衆議院

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第6号 令和元年11月13日(水曜日)

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令和元年十一月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橘 慶一郎君

   理事 池田 佳隆君 理事 上川 陽子君

   理事 白須賀貴樹君 理事 馳   浩君

   理事 村井 英樹君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      石川 昭政君    上杉謙太郎君

      小此木八郎君    大串 正樹君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      櫻田 義孝君    柴山 昌彦君

      田所 嘉徳君    田畑 裕明君

      高木  啓君    谷川 弥一君

      出畑  実君    中村 裕之君

      根本 幸典君    百武 公親君

      福井  照君    船田  元君

      古田 圭一君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    吉良 州司君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      牧  義夫君    村上 史好君

      山本和嘉子君    吉川  元君

      高木 陽介君    鰐淵 洋子君

      畑野 君枝君    森  夏枝君

      笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    青山 周平君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 柳   孝君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    瀧本  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     田所 嘉徳君

  根本 幸典君     工藤 彰三君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     宮澤 博行君

  田所 嘉徳君     百武 公親君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     神山 佐市君

  宮澤 博行君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房長柳孝君、総合教育政策局長浅田和伸君、初等中等教育局長丸山洋司君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長白間竜一郎君、スポーツ庁次長瀧本寛君及び厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。村上史好君。

村上(史)委員 皆さん、おはようございます。立国社の村上史好でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 きょうは、法案質疑ということで幾つか質問させていただきますけれども、まずその前に、内閣の政治姿勢について、何点か大臣に見解を伺いたいと思います。

 先週ですけれども、本当に久しぶりに衆参で予算委員会集中審議が開催をされました。その折、我が会派の今井議員に対して、文科省のいわゆる萩生田発言のメモの真偽をやりとりしているときに、安倍総理が、そのペーパーはあなたがつくったんじゃないかというようなやじを飛ばされまして、一時紛糾をいたしました。また、参議院におきましても、杉尾議員に対して、わざわざ公党の名前を出してやじを飛ばすということが重なりました。この一連の不規則発言、やじについては、単なるやじということで看過できない問題があると思っています。

 まず、内閣から立法府に対する考え方、今、総理大臣を始め内閣は立法府に対してどういう姿勢で臨むべきかというところが問われているのではないかと思います。

 野党議員も国民を代表している立場でございます。我々野党議員の背後には大多数の国民がいらっしゃいます。単に与党、野党の議員同士のやりとりということではなくて、やはり国民に対して、さまざまな形で、問題点、疑惑についてはきっちりと説明責任を果たしていく、これは行政府の大きな責任だと思います。

 そういう視点から、今回の安倍総理の不規則発言について、内閣の一員でございます萩生田大臣の見識をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 おはようございます。

 総理の発言についてお答えをする立場にはありませんので、コメントは差し控えたいと思いますが、一般論として、今、先生の問題意識を示されました。政府としては、国会において、与党であれ野党であれ、丁寧な説明に努めることが重要だと考えております。

村上(史)委員 今大臣が、国会においても丁寧に説明をする、それは責任だというふうにおっしゃいました。

 それでは、引き続きまして、これも先週の参議院予算委員会の集中審議で共産党の田村智子議員が追及しました、安倍首相主催の桜を見る会に総理を始め閣僚の後援会会員を多数招待していたという問題についてお尋ねをしたいと思います。

 大臣御自身のブログでも、総理主催の桜を見る会に常任幹事会の皆様を御夫婦でお招きしましたと発信をされています。御承知のとおり、この桜を見る会は、各省庁が推薦する各界の功労者、功績のあった方々を招待する、それを税金を使って公的な行事として主催をされるものであります。大臣がおっしゃる常任幹事会の皆様は、どの団体、どの業界の方々なのか、そしてどのような功労があった方なのか、お尋ねをしたいと思います。

萩生田国務大臣 桜を見る会につきましては、各省庁からの意見等を踏まえ、各界において功績、功労のあった方などを幅広く招待しているものと承知をしており、招待者については内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめられているものと承知をしています。

 その上で、個々の招待者については、招待されたかどうかを含め、個人に関する情報であるため、従来から回答を差し控えさせていただいているものと承知しております。

 当日、参議院で私が答弁しましたのは、突然の質問だったので、私も何年のどの部分かわからなかったんですけれども、後援会の常任幹事の中で、都道府県の団体などの長で招待された方がいたので、その方たちと現場でお会いをしたのは事実でありますけれども、招待したというのは、私が招待したわけじゃないので、そこはちょっと言葉の使い方を誤ったなということをお答えしたところです。

村上(史)委員 端的にお伺いしたいんですけれども、ブログではっきりと、常任幹事会の方々を御夫婦でお招きしたと。その言葉遣いは別にして、大臣が主体的にお呼びになったのではないんですか。

萩生田国務大臣 私が主体的に呼ぶということは仕組み上できませんので、私がお招きした事実はございません。

村上(史)委員 それでは、お聞きをいたします。どういう推薦のもとでその方々が参加をされたのか、そのことはどのように認識をされておられますか。

萩生田国務大臣 繰り返しになりますけれども、招待者は内閣官房及び内閣府において取りまとめをしているというふうに承知をしております。各省庁からの意見などを踏まえ、各界において功績、功労のあった方などを幅広く招待しているものと承知をしております。

村上(史)委員 それでは、後援会の方であるということは事前に御存じだったわけですか。

萩生田国務大臣 招待状が届いた方々から、私も行きますかという問合せがあったので、数名の方が出席されるということは事前に承知をしていました。

村上(史)委員 それと、大臣、これは毎年同じような形で参加をされているんですか。

萩生田国務大臣 出られなかった年もあると思いますけれども、招待があって日程が合えば参加をしております。

村上(史)委員 各先生方のブログを拝見いたしますと、例えば二〇一三年、これは萩生田大臣のブログではありません、他の議員のブログなんですけれども、その中で、国会議員仲間にもあちこちで御挨拶をした、萩生田光一代議士など、地元の皆さんと一緒にバスを借り切ってお見えでしたというブログがございました。これは事実でしょうか。

萩生田国務大臣 主体的にバスを借りて皆さんがお見えになったという事実はありません。

村上(史)委員 否定する根拠は何ですか。

萩生田国務大臣 そもそも、そんな大人数の方と現場でお会いしたこともございませんし、要するに、私が主体的にバスを借りたり、あるいは、その方たちが、行かれる方が偶然皆さんでバスを借りるというのはちょっと考えづらいと思いますので、バスでお見えになるという事実はないと思います。

村上(史)委員 続いて、二〇一八年、昨年でございますが、昨年の桜を見る会に、またブログで、お招きした町会自治会連合会役員の皆さんと合流をした、そのようにブログで発信をされております。これも偶然なんですか。

萩生田国務大臣 私がお招きをするということはできませんので、ちょっとそれは表現が、いかにも自分が主催者のように語っておりますけれども、あくまで、功績、功労のあった方たちが内閣官房及び内閣府において最終的に取りまとめられているものと承知をしております。

村上(史)委員 大臣の答弁は、一生懸命あれを何とかかわそうという思いはわかるんですけれども、やはり事実は事実としてきっちりと認める。別に大臣がそのことで責任をとるべきだということを主張しているのではなくて、いわゆる公の行事、税金を使うところに後援会とか私的な団体を参加させるという行為そのものはやめるべきではないか、今後やめる、してはいけない活動ではないかということが趣旨の質問でございますので、安心してお答えいただきたいなというふうに思います。

 それでは、またちょっと常任幹事会の件で質問したいんですけれども、常任幹事会の方々は、萩生田大臣が内閣官房、内閣府に推薦し、総理から招待を受けた方々ということになるんでしょうか。

萩生田国務大臣 いいえ、違います。あくまで個人が招待をされておりまして、その方たちと現場でお会いをしたということでございます。(発言する者あり)推薦する仕組みはございません。

村上(史)委員 別に、先ほど申し上げたように、推薦したっていいじゃないですか。ただ、今後どうするべきかということにやはり思いをいたすべきであって、まず事実を明らかにする、そのことが国民に対する説明責任だ、税金を使う以上は説明責任があるのではないか、そのように思います。

 ただ、大臣、今回の件を通じて、今後はどうあるべきだ、そういう疑惑が持たれないような形で桜を見る会を主催、運営すべきだ、そのようにお考えですか。

萩生田国務大臣 私の後援会の人がごっそり皆さんがお招きいただくようなことがあったとすれば、これはまたいろいろ誤解を招くんですけれども、各界各層でそれなりのお立場の人たちがたまたまお招きをいただいたということで、行かれた人に行けなかった人からクレームなどもあったのも事実でありますので、やはりその基準は今後明確にしていく必要があると思います。

村上(史)委員 後援会ではないけれども偶然に会ったというのが、二回、三回、四回と続いた。こういう不自然な答弁はやはり限界があると思いますよ。

 だから、バスでチャーターして来たという証言もある、いや、そんなことはない、今の時点ではそのことは事実を証明できません、私の方からも、証拠があるわけではないので追及はできませんけれども、しかしながら、毎年のようにこういうブログを大臣自身が発信していらっしゃるということは、事前に承知をした上での偶然であったということになる。最終的には、やはり名簿を提出いただかないといけないと思います。

 内閣府では、この参加者名簿については、一年未満の間に廃棄するということで、既にことしの分もないと発表をされております。ただ、内閣府から各府庁に推薦依頼を出される、そして、各府庁は、その推薦依頼を受けて、各課に、それぞれ推薦する方々の名簿をまた回答して、省庁から内閣府にまた戻していく、そういうやり方で推薦名簿を集約していたのが内閣府でございます。

 今、例えば文科省の場合ですけれども、文部科学省大臣官房人事課の保存期間表によれば、園遊会、桜を見る会に関する文書、内閣府からの推薦依頼、推薦依頼に対する回答、内閣府からの照会事項に対する回答は、保存期間を十年とすると書いております。文部科学省関係の推薦人の名簿は今もお持ちだと思います。ぜひそれを提出していただきたいと思います。

萩生田国務大臣 文部科学省から回答した推薦者名簿については、文部科学省行政文書管理規則に基づき保存をしております。

 桜を見る会の推薦者名簿については、個人に関する情報が多く含まれていること、また、推薦段階の情報であり、これを明らかにすることは内閣官房、内閣府における円滑な取りまとめに支障を及ぼすおそれがあると考えていることから、これを提出することは差し控えさせていただきたいと思っております。

村上(史)委員 桜を見る会ですよ。本当に名誉なことで、ありがたいなと思うのが普通じゃないですか。ああ、私のところにも招待状が来たと、喜んで参加をされるはずです。こそこそ行くわけではありませんよ。

 ですから、この名簿を提出したからといって、個人のプライバシーを侵害するおそれはないと思います。(発言する者あり)ブログ、まさにそうなんです。もう公表されているんですよ、皆さんが。どうですか、大臣。名簿の提出。

萩生田国務大臣 推薦段階の情報であり、例えば推薦した名簿から外された方も中にはいらっしゃる可能性があると思いますので、個人情報でございますので、提出は控えさせていただきたいと思っております。

村上(史)委員 それでは、少なくとも本委員会の理事会のメンバーぐらいはその名簿を確認する、そういう手続を委員長にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

橘委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。

村上(史)委員 ありがとうございます。それでは、よろしくお取り計らいいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、提出法案に対する質疑に移らせていただきたいと思います。

 まず、今問題になっている教師の長時間労働の是正は働き方改革を急ぐ喫緊の課題だということで、今回の法案提出につながったとは思いますけれども、働き方改革を論じる前提として、教員は労働者なのか否かという議論も底流にあると思いますし、その認識によって働き方改革を進める上の施策も法的にも大きく変わってくると思います。

 一つは、教員は、教師は労働者である、労働による対価を得る生活者の一人であるという面では、サービスを提供する労働者、また、物をつくる労働者も同じだ、労働による対価を得るという面では労働者ではないかという考え方が一つございます。また、教員は、人を育み、人間形成に大きくかかわる立場であるがゆえに、教員の任務は崇高である、だから、特別の待遇、特殊性を強調する立場として、聖職的な立場をとる方もいらっしゃいます。そして三つ目ですけれども、ILOが示す教員は専門職であり、社会的評価が高い地位とする者としての教員を労働者とは明確に示していませんけれども、労働基本権は付与されるべきものと考える。この大きく三つの類型に分かれると思いますけれども、大臣は、教員はどういう地位にあると思われますか。

萩生田国務大臣 教師は、労働法制上において労働者として扱われるものだと思います。

 なお、教育基本法の第九条第一項の規定においては、「教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」とされており、教師は、人格的な触れ合いを通じて児童生徒の人格形成にかかわるという極めて重要な職務を負う者であると考えております。

 教師には、このことをよく踏まえて、使命感を持って、教育の専門職としてのみずからの職責を果たし、国民の信頼に応えていくことが期待されるものと考えております。

村上(史)委員 基本的には労働者だという認識をお持ちのようでございます。そういう立場で、私も同じ立場でございます。やはり、高い専門性、また崇高なさまざまな物の考え方、そのことによって未来のある子供たちを教育していく本当に重要な職業だと思います。

 しかし、現実は、教員は労働者といいながら、いろいろな法的な制約で、本来認められるべきものが認められていないというのが今の現状でありますし、その結果、長時間労働というものを生み出してしまったとも言えます。そういう面では、今、根本的に法制、法律を変え、また制度を変えていく時期に来ていると思っています。

 御存じのとおり、給特法は昭和四十六年に制定をされました。当時は五五年体制の真っただ中でございましたし、当時の文部省と教職員組合が鋭く対立をしていた時代でもあります。社会的には、左翼運動が華やかで、革新の嵐が吹き荒れて、社会的にもストが頻発していた時代であったと思います。勢い、労働組合への風当たりが強い時期だったとも思います。

 しかし、昭和、平成、令和と時代が変遷をし、社会の意識、国民の意識も大きく変化をしてきたと思います。

 実は私、民主党政権のときに、公務員制度改革の議論、内閣委員会で質問をさせていただいて、ILOの勧告、労働基本権の付与をすべきだという勧告ですけれども、このILO勧告に対する質問を、与党側の民主党、そして公務員制度改革の法案の対案として提出をされた議員立法、当時、自民党の塩崎議員、また当時のみんなの党の山内議員などが共同提出した法案の審議をいたしました。

 そのときに、与党の民主党は、このILOの勧告を受けて、法整備に進めます、検討します、法整備をしますという明快な答弁がございました。また、みんなの党の山内議員も、付与すべき立場で推進をする、そのようにもおっしゃいましたし、塩崎議員も、その対象を拡大する方向で検討をしていく、基本権の付与の対象を拡大するという前向きの発言もございました。

 時代が変遷をしてきました。また、昨年、二〇一八年には、十一回目のILOの勧告が出ております。政府としても、そろそろこの勧告を受け入れて公務員の労働基本権の付与を認め、教員に対しても同様の権利を付与し、労働者として位置づけ、給特法の廃止を含め、抜本的な改革に着手すべきだ、そのことで働き方改革を進めるべきだと私は考えますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 今先生御披露いただいたILOの労働基本権の勧告については、まず、地方公務員はどうあるべきかというのは少し大きな問題だと思います。その上で、教職公務員は、私、労働者であるというふうに申し上げましたけれども、しかし、崇高な使命を持った、普通の地方公務員とはやはり違う役割を果たしている大事な職業だと思います。がゆえに、人材確保法ですとか給特法という少し違った給与体系で今まで来たんだと思います。

 ただ、問題意識は同じでありまして、時代の変遷とともに、やはり学校の先生方の果たすべき役割や日々の業務というのは大きく変わってきて、今本当に長時間労働で苦しんでいる現場を実態として承知しております。だからこそ、今回の法改正を御理解いただいて、まずは仕事時間の縮減、それから、やるべきこと、本来の、教師として特化して、専門職として頑張っていただきたいことに力を注いでもらえるような制度に変えていこうと思っています。

 大きな大きな基本権の話は、これは教員だけじゃなくてやはり地方公務員全体にも係る話でありますので、また別の機会にそれは議論を深めていただいたらいかがかなと思うんですけれども、その上で、果たして給与面での支援をすることで本当に改善が、変わるのかというと、私は、そのことは決して否定はしませんけれども、現段階では、まずは日々の業務の時間数を減らしていく、そして専門職としての教師としての力を発揮いただくその環境づくりにまずは力を注いでいきたい、そのための法改正であるということを御理解いただきたいと思います。

村上(史)委員 別に給与面だけのことを強調して私は言っているつもりはないんですけれども。やはり、労働環境また業務の内容については、本来は、現場の労使が協議をして、働きやすい職場そして適切な労働時間というものを協議、締結をして、それを進めていく。こういうやり方をしようと思えば、法的にきっちりと担保するためには、労働基本権の付与は避けて通れないのではないかという立場で申し上げたつもりでございます。

 それでは、もう少し具体のお話をさせていただきたいと思います。

 教員の長時間労働を是正するには、まずやらなければならないことは、業務量の見直し、改善、これは絶対にやらなければいけません。そして、教職員定数の改善も行わなければなりません。とりわけ労働時間につきましては、過労死が頻発をする、また、健康を害して長期入院を強いられるという現場の状況がございますので、労働時間を短縮していくというのは喫緊の課題であるということは論をまたないと思います。

 そこで、この法案の中身について伺いたいんですけれども、月四十五時間、年三百六十時間の上限ガイドラインの設定ですけれども、このキャップをはめるには、当然、業務内容の見直し、改善が不可欠でございます。

 一つの例をお尋ねしたいと思います。学校徴収金の徴収は学校以外が担う業務であるとしておりますけれども、現状はどのようになっておるでしょうか。

萩生田国務大臣 まさしくそれも教師の皆さんの負担になっていると思います。例えば給食代金などの徴収、袋に入っている金額が正しいか正しくないか、そういったことも確認をしながらやらなくてはならないので。

 今回の法改正は、全てを包含するわけではありません。まずは働き方改革、変えるわけですけれども、その中には、先生も今触れていただいたように、必要なマンパワーを学校に入れていくことや、自治体の方で例えば自動引き落としに変えていくことで、こういった業務は現場ではなくなっていくわけですから、こういったことも総合力でやはり改善をしていかないと働き方改革にならないと思っております。実態としては、今そういう状況にあります。

村上(史)委員 もちろん、これだけで事足りるという問題ではない。いみじくも大臣もおっしゃいましたけれども、総力戦だ、総合的な取組が必要だということはもちろんそうではありますけれども、ただ、この法案は来年一月から施行する部分もございます。現場がその法律に合わないようでは、今の長時間の労働時間というのは是正をされないのではないか、現場がきっちりと業務内容の見直しができてこそ、新たな法律が生きてくるのではないか、そのように思います。

 今申し上げました学校の徴収金の問題ですけれども、これもかねてより、学校の先生が直接児童生徒のところに、お金を払ってください、こんなかわいそうなことはないと思います。子供たちにとって、教育上もよくないと思います。ですから、早く公会計でこれを処理すべきだ、業務量を減らす意味においてもこの公会計を進めるべきだと思っておりますけれども、現実には、平成二十八年のちょっと古いデータですけれども、公会計は四〇%弱で、六割は私会計、学校の先生とか事務職員がやっている。

 これは来年の施行に間に合いますか。是正できますか。

萩生田国務大臣 今先生御指摘いただきました学校給食費の公会計化についてでありますけれども、本年七月に、各自治体において公会計化の導入を促進するためのガイドラインを作成し、通知をいたしました。

 文部科学省としては、今回の改正により策定することとしている、これからお認めいただく指針におきまして在校等時間の客観的な把握について示すことを想定しており、これを契機として、客観的な把握ができていない自治体の導入を一気に進めていくとともに、指針の実効性を高めることにより、給食の公会計化を始めとする業務の適正化などを加速していきたいと考えております。

村上(史)委員 今までも取り組んでこられた課題なんですけれども、一向に進んでいないという現実があるということをまずお認めいただいて、そして改善を進める。基本的には、やはり法律が施行される前にこれは完全に改善をすべきだと私は思っております。

 次に、月四十五時間以内の残業を守らせるためには、勤務時間の厳格な管理が必要でございます。タイムカードの設置などは必須条件だと思いますが、設置状況はいかがなものでしょうか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員の方から御指摘をいただきました学校のタイムカードの設置状況等でございますが、今現在、都道府県におきまして、ICTの活用やタイムカードなどにより勤務時間を客観的に把握していると回答した教育委員会、これは平成三十年度の調査でございますけれども、都道府県で十八、政令市で九、それから市区町村で六百九十六という状況でございます。

 こういった状況について、文科省としても通知を発出するなり、そういった取組の促進に努めているところでございますので、しっかりとその取組を進めていきたいというふうに考えております。周知を図っていきたいと考えております。

村上(史)委員 これも継続して進められている施策なんですけれども、今局長がおっしゃいましたけれども、このICTの活用やタイムカードの設置状況を見ますと、例を出して恐縮ですけれども、北海道では二十八年度時点で六・二%、岐阜県は高いんですね、九〇・二%、三重県三・四%、徳島県四・二%、福岡一九%。このように、全国的にばらつきがあります。

 しかし、一方で、この法律を施行すれば、待ったなしで時間管理をしなければいけないけれども、それができないという状況の中にあっては、幾らキャップをはめても、現実が変わらないので長時間労働というものはそのまま残ってしまうけれども、キャップをはめているから、基本的には四十五時間以上の残業はないということになってしまう。そのことによって長時間労働の実態が隠れるおそれがあるわけですよ。

 そのことはお認めになりますね。どうですか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 勤務時間管理は、従来より、労働法制上、教育委員会や学校の責務とされていたわけでありますけれども、働き方改革推進法による労働安全衛生法等の改正によりまして、タイムカードなどの客観的な方法による勤務時間の状況の把握が公立学校を含む事業者の義務として法令上明確化されたということでございます。

 現在、教育委員会に対しまして、さまざまな調査等も通じながら、今回の法令上の扱いということについて、しっかりとこの対応を踏まえて勤務時間管理を進めていただくということについて指導しているところでございますけれども、引き続きしっかりとその取組は進めていきたいと考えております。

村上(史)委員 現実には、再三私が申し上げておりますように、この法律を急ぐべきではない、まず現実を改善して、法律が機能する現場をつくることの方が優先されるべきではないか、そのことを強く訴えたいと思います。

 時間もほぼなくなってまいりましたので、いま一度、繰り返しになりますけれども、桜を見る会のことで大臣に確認をしたいことがございますので、一問お答えください。

 大臣は、御自身の後援会の方が招待されていることに関して、内閣官房や内閣府に何らか働きかけを、接触も含めて、連絡もしていないと断言をされますか。

萩生田国務大臣 私から連絡をしたことはございません。

村上(史)委員 時間になりました。終わります。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 立国社の牧義夫と申します。

 大臣には初めて質問させていただきますので、改めて御就任おめでとうございます。

 多分、大臣はもうお忘れになっていると思うんですけれども、私、大臣と最初にお会いしたのは多分三十年近く前じゃないかな。当時、私、鳩山邦夫代議士の秘書をしておりまして、大臣は八王子の市議会議員にもうなられていたか、なる前か、新進気鋭の市会議員でございました。当時、まさかこういう形で対面するとは夢にも思いませんでした。そういった感慨の中できょうは質問させていただきたいと思います。

 まず、就任から、英語の民間試験導入をめぐって、大変荒波の中、大臣は船出をされたという感がありますけれども、身の丈発言等、大臣みずからが波を立ててきた部分も、これも否定できないというふうに思います。

 そして、十一月一日、まさに本当にぎりぎりのタイミングで、遅きに失したと言っても過言ではないと思うんですけれども、とりあえずこれが延期ということになりました。

 見送りの発表時、十一月一日に大臣が、抜本的な見直しを図っていきたい、こういう表現をされているんですけれども、きょう、せっかくですので、ちょっとその辺について確認だけしておきたいと思います。

 これは、単なる延期じゃなくて、抜本的見直し、つまりは、民間試験導入にこだわらず、全てゼロベースに戻してもう一回検討する、そういう理解でいいのかどうか、そこをまず確認したいと思います。

萩生田国務大臣 今後設置する予定の検討会議の具体的な論点については早急に検討してまいりますが、大学入学共通テストや各大学の個別試験の中での英語四技能評価をどのようにしていくのか、経済的な状況や居住地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような配慮が十分なのかなどを柱として、高校、大学関係者などの意見も聞きながら、今後一年を目途にしっかりと検討してまいりたいと考えております。

 その際、システム導入が延期となった要因や、導入に当たって指摘された課題についても検証し、英語四技能を適正に評価するシステムを国が責任を持って実施できる体制について、しっかりと検討してまいりたいと思います。

 現段階で、どのような仕組みでいくかというものを決定しているものではありません。

牧委員 ちょっと今の表現でははっきりわかりかねるんですが、今の話の私の理解は、これは一旦ゼロベースという形に理解をさせていただきましたので、従前のこの民間試験、今まで検討されてきたことにこだわらずに検討を進めていただきますようにお願いをいたしたいと思います。

 そしてもう一つ、この共通テストをめぐっては、このほか、国語、数学の記述式の問題導入についても各方面から懸念の声が上がっております。この件についても、この間、金曜日の委員会冒頭で、高大接続改革について大臣の御発言がありましたが、この件についての言及がなかったので、これも改めてお聞かせをいただきたいと思います。今後どうされるおつもりなのか。

萩生田国務大臣 金曜日に、多面的、総合的に学力を評価しようとする高大接続改革を引き続き着実に進めるとともに、令和二年度から開始する大学入学共通テストの記述式問題の導入などの大学入試改革については、円滑な実施に向けて万全を期してまいりますと発言をさせていただきました。

牧委員 円滑な実施に向けて万全が期されているのかどうかということに大変各方面から懸念の声が寄せられているわけで、そのことについてどう考えておられるのかという発言が私はなかったというふうに思います。

 この準備の状況についてもお知らせいただきたい。一万人を対象に記述式を、これは入試センターがやらせて模擬採点をするというようなお話も聞いておりますけれども、そのやり方について、簡単にお知らせをいただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 大学入学共通テストの準備事業でございますけれども、これは大規模な記述式問題の採点を限られたスケジュールの中で円滑に実施するということですので、高等学校等の協力を得ながら、それぞれ各科目一万人の協力を得まして、具体の答案を活用して採点過程を検証し改善を図ろうというために実施するもので、十一月の十一日から二十五日までの間に全国の高校等の協力校が任意の日時で実施した試験の結果を実際に採点するということによりまして、入試センターと採点事業者との役割分担、連携のあり方、採点者への事前研修のあり方、全体の採点プロセス、スケジュールのあり方などについて検証するということでございます。

 これによって採点に関する一連の過程のより一層の改善を図るということを目的としておりまして、この結果を踏まえつつ、採点の質の維持向上を図ろうというものでございます。

牧委員 私、今お聞きした限りでは、これは必ずしも十分な事前の調査とは言いがたいというふうに思います。

 今のお話ですと、いわば模擬採点ですよね。それでは、一万人、この受験をした人たちが自己採点をしたものと、模擬採点をしたものとの突合というか、その辺の合わせというのはこの調査でやるんでしょうか。

伯井政府参考人 今回の準備事業というのは、二十九年度、三十年度の試行調査を踏まえてやるものでございますが、今回の主たる目的は、採点基準を具体的にどのように明確化していくかという採点過程、採点プロセスをより一層検証していこうという趣旨のものでございまして、自己採点そのものを検証していこうというものではございません。

 ただ、採点基準を明確化することによって、結果的に自己採点がしやすくなるという方途については検討できるものと考えております。

牧委員 いずれにしても、これは大変不十分だと私は言わざるを得ないと思います。

 今、懸念の声が上がっているのは、自己採点が非常に難しいからこそ、大学受験校を選択することについてもいろいろ混乱が生じるんじゃないかというところが、まさに指摘をされている部分なので、せっかくこういう模擬試験をやるのであれば、自己採点と実際の模擬採点との関係性について十分に研究をしていただかなければならないということも申し上げておきたいというふうに思いますし、また、この結果についても、きちっとつまびらかにしていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 そしてまた、やはり、こういう疑念があるからこそ、今度、受け入れる側の大学の方でも、これを合否の判定に使うことを避けるという学校が幾つもあるというふうに聞いておりますけれども、文科省はどのように把握をされているでしょうか。

伯井政府参考人 国語の記述式問題の利用につきましては、私どもが行った調査では、本年一月時点で約七割の大学が未定ということでございました。

 その後、文部科学省ウエブサイトに掲載しております大学入試英語ポータルサイトに、各大学の英語の利用状況の掲載状況にあわせて、本年十月十一日現在のデータでより詳細に集計した結果、一般選抜を予定している入試種別、これは学部・学科ごとにいろいろな入試の種別がございますので、そのうち国語記述式問題の利用を予定しているものを調べまして、まだ仮の集計でございますが、入試種別は一万二百六十四種別中五千六十二種別で利用する、割合でいいますと約四九%でございます。国立は約九九%、公立は約九六%、私立は約三六%となっております。

牧委員 やはり、まだまだ受け入れる側でも、いろいろな、さまざまな角度からの疑問点やらちゅうちょがあるということです。その辺のところもきちっとしていただいた上で、こういうものを導入していただきたいんですけれども。

 ただ、お話によれば、二一年実施のテストから記述式が導入されるという前提で、これは質問じゃなくて、ちょっと私から意見として申し上げさせていただきたいんですけれども、これは日経新聞で、ある中学、高校の国語の教師が言っている話なんですけれども、二〇二二年度からの新たな新学習指導要領で、例えば国語なんかでもかなり中身がさま変わりするんじゃないか、文学作品だとかそういったものよりも、例えば、ただロジックを追い求めるだけの、今はやりでいえば取説みたいな、取扱説明書みたいな文章をきちっと読めるかどうかとか、そういう無味乾燥なものに徐々に移行していくんじゃないかと、大変懸念を抱いているわけですね。

 これは、本来、学習指導要領があって、それに合わせた大学の入試問題をつくるべきなのに、大学の入試がこういうふうになるから学習指導要領をこういうふうに変えていくというのは、私、まさに本末転倒じゃないかというふうに思うんですよね。だから、やはり大学がどういうアドミッションポリシーを持って受験生を受け入れるのかということも大事だし、国として、高校生にはこれだけの水準のものを履修してほしいという基本的な姿勢がまずあるべきであって、入試に合わせるというのは全く本末転倒だということを私は申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、給特法について、質問を移らせていただきます。

 さっき申し上げたように、私が鳩山邦夫代議士の秘書をやっていたころ、二十年ちょっと前、いろいろな陳情をよく受けました。鳩山代議士も文部大臣を経験したということもあったのかもしれませんけれども。うちの息子が教員採用試験を受かったんだけれども、受かったけれども採用されない、しばらく待機だ、自宅待機だというようなお話があって、それは、どこかの校長先生が引っ張ってくれないとなかなか本当の採用にならないよというような話もありました。

