衆議院

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第2号 令和2年3月6日(金曜日)

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令和二年三月六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橘 慶一郎君

   理事 池田 佳隆君 理事 白須賀貴樹君

   理事 田畑 裕明君 理事 馳   浩君

   理事 村井 英樹君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      池田 道孝君    石川 昭政君

      上杉謙太郎君    小此木八郎君

      大串 正樹君    上川 陽子君

      神谷  昇君    神山 佐市君

      佐藤 明男君    櫻田 義孝君

      繁本  護君    柴山 昌彦君

      高木  啓君    谷川 弥一君

      出畑  実君    中村 裕之君

      永岡 桂子君    根本 幸典君

      百武 公親君    福井  照君

      船田  元君    古川  康君

      古田 圭一君    本田 太郎君

      宮路 拓馬君    吉良 州司君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      牧  義夫君    村上 史好君

      山本和嘉子君    吉川  元君

      笠  浩史君    高木 陽介君

      鰐淵 洋子君    畑野 君枝君

      森  夏枝君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       橋本 聖子君

   文部科学副大臣

   兼内閣府副大臣      亀岡 偉民君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   文部科学大臣政務官   佐々木さやか君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    青山 周平君

   経済産業大臣政務官    中野 洋昌君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         串田 俊巳君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       菱山  豊君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 大山 真未君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    瀧本  寛君

   政府参考人

   (文化庁次長)      今里  讓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           松本 貴久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       村山  誠君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月六日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     繁本  護君

  神山 佐市君     池田 道孝君

  柴山 昌彦君     永岡 桂子君

  船田  元君     佐藤 明男君

  宮路 拓馬君     神谷  昇君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     百武 公親君

  神谷  昇君     本田 太郎君

  佐藤 明男君     船田  元君

  繁本  護君     上杉謙太郎君

  永岡 桂子君     柴山 昌彦君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     神山 佐市君

  本田 太郎君     古川  康君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

三月六日

 独立行政法人大学入試センター法の一部を改正する法律案(川内博史君外五名提出、第二百回国会衆法第五号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人大学入試センター法の一部を改正する法律案(川内博史君外五名提出、第二百回国会衆法第五号)の撤回許可に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官河村直樹君、出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君、文部科学省大臣官房総括審議官串田俊巳君、総合教育政策局長浅田和伸君、初等中等教育局長丸山洋司君、高等教育局長伯井美徳君、科学技術・学術政策局長菱山豊君、国際統括官大山真未君、スポーツ庁次長瀧本寛君、文化庁次長今里讓君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官山田雅彦君、大臣官房審議官松本貴久君、大臣官房審議官岸本武史君、大臣官房審議官本多則惠君、労働基準局安全衛生部長村山誠君及び経済産業省大臣官房審議官島田勘資君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムを代表いたしまして、大臣所信に対する質疑を行わせていただきたいと思います。

 きょうは、萩生田文部科学大臣、そして橋本オリパラ担当大臣、稲津厚生労働副大臣にお越しをいただきました。ありがとうございます。政治家同士の議論ということで、させていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、本日は大臣所信に対する質疑の一回目ということでございますけれども、文部科学省における取組の、全ての取組のその基盤となるのは安全であるというふうに思っております。その観点から、本日は、新型コロナウイルス感染症対策に絞ってということで、六十分頂戴いたしましたので、質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 感染された皆様には心からお見舞いを申し上げたいというふうに思いますし、また、感染防止に向けましては、現場各所でのさまざま連日の努力をいただいておりますことにも感謝と敬意を申し上げたいというふうに思っています。

 情勢認識としては、残念ながら、フェーズが変わり、国内感染阻止が必要な局面に立っているという認識でおります。

 そこで、まず文部科学大臣に伺います。

 新型コロナウイルス感染症対策に関する、文部科学省を含めた政府の対応方針についてであります。

 この国内感染拡大阻止には、要請という現場丸投げではなく、的確な対策の指示や要請とともに、支援、補償がセットであるべきだと考えています。

 またあわせて、科学より政治ではなく、科学に基づく政治であるべきだというふうに考えています。科学的知見に基づかずに政治判断ということで繰り返しますと、実際にこれまで積み重ねてきたそうした科学的知見は生かされず、かえって国民に対する被害は広がっていくというふうに考えています。さまざまな国の要請はこの間出されておりますが、この要請に基づく各対応についてはなおさらだというふうに考えます。

 大臣、まずこの点についてお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 おはようございます。

 新型コロナウイルス感染症への対応については、新型コロナウイルス感染症対策本部において決定されており、政府一丸となって進めているものです。

 例えば、全国一斉の臨時休業の要請や、大規模なスポーツ、文化イベントの自粛要請に関しては、これから一、二週間が急速な拡大に進むか終息できるかの瀬戸際となるとの専門家の見解を示されたことを踏まえて判断したものです。

 今般の要請に当たっては、小さなお子さんをお持ちの御家庭の皆様や教育現場の皆様、イベントの主催者の皆様に大変御負担をおかけしていると認識しています。

 そのため、委員御指摘の支援、補償について、総理からも発言があった、今年度の予備費を活用するなどし、臨時休業等に伴って生じる課題に対しては政府として責任を持って対応してまいります。

 引き続き、政府全体の方針のもとで、学校の臨時休業等に伴うさまざまな課題に万全の対応をとるべく、新型コロナウイルス対策に遺漏なきよう取り組んでまいりたいというふうに思います。

城井委員 大臣、科学的知見に基づいての取組という点についてはいかがでしょうか。

萩生田国務大臣 先生の問題意識で、科学的な知見に基づいてさまざまな判断をするべきだというその御提言は全くそのとおりだと思います。他方、今回の新型コロナウイルスは、ある意味未知のウイルスで、まだ抗ウイルス剤などの開発も進んでいない状況です。

 先ほど申し上げましたように、確かに一斉休校やイベントの中止など、総理の政治判断というものに重く基軸を置いておりますけれども、しかし、そこに至るまでの間は、総理自身も、専門家会議の検討の結果ですとか、あるいは他の特別な知見をお持ちの皆さんのさまざまな声を聞いた上で、一定の科学的な根拠というものはその人たちの知見に依存して決定に至ったというふうに承知をしておりますので、もう少し明確な根拠となる科学的な知見が必要じゃないかという御指摘は私もよくわかるんですけれども、現段階では、このウイルスの性格を考えると、やや不正確な部分もあるかもしれませんけれども、そこは丁寧に対応していきたいと思っています。

城井委員 この一、二週間、もう既に一週間に間もなくなるというところでありますが、瀬戸際にあるという認識は共有したいと思っています。

 支援や補償、そして科学的知見についての理解はかなり近いものがあるというふうに思いますが、大臣御指摘のように、未知の部分は確かにある、そこの部分を確かめながら前へ進まざるを得ない、走りながら考える部分もあるんだろうというところは理解をしたいというふうに思いますけれども、ただ、やはりこれまでの政府の各種取組を見たときに、先ほど申した支援や補償、科学的知見という部分で、生かせる部分について心もとない部分がかなりあるというふうに思っておりまして、その点をこの後ただしてまいりたいと思います。

 続いて、全国一斉臨時休校を行う必要性があった根拠についてお伺いしたいと思います。

 この根拠について、大臣、具体的にお示しをいただきたいと思います。というのは、国立感染症の研究所の所長らの専門家会議の会見でも、若者が感染していないと説明できない状況と言いつつも、年代別の推計値さえ示されていません。十歳未満についてはこの東京都におきましても確認がされましたけれども、感染拡大させている証拠はないとも言及をいたしているところであります。

 PCR検査が行き届いていないので、何百人も捕捉されていない感染者がいるだろうという推計は理解をするとしても、それが若者という根拠は乏しいと考えています。

 中国では、患者の大多数は中高年、七十代の死亡率は一割未満で、多くは元気という状況であります。

 全国で一斉の臨時休校が必要だとする客観的な根拠やデータを、大臣、示していただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先週要請を行った時点での国内における感染拡大の状況についての専門家の知見によれば、これから一、二週間が急速な拡大に進むか終息できるかの瀬戸際となるとの見解が示されておりました。

 学校は、児童生徒が集団生活を営む場であるため、感染症が発生した場合には感染が拡大しやすい場所です。先々週の時点において、北海道や千葉を始め学校関係者の感染が相次いで報告されていたことから、児童生徒に対する感染のリスクが高まっているとの認識のもと、今般の一斉休業の要請を行ったものです。

城井委員 では、大臣、今回の総理要請に基づく全国での一斉臨時休校というのは、これ以上感染を広げないためという認識でよろしいでしょうか。

萩生田国務大臣 決断をした当時は、この一、二週間が言うならば正念場という専門家の皆さんの見解に沿って、前回の新型インフルエンザのときには図らずも学校が感染の媒体になってしまいました、集団発生、クラスター化をして、結果として数百万人という数字まで広がってしまった、そういう経験も踏まえて、私、記者会見やいろいろな機会にも申し上げていますけれども、率直に申し上げて、当初、文科省として、一斉休業の必要性までは正直認識がありませんでした。しかしながら、今患者さんがいない自治体であっても、あす患者さんが出ないという科学的な証明も、逆に我々もできないという中で、大事をとって、この際、一定期間休みにしようという決断をしたに至ったところでございます。感染予防の観点から、そういう判断に至りました。

城井委員 一斉休校に至った経緯については後ほどお伺いしたいと思いますが、大臣、二月二十九日の総理の会見で、総理は、子供の命と健康を守るためというふうに説明されておりました。つまり、子供に着目した発言はありましたけれども、感染拡大阻止、つまりこれ以上広げないという点についての言及はそのときになかったというふうに思っています。

 そういう意味では、総理の認識と文科大臣の認識をぜひ合わせていただかなければ、実際にはずれてくる部分があるというふうに思いますので、この点は御指摘を申し上げたいと思います。

 更にもう一点申し上げますと、今回の総理要請に当たっての、これまで国会審議での総理からの説明を聞きますと、専門家の話を聞かずに、むしろ、約百年前に世界的に流行したスペイン風邪での米国の対応を参考にした、このように述べておられます。

 そもそも、休校要請前に、ここに至る百年間の感染症専門家による研究成果等も踏まえた対応をするべきだというふうに考えるわけですが、大臣、この点、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 委員御指摘の総理の委員会での答弁は、かつてスペイン風邪が流行したときに、アメリカにおいて、大きなイベントを中止し、そして休校を行った州とそうでない州においては、死者の数、ピークの高さは大きな違いが出たということを指摘する専門家もおられるという、専門家の見解を紹介したものであって、総理がこの百年前のスペイン風邪を根拠に決定をしたということではないと承知をしております。

 要請を行った時点での国内における感染拡大の状況についての専門家の知見によれば、繰り返しになりますが、この一、二週間が急速な拡大に進むか終息できるかの瀬戸際となるとの見解が示されています。子供たちの感染事例も各地で発生し、判断に時間をかけるいとまがない中で、何よりも子供たちの健康、安全が第一であること、学校において子供たちへの集団感染という事態は何としても防がなければならないとの判断のもと、学校の一斉臨時休業の要請を政府として決定したものです。

城井委員 専門家の意見だったということだったんですが、では、大臣、伺いますが、専門家会議が政府でも設置されておりますが、そこからの提案だったんでしょうか。そもそも、全国一斉休校を安倍総理に提案したのは誰かという点について確認をしたいと思います。文部科学大臣でしょうか、専門家会議からの提案でしょうか。この点、明確にお答えいただけますか。

萩生田国務大臣 学校の一斉臨時休業については、総理のもとで関係省庁が議論をし、その後開催された新型コロナウイルス感染症対策本部において決定したものです。

 既に総理も答弁しておりますように、専門家会議の答申ではありませんし、私、文部科学大臣としての意見で決定したことでもございません。

城井委員 専門家会議の提案でもなく、文部科学大臣の意見でもないとした場合に、では、全国一斉臨時休校という教育現場に激震が走る劇薬まで使って防がねばならぬという状況にするときに、教育現場などにどのように影響があるかなどということも含めて、文部科学大臣から当然、総理に、そのメリットだけではなくて、デメリット、まずい部分もきちんと進言をされているものというふうに思いますが、その点を確認したいと思います。また、御意見が、もし進言をされたならば、その理由も含めてお答えください。

萩生田国務大臣 学校の一斉休業につきましては、二月二十七日の日に総理と断続的に相談をさせていただきました。

 既に文部科学省としては、二十五日までの間、累次の指針といいますか、文科省の基本姿勢、また地方自治体へのお願い事項などを発出しておりまして、私は、二十七日に至るまでの間は、もし学校関係者で感染者が確認できた場合の学校の対応、自治体の対応ということで、それでも少し広目にとるべきじゃないかということで、感染者が確認できなくてもあらかじめ休校という選択をしても構わないという、そういうところまでは踏み込んでいたんですが、全国一斉となりますと、ある程度やはり自治体によって、当時はまだ感染者がいない自治体も数多くありましたので、意識の違いがあるというふうに思いました。

 まして、三月のこの時期というのは、小学生にとっても、中学生にとっても、高校生にとっても、かけがえのない大切な時期であります。卒業式ですとか、進学を控えて仲間との別れなどがある機会でありますので、卒業式などもできる限り実施をしたいということで、そういったこともずっと文科省としては発出をしてきました。

 したがって、この時期に全国一斉で休業すれば、もちろん、まず第一点目は、学期末、年度末に向かって、さまざま、先生方、授業の組立てをしている中で、もう既に指導要領をクリアしている教科もあるとすれば、あるいは、もしかしたらぎりぎりまで授業の組立てをしていて、まだ履修が終わっていない、全ての科目をクリアしていないという教科もあるであろう。そういうことになりますと、休むことによって子供たちの授業のおくれが生じないか。

 あるいは、学校を閉めるということになりましても、それは、一定の年齢になれば自宅で一人で学習をしたり留守番をすることは可能ですけれども、低学年の子などは、現に日々の暮らしの中でも放課後の学童クラブなどを活用しているお子さんが大勢いらっしゃいますので、本当に御両親が仕事が休めるんだろうか。その場合に、学童クラブの開設がなくなるとすると、これはもう本当に社会的なパニックにもなるんじゃないか。

 あるいは、学童クラブが学内にある場合と外の民間施設を使っている場合では、いざとなったときのスペースのとり方にいろいろ課題があるんじゃないか。そうすると、学校のあいたスペースを使うことがいいんじゃないか。

 もっと言えば、休めない御家庭の方もいらっしゃる。あるいは、仮に給与の補償をするということを決めたとしても、日給月給ですとかアルバイトとかで生計を立てている、そういった御家庭も中にはある。こういう人たちが、皆さんがきちんと補償ができるような形というものを求めていかないと、これは大きな混乱が起こるんじゃないか。

 後ほども多分指摘があるかもしれませんけれども、学校は、それだけじゃなくて、例えば、正規の職員じゃなくて臨時で雇用されている教員の皆さんの対応ですとか、それから給食も、直営方式と民間委託と、いろいろスタイルはありますけれども、いずれにしても、学校をやらないということになれば、余った食材をどうするかとか、そこで働いている人たちの補償をどうするかなど、細かいことについてさまざま意見具申をさせていただきました。

 少なくとも文部科学省内で自己完結できることについては私の責任で持ち帰ってきちんと整理をするけれども、他省庁にわたる課題については政府全体で共有していただけないと、私はこの休校に対して一定の責任と判断ができないということも途中では申し上げましたけれども、既に発出されているように、総理が、この一斉休校によってかかるさまざまな事象については政府としてきちんと対応する、責任を持って対応する、こういう決断をされましたので、結果として了解をしたというところでございます。

城井委員 そこまで課題認識があるならば、大臣、一つだけ確認をしたいと思います。

 総理要請は金曜日の夜でした。つまり、教職員が学校から……(発言する者あり)木曜日か、木曜日の夜。そして、休校要請が実際に学校現場に届いたのが金曜日の教員の退勤後ということだと認識をしています。つまり、実際に、総理要請に基づく文科省からの、大臣からの要請が学校現場に届いたときには、もう学校現場は日ごろの出勤体制になっていない時間帯だった。つまり、土日を挟んで、月曜日からもう休校をスタートしてほしい、こういう話だったというふうに思います。

 となると、じゃ、その間にどれだけの準備ができたのか。今ほどたくさん挙げていただいた課題が、もう既に、直面することが文科大臣からの進言でわかっていたのに突っ込んだというのは、ここは責任ある態度だったかという点について確認をしたいと思います。

萩生田国務大臣 まさにそこに逡巡がございました。

 私なりに、文科省で解決できる課題についてあらかじめ地方自治体の皆さんとお話合いをしたり、あるいは、方針を示した後でその対応策を講じてから学校を閉めた方が混乱は少ないということも途中では意見具申をしたことがございます。

 しかし、繰り返しになりますけれども、先ほどから、この一、二週間がまさに分岐点だという中で、この準備をしていれば、それはもちろん短期間にやらなきゃならないんですけれども、それでも、どう考えても一日や二日で解決できる問題ではないということを判断しました。

 結果として、子供たちの学校を閉めることを優先しようということに至ったところでございまして、そういう意味では、現場に混乱があることを前提でこのような決断をしたことは、私自身、大変心もとない、大変申しわけない思いを今でも持っております。

 他方、今先生からお話がありましたように、三月二日から閉めるとなれば、総理の、言うならば要請発信というのが木曜日の夜でありました。御案内のとおり、これは、あくまで政府に学校を閉めるという権限はございません。当然のことながら、設置者の皆さんの判断を仰がなくちゃなりません。

 今、仕事が終わった後に文科省から連絡が来たというんですけれども、翌日の朝九時に、全国一斉で設置者に対しては通知をしております。もちろん、業務が始まっていますから、中身を詳細に理解するまでに夕方までかかったとか、あるいは残念ながらその日には目に触れることがなくて就業時間を終えてしまったという先生がいないとは限りませんけれども、そこは考えた上に、二十九日という一日を準備期間として各自治体に連絡をする、そして土日で、大変申しわけないけれども、さまざまな準備を各自治体がしていただくことを前提の三月二日ということは逆算をしたつもりでございますので、それで十分かと言われれば、決して十分だとは思っていません。しかし、繰り返しになりますけれども、子供たちの安全をしっかり確保するということを優先させていただきました。

 あの木曜日の総理の会議での発言の後、当然のことながら、各自治体の長などから批判や御叱正の声が一斉に上がりました。私も全くその人たちの感覚はわからなくはありません。なぜかといえば、県内で誰一人感染者がいないのにうちの県まで学校を閉めろと言うのかという、そういう疑問を持った自治体の長さんがいらっしゃったことは、私は当然だと思います。

 しかし、決してそんなことを望んだわけじゃないんですけれども、二十七日に総理があの会議でそれを発言し、そして中には、多くの自治体の皆さんが、ある意味では政府方針を批判した人がいましたけれども、わずかそこからまだ一週間たっていませんけれども、九県感染者がふえて、そしてテレビの前で政府批判をしていた自治体などは翌日に感染者が出て、学校を、結果として閉めなきゃならないという事態にもなったことを考えると、私は当時そこまでの思いが至りませんでしたけれども、総理の方が子供たちや学校という施設についての危機感というものに、私にまさる危機感を持っていた、こういうことでは少し反省しなきゃいけないな、こんな思いもございます。

城井委員 瀬戸際という認識は共有しておる、その前提でありますが、ただ、政府が責任を持って対応するという言葉は、大臣、大変重たい。これを実行できなければ、先ほどからの話は水泡に帰してしまうということを御指摘申し上げたいと思います。

 少し具体的なところをお聞きしたいと思います。

 休校要請の期間についてであります。

 私の意見ですが、一定の期間としつつ、地域ごとの感染者の確認の有無によってめり張りがつけられるようにした方がいいのではないかというふうに私は考えております。この考えは、先ほどお伺いしておりますと、大臣がもともと総理に進言された内容に近いのではないかというふうに考えています。感染者が出ていないのに休校するのは無意味だということを、感染症の専門家からも、御意見を私にもいただいたところであります。

 本来こうすべきだったんじゃないかという地域ごとの対応について、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 二十七日以前は全く私も同じ考えでございました。ですから、地域事情、さまざま異なりますので、その中で、保健関係の専門家等々と相談の上で自治体の方針は定めてほしいということを申し上げてまいりました。

 今般の学校の一斉休業につきましては、専門家の知見によれば、一、二週間が急速な拡大に進むか否かの瀬戸際という見解が既に示されておりまして、子供たちの感染事例も各地で発生し、判断に時間をかけるいとまがない中で、何よりも子供たちの健康、安全が第一である、学校において子供たちへの集団感染という事態は何としても防がなければならないとの判断のもとで、政府全体で決定したものです。

 当面は感染拡大防止に全力を尽くすことが最も重要ですが、臨時休業後の対応について、今後の各地域における感染の状況や専門的な知見を踏まえつつ、今御指摘のように、めり張りをつけて対応することも検討してまいりたいと思っています。

城井委員 なかなか休むに休めない仕事も多いということ、先ほども大臣から御指摘ありましたが、実際、生活インフラ、例えば病院あるいはライフライン、こうした仕事に就業する労働者の子供など、休校になることで保護者の就業に影響するような、社会的影響が大きい場合は、学校への登校を認める、登校しない子供は欠席扱いしないということを国の方針として明確化する方法もあったのではないかというふうに思いますし、これからもすべきだというふうに考えます。

 実際に、各地域で今、自主登校学校など、呼び名はさまざまですけれども、一斉臨時休校の要請の後に各地域や学校での工夫も出てきているところであります。

 こうした部分を支援するところをぜひ国としてもやろうということを大臣からおっしゃっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 当初、要請をした時点では、どういうことが起こるか、本当に不安でありました。現時点でまだ、課題がないわけじゃありません。各自治体、さまざまな課題を抱えながら御苦労されていることは十分承知をしているつもりでございます。

 他方、自治体の皆さんは、やはりそれぞれの自治体のお子さんを守るという、その大切な政府の意思というのは共有していただいて、本当に迅速に今頑張っていただいております。

 学校の設置者はあくまで自治体でありますので、その自治体の皆さんが、感染予防に配慮をしながら、そして病気への恐れをきちんとお互いに持ちながら、自治体独自の取組をしていただくことは、私は否定をするものではありません。

 そういう中では、臨時休業に当たって保護者の皆様にできる限り休暇を取得いただくなどの御協力のお願いをすることを前提にしておりますが、保護者がどうしても休めない場合については、放課後児童クラブや放課後等デイサービスの業務に学校の教職員が応援にかかわること、学校みずからが、環境衛生に配慮しつつ、学校の教室などを利用して行う自習活動ですとか、それから地域住民の参画を得て行う放課後子供教室の活用など、各自治体等に周知をしているところであります。

 子供たちの居場所の確保に向けて、引き続き、各自治体等の声に耳を傾けながら、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。

城井委員 先ほど大臣から、一斉臨時休校に批判的だった自治体から感染者が出たという趣旨の御発言がありました。地域においても、なかなかに先を読みづらい状況だというふうには思っています。

 大臣は、三月三日の参議院予算委員会で、自治体の長が休校しなくても大丈夫な環境整備や合理的な判断ができるのであれば尊重したいと述べられまして、自治体の判断による休校見送りを容認したということでした。

 この自治体による判断には、いかなる科学的根拠を伴うとの認識でしょうか。国による科学的根拠に基づいた指針を示さず、自治体にその判断や根拠を丸投げしているというふうにもとられかねないというふうに危惧をしております。この点、いかがでしょうか、大臣。

萩生田国務大臣 一部のワイドショーなどでは、国が韓国のようになぜきちんと命令でやらないんだ、要請という曖昧な表現で自治体にその判断を任せるのはおかしいじゃないかという御批判をされるコメンテーターの方がいらっしゃるんですけれども、先生御案内のとおり、地方教育行政はこういうたてつけになっておりまして、国が国の判断で学校を閉鎖するなどという、そういうツールは全く持っていません。あくまで自治体の皆さんの判断を尊重して、国ができるのはあくまで要請までであります。地方教育行政法にもし根拠法を求めても、それはあくまで指導助言までですから、結果はある程度同じだと思います。

 決して、私は国としての責任を逃げようと思っているんじゃなくて、ここは地方自治体と課題を共有しながら、しっかり出口まで努力をしていきたいと思っているところでございます。

 そういう中で、例えば、科学的根拠があって許可をしたのかと言われれば、正直申し上げて、科学的根拠があって許可を、許可といいますか、閉校しないということに同意をしたわけではありません。申しわけないんですけれども、その科学的知見を持ち合わせていません。

 今、休校をやらないという判断をした自治体は、例えば島嶼の学校が多いです。例えば、沖縄県の自治体などはほとんどが島の自治体でありまして、島への入島の段階での衛生関係のチェックができる、あるいは、そこに人の移動がないものですから、学校にいた方が安全だ。誤解を恐れず申し上げれば、もっと申し上げれば、小規模校なので、学校の方が人数が少ない、一定のスペースがあって、家に帰った方が密集している、こういうこともあったのだそうです。

 そういった判断をそれぞれの自治体の長さんが責任を持って、感染予防へのちゃんとした配慮をしながら、知恵を出しながら、自分たちの責任で子供を守るという決断をしたところには私は賛同したところでございまして、大変恐縮ですけれども、科学的根拠は持ち合わせておりませんでした。

城井委員 休校について、もう一点伺いたいと思います。休校の要請解除、つまり学校再開についてであります。

 いつ、何を理由に休校を解除するのか、出口を決められるのか、どうやって決めるか。今回の総理要請には以上の点が抜けた形で走ってしまっています。法律で基準の決め方を示すということもあるかと思いますが、この出口、大臣、どうやって決めましょうか。

 四月以降も感染拡大がとまらずにとなった場合に、延ばす可能性も当然視野に入れなければならない残念なタイミングだと思っています。春休みまでなど、一、二週間が瀬戸際と言いながら、その二週間のお尻はどこですかというと、総理やそのほかの各省の大臣の言いぶりが微妙にずれております。

 この休校の要請解除、いかにしますか、大臣。

萩生田国務大臣 今般の学校の一斉臨時休業の要請は、今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であることを踏まえ、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクをあらかじめ抑える観点から行ったものです。

 当面は、円滑な臨時休業の実施を通じて感染拡大防止に全力を尽くすことが最も重要ですが、臨時休業後の対応については、今後の各地域における感染の状況や専門的な知見を踏まえつつ検討してまいりたいと考えています。

 なお、地域や学校における感染症の発生などの、まさに様態がさまざまであることから、法律で臨時休業解除の基準等を一律に決めることは困難であるというふうに考えておりますが、まず要請しておりますのは、春休みまでという期間であります。この春休みまでとはいつまでなんだ、こういう御質問があって、やや曖昧な表現であるのですけれども、これは、高校生の春休みの開始時間と中学生の春休みの開始時間と小学生の開始時間と、また、東日本と西日本などでは時期が違うものですから、一概に何日ということを言えなかったということが背景にあることはぜひ御理解いただきたいと思います。

 しかし、イベントなどは二週間という期限を切っていますので、私、これはまだ関係省庁と協議したわけじゃありませんけれども、おおむねその真ん中の、中学生の春休みが始まる前ぐらいまでには、状況を改めてしっかり見きわめていかなきゃいけないと思っています。

 そして、このときにはどこまで知見が集まっているかわかりませんけれども、先生が先ほどからおっしゃっているように、科学的な知見が必要だと思っています。専門家の皆さんにきちんと意見も聞きながら、しかし、一方でまた、地域の事情も違うと思います。相変わらず一人も感染者がいなくてそういう状況を保っている自治体もあれば、図らずもふえてしまっているところもある、あるいは、最初はふえていたけれども明らかに抑え込みができて減っている自治体もある。

 こういう環境の中で、開始の時期というものも一緒に考えていきたいなと思っておるところでございます。

城井委員 では、大臣、休校要請解除の部分的な解除もあり得ると考えてよろしいですか。

萩生田国務大臣 それは、自治体の皆さん、地域の皆さんが、感染に対してきちんとした感染拡大防止策を講じながら、ある程度、合理的な、きちんと説明ができる、また、責任を持って対応できるという判断を自治体の長の皆さんがされたとすれば、私はそれは尊重したいと思います。

城井委員 そうすると、国としては、全国一斉臨時休校要請でしたが、全国一斉学校再開という指示しか出さないという認識でよろしいですか。

萩生田国務大臣 全国一斉学校再開を宣言するかどうかも含めて、もうしばらくお時間をいただきたいと思います。

城井委員 続きまして、開所が継続している学童保育、放課後児童クラブ、幼稚園等における国による感染症対策支援についてお伺いしたいと思います。

 これまでに累次にわたって関係省庁から通知が出されております。「新型コロナウイルス感染症防止のための小学校等の臨時休業に関連した放課後児童クラブ等の活用による子どもの居場所の確保について(依頼)」という通知が令和二年の三月二日に出されております。

 お手元に資料をお配りしております。ごらんください。座席配置のイメージであります。

 これは、学童保育等子供の居場所において、この中身では、学校などの教室を使用する場合という前提だという文科省からの説明でありましたが、この配置を見ますと、一メートル以上あけて座るというふうなことになっておりますが、このイメージ自体も含めて、かなり、余りにも非現実的だというふうに考えています。そもそも、この根拠は何なんだろうか。

 そして、例えば学童保育に視察に行かれた議員の皆さんはよくおわかりだというふうに思いますが、学童保育中にお互い一メートル以上の距離を常に保つような運営が行えないような場所でやっている、そうした学童保育などがほとんどであります。例えば、三十人以上いるような学童保育において一メートル以上間隔をあけて活動させた場合、運営にかかわる数名の職員で管理するのはまず無理であります。加えて、感染防止について自前で行うには物資不足で、これも無理であります。そもそも人手が足りません。

 日ごろから閉鎖空間で濃厚接触での運営を行わざるを得ない学童保育や放課後児童クラブといった子供の居場所における感染防止の措置については、当然、今回要請をしたもとである国の責任で万全の支援を行うべきだと考えます。

 この点については、厚労副大臣と文科大臣のそれぞれにお伺いしたいと思います。お願いします。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 まず、事実関係として、ただいま御指摘のありました学童保育、放課後児童クラブ、これは、基本は放課後児童クラブを念頭に置いたものではないというふうに認識をしておりますが、その上で申し上げますけれども、子供の飛沫感染を防ぐ観点から、せきエチケット、これをしっかり徹底していくということで、基本は一メートル以上離れて交互に着席するですとか、できる限り児童生徒同士の距離を離すこと、それが大変重要なことでございまして、不要な接触を避けるよう指導することを示したものである、このように認識しております。

 ただ、一方で、今お話しのとおり、それぞれの放課後児童クラブ等におきましても、なかなか共用のスペースというのが十分でないですとか、さまざまな現場における課題、そうしたものは実際あると思います。

 そういう中で、特に感染症対策として、これまでも、まずはしっかり手洗いなどの感染拡大防止の措置をしっかり講じていくということ、それから、子供や職員が仮に罹患した場合、あるいは地域に感染が広がっている場合には臨時休業等を検討するということについても周知をさせていただいたところでございます。

 それから、先ほど文科大臣からもお示しをいただきましたけれども、密集性を回避するという観点から、例えば学校の空き教室を使用していただくとか、そうしたことについても通知を大臣の方から出していただいている、このように認識しております。

 いずれにしましても、こうしたことを踏まえて、必要に応じて、最新の情報ですとか、あるいは追加的な留意事項もしっかりお示しをさせていただいて、今般の臨時休業の特殊性に鑑みまして、追加の支援等については厚労省としてもしっかり図っていきたい、このように考えております。

萩生田国務大臣 今先生がお示しされた座席配置のイメージは、できるだけ現場にわかりやすく説明をしたいということであえて添付をしたんですけれども、そのことがかえってわかりづらくなってしまっていることは、やや反省しなきゃならないと思っています。

 なぜかといいますと、今副大臣からお話がありましたように、この図は、先生が御指摘をされたように、例えば放課後学童クラブ、経営体が幾つかあります。あらかじめ学校の空き教室を使っているところや学校の敷地内に建物を建てている学童クラブにつきましては割と学校との連携が日ごろからできていますから、多分こんなことを言わなくても、あいている教室を、十分間隔をあけて使ってくれというのは校長先生たちも御理解いただけるところだと思うんですが、そうではなくて、外の、民間の、例えばもともとの空き家をスタートに始まった学童クラブの皆さんが、急遽、臨時の利用者がふえて、そして密集している、これでは子供たちの環境衛生が守れないということで、学校を貸してくれといったときに、ややもすると、一教室だけ貸しますみたいなことになると、四十人のクラスで使っていた学校に四十人の子供たちが帰ってきたのでは、これは何のために学校閉鎖をしたことになるのかということで、できるだけ幅広に、柔軟に学校開放してくださいねという一つの例として示したところでございます。

 科学的根拠があるのかというと、科学的根拠ではないんですが、既に文科省が出しております「学校において予防すべき感染症の解説」の中に、先ほど副大臣からもお話がありましたように、飛沫の落下の距離がおおむね一メートルぐらい、あるいは一メートル以上離れていれば感染の可能性が低くなるということをあらかじめ示しておりますので、それに基づいてつくった図でございます。あくまで目的は子供たちの安全のためでございますので、この点、更にわかりやすく御理解いただけるように発信を続けていきたいと思っています。

城井委員 場所が限られていて、狭い中でたくさんの人数が密集してということにならざるを得ない子供の居場所は、今もたくさん、残念ながらあるという認識であります。それが学童保育であれ、放課後児童クラブであれ、保育園であれ、幼稚園であれ、認定こども園であれ、障害児の放課後デイサービスであれ、そうした施設の種類にかかわらず、子供の居場所という意味では、その子供たちが、例えばマスク、消毒液、あるいは職員さんのゴム手袋、短時間で検温が可能な体温計、こうした実際に感染防止、安全確保をしようと思ったときに必要な物資というのが確保が大変困難な状況が続いています。

 学校臨時休校に伴って負担がふえている子供の居場所に関して、国の責任で現物支給をする体制を整えるべきだと考えますが、まずは副大臣、お願いしたいと思います。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 マスクなどの不足については、その解消に向けて、議員の問題意識と全く同じ、困難な状況の中で、大変重要な、早期に解決すべき課題であるということは認識しております。

