衆議院

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第10号 令和元年11月27日(水曜日)

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令和元年十一月二十七日(水曜日)

    午前九時十七分開議

 出席委員

   委員長 橘 慶一郎君

   理事 池田 佳隆君 理事 上川 陽子君

   理事 白須賀貴樹君 理事 馳   浩君

   理事 村井 英樹君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      石川 昭政君    上杉謙太郎君

      小此木八郎君    大串 正樹君

      神谷  昇君    神山 佐市君

      木村 哲也君    柴山 昌彦君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      高橋ひなこ君    谷川 弥一君

      出畑  実君    中村 裕之君

      根本 幸典君    福井  照君

      船田  元君    古川  康君

      古田 圭一君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    吉良 州司君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      初鹿 明博君    牧  義夫君

      村上 史好君    山本和嘉子君

      吉川  元君    伊藤  渉君

      太田 昌孝君    高木 陽介君

      鰐淵 洋子君    畑野 君枝君

      足立 康史君    笠  浩史君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   外務大臣政務官      中山 展宏君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    青山 周平君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菅家 秀人君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福田 正信君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高田 陽介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           大隅  洋君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 柳   孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         串田 俊巳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   山崎 雅男君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    瀧本  寛君

   参考人

   (独立行政法人大学入試センター理事)       義本 博司君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  櫻田 義孝君     木村 哲也君

  中村 裕之君     堀内 詔子君

  宮路 拓馬君     神谷  昇君

  菊田真紀子君     初鹿 明博君

  鰐淵 洋子君     伊藤  渉君

  森  夏枝君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     古川  康君

  木村 哲也君     櫻田 義孝君

  堀内 詔子君     牧島かれん君

  初鹿 明博君     菊田真紀子君

  伊藤  渉君     太田 昌孝君

  足立 康史君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     宮路 拓馬君

  牧島かれん君     務台 俊介君

  太田 昌孝君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     高橋ひなこ君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     中村 裕之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件(高大接続改革)


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件、特に高大接続改革について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人大学入試センター理事義本博司君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菅家秀人君、内閣府大臣官房審議官福田正信君、警察庁長官官房審議官高田陽介君、外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官大隅洋君、文部科学省大臣官房長柳孝君、大臣官房総括審議官串田俊巳君、大臣官房文教施設企画・防災部長山崎雅男君、総合教育政策局長浅田和伸君、初等中等教育局長丸山洋司君、高等教育局長伯井美徳君及びスポーツ庁次長瀧本寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。上杉謙太郎君。

上杉委員 おはようございます。ありがとうございます。自民党の上杉謙太郎でございます。

 質問の機会をいただきまして、諸先輩先生方に感謝を申し上げたいというふうに思います。ありがとうございます。

 まず冒頭、台風十九号で被災された皆様に改めてお見舞いを申し上げたいというふうに思います。また、小学生を含めまして、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 きょうは、文部科学行政の基本施策(高大接続)ということでありますので、この台風十九号に係る、いろいろ、被災、大変な状態でありました。その中でも、学校関係施設も被災をしたということがあります。そういったところの台風十九号について前半、また、災害がふえたこの日本でありますから、子供たちの防災教育、また防災、防犯、交通安全、そういったことも非常に大切でありますので、そういったところを中盤、そして最後は、後半の方で高大接続についてお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、台風十九号でありますけれども、私、福島県であります。福島県も大変な被害がございました。河川が決壊をして水が流れて、河川も壊れましたし、道路も壊れた、農林水産業も、商工業、小規模事業者、病院、いろいろなところが壊れております。

 そういった中で、学校も被災をしておりますので、まず、文科省さんに、被災した学校の状況について教えていただけますでしょうか。

山崎政府参考人 お答えします。

 今般の台風十九号による国公私立の学校施設への被害につきましては、十一月二十五日時点で、物的被害として二千百三十校の被害が報告されております。このうち、幼稚園、小学校、中学校、高校などの学校施設の床上、床下浸水などの浸水被害につきましては、都道府県教育委員会等から報告のあった学校は百五十九校となっております。

 また、公立学校の再開の状況につきましては、十月十五日時点で二百八十四校が休校しておりましたけれども、十一月六日時点で全ての学校が再開しております。

 なお、ほかの学校の校舎を間借りして再開している公立学校は、十一月二十五日時点で八校となっており、もとの学校での再開に時間を要する学校も残っているという状況でございます。

上杉委員 ありがとうございます。

 学校は全部再開したということで、ほっとするところでありますが、その今の八校については、間借りされて今授業をしているということであります。復旧には、今は、河川の改修ですとか、土砂もありますし、いろいろなところで復旧工事等々で地元の建設業者さんもいっぱいでありますので、なかなか進みづらいのかもわかりませんが、なるべく年内、また時間がかかるものでも年度内に全て改修が終わって、また子供たちがしっかりもとの自分の学校で授業ができるように、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 小学校、中学校というのは大体避難所に指定されているわけであります。しかしながら、避難所に指定されて避難したいのにそもそもそこの体育館まで浸水してしまって避難所に使えなかったというような事例もあるわけでございます。全国で全部というと集計も大変でありますから、今おっしゃっていただいた八校のうち、そういったところは何校ございましたか。

山崎政府参考人 お答えします。

 先生おっしゃった、ほかの学校の校舎を間借りして再開している八校の公立学校のうち、水害時の避難所に指定されていた学校は二校となっております。そのうち、避難所に指定されていたけれども、校舎や体育館の床上浸水により避難所として使用できなかった公立学校は一校ということになっております。

上杉委員 ありがとうございます。

 八校の中で一校だったということで、十数%ということでありますけれども、全体で見ますと、各都道府県で被災した、浸水した地域の小中学校においては、数多くあるでしょうから、いずれにしましても、学校の改修をどんどん進めていかないといけないということでありますので、学校についてはしっかりと国の負担で改修できると思いますが、じゃ、その仕組みについて御説明いただけますか。

山崎政府参考人 お答えします。

 今般の台風十九号により、広範囲にわたって学校施設に甚大な被害が発生しており、被害を受けた学校施設の早期復旧は、学校教育の円滑な実施を確保する観点から重要であるというふうに認識しております。

 被災した公立学校施設の復旧については、従来より、公立学校施設災害復旧費国庫負担法等により国庫補助を行っております。今般の台風十九号につきましては、激甚災害に指定され、公立学校施設災害復旧事業の補助率のかさ上げや私立学校施設の災害復旧の補助対象化など特別の措置が講じられることになりました。

 また、国による現地調査を待たずに復旧工事に着手することも可能となっており、その旨、各学校設置者に周知しておるところでございます。

 さらに、文科省の災害復旧の担当者が現地に赴きまして現地相談会を開催するとともに、入札契約の手続の簡素化、迅速化に当たっての留意点等について周知しているところでございます。

 文科省としては、引き続き、設置者からの要望を伺いながら、子供たちが一日でも早く日常を取り戻すことができるよう、学校施設の早期復旧に向け、被災地に寄り添った支援を最大限行ってまいる所存でございます。

上杉委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 今回の被災において、文科省さんも被災地入りをしていただきました。本当にありがとうございました。

 その復旧に当たって、特に、体育館は避難所になっていて、今、秋でありましたから気候的にはそこまででありますけれども、例えば、夏であれば体育館は非常に暑いわけであります。冬だと非常に寒いわけであります。

 そこで、公立の小中学校の体育館で既に冷暖房設備が整っている学校はどのくらいありますか。

山崎政府参考人 お答えします。

 文科省では、公立小中学校における児童生徒の熱中症対策として、平成三十年度第一次補正予算におきまして新たな臨時特例交付金を創設し、まずは児童生徒が最も長時間を過ごす普通教室を優先的に措置し、さらに、地方公共団体が希望する全ての特別教室への空調の設置も措置したところでございます。

 令和元年九月一日現在のフォローアップ調査によりますと、公立小中学校における普通教室の空調設置率は七七・一%、特別教室の空調設置率は四八・五%となっておりまして、普通教室の設置率につきましては、今年度末には九割に達する見込みとなっております。

 一方、同調査では、公立小中学校の体育館の空調設置率は二・六%となっているところでございます。

上杉委員 ありがとうございます。

 教室、全体で七七・一%ということで、東北の方はまだ数字が低くて、私の福島県だと五〇%台だったと思います。一方で、関東の方から西の方はほぼ九〇パー、一〇〇パーに近い設置になっておりますので、まず、学校の中では教室が優先でありますが、教室は教室でそのまま進めていただいて。

 ここからちょっと提案になるんですけれども、これだけ災害がふえてきて、地域において小学校、中学校の体育館というのは非常に避難所として使えるわけでありますし、指定されているわけであります。

 そうすると、避難してきたのに、もし夏であれば、暑くてそもそも夜を越せないということもありますし、冬であれば本当に寒いですから、福島県も寒いわけでありますし、冷暖房、エアコンみたいな空調だと非常にその設置にも費用がかかってしまうわけでありますが、しかし、ここは、これから異常気象が常態化する可能性もあるわけでありまして、毎年毎年、台風なり何かしらの被害があるかもしれない、避難するということがあるかもしれない。そういったときに、避難所としてしっかり小学校を整備していく必要があるというふうに考えております。

 ちょっとコストもかかってしまいますけれども、ぜひ、小学校の体育館に冷暖房を設置する、そういうことが必要だというふうに思うんですけれども。

 また、避難所としても使えますし、地域の小学校は、子供たちが、スポーツ少年団にしろ、放課後、土日に練習をして、剣道もそうでありますし、バレーボール、バスケットボール、体育館でやるのもそうでありますけれども、暑いんですよね、夏とかは。ということは、子供たちの教育という点もそうでありますし、地域の中ではママさんですとかお年寄りの方とかが小学校、中学校の体育館を使ってスポーツをやっている。ママさんバレーですとかバスケットとかあるわけでありますから。

 いずれにしても、避難所のためだけにつけるというわけではなくて、子供たちの学校の体育とかでの環境整備という点でも、また地域の振興とかそういう点でも設置していくべきだというふうに思うんですけれども、今後前向きに検討していただけませんでしょうか。よろしくお願いします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 学校は、子供たちの学習、生活の場であるだけではなく、災害時の避難所となる重要な施設だと認識しております。

 令和二年度の概算要求におきましては、深刻な老朽対策など課題が山積する中、全国的に地方公共団体の要望が多い特別教室の新設事業を優先することとし、予算確保に最大限努めてまいりたいと思っております。

 また、避難所に指定されている公立小中学校の体育館への空調設備につきましては、防災の観点から緊急防災・減災事業債を周知しており、引き続きその活用を促してまいりたいと思います。

 その上で、体育館の空調設備につきましては、学校設置者である地方公共団体が設置するものでありますから、地方公共団体のお考えをよくお聞きしつつ把握していきたいなというふうに考えております。

上杉委員 ありがとうございます。

 そうですね、総務省さんのそのメニューを使って、自治体さん、教育委員会等に促していってもらいたいというふうに思います。

 また、全部の小中学校、避難所に指定されている学校は全学校のうち九六%あったと思いますので、ちょっと、費用的、予算的にも全部つけるのは難しいと思うんですよ。そうすると、自治体の中で、広域、広い自治体であれば、こことこことここの小学校で大体全体を網羅できるような形で、自治体さんで計画を立てて、体育館を改修するときに冷暖房の設備もつけるですとか、新しい体育館をつくるときにつけるですとか、いろいろと検討していっていただいて、いずれにしても、今、二・六%ということでありましたから、順次、さまざまないい形をとって進めていってもらいたいというふうに思います。

 あと、災害に関して二点伺いますが、一つ、今回、小学校が浸水してしまいましたから、教科書が使えなくなってしまった子もたくさんいたわけであります。でも、授業を再開しないといけない。

 国の負担で教科書はもう一度、再給付してもらえるものだと思いますけれども、状況はいかがでございましょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の教科書の再給与でございますけれども、今般の台風などの災害で災害救助法が適用された地域において教科書が滅失又は毀損するなどの被害を受けた児童生徒に対しては、同法の規定に基づきまして教科書を無償で給与することとされており、それに要する経費については所要の国庫負担がなされることとなっております。

 今回の台風十九号によりまして災害救助法適用地域において滅失又は毀損した教科書は、都道府県教育委員会等の報告によりますと、十一月二十六日時点において、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校用合わせて一万三千八百四十冊でございます。これについては、既に全ての被害を受けた児童生徒に新しい教科書が給与されている状況でございます。

上杉委員 ありがとうございます。速やかな対応、ありがとうございました。

 あと、台風始め災害に当たっては、政府の方では内閣府の防災担当が災害に対してやっているわけでありまして、文科省さんの方でしっかり内閣府さんと連携して今後やっていってもらいたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

浅田政府参考人 学校防災につきましては、各学校が立地している地形、地質といった自然環境や社会的条件などを踏まえて対応を進める必要があります。このため、文部科学省としても、関係省庁と連携して、災害や防災に関する最新の知見に基づく取組を進めることが重要と考えております。

 こうした観点から、特に内閣府との間ではさまざまな連携を図っています。具体的には、地域や学校での先進的な防災教育の取組に対して助成や表彰等を行う内閣府主催の防災教育チャレンジプランに協力しているほか、平成三十年七月豪雨を受けて警戒レベル一から五を用いた防災情報の伝達手法が導入されたことに伴い、内閣府からの依頼を受けて、各学校における災害時の避難確保計画の見直しや避難訓練の実施などを各教育委員会に要請したり、あるいは、学校を対象として、土砂災害を想定した効果的な避難訓練や防災教育を実施する内閣府のモデル事業に協力を行うなどしているところです。

 今後とも、内閣府防災担当を始めとする関係省庁と緊密な連携を図りながら、学校における防災の取組を推進してまいります。

上杉委員 ありがとうございます。そうですね、ぜひお願いしたいというふうに思います。防災担当の内閣府の方で決まったことを文科省さんに落とし込むと防災教育ということでしょうから、ぜひお願いしたいと思います。

 そのまさに防災教育なんですけれども、国土強靱化、今進めておりますけれども、これがハード面であるとすれば、防災教育というのはソフト面だというふうに思うんですね。子供たちみずからに、しっかりと防災教育をして、主体的に子供たちが自分でしっかり避難ができるですとか判断ができる、そういう力を育んでいくことが必要だというふうに思っております。

 お手元に資料を一枚お配りをさせていただきましたが、「「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」というものなんですけれども、これは一枚ぺら両面になっていますが、もとがこちらのパンフレットでありまして、しっかり文科省さんは、こんな分厚い防災教育の冊子をつくって、各学校、校長先生始め、指導してくださっております。非常にありがたいんですけれども。

 そこで、今実際に防災教育ということで文科省さんがやっていらっしゃる取組を教えていただけますか。

浅田政府参考人 防災を含む安全教育は、一つには、子供たち自身の生涯にわたる安全に関する資質、能力の基盤を培うものであると同時に、そうした力を身につけた子供たちが地域の一員としてさまざまな場面で活躍することを通じて、地域社会全体の安全意識の向上や、安全で安心な地域づくりに寄与するといった意義も担っております。

 各学校では、それぞれ地域の特性や児童生徒の状況も踏まえながら、各教科あるいは学級活動、学校行事など、安全教育につながるさまざまな学習の機会を通じ、児童生徒がみずからの身を守り、主体的に行動できる力を育むように指導を行っているところです。また、地域の安全マップづくりや避難訓練、応急手当ての実習なども広く行われております。

 文部科学省としては、今後ともこうした安全教育、防災教育を推進していきたいと考えております。

上杉委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 少し踏み込んでやってもらいたいのが、子供たち向けにしっかりパンフレット等をつくって、例えば、防災のパンフレットは、都道府県さんだったり自治体さんがつくってくださっているんですけれども、基本的には大人向けなんですよね。子供向けにつくらないと、避難指示ですとか避難警告ですとか、多分わからないというふうに思うんですね。そういった意味で、ぜひ子供向けのパンフレットを作成するということ、これは自治体さんなり都道府県がすることであれば、文科省さんの方で指導していくということが必要だと思うんですね。

 以前も出しましたけれども、「たいせつないのちとあんぜん」ということで、この中に防災ということが入っていますけれども、もっと踏み込んだ、本当に防災に特化したパンフレットをつくっていただくことが、子供たちがみずから命を守っていくことにつながるというふうに思いますので、お願いをしたいというふうに思います。質問しようと思っていたんですけれども、時間も過ぎてきたので、お願いだけさせていただきます。

 続きまして、特に、地域の中で子供たちを守っていくということであれば、文科省さんでやっているコミュニティースクールという制度があるというふうに思います。これは、地域で子供たちを育てていこうという制度でありますけれども、校長先生主体に。地域のさまざまな方々に入ってもらう、親御さんもそうでありますし、警察も消防もであります。

 防災という切り口から考えた場合に、この中に消防団の方々をぜひ入れて、より一層踏み込んだ防災をやっていけるようになると思うんですけれども、そのお考え、お聞かせいただけますでしょうか。

浅田政府参考人 コミュニティースクールは、学校運営協議会制度を導入した学校のことですけれども、これは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づいて、保護者や地域住民が一定の権限を持って学校運営に参画できる仕組みです。具体的には、校長が作成する学校運営の基本方針の承認を行うといった役割を担っております。

 このコミュニティースクールは、地域のさまざまな方々の声を学校運営に反映させるという上で非常に有効な取組であると考えております。御指摘のように、地域の防災関係者など、さまざまな分野の方に御参画いただくことも考えられます。

 文部科学省としては、そうした地域と連携して防災教育に取り組んでいる事例を、例えば、地域とともにある学校づくり推進フォーラム、あるいは教育委員会担当者の説明会などを通じて他の自治体にも紹介するなどして、一層の取組を進めてまいりたいと考えております。

上杉委員 よろしくお願いします。

 踏み込んだ防災教育という点で、消防団の方々って、団の組織ってすごい細かく分かれているんですよね。小学校の学区よりももっと細かく班分けされている。登校班並みに分かれているわけであります。小学校の登校ルートと避難ルートって違うと思うんですよね。自分が通っている小学校が避難所になっていて、自分の学校に避難するとはいっても、例えば川沿いだったり、川の土手の道が通学路になっているということもあるわけでありますよね。思い切り雨が降ってきて、河川が氾濫しているところを、そこを、通学路になると、通れないじゃないですか。そうすると、通学路と避難ルートというのは違うと思いますので、より踏み込んで、実際に河川が決壊した、津波が来たというときに、ここまで浸水する、ここの地域は浸水するから、ここは通れないからこっちの道を通るんだよということを、消防団の方々とか親御さんとか子供たち交えて、防災マップとか使って、こういうルートで行こうみたいな、実践的なプラクティスをしたら非常にいいと思うんですよね。

 ぜひそういうことをやっていってもらいたいというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。

浅田政府参考人 自然災害というのは、子供たちが学校にいる時間帯に起きるとは限らなくて、例えば登下校中とか家にいるとき、地域にいるとき、いろいろなときに発生する可能性があります。したがって、日ごろから、そうしたことを念頭に置いて、地域と十分連携、協働した防災教育を推進することが大事だと考えております。

 先ほど御紹介いただきました学校安全資料「「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育」においても、例えば、コミュニティースクールの活用などを通じて、学校安全の観点を組み入れた学校運営や地域ぐるみの防災への取組といった連携体制づくりを進めるように促しているところです。

 例えば、コミュニティースクールの活用の例で、地域住民や消防団、防災部局と連携して協力体制を構築して、今おっしゃいましたような地域のいろいろな安全マップとか、そういったものを踏まえ、地域の実情を踏まえて、そういった取組、効果的な防災教育を行っている事例も実際ございます。

 今後も、こうした実践例も踏まえて、地域人材等を有効に活用した学校安全の取組を推進していきたいと考えております。

上杉委員 ありがとうございます。

 今、消防団の方々は、今回の台風でも非常に活躍をしてくださいましたので、消防団の方々、総務省の管轄になるかもしれませんけれども、総務省、内閣府そして文科省と各自治体と連携をして、ぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、子供たちの安心、安全という点では、災害に対しては防災でありますし、あともう一つは、犯罪に対しては防犯であります。もう一つ、車、交通安全ですね、車社会に対しての安全ということで交通安全、この三つがあるというふうに思っております。

 関連してちょっと質問させていただきますけれども、交通安全についてであります。

 以前、保育園の生徒さんがお亡くなりになったというような事例もございました。本年、小学生以下の子供の交通死亡事故というのは何件ぐらい発生していますか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 本年十月末現在の小学生以下の子供の交通事故死者数は三十六人となっております。このうち、小学生は十五人で、通学中に三人の方が亡くなっております。また、小学校入学前の幼児が二十一人で、通園中に二人の方が亡くなっております。

 歩行中、自動車乗車中、自転車乗用中といった状態別では、歩行中が十八人と全体の半数を占め、うち、小学生が六人、幼児が十二人でありました。次いで、自動車乗用中が十三人、自転車乗用中が五人ということになっております。

上杉委員 ありがとうございます。

 歩行中なんというのは、あってはいけないことですよね。一〇〇%子供に責任ないわけでありますから、文科省さんも警察庁さんもうたっておりますが、本当に子供の交通死亡事故はゼロを目指すべきだというふうに思います。資料の中には限りなくゼロを目指すと書いてありまして、限りなくじゃなくて必ずゼロを目指すですよ、絶対に。

 と思いますので、大臣にお伺いしたいんですが、ぜひ、子供の交通死亡事故は限りなくじゃなくて必ずゼロを目指すべきだというふうに思っておりまして、大臣のお考えを、御決意を伺わせていただけますか。

萩生田国務大臣 子供たちを交通事故から守ることは、学校安全の視点として極めて重要であり、平成二十九年に閣議決定された第二次学校安全の推進に関する計画でも、学校の管理下における児童生徒の死亡事故を限りなくゼロにすることを目指すとしています。

 本年五月、大津市で発生した事故を受けて、文部科学省として直ちに、幼稚園及び特別支援学校幼稚部の安全管理の徹底についての通知を発出するとともに、六月から、全国の全ての幼稚園を対象に、未就学児が日常的に集団で移動する経路の緊急安全点検を実施したところです。引き続き、その進捗状況も踏まえつつ、取組の促進を図ってまいります。

 また、通学路の安全確保の強化のため、従来から、地域や学校の見守り活動の指導役であるスクールガードリーダーの配置などの補助事業を進めております。今年度からは、都道府県、指定都市だけでなく各市町村も直接事業を実施できるようにしたところですが、今後更に事業の充実を図りたいと考えております。

 今後とも、関係機関と十分連携し、子供たちの安全の確保、死亡事故の防止に取り組んでまいりたいと思います。

上杉委員 大臣、ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 微力ではありますが、私もお手伝いできることをぜひさせていただきたいというふうに思います。

 現状、通学路でありながら横断歩道がないところを渡らせている、そういう登校ルートもありますし、歩道がないところ、ダンプも通るような道を通学路に指定しているという事例も多々あります。通学のときだけでもそういうこともあるわけでありますし、車社会でありますから、限りなくではなくて、必ず死亡事故、毎年毎年ゼロを目指して進めていっていただきたいというふうに思います。警察庁さんもよろしくお願いします。

 時間が随分なくなってきてしまいまして、まだたくさんきょうは用意してきたんですけれども、防犯に関して最後一点だけ。

 犯罪に対しての防犯というのは、今まで、リアルの世界の、怪しい人に声をかけられたらついていっちゃだめですよ、そういうこともありましたけれども、今、デジタル世界での防犯というのも大事になってきておりますよね。なので、そこをちょっと、提言、お話を伺いたいんですが。

 今、子供たちも、みんなスマホを持ったりですとか、オンラインゲームとかでネットで、それでこの現実の世界で会ってしまったとか、いろいろ出てきているわけでありますので、サイバー空間というんですか、デジタル世界というんですか、そういうところにおける、子供たちを犯罪から守っていく、そういう防犯教育というのも新たに必要になってきたわけであります。既に取り組まれていると思うんですけれども、より一層進めていくべきだというふうに思うんですけれども、現状を教えていただけますか。

浅田政府参考人 御指摘のとおり、例えばSNSなどを通じて子供たちがトラブルに巻き込まれるというケースが近年増加傾向にあると認識をしております。

 文部科学省では、子供たちがインターネットなどを通じて犯罪被害やトラブルに巻き込まれないように、情報モラル教育を充実するために取り組んでおります。

 例えば、スマートフォンなどをめぐるトラブルの事例や対処方法のアドバイスなどを盛り込んだ児童生徒向けの啓発資料の作成、配付、あるいは、情報モラルに関する指導の充実を図るため、教師用の指導資料等の作成と教育委員会等への配付、また、警察庁と連携した、実際のインターネットを通じた犯罪被害の事例を盛り込んだリーフレットの作成、周知、インターネットの利用に関する家庭でのルールづくりなどを推進するための、PTA等と連携した保護者向けのシンポジウムの開催といった取組を行っているところです。

 学校、教育委員会に対しても、日ごろから、警察などの関係機関と連携して、子供たちの安全を確保する体制を整備するよう促しておりますが、引き続き、関係各機関と連携して取組を充実していきたいと考えております。

上杉委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 もう質問の時間が来てしまいましたので、最後に、高大接続、全然説明できないで質問してしまうことになりますが。

 今回の大学入試改革は、文科省さんも、善意といいますか、子供たちの未来を考えて始めてきたものであります。野党の皆さんの御指摘もまさにそうであるというふうに思います。

 そういった中で、ぜひ、大臣にはリーダーシップを発揮してこれからしっかりと進めていってもらいたいというふうに思いますので、ひとつお考えをお教えいただいて、質問を終わりたいというふうに思います。お願いします。

萩生田国務大臣 委員会などでもさまざまな御指摘をいただいております。

 必要な採点者数をしっかり含め、採点体制などの詳細について、現在実施している採点に関する準備事業の結果も踏まえて、しっかりとした体制づくりに努力をしてまいりたいと思います。

上杉委員 ありがとうございます。

 質問を終わります。

橘委員長 次に、宮路拓馬君。

宮路委員 自由民主党の宮路拓馬でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 今ほど上杉委員が最後に質問された高大接続、私は、この問題についてのみ、絞って質問をさせていただきたいと思います。もう本委員会でもたび重なる議論が重ねられてきたところではございますが、重複もあろうかと思いますが、質問をさせていただきます。

 平成二十五年、教育再生実行会議の第四次提言を受け、そして、それを受ける形で中央教育審議会において答申が出されました。教育改革最大の課題でありながら実現が困難であった高大接続改革を初めて現実のものとするための方策として示されたこの高大接続改革、その目的についてまずお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、文部科学省において取り組んでおります高大接続改革は、大学入学者選抜改革のみならず、高校教育と大学教育との一体的な改革を行うものでございます。

 具体的には、子供たちが未来を切り開くために必要な資質、能力の育成を目指して教育課程の見直しなどを行う高校教育改革、それから大学教育の質の向上を行う大学教育改革とともに、それをつなぐ大学入学者選抜改革を一体的に推進をしているところでございます。

宮路委員 それでは、その高大接続改革の目的を達成するための取組についてお伺いをしたいと思います。具体的取組です。

伯井政府参考人 グローバル化や技術革新の大幅な進展等の社会構造の変革期におきましては、高校教育、大学教育、大学入学者選抜を通じて、学力の三要素、これは知識・技能、思考力・判断力・表現力、それから主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度、この学力の三要素を確実に育成、評価する、三者の一体的な高大接続改革が重要であるというふうに認識しております。

 そのため、文部科学省においては、まず、高等学校教育改革につきましては、学習指導要領の抜本的な見直しを図り、昨年三月に高等学校学習指導要領の改訂を行った。また、大学教育改革につきましては、三つの方針、これは卒業認定・学位授与、教育課程編成・実施、入学者の受入れの三つの方針の一体的な策定、公表の制度化を二〇一七年四月に施行したこと。さらに、大学入学者選抜改革につきましては、二〇二〇年度からの大学入学共通テストの実施に向けた対応を進めているところでございます。

 高大接続改革は、新たな時代を切り開く人材を育成するために極めて重要な改革でございます。改革の着実な実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。

宮路委員 その取組として、高等教育改革、大学教育改革、そしてそれをいわば接続する、かけ橋となる大学入学者選抜の改革、ここが今般最もクローズアップされて取り上げられているところでありますが、その大学入学者選抜、本来、大学がどのような学生を求めるかというのは、各大学においてしっかりと吟味され、そしてその大学の考えに基づいて、いわゆるアドミッションポリシーとして大学入学者を選抜するということでありますので、本来であれば、その大学が一気通貫、学生の選抜に当たるのが本筋なんだろうと思います。

 ただ、私も今般質問に立たせていただくに当たっていろいろ勉強させていただきましたが、昭和の時代に、いろいろ経緯があって共通一次試験が導入された。そして、平成二年、それがセンター試験に移行した。私は、まさにセンター試験世代、平成世代で、受験を経験したわけでありますが、その共通一次試験、そしてセンター試験が導入されてきた経緯、背景というものについてお尋ねをさせていただきます。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 共通第一次学力試験導入以前におきましては、各大学が実施する一回限りの学力試験によって合否が決められることが多く、さらに、そこは難問奇問の出題というのが多く見受けられました。そこで、共通第一次学力試験は、高校教育における基礎、基本を問う良問を提供し、国公立大学の共通の一次試験として実施するとともに、これに加えて、各大学が個別試験において専門的な知識を問う学力検査、小論文、面接等を実施することによって受験生の能力、適性を多面的に判定できるよう、昭和五十四年度入学者選抜から導入されたものでございます。

 しかしながら、この共通第一次学力試験につきましては、利用大学が国公立大学のみだったことから、国公立大学のみの入試改善にとどまってしまったことなどの問題点が指摘されるに至りました。

 こうした問題点を克服し、さらなる改善を図るという観点から、受験生の能力、適性等の多面的な判定や、国公立大学のみならず私立大学も含めた各大学の入学者選抜の改善に積極的に寄与するものとして、大学入試センター試験を平成二年度入学者選抜から実施することとしたところであります。

 この大学入試センター試験は、国公私立の全ての大学が利用することができ、さらに、その利用方法も、各大学の創意工夫により自由に設定できる、いわゆるアラカルト方式を採用したものでございます。

宮路委員 今ほど御説明いただきましたように、共通一次試験導入前は各大学が個別の試験を行っていた。しかし、難問奇問が続出し、そしてまた、それがゆえに学習指導要領で高校生に求められる能力が適正にはかられていないのではないか、そういう問題意識から共通一次試験が導入され、そして、それを私学にも範囲を拡大させるべくセンター試験に移行したということで理解をしております。

 私学の中には、センター試験を活用していない私学もあります。それはまさに、アラカルト方式と今御説明ありましたが、使う、使わない、そして、使うとしてどの部分を使うかというのは大学に委ねられている、まさにアドミッションポリシーに基づいて各大学が判断しているということだろうと思います。

 高大接続の問題に入らせていただきますが、そうだとすれば、今回の問題となっております英語の民間試験の導入について、既に三割程度の大学において民間試験が入学者選抜の一環として使われているという中で、その割合をふやしていくことによって、今回、英語の四技能であります読む、書く、聞く、話す、特に話すという部分を試験することが大変難しいという中において、英語の民間試験の活用という議論が出てきたというふうに認識をしておりますが、英語の民間試験を導入する大学をどんどんふやしていく、その割合をふやしていくことを推進するという考えもあるところでありますが、今回、あえて大学入試英語成績提供システムとして、英語の民間試験を活用することを国として主導した理由についてお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 英語によるコミュニケーション能力の向上というのは喫緊の課題でございます。大学入試において、英語の読む、聞く、話す、書くの四技能を評価することは必要である。

 一方で、英語に関しては、約五十万人規模で同一日程一斉実施型試験による共通テストとして、話す、書くといった能力を含めた試験を実施することが極めて困難であることなどを踏まえて、あくまでもこれは各大学の判断によりますが、大学入試において四技能を評価することができるよう、現に民間事業者等により広く実施され、高校教育や大学入試で活用が進んでいる資格検定試験の活用を支援する大学入学英語成績提供システムを導入することとしたものでございます。

 このシステムの導入によりまして、受験生は、志望する大学学部等ごとに資格検定試験実施主体に成績証明書の発行を請求し受領した上で、それを各大学に提出するという手続が不要になる、各大学は、受験生が提出する成績証明書の確認、成績情報の入力作業等の事務作業が縮減されるという利点があるというふうにしていたものでございます。

宮路委員 つまり、先ほど申し上げたとおり、現に三割程度の大学が英語の民間試験を既に入試の中に導入している、その大学の割合をふやしていくという手もあるけれども、しかし、それを全面的に進めるために、あえて国が今般の大学入試英語成績提供システムを導入することによって、より各大学がそうした民間試験の活用を図りやすい環境を整えることがその趣旨であったというふうに理解してよろしいでしょうか。

伯井政府参考人 御指摘のとおりでございます。

宮路委員 やはり英語の四技能、読む、聞く、話す、書く、これが求められるというのは、本委員会の委員の方々も含め、あるいは、これは恐らく全国民がそれはそうだと納得しているところであると思います。ただ、言うはやすし行うはかたし、それをいかにして判定していくかというのは非常に難しい問題である中で、今般、大学入試英語成績提供システム、この導入を図ろうとしたということについては理解いたしました。

 ただ、まさに英語の民間試験導入を決定していたところ、先般、大臣の方でその延期を表明された。その延期を表明するに至った背景、理由について改めてお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 この大学入試英語成績提供システムにつきましては、文部科学省が民間試験団体の取組を十分に指導監督することができるようなたてつけ、制度設計となっておらず、かつ、その連絡、調整が実際にも十分でなかったことから、各大学の活用の内容、民間試験の具体的な詳細事項等の情報提供不足など、準備のおくれにつながることとなりました。