 それぐらい教師というのが、教員というのが人気の職種だったんだなと当時は思っておりましたが、最近、何かさま変わりをしてしまったような感がありますけれども、教員というのはもう余り人気のない職業になってしまったんでしょうか。文科省としてどんな認識を持っておられるのか、今の採用の状況等も踏まえてお話をしていただきたいと思います。

浅田政府参考人 公立学校の教員の採用選考試験における採用倍率でございますけれども、例えば、平成元年以降の公立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、養護教諭、栄養教諭の合計で推移を見ますと、平成元年度は四・五倍でございました。平成三年度が、それ以降では一番低くて三・七倍、その後一貫して採用倍率が上昇して、平成十二年度が一番高くて十三・三倍、その後ずっと低下して、一番新しいデータがある平成三十年度では四・九倍ということになっております。

 近年、公立学校の教員採用選考試験の採用倍率の低下傾向ということがずっと言われておりまして、特に一部の自治体では採用倍率が非常に低くなっているということにつきましては、危機感を持って受けとめております。

 この採用倍率が低下する原因としては、教育現場の厳しい勤務実態を指摘する声ももちろん承知をしておりますが、定年退職者数の増加に伴う採用者数の増加、あるいは民間企業等の採用状況など、さまざまな要因が複合的に関連していると認識をしております。

 文科省としては、こうした状況を踏まえて、従前から教育委員会に対して、中長期的な視野から、計画的な教員採用、人事を促してきたところですけれども、これと同時に、教職の魅力、やりがいについても積極的に発信し、教育に熱意のある多くの方に教職を志してもらえるように取り組むことが重要だと考えております。

 具体的には、教師の働き方改革による教師という職の魅力の向上、あるいは、特別免許状や臨時免許状などの活用による社会人や退職教員など多様な人材の活用、採用年齢の上限の撤廃、引上げや、民間からのミドルリーダーの採用、教職経験者特別選考といった特色ある事例の横展開などといった取組を進めることで、各自治体の取組を一層支援していきたいと考えているところでございます。

牧委員 ありがとうございます。

 それだけ倍率が低くなってきたということは、同時に、質の低下ということも、あわせてこれは否定できないことだと思います。

 今回のこの法改正が、こういったことを改善するためにどれぐらい資する話なのか、そこはちょっとよくわかりませんが、ここをまさに、教育の環境を整える上で一番本質的な部分だと思いますので、もっと教員というものが魅力ある職種だという状況をつくっていただくように、大臣にも強く求めるところであります。

 この給特法というのは、そもそもこれは昭和四十六年に制定されたわけですけれども、教職調整額四%というのはそこで決まったわけです。さっきも質問ありましたけれども、昔から、教師は聖職者なのか、労働者なのかというのが議論の対象になっておりますが、もう一回ちょっと、大臣の基本的な認識をお知らせください。

萩生田国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、労働法制上は労働者というふうに認識をしております。

牧委員 労働法制上は労働者ということであれば、当然、その労働者の健康だとか生命を守るための労働基準法ですとか労働安全衛生法ですとか、こういった法規が適用されなければならないわけですけれども、それが適用されないという状況について、これはしようがないんだという思いなのかどうなのかということも含めて、今大臣に私はお尋ねしたつもりですので、もう一度、そういったことも踏まえてお答えください。

萩生田国務大臣 まず、労働安全、基本法は適用されます。職員の皆さんの安全をしっかり守っていくことは大事だと思っています。

 そこで、牧先生も今御披露いただいたように、今回のこの大改革をもって、我々の教員という職業に対しての、ある意味、言うなら過剰な期待感みたいなものは一回リセットして、専門職として、教師としての職業に徹していただく環境をつくっていきたいというのが今回の法改正の大きな意義でございます。

 そして、この改正のみで全てが解決するわけではないことも私は承知をしております。学校に対して多くのマンパワーを導入していくこと、あるいはICTなどの活用によって事務作業を軽減していくこと、さまざまなことをこの機会にやっていかないと、先ほど問題意識を持っていただいたように、優秀な人材が教員を目指していただく、こういう環境がなくなっていってしまうんじゃないかということを大変危惧しております。

 誰もが、やはり、その先生との出会いが人生の価値観をも変えるぐらい影響力のある大切な職業でありますから、そういう意味では、人確法や給特法という一般の地方公務員とは違う給与体系を持ってきたのもそういったことに根拠していたんだと思います。しかし、そういう、ある意味では、特別な職業だからということで包含されていたことだけではとても耐え切れない現状があるわけですから、ここを何とか変えていきたい。そのためにも、皆さんのお力をいただきたいというふうに思っております。

 今回の法改正によって、教員の皆さんが、本来の教師としての業務がしっかりとできて、子供たちと向き合う時間をふやしていくために法律を提出させていただきましたので、またその趣旨を御理解いただければありがたいと思います。

牧委員 その趣旨は理解しているつもりですが。

 ちょっと、今大臣がおっしゃったような、教師がきちっと子供と向き合う時間をつくる、それは大事な話だと思います。そのために今回の給特法の改正があったんだと思うんですけれども、私は、そもそも、もっと根本から、この給特法そのものを根本から見直す必要があるというふうに思っております。

 その根拠として、まず、この法の制定当時の昭和四十六年と今と、余りに状況が変化しているんじゃないかというふうに私は思うんです。

 ちなみに、この教職調整額四%を決めた昭和四十一年当時の勤務の実態調査というのは、一体どんな実態だったんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員の方からございました、昭和四十一年に当時の文部省が実施をしました教員の勤務実態調査では、教員の時間外勤務を年間平均で推計をしますと月八時間程度、また、最近の状況ということですが、平成二十八年度に文部科学省の委託事業として実施をしました教員勤務実態調査は、平成二十八年の十月から十一月のうちの連続する七日間について調査が行われましたが、教員の時間外勤務は、年間平均で推計しますと、小学校では月約五十九時間、中学校では月約八十一時間というふうになっております。

牧委員 今説明があったように、この法の制定当時とは、まさにさま変わりをしているわけです。

 もう一つ、ちなみに、当時の実態を踏まえて調整額四%というお話だったんですけれども、このときに倣って今調整額を計算すると、どのぐらいが妥当なんですか、何%ぐらいが。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 教職調整額の四%という支給率は、文部省が昭和四十一年度に行いました、先ほど申し上げました勤務状況の調査の結果でございます。昭和四十一年の調査というのは一年間通して行ったものでございますが、平成二十八年度の調査は、先ほど申し上げましたように、十月から十一月のうち連続する七日間について調査を行ったということでございまして、その調査期間が大きく異なるということで、給特法制定時の考え方で教職調整額が何%相当になるかという点については、なかなか試算が難しいのかなというふうに思っているところでございます。

牧委員 試算が難しいというお話ですが、ざっくり言うと、かなりかけ離れているということだけは言えると思います。

 言い方をかえれば、これはお金が全てじゃないですよ、私が言いたいのは、勤務時間を減らすことが第一義であって、お金をよこせと言っている意味じゃないんですけれども、ただ、一つだけ言えることは、これは昭和四十一年という、今からもう全然かけ離れた実態調査に基づいた四%の調整額のままであるということだけは確認をしておいた方がいいと思いましたので、あえて質問させていただきました。

 次に、これは命を守るということで、今、私、申し上げたんですけれども、今回、その上限ガイドラインというのが、ガイドラインが指針になったということで説明をいただきましたが、ガイドラインが指針になったら何が変わるのか、ちょっとその実効性が私は疑問があります。

 例えば日米防衛協力の指針だとかガイドラインとかいうのは、これは防衛省とか外務省の用語だとイコールだと思うんですけれども、文科省だとこれはイコールじゃないということですよね。

 指針になるとどこが違うんですか、実効性が、どこが違うのか、端的にお答えいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 本年一月に策定した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインは、あくまで指導助言として各教育委員会に対して通知をしているものにすぎないため、その実効性を高める観点から、今回、指針に格上げし、その根拠を法令上位置づけることとしております。この指針については、国家公務員や一般の地方公務員について、超過勤務時間の上限に係る罰則がないことも踏まえ、指針を遵守しない場合の罰則を設けることは考えておりません。

 しかし、指針を踏まえ、在校等時間が上限の目安時間を超えている場合には、学校の管理運営に係る責任を有する校長や教育委員会は業務削減等の取組を積極的に果たす必要があり、業務削減等に向けた努力を行わないまま、引き続き在校等時間が上限の目安を大幅に超えるような場合には、校長、教育委員会はこうした学校の管理運営に係る責任を果たしているとは言えないと考えられます。

 このような教育委員会としての責任を果たす観点から、本指針を参考にして、各地方公共団体において所管の公立学校の教師の勤務時間の上限に関する方針等を作成し、条例や規則等で根拠づけることが重要であると考えております。このため、文部科学省において条例モデル案を作成し、各地方公共団体にお示しの上、条例や規則等の制定を促し、その状況を積極的に発信することとしております。

 先生おっしゃるように、ガイドラインを指針にしただけでは、なかなかその意識が変わっていかないと思います。基本的には、都道府県、設置者である市町村、また教員を採用している、管理者である都道府県がきちんとした条例をつくっていただく、そこに我々の思いというものをきちんと共有してもらうことが大切だと思っておりまして、ただ単に紙ベースで通達を出すだけじゃなくて、全国教育長会議ですとか、市長会ですとか、あるいは議長会ですとか、こういったところに今回の法改正の意義というものをしっかり伝える努力をしていきたいと思っています。

牧委員 しっかり伝える努力をしていただければ、もちろんそれはそう思うんですが、本当にそれが実効性を伴うのかどうかということについては、いまだなお私は疑問を持っておりますし、私が聞こうと思ったら、いみじくも大臣からもお話がありましたが、特に罰則は設けておりませんということで、私が申し上げたかったのは、やはり実効性を伴うには、普通の労働基準法みたいに罰則を伴う法規でなければ、私は実効性を伴わないというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の方からも御答弁がありましたけれども、罰則規定を設けるか否かという点につきましては、国家公務員や一般の地方公務員について、超過勤務時間の上限に係る罰則がないことを踏まえまして、指針を遵守しない場合の罰則を設けることは考えておりません。

牧委員 これは公務員だからということなんでしょうけれども、例えば私学ですとか国立大学の附属学校等であれば、これは労働基準法の対象になるわけですよね。これは実際に、例えば労基署が立入調査に入ったりとか、監督署がですね、そういった事例というのは結構あるんでしょうか、私学等で。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、私立学校、また国立大学の附属学校の教員には労働基準法が全面的に適用されますので、労働関係法令に従って適切に労務管理が行われる必要があるということでございます。

 今御指摘の、それぞれの地域の労働基準監督署がどの程度入っているのかということについては、済みません、私ども、今手元に数字がございませんので、お答えは差し控えさせていただきます。

牧委員 今回は公立学校の特措法の話ですが、私立学校等も文科省の所管ですから、日本の公教育を担っている学校については、知りませんじゃなくて、やはりきちっと実態の調査をしていただければというふうに思います。私も私学の関係者から、かなり過酷な労働環境だということも聞いておりますので、この際そちらの方にもきちっと目を向けていただければというふうに思います。何かあれば。

白間政府参考人 数字については先ほどのように申し上げましたが、先生御指摘のように、私立学校、また国立大学の附属学校の教員について働き方改革をきちんと進めるということは、私どもも非常に重要なことだというふうに思っています。このために、労働基準法が全面的に適用されるということに。

 他方、やはり私立学校、国立学校、附属学校の教員については、例えば、部活動への対応ですとか、そういった学校特有の働き方、こういったことにより、どうしてもその労働時間が長くなる傾向にあるというのは私どもも承知をしておりますし、認識をしています。

 ですので、教師が行う仕事を明確化し、適正化するですとか、あるいは勤務時間管理を徹底していくということなどについては、私どもも、私立学校、国立大学附属学校についてきちんと徹底をするように事務通知を発出する、あるいは私どもとして労働基準法等の内容についてきちんと周知をしていただくということを都道府県にお願いするということ等を通して、しっかりと働き方改革については進めていきたいと考えております。

牧委員 そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 一年単位の変形労働時間制について伺いたいんですけれども、こちらも労基法と比較して恐縮ですが、労働基準法でいけば、これは労使協定に基づいてそういった休みのとり方が決まってくるというふうに理解をしておりますけれども、今回のこの法律では、そういったことじゃなくて条例で定めるという形になってございます。

 ここで、現場の当事者である教員たちの意見、意思というのは、この中でどういうふうに反映されるんでしょうか。反映される余地があるのかないのか、その辺も含めて教えていただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公務員の勤務条件は、住民自治の原則に基づき、住民の同意が必要でありまして、議会が団体意思として制定する条例によって決定することとされております。これは地公法の二十四条五項、勤務条件条例主義ということでございますが、公立学校の教師も地方公務員でありまして、休日のまとめどりの推進のための一年単位の変形労働時間制は勤務条件に関する制度であることから、勤務条件条例主義にのっとり、労使協定ではなく条例により導入することが必要であるというふうに考えております。

 なお、地方公務員法においては、職員の勤務条件に関する事項は職員団体との交渉事項でありまして、法令等に抵触しない限りにおいて、書面による協定を結ぶことができる旨が規定をされております。本制度の導入についても、この勤務条件に該当することから、導入に当たっては、各地方公共団体において、職員団体との交渉を踏まえつつ検討がされるものというふうに考えております。

 また、実務上の話ではございますけれども、服務監督権者である教育委員会から、本制度を活用するに当たって、教職員の服務監督の観点から、校長を通じて教職員の状況を十分に踏まえた上で導入が検討されることになるというふうに考えております。

牧委員 わかりました。必ずしも条例主義一辺倒ではなくて、いろいろな場面で、いろいろな人たちの、当事者の意見を踏まえつつという今のお話で理解をさせていただきました。ぜひともきちっとした、そういった手順だけは踏んでいただきたいとお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 もう一回、上限ガイドラインの実効性についてお話を戻しますけれども、先ほどの罰則規定とかどうとかということとまた別の角度から、本当に実効性を上げるためには、例えば外部人材をもっともっと活用したり、あるいは定数そのものの改善を図ったり、いろいろあると思うんですけれども、この法改正を踏まえて、来年度予算の概算要求、どのように予算面でこれが反映されているのか、簡単に説明をお願いします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度の概算要求についてということで御質問いただきましたが、平成二十九年度の義務標準法の改正による通級による指導等の加配定数の基礎定数化に伴う定数が三百十五人の増、それから、小学校における質の高い英語専科指導教員の配置、充実のための定数が千人増、また、平成三十一年一月の中教審答申を踏まえまして、小学校の学級担任の授業負担軽減の観点から、小学校のチームティーチングのための加配定数の一部、二千人について、専科指導のための加配定数に発展的に見直した上で、義務教育九年間を見通した指導体制の支援のための定数が二千九十人の増など、教員配置二千人の見直しを行った上で、総数で四千二百三十五人の定数増を盛り込んでいるところでございます。

 さらに、教師でなければできない業務以外の多くの仕事を教師が今担っているという現状を抜本的に変えることが必要でございまして、平成三十年度、令和元年度に引き続き、中学校における部活動指導員について対前年度三千人増の一万二千人、スクールサポートスタッフについては、対前年度一千八百人増の五千四百人等に係る経費として対前年度十九億円増の七十四億円を、来年度の概算要求に盛り込んだところでございます。

牧委員 今のお話、具体的に一つ一つ精査していくべきだと思うんですけれども、文科省の方たちは、これじゃ十分でないという認識は多分お持ちだというふうに思います。私も、概算要求の一覧表を見て、何かちょっと寂しいなというふうに思った次第です。

 スクールカウンセラーとかソーシャルワーカー、サポートスタッフだとか部活動指導員、全部合わせても、プラス分だけじゃなくて、今回の概算要求分が百十億円ぐらいしかないわけですよね。これは比較するのもなんですけれども、F35を百四十七機買うというけれども、F35一機分に満たないじゃないですか。それと学校の子供たちとどっちが大切なんだということを、やはり国としてきちっと私は考えていただきたいというふうに切に望みます。

 これについては、大臣の回答は特に求めません。

 時間がもうあと三分ぐらいなので、ちょっと最後に変な質問しますけれども、週刊誌ネタで恐縮ですが、大臣が、高校時代に朝鮮高校学生と大乱闘というお話をとある会合でされたというふうに週刊誌に載っておりましたけれども、これは事実でしょうか。

萩生田国務大臣 質問の冒頭で、牧先生が三十年前のおつき合いのことに触れていただきました。私もよく鮮明に覚えていまして、先輩としていろいろな、当時は同じ政党の先輩でございましたので、いろいろな御指導をいただいたのと、突然舞台に上がってピアノを弾かれて上手だったのを今でも覚えておりまして、そういった御縁があることを大変うれしく思います。

 はるか昔のことでありますが、きのうあたりの雑誌にこの手のことが載っていたんですが、ちょっとやはり週刊誌の記事なので事実関係の中身が随分違うことがあるんですが、けんかをしたことは事実でございます。

牧委員 事実であると素直にお認めになったのは多としたいんですが、大臣がある席でこういうお話をされたのは、大臣の中ではこれはある種の武勇伝なんでしょうか。いかがですか。

萩生田国務大臣 さまざまな失敗を繰り返しながら日々前を向いて生きてきたということの一つとして披露したことはありますけれども、武勇伝などと勇ましく思っているつもりはございません。

牧委員 私、若いころけんかをするのは別に構わないと思いますし、武勇伝は武勇伝でいいと思うんですが、大臣というお立場で、あえて他の学校の生徒とけんかしたという話じゃなくて、朝鮮高校の学生とけんかしたというと、何か今の、非常に戦後最悪と言われるこの日韓関係の中で、朝鮮学校って別に北朝鮮の国籍の子ばかりじゃなくて、むしろ韓国籍の子供の方が多いわけで、そういう人たちから見ると、一国の大臣が、しかも文科大臣が朝鮮高校のやつらを成敗してやったみたいな、そういう話は非常に間違ったメッセージを私は発信するんじゃないかというふうに懸念をいたします。

 きちっと何らかの形で、私、別にここで謝罪なんかする必要なんか全くないんですけれども、何かもうちょっと言い回しがなかったのかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 成敗したとか、そういう表現をしたことはございません。たまたまそういうことがあって、その後に学校で処分を受けることになりましたので、そういう事例として示したので、特別、北朝鮮のことを意識して申し上げているつもりはございませんので、そういう誤解のないように、今、文部科学大臣としてこれから、こういう話を外ですることもないと思いますけれども、きちんと、今先生の御心配をしっかりと受けとめて対応していきたいと思います。

牧委員 大変重い職責ですので、くれぐれも誤解を生ずるような発言は気をつけていただきますようにお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの菊田真紀子でございます。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、法案審議に入る前に、いわゆる高等教育無償化について伺います。

 先日、私のもとに国立大学の一年生から悲痛な訴えがメールで届きました。この学生は、家が貧しく、学費や生活費に大変苦労されながら大学に通っています。そのような中、文科省のホームページで高等教育無償化のことを知って、これは大変ありがたい制度だということで大学に相談に行ったそうです。しかし、窓口で、十一月五日で申請書の配付を締め切ったので応募できませんと担当者から言われました。申請期間は十一月一日から三十日まであるにもかかわらず、五日までに申込みの書類を受け取りに来ないと申請できない、こういう回答だったです。ちなみに、十一月三日と四日は連休でした。

 申込期間を過ぎたから申請できないのではなく、書類配付の締切りを過ぎたから申込みができないというのは聞いたことがないんですが、事実関係をまずお答えいただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の高等教育修学支援制度における大学等の在学生を対象とする申込みについては、この十一月一日から三十日を申請期間としております。各大学において、学生からの申込みを受け付けている最中でございます。

 申請を締め切ったという事案については承知をしておりませんが、ある国立大学において、大学が十月末ごろに行った学生向けの説明会の欠席者に対して、資料配付の期限を十一月五日までとしていた事例があったと承知しています。当該大学に対しましては、支援を必要とする学生に十分配慮した、適切かつ柔軟な対応を行うよう要請したところでございます。

菊田委員 ありがとうございました。

 当該大学に対してしっかりと対応していただいたということで、感謝を申し上げたいと思います。

 今回は、学生がメールを送ってくれたのですぐ対応していただいたんですけれども、大学側の都合で泣き寝入りを強いられている学生や、そもそも新しい制度を知らない学生が大勢いるということは否定できません。

 実際に、この学生はメールの中で、授業以外の時間は学費を稼ぐためにやむを得ずアルバイトをしており、制度を詳しく調べる時間もないし余裕もない、また、自分と同様に制度を知らなくて申請をしていない学生がかなりの数いるのではないかと心配をしており、文科省や大学に対して、申請について十分な時間と丁寧な周知をお願いしたい、こういうふうに訴えていました。

 新制度の対象になる学生は、現在、大学が独自で支援している授業料減免の対象者だと考えられますが、現行の制度における申請時期は年明けの二月から四月であり、新制度に移行することを知らなければ申請し忘れてしまう事態になります。

 今回の件は氷山の一角である可能性が高く、もう一度、各大学に対して制度や申請期間等についてしっかりと周知徹底を要請し、それでもおくれてしまった学生がいたら、学生の立場に立って柔軟に対応するように文科省として要請していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 対象となる学生に対する丁寧な周知というのは必要であるというのは、もとよりそのとおりでございます。

 これまでも、リーフレットの作成、配布、説明会の実施など、要請をしてきたところでございますが、御指摘も踏まえまして、さまざまな機会を捉えて、しっかりと各大学に要請してまいりたいと考えております。

菊田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 もう一点、新制度に関連して確認をさせていただきたいと思います。

 ある国立大学のホームページには、こう書いてありました。新制度に伴い、現行の入学料免除、授業料免除制度は、廃止又は大幅に要件が見直される可能性があります、詳細は決定次第、本ホームページにてお知らせをします、このように書いてあります。

 学生にとって安心して勉強が続けられるかという大変大きな問題です。これは事実でしょうか。また、事実であるならば、大学はいつ詳細を発表できるのでしょうか。

伯井政府参考人 今回、修学支援新制度を導入するわけでございますが、これは、国公私立を通じて真に支援が必要と考えられる低所得世帯の学生を対象とした全国統一的な基準となる新制度が導入されるということでございます。

 現に支援を受けている学生で新制度の対象外又は支援額が減少する学生が生じるということとなるわけですが、こうした学生に対する対応というのは、我々、予算編成過程の中で、継続的な学びを支援する観点から、いかなる対応が可能か、来年の制度施行に間に合うよう早急に検討してまいるという状態でございます。

 お尋ねの各国立大学の授業料の減免制度等の公表時期、いつまでに定めるのかということでございますが、これは、大学のそれぞれの判断というのもございます。大学により異なりますが、例年どおり、授業料免除の申請受け付けを行う、おおむね一月から四月ごろのタイミングで学生に対する周知を行うことを検討しているというふうに考えております。

菊田委員 繰り返しますが、学生にとっては本当に深刻な問題でありますので、大学のそれぞれの判断に任せるという立場ではなく、ぜひ文科省として積極的にかかわっていただきたいと思います。

 そもそも、高等教育無償化という看板を掲げながら、支援を削られる、支援を受けられなくなる学生が出ること自体、本当におかしい話だと思います。

 低所得者世帯以外でも、授業料を支払うことが困難なため、減免を受けたり、更に奨学金も借りて何とかやりくりしている学生は少なくありません。それが突然打切りになってしまったら、何十万もかかる授業料の用意ができず、退学せざるを得ない学生が出てくるかもしれません。

 現在、授業料減免を受けている学生が来年度受けられるのかどうか、本当に早く発表する必要がありますし、さらには、新制度の影響で減免が受けられない学生がいるならば、卒業するまでは国が責任を持って何らかの支援をすべきだと考えます。また、各大学に相談窓口や専門的なアドバイスができる人員がしっかりと配置されているかどうか、学生へのきめ細やかな支援対策が、支援対応が必要だと考えますが、ここは大臣にお答えいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 お答えします。

 新制度の影響で現に支援を受けている学生で減免を受けられなくなる学生への対策としては、まず、これらの学生がこれまでどおり学びを継続できるように、いかなる対応が可能か、来年の制度施行に間に合うように早急に検討してまいります。

 また、新制度の申込対象となる在学生や現に支援を受けている学生で減免を受けられなくなる学生等に対しては、きめ細かな対応が必要であると考えております。

 文科省としましても、各大学が学生に対してきめ細かな説明ができるよう、予算の成立後、その内容を丁寧に説明していくとともに、各大学において相談窓口を設けること等について各大学に要請してまいりたいと考えています。

 予算委員会でも私答弁しましたけれども、既に学業が始まっている在学生が、制度の端境期で、今まで当てにしていた支援が受けられないということになれば、これは設計が大きく変わってきて、中には、学業が続けられない、あるいはやめるという生徒が出てくる可能性があります。それではせっかくの支援策が本末転倒でありますので、少なくともこの三年間の経過措置については、しっかり予算を確保して対応していきたいと思っています。

菊田委員 大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、給特法の関連ですね、法案の質疑に入りたいと思います。

 給特法は、半世紀近く前の一九七一年に成立をし、今回が初めての見直しとなります。そして、改正案が今国会に提出をされました。御承知のとおり、当時と今の教員を取り巻く状況は大きく乖離をしており、まずは、何よりも優先してその点を改正すべきと考えます。

 端的に伺います。

 なぜ、自主的、自発的業務とみなされている超勤四項目以外の残業について、法的拘束力のない上限ガイドラインで対応するのではなく、給特法と関連する政令を見直さなかったのでしょうか。大臣、お聞かせください。

萩生田国務大臣 現在の給特法の仕組みは、教師がどこまでが職務であるのか切り分けがたいという教師の職務を踏まえたものです。今般の学校における働き方改革の議論の中では、給特法自体についても検討を行ったところであり、済みません、中教審の議論の中では、給特法自体についても検討を行ったところであり、審議の過程においては、給特法を廃止して、労働基準法を踏まえ、公立学校の教職員についても時間外勤務手当を支給すべきとの指摘もあったものの、教育関係者の意識が長時間勤務を是としたままでは、現状を追認する結果となり、働き方改革につながらないのではないか、給特法だけでなく人確法によっても形成されている教師の給与制度を考慮すると、必ずしも教師の処遇改善につながらないのではないかとの議論がなされました。

 このように、給特法制定から半世紀を経た現在、保護者や地域の意識の変化の中で業務が大きく積み上がっている実態があります。また、働き方改革の観点から労働法制も大きく転換しており、給特法のあり方についても検討する必要があると考えておりますが、見直しに当たっては、確かなデータと国民的な議論が必要です。

 そのため、今回の法改正を踏まえ、まずは、教師でなければできないことに教師が集中できるように、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、三年後に教師の勤務実態状況調査を実施し、その結果などを踏まえながら、教師に関する勤務環境について、給特法などの法制的な枠組みを含め、検討を行う必要があると考えております。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

菊田委員 労働基準法に倣って、今回、給特法を改正するのであれば、労基法の規定と同じく、教員にも時間外勤務手当を出すべきではないでしょうか。百歩譲って財源が限られている事情を考慮しても、現在の超過勤務の実態を少しでも反映をさせ、四%の教職調整額を引き上げることがなぜできなかったのでしょうか。お答えください。

萩生田国務大臣 現在の給特法の仕組みは、教師がどこまでが職務であるのか切り分けがたいという教師の職務を踏まえたものですが、制定から半世紀を経た現在、保護者や地域の意識の変化の中で、業務が大きく積み上がっている状況です。また、働き方改革の推進の観点から労働法制も大きく転換しており、教職調整額を含む給特法のあり方について検討する必要がありますが、まずは、教師でなければできないことに教師が集中できるよう、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、三年後に実施予定の勤務実態調査を踏まえながら、中長期的な課題として、教師に関する労働環境について、給特法などの法制的な枠組みを含め、検討を行う必要があると思っています。

 その際の検討の観点として、本年一月の中教審答申を踏まえた働き方改革の総合的な取組の中で、教師の職務と業務の量をどう捉え、評価するか、これからの時代における教師の職務にふさわしい給与等の処遇のあり方をどう考えるか、教師集団の流動性や多様性を高める中で、それぞれの教師のライフステージやキャリアパスを踏まえ、子供たちと向き合い、教育の質の向上に取り組もうとする教師の意欲や能力の向上に資する給与等の処遇の仕組みをどう構築するかなどが考えられ、御指摘の内容は今後の検討の中で踏まえていきたいと考えております。

菊田委員 現実は、部活動の指導等に見られる恒常的な時間外労働が常態化しているにもかかわらず、これは教員の自発性による業務遂行であるとして労働と取り扱われていない、これが教員の長時間労働の蔓延する元凶だと考えております。ここを見直していく。給特法等の抜本的な改善を、三年後ではなく、今こそやるべきだと私は考えております。

 それでは、教員の勤務時間の管理に関して質問いたします。

 平成三十年度教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査によれば、ICTの活用やタイムカードなどにより勤務時間を客観的に把握していると回答した教育委員会は、都道府県が三八・三%、政令市が四五%、市区町村は四〇・五%で、確かに前年の平成二十九年度よりは増加しているというふうに発表されています。

 しかし、その内実は、都道府県でも政令市でも市町村でも、本人からの自己申告や校長等の確認により管理している教育委員会が大半であり、ICTの活用やタイムカードによる客観的な把握というのは半数にも及んでいません。

 これをまず改善して、全ての学校がICTかタイムカードを必ず設置して、勤務時間を確実に管理することから始めるべきではないでしょうか。地方自治体の裁量に任せる今のやり方では、いつまでたっても改善しません。国が全額予算措置することで相当程度の効果があると考えますが、いかがでしょうか。

 あわせて、タイムカードなどの在校等時間の記録は公簿とし、適切に保存、管理すべきと考えますが、文科省の見解をお聞かせください。

萩生田国務大臣 勤務時間管理は、従来より、労働法制上、教育委員会や学校の責務とされていましたが、働き方改革推進法による労働安全衛生法等の改正により、タイムカードなどの客観的な方法等による勤務時間の状況の把握が、公立学校を含む事業者の義務として法令上既に明確化をされております。

 タイムカードの設置など、教師の勤務時間の把握等に必要な経費は、標準的な行政経費として所要の地方財政措置が講じられております。

 また、特にICTを活用した勤務時間管理については、教師の業務効率化を図る観点から、統合型校務支援システムの環境整備として、教育のICT化に向けた環境整備五カ年計画に基づいて普通交付税を措置することとされており、地方自治体の実態に応じて、統合型校務支援システムと勤務時間を管理するシステムとの連携や一体的な運用により、これを効果的に活用していただくことも可能といたしております。

