という打ち出しをいたしました。

 具体的には、高大接続改革として、今お話しいただいたように、確率や統計、基礎的なプログラミング、理科と社会科の基礎的分野を必履修とする新学習指導要領、これを確実に実施するとともに、より高度な内容を学びたい生徒のための条件整備を行うことや、大学において、今後多くの学生が必要とするいわゆるSTEAM、これはSTEMにAが入っておりますので、アートというものが入ってくるということでございまして、理数や技術、芸術、教育などが十分に提供できるように教育プログラムの見直しを促進すること、こういうふうにしておりまして、これらを実現するため、高度かつ多様な学習内容を生徒個人の興味、関心、特性等に応じて履修可能とする学習プログラムやコースをワールドワイドラーニング・コンソーシアムとして創設する、こういうことも提言をさせていただいております。

 各担当部局において更にこの検討を進めて、速やかに進められるものにつきましては、平成三十一年度の概算要求に必要な内容を盛り込むなど、順次具体化を進めていきたいと思っております。

櫻井委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 私の質問を終わります。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 きょうは、パラリンピックについて質問させていただきたいと思います。

 先ほど、オリンピック・パラリンピックのことについて、高木委員から質問がありました。マラソンのところの光景を、街路樹など、そんなところを気にされ、タイムテーブルなどの質問というのは、さすがに都議会議員出身ということの視点なのかなと思ったわけでございます。この一年間バッジをとりに来てくれる人がいないと寂しそうにお話をされていましたが、二〇二五年の大阪万博のバッジは今好評配布中でございますので、元気づけに後で一個差し上げたいと思っております。

 それでは、パラリンピックについて質問させていただきますが、これまでのパラリンピックを観察して、これから二〇二〇年の東京オリパラも成功させなければいけないということで、これまでのパラリンピックは成功しているという認識なのか、また、パラリンピックが成功したと言えるのはどのようなことを基準にして考えたらいいのかということをまずはお聞きしたいと思います。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 パラリンピックの成功につきましては、例えば、より多くの国や地域が参加すること、より多くの観客でスタジアムが満たされること、選手のひたむきなパフォーマンスを通じた競技の盛り上がり、セキュリティーの確保や選手等の確実な輸送などの円滑な大会運営、競技施設の後利用や、大会を通じた障害者スポーツの裾野の拡大や、社会のユニバーサル化の進展などの有形無形のレガシーの創出、こういったさまざまな観点から判断されるというふうに考えております。

 これらの観点から、一般的に二〇一二年の例えばロンドン大会は成功したと言われているというふうに考えているところでございます。

串田委員 観客数というものもありましたが、それを充実させるためにはパラリンピックがもっともっと目に触れるというようなことが非常に大事なのかなと思っているわけでございまして、そのためには、テレビもそうでしょうけれども、ネットが非常に充実をしてきたわけでございますので、パラリンピックの放送というものをもう少しふやすべきではないかと思うんですが、そのようなことを二〇二〇年に考えているんでしょうか。

平垣内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、パラリンピック大会の成功のためにはパラリンピックの認知度を向上させることが重要であります。

 また、委員御指摘のテレビの放映時間についてでございますけれども、例えばことし三月に行われました平昌冬季パラリンピック大会において、NHKでは、開・閉会式を含め、大会期間中十日間のほぼ毎日、生中継を中心に放送がなされまして、テレビでの放送時間は前回ソチ大会の約二倍になるなど、日本の放送局にも大変力を入れていただいております。また、その他のテレビ番組でもパラリンピック選手が取り上げられる機会がふえております。

 政府といたしましても、関係者との連携のもと、学校や地域における実際のパラリンピアンに来ていただいてのパラリンピアンとの交流事業、あるいはボッチャなどのパラリンピックの競技体験、小中高校生を対象としたオリンピック・パラリンピック教育の実施などを進めるとともに、パラリンピックの機運醸成を図るカウントダウンイベントなど各種のイベントの推進を図るなど、あらゆる機会を通じてパラリンピックの認知度の向上に努めてまいります。