 また、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような配慮が結果として十分なものになっていなかったということによりまして、来年度からの導入を見送るという判断をしたところでございます。

宮路委員 大臣の方からもありましたとおり、英語の民間試験の導入については今後一年をめどに検討するということでしたが、今後どのような検討を行っていくのかについて改めてお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 ただいま御指摘いただきました今後設置する予定の検討会議の具体的な論点につきましては、早急に検討してまいりたいと考えておりますが、まず、大学入学共通テストや各大学の個別試験の中での英語四技能評価をどのようにしていくのか、さらに、経済的な状況や居住地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような配慮が十分なのかなどを柱として、高校、大学関係者などの意見をさまざま聞きながら、今後一年を目途にしっかりと検討してまいりたいと考えております。

 その際、システム導入が延期となった要因や、導入に当たって指摘された課題についても検証し、英語四技能を適正に評価するシステムを国が責任を持って実施できる体制について、しっかりと検討していきたいというふうに考えております。

宮路委員 この大学入試改革、大学入試英語成績提供システムがある意味しっかり整えられたとして、それを活用する大学がしっかり出てこなければ、これは仏つくって魂入れずということであろうと思います。

 今般、各大学がなかなかそのシステムの活用について態度を表明しなかった状況、あるいはまた活用しないということを表明する大学もあったということ、恐らくその大学関係者も、四技能が非常に重要だ、それをはかることが求められているということについては共通の認識があるんだろうと思います。しかしながら、それがなかなか広まらなかった。

 大学がそれを活用するとしなければ、結局意味がありません。やはり、高校生も大学入試を一つの目標として勉強をするわけですし、その中で、聞く、話す、特に話すの部分が結果として求められないのであれば、そこに割くリソースというのは割かれないことになってしまうでしょうから、やはり、多くの大学が、読む、聞く、書く、話す、その四要素をはかる試験をしっかり課す、学生に求めていくという状況をつくることが肝要でありますので、大学にしっかりと活用されるシステムとすべく検討を進めていただきたいと思います。

 続いて、記述式試験の導入についてお伺いをしたいと思います。

 先ほどの英語の民間試験の活用と同様に、現在においても、記述式試験を導入している大学というのは当然ございます。これが、文科省の調査では四割の大学にとどまっているという調査があり、一方で、東北大学が行った調査では九割弱の大学が記述式を課していると。記述式をどう捉えるかというところで大きな隔たりがあったがゆえの乖離だとは思いますが、いずれにせよ、既に記述式を課している大学はあるわけであります。

 先ほどの英語の民間試験と同様に、記述式を課す大学をふやしていく、つまり、入試においてちゃんと記述式の試験をしっかり行ってください、そういうやり方もあると思うところでありますが、こちらについても、改めてお伺いしますが、今回、記述式を共通テストにあえて導入しようとした理由についてお伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 共通テストか個別選抜かにかかわらず、みずからの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述することが必要な記述式問題の導入は重要であるというふうに考えております。

 その上で、今も御指摘いただきましたが、国立大学の二次試験において、国語、小論文、総合問題のいずれも課さない学部の募集人員が平成二十八年度入試で全体の六割程度となっていたということから、令和二年度からの大学入学共通テストにおいて記述式問題を導入するということとなったわけでございます。

 文科省といたしましては、共通テストと個別選抜双方において、それぞれの特質を踏まえながら記述式問題の充実を図ることが重要であり、それにより、高校教育だけでなく大学教育の改革充実にも好影響を与えることが期待できるというふうに考えております。

宮路委員 個別試験だけではなく、共通試験においてもやはり記述式を求めることがふさわしい、そういう議論を重ねた結果の考えだということでありましたけれども、しかし、記述式については、本委員会でもこれまでの質疑においてさまざまな課題が指摘されているところであります。

 まず、その指摘されている課題について文科省としてどのように認識しているのか、お伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 記述式試験につきましては、大学入試センターが実施した試行調査におきまして、平成三十年度の試行調査では、国語で約〇・三%、数学で約〇・〇三%程度の採点結果の補正が必要なものが生じたということが一つございます。さらに、国語の採点結果と自己採点の一致率が平成二十九年、三十年度とも六割から七割程度、裏返せば不一致が約三割程度あったというふうに承知しております。

 その採点の質、それから自己採点と採点結果の不一致等の課題が明らかになっていると考えているところでございます。

宮路委員 採点の信頼性、そしてまた自己採点の難しさ等々、課題があるということでございますが、まず、そのうちの採点の信頼性についてお伺いをしたいと思います。

 その信頼性を高めるために、記述式、五十万人が一挙に受ける試験でありますので、その中で採点を行っていくというのは大変難しい問題だというのは重々承知しております。したがって、その記述式試験に条件をつけていくということでお伺いをしております。字数の問題しかり、あるいは二文で解答せよ、あるいは二文目については書き出しはこうで結語はこうしろ、そうした条件。

 そうすると、記述式を求めることによって判断しようとしていた受験生の表現力、思考力等々、これをはかるという趣旨がそもそも損なわれていくのではないか。採点の信頼性を高めるために、本来記述式で求めようとするものが失われる、そういうジレンマを抱えていると考えておりますが、この点について文科省はどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 大学入学共通テストにおける記述式問題は、多様な学力層の受験者を対象に、今御指摘いただいたような一定の条件設定の上で、正答の条件への適合性を評価するというものとなっております。

 ただ、それでも、解答を選択肢の中から選ぶのではなく、文や文章を書いたり数式等を書いたりすることを通じて思考のプロセスがより自覚的なものとなることにより、より論理的な思考力、表現力を発揮することが期待されるというふうに考えているものでございます。

 一方、各大学が個別に実施する二次試験における記述式問題、小論文というのは、一般的に解答の自由度が高く、文字数も多く、必要な内容要素、論理構成、表現力などの複数観点で評価を総合して採点するものでございまして、共通テスト、個別選抜双方において、それぞれの特質を踏まえながら記述式問題の充実を図ることが重要であるというふうに考えております。

宮路委員 個別試験で求める記述式のみならず、共通テストでそうしたものを求めることにより、より学生に思考力、表現力が大事だということをしっかり意識していただくことが大事だと。先ほどの英語の民間試験の活用もまたしかり、そしてまた、この記述式もしかり、主役である学生に、英語の四技能、そしてまた、学力の三要素のうち、特に思考力、表現力が大事なんだということを意識していただく。その認識が広まるようにすることにいかに文科省が腐心をしてきたか、そして議論を重ねてきたかという中で、今般の高大接続改革が行われているのだろうと思います。

 当然、その道は険しいわけでありまして、さまざまな困難が生じてくる。それをいかにクリアしていくかというのがまさに求められるところでありまして、本委員会の質疑を通じて、そしてまた世間、国民の皆さんにもこの問題は大変関心が高まりました。そうした中で、文科省は改めて、そうした批判も甘んじて受けて、そして正すべきは正すという考えでしっかり今後もやっていただきたいと思います。

 そして、もう一つの点でありますが、自己採点の一致率、これも非常に重要な話だろうと思います。私も、センター試験を受けて大学の二次試験を受けた者として自己採点を行いました。果たしてこれで足を切られるかどうか、不安にもなりました。そうした思いは重々、自分も経験してわかっているつもりであります。

 この自己採点の一致率、これについても今回課題が指摘されておりますが、それをどうクリアしていくおつもりか、お伺いをしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 国語の自己採点と採点結果の不一致につきましては、大学入試センターにおきまして、正答の条件の意味、内容をわかりやすく整理して高等学校へ周知するということとともに、その内容を生かして受験生が何らかの形で自己採点をみずからシミュレートできるような仕組みを提供できないか、大学入試センターと協議を開始したところでございます。引き続き対応してまいりたいと考えております。

 また、現在実施中の大学入学共通テストの準備事業を通じた一連のプロセスの検証、改善を通じて採点基準のあり方の改善を図ろうとしておりますが、その改善を通じて、受験生にとって自己採点がしやすくなることにもつながるというふうに考えております。その準備事業を通じた採点基準の改善を利用した自己採点の改善効果というのは、実際に何らかの方法で確認することについて、大学入試センターと協議をしたいというふうに考えております。

 引き続き、記述式問題の出題、採点方法についてどのような改善が可能であるか、さまざまな方策について検討し、受験生が安心して受験できるような円滑な実施に向けて万全を期してまいりたいと考えております。

宮路委員 今般のこの高大接続改革、冒頭触れました中教審の答申から本格的に検討がスタートしてきたというふうに理解をしております。平成二十六年ですから、もう五年前の話になるんだろうと思いますが。

 その中身についていろいろな懸念が表明されている。そこも確かに大事、非常に重要なところではありますが、あわせて、今般のこの高大接続改革、そもそも主役である受験生からもいろいろな声が上がった。あるいは、その前に、大学関係者からもまた、まだ解決すべき、克服すべき点がある、したがって、先ほどの英語の民間試験ではありませんが、導入についてはまだ慎重に検討したい、あるいは態度を表明しない、そうしたこともありました。あるいは、英語の民間試験について、公立高等学校の校長会がある意味反対の意見を表明した等々ありました。導入に当たってのプロセス、ここにも問題があったのではないかと思います。

 先ほど申し上げたとおり、教育改革最大の課題でありながら実現が困難だった高大接続改革を初めて現実のものとする、そうしたものである以上は、だからこそ、そうした関係者とのコミュニケーションをしっかりとらないといけないというふうに思っております。

 今般、英語の試験活用は五年後、そしてまた記述試験については一年二カ月後というタイムリミットが設定をされております。そうした中で、今般のこの問題の反省を踏まえ、どのようにそうした関係者の理解を求めていくのか、そのプロセスをどう進めていくつもりなのか、お伺いをしたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、英語の民間試験の導入に関しては、私のもとに設置する予定の検討会議において、過去の意思決定過程や、導入を延期せざるを得なくなった要因、指摘された課題についても検証し、英語四技能を適正に評価するシステムを国が責任を持って実施できる体制について、今後一年を目途にしっかりと検討してまいりたいと思います。

 また、今御指摘のありました記述式の問題導入につきましては、平成二十九年、三十年度に実施した試行調査の結果、採点の質や自己採点と採点結果の不一致などの課題があると認識しており、出題や採点方法についてどのような改善が可能であるか、さまざまな方策について検討を続けているところです。

 これらの検討に当たっては、関係者にできる限り丁寧に説明するとともに、SNS等の活用も含めて、若い世代に伝わりやすい情報提供に努め、理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。

宮路委員 まさに今大臣がおっしゃった、理解を得ながらというところが大変大事であろうと思いますので、大臣のリーダーシップのもと、検討を進めていっていただきたいと思います。

 最後に、今回のこの大学入学共通テストの問題以前に、実は、今の現行のセンター試験においても、我が鹿児島では高校で受けられない生徒たちが存在をします。種子島、屋久島、喜界島、徳之島、沖永良部、そして与論島、高校はありますが、そこで、その島で、高校でセンター試験を受けることはできません。宿泊をしながら、コストも、そして肉体的な、精神的な負担もかかりながら大学受験に臨んでいる、既にそういう生徒がいるということ、ここにも思いをいたしていただきながら、今後の文部科学行政を進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子でございます。

 本日は、大学入試における英語資格検定試験の活用について、そして記述式の導入についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 公明党では、去る十一月十九日、文部科学部会のもと、私を座長に、英語の民間試験導入等へのフォローアップに関するワーキングチームを立ち上げさせていただきました。そして、第一回会合を開催し、このワーキングチームでは、受験生を第一に考え、大学入試における英語の資格検定試験の活用、そして、大学入学テストにおける記述式問題について、高校生を始め、現場のお声に耳を傾け、問題点を一つ一つ見える化し、どうクリアしていくのかを検討することとしているところでございます。

 昨日の十一月二十六日でございますけれども、第二回目を開催させていただきました。昨日は、御自身、当事者でもありまして、また、吃音のある人を支援する団体から貴重な御意見を伺うことができました。あすにはまた第三回目を開催させていただく予定でございます。

 まず大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、来年度からの大学入試英語成績提供システムの導入について、大臣は十一月一日に延期を発表されましたが、今回の大学入試改革は、高校生等の受験生、そしてその保護者、高校関係者、大学関係者、民間試験団体を含めまして、多くの関係者の理解と納得がなければ円滑に実施することは困難です。

 文科省のホームページを使って、各大学による英語民間試験の活用方法、試験の種類、会場、日程等々、そして民間試験団体が発表する情報をまとめて閲覧できるようにしていただいたところでもございますけれども、成績提供システム導入の延期を決定した今、何よりも大切なことは、各大学の英語民間試験の活用方針がどのように変更されるか、また、変更されないかについての情報を、迅速的確に提供することだと思います。

 そして、こうした情報を必要とするのは多くの受験生でもあります。受験生の行動実態に合わせたSNSの活用や、スマホでの閲覧を前提としたサイトづくりにももっと注力をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

 また、高校生の中には、英語の資格検定試験の受験を前提とし、準備を進めてきた方もたくさんいらっしゃいます。準備をしてきた高校生に対する配慮も必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、英語の成績提供システムの導入見送りに伴い、文部科学省では、現在、各大学に対して、十二月十三日を目途に、令和三年度大学入学者選抜における英語民間試験の活用の有無、活用方法等の方針の決定、公表をお願いしておりますが、これを始めとして、新たな情報を取りまとめ、受験生に対してわかりやすく発信することは大切なことだと思います。

 先生からかねがね、文部科学省のホームページじゃなくて、若い人たちが常に使っているスマートフォンなどに、アクセスできるようなSNSでの活用について御提案をいただいておりまして、既に発注の準備をしていたんですが、ここで一回、入試を、英語を先送りにすることになりましたので、そのサイトのあり方も含めてしっかり打合せをして、十二月十三日以降に活用ができるようにしてまいりたいというふうに思います。若い世代に伝わりやすい情報提供に一層努めてまいりたいと思います。

 また、英検の予約金を取っている問題につきまして、希望者には返金するなどの方針を既に団体の方で表明していただいておりますが、引き続き、他の試験団体との間で丁寧な話合いを行いつつ、いずれにしましても、受験生に負担が生じないことを前提とした対応に努めてまいりたいと思います。

浮島委員 ぜひとも、受験生第一の対応でよろしくお願いしたいと思います。

 また、今回、このシステムにつきましては、来年度からの導入を見送り、延期することになりましたけれども、私は、英語の四技能の評価そのものは重要だと思っております。

 そのために、大臣のもとに新たな検討会議を設置し、一年を目途に検討されるということでございますけれども、今後どのようなスケジュールで開催されるのか、また、人選、検討項目、この整理などはどの程度進んでいるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 今後、私のもとに立ち上げる検討会議において、大学入試において英語四技能をどのように評価していくのか、できるだけ公平でアクセスしやすい仕組みとはどんなものなのか検討することとしており、現在、年内に第一回開催ができるように、人選や具体的な検討項目を含めて準備を行っているところです。

浮島委員 この中で私が重要だと思うのは、人選だと思います。

 きのうも吃音のある方々を支援する団体の方からもお話を伺いましたけれども、障害を持つ当事者はもちろんのこと、そこの専門家など、現場の声をしっかりと聞ける体制、この人選をしていただけるようにお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、私どもは、冒頭にもお知らせさせていただきましたけれども、ワーキングチームで現場からのヒアリングをさせていただいております。昨日は、先ほど来からお話をさせていただいている吃音の支援の団体の方から、スピーキングテスト、これについて配慮が必要であるという現場の貴重なお声をいただいたところでございます。

 今後、大臣のもとに設置される検討会議、吃音症の方や障害の方はもちろんですけれども、家庭の経済状況が厳しい方、また、地方居住者、社会的養護を必要とする方など、配慮が必要な方々からの御意見をしっかりと直接聞き、そして適切に反映すべきと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

萩生田国務大臣 私自身、これまで、地元の高校生の皆さんを始め、障害者の方や経済状況が厳しい方からさまざまな意見も聞いてまいりました。その中には厳しい意見もございました。また昨日、御党の会議の様子も早速報告を受けさせていただきました。大学入試においては、受験生の置かれた状況にかかわらず、安心して受験できるような環境を整えることが極めて重要だと認識しています。

 検討会議を開催するに当たっては、受験生を第一とする立場に立ち、御指摘いただいた吃音症の方を始め、障害者の方、経済状況が厳しい方や、地方居住者、社会的養護を必要とする方などの意見も直接お聞きし、なるべく多様な御意見やニーズを反映できるような会議のあり方を工夫してまいりたいと考えております。

浮島委員 昨日も、この団体の方からは、配慮の必要性、そして、当事者の声を直接聞いてほしい、障害者の意見を抜きで決めないでほしいというお言葉もいただいたところでもございます。

 障害を持たれている方に対しては、柔軟な対応が必要になります。文科省でもしっかりヒアリングの機会を設け、早目早目に話を聞くこと、そして、何よりも現場の問題点を知ること、また、財政的支援も出てくると思いますけれども、それをどうやってクリアできるのか考え、そして実行することが大切だと思いますので、ぜひとも全力で取り組んでいただけるよう、再度お願いをさせていただきたいと思います。

 では、次に、大学入学共通テストにおける記述式の導入についてお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、この記述式の問題を導入するに当たっての課題を議論をさせていただく前に、まずその意義について確認をさせていただきたいと思います。

 人工知能、AIが飛躍的に進化する中で子供たちにはどんな力が必要かについて、我々公明党は、国立情報学研究所の新井紀子教授といったAIの専門家の方々とも対話を重ねてまいりました。

 目の前の子供たちは、確かに、AIが解なしとお手上げになったときにその力量を発揮しなければなりませんけれども、それはスーパーマンや突出した天才でなければできないということではないと思います。AIは、明確に定義づけられたビッグデータという土台があってこそ、初めてその力を発揮できます。そのAIに代替されない人間としての強みは、データがない曖昧な状況の中で、対話や協働を通じて納得解を形成し、そして実行する力であります。

 具体的には、文章や情報の意味を正確に読み取る力、教科固有の見方、考え方を働かせて、知識を習得し、考え、表現する力、そして、対話や協働を通じて納得解を生み出そうとする態度、日本の義務教育がこのような力を育むために頑張っていることは、OECDのPISA調査からも、全国学力・学習状況調査からもわかっているところでございます。

 しかし、義務教育で頑張っている子供たちは高校、大学と進学して伸びているかというところが疑問があります。高校生の半分が普通科文系、大学生の半分が人文社会科学系の学部で、このコースの生徒たちは、高校二年以降、理数科目をほとんど学ばずに、英語、国語そして公民の三教科を、多肢選択式問題に対応すべく、知識の暗記、再生に徹しています。

 他方、入学者選抜で学力を問わない大学の存在が高校生の学びのインセンティブの底を抜けさせているため、学力中間層の高校生の学校外の学習時間は三十年前の水準から大きく低下し、回復しておりません。これが高校生の現状であり、課題であると思います。

 しかも、新井紀子先生が開発しているAI、東ロボくんが最も得意なのは世界史の五肢択一式試験でございます。この五肢択一式の問題に対応するため知識を習得されただけでは、今の子供たちの力はAIに及びません。

 そこで、今大事なのは、概念を軸に知識を体系的に理解して考え、自分なりに表現すること。だからこそ、入学共通テストに記述式問題を導入することが構想されました。また、AI時代を担う子供たちが人間としての強みを発揮する上で、語彙をしっかりと習得し、文章を読んで意味を把握して、自分の頭で考え、表現できることは必須の力だと思っております。

 共通テストの記述式が導入されることは、かつて大学入試センター試験に英語のヒアリングが導入された結果、高校の英語の教育が大きく変わったように、高校教育に大きな変革をもたらすことと私は思っております。

 民間試験の活用は令和六年度まで延期されましたが、さまざまな課題が指摘されている記述式の導入は来年度に迫っています。私としては、論理的な思考力、表現力の育成、語彙力の強化などの観点から、入試においてこの記述式問題を導入することは必要、大切だと思っています。

 その一方で、解決しなければならない課題が数多く指摘されています。英語の認定の試験の見直し、延期の方針を受けまして、これまで一生懸命準備をしてきた高校生の声も聞いておりますけれども、大変な思いをしています。記述式ではその二の舞になるようなことがあってはなりません。まず、これまで指摘されている課題を洗い出し、課題を課題として認識して、どのように解決していくのかを一つ一つ丁寧に考えていくことが大切であります。

 そこで、今回の共通テストにおける記述式の問題を導入する意義、そして、最も受験生への影響が大きい課題として、先ほどもお話ありましたけれども、自己採点の不一致の課題、これについて今後どのように対応していくのか。

 私は、この課題の解決策として、例えば、高校生が自分の解答内容を入力することで自己採点のシミュレーションができるようなシステム、こういうのを開発することも一案として考えられるのではないかと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 大学入学者選抜において、大学入学希望者の高等学校段階までに育成された思考力、判断力、表現力を的確に評価するためには、共通テストか個別選抜かにかかわらず、みずからの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述することが必要な記述式問題の導入は重要であります。

 その上で、国立大学の二次試験においても、国語、小論文、総合問題のいずれも課さない学部の募集人員は全体の六一・六%となっており、令和二年度からの大学入学共通テストにおいて記述式問題を導入することとしました。

 文部科学省としては、共通テストと個別選抜の双方において、それぞれの特質を踏まえながら、記述式問題の充実を図ることが重要であり、それにより、高等学校教育だけでなく大学教育の改革充実にも好影響を与えることが期待できると考えています。

 また、国語の記述問題での自己採点と採点結果の不一致という課題への対応については、大学入試センターにおいて、正答の条件に基づく採点の仕方などに関する参考資料を作成して高等学校へ周知することとしております。

 また、現在実施中の大学入学共通テストの準備事業を通じた一連のプロセスの検証、改善によって採点基準のあり方の改善等が図られることが、受験生にとって自己採点をしやすくなることにもつながると考えています。

 さらに、今先生の御指摘を踏まえて、受験生が何らかの形で自己採点をシミュレートできるような仕組みを提供できないか、大学入試センターと協議を開始したところであり、引き続き対応を続けてまいりたいと思います。

 記述式問題の出題や採点方法について、どのような改善が可能であるか、さまざまな方策について検討し、受験生が安心して受験できるよう、円滑な実施に向けて万全を期してまいりたいと思います。

浮島委員 今大臣の御答弁にありましたけれども、やはり受験生が安心してというところは非常に重要だと思いますので、システム開発等々、一定の時間が必要なこともあると思いますので、しっかりと取り組んでいただけるようにお願いを再度させていただきたいと思います。

 次に、採点者の質についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 五十万人の答案を短期間で採点するためには、現状では多くの人員が必要となるのは理解ができます。一方で、アルバイトは能力が低いから使うべきではないと一概に判断するわけではありませんけれども、受験生そして保護者、その皆様からの不安の声があるのは事実でございます。

 採点の質をしっかりと確保するとともに、受験生や保護者の不安を払拭することが大切ですけれども、どのように対応されるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 採点者の確保につきましては、仕様書において、適正な試験等によって質の高い採点者を確保し、期間内に正確な採点を行うことができる人員を必要数確保することと定めており、採点者の選抜方法や必要人数について、大学入試センターと採点事業者が事前に協議することとしています。

 必要人数につきましては、おおむね八千人から一万人の範囲で、大学入試センターと採点事業者の間で協議をし、確定していくことになると承知しています。

 大学入試センターにおいては、採点事業者に対し、学力試験、採点業務への適性及び面接の結果、過去の採点実績等も考慮して選抜された採点者に対して事前研修を行うなど、採点者の質を向上するための取組を求めるとともに、一次採点は複数名で独立して行うこと、複数名の採点結果が異なる場合には、採点監督者が採点結果の確認や不一致のあった答案の採点などを行うなど、必要に応じて上位の採点者が責任を持って判断し採点を行うことなど、採点の正確性を確保するための取組を求めているところです。

 また、こうした大学入試センターからの要請も踏まえ、採点事業者においては、元教員や講師など教科や採点の専門的知見を有する者で構成される品質管理専門チームを設け、ダミー答案を入れ込んで正確な採点が行われているかをチェックをしたり、答案を無作為に抽出して採点結果をチェックしたりするなど、複数の観点から採点結果をチェックし、採点結果が一致しない要因などを分析、精査した上で、採点期間中の毎朝、採点業務開始前の周知において全採点者の理解を徹底するとともに、改善が図られない採点者の採点結果は使用しない又は採点業務から外す等の対応を実施することを検討しているものと承知しております。

 こうした多層的な組織体制と品質チェックの充実により、採点の質は確保されるものと考えております。

浮島委員 今大臣が御答弁いただいたこのチェック体制、ぜひとも、しっかりと現場に声が届くよう、受験生、保護者の不安がしっかりと払拭できるように、現場に声が届くように、よろしくお願いいたします。

 次に、採点業者の適正性についても指摘がなされているところでございます。

 採点業者はベネッセの子会社ですけれども、平成二十九年度と三十年度に実施したプレテストにおいても、ベネッセ本体や今回落札した学力評価研究機構と、全てベネッセの関係となっています。

 もちろん、適切な選定方法をとって選ばれたものと思いますけれども、しっかり説明するという視点も必要だと思います。どのような観点からどのように選ばれたのかについて、わかりやすく御説明をしていただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 大学入学共通テストの記述式問題採点に係る学力評価研究機構との業務請負契約につきましては、一般競争入札、総合評価落札方式という枠組みのもと、大学入試センターに設置された外部委員を含む評価委員会の審議を経て、価格のみならず、過去の実績、採点者確保及び研修の実施、採点の体制、採点者の質の向上、採点の正確性の向上、セキュリティー対策等計十二項目から成る総合的な観点から高い評価を得て選定されたものでございます。

 文部科学省としては、大学入学共通テストに対する国民の信頼を得ていく上で、公平性、公正性を確保することは極めて重要であるというふうに考えておりまして、今御指摘いただきました採点業者選定の適切性につきましても、丁寧に説明し、広く理解が得られるよう、大学入試センターと連携しつつ努力してまいりたいというふうに考えております。

浮島委員 今、適正にということでございましたけれども、これもなかなか現場には声が届いていないことがありますので、しっかりと現場の方々が理解いただけるよう、説明をしていただくように、声が届くように、よろしくお願いしたいと思います。

 また、私が今部会長を務めさせていただいている公明党の文部科学部会そして公明党政務調査会では、去る十一月の五日に、萩生田大臣に五項目から成る大学入学者選抜に関する提言をお渡しさせていただきました。その中には、記述式問題にも触れさせていただいております。

 その中には、高校生等の受験生やその保護者等の理解を広く得られるよう、出題や採点の方法等に関する情報の適切な提供に努めること、また、受験生の保護の観点から、出題や採点方法等の実施状況について第三者によって検証する仕組みを設けることなど提言をさせていただいたところでもございます。

 この提言に関する文科省の取組をお伺いをさせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 文部科学省としては、大学入学共通テストの記述式問題の円滑な実施に向けて、受験生や保護者の理解を得ることは極めて重要と考えています。

 御指摘のような、記述式問題に関する情報を大学入試センターや文部科学省のホームページで周知していくとともに、SNSの活用も含め、可能な限りさまざまな機会を捉えて、一層わかりやすく情報提供に努めてまいりたいと思います。

 また、現在、記述式問題の採点方法等について、大学入試センターや採点事業者が予定している採点者の質や採点の正確性を確保するための取組に加えて、更にどのような改善が可能か、改善方策の検討を行っているところです。

 さらなる改善方策を検討する中で、御指摘の趣旨も踏まえ、問題作成者や採点者以外の者の目で出題や採点についての点検や品質チェックを行うという観点から、どのような取組が可能か、しっかり検討して実行に移してまいりたいと思います。

浮島委員 大臣の御答弁の中にも、検討していくということが数多くございます。検討していくに当たり、しっかりと検証をして、そして現場に一つ一つ御理解をいただくことが重要だと思っておりますので、しっかりと検討した上で、そして実行していくということをお願いしたいと思います。

 先ほど来から申し上げさせていただいているとおり、入試におきまして記述式問題を導入することそのものは、私は非常に意義があるもの、必要だと思っております。ただし、これまでもさまざま議論がありますけれども、大臣からも御答弁があったとおり、解決しなければならない課題が山積しております。文科省においては、何よりも受験生を第一に考え、受験生が安心して試験を受けるため、この課題を一つ一つ丁寧に解決していく必要、責務があると思います。

 質問させていただいたように、高校生が自分の解答内容を入力することなどで自己採点のシミュレーションができるシステムの開発、これも必要だと思います。中には時間がかかる課題もあります。これは、大臣が先頭に立って、もう何度もお願いをさせていただいておりますけれども、受験生第一の立場に立って、一つ一つ問題点を洗い出し、一つ一つそれをクリアし、丁寧に取り組んでいただくことを重ねて私からお願いをさせていただきたいと思いますけれども、最後に、大臣のこれに関しての決意をよろしくお願いいたします。

萩生田国務大臣 与野党を問わず、委員会の席でもさまざまな問題の指摘をいただき、それを一つ一つセンターと共有しながら、また受託事業者とも問題共有をして、さまざまな解決に向けての努力をしている最中でございます。

 一番大切なのは、受験生の皆さんの安心した受験体制が組めるかどうかだ、この一点に限ると思いますので、先生の御指摘を重く受けとめ、問題を共有しながら全力で取り組んでまいりたいと思います。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

浮島委員 ぜひとも、大臣のリーダーシップのもと、しっかりとやっていただけますようお願いをさせていただき、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょう、森夏枝委員にかわっていただきまして、出張してまいりました。よろしくお願いしたいと思います。

 まず、きょうは大学入試の話、もちろん中心にやりたいと思いますが、その前に一点だけ、大臣から御意見賜りたいと思います。

 高野連が、いわゆる高校球児、高校野球のピッチャーの負担軽減策として、一週間五百球制限というものを打ち出しました。あっ、まだ打ち出していないんだな。有識者会議の答申がありまして、あさって二十九日の理事会で方針が決まる、こう聞いています。

 私、この球数制限というのは、手段として使うのはやはり弊害が大きいと思っています。要すれば、球数制限をすると誰が得をする、誰が有利かというと、私立の強豪校です。私立に限りませんが、ピッチャーをたくさん集めることができる強豪校が有利で、逆に、地方の公立など、ピッチャーが一人しかいない、こういうところは自動的に制約を受けるわけでありまして、こうしたデメリットの大きい方式をなぜとるのか、大変疑問に思っています。

 むしろ、球数制限というのは、まさに、何といいますか、規制、ルールとして球数制限をするというんじゃなく、結果としてピッチャーの負担を軽減する、すなわち球数が過度にならない、こういうことを実現することが大事で、そのためには、例えば大会期間をもう少し延ばす、そういうことがより弊害のない、デメリットのない方式だと思いますが、大臣、御見解はいかがでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 高校野球の投手の負担軽減策につきましては、大会の主催者である日本高等学校野球連盟において、二〇一三年の夏の甲子園大会から準決勝の前日に休養日を設けるとともに、ことしの夏の大会からは決勝戦の前日にも休養日を設けるなどの取組が行われてきたと承知しております。

 また、今般、日本高野連に設置された有識者会議では、一人の投手の投球数を一週間で五百球以内とするとともに、三連戦を回避する日程を設定することなどを内容とする答申を取りまとめたところであり、この内容を来年から実施する方向と聞いているところでございます。

 加えて、日本高野連によりますると、委員御指摘のとおり、今般の答申に基づく取組の実施状況を踏まえつつも、休養日を更にふやすことが可能かどうかも含めて、今後さらなる見直しを検討していきたいと、私どもとしてはお聞きをしているところでございます。

 スポーツ庁といたしましては、日本高野連におきます答申に基づく取組の実施状況や、その後のさらなる見直しの検討状況をしっかりと見きわめた上で、必要に応じて指導助言を行いたいと考えております。

 いずれにしましても、球児ファーストの取組の重要性については、私どもとしても、あらゆる機会を通じてその趣旨を徹底させていただきたいと考えております。

 以上です。

足立委員 実は、きのう、このきょうの質問に当たって、事務方といろんな議論をさせていただきました。最初は、いやいや、期間については制約があると。要は、阪神のホーム球場ということであって、制限があるというふうな感じでしたが、いや、本当にそれはもう限界なのか、広げられないのかということを更問いを続けたら、今御答弁があったように、いや、まだ余地があると。

 余地があるんですよ。もし、その余地があるのに球数制限を優先させるとすれば、それは何か別の理由、今、球児ファーストとおっしゃったけれども、球児ファーストじゃないんじゃないですか。朝日新聞や毎日新聞が自分たちの営業上の、要は、お金の問題ですよ。

 そういう問題で、有識者会議か何かわかりませんが、あさっての理事会で、もしそうしたよこしまな考え方が濃厚に出ている内容で高野連が方針を決めるのであれば、これは、いや、まだ第一歩だとおっしゃるけれども、第一歩が大事なんです。第一歩がどっちを向いているのか。第一歩が球児ファーストじゃないといけない。

 これはしっかりと、きのう、設置法の条文も読みながら議論しましたよ。最初は文科省は、いや、我々は手がリーチできないんだ、そんなこともおっしゃっていましたが、そんなことはありません。ちょっと、あさってまでの間に高野連としっかり、きょう私が申し上げている趣旨、すなわち球数制限のデメリットはありますね。どういうデメリットか。

 いや、球数制限は私は賛成ですよ。世界標準の球数制限は入れるべきですよ。しかし、高校野球については期間があるわけでしょう。その中で球数制限だけを入れると、もちろん、二日ほど休養日を入れてきたというのはわかる、もっと入れればいいんですよ。地方の、ピッチャーが一人しかいないような公立高校が、球数を気にしながら、日程の中できゅうきゅうとしながらプレーに取り組まねばならないようなルール、これは見直して、しっかりとした第一歩を踏み出せるように、きょうとあす、あさっての理事会に向けて文科省として御指導いただくようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 高野連側とは既に先週も話合いをしたところでございます。