 先生御指摘のように、国の責任で財政的にもというのは、ある意味では、地財でもう既に措置をして、本当は既に整備をしていただきたかったんですけれども、まだまだやっていないところがあるのも正直なところではございますので、今回の法改正を機に、やはり勤務実態の管理はこれからも重要になってまいりますので、タイムカードあるいはICT、何らかの形できちんとした勤務実態管理をしていただき、そのタイムカードなどによる在校等時間の記録は、御指摘のありましたように、公務災害などの場合の判定資料にもなり得るため適切に保存する、そういった方針もしっかり示してまいりたいと思います。

菊田委員 昨日の参考人質疑で、中学校の教員だった夫を過労死、クモ膜下出血、そして心肺停止で亡くされた工藤さんからお話をお聞きすることができました。

 亡くなる一カ月前の時間外労働が二百六時間あったけれども、認定されたのは九十七時間だったということでありました。年間で四百人から五百人くらいの教員が今過労死しているというふうに言われている中で、公務災害認定者は、この十年間で約六十名程度、年間六名程度だというお話もございました。つまり、多くの被害者が、勤務管理がしっかりなされていなかったがゆえに泣き寝入りせざるを得ないという現実が目の前にあります。

 給特法のもと、労務管理意識が希薄になっているということでこのような悲しい過労死ということが起こっていることを、私たちは真剣に受けとめなければなりません。

 今大臣からは、法令上はしっかりと明確化されているし、地方財政措置をして、普通交付税として地方自治体への働きかけをしている、こういうお話でありましたけれども、先ほども村上委員の質問の中にありましたが、都道府県によってかなり大きな差がございます。首長の意識によってかなり大きな差があります。

 ですから、地方自治体や地方財政措置に任せていたのでは、私はこれはとても時間がかかると。だからこそ、ぜひ見える形で、そして国が責任を持ってやっていただきたい、こういうふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘の趣旨を踏まえて、法改正にあわせて徹底してまいりたいと思います。

菊田委員 それでは次に、持ち帰り業務に関して質問をしたいと思います。

 学校内で幾ら頑張っても業務が終わらずに、やむを得ず自宅に仕事を持ち帰っている教職員が実際大勢いるという問題がございます。こうした持ち帰り業務については、どのように把握がされているんでしょうか。そして、今後、こうした持ち帰り業務の内容、時間について、適切に把握するためにどう対策をとるのか。これは、政府参考人、お答えください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、持ち帰り業務の時間でございますけれども、平成二十八年の教員勤務実態調査によりますと、小学校で二十九分、中学校で二十分という結果となっております。

 その上で、いわゆる持ち帰りの時間については、例えば各地方公共団体で定める方法による、テレワーク等によるものについて、各教育委員会等において把握をしている例もあるというふうに承知をしておりますが、基本的には外形的な把握は困難であると考えられることから、上限ガイドラインにおける在校等時間には含まないこととしています。

 ただし、自宅等で行う業務であっても、テレワーク等によるものについては在校等時間に含まれるということでございます。

 校務をつかさどる校長とその上司に当たる教育委員会には、教師が上限の目安時間を守るためだけに自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加をすることがないように、児童生徒等の資質、能力を育む点で、限られた時間の中でどの教育活動を優先するかを見定め、それを踏まえた適切な業務量の設定と校務分掌の分担を図るとともに、このようなガイドラインの趣旨や学校における働き方改革の考えを校内において十分に共有するといった管理運営に係る責任を果たすことが求められているところであり、文部科学省としましても、しっかりと周知を図っていきたいというふうに考えております。

菊田委員 外形的には把握できていないということですから、自己申告ということなんでしょう。

 テレワークというお話もありましたけれども、タイムカードさえ設置されていない、またICTの活用もなされていないというところが多数な中で、テレワークを活用していますというのは、多分、本当にごく一部なんだろうというふうに思います。

 そういう状況の中で、今後、在校時間の上限がかけられるという反面、現実は、したがって、やむを得ず自宅に持ち帰ってする業務がふえてしまうのではないか、こういう懸念があるわけでございます。これについても、もっとこれを見える化していく、しっかりと外形的に把握していく方策を考えなければならないというふうに思っております。

 管理職の業務についてお聞きしますけれども、校長先生や副校長そしてまた教頭といった管理職にも、この月四十五時間、年間三百六十時間という上限ガイドラインは適用されるんでしょうか。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 改正法案の第七条に規定する指針は、本年一月に策定をしました公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインを格上げするものであり、同ガイドラインの対象者は給特法第二条に規定する義務教育諸学校等の教育職員としておりまして、校長や教頭等の管理職も対象となっているところでございます。このため、今回の指針も同様に、管理職も対象とすることと考えております。

菊田委員 勤務実態調査で既に明らかになっているように、学校現場で最も忙しい先生は副校長や教頭先生です。過労死の問題があって働き方改革を進めている民間企業では、確かに一般職の残業は減っています。その一方、部下の残業がふえると管理職の評価が下がるので、部下には仕事が振れず、結果として中間管理職の仕事がふえていることが明らかになっています。

 今回の指針によって教頭先生たち管理職にしわ寄せが来て業務がふえることにならないのか、学校で最も多忙である教頭先生たち、管理職の業務縮減についてはどうするのか、お答えいただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学省の勤務実態調査におきましても、委員の御指摘のとおり、副校長、教頭が最も勤務時間が長い職となっております。学校組織のかなめであります副校長、教頭がそのマネジメントの役割を果たす上で大きな課題であるというふうに認識をしております。

 中でも、調査の回答、また、学校の納付金の処理といった事務に関する業務が一日四時間と大きな負担となっており、この学校事務の削減、効率化を進めることが喫緊の課題であるというふうに考えております。

 したがいまして、業務の明確化、適正化の徹底を図った上で、文部科学省や教育委員会から発出をされる調査等の精選、校務支援システム等ICTの効果的な活用、学校徴収金の公会計化、スクールサポートスタッフの配置など、これを一体的に図り、学校全体の事務作業の効率化に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。

 働き方改革を進めながら教育の質の向上を図るためには、学校における人、物、金、時間、情報といった資源を柔軟に再配置する学校マネジメントがますます重要になってくると考えております。副校長、教頭が学校マネジメントに真正面から取り組めるように、職場環境を改善してまいりたいと考えております。

菊田委員 部活動について伺います。

 中学校の教員にとって部活動の指導が時間外勤務の大きなウエートを占めています。

 昨年三月に策定された部活動ガイドラインでは、平日のうち一日は休養日にしてください、土日のどちらかを休養日としてください、そして一日の活動時間は平日は二時間、土日は三時間にするという基準が設けられました。

 このとおり計算をしますと、平日一日二時間、四日で八時間になります。さらに、週末は一日三時間となりますので、週十一時間となります。一カ月で見れば、十一時間掛ける四で、四十四時間の計算です。

 部活動ガイドラインにのっとり部活動の指導をすれば、上限ガイドラインの月四十五時間近くに達します。つまり、部活動を熱心に指導すればするほど、ほかの業務の残業はほぼできないことになります。これは余りに現実離れしていると思いますが、部活動のガイドラインを更に踏み込んで見直すのでしょうか。教員はどう対応すればよろしいんでしょうか。大臣、お答えください。

萩生田国務大臣 部活動ガイドライン、今先生御披露いただきましたように、生徒の一日の活動時間は長くとも平日は二時間程度、休日は三時間程度とし、平日及び休日にそれぞれ一日以上の休養日を設けることを基準として示すとともに、できるだけ短時間に効率的、効果的な活動を行うことを求めています。

 部活動の指導は勤務時間内に行われるものもあり、教師による指導時間の全てが超過勤務として位置づけられるものではありません。また、部活動の指導は必ずしも教師が行わなければならない業務ではなく、部活動指導員を活用することにより、教師の超過勤務の上限を超えることなく、部活動ガイドラインにのっとった部活動が実現できると考えており、文部科学省としては部活動指導員の配置を引き続きしっかりと促進をしてまいりたいと考えております。

菊田委員 部活動指導員という話がございましたけれども、どの程度配置されているでしょうか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の部活動指導員の配置のための補助金を活用している自治体でございますけれども、平成三十年度の実績において三百五十一市区町村ということでございます。

菊田委員 それは全国の市町村のうちの何割に当たるんですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 約二割強ということだと思います。

菊田委員 それから、部活動指導員の予算に関してですけれども、この部活動指導員の時給は千六百円を基本で設定されているというふうに聞いておりますが、その中身は、全額国の負担ではなく、国、都道府県、市町村がそれぞれ三分の一ずつ負担することとなっているということで間違いないですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 国、都道府県、それから市町村で三分の一ずつの負担ということでございます。

菊田委員 私は、ぜひこの部活動指導員の活用を進めていただきたいという思いの中で質問しているんですけれども、先ほど二割と、全国の市町村の中で二割程度だということが明らかになりましたけれども、やはりこれも、国が全額出してくれるならやれるんだけれども、市の持ち出しがあるとすれば、そんなことにお金を使うより、もっとほかの政策やほかの予算に使いたいという首長の意識があれば、これはなかなか進まないという現実があるんだろうというふうに思います。

 それから、部活動指導員の活用ですけれども、今、公立中学校というのは全国で何校あるんでしょうか。また、一校当たりの平均部活動数はどれぐらいあるかを御存じですか。

丸山政府参考人 中学校については約一万校ということでございます。

 それから、ちょっと部活の数については、突然の御質問でございましたので、今、数字を持っておりません。

 それで、委員、先ほどちょっと私、質問に対する回答が十分じゃなかったのですが、中学校における部活動指導員の配置について、先ほど三十年度で約二割程度の基礎自治体で活用がされているというお話をしましたが、令和元年度予算、今年度におきましては、予算の方も、基礎自治体の方からの申込みが非常に多いということがございましたので、三十年度の四千五百人から予算を倍増しまして、令和元年度は九千人の予算の措置、約十億円ということで拡充を図っているところでございます。

 現時点ではまだその実績が上がってきていないんですけれども、かなりたくさんの申込みはいただいているということでございます。

菊田委員 限りある予算の中で、文科省として、私、精いっぱい頑張っているというふうには思うんですけれども、一生懸命頑張ったとしても、部活動指導員、来年度の概算要求では一万二千人、そして令和元年度では九千人を配置して支援しているということなんですが、公立中学校が一万校あるという中で、多分、各学校に部活動というのは十以上、平均あると思うんですね。そうすると、もう絶対数が足りないということなんです。

 そういう面からすると、まだまだ焼け石に水というような状況であるということを認識して、更にこれを推進していただきたいというふうに思っております。

 指針の遵守に向けた業務削減例の中では、部活動指導員の活用で年間百二十時間削減できる、こういう試算が示されていますが、人員も足りない、補助金制度の活用も自治体によってばらつきがある、こういう現状では、この百二十時間削減できるという試算は机上の空論のようにも思えるんですが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 部活動にも活動内容がいろいろありますので、確かに、数の上では圧倒的に不足していることは認めなくてはならないと思います。他方、教室内で行われるような部活動については、外部へ出て指導する指導者とはまた違う意味での対応もできるのではないかと思います。

 いずれにしましても、学校のマンパワーが足りないということは私も先生も同じ思いだと思いますので、子供たちの教育を充実していく上で、今回法改正をしますけれども、私、大事なことは、やはり、学校のあり方というのは、先ほどいみじくも、首長さんがほかのものに予算を回すという例を示していただきましたけれども、そんなことがあってはいけないんだと思います。

 子供たちの義務教育こそ、地方交付税で地財措置をしたものについては、正しく物を買ってもらう、正しく人を配置してもらう、こういうマインドを、この法改正を機に全国にとにかく貫いて、しっかりと理解をしていただく、こういう努力もあわせてしてまいりたいと思います。

 引き続き、増員に向かって努力をしたいと思います。

菊田委員 変形労働時間制について伺います。

 まず、昨日の参考人質疑において、岐阜市教育委員会の取組が紹介をされました。これが、好事例であって、先進的な取組だとするならば、わざわざ反対の声も多い一年単位の変形労働時間制を導入せずとも、文科省が主導して、全国の学校現場に長時間の学校閉庁日を徹底させればよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘の岐阜市においては、夏休み中に、当省で知る限り最長の、平日十日間を含む十六日間連続の学校閉庁日を設定し、この閉庁期間中の有給休暇の取得を奨励するとともに、土曜日に学校行事を行った場合の週休日の振りかえなどを行っております。

 しかしながら、有給休暇の日数には限りがありますし、現行制度上、週休日の振りかえは一日又は半日単位に限られており、一週間、一時間単位の勤務時間の延長に応じた休日の確保はできない仕組みとなっております。

 この点について、地方公務員のうち教師については、一年単位の変形労働時間制を活用できるよう法制度上措置をすることにより、一時間単位の勤務時間の積み上げによる休日のまとめどりを可能にすることで、学校閉庁日の取組が一層進むものと考えております。

菊田委員 残り五分になりましたので、ちょっと質問を飛ばして、施行期日について、第七条関係の指針の策定は、来年度、令和二年四月一日、第五条関係の一年単位の変形労働時間制の適用については、翌年の令和三年四月一日施行とされています。

 一年単位の変形労働時間制の導入に際しては、指針がしっかりとクリアされているかどうか検証され、きちんと遵守されていることが条件になるという認識でよろしいんでしょうか。そして、もう一つ、学校が一年単位の変形労働時間制を導入するまでの手続、スケジュールについて説明してください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員の方から御指摘いただきました、まずスケジュールの点でございますけれども、一年単位の変形労働時間制の導入につきましては、この制度の活用に当たっての手続や段取りについては、公立の小中学校の場合ですが、まず、各学校で御検討いただいた上、市町村教育委員会と相談をし、市町村教育委員会の意向を踏まえた都道府県教育委員会が、改正後の給特法や文部科学省令、指針などを踏まえて条例案を作成し、県議会で成立の上、この条例に従って、学校の意向を踏まえ、市町村教育委員会が、導入する学校や具体的な導入の仕方、これは勤務時間の配分や対象となる教職員ということになりますが、を決定するというふうに考えております。

 したがいまして、本制度の施行については、令和三年度からにしておりますので、仮に令和三年度から制度を実施しようとすれば、各学校で令和三年度までの年間スケジュールを策定することとなる令和二年の年末ごろまでに先ほど述べた手続を行っていくということが必要になろうかと考えております。

 また、この変形労働時間制の導入に当たって、指針をクリアしていることが条件になるのかどうかという点でございますけれども、一年単位の変形労働時間制においては、さまざまな労働日や労働時間の定め方がありますが、公立学校の教師については、具体的に、改正法が成立した場合に、新たに制定することとなる文部科学省令や指針において本制度を活用する場合の要件等を規定することで、一年単位の勤務時間の積み上げによる休日のまとめどりという中央教育審議会の答申の趣旨を踏まえた運用が、各教育委員会、学校においてなされることが担保される制度とすることといたしております。

 具体的には、文部科学省令において、本制度に関する労働基準法施行規則の内容について労使協定で定めることとされている箇所について、条例で定めることとするほか、基本的には同等の内容を規定することを想定しておりますけれども、これに加えて、公立学校での休日のまとめどりのために本制度を活用する場合に、指針に従うべき旨を規定するということを考えております。

 具体には、この指針におきましては、導入に当たっては、指針の上限時間や部活動ガイドラインの休養日や活動時間を遵守すること、終業から始業までに一定時間以上の休息時間を確保すること、勤務時間の配分に当たっては、勤務時間の短縮ではなく休日のまとめどりを行うこと、所定の勤務時間の延長は、長期休業期間中などの業務量の縮減によって確実に確保できる休日の日数を考慮して、年度当初や学校行事等で業務量が特に多い時期に限ること、所定の勤務時間を通常より延長した日に延長を理由とした新たな業務の付加はせず、延長したとしても在校等時間が増加しないようにすること、また、画一的に導入するのではなく、育児や介護を行う者などの個々の事情に応じて適用することを踏まえ、職員会議や研修等については通常の所定の勤務時間内で行うことなどを規定することとしております。

 以上でございます。

菊田委員 一年単位の変形労働時間制の導入までには、今御紹介がありましたように、さまざまな手続に時間も要します。私は、スケジュール的にも大変無理があるのではないかということを指摘して、時間が参りましたので終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 国民民主党、そして立国社、共同会派の吉良州司でございます。

 私も、先ほどの牧議員に倣いですけれども、萩生田大臣は全く覚えていないと思いますが、二〇〇六年に英国大使館とラグビー議連でラグビーの試合を行いまして、そのときに、当時の清宮早稲田の監督とか、それから真下レフェリーの指導を仰ぎながら練習して、一緒に試合をしたというのが最初であります。

 今回、ワールドカップで日本チームが本当に大健闘、大活躍して、日本じゅうがブームに沸いたわけですけれども、そのころのラグビー議連、盛り上がって、何とかワールドカップを招致するぞと。その後、森総理、遠藤利明元五輪大臣を中心に、私も野党の取りまとめで奔走させてもらいましたけれども、二〇〇九年に、事実上、大攻勢をかけて、二〇一九年の導入が決まった、そういうことであって、二〇〇六年あたりのラグビー議連の盛り上がりが今につながったものだと思っております。

 その萩生田大臣に、きょうは初めて胸をおかりして、給特法を中心に質問をさせていただきます。

 私、質問時、いつも申し上げることなんですけれども、私が述べる見解、提案等は、必ずしも会派を代表したものではなく、吉良州司議員個人の責任において発言させてもらうものであるということは、まずお断りさせていただきたいと思います。

 まず最初に、同僚議員が給特法についていろいろ聞きました。重複はできるだけ避けて質問をしたいと思っていますけれども、まず、一番根本の、当該法案の真の目的は何か、大臣の口からお答えいただければと思います。

萩生田国務大臣 我が国の学校教育は、これまで大きな蓄積と高い成果を上げてきましたが、文部科学省が実施した教員の勤務実態調査によれば、極めて厳しい長時間勤務の実態が明らかになっています。志ある教師が、疲労や心理的負担を過度に蓄積して心身の健康を損ない、ついには過労死等に至ってしまうような事態は決して起こしてはならないと考えております。また、その勤務環境から、意欲と能力のある人材が教師を志さなくなり、我が国の教育水準が低下することは、子供たちにとっても我が国や社会にとってもあってはならないと思います。

 その上で、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が日々の生活の質や教職人生を豊かにすることでみずからの人間性や創造性を高め、子供たちに対して更に効果的な教育活動を行うことができるよう、学校における働き方改革に必要な取組を総合的に進めているものです。

 本法律案は、その一環として、本年一月の中教審答申も踏まえ、上限ガイドラインを法的根拠のある指針へ格上げすること、休日のまとめどりの推進のため、一年単位の変形労働時間制を地方公共団体の判断により条例で選択的に導入できるようにするものであります。

 一言でと先生言っていただければ、教員の皆さんが、教師としての本来の職業に、限られた時間の中でしっかりと仕事ができる環境づくりをこの機会に進めさせていただきたい、こう思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 大臣、先ほど来、現在の厳しい教師の勤務実態を踏まえて時間を減らすということと、専門職としての教師の本来の仕事に専念できる環境をつくるということを繰り返し答弁されておりまして、そこのところはこの委員会の誰しもが同意するところだというふうに思っています。

 また、今の答弁の中で、厳しい勤務実態が、精神面でもいろいろ問題が出てきているという趣旨のことも話されたと思っています。

 また、今の答弁の中で私自身が重視したいことは、いい人が教員を目指すような、そういう道も開いていきたい、こういうことであります。

 後ほど、そのことにつながるような質問をしていきたいと思っています。

 先ほど来の質問の中で、今回、今大臣が答弁されたような目的を目指しながら、それを徹底させるに当たっては、罰則を伴うという法にはしなかったという答弁があります。

 そういう中で、今大臣が答弁された目的を達成するための担保といいますか、大臣に対しては、本気度、どういう形で、今大臣が答弁された目的を達成するため、本気でもってやり遂げるのか、その担保は何かということについて伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 教師の長時間勤務の実態は極めて深刻であり、保護者との対応に苦しむ教師も少なくありません。持続可能な学校教育の中で教育成果を維持し、向上させるためには、学校における働き方改革の推進が急務になっています。

 学校の働き方改革は、教師自身においてみずからの働き方を見直していくことも必要ですが、教師個人の働き方のみに帰結するものではなく、教師一人一人の取組や姿勢のみで解決できるものでもありません。

 我が国において学校教育について責任を負う文部科学省には、それぞれの学校や教育委員会における積極的な取組が着実に進むよう、条件整備や情報発信、制度改正に総力戦で取り組むことが強く求められており、私自身、文部科学大臣として、先頭に立って全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。

 その上で、法改正さえすれば、これが全国に伝わって、今我々が議論しているようなことが当たり前に運営できるんだったらこれにこしたことはないんですけれども、やはり長い間しみついた教育現場の慣例などもあると思います。

 誤解を恐れず申し上げますけれども、定年まで残り三年の校長先生が、ここで法律が変わったからといって、その法の改正の趣旨をよく理解していただいて、また地方教育委員会もよく指導していただいて本当に現場が変わるのかといえば、いや、自分は今までこういうやり方でやってきたんだからということで振り切られてしまったのでは、この法改正の意義がなくなると思います。

 私、そういう意味では、今回、この同じ思いを全国に貫いていくことが大事だと思っておりまして、ただ単に、地方に、条例をつくってくれ、モデルはこれだなんていう乱暴なことじゃなくて、本当に最前線で教育現場に接していただく皆さんに、本当に皆さんにお会いをして、ぜひそういった場を活用して、今回がまさに教職員の皆さんの身分をしっかり守って働き方を変えるラストチャンスだ、ここで変えなかったら日本の公教育はもたないということをしっかり訴えて、理解をしていただける努力をしてまいりたい、こんなふうに思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 私がもう少し後で議論をしたいなと思っている内容について、大臣が今答弁をされました。それは、誤解を恐れずに言えばという言い方だったかどうか、残り三年の校長の話が出ました。

 昨日の参考人質疑の中でも、やはり管理職のマネジメント能力の必要性ということが、幾人もの参考人から陳述がありました。私自身、大変大事なことだと思っています。

 その中で、例えば工藤祥子さんのお話の中で、工藤祥子さんの場合は御主人を過労で失われて、それでいて今は毅然として活動されている姿に本当に胸打たれる思いであったんですけれども、工藤さんのお話の中で感じたことが二つありました。

 一つは、御主人はさぞ仕事ができる、かつ情熱にあふれた方だったんだろうと思います。これは、学校に限らず、民間企業もどこでもそうなんですけれども、情熱があってできる人にどんどん、底なし沼のように仕事が集中していく。できるからこなしてしまう、はたから見ていると何かまだ余裕があるように見える、更に難しいことをお願いする、その人にしかできないことをお願いする、これが重なっていくというのが我が国の組織の現状だというふうに思っています。今言いました、底なし沼のように、できる人に、何をやってもできると思いきや、実は本当は底があって、まさに底に達したときに限界が来る、こういうことだったというふうに思います。

 もう一つ、工藤祥子さんの発言で私が非常に重く受けとめたのは、理解がある学校のときはまだよかったという趣旨の話があったんですね。ということは、やはり、過労死されたところではその理解がない、前の職場、理解があるところでは応援をしてもらった、理解があったけれども、そうではない上司、そうではない学校の雰囲気のところに行って過労死になったと。そういうことを考えても、学校のマネジメントに携わる人の能力がいかに大事かということが、参考人の陳述の中で我々全ての委員が共有したことだというふうに思っています。

 そこで、どういう学校管理者を管理者として選別していくのか、そして、その人たちの管理能力を、マネジメント能力をどういうふうにして育てていくのか、そこを聞きたいと思っています。

 ちなみに、民間企業の場合は、俗にコストカッターと言われるような経営者。コストカッターは批判だけされるけれども、時には思い切った英断でコストを削減するということも必要な場合が民間企業にはあると思っています。だからこそ、名経営者扱いされる。けれども、学校現場にあっては、コストカッターとか単なる時間管理ということではなくて、人を元気にする管理職、人をやる気にさせる管理職、それが必要なんだというふうに思っています。

 そのような学校管理職を選び育てていく、その具体策、大臣としてどのようにお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 先生の御指摘はごもっともで、なおかつ難しい課題だと思います。

 今現場で、御案内のとおり、校長や副校長を目指す職員の人たちが減ってきているというのも実態であります。管理職の負担の重さというものもそういうことに影響しているんだと思います。しかしながら、今回の改正を機に、やはり学校現場の概念というのをみんなで、学校だけじゃなくて社会全体で変えていかなくてはならないというふうに思います。

 先ほどから御質問がありましたように、結局、キャップをはめても、自宅に仕事を持ち帰れなんて言われれば何の改善にもならないわけであります。他方、罰則がないんだから、そういうものをどうやって追い込むんだ、こういう御指摘もあります。

 ここは、私はやはり、目安箱じゃありませんけれども、なかなか我々が理想どおりの運営ができていないところには声を上げてもらう、透明化をさせていくということが極めて重要だと思っていまして、今の現職の管理職の皆さん、今の地方教育委員会の幹部の皆さんもそうでありますけれども、これからマネジメントを目指す、副校長、教頭を目指す皆さんにとっては、働き方改革を進めながら教育の質の向上を図るためには、まさに学校における人、物、金、時間、情報といった資源を柔軟に再配置する学校マネジメントというのはますます重要になってくると思います。

 これは、学校任せとか地方任せで、こうやってねと言ってもなかなか成就するものではないと思っていますので、今回の法改正にあわせて、学校のマネジメントはどうあるべきかは、徹底した研修を将来の幹部に促すことができるような仕組みづくりというのを、文部科学省としても責任を持ってシステムをつくっていきたい、こう思っております。

吉良委員 ありがとうございました。

 答弁されたことについては全く同意ですけれども、最後におっしゃられた、そういうシステムを文科省としてもつくっていきたいと。今現在、具体的なアイデアはございますか。

萩生田国務大臣 今までとは違った研修のあり方をしていかないとこういうマインドを貫くことはできないと思っていますので、その指針をきちんと研修の中で理解していただけるように努力をしたいと思っています。

吉良委員 冒頭、大臣が答弁された真の目的のところでもありましたけれども、現在の教師の厳しい勤務実態を踏まえて、それを少しでも改善、軽減するということでありますけれども、文科省から受けたレクの中で、その具体策として、上限ガイドラインであったり学校教師の業務の適正化であったり、教職員定数の改善、それから外部人材の活用などの学校における条件整備ということが挙げられておりました。

 その中で、今、学校現場の悲願である、軽減するに一番の近道というのは教員の増員だということは、これは誰もが共通していると思います。

 文科省の具体策の中で、教職員定数の改善ということがあるんですけれども、これだけ人不足の中で、定数の改善だけでは、要は実員の改善でなければ、特に小学校等女性教員が多い職場にあっては、産休、育休における代用教員も必要になってくる。そういう意味では、実数、実員が極めて大事だと思いますけれども、その辺、この教職員定数という言葉は、実際、実員というふうに読みかえさせてもらってもいいんでしょうか。ちょっとこれは個別の質問通告ではないんですけれども、広くは入っていると了解しています。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 教職員定数につきましては、クラスの数を基本としながら、標準法という法律の中で算定が図られる基礎定数というものと、さまざまな課題対応ということでの加配定数というものがありまして、義務で全体として今七十万程度というぐらいの先生方がいらっしゃるわけなんですけれども、その教員定数をもとに、各都道府県教育委員会、それからまた指定都市教育委員会の方で教員採用を行っていっているということでありまして、人事管理を進める上では、標準法で定められた各県に配分されている教員定数に基づいて教員の採用が行われていて、その数がいわゆる委員が御指摘された実数ということであろうというふうに考えております。

吉良委員 今の問題については、また引き続いて議論をさせていただきたいと思っています。

 先ほど来同僚議員からも指摘がありますが、この法案の一番悩ましいところは、法的拘束力を持たせる大臣指針、先ほども言いましたけれども、それによる上限ガイドラインだとか学校教師の業務の適正化、それから教職員定数の改善、外部人材の活用などの学校における条件整備をする、この部分について異論を持っている人は誰もいない。また、学校の夏季休暇時あたりを中心にまとめて休暇をとるということについても、基本的には異論はない。ただ、まとめどりをするために変形労働時間制というものを導入することによって、一番、四、五、六月期等を始め繁忙期の長時間労働をある意味では当然視させたり、当たり前と思わせるところに問題がある。

 同時に、うがった見方をすれば、今言った変形労働時間制を導入するために指針というものを設けてはいるんだけれども、そこには罰則規定等を設けていない。結局、指針とは言うけれども、明確な担保がない以上は、変形労働時間制を導入するための、ある意味では表向きのかけ声のための指針になるのではないか、こういう疑問が特に我々同僚議員の中にあるわけです。

 表向きのかけ声ではあってはならないということで、我々はずっと、その担保が欲しい、歯どめが欲しいということを言ってきているわけでありますが、例えば、そのことを受けて、今回の法律は、変形労働時間制については条例により実施できるというふうになっているんですね。必ず条例をつくりなさいとはなっていない。実施できるとなっているわけです。一方、指針については、指針を定めるということで、もう既成事実として法に書かれているわけです。

 仮に、ある地方公共団体において、条例は定めない、この法律は成立してですよ、法律は成立しました、各地方公共団体の判断においてこの変形労働時間制についての条例は定めないという自治体が出てきたときの文部科学省としての対応はどうなるのか。そして、指針は条例を定めない自治体においても生きるという了解でよろしいかどうか。ちょっとこれも、広くは質問通告の範囲なんですけれども、個別としてはしていない可能性はあります。

萩生田国務大臣 仮にの御質問でございますけれども、変形労働時間制の活用については、各自治体の判断で採用しないということもあり得ると思います。しかし、その場合であっても、勤務時間の上限のガイドラインはきちんと定めてもらわなきゃなりませんので、変形労働時間制を採用しないとしても、当然のことながら、週単位あるいは月単位の上限はきちんと定めた上で、職員の皆さんの健康管理も含めた新たな視点で地方自治体が責任を持ってやるということであれば、それは選択肢としては排除をしません。

吉良委員 明確な答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 今まで質問してきたことと重複するんですけれども、その後の議論につなげたいこともあって、この一年単位の変形労働時間制のメリットとデメリット、又はその懸念要素というのを大臣としてはどのように認識しているか。ちょっと重複するかもしれませんけれども、もう一度お願いできますか。

萩生田国務大臣 地方公務員のうち教師の皆さんについては、一年単位の変形労働時間制を活用できるよう法制度上措置することにより、一時間単位の勤務時間の積み上げによる休日のまとめどりを可能にすることで、一定期間のまとまった休日の確保の取組が一層進むものと考えております。これによって教師の自己研さんやリフレッシュの時間を確保することで、子供たちに対して効果的な教育を行うことができることに資するとともに、教職の魅力向上にもつながると、意欲と能力のある人材が教師を目指していただけるのではないか、そういった後押しになるのではないかと考えております。