 マスクについては、もう御存じかと思いますけれども、その供給の多くを占める中国が、今、輸入が停滞するという状況で、そして結果として需給が逼迫している、こういう状況でございまして、厚生労働省と経済産業省から要請を行いまして、国内主要企業で二十四時間体制の生産を今お願いして、それが進められているところでございます。

 それから、マスク以外の各種防護具あるいは消毒液についても、これも需要の増加を踏まえてメーカーに今増産要請を行っているところでございます。

 放課後児童クラブの現場においても、マスクが必要だという御意見は伺っております。マスクの需給の状況も踏まえながら、在庫の不足する放課後児童クラブ等に対して優先的に供給をするスキームを検討してまいりたいと考えております。

城井委員 優先するスキームを考えてまいりたいという御答弁だったと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 こうした学童保育や、加えて塾や習い事などということもあると思うんですが、合理的な感染防止対策を条件として認めるということを検討する時期ではないかというふうに考えています。あわせて、これを行う場合、当然、国が感染防止対策を支援するということが前提になるというふうにも考えますが、大臣、この点、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘のあった一斉臨時休業中の児童生徒の外出については、三月四日に教育委員会等に対して示しています。その中では、軽い風邪症状でも外出を控えること、規模の大小にかかわらず、風通しの悪い空間で人と人との至近距離での会話をする場所やイベントにできるだけ行かないよう留意事項を示しています。

 一方、必要な外出については、状況に応じて御判断いただくものと考えており、国として一律にその目安を示すことは考えておりませんが、外出をしてはいけないということを決めているわけじゃなくて、その辺は地域や御家庭などで考えていただいて、適度な外出は私は逆にあった方が子供たちのためにもいいと思いますので、その辺は考えていただけないかなと思っているところでございます。

城井委員 具体的な確認をしたいと思いますが、塾や習い事については自粛を求めたいという点はまだ変わっていないということでよろしいのかというのが一つ。もう一つ、野外、屋外で遊ぶことは推奨するということで文科省などから方針が出ているというふうに確認をしましたが、この点で間違いないか。この二つを教えてください。

萩生田国務大臣 学校は休業しているわけですから、塾や習い事はぜひ行ってくださいというわけにはいかないので、基本的には塾や習い事についても控えてほしいということを、御家庭にも要請していますし、また、業界の皆さんには経産省を通じてお願いをしているところでございます。

 もう一点、何でしたっけ。ごめんなさい。(城井委員「屋外で遊ぶこと」と呼ぶ)はい。

 先ほど申し上げたように、積極的に遊ぶ、要は、大勢集まって集団で遊ぶということになりますと感染リスクが出てくる可能性があると思うんですけれども、体を動かすという意味で外へ出ることは決して否定をしません。

城井委員 続きまして、一項目通告を飛ばしまして、臨時休校中の学校における非常勤講師の扱いについて確認をしたいと思います。

 突然の休校要請で、本当は三月末までだった講師の方も、二月末に首にされていった、される、されたという方も出ているという状況です。

 そこで、お伺いします。この非常勤講師の給与についての確認です。

 文部科学省通知のQアンドA、三月三日分を確認しました。問二十一で取扱いについて説明していますが、臨時休業により、会計年度任用職員として学校に勤務するいわゆる非常勤講師の解任、勤務日削減等による報酬不払いなどを生じさせているとすれば、その原因を生じさせたのは、そもそも総理の一斉休業要請があったからだというふうに考えます。あくまで使用者都合による事由に起因しているということであります。このようなことが生じている、あるいは今後生じたとしたら、使用者都合による解雇や不払い等を禁じる労働基準法や労働契約法に違反するものと考えます。

 そのことを踏まえて、契約の履行が大前提であるということでよいかということ、このことを大臣に確認したいと思います。その上で、出勤要請等がなされたとしても契約に基づく報酬支払いを政府が補償すべきだと考えますが、あわせて見解をお聞かせください。

萩生田国務大臣 非常勤講師の皆さんについては、授業がない場合であっても、授業の準備あるいは年度末の成績の処理や児童生徒の家庭学習の支援など、引き続き休業中においても業務を行うことが考えられます。

 文部科学省としては、各教育委員会において当該非常勤講師の任用形態や学校の運営状況等を踏まえながら処遇確保のための適切な対応がなされることが必要と考えており、このことについては、二月二十八日付で当省のホームページに掲載したQアンドAにおいても周知をさせていただいたところでございます。

 また、昨日、三月五日付で総務省より、これと同趣旨の、地方公務員の業務体制の確保に関する通知が発出され、文部科学省も同日付で教育委員会等に対し通知を発出したところであり、文部科学省として、引き続き趣旨の徹底を図ってまいりたいというふうに思います。

 休業手当の支給については各自治体において適切に判断されるものと承知はしておりますが、まずは、引き続き休業期間中も業務を行っていただくように各教育委員会に適切な対応をお願いしているところでございます。

 先生、冒頭例示をされた方がもしいらっしゃるとすれば、それはちょっと我々の思いとは違って残念なことでありまして、緊急事態です。たとえ非常勤講師あるいはこまだけを持っている時間講師の先生方であっても、学校周辺人材が一人でもいてくれた方が、こういうときは私はいいと思っておりますので、そのことは徹底して各自治体にもお願いをしているところでございます。

 例えば担任の先生が家庭訪問などでクラスの子たちを回れば、当然、今度は学校にいなくなるわけですから、非常勤の講師の先生方にその分の仕事をしてもらうとか、あるいは、給食の調理員ですとか栄養士の先生方には、人が足りないという学童保育、昼間から時間延長をやっているところのヘルプに入ってもらうなどを柔軟に今お願いをしているところでございますので、基本的には年度末までしっかりいていただくことを前提に、しっかりその立場を守っていきたいと思います。

城井委員 今の大臣の御意向をぜひ現場に徹底をいただきたいと思います。

 もう一点、お伺いします。

 臨時非常勤講師の特別休暇扱いについてであります。

 文科省通知QアンドA、三月三日の問十八では、臨時休業により教職員の出勤が困難な場合、在宅勤務や特別休暇の取得等により適切に対応と示されています。

 ただ、ある県、これは沖縄県ですが、非常勤講師の契約や教育委員会規則等に特別休暇規定がなく、また職務専念義務免除適用もされないということで、労働基準法に基づく年休取得で対応せざるを得ない事例が生じております。

 こうした事例でも、本来の年休以外に年休がとれるという特例ということで今回対応するはずですので、そうしたところを踏まえて、適切に対応という政府が言っている範囲にちゃんと含まれるということをこの場で確認をしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今回の学校の一斉臨時休業に伴い、子供たちが自宅で学習できるような環境整備が重要であり、そのためには、保護者の皆様においてもできる限り休暇を取得していただくことが重要であり、これは保護者が学校の教職員である場合でも同様です。

 この点について、非常勤職員を含む国家公務員について、人事院より、学校の臨時休業により自身の子の世話を行うため勤務しないことがやむを得ないと認められる場合について、出勤困難の場合の有給の休暇として取り扱って差し支えない旨通知が出されました。

 国家公務員における取扱いを踏まえ、今度は、地方公務員一般について同様に対応していただくように、総務省から三月一日付で通知を発出していたところですが、昨日、三月五日に、総務省から、各地方公共団体で規定する場合の条例及び規則の例も示しつつ、地方公務員について国家公務員と同様に取り扱うよう、改めて通知が発出されました。

 これらの通知を踏まえ、非常勤職員を含む公立学校の教職員についても同様の通知を文部科学省から、三月二日及び昨日、三月五日の二回にわたり、各都道府県の教育委員会等に対して発出をいたしております。

 各教育委員会においては、これらの通知を踏まえ、非常勤職員についても、子供の世話をするために休む場合には出勤困難の場合の有給の休暇として取り扱うよう、国家公務員における取扱いを踏まえ、適切に御対応いただきたいと考えております。

 地方公務員の休暇については各地方公共団体の条例等で定められるものですが、個別事案については、総務省とも連携しながら、必要に応じて助言等を行ってまいりたいというふうに思います。

城井委員 続きまして、未履修分の補習について大臣に確認したいと思います。

 総理要請をきっかけに、各学校の児童生徒の学びに未履修部分が生まれてしまいました。補習は結局やらなければならないのか、やらなくてもよいのか。卒業にしても進級にしても、文科省作成のQアンドAでは、考えられると判断を逃げております。大臣、この点をはっきりさせていただけますか。

萩生田国務大臣 まず、今回の一斉休業の要請によって学校が閉校になったことによって、授業時間が足りないということで、子供たち、児童生徒に進級ができないとか卒業ができないなどの影響は出ることのないようなことは、あらかじめ確認をさせていただきたいと思います。こういう事態ですから、どういうことがあっても、きちんとそれは配慮をしたいと思います。

 その上で、臨時休業期間中に児童生徒の学習に著しいおくれが生じることのないように、文科省としては、各教育委員会等に対して、学校及び児童生徒の実態等を踏まえ、可能な限り、家庭学習を適切に課す等の必要な措置を講じるよう依頼しているところです。

 補充のための授業を含め、具体的にどのような措置を講じるかについては、学校や児童生徒の学習の実態がさまざまであり、それに応じた対応が求められることから、国として一律の判断を行うよりも、各設置者及び学校において適切に判断されるべきものであると考えています。

 なお、文部科学省としては、臨時休業期間における児童生徒の学習の支援方策の一つとして、児童生徒及び保護者等が自宅等で活用できる教材や動画等を紹介するポータルサイトを開設し、周知しているところであり、児童生徒の学習に著しいおくれが生じることのないよう、不利益が生じることのないよう、引き続き学習に関する支援を進めてまいりたいと思います。

城井委員 大臣、不利益が生じそうなのがどこかという点を申し上げておきたいと思います。

 今回のこの休校措置によって、社会的に立場の弱い子供や家庭にダメージが行くというふうに私は考えています。例えばオンライン学習などは一つの手だてだというふうに思うわけですが、これでは解決しません。なぜか。家庭の経済格差の影響で教育の機会に差が出て、学力格差が広がるおそれがあるからであります。

 学習への取組をほったらかしにしないということを大臣に確認をしたいと思いますが、お願いできますでしょうか。

萩生田国務大臣 間違ってもほったらかしにするようなことがあってはならないと思います。あらゆる手段、方法を講じてきちんと、指導要領に定められた授業時間数の確保は、家庭学習も含めてでありますけれども、しっかり確認をしていきたいと思っています。

城井委員 よろしくお願いします。

 通告を三つ飛ばしまして、休校によって発生する給食のキャンセルなどの損失についてお伺いしたいと思います。

 私の地元、北九州市長からも直接対応を要望されました。北九州市だけでも億単位の損失であります。国の支援をという内容でした。

 総理要請による突然の事態であり、教育現場や給食業者に落ち度はありません。国の責任で補填すべきと考えます。例えば、売上げの十二分の一を上限に無利子の緊急融資を行うということも一つの手だてだというふうに思います。

 こうしたことを含めて、文科省の担当範囲に限らず、横の連携で、政府としてきちんと対応いただけるように、大臣、働きかけも含めて、取組をいただけませんか。御見解をお願いします。

萩生田国務大臣 今回の政府による臨時休業の要請によって、春休みまでの期間、例えば学校給食に食材を納入する予定であった事業者の方々などに対しても少なくない影響が生じていることは承知をしております。

 この要請に当たり、新型コロナ感染症対策本部において、こうした措置に伴って生じるさまざまな課題に対しては、政府として責任を持って対応することが表明されております。

 学校給食の食材納入業者の方も含め、今回の長期にわたる臨時休業により事業者等に生じる負担については、政府全体として対応をしっかり検討してまいりたいと思います。

 今先生からお話があった、実際として、大きなキャンセルや処分などによって実害が出ているものを補償するという一つの手段と、それから、例えば民間委託している事業者などは、このことで工場をとめなきゃならない、こういうこともありますので、資金繰りに大変困るということも想定されます。お話があったような特別融資の枠ですとか、こういったものを今幅広に政府の検討会議の方でも議論を始めたところでございますので、実態に合わせて応援をしてまいりたいと思っています。

城井委員 大臣からお触れいただきましたが、実際に給食委託業者からも悲鳴が上がっております。今回の件で、仕事自体、幼稚園、小学校、高校と休みになって、会社の売上げがないという声も届いております。民間の委託事業でしたので、一週間、掃除に従業員を出すことで、三月分の委託料は日割り計算だ、こうした状況も聞こえてきています。ぜひ実態を踏まえた対応をお願いしたいと思います。

 さて、もう一点、期限を延期すべき公的手続について大臣に確認したいと思います。

 東日本大震災の後には、さまざまな手続の期限が延長されました。文部科学省でも、延長された手続が、私が確認しただけで二十六項目ございました。

 今回も、災害に近い状況だという認識のもとで、国内感染拡大状況を鑑みて、ほかにも多く延期すべきものがあると考えますが、大臣の責任で総点検をいただいて、必要な期限延長の指示を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今般の新型コロナウイルス感染症への対応については、例えば、臨時休業を行う場合における配慮として、児童生徒の各学年の課程の修了の認定などに弾力的に対処することなどの留意事項を通知などで示させていただいております。

 東日本大震災の対応も参考にできる点はしっかりと参考にしながら、児童生徒や保護者、教員等の関係者の御意見も幅広く踏まえ、今後も柔軟に対応してまいりたいと思います。

 この問題が発生した当初から、東日本大震災からの復旧復興に関する取組についての中間的な検証結果の取りまとめ、第一次報告書も参考にさせていただきました。すごく緻密に、また幅広に書いてあるので、誰がまとめたのかなと思ったら、城井先生がまとめられたというのが書いてありましたので、逆に言うと城井先生らしいなという取りまとめで、お世辞じゃなくて、参考にさせていただくことがたくさんありますので、ここは非常事態ですから、ぜひこういったものも踏まえて、しっかり子供たちの不安解消に努力していきたいと思います。

城井委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、東京オリンピック・パラリンピックの開催判断について、オリパラ大臣に伺います。お待たせいたしました。

 そもそも、開催判断をするのはIOC、国際オリンピック委員会という認識でよろしいでしょうか。

橋本国務大臣 この東京大会の最終的な判断の権限というのは、全てIOCにあります。

城井委員 IOCの判断ということですが、いつ判断をするのか、そしてIOCの判断根拠はどこに求められるのか。

 私の意見としては、公衆衛生、感染症対策の観点からの専門家の知見を踏まえた冷静な判断が必要だと考えています。

 開催国としての我が国の感染拡大終息についても、もちろん判断根拠の一つとなるとは考えますが、この目安がどうなるか。特に気にしておりますのは、WHOのパンデミック宣言が出た場合、そして、日本政府の、これは新型インフルエンザ等特別措置法に基づくものになると思いますが、緊急事態宣言、こうしたものも中止や延期の理由となるというふうに考えますけれども、この点、いかがでしょうか。

橋本国務大臣 東京開催の判断の権限はIOCにあると理解をしております。今申し上げたとおりですけれども、三月三日のIOCの理事会声明では、東京オリンピックの成功に全力を尽くすことが表明されております。四日のIOC理事会においても、東京大会の中止や延期についての議論は一切出なかったと承知をしております。どのような状態になったら中止になるかといった水準についても、話合いは全くされておりませんでした。

 政府としては、大会開催についてIOCが適切な判断をできるように、適切な情報提供を行っていくことが重要であるというふうに思っております。

 その中で、IOCそしてWHOなどが、安心、安全な大会運営を行う観点から、関係者間で情報交換を行うための場として開催するタスクフォースに政府としても参加をさせていただきまして、政府の新型コロナウイルス対策の内容等について説明を行ってきております。

 IOC、組織委員会、そして主催者である東京都がWHOと緊密に連携をとりながら、安心、安全な大会開催に向けて準備を着実に進めていけるように、最終的な判断はIOCでありますので、政府といたしましては、しっかりと情報を共有しながら、この東京大会を確実に開催できるという確信が持てるように、日々のそういった努力が必要であるというふうに思っております。

城井委員 最後に、三月三日の参議院予算委員会で、橋本オリパラ大臣は、IOCの開催都市契約に関して、二〇二〇年中に開催されない場合、IOCが大会を中止できると明記されていることから、二〇年中であれば延期できるととれると答弁をされました。重大な答弁であります。IOCに確認した上での答弁でしょうか。もし確認なしの答弁であれば、極めて無責任だというふうに考えます。我が国の姿勢そのものが問われます。確認をされたか、されていないのか、お答えいただきたいと思います。

橋本国務大臣 開催都市契約というのは、IOC、東京都、JOC、組織委員会が締結をしたものでありますので、国は開催都市契約の当事者ではないので、責任を持って解釈する立場にはございません。

 その前提のもとに、延期について、先日の予算委員会で延期についての質問がありましたので、それを受けた際に、IOCによる開催都市契約の解除に関する規定があることを御紹介いたしました。その中で、さまざまな解釈があり得るのではないかという趣旨で御説明を申し上げたところでありまして、東京大会の延期を私が容認をしたということでは全くありません。

 東京の開催都市契約の当事者ではないということもありますので、私自身がさまざまな解釈があり得るのではないかという趣旨で御説明を申し上げたものですから、IOCには確認はしておりません。

橘委員長 時間が参っております。

城井委員 解釈権限がなく、解釈確認をせずにおっしゃった点は極めて無責任だということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 新型コロナウイルス感染症対策について、まずお伺いをいたします。

 全国の小中高校、特別支援学校の臨時休校要請の総理判断は、感染拡大防止対策として評価します。この要請の出口、つまり学校再開に向けて、今ほど城井委員からも御指摘がありましたので、城井委員への答弁も踏まえまして申し上げます。

 専門的な知見、各地域の様子、事情、部分的な解除については合理的な対応が必要、こういう三点を大臣は申しました。であるならば、やはり専門家会議との意見交換や、その際、学校再開に至るまでの意思決定を議事録として十分に残しておく必要がある、このように考えておりますが、文科省の見解を伺います。

丸山(洋)政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の学校の一斉臨時休業の要請につきましては、今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であることを踏まえまして、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクをあらかじめ抑える観点から行ったものでございます。

 文部科学省としては、児童生徒等への感染の拡大の防止、臨時休業中の児童生徒への学習の支援、保護者が休みをとることができない子供への居場所確保などの取組を、関係の機関とも連携をしながら全力で今進めているところでございます。

 当面は、円滑な臨時休業の実施を通じて感染拡大防止に全力を尽くすことが最も重要であると考えますが、馳委員の御指摘のように、臨時休業を終了するに当たっての留意点や臨時休業後の対応について、今後、各地域における感染の状況や、また専門的な知見等をしっかり踏まえつつ、検討をしっかりと行っていきたいというふうに思っております。(馳委員「議事録のことを聞いたの、議事録」と呼ぶ)はい。そこの点についても、議事録の点についても考えております。(馳委員「はっきり言ってください。議事録を残しておきなさいと言ったんです」と呼ぶ)はい。議事録を残すということは大事なことであるというふうに認識をいたしております。

馳委員 そこで、学校給食の問題についても城井委員の方から御指摘がありましたので、私からは、貧困家庭の児童生徒への支援、この点についてお聞きをしたいと思います。

丸山(洋)政府参考人 貧困家庭の世帯のお子さんに対する対応ということにつきましても、非常に丁寧に扱っていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 特に、今般、学校が臨時休業になるということによりまして、居場所づくりということに今懸命に取り組んでいるところでございますが、学童保育でありますとか、また一方では、各自治体、教育委員会の動向を見ますと、学校を開放して、そこで自習であるとか、あるいは、運動場それから体育館等を開放しながら子供たちの活動を見守っているという状況がございます。

 そういった中で、例えば昼食の支援といったようなことについても、昨日、知事会が主催をしました地方関係団体との協議の中でも、そういった中で低所得者世帯の子供たちに対する支援ということをしっかりやっていただきたいというようなお話もありましたので、いわゆる要保護世帯、加えて文科省としては準要保護の世帯、ここの部分については、現行では国によるかかわりというよりは各自治体における基準のもとに具体の支援が行われているわけでございますけれども、今回のこの臨時休業という措置の中で、そういった点についても、自治体の意向等、現場の状況をしっかり踏まえながら必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。

馳委員 やはり、総理の要請を受けて、文科大臣が責任を持って対応すると言う以上は、こういうふうな表現をした方がいいと思うんですよ。一人一人の児童生徒の実情に応じて、貧困家庭へのいわゆる給食問題についても対応すると。その国の指示があれば、地方自治体も、それはそうなんだなと、一人一人の実情に応じて、残念ながら一日に給食しか食事がない子供だっているじゃないですか。そのことをわかった上でそういう指示を出すのが必要だということを強くまず要請しておきます。(発言する者あり)不規則発言は抑えて。今からしゃべるから。

 改めて、私は、そういう要請をむしろ文科省が責任を持って出さないと、教育委員会の方も、お任せ主義ではどうしたらいいのかなと迷ってしまいますから、具体的にそういったことまで大丈夫ですよということを言うべきだと思いますが、いかがですか。

丸山(洋)政府参考人 お答えを申し上げます。

 この点につきましては、三月二日付で、厚労省と文部科学省で連名で通知を発出いたしております。子供の居場所の確保についてという通知でございますが、児童生徒等に対して給食施設や調理員を活用して昼食を提供することの可能性についても留意事項としてお示しをしたところでございまして、地方の実情を踏まえながら、しっかりとその対策を検討していきたいというふうに考えております。

 特に、繰り返しになりますけれども、家庭の経済状況が厳しい児童生徒などに対する支援策について、地方の実情を勘案しながら、さまざまな事例に対して丁寧な対応ということをしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

馳委員 次に、本日の報道では、選抜出場の磐城高校、福島県ですね、二十一世紀枠ですが、野球部が部活動をしにくいとの話がありました。つまり、許可が出ないということであります。

 春の選抜大会に向けて部活動として練習することは認められるのかどうか、お答えください。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 春の選抜甲子園については、高野連等においてさまざまな角度から検討を重ね、参加校の意向も踏まえた上で、無観客試合での実施に向けた準備をしつつ、開催の可否そのものについては来週三月十一日に判断するものと聞いております。文部科学省としては、大会の主催者の判断を尊重したいと考えております。

 ただいま馳委員から御質問のございました練習についてでございますけれども、無観客を前提とした準備を進めていくということになりますと、その準備としての子供たちの練習、とりわけ、仮に実施という判断がされた場合については、けがの防止という点もございますので、各学校やその設置者において十分な感染拡大防止のための措置を講ずることによって生徒の健康、安全を十分に確保した上で、それぞれの判断によりまして練習を実施することを一律に否定するというものではございません。

馳委員 否定するものではないということは、裏読みをすると、できるということでよいと思います。私学はどんどんやっている、公立はできない、こういう空気が広がっているので、ここも具体的に問合せがあったらきちんとお答えすべきだと思っています。

 次に、多数の観客が集まるスポーツ、文化行事の主催団体に対しても、中止、延期、規模縮小の対応をとるように要請しております。施設のキャンセル料やチケット委託販売のキャンセル手数料など、主催者は大きな損害を受けます。具体的にどう補償するのか、質問いたします。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 二月二十六日の総理の御指示にもあるとおり、今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であり、文部科学省としても、全国的なスポーツ、文化イベントの中止、延期又は規模縮小等の対応について要請を行ったところでございます。

 国内でのイベントの自粛等に伴い、事業活動の縮小を余儀なくされた事業者に対して、厚生労働省におきましては雇用調整助成金の特例措置の活用を可能としたところでございますし、また、事業者に向けましては、各関係機関における経営相談窓口の設置や、金融公庫等による緊急貸付・保証枠として五千億円の確保等の措置を講ずるなどの対応がとられているところでございます。

 総理からも、政府の要請を受けてイベントや営業等を中止した事業者については、それぞれが直面する課題について、その声を直接伺う仕組みをつくり、強力な資金繰り支援を始め、地域経済に与える影響に配慮し、しっかりと対策を講じるとの発言があったところでございます。

 今後とも、事態の状況変化を見きわめつつ、政府全体で適切に対応してまいりたいと考えております。

馳委員 具体的に申し上げると、手数料、払戻し手数料、チケット印刷代は主催者負担、丸々赤をかぶるのが主催者なんですよ。プロであろうとアマチュアであろうと、スポーツであろうと文化団体であろうと、その具体的な一件一件に対応しないと業者は全部潰れてしまいますよ。その緊張感を申し上げております。

 改めて、この私の指摘を踏まえての対応をもう一度述べてください。

瀧本政府参考人 今回の新型コロナウイルスの対策、対応については、政府としても当然でございますけれども、今のお話の中で、例えば参加するに当たっての航空券のキャンセル等については、民間の航空会社におきましても、例えばでございますが、二月二十八日から三月十九日の部分についてはキャンセル手数料を含めた手数料を取らずに払戻しをする対応を進めていただいたりするなど、それぞれの分野で取組が進みつつあるところでございます。

 さまざまな事業活動の中で発生する民間事業者の個別の損失を直接に補償していくということは困難な面もございますが、今後も、事態の状況変化を見きわめながら、政府全体で適切に対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

馳委員 次の質問に移りますが、三月中の学習支援として、どのような代替措置を考えているのか。エドテック教育の活用を民間教育事業者は無料提供しておりますが、SNSの活用など、文科省もホームページを通じて積極的に先進事例を紹介すべきだと思います。また、この際、標準授業時間数や卒業認定のあり方についても、今後弾力化が検討されるべきと思いますが、いかがでしょうか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 臨時休業期間中に児童生徒の学習に著しいおくれが生じないよう、文科省といたしましては、各教育委員会等に対しまして、可能な限り、家庭学習を適切に課す等の必要な措置を講じるよう依頼したところでございます。

 また、児童生徒や保護者等が自宅などで活用できます教材や動画等を紹介しますポータルサイトを開設しておりまして、SNS等を通じて周知しているところでございます。本ポータルサイトにおきましては、民間教育事業者も含めまして、無償で提供されている教材や動画等のリンクを幅広く掲載しております。今後もコンテンツを充実させることとしております。

 文科省といたしましては、このような取組を、民間教育事業者も含めまして、協力をいただきながら着実に進めてまいりたいと思っております。

 また、弾力化の件につきましては、今回の臨時休業に伴いまして、学教法の施行規則に定めます標準授業時数を下回った場合においても、そのことのみをもってその規則に違反するということにはしておりませんし、また、卒業認定に関しましては、弾力的に対応するよう各教育委員会等に依頼しているところでございます。

 また、標準授業時数認定等に関して、全般的な扱いにつきましては、現在、中教審に諮問しておりまして議論しているところでございますので、その検討状況を十分見守ってまいりたいと思っております。

馳委員 標準授業時数の下限という問題については極めて重大な局面にあると思っておりますので、私はこれはもう撤廃すべきというふうな考えを持っております。

 その一因は、GIGAスクール構想が始まることによって、学習指導要領で年間教育課程が定められていきますけれども、時空を超えたといいましょうか、学びの革新が行われようとしている時期に、いつまで総授業時間数で教育現場をぎちぎちに縛っているのか。これが教員の多忙化に拍車をかけているということも事実でありまして、そういった深い議論を中教審においてすることを望みたいと思っています。

 次に、医療的ケアを必要とする幼児児童生徒や基礎疾患のある幼児児童生徒や障害を持つ幼児児童生徒に対しては特段の配慮が必要でありまして、主治医や学校医や保護者と連携して休校期間中も対応すべきはずですが、どうなっておりますか。

丸山(洋)政府参考人 お答えを申し上げます。

 馳委員御指摘のとおり、医療的ケアを必要とする幼児児童生徒の中には、呼吸の障害を持ち、気管切開や人工呼吸器を使用している者も多く、肺炎等の呼吸器感染症にかかりやすい特徴があることから、学校において対応する場合には、主治医や学校医等に相談し、その指示に従うよう、二月二十五日付の事務連絡で自治体に対して依頼をしたところであります。また、医療的ケアを必要としないが、例えばぜんそくなど基礎疾患のある幼児児童生徒についても、同様の対応をお願いしているところであります。

 特別支援学校等に在籍する障害のある子供たちについては、学校の臨時休業期間に自宅等で一人で過ごすことができない子供もいることが考えられることから、厚生労働省と調整の上、二月二十八日に事務次官通知を発出いたしまして、各教育委員会等に対して、福祉部局や福祉事業所と連携をし、放課後デイサービス等も活用して居場所の確保に取り組むように要請を行ったところであります。

 さらに、臨時休業中に自宅等で一人で過ごすことができない障害のある幼児児童生徒を学校において預かる際は、多くの幼児児童生徒が同じ場所に長時間集まることがないように、必要な対策を行った上で、必要最小限の人数に絞って登校させるなどの特段の配慮をお願いしたところでございます。

 各学校において臨時休業中に医療的ケアを必要とする幼児児童生徒を預かることとなった際には、看護師が主治医や学校医等と連携をし医療的ケアを行う体制をとっていただくなど、障害や基礎疾患のある子供たちの居場所の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

馳委員 この新型コロナ感染症対策と四月からスタートする働き方改革による残業規制強化は、日本社会にとって、また教育現場にとってもダブルパンチとなることは十分想定できます。当然、子供たちの生活にも直結してまいります。しばらくは残業規制強化等についても猶予期間が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

村山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員今御質問の、日本経済と学校教育現場にという、日本経済の部分について私の方から御答弁を差し上げたいというふうに思います。

 働き方改革によります時間外労働の上限規制でございますが、これは、誰もが心身ともに健康で、希望に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するために必要不可欠なものであるというふうに考えております。

 一方、先ほど来委員からも御指摘を賜っております、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するために学校等に対する一斉休校の要請がなされ、また、それが実際実施されることに伴いまして、子供の休校の影響を受けて会社を休まざるを得ないような親御さんがふえる。そうすると、残りの従業員の方々が多く働かなければならないケースが出ているということは、私どもとしても、中小企業団体の皆様からもお声として承っているところでございます。

 こうした場合につきましては、既存の制度といたしまして、変形労働時間制によって、忙しくなるときの月の所定労働時間をそもそも多くするというようなことでございますとか、あるいは、特別条項つきの三六協定の締結によりまして対応するとか、既存の制度によって対応するという道もあるわけでございます。

 厚生労働省としては、こうしたことについて、もちろんホームページ等で周知をいたしますとともに、同時に、働き方改革推進支援センターのセミナー等におきましても丁寧に御説明を差し上げて、今までそういう特例的なことを余りお使いになっていないような中小企業の事業主の方も、そういったことをコンサル等を通じてわかりやすい形で導入していただく、あるいは手続を変更していただくということをとっていただくというような支援も申し上げているところでございます。

 また、あわせて、既に一般的な対策として、労働時間管理のための機器の導入経費などを助成するような制度などを設けておりますが、そういったものに関しましても更に年度の切れ目なく対応していくということなども対応しているところでございます。

 話は戻りますけれども、御指摘がございました働き方改革の上限規制の関係は、既に大企業では昨年の四月から施行され、中小企業でこの四月から施行ということが法律上定められているところでございまして、これは過労死や過労自殺を出さないという大きな目標のために国会で成立いただいた法律でございますので、丁寧な対応を通じてその趣旨が貫徹しますように対応してまいりたい、このように考えております。引き続き御指導賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

丸山(洋)政府参考人 働き方改革に猶予期間が必要ではないかという御指摘でございますが、学校における働き方改革は喫緊の課題でございまして、本委員会におきまして、昨年の臨時国会においての審議等を経まして給特法の改正をお認めいただきまして、本年一月には本法律に基づく指針を告示として公示し、在校等時間の上限を規定したところでありまして、本年四月に施行されることとなります。

 学校における働き方改革の目的は、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が日々の生活の質や教職人生を豊かにすることでみずからの人間性や創造性を高め、子供たちに対して更に効果的な教育活動を行うことができるようになることであります。今回の新型コロナウイルス感染症への対策や学校の臨時休業に伴い、学校や教師においてもその対応が求められているところでありますけれども、そうした中であっても、子供のために働き方改革を進めていかなければならないことは変わらないと考えております。

 そういった中で、文部科学省としては、休業期間中の児童生徒の学びや生活を支えるための支援として、公立学校における教員の加配や学習指導員等の配置に必要な支援をしっかりと行ってまいります。

 また、厚生労働省と連名で通知を既に発出いたしておりまして、その中で、学校が臨時休業中であっても、教師の業務として、学年末の学習評価や通知表、指導要録の作成、次年度の準備等を始めとする、通常学年末に行っている業務に加えて、臨時休業により、子供たちとの電話によるコミュニケーションや家庭訪問、また未学習の部分の補習方法の検討や教材作成等の新しい業務が想定されることを踏まえ、教師が放課後児童クラブの支援に従事する場合には、例えば学年末に関連をする、先ほど申し上げたような業務負担の大きい学級担任以外の教師であるとか養護教諭、栄養教諭それから学校栄養職員などで対応するなど、個々の教職員の業務負担を踏まえた上で、各自治体等において適切に御判断いただきたい旨を示しているところでございます。

 そうした取組を含めまして、教師でなければできないことに教師が集中できるよう、引き続き働き方改革を強力に推進してまいりたいと考えております。

馳委員 一般財団法人日本語教育振興協会の佐藤次郎理事長より私のもとに要望が届いておりまして、どういうことかというと、今回の新型コロナウイルス感染症対策について、国から日本語教育機関に対して通知がなかったと。今後、大規模災害や重大な感染症に対応するために、速やかに連絡体制を整えてほしい、また、四月入学予定の留学生の入国がおくれた場合に、在留資格認定証明書の有効期間にもかかわる、これを延長してほしいなど、学校教育法において対象とする日本語教育学校と法務省出入国在留管理庁所管の日本語教育機関と、対応が違うんですよ。ここはやはりちょっと配慮をしてほしい。

 とりわけ、外国人労働者を受け入れていこうというこの時代に、一丁目一番地が日本語教育となっておりますから、ここを今回の問題についても対応すべきだと思いますが、法務省の見解を伺います。

丸山(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、通知の件でございますが、現在の取組状況でございます。

 今回の新型コロナウイルス感染症の影響により、日本語教育機関から、休校や発熱等による欠席の措置をとった場合、日本語教育機関の告示基準上どのような取扱いになるのかといった質問が寄せられてきたところでございます。

 そのため、出入国在留管理庁におきましては、日本語教育機関における新型コロナウイルス感染症への対応に係るQアンドAや在留諸申請における取扱いを各日本語教育機関に対して周知するとともに、法務省のホームページに掲載したところでございます。

