衆議院

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第16号 令和元年5月22日(水曜日)

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令和元年五月二十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 大塚  拓君 理事 神山 佐市君

   理事 馳   浩君 理事 村井 英樹君

   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君

   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      上杉謙太郎君    小此木八郎君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      小林 茂樹君    笹川 博義君

      下村 博文君    白須賀貴樹君

      高木  啓君    中村 裕之君

      根本 幸典君    福井  照君

      船田  元君    古田 圭一君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      川内 博史君    中川 正春君

      初鹿 明博君    村上 史好君

      関 健一郎君    牧  義夫君

      稲津  久君    中野 洋昌君

      畑野 君枝君    杉本 和巳君

      吉川  元君    笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  諸戸 修二君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       松尾 泰樹君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    今里  讓君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     笹川 博義君

  吉良 州司君     関 健一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     八木 哲也君

  関 健一郎君     吉良 州司君

    ―――――――――――――

五月二十二日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第一〇四四号)

 同(三谷英弘君紹介)(第一〇四五号)

 同(中山展宏君紹介)(第一〇四六号)

 同(大河原雅子君紹介)(第一〇五一号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇五二号)

 同(宮川伸君紹介)(第一〇五四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇六七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇六九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇七〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第一〇七一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇七二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇七三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇七四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一〇七五号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇七六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇七七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇七八号)

 同(土井亨君紹介)(第一一〇八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一六四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件

 日本語教育の推進に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

亀岡委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官諸戸修二君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、総合教育政策局長清水明君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長白間竜一郎君、科学技術・学術政策局長松尾泰樹君、スポーツ庁次長今里讓君及び文化庁次長中岡司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

亀岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、高校中退者の問題についてお伺いをいたします。

 安倍政権となって以降、高校中退者は毎年平均して何万人でしょうか。その高校中退の理由を上位三つ教えてください。また、中退した後何をやっているかの調査をしているでしょうか。世の中、人手不足、外国人労働者の受入れ拡大という国策を推進する一方で、この高校中退者対策をきめ細かく行う必要があるのではないかと思います。

 また、自由民主党教育再生実行本部の高校教育拡充部会におきまして、義家弘介主査のもと、不登校、中退者、外国人、発達障害者の生徒の受皿と実質なっている通信制、定時制課程の高校について法改正を含む制度改正の時期ではないか、こういう提言をいたしております。この問題に関しての文科省の見解もお伺いしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御質問の、国公私立の高等学校における中途退学者数についてでございますが、平成二十四年度調査から平成二十九年度調査までの中途退学者数の平均は約五万一千人となっているところでございます。

 中退の理由でございますけれども、今申し上げました平成二十九年度の国公立の高等学校における四万七千人のうち、「中途退学の理由」の上位三つについてでございますが、第一位は「学校生活・学業不適応」の約一万六千三百人で全体の三四・九%、第二位は「進路変更」の約一万六千二百人で全体の三四・七%、第三位が「学業不振」の三千六百人で全体の七・六%となっているところでございます。

 高校を中退した後何を行っているかということでございます。ちょっと旧聞に属するので恐縮なんですが、平成二十二年度に内閣府が実施しました高等学校中途退学者の意識に関する調査というのがございまして、高校中退後おおむね二年の者を対象に現在の状況や中退時の状況などについて調査が行われているところでございます。

 これは文科省も企画、分析にオブザーバーとして参加したところでございますが、その調査結果によりますと、平成二十二年当時の状況として、「現在していること」という質問項目に対しての回答について、「働いている」は約五六%、「在学中」は約三一%、別の学校へ入っているということですね、「仕事を探している」が約一四%となっているところでございます。

 また、中途退学者に対してきめ細かく対策を行う必要があるんじゃないかという御指摘でございますが、中途退学を予防し、また、中途退学者に対する極めてきめ細かい支援を行うことは、生徒等の社会的自立にとって重要なものと考えております。

 文部科学省といたしましては、中途退学の予防の観点から、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置拡充など教育相談体制の充実、高校生等への就学支援の充実、実施などに取り組むとともに、生徒の学習意欲を喚起し、能力を最大限伸ばすための普通科改革の学科のあり方などについて、現在、中教審におきまして御議論を頂戴しているところでございます。

 また、中途退学者に対する支援といたしましては、学びを通じたステップアップ支援促進事業の実施により、地方公共団体における学習相談及び学習支援のモデル構築、再び高等学校等へ学び直す場合の就学支援などを行っているところでございます。

 一人一人の挑戦とチャンスを最大化すべく、今後とも、高校中退予防、高校中退者に対する支援を推進してまいりたいと思います。

 最後に、不登校、中退者等の受皿となっている通信制、定時制の制度の改正の時期だとの自民党の提言、それに対しての文科省の見解ということでございますが、高等学校の定時制、通信制課程は、勤労青年に高等学校教育の機会を幅広く提供するために発足した制度でございますが、御指摘のとおり、近年では、不登校や中途退学の経験者、特別な支援を要する生徒、帰国・外国人生徒、社会人等の学びの場としての機会を提供するなど、多様な学びのニーズの受皿としての役割を担っており、自民党教育再生実行本部の御提言は、こうした現状を踏まえてのものと認識しているところでございます。

 高等学校の定時制、通信制課程については、これまでも、生徒の多様化や時代の変化を踏まえ、昼間の授業の開設や学校間の連携の拡充など、履修形態の弾力化、単位制の導入、修業年限の四年以上から三年以上への見直しなど、さまざまな制度改正を行うとともに、多様な学習プログラムの構築に取り組んできたところでございます。政府の教育再生実行会議におきましても、時代の変化、役割の変化に応じた定時制、通信制課程のあり方について提言されたところでございまして、中央教育審議会に現在、専門的、実務的な検討をお願いしているところでございます。

 時代の変化等に応じた制度の見直しは不断に取り組むべきものと考えておりまして、今後も、教育再生実行本部の御提案や中央教育審議会の議論も踏まえ、定時制、通信制課程のあり方について検討し、必要に応じて制度の見直しにも取り組んでまいりたいと考えている所存でございます。

馳委員 矢野大臣官房審議官という立場で、具体的なデータや文科省の方針ということでお話しいただきましたが、ここはちょっと大臣の出番だと思います。

 まず、毎年五万人近く、したがって、安倍政権になって、どうでしょう、延べ五十万人近く中退者がいる。これは極めて大きな数字という認識を私は持ちます。同時に、きめ細かい対応をしていると言いながらも、その効果が本当に出ているのだろうか。国内のいわゆるこういう教育弱者対策をしないで、外国人労働者を専門的な技術があるんだから入れればよいではないかという議論になってはいけない、それはそれということで私は取り組むべきだとまず思っています。

 したがって、この高校教育の充実については、やはり大臣もリーダーシップを持ってぜひ取り組んでいただきたいと思っております。今ほどの矢野審議官の答弁を踏まえつつ、柴山大臣としての決意、お考えをいただきたいと思います。

柴山国務大臣 今御指摘をいただいたとおり、もちろん自民党にも、また中教審にもいろいろと御相談をさせていただいているところなんですけれども、何といっても、今、高等学校を中途退学され、あるいは不登校となっている生徒さんが大変多くいらっしゃるということをもっと我々は重く受けとめなければいけないというように考えております。

 もちろん、今御指摘になったとおり、例えば、定時制あるいは通信制課程が外国人生徒の、あるいは社会人等の学びの場としての受皿になっているということもそうなんですけれども、まずはそういった生徒さんがたくさんいらっしゃるということ自体に非常に大きな危機感を持って、特に普通科と言われている高校の課程をどのようにしていくか、もっと積極的にしっかりと生徒さんたちの声に耳を傾け、声なき声に対して、しっかりとした学びの場、あるいは専門性、積極性というものをどのように回復すればよいのかということも、例えばカリキュラムですとか類型化のような形でしっかりと主体的にメスを入れていく必要があるのかなというように感じております。

 いずれにいたしましても、今後、文科省としても、より積極的にこの問題については対応していくという姿勢で臨んでまいりたいと考えております。

馳委員 この問題の一つの要因を、皆さんも高校受験を経験しておられますから、そのときの進路指導で、恐らく覚えておられると思いますが、いわゆるでもしか普通科、偏差値輪切りの中学校の進路指導がこの背景にあると断言しても私は過言ではないと思っています。学びたいことがわからない、普通科にでも、あるいはこの偏差値しか、行くところがない、こういう消極的な選択の中で高校に進学したあげく、学業に対する意欲を失ってしまう、それはまさしく本来学ぶべき高校教育の場になっていないという現実があると思います。

 同時に、そのことの対策も必要ですが、せっかく入学した高校において、魅力のある授業や、そして高校進学した後のキャリア教育もセットで展開していくことが、思春期の子供たちの人生設計に向けて、また人格の確立に向けての大きな支えになると思われます。それがやはり高校教育の意義なのではないか。そういう高校教育を提供するから、高校に対しての就学支援金を国費の莫大なお金を使って提供している意味もある、このように私は考える必要があると思っております。改めて大臣の決意を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 これは、実は、前回、義家委員からも御指摘があったところにも絡みますけれども、今の進路指導、それから高校入学後の生きがいということをどのように考えるかということも含めて、残念ながら、生徒の具体的な要望、ニーズに従った形での対応となっていないということが非常に大きな問題になっているのではないかということなので、そういうことも含めて、やはりしっかりと、高校ももちろんそうなんですけれども、その前段階、それから高校に進学した後のさまざまな選択肢の確保、こういったことも含めて総合的な対策を打ってまいりたいと考えております。

馳委員 この点について一点。

 私も義家委員も高校で教員をしておりました。私は古文と漢文が専門で、義家さんは社会であったと思います。どういう先生であったかどうかは、まあ、評価はおいておいてですね。

 高校生諸君に毎日授業で向き合い、部活動で向き合い、また、さまざまな学校生活の場面で質問をされたり話しかけられるという立場をしておった者からすれば、やはり、より専門性を持った魅力のある授業を展開しなければいけない。また、この子供たちが社会に出たときに、基本的に教員として考えるのは、最悪の事態に遭ったときに、精神的にも、また、重要なポイントは、知っている人を知っている、つまり相談する人がいるということでありまして、そういうやはり安心感も提供していく。こういう生徒と教師との人間関係も含めて、一体的に提供していくのが高校教育の重要性、こういう認識をしております。

 柴山大臣には柴山大臣に、ほかの国会議員とは違った専門性また魅力というのがございます。改めて、高校で教師をしている方々への叱咤激励も含めて、教師がやはりしっかりと日常的な研修も含めて対応できるようにしていただき、同時に、教員、教師だけで対応できない問題等については、やはり専門性のある方に学校の外部からも協力していただけるような体制を、自治体と協力し、地元の経済界や各種団体とも連携しながら取り組んでいくことが開かれた高校教育につながっていくのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 高校時代の教員とそれから生徒との関係というのは、実は、その後の生徒の人格形成ですとか一生を左右するかもしれない大変大きな重みを持つものであるというように考えております。しかしながら、生徒さんの多くが、そういった人間関係を築くことができずに、あるいは学校に目的ややりがいを持つことができずに悩んでいる、あるいは、場合によっては、先ほど来御指摘になられているように、もう学校から遠ざかってしまうということは大変不幸なことであります。

 そういうことも踏まえて、また、先生方がより積極的に生徒さんたちと人間関係を築くインセンティブをやはり我々は与えていく必要があるというように考えておりまして、そのためにも、先生方の負担の軽減、あるいは、生徒さんたちと実際に正面から向かい合うことによって、先生自体のやはり大きな喜びとか、そういうものができてくるということを多くの方々にしっかりと紹介をさせていただくということ、それから、今我々が検討している働き方改革も含めて、今委員御指摘になられたように、社会全体で先生に対するやはり見方、尊敬の念をもっとしっかりと醸成をしていくですとか、あるいは学校に協力をしていくですとか、そういったことも含めて総合的な対策を打っていきたいと考えております。

馳委員 教育行政をリードする立場として、改めて、柴山大臣自身も、なぜあの高校に進学したのか、高校時代に何をどう考えて東大に進学しようとしたのか、東大に進学した後、どうして弁護士になろうと思ったのか。多分、それぞれの人生のターニングポイント、決断の背景にさまざまな要因があると思います。そこに恐らく教師の役割も少なからず果たしていたと思います。

 そういう一つ一つを、現在高校進学を控えている、あるいは高校生諸君にも、やはり柔軟に対応できるように、私は、教育行政の重要なポイントとして、大学に入るまでの受験予備校化していると我が国の高校教育が言われないようにぜひしていただきたいと思っています。

 次の質問に移ります。

 自由民主党の教育再生実行本部において、小学校の教科担任制を導入し、そのことによって、教師の働き方改革や、より専門性の高い学習指導を実現すべきと提言をしておりますが、例えば、小学校五、六年生の国語、算数、理科、英語、体育の五科目に教科担任制を導入すると、基礎定数として一体何人ぐらい必要になりますでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 御提言いただきました小学校の教科担任制につきまして、現在においても、子供の興味、関心や能力が多様化する高学年を中心といたしまして、一部の教科において教科担任制を実施している小学校があり、より質の高い授業の実現や小学校から中学校への円滑な接続、学校における働き方改革の観点から効果的と認識しているところでございます。

 この教科担任制につきましては、今、馳先生からお話のありました自民党の提言におきましても、小学校高学年において、専門性の高い教師による指導を充実し、子供たちが互いに切磋琢磨できる学習環境を確保するために教職員配置や教員免許制度のあり方を見直すということとされております。

 御指摘の、五科目について教科担任制を導入するに当たって必要なマンパワーということでございますが、学校の規模や、それぞれの教師が担当する学校種、教科の範囲によりかなり大きく変わってまいりますので、正確な数字をこの段階でお示しするのは困難であるというふうに考えております。

馳委員 正確な員数を今現在ではお示しできないというのであるならば、この教科担任制を小学校の高学年、五年生、六年生で導入するとしたら、どのような法改正、対応が必要ですか。

矢野政府参考人 小学校高学年への教科担任制の導入に当たっては、定数改善はやはり必要であろうというふうに考えております。

 また、義務教育を見通した、児童生徒の発達段階に応じた学級担任制と教科担任制のあり方についても検討すべきだろう。また、小中学校の学校種を超えた弾力的な教科担任の配置を促進するための教員免許制度の見直し。あるいは、学校の小規模化が進む中での、小学校高学年以降、中学校に至るまで、子供たちが互いに切磋琢磨できる学習環境を確保する。そういった検討が必要だろうというふうに考えておりまして、この点について、四月十七日に大臣より中央教育審議会に対して諮問を行い、検討をお願いしたところでございます。

 このように、新しい時代を見据えた学校教育の実現のために、教育課程、教員免許、教職員配置の一体的検討を中教審において深めていただき、文部科学省といたしましては、学校の指導、事務体制の効果的な強化充実に取り組んでまいりたいと考えております。

馳委員 少なくとも、定数改善とおっしゃった以上は、義務標準法の改正や教員免許法の改正など、必要な制度改正を要するものと思います。当然、見込まれる効果、そしてそのためのエビデンスなども持って、文科省として積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 この提言を出した背景を申し上げますと、ここはもしわかったら教えていただきたいんですが、小学校の先生は学級担任制です、一週間に、月曜日から金曜日まで、平均して一人当たり、授業のこま数、何こま担当していますか。

矢野政府参考人 現在、二十五こま程度というふうに認識しております。

馳委員 ここで大臣に聞かなきゃいけないんですね。

 二十五こま担当するということは、二十五こま分の授業準備時間が必要であり、二十五こま分の授業が終わった後の振り返りや、単元ごとの小テストのチェックや、あるいは生徒指導要録への記入などがあるんですよ、月曜日から金曜日まで。

 二十五時間、これを多いと思いますか、少ないと思いますか。そして、これは平均と、今、矢野審議官もおっしゃいましたけれども、平均ですが、多いと思いますか、少ないと思いますか。

柴山国務大臣 新しい学習指導要領なども踏まえると、やはり、小学校時点で学ばなければいけない内容というのは大変多くなっております。また、総合的な学習の時間の確保等も含めると、小学校時代に習得をしてもらわなければいけない標準授業時間数というものが定められるのは、私はやむを得ないと思っておりますけれども。

 今委員が御指摘のとおり、それを一人一人の生徒さんたちにしっかりと教えるためのさまざまな準備ですとか、生徒さんたちとの向き合う時間、あるいは振り返りの時間、こういったことも含めると、教員の負担という面からすると非常に大きい負担をもたらすものであるということは否めないのかなというふうに思っております。

馳委員 学習指導要領に基づいて標準授業時間数がありますけれども、文科省は、これを上限としていますか、下限としていますか、どちらでしょうか。

矢野政府参考人 現在では下限という考え方をとっております。

馳委員 現在は下限と言いましたね。

 いつから下限になったんですか。

矢野政府参考人 はっきりしたことはちょっと、私も知識を持っているわけではございませんが、前の前の学習指導要領の改訂、平成十三年度ごろではなかったかと記憶しております。