串田委員 最近、企業のCMもパラリンピックの選手が登場するなどして認知度も高まってきているというふうには感じているんですけれども、ひとつ、今度、休日が変更されるなどして、オリンピックの入場そして閉会というようなことについていろいろと考えているという部分があるんですが、一番パラリンピックで感じるのは、オリンピックの閉会式があって、すごく間があいてしまった後に放送が少なくなるということで、何となく、オリパラといいながら、式典全体がオリンピックの閉会で終了しているような印象を私はちょっと感じるところはあるんです。

 そこの部分、オリンピックが閉会はするけれども次はパラリンピックが始まるんだぞという、何か盛り上がりみたいなものをぜひとも二〇二〇年においては設けていただきたいと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年東京大会の開催日程は、IOC、国際オリンピック委員会において決定されており、オリンピックは七月二十四日から八月九日、パラリンピックは八月二十五日から九月六日に開催されることになっており、政府といたしましては、パラリンピックについて競技の認知度向上やオリンピック・パラリンピック一体としての認識の浸透等が重要と考えております。

 こうした中で、東京大会の開・閉会式につきましては、昨年十二月に大会組織委員会が策定いたしました開会式・閉会式に関する基本コンセプトにおきまして、オリンピックの開・閉会式、パラリンピックの開・閉会式という四つの式典を一連の四部作として捉え、起承転結となるよう構成することとされております。

 加えまして、オリンピックからパラリンピックへの移行期を含めて、国、東京都、組織委員会等が連携いたしまして、オリパラの機運を盛り上げるさまざまな文化プログラムを実施することとしております。

 このような取組を通じまして、オリンピックの閉会式の後もパラリンピックの関心を高めてまいりたいと考えております。

串田委員 今、期日が発表されましたけれども、八月九日が閉会で、そして八月の二十五日がパラリンピックということで、恐らくお盆というような休みもあるので、ちょっと日にちをあけているのかなと。そこが今回の、どうやってその盛り上がりを持続させるのかという一つの大事な時間なのかなと思いますので、そこの部分、ぜひとも、今、四部作という話がありましたが、非常に連携していく、オリンピックが終わって、これからまた楽しいパラリンピックが見られるぞというのをぜひ実現していただきたいと思うんです。

 次に、パラリンピックが今回、かなり前から文科省と統合したということになるんですけれども、この予算等も含めまして、統合したことによる効果というものがどのように変わってきたのかということをお願いいたします。

今里政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省におきましては、平成二十六年度に障害者スポーツの振興に関する事業が厚生労働省から移管されて以降、障害の有無にかかわらずスポーツを実施できる環境を整備するため、国際競技力の向上、それからスポーツの裾野の拡大などに関しまして、オリパラ一体を合い言葉に、オリンピック競技への支援と同様の仕組みでパラリンピック競技についても支援を行うよう、施策の充実に努めてきたところでございます。

 例えば、国際競技力の向上につきましては、オリンピック競技同様、パラリンピック競技についても、各競技団体の日常的、継続的な強化活動への支援やスポーツ医科学、情報等を活用した支援、それから、パラリンピック競技大会期間中における、現地において選手等が最終準備を行うための医科学、情報サポート拠点であるハイパフォーマンスサポートセンターの設置などに取り組んできたところでございます。

 本年開催されました平昌パラリンピック冬季競技大会においては、前回大会を上回るメダル数を獲得するなどの成果を上げているところでございます。

串田委員 一般的にはなかなかわかりづらい、運営側のいろいろな苦労もあるかと思うんですが、オリンピックとパラリンピックということの中で、運営するところで難しい面というものの違いというものがあるのであれば、教えていただきたいと思います。

平垣内政府参考人 お答え申し上げます。

 パラリンピックは、御案内のとおり、いろいろな障害特性を持たれた方がございます。その障害特性に応じていろいろなバリアフリー対策、バリアフリー対策といいましても、車椅子の方であれば平らにするといったバリアフリー対策、あるいは目の不自由な方、聴覚が不自由な方、あるいはそういった表示の対策、いろいろな意味の、パラリンピックには、オリンピックにないいろいろなものの準備が必要になろうかと思います。