 また、地方出入国在留管理局におきましては、これらの情報に係る資料に加えまして、新型コロナウイルス感染症について、在留外国人の参考となるサイトなどを取りまとめた資料を在留資格認定証明書の交付にあわせて日本語教育機関に配付したところでございますが、今後、日本語教育機関や留学生に必要となる情報の提供につきましては、より迅速に提供できるように努めてまいりたいと思います。

 また、入学時期の関係の在留資格認定証明書の有効期限についてお尋ねがございました。

 この件につきましては、外国人が改めて在留資格認定証明書交付申請を行う必要がある場合は、原則として、立証資料等を再提出させることなく、申請書及び受入れ機関作成の理由書のみをもって迅速に審査を行うこととしておりますけれども、さらに、今後の状況を踏まえまして、影響等を踏まえまして、委員御指摘の在留資格認定証明書の有効期間の取扱いを含めまして更にとり得る措置を関係省庁とも検討し、できる限り柔軟に取り組んでまいりたいと思っております。

馳委員 最後の質問になります。

 大臣所信を踏まえて、私、超党派のいわゆる幼児教育類似施設を支援する議員連盟の会長をしております馳浩と申しますが、幼児教育無償化の対象とならないものの、地域や保護者のニーズに応えて重要な役割を果たしているいわゆる幼児教育類似施設は全国で何カ所あるか、文科省は把握しておりますか。所信にも、国と地方が実態を把握し、協力して効果的な支援のあり方を明らかにする必要があると述べておりまして、今後、具体的にどのような調査事業を実施し、そして、いわゆるですから、幼児教育の無償化の対象となる類似施設、いわゆる居場所としてどういうふうな認定プロセスをとっていこうとしているのか、答弁を求めて、私の質問を終わります。

丸山(洋)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の幼児教育、保育の無償化の対象範囲につきましては、法律により幼児教育の質が制度的に担保された幼稚園、保育所、認定こども園を基本としながら、待機児童問題により認可保育所に入りたくても入れない方がいることから、代替的な措置として認可外保育施設等も対象にするという考え方で整理が行われているところでございます。また、法律上、一定の線引きがなされております。

 一方で、無償化の対象とならない施設等については、法令上の定めや基準等がなく、多種多様なものが存在していますが、各地域に固有のさまざまな歴史的な経緯等を経て、現在も地域や保護者のニーズに応え、重要な役割を果たしているものもあると考えております。

 昨年、無償化の対象とならない施設等の把握のため、地域の幼児教育の提供体制の確保に重要な役割を果たすと考えられるもの、また、自治体において現に当該施設に対して支援を実施している又は今後支援を検討しているものなどの暫定的な定義を置いた上で、自治体に対して調査を実施いたしました。その結果、自治体が支援を必要としているものを含む暫定的な数として、約二百施設を把握しているところでございます。

 その上で、令和二年度におきましては、まずは、無償化の対象とはなっていないものの、地域にとって重要な役割を果たす施設への効果的な支援の方策について調査を行うための予算を令和二年度政府予算案に計上しているところでございます。

 今後、並行して地方団体とも協議、調整を行いつつ、本事業で得られる知見も踏まえまして、新たな支援策の実施を目指して取組を進めてまいりたいと考えております。

 また、委員の方からありました選定のプロセスでございますけれども、今回、調査対象の事業につきましては、自治体から個別の提案をいただいた上で、調査目的に照らして審査を行うことを想定いたしております。

 なお、審査基準や要件の詳細等につきましては、現在調整中であります。できるだけ早く自治体にお示しができるよう、努力を続けていきたいと考えております。

馳委員 終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、大串正樹君。

大串(正)委員 自由民主党の大串正樹でございます。

 本日は、大臣所信についてお伺いさせていただきますけれども、短期的な課題といたしまして、先ほどから御質問が多々ありましたコロナウイルスへの対応については、また臨機応変に、緊急な状況によっていろいろな対応が変わってくると思いますので、臨機応変に対応していただければと思います。

 私は、この時間をおかりいたしまして、中長期的な課題を中心にお伺いしたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、初等中等教育の関連でありますけれども、我々も、いろいろな仕事をする中で、新しいことに出会ったときに、こういったことはやはり子供のうちから教えておいた方がいいなとかもっと知ってもらいたいなということが多々あるわけでありますが、そういった、多様な課題に対する、さまざまな生きる上での能力が必要とされるようなそういう時代の中で、新たな学習指導要領に盛り込まれた社会保障教育のお話、社会保障の課題についても、やはり子供のうちからしっかりと理解をしていただいて、そして将来に備えていただく。

 若い人にお会いしたときに、我々は年金なんかもらえないんじゃないかとか、そういう不安になられるようなことがないように、そういったこともしっかりと学んでいっていただいて、そして将来設計をしっかりとしていただけるのが非常にいいのかなというふうに思っております。

 今回、社会保障教育が盛り込まれた経緯や趣旨、あるいは今後の導入のスケジュールなど、まずは現状についてお教えいただきたいと思います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 子供たちが持続可能な社会の担い手といたしまして社会保障について理解を深めていくということは、非常に重要なことと考えております。

 このため、平成二十九年、それと三十年に改訂いたしました学習指導要領におきましては、主に小学校、中学校の社会科や高等学校の公民科におきましてその内容の充実を図ったところでございます。

 具体的には、例えば中学校の社会科におきまして、社会保障の充実に関して、その安定化の意義について理解すること、それから、高等学校の公民科に新設いたしました必履修科目公共におきまして、少子高齢社会におけます社会保障の充実、安定化に関しまして、財政の持続可能性と関連づけて取り扱うこと等の充実を図っております。

 この新しい学習指導要領につきましては、小学校につきましては令和二年度、つまりこの四月から、また、中学校の指導要領につきましては令和三年度からそれぞれ全面実施、また、高等学校につきましては令和四年度の入学生から順次実施することとしております。

 また、現在、厚生労働省と連携いたしまして講師派遣や教材の周知などの取組を進めておりまして、文部科学省といたしましては、引き続き、新しい学習指導要領に基づいて、各学校におけます社会保障に関する教育が推進されるよう努めてまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

大串(正)委員 ありがとうございます。

 まさにこの四月から小学校が始まり、順次取組が進むということで、非常に期待をしているところでもあります。

 今ちょっとお話に出ましたように、厚労省が割と協力をしていただいて、テキストをつくっていただいておりまして、厚労省のホームページにも社会保障教育のテキストがあって、拝見するんですけれども、なかなかちょっと難しいのかなという気がいたしております。

 既に改訂されている公民の教科書なんかを見ましても、なかなか、この内容でしっかりと子供たちが理解できる、そういう授業が本当に展開できるのかなというのはちょっと不安になるところでもありまして、これから恐らくいろいろな教材を工夫したり教え方を工夫したりという段階に入っていくのだろうなというふうに思っておりますが。

 ただ、最初から難しい話を、厚労省が出しているような難しい話を小学生に教えるというのではなくて、例えば世代間の相互扶助の概念であるとか、基本的なことをまずは学んでいただけるような、そういう段階的な教育というのが必要になってくるんだと思いますけれども、やはり小学校や中学校は、それぞれの段階にふさわしい社会保障の教育を、授業を展開していただきたいなというふうに思っているわけです。

 現時点での、教員の反応であるとか、教材づくりの支援、厚労省のテキスト以外の部分ですね、実施に向けての取組状況についてお伺いしたいと思います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 まず、教材について御指摘ございましたけれども、社会保障に関します教材につきましては、高校生向けというものは確かに厚生労働省において作成いただいているものと承知しておりますけれども、段階別に、難しいのではないか、あるいはわかりやすいようにすべきではないかといったような指摘もあるということは承知してございますので、小学校向け、あるいは中学校向けの、発達段階に応じたような教材内容について、また厚生労働省とも協議を進めてまいりたいというふうに思っております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 現場の自主性ももちろんありますので、これからいろいろな教材を工夫していかなければいけないと思います。先ほどの質問でも、GIGAスクールの話もありましたけれども、ICTを使った、そういった社会保障教育の教材なんかの開発もしていただけると非常にいいのかなというふうに思っているところであります。

 一方で、既に問題意識というのが現場でも共有されておりまして、既に授業で取り組まれている事例もございます。幾つかの団体、例えば社会保険労務士会では、労働、社会保険教育について独自で教材をつくっていただいて、本当は準備して皆さんにお配りしたかったんですけれども、ちょっと間に合わなかったものですから、また関心があられる方はホームページで見ていただけると、非常にわかりやすい、社会に出て働くということはどうなのかとか、給与明細をもらったときに、その内容というのはどういうふうに読めばいいのかとか、そういう基本的なことが非常にわかりやすく説明されている教材がございます。それについて出前授業を学校で行っていたりとかして、それはもう、各学校からも、ぜひそういうのをやってほしい、アルバイトに行っても自分がどういう環境で働いているかとかがわからないとか、そういうことがあってはやはり困るので、非常に関心を持たれてやっていて、全国各地でそういう依頼が大変多いということも伺っております。

 一方で、税理士会でも、税理士法で規定されている租税教育、税について同様な取組をされているというふうに伺っておりますけれども、これらの取組について、社会保障教育を推進する文科省の立場としてどのように受けとめられているかについて、お願いいたします。

串田政府参考人 お答えいたします。

 新しい学習指導要領におきましては、御指摘の社会保障教育あるいは租税教育など、子供たちと社会とのかかわりについての内容が充実されたところでございます。

 こうした内容につきましては、例えば中学校の社会科におきましては、指導要領の内容を踏まえて、解説におきまして、国民や住民が受けるさまざまな公共サービスにおける便益と、それにかかる費用に対する負担など財政の持続可能性にかかわる概念などと関連づけて、多面的、多角的に考察して表現できるようにするなどとされております。

 こうしたことを学ぶに当たりましては、社会保険労務士、税理士、あるいは財務省の職員といった専門性を持った外部人材に授業に参加していただくといった、専門家の知見、経験を生かした教育活動の質の向上に努めていくということが有益と考えております。こうした外部人材を効果的に活用していくということでは、事前の準備、打合せなど、学校と連携した準備が必要でございまして、専門的な知見の面においてサポートをいただくということが、学校の先生方の学びにもつながるということで、一つの取組になるのかなと思っております。

 予算面でございますけれども、補習等のための指導員等の派遣事業に、学力向上を目的とした学校教育活動を支援する人材を派遣する経費がございまして、前年度比二億円増の三十二億円、八千人分を計上して支援に努めているところでございます。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 予算面の方も踏み込んで御回答いただきましたけれども、所信の中に、外部人材の配置拡充という項目もございまして、冒頭もお話ししましたように、こんなことも教えてほしいなとかこんなことも必要じゃないかと言い出すと、やはり学校現場の負担も相当ふえることになりますので、ぜひ、こういった外部人材をうまく活用しながら、それを授業の中で展開していって、お互いにプラスになるような、そういう活動につながっていけばいいなというふうに思っているところでもございます。

 だから、今お話ありましたように、財政面、予算面でやはり何らかの措置が必要なのではないかなというふうに考えておりまして、例えば、社労士会の皆さんは本当にボランティアで対応されていて、交通費もなく手弁当でやっているという状況がずっと続いている中で、先ほど御紹介いただきました補習等のための指導員等派遣事業、今回三十二億円が計上されています。学力向上を目的とした学校教育活動支援という項目で、この中で対応できるというお話でありましたけれども、ぜひ、こういった予算をうまく地域と連携しながら活用していただいて、どんどんどんどん優秀な、専門性の高い方を学校現場に招き入れて、そして専門性の高いわかりやすい説明をしていただけるような、そういう機会をふやしていっていただければなというふうに思います。

 また、あわせて、本来であれば、そういったものが実際どういうふうに地域で活用されているか、こういう活用の仕方をすれば非常に授業がスムーズだったよとかわかりやすかったよとか、こういう教材の使い方がよかったよと、先進事例とか好事例というのをできるだけ横展開していくような取組も必要なのかなというふうに思っております。

 また、この三十二億円というのが実際に、本当に十分なのかどうか、もっともっと実は充実させた方がいいのであれば、またその予算に対して我々も応援していかなければいけない場面もあるかと思いますし、そういった部分を、これからもエビデンスとしてしっかりと蓄積をしていただいて、検証していきながら、現場でよりよく活用できるような、そういう予算にしていっていただければということをつけ加え、この件については終わらせていただきます。

 あわせまして、次に、実は私、ユネスコの国内委員会の委員をしているところでありますが、ユネスコの中では、ESD、つまり持続可能な開発のための教育について、非常にこれを推進していくという活動をやっておりまして、我が国としても、これは非常にいい取組であるので、推進していった方がいいなというふうに思いますが、これが現在、教育現場ではどのように生かされているのか、また、我が国の取組状況についてお伺いしたいと思います。

大山政府参考人 お答えいたします。

 持続可能な開発のための教育、ESDは、持続可能な社会のつくり手の育成を通じて、持続可能な開発目標、SDGsの全てのゴールの実現に寄与するものであり、令和二年度以降、順次実施される新学習指導要領の前文及び総則においても、持続可能な社会のつくり手の育成の重要性が明記されております。

 昨年十月には、日本ユネスコ国内委員会が取りまとめた建議の中で、SDGs実現に向けたESDの推進における主導的な役割の維持が政府に対して提言されました。また、国際的にも、昨年の第四十回ユネスコ総会及び第七十四回国連総会において、持続可能な開発のための教育、SDGs実現に向けて、ESDフォー二〇三〇が日本の主導により採択されるなど、ESDはさらなる推進に向けた大きな節目を迎えております。

 こうした状況を踏まえ、文部科学省では、国内の教育の現場におけるESDの取組をより一層後押しするため、来年度にESD推進の手引の改定を行う予定です。あわせて、ユネスコスクール等を通じた実践事例の交流を図るなど、ESDの提唱国にふさわしい教育活動の充実に引き続きしっかりと取り組んでまいります。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 ESDは本当にいろいろな科目の中で展開することもできますし、そういう意識を高めていただいて、学校の中で展開していただくというのが非常にいいのかなというふうに思っておりますので、いろいろな取組がこれから展開されると思いますので、またその報告を楽しみにしているところであります。

 それでは、次の質問に入りたいと思います。次は、大学教育改革の研究活動支援などを中心にお伺いしたいと思います。

 今回の大臣所信の中でも、やはり科学技術イノベーションであったり、大学教育の研究活動の支援の項目が多々あるわけなんですけれども、私も、二年前にも質問させていただいたこととちょっと絡めましてお伺いしたいことがございまして、一つは、優秀な若手研究者へのポストの重点化という項目が所信の中で述べられたところであります。

 ポスドクなど、若手研究者のポストが不足しているのはやはり現在深刻な問題と我々も受けとめておりますし、また、大学院への進学というのが非常に一般的となって、大学での教育、あるいは研究者になる、そういった仕事をしたいというのが志望の方々もどんどんふえてくる、博士の学位を取ってそういう仕事につきたいという方がたくさんおられるわけなんですけれども、ただ、全員が望むようにテニュアトラック、そういう職を得ることが不可能であることは、もうこれは明らかであります。

 そこで、やはり、優秀な若手研究者へのポストの重点化という、この言葉が意味するところは一体何なんだろうかということで、実はこれは二年前にも質問させていただいたんですけれども、雇用政策との連携がやはり重要なんではないかなというふうに思います。

 所信の後半にリカレント教育についても触れられているわけなんですけれども、高等教育、特に大学院教育というのは、冒頭お話ししました、次の時代の研究者を育成するという機能だけではなくて、具体的な社会課題の解決のためのスキルアップ、つまり、得られた知識を社会ですぐに実践して活用するための機能であったり、あるいは生涯にわたって学び続ける学習機会の提供の機能など、教育の多様性がやはりあるはずだと思います。

 それは二年前のときから、雇用政策との連携とか、その現状を踏まえて、この優秀な若手研究者へのポストの重点化の意味するところについて御説明をいただきたいというふうに思います。

亀岡副大臣 今、大串委員が申されたとおり、実は、ノーベル賞受賞者の先生方、皆さんも言っておられますが、若手研究者の育成というのは喫緊の課題であるということでお話をいただいておりました。

 特に研究者の魅力が今低下していると言われておりますので、この研究者を魅力ある職業にするために、文部科学省としては、我が国の研究力向上に向けて、すぐれた若手研究者がしっかりと腰を据えて自由な発想で挑戦的研究に取り組める環境を整備するとともに、研究人材の多様なキャリアパスを実現することが重要であると。今まさに大串先生の言われたとおり、いろいろな多面にわたる研究がしっかりできるということが大事でありまして、優秀な若手研究者が安定かつ自立したポストについて研究できる環境の実現に向けて、例えば国立大学においては、定年退職教員の後任補充に伴う若手教員の雇用促進、それから、若手教員の雇用や研究支援の充実を図ることを目的とした組織の設置等の取組を実施していただいております。

 文部科学省においても、そのような各大学の取組を後押しすべく、総合科学技術・イノベーション会議において決定された研究力強化・若手研究者支援総合パッケージを踏まえて、各国立大学における年代構成を踏まえた持続可能な中長期的な人事計画の策定をお願いしておりまして、若手研究者比率や人事給与マネジメント改革実施状況に応じた国立大学の運営費交付金の配分、卓越研究員事業等による産学官を通じた若手研究者へのポストの重点化に取り組むこととしております。

 また、博士課程学生やポストドクター等のキャリアパスの拡大に向けて、企業の皆さんとも連携した学生本位のカリキュラム構築を促すなど、学生のキャリアパス確保につながる大学院教育改革、企業との連携による長期有給インターンシップの推進、ポストドクター等のキャリア開発支援等に関するガイドラインの策定や大学等における組織的な取組の展開等に取り組むこととしております。

 文科省としても、今後とも、我が国の未来を担う優秀な若手研究者が安定した環境のもとで挑戦的な研究に打ち込めるよう、関係施策を一体的に実施してまいりたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 今、具体的ないろいろな施策の御説明をいただきまして、多分、一つの施策で完結する話ではないと思いますので、いろいろな取組を総動員しながら雇用環境を整えていっていただいて、そして、研究して力をつければ、いろいろな魅力ある、その能力の発揮する場があるということが日本の中で皆さんに認識されるような、そういう社会にしていっていただければなというふうに期待をしていきたいというふうに思います。

 また、関連して、研究者にとっては、若手の新しい研究者、新しい研究分野というのも必要であったりとか、そういうところが今注目されたりもします。

 所信の中でも、新興・融合領域への取組強化という言葉がうたわれているわけでありますが、これも実は二年前に質問させていただいて、それをフォローアップ、お願いしたいんですけれども、新興・融合領域というのは、新しい学問領域であったりとか、今まで解決できなかった問題をいろいろな分野を融合して取り込もうという、そういう野心的な試みである一方、いろいろな領域を融合してつくる研究分野であれば、研究の方法論、お作法ですね、そういったものがなかなかきちんと確立していなかったりとか、それが、本来であれば方法論を共有して研究の前提として、そしていろいろな成果発表をしていく、お互いに議論をしていくというのが重要なんですけれども、方法論がなかなかうまく機能していない場面が多々あったりとか、あるいは、その発表の場としての学術集会、いわゆる学会がなかなかこううまく機能していない場面も多々あるように見受けられるんでありますけれども、以前の、二年前の質問では、それは基本的にはアカデミズムの自主性に任せているんだけれども、科研費などによる支援をしっかりとして充実させていきたいというふうなお答えをいただいたわけであります。

 今新しい時代がどんどん進んでいく中で、ますます融合領域というのが重要な領域になるわけでありますが、その後の進展についてお伺いできればと思います。

菱山政府参考人 まず、新興・融合領域の取組についてでございますけれども、まさに先生御指摘のとおり、科学技術は、異分野の協力や融合によってこれまでの固定観念やパラダイムに挑戦いたしまして新たな分野を切り開くということによって発展してきたわけでございます。また、現在のいろいろな社会課題の解決のためには、これまで個々に発展してきた学問体系を超えまして、複数分野の連携によって新たな融合領域を生み出していくということが求められているわけでございます。

 このようなことから、新興・融合領域の取組は非常に重要だと文部科学省としても考えているところでございます。

 そういったことを踏まえまして、我が国の研究力強化を目指しまして、先ほど副大臣からもありました研究力強化・若手研究者支援総合パッケージというものが本年一月に総合科学技術・イノベーション会議において決定されたわけでありまして、その中にも新興・融合領域への挑戦というのは掲げられています。

 また、前回の平成二十九年以降の動きでございますけれども、文科省におきましても、学術の体系や方向の変革、転換を先導する科研費における学術変革領域の創設や、また、国立研究開発法人科学技術振興機構、JSTの戦略創造研究推進事業の充実、そして、新たに今般の補正予算でもお認めいただきました創発的研究支援事業、そういったものを新設して、その競争的研究費の充実を図って融合領域の充実を図ってまいったわけでございます。

 また、平成三十年七月には、科学技術・学術政策局におきまして、新興・融合領域研究開発調査戦略室を設置して、科学技術・学術政策研究所やJSTの研究開発戦略センターなどのシンクタンクと連携いたしまして、新興・融合領域に関する情報収集、分析活動を強化してきているというところでございます。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

大串(正)委員 ありがとうございます。

 しっかりと、また引き続きの支援をよろしくお願いいたします。

 今お話がありましたこの新興・融合領域というのがやはり重要になってくる場面の中で、一方で、これまでの科学技術政策が、比較的、自然科学の分野に焦点が当てられてきたのかなというふうに感じているところであります。

 ノーベル賞のような世界的な成果も、物理部門や化学の部門などの工業分野に生かされる技術であったり、生命科学や医療分野などが日本の強みというか中心になっているように見受けられるわけでありますが、一方で、社会科学分野というのは、まだまだ日本というのは世界的にも一流になり切れていない。すばらしい研究者はたくさんいるんですけれども、なかなか国際的に活躍できるというところまでは自然科学ほど行っていないのかなと、ちょっとそういう不安感がありまして。

 もちろん、社会科学の研究というのは大規模な実験装置がなければできないという分野ではないんですけれども、それなりに研究の質の違いというのを踏まえて支援していかなければいけないなというふうに思っております。

 大きな目的を決めてしっかりと予算づけをするというだけではやはり十分ではない。社会科学特有の研究環境をしっかりと支援していくことがやはり重要だと思います。

 例えば、所信の中でも最後の方で示されております防災・減災に関する研究開発という言葉が出てくるんですけれども、例えば災害対応の技術というのは、地質学的な知見であったり、あるいは土木建築みたいな技術が非常に重要になってくるように思い浮かぶんですけれども、実際には、地域のさまざまな課題、地域社会のあり方であったり、防災知識の普及であったり、避難訓練を徹底するなどして、地域住民の意識改革など、そういう社会全体での取組もやはり防災、減災には必要であるということを考えますと、社会科学的な知見というのも十分に必要になってくるんではないかなというふうに思います。

 そういう意味で、これから必要な研究開発対象とかそういう知識というのは、更に実践的な融合領域の分野をこれから開拓していかなければいけないと思うんですけれども、先ほどの社会科学の特性も踏まえた、こういった視点での支援というものがこれからもあり続けるのか、あり得るのかどうかについて、御意見を聞かせていただければと思います。

菱山政府参考人 今御指摘の、自然科学と社会科学あるいは人文学、社会科学の連携の一つに、御指摘のありました、防災、減災の領域というのがあると考えております。

 例えば国立研究開発法人防災科学技術研究所におきましては、災害情報を受けた人々の行動を心理学的に分析して避難行動につなげる研究、あるいは郷土の歴史からその地域の災害特性を推定し地域の防災対策に生かす研究といったものを実施しておりまして、社会科学分野と共同して防災、減災に資する研究を進めているところでございます。

 融合領域の研究におきましては、含まれる研究分野ごとに、さまざまな研究対象とか研究手法あるいは成果の発表方法、評価基準などが異なっているというところもございます。参画する社会科学や自然科学の研究者が共通の目的を持ちまして一体的に研究していくというような環境が大変重要だということでありまして、このような点にも配慮しながら、さまざまな融合研究を積極的に推進してまいりたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 日本でも、そういった新しい分野で評価される、世界的に活躍できる研究者がふえて、その成果が世界に供されることを楽しみに、期待をしているところであります。

 最後の質問でありますけれども、今、我が党でも、大学入試の英語の四技能評価の試験の話をちょっと検討させていただいているんですけれども、この議論をしながらちょっと気づいたことがありまして、今、複合領域の話もしましたけれども、将来どんな知識が役に立つかというのは、やはり初等中等教育とかそのころにはわからないことがたくさんありまして、例えばコンピューター科学の最前線の研究者の方にちょっとお話を伺ったときに、最初にどういう勉強が大事だとお尋ねしたら、その先生は行列計算が大事だというふうにおっしゃられたんですね。我々も恐らく高校のときに行列演算のことは勉強したはずなんですけれども、実際、今の社会で行列計算をすることというのはほとんどなくて、今、行列の問題を出されても、解ける人というのはなかなかいないんではないかなというふうに思います。

 そういった、もともとは基礎教育として必要であったというふうなところでも、使われなければ、英語ももちろんそうなんですけれども、使わなければ忘れてしまうというのが人間のそういう特性であろうかと思いますけれども、将来役に立つかどうかわからないものに関しても、高大接続の議論の中で英語がクローズアップされておりましたけれども、将来的なこういう複合領域、いろいろな領域にまたがることを検討していかなければいけない、こういう時代においては、やはりその時々で、これは使わないから要らないんじゃないかというような話ではなくて、幅広い分野で、幅広い学問領域で、将来こういうことが役に立つ、基礎的な知識として必要であると。

 例えば、プラトンが自分の学校で非常に重視したのは、やはり幾何学を重視した、哲学の前提としてやはり幾何学を学ぶことが大事だというふうに述べたように、そういった取組も必要ではないかなというふうに思いますが。

 今後の高大接続を議論する中で、そういった幅広い学問分野について検討していただければなというふうに考えているところでありますが、もし所見があれば、お聞かせいただきたいと思います。

亀岡副大臣 まさに大串先生の言われたとおり、一番重要な部分だと私どもも思っております。学校教育の中でも、特定の分野に偏らず、幅広い分野でしっかりと学ぶというのが基本でありまして、教育基本法においても、「教育の目標」として、「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。」と挙げられています。

 それを踏まえて、学習指導要綱に定められたとおり、小中、高等学校においては、幅広い教科等を学ぶことを通じて、児童生徒の資質、能力をバランスよく育むことを目指しています。その上で、高等学校までに積み上げてきた多様な資質、能力を大学入学選抜で多面的に総合的に評価し、大学教育において更に向上、発展させることを目指し、高等学校の教育、大学の入試、大学教育の三者を一体的に改革する高大接続改革に現在取り組んでいるところであります。

 文部科学省としても、引き続き、児童生徒が幅広い知識や教養を身につけ、人間として調和のとれた育成を着実に実現できるようしっかりと取り組み、できれば、そのことを最重点にしっかりと学校教育の中で位置づけられるようにしていきたいと思いますので、しっかり取り組んでまいります。よろしくお願いします。

大串(正)委員 力強い答弁、ありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。

橘委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。

 本日は、新型コロナウイルス感染対策のための学校の臨時休業、これを中心に質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 安倍総理が全国の小中高校、特別支援学校に三月の二日から春休みまで臨時休業することを求めたことは、我が国歴史上これまでなかった、重い事実でございます。

 私ども公明党が、二月の二十七日十八時から官邸で開催された第十六回新型コロナウイルス感染対策本部において総理が全国の学校の臨時休業を要請するとお聞きしたのは、その直前でした。しかも、三月二日から二週間程度ではなくて春休みまでの休業を要請したと聞いたのは、対策本部の終了後のことでありました。

 この日、二十七日ですけれども、実は、午後一時五十分、我々公明党の対策本部として、官邸、菅官房長官への新型コロナウイルス感染症対策に関する第二次緊急提言というのをさせていただいたところでございまして、その中には、大きく教育に分けて六項目させていただきました。臨時休業に伴う学習面での支援等々、させていただいたところでございます。

 私の方からは、口頭で菅官房長官の方には、万が一、学校が休校になることがあれば、子供だけの問題ではない、親は仕事をしている、これは学校だけの問題ではなくて、保護者も安心して休めるような措置、そして企業にも御理解いただく必要がある、また、新型インフルエンザのとき、子供たちがゲームセンターに集まってしまったこと、また、事件や事故から子供たちをしっかり、安全を守ることをしていかなければならない、課題がたくさんあるということを申し上げさせていただきました。

 今回のこの臨時休業によりまして、日本の社会は、これまで機能していて当たり前と思っていた学校が、いかに大きな社会的な機能を果たしているかを改めて認識したと私は思っているところでございます。

 また、学校は、一千二百万人の子供たちや保護者だけではなくて、地域の大人、そして学校給食の関係者、保護者が働く企業などにとっても大きな影響を及ぼします。

 現場は、二十七日夕刻、十八時、総理からの要請を受け、子供たちと向き合えるのは翌二十八日の一日しかありませんでした。文科省を始め、全国の自治体、学校は、大変な混乱の中、子供たちのために必死に頑張ってくれています。

 多くの学校で、情報収集しつつ、休校中の教材をどうするのか、また、目の前に迫った期末テストはどうするのか、中止するのか、小学校低学年の全ての子供たちは保護者のもとで過ごせるのか、また、中高生は結局盛り場に出てしまうのではないかという不安、卒業式はどうするのかなどなど、これら本当に目の前に来ている課題に取り組むには、一日では本当に足りないと私は思ったところでございます。

 しかし、それぞれの教育委員会、学校は、地域の子供たちの状況に応じて、臨時休業の時期、時間をみずから判断し、今週、全国ほぼ全ての学校で臨時休業がスタートいたしたところでございます。改めて、日本の学校や教育関係者の底力というのを私は実感をしたところでございました。

 そこで、まず基本的な考えをお聞きさせていただきたいと思いますけれども、取組をしっかり後押しするためにも、臨時休業の時期や形態を決定するのはあくまでも学校の設置者であり、文部科学省はその判断を尊重するということを改めて明確に示していただきたいと思います。

萩生田国務大臣 お答えします。

 今般の学校の一斉臨時休業の要請は、今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であることを踏まえ、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクをあらかじめ抑える観点から行ったものです。

 現在、各都道府県のほとんどの学校で臨時休業が実施されている状況であり、急な要請を受けて対応いただいている全ての現場の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、臨時休業を実施する期間や形態につきましては、地域や学校の実情を踏まえて、設置者においてさまざまな工夫があってよいということを最初から申し上げておりまして、文部科学省としても、現場の皆様の御判断を尊重したいと考えております。

 文科省としては、引き続き、政府全体の方針のもと、関係省庁や全国の教育委員会等と連携し、新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、円滑な臨時休業の実施に努めてまいります。

浮島委員 それぞれの自治体や学校では、家庭での対応が困難な子供たちの居場所づくりとしまして、共働きで保護者が休めない子供を学校で預かったり、放課後児童クラブに受け入れたりして子供たちのケアを全力でしてくださっています。

 また、保護者の間では、私の方にも届いている声ですけれども、学校がもっと子供たちを受け入れてほしいという希望の声も聞いているところでございます。

 このように、全国の学校で学校独自の居場所づくりや、放課後児童クラブでの受入れなどの取組が進んでいるところでございますけれども、御家庭の事情でどうしても家で一人になってしまう子供たちを学校や放課後児童クラブがしっかりと受けとめることは大事なことだと思っております。

 しかし、今回の臨時休業の目的は、新型コロナウイルスの感染防止であると私は思っております。大事なのは、保護者が安心して仕事を休めて、日ごろすれ違いがちな我が子としっかり向き合う時間を持つことができることだと思いますけれども、この基本について改めて確認をさせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 今般の学校一斉臨時休業の要請は、今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であることを踏まえ、新型コロナウイルス感染拡大の防止の観点から実施したものであり、不要不急の外出を控え、できるだけ自宅で過ごしていただくことが重要であると考えております。

 その際、先生御指摘のとおり、保護者の方々には、例えば家庭学習等を通じて、ぜひこの機会に改めてお子様としっかり向き合っていただければと考えています。

 このため、まずは保護者の皆様にできる限り休暇をとっていただくことが重要であり、例えば厚生労働省においては、新たな助成金制度を創設することで、正規、非正規を問わず、休暇期間中の所得減少に対する手当てを行うものと承知しております。

 保護者の皆様を始め現場の皆様には大変な御負担をおかけしておりますが、文部科学省としては、関係省庁と連携しながら、政府として、休暇の取扱い、とりやすい環境を含め、円滑な臨時休業の実施に向けてしっかりと取り組んでまいります。

浮島委員 どうか、安心して親が休める体制、補償もできる体制ですけれども、関係省庁としっかりと連携をして取り組んでいただきたいと強く要請をさせていただきたいと思います。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的にするのが今回の臨時休業措置でありますけれども、この目的に逆行してしまっているような動きも見えているのが現状でございます。

 本日は、中野経済産業大臣政務官にもお越しいただいておりますけれども、月曜日、三月二日、休校になった報道を見ていますと、すし詰めになりながら、かえってクラスターになりかねない学習塾の様子、また、子供たちが密閉された空間で最も危険とされているカラオケルームでカラオケをしているとも言われているところでございます。

 これまでも経産省におきましては、これらの業界に対して、感染防止の観点から、これらのクラスターになりかねない営業の自粛を求めていると思いますけれども、今後、更に働きかけを強めていただきたいと思いますけれども、御見解をお伺いさせていただきます。

中野大臣政務官 お答え申し上げます。

 浮島先生からの御指摘も大変ごもっともでございまして、総理が全ての小中高等学校等に対し臨時休業を行うよう要請したのは、子供たちの健康、安全を第一に考え、感染拡大を防止する目的であるというふうに承知をしております。

 この趣旨を踏まえまして、例えば、先ほど例示として挙げていただきました学習塾につきましては、複数の業界団体を通じ、大人数での対面での授業など、感染拡大のおそれがある取組の自粛、あるいは授業の振りかえの対応、オンライン授業への切りかえなどの工夫を要請したところでございます。