馳委員 二〇〇四年のはずです、平成十三年か十四年ごろのはずなんですよ。

 なぜ下限にしたか、その背景を御存じですか。

矢野政府参考人 当時、文部科学省はゆとり教育という言葉は使ったことはないんですが、いわゆるゆとり教育に対する御批判がかなり出ていた。それに対してしっかり文科省としても学力向上に努めていくというようなことで、例えば、当時の遠山大臣でございましたが、「学びのすすめ」等を公表した、そういった背景があったのではないかというふうに考えています。

馳委員 そのとおりですね。

 やはり、いわゆるゆとり教育に対する社会的な批判と、国際学習調査のPISA調査で、読解力を含めて下がってきているのではないか、これはちゃんと授業時間を確保して授業をやっていないんじゃないか、こういう指摘があったんですが、しかし、その下限にしたことによるしわ寄せが、先ほど私も大臣に指摘をした、教員の働き方改革に結局犠牲を強いているんですよ。このことをやはり直視する必要があるのではないか。

 したがって、標準授業時間数の下限としている、これは通知でやっているはずですが、この見直しも必要であると、私どもは議論を党本部で、教育再生実行本部次世代の指導体制実現部会、これは松野博一主査のもとで検討いたしましたが、標準授業時間数の下限も見直しの対象にすべきではないかと提言をいたしました。

 この問題についての文科省の現在の見解をお伺いしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、四月十七日に、大臣より中教審に、新しい時代の初等中等教育の在り方というタイトルで諮問させていただいておりますが、その諮問項目の中に、「年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方を含む教育課程の在り方」という内容を含んでおりまして、今後、中教審において議論をしていただくということになります。

 以上でございます。

馳委員 何でもかんでも中教審に丸投げすればいいというものじゃないんですよ。

 改めて、教師の働き方改革、また、基礎、基本を学ぶべき小学校において、理解の速度、コミュニケーション能力、これはやはり発達の段階にありますので、さまざまな差が出てきます。こういったときに、年間、学習指導要領そして標準授業時間数という枠を当てはめると、それに対応できない児童も教員もいる。その学校の状況によってまちまちだという現実を踏まえた上で、より弾力性のある対応が求められていると思いますし、今現在、先週も教育ICT化推進法というのを成立させていただきましたけれども、やはり教育現場におけるICT化は必須の条件となってまいります。柴山・学びのプランでもそのことを重要視しておられます。

 こういったことを総動員することによって十分に弾力的な対応をできると私は思いますが、ここは、大臣、御答弁いただきたいと思います。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 まさしく今おっしゃったように、さまざまな最先端の技術も含めた取組、それから、先ほど来答弁をさせていただいているとおり、学校自体の体制、そして、これは以前、野党の先生方からも御指摘いただきましたけれども、標準授業時数を大幅に上回った形でのカリキュラム組みをしている場合のしっかりとした是正の勧告、通知などのさまざまな手段を総動員させていただいて、先生の負担の過大な拡大をしっかりと抑えていきたいというように考えております。

馳委員 今後、中教審の議論も深まると思いますので、ぜひその観点を大事にして、またそれを実行に移していただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 下村文科大臣の時代に日本遺産という制度をスタートさせました。あれから四年。認定された日本遺産は本当に地域の資産として有効に活用されているのでしょうか。その政策効果を検証しているのでしょうか。文化、観光、産業、教育などを巻き込んでの経済波及効果をももたらしているのでしょうか。

 文化庁としては、認定したらそれで終わりではいけないと思っています。その後のフォローアップについて具体的にどのように行ってきているのか、お答えをお願いします。

中岡政府参考人 委員御指摘の日本遺産の政策効果、あるいはそのフォローアップでございますけれども、現在、去る五月二十日に新たに十六件認定して、全部で八十三件でございます。

 認定後の各認定地域におきましては、日本遺産のストーリーと地域の文化資源を有効に活用いたしまして、日本遺産センターの設置等による情報発信、あるいは地元食材を使った商品開発や販売、さらに地元の小学生が観光ガイドを行うことで地域の歴史に親しむなど、取組が行われているところでございます。

 このような取組の結果、例えば、島根県の津和野町や広島県の尾道市では、認定後に、外国人を含めました観光客数などの増加を達成するなどの効果も上がっております。

 一方で、日本遺産に認定されることがゴールじゃないということでございます。継続的な取組を続けていただくことが重要でございまして、このため、文化庁では、平成二十九年度から外部有識者によるフォローアップ委員会を設けまして、個々の認定地域の取組状況を評価し、改善点を伝達することによって事業改善を促しているというところでございます。

 また、認定の際にも、観光庁さんや、あるいはさまざまな有識者の御意見を尊重いたしまして、例えば、市町村レベルで、担当者がかわりましたらそれでもう引き継がれないということがないように、きちっと実行されるような体制をつくっていただくといったところも重要視をしているというところでございます。

 さらに、今年度から、QRコード等を使いました多言語解説の作成やリビングヒストリーの提供といった認定地域の魅力向上につながる取組への支援の充実も図ってございます。

 文化庁といたしましては、引き続きまして、各認定地域における取組を支援するとともに、フォローアップにしっかりと努めてまいりたいと考えております。

馳委員 これは、下村大臣、私も当時、党内において、日本遺産の制度設計、推進に随分力を入れてまいりました。したがって、フォローアップも必要だと思っておりますが、例えば、日本遺産と認定された地域に参りますと、そのエリアにのぼり旗が五十本ぐらい並んでいるんですよ。馳浩が街頭演説しているんじゃあるまいし、その景観も含めて日本遺産としての意味合いがあるのに、のぼり旗を立てるとは何事ですかと率直に思いました。

 また、昨年、法改正をして、この文化財の保護や文化資産の活用については、首長部局が担当することができるようになりました。ゆえに、自治体にとって、日本遺産をお願いしますと言っておきながら、認定した後、その自治体が、特に首長が責任を持って対応しない場合には、認定取り上げも私はすべきだと思います。

 埋もれた地域の歴史、文化、伝統、社寺仏閣など、こういったものをいかにパッケージとして子供たちに伝え、地域の貴重な資産として受け継いでいくのか、それを応援しようというのが日本遺産の制度の本来の趣旨であったと思います。

 改めて、そういう観点から、より日本遺産を、そのフォローアップの方に、文化庁も、経産省を始め、総務省始め、関係省庁と連携して力を入れていただきたいと思いますが、ここは大臣の決意を伺います。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 今御指摘になられたとおり、例えば観光戦略をどのようにしっかりと充実をさせていくかということは、省庁横断的に、例えば首相官邸などでも議論がされているところでありまして、文化財、あるいは日本遺産をも含めた、各地に埋もれていたものを注目してもらうための取組をこれまでずっとしてきたところなんですが、まさしく御指摘のとおり、フォローアップによって、自由度、あるいは、さまざまなツールがふえた日本遺産をどのように活用していくかということについて、十分に活用できているのかどうかということを、例えば、しっかりとフォローをして、何らかの指摘あるいは指導ということもできるのか、少し検討させていただきたいというふうに考えております。

馳委員 時間ですので、最後の質問になりますが、教育機会確保法について一点質問いたします。

 学校復帰を前提とするという、これまでの不登校対策として文科省から各教育委員会に出されてきた文言を洗い出して、教育機会確保法の基本方針に統一して、矛盾のないように削除、修正することを関係団体は要望し、二〇一八年七月十一日の国会超党派フリースクール・夜間中学校合同議員連盟の総会で、文科省自身が責任を持って行うという説明がなされました。

 その作業の結果どうなったか、そして、現場に十分周知徹底されているのか、このことの確認をさせていただきます。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 教育機会確保法に基づく基本方針につきましては、不登校児童生徒への支援に際しては、登校という結果のみを目標とするのではなく、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があるということを示されており、このことにつきましては、全国の教育委員会向けの会議等で周知を行っているところでございます。

 また、御指摘の、学校への復帰を前提とする表現については、基本方針で示された考え方を踏まえつつ、現在、文部科学省において見直しの検討を行っているところでございます。

 引き続き、教育機会確保法附則に基づく法の施行状況の検討を行っている有識者会議の委員の意見も参考にしつつ、可能な限り速やかに見直しの方向性について結論を得ていきたいと考えているところでございます。

馳委員 だめだよ、そんなのは。去年の七月十一日、議連総会で、文科省の担当者は、文科省が責任を持って見直しをしますと言ったんです。

 見直しというのは、法の基本方針からいけば、今現在は、学校復帰を前提として、学校に出てこられるようにという指導が保護者や児童生徒に対する極めて大きな圧力になっているから、そうではない指導というものも必要だということを指摘したわけでありまして、過去の通知も含めて、これはやはり、いつまでに見直しをするのか、このぐらい言ってもらわないと。去年からもう一年もたっていても検討中ですというのは、そんなお役所仕事は容認できません。

 もう一度答弁をお願いします。

矢野政府参考人 私どもとしても、学校への復帰を前提とするという表現については改めるべきだというふうに考えておりますが、一方で、憲法、教育基本法、学校教育法に基づく就学義務というものも重いということも事実でございます。

 したがいまして、私どもとしては、教育機会確保法の基本指針に示された、登校という結果のみを目標にするのではない、こういった中立的な表現を何とか工夫できないかというふうに考えておりまして、この夏、見直しを目指して、現在作業を進めているところでございます。

馳委員 その就学義務という一言を引き出したくてちょっと失礼な表現もいたしましたが。

 この就学義務のあり方は教育機会確保法見直しの大きなポイントにもなっておりますので、改めてこの問題についてはやりとりをさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。

 最初の質問は、外国籍の児童生徒の就学支援、また外国人の子供たちの多文化共生ということで質問させていただきますが、既にこのことについては、これまでも本委員会でさまざまな議論がなされてまいりました。一部重複するところがあるかもしれませんが、我が党としての、また私としての質問を通しての、しっかりとした政府の答弁をいただいて整理をしていきたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。

 最初は、公立学校における外国人児童生徒への支援についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 入管法が改正をされました。当然、今後外国人人材の受入れが我が国においては増加してくるのは間違いないわけでございまして、一方、現状であっても、我が国に在留する外国人は、これは平成三十年の六月末の時点の政府報告ですけれども二百六十四万人、また、就労する外国人も、平成二十九年十月末の時点で百二十八万人と、過去最多の人数となっている状況でございます。

 我が国に在留する外国人が帯同している子供も多数生活しているということは考えられるわけですけれども、まず、公立学校に在籍している外国人の子供に対して文部科学省は具体的にどのような支援を行っているのか、このことからお伺いさせていただきたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 公立学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒などの数でございますけれども、この十年間で一・七倍に増加しているところでございます。これらの児童生徒が日本における生活の基礎を身につけ、その能力を伸ばすとともに、共生社会を実現していくためには、学校において日本語指導を含めたきめ細かな指導を行うなど、適切な教育の機会が確保されることが必要でございます。

 そのため、文部科学省といたしましては、日本語指導が必要な児童生徒のための特別な教育課程を制度化いたしますとともに、昨年十二月に取りまとめられた外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に基づきまして、日本語指導に必要な教員定数の義務標準法の規定に基づく着実な改善、また、日本語指導補助者及び母語支援員の学校への派遣など地方自治体が行う支援に対する補助事業等を実施しているところでございます。

 この補助事業についての予算については、今年度予算においてさらなる充実を図ったところでございます。

 以上でございます。

稲津委員 今御答弁いただいて、日本語の指導それから総合的な対応ということで、教員の定数のことですとか、予算についても一定程度これは引上げをしている、そういう支援策を講じているということでございました。

 もう一方で、これも既に報道等でありましたが、学齢に達している外国人の子供のうち一万六千人程度が学校に行っていないのではないか、こういうことがありまして、私はこのことは非常に大きな問題だというふうに思っていますし、これが今後更にふえていくようなことがあれば、これは国としても抜本的な対応をすべきであろうというふうに、そういうことを痛切に思っているところでございます。これらのいわゆる就学をしていない子供たちに対しても学校で受入れを行い、適切な教育や支援を行うべきであろう、こう考えております。

 三月十八日でありましたけれども、毎日新聞の報道の中に、文部科学省は外国人の子供の就学促進を求める通知を発出して、さらに今後、就学不明児の実態把握調査を進める、このように仄聞いたしました。

 こうした外国人の子供の就学の促進、また、実際に就学の実態はどういう状況にあるのか、そうしたことの把握状況がどうなっているのか、この点についてお示しをいただきたいと思います。

清水政府参考人 外国人の子供の就学の促進、就学実態の把握の状況についての御質問でございます。

 御指摘のとおり、文部科学省におきましては、外国人の子供の就学の促進を一層徹底することを目的に、三月十五日付で、各都道府県、指定都市の教育委員会等に宛てまして通知を発出したところでございます。

 この中では、具体的には、就学案内の徹底、就学状況の把握、関係行政機関との連携、就学校や受入れ学年の決定における柔軟な対応等に関して、自治体に対して一層の取組を求める内容となっているところでございます。

 さらに、各自治体における外国人の子供の就学状況、また就学促進の取組の状況について把握をするために、五月の十六日付で、各市町村教育委員会等を対象とした調査の依頼を発出したところでございます。

 今後、それを取りまとめ、また、それをもとに検討していくということを通じまして、外国人の子供たちに対して適切な教育の機会を確保できるよう、文部科学省としてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 今御答弁いただいたように、三月十五日の通知、就学案内、それから、そうしたことを自治体にしっかりと発信しているということ等々についての答弁を今いただいたところでありますが、それはしっかり進めていただきたいと思うんですけれども、もう一方で、今度は高等学校への進学のことについてもきょうここで触れさせていただきたいと思います。

 外国人の子供が日本の生活習慣とか文化を身につけていくことができる、こういったことは、小学校、中学校の学校教育の場でも適切な教育機会の確保を進めていただくということがまず一つあると思うんですけれども、もう一つは、小学校、中学校において基礎的な学力をつけた、その後に、今度は高校への進学、こういうことを具体的に選択してくる。

 実は、私ども公明党はこのことに大変重きを置きまして、公明党教育改革推進本部、四月の九日に弘前大学の吉田美穂准教授をお招きいたしまして、外国人生徒の高校における教育や支援についてのお話を講義していただきました。吉田准教授からは、外国人の子供の高校進学率、これは察するところ、我々も理解はしていたんですけれども、日本人の子供に比べると低いということ、こうした状況を改善するために、高校進学に向けたガイダンスの実施、それから高校の入試の時点で外国人の特別枠の設定など、こうした取組が具体的に必要ではないか、このような指摘がございました。

 実際に、私どもも理解しているところによりますと、神奈川県においては既にこのような先進的な取組が行われている、このように聞いておりまして、この外国人の子供の高等学校への進学の促進、大変重要なことであるというふうに思っておりますが、文部科学省としてはどのように考えておられるのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 外国人生徒の高等学校への進学に関しましては、各学校において日本語指導を中心としたきめ細かな指導を行うことに加えまして、生徒とその保護者が進路を適切に判断できるよう、本人や保護者の日本語能力などを考慮しながら丁寧かつ詳細な進路指導を行うことが重要でございます。また、自治体が、多言語による説明や先輩の体験談なども含む進路説明会を行うといった取組も重要でございます。

 文部科学省といたしましては、先ほど説明いたしました帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業に関する補助金におきまして、こういった取組についても支援の対象としているところでございます。

 また、外国人生徒の高等学校への入学者選抜については、外国人生徒を対象とした特別定員枠の設定でありますとか、受験教科数の軽減等の配慮措置を講じている都道府県も存在しているところでございます。更にこうした取組が進められることが望まれるところでございます。

 こういった先進事例の周知や取組の促進などを通じまして、高等学校への進学を希望する外国人生徒とその保護者への支援を引き続き進めてまいりたいと考えております。

稲津委員 それで、今お話ありましたけれども、やはり実際に進路指導とか、それから高校入試等についての説明をしっかりやっていくということは非常に大事なことであると思っています。選抜のところの受験科目の軽減についてもお話ありましたけれども、いずれにしても、余り広く周知されていないところもあると思います。今しっかり御答弁いただきましたので、そうした点もしっかり進めていただくようにお願いをさせていただきたいと思います。

 もう一つ、具体的に、外国人の高校入学等の支援のための施策について伺っておきたいと思うんです。

 先ほど来私もお話しして、また御答弁もいただいていますけれども、この支援の促進が非常に重要なことでございまして、吉田准教授からは、神奈川県が実施をしている高校入学後の学習支援やキャリア支援などについての事例の紹介がありました。今、私たちのやりとりの中では、入学のところについては少しウエートがありましたが、実際に、今度は入学した後の具体的な支援策も必要であるということなんですね。

 神奈川県のように外国人生徒の各段階に対しての支援を行うこと、これは高校進学と進学後の学びに対して大変非常によい結果が出ている、効果がある、このように感じております。吉田准教授からは、外国人高校生の中退率が現実には高いというデータも示されました。やはり、入学した後にどういうフォローアップをしていくかということがもう一方で大事だということでございまして、例えば、将来、母国とのかけ橋になっていく、そういうグローバル人材でもあるわけですね。