 私どもとしては、今回、これまでこうした球数制限等が全くなかったところに新たに設けようとされているということについては一定の評価をさせていただきますが、ただ、これで本当に十分かという委員の御指摘については同感するところもございます。

 引き続き、今回、理事会に向けて連絡はとらせていただきたいと思いますし、子供たちファースト、球児ファーストでしっかりとした対応がなされるように引き続きフォローアップをさせていただきたいと思っております。

 以上です。

足立委員 繰り返しになりますが、第一歩が大事なんです、第一歩が。

 大臣、私、萩生田大臣のお取組、心から尊敬をし、拝見をしています。大学入試の問題も、これは悪いのは萩生田大臣じゃないですよ。前任の大臣たちですよ。当たり前でしょう、そんなの。前任の大臣、あっ、柴山大臣、済みません。

 いや、それはそうですよ。でも、萩生田大臣は文句一つ言わず、もちろん大臣になられる前からいろいろな御見解を本件については持っていた、その中で大臣を引き受けられて、問題の解決に向けて懸命に取り組んでいる。私はその姿を見て、ああ、自民党にも立派な人がいるんだなと改めて感服をしているところなんですけれども、大臣、ちょっと、その大学入試の話に行く前にこの高野連の問題。

 結局、文部行政ってろくでもないのばっかりですよ。大臣は大変ですよ、あっちもこっちも。今、大学入試で大変なのはわかりますが、高校野球の第一歩、高校野球の球数制限の、要は球児ファーストに踏み出せるかどうかの第一歩があさっての理事会ですよ。

 大臣、ぜひ、お忙しい中でどこまで高校野球のことに御注力いただいてきたかはわかりませんし、無理だと思いますが、今申し上げたように、高校野球については、地方の公立高校が、一人ですよ、ピッチャー、それが、地方大会から甲子園全てを勝ち上がってきて、一試合の球数が、いわゆる通常のいろいろなデータがあると思いますが、そういう高い球数を繰り返し投げても最後まで戦い切れる、そうした日程を組めるかどうかを阪神球団と交渉するのがまず入り口であって、その検討をいただいた上で、弊害のない、球児たちが困ることがない取組を検討すべきだと私は思いますよ。

 更に言えば、もしそれができないのであれば、もう学校ごとの高校野球をやめたらいいんですよ。チームを、アメリカとかヨーロッパでは当たり前のことですよね、学校ごとじゃないんです。スポーツというのはもっと共同のチームをつくってもいいじゃないですか。

 そっちに行くのか、どっちに行くのか。文科省として何も考えていない、ビジョンがない、判断がない、これがこれまでの文部行政のうみですよ。

 時間がありません、あさっての理事会なので。きょうのあさってですから、大臣にまた無理を申し上げて恐縮でございますが、少しお時間を割いていただいて、あさってに向けて省内で御検討をいただく、お願いできないでしょうか。

萩生田国務大臣 詳しくまた、今この時点で、私、答えを持っていないんですけれども、今、足立先生の問題意識やスポーツ庁の答弁を聞きながら、自分の思いをお伝えして答弁にかえさせていただきたいと思うんですけれども、選手の皆さんの健康管理を考える視点が入ってきたという点は一つ評価ができるんだと思います。そういう意味では、投球制限というのは一つのオプションとして決して否定するものじゃないと思います。

 他方、野球でいえば、スポーツは、もう団体競技でありますから、そんなことより、仲間と流してきた三年間の汗を考えたら、自分は大学で野球なんかできなくなってもいいから、腕がちぎれてもこのマウンドで最後まで頑張りたいと思う、そういう選手も中にはいらっしゃるんだと思います。

 ややもすると佐々木選手が決勝で投げなかったことがすごく話題になって、賛否両論ありました。いずれも、佐々木さんのことを、将来を考えての意見で、どちらが正しいか私は答えを持っていませんけれども、多分いろいろな思いが、御本人も、選手たちもあったんだと思います。

 間違っても、高野連という組織がプロ野球の養成所になってはならないというふうに思います。プロ野球のためにこの選手を今潰したらもったいないみたいなことが議論されているのだとすれば、これは大きな間違いでありますので、選手の皆さんの健康管理というのを考えて、しっかりやっていく必要が一番大切な視点じゃないかと思っておりまして、そんな点は正しく伝えさせていただきたいなと思っています。

 仮にこういう例えをすると、あしたのスポーツ新聞に出てしまうかもしれませんが、IOCのアスリートファーストの観点からいえば、もはや甲子園での夏の大会は無理だと思います。私はそう思います。本来、高等学校の最終の決戦は国体の場だというふうに思っておりますので、特定の団体といいますか、特定の大会がすごくクローズアップされてステータスを持ってしまったことによって、この夏の大会があたかも高校生最後の大会のようになっていますけれども、本当は秋の国体が最後の、高校生の、まさに頂点をきわめる大会ではないかなというふうに個人的には私は思っておりますので、こんな点も含めて、大会のあり方、少しでも余裕があるのでしたら中日を設けるとか、さまざまな視点から高校生たちが頑張れる環境というのをつくっていく必要があると思います。

 ちなみに、生徒数が少なくなった公立学校などは、合同チームの参加も今認めていることをお伝えしたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 今の大臣の御見識については、これはこれでまた意見があって、私は少しまた違う意見を持っていますが、それはまた別途の機会で結構です。

 私は、ただ、もう一つ、今大臣の御答弁で少し足りない、私が申し上げている趣旨からいうと、改めて御認識を深めていただきたいのは、商業的観点です。朝日新聞、毎日新聞が、自分たちの商業的観点で高校生を搾取しているとしたら、これは大問題で、私は、今回の、あさっての理事会で決まろうとしている問題は、一番の問題はそこだと思っているんです。だから言っているんです。最大限の期間、休養日をもっと入れることをなぜ検討しなかったのか。それは、朝日新聞、毎日新聞の商業的制約じゃないんですかと言っているんです。こういう観点も含めて、きょう、あす、御指導いただけないでしょうか。

萩生田国務大臣 文部科学省が高野連に直接指導というわけにはいかないと思いますが、問題意識は共有したいと思います。

 いずれにしても、高校生の皆さんファーストで、高校生の皆さんが、安心で、安全で、健康にスポーツに取り組むことができる環境を文科省としてはしっかり支えていきたいと思います。

足立委員 きょうは大学入試をやりに来たわけで、もちろん高野連もあれですが、今一番問題になっているのは大学入試であります。

 最初に、先ほど申し上げた、誰の責任なんだと。英語の民間検定試験の先送りに係る責任、私は、政治の責任を明確にすべきだと思っていますが、大臣、その一年間検証するという中に、歴代大臣の責任、これも検討の対象に含まれていると考えてよろしいでしょうか。

萩生田国務大臣 英語民間試験の導入に関しては、私のもとに設置する予定の検討会議において、過去の意思決定過程や、導入が延期となった要因、また、指摘された課題についても検証し、英語四技能を適正に評価するシステムを国が責任を持って実施できる体制について、今後一年を目途にしっかりと検討してまいりたいと思います。

 これまで累次の検討を経て、その都度、課題に対応しながら取り組まれてきた歴代の大臣の皆さんは、その時々の役割というのをしっかり果たしていただいたというふうに思います。また、その中で、今後の検討の中で、その取組をお聞きすることが参考になることがあれば、ぜひお話は聞いてみたいなとは思っております。

足立委員 本件は、特に英語の民間検定試験、簡単に振り返ると、中教審に諮問をしたのが平野大臣、民主党政権ですね。答申を受けたのが下村大臣。そして、馳大臣を挟んで、松野大臣のときに、二〇一七年七月に実施方針が決まった。林大臣、柴山大臣を経て萩生田大臣。

 私は、今の時代、もう文科省の役人がどうのこうのと言っても仕方ありません。やはり政府・与党が、行政権を掌握している自民党が、あるいは自民党の政治家が、公明党さんももちろんありますが、しっかりとその責任を果たしていただくことが大事だと思っていますので。これは、私が申し上げたかったのは、萩生田大臣は偉いということです。どこから見ても、もう今、永田町の心ある政治家はみんな萩生田大臣のことを尊敬していますよ。よくあれだけの大きな決断を一人でしたと。事務方に聞きました。事務方は直前まで知らなかった。

 だから、本当に、こうした決断が、いや、何か、官邸とかしようもないことを言っている人たちは、内閣制度というのをわかっていないんですよ。だから、本当に今の野党は、日本の統治機構のことが全くわかっていない。

 僕は、やはり、この担当大臣である、本件に関する所掌をしている萩生田大臣の功績は大きい、こう申し上げておきたいと思います。

 さて、ベネッセについて議論がなされていますが、私、よくわからないんです。ちょっと詳しくありませんが、ベネッセの子会社の社長が本体の本部長を兼務していたことが問題になって、それを解く方向だということを聞いています。これは問題ですか。高等教育局長、これは兼務していると問題なんですか、どっちですか。問題かどうかだけ。

伯井政府参考人 一応、守秘義務を課しておりますので、第三者には公表しないということにしておりますが、疑義があるということで、兼務の解消に向けて事業者としては取り組んでいるというものでございます。

足立委員 いやいや、だから、文科省として兼務の解消は必要なことであると考えている、要すれば、この受験というか教育というか選抜というか、そういう一連の教育システム、受験システムの中で、今回のベネッセのような件、兼務をしていたわけでしょう、そういうものは排除されていくべきことなのか、認められていいことなのか、どっちなんですか。

伯井政府参考人 兼務そのものは、入試センターと契約事業者との契約で禁止はされていないんですが、先ほど申し上げましたように、疑義が生じるということで、その兼務の解消を現在求めているというものでございます。

足立委員 本当、高等教育局長、頭悪いんじゃないですか。頭悪いよ。

 行政というのは外形的公正性が求められるんです。国民の皆様から見て公正公平だと思えるかどうかですよ。疑義があるということは、それは問題なんでしょう。なぜ、文科省は今までそれを問題にしてこなかったんですか。

 いや、今回の英語の民間検定試験だけじゃないですよ。例えば、私が通告で申し上げているのは三分野。

 一つの分野は、これまでの大学入試二次試験で記述をやっている大学、ありますね。じゃ、局長、今までの二次試験で記述をやっているところ、民間会社を使っていませんか。使っているか使っていないか。

伯井政府参考人 民間企業に委託している私立大学もあるというふうに承知しております。

足立委員 今までだって民間会社に委託しているんですよ、日本の大学は。それが一つですよ。

 それから、来年度の導入が見送られた英語の民間検定試験。TOEFLは、試験を実施しますけれども参考書もつくっていますね。どうするんですか、局長。

 TOEFLは、TOEFLだけじゃない、英語でやろうとしていた民間の検定試験をする会社、団体がありますね。彼らは、試験を実施をするわけだけれども参考書もつくっていますよ。それはファイアウオールで垣根をつくった方がいいんですか、どっちですか。

伯井政府参考人 この実施の導入見送りをいたしました成績提供システムにおいては、それぞれの団体がファイアウオールを設けるなど、利益相反に当たらないような取組をしていただき、それを公表するということを求めていたものでございます。

足立委員 今のは何、英語の話。

 そして、今回の数学と国語の記述式の試験、これはベネッセが問題になっている。

 繰り返しになりますが、ベネッセだけじゃないんです。教育界において、既にこれまでの私立大学の二次試験の記述式でも民間企業が使われているんですよ。

 じゃ、その民間企業が、今おっしゃったファイアウオール、私立大学が民間を使うときのファイアウオール、何で縛っているんですか。法律ですか、何ですか。

伯井政府参考人 現状の取組について御説明申しますと、大学入試につきましては、大学入学者選抜実施要項という、これは高等局長通知でございますが、その中で入学者選抜の公正確保あるいは試験問題の漏えい防止については定めておりますが、採点業務の民間委託に関しては特段の定めがないというのが現状でございます。

足立委員 だから、今回の問題は氷山の一角なんです。城井先生始め野党の皆さんが今回明らかにしたさまざまな問題、それは問題ですよ、問題だけれども、これだけじゃないんです。氷山の一角なんです。だから、氷の塊全体をちゃんともう一回見直していくために、私は、やるべきこと、たくさんあると思いますよ。だって、私立大学の二次試験、ほったらかしだったんですよ。公平公正にやってくれということしか文科省は言っていない。あとは現場任せ。

 例えば金融庁は、銀行と証券の垣根を法律で定め、おかしなことにならないようにファイアウオール規制というのを入れて、金融庁監督局が監督していますよ。文科省は何もやっていない。

 局長、今回のベネッセの問題を見て、私、何を場当たり的なことをやっているんだと。批判されたらやめる。そんなことをやっていたら自民党と一緒じゃないですか。ねえ、川内先生。

 大臣、ちょっと雰囲気が悪くなってきたのでもうやめますが、私は、今回の問題はそういう問題だとずっと思って見ていました。しかし、文部科学委員の皆様が、何か重箱の隅ばかりやって本質にたどり着かないので、仕方ないので出張してきました。

 文部科学省は、そういう問題、きょう御指摘したような垣根の問題、利益相反の問題、外形的公正性の問題に余りに無頓着でやってきたから、さまざまなところでゆがみがあるんです。

 大臣、こうした問題、別に足元でどうということは言いません、大臣の任期中にしっかりとこうした文部科学省のうみ、たたき出していただくようお願いしたいと思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 大学入学者選抜につきましては、各大学において、入学者受入れの方針に基づき、多様な形で実施されているものと考えています。

 大学入学者選抜実施要項においては、入学者選抜の公正確保や試験問題の漏えい防止については定められていますが、大学入試の採点業務の民間委託に関しては特段定めがございませんでした。

 その上で、入学者選抜の公平公正の担保について、英語民間試験の活用については成績提供システムの導入見送りを決めたところですが、今後、できるだけ公平でアクセスしやすい仕組みとはどんなものなのか、私のもとに検討会議を設けて一年を目途に検討し、結論を出すこととしております。

 また、共通テストにおける記述式問題の採点業務の委託については、大学入試センターにおいて多数の受験生の答案を短期間で正当に採点する必要があることから、大規模採点のノウハウを有する民間事業者を活用するものであり、採点の質や自己採点の不一致などの課題も含め、公平公正に実施されるように万全を期したいと考えております。

 今先生の御指摘のありましたのは、要するに、民間の皆さんとの契約行為に余りにもふなれだったんじゃないかという御指摘でございますので、そこは真摯に受けとめなくてはならない点もあると思いますので、改善方、努力をさせていただきたいと思います。

足立委員 今回の記述式の問題も、私は公募をする段階、何か公募の要領って公開されていないんですか。(発言する者あり)ある。要は、公募をする段階で、いや、私はそもそも規制体系をもう一回つくり直すべきだと思いますよ、金融庁に見習って。それはまたの機会にしますが。

 そもそも、今回、ベネッセを選んだ公募プロセス自体に今指摘をしたような観点が十分に入っていなかったわけですから、後から場当たり的に批判されたら直すということではなくて、公募する段階から、要は発注側がなっていないわけですよ、公募する側が。

 そうした観点では、もうこの記述式は、そもそも予定どおり実施する必要条件を満たしていないと私は指摘せざるを得ませんが、その辺の追及は、川内先生、城井先生に委ねておきたいと思いますが、ぜひ、真摯に、この問題は頬かむりをしていたら過ぎていくような問題ではない、先ほど申し上げた氷山の一角が見えているだけなんだから、この問題を、この問題だけで何とかやりくりして乗り切ろうとする判断は、私は萩生田大臣の判断としては後々禍根を残すと指摘をさせていただきたいと思います。

 最後に、経済格差、地域格差の問題が指摘されています。これは、先ほども自民党の方が指摘をされていましたが、もともとあるんですよ。どうするんですかね。

 もともとある経済格差、地域格差、これを少しでも正すために、日本維新の会は大学教育も含めた教育無償化を訴えてきた。でも、野党反対ですよ。野党は、いやいや、憲法でやれなくても法律でできると言うんですよ。法律でできていないじゃないですか。これからやるんですか。いや、文部科学委員の人たち、ここでやらないと、どこでやるんですか。やりますか、本当に。

 辻元さんとかみんな、山尾さんとか、あっ、山尾さんは最近仲よくしているんですけれども、みんな、いや、法律でできますって、法律でやっていないじゃないですか。だから、国会で大学教育の無償化を法律で定めるのはもう無理です。このメンバーでは無理です。きょうの顔見たら無理ですよ。だから、私たちは、国民に判断してもらおうということで、憲法改正の国民投票の三つの柱の一つとして提起をしてきたわけです。川内先生、ぜひ、憲法、賛成してくださいよ、憲法。

 この経済格差、地域格差に関する問題も、まさに、今回議論されているのは氷山の一角だと思いますが、文科省の見解を伺います。

伯井政府参考人 委員御指摘のように、大学の受験時だけじゃなくて、高等教育の就学機会の均等が重要であるということはそのとおりでございます。

 家庭の経済状況によって進学を断念することがないように、大学等で安心して学ぶことができる環境を整備する、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、ひとしく安心して入学者選抜を受けられるような配慮を行うことは重要であるというふうに考えております。

 経済的支援につきましては、これまでも奨学金の充実を図ってきたところでございますが、令和二年度からは、真に経済的支援が必要な者への授業料等の減免措置と給付型奨学金の支給を行う高等教育への修学支援新制度を開始する予定でございまして、この円滑な実施に向けて万全を期してまいりたいというふうに考えております。

足立委員 もう時間が来ましたので終わりますが、本当にこれ、大事な問題です。

 あしたは、憲法審査会の自由討論があります。私も出ます。しっかりと与野党で、教育無償化を憲法に入れていく議論を真摯に向き合っていただきたいと思いますし、大学無償化については、大阪では、吉村洋文大阪府知事のリーダーシップで、来年度からかな、大阪府立大学は無償化を国に先行して実施をする運びであることをお伝えして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

橘委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立国社、共同会派、社民党の吉川です。

 きょうは、まず大臣に、下村元大臣の発言についての認識を尋ねたいというふうに思います。

 これはもう既に当委員会でも他の同僚議員から質問が出ておりますが、私からも改めて確認をしたいというふうに思います。

 報道によれば、昨年の四月十三日の自民党の教育再生実行本部の会議で、下村元大臣が、東京大学の名前を挙げて、間違ったメッセージを国民や他大学に対して与えている、文部科学省はよく東大に指導していただきたい、こういうふうに述べたとされております。

 これに先立つ三月十日、東京大学は、英語の民間試験を合否判定に使わない可能性が高いと記者会見をされておられます。さらに、その前々日、国大協の総会で、東大の総長からは、英語の民間試験利用が議題になった際に、真っ先に手を挙げて、公平公正の担保が社会の要請にたえ得るのかという議論は当事者として深めなければいけない、こういうふうに発言をされたと報道をされております。

 大臣、伺いたいんですけれども、公平公正さに疑問がある、この指摘というのは、まさに大臣自身が英語の民間試験の利用の延期を決めた理由とも重なるというふうに思いますが、当時の東京大学の判断や姿勢について、大臣御自身は、これは間違ったメッセージだというふうにお考えなのでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘の東京大学が昨年三月の時点で行った記者会見は、東京大学における検討の途中段階のものと承知をしており、間違ったメッセージとは考えておりません。

吉川(元)委員 私は、この下村元大臣の間違ったメッセージというのは、これは二重の意味で誤りだというふうに思います。

 既にこの委員会でも指摘されておりますが、学問の自由、大学の自治、これは、東大のみならず、どこの大学であれ、みずからの判断で、誰を大学に入れるのか、どのような選考基準を設けるのか、あるいは教育課程の中身、これはもう大学の自治そのものでありまして、それが会議の場で、正しいとか間違っているとか指導しろ、こういうことは本来あってはならない話だろうというふうに思います。

 実際、その東大の記者会見後に、記者から当時の林文科大臣に質問をされまして、林大臣は、しっかりと検証する必要があるという趣旨に受けとめているとした上で、民間試験の利用に特定することなく、英語四技能の評価に積極的に取り組んでいただくことを期待している、こういうふうに述べるにとどめております。これが普通の姿なんだろうというふうに思いますし、もう一つの問題、総長が指摘をされていた公平公正さ、この点についても問題であります。

 結果論になりますけれども、この問題で利用は延期されることになりました。とすると、当時から課題とされてきた問題には目を伏せて、とにかく民間試験の利用を促そう、そういう姿勢で間違ったメッセージということを使われた、これこそが私は間違ったメッセージそのものだというふうに思います。

 ぜひ、この後も少し尋ねますけれども、歴代大臣からも聞き取りを行う、ヒアリングを行うということでありますから、ここには下村元大臣も当然含まれているという認識をしておりますし、くれぐれも間違ったメッセージを送らないようにくぎを刺しておいた方がいいということだけ、一言付言させていただきます。

 関連してお聞きしますけれども、これも前回この委員会で質疑をされておりますが、報道ベース、実際に生の録音も出ているということのようでありますが、東大を指導していただきたい、こう述べている。一方、十一月二十日の下村元大臣の記者へのぶら下がりでは、文科省に、もっとちゃんと説明する必要があるのではないかと申し上げた、このように述べておられます。

 大臣、この指導と説明という言葉、これは一連の文脈の中で同じ趣旨だと考えますか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御質問の下村議員の発言の趣旨は我々としては承知しておりませんが、一般的に、指導というのは、ある目的、方向に向かって導くということ、説明というのは、ある事柄がよくわかるように述べて説明するという意味であるというふうに承知しております。

吉川(元)委員 まさに違うんですよね、意味が。

 ほかの、下村元大臣の会見なのかお話なのか、こういうふうに言うんですよね。東京大学に直接要求したのではなく、議員の中でそういう議論もできないことになれば、そもそも会議は成り立たなくなる、こういう話をされているんです。

 意見を言っているんじゃないんですよ。例えば、東大はぜひこれを活用してほしいなというふうに思うんだがという話ではなくて、指導をしなさいと文科省に対して言っているわけで、この点は明らかに、先ほど言いましたけれども、大学の自治あるいは学問の自由に抵触をする話だというふうに思いますが、大臣、いかがお考えですか。

萩生田国務大臣 私、その会議の場にもおりませんでしたし、また、文科省の職員が出席をしていましたが、あくまでオブザーバーとして、会自体は党の皆さんによって運営をされていたと承知しておりますので、その中の発言が直ちに大学の自治に介入することにつながるというふうには、間接的には、私は思いません。

吉川(元)委員 いやいや、私が聞いているのは、例えば、東大がその民間の英語試験の導入に消極的であるということについて、自分の意見を開陳することそのものがだめだと言っているわけではないんです。そうではなくて、文科省に対して、指導せよ、このように言った。

 しかも、英語の民間試験というのは、これは別に法律でやらなければいけない、各大学全てがやらなければいけないという話ではないわけで、そういう意味でいえば、大学がどのようにこれを活用するのかは、あくまで大学側が自主的に判断をする中身であります。それについて指導せよというこの発言自体が、これが問題なのではないか。自由闊達な議論をしているとかしていないとかという話ではないんですよ。

 この点、どうですか。

萩生田国務大臣 文科省としましては、東京大学のみならず、全ての大学に対して、この自民党の会議より前から、国公立、私立大学関係者及び高等学校関係者の審議を踏まえて策定した大学入学者選抜実施要項に基づいて、英語四技能をはかることのできる資格検定試験等の結果の活用を促してきたところであり、その意味でも、下村議員の発言が文部科学省に、言うならば圧力をかけたというふうには受けとめておりません。

 与野党問わず、いろいろな会議で、文部科学省の職員に対してさまざまな御注文をいただきますけれども、大変恐縮ですけれども、それを直ちに、言われたことをすぐに行動するということは実際にはないわけでありまして、そこは文科省として、果たしてそういうことがいいか悪いか、さまざまな考えのもとで次なる行動をとっておりますので、そこは御心配ないと思いますが。

吉川(元)委員 もちろん、それで直ちに動けば、それはもう文科省は解体するしかないと思いますよ。そんなことを言われて、かわって大学を指導するような、ちゃんとこれをやれというようなことを言った瞬間に、それは、文科省はもう文科省ではなくなるわけで、当たり前の話なんですよ。そうではなくて、指導せよということを言うこと自体が、大学の自治や学問の自由、これに抵触をしている。

 先ほどから何度も言っておりますけれども、民間試験を活用してほしいというレベルでの話ではないわけです。文科省は圧力として受けとめていないというのは、それは結構な話ですけれども、結果的には、言った当人はそれをどのような意思で言ったのか。普通に考えれば、文科省に、ちゃんと指導せよと言っているわけですから、文科省を使って大学側に圧力をかけた、かけようとしたというふうに言われても私は仕方のない話だというふうに言わざるを得ません。

 下村議員が大臣時代に、地教行法の改正でかなり長時間議論をさせていただきました。その際にも常に問題になったのは、政治的な中立性、公平性というところがとりわけ議論の大きな課題になっておりました。そういう面でいえば、そのことを知らない方ではないはずでありまして、その点、やはり今回の問題というのは大変に大きな問題だということを強く指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、英語の民間試験に関して何点かお聞きしたいというふうに思います。

 今回延期が決まったわけでありますけれども、大臣は、この問題について、検討会議を立ち上げて年内に第一回の会議を開催すべく準備を進めている、こういうことを述べておられます。

 そうなりますと、大臣の頭の中には、検討すべき課題あるいは方向性がある程度描かれているものと推測をいたしますが、現時点で話せるもの、話せないものもあろうかというふうには思いますけれども、何点か、この点についてお聞きしたいと思います。

 まず第一に、この検討会議、どういったメンバーで構成をしようというふうにお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 先ほどもお答えしましたが、人選は現在検討しているところですが、受験生を第一とする立場に立ち、さまざまな有識者や学校現場の関係者、保護者などを含め、なるべく多様な御意見やニーズを反映できるような会議のあり方を工夫してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 延期された今回の英語民間試験でありますけれども、学識経験者のみならず、全国高等学校長協会やあるいは予備校の先生方、また保護者からも強い懸念、批判の声が上がっております。幅広くということでありますが、ヒアリングの対象として呼ぶだけではなくて、検討会の委員として、継続して意見を述べてもらうのが筋だというふうに思います。

 これは、十一月五日の日に、この問題で参考人の質疑を行いました。羽藤参考人からは、非常に、手厳しいといいますか厳しい意見が出されております。そこでは、民間ありきで来たわけですよということで、国じゅうの専門家が五年も六年もずっと反対してきたわけです、そういうことを述べながら、そういう専門知を一切使わずに、いわゆる専門的な知識を持っている人を全く入れずに来た、これが今回の混乱の一つの原因だというふうに述べられているわけです。

 そういう意味でいいますと、ヒアリングの対象とするだけではなくて、検討会のメンバーとしてこうした方を入れるべきだと考えますが、大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 多様な意見を集められるように、よく検討してみます。

吉川(元)委員 私が言っているのは、ヒアリングの対象ではなくて、検討会のメンバーにぜひ入れていただきたいというふうに考えますので、ぜひその点、考慮いただければというふうに思います。

 それからもう一つは、今回、英語の民間試験が延期になった最大の力といいますか、声を上げたのは、当事者である高校生あるいは受験生の皆さんです。そういう意味でいいますと、こうした当事者の意見も取り入れていくことが必要だというふうに思いますけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 検討に当たりましては、受験生を第一とする立場に立ち、受験生の方や保護者の方なども含めて、なるべく多様な御意見やニーズを反映できるような会議にしていきたいと思いますが、継続的に行う会議に特定の高校生が常に陪席するというのはいかがかなと思いますので、どこかの機会に集中してきちんとお話はいただきたいなと思っています。聞かせていただきたいと思っています。

吉川(元)委員 もちろん、継続する会議に毎回毎回、同じ高校生が参加するというのは、これは物理的にも難しいですし、本人にも大変大きな負担にはなると思いますが、ぜひ、そうした当事者の声を聞ける場をしっかりと設けていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、十一月一日の記者会見で、この一年間、なぜ延期せざるを得ない状況になったのか検証する、全ての問題を洗い直しをして、しっかりと制度の構築を図っていきたい、こういうふうに大臣は述べられております。大臣御自身の問題関心なのでしょうが、試験会場を文科省の責任で確保すること、それから、国の財政も含めた経済支援のあり方も重要だ、こういうふうにも述べられております。

 そこで、年内から開始する予定の検討会議、議題にすべき論点、大臣はどういうふうに考えていらっしゃるのか、教えていただければと思います。

萩生田国務大臣 今後は、設置する予定の検討会議の具体的な議題、論点について早急に進めてまいりたい、検討してまいりたいと思いますけれども、大学入学共通テストや各大学の個別試験の中での英語四技能評価をどのように評価するのか、経済的な状況や居住地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような配慮が十分なのかなどを柱として、高校、大学関係者などの意見も聞きながら、一年を目途に検討してまいりたいと思います。

 その際、システム導入を延期せざるを得なかった要因や、導入に当たって指摘された課題についても検証し、英語四技能を適正に評価するシステムを国が責任を持って実施できる体制について検討していきたいと思います。

 今先生御披露いただいたのは私の多分記者会見での発言だと思いますが、私なりにも、こういった点を検討できなかったのか、あるいは今後入れるとしたらどういうことが課題なのかというのは、幾つか腹案は持っていますので、いずれ正式に会議がスタートした時点で、そういったものも加えて、できるだけ幅広に検討し、検証し、いいものに変えていきたいなと思っております。

吉川(元)委員 ゼロベースでの検討だということでありますけれども、私自身は、この共通テストに四技能全てを盛り込んで試験をするということ、民間試験の活用はもちろん当然だめでありますが、これはやはり非常に難しいものだと。

 そういう意味でいうと、別の手段、共通テストの中でということではなく別の手段でもって行うということもあり得ると考えてよろしいんでしょうか。

萩生田国務大臣 現時点において、どのような仕組みでいくか決定はしておりませんが、この委員会でも繰り返し申し上げているとおり、あらかじめ、これはやらない、これはやるというようなことを予断を持って決めるつもりはございませんので、よく話を聞いて、そして皆さんと検証しながら、一番いい方法を考えていきたいと思っています。

吉川(元)委員 それともう一点、ちょっと最初の下村元大臣の話に戻って大変恐縮なんですが、民間試験の導入の延期についてということで、インターネットといいますか、ウエブ上で特集が組まれておりまして、そこで下村元大臣も御意見を開陳されておられます。

 その中で非常に気になる点がありまして、今後の課題ということで、下村元大臣は、既に五〇%の大学の入試で英語の民間試験が利用されている、もっと使いやすくする環境づくりを進めるためにとして、私学助成や運営費交付金等でそういう大学を支援することも議論していくべきだというふうに述べています。

 ちょっと私はびっくりしたんですけれども、例えば運営費交付金というのは、人件費あるいは水光熱費、施設維持費に充当される基盤的経費の一部であります。しかも、例えば仮に英語の民間試験を活用した場合に、誰が一番、一番といいますか、誰がお金の負担をするかというと、今回のスキームでいうと受験生が負担をすることになるわけで、なぜこれが、運営費交付金で支援する、あるいは私学助成で支援をするという話になるのか、私には全く理解できません。

 考えられるのは、ある種の政策誘導、民間試験を取り入れたところは運営費交付金や私学助成にプラスをしますよ、そういう意図でやろうとしているとすれば、これは、運営費交付金あるいは私学助成というのはそういう性質のものではないはずであります。

 利用大学の私学助成、運営費交付金、この増額の検討ということを下村元大臣は言われておりますけれども、大臣は、そうしたことはないということでよろしいでしょうか。

萩生田国務大臣 グローバル化が急速に進展する中、英語によるコミュニケーション能力の向上は喫緊の課題であり、大学入試において、英語の読む、書く、話す、聞くの四技能を評価することは重要だと思います。

 このような観点からも、英語の民間資格、英語の検定試験の活用に限らず、入試において英語の四技能を適切な方法で評価している大学に対してどのような支援が考えられるかについて、さまざまな方策を検討してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 そうじゃなくて、例えば、英語の四技能が必要だというのであれば、大学の中で行われる教育においてそうしたものが行われることについてさまざまな支援をするというのは、それはあり得ると思いますけれども、試験に課すかどうかで支援するしないというのは、それはおかしい話じゃないですか。

萩生田国務大臣 さまざまな方策を検討してまいりたいと思います。先生おっしゃるように、入試のときだけそれをチェックして、後で入学した学生たちには全くそういった授業が行われていないのでは全く意味がないと思いますので、幅広に考えていきたいと思います。

吉川(元)委員 少なくとも、基盤的経費である運営費交付金でもって何かをするというのは、これは私は筋違いだということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 また、大臣は、どういう積み上げで今回英語の民間試験利用の制度設計を行ってきたのか、判断に誤りはなかったのか、きちんと検証していきたいということを会見で述べられております。

 非常に今回の決定プロセス、不明瞭な部分がたくさん存在をしております。

 とりわけ問題になっているのは、当委員会でも議論されておりますけれども、大学入学希望者学力評価テスト検討・準備グループ、そして大学入試英語四技能評価ワーキンググループ、この二つの会議で、議事録が一部又は全部非公開のままであります。できるだけ早くこれは公開をしていただきたいというふうに思いますが、大臣はこの二つの会議についても検証するものというふうに思いますが、それも含めて、決定プロセスの検証は、何を対象としてどのように進めていくお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 大学入試における英語民間試験の活用に関する検証については、今後、私のもとに立ち上げる検討会議において、一つのテーマとして取り扱うこととしております。その際、英語民間試験の活用に関するこれまでの検討の経過や、その際に論点となった事項などを対象に検証を行うことを想定しているところです。