 一方で、本制度については、導入によって、夏休みにまとめどりができるんだからといって日々の労働時間が長くなるようでは、これは本末転倒でありますので、それはしっかり見ていきたいと思います。かえって勤務時間が増加するのではないかと心配されている皆さんに対して、その歯どめをきちんとつくっていきたいと思います。

 夏休みにも業務が多くあるため、結局休めないじゃないかという議論もあります。これは、国全体で、プールのあり方、あるいは職員研修のあり方、この時期をきちんと整理して、あるいは部活動の大会の時期、こういったものも変えていかないと、制度はつくったけれども結局休めなかったという先生が出てきたのでは何の意味もないと思いますので、こういったこともしっかり取り組んでいきたいと思います。

 子育てや介護を行う教師が逆に働きづらくなるのではないか、あるいは夏休み前に教師が倒れてしまうのではないかといった現場の不安や懸念があることは承知しております。こういった一つ一つの懸念を払拭できるように、制度の中でも目に見える形で指針を示していきたいな、こう思っているところでございます。

吉良委員 デメリットのところについては、これまでも同僚議員が指摘していますし、今大臣からも、その認識を新たにしていただきました。

 一方、私、冒頭、目的は何かということを聞いて、そのとき大臣が教師という職の魅力を高めるという趣旨のことを言われ、今またその答弁がありました。

 私自身は、変形労働時間制の導入の是非は一応おいておいたとしても、休日のまとめどりの意味は、冒頭でおっしゃられた、またこの法案の目的でもある、教職人生を豊かにする、みずからの人間性や創造性を高める、結果として子供たちに対して効果的な教育を行うことができる、そして、教職という、教員の魅力を増す、そこに使おう、そこに活用しようという趣旨だというふうに思っています。

 そして、今また大臣が大変重要なこと、私にとって同意する、国全体でということを言われました。

 実は私は、本当に国全体で取り組んで、日本の夏休み時期は、ある意味国全体が閉庁にするぐらいの、それぐらいの革命を起こさなければいけないのではないかというふうに思っています。

 学校現場でいえば、今、まとめどりができる岐阜市のように、この期間閉庁にしました、その間は休みがとりやすいというふうにしていますけれども、民間企業のフレックスタイムのときに、例えば十一時から三時まではコアタイムとして、それ以外のところは自由だというのがありますが、私のイメージの中では、夏休み、三十なのか四十なのか、基本的に教師は休む、その中で、閉庁に当たるこの時期だけはもう本当に完全休業にしましょうというような考え方が大事だというふうに思っているんですね。

 幾つか例示もしたいというふうに思っていますが、一つは、この法案の説明の中で、やはり教師の健康ということについても配慮しようとしています。大事なことだと思います。

 来年のオリンピックの花形とも言えるマラソンが東京から札幌に移る。これは大変な問題を投げかけております。それぐらい日本の夏は暑い。本当に暑い。私、海外勤務を長くしておりましたけれども、海外の人とやりとりする際に、ぜひ日本に来てくれ、いい国だよ、きれいだよと。ただし、夏だけは避けてくれと必ず言います。

 今回のオリンピックでも残念なのは、ワールドカップじゃないですけれども、あれだけの外国の人が来て、ワールドカップについては、おもてなしも含めて日本のよさを満喫していただいたと思います。ただ、一番来てほしくない、一番大変な日本の夏に来てもらって、日本、もう二度と行きたくないというような思いは持ってほしくないなとつくづく思っているんですが、それぐらい、この夏についてもう一回考えた方がいいのではないか。

 もう少しちょっと余計な話をさせてもらいますと、私は商社勤めをしていまして、プラント営業という、物すごく、何百億もするようなビジネスに携わっておりました。

 一例なんですけれども、米国企業とフランス企業と私どもで一緒にやるというプロジェクトがあって、九月にその入札がある。七月ぐらいに打合せをして、どうその入札に対応するかという話をしていたときに、次、いつミーティングをしよう、こちらは八月何日とか言っても、俺たちは休暇でいないよと。アメリカのビジネスマンは、この間一カ月いないから、基本的に会社に連絡しても誰も対応しない、ただ、自分はどうしてもという緊急重要事態についてだけ電話をとるからという話。フランスのビジネスマンに、この間誰か引継ぎをしてくれる人はいるのかと言うと、そんなものいないよ、このプロジェクトの担当は俺なんだ、だから、その間誰も引継ぎ者はいない、この間は全く動かないと思ってくれと。

 一方、自分はどうか。では、二週間休みをとる、一週間休みをとる。その一週間のために、その間フォローする人にお願いをして、休みの前に二日、深夜まで引継ぎをして、こういう案件が動くかもしれないから頼むよと休み期間中フォローしてもらって、休みから戻ると、今度、その休み期間中どうだったという引継ぎを受ける。本当に矛盾を感じました。

 日本のGDPが幾らだとか、売上げが幾ら、利益が幾らと言っているけれども、今言った感覚でいうと、日本は十二分の十二で勝負しているけれども、そういう海外の企業は十二分の十一の中で勝負しているんですね。

 だから、そういう意味で、日本についても、夏のあり方というものを考えていく必要がある。その際に、この目的でもある、教師が自分の自己研さんをし、物すごく経験値を高め、そして休みが終わった後、リフレッシュな感覚で、また新たな経験を積んで子供たちに向き合える、そのような機会というのは非常に重要だと私は思っています。

 その意味で、これは文科にとどまらず、国全体で日本の夏のありようというものを検討していく。その中で、この給特法が出てきたことを捉えて、まずは文科、そして学校現場が、今言った、基本的に四十日間休みにするんだというような取組が必要だと私は思っています。

 大臣、この辺についてはもう感想になろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今、先生のお話を聞いていて、そういう世の中がもし進むとすれば理想だなというふうに私も思いました。

 先生も、多分、学生時代からやられていた山登りは、商社に入ってからはほとんどできなかったんだと思います。学校の先生方も、学生時代の趣味を続けようと思っても、今の勤務体系では全く続かないという状況にありますので、せめて夏休み期間中にそういったことを続けていくような環境があれば、志を持っていただける方もふえていくんだろうと思います。

 社会全体で考えなきゃならないことでありますので、私も日本人の働き方はもう少し余裕を持って考える必要があると思っていますので、子供たちが学ぶ先生方がそういうライフスタイルを見せることによって、将来の日本の働き方を変えていくきっかけにもなるんじゃないか、こんなふうにも思っております。

 たまたま岐阜市の例を先ほど御紹介いただきました。岐阜市は、教育長さんが物すごくリーダーシップを発揮して、中核市という枠の中でこれができているんですけれども、先日、横浜市も見に行きましたら、横浜市は政令市なんですけれども、これはかなり夏休み期間中の閉庁日をきちんと確保して、働き方改革を変えているんですね。なおかつ、この法律ができれば更に堂々とそのシステムが前に進むので、ぜひお願いしたいということを現場の校長先生からも言われて、意を強くしたんです。

 私、政令市などは、教職のいわゆる研修を市で行っていますから、この時期さえ自分たちで変えれば閉庁日をつくることができるんだと思います。同じように、都道府県教委の皆さんが同じマインドを持ってもらえば、この夏休み期間中の使い方、とりあえず十日みたいな話をしていますけれども、もっと有意義な使い方が私も本当にできると思いますので、ここがある意味きっかけだと思います。

 ぜひ、先生の働き方を通じて日本じゅうの働き方が変わるような、そんなきっかけになったら望ましいな。感想だけを申し上げさせていただきます。

吉良委員 私自身、後半の部分は問題意識として、大臣も冒頭におっしゃられたことですけれども、教職というものを非常に魅力ある職にして、この少子化時代、ある意味では民間企業ととり合いになってくる時代になりますので、そういう意味では、どれだけ魅力を増していくのか、多くの志、情熱ある、また優秀な学生たちが教職を目指すのか、そのことを最大の目的としていかなければならないというふうに思っています。

 かつては、夏休み、結構休めたという話があります。この週末に地元に戻って、教職の人と話をする機会というか、私が求めたんですけれども、ありまして、自分も、教師になりたてのころから若いころというのは、やはり四月、五月、六月は本当にきつかった、ただ、その際も先輩たちから、今頑張れ、乗り切れ、そうすると夏休みにリフレッシュできるからというアドバイスを受けて、そして実際夏休みに相当リフレッシュできて、また新たな気持ちで九月を迎えることができたんだそうです。その後、先生はいいわね、先生はいいよな、休めてというようなことになって、そこにいろいろな行事を入れて、また、部活動指導を含めてそこにいろいろな行事が組まれて、だんだん、ある意味、自分で自分の首を絞めていくようなことになったと思うんですけれども。

 先ほど私自身が言ったことの繰り返しになりますけれども、本当に教師の経験をより豊かなものにする。そのために、例えば、子供たちは修学旅行のために積立金を積み立てていますけれども、教師も、閉庁日、夏休みのまとめどりのときに国内旅行、海外旅行ができるようにするために積み立てていく。きのうのやはり岐阜市の早川教育長の話の中でも、実際に海外旅行に行って非常にリフレッシュして楽しかったというような評価を得ているというのがありました。

 私自身は、今言った、教師の経験をふやす。もしいまだに、先生はいいわね、先生はいいよなという反論があるのであれば、私は二つのことを言いたいと思っています。

 一つは、大臣に先頭を切っていただきたいんですけれども、国のあらゆる課題の中で、子供の教育ほど重要なことがほかにあるのか、そのためにこれが最優先で、さっき言った教師の魅力を高めること、教師が充実した教職人生が送れること、子供たちにフレッシュに向き合えること、これ以上に大事なことがあるのかといって反論していただきたいということ。

 それから、それでも気になるのであれば、海外の日本人学校あたりにぜひ視察に行ってもらいたい。一週間のうち一日、二日でもいいと思います。ほかは経験を積むでいいと思っています。

 私自身、ニューヨークに五年半駐在しておりましたので、子供たちはアメリカの学校に入れ、日本人学校にも入れました。日本人学校の先生はすばらしい。これは残念なことながら、日本にいるときには自分の理想の教育がなかなかできない、いろいろな制約があってできない。だから、自分は海外に行って理想の教育をしたいと思って、試験を受けてやってきたと。

 実際、私の場合、米国のニュージャージー州でしたけれども、ニュージャージー州の学校において、まさに理想の教育ができている。その学校で学んだ娘たちは、それから二十年たった今でも、その先生に同級生と一緒に会いに行きます。頻繁に会いに行きます。そういう日本人学校を視察する、そういう情熱にあふれた、そして理想の教育というのはこれだというのを実践できている先生たちに会いに行く、それだけでも私は大変な効果があるというふうに思っています。

 そういう意味でも、大臣には、この夏季休暇の休日を思い切り効果あらしめるための先頭を切っていただきたいというふうに思っています。大臣の感想、決意を聞きたいと思います。

萩生田国務大臣 教員という仕事は、私、かけがえのない仕事だと思っています。もちろん、世の中に大切な仕事はたくさんあると思います。いずれも価値のある仕事だと思いますけれども、将来を担う子供たちの教育をつかさどるということの大切さ、これは本当に誇りに思ってもらわなくてはなりません。

 そのためにも、教師の皆さんが、引き続き、高い理想と志をしっかり持って子供たちと向き合う、そういう環境をつくっていくために、この法案をぜひ御理解いただいて、休み方も含めて、ぜひ堂々と日々の暮らしができる、そういう環境づくりに全力を挙げてまいりたいと思っています。

吉良委員 もう時間が来ましたけれども、一点だけ。

 一方で、時間管理というのは非常に重要ではありますけれども、ソサエティー五・〇という社会を目指す中にあって、私は、日本がジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた高度成長期からその後の安定成長期まで、その当時の日本の教育は本当によかったんだと思っていますが、今、日本がやはり停滞期にあるということの一つは、日本においてビル・ゲイツだとかスティーブ・ジョブズだとかイーロン・マスクが生まれない土壌の一つが、余りにも国全体も管理された社会、また学校も、規則、規則、規則ということで、余りにも息苦しいということがあると思っています。

 娘が通っていた米国の小学校は、本当かと何度も聞いたんですけれども、時間割りがないんです。一日の時間割りもないし、一週間の時間割りもないんです。始まりと終わりと休憩時間があるだけで、その間は教師の自由なんです。

 私は、ソサエティー五・〇を迎えるに当たって、これから、子供たち、そして学校現場、教師、いかに自由度を高めていくか、これが日本の停滞を脱出する最良の方法だというふうに思っています。

 今後の文科委員会の中でそのことについては深めさせていただきたいということを申し述べて、質問を終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法一部改正案について伺います。

 昨日の参考人質疑で、神奈川過労死等を考える家族の会の工藤祥子代表と日本労働弁護団の嶋崎量弁護士の双方から、一年単位の変形労働時間制を公立学校の教員に適用できるようにすることに厳しい批判が寄せられました。

 そこで、まず最初に厚生労働省に伺います。

 そもそも一年単位の変形労働時間制は労使協定が必須とされていること、また、恒常的な時間外労働がないことなどを前提とした制度とされております。その理由は何でしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 一年単位の変形労働時間制は、休日の増加による労働者のゆとりの創造、時間外・休日労働の減少による総労働時間の短縮を実現することを目的としてございます。一カ月を超える一年以内の期間を平均して一週間当たりの労働時間が四十時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じて労働時間を配分することを認める制度でございます。

 本制度は、設定できる変形期間の最長期間が一年と長く、弾力化の度合いが高いということがございますので、その観点から、制度導入に際しましては、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合におきましてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合におきましては労働者の過半数を代表する者との書面での協定を必要としているものでございます。

 また、本制度は、あらかじめ業務の繁閑を見込んで、それに合わせて労働時間を配分するものであることから、突発的なものを除きまして、恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度設計となってございます。

畑野委員 きょうは、資料の一について伺いたいと思います。

 今おっしゃっていただいたように、この一年間というのは、非常に弾力化される、つまり、いろいろな変動が起こる。それは労働者への不利益になるということで、労使協定が必須だというふうにされているというふうに理解をいたします。

 また、そういうふうに長きにわたって変更するわけですから、恒常的な労働時間がない、よほど突発的なこと以外は。前の日になって突然とかその日になって突然とか、そういうことはない制度だという理解でよろしいんでしょうか。確認です。

吉永政府参考人 御指摘のように、今ほど申し上げましたとおり、基本的には、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度となってございます。

 ただ、一方で、一年単位の変形労働時間制を採用した場合におきましても、法律上の時間外労働となる時間というものは認められているものでございまして、これにつきましては少々複雑でございますが、これから申し上げる三点のいずれかに該当するものというものでございます。

 一つ目は、一日単位で管理する場合でございまして、労使協定で所定労働時間が八時間を超える時間と設定されている日につきましてはその所定労働時間を超えた時間、また、所定労働時間が八時間以内とされている日につきましては八時間を超えた時間というものが一つでございます。

 二つ目が、労使協定で所定労働時間が四十時間を超える時間とされている週につきましてはその所定労働時間を超えた時間、また、所定労働時間が四十時間以内とされている期間につきましては四十時間を超えた時間とされております。ただ、先ほどの、日単位で所定労働時間となるものにつきましてはこれを除くということとされてございます。

 また、全体として、例えば一年という対象期間におきます法定労働時間の総枠を超えて労働した時間というものはございます。これにつきましては、先ほどの日単位あるいは週単位のものを超えた時間という形になってございます。

 その上ででございますけれども、一年単位の変形労働時間制を採用している事業所におきましても、法律上の時間外労働を行わせる場合におきましては、労働基準法第三十六条に基づきます時間外労働、休日労働協定の締結、また労働基準監督署への協定書の届出ということと、あと労働基準法第三十七条に基づきます割増し賃金の支払いというものが必要となるものでございます。

畑野委員 ここは文部科学委員会なものですから、一つ一つ丁寧に伺わせていただいておりますので、よろしくお願いをいたします。

 それで、一番最初にお答えしたことにかかわって、今、割増し賃金の話も少ししていただいたんですが、そこに行く前に、この資料なんです。

 つまり、一年単位の変形労働時間制というのは、いろいろと政府の方はおっしゃるんですが、実際このグラフを見てみますと、例えば十月、一カ月当たりの法定労働時間は百七十七時間なんだけれども、二百十九時間まで働くと、この差というのは時間外労働が発生する、こういう理解でよろしいですね。厚生労働省、いかがですか。確認です。確認だけです。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたように、時間外労働の時間の算定はやや複雑ではございますが、一日単位、あるいは週単位、あるいは総枠というものの枠を超えたものにつきましては、時間外労働に該当するというものでございます。

畑野委員 そして、その場合は、おっしゃっていただいたように、普通は、法定労働時間を超えた分については時間外労働が発生するし、そしてさらに割増し賃金も発生する、こういう理解でよろしいですか。確認です。

吉永政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

畑野委員 それでは、資料の右手の方です。

 一年単位の変形労働時間制、十月が二百十九時間働くというグラフです。この場合は、通常の労働時間制度の場合のような割増し賃金というのも払われないし、普通の労働時間というふうにカウントされるということですね。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 この表におきましては、御指摘のとおりでございます。

畑野委員 つまり、結局、この一年単位の変形労働時間制というのは、割増し賃金を使用者は払わなくても済む、こういう制度なんです。

 ですから、現場でどうなっているかというと、ブラックのような状態がもう本当に広がっているというのが実態だというふうに言わなくてはならないし、きのうの嶋崎参考人からも、そのことが厳しく、私は指摘されていたというふうに思います。

 では、加えて、一年単位の変形労働時間制でも割増し賃金の支払い義務が生じるケースはあると思うのですが、それは、どのような場合でしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明いたしましたとおり、一日単位八時間、あるいは週単位の四十時間、あるいは全体としての対象期間における法定労働時間が総枠を超えた場合という形で若干の計算式がございますけれども、これを超えた時間につきましては時間外労働に該当しますので、それにつきましては時間外労働の割増し賃金を払う必要があるというものでございます。

畑野委員 そうしますと、この資料の右側の一年単位の変形労働時間制、例えば十一月は、一カ月当たりの法定労働時間よりも少ない百二十九時間というふうになっているんですが、これを超えてしまった場合の残業代の支払い、あるいは割増し賃金の支払いについてはどうなるのでしょうか。

吉永政府参考人 先ほど御説明いたしましたとおり、この期間につきましては、一日単位八時間を超えるということはないものと思われますけれども、トータルで週四十時間を超えるということになれば、それにつきましては割増し賃金を支払う必要が出てくるということでございます。

畑野委員 つまり、問題のある制度だと私は思います。しかし、それでもなおかつ、短くなったときに延びたら残業代が出る、あるいは、長くされているときでも、これは当然残業代が出る、割増し賃金が出る、こういう制度が一応民間の中では常識と、問題点はあっても、そういう制度で担保されているし、それは労働者の不利益になるわけですから、労使協定でしっかりと結ばれることが必須になっているということだと思うのです。

 それでは、最初に申し上げたように、いろいろな問題がある一年単位の変形労働時間制での脱法行為の事例はつかんでいらっしゃるでしょうか。また、あわせて伺いますのは、これを導入している事業所数、そして直近の指導監督件数はどうなっていますか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっとお答えの順番が逆になってしまいますけれども、一年単位の変形労働時間制を採用している事業所数という形では把握をしてはおりませんけれども、一年単位の変形労働時間制を行う場合につきましては、これは三カ月以上という形になりますけれども、届出書をいただくという形になってございます。この届出書の提出は、三十八万件を御提出いただいているということでございます。

 全体の事業所数ですけれども、経済センサスの基礎調査により算出した数字は、四百十二万の事業所という数になってございます。

 また、指導監督につきましては、全体としての法定労働時間違反の件数ということにつきましては、大体年間で二万八千件という形でございますが、一年単位の変形労働時間制に係るものというものを区別して集計してございませんので、お答えすることができないというものでございます。

 あと、具体的な例といたしましては、個別の事例になりますけれども、例えば、一年単位の変形労働時間制に係る指導に当たって、例えば、一年単位の変形労働時間制を導入するに当たりまして、大体カレンダーをつけていただく、この日はこの時間という形のカレンダーがございますけれども、このカレンダーで定める所定労働時間を超えて時間外労働を行わせていたというような事例がございます。

 また、実際には、変形労働時間制をとる場合に、時間外の三六協定を結んでいない事業所も多いんですけれども、そういう事業所の中で時間外が行われているような事例も散見されるという状況でございます。

畑野委員 つまり、一年単位の変形労働時間制がきっちりと行われていない、つかんでいない部分もあるということですよね。これはきちっとつかんでいただきたいと思うんですが、いかがですか。

吉永政府参考人 一年単位の変形労働時間制につきましては、制度導入から二十数年を経ております。必要なものについては、申告等の監督を行っているところでございますが、引き続き適切な監督に努めてまいりたいと思います。

畑野委員 委員長、資料提出を求めたいと思いますので、後で諮っていただけますか。今の件についてです。

橘委員長 後刻、理事会で協議します。

畑野委員 例えば、一つだけ例を挙げておきますけれども、ヤマト運輸で、この間、是正も入って、数百億とも言えるような未払い残業代の支払いがあった件で、皆さんも御存じだと思うんですね。

 例えば、ここではどういうことがあるかということで、これは五月二十一日に提訴された件です。時間外労働をしたのに、残業代が一部しか支払われていないという訴えです。

 ドライバーの方ですけれども、運転前の荷物の仕分作業で午前六時台に出勤しても、タイムカードは朝八時に押すように上司に指示されたほか、忙しくて休憩時間がないことが常態化していた。さらに、同社は、他の勤務時間を短縮することで、一日八時間を超えても残業代を支払わずに働かせることができる変形労働時間制を採用しているが、ほかの日の勤務時間を短縮できていないと言っている。多い月では百二十時間以上の残業があったということで、未払い残業代約二百六十万円に加え、労働基準法で制裁金に当たる付加金約百万円の支払いも求めている。こういう事例ですよね。

 また、やはり問題になっているのは、この会社でいえば、シフトが組まれている、それ自身が、上限を超えてシフトが組まれているという例なんですが、途中でこのシフトが変わった、そういう運用もされていたということで、こういうことだと、変形労働時間制をそもそも導入することはできない、無効になる、そして残業代もしっかりと払われる、こういう事例があるというふうに伺っているんですが、承知されていらっしゃいますか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の件につきましては答弁を差し控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、一年間の変形労働時間制につきましても時間管理をきちっとしていただく、必要なときには必要な所定外の残業の手当、割増し手当を払っていただくということが原則でございますので、いずれにいたしましても、きちんとした時間管理を行っていただくように、必要な指導は行ってまいりたいと考えてございます。

畑野委員 変形労働時間制でもいろいろなケースがあると思いますけれども、大手でこういう状況が出ているんです。ですから、もう中小企業でいったらどうなるかということです。

 デパートで、年末商戦の時期は忙しいということで、一定期間だけ残業代を支払わずに残業することができるようになる、働く側は余りメリットがない、そういう声も出ているわけです。まさにサービス残業にもつながりかねない、未払い残業代の問題はもちろんですけれども、こういうことが言われているんですね。もう残業代は出ないよと言われている会社もあったり、サービス残業が長く続いているという事例も伺っております。

 さて、こういう状況の中で、厚生労働省にもう一つ伺いたいんですが、きのうの参考人の発言でもありましたけれども、長時間過密労働と過労死の関係について伺いたいと思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 長時間労働と過労死の関係ということでございますけれども、現在、脳疾患、心臓疾患につきまして、労災の認定基準というものが定められてございます。これは、医学的専門家により構成された検討会で取りまとめていただいたものでございますけれども、業務による明らかな過重負荷を受けたことで発症した脳・心臓疾患等を労災認定の対象疾患としているものでございます。

 その認定要件といたしましては、発症直前から前日までの間に異常な出来事に遭遇した場合でありますとか、発症前一週間程度の時期に特に過重な業務に従事した場合というのがございます。

 それに加えまして、発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したことというものが挙げられてございまして、具体的には、発症前一カ月間におおむね百時間を超える時間外労働があった場合、又は発症前の二カ月ないし六カ月間にわたりまして一カ月当たりおおむね八十時間を超える時間外労働があった場合などを定めているものでございます。

畑野委員 きょう、資料の二つ目につけさせていただきました。厚生労働省、「STOP!過労死」というリーフレットです。「毎月十一月は「過労死等防止啓発月間」です。」ということで、今、十一月十三日になっております。

 二枚目のところで、「過労死等とは?」ということで、過労死等の定義がされております。「業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡」「業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡」「死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害」。

 「長時間労働と過労死等」ということで、その次に書かれております。脳・心臓疾患に係る労災認定基準においては、週四十時間を超える時間外・休日労働がおおむね月四十五時間を超えて長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まるというふうに書かれているわけですね。

 そういうことでよろしいですか。確認です。

吉永政府参考人 私どもの検討会の報告書でもそのように記載されているところでございます。

畑野委員 つまり、八十時間とか百時間とか言われるんですけれども、もう四十五時間を超えたらそういう危険性が高まっていくという、ここは私は大事な指摘だというふうに言いたいと思うんです。

 さて、今、厚生労働省からいろいろとお話を伺いました。それでは、文部科学省に伺いたいと思うんです。

 これだけ大変な一年単位の変形労働時間制、どうして学校現場に、公立学校に導入できる前提があるのかということを萩生田光一文部科学大臣に伺いたいと思います。

 この間、文科省が調査をしてきたように、一日十一時間を超える、平均です、一年間の、超える超過勤務で、小学校で約三割、中学校で約六割が過労死ライン。この過労死ラインというのは、八十時間、複数月、あるいは百時間ということになると思う。八十時間以上ということで、私たちも聞いた。過労死ラインを超えるほどの状況、恒常的に超過勤務があるんですよ。持ち帰り仕事を含めれば、小学校で約六割、中学校では約七割を超して八割に近い状況が、過労死ラインを超える超過勤務があるんですよ。

 ですから、この状況で、厚労省が言ったような、この問題のある一年単位変形労働時間制、入れる前提がないじゃありませんか。大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 まず、御指摘のとおり、平成六年に一年単位の変形労働時間制が導入された際の労働省の通知においては、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度であることとされています。これは、一年単位の変形労働時間制は、あらかじめ見込んだ業務の繁閑に合わせて労働時間を配分するものであり、あらかじめ予想される繁忙による対応等は、本制度による労働時間の配分で対応することを前提とする制度の趣旨を述べたものと承知しています。その上で、この一年単位の変形労働時間制を導入する場合でも、労働基準法の規定により時間外労働があり得るものとされています。

 公立学校においては、まずは業務の削減を徹底した上で、学校行事等に伴いあらかじめ予想される時間外勤務について、一年単位の変形労働時間制の活用により勤務時間を延長し、それを一時間単位で積み上げて、長期休業期間中に休日のまとめどりを行うこととしており、あらかじめ予想される恒常的な時間外労働はないことを前提とする制度の趣旨に合致しております。

 他方、休日のまとめどりを導入しても時間外勤務が生じることはあり得るものですが、今回新たに策定する指針における在校等時間の上限を踏まえ、業務の削減を徹底的に進めてまいりたいと思っております。

畑野委員 前提がやれていないのに、こういう法案を出すこと自身がおかしい、間違っていると私は申し上げたいと思うんです。

 ガイドラインの話も、上限、特例は一カ月百時間未満、こう言っているんですよ。連続する複数月の一カ月当たりの平均が八十時間を超えない。こんな特例まで含めて、何の歯どめがあるんですか。

 先ほど厚労省からもお答えがありましたけれども、月四十五時間は、業務と脳・心臓疾患との関連性が徐々に高まるとされるラインなんです。結局、そこまで超過勤務があるということを前提にしているじゃありませんか、四十五時間というんだったら。

 一年単位の変形労働時間制は、恒常的な残業はない、残業があれば割増し賃金の支払い義務も生じる。しかし、教員というのは恒常的な超過勤務があり、しかも割増し賃金を払う必要がないんですよ。前提はないというふうに申し上げなくてはなりません。

 しかも、更に問題なのは、労基法で一年単位の変形労働時間制導入に必須とされる労使協定がないまま、条例で導入を可能とすることです。

 きのう、嶋崎参考人は、一年単位の変形労働時間制は、労働時間の弾力化に伴う、しかもスパンが長い、一年という長い期間なので、現場の意見を聞かなければ混乱が生じる、望まない時期に超勤を強いられるということで、労使協定が必須になっていると指摘をされています。それを条例にかえて導入することについては、条例を決めることと労使協定と、単純に意思決定権者も違いますので、合意抜きというのは、労基法で定められた要件、最低基準、憲法に由来する労働基準法で定められた最低基準を条例で許すことで、ここに風穴をあけてしまうものだと嶋崎参考人は指摘をされています。

 伺いますけれども、労使協定抜きに条例で制度を導入することと憲法、労基法との整合性についてどうお考えですか。

萩生田国務大臣 憲法第二十七条第二項では、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」とされています。

 ここで言う「法律」の一般法が労働基準法であり、地方公務員についての特例法としての地方公務員法が、さらに教育職員についての特例法としての給特法が存在しますが、憲法の規定は必ずしも全てを法律で定めることまでも求めているものではなく、詳細を政省令や条例に委ねる場合もございます。

 地方公務員の勤務条件については、地方公務員法第二十四条第五項で、「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」とされており、住民自治の原則に基づき、住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によって決定することとされております。

 公立学校の教師も地方公務員であり、休日のまとめどりの推進のための一年単位の変形労働時間制は勤務条件に関する制度であることから、勤務条件条例主義にのっとり、労使協定ではなく条例により導入することが必要であると考えており、今回の法改正によって、労働基準法を直接適用するのではなく、労働基準法において労使協定で定めるとされている箇所について、条例で定めることとする読みかえ規定を整備しております。

 なお、地方公務員法においては、職員の勤務条件に関する事項は職員団体との交渉事項であり、法令等に抵触しない限りにおいて、書面による協定を結ぶことができる旨が規定されております。

 本制度の導入についても、この勤務条件に該当することから、導入に当たっては、各地方公共団体において、職員団体との交渉を踏まえつつ検討されるものと考えております。

畑野委員 労働協約と労使協定というのは全く性格が異なります。労働基準法の原則から逸脱する労働条件は、本来であれば違法行為となるものを、一定の条件を満たして、労使の合意を条件として使用者を免罰するのが労使協定です。

 厚労省に確認したいんですけれども、労基法の最低基準を上回る労働条件を労使で決める労働協約で、この労使協定というのは代替できるものではないと思うんですが、よろしいでしょうか。

 ちょっと、最初に言っておきます。

 しかも、地方公務員は労働基本権が制約されているために、団体協約の締結権を奪われています。書面による協定が可能といっても、それは法的拘束力がないんです。厚労省、どうですか。

吉永政府参考人 変形労働時間制におきます労使協定は、過半数を代表する労働組合がある場合につきましては過半数労働組合と、ない場合につきましては過半数を代表する労働者の方と協定を結んでいただくということで、御指摘のとおり、それを超えた場合につきましては免罰効を与えるというものでございます。