串田委員 今、着々と新しい競技場、メーンの競技場が建設をされているわけなんですけれども、ここの競技場に対しての選手の出入り、あるいはバリアフリーに関しては、十分それはなされているということでよろしいんでしょうか。

平垣内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、東京二〇二〇パラリンピック競技大会に参加した選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、競技会場におけるバリアフリー対応の環境整備を行うことが大変重要であると考えております。

 このため、東京二〇二〇パラリンピック競技大会の会場につきましては、大会組織委員会が策定し、国際パラリンピック委員会の、IPCでございますけれども、承認を受けた基準に沿って、組織委員会などの関係者によって準備を進めております。

 具体的には、国際パラリンピック委員会や国際競技連盟と密接に調整しながら、車両の乗降場所でありますとか、更衣室等の選手動線はもちろんのことでございますけれども、トイレあるいはシャワールームなど、きめ細やかな準備を進めております。

 今後とも、アクセシブルな大会のため、環境整備を促進してまいります。

串田委員 ずっとパラリンピックについて、国民に対する認知度というものも高めていただきたいという話もありましたが、一つ、そのパラリンピックの選手で国民栄誉賞というものを受賞した人がいるのかどうか。

 今回、羽生結弦選手が国民栄誉賞をとられたわけですし、女子レスリングでは、吉田選手も含めまして、何人かもとられている。また、女子サッカーもとられているわけでございまして、そういう意味で、オリンピックで活躍をした人というのが国民栄誉賞で受賞してというのがあるんですけれども、パラリンピックもそれに譲らないぐらいの活躍をしている選手というのがたくさんいるのではないかなと思うんです。

 そういう意味で、パラリンピックで活躍した選手というのはどのような人がいて、そして、国民栄誉賞を受賞した人がいるのかどうかを確認したいと思います。

今里政府参考人 お答えいたします。

 パラリンピックで功績のあった日本人選手ということでございますと、例えば、夏季、夏の方の大会では、三大会連続で金メダルを獲得した水泳の成田真由美選手や河合純一選手、それから車椅子テニスの国枝慎吾選手などが挙げられます。また、冬季大会では、冬季パラリンピックにおける日本人初の金メダリストで、アルペンスキー競技で合計十個のメダルを獲得した大日方邦子選手が挙げられるところでございます。

 ただし、この方々を含め、これまでにパラリンピック競技大会での功績により国民栄誉賞を受賞した選手はおりません。

串田委員 今お聞きいただいたように、すごく活躍しているんですね。なぜこれは国民栄誉賞受賞というのがないのかということが、私はやはり、そういう意味で、パラリンピックを盛り上げようといいながら、選手に対しての、そういったようなものの認知度を高めるということ、またあるいは尊敬するというものの形として示していないような、ちょっと残念な気がいたしているわけでございますので、ぜひ、そういう意味で、パラリンピックで活躍している選手に対してそういったような賞も、私は国として検討していただきたいと思っております。

 次に、そういう既に大変活躍をしている選手が多い中で、学校の中で、障害を負っている方々が、子供たちも含めまして、スポーツに打ち込むという意味での道具というか設備の充実度についてお伺いをしたいと思います。

今里政府参考人 学校における運動のための器具、用具につきましては、教材整備指針を参考としつつ、各設置者において、障害の実態も踏まえ、適切に整備されているものと承知しております。

 スポーツ庁が平成二十八年度に実施をいたしました調査結果では、特別支援学校全体の八五%の学校で器械運動用具が、八四%の学校で陸上運動用具が、八〇%の学校でバスケットボール用具が整備されているところでございます。さらに、視覚障害の特別支援学校につきましては、サウンドテーブルテニスや、これは全国障害者スポーツ大会の競技種目でございますけれども、フロアバレーボールの用具が九八%の学校で整備されているところでございます。

串田委員 今、学校の整備についてはお聞きをしたわけですが、今度は、その指導者、どういう方が指導しているのかということもいろいろ学校によって違うのかなとは思うんですが、指導者がその障害に応じた指導の仕方がわからなければ、無理な体勢の指導をしたりとかいうようなこともあるのかなと思うんですけれども、その指導者に対しては、十分な障害に応じた指導の仕方というものを熟知しているという理解でよろしいでしょうか。