 また、これとあわせまして、フィットネスの業界でございますとか、さまざまな業界団体にもいろいろな要請をしておるところでございます。

 全国学習塾協会や学習塾関連の三団体が所属する民間教育団体連絡協議会から、こうした要請を踏まえまして、二週間程度、対面での授業等を控えることなどの方針が今示されているところでございまして、業界独自の取組が進められているというふうに認識をしております。

 学習塾業界も、中小零細の企業が大宗を占めておりまして、経営面でのというところにも十分留意をする必要はあるんですけれども、御指摘もございましたので、今後の感染拡大の状況を注視しながら、全国学習塾協会を始めとしました業界団体としっかり密に対応を協議してまいりたいというふうに思います。

浮島委員 どうかしっかりとした働きかけをしていただくよう、よろしくお願いいたします。

 また、子供たちが日中町に出て事件や事故に巻き込まれること、これはあってはならないと私は思っております。

 実は、私自身、三月三日の日、日中でございますけれども、車で移動中に信号でとまりました。そのときに、ちょうど信号を渡ってきたのが小学校三、四年生のお姉さんと弟でしたけれども、二人が大きなアイスのカップを持っていまして、アイスクリームを食べながら横断歩道を渡ってきました。でも、全然車の往来を気にせず、また、信号がちかちかなっているのも確認をせず、気になっているのはお互いのアイスがどのくらい減っているかという、中をこうやって見ながら、そして食べながら歩いているんですけれども、非常に危ないなと思いました。その周りには誰もいません。二人だけの行動だったんです。渡り終わってからは、自分たちがどこに行くのかわからず、きょろきょろきょろきょろしている状態でした。その直後にまた、中学生、小学校高学年、また中学生の子たちが四、五人で走って、交差点のところで遊んでいるのもありました。

 私は、こういう子供たちが事件や事故に巻き込まれるのが、とても今懸念をしております。以前も、学校の登校中に女児が誘拐されてしまった等々もありましたけれども、このようなことが起きてはなりません。コミュニティースクール、地域学校協働本部や放課後子供教室にかかわっている大人たち、またPTAなどがしっかりと連携をして地域を見回って、子供たちに、感染防止の観点からおうちで過ごそうねと声をかける声かけ運動、こういうのも展開すべきだと思いますけれども、どうお考えでしょうか。

 また、それに加えまして、家庭が経済的に困難に直面している子供たちが、この休業によって厳しい環境に置き去られることはあってはなりません。また、学級の担任、休業期間中、日々子供たちと連携をとり合い、学習の生活、そして、生活面ももちろんですけれども、全ての状況を確認しながら、連絡がとれない子供については家庭訪問をするなどして子供たちの状況を今把握してくださっていると思います。

 それを踏まえまして、個別の子供たちの状況に応じたケアが必要だと私は思っております。児童生徒の相談体制、この臨時休業期間中だからこそしっかりと充実をさせ、また、忘れてはならないのは、要保護児童生徒に対して、この生徒さんたち、子供たちに対しても、関係機関と密に連携し、必要な支援を行うべきと思いますけれども、見解をお伺いさせていただきたいと思います。

浅田政府参考人 臨時休業中の児童生徒の外出については、三月四日付で、文部科学省から都道府県教育委員会等に対して留意事項をお示ししています。

 その中で、児童生徒が犯罪や事故に巻き込まれないように、自治会や警察機関等との情報の共有や地域のパトロール等を行う保護者や地域住民、スクールガードリーダー等との連携協力など、地域等と連携した対応についても挙げているところです。

 PTAの全国団体である公益社団法人日本PTA全国協議会、一般社団法人全国高等学校PTA連合会、全国国立学校附属PTA連合会に対しても、文部科学省から、今回の一斉臨時休業中の子供たちに対する家庭での適切な指導や地域における子供たちの見守り等について、改めて協力の呼びかけをお願いしたところです。

 これを受けて、例えば、日本PTA全国協議会では、ホームページやメール等を活用して、都道府県等のPTA協議会に対して取組の呼びかけを行っていただいているところであります。

 加えて、児童生徒に対する相談等による支援につきましては、令和二年三月四日付の事務連絡において、文部科学省から都道府県教育委員会等に対して、臨時休業に伴い自宅で過ごす児童生徒や保護者との連携を密にし、ストレス等の問題等に関して、二十四時間SOSダイヤル等の相談窓口を適宜周知するとともに、必要に応じて養護教諭やスクールカウンセラー等による支援を行うよう依頼したところであります。

 また、在宅時間が大幅に増加することも踏まえて、虐待を受けた子供など要保護児童については、スクールソーシャルワーカー等を活用するなどして関係機関と緊密に連携し、必要な支援を行うよう依頼もしたところであります。

 今後とも、学校、家庭、地域の関係者が連携協力して、社会全体で子供たちの健やかな育ちを支え、子供たちが健康、安全に過ごせるように取り組んでまいります。

浮島委員 ぜひとも、個々の子供たちの状況に応じたケアが必要だと思いますので、関係機関ともしっかり連携をとって、よろしくお願い申し上げます。

 むしろ、私は、この期間中に、子供たちには、ふだんできない読書や、これまでの学習の復習、自分の興味、関心に基づいた探求活動を行うチャンスであると思ってもらいたいし、そのような働きかけを我々大人がすべきだと思っております。次代を担う子供たちにとって大切な力は、人から言われた学びを言われたとおりに進めるのではなくて、自分で自分の今の学び、状況を客観的に把握して、これらの自分の学びをデザインする力、それを育む絶好のチャンス、この機会が求められているところだと思います。

 そんな学びを支援するために、文科省は、ホームページに、臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト、子供の学び応援サイトをアップしたと思います。

 東北で復興支援にも取り組んでいるNPOのカタリバ、このカタリバオンラインを三月四日にスタートされているところでございますけれども、このカタリバオンラインでは、朝と夕にウエブ会議Zoomを使って、子供たちがきょうの自分の学びの計画を自分で決めてみんなに話す、そして、いわばこれはネット上の朝の会、帰りの会をしているところでございますけれども、子供たちが自分で自分の学びをデザインする力、これを支えているところでございます。

 このような取組とともに、子供たちが自宅で学習したり、読書をしたり、安全な運動をしたりするために、各学校で既にさまざまな工夫や取組が進められていると承知をしています。

 例えば、横浜市の鴨居中学校では、朝会をネットで中継し、子供たちとのコミュニケーションを図っていると伺っています。また、熊本市の教育委員会のホームページでは教材やドリルなどがアップされていて、家庭で大いに活用されていると聞いているところです。

 このようなさまざまな工夫やアイデアを集めて積極的に発信し、横展開していくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

丸山(洋)政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の学校の臨時休業でございますけれども、現在、各都道府県の大多数の小中高等学校、特別支援学校、高等専修学校の各設置者において実施をされているところでございます。

 その上で、委員御指摘の学びの支援についてでありますが、児童生徒への学習指導のあり方や、保護者が休みをとることができない場合の受皿の確保方策を始め、臨時休業の形態等については、児童生徒の学習状況、御家庭の状況など、地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者においてさまざまな工夫がなされているものと承知をいたしております。

 このため、文部科学省としては、例えば警察と連携した子供の見守り体制の強化や、閉館をしている図書館を利用した子供の居場所の確保、また、ICTを活用した遠隔での健康観察や学習成果の確認など、各自治体、学校において取り組んでいるさまざまな事例をわかりやすく紹介するための資料を、本日、六日中に公表し、積極的に発信、周知をしてまいりたいと考えております。

 文部科学省としては、今般の臨時休業の要請に御協力をいただいている自治体や学校の皆様をできる限りお支えができるように、関係省庁とも連携をしながら取り組んでまいりたいと考えております。

浮島委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 また、この臨時休業のときこそ、子供たちをゲームやSNSのチャットから取り戻し、文字、活字文化、読書に親しむ最大のチャンスだと私は思っております。公立図書館や学校図書館に子供たちが長時間集まってクラスターになることは避けなければなりませんけれども、私の知っている方でも、先日、子供たちを連れて本を一人十数冊借りてきた、子供も、この休みの間にしっかりと本を読みたいということもありました。

 この図書館ですけれども、完全に閉館するのではなくて、図書の貸出しはむしろ積極的に行ったり、図書館側から子供たちに、この本がいいよというお勧めの図書を発信したりすることが極めて私は大切だと思っております。文科省としてしっかりこれを働きかけていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

浅田政府参考人 学校の臨時休業中の図書館の対応につきましては、全国約二千二百の図書館、学校図書館等が加入する公益社団法人日本図書館協会が、二月二十八日に「新型コロナウイルス感染症による学校休校に係る図書館の対応について」というお知らせを公表しております。

 そこでは、学校が休校になった場合、児童生徒が図書館などを訪れる可能性は高いと思われますとして、各図書館、学校図書館におかれては、自治体、教育委員会、設置母体等と密接に情報交換、協議をして歩調を合わせ、それぞれの地域の状況に適した、感染拡大を防ぐ対応を図っていただきたいとしております。

 各図書館の取組の例としましても、例えば、一人当たりの貸出冊数を通常よりもふやしたり、あるいは、図書館としては休館なんだけれども、あらかじめ予約した本の貸出しやレファレンスサービスは行うとしたり、さらに、子供たちの読書活動を支援するために、地域によっては図書をバスで自宅まで届ける取組とか、それから、学校におきましても、自宅で過ごすことが難しい子供に対して図書館などを自主学習スペースとして提供したりする例も承知をしているところでございます。

 文部科学省としましても、三月二日に子供たちの学習支援の一助として開設した子供の学び応援サイト、ここにおきまして、公益社団法人全国学校図書館協議会の選定図書を始めとして、関係団体のお勧めの図書などの情報も掲載して子供たちの情報活動の参考に供することとしております。

浮島委員 ぜひとも、子供たちがこの期間にしっかりと本に触れるということをつくっていただきたいと思います。

 また、子供たちが本に親しむことによって、次の段階で、私はビブリオバトル、これもしっかりと広げていきたいと思っておりますので、ぜひとも文科省として積極的に広げていただきたいと思います。

 また、日本の学校は、子供たちの学びと生活に強い責任感を持っております。だからこそ、今回の臨時休業措置により、基本的には保護者が安心して仕事を休み、子供と自宅で過ごすことを前提としつつ、家庭の事情でどうしても子供が日中家で一人になってしまう場合、学校で預かったり放課後児童クラブの業務に教職員がかかわったりしてでも子供たちを支えていようと今していただいているところでもございます。

 臨時休業というと、私も地元に帰って、臨時休業、臨時休校、どう違うのと言われたんですけれども、臨時休業と言われてしまうと、言われたのは、学校の職員は休んでいるのではないかということも聞きました。

 でも、学校の学級担任は、日々子供たちと電話で連絡をとったり家庭訪問などをしたりして、子供たちの学習面はもちろんのこと、生活面の状況をしっかりと把握しようと必死に今取り組んでいただいておるところでございます。

 そんな取組と同時に、家で一人になってしまう子供を学校独自に設けた居場所や放課後児童クラブで支援するためには、教師だけではなくて、栄養教諭や学校栄養職員、養護教諭、また事務職員、コミュニティースクールや地域学校協働本部、また放課後子供教室に携わっている地域の大人などが立場を超えて、これは今回は総力戦で当たらなければならないと考えております。

 特定の学校や教師に業務が集中することのないよう教育委員会や学校がマンパワーを適切に配置し、役割分担と連携を図ることが大切でありますけれども、文科省としてこれらをどう支援していくのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

丸山(洋)政府参考人 今回の臨時休業に当たっては、まずは子供たちが自宅で学習ができるような環境整備が重要であり、保護者の皆様にもできる限り休暇を取得いただくなどの御協力が必要となります。

 その上で、保護者が休めない場合など、必要な場合には、放課後児童クラブなどの業務に教師が携わることや、学校において子供を預かることによる子供の居場所の確保を各自治体にお願いをしているところであります。

 他方で、浮島委員御指摘のとおりでありますが、学校が臨時休業中であっても、教師の業務として、学年末の学習の評価や通知表、指導要録の作成、次年度の準備などを始めとする、通常学年末に行っている業務に加えて、臨時休業により、子供たちとの電話によるコミュニケーションや家庭訪問、未学習の部分の補習方法の検討や教材作成等の新たな業務が想定をされます。

 そのため、教師が放課後児童クラブの支援に従事する場合を含め、臨時休業中の業務については、例えば、学年末に関連する業務負担が大きい学級担任以外の教師、養護教諭、栄養教諭、学校栄養職員などで対応するなど、個々の教職員の業務負担を踏まえた上で適切に役割分担を図っていただきたいと考えており、三月二日に厚生労働省と連名で関係の通知を発出し、指導を行ったところであります。

 また、これに加え、臨時休業中の子供の居場所確保については、地域住民等の参画を得て行う放課後子供教室の活用など、地域や学校の実情に応じ、感染防止の措置を講じた上での柔軟な対応をお願いしております。

 文部科学省としても、児童生徒の学びや生活を支えるための支援として、公立学校における教員の加配や学習指導員などの配置に必要な支援を行うこととしており、これらの支援と、学校における、教諭や栄養教諭、学校栄養職員といった、立場を超えた教職員の再配置により、特定の学校や教師に負担が集中することのないように取り組んでまいりたいと考えております。

浮島委員 今回の臨時休業の措置に伴いまして、先ほど城井委員から、また馳委員からも御質問ありましたけれども、学校給食がなくなることによって、既に購入していた食品で廃棄せざるを得ないものが出てしまったり、また購入を予定した食品をキャンセルする事態が生じたり、保護者、教育委員会、関係事業者等に負担が生じております。

 このような事態に対して、しっかりと関係省庁と連携をしながら対応すべきだと思いますけれども、文科省としての御見解をお伺いしたいと思います。

丸山(洋)政府参考人 全国一斉の臨時休業を要請するに当たりまして、新型コロナ感染症対策本部におきまして、こうした措置に伴って生じるさまざまな課題に対しては政府として責任を持って対応することが表明をされております。

 学校給食費、いわゆる食材費相当については、これまでは、休業決定後一日から二日分は保護者が負担をし、それ以降については学校設置者あるいは食品納入業者等が負担をしているのが通例でございます。

 しかしながら、今回の長期にわたる臨時休業により学校給食が実施されないことによって保護者、教育委員会、事業者等に生じる負担については、各自治体等の対応状況も注視をしつつ、現在、政府として、予備費の活用による緊急対応策の取りまとめを行っているところであります。

 これらの活用も含めまして、今後どのように支援ができるのか、しっかりと関係省庁と連携をしながら検討を進めていきたいと考えております。

浮島委員 今回の臨時休業の措置は、これまで学校や社会が経験したことのない未曽有の事態だと思っております。しっかりと関係省庁とも連携をしながら対応していただきたいと思います。

 また、給食もそうですけれども、今、修学旅行がキャンセルになってしまって大変困っているというお声もいただいておりますので、この観点からもしっかりと取り組んでいただきたいと再度お願いをさせていただきたいと思います。

 次に、ちょっと質問の順番をかえさせていただきまして、わいせつ行為を行った教師を二度と教壇に立たせない、教員免許法の改正についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は、臨時国会において、昨年ですけれども、十月三十日、児童生徒に対するわいせつ行為を行った教師を二度と教壇に立たせないための教員免許法改正について質問をさせていただき、萩生田大臣からは、児童生徒を守り育てる立場にある教師が児童生徒に対してわいせつな行為を行うことはあってはならないことです、教師として適正な資質、能力を持つ者のみが教壇に立つような採用、免許や人事管理のあり方に関して、法制上考慮すべき論点も含めて、専門家の意見を聞きつつ検討してまいりますという前向きな答弁をいただいたところでございます。

 しかし、その後、もう約四カ月たっておりますけれども、文部科学省が公表した平成三十年度の公立学校の教職員の人事行政状況調査におきましては、平成三十年度、わいせつ行為による懲戒処分を受けた職員は二百八十二人、前年度よりも七十二人増加をしています。過去最悪となっているところでございます。しかも、この二百八十二人のうち、勤務校の児童生徒や、勤務校の卒業生、また十八歳未満の者に対するわいせつ行為で処分されたのは百八十一人、全体の三分の二に及んでいるところでございます。

 この絶対に許せない教員を再び教壇に立たせることがないよう、教職免許法改正を行うことは喫緊の課題だと私は思っております。

 昨年十月三十日の委員会において前向きな御答弁をいただいたところでございますけれども、あれから約四カ月を経過しておりますけれども、現在の状況を教えてください。

浅田政府参考人 大変大きな課題だと認識をしております。

 御存じのとおり、現行の制度では、教員が懲戒免職処分や分限免職処分を受けて免許状が失効するわけですが、そこから三年を経過した場合、あるいは、禁錮以上の刑の執行を終わった者が罰金以上の刑に処せられずに十年を経過した場合には、これは刑法の規定によって刑の言渡しの効力が失われますので、教育職員免許法第五条に基づいて、所定の単位の修得と学位の書面を提示することによって、また新たに免許状の授与を受けることができるということになります。

 この点、児童生徒に対するわいせつ行為等を原因として懲戒処分等を受けた者に対する、より厳格な対応のあり方について、省内に事務的な検討体制をつくった上で、例えば医師や保育士等のほかの制度の例なども参考にしつつ、法制上の課題等も含めて、現在検討を進めているところでございます。

浮島委員 私は、一人の政治家としても、本来であれば、この通常国会に、内閣として教員免許法改正を提出してもおかしくないぐらいの喫緊の課題だと思っているところでございます。そこで、今の浅田局長の答弁に私は非常に不満があります。

 そこで、女性の尊厳を守り抜く取組をされてこられた、弁護士でもある佐々木政務官にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、この教員免許の改正は、子供たちが二度とこのような被害を受けることがないようにするため、一刻の猶予も許されないことだと私は思います。文部科学省の政務三役が代表となって、事務方に任せるのではなくて、リーダーシップを発揮して法改正の道筋をつけてもらいたいと思いますけれども、佐々木政務官の決意を聞かせてください。

佐々木(さ)大臣政務官 児童生徒を守り育てる立場にある教師が児童生徒に対してわいせつ行為を行うということは、決してあってはならないことであると思っております。本来信頼すべき立場の教師からそのような被害を受けた児童生徒の深い心の傷を思えば、子供たちを守るために喫緊の課題として取り組んでいかなければならない問題であるというふうに思っております。

 文部科学省としては、各教育委員会に対して、児童生徒に対するわいせつ行為等については原則として懲戒免職とするなど、厳正な対応をするよう指導を行うなどの取組をこれまでも行ってきたところではございますが、依然として、この問題への対応は大きな課題と認識をしております。

 そこで、過去に子供へのわいせつ行為などを原因として懲戒処分等を受けた者に対する教員免許状の管理や、教員の採用、人事管理等のあり方についてより厳しく見直していくべく、法改正を含めまして、私としても、先頭に立って、全力でこの課題について検討を進めてまいる決意でございます。

浮島委員 ぜひともリーダーシップを発揮して進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

橘委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 立国社共同会派、社民党の吉川元です。

 私からも、最初に新型コロナウイルス、とりわけ学校の臨時休業についてお聞きします。

 二十五日、政府の対策本部の基本方針が策定をされましたが、そこには全国一斉の臨時休業は一切触れられておりません。その二日後に総理から発表があったわけでありますが、総理は、二十八日の財務金融委員会で、二日間で方針が変わったことについて、もう一両日、さまざまなことについて詰める必要があった、こういうふうに答弁をされておられます。

 この答弁を見る限り、二日間で詰める必要があったということは、つまり、二十五日の基本方針の発表の際に、既に総理の頭の中には全国一斉の臨時休業が想定をされていた、選択肢としてあったというふうにも思われるわけです。一方、萩生田大臣の会見をホームページでも見せていただきましたけれども、大臣自身はそのようには想定はされていなかったというふうにも感じております。

 先ほど、他の委員から質問があって、二十七日の日にはいろいろなお話があった、お話をしたということでございますから、それはもう結構ですが、二十五日の後の一両日ということは、つまり二十六日の日、この時点では総理とは何かしらの意思疎通あるいはいろいろな指示等々はあったかどうか、この点についていかがですか。

萩生田国務大臣 全国一斉休業につきましては、文科省内での検討はもちろんのこと、関係省庁での検討の場におきまして確かに二月の二十七日以前からそういう議論は行われており、その議論の状況については報告を受けておりました。しかしながら、本件について、二月二十六日には、私、総理とも打合せもお話もしておりません。

吉川(元)委員 今回、この一斉の臨時休業というのは、全国各地でいろいろな混乱、そして困惑、あるいは問題等々が発生をしております。

 そういう意味でいうと、非常に社会的にインパクトのある話であって、総理の話を聞くと、もう二十五日の段階から頭の中にあったんだ。だとすれば、二十七日の発表の直前に文科省、大臣を含めて話をするんじゃなくて、これは、その終わった段階から、仮にこうした場合どうなるのか、何が課題になるのかということは、もう二十六日の日から、あるいは二十五日のこの基本方針の後からやはり議論をしなければいけなかったのではないかということを私は指摘させていただきます。

 それと、もう一点。二十九日の会見でありますけれども、総理は、これから一、二週間が急速な拡大に進むのか終息できるかの瀬戸際になるということで、三月二日から春休みに入るまでの期間について臨時休業を要請した、こういう形で説明をされておられます。

 よく理解できないのは、三月の二日から二週間ということになれば三月の十六日になりますし、政府の専門家会議が一、二週間、まさに専門家会議で一、二週間が瀬戸際という見解を出したのは二月の二十四日であります。ここを起点にすれば、二週間というのは三月の九日になるわけです。萩生田大臣も、前日二十六日のイベントの自粛要請については、一、二週間というのは三月十五日くらいまでが一つの目安というふうにも萩生田大臣自身が述べておられます。

 総理がここ一、二週間が瀬戸際と繰り返せば繰り返すほど、それがなぜ春休みまでの期間になるのか、この疑問が消えないわけですが、大臣、総理が要請を公表する前に休校期間についての詰めはしていなかったのでしょうか。

萩生田国務大臣 期間につきましては、三月二日から実施をしたいということは、了解といいますか承知をしておりました。

 私は、さまざまな意見具申の中で、スポーツイベントが、今先生も御指摘をされましたように、その前の要請で約二週間ということを申し上げておりましたので、さまざまな専門家の御意見もこの二週間が分岐点だということなので、まずはその二週間を一つの目安にした方がいいのではないかという思いがもともとございましたので、そういうことも途中の話合いの中ではしたんですけれども、最終的には春休みという表現になりました。

 この春休み前までというのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、小学生、中学生、高校生によって春休みの起点が異なりますので、結果として期間が異なるということにもなります。そこは、政府として要請ベースでお願いするときに、やはり自治体にある程度裁量権を残したいという思いが、直接聞いたわけじゃないので、推測で物を言っちゃいけないんですけれども、そういう中で幅を少し持たせて、そして自治体の皆さんの裁量権に決定を委ねたというところがあったと思います。

 といいますのは、さっきお話がありましたように、二十七日に発表して、二十八日が正式に行政文書を発出して、三月二日といいますと中二日しか、二十八日も入れれば三日間しか準備期間がない。しかも、土日を挟んでいますから、学校の開放日は一日しかないということなので、果たして三月二日からスタートできるかというのはやや疑問がございました。

 したがって、そういう幅の中で、スタート時点も含めて自治体の決定というものを尊重していくということが文科省の基本の姿勢でありましたので、発表前まで、政府の会議の前まで、最終的な期間について詰めは承知をしておりませんでした。

吉川(元)委員 総理の会見を見ていると、春休みまでとはっきりおっしゃっているんですよね。一、二週間ないしは春休みまでというような言い方はされていないわけで、そういう意味でいうと、今大臣が幅を持たせるというふうにおっしゃられましたけれども、これは幅になっていないんじゃないかというふうに私は思います。

 それからあと、二十八日、実際に各教育委員会を含めて要請が届くわけですけれども、土日、つまり、もうその一日が最終日になるわけです、二十八日が。二日からスタートということは、二日がスタートで、その前段で最後の何かができるとすれば二十八日しかないわけで、この点もやはり猶予期間が全くない中で行われてしまったというふうに思います。

 なぜ一、二週間にこだわるかというと、総理の会見を見ておりますと、非常にわかりづらいんですけれども、先ほど他の委員からも少し指摘があったかというふうに思いますが、ここ一、二週間が瀬戸際という言い方をすると同時に、子供の健康、安全が第一ということも強調をされておられます。

 これは一体、もちろん重なる部分はあるんですけれども、今回の臨時休業の目的がどこにあるのか。いわゆる学校でクラスターとして感染が拡大するということを防ぐためにやっていることなのか、それとも、子供がそもそも今回の新型コロナに感染をさせないためにやっていることなのか、これが総理の会見を聞いていてもよくわからないというふうに感じます。

 なぜこんなことを聞くかというと、これも他の委員から指摘がございましたけれども、今度休校を、休業をやめる、つまり学校を再開するときのタイミング、これがいつになるのか。

 瀬戸際の一、二週間を過ぎれば、当然、その後は順次休業をやめて学校を再開していくということになりますけれども、仮にそうではないとすれば、恐らくこれからPCR検査を、総理の言葉をかりれば、全ての患者の皆さんが受けることができる十分な検査能力を確保する、こういうふうにおっしゃっているわけで、そうしますと、検査をすれば、当然、感染をされた患者の方が生まれてまいります。恐らくこれはこの後も生まれてくるだろうというふうに思います。四月以降どうなるかというのは、これは予断を許さないところでありますけれども、通常考えれば、四月になった途端に患者が全く出なくなるということはちょっと想像しにくい。

 そうなりますと、先ほど大臣は、今回の決定について少し難色を示したり異論を唱えた自治体でも患者が発生をした、だから判断は正しかったみたいな言い方をされましたけれども、四月以降も同様のことは起こり得るわけです。だとするならば、これは学校を再開するめどというのが全く立たなくなるんじゃないか。

 その点でいうと、臨時休業の措置を解除するに当たっての基準、そもそもなぜ休業したのかの出発点からして曖昧である以上、この基準をはっきり示していただかないと、自治体も、教育委員会、学校も含めて四月以降も混乱が続くということになりますが、この点いかがですか。

萩生田国務大臣 まず、先ほど他の自治体の例を示して、私、別に政府の判断が正しかったということを強調しようと思って言ったんじゃなくて、各自治体の皆さんの意識が変わったということを申し上げたかったんです。

 すなわち、県内に全く感染者がいなかったときのこの話題への取組と現在では、地元から上がってくる声というのは随分変わってきましたので、そういうことを申し上げたので、決して、前もってやったら結果患者さんが出たから、ほら見ろ、正しかったんだなんということを言うつもりはございませんので、そこは御理解いただきたいと思います。

 今般の学校の一斉臨時休業の要請は、今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であることを踏まえ、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクをあらかじめ抑える観点から行ったものです。

 文科省としては、児童生徒等への感染拡大の防止、臨時休業中の児童生徒への学習支援、保護者が休みをとることができない子供の居場所の確保など、取組を関係機関とも連携しつつ全力で進めているところです。

 当面は、円滑な臨時休業の実施を通じて感染拡大防止に全力を尽くすことが最も重要でありますが、臨時休業後の対応について、今後の各地域における感染の状況や専門的な知見を踏まえつつ検討してまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 専門的知見ということですけれども、そもそも臨時休業に入る際に、全国一斉で臨時休業に入るときには専門家の知見は全く生かされていないわけでありまして、出口のところは専門家の知見をというふうに言われると、非常に私も違和感を感じます。

 そして、例えば、これは自治体等々によって若干違いはあると思うんですけれども、通常のインフルエンザの場合には、クラスの二〇%ないし三〇%程度が欠席をした場合には学級閉鎖になる、そして、複数の学級が閉鎖になった場合には学年閉鎖になる、複数の学年が閉鎖になった場合には学校閉鎖になる、こういう手順を踏みながら学校の休業というのは行われるわけです。二〇〇九年の新型インフルエンザの際に、これは少し病原性も含めてあるので、東京都のホームページを見ますと、二〇%ではなくて一〇%で学級閉鎖という形になっているわけです。

 今回見ますと、学校の中では当然発生していないですし、県内でも発生をしていないというようなところも含めて全国一斉というのが、私はどうしても、これが専門的知見に基づいた対策だったとは到底思えないというふうに思います。

 あと、もう一点ですけれども、これも他の委員が少し質問されておられたかというふうに思いますけれども、春休みに入る前、三月の半ばに学校を一旦再開することは可能かというふうに二十八日の会見で大臣は問われて、合理的な説明ができる環境であればというようなことを言われておられました。先ほど離島の例等々は出されておられますけれども、離島じゃないところも三月十五日まで、例えば横浜市は十六日から学校を再開する予定だというふうにも言われております。

 大臣としては、合理的かどうか、合理的な説明ができる環境にあればということですけれども、これは合理的というふうに理解されているんでしょうか。

萩生田国務大臣 そもそも国には、設置者が設置をした学校の閉鎖をすることも、休業を決めることもできません。ですから、私、別に地方任せにするという意味で言っているのではなくて、もともと日本の地方教育行政の仕組みの中で、総理は確かに大きな方針は示しました、この危機を皆さんと共有していただくために、少し大きなインパクトな発言だったと思います。しかし、実際には、二十八日に発出をした文部科学省の行政文書が地方教育委員会あるいは私立の学校設置者にとっての唯一の指針だと私は思っています。

 がゆえに、我々としては、原則はやはり設置者の皆さんにその権限と判断基準があるというふうに思っていますので、合理的な説明という私の言葉がわかりづらいとすれば、ここは各設置者の判断で、尊重したいと思っています。

 ただし、その際には、じゃ何でもいいのかといったら、これはもう無責任な話ですから、そうではなくて、やはり、この間のいろいろなさまざまな知恵の中で感染予防対策などを講じていただくこと、それから、引き続き、やめるとなった判断のときに、各自治体や学校で状況が当然違うと思いますけれども、そのときに、十分恐れを持って、こうなった場合はどうする、こういう場合はどうするということのシミュレーションは各自治体で共有していただいて、その上での判断を尊重したいと思っています。

吉川(元)委員 これは、先ほどの学校の再開の時期の基準ともかかわる話なんですよ。

 もともと、各地方教育委員会を含めまして、先ほども東京都の例を示しましたけれども、基準を持っているんですよ。例えば、通常のインフルエンザであれば、クラスの二〇%がインフルエンザに罹患して休んでいる、その状況では学級閉鎖、そして新型インフルの場合は一〇%、こういうふうな基準をそれぞれ持っているわけです。

 ところが、今回は、そんな基準を全部見ることなく、一気に全国を一斉休業にした。そうすると、基準が全部ないんですよ。合理的な説明と言われたって、あるいは、しっかり対策を打ってくださいと言われても、自治体や地方の教育委員会からすると、我々はもともと基準を持っていたけれども、それを全く無視した形で国から要請があって、それに従って休業したけれども、じゃ、いつからあけるのか、これは全くわからない。

 では、例えば、もともとあるインフルエンザだとか新型インフルを含めた基準でもって再開をしましょうということになるのか、ならないのか。これも恐らく、大臣に聞けば、各教育委員会等々で御判断いただくものだというふうな答弁になろうかと思いますけれども、とにかく、最初のところが、その基準について全く、全部それを乗り越えて、飛び越えてやってしまった。

 そうしますと、やはり国としての責任というのは考えなきゃいけないと思いますよ。出口は自分たちで考えてくれというのは余りに無責任ですし、そういう意味でいうと、さっき言った、もともと持っているインフルエンザや新型インフルエンザ、今回の新型コロナがどの程度の病原性を持っていたりとか、あるいはどの程度の感染力があるか、これはよくわからない部分がまだたくさん残っているということはありますから、ただし、それぞれが持っている基準と照らし合わせてやっていくしかなくなるわけですよ。

 そうしたら、何で三月二日から休校したんですか、休業したんですかと、今度そこに問題が戻っちゃうわけで、そういう意味でいうと、もちろんこれは、地方教育行政上、国が決めることではありませんし、命令できるような話ではありませんけれども、しょっぱなでそれをやったということについて深く考えて、きちんと自治体に対する助言を含めてやっていただきたいというふうに思います。

 余り時間がないので、次に移っていきたいと思います。

 次は、今回は小中高、特別支援学校ということで要請がされたわけですけれども、まず、専修学校、各種学校、そして学習塾などに対しては何らかの要請はされたのでしょうか。この点いかがですか。

浅田政府参考人 専修学校、各種学校についてお答えをさせていただきます。

 高等学校段階の後期中等教育機関である専修学校高等課程については、小中高等学校等と同様に、設置者に対して全国一斉の臨時休業を要請いたしております。一方、高等教育機関である専修学校専門課程、それから入学資格を問わない一般課程、また各種学校については要請の対象とはしておりませんが、都道府県等を通じて当該要請の通知を情報提供しております。

 以上でございます。

吉川(元)委員 特にされていないということであります。

 先ほど、馳委員からも質問で、日本語学校も、いわゆる要請は何も……(発言する者あり)日本語教育機関、まあ日本語学校も含むということでいいんだと思いますが、されていないということでありましたが、関連性をちょっと私からもお聞きしたいんです。

 これは法務省になると思いますが、告示基準を設定して、例えば、日本語学校の場合、教育課程では、一年当たりの授業時間が三十五週にわたること、それから一年当たりの授業時数が七百六十単位以上であること、これが告示基準に定められています。また、生徒については、その在籍管理として、例えば一カ月の出席率が五割を下回った生徒については地方入国管理局に報告義務が課せられております。

 今回の新型コロナウイルス対策によって例えば休校措置等々をとった場合に、今挙げたような要件を満たさなくなる可能性もあるわけですけれども、これについてはどのように対応されますか。

丸山(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため臨時休業を実施している日本語教育機関があることは承知しております。

 日本語教育機関が休業する場合は、休業期間を補うための措置を講じていただくことが基本ではございますが、その上で、結果として今御指摘のありましたような告示基準に定める規定を満たさないこととなっても、直ちに告示基準不適合とはみなさないこととしておりまして、その点は法務省のホームページの方でQアンドAという形で公表しているところでございます。

 また、出席の点でございますが、こちらも、今回のような場合ですと、疾病その他のやむを得ない事由に該当するということに整理させていただきたいと思っておりまして、その点も法務省のホームページ等で公表しているところでございます。