 まずは、大学入学共通テスト実施方針の検討を行った検討・準備グループについて、非公表を前提に作成した議事概要を、検証にも資するよう、当時の委員の皆さんの確認がとれ次第公開し、その経緯を検証してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 これだけ世間を大きく騒がせた問題でありますし、なぜこんなことがこういうふうに決まってしまったのかということについては、これは広く国民の皆様にもきちんと伝えなければいけない内容であります。

 非公開で行われた会議だからということで公開がされないということはあってはならない話ですし、多くの受験生を混乱させてしまったその原因がどこにあったのか、これは、次に一歩進めるためにも必ず検証が必要な課題だ、ぜひ議事録の公開を早急に決めていただきたいということを述べさせていただきたいと思います。

 次に、もう余り時間は残されておりませんが、共通テストの記述式問題について何点かお聞きをしたいというふうに思います。

 まず、その採点の精度について、当委員会でも何度も議論をされてまいりましたが、確認なんですが、採点の精度については、採点の基準をつくった採点基準策定委員会が責任を負うのか、それとも、採点の業務を受注して採点する側になる、今回でいいますと学力評価研究機構になりますが、これはどちらが負うということになるんでしょうか。

義本参考人 お答えいたします。

 大学入学共通テストの記述式の採点につきましては、民間事業者を活用しつつではありますけれども、大学入試センターが最終的に責任を負うという形で実施するものでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、仮に問題が生じた場合には、全てはセンター側が責任をとるということでよろしいんですね。

義本参考人 採点の責任につきましては入試センターにございますので、受験生が不利にならないように、仮に課題が生じれば、文科省と連携しながらあり方について検討していくことになると存じます。

吉川(元)委員 じゃ、少し飛ばしまして、お聞きをしたい点があります。

 事前にいわゆる採点者に対して、採点マニュアルを使っての研修を行う、この研修というのは、どういうものを研修として行っていくのか、お答えください。

義本参考人 採点事業者におきまして、採点者に対して、試験実施前に、守秘義務等に関する研修、正答の条件等を踏まえた採点作業に関する研修、システム操作に関する研修、モデル問題を使用した採点の演習などを実施する予定だというふうに確認しております。

 その上で、試験実施後におきましては、採点作業が開始される前の段階で、採点者に改めて、本番の試験問題を使用した採点マニュアルに関する研修を行っていく予定でございます。

吉川(元)委員 試験後に実際の問題を使って研修を行うということですが、その前段、試験が行われる前に行われるさまざまな研修、そこには採点マニュアル等々もあると思うんですが、これは、確認ですが、いわゆる秘密にしなければいけない守秘義務がかかるものなんでしょうか。

義本参考人 採点マニュアルにつきましては、試験実施前には使うということはございません。採点実施前におきましては、守秘義務に関する研修も含めまして、具体的な採点の作業にかかわるような必要な演習を行う予定でございます。

吉川(元)委員 そこで行われるいろいろなさまざまなこと、例えば、自分は採点者だということを、まあ公表するような人はいないと思いますけれども、友人や知人に、実は今度共通テストの記述式の採点者に自分はなったんだというようなことを漏らすことは、これは守秘義務違反に当たるんですか。

義本参考人 採点者に対しまして、守秘義務等に関する研修を行います。その中で、知り得た情報について漏らすことについては厳に禁止しますし、また、誓約書を採点者からとりまして、その点については徹底する予定でございます。

吉川(元)委員 いやいや、私が聞いたのは、例えば、私が採点者になりました、友達に、実は今度共通テストの採点者に俺はなったんだよ、この間、研修があってさといって、採点の、研修の内容は教えられないけれども、実は俺はなったんだ、こういうことを言うことは守秘義務違反になるんですか、ならないんですか。

義本参考人 採点で知り得た情報について外部に漏らすことについては、守秘義務ということで課しておりますけれども、採点者であるかどうかについては、これは一般的な考え方としましては、事業者の方でしっかりした徹底をいただくということに理解しております。

吉川(元)委員 しっかりとして対応していただくというのは、それはどういう意味なんですか。非常に単純な質問なんですよ。イエスかノーかなんですよ。どっちなんですか。

義本参考人 当然の前提だと思いますけれども、事業者に対しまして、その点についても徹底するように改めて確認したいと存じます。

吉川(元)委員 ちょっと、そんな難しい質問じゃないですよね。採点者が、自分は採点者であるということを第三者に対して漏らすことは、それはいわゆる守秘義務違反に当たるのか、それとも当たらないのか、どっちなんですか。

義本参考人 知り得た情報の解釈でございますけれども、一般的には、採点者であるということについては守秘義務の対象にしておりませんけれども、その点については、疑義が生じないようにしっかり事業者に対してもお願いしていきたいと存じます。

吉川(元)委員 じゃ、つまり、守秘義務ではないから、私は今度採点者になりましたよということを第三者に向かって公表したとしても、それは問題はないということでいいんですね。

義本参考人 採点の公平性、中立性にもかかわる問題でございますので、その趣旨を踏まえた上でしっかり事業者に対してもお願いしていきたいと存じます。(吉川(元)委員「ちょっと、委員長、ちゃんと答弁させてください」と呼ぶ)

橘委員長 質問の趣旨に対してお答えをいただければと思います。

義本参考人 採点者であるかどうかについては守秘義務の対象にしておりませんけれども、その点については、しっかり社会的疑義が生じない形で対応するように事業者に対してお願いしたいと存じます。(発言する者あり)

橘委員長 公表することを禁じているか禁じていないかということです。

義本参考人 お答えいたします。

 採点者であるかどうかについては、現状においては禁じているものではございませんけれども、社会的疑義が生じないように事業者に対してしっかりお願いしたいと存じます。(発言する者あり)

橘委員長 疑義が生じないということはどういうことなのかということだから、そこでちゃんと答えていただければと思います。

義本参考人 契約を結ぶ際において、誓約書を結ぶ中において、採点者であるかどうかについて禁じているものではございませんが、疑義が生じないように事業者に対してしっかりお願いしたいと存じます。

吉川(元)委員 ちょっともう時間が来たので、例えば、採点者になった人は、自分は採点者だということを友達だとかあるいは知っている人に言っていいものなのか悪いものなのか、それすらわからない、今の答弁を聞いていますと。禁止はされていないけれども、疑義が生じないようにと。じゃ、言っていいんですか悪いんですかと聞かれたら、採点者に対してそうやって答えるんですか、疑義が生じないようにと。そういうレベルなんだということでいいんですね。

義本参考人 現時点においては禁じているものではございませんけれども、採点者に対しては、きょうの御質問の趣旨も踏まえまして、しっかり対応するような方策について検討いただくようにお願いしたいと存じます。

吉川(元)委員 じゃ、対応するということは、恐らく、漏らすなよと、自分が採点者だということは第三者には言わない方がいいよというふうに伝えるつもりなんだと、今の趣旨を受けとめれば。だけれども、仮にそれで漏らした場合はどうなるんですか。

義本参考人 それぞれの個々の状況にもよりますけれども、その状況を踏まえた上で、その際、知り得る情報を知らしたということにおいての問題が事業者側にあれば、その次においては、検討して考えたいと思います。

吉川(元)委員 時間が来ましたので終わります。

 私が何でこれを確認しているかといったら、採点者というのは、万を超える人が入るわけですよ。何が守られなければいけない秘密なのかということは厳格にしなきゃいけないですし、仮にそれが少しでも漏れれば、テストそのもの、試験そのものの公平性が担保できなくなる。そのときにはもうこれは全部なしですよ、年間十五億かけたものが。

 だから、その点が非常に曖昧だということだけ指摘をして、私の質問を終わります。

橘委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 国民民主党、そして立国社、共同会派の吉良州司でございます。

 きょうは、これまでも議論になっております民間英語試験活用について、高大接続の一環として、大臣中心に質疑をさせてもらいたいと思っています。

 まず、冒頭、大臣の、延期という大英断に対しては本当に拍手を送りたいと思っていますし、敬意を表します。と同時に、きょう、私は、延期から中止へという論を、論陣を張りたいというふうに思っています。

 これまで同僚議員が、特に野党議員がいろいろな問題点を指摘しました。全て的確な指摘だと思っています。ただ、私はちょっと視点を変えて、そもそも論で中止にということをお願いしたいと思っています。

 まず、大臣、改めて、そもそも論なので、なぜ民間試験を導入しようとしているのか、その究極の目的についてお伺いします。

萩生田国務大臣 お答えします。

 グローバル化が急速に進展する中、英語によるコミュニケーション能力の向上は喫緊の課題であり、現行の高等学校学習指導要領においても、読む、書く、話す、聞くの四技能を総合的に育成する指導を充実することとされています。

 しかしながら、我が国の高校三年生の英語力については、特に、話す、書くに課題があることが明らかとなっており、グローバル化時代を担う人材育成のため、大学入試においては英語四技能を評価することが重要であると考えてまいりました。

 一方で、約五十万人規模で同一日程一斉実施型試験による共通テストとしての英語の話す、書く能力を含めた試験を実施することは極めて困難であることから、既に高等学校における英語教育や一部の大学入試においても活用され、一定の評価が定着している民間の英語資格検定試験の大学入試における活用を推進することによって、大学入試において、高等学校段階までに育成した四技能の英語力を適切に評価できることとなり、また、ひいては、高等学校における英語四技能を総合的かつバランスよく育成する授業改善が一層促進されることにもつながることを目指したところです。

 なお、今後、英語四技能について大学入試でどのように評価をしていくのかといった点については、私のもとに検討会議を設けて、一年を目途に結論を出す予定としております。

吉良委員 なぜかというと、一言で言うと、やはりグローバリゼーションがあって、それに対応する人材をということだと思います。

 その点について、先日、十一月二十日のこの文科委員会において、牧委員から指摘がありました。こういう指摘です。

 四技能、四技能というんだけれども、そもそもどんな目的で英語四技能を習得する必要があるのか。私たち日本人にとって英語というのはセカンドランゲージだと思うんだけれども、これをバランスよく全てネーティブスピーカーみたいに話ができるところまで本当に私たちは求められているのか。あるいは、大学へ進んでから、例えば論文を書くために英語を習得しなきゃいけない人やら、あるいは、会社で営業して、海外を飛び回って日本の製品を売るために英語を覚える人もいるでしょうし、それぞれ全然目的が違うと思う、こういう指摘をさせてもらいました。

 大臣、これについて答弁をされております。先ほどの答弁のことと重なるんですけれども、私、大臣の答弁の中で注目しているのは、大臣、このように捉えています。

 グローバル化が急速に進展する社会で活躍できる人材に求められている資質としては、豊かな語学力やコミュニケーション能力、主体性、積極性、異文化理解の精神等を有していることがあると考えています。さらに、一部の業種や職種の人だけでなく、誰しも生涯にわたりさまざまな場面で必要とされると考えているコミュニケーション能力は、英語の四技能を使って、しっかりとはかって、育てていくことが課題だというふうに思っています、このように大臣、答弁されています。

 一つ、活躍できる人材ということを言われています。それから、コミュニケーション能力に加えて、主体性、積極性、異文化理解の精神等を有しているということも答弁で述べられています。

 牧委員が指摘したように、本当にいろんな人たちがいて、ネーティブのような英語を使いこなす人、そこまではいかなくても、例えばラグビーワールドカップがあったときに外国人が来て、その人たちを迎え入れるような人たち、また、キャビンアテンダントだったり、例えばツアーのコンダクターだったりホテルのコンシェルジュだったり、全てオールラウンドではないけれども、ある特定の分野における会話、その部分については卓越した英語を使いこなせる、いろんな人たちがいると思うんです。

 私がびっくりしたのは、この英語民間試験の理解をお願いしますといって説明に来た文部科学省の人に、あなたはふだん日常的に英語使っているのと聞いたら、いや、自分は今こういうセクションにいるので全然使っていませんという話でした。

 今、この英語を推し進めようとしている文部科学省の職員の中でそれこそ日常的に英語を使っている人たち、どれぐらいいますか。教えてください。

柳政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省において国際という名称がつく課室等の組織は、国際統括官、大臣官房国際課、高等教育局高等教育企画課国際企画室、科学技術・学術政策局政策課国際戦略室、スポーツ庁国際課、文化庁文化経済・国際課など十二ございます。これらの組織におきましては、多くの職員が日常的に英語を使用して職務に当たっております。

 また、これら以外の課室におきましても、日常業務として、国際的な調査、分析、国際会議への出席やそれにかかわる調整、協議、条約などの国際協定に関する審査や定期的な報告など、英語を使用する機会が少なくございません。

 さらに、職員のキャリアパスの一環といたしまして、人事交流により在外公館や国際機関において業務に従事するなど、日常的に英語を使用し得る機会がございます。

 以上でございます。

吉良委員 今の答弁でも、何とか国際課とか、国際、国際とついたところの人たちは日常的に使うけれども、それ以外の人たちについては、今おっしゃった国際会議だとか、まあ、たまに使う、だから、世のエリートの集まりと言われている文部科学省の中でも、日常的に英語を使う人たちというのは極めて限られているんです。

 もちろん、文部科学省の人たちは中学、高校、大学と、それなりの英語能力を、基礎能力は持っていますので、いざそういう場面になれば、また、そういう場面が近いところにあるとわかれば、少しかつてを思い出して対応することができる人たちはいると思っています。

 ただ、文科省に入った人たちの中でも、一度も国際課というようなところに配属されなければ、いわゆる会話としてやりとりすることがないまま終わる人が結構いるのではないかと思います。もちろん、さっき言った国際課とかいうのではないセクションも、海外の教育事情どうなっているんだろう、自分の担当課、担当分野にかかわることで海外の文献を英語で読んだりすることはあるでしょう。けれども、直接会話でもってやりとりするという人は極めて限られているというふうに思います。

 では、質問ですけれども、文科省のみならず、人それぞれ同級生、同学年がいます。同学年が百人いるとしたときに、その同学年の中で日常的に仕事や生活で英語を使っている人というのは百人中どれぐらいいるというふうに分析していますか。そういう分析もあって、英語能力、四技能を高めようというふうな方向に出てきているんだと思います。それを民間試験でというふうに思っているんだと思います。

 同級生百人中、どれぐらいの人たちが、日常、話す英語、英会話、四技能全部を使っているんでしょうか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の人数、百人の中でのどのくらいの割合かといったようなことを正確にお答えすることは難しいと思いますけれども、あくまで参考といたしまして数字を何点か紹介いたしますと、例えば外務省の調査におきますれば、平成三十年十月時点におきまして、海外在留邦人が百三十万人いるうち、アメリカ、英国、カナダ、オーストラリア、シンガポールなど主要な英語使用国の在留者は約七十五万人となっておりますし、海外との交流ということであれば、平成三十年におきましては、外国人の入国者は約三千十万人で過去最高、日本から出国する方は千八百九十五万人ということで、これも過去最高となっております。

 また、中小企業の海外の法人を設けている企業さんは六千五百社となっておりまして、さまざまな場面で英語を使用する機会がふえているのではないかと思っております。

吉良委員 地域差を殊さら強調するつもりはないですけれども、東京あたりは大手の企業があり、国際的なビジネスをやっている企業がたくさんある、そこに携わっている人がたくさんいる。

 今答弁でもありました、それは、最近、国際化、グローバリゼーションの中で、中小企業でも海外に打って出るというような人たちはいます。ただ、私の感覚では、日本全部を、東京以外も含めて押しなべたときに、同級生の中で日常的に英語で仕事をしている、生活をしているというような人は、百人中五人いればいい方だと思っています、今のグローバリゼーションの中でも。

 今後、じゃ、それが百人中五十人になっていくのか。私はそう思っていません。

 あえて定義づけると、今、百三十万人海外にいるという中で米国等英語圏七十五万人という話がありました。そういう、英語でもってビジネスをする、そして生活をする人、それを私に言わせると、打って出る英語なんです。

 英語は一生のうちに使うことがある。例えばラグビーワールドカップじゃないですけれども、一生に一度ですけれども、最近これだけイベントがあって海外からいろいろな人が来る。数カ月に一度使う、一年に何回使う、そういう人たちは大勢いる。けれども、それは、私に言わせると、迎え入れる英語なんです。

 打って出る英語というのは、先ほど牧委員の質問に言及しましたけれども、ある意味では、ネーティブスピーカーときちんとやりとりできる人たちですよ。けれども、迎え入れる英語を使う人たちというのは、いわばお互いが第二外国語としてやりとりをできる、そんなぺらぺらはしゃべれないけれども、何とか意思を通じさせられる。この日本においては、圧倒的に、今言った迎え入れる英語を使うという人たちが多いんじゃないですか。

 まず、その問題意識について、萩生田大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 非常に冷静な分析を得た御意見だと思います。分けて言うならば、打って出る英語と迎え入れる英語、まさしくそうだと思うんです。

 ただ、先生、先ほど私、答弁の中で、なぜ受験にこの四技能を入れたかといったら、まず一つは、やはり、高校の学習指導要領でこれをやろうということになったわけですから、ちゃんとやりましたね、終わっていますねというのを、次に進学する段階でチェックするという一つの意味がまずあると思います。

 その上で、これからのグローバル化社会を考えたときに、この四技能、持っておいた方がいいよねと。確かに、職業としてこれをフルに使う職業につくかどうかは、まだ大学生は未知ですから、中にはそんなに必要ない人もきっといると思います。あるいは、学部によってはだんだんだんだん接触する機会が減っていくこともあると思いますけれども。

 私自身の反省も兼ねて、私も、学生時代は非常に英語が好きでしたけれども、全然使う機会がなくなって、全くと言っていいほどしゃべれないぐらい恥ずかしい感じなんですけれども、大臣になったらやはりこれはすごく必要ですし、官房副長官のときには総理について国際会議にずっと出ていましたので、まさか自分がオバマやトランプと話をすると思ったこともありませんでしたので、何が起こるかわかりませんから、そういう可能性を広げていく意味では、迎え入れる英語でとどまらない、そういう、言うならばのり代というのはつくっておいた方がいかがかなというふうに思っています。

 加えて、そういう人たちがふえることによってやはり日本の構造も変わってくるんじゃないかというふうに思いますので、将来の大きな絵を描いたときに、必要がないから勉強しないんじゃなくて、そういう人たちがふえることによって日本の果たす役割というのが国際社会の中でまた一つ大きくなるのではないかという期待も込めて、ぜひ進めていきたいと思っています。

吉良委員 私も、大臣の今おっしゃった後段の問題意識というか答弁内容については全く異論ありません。おっしゃったように、指導要領でやると決めて、そのある成果をはかる、それもそのこと自体には異論はありません。ただ、これまで議論でずっと出てきたように、それを民間試験ではかろうとするといろいろな問題があって、それが正当なはかり方なんですかということなんですよね。

 それと、先ほど私の方からも言いました、大臣発言の中で、単に英語のコミュニケーション能力だけではなくて、異文化の理解、主体性、積極性というようなことも大事だというふうにおっしゃいました。

 英語で会話をするときに最も大事なことは何でしょうか、大臣。

萩生田国務大臣 すごく難しい質問だと思いますけれども、学習要領の中で改めて明示しましたのは、コミュニケーションの目的や場面、状況に応じて、主体的に自分の考えや気持ちを伝え合おうとすることが重要であると考えています。

 文法や単語の正確性ばかりを過度に気にするのではなく、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成することを初等中等教育段階では推進しております。

吉良委員 その答弁も理解はしますけれども、私に言わせると、英会話で、私も実はニューヨークに五年半駐在していましたけれども、本当に英語が下手で、すごく苦労した人間なんです。さっき、迎え入れる英語と打って出る英語というのを自分で言ったのは、自分の経験からなんです。

 アメリカ人と話す、こんな苦労することはない。けれども、ブラジル人と英語でしゃべる、ペルー人と、同じ第二外国語同士で英語でしゃべる、俺の方が英語うまいんじゃないかと錯覚に陥るぐらい。そうすると、物すごくスムーズにしゃべれる。それは、アメリカ人としゃべるときの単語に比べたら、もう本当に中学英語ですよ、だけれどもコミュニケーションはできるんですね。

 私は、話す内容が全てだと思っています。表面的にあれだこれだぺらぺらしゃべっても、中身ないことをしゃべったら、さっき言った、少なくとも打って出る英語についてはまるっきり仕事にならない。

 一つ例を出します。古い時代の話で恐縮ですけれども、三十数年前に、私は、日商岩井という商社、人事部をやっておりました。若手のときで、私ではないんですけれども、先輩で、それこそ英語がぺらぺら、後に、ボーイングの担当をしていたので役員にもなった、シアトルにもワシントンにも駐在していた先輩が、アメリカに行きまして、アメリカの数カ所で採用しようとしました。

 まさに、もう三十数年前ですけれども、これからはグローバル化だ、商社はグローバル化を言われているけれども、実際アメリカに渡って、大学時代から英語になれ親しみ、異文化に親しみ、そういうチャレンジある学生たちを採用しようじゃないかといって、百名弱のアメリカに留学している学生たちと面接しました。結果はどうかわかりますか。ただ一人も採用しませんでした。

 当然、我々は、日本で日本の大学生をずっと面接し続けていましたから、日本の大学生のレベルはわかっている。正直言って、その中で、ああ、この学生いいな、ぜひ入ってほしいなという学生に比べると、アメリカに留学していた学生たちというのは全然物足りなかった。しゃべりますよ、アメリカに行って留学しているんだから。だけれども、悪いけれども、中身がない。こんな言葉を使っていいか、人間力について、とても日本で採用したいと思う学生に及ばなかった。

 採用するときには、人間力あふれる人、中身を持っている人を採用して、採用してからその人たちを鍛えて、現場に放り込めばいやが応でも英語をやらざるを得ない。

 この点については、幾つもの学者の人たちが同じようなことを言っているんです。鳥飼玖美子さんという立教大学教授、NHK英会話とかいうようなことにも講師をやっている非常に有名な、通訳としても、英語教育にしても第一人者の方で、皆さん見たことある方もいらっしゃると思います。その方はこういうふうにおっしゃっています。

 大学入試では、読む力を通して英語の基礎力をはかるべきである、読むという基礎力を入試で判定し、入学後に各大学が総合的な英語力を育成することは可能、コミュニケーション重視の英語改革のため、現在の若者は以前よりももっと読めなくなり、したがって書けないし話せない、読む力が基礎となり、書くようになり、聞くから話すへとつながる。

 帰国子女とか一部の際立って語学能力のすぐれた人を除くと、実は、中身を持っている、つまり読める、書ける、こういう人が結局は話せる、そういう分析結果もあります。

 群馬県立女子大学国際コミュニケーション学部の神谷教授の研究は、センター試験と四技能民間試験との、全般的な英語の力の相関性について調査研究しています。

 具体的には、センター試験の英語、二技能ですけれども、それとTOEFLの、TOEFLというのは一般向けですけれども、それは余りにも難し過ぎて差がつかないということもあり、中学生、高校生用に新たにつくったTOEFLジュニアコンプリヘンシブという四技能をはかる試験があります、その相関関係を調べた。結果、どうなったか。極めて高い相関性がある。

 つまり、読む力がある人は書く力も聞く力もあるし、最終的には話す力もある。八一%相当が、センター試験でもって、その人が持つ四技能の力をはかることができるという結果が出ているんです。その先生の調査研究の結論からいえば、四技能試験を行わなくても、センター試験のリーディング、リスニングも抜いてですよ、リーディング一技能のみの試験で十分に受験生の英語の力を評価できる、これが調査研究の結果なんです。

 ですから、私が言いたいのは、そういう民間試験、これまでこれだけの問題点が指摘されている、そういう民間試験をあえてやるその意味がどこにあるんだと。今までのセンター試験でも、十分に四技能、話す力も含めてその能力をはかれる。

 ましてや、先日の委員会の中で、十一月二十二日、東京大学に圧力をかけているのではないかというやりとりがあったところで、東京大学総長発言としての、伯井局長から答弁があります。その中で、東京大学は、在学中に学生の力をしっかり伸ばせるように支援を強化していく、このように言っています。

 つまり、センター試験等である程度の英語能力ははかれるし、まして、東京大学含めて、まあ、こういう言い方というのは余りいい言い方ではないかもしれませんけれども、やはり打って出る英語を話せる人たちを、可能性ある人たちを入学させ、鍛えて、そしてそういう活躍ができるようにしよう、そういう大学がある。そういう大学は二次試験を課している。二次試験の中で十分その技能、その能力をはかっている。

 先ほど言いました、そんな試験対策、二回の民間本番試験のために五回も十回も練習するというのは、そんな暇があったら、中身を培え、人間力を高めよ、それこそがグローバル時代におけるグローバル人材の育成ではないでしょうか。

 やはり牧委員から、グローバル人材って何ですかということを萩生田大臣に先日質問しました。

 実は、私は、やはり商社を受けるときに、ある会社で、吉良君にとって国際人とは何ですかと聞かれて、私は何と答えたか。おのれが徹底的な日本人であることですと。自分を語り、日本を語れる人間こそが国際人ですと。そのときの面接官は、にこっと笑って、いい答えだなと言わんばかりの顔をして、内定だったですけれどもね。私はそれを今も信じているんです。

 今私が提案も含めて発言した内容について、ちょっと大臣のコメントを聞きたいと思います。

萩生田国務大臣 貴重な御意見だと思います。

 試験を延期は決定しましたが、繰り返し申し上げているように、あらかじめ、民間試験を採用するんだとか、民間試験は採用しないんだとか、あるいはこの形の試験を何が何でも続けるんだということを予断を持って決めているわけではございませんので、せっかく少し時間的な余裕ができましたから、しっかり幅広に考えて、この四技能が大切だという積み上げてきた議論は多分方向は間違っていないんだと思います、じゃ、これを、今先生のような提案も含めて、どう伸ばしていくか、あるいはそこは複線化をつくっていく方がいいのかどうなのか、せっかく時間をいただきましたので、検証はしっかりやって、そしてその後の検討については少し幅の広い議論をしてみたいな、そんなふうに思っております。

吉良委員 私がこういう問題提起をするのは、英語、英語といって特殊な、学生時代でいえば科目ですけれども、実は、これはいろいろな文献を読んで、個人差はありますけれども、八歳から十歳ぐらい以前の子供たちというのは、当然ながら、赤ちゃんが典型的ですけれども、音で覚えるんですよね。だから、アメリカの子供たちもそうだけれども、文字を全然知らないのにぺらぺらしゃべるわけですよ。ところが、八歳、十歳を過ぎてくると、そこからは学習になるんです。だから、これは、社会の内容を覚える、数学、算数を覚える、理科を覚えると同じ能力を要求されるようになるんです。

 実は、さっき言った、私、米国駐在中に子供たちが保育園だ、幼稚園だ、小学校だ、中学だ、高校に行きました。今言った八歳、十歳というと小学生です。

 実は、長女は、十歳で行きましたので、ちょっと我が子ながら、アメリカにそれだけいたのでバイリンガルなんですけれども、あえて言うとやはり日本語なんです。十歳までだから日本語ができ上がっていて、もう音で覚えるという時代を過ぎてアメリカに行ったので。ただ、バイリンガルというのは、素早く日本語からばっと英語に切りかえて考えることができるんですね。次女はもっと、七歳、八歳ぐらいのときに行きましたので、実は次女は英語で考えることができるんです。

 これはいずれ小学校における英語教育のところでまた話をさせてもらいたいと思っていますが、つまり、ある年齢以降になると、英語についても、ちゃんと単語を覚えなければしゃべれないし、ある中身を覚えなければしゃべれない。その単語を覚えられるか、内容を覚えられるかというのは学習能力なんです。

 ですから、さっき言ったように、センター試験でも、リーディングがどこまでできるかという能力をはかるということ、一般の学習能力、その中の一つである英語能力というのは十分はかれるんだ。

 それと、さっき言いました、繰り返しますけれども、アメリカに行ってぺらぺらしゃべれる人、全然魅力を感じなかった。五十万人受けるスピーキングテストで、その学生の人間力とか、どれだけ話す中身を持っているか、はかれるんですか。はかれないですよね。それがどうしても必要だというのなら、本当に二次試験で、大学教授なり大学院生がその大学に入りたいという学生相手に目を見ながら面接して、今言った表面的な英語ではなく、どこまで話す内容を持っているのか。

 やはり、一流の欧米人、外国人と渡り合うときに、ぺらぺらしゃべっても中身がなかったら相手にされないんです。そうであるならば、さっき言いました、無理やり、学習指導要領があるからといって民間試験に行くのではなくて、それは、入学段階の、それも第一段階では通常のマークシートでやって、スピーキング能力をどうしても確認したい、そういうところは二次試験でやればいいと思っています。

 一点お聞きします。

 大学の中には、二次試験、英語の配点が極めて高い大学があります。上智大学であるとか、私の、大分にある立命館太平洋大学であるとか、そういった、入学試験で英語の配点が高い大学の入学者の英語力は、英語の配点が通常、とりわけ英語を高くしていない大学学部に比べてどうなのか。調査までしているかどうかわかりませんけれども、その点についてお聞きします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 調査はございません。

 大学入学者の能力、適性というのはそれぞれの大学で多様でございますので、大学の個別学力検査において英語の配点が高い大学に入学した者の英語の能力が、それ以外の大学に入学した者の英語能力に比べて高いとは一概には言えないのではないかというふうに考えております。

 ただ、グローバル人材の育成を目標に掲げて、英語に重点を置いたカリキュラム編成とか、在学中の海外留学を必須としている大学などについては、個別学力検査で英語の配点を他の科目より高くして、入試における英語の能力を重視して選抜している、そういう実態はあろうかと思います。

吉良委員 一概には言えないと。それは言えないですよね。だけれども、共通認識として、例えば上智大学に行っている人は英語ができる、国際基督教大学に行っている人も英語能力が高い、そういうのは共通認識ですよね。実際、例外はあるにしても、英語能力が高い人は極めて多いですよ。

 私はここで何が言いたいかというと、一部の有力大学と言われるところ、必ずしも英語の配点はそこまで高くないかもしれないけれども、さっき言った、人間力だとか中身のある学生をとるんだ、そして大学の中で鍛えるんだという有力校、ここは明らかに、打って出る英語を使える潜在能力がある人をとり、打って出る英語が使えるという人材として送り出したい。

 また、英語の配点を高くしているところは、もともと打って出る英語を使えるような学生を求めていますというメッセージなんですよ。それは、この先どれだけグローバル化が進んでも、私は、同級生百人中、今言った、今は五人かもしれない、それが十人になる、十五人になる、二十人になるかもしれない。だけれども、五十人にはならない。

 打って出る英語は、今言いましたように、共通テストの英語部門としての民間試験なんかやらなくても、英語の配点を高くする、そもそも入学試験全般また英語の入学試験の二次試験でもってその総合力をはかっている。

 私は、迎え撃つ英語がどうでもいいとか思っていません。英語を全然使う気がない人、恐らく、使いたいなと思っても使う機会がない人もいっぱいいます。けれども、さっき言いましたラグビーワールドカップ、そういうようなことを契機に初めて外人としゃべったというような人たちもたくさん出てくるでしょう。

 私は、中学までですけれども、迎え入れる英語のレベルを百人中百人がもうとことん使えるようにする、まずはそれで十分なんです、ナショナルミニマムとしては。あと、そこからは、今言った、打って出る英語を使える人材を育てたいというところに任せていく。これで十分だと思います。

 結果的に、さっき言った、打って出る英語を使う、そういう会社、組織というのは、今現在はかなり限られています。そういうところに入ることができる人たちというのは、さっき言った、有力校であったり英語配点の高いところの人たちが多いことは現実です。

 ただ、私は、これも会社の経験で、それも古い経験で言って恐縮ですけれども、同期の中に、通常自分たちの会社には余りいない大学の同期がいました。彼は何を得意としているのか。英語です。むちゃくちゃ人間がいいし、英語力が抜群で、彼は、そういう有名じゃない大学なんだけれども、一生懸命英語を勉強して、それこそ民間の検定試験を受けて非常に高い得点をしていた。そのことを売りに会社へ入ってきて、実際採用されて。

 ですから、さっき私があえて言った、差別とかじゃなくて、有力校とか英語配点の高いところが潜在的に打って出る英語の予備軍の輩出校だとは言いましたけれども、大学に入って自分も打って出る英語で勝負したいんだという人には幾らでもチャンスがあります。そういう人たちのために英語検定があるんじゃないですか、民間試験が。五十万人に課すことが決して私は今の日本の実情に合っているとはとても思えません。

 ですから、ぜひ、さっき足立康史委員が言っていました、よいしょするわけじゃないですけれども、私自身もそうですが、ここの文部科学委員の多くが、萩生田大臣の物すごく深い理解力と、それを整理する能力と、その整理した内容を簡潔明瞭に説明する能力、みんなびっくりしていると思います。多分、いやいや、川内さんもそう思っていますから、この前言ったら。(発言する者あり)川内さんが思っているんだから、もうみんなですよ。

 だから、その萩生田大臣の深い理解力の中で、きょう私が申し上げたことが深く胸におさまってというのか、そして、延期ではなく中止という大英断をしていただくことを望みますが、萩生田大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 グローバル化が進展する中、世界で共通語として使用されている英語によるコミュニケーション能力の向上は喫緊の課題であり、現行の高等学校学習指導要領においても、読む、聞く、話す、書くの四技能を総合的に育成する指導を充実することとされています。

 そのため、高等学校段階で習得した知識や技能などを適切に評価することを目的としている大学入試においても、高等学校段階までに育成した四技能の英語力を適切に評価するために、既に高等学校における英語教育や一部の大学入試においても活用され、一定の評価が定着している民間の英語資格検定試験の大学入試における活用を推進することとしていたところであります。このことは、大学進学時における英語を使用する可能性の高低にかかわらず、全ての受験生の能力を適切に評価するために必要なことと考えています。