 したがって、入学したはいいけれども、道半ばでドロップアウトしないように、ぜひ国においても、高校生としての入学後の生徒に対する、今私が申し上げたようなことの支援も必要であろうと思いますが、この点についての見解を伺いたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 外国人の高校生の入学後の支援についてのお尋ねでございますが、こちらも非常に重要と考えております。

 外国人の高校生に対しまして、小中学校段階と同様に、日本語指導補助者及び母語支援員の学校への派遣など地方自治体が行う支援に対して、補助事業をこれまでも実施してきたところでございます。

 今年度予算におきましては、これに加えまして、さらに、高等学校等が企業、NPOやボランティア等の地域の関係団体と連携をして、外国人高校生に対するキャリア教育、進路相談会を始めとした包括的な支援を行う取組をこの補助金でもって支援するという内容を新たに盛り込んだところでございます。

 文部科学省といたしましては、こうした取組の状況を踏まえながら、引き続き、外国人高校生に対する教育の充実に努めてまいりたいと考えております。

稲津委員 この問題のテーマの最後に、大臣にお伺いしておきたいと思います。

 今、私は小中学校のところ、それから高校入学、そして高校に進学した後のこと等の国の支援について求めました。いずれにしても、母国に戻って活躍するグローバル人材、日本と母国とのかけ橋になっていく、それもそうでしょうし、当然、我が国に残って頑張っていく、そういう大変重要な人材ということにもなっていく。我が国における外国人との共生社会を進めていくためにも大変意味のあることだと思っています。

 そこで、大臣に改めてお伺いしますけれども、外国人の子供の教育について、今後どのような考えのもとに施策を講じていくのか、大臣のお考えを明らかにしていただきたいと思います。

柴山国務大臣 ありがとうございます。

 今委員から御質問がされたように、外国人児童生徒等の学校への受入れ、日本語の指導も含めてきめ細かな指導を行う、しかも、それぞれ発達段階に応じたきめ細かな対応をするということがこれから大変重要になってくるかと思います。

 先ほども紹介をしましたけれども、昨年十二月に取りまとめられた外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に基づいて、私ども文部科学省といたしましては、しっかりと、地方自治体が行う取組に対する支援を実施してまいります。

 また、ことし一月に省内に設置した外国人の受入れ・共生のための教育推進検討チームにおいて外国人児童生徒に対する教育の充実を含めた議論を行うとともに、今後、中教審においても、増加する外国人児童生徒等への教育のあり方について検討を深めることとしております。

 こうしたさまざまな場面における議論を踏まえつつ、共生社会の実現に向けて、引き続き、外国人児童生徒に対する教育の充実を図ってまいりたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。ぜひしっかり進めていただきたいと思います。

 時間がかなり迫っていますので先に進みたいと思いますけれども、先ほど馳先生からも質問がありました小学校の教科担任制について質問したいと思いますが、数点あったんですけれども、時間の関係上、まとめて二点ばかりお伺いしたいと思います。

 まず一つ目ですけれども、小学校における教科担任制の導入ということで、これは四月十一日の日経新聞で拝見しましたけれども、浜松市で全国に先駆けて小学校五、六年生で教科担任制を始めたと。そこで、まず、どの程度の小学校が教科担任制を導入しているかということでございますが、むしろ、それよりは、教科担任制が導入されたその理由について、承知している範囲でお答えいただきたいと思います。

 それから、今後の検討スケジュールということで、あわせてお伺いしたいと思いますけれども、私は、小学校において教科担任制を充実すれば、一人の教師が担当する教科数が少なくなって、一つ一つの授業の準備に大変力を入れることができる、質の高い授業を確保できるというふうにも考えております。その意味で、ぜひ小学校における教科担任制の導入を進めていくべきと思っておりますが、今後どのような検討を進めていくのか。

 この二点、まとめてお伺いさせていただきます。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度における教科担任制の実施状況に関してでございますが、これは学校数ということではないんですが、どれぐらいの授業がそうなっているかという中身でございますが、音楽で約五六%、理科で約四八%、家庭科で約三六%、外国語活動で約二〇%の小学校が第六学年において学級担任以外の教師による指導を行ったことが、文部科学省の調査結果からわかっているところでございます。

 また、小学校高学年におきまして教科担任制を実施している教育委員会でこれを導入した理由ということでございますが、専門性を生かした学習指導や小学校から中学校への円滑な接続を促進する理由として掲げられているということでございます。もう一つ、学校における働き方改革の答申にもございますとおり、小学校における教科担任制の充実が学校における働き方改革の観点からも重要だ、こういったような点から導入がされているものというふうに理解しております。

 また、どのようなスケジュールでというお尋ねでございますけれども、四月十七日に文部科学大臣から中央教育審議会に対して、新しい時代の初等中等教育の在り方について諮問がなされておりまして、義務教育九年間を見通した児童生徒の発達段階に応じた学級担任制と教科担任制のあり方や、習熟度別指導のあり方など今後の指導体制のあり方、学級担任制を重視する段階と教科担任制を重視する段階に捉え直すことのできる教職員配置、教員免許制度のあり方等について、中教審の初等中等教育分科会のもとに置かれる予定の特別部会などで議論される、審議されるということになっておるところでございます。この諮問につきましては、二〇二〇年末ごろまでに検討結果を取りまとめていただきたいと考えているところでございます。

稲津委員 終わります。

亀岡委員長 次に、中川正春君。

中川委員 立憲民主党・無所属フォーラムの中川正春です。

 質問の時間をいただいて、感謝を申し上げたいと思います。

 本論に入る前に、先般から問題になっています白須賀政務官の危機管理の問題について、大臣の姿勢といいますか、大臣の考え方をちょっと整理しておかないといけないかなということで、まずそこから質問に入りたいというふうに思います。

 これまでの議論では、一時間以内に戻れるというルールを、白須賀政務官本人もその範疇の中で行動してきたということを言っていますけれども、政務官の、電車と自動車の乗り継ぎで一時間という説明で大臣は納得しているということか、ここですね。

 現実に災害が起こっているさなかの問題として捉えれば、これは東京以外のところで起こる災害と、それから首都直下あるいは南海トラフ等々を含めて今ここで起こる災害と、両方の想定があるんだと思うんです。

 私は、首都直下に対して非常に危機感を持ちながらその防災対策を考えているさなかであるだけに、これは自動車や電車を想定したというような話ではなくて、やはり徒歩で一時間とする、この考え方というのが普通じゃないか、こういうふうに思うんですが、そこのところを大臣はどう判断して政務官に対して対応していこうとしているのか。まず、そこから聞いていきたいと思うんです。

柴山国務大臣 平成十五年十一月二十一日閣議了解の「緊急事態発生時における閣僚の参集等の対応について」という取決めにおきましては、各閣僚は、緊急事態が発生した場合には、あらゆる手段を用いて速やかに参集するということとされております。

 今委員が御指摘の、例えば東京二十三区内で震度六強以上となる首都直下型等大規模地震の発生時には、参集のための移動方法等について、道路の利用が可能な場合には、必要に応じ警察パトカーなど緊急自動車の活用を、そして、道路の利用が不可能な場合等には、必要に応じヘリコプター等の活用を図ることとされております。

 もとより、国及び国民の安全に重大な影響を及ぼすさまざまな緊急事態に迅速かつ的確に対処することができる体制を構築することは、政府の重要な責務であると認識をしております。今委員からの御指摘も踏まえて、緊急事態対応に係る責務を改めて認識するとともに、在京当番の運用ルールのあり方については、他省庁の状況も参考にしながら、引き続き、緊急事態対応について遺漏のないよう万全を期すべく、政務官等も含めてしっかりと共有をしていきたいと考えております。

中川委員 論点をそらしちゃだめですよ。

 単純に、文科省でつくっている一時間以内というルールが、大臣にとっては、これは徒歩で一時間ということを想定したルールだということかどうかということを聞いているんです。端的に答えてください。

柴山国務大臣 ちなみに、大臣が東京を離れる場合の在京当番の運用については、府省統一的な基準があるわけではなく、各省に運用が任されているところでありますけれども、文部科学省としては、緊急事態発生からおおむね一時間以内に官邸等に参集できる態勢をとるということとしております。

 そして、交通手段については、先ほどお話があったとおり、特段の限定は設けておりません。ですので、通常の手段を用いておおむね一時間以内に官邸等に参集できる態勢ということで、我々文部科学省といたしましては、これまでの発生したさまざまな事象についての経験に基づいた運用をさせていただいているところであります。

 もとより、国及び国民の安全に重大な影響を及ぼすさまざまな緊急事態に迅速かつ的確に対処することが重要であるというように考えておりますので、他省庁の運用も参考にしながら、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

中川委員 ここは大臣みずからが判断しなきゃいけないところだと思うんですよ。

 もし、文科省が想定の中で徒歩でなかったということであるとすれば、それは基準のつくり方が間違っているんだということ、これを反省しなきゃいけない。仮に、そうじゃなくて、南海トラフあるいは首都直下も含めた東京地帯の想定の中で、一時間以内で徒歩ということであるとすれば、政務官の責任を問わなければいけない。どっちかなんです。

 それをはっきりしなきゃいけないんだけれども、恐らくまた長いこと答弁するんだろうと思うので、このことについて恐らくまだ大臣自身の頭の中で整理ができていないと思うんです。それをしっかりした上で、次、機会を見てここを確かめていきますから、整理をしてください。

 それから次に、緊急事態発生時の閣議了解では、「各閣僚は、いかなる時にも連絡がとれるよう、各省庁等において連絡先を明確にしておく。」ということが定められています。これは政務官が代理をする場合でも求められることだろうというふうに思います。そして二番目に、「各閣僚は、秘書官との連絡の途絶やSPの不在等不測の事態が発生した場合を想定して、最寄りの警察署、参集経路、移動方法等を事前に確認しておく。」、こういうふうに記されています。

 白須賀政務官がここまで周到な準備をした上で千葉県で政務活動をしていたということだったというふうに大臣は把握をしていますか。それとも、文科省として、緊急連絡をとるために代理の二役の行動と連絡手段の把握は事前にしておかなきゃいけないところなんだけれども、これをしていたかどうかという確認は、大臣、ちゃんととっていますか。そこのところの実態をどのように大臣が把握されて、それをどこに問題があったという形で整理をされているのか、ここも聞いておきたいと思います。

柴山国務大臣 今御紹介をいただいたとおり、平成十五年の閣議了解においては、各閣僚が最寄りの警察署、参集経路、移動方法等を事前に確認しておくこととされております。

 最寄りの警察署に届出をしておくことまで求めているものではありませんけれども、今御指摘になられたような形で、しっかりと不測の事態に備えた移動のための準備をしておかなければいけなかったというように思っております。この点については、改めて、我々政務三役で周知をしていかなければいけないというように思っております。

 白須賀政務官におかれては、在京当番中の活動において、最寄りの警察署などを確認していたと承知をしておりますけれども、引き続き、私も含めて、緊急事態対応において遺漏のなきよう万全を期してまいりたいと考えております。

中川委員 これは文科省自体が、政務官の活動、どこにいるのか、どういう形で連絡経路というものを確保していったらいいのかというのは管理をしなければならない、そういう前提の書き方あるいは指示の仕方だというふうに思うんですね。それができていたかどうかということを、大臣、ちゃんと確かめないといけないというふうに思うんです。

 同時に、政務官も、そのことに対して、事前に文科省に自分の行動予定というものをしっかり連絡しておく、周知しておくということ、これが大切だったということだと思うんですが、それもできていないということ。このことに対して、政務官のそれこそ危機管理への認識が問われる、あるいは文科省そのものの認識が問われるということが、この五月十四日付の中日新聞の報道で言われていることだと思うんですよ。

 それに対してどういう形で処理をするか、処置をするか、特に政務官に対してどういう形で指示をし、また注意をするか等々、整理をした上で答えていただきたいというふうに思います。

柴山国務大臣 今般の御指摘も真摯に受けとめて、政務官あるいは政務三役についてのしっかりとした、経路の事前の周知徹底も含めて、緊急事態対応について遺漏なく万全を期すよう、白須賀政務官はもとより、我々、共有をしていきたいと考えております。

中川委員 今回のことをどうするかというところもちゃんと答弁してもらわないと困るということであります。しっかり整理して考えて、また後ほど確かめていきますから、質問という形で確かめていきますので、大臣としての見解の表明をしていただきたいというふうに思います。

 さて、本論に入っていきたいと思うんです。

 一つ、きょうのテーマは三つぐらい用意をしてきたんですが、まず、東京の一極集中あるいは少子化、過疎化ということの中で、学校をどうしたらいいか。

 恐らく、それぞれの地域、地方で少子化が進んでくる、そんな中で、自分たちの地域をどのように活性化していったらいいか、あるいは学校を中心にどのようにコミュニティーを組み立てていったらいいのかということを、苦悩しながら対応をしてきている。この十年、二十年というのはそういう時代なんだろうと思うんです。

 具体的には、過去十年間で公立の小中学校の児童生徒というのは一〇%減少したと言われています。これから十年先の見通しというのを文科省の方でどのように見ているか。

 また、これは過疎地域や離島などに集中して進んでいる現象だと考えているんですけれども、一市町村に一小学校一中学校、そういう市町村がもう既に一三%になってきていると言われています。こういうことを含めて、これから先、どのようにこれが加速してきて、将来のあり方としてどのような学校配置を考えているのか、そこのところをまず答えていただきたいと思います。

柴山国務大臣 今委員が御指摘になられたとおり、少子化が今後更に進展をしていくことによって、学校の小規模化に伴って、児童生徒が集団の中で切磋琢磨しながら学んだり社会性を高めたりすることが難しくなるような課題が顕在化することが、現に生じておりますし、今後ますます進んでいくということが考えられますので、教育的な視点から、こうした課題の解消を図っていく必要があります。

 その際には、地域コミュニティーの核としての学校の役割もやはり十分に考慮する必要があることから、市町村が学校の統合によって魅力ある学校づくりを行って地域の活性化を図るという選択肢と、地域の総力を挙げて、小規模校であってもメリットを生かして、デメリットは緩和しつつ学校の存続を図るという選択、いずれの選択も尊重するべきものと私どもとしては考えております。

 学校の配置につきましては、児童生徒の負担、また安全面、こういったことにも配慮しつつ、地域の実態を踏まえて適切に通学条件や通学手段が確保されるように考慮する必要もあります。

 文部科学省といたしましては、こうした学校の適正規模や適正配置に関する市町村の主体的な検討や具体的な取組を支援するために、平成二十七年一月に手引を作成するとともに、すぐれた取組モデルを創出するための調査研究を実施してまいりました。

 今委員から御指摘になられた、一市町村一小学校一中学校という市町村が既に一三・三%に上っているという状況などを踏まえ、まさしく直近になりますが、平成三十一年四月十七日の中教審に、新しい時代の初等中等教育の在り方について諮問をさせていただいたところでありまして、今後、児童生徒の減少による学校の小規模化を踏まえた自治体間の連携、あるいは小学校、中学校の連携も含めた学校運営のあり方についても御審議をいただいてまいります。

中川委員 私もいろいろ資料を読ませていただいたんですけれども、基本的には、市町村の自主性を尊重します、その地域地域に合った形でやってください、統合しようが廃校にしようが、あるいはまた廃校したものを生き返らせるというプログラムであろうが、それぞれ支援しますよと。これでは答えにもなっていないし、戦略にもなっていないんですよ。

 例えば、統合したときに、どういう形でもう一回学校としての信頼感と、その地域で学校が中心になって生き返っていく、そんな具体的な戦略があるとすればこういうメニューがありますよ、こういう形で最終的には我々文科省として応援をしていきますよという、いわゆる客観的に納得できるようなビジョンといいますか、そういうものを加味した形で提示をしないことには、今言っていることといったら、それぞれでやってください、しっかりそれを応援しますよと言っているだけの話だと思うんですね。これでは、恐らく地域にとっての、特に小中学校の存在感といいますか、これを生かすような形にはなっていかないというふうに考えます。

 そこについて、審議会の方で議論ということになりますが、恐らく審議会でも同じようなことを言うんじゃないかと思うんです。大臣、そこはもう一つ頑張ってもらって、踏み込んでいく、ビジョンをしっかり出していくということ、これをやっていただきたいというふうに思うんです。

柴山国務大臣 何でも地域あるいは中教審にお任せというわけにはいかないのは、もうおっしゃるとおりであります。

 例えば、私どもといたしましては、地域において魅力ある学校づくりを進めるためには、遠隔教育の活用ということは非常に大きなツールになるのかなというように思っております。他校との合同授業を継続的、計画的に実施して、多様な意見に触れる機会を創出していく。そして、あるいは、学年を相互に連携させる小中一貫教育もしっかりと進めていく。こういったことによる一定の集団規模を確保していくということ。

 あるいは、コミュニティースクールを導入させていただいて、地域人材の効果的な参画もしっかりと促していくことによって、児童生徒の社会性を涵養していく。あるいは、例えば他地域の学校や本校、分校の間で学校間のネットワークを構築したり、スクールバスなどを活用して合同授業や合同行事を行っていくなどの取組を進める、そういった事例もあると承知をしております。