 さらに、その協定書につきましては、各労働基準監督署に届け出いただくという形になるものでございます。

 労使協定の内容と直ちに一致するものではございませんけれども、いずれにしても、労使で話し合って決めていただくという性格のものであろうと思ってございます。

畑野委員 ですから、憲法に基づく労基法の最低基準さえ守られない、こういう労使協定抜きの制度導入はやめるべきだというふうに申し上げておきます。

 時間が来てしまいました。

 実は、ここで半分しか終わっていないんです。でも、やはり、一年単位の変形労働時間制を、そもそもどういう制度なのか、これをよく文部科学委員会でつかんだ上で進まないと物事はいい方向に進まないということで、私は、更にたくさんの時間をいただいて次回も質問できるように、委員長にもお願いを申し上げまして、きょうの質問を終わります。

橘委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

橘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山本和嘉子君。

山本(和)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、共同会派の山本和嘉子でございます。

 きょうは給特法の質疑ということで順次質疑をさせていただきたいと思いますが、質問に先立ちまして、昨日、本会議にて宮川典子議員の追悼のお言葉がありました。私はもう、亡くなられたことがとても残念でなりません。

 初当選をいたしまして、一昨年、初めて所属した委員会が文部科学委員会ということでございまして、初質問のときも、初めてお声をかけていただきまして、頑張ってくださいというお言葉をかけていただきました。そして、それ以来、委員会中、質問があるたびに、よかったよとか、いろいろ声をかけていただいて、お話しさせていただく機会もあったんですけれども、このたびとても残念でなりません。

 御縁が実はありまして、私、今、京都の京都五区という選挙区をいただいて活動をさせていただいています。私の前任、二〇〇九年の政権交代のときに初当選した京都五区の女性議員がおりまして、その人が松下政経塾出身ということで、宮川先生も松下政経塾ということで、応援に、実は二〇〇九年の総選挙の、事前活動ですけれども、入っていただいたということがありました。それを、私、全然存じ上げなくて、亡くなられてから知りました。その話も、もしいらっしゃったらできたのになというふうにも思いますし、政経塾仲間を思う気持ちで党派を超えて応援に来られていたんだというふうに思います。優しいお人柄だったんだなというふうに改めて思いました。

 そのことを皆様にお伝えしたくて、ちょっと発言させていただきました。

 そうしましたら、順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず、安倍内閣の教育予算についてお伺いをしていきたいと思います。

 十月七日の衆議院の本会議、総理に対する、所信演説に対する質疑で、枝野代表が日本の教育予算について質問をいたしました。日本の子供たちが学ぶ環境がOECD諸国の中で最低水準ということから、子供一人当たりの教育予算と教職員配置について、OECD諸国の中で日本が何カ国中何位であるかという質問をさせていただきました。それに対して安倍総理は、二〇一五年における在学者一人当たりの公財政支出額は、小中学校段階で三十三カ国中十五位というふうに御答弁をされました。

 改めてお聞きいたしますけれども、日本のGDPに占める教育機関への公的支出割合がどのくらいで、OECD加盟諸国の中では何カ国中何位であるのか、改めて大臣から御答弁いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生も今触れましたけれども、OECDが行っている調査によると、二〇一五年における在学者一人当たりの公財政教育支出額の順位は、初等教育段階から中等教育段階までにおいて三十三カ国中十五位となっています。

 また、二〇一六年における教員一人当たりの生徒数の順位は、初等教育段階において三十四カ国中二十四位、前期中等教育段階において三十カ国中二十位となっております。

 二〇一六年において我が国のGDPに占める初等教育から高等教育段階における公財政教育支出割合は三・一%となっておりまして、この割合はOECD加盟国のうち同様の数値が示されている三十五カ国中三十四位となっております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 諸外国と比べてみますと、順位的に見るとやはり日本は低い水準であるということがわかりますけれども、学校における働き方改革を今後進めていく中で、教育機関への教育公的支出が十分でない、そういう状況であるというふうに見れば、しっかりとこれは改めていっていただきたいというふうに思いますし、国の予算の中でよりよい教育を目指していっていただく中で、それはやはりふやしていっていただかなくてはならないことだと思います。

 今の内閣は、桜を見る会に約六千万、それから、一兆二千億円もかけてF35を爆買いするような予算を積み込んでいますので、そのあたりの、大臣、御見解、意気込みをお願いします。

萩生田国務大臣 我が国のGDPに占める公財政教育支出の割合は、OECDの加盟国の中で低位にあるものの、公財政教育支出の水準については、全人口に占める在学者数の割合、一般政府総支出の国力に対する規模やGDPの規模などさまざまな要素を勘案する必要があるため、これを直ちに単純に判断をすることはできないと考えております。

 なお、政府としては、本年十月から幼児教育、保育の無償化を実施しており、また来年四月から、真に支援が必要な子供たちの高等教育の修学支援新制度を実施する予定であり、引き続き、子育て世代の家庭教育費負担の軽減など、必要な教育投資の確保に努めてまいりたいと思います。

 先生の問題意識は、学校現場、もう少しきちんと財政措置するべきだという問題意識だと思います。ややもすると、児童生徒の減少に伴って、教員の数を減らしていけなどという議論もありますけれども、まさしく次の世代を担う子供たちへの人的投資、教育というのは、極めて大事なファクトだと思いますので、しっかり財源も含めて努力をしていきたいと思っています。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、法案の中身、順次聞いていきたいと思います。

 文部科学大臣が定める指針について伺っていきたいと思います。

 七日の本会議、趣旨説明質疑におきまして、指針に沿った勤務時間の管理は最終的に誰の責任で実施されるのかというふうにお聞きをいたしました。

 そうしましたら、大臣から、校長や教育委員会は業務削減等の取組を積極的に果たす必要があり、文部科学省としても、社会への明確なメッセージの発信、学校の指導、事務体制の効率化や強化充実や、効果的な事例の横展開などを通じて、教育委員会や学校をしっかり支えてまいりますというふうに、大臣、御答弁をいただきました。

 支えてまいりますという言葉、私は少し、ちょっと人ごとのような気がいたしまして、学校や教育委員会を支えるのはもう当然のことでございます。文部科学省が率先して、教員の業務削減が進むように仕組みを整備して予算を確保すること、そういうことが社会全体を巻き込んで積極的な取組を展開する、それが社会に対して、教育に対して、大臣のお取組それぞれがメッセージになるのではないかなというふうにも思います。

 そこで、学校における教育環境の整備についてお伺いいたしますけれども、学校における働き方改革を推進するために、文科省は、部活動指導員やスクールサポートスタッフ、専門スタッフや外部人材の配置の拡充、その必要性を認識していると承知しておりますけれども、スクールサポートスタッフに関しては、今年度予算では三千六百人分の予算が確保されているということでございます。令和二年度の概算要求では五千四百人ということでございます。

 一方で、都市部の生徒数が多い学校などの大規模校から優先的に配置をされまして、中規模校、小規模校にはいまだ入っていないというふうな声も聞いておりますし、配置状況としては全然足りていない状況ではないかというふうに思います。既に配置されている学校からはとても評判がいいというふうにも聞いておりますので、ぜひ進めていきたいというふうに思います。

 こうした評価を受けているスクールサポートスタッフについては、増員を図っていく、予算措置の拡充をお願いしたい、更にお願いしたいところですけれども、もう一歩踏み込んで、その位置づけを法律上明確化するというような制度改正も検討されてはいかがかなというふうに思います。

 そのあたりの大臣の御見解を伺いたいと思いますが、スクールサポートスタッフが恒常的に配置される、そういうことが教員の業務量の削減や負担軽減につながっていくというふうに思いますが、そのあたりについての御見解をお願いいたします。

萩生田国務大臣 教師がより児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備するため、教師の負担軽減を図れるよう、学習プリント等の印刷などを教師にかわって行うスクールサポートスタッフの配置を支援する都道府県及び指定都市の教育委員会を対象に、令和元年度予算において、平成三十年度の三千人分から三千六百人分に拡充をしました。これにより、スクールサポートスタッフを一校に一人配置すると仮定した場合、一割強の小中学校に一人配置が可能となります。

 なお、教育は自治事務であり、基本的には設置者が当該学校に係る運営費を設置するものでありますが、スクールサポートスタッフについては、その普及の観点から、国費による支援を行うこととしたものです。

 文科省としては、スクールサポートスタッフをより多くの自治体で活用できるよう、国費による支援の拡充を図っておりますが、全ての学校で取り組んでいただく上では、設置者独自の取組が自走する環境の整備も重要だと考えております。

 先生も触れていただきましたけれども、学校の規模によっては既存の事務職員の方たちの配置もされているわけで、そういう人たちの仕事の中身、働き方を、今回は法律を変える中で、学校に携わる全てのスタッフの皆さんがお互いに支え合って、教員は教員としての仕事を、そしてそれ以外のことを周辺の人たちがやれるような環境というのは、学校の規模ですとか自治体の規模によってやや違うところもあると思いますが、スクールスタッフは、私、必要だと思いますので、できる限り、ニーズを求める学校や自治体に対しては今後拡大をしていきたいと思いますけれども、現段階で法律で定めるということは考えておりません。

山本(和)委員 私も、地域の、地元の先生方のお話をよく聞く中で、スクールサポートスタッフについてはありがたい存在だというふうに聞いているけれども、やはり地方都市までなかなか行き渡る状況ではない。それは各教育委員会にお任せしているということですから、そこはそれぞれの自治体によって、どれぐらいの予算配分をするかにもよりますけれども、やはり、行く行くはそういうことも見据えていただいて、必要な人材だということをしっかりと示していくべきだというふうに思います。

 あわせて、業務量の削減に関する教育環境の整備についてお伺いをいたしますけれども、先日の委員会で大臣の御答弁にありました横浜市の事例、ICTを活用した校務支援システムの導入は効果が大きいというふうにも聞いております。事務の効率化や勤怠管理も行ってくれる大変すぐれたものであるということから、導入したい自治体も多くあると思います。しかしながら、小規模な地方公共団体や厳しい財政状況にある地方公共団体、そういうところは導入がなかなかできないということが現状だと思います。

 教員の業務量の削減や勤務時間管理、そういう意味に資するのであれば、地方任せではなくて、国の責任で校務支援システムを導入するという整備をしていっていただきたいと思いますけれども、そのあたりの御見解をお願いいたします。

萩生田国務大臣 教員の働き方改革を実現するに当たっては、まさにICTを活用した教員の業務負担軽減は必要不可欠であり、文部科学省としても、二〇二二年度までに統合型校務支援システムの一〇〇%の導入を目指してまいりたいと思っております。

 しかしながら、昨年度末において、小中学校における統合型校務支援システムの導入割合は約五五%にとどまり、地方自治体間でも整備状況にばらつきが見られるなど、学校のICT環境に関し、文部科学省としても現状に危機感を抱いております。

 このため、学校において、児童生徒はもとより、教師もICTを十分活用することのできるハードウエア、ネットワークの環境整備を達成するため、その整備促進を図ってまいりたいと思います。

 今まで地財措置で行ってまいりましたけれども、ここは、令和の時代になりまして、私の就任の挨拶のときに、令和の時代の学校って何なんだと実はやじを飛ばされたんですけれども、まさしく令和の時代は、ICT環境は、あったらいいなという設備じゃなくて、なくてはならない設備だと思いますので、国の責任もしっかり柱を立てて、教員の働き方改革を促進し、令和の時代にふさわしい学校になるように、ICT環境の充実を図ってまいりたいと思います。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 大臣から、今、国の責任でもってというようなお言葉もいただきましたので、しっかり、この校務支援システム導入に向けて、取組を更に強めていただきたいというふうに思います。

 時間管理という側面の話もさせていただきましたけれども、上限ガイドライン、在校等時間の定義についてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 在校等時間というのは、単純なようで難しい定義だなというふうに思いました。今回の法案では、勤務時間の上限ガイドラインを設けるということでございます。

 平成三十一年一月に文部科学省が策定された公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン、いわゆる今回指針に定めるという上限ガイドラインですけれども、この上限ガイドラインにおける在校等時間は労基法上の労働時間と同じ意味で考えていいのかどうか、そこを確認させてください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 勤務時間という言葉の意味は、その使用する文脈によって異なるわけですが、地公法上の勤務時間は、基本的には労働基準法上の労働時間と同義であるというふうに考えられ、これについては使用者の指揮命令下に置かれている時間とされております。

 一方、教師に関しては、校務であったとしても、使用者からの指示に基づかず、所定の勤務時間外にいわゆる超勤四項目に該当するもの以外の業務を教師が行った時間は、基本的には労働基準法上の労働時間には該当しません。

 一方、本年一月に策定をしました公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインにおける在校等時間の考え方ですが、超勤四項目に該当するものとして超過勤務を命じられた業務以外も含めて、教師が校内に在校している時間及び校外での勤務の時間を外形的に把握した上で合算をし、そこから休憩の時間及び業務外の時間を除いたものであり、労働基準法上の労働時間とは異なるものというふうに考えております。

山本(和)委員 ということは、在校等時間には超勤四項目以外の自主的、自発的勤務というものが含まれるという御認識だと思うんですけれども。上限の目安として示されている月四十五時間、年三百六十時間の対象になるということだと思うんです。

 要は、自主的、自発的勤務も勤務時間管理の対象になるということだというふうに捉えたんですけれども、ということは、超勤四項目以外の自主的、自発的勤務の時間は校長先生の指揮命令下、管理下にあるという解釈となりますが、それでいいのかどうかの確認。校長先生からしたら、時間を守ってください、自主的、自発的勤務に関しても時間を管理してください、守ってくださいよという指揮命令下にあるのかないのか。できましたら端的にお答えいただければ。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校教育法第三十七条第四項において「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」とされており、この校務とは、学校において行われる学校教育の実施のために必要な仕事の全てを指すものであります。

 一方、どのような業務に職務命令として時間外勤務命令が出せるかについては、この学教法の規定とは別に、給特法において、労働基準法に定める残業時間の考え方とは異なる制度としてその仕組みが構築をされているものであります。

 この仕組みの中で、所定の勤務時間外に行う業務のうち校長が時間外勤務命令を出すことができるものが超勤四項目の業務であり、他方、これまで自発的勤務とされてきた、所定の勤務時間外に行う超勤四項目以外の部活動や授業研究などは、時間外勤務命令に基づくものではなく、校長の指揮命令下と整理されるものではありませんが、これは校務として行う業務と整理されるものであります。

山本(和)委員 今、校長の指揮命令下に置かれていないという整理ということでよろしいんですよね、今おっしゃったのは。済みません、もう一回確認します。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども御説明をさせていただきましたが、校長の権限を定めた学校教育法と御指摘の自発的な勤務に関する規定を定める給特法とは、その仕組みが異なるものであって、矛盾という御指摘は当たらないと。

 それで、自発的勤務とされてきた、所定の勤務時間外に行う超勤の四項目以外の部活動であるとか授業研究等は、時間外勤務命令に基づくものではなく、校長の指揮命令下と整理されるものではありませんが、校務として行う業務と、これは実質的に校長が管理運営にも責任を有するということもあるわけでありまして……(発言する者あり)繰り返しになりますが、校長の指揮命令下と整理されるものではないということです。

山本(和)委員 何が聞きたかったかというと、四十五、三百六十で時間管理をするという話ですから、超勤四項目以外の自主的、自発的な部分が指揮命令下に置かれていないということであれば、どうやって時間をはかるんですかということが聞きたいんです。

 要は、自主的、自発的は校務ですよと言われても、それが指揮命令下になかったら、もうちょっとやっていかなきゃいけないとかという先生はどんどん仕事をやっちゃうと思うんです。だから、そこを四十五、三百六十ではかるために、指揮命令下に置かれていなきゃいけないんですよねという質問です。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 自主的、自発的勤務の時間が上限規制の対象となる理由というお尋ねだと思います。

 給特法は、時間外勤務命令をいわゆる超勤四項目に限定した上で、勤務時間の内外を問わず包括的に評価して教職調整額を支給し、時間外勤務手当及び休日勤務手当を支給しないことにしております。

 一方で、この仕組みにより、所定の勤務時間外に行われる超勤四項目以外の業務は教師がみずからの判断で自主的、自発的に働いているものと整理されるため、この自発的勤務の時間については勤務時間管理の対象にならないという誤解が生じているということも事実だと。また、自主的、自発的が強調される余り、勤務時間を管理するという意識が希薄化し、長時間勤務につながったり、適切な公務災害認定が妨げられる事態が生じていたりとする指摘もございます。

 しかしながら、超勤四項目以外であっても、校務として行うものについては、職務命令に基づくものでないものの、学校教育に必要な業務として働いていることには変わりありません。

 そして、給特法は、これらの業務も含めて、勤務時間の内外を包括的に評価して教職調整額を支給する仕組みであります。

 また、これらの業務は超過勤務命令によるものではないものの、校長や教育委員会は学校の管理運営一切についての責任を有しており、教職員の健康を管理し、働き過ぎを防ぐことについても責任を有しているところであります。

 そのため、文科省としては、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインを今回策定をし、超勤四項目以外の業務を行う時間を含めて在校等時間として定め、これを勤務時間管理の対象とすることを明確にした上でその上限の目安時間を示したところであり、指針においても同様の内容を示すということと考えております。

 このように、これまで超勤四項目以外の業務は自主的、自発的であると強調されてきた嫌いはございますが、基本的には校務として行っているものであり、指針において、これらを含めて教師の働く時間について上限を定めるということとしたところでございます。(発言する者あり)

山本(和)委員 そうなんです。今、川内理事がおっしゃったとおりなんですけれども。

 だから、自主的、自発的という校務が、要は、ちょっと単純に言いますと、給特法で言う調整額といいますか、四%に当たるという整理ですか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 給特法は、繰り返しになりますが、時間外勤務命令をいわゆる超勤四項目に限定した上で、勤務時間の内外を問わず包括的に評価して教職調整額を支給している、それから時間外勤務手当や休日勤務手当は支給しないということにしております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 済みません、ちょっと繰り返し申し上げるようなことになると思うんですが、四十五、三百六十で時間管理されるということであれば、やはり、校務といえども自主的、自発的という時間もしっかり指揮命令下に置かれて、労働時間というふうな位置づけにして、管理をするべきだというふうに思います。

 やはり、さっきも申し上げましたが、長時間労働を助長するような、管理下に置かれていないからもうちょっとやればいいわというような感覚につながっていくのではないかなという懸念です。給特法、今回の法改正も含めて、やはり枠組み自体をもう一度整理する、抜本的に見直していくという必要があるのではないかなというふうに思います。

 続いての質問に入りますけれども、時間外勤務の上限の目安時間が月四十五、年三百六十というふうに規定されているということが、今申し上げた、自主的、自発的が指揮命令下に置かれていない、労働時間じゃないということであれば矛盾を感じます。それはもう矛盾を感じるんですけれども、時間外勤務を命じない、指揮管理下に置かれないということになる。

 そもそも給特法というのは、時間外勤務を命じないものなんですよね。だから、四十五時間、三百六十時間はやっていいよというような、要は時間外勤務の上限があるということであれば、そこまでは勤務しちゃうというか、本来は、四十五時間、三百六十時間じゃなくてゼロ時間じゃなければならないんじゃないんですか。そう思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 先生、まず、教育公務員、教職としての特別な勤務体系の中での給特法と地方公務員としてのあり方の中でのたてつけを説明すると、今非常にわかりづらい説明だったんですけれども、言っていることは間違っていないんですね。

 要は、問題意識は何かというと、じゃ、校長が命令していないのに残っていた場合は、これは勤務か勤務じゃないかというと、ぎりぎり詰めていくとああいう説明をするんですけれども、さっきから私が申し上げている、いわゆる在校等時間の縮減を図るんだ、働き過ぎを改善するんだというのは、命令があってもなくても、とにかくその決められた時間以上はもう学校にいないという世の中をつくっていきたいと思っていますので、まずそれは御理解をいただきたいなと思っています。

 そのためにタイムカードも必要ですねという話を皆さんとしているので、言うならば、一回タイムカードを押したのに、その後、自主的だからといって残っていて仕事したら、これは全然働き方改革になりません。ですから、そこはきちんとルール化をしていきますので、指針の中で示していきたいと思います。

 その上で、ガイドラインにおいて、上限の目安時間まで教師が業務を行うことを奨励するような趣旨に受け取られてしまっては、これは意味がないと思います。ですから、ここは明確にして、上限目安まで在校しても構わないという誤解が生じないように、文部科学省としても、この指針の中でしっかりうたい、そして、地方教育委員会にも同様の条例、同じ思いの条例をつくっていただけるように徹底をしていきたいと思っております。

山本(和)委員 わかりました。ありがとうございます。

 この間、本会議の代表質問のときに同じような話をしたんです、実は。その時間まで勤務することが許されるし、頑張るべきというふうに思う意識、そういうものを持ってしまう、先生方がそういう意識を持ってしまう可能性が高くなるのではないかと。それは、中教審の答申にも、そうした事態は避けなければならないというような答申も出ていたということだったので、それに対して大臣はどう思われますかという質疑をさせていただいたんですが、それはそれについてのお答えというふうに受けとめさせていただきますけれども。

 そういう、ちょっと複雑な、在校等時間を含む、その定義というのがなかなかわかりづらいというのが、今もってこの質疑の中でもわかったと思うんです。

 四十五時間、三百六十時間という枠組みをつくるのであれば、それは、その時間まではいいよというのではなくて、今大臣がおっしゃったように、本末転倒にならないような、やはり示しをきっちりしていっていただかないといけないというふうに思います。

 続いて、持ち帰り業務についてもお尋ねをしていきたいと思いますけれども、持ち帰り業務に関しては、自主的、自発的にも含まれない、その枠外の時間になってしまうと思うんです。業務削減が進まない中で勤務時間管理を厳しく求めた場合に、必然的に、やはり持ち帰り業務をしてしまう先生方というのが出てくると思うんです。

 これはもう暗黙の了解になってしまうということなんですが、業務が削減されていないために長時間労働になっているにもかかわらず、上限の目安時間を守ることに注力すれば、持ち帰り業務が常態化してしまうということが明らかだと思うんですけれども、そのあたりの大臣の御見解をお願いいたします。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、上限の目安時間を守るためだけに自宅等に仕事を持ち帰って業務を行う時間が増加してしまうということは、本ガイドラインそのものの趣旨に反するものであります。そのため、こうした考え方は、今回の改正案により定める指針でも同様の内容としたいというふうに考えております。

 校務をつかさどる校長とその上司に当たる教育委員会には、教師が上限の目安時間を守るためだけに自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加することがないように、児童生徒等の資質、能力を育む上で、限られた時間の中でどの教育活動を優先するのかということを見定め、それを踏まえた適切な業務量の設定と校務分掌の分担を図るとともに、このようなガイドラインの趣旨や学校における働き方改革の考え方を学校内において十分に共有するといった管理運営にも係る責任を果たすことが求められるところであり、文部科学省としても、しっかりと周知をしてまいりたいと考えております。

山本(和)委員 局長、ありがとうございました。次の質問の答えもお答えいただいたようなんですけれども。

 要は、ちょっと私の地元の話ばかりになりますが、田舎の小学校は、登下校は集団登下校をするのが常でして、小学校一年生は六年生の終わりを待たなきゃいけない。それがやはり三時半、四時になる。小学校一年生の担任の先生から聞いたんですけれども、一年生は大体一時半ぐらいには授業が終わるので、二時間半ずっと生徒の、相手と言ったら失礼ですが、対応をしなくちゃいけないということなんです。

 そうなると、必然的に、四時半に帰ったら、五時ぐらいから自分の業務をするんですけれども、先生方の意識としては、五時から職員会議をやろうというような意識になってしまう、その学校では。やはりどんどんどんどんそういう後ろ倒しに仕事が重なっていくということになるんです。そうなると、学校の中で丸つけやらプリント作成というのがなかなかできない。ということで持ち帰り業務をせざるを得ないような現状であると思います。

 業務削減の、やはりしっかりとした、どういうものがどうであるという、もうさんざんやっていらっしゃると思うんですけれども、管理職が持ち帰り業務の時間と内容をしっかりと把握して、それを記録していって業務削減の計画を立てるべきだと思うんですけれども、そういうことに対する指導でありますとか、文科省としてのお考えがあるのかどうか、ちょっと教えていただければと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの御質問の際にも少し触れさせていただきましたけれども、校務をつかさどる校長とその上司に当たる教育委員会には、教師が上限の目安時間を守るためだけに、先生御指摘いただいたような、自宅に持ち帰って業務を行う時間が増加することがないように、児童生徒の資質、能力を育む上で、限られた時間の中でどの教育活動を優先するのかということを見定めて、それを踏まえた適切な業務量の設定と学校内での校務分掌の分担をしっかり図っていく。

 このようなガイドラインの趣旨や学校における働き方改革の考え方を学校内において十分に共有するということが大事だと思いますので、管理運営に係る責任を果たすことが校長等には求められると思います。文科省としても、しっかりとその点について周知を図っていきたいと思います。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 きのう、レクを受けた際に、文科省からの通達も減らしているというお話もありました。さっき申し上げた集団登下校に関しましても、地域によって、そんなことやっていない地域もありますし、学校の状況は地域によってもまちまちだというふうにも思いますので、実態を把握していただくということは更に行って、地域地域の実態把握もしっかりやっていっていただきたいなというふうに思います。

 時間管理について更にお伺いをしたいと思うんですけれども、きのうも過労死の御遺族の工藤さんがお越しになっておられましたけれども、お話しになっていた中では、やはり、公務災害を認定する場合、御主人の勤務時間の把握というのが本当に大変だった、それをあぶり出すのが大変だったというお話があったと思うんです。やはり在校等時間の記録というのをしっかりとつける、当然の話だと思うんですけれども、この記録というのをしっかりと公文書として学校で適切に管理をするという、それが私は求められるものじゃないかなというふうに思います。

 義務づけるということで、地方公務員の公務災害補償における障害補償及び遺族補償を受ける権利、それが消滅時効が五年間ということからすれば、最低でも五年間は保存すべきというふうに思います。このあたり、御見解をいただければというふうに思います。

萩生田国務大臣 その前に、先生、今、集団登下校の例を示していただきました。私の地元にも、実は、山間部で、集団で登下校を今でもしている学校があります。

 それで、ややもすると、学校内で起きていることは全て学校の先生方に何となく負担が来るようになってきましたのがここ数年だと思います。そこで、数年前から、低学年の人の放課後の対応は、学童クラブの補助金を使って、別の方たちに中に入っていただいて運営をしているのもありますので、この辺は各自治体の考え方がいろいろあると思いますけれども、ひとつそういったことも全国展開していきたいな、こんなふうに思っています。

 在校等時間の記録につきましては、基本的に行政文書に該当するものと考えられます。地方公共団体の行政文書の定義や保存期限について、各地方公共団体の公文書管理に関する条例等において適切に規定されるものと認識しておりますが、御指摘を踏まえ、一定期間の保存をするように、ここでルールが変わるわけですから、ちゃんと管理をしましょうということを、この法改正にあわせてしっかり指導したいと考えております。

山本(和)委員 大臣からお言葉をいただけて、公文書の管理という位置づけということでしっかり受けとめをさせていただきました。

 公文書というのは、従前からいろいろと言われておりますけれども、隠したり、隠蔽や改ざんやというのがありましたけれども、そういう意味で、やはり、学校の中で働き過ぎているというような部分が露呈しないように書きかえたりとか、そういうことが起こってしまうのがちょっと懸念ではあります。こういうことが起きないようにしていくためにも、違反通報窓口的な部分をやはり置いていかないといけないと思うんです。

 そこのあたりの対策といいますか、何かお考えがあればというふうに思います。それが地方自治体なのか、教育委員会なのか、文科省なのかということを含めて教えていただければと思います。

萩生田国務大臣 まず、在校等時間について、仮に校長等が虚偽の記録を残させるようなことがあった場合は、教職員の勤務時間管理及び健康管理などの学校管理運営に係る責任を果たしているとは言えません。一義的には、教職員の服務監督権を有する各教育委員会において、適切な勤務時間管理がなされるように指導や周知、体制整備などの対応を行うものと認識しておりますが、不適切な、管理運営の状況によっては、文部科学省としても必要に応じて指導してまいりたいと思います。

 午前中の質疑でもお答えしましたけれども、法改正をお認めいただいた前提で、三年間の勤務実態、いろいろ見ていかなきゃならないんですけれども、誤解を恐れずに申し上げればと言って、例えば定年三年を残した校長先生の例を示しました。今までこうやってきたんだからということがもし横行するとすれば、これは法改正をした意義がなくなってしまいますので、決して告げ口をするとかじゃなくて、やはり実態として、各地方教育委員会に、そういったことが、運用面で不備があれば、そのことを現場の先生たちからも教えていただくような仕組みというのは今回はきちんとつくっていく必要がある、こう認識しております。

山本(和)委員 時間になったんですけれども、ちょっと最後に一つだけ。

 先日の大臣所信で、特効薬のない総力戦とおっしゃったんですけれども、特効薬は、やはり給特法をなくす、見直すということが一番だと思うんです。その意味も込めて、今もいろいろな複雑な時間管理のやりとりをさせていただきましたけれども、もっとわかりやすい、やはり労働者だということ、労働法に基づく管理をしていかなければならないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 よろしくお願いします。ありがとうございました。

橘委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も、文部科学委員会におきまして質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。本法案は教員の働き方改革に関するものですが、日本の未来を支える子供たちの教育に携わる教員の皆さんの働き方改革ですので、ぜひ子供たちのための改革になるようにお願いをして、質問に入りたいと思います。

 教員、保護者、子供たちからさまざまな声を聞いておりますが、今回のこの法案によって少しでも今よりも改善の方向に向かうのであればという思いもありますが、まだまだとても納得のいかないものもあり、いろいろ条件整備が整っていないかと思います。また、現場の状況が見えてきていないところもありますので、今回は、細かいことになりますが、疑問に思っていることを質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 本法案では、これまでまとまった休みのとりづらかった教員の働き方改革を進めていかれると思いますので、現状をお聞きしますが、公立小学校の教員の方々が、夏休みに有給休暇を取得して、まとまった休暇というのはとられていないのでしょうか。現状をお答えください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十八年度の教員勤務実態調査は、十月から十一月で調査を実施したところですが、有給休暇の取得日数についても調査を行っております。それによりますと、年間の平均取得日数は、小学校で十一・六日、中学校で八・八日というふうになっております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 小学校で十一・六日、中学校では八・八日ということで、その他について、岐阜県の小学校の例などもお聞かせいただいたんですけれども、何か例を挙げて、他の地域での取組などもちょっとあわせて教えていただけたらと思います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど、年間の平均取得日数が、小学校で十一・六日、中学校で八・八日ということでお答えさせていただきましたが、通常、多くの教師は夏休み中にまとめて有給休暇を取得している実態があると考えられるため、夏休みに五日程度の有休を取得しているのではないかというふうに考えております。