 きょう、先生がみずからの経験を踏まえてさまざまな意見を提案をいただきました。それは真摯に受けとめて、今後の検討課題の中に加えていきたいと思います。

 最後に、私、この英語試験を延期しようと思ったのは、もちろん高校生の立場に立ってなんですけれども、その中で、いろいろな要素があったんですけれども、一つだけ、なかなか、先に六割ということを主張した後で言いかえましたから説得力がない数字があるんですけれども、いわゆる選択区分、入試の選択区分で追いかけてみますと、結局三割だったんですね、私立大学の。すなわち、六割の大学名は出てきたけれども、入試をする間口からいくと三割しか採用してくれていないということは、やはり、これは今後の検証の中でしっかり大学側の意見も聞いてみようと思っています。

 もちろん、文科省のさまざまな課題で準備がおくれてしまったということがそこにつながっているんだと思いますけれども、ある意味では、先生の今の問題意識にも通じるところもあると思いますので、真摯に受けとめて対応していきたいと思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 終わります。

橘委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十分開議

橘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 まず初めに、至急確認したいことがございます。

 来年四月から新しい高等教育の修学支援制度が始まります。この十一月三十日が在学生の申込期限だというふうに伺っております。

 自分が対象になることを知らなかった、事前の説明会があることに説明会が終わってから気がついたなどの声が寄せられております。学生はアルバイトに忙しく、大学からのメールに気がつかなかったり、また、夜間の学生は日中仕事をしているために、昼間しか説明会が行われておらず、参加できなかったという声もあるんです。

 都内のある大学では、説明会や面接等を経て、十一月二十五日までにインターネットを通じた申込みを完了する必要があります、まずは必ず説明会へ出席してくださいと。二十五日、きょうは二十七日ですから、もう過ぎているんですね。

 そういう点で、在学生に対する新制度への申込期間や手続等の周知徹底について、文科省はどのように対応されていますか。

萩生田国務大臣 高等教育の修学支援新制度は、真に支援が必要な低所得世帯の子供が経済的理由から進学を断念することのないよう、授業料等減免と給付型奨学金の支給を行うものであり、対象となる学生等に対する丁寧な周知が必要であると認識しています。

 現在、大学等に通っている学生に対しては、これまでも、在学生向けのリーフレットの作成、配付や各大学向けの説明会の実施などにより新制度の周知徹底を図ってきました。在学生を対象とする申込みは現在受け付けを行っており、在学生への説明の日程や申込書類の提出期限の設定などについて、各大学等において対応がなされているものと承知しています。

 文部科学省として、今月十四日にも事務連絡を発出し、大学等における学生に対する丁寧な周知と学生の申請に対する柔軟な対応を依頼したところであり、引き続き新制度の周知徹底を図ってまいりたいと思います。

畑野委員 萩生田光一大臣からお答えいただいたんですが、新制度では、従来の制度で未申請や不採択になっていた学生の約八千人が対象になるという説明を伺ったんです。せっかく対象に新たになる学生が、知らないままに支援を受けられないということになりかねないと思います。

 消費税の増税による財源で修学支援制度をつくり、経済的事情により学べない学生をなくすと言って政府が始められた制度だったと思います。

 被災学生について、申請期間を延長する措置、十二月十八日まで延長しているということは伺っておりますし、当然なんですが、そもそも、来年度から新しく始まる制度の実施で、申込期間は十一月一日から十一月三十日、本当に短いんですよね。

 大臣がおっしゃったように、十四日付で文科省からも通知など出していただいている。日本学生支援機構からも十四日に出している。だから、この時期になって、まずい、知らない学生がいるんじゃないかというふうに思っていらっしゃると思うんです。変則的な日程、取扱いになっているというふうに支援機構でも認めているわけです。

 ですから、大学側の周知不足で申請がおくれた場合に、私は、十一月三十日以降でも受け付ける、あるいは申請期限そのものを延長する、そういう柔軟な対応をとる必要があるのではないか。緊急のことですので、あともう数日で三十日が来てしまうので、その点、どうされるおつもりでしょうか。

萩生田国務大臣 今、先生、今月十四日に事務連絡を発出をしたと報告しました。あわせて、丁寧な周知と学生からの申請に対する柔軟な対応を各学校に依頼しました。

 したがって、在校生を対象とする申込みは、十一月一日から三十日までの申込みを基本としていますが、台風十九号による被災などの事情がある場合、すなわち、大学に説明してねと言ったのにしていなかった、こういうことも含むので、もし間に合わなかった場合は、まず十二月十八日まで申込期限を延長してまいりたいと思います。

 加えて、今回の申込期間に万が一間に合わなかった場合も、四月から改めて申請を受け付け、対象者としての認定を受けた場合は遡及して四月分から支援を行う予定です。

 文部科学省としては、引き続き対象となる学生等に対する丁寧な周知を努力してまいりたいと思います。

畑野委員 大事な御答弁だと思います。つまり、台風だけでなくなどという言葉があるので、大学の方で周知が十分でなければ、十二月十八日まで、それ以降も四月に入ってからもということを、ぜひ文科省の方から、大臣の方から伝えて徹底していただきたいと思います。

 さて、十一月二十二日に引き続き、大学入学共通テストについて伺います。

 前回、英語の民間検定の利用を提言した教育再生実行本部が提言検証のために行った会議で、東大を名指しして、総長だけでなく全体に対して指導すべきだという旨のことを文科省の役人に対して述べたという下村元文部科学大臣の発言について私はただしました。

 前回の委員会の中で伯井高等教育局長が、自民党の会議における下村議員の発言を受けて、内部的に検討したということはあるかもしれませんがと答弁されたので、確認です。内部的な検討はあったのでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 当時の担当者に確認をいたしました。御質問の、下村議員の発言を受けて、どのように対応するか局内で検討をいたしましたということでありますが、文部科学省では、東京大学のみならず、全ての大学に対して、この自民党の会議より前から、英語四技能をはかることのできる資格検定試験等の結果の活用を促してきたというところであり、また、東京大学もどういうふうに対応するか検討中であったということから、東京大学に対する個別の働きかけは不要であろうとの結論となったとのことでございます。

畑野委員 前回、私に大臣が、文科省に圧力をかけたものとは受けとめておりませんとおっしゃったんですけれども、結局、そういう発言があったら文科省内で検討するということですから、これはもう圧力と言えるような問題だというふうに私はただしておきたいと思います。こういうことはあってはならないというふうに思います。

 これは十一月二十四日の東京新聞の報道なんですが、その同じ会合で下村元文部科学大臣が、「党会合に出席した教育関係者に党改憲四項目の教育関連部分を説明し、改憲への協力を求めていたことが分かった。有識者からは、教育の政治的中立を損なう恐れがあるとの批判も出ている。」という記事です。

 「下村氏は党教育再生実行本部の会合で、憲法八九条と私学助成の関係について「誰が見ても違憲ではない形で改正する」と強調。教育環境の整備を加えた二六条改憲案にも触れ「これが進むように教育関係者にも力を賜るようにお願いする」と述べた。 会合には、日本私立中学高等学校連合会会長や全国高等学校長協会前会長らが出席していた。」ということです。

 私は、この間、国会の中で、それぞれの文部大臣あるいは国務大臣が私学助成は憲法違反ではないという旨の発言を繰り返しされてきたと思います。ですから、こういうことを言うこと自身は問題だと思いますが、それについては聞きません。

 文科省はこういう事情を承知していらっしゃるんでしょうか、この発言について。

浅田政府参考人 当日の会議に出席した文部科学省の職員に確認したところ、下村議員から報道されたような発言があったかどうかは確認ができませんでした。

畑野委員 それでは、確認をするように引き続き求めておきたいと思います。

 私がこの二つの例を改めて申し上げましたのは、高大接続システム改革会議で英語民間試験の利用はほとんど議論されなかったのに、二〇一七年七月の大学入学共通テスト実施方針では、文部科学省が入試改革の目玉として打ち出したことなんです。

 この決定に至る過程が不透明で、公開を求めている検討・準備グループの議事録、これを出していただきたいということなんですが、大臣はお読みになれる立場だと思いますが、読まれたのでしょうか。

萩生田国務大臣 あらかじめ目を通させていただきました。

 大学入学希望者学力評価テスト検討・準備グループは、大学入学希望者学力評価テストの具体的な制度設計のため、大学や高等学校の関係者の九名の委員によって開催されたもので、このうち、平成二十八年五月の第一回から二十九年三月の第九回まで、非公開で開催されておりました。

 同会議について、現在、委員に確認をいただいている議事概要を見たところ、自民党の教育再生実行本部に関する、あっ、これはいいんですね。済みません、失礼しました。

畑野委員 読まれたと。

 その中身も、どんな傾向だったか。つまり、賛成、反対含めて、どんな議論をしていたのかというのを伺いたいところなんですが、会議録も出るでしょうし、また、資料なども出てくると思います。

 それは進めていただきたいんですが、そういう中で、入試改革の震源地として、自民党の教育再生実行本部のことを私は前回指摘しました。決定に至る過程で、実行本部から民間試験ありきの圧力はあったのでしょうか。

萩生田国務大臣 議事録について目を通させていただきましたけれども、自民党の教育再生実行本部に関する資料の欄ですとか、議論などの確認はございませんでした。

畑野委員 もちろん党内のことですから。ですけれども、今後、文部科学大臣経験者からもお話を聞かれるということですから、それはそれで確認していただきたいと思うんです。

 つまり、参議院の参考人質疑の中でも、参考人から、十分な意見交換がなされないまま、でき上がった結論に徐々に導かれるようにしてこのような事態に立ち至ったのではないかというふうに思われる節がある、そういう御意見も出ているんです。結論ありきでそういうふうに進めていくということが一切なかったのかどうか、きちんと検証されるように求めておきたいと思います。

 次に、記述式問題についてです。

 株式会社学力評価研究機構は、本番前に問題や正答例を見て採点マニュアルをつくるため、情報の漏えいが懸念されるという声も出されております。民間業者任せの問題点として、情報漏えいの問題、守秘義務との関係があると思いますので、その点について伺います。

 きょうは、業務請負契約書、これを資料としてつけさせていただきました。第七条のところにその問題が書かれておりますけれども、まず伺います。国家公務員の守秘義務はどうなっているでしょうか。

伯井政府参考人 国家公務員の守秘義務につきましては、国家公務員法におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されておりまして、この規定に違反して秘密を漏らした者は一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するとされております。

畑野委員 懲役、罰金ということです。

 それでは、大学入試センターの職員の守秘義務についてはどうでしょうか。

伯井政府参考人 大学入試センター職員の守秘義務につきましては、独立行政法人大学入試センター法におきまして、「センターの役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。」と規定されておりまして、この規定に違反して秘密を漏らした者は、同様に、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するとされております。

畑野委員 公務員に準じるということで、懲役、罰金が科せられます。

 それでは、今回の契約の相手、株式会社学力評価研究機構の社員個人又は雇用関係にあるアルバイト個人の場合は、守秘義務違反をした場合、どのようになるのでしょうか。

伯井政府参考人 株式会社学力評価研究機構の職員における大学入学共通テストにおける記述式問題の採点業務に係る守秘義務については、業務請負契約書において、本業務の遂行に伴い相手方から知り得た一切の情報を善良な管理者の注意義務をもって厳に秘密として保持し、第三者に漏えいせず、本契約の目的以外に使用してはならない、本契約終了後も同じとすると規定されております。

 学力評価研究機構が違反した場合は、大学入試センターが受けた損害を賠償しなければならないとされているなど、その行為の態様に応じて、民事、場合によっては刑事の両面から制裁が科されるものと承知しております。

畑野委員 アルバイト個人の場合はどうなりますか。

伯井政府参考人 学力評価研究機構と雇用された者との契約において守秘義務を課し、さらに、その雇用関係における一定の制裁ということがあろうかと承知しております。

畑野委員 そうすると、それは、学力評価研究機構とアルバイト個人との誓約書とか、そういう契約関係に何が書かれているかということで決まるということですか。

義本参考人 お答えいたします。

 採点者につきましては、仕様書におきまして、守秘義務等に関する事前研修を行うとともに誓約書を提出させることになっておりまして、学力評価研究機構より雇用している採点者に対して守秘義務を課しているということでございます。

 採点者に課される守秘義務につきましては、学力評価研究機構におきまして、業務を終了した後も課されるということを承知しておりますけれども、仮に守秘義務に違反した場合につきましては、行為の様態によりますけれども、学力評価研究機構から当該採点者に対して、損害賠償など、民事あるいは刑事の両面から制裁が科される可能性があるというふうに理解しております。

畑野委員 既にベネッセの場合は、そういうアルバイトを含めて、模擬試験の採点者など、そういう契約を結んでいるんでしょうか。もしそういうものがいただけるものであれば、いただきたいのですが。

義本参考人 本番の採点者につきましては、これから雇用するということになりますので、まだありません。

畑野委員 今後そういうものを出していただくように求めておきます。

 具体的にどういうふうになるのかというのは、また後で質問します。

 つまり、国家公務員や、あるいは公務員に準じる独立行政法人のセンターの職員とは違う対応だということを確認したいわけです。結局、民事契約上の義務ですから、秘密を守る努力は企業に委ねることになるわけですね。先ほどの契約書の七条のところでも、相手方から知り得た一切の情報を善良な管理者の注意義務をもって厳に秘密として保持し、第三者に漏えいせず、本契約の目的以外に使用してはならないということになるわけです。しかし、企業に守秘義務があったとしても、ノウハウの流用が行われる可能性があります。

 ベネッセコーポレーションの山崎学校カンパニー長は、いろいろなテストを実施してその採点をしております、その採点の方々は約二万人いらっしゃる、御登録をしていただいて私どもと一緒に働いていただいているということでございますというふうに述べております。

 また、二〇一八年三月二十七日付の朝日新聞の記事で、大学入試センターの大杉住子審議役は、数千人規模の採点者を確保している業者がある、共通テストの模擬試験が行われるようになれば、採点者のトレーニングの場になる可能性があると述べています。

 伺いますけれども、共通テストの採点者は模擬試験の採点者から採用されるんですか。

伯井政府参考人 大学入学共通テストの記述式問題の採点者の確保につきましては、仕様書において、適正な試験等によって質の高い採点者を確保し、期間内に正確な採点を行うことができる人員を必要数確保することと定めており、採点者の選抜方法、必要人数については、入試センターと採点事業者が事前協議により決めるということにされております。

 実際、学力試験や採点業務への適性試験、面接などの試験を行う予定と聞いており、今後、大学入試センターにおいて必要な対応を求めていくものと承知しております。

 したがって、まだ募集は行われていませんが、結果としてさまざまな属性の方が含まれ得るというふうに認識しております。

畑野委員 ちゃんと言ってくれますかね。入るということですか。センターの理事、どうですか。

義本参考人 伯井局長から答弁がありましたように、質の高い採点者を確保する観点から、学力試験、採点業務への適性試験、面接など、さらには、これまでの過去の実績等を踏まえた上で選考するということでございまして、大学入試センターにおいて今後必要な対応を考えていきたいと思っております。

 先ほど答弁が局長からありましたように、募集はまだ行われておりませんけれども、結果としてさまざまな属性の方が入るというふうに認識しております。

畑野委員 つまり、模擬試験の採点者から来るわけですよ、大学入学共通テストの記述式の試験に。

 何人採点者になるんですか。確認です。

伯井政府参考人 必要人数は、今後、大学入試センターと事業者で協議することとなりますが、およそ八千人から一万人程度の人員確保を求めていくことになると考えております。

畑野委員 その人たちを集めるのが大変だというのも前の委員会でも議論になっていましたけれども、共通テストの採点業務、研修、採点マニュアルなどを通して得た採点ノウハウをみずからの事業である模擬試験に用いるということになるわけですよ。あるいは、人事交流において、共通テストの実施終了後一定期間までは、ベネッセコーポレーションの模擬試験や教材作成にかかわる部門を含め一切の人事交流を行わないことを対応してもらうというふうに大臣はおっしゃっていましたけれども、一定期間とはどれぐらいですか。一定期間が過ぎたら、教材作成にかかわる部門に異動して、採点に関するノウハウを用いて教材開発等を行うことは認められるんですか。どうですか。

義本参考人 お答えいたします。

 大学入試センターにおきましては、採点業務を通じまして、採点業務全体の運用とか管理、あるいは採点基準の作成に係るノウハウが蓄積されると思っております。

 一方、採点事業者が担当する業務としましては、採点マニュアルの作成、採点者の研修を含む育成、採点作業、あるいはプログラムの開発等のノウハウについて、これは採点者が従来保有していたものを活用して実施するものであるため、採点業務の終了後も採点者が保有するものと考えております。

 そのため、採点事業者が保有するノウハウにつきましては、採点事業者みずからが事業に活用することは禁じられておりませんが、採点事業者が共通テストにおけます採点問題の採点業務に伴いまして入試センターから知り得た一切の情報につきましては、先ほど委員御指摘の業務請負契約書第七条の規定によりまして守秘義務が課されておりますので、例えば採点基準の作成を含めまして、採点の業務の目的外に使用ができないということになっております。

畑野委員 脳に入った情報は消去できないんですよ、機械と違って。機械でも復旧できますけれども。ですから、その人は物すごい情報を持ってこれから生きていくわけですよ。それは、直接問題を仕入れるトップ中のトップですよ。

 一定期間を過ぎたらという一定期間とはどれぐらいですか。

伯井政府参考人 ベネッセコーポレーションの模擬試験や教材作成等に関する部門を含め一切の人事交流を行わないこととする期間を、共通テストの実施終了後一定期間までというふうにしておりますが、その一定期間については、今後大学入試センターを交えて協議することとなると考えますが、少なくとも、共通テストの採点作業が終わり、試験結果として確定する年度末までの期間は含まれるのではないかというふうに考えております。

畑野委員 だから、何の歯どめにもならないわけですよ。すぐできるということじゃありませんか。

 だから、センターの大杉さんがかつて言ったように、どんどん共通テストでグレードアップし、また民間の模擬試験でグレードアップし、一社独占状態になるじゃありませんか。宣伝広告に使う使わないにかかわらず、ベネッセのでやれば正答率、信頼性が高いね、そういう採点者も雇用されているねと。これが何が公平公正な国がかかわる試験制度になるんですか。

 前回言ったように、作問者と採点者が、採点者が民間になることを含めて全く分離すれば、こういう問題というのは消えないですよ。結局、守秘義務があったといっても、共通テストで採点業務を請け負った採点者が模試の採点を行う。否定しませんでしたから。そうなれば、ベネッセの模擬試験をグレードアップさせることになる。営業で明示することなどしなくても、受験産業の中でベネッセ優位をつくり出すことになる。

 これは採点ノウハウの流用であるし、目的外使用になると思いますよ。どういう規制をするんですか。

伯井政府参考人 もともと、この事業におきましては、採点事業者が保有するノウハウ、採点マニュアルの作成などにつきまして、採点事業者がみずからの事業に活用することは禁じられておりませんが、採点事業者が共通テストにおける記述式問題の採点業務に伴って大学入試センターから得た一切の情報については、資料でお配りいただきました業務請負契約書第七条の規定によりまして、守秘義務が課されるとともに、当該採点業務の目的外では使用できないということとされております。

畑野委員 七条は本当に緩いものですよ。本当に対等じゃないですよ。

 既に、ベネッセコーポレーションの高校採用教材部門が独立してできた株式会社ラーンズは、対策本を出して増刷中なんですよ。こういう企業が対策本をつくる。まさに利益相反に当たる。こんな活動が禁止されていないわけですよ。とんでもないですよ。

 時間がもうわずかですから、二つだけ確認をしたいと思います。

 数学の問題も本当に問題があるということです。

 そもそも、二回のプレテストをやりましたけれども、正答率が一〇%いかない、そういうことです。それで、実際やるときには、文章で解答する記述式問題は初年度は見送ろう、こんな事態ですよね。何が表現力ですか。数学です。

 そして、今問題になっていますけれども、例えば二〇一八年のプレテスト。階段の計算を数学でやるんです。だけれども、答えは正答例一つなんです。でも、いっぱい出てくるんですよ。タンジェントをコタンジェントに用いるのは高校の教科書に載っていない、そういうのはどうするんですかと専門家の人たちは指摘しているんです。私はやれる状況にないというふうに思うんですね。

 そういうことを、私は大臣に伺いたいんですけれども、英語は、今後年末に検討すると言っていますよね。それはぜひ、先ほどもあったけれども、専門家を入れて、そして公開で行う必要があると思うんです。

 同時に、私は、記述式も、国語の問題がわかりやすいから言っているけれども、数学だって大問題なんですよ。これは本当に年内にきちっと判断しないと間に合わないんですよ。それをやっていただきたい。私は中止していただきたいというふうに思いますが、大臣、御検討ください。

萩生田国務大臣 毎年、入学者選抜に関する基本的事項として、大学、高等学校関係者との協議を経て策定、公表している大学入学者選抜実施要項において、大学は、入学志願者が出願等に必要な事項を決定し、それらを記述した募集要項において試験実施年度の十二月までに公表することとしているため、遅くともそれまでには全てを決定、公表する必要があると思います。

 そうはいっても、これは来年の話ですから、そんなのんきなことを言っているわけにはいかないので、いろいろな問題をきちんと整理して、できるだけ早く皆さんに周知できるように努力したいと思います。

橘委員長 畑野君、時間が参っております。

畑野委員 終わります。

橘委員長 次に、中川正春君。

中川委員 中川正春です。

 続いて質問をしていきたいというふうに思います。

 いろいろ議論は出ていますが、どうも答えを見ていると、これから頑張っていきますと。それぞれ、問題になっているということについては同じような認識を持ってきたという、そんな感覚はあるんですけれども、答えが出てこない。これから頑張っていきます、これから頑張っていきますということでこの制度がしっかり運用ができるのかというと、やはり国民も、あるいは我々も納得ができない、こういうところで今とまっているんだろうというふうに思います。

 その上で、私も、ちょっと基本的なところに返ってもう一回話を整理していきたい、もっと違ったオプションがあるのではないかということ、このことをあわせて申し上げながら、ちょっと原点に返っていきたいというふうに思います。

 今回、英語の四項目技能と、それから思考力、判断力、表現力の達成度を大学の入試試験に導入していくという方向性、これは、試験に導入するという前に、そうした教育というのが、それぞれの高等学校レベル、あるいは特に大学レベルでも求められる、また、そういう方向性を持って教育にそれぞれ現場は取り組んでいかなきゃいけない、ここの基本があるんだと思うんです。

 しかし、今回のそれを大学の入試試験に導入をしていくということ、記述式にしても英語にしてもそうなんですけれども、そこはどういう根本的な議論があって、入試試験にこれを導入していくということになったのか。どの会議で、いつ、どういうふうに結論を出したというのではなくて、それぞれの専門家の議論の中、あるいは文科省の議論の中で、どういう理由づけをして、どういう論拠でもって入試試験にそれを入れていくということを議論してきたのか、これを改めてお尋ねをしたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、英語の四技能をはかる外部検定試験の導入につきましては、グローバル化が急速に進展する中、英語によるコミュニケーション能力の向上は喫緊の課題であり、大学入試において、英語の読む、聞く、書く、話す、四技能を評価することが必要であること、一方で、英語に関しては、約五十万人規模で同一日程一斉実施型試験による共通テストとして、話す、書く能力を含めた試験を実施することが極めて困難であることなどを踏まえて、導入の検討が行われたものです。

 記述式問題の導入については、解答を選択肢の中から選ぶのではなく、文や文章を書いたり式などを描いたりすることを通じて思考のプロセスがより自覚的なものとなるように、より論理的な思考力、表現力を発揮することが期待されると考えております。

 一方、国立大学の二次試験においては、国語、小論文、総合問題のいずれも課さない学部の募集人員は全体の六一・六%という状況です。こうした状況を踏まえ、令和二年度からの大学入学共通テストにおいて、高等学校段階において育成された資質、能力を的確に評価するため、記述式問題を導入することとしました。

 これらについては、平成二十四年八月の中央教育審議会への諮問、同審議会や教育再生実行会議、高大接続システム改革会議、文部科学省内の検討・準備グループなどの検討を経て、平成二十九年七月に大学入学共通テスト実施方針として決定したものでございます。

中川委員 私は、なぜ入学試験にこれを導入するということになったのかというのをお尋ねしたんですけれども。

 基本的に、大学入試というのは、大学が、それぞれのアドミッションポリシーによって、APによってつくり出して、それぞれの個性というか、大学の自治、今も下村さんの話が出ていましたけれども、そういうことに基づいてつくり上げていく。その中で、共通項としてシステム化しなければならない部分があるとすれば、それは大学の意思でもってつくり上げられるべきだというふうに思うんですね。

 それが、例えばさっきの英語の四項目について、共通試験でやって、大学によって、それを採用している大学、そうでない大学がある。今、出た数字でいくと、大学自体にその意思がないというか、そういうところでとまっているということだと思うんですね。だから、その基本が私はずれているんじゃないかと思うんですよ。

 だからこれは文科省でやろうということで、文科省の中央教育審議会だとか、あるいは教育再生実行会議、これは文科省じゃない、外から来たやつですけれども、そういうものを使って、国の方からシステム化しますよという話が今出ているわけなんですね。

 だから、このやり方で本来の目的が達成できるかというと、私は、大学の中のコンセンサスと、それから、大学自体が、この共通目的、思考力、判断力、表現力、あるいはそれぞれの学生の個人としての主体性、個性、そんなものをつくり上げていく、そういう教育ポリシーというのが前提にないことには、これは動かないんだと思うんです。もともと行き違いがあるのは、そこのところからきている。

 だから、文科省がやるから、その運用というのは、安易に、民間でやれるところはやったらいいじゃないか、統一的に上の方から抑え込んでいこうというふうな発想に見えてくるんです。

 そういうことから考えて、どうですか、大臣、大学に対して、これからどのようなスタンスで、これを説得していく、あるいは共有していくというか、思考力、判断力、表現力、ここが必要ですねということを共有していく、そんなメッセージを大臣としてはどのように発する予定ですか。

 これは、実は、申しわけない、事前に通告はしていなかったんですけれども、ここは、下村さんとの関連も含めて、一番大事なところだと思うんですよ、文科省としての体制づくりの中では。大臣としてはどう思われますか。

萩生田国務大臣 先ほど、午前中、吉良先生の最後の質問にもちょっとお答えしたんですけれども、さまざまな判断の中で英語に関しては先送りをいたしました。その中の一つの要因に、圧倒的に生徒数の多い、全体としては多くを占める私立大学の中で、この四技能の評価を採用するという、言うならば、試験の間口が全体の三割でしかなかったというのは、私、ちょっと残念だったと思います。

 今先生が御指摘になったように、この四技能を伸ばしていくことは大事だよねということが高等教育の中できちんとオーソライズされて、そして、大学教育に移っても当然そのことをしっかりと継承していただくということであれば、入試段階でこのことを活用することの必要性というのは、もっと深い議論をしてお互いに理解をし合う必要があったのではないかなというふうに思いますので、英語に関しては一定の時間をいただきましたので、ぜひ、採用しなかった学校の意見というものもしっかり聞きながら、制度を磨いていきたいと思っております。

中川委員 英語に関してだけじゃなくて、記述式も同じ構造があるんですよ。

 普通であれば、記述式も共通試験にこだわる必要はない課題なんだと思うんです。論文形式というのは、それぞれの大学のいわゆる個別のアドミッションポリシーによってそれぞれつくられているわけで、それをやっているところとやっていないところがある。特に私立の部分については、それがやられていない。

 これは恐らく、大学の中で非常に認識についての格差、教育の質と、それからいわゆる思考力や判断力や表現力と言われる三要素を目的化しているかどうかというようなところ、ここの格差というのは相当大学の中であって、これをどのように議論しながら一つの目的に向かって質というのを整えていくか、その発想に立たないと、やみくもに統一テストをやって、それで満たしていきなさいという話ではないんだろうというふうに思うんです。

 そういう意味で、私がわからないのは、なぜ一次試験にこだわるのかということなんですよ。それぞれの大学が、本来は、そうした発想に立って、自分の大学なりの個性を持って、論文形式なりなんなりという形で、思考力、判断力、表現力、何回もこれを言いますけれども、ここを確認していく、その形なんだと思うんだけれども、今、それが逆にゆがめられている。

 しかも、また民間が入ってきて、なぜ、これまで大学の入試改革がこれだけ叫ばれてきたかといったら、一つ、これまでの反省として、ここにあるんですが、いわゆる入試というものから、選抜へ向いて中身を変えていかなきゃいけない。

 入試というのは偏差値が全てです。その偏差値も、いわゆる私の企業、ビジネスに関連した、いわゆる入試産業といいますか、そんなものがこれだけ日本で教育の中に大きな要素を占めてきて、そこが全て数字も、そしてそれぞれの大学のランキングも決めてしまって、その形で入試が進んできた。これに対しては、このままでいけば、本当の意味での質の確保と、これからの人材を育てていくような大学の体制にならないだろう、そういうところが私は発想の原点だったというふうに思うんです。

 それだけに、逆に、文科省の方が一次試験にこだわってこの記述式を入れ込もうとする、その思いがわからないんです。理解できないんですよ、そこが。

 これも、こういう角度では通告はしていなかったんですけれども、大臣、これは基本的なところになるので、ひとつお答えをいただきたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 大学入学者選抜において、大学入学希望者の高等学校段階までに育成された思考力、判断力、表現力を的確に評価するためには、共通テストか個別選抜かにかかわらず、みずからの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述することが必要な記述式問題の導入が重要であると考えています。

 その上で、国立大学の二次試験においても、国語、小論文、総合問題のいずれも課さない学部の募集人員は全体の六一・六%となっており、令和二年度からの大学入学共通テストにおいて記述式問題を導入することとなりました。

 前回先生が御質問された中で、私もそういうことが理想ではあるなと思ったのは、二次試験で各大学がみんなやればいいじゃないか、そうすれば一次は要らないじゃないかという御提案がありました。もしそういう動きがあったとしたら、多分こういうことにはならなかったんじゃないかなと思っております。

 文部科学省としても、共通テストと個別選抜の双方において、それぞれの特質を踏まえながら記述式問題の充実を図ることが重要であり、それにより、高等教育だけでなく大学教育の改革充実にも好影響を与えることが期待できるというふうに考えております。

中川委員 どうですか、今からでも遅くないから、この課題については、大学のサイドへ向いて投げてみたらどうですか。論文をみんなやってくださいという形で投げてみたらどうですか。やりなさいと指導をするんじゃなくて、投げてみるんです。そこから、うまくいくかいかないか、この議論でいいんだと思うんです。

 文科省が間違っているのは、そんなことをせずに、最初から、大学はその気になってくれていないという、統計的なことを前提にして、それでは我々がやらなきゃいけない、中教審で審議をする、あるいは再生会議でそんなアドバルーンを上げて、どうだろうかという話で進んでくるという、このプロセスが間違っている。

 これから恐らくいろいろな教育改革をやっていかなきゃいけないんだと思うんですが、まず当事者の気持ちを、そこでやるという当事者の気持ちをしっかり固めて、その気になってもらわないと、これまた、やったら、それぞれ、うちはそんなことは必要ないんだとか、あるいはまた別な方向でやるんだとか、また固まってこないですよ。そういうものだと思うんです、学問の自律性というのは、あるいはそれぞれが求めている個性というのは。

 だから、そこのところをもう一回、大臣に聞きますけれども、今でも遅くない、やはり、二次試験でこれを入れるべきだという投げ方、これが必要だと思うんですが、改めて、どうですか。

萩生田国務大臣 先生が必要かと思うかと言われれば、必要だと思います。そういう意味では、問題意識は共通していると思います。

 確かに、各大学がアドミッションポリシーに基づいて入学者選抜を行うわけですから、そこに、箸の上げ下げみたいなことを文部科学省が申し上げるというのはいかがなものかと思います。

 他方、学習指導要領にのっとって初等中等教育段階からずっと積み上げをしてきたものを、最後の最高学府である大学で学んでいただく上で、言うならば、学生をとっていただく基準や、あるいは、大学入学後にさらなるその分野を伸ばしていただくという点では、ある意味では、文科省がその司令塔としての役割を果たさなきゃならないという役割もあるんだと思います。

 多分この議論は、突然ことし始まったんじゃなくて、もう何年も前から、これからの大学教育を変えていかなきゃいけない、あるいは大学入試というものを変えていかなきゃいけないということを識者の皆さんがいろいろ話し合う中で、一つ収れんされて出てきたのが、こういった技能を評価するということを加えることによって、やはり、高校の教育も更に変わっていくし、大学の教育も変わっていくということになったんだと思います。

 その辺、今まで積み上げてきたものがありますので、足らざるところは一つ一つ解決の努力をしていきたいというふうに思いますけれども、学校関係者とは機会あるごとにお話もさせていただいていますが、引き続き、そういう対話も大切にしていきたいと思っています。

中川委員 ここで提案されてきたことが問題がなければいいんですよ、それでいこうじゃないかという話。もう英語は決断をされましたけれども、この記述式も、さっきからさまざまな観点から問題点が指摘をされている。それに対して文科省が、いや、実はここのところはこういうふうに解決しました、こういうふうに制度を変えました、こんな具体的な形になりましたという答弁があるのならいいけれども、みんなこれからやります、これからもう一回考え直します、問題点についてはおっしゃるとおりです、こういうことなんですよね。

 それをまとめて言うと、一つは、公平な採点が可能かどうか。民間に委託して、やれますという算段をしたわけだけれども、しかし、民間でやれる保証というのはない。かつ、これまでの民間の取組を見ていると、それぞれ公平性が担保できるかというと、それに対する、大丈夫だという具体的な政策も出てきていない、これがありますよね。