 文部科学省といたしましては、これまで、統合による魅力ある学校づくりですとか、あるいは統合が困難な地域における教育環境の戦略的な充実を行っていくという、委員の問題意識も踏まえて、さまざまなモデルをやはりしっかりと周知をする努力をしていきたいと考えております。

中川委員 先ほどのICT教育であるとか、あるいはコミュニティースクール、また小中一貫、これは一般的なメニューなんですね。それをどうパッケージにして組み合わせて特定のところへ向いてプログラムとして入れるか、そういうところまでいかないと、こういうものがありますよという形だけではだめなんだ、これを指摘しておきたいと思います。もう少ししっかりとしたビジョンというものを打ち出す必要がある、これを指摘しておきたいと思います。

 次に、高等学校なんですが、進学や就職指導で都市部に流出する人口動態が今どうなっているのか。地元志向に転換する方途があるとすれば、どのようなものを考えているのか。高等学校レベルで流出する人口というのは本当に大きな課題に今なっているんだと思うんですが、それに対する対応策、お願いします。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、高等学校を卒業した後にその卒業生が都市部に出ていってしまうという実態、あるいは、都会の大学に進学をすることによってその地域に戻ってこないというような事象があることは、大変、我々としては、しっかりとした対応をしなくてはいけない事象だというように考えております。

 やはり一つの解決策というか考え方といたしましては、高等学校の段階で地域の産業や文化などへの理解を深めていく、それがその後の地元定着ですとかUターンなどにも資するというように考えております。

 また、先ほど紹介をさせていただいたソサエティー五・〇を地域から分厚く支える人材を育成して、高等学校と地域が共同して、地域課題の解決などをしっかりと、さまざまなツールを通じて目指していく、探求的な学びの機会を地方でも創出する、こういったことも重要ではないかというように考えております。

 このため、令和元年度予算では、高等学校と市町村、企業などが共同してコンソーシアムを構築し、地域において体験と実践を伴ったカリキュラムの構築を行う取組を支援するための経費を措置したところであります。もちろん、これには地域の大学の関連学部などにも参加をしていただくということが極めて有益だと考えております。

 また、本年四月には、高等学校と地域社会の協働による教育のあり方を含む新しい時代の初等中等教育の在り方について、これも中教審に諮問した項目の一つでもございますので、いずれにいたしましても、必要な検討によって、高等学校における地域人材の育成ということを推進していきたいと考えております。

中川委員 次に、大学なんですが、これも今、地方の、特に私立の大学が非常に経営的に困難な状況に陥っているということ、これも少子化の現状なんですが、それ以上に、恐らく都市部へ向いて学生が出ていくということからくるんだと思うんです。

 にもかかわらず、今回の授業料無償化に、大学の経営状況を基準として、状況の悪いところに対しては無償化を入れない、そういう基準をつくりました。これは恐らく地方の私立の大学にとっては、非常に大きな問題といいますか課題になってくる可能性があります。

 そこのところを、これでいいのかということを指摘しておきたいのと、それから、地方創生という形で地方大学に照準を当てると、産学官の共同体系ということで、地域の企業と組んでさまざまなプロジェクトをやっていこうということなんですが、具体的にはなかなか現実のものになってこないという形があります。なぜならば、実態としては、研究開発プロジェクトの巨大化で、旧帝大国立大学と早稲田、慶応などの主要大学に資金が偏って、地方大学では具体的な事業形成と民間資金の活用が行われていない、こういう実態があるんですね。これについて改めて見直していく必要があるのではないかということ、これを指摘しておきたいと思うんです。

 同時に、民間から入れてくる資金というのは、研究者個人のプロジェクトの分野であって、必ずしもその地域でということではない、全国ベースで連携をしていこうというふうにするわけですよ。企業はそういう形でやりますから、地方大学がその地域をベースに産学連携の絵を描いても、国の助成を求めても、その地域で根差したようなプロジェクトにはなっていかない、そこに矛盾が一つあるということ、これも指摘をしておきたいというふうに思います。

 もう一方で、地方大学というのは、教育や医師なんかを中心に、地域の高度な人材育成の中心機関として役割を担ってきました。本来はこの分野の産学官の連携が生まれなきゃいけないんですが、実態は、どれだけの大学が医師をちゃんと地元に供給している、そういう状況になっているのかどうかということ。

 これはもう前から指摘がされていますけれども、教育学部等々を含めても、その地域の教育体系であるとか、あるいはいろいろな、さまざまなプロジェクトをいわゆる地域の行政と一緒に組んでいくような形であるとか、そんなところにどれだけコミットをして、そしてそういう意味での地域創生を担っているかということになると、ここのところに関心を持っていっていないんですよ。

 文科省のメニューというのは、そういう形でこれを評価するわけではなくて、研究開発をいわゆる地方創生で刺激をしていこう、そういう分野に、いわば派手な分野に偏ってしまって、実際に、その地域の高度人材と、それからベースになるものをその大学が地道に供給をしていく、あるいは役割を果たしていくということに対しての視点というのが私は欠けているように思うんです。

 そういう意味で、もう一回、地域の大学のあり方というのを、それこそ、地域の活性化を具体的にそこから支えていく役割として、どういうふうに持っていったらいいのかということは考え直していかなきゃいけないだろうというふうに思います。

 そういう点を指摘させていただいて、もう時間が来ている……(柴山国務大臣「あと五分あります」と呼ぶ)もうちょっとありますね。では、どうぞ。

柴山国務大臣 それぞれ極めて重要な御指摘ですので、ぜひ答弁をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の大学等改革というものが、かえって地方の中小規模の私立大学の経営の圧迫要因になってしまうんじゃないかということについては、これは、我々としては、さまざまな指標を出してもらうことによって改革のインセンティブをつけようということなんですけれども、それは決して地方の大学の切捨てをしようとすることではなくて、むしろ地方の大学の、地域に根差して地域に貢献できる人材づくりですとか、あるいは、先ほど申し上げたようなプラットフォームの成功事例などを後押しすることによってそういった基準のクリアにつなげていこうという、この指導とか働きかけもしっかりと行っていこうという取組であるということをまず冒頭申し上げたいと思います。

 その上で、地方大学が、研究者個人の共同研究や基礎が中心の研究では大規模大学や大企業の連携ということになってしまって、なかなか地方中心の産学連携というものが進まないのではないかということ、これも非常に大きな問題提起でありますので、私どもといたしましては、地方大学が持つ有望な研究シーズを磨き上げて、地域の企業に確実に技術移転などが行われ事業化が進む、地域イノベーション・エコシステム形成プログラムを実施しているところであります。

 本事業を通じて、例えば御地元の三重県でも行われるような、地元大学を中心とした、自治体や地域企業も含めた地域全体としてのイノベーション、これがどんどん生まれていくエコシステムの構築を目指していきたいというように考えております。

 それから、産業のみならず、医師、教員、林業、農業などの地域の人材を育成する機関としての役割を決して軽く見るべきではないという御指摘、これも全くごもっともであります。

 地域における大学は、地方創生を担う人材育成や地域産業の活性化に貢献をしているということでありまして、例えば医師の養成において、地域医療に従事することなどを条件とする地域枠の設定を推進するということを明示させていただきました。平成二十九年三月には、医学教育モデル・コア・カリキュラムを改訂した際に、地域医療に係る学習目標を充実させるなど、地域の産業を支える人材の育成を推進してきたところでございます。

 御指摘の、学生の卒業後の活躍の場を地域に確保するということも極めて重要なことから、今後、学生の地元定着も含めた地域の課題を、大学と産業界が議論、まずは連携するための、仮称、地域連携プラットフォームの構築を引き続き進めていくとともに、大学における地域貢献を推進していきたいと考えております。

中川委員 ある意味、これは大学の役割といいますか、類型化をしていく必要があるんじゃないかというふうに思うんですね。

 世界的な基礎研究を中心にした研究開発をやっていくような大学というものと、あるいは地方で、さっき申し上げたような人材供給の基礎であるとか、地域の企業とこれは基礎というよりも応用分野で一緒に組んでいきながら実用化していくものを研究開発していく、そういうものであるとかというものがやはり区別されて、機能がそれぞれ働いてくるんだろうというふうに思うんです。そこのところの、いわゆる地域、地方に対しての戦略を前提にした大学のあり方というものをもう一度考えていく必要があるということを指摘しておきたいというふうに思います。

 同時に、研究開発の資金なんですが、これは見ていると、民間とそれから大学だとか研究開発機関、合わせて十八兆円から十九兆円と言われていますよね。そのうち大学にどれだけ資金が回ってきているか。民間だけでいくと十三兆円ぐらいだというふうに認識しているんですが、その民間資金の十三兆円のうち大学にどれだけ回ってきているかというと、前々からこれは指摘されていることですけれども、五百億円から六百億円ぐらいのところで推移をしているということなんですね。幾ら号令をかけても企業とかみ合わないというか、そういう状況が日本で独自に続いている。これは、日本の二・六%、五百億円で二・六%ぐらいに対して、ドイツあたりでは一四%とか一五%の資金がこうした研究機関に流れている、こういうことですね。

 ここのところをもう少し分析しないと、このまま民間と共同開発を進めていこうといっても、なかなかそういう形にはならないということだと思うんです。ここでも役割の分担といいますか、研究機関の二つの役割の分担をしていく必要があるんだと思うんです。

 基礎研究を大学にやらせていくということであれば、そのような絵を描いて、基礎研究の部分というものについては税金を使いますよということで、応用研究で、企業と一緒に、企業の投資のもとに戦略的にやっていくんだということであるとすれば、その大学と、あるいはそれは大学の一部にするのか、それとも研究機関にするのか、そういう分け方を基本的に考えて、外に対して、この研究機関、この大学はそうした目的を持ってつくられているんだということを表に出しながら資金誘導する、あるいは共同研究をする、その整理ができていないんですね。

 全て混沌として、それぞれ、この機能もあの機能もあれもこれもという形でやってしまっているというのが日本の今の大学あるいは研究機関の現状ではないかということを常々私は考えてきたんですけれども、そこのところの戦略を、改めて大臣はどのように認識されているか、また問題意識として持っておられるか、お聞きをしたいと思うんです。

柴山国務大臣 外国に比べて、日本においては大学の研究に対する民間企業の投資が極めて少ないということが、非常に重要な私どもの課題となっているということは承知をしております。

 大学のすぐれた研究成果や技術シーズをスピード感を持って民間企業における市場創出につなげていくということが大事でありまして、民間企業においても、最近はオープンイノベーションへの期待が高まっております。そういうことから、将来を見据えた大学の基礎研究領域における共同研究への取組も活発化し出しておりますので、例えば阪大と中外製薬における免疫学研究に関する包括連携契約なども結ばれているところでもございますので、文部科学省といたしましては、継続的なイノベーション創出を後押しするために、マッチングをしっかりと行っていきたいというように考えております。

中川委員 以上、終わります。

亀岡委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 きょうも質疑の機会をいただきました。ありがとうございます。

 早速質問に入ります。

 残念ながら、この件から始めなければなりません。白須賀文部科学大臣政務官が在京当番で不在だった件であります。

 私自身も文部科学大臣政務官の経験者でございました。その私を含めて、政務官を経験させていただいた者ならば、今回の、十三日も在京当番を不在にしたというこの危機管理意識の余りの薄さに大きな憤りを感じる、これは私だけではないというふうに思っています。

 文部科学省は一生懸命にかばっています。おおむね一時間以内の移動、こういう閣議了解の解釈のお話、文部科学省としてはという説明であります。

 ただ、衆議院の審議においても、そして参議院でも幾度か取り上げていただいておりますけれども、この移動の部分だけでも非常時や有事を前提にすべきというのは当然であります。先ほども先輩委員から、徒歩で一時間なのか、そこが重要だと御指摘もあったところであります。当然のことだというふうに思います。

 私の在京当番当時は、都内二十三区内に待機をいたしておりました。近隣での政務の参加の相談もいたしましたけれども、移動時間の関係から、文部科学省職員に、当時、とめていただきました。ですので、国会周辺で書類整理などを行っていたというのが実際でございました。こうした対応は、ほかの大臣政務官も同様だというふうに考えています。

 この危機管理意識の余りの薄さから、野党各党からも辞任要求が出ているのは当然だというふうに思っています。ところが、白須賀大臣政務官は、この在京当番時のみずからの緊急事態対応について、十三日も都内を不在にしておきながら、衆議院の審議では、今後配慮したいなどと言って、おわびも反省も謝罪も口にされておりません。

 正式におわび、謝罪をすべきだと考えます。委員会の場での正式な謝罪をぜひお願いします。

白須賀大臣政務官 今、城井委員から、私の危機管理についての質問もございましたので、少しお話をさせていただきたいと思います。

 これは城井委員に理解を深めていただきたいという思いでお話をさせていただきますが、私の今回の件の、在京当番中の政務に関しては、もともと、これは文部科学省のルール、おおむね一時間という中の範囲でございます。これはまず置いておいてください。

 そしてもう一つ、私は、政務官就任以来、これは在京当番であろうがなかろうが、私のほとんどの政務活動に関しては、おおむね一時間以内、これは文部科学省の危機に対する参集ルールに基づいて、ほとんど私の政務はそのおおむね一時間の範囲でやっております。もちろん海外出張もございませんし、他県、千葉県と東京都以外の県に行ったのは、公務以外はほとんどございません。もちろん、当たり前ですけれども、政治家の方々は皆さんそうでございましょうが、家族旅行もしておりません。

 これは、私が在京当番でなくても、ほかの二人の副大臣そして政務官が、ほかの方々が在京当番であっても、先ほど中川委員が御質問があったとおり、万が一、首都直下型の大きな大地震が来たときには、これは交通手段で参集できないという理由もあるかもしれませんが、万が一、副大臣、在京当番の方が大けがをされて行動不能になる、最悪の場合亡くなるという可能性もあります。そのときに参集できる可能性のあるのは隣県の千葉県の私だけだと思っておりますので、私は、自分の政務活動においては相当制限をかけてきました。もちろん飲酒等も含めて、私は、自分の判断が不能になったり行動不能になったりするようなそういった飲酒は、一切私の中では、政務官においてはやっておりません。

 ですが、今回、報道等におきまして大分お騒がせしたことに関しては、私は心から皆様方におわびをしたいと思っておりますし、また、今回、国会におきまして先生方から御指摘いただいたことに関しては真摯に受けとめて、その対応はしっかりしていきたいと思っております。

 以上でございます。

城井委員 幾ら隣県とはいえ、万が一の事態に備えてということで、私も含め、都内での対応というのがほとんどの政務官の対応かというふうに思いますので、その点は心していただきたいということを改めて申し上げたいと思います。

 文部科学大臣に確認をしたいと思います。

 みずからの代理を務める在京当番時の大臣政務官に対する監督責任は大臣にあるというふうに考えます。大臣もこの件についてはおわび、謝罪がまだないというふうに承知をいたしております。

 先ほど、隣県だけれどもしっかり対応するという旨のお話もありましたけれども、私は、都内二十三区内、最寄りでしっかりと遺漏なく対応できるように組むべきだ、つまり、きちんと在京当番を都内二十三区内で行えるほかの人材に交代させるべきだというところまで大臣は判断すべきだというふうに考えます。

 大臣政務官に対する大臣の監督責任のとり方について、大臣の見解をお聞きします。

柴山国務大臣 文部科学省といたしましては、平成十五年の閣議了解の「緊急事態発生時における閣僚の参集等の対応について」というルールを踏まえて、文部科学省における緊急事態発生時における閣僚の参集等の代理対応ルールを定めておりまして、そこでは、おおむね一時間以内に官邸等に参集できる態勢をとるということとしております。

 御指摘の東京二十三区ということについてでございますけれども、東京二十三区内であっても時間帯によっては一時間程度かかる場所があることですとか、逆に、東京二十三区外であっても一時間かからない場所があることなどを踏まえて、実態を見て、緊急事態への備えとして遺漏ないということを大前提としつつ、先ほど申し上げたようなルールを文部科学省としては定めているところでありますので、私どもといたしましては、引き続き、地理的基準ではなく時間的基準によってルールを運用していきたいというように考えております。

 白須賀政務官におかれては、国会での御議論も踏まえ、在京当番が政府の一員として極めて重要な責務であるということを真摯に受けとめ、適切に対応してほしいというように考えておりますし、政務三役、しっかりと共有をしていきたいと考えております。

 今回、さまざまな形で御心配、そして御迷惑をおかけしたことについては、私からもおわびを申し上げたいと思います。

城井委員 政務官におかれても、そして大臣におかれても、文部科学省は緩いんじゃないかということを今後も伝え続けるようでは、これは職務にならないというふうに思いますので、しっかり引き締めてやっていただきたい。私どももしっかり見ていきますし、参議院でも今後審議があろうかというふうに思いますので、そこでも説明責任を含めてしっかり果たしていただきたいということをお願い申し上げて、次の質問に入りたいと思います。