吉川(元)委員 後ほどまた詳しく質問いたしますが、日本語学校の場合、非常勤、非正規の教員が圧倒的に多いというふうに聞いております。聞くところによりますと、休校期間中も、常勤の講師については出勤をして授業準備などをしているケースが多いのに対して、非常勤講師の方々については自宅待機あるいは自宅作業を命じられるケースが多いということであります。

 日本語学校の場合、これは私は問題だと思うんですけれども、受け持った授業一こま当たり、給与単価が設定をされて、持ったこま数掛ける単価で賃金が支払われる。そうしますと、自宅待機あるいは自宅作業になってしまいますと、教壇に立っていないわけですから無給になってしまう可能性があり、また、現にそのようなケースが多数発生をしている。ある方に聞きますと、話を聞いたうち七割ぐらいは無給になっているというようなお話も伺います。政府の新型コロナ対策に関連して休業措置をとりながら無給扱いにする、これは結局、弱い人にしわ寄せをしているというふうに言わざるを得ません。

 これは厚労省になろうかというふうに思いますけれども、日本語学校の休校に伴い、休業や自宅待機、あるいは給与支給の対象外になりかねない自宅作業を余儀なくされる非常勤講師に対する休業補償、賃金補償はどのようにされるべきだというふうに考えていらっしゃいますか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の日本語学校で働く非常勤職員についても、労働基準法上の労働者に該当する場合は労働基準法第二十六条の対象となりまして、使用者の責に帰すべき事由により休業させた場合は、使用者は、当該労働者に平均賃金の百分の六十以上の休業手当を支払う必要があるということとなっておるところでございます。

 今般の新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合における欠勤の取扱いにつきましては、こういうような規定のところ、あるいはそれを上回る部分も含めまして労使で話し合っていただいて、労使が協力して、労働者が安心して休業できる体制を整えていただきたいというふうに考えているところでございます。

 厚生労働省としては、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、雇用調整助成金の特例措置の対象をこの感染症の影響を受ける全ての事業主に拡大したということに加えまして、雇用保険の被保険者期間が六カ月未満の労働者も助成対象とするなどの要件緩和を講じてきているところでございます。

 この助成金を活用することにより、休業手当等を支払っていただく事業主の方々を積極的に支援してまいりたい、そのように考えているところでございます。

吉川(元)委員 労基法の二十六条、使用者の責に帰する場合は百分の六十以上の休業手当、こういうのが適用される、あるいは労使で話し合ってということであります。

 実は、やはり日本語学校の非常勤の方々の処遇というのは非常に低い状況にありますし、後ほど詳しく話しますけれども、なかなか果たして労使の間だけでそういうふうになっていくのか、非常に私は不安を感じますので、ぜひ厚生労働省あるいは労働基準局として、しっかりその点は目くばせをしていただきたいというふうに思います。

 今ほど言いましたとおり、非常に非正規の割合が高いということ、これはたしか文化庁が調査をされているということでありますので、文化庁にお尋ねしますが、いわゆる告示された日本語学校、告示校というふうに言われるそうですけれども、告示校の数と、それからそこで働く常勤の教師と非常勤の教師、その把握している数について教えてください。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省に告示された日本語教育機関の数につきましては、令和二年二月現在で八百三機関となってございます。

 また、勤務する常勤教師、非常勤教師の数につきましては、私どもの調査によりますと、調査時点である平成三十年十一月現在、日本語教育機関七百八機関を調査対象といたしまして、五百六機関から回答がございました。そこでは、勤務する常勤教師数は三千三百十九人、非常勤教師数は七千九十六人となっておりまして、合計一万四百十五人でございます。

吉川(元)委員 つまり、約七割の方がいわゆる不安定な雇用の状態にあるというのが今の日本語学校の、これはいわゆる告示された、つまり告示基準に適合した日本語学校がそうなっているということだというふうに思います。

 その賃金、労働条件は大変劣悪なんですが、ちょっと大臣に、これは所管ではないということになろうかと思いますけれども、ぜひお尋ねしたいといいますか、もし御存じならということなんですけれども、ことしの一月に、都内の日本語学校に対し、非常勤講師の労働条件に関して是正勧告と指導票が交付をされております。大臣、この案件については御存じでしょうか。

萩生田国務大臣 報道があったことは承知しておりますが、事案の詳細はわかりません。

吉川(元)委員 この一月の労基署からの是正勧告それから指導票の交付なんですけれども、どういうことが是正勧告をされたか。

 是正勧告は三つされております。一つは、職員の過半数代表選挙をせずに就業規則を提出した。これは労基法の九十条違反であります。それから、先ほど言いましたように、こまでお金を決めて、持ったこま数で賃金を払う、つまり、授業準備等々は全部入れないという、このこま給の附帯業務を含めている可能性について、これも是正勧告が出されております。これは労基法の十五条違反です。それから、勤怠管理をしていない、つまり労働時間管理をしていない、これも是正勧告として出されています。

 それから、指導票の交付としては、例えば遠足時に三千円の手当しか支払っていない。実際には労働であるにもかかわらず、三千円しか支払っていないのではないか、労働なのではないかということでの指導票の交付。それから、これは先ほどの是正勧告と同じあれですけれども、勤怠管理とあわせて非常勤講師の労働実態をきちんと把握しなさい、こういう指導票が交付をされております。

 この日本語学校ですけれども、国内では老舗の最大手に位置する学校だというふうに聞いております。常勤講師については、みなし残業代月四十時間込みで月額の給与ということになっておりますが、非常勤講師の場合は、一こま四十五分で、単価は千八百七十円ということになっております。ここには、先ほど言いましたとおり、授業準備でありますとかそういった附帯業務まで組み込まれておりますし、また、遠足や学校主催の勉強会も本給なしの手当だけ、先ほどは三千円ということでありましたが。そして、社会保険なし、ボーナスなし、退職金なし。これはないない尽くしなわけです。

 お話を伺った方に聞きますと、ほぼフルタイムで働いている。フルタイムの非常勤というのは形容矛盾のような気もいたしますが、その方の源泉徴収票を見せていただきましたところ、その金額、百六十四万三千八百十円です。これは、ほぼフルタイムですから、恐らく年間の総労働時間千八百時間は優に超えているんだろう。当然、超勤も、超勤といいますか、いわゆる超勤手当の出ない超勤ということになりますけれども、そういうことも含めて、土日も遠足に行ったりしておりますから千八百時間を超えていると思いますが、仮に千八百時間としても、東京都の最賃が千円を超えていますから、それ以下になっているということであります。

 もちろん、これは大臣の所管外だと思いますけれども、外国人に対する日本語教育が、非常に劣悪な、七割の方がそういう状況だと。最大手でこうですから、そうじゃないところについてはどうなのかというのは、私もちょっと想像すると恐ろしくなるんですけれども、この点について、大臣、どのようにお感じになられますか。

萩生田国務大臣 新たな在留資格の創設等によって、我が国の在留外国人の数は現在二百八十万人を超え、過去最高を更新して増加傾向にあって、日本語教育に対するニーズが高まっていると思っております。

 こうした中で、日本語教育の充実を図るためには、一般論としてでありますけれども、日本語教育機関の教師の労働環境の充実、また質のよさも重要だと思っております。

 御案内のとおり、日本語教師の資格をつくろうということで、今、文化庁の方で準備をしております。今までは、何となく基準がなくて、日本語学校というのが存在していたんですけれども、これからは、やはり中身も含めてしっかり外からも評価ができるようなものになっていっていただかなくちゃならない。そのためには、そこで働く先生方がやはり生業としてしっかりとやれるような環境というのは、私は必要だと思います。

 文科省としては、日本語教育の質の向上の観点から、出入国在留管理庁と連携しながら、必要な協力をしていきたいと思っています。

吉川(元)委員 基準がないというふうにおっしゃられますけれども、告示基準というのはあるんです。しかも、告示基準を見ますと、日本語教育機関の基準については、「文部科学省高等教育局及び文化庁に意見を聴いた上で、次のとおり定める。」というふうになっているわけですから、そういう意味でいうと、当然これは法務省の出入国管理庁がやっていることですから、直接所管ではないかもわかりませんが、しかし、基準については文科省も関与している、関係があるんだということはしっかり御認識いただきたいというふうに思います。

 その上で、法務省に伺いますけれども、今言った日本語学校の告示基準、文科省やあるいは文化庁に意見を聞きながらつくっているということでありますけれども、日本語学校を認可するに当たって、そこで働く教師の賃金や労働条件について何らかの基準を設けていらっしゃいますか。

丸山(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 日本語教育機関の告示基準におきましては、委員お尋ねの、日本語教員の労働条件を確保するという観点からの労働時間でございますとか賃金に関する具体的な定めはございません。

 もっとも、留学生の受入れ機関として適切か否かを判断するという観点からではございますが、教員の負担等を考慮する規定がございまして、例えば、教員の一週間当たりの授業担当時間数の上限が定められているところでございます。

吉川(元)委員 次に、厚生労働省に尋ねますが、二〇一五年の三月に、労働基準局長名で「学習塾の講師に係る労働時間の適正な把握、賃金の適正な支払等について」という要請が出されております。この要請というのは日本語学校で働く非常勤講師にも適用されるものと考えていいんでしょうか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の平成二十七年三月二十七日付の厚生労働省労働基準局長名の要請につきましては、学習塾等の関連団体に対しまして、学習塾の講師に係る労働時間の適正な把握、賃金の支払い等の遵守について、会員企業への周知を要請したものでございます。

 当該要請の対象にいわゆる日本語学校の関連団体は含まれておりませんけれども、当然ながら、労働者である日本語学校の教師にも労働基準法等の労働基準関係法令については適用をされるものであり、日本語学校においても、各学習塾の講師同様に、使用者の指揮命令下における授業以外に行う質問対応、報告書の作成等に要した時間が存するのであれば労働時間として適正に把握していただき、賃金や割増し賃金を適正に支払うなど、労働基準関係法令等が遵守される必要があると認識をしているところでございます。

吉川(元)委員 この二〇一五年の要請は、今のお話だと、日本語学校も当然、これはある意味では当たり前の話でありますから、含まれると私自身も理解をしたいというふうに思います。

 次に、先ほど紹介いたしました都内の日本語学校に対する労基署の是正勧告の内容というのは、そこの学校だけが特別にそうなっているということではないのではないか、先ほども少し文化庁の方から、大体、日本語学校、その七割が非常勤だというお話がございましたが、これは全国の日本語学校にもほぼ共通したものではないか、そういうふうに思わざるを得ません。

 だとするならば、今厚労省からお話がありました二〇一五年の要請、これは日本語学校も当然その中に、その中といいますか、これで出された要請というのは日本語学校にも適用されることになるというふうに思いますけれども、実態がどうなっているのか。全国の日本語学校の、常勤、非常勤を問わず、教師の賃金あるいは労働実態について調査すべきというふうに考えますけれども、この点、法務省、いかがお考えですか。

丸山(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 出入国在留管理庁におきましては、あくまでも出入国及び在留の適正な管理の観点から、留学生の受入れ機関として適切か否かを判断するため、日本語教育機関の体制等を確認する立場でございます。

 したがいまして、日本語教育機関にお勤めの教員の労働条件等、それ自体を当庁独自で調査することは現時点では予定しておりませんが、留学生の受入れ機関として適切か否かという判断をするために必要な調査というものは引き続き行ってまいります。

吉川(元)委員 だから、結局するんですか、しないんですか。

 今言った労働実態でありますとか賃金の状況、どういう形で賃金が支払われているのか含めて調査を、いわゆる法務省単体でできないということはいいんですけれども、それはほかの例えば文化庁なり文科省なり厚労省なり、きのうも、質問の通告をしている際に、その四つの省庁が、うちじゃないですよね、うちじゃないですよねという話になるんですよ。

 結局、そのはざまの中で、今言ったように、最賃以下で働いている、しかも、今回の新型コロナが出てくると、自宅で待機してください、自宅作業をしてください、だけれども、これはこまで授業をやっていないですから賃金は払いませんという、こんな無権利な状態に置かれている。これは明らかに行政の方に瑕疵があるわけですよ。

 だとするならば、きちんと調査をするというふうに、それは法務省単体でできないとすれば、関係省庁ときちんと調整をして調査をするということをちゃんと答弁してください。

丸山(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで、先ほど、単体、独自ではできないということは所掌事務上ございますけれども、たび重ねて御指摘いただいた点につきましては、関係機関とどういった対応ができるかということを今後相談してまいりたいと思います。

吉川(元)委員 大臣、同じ質問ですが、いかがでしょうか。もちろん、それは所管が違う云々かんぬんあるというようなことはあるかもわかりませんけれども、今言ったとおり関係していますから、ぜひお願いします。

萩生田国務大臣 多分、先生の問題意識は、せっかく実態として国際化が進んで、日本語を学ばなくてはならない外国人がこれだけ日本にふえていて、実態としてこういう学校が日本じゅうにあるにもかかわらず、非常に劣悪な環境の中で臨時で雇用されているような先生方の実態もあって、このまま、この学校のままでいいのかということが多分問題意識だと思います。

 私もそれは同じなので、先ほどちょっと先走ってお答えしたのは、今、文化庁の方で、公認日本語教師という、仮ですけれども、国家資格を目指して検討を進めています。

 そうなれば、私は、さっき基準がないと言ったのは、要するに、設置は告示でやっているから基準があるのはわかっているんですけれども、授業内容ですとか、その先生に資格がないわけですから、そういう意味では非常に立場が弱くなってしまっていたと思うんですけれども、私、この分野でしっかりやっていこうという、今、株式会社立でやっている学校やあるいは個人でやっている学校がこの分野で頑張っていこうということであれば、この国家資格の機会を踏まえて、先生方が取得していただいて正規化を目指していただく、そして、そのことが外からの大きな評価と社会的なニーズにつながるんじゃないかと思っています。

 資格制度を創設することで、一般論ですけれども、日本語教師の職業としての社会的認知を高めるものにつながっていくと思っていますので、そういった面で文科省としてはサポートをしていきたいなと思っています。

吉川(元)委員 もちろん、そのことをぜひお願いしたいんですけれども、今言ったように、実態がどうなっているのか。たまたま、都内の是正勧告が出た話というのは、労基署に言って、そして労基署がそこの学校を調べた結果として、これだけ労基法違反があるということで是正勧告が出ているわけです。ところが、恐らくそれは氷山の一角にしかすぎないということを考えれば、それは全国にたくさんある、先ほど文化庁から、数でいうと八百三ある、告示基準を満たして適合している日本語学校が八百三あるということでありましたので、ぜひこれは、大臣、調査をしていくために文科省としてもしっかり協力していくということを御答弁いただけないですか。

萩生田国務大臣 日本語教育機関について、在留資格の留学の付与の観点から、所掌するのは一義的には法務大臣と承知しておりますので、留学生の受入れ等を含めて、日本語教育機関の告示に当たって、文科省は日本語教育機関の教育の質の維持向上の観点から確認を行っています。文科省において有識者委員会を設置し、校長の識見、主任教員の知識、能力、授業時数、授業科目等のいわゆるソフト面を中心に確認し、法務省が定める基準への適否について検討を行い、その結果を法務省に回答しています。

 したがって、日本語教育機関の教師の労働条件等、それ自体を文部科学省が独自で調査するということは現時点では予定していませんが、私も先ほど申し上げたような問題意識を持っています。

 余り先走って話をするのはおかしいかもしれませんが、もしそういう資格ができたときに、今やっている学校の皆さんがちゃんと体系を整えなければ、学校法人なんかにこの業務をどんどんとられてしまって存続の危機になっちゃうんじゃないかと私は逆に心配していますので、ここは、監査が入る、調査が入るか否かは別にして、やはりこの議論をぜひ知っていただいて、経営者の皆さんに襟を正していただいて、教員の皆さんの将来をともにしっかり考えていただくことが大事だと私は思っています。

吉川(元)委員 先ほど言ったとおり、はざまにあるんですよね、法務省は出入国管理の面からやっているというようなことで。やはりここは抜本的に考え方を改めて、今の実態としっかり向き合っていただきたいと思います。

 本当にプロの方です。そういう方が安心して日本語教師として働いていけるような環境を、関連する、関係する省庁、とりわけ、ぜひ文科省が旗を振りながらやっていただきたいことをお願いして、質問を終わります。

橘委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

橘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 第二百回国会、川内博史君外五名提出、独立行政法人大学入試センター法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

橘委員長 午前に引き続き、文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 質疑を続行いたします。中川正春君。

中川委員 引き続き議論をしていきたいと思います。

 新型コロナウイルスについての課題を少し議論していきたいと思うんですが、たまたま先ほど、新型のインフルエンザ等に対する特別措置法について、党内で、これをどう適用していくかという議論をしていたんですけれども、その特措法の中身をもう一度復習するにつけ、今回の総理の突然の全国一斉の休業要請というのがいかに唐突なものかというのが浮かび上がってくるように思います。

 現行の特措法の方では、総理大臣が緊急事態宣言を出す。しかし、緊急事態宣言を出すことによって、例えば全国一斉にこれをしろという話にならないんですね。その前提として、区域の指定をするということになっています。この特定区域というところを指定して、そこに該当する知事、特定都道府県知事が、例えば学校の問題というのを指定するとすれば、休業であるとか催物の開催制限を要請、あるいはまた必要に応じて指示することができるということになっております。

 だから、国は、まず感染症の地理的な蔓延の状況というのを分析して、それを根拠に、特に必要と認める地域から特定地域の指定をしていく、ここから始まっていくんですね。特定地域が指定されて、総理大臣が指示をするんじゃなくて、あるいは要請をするんじゃなくて、より身近な知事が感染症の蔓延度合いを説明することで緊急要請の根拠が理解ができて、学校の休校や催物の中止に対して住民の納得が得られるということ、こういうことが前提になっているということなんです。

 しかし、今回、先ほど申し上げたように、安倍総理による小中高、突然の休校要請というのは、なぜなのということなんですね、これだけ突然に一斉休校というような話になると。なぜなのというのは、どこに問題があるかといったら、根拠というのを示さないままに全国一律になされて、それも、唐突であったということ。だから、そのことが基本になっているから、国民の疑念と混乱が広がってきているということが言えるんだと思うんです。

 文科省は、そのことについてやはり丁寧に説明をしていく必要があるんだろうと思います、基本も含めて。この緊急性について、どのような根拠に基づいているというふうに大臣は理解をしているのか。総理が言ったから、仕方ないから我々は後をついているんだという話では、なかなか現場を説得する、納得させることではないんだろうと思います。やはりそこのところは、しっかり積み上げた議論がないといけないというふうに思うんです。

 まさか、具体的にウイルスが全国一円に蔓延をしているということだからこの措置をとりましたよというような、そんなことではないんだろうと思うんです。そこのところをひとつはっきりさせてほしいということ、これが一つ。

 それからもう一つ、それを前提にして、なぜそこが大事だと言うかというと、学校の設置者や親の立場としては、子供の休校がいつまで続くのか予測できるということが、対応していく一つのキーになるんだと思うんです。現状は、各設置者が状況に応じて判断をしていくような体系になっているとしか理解ができないんですが、それであってはそれぞれ現場がおさまらないんだろうと思うんです。

 恐らく、特措法で考えていく場合には、知事が真ん中に入って、知事の判断を、それぞれ知見を持っている人たちとか現場と交互に理解を高めていきながらやっていくんだろうと思うんですが、今回、まだ前提は、国がということになっているわけであります。

 なものだから、休業を要請した国が再開についてもその目安となる基準というものを示していくべきだ、これは、一番最初に始めたものに基準があって、その基準が、本来は、解消したから休校を取りやめますよ、こういう論理構成なんですけれども、最初が突然に来たから、ここをつくるのは、やはり文科省が改めてこの基準をつくって、休業に対する具体的な指針というのを示すべきだというふうに思うんですが、そこのところについてしっかり説明をしていただきたいというふうに思います。

 それからもう一つ。親御さんにとっても子供にとってもそうなんですが、教育課程の中で、休業中に抜けてしまった部分についてどのようにカバーをしていくのか、これも具体的に指針を示すべきだというふうに思うんですね。

 その二つ、お答えをいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、二つというか三つに、先生、聞こえたんですけれども、根拠は何で、文科省は同意したんだということなんですが、何よりも子供たちの健康、安全を第一に考え、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点から、全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、三月二日から臨時休業を行うように要請をいたしました。

 先ほど来、議論の中でも、私、正直に申し上げていますように、では科学的根拠はあったのかと言われれば、総理も私も確たる科学的根拠に基づいて決断をしたのではないということは正直に申し上げているとおりです。

 他方、文部科学省としては、当初、二週間、休校するとしても二週間程度でいいのではないか、あるいは、先ほどお話があったように、インフルエンザと同じように、事態が進行した自治体から順次的確に対応していくことでいいのではないか、全国一斉の必要はないんじゃないかという思いも正直ございました。ですから、そういったことや、それを行うことによって発生するであろうさまざまな課題についても皆さんと話合いはしてきたんですけれども、一方、これから先、感染者が広がらない、この県は休校しなくても大丈夫だという科学的根拠も、逆に我々も示すことができませんでした。

 インフルエンザのときとやはり大きな違いは、未知のウイルスで、現段階では検査にもあれだけの時間がかかる、そして、例えばインフルエンザでしたら欠席は長くても五日間ということです。しかし、このウイルスは感染から十二・五日の観察期間が必要だという非常に長い期間を有しているウイルスであると同時に、またそこに、戦う、抗ウイルス剤が現在残念ながら国として開発ができていない状況にあって、そういうことを考えますと、行き過ぎじゃなかったのかという御指摘もあるかもしれませんけれども、あの時点では、とにかく子供たちを、学校がクラスター化をしてはいけない、学校が感染の媒体になってはいけない、そのために一日も早くまず閉めようということを優先したということは正直に申し上げているところでございます。

 しかし、では、この再開も自治体任せでいいのかと言われれば、そういうわけにはいかないと思います。先ほど先生からもお話がありましたように、何らかの目安となる基準というものは、正式に要請したのは我々文部科学省です、総理はメッセージを発信したんですから、正式に行政文書として各地方自治体に休校の要請をしたのは我々文部科学省ですから、これは政府全体で考えることでありますけれども、しかし、どの時点でどういうことをチェックポイントとして確認をし、どういうことに配慮をすれば学校の再開が可能であるかという目安は、やはりお示しをしなくてはいけないという責任感は感じております。これは、またここで一週間になりますので、次の週にあわせて、さまざまな知見を集めながら議論をしていきたい、こう思っているところでございます。

 それから、休校に伴うことによって授業が、これが穴があいてしまってはいけないと思います。まずは、臨時休業中に行うはずだった授業については、必要に応じて、例えば次年度に補充のための授業として前学年の未指導分の授業を行うことも考えられますし、幸いにして落ちついた状況で学校が、あるいは自治体がそれぞれ春休みの期間中に学校を少しずつでも再開できるような目安がついたときには、その期間の補充授業というものも一つの選択肢としては選んでいただきたいというふうに思っています。

 また、現在、在宅で待機はしていますけれども、それぞれの教科、課題については計画的にきちんと出していただいているということを、逆に私、心強く思っておりまして、どうなるんだろうと思っていたんですが、今、自治体の報告が全部上がってきていますけれども、きちんと学年ごとに、言うならば課題についても子供たちにしっかり示しているところでございますので、何があっても履修不足なんということのままずるずると次の学年に進むことのないように、これは日本全体しっかり見渡して頑張ってまいりたいと思っているところでございます。

中川委員 いずれにしても、このまま終息をしていくということであればいいんですけれども、可能性としては、今、与党の方から野党に対して投げかけられているように、特措法を発動させるということ、ここになってくるんだろうというふうに思うんです。そうすると、この組立てというのが、直接国が具体的なものを要請したり指示したりするというよりも、地方自治体、特に知事レベル、ここでしっかりとした議論を現場とやって、その中で発動していくということ、これが一つの骨格となっていて、私はそれで正しいんだろうというふうに思うんですが。

 それだけに、この地方自治体の生かし方といいますか、基本的な指針というのは文科省から出すんでしょうけれども、具体的な実行計画なり、あるいは実行基準みたいなものは、やはり地方自治体それぞれの状況に応じた、あるいは、恐らく休校が、しっかり段取りがついて、次、開校していく、開業していくという形になっていく、その状況も地域によってかなり変わってくるんだろうというふうに、いわゆる地域事情というのが反映されてくるんだろうと思うので、そこのところの配慮というのをしっかり組み立てながら、文科省は対応をしていただきたいというふうに思います。そのことを一つ指摘しておきたいと思うんです。

 次に、実は、幼稚園、保育園、学童保育というのが、休業にならなかったということなんですね。これは今働いているお父さん、お母さんのことを配慮してということだというふうに聞いているんですが、しかし、もう一つ、子供たちの健康、安全を第一にして小学校から高校までは全部休業にした、片方、この判断があって、もう片方で、幼児の部分というのは確実に抜け落ちているというのは、ここも非常に違和感を感じるんですね。

 ここについて、もし総理が子供たちの健康あるいは安全を第一にというところで緊急性を言うのであれば、何らかの手だてと、それからもう一つ、地域によってはこれも休園をさせるというような手だてが考えられなければならないんだろうというふうに思うんです。例えば北海道なんかは、知事自体が判断をしてそのような形に持っていっているわけでありますが。

 そこについてもう一度、この幼稚園やあるいは学童保育も含めて、学童保育は今、小学生や中学生の受皿になっていますけれども、子供が集まってくるというリスクというのは同じ形になっているんだろうと思うんです。それを受皿にしていいのかどうかということも含めて、もっとほかに、それぞれ社会全体でこれを補っていくような、例えば友達同士で、うちにいるお父さん、お母さんのところへ向いて、親しい友達が預かってもらうとかというような、その預かってもらうものに対して、何らかの形でそれをいわゆるシステムとして、制度として位置づけて、そして現実のものにするとか、さまざま、もっと幅の広いここの対応というのは考えられるんじゃないかというふうに思っているんです。

 そういうことも含めて、幼稚園、保育園、学童保育、これからどうするのか、その指針といいますか基準というのをお話しいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生御指摘のとおり、では幼稚園や保育園は集団感染の危険性がないのか、クラスター化をする心配はないのかと問われれば、そこは私も否定ができないというふうに思います。

 ただ今回、小中高の学校については、二月二十七日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部において、感染の流行を早期に終息するために極めて重要な時期であることを踏まえて休業にしましたが、一方、幼稚園については、保育所と同様に、家に一人でいることができない年齢の子供が利用するものであることや、保護者の就労等により保育の必要性がある子供の受皿となっていることを踏まえ、全国一斉の休業の要請は行わないこととしました。

 今先生から例が示されたように、全国でいろいろな取組が行われています。先ほど浮島先生が、子供たちを取り巻く教育現場の底力を皆さんが発揮してくれているという表現をしてくれたんですけれども、私も同感でありまして、こっちが考えていた以上にさまざまな取組をしていただいております。

 そういう中では、一般的に、おじいちゃん、おばあちゃんの家に預けるなんということから始まって、おっしゃるように、子供のない御家庭がサポートをしていただいたり、あるいは子供たちの食事をつくるためにボランティアで皆さんが集まっていただいたり、もう本当に涙ぐましい、さまざまな御努力を地域でしていただいておりますので、そういう好事例はこれから大至急また横展開をしていきたいというふうに思っています。

 では、幼稚園、保育園は、あるいは学童保育はこれからも安全で閉めなくていいのかということになれば、これまた、地域事情によって異なると思います。現に、未就学の子供たちが感染をしている事例も中には出てきているわけでありますので、そういうことを踏まえて、ここは大変恐縮なんですけれども、やはり自治体の判断というものを優先させていただいて、その中で、幼稚園も閉めるあるいは学童保育も閉める、こういう判断があったとしても、これはやむを得ないと思っております。

中川委員 やむを得ないと思っていますという形で、ここで腰が完全に引けているような印象を受けるんですよ。そうじゃないんだと思うんですよ。

 この特措法が発動されても、特定の地域については、休校しなさい、あるいは休園をしなさいというような前提のもとに特定地域が指定されていくわけですよね。そんな中で、この園をそこで休園させるんだとすれば、文科省としては、こうした基準の中で運用しなさいというようなものは出しておいて、それを適用するかどうかというのが地方自治体の判断、それからもっと広い形でさまざまにそれに対応していく手段、働いている親御さんがこれは即問題になってくるわけですが、それに対して好事例があるというんだったら、その好事例を文科省としてはどうやって支えるかという議論がないといけないんですが、それは国が、さまざまコストがかかるとすれば、そのコストをここまでは補償しますよというような話が出てきて、地方が、そういう新しい類型の中で助け合いをしていくようなものが育ってくるということであって、見ているだけ、あるいは好事例がありますね、こんないいことも皆さんやっていますねというそんな評論家のような話ではないんだと思うんです。

 そこのところを早くまとめてくださいよということを私は言っているんですが、どうですか、大臣。

萩生田国務大臣 保育所はともかく、所管している幼稚園でいいますと、園児が罹患した場合における臨時休業や、地域全体で感染拡大を防止することを目的とした積極的な臨時休業に係る考え方については、二月の二十五日付で既に全国の各自治体に発出をしているところでございます。

 今回のこの休業要請によって生じるさまざまな事案について国全体が責任を持つということを、総理が国民の皆様の前で約束をしているわけであります。しかし、だからといって、想定をしていなかったさまざまな財政支出、全て何でもかんでも国が面倒を見ますよというわけにはいかないと思うんですけれども、先ほど私も好事例と申し上げました。先生も好事例という言葉を使っていただきました。これは展開していった方がいいよね、今回のこの事態で、この仕組みはいいよねというものがあって、そこに例えば財政的な支援がなければ続かないものがあったとすれば、これは文部科学省の中で解決できるものについては大至急対応をしっかりやっていきたい、こう思っております。

中川委員 それは今出すものだというふうに思うんですよ、今ですよ。だから、ただこれからやりますということだけではなくて、いつまでにそれをまとめて、国民に対してちゃんと説明ができるというところまでいっていなきゃいけない話だと思うんです。

 覚悟のほどを聞かせてください。

萩生田国務大臣 本当に未曽有の事態で、初めてのことであります。インフルエンザと違って、出口がなかなか医学的にも我々としても確定ができない中で模索をしております。

 そういう中で、少なくとも、子供たちが、先ほどからお話ししていますように、未履修になるようなことというのは避けていかなきゃならない、また、日々の暮らしに大きなしわ寄せがあって、子供たちが健康を害するようなことがあってはいけない。そのために、地域の皆さんの知恵でさまざまな取組をしている中で、これは文科省としてしっかり後押しができるものについては、今先生がおっしゃったように、直ちにとおっしゃるんですけれども、これで、一週間で今好事例をまとめて、きょう一回目の横展開の通知を出す予定でございます。追加で、いいものについてはどんどん追加をしながら、あわせて、財政的な裏づけも、文科省として必要と認めたものについては積極的にやっていくことを改めてお約束したいと思います。

中川委員 次に、オリンピック、パラリンピックについてお話をしたいと思います。

 本当にできるのかどうかということに対しては、やるんだという決意を持って、大臣はあちこちでお話をしていただいておるんだろうと思うんです。所信の中でも、開催に向けた準備を着実に進めるという言葉で表現されていますけれども、その決意に対して大いに評価をしたいと思いますし、私たちは大臣のその思いを受けて、開催成功に向けてしっかりと協力をしていきたいというふうにも思っています。

 しかし、もう一方で、これもいろいろなリスク、このリスクのうちの一つだろうと思いますが、この先、この感染症の展開がどうなってくるかわからない。最悪のことも想定をしていかなければいけないということも、これもあるんだろうというふうに思うんです。そういう意味で、国民もそのリスクが現実のものになったときにはどれぐらいの覚悟をしておかなきゃいけないかということも含めて、いわゆるコストとしてどれだけのことを覚悟しなきゃいけないかということも含めて、事前にしっかりと考えた上で、やはりこれも公表しておくことが大事なのではないか。そのことによって、突然開催ができないといったときに、その混乱が最小限に食いとめられるということにもなるのではないかというふうに思います。

 そういう意味から聞いていきたいんですが、想定としては、例えば観客動員なしの開催から始まって、それに類似した限定的な開催みたいなもので、まずやりますよということだけれども、事は限定的ですねというような選択肢もあるかもしれない。あるいは延期をしていこう、今もそんな話もちょこちょこ出ていますけれども、というような選択肢もあるかもしれない。あるいは中止だということもあるかもしれない。そのようないわゆる三つの大きく分けた体系というか類型があるんだと思うんですが、それぞれ、これは結果として、国としても、大きな損失に結びついてくると思います。これだけこれまで投資したものが形としてあらわれてこないわけですから。それがどういう形になっていくのか。この損失というのは金銭面での損失だけではなくて、さまざまにいろいろなところで支障が起きてくるというふうに思われるんですね。

 そういうところについてもちょっと体系的に整理をして、こういうことが起きたときにはこんなふうになるんだということを前提として皆に知っておいてもらう必要があると私は思うんです。それをやっていますか。中でそんな議論をしていますか。当然、私はしなければならない状況にあるんだと思うんですが、大臣、それはどうでしょうか。

橋本国務大臣 まず初めに、中川先生から、この東京大会に向けて、しっかりと後押しをするというふうに言っていただきましたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その中で、現在、政府が一丸となって新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に全力を挙げているところでありますので、仮定の質問にはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 大会開催の判断の権限はIOCにあると理解をしておりますし、また、三月三日のIOCの理事会声明では、東京オリンピックの成功に全力を尽くすことが表明され、四日のIOC理事会においても、東京大会の中止やあるいは延期についての議論は一切出なかったと承知をしております。また、どのような状態になったら中止になるかといった水準についての話も全く出なかったというふうに伺っております。

 政府としては、大会開催についてIOCが適切な判断ができるように、的確な情報提供を行っていくことが重要だというふうに考えておりますので、このため、IOCあるいはWHOなどが、安全、安心な大会を運営する観点から、関係者間で情報交換を行うための場として開催するタスクフォースを立ち上げておられますけれども、そのタスクフォースに政府としても参加をし、政府の新型コロナウイルス対策の内容等について説明を行ってきております。

 主催者であります東京都、そして組織委員会、そして全ての決定権を持つIOCが、この東京大会に向けて、予定どおりにしっかりと開催に向けて努力をしているという声明でありますので、それについて、政府がしっかりと連携を緊密にとりながら協力体制を整えていくというのが今の時点での私からの答えになります。