今里政府参考人 学校の体育における障害のある児童生徒への指導に当たりましては、学習指導要領におきまして、個々の児童生徒の困難さに応じた指導内容や指導方法を工夫するということを示しているところでございます。運動領域の指導につきましても、活動の場、用具、補助の仕方などについて、個々の児童生徒に応じた手だてを講じて指導を行うこととしております。

 また、障害のある児童生徒のスポーツ活動を更に充実させるためには、教職員が、障害に関する知識のみならず、障害に配慮したスポーツ種目、用具の工夫等の専門知識、ノウハウを習得することが必要となります。しかしながら、日本障がい者スポーツ協会が認定する障害者スポーツ指導者の資格を保有する教師がいる学校は、特別支援学校においても二割強にとどまっているところでございます。

 このため、スポーツ庁では、特別支援学校の運動部活動等の指導におきまして、障害者スポーツ指導者を派遣するなどのモデル事業を実施し、このような取組を通じて、障害のある児童生徒のスポーツ活動のさらなる充実に努めているところでございます。

串田委員 指導者もさることながら、今、設備というのもありましたけれども、個々の選手が使う器具というのも、やはりこれは一般的にはたくさんつくれるというものでもないので、恐らく値段も相当高価なものとお聞きをしております。

 例えば、バスケットをするときの車椅子は非常に特殊なものでありましょうし、陸上競技におけるいろいろな装具というのも非常に高価なものであるわけであります。また、体に合わせるという部分で、オーダーメード的な部分というのも非常にあると思うんですが、こういったようなことに対して、国の支援あるいは民間の支援というのは十分になされているという理解でよろしいでしょうか。

今里政府参考人 委員御指摘のように、障害者スポーツ種目の競技用具には高価なものが多く、特に幼少期には、成長とともに用具を取りかえる必要があることから、経済的な負担が大きいと伺っているところであります。

 しかし、現在、広く障害者全般の方を対象に、競技用具の購入等を支援する制度はございません。このため、日本障がい者スポーツ協会、日本パラリンピアンズ協会などから、スポーツ用の車椅子、義足等の用具をレンタル又はシェアする仕組みの構築について要望があると承知をしております。

 スポーツ庁といたしましても、用具メーカー等を含め、関係者と意見交換を行いながら、負担を軽減していく仕組みについて検討を進めてまいります。

串田委員 そのレンタルについて、いつだったかちょっと忘れましたけれども、テレビで、子供がレンタルのところに親と一緒に行って、自分に合うものを、義足でしたけれども、つけて、そして学校で、マラソンでしょうか、びりにならないんだということで一生懸命やっている、すごくすばらしい番組を見たことがあるんですけれども、そこでレンタルをさせてくれる場所というのが紹介されていましたけれども、それが数が非常に少ない。

 非常に高価なものですから、一遍に買ってしまって、後から自分の体に合わないということが起きてしまうというようなこともありまして、レンタルで自分の体に合うというようなことを何回か繰り返して、そして自分にぴったりなものを見つけるということができれば本当にすばらしいなと思うんですけれども、そのようなレンタルをしてくれる場所の数、そして、これはどんどんどんどん充実をしていくべきだと思うんですが、そういったような計画があるかどうかをお聞きしたいと思います。

今里政府参考人 障害のある方が競技としてのスポーツを始めるに当たっては、医療関係者等と相談をしながら、自分の体に合った用具を調整していくこととなるわけでございます。

 他方、高価な障害者スポーツ用の用具を気軽に試すことは難しい、こういったこともございますので、スポーツ用義足に関しましては、昨年十月に、東京の豊洲にギソクの図書館という施設が開館をいたしまして、数十種類の用具を用意して、試すことができる場を提供している、こういうことを承知してございます。

 恐縮でございますが、これと同様の施設の数は把握をしておりませんけれども、一部の用具メーカーや競技団体が競技用具のレンタルを実施しているほか、体験会イベントなどで体験用のスポーツ用具を用いて試す場合、あるいはチームの先輩から中古の用具を借りて試す場合などがあるというふうに承知をしてございます。