 また、先ほど委員の方から御指摘いただきました、昨日の参考人の質疑でも答弁いただきましたが、岐阜市の教育委員会におきましては、平成三十年度の夏季休業期間中に十六日の学校閉庁日を設け、夏休み期間中の平均休暇の取得日数は八・七一日、約九日という実態でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 御紹介いただくものが岐阜市のものしか今のところないのですが、今後も全国での調査をしっかりしていただいて、よい取組は全国の学校にもぜひ紹介をして進めていっていただきたいと思っております。こういったことは、文部科学省としてしっかり把握をしていただきたいと思います。

 知り合いの公立小学校の話ですけれども、現在、夏休みをまとめてとられている小学校があります。実際に現場で働き方改革をもう既に実施されている学校もあります。ある小学校の話ですが、地域のお祭りや行事にも率先して先生方も楽しく参加をされていて、また、副校長がみずから踊りの会を立ち上げて、今は区全体で大きな行事となり、活動を何十年も継続されて、子供たちも、休日ですが、その発表を楽しみに、練習に楽しく取り組んでいるというようなお話も聞きました。少し話はそれてしまいましたけれども、現状でも生き生きと活動されている学校や教員の先生方もたくさんいらっしゃいます。

 特に、中学校では部活動が負担になっている、そういう声を聞きます。実際に多くの教員の方が負担に感じていることは事実だとは思いますが、教員御自身が指導をしたくて指導している運動系の部活の方も多いかと思います。率先的に部活などをやりたくて指導をされている、頑張られている教員の方々に対しての後押しというのはされているのでしょうか。何かあれば教えてください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきましたように、勤務時間を先生方が気にせずに、子供のためであればどんな長時間勤務もよしとするといったような働き方は教職の崇高な使命感から生まれるものであって、このような教師の献身的な取組によりまして、これまでの我が国の学校教育の高い成果というものが支えられてきたという面があるということは認識をしております。しかし、一方で、その中で教師が疲弊していくのであれば、持続可能なものとは言えないわけでありまして、結果的に子供のためにもならないということだと考えております。

 このため、まずは、教師でなければできないことに教師が集中できるよう、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、教師が子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになるよう各種の取組を現在進めているところであり、その取組の始点として、勤務時間管理の徹底を含む上限ガイドラインを策定したところであります。

 業務改善を進めていく基礎として、適切な手段による勤務時間管理は不可欠であり、文部科学省としては、引き続き勤務時間管理の徹底を促してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 教師が疲弊していくような状況は本当に子供のためにならないと思いますので、業務改善はしっかりと行っていただきたいと思います。

 自分が持ちたい部活の顧問になり、積極的に生徒たちのために指導している先生方もいれば、やりたくなかった部活の顧問になり、嫌々やっている先生方もいらっしゃいます。同じ時間を部活に割かれても、負担に感じる先生と感じない先生がいらっしゃると思います。

 今回の法案審議について考えるときに、私も自分の子供のころを思い出してみました。自分の恩師にはまだ確認をしておりませんけれども、中学、高校と部活をしておりました。中学校のときにはテニス部で、地元では強いチームで、練習時間も長くて有名でした。高校のときは柔道部だったんですけれども、朝練も、先生の方から朝練をやろうと声をかけてくださいまして、やっていたような状況です。私の恩師のことを思うと、部活が負担だ、負担だと言っていたようには思えません。

 繰り返しにはなりますけれども、やりたい部活とやりたくない部活で、やはり負担というのは感じ方も違うと思います。地域によっても、差も全く違ってくると思います。

 私は、今のままでいい、そんなふうに思っているわけではありません。教員の皆さんの働き方改革については、部活を負担と感じている先生方の改革については必要であると思いますけれども、十分、この法改正前から独自で、学校で働き方改革をされて、教育の充実と両立をされている学校もたくさんあると伺っております。

 部活の話に関連して少し話をさせていただきますが、部活の顧問に持たせるかどうかといった問題も、教員間のいじめ問題というのも実際にあるというようなお話も聞いたことがあります。ある体育の先生が、自分より優秀な体育の先生には、いい部活の、その先生がつきたい部活にはつかせないとか、そんなような、いじめといいますかパワハラといいますか、そういったことも実際あると聞きました。

 神戸市のいじめ問題で大きく取り上げられましたけれども、まだまだ表に出てきていない教師間のいじめ問題はたくさんあると思います。こういった問題についても、文部科学省としてしっかりと把握をしていただきたいと思っております。

 地域による教員の働き方は全く違うと思います。そこで、地域による教員の働き方改革の違いについて伺いたいと思います。

 一人で数十人を見ている先生と数人を見ている先生、働き方は全く違います。田舎の小さな学校では、複数の学年を一緒に教えているようなところもあります。繰り返しになりますけれども、部活も同じで、学校の大きい小さいによって、複数の部活があるところ、子供たちが全く選べないところといったものもあります。

 教員の働き方改革を進めていく上で、地域の差というのは違う改革が必要だと思いますが、地域の教員の働き方改革の違いについて教えてください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生の方から、地域による勤務の長時間化の分析ということで、学校の規模であるとかクラスサイズの違いによる長時間化の分析結果があるのかという御質問だったと思いますが、平成二十八年度の教員勤務実態調査につきましては、小学校で四百校、中学校は四百校に在籍する教員を対象に調査を行ってきたわけですが、特に地域ごとの分析ということは行っておりません。

 それで、この二十八年の勤務実態調査の結果によれば、勤務校の違いにより教員の勤務時間に一定程度の影響を与えるということがわかっております。例えば小学校では、教員一人当たりの児童数が多い、また研究指定校であるとか、中学校では、教員一人当たりの生徒数が多い、部活動の顧問の割合が高い等の学校に在籍する教員の、先生の平均勤務時間が長い傾向にあるといったようなことが明らかにはなっております。

 文科省としましては、このような学校ごとの要因について、少子化、過疎化などの地域ごとの事情も影響しているものと認識をしているところであります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 四百校で調査をしていただいているというところですけれども、やはり地域によって差もありますので、もう少ししっかりと調査をしていただいて、教員の勤務実態もしっかりと調べていただきまして、地域によった改革をしっかりと進めるべきだと思います。やはり、教員の皆さんが疲弊をしていく、これは本当に子供たちにとって大変なマイナスになります。これからの日本を支えていく子供たちのためですので、しっかりと調査をし、検討をし、改革を前に進めていっていただきたいと思います。

 次に、地域による勤務の長時間化の分析結果について伺いたいと思います。

 文部科学省の教員勤務実態調査の調査結果について教えてください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど来、平成二十八年度の教員勤務実態調査における分析結果について御説明をさせていただきましたが、前回の昭和四十一年度の調査と十八年度の教員勤務実態調査ではそれぞれ調査の業務の区分が異なりますので、内容的に類似の業務に分類して比較をしますと、生徒指導、それから事務的な業務、補習、部活動などの業務の時間が実態としてふえているところであります。

森(夏)委員 今、昭和四十一年との比較結果をいただきましたけれども、私、もう少し調査がしっかりとされているのかなと思いましたら、調査をしていなかったということで、やはり、私の手元にあるのは昭和四十一年と平成十八年の結果なんですけれども、昭和四十一年では残業時間が八時間、平成十八年には三十四時間。八時間から三十四時間まで残業がこれだけふえている、先生たちの負担がふえているということがこの結果を見ればわかるんですけれども、これだけふえるまでに至るまで、先生たちが過労死をされるような現状がここまでになるまでに、もう少し調査をしてくるべきではなかったのかなと思っています。

 私は、週休二日制になる前となった後で、教師の働き方について何か変化があるのか、この質問もしたかったんですけれども、ちょっとデータがないというようにお聞きをしましたので、こういったことも、データとして、しっかり調査をしていただきたいと思います。

 この空白の期間といいますか、調査を昭和四十一年からしてこなかったという空白期間について、文部科学省としてどのように考えられているのか。子供のために、教師のために改善をすることがあるのであれば、やはり調査は必要だったと思います。四十年調査していなかったこの空白の期間に関して、今どのように考えられているのか、お答え願います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 昭和四十一年と平成十八年の間があいているのではないかということでございますが、先ほど来答弁の中でも御説明をさせていただいておりますけれども、今後、三年後にまた再度、教員勤務実態調査を進めていく、行うということを予定しておりますので、その中では、先ほど先生の方からもさまざま御指摘もいただきましたので、そういった点についてもしっかりデータをとっていきたいなというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 これからはしっかりとデータをとって改善していくということですので、しっかりとお願いをしたいと思っております。この実態調査のことを周りに話しますと、保護者の皆様、先生方、がっかりされている方もいらっしゃいました。今後とも、しっかり国として取り組んでいただきたいと思います。

 この調査の結果ですけれども、教員が負担に感じていることの中で、生徒指導というのが大変ふえております。働き方改革をすることで、この先生方の負担が軽減されて、子供たちとのかかわりがふえ、心を育てる教育につながるという根拠を教えてください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 昭和四十一年度と平成十八年度の教員勤務実態調査の比較を行いますと、森委員の御指摘のとおり、生徒指導等にかかる時間がふえておりまして、直近の平成二十八年度の教員勤務実態調査の分析によりますと、平成十八年度の調査と比較して教師の勤務時間が増加している要因としては、若年教員の増加に加えまして、小学校では総授業時数の増加、中学校では部活動時間の増加というものが挙げられるところでございます。

 他方、教師の業務に関するアンケート調査の結果によりますと、教師が負担感を感じる業務は、調査やアンケートへの対応、研修や教育研究の報告書等の作成、保護者・地域からの要望・苦情等への対応というふうになっておりまして、現在では、保護者や地域の意識の変化の中で業務が大きく積み上がっているということかと考えております。

 このため、教師でなければできない業務以外の多くの仕事を教師が担っている現状を抜本的に変えるため、令和二年度概算要求において、教職員定数改善や部活動指導員、スクールサポートスタッフなどの専門スタッフ、外部人材のさらなる配置拡充に向けた経費等を計上しているところであります。

 さらに、教員の資質向上については、本年四月から中央教育審議会で、教員養成、免許、採用、研修、勤務管理、人事計画等のあり方について総合的な検討が進められているところでありまして、また、教師の心のケアについては、労働安全衛生の観点から、今後、ストレスチェックについての市町村ごとの実施状況の調査、公表や、各教育委員会の取組状況の定期的なフォローアップを行う予定であります。働き方改革の一環として、教師のメンタルヘルス対策の充実等にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 私も、衆議院の本会議の方でもこの法案について質問をさせていただきました。子供のいじめ、暴力行為、小中学校における不登校、自殺が年々ふえている状況で、やはり先生方の働き方の改善というのも必要になってくると思います。子供たちの自殺者がふえているというのは大変なことだと思います。子供たちを守るためには、子供たちのSOSに気づけるように、先生方も余裕がなければ、子供たちの変化に気づけないと思います。

 先ほどからもありますけれども、外部人材を導入することであったり、先生方の心のケアもしっかりしていくということですので、こういったことをしっかりとお願いしたいと思っております。

 この法案で文部科学省として何を定めようとしているのか、改めて教えてください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の学校教育は、これまで大きな蓄積と高い成果を上げてきましたが、文部科学省が実施をしました教員勤務実態調査によれば、厳しい長時間勤務の実態が明らかになっております。志ある教師が、疲労や心理的負担を過度に蓄積して心身の健康を損ない、ついには過労死等に至ってしまうような事態は決して起こしてはならないと考えております。また、その勤務環境から、意欲と能力のある人材が教師を志さなくなり、我が国の教育水準が低下することは、子供たちにとっても我が国や社会にとってもあってはならないことであると思います。

 その上で、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が日々の生活の質や教職人生を豊かにすることでみずからの人間性や創造性を高め、子供たちに対して更に効果的な教育活動を行うことができるよう、学校における働き方改革に必要な取組を総合的に進めているところであります。

 本法律案は、その一環として、本年一月の中央教育審議会答申も踏まえ、上限ガイドラインを法的根拠のある指針へ格上げすること、休日のまとめどりの推進のため、一年単位の変形労働時間制を地方公共団体の判断により条例で選択的に導入できるようにすることを内容とするものであります。

森(夏)委員 休みがなく、本当に悲鳴を上げている教員の先生方もいらっしゃいますし、冒頭にお話をさせていただきましたが、御自身がやりたくて、休日にイベントを開催されていたり、部活動などを頑張られている教員の方々もいらっしゃいます。全ての長時間勤務や休日出勤が悪と思われてしまうことや、全体の教職員の士気、活動、モチベーションを萎縮してしまうことも考えられます。余りにも働き方改革、働き方改革と言うと、そういったことも考えられます。

 御自身の意思で休日出勤をしたり長時間労働をされている教職員の先生方への対応について伺いますが、何かそういった先生に対する支援というのはあるのでしょうか。

萩生田国務大臣 先生が冒頭御披露いただいたかつての恩師のように、勤務時間を気にせず、子供のためであればどんな長時間勤務もよしとするという働き方は教職の崇高な使命感から生まれるものであり、そのような教師の献身的な取組により、これまでの我が国の学校教育の高い成果が支えられてきたという面があることは認識しております。しかし、その中で教師が疲弊していくのであれば、持続可能なものであるとは言えないのであり、子供のためにもならないと考えています。

 このため、まずは、教師でなければできないことに教師が集中できるように、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、教師が子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるように各種取組を進めているところであり、その取組の始点として、勤務時間管理の徹底を含む上限ガイドラインを策定したところです。教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備し、若く優秀な人材が教壇に立ち続けるようにしなければならないと思っております。

 なお、三年後に実施予定の教師の勤務実態調査の結果を踏まえた給特法などの法制的な枠組みの検討においては、子供たちと向き合い、教育の質の向上に取り組もうとする教師の意欲や能力の向上に資する給与等の処遇の仕組みをどう構築するかという観点も重要であると考えております。

 また、特に部活動については、教育効果が大きいことはもちろんですが、生徒数の減少により中学校の運動部活動の数も減少していることや、大会における複数校合同チームの参加数も急増していることなども踏まえると、我が国の教育を支えてきた部活動の持続可能性の観点から、部活動指導に意欲的な教師やアスリートとしての経験を持つ教師などが学校以外の主体が行うスポーツ活動や文化活動に兼職、兼業の許可を受けるなどして参加することも、今後の重要な選択肢として検討してまいりたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 教師が教師でなければできないことをしっかりやっていただける環境を整えるのは大変重要だと思います。先ほど大臣からありましたけれども、部活動についても外部人材、外部指導員にお願いをしてというところですが、この点に関してはまた次回に質問をさせていただきたいと思っております。

 私も、体育大学出身で、本当に指導のできる仲間がたくさんいます。ですが、なかなかそういった技術を活用できていない若者はたくさん日本にはいますので、こういった学校現場で部活が負担と感じている先生方がいらっしゃるなら、子供たちに指導したい、そういう若者はたくさんいるので、本当に適材適所で使っていただける環境ができればなという思いもあります。またこの点に関しては質問をさせていただきたいと思っております。

 自分の意思で休日出勤、長時間勤務を行っている先生方がいらっしゃる中で、この給特法が定める教職調整額のあり方について、一律に四%が支給をされることとなっておりますが、私としては、熱意を持って業務に取り組んでいる先生、教師という仕事に大きなやりがいを感じて長時間労働でも働いている先生方に対しては、それに見合った額を支給すべきではないか、そういう思いもございます。具体的には、教員の業務量をしっかりと把握した上で、教員ごとに教職調整額の支給割合を変えることでそうした熱意のある先生の努力に報いる仕組みとすることができないかと考えております。

 先ほどからもお話がありますけれども、三年後に勤務実態調査を行い、改めて検討をしていただけると承知をしておりますが、こういった点を踏まえ、頑張っている先生方を支える仕組みになってほしいと思っております。

 最後に、教職調整額の見直しについて、今後、何かお考えがあれば、大臣の御見解をお教え願います。

萩生田国務大臣 現在の給特法の仕組みは、教師がどこまでが教職であるのか切り分けがたいという教師の職務を踏まえたものですが、制定から半世紀を経た現在、保護者や地域の意識の変化の中で業務が大きく積み上がっている状況です。

 先ほど先生からも、昭和四十一年と平成二十八年の時間外の労働についての指摘を受けましたけれども、週当たり八時間の残業だった時代につくられた現在の給特法は、今後、働き方改革の推進の観点から労働法制も大きく転換しており、教職調整額を含む給特法のあり方について検討する必要がありますが、まずは教師でなければできないことに教師が集中できるように、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、三年後に実施予定の勤務実態調査などを踏まえながら、中長期的な課題として、教師に関する労働環境について、給特法などの法制的な枠組みを含め検討を行う必要があると思っています。

 その際の検討の観点として、本年一月の中教審答申を踏まえた働き方改革の総合的な取組の中で、教師の職務と業務の量をどう捉えるか、評価するか、これからの時代における教師の職務にふさわしい給与等の処遇のあり方をどう考えるか、教師集団の流動性や多様性を高める中で、それぞれの教師のライフステージやキャリアパスを踏まえ、子供たちと向き合い、教育の質の向上に取り組もうとする教師の意欲や能力の向上に資する給与等の処遇の仕組みをどう構築するかなどが考えられ、御指摘の内容は今後の検討の中で踏まえていきたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、子供たちのためになる、そして頑張っている先生たちのためになる法改正になればと思っております。

 英語試験の問題などでも同じ思いをしましたが、今回の法案についてもそうですが、文部科学省はまだまだ現場の声を聞くというのが足りていないように思います。子供の声も、保護者の声も、先生の声ももっともっとしっかり聞いた上で、改善できるところは改善していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立国社、共同会派、社民党の吉川元です。

 私も法案の質問をさせていただきたいと思いますが、その前に一点、英語の民間試験について大臣の考え方をお伺いしたいというふうに思います。

 実は先日、私のところに一通の、高校の二年生を持つ先生からメールをいただきました。今回の英語の民間試験の延期が発表されたことを受けて、やむにやまれぬ思いで送られてきた内容です。生徒はどの検定にするか悩み、面談で時間をとり、手続に手間をかけ、対策をするなど、相応の時間がとられました、ただ、検定の信頼性などに難がある状況ですから、延期はやむを得ないでしょう、時間的損失も仕方ありません、ですが、真面目に考え、英検を予約した生徒の経済的損失は避けるように、ぜひ政治家の皆さんにはお願いをしたい、こういうメールが入ってまいりました。

 聞くところでは、英検の方では、既に予約申込み者が、おおよそ三十万人の方が予約をされたというようなことを聞いておりますし、今後、文科省と三千円の予約金の返金のあり方について協議をしていくというような話も聞いております。

 今回の英語の民間試験の延期、以前から、返金をめぐっては、実施された場合でも、例えば仮に受けなかった場合等々はどうするのか、あるいは返金の期間が余りにも短いのではないか、こうしたことが当委員会でも議論をされてまいりました。

 今回については、制度そのものが、私は中止すべきだというふうに思いますけれども、延期をされた。つまり、受験生には全く何の瑕疵もございません。一方、事業者の方、これは事業者の方も瑕疵はない。とすれば、今回の延期に伴うさまざまな、先ほどの時間的ロスということについてはもう取り返しようがありませんが、少なくとも経済的な問題については文科省が責任を持って対応すべきだ。

 とりわけ、英検については、以前から言われていたのは、実施された場合でも、返金を求める場合は、手数料を引いてお返しをするという話が言われておりました。しかし、今回は、どちらにも責めを負うべきものはございませんから、この手数料が引かれて返金をされるというのは、私はこれはおかしいんじゃないかと。ここの部分については、文科省としてしっかり責任を持って、この返金については行い、そして三千円の申込料についても、満額きちんと返ってくるようにしていただきたいというふうに考えております。

 それとあわせまして、これもメールの中に入っていたんですけれども、経済的事情のある家庭で、検定料の減免の申請に、課税証明書などを既に取り寄せた生徒もいる。当然、これは自治体によっては、いわゆる手数料を取らずに発行するところもありますし、手数料が取られた方もいらっしゃいますし、一概に全てはどうだというのは言いようがありませんが、ただ、この減免の申請をするということは、もともと経済的に大変苦しい状況の中で大学受験を目指してきた人たちであります。この人たちに対しても、どういうことができるのか、私もすぐにこういう方法があるというのは提案できませんけれども、文科省としてしっかり配慮した対応をすべきだと考えますが、この二点について、大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 まず、国公立に関しては十一月の二十九日、私立のそれぞれこのシステムを採用するという大学には、今、丁寧な説明をしておりまして、仮に、我々はこのシステムは延期しましたけれども、大学独自でこの英検などの参考を使うという大学は、これは一度キャンセルするとまた申込みをしなきゃならないという二度手間になってしまうので、できるだけ早く、この制度を使えますよという学校はそれを公表していただくように急いでおります。できる限り、今月中にその辺のアナウンスができるようにしてまいりたいと思います。その場合は、それぞれ申し込んだ試験の中で頑張っていただくことも一つの選択肢だと思います。

 その上で、英検協会が受験生から徴収してきた予約金を返還する際の手数料の扱いについては、英検協会から事務的な相談を既に受けております。

 大学入試英語成績提供システムの導入延期に伴う受験生への対応については、民間試験の各実施団体における全体の状況を踏まえつつ検討する必要があると考えており、システムの運営主体であった大学入試センター及び関係省庁と協議しつつ、真摯に検討してまいりたいと思います。

 また、システムが導入されることを前提に受験生が支出した費用、今お話のありました、例えば課税証明書などの費用につきましても、入試センター及び関係省庁と協議しつつ検討してまいりたいと思います。

 いずれにしましても、文部科学省としては、システムの運営主体であった大学入試センターと協議しつつ、丁寧に対応してまいりたいと思います。

吉川(元)委員 ぜひ責任ある対応を文科省に求めていきたいというふうに思います。

 それでは、今回の法案に関連してお聞きをしたいと思います。

 まず最初に、本来であれば、これは大臣の所信に対して聞かなければいけなかったんですが、まさに英語の民間試験をどうするかということで聞けなかった点がありましたので、それについて一つお聞きをしたいというふうに思います。

 教員採用試験、このところ非常に受験者が減少していて、いわゆる競争倍率、これは二〇一三年の五・八倍から、二〇一八年は四・九倍にまで下がっている。また、県によっては二倍を切るような県も出てきているというふうに聞いております。

 まず大臣にお聞きしたいんですけれども、教員採用試験の応募者数と倍率が顕著な低下傾向にあることについて、どのように受けとめていらっしゃいますか。

萩生田国務大臣 近年、公立学校の教員採用選考試験の採用倍率の低下傾向が続いており、特に、一部の自治体では採用倍率が著しく低くなっていることについて、大変な危機感を持って受けとめをしております。

 採用倍率が低下している原因としては、教育現場の厳しい勤務実態を指摘する声も承知しておりますが、このところは、定年退職者の数の増加に伴う採用者数の増加や、民間企業等の採用状況など、さまざまな要因が複合的に関連しているものと認識しています。

 文部科学省としては、このような状況を踏まえ、従前から教育委員会に対し、中長期的な視野から、計画的な教員採用、人事を促してきたところですが、これと同時に、教職の魅力ややりがいについても積極的に発信し、教育に熱意のある多くの方に教職を志してもらえるように取り組むことは重要と考えております。

吉川(元)委員 大臣は、魅力ややりがいを伝えるというお話をされました。

 実は、野党あるいは党の方を含めまして、いろいろな方からお話を伺った際に、今、大学の四年生だったと思いますが、教職課程で教員を目指している方のお話を伺いました。

 教職課程、いわゆる教育学部に入ってくる学生は、大学の一年生のときにはみんな教員になりたいという思いで入ってくるそうです。ところが、年を経るごとに、もちろん、それ以外にやりたいことを自分で見つけたという方もいるとは思いますけれども、だんだん減ってきて、最後は、四年生になるころには数人に減ってしまう。その方いわく、教師の仕事というのが魅力ややりがいがあることはとうの昔に知っている、だから自分たちは教育学部を選んだんだ、ところが、それから後、今の教員の、学校の現場の実態、これを聞くにつれ、やはり教員になるのはやめようか、そういう過程の中で教員を目指す人たちが減ってきていると。

 ですから、魅力ややりがいを伝えるのではなくて、それは十分もう学生の皆さんはわかっているんです。それでもなお教職の道に進むことを諦めざるを得ない、今の教育現場の過酷な労働実態、これをとにかく改善することが私は大事だということをまず指摘させていただきたいというふうに思います。

 それでは、法案の具体的な中身について尋ねてまいります。

 まず最初は、五条関係ということで、これは他の多くの委員からも質問されておられましたけれども、一年単位の変形労働時間制に関して尋ねたいと思います。

 まず、今回の一年単位の変形労働時間制ですけれども、一年単位の変形労働時間制は、そもそも、季節的な繁閑のある業務を前提としております。文科省からいただいたイメージといいますかポンチ絵を見ますと、小学校の場合ですと、繁忙期が四、六、十、十一月、閑散期が八月、こういうグラフといいますか表が出されております。

 これは、とりあえず、相対的に在校等時間の長い短い、八月に比べれば四月が長い、六月が長いという意味で出されたイメージ図だというふうに理解していいのでしょうか。それとも、文科省は、現在の学校現場は八月は閑散期と考えていらっしゃるんでしょうか。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 長期休業期間中については、児童生徒が登校せず、実態としても、学校閉庁日を設ける自治体が多く見られるなど、教師の業務は比較的穏やかになるものであると認識をしております。

 個別にちょっと具体例をお話をさせていただきたいんですが、例えば、横浜市教育委員会の昨年度、平成三十年度の調査では、時間外勤務が月四十五時間以下の小学校、中学校及び特別支援学校の教職員の割合ですが、四月から六月は四割弱ですが、八月は約九割というふうになっております。

 また、北九州市教育委員会でございますけれども、これは平成二十九年度の調査ですが、時間外勤務が月四十五時間を超える教員は、小学校で八月はゼロ、中学校では通常期の七割ほど少ない人数となっているという実態がございます。

 こういった実態も踏まえまして、ただ、平成十八年度の勤務実態調査においては八月にも時間外勤務が見られる、そういったことから、今回、休日のまとめどりを学校現場に導入する前提としては、長期休業期間中の業務の縮減が必要であり、例えば、学校閉庁日の設定とともに、研修の整理、精選、部活動の適正化、高温時のプール指導等の見直しなどの長期休業期間中の業務の見直しを求める通知を本年六月に発出しているところでありますし、また、部活動の大会の日程を含めた、そのあり方の見直しに関する関係団体への働きかけ、さらには、研修ですが、独立行政法人教職員支援機構の夏季休業期間中の研修日程の見直しを図ることなどによりまして、長期休業期間中の業務の縮減をしっかり後押ししてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 聞いておりますと、別に閑散期ではなくて、四十五時間未満とはいえ、文科省の調査でも、八月でも超勤が発生をしている。あくまで八月が、他の四月から六月等々の時期に比べると相対的に短いというだけにすぎないんだろうと私は思います。

 そこで、厚生労働省に尋ねますが、これも他の委員も尋ねていたというふうに思いますが、一年単位の変形労働時間制は、言いかえれば、恒常的に毎月毎月時間外労働が発生をしている、そうした事業所には適用できない、そういう理解でよろしいでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 一年単位の変形労働時間制は、労働時間を柔軟に設定することによって、年間を通じて総労働時間全体の水準を低下させるための制度でございます。

 具体的には、一カ月を超える一年以内の期間を平均して一週当たりの労働時間が四十時間を超えないことを条件として、業務の繁閑に応じて労働時間を配分することを認める制度となってございます。

 本制度は、あらかじめ業務の繁閑を見込んで、それに合わせて労働時間の配分をするというものでございますので、突発的なものを除きまして、恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度設計になっているものでございます。

吉川(元)委員 だとすると、後で改めて尋ねますけれども、今の現状では到底、この変形労働時間制、厚生労働省の基準に合わせれば当然これは入れられない制度だというふうに言わざるを得ないと思います。

 文科省に尋ねますけれども、文科省に部屋に来ていただいて、あるいはうちの党の政策審議会の会議などでもこのことについて説明をいただきましたが、制度の導入に当たっては、在校等時間が上限ガイドラインの範囲内にまで削減されることを前提にしている、こういうことを何度かお話を伺いました。それはいいんですけれども、法文上、どこでそれは担保をされているんでしょうか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の休日のまとめどりにおきまして、在校等時間の超過勤務を少なくとも上限ガイドラインで示した月四十五時間、年間三百六十時間等の上限以内とすることを導入の大前提としているわけですが、この点については、改正法が成立した場合に新たに成立することとなる文部科学省令や指針において、指針における在校等時間の上限などの遵守といったことを規定するということとしております。

吉川(元)委員 結局、今までも文科省は何度も通知等々で、在校等時間、こういう新しい概念が出てきて混乱をしているんですが、とにかく時間を縮減しようということを呼びかけてきたにもかかわらず、実態として全くそういうふうに、残念ながら今のところなっていない、これが今の現状だと思うんですよ。

 それを担保するためには、法律上何らかの担保をしていくことが私は必要なのではないかと。これを守らないとだめですよという通知が残念ながら今まできいてこなかったというのが、この間の文部科学行政の、悲しいかな、限界なんだろうというふうに思います。

 そもそも、上限ガイドラインといっても、月四十五時間、年三百六十時間、こういう超勤が現実に。それより下に下げたいという思いはいいですよ。だけれども、実態としてはそこがラインなわけですから、とすれば、ぎりぎり四十五時間、三百六十時間未満の時間になれば、年間を通じた変形労働時間、これを導入することができる、できる規定ですけれども、それができるようになるというふうになるとすれば、年三百六十時間の超勤が恒常的に存在している中にあって、果たしてこれで、八月が閑散期と言えるようなものなのか。恒常的な超過勤務は存在していないと果たして言い切れるんですか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 長期休業期間中について、児童生徒が登校せずに、閉庁日を設ける自治体が多く見られるという実態があるわけでございますが、他方で、十八年度の勤務実態調査において、繰り返しになりますけれども、八月にも時間外の勤務が見られるという実態がございます。

 今回の休日のまとめどりを学校現場に導入する前提として、長期の休業期間中の業務の縮減が必要であるということでございます。学校閉庁日の設定等とともに、研修の整理、精選、部活動の適正化、高温時のプール指導等の見直しなど、長期休業期間中の業務の見直しを求める通知をこの六月に発出したところであります。

 部活動の大会の日程を含めたあり方の見直しに関する団体への働きかけ、さらには、独立行政法人教職員研修機構の夏季休業期間中の研修日程の見直し等を図ることにより、長期の休業期間中の業務の縮減をしっかりと後押しをしていきたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 六月に通知を出されたということでありますけれども、六月ですので、今は十一月ですから、まだ五カ月たつかたたないかということでありますが、その経過というのは、それによる、例えば具体的に、八月に勤務時間が大幅にことしは減っているんだ、そういう数字というのはございますか。