中川委員 恐らく何も考えていないからそういう答えにしかならないと思うんですよ。

 これは災害に対する対応と同じことで、もう苦い経験があったじゃないですか。原子力発電所は、これは地震に対して大丈夫なんだ、そういう前提でしか物を考えてこなかったから、事が起きたときに、大変な困難と、それからあのときあそこまで考えておけばよかったというふうな反省があった。同じことなんです。

 当事者、それをしっかり支えていく国としては、事前にいろいろなことを想定して考えておかなきゃいけない。これは、仮定のものには答えられないというような、そんな次元の話じゃないんですよ、これ。全く性質が違うんですよ。だから、責任ある立場としていろいろなことを想定して考えておかなきゃいけませんよということを言っているんです。どうですか。

橋本国務大臣 当然、政府としてしっかりとした大会を運営していく、開催に向けて総合的にバックアップをするということが今の務めでありますけれども、主催である、そして決定権を持つIOCが現在そういったことを想定していないということで、今、IOCの理事会でも声明を出されておりますので、その部分においては、しっかりと東京大会に向かって、開催ができるように政府として情報発信をしていくということが前提であるというふうに思っております。

 その中で、先生が御指摘のように、いろいろな事態を考えていかなければいけないというふうな御指摘は、私自身は当然だというふうに思っております。そういったシミュレーションをしていくのも、あるいは、どの時点でどのように、開催ができない、あるいは種目ごとに、それぞれの大会で判断をするのかというのは、組織委員会とIOCがその基準をつくっておりますので、その結果、経過を注視しながらしっかりとバックアップをしていくということになります。

中川委員 シミュレーションをやるのかやらないのか、はっきりしない答弁でありましたが、いずれにしても、IOCでさえ三十日まで様子を見ますよと言っているんですよ。そうでしょう。想定していないと言っていない。三十日まで様子を見て、そこで結論を出しますと言っているんですよ。

 だから、それだけに、いろいろな判断が出てくる可能性がある。それは大臣が判断するわけじゃなくて、それこそ災害と同じで所与のもの、外からその判断が与えられて、国としてそれに対してどう対応するかということを考えていかなきゃいけないので、そこのところは、やはり今のうちから体制を組んで、どういう判断が出ても最小限にそれが食いとめられるように、被害が最小限に食いとめられるようにという体制はつくっておくということ、これは大事だと思うので、そのようにぜひやってください。

橋本国務大臣 IOCの声明が発表されたように、まずは、二〇二〇年のこの東京大会が予定どおりしっかりと開催できるように万全の体制を整えていくということ、そして、アスリートや関係者が安心で、そして安全な準備が整えていけるようにしっかりと支えていくというバッハ会長の声明でありますので、それにしっかりと私どもは従っていくということであります。

 そして、どのような状況の中で判断をするかということについても、IOCがどのような基準を設けていくかということにもなりますので、政府といたしましては、しっかりとシミュレーションをしながら、そして、どういう状況になっても対応ができるように準備は整えていきたいというふうに思います。

中川委員 次に、もう一度、大学入試の問題についてお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 英語の民間試験にしても、あるいは国語、数学の記述式の試験にしても、一旦戻って、原点に戻ってもう一回議論をしていきたいということで、議論が始まっているんだろうと思うんです。その結論が、ことしじゅうですか、には出てくるんだろうというふうに思うんですが、その議論の前提になる考え方をちょっと確認をしておきたいと思うんです。

 英語の民間試験については、民間試験の廃止ということを前提に議論を進めているのか、それとも民間試験は統一的に行うということを前提に議論をしているのか。ここの足元の部分、これは、私は政治判断がそこにあって、その上で専門家の中も含めて議論があるんだと思うんですね。ここの確認をしておきたい。

 それから、もう一つ、国語と数学の記述式も同じことです。これを統一した試験という形でやるというのはやめて、例えばそれぞれの大学の二次試験でやるのか。そういう構成でいったときには、では、それぞれの大学の二次試験でどういう形でやってもらうということを文科省から仕組みとして各大学に入れていくのか、そんな議論になるんだと思うんですよ。

 そうじゃなくて、もう一つの前提としては、やはり統一試験でやり続けていくんだというふうになれば、その話の内容というのは、恐らく採点の公平性であるとか、適切なマンパワーの確保であるとか、こういうことでいろいろ指摘された部分について、それをどう解消していくのかというのが議論の対象になるんだと思うんです。

 そこのところはいろいろな、これまで我々もその議論をしてきたわけですけれども、大臣としては、そこをどう整理をして、今、話の俎上に置いているのかということ、これを改めて確認していきたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、大学入試のあり方につきまして、英語の成績提供システム等について来年度からの実施を見送ったことを受け、受験生が安心して受験できるよりよい制度を構築するために、あり方検討会を私のもとに設置をさせていただきました。

 今先生が例示をされたように、もう民間の試験は使わないんだということを前提にするとか、使うことを前提にするとかということを決めずに、やはり皆さんが安心して受験ができる環境、経済的な視点や、あるいは、そもそも四技能は伸ばしていくことは大事だというところまでは、これは皆さん共通の意見だったと思いますので、ここから先、これを、では大学入試でどうやって評価していくのか、あるいは評価する必要はないのかということも含めて、私としては、予断を持って検討会の皆さんに検討をお願いするというのは、これは失礼な話だと思いましたので、今、本当に自由な議論をしていただいております。

 記述式についても同じでございまして、先生からは、たしか、これ、やめた方がいいぞと言ったときにも、そもそも大学でやればいいじゃないかというのはごもっともな御意見だと私も思いました。

 しかし、私があらかじめ私の意見をお願いしている先生方にお話をすれば、出口を誘導するような議論にどうしてもなってしまいますので、せっかく一年間の期間をお預かりさせていただきましたので、この間に、国会や民間やあるいはさまざまな御意見がありました、そういったものも含めて、言うならばフラットな状態から皆さん方に議論をしていただいて、その結果を踏まえて方向性を改めて示していきたいな、こう思っております。

 自分なりの考えとか自分なりの意見とか、そういうものは持っているんですけれども、そこは、まず皆さん方の御議論に委ねて、その議論の行方を今見守っているところでございます。

中川委員 そこまでさかのぼっていくのであるとすれば、これは高大接続、あるいはこの二つの新しいというか、これまでやらなければいけなかったところがやれなかった部分だと思うんですね、記述式にしても、いわゆるアクティブラーニングに結びついていくような話であるとか、英語はスピーキングを、特に自分で表現できるような力をつけていくというのがいかに欠けていたかというような、そんな話は前から課題としてあった。それが高等学校の教育の中でどのように確保されていって、それのインセンティブをどのようにつくっていってという中で試験があって、それを大学でどう生かしていくか、これが高大の接続という原点に返った話なんだろうと思うんですが、そこまでもう一回やらないとこの話の基本はつくれないんじゃないかと思うんですよ。これまで長いことこれをやってきて、長いことやってきた結論が今回出てきて、それで、結果的にはこれは違っていたねという話になったわけで、それを大臣が原点に戻すという話であれば、もっと大がかりに、もっと基本に戻った話にしていかなければいけないんじゃないかというふうに思うんです。そこのところを指摘しておきたいと思います。

 ある意味、もっと違う言い方をすれば、これは政治的な判断として大臣が、さっき私が言ったような、基本的な部分だけは大臣として整理をするんだと、整理をした上で議論をしてください。やめるかやめないか、統一試験でやるのか違う形でやるのかという、その基本だけは、本来は、これまでの国会の議論を踏まえて大臣が判断して、その上で専門家に一度議論してもらうということでないといけないんだと思うんですよ、本当のところは。だから、それが欠けているんじゃないのか。

 こんなものをもう一回原点からやり直していたら、また混乱が起こるだけだということだと思いますよ。そのことを指摘しておきたいというふうに思います。

 時間が来たようでありますので、続きはまた次の機会にやらせていただきます。

橘委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 笠浩史でございます。よろしくお願いいたします。

 今、中川委員からも東京オリンピック・パラリンピック大会の件、指摘がございました。午前中には城井委員の方からも確認があったわけでございますが、私自身もこの招致にも携わってきた立場でもございますし、何としてもこれはしっかりと開催をして、そして、やはり成功をおさめていかなければならないということを強く願っておりまして、そのためにはどんな協力でもみんなでしていかなければならないと思っています。

 ただ、ちょっと午前中の城井さんの質問の中で、先ほど大臣おっしゃったように、これはIOCがもちろん決定をすることでございますけれども、大会の組織委員会、東京都、そしてWHOもいろいろな情報を共有しながら合同作業部会を立ち上げて連携をしていくということを先ほどおっしゃいました。先日の、ローザンヌで行われた、三日、四日ですか、IOCの理事会、そのときにも恐らく、バッハ会長も含めて、今後のWHOの対応、あるいは、本当に終息に向かっていくのかどうなのか、コロナウイルスの状況というものは、かなりIOCの方も注視をされているんだと思います。

 それで、IOCのアダムス広報部長は三日の会見で、世界的な大流行、パンデミックをまだWHOが宣言をしていないことなども理由に挙げた上で、東京の開催されない理由はないんだ、現時点ではないんだということを強くおっしゃっているわけですけれども、私、WHOがいつ、ひょっとしたらパンデミックを宣言する事態だって、そういう事態にはなってほしくないけれども、その可能性というものはやはり否定できないと思うんです。そういう可能性もあり得る。

 そういうふうな形になると、やはりステージが若干変わってくるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点をもう一度橋本大臣に確認をさせていただきたいと思います。

橋本国務大臣 ありがとうございます。

 先ほども申し上げた、繰り返しになる部分もありますけれども、現在、WHOを中心といたしまして、各国において、新型コロナウイルス感染症の拡大、感染拡大防止に全力を挙げているところでありますので、仮定の質問にはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 その上で申し上げれば、大会の開催の判断の権限というのはIOCにあるわけでありますので、三日と四日に開催されたIOCの理事会において、東京オリンピックの成功に全力を尽くすことが表明され、そして、東京大会の中止や延期に関する議論は一切出なかったと承知をしております。

 政府としては、大会開催についてIOCが適切な判断ができるように、的確な情報提供を行っていくことが重要であるというふうに思っておりますので、引き続きまして、IOCそしてWHOなどが安全、安心な大会運営を行う観点からのタスクフォースに参加をさせていただいて、そして、しっかりと東京大会を開催することができるんだというふうに確信を持っていただけるように、日々の情報共有と、そして連携を緊密にとっていくということが大切であるというふうに思っております。

笠委員 今の段階で、当然、政府もそうです、東京都もそうです、組織委員会もそうです、そんないろいろなことは言うことはできませんし、とにかく大会をしっかりと行うということに、一点にやはりきちっと集中をしていくということは私は理解できるんです。

 ただ、やはり、日本の、あるいは東京の対応、このコロナウイルスに対する対応は、もちろんこれを終息させていくように全力を挙げていくということは当然なんですけれども、ただ、世界的流行という段階になると、これはもう日本だけの、日本が封じ込めたから大丈夫だという話ではなくなっていく可能性、危険性があるということは、もちろん、こういう検討をしますとかと、そんなことを私は求めているんじゃないけれども、そういう段階に入ったときに何をしなければならないのかということをしっかりと、しかるべき皆さんの中でシミュレーションを行っておくということは、これはその中身を対外的に公表しろとかそういうことではなく、やはり危機管理ということについては、大臣も含めてしっかりと行っておいていただきたい。

 そういうことがないことを切に願いますけれども、やはり可能性があるということも、本当に迫っていますから、大会は。ですから、その点については強く要請をしておきたいというふうに思います。

 そして、実際、オリンピック、パラリンピックを控えて、今、残念ながら、テストイベントであったり、あるいは一部の代表選考等々が、時期が延期になったり中止になったりというようなことで、ややそういった影響が出てきておるわけでございますけれども、そういった意味での支障というか、これから、まだ選考が決まっていない、選手が、まだ代表が決まっていない競技もあるわけで、そういった点、いろいろな支障がないようにぜひ対応していただきたいんですけれども、その点について橋本大臣からお願いをいたします。

橋本国務大臣 今般の新型コロナウイルス感染症によりまして、テストイベント等に影響が出ていることは承知をしております。

 内閣官房において、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図る観点から、二月の二十一日に競技団体に対し、テストイベントや代表選考会の開催に当たって、会場における衛生管理の徹底やせきエチケット、頻繁な手洗いの実施などの留意事項をお知らせしたところであります。また、二十六日には、代表選考会を含む多数の方が集まるような全国的なスポーツイベントの中止、延期又は規模縮小等の対応をとっていただくようにお願いをいたしました。

 こうしたことを踏まえまして、競技団体等においては、例えばスポーツクライミングのテストイベントにおいては、選手の参加を取りやめて、そして規模縮小の上、スタッフのみで運営テストを実施されるというふうにも聞いております。

 テストイベント及び代表選考会の実施変更に伴いまして影響を受けた選手や競技団体の皆さんが安心して競技の準備ができるように、組織委員会や東京都等の関係者から成る総合対応推進チームを立ち上げさせていただいておりますけれども、この仕組みを活用して、それぞれの選手あるいは競技団体の個別の対応もしっかりとやっているところであります。

笠委員 その点は本当にしっかりと対応していただきたいと思います。

 それで、もう一点だけ確認、今のに関連してなんですけれども、オリパラに出場するアスリートらの健康管理ということに関連して、多くの選手が、アスリートが、ナショナルトレーニングセンターで恐らく練習していると思うんです。

 これはまず、事務方で結構なんですけれども、このナショナルトレセンで感染者が出たり何かが起こると、室内が多いですから、これは本当に大変なことになると思うんですね。そういった点で具体的にどういう対策をとっておられるのかということをちょっと教えてください。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 日本スポーツ振興センターのナショナルトレーニングセンターにおきましては、オリンピック、パラリンピックを目指して我が国のトップアスリートたちが日々練習に励んでいるところでございまして、御指摘のように、万全の感染対策が必要と考えます。

 私の方からは、個別具体の取組を御紹介させていただきます。

 まず、入館時に必ずアルコール消毒を実施することの周知徹底を図ることはもとより、発熱等の風邪の症状が見られる者については入館しないこと、さらには手すりやエレベーターのボタン等の除菌や清掃の拡充、二十四時間の空調を行うとともに、一方で、施設の一般向けの見学を中止させていただくなど、感染拡大の防止に向けた対策を強化しているところでございます。

 ナショナルトレーニングセンターは、御承知のとおり、宿泊施設に加えまして、アスリートのための食堂も備えている施設でございますから、大会時におきます選手村における感染防止対策の検討にも資することができるよう、これらに加えまして、施設出入り口での体温チェックや競技団体等からの問合せに対応する新型コロナウイルスに関する相談窓口の設置をするなど、さらなる取組を進めることとしております。

笠委員 何か普通のことしかやっていないなと思うんですけれども、本当に心配しているのは、これは別に選手だけじゃないですよね。施設の中で感染者が出るということになったら、一定期間、恐らく使用不能というところまでしないといけなくなる可能性もあるので、そういったときに、アスリートたちが、トップアスリートたちが、どこで、どういう形で練習をするのか。本当に一日一日が、特に橋本大臣おわかりのとおり、大事なときでございますので、逆に、これはやはり、そういったことに備えて、万が一そういうことが起こったときには何らかの代替措置をとっていくというようなことを、競技団体ともきちっと相談をしながら対応していただきたいと思いますが、大臣、最後にお願いいたします。

橋本国務大臣 御指摘のように、ナショナルトレーニングセンターが設置をされまして、大変な選手の活躍が見られてきました。北京オリンピックの直前にできたものですけれども、その後、ロンドン、リオ、冬も含めてですけれども、大変、毎回毎回メダルの数がふえてきているということでありますので、それだけの効果があるというところです。

 今次長からお話がありましたとおり、緊張を持ってトレーニングをする場所と、そして、ある意味でリラックスをして、食事をする、泊まるところも一体となっているところなものですから、一番選手が安心して準備を整える拠点だというふうにも思います。だからこそ、選手が本当に安心、そして安全の中で東京大会に向けてしっかりとした準備ができるように全力を挙げていかなければいけないというふうに思っております。

 東京都と組織委員会の関係者から成る総合対応推進チームをつくらせていただいているんですけれども、そこにも、やはりプッシュ型でしっかりとした情報発信をする、あるいは、今後、個別の対応もしていくということと、もう一つは、メディアに対しまして、取材時にアスリートの感染を防止するための協力というものもしっかりと今要請をしているところであります。

 二〇一〇年のバンクーバー冬季大会では新型インフルエンザの経験をしました。そして、二〇一六年のリオデジャネイロのオリンピックではジカ熱の感染症ということで、選手団は、そういった、ある意味での準備もみずからがしっかりとしていかなければいけないということも、今まで対応をJOCでやってきていただいておりますので、そういったことも全て総合的にしっかりと対応する推進チームのもとでバックアップしていきたいというふうに思っております。

笠委員 橋本大臣、もしよろしかったら結構でございますので。

 それでは、私も全国一斉休校のことについて萩生田大臣に質問したいと思います。

 まず、確認なんですけれども、先ほど来、きょうも午前中、あるいは先ほど中川議員との間でも、学校の再開へ向けての一定の基準というものをしっかりと国として示すべきであるというようなことで、大臣もそれに向けた決意というか、先ほどそういう考えだということをおっしゃっていたんですけれども、何らかの基準を政府全体で考えて目安となるようなものを出すのに、今休校から一週間になるので、次の週に向けて、つまりは来週ぐらいには何らかの形で方向性を出すというようなことでよろしいんですかね、先ほどの発言は。

萩生田国務大臣 そこまで踏み込んだ解釈をされてしまうと、あしたの新聞がそういう記事になってしまうので。そうじゃなくて、休業要請をしましたけれども、繰り返しになりますけれども、春休みの前までという、前までの日にちが高校や中学や小学校によって違うわけですから、来週ということじゃなくて、日々状況が変わる中で、じゃ、学校を再開するに当たっては、どういうことに気をつけて、どういうことがクリアできていたら可能なのかという何らかの目安、あるいは専門的な知見の意見、あるいは、地域によって事情が違いますから、その地域で求める課題などを、来週はその整理を少ししてみたいなという、そんな思いを伝えたところでございます。

 いずれにしても、現在、臨時休業後の対応については、今後の各地域における感染の状況や専門的な知見を踏まえつつ、しっかり文科省として検討して、先生方から御指摘があったように、単なる地方任せじゃなくて、地方自治体と一緒になって考えて、出口戦略というのを考えていかなきゃいけないと思っていますので、その問題意識を共有していきたいと思います。

笠委員 というのが、ほとんどの学校は総理の要請を受けて今臨時の休校ということでやっているわけです、中には一部休校していないところもあるんですけれども。

 私は実は川崎なんですけれども、川崎市では三月の四日から。二日からという、ちょっと二日間ずらして、そして春休み前、三月二十五日、つまり春休みまで、政府の要請どおりに休校ということになっているんです。東京都もそうですね、三月二日から春休みまで。ただ、隣の横浜市は、これは東京都を除くと最も学校が多いということになるわけですけれども、三月三日から十三日までなんですよ。それで、来週の月曜日、九日の日に、その十三日以降、十四、十五は土日ですけれども、どうするのかということを市長が判断するというようなことを今おっしゃっているわけですね。

 そういったことについて、例えば、これは別に横浜市に限りませんけれども、文科省に何らかの相談とかあるいは助言を求めるような問合せというのは自治体から来ていたりはするんですか。

丸山(洋)政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の再開時期について、横浜市からその基準等についての相談ということは現時点では受けておりません。

 また、今後の見通しということについては、幾つかの自治体から相談の連絡をいただいている、そういう状況でございます。

笠委員 局長、その今後の時期等の見通しみたいな、それはどういうふうにお答えになっているんですか。大体どういう問合せがあって、大体どういうふうに、一つ一つじゃなくてもいいんですけれども。

丸山(洋)政府参考人 お問合せが来た場合の回答ぶりとしては、今回の学校の一斉臨時休業については、今まさに感染を早期に終息させるための極めて重要な時期にあるということを踏まえて、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクをあらかじめ抑える観点から行っているということをまず御説明をさせていただいた上で、当面は円滑な臨時休業の実施を通じて感染拡大防止に全力を尽くすことが最も重要であるということで、その上で、臨時休業後の対応につきましては、今後の各地域における感染の状況や専門的な知見を踏まえつつ検討してまいりたいと考えているというような形でございます。

笠委員 全くさっきの、大臣は多少今後の見通しについて踏み込みましたけれども、専門的な知見、地域の状況によってということしか答えていない、実際は答えていないに等しいわけですね。

 ただ、先ほど来私が言っているのは、例えば横浜なんかが、みんなが春休みまでだったらもう少し時間があるんだけれども、これだけ大きな都市がどういう判断をするかというのは、実はいろいろな影響が出てくるんですね。

 今の一斉休業ということについても、もちろん理解をしている方もたくさんいます。しかし、できればもう学校を再開してほしい、一刻も早く再開してほしいと思っておられる方もいる。多分、恐らく、この委員の皆さんも、地元に帰れば両論ある。しかし、今は政府の方針に従ってしっかりやっていこうということがほとんどだと思うんですが。

 だから、明確な基準というのはなかなか難しくても、一定の、こういったことに配慮をする、あるいは、こういった形のガイドラインというか目安が立てば学校を再開してもいいんじゃないか、休業をそこで終えてもいいんじゃないかみたいなことは、週明け早々とは言いませんけれども、やはり大臣、来週ぐらいにでもしっかりどこかで出せるような形で。それが最終的な基準じゃなくてもいいですよ。でも、どういったことに留意をして再開を判断すればいいのか、そういったことぐらいはぜひ示していただきたいと思いますけれども、改めてお願いいたします。

萩生田国務大臣 たまたまイベント等の自粛要請が二週間ということで、これがおおむね三月十四とか十五を指すことになります。厚労省の方では何らかの様子は確認しなきゃならない。これはもういいですよ、もとへ戻してくださいと言うのか、引き続きまだ延長して自粛を続けてくれということをお願いするのかという一つの目安はやはりつくらなきゃならないと思います。

 それにあわせて、政府全体で、学校の再開方法についても、これはあくまで自治体に権限がありますけれども、しかし、何らかの目安がない中で判断を誤れば、これはまた大変なことにもなると思いますので、責任が共有できるように、そこは先生からせっかく御指摘がありましたので、来週以降の時間の中でいろいろな議論をしていきたいと思っています。

 ちなみに、せっかくの機会なんですけれども、私も、一斉休校したら全国の各自治体から物すごい問合せが文科省にも来るんだろうと覚悟していたんですけれども、私、そういう意味では地方自治体あるいは地方教育委員会はしっかりしているなと思ったのは、さっき丸山局長から答弁しましたけれども、もう数えるほどなんですね。それも、なるほど、そこは国の意見を聞きたいだろうなというような内容でございますので、今のところ、休校のスタートは、確かにテレビの中では混乱のことしか出てこないんですけれども、自治体レベルではきちんとやっていただいているということを本当に高く評価し、感謝をしています。

 問題はこれをどうやって出口へ近づけていけるかということだと思いますので、そこはしっかり御意見を踏まえて対応していきたいと思っています。

笠委員 スタートのときよりも、これは確かに唐突だったけれども、自治体、みんな、地域の人たちの力もかりながら今やっているということだけれども、やはり出口の方が判断は本当に難しいと思うので、一番いろいろな、これは文科省だけじゃないですけれども、やはり専門的な知見を持っているのは、当然ながらこの霞が関であり、あるいはいろいろな国の研究機関。あるいは、やはり国の責任でもって一つのしっかりとした情報の発信というものを重ねてお願いをしておきたいと思います。

 それで、今もありましたように、確かに十五日までいろいろなイベントが自粛されていたり延期されていたりということで、恐らく加藤大臣もそこあたりを目安に判断をするということなので、ぜひ学校の部分も、今大臣がおっしゃったように、それに合わせるようなタイミングで何らかの基準を出していただきたいというふうに思います。

 それでは、次に、ちょっと一つ具体的なことなんですけれども、これから年度がかわると、当然、今、卒業式の対応なんというのを、各学校、どういう形でやるかということをやっておりますけれども、今度、入学式が当然次の課題になってくるんだと思います。

 その後に一つ、実は四月の十六日に令和二年度の全国学力・学習状況調査がもう既に予定されているんですね。その準備状況をお聞かせください。

浅田政府参考人 来年度、令和二年度の全国学力・学習状況調査は、昨年十二月に実施要領を公表しておりますが、全国の小学校第六学年、中学校第三学年を対象として、国語、算数、数学について四月十六日に実施する予定です。

 現時点で既に問題冊子や解答用紙などの印刷が完了し、配送に向けてこん包作業を行っているところであります。これらの問題冊子等は調査の前日までに各学校に配送されることとなっております。

笠委員 今、学校が一斉休業になった影響で、実は一部未履修の部分が当然あります。もう問題は、今の話で、既にでき上がっている、あとは発送するだけであるということは、大臣、現時点ではこれを延期するとか中止するとかということはまだ検討されていないと思うんですけれども、今後の、いつまで休業が続くのかによっては、そういった未履修の部分から出題されている可能性も私はあると思うんです。つまりは、五年生のときのこの三月の、あるいは中学二年生のときの三月に学ぶべきものが。

 ですから、今後の休業の状況によっては、私は、これを延期するなり、あるいは、今できている問題でそういったところにかかわる部分を何らかの形で外していく、その設問の中から。それは別に難しい話じゃないので、そういった対応をぜひ検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 来年度の全国学力・学習状況調査は、令和二年四月十六日の木曜日に実施予定でございます。そのための準備を進めています。

 現在、全国の小中学校等に対しては、新型コロナウイルス感染症対策のために臨時休業を要請しているところであり、それぞれの地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者において対応いただいております。

 この学力・学習状況調査は、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てることを目的とした重要な調査であり、先ほど局長から答弁をさせましたとおり、現時点では予定どおり実施したいと考えております。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の今後の状況もよく注視をして、そして、先生から御指摘があったように、万が一、五年生、中学二年生の段階できちんと履修が終わっていない学校と終わった学校との差があったまま全国一斉テストを行ったのでは、これは正しい数値が出てこないと思いますので、その辺は、しっかり全体を俯瞰しながら柔軟に対応していきたいと思っています。

笠委員 その点は本当によろしくお願いいたします。こんなの習っていないのが出ているなんということになると大変なことでございますので、やはり、この目的にも照らしてしっかりとした対応をお願い申し上げたいというふうに思います。

 それでは、次に、ちょっと大学関係の対応を幾つかお伺いをしたいんですけれども、大学入試についての対応というのはもう通知で、事務連絡等々で出されておるわけですけれども、まず、二月二十五日、二十六日に行われた前期の試験において、新型コロナウイルスに感染して受験ができなかった学生というのは、生徒というのはいるんでしょうか。そういうケースがあったのかどうかをお答えください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 国公立大学の個別学力検査の前期日程でございますが、先月二十五日から二十七日にかけて実施されました。

 文部科学省では、この前期日程終了後に、新型コロナウイルス感染症に感染若しくは感染が疑われたため受験できなかったという受験生等からの相談の有無について各大学に調べたところ、前期日程試験を実施した全ての国公立大学ではそのような相談はなかったということを確認しております。

 なお、今後、仮に、実際に感染等を理由に受験できなかった受験生がいたことが判明した場合などにつきましては、これは受験機会の確保という観点から大学と個別に相談してまいりたいと考えております。

笠委員 なかったということで、とりあえず前期の方はよかったと思うんですが、来週十二日からはまた後期試験が行われますので、引き続き、受験生の機会が奪われることがないように、しっかりと対応をしていただきたいというふうに思います。

 それで、三月二日の大学及び高等専門学校についての事務連絡の中で、大学において感染者が生じた場合にあっては、当分の間、その旨を文部科学省に報告することを求めていますけれども、これまでに大学等で感染者が出たという報告はあったのでしょうか。

伯井政府参考人 本日までに我々のところに、三校の大学より計三名、検査結果が陽性であった者がいるという報告を受けております。

 この内訳は、社会人学生一名、海外からの留学生が一名、大学職員が一名ということでございます。

笠委員 今、大学あるいは高等専門学校については、もちろん今回の一斉休業の対象とはなっていないわけですけれども、ことしはわかりませんけれども、例年だと、卒業生って、もう今大学は休みなので、割と海外旅行、卒業旅行に出かけているような学生が非常に多いと思うんですけれども、卒業旅行から、やはりいろいろなところで今世界的に広がっておるわけで、帰ってくる学生などの感染というものについても気を使っていかなければ、卒業式はまだこれからなので、そういうみんなが集まるような行事が控えておりますので、ぜひそういったことについても何らかの要請をするなり対応するなりということでお願いをしたいと思います。局長の方で。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 大学におきましても卒業式というのはかけがえのない行事であるというふうに認識しておりまして、これにつきましては、現時点で一律の自粛要請というのは行っていないわけでございます。

 その上で、各大学において卒業式等を行う場合には、感染拡大を防止するため、実施方法の工夫などの措置を求めているということでございます。

 そして、今御指摘がございました、例えば、帰国後の感染拡大防止のために、当該人が待機期間になってしまって、それが卒業式の日と重なるというようなことが生じた場合、さまざまな工夫を我々は求めておりますので、例えば別の日程で学位記の授与を行うといった措置を講ずるなど、そうしたことはあり得るというふうに考えております。

 実際にどのような対応を各大学が行うかというのは、その状況を踏まえて適切に、配慮のための工夫というのを御判断いただくことが必要であるというふうに考えておりまして、そうした考え方を機会を捉えて伝えていきたいというふうに思っております。

笠委員 それもお願いを申し上げておきたいと思います。

 それで、通告を一つ飛ばしますけれども、GIGAスクール構想についてちょっとお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 この構想は、これもまさに、前倒しして全国一律に実施をするということを国として決めたわけですから、財政面含めて、やはり国の責任でもって。

 私は、この構想自体は、本当にこれはこれからの教育を大きく変えていく大事なことだと思っておりますので、その点についてはしっかりと、非常にその目的はいいんですけれども、ただ、余りにも、例えば地方の自治体から見ると、三年間で行うことになっていた校内ネットワーク環境整備が、補正予算を活用したために、令和元年限りの対応、補正予算での対応ということになるわけですけれども、やはりなかなかこれは、大きな自治体になると、学校をたくさん抱えていると間に合わないんですね。

 だから、そういったときに柔軟な財政措置の対応をぜひしていただきたいというふうに思いますけれども、その点についてのお考えをお示しください。

丸山(洋)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のGIGAスクール構想の中では、令和元年度の補正予算の中で、校内通信ネットワークの整備事業と、それから端末の事業と計上されているわけなんですが、委員御指摘の部分は、多分、校内通信ネットワークの整備事業の部分であろうと思います。

 これについては、令和元年度の補正予算ということでございますので、繰越しをして、令和二年度まで、原則として、そこで、令和元年度と令和二年度で、二年間で全国三万校の校内通信ネットワークを整備していくということで、今、各自治体と御相談をさせていただいているということでございます。

 そのために、令和二年度中にネットワーク整備が完了ができるように、自治体において、学校単位で、令和元年度事業、令和二年度事業に分けて、いわゆる二期工事といったような形で申請をすることが可能になるということでありますとか、また、工事を、長期の休暇中だけではなくて、WiFiの敷設工事がございますので、週末等をしっかり活用して行うということも考えられるのではないかということで、自治体がさまざま工夫ができるように情報提供を今行っているということでございます。

 また、学校設置者に対しましては、ICT環境整備に関する助言などを行うICT活用教育アドバイザーに係る経費を令和二年度政府予算案に計上しているところでございまして、またさらに、先月には、大臣から直接、メーカー等民間事業者に対しましても工事の時期を柔軟に検討するなどの協力要請がなされているところでございます。

 文部科学省としましては、このような取組を通じて、校内通信ネットワーク整備が円滑に進むように、各自治体に対して引き続き丁寧に対応してまいりたいと考えております。

笠委員 いや、局長、違って、前に政令市長会が、恐らく大臣のところにも要請が行ったと思うんですけれども、今の、補正を使ったから令和二年度内の事業完了を前提にしているという。でも、これはもともとは、当初は、通信環境の整備は三年間で行うはずだったんですよ。ただ、それが今回、元年の補正を使ったから、二年度内に終わりなさいねということが今の文科省の方針なわけ。ただ、それに間に合わない可能性もあるわけです、やっても、先ほどのいろいろな事情で。そういったときに臨機応変に継続的に対応していただけるのかということを私は伺っているんです。

丸山(洋)政府参考人 これはいわゆる国の予算制度にかかわる問題でありまして、財政法でありますとか予決令に係る規定で整理がされているわけですが、この件については、基本的な予算の仕組みとしては、元年度補正予算で今回計上されている予算については元年度中に執行するということ、あるいは明許繰越しを行って令和二年度中に執行していくというのが制度上の整理になっておるんです。

 その上で、今回、補正予算では一千三百億円が計上されているわけですけれども、文科省としては、全ての学校でWiFi環境をしっかり整えていくということでございますので、整備が進まないような自治体に対して、先ほど申しましたように、さまざまな点で、文科省からもアドバイザーをみずから派遣しましていろいろなお手伝いもさせていただきたいと思いますし、さらに、財政的な部分について、全体として状況を見ながらということになりますけれども、関係省庁ともいろいろな点について相談をしていきながら検討を進めて、このGIGAスクール構想を実現したいと思います。

笠委員 これも一斉休業と一緒なんですよ。これもある意味では総理のリーダーシップなのかわからないけれども、大型の補正で一台ずつやるよと決めたんだから、今までの計画と違うことを今やっているわけです、前倒しして。だったら、そのことで、今、自治体も一生懸命やっていますよ。しかし、やはり間に合わないかもしれないという不安があるわけです、特に政令市は。学校も多いし、業者だって本当に確保していかないといけない。

 だから、大臣、もちろん、補正予算はどうだなんというのはそれはわかり切った話で、しかし、そういうときに何らかの対応は、やはりこれは政治の責任でやってもらわないといけない。そのことだけお約束してください。

萩生田国務大臣 局長は立場上、法律にのっとったお話、私も法律は守らなきゃいけないんですけれども。

 そもそも、これは、本当に国も本気で、期間を切って全国に整備をしようということでスタートしました。今までも、地方交付税を含めて、校内LANについてはお進めをしていたんですけれども、残念ながら、この期間、なかなか思うように進みませんでした。