 スポーツ庁といたしましては、障害者スポーツ用具に関する競技者の経済的負担を軽減するための仕組みを検討しているところでございまして、ギソクの図書館のような仕組みも含めまして、関連の取組も研究しつつ、障害者のスポーツ用具を取り巻く環境の改善を図ってまいりたいと考えております。

串田委員 私が番組で見たのも、たしかそのギソクの図書館でございました。お母さんと子供が一緒に行くんですけれども、すごく楽しみに行って、そして、新しい義足が出たらそれを借りて練習をしているという姿があったわけでございまして、こういったような施設がもっと、それこそ今、東京の一カ所なわけですから、全国にその図書館がぜひできたらいいなと思っているわけでございます。

 パラリンピック、ずっと話をしてきましたが、パラリンピックで一番人口の多い、選手数ですけれども、一番多い種目というのは何でしょうか。

今里政府参考人 パラリンピック競技種目の国内の中央競技団体の会員数、登録している選手の数でございますけれども、この多い競技ということで御紹介をしますと、水泳ですとか陸上が比較的会員数の多い競技というふうに承知してございます。

 また、現在パラリンピック競技種目となっていないものとしては、知的障害者のサッカーですとかバスケットボールの競技団体が会員数が多いというふうに伺っております。

串田委員 ドーピングというのは、今度オリンピックで新しく四つの法案というものの中にも入っているんですが、パラリンピックの場合には、いろいろな身体的な状況を維持するために常用している薬があるわけでございます。それがドーピングにひっかかってしまうというようなことがあるととてもかわいそうなわけでございますけれども、パラリンピックでそういう選手が服用している薬とドーピングとの関係というのは、オリンピックの選手と異なった扱いになっているのか。その点はどういうような配慮をされていらっしゃるんでしょうか。

今里政府参考人 御指摘のように、選手が常用している薬、これにドーピング禁止物質が含まれている場合、こういう場合もあるわけでございますけれども、世界ドーピング防止規程に基づきまして、TUEと呼ばれる治療使用特例の仕組みというものがございます。これを活用すれば、特例としてその使用が認められているということでございます。

 ただし、このTUEという特例措置はパラリンピック選手に限るということではございませんで、パラリンピック選手、オリンピック選手に限らず全てのアスリートが適切な医療を受けることができるよう、病気やけがの治療を目的としてドーピング禁止物質を使用する場合には、治療使用特例の申請書を国内ドーピング防止機関又は国際競技連盟に提出をいたしまして、申請内容が認められれば、特例としてその使用が認められているということでございます。

串田委員 最後に、大臣に、パラリンピックに向けた決意というものをお願いしたいと思います。

鈴木国務大臣 まず、串田先生が、パラリンピックに、そして障害者スポーツに深い関心を寄せて、二〇二〇年東京のパラリンピック大会成功のために大変応援をしていただいておりますことに感謝を申し上げたい、こういうふうに思います。

 夏のパラリンピック競技大会が同一都市で二度行われるのは東京が初めてであるわけでありまして、それだけに、ぜひ東京の二〇二〇年パラリンピック大会を成功させなければいけないと思っております。

 私も、就任以来、パラリンピック競技大会が成功して初めて東京大会はトータルとして成功したことになるんだということを言っているわけでございますが、この東京パラリンピック大会は、パラリンピアンの方々が最高のパフォーマンスが発揮できるような、そういう世界最高の環境を整えたいと思いますし、そして世界じゅうの方々に夢を抱いていただける、そして感動を与える大会としてまいりたいと思っております。そのためにも、先ほど来お話がございましたとおり、御質問がございましたとおり、パラリンピックの認知度を上げていかなければならない。そして、その先に、競技会場が観客でいっぱいになるように努めてまいりたいと考えております。

 障害のある選手たちの圧倒的なパフォーマンスを目にすることができるパラリンピックは、誰もが生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けた絶好の機会であるとも考えております。東京大会を契機に、共生社会が次世代へのレガシーとしてしっかりと定着するよう、関係省庁と緊密に連携しながら、政府横断的に東京パラリンピック成功に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

串田委員 みんなで盛り上げていきたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十四分散会


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