丸山政府参考人 申しわけございません。六月に通知を発出したところでございますので、現時点でデータを持っておりません。

吉川(元)委員 そうしますと、ことしの八月はどうだったのかまだわからないということでありますけれども、この間の文科省が調査をした勤務実態調査などを見ても、先ほどからも答弁がありますけれども、八月でも超過勤務が発生をしている。仮に超過勤務が発生していなかったとしても、目いっぱい、八月は毎日七時間四十五分働いているとすれば、これはやはり私は導入はできないんだろうと。

 閑散期というのは、ただ単に、客観的な数字で見ると超勤がないということになりますけれども、実態からすると、七時間四十五分、八月であったとしても、超勤はしていないけれども時間内に目いっぱい働いているとすれば、これはやはり私は閑散期とは言えないというふうに思いますし、少なくとも今の現状では、年間を通じた変形労働時間制を導入できるような状況にはないという理解でよろしいでしょうか。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 労働省の関係の通知におきましても、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働がないことを前提にした制度であるということと承知をしておりますけれども、これは、一年単位の変形労働時間制を、あらかじめ見込んだ業務の繁閑に合わせて労働時間を配分するものであって、あらかじめ予想される繁忙による対応等は、本制度による労働時間の配分で対応することを前提とする制度の趣旨を述べたものというふうに承知しています。

 その上で、この一年単位の変形労働時間制を導入する場合でも、業務の状況によって、あらかじめ見込んで配分した労働時間を超える時間外労働はあり得るものですので、御指摘のような場合について一概に判断できるものではないというふうに思います。

 いずれにせよ、文部科学省としては、今回新たに策定をします指針における在校等時間の上限を踏まえ、業務の削減を徹底的に進めていきたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 次、時間の関係で少し質問を飛ばしますが、休日のまとめどりということなんですけれども。

 確認なんですけれども、変形労働時間制を入れて所定内時間を延長した分は全て、八月あるいは十二月か三月かわかりませんが、そうした長期休業中の休日に充当する、そういうことで、それ以外の使い方は想定していないということの理解でいいのかということ。それから、それは法案のどこに担保されているんでしょうか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 一年単位の変形労働時間制においては、さまざまな労働日や労働時間の定め方がありますが、公立学校の教師については、長期休業期間における休日のまとめどりのために一年単位の変形労働時間制を活用していくということとしており、それ以外は考えておりません。

 このため、改正法が成立した場合に新たに制定することとなる文部科学省令や指針において、勤務時間の配分に当たっては、勤務を要する日の勤務時間の短縮ではなく、休日のまとめどりを行うことなどを規定することで、一時間単位の勤務時間の積み上げによる休日のまとめどりという中央教育審議会の答申の趣旨を踏まえた運用が、各教育委員会や学校においてなされることが担保される制度とすることとしているところであります。

吉川(元)委員 関連しまして、これも、文科省の公立学校における働き方改革の推進という説明資料を見ますと、休日のまとめどりの推進、これは明記されております。その中で、効果という言い方がいいのかどうかわかりませんが、ポンチ絵を見る限りは、効果として、これをやることによる効果として受け取れるものなんですけれども、その中に、長期休業中の業務量の縮減促進という言葉が入っております。これを見て、非常に強い違和感を感じました。

 というのは、今回の年間を通じた変形労働時間制を入れたことによって、まるで長期休業中の業務量が縮減されるかのごとく読める図でありまして、本来は、これは逆なんじゃないんですか。本来は、長期休業中の業務量を大幅に縮減して、その上で、この制度を入れるというのが本来の趣旨なんじゃないのか。

 ところが、ポンチ絵を見ますと、これを入れることによって縮減できるかのごとくなっているんですが、この点、どのように考えればいいんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 労働基準法に規定をされている一年単位の変形労働時間制は、休日の増加による労働者のゆとりの創造等を実現するため、業務の繁閑に応じた労働時間を配分する制度であって、一年単位で考えたときに、全体として、休日の増加や勤務時間の減少が期待される場合に有効な制度であり、これを単に導入することが、委員御指摘のとおり、この制度を導入することで、日々の教師の業務や勤務時間を縮減するものとは考えておりません。

 一年単位の変形労働時間制の導入に当たっては、学期中、長期休業期間中の業務量を確実に削減することが重要であって、職員会議や研修、授業等の時間を延長することのないようにした上で、休日の増加によるゆとりの創造と年間を通じた勤務の総時間の縮減を目的にその導入が図られるようにしなければならず、他の施策と相まって、学校における働き方改革を進めるための一つの選択肢として有効なものであるというふうに考えております。

 そのため、文科省としましては、学校閉庁日の設定等とともに、研修の管理、精選、部活動の適正化、高温時のプール指導等の見直しなどの長期休業期間中の業務の見直しを求める通知をこの六月に発出したところでありますし、加えて、部活動大会のあり方の見直し等々、関係団体への働きかけ、研修の見直し等々、長期休業期間中の業務の縮減をしっかりと後押ししていきたいというふうに考えております。

 委員の方から御指摘のあった、図の表記が少しまずいんではないかというところについては、少し、我々もしっかりとした形でつくり込めていなかった部分もあるかと思いますので、その点は、少しまた、整理をしていきたいと思います。

吉川(元)委員 私は、これは本音が出たんじゃないかというふうに思っているんですよね。

 この制度を入れることで、見かけ上の、業務が縮減されたかのごとく、例えばこれが、地方の教育委員会なり自治体にあの図が届くと、この制度を入れると、勝手に、自動的に夏の間の長期休業期間中の業務が縮減されるんだ、そのように誤解を生みかねない。その前に、まず徹底的に縮減をした上でないと入れられないんだ。それを、誤解を生むような表現の仕方というのはぜひ改めていただきたいと思います。

 次に、条例化についてお聞きしたいんですけれども、これはもうイエスかノーかだけで結構です。私の理解が正しいかどうかだけで。

 制度の導入に当たっては、例えば、A市のA学校という学校がこの制度を入れたいということをA市の教育委員会に言って、A市の教育委員会が県に上げて、県が条例をつくって、それがまた学校におりてくる、そういう理解でよろしいでしょうか。

丸山政府参考人 お答えします。

 委員が今おっしゃられたような流れだというふうに思います。

吉川(元)委員 だとすると、非常に懸念が出てくるんです。

 A市のA学校、Aという、まあ、小学校か中学校でもいいですけれども、それはいいでしょう、その学校がそういうふうに望んでいるのであれば。だけれども、A市にはほかにもB学校とかC学校があるわけです。それから、A市以外にもB市、C市があって、それぞれ学校がある。当然、県の条例ですから、その条例の書き方で、A市のA学校だけ入れますという条例を書くんだったら別ですけれども、一般的に、条例を書いた場合には、これは県下にある全ての公立学校が対象となることになるのではないか。非常に私が危惧するのは、学校単位の意思ではなくて、県下全ての学校に対して強制的に導入をされる可能性が出てくるのではないか。

 あくまで学校単位の意思であること、それから、都道府県あるいは市町村の教育委員会を通じて、導入の強制が排除をされること、これはどのように、大臣、担保されていますか。

萩生田国務大臣 休日のまとめどりのための一年単位の変形労働時間制の導入に当たっては、各学校ごとに異なる年間スケジュールを踏まえ、育児や介護を行う者など個々の事情も考えなくてはなりません。

 そういった意味では、各学校の意向を踏まえずに、都道府県の条例で一律に強制することはできないものと考えておりまして、このことはこれからの説明会などで徹底してまいりたいと思っています。

吉川(元)委員 文科省の意思としてはそうかもわかりませんけれども、こういう施策というのは大体、だんだんおりていくと、まあ、伝言ゲームとは言いませんが、こういうのができるんだ、じゃ、うちはこれをやろうというふうに、学校の意思とは無関係にこうしたものが導入される。

 だから、どうやってそれに歯どめをかけるのか。これはできませんよと言うのは結構ですけれども、具体的に、例えば法律や、あるいは省令等々の中で、それをとめる手段、とめるものを何かつくるお考えはありませんか。

萩生田国務大臣 各学校等、各市町村教育委員会がきちんとした意見聴取をしていただいた上でなければ、都道府県の方に上げられないような仕組みを確認できるようにしておきたいと思っています。

 きょう、ただいまの時点で、制度の説明をするまで考えていないんですけれども、先生の御心配の向きは、私も、この内容だけに限らず、せっかく今回法改正をするのに、条例が生きたものになってもらわないと困るというふうに思っていますので、先ほどから、地方分権ののりを超えない範囲で、きっちり説明会などにも参加をして、徹底した説明をしてまいりたいと思いますけれども、今、大事な視点だと思いますので、確認のポイントをつくるようにしたいと思っています。

吉川(元)委員 なぜそうした、面倒なといいますか、できるかできないかわからないようなことでも、とにかくそういうものをつくっていかなきゃいけないかというと、これは条例に全て委任をしてしまっているからだと言わざるを得ません。

 そこで、厚生労働省に聞きます。

 いわゆる民間の事業所においては、労使協定、これがマスト、必須だと。なぜそれがマストになっているんでしょうか。これもほかの委員が尋ねていましたけれども、確認のためによろしくお願いします。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 労働基準法における一年単位の変形労働時間制は、設定できる変形期間の最長期間が一年と長く、弾力化の度合いが高いことから、制度を導入するに際しましては労使協定の締結を要しているものでございます。

吉川(元)委員 つまり、非常に、働く側にとってみれば、しっかりチェックをしておかないととんでもないことになってしまう、だから、過半数代表者との間での協定が必要だ。

 ところが、今度はこれが全部条例委任されてしまいます。大臣、これはおかしくないですか。

萩生田国務大臣 地方公務員の勤務条件は、住民自治の原則に基づき、住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によって決定されるとされております。そこに意思は盛り込まれると思っております。

吉川(元)委員 先ほどの答弁でも、地公法の第二十四条の五項、「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」、これに基づいてやるんだと、大臣は先ほども答弁をされていたと思います。

 では伺いますが、これは大臣に、どなたでも結構ですけれども、地公法の第二十四条の、今のは五項ですが、四項には何と書いていますか。じゃ、私の方から読みます。地公法の二十四条の四項、職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当たって、国及び他の地方公共団体の職員との間の権衡を失しないように適当な配慮が払われなければならない。つまり、国家公務員、あるいは他の地方公共団体含めて、均衡ですよね、均衡の原則と言われるものですけれども、あるいは国公準拠というふうにもしばしば言われますが、これが、地公法の二十四条の五項の前の四項に書かれているんです。

 だけれども、国家公務員においては、これは、年間を通じた変形労働時間制というのは入っておりません。明らかに、ここに書かれている、五項を守らなきゃいけないから条例主義でいくんだというのであれば、四項も守らなきゃいけないんじゃないですか。この点、いかがですか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 本制度の導入の当時、地方公務員について、国家公務員で導入されていないこととの均衡を図るとともに、地方公務員一般で考えた際にあえて本制度を適用する必要が薄いと考えられたことから、現在に至っているわけでございます。

 一方で、教師の業務については、他の地方公務員と異なり、学校には法令に基づき児童生徒の長期休業期間があるため、年間を通じた業務の繁閑が見込まれ、実態としても学期中と長期休業期間中とでは勤務する時間について大きな違いがあることが明らかになっていると考えております。

 こういった状況に鑑み、地方公務員のうち教師については、条例等に基づき一年単位の変形労働時間制を適用できるようにすべきであるというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 いや、三カ月の変形労働時間制を導入するかどうか、この中教審の答申では、今の国公準拠、国家公務員との均衡の問題で、これは導入できないという話になっているんですよ。それが、なぜ一年だとできちゃうんですか。

丸山政府参考人 国立大学の附属学校の先生方については、平成十六年の四月に国立大学法人化により非公務員となり、労働基準法が現在適用されているという状況の中で措置が行われているということはございますが。

吉川(元)委員 ここでは国公準拠と言っているんですよ、ここでは。三カ月については国公準拠で、均衡の原則に従ってできませんと言っているのに、何で一年になるとこれはできるんですかと聞いているんです。

丸山政府参考人 失礼いたしました。

 一年単位の変形労働時間制は、昭和六十三年度から三カ月間単位の変形労働時間制として導入され、平成六年度から期間が一年単位に延長されたものでありますが、地方公務員は現在適用除外になっているということ。

 これは、制度の導入当時、地方公務員については、国家公務員で導入されていないこととの均衡を図るとともに、地方公務員一般で考えた際にあえて本制度を適用する必要が薄いと考えられたことから、適用除外ということで現在に今至っているということでございます。

吉川(元)委員 答弁になっていないんですよ。何で三カ月間の変形労働時間制について入れなかったかの説明はそれで結構ですけれども、なぜ今回、では、一年間の変形労働時間制を入れることができるのか。三カ月のやつというのは、国公準拠ということと、それから、地方公務員については先ほどの職務の繁閑の問題がある、それがないんだということであるんですけれども、少なくとも、国公準拠という基準は、これは満たしていないじゃないですか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 教師の業務については、他の地方公務員と異なり、学校には法令に基づき児童生徒の長期休業期間があるため、年間を通じた業務の繁閑が見込まれ、実態としても学期中と長期休業期間中とでは勤務する時間について大きな違いがあること、そのことがあるということをもってここに至っているということであります。

吉川(元)委員 では、三カ月のときにも、中教審の答申は、これは今言った理由でできないと言っているんですよ。何で今度はできるんですか。

丸山政府参考人 中教審の中でそういった御議論があったという事実は、我々、把握をしておりません。

 以上でございます。

吉川(元)委員 中教審の最終答申、その中に、注意書きの中に、三カ月単位の、「創設された当時において、国家公務員との権衡を図ったこと及び当時において地方公務員の業務においてあらかじめ繁閑が生じるものが想定されなかったことにより適用されなかった取扱いが、現在も引き続いているものである。」このように書かれているわけですよ。

 きょう、余り時間がありません。もうちょっと聞かなきゃいけないことがあるので、あと一問。

 やはり、これは条例ということですけれども、条例主義ということですが、これは勤務条件にかかわることでもあります。そういうことでいうと、きちんと、恐らく文科省は地公法の五十五条一項、九項を使うというようなことも説明の中で何度かお聞きいたしましたが、これは義務化すべきだというふうに、少なくとも義務化すべきだと考えますけれども、この点、いかがですか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方公務員の勤務条件は、住民自治の原則に基づき、住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によって決定することとされております。

 公立学校の教師も地方公務員であり、休日のまとめどり推進のための一年単位の変形労働時間制は勤務条件に関する制度であることから、勤務条件条例主義にのっとり、労使協定ではなく条例により導入することが必要であると考えております。

 地方公務員法においては、職員の勤務条件に関する事項は職員団体との交渉事項であり、法令等に抵触しない限りにおいて、書面による協定を結ぶことができる旨が規定をされているわけでございます。これは義務ではありませんが、本制度の導入についても、この勤務条件に該当することから、導入に当たっては、各地方公共団体において、職員団体との交渉を踏まえつつ検討されるものと考えております。

 また、導入に当たっては、服務監督権者である教育委員会が、本制度を活用するに当たっては、教職員の服務監督の観点から、校長を通じて教職員の状況を十分に踏まえた上で検討されることになるというふうに考えております。

吉川(元)委員 もう時間がないのでこれで終わりますが、この問題、もう少し時間をかけてしっかり議論しないと、場合によっては、教員の命がまた失われる、これを入れた結果として、より長時間労働が蔓延する、意に沿わない年間を通じた変形労働時間を入れられる、そういうことが十分起こり得るということを指摘し、さらなる審議を求めて、私の質問を終わります。

橘委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 共同会派、立国社を含め、野党側、本日のラストバッターということで、大臣に集中して、きょうは質問をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、教員の働き方改革にもかかわります大学入試共通テスト、特に記述式問題についてお伺いをしたいと思います。

 この件は、かつて私も、二〇一八年六月六日の文部科学委員会でも取り上げました。問題点についてはその前後でも指摘を申し上げてきたつもりですが、改善どころか懸念が増している状況であります。そうした状況を見て、大学入試共通テストにおいては、この記述式問題を導入することは、大臣、中止をすべきだというふうに申し上げたいと思います。

 共通テストはマークシート式で、そして記述式問題については個別の大学の二次試験での実施を中心に行うべきと考えます。この考えに立った議員立法、記述式問題導入中止法案を今野党で準備をし、間もなく提出をしたい、こんなふうに考えているところであります。

 このように申すのはなぜかということを申し上げたいと思います。

 大きく四つの問題があるからであります。

 一つ目に、記述式問題導入の妥当性がないからであります。具体的には、共通テストの性質との整合性がないこと。数学、理科を含めて、個別の二次試験で既に記述式問題は相当行われています。共通テストで無理にやる必要がないことからして、導入の妥当性がありません。

 二つ目に、採点の民間委託に問題が大きいことです。問題漏えいの可能性を否定できず、情報漏えい、目的外利用の可能性、いわゆる利益相反があります。問題が生じたときの責任の所在が明らかでない上に、文部科学省による統制が十分に届かない。センター経由だというところもあります。採点の民間委託は大きな問題です。

 三つ目に、採点そのものに無理があることです。五十万人規模の記述問題を二十日間で適正に採点する物理的な困難さに加え、専門性も技術も有しないアルバイトがまじる採点の不公平、不公正、五十万人規模の答案を短期間にすり合わせて採点基準を統一することに無理があること、主観性を排することができない記述式問題を志願大学の教員ではない者が採点を行うことの是非など、問題に枚挙のいとまがありません。

 四つ目に、自己採点が困難だということです。まず、解答例そして採点基準が複雑です。答案との照合も難しく、受験生の客観的自己評価を行うのも困難で、自己採点がままならなければ将来の志望校の選択も不確かなものとなってしまいます。

 このような問題、いずれも、どれか一つ問題があっても入試としては成り立たないものばかりです。これだけ問題がある以上、制度としては破綻をしていて、実施は不可能であります。大臣、やはり記述式問題については共通テスト導入は中止をして、そして個別の大学の二次試験での実施を中心に行うべきと考えます。

 そこで、一つお伺いをいたします。

 昨日夕方から夜にかけて報道が出てまいりました。これは、大学入試共通テスト記述式問題の採点請負業者についてでございました。昨晩のNHKニュースで、記述式問題、事業者が事前に正答例把握、大学入学共通テストと報じられました。昨晩の報道ステーションでも同様の報道がございました。

 今回の大学入試共通テストの仕様書にありますけれども、採点を請け負った事業者は事前に正答例を把握するという指摘であります。これは、大臣、問題と答えを前にばらすという、正直言って、禁じ手であります。仕様書には採点請負業者が試験実施前に正答例や採点基準の作成に助言や提案などで関与する旨の記載があり、このことは事実でありますが、かつて最大三千五百四万人の個人情報を漏えいさせた試験の教材を販売する教育産業の関連会社が試験実施前に問題や正答例を知ることになります。利益相反も甚だしいと言わざるを得ません。

 大学入試に詳しい東京大学の南風原朝和名誉教授はこのことについて、試験の教材を販売する教育産業の関連会社が試験実施前に問題や正答を知ることになれば極めて異例だ、問題の漏えいにとどまらず、採点しやすさを優先に基準が改変されることなど懸念があると指摘しています。

 大臣、こうした不公正、そして露骨な利益相反を認めるんでしょうか。

萩生田国務大臣 大学入学共通テストの記述式問題の採点事業者においては、大学入試センターが作成した採点基準をわかりやすく採点者に伝えるための採点マニュアルを作成し、おおむね二十日以内という短い期間で正確な採点作業を実施するため、大学入試センターが設置をする採点基準策定委員会に出席し必要な準備を行うこととしており、その中で試験問題や正答の条件を知り得ることとなります。

 ただし、大学入試センターと採点事業者の間で締結した業務請負契約書によって、相手方から知り得た一切の情報を厳に秘密として保持し、第三者に漏えいしてはならないという守秘義務を課しています。

 さらに、当該会議の出席者は、大学入試センターから事前の承認を受けることなど限られた者とされており、出席する際は、大学入試センターが指定し環境を整備した場所において、私物の持込みや資料の持込みを禁止することなどが仕様書において定められております。

 このような取組により、大学入試センターにおいては、情報漏えいを防止するための方策を徹底することとしております。

城井委員 大臣、事前の問題や正答例の漏えいという、事前に示すということがどれだけ重いことかというのをぜひ自覚をいただきたいんです。

 これまでセンター試験ですとか二次試験などで、この問題の事前漏えい防止にどれだけ各所で神経をとがらせてきたかということをぜひ知っていただきたいんです。

 かつて、試験中に問題を持ち出して処分になった例すらあるわけであります。大学では、入試問題と正答は、厳重に封をして金庫に入れます。出題者以外は、採点する大学教員も含めて、入試が終わって採点の時間になるまで見ることはできません。入試の年に、家族や親戚や知り合いが受験する場合は、入試の監督からも外されます。これが通常です。

 しかも、大臣、昨日、時折しも、株式会社ベネッセホールディングス発表の「大学入学共通テスト「国語・数学の記述採点」に関する準備状況について」、こうした発表がありました。

 これによれば、これの二ページにこう書いてあります。お聞きください。採点基準は大学入試センターにより提供されます、こう書いています。作成にかかわったことには触れない記述であります。

 仕様書にあるように、請負業者が採点基準作成にかかわるのか、それとも、ベネッセ発表にあるように、センターが作成して提供するだけなのか、どちらか。先ほどの大臣の話ですと、情報に触れるが、お約束をしているから大丈夫だ、こうしたお話かと思いますが、そもそも、採点業者が採点基準作成にかかわるような不公正は断じて認められるものではありません。

 先ほど御説明したように、過去に情報漏えいがあるような業者は信用できません。大臣、こうした不公正、そして過去履歴もある業者の信用性、こうした点について、このままだとこの採点は成り立たないというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 民間の企業がゆえに正しいことができないという決めつけた先入観を私は持ちたくないと思っています。

 契約行為の中で、おおむね二十日以内という短い期間で正確な採点作業を実施するため、大学入試センターが設置する採点基準策定委員会に出席し必要な準備を行うこととしており、その中で、確かに試験問題や正答の条件を知り得ることとなりますけれども、先ほど申し上げたような契約条件がきちんとありますので、それをしっかり守っていただける、こう思っております。

城井委員 大臣にしっかりとした判断をいただきたい、英語民間試験の延期のときのようにしていただきたいと思うから、事実を差し上げているわけでして、そこはしっかり受けとめて御判断をいただきたいというふうに思います。

 大臣、そもそも、今回のこの採点請負業者たるベネッセグループの企業でありますけれども、問題は多くあります。きょうは、そのうちのあともう一つだけお聞きしたいと思います。

 採点の会場の数や採点者、採点監督者の人数なども明らかではありません。これまでに文部科学省と何度かやりとりしてまいりましたが、今回、業務請負契約であった、実際に試験が始まってからの採点ですと、単年度で十五億円という金額になりますけれども、この内訳、積算根拠が明らかになっていません。

 大臣、採点者は結局、何人見込むんでしょうか。採点会場は何カ所でしょうか。お答えください。

萩生田国務大臣 本契約において、事業者が採点会場の確保と採点システムの構築を行うに当たっては、効率的に採点に関する一連の作業を行うことができるものとし、必要に応じて事前にセンターと協議することを求めています。

 また、採点者、採点監督者の人数については、事業者に対して、人員を必要数確保すること、選抜方法及び必要人数についてはセンターと事前に協議をすることを求めております。

 大学入試センターにおいて本年度実施する準備事業の結果を踏まえつつ、事業者としっかりと協議が行われ、契約額の範囲内で採点会場や採点者が確保されるものと認識をしております。

城井委員 大臣、人数や会場数がはっきりしなければ、採点体制が組めるか、そこで働く方々の賃金はどうか、そこから掛け算をしたときに今回の入札金額で間に合うのか、もしかして追加でふえたりしないか、こういうところの判断が全くつきません。

 大臣に一つお話を申し上げたいと思います。

 今回の件、アルバイトが加わる可能性がありますね。その点は御存じでしょうか。

萩生田国務大臣 過日の参考人質疑の中で関連事業者の方がそのようなことをおっしゃっていましたので、承知をしております。

城井委員 このアルバイトの募集のされ方は御存じでしょうか。

萩生田国務大臣 存じ上げません。

城井委員 この採点請負業者がどのようにアルバイトを募集しているかという情報を少し申し上げたいと思います。

 まず一つ、今回の請負業者、株式会社学力評価研究機構が、何と、採点、編集、次が問題です、採点基準の作成補助を仕事内容としたアルバイトをアルバイト募集業者のウエブサイトで募集をしていました。採点基準の作成補助まで含まれていたわけであります。しかも、資格のところには、短時間でさくっと稼ぎたい方とあります。笑い事じゃないです。短時間でさくっと稼ぐアルバイトが採点基準の作成に加わります、大臣。いかがですか。

萩生田国務大臣 一括して募集しているというのは全く、私、今初めて聞きました。

 採点者の確保については、仕様書において、適正な試験などによって質の高い採点者を確保し、期間内に正確な採点を行うことができる人員を必要数確保することと定めており、採点者の選抜方法や必要人数について大学入試センターと採点業者が事前に協議することとしております。

 質の高い採点者を確保するために行う試験については、学力試験や採点業務への適性試験、面接などを行う予定と聞いており、今後も大学入試センターにおいて必要な対応を求めていくものと承知しております。

城井委員 確かな能力の方をというふうに説明を受けていたので、本当だろうかと思って確認をしておりましたら、この始末です。

 もう一点申し上げます。

 株式会社学力評価研究機構、今回の採点請負業者でありますが、二〇一九年度高校生テスト研修(社会人)採点スタッフ募集、こうした御案内というものを出しています。高校生対象テスト、この募集期間などを確認いたしますと、つまり、今回のいわゆる準備事業を念頭に置いた募集だというふうに判断をしています。場所は東京都内であります。給与は、経験者一千八十円、新人一千七十円、小学校、中学校採点のみ参加したことがある方も等級は経験者ですと御丁寧な説明がついています。

 準備事業は、採点請負業者が本番を想定して採点の検証を行う名目だったはずであります。なのに、東京都の最低賃金一千十三円を辛うじて上回るような待遇で、高校生向けのテストの採点経験もない人を経験者と扱うようなずさんな人集めによる採点作業で検証しましたなんということを、大臣、信用できるでしょうか。そもそも、この金額で能力の高い方にお願いする、多く集めるということはできないと考えます。

 大臣、やはりこれはおかしいです。改めるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今、先生が御指摘になられた募集がいわゆる準備事業に当たるのかどうか、一度確認をさせてください。

城井委員 今回の請負業者などのセレクトについては、これまでの実施状況の実績などを勘案してというはずであります。ふだんがこれなら本番が信じられるかということを申し上げなければなりません。

 大臣、こうしたずさんな体制だけでも十分に、採点請負業者に今回の採点を預けることはできないことは言い切っていいというふうに思います。この記述式問題の導入、中止をいただけますか。大臣、お答えください。

萩生田国務大臣 大学入学共通テストの記述式問題採点に係る学力評価研究機構との業務請負契約については、一般競争入札の枠組みのもと、大学入試センターに設置された外部委員を含む評価委員会の審議を経て、価格のみならず、過去の実績、採点者の確保及び研修の実施、採点の体制、採点者の質の向上、採点の正確性の向上、セキュリティー対策など十二項目から成る総合的な観点から高い評価を得て選定されたものでございます。

 同社は、高等学校向けの記述式アセスメント事業において五十年以上の実績を有するグループ会社の採点事業を分社化された会社であること、年間の採点枚数が三千万枚に及び、特にベネッセグループの記述式学力テストでは四百五十七万枚に及ぶ答案を二十日間で安定的に採点、返却していることなどが高い評価を受けたものと承知をしております。

 既に契約行為をしておりますので、先生の問題意識や危機感については、きょう貴重な御意見をいただきましたので、そういうことを一つ一つ解決をしてまいりたいと思います。

城井委員 業者第一で対応してもらっては困るということ、受験生第一に戻さねばならないということを申し上げたいというふうに思います。

 また、この件については、最初に申した大きな四つの問題点を含めて、先ほどの十二項目、越えられていないところがたくさんあるということを順次、質疑にても同僚議員と一緒にお示しをしていきたいというふうに思いますので、きょうはここまでとしたいと思います。

 それでは、給特法の改正案並びに教員の働き方改革について順次質問したいと思います。同僚議員の質問となるべく重ならないように行きたいというふうに思います。

 まず、上限ガイドラインの指針化についてお聞きします。

 大臣、上限ガイドラインという言葉は法律案には書いていません。法律案のどの部分で定め、担保するか、お答えください。

萩生田国務大臣 本年一月の中教審答申において、上限ガイドラインについては、その実効性を高めるため、その根拠を法令上規定するなどの制度的工夫を図り、学校現場で確実に遵守されるよう取り組むべきと指摘されているところです。

 業務量の適切な管理等に関する指針は、こうした指摘を踏まえて新たに定めるものであり、上限ガイドラインにおいて示した教師の勤務時間の上限の目安時間等と同様の内容を法律に基づく指針の内容として盛り込むこととしております。

城井委員 続いてお聞きをしたいと思います。

 二〇一六年の文部科学省教員勤務実態調査によりますと、平日一日の勤務時間は、小学校で学内勤務時間が十一時間十五分、持ち帰り時間が二十九分、中学校で学内勤務時間が十一時間三十二分、持ち帰り時間が二十分、土日の一日の勤務時間が、小学校で学内勤務時間が一時間七分、持ち帰り時間が一時間八分、中学校で学内勤務時間が三時間二十二分、持ち帰り時間が一時間十分でした。

 こうした数字を見ますと、教員は、平均すると、七時半ごろに出勤し、十九時台に退勤しているということになります。明らかに長時間勤務が常態化している現状がわかる数字です。

 今回の上限ガイドラインの指針化などによってこの状況が具体的にどう変わるか、大臣、御説明いただけますでしょうか。その際に、一点、在校等時間による勤務時間管理によって少なくとも四週四休の休日を確保できるか、この点をぜひお答えください。

萩生田国務大臣 平成二十八年度の勤務実態調査を踏まえれば、小学校では年間平均八百時間程度、在校等時間の所定の勤務時間を上回っており、もちろん、上限時間まで業務を行うことが奨励されているわけではございませんが、これをまず、三百六十時間以内という上限ガイドラインで示した時間まで縮減するには、年間四百五十時間程度の縮減が必要となります。

 その際、労働基準法三十五条に定める四週四休の休日を遵守することは当然です。この業務の縮減を図っていくためには、外部人材の活用などの条件整備、現在中教審で検討している小学校高学年における教科担任制の導入などの制度改善、学校現場における業務の見直し、改善など、予算、制度、学校での改善の総力戦を徹底して行い、その組合せで成果を出していくことが必要です。