 しかし、今回、こういう形で国を挙げて大きな政策に格上げをさせていただきましたので、今先生が御指摘になっているような問題点は、現場の問題点は私も承知しています。しかし、あらかじめ三年と延ばせば、またこれはずるずるいってしまいます。ですから、補正予算と二年度でまずやってくれということで、各自治体、御努力しているのはわかります。その上で、実態として、例えば先生のような、政令市のような大きな自治体、あるいは逆に、過疎地のようなところでなかなかその整備が届かない自治体、業者にも、数にも限りもあります。それを、今業界の皆さんともさまざまなお話をしていますので、最大限努力をしていただいて、それでも結果として何かふぐあいが生じた場合は、私、これは責任を持って対応したいと思います。

 しかし、今から足跡が残らないで、いや、うちの自治体はいいや、どうせこれは延びるだろうから三年に手を挙げればいいやと、それはやめてもらいたいと思っていまして、そういう意味で期限を切っているところです。

笠委員 そこは、大臣、自治体も一生懸命やっていますよ。ですから、そこはまた自治体を信頼して、今大臣からは、私は非常に前向きな答弁をいただいたということで受けとめたいというふうに思います。

 それで、今回、いきなり一人一台、これを配っていくということになるわけだけれども、急ぐというのは、これは今までのように自治体任せにしていたら、やるところはやるけれども、やらないところはやりませんから。だから、そこはやはり国としてリーダーシップを発揮していくということは理解はできるんですけれども、本来だったら、まず、ハードを導入する前に、じゃ、それを活用して何をやるのかというようなことをやはりそれぞれの自治体がしっかりと考え、そしてその計画をつくって、その後に本来はハードなんですよね、急ぐにしても。

 ただ、そういった中で、あと、やはり教職員の人たちが、みんなICTを本当に活用できるのかといったら、非常に得意な先生もいれば、もう一度一からきちっと勉強をしなければならない、あるいは研修をしなければならない、そういう人たちもいます。あるいは、いろいろな形でこれは専門家のサポートをお願いしないと、かなり、最初の年から現場が混乱していく可能性もあるので、また改めてこのことについてはやらせていただきたいと思いますけれども、中教審の特別部会でも、このICT支援員の配置拡充を求める意見がかなり相次いでいる。一校にやはり一人ぐらいは配置するぐらいのことをぜひ検討していただきたい。

 そのことについて、大臣にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 ごもっともな御指摘だと思います。私も、この事業をいよいよ本格的にスタートしたときに、さぞ学校の先生方は喜んでいただけるかと思いました。拍手で迎えてくれる先生もいれば、大臣、余計なことをしてくれたねという方も中にはいらっしゃいまして、さまざまだと思います。

 大切なことは、みんなが同じレベルで使えるんじゃなくて、先行事例のいいものは横展開をして各学校で使えるようになっていくことが大事だと思いますので、ICT環境整備は、ICTを活用して公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びを実現することが目的なので、一人一台の環境整備に合わせて、教育用のコンテンツや教員の皆さんの研修、それから教員の指導を支援する体制の充実が必要だと考えております。

 このため、先月、私から直接、学校の情報化に関連する事業者に対して、使いやすい教育用コンテンツの提供や効果的な指導方法などに関する学校現場への協力をお願いしました。

 また、文部科学省としても、教員がICTを活用して指導を行えるように、独立行政法人教職員支援機構における各地域でのICT活用に関する指導者の養成研修の充実や、教師のICT活用をサポートするICT支援員などの配置の促進を図ってまいりたいと思います。

 加えて、学校設置者に対しICT活用に関する助言や研修支援を行うICT活用教育アドバイザーに係る経費を令和二年度政府予算案に計上しているところです。

 文科省としても、このような取組を通じて、学校現場においてICTをしっかりと活用できる積極的な環境づくりをしてまいりたいと思います。

笠委員 時間が参りましたので終わります。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 新型コロナウイルス感染症に罹患されて苦しまれている皆さんにお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い回復をお祈り申し上げます。

 そして、この間、我が党としても、この問題の対応のための治療体制、検査体制、経済への対応など抜本的な財政措置が必要だと求めてまいりましたし、また、感染症の専門家を緊急に参考人として国会に招致して、科学的知見を共有して対応に当たることを求めてまいりました。

 こうした中で、マスクが足りない、いろいろな問題が足りないと、市民の暮らしは、国民の暮らしは大変な状況になっております。こういう不安を国民が抱えている中で、二月二十七日、安倍総理が突然に、新型コロナウイルス感染症への対応として、全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週三月二日から春休みまで臨時休業を行うよう要請をすると発言をいたしました。

 ちょうど一週間が経過をしております。今、子供を抱える親の皆さんから、一日じゅう子供たちを自宅で過ごさせるなんて無理です、共働き家庭の実情を全くわかっていない、感染者がいないのになぜうちの学校が休業しなければならないのかと、たくさんの怒りの声が私のところに寄せられております。二十七日の夜、国会におりまして大変でした。翌日もそれ以降もずっと続いております。

 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の委員である岡部信彦川崎市健康安全研究所所長が、二月二十九日付の神奈川新聞の取材で、一斉休校について、専門家会議は提言をしておらず、諮問もされていないと述べておられるように、専門家の知見ではなく、また科学的根拠もないまま総理の政治判断で決められたということは、この間の国会質疑を通じて明らかになっております。

 事前に質問を求めていないんですが、萩生田光一大臣に先ほどからの議論の関係で一つだけ確認させていただきたいんですけれども、この全国一律臨時休業というのを大臣が知ったのは何日の何時でしょうか。

萩生田国務大臣 先ほどもちょっと答えさせていただきましたけれども、二十七日の以前から、全国一斉休業の必要性については政府の連絡会議あるいは文科省内の会議の中でも話題に出ていました。しかし、正式に一斉休業の可能性について次官から私に報告があったのは、二十五日の日でございます。そして、本当にやるかやらないかということで総理と話合いをしたのは、二十七日の午後でございます。

畑野委員 午後の何時でしょうか。

萩生田国務大臣 たしか一時半から二時ぐらいの間にお会いをさせていただいたと思います。

畑野委員 そのとき、大臣はどういう対応をされたんですか。どういう御意見を述べられたんですか。

萩生田国務大臣 文科省としましては、この事態が発生したときから、やがて学校関係者で感染者が発生した場合にどうするかというシミュレーションの中で、まずその学校を休校にする、休業にする、また、直接の感染者が学区内にいなくても隣の学区の学生だった場合どうするかなどというさまざまなシミュレーションの中で、累次、休業のあり方について、地方自治体に指針を示してまいりました。

 最後に二十五日にお出しをしたのは、直接の感染者がいなくても、あらかじめ自治体の内部で感染者がいれば全ての学校を閉めることも否定をしないというような方針を示したところでございますけれども、率直に申し上げて、全国一斉の必要性については、私は発生を確認した段階で閉めていけばよろしいのではないかという認識を持っていましたので、そういう意味では、私なりの意見具申はさせていただいたところでございます。

畑野委員 ぜひその立場を貫いていただきたかったと思うんですね。であるならば、こんな混乱は防ぐことができたと私は思います。

 そこで伺いますが、文部科学省は、今回の一斉休校は学校保健安全法第二十条に基づく臨時休業だとしております。一般的に、インフルエンザ等の感染症が流行したような場合、どのようなプロセスで臨時休業は行われるのでしょうか。

丸山(洋)政府参考人 お答え申し上げます。

 学校保健安全法第二十条に基づく臨時休業については、「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。」とされており、設置者は、臨時休業を行ったときは保健所に報告することとされております。また、可能な場合には、臨時休業を行う前にあらかじめ保健所長に連絡して、その助言を受けることが望ましいとされております。

 なお、どのような場合に臨時休業を行うべきか等につきましては、感染症の種類や、各地域、学校における感染症の発生、流行の態様がさまざまでございますので、感染症予防の観点と児童生徒が教育を受ける機会を確保する観点などを勘案して、設置者が総合的に判断することと考えております。

畑野委員 二月二十四日に、専門家会議が「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解」を発表いたしました。これを受けて、翌二月二十五日、政府の対策本部が基本方針を決定し、文科省は同日付で、「児童生徒等に新型コロナウイルス感染症が発生した場合の対応について(第二報)」を出しています。

 伺いますが、ここでは、設置者が感染者がいない学校も含む積極的な臨時休業を行う場合、都道府県等の衛生部局ほか首長部局とも十分に相談し、臨時休業を行うとしているわけですが、間違いありませんね。

丸山(洋)政府参考人 間違いありません。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

畑野委員 二月二十四日の専門家会議の声明、二月二十五日の基本方針、二月二十五日の文科省の通知、いずれにも、一斉休校を要請するという方針は示されていないんです。大臣がおっしゃるとおりですよ。あくまでも、臨時休業の措置は各自治体と設置者が判断するという従来からの枠組みの中で行われるべきものだと考えられてきた、それが基本だった。ところが、一斉休校の要請の翌日、二月二十八日の事務次官通知でも、学校保健安全法第二十条に基づく臨時休業を要請するものとなっているわけです。

 であるならば、今全国で行われている臨時休業というのは、設置者が都道府県等の衛生部局ほか首長部局とも十分に相談した結果、判断されたものでなければならないはずだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 二月二十八日の通知においては、前日二十七日に開催された新型コロナウイルス感染症対策本部において、この一、二週間が感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であるという専門家の見解に基づき、内閣総理大臣により全国一斉臨時休業の方針が示されたことを踏まえて、全国の教育委員会等に臨時休業を行うよう要請をしたものです。

 議員御指摘の二十五日通知における、都道府県等の衛生部局ほか首長部局とも十分相談し、休校措置をとるとしたのは、設置者が当該地域での感染防止を抑えることを目的に当該地域に対して行う臨時休業を想定したものであり、今回の全国一斉の臨時休業とは事情が異なるものです。

畑野委員 でも、どっちみち、学校保健安全法第二十条に基づいてやるということが同じであるならば、この間踏襲してきたやり方は、それは行われなかったらおかしいんじゃないんですか。

萩生田国務大臣 学校保健安全法第二十条に基づく臨時休業については、「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。」とされており、設置者は、臨時休業を行ったときに保健所に報告することが義務づけられております。

 今回の通知は、確かに、内閣総理大臣の大きな方針を示した後に文部科学省が要請をして、その判断を各自治体が行ったので、結果として、自治体の長と教育委員会と全く相談なく決めるということはまず考えられないと思います。そういう意味では、一定の手続を踏んでいただいていると承知しております。

畑野委員 法律にのっとってやるわけですよ。だって、二十四日の専門家会議の声明を受けてやっているわけでしょう、二十七日の総理の要請だって。みんなそれが出発点なんでしょう。それに基づいて基本方針を政府が出した、そしてその日に文科省も出したという仕組みじゃないですか。では、二十七日で、もうどおんと超法規的にいっちゃうんですか。そんなことはないでしょう。

 もちろん、感染者が出ている学校だったら、それは当然、大変な状況ですから、対応は要るでしょう。一番最初に局長に確認したのは、この間の感染症だって、それは学校ごとにやる場合、保健所だとかいろいろなところと相談しながらやっているでしょう。だから、そういうことは、まだ感染者が発生していないところでやる場合でも休校というのはあり得ますよ、そういうときにはちゃんと科学的知見というか、衛生部局と連絡をとり合ってやりましょうねというのが当然の二十五日の考え。そのもとになっているのは、二十四日の専門家会議あるいは二十五日の政府の基本方針。こういう流れで徹底し始めたところじゃないですか。

 であるならば、いやいや、その二十五日のはもう関係ないですよと総理が言ったから、科学的な知見はないと言うんだけれども、科学的根拠はないと大臣はおっしゃったけれども、もうそれでやれと言われたら、こんな無理筋な話はないじゃありませんか。厚生労働省と政府と専門家会議と含めて、こういう事態だと何か具体的に出たわけでもなかったとお認めになりましたけれども。

 これは大混乱ですよ。出しても、その通知はすぐほごにされる。こんなので、子供たちや国民の命、守れますか。子供の教育権、守れるんですか。

萩生田国務大臣 先生、御心配はありがたいんですけれども、二十五日の通達は決して無駄にもほごにもなっていないと思います。すなわち、二十五日の延長が二十八日の通知につながっていくわけでありまして、学校保健法では確かに保健所長に連絡をしたり助言を受けることが望ましいとなっておりますけれども、先ほど申し上げたように、私も考えました。逆に、全国一斉休業をやらなくていいという科学的根拠を示したいと思いましたけれども、それはございませんでした。

 未知のウイルスと今戦っていて、きょう感染者が一人もいなくても、あした出るかもしれない。そして、きょうは拡大していないけれども、あした感染が広がるかもしれない。大阪のライブハウスなんというのは、一つの例としては、本当に我々が想像した恐ろしい事態だと思います。こういうことが学校で起きて、学校で集団感染が起きる、クラスター化をする、あるいは、七年前の新型インフルのように、学校を媒体にしてインフルエンザが拡大した。ああいうときのことが絶対起こらないかという科学的知見を私も示すことができませんでした。

 そういう中では、未曽有のウイルスとの戦いの中で、おっしゃるように根拠に欠けるところがあったんじゃないかと御指摘いただければ、そこは私は素直に認めなきゃいけないと思います。しかし、子供たちの安全を守るためというこの一点で決断を先にさせていただきましたので、御理解をいただきたいと思います。

畑野委員 一つ一つのことを蓄積して、積み重ねてやっていくところに行政の役割があるわけですよ。それを、政府が慌てちゃって冷静に対応できなかったら、国民は大混乱ですよ。これが今の実態ですよ。

 だから、私は、文部科学省の立場を貫けなかった大臣もそれは反省してもらう必要があるけれども、一番最初に言った安倍総理に本当に反省してもらいたいと思います。ここの委員会に来ていただいて、全国の都道府県と学校に謝っていただきたい、子供たちに、申しわけなかったねと。もっと大臣の言うことを聞けばよかったねというふうになるのかわかりませんけれども、そこの会話の中身は私たちはつまびらかに知ることはできないんだけれども、そういう責任を持っているということです。

 それで、私、ある市の状況を聞きました。二十七日夕方、安倍首相が全国一斉休校を発表したニュースが流れて、市長は、直後の十八時四十五分ごろ、市教育委員会に休校の検討について連絡をして、市教委は十九時から二十二時まで三時間にわたって対応を協議した。首相の言うような翌週三月二日からの休校は、余りに突然過ぎてとてもできないという意見も出た。市立高校で三月三日に試験を控えてきたこともあり、検討の結果、市立小中学校は三月三日から十六日まで、市立高等学校は三月四日から十六日まで、市立特別支援学校は休校とはせず通常どおりなどが決まっていったと。これは全国そうだったと思いますよ。私、いろいろなところを聞いていますけれども、そういうふうに伺っています。

 だから、その間、保健所や衛生部局と相談するような余地は当然ないわけですよ。やれていない。臨時休業が本当に教育委員会として、学校設置者として必要なのか、休業の期間や形態をどうするのか、十分な相談ができるいとまもなかった、とにかく決めた、判断するいとまもなく無理やり決めさせられたというのが実態じゃないでしょうか。要請という形をとった大きな指示を、方針を出したわけです。

 それで、二月二十八日の文科省事務次官通知が、臨時休業の期間や形態については、地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者において判断していただくことを妨げるものではありませんとしています。大臣は、参議院の答弁で、実際に実施の見送りをしている自治体、島根県松江市、出雲市なども存在していて、そのことに対して我々非難はしていませんとおっしゃっておられます。

 臨時休業しないという判断も、これはいいということでよろしいですか。

萩生田国務大臣 各自治体において、国が示した方針を理解していただいた上で、感染防止拡大策を講じ、みずからの責任において臨時休業の実施の見送りを判断された自治体があるとすれば、私はその判断は尊重したいと考えています。

畑野委員 栃木県茂木町が休校を撤回いたしました。三月三日です。町は二月二十八日、三月十日から二十四日の臨時休校を決めたが、それを撤回したということです。

 ホームページを読みますと、「小さな子どもたちに感染のリスクが高いと言われる中、保育園・幼稚園が通常通り運営されていること 臨時休業となった場合、保護者の仕事の関係等で家庭によっては子どもたちだけで過ごさなければならない状況が発生しうること 通常授業が実施されれば、安全に配慮した形で子ども達へ給食(昼食)を提供することができること これらのことなどから、児童生徒の精神衛生上、また、健康・安全を確保するうえでも学校で過ごすことが最適であると判断し、臨時休業を取り止め、小中学校とも通常どおり授業を実施することとしました。」ということです。

 あわせて、今後の対応もちゃんとお示しされていて、「引き続き安全指導(手洗い、うがい、換気等)を徹底して」いく、「お子様が予防のため登校せず各家庭で過ごすという場合は、欠席扱いとはなりませんので、各校へ連絡をお願いします。 なお、本町又は近隣市町において感染者が出た場合には、即時休校の措置を講じますので予めご理解のほど、よろしくお願いいたします。」、卒業式もやりますよというふうになったということです。

 私は、本当に各教育委員会あるいは学校を含めて信頼をし合って、そうした判断を国が支援していく、財政的にも含めてですね、そういうことがそもそもの地方教育行政のあり方だというふうに思うわけです。

 それで、実はきのう、女性の団体、新日本婦人の会のお母さん方が国会に要望書を持ってこられまして、文部科学省、厚生労働省に要請をしておられました。それで、一律休校による保護者の困ったの声というのが寄せられて、私、託されたんです。萩生田光一文部科学大臣にぜひ渡していただきたいということで、後で、質問が終わりましたらお渡しさせていただきたいと思います。

 二月二十八日から三月四日の十二時までに寄せられたメール、LINE、今の人たちはLINEで来るわけですね。そういうことです。

 一番最初は、急な決定で子供犠牲に、卒業式、突然の別れ、中止、子供のメンタル心配、子供の権利の保障をということです。

 一つ、二つ、読み上げて御紹介します。

 我が家の次女は高三で吹奏楽部ですが、高校最後の定期演奏会、三月十四日に向けて、約一年がかりで準備をしてきました。実行委員長として、時には公募推薦の小論文対策と同時並行で定演、定期演奏の準備もしたり、朝方まで持ち帰りの仕事をしたり、周りを鼓舞しながら、連日、練習、準備、広告取り、チケット販売と頑張ってきて、きのうまでは校長もやる方向で話が進んでいたのに、急転直下、なぜか夕方、安倍首相の小中高休校宣言。ショックでショックで、この怒りと悲しみをどこにぶつけたらいいんだという状況です。せめて小規模でもいいからやらせてあげたい。三月一日の卒業式も、きのうの連絡では保護者は最小限度の参加でと通知をもらいましたが、きっときょう、保護者は不参加でと通知をもらってくるだろうなと思っています。とにかく急過ぎる、余りに配慮の足らない宣言だったなと思います。山梨の方です。

 きょう二十八日は、突然の修了式のような感じで、子供たちはクラスメートと先生と突然のお別れになりました。うちの子も朝から、もしかしたらきょうが先生と最後かもと学校に送り出しましたが、やはり号泣だったようです。学童保育の子供たちも、突然のお別れに泣いた子が多かったようです。本当に今回のことは怒りしかありません。子供たちにも、もちろん学校や保護者にも準備や説明もなくの決定、しかも国の対策はいまだなしでは、混乱と不安をあおるばかりです。本当に怒りです。福岡市の方です。

 全部読み上げているといけませんので、後でゆっくりお読みいただきたいと思います。

 きょうは、こうした方たちの声も含めて、質問を続けさせていただきたいと思います。

 子供たちは、突然の一斉休校によって学ぶ権利を奪われました。そして、子供時代の貴重な体験の数々を奪われてしまいました。これは、今回の措置が全て子供たちの健康、安全を第一に考えた判断だという一言では済まされない問題だと私は思います。奪われた子供たちの人権、学習権をいかに保障するのかという観点から、今とられている対応を急いで改善していく必要があると思うからです。

 まずやらなければならないのは、全ての子供たちについて休校中の生活実態をつかみ、学校や教育委員会が必要な援助をしていく、それを国が支援していくことだと思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 臨時休業期間中の子供たちについては、人の集まる場所等への外出を避け、基本的に自宅で過ごすよう指導することをお願いしていることから、子供たちの学習面や生活面での課題を把握することは重要なことと考えています。

 例えば、子供たちの学びを支えるために、臨時休業期間中の自宅学習を行う子供からの電話による学習相談を行うといった対応、また、文科省としては、こういった取組に対しては、公立学校における教員の加配や学習指導員等の配置に必要な支援を、各自治体の御要望を踏まえながら迅速に行うこととしております。

 また、自治体独自の取組として、ICTを活用した遠隔での健康観察や学習成果の確認などの取組を行われている自治体もあると承知をしており、こうした事例等をまとめた資料を取り急ぎ本日に公表する予定ですが、引き続き、さまざまな工夫の事例を収集し、学校現場にお届けしてまいりたいと考えています。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

畑野委員 先ほどのお母さんたちの声で、休校中の学習について、小学校一年生の娘がプリントをもらってきましたが、残っていた授業の分を丸投げされたようです、まだ習っていないところだよと言っていましたと。一年生ですから、それはやれと言われてもできない。むしろおくれを取り戻すのがこの三月だったのではないかとおっしゃっているのは、そのとおりだと思います。

 また、休校であっても、卒業式や学年末行事などを工夫して行えるように柔軟に対応するべきではないかと思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 御指摘の卒業式等の年度末の学校行事は、学校生活に有意義な変化や折り目をつけ、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活の展開の動機づけとなるもので、大切なものだと思っています。

 臨時休業の期間や形態については、地域や学校の実情を踏まえ、各学校の設置者において判断いただくことを妨げるものではありませんので、文科省としては、各学校が地域の感染状況等を踏まえ、卒業式や修了式などの学校行事を実施する場合には、感染防止のための措置を講じたり、必要最小限の人数に限って開催したりするなどの対応を行っていただくよう周知をしております。

畑野委員 二十七日のときにもう、ああ、卒業式もだめだというのがばあっと広がったわけですね。それを復活していく、先ほどの茂木町じゃないですけれども、そういうことも含めて、ぜひ進めるように援助していただきたいと思うんです。

 子供たちの居場所を確保するために出された、三月二日付通知にある「子供の居場所の確保に係る衛生管理について」では、「教室等において、座席間を離して配置し、一メートル以上離して交互に着席するなど、できる限り児童生徒同士の距離を離す」、先ほど城井委員の資料が配られたものですね、また、「昼食時においても、その他の時間同様、できる限り周囲との距離を離すとともに、不要な接触を避ける」と述べています。

 こういう通知が現場でどうなっているかというのを、きのうお母さん方がおっしゃっていました。きょうの学校の受入れの様子を子供に聞いてみた。とにかく動くなという感じ。五時間無言で自習。トイレ、水飲み以外は自分の教室から出てはだめ。廊下で仲のよい友達と話していたら、すぐに教室に戻れと言われてしまった。お弁当も、黒板の方を向いたまま無言で食べるように言われ、つら過ぎてもう行きたくないと言っていた。体育館もあるし、短い時間でも順番に体を動かしたり、お弁当も仲よしで集まっておしゃべりしながら食べたり、それくらいは息抜きさせてあげてもよさそうなのに、想像していたより子供が犠牲になっていたという声です。

 さきの文科省の通知は、今紹介したような対応を求めているんでしょうか。そんなことはないと思うんですが。子供たちの人権が置き去りにされてはいけないと思いますが、大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 先ほど、一年生の担任の先生が未指導の分野をプリントで一年生に配って、自宅でやりなさいというのも乱暴ですし、今御披露があったように、学校で、これは多分、自治体の判断で、一定の環境を保ちながら教室を子供の居場所に開放している事例なんだと思いますけれども、おしゃべり禁止といっても、子供たち、ある程度おしゃべりもするでしょうし、動くなといったって動きますし。

 今お話がありましたように、図書館もあれば、体育館もあれば、校庭もありますから、要は、大切なことは、感染拡大の防止策をきちんと講じていただいて、手洗い、うがい等々をしっかりやっていただく中で、私は、そこは学校の常識を信頼したいと思っています。決して教室に隔離しろなんということをお願いしているんじゃないので、ちょうど一週間たちます、先生は、混乱しているという一方的な御意見しか言ってくれないんですけれども、一方、踏ん張って頑張って落ちつきを取り戻している一面も私はあると思いますので、ここでいろいろ誤解があるものについては、もう一度各自治体にしっかりかみ砕いてお伝えをして、来週を迎えたいと思います。

畑野委員 いや、別に一方的に言っているんじゃなくて、私が聞いているのは、混乱したんですよ、二十七日は。それで、一生懸命、先ほどほかの委員も言ったように、それを取り戻すためにどれだけ現場と親と地域が苦労しているか。そういうのをちゃんとわかってもらわないと、大臣、困りますよ。

 一方的に混乱している、そういうふうにおっしゃったのは撤回してください。

萩生田国務大臣 先生の例示が混乱の例示しかなかったので私はそう申し上げたので、混乱があることは承知していますし、御迷惑をかけていることはもう承知しています。そういう意味では本当に申しわけなく思っておりますので、私の言い方が間違っていればおわびを申し上げ、訂正したいと思います。

 ぜひ、柔軟な対応の中で、一番いい方法を、それぞれの地域性はあると思いますので、一緒に考えていきたいと思っています。

畑野委員 いいことは別にここで議論しなくたっていいんですよ。困っているから、突然休校になっちゃったんだから、それを何とか子供たちのためにと思って、みんなで与野党で議論しているんじゃないですか。

 であるならば、大臣、学校で受け入れていくならば、やはり何が楽しみといったら給食ですよ。まあ、体を動かしたり、図書館で本を読んだり、ごろごろするのもそうでしょうけれども。

 これは、先ほどもう議論になっているんですけれども、食材が廃棄されようとしたり、それは農水大臣が何とかしようとか、各省庁やっているじゃないですか。だから、あいているところは、大臣もこの間おっしゃっていましたよね、つくば市でしたか、給食をやって。ぜひそういうのをやっていただきたい。

 例えば、横浜市も先ほどありましたけれども、三月の給食というのはスペシャルなんですよ。一年間の、卒業生とか、学年度の終わりで、腕によりをかけておいしいのをつくろうと待っているというわけです。だから、給食ができるとなったら、市はすぐできると思うんですね。

 ぜひ、そういう給食が、先ほどいろいろ御家庭の事情でと局長さんもおっしゃっていた、そういうのも含めてなんだけれども、これだけ子供たちは我慢しているんですよ。泣きながら行っているんですよ。あるお母さんなんか、中学生の娘さんから、何よ、私たちだけにだめだと言って、大人は一体何をやっているのと言われてお母さんは泣いちゃったというんですよ。もう本当にそういう状況でいる。

 せめて、給食や学校の開放を含めて、後でまた質問しますけれども、給食、どうでしょうか。

萩生田国務大臣 今回の臨時休業に際して、子供の居場所を確保するに当たって、衛生管理に十分留意しながら、児童生徒等に対して学校給食の調理場や調理員を活用して昼食を提供することも工夫の一つと考えております。

 このため、三月二日付で厚生労働省と文科省で連名で発出した子供の居場所の確保についての通知において、児童生徒等に対してこのような工夫により給食を提供することの可能性についても留意事項としてお示しをしたところです。各教育委員会において、地域の実情やニーズに応じ、対応を判断いただきたいと思っております。

 特に、アレルギーを持つお子さんなどは、突然コンビニやお弁当屋さんでお昼を買えと言われても対応できないことがあるので、休校をスタートする段階で、給食のあり方については文科省としてもいろいろ内部でも議論しました。

 ただ、同じ時間にみんなが集まっちゃったら同じになっちゃいますから、例えばちょっと時間をずらして学年ごとに呼び込むとか、そういったことも一つの工夫ではやってもらおうというふうに思っていますので、繰り返しになりますけれども、ここで、一週間皆さんにいろいろ我慢してもらいましたので、ぜひこういったことも改めて各自治体にお伝えをしてまいりたいと思います。

畑野委員 当初、一から二週間と言ったわけですね。だから、やはり一週間ごとに、今どういう状況になっている、これができるよねというのをどんどん発出していくというのはすごく大事だと思うので、給食は、そうやって準備も要るでしょうし、調理員の方たちも一応配置されて、いつも清潔に拭いたりとか今やっていらっしゃるわけですから、それは本当に農家さんとか食材を準備してこられた業者の皆さんも朗報になると思いますので、ぜひ大臣に進めていただきたいと思います。

 あわせて、居場所の中での学童保育なんです。

 学校の外にある学童保育なんですが、本当に狭いスペースでいます。この配置、先ほど言った一メートル離すというのは、学童保育では適用されるのかどうか。適用されたらちょっと無理なんですけれども、どうなんでしょうか。

丸山(洋)政府参考人 お答え申し上げます。

 去る三月の二日付の通知の留意事項として添付をしました子供の居場所確保に係る衛生管理につきましては、学校施設等において学校が児童生徒を預かるなどの措置を講ずる際の留意事項として示したものであります。これは、あくまでも衛生管理の際に参考としていただきたいという趣旨でお示しをしたものでありまして、具体的な運用についてはそれぞれの施設の状況や子供の実態に応じて柔軟に対応していただきたいと考えております。

 なお、御指摘の放課後児童クラブにおいては、学校と施設の状況等が異なるため、適用されるものではありませんが、本通知を可能な範囲で参考にし、衛生管理には留意をしていただきたいと考えております。

畑野委員 そうすると、一メートル離すことができないというのは、それはやむを得ないということですよね。もうキャパが足りないんだもの。どうですか。

丸山(洋)政府参考人 通知の座席配置のイメージのところに、下に出典を書かせていただいておりますが、厚生労働省の動画チャンネルまた東北医科薬科大学病院の感染指導室のハンドブック等々を参考にしておりますけれども、そういった中でも、ここにありますように、いわゆるくしゃみとかせきのしぶきが二メートルの距離まで届くといったようなことは、医学上もそういった整理が行われているということでありますので、こういった状況について参考にしながら実際の運営を図っていただきたい、そういった趣旨で申し上げたところであります。

畑野委員 何か無理なことを言われても、本当に大変ですよ。

 行きましたら、換気と言われるんだけれども、二重窓なんですよ。なぜかというと、隣近所があるでしょう。だから、子供が六十人とか来たら音が出ちゃうから、ふだん締め切っているわけですよ。

 それで、唯一あけられるときがあると。それは何かというと、朝の九時からとお昼の一時から、一時間勉強するんですね。今は休業中だから勉強するのよと言って、春休みと違うのよと言って、その勉強している間は窓をあけられる。それからあと、昼御飯の時間はもぐもぐ食べているからあけられる。それから、おやつの時間。その四回、とにかくあけて、やっているということです。

 ですから、質問の順番がちょっと逆になりましたけれども、そういう外に学童保育を持っているところも、ぜひ学校の教室とか校庭とか体育館とかを使えるようにしていただきたいということですが、これはよろしいですね。

浅田政府参考人 学校の施設につきましては、学校教育法でも、「学校教育上支障のない限り、」「学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる。」とされております。

 また、放課後児童クラブにつきましては、平成三十年九月の新・放課後子ども総合プランにおいて、余裕教室の活用促進、あるいは放課後等における学校施設の一時的な利用の促進といったこともお示ししているところでございます。

畑野委員 それで、その学童保育に私も伺ってまいりましたけれども、本当に大変です。

 三月というのは、春休み前に一年間の決算をしなくちゃいけないんですね。だから、指導員の人たちは事務仕事をしているわけです、子供が来ない時間も。それがもう朝八時からあけるようになったわけですよね。だから、そこは六人の体制でやっていましたけれども、パートの方たちも、今までいろいろな用があったのを全部朝八時に振りかえるということもやっております。

 午前中から運営する場合の加算する措置というのをとっているんですが、聞いた額ではとても足りない、保護者の負担がふえるという状況です。人件費のほかに、通勤交通費、水光熱費。あるいは、障害のある子供さんを受け入れている場合もあります。保護者負担がふえないように、これは更に増額を検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の放課後児童クラブに対する補助でございますけれども、放課後児童クラブ運営費に対する現行の交付金の単価をもとにいたしまして、一斉休校に伴って午前中から運営する場合や、また、お子さんがふえることから支援の単位を新たに設けて運営する場合に必要となる人件費などを見込んだものでございます。それらを見込んだ上で、保護者負担分は求めないということと、あと、国庫負担割合を十分の十として措置する、そういった考えのもとで基準額の設定を行ったものでございます。

 先生御指摘の点につきましては、今般の小学校の臨時休業という特殊性に鑑みまして、必要に応じて追加の措置も検討してまいりたいと考えております。

畑野委員 今のままだと保護者負担が出ますので、それは出ないというふうにおっしゃったので、ぜひ増額していただきたいと思います。

 私、指導員の先生から伺ったのは、もうぎりぎりなんです。もし自分が感染したらどうするか、出てこられなくなったら学童はどうするのか。子供たちには、マスクをつけてきてね、お弁当を持ってきてねと。さっき大臣が言われた、お弁当をつくれない場合はやはりコンビニなどで買ってこなくちゃいけない。マスクを持ってこられない子もいる。そういう子には何とか備蓄しているマスクを上げるけれども、大人の分はそろそろ切れかかっていると思ったら、区役所が、あの新型インフルのときの備蓄がありましたといってマスクを持ってきてくれて、そして消毒液を持ってきてくれて、やっとこつないでいる。本当に今まで処遇が低いのに、こんなときだけ頼られるんですか、もともとの学童保育の貧弱な状況を本当に抜本的に改善してほしい、こういう怒りの声です。

 学童保育の果たしている役割が本当に皆さんよくわかったと思うので、それは抜本的な強化を求めておきます。そして、何よりも、一律休校じゃなくて、現場の判断でこういったことも、柔軟に学校を再開させていくということが、今苦労されている方たちにとって大事じゃないかと思います。

 特別支援学校、特別支援学級の臨時休業は、子供たちにとっても家庭にとっても極めて大きな負担を強いています。連休さえ家庭で過ごすことが困難な子供もいますし、障害がある子供たちにとっては、通常と違う生活リズムは混乱を招きます。日常生活と違うルーチンになりますと、パニックを起こす。どうしてあしたからずっと休みになるのか、理解するのが難しい。不安やしんどさのはけ口が家族に向けられることもあって、手が出るなど暴力的になったり、家族として、子供がどうなってしまうのかと不安になる。