 続いて、大学入試新テストへの英語の民間試験導入の問題点についてお伺いをいたします。

 この件、これまでも、経済的あるいは地理的な不公平や運営の不公正という問題点があり、この二年、正されていないという指摘が続いております。関係者の悩みは深い状況が続いています。二〇二〇年の民間試験のスタートは立ちどまるべきだというふうに私自身はいまだに考えております。きょうも幾つか問題点を御指摘申し上げながら、立ちどまるべきということを具体的に申し上げてまいりたいと思います。

 きょうの指摘は、受検を希望する者全員が事故なく受検できるかということが心配だという点であります。

 まず一つ目であります。吃音者で組織する全国言友会連絡協議会が文部科学省に対し文書で要請した件の対応について、大臣にお伺いします。

 英語民間試験の一部が吃音者に配慮していないということがわかったというのがこの連絡協議会の調べであったということであります。そうした内容であります。

 大学入試共通テストで利用できる英語民間試験は、障害者に合理的配慮をしていることを公表することが条件であります。吃音者が大学入試で不利にならない施策の実施を含め、十分な配慮が行われるべきと考えますが、文部科学省の対応を確認したいと思います。大臣、お願いします。

柴山国務大臣 御指摘のあった、試験内容、実施体制等が入学者選抜に活用する上で必要な水準及び要件を満たしていることを大学入試センターが確認した資格検定試験を活用することとされているという中に、障害のある受検生への合理的配慮を公表しているということが定められております。

 吃音への対応については、関係団体からの要請内容を試験実施団体に伝えておりまして、例えばGTECについては、スピーキング試験の免除や時間延長などの配慮を実施する予定だと伺っております。

 具体的な配慮内容については、各試験実施団体において適切に定めるものと考えておりますけれども、文部科学省といたしましては、引き続き、障害のある受検生に対する合理的な配慮を行うよう、試験実施団体にしっかりと要請していくとともに、各大学に対しては、障害のある受検生の試験結果について、障害の種類や程度によって不利益が生じないような取扱いを要請することを通じて、円滑な実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

城井委員 試験の実施運営団体側の事情というよりも、むしろ障害のある方々の事情に寄り添った形で、文部科学省としては、しっかり指導監督、引き続きやっていただきたいと思いますので、その点、遺漏なきようによろしくお願いいたします。

 続いて、問題の事前漏えいの防止など、大学入試センター試験並みのセキュリティーのもとで実施ができるかなど、実施上の懸念は少なくありません。実施上のトラブルのために出願資格が得られなかったり、正当な加点が得られなかったりということがあってはなりませんが、それが現実のものとなる可能性があります。

 特に、これまで高校会場で高校教員の協力を得て実施してきた試験にとっては、入学者選抜の共通テストとしての実施は高いハードルになります。仮に、これまでのように、一部でも高校を会場とするとなると、当然、高校の行事への影響やセキュリティー体制の問題が出てきます。試験団体に丸投げというわけにはいきません。これらの実施上の懸念について、どのように確実な実施を担保するのか、裏づけを含めて、大臣から具体的に御説明願えますか。

柴山国務大臣 英語資格検定試験については、公平公正な試験実施体制を確保するために、大学入試センターにおいて、試験実施監督者が所属高校の教職員ではないことや、受検生の所属高等学校等の教職員が採点にかかわらないこと、情報流出等の防止策等を公表していることなどを参加要件として確認をしております。

 仮に高等学校を会場とする場合、これらの参加要件を満たしていることは当然なんですけれども、各試験実施団体においては、貸与を希望する高等学校と協議をした上で、学事日程に配慮した日程を打診するなど、学校側の事情に配慮した対応が当然のことながら必要となってくると考えております。

 試験実施の公平公正性に関する懸念を払拭することは、繰り返しになりますが、極めて重要でありますので、昨年十二月に設置した、高校、大学関係者と試験実施団体を構成員とする会議において、資格検定試験の活用に関する具体的な懸念事項についての率直な意見交換を行うことなどを通じて、今御指摘になられたような問題が生じないように、円滑な実施に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

城井委員 もう一点お伺いをいたします。

 せんだっての当委員会での質疑で、私から大臣に問いまして、この民間試験にかかわるスピーキングテストの現場視察をいただけるという旨の答弁をいただいたと記憶しております。その後の対応、いかがされるか、されたかということをお答えください。

柴山国務大臣 今御紹介いただきました、私も答弁でお約束をさせていただいた英語資格検定試験のスピーキングテストの視察については、試験実施団体との間で、現在、日程や視察会場を調整させていただいているところであります。

 国会対応もありますので、なかなか日程取りが難航しているんですけれども、可能であれば、複数の種類の試験をぜひ視察をしたいというように思っております。

城井委員 ぜひ視察実現をというふうに思います。

 あのときに指摘をした問題点のほかに、その後、試験団体の方でも少し工夫をしているようであります。例えば、イヤーマフといって、周りの騒音の対応の対策などを打つというところも出てきているようでありますが、それはそれでまた別の問題が出てくるという部分もあるようでありますので、ぜひ、大臣の目でも確かめていただきながら、実施の確実性を高めていく努力ということをお願いしたいというふうに思います。

 続いて、高等教育の一部無償化に伴う授業料減免の後退の懸念についてお伺いします。

 せんだってより法案質疑もございましたけれども、あのときに残された論点をここで少し議論したいと思います。

 現行の授業料等減免でカバーしている学生の範囲と、この法案の成立によって新制度ができ、その新制度で法定化された部分の差異についてお伺いします。

 財務省の主計官と、先日、ヒアリングをいたしまして、議論いたしました。この財務省の主計官が、国立大学運営費交付金で措置してきた各国立大学の授業料等減額、免除の予算補助についての減額の意向の発言をメディアで行っております。

 法定化した低所得者向けの給付型奨学金と授業料等減額、免除のために、年収三百万円以上で、既存の制度で授業料減免されていた年収に当たる世帯の学生への支援が削られるのか、ここは法案の質疑のときにも大変大きなポイントになった部分でありますけれども、これまでの大臣答弁では、精査するの一点張りでございました。

 ただ、大臣、財務省とやりとりをしておりますと、法定化したところは低所得者向けに重点化したんだという言い方をして、つまり、大学のそれまでの、三百八十万円以上から五百万円か六百万円ぐらいのところまでの年収の学生への授業料の減額、免除の部分は、大学の政策で判断をすればいいんだ、国立大学ならば運営費交付金で全体で一兆円あるじゃないか、その一兆円の中で工夫をしろよ、それを工夫しても出てこないのでプラス欲しいんだ、その部分を確保したいんだという裏づけ数字がしっかり出てきていないから財務省としては説得されていない、こういう趣旨の話だったんですね。

 つまり、財務省も理解が足りない部分があるかもしれないが、文部科学省から、この法定化した部分に加えて、これまで特に中間層を念頭に授業料の減額、免除を支えてきた部分が、まだ財務省に対してはっきりとした裏づけをきちんと示せて説得できていないという状況であるというのが、この財務省とのやりとりの今の状況なんです、実感なんです。これはなかなか深刻だ、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングをやっていくならば、ここは乗り越えなければいけない壁だというふうに思うんです。

 この中間層についても政策的に担保をしていかなければいけないというところは、文部科学省が言うべき内容だと思うんです。この点の確保について、大臣、ぜひやるということでお答えいただけますか。

柴山国務大臣 ただ、現行の、今御紹介をいただいた国立大学における授業料の減免は、それぞれが定める認定基準に基づいて、多様な基準、そして形で行われているという実態でありまして、文部科学省が一律に何か、既存の制度について、今の段階でどうこうせよということは言えない状況だというように考えております。

 新制度のもとでは、少なくとも、国公私を通じて全国で統一的な支援の基準をつくったわけです。その中で、新制度において対象とならない既存の支援を受けている学生も生じ得るとは考えておりますけれども、まずは、今後、各大学においてこの新制度を踏まえてどのように対応するのかということを検討することが必要だと考えておりますし、もちろん、我々文部科学省としては、精査をさせていただきたいと思っておりますけれども、もちろん一定の整理、そして結論を出さなければいけないというように考えておりますが、ことしの夏ごろまでをめどとして、そういった検討と対応をしていきたいというように考えております。

城井委員 大臣、これまでの質疑、議論でもありましたが、今回法律で決めた制度も崖があります。さらに、中間層のあたりは、そのうちの相当数が借金という形の奨学金を使いながら大学に通うという現状です。そのことを考えたときに、もし仮に、中間層向けの授業料減免が、大学の政策でその分の見合いの運営費交付金やあるいは私学助成が削られたとしたならば、その部分も加えて借金して大学へ行けというふうに文部科学省は言うのかという話になってしまいます。

 財務省は、この分、予算をつけましょうねとは向こう側からは絶対に言いません。あの大学生たちを支えましょうというふうに声を上げられるのは、我々や文部科学省しかないというふうに思うんです。国会からも声を上げていきますけれども、文部科学省が、その要望をしよう、その要求を、概算要求をやろうとならなければ、誰も声を上げないんですよ。その中間層の人たちは、自分たちで借金して自己責任で行けということになってしまいます。

 ここはしっかり、機会の均等、入り口をノックする機会は守るということは大臣がやはりおっしゃっていただかないと。夏に向けてその実態を踏まえた検討をやるということで、ぜひ明確におっしゃっていただけませんか。

柴山国務大臣 既存の奨学金の状況については、先ほど申し上げたことの繰り返しですが、もちろん精査をいたしますが、中間所得層が大学に進学する機会を保障しなければいけないという思いは、私も委員と全く共通をしております。

 今、奨学金が、例えば無利子化の充実をされたり、あるいは、経済的理由から返還が困難となった方については減免措置をとる、あるいは返還の期限を猶予したりするなどの充実も図られてきているところでもありますので、そういったことも踏まえながら、どのように中間所得層への大学の進学の機会を確保するのかということをしっかりと文部科学省として財務省に対して声を上げていくということは、この場でお約束をさせていただきたいというように考えております。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

城井委員 授業料減額、免除は、減額だったり免除だったりしますが、貸与型奨学金は、あくまで借金であります。質が違うと思いますので、そこを踏まえての対応、検討をぜひお願いしたいというふうに思います。

 さて、オリンピック・パラリンピック担当大臣、お待たせしました。

 オリンピック、パラリンピック、特に今回の東京のオリンピック、パラリンピックのボランティアについて、せんだってより私も質疑で櫻田前大臣にお伺いしてまいりましたけれども、その答弁のその後の実行状況について御確認をさせていただきたいと思います。

 二つお話をしておりました。一つは、専門性の高いボランティアの労働者性の確認をするというふうに櫻田前大臣の答弁をいただいておりました。この状況を確認したいと思います。それからもう一つ、ボランティア保険について、参加者全員分を組織委員会が対応するよう指導するということで櫻田前大臣の答弁をいただいておりました。

 この二つについて、大臣、お答えいただけますか。

鈴木国務大臣 大会ボランティアにつきましては、募集要項におきまして十の分野が示されておりますが、これら全ての分野について、組織委員会において、労働基準法上の労働者ではないとの前提で募集したものと認識をいたしております。

 その上で、城井委員と櫻田前大臣との国会における前回の議論を踏まえまして、改めて組織委員会に城井委員の問題意識を伝えて、労働基準法上の問題が生じないよう適切に運営をする旨、確認をいたしているところであります。

 大会ボランティアの具体的な活動内容や運営方法については、現在、組織委員会において詳細に検討をしていると承知をしておりますが、私といたしましても、適切な運営が行われますように、組織委員会の検討を注視してまいりたいと思っております。

城井委員 大臣、ボランティア保険の確認はいただけましたか。

鈴木国務大臣 大会ボランティアのボランティア保険につきましては、先生と前大臣との議論を踏まえて、改めて組織委員会に確認したところ、組織委員会の負担により大会ボランティア全員が加入するとのことでありました。

城井委員 ありがとうございました。引き続き、抜かりなきように御準備をお願いしたいというふうに思います。

 さて、そろそろ時間ですが、最後に、文部科学大臣、奨学金の件について一つ確認をと思います。

 奨学金返済猶予による返済逃れを促すような動きが一つありまして、ちょっと確認をしたいというふうに思います。

 大学在学中は奨学金の返済が猶予される制度を使って、卒業後に学費の安い通信制大学などに在籍して返済を逃れ続ける裏わざがネット上に紹介があって、問題になっておりました。昨日確認いたしましたら、まだ載っていました。

 大臣、もうこれは以前にも通告をしたので御存じかと思います。把握状況、そして法的に問題があるのか。私自身は、返済猶予の対象となる通信制大学への再入学の繰り返しは、これは政府として認めるのはいかがというふうに思うわけですが、やはり仕組みとして不公平だと思います。

 この点の対応について、大臣、お聞かせいただけますか。

柴山国務大臣 JASSOの奨学金事業は、今、裏わざという御指摘がありましたけれども、在学している期間中は安定的な収入が見込めないことから、奨学金を受けている学生本人からの申請をもって、在学猶予制度というものを設けております。

 そして、実質的に奨学金の返還を免れるために、通信制の大学への再入学を繰り返して返済期限猶予をずっと受け続けるということが制度上可能となっているということであります。前回御指摘、御通告があったんですけれども、私どもといたしましては、このような行為がもし実際に行われているとすれば、制度本来の趣旨をゆがめかねない不適切な行為であり、大変遺憾であります。

 早速調査をさせていただきましたが、機構によれば、二〇一九年二月末時点において、通信課程に在学中で返還が猶予されている者は二千八百七十四名で、そのうち十年を超えて連続して猶予されている者は一割弱の二百五十三名ということではありましたけれども、在学猶予が承認された者の履修状況までは把握をしていないということから、これが果たして不適切かどうかという認定までは行えないというように伺っております。

 ということで、機構においては、こうした不適切な行為が行われることのないように、現在、例えば在学猶予の上限自体を十年とする、あるいは十年を超える場合には履修状況を確認する、こういった実効性のある具体的な防止策を検討しているところであるということです。

城井委員 またチェック状況を注視したいと思います。

 終わります。

義家委員長代理 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査によれば、二〇一六年度で、日本語指導が必要な児童生徒は四万三千九百四十七人となっています。これは公立小中学校や公立高校などに在籍している児童生徒数ですけれども、現在、日本に居住して外国籍で義務教育年齢に当たる子供たちの総数はどのように把握されているのでしょうか。また、教育機会が確保されていない、いわゆる未就学状態の子供たちはどれぐらいいますか。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

清水政府参考人 お答えいたします。

 外国籍で義務教育年齢に当たる子供たちの総数、またその中でいわゆる未就学状態の子供の数というお尋ねでございますが、まず、法務省の在留外国人統計によりますと、二〇一七年六月末時点の義務教育段階に相当いたします六歳から十四歳の外国人は、約十一万三千人となっているところでございます。

 また、調査手法や条件等が異なるため単純に比較はできないわけでございますけれども、文部科学省の調査によりますと、二〇一七年五月一日現在で、義務教育段階の学校に在籍する外国人の数は約七万七千人、そして、外国人学校のうち各種学校として認可されたものに在籍する義務教育段階の児童生徒の数が約一万八千人、これを先ほどの数字から機械的に差引きいたしますと、一条校及び各種学校として認可された外国人学校に在学していないと考えられる外国人の子供の数は約一万八千人となるところでございます。

 ただ、この中には各種学校として認可されていない外国人学校等に在籍する外国人の子供も含まれるわけでございますけれども、その数字については把握していないところでございます。

 なお、未就学の外国人児童生徒の状況につきましては、文部科学省において、全国レベルでの状況の把握に向けて、今回初めて、五月十六日付で各市町村教育委員会に調査依頼を発出いたしまして、義務教育段階の外国人の子供の就学状況に関する全国的な調査を開始したところでございます。

 この調査を通じまして、就学状況に係る課題の整理や好事例の収集を行うことで、地方自治体の取組の改善を促すとともに、自治体の取組に対する支援の充実を図りたいと考えております。

畑野委員 初めて未就学状況の子供たちの調査が始まると。約一万八千人という数字も初めて、推定ですが出していただいたところです。

 一九九〇年の入管法改正によって、日系二世の配偶者やその子である日系三世が定住者として在留資格を与えられて、単純労働を含めてあらゆる職種に就労することが可能になりました。浜松市に伺いましたら、本当に御苦労された、いろいろな対策に尽力されてきたというふうに伺っております。やはり、そういう子供たちが置かれてきたということを本当に問題だと指摘をしておきたいと思いますし、対策を求めたいと思います。

 文部科学省は、日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査で、日本語指導が必要な児童生徒の数を出していますが、日本語指導が必要か否か、どのような基準でどのように判断していますか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 日本語指導が必要な児童生徒とは、日本語で日常会話が十分にできない者、それだけではなくて、それに加えて、日常会話はできても、学齢相当の学習言語能力が不足し、学習活動への参加に支障が生じている者、このいずれかに該当する者を指すとされております。

 これらに該当するかどうかにつきましては、学校において、児童生徒の学校生活や学習の様子、児童生徒の来日してからの期間、あるいは日本語能力判定方法の活用など、さまざまな手段を活用することにより、総合的に判断していただくことが適切と考えているところでございます。