 それから、自己採点が可能かどうか、ここの部分。これについても、やはりこれからの工夫ですという話しかないんですよ。

 それから最後に、民間業者に委託をするわけだけれども、余りにも極端に、それぞれの、共通テストだけじゃなくて、それにもう一つ付随してあるプロファイルの方ですね、プロファイルの方のシステムに対しても同じ業者が絡んできている。あるいは、恐らく、これから採点だけではなくて、作問についても採点とペアでつながってくる形があるわけですから、それが目立って、先ほどからベネッセという企業体が指摘されておるわけですが、これはベネッセだけじゃないんだと思うんですよ。

 共通して言えるのは、ファイアウオールの話が出ましたけれども、こうした仕事を請け負っていくことによって、それが傾向と対策という形でビジネスになって、そのビジネスが今度は主体になって、実は教育というのがゆがめられてくる。この構図が回っているんですよ、今。

 だから、そこのところにどのようにメスを入れるのか。本当は、今回の共通試験の改革の中で、ここについてもしっかり点検、再編をしていかなければならないところだったんですよ。偏差値教育からの脱皮というなら、偏差値教育そのものが、偏差値を使って入試をするということそのものがビジネスにつながってきているわけで、そういう議論もどこで出されたのかというのが私は見えないんです。

 だから、せっかくの機会がこんな形で、従来型のいわゆるビジネスモデルにつながっていくようなところで終わってしまうというのは、改革になっていかないということ、これが三番目の課題ですよね。

 そういうことを前提にして、大臣、どの辺で決断するかということだと思うんです。もう一回深い議論というのが私は必要だと思います。何のための改革かというのをはっきりさせるべきだというふうに思うんです。

 改めて答弁願いますが、これも、何か済みません、最初の話と大分ずれていって、答弁を準備していないでしょうけれども、大臣の気持ちで結構です。

萩生田国務大臣 既に、記述式につきましては、実施を前提に、大学入試センターと企業の間で、契約行為にのっとって、さまざまな取組をしております。そして、この委員会でも、与野党を超えて先生方からさまざまな問題点をいただいて、それを一つ一つフィードバックしながら、解決をしたり、あるいは解決の努力中のものもあるというふうに思います。

 そういった意味では、少しずつですが精度は上がっているというふうに思っておりますし、また、そもそも、契約行為の中で、きちんとできるということを前提に応札をされた企業の方がまだその準備を続けている最中でありますので、こういったことはどうなんだろうか、こういった指摘があるけれども、こういったことについてはどう応えるんだろうかということは、日々、新たにきちんと提案をセンターの方からさせていただいておりますので、そういう進捗状況をしっかり見ながら判断をしたいと思います。

中川委員 それは公正性という話の範疇だけのことなんですけれども、私が言っているのは、大学入試そのもののあり方の検討が深まっていないと。せっかくの機会なんだから、これは、記述式というのはもう二次試験に任せて、一回この共通テストというものをどう持っていくかということについて深めた議論というのが必要だということ、このことを指摘しておきたいというふうに思います。

 その上で、実は、いわゆる共通入試だけの話じゃなくて、今回は、高大接続の基本として、平成二十五年の教育再生実行会議のいわゆる第四次答申、これで、大学教育を受けるために必要な能力判定のための新たな試験、これが達成度テスト発展レベルというやつですね、これと、達成度テストの基礎レベルというもの、それからもう一つは、主体性というか本人の個性等々を含めてプロファイルしようという形で、今、生徒の中に、そのプロファイルの作業というのが始まってきていますけれども、もう一つ、その部分。

 この三つが提起をされて、それで動いてきたと思うんですが、これがどういう形で今、発展的にというか、最終段階のところで整理されようとしているのか、説明をしていただけませんか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年十月の教育再生実行会議第四次提言におきましては、能力、意欲、適性を多面的、総合的に評価し得る大学入学者選抜制度への転換について、大学教育を受けるために必要な能力の判定のための新たな試験として、達成度テスト発展レベル、当時仮称の導入が提言されました。

 この達成度テスト発展レベルにつきましては、複数回受験を可能とすること、あるいは、結果を一点刻みではなくて段階別に表示することなどを検討することが示されておりましたが、その具体的な実施方法や実施体制等については中教審において検討するというふうにされたところでございます。

 そして、高校、大学関係者の意見を踏まえまして、その後の中央教育審議会等において専門的、実務的に検討がなされまして、新たな試験のあり方について、中央教育審議会、高大接続システム会議、文部科学省の検討・準備グループなどで、その実施体制、あるいは十二月に実施するのか一月に実施するのかといった日程等を含む関係者間の具体的な検討を経まして、平成二十九年七月に、大学入学共通テスト実施方針として、現在の形のもの、現在実施しようとしているものが提言、策定されたというものでございます。

中川委員 もう一つ、答弁漏れしているのは、基礎レベルという部分についても今どうなっているのかということ、それからもう一つ、プロファイルというのはどういう発想の中から出てきたか。この三つに到達していく過程の話をしてもらわないといけない。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 高校生に求められる基礎学力の確実な習得と高校生の学習意欲の喚起に向けて制度化をされました高校生のための学びの基礎診断は、文部科学省が一定の要件を示し、民間の試験等を認定するものであり、各高等学校が多様な学習成果を測定するツールの一つとして活用し、PDCAサイクルの構築を図り、教育の質の確保、向上に資することを目的とし、今年度から高等学校で利活用が始まっております。

 本基礎診断は、有識者から成る高校生のための学びの基礎診断検討ワーキング・グループにおいて検討を行いまして、その論点を整理した結果、官民が協力して取り組む、民間が測定ツールをつくり学校が選べる案は実効性が高い、どういう力をはかりたいのかを国が示して民間が作成するというスキームを堅持といった指摘事項も踏まえまして、最終的には、平成三十年三月に、高校生のための学びの基礎診断の認定基準・手続等に関する規程を策定をしまして、各高校が主体的に活用する形での制度化を図ったものであります。

中川委員 基礎レベル、これがどういう形に結びついてくるかというと、高校生のための学びの基礎診断、いわゆる、どこまで習熟をしたかという習熟度テストというふうに解釈をするんだろうと思います。これは大学の入試に連動はしない、発展型が連動するという形で整理をされたと理解をしているんですが。

 実は、高校生の学びの基礎診断というのが、結果的に今、これは十二月二十六日の報道発表で文科省から出ているんですけれども、民間事業者から模擬テストを募って、それで民間の模擬テストをやるという前提なんですね。これで決まってきたのがベネッセコーポレーション。ここもまた、国語、数学にもベネッセコーポレーション、英語にもベネッセコーポレーション、三教科というのが、全部トータルであるんだけれども、これもベネッセコーポレーションその他という形で、ここもあって。

 これは、よく学校の中で言うんだけれども、この模擬試験を、業者テストでいいのか、それとも独自の中でつくり上げていくのかというような議論が、我々子供のときにもしょっちゅうありましたけれども、こういう形で民間の模擬テストに頼り切っていくような基礎診断というのが前提だったんですか、大臣。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 達成度テスト基礎レベルの検討の推移を少し御説明をさせていただきたいと思いますが、平成二十五年の十月に、教育再生実行会議におきまして、中教審等において専門的、実務的に検討を期待するということが、これがスタートでございまして、その後、高等学校基礎学力テストというものについて、中教審の中で、これは二十六年の十二月でございますが、大学入試センターを、高等学校及び大学の学力評価や生徒、学生の学びを支援する観点から抜本的に改組した新たなセンターとするという方向性が出ました。

 その後、平成二十八年の三月に、高大接続システム会議におきまして、新たなセンターにおいて実施することとするとのこれまでの経緯を踏まえて、民間事業者等が有する知見、能力を活用することが効果的な業務、学校の設置者の関与のあり方など、テストの性格と業務内容に留意をし、具体的なあり方について検討する必要があるということが、そこで最終報告が出たわけでございまして、その後、高校生のための学びの基礎診断ということで、二十九年の七月に、文科省において一定の要件を課し、それに即して民間の試験などを認定する仕組みを創設するといったことが決まったわけでございます。

 そういった動きを踏まえまして、先ほども御答弁をさせていただきましたが、この基礎診断については、高校生のための学びの基礎診断の検討のワーキング・グループというもので検討を行いまして、その中で、最終的に、高校生のための学びの基礎診断の認定基準・手続等についての規程というものを策定しまして、各高校がこれを主体的に活用していくといった形で現在制度化が図られたというような流れになっております。

中川委員 これは、例えば英語で見ていると、何をこの基礎レベルでやるかというと、GTECなんです、ベネッセコーポレーションの。そのほか、英検だとかケンブリッジだとかというのはあるんですが、数が知れていまして、事前に基礎でGTECをやっていきますよ、これは模擬試験ですよね。その体制をつくって、本試験の中で、本試験の中というか、民間テストでGTECですよと。これは全部つながっているんですよね、システムとして。

 こういうことでいいのかということですね。このままでいけば、逆に、民間テストが誘導する形で高等学校教育そのものの方向性を決めていくという構図になっていく可能性がある。そう思いませんか、大臣。

萩生田国務大臣 今先生が御披露いただいた高校生のための学びの基礎診断は、確かに御指摘の企業が各教科にエントリーされています。他方、他の企業も複数、いろいろ、メニューは違いますけれどもエントリーをされておりまして、それぞれ、民間企業の言うなら努力というものは、それはそれで違う面で評価をするべきだろうと思っています。

 ただ、おっしゃったように、今目指している大学入試というものが、特定の企業の営利に直接結びつくようなシステムと一体化をしていくということがあってはならない、そのことは多くの皆さんから指摘をされていることでありますので、そこは注視をして対応してまいりたいと思っております。

中川委員 そうあってはならないと言うけれども、実際そうなっているんですよ、これは、今なっているんですよ。だから、ここのところの改革案というのを、この制度がもう運用されてしまってからということじゃなくて、その前にやはりしっかり文科省から出してくるということ、これが前提条件だというふうに思います。

 そのことを指摘しておきたいということと、それからもう一つ、この三つの形に今現実なってきているわけです、いわゆる基礎テストと発展的なテストと、それから、それぞれプロファイルという形の作業、この三つになっているんですけれども、これは誰がこのいわゆるシステムというのを主体化していくかというか事業化していくかということ、これについてもしっかり整理をしておく必要があるんだろうというふうに思うんです。

 模擬試験の実施主体というのは高等学校。高等学校が、自分のところはこれを入れるんだ、入れないんだということ、この判断をしてくるわけですけれども、恐らく、高等学校の中でしっかり議論を固めた上でそのコンセンサスをつくらないと、これは点数を出してきて、それぞれまた平均化して、高等学校のランキングなんというのがこれで決まってきて、それのためにまた民間企業がどうするこうするというような、そんな形で使われる可能性があるとしたらうちはやらないよ、そういう懸念というのはもう既に出ていると私は現場から聞いているんですが、そんな状況の中でこれをやっていくというのは間違っているというふうに思います。

 それから、一斉テスト、いわゆる一次試験、共通テストの話ですが、これの実施主体というのは、これは入試センターでいいんでしょうね。しかし、その結果の評価というのは、各大学でこれをどう受けとめていくかということになりますよということだと思うんだけれども、さっきお話ししたように、これも、受けとめていく大学がこの共通試験をどう評価していくかということにつながってくると思うので、ここの部分のいわゆる担保がない、議論がない中でこれをやっていくということが、成功に導いていけるかどうかというと、私は非常に疑問に思います。

 それから、論文、小論文、これは各大学の試験でしっかり活用してくださいよというメッセージを出した上で、これも各大学の意思にかかわってくるわけです、やるか、やらないかは。

 だから、それについての準備もできていない、コンセンサスもできていない。だから、下村さんみたいな発言になるということだと思うんですね。私は、そこのところを十分にやった上で、もう一つは、さまざまに指摘されている、さっきの三つほどの問題、これも納得のいくような答えを出した上でないとやっちゃだめだというふうに思うんです。そこのプロセスを、もう一回、原点に戻って私は文科省は考えるべきだというふうに思います。

 最後に、それを受けていただいて、大臣の答弁をいただきたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 大臣経験者の中川先生の御意見ですから、重く受けとめて、しっかり対応してまいりたいと思います。

中川委員 終わります。

橘委員長 次に、山本和嘉子君。

山本(和)委員 立憲民主党の山本和嘉子でございます。

 立国社会派を代表いたしまして、質問をさせていただきたいと思います。

 記述式の問題、今いろいろと議論がされておりましたけれども、いまだに、解決しなければならないというような課題がまだまだたくさんあるというふうにも思います。審議を重ねれば重ねるほどいろいろ問題が出てきているような気もいたしますので、そういった問題点を洗い出す意味で、こうやって委員会をじっくり開いて、きょうも六時間という審議を行っているというふうに捉えております。

 一応、高大接続改革というものが受験生や学校現場を第一に考えたものなのかということが、一番私は懸念というふうに思っています。

 英語の民間試験に関しては、野党の方、我が党の方も含めて野党から繰り返し問題点を指摘されながらも、受験生や教員、そして保護者らからの不安の声が上がるまで導入ありきのスケジュールを見直すことなくそのまま進めていたということでございまして、結果として学校現場は不安とともに混乱をしたような状況でございました。そういう部分をやはり政府としては猛省をしていただきたいなというふうに思います。

 まず政府から、一連の高大接続改革、また、その中でも英語民間試験の導入の延期について学校現場等に不安や混乱が広がってしまった状況、それに対する原因はどこにあると思われるのか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

萩生田国務大臣 大学入試英語成績提供システムについては、文部科学省が民間試験団体の取組を十分に指導監督することができるような制度設計となっておらず、かつ、連携、調整が十分でなかったことから、各大学の活用内容、民間試験の詳細事項等の情報提供不足など、準備のおくれにつながることとなりました。

 また、十一月時点に至っても、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような配慮が十分なものになっていないなど、文部科学大臣として自信と責任を持って受験生の皆様にお勧めできるシステムになっているとは言えないと判断し、来年度からの導入見送りを決断したところです。

 大学入試において、英語四技能について適切に評価することの重要性は変わりはないことから、どのように評価していくのか、できるだけ公平でアクセスしやすい仕組みとはどのようなものなのかといった点について、検討会議を設けて、今後一年を目途に検討し、結論を出したいと考えています。

 その際、英語民間試験の活用に関する検証についても、御指摘の導入見送りとなった原因も含め、これまでの検討の経過やその際に論点となった事項などを対象に検証を行い、今後の検討に反映させていただきたいと考えております。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

山本(和)委員 やはり制度設計が熟していなかったという部分が多々あったというふうに思います。

 延期を受けて、先日、十一月の十九日に参議院の文教科学委員会で、日本私立中学高等学校連合会の会長の吉田参考人が、子供たちはこういう場に出ることができませんので、子供たち自身が今どういう思いで、特に高校二年生、この時期に何ゆえに来年度のセンターテストについて、大学入学希望者テストにつきましてこのような問題が起きているのかということに対して、非常に子供たちは不安に感じておりますし、子供たちにそういう不安を与えたということは、私は非常に大きな大人の責任であったと思って、私も含めて深く反省しているところでございますというふうに発言をされています。

 吉田参考人は、この英語の民間試験が延期決定してすぐに、衆議院の文部科学委員会の参考人質疑でも、子供たちを迷子にしないために予定どおり導入していただきたかったということを発言されておりますけれども、十一月十九日の参議院の文教科学委員会の参考人質疑においては一転して、センターとしてやる必要はないというふうに断言をされています。

 吉田参考人は、その理由について、導入が前提としての議論だと考えていたので、だとすれば、これまで勉強を重ねている子供たちのために予定どおり導入をと考えておりましたけれども、その前提がないのであれば、資格検定試験として、大学それぞれの学問やポリシーに応じて一定の入学資格として認める、加味するという取組が進んできているという現状も踏まえて、特段センター試験としてやる必要はないという趣旨の御説明をされました。

 英語民間試験の活用ということからいえば、参議院のときに吉田参考人も触れていたように、平成二十七年度以降、国家公務員総合職の採用試験においても、五年前までのTOEFLとか英検などの成績に基づいた加点が認められているということで、文部科学省が一定程度定着しているというふうに評価されているということでございます。

 やはりその評価は社会の中で定着しているのだというふうにも思いますけれども、それはあくまで民間試験ということだから定着しているというふうに思いますし、やはり資格試験は資格試験だというふうにも思います。

 大学共通テストは、基礎的な能力、そして高等学校で学んだことができるかをしっかり確認するということが目的であるというふうに思いますけれども、目的に合った評価方法を用いなければ正しい評価ができないというふうに思うのは当たり前だというふうに思います。

 であるならば、国が政策として英語四技能を共通テストで評価することを考えるのであれば、安易に民間試験を使うことではなくて、公平性を保つためにも、やはり国が責任を持って試験を開発した上で運営すべきだというふうに私は思います。

 これらの英語四技能が必要であるというふうに政府が考えておられるのであれば、それに足る試験を開発すべきだと思いますし、できるのではないかというふうにも思います。それに対する御意見はいかがでしょうか。

萩生田国務大臣 英語の四技能をしっかり伸ばしていくということは先生も御理解いただいているんだと思います。

 果たしてそのテストのあり方について、今回は民間の既存の試験を、わかりやすく言うと軒先をお借りするような形でそれを大学の共通テストの中に、評価に加えようということに、システム上いろいろな課題が残ってしまったと思っています。

 確かに、センター独自で試験を開発して実施するということも、物理的なことを一つ一つ解決していけばできないことではないとは思いますけれども、他方、五十万人が一斉にスピーキングの試験をやるというのは、かなり大がかりな設備が必要になったりします。

 そういうことも含めて、私のもとに検討会を設置をして、今までの経緯、これからの検討というのを続けていきますので、一つの御意見として承っておきたいと思います。

山本(和)委員 民間のそういう資格試験ですよというふうな御意見もある中で、それを活用するということでさまざまな無理が生じてきたということもありましたので、これは一応延期ということで、こちら側からのことも受けていただいて延期ということになりましたけれども、やはり、無理が生じないように、できるだけやっていただきたいというふうに思います。

 続いて、記述式問題の導入について質問させていただきたいと思います。

 まず、国語と数学に記述式問題を導入することになった経緯をお伺いしたいと思います。

 高大接続改革について集中的に議論を行った高大接続特別部会というところにおいては、現在の大学入試センター試験にかわる新テストの出題形式について、採点基準の設定、採点に要する時間、そして採点の公平性確保という点において検討すべき課題が多くあるというふうな理由で、記述式問題の導入は当面見送るというふうに一旦はなったというふうに思います。まずは多肢選択式によるべきであるというふうに、平成二十六年の六月の答申において、これは見送るべきであるというふうな答申がされたにもかかわらず、十二月に記述式問題導入というふうに結論が得られたというふうに私は承知しております。

 先日の参議院の文教科学委員会における参考人質疑においても、福井県立大学の木村参考人、その方が、大量の記述答案を短期間で採点するには、ほぼ無理であるというふうにおっしゃっている。さまざまな有識者の方から、無理があるんじゃないかという多数の御意見がある。その中で、議論の過程においても、約五十万人が受験する大学入学共通テストへの記述式問題の導入の難しさが多々認識されていた上で、それでもなお導入するというふうな結論に至った理由を改めてお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 御指摘の中央教育審議会においてさまざまな御議論がございましたが、最終的には、二十六年十二月の答申におきまして、大学入学希望者学力評価テストの中で記述式を導入することとされたものでございます。

 高大接続システム改革会議最終報告、平成二十八年三月でございますが、記述式問題を導入するための具体的な方策等について今後更に検討するとされ、平成二十九年七月からスタートした検討・準備グループにおきましてさまざま議論した結果、現行予定しているような形での記述式問題の導入ということが決定されたというものでございますが、その理由は、みずからの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述することが必要な記述式問題の導入が重要であること、当時国立大学の二次試験においても記述式問題を導入している大学が少なかったことなどからこれを決めたということでございます。

 こうしたことを踏まえまして、文部科学省としては、採点の質の確保などの課題について試行調査を行い、現在実施中の準備事業等を通じて改善を図りながら、共通テストについても、その特質を踏まえつつ、記述式問題の導入を図っていこうというものでございます。

山本(和)委員 私も、地元の先生方にちょっと、いろいろ今回のこの記述式に関してヒアリングをしました。先生にお電話をして、実際、学校の現場、記述式の共通テストを導入することになったこと、それはどうですかというふうにお聞きをしましたら、教育現場では、決まったとおり、決まったことはもうそのとおりやりますというふうにおっしゃっています。自己採点や、採点者を民間に委託することとかいうのはもちろん不安に思っているけれども、それにあらがいようがないというふうにおっしゃいます。

 やはり現場の方では不安や不満もありますけれども、もちろん民間を使うことによる利益相反の問題もありますけれども、そもそも制度設計に無理がある。公平性が担保されていないとか、今までもずっと言われてきた問題。でも、思考力、判断力を見るということだから、それなら、試験をということだけれども、やはりそれはもう二次試験でいいと思うというふうにおっしゃっています。高校生は、自己採点への不安やアルバイトの方が採点するかもしれないという不安、そういったことも抱えているという。

 スタートする時期が迫っている中で、まだまだ払拭されていないこういった不安、そういう声を大臣もお聞きになっていると思いますけれども、その声を聞いての受けとめはいかがでしょうか。

萩生田国務大臣 記述式問題の導入についてさまざまな課題が指摘されていることは承知をしております。課題解消に向け、どのような改善が可能であるか、さまざまな方策について検討するとともに、記述式問題導入の意義を一層丁寧に説明してまいりたいと考えています。

 記述式問題の採点者については、大学入試センターから採点事業者に対し、適正な試験等によって質の高い採点者を確保すること、必要な研修プログラムを行うことなど、採点者の質を向上するための取組を求めるとともに、一次採点は複数名で独立して行うこと、複数名の採点結果が異なる場合等には、採点監督者が採点結果の確認や不一致のあった答案の採点などを行い、独立して採点した結果が一致するまで当該答案に対する採点作業を行うことなど、採点の正確性を確保するための取組を求めているところです。

 採点者については、結果としてさまざまな属性の方が含まれ得ると承知していますが、多層的な組織体制と品質チェックの充実により、採点の質は確保されるものと考えております。

 国語の自己採点と採点結果の不一致については、大学入試センターにおいて、正答の条件の意味や内容をわかりやすく整理して高等学校へ周知するとともに、その内容を生かして受験生が何らかの形で自己採点をシミュレートできるような仕組みを提供できないか、大学入試センターと協議を開始したところであり、引き続き対応してまいりたいと思います。

 さらに、御指摘の利益相反とのことにつきましては、共通テストの問題や採点基準については大学入試センターが作成することに加え、業務請負契約書の第六条において、乙は、本業務を受託する事実を利用して取引を誘引することにより、本業務の中立性及び信頼性を損なってはならないと規定しております。また、採点事業者は、大学入試センターとの契約において採点業務を遂行しますが、業務請負契約第七条により、それに伴いセンターから得た一切の情報について目的外で使用できないこととされています。このため、大学入学共通テストの公平性を損なうことはないと考えております。

山本(和)委員 大臣、いろいろと本当に言っていただいておりますけれども、高校生の、先生も含めて現場の声、決まったらもうそれに従うしかないというふうなものは、私はちょっとぐっときてしまったんですね。でも、決まった中で、やはりいろいろな、今、心配はないとおっしゃるような、でも、こっち側としたら心配はいっぱいあるというふうに思うんです。その声に対して大臣はどう思いますか。

萩生田国務大臣 今ちょっとお時間をいただいて丁寧に説明したのは、今そういう作業をしております、一つ一つ不安の払拭をしていきたいと思っています。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 引き続きまして、平成二十九年七月の大学入学共通テストの実施方針において、国語と数学の記述式問題について、多数の受験者の答案を短期間で正確に採点するために、その能力を有する民間企業を有効に活用しますというふうに発表されたわけですけれども、それを受けて、今回の制度設計では、採点業務を民間企業に委託するということで、学力評価研究機構ということになっております。

 先ほどから申し上げています参議院の文教科学委員会の参考人質疑において、木村参考人は、各大学が行う個別試験では、作問者は採点全般に責任を持って、広い会場で一堂に会して、個別じゃなくて採点をする。採点中に基準の訂正が必要となれば全体を見直すのは当然であるし、記述採点者は作問者と同じレベルで出題を理解する、そういうことが必要であるというふうにおっしゃっています。

 私も、大学入試を受けた際に、国語については、出身大学のテストは五十文字の記述式のテストが必ず出る、国語について五十文字の記述式の問題が出るということで、入試対策は、その記述試験をいかにきっちり答えられるかというのがまず前提にありまして、その受験対策をずっとやっていたということがありました。

 その受験対策としては、新聞の社説を毎日切り取って、それがどういうことが言いたいのかというのを要約して五十文字にするという訓練をずっとやったんですけれども、それが今のちょっと糧になっているかなというふうには思います。

 そういった記述式問題というのは、そういう意味ではすごく有用性があるというふうに思うんですけれども、この制度設計において、どんな理由から作問者でない民間企業に採点を委託することになったのか。そもそも採点の能力を有すると判断されてのことなのか、そこをちょっと伺いたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘をいただきました平成二十九年七月の大学入学共通テスト実施方針におきましては、多数の受験者の答案を短期間で正確に採点するため、センターとの契約によって、処理能力や信頼性、実績を有する民間事業者を有効に活用することとされたところでございます。

 記述式問題を導入するということが決定し、そして、大学入試センターが採点をするということとなりましたが、大学入試センターでは実際の採点を行い得る人員を有していないということから、こういう、民間事業者を有効に活用するという方途がとられたわけでございます。

 試験問題の作成と採点の一体性という観点は必要でございます。試験問題と採点基準については、大学入試センターが作成することとなっております。その上で、採点作業中は、センターと採点事業者とは常に連絡をとり合い、適宜、採点事業者から具体の答案について相談を受け、センターが判断して回答する、そういう体制となっておりまして、仮に採点過程で採点基準を見直す必要が生じた場合においても、必要な採点期間内で適切な対応がされるような工程、体制となっているというふうに認識しております。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

山本(和)委員 ありがとうございます。

 採点者の数の問題なんですけれども、採点者は、報道では七千七百三十五人というふうに、きのうの部会でもそういう話が出ていたんですけれども、その採点者の内訳というものが、大学生であるのか大学院生なのか、修士課程、博士課程、そして教員とか講師とか、いろいろというふうに出ていました。ただ、その内訳それぞれ大体どれぐらいの人数をあてがって、内訳はどういうふうなものなのかという、それが請負業者任せなのか、それとも入試センターの方でしっかりと管理をされるのか、そのあたりをしっかりお聞きしたいなというふうに思います。

 というのは、さっきの、申し上げた高校の先生の方からお聞きしたんですけれども、やはり、ちゃんとした採点者は研修というのをしっかり受けられるのか、その研修はそれぞれどれぐらいの人数でやられるのかということと、その研修をやられる講師の方はどういう身分の方なのかとか、アルバイトはどうやって採用するのかとか、今までのいろいろな質問を聞いていてもはっきりとした答えが余り出てこなかったと思うんですけれども、そのあたり、御説明をお願いしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 採点者の確保につきましては、仕様書において、適正な試験等によって質の高い採点者を確保し、期間内に正確な採点を行うことのできる人員を必要数確保することと定めており、採点者の選抜方法、必要人数については、大学入試センターと採点業者が事前に協議することとしております。

 その七千七百三十五人という、これは概算要求上の積算人数でございます。現状におきまして、必要人数につきましては、おおむね八千人から一万人の範囲で大学入試センターと採点事業者の間で協議し、確定していくことになると承知しております。

 そして、その採点事業における採点者の選抜のプロセスでございますが、大学入試センターとの事前協議を経て、まず学力試験や面接等に合格した者が採点者として登録され、その登録された採点者の中から、学力試験、採点業務への適性及び面接の結果、過去の採点実績等も考慮して、共通テストの記述式問題の採点業務に従事する者を選抜するというふうに承知しております。

 その採点者の属性でございますが、学力評価研究機構によりますと、採点者は、教員や講師等の経験者を含む、大学、大学院の学位取得者又は在籍者であるというふうにされております。

 いずれにせよ、必要な採点者数を含め、採点体制等の詳細につきましては、現在実施している採点に関する準備事業の結果を踏まえまして、今後決定していくということでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 採点をするに当たって、いろいろと言われている中で、やはり採点ミスとか、いろいろなトラブルがあるというふうに思います。

 きょうも質疑にありましたけれども、採点ミスの責任の所在というものがどこにあるのかという話がありましたが、先ほどの質疑の中では大学入試センターにあるというようなお話でした。

 ただ、実際採点を行っているのは民間企業であるというふうに思いますので、そのあたりは、民間企業の場合は責任に関しては全くないのかなというのも気になるところでございまして、といいますのは、採点の質の担保ということを考えれば、民間の方にも役割としてしっかり責任を負っていただくということも必要なのではないかなというふうに思います。そういったことはいかがでしょうか。

伯井政府参考人 出題や採点ミスが発生した場合の責任というのは、これは大学入試センターが負うというものでございます。

 ただ、今ございました採点事業者の責任はどうかということでございますが、採点業務に関して採点事業者の契約違反や債務不履行があった場合は、採点事業者が大学入試センターからの損害賠償請求を受ける可能性はその事案に応じてあるというふうに考えております。

山本(和)委員 採点ということで引き続きお伺いをいたしますけれども、萩生田大臣が、十一月の十二日の閣議後の定例会見において、記述式問題の採点者にアルバイトが含まれる点とかいうのを、やはり記者の方から不安解消のための取組がどういったものなのかという御質問があったと思います。

 それを、私見でということですけれども、前置きされた上で、国語に特化すれば、退職後の教員の方たちにも協力をいただく、そういうことも検討したいというふうに思う、これは業者任せではなくて、文部科学省として質の高い採点をしていくための方策として検討してみたいなというような御発言をされています。

 今般の記述式問題の採点業務については、民間企業に委託して、契約によってしっかりやってもらうというふうに大臣は繰り返し御発言をされているというふうに思いますけれども、にもかかわらず、そういった会見の場においてですが、文部科学省として質を高める方策として退職教員に協力をお願いするというふうにおっしゃっているのはどうなのかなというふうに私は単純に思いまして、素直に聞けば、やはり民間企業に任せるだけでは心もとないというふうに思っておられるのかなというふうに思いまして、そこをちょっと大臣にお聞きしたいというふうに思いました。

 発言に踏み込んでいいますと、仮に国語の記述式問題について退職教員に協力をお願いする場合は、雇用の主体がまたいろいろと変わってくるというふうにも思いまして、給料を誰が払うのかとか、国が人材をあっせんするのかとか、大臣の発言によっていろいろちょっとイメージが膨らんでしまったんですけれども、採点に関しては、質を高めるという点では不安がいっぱいある中でこういった御発言があるということで、もし具体的なイメージとかそういうものをお持ちなのであればお聞きしたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 まず、先生の御指摘は、私の過日の記者会見でのやりとりだと思います。

 大前提として、英語を延期せざるを得なかったそういう判断の中で、例えば、この委員会の中でも質疑をした、もっと身近に会場をふやすことができないのかという指摘に対して、私も同じ思いで企業側にも申し入れましたけれども、残念ながらなかなかふえなかったです。それはそのはずで、民間の企業の方が突然、公立や私立の学校を訪ねて、何月何日にあなたの学校を試験会場として貸してくれないかと言われて、はいどうぞと言う校長先生はまずいらっしゃらないと思います。

 ですから、文部科学省として、例えば、これを大学入試に使うんだとすれば、あらかじめ文科省が公立の学校を借り上げた上で民間の試験会社に逆に貸すようなことをしたら会場は確保できたんじゃないか、あるいは、それを例えば無償でやりとりができるとすれば受験料を下げるということにもインセンティブが働くことができたんじゃないかという反省がありましたので、今回のこの記述式についても、ただセンターと企業のやりとりを待っているだけではなくて、文科省として何か知恵があれば、私たちは直接の契約者ではないですけれども、センターを所管している所管省庁として、センターの方にさまざまな意見具申はしてきましたし、これからもしていこうと思っています。

 その中の一つが、例えば退職をされた国語の先生方に御協力を仰ぐことはできないだろうかということを記者会見で披露したんですが、実は、学力評価研究機構が既に公表した資料によりますと、教員や講師の経験者などで構成する品質管理専門組織によって採点の品質管理が行われることとなっておりまして、当該組織において退職教員が活用されるものと認識をしております。

 いずれにしましても、採点者の確保については、仕様書において、適正な試験等によって質の高い採点者を確保し、期間内に正確な採点を行うことができる人員を必要数確保することと定めており、採点者の選抜方法や必要人数について、大学入試センターと採点業者が事前に協議の上、十分な採点体制が確保されるものと認識しております。

 繰り返しになりますけれども、文部科学省は採点業者との直接契約者ではないですから業者に対して直接物を言うことはできませんけれども、センターの方には、与野党を超えて先生方から指摘のあった点について逐次報告をして、できる改善は日々努力をしている、そういう状況にございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今大臣が言っていただいた採点者の確保というのは、本当に難しい大変なことだというふうには思いますけれども、やはり質を高めるという意味で、今、これまでいろいろ議論になっています、研修のことについてもそうですし、採用についてもアルバイトの採用がどうなのかとかそういう懸念のある中で、やはり大臣としてももう少し踏み込んで検討されているのかなというふうに私は思ったものですから、こういう質問をさせていただきました。

 採点の質に引き続いての質問になりますけれども、五十万人の受験生の採点をするために、膨大な数の、八千人とも一万人ともというふうにお話がありましたけれども、採点者が必要だということ。守秘義務が幾らあるとしても、情報漏えいというのは否定できないというふうに思います。