 また、中学校の部活動については、部活動ガイドラインに基づく活動時間の適正化や、部活動指導員の配置による業務の縮減が可能であり、部活動改革にもしっかり取り組んでまいります。

 その際、少子化の中で、一つ一つの中学校ごとでは部活動が成立しなくなっている実態もあり、中教審答申においても、「将来的には、部活動を学校単位から地域単位の取組にし、学校以外が担うことも積極的に進めるべきである。」と指摘されているところであり、そのための推進策についても引き続き検討してまいりたいと思います。

 いずれにしましても、先生今、各学校勤務の実態について数字を言っていただきました。これをぐっと圧縮しない限り、この制度を、法律を変える意味は全くなくなってしまいますので、そこにきちんとした視点を置いて努力をさせていただきたいと思います。

城井委員 次に伺いたいと思います。

 今ほど紹介した数字も含めてでございますが、時間外の勤務は、その多くは超勤四項目に基づく時間外勤務ではないものだというふうに考えています。こうした、原則として時間外勤務を命じないとされているにもかかわらず、膨大な業務量から、超勤四項目以外の業務を大量に、自発的に行わざるを得ない実態が常態化していることを考えますと、時間外勤務を超勤四項目に限定したはずの給特法が、もはや歯どめとして機能していないというふうに言わざるを得ません。

 この自主的、自発的業務が残っているために、無定量に業務が拡大するとの現場からの指摘がありますけれども、この点について、大臣、見解をお聞かせください。

萩生田国務大臣 先ほども他の委員に答弁させていただきましたが、時間外勤務手当及び休日勤務手当を支給しないかわりに、勤務時間の内外を問わず包括的に評価をして教職調整額を支給する給特法の仕組みによって、所定の勤務時間外に行われる超勤四項目以外の業務は、教師がみずからの判断で自主的、自発的に勤務しているものと確かに整理はされておりますが、これが強調される余り、勤務時間を管理するという意識が現場で希薄化し、長時間勤務につながってきてしまったんだというふうに私は思います。

 中教審の中でも指摘されておりますように、文科省としてもそのことは認識しておりますので、もとより超勤四項目以外であっても、校務として行うものについては、超過勤務命令に基づくものではないもの、学校教育に必要な業務として働いているものに変わりはありません。

 そのため、文部科学省としては、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインを策定し、超勤四項目以外の業務を行う時間を含めて、在校等時間という新しい概念を設けました。これを定めて、これを勤務時間管理の対象とすることを明確にした上で、その上限の目安時間を示したところです。

 先ほどもお話がありましたように、学校にいる以上は、自主的か命令かはともかくとしても、働いているのは事実でありますから、そういうことのないように、上限をきちんと抑えていくように徹底した努力をしていきたいと思いますし、その根拠に指針を示してまいりたいと思います。

城井委員 続いて、通告を一つ飛ばさせていただきまして、自治体には、上限指針を参考に、条例、規則等において教員の在校等時間の上限を定め、それを遵守する義務が生じる、こうした認識でよろしいかというのを確認したいと思います。大臣、お願いします。

萩生田国務大臣 本年一月に策定した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインは、あくまで指導助言として各教育委員会に通知したものにすぎないため、その実効性を高める観点から、今回、指針に格上げし、その根拠を法令上位置づけることとしております。

 今回の法改正では、教育職員の健康及び福祉の確保を図るために、服務監督権者たる教育委員会は一定の措置を講ずる責務を有することを前提に、その責務を果たすために必要な事項を指針として定めるという文部科学大臣の役割が明確に定められております。

 このような教育委員会としての責務を果たす観点から、本指針を参考に、各地方公共団体において、所管の公立学校の教師の勤務時間の上限に関する方針等を作成し、条例や規則でしっかりと根拠づけることが重要だと考えております。

城井委員 続きまして、客観的な勤務時間の管理について、一点だけ確認をさせてください。

 十月十八日の大臣記者会見で、萩生田大臣はこうおっしゃいました。必ずしもタイムカードではからなくても、きちんとできるんじゃないかと思っています、こうした発言であります。

 客観的な勤務時間管理は一〇〇%学校に導入することが問われているのに、この御発言ですと、どうでもいいのかというふうに聞こえてしまいます。

 改めて見解を確認したいと思います。

萩生田国務大臣 実は、この前に記者さんとのやりとりがありまして、タイムカードは、地方財政措置をして、本来、買ってくださいねということをお願いしているんだけれども、なかなか普及していないという実態や、あるいは、タイムカードじゃなくてもパソコンのログイン、ログアウトで管理している実態もあったり、あるいは、学校の先生の場合には、直接学校へ来る前に、既に通学路での生徒指導を行ったり、校外での業務もあるので、そういったことは口頭できちんと管理ができるような仕組みもありますということで申し上げたので、何かここだけ出てきますと、確かにタイムカードなんかなくたってちゃんとわかっているんじゃないかと大臣が言ったかのように思われますけれども、記者会見の、全て議事録がありますので、よろしければ確認してもらいたいと思います。

 この法律をつくる上では、やはり勤務実態を管理することが極めて大事です。ですから、感覚的なものじゃなくて、しっかりとした、記録が残るもので管理していく必要があると思っておりますので、その辺は決して誤解のないようにお願いしたいと思います。

城井委員 続きまして、持ち帰り業務の時間の把握の件についてお伺いしたいと思います。

 同僚議員からの質疑の折に、外形的な把握が困難だというのが文部科学省からの答弁としてございました。ただ、外形的な把握が困難だからといって放置ができるわけではありません。

 私の関心は、例えば、業務が削減されていないために長時間労働になっているにもかかわらず、勤務時間の厳守のみに力を注ぐ管理職がいて、いわゆる時短ハラスメントが今でも横行している、こうしたことを聞くわけであります。これでは持ち帰り業務が常態化しないかということが心配であります。この点について、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 そういうことがあってはならないと思います。上限のガイドラインの留意事項が示すとおり、上限の目安時間を守るためだけに、結局、帰ってくれと言って、しかし、うちへ帰ってこれとこれをやってくれということでは、業務を行う時間が増加してしまうのでは、そもそも趣旨に反します。このため、こうした考え方は、今回の改正案により定める指針でも同様の内容をしっかり示していきたいと思います。

 校務をつかさどる校長とその上司に当たる教育委員会には、教師が上限の目安時間を守るためだけに自宅などに持ち帰って業務を行う時間が増加することのないように、児童生徒の資質、能力を育む上で、限られた時間の中でどの教育活動を優先するかを見定め、それを踏まえた適切な業務量の設定と校務分掌の分担を図るとともに、このようなガイドラインの趣旨や学校における働き方改革の考え方を校内において十分共有するといった管理運営に係る責任を果たすことが求められるところであり、この点は、法改正にあわせて徹底して、現場の皆さんにもルール化を、ともにつくってまいりたいと思います。周知をしてまいりたいと思います。

城井委員 続きまして、土日の週休日に出勤して授業準備した時間や部活動指導時間も勤務時間管理の計測対象となるでしょうか。すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょう。

萩生田国務大臣 御指摘のように、土日や祝日などの業務も、校務として行っている勤務時間については在校等時間に含まれ、上限ガイドラインにおける勤務時間に当然なります。

 なお、上限ガイドラインにおいて示した教師の勤務時間の上限の目安時間等の、同様の内容を法律に基づく指針の内容として盛り込むことを想定しております。

城井委員 続いて、週休日の確保は具体的にどのように規定いたしますか、大臣。

萩生田国務大臣 週休日は各地方公共団体の条例等において定められているものと認識しておりますが、勤務時間が割り振られていない日であり、いわゆる超勤四項目以外の業務に関して時間外勤務を命じることは当然できません。

 その上で、土日や祝日などに教師が行っている業務も、校務として行っている勤務の時間については、在校等時間として、先ほども申し上げましたとおり、上限目安時間の対象とすることとしております。

 今回の法改正により、教師の勤務時間に関する上限ガイドラインを指針として法律上位置づけることにより、業務の適正化に向けた取組が促進され、在校等時間の縮減の実効性を高めることにより、確実に週休日が確保されるようにしたいと思います。

城井委員 続いて、記録の問題を確認したいと思います。

 客観的に把握される前提ですが、在校等時間の記録は、大臣、公文書ということでよろしかったですね。

萩生田国務大臣 基本的には行政文書に該当するものです。

城井委員 では、ということですが、その記録と保存に万全を期すべきだと考えています。

 そこで、一つお伺いします。

 地方公務員公務災害補償における障害補償及び遺族補償を受ける権利の消滅時効が五年間であることからすれば、最低でも五年間は保存すべきと考えます。大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、地方公共団体の行政文書の定義や保存年限については、各地方公共団体の公文書管理に関する条例等において適切に規定されるものと認識しておりますが、せっかく法改正をして、こういう問題を将来発生しないように包含をしていくということであれば、御指摘のような一定期間の保存をするような指導を指針の中でしっかり示していきたいと思っています。

城井委員 この点、大事だと思いますので、ぜひお願いいたします。

 続きまして、在校等時間数の上限についてお伺いいたします。

 上限時間まで勤務を推奨するものではない、あくまで参考だ、時間外労働の抑制を一層図る観点から、教育委員会は独自に上限を引き下げることも妨げるものではない。こうした認識でよろしいか、大臣、確認させてください。

萩生田国務大臣 せっかくつくる指針、それに基づいてつくる地方の条例、そして何よりも、学校設置者、そこで働く先生方の管理を直前で見ていらっしゃる教育委員会が独自に上限を下げることをすることも可能でありますので、ぜひ積極的な取組をお願いしたいと思っています。

城井委員 続きまして、上限時間を守るため持ち帰る業務が増加することのないよう、文部科学省は、服務監督権者である教育委員会、校長に徹底すべきと考えますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 いわゆる持ち帰りの時間については、例えば各地方公共団体で定める方法により、テレワーク等によるものについて、各教育委員会等において把握している例もあると承知はしておりますが、基本的には外形的な把握が困難と考えられることから、上限ガイドラインにおける在校等時間には含まないこととしています。

 ただし、自宅などで行う業務であっても、テレワーク等によるものについては在校等時間に含まれます。

 なお、上限ガイドラインの留意事項で示すとおり、上限の目安時間を守らせるためだけに自宅に持ち帰って業務を行う時間が増加してしまうことは、そもそも本来の趣旨に反するものであります。このため、こうした考え方は、今回の改正案により定める指針でも同様の内容をしっかりと示してまいりたいと思っております。

 教育委員会と、校務をつかさどる校長には、教師が上限の目安を守るためだけに自宅などに持ち帰って業務を行う時間が増加することがないように、先ほども申し上げましたけれども、限られた時間の中でどの教育活動を優先するかをしっかり見定めてもらって、管理運営をしっかりやってもらいたい。文部科学省としても、この点は徹底的に周知をしてまいりたいと思います。

城井委員 続きまして、指針の上限を超えて勤務を行った実態が判明した場合は教育委員会による速やかな改善を図るべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今回の法改正により策定することとなる指針は、服務監督権者たる教育委員会が講ずべき措置を定めるものであり、指針に沿った勤務時間の管理の責任は各教育委員会が有することとなります。

 このため、指針を踏まえ、在校等時間が上限の目安時間を超えている場合には、学校の管理運営に係る責任を有する校長や教育委員会は業務削減等の取組を積極的に果たす必要があります。

 文部科学省としては、この指針に基づいて、在校等時間の縮減に向けた取組をしっかりと支援してまいりたいと思います。

城井委員 続きまして、臨時的な特別の事情とはいかなる事情でしょうか。また、臨時的な特別な事情は、極めて例外的で、突発的な場合に限るべきと考えますが、大臣、お答えください。

萩生田国務大臣 本年一月に策定した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインにおいては、超勤四項目以外の業務を行う時間を含めて在校等時間として勤務時間管理の対象とすることとした上で、その上限の目安を、原則として、一カ月当たりの超過勤務は四十五時間以内、一年間当たりの超過勤務は三百六十時間以内としていますが、児童生徒等に係る臨時的な特別な事情により勤務せざるを得ない場合については、特例的な扱いとして、一カ月当たり超過勤務は百時間未満、一年間当たりの超過勤務は七百二十時間以内としているところです。

 ガイドラインの運用については、本年三月にQアンドAを示しており、この特例的な扱いの対象となる臨時的な特別な事情について、例えば、学校事故等が生じて対応を要する場合、いじめやいわゆる学級崩壊等の指導上の重大事案が発生し児童生徒などに深刻な影響が生じている、また生じるおそれがある場合などをお示ししているところです。

城井委員 通告を二つ飛ばしまして、学校における条件整備について大臣と少し議論をさせていただきたいと思います。専門スタッフや外部人材の活用が念頭の件であります。

 きょうの委員会でも、例えば、部活動指導員ですとかスクールサポートスタッフ、あるいは学校徴収金の徴収、管理、統合型校務支援システム、ICTの活用といった形で、具体的な手段を用いながらという議論を、きょうの委員会でもございました。

 ただ、大臣のきょうの吉良委員への答弁で、全国を貫く仕組みにというお話をされましたけれども、例えば部活動指導員一つとりましても、全国での配置は、届いているのは二割強、地方自治体の負担を三分の一ずつ都道府県と市町村にお願いしているものですから、財政的には、気持ちも含めて足踏みしているというのが現状だ。

 そうすると、例えばこの部活動指導員で、全ての学校に部活動指導員が十分な人数確保されないということですと、そこで期待する業務時間の削減ができる学校や業務時間削減ができた教員と、できなかった学校、業務時間削減ができなかった教員が併存することになります。つまり、狙った業務時間削減の結果がまちまちになると、減らなかったところにしわ寄せが残る、つまり過労死を含めたリスクは残る、こうしたことになるというふうに思っているんです。

 予算を積みながら、そして財政当局と折衝しながらというところは理解をしているつもりです。でも、今回の入り口たる業務時間削減と出口たる休日のまとめどりという、このセットでの議論となりますと、入り口のところで政策が届いていないのに出口だけやれというと、結局、業務時間が削減されていないのに休みだけ動かしたみたいなことになっては、本来この制度で目指そうと思った形が貫徹されない、その目的は達せないということになってしまいます。

 大臣、例えばこの部活動指導員のところがそうなんですが、届かない学校が七割ぐらいあるわけですというところをどう考えるか。この点、お答えいただけますか。

萩生田国務大臣 大事な視点だと思います。特に部活の外部指導員については、当然、予算要求で人員をふやしていきたいと思っておりますが、他方、教育は自治事務であって、基本的には設置者である自治体が当該学校に係る運営費を措置するものです。

 決して悪口じゃないんですけれども、例えばICT環境も、この間、麻生内閣の時代から始めて、いまだに三人に一人のパソコンが届かない、こういう状況が続いています。

 首長の皆さんにも、今回の教員の働き方改革の重要性というのをともに認識をしていただいて、例えば、そういった地方財政措置をしているものの中で、一定の負担をしていただいて、その上で必要なマンパワーを学校に配置していくということは、これは地方任せということじゃありません。地方と国と協力してやらせていただきたい、我々としてはそういう意思がありますけれども、なかなかそこに呼応していただけない実態もあるので、今回が、私、チャンスだと思います。そういう部活動の外部指導員ですとか、あるいはスクールサポートスタッフなどは絶対に有効だと私は思いますので、これを市長会や知事会なども通じて改めて地方の協力もお願いしながら、結果としてその環境をよくしていく、その努力をしていきたいなと思っております。

城井委員 地方自治体に努力をお願いするというのは当然かというふうに思います。

 ただ、大臣、今回の仕組みの変更は、国が行うもの、現在の政府が内閣として提案をする内容であります。

 きっかけをつくっているのは国であります。その国がきっかけとしてつくる仕組みがそうした業務時間削減を前提にしている、その手段が幾つか考えられる、その削減見込みの時間まで示されているというのが、今、国会に対してのお示しであります。

 ここが示されている以上、そこが実現される前提で休日のまとめどりなどが行われるということになるはずなんですが、その前提のところが、もし、地方ができていないのでと言いわけに立つようだと、この仕組みは成り立ちませんから、賛成という話にはならないというふうに考えています。

 スクールサポートスタッフや学校徴収金の徴収、管理、これは実際に、各現場での業務時間削減、どれぐらいできると見込んでいらっしゃいますか。

萩生田国務大臣 まず、スクールサポートスタッフですが、教師により児童生徒への指導や教材の研究等に注力できる体制を整備するため、教師の負担軽減を図れるよう、例えば学習プリントなどの印刷などを教師にかわって行うスクールサポートスタッフの配置を支援する都道府県及び指定都市の教育委員会を対象に、令和元年度予算において、平成三十年度の三千人分から、ことしは三千六百人分を、拡充したところでございます。これにより、スクールサポートスタッフを一校に一人配置すると仮定した場合、一割強の小中学校に一人の配置が可能となります。

 なお、先ほども申し上げましたが、教育は自治事務であって、基本的には設置者が当該学校に係る運営費を措置するものでありますが、スクールサポートスタッフについては、その普及の観点から、これは国費で支援をしてまいりたいというふうに思っております。

 加えて、徴収の問題ですけれども、調査時点は約一年半前になりますけれども、平成三十年四月一日時点の平成三十年度教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査によると、学校の徴収金の徴収、管理については、公会計化で処理している市町村が二十四、教育委員会事務局が徴収、管理業務を行っている市町村は五十四という状況です。

 学校徴収金の徴収、管理やその他の事務に係る負担軽減については、これが実現できれば年間約十五時間の削減を見込んでいるところです。

 例えばなんですけれども、鳥取市では、平成三十年四月から学校徴収金の公会計化を始めており、各学校においても、これまで教員が教材費の徴収について担っていたところを、学校を経由せずに業者と保護者の間で支払いや徴収などを行う取組が広がっており、教師が現金を扱うことに対する負担感の軽減を始め、徴収した金額のチェックや未納者への催促時間の削減につながっています。

 文科省としましては、学校徴収金について、未納者への督促等を含め、徴収、管理を地方公共団体の業務とすることや学校を経由せずに保護者と業者の間で支払いや徴収などを行う方法など、学校の負担軽減を図る取組の推進について、ことし七月に通知をしたところでありますが、効果的な取組事例については積極的に発信し、横展開を図り、取組を更に広げていきたいと思っています。

城井委員 ここからは、一年単位の変形労働時間制の導入についてお伺いしてまいりたいと思います。

 本日、吉川委員からも質疑がございましたが、何点か大事な点を確認させてください。

 休日のまとめどりに限定して一年単位の変形労働時間制が導入される、こうした認識でよいか。それ以外は考えていないという大臣答弁でしたが、文科省からの答弁でしたが、この点をもう一度確認したいと思います。

萩生田国務大臣 休日のまとめどりに限定して導入するものです。

城井委員 通告を一問飛ばしまして、まとめどり休日は、勤務時間の割り振られない日として一日単位で設定すべきというふうに考えますが、この点いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 そのとおりでございます。

城井委員 もう一点確認をさせてください。

 一年単位の変形労働時間制は、あくまで休日の移しかえであり、これ自体では長時間労働削減にはならない、別の手段による業務時間削減があって初めて長時間労働の是正につながる、こうした認識でよろしいでしょうか、大臣。

萩生田国務大臣 労働基準法に規定されている一年単位の変形労働時間制は、休日の増加による労働者のゆとりの創造等を実現するため、業務の繁閑に応じ労働時間を配分する制度であり、一年単位で考えたときに全体として休日の増加や勤務時間の減少が期待される場合に有効な制度であって、これを単に導入すること自体が日々の教師の業務や勤務時間を縮減するものとは考えておりません。

城井委員 今回の仕組み導入に関して、長時間労働を助長する、あるいは職務命令による業務を肥大化するなどといった懸念の指摘もあります。忙し過ぎる状況を、目をつぶってしまうのではないかというのが、実は野党の国会議員の間にも随分と意見があります。大臣、この点いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 何があってもそうあってはならないと思います。それではもう本当に本末転倒だと思います。今回の休日のまとめどりにより長時間労働を助長する、職務命令による業務を肥大化することは絶対にあってはならないと思います。そのために、文部科学省令において、公立学校で休日のまとめどりのために本制度を活用する場合に指針に従うべき旨を規定することを考えています。

 その上で、指針においては、導入に当たって、指針の上限時間や部活動ガイドラインの休養日や活動時間を遵守すること、終業から始業までに一定期間、いわゆるインターバルでありますけれども、休息時間を確保すること、勤務時間の配分に当たっては、勤務時間の短縮ではなく休日のまとめどりを行うこと、所定の勤務時間の延長は、長期休業期間中等の業務量の縮減によって確実に確保できる休日の日数を考慮して、年度当初や学校行事などで業務量が特に多い時期に限ること、所定の勤務時間を通常より延長した日に延長を理由とした新たな業務の付加はせず、延長したとしても在校等時間が増加しないようにすること、画一的に導入するのではなく、育児や介護を行う者など、個々の事情に応じて適用することを踏まえ、職員会議や研修等については通常の所定の時間内で行うことなどを規定することとしております。

城井委員 いわゆる閑散期の受けとめ、扱いについて、大臣、一つ確認をさせてください。

 きょう、吉川委員の質疑の中では、文科省の局長から、閑散期については一概に判断できない、業務削減を徹底的にやりたい、こうした旨の答弁があったと承知をしております。

 夏休み等の長期休業期間中は、研修、出張、家庭訪問、プール指導、児童生徒対応、補習、進路指導、備品管理、課題研究に加えて、部活動指導や免許更新講習等もあり、かなり多忙であるというふうに考えています。一年を通して閑散期はなく、制度導入の条件が整っていないと言われても仕方ない状況ではないかというふうに思いますが、大臣からの見解を聞かせてください。

萩生田国務大臣 長期休業期間中の教師の業務については、児童生徒が登校せず、実態としても学校閉庁日を設ける自治体が多く見られるなど、比較的穏やかになるものと認識しております。しかしながら、今先生から御指摘がありましたように、プール指導ですとか、あるいは家庭訪問ですとか、進路指導ですとか、さまざまな仕事があることも事実だと思います。

 しかしながら、平日十日間を含む十六日連続の学校閉庁日に取り組んでいる岐阜市においては、教育長が先頭に立って、閉庁期間中の学校は留守番電話設定とし、教育委員会が二十四時間緊急電話で対応するなど、会議、研修などの通常業務を行わないこととすることにより長期間の学校閉庁日を実現しています。

 文科省としては、こうした取組を支えるため、学校閉庁日の設定等を促すとともに、研修の整理、部活動の適正化、高温時のプール指導などの見直しなど、長期休業期間中の業務の見直しを求める通知を本年六月に出したところであり、部活動の大会の日程ですとか、そのあり方についても関係団体に働きかけをしたいと思いますし、また、独立行政法人教職員支援機構の夏季休業期間中の研修日程、これをどかんと真ん中に置かれたのでは全然機能しないと思いますので、七月のうちに行うとか八月の末に行うような形にして、ぜひまとめどりがしやすい環境を後押ししてまいりたいと思います。

 実際に、夏季休業期間における学校閉庁日の取組は広がりつつあるとともに、一部の地方公共団体においては部活動の大会の見直しも進められております。また、教職員支援機構においても来年度は八月八日から十六日の九日間は既に研修を実施しない予定としておりますので、一つ一つ環境を進めてまいりたいと思います。

城井委員 今、業務削減を長期休業期間中にもということで御努力の話をいただいたと思います。

 そうした業務の縮減を教育行政の責任のもと推進しながら、閑散期をつくって、少なくとも夏休み、冬休み、春休み等にまとめどり休日が、教育行政が意図的に指定して確保すべきという考え方があります。この点について、大臣いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 先ほども申し上げましたが、学校閉庁日の設定などを促すとともに、長期休業期間中の業務の見直しを求める通知の発出、また、部活動の大会の日程を含めた、あり方の見直しに関する関係団体への働きかけや、夏季休業期間中の研修日程の見直しを図ること等により、長期休業期間中の業務の縮減を図ることで長期休業期間に閑散期をつくり、休日のまとめどりが可能となる状況をしっかりつくる必要があると考えております。

 国や地方公共団体が本制度によるまとまった休日の期間を一律に指定することは、各学校における授業や行事などの年間計画や教師の個々の事情等があることから難しいと考えておりますが、文科省としては、本制度の趣旨や目的に沿った形で、同じ思いをぜひ共有してもらって、休日のまとめどりに取り組んでいただけるよう、全国の教育長や首長、地方関係団体が集まる会議などさまざまな場を活用して今回の改正の趣旨や意義の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

城井委員 少し飛ばしまして、労使協定の件について私からも確認をさせてください。

 村上委員からも提起済みでありますが、本来は、労使での話合いの場を確保する意味からも、三六協定同様に学校ごとの労使協定を締結するのが筋だというふうに考えます。

 まず、大臣、この筋論についてお聞かせください。

萩生田国務大臣 地方公務員の勤務条件は、住民自治の原則に基づき、住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によって決定することとされております。

 公立学校の教師も地方公務員であり、休日のまとめどりの推進のための一年単位の変形労働時間制は勤務条件に関する制度であることから、勤務条件条例主義にのっとり、労使協定ではなく条例により導入することが必要であると考えております。

 なお、地方公務員法において、職員の勤務条件に関する事項は職員団体との交渉事項であり、法令等に抵触しない限りにおいて、書面による協定を結ぶことができる旨が規定されております。本制度の導入についても、この勤務条件に該当することから、導入に当たっては、各地方公共団体において、職員団体との交渉を踏まえつつ検討されるものと考えています。

城井委員 条例をもって労使協定のかわりとする場合に、本来、労使協定で定めなければならない事項、一つは一年単位の変形労働時間制を適用する職員の範囲、二つ目に一年単位の変形労働時間制の対象とする期間、通常は一年間ですけれども、そして三つ目に特定期間、これは特に忙しい期間、そして四つ目に一年間の出勤日と出勤日ごとの労働時間、五つ目に労使協定の有効期間について、このあたりをどのように明示するか、大臣、お答えいただけますか。

萩生田国務大臣 公立学校の教師も地方公務員であり、休日のまとめどりのための本制度は勤務条件に関する制度であることから、勤務条件条例主義にのっとり、労使協定ではなく条例により導入することが必要です。

 その際、労使協定において定めることとされる、まず、対象者の範囲、対象期間、特定期間、勤務日及び当該勤務日ごとの勤務時間、有効期間などについては、各学校の校長がまず具体的な内容の検討、判断を行った上で、教育委員会と事前に調整を行い、その上で服務監督権者である教育委員会の規則などにおいて決定がなされるものと考えております。

 また、それら具体的な事項を定めるに当たっての根拠や要件などについては各地方公共団体の条例において、また詳細については人事委員会規則において定めることとすることを想定しており、文部科学省としては条例のモデル案をお示ししたいと考えております。

城井委員 私自身ももちろん、民主的コントロールの観点から、勤務条件条例主義も理解しているつもりであります。地方公務員の勤務条件は条例で定めるものであり、労働基準法上の労使協定を結ぶことはできない仕組みであることは、これを踏まえるとしても、一年単位の変形労働時間制を導入することは、勤務時間という勤務条件に関する重大な変更であることは明白です。

 少なくとも、地公法第五十五条の規定による職員団体との交渉事項であり、そして同条の書面協定が可能なものであるとの認識から、教育委員会、校長と職場代表者との話合いの場が確保されるべきだと考えますが、この一年単位の変形労働時間制の導入が地公法第五十五条の規定による職員団体との交渉事項であり、そして同条の書面協定が可能なものだということ、そして、この規定に基づき、教育委員会、校長と職場代表者との話合いの場が確保されるということ、この認識でいいか。

 義務化すべきというのが吉川委員からの指摘でありました。私は、大臣から、これは、今回の法律に基づく部分については確保するのだということを大臣からの指示としてきちんとお示しをいただきたいというふうに思います。局長の答弁では、勤務条件に当たるという答弁をいただいておりますが、これが、いわゆるできるという答弁では、やるところとやらないところが出てくるかもしれません。大事な話合いの場をきちんと確保するということを、大臣、答弁をいただけますか。

萩生田国務大臣 地方公務員の勤務条件は、住民自治の原則に基づき、住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によって決定することとされております。

 繰り返しになりますけれども、公立学校の教師も地方公務員であり、休日のまとめどり推進のための一年単位の変形労働時間制は勤務条件に関する制度であることから、勤務条件条例主義にのっとり、労使協定ではなく条例により導入する必要があると考えております。

 職員の勤務条件に関する事項は職員団体との交渉事項であり、法令等に抵触しない限りにおいて、書面において協定を結ぶことができる旨が規定をされております。本制度の導入についても、この勤務条件に該当することから、導入に当たっては、各地方公共団体において、職員団体との交渉も踏まえつつ検討されるものと考えております。

 また、具体的に今回の制度を活用する対象者を決めるに当たって、校長がそれぞれの教師と対話をし、その事情などをよく酌み取ることが求められております。

 このようなプロセスを通じて、先ほども申し上げましたように、指針を条例に、皆さん、地方自治体にお願いするときに、当然、条例の中にこの思いが入っていなければ、要するに、働く皆さんの意思が全然そこに反映されていなかったら、そんな条例をつくっても職場の環境は変わらないわけですから、当然のことながら、しっかり話合いをしていただいて、共通認識を持って制度を活用していただく必要があると思っていますので、その点は機会あるごとに徹底してまいりたいと思います。

城井委員 最後の質問にしようと思います。

 三年後に行うという二〇二二年度の文部科学省教員勤務実態調査で、持ち帰り業務を含めた勤務実態を把握すべきだと思っています。ただ、必ず行うという担保がありません。本来ですと、法律に明記をすべきだと思います。

 大臣、これを必ず行うと明言いただけるかという点、加えまして、この結果に基づいて給特法を抜本的に見直す、この二つを明言いただけませんか。お願いします。

萩生田国務大臣 三年後の教員の勤務実態調査を行うまでの間は何もしないということじゃありません。法律をお認めいただいたら、直ちに、これが正しく条例で、地方でワークしているかどうかはしっかり抽出をしながら検証していきたいと思います。

 その上で、今回の法制も踏まえて、教師でなければできないことに教師が集中できる環境、これを働き方改革の強力な推進によりつくってまいりたいと思います。業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、三年後に実施予定の勤務実態調査などを踏まえながら、教師に関する労働環境について、給特法などの法制的な枠組みを含む検討を行う必要があると考えておりまして、これは文部科学大臣として必ず行うということをここで申し上げたいと思います。

 昭和四十六年の制定から半世紀が経過している給特法の見直しは大変な仕事です。そのため、検討に当たっては、今後、文部科学省内の、内外の英知を集めて議論を深めるべく、省内で、職務にかかわらず、知見のあるメンバーで検討チームを編成して、幅広い観点から議論する必要があり、文部科学大臣としても先頭に立って検討をしてまいりたいと思います。

城井委員 終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次回は、来る十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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