 文部科学省といたしましては、学校や教育委員会における児童生徒の日本語能力の判断に資するよう、外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントを作成、配付しているところでございます。これは、JSL、ジャパニーズ・アズ・ア・セカンド・ランゲージでございますけれども、この対話型アセスメントとは、子供たちの第二言語としての日本語能力を把握すると同時に、どのような学習支援が必要であるのか、教科学習支援のあり方を検討するために作成して配付しているものでございます。

畑野委員 横浜市の日本語支援拠点施設「ひまわり」に伺ってまいりました。そこで伺ったのは、生活言語の獲得は一年程度だが、学習言語の獲得には五年はかかると伺いました。学習言語の土台となる母語教育の重要性も伺い、また、高校進学の際の本当に支援の重要性も伺ってまいりました。現場の先生方は、母国と日本のかけ橋となる人に成長してほしいという願いを持って、卒業後も卒業生の子たちに声をかけるなど、本当に熱心に取り組まれています。

 日本語能力に応じた特別の指導のために必要な教員配置について基礎定数化をし、子供たち十八人に教員一人を十年間かけて配置するということなんですが、現場から、本当に人が足りない、国としてももっと抜本的な教員増をしてほしいという声を伺っております。規模やテンポを抜本的に速めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 今御紹介をいただいたとおり、平成二十九年三月に義務標準法が改正されまして、それまでは加配定数であった日本語指導のための教員の定数を、平成二十九年度から十年間で計画的に基礎定数化をして、二〇二六年度、令和八年度には、日本語指導が必要な児童生徒十八人に対して一名の教員が基礎定数として配置をされるということとなっております。まずは、この児童生徒十八人に対して一名の教員という計画的な基礎定数化を確実に推進することが大切だと考えております。

 この基礎定数化による教員定数の充実は、日本語指導だけではなくて、通級指導のための教員定数も含めて一体的に行っていることでありまして、この両者の基礎定数化を十年かけて段階的かつ着実に実施をすることによって、日本語指導や通級指導が必要な児童生徒数に応じた教員が配置をされ、教員の安定的、計画的な採用、研修、配置を行いやすくなります。

 そして、仮に予想された以上に各年度の日本語指導が必要な児童生徒が増加をした場合には、その年度の対象児童生徒と教員定数の割合というものが変化をするんですね。ですので、この制度においても、基礎定数が増加をすることは想定をされているわけであります。ですから、日本語指導のための加配定数の基礎定数化ということにつきましては、限られた予算の中で、通級指導の充実とのバランスの観点から、これをちょっと前倒しをするということはやはり難しいというように考えております。

 いずれにいたしましても、日本語指導の補助者ですとか母語支援員の活用など、教員以外の支援員の専門人材の活用促進も含めて、しっかりと指導体制の整備に努めていきたいと考えております。

畑野委員 現場からは、日本語教育が必要だと思う子供たちはもっといるという声が上がっています。実際はその半分程度しか対応できていないということです。

 昨年十二月二十五日に政府がまとめた外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策でも、夜間中学の役割が位置づけられています。八割が外国籍や外国につながりのある在籍者という実態にあり、日本語教育の必要な外国人の受皿にもなっております。

 こうした特殊事情を考慮して、夜間中学独自の教員定数枠や加配など、特別の措置を検討するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

柴山国務大臣 御指摘のとおり、夜間中学に通う生徒の現在約八割は外国人となっております。夜間中学は、我が国あるいは本国において義務教育を修了できなかった方々などに対して、教育を受ける機会を実質的に保障する重要な役割を果たしております。こうした実態も踏まえて、夜間中学においては、特別の教育課程を編成して日本語指導を行ったり、地域の日本語教室などと連携をしたりするなどして、日本語指導の充実を図っております。

 また、昨年度は、夜間中学に携わる教職員等を対象とした日本語指導に関する研修会を初めて開催をしたところでありまして、百名近くの教職員や自治体関係者に参加をいただきました。今年度も、引き続き、夜間中学に携わる教職員などを対象とした日本語指導に関する研修会を開催する予定であります。

 そして、お尋ねの、基礎定数として算定される教員の定数や児童生徒支援加配などの活用に加えて、日本語指導補助者や母語支援員を始めとする専門人材の配置を促進することで、チームとしての学校を推進するなど、夜間中学における日本語指導の充実に向けた取組を進めていきたいと考えておりまして、習熟度別授業など、生徒の学習指導等のために加配を活用することは可能だと考えておりますけれども、夜間中学が置かれる中学校の学級数に応じて措置される基礎定数とは別に、特に必要がある場合に教職員定数を措置する加配教員のうち、児童生徒支援加配、令和元年度、全国で七千八百人については、任命権者である都道府県、指定都市教育委員会の判断によって、夜間学級が置かれる中学校が習熟度別授業などを行う際に加配教員として活用が可能であるということでございます。

 この加配定数とは別に、基礎定数についても、夜間学校を分校に開設する場合には、本校に夜間学級を開設するよりも多くの教職員定数が算定される場合があるということでございます。

 引き続き、それぞれの都道府県、指定都市の事情や要望を丁寧にお聞きして、きめ細かく対応していきたいと考えております。

畑野委員 幼児教育無償化にかかわってなんですが、いわゆる幼児教育類似施設への財政支援の実態について地方公共団体から伺っておられるでしょうか。

 私は、東京、神奈川、埼玉、千葉を始め伺ってまいりました。藤沢市内の施設にも伺いました。外国籍の子供が通っている実態も聞いているんです。

 国と地方公共団体の協力した支援のあり方について、早急に検討の結果を示すべきではないかと思います。端的で結構ですので、御答弁をお願いします。その後ちょっと、もう一つ質問があるので、お願いいたします。

柴山国務大臣 いわゆる幼児教育類似施設への支援、待機児童問題によって認可保育所に入りたくても入れない方もいることから、代替的な措置として認可外保育施設なども対象としておりますけれども、法令上の定めや基準などがこの幼児教育類似施設というものにはないことから、さまざまな形態あるいは地域の状況があるということから、一律には無償化の対象とすることにはなじまないということでございます。

 他方、重要な役割を果たしているものもございますので、そこに通う、保育の必要性のない子供の保護者負担軽減のあり方については、まずは各自治体において検討いただきたいというように思いますけれども、地域や保護者のニーズに応じて重要な役割を果たしていると自治体が認めるものについて、国と地方が協力した支援のあり方については検討をしているところでありまして、現在、地方自治体を通じてそういった施設の数や実態について把握に努めているところでございます。

畑野委員 早く結論を出していただきたいと思います。

 最後に、外国人労働者の働く実態との関係で、東京オリンピック・パラリンピックをめぐる建設現場の実態について伺います。

 先日、国際建設林業労働組合連盟が報告書をまとめました。東京大会に関し二人の労働者が亡くなっていると指摘されております。新国立競技場の建設現場では、例えば、外国人労働者への賃金未払いのまま雇用主が倒産するとか、通報受付窓口の対応言語がJSCでは日本語のみとなっているという問題も指摘されております。

 政府としてどのように対応されるのか、柴山文部科学大臣に伺います。

 あわせて、鈴木東京オリンピック・パラリンピック担当大臣に伺います。

 これらの実態は、適正な労務管理と労働環境への配慮の重視や、外国人労働者が苦情申入れ、相談を容易に行えるようにするための体制整備を求めている持続可能性に配慮した調達コードに反するのではないかと思うんです。この遵守、周知徹底を図るべきではないでしょうか。

柴山国務大臣 端的にお答え申し上げます。

 例えば、新国立競技場における安心かつ快適に働ける環境を整備するとともに、時間外労働の短縮化を促進するなど健康管理に係る取組を講じてまいりましたけれども、今般、JSCなどに問題点を指摘するレポートが届いたということでございますので、まず、JSCにおいてレポートの内容の事実関係の精査を行っているというところでございます。

 文部科学省といたしましては、関係省庁とも連携をして、建設現場において安全で快適な環境づくりが図られるようしっかりと対応してまいります。

鈴木国務大臣 御指摘の報告書では、大会関係施設の建設現場におけます労働環境の問題点に加えまして、労働者に対して持続可能性に配慮した調達コードに関する教育を行うことなどを求めていると承知をしております。

 持続可能性に配慮した調達コードは、組織委員会が策定したものであり、法令遵守を始め、人権、労働問題の防止を考慮した、調達を実現するための基準等を定めております。

 政府といたしましては、これまでも、組織委員会と連携し、関係省庁へ調達コードの周知や事業者等へ調達コードの説明会を行ってきたところでありますが、改めて関係機関等への周知徹底に努めてまいりたいと思います。

畑野委員 しっかりやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳です。

 まず、私は、実は文部科学委員会とともに外務委員会に所属しておりまして、両大臣が触れられた直近の、日本人氏名の英語表記について、ちょっと私の賛意だけを申し上げておきたいんですけれども、その経緯を若干だけ申し上げます。

 大臣は関係機関などに要請をする考えを示されたということで賛同させていただきますが、私の恥ずかしながら拙い経験で、四半世紀以上前になりますが、イギリスで卒業証書をもらうに当たって、特段学校側から質問はなくて、名前が先で名字が後という卒業証書をもらいました。

 しかし、その翌年、アメリカに渡りまして、アメリカで、東海岸の方の大学院で卒業証書をもらう機会がありましたけれども、その際には、学校側から、表記についてどうしたらいいか好きな形を言ってくださいということでありましたので、私は日本人ですから名字を先に名前を後にということでお願いしたら、そのとおりの卒業証書をいただけたという経緯がございました。強制する話ではないと思いますけれども、やはりアジアの国々がそういう形で言われている中で、御要請いただくということは賛同させていただきたいということを冒頭申し上げさせていただきます。

 それで、ちょっと質問の順番を変えて、大臣に御答弁いただくような内容を先に、ギャンブル依存症関連の質問を先にさせていただいて、その後英語の、この間の質問の続きをさせていただきたいと思います。

 御存じかどうか、私ども維新の中心である大阪、大阪市でありますが、いわゆる地方自治体で実施されている補助教育という点で、塾の補助、勉強の補助とか、スポーツ、芸能の子供たちの活動の補助ということで、所得制限をつけていますけれども、月一万円の補助を十二カ月出すという形で、その財源は増税によるのではなくて徹底的な行革で行うという形で、子供たちが伸び伸びと、しっかり力をつけていってもらうし、好きな、得意な分野で、スポーツであったり芸術であったり、あるいは学問であったりということで、そういうサポートを実はしております。

 その一方で、ギャンブル依存症にかかわるような考え方として、これは橋下前々市長がやられたことかと思いますけれども、現金を渡すと結局、それこそパチンコなんかに使ってしまうのではないかという危惧が親御さんに対してあるということもあり、しっかりと子供たちに、施策として行ったことを実行してもらうという意味から、バウチャーのような形態でそれを渡すということをしております。

 こういった教育の補助、それをバウチャーで行うということについて、文科省としていかに評価されているかを、政府委員の方で結構なんですが、御答弁いただければと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 大阪市におきまして、子供たちの学力向上と子育て世帯の経済的負担の軽減を図るために、一定の所得要件のもと、中学生の学習塾や家庭教師、文化・スポーツ教室などの利用に係る経費を助成する塾代助成事業が平成二十四年度から実施されております。

 この事業につきましては、大阪市が地域の実情を踏まえ、経済的状況にかかわらず、子供たちやその保護者が多様な学習機会を選択できるようにする方策の一つとして、特色ある取組でございます。

 また、先生御指摘のとおり、助成金が子供の教育に確実に充てられるように配慮された仕組みになっているという点につきましても特色あるものと承知しているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 日本をしょって立つのは子供たちであり若い方々だということなので、私どもは財源は徹底的な行革でつくり出しておりますが、財源論は大事ですけれども、一方で、教育への投資という点で、別に流用できない形で子供たちを支えていくような仕組みを党派を超えてお考えいただければありがたいということをお願いしておきます。

 次に、今ちらっと申し上げたギャンブル依存症関連で、これも報道等で知ったわけでございますが、文科省さんが最近作成した教員向けの参考資料で、「「ギャンブル等依存症」などを予防するために」というような指導参考資料というものをつくられ、配られたかと拝察しておりますけれども、この問題意識は何なのか、改めて確認させていただければと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律の附帯決議におきまして、ギャンブル等依存症に関する教育上の取組を整備することなどが明記され、学校教育におきまして普及及び啓発が求められております。また、高等学校学習指導要領の保健におきまして、「精神疾患の予防と回復」として、アルコール、薬物などの物質への依存症に加え、ギャンブル等についても新たに取り扱うこととしたところでございます。ギャンブル等への過剰な参加は習慣化すると嗜癖行動になる危険性がございまして、日常生活にも悪影響を及ぼす等を学ぶこととしております。

 ギャンブル等依存症につきましては、これまで直接的な指導がなされてこなかった、実際に指導を行う教員の理解が十分でない、指導する上で参考となる資料が十分に整備されていないことが課題でございました。このため、教員の、ギャンブル等依存症に対する理解を深め、学校教育における指導の充実を図ることを目的に、同指導参考資料を作成したものでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 IRということで国全体で推進をしているわけでありますが、一方でやはり反対意見もあったということは私も十分認識しておりまして、そんな中でこういった指導をしていただくということは大変ありがたいということだと思います。

 ここで大臣に質問をさせていただき、その後英語の質問に入りますので、外していただいて結構です。

 二〇二二年度から高校で必修となる予防教育というふうに聞いているんですけれども、私も率直に、あれ、これは何の科目で教えるのかなというふうに思ったら、どうやら保健体育のようなのでございますが、その認識でいいのかどうかというのと、IRと言われる中で、よくネットでも最近上がってくるんですが、使われているお金の額とか、あるいは、依存症になってしまいやすいルートとしてパチンコといったものがあって、そこに対する我々の認識は、日本は非常に曖昧な国で、余り言いにくいですが、やってはいけないというルール、法律が例えば賭博でもあるんですが、実質的にはこのパチンコというものが逆に認められてくるとか、ほかにも、申し上げない方がいいと思いますけれども、そういった曖昧なことの解釈の中でやってきたというのを、令和の時代にはかなり明文化してはっきりさせていくという時代の流れになってきたというふうに私は認識しておりますけれども。

 この点、パチンコのような類いのものについて、このギャンブルというような観点の予防教育という点でどう認識されておられるか、改めて大臣の御認識を伺わせてください。

柴山国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、前段ですけれども、おっしゃるとおり、ギャンブル等依存症の指導では、保健体育における予防教育というものを二〇二二年度から実施をしていくということでございます。そして、このギャンブル等依存症の指導においては、パチンコも含めたギャンブル等への過剰な参加が、先ほど答弁させていただいたとおり、習慣化すると嗜癖行動になる危険性があり、日常生活にも悪影響を及ぼすということを学ぶこととしております。

 ただ、このギャンブル等依存症などの行動嗜癖に陥る背景には、ニコチンやアルコールなどの物質依存、これと同様に、ストレスなどの心の問題があるということが言われておりますので、こういったことを予防するためには、ストレスへの適切な対処方法を身につけることですとか自己肯定感を高めることも必要になることから、保健体育における指導にとどまらず、学校の教育活動全体を通じてこうした取組を行っていくということを考えております。

杉本委員 わかりました。

 保健体育に限らず、やはり心の健康みたいな部分でも教育のことを進めていただきたいと申し上げます。

 残り五分弱は、英語に関して政府委員の方に質問をさせていただきます。

 先般、韓国の例を引いていろいろ確認をさせていただきました。二〇二〇年度から大学入試改革において英語科目は民間試験導入となりますけれども、それらの試験は第三学年で二回受けられるというような流れのようでございます。

 改めてですけれども、この二回の根拠と、ちょっとこれは通告していないんですが、二回の平均をとるのか、二回のいい方をとるのか、この点も、もしわかれば確認させてください。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 民間の英語の資格検定試験を高三生で二回受けられるという根拠でございますが、文科省が作成、公表いたしました平成二十九年七月の大学入学共通テスト実施方針におきまして、大学入試センターが、受検者の負担、高等学校教育への影響等を考慮し、高校三年生の四月から十二月の間の二回までの試験結果を各大学に送付するということになっております。

 これは、受検機会の複数化ということが重要なので、それを図る一方で、無制限に資格検定試験を活用するとした場合、早期からその試験対策に追われる懸念であるとか、それに伴う高校教育への影響という受検者の負担、さらには家庭の経済的状況や居住地による格差等が懸念されるため、高校関係者、大学関係者を交えた議論を経て受検期間と回数を決定したというものでございます。

 これは、センターにその二回の試験結果を登録し、それの必要な、いい方をそれぞれの大学の受験に応じて提供するというシステムでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 もうだんだん秒読みになっているので今さら変えるというのは難しいかもしれないんですが、私は、試験を受けるチャンスというのは多ければ多いほどいいということで、例えば一発勝負で萎縮しちゃってうまくいかなかったとかいうようなことがあっては、せっかく、目的は大学にパスするためじゃなくて、英語がしゃべれるようになったり仕事で使えるようになったりすることが大切なので、むしろ受検の機会みたいなのは多い方がいいのではないかというふうに感じます。