 大臣は、十一月十五日の文部科学委員会において、この一万人程度必要とされる採点者の研修に関して、大学入試センターが作成した採点基準をわかりやすく採点者に伝えるための採点マニュアルを作成するということで、試験終了を確定した後に採点者に示されることになっているというふうにおっしゃっておりますけれども、一方で、この採点マニュアルについて、先日の参議院の方の委員会で木村参考人が、採点マニュアルは恐らく実質的な採点基準であるというふうにおっしゃっていました。

 大学入試センターと学力評価研究機構との契約の際の仕様書においては、本試験実施前の業者の業務として、正答の条件、そして採点基準を策定するセンターの採点基準策定委員会に出席して採点の観点から助言や提案を行うということや、採点マニュアルの作成とされていまして、同社が助言や提案ができるということは、詳細な内容が事前に漏れるだけでなくて、採点が業者によって左右されてしまうことになるというふうに思います。これも木村参考人が御指摘をされている点でございますけれども。

 そういったことで、受験生も、こういう情報漏えいとかそういうことが懸念であるというふうにも言っておりますけれども、こういう情報漏えいの懸念に対してどういう対応をされるのか、御見解をお伺いしたいというふうに思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 まず、採点者全体につきましては、大学入試センターと採点事業者の間で締結した業務請負契約書におきまして、相手方から知り得た一切の情報を厳に秘密として保持し、第三者に漏えいしてはならないという守秘義務を課しております。

 そして、仕様書におきましては、採点会場のセキュリティー要件として、防犯カメラによる出入り口の監視、警備員の措置、私物の持込禁止等を伴う厳格な入室管理に加えて、SNSへの書き込みの監視など、採点者等による情報漏えいの防止策について事前に大学入試センターと協議し、その監視結果を大学入試センターに報告することも定められております。

 また、御指摘いただきました採点事業者におきましては、大学入試センターが作成した採点基準をわかりやすく採点者に伝えるための採点マニュアルを作成し、おおむね二十日以内という短い期間で正確な採点作業を実施するため、大学入試センターが設置する採点基準策定委員会に出席し必要な準備を行うこととしており、その中で試験前に試験問題や正答の条件を知り得る者も出てくることとなります。

 ただし、その当該会議の出席者は、大学入試センターから事前の承認を受けることなど限られた者とされており、出席する際は、大学入試センターが指定し環境を整備した場所において、私物の持込みや資料の持ち出しを禁止することなどが仕様書等において定められております。

 このような取組によりまして、大学入試センターにおいて情報漏えいを防止するための方策を徹底することとしております。

山本(和)委員 ありがとうございました。

 さまざまな懸念について、まだまだ議論が深まっていない部分もたくさんあるというふうに思います。制度設計をつくるに当たって、やはりいろいろと大変な作業もあるかと思いますけれども、やはり、現場の先生方の声や、親御さんや高校生本人の不安を取り除いていっていただくのが一番だというふうに思います。

 懸念いっぱいの記述式、私は、やはりここは立ちどまって、しっかりともう一回議論をして、それから、やるやらない、また議論を重ねていかなくてはならないというふうに思います。

 どうしても共通テストで記述式を導入しないといけないというのであれば、本来は、国が採点の仕組みをしっかりとつくっていくべきだというふうに思います。それをわざわざ民間に委託しなければならないのか、そこが私は本当に疑念に思っています。

 最後に、大臣、一言、本当にこの記述式を進めていかれるのか。こういう懸案がいっぱいある中で、まだまだ議論が深まっていない中でやっていかれるのか、最後に一言お願いします。

萩生田国務大臣 受験生の不安を払拭することを第一に努力を続けさせていただきたいと思います。

山本(和)委員 質問を終わります。

橘委員長 次に、城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 きょうも質疑の時間をいただきました。ありがとうございます。

 大臣にきょうも直接議論を申し上げ、そして、ぜひ決断をいただきたいというふうに思います。きょうもよろしくお願いしたいと思います。

 まず、英語民間試験の問題について質問したいと思います。

 きょうはお手元に資料をお配りしております。ごらんください。白紙答案にいわゆるCEFRのランクづけがついてしまうという問題であります。

 高校での多くの利用が見込まれていたGTECのライティングの試験において、きょうお配りしたものがそうなんですが、白紙答案でCEFRのランクづけがついたり、日本語で答えているのに英語のライティングのCEFRのランキングがついたりということになっています。

 一ページ目が白紙の答案一問目、二枚目が白紙の答案二枚目です。そして、めくっていただいて三枚目のところに、ライティングは当然、白紙なので零点というふうに書いてありますが、このCEFRのレベルはPreA1というふうに書いてあります。

 じゃ、このPreA1って何ですかという、CEFRレベルの解説がその下段に表として書いています。ライティングのところだけ消さずに置いておりますけれども、アルファベットの大文字、小文字や単語のつづりを意識しつつ、自分についてのごく限られた情報、名前、年齢、住所を書くことができるという力が、この人には英語力がありますよという説明なんですが、白紙のどこで英語力がはかれるのかということであります。英語力を認める記述をしているわけであります。

 どこに英語力が認められるのか。このように、英語力をまともに判定できない試験がなぜ公的試験で使われるように国が認定をしたのか。認定した側の責任も大きいと考えますが、大臣、見解をお聞かせください。

萩生田国務大臣 欧州評議会では、CEFRの段階の一つとしてPreA1の存在を認めており、PreA1は、A1に至る前の段階の指標となるレベルと定義されていることを踏まえ、GTECにおいては、A1に満たないものは全てPreA1と表記して結果を返却していると承知をしています。

 GTECにおいては、スコアが零点であってもPreA1と表記することとしており、御指摘の資料についてはこれに該当するものと考えております。

城井委員 ほかの英語民間試験では、測定不可という取扱いです。つまり、英語力が認められないということになっているわけでありますが、この表記では、誤解を広げるような形に結果としてなっていると言わざるを得ないというふうに思います。

 大臣、加えてもう一点。今ほどお示しした三ページ目や六ページ目に、GTECのオフィシャルスコア証明書というものをつけておりますが、この下の部分に、CEFRレベルについて小さな文字で説明が書かれています。ここに問題があります。

 GTECの運営会社が独自に作成したキャンドゥーステートメンツというんですが、これについて、欧州評議会が設定したものを日本語に訳したというふうにしています。これは事実ではありません。そもそもが独自作成でありまして、翻訳ではありません。これは不当表示であります。

 このような不当表示をしている試験がなぜ認定されたのか。ここにも問題がありまして、認定した側も問われるというふうに、大臣、考えますけれども、大臣の見解をお聞かせください。

萩生田国務大臣 GTECのオフィシャルスコア証明書においては、読む、聞く、書く、話すの四技能ごとに、CEFRレベルに基づきコメントが表示されますが、証明書に記載されている注釈には、CEFRのキャンドゥーステートメンツ、英語でどのようなことができるかをあらわしたものをGTECの出題形式に合わせて日本語に訳したものと記載されており、欧州評議会が設定したものを日本語に訳したとは記載していません。

 このため、GTECの注釈の内容は不当表示には当たらないと考えております。

城井委員 日本語に訳したと書いてあるんですよ。それをしんしゃくして書き直したと書くのが筋じゃありませんか。日本語に訳したと書いていますよね、大臣。お答えください。

萩生田国務大臣 GTECの出題形式に合わせて日本語に訳したものですと記してあります。

城井委員 意訳したなら意訳した、独自につくったなら独自につくったと書くのが筋じゃありませんか、大臣。こんないいかげんな書きぶりの試験を認めるわけですか。この影響は極めて大きいですよ。

 例えば、今この白紙や日本語で記述したものがあなたの英語力ですというようなことで認められていくようなことがこのまま続きますと、受験資格だけに英語民間試験を利用している大学は、成績要件は問われずに、その試験業者にお金を貢いだら応募できる、こういう異常な実態になります。

 大学側は、こうした実態を知らずに、学校で実施できるというGTECを指定する大学がふえる予想だということであります。そもそも、学校で受けられない浪人生や高卒認定者は不利になります。

 こうした異常な事態を、大臣、見逃すんですか。お答えください。

萩生田国務大臣 御指摘のような実態はないと考えております。

 英語の資格検定試験については、英語四技能試験情報サイトにおいて、試験団体や試験の概要に係る情報が提供されているところであり、各大学は、これらの情報をもとに、大学入学者選抜においてどの試験を活用するかについて、各大学の判断により決定することとなります。

 文科省としては、各大学が英語の資格検定試験を大学入学者選抜において独自に活用する場合には、それが円滑に行われるよう、浪人生や高卒認定者も含め受験生にその情報を速やかに提供することが必要と考えております。

 このため、英語の民間試験について、各大学の令和三年度大学入学者選抜における英語の民間試験の活用の有無、活用方法等について、十二月十三日を目途に方針を決定し、公表いただくよう各大学に要請したところであり、その情報を取りまとめて、ホームページ等を通じて受験生に提供することとしております。

城井委員 白紙答案で英語力を認めるような試験をそもそも国が認定するのはおかしいということを改めて申し上げたいと思います。

 次の質問に参ります。

 もう一点だけ英語民間試験について伺います。

 大学入試英語成績提供システムの運営大綱が廃止をされたことにより、このシステムは導入延期ではなくて廃止が決まったという認識でよいかということ、そして、この運営大綱の廃止までに使われた国の税金、予算が幾らかということ、そして、この政策変更の責任は誰がとるかという点、大臣、お聞かせください。

萩生田国務大臣 今回、大学入試英語成績提供システムについて、来年度から導入を見送り、延期することを決定しましたが、システム自体をどうするかについては、今後大学入試で英語四技能をどのように評価するか、その仕組みも含め、一年を目途にしっかりと検討してまいりたいと考えております。

 他方、令和三年度大学入学者選抜に係る大学入試英語成績提供システムの運営大綱については、来年度の対象としたものであることから廃止することとし、全国の国公私立大学や高等学校の設置者等に対して周知をしたところです。

 なお、大学入試英語提供システムの導入に向けては、これまで共通ID発行のためのシステム構築等に係る契約を既に行っており、その金額は約十二億四千万円となっております。

 今回の大学入試英語成績提供システムの導入見送り、延期の判断は私の責任で行ったものですが、延期をすることを判断せざるを得なかった要因等を十分に検証した上で、大学入学における英語の四技能評価をどのように行っていくべきか検討していくことが文科大臣としての何よりの責任だと思っておりまして、私のリーダーシップで、責任を持って全力で取り組みたいと考えております。

城井委員 大臣の責任ということで確認をさせていただきました。

 続いて、記述式問題導入についてお伺いしたいと思います。

 大臣、請負業者の採点のアルバイトの方々から、実際に採点をどのようにやっているか、複数情報を寄せていただきました。現状をお伝えしたいと思います。

 まず、経験者の大学院生、一度や二度ではない方からのお話です。

 採点ミスのクレーム数によって各高校を色でランク分けし、クレームの多い高校には質の高い採点者を割り振っている。最近、学力評価研究機構から登録者に一斉メールが来た。共通テストの採点者は未定、取材を受けるなとの内容。かつて、請負業者の模試の採点をしたことがあるが、一回練習させただけでいきなりアルバイトに採点させるので、採点ミスが続出した。採点リーダーなる採点者も、もちろん大学生のアルバイトだ。昼休み明けは、眠気から居眠りをしているアルバイトも多く、白紙に丸をつけるようなミスも日常茶飯事だ。採点ミスが発覚しても、高校からクレームがない限り、やり直しなどは一切しない。とにかく、採点の精度よりも、納期に合わせることだけに躍起になっていた。採点基準などを持ち出せてしまう程度のセキュリティーだ。持ち出し厳禁といっても、何らかの拍子で過って持ち帰る採点者もいる。入試問題の採点にたえられるレベルではない。シフト制は組まれているものの、出勤、退勤自由、無断欠勤もある程度許容されるというお気楽なアルバイトを売りにしていたので、アルバイトも入れかわり立ちかわり採点会場を出入りしていた。アルバイトは昇給などが一切ない時給制なので、真剣に採点している学生はほとんどおらず、ベネッセの採点バイトは椅子に座って時間をお金にかえる作業と言われていた。プロフェッショナルとはほど遠いアルバイトの実態だ。

 これが大学院生の経験者の方からの声であります、大臣。

 もう一つ御紹介します。この方も、一度や二度ではない経験者の大学生からです。この学生は、プレテストの採点にも加わっています。

 答案を見て、採点に迷うことも少なくなかった。自分の採点結果が全て正しいか自信がない。そして、採点会場に集まったのは大学生が多かったが、途中で居眠りをしないようにという注意もあり、全員が同じようなモラルや責任感を持って取り組むわけではないので、受験生が気の毒かなと思う。自分も採点基準がよくわからなかったりして、二割から三割くらいは基準どおりに採点できているか自信がない。ただでさえ、記述式の採点は個人の主観が入ってしまう。マニュアルは、一回説明されても、それに対して理解不足な部分がどうしてもあったりすることもある。マニュアル自体が説明された段階で余りはっきりしていなくて、次に説明しますと言われたままになっていて、何となく、マニュアルがよくわからない、ふわっとした状態だけれども、答案が来たから採点をやるときもある。個人的に眠かったり集中できなかったりして、基準が曖昧になったり、マニュアルどおりにできていないような気がすることもある。もともとの解答自体がむちゃくちゃで、マニュアルどおりに無理やり当てはめて採点することもあるので、そうなると、基準と合っているかは微妙。毎回新人を募集しており、マニュアルに対する理解や採点のシステム的な質問まで聞こえ、ふなれな感じがする。普通にアルバイトとしてお金を稼ぐためにやっている人が多いと思う。社員の方が寝ている人を起こして、二回寝ていたらその日は帰ってもらうという決まりもある。

 大臣、こういう状況です。

 ここまで申し上げたのは、大臣がこれまでの答弁で請負業者を選んだ根拠の一つに挙げられたのが、これまでの模擬試験での採点実績があるからということをおっしゃったわけです。ところが、今申したような率直な実態があり、お二方とも、いわゆるさくっと短期の未経験者アルバイトじゃない方です。こういう中核、主力になるだろう方々からこうした声が聞こえてくることに、私は大変強い危機感を持ちました。契約や守秘義務でどうにかなるレベルではありません。

 大臣、今の率直な情報をお伝えしました。見解を聞かせてください。

萩生田国務大臣 まず、先生がヒアリングした方がどういう属性の方かというのは、ちょっと私、確認できませんが、しかし、先生が公のこの委員会の場でわざわざ御披露するんでしょうから、そこは素直にそのお話は受けとめてまいりたいと思います。

 その上で、御指摘の事柄は、大学入学共通テストの記述式問題の採点業務とは直接の関係はないものと認識しております。

 文科省として直ちにコメントする立場にありませんが、共通テストの記述式問題の採点業務については、仕様書に基づき、重要な事柄はセンターと事業者との協議をしながら進めることとされているとともに、現在、大学入試センターにおいて、採点者への事前研修の実施、組織的、多層的に採点を行う体制の構築、高校の協力を得て採点結果を検証し、一連のプロセスを改善するための準備事業の実施に取り組み、採点の質の向上に努めているところです。

 文部科学省としても、記述式問題の出題や採点方法については、どのような改善が可能であるか、さまざまな方策について検討しているところであり、大学入試センターとも連携を密にしながら、円滑な実施に向けて努力をしてまいりたいと思います。

城井委員 大臣、大臣が採点実績を見てこの請負業者を選んだという答弁をおっしゃったので、その実績の部分がこれだけひどい状況ですよということをお伝えをしているわけです。この点を、こうした実態を国として確認せずに、この採点請負業務をこのまま進めるんですか、大臣。

萩生田国務大臣 冒頭申し上げましたとおり、その方が、城井先生にお話しされた方がどういう属性の方でどういう仕事をされている方というのはちょっと確認できませんけれども、しかし、こういう公の委員会の席で御披露されるんですから、きっと、先生は確信を持って、あるいは確認をとった上でそのお話を聞いているんだと思いますが、私としては、現段階ではその確認はできませんから、そういう意味では、お話を真摯に受けとめてしかるべき対応をしてまいりたいなと思っています。

城井委員 今、お二方の紹介をしましたけれども、実際に確認をとった上で今回のお話を申し上げています。公の委員会の場ですから、私も責任を持った発言はせねばならぬというふうに思いますから、そんなでっち上げたような話をするような、そんな私ではありません。

 その意味で、このお二方の話が実態かどうかも含めて、確認をして前に進むべきだというところをぜひ踏まえた上での取組をお願いしたいと思います。

 次に参ります。

 採点者についてであります。

 請負業者が出した文書で、先ほどの他の委員とのやりとりもありましたが、大学在籍者、大学院在籍者、学士、修士、博士といったこうした方々が採点者の属性としては当たるはずだとこれまでの文書でも確認をしています。また、大学教員、講師や請負業者の職員、そして臨時採用の職員といった方々も当たるというのがこれまで確認のできているところであります。

 大臣、きょうの答弁にもありましたが、来年の概算要求で、この採点者の積算人数として七千七百三十五人を上げていただいておりますし、文科省からも私にも提供がありましたが、こうした属性を含めて、この七千七百三十五人の根拠、そして確保見込みを教えてください。

萩生田国務大臣 採点事業者がどのような属性の採点者を確保しているかについては、必ずしも当該業種の他社が公表していない中にあって、学力評価研究機構に対して当該情報の開示を求めることは他の企業との公正な競争が阻害されるおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 概算要求分は、採点者及び採点監督者の合計として七千七百三十五人分の経費を積算しております。実際には、各採点者の出勤日数や勤務時間が異なるため、共通テスト本番の採点者数については、採点に関する準備事業の検証も踏まえ、採点事業者と協議した上で決めることになりますが、現時点においては八千人から一万人程度となるのではないかと想定をしております。

 採点事業者の業務につきましては、契約金額の範囲内で適切に実施されるものと認識しております。

城井委員 大臣、属性を問うておりますのは、他業種への配慮ということが大臣としてはあるようですが、国会の側から、税金の使い道として、今回のこの記述式問題のチェックをしていくときに、あの一月の下旬から二月の頭という、大学生、大学院生としてはめちゃくちゃ忙しい時期に人数を集めるとおっしゃっているから、じゃ、学士、修士、博士の方々は、あるいは在籍者は何人いるんですかと、在籍者の割合が大きければこの仕組みは成り立たないと思うから確認をしたいと申しているわけであります。

 そして、先ほどの、教員、講師、請負業者職員、臨時採用職員といった部分については、先ほどから申し上げたアルバイトの割合がどれぐらいかがわからなければ、その採点の質に対する影響がどうかというのを国会としてチェックができないから申し上げているんです。

 この在籍者の部分、大学、大学院の在籍者の部分と、臨時採用職員の部分だけでも示していただけませんか、大臣。

萩生田国務大臣 私が知っていて答弁していないんじゃなくて、現段階で、私の手元では、その属性はわかりません。

城井委員 大臣すらこの情報をチェックしていないのであれば、採点者の質を確保していますなんてことは口が裂けても言えないというふうに思います。この点、極めて重要だと思います。

 採点者については、もっと問題があります。例えば、試験実施後の採点者は、正答例や採点基準や採点マニュアルに触れることになります。この採点者の中に、例えば請負業者グループを含む人たちが入った場合に、採点業務上知り得た情報を明示的に扱わなくても、その人物が頭の中で持って帰った情報でもってつくる模擬試験や参考書は、実際の採点業務内容が反映されるはずだというふうに考えます。ベネッセ側の模擬試験や参考書の作成担当者が実際の採点作業に従事することを禁じていないからであります。また、採点者となった者が請負業者やそのグループ会社に就職するケースもあり得るし、これを禁じていません。

 これらの利益相反の可能性を放置するならば、記述式問題の導入は行うべきではないというふうに考えます。大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 採点事業者が担当する業務については、例えば、採点マニュアルの作成、採点者の育成、採点作業、採点システムのプログラムの開発などのノウハウについて、採点事業者が従来から保有しているものを活用して実施するものであるため、採点業務終了後も採点事業者が保有するものと考えています。

 そのため、採点事業者が保有するノウハウについて、採点事業者みずからの事業に活用することは禁じられていませんが、採点事業者が共通テストにおける記述式問題の採点業務に伴って大学入試センターから得た一切の情報については、業務請負契約書第七条の規定によって、守秘義務が課せられるとともに、当該採点業務の目的以外では使用できないこととされております。

 文部科学省としては、大学入学共通テストに対する国民の方からの信頼を得ていく上では、公平性、公正性を確保することは極めて重要であると考えています。採点者が、採点業務中だけでなく事後においても採点にかかわる情報を他に開示することがないよう、採点者に提出させる誓約書において事後も含めた守秘義務についても担保させるよう、大学入試センターと連携しつつ対応してまいりたいと考えております。

城井委員 大臣、くしくもおっしゃったように、その請負業者にそのノウハウなどの権利は残るんですよ。そこは極めて大きな問題だというふうに思います。

 もう一点、伺います。

 採点時の予想外の正答への対応について、これまで大臣と何度かやりとりしましたが、大臣は、採点の品質チェックと採点基準のアップデートを混同しておられるというふうに考えます。

 二人から三人の採点体制で、きょう答弁もありましたが、品質管理専門チームをつくったりする、こうしたものを活用して予想外の正答を現場で発見するということをやっていくんだと思います。ただ、それができても、その情報を新たな正答として採点基準に加え、そして、多数の採点者に二十日間でその情報を正しく共有して、五十万枚と見込まれる答案の全てと照らし合わせることは、物理的に不可能だというふうに考えます。

 仮に、四十九万九千九百九十八枚目に意外な正答が見つかった場合に、誤って間違いとしたかもしれないそれまでの四十九万九千九百九十七枚を全て見直さなきゃいけないということになります。極端なことを言っているように聞こえますが、採点というのはそういうものだ。前半に丸をつけても、後半に丸をつけても、同じ基準でやらなきゃいけないというのは当然のことだというふうに思いますが、大臣、この点はどうしますか。

萩生田国務大臣 仕様書では、採点基準は、受験者等の答案を踏まえ、採点基準策定委員会において更新、確定されることとされていますが、仮に採点の過程で新しい類型の答案が見つかった場合には、採点基準が見直しされるものと認識しています。その上で、採点期間中の毎朝の採点業務開始前の周知などの機会を通じて、全採点者に対し、変更内容が徹底されるものと承知しています。

 なお、採点事業者においては、採点の後半でそのような見直しを行うことを避けるため、採点開始後の早い段階において全ての答案に採点者が一度は目を通すように採点全体のスケジュールを組むことで、新しい類型の答案が後から発見されることがないようにしていくものと承知をしております。

城井委員 では、大臣、今の御説明に照らしながらですが、仕様書七ページの(三)1「採点基準、採点マニュアルの確定」、そして2の「採点」によりますと、試験実施後の採点基準策定委員会で採点基準を確定させるとしております、採点中に新たな意外な正答が出てきた場合に、採点基準を改定、更新しないのかということであります。これは改定、更新すべきですし、その新たな採点基準をもとに全答案の再チェックが正しく行われなければ、採点の公正性は担保されません。

 少なくとも一人がチェックするといっても、見逃したものをどうするのかというところについては、その責任を本当にとれるのかという点、大臣、今のままですと、採点の公正性は担保されませんが、いかがお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 仕様書では、採点基準は、受験者等の答案を踏まえ、採点基準策定委員会において更新、確定されることとされていますが、仮に採点の過程で新しい類型の答案が見つかった場合には、御指摘のとおり採点基準が見直されるものと認識をされております。

城井委員 採点基準を委員会で確定した後に意外な正答が見つかった場合はどうしますかと聞いております、大臣。もう一回お答えください。

萩生田国務大臣 採点基準策定委員会において更新、確定されますので、その都度更新、確定されるという予定です。

城井委員 それでは確定になりません、大臣。それでは確定になりません。都度更新するのはわかりますが、確定とおっしゃっているんですから。確定後にまた更新するんですか。そのようには仕様書には書いておりませんが。お答えください。

萩生田国務大臣 新しい答案が見つかった場合には、仕様書では、採点基準は、受験者等の答案を踏まえ、採点基準策定委員会において更新、確定されることとされていますが、仮に今御指摘のような採点の過程で新しい類型の答案が見つかった場合には、採点基準そのものが見直しをされるものと認識をしております。

城井委員 仕様書には書いていませんので、もう一度確認をいただきたいと思います。

 続きまして、採点者の事前研修について一点伺います。

 この事前研修で、これまで、本番の試験問題を使わないということでした。ただ、本番と類似しないものを使うのでは、研修自体やる意味がありません。なので、類似した問題を使うということになると思います。

 ただ、類似した問題が出るということが事前にわかりますと、事前の研修の段階でわかりますと、これは問題の予告に当たるというふうに考えます。一種の漏えいです。仮にプレテストを使うにしても、プレテストの作問傾向が出題予告そのものとなります、大臣。これも情報漏えいに当たると思いますが、いかがお考えですか。

萩生田国務大臣 採点者の事前研修については、仕様書において、大学入試センターと事前に協議した上で必要な研修プログラムを採点開始日までに完了することとされております。この事前研修では、採点の手順やシステム操作に関する研修や、試行調査の試験問題を用いた採点演習などを行うと承知しています。

 試験実施前に、実際の試験問題はもちろん、採点基準や採点マニュアルを始め、試験問題を類推できる情報を使用することはありません。また、事前研修で使われる資料については、あらかじめ協議の中で大学入試センターにおいて確認することとなります。

 こうしたことを通じて、試験問題を類推できる情報も含めて管理が徹底されることとなっており、事前研修を通して情報が漏えいするとの御指摘は当たらないものと考えております。

城井委員 もう一点、伺います。

 二〇一六年三月三十一日に高大接続システム改革会議が最終報告を出して散会した後、非公開の検討に移りました。その後に最初に出てきたのが、二〇一六年八月三十一日の高大接続改革の進捗状況についてでした。

 その中で、幾つか記述がありますけれども、一つは、質、量ともに極めて限定的でということ、そしてもう一つは、精緻な採点もできないということを、この中で記述式問題について文部科学省自体が報告として認めています。

 こうした、質、量ともに極めて限定的で、精緻な採点もできないものと文部科学省自身が認めているものを導入するというのは受験生のためにならないというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 自己採点に必要な国語の資質、能力、すなわち自分の解答が正答の条件を満たしているのかどうかを客観的に判断する力は、従来から小中高等学校の国語科の指導の中で育成が図られており、また、受験指導については、従来から進路指導の一環として実施されているものと承知しています。

 大学入学共通テストにおける記述式問題については、多様な学力層の大量の受験生の解答を短期間で正確に採点する必要があるという前提のもとで、一定の思考力、判断力、表現力を適正に評価できるよう、大学入試センターにおいて、これまで実施した試行調査やフィージビリティー調査で得た知見も踏まえ、作問の創意工夫がなされるものと考えております。

 また、大学入試センターが行った調査研究によれば、数式を書かせる程度であっても、同一又は同様な内容の問題について、記述式で出題した場合とマーク式で出題した場合を比較すると、記述式の方がマーク式より正答率が低くなる傾向が見られるという調査結果もあり、みずから記述して表現する力を育成する上で、大学入学共通テストに記述式問題を導入する意義はあるものと思われます。

城井委員 大変残念な答弁であります。

 国の共通テストであるにもかかわらず、同一内容の答案を同一得点と採点するという、試験としての最低限の公平性が担保できるか、そこができないということをきょうの質疑でも確認させていただきました。

 大臣、見切り発車をしますと、採点ミスや自己採点のミスで受験生に実害が出ます。受験生をこれ以上実験台にしてはいけません。記述式は個別大学の二次試験に任せて、共通テストでは導入中止をお願いしたいと思います。毎年五十万人の受験生、その家族、高校関係者、大学関係者が固唾をのんで見守っています。大臣、記述式問題の導入中止の決断をお願いしたいと思います。最後に一言お願いします。

橘委員長 大臣、時間が参っております。よろしくお願いいたします。

萩生田国務大臣 きょうも、さまざまなきちんとした現場感覚の御意見をいただきました。一つ一つ受験生の不安の払拭をする作業を今続けさせていただいておりますので、努力を続けたいと思います。

橘委員長 時間が終わっております。

城井委員 終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 立憲民主党、共同会派、立国社の初鹿明博です。引き続き質問をさせていただきます。

 記述式については後ほどさせていただきます。その前に一つ、幼保無償化について何点か質問させていただきたいと思います。

 みんな違って、みんないい。新しい時代の日本に求められるのは、多様性であります。みんなが横並び、画一的な社会システムのあり方を、根本から見直していく必要があります。多様性を認め合い、全ての人がその個性を生かすことができる。そうした社会をつくることで、少子高齢化という大きな壁も、必ずや克服できるはずです。若者もお年寄りも、女性や男性も、障害や難病のある方も、さらには、一度失敗した方も、誰もが、思う存分その能力を発揮できる、一億総活躍社会を、皆さん、ともに、つくり上げようではありませんか。

 いいことを言いますね。皆さん、わかりますよね。今国会の安倍総理の所信表明演説です。多様性を認め合うと言っております。みんな違って、みんないいと言っています。

 ところが、幼保無償化の問題になると、皆さんも御承知のとおり、幼稚園に類似をしている施設、類似幼稚園、幼稚園類似施設と言われるものが対象から外されております。その中に含まれる各種学校については、多様性があるから認めないと言っている、多様な教育をしているから対象外だと言っている。この安倍総理の所信表明演説と大きく外れているんじゃないかということをまず指摘をさせていただきます。

 その上で、幼稚園類似施設については、これまでも、自治体が助成をする制度を設けた場合に、その自治体にその費用を補助する制度をつくるということを文科省も言っておりました。ただ、その姿が全然見えてこないわけですね。

 来年の四月から子供たちが新たに入園してくるわけですけれども、その子供たちは、もう既にこの秋に行く幼稚園を決めているんですよ。どこの幼稚園を選ぶかという入園の選択として、ただになるのか、それともそうじゃないのか、大きく変わってくるわけですよね。補助が出るのか補助が出ないのかというのは大きな影響を及ぼすんです。

 私の地元にある、類似幼稚園と言われる、認可されていないある幼稚園は、三十人の定員なんですけれども、幼保無償化の対象から外れてしまうということで、兄弟が通っている、そして中身をよくわかっている、そういう家庭はいざ知らず、そうじゃないところは、やはりできれば、できる限りお金の負担を少なくしたいと思うものであって、三十人の定員のところに四人しか今現状集まっていないということで、このままだと本当に存続にもかかわるとおっしゃっております。

 まず最初に伺いたいのは、一体いつになったら具体的な内容が明らかになるんでしょうか。

萩生田国務大臣 今般の幼児教育、保育の無償化の対象範囲については、法律により幼児教育の質が制度的に担保された幼稚園、保育所、認定こども園を基本としながら、待機児童問題により認可保育所に入りたくても入れない方もいることから、代替的な措置として認可外保育施設等も対象とするという考え方で整理がされており、法律上、一定の線引きがなされています。

 いわゆる幼児教育類似施設については、法令上の定めや基準などはなく、多種多様なものが存在していますが、各地域に固有のさまざまな歴史的な経緯を経て、現在も地域や保護者のニーズに応え重要な役割を果たしているものもあると考えております。

 このように、認可基準は満たしていないものの、地域において欠かすことのできないというニーズは地域にとってさまざまであると考えられることから、このような施設について、国と地方が協力した支援のあり方について検討を続けております。

 文部科学大臣として、法律上の無償化の枠の外となる施設についても何らかの支援が届けられるよう、関係府省と連携しながら、できるだけ早く、年内を目途に支援のあり方を検討しているところです。

初鹿委員 年内を目途にということですけれども、本当に遅いんですよ。来年四月から入る子供たちは、もう募集は済んでいるわけですから。ことしの末に、仮に、こういう制度になりますよ、この園も対象になるんですねということが決まったとしても、多くの子供たちは行き場が決まっていますからね。そのことを考えると、本当に一日も早く明らかにしていただきたいということをお願いさせていただきます。

 その上で、では、自治体が補助をする対象となる施設の中に各種学校の外国人学校も含まれるという理解でよろしいでしょうか、含むという理解でよろしいでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、先生、その江戸川区の園について、私、存じ上げませんけれども、要は、一定の基準を満たしていないんだけれども、しかし地元としてニーズがある、すなわち地元としてかけがえのない施設かどうかという判断は、国は直接やはりできません。がゆえに、首長の皆さんに御判断をいただくということで作業しております。御指摘の園については、全国で大体二百数十を確認しておりますので、その中に多分包含されているというふうに思っております。いずれにしても、方向を早く決めたいと思います。

 法律上、幼児教育、保育の無償化の対象とならない施設として、いわゆる幼児教育類似施設について、認可施設としての基準は満たしていないものの、地域において欠かすことのできないという各地域の固有のニーズに応えて重要な役割を果たしているものについて、国と地方が協力した支援のあり方について検討を進めております。

 各種学校を含めさまざまな施設において多種多様な活動が行われているところですが、今般の支援策については、関係府省と連携しながら、要件等を含めたあり方について至急検討を続けてまいりたいと思います。

初鹿委員 ちょっと明確な答弁はないんですけれども、自治体が認めれば各種学校である外国人学校も含む、対象となるということでよろしいんでしょうか。

萩生田国務大臣 それも含めて、今検討しています。

初鹿委員 その中に朝鮮幼稚園も入りますか。

萩生田国務大臣 いわゆる幼児教育類似施設への支援については、現在、関係府省と連携しつつ、その要件等を含め、国と地方が協力した支援のあり方について検討をしているところです。