 一律の対応じゃなく柔軟に対応すべきだと思いますが、いかがですか。

丸山(洋)政府参考人 御指摘の特別支援学校や特別支援学級に在籍する障害のある幼児児童生徒は、障害の種類や程度が本当にさまざまでございまして、自宅等で一人で過ごすことができない幼児児童生徒がいる場合も考えられます。

 このため、文部科学省としては、各教育委員会等に対し、福祉部局や福祉事業所と連携をした上で、放課後デイサービス等の地域の障害者福祉サービスも活用して幼児児童生徒の居場所の確保に取り組むことを要請したところであり、厚生労働省からも、都道府県の障害児支援主管部局に対し、協力を行うようお願いをいたしたところであります。また、やむを得ず臨時休業措置をとれない場合は、多くの幼児児童生徒が同じ場所に長時間集まることのないよう、必要な対策を行った上で、必要最小限の人数に絞って登校させるなどの特段の配慮を行うことをあわせて要請しております。

 これを受けまして、各自治体においては、例えば、福祉事業所等における受入れ準備が整うまでの間、一時的に学校施設で受け入れるなど、子供や学校の実情を踏まえた柔軟な対応が行われていると承知をいたしております。

 文部科学省としては、今後とも、状況の適切な把握に努めるとともに、厚生労働省とも連携をして、障害のある子供の居場所の確保に取り組んでまいります。

畑野委員 受入れを表明している学校でも、大きな違いがあるんですね。半分以上が学校に通っているというところもあるし、別のところは、ほとんど来ていないというところもあるんです。何でかというと、学校から家庭への情報提供に違いがある。学校に来てもらう前に、まず放課後デイサービスに行ってください、だめなら親です、それもだめなら祖父母、親戚に見てもらってください、それでもだめならどうぞというところがあるわけなんです。そうすると、学校利用のハードルがとても高くて諦めてしまうということなんです。

 だから、現場からは、このハードルを下げて、困っていたらいつでも来ていいんだよというメッセージを発してほしいということなんですけれども、どうでしょうか。

丸山(洋)政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども御説明をさせていただきましたが、二月の二十八日付で発出をしました次官通知によりまして、その中で、障害のある児童生徒に関することというところでは、まず、やはり自宅で一人で過ごすことができない子供たちがいるということが考えられますので、その点について、教育委員会に対しては、福祉の部局等と連携をした上で、放課後デイ等のいわゆる地域の障害福祉サービス等も活用して居場所の確保に取り組んでいただきたい。

 それで、やむを得ず、福祉サービスの人員の、定員の問題等で居場所を確保できない場合においては、できるだけ衛生環境それから密集度等を考慮しながら、長時間子供たちが集まるようなことのないようにという、そういった対策を行った上で、必要最小限の人数に絞って登校させるなどの配慮を行ってほしいということをお願いいたしております。

 各自治体で、福祉部局とさまざま相談をしながら取組が行われているというふうに思いますが、文部科学省でも、厚生労働省とさまざま意見交換をしながら、現場の状況を踏まえて丁寧な対応を進めていきたいと思います。

畑野委員 ぜひ丁寧にやってください。

 そのほか、いろいろ子供たちの学校環境について聞きたかったんですが、もう時間が少ししか残っていないので終わります。お母さんたちは、先ほどあった学力テストもやめてほしい、そういうことなどもありますから、あるいは、公立図書館が閉まっている、これをあけてほしいとかいろいろな御要望がありますので、ぜひ対応をしていただきたいということを申し上げまして、次に進みます。

 働く方たちの問題です。

 休校になって、臨時講師の先生たちの仕事がなくなってどうしようとなっていますとか、給食センターでパートをしている人が、仕事がなくなり収入が得られないので雇ってほしいと別のところに訪ねてきたとか、大変苦労があります。スクールサポートスタッフや専科の非常勤講師、給食の調理員あるいは部活動指導員とかいろいろな方たちがかかわっていますが、雇用の確保についてどう対応されますか。

丸山(洋)政府参考人 お答え申し上げます。

 休業中の学校においては、引き続き、非常勤講師については授業準備、年度末の成績処理や児童生徒の家庭学習の支援、スクールサポートスタッフについてはこうした教員の業務の補助や保護者への連絡補助など、給食調理員の場合は給食調理場等の清掃、消毒などの業務を行うことが考えられます。

 文部科学省としては、各教育委員会において、当該非常勤職員の任用形態や学校の運営状況等を踏まえながら、引き続き適切な任用がなされることが必要と考えており、このことについて、三月の三日付で当省のホームページに掲載をしましたQアンドAにおいても周知をさせていただいたところであります。

 また、昨日、三月五日付で総務省より、これと同趣旨の、地方公務員の業務体制の確保に関する通知が発出をされ、文部科学省も同日付で教育委員会等に対し通知を発出したところであり、文部科学省としては、引き続き趣旨の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 私のところにもいろいろな相談が来ておりますので、ぜひ雇用を守り、また子供たちのためにもしっかりとした教育の体制を整えていただきたいと思います。

 次に、文化、スポーツイベントについて伺います。

 学校休校により、予定されていた、子供たちが楽しみにしていたこの春休み、春の期間の観劇、演奏の機会などが奪われてしまった。子供たちが文化芸術に触れ合う機会を保障するために、劇団などへの支援をどのように行うのかというのを大臣に伺いたいんです。

 私、きのう団体の方たちのところに伺ってまいりました。日本オーケストラ連盟と日本児童・青少年演劇劇団協同組合のところに伺ってまいりました。

 オーケストラでいうと、二月二十九日以降中止が決まった公演を挙げると、最終的には二百五十ぐらいの公演中止になるんじゃないか、このまま続けば四月末ごろから資金繰りが厳しくなり、潰れるところも出るかもしれないという声が出ていました。また、児演協でも、三月公演の中止が相次ぎ、史上最悪の危機だ、融資拡大されたとしても、今月の給料が払えるかどうかも怪しい、今月中に現金を補填しなければ各劇団は回せなくなるという訴えでした。新型インフルエンザのときにも最も大変だと思ったけれども、今回はそれよりも更に大変な事態だ、影響が大きいと言っていました。

 これは、いただいた、東京都の二〇二〇児童青少年演劇祭典「ふれあいこどもまつり」というのが行われていまして、何カ所かであるんですね。それで、二月二十三日は狛江でできたということです。そのときには、スタッフの皆さんが全部消毒して拭いて、エレベーターのボタンまで全部拭いて、やった。換気も、本当はやると緞帳が揺れちゃうんだけれども、換気扇を回して換気をやった。子供たちは本当に喜んで帰っていった。

 ところが、三月一日は中止になってしまった。このパンフレットを開いて見た途端に、その団体の方がもう絶句して、涙を抑えられないと。つまり、これだけ準備してきた白雪姫とか牛若丸とか、本当に、準備してきたものができなくなった、子供たちに見せたかった、聞いてほしかったと。

 そういう思いがあふれる場面に、私は、これは何とかしなくてはいけないと思ったんですが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 何とかしてあげたいと思います。

 御指摘のように、今後とも子供たちが質の高い文化芸術に触れる機会を確保していくためには、劇団等の芸術団体の継続的な支援が重要であると考えております。文科省では、我が国の舞台芸術の水準を向上させるとともに、国民にすぐれた舞台芸術鑑賞の機会を提供するため、これまでも舞台芸術創造活動活性化事業を通じて支援を行ってきたところであり、今後も支援の充実に努めてまいりたいと思います。

 既に、文科省単独の事業ではないですけれども、劇団などの資金繰りも、しっかり貸付けができるようにしていこうということは、もう連絡会議でも話題の中に出ております。そして、外で民間が行うものに誰かが行くはずだったというものはなかなかその確証がしづらいんですけれども、学校単位での鑑賞会などが中止になっているのも幾つもあると思います。そういう機会は、ぜひ一日も早くこれが鎮静化をして、落ちついたときにどこかできちんとできるように、しっかりサポートしたいと思います。

畑野委員 予算が年度末からまたぐということがあるんですけれども、そういうことも含めて、延期の場合にはそういう手だてもぜひやっていただきたいというのは各団体から伺っているところです。

 二月二十六日に、安倍首相がイベントの中止、延期、規模縮小という要請をされまして、フリーランスの実演家や演奏者、スポーツインストラクターなどのスポーツ関係者は大変苦労されております。どういう支援をされるんでしょうか。

山田政府参考人 お答えします。

 これは先生が挙げられた職種の方々だけではないですけれども、休業を余儀なくされる労働者への支援については、総理から示された方針を踏まえて、厚生労働省として、雇用調整助成金の特例措置の対象の拡大や要件緩和に加えて、小学校等の休校等に伴い職場を休まざるを得なくなった方々に対して、正規、非正規を問わず、休暇中に支払った賃金相当額を全額支給する新たな助成金の創設等に取り組んできました。

 加えて、収入の減少等により当面の生活費が必要な方については、社会福祉協議会が実施主体となる生活福祉資金貸付制度において、低所得等の世帯であって、緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった世帯に対して、当面の生活費として、無利子で十万円以内の貸付け、低所得世帯であって、収入の減少や失業等により生活に困窮し日常生活の維持が困難となっている世帯に対しては、生活再建までの必要な費用として、保証人がいる場合は無利子で原則月額二十万円以内を三カ月間まで受けられる貸付けを行っているところであります。

 フリーランスや個人事業主の方の状況はさまざまであると考えられ、収入が減少し、暮らしが厳しい状況にある方については、今般の状況に鑑みると何らかの支援が必要であると考えております。収入が減少するフリーランスや個人事業主の方々に対する支援についても対応を検討しているところでありますが、早急に結論を得たいと考えております。

 今後とも、政府全体としてしっかりと連携を図りながら、必要な対策を講じてまいりたいと思います。

畑野委員 つまり、スポーツ、文化イベントなどの自粛要請なんですよ、中止しろと言っているんですよ。延期というのはまだ次に続くかもしれないけれども、規模縮小、そうしたら、それではじかれるフリーランスの人はいっぱいるわけですよ。

 具体的に、ただ言葉で検討しますと言うんじゃなくて、ちゃんと結論が出るものを急いで出してくれないと生きていけないんですけれども、スポーツ、文化が成り立たないんですけれども、どうですか。もう一回。

山田政府参考人 特にフリーランスや個人事業主の方々というのは状況がさまざまでありますので、今先生が言われた文化芸術活動に携わられる方々も含めて、その状況を踏まえてどういった支援ができるのかについて、追加的な対応を今検討しているところでありますので、早急に結論を得たいと考えております。

畑野委員 厚労大臣の方にも日俳連の西田敏行さんから要請が行っていますから、ちゃんとやってください。雇用関係、非雇用関係にかかわらずやってほしいということですから、お願いします。

 最後に、二つの質問をまとめて伺いますので、お願いします。

 文化団体に対する助成金、先ほど言いました、コンサートやイベントが中止された、延期された場合でも出していただきたいという意見が出ました。それから、中止に伴うオーケストラの楽員に対する経済的補償を行うべきだと思いますが、その二点、伺って終わります。

今里政府参考人 助成金についてでございますけれども、今回、助成金の交付対象となっている舞台が中止になった場合、助成対象経費のうち、既にかかった経費やキャンセル料などの経費については助成金を支払うこととしております。また、公演が来年度に延期された場合でも、助成金を支払うことができるよう、所要の繰越手続を行うことを検討しております。

 また、オーケストラの団員に対する経済的補償、今ほど厚生労働省さんの方から、雇用調整助成金の特例措置の活用を可能としたというお話がございましたけれども、私どもといたしましては、それに加え、今後の話になりますが、自粛等によって冷え込んだスポーツ、文化芸術への関心と熱意を再び盛り上げるために、団体やフリーランスの方々のお力もおかりしながら、スポーツ、文化芸術活動への支援や鑑賞の場の確保を始めとする振興に取り組んでまいりたい、このように考えております。

畑野委員 強く求めて、質問を終わります。

橘委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 今国会も文部科学委員会でお世話になります。よろしくお願いいたします。

 まず、新型コロナウイルスに感染された皆様、治療中の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 この一、二週間が新型コロナウイルス感染が急速に拡大するか終息に向かうかの瀬戸際ということで、早期終息に向かうように国民一人一人が協力し合わなければならないことは理解をしておりますが、総理の要請により、小中学校、高校、特別支援学校が突然の休校となり、教育現場や家庭など、さまざまなところで大変大きな混乱が生じております。

 他の委員からも、既に多くの御指摘もございましたけれども、私からも、新型コロナウイルスによる臨時休業によるさまざまな影響について質問をさせていただきます。

 まず、児童生徒の体力、健康維持について大臣に伺います。

 新型コロナウイルスにより一斉休校となり、体育の授業もなくなり、部活も中止になっております。友達と外に遊びに行っている生徒の話も一部聞きますが、不要不急の外出を控え、自宅などで過ごしている児童生徒も多いと思います。特に地方では徒歩や自転車で通学している児童生徒が多く、ずっと自宅で過ごしている状況は運動不足になっていると思います。風邪を引かないような免疫力の高い元気で健康な体づくりのためには、適度な運動も栄養のある食事も必要です。

 児童生徒の体力、健康維持は大変重要だと考えますが、文部科学省として何か方針を出されるのでしょうか。グラウンドや体育館の開放等も考えられているのでしょうか。大臣、お願いします。

萩生田国務大臣 学校の臨時休業に伴い子供たちが運動する機会が減少することを踏まえ、文部科学省としては、二月二十八日付で事務連絡を発出し、体育の授業で学習した内容で、家庭でも安全に行うことのできる運動をお示ししたところでございます。また、臨時休業期間において、学習に役立つコンテンツとして、家庭で一人又は親子などの少人数でできる運動遊びやダンス動画などのスポーツメニューを紹介しております。

 文科省としては、このような情報を広く提供することによって、休業期間中の子供たちの体力、健康維持を図ってまいりたいと考えております。

 なお、安全な環境のもとに行われる日常的な運動、例えばジョギングですとか散歩ですとか縄跳びですとか、こういったことまで一律に禁じているものではなくて、各個別の判断によって、集団的なスポーツ、例えばラグビーでスクラムを組むとかこういうことになりますと、万が一のことは濃厚接触になりますので考えられませんけれども、しかし、体を動かすという程度のスポーツを皆さんが外へ、それを外へ出てやっちゃいかぬということを要請しているのではないので、その辺もまた誤解があるようでしたら徹底してまいりたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣から御説明がありましたけれども、私は体育大学出身で、スポーツももともと子供のときから好きでした。縄跳びの練習も誰にも言われなくても勝手に跳んでいたり、一輪車に乗ったりと、休みの日にも自分で動いていましたけれども、スポーツが苦手な子供、ダンスの動画を流しても、やってくださいね、こういうのは安全なのでどうぞ、このストレッチもいいですよと言っても、きっと子供たちはやらないと思います。好きな子供たちは、何も言わなくても自分で体を動かしたくなるものだと思います。

 こういったところも、現場の声をしっかり聞いて、子供たちには案内はしましたよというところで終わらずに、実際に子供たちがしているかどうかというところもしっかりと情報を収集していただいて、今後の子供たちの体調管理について検討していただきたいと思います。

 総理は、今回の休校は子供たちの命と健康を守るためだとおっしゃられました。運動不足の子供たちをふやしてしまっては、子供の健康は守れないと思います。自宅でゲームばかりしているといった子供の話も聞きますし、不健康な食事が続けば、これは子供たちの健康は守れません。グラウンドや体育館の開放なども今後検討していただきたいと思います。また、自治体の意見を尊重する必要もありますが、何でも現場の判断と丸投げではよくないと思いますので、国として方針を示していただきたいと思います。

 また、グラウンドや体育館などを一部使用を許可するとなった場合にも、感染が拡大しないような指導をしっかりしていただくことと、また、アルコール消毒液の確保をしっかりとお願いしたいと思っております。

 部活の中止に関してですが、高野連が選抜高校野球の無観客試合の方針で、場合によっては中止もあり得るようですが、無観客で試合を行うということであれば、野球部の練習は中止ということでは困ります。私学などは練習しているようですし、午前中の馳委員の質疑の答弁では、部活に関してはそれぞれの判断に任せるとのことでした。

 それぞれの判断に任された場合、万が一その野球部で感染が拡大した場合には、責任は誰がとるのでしょうか。試合があるから野球部は練習してよいのか、接触プレーの少ない、例えばテニスなどはいいのか、室内競技で、柔道のような接触が多いものはだめなのかなど、現場の判断というのは大変難しいと思います。子供たちの、友達と一緒に体を動かしたいという思いに応えるには、判断はなかなか難しいと思いますので、国の方針というのをしっかりと示していただきたいと思います。

 子供の健康維持という面では、給食の問題もあります。こちらも他の委員からも質問が出ましたし、本日は質問はいたしませんが、私も教育現場から多くの心配の声を聞いております。答弁をお聞きしておりますと、給食についてはこれから丁寧に検討しますといったものでした。貧困家庭で給食を一日の食事の頼りにしていた児童生徒が、これから何日我慢しなければならないのでしょうか。食事は家庭の問題だと済ませるのではなく、本来であれば三月は登校して給食を食べるはずだったわけですので、早急に対応をお願いしたいと思います。しっかり食べ栄養をとり健康な体でいないと、自宅で待機をしていても体調を崩してしまう可能性があります。子供の命、健康を考え取り組んでいただきたいと思います。

 余裕がある家庭はシッターを頼むことができたり祖父母に面倒を見てもらうことができる、また、祖父母にお願いするにしても、交通費を出せる家庭、食事代を出せる家庭、家庭にも事情があると思います。自宅で見るというのはお金のかかることですので、多くの国民が我慢をしておりますので、特に貧困家庭への支援をよろしくお願いいたします。

 次に、大会や発表会中止に伴う児童生徒への配慮について伺います。

 部活が中止となり、大会や発表会も中止となりました。発表会等のイベントが中止になり、多くの子供たちがつらい思いをしております。保護者の方々にお聞きもしましたが、子供の発表会や試合など、もちろん子供たちも楽しみにしていたと思いますが、保護者の方々も大変楽しみにして準備をしておられ、中止にせざるを得なかった保護者の方々は涙目で訴えられておりました。

 特に卒業生は、進路が分かれます。卒業前の大事な時期でありましたので、児童生徒のために心のケアも必要だと思いますし、配慮が必要ではないかと思います。

 三月に予定されていて中止となったイベントや大会など、今後、開催予定は検討されているのでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 二月二十六日の新型コロナウイルス感染症対策本部において、この新型コロナウイルス感染症の基本方針を踏まえて、この一、二週間が感染症拡大防止に極めて重要であること、また、多数の方が集まるような全国的なスポーツイベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後二週間予定されているものについて、中止、延期又は規模縮小等の対応について総理から指示を受けたところでございます。

 今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であり、文部科学省としては、その旨、スポーツ関係団体や文化関係団体に対し対応の要請を行ったところであります。

 このことを踏まえ、さまざまなイベントの主催者においては、子供たちの健康、安全を守るため、さまざまな観点から慎重に検討を重ねてきていただいて、結果として大会あるいは発表会等の中止の判断をされたのだと理解をしております。

 私どもとしては、このような主催者の判断を尊重したいと思いますし、それぞれの感染の状況とか地域の実態を踏まえて、仮に、そうした中止をしたような地域の、あるいは一定の地区でのイベント物について延期を考えているという事例を耳にしたこともございますが、それぞれの地域ごとに状況は異なりますので、そうした状況も踏まえながら、そのイベントの主催者において適切に判断をしていただくということかと考えております。

 以上でございます。

森(夏)委員 主催者等に判断を委ねるということで、本当にこの一、二週間が瀬戸際だということで、それは理解をしておりますが、特に卒業生はつらい思いをしております。延期といっても、新しい中学校や高校へ進学する、違う高校へ進むといった、ばらばらに進路がなるわけですので、また一緒にイベントをするというのはなかなか難しいのではないかと思います。

 本当に子供たちが我慢をして、つらい思いをして協力をしておりますので、この児童生徒の思い、涙を無駄にしないように、今後も文部科学省として今後の対策をしっかりと講じていただきたいと思います。

 突然の休校要請により中断してしまった学業の残りのカリキュラムの対応について大臣に伺いたいと思います。

 他の委員の先生からも既に質問もありましたが、その答弁の中で、卒業や進学ができないといったことはないようにするとのお話もありましたが、それは当たり前のことだと思います。また、著しいおくれが生じないようにするとのお話もありましたが、具体的にどのようにされるのでしょうか。

 休校により中断してしまった学業の保障について、特に小学校六年生や中学校三年生の卒業生に対しての残りのカリキュラムはどのように考えられているのでしょうか。

萩生田国務大臣 臨時休業期間中に児童生徒の学習に著しいおくれが生じることのないよう、文部科学省としては、各教育委員会等に対して、可能な限り、家庭学習を適切に課す等の必要な措置を講じるよう依頼するとともに、必要に応じて、次年度に補充のための授業として前学年の未指導分の授業を行うことも考えております。

 また、今般の臨時休業に伴い、卒業を迎える学年の児童生徒が授業を十分に受けることができなかった場合には、必要に応じて、進学先の学校と当該児童生徒の学習状況を共有し、進学先の学校においては、共有された情報を踏まえて補充的な学習などの個に応じた指導を行うなどの配慮も考えられます。

 さらに、文部科学省としては、臨時休業期間における児童生徒の学習の支援方策の一つとして、児童生徒及び保護者等が自宅等で活用できる教材や動画等を紹介するポータルサイトを開設し、周知をしているところでございます。

 文部科学省としては、こうした取組を通じて、臨時休業期間中の児童生徒の学習に著しいおくれが生じることのないよう、不利益が生じることのないように、引き続き、児童生徒の学習に関する支援を進めてまいりたいと思います。

 先生の御心配のように、学年の持ち上がりの場合は、これは同じ学校にまだ在籍しますから何とかなると思うんですけれども、六年生と中学三年生で、もう義務教育を終えて卒業してしまった後に、今、仕組み上は、私、こういうこともあり得るということは申し上げましたけれども、それはやはり非現実的だと思うんです。したがって、割と六年生と中三の学習指導要領は二月後半ぐらいまでに大体終わって、三月はお別れのイベントが多いように学校行事は大体組んでありますので、ほぼそういう心配はないと思いますけれども、まだこれから、来週、再来週とどういう状況になるかわかりませんが、万が一の場合は、落ちつきを取り戻すことができれば、春休み期間中などにしっかり補充をしていただくこともしっかり視野に入れながら、いずれにしても、児童生徒が後悔をするようなことのないように全面的にフォローしていくことを約束したいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 しっかりと補充していただけるということで大臣から御答弁いただきました。

 先ほども御説明ありましたように、家での教材というのも、活用できる家庭は大変すばらしい教材として使われると思います。動画もそうだと思います。これも先ほどの体力づくりの面でも同じだと思います。教材を与えられて家庭でできる生徒と全くやらない子供と、差がかなり出るのではないかと思いますので、こちらも学力や体力に差がないかどうかしっかりとチェックをして、少しおくれの生じているような子に対しては補充のサポートをしっかりとお願いをしたいと思います。

 残りのカリキュラムはどうするのかという問題の中で、美術や家庭科の未完成の作品の取扱いについてお聞きしたいと思います。

 未完成のまま持ち帰らせて終わりということなのでしょうか。お願いします。

串田政府参考人 お答えいたします。

 三月ということもございまして、教科によっては作品は既に完成しているといったケースも考えられるところでございますけれども、御指摘のように、このたびの学校の臨時休業に伴いまして、美術科や技術・家庭科等の授業におきまして、絵画や彫刻、衣食住や技術にかかわります作品が完成していないなどといった状況が発生する場合も想定されるところでございます。

 このような場合、例えば、家庭において制作を行うことが可能なものにつきましては、引き続き作品の完成を目指して宿題として行うこと、あるいは、翌年度に各学校において補充のための授業を行いまして完成させたりするといったことなどが考えられるところでございます。このような場合の具体的な取扱いにつきましては、児童生徒や各学校の実態等に応じまして、学校や各設置者におきまして御判断いただくものと考えております。

 文部科学省におきましては、今回の休業に伴います教育課程関係の情報につきまして、二月二十八日付で教育委員会等宛てに既に周知してございます。文科省のホームページにおきましてもQアンドAなどで掲載しているところでございまして、引き続き、必要な情報提供に努めてまいりたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 宿題にするだとか次の学年で完成させるといったことも、ぜひやっていただきたいと思います。この新型コロナウイルスのせいでといいますか、この影響で授業が途中で終わって、未完成のまま、これで終わったんだという作品を家に持ち帰って、何か嫌な思い出にならないように、しっかりと完成した作品になるようにしていただければと思います。

 突然の休校により、生活リズムの変化に対応できない児童生徒がいると聞いております。特に、障害を抱える子供たちや家庭環境に問題のある児童生徒への配慮が必要であると考えますが、児童生徒の不安解消のために、何か対策は考えられているのでしょうか。

丸山(洋)政府参考人 お答えいたします。

 臨時休業により自宅で過ごす時間が長くなることに伴う生活リズムの乱れやストレスなどの課題については、教育委員会や学校においても必要な対応を講じていくことが重要だと考えております。

 このため、文部科学省においては、各都道府県教育委員会等に対し、臨時休業に伴い自宅で過ごす児童生徒やその保護者との連絡を密にし、ストレスなどの課題に関し、二十四時間SOSダイヤル等の相談窓口を適宜周知するとともに、必要に応じて養護教諭やスクールカウンセラーなどによる支援を行うよう依頼を行ったところであります。

 また、在宅時間が大幅に増加することも踏まえ、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協において要保護児童として進行管理台帳に登録をされている児童生徒については、スクールソーシャルワーカーなどを活用するなどして関係機関と緊密に連携をし、必要な支援を行うよう依頼をしたところであります。

 文部科学省としては、引き続き、児童生徒の不安の解消などに向け、自治体との丁寧な情報交換を行いながら、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 児童生徒の不安解消、大変重要なことだと思いますので、引き続き対応をお願いしたいと思います。

 教育現場や保護者の方々から不安の声が多く聞かれたのが、休校中の児童生徒のけがの保険についてです。

 休校となり、児童生徒が自宅で過ごす中で、けがをしてしまった。例えば、給食も中止になりましたので、一人で御飯の準備をしているときにやけどをしてしまったといった場合に、保険の適用はどうなるのでしょうか。本来であれば、三月は授業があり給食があったわけですので、休校中に児童生徒がけがをした場合の保険適用について、学校外でのけがは自己責任ということなのでしょうか。自宅にいなさいと言われて、体を動かしたくなり、休校中の学校のグラウンドでけがをした場合など、さまざまなことが考えられると思います。学校だったり公園に向かう途中でけがをしたりといったようなことも考えられると思います。

 休校中の児童生徒の保険適用について、どのように考えられているのでしょうか。

浅田政府参考人 まず、学校の管理下での児童生徒等の災害については、独立行政法人日本スポーツ振興センターが実施する災害共済給付制度というのがございますが、この制度によって医療費等の支給を受けられることになっています。

 今回の一斉臨時休業期間中の活動であっても、例えば、学校において児童生徒を受け入れた場合で、学校の教育計画に基づく課外指導として位置づけられたものであるなどの要件を満たす場合には、当該活動中に発生したけが等の災害については、学校の管理下の事故として、この災害共済給付の対象になります。

 それ以外の、例えば町中での事故など、学校の管理下以外でのけが等についてはこの災害共済給付の適用外となりますが、例えば放課後児童クラブ等については、通常は、民間の傷害保険に加入していることが一般的であると承知をしております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 学校の管理下でないとということは承知をしております。ですけれども、急な休校となり、一人で過ごす児童生徒もいれば、また保護者の方々が協力をして、きょうはAさんの家、あしたはBさんの家という感じで、数人ずつ保護者の方が子供たちを見ているような状況もあります。そういった中で、けがをしてしまったり事故に遭ってしまったりというときには自己責任となるのか、こういったことも、この急な休校による子供たちのけがに関しても、今後、国で、保険の適用など考えられないのか、検討をしていただきたいと思います。

 新型コロナウイルスの終息が見えないきょうの段階で、この休校がいつまでなのかということは決められないと思いますが、長期化すれば、けがや事故などは起こると思います。教育現場や保護者からも不安の声が多いですので、今後、早急に検討をお願いしたいと思います。

 質問の順番を変えまして、次に、新型コロナウイルスによるオリンピック、パラリンピックのホストタウン事業や合宿の中止について伺いたいと思います。

 オリンピック開会まで五カ月を切り、本来であれば、ホストタウンでの交流事業や合宿など、さまざまなイベントも行われ、オリパラに向け盛り上がっていく時期だったと思います。復興五輪と位置づけ、東日本大震災からの復興を世界にアピールできる大会とするために準備を進めてこられたと思います。

 私も、鹿屋体育大学の出身で、スポーツが大好きで、橋本大臣が所信でおっしゃっておられた、スポーツの持つ力、オリンピック、パラリンピックの持つ力ははかり知れないという言葉はそのとおりだと思います。スポーツには、人を元気にする、勇気を与える、みんなを一つにする力があります。オリンピック、パラリンピックの成功のためには、何としても新型コロナウイルスの終息をしなければならないと思っております。

 現在、新型コロナウイルスにより、スポーツイベントに限らず、さまざまなイベントが中止、縮小となっておりますが、ホストタウン事業や合宿の中止の現状について教えてください。

橋本国務大臣 ありがとうございます。

 新型コロナウイルス感染症の発生によりまして、事前合宿の受入れや公開練習が中止となるなど、ホストタウン事業の実施に影響が生じているということは認識をしております。せっかく準備してきたことを行えずに、残念な思いをしているホストタウンが、自治体が幾つもあるというふうに思いますので、そういった対応は、非常に、レガシーということの観点からも重要だというふうに思っております。

 まずは、予定どおり大会が開催できるように、IOCや組織委員会、そして東京都との間で緊密に連携を図りながら、その準備を着実に進めてまいります。そして、引き続き、事前合宿の受入れ等をホストタウン自治体がしっかりと実施をできるように、最大限の支援をしていきたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ホストタウン事業など、海外の方々と交流する大変よい機会だったと思いますが、新型コロナウイルスを終息に向かわせるためには、このイベントの中止等、やむを得なかったと思います。今後、オリンピック、パラリンピックが開催できるように、支援をよろしくお願いいたします。

 昨年、大変盛り上がったラグビーワールドカップですが、台風により試合が中止になることがありました。

 私は、東日本大震災が政治家を目指す大きなきっかけの一つでもあり、東北に思いを寄せ、足を運ぶことを心がけております。実は、ラグビーワールドカップで私が唯一見に行く予定だったのが、釜石鵜住居復興スタジアムで開催されるナミビアとカナダの試合でした。天候も悪いと聞いていたので、岩手県に前日入りをしておりましたが、当日の朝、試合中止の判断が下されました。ある程度予想はしておりましたし、日本人ですので、特に問題なく、JRの新幹線が動くまでに八時間もかかったんですけれども、チケットの変更など、特に問題なく私はできましたけれども、海外の方が駅員さんに英語でいろいろ問合せをしている姿をたくさん見ました。オリンピック、パラリンピックのときには、更に多くの国の方が来られると思うので、多言語での対応が必要ではないかなと感じました。

 台風は、ある程度予測ができます。予測のできない災害もありますが、私は、当日に大会の中止の判断は遅かったように思っています。できるだけ開催をしたいという思いはあると思いますが、悪天候や災害による試合中止の判断基準というのは決められているのでしょうか。また、さまざまな国の方々が観戦に来られますので、多言語での情報提供というのはどのように行う予定なのでしょうか。

橋本国務大臣 委員御指摘の具体的な判断基準につきましては、残念ながら、前回見ることができなかったと言われる、昨年のラグビーワールドカップにおける台風十九号への対応等も踏まえながら、実施主体である大会組織委員会におきまして、今現在、検討が進められているところであるというふうに承知をしております。

 具体的には、大会組織委員会では、台風や地震といった自然災害を含むさまざまなリスクに対して、必要となる対策、対応等について、大会にかかわる人々が共通認識を持てるように、不測の事態が発生した際の行動基準プランを定めまして、そのプランをテストイベント等や演習を通じて実践することで、安全、安心な大会運営となるような準備を今進めているところであるというふうに聞いております。

 政府としては、二〇二〇年東京大会の成功に向けて、選手や観客の皆さんが安心して大会を楽しむことができるように、組織委員会、そして東京都と連携をしてまいります。

 あともう一点のお尋ねでありますけれども、東京オリンピック・パラリンピックの成功のためには、観客を始めとする訪日外国人旅行者の受入れ環境をしっかりと整備をするということが大変重要だというふうに考えて、今懸命にその問題に取り組んでいるところでありますけれども、特に暑さ対策も含めてこの問題に取り組んできましたが、大会組織委員会におきましては、専用のウエブページですとかアプリケーションを作成して多言語で情報を掲載するとともに、競技セッションの開催状況についてリアルタイムで情報提供してまいります。また、加えて、多言語対応可能なスタッフを会場の内外に配置をして、必要な情報提供を行っていく予定であります。

 また、公共交通機関や路上における多言語情報の提供について、政府、東京都が官民協議会を設置いたしまして取組方針を作成し、これに基づき普及を推進してきたところでありますが、災害情報に関しては、観光庁の監修したアプリケーションにより、多言語かつリアルタイムで情報提供を実施しております。

 このように、受入れ環境の整備によって、この東京大会を成功に導くということが非常に重要でありますので、大会後のレガシーとしても残していけるように、関係機関と連携して一層の努力をしてまいりたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ぜひ海外の方をしっかりおもてなしできるようにしていただきたいと思います。

 昨年、WPLサミット、世界女性政治家サミットが行われまして、その中で、さまざまな多言語を準備していたんですけれども、イスラム圏の方からアラビア語がないという指摘を受けましたので、アラビア語もしっかりと対応できるようにお願いをしたいと思います。

 最後に、質問しようと思っておりましたが、時間がありませんが、パラリンピックの後に、障害者スポーツの普及に対しても、パラスポーツだけではなく、パラリンピックにある種目以外の障害者スポーツの普及についても今後しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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