 それで、ちょっと拙い私の話でまた恐縮ですが、私は英語が苦手でございまして、それで何度となく、数え切れないと言ってもいいぐらいTOEFLの試験を受けました。その中でベストスコアを登録できて、そのベストスコアを海外の大学院なりが見てくれて評価をしてくれる、こういうような世界の流れというのがあったように記憶しているんですが、今伺うと、試験は二回受けて二回とも、萎縮してうまくいかなかった試験までその大学の受験に使われちゃうんだというと、何か守りの勉強になってしまう可能性が私は十分あると思うんですね。

 そういった意味では、今二回しか受けられないのを少なくとも三回にし、しかも、その結果が全部三回とも行くんじゃ意味がなくて、一番いいスコアをとってあげますよ、だからあなたはしっかり英語を勉強して力をつけてくださいねという方が、本質的な意味で、先般韓国の質疑をさせていただきましたけれども、韓国が八十四で、世界標準が八十三で、日本が七十一という状況を、二、三十年で離されちゃったんですけれども、追いついていくためには、大学側にとって都合がいいように、その全部の受けた二回のスコアを教えちゃうんじゃなくて、せめていい方を教えるというふうにしてほしいし、できれば三回にして、一番いいスコアをあなたのいいスコアにしてあげるから一生懸命英語を勉強して試験を受けて頑張りなさいよというような、そういうアプローチの仕方を。

 大臣、戻っていただいたので。

 今、二回ということで、二回のスコアは全部大学に行っちゃうんだけれども、そうじゃなくて、いい方を出す、できれば三回以上受けられる。余り多過ぎても費用負担の問題というのがあったかもしれないんですが。自分の話を聞いていただいたかどうかわからないんですが、私はTOEFLを数限りなく受けました。そんなことで、今、政治に携わらせていただいているのかもしれないんですけれども。

 そういった意味で、やはりチャンスを与え、しかもやる気を引き出すという意味ではベストスコアをとってあげるという考え方を、ぜひ、二〇二〇年度から始まってしまうんですけれども、間に合わないとしても、改善の中で、そういう形で、ベストスコアをとってあげるというようなことに変えていただきたいということで、時間が参りましたが、お願いを申し上げまして、ちょっと残余の質問はまた機会があればということにさせていただきますが、私の質問を終わります。

 以上です。ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、私立大学の学部・学科などの譲渡について質問させていただきます。

 当委員会で、修学支援法と一緒に学校教育法や私立学校法の改正案を衆議院で審議をしておりました。まさにその期間中に、私立大学の学部や学科を別法人に譲渡できる制度がパブリックコメントに付されておりました。学生や教職員などに非常に大きな影響を与えかねない制度が、国会での審議を抜きに、施行規則の改正で済ませてしまう。非常に驚きましたし、極めて大きな問題だと思います。

 この点は後ほど尋ねますが、まず、私立大学の学部や学科の譲渡を促進する目的について答えてください。

柴山国務大臣 私立大学の学部単位での事業譲渡については、昨年十一月の中教審の答申におきまして、各大学の強みや特色を生かした連携、統合の促進や経営力強化に向けた方策として、私立大学の連携、統合の円滑化を図る観点から検討が必要であるという旨が提言をされております。

 文部科学省におきましては、この提言を踏まえて検討を行って、去る五月十日に、私立学校法施行規則の一部を改正する省令等を公布、施行して、学部単位での設置者変更等を可能とする制度改正を行ったところであります。

 今回の改正は、私立大学の設置認可の仕組みについては基本的に枠組みを維持しつつ、学部単位での設置者変更等に当たって、申請に必要な書類の精選などを行って手続の簡素化を図るものでありまして、ぜひ、各大学法人において、大学間の連携、統合や経営力の強化に活用をいただきたいと考えております。

吉川(元)委員 昨年十一月のその中教審の答申、これは二〇四〇年に向けた高等教育のグランドデザインということで、この中で、まさに今、事業譲渡の円滑化の検討が盛り込まれておりまして、この制度、私も読ませていただいたんですけれども、「多様性を受け止める柔軟なガバナンス等」、そういう表題の中に位置づけられております。

 理解できないんですけれども、私立大学の学部・学科の譲渡において確保される多様性というのは一体何なんでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました中教審答申では、「多様性を受け止める柔軟なガバナンス等」という表現をしておりますが、このことは、多様な価値観を持つ多様な人材が集まるキャンパス、これを実現していくために、大学内あるいは大学を超えて、人材ですとかあるいは資源、こういったものを結集する必要がある、こういったことを支えるガバナンスが重要だということを意味しているというふうに承知をしています。

 その具体的方策として私立大学の連携、統合の円滑化に向けた方策なども提言をされているということでございますので、私立大学における学部等の単位での事業譲渡について、ガバナンス強化のための一方策というふうに位置づけられているものと理解をしているところでございます。

吉川(元)委員 多様性を受けとめるということと学部・学科の譲渡とはどう関係するのか、私は全く答弁が理解できないんです。そうじゃないでしょう。

 これは、実は、この中教審答申と全く同じ内容を取り上げているのが日本経団連の大学改革の提言、これは昨年の六月十九日に出されています。そこでは、大学の再編、統合に向けた制度改正の整備、この項目の中でこれが扱われています。そこでは、私立大学の経営の自由度を高める、経営合理化に向けた対応をとりやすくすることをその目的というふうに日本経団連の方はしているわけです。この日本経団連の提言では、学部・学科単位での譲渡は、会社法に規定された企業の部門売却や事業譲渡に例えられております。

 だとすれば、先ほど、その多様性がどうしたこうしたというお話、学内、学外を超えてというような話だけれども、目的はそんなことではなくて、経営難に陥っている私大の赤字不採算部門、そういう形で整理をする、それを容易にすることが本当の目的なんじゃないんですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 冒頭大臣の方からも御答弁させていただきましたけれども、今回の私立大学の学部単位等での事業譲渡、これは、各大学の強みや特色を生かした連携、統合の促進、経営力の強化、これに向けた方策として提言をされております。

 これについては、中教審の答申の中でも、各学校法人の自主的な判断のもとで、その強みを生かし弱みを補うために、連携、統合について、建学の精神も継承に配慮しつつ支援をする、こういった認識のもとで提言をされている、このように承知しています。

 いずれにしましても、各学校法人において、それぞれの経営の実態に応じて進めていただくということが必要であろうかと考えております。

吉川(元)委員 この日本経団連の報告を読んでおりますと、先般議論させていただいた一法人二大学も含めて提言されているんです。ある意味でいうと、こっちの方が素直ですよね、書いていること、目的が。大変なところは切り売りしましょう、会社でもそれをやっているから大学でもそれをやりましょう、そういうことを提言しているんです。それを受けて、それと同じものをつくって、いや、実はそうではないんですというのは、これは理屈が通らないと思います。

 これは非常に、学生やあるいは教職員組織、そういった方々に大変な多大な影響を与えます。これを、大学の法人同士、理事会同士の判断でいわゆる学部・学科を譲渡できる、これを法改正をせずにやってしまう、これは非常に私は問題だと思うんですけれども、法改正を不要とする理由は何か、現行法のもとでも学部等の譲渡は可能なのかどうか、教えてください。

柴山国務大臣 ちょっと技術的なお話ですけれども、学教法の第四条一項において、国、私立の大学及び高等専門学校の設置廃止、そして設置者の変更その他政令で定める事項は、文部科学大臣の認可が必要とされております。裏を返せば、文部科学大臣の認可があれば設置者の変更もできるということになっております。大学の学部や大学院及び大学院の研究科並びに短期大学の学科についても同様であります。

 このため、法律上、大学の学部等の設置者の変更に関する規定は置かれておりました。ただ、その設置者変更の手続を定める省令及び告示が定められていなかったことから、今回、省令等の改正を行って、学部等の設置者変更を可能としたものでありまして、それによって、法律の改正なく、こうした手続ができるようになったということであります。

吉川(元)委員 今回のパブコメでも同じような疑問が出されていて、それは今まさに大臣が答弁した、こっちのパブコメに対してはもうちょっと短くコンパクトに書かれています。

 ただ、四条、これは根拠条文ということなんでしょうけれども、これはもともと、事業譲渡をあらかじめ想定してつくられたものではなくて、新しい大学をつくります、新しい学部をつくります、学科をつくります、あるいはそれを廃止をします、あるいは設置者、学校法人がかわります、そうしたことについての規定であって、これは譲渡まで含む、それを念頭に入れたものではないんじゃないんですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣の方から御説明させていただいた学校教育法の四条の一では、大学の設置者変更については規定がございますし、また大学の学部についても同様ということでございます。

 今回、学部等単位での事業譲渡というふうに申しておりますのは、法律的に受けとめますと、これは学部の設置者の変更という形になりますので、先ほど御説明申し上げたように、学校教育法第四条一項に規定されている学部等の設置者変更手続、これを用いるということで、今回具体的に定めさせていただいたということでございます。

吉川(元)委員 いや、今回これをやれるようにするために省令等を変えたわけでしょう。ということは、もともとはそういうことは想定していないから、そういう省令がなかったわけじゃないんですか。それを新たに省令を定めるということは、そうやって拡大解釈をして、いや、これで読み込めるんだというふうな理屈だというふうに思いますけれども、これまで省令がなかったということは、それはできない、そういうことは想定していない、この四条ではそういうことは考えていなかった、だけれども、それを変えるから省令を変えたんじゃないんですか。

 もう一つ、では、その譲渡の要件についてお聞きします。

 五月十三日付で発出された私立学校法施行規則等の一部改正について、読ませていただきますと、通知において再三強調されているのは、学部等の組織及び校地、校舎等の同一性の保持です。恐らく学部の教員組織、学生が学ぶキャンパスなどの施設は譲渡前と同様であることが確保されなければならないということなんでしょうけれども、これによって在学生の不利益は完全に防げると考えていらっしゃいますか。

柴山国務大臣 今御紹介をいただいたとおり、今回可能となる学部等の設置者変更によって教育施設や組織そのものの同一性は引き続き保持をされるものであります。例えば、教員組織については、通常想定される退職ですとか採用に伴う異動を除いて同一であることを前提とするものであり、基本的にはその教育・研究環境は同じであると考えております。

 そのため、学部等の設置者変更によって学生の修学環境に変更が加わるものではないと考えておりますけれども、各学校法人において学部等の設置者変更を行うに当たっては、変更に伴って在学生が不利益をこうむることがないように丁寧な説明を行うなど配慮することが必要だと考えております。

吉川(元)委員 もう一点、カリキュラムは、これも変更がないということでいいですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の学部等の設置者変更を行うに当たっては、今大臣から御答弁申し上げましたように、教育施設、組織そのものの同一性の保持ということが前提になっておりますので、在学生のカリキュラムについても基本的には変更が加わるものではない、このように考えております。その上で、継続的に同様の学修ができるよう各学校法人においてきちんと配慮されるよう、今回の通知においても周知、指導をしているところでございます。

吉川(元)委員 譲渡される学部・学科の学生にとってみれば、A大学に入ったんだけれども、卒業するときは知らない間にB大学にかわっていた、まあ、説明されるかもわかりませんけれども。これはやはりおかしいと思いますし、それから、私学というのは建学の精神が当然あるわけで、この建学の精神で、この大学だからいいんだということで入った学生さんも当然いらっしゃるわけです。それが、譲渡されてしまいました、これはやはりおかしいというふうに思いますし、学生の理解を十分得るよう努めること、施行規則にそういうふうに書いておりますけれども、どの程度の機会にどの程度の内容で説明すれば十分だというふうに考えていらっしゃいますか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の手続により学部等の設置者が変更された場合、今委員御指摘のように、属する大学、在学生の所属大学がかわるということが生じ得るわけでございます。そのために、今回の変更を行うに当たっては、私どもとして、教育課程などの修学環境について、学生や保護者の方々がその詳細について十分に理解を得ていただく、そういったことのために十分な頻度ですとかあるいは機会、またその内容、説明の仕方等々含めて、丁寧な内容による説明、こういったものが必要であると考えておりますので、この旨、私どもとして周知、指導してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 先ほど紹介した日本経団連の提言ですか、これは会社法、事業譲渡の話をモデルにしてつくられている中身であります。会社法での事業譲渡に関しては株主総会の確認が必要ですし、また、労働契約の承継についても個別の労働者との同意、書面に残す形での同意書が必要だ、そういうふうに私自身は理解しております。

 ところが、今回の私大のこの譲渡については、十分な説明をして理解を得るということはあったとしても、学生にとっては、いや、それはだめです、やめてくださいというふうに言ってとまるものではないわけで、非常にこれは私は問題だと思います。

 もう時間がないので、最後に一点だけ。

 授業料、学生の学費負担、これは設置者変更でも同一にすべきだというパブコメの指摘がされているんですけれども、文科省の回答は、私立大学の学費は各大学で適切に判断するものであるが、学生や保護者に丁寧な説明をすることが重要、こういうものです。ということは、これはつまり譲渡された先で学費が上がる、上がってもこれはしようがない、そういうことはあり得るというふうに考えているんですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 私立大学の授業料について申し上げれば、それは設置者である学校法人において各大学の建学の精神に基づく教育、研究を実現する観点から設定されるというもので、適切に判断されるものでございますが、その上で、今回の設置者変更においては、教員の組織また施設等の同一性を保持しつつ行うということが前提でございますので、これは在学生の修学環境に変更が加わるものではないということでございます。このことを踏まえて、各学校法人においては変更後の大学において合理的に説明ができる授業料を設定する、こういう必要があると私どもも考えているところでございます。

吉川(元)委員 端的に答えてもらえますか。下がるのはまだいいかもわかりませんけれども、授業料が上がることはあるというふうなことなんですか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 学生の修学環境は変更しませんので、そのことについて、基本的に授業料等について変更が加わるということではないとは思いますが、ただ、さまざまな環境の中で、授業料の変更ということが全くないかということについては、これは各学校法人において合理的に説明ができる授業料の設定を行う、こういうことが必要だというふうに申し上げているところでございます。

吉川(元)委員 そこは私は大問題だと。時間が来ましたのでもうやめますけれども。入った大学の授業料、それが一・五倍、あるいは一・何倍かわかりませんが上がって、それでもってその授業料が払えなくて、結果として大学をやめざるを得ない、そんな学生さんも出てくる可能性は十分にあるわけで、この問題についてまだ幾つか質問したいことが残っておりますので、別の機会にまた質問したいと思います。

 以上で終わります。

亀岡委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 未来日本の笠でございます。よろしくお願いいたします。

 先ほど来当委員会でも幾つか質問が出ておりましたけれども、私も、二〇二〇年度からの大学入学者選抜の英語の試験のことについて、幾つかちょっと最新の確認をきょうはさせていただきたいと思います。

 というのが、今の高校二年生ですよね、初めて新しい制度の試験に臨む。私もちょっと高校生の方々と話したときに、やはり、よく理解している子と、全くそういうようなことをまだよくわからないというような子、非常に差が激しいなというふうな気がしております。

 それで、高校二年生というと、これから夏休みなんかに、しかも、高校三年生になった来年の四月から十二月にかけて試験を受けていくということになるわけですから、そういう意味では、本当に、来年四月ということになると、もう一年も切っているわけなので、ちょっと幾つかきちっと確認をしておきたいと思います。

 文部科学省としては六月に実施大綱を策定し公表される予定だというふうに思うんですけれども、今、七団体二十三種類の試験が対象となるということで、きょうは資料の方にもちょっと表裏で、今、恐らく予想される種類をここにまとめさせていただいています、文科省の資料でございますけれども。

 この各試験について、それぞれの具体的な開催場所だとか日時等々が決定するのはいつぐらいになるのか、そしてそれはいつごろ公表される予定になるのかを、まず教えていただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えをいたします。

 大学入試センターから成績提供を行う一定の要件を確認した資格検定試験は、御指摘のとおり、七実施主体二十三試験ございます。そのうち、二〇二〇年度の実施日程や会場に関する情報を既に公表している試験は、GTEC、英検、IELTSのIDP実施分のみの三試験でございます。

 文部科学省としては、まさに今御質問をいただきましたように、受検生に対してできるだけ早くその実施日程とか会場等の情報を提供することが重要というふうに考えておりまして、昨年十二月に設置いたしました高校、大学関係団体及び試験実施団体を構成員とする会議におきましても、可及的速やかに実施日程等の公表予定時期を示してほしいというふうに要請をしておるところでございますし、できるものから、例えば日数だけが決まっているという場合は、そういう情報からでもいいので、公表できる情報を公表するよう要請しているところでございまして、引き続き、速やかな対応ということで促してまいりたいと考えております。

笠委員 局長、やはり、速やかというか、もう本当に急がせないと、これだけ種類があるわけですよね。英検とか、TOEICとか、TOEFLとか、このベネッセのものとか、なじみのあるものもあるかもと思うんだけれども、それ以外にも、ちょっと私もよくわからないんですけれども。しかも、受検料もさまざまだし、会場もさまざまだし。