初鹿委員 もう一回確認しますけれども、きょうも実は、朝鮮幼稚園の保護者の方、関係者の方が見えておりますが、この間、朝鮮幼稚園の方々を含めて、外国人学校の方々が国会内でも集会を開いて、インターナショナルスクールの方や台湾の学校の方、そして朝鮮幼稚園の方が、各種学校であるということで対象から外されるのは、本当にこれは外国人に対する差別ではないのかということを訴えております。

 確かに、法律上、認定こども園、認可保育所、認可保育園というものを対象にしているということでありますが、その一方で、認可外保育施設については指導監督基準を満たしていないところまで広げてしまっているという現状を考えると、なぜ幼稚園の施設を線引きするのかということが、関係者も我々もなかなか腑に落ちないところなわけであります。

 そういう中で、特に朝鮮幼稚園の方々は、高等学校の無償化のときにも対象から外され、今回も同じように外されるのではないかという不安を持っております。高校の場合は、勉強するということで、日本の教育とそぐわないということで対象から外す、そういう線引きの仕方が、私はそうじゃないと思いますけれども、仮にあったとしても、幼稚園ですからね、小学校に上がる前の子供たちでどうして差別するのかというのは、私はなかなか理解をできません。

 そこで、もう一度確認ですけれども、朝鮮幼稚園であるからという理由で排除をすることはないということでよろしいでしょうか。

萩生田国務大臣 いわゆる幼児教育類似施設への支援については、現在、関係府省と連携しつつ、その要件等も含め、国と地方が協力した支援のあり方について検討しております。

初鹿委員 今、資料で皆様のところにお配りをさせていただいておりますが、これは日朝首脳会談に関係して、ことし九月に、金丸信元自民党副総裁の次男の信吾さんが訪朝して、向こうで北朝鮮の宋日昊という朝日国交正常化交渉担当大使と面会をしたときのコメントを載せております。

 その中で、安倍総理が、無条件で、条件をつけずに金正恩朝鮮労働党委員長と向き合うという発言をしているけれども、幼児教育や保育の無償化の対象外になっていることなど、条件をつけているのは日本じゃないかという批判をしているということなんですよ。

 このことを考えると、外交上も、認めていった方がある意味国益にかなっていくんじゃないか、この日朝交渉も有利に働くんじゃないかということを感じるわけですね。

 そして、ちょっと一枚めくっていただいて、いろいろ調べていく中で、私も知らなかった事実なんですが、こういうことがあったのかということがわかったので、紹介させていただきます。

 これは、二〇〇九年の二月に佐藤知也さんという方が発行した「平壌で過ごした十二年の日々」という本に記載されているんですけれども、この方は日本人の人民学校で代用教員を務めていたということなんですね。終戦を平壌で迎えて、十二年間向こうで住み続けるんですが、そのときに朝鮮人学校の先生をしていた。

 ここに書いてあるんですけれども、兄の記録によると、この年に、北朝鮮人民委員会が、つまり当時の北朝鮮政府だと思います、日本人部、人民学校の日本人部に支出した金は、産業局から二百三十万円、財務局から子弟教育費として二百万円となり、これは日本人部が属している北朝鮮工業技術連盟の年間予算の三十万と比べると、まさに破格の扱いだったと言えるというように、政府からお金が出ていたということなんですね。

 もう一枚めくっていただくと、これはちょっと古い本なんですが、昭和三十九年の「朝鮮終戦の記録」という本の中にも、真ん中ぐらいに、一九四七年分として産業局から二百三十万円、財務局から技術者子弟教育費二百万円が支出されと、先ほどの記載とほぼ合うことが書いてあるので、恐らくこれは事実なんだろうなと推測できます。

 そして、もう一枚めくっていただくと、これは、終戦直後なんですけれども、一九四九年に出された民主朝鮮という雑誌の八月号です。ここにも、四角で囲っておりますが、学校の財政はこれを北朝鮮人民委員会財務局から、二百二十三万七千円が出ているという記載があるんですよ。

 つまり、終戦直後、日本人がそのまま北朝鮮に残っていて、そこで学校をつくっていた。それに対して北朝鮮の当時の政府はお金を出していたんですね。出していたということが記録上残っているわけです。

 植民地支配されていた宗主国に対して、恨みこそあれ、こういうことをしていたというのは私も驚いたんですけれども、やはり教育に関しては、きちんとその国の教育を保障しようという姿勢が北朝鮮政府でもあったんだということです。

 私は、北朝鮮政府を支持もしないし、今やっていることも非常に問題があると思いますよ。でも、皆さんもそう思っていると思いますが、そういう国でさえ子供の教育はきちんと保障しようよというふうにしていたわけですよ、あの国でさえ。

 それを考えると、我が国ももう少し寛容になった方がいいんじゃないかと思います。特に、幼稚園に通う子供たちは、我が国で生まれて、この先も我が国でずっと暮らし続ける三世、四世ですよ。この国で生まれて、この国でずっと暮らし続けるんですよ、恐らく。その子たちを排除することが我が国の国益にかなうのかということを我々は冷静に考える必要があるんじゃないかというふうに思います。

 その上で、改めてお伺いしますけれども、きょうは中山外務大臣政務官にお越しいただいておりますので、今もろもろお話ししましたが、それも踏まえて、今後の日朝交渉を有利に進めていく上でも、これは私は対象にしていった方がいいと思うんですよ。

 保育については、もう認可外保育施設を指導監督基準がなくても認めているわけだから、せめて幼稚園の方は、指導監督基準のようなものをつくった上で、それにきちんと該当するところを認めるというような形で、認める必要があるんじゃないかと思います。

 そこで、まず中山政務官には、外交上、外交交渉を進めていく上でもこれは一つのカードにはなっていくんじゃないかと思いますが、その点についてどういう見解を持っているのかということと、萩生田大臣については、認可されていない幼稚園について何らかの基準を設けて、その基準にのっとっていたら無償化の対象にそもそもしていくということについてどう考えるのかということについて、お答えください。

中山大臣政務官 お答え申し上げます。

 報道は承知しておりますが、その一つ一つについて政府としてお答えすることは差し控えさせていただきたく存じます。

 その上で申し上げれば、我が国は、従来から一貫して、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指すとの考えであり、その方針に何ら変わりはございません。

 拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であり、御承知のとおり、安倍総理自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意との考えであります。御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、引き続き、米国等と緊密に関係しながら、冷静な分析の上に、あらゆるチャンスを逃すことなく、果敢に行動していく所存でございます。

 その上で、幼保の無償化については、外務省としては所管外でありますので、ぜひ御考慮いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 初鹿先生、この問題はもともと、ことしの二月の予算委員会で、私、党の幹事長代行として、類似施設等々があぶれてしまう、それは、いろいろな事情やいろいろな条件の違いはあるけれども、子供たちをしっかりと応援をしていく、若い世代の皆さんにサポートしていくという政策としては、やはり包含をしていくべきじゃないかという提案をみずからして、たまたまめぐり合わせで担当大臣になってしまいました。

 もう一度申し上げますけれども、各種学校を含めさまざまな施設において多種多様な活動が行われているところですが、今般の支援策については、先生は何かの基準を設けてとおっしゃいましたけれども、私はもっとおおらかに、関係府省と連携しながら、要件などを含めたあり方について、先ほども申し上げましたように、やはり必要か必要じゃないかというのは外から国が直接わかりません、ですから、地元の自治体等と連携をしながら、国と地方と協力をしながら、引き続き方向を決めて検討していきたいと思っています。

初鹿委員 割と広くとっていくんだ、そういう答弁だと思いますが、でも、あくまでも自治体の側に判断の基準があるということだと、住んでいるところによって差が出てしまうという問題が出てくると思いますので、私は、やはり国の制度としてきちんと対象に含める必要があるというふうに思いますので、ぜひ検討をしていただきたいということをお願いをします。

 中山政務官、どうもありがとうございました。

 では、記述式の問題に入ります。

 先ほどの城井先生の質問を聞いていて、やはり採点者のところが非常に気になるところですよね。質の確保、質の確保と言うんですけれども、質というのは何なのかなということをつらつら考えていったときに、一番単純なこととして、国語の記述式の問題を採点者が解いたときに一番いいAの判定を必ずとれる、A判定をとれる人が採点者になるべきだと思うんですね。

 全ての採点者が、試験をやったらA判定をとれる、そういう人を選ぶんだということでよろしいですよね。

萩生田国務大臣 大学入学共通テストの記述式問題の採点者の確保については、仕様書において、適正な試験等によって質の高い採点者を確保することが定められており、採点者の選抜方法について大学入試センターと採点事業者が事前に協議することとされています。

 質の高い採点者を確保するために行う試験については、学力試験や採点業務への適性試験、面接などを行う予定と聞いており、今後、大学入試センターにおいて必要な対応を求めていくものと承知していますが、仮に選抜基準に満たない候補者がいた場合には、採点者となることはできない仕組みとなっております。

初鹿委員 だから、その具体的な姿として、試験をやるといっても、その試験がどの程度のレベルかわからないじゃないですか。だから、最低限、共通テストの記述式テストを自分が受けたときに一番高いA判定をちゃんととれる人、その人が採点をする、そうじゃないとおかしいと思いませんか。

 そこはちょっと約束してください。必ずAの一番いい評価をとれる、そういう人しか採点者になれませんと、ここで約束していただけませんか。

伯井政府参考人 ただいま大臣も答弁申し上げましたように、今後、学力試験や採点業務への適性試験、面接などを行う予定でございます。

 具体的な選考方法、基準については、今後、大学入試センターと採点事業者が協議して決定ということになりますが、現時点においては、学力試験の中で記述式問題を課すということも想定されていると承知しております。

初鹿委員 いや、だから、承知しているとかしていないじゃなくて、きょうは義本理事に来ていただいていますが、大学入試センターとして、採点者が、試験の問題で満点をとれないような人が採点するのはおかしいじゃないですか。自分が問題ができない人が採点をするなんて、受験生が納得すると思いますか、皆さん。こんなの当たり前のことですよ。

 当然、採点者は満点をとれる人、つまり、記述式でいうと、A、B、C、D、Eの判定だから、一番いいAの判定をとれる人に限定する、限るということを約束してください。

義本参考人 お答えいたします。

 今、大臣それから伯井局長からお話がございましたように、採点者の質の確保につきましては、学力試験それから適性試験、面接等を行って適正な方を選考していただく、その選考方法について、しっかりセンターとして事業者と詰めていくものでございます。

 その中で、特に学力試験の中では、記述式の問題を課すということを想定していますので、一定のレベルをしっかり確保するということも含めて、事業者としっかり詰めていきたいと思っております。

初鹿委員 いや、だから、約束してくださいよ、ちゃんとA評価をとれる人だと。

義本参考人 しっかりした形で能力を判定するということが基本でございますので、その中の一つとして、記述式の問題も解いてみて、その解答ぶり等についてもしっかり評価して、一定のレベルを確保するということが大事でございますので、事業者と詰めていきたいと思っております。

初鹿委員 一定のレベルが、A、B、C、D、E判定のB判定がとれればいいということにはならないでしょう。自民党の皆さんもそう思いますよね。最低限A判定をちゃんととれないと、採点者として認められないと思いませんか。

 自分が試験を受ける側になってみて、自分が解いた問題を解けない人が採点しているなんて、そんなの納得できないでしょう。ここは、必ずA判定の人しか選ばないということを約束してくださいよ。

義本参考人 評価の仕方、判定の仕方については、事業者の中で、具体的に、総合的に、適性も含めて判断するわけでございますので、その中で、質の確保をするというふうなもとにおいて判定していただくように、しっかりお願いしていきたいと存じます。

初鹿委員 ちょっとそれは無責任過ぎると思いますよ。ちゃんと明言しないと、受験生は納得できません。ちゃんと明言してください。

伯井政府参考人 お答えさせていただきます。

 大学入学共通テストの国語の記述式問題は、与えられた題材の読解をもとに、百二十字を上限とする文字数や、文字の構成に関する指示等に従って解答する問題でございます。

 このため、採点に当たっては、正答に必要な条件を設定し、それらを解答が満たしているか否かの条件適合性を確認するという仕方になります。

 したがいまして、共通テストの記述式問題の採点につきましては、採点者個人の裁量により判断するものではないということでございますが、いずれにせよ、適正な試験によって質の高い採点者を確保していきたいというふうに考えております。(発言する者あり)

初鹿委員 いや、本当に問題ないと思っているんですか。それは、私は非常に問題だと思いますよ。

 では、仮に一定の水準にしますという一定の水準が決まったとしますけれども、八千人とか一万人を選ばなきゃいけないわけですよ。一月は、大学も大学院も、自分たちの試験です。だから、学生を確保するということは非常に難しいです。その中で八千人や一万人の採点者を集めるのは非常に難しいと思います。

 これで採点者を集めるためにレベルを下げるというわけにはいかないですよね。試験をやって、仮に試験でクリアできる人が、八千人、一万人、予定している人数が集まらなかった場合はどうなるんでしょうか。

萩生田国務大臣 記述式問題の採点者の確保については、仕様書において、適正な試験等によって質の高い採点者を確保し、期間内に正確な採点を行うことができる人員を必要数確保することと定めています。

 大学入学共通テストにおける記述式問題については、一定の条件を設定した上で、その条件への適合性を評価するものですが、多数の受験者の答案を短時間で正確に採点することが必要です。そのため、採点に当たる事業者については、その観点から、処理能力や信頼性、実績などを有する民間事業者を一般競争入札の枠組みのもとで評価、選定しています。

 記述採点につきましては、仕様書上、おおむね二十日以内のセンターが指定する日までとされており、この期日を延長することはできないと考えております。

初鹿委員 いや、そんなことは聞いていないですよ。

 先ほどの城井先生の質問で、今、進研模試を実際に採点している人がどういう人たちなのかという紹介がありました。

 同じ事業者が人を募集するわけですから、当然、その人たちも応募をしてくることになると思います。仮にそういう方々が大半だったら、質の確保ができているとは言えません。改めて試験をしてきちんとした採点者を選ぶとなると、一万人や八千人というのはそんなに簡単に集まらないですよ。試験をやって、試験を通る人が一万人、八千人集まらなかった場合どうなるんですかということを私は聞いているんです。

 義本理事、その場合はどうなるんですか。

義本参考人 期日内で、指定している日まで、仕様書上、採点を終わっていただくという形で結んでおります。その上で事業者として約束を結んだものでございますので、私どもとしては、しっかりその期間内でやっていただくと思っております。

 仮にその必要数を確保できなければ、採点事業はなかなか難しいということになると思います。

初鹿委員 では、採点が難しいとなった場合、それは契約が解除されるという意味でよろしいですね。

義本参考人 お答えいたします。

 仮にの話で、仮定でございます。基本的にはその中でやっていただくということでございますけれども、仮にでございますけれども、事業ができなくなれば、債務不履行あるいは損害賠償の問題になると存じます。

初鹿委員 契約がこれで破棄になると、採点する人がいなくなるんですよ。確保できるかどうか、今の段階でわからないんですよ。では、いつ確保できるのかどうかがわかるか。

 来年の試験の直前になって、十二月になって、採点者が一万人確保できませんでした、採点者の試験をクリアできる人が集まりませんでした、だから採点できませんとなったら試験はどうなるんですか。記述式試験はなしになるんですか。こんなことが想定されるのに、まだ記述試験をやると言っているんですか。この時点でもうこれはアウトですよ。

 大臣、今すぐ決断しましょう。これはできません。いかがですか。

萩生田国務大臣 さまざまな御指摘を一つ一つ解決して、受験生の不安を払拭してまいりたいと思います。

橘委員長 初鹿君、時間が終わっております。

初鹿委員 では、時間が来ましたので、川内議員にバトンタッチします。

橘委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 萩生田大臣、よろしくお願いをいたします。

 城井さん、そして初鹿さんと、採点者の質の担保、そして本当に採点ができるのか、そしてその人数が集まるのかということについてさまざまな課題が提起をされたわけですが、現時点において、文部科学省なりあるいは大学入試センターなりからは、とにかく頑張りますという言葉しか出てこないわけですね。

 直前になってだめでしたというわけにはいかないわけですから、私は、大臣、そんなに猶予はないんだろうというふうに思うんですが、なるべく早い段階で、その課題をクリアできるのかどうかということについての大臣の判断というものが年内にも求められるのではないかというふうに思います。

 そこで、大臣の御判断の一助として、国語の記述式についてさまざまに問題提起をされているわけですが、採点ミスは避けられない、そして自己採点できないということですね。

 これも、本委員会で議論が出たように、センター試験は三十年間採点ミスゼロだ、採点ミスはありませんと。今回の記述式は採点ミスが不可避であるということ。もうそれだけをとってもちょっと、受験の公平公正という点からいえば、私は採用すべきことではないというふうに思いますが、数学も、これは採点ミスが不可避ではないかということで問題提起をさせていただこうと思います。

 平成三十年に行われたプレテスト、試行調査で数学は三問記述式が出て、記述式といっても解答の数式を書くだけですけれどもね、解答の数式を書くだけが平成三十年の試行調査では記述式と、記述式って言いにくいですけれどもね、称して出ているわけですが、正答例というのがその結果の分析の冊子の中に出ております、この記述式三問についてですね。それぞれ、一問目、二問目、三問目でいうと、正答例は一問目が一つ、二問目も一つ、三問目が正答例として二つ、要するに採点マニュアルに記載されているわけですね。

 じゃ、この記述式の、平成三十年の試行調査の正解の数、正解が幾つあるのかというのを、一問目、二問目、三問目、それぞれについて教えてください。

義本参考人 平成三十年度の試行調査の数学におきまして正答例として公表させていただいたものにつきましては、委員御指摘のとおり三問ございますけれども、一問目は一件、二問目は一件、三問目は二件として正答例として公表させていただいたもの、これはマニュアルではございませんが。

 お尋ねの正答例につきましては、公表しているもの以外にもございますけれども、採点結果として同じ正答になりますので、現在、正解として公表しているもの以外も正答としたものについて網羅的にお答えすることは困難でございます。

川内委員 いや、正解を全部数式で言ってくれなんて誰も言っていないですよ。

 私が聞いたのは、正解が幾つあるんですかと、あったんですかということを聞いているんです。正解が幾つあるんですかと。

義本参考人 採点過程におきましては、公表しております正答例と同じ解答でも異なる解答でも同じ全て正答として処理されていることがございますので、納品された採点結果からは、どのような正答であるかについてはお答えはできないところでございます。

川内委員 大学入試センターがおつくりになられた資料の中に、「正答例とは異なる記述であっても題意を満たしているものは正答とする。」、こう書いてございますので、じゃ、題意を満たしている正答はほかに幾つぐらいあったんですかということを私は聞いているわけです。試行調査、調査されているわけですからね。その数をここで言わないというのは、私はちょっと許されないと思いますよ。

義本参考人 正答例として公表しているもの以外でも、採点結果、その過程においては正答となるものはございました。ただ、それを網羅的に幾つかということについてはお答えが困難でございます。

川内委員 そんないいかげんなことで、この共通テストの記述式、数学を導入するんですか。大人の態度じゃないですよ、それは。正答の数は数えていません、わかりませんというなら、そう言えばいいじゃないですか。試行調査をしているんだから、試行調査をしてちゃんとその調査結果が出ているのであれば、数を答えなさい。

義本参考人 お答えいたします。

 三十年度の試行調査につきましては、六万数千件につきまして数学を受験したわけでございますけれども、その過程で、先生御指摘のとおり、公表しているもの以外でも正答はございます。

 ただ、それを一件一件つぶさに数として分けるのは困難でございますので、後ほど整理して、ほかの例についてもまた御紹介させていただきたいと思います。

川内委員 いや、共通テストに備えようねということで試行調査をして、わざわざ御自分たちで、「正答例とは異なる記述であっても題意を満たしているものは正答とする。」とお書きになられているから、ほかに正答の数が幾つぐらいあるのか、正答の種類が幾つあるのかということを。

 結局、じゃ、いいですか、採点者に対して、これらが正答ですよということは全く示さずに採点させたということでよろしいですね。

義本参考人 採点におきましては、採点基準をつくりまして、それに該当するものについて正答としているところでございます。その過程に、いろいろな形での解答がございますので、それが正解になるというものについて判断して、採点をまとめたものでございます。

 試行調査の中においての例示については、また改めて整理して御報告させていただきたいと思います。

川内委員 聞いていないことを答えなくていいですから。

 正答例は採点者に示した、それ以外の正答については示していないということでよろしいかということを聞いているんです。

橘委員長 今御質問に答えていただく、あるいは、例えば、調査の中で何種類ぐらいそういうのがあるということでもわかるならお答えいただく、どちらでもいいですから、お答えください。

義本参考人 失礼いたしました。

 採点したものにつきまして、どんな形の類型があったとか、その種類について整理しまして、御報告させていただきたいと存じます。

川内委員 委員長、お願いしますよ。

 義本さん、私がお聞きしているのは、採点者には正答例しか示していない、それ以外のさまざまな正答については採点者には示していないということでよろしいかということを聞いているんですよ。

橘委員長 義本理事、もし今持ち合わせていないなら、後ほどそれはしっかり調べてお答えいただく。

 それから、今おっしゃっている……(川内委員「事実を確認して、ファクトを確認しているだけですから」と呼ぶ)じゃ、その種類、今おっしゃったこと、示したか示していないかでお願いします。

義本参考人 お答えいたします。

 採点においての正答の基準を設けまして、それに合致するかどうかについて、合致するものについては正答にし、それに合致しないものについては事業者が判断して具体的に整理しているというものでございます。

 その中で、どういうものがそれに該当するかについては、整理させていただいて、後ほど御報告させていただきたいと存じます。

川内委員 いや、だから、後ろの女性の方も、もうちょっと誠実な御答弁をいただけるように打合せしてくださいよ。

 これは受験生の人生がかかっているんですよ。義本さんとか皆さんは、もう功成り名を遂げて立派な人生を送っていらっしゃるからいいでしょう。受験生はこれからなんですよ。自分の人生をかけてやるんですよ。だからこれだけしつこく聞いているんですよ。

 採点者には正答例を一例だけ示している。それ以外の正答については示していないということでよろしいかということを聞いているんです、採点するときに。

義本参考人 お答えいたします。

 この正答例というのは、試行調査の結果として公表したものでございます。採点者におきましては、採点基準を明確にしまして、その中で何が該当するかについての基準を設けて、それについて採点いただいているわけでございます。採点する中において、具体的に何が合致するのかについて、判断が迷うものについては事業者が判断するというものでございます。

 その中で、どういう解答があるかについての類型を整理して御報告ができるかと存じます。

川内委員 いや、採点基準には正答例を幾つ示したんですか。ちょっと言っていることがでたらめじゃないですか。(発言する者あり)

橘委員長 では、とめてください。

    〔速記中止〕

橘委員長 それでは、速記を起こしてください。

 義本理事。

義本参考人 失礼いたしました。

 試行調査におきましては、採点基準の中の代表的な正答例として示しておるものでございます。それ以外のものにつきましても、考え方としてはありますので、それを整理した上で公表させていただきたいと存じます。

川内委員 いや、だから、採点基準として正答例を幾つ示したんですかと聞いているじゃないですか。

 委員長、厳しく指導してくださいよ。聞いたことに答えずに、一体何を言っているんですか。これは受験生の人生がかかっている問題なんですから。

橘委員長 川内さん、わかりました。

 もう一回とめてください。

    〔速記中止〕

橘委員長 それでは、速記を起こしてください。

 義本理事。

義本参考人 採点基準におきましては、正答の幾つかの例を示しております。ただし、それに基づいて採点をしておりますので、委員御指摘のとおりいろんなものが出てまいりますので、合致しないものを整理してまとめておりますが、その中で、具体的に公表していますもの以外のものとして代表的なものあるいは類型でできるものにつきましては、整理した上で御報告はさせていただけると思います。

川内委員 もう一回聞きますよ。

 だから、採点基準に正答例を幾つ示したのかということをここで言ってください。レクでは、一つ、一つ、二つと言ったんだから、きのう。それをここで答弁を変えるんだったら、正答例を幾つ示したのかということを、採点基準で幾つ示したのかということをここで言ってください、ちゃんと。

義本参考人 繰り返しの答弁にならせていただきますけれども、採点基準の中には、幾つかの正答の例というのが複数ございます。その中の代表的なものにつきまして正答例として公表させていただいたものでございます。

 採点基準そのものについては、これは具体的な問題作成にもかかわるものでございますので公表いたしませんけれども、ただ、その中で、公表しております以外のものについてはどういうものがあるか、これは既に採点者には公表しておりますけれども、それについてどういうものがあるかについては御報告ができるかと存じます。

川内委員 いや、委員長、ひどくないですか、これは。採点基準を公表してくださいとか、そんなことは一言も言っていないですよ。採点基準に正答例を幾つお示しになられたんですか、それぞれ、一問目、二問目、三問目について教えてくださいということを言っているだけですよ。数を答えるだけですから。

義本参考人 採点基準の中にございますけれども、公表したもの以外にも複数ございますけれども、それを幾つかという形で特定しては出すことはできませんので……(川内委員「だから、数だけ言ってくれと言っているじゃないですか。特定しろと言っていないじゃないですか。ひどいですよ、この答弁は」と呼ぶ)整理させていただきまして……(川内委員「だめ。委員長、ちょっと指導してください」と呼ぶ)

橘委員長 じゃ、時計をもう一回とめていただいて。

    〔速記中止〕

橘委員長 では、速記を起こしてください。

 義本理事。

義本参考人 失礼いたしました。

 この採点基準を受けまして、条件を当てはめてつくりますマニュアルでございますけれども、そこには具体的な数字は書いております。今手元に持ち合わせておりませんので、その数については後ほど御報告をさせていただきたいと存じます。(発言する者あり)

橘委員長 もう一回とめてください。

    〔速記中止〕

橘委員長 じゃ、速記を起こしてください。

 義本理事。

義本参考人 採点マニュアルに複数の正答の例がありますので、それを整理させていただきまして、御報告をさせていただきたいと思います。数字はございます。(発言する者あり)

橘委員長 じゃ、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橘委員長 じゃ、速記を起こしてください。(川内委員「いや、ちゃんと数を言うのかどうかですよ。ちゃんと数を確認するのかどうか確認しないと。時間だけ使われても僕は困るんです、お願いします」と呼ぶ)

 じゃ、とめてください。

    〔速記中止〕

橘委員長 それでは、速記を起こしてください。

 義本理事、どうぞ。

義本参考人 採点マニュアルにつきましては、実は採点を請け負いました事業者が所有しているものでございます。事業者に確認しましたけれども、今、セキュリティーの問題で、今持っておりますので、それを早急に事業者と確認して、その数字については早急に御報告させていただきたいと存じます。

川内委員 大臣、こんなひきょうなことでやり過ごして、共通テストを受験生に、みんなにやらせるんですか。

 数学の正答例というのは、実は無数にあるらしいです、数学者に言わせると。無数にあるらしいです。さっき採点者の質について、満点をとる人だということについて約束しませんでしたけれども、それは、大学の研究者が、先生方が採点しても採点ミスが起こるかもしれない。そのぐらい数学の正答、何が正答かというのを判断するのは難しいみたいです。

 じゃ、大学入試センターが、この平成三十年度の試行テスト、問題一、問題二、問題三で、正答と考える正答の数は幾つですか。問題作成者ですから。

義本参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、正答のいろいろな解答のパターンがございますので、センターとしましては、採点基準をつくりますけれども、その中に想定される幾つの正答例があるのか、これは網羅的になかなか言えませんので、代表的な例として今申し上げました、一件、一件、二件というのを公表させていただいたところでございます。

川内委員 大臣、今、図らずも義本さんがおっしゃいました、網羅的に言えないと。要するに、正解の数は無数にあるということなんですよ。それこそ、思考力、判断力、表現力が豊かな子たちが、入試センターやあるいは採点事業者がこれが正答だねという正答例と全く違う表現で答えた場合、バツになっちゃうんですよ。恐らく試行調査でもバツにしているんですよ、そういう解答を。そのぐらい数学の記述式の採点というのもむちゃくちゃ難しいんだ。

 私もあたふたしましたけれども、大学入試センターもあたふたしたこのやりとりを見ていただいただけで、この数学の記述式の採点というものも、非常に難しい採点であるということが御理解いただけるのではないかというふうに思います。

 大臣、ぜひ、この共通テストへの記述式の導入というのは、とにかく子供たちの人生にとってめちゃめちゃ大事なんです。この数学だって、一問五点ですから。十五点ですね、満点で。百点満点のうちの十五点。それで、正解なのに、採点者が、ああ、これ、合っていないからバツと。合っていないからバツにしちゃうと五点差がついちゃうんですよ。もうそれで全然違うコースになっちゃうかもしれない。そこで選抜されてしまうかもしれない。

 そういう非常に危険なリスクを伴っているということを考えると、私は、早急に自由民主党さんの中でも議論する会合をつくっていただくべきであるというふうに思いますし、公明党さんでは議論する会合ができたということで、浮島先生にもきょうの議論などを反映させていただきたいというふうに思うし、大臣、これはみんなの知恵を結集して、ちょっと立ちどまって考えるということぐらいは、この十三時間の最後の答弁として、みんなで知恵を出し合って考えるよということを、最後、御答弁をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 プレテストの結果について先生から御質問があって、この場で正しい答弁がきちんとできなかったということは、おわびを申し上げたいと思います。

 ただ、理事にお聞きをすると、そのくらい、問題作成者と採点者の間できちんとしたすみ分けができていて、情報を共有していないという部分があったのは、ある意味では、守秘義務などを守る上での一つの証左だと私は思ったんです。

 ただ、そうはいっても、精度を上げるためにプレテストをやっているんだし、発注者が大学入試センターなわけですから、そこがきちんとそのことをかみ砕いて更にブラッシュアップしていただけなければ、いい制度にはなっていかないと思います。

 そういう意味では、きょう貴重な御意見をさまざまいただきましたし、率直に申し上げて、この六時間半の時間も、皆さんからいろいろな御心配をいただきました。その声は真摯に受けとめながら、しかし、私は今、引き継いでいる状況にございますので、受験生の不安を払拭する、まずは、この一点に絞って努力をさせていただきたいと思います。

川内委員 済みません、もう終わりだと思っていたら、四十八分まで時間があるということで紙が入ったので、あと五分間あるので、ちょっと済みません、続けさせていただきます。

 大臣、受験生の不安を払拭すると。私は、どこまでいっても恐らく不安は払拭できないのではないかという懸念を、きょうのやりとりを通じても深くしているのですね。

 国語の記述式、数学の記述式、どちらも、問題をつくる方も、そして採点をされる方も、非常にそれこそ思考力、判断力、表現力が試されるのではないかというふうに思いますし、人生というのは学びの連続で、子供たちのことを、受験のことを考えることによって私たちもまた学ばせていただいているわけですけれども、こういうことを通じて、私は、文部科学省のある一定の、これまでの政策が正しかったからこそ、高校生がみずから声を上げて、これはおかしいという声を上げる高校生もいる、この共通テストはおかしいという声を上げる高校生もいるということは、それは、それこそ深い思考力や判断力や表現力の発露であろうというふうに思うんですよ。

 だから、そういう彼らの思いをしっかりと受けとめて、私たちもお互いに学び合っていくという中で、きょう御指摘を申し上げた数学の問題、私も全然知らなかったです、正答例が無数にあるんだと。それを、じゃ、採点者がきちんと判断できるのかということについては、本当に難しい問題がある。

 本番で、先ほど大臣が採点マニュアルを随時正答が見つかるたびに更新していくのだというふうにおっしゃられたけれども、正答なのに正答とみなされずにバツにされていく答案が恐らくいっぱい出るんです、本件は。そうすると、採点マニュアルは更新されずに、それと類似の正答を書いている受験生もバツにされるんですよ。すると、五点差がつくわけですよ。

 これ、みんな、責任持てますか。別にいいんじゃない、それは運命だからと言えますかね。私は、人生は理不尽なことの連続だけれども、事入試は、せめて、今でも地域格差、経済格差があるけれども、しかし、その場においては公平公正が貫徹をされていなければならないというふうに思いますよ。それが子供たちの未来を開くということだと思いますよ。

 だから、文部科学省は、子供たちの未来に責任を持つ役所として、自分たちが一回決めたことを変えるというのは、大変それは重い重い決断だと思うんですけれども、それはしかし、文部科学省の方、文部科学大臣にしかこの決断はできないことですから、どうか賢明なる決断を私は早急にしていただきたいというふうに思います。

 大臣は、不安を払拭する、頑張るとおっしゃるわけですが、直前まで頑張られてだめだというわけにいかないんですよね。だから、期限を区切ってほしいんです。十二月いっぱいにいろいろやって、だめだったらもうその時点で判断するからと。せめてそういう、政治家としての、大人としての責任をお示しをいただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 御指摘いただいているさまざまな課題について、センターを通じて、請負業者の皆さんとも一つ一つ解決の努力をしています。

 明るい兆しが見えるテーマもあれば、なかなか、もう少し近くならないと具体的な答えが返ってこないものもありますけれども、しかし、限られた時間の中で受験生の皆さんは準備をしなきゃならないわけですから、できるだけ早い時期に問題の解決を全てクリアして、そして皆さんに納得いただける制度にしていきたい、そのための努力をしていきたいと思います。

川内委員 最後、義本さん、きょう、私は大変残念です。数をきちんとお答えいただけたら、もっと委員の先生方にも大臣にも深い理解をいただける質疑ができたのではないかというふうに思います。

 きょうお約束をいただいたことに関しては、ぜひ後日、あしたにでも回答いただきたいというふうに思いますし、私どもは中止法案を出しておりますので、政府が中止する、文科大臣が、萩生田さんが、やはりこれは胸を張ってお勧めできる制度じゃなかったです、やはり記述式も中止しますとおっしゃっていただけるまでしつこく何回でもやりますから。

 最後にそれを申し上げて、終わります。

橘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十九分散会


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