 あるいは、例えば、余裕があって、多少備えて慎重に準備していこうということになれば、これは今、高校二年生のときに受けてみることだってできるわけですよね、それぞれの試験。そうしたら、自分が一番ポイントがとりやすい試験というのがひょっとしたらあるのかもしれない。

 そういったことも含めて、いろいろな形で、やはり、生徒の立場から、どういうふうに準備をしていくのかというようなことを考えると、もう本当に私はぎりぎりのところに来ていると思うので、その辺のきちんとした、ある意味、役所として、文科省としての、これだけの大学受験制度を改革していくわけだから、特に初年度から混乱するようなことがあったらこれは取り返しのつかないことになりますので、しっかりとやっていただきたいと思います。

 それで、今度は、もう一点は大学側ですよね。二〇二三年度までは、現行の共通テストとこの外部検定試験を併用、兼用していくということになるわけですけれども、既に、二〇二一年の一月、初めての、再来年の一月の大学入試においては、それぞれ大学、学部等によって、この外部検定試験を活用するかどうか、それは委ねられておるわけでございますけれども。

 例えば、私立は別としても、国立大学法人だけでもいいんですけれども、現在、外部検定試験を活用するかどうかの方針をまだ決めていないところ、あるいは、活用するあるいは活用しない、その辺が今どういうふうに決定しているのか、その状況を教えていただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えをいたします。

 国立大学につきましては、対象となる八十二大学中において、活用の有無を公表しております。

 ただ、活用すると言っているけれども活用方法を明示していない大学は八大学ございます。活用しないとしている大学は三大学、北大、東北大、京都工芸繊維大学でございますが、それを除く七十九大学は、出願資格として活用する、あるいは入学共通テストの成績に加点する、あるいは出願資格及び点数化して加点する、一定水準以上を共通テストのみなし満点とするなどの方法によって活用する方法も公表しているところでございます。

 先ほど言った、まだ活用方法を明示していない大学に対しては、これも速やかな公表を求めていきたいというふうに考えておりますし、一方、私立大学は、まだ活用方法についてごく一部が公表しているのみでございます。英語資格検定試験の活用方法を公表していない大学に対しては、これも速やかな公表を求めていく考えでございますし、先生御指摘のように、各大学に対しては、受験生の立場ということも当然考えながら、可及的速やかにその英語検定試験の活用方法の公表を求めてまいりたいというふうに考えております。

笠委員 今、伯井局長からもあったように、まだ八大学、国立ですらですよ。国立大学協会で昨年来いろいろなガイドライン等々を定めてきているわけだけれども、いまだに、例えば、三大学は活用しない、そして八大学については、今あったように、今回の認定試験の結果を出願の資格とするのか、あるいは、CEFRによる対照表に基づいて、新テストの英語試験の得点にこれを加点していく、点数をしっかりと上乗せしていく、あるいは、出願資格と加点方式を併用するということもできるわけで、本当にこれは難しいですよね。ですから、やはり、その辺を明らかに明確に、わかりやすくしっかりと。

 ちょっと資料の方をごらんいただきたいんですけれども、このカラーの方です。例えば、各検定試験とCEFRの対照表というのもありますけれども、一応、このA1からC2までこのCEFRの基準に沿った形で恐らくは加点されていくというふうには思うんだけれども、例えば点数というのはそれぞれの試験によって違うわけで、そこがどういうような形で具体的に加点されていくのか。あるいは、加点するにしてもどの程度の配分でされていくのか。やはり、その辺はきちっと、早く、そしてわかりやすく、そしてさらには学校現場にもあらゆる形で周知徹底をしていくことができるように、その点はきちんと対応していただきたいと思います。

 それで、今お話あったように、北海道大学、東北大学等々、活用しない方針をもう既に決めている国立大学法人がございます。その理由としては、やはり、受検料の負担であったり、受検機会の公平性であったり、あるいは、複数の試験のスコアとCEFRとの対照や受検体制の面で、本当に十分な公平性や公正性が担保をされているのか、現時点で確認できない。非常に、やはりそういった戸惑いと、もうちょっと様子を見てみようというようなところだというふうに思っておりますけれども。

 こういう状況について、今どのように認識をされているのか、お答えをいただきたいと思います。

伯井政府参考人 活用を見送っている国立大学のその理由は、今まさに先生御指摘いただいたとおりでございます。

 それで、例えば経済的に困難な受検生への配慮につきましては、そもそも、この参加資格というか参加要件の中に、経済的に困難な受検生への配慮など、適切な検定料であることを公表しているということを要件としておりますので、引き続き、受検料の、経済困難者向けの検定料低減ということにつきまして、先ほど来申し上げております高校、大学関係者と試験実施団体の会議の場で、しっかり、そうしたことの要請、率直な意見交換も行っていきたいと考えております。

 それから、もう一つ、各試験とCEFRとの対照関係をもう少し検証すべきではないかということでありますけれども、これにつきましても、各試験検定団体におきまして、CEFRは欧州評議会が発表した基準でございますけれども、欧州評議会が示しているプロセスにのっとりまして、その試験のスコアとCEFRとの対応関係について専門家による検証を各団体において実施している、その検証方法についてもホームページで公表しているということでございますし、さらに、文科省といたしましても、外国語教育とか言語学の専門家も参加した作業部会の中で、そのプロセスの適切性というのを、検証を公表しているところでございます。

 引き続き、この検定試験が安心して活用してもらえるように、文科省としても、その経済的負担の軽減への配慮、あるいは地域的な格差への配慮、あるいはこのCEFRとの対照関係の検証など、全力で取り組んでいきたいと考えております。

笠委員 特にこの受検料についてはやはり国として何らかの減免措置を、確かに、今、そういった要請をしているということはわかるんですけれども、このカラーじゃない方の参加試験の一番下のところに受検料というのがあるんですけれども、非常にこれは、それぞれの試験によってまちまちですけれども、高額なものになると二万五千円とか二百三十五米ドルとか、本当にすごい負担になるわけですよね。

 ちょっと確認ですけれども、この共通テストの現行の英語、今のこの試験に、これを純粋に二回受けるとしたら、負担はプラスになるわけですね、生徒からすると。それでよろしいですか。

伯井政府参考人 共通テストとは別でございますので、そのとおりでございます。

笠委員 これ、払えない子、出てきませんかね。そういったことについて、文科省としてはどういう形で対応を考えているのか、この減免措置、それについてお答えください。

伯井政府参考人 直接の軽減措置ではございませんが、昨年八月に策定した大学入学共通テスト実施方針の追加分におきまして、非課税世帯であるなど経済的に困難な場合で一定の試験成績を有している者は、先ほど、高校三年生の結果を活用するという御質問がございましたけれども、その高校三年時の結果にかえて、高校二年時の結果を活用することを可能とする例外措置を設けるということでございます。

 さらに、試験実施団体に対して先ほど検定料の低減を求めるということとともに、受験料相当分を一定程度賄い得る、先般、法律改正で認めていただいた給付型奨学金の大幅拡充を非課税世帯とそれに準ずる世帯には行うということといたしております。

 繰り返しになりますが、文科省としては、民間団体に対して、引き続き、経済困難者向けの検定料低減について求めてまいりたいと考えております。

笠委員 大臣、ちょっと最後に確認をしたいんですけれども。

 私、経済的な理由にかかわらず誰もがしっかりと受けることができる、これは全てを対象にして、大学の試験の改革をするんだったら、それはやはり、経済的な理由からその機会が奪われるということがあっては絶対ならないことだと思うんですよ。

 大臣、そこはきちっと対策を出してください。これでやはり英語の試験を私は受けられなかった、だって、現にこれを受けないとだめな国立大学法人もあるわけじゃないですか、活用するという。ですから、大臣、ちょっとその決意を伺いたいと思います。

柴山国務大臣 委員が御指摘になった経済的負担の軽減ということ、それから、混乱が生じないように、事前の周知徹底を図っていくこと、こういったことにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

笠委員 ちょっと、大臣、もう少し自信を持って、これ、本当に、ぜひやってください。もう本当に、再来年の一月に混乱するようなことに、あるいは、もう来年四月から始まっていくわけですから、この民間の試験は。ですから、その点は、しっかり検討していただくように強く要請をして、質問を終わらせていただきたいと思います。

     ――――◇―――――

亀岡委員長 次に、日本語教育の推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、馳浩君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会、社会民主党・市民連合及び未来日本の七派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、日本語教育の推進に関する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。中川正春君。

中川委員 日本語教育の推進に関する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 我が国で学び、働きながら生活を営んでいる外国人の数は年々増加しており、法務省の調査によると、昨年末の時点における在留外国人の数は、過去最高の約二百七十三万人となりました。

 一方で、現在、我が国に居住する外国人が日本語を学ぶ環境は必ずしも十分整備されているとは言いがたい状況にあります。日本語を十分に理解できないことから、学校や就労する企業あるいは地域社会に溶け込むことができず、日常生活や社会生活に支障を来すことが懸念されるところであります。

 このような状況を踏まえれば、国内における日本語教育を推進することにより、我が国に居住する外国人が日常生活や社会生活を国民とともに円滑に営むことができる環境を整備することは、我が国にとって喫緊の課題となっているものと考えます。また、海外における日本語教育の推進は、我が国に対する諸外国の理解と関心を深める上で重要であります。

 そこで、本案は、多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現に資するとともに、諸外国との交流の促進並びに友好関係の維持及び発展に寄与することを目指し、日本語教育の推進に関し、基本理念を定めるとともに、国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするほか、基本方針の策定その他日本語教育の推進に関する施策の基本となる事項を定めるものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 まず第一に、日本語教育の推進は、日本語教育を受けることを希望する外国人等に対し、その希望、置かれている状況及び能力に応じた日本語教育を受ける機会が最大限に確保されるよう行われなければならないこと等を基本理念とすることとしております。

 第二に、国及び地方公共団体は、日本語教育の推進に関する施策の策定及び実施についての責務を有するとともに、外国人等を雇用する事業主は、その雇用する外国人等及びその家族に対して日本語学習に関する支援を行うよう努めることとしております。

 第三に、政府は、日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本方針を定めるとともに、地方公共団体は、基本方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を定めるよう努めることとしております。

 第四に、国は、基本的施策として、国内における日本語教育の機会の拡充、海外における日本語教育の機会の拡充、日本語教育の水準の維持向上、日本語教育に関する調査研究等必要な施策を講ずることとしております。

 第五に、政府は、文部科学省、外務省その他の関係行政機関相互の調整を行うことにより、日本語教育の総合的、一体的かつ効果的な推進を図るため、日本語教育推進会議を設けることとしております。

 最後に、本案は、公布の日から施行するとともに、国は、日本語教育機関に関する制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ御賛同いただきますようよろしくお願いを申し上げます。

 以上です。

    ―――――――――――――

 日本語教育の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

亀岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、これを許します。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 ただいま起草されました日本語教育の推進に関する法律案について質問いたします。

 まず、提出者に伺います。

 義務教育年齢にある外国籍の子供たち約十一万三千人のうち一六%に当たる約一万八千人が就学不明とされていますが、正確な実態は把握されておりません。

 本法案は、こうした子供たちの実態把握や教育を行き届かせていく上で、どのような意義を持つものでしょうか。

中川委員 ありがとうございます。

 まず、実態の把握についてでありますが、本法案の第二十四条では、国が日本語教育の実態等について情報の収集等を行うべきことを明記しております。外国籍の子供たちの就学状況についても、本条に基づいて情報の収集等が行われるというふうに考えています。

 また、外国籍の子供たちに教育を行き届かせることについては重要な課題と考えており、本法案の第十二条第一項で、国が外国人等である幼児、児童、生徒等に対する日本語教育の充実を図るために行う施策の例示として、就学の支援ということを明記しています。

畑野委員 学校現場では、教員の皆さんの献身的な努力によって日本語教育が支えられています。しかし、圧倒的に体制が不足しているという声を伺っております。

 法案は、体制の強化をどのように図っていくのでしょうか。

馳委員 お答えいたします。

 本法案の第十二条第一項では、外国人等である幼児、児童、生徒等に対する日本語教育の充実を図るために必要な施策の具体例として、日本語の指導等の充実を可能とする教員や支援員の配置に係る制度の整備、教員等の養成等を特記しているところであります。本項に基づき、委員御指摘の日本語教育推進に関する体制の強化が着実に図られていくべきものと考えております。

 その上で、第八条では、先ほど御説明した第十二条による施策も含めて、政府は必要な法制上、財政上の措置等を講じなければならないと定めており、提案者としては、その施策の実効性が法制面、財政面等からも担保されることを期待しております。

畑野委員 先日、浜松市の南米系外国人学校、ムンド・デ・アレグリア学校を訪ねてお話を伺ってまいりました。資料にもつけさせていただきました。スペイン語の校名、ムンド・デ・アレグリアは、喜びの世界という意味だということです。

 ここでは、子供たちが学校卒業後、日本、母国両国で進学や就職が可能となるよう、母語教育を基本にしつつ、日本語教育も位置づけて行っています。校長先生は、母語能力の基礎があって初めて第二言語である日本語の習得にもつながると強調されていました。そして、そうした教育環境を広げるために、日本の学校と外国人学校との連携協力が不可欠だとも話されていました。

 法案の第七条では、関係省庁間、日本語教育を行う機関、外国人等を雇用する事業主、外国人等の生活支援を行う団体等の関係者間の連携強化が規定されていますが、ここで言う日本語教育を行う機関には、日本に住む子供たちに母語で教育を行う外国人学校も含まれるのでしょうか。

笠委員 先生おっしゃるとおり、日本に住む子供たちに対し母語で教育を行う外国人学校であっても、組織的に日本語教育が行われている学校であれば、第七条の日本語教育を行う機関に含まれると考えております。

畑野委員 次に、外国人を雇用する企業や新たな在留資格である特定技能の受入れ機関は、その雇用する外国人に対する日本語教育をしっかり行う責任があります。

 本法案は、こうした点についてどのように対応するのでしょうか。

中川委員 非常に大事な点だと思います。

 外国人を雇用する企業や外国人と特定技能雇用契約を締結する機関には、その雇用する外国人に対して日本語教育を含む生活支援等を行う責任があることについては、御指摘のとおりであります。

 本法案では、第六条において、外国人等を雇用する事業主は、その雇用する外国人に対する日本語学習の支援に努めるべきことを明記しております。同時に、第十四条第一項において、国においても、事業主がその雇用する外国人等に日本語教育の機会を提供することなどについて必要な支援を行うということになっております。

畑野委員 入管法に基づく告示校である日本語学校ですが、その七割が民間企業の経営になっています。今、留学とは名ばかりで、安価な労働力を派遣、供給している実態が社会問題化しております。

 本法案は、こうした問題についてどのように対応するのでしょうか。

馳委員 本法案の附則第二条では、第二号の外国人留学生の在留資格に基づく活動状況の把握に対する協力に係る日本語教育機関の責務のあり方を始め、国は、日本語教育機関に関する制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされています。

 これは、日本語学校の現状について議連の中でも委員御指摘の課題が示されたことを踏まえて規定することとしたものであります。

 本法案が成立した場合には、日本語教育の水準の維持向上を図るために必要な適格性を有する、日本語学校と呼ぶにふさわしい日本語教育機関に関する制度の整備が行われることを期待しております。

畑野委員 最後に、柴山昌彦文部科学大臣に伺います。

 子どもの権利条約は、締結国に対して、初等教育を義務的なものとして、全ての者に対して無償のものとするというふうに義務づけております。全ての者にということです。また、中等教育を利用する機会の提供については、例えば無償教育の導入などについても述べています。

 こうした考え方を踏まえて、義務教育年齢にある外国籍の子供たちに対する教育について、政府としてどのように考えていらっしゃるのか、どのように進めていくつもりなのか、伺います。

柴山国務大臣 お答えいたします。

 我が国においては、外国人児童生徒の保護者に就学義務はありませんけれども、公立の義務教育諸学校へ就学を希望する場合には、御指摘の児童の権利に関する条約や国際人権規約なども踏まえて、その子を日本人児童生徒と同様に無償で受け入れているところであります。

 こうした状況を踏まえ、文部科学省といたしましては、昨年十二月に取りまとめられた外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に基づいて、日本語指導に必要な教員定数の義務標準法の規定に基づく着実な改善や、日本語指導補助者及び母語支援員の学校への派遣等々地方自治体が行う支援に対する補助事業等を実施しているところでありまして、今年度予算においては、これらのさらなる充実を図っているところであります。

 ことし一月に我が省内に設置した外国人材の受入れ・共生のための教育推進検討チームにおいても、外国人児童生徒に対する教育の充実を含めた議論を行うとともに、中教審においても、増加する外国人児童生徒等への教育のあり方について検討を深めることとしております。

 これらの取組を通じて、外国人児童生徒に対する教育の充実を図っていくとともに、本法案が成立をした場合には、先ほど紹介をしていただいた第十二条の趣旨も踏まえつつ、教育の充実を図るために必要な施策を講じてまいりたいと考えております。

畑野委員 実態をしっかりつかんでいただき、国としての対応を進めていただきますよう強く求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

亀岡委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十分